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1984/02/26 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第4号
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1984/02/26 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第4号
昭和六十年二月二十六日(火曜日)
   午前九時四十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月十三日
    辞任         補欠選任
     大浜 方栄君     岩動 道行君
     杉元 恒雄君     福岡日出麿君
     小西 博行君     栗林 卓司君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○租税及び金融等に関する調査
 (財政及び金融等の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十三日、大浜方栄君、杉元恒雄君、小西博行君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君、福岡日出麿君、栗林卓司君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤井裕久君) 次に、租税及び金融等に関する調査を議題とし、財政及び金融等の基本施策について、竹下大蔵大臣から所信を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
#4
○国務大臣(竹下登君) 今後における財政金融政策につきましては、先般の財政演説において申し述べたところでありますが、本委員会において重ねて所信の一端を申し述べ、委員各位の御理解と御協力をお願いする次第であります。
 最近の世界経済について見ますと、米国経済が成長率の鈍化は見られるものの、引き続き拡大を続けているほか、主要国において、物価の安定と成長の回復が実現しつつあるなど明るい展望が開けつつあります。
 我が国経済につきましても、物価が戦後最良の安定を示しているのに加え、景気は、民間設備投資が大きく伸びを高めるなど、国内民間需要を中心に順調な拡大局面にあります。
 このような内外経済情勢のもとで、私は今後の財政金融政策の運営に当たり、四つの課題、すなわち、インフレなき持続的成長の確保、財政改革の強力な推進、金融の自由化及び円の国際化の促進、そして世界経済発展への貢献、これを念頭に置いて万全を期してまいる所存であります。
 まず第一は、引き続きインフレなき持続的成長の確保を図っていくことであります。
 物価の安定は、経済の発展と国民生活安定の大前提であります。現在の物価安定の状況を今後とも維持し、持続的成長の基盤としてまいる所存であります。
 一方、景気の面では、引き続き国内民間需要を中心とする持続的な安定成長の達成に向けて努力してまいります。
 このため、昭和六十年度予算におきましても、厳しい財政事情のもとで公共事業の事業費の確保に努めるなど、景気の維持拡大にはできる限りの配慮を払っております。
 また、今後の金融政策の運営につきましては、従来同様、内外経済の動向等を見守りながら、適切かつ機動的に対処してまいる所存であります。
 第二は、財政改革の強力な推進であります。
 今後の内外経済の変化に適応していくため、財政の対応力の回復は緊要な政策課題であります。
 このため、政府は「一九八〇年代経済社会の展望と指針」において、昭和六十五年度までの間に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引き下げに努めるという努力目標を示し、特に近年においては、連年一般歳出を前年度同額以下とするなど、制度、施策の見直し等を通ずる歳出の節減合理化を中心として、財政健全化のための努力を積み重ねてまいりました。
 しかし、我が国財政は、なお深刻な状態にとどまっております。
 すなわち、公債の発行残高は、昭和六十年度末には約百三十三兆円にも達する見込みであり、その利払い等に要する経費は十兆円を超え、歳出予算の一九%強を占める状況にあります。このままでは、今後における人口の急速な高齢化等社会経済の変化に対応する力が失われるだけでなく、さらには後代の国民に、高齢化に伴うさまざまな負担に加え、多額の公債の元利払い負担を負わせることになりかねません。したがって、今後とも財政改革を強力に進めてまいらなければならないのであります。
 このため、歳出面におきましては、政府と民間の役割分担並びに国と地方の機能分担及び費用負担のあり方を見直すなど、連年の努力を踏まえ、その節減合理化にさらに積極的に取り組んでまいりたいと存じます。
 また、歳入面におきましては、税制調査会の昭和六十年度答申において、「税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ている」との極めて異例の御指摘をいただいているところであります。これについては、政府といたしましては、税制調査会の答申の趣旨等を踏まえ、税制全般にわたる広範な角度からの論議と検討が行われるべき問題であると考えております。
 第三は、金融の自由化及び円の国際化の促進であります。
 金融の自由化及び円の国際化は基本的に望ましいものと考えられ、大蔵省はつとに諸般の自由化、弾力化措置をとってまいりました。とりわけ昨年には、「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」や、いわゆる日米円・ドル委員会の報告書を作成、公表し、金融の自由化及び円の国際
化について、今後の展望や当面とるべき具体的措置等を内外にお示ししたところであり、今後、この展望等に沿って、信用秩序の維持等に留意しつつ、金融の自由化、円の国際化を着実に進めてまいる所存であります。
 第四は、我が国が世界経済の発展に貢献することであります。
 私は昨年九月、ワシントンで開催されたIMF・世銀総会において、日本の大蔵大臣として初めて総会の議長を務め、我が国の戦後における経済発展の経験を踏まえ、IMF・世銀を中心とする国際協力の一層の強化を呼びかけてまいりました。今後ともこれらの国際金融機関に対する積極的な貢献を行い、世界経済の健全な発展に寄与してまいりたいと考えております。
 また、最近の為替市場の動向にかんがみ、先般ワシントンで開催された主要五カ国の蔵相会議において、為替市場の一層の安定に向けて各国が努力する旨合意いたしたところであり、我が国としても、このような方向で引き続き各国と協力してまいりたいと考えております。
 一方、我が国の国際収支について見ますと、貿易・経常収支は大幅な黒字を続けておりますが、これは、米国経済の急速な拡大、ドルの独歩高や一次産品価格の低迷等の海外の要因によるところが大きいと考えられます。したがって、この不均衡を是正するためには、基本的に、ドルの独歩高の是正等の国際的な経済環境の変化が必要であると考えます。
 同時に我が国としては、自由貿易体制の維持強化を通じて世界貿易の拡大と世界経済の発展に貢献する見地から、率先して市場の開放と輸入の促進に努めることも等しく重要と考えております。このため、政府は昨年、二度にわたって対外経済対策を策定し、現在、それらの各般の施策の着実な実施に努めているところであります。
 これらの対策に沿い、昭和六十年度関税改正においては、東京ラウンド合意にのっとった関税引き下げの繰り上げ措置等を行うこととしております。
 なお、経常収支黒字の反面、我が国の長期資本収支は大幅な赤字を継続しており、これによって世界の資本不足国に必要な資金が供給され、同時に、世界的な金利上昇圧力も緩和されている点にも留意する必要があると考えられます。
 次に、昭和六十年度予算の大要について御説明いたします。
 歳出面におきましては、概算要求の段階において、前年度に引き続き対前年度マイナスの概算要求基準を設定し、その後の予算編成に当たりましても、聖域を設けることなくすべての分野にわたり徹底的な節減努力を払いました。
 特に、補助金等につきましては、すべてこれを洗い直し、人件費補助等の見直し、高率補助率の引き下げ、その他廃止、合理化など徹底した整理合理化を積極的に進め、補助金等総額は前年度に引き続き、真にやむを得ない増加要素を織り込んでなお、前年度に対し千三百四十四億円の減と厳しく圧縮いたしております。
 以上の結果、一般歳出の規模は、三十二兆五千八百五十四億円と前年度に比べて三億円の減に圧縮いたしており、これに国債費及び地方交付税交付金を加えた一般会計予算規模は、前年度当初予算に比べ、三・七%増の五十二兆四千九百九十六億円となっております。
 歳入面につきましては、昭和六十年度税制改正において、最近の社会経済情勢と現下の厳しい財政事情にかんがみ、税負担の公平化、適正化を一層推進するとの観点から、その見直しを行うこととし、貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げ、公益法人、協同組合等の軽減税率の引き上げ、利子配当等の課税の適正化、租税特別措置の整理合理化等を行うとともに、基盤技術研究開発の促進、中小企業技術基盤の強化等に資するため所要の措置を講ずることとしております。
 なお、税の執行につきましては、今後とも、国民の信頼と協力を得て、一層適正公平な税務行政を実施するよう、努力してまいる所存であります。
 また、税外収入につきましては、極めて厳しい財政事情にかんがみ、可能な限りその確保を図ることといたしております。
 公債につきましては、以上申し述べました歳出歳入両面の努力により、その発行予定額を前年度当初予算より一兆円減額し、十一兆六千八百億円といたしました。その内訳は、建設公債五兆九千五百億円、特例公債五兆七千三百億円となっております。この結果、公債依存度は二二・二%となり、前年度当初予算の二五・〇%より二・八ポイント低下することとなります。
 また、昭和六十年度においては、特例公債の借換債一兆八千六百五十億円を初めて発行することとなりますが、これを含め、八兆九千五百七十三億円の借換債の発行を予定しており、さらに、今後の公債の大量の償還、借りかえに円滑に対応するため、短期の借換債の発行や年度を越えた借換債の前倒し発行といった新たな方策を昭和六十年度から実施し得るよう、所要の制度改正を行うこととしております。
 なお、昭和六十年四月から発足する日本電信電話株式会社等の株式に関しては、そのうち売却可能分については国債整理基金特別会計に帰属させ、公債償還財源の充実に資することとしております。
 財政投融資計画につきましては、対象機関の事業内容、融資対象等を厳しく見直すとともに、資金需要の実態及び政策的な必要性を勘案し、重点的、効率的な資金配分に努めることとしております。
 この結果、昭和六十年度の財政投融資計画の規模は二十兆八千五百八十億円となり、昭和五十九年度当初計画額に対し一・二%の減額となっております。
 以上、財政金融政策に関する私の所見の一端を申し述べました。
 本国会に提出し御審議をお願いすることを予定しております大蔵省関係の法律案は、昭和六十年度予算に関連するもの十五件、その他二件、合計十七件でありますが、このうち、十五件につきましては、本委員会において御審議をお願いすることになると存じます。それぞれの内容につきましては、逐次御説明することとなりますが、何とぞよろしく御審議のほどお願いする次第であります。
#5
○委員長(藤井裕久君) ただいまの大臣の所信に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前九時五十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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