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1984/05/30 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第9号
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1984/05/30 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第9号

#1
第102回国会 文教委員会 第9号
昭和六十年五月三十日(木曜日)
   午後一時八分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     和田 静夫君     粕谷 照美君
     栗林 卓司君     小西 博行君
 五月二十八日
    辞任         補欠選任
     柳川 覺治君     森下  泰君
     粕谷 照美君     小柳  勇君
     中村  哲君     福間 知之君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     森下  泰君     柳川 覺治君
     小柳  勇君     粕谷 照美君
     福間 知之君     中村  哲君
 五月三十日
    辞任         補欠選任
     高木健太郎君     伏見 康治君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         真鍋 賢二君
    理 事
                杉山 令肇君
                仲川 幸男君
                久保  亘君
                吉川 春子君
    委 員
                井上  裕君
                山東 昭子君
                世耕 政隆君
                林 健太郎君
                柳川 覺治君
                粕谷 照美君
                中村  哲君
                安永 英雄君
                高桑 栄松君
                伏見 康治君
                小西 博行君
   国務大臣
       文 部 大 臣  松永  光君
   政府委員
       文部政務次官   鳩山 邦夫君
       文部大臣官房長  西崎 清久君
       文化庁次長    加戸 守行君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        佐々木定典君
   参考人
       岡山大学法学部
       教授       阿部 浩二君
       早稲田大学法学
       部教授      土井 輝生君
       日本電子工業振
       興協会ソフトウ
       ェア懇談会座長  三次  衛君
       日本アミューズ
       メントマシン工
       業協会会長    中村 雅哉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○著作権法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(真鍋賢二君) ただいまから文教委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、高木健太郎君が委員を辞任され、その補欠として伏見康治君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(真鍋賢二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 著作権法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会にお手元の名簿にございます四名の方を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(真鍋賢二君) 次に、著作権法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。松永文部大臣。
#6
○国務大臣(松永光君) このたび政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、コンピューター・プログラムが著作権法により保護される著作物であることを明らかにするとともに、コンピューター・プログラムの特質に見合った著作権法の規定の整備を行い、プログラムの著作物の著作者の権利の一層適切な保護を図ることを目的とするものであります。
 御案内のとおり、近年における電子計算機の改良普及はまことに目覚ましいものがありますが、コンピューター・プログラムについては、電子計算機に高度の機能を果たさせる中核となるものであり、従来における機器の附属物として扱われる傾向から、機器から分離独立した高い価値を持った創作物として扱われるようになってきております。
 このような状況に対応して、コンピューター・プログラムの法的保護が重要な課題となってきており、国際的には、著作権法を適用してプログラムの著作物の著作者の権利を保護する方向が大勢となってきております。このたび、このような国際的な動向等を踏まえ、著作権法によりプログラムの著作物の著作者の権利の保護を図ることで政府内における意見の一致を見たところであります。これに基づき、プログラムの著作物の公正な利用に留意しつつ、その著作者の権利の適切な保護を図るため、所要の措置を講ずることが今回の著作権法の一部改正の趣旨であります。
 次に、本法律案の内容について申し上げます。
 第一は、プログラムの著作物についての著作権法による保護の明確化であります。
 まず、プログラムの定義を明らかにするとともに、プログラムが著作権法による保護の対象となる著作物であることを明確にするため、著作物の例示にプログラムの著作物を加えることとし、あわせてこのプログラムの著作物に対する保護は、プログラムの著作物において用いられているプログラム言語、規約または解法に及ばないことといたしております。
 また、法人等が著作者となる場合の要件として、プログラムの特質にかんがみ、法人等の著作名義で公表することは要しないことといたしております。
 第二は、プログラムの著作物の特質に対応し得るよう、その利用等に関する規定を整備することであります。
 まず、プログラムの著作物を電子計算機において、より効果的に利用する等のための改変は、やむを得ない改変として、同一性保持権を侵害するものでないことを明らかにいたしております。
 また、プログラムの著作物の複製物の所有者が行う自己の利用のために必要な複製、翻案を認めるとともに、これにより作成された複製物の取り扱い及びこれらの目的外使用の禁止を定めることといたしております。
 さらに、プログラムの著作物の創作年月日の登録の制度を設けることとし、プログラムの著作物の登録について必要な事項は別に法律で定めることといたしております。
 第三は、一定のプログラムの使用を著作権侵害とみなすことであります。
 すなわち、いわゆる、海賊版プログラム等著作権を侵害する行為によって作成された複製物を業務上電子計算機で使用する行為は、その使用権原を取得したときに情を知っていた場合には、著作権侵害行為とみなすことといたしております。
 第四は、施行等についてであります。
 この法律は、昭和六十一年一月一日から施行しますが、登録に係る改正は、別に定める法律が施行される日から施行されることといたしております。
 その他所要の経過措置を講ずるとともに、関係法律の整備をいたしております。
 以上が、この法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
#7
○委員長(真鍋賢二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 なお、政府に対する質疑は後日行うことといたします。
 それでは、これより参考人から意見を聴取いたします。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ当委員会に御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 当委員会では、著作権法の一部を改正する法律案について審査を進めているところでございますが、本日は、本案について皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 つきましては、議事の進め方でございますが、まず、お手元の名簿の順序で、お一人二十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、まず阿部参考人からお願いいたします。阿部参考人。
#8
○参考人(阿部浩二君) ただいま御指名いただきました阿部でございます。初めに、プログラムの保護に関し著作権法の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、私が若干の意見を申し上げる機会をいただきましたことについて御礼申し上げたいと存じます。
 ところで、この著作権法の一部を改正する法律案でございますが、その要綱を拝見いたしまして、率直に、端的に、私の結論と申しますか、意見をまず申し上げておきたいと思います。
 プログラムの保護につきまして著作権法の一部を改正する法律案がこの機会に提示されましたことにつきましては、国内的にも国際的にも極めて時宜にかなったものであると確信いたしまして、できるだけ速やかに御賛成をいただきまして、法律案の成立の一日も早いことを期待しているということを申し上げておきたいと思います。
 と申しますのは、御承知のように現在コンピューター時代と申されておりますように、コンピューターの普及、開発、発展というものは極めて目覚ましいものがあるわけでございます。
 コンピューターはいわゆるハードとソフトとの二つに分けて考えることができますけれども、過去におきましては、いわゆるハードもソフトも一体でございましたが、現在はハードとソフトとを分離いたしまして、いわばいわゆるアンバンドリングと申しますか、ソフトはソフトとしての流通を非常に目覚ましくその姿を見せているわけでございます。そういう点から、このプログラムにつきまして、ソフトはソフトのプログラム本体並びにプログラムについての説明書、あるいはフローチャート、そのほかのいわゆるドキュメントと称するものから成り立っておりますけれども、その中核をなしますところのプログラムの保護につきまして、この改正案というものが出されて現在の需要にこたえていくことは極めて重要なことではなかろうかと考えるからでございます。
 私がこれにつきまして御賛成申し上げるところのゆえんをこれからこの法律案要綱に則しまして申し上げてまいりたいと思います。
 第一に、プログラムの定義を定めることをこの法律案要綱では取り上げておるわけでございます。プログラムと申しますと、コンピューターはもちろんプログラムでございますが、これにつきましても各人各様のいろいろな定義の仕様があるかと存じます。しかし、初めに議論が、あるいは理解を一致せしめるためにもプログラムの定義を定めるということは非常に重要なことでございますし、プログラムにつきまして、この法律案要綱で定めている定義の内容というものは、これは極めて適切な定義ではなかろうかと存ずる次第でございます。
 と申しますのは、国内的にはもちろんのことでございますが、昭和五十三年、つまり一九七八年にWIPO(世界知的所有権機関)のパリ同盟規範におきまして作成したプログラムに関するところのモデル法案というのがございます。そこにおきましてプログラムの定義を定めておりますが、世界的に承認されると考えられますプログラムの定義につきまして、著作権法の一部を改正する法律案におけるプログラムの定義もまたそれと同一の趣旨を含んでいるからでございます。 したがいまして、このプログラムの定義、これを定めて共通の理解とし、また世界的に共感を得ることができる極めて適切な定義ではなかろうかというように考えているわけでございます。
 第二には、著作権法の第十条関係の例示にプログラムの著作物を加えていることでございます。著作物の例示としてプログラムを加えるということは、これはまさしく文字どおりの例示であると私は考え、しかもまたこれが適切であると考える次第でございます。と申しますのは、プログラムが著作物であるということは、既に現在の日本の裁判例におきましても十分に承知されているところでございます。前にはたしか五十七年十二月に東京地方裁判所で、続いては五十八年三日に横浜地方裁判所で、五十九年一月には大阪地方裁判所でプログラムは著作物であると、このような判決が示されておりますけれども、それにつきましてもなお依然としてプログラムがこれが著作物であるかどうか、いわば利用技術にすぎないのではないかというような誤解をなさっている方もいないわけではございません。そういう点から、誤解を避けるためにもこのプログラムを著作権法における著作物の例示として取り上げたということは極めて適切ではなかろうかというように思う次第でございます。さらにそのプログラムの中にプログラム言語や規約や解法、これを保護しないということを取り上げたことも同じく適切ではなかろうかと思っております。
 第三には、法人の発意に基づきましてその業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、作成時の契約等に別段の定めがない限りその法人等とする、こういうふうに第三に要綱としては取り上げているわけでございます。いわゆる著作権法の第十五条の関係の法人著作の問題でございます。現行の著作権法には、法人等の発意に基づきその業務に従事するということのほかに、法人の著作名義において公表するということが法人著作の要件とされておりますが、法人名義において公表するということは著作物としての著作権の発生については必ずしも必要ではないというところからその公表ということを除きまして、その発意に基づいて業務に従事する者ということを、このように簡潔にしたということは極めて適切であるというように考えている次第でございます。プログラムの作成に当たりましては、システムエンジニアであるとかあるいはプログラマーとか、多数の人たちがそのプログラムの作成に当たります。そのそれぞれの著作行為が、個人の自然人のみが行為するのであるというふうに考えますと法人著作ということは本来起こり得ないはずでございますが、しかし実態として法人はやはり人格者として現行日本におけるところの法制度のもとにおいては考えられている次第でございます。しかもまた、実態上法人が法人格を持ち、そこに著作行為があると考えてみましてもこれは別段の不思議はございませんので、この点におきましてもその法人著作ということを極めて簡潔にこのように表示したということは適切ではなかろうかと思うわけでございます。
 さらに続きましては第四に、特定の電子計算機におけるプログラムを利用し得るようにするために、または電子計算機においてより効果的に利用し得るようにするために必要なプログラムの改変について同一性保持権の例外を定めたという規定でございます。
 第二十条に関連するところでございます。この同一性保持権と申しますのは御承知のとおり、まず著作物を公表する権利、あるいは自己の名において公表する、あるいはその著作物の内容をみだりに変えられないというような著作者人格権の一つでございます。同一性保持権と申しますとすぐにこのプログラムにおきまして出てまいりますのは、プログラムを利用するに当たりましては、より性能をアップするためにそれについての若干の改変をするということはプログラムにとってはつきものでございます。このようないわゆるバージョンアップと申しておりますけれども、バージョンアップあるいはレベルアップと称するような行為が同一性保持権に抵触するのではないのか、そうするとこれは、したがってプログラムは著作物として保護することには適切ではない、このような考え方、あるいはしばしば意見が開かれるところでございます。その点からいきますと、その同一性保持権というものをそのようにかたくなに考えますとそうでございますけれども、しかしもともと著作権法に言う同一性保持権というものはそのような性格のものではない。と申しますのは、日本が加盟しておりますベルヌ条約のパリ改正視定におきましても、たしか六条の二だったと思いますが、著作者の名誉声望を害するような改変は困るということをとどめているのでありまして、その本来の趣旨に反しないような若干の改変、日本のこの著作権法におきましてもそれを受けまして、その利用につきましてやむを得ない改変はこれは仕方がないというようなことを申しているわけでございます。その同一性保持権というものは単に表面上外形的に動かせない、そういうところにとどまるというふうにお考えいただいては困るのであって、内容的な変更により重視されるところでございます。その点からいきますとそのバージョンアップということにつきましては、若干の改変があったとしても名誉声望を害しない限り、もともとプログラムの作成者はそれを予期しながら作成しているということも言えますので、その点につきましては格別の改正も必要ではないと私は個人的に考えますけれども、なおそのような誤解を避けるために、例外的に現行著作権法におきましても建築物についての改変はこれはやむを得ない、このような取り扱いがなされておりますが、建築物の改変と同様な例外規定を定めておくという態度もまたこの誤解を避けるためにも、明確にするためにも適切ではなかろうかとこういうふうに考える次第でございます。
 さらにそれと関連し、その第五の問題といたしまして、プログラムの著作物の複製物の所有者、簡単に申しますとプログラムを購入しているところの者が、プログラムを現実に使用するところの者が電子計算機において利用するために必要な場合に行う複製または翻案については著作権者の複製権はこれは及ばないものとして考えていこう、このような提案が四十七条の二に取り上げられておりますけれども、それとの関連におけるこの提案もまた適切ではなかろうかと思う次第でございます。と申しますのは、もちろんこのプログラムを現実に使用するに当たりましてそれを走らせるときには必ず複製という問題が起こってくる、こう考えて差し支えがないのであり、したがってそれに対するところのもともとの著作権者の複製権が及ぶというのでは何のためにそのプログラムを購入したのかわからないということになってまいりますので、これもまたもちろん適切な規定ではなかろうかというように考える次第でございます。
 さらに第六番目には、プログラムの著作物の創作年月日登録の制度を設けるとともに、その登録に関しては必要な事項は別な法律で定める、こういう提案がなされておりますが、この著作物の創作年月日の登録というものは、著作権の発生の登録、効力が発生する、著作権の権利発生の意味を持つところの登録ではない、後日争いが生じたときに、単にこの登録の時点においては著作物が、既にプログラムが完成しておった、プログラムが存在しておったという証明をなすところのものであり、別にベルヌ条約に反する、いわゆる無方式の権利発生をとっておるその方式に反するものではないし、そしてまた登録をすることによって後日の争いについてそれを早期に解決するためにも適切ではなかろうかというように考える次第でございます。ただ、どのような登録の制度が持たれるのかということについては現在私にとっては全然わかりませんけれども、これをどのように展開していくのかということは、この制度を生かすか殺すかということになってくるのではなかろうかと思うわけでございます。もっとも簡単に申しますと、特許に関しては特許庁がございますが、プログラム著作物に関しても著作権庁というものでもあれば別でしょうけれども、そうしますと登録の制度も極めて有効に生きてくるのではないかと思いますが、現在の状態においてはどうなのかはその辺のところは私がわかるところではございませんので、その点はそんな程度にさしていただきたいと思います。
 さらにその第七に、プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成されたものを業務上電子計算機で使用する行為、これは当該複製物の使用の権原を取得したときに情を知っていた場合に限り著作権を侵害する行為とみなす、これもまた適切ではなかろうかと存ずる次第でございます。と申しますのは、その違法に作成されたプログラム、これを使用する、基本的なプログラムとしていわゆるオペレーティング・システム・プログラムとして用いているような場合におきましては、それを知らないでその電子計算機を購入しそれを動かしておきますと、それは違法なるプログラムを使用するということで本来の権利者によって差しとめられた場合においては極めて大きな社会的にマイナスが生じてくるということも起こり得るわけであって、初めから購入の時点においてその使用の権原を取得した時点において違法なプログラムであるということを知っている者ならばそれは仕方があるまいということを考えて、そのことを知らない場合においてはこの著作権を侵害する行為とは見ない、これは適切なやり方ではないか、極めて現実に即したところの考え方ではなかろうかというように考える次第でございます。
 以上申し上げましたような点から見まして、現在この著作権法の一部を改正する法律案が提出されておりますが、極めて適切ではなかろうかというのがこの法案に対する私の総括でございます。
 そしてまたもう一つ簡単ですがつけ加えておきたいのは、先ほど国際的にも国内的にもこの改正案というものは極めて時宜に適したものではなかろうか、こう申し上げましたが、国際的にと申しますと、簡単に申し上げますれば、ことしの二月の末、二十五日ころから三月一日にかけましてジュネーブでコンピューター、このソフトウエアの著作権法上の保護に関するところの国際会議が開かれたわけでございます。そこに私機会がありまして出席をすることが、専門家の一人として呼ばれまして、そこで審議に参加したわけでございますが、そのコンピューターの国際会議に、これはユネスコとWIPOとの共催で開かれた会議でございます。そこには専門家として世界から九名、それから参加国として三十九カ国が参加しております。その中で、発言をしない国ももちろんございますけれども、発言をした国が相当多数ございますが、たしか私の記憶では十九か二十くらい、二十五、六でしょうか、そのくらいの国が発言しております。専門家はもちろん発言しておりますが、そのうちのほとんどの国が、このコンピューターのプログラムにつきましては著作権の保護によって現在適切な措置をとりつつある、あるいは既に著作権法による保護によってこのプログラムの保護を図っている、著作権法を改正しプログラムの保護を図っている、あるいはそのような保護を明文上規定する必要もなく、既に裁判上そのような保護が図られているので自分の国としてはそのような措置はとらない、しかしなお明確にするためにその法案を考えてもいないわけではないと申すような、例えば西ドイツのような国もあったわけでございます。明確に著作権法による改正ではなくて、特別な立法によるところの改正を考えていこうというのは、私の聞いている限りにおきましてはブラジルただ一カ国だったと記憶しております。そのほか五カ国くらいはプログラムの保護につきまして著作権法の改正によるのか、あるいはそうではなくて特別な立法によってその保護を図るというように考えている国が、現在検討中であるという国が五、六カ国あったわけでございます。それ以外の国はほとんどすべて著作権法による保護である、こういう態度に固まっていると見て間違いはないのではないかと存じております。そうしますと、世界的に著作権による保護を考えてまいりますと、著作権条約はベルヌ条約、さらには万国著作権条約、そのほか南アメリカならば別個のまた条約がございますけれども、そのような国際条約に加盟している国は百カ国を下らないわけでございます。それらの国々が国際的にも著作権法による保護を考えていこうという場合には、これは無方式でもありますし、極めて有効な国際的なプログラムの保護を達成することができるのではなかろうかと考えまして、国際的にも今回におけるこのプログラムの保護のための著作権法の一部改正法案、これは極めて適切ではないのかと、こういうように考えている次第でございます。
 簡単でございますが、私の陳述をこれをもって終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(真鍋賢二君) どうもありがとうございました。
 次に、土井参考人にお願いいたします。
#10
○参考人(土井輝生君) 御紹介いただきました土井でございます。
 初めに、本日参考人としてお呼びいただきまして、私のささやかな意見を述べさせていただく機会をお与えいただきましたことを感謝申し上げます。
 私は、主として今御審議の著作権法の一部改正法律案を国際的な整合性の立場から賛意を述べさせていただきたいと思います。
 私は、個人のことを申し上げまして恐縮でございますけれども、我が国で初めてコンピュータープログラムの法的保護につきまして審議が開かれました当初からそれに参画させていただきまして、そしてずっと問題、議論の流れを追っているものでございます。
 初めに、昭和四十七年に通産省でソフトウエア保護の調査委員会が開かれまして、その当時の議論は、著作権保護も特許による保護も適当でない、そして特別の保護とすれば、これはソフトウエアを登録しまして、そしてその内容を公開して、そして一つのプログラムをできるだけたくさんのユーザーに使用してもらう方が一人のユーザーに対するコストが安くつくという観点から、登録、それから内容の公開のための制度を設けるという提案がなされておりまして、そして、それがそのまま立ち消えになったわけであります。軌を一にしまして、その少し前にアメリカ合衆国では大統領委員会が開かれまして、そこでも既存の著作権保護も特許保護も適切でないという意見が出ておりました。それからしばらくたちまして一九八〇年代になりまして技術の進展が問題の場所を、あり方を変えてしまったような感じがいたすわけであります。それはコンピュータープログラムをコピーすることが非常に簡単になったわけでありまして、パーソナルコンピューターの業界とそれからビデオゲームの業界が、特にアメリカ合衆国を初めとしまして、日本でもその小さなリード・オンリー・メモリー、ROMというチップに格納されたプログラムをROMリーダーを使って無断でコピーする業者に対して訴訟を起こし始めたわけであります。そしてアメリカ合衆国では一九八一年ごろから、日本でもその後間もなく裁判所の判決が続々と出るようになりました。そしてその判決のもとでは、著作物の定義を見ますと、コンピュータープログラムもアメリカ合衆国の著作権法のもとでも日本の著作権法のもとでも著作物であると、それほど著作物の概念が広いわけであります。そしてもう一つ問題は、ROMに格納されましたプログラムの地位でございますけれども、アメリカの裁判所はROMに格納されたオブジェクトコードのプログラムはもとのソース・コード・プログラムの複製物である、こういう判決を下したわけであります。それから、日本の裁判所も昭和五十七年の暮れから東京地方裁判所、それから横浜地方裁判所、大阪地方裁判所、三つの裁判所がコンピュータープログラムは著作物である。それからそれを収納したROMはその複製物である。著作権法では複製の概念が、第二条第一項第十五号に規定されておりまして、複製とは「印刷、写真、複写、録音、緑画その他の方法により有形的に再製することをいい」と、こう定義してありますが、その三つの裁判所は、ROMに格納されたプログラムはもとのソース・コード・プログラムの複製物であると、こう判決したわけであります。ただ、アメリカの裁判所は、コンピュータープログラムは著作物であるということについては異論がありませんでしたけれども、そのROMに格納されたプログラムにつきましては、そのROMは人間の視聴覚に訴えるものではなくて、コンピューターに対してだけコミュニケーションを行うものであるという理由で、それは複製物ではないという判決を下した事件がありました。それが控訴裁判所で一九八三年の八月三十日に覆されまして、そして他の裁判所と同じようにROMに格納されたプログラムはもとのプログラムの複製物であるという判決を下したわけであります。そしてアメリカ合衆国でも日本の裁判所と同じように、そのROMに収納されたプログラムの地位につきましても裁判所間に意見の対立がなくなったわけであります。それにおくれましてドイツの裁判所でもコンピュータープログラムは著作物であるという判決が出るようになりました。そしてそういう背景のもとで一昨年の六月、一九八三年の六月に工業所有権の保護に関するパリ同盟が世界知的所有権機関の事務局のあるジュネーブで専門家委員会を開きまして、そしてそこには事務局で作成しましたソフトウエア保護条約草案が提出されたわけであります。その会議の結論は、ソフトウエア保護条約草案の検討はしばらく見合わせることにするということであります。といいますのは、そこの会議に出席した多くの国の人たちが、現行の著作権法の解釈によりまして著作物の定義が広くて、そしてもうひとつ複製の概念が広ければ、コンピュータープログラムは著作権法のもとで保護されるということが既にアメリカ合衆国の判例、日本の判例、それからいろんな学説とかそれから政府機関の報告書とか、そういうものによって裏づけられておりますので、そういう意見が支持されている。そして新しく各国の国内で国内法としてそれを採用するソフトウエア保護条約草案の検討は見合わせるということにしたわけであります。といいますのは、その条約草案の主たる内容はコンピュータープログラムの無断複製に対する保護でございまして、何も新しい著作権の保護とは違った保護を与えるものではないわけであります。その点につきましては昨年新聞紙上をにぎわわせました日本のプログラム権法案と同様でありまして、実質は無断コピーに対して保護を与えるということであります。したがいまして、世界的な趨勢を見ましてもコンピュータープログラムの保護は特別の法律を必要とするものではないということが確認されてきたわけであります。そして、現行の著作権法のもとで既に三つの判例があり、著作権法上著作物の概念が広く、かつ複製の概念が広ければ、コンピュータープログラムは現実に起こっている無断コピーに対して十分な保護を与えるということが確認されておるわけであります。
 今回の著作権法の一部改正法律案はその基礎のもとに、その実情、現状を変更することなくさらにそれを確認する意味でコンピュータープログラムの定義を定められ、そして著作物の例示の中にプログラムを入れられたわけであります。したがいまして、時宜的には全く適切だと。そして、コンピュータープログラムの技術も他の技術と同じように世界的な技術の交流が必要でございます。
 それから、電子産業がつくった製品が世界市場で売られるわけであります。そういう意味で日本の国内法が世界の国内法と同じように整合性がないといけないわけであります。今回の著作権法改正法律案はその国際的な趨勢に照らしましてまことに適切ではないかと思います。特に日本が電子産業におきまして世界をリードする国の一つでございます。そして他の多くの国に先駆けて、法律上明文をもってプログラムが保護される著作物であるということを明確にされたことはまことに時宜を得たものであると考えます。
 一言賛意を表する意見を述べさしていただきます。
 どうも御清聴ありがとうございました。
#11
○委員長(真鍋賢二君) どうもありがとうございました。
 次に三次参考人にお願いいたします。
#12
○参考人(三次衛君) ただいま御紹介にあずかりました三次でございます。
 本日は、日本電子工業振興協会のソフトウエア懇談会の座長といたしまして、この席にお招きいただきまして意見を述べるチャンスをいただきまして、大変ありがとうございます。
 それでは、コンピュータープログラムの法的保護につきまして私どもがこの数年検討してきたことを踏まえまして意見を述べさしていただきたいと思います。
 まず、コンピューター業界の出身でございますので、最初にコンピュータープログラムの業界を取り巻く環境とそれから保護の必要性につきましてお話ししたいと思います。
 我が国のコンピューターのハードウエアの開発でありますとか普及は大変目覚ましく、業界用語で申しますコスト・パフォーマンス、つまり処理単位当たりの価格、これは最近の十年、二十年という長い期間を通じまして年率二〇%ぐらいずつよくなっているという発展が続いております。つまり同じ値段でございますと二割ぐらい能力の大きな装置が毎年出ている。そのような状況が引き続き継続しております。したがいまして、その用途も多様化しておりまして、これを使いこなすためのコンピュータープログラムの量もますます増大しているという状況にございます。
 しかしながら、このコンピュータープログラムの供給の状況を見ますと、いわゆるソフトウエア危機という言葉で代表されますように、ソフトウエアに対する需要が急速に拡大しておりますので、需要の増加に十分対処できていないという状態が危惧されております。
 このような状態を防ぎまして健全なソフトウエア産業の発達を図るというためには、批在のプログラムの生産作業につきましてこの効率化が非常に喫緊の課題となってきております。そのため私ども電子工業に携わる者といたしましてはコンピュータープログラム生産の効率化に努力しております。
 他方、このプログラムの流通を促進することも緊急かつ重大な問題でございまして、この基盤といたしましてプログラムの特徴を踏まえた権利保護が必要というふうに考えておりました。つまりコンピュータープログラムはその開発あるいはその機能の拡張に多くの費用と時間を要する反面、最後にできました製品というのは例えばその情報が格納されるのは磁気テープというような形で全情報が納められておりますので、その磁気テープを何らかの形で不法にコピーしてしまいますと、製品そのものと全く同じ物ができ上がるという、複製が非常に簡単だというのが一つの特徴でございます。
 一般の装置、つまりハードウエアでございますと、ハードの場合には量産段階というのは大きな工場とか道具が必要でございますが、それに対しましてソフトウエアの量産というのは先ほど申しましたように複製が大変容易であるということでございますので、そういう差がございます。したがいまして、これをうかつに放置いたしますと、コンピュータープログラム作成者の本来享受すべき利益が侵害される可能性が相当高いというふうに考えられるわけでございます。
 これまで作成者の権利保護につきましては通常業界の契約による割合が多く、必ずしも業者の保護を含めた法的な手当てがなされているとは言いがたい状況でございました。さらに今後高度情報化社会の構築に当たりましてコンピューターを初めといたします情報処理機器がその中核としての役割を担いますので、その利用技術でございますコンピュータープログラムの重要性が非常に高まるということは申すまでもないというふうに理解しております。
 次に、今回の著作権法の一部改正の法案を拝見いたしました上で意見を述べさしていただきたいと思います。
 この法案につきましては政府部内で検討を始められましたときから私ども業界の意見をよく聴取されていただいておりまして、その特質等につきましてよく理解した上で条文に取り入れていただいているというふうに考えております。
 大きな視点から申しますと、著作権法に申します著作物としてコンピュータープログラムを明確にいたしまして、表現された最後の形を保護の対象とするというふうに規定されております。したがいましてその表現の背景となっております言語とか規約とかいわゆるアイデア、これを保護の対象外としていただいておりますのも業界の要望とマッチしているものでございます。
 多少細部ではございますが、一、二コンピュータープログラムの特徴点と結びつけて意見を申し上げさしていただきますと、第一にコンピュータープログラムの改変に対するための著作者人格権の一部でございます同一性保持権の制限が挙げられております。著作権法に言います同一性保持権は、本来絵画、彫刻と言われるような在来の著作物に著作者以外の者が勝手に手を加えることを許さないという権利と理解しております。ところがコンピュータープログラムは改変、あるいはソフトウエア業界の言葉で申しますとバージョンアップと申しまして、コンピュータープログラムの機能アップ等を図る場合にそのプログラムの内容を頻繁に改良するのが常でございます。この場合の作成者の権利と利用者の実態とのバランスを図っていただいた処置というふうに理解しております。
 次に、法人によりますプログラム作成に対しましての権利帰属のあり方につきましては現在プログラムの多くが法人で作成されておりますし、法人著作ということを明確にされまして、個々ばらばらの個人が著作者人格権を悪用した不毛な係争を起こす危険性を予防していただいているという点を評価したいと思っております。
 また、自己使用のための複製権の制限につきましては、コンピュータープログラムを使用する際、安全を考えましてバックアップといたしましてコンピュータープログラムのコピーをとっておく場合など、これは複製してもよいということでございますので、使用の実態に即した法律案としていただいたというふうに考えております。
 さらに善意の第三者、つまり私どもから見ますとューザーでございますけれども、その保護につきましてもコンピュータープログラムを取得するときにこのプログラムが違法に作成されたものであることを知らなかった場合には、そのユーザーを保護し、そのコンピュータープログラムの使用をむやみに禁止しないといったことが図られておりますので、これにつきましても業界の実態を踏まえられた措置というふうに考えております。
 また、コンピュータープログラムの適切な保護のあり方につきましては、そのマーケットが国際的でありますことから、諸外国の動向を十分に踏まえた保護であるというふうに考えております。
 したがいまして、これらの点を勘案いたしまして、コンピュータープログラムの保護の基盤を早急に確立するために、当面の対応といたしまして、WIPOを中心として諸外国において検討されている状況も踏まえました上で、著作権法の一部改正によりましてソフトウェアの法的保護の対処をされるということにつきましては、時宜を得た処置というふうに考えております。
 しかしながら、コンピュータープログラムと既存の著作物と比べますと、その本質におきまして幾つかの相違点があるのも事実だと思われます。
 例えば、在来の一般的な芸術品等の既存の著作物でございますと、一度作成されまして形ができ上がった著作物が保護され、作成者以外の者による変更を容易に加えられることを拒むわけでございますが、コンピュータープログラムは求められる役割によりましてその仕様を変えまして機能アップ等を図りますので、もとの形からの変更が著しい著作物でございます。
 また、既存の著作物が人間の五感に直接訴えるのに対しまして、コンピュータープログラムはコンピューターにおいて使われることによって初めて役に立つという性格を持っております。現実に、現在のコンピュータープログラムのサプライヤーとューザーの間ではプログラム使用契約といったような契約用語が一般的にはなっておりますし、この使用という考えが今回の法律案の改正案の中では出てきてないのでございますが、著作権法の限界ではございましょうが、今後の課題ではないかというふうに考えておる次第でございます。
 それから、保護期間についてでございますが、著作権法の枠内では条約との関係もございまして、法人著作権の場合五十年ということで一応の解決を見ているわけでございますが、非常に技術進歩の激しい業界の実態から考えますと、若干長過ぎるのではないかというような率直な感じがございます。WIPOにおきましても、保護期間につきましては創作時点から大体二十年の権利といったような案も出ておりますので、今後の国際的な検討状況によりますが、実態に合った権利期間を長期的な課題としては検討していただきたいというふうに考えております。
 そのほか、法文とそれから実務の実態との整合性といったような点で、例えば同一性の判断等につきまして、これはなかなか実際問題として難しいのではなかろうかというような点がございます。
 つまり、著作権法の世界でコンピュータープログラムの保護を図るわけでございますから、同じアイデアを用いまして別の人がプログラムをつくりますと、新しい権利が創成されるということになります。また、産業の発展からもそのようにあるべきだと考えますが、結果といたしまして同様なプログラムがこの世の中に複数出てくる可能性がかなりございます。
 また、著作権法で認められております翻案という制度、つまり小説に書かれたものを戯曲化するといったようなことが本来の形と思われますが、コンピュータープログラムにこの翻案を当てはめますと、表現だけが保護されるのではなくて、背景となっておりますストーリー、アイデアという概念まで保護に含まれる可能性が含まれているのではなかろうかというように考えられますので、プログラムの表現とその翻案、あるいはその背景とどう切り分けるかといったような実務的な問題が今後発生する可能性があるのではないかというふうに考えております。
 著作権法におきまして、このような場合、一応複製していない限り別々の権利が持てるということが規定されているわけでございますが、似ているとか、あるいはまねをしているとか、かなり黒白をつけがたい問題が出た場合に紛争が長引くおそれがあるのではないかというふうにおそれております。紛争が長引きますと、進歩が速い業界でございますので、その実務に支障を及ぼすということがございますので、このような事態を悪用することを考えますと、速やかな紛争処理の取り組みも必要かと思われます。
 今後、通信ネットワークの発達に伴いまして、コンピューターの使用方法もいろいろ変わってくることも予測されます。オンラインでコンピューターを使用する企業もふえております。こういった場合に、放送権でございますとか、あるいは在来の権利との兼ね合いをどうするか等今後さらに検討していただく事項もあるかと思われます。
 本来、コンピュータープログラムを初めといたします技術の進歩は著しいものがございまして、今後の国際的検討状況いかんによりましては、著作権法による保護だけでは十分対処できないという事態も、そのような事態が出てくる可能性もあるんではないかと思われますので、ただいまの著作権法の改正案には原則として賛成するものでございますが、よりよい権利保護のあり方につきましては、今後とも中長期的な視点から国際的視野を含めまして検討を続けていただきますようにお願いしたいと思っておる次第でございます。
 以上で私の意見とさしていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#13
○委員長(真鍋賢二君) どうもありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。中村参考人。
#14
○参考人(中村雅哉君) 私は日本アミューズメントマシン工業協会の会長でもあり、また同協会に加盟しております株式会社ナムコの社長でもございます。
 今回の著作権法の改正を私ども業界のレベルで採点をさしていただくとするならば、まあ八十点で合格であると、こう申し上げてよかろうと思うわけです。と申しますのは、我々がやはり六年ぐらい前から、大変我々の業界に影響のあるという形の中で行政の府にしきりに陳情申し上げ、その行政レベルでの法改正ということの大変難しさを感じた中で、裁判所という司法のレベルにおいて着々と積み上げていったその苦労が今日的の場面へ到達し得たんだと、こう実は考えるわけだからでございます。したがいまして、もう二年あるいはせめてもう一年でも早ければ百点の合格点をおつけすることができたんであろう、こう私は思ううものであります。
 ただ、八十点ながら、さらにこれからいろいろ御配慮賜ります同一性保持権の適用除外の問題だとか、あるいは登録制度の問題等において、さらに我々期待しますような形での充足がなされていきますならば、百点に限りなく近い点数をつけてよかろうと、こんなふうに考えておるわけでございます。
 私ども日本アミューズメントマシン工業協会と申しますのは、お金、百円玉あるいは五十円玉を投入することによって一定時間遊ぶことのできるゲーム機、いわゆる業務用の娯楽機械の製造をする会社、そして販売をする会社によって構成されております。業界においては唯一最大の団体でありますし、会員数は現在八十五社の規模を有しております。
 また、当業界の大きな特徴といたしましては、会員の製造会社はこの販売をするという行為に、さらにこのほかにマーケットにおきまして業務用の娯楽機械を、我々営業所をロケーションと言っておりますが、営業する場所に設置いたしまして営業をするという業務もあわせていたしております。そして、それを機械台数の面からとらえますときには、その過半数の機械を保有いたしております。
 そして、最近の家庭用のゲーム、パソコンのゲームソフトといったふうな需要の拡大の中で、その業務の範囲を今まで以上に広げておるわけでございまして、まさに業界を代表する団体であると、こう申し上げてよかろうと思うわけでございます。
 これからいろいろ申し上げます意見につきましては、その立場に立ちまして意見を開陳さしていただきたいと思うわけでございます。
 業務用の娯楽機械は、約十年ぐらい前までは電気技術と機械技術によってつくられた商品がその主流を占めておりましたが、その後約昭和五十年ごろ、技術革新や需要の変化等からマイクロプロセッサーとプログラムを利用したビデオゲーム、テレビゲームとも言われておりますが、これが年々増加し、現在では我々の業界におきます商品の主流商品として全商品の九〇%ぐらいになっております。そして、その台数は約八十万台あるいは百万台になろうと、こういう台数がマーケットに出ておるわけでございます。
 このような変遷の中でビデオゲームは大流行し、これによりまして当協会の会員各社の近年の業務は変化をもたらされております。それは、当社を含めまして多くの協会員が一般に広く製造販売されておりますパーソナルコンピューター用のゲームソフトの製造販売をみずから行ったり、ソフトハウスから求められて業務用ビデオゲームのパソコン用ゲームへの移植を許諾したりして、業務用、家庭用の区別なくすべてのゲームソフトを業務範囲とするようになってきたからでございます。
 昭和五十八年あるいは五十九年あたりの一年間におきます当業界の国内におきます売り上げの総額は、業務用娯楽機械関連がほぼ五千億円、家庭用ゲーム関連が約二千億円と言われております。また、当業界で開発されましたビデオゲームは、世界的にその優秀さが評価され、大変高い評価の中にライセンスによって外国メーカーに製造販売の許諾を与え、それによるロイヤリティーの収入も非常に高額のものになっておるわけでございます。これらの状況の中で、もしコピー製品が存在しなければそれらの売上総額は二倍を超す数字になったであろうと推測されているわけでございます。
 次に、業界のコピーの状況について御説明さしていただきます。
 ビデオゲームの大流行は業界に成長をもたらしたわけですが、その反面、コピー、無断複製問題を発生させたのでございます。コピー問題の解決のため、当協会は六年前からコピー対策委員会を設け、行政庁に対する指導要請、法改正や新規立法についての陳情及びこれらと並行して現行法の解釈論に基づいて訴訟を活発に行ってまいりました。コピー製品も今流通しているため、コピー対策委員会は定期的に会合を持っており、最近も外国の同業者団体からコピー品の流入についての苦情を受け、これを真剣に討議いたしておるところでございます。
 我々は今まで発生いたしましたコピー問題を三通りに分類いたしております。
 第一番目は、業界内のコピーでございます。プログラムも電子回路も全くすべてそっくりにデッドコピーされるケースであります。このケースについては、東京地裁の昭和五十七年十二月のインベーダー判決により違法と判断されましたが、メーカーがそのプログラムを完成いたしますのにかかる時間六カ月から三年ぐらいを費やしてやっと開発しましたプログラムを、発売する年間百種類を超える新製品の中のヒットした商品だけをコピー業者は一カ月ぐらいの時間の中でコピーをしてしまうのであります。そしてなお悪いことに、これらのコピヤーの背後には暴力団が加担をしているということが多く、我々の損害の額は極めて大きく、またその損害の回復は極めて困難であります。さらに、ビデオゲームの映像の法的保護が明確になっているアメリカでは、我々からライセンスを受けている企業が、IPCに訴えコピー品の輸入を差しとめたり、FBIを通じてコピー製品流通業者を逮捕してもらっておるのでございます。しかし、この状態を放置すれば、日本からの違法輸入品に関しアメリカとの経済トラブルに発展する可能性もあり、また他国をも含めて日本の国際的信用の失墜にもつながると思われるのでございます。
 第二番目は、業務用ビデオゲームなる性質に起因するものでございますが、第一番目のコピーの産物がゲーム場に設置営業されるケースでございます。このケースについては、東京地裁昭和五十九年九月のパックマン判決が、パックマンの映像等は映画の著作物に該当し、コピー品の設置営業はその上映権を侵害するとの判断をいたしました。しかし、ビデオゲームの設置営業者は全国に数千業者存在しており、すべてを訴えることは極めて困難でありますので、コピー品がつくられないようにすることが大切だと思っております。
 三番目は、パソコンのソフト業界や玩具業界の人々によるコピーでございます。これは業務用ビデオゲームが表現する映像を見て分析し、パソコン等にこれと酷似した映像を再現するように新たなプログラムを制作するものであります。プログラムは異なるが映像は同じという、いわゆる映像コピーでございます。このケースについては裁判が係属中でまだ判決が出ておりませんが、今のところこのコピーをしている侵害者の素姓は明らかであり、損害の回復も可能と思われますので、大問題とは考えておりません。
 次に、法的対処の状況、これに触れたいと思います。
 最初、民事的対処といたしまして、当協会の会員各社は、昭和五十四年のころから現在に至るまで、合計百件に近い訴訟を行ってきております。それにかかわらず、コピー業者は極めて悪質な知能犯であり、また暴力団が加担しているケースが多く、民事的対処だけでは被害者は十分に救済されません。
 次に、刑事的対処。そこで悪質なコピー常習者に対しまして、当協会員によって十件近くの刑事告訴がなされております。しかし検察庁や警察庁では、前述の東京地裁の判決が下される前はもちろん、下された後でさえも、地裁レベルの判決では刑事事件として動けないとの立場をとっております。
 今回の著作権法の改正について申し上げます。
 今回の著作権法の改正によりますれば、プログラムの無断複製は明らかに違法となっているため、我々業界においてデッドコピーの大問題については刑事的対処をした場合に効果があると推測できるので、当業界としましては早急に法改正を施行していただきたいと考えておるわけでございます。
 ただ、同一性保持権の適用除外につきましては、プログラム著作物となっている点に関して一つだけお願いがあります。
 改正案では、プログラムの著作物に関して同一性保持権の適用除外としていますが、映像や音楽の表現を伴うプログラムについては矛盾を生じるのではないかと思っております。すなわち、映像や音楽等の表現を伴うプログラムを第二十二条第二項第三号あるいは第四十七条の二第一項の規定に基づいて改変すると、結果的には映像や音楽等をも政変してしまうことになり、映像や音楽等の著作物の同一性保持権を侵害することになるからであります。まあしかし、それにもかかわらず、この矛盾点については法の定めが不明確で、解釈論にゆだねているように思われるわけでございます。
 そこで、立法技術上の制限のためにこの案のような規定にならざるを得なかったのであれば、著作権法の解説書においてこのような規定にならざるを得なかった立法技術上の理由と、著作物を表現するためのプログラムに関しては、そのプログラムの改変は、当該著作物の同一性保持権を侵害することになる、このことを明記するように御指導いただきたいと思うのであります。
 最後に、登録制度について触れます。登録制度が導入されますと当業界だけでも年間五百件ぐらいの登録申請があり得ると推測されますので、登録体制を充実させていただきたいと思うわけでございます。さらに、登録手続については明らかになっていませんが、プログラムがすべての国で保護されるようになるまでは、できればオブジェクトプログラムにて登録を受けつけていただきたいと思います。万一、ソースプログラムで受けつける場合には公開制度は絶対にとらないでいただきたいと思うわけでございます。
 以上でございます。ありがとうございました。
#15
○委員長(真鍋賢二君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 なお、参考人の皆様に申し上げます。各委員の質疑時間が限られておりますので、恐れ入りますが、お答えはできるだけ簡潔にお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#16
○粕谷照美君 今、四人の参考人の皆さんからいろいろな御意見を伺いまして、その歴史的な背景だとか現実に何が存在するかということがよくわかりました。わかりましたが、皆さんが疑問に思っていらっしゃることを私がお伺いしてもお答えいただけるわけにはいかないのでさっきから困ったなと、こう思いながらいるわけであります。
 最初に阿部参考人が、今回の法律改正は国内的にも国際的にも時宜に通した、大変文化庁が喜ぶ発言になろうかというふうに思いますけれども、しかし、逆に言えば最後の中村参考人は遅過ぎたのではないかという感じの私は御発言のように思いました。私もこれいろいろ調べておりましたら、もう次々と裁判が出てきているわけですね。その裁判に何ら対処することができないような状況をずっとほうってきておいたのではないか、判決が出て初めてこのような法律がまとまったのではないかなという感じがしてならなかったものですから、そのあたりは四人の方に本当に時宜に適していたのかどうかということをお伺いしたいと思っております。
 それで、お一人お一人に伺いますことは、三次先生が先ほどこの法律の中で五十年間の著作権保護はやや長過ぎるということをおっしゃられておりました。確かにWIPOのモデル基準にしましても二十年でよろしいと、こういうのがあるわけですよね。それが五十年でこのままずっといっていいというようにお考えになっていらっしゃるか。これは阿部先生とそれから土井先生、それから三次先生にお伺いしたいと思います。
#17
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 先ほどの時宜にかなった点からでございましょうか。時宜にかなったと申しますのは、私やはり先生と一諸に遅かったのではなかろうかと思います。しかし、今からもっと遅くなるよりは現在の方がよろしいというような意味において大いに賛成するということでございます。大変失礼ですけれども、私個人的なことを申し上げますと、昨年の一月に、文化庁の著作権審議会がございますが、そこの第六小委員会の主査をいたしておりました。五十九年の一月に一応の審議の結果を御報告いたしまして、早急な制定保護の改正ということを希望しておったのでございます、けれども、いろいろな事情がございましたようで、今回まで延びたことにつきましては私としましても若干の残念だなというふうな感じはいたしております。しかし、現在からでも少しでも早い方がよろしいんじゃなかろうかと、こういう意味で時宜に適したとこう申し上げた次第でございますので、御了解いただきたいと思います。
 それから、保護期間の五十年ということにつきましての御質問でございますが、この保護期間の五十年は、これは現在の段階で申し上げますと、現在のベルヌ条約、日本は、著作権条約はベルヌ条約と万国著作権条約とのこの大きな両条約に加盟しているわけでございます。そのベルヌ条約に加盟している国同士ではベルヌ条約を適用することになっておりますが、ベルヌ条約によりますると著作権の保護期間は著作者の生存中並びに簡単に申しますと御指摘のように死後五十年となっているわけでございます。つまり、死後五十年というのは条約上制約されている期間でございまして、これは現在においてはそれを延ばす、延ばさないという、審議の対象外とせざるを得ないのではなかろうかというのが私の考えでございます。これを短くしたいということにつきましても十分な理由があろうかと思います。 しかし、それは国際会議の舞台におきまして、その条約のプログラムについては例外として、例えば十五年ないし二十年というような規定を国際的に設けるように動く以外は仕方があるまいというように考えております。私個人といたしましても五十年まではどうかなという感じを持たないわけではございません。しかし、現在はやむを得ないと、こういうふうに思っております。なお、この前ジュネーブでありました国際会議におきましても五十年は長いのではなかろうかとこのような質問が、質問と申しますか、意見がある政府から出されております。それに対しましては、いや五十年は別に長過ぎるというようなことの問題ではあるまいと、五十年でプログラムにつきましては改変あるいはその進歩というものは非常に甚だしいものがあるけれども、価値のあるものは長くもっていくものであると、普通の小説なりあるいは新聞記事というようなものを考えてみましても、新聞記事のようなものも五十年の保護期間にはなるわけでございますが、それは雑報のようなものを除きますれば。しかし、そういう場合であっても新聞記事などというものは翌日忘れてしまってしまう。しかし、価値のあるものは五十年たってももつのではないかと。価値のあるものならば五十年保護してもよいのではないか。それに五十年としておいたからといって格別の弊害はあるまいと、こういうような反論も出ております。それもまた一理があることでございまして、その辺のところを考えますと、一律に短いと、生命のないものはもうすぐに消え去ってだれも使わなくなってしまうというだけのことでございますので、五十年としておいても格別の弊害はあるまいというような感じを私は一面においては持っておりますけれども、五十年としておきますと何となく長いという一般的な印象もまたこれも確かにそのとおりでございますので、その辺のところは現在はいろいろな疑問を持ちますけれども、少なくとも国際条約の面からは制約されている、現在は仕方があるまい、こういう感じでございます。
#18
○参考人(土井輝生君) それでは私の意見を申し上げたいと思います。
 著作権のコンピュータープログラムを著作物として著作権法で保護した場合に期間が長過ぎるのではないかというのが国内でも議論されておりますが、国際的にも先ほど私が申し上げました一九八三年の六月にジュネーブのパリ同盟の専門家会議で取り上げられましたソフトウェアの保護条約素案の議場におきましてもそういう意見が出たわけであります。私は著作物の保護期間、著作権の保護期間が長くてもちっとも差し支えないんではないかと思います。先ほど中村参考人が意見をお述べになりましたけれども、特にビデオゲームのプログラムなどは平均しまして大体半年たてば使われなくなってしまうということを伺っておりますけれども、そういう場合は商業的な生命とかあるいは市場がなくなったプログラムは保護期間が長くても、それは観念的に潜在的に長いだけでありまして、実際にはだれもコピーすることに関心を持つ者がいなくなるわけでありますから、ちょうど私どもの教科書と同じでありまして、法律が改正されたりして教科書が古くなりますとだれも学生はコピーしなくなるわけでありますから、潜在的に私の死後五十年著作権ございましてもちっとも差し支えないわけでございます。しかも、この条約草案の議場でもう一つ意見が出ましたのは、非常に生命の長いプログラムが出てくるはずである、そういう場合は長く保護してもちっとも差し支えないではないかという意見でございます。したがいまして、そのWIPOの専門家会議の大体の空気は保護期間が潜在的に長くてもちっ
とも構わないではないかということでございます。
 それから、今回の改正法律案を拝見いたしますと、例えばコンピュータープログラマーが、自分が著作者であると主張した場合は死後五十年でございます。それからここの改正法律案のもとで、法人等の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成するプログラムの著作物の著作者は、その法人等とする、こう書いてありますけれども、法人等としますと保護期間が公表後五十年になってしまうわけであります。したがいまして、もし長く保護したいときにはプログラマーと、それからプログラマーを雇っている会社との契約で、著作者名義はプログラマー個人にしてほしいというふうに契約で処理すれば保護期間をもっと長くすることができると思います。一言意見を申し上げておきます。
#19
○参考人(三次衛君) まず最初に、この法律改正案が今回出ているわけでございますが、これ時期的に適切なものであるかどうかという点についてでございます。既に先ほど来地裁判決についての御紹介がございましたとおりでございますが、ただ、これまで判決が出ております対象と申しますか、係争となっております点は、こうしたプログラムの全体的な特徴から見ますとその一部にとどまっておりまして、権利保護ということを一般的に考えますと、それなりに検討範囲が広がってくるわけでございます。そのためには著作者人格権の問題でございますとか、それから法人著作の問題でございますとか、各種の観点から今回いろいろ検討されてこの法案がまとまったということであろうと思いますので、私は、ソフトの権利保護につきましての国際会議等にも出させていただいた立場から考えまして、この時点で日本でこういった法律がしっかりするということは大変よろしいんではないかというふうに考えている次第でございます。
 それから全体的に、保護期間につきまして先ほどちょっと意見を申し上げたんですけれども、私自身の考えといたしましては、在来の著作物に比べましてやはりコンピュータープログラムというのはかなり特徴的な点がございます。これはいろいろ意見があるところでございますが、著作権の世界の中で十分に保護される範囲が相当広いというふうには見ておりますが、なおコンピュータープログラムの本質に根差しました、それに最も適当な保護はどうかということになりますと、若干、著作権の枠外に踏み出さなきゃならない点もあるかと思われます。ただし国際性まで考えますと、今回著作権の枠内にとどめませんとなかなか国際的整合性のある法律案ができないという点も認識しておりますので、その点から先ほどの期間につきましても、ただいま直ちに二十年ということを主張するものではございません。長期的な課題としてその辺をひとつ継続検討していただきたいということでございます。もちろん五十年、二十年というのは黒白をつけるように五十年は長い、二十年で適当、そういうふうになかなかまいりませんので、その辺につきましては大変難しいわけでございますけれども、他の近接法案、例えば工業所有権等との整合性というふうなものも今後の課題ではないかというふうに考えている次第でございます。
 以上でございます。
#20
○粕谷照美君 中村参考人にお伺いをいたします。
 先ほど改正法につきまして刑事的対処の方法が非常に不満である、先ほども何回も訴訟をやられましたけれども大変だということと同時に、裏に暴力団が絡んでいるなんということになりますと、なおさらこれはもう紛争解決恐ろしくて手も出ないのではないかなという感じがしてならないわけでありますけれども、法律をどういうふうに改正していったらよろしいか。先ほどちょっとおっしゃられたんですけれども、もう少し具体的にどのような法律改正が必要になるかということをお伺いをしたいと思います。
 あわせまして三次参考人、先ほどは使用契約がこの法律の中に入ってないけれども、それはやっぱり入れてもらいたいという御要望なんだと思うんですけれども、それは理由はどういうことなんでしょうか。去年の新聞だったと思いますけれども、神奈川の県庁でやっぱりこういう情報公開の部署がありまして、そしてそこで某メーカーからコンピューターを買った、そうしたところがその会社がIBMに訴えられておりまして、お互いにIBMとその会社との間に和解ができたんでしょう、使用契約を結べということになった、そういう使用契約を結ぶということについてどうかとこういうふうに考えたけれども、その他の自治体でも結んでいるようであるし、東大なんかの大学あたりでも結んでいるようであるので結ぶことにした、こういうふうにおっしゃっているわけですね。この使用契約についてもう少し具体的な御意見をお伺いしたいし、阿部参考人もこの点についてお話を伺いたいと思います。
#21
○参考人(中村雅哉君) 今粕谷先生の御質問についてお答えをいたします。
 その前にこの改正法案の時期の問題についての答えが残っているように思いますので、それもあわせてお答えさせていただきます。この時期の問題につきましては、先ほど申し上げましたように、あと二年早かったらという思いが非常に強いわけでございます。と申しますのは、我々がゲームプログラムを開発いたしますのに若い優秀な社員がまさしく心血を注いでつくった、しかも六カ月から三年かかってつくったプログラムを一カ月ぐらいで利益のために容易にそのコピーをするというその行為が我々実際経済活動をしております者にとっては即利害に関係してくることと同時に、それだけ心血を注いでつくったプログラムがコピーされるということについては、私会長として協会内においては、自分の育てた娘が強姦される思いなんだ、そういう感覚でこのコピーに対して非常に憎しみを持っておったわけでございます。こうして八十点という合格点を失礼ながらおつけしたこの改正法案でございますが、今後の運営の中におきまして、そういった実情に適したいわゆる御指導をさらに賜ること、あるいは検察庁、警察庁におきましてもそのことについての御理解を持っていただくということ、そして我々業界としては正しい姿勢の中で勇気を持って、これらの暴力団といえども対応していくという覚悟を持って臨みたい、こう思っております。したがいまして、改正法案につきまして今後の、先ほど申し上げました幾つかの点についての御配慮といいますか、御研究は願わにゃいかぬわけでございますが、今この段階においてこれ以上どうしていただきたいということはあえて申し上げる立場ではないと、こんなふうにも考えております。
#22
○参考人(三次衛君) 私、先ほど申し上げましたこと、若干先生に誤解を与えたかもしれませんけれども、著作権の世界におきましては、オリジナルな著作物でございますコンピュータープログラムがございまして、これを正当に入手したときにコンピューターの上でその作用を期待するわけでございますが、その際にオリジナルのコンピュータープログラムと同一なものが当該コンピューターのプログラムで動くわけでございます。そのプロセスを複製ということでとらえているわけでございますが、先ほど申し上げましたように、通信回線を利用いたしましたような利用方法が進んでまいりますと、必ずしも複製を伴わないでそのコンピューター利用の結果だけを得るという場合もこれは、非常にそのことは一般的というふうにはまだなっておりませんけれども想定されますし、またそういった領域がこれからふえるのではなかろうかということでございます。そのように考えております。したがいまして、一般的には複製という言葉で事実の解明はできるのでございますが、今後の傾向を考えますと、複製プラス使用という概念を打ち立てた方がプログラム特性への説明にぴったりするのではないかということを申し上げたのでございまして、このことは中長期的な課題の中で取り上げていただけばよろしいんじゃないか、そのように考えております。したがいま
して、個々の契約をこの法律でどうこうということを申し上げているものではございません。
#23
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 先ほどの御質問で、プログラムが違法に作成された、あるいはプログラムを使用しているコンピューターにつきましてその使用を差しとめられるというような問題が起こるのではなかろうか、このような御質問に承ったわけでございますが、プログラムについての複製権、これを無制限に考えておきますと確かにそのような結果が起こりまして、例えば先ほど、IBMから購入したコンピューターのそれに違法なプログラムが組み込まれているという場合であるならば、そのコンピューターを作動させることは、これは禁止されるということになってもやむを得ないだろうと思います。それは無制限にプログラムについての複製権を認めていくということを前提とした場合でございます。そういう点から考えまして、今回の法案におきましては、百十三条の関係といたしまして、プログラムの著作物の著作権を侵害する行為によって作成されたものを業務上電子計算機で使用する行為は、当該複製物の使用の権原を取得したときに、情を知っていた場合に限り著作権を侵害する行為とみなすと、このような規定が置かれているのはそのためだろうと思うのでございます。つまり、これはプログラムのメーカーあるいはそちらの方の権利者の保護というだけにとどまるものではございませんで、ユーザーの保護も十分に配慮した規定ではなかろうかと思うわけでございます。例えば、先ほど御質問のときにお述べになられました、東京大学あたりのコンピューターにつきまして使用契約を結んでいたというのは、それは違法に作成されたプログラムがそこの中に組み込まれていたということが前提となっていたのではなかろうかと思います。しかし、それを購入した時点においてそのプログラムが違法なプログラムであるということを知らなかったという場合におきましては、そのコンピューターを作動させることを禁止されることはないというのがこの百十三条の規定だろうと思います。つまり、それを知りながら購入した場合には、これはストップさせられても仕方があるまいと、こんなことなので、この百十三条関係、つまり要綱の第七のところに取り上げられておりますのは極めて適切ではなかろうかというのはそういう意味で申し上げたわけでございます。
#24
○粕谷照美君 そういたしますと、まだ法律ができないわけですからあれですけれども、神奈川においては情を知らないで購入をしていたわけですね。上の方でやっていてお互いに和解して、そして使用契約と、こういうことになってくるわけでして、その辺の状況、法律ができたときとできる前とは一体どのようになっていくのか。これは和解という国際的な問題も含まりますから、先生にお伺いするのはまことに酷なことだというふうに思いますけれども、どういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#25
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 その先生がおっしゃることをそのまま考えてまいりますと、ストップさせられてもやむを得ないというのが私の結論でございます。しかし、それでは余りにも大きな影響があり過ぎて、結局、使用契約ないしは和解という形においてIBMそのほかでも歩みを進めざるを得ないのではなかろうか。つまり、それは法理論的な問題ではなくて、いわば対外的な政策的な問題と申しますか、商政策と申しますか、そのようなところから来ているのではなかろうか。余りにも与えるところの影響が大き過ぎる、というのは、その権利者の方としてもその辺で折り合わざるを得ない、こういうふうになってくるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
#26
○粕谷照美君 三次参考人にお伺いいたします。
 日本電子工業振興協会には幾つかの懇談会の場があるのでしょうか。そういうことをソフトウェア懇談会座長ということで本日は御出席になっていらっしゃるんで、私の質問にお答えになれる立場かどうかちょっと存じませんけれども、日本電子工業振興協会が、アメリカで半導体チップの法律が出されたときに、ぜひその法律を通してくださいという陳情をやったということを聞いているわけですけれども、その辺はいかがなものでしょうか。
#27
○参考人(三次衛君) 日本電子工業振興協会は、主といたしましてコンピューターに関係いたしますハード、ソフト、それからいろいろ開発のポリシーでございますとか全般にわたって業界の意見をまとめる役割をとっているというふうに考えております。したがいまして、活動範囲も非常に多岐にわたっておりまして、コンピューターそのものも大型のコンピューターもございますし、非常に低価格のパーソナルコンピューターも含まれるというぐあいでございまして、たくさん分科会がございます。その中で私はこのソフトウェア懇談会というところだけを見ておりますので、半導体チップにつきましての動きについては十分承知しておりませんのでございますが、したがって、ちょっと先生の御質問に適切にお答えできる立場にないと思います。よろしゅうございましょうか。
#28
○粕谷照美君 と申しますのは、今日本から複製のダビング機器だとかあるいはレコードを複製するためのテープなんかがもうそれこそ集中豪雨のようにヨーロッパあるいはアメリカに流れ込んでいる。それでアメリカのレコード協会あたりでは、もうそういうことをされるから我々のレコードが売れないんだ、著作権者は保護されたとしてもレコード協会もそれから実演家団体の人たちも、自分たちの生活を脅かされる、創作意欲も失われるような状況になっているということを日ごろ言っているわけなんですね。日本電子工業振興協会の方々にお目にかかりたいと、こう言って先回日本の国で総会があったときに申し入れしたんですけれども、お会いすることができなかったと、こういうことを言ってらっしゃる。その記者団との一問一答の記事を見ますと、日本電子工業振興協会は、半導体チップを保護するという法律をぜひ通してくれ、そして著作権は守られなきゃならないと片方ではこう言っておきながら、逆にいって片方では、その著作権を侵害するような行為をどんどんやっている、そのことについて話し合おうということについて話し合いもしないのはおかしいではないかと、こういうことの記事が載っていたものですから、それで日本電子工業振興協会を代表して御説明いただけるのかなと思ったのですけれども、お立場が違うようでありますが、いただけますでしょうか。三次参考人にお伺いします。
#29
○参考人(三次衛君) ただいまの半導体のお話でございますが、本来半導体はちょっとソフトウエアとまた違った性格がございまして、半導体につきましてはいろいろなタイプがございますが、世の中で相当広く採用されているものにつきましては常にセカンドサプライヤーという立場を求められます。つまりもともとオリジナルなサプライヤーが何らかの事故がございまして、生産が円滑にいかないといったときに半導体の入手がユーザー側で不円滑になっては困りますので、それに代替し得る有力なセカンドサプライヤーというものの存在がユーザー側のメリットになるわけでございます。その際にオリジナルのサプライヤーとセカンドサプライヤーの間ではライセンスその他によりまして同規格の物を生産するという方法もございます。それから同じ機能を持ちました物を別のアイデアに基づきましてつくり上げるという形を認められておりまして、その業態の実態に合わせて今回アメリカ側でチップ法案が制定された。そのセカンドソースの一つがアメリカにあり、もう一つが日本にあるという場合もございますので、相互補完的な意味では同じような保護が成立してないと、非常に国際的にもぐあいが悪いということが半導体のチップ保護につきましての早期の成立の必要性ではあると、私はゼネラルにはそのように考えております。
#30
○粕谷照美君 それでは、後半の質問につきましてはお答えいただく立場にないようでございますので、私の方もそれはやめておきます。
 阿部参考人にお伺いしますけれども、この登録制度ですね、プログラム著作物の創作年月日、登録制度を別の法律で定めますと、こういうふうになっていますが、必ずしも簡単な問題ではないというふうに思っておりましたところが、先ほどこの法律を生かすも殺すもこのところに問題点があるんだというお話でございました。大変重大だというふうに思うわけですけれども、この登録事項の内容や効力をどういうふうにするかとか、もっと具体的な御意見をいただければありがたいと思います。
#31
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 登録につきましては、現在の法案によりますれば、これは別に著作権に関するところの効力の発生の登録ではございませんで、ただ創作年月日の登録でございまして、後日、同様なプログラムを作成した者との間に争いが生じた場合において、少なくともこの登録の年月日においては創作されておったのだということの立証が簡便になる、このような趣旨の登録制度だろうと思います。それが一つでございますし、さらに登録によりまするとそれを第三者がそれを拝見するということによりまして二重の投資を防ぐことも可能じゃなかろうか、既存のプログラムについてそれを利用することも可能じゃなかろうか、そのような便宜からこの登録制度というものは設けられたのだろうと思います。
 ただ、この登録制度が、この法律を生かすも殺すもとこう先生おっしゃいましたけれども、私は、先ほど、非常に重要だというのは、登録制度をどのように踏まえていくのかということが重要なのであって、それは登録制度に関してだけのことでございまして、そのほかの改正案につきまして、この登録があってもなくてもといいますと大変非常に失礼ですけれども、そのほかのものに対してはそれほどの影響、例えばプログラムについての定義、規定そのほか非常に重要なことがございますが、あるいは複製そのほかのことにつきまして、それは登録とは全然無関係なことだろうと私は思っております。つまり、この登録制度を生かすかどうかということは、例えば先ほど大変にこう少しオーバーに申しましたけれども、オーバーといいますか、心の中にはそう思っておるのでございますが、例えば特許権に特許庁がありますように、著作権につきましても著作権局のようなものが、アメリカの著作権局という非常に膨大な立派な組織がございます。そういう制度が日本にもありましたならばこのような登録に関しましてもあるいはスムーズに受け入れることができるのでしょうけれども、この登録制度ができましても、恐らくその所管官庁になります文化庁あたりでも大変苦労されるのじゃなかろうか。 私は衝にありませんけれども、そんなことをよその方から見てやじ馬的な関心から見ますと大変だなとこういうふうに考えている次第でございます。
#32
○粕谷照美君 今の件について中村参考人にお伺いしたいと思いますけれども、人間も必要になってくるわけですよね、予算も相当の問題になってくるので、これは文化庁に私はこの後質問をしていきたいというふうに思いますが、今のこの登録制度について、業界におきまして申告はどのくらいの程度になるだろうかとか、あるいは登録の効力というのは一体どのくらいに働くものだろうかというふうなことについて今どんなお考えを持っていらっしゃいますでしょうか。
#33
○参考人(中村雅哉君) 先ほどこの登録制度について触れましたように、私どもの当業界だけでも約年間五百件ぐらいの登録申請があると、こう考えております。
 なお、一度プログラムされたものをいわゆるマーケットへ出している、いわゆるロケーションテストという形をとるわけでございますが、その中で、いわゆるお客様、オペレーターの方の反応を見る中でいろいろまたゲームをさらに改良をしていくということはございます。その過程で、かなりゲームの内容が最初につくったものあるいは最初に登録したものと違ってくるというケースもございます。そういう点で、今後この登録制度のあり方については大変関心を持っておりますし、また私どもも実は業界の中においても自主的な登緑制度を設けようかというような案もかつてあったわけでございますが、大変に各業者間においての利害の絡まりも深うございますので、それはまだ実現を見ておりません。
 以上でございます。
#34
○粕谷照美君 土井参考人にお伺いしますけれども、今の登録制につきまして、先ほど中村参考人の方からオブジェクトで受け付けよ、送付では受け付けないでほしい、この辺についてはどういうお考えをお持ちですか。
#35
○参考人(土井輝生君) 登録制度につきまして御質問ございましたんですが、簡単に私が個人的に考えていることを申し上げたいと思います。
 基本的には今度の改正法律案の第七十六条の二に定められております登録制度は「創作年月日の登録」でございまして、そして、その登録の法的な効力はただ単に「その登録に係る年月日において創作があったものと推定する。」こうなっておるだけでありますので、私の理解ではこの登録制度自体はコンピュータープログラムの実態的な保護についての基本的な要件ではないわけでありますので、登録をアメリカ合衆国のような登録制度にしますことは、文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約上自動的な保護あるいは無方式主義と言われておりますが、が原則になっておりますので、その条約に違反することになりますので、登録制度を設けるとすれば創作年月日の登録、しかもそれは推定の効力を生ずる、それだけにとどまるんじゃないかと思います。ただ、実務上私は危惧いたしますのは、コンピュータープログラムの著作権保護は無断コピーに対する保護が主でありますけれども、それを営業秘密として保護する場合に、つまり登録する場合にその同一性を確認するために何月何日に創作したということでなくて、何を創作したかの現物をどのような形でそこにデポジットするかということにつきましては実務上の問題があると思います。特にそれを秘密にして、第三者に公開しないようにするということが重要なんではないかと思っております。
 一言お答え申し上げます。
#36
○粕谷照美君 中村参考人にお伺いしますけれども、今パソコンソフトにはゲーム用からビジネス用までもさまざまで、私もこの間あるところへ行きましたら、カセットテープの形で三千円ぐらいで売られているんですね。ヒットして何千本も売れて、親にマンション買ってやった高校生の話だとか、あるいはもう重役に迎え入れられた大学生の話なんか聞きまして、ああ、そういう時代になったのかなと思って目を洗われるような感じがしたわけですけれども、こういうゲーム関係のソフトの開発というのはどういうふうに行われているんでしょうか。どんな場所で行われているんでしょうか。それから、そういう開発に要する経費というのは総コストの中で、いろいろあるんでしょうと思いますけれども、大体どのくらいの量を占めるものなんでしょうか。
#37
○参考人(中村雅哉君) 今お話のございましたゲームを開発することによってマンションを買ってあげたとか、そういう話も聞いてなくはございません。ただ、私どもは企業の中での開発の体制という点からしますと、まさしく莫大な利益を会社にもたらしてくれたプログラムの開発者でございましてもマンションを買うほどのいわゆる報奨金は出してはおりません。日本の、何といいますか、経営組織といいますか、あるいはもう少し出してもいいのかなと思うところではございますが、あるいはまた今後の開発の組織、もっと活発に、すぐれたゲームあるいはプログラムを開発するためにもう少し刺激的な報奨制度というか、あるいは開発する人間の創造意欲を刺激するような環境あるいは状況をつくることが必要かとは思っております。目下その辺は検討中といいますか、と申しますのは、今先生からもお話しございましたように、やはりそれがかなり誇大に伝えられるものにしても、やや開発当事者にとってはそういった経済的な報償というのはかなり魅力であるわけでございますので、必ずしもそれがすべてでないというような話し合い、説得、あるいはさらに
別の勤労意欲をそそるような条件、環境といったふうなこと等を考えて対応いたしております。
#38
○粕谷照美君 私が伺いたかったもう一 つの点は、ソフトの開発はどんなふうに行われているかということ、メーカー自身が行っているということよりは、ソフトハウスとかシステムハウスとか、開発専門の企業群があって行われているように伺っておりますが、どうなんでしょうか。
#39
○参考人(中村雅哉君) 失礼いたしました。
 私どもの場合には、ほとんどのゲームのソフトの開発は社内でいたしております。ただ、下請的にと言いますか、下請け的な作業を一部外部に出しているという部分もございますが、そうでございますね、パーセンテージで言ったら九〇%ぐらいは社内で自主開発をいたしております。
#40
○委員長(真鍋賢二君) 参考人からの意見聴取の中で、社会党から関連質問を求められておりますので、これを許します。中村君。
#41
○中村哲君 今までの参考人のお話聞いてますと、非常に慎重に言っておられるので、事の性質がかえって私にはよくわかりませんけれども、中村参考人が暴力団云々ということを言われましたので、これは非常に問題だと思うんですね。それがどういうふうに関連するかということ。それについて一々細かくお聞きするのも適当じゃないと思いますけれども、ただこういう話がこういう委員会に出てきたというのは、今後審議の経過の中でも私は非常に注意しておこうと思っています。
 それから、それに関連しまして、阿部参考人がこの法的な規制はもう少し早く行われればいいのに、しかしいろんな事情があってということでありまして、その話を聞いていたときは、これは場合によっては政治的なというような広い意味ですね、そういうふうないろんなことが絡んで早くやろうとしたのにできなかったのかと思って、そうだとすればこれまた我々としてもきちんと問題をつかまなきゃいけないと思っているんですが、実際の審議のときにいろいろ問題が出てくるんだと思うんです。ただ、一言阿部さんにお聞きしたいんですけれども、さっき言った暴力団ということ、ああいうことと無関係なことなんですか。あるいは、暴力というのは、よく警察なんかが言う一見紳士というのがありますからね、だからね、目に見えた暴力団というのはこれははっきりしているんですけれども、非常に複雑な実態の場合は簡単に暴力団に見えないけれども、社会的には非常に大きな問題のように思うんですが、それについて御意見をひとつお聞きしたいと思います。
#42
○参考人(阿部浩二君) 私暴力団とのかかわり合いにつきましては申し上げなかったので、またその辺の事情は存じ上げておりませんので何とも申し上げかねますけれども、先ほど少しこの法案の提出といいますか、成立ができるだけ早ければよかったのに、おくれぎみであったことについては残念に思う、こういうふうに申し上げましたのはいろんな事情があってからだと。別に政治的な云々ということよりも、前から話は伺っておりますが、国際的な協調と申しますか、そういう点からいきますと、前に土井参考人が申し上げましたように、何度かにわたりまして国際的なプログラムについての保護の会議が行われておりまして、国際的にもことしの二月から三月にかけたジュネーブにおける会議の結論を待って世界的な歩みというものが見きわめることができるであろうと、こういうふうな考え――考えと申しますか、そういう含みがございました。したがいまして、国際的にその会議が開かれるのを私といたしましては非常にじりじりとした思いでもって待っていたわけでございます。そういうことも含めまして、早ければよかったのにいろいろなことがあったようでございますというのは、そういうことが非常に大きな中身でございます。こんな程度が先ほど申しましたところの意味でございます。
#43
○参考人(中村雅哉君) 私先ほど触れました暴力団の問題につきましては、状況はこういう状況でございます。
 あるゲームプログラムのメーカーがすぐれたゲームを開発いたします。先ほどお話しましたように六カ月から三年ぐらいかかってすぐれたプログラムが開発され、それが商品としてマーケットに出ます。そうしますと、コピアーがおりまして、それをコピーするわけです。これが約一カ月ぐらいでもう非常に急速にそのコピーをし、マーケットへ出してくるわけです。そうしますと、オリジナルメーカーの立場としてはそういうコピーが出ては困るわけですから、それはいわゆる法律的に問題がある、著作権法上に問題があるといって物を言うわけですが、それはどこにそういうことが書いてあるんだと、どこにも書いてないだろうというようなことで、それが我々業界の中において早くいわゆる著作権法を改正していただきたい、そういうやはり条文を織り込んでいただきたいという実はお願いでもあり、そしてやはりそれが司法の場におけるいわゆる告訴という形になったわけでございます。しかし、コピアーにとっては、そんなもの裁判所へ行って判決がおりるまでにはもう流行がおくれてしまって、もうそんなものは何にもならないんだと、そのときにはやめちゃっているんだからと、こういうことでございまして、裁判をし、腰を据えて取り組むということのできない業者にとっては何らかの格好でそのコピーを押さえようとするやはり思いがございまして、その思いにつけ込んでいわゆる暴力団が仲立ちをするといいますかね、そういう者が、それはやはりこういう人に頼んだらばそのコピーは押さえられるから、僕が頼んであげようとかというような中で話が暴力団につながっていくと。したがって、暴力団が事実そのコピーを押さえるわけですけれども、むしろ押さえてもらって得た利益よりも、押さえるからと言うて取られる代償の方が大きかったというようなことになるわけですし、これもAという暴力団がBに対して、今度はBという暴力団がAに対してというような、いずれにいたしましても開発業者が非常に割の悪い立場に立たされる。そういう意味においては早くこの著作権法が改正されて、もっと明確にそのことがうたわれてほしいということが我々の切なる思いであったわけです。
#44
○中村哲君 問題の所在は大体わかるんですが、今おっしゃった限りでは、我々も財団類似の法人の責任者なんか長くしておりましてね、実際に会社の経営のことは当たったことはないんだけれども、いわゆる総会屋が介入するのはそういうことなんですね。ですから、そういう総会屋に近いようなことが起こるんだなということだけは感じました。私の理解が正確かどうかはなおわかりませんけれども、何か非常に問題がやはりあるというふうに感じました。私はこれで終わります。
#45
○粕谷照美君 最後に、阿部参考人に一つお伺いします。成蹊大の紋谷教授の御意見発表がありまして、アメリカのプログラムの法的保護は著作権に根拠を置いていても産業政策を十分に反映したものになっていると、こういうことを言っていらっしゃるわけですね。今度の改正される著作権法は通産省との間に昨年随分いろいろあって、世のマスコミを沸かした討論が行われているわけですけれども、やっぱり産業政策というものが十分に反映をしていると、したがって百点に近いような法律であるというようにお考えになっていらっしゃるかどうか。
#46
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 アメリカの著作権法につきまして、産業政策を十分に尊重――産業といいますか、政策を尊重した規定になっているというように紋谷教授が申されたようでございますが、確かにアメリカの著作権法は、いろいろと登録制度そのほかのことがございまして、産業政策的な意味も随分織り込まれていることは確かでございます。
 それに対して、一般的にこの日本の著作権法のみならずベルヌ条約に加盟している国の著作権法でございますが、必ずしもそのようなアメリカの著作権法と歩みをともにしているということはちょっと言い切れないのではなかろうかと思います。と申しますのは、もともとベルヌ条約は文学的、美術的なリトラリーワークと、こう言っておりますけれども、それらにつきましての保護の条約として出発しておりまして、それは文化の発展にもちろん寄与することを目的としておりますが、それに付随するといいますか、それとともに文化の発展がいろいろな産業文化ということを含めまして産業の文化にも結果的には役立つと、こういうような働きになっておるわけでございます。
 ただ、日本の今回の改正におきましては、先ほど申し上げましたように、ユーザーの保護も図るというようなことまで目を向けておりまして、従前のように、権利者の保護ということに中心はもちろん現在でもありますけれども、さらにそれに加えて、違法に作成されたプログラムにつきまして、それを使用する場合に、知らないで使用しているという場合についての保護まで含められているということは、間接的にもこれは産業政策の保護にも結果的には役立っていると、こういうような理解をしております。
#47
○粕谷照美君 ありがとうございました。
#48
○柳川覺治君 参考人の先生方におかれましては、長らく著作権の問題につきまして御指導を賜り、またここに、本法案に対しまして本日の御意見で大方、国際的協調あるいは整合性、国内的な各判例等に照らしておおむね妥当であるという御意見を賜りました。
 そこで、幾つかこの際お教えを賜りたいと思うわけでございますが、このたびの法案で、御指摘のとおり、プログラムに対する著作権保護の基本的方向は定められたというように解されるわけでございますが、しかしこの分野につきましては、データベースの発達の問題あるいは電気通信機器とコンピューターの絡みの問題あるいは光ファイバーとか、無限な技術革新への展開がなされていきますが、中長期的な立場から見て、これからの問題点につきましてどのような問題点があるのか、お気づきの点がありましたらお教えを賜りたいと思う次第でございます。
 私はちょうどコピーのときに著作権法の改正を担当さしていただきまして、その後の技術革新の進展の早さに驚いているわけでございますが、これからあるいはプログラムによって生ずる著作物そのものの保護の問題等の問題が先ほど来の御意見から残されているように感じますので、お四方にそれぞれの立場で中長期な観点からの問題点につきまして御示唆を賜ればありがたいと思います。
 阿部先生から……。
#49
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 私、その中長期的な視野と申しますか、そこまでなかなか頭が回らないのでございますけれども、思いつく点だけを若干申し上げたいと思います。と申しますのは、現在までの著作権法にせよそのほかの法律にいたしましても、起こった現象をいわば後追いするような形においていろいろな法律案が、問題が取り上げられ、そしてそれをどのように解決したらよろしいのだろうかと、こんなふうな、いわば対症的な療法におけるところの法案の制定というあるいは提案ということがなされてきたと、こんなふうな印象を私は受けるわけでございます。しかし、これからはと申しますか、現在のように極めて、何と申しましょうか情報化社会と申しましょうか、そのような時代におきましては、将来におけるところのいろいろな諸問題をいわば先取りする形において問題点を、みんな集まって、今後このような発展が想定されるのではなかろうか、そのような想定のもとにおいて、それに対しあらかじめ対応策を練っておくということが必要な時代にもはや来ているんじゃなかろうかと。しかしそれは、言うはやすくしてなかなか困難なことであるというふうには思いますけれども、基本的な視野というものはそういうところに置かなければこれは困るんじゃないか、こういうふうに思っております。したがいまして、例えば現在で言いますならば、著作権法におきましてもまだまだ不十分でありますところのニューメディアの問題であるとか、あるいはデータべースの問題であるとか、あるいはCATVの問題であるとか、さまざまな著作権に関連するような諸問題が情報化社会として起こっておるわけでございます。それらにつきましても遅滞なくその歩みを進め対応を考えていく、歩みを進めていくのが現代ではなかろうかと、こんなふうに私は思っている次第でございます。
#50
○参考人(土井輝生君) 私の、今の技術の進展とそれから著作権の将来の問題につきまして、ささやかな意見を申し上げたいと思います。
 私のような学界の者にとりましては、一つは過去におきまして、ごく最近、アメリカとか日本のパーソナルコンピューターのメーカーとかあるいはビデオゲーム業界の会社が著作権保護の努力を法廷において求められましたように、一つは、過去の著作権の歴史を考えますと、新しい技術が出てくると何か新しい著作権の問題が出てくるわけでございます。そして、既存の著作権法の解釈適用はやはり法廷で争わなくてはできないわけであります。そして法廷で得られた結果が好ましくなければ、法律を早急に改正する必要があると思います。今回のように、既に裁判所が確認したことをさらに確認する意味で定義を定め、著作物の例示としてコンピュータープログラムを掲げるということは、裁判所の解釈の正当性を裏づけたものだと思って大変喜ばしいと思います。
 実業家に対しましては、もしそういうふうに新しい問題が出てくれば法廷において解決をするということと、それから契約実務におきまして基本的な正しい著作権法の解釈に基づいた契約慣行を確立していただきたいということと、それから担当官庁におかれましては、将来を見越して、こういう新しい問題を予測し、そして絶えず審議を継続されることを希望する次第でございます。
 それから国際的な視野におきましては、世界知的所有権機関において継続していろんな新しい問題を取り上げられますし、それから私的な民間の学会におきましてもニューメディアその他の新しい技術の著作権の問題を取り上げておりますけれども、そういった官界、それから産業界、それから学界と、そういったすべての分野においての同時的な努力、新しい問題を発見し、それを解決する努力が並行して初めて私どもの、一般市民にとりまして満足のいく著作権法の発展が見られるんではないかと思います。
 どうもありがとうございました。
#51
○参考人(三次衛君) 中長期的な課題ということで私意識しております点を若干説明さしていただきますと、一つは保護期間、それからもう一つは使用権の創設というのが具体的なポイントでございます。この二つは、例えば、七八年でございますか、WIPOの出しておりますモデル条項の中でも、使用権の認識並びに保護期間につきましては大体二十年ぐらいということでうたわれているものでございますが、それを今取り上げますと、これまでの著作権の世界との整合性が保たれませんので、この問題は中長期的な課題というふうに認識しているのでございます。
 まず使用権につきましては、コンピューターの利用方法等も回線経由等によりましていろいろといわゆるオンライン接続等がふえておりまして、その過程で既にコンピューターの中に動作状態にセットされたプログラムを何人かの人が共用して使うといったような利用形態も出てきております。つまり、複製を伴わない使用というようなものが現実に、フィジカルにあり得るんじゃないかということでございまして、この辺を要するに法律で規定する必要があるかどうかということも踏まえて継続的な検討をお願いしたいというふうに考えているのが一つでございます。
 それから保護期間につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたが、昨今、いわゆるコンピューター的なコンピューター以外に、マイクロプロセッサーと呼ばれます非常に小型のコンピューターがいろいろな装置の中に仕組まれておりまして、ある面ではそういったマイクロプロセッサーの世界と申しますのは、在来のいわゆる装置によって実現されてきました機能を代替しているという分野がございまして、これにつきましては工業所有権によりまして保護されていると。その場合の工業所有権による保護期間と著作権の保護期間が現在二十年、五十年ということで、相違している点の調整でございます。そういった問題を技術の進歩を見ながら継続的に御検討いただければありがたいと、そういうふうに考えている次第でございます。
#52
○参考人(中村雅哉君) 私どもの業界的立場から申しますと、ビデオゲームという一つの媒体の中でのこれからの展開としてはかなりゲームということにとどまらず、もっと広く芸術的な面に進出、発展していくと予想されるわけでございます。コンピューターアートといったふうな分野だと思うわけでございますが。そういう場面で、先ほどにもちょっと触れたわけでございますが、プログラムの映像表現、これをとらえて映像をコピーするというような問題が起こってくると思いますし、現在私どもも裁判中でございますが、これらの問題につきましても映画の著作物であるというやはり東京地裁の判決の線に沿って上映権侵害という対応をしてまいりたいと、こんなふうに考えております。
 以上でございます。
#53
○柳川覺治君 政府部内でプログラムあるいはコンピューターに関する議論が真剣に論じられました。
   〔委員長退席、理事仲川幸男君着席〕
このたび著作権の保護という観点で本法案が提出されましたこと喜んでおる次第でございますが、その節、今も御指摘の使用権の設定の問題あるいは人格権につきましての不用説、また今、先ほど来問題になっております保護期間における格差の問題、この辺の問題が中心に議論されたわけでございますが、土井参考人にこの際お聞きしたいのは、コンピューターというのをとらえましたときに、工業所有権と今この著作権、それから今回の国会で成立を見ます半導体の回路についての保護の問題が大体絡むわけでございますが、コンピューターをとらえましてどの部分が工業所有権の対象であってどの部分が著作権の保護の対象になるのか、その辺私どもにわかりやすく御説明していただくとありがたいのでございますが、お教えいただきたいと思います。
#54
○参考人(土井輝生君) 非常に基本的な問題を御質問でございますので、私、御満足のいくようなお答えができるかどうかわかりませんけれども、コンピュータープログラムの著作権保護はあくまで表現の形態の保護でございまして、中の基本的なアイデアとか基本的な技術思想の保護には及ばないわけでございますので、あくまでも特にコンピュータープログラムの保護につきましては複製権が一番重要だと思います。といいますのは、著作権保護はあくまでプログラムの無断コピーだけでございます。それから、さらにビデオゲームが提起する問題は、営業用のビデオゲームの映像を見まして、そして別にプログラムをつくって、携帯用のビデオゲームをつくって売られておりますけれども、それが問題で、聞くところによりますと訴訟が係属しているということを伺っておりますけれども、その場合はもはやもとのプログラムの著作権侵害ではいけないわけでありますから、やはり先ほど中村参考人が申されましたように、映像をとらえまして映画の著作物として著作権を主張しなければいけないと思います。したがいまして、プログラムの著作権保護といいますとあくまでも表現したものの保護でございますから、決して、工業所有権的な特に特許の保護とは併存するものでありまして、抵触するものではないと思います。そして、プログラムのアイデアは特許保護または営業秘密としてこれを秘密にして保護する必要があると思います。
 それから、半導体チップでございますけれども、私は、これまで、アメリカ合衆国が去年の十一月に発効しました半導体チップ保護法を制定したわけでありますけれども、それまで半導体チップの問題は無断コピーでございますから、著作権法の改正でいけるのではないかという意見を持っておりましたのです。しかし、アメリカ合衆国で半導体チップ保護法を制定し、そして日本でもそれに対応する法律が成立したわけでございますから、もはやこれは半導体チップ保護法が著作権の保護とは別の保護であるということになったわけでありますけれども、保護の態様は無断複製に対する保護でありますから、あくまでも著作権的なアプローチをとっている保護だと理解しております。したがいまして、それでアメリカ合衆国の半導体チップ保護法は憲法の規定に基づくわけでありまして、憲法では発明の保護とそれから書いたもの、ライティングとか言っておりますが、著作物の保護と、その議会の権限に基づく特許法とそれから著作権法が制定されておるわけであります。それで私はアメリカ人にときどき質問しますけれども、では今度の新しい半導体チップ保護法は憲法の発明の方の保護に属するのかあるいは書いたもの、著作権と同じ規定に属するものかと、こういうふうに聞きますと、二、三得ました回答が、あれは憲法のほかの条項で規制をする条項に基づくのだという回答が返ってまいりましたけれども、後でアメリカ合衆国の議会の記録をよく検討いたしますと、やはり法律案を出した基本的な考え方は著作権法の姉妹法として同じ憲法の書いたものを保護するという規定に基づくのではないかと理解しておるわけであります。したがいまして、今度の半導体チップ保護法が、担当官庁は違いますけれども、保護のアプローチはやはり著作権の保護のアプローチだと思います。このように新しいものが出てまいりまして、そして著作権法でも既存の工業所有権、特許、実用新案、そういった法律でも適切な保護が得られないとすると、今回のようなああいう半導体チップ保護法といった特別保護が必要ではないかと思います。
 簡単でありますけれども、お答え申し上げます。
#55
○柳川覺治君 阿部参考人にお聞きいたしたいと思います。
 論争になりました使用権あるいは著作権、人格権の問題につきましては、本法案におきましていろいろ所要の一部制限等の規定が設けられておりますが、大体この法案の対応で現在時点と申しますか、あるいは中期、長期的な展望の上に立って適切な措置であるというようにお考えでございますか。
#56
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 現在の使用権、人格権、そのほかについての御質問でございますけれども、現在において考えられるところの措置といたしましてはこの改正案でよろしいんじゃなかろうかと、こう思っております。ただその人格権につきましても使用権につきましても、具体的な問題が提起されましたときには非常に困難な問題が生ずるということは、これは従前からの著作物に対して人格権の問題、例えば同一性保持権の問題につきましても、翻案とか改作と申しますか、改良と申しますか、改変と申しましてもよろしいと思いますが、それらについてのいつもつきまとうところの問題でございます。したがいまして、この問題はいわば永遠の難しい問題であり、それを抱えておりますので歯切れのいい答えはすぐには出てはこないかもしれませんけれども、中長期的にも十分に耐え得るところの法案ではなかろうかと、このように私は考えております。
#57
○柳川覺治君 土井参考人に、先ほどもうお話がございましたので尽きているところだと思いますが、今回の著作権法による保護ということによりまして、我が国のプログラムが国際的に大いに流通するという観点から立ちますと、別個の特別立法の動きがあったわけでございますが、利用拡大という観点で、その面からは特別立法をした場合とこの著作権による保護、その間に流通拡大の上で何か格差が、差が生ずることが予測されますか、それを伺いたいと思います。
#58
○参考人(土井輝生君) 気がつきましたところを簡単にお答え申し上げたいと思います。
 世界各国の主要国が、特にコンピューターの産業のある国それからそれを利用する国におきまして著作権保護で大体統一といいますか、著作権保護でいくことになりますと契約実務の上で著作権保護を基盤にした技術移転とか、ライセンスの契約とか、そういう契約が可能でありますので、保護はそれぞれの国で別個に独立して行われますから細かい点については異なるところがあると思いますけれども、基本的な面でこれは国際的な技術交流のためにも大変好ましいことだと存じます。そして、同じ無断複製に対する保護でありましても著作権以外の保護の形をとりますと大変ほかの国に理解してもらうのが困難ではないかと思います。それから、誤解も生ずるだろうと思いますので、世界的な既存の著作権条約のもとで著作権保護でいかれるのが一番産業の発展のためにも、それからプログラムを利用する立場の国民にとりましても好ましいことだと思っております。
#59
○柳川覺治君 中村参考人に御質問させていただきます。
 先ほど来お話ございましたとおり、必ずしも立法上プログラムにつきまして一般に明確でないというような状況の中で紛争の解決に大変な御努力をされてこられました。大変な御努力であられたということが先ほどのお話の一端からもおうかがいできるわけでございますが、特に国内的あるいは国際的に紛争の課題があり、また今後も、この法が制定された後におきましても事象としては起こってくると思いますが、国際的な紛争につきまして従来御苦労されましたそのあたりの事情をもしもう少しお話しいただければありがたいと思います。
#60
○参考人(中村雅哉君) 今柳川先生から我々の努力について大変御理解のあるお言葉をちょうだいいたしまして大変感激いたしております。ありがとうございます。
 今、御質問にございましたコピーの問題におきます国際的な問題、これは現在でも正直言いまして後を絶っておりません。先ほども御説明さしていただいた中にございますが、我々からライセンスを受けたアメリカのライセンシーがITCに訴えてコピー品の輸入を水際でとめたというようなこともございますし、つい最近でございますが、やはり日本で開発されましたプログラムをアメリカにライセンスしたそのものが非常に大きな組織で広範にわたってコピーをされているという中で、FBIを通じて製品の流通業者を逮捕したというようなこともございます。この著作権法の改正の見通しのおかげで日本国内におきますコピーというのは一面、業界がやや今沈滞の状態にございますゆえもございますが、コピーはやや鳴りを静めておるわけでございますが、反面そういった日本のコピーヤーの絡んだコピー製品が香港あるいは台湾、あるいは韓国といったふうなところを使ってといいますか、そういうところであるいは生産をされてもおると思いますが、そういう形のものがかなりアメリカ、ヨーロッパに流れているという状況は現在でも続いておりますし、大変困った問題だと思っております。どう今後そういう問題に対応していくかということについては、現在私どもの協会におきましてもいろいろと研究そして実際効果のある方法を考えておるわけでございますが、まだ問題がそう早急に解決するとは思えませんが、今まで頑張ってきたわけですので、これからも頑張って大いに日本の国際的信用を落とすようなことのないような方向で一層努力をしてみたいと思っております。
#61
○柳川覺治君 三次参考人にお尋ねさしていただきます。
 今回の法案によりましてプログラムの創作年月日の登録の制度が設けられました。これは先ほどお話しのように、このことによって権利が発生するということではないが、しかし権利保全の観点からのこういう制度が設けられたわけでございまして、これの具体のシステムにつきましては「別に法律で定める」というようにされております。この面は一つには利用者への便の問題がございましょうし、あるいは創作者につきましても重複創作の弊を除いていくとかいうような内容が包含されているわけでございましょうが、この別に定める法律に当たりまして、どのような点に、先ほど来幾つか御示唆がございました登録を扱う機関と申しますか、仕組みの強化の問題等の御指摘もあったわけでございますが、むしろ注意すべき事項というような観点につきまして御示唆を賜ればありがたいと思います。
#62
○参考人(三次衛君) これまでのところ、私どもは立場といたしまして、企業の日常の運営でございますとか、経営的な判断、それに役立つようなコンピューターシステムに必要なプログラムの開発に携わっておるものでございます。したがいまして、そのコンピュータープログラムとして求められますスペックと申しますか、仕様と申しますか、持っております機能等につきましてはそれぞれの企業のお考えがございまして、類似した企業の中でもなかなか他人のものをそのまま使うというわけにはいかない、いろんな日常の事務規定等の相違もございますということで、在来は個別に開発が進められるという状況強うございました。ただ昨今、大変日々の経営に携わるプログラム範囲は非常に広くなってきておりますし、いつまでも個別個別ということでオーダーメードでやっていたのではとても時間も間に合わないということで、実績のあるプログラムであればそれをどんどん使っていこうじゃないかというのが一般産業界の受けとめ方でございます。いわゆるソフトウエアの流通というものを待ち望む声が非常に強いのでございまして、そのために今回の権利者の権利の推定でございますとか、それをベースといたしまして正規な権利者がその作品を世の中に広めていくということがどんどん進むことを私ども願っておるものでございます。
 ただ、このプログラムにつきましては、それを自分が使った場合にどの程度役に立つかということを恐らく交換された書類その他だけではなかなか実感がつかめなくて、やはりお使いになる企業同士のお話し合いでございますとか、口コミでございますとか、そういったものがかなり実態的な有効な情報になるんじゃなかろうかと思っております。
   〔理事仲川幸男君退席、委員長着席〕
したがいまして、登録制度等を通しまして当該ソフトウエアの内容につきましては何らかの情報が必要なわけでございますが、一概にソースプログラムでございますとか、オブジェクトプログラムとかというそういうレベルでなくてもよろしいんではないか、概説的な説明書の段階でございますとか、いろいろ段階ございますので、これはよく検討していただいた方がよろしいんじゃないか。と申しますのは、このソフトの公開ということになりますとやはり企業秘密の開示という面もございますので、これとのバランスをよく考えた処置が必要ではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#63
○柳川覺治君 阿部参考人に最後に、文化庁は当然に著作権の保護の主務官庁でございますし、また広い意味で文化振興の役割も持っておられます。文部省自体が教育、学術、文化の振興の責任を持っておるわけでございます。著作権の保護と著作権に保護されたプログラム等を有効に活用していく、むしろユーザーの立場からの利用につきましての行政官庁としての配慮というような面につきまして御指摘を賜ればありがたいと思います。
#64
○参考人(阿部浩二君) お答えになりますかどうですかちょっとわかりませんが、文化庁といたしまして、私が考えておりますのは、やはり著作権に関連いたしますと常に国際条約によって制約されるのではなかろうかと思います。したがいまして、ベルヌ条約あるいは万国著作権条約の枠内において、もちろん、これはユーザーそのほかの使用者の方々の利益を考えることは大いに結構でございますけれども、ただそのほかの、ユーザーを直接に対象としております通産省であるとか、あるいはそのほかの業界、それらを直接に担当するところとはおのずから違った線というものが出てこざるを得ないというように考えております。したがいまして、国際的な調和の中においてできるだけ国内的にもそのような方面に目を向けていただければと、こういうふうに考えておる次第でございます。
#65
○柳川覺治君 以上でございます。
#66
○伏見康治君 私は、まだ国会に出てわずかな日しかたってないものですから、法律ということの本質をよく知らないんですけれども、過去二年間、法律を随分たくさんつくってきたような感じがするんですが、私は、本来法律は少ない方がいいと思うんですね。余計な法律はつくらない方がいいという感じが非常に濃厚なものなので、それで、きょうは法律の専門家がお二人も見えているのでお伺いしたいんですが、従来の著作権法を援用なさって幾つかの裁判が既にあって、で、適当に紛争を処理されたという事例があるように伺ったんですが、そのことをまず伺った上で、それで、そのまま続けてはなぜいけないのかということをまずお伺いしたいわけでございます。法律のお二人、阿部さんと土井さん。
#67
○参考人(阿部浩二君) 御質問は、過去におけるところの、現行の著作権法に基づきましてプログラムについての著作権侵害事件につき、過去に既にもう三件も、地方裁判所の段階ではございますけれども、プログラムを保護する、このような判決が出ているのに、なぜこの新法が、といいますか、改正法が必要なのだろうかと、こういう御質問に理解してお答えさせていただきますが、私は、現行法におきましてもプログラムは著作物であると、このようなことの解釈は十分に可能でありますし、そのことを現に地方裁判所の判断において明確に示されたのだと思っております。したがいまして、具体的なその提起された事件につきましては、私は著作権法の改正は必ずしも必要ではないと、こういうふうな考えは持っております。しかし、プログラムを著作物ではないと、こういうような考え方をお持ちの方もおられますし、そしてまた、訴訟においてもそれが争われたわけでございます。という点からいきますと、注意的な意味におきましても、著作権法におきましてこのプログラムを著作物の中の例示の中に加えまして、そのような誤解を一掃するという点におきましても、この改正法の意味というものは非常に大きいのではなかろうかと、まず第一にそのように考えるわけでございます。
 さらに、それにつけ加えまして、その使用に伴って現実に生じてきたような問題点は、この前の地方裁判所において提起されたような問題、その訴訟の内容から離れたような問題も随分社会的には提起されております。それに対する対応といたしましても、そのほかの例えば先ほどの使用権に関する、あるいは複製権との関連におけるユーザーの保護というような規定も、このようなことを現に、現にと申しますか、できるだけ早く規定しておいた方が後日の争いを未然に防ぐという意味においても非常に有効ではなかろうかと思っております。したがいまして、この判決の意味というものは非常に大きい。しかし、それとはまた別にこの著作権法の改正というのがそれを超えてまた大きな価値を与えてくるものではなかろうかと、このように考えております。
#68
○参考人(土井輝生君) コンピュータープログラムの著作権保護自体につきましては、既存の著作権法のもとで先ほど申し上げましたように著作物の定義が広く、そして複製の定義が広ければ十分に保護されるわけでございます。したがいまして、早急な著作権法改正は必要でないと思いますけれども、今回の改正はそのことを法律の中に織り込みまして定義を設けると、そうしたその他付随的に必要な規定を設けることによりまして、特にコンピュータープログラムの実際の著作権侵害者が小さい企業あるいは小さい業者が多いようでございまして、そういう業者に対しまして年月のかかる民事の訴訟を提起することは非常に実際的ではございませんので、特に刑事の告訴をすることが非常に重要でございます。したがいまして、刑事裁判による解決あるいは救済を得るということのウエートが非常に大きゅうございますので、刑事裁判をします場合には、判例によってプログラムが著作物であるということが確認されることに加えまして、法律の条文上コンピュータープログラムが著作物であると書かれていることは大変効果があると思いますので、その点から今回の改正は大変評価できると思います。
#69
○伏見康治君 もう一つ、甚だエレメンタリーな質問で申しわけないんですが、これまでありました裁判の判例というものとそれから今回著作権法に改正を加えたものとが別に矛盾はしていないと考えてよろしいわけですか。それもお二人について。
#70
○参考人(阿部浩二君) 全く矛盾はいたしておりません。簡単ですが、お答えいたします。
#71
○参考人(土井輝生君) 全く矛盾しておりません。判決を確認したという形をとっておると思います。
#72
○伏見康治君 この法律の改正の中に幾つかの従来の著作権法ではぐあいの悪い点をいわば補足的につけてあるわけですね、プログラムというものの特殊性が幾つか書いてあると思うんです。それを拝見し、かつまたこの法律ができるまでの世の中での議論を伺っておりますというと、全く著作権法とは離れた別のプログラムだけのいわば法律をつくるべきであるという御意見もあったように伺っているんですが、その点についての経過みたいなことを、なぜ著作権法によることになったかというところを伺いたいと思います。どうぞお二人にまた。
#73
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 プログラム権法のことについて御指摘じゃなかろうかと思いますが、反対に申しますと、私は率直に申しましてなぜプログラム権法というものが必要であったのかということにつきまして理解ができていないわけでございます。一つは論理的あるいは学問的と申しますか、著作権法上の本質論と申しますか、そちらの方面は一応さておきまして、現実にプログラムが複製され、そのほかいろいろな侵害行為が存在すると、それを救済する、それを未然に防止するために何らかの法的な手当が必要ではなかろうかという点からこのプログラム権法というものが考えられたのだろうと思うわけでございます。しかし、なぜそれを著作権法の枠外において考えなければならないか。その前までの保護しなければならないという点におきましては、私はそこまでは十分についていくことはできますし、理解もできるわけでございます。しかし、そのような新しい著作権法ではないところの新しい法案をつくろうとするならば、このプログラムというものは、単に日本国内だけではなくて、世界的に流通するところのものでございます。世界的にそれならばプログラム権法によって納得せしめてということがどれだけの時間がかかり労力がかかるだろうかということを考えてまいりますと、それには相当の長期間がかかるのではなかろうかと思うわけでございます。
 そうしますと、例えば特許に類似するような考え方をとっていくといたしますと、特許というのは基本的に各国において登録を申請し、そしてそこでもって効力を発生するものでございます。したがいまして、各国一つずついかなければなりませんけれども、著作権の場合ではそうではない。先ほど申し上げましたように、ベルヌ条約あるいは万国著作権条約にしましても無方式主義をとるような、とりわけベルヌ条約国でありますならば、これは作成した時点において、世界的にそれぞれの条約国相互間において保護されるわけでございます。なぜ、そのような非常に便利なものがあるにもかかわらず、別に難しい、そしてまた世界的にプログラムは著作物であるという共通の認識はほとんどあるのではなかろうかと思うわけでございます。少数の方々があるいは学問的な見解からそういうことを著作物ではないと主張されることもこれは御自由でございます。そしてまた、それについても傾聴すべき点は多々あるのではないかと思いますけれども、世界的にそれを納得せしめることは大変なことでございます。著作物ではないということを納得せしめることは大変なことなので、なぜあえて業者あるいはプログラムを保護しなければならないというところに目的を置きながら、別なプログラム保護法を置かなければならないか、その点につきましては、そこまでい
きますと私は到底理解ができないわけでございます。したがいまして、そういう点から、本質的な問題を一応さておきましても、実例的な面から申しましてもこのプログラム権法というものは私はやはり到底とり得ないというのをはっきり申し上げることができるのじゃなかろうかと思うわけでございます。
#74
○参考人(土井輝生君) 一言お答え申し上げます。
 著作権法とは別個にプログラム権法という特別法による保護が考えられておりましたけれども、それが好ましくないとかあるいはそれは必要でないという理由は、一昨年六月にジュネーブの世界知的所有権機関で開かれましたパリ同盟の専門家委員会におきまして、そこに提出されましたソフトウェア保護条約草案の検討を無期延期しましてそれを早急に検討を続ける必要はないという結論に達しましたその理由と全く同じだろうと思います。ソフトウェア保護条約草案も何に対して保護するかというのは、無断複製に対して保護するわけであります。
 それからプログラム権法も主たる目的は無断複製に対して保護するわけであります。無断複製に対する保護は、既存の著作権法のもとで可能でございますし、著作権で十分だと思います。特に既存の著作権法による保護が可能であり、しかもそれで十分でありながら、特別の法律をつくるあるいは特別の条約をつくるということは時間がたちますし、それから経済的にもいろいろな理由から好ましくないのではないかと思います。
#75
○伏見康治君 今の質問に関連して伺いますが、ついこの間成立した半導体チップの方の保護法律がございますが、あれはやはり著作権法でやるべきであるという御意見があったんですが、あれの方は独立の法律になってしまったわけなんですが、その点についての御意見をちょっとついでに伺いたい。これもお二人に伺いたい。
#76
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 私は、半導体チップ保護法でございますが、あれは基本的にやはり著作権法でも十分保護できる性格のものではなかったかなという感じは今なお持っております。
 アメリカにおきましても、あるいは著作権法の一部改正という形で、たしか第九章だったと思いますが、アメリカの著作権法の中の一部として、しかし、その著作権法とは別な特別な法律であるという何かわかったようなわからないような法律に、アメリカの半導体チップ保護法はなっておるわけでございます。
 日本におきましても、別につくられておりますので今さら何とも申し上げかねますけれども、私はやはりあの場合におきましても複製が中心になっておりますし、それを分解してまいりますと著作権法でも十分保護できたのじゃなかろうかと、こういう感じは持っております。
 ただ、従前と違って、最後の段階にチップの製品となった場合においてはどうだという点にわずかながら著作権法から外れるという考え方も、まあ、それでもよろしいかなというふうな感じを持っているだけのことでございます。
#77
○参考人(土井輝生君) 一言お答え申し上げます。
 私も半導体チップの無断複製に対する保護は著作権法で可能だと思いました。現実にある外国の会社の代理人から相談を受けましたときに、著作権法でやってやれないことはないだろう、コンピュータープログラムの場合と同じように裁判所に訴えを提起して、そして裁判所に意見をまず出させるべきだという意見を述べたことがございます。これは三年ぐらい前のことでございます。ところがアメリカの著作権法のもとで、アメリカの法律家にどうして著作権法でできないんだと聞きますと、過去に最高裁判所の判例が幾つかございまして、そして実用品に対しては著作権保護の対象にならないんだというような意見が強うございまして、そしてアメリカの裁判所には半導体チップの無断コピーに対する著作権法に基づく訴訟が提起されないで、判決が得られない状態であったわけであります。そこで、半導体チップの保護の特別法が、しかも著作権法と姉妹法の形でできたというように理解しております。
#78
○伏見康治君 それでは少し内容について伺いたいと思いますが、先ほどから五十年という期間は長過ぎるではないかというお話に対して長くてもいいではないかというようなお答えがあったようにお聞きいたしましたんですが、実際長くて支障がないものなんでしょうか。つまり全く内容が常識化してしまって、ふだんの飯のようなものになってしまっている段階でも、なおかつその権利を持っている方に一々ごあいさつしなければ使えないというのは非常に何か妨げるような感じがいたしますが、そういうことはないようになっているんでしょうか。どうなんでしょうか。これもまたお二人の意見をお伺いします。
#79
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 非常に年月がたちまして、ポピュラーな著作物となり、各人がすべてその著作物を見なくとも同じようなものがすぐつくれる、こういう事態といいますか、そういう状態になりましても、過去の著作物についてその著作権者の承諾を得なければ複製することはできないのだろうか、こういう御質問のように承りますけれども、既にみんなが共通の財産として、過去におけるところの著作物を見なくとも自分の頭の中においてつくり出すことができるという場合には、過去のいわば鎖から、何といいますか、きずなから解き放たれて、自己の著作物というように認定できるのじゃなかろうかと思うわけでございます。したがいまして、そのときもなお過去の著作物の著作権者であるその承諾がどうしても必要だ、こういうわけにはいかないのじゃなかろうか。そしてまた現実に、仮に著作権の侵害であるというような、複製権の侵害であるということを申しましても、その場合にはもう既に人類共通の財産のようなものとして、それについて他人が新たに作成したものについても自分の複製であるという立証はまず不可能ではなかろうか。したがいまして、現実的な問題にも恐らくなり得ないのではないか、こういうように考えております。
#80
○参考人(土井輝生君) お答え申し上げます。
 著作権保護は表現の形態でございますから、したがいまして、コンピュータープログラムの保護は既存のプログラムを無断コピーすることに対する保護でございます。したがいまして、そのプログラムの中に入っている技術思想を取り入れまして、そして別にプログラムを保護することには保護が及びませんので、したがいまして、御質問のようにあるプログラムの中の基本的なアイデアが非常によく知られるようになりましたら、だれでもそのアイデアに基づいて自分で別個にプログラムをつくればそれで同じ目的を達することができるわけでございますので、著作権保護はそのような公知になったといいますか、よく知られましたプログラムの技術的な思想の自由な利用に制限を加えるものではないと思います。したがいまして、ビデオゲームのような映像を生ずるプログラムの場合は、無断コピーでなくても中のアイデアを取り入れまして、そして別個にプログラムをつくって、同じような映像の出るビデオゲームを、例えば営業用のビデオゲームから携帯用のビデオゲームをつくった場合はこれは元のプログラムのコピーにはなりませんから著作権侵害にはならないわけでありますけれども、したがいまして、ビデオゲームのプログラム、これは映画の著作物としまして、そして映像をコピーしたという面でとらえないと著作権侵害の責任を追及できないわけであります。
 したがいまして、基本的にプログラムを著作物として著作権法で保護するということと、それからプログラムのアイデアの自由な利用とのかかわりは前者が後者を妨げるものではないと思います。
#81
○伏見康治君 これも今の御質問と非常に絡み合ったお話だと思いますが、一つのプログラムが登録されている。次に登録されたものと違うのか同じものであるか。つまり、非常に瑣末なところで違っているだけであるという場合があると思うのですが、そういうのは、そういうつまり同じものであるかどうかという判断というものがしばしば難しくなるのではないかと思うのですが、そのときの何か考えの判断の筋といったようなものがあり得るのでございましょうか。この点もお二人にまたお伺いします。
#82
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 極めて類似した後発の著作物が存在する場合に前の著作物とどういう関係に立つかと、こういう御質問かと思いますが、その場合に、私たちと申しますか、私の考えでは、後の著作者が前の著作物につまり接近すると申しますか、アクセスする機会があったかどうかということをひとつ考えてみたいと思います。
 それともう一つは、前の著作物と本質的な類似性、同一性と申してもよろしいかと思いますけれども、それが存在するかどうか。どちらの先から判断しても結構でございますけれども、たとえ実質的にあるいは表現上においても全く同じであったといたしましても、前の著作物の複製かどうかということに問題はかかってくるのであって、全く同一の物がつくられたとしましても、前の物にアクセスすることなくつくられるという場合には、それはそれで新しい著作物として十分に自己の権利を主張しても差し支えかない、こういうふうに考えております。そして、そういう点につきましては既に日本の最高裁判所におきましても、音楽のケースですが、前の旋律と全く同一の旋律である。違ったところといいましてもほんの微々たるところである。たしかワン・レイニー・ナイト・イン・東京というような事件だったと思いますが、そこにおきまして、同じものであってもアクセスすることもなく、それで自分日身でつくったならばそれはそれでよい、こういう点で特許と基本的に著作権は違うのではなかろうかと思います。特許の場合には、前に存在しておりますると、後で自分の努力でもって新しいものをつくりましても特許権の侵害ということにならざるを得ませんけれども、著作権の場合には全くそうではない。自分なりのオリジナルにみずからつくればそれでよろしいということでございますので、全く類似するようなプログラムが二つ併存するということがあってもおかしいことはない。ただ、問題はそれを複製したかどうかということにかかってくるのじゃなかろうかと思うわけでございます。争いになったときには、その認定につきましてはやはり普通の音楽の著作物の場合と同様に同じ困難性を伴ってくると、これは著作権の侵害事件につきまして、どんなケースにおきましてもつきものでございます。
#83
○参考人(土井輝生君) 私も同じ意見でございまして、著作権侵害になりますためには、被告が原告の著作物を見てつくったということと、それから被告の著作物が原告の著作物と実質的に類似してないといけないという、その二つの要件が充足されて初めて著作権侵害になるわけでございます。したがいまして、私が他人のコンピュータープログラムを見てつくることは、これはプログラムが公にされておれば十分できますけれども、その中のアイデアを取り入れて別にプログラムをつくって、そしてその表現の形態、実際に機能ではなくて表現したものが実質的によく似ている。そして、私が実際に他人のを見てつくったということが、接近してつくったということが原告が立証すれば私が著作権侵害になるわけでございますけれども、私の抗弁としましては、それは原告のを見てつくったけれども、ただアイデアだけを取り入れて、そして私が別個にプログラムをつくったんだと主張して、それを立証することができれば私が訴訟に勝つんだと思います。ですから、私のお答えも全く阿部参考人と同じでございます。
#84
○伏見康治君 いろいろ話が変わって申しわけありません。
 先ほど中村参考人の方がオブジェクトプログラムの方を保護していただいて、登録することにして、ソースプログラムの方はいわば隠しておくというような方がよろしかろうという御提案があったと思うんでございますが、その理由をちょっと御説明願えないでしょうか。
#85
○参考人(中村雅哉君) 私は今の伏見先生の御質問に十分に答えられるかどうかでございますが、オブジェクトプログラムよりもソースプログラムの方が一般的に理解されやすい次元のものであると。ですから、そこまでのものをやはりこう出さなければいけないとするならば、公開制度等による方法はおとりいただかないようにと、こういう単純なお願いでございます。
#86
○伏見康治君 今の点について法律学者の方はどうお考えでしょうか。阿部さんと土井さんにお伺いします。
#87
○参考人(阿部浩二君) ソースプログラム、オブジェクトプログラム、ソースプログラムと複製そのもの、オブジェクトプログラムがソースプログラムの複製であるというような場合もございますし、それが別に疑問がない場合もありますし、オブジェクトプログラムはソースプログラムの必ずしも複製とは言えないのではないかと、こういうようなケースもあろうかと思います。そういう点の差異に着目しておっしゃったのではなかろうかと私は想像しておったのでございますけれども、あるいはそれも一つの方法かなと思いますが、もう少し考えてみたいと思います。
#88
○参考人(土井輝生君) 私は創作年月日の登録につきまして何を寄託すればよろしいかという問題につきましては、登録を受け付ける官庁の便宜と、それから登録されたプログラムの秘密を保護するというその二点から考慮すべきだと思います。それで、オブジェクトプログラムを寄託するということには十分な理由があるんではないかと思います。重要なことは、何年何月何日に創作されたプログラムが何であるかという同一性が確認されればよろしいんではないかと思います。
#89
○伏見康治君 次に質問したいのは、登録の制度なんですが、これは現在の法律改正案には出ておりませんで、次の法律にゆだねてあると思うんでございますけれども、登録制度についてどういうイメージを描いたらよろしいかということを皆様から伺いたいんです。先ほど中村さんでしたか、あるいは三次さんだったかな、登録を業者の集まりの中でやろうかというようなお話があったと思うんですが、あれは中村さんでしたかな。
#90
○参考人(中村雅哉君) はい。
#91
○伏見康治君 じゃ、中村さんからそれの趣旨をちょっと御説明願いたいと思います。
#92
○参考人(中村雅哉君) まさしくある作品に対して次なる作品が、最初のAなる作品に対して後のBなる作品が本当に創作されたものかどうか、この辺の問題。あるいは、それを見ていたか見ていなかったか。今両先生おっしゃられたように、非常に酷似していても、その動機といいますか、それが創造的なものであればという立場もあるわけでございますが、私どもビデオゲームの業務をしております場合には、追っかけ、Aの製品に対してBの製品が出てくるという段階ではマーケットにおきます収入にすこぶる影響を来すわけでございます。ですから、そのBなる作品がAに対して創作度がそんなに高いものじゃないと、何かヒントを得ているんであるというようなことをAの業者は言うわけでございますし、Bの立場としてはそうでないということでございます。そういったふうな中でも、あるいは業界の中で登録をするという形でそういったトラブルを防ぐ方法がなかろうかという研究をしたわけでございますけれども、だれが、それが似ているのか似てないのか、あるいは創作度がどれだけ高いのかというようなことをやはり御判断いただくということが大変難しゅうございまして、かと言って、今我々全然もうそれは無意味なことだという決断といいますか、断定はしていないんですけれども、いま一つその状況を見ながら、あるいはそれが的確に役に立つような仕組みとして存在し得るようになればその方法を取り入れていってみたいと、こう思っておりますし、また先生の御質問と、ちょっと横道にそれるんでございますけれども、Aの業者がつくったときにそのプログラムの中に特殊ないわゆる
隠し文字を入れておく、ある回路を短絡させるとそれがモニター上に、私どもの会社名ならナムコならナムコが出てくるというようなことをいたします。そうしますと、Bの方の業者がそれをヒントにしてないと言っても、あるいはそのプログラム上に我々の回路をまねしているような場面ででは、そういう方法をとりますとそこに隠しの文字が出てくるというようなことで、それは創作したものだとBの業者が言っておっても、それはそうでないという証明をするというようなこと等もいたしておりました。
#93
○伏見康治君 この登録制度について、今のようなお話について三次さんの御意見を伺いたいんですが。
#94
○参考人(三次衛君) 私はこれまでの参考人の御意見とそう違った意見ではございませんけれども、登録につきましては二つの側面があるんではないかと思います。一つは、将来起こり得べき争いに対しましての証拠能力を高めておくということが一つでございます。それからもう一つは、ソフトウエアの開発が非常に不足している時期でございますので、いいものであれば世の中に広く流布していくという、流通の促進という面がございます。
 後者につきましては、各メーカーあるいは業界団体等でそれぞれが進めているという現状にございます。ただ、ソフトウエアというのは広く使われれば使われるほどよりよくなるものでございますので、その範囲をさらに広めるという面でこの制度が活用されるようになることを期待しているものでございます。
 それから最初の方の著作についての証拠性の面でございますが、一般の汎用コンピューターでございますと個別にお客様と一件一件契約を交わしまして使っていただくということでございますが、最近パーソナルコンピューターでございますとかあるいはワードプロセッサー等の分野は非常にたくさん出回っておりまして、これは書店その他でもって本と同じような形で販売されるという状況でございますので、そういう分野につきましての著作者の認定というのは汎用コンピューター以上に大事なんじゃないかと思いますので、そういう面に対して有効な作用があるものというふうに期待しております。
#95
○伏見康治君 ありがとうございました。
#96
○吉川春子君 それでは四人の参考人の方々に質問さしていただきます。
 最初に三次参考人に産業構造審議会の情報産業部会の問題について伺いたいと思います。
 三次参考人は文化庁の著作権審議会のメンバーでもあるんですけれども、きょうは三人の方がこのメンバーという構成なので、専ら通産省の方の経過について伺わせていただきます。
 一九八三年十二月に、通産省の産業構造審議会の情報産業部会でソフトウェア基盤整備小委員会が中間報告を出しました。そして、この通産省の産業部会の「はじめに」の文章の中で、「ソフトウエアの開発・利用の促進や品質向上の問題に対する各方面の理解と関心を深めるとともに、ソフトウェアの保護のための新規立法をはじめとする具体的施策として結実することを強く望むものである。」と、こういうふうに書かれているわけですけれども、今日、新規立法を含めて結実することを強く望むという立場に変わりはないのか、あるいは変わってしまったのかということが第一点です。
 それから二点目は、中間答申としたのはまだ検討すべき課題が残っているからだと思うんですけれども、どのような検討課題が残されていたのかという点です。
 それから第三番目には、プログラムの性格、保護法制について著作権審議会とこの通産省の方とは根本的に考え方が異なっていたわけなんですけれども、今回合意されたということで、一定の主張が著作権法に取り入れられればよいという程度の意見の相違だったのかどうか。
 その三点について伺います。
#97
○参考人(三次衛君) 私、日本電子工業振興協会ソフトウェア懇談会座長といたしまして、産構審並びに文化庁の両方の審議会に出させていただきました。産構審におきましての検討とそれから文化庁での検討の保護の最終的なターゲットは同じだと思います。全然別のところをねらっているわけじゃございませんで、ソフトウエアの保護ということについては共通の目的を持っていたと思います。ただ産構審の場合に、産業の実態とあわせ考えまして、基本的には在来の著作権法で保護されている客体と申しますのは、文章あるいはその表現された芸術等形の変わらないものでございますが、コンピュータープログラムは世の中の実態に合わせまして種々変更が加えられていくという、常に内容が変わるものであるということでございまして、その点で核になる、保護されるべき権利は何かということの出発点において多少考え方が違っていたかと思います。つまり、著作権の世界におきましては複製権というのは非常に核の権利だというふうに認識しております。産業構造審議会の立場では複製権は尊重しているのでございますが、さらにそれを使用する権利の創設が必要なのではないかということを一つの立脚点といたしまして、ソフトウェア保護に対しましてよりよき保護のあり方を模索したということでございます。したがいまして、両者の方向はマクロ的には同じ方向と理解しておりますし、今回の著作権法の改正におきましても産業構造審議会での検討の場とその意見を大分反映されておりまして、著作権につきましてソフトウェアの本質的な特性にちなみまして種々の手当てがなされております。
 現在私が考えております、中長期的な課題として今後検討していただきたいと思っておりますのは、保護期間の問題でございますとか、五十年に対して二十年程度の扱いをどうするかということと、例えばもう一つは使用権の創設ということにつきましての継続的な検討をお願いしたいというふうに考えているものでございます。
 産業構造審議会で中間答申という形の表現をとられたことにつきまして、私は、このソフトウェア保護というものが国際的にも整合性のあるものに高めなきゃならない、それに対しまして、まだ日本の中の主張でございますので、これを国際的に通用するものになって初めて最終的になるという意味も含めまして中間答申とされたのではないか、そのように考えております。
 以上でございます。
#98
○吉川春子君 続きまして、三次参考人と中村参考人にお伺いいたしますが、世界のコンピューター市場においてハード、ソフトともにIBMを中心としたアメリカの大手独占企業が圧倒的な支配力を持っているということは周知の事実でありますが、アメリカはなぜ通産省のプログラム権法に強硬に反対したというふうにお考えでしょうか。
 それから今回、文化庁、通産省の合意は、日本政府が四月九日の対外経済政策で著作権法の今国会での改正に全力を上げるとの対米公約の結果であることは明らかですが、本法改正によって貿易摩擦の解消に何か役立つとお考えでしょうか。
#99
○参考人(三次衛君) まず、後の方の御質問でございますけれども、プログラムの保護と申しますのは、これが無体の財産でございまして、大変国際的にも流動、流通しやすい性格を持っております。ただ、一面多くのソフトウエアの実態と申しますのは、その国の文化でございますとかあるいは産業の実態に即して設計されておりますので、より多くのプログラムが他国においても使われるのが望ましいんでございますが、これはなかなか現実にはいろいろと問題がございます。例えば言葉の問題でございますとかそれから表現方法その他編集の仕方、いろんな問題がございまして、その面、実態的にこの法律ができましたことによりましてソフトの流通が急速に進むというのはちょっと難しいんではないかというように思っております。ただし、流通の基盤がこれによって形づくられるというふうに認識しております。
 ソフトウエアの一部につきましては、例えば高次の数式の解法でございますと、そういった場合には世界じゅうどこにおきましてもその解法は通ずるのでございますが、ビジネスの実態というのは国によりましていろいろ制度、取引習慣等も違いますので、ソフトそのものがこの法案の整備によりましてすぐに流通の方へ進むということはなかなか難しいんではないかと思いますが、先ほど申し上げましたように、その基礎ができるということになろうかと思います。
 それから、今回の政府部内におきます意見の御統一、それから今回の著作権法の改正によります解決につきましては、私は時宜を得た措置ではないかと思っておりますのは、これは日米の経済ということではございませんで、WIPO等におきましてこれまで長年どうするかという審議がされてきたわけでございますが、いよいよその審議の方向が見えてきたということでございますので、その時点をとらえて一本化した形でもって著作権法の改正で対処されるというのは適切な処置ではないかと、そういうふうに考えております。
#100
○参考人(中村雅哉君) 今、吉川先生の御質問につきまして、残念ながら私お答えをするに、あるいは参考人としてお役に立つ発言の用意がございません。お許しくださいませ。
#101
○吉川春子君 わかりました。
 それでは阿部参考人にお伺いいたします。
 コンピュータープログラムを著作権として保護をするという考え方と、工業所有権として保護するという相対立する考え方があるわけですけれども、今回、文化庁と通産省が合意して法案の提出に至ったわけですけれども、著作物というものについて著作権審議会の第二小委員会、四十八年六月の報告の中で、プログラム作成者の学術思想が表現されているというものを著作物としているわけですけれども、例えば給料明細のソフトなどはこれは学術的思想のあらわれというふうに理解できるんでしょうか。
#102
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 ただいまの給料明細なんかを作成するところのプログラムについてはどうだろうかと。給料の明細それ自体が問題ではなくて、それを作成するに至るところの、それを打ち出すところのプログラムが問題なのではなかろうかと思います。 したがいまして、その点につきましては学術的な著作物であるという点において、そのような例えば文芸、学術、美術、音楽というような分野におけるジャンルの中に入れるとするならば、学術の著作物の中に入ってくる。それは別にそれでよろしいんじゃなかろうかなというふうに私は考えております。
#103
○吉川春子君 コンピュータープログラムが著作物だということについてはかなり国際的にそうなっているということを繰り返しさっきから言われていますけれども、かなり無理があると思うんですが、本来の著作権とそれから本来の著作物そのものにぴたりと当てはまるというふうにお考えなんですか。
#104
○参考人(阿部浩二君) 著作物は御承知のように文芸、学術、美術のジャンルに属するところの思想的な表現、その創作的な表現、こういうふうに著作物のことを考えているわけでございます。その場合に、文芸、学術、美術、音楽とかいうような、必ずしもその概念もそれぞれの境界がはっきりもいたしておりませんけれども、その中に無理に押し入れなくても差し支えがないのではないか、その両方にかかっても差し支えがないのではないかというふうに考えております。
 と申しますのは、例えばプログラムに最も近い例を取り上げてまいりますならば、過去において著作物であることについて格別の疑問も抱かれなかった、その著作物としていろいろな設計図があるだろうと思います。その設計図、例えば航空機の設計図あるいは大きな艦船の設計図というようなものをちょっと眺めてみますと、これは数式とそれから図面との連続で、ちょっと見ただけでは一体何のことかというような感じをいたしておりますが、そのような設計図それ自体も著作物であるということについては、過去において別に問題とはされておりませんので、それと同視しても差し支えがないのではなかろうか。これがプログラムではなかろうか。それが何万のステップがあろうと同じことではなかろうかなと、こういうふうに私は考えております。
 したがいまして、現行の著作権法の中におけるところの、あえて言うならば学術の著作物、あえて申さなくても結構かと思いますが、学術の著作物として考えてよろしいんじゃなかろうか。著作物という概念というものは、過去における著作権法の発達史を眺めてみましても、一つの枠というものについて一定のこれこれというような枠をはめているわけではございませんで、極めて抽象的に文芸、学術、美術、音楽の、その範囲に属するもの、それに関する創作的な表現、それを著作物として考えていこうということでございますので、そこを著作物として考えることに何ら支障もないというように私は考えております。
#105
○吉川春子君 阿部参考人と土井参考人にお伺いいたしますけれども、著作権の創作というのは、著作権法の創作というのは、基本的には個々の自然人の行為として著作物の精神的所有権が保護されるということで、映画の場合のように一定の要件のもとでのみ法人に著作権者としての地位を認めさせているわけですが、今回の改正案で法人著作の規定を緩めて、プログラムの著作権は法人に原則的に帰属するということで、企業に働いているソフトウエア技術者の権利はほとんど顧みられていないのが特徴だと思いますけれども、これは労働者の権利ということもですが、著作権法の理念の変質につながるおそれはないんでしょうか。
 それから、現行法においてシステム設計書、プログラム設計書等は、著作物でありながら、ソフトウエア技術者が法人の従業員である場合、すべて権利が法人に帰属しているというのが実態ですけれども、システムエンジニアその他ソフトウエアの部門で働く労働者といいますか、技術者の権利保護についてはどのようにお考えでしょうか。
#106
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 ただいまの法人の著作についての御質問でございますけれども、法人著作物としてプログラムを考える場合において、これは法人の発意に基づいて作成された著作物であるというように、まず初めに大きな枠があるわけでございます。そして、そこに従事するところの、現実に作成に従事するプログラマーなりシステムエンジニア、それらは法人の指揮命令を受けながら行動していくのであって、そういう点から、指揮命令を受けないような従業員といいますか、従業員ではございませんが、指揮命令を受けないような協力者につきましては、これは共同著作物というようなことになるのではなかろうかと思います。
 したがいまして、そこにおけるところの従業員、指揮命令を受けるというのは、そもそも初めから会社との契約のもとにおいてなされており、そのように権利関係を単一化するというようなことは著作権者を一つにまとめてしまうということにおいてむしろ非常に大きなプラスの点があるのではなかろうかと、こういうふうに私は考えております。
#107
○参考人(土井輝生君) 企業で仕事をするプログラマー、従業員の保護につきましては、基本的には契約によって自分たちの権利を保護すべきだと思います。それは映画の作成に従事する従業員と全く立場は同じだと思います。
 そして、第十五条にこれは著作者を法人とするということになっておりまして、しかも「勤務規則その他に別段の定めがない限り」でございますから、もし従業者が、プログラマーが、自分が著作者でありたいと考えれば、雇用契約によってプログラマーを著作者とするというふうに書けばいいと思います。それと著作権がだれに帰属するかとはまた別の問題でございまして、創作者はプログラマーであっても、勤務規則その他の契約によって著作権は企業の方に譲渡するということも可能でございます。それは特許法のもとにおける発明と同じでありまして、特許法のもとでは発明者は自然人でありますけれども、大企業の研究所で仕事をしている人たちの行った発明は契約によって企業に帰属しているわけでございます。したが
いまして、その点につきましては著作権法のもとにおける従業者の地位も特許法のもとにおける従業者の地位も余り変わりはないと思います。一番大切なことは、企業と雇用者との契約によって自分たちの権利を保護するということだと思います。
#108
○吉川春子君 すべて言ってみれば力関係によって帰属が決まるような形になるわけで、そういう中では非常にプログラマーその他の権利の保護が不十分ではなかろうかという印象を私は持つわけです。
 最後に中村参考人にお伺いいたしますけれども、業界の立場からいってソフトの保護期間はどの程度であれば適当だとお考えでしょうか。ビデオゲームの生命というのは、それによって違うでしょうけれども、平均どれぐらいなのかということをお伺いいたします。五十年では長過ぎるではないかというような印象を持つんですが、いかがでしょうか。
 それから、ゲーム機の製造販売の業界ではこの法律が非常に待たれていたと述べられておりましたけれども、それは著作権法で保護してほしかったんでしょうか、それとも例えば通産省が考えていたプログラム権法のようなものではだめだったのか、その辺を最後にお伺いいたします。
#109
○参考人(中村雅哉君) ビデオゲームの寿命という問題については、非常に次々と新しいゲームが出てまいります。したがいまして、早いものはもう三月ぐらい、一年ぐらいかけてつくったプログラムでも三月ぐらいしかもたないというケースもございます。そういう意味では、五十年というのがどうであるかということにもなるわけでございますが、業務用のプログラムは先ほど御説明の中に触れさせていただいたわけですが、家庭用のゲームパソコンのプログラムとしてまた再び使われるというケースも現在ございます。あるいはゲームの中に出てくるキャラクターがひとり歩きするといいますか、キャラクター商品としてまた使われるという場合もございます。そういうことで、何年ぐらいが適当かという問題については、やはり経済活動している者の立場としては長い方が何となく得をするというような単純な印象の中でしかお答えがちょっとできないと思います。
 それから、プログラム権法でカバーされた方がいいか、あるいは著作権の改正法の中でカバーされたらいいかということについては、それぞれ何といいますか、場面場面でそれぞれにいい点と悪い点がございますが、今回こういう形で著作権法の中で改正、取り込まれていくといいますか、決めていっていただけるということについては、一応先ほどお話ししたように八十点の合格点をつけてございますので、特にそれ以上の意見はございません。
#110
○小西博行君 きょうは大変参考になりました。特に法律の専門家の先生方あるいは業界の代表の方あるいは企業の代表というような方々から、いろんな角度からたくさんの問題について提起していただきました。
 私は、きょう実は二十問ぐらい皆さん方にぜひお聞きしたいと思っておりましたらもうほとんどのことを皆さん方の質問で終わっております。例えば私非常に関心持っておりましたのは、先ほど吉川さんの方から言われました単独法ですね、何か著作権法以外で対処できないんだろうかという、これが一点でございました。それから、さっきの五十年間というこの期間の問題、これもそうでございます。大変興味を持っておりまして、特に私はコンピューターに数年前まで携わった経験もございますから興味を持っておりました。その中で、特に中村参考人は具体的で、私ども余り知らないことをおっしゃっていただきまして、本当に参考になったわけであります。
 特に私は、それ以外にもほんの一、二点一般的な質問をさせていただきたいと思うんですが、従来は、これは文学とか美術、音楽、そういう問題につきましては当然思想や感情の表現ということで、これは著作権ということでちゃんと今まで対処してきております。で、コンピューターのプログラムというのはやや性質が違うんじゃないかなという感じも実はしているわけでありますが、これお話し願えたら助かるんですが、この法律が適用されて対象になるといいますか、そういうような件数というのは大体一年間に一体どのぐらいあるのか、これは三次参考人が一番詳しいかと思うんですが、この法律が出まして、そしてそれの対象になって非常に有効であるというようないわゆるプログラムがたくさん出てくるわけでありますが、そういう問題はどのぐらい解決されるんでしょうか。数字的にもしおわかりだったら教えていただきたいと思います。そして、中村参考人にもゲームという問題で、大体どのぐらいの数が出て対象になるのか、この点をまずお伺いしたいと思います。
#111
○参考人(三次衛君) 先生の御質問になるべく直接お答えしたいと思うんですが、まず日本の情報処理産業と申しますか、ソフトウエア産業の、これにはいろいろな業種がございます。メインがソフトウエアハウスの集団でございますが、それ以外に計算センターその他がございます。それらをまぜましたので、申しわけございませんが、現在年間の生産額が約一兆円ぐらいと言われております。大体年率二〇%以上伸びている。その中で、現状におきましては大企業を中心といたします個別のプログラム開発がやはり金額的に一番多いと思いますが、標準化されたプログラムで流通しております額が大まかに言いまして一千億ぐらいじゃないかというふうに思っております。特に汎用コンピューター以外のパーソナルユースあるいはワードプロセッサー等のものにつきましては、各種のものが汎用化されて販売されているという実態でございまして、この部分が一番この法律の恩恵を受けるんではないか。つまり、産業用のものは個別の契約という保護もございます。これは第三者に対してきかない部分もございますが一部保護されております。それに対しましていわゆるオーバー・ザ・カウンターで取引される分野につきましては、今回の著作権法の改正案が大変大きな支援のツールになるんじゃないかというふうに考えております。
 本数につきましては、大変これは多いと思いますが、ちょっと具体的な数字を申し上げるだけの知識ございませんので、御勘弁いただきたいと思います。
#112
○参考人(中村雅哉君) 登録制度のレベルで考えますと、大体年間五百件ぐらいであろうと推測しております。
#113
○小西博行君 特にコンピューターのプログラムというのは、日進月歩といいますか、どんどん新しくなってくるということがあろうかと思いまして、きょうはふだんと違って省庁にそれぞれ質問できませんが、各関係省庁との連絡というのを政府の中でも相当密にやらないとこの法律を十分生かしていく場合に問題点があるいは出てくるんではないか、そういう感じを私しているものですから、できれば土井参考人とそれから三次参考人から、そういう省庁内でのいろんな連係ですね。今後の、そういうものに対して御要求がありましたらぜひおっしゃっていただきたいと思います。
#114
○参考人(土井輝生君) 私は特別に、コンピュータープログラムの著作権保護に関する限りは、これは無断複製に対する保護でありまして、そして保護を実現するのは裁判でございますから、それで登録はあくまでも創作年月日の証拠を残すというだけでございますから、この著作権法及び改正法律案を見ます限りは、そういう各省庁間の連係を必要とするような問題はないんではないかと思います。
#115
○参考人(三次衛君) 今回の著作権法の改正によりますプログラムの保護というのは一つのルールであろうと思われます。これを基本理念といたしましてこれからのソフトウエアの契約業務その他に参照されるんだろうと思われますが、日々の運用につきましては、そのプログラムの開発の促進でございますとか、そういったことは既に通産省等でも進められておりますので、この線を続けていただければよろしいんじゃないかと思われま
す。ただ、この法案で登録につきましては今後ということになっておりますので、この登録制につきましての法制化の過程ではいろいろ業界並びに所管庁の間の十分な調整をお願いしたい、そんなふうに考えている次第です。
#116
○小西博行君 中村参考人にお聞きしますが、さっきのゲームですね、ゲームで実際にそれが出ましてそれを複製してそれでそれが寿命がなくなっていくというお話でしたですね。これは大体さっきのお話で三カ月ぐらいでだめになるものもあるというお話がございましたけれども、この改正案が実際通りますと、なお、かつしかし問題点がたくさん残るんじゃないかと思うんですね。やっぱりそういう行為というのはたくさんあるんじゃないかと思うんです。その辺の問題についてもっと詳しく教えてもらえませんでしょうか。今度改正案が出たわけですから、それはそれで非常に高く評価されている、八十点と、こうおっしゃったわけですが、しかしなおかつ問題点がたくさん残っているだろうと思うんです。 その問題について教えていただきたい。
#117
○参考人(中村雅哉君) ゲームの寿命が三カ月というのはこれは必ずしもコピー、模倣による被害ということだけでなくてゲームの内容の問題、あるいは流行性の問題に起因するところも非常に多うございます。今回この著作権法の改正が実施されるといたしますれば、我々としてはこの中でさらにこの法律を活用して業界の中におけるルールを確立していきたいと思っておりますし、いけると思っております。それにかかわらずいろいろ問題はあろうかと思います。
 今の前の両参考人に御質問なさられた点を私もちょっと触れさせていただけるとしますと、私ども機械を製造しているという立場では通産省の指導に入っておりますし、今回の著作権の問題については文部の管轄でございますが、実際に営業をするという場面では実は先般来風俗営業の中に取り込まれて大変業界としては困っておるわけでございます。こういう著作権についてこれだけいろいろ業界として果たしている役割の中で、それが我々の不十分な活動だとは言い条、やや悪い面だけが強調された形で風営法に取り込まれているというのは甚だ無念なんでございますが、そういうことも含めて警察庁あたりとの連携、あるいは御理解といったふうなことを強めて、これからの中での業界の自主規制を含めてこの法律を活用させていただいていきたい、こう覚悟しております。
#118
○小西博行君 最後に三次参考人にもう一点ひとつお願いしたいんですが、これから特に情報産業がだんだん発展してまいりますから、こういう保護の問題というのは非常に大きくなっていくと思うんですね。その場合の一番私心配なのは、専門家というのはある程度それはわかっているわけですし、今後も多分そうだろうと思うんですが、一般の社会通念という中でなかなかそういうものが理解され得ない人がたくさんいらっしゃると思うんです。これはもちろん政府としてもそういうPRをどんどんやっていかなきゃいかぬわけですが、そういう観点でもっと国民全体に保護といいますか、著作権という問題について皆さんに知らしめなきゃいけないという仕事が一つあると思うんですね。そういう問題に対して何かすばらしいアイデアなり考え方がございましたら教えていただきたいと思うんです。阿部参考人もそれ一緒にひとつお願いします。
#119
○参考人(三次衛君) 確かに先生おっしゃいますように、最近のコンピューターの普及もそうでございますが、それからいわゆる高度情報通信を利用いたしましたようないろいろのニューメディアの出現という点を通じましていろいろ情報の産業資源化と申しますか、そういった言葉が言われております。要するに無形の情報に価値を認めていこうということでございます。
 コンピューターの関係におきましてはここ十年ほどハードウェアと別建てのコンピュータープログラムの契約習慣といったようなものが相当定着してまいりまして、その辺は今御質問の方向に沿って動いているというふうに認識しております。ただ、これまではいわば企業対企業という場面が多うございましたが、もっと一般の方々がそれにかかわってくるということでございまして、これはもうニューメディア出現とともに避けられないテーマであろうと思います。どういう方法がいいのかということを私もちょっと的確に申し上げられませんが、そのような無体の財産に対しての国民的な理解というのは在来以上に重要になりますし、何らかの形で均等に私ども努力したいと思っております。具体的な方法はちょっと今申し上げられるほど具体的に持っておりません。
#120
○参考人(阿部浩二君) お答えいたします。
 ただいまの御質問は無体財産の尊重をできるだけ国民において広く行き渡る、このことをどういうふうにやったらよろしかろうかという御質問かと思いますが、これはやはり教育以外はないのじゃなかろうかというふうに私は思っております。しかし、その教育もいろいろなことがありまして、例えば社会教育と申しましても、何も公民館とかなんかだけではなくて、いろいろな事件を契機として無体の財産を尊重するという機運を社会的に一致してつくっていく。大変皮肉な言い方になりますけれども、先年の貸しレコードの問題なぞは一つのよい例ではなかったかなと思います。
 あのときに貸しレコードを始めた人たちは別に物は減るわけでもないし、みんなが喜ぶのだからそれで結構じゃなかろうかと。それは初めのうちはそれで大して影響はなかったので黙っていたのかもしれませんけれども、それからだんだんと大きな影響が生ずるに及びまして貸しレコードに対するレコード業界から、あるいは著作者つまり作者、作曲家あるいはそのほかの実演家の方々から大変な批判というものが起こったんだろうと思います。初めはあの方々も、大変失礼ですけれども、比較的傍観者のような形じゃなかったかと思います。つねらなければ痛いのを感じない、確かにそのとおりでございますけれども、それを未然に防ぐためにはやはり教育が基本ではなかろうか。そういう点でいろいろなケースを利用しながら社会的にあるいは学校なんかでも話をしていただきたいと思います。非常に残念ながら、現在いろんな複写、複製の機器の発達に伴いまして適法な複製ではない、違法な著作物の複製ということが盛んに行われているのが現実だろうと思います。そういう点につきましてももう少し無体財産の尊重ということがもっと広がってもよろしいのじゃなかろうか。しかし、これは決め手が恐らくこれだというものがないんであって、息の長い教育以外はないんじゃなかろうかというのが私の率直な感想でございます。
#121
○小西博行君 ありがとうございました。終わります。
#122
○委員長(真鍋賢二君) 他に御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれにて終了いたします。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には長時間にわたり貴重な御意見をお聞かせくださいまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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