くにさくロゴ
1984/04/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第12号
姉妹サイト
 
1984/04/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第12号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第12号
昭和六十年四月二十三日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十一日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭夫君     近藤 忠孝君
 四月十五日
    辞任         補欠選任
     栗林 卓司君     関  嘉彦君
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     吉川  博君     徳永 正利君
     関  嘉彦君     栗林 卓司君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     徳永 正利君     吉川  博君
     赤桐  操君     松本 英一君
     近藤 忠孝君     宮本 顕治君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     宮島  滉君     服部 安司君
     松本 英一君     赤桐  操君
     宮本 顕治君     近藤 忠孝君
     野末 陳平君     田  英夫君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     服部 安司君     宮島  滉君
     田  英夫君     野末 陳平君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     岩動 道行君     志村 哲良君
     福岡日出麿君     藤田  栄君
     藤野 賢二君     吉村 真事君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                志村 哲良君
                下条進一耶君
                中村 太郎君
                藤田  栄君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                吉村 直事君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房長  西垣  昭君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     北村 恭二君
       大蔵大臣官房審
       議官       角谷 正彦君
       大蔵大臣官房審
       議官       関   要君
       大蔵省主計局次
       長        平澤 貞昭君
       大蔵省関税局長  矢澤富太郎君
       大蔵省理財局長  宮本 保孝君
       大蔵省証券局長  岸田 俊輔君
       大蔵省銀行局長  吉田 正輝君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       外務省経済協力
       局外務参事官   太田  博君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○証券取引法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○日本開発銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○登記特別会計法案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、佐藤昭夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤忠孝君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤井裕久君) 次に、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
#4
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 最初に、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 国際金融公社は、加盟開発途上国の民間企業に対し投融資を行い、もって当該国の民間経済活動の促進等に資することを目的とする国際開発金融機関であり、世界銀行グループの一員として世界銀行及び国際開発協会の活動を補完しております。昨年六月、同公社につきまして、総額六億五千万ドルの増資の合意が成立したところでありますが、我が国は、世界銀行グループの役割の重要性にかんがみ、本増資についても、これに応募することとし、本法律案を提出した次第であります。
 法律案の内容は、今回の増資に伴い、政府が同公社に対して新たに三千五十一万ドルの範囲内において追加出資ができるよう、規定の整備を行うものであります。
 次に、証券取引法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の公社債市場は、国債残高の累増等を背景に、近年急速な拡大を示しております。公社債の残高が累増するに従い、価格変動リスクを回避する必要性が、証券会社、金融機関、機関投資家等の間で高まっております。また、諸外国において債券先物取引は、今や金融資本市場の重要な一分野として定着しつつあります。
 このような状況を踏まえ、証券取引所において債券先物市場が開設されるに当たり、取引の活発化、円滑化等を図るため、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、証券取引所は、国債証券等に係る先物取引について、会員以外の証券会社及び外国証券会社並びに証券業務の認可を受けた金融機関のうち大蔵省令で定める業務を行う者に債券先物市場における取引資格を与えることができることとし、この場合、これらの者を、国債証券等の先物取引を行う範囲において、会員とみなすこととしております。
 第二に、証券取引所は、国債証券に係る先物取引について、その取引の円滑化に資するため、取引の対象として、利率、償還期限その他の条件を標準化した標準物を設定することができることとしております。
 第三に、先物取引の履行を確保するとともに、投資者保護を図る観点から、先物取引について、売買証拠金及び委託証拠金に関する規定を設けることとしております。
 以上が、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(藤井裕久君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これにより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○竹田四郎君 最初にちょっとお聞きしておきたいと思うんですけれども、最近、日本経済の内需の拡大という問題がかなりあちらこちらからお話が出ているわけであります。
 特に、今東京で日米欧委員会が開かれておるわけでありますが、この中でフェルドシュタインは、前の経済諮問委員会の委員長だったと思いますけれども、日本問題に関して特に「日本の巨額の貿易黒字の基本的な原因は、異常に高い貯蓄率にある。日本が貿易黒字を減らす方法は国内投資を増やすことだ。投資優遇税制の導入や外国資本投資に対する障壁の撤廃がその方法になるだろう。」という示唆をしております。
 大蔵大臣は前から、公共投資についてはこれはやっても貿易黒字を解消するには余り役に立たない、こういうことをおっしゃっているわけであります。
 最近のアメリカ経済の動向から見てみますと、米国経済がソフトランディングするのか、あるいはもっとぶつかってかなりの大きな経済の破壊が起きるのか、その辺は大変大きな分かれ目に今なっているように思いますし、六月からは、いろいろな方がおっしゃっているわけでありますけれども、アメリカが純債務国になる。こういう、アメリカ経済としては恐らく最近経験したことのないような事態を迎える中で、恐らくアメリカに対する途上国の債務の累積額というものもかなりの額に及んでいるだろうと思いますし、そういうものとの関係も全然無関係ではない。
 こう思うわけでありますけれども、そういう意味で、日本の貯蓄を投資に回すというのは、アメリカ側からは最近かなりそういう意見がありますけれども、それにはひとつ税制を使ってそういうことをやっていく、こういうことが必要だと思うわけでありまして、投資をしてもそれが逆に輸出に大きな圧力をかけるような投資ですとこれは問題でありますけれども、そういう形のない投資、例えば個人の住宅建設あたりの問題というのは日本でも一番おくれている面でありますし、あるいは都市の再開発の面なんかもそうでありますし、そういうところへ投資を誘導していくという意味で、そういう意味での投資減税、こういうようなものも必要でありましょうし、片一方では、日本は貯蓄優遇で投資冷遇だ、こういうことが最近かなり言われているわけであります。そういうものにも若干手を加えていかなくちゃならない点があると思うのです。マル優関係は一応おさまったような形ではありますけれども、これもどうしていくのか、これからはそのままではいかないというふうにも思います。
 その辺の関係もありますから、このフェルドシュタインの講演要旨に対して大蔵大臣としてどういうふうなお考えなのか、その点をまず先にお聞きしておきたいと思います。
#7
○国務大臣(竹下登君) フェルドシュタインさんがアメリカのCEAの委員長をしておられましたときの証言なんかは、私は率直なところ非常に評価しておりました。日本に対して貿易黒字、経常収支黒字等の責任をいろいろ言うが、その責任は大部分アメリカにあるんだ、こういうようなことが大体諮問委員会の証言等でなされた今までの骨子でございまして、率直に言って、大変いいことを言ってもらうな、こういう感じを持っておりました。
 おやめになって大学の先生になられて今度の講演、こういうことになるわけでございますが、基本的に私は、おっしゃっていることが、論理性の中でそう間違いを言っていらっしゃるなどとは思っておりません。ただ、経常収支の大幅黒字が貯蓄超過、言うなれば投資不足に原因があるとするそういう考え方につきましては、私どもは、これから申し述べますような、言ってみれば、いかがかというような物の考え方を持っております。
 それは、一つには、我が国の貿易経常収支の大幅な黒字というのは、やっぱりフェルドシュタインさんがかつて向こうでおっしゃっておりましたような、米国経済の急速な拡大とドルの独歩高、それから一次産品価格が低迷しておる、そういう海外要因によるところがまず非常に大きい。
 二番目には、最近の輸出動向に見ますと、ハイテク製品等これは強い需要のある製品が伸びておるわけでございますから、海外の方から、言ってみれば吸引されるという形で増加しておって、内需が陰っておるから外国へ押し出しているというんじゃなく、内需も結構ありますがなお海外から強烈な要請があるから出ておる、こういうことが言えるのではないかと思っております。
 今度は国内経済で見ますと、三番目には、現在内需中心の自律的な回復局面にありますので、特に設備投資は広範な業種でハイテク関連投資を中心に大きく伸びておりまして、GNPに占めますウエートはまさに高度成長期と同じような状態でございますので、投資不足という批判はその意味においては当たらないのではなかろうかと思っております。
 したがって、我が国の大幅な経常収支の黒字を削減するためには、フェルドシュタインさんが講演においておっしゃっておりますように、まずアメリカ自身が財政赤字削減によるところの高金利の是正、それがすなわちドル高の是正につながる。
 それから、さはさりながら、我が国としては、国際社会の中で、現状を傍観するということは適当でございませんので、先日決定いたしました市場開放措置等の対外経済対策を誠実、着実に実施する。そして、いつも言うようなことでございますけれども、今河本大臣のところで本格的に取り組まれております各種規制緩和、それによりますところの民間活力の活用のための環境整備、そういうことに力を入れて、依然として、物価安定という中で持続的成長を図るという考え方は、やっぱり基本的な考え方としてこれからも持ち続けなきゃならぬと思っております。
 そこで、順番で申しますと、アメリカの要人で日本に著名な方といえば、ボルカー発言、その次がシュルツ発言、それからベーカー、フェルドシュタインと、ここのところ四人のような気が私はしておりますが、流れを見てみますと、確かに日本の貯蓄が高いということはまた、私どもに内話の形でといいますか、個人的な感じで話ししますときには、アメリカがもう少し日本人と同じように貯蓄が高くなってくれればいいな、こういうことも時におっしゃるわけであります。したがって、日本の貯蓄率の高さというのはアメリカの三倍、個人貯蓄ですと三倍以上になりますから、これは私は国民性の問題がやっぱり主体である、それはあるいは老後の安定が十分でないから貯蓄意欲を刺激するのだという論理ももちろん私は否定するものじゃございませんが、基本的には国民性の問題じゃないかという感じがいたしております。
 したがって、今竹田さんがおっしゃっていただきましたように、マル優問題、この間通していただいたばかりですが、トタにいわゆる貯蓄優遇税制というのにすぐ手をつけるという環境には必ずしもないと思いますが、ただ税調でも指摘されておりますので、あの問題は、こういう問題の指摘もあったときでございますだけに、引き続き公正、公平、簡素、そういう精神で検討は続けなきゃならぬ課題だというふうに思っております。
 それから、いみじくも私が言っておりますことと同じように、いわゆる投資促進のための減税をやりますと、その投資段階におきましては確かに内需でございますが、結果としてそれは、中期的に見ますと、また輸出がどんどん出ていきますので、私は今投資減税というようなのを全体的に行う環境にはないじゃないかという考えを持っております。
 さらに、まさに内需そのもの、むしろ輸入にいささかでも貢献するということになりますと、今おっしゃいます住宅にしましても、それから再開発というのもある意味における公共投資でございますから、いつも申しますように、公共投資の三兆円で十三億ドル輸入がふえる、減税の五兆円で七億ドルふえる、こんなことを申すわけでございますが、そういう環境の整備は規制の緩和とともにやっていかなきゃならぬ点である。これは先ほど申しました河本さんを中心に、そのところをいわゆる都市の再開発等々を含めながら、それから住宅にしても規制の緩和を必要とするところがございますので、今日そういうものをやっていこうという方向であるというふうに思っております。
 だから、私がたびたび申し上げておりますのは、財政が出動することによる内需というものは、むしろ私はまた後世代へのツケ回しを、結局一兆円にすれば三兆七千億円、すなわち最低三・七倍の後世代へ負担を回すということになりますので、今その環境にはないのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
#8
○竹田四郎君 この問題はそう突っ込んでやる議題じゃございませんから、ほかの問題に移りたいわけですが、大蔵大臣、大蔵大臣のいろいろな数値というのはそのとおりだと私も思います。しかしどうも私は、泣く子と地頭には勝てないというような感じなんです。だから、これをやれば黒字がなくなるということじゃなくて、ある意味では、この間総理がパネルを持って説明したというやつが何かアメリカのニューヨーク・タイムズのトップに一番大きく出たというようなことで、あれは実際には経済的な論議じゃないと私は思うんです、ほんのデモンストレーションにすぎないわけですね。そういう意味では、まさに泣く子と地頭のような感じがするわけです。
 そういう意味で、確かにおっしゃるように、一つ一つで、恐らく総理の言っていることも、あるいは大蔵大臣のおっしゃっていることも、河本さんのおっしゃっていることも、どの大臣のおっしゃっていることも、貿易黒字をなくすということは、これは恐らくどんなことをやっても不可能だと思うんです。ですから、本当にある意味では、デモンストレーションをある程度あっちこっちでやることによって、やっぱり泣く子をあやすようなことじゃないかと思うんです。
 これはこれ以上議論しませんけれども、そういう意味で、余り数字的に計算して、これはだめだからだめだということではないような気が私はしているわけで、そんなふうに思いますので、また今後のいろいろな論議が続いていくと思いますけれども、とりあえずその点だけについてお伺いをしておきたいと思います。
 それから、今度は証券取引法の問題に入るわけです。
 先物市場をつくる必要性が本当に何なのかということが、どうもよくわからない、少し早過ぎたのじゃないか。いろいろな条件が必ずしも整わないところに急に持ってきたという感じがしないわけでもない。要は、私の考えでは、これをどういうふうにお考えになっているか、それから御説明いただきたいと思うんです。とにかく国債をたくさん発行するから、それで何とか消化しろ。だから、無理でも何でもまずつくって、買う人が安心して買えるようにしろということじゃないかと思うんですが、本当の必要性というのはもう少し条件が整わないとですね、むしろ早く出発し過ぎたというふうに私は考えるんですけれども、どうなんでしょうか。
#9
○政府委員(岸田俊輔君) 現在非常に公社債残高が増加をしてまいりまして、債券の価格変動の及ぼす影響が次第に大きくなってまいりました。非常に大量の公社債を抱えております証券会社、金融機関、事業法人、その他から申しますと、この価格ヘッジに対しますニーズというものは非常に上がってきているわけでございます。
 諸外国の例を見てまいりましても、既にアメリカで十年前からできている状況でございまして、こういうニーズに対しましてできるだけ早く対応していくことが必要じゃなかろうかな。一つにはやはり、海外でそういうような先物市場ができております関係で、日本におきます先物市場ができてまいりませんと、それが海外に流れていくということはまず目に見えているわけでございます。
 また、海外から日本へ公社債の投資をする立場に立ちましても、日本に先物市場がないということは、やはり投資の意欲が減退をするというような状況ではなかろうかなというふうに考えております。これからさらに金融市場の国際化が進みますし、自由化が進んでくるということになりますと、やっぱり金利の変動も若干今までよりは変動が大きくなってくるというようなことを考えますと、大量の国債発行が考えられる今後から見てまいりますと、どうしてもリスクヘッジというものに対しますニーズというものはさらに高まってくるというような感じでございまして、私どもといたしましては、一日も早く市場が開設されることを願っているわけでございます。
#10
○竹田四郎君 何か外国のせいにしていますが、要は、国債をたくさん出して危なくなるから、国債の利回りが高くなる可能性もあるからというのが、これの主眼じゃないですか。金融の国際化の前に、その方がたくさんあって、どうも国債の相場維持が大変だからこれでひとつやろうじゃないかということ、ヘッジよりも国債発行、これが頭にあるから、先物市場をつくろう、それでみんなに国債を持ってもらおう、こういう感じが私は非常にするんです。むしろ国債対策でスタートをした、私はそうしか思えないんですが、どうですか。
#11
○政府委員(岸田俊輔君) 先生御指摘のように、これからの大量な国債発行下におきましては、それに対します価格変動をヘッジするというニーズは高まってくるわけでございまして、確かにこの市場をつくります一つの観点としては、先生御指摘の点は十分考えられると思っております。
#12
○竹田四郎君 そうすると、おととしぐらいですか、六・一国債が大変暴落したことがございますね。そしてその評価をどうするかという問題もあったんですが、ああいうことはこれから起きるんですか。
#13
○政府委員(岸田俊輔君) 国債のといいますか、公社債の価格変動というものは、例えば株式とか、通貨とか、商品のような大幅な変動は、発行体自体がしっかりしております関係から、そう大幅なものは考えられないと思いますけれども、それが全くないということではないというように考えております。
#14
○竹田四郎君 借換債が出てまいりまして、またそれに短期国債がその間に出てくるという、来年あたりは国債の借換債を含める総発行高というのは大体どのぐらいなんですか。
#15
○政府委員(宮本保孝君) 来年は借換債が十兆五千百億予定されておりまして、それから新規財源債でございますが、これは私どもがことし一月に国会にお出しいたしました仮定試算によりますと、四条債の方はことしと同額でございますので、五兆九千五百億、それから特例債の方は約一兆ずつ減らすということでございますので、そういう試算をいたしますと、合計で三十一兆四百億円という数字をお出しいたしております。
#16
○竹田四郎君 それに短期国債、ことしはあれにしても、来年あたりから短期国債の問題というのが出てくるんですが、これは大体どのくらい予想されるものですか。
#17
○政府委員(宮本保孝君) 今の御質問につきましては、四条債、特例債、借換債、これを含めましてどういう種類の国債で発行するかという問題でございまして、十年債、それから二年、三年、四年の中期国債、今これでもって対応しているわけでございますけれども、来年その中に一年未満の短期の国債というものも発行する可能性があるわけでございますが、これをどの程度発行するかにつきましては、そのときどきの金融情勢、あるいは国債の市場の情勢等を見きわめまして、仮に長期国債の金利が非常に高いときには短期で泳いでおくとか、あるいは長期国債をたくさん出さなくちゃいけないときには短期をまぜまして出すとか、そういう市場の実勢とか国債の状況に応じまして発行させていただくということになりますので、今申し上げました数字の中で、短期国債が幾らになるかということは、今の段階では申し上げられないような状況でございます。
#18
○竹田四郎君 でも、少なくとも来年ですか再来年ぐらいになりますと、一日に三兆幾ら、四兆近くの借りかえにもぶつかっていくわけですね。そうしますと、そういうときを考えますと、大体そのぐらいのものというものがさらにこれに積み上がるというふうに考えますと、大体二十四、五兆ですか、そのくらいのものになる可能性もあるわけですね。
#19
○政府委員(宮本保孝君) 今の御指摘につきましては、先ほど申し上げましたとおり、来年度におきまして、今まで発行されました国債の満期到来額を試算いたしまして十兆五千百億でございますから、それにさらに仮定試算でお示しいたしました十兆を足した数が二十一兆でございますから、その今先生御指摘のようなことで、二十一兆がさらに三、四兆膨れ上がるというふうなことではございません。年間で一応今の試算では二十一兆が全体でございます。
#20
○竹田四郎君 もちろん、年間でいえば相殺されますから、ないですけれども、一時的には先に出すというようなこともあるわけですから、現実にはそういう点で働きというのは私は激しいだろう。だから、今おっしゃられたのよりもオーバーする可能性もないことはないというふうに私は思いますけれども。
 そういうように短期国債も入ってくるというようなことで、今度の市場で、対象にするものを長期国債に限ったというのがよくわからないんです。ことしの十月からですから、将来はそういう短期国債も当然売買の対象に入ってくる可能性というのは大いにあるわけであります。また、国債だけでなくて、CDなり、あるいは国際的な証券なり、金融の国際化が進むとともにそういうものも入ってくる。そういう中で長期国債に限ったという点、どうもその辺が一体何なのか。本来ならばその辺も含めて先物市場というのはスタートすべきである、ほかの国でも大体そういう短期的なものも含めてやっているだろうと私は思うんです、見て歩いたわけじゃございませんが。
 そういうふうに考えますと、どうもその辺が少し、さっき言ったように条件整備が、そこまで入るような条件がまだなかったのではないか。これは恐らく、この法案をつくるときにも、例えば金融商品の先物取引という主張があったことも事実だと思うんですよ。しかし、その辺が整っていなかったから恐らく、とりあえずといいますか、そういうものは一切拒否するという態度ではないと思うんですが、とりあえず長期国債からという感じ、そういう形。ですから私は、先ほど一番先に申し上げましたように、十分な条件が整わない前にスタートするのはどうだ、本当に国債のみだということを特に申し上げたわけでありますけれども、その辺はこれからどう進めるんですか。
#21
○政府委員(岸田俊輔君) 先物市場の創設に関しましては、昨年十二月の証券取引審議会でいろいろ検討いただいて、先物取引の対象をどういうふうに考えるかという御議論もいただいたわけでございますが、そのときの議論といたしましては、債券発行主体の支払い能力が高く、支払い不能等のリスクかないこと。また、利息の支払い、元本の償還等の条件の規格が統一されていること。それから第二点といたしましては、既に発行量や発行残高が多くて現物市場における取引高が大きいこと。それから、現物市場におきます価格情報が広く継続的に提供され、しかもその情報に対する人々の信順が高いことという点を挙げておりまして、これに該当いたしますのは、現在の段階では長期国債ということになるのかと思っています。
 ただ、その他のものにつきまして、先生御指摘のように、これから当然またニーズが出てくることも考えられまして、その点につきましては今後の情勢を見た上で検討するということにいたしております。
#22
○竹田四郎君 後でもまた触れていくわけですけれども、そういう長期国債だけこれはあれですか、検討していくというのは、大体ある程度の年次を目標にしてやっていくというのか、あるいは短期商品がある一定の量の取引が行われているという、そういう現実の上に立って加えていくのか、その辺はどうなるんですか。
#23
○政府委員(岸田俊輔君) まさに市場の動向を見、それから全体のニーズとの関係から判断をしていくということで、特定の期間を限って考えているわけではございませんので、ニーズの点から判断をしていきたいというふうに考えております。
#24
○竹田四郎君 どうも取引が大きいものですから、我々の頭にはなかなか思いが浮かばないんで、私の言うことがあるいは大きく間違っているのかもしれませんけれども、先物取引というのは短期間の、短期金利の計算というものもちゃんとこの裁定の中に入っていかないと恐らくいけないものだろうと思うんです。そういう意味では、私は、前に前川総裁がTB市場を早くつくれ、国債の自由化のときにそのことを、TB市場を早くつくれということを盛んにおっしゃっておられて、この席上でもたしかTB市場を早くつくれということをおっしゃられたんですが、どうもその辺のことは、先物市場を国債発行との関連でつくらざるを得ないということとの関連で、前川総裁がそういうふうにおっしゃったのかなと今思っているわけですけれども、日本の場合に、短期金利の基準を示すものというのは、これははっきりしたこれだというのがないわけですね。アメリカで言えばTBの市場だ、こういうものに一つなるわけですが、日本では分かれているわけです。インターバンクのコールや手形のものと、それから片方はCD、現先のもの、こういうインターバンク以外のものと、こう分かれているわけですね。
 こういう二つのものがあるということは、実際は先物市場の裁定取引に若干の混乱というものを導き込む、あるいはそういう混乱が起きる可能性というようなものが私はあるんではないだろうかと思う。ですから、そういうものも、もう少し短期金利市場というものが標準的な一本のものができていくことが、この債券先物市場の運営をさらに効率的にし、だれにでもわかるようなそういう裁定取引ができていくことになるのではないだろうか。
 そういうものを現実にはどういうふうに考えたらいいか。恐らくインターバンクのレートとそれからCDなどの現先などのレートというのは必ずしもいつも一致しているとは私は思いません。そうなってきますと、一体裁定取引に当たって、どれとどれとをどういうふうに計算したらいいかという点に、必ずしも一致点を見出すかどうかわからぬという問題が私は出るんではないだろうか、こう思うんです。そういう点ではやっぱり、短期商品の短期金利の基準になるべきような市場が片方にあることが、この先物市場を円滑に運営していく上に必要ではないだろうかな。その辺をどう考えたらいいですか。
#25
○政府委員(岸田俊輔君) 先物市場でございますけれども、これは非常に短期金融市場と関連は多いわけでございますが、そもそもが債券先物市場は、債券のリスクヘッジ、長期債のリスクヘッジという立場でできておる市場でございます。その点が基本的には違うわけでございますけれども、関連といたしましては、やはり短期市場で非常に密接な関連が出てくることも御指摘のとおりだと思っております。
 一つの点は、先物取引は現実にはこれは差金取引でございますので、資金的には余り大きなものが動かないということで、短期金融市場にはそれほど資金的な影響は少ない、ただし短期金融市場の金利と先物市場がやはり裁定的な働きというものはあるわけでございます。ある意味では先物取引市場ができますことによって短期市場の金利の動きをさらに弾力化していくという面もあるというふうに考えておりますので、先物市場ができたからといって短期市場に悪い影響があるというふうには私どもは考えておりません。
#26
○竹田四郎君 とにかく大量にかなりスピーディーに働かさなくちゃならぬわけでありますから、たとえちょっとした金利でも、我々の〇・〇一%というのはたばこ一本にも当たるか当たらないかですが、千億あるいは一兆円ということになれば〇・〇一%が非常に大きな金額として出てくるわけでありますからね。そういう意味では私は、どうもその辺をぴしっと決めるようなものがなければ、そういう標準的なものがなければ、こっちとこっちかこうなっているということになれば、計算上、おっしゃるようにお金はほとんど動くわけじゃないですから、計算上の問題としてやっぱりすっきりしない、こういう面があると思うんです。
 そういう意味では、やっぱりこれを進めていく上には、そうしたしっかりした短期市場というものがつくられていくべきだ、それが望ましいと私は思うんです。この辺はどこが担当ですか。そういう市場というものを早急に考えていくべきだと私は思うんです。それでないといけないんじゃないか、混乱なりあるいは余りはっきりわからない不透明な部分というものができてくるんじゃないか、こう思うんですが、どうですか。
#27
○政府委員(吉田正輝君) 短期金融市場でございますけれども、先ほどまさに委員から御指摘のとおり、インターバンク中場とオープンマーケット市場ができておるわけでございます。
 私どもといたしましては、御指摘のとおり自由化、国際化が進んでまいりますから、金融政策の有効性を確保するという見地、あるいは自由化を進める環境整備といたしまして、やはり短期金利というものの裁定が活発になることが自由化を進める上でも必要だという立場に立っております。そういう点の考え方につきましては、昨年五月に私どもが発表いたしました「金融の自由化及び円の国際化についての現状と展望」におきましても、短期金融市場の整備拡充を図る、あるいは市場仲介者の拡充を図っていくということにいたしております。
 したがいまして、そういう見地も加えまして、例えば最近ではBA市場などを創設いたしまして、これは円の国際化と同時に、短期金融市場の整備拡充という見地でさらにオープンマーケットをふやす、こういう考え方に立っております。それから、例えばCD市場に証券業者の参入を近々認める、一定の基準を設けながら認めるというようなことで、短期金融市場の整備拡充については私ども大変関心を持ち、かつ政策的な課題としておるわけでございます。
 この幾つかの市場の中で、この中で代表的金利というお話もございましたけれども、それぞれが例えば期間に応じまして自由金利、短期金利の裁定が行われているという考え方でございます。したがいまして、例えばこのたびMMCなども導入いたしましたけれども、この代表的金利といたしましては、例えばCDなど、これはもう既に残高九兆円に達して活発な市場裁定が行われておるわけでございます。そういうものを基準にいたしまして、このMMCの上限金利にするとかいうようなことにしておるわけでございます。
 全般的に申し上げますと、短期金融市場の姿勢については、そういうふうに私どもは考えておるわけでございます。
#28
○竹田四郎君 それぞれの場では恐らく金利裁定が動いているだろうと思いますが、これからの市場というのは非常に大きくなるし、国際的にもなるとすれば、その辺は今後の課題として考えていかないと、それぞれの場でそれぞれだということでは、やっぱり余りうまくないんじゃないかなというふうに思いますから、どうですか大蔵大臣、その辺はどう考えますか。
 それぞれの局がありますから、それぞれお考えになっているだろうとは思うんですけれども、どうもその辺のものがないと、ワークはしていくでしょうけれども、うまくワークしていかないんじゃないだろうかという心配を私は持っているんですが、大蔵大臣、その辺はどうでしょうか。
#29
○国務大臣(竹下登君) 私に正確にお答えするだけの準備がありませんが、先物取引の問題は、今竹田さんがおっしゃいましたように、それはやっぱり大量の国債が現に存在しておるということが、必要性の大きな面であることは事実です。そしていわゆる円・ドル委員会等々、円の国際化、自由化というような中の一面の使命も持っておるわけであります。
 今の短期市場の問題につきましては、原則的には今銀行局長がお話ししたとおりだと思っておりますが、ただ私がいつも気にかかりますのは、いわゆる蔵券の問題になりますと意見が分かれるところになるわけであります。これは、いつでも欲しいときに安全に調達し得る、言ってみれば年度間内における財源調達手段の一つである、こういう認識の上に立っておりますので、これが短期市場の商品となっていくということになりますと、私はいま少し議論を詰めてみなきゃならぬ課題ではなかろうか。そこから入らなくても、先ほど来銀行局長からも申しておりますように、CDとかそういうものでだんだん拡大してきておるわけでございますから、これはなお勉強をする課題だ、TBのいわば短期市場への問題についてはなお勉強をする課題だというふうに考えております。
#30
○竹田四郎君 その辺が非常に私は問題であろうと思うんです。恐らく大蔵省の方は、TBにしても国債にしても、なるべくひとつ後に膨らまないような安い金利を押しつけようということで、発行条件というものが市場の実勢に合わないということがここしばしばありますね。ことしになってはちょっと少ないかもしれませんけれども、去年あたりは二、三カ月あったような気がします。三カ月ぐらい何か、今月は休債だ、今月は休債だということがあったと思うんです。あれは恐らく、市場の実勢に合わなかったからああいうことになったんだろう、こう思うんです。やっぱりその辺は、気持ちはわかりますよ、国債を発行する方ではなるべく金利を安くしてくれ、こういうことはわかりますけれども、それに余りこだわっているということになりますと、それが先物市場にも短期金利の市場にもゆがんだ形で影響してくるということはないでしょうか。
 その辺が必ずしも私は、一つは環境整備が十分でない。少し国債がたくさんあるから慌てて先物市場に踏み切らざるを得ないというようなことで、その辺の環境整備もあるんじゃないですか。
 また、国債自体も、今度は金融機関が大蔵省の認めたものは会員、準会員というような形で入ってきますわな、そういうところの持っている国債にしても、一定の制限というものは受けているわけです。そういうようなことがもう少し整備をされてこないとやっぱり心配がある、本当の自由市場にはなってこないだろう。この辺はどうなんでしょうか。そういうところでいつもこの問題というのはぶつかってきているんじゃないですか。
#31
○政府委員(宮本保孝君) 国債の発行条件のことに関しまして私からちょっと御答弁をさせていただきたいと思います。
 私どもといたしましては、特に近年は、国債の発行条件につきましては、市場の実勢を尊重して決めるということを基本的な方針といたしておるわけでございまして、特にことし一年間に限って見ますと、去年の八月からでございますけれども、九カ月間に八回改定するということで非常にきめ細かな条件改定を行っておりまして、昨今におきましては円滑な消化が図られているわけでございます。ただ、御指摘のとおり、五十六年、七年、八年、九年と特に夏場七、八月ごろに休債に追い込まれるというふうな状況があったわけでございますけれども、これはやはり余りにも国債の値段が落ちる、下がるということによりまして、実勢の金利が非常に我々から見まして高過ぎる、国債の金利としては高過ぎるという場合には、やはり国債の金利につきましては最終的には税金で負担するわけでございまして、できるだけ実勢を尊重しながらも財政負担の軽減という見地からも私どもとしては考えざるを得ない状況にあるわけでございまして、余りにも国債の値段が下がったという場合には一時的に休債をするというような状況があったわけでございますけれども、それにいたしましても、そういうふうな市場が余り乱高下しないような発行の方法とかあるいは条件の決め方とか、そういう点につきましては今後とも十分措置をして配慮してまいりたい、こう考えております。
#32
○竹田四郎君 銀行局長、最近の金利の動向というのは、長期金利と短期金利、これが余りうまくワークしてないんですね。そう思いませんか。
 確かに、国債は売らなくちゃならぬから、今理財局長のおっしゃったように、かなり市場の実勢に近づいた形で発行条件を決めていかないと消化できないから、これはかなり自由化の方向に進んでいる。しかし、短期金利とか、公定歩合だとか、これは日銀の仕事でしょうけれども、そういう方面の動きというのは長期金利に比べて余り動いてないですね。この間の乖離といいますか、短期と長期との金利の乖離、動きですね、こういうものが最近は何か非常に目立っている。したがって、話は横道へ行きますけれども、公定歩合によるところの金利動向を決めていくという今までのやり方、日銀の金利政策というのがうまくワークしていないという、表にはなかなか公定歩合を直そうという話が余り出てこないからかもしれませんけれども、かなりワークしていないという話もあるくらいですから、そういう短期と長期の市場の動きがマッチしていかないということになりますと、やっぱりこの辺も少し問題があるんじゃないでしょうか。
#33
○政府委員(吉田正輝君) 先ほど来委員の展開されております御議論を聞いておりますと、確かに大変難しい問題をいろいろはらんでいる、御説明もなかなか難しいかなというふうに私思いながら聞いておったわけでございます。
 短期金利について標準的金利がないじゃないかというお話でございますけれども、先ほど申しましたように、短期市場はオープンマーケットあるいはインターバンクマーケットで形成されておりまして、全体で二十数兆円の規模を持っておるわけでございます。その中で、例えばコールは無条件物、手形レートは二カ月物、現先レートは三カ月物、それからCDは最高六カ月物というようなことで、おのずからその期間に応じまして裁定が行われておるわけでございます。
 例えばTBにつきましても、TB市場がないじゃないかというお話でございますけれども、日銀が例えば市中売却を割合盛んに行っておりますが、その期間に応じましてコールレートと手形レートの間で市場売却が行われるというようなことで、短期金融市場そのものは、まだ完全に自由化されておりませんけれども、発展しつつあるわけでございます。終局的には、短期金利の自由化というのは、預金金利を全部自由化するというときがそのときであると思います。
 それから、全体に長期と短期との関係でございますけれども、長期が大変下がりまして短期に接近していることは事実でございます。一方、金融市場全体で見ますると、量的質的にも緩和基調が続いておるわけで、マネーサプライも十分されている。それから金利の面で申しますと、約定平均金利も漸次下がりつつあるというような状況でございます中で、短期が比較的下がっておりません。大体六%の、コールで申しますと五・八、それからCDで申しますと六・四という間の中に短期金利はなっておりますけれども、長期の方はこれはかなり下がってきておるわけでございます。これは一つには、この長短の中にはおのずからやっぱり裁定がございますし、短期金融が緩めば長期金利も下がってくる、こういう状態でございますけれども、短期につきましては、例えば一応金融が緩和されているようでありながら、都銀の中では中小企業金融などはかなり活発に行われておりますので、短期市場から市場調達を行うというようなことで、短期金利が比較的高いとかいうような状況でございます。
 全体で申しますと、やはりかなり自由化、長期金利市場はもう確実に実勢反映でございますし、この二十二兆の短期金融市場も実勢反映というふうに考えておるわけでございます。
 焦点として正雄にお答えしているかどうかわかりませんけれども、そのようなふうに全体として、委員の御展開なさる議論を聞きながら私の感想を申し上げさせていただいたわけでございます。
#34
○竹田四郎君 次へ進みますけれども、その辺はどうも余りすっきりしませんし、やっぱりそれぞれでは裁定が行われているけれども、一つの基準なりというものはやっぱり要るんじゃないかという気がするわけですが、そういう点は、今度標準物方式にしたのと代表銘柄方式というこれは二つの方式があるわけでありますけれども、その辺との関連というのも何か出てくるような気がするわけでありますけれども、日本人にとっては標準物方式というのは率直に言ってわかりにくい、抽象的な相場でありますから非常にわかりにくい、こういうことでありますが、これはどうしてわかりにくいのにしたんでしょうか。
 これから証券の大衆化もあるだろうし、あるいはいろいろあるだろうと思いますけれども、どうもこの取引には我々一般は関係ないようでありますから、それだから何にしたって構わないという感じもするんですがね。そういう意味で、どうもこの標準物方式というのはちょっと一般の、恐らく関係者には、専門家にはわかるでしょうけれども、国民には非常にわかりにくいし我々もよくわからぬ。どういうものをどういうふうな形で標準物方式にするのか、それぞれの個別の銘柄とどうこれを関連させてどういうふうに見たらいいのか、その辺についても我々は全然わからない。
 標準物方式という形のものというのは、どうしてこういうふうになったのか。それと、やっぱり大衆化の問題と私はあると思うんですがね、その辺を。
#35
○政府委員(岸田俊輔君) 標準物につきましては、端的に申しまして、実際上、諸外国の先物取引をやっている市場での経験から申しますと、非常に便利のいい作品と申しますか製品だというふうに言われております。
 と申しますのは、現実に例えば代表銘柄を採用いたしましても、これは時間がたつに従いまして残存期間がどんどん動いてくる、それで、ある程度まで来たらこれを廃止してまた新しいのを求めなければいけないとか、それからいろいろ銘柄を入れかえますとクーポンレートもいろんな変化が出てまいりまして、非常に市場自体がいろいろな変化が出て、何というのですか、紛らわしいというようなのが実情でございます。
 そういう意味で、標準物と申しますのは、こういう紛らわしさとか複雑さというものを回避いたしまして、一定の利率、例えば残存期間が十年とか金利は七%とかいうような一つの銘柄を対象にして先物取引を行うということで、非常に取引的には簡便になるわけでございます。そのほかまた、既に諸外国が標準物をとっておりますので、外国からの投資家なんかも一々複雑な銘柄、現実の銘柄よりはそういう抽象的な標準物というものになれてきているわけで、国際的にもやっぱり通用するんじゃなかろうかなというふうに考えているわけでございます。
 御指摘のように、これを現実にはどういうふうに処理するのかという点でございますけれども、先物取引は大体大部分が差金決済という形で行われているわけでございますが、やはり一部現物の受け渡しを要求される場合がございます。それにつきましては、例えばアメリカ、イギリスなんかの前例を見てまいりましても、相当詳細な換算率表をつくっておりまして、例えば十年物、残存十年、金利七%というものと、例えば現実の七・五%物とはどういう割合で、例えば標準物を一といたしますと、その換算は一・〇二とか一・〇五とか、例えば金利の安いものになりますと〇・九とかいうような形の、換算表の詳細なものをつくっておりまして、これを全体に公開いたしているわけでございます。ですから一般の投資家も、それを見てまいりますと、標準物でこれだけの現物をもらいたいというときには、どういう形で現実の国債をもらえるかということが一目でわかるような制度になっているわけでございます。
 私ども今後どういう形でそういうものをつくっていくかはこれからの検討というふうに考えておりますが、やはりアメリカ、イギリスに倣った相当詳細な換算率表を公表していきたいというふうに考えているわけでございます。
#36
○竹田四郎君 恐らくそれは機関投資家だけぐらいなら、これはもう簡単なものでわかるし、確かに私も代表銘柄方式よりも標準物方式の方が、大量の商売を非常に広範にやるのの玉としてはやっぱりこれはそちらの方がいいだろう、わかりいいだろうと思うんですが、これには例えば、これをこういうふうに買ってくれああいうふうに売ってくれというお客が当然いるわけですよね。そういう連中からすれば、まあ今度のそういう単位を幾らにするか、これは私ども新聞でしか知りませんけれども、何か一億円以上だということですが、一億円以上でも、私にとっては一億円以上というのはえらい高い金ですけれども、私の周辺の土地成金にしてみれば一億、十億ぐらいというのはへのかっぱですわな。それから中小企業でも一億、二億ぐらいのものは何とかできる人たちです。
 そういう人たちもある程度はやっぱりこれは参加してもらわないと、全体の取引の厚さというのですか厚みというのですか、そういうものは出てこないわけです。そういう点で、そういう人たちにわかる程度のものになるのですか、どうなんですか。その辺が私ちょっと問題になるというように思うんですけれどもね。
#37
○政府委員(岸田俊輔君) やはり先物取引と申しますのは、片や国債保有者の価格ヘッジという大きな意義があるわけでございますが、これに対応いたしますのは投機家、スペキュレーターが相対しませんと取引は成立しないわけでございまして、やはりそこには投機的なものがあるということで、私どもとしては、片や市場の厚みを増さなければいけないので、参加者を多くしたいけれども、しかしそういう投機的な面もあるので、ある程度の資力なり能力を持った人が参画してもらうような形で、取引の金額もある程度の額を設けておこうというふうに考えているわけでございます。そういう形でございますので、投資家も、全くの普通の金融商品を買うような形での参画は余り考えていないわけでございまして、ある程度の機関投資家なり資産家でございましたら、この程度の問題については十分理解をしてもらえるのではなかろうかというふうに考えております。
#38
○竹田四郎君 そう簡単にはいかないんじゃないですかね。
 いろいろな話を聞いてきて、投資家は、この辺でひとつこれを売って次のものを買ってもらうということで、証券会社へ行かれるわけですから、そういう人たちもある程度わかるようにしてもらわないと、そして今必ずしも投資顧問というものがまだしっかりできているわけじゃありません、そうなるとかなりこの点はわかるような形にしてもらわないと、確かに取引に参加する人は何千億というロットでやるでしょうからこれはすぐわかるでしょうけれども、しかしそういうのは、その背後にそれぞれの投資家というのがいて、この辺でこれをこっちへかえてこうやったらどうだろうかとか、資産保存の立場からそういうことを考えるだろうと思うんです。
 どうもその辺が私ちょっと心配になるんですが、どうなんでしょうか、さっきのような形でよくわかりますかね。
#39
○政府委員(岸田俊輔君) 法案を通していただきましてからこれの制度ができますのに、六カ月ぐらいの準備期間もございます。その間、この先物市場の仕組み、それからそういう制度の内容につきましては、十分周知徹底できるような広報活動をやっていきたいというふうに考えております。
#40
○竹田四郎君 それから、証拠金はどのくらいなんですか。大分、日本は高そうなような感じを受けるんです。シカゴとかなんとか、外国の方では大体三%前後だ、売買金額の三%程度だというんですが、日本ではどうも一千万円だというようなことが新聞に出ていたんですが、これはどうなんですか。
 初めのうちは高くして、そしてほかの人はなるべく入れないようにして、市場が整備されてからこれを下げていくという考え方ですか。それとも、余り証拠金も持っていないようなやつは、出せないようなやつはもう参加させないというので、参加者をなるべく少なくする、こういうことなんですか。その辺はどういうふうに理解したらよろしゅうございますか。
#41
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申し上げましたように、市場の厚みを加えるためには参加者を広げていきたい、しかし一方において、投機的な面があるのである程度の資格だとか信用力とかいうもので制限していきたいという二つの面があるわけでございまして、現在具体的に証拠金をどのくらいにするかということにつきましては検討中でございますけれども、そういう二つの問題点を十分念頭に置きながら決めていきたいというふうに考えております。
#42
○竹田四郎君 じゃ、新聞に出ている一千万円というのは、まだ決まった数字じゃないんですか、これは検討する数字ですか。普通予想されていたのは、三百万円ぐらいだ、こういうふうなことがささやかれていたわけでありますが、何かこの間の新聞では一千万円というから、随分これは違うんだな、あんまり参加させないんだなというふうに私は考えたんですが、それは、一千万円というのはまだ決まっていないということですか。
#43
○政府委員(岸田俊輔君) 先ほど申し上げましたように、まだ検討中でございまして、具体的な金額は決めておりません。
#44
○竹田四郎君 それで、国際的な大体レベルというふうに考えてよろしいんですか。それとも、まだ初めだから国際的よりももう少し高い割合でというふうに考えているんですか。どうですか、その辺は。
#45
○政府委員(岸田俊輔君) 大体最低取引を例えば一億円にいたしまして、証拠金が諸外国の例で見ますと二ないし三%でございますから二百万円ないし三百万円というのが出てくるわけでございますけれども、ただそれに決めるかどうか、もう少しやはり慎重に投資家を選んでいかなきゃいけないというような議論もございますので、まだ本当に検討の段階でございます。具体的には決まっておりません。
#46
○竹田四郎君 それはまだ決まっていないというから、これ以上説明を求めませんけれども。
 次に、市場への参加者ですが、これは証券会社とそれから政令で定めた外国の証券会社とそれから銀行、金融機関の一部ですね。これは、金融機関全体を入れては何か非常にまずいんですか、どうなんですか。かなり区分けをしたり差別をしたりしているような感じがするわけですけれども、むしろ参加者が多い方がスペキュレーションもしにくいし、あるいは市場全体の改良という形での市場の機能というものはその方がいいんじゃないだろうか、ワークしやすいんじゃないか、こう思うんですが、その辺はどうなんでしょうか。
#47
○政府委員(岸田俊輔君) 先物市場へ直接参加する者につきましては、アメリカなんかは直接いろいろな形での個人投資家もはいれるような形になっておりますが、我が国の制度といたしましては、やはりある程度国債の現物の取り扱いにもなれた、信用力のあるしっかりした機関という、経験もあるような機関に限っていきたいというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、金融機関のうちでも国債、公共債のディーリングを認めた金融機関というふうに一応限定をしておりますし、さらに、取引所におきましては、定款で、その中でも経験があり能力のある者を判定いたしまして、その者に対して取引を認めていくというふうに考えて、二段構えに考えているわけでございます。
#48
○竹田四郎君 私は、そういう意味でもう少し広げた方がいいんじゃないか、こういうふうに思うんです。確かに、初めてのスタートということでありますから、慎重になられるのはいいと思うんですけれども。
 もう一つは、どうなんでしょうか、金融機関が国債のディーリングを始めていく、相当なお客に売りつける、そちらからのいろいろな投資相談というようなことも私はあると思うんですね。そうすると、今度のこれでは、ブローカー的な業務というのは金融機関には認めていないわけですね。そういう必要というのは将来生まれてくるんじゃないでしょうか、銀行がディーリングをやるということになりますとね。その辺はどうなんでしょうか。
#49
○政府委員(岸田俊輔君) ディーリング認可金融機関の取次業者として先物市場に参入することにつきましては、昨年の証取審の公社債特別部会以来議論のあるところでございます。現在の段階では、両業界の意見も踏まえまして、考え方としては次のとおりにいたしているわけでございます。
 金融機関に先物取引に係ります取次業務を行う必要性があるという強い主張があることにかんがみまして、債券先物市場が発足した後、その健全な発展を図る見地から前述のような必要性が生じた場合には、遅滞なく金融機関の取次業者としての先物市場への参加について具体的な検討を行う、ということで考えているわけでございます。
#50
○竹田四郎君 証券会社と銀行との業際問題というのは大変大きな問題に今までなっているわけですけれども、どうもこの先物市場というようなものができていく、先ほども証券会社にCDの取引を認めるというお話もあったわけでして、かなり証券会社と銀行との垣根というのは低くなったわけでありますけれども、先物取引でだんだん金融機関も力をつけてくる、あるいは参加も多くなってくる、こういうふうになってきますと、やがてそういう垣根というのはもうほとんどなくなっちゃう、そういうことになっていく可能性があるんじゃないでしょうか。
 今だっても、例えば銀行と証券会社とがいろいろ提携をして、かなり証券会社が実際は融資をやっているんだけれどもただ名目的に銀行がやっているというような、そういうことも現実にはやっているわけです。あるいはいろんな商品の金利を積み立てるというようなことも証券会社はやっているわけですね。そういう面ではかなり証券会社が銀行業務の中に食い入っているわけです。それから銀行の方は、ディーリングの問題だとか、あるいはこの間の住友銀行の子会社のような問題も出てきているわけです。
 だから、この先物市場というものは、そういうものに将来影響を与えていくのではないだろうかという気がするんですが、この業際問題というのはかなり議論にもなっているようでございますけれども、あるいは三局合意の問題も何か最近はなくなってきたというふうに新聞は書いていますけれども、そういう意味では、先物市場の出現によってこの垣根というものはもっと低くなる、やがてなくなっていくんだろう、そういう傾向を見せるというふうに見ていいですか。
#51
○政府委員(岸田俊輔君) 先生御指摘のように、証券会社と銀行とはそれぞれの分野におきましてその役割を果たしてきておりますけれども、最近の内外の金融動向の変化に応じまして、非常に両業界が競合する分野がふえてきておるという状況でございます。それぞれの固有の業務分野につきましては業務提携を通じ相互の機能を利用して進んでいくということでございますが、それ以外の分野につきましては、競争条件の均衡を図りつつ漸次乗り入れ、いわゆる垣根を低くしていきたいというふうに考えております。
 この問題につきましては、それぞれの固有の業務を十分に尊重し合いつつ、金融資本市場の流れを十分踏まえて適切に対処していきたいというふうに考えております。
#52
○竹田四郎君 ただ、諸外国の例なんかも見ますと、垣根を低くすることはいいのだけれども、両者の役割というものがあると思うんですね。だからその辺との関連で、垣根を低くされるのは私も賛成なんですが、なくなっちゃうということになりますとこれはまた将来問題が出てくるわけでありますから、その辺は今後の御検討を十分いただきたいと思います。
 それからもう一つ、次は、東京証券取引所を、何か新しく非常に立派な取引所ができたらしいんですが、あの中へ置かれる、こういうことですね、そういうふうに理解してよろしゅうございますね。そしてそれは、国債の現物市場もあるところ、両方が併置されているというふうに理解してよろしゅうございますか。
#53
○政府委員(岸田俊輔君) 一応今度の新しい証券取引所の中に、債券の先物市場ができるようなスペースは準備はいたしております。現物市場等の情報が直ちにその市場にわかるようなシステム化も考えているわけでございます。
#54
○竹田四郎君 これはほかの例でありますけれども、二つの、現物市場と先物市場というのが物すごく密接な関係にあることはもう、両者の関係は、現物がなければ先物もないし先物がなければ現物もないんですから、非常に密接なことではありますけれども、余り近いところへ置くと、現物市場の悪さを、現物市場では例えば取引が非常に少なかった、あるいは現物市場で余りもうけることができなかった、だからそれをひとつ今度は先物市場でスペキュレーションをやろう、こういう悪い関係というのがむしろ出てくる可能性というのはないですか。そういうことを指摘している意見もございますね。
 だからむしろ、非常に密接なことは密接でいいけれども、すぐ近くに置くということはかえって場合によれば、これは場合によればですよ、うまくいっているときにはいいと思うんですが、場合によればそれによって若干の混乱が起きることもあり得る、だからなるべく別個にした方がいい、こういう意見もあるんですが、どうですか。
#55
○政府委員(岸田俊輔君) 最近の電算化といいますか、機械化の市場でございますので、どうしても情報は直ちに両市場にわかるようにならざるを得ないと思います。そういう若干の悪い点もあるかと思いますが、恐らくはいい方に働くのではなかろうかなというふうに考えております。
#56
○竹田四郎君 ひとつその辺は、そういう危惧があるということですから、一回十分御検討をいただきたいと思います。
 それから、あとは流通税の問題です。これは、何か流通税は課さないというようなことでありますけれども、片っ方、現先市場の方ではこれはたしか取引税を取っているわけですね。これは往復で取っているというか、かなり実際には重くなっているわけですけれども、こっちの方は先物市場ですから現物は渡らないということでありますから取らないということでありますけれども、何かちょっと、取らないでいいのかなという感じがするわけですが、これはどういうふうにされるんですか。
#57
○政府委員(角谷正彦君) 有価証券の取引に係ります流通税としましては、今御指摘の現先等に対しますところの有価証券取引税というものと、それから取引所税というものと二つあるわけでございます。
 有価証券取引税といいますのは、国債あるいは一般の公社債あるいは株式の種類に応じまして、あるいは証券会社の自己売買あるいは委託者によるところの委託売買の別によりましてそれぞれ税率を定めまして、譲渡者から税を取る。この中で、今御指摘の有価証券取引に係る現先取引につきましては、有価証券取引税を課税しているわけでございます。取引所税法におきます取引税といいますのは、取引所におきますところの差金決済によりますところの先物取引あるいはいわゆる清算取引に対しまして課税するというもので、売り方、買い方から両方から取るわけでございますが、これにつきましては、現在の法律では公社債、一般の公社債とそれから株式につきましては、それぞれ万分の一とか万分の二十という税率で課税するという建前になっております。
 ただ、国債につきましては、明治三十九年以来これは非課税という規定になっているわけでございます。明治三十九年になぜ非課税になったかというのを当時の記録で見てみますと、日露戦争のときに非常に大量に公債を発行した、それで国債の流通を円滑にするという必要性があったということと、当時におきましてはまだ市場規模が小さかったこともありまして、税額にして当時の金で一円数十銭程度の税金しかなかったということもありまして、いわば特別の立法によりましてこれを非課税にするという措置をとりまして、その後大正三年に全文改正を行いました際もこれを取引所税法の本文に取り込みまして現在に至っているというのが現状でございます。
 そこで、実際問題として、先ほど株券あるいは一般公社債につきまして課税の規定はあると申し上げたわけでございますが、これも御承知のように戦後GHQの指令で取引所が再開されましたときに清算取引が禁止されたということもありまして、現実には株券あるいは一般の公社債につきましても先物市場等がなくなっている、清算市場がなくなったということもありまして、課税の実績は今のところありません。そこで、今回、証取法の改正に伴いまして、先物取引を国債について認めるということになりましたことに伴いまして、私ども事務的にも、この国債に係る先物取引の非課税規定というものをどうするかということを検討させていただいたわけでございます。
 この点につきましては、国債の先物市場は、先ほど証券局長からもいろいろお話し申し上げましたように、国債の価格変動リスクをいわば回避するという手段を提供する形によりまして大量の国債の発行あるいは消化を円滑にするというふうな機能を果たすという事情がございます。
 それからもう一つの問題としましては、その課税の可否等について検討するにいたしましても、今度、現時点におきましては、新たに実施される国債の先物市場というものは、現に戦後ずっとないわけでございまして、そういう意味では、どういった程度の取引の規模になるか、あるいは頻度になるか、あるいは手数料はどうなるか、あるいは証拠金はどうなるかといったふうなことにつきまして、実際の姿が明らかになっていないという状況にございます。
 そういったふうな事情から、当面、現在の国債の先物取引に対します非課税規定というのは、これはこのまま存置するということにいたしまして、先物市場が具体的に開設されました後のいろんな市場の姿とか取引の実態、そういったものを踏まえながら、今後できるだけ速やかにこの課税問題について引き続き結論を得るべく検討してまいりたい、このように考えている次第でございます。
#58
○竹田四郎君 そうすると、当分は決まらないということですか。そのうちやがて決まるということですか。どうもその辺も何かスタートからはっきりしないんですけれども、現先との関係も出てまいりましょうし、そういう点はもう少しスタートと同時に明確にすべきじゃないですか。
#59
○政府委員(角谷正彦君) 結論から先に申しますと、当面は、現在の非課税規定を維持するという形で、課税はしない。ただ、今後の取引の実態等に応じまして、今おっしゃったような現先取引とのバランスとかいろいろなものを考えながら、なおかつやはり取引の市場機能の円滑な発揮という点も考えながら、いろいろな点を考えながら、今後課税問題を検討してまいりたい、こういうことでございます。
#60
○竹田四郎君 大蔵大臣、途中からそういうような形になっていいんですかね。やっぱりその辺は、スタートから私は明確にしていくべきだと思うんです。ですからそういう点も含めて、どうも若干準備不足だなということを言わざるを得ないわけですけれども、これは大蔵大臣にちょっと伺っておきます。
#61
○国務大臣(竹下登君) この問題、これはかなり古くて新しい問題とでも申しましょうか、いわゆるCDと現先との問題の議論がずっと行われておるわけでありますが、これらの問題ではいつも整理して、その性格が違いますものの、やはり情勢を見ながら検討していかなきゃならぬ課題だというところまではいつも申し上げておるわけでありますので、私は、今度の問題もそれらと総合して考えていくべき課題じゃないかなというふうに、私なりには理解しております。
#62
○竹田四郎君 余りよくわからないわけでありますが、時間がありませんから次へ進みますけれども、これは私は、スタートから十分に検討してほしい、こういう要望を申し上げておきたいと思います。
 それから、もう時間がありませんから、IFCの方に入ります。
 IFCの場合を見ますと、四十何%というのが中南米地域。非常に偏っているわけですけれども、偏っている原因というのは一体どういうことなんですか。もう少し途上国に、地域的に見てももう少し散らばってもいいんじゃないかと思うんですけれども、非常に偏っているんですが、どういうわけですか。
#63
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、昨年の六月末現在でIFCの投融資実績を見てみますと、中南米が四三%ということで非常に高い比率を占めております。あとほかは、ヨーロッパ、中近東、アフリカが二五%、東アジア、オセアニアが一三%というようなところでございますが、御承知のとおりIFCの場合は、投融資を行います先が民間の企業ということになっておりますので、そもそもそういう投融資を受けるに足るような民間企業の基盤があるということが必要になるわけでございます。そういう観点から世界の途上国地域を見てみますと、やはり全体といたしましては中南米地域が、そういう意味で総体的にこういった投融資を受け入れる基盤ができておるということは申せるんじゃないかと思います。恐らくそれがこういった数字になってくると思いますが、今後その他の地域におきましてもそういった民間企業の発展の基盤がだんだん出てくるわけでございますから、私どもも、将来像といたしましては、だんだんと全世界的に広がっていく可能性はあるというふうに考えておるわけでございます。
#64
○竹田四郎君 これは、民間企業に貸して、そしてほかの民間のそれぞれの機関も協調融資をしていくということでありますが、いただいた資料によりますと、五十一億五千八百万ドルが今までの投資承認額なわけですけれども、全体のこれに関連したプロジェクトの総融資枠というんですか、総資金というんですか、それはどのくらいで、IFCから出ているのは五十一億五千八百万ドルが出ているわけですが、民間からは一体どのくらい出ていることになるわけですか、大体七〇%ぐらいになるわけですか、どうですか。
#65
○政府委員(行天豊雄君) ただいま御指摘のありましたIFC投融資総額五十億ドル、この投融資が行われました先のプロジェクトの総コストといいますものは、約二百七十億ドルに達しております。このうち、民間の金が入っております部分と申しますのが――この協調融資を行いますには二つやり方があるわけでございまして、一つはIFCと同じ融資契約を結びまして、シンジケートローンという格好で金が出るという部分と、それからそういったシンジケートローンではないけれども同じプロジェクトに対して民間の金融機関が単独に金を貸すという姿になっておるものと、二つ種類がございます。ですから、この二百七十億ドルの総プロジェクトに対しまして、IFCが直接自分の金で投融資しておりますのは約三十億ドルでございます。したがいまして、残りの二百四十億ドルというものは、今お話ししましたシンジケートローンという形か、あるいは別途に民間の金融機関が出しておる部分というふうにお考えいただいてよろしいと思います。
#66
○竹田四郎君 日本の投資家なり日本の金融機関というのは、今言われた三十億ドル以外の二百四十億ドルの中にはあるんですか、ないんですか。
#67
○政府委員(行天豊雄君) 我が国の金融機関は、今お話ししました二つの形いずれでも協調融資を行っております。
 まず、IFCとシンジケートローンを組んで我が国の金融機関あるいは商社などが行いました金額は、九千六百万ドルでございます。しかし、それ以外にも、単独その他の形で当該プロジェクト全体に対して何らかの形で協調融資をしておるというものは、一九八〇年度以降で九億六千二百万ドルということになってございます。
#68
○竹田四郎君 融資しているわけですから、場合によればこれは返済というような問題も起きてくると思うんですが、そういう返済というのは順調にいっておるんですか、どうなんですか。リスケをやっているようなものがあるんですか、どうなんですか。
 その辺の返済、償還の状況をちょっと伺わせていただきたいということと、もう時間がありませんからもう一つ聞かせていただきたいと思うんですが、最近、副総裁が来日して、IFCの資産をひとつ日本で引き受けてくれないかということで申し込んでいるようでありますが、これにはどういう対応をするんですか。やっぱりこういう時期でありますから、できる限り対応すべきだと私は思いますけれども、その辺の二つの質問を申し上げて、終わりたいと思うんです。
#69
○政府委員(行天豊雄君) IFCは、金融機関として当然のことでございますけれども、投融資を行うに当たりましては、プロジェクトの健全性ということを十分考えておるわけでございますが、同時にやはり、民間資金を引きつけるに足るような収益性を持ったプロジェクトを探していかなければならないわけでございます。率直に申しまして、現在開発途上国は、いろいろと経済的に難しい問題もございまして、従来IFCが行いました投融資の中でも、その後の状況の悪化によって債権が返済困難になっておる事例はございます。例えば昨年、一九八四年度末までの数字を見てみますと、累積で三千三百六十万ドルという債権が、最終的に返済不能であるということで、償却処理をされております。
 ちなみに、この金額というのは、IFCが行いました投融資の総額に対して約一・四%ということでございます。その他、御指摘のように、リスケジュールというようなことを行ったことも、例外的にではございますけれどもございます。
 それから、先般IFCの副総裁ライリーという人が日本に参りまして、いろいろ我が国との間の関係強化について私どもと話し合って帰ったわけでございますが、その折に、御指摘のように日本の金融機関、企業等がこのIFCの債権を買い取る等の形でもって、IFCとの資金協力を一層充実してほしいという話がございました。
 従来の我が国の金融機関は、先ほど申し上げましたように、直接このIFCとの間で九千六百万ドル相当のような協調を行っております。この金額は、全体の協調の金額の中で約五%ぐらいでございまして、IFC当局といたしますと、この比率をもう少し上げてほしい、もう少し日本の金融機関にも協力してほしいという気持ちがあるようでございます。私どもも、御指摘のように、このIFCはなかなか世界的に有意義な活動をしておると思っておりますので、私どもとしても日本の関係企業が、このプロジェクトの中身を十分精査いたしまして、これが当該国の経済発展あるいは債務累積問題の改善等に役立つという場合には、積極的にIFCとの協力関係を強めていってもらいたいというふうに、期待をしておるわけでございます。
    ─────────────
#70
○委員長(藤井裕久君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、岩動道行君、藤野賢二君、福岡日出麿君が委員を辞任され、その補欠として志村哲良君、吉村真事君、藤田栄君が選任されました。
    ─────────────
#71
○多田省吾君 私は、二本の法案のうち、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案並びにこれと関連する諸問題について、若干質問をいたします。あとの一本の法案につきましては、同僚議員に質疑を譲りたいと思います。
 まず、この国際金融公社、IFCの増資の背景について、大蔵当局から御説明をいただきたいと思います。
#72
○政府委員(行天豊雄君) 御高承のとおり、IFC、国際金融公社といいますのは、途上国におきます民間企業に対して投融資を行うことによりまして、そういった民間活力の発揮に貢献をしておるわけでございますが、この投融資の原資になっておりますのは、そもそもこの加盟国が拠出をいたしました資本金、それから従来の活動によって生じてまいりました剰余金、それに加えまして、いわば親機関である世界銀行からの借り入れというようなことで、この活動を行っておるわけでございます。ただ、従来この活動が順調に伸びてまいったものでございますから、この資本金あるいは剰余金との比較におきまして、全体の投融資規模というのはだんだん大きくなってきております。
 実は、協定上IFCと申しますのは、この資本金と剰余金の合計額の四倍を超えてこういった債権を持ってはいけないという規定になっております。ただいま一九八五年でございますが、これから数年間を見通してみますと、どうも従来のような順調な調子で投融資が伸びていくと、この協定上の制約がぶつかってしまうということが予想されることになりましたものでございますから、昨年来この増資の検討が行われておりまして、このたび、従来の六億五千万ドルの資本金を倍額の十三億ドルに増額するという点について、関係国の合意が成立いたしました。その結果、我が国もその割合に基づきまして増資に参加させていただきたいということで、今回の法律をお願いしておる次第でございます。
#73
○多田省吾君 IFCは民間企業に対しまして投融資を行うことを目的にしておりますが、先ほどの質疑のように、地域別に見ますと、中南米に対しまして四三%という偏った投資になっているわけでございます。
 そのほか、地域別に、どのような国の企業に主として投融資がなされているのか、一応簡明に並べておっしゃっていただきたい。また、その特徴についてもあわせてお伺いしたい。
#74
○政府委員(行天豊雄君) IFCの従来の投融資、まず地域別の分類でございますけれども、御指摘のように比率では中南米が一番高うございまして四三%、引き続きましてヨーロッパ、中近東、北アフリカが二四・五%、それから東アジアが一二・七%、南アジアが八・七%、東アフリカが六・二%、西アフリカが四・八%というふうになってございます。
 それから、こういった地域におきます国別でございますが、かなり国の数が多うございますけれども、重立ったところを申してみますと、中南米のブラジルが一九・五%、メキシコが一四・二%、それからこれは東欧でございますが、ユーゴスラビアが六・九%、トルコ四・六%、インド四・三%というようなところが大きな投融資先になってございます。
 特徴というお話でございましたが、大体生産的な民間企業に対しまして投融資を行っておるわけでございますので、こういった途上国、当然のことながらいわゆるインフラストラクチャーの部分での民間企業の育成の必要が非常に高いわけでございます。したがいまして、企業の部門別に見てみますと、一番大きいのが建設資材、これはセメントであるとかセメントブロック、それから、れんがとかアスベストとか、いろいろあるようでございますけれども、そういった建設資材関係の企業が一番多くて一九・一%、それから鉱業が一一・一%、それから石油化学その他の化学が一〇・三%、鉄鋼とか製鉄関係が九・三%というようなところが、主要な投資先の部門別の比率でございます。
#75
○多田省吾君 また、投融資債権は、対象企業の経営が軌道に乗りますとその債権を民間金融機関に売却する方法をとっておりますけれども、投融資債権の売却状況について御説明いただきたいと思います。
#76
○政府委員(行天豊雄君) IFCの活動の大きな目的は、こういった生産的な民間企業に金を投融資いたしまして、その企業の育成を図ると同時に、そういった民間企業にIFC以外の民間資金を吸引していく、言うなればそういった民間資金活用の触媒としての役割を果たそうというところにあるわけでございます。したがいまして、この投融資をいたしました相手先の民間企業が非常に事業が順調に進んで、もはやIFCの直接の関与がなくても自力で民間資金を調達、吸引できるというような状態になりますと、IFCは、自分が持っております債権を民間に売却と申しますか肩がわりをして、それで返ってきたお金でもってまた新しい投融資を行う、こういうことを行っておるわけでございます。
 ただ、こういう金額はそれほど大きくはございません。八四年までの累計で見まして、貸付金債権の中で売却をいたしましたものが九百六十万ドル、それから株式に投資をいたしましたものを後に売却をいたしましたものが二千三百七十万ドル、合計いたしますと、三千三百三十万ドルという金額が、この保有債権の売却によって回収されておるわけでございます。
#77
○多田省吾君 ただいまも竹田先生の御質問にあったわけでございますが、日本の銀行が債権を買い取った実績、御答弁の九千六百万ドル、IFCが協調融資の形で導入した民間資本全体の中でのシェアが昨年六月で約五%にすぎないという状況でございまして、IFCのライリー副総裁からも、もう少し買い取ってほしいという要望があったそうでございますが、行天局長の先ほどの御答弁を聞いておりますと、役立つものは積極的に強めてもらっていく必要がある、民間企業に期待しているんだ、こういう御答弁でございました。
 期待しているというお考えだけをお持ちなのか、それとも今後の方策として大いに行政指導とかあるははPRとか、そういったものもやっていかれるお考えがあるのか、その辺ひとつ御説明いただきたいと思います。
#78
○政府委員(行天豊雄君) 確かに従来我が国の金融機関が協調融資をいたしました比率というのは、全体の五%ぐらいということで、これが非常に低いと見るのか、あるいは日本の出資比率は御承知のとおり四・七%でございますので、その出資比率から見ればそこそこのところまでいっているという見方もあろうかと思います。
 ただ、私の先ほど申しましたように、この種の仕事は非常に有意義な仕事でございますから、日本の金融機関がこれからも、いいプロジェクトに対しましては、積極的に協調を図っていっていただきたいというふうに考えております。
 この点につきまして、あくまでこれは民間企業の判断の問題でございますので、役所としてどうしろこうしろというようなことを言える問題ではございませんけれども、ただ、御承知のとおりIFCは世界銀行のグループの中に入っておりまして、世界銀行は東京にも事務所を持っておりまして、この事務所等を中心にいたしまして、世界銀行の活動等に対しましては活発な広報活動が行われております。私どももそういった広報活動に協力をいたしまして、このIFCの活動が日本の民間企業、金融機関にも十分周知されて、先ほど申しましたような協調の機運が一層盛り上がってくるというような努力は、これからも続けてまいりたいというふうに考えております。
#79
○多田省吾君 次に、関連しまして私は、政府開発援助、ODAについて若干お尋ねしたいと思います。
 政府開発援助は、開発途上国の産業開発などに使われるものでございまして、最も基本的な途上国対策の柱だと思います。政府は、鈴木内閣の初期に五年間ODA倍増を国際公約したわけでございますが、本年はその達成を目指した第二次中期目標の最終年に当たっているわけでございます。本年はこのODAを相当伸ばしまして、一〇%増ですか、五千八百十億円程度になったと思いますけれども、このODAの進展ぐあいと、まだ一〇〇%達成には至ってないと思いますが、どの程度の達成率に至ったのか、一応御説明いただきたいと思います。
#80
○政府委員(行天豊雄君) 御承知のとおり、このODA中期目標につきまして、従来、我が国は非常に厳しい財政事情のもとでございますけれども、拡充に努力をしてまいったわけでございます。例えば、ODAの予算でございますが、御承知のとおり五十九年度、六十年度におきまして一般の歳出予算がそれぞれ対前年度比、五十九年度の場合は〇・一%の減、それから六十年度の場合は横ばいということであったわけでございますけれども、そういった中にありましてもこのODA関係の予算につきましては、五十九年度が九・七%、それから六十年度は一〇%ということで、特段の配慮を行ってまいったわけでございます。その結果、一般会計ODA予算をこの五年間で倍増するという点につきましては、目標の達成率が九八%ということで、ほぼ当初の目標を達成できたのではないかというふうに考えておるわけでございます。
 ただ、実際の支出されました、いわゆるディスバースされたODAの金額につきましては、実はこれはまだ五十八年度の分までしか数字が出ておりません。したがいまして、現段階でこの目標が達成できるかどうかということを申し上げるのはまだちょっと時期が早いように思います。それとまた、実際のこのディスバースにつきましては、当然のことでございますけれども円相場の今後の動向、それから二国間の援助などでございますと、やはり先方の事情によってディスバースが早まったりあるいはおくれたりというような場合もございますので、そういった進捗状況等をなかなか見通せない事情が多いことも御理解いただきたいと思うのでございます。現状ではまだなかなかこの達成について、自信を持って大丈夫であるということを申し上げられるような段階には至っておりませんけれども、残り二年間できるだけの努力を払っていきたいというふうに思っておる次第でございます。
#81
○多田省吾君 大蔵大臣に、今後の政府開発援助、ODAについての御決意というようなものをお聞きしたいわけでございます。
 開発途上国が輸出をふやせる体質なりあるいは自立体制をつくるには、途上国自身の経済社会基盤の確立が最も必要であり、それが世界経済の発展にもつながることでもあると思います。今後とも、発展途上国の自立のためには、政府開発援助、ODAの拡充を初め、総合的な経済協力を進めることが、経済的発展を遂げている日本の国際社会への期待にこたえる方途ではないかと思います。いずれにしましても、国際的評価を得られる援助実績を示すのには、どうしても財政的な裏づけが不可欠であろうと思います。
 そこで、我が国の財政は今大変ピンチでございますけれども、財政を預かる大蔵大臣として、この政府開発援助、ODAについて今後どのような決意で臨まれるかお尋ねしたいと思います。
#82
○国務大臣(竹下登君) これは多田さんのおっしゃいますように、我が国を取り巻きます国際情勢、これを勘案しますと、政府開発援助の果たす役割が最重要でございます。
 したがって、先ほど来行天局長との問答の中でも明らかにいたしておりますように、確かに特段の配慮をこの六十年度予算においても行ってきたわけであります。さらに、先般、OECDの閣僚理事会がございます直前、安倍外務大臣と協議をいたしまして、とにかくこの閣僚理事会においてやはり新しい目標を立ててこれに対応していくという、いわば前向きの発言をするということを、両者で合意をいたしたわけでございます。
 そうなると今度は、今まで倍増という目標があったわけでありますが、その倍増の問題は、今行天局長からもお答え申し上げましたとおり、これは私の理論でやりますと、あの当時の為替レートは非常に円高のときでございます。したがってあの当時の為替レートから見て、そしていま一つは、先ほどの議論のディスバースが、相手の都合でまだ支払い行為が行われていない問題がございます。それから、各種国際機関への増資とかいう場合に、最終的に決着した増資額と日本が申し出た増資額と申しましょうか、それとの差がございます、日本の申し出がいつも少し多いぐらいなところへいくわけであります。それを全部トータルすれば私は倍増しているんじゃないか、こういうことをよく国際会議等の合間にお話しするわけであります。いずれにしましても、新目標を立てるということになりますと、今度はそれが実現可能なものでありませんと後から恥をかくことになりますので、それらはこれから関係省庁間で詰めてまいります。
 何分、三年目がわかって四年目がぼちぼちわかってくることになりますので、したがって、六十一年度予算編成に当たりまして、それらのことを十分勘案して、目標もどの程度ということがきちんと出せるかどうかをも含めて検討してまいりたい。いずれにしても、多田さん御指摘の、最も重要な施策の一つであるという認識の上に立って対応していきたいというふうに考えております。
#83
○多田省吾君 昨年十月にOECDの開発援助委員会、DACが、日本の開発援助につきまして審査を行っております。その中で、日本のODA支出の量的な拡大を一方では評価しておりますが、他方では質の充実がさらに必要であるという指摘がなされているわけでございます。
 例えば、いろんな資料で調べてみますと、量では八三年に西ドイツを抜いて世界三位になった。アメリカ、フランスに次いで三位になったと言いますが、フランスは海外領土圏への援助も含めておりますので、実質的にはアメリカに次いで世界二位ということになるわけです。しかし、その内容を見ますと、贈与比率では五五%で十六位、技術協力の比率も一〇%で十四位だということです。また、DACの審査の報告の内容の一つに、質の充実の問題の中で、拡大しつつある援助計画の効果的実施のため十分な行政経費、定員を確保することの必要性が強調されております。これもいろんな資料を見ますと、実行部隊の要員が大変不足している。七四年から八三年まで約十年間でODAの実績額が三・三倍もふえたのに、実際の第一線の実行要員は一割しかふえないというようなことも指摘されておりますし、また政策立案担当者一人当たりのODA額を比較したところ、日本が三千四百八十万ドル、アメリカが三百三十六万ドル、イギリスが九十五万ドル、このように日本は大変人員も不足している。このことが援助のきめの粗さ、タイミングのおくれの遠因となっているのではないかと思われます。
 ODAの質の充実は、援助受け入れ国のためにも、また国民の税金を使っていることから考えましても、非常に重要な問題だと思います。政府は、このODAの質的向上に向けまして、援助の内容、援助計画の実施体制などについて、具体的な対応策をどのように考えておられるのか、御説明いただきたいと思います。外務省でもいいです。
#84
○説明員(太田博君) お答え申し上げます。
 ただいま多田先生御指摘のように、我が国のODAの最近の拡充につきましては、OECDの先ほどの開発援助委員会、これでも高く評価されているところでございますけれども、質の面につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、まだまだ国際的に比較いたしまして改善の余地があるものと思われます。先ほど竹下大蔵大臣からお話がございましたように、六十一年度から新たな中期計画をつくって我が国の開発援助の一層の拡充に努めていきたいということでございますけれども、その一環といたしまして、ただいま御指摘の質の拡充、これに努めていきたい、具体的には無償援助それから技術協力援助、これを拡充していきたいということで、大蔵大臣と外務大臣の間で合意がなされておりまして、今後我が国といたしまして一層の質の拡充に努めていきたいというふうに考えている次第でございます。
 多田先生御指摘の援助の実施体制の件でございますけれども、我が国はこれまでも、ただいま御指摘のような効果的な援助の実施、これを確保するために、例えば被援助国との各種の協議を通じまして、本当にどういうところに開発のニーズがあるか、これを的確に把握することとか、それから事前調査の充実、それから援助の評価、これの充実等を図ってまいっておりますけれども、今後とも一層こういう方面での努力を強化してまいりたいというふうに考えております。
 それから、特に実施要員の件でございますけれども、例えば六十年度の外務省予算におきまして、経済技術協力に必要な経費、これは対前年度比九・五%増を認められましたし、また定員につきましても十二名の増加の確保をいたしたところでございますけれども、まだまだ不十分な点が多々ございますので、今後とも各方面の御協力を得て一層の拡充に努めてまいりたいというふうに考えております。
#85
○国務大臣(竹下登君) 原則的には今外務省からお答えがあったとおりであります。質の面に関する国際目標をも勘案して、財政事情の許す範囲内で可能な限りの努力を行っていくという考え方でございます。
 ただ、私いつも感ずることでございますけれども、我が国は諸外国と比較した場合、主たる地域が、御案内のように対象地域が東南アジアの多くの国々であります。したがって、経済協力資金量の増大がその辺からも、いわゆる借款ベースで多くが毎度期待されておるわけであります。一方、英、仏等はアフリカの最貧国について、もとの宗主国であるわけでございます。したがって旧宗主国という立場でございますと、もとの英領とか仏領とか、そういうところへどうしても贈与という形になりがちでございます。我が方は借款ということは、私はある意味において若干の返済の痛みを伴う借款の方が、長い目で見てみますとかえって被援助国の自助、自立といいますか、そうしたことの心構えに役立つんじゃないか、こういう感じを絶えず私も持つわけでございますが、しかし質的な面、また今人的な面で外務省からもお答えがございましたが、その線に沿っては外務省と協議して最大限の努力をしなきゃならぬ課題だという問題意識は十分に持っておるところであります。
#86
○多田省吾君 これはODAに対する私の心配でございますが、一つは、アメリカに強制されて総合安全保障絡みのいわゆる戦略援助というものに陥りはしないか。これだと結局は平和に対する逆行のような姿になりますが、この点について大臣はどうお考えか。
 もう一つは、与党内でも種々この前論議があったそうでございますけれども、途上国の自立の問題に対して本当に役に立っているのかどうか。そのやはり援助の姿勢というものが大変気にかかるわけでございます。その二つについて大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
#87
○国務大臣(竹下登君) 我が方は、これはいわゆる国際機関を中心といたしました基本的に人道的な物の考え方をもって対応しておりますので、言ってみれば、戦略的な物の考え方の上でこのODAの活動を行っていくことは、これは避けていかなければならない基本原則だと考えております。
 それから、いま一つの問題につきましては、いわゆるフォローアップをいたしまして、今でも外務省の方で時には委託をされたりしてフォローアップを行われておるわけでございますが、実際の援助の実効がどのように上がっておるかということは絶えず、国際機関でありますならば国際機関にその役割、役目をお任せすることもございますが、バイの場合、二国間援助等の場合においては、そういうフォローアップは絶えず心がけて、実効が上がっている、そういうことを見きわめていくべき課題だというふうに、私も多田さんの心配と同じような心配をいたしておるつもりでございます。
#88
○多田省吾君 それから先週、世界銀行・IMF(国際通貨基金)合同開発委員会が開かれまして、一部発展途上国の反対もあるようでございますが、国際投資保証機構、MIGAの創設につきまして、おおむね決まったという報道がされております。
 そこで、その機構の内容と、一部発展途上国が難色を示している理由について、簡明に御説明いただきたいと思います。
#89
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘の国際投資保証機構は、目的といたしまして、開発途上国に対する投資を促進するため、いわゆる商業リスクでない非商業リスク、例えば収用であるとか戦争の危険等に対しまして保証を行うとともに、従来から存在しております各国の保証機構などと再保険契約を結んだりいたしまして、投資リスクの分散を図ろう、こういうことを目的としておるわけでございます。
 目下、世界銀行において検討中でございますので、まだ確たる構想というのは決まってないわけでございますけれども、目下言われておりますところでは、授権資本は十億ドルぐらいということで、機構としては世界銀行グループの一員であるけれども、法人格は世界銀行と別だ、こんなことが今考えられておるようでございます。
 先般の開発委員会で活発な議論が行われました。押しなべて申しますと、先進国の方は本構想に対して積極的でございます。それから開発途上国の中では意見が多少割れておりまして、一部に消極的な意見が見られたこともこれは事実でございます。
 そこで、なぜ一部の途上国がこのような構想に対して慎重であるかという点でございますけれども、考えてみますと、一つには、こういった国際投資保証機構のようなものができますと、外国からの投資とそれから国内での投資というものの間に差がついてしまうんじゃないかということから、本件に対して消極的な国も途上国の中には一部あったようでございます。それからまた、こういった機構ができますと、こういった機構に入った国に対しては非常に積極的に投資が行われるけれども、入らない国に対しては投資が行われなくなって不利なことになってしまうんじゃないか、そういった機関をつくるのはいかがなものかというような意味での消極論もあったようでございます。
 こういった途上国側の心配のために、先進国の方は先ほど申しましたように押しなべて本件に対しましては非常に積極的な立場をとっておるわけでございますけれども、一部の途上国はそういった配慮から、多少先進国と違って消極的な意見を持っておるところもあったようでございます。
#90
○多田省吾君 最近アメリカの景気が後退したという実績が発表されまして、四月十九日の東京の外為市場は一ドル二百四十六円台と、四カ月ぶりの円高ドル安になったわけでございます。しかし、一本調子の円高が続くとは思われませんので、このドル高修正の動きというものを大蔵当局はどのように判断されているのか、お考えがあったらおっしゃってください。
#91
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、二月下旬ごろまで非常にドルの独歩高という状態が続いておりました。このドルの独歩高は、いろいろな意味で、我が国を含めて世界経済に難しい問題を提起する原因の一つになっておったわけでございます。その意味で我々も、その動向については非常に憂慮しておったわけでございます。このようにドルの独歩高が続きまして、だれの目にも行き過ぎた水準に達したのではないかという感じがだんだん高まってまいりまして、これが三月の初めごろから、市場の動向あるいは心理にも具体的に影響を及ぼしてきて、徐々に今ドル高が修正をされてくるような局面に入ったわけでございます。たまたま御指摘のように米国の経済活動が、本年の第一・四半期予想以上にスローダウンしたというような数字が発表されたりいたしまして、それがこのドルの修正の動きにその意味では拍車をかけたというような事情はあったように思います。私ども、二月後半当時のドルの水準というものは、先ほど申しましたように、どうも行き過ぎておったのじゃないか、また、そのことが非常に世界経済全体に問題を投げかけておったのじゃないかというようなことから、このドルの独歩高が修正されていくという傾向は非常に歓迎すべきことであろうと思っております。
 ただ、それでは今後、どういうスピードでこのドル高の修正が一体どの程度行われるかということになりますと、為替相場の動きは非常に複雑多岐な要素でもって動いております。またアメリカ経済の動向も今後必ずしも非常に明らかというわけではございませんので、一部に心配をされておりますようなドルが暴落をするというような危険は、私どもは今の時点では余りないのではないかとは思っております。ただ、繰り返しになりますが、現在ようやく緒につきましたドルの修正の動きというのは、今後各国の経済のファンダメンタルズを反映した適正な相場関係を実現いたすまで続いていくということを期待しておるわけでございます。
#92
○多田省吾君 時間がありませんが、最後に一点だけ。
 政府は、市場開放策の切り札として、関税率の引き下げ時期や幅を政令で決める関税弾力化法の制定を検討し始めているという報道があります。また、対外経済問題諮問委員会報告書にもこのことが盛り込まれておりますが、この点について大蔵省の見解を伺っておきたいと思います。
#93
○政府委員(矢澤富太郎君) 対外経済諮問委員会の報告で、一定条件のもとに暫定税率を施行し得るような授権法についても検討する必要があるという御提言がございましたのは御指摘のとおりでございまして、また、七月末までに決定されます今後三年間のアクションプログラムの中でも、その検討の項目になっているわけでございます。
 私どもとしては、現在の段階は、どういう手順で検討していこうかということを考えている段階でございまして、先般ある新聞に記事が出ておりましたが、そういった具体的な検討にまではまだ入っておりません。しかしながら、アクションプログラムの中で検討するという項目に挙がっているわけでございますので、今後手順が決まり次第真剣に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
#94
○桑名義治君 私は、証券取引法の一部を改正する法律案について伺っておきたいと思います。
 諸外国、とりわけ市場としての活況を呈しているいわゆるシカゴ商品取引所などでは、金融先物は商品先物取引の一環として扱われているわけでございます。
 そこで、我が国におきましては、取引対象は当面長期国債であるというように先ほどから述べられておるわけでございますが、その取り扱いは、既存の証券取引所、それから法制面では今提案されております証券取引法の改正という形で今後行われるわけでございますが、取引対象となる長期国債は、有価証券でありますが、また金融商品でもあるわけでございます。その点からは、現行の商品取引との整合性の観点からの債券先物取引導入ということも考えられてしかるべきではなかっただろうか、こういうふうにも思われるわけでございますが、まずその導入に当たって、証券取引法の改正とした理由、さらには既存の商品先物取引とのいわゆる関連、その関連の上でどのように検討がなされたのか伺っておきたいと思います。
#95
○政府委員(岸田俊輔君) 今回導入しようといたしております債券先物取引は、証券取引法上の有価証券を対象とする取引でございまして、我が国では明治、大正、昭和にわたりまして証券取引所で債券の清算取引、これは先物取引と同じ意味でございますが、を行ってきたという歴史があるわけでございます。
 それからさらに、先物市場の運営のためには、これは毎日毎日損失その他を値洗いをするなど、非常に大規模なコンピューターシステムの設置が必要でございまして、そのほか市場開設に伴います諸設備、ノーハウ、人員等の既存の有価証券市場を活用することによりまして、事務処理のコストを低くするというような利点もございますので、証券取引所で先物取引を行うということが適当かと考えております。
 それから、法令的な問題でございますが、商品取引所で債券先物取引を行うことにつきましては、例えば商品取引所法では、取引の対象を物品と決めておりまして、「「商品」とは、品質が比較的均等であって大量の取引に適し、かつ、相当期間の貯蔵に耐える物品のうち取引の状況を考慮して政令で定める物品をいう。」というような形で、どうもこれは債券は入ってこないのじゃなかろうかなと。さらにまた、商品取引所法の八条でございますけれども、「何人も、先物取引をする商品市場に類似する施設を開設してはならない。」という規定がございますが、この「類似する施設」からは証券取引所は除かれておるわけでございます。また、五十七年に制定されました海外商品先物取引法におきましても、商品の中には、「有価証券、通貨その他これらに類するものとして政令で定めるものを除く。」というような形になっておりますので、商品取引所法自体は、証券は前提として対象外というふうに考えているというふうに理解をいたしているわけでございます。
 その結果、今度の先物取引につきましては、証券取引法で取り扱う債券として処理をいたしたいというふうに考えたわけでございます。
#96
○桑名義治君 そこで今度、標準物に対する考え方をちょっとお尋ねしておきたいと思います。
 証券取引所に上場が予定されております銘柄は、先ほどからも議論になっておりますが、いわゆる標準物ということになっているわけでございますが、標準物ということになるとこれは架空の商品になるわけでございまして、それを有価証券とみなして取引を行うということになっているわけでございます。
 この点につきましては、いわゆる証取審におきましても、代表銘柄方式でいくのか、あるいは標準物方式でいくのかということで大分議論が行われたようでございますが、結論としては標準物でいこう、こういうことに落ちついたようでございますが、ただ、外国の中でもシカゴなどでは、先ほど申し上げましたように、商品取引の一環としていわゆる金融先物が位置づけられている。そうなりますと、架空の標準物という銘柄は、いろいろるる説明がございましたが、商品取引の中で位置づけられた方がむしろベターではなかっただろうか、こういう気もするわけでございますが、標準物を有価証券とみなすことの妥当性をも、あわせてひとつ御見解を述べていただきたいと思います。
#97
○政府委員(岸田俊輔君) 債券の、証券の先物取引につきましては、先ほど御説明いたしましたように、証券取引所で行うのが適当ではないかというふうに考えております。その先物取引の対象となります国債について、取引の円滑化を図るため標準物を設けたわけでございまして、そういう意味合いにおきまして、これを国債証券とみなすということにいたしたいと考えているわけでございます。このように標準物は、証券取引所が国債証券に係る先物取引の円滑化に資するため、取引の対象として、利率、償還期限その他の条件を標準化したものでございます。そういう意味におきましても、証券取引法で規定をするのが妥当ではなかろうかというふうに考えております。
#98
○桑名義治君 そこで、この標準物についてでございますけれども、架空のものであるために、一体どういうものなのかという事柄が、先ほどからも議論があっておりますように、非常にわかりにくい。
 先物の売買取引の指標となるものであるとは思いますけれども、標準物の概念、さらにはその具体的設定の方法、さらには業務規程で定めることになっておりますいわゆる標準物と受け渡しの国債証券との交換比率、それから算定方法、こういった事柄について伺っておきたいと思います。
#99
○政府委員(岸田俊輔君) 国債の先物取引の対象といたしまして、現実に出ております代表銘柄というようなものを採用いたしました場合には、残存日数が期間の経過とともに短くなってまいりますし、それから、銘柄が入れかえられることによってクーポンレートもいろいろ変化をするというようなことで価格の継続性が失われやすいというような問題がございまして、取引の対象としては不便な面があるわけでございます。標準物は、このような問題点を回避して取引の円滑化に資するために、先物取引の対象となる国債について取引所が、利率、償還期限等の条件を標準化したものを導入して、これを標準物ということで扱うわけでございますが、その結果、売買の対象物が変化しないということで取引が非常に簡明になるという点、また諸外国においてもこの方式が採用されておりますことから、国際的にも通用する、外国人にも理解されやすいというようなすぐれた点があるわけでございます。
 これの具体的な条件でございますが、これは現在検討中でございます。ただ、諸外国の事例で見てまいりますと、米国のシカゴの商品取引所では、これは額面十万ドル、残存期間二十年、クーポンレート八%というものを使っているようでございます。またイギリスでは、額面五万ポンド、残存期間二十年、利率が一二%というようなものを使っております。我々も、これらのものを参考にいたしまして、これから今後検討していきたいというふうに考えております。
 また、標準物の取引の結果、現物のものを引き取る場合にどういう方式になるかというふうに申しますと、これは標準物と現実の国債との間の関係といいますか、標準の調整率表というものを作成して、具体的には、例えば標準物が八%のクーポンレートでございますが、例えば残存期間が七年でクーポンレートが八・五%というような場合には、標準物と現実との間の換算率、例えば一・〇二だとか〇・九だとかいうこの換算表ができるわけでございまして、これを見て現実のものを引き渡すという形にいたしているわけでございまして、この調整率表というのはまさにもう公開をいたしまして、そうしたすべてにわからせるような形になっているわけでございます。
#100
○桑名義治君 次は、先物市場が現物市場に与える影響についてお尋ねをしたいと思います。
 今回創設が予定されております債券先物取引は、言うまでもなく、債券価格の変動に伴ういわゆるリスクのヘッジを可能にするところにその意義が求められている、こういうことをたびたび先ほどから御説明になっておられるわけでございますが、この点について、証券取引審議会の提言では、先物取引が現物取引に比べて投機性が強いことから、先物取引の過度の投機が市場を攪乱するおそれが全くないとは言えない、こういうふうに言っておるわけでございますが、しかし、米国における検討では、現物市場の価格形成にとって中立的ないし安定的である、こういうふうにしているわけでございます。ただその場合に、現物市場はそれなりの厚みを持ち、また現物市場の効率的、競争的運営が確保されるということが、これが前提になるわけでございます。
 近年、我が国の公社債市場はその売買高も急速に伸びております。その中で、とりわけ今回の取引対象となる国債のウエートも大変に高まっているわけでございますが、果たしてアメリカのように中立的安定的に機能するのかどうか、大変に心配があるわけでございます。特に、アメリカではシカゴ商品取引所は既に十年の歴史を持っておりますし、さらにスペキュレーターと呼ばれる投資家の存在が取引を円滑に進める基礎になっている、こういうふうにも言われているわけでございます。
 これから発足する我が国におきましては、先物市場参加者も限られているもとで、果たしてアメリカのようにうまくいくのかどうか、こういう危惧をするわけでございますが、当局の見解を求めておきたい、こういうふうに思います。
#101
○政府委員(岸田俊輔君) 多様な取引を可能にいたしまして先物市場の厚みを増すためには、取引所の先物取引にアメリカのように個人等のスペキュレーターも直接参加させる方が望ましいというような考え方もあるわけでございますが、一方におきましてはやはり、先物取引というものの投機性から考えまして、社会的信用度や現物市場におきます経験も十分考慮して、直接参加者を制限していくべきだというふうに考える場合もございます。
 したがいまして、今回の証取法の改正に当たりましては、会員外の証券会社、これは外国証券会社も含むわけでございますが、そのほか証券業務の認可を受けた金融機関について、先物市場への直接参加の道を開くということにしたわけでございます。この場合、アメリカの場合でございますと、スペキュレーターが割合マーケットの厚みを加えているというわけでございますが、この日本のような制度をとりましても、直接参加者自体がマーケットメーキングについての十分な対応をすることが考えられるわけでございますし、さらに機関投資家や個人の投資家は直接参加者ないしは証券会社を経由いたしまして先物市場に参加することができるわけでございますので、市場は十分にこの制度で機能していくものと考えております。
#102
○桑名義治君 さらに、金融機関のいわゆるブローカー業務への進出のあり方についてお尋ねをしておきたいと思います。
 今回の法改正により、債券先物市場に直接参加できるのは、いわゆる取引所会員に加えて、ディーリング業務が認可されている金融機関等であるわけでございます。現行の証取法のもとでは、証券会社にしかいわゆるブローカー業務が認められていないわけでございます。
 そこで、債券を保有している事業会社などの機関投資家がリスクをヘッジするためには、いわゆる証券会社に売買の委託をせざるを得ない。そこで、公共債に限ったとはいいながらも、いわゆる金融機関等もみなし会員として市場に参加できることから、これら金融機関にもブローカー業務をという要請も出てくるのではないか、こういうふうに考えられるわけでございます。特にその要請は、国内からということもさることながら、みなし会員として参加していく、いわゆる自国で証券と銀行の垣根を持たない在日外銀から、そういう要請が強まってくることも一応予想をされるわけでございます。最近の金融摩擦の状況からも十分考えられることだ、こう思いますが、当局としては、金融機関のブローカー業務進出について、将来の問題をも含めてどのように考えておられるのか。さらに、仮に在日外銀からそのような要請があった場合にはどのように対処されるつもりか、あわせてお聞きをしておきたいと思います。
#103
○政府委員(岸田俊輔君) 先物市場への参入につきまして、関連いたしまして金融機関にブローカー業務をやらせるかどうかという点につきまして、これは非常に金融界、証券業界いろいろ意見のあるところでございます。こういう両業界の意見も踏まえまして現在での考え方でございますが、金融機関にも非常にブローカー業務を行う必要性について強い主張があることにもかんがみまして、債券先物市場が発足した後、その健全な発展を図る見地から前述のような必要性が生じた場合には、遅滞なく金融機関のブローカーとしての先物市場への参加について具体的な検討を行うということで考えているわけでございます。
 それから外銀の問題でございますが、ブローカー業務につきましては、国内の金融機関と全く同様に取り扱うというふうに考えております。
#104
○桑名義治君 そこで、先物市場直接参加対象金融機関の範囲についてお尋ねをしておきたいと思います。
 みなし会員として市場に直接参加できる金融機関は、先ほどからも答弁があっておりますように、現在ディーリング業務が認められているいわゆる金融機関、こういうふうになるわけでございますが、その数は現在三十七行である。ただ、先物市場創設によりましてリスクヘッジが可能となれば、参加を希望する金融機関が今後ともふえてくると思われます。で、近々ディーリング業務認可行をふやすとも聞いておりますが、その見通しはどうなのか、これが一つ。
 それからまた、その場合には、先物市場にみなし会員として直接参加できる金融機関は、ディーリング業務認可行であると考えていいのかどうか。この点は再度念を押しておきたいと思います。
#105
○政府委員(岸田俊輔君) 現在ディーリングの認可を受けております行数は、先生御指摘のように三十七行でございますが、三月末にさらにそれに地方銀行四十四、相互銀行一行加えまして、四十五行ということにいたすことにいたしております。
 それから、ディーリング認可を受けたのが直ちにすべて先物市場に参加できるかどうかという問題でございますけれども、これにつきましては、実際には、証券取引所がこれらの金融機関のディーリングの業務の内容とか能力その他を勘案いたしまして、さらにその中で一応の絞りをかけて考えるようになるかと思っております。
#106
○桑名義治君 そこで、今後の債券先物取引の見通しについて伺っておきたいと思います。
 この法律が成立後発足するいわゆる債券先物市場での取引対象は、当面、長期国債に限られるわけでございます。将来的には、債券のみならず、債券以外の金融商品も先物取引の対象となってくることが一応予想されるわけでございますが、その見通しについてはどういう見解を持っておられるのか。
 さらに、その場合には、今回提案されているような証取法改正だけでは無理だと思います。そこで商品先物取引全体の中での法制面の整備というものを、いや応なしに求められてくるのではないか、こういうふうに思われるわけでございますが、この点についての認識はどういう認識を持っておられるのか、これが二つ目です。
 さらに、先物取引の参加者は今回は限られていますが、市場の厚みを増して取引の需給をスムーズに行っていくためには参加対象者を拡大していくことも必要になってくると思われますが、この点についての御見解を伺っておきたいと思います。
#107
○政府委員(岸田俊輔君) 先物取引市場を今回創設したいという一番の要請は、やはり国債の発行残高が多くなってまいりましたし、そういうものの価格ヘッジが必要であるというニーズから創設を考えているわけでございまして、私どもとしましては、当面は長期国債を対象として考えていきたいというふうに考えております。しかし、こういう国債以外の金融商品等につきまして先物の取引の対象を拡大していくということにつきましては、これは将来の問題でございますので、今後の状況を見ながら、また、一般のニーズがどういうふうであるかということを見ながら、関係者間で検討をしていくことになるだろうというふうに考えております。
 それから、直接参加者の拡大の面でございますけれども、確かに今、市場の厚みをふやすためには直接参加者をできるだけ広げることが望ましいという一面もございますが、たびたび申し上げておりますように、一方におきましてやはり、こういう投機的な市場に参加しますのは、社会的に信用度がある、それから非常に現物市場でも経験の深いというような者を選んで認めるべきではなかろうかなというふうに私どもは考えておりますので、今回の改正では、ディーリングを認めました金融機関ということまでにとどめているわけでございます。一般の機関投資家や個人投資家は、証券会社を経由いたしまして債券先物市場に十分参加ができるように仕組みができておりますので、そういう形で先物市場に間接的に参加していただければなというふうに思っております。
#108
○桑名義治君 今いろいろと御答弁がございましたが、いずれにしましても、今からの金融の自由化という立場から考えた場合には、こういうふうに長期国債一本立てというような、債券一本立てというような先物取引市場が限定をされてそのまま固定化するということは、どうしても考えられない問題でございまして、今後どうしてもいわゆる金融の自由化という波をかぶってくれば、金融商品もこれ当然扱わなければならないような状況が生まれてくるのではないか、こういうふうにも私は思うわけでございまして、そういった立場を勘案しながら、今後これは大きな検討課題の一つとして取り組んでいく必要がある、こういうふうに思うわけでございますが、この点について大臣の御答弁を伺っておきたいと思います。
#109
○国務大臣(竹下登君) 基本的な認識は私も桑名さんと同じくしております。
#110
○桑名義治君 この際でございますので、東証会員権の問題について一点だけ伺っておきたいと思います。
 在日外国証券会社のいわゆる東証会員権問題についてでございますが、この問題につきましては日米円・ドル委員会でも取り上げられ、昨年十二月の山一系の三社の合併に伴う会員の空き枠処理の際にも、大きくクローズアップをされたわけでございます。空き枠処理につきましては、内外非会員に対して機会均等の原則のもとで行われ、結果的には外国証券会社の会員実現は見なかったわけでございます。その後、東証では、現在の八十三の定数枠を拡大する方向で検討も行われている、こういうふうに聞いておりますが、今後ますます金融の自由化が進展していく中で、当局としてはこの問題についてどのような認識を持っておられるのか。
 直接的には東証そのものの問題ではあると思いますが、この点についても伺っておきたいと思います。
#111
○国務大臣(竹下登君) これは桑名さんは経過的なことも全部御承知の上でお話しになったわけでございますが、外国証券会社の取引所加入につきましては、法律上も定款上も内国民待遇を与えておる。しかし、今御指摘のとおり、会員の定数枠にあきがないということで事実上加入が難しい。そこで円・ドル委員会等におきましても、日本はちゃんとニューヨーク市場の会員になっておって、それで外国の証券会社はこれになれないということについて、アメリカ側は大変な関心があったわけであります。それで、本来取引所の問題であり、会員が自主的に判断する問題でございますけれども、私が直接当事者であります東証に対して、内外の非会員証券会社が参加の機会を持ち得るように何らかの方途について制度改正をも含めて検討を行ってください、最初陳情じゃないかという気がしましたが、言葉の使いようによっては要請とは言えるんじゃないかなということで、要請をいたしました。
 それで昨年六月に、会員制度に関する特別委員会がその要請に基づいて東証でできまして、前向きの方向で検討しようと。十一月には、現行制度下での会員権の譲渡につき、従来と異なるオープンな形で譲渡先を決めることが望ましいというのが、まずまとまったわけです。それから、本年に入りましてさらに精力的な検討が行われて、三月開かれた第七回会合においては、正会員定数枠の拡大はやろう、そこまでは合意を見たわけであります。
 可能な限り早く会員間のコンセンサスが得られて、そういうことができることを私は期待しておるわけであります。確かに、合併して一つあきができましたときには、内心はかなり私は期待しておりましたが、何分、オープンにしましたものの、それぞれの条件の提示、入札みたいな感じでございますと、期待どおりにはいきませんでしたが、それらのことをも踏まえて、コンセンサスができることを今私は心から期待しておるところであります。日米円・ドル委員会でいろんな問題が進んできた。しかし、この問題は大蔵省の権限内の問題ではない難しさはございますけれども、やはり実現しなきゃならぬ課題だ。それは当然、そうなりますと、アメリカだけでなくということにはなってまいるでございましょうけれども、そういうことで前向きに逐次コンセンサスができておりますので、私は、ただ漠然と期待するんじゃなく、本当にそれを、実現可能性を含めて強く期待しておるというのが現状でございます。
#112
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十分開会
#113
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案及び証券取引法の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#114
○近藤忠孝君 私は、本日の二法案はいずれも反対の立場から若干の質問をいたします。
 最初に、証券取引法の今回の改正が現物市場への影響を及ぼすものでない、こういう説明をしております。その根拠としては、アメリカの財務省などの調査を根拠にしているんですが、私たち、いろいろその資料を見ましても、先物市場の存在が現物市場の価格を不安定なものにしているんじゃないか、それについては実証的にも理論的にも証拠がない、これが現状だと思うんです。安定化に作用するというのであるならば、その具体的な資料、根拠を示せというので大分資料要求をしたんですが、出てこないわけですね。こういう状況のもとで、安定化の方なんだと言ってこれを進めることが果たして妥当かどうか、この点どうですか。
#115
○政府委員(岸田俊輔君) 先物取引が現物市場に対しまして安定的かどうかというのは、理論的にはなかなか大変難しい問題で、むしろ実証的に証明するより仕方がない。ただ私どもは、まだ市場が開かれておりませんので、参考にいたしますとすればアメリカないしイギリスになるのではなかろうかなと。
 先ほど先生の御指摘がございましたが、アメリカにつきましては、昨年の十二月米国の国会に提出されました、連邦準備制度理事会、証券取引委員会、それから商品先物取引委員会の共同調査でございますけれども、それによりますと、「先物取引及びオプション取引の経済に及ぼす影響に関する調査」という中で、先物取引は現物市場の価格形成にとって中立的ないし安定的であるという実証分析の結果が示されているわけでございます。
#116
○近藤忠孝君 そういう指摘の部分もありますけれども、その後の方では、「これらの分析も決定的なものであると考えることはできない。最も重要なことは、行ったテストが、任意に抽出したある期間における市場内でのスペキュレーターの行動による投機的で実体のない価格形成の可能性を排除する「力」に欠けていることである。」、こういう指摘もあるんですね。私は、こういう実態のもとで先物取引の場を広げることは金融投機の場を拡大することになる、そういう点ではまだまだ調査が不十分な段階じゃないか、こう思うんですが、どうですか。
#117
○政府委員(岸田俊輔君) 先生御指摘のように、先物取引は、一方においては価格ヘッジといいますか、そういう機関投資家のヘッジ機能があるわけでございますが、相対でといいますか、そのとき相手は確かに投機的な動きがあるわけでございまして、全く投機的な動きがこの取引にはないというわけにはいかないんだろうと思います。そこで私どもは、過度の投機が市場を攪乱するおそれをなくするために、いろいろ制度の構築につきましては十分考慮をしていきたいというふうに考えております。
 具体的には、まず証拠金の制度を制度化いたしまして、そのほか、毎日毎日の損失を値洗いをいたしましてそこで決済をするとか、それから値動きにつきまして変動が多いときには注意をいたしますとか、そのほか先物取引自体がリスクのあるものであるということを周知徹底させて、PR活動に努める、ないしは市場の監督を十分にやっていくというような諸点につきまして、十分配慮してまいりたいと考えております。
#118
○近藤忠孝君 十分配慮するといいましても、やっぱり制度的にはまだまだ不十分だと思うんですね。この点、アメリカではかなり日本より進んでいると思うんですが、通貨監督官通達によって、商業銀行については、先物市場利用に当たってヘッジを目的としたものであること、また利用目的を示した計画書を通貨監督官に提出し、いずれも承認を得ることなど、厳しい制約があると思うんです。その制度の問題は、もう時間がないので答弁を求めませんけれども、しっかりした制度があるわけですね。私はそれに対する一般的な証券局としての監督あるいは規制が大事だと思うんですが、そういう立場から、アメリカの制度等の関係で、日本でどうするのかという問題。
 それからもう一つは、銀行局長にお伺いしますが、投機的な側面は否定できないという答弁があったわけで、しかもリスク回避と投機の区別はまたあいまいだと思うんです。こういうところに公共的な性格を持つ銀行がいわば投機に入っていくといいますと、投機に失敗して経営悪化を来す可能性もあるし、また預金者保護という立場からも大変問題もあろう。こういう点で、特に金融機関に対して今回のこの先物の点に関してどういう態度で臨むか、それぞれお答えいただぎたいと思います。
#119
○政府委員(吉田正輝君) ただいまの御質問でございますけれども、銀行は、先生御承知のとおりでございますとおり、投資勘定をもちまして債券へ投資しておる、それから商品勘定をもちましてディーリングを行っているというものがふえてきておるわけでございます。債券の引き受け自体は、これはまた国債引受シ団を結成いたしまして、かなりのものを保有しているという立場にあるわけでございまして、そういう金融機関が投資した国債あるいはディーリングに伴うリスクをヘッジする手段が、この債券先物取引が認められることによりまして導入されることになりますので、基本的には銀行の健全性強化に資することができるというふうに考えております。
 しかし、今証券局長が申しましたような、過大な先物取引を行ったり、あるいは投機性の強い取引を行ったりするようなことになりますれば、銀行等の健全性を阻害するおそれがございます。銀行行政は預金者保護が究極の目的でございますので、そのようなことになります場合には、そのようなことのないように私どもも心いたして監督し、必要があれば規制措置を講ずることもあり得るというふうに考えておるわけでございます。
#120
○近藤忠孝君 じゃ、時間がないので次に進みます。
 もう一つは、今回のは取引単価が一億円、それから証拠金の最低限が設けられるということで、一般の大衆投資家は当面参加させないということですが、先物市場はゼロサムで、また一般大衆投資家が金融政策や金利動向を予測することは困難だと思うんですね。ですから、一般投資家が参加すれば、多大の損害をこうむることになりかねない、こういう面があると思うんですが、その点どうでしょう。
#121
○政府委員(岸田俊輔君) 先物市場の厚みを加えるために参加者を広げていくということも重要でございますし、また先生御指摘のように、投機的な一面があるということもあるわけでございますので、両サイドを考えまして、制度その他の構築につきましては配慮してまいりたいというふうに考えております。
#122
○近藤忠孝君 じゃ、あと残された時間、IFCの問題について質問します。
 まず、基本的な性格ですが、これは先ほど来議論されておりますように、発展途上国への民間直接投資を促進する触媒機能を果たすというぐあいに位置づけられています。この触媒機能を果たすというのは一体どういうことなのか、これについてまず御説明いただきたいと思います。
#123
○政府委員(行天豊雄君) IFCは、御承知のとおり、民間の投資家と協調いたしまして途上国の民間企業に投融資を行うことを原則としておるわけでございます。当然、このIFCが対象のプロジェクトにつきまして選定、審査を行うわけでございますから、民間の投資家といたしますと、世銀グループの一員であるIFCがそういう審査を経て選定をした対象であるから、これは民間の経営の判断からいっても乗り得るそういういいプロジェクトであろう、こういうことで結果的に、先ほども申し上げましたとおり、IFCがみずから使えます資金の数倍に及ぶ民間資金が動員されて途上国におけるプロジェクトが実施に移される、こういう形になるわけでございます。
 私ども、こういうふうに、少ない資金でもって非常に多くの民間資金を動員する、そういう機能のことを触媒機能というふうに呼んでおるわけでございます。
#124
○近藤忠孝君 この触媒機能が発展途上国に対する民間資金の流入を促進するものということですが、私は、そのこと自身をけしからぬと断定するほど短絡的には物を申すつもりはないんですが、問題は、IFCが途上国の望むような民間資金の流入を図っているかどうかという点なんです。
 この点で、途上国の大企業、特に先進国から進出した外資系の企業に投融資が集中されておるということ、このことが問題じゃないか。そして、その関係で民間銀行が協調融資で大きな金融収益を上げるてことして利用されている、そういう点でやっぱり問題じゃないか。その二つを絡めて、その点どうですか。
#125
○政府委員(行天豊雄君) IFCは協定上、十分な民間資金が妥当な条件で得られると認められるときは融資を行ってはならないというふうに規定されておるわけでございます。これは具体的にどういうことかと申しますと、非常に規模の大きい、かつ信用力のある先進国資本の大企業が行うようなものについてはIFCは原則として投資対象にはしないんだ、そういう立法の趣旨がそこにあらわれておるものと考えられるわけでございます。
 また、現にこの運用を見ておりましても、IFCが投融資を行います場合には、当該途上国におきます民間資本育成という観点から、必ず地元の資本が参加している企業を投融資対象として選定しておることとしておりまして、一〇〇%外資による企業に対しましては投融資を行わないというルールになっておるわけでございます。
 現に、例えば最近時点でございます一九八四年度につきましてIFCの投融資の実績を見てみますと、四分の三は、当該途上国の地元資本が五〇%以上の資本出資を行っている、そういう企業に対して行っておるわけでございます。
 したがいまして、IFCの融資がいわゆる国際的な大資本のために行われておるというのは、当を得た解釈ではないのではないかなというふうに思うわけでございます。
#126
○近藤忠孝君 次に、協調融資に関してでありますが、ウットケ副総裁が二月に来日しまして、その記者会見でこう言っております。
 昨年は、IFCと先進国の商業銀行による協調融資の中で、商業銀行からの融資がIFC独自の投資を上回った。商業銀行が途上国への単独融資を渋る中で、IFCとの協調融資の有利さが確認されたと見てよい。というのは、IFCは銀行から協力を得る際銀行に対し一定の保護的措置を講じているからだ。
 こういう発言をしておるんです。ここで言う、銀行に対し一定の保護的措置、これは大体どういうものなんでしょうか。
#127
○政府委員(行天豊雄君) IFCの行います投融資につきましては、いろいろな点から債権保全のための措置が講ぜられておるわけでございます。したがいまして、IFCと協調して資金を供給いたしました民間銀行につきましても、これのいわば恩恵を受けて当該銀行の債権についても、そうでない場合に比べますと、債権保全の面でのより手厚い手当てが結果的になされるということになるのではないかと思います。
 具体的に申しますと、IFCは御承知のとおり、生産的な民間企業に対して投融資を行うわけでございますけれども、その際世界銀行などと違いまして借入国の政府の保証は求めておりません。そのかわり、そのプロジェクトが健全性あるいは収益性というような観点から十分採算の合う将来性のあるものであるということを十分審査の上決定をしておるわけでございますし、また必要に応じまして、銀行の保証であるとかあるいは物的な担保であるとかいうことも微求できるようになっております。また、IFCの場合は設立の協定、これは国際条約になるわけでございますが、に基づぎまして、IFCの財産とか資産というものはあらゆる形式の行政上または立法上の強制処分から免除されるという国際的な約束のもとに行われておるわけでございます。したがいまして、IFCの投資等につきましては従来とも、接収というような事例はほとんどなかったと思います。仮に国有化というような事態が起こりましても、その場合には事前に当該国とIFCの間で十分協議が行われまして、IFCの出資分について補償が行われるというような形で、IFCの利益が損なわれないようなそういう手段が構ぜられておるわけでございます。したがって、こういう国際的に認知され、その意味で保証を受けておるIFCとの協調融資ということによって、民間の銀行もそれなりの債権の保全についての利益を受けておるというふうに考えられると思うわけでございます。
#128
○近藤忠孝君 そうすると、ここで言う保護的措置というのは、結局、取り立ての方は大丈夫です、お任せしなさいというようなことになるかと思うんですね。
 そこで次の問題ですが、その協調融資ですが、相当の金利だと思うんです。ドルでの貸し出しで一三%前後、ドイツ・マルクで一〇%、日本円で一〇から一一%という状況だと思うんです。この点について、これは第三十九回の世銀総会でクローセン総裁がこういう演説をしています。
 低所得の途上国に対しては、適切な条件の国外資金の着実な流れが不可欠である。これらの諸国が最も必要としているのは、ほとんどの場合譲許的融資である。譲許的条件による対外援助の絶対的不足がある。
 こういう指摘があるわけですね。確かに協調融資は伸びている。しかしこういう状況は、今のクローセン総裁の演説などを聞いていますと、結局途上国を援助するというよりはむしろもうけの対象にしているという、そういう状況を物語っているのじゃないか、こう思いますが、どうです。
#129
○政府委員(行天豊雄君) 確かに、途上国の経済開発のためには御指摘のような譲許的資金の流れをもっと太くするという必要があることは、もうこれ当然でございまして、世界銀行あるいは国際開発協会、IDAと呼ばれている機関等は、そういう意味でいわゆる市中金利よりはより譲許された条件での融資を行っておるわけでございます。
 ただ、IFCにつきましては、そもそもの設立の目的が生産的な民間企業に対して、かつまた民間資金を世界的な規模で活用する、そういう触媒的役割を果たそうということでございますから、この金利条件につきましては、民間条件より余りにいいものでございますと、結局民間資金が流れないで需要がみんなIFCに固まってしまうということになるわけで、設立の本来の目的にむしろかなわないということになってしまうわけでございます。したがいまして、御指摘のとおり、IFCの場合はその金利条件の設定につきましては、譲許的ということよりは、むしろ一般のそのときにおける民間の市場金利というものを勘案して決めておる、むしろ金利譲許よりは、先ほども申しておりますように、プロジェクトの選定あるいは将来の債権の保全というような面で、他の民間資金を活用するそういう助けになろう、これがIFCの主たる目的であろうかと考えます。
#130
○近藤忠孝君 もう時間が来てしまったので、あと最後に一つだけお聞きしたいのは、今問題は融資や援助が世界でどうあるべきかということだと思うんですが、そこで思い起こされるのは、アフリカにおける食糧不足、飢餓問題だと思うんです。大変な資金と食糧を要求されているという状況だと思うんです。
 ところで、ことし二月に世銀のパリ会議で、世銀サブサハラ特別基金の設立が合意されたわけであります。これについての日本の態度は、拠出国じゃなくて特別協調融資ということですね。大体先進国はそうなっています。アメリカに至っては、それさえもしていないという。どうしてこういう状況になっているんだろうかということが一つ。
 最後に、大臣にお聞きしたいのは、大きな流れの問題として、こういうアフリカ諸国に対して、無償資金供与や緊急の人道的立場からの援助、これをこそ強化すべきじゃないか。ちょっと時間がないので大分短絡した御質問ですけれども、頭のいい大臣ですから、それをとらえてひとつお答えいただきたいと思います。
#131
○国務大臣(竹下登君) 食糧危機に悩むアフリカ、サブサハヲですね、等に対する無償資金による緊急援助が必要だ、このことは私もよく承知しております。
 そこで、ただ私ども、基本的な考え方といたしまして、人道上の問題であることはもとよりでございますけれども、やっぱり開発途上国のいわゆる自助努力を推進していくという物の考え方に立った場合に、もちろんいわゆる借款金利とか、あるいは贈与比率とか、そういう問題も逐次上がっておりますけれども、特にアジアなんかに対しましては、私どもは借款の形で自助努力をむしろ結果として慫慂しておる、そういう態度をとっておるわけであります。例えば我が国における、アジアのみならず、開発途上国向けのいわばそうした借款にいたしましても、アンタイドの比率なんていうのは大変高くなっておるわけでございますから、そこに一つの姿勢があらわれておるのではなかろうかというふうに私は考えておるところであります。
#132
○政府委員(行天豊雄君) アフリカ特別基金に対する我が国の特別協調融資の問題でございますが、御承知のとおり、我が国は既に第二世界銀行、IDAの第七次増資に際しまして出資のシェアを大幅に引き上げたということもございますし、それからまたアフリカ開発銀行に対しましても、域外国として現在第二位ということで、大きな貢献を行っておるわけでございます。
 そういう意味で、国際機関を通ずるアフリカに対する援助については、従来とも非常に一生懸命やっておるわけでございますが、二国間の援助につきましては、最近非常に拡充を図っております、今大臣からもお話しございましたように、食糧援助等いろいろ拡充を図っておりますけれども、まだこれを強化する余地があるのではないかというようなことで、今回のこのアフリカ特別基金につきましては、直接拠出という形ではなくて、我が国の二国間の援助をこの基金の援助と最も効率的に協調させることによって相手国の経済開発に資そう、こういうことで決定をさせていただいたわけでございます。
#133
○近藤忠孝君 外務省、終わってしまったので、失礼しました。
#134
○委員長(藤井裕久君) 他に御発言もなければ、両案の質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#135
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないものと認めます。
 それでは、これより両案の討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより両案の採決に入ります。
 まず、国際金融公社への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#136
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、証券取引法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#137
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹田四郎君から発言を求められておりますので、これを許します。竹田四郎君。
#138
○竹田四郎君 私は、ただいま可決されました証券取引法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合、参議院の会及び新政クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    証券取引法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一、債券先物取引の対象が長期金利の中心的指標とされる国債であることにかんがみ、過度の投機性を助長することのないよう配意するとともに、現物市場の条件整備を図りつつ、先物市場が現物市場の価格形成の安定化要因として機能し得るよう諸般の措置を講ずること。
 二、先物取引制度及びその対象物件である標準物についての知識の十分な普及を図るとともに、標準物取引に関し、必要な事項について投資家に対する迅速かつ明確な情報が提供されるよう努めること。
 三、証拠金の最低限度額の設定に当たっては、投資者保護の観点に留意しつつ、先物取引のリスク負担に耐えられる資力を有する一般投資家についても価格変動リスクをヘッジすることができるよう配意すること。
  右、決議する。
 何とぞ皆様の御賛同をお願いいたします。
#139
○委員長(藤井裕久君) ただいま竹田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#140
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、竹田君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、竹下大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。竹下大蔵大臣。
#141
○国務大臣(竹下登君) ただいま証券取引法の一部を改正する法律案につき御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
 ありがとうございました。
#142
○委員長(藤井裕久君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#144
○委員長(藤井裕久君) 次に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び登記特別会計法案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
#145
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました日本開発銀行法の一部を改正する法律案、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び登記特別会計法案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 最初に、日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 金融自由化の進展、厳しい財政事情、民間活力活用の要請等の政策ニーズの変化など政府関係金融機関をめぐる環境の変化に対応して、日本開発銀行及び日本輸出入銀行についても量的補完から質的補完への転換を図り、経済社会の新しいニーズにこたえ得るようその機能の整備を行うこととし、ここに日本開発銀行法の一部を改正する法律案及び日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案を提出した次第であります。
 まず、日本開発銀行法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、産業構造の知識集約化、情報化に伴って、技術開発の国民経済的重要性が増大していることにかんがみ、産業の開発及び経済社会の発展に寄与する高度で新しい技術の研究開発等に必要な資金を貸し付けることができることといたしております。
 第二に、技術開発、都市再開発の促進等国民経済的に緊要な課題に対応するため、高度で新しい技術の研究開発等産業の開発及び経済社会の発展に寄与する事業で政令で定めるものに対し出資できることといたしております。
 第三に、財政事情が近年特に厳しさを加えてきた状況にもかんがみ、日本開発銀行の長期的な財務基盤を損なわない範囲内で財政協力を行うこととし、法定準備金の積立率を千分の七から千分の三に引き下げ、国庫納付金の増額を図ることとするほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 次に、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、海外直接投資の円滑化を図る観点から、本邦法人等の出資に係る外国法人に対する貸し付け等ができることといたしております。
 第二に、民間資金の活用による対外経済交流の促進を図る観点から、民間金融機関のみが行う海外直接貸し付けの場合、すなわち、輸銀協融以外の場合等においても日本輸出入銀行が債務の保証を行うことができることといたしております。
 第三に、日本開発銀行法改正案と同様の観点から、日本輸出入銀行の法定準備金の積立率を千分の七から千分の三に引き下げることとするほか、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 次に、登記特別会計法案につきまして御説明申し上げます。
 登記申請、登記簿謄抄本の交付申請等の逐年の増加に対処するため、早急にコンピューター化を図るなどその処理体制について抜本的な改革を講ずることが必要となっております。このため、登記所に係る事務の遂行に資するとともに、その経理を明確にするため、特別会計を設置し、これを一般会計と区分して経理することが適当と認め、この法律案を提案することといたした次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 まず、この特別会計は、登記所に係る事務に関する経理を行うことを目的とし、法務大臣が管理することとしております。
 次に、この特別会計は、郵政事業特別会計からの登記印紙に係る受入金その他の収入をもってその歳入とし、事務取扱費その他の諸費をもってその歳出とすることとしております。
 その他、この特別会計の予算及び決算の作成及び提出に関し必要な事項を初め、一般会計からの繰り入れ、剰余金の繰り入れ、借入金の借り入れ等必要な事項を定めることとしております。
 以上が、日本開発銀行法の一部を改正する法律案、日本輸出入銀行法の一部を改正する法律案及び登記特別会計法案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#146
○委員長(藤井裕久君) 以上で三案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 三案の質疑は次回に譲ることといたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時十四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト