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1984/06/06 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第15号
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1984/06/06 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第15号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第15号
昭和六十年六月六日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月三十一日
    辞任         補欠選任
     増岡 康治君     川原新次郎君
     福田 宏一君     倉田 寛之君
 六月一日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     岩動 道行君
 六月四日
    辞任         補欠選任
     矢野俊比古君     安孫子藤吉君
 六月五日
    辞任         補欠選任
     安孫子藤吉君     矢野俊比古君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         藤井 裕久君
    理 事
                伊江 朝雄君
                大坪健一郎君
                藤井 孝男君
                竹田 四郎君
                桑名 義治君
    委 員
                岩動 道行君
                梶木 又三君
                倉田 寛之君
                下条進一郎君
                中村 太郎君
                福岡日出麿君
                藤野 賢二君
                宮島  滉君
                矢野俊比古君
                吉川  博君
                赤桐  操君
                大木 正吾君
                鈴木 和美君
                鈴木 一弘君
                多田 省吾君
                近藤 忠孝君
                栗林 卓司君
                青木  茂君
                野末 陳平君
   国務大臣
       大 蔵 大 臣  竹下  登君
   政府委員
       大蔵政務次官   江島  淳君
       大蔵大臣官房長  西垣  昭君
       大蔵省国際金融
       局長       行天 豊雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        河内  裕君
   説明員
       外務省中南米局
       中南米第二課長  赤沢 正人君
       外務省経済協力
       局政策課長    須藤 隆也君
       外務省経済協力
       局国際機構課長  榎  泰邦君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る五月三十一日、増岡康治君及び福田宏一君が委員を辞任され、その補欠として川原新次郎君及び倉田寛之君が選任されました。
 また、去る一日、川原新次郎君が委員を辞任され、その補欠として岩動道行君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(藤井裕久君) 次に、米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。竹下大蔵大臣。
#4
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、別途本国会において御承認をお願いしております米州投資公社を設立する協定に基づき、我が国が米州投資公社に加盟するために必要な措置を講ずることを目的とするものであります。
 米州投資公社は、ラテンアメリカ地域の加盟開発途上国の主として中小規模の民間企業に対し投融資を行い、もって当該国の民間経済活動の促進等に資することを目的とする地域開発金融機関であり、米州開発銀行の活動を補完するものとして、一昨年十一月、資本金二億ドルをもって設立することについて合意が成立したものであります。米州投資公社の行う投資が呼び水となり、ラテンアメリカ地域に対する民間投資が活発化することは、累積債務問題解消のため歓迎すべきことであり、またこれら諸国と我が国との友好関係の増進にも資するため、政府といたしまして、同公社の設立に当たりこれに加盟することとし、本法律案を提出した次第であります。
 法律案の内容は、加盟に伴い、政府が同公社に対し六百二十六万ドルの範囲内において出資ができることとするほか、予算で定める金額の範囲内において追加出資ができることとするものであります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#5
○委員長(藤井裕久君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○竹田四郎君 この公社をつくるということが、実は余りよくわからないわけであります。
 世界銀行については、今国会でもやりましたように、IFCというのがあるということはなるほどそのとおりでありますけれども、他の地域的な国際金融機関にはこのような公社というものがないし、また恐らく設立の必要もなかろう、こう思うのであります。また、アメリカ開発銀行ももう設立からかなりの年数がたっているわけでありますけれども、今までこの二十年間という間に開発銀行で処置をしてきたわけでありまして、特にここで急にこうした公社をつくらなければならないということは一体どういうことなのか。特に今、中米地域における政治情勢というのは、まさに一触即発という激動の時代、そうしたサンディニスタ革命というものがあちらこちらで火を噴いているわけであります。
 そういう時期に特にこういうものをつくらなくちゃならないという理由というようなものが余り明らかでないわけでありますけれども、その付近を明らかにしてほしいと思います。
#7
○政府委員(行天豊雄君) 委員御指摘のとおり、
お願いをいたしております米州投資公社の目的は、中南米地域におきます主として中小規模の民間企業の育成を図っていこうということでございます。
 確かに、中南米地域につきましては、米州開発銀行という地域開発金融機関がございまして既に活発な活動を行っておるわけでございますが、この米州開発銀行は、原則といたしまして、政府保証のついた政府機関であるとかあるいはその他の企業に対する融資を行うということでございまして、今申しましたようなそういった政府保証のないような中小規模の民間企業に対する投融資を行うという機能がないわけでございます。
 なぜ今ごろそういう必要が急に起こってきたのかという御指摘でございますが、中南米地域は、御承知のとおり非常に国の状況が異なっております。大きな国もございますし大変小さな国もございますし、地理的に申しましても、大陸にある国とそれからカリブ海にございます非常に細かい国も多いわけでございまして、そういった状況の違いというのが非常に大きかったわけでございます。最近は特にこの中南米地域は、いわゆる債務累積問題という国際的にも非常に大きな関心を呼んでおります問題を抱えておりまして、この中南米地域全体として何か将来の経済発展について新しいアプローチと申しますか、戦略を考える必要があるだろうということがここ数年間、中南米地域の人たちの、またその域外の我々も含めましての関心の的であったわけでございます。
 そこで、今お話ししましたように、一つのやはりそのアプローチとしては、従来ともすれば忘れられがちであった中小規模の民間企業というものを育成していく、また特にそれに対して域外からの資金導入を図っていくというようなことで、多少なりとも中南米諸国が本当に市場経済原則に基づきました自立、それによる例えば債務問題の解決のための地力をつけるというようなことが必要であろうということが一つのコンセンサスとして生まれてきた、こういうことが私は恐らくこの米州投資公社をつくろうという動きの背景にあったのではなかろうかと思うわけでございます。
 委員御指摘のとおり、それでは、米州開発銀行の協定を改正してそういう業務が行われるようにしたらいいではないか。現に、アジア開発銀行とかアフリカ開発銀行、地域の同じような開発機関の場合は、実は当初からこういった機関がそういう投資活動等を行えるような仕組みになっておるわけでございます。米州開発銀行が当初そういう権能を与えられていなかったということは御指摘のとおりでございまして、それがうかつであったのではないかという御指摘は確かに拝聴すべきだと思いますが、現実の問題として米州開発銀行にはそういう権能が与えられていなかった。確かに、協定を改正してそういう権能を付与するということは、これは技術的に可能だと思います。ただ、率直に申しまして、協定改正というのはなかなかこれは難しい問題でございます。現に米州開発銀行の場合でも、協定を改正いたす場合には、総務つまり加盟国の半分以上で、かつ投票権で申しますと七五%の賛成が必要だという非常に厳しい条件がついておるわけでございまして、米州開発銀行に加盟はしておりましても、米州開発銀行の権能をそういうふうに拡大変化するということについては必ずしも全員が賛成しているわけではございません。
 それともう一つは、先ほど申しましたように中米地域の新しい経済開発戦略を打ち出していこうということから考えますと、既存のものの性格変更というよりは、新しい機関をつくった方が、それなりに対外的な効果からいいましてもより効果的なんじゃないかというような配慮から、この米州投資公社という新しい国際機関をつくろうということで大方の合意が成立したというふうに理解をしております。
#8
○竹田四郎君 一つできたものを変えるというのは、おっしゃるように確かに、世界の国々にいろいろな考え方があるわけでありますからなかなか難しいにいたしましても、実際仕事をやるのは今までのIDBですか、ほとんどここでやる、上の方の決定機関が違うだけで実際の仕事はそこでやるわけですね。そうしてみると、新しい機関をつくったからうまくいくというものではないだろうと思いますし、また基金の量、あるいは資金運用の総額にしても、だんだん大きくはなっていくでしょうけれども、開発銀行に比べれば少ないわけですよね。
 そういう点から見れば、むしろ、若干いろいろ問題はあるにしても協定を変えていく、そういう方がより効率的じゃないか、こう思うんです。
 二億ドルの基金でありますから、これを運用しても十倍くらいの運用ということになりましょうか、そういうことで、あの地域全体に占める中小企業の育成ということをおやりになるには、恐らく今度のこの協定でもかなり有名な大きな国が実は入っていないわけですよね。そういう点では、今後のこの公社の運営というのが果たしてうまくいくかどうか。しかも、かなりの紛争を抱えているし、経済的な格差もいろいろあるということになると、果たしてうまくいくかどうか。あるいは資金の返済等の問題についても、より問題が出てくるのではないだろうか。こういうふうに思われるわけですが、そういう点はどうなんでしょうか。
#9
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、新しい機関をつくりましても、できるだけ経費がそれだけかさむというようなことを避けるため、つまりコストを節減するために、既存の米州開発銀行の事務局その他のノーハウをできるだけ使っていこうということは、まさに御指摘のとおりでございます。ただ、先ほど申しましたように、プロジェクトを選ぶ、それからあるいはその審査をするという作業をとってみましても、米州開発銀行と、それから今お願いをしております投資公社の対象としております分野というのは、かなりそこには違いがあるわけでございますので、確かに物理的には米州開発銀行の持っております施設なり何なりを使うということではございますけれども、一つの何と申しますか、経営の判断の仕組み、あるいは実際にそれを履行していく仕組みというものは、やはり独立して一つの組織をつくった方が設立の目的にはより有効であろうという判断があるわけでございます。
 御承知のとおり、このお願いしております投資公社の方は、組織といたしましても、例えば執行委員会というものをつくって、そこでは、域内の途上国から二名、域内の最大の拠出国である米国一名、それから域外国の代表が一名という四人が五〇%、二五%、二五%というようなつまり影響力でもってまずプロジェクトの粗ごなしをしていこうというようなことも考えられておりますし、それから日々の運営につきましては、ゼネラルマネジャーと言っておりますけれども、何と申すのでございましょうか、総支配人と申すのでございましょうか、日々の仕事をできるだけ効率的にやっていくような、そういう組織と申しますかポジションもつくろうというふうに、公社が目的としております、小さな企業を相手にしたきめ細かい仕事ができるだけ公正かつ迅速に行えるようなそういう工夫もなされておるわけでございますので、その点はやはり、新しい一つの組織をつくった方がより有効なのではないかなという考えは、当たっているのじゃないかと私ども考えておる次第でございます。
#10
○竹田四郎君 日本だけの意見で設立されたわけじゃございませんで、各国の思惑もその中には当然入っていることでしょうから、それ以上はこの問題は申し上げませんけれども、アメリカ開発銀行へ加盟している国がこちらにも原則的には入ってくるというような大体の原則のように思うんですけれども、しかしこの中でやはり、かなり今度入ってない国が域内でもあるわけですね。特にカナダなどという国はかなり大きい国ですし、米州機構の中においても私はかなり大きな発言権を持っている国だろうと思うんです。
 カナダあたりが一体どうして入ってこないのか。域外国の遠い国は利害関係が少ないというこ
とで入らないところもあるいはあるかもしれませんけれども、カナダの場合には私はかなりの利害関係があると思うんです。そういう国が入ってないという理由は一体どこにあるんですか。
#11
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、この母体でございます米州開発銀行は、現在のところ域内の加盟国が二十七カ国、それから域外の加盟国が十六カ国、合計四十三カ国が加盟国となっております。それに対しましてこの投資公社の方は、現在までに原加盟国として参加しようという意思を明らかにしておりますのが、域内から二十五カ国、域外から九カ国、合計三十四カ国ということで、確かに委員御指摘のとおり、米州開発銀行よりは加盟国の予定数が現在では多少減っておるわけでございます。域内では現在のところカナダとそれからスリナムという二カ国が、IICつまり公社の方には加盟の予定がないということになっております。
 実はなぜカナダが、域内で非常に有力な先進国でありながら投資公社には加盟しないのかという御質問でございますが、率直に申しまして私どもも非常にこれは残念なことだと思っております。カナダが現在のところ公社に加盟を予定していないという事情は、これは人の国のことでございますので余り立ち入った憶測をしてはいけないのかと思うのでございますけれども、その点をお許しいただきますならば、実は現在米州開発銀行の方では理事の数が十二名でございます。そのうち域内から十名、域外から二名理事が選出されておるわけでございますが、この域内の十名は米国が一人、カナダが一人、それからその他の域内の開発途上国から八名、こういう割り振りになっておるわけでございます。
 ところが今度の投資公社の方は、設立の過程でいろいろ、日本を含めました域外国からもできるだけ発言権を強くしたいというような要望もございまして、結局その理事の数は全体で十三名、そのうち域外国が三名、二名から三名にふえた、残り十人が域内国の代表なのでございますが、実は米国からは一名最大の拠出国として出すけれども、残りの九名は域内の途上国だ、こういう決まりになったわけでございます。
 と申しますことは、カナダの立場に立ってみますと、米州開発銀行のときは自分のところの理事を常時出せておったところが、今度の公社の方では現在の仕組みでは理事の選出が難しくなったという事情があるわけでございまして、まあ私どものいろいろと憶測も入っておりまして申しわけないのでございますけれども、そのような事情の相違というようなこともその判断の要素の中に入っておったというふうに聞いておるということを、これは本当に人の国のことをいろいろと申し上げて申しわけないのでございますけれども、そういうふうに聞いておるということを申し上げさせていただきたいと思います。
#12
○竹田四郎君 理事を得られるか得られないかということで参加するかしないかということを決めるということは、もしそれが本当だとすれば、ちょっと余り感心した行為だとは思えない。どうも、役員をくれる、くれないということだけで反対しているというのとは違うんじゃないだろうか、むしろ新しい公社の運営そのものについてやっぱり意見があるのじゃないか、こう私ども思うわけです。カナダが理事の肩書一つあるなし、それだけで入る入らないというのでは、余りにも大国の矜持というのがないように私は思うんです、小さな国ならそういうことはあるかもしれませんけれども。どうも今の局長の御指摘はちょっと私には納得し切れないのですね。
 それから、ほかに大きな国とすればイギリス、あるいは経済的にやっぱり相当有力な国としてはベルギーなども今度の場合入っていない、あるいはある意味では特徴的なユーゴなども参加していないというようなことは、これは人の国のことでありますが、外貨がないからとか経済状態がこうだとか財政がこうだとかというのは一つの口実かもしれません、外交的な辞令なのかもしれませんね。こういう国々も発足に当たって入っていないということは、やっぱり何かどこかに欠けたものがあるのではないか。しかも最近の大きな経済的な問題あるいは政治的な問題を起こしている地域でありますから、何らかほかの問題があるのではなかろうかと思うんですけれども、これはほかの国々はどうなんですか。
#13
○政府委員(行天豊雄君) 域内国で加盟を予定しておりませんのは先ほど申しましたようにカナダとスリナムの二カ国でございますが、域外国では委員御指摘のとおり英国とかベルギーそれからユーゴスラビア等、約七カ国が現在のところ加盟を予定していないことは事実でございます。
 この加盟を予定していない背後の事情は、御指摘のようにそれぞれの国によって違うのだろうと思います。例えば英国の場合は、私どもが聞いておるところでは、やはり最近の英国の経済状態から援助予算が非常に逼迫しておって、なかなか新しい出資というのは難しいというような事情があるというふうにも聞いておりますし、それから、やはりこういう特定の目的を持った機関でございますので、それぞれの国といたしますと、そういう活動分野に自分のところの経済と申しますかがどの程度かかわり合っているのかなということも当然考えるだろうと思うのでございます。したがって、例えば域外国の中でも、中南米地域の特に中小企業というような経済分野とは余り大きな関係がないという判断をしている国も、当然あろうかと思います。したがいまして、一部の例えばヨーロッパの国なんかで加盟を予定していない国の中には、そういった経済関係の将来性というようなものも考えて態度を決めておるということもあろうかと思います。
 例えば、世界銀行と国際金融公社も同じような関係にあるわけでございますけれども、ここでも、世界銀行には加盟しておるけれども国際金融公社の方には加盟していないという国も若干ございますので、やはりそれと同じような事情が米州開発銀行と米州投資公社の中にもあるのじゃないかなと、それが恐らくこの一部の国が、特に域外国が加盟を予定していないということの背景にあるのじゃないかなというふうに考えております。
#14
○竹田四郎君 さらに、これは外務委員会あたりでも随分議論されたようでございますけれども、今度の協定の最後に、今までこういうものをつけられたことはない、こういうふうに言われております注1、2、3というものもつけられているわけです。
 これなんかは、アルゼンチンなどにいたしましてもメキシコあたりにいたしましても、実はもっと自分たちの持ち分を欲しいというような国が確かにあったと思うんですね。そういうものが内部にあって、もう少しこの公社というのを、途上国の立場あるいはここに書いてあるようなブラジルとかメキシコとかそういうような本来融資を受ける立場の国々、そういうところの意見というものを中心に運営していきたい、こういうような考え方が一部にあるからこういう注というようなものができたのではなかろうかと私は思うんです。
 これができたいきさつというのは一体どういうことなんですか。
#15
○政府委員(行天豊雄君) この投資公社に限りませず新しい国際機関をつくります場合に、率直に申しまして一番大きな問題の一つは、いわゆるシェアでございますね、出資の各国別の配分をどうするかということであろうかと思います。
 特に、こういうふうに域内の途上国とそれから域外の先進国が協力して何か物をやっていこうというような場合でございますと、そもそも域外国と域内国の間のシェアをどうするか、それから今度は域内、域外それぞれのグループの中でのシェアをどうするかという大変厄介な問題が必ずと言っていいほど起こるわけでございまして、こういう機関設立の交渉のかなりの部分が、時間的に申しましても労力的に申しましてもその配分に使われるということはまさに事実でございます。今回も実はそれの例外ではございませんで、先生御指摘のとおり特に域内国のシェアの配分につきまして、域内の各国の間で非常にいろいろと議論があ
ったようでございます。
 ただ、御承知のとおりこの投資公社全体を見てみますと、まず域内国と域外国のシェアといたしましては、域内国が五五%という過半数をとる、それから四五%が域外国だというところは決まっております。それから、最大の拠出国である米国が二五・五%をとるということもこれは国際金融公社と同じなわけでございます。ただ、御指摘のようにアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラという四カ国が出資のシェア配分につきまして最後までまとまらなかったということは事実でございまして、相当関係者は苦労したようでございます。つまり、メキシコとベネズエラは将来自分たちのシェアをふやしてほしいということを言う、それから一方アルゼンチンとブラジルからは少なくともスタートのときのシェアを将来増資なんかがあっても減らさないようにしてほしいというような希望がございまして、なかなか難航したようでございますが、結果的にはこの協定の注についてございますように、お互いがそれぞれの希望をこういう格好で記録に残すということで全員が合意をしたわけでございますから、その意味では発足に当たって何と申しますか確執が残っているということではないと思っております。
 それから、私まことに申しわけございませんが、さっき数字をちょっと間違えまして、域内国のシェアが五五でございますが、この五五というのは域内の開発途上国のシェアでございます。残りの四五%が域外国と米国の合計でございまして、その中で米国のシェアは二五・五%というのが正しい数字でございますので、おわびを申しまして訂正させていただきたいと思います。
#16
○竹田四郎君 これは外務省の人にお聞きをするんですが、こういう注というのを協定の中につけるというていは今までないというふうに私は聞いているんですが、こういうことは今度初めてじゃないですか。こういうふうにせざるを得ないというその辺の経緯、これを少しお聞かせいただきたいと思うんです。
#17
○説明員(榎泰邦君) 私どもの方ですべての条約を洗ったわけではございませんが、このような注がついた例は私の承知している限りでは初めてだというふうに承知しております。
 既に大蔵省行天局長の方から御説明がございましたように、この注は協定の本文の効力とは一切関係ございませんで、当時の交渉経緯を示したということでございまして、関係国の当時の意見を注意的にとどめたという性格にすぎないものというふうに私ども了解しております。
#18
○竹田四郎君 こういうものは附属文書かなんかにおさめるのが普通じゃないですか。これは協定の本文ですね、付表ということにはなっているんですが、そのままこれへ載っけるという例はないんじゃないですか。むしろ附属書とかなんとかというところへこういうものはおさめるのが当たり前なのを、どうしてここへ出さなければ承認しなかったのかということですね、これらの四つの国々がね。
#19
○説明員(榎泰邦君) ここら辺の形式につきましては、先ほど、私の承知している限りは例がないように承知していますということを申し上げましたけれども、交渉経緯のときの話をどういう形で残すのかということにつきまして別に定められた形式があるわけではございませんで、今委員から御指摘のような形の処理もあろうかと思いますし、また今回の場合には、既に御説明がございましたように、全体の中でのシェアに対してこの四カ国がそれぞれシェアを伸ばすというよりも、交渉の過程におきましては、この四カ国のトータルとしましては三七%というシェアが付与されるという点については早い段階でコンセンサスがあったようでございます。したがいまして、むしろこの三七%の内訳を四カ国でどう分けるかという話かと思いますが、私もこの四カ国の間の細かい交渉過程、話し合いの内容は承知しておりませんけれども、中南米の中におきますそれぞれの国の立場というものもあって、最終的には合意に至ったわけですが、その過程においてはいろいろの意見があったということで、関係国が希望して注記に残したと。ただし、繰り返しになりますが、この注記自身は協定の本文の効力とは一切関係がないという了解は当事国も十分承知の上で残した、こういう経緯だと承知いたします。
#20
○竹田四郎君 効力に関係あるとかないとかということよりも、先ほどから議論していてみて、何かこう無理やりにおっつけたというような、必ずしも完全なコンセンサスのもとに発足していくものじゃなさそうだという感じを私は強く持っているわけですからそういうようなことを申し上げたわけであります。
 もう一つお聞きしておきたいのは、IFCとIICの重なりですね。これからはまた別々にいろんな分け方をするんでしょうけれども、今までの地域的な重なり、IFCの融資等の重なりというのは相当あるわけでしょう。
#21
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおりIFC、国際金融公社は全世界を対象にいたしまして民間企業に対する投融資を行っておるわけでございますが、その中で中南米地域の占めるシェアは相当に大きゅうございます。その点は委員御指摘のとおりでございます。ただ、今度のIIC、米州投資公社の方は、確かにカバーする地域が中南米であるという点においては、そこで重複ができるというような感じをお持ちになると思うのでございますが、少し実態に立ち入ってみますと、IFCの方が行っております投資活動というのは、中南米の中でも規模の大きいブラジルとかメキシコとかアルゼンチンとか、しかも相当経済程度が進んでおりまして、民間企業といってもかなり大規模なものもある、そういうところにむしろ集中しております。ところが今度米州投資公社が主として金を流そうというところは、従来IFCのやり方では余り恩恵を受けていなかった中南米地域の中でも小国、特にカリブ海、中米地区のような小国が集まっているところで、しかも御承知のとおり、対象の民間企業の規模といたしますとまあ百万ドル以下というようなところをねらっておるわけでございますので、実際に動き始めましてから後、IFC、国際金融公社と米州投資公社が同じマーケットをめぐって重複してむだなことをするというような心配はないのではないかなというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#22
○竹田四郎君 具体的にどのぐらい、IFCの融資、そういうものの限度といいますか、今度のIICの限度というのとはどのぐらい違うんですか。
#23
○政府委員(行天豊雄君) IFCの場合は、従来投融資を行ってまいりました実績から考えてみますと、そもそも政策として大体一件当たり百万ドル以上ということであったのでございますが、現実にはさらにこれよりも相当大きなものに集中しておりまして、従来まで中南米におきますIFCの平均投融資金額というのは一件当たり千百万ドルということになっておるわけでございます。したがいまして、先ほども申しましたように、現在IIC、米州投資公社の方が考えておりますものとの間では、対象の民間企業の規模にかなりはっきりとした差がつけられるというふうに考えておる次第でございます。
#24
○竹田四郎君 実際に公社が設立されて業務が発足しなければ具体的にどのくらいということは正確には決まらないでしょうけれども、この設立までの話し合いでは、大体どのくらいの融資の規模、今おっしゃられた一件当たりどのくらいをねらっているわけですか。
#25
○政府委員(行天豊雄君) 設立の過程での話し合いの中では、米州投資公社の場合は、IFCの方の先ほど申しましたように実績において千百万ドルということに比較いたしまして、まあ十万ドル単位、さらに具体的に申しますと、小さいところでは十数万ドル、それから大きなところでも二、三百万ドルぐらいが投資公社の対象企業としては上限であろうかなというようなコンセンサスはあったように思っております。
#26
○竹田四郎君 それで、今度は特に中小規模の民間企業の設立、拡張、近代化ということが目的の
中にうたわれているわけでありますけれども、この中小企業というのは一体どのくらいのことを考えたらいいんでしょうか。それぞれの国によって規定があるのかないのかそれは知りませんけれども、恐らくそこまで整備はなかなかされていないんじゃないだろうかというふうに思うんですけれども、大体どの範囲からどの範囲ぐらいのものが中小規模とここで規定している内容になるわけですか。
#27
○政府委員(行天豊雄君) どのくらいから以下を中小企業と言うのかというのはなかなか定義の難しい問題でございまして、実は投資公社の協定の中にもこの中小企業という言葉は出ておりますけれども、それがどういう規模以下であるかというような具体的な定義がないことは事実でございます。恐らく今後、もしこの公社が設立をお認めいただければ、実際にプロジェクトが出てきてそれを審査する段階で、この協定の目的に沿って、それが「特に中小規模の民間企業」と言われているこの協定の目的に合致するかどうかという判断で決められていくことになろうかと思うわけでございます。
 ただ、これは御参考のためでございますが、この投資公社を設立するまでにいろいろ勉強がなされておるわけでございますが、その中にこういうことが書かれております。数字が入っていないのでございますけれども、中小企業というのは、一つには、雇用者の数が多くない、それから売上高とか資産価値が相対的に言って小さなグループの企業であって、しかもそれぞれの業務分野でもって支配的な地位を占めていないというのが、一つの定義と申しますか判断の基準である。それからもう一つは、大規模な金融グループと所有関係がない。つまり特定の大銀行が所有をしている、そういうような関係がない。それから三番目に、ほかの大企業と法律的には独立をしている。こんなことが中小企業であるかどうかを判断する際の基準ではなかろうかというようなことが設立の過程で行われました勉強の中に出ておりましたことを、御参考のために申し上げさせていただきたいと思います。
#28
○竹田四郎君 そうすると、結局は、プロジェクトが出てきて、そこへ融資するか融資しないか。融資したら中小企業、こういう逆な方向から解釈をしていくということになるわけですか。
#29
○政府委員(行天豊雄君) そういうことではないだろうと思います。やはり実際にプロジェクトが出てまいりましたときに、この協定の目的のところに「民間企業(特に中小規模の民間企業)の設立」云々のためと書いてあるわけでございますから、出てまいりましたプロジェクトというものがこの目的に合致しているかどうかがまず判断されて、その上で投融資を行うかどうかという判断が行われるというふうに考えております。
#30
○竹田四郎君 その辺も、将来のことになってしまうということのようであります。
 今度中小企業ということを特に目標にしてこの公社をつくったということは、中小規模の民間企業というものを途上国の中で何らかの意味で大きく取り上げて産業構造上あるいは社会構造上これを引き上げていくことが、具体的にねらっているメリットというようなものに合っていくというような判断で恐らくこういうものができてきたのじゃないだろうか、これは私の推測でありますけれども。現実に私も南米の一部の国を歩いたことがございまして、大きな企業と中小企業との関連というのでもいろいろ話を聞いたことはございますけれども、そういう意味では必ずしも日本みたいな形で大きな企業と中小企業との関連というのはその当時は余りうまくいっていなかったことは事実だろうと思います。今はどうなっているか私よくわかりませんけれども、そういう意味で、米州における中小規模企業というものの産業構造上あるいは社会構造上におけるところの地位とか、あるいは実際のそうしたものの役割とか、そういうものを、今度特に投資の対象になるような企業を中心にして考えていただかなくちゃならぬと思うのですけれども、その辺はどんなふうに考えたらいいんですか。
#31
○政府委員(行天豊雄君) 先ほども申しましたように、中南米諸国はひとしく開発途上国と申しましてもかなり経済情勢に違いがございますので、なかなか全地域に該当するような正確なお話を申し上げられないでまことに申しわけないのでございますが、中南米地域におきましても、中小企業が果たしております経済的な役割というのは非常に大きなようでございます。私が今手元に持っております資料でも、中南米におきます企業の数から申しますと、そのうちの九九%はいわゆる中小企業である。それから全体の雇用という面からとらえましても、五割ないし八割がやっぱりいわゆる中小企業じゃないか。それから、工業製品の産出高から申しましても四割ないし七割というふうに、中小企業というものが全体として中南米地域で非常に大きな役割を果たしておることはこれは間違いないところでございます。
 ただ、どういう国でどういう分野で中小企業の役割が大きいか小さいかというのは、なかなか詳しく正確な資料がないので申しわけないのでございますが、全体で申しますと、第一次産品を生産いたします鉱業とか、それからその他のいわゆる基幹産業というのは、どちらかというと国営化をされておるケースが多いようでございます。それからさらに、自動車であるとか電機関係、それから化学系統、こういった技術集約型の産業というのはどうしても外から技術を導入しなきやならない、資本を入れなきやならないという関係がございますものですから、中南米地域の場合でも外資系の企業によって行われているケースが多いようでございます。
 そういたしますと、結局それじゃ純粋な民間の中小企業というのは何をやっておるのだということでございますが、これはやはり食料品、繊維、それから建設資材関係、セメントとかれんがとか、そういった伝統的かつ国民生活に割と底辺の部分で密接している、そういうような業種が多いようでございます。
 それから、国別に申しましてもこれはどうも企業構造がかなり違うようでございまして、先ほど私は大規模な外資系の企業とか国営企業と申しましたけれども、こういった大規模な企業というのはどちらかと申しますとやはりメキシコとかブラジルというような相対的な先進国に集中をしておりまして、それ以外の中以下の国では、先ほど申しましたように、民間企業というとそのほとんどが中小規模のものであるのじゃないかというふうに理解をしております。
#32
○竹田四郎君 その辺が余りよくわからぬわけですけれども。そうしますと、近代的な産業というよりもむしろ地場的なそういう産業を主としてこの機関というのは育成をしていこう、こういうのですか。私の感じでは、これらの国々というのはかなりナショナリズムが一般的に強い国々が多いと思うんです。外国の品物だけを使っていくということではなくて、みずから新しいものをつくろうという意欲はかなりあると思うんです。あるけれども、その辺はなかなか技術的にいいものができない。そんなところの要望というのがかなり私が行ったところでは強かったように思うんですけれども、そういう面への養成というようなものは今度の公社の中にあるんですか、ないんですか。
#33
○政府委員(行天豊雄君) その点は御指摘のとおりだろうと思います。企業の分野から申しますと、先ほど申しましたように、どちらかというと伝統的な分野が多いわけでございますが、そういった分野で技術革新を進め輸入品との競争力を強める、あるいは輸出競争力を強めるというようなことがねらいであるわけでございまして、やっぱりしかし、そういうことを進めるためには、従来のままの姿ではいけないのであって、外部から融資あるいは投資という格好で資金を導入すると同時に、例えば経営の技術なりそのほかの生産技術なりを注入していく必要があるわけでございます。この投資公社の一つの大きな役割と申しますのは、これも御承知のとおりでございますが、自分が手金を出すというだけじゃなくて、公社以外
の諸外国の民間金融機関などとの協調融資あるいは協調投資ということをやっていこうということにあるわけでございまして、その意味でよく呼び水とか触媒とか言われておりますが、まさに、どちらかというとおくれた部門であるこういう地域の中小企業分野にそういった形で外から資金と同時に新しい技術、ノーハウを進めていこうということが一つ大きなねらいになっておるわけでございます。
 ちなみに、この協定の第一条第二項にも「国内及び外国の公私の資本並びに技術上及び経営上のノウ・ハウを利用する機会を促進する」というのがこのねらいの一つになっておるということでございますので、その点は委員御指摘のとおりであろうと思います。
#34
○竹田四郎君 一つ私はよくわからないことがあるんです。この公社設立の話が一体いつごろできていつごろまとまったかということが、実は余りよくわからないわけです。
 恐らく七九年から八〇年ころこういう話がある程度進んできたのだろうと私は思うんですけれども、そのときにこれは、特にニカラグアが今度も真っ先に域内途上国の中で入っているわけでありますけれども、このニカラグアというのはサンディニスタ革命ですか、その恐らく中心であったわけでありまして、恐らくこの話が始まったころですか、ソモサ政権が倒れたその時期とある意味では符合するだろうと思うんです。そしてこれに対してアメリカの方はむしろ反ゲリラ戦を展開していくという、そういう段階の中でこの話がだんだん煮詰まってきたというような状況を考えてみますと、どうも最近のニカラグアを中心としての世界各国の動きというのはいろいろありますし、アメリカの国内でもいろいろ政府と議会の話は違うし、ECの最近の動きでもかなり違うということなんですが、そういう中でこれが生まれてきたということも何かちょっと腑に落ちない点があるわけであります。
 そういう関連というのは、これができることはどんなふうな関連でできてきたんでしょうか。
#35
○説明員(榎泰邦君) この公社設立協定が最初に話が出ましたのは、昭和五十四年のジャマイカで開催されました米州開発銀行の総会で、総裁の方から話が出ました。その後、いろいろと経緯がございまして、具体的な協定交渉が開始されましたのが、昭和五十七年十月のワシントンで開催されました会議においてでございます。五十八年の十一月ローマで開催されました関係国会議、これにおいて公社の設立協定案についておおむね合意が成立をした、こういう経緯がございまして、察するに、米州投資公社なるものをつくるということに対しては域内途上国の間で非常に広いコンセンサスがあった。ただ、どういう形でそれをつくっていったらいいのかということにつきましていろいろな考え方があって、それがだんだん議論の過程を経て、凝縮をしてきて、今回の協定という形で実を結んだというふうに了解しております。
 そこで、先生から御指摘のニカラグア情勢、中南米情勢との関係でございますが、確かにこのニカラグアの革命が起きましたのは昭和五十四年七月で、その五十四年の米州開発銀行の総会、これは五月でございまして、時期的に似たような時期に米州開銀の総裁からも話が出たということは、経緯的には言えるかとは思います。ただし、そのときの米州開銀の総裁の提案というのは非常に漠然とした、新しい機構をつくろうではないかという話で、むしろ実際の交渉が煮詰まってきましたのは、先ほど御説明申し上げましたように昭和五十七年以降であるということが言えるかと思います。
 これは単なる時系列的な経緯でございますが、ただし先生御承知のように、この種の国際開発金融機関、これはどの機関も、協定上政治的な中立性というものを国際機関の基本的な性格としておりまして、協定上規定をしております。米州投資公社につきましても第三条第八項で政治的な中立性というものがうたわれているわけでございまして、実際にこの公社設立の背景となりましたのも、特定地域の政治情勢あるいはさらに特定国の政治情勢というものを勘案してこういう構想が出てきたということではございませんで、先ほど来種々お話の出ております、中南米地域での民間企業、特に中小規模企業の育成というものが中南米地域の経済発展にこれは非常に重要な役割を担っている、そのために、米州開発銀行に加えましていわばそれを補佐する機関として公社をつくろうという話で出てきたものでございまして、その背景はやっぱり純粋に経済的な考慮で設立への動きになってきた。現に、そういう政治的な中立性、また経済的な考慮によって公社が決定を下していく、こういう公社の基本的な性格につきましては協定の中で明確にうたわれている。
 以上が、経過というふうに承知をいたします。
#36
○竹田四郎君 確かに政治的な中立性ということは書いてある、どこの国の政治的な方向にも偏らないということは当然書いてあるわけでありますけれども、現実にはいろんな政治的な動きがあるわけです。
 これは新聞報道でございますけれども、例えば米州開発銀行がニカラグアですか、ここに農業開発のための貸し付けをやるということに対して、アメリカがやっぱりそれについてノーということを現実には言っているわけですね。それでもっと、これは新聞報道でありますから正確なことはわかりませんけれども、場合によっては出資を引き揚げるということすら言っているような新聞記事が現実に出ているわけです。これは恐らく公社以上に開発銀行の場合には、そういう政治的な中立性の問題というのはやかましく言われているのだろうと思うんです。そうして見ると、やっぱりこの条項の中にそういうことが触れられていても、現実的にはそういう政治的な影響から皆無ではないということが私は言えると思うんです。
 米州開発銀行の方のその問題、新聞に出ていた報道というのは御承知ですか、そしてそれがどういうふうになったかということも御承知ですか。
#37
○政府委員(行天豊雄君) ニカラグアの米州開発銀行からの融資問題について現状をちょっと御報告させていただきますと、委員御指摘のとおり、ニカラグアは米州開発銀行に対しまして、総額五千八百万ドルの総合的農業信用供与プログラムというプロジェクトにつきましての融資を申請しております。現在米州開発銀行の事務局がこのプロジェクトのいわゆるフィージビリティーの調査、技術的に可能であるかというような、そういう調査などの技術的な検討を進めておる段階だと承知しております。この検討作業はもうほぼ終わりつつあるようでございまして、恐らく近いうちにこの融資案件が理事会に諮られるという運びになるだろうと思っております。
 それから、米国がこのプロジェクトへの融資に対して反対の意向を表明しておるということも私ども聞いております。
#38
○竹田四郎君 その反対するということはあり得ると思うんですね。しかし新聞が報道するところでは、アメリカが少なくとも引き揚げるぞなどと言ったら、これは持ち分だって多いわけで、今度の公社だってまさに二五%をアメリカが持つわけでありますから、政治的な影響力は非常に大きいと思うんですよ。そういうことを言うようなことがアメリカからあるとすれば、やっぱり今度の公社も私は同じだと思うんです。ですからそういう問題は、新聞報道でありますから正確なことはわかりませんけれども、影響的にはそのぐらい大きな影響があると思って新聞は書いているんだろうと思います。
 そういうことを考えてみますと、私は、政治的な中立ということは、書いてはあるけれども実際的には崩れていく可能性があるのではないだろうか。今度の役員などを見ましても、執行委員会がどういう形で決議をしどういう形で一つ一つの業務をさばいていくのか、余り詳しいことはわかりませんけれども、執行委員会というのは人数で決めていくわけですか、株数ではなくて人数で。執行委員会は四人か五人くらいですか。その中で決めていくということなんですか。その辺はどうな
んですか。
#39
○政府委員(行天豊雄君) まず最後の御質問の執行委員会は、先ほど申しましたように域内加盟国から二名、それから米国一名、その他の域外国一名、合計四名、総裁が議長を行う。これは表決は単純多数決でございますから、二対二の同数になりましたときは議長が決める、こういうことでございます。したがって、そこではいわゆる投票権の力というものはないわけでございます。それからこの執行委員会の役割と申しますのは、まずここでプロジェクトを理事会に諮るかどうかを決めるという役割を果たすようでございます。
 それから、その前に御質問のございました、米国がニカラグアの融資に関連いたしまして、米州開発銀行からのいわゆる資本の引き揚げを考えておるというような報道があるというお話でございましたが、私ども、そういうことを米国が考えておるという報道は何ら受けておりませんので、その点ちょっと申し上げさせていただきたいと思います。
 それと、米国がこのニカラグア融資案件に反対の意向であるということは聞いておりますが、その反対の理由というのは、私ども聞いておりますところでは、ニカラグア側が現在いろいろな国際機関からの融資を受けておるわけでございますけれども、その融資の返済が約束どおり行われていない。つまり、ニカラグアという国がその信用状態からいって十分じゃないのじゃないか、したがってそういう信用状態の余りよくない国に融資を行うのはいかがかという理由でアメリカは本件に賛成をしていないというふうに私どもは聞いております。
#40
○竹田四郎君 プロジェクトなりあるいは融資の申し込みが来て、一番初めそれを処理するのはさっきのお話のように執行委員会だと。その執行委員会の中へ、一人は文句なしにアメリカが出てくるということですね。それは間違いないですね。
#41
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおりでございます。四人のうちの一名は米国を代表するということになっております。
#42
○竹田四郎君 そうなってまいりますと、やはりアメリカのこの公社に対する影響力というものはかなりあるわけですね。その投票権、理事会とかあるいは総務会の投票権の方で言えば、これはもう絶対的にあるわけですからね。そういう意味では、アメリカの考え方によってこの公社というのはかなり左右をされていく。それは明らかな政治的な問題ではないにいたしましても、そういうことは考えられていいわけでしょう。
#43
○政府委員(行天豊雄君) この新しい公社の投票権のシェアは、先ほど申しましたように米国が二五・五%ということでございますから、当然米国はその投票権に見合った発言力をこの公社の運営については持つということは御指摘のとおりだろうと思います。ただこれは、あにこの投資公社に限りませず、他の国際金融機関についても程度の差こそあれ同じようなことが言える。つまり、それだけたくさんの資本を拠出した国にそれにほぼ見合った投票権が与えられ、その投票権に見合った発言権というものを当該国が持つということは、これはこの公社に限らない一つの国際金融機関のルールであろうかと思います。
 ただ、この投資公社は、そういう観点から見ますと、域内の開発途上国の発言権というのは五五%の投票権を持っておりますから決して小さくないわけでございます。それからまた、アメリカ以外の先進国、日本を含めました先進国のシェアというものも一九・五%ということで、例えば米州開発銀行なんかと比べましても大きいものになっておりますので、私どもは、特にこの公社について、米国が非常に大きな発言権をほかの機関と比べても持っておるということはないのではないかなというふうに考えております。
#44
○竹田四郎君 一つお聞きしておきたいことがあるわけですが、この協定の第三条の八項の「政治活動の禁止」のところで「公社の決定は、経済上の考慮にのみ基づいて行う」ものとする、こういうふうに書いてあるわけでありますが、例えばこういうことはどうなるんですか。
 例えば、日本からも出資をして、あるいは日本からもいろいろ協調融資がされるかもしれませんけれども、その中で、恐らく「経済上の考慮にのみ基づいて」ということになると、これは結局その企業が採算が合うか合わないかということだけが中心だ、何をつくろうがそれは関係ない、採算さえ合えばいいんだ、こういうふうにこの「経済上の考慮にのみ」というのはとっていいんですか、どうなんですか。
#45
○政府委員(行天豊雄君) その点はちょっと私、意見を異にするのでございます。確かに金融公社というのはいわゆる援助機関ではございません、各国から金を出資という形で集めてそれをできるだけ有効に使うということでございますから、投資をいたします対象のプロジェクトがそういう意味で経済性が全くないというようなものには貸すべきではないということはおっしゃるとおりだと思います。ただ、それでは要するにもうかりさえすれば何でもいいのかということになりますと、これは私は違うのだろうと思います。と申しますのは、まずその「目的」のところにもはっきり書いてございますように、そもそも「域内開発途上加盟国の経済開発を促進する」という大目的があるわけでございますから、当該プロジェクトあるいは当該融資を受ける企業がもうかりさえすればよろしいということではないのであって、あくまでその国の経済全体が近代化していく、民生の向上に役立つというところが基本の目的に入っているのではないかと思っております。
#46
○竹田四郎君 例えば兵器の部品、こういうものなんというのは、もうかる可能性は私はあると思うんです。現実に小さな企業でそういう部品がつくられていく可能性というのは大いにあるわけですね。それを自分の国で使うか輸出するかは別として、そういう場合も私はあるのじゃないかと思うんですが、どうなんですか。
#47
○政府委員(行天豊雄君) 協定上、投融資を行います対象の業種について、こういうものでなければいかぬ、こういうものはいかぬというような列記がされていないということは御指摘のとおりでございますが、これはあにこの公社の協定に限りませず、世界銀行を初めといたしまして、国際開発金融機関すべてに共通しておる実情だと思います。
 と申しますのは、やはり先ほど委員が御指摘になったような、例えば武器製造とか武器輸出とか、そういうような産業はそもそも考慮の対象になっていないということが大前提の認識としてあるというふうに私どもは考えておりますし、現に既存の国際開発金融機関、世界銀行、アジア開発銀行、米州開発銀行、いずれをとりましても武器製造のような業種に金を貸さないということは確固たる政策として確立をされておるわけでございますし、もちろんそういう実績もございません。ですから私どもは、この投資公社につきましても当然、そういった他の国際機関におきます大前提、それからあるいは確立された政策、実績というようなものが踏襲されるというふうに考えておるわけでございます。
#48
○竹田四郎君 そういう政策があるとか前提があるとかというお話ですが、それは具体的にどういう取り決めがそういう意味では行われているわけですか。恐らくそれは小さな国々ですから、あるいはそういう国々に会社を持っていく国もあるでしょうし、そうすればそういうところに雇用ができ仕事ができ金ももうかるというような可能性は私は大いにあると思うんですね。それをチェックするような政策というものがどこでどういうふうに決められているのか。
#49
○政府委員(行天豊雄君) それぞれの機関にそれぞれの決まりがあるわけでございます。例えば世界銀行でございますと業務運営方針というものがございますが、そこで、世界銀行は開発途上国の経済開発促進を目的として融資を行う、したがって軍事目的の融資は行わないということを明確な政策としておるということが書いてございます。
 さらに、具体的にどうやってそれを担保するか
という御質問でございますが、この業務運営方針によりますと、特定のプロジェクトを対象とするプロジェクト援助については、案件ごとに理事会で当該プロジェクトの目的を厳密に審査する。それからまた、特定プロジエクトを対象としないで物資輸入代金等に充てられるノンプロジェクト援助については、一件ごとに当該資金による武器購入の禁止を理事会で確認するとともに、被援助国との借入契約書においてその旨を明記する、こういうようなルールがつくられておりまして、私どもが知っておりますところでも、特定の国との間のいわゆる融資契約の中に、この金は武器の輸出に使わないというようなことが契約の条文として書かれておるわけでございます。
 同じような仕組みは他の開発金融機関につきましても行われておりますので、武器製造あるいは武器輸出入に投融資を行わないという政策は、単にそういう政策があるということでなくて、そういったものを担保する取り決めが行われており、その結果としてそういう実績もないというふうに私ども理解をしておる次第でございます。
#50
○竹田四郎君 文章上はそういうふうに書いてあるでしょうけれども、武器というものの限界というのはそこへいくとまた非常に難しいわけです。かつて日本の場合だってもどこまでが武器だということが二、三年前も随分議論されたことがあるわけでありまして、同じ部品でも両方に汎用的なものもあるわけでありますから、そういう意味では、そういう規定はあっても実際上はなかなか、それじゃそこの執行委員会がそれを武器と判断できるかどうかということになると、極めてその点は難しい、文章には書いてあるけれど私は難しいだろうと思うんですけれども、その辺はどう担保するんですか。
#51
○政府委員(行天豊雄君) 確かに国際金融機関というのは、各国が出資をしておるわけでございますがその運営そのものは一つの独立した機関として行われているわけでございます。したがって、ある特定の国が完全にその機関の運営のすべてについてチェックをする、あるいはその指示に従って行動するようになるというようなことは、これは到底考えられないことでございますが、先ほどからるる申し上げておりますように、やはり国際開発金融機関というものの本来のあるべき目的、その活動の範囲というものにつきましては、私どもはこれは今、国際的に申しましても疑問の余地のない一つのコンセンサスというものはあるのじゃないか。またそういったコンセンサスというものは、少なくとも現在まで私どもが知り得る限りにおいては、確実に実施をされてきておるというふうに考えてきておるわけでございます。
 ですから、将来の可能性につきましてどうやって担保するのだという御質問に対しまして、こうこうこういう手だてがございましてという明確なお答えが申し上げられない面があるかもしれませんが、ただ、御理解いただきたいことは、少なくとも私どもは、今までの数多い国際開発金融機関の実績、それからまた今回の投資公社が設立されることになりました経緯、そのための議論というようなことを踏まえましても、この投資公社が従来の国際金融機関のそういったルールを逸脱するというようなことは、率直に言って心配をするような事情がないというふうに確信をしておるわけでございます。
#52
○竹田四郎君 それは現実に日本の権限ですべてやるわけじゃございませんので、局長としてはそういうことを言わざるを得ないと思うんですけれども、現実にはこの地域には政権にしても軍事的政権がかなりまだ残っているわけですから、そういう意味ではそういうことが必ず行われるかどうかという点については私は余り確信がないわけでありますけれども、時間がありませんから次に移ります。
 この協定の批准状況というのは一体どうなっているのか。それで、まだアメリカは批准していないという。この一番大株主が批准しないで日本なんかが先にやっていくんですけれども、この払い込みは一体いつまでにしなくちゃならぬということなんですか。三回か四回に分けて払い込みをするようでありますけれども、いつまでに払い込みをしなくちゃならぬのか、日にちは限られているわけですか。
#53
○政府委員(行天豊雄君) まず批准状況でございますが、五月三十一日、先月末現在で申し上げますと、既にこの協定に署名をいたしました国が十四カ国、そのうち五カ国は批准を完了しております。
 それから払い込みにつきましては、御指摘のとおり分割払いでございますが、第一回の払い込みにつきましては、この公社が設立され、営業を開始してから三カ月以内には原加盟国はその第一回の払い込みを完了しなきゃならないというふうに規定されておるわけでございます。
 それから米国は、既にいわゆる授権法は昨年の十一月に米国の議会で承認をされておりますが、現在出資のための予算関連法案が審議をされておるようでございまして、私どもが聞いておりますところでは、近々その法案は成立する見通しであるので、米国はそれを待って早急に批准行為を完了するというふうに理解をしております。
#54
○竹田四郎君 これは大臣にお伺いしたいと思うんです。
 今、中米を中心としての情勢というのは一触即発のような情勢だと思うんです。しかもその問題については、先ほどから申し上げましたように、米国の国内でも必ずしも意思統一がされていない。ECとの関係でも余り意思統一がされていない、国際的にも意思統一がされていない。米軍は今ニカラグアを中心としていつでも戦闘行為に入れるという態勢にもある。
 こういうような状態の中で、こういうものがどんどんと批准され、あるいは支払いの授権がされていくというのは、ちょっと政治的には適当でない、こういうふうに思うんですが、大臣どう思いますか。
#55
○国務大臣(竹下登君) これは現在御案内のとおりの国際情勢、それでアメリカが反対しておるということも承知しておりますが、我が国としては、本件が理事会の検討に付されれば、それは今まで扱った他の融資案件と同じように、借入国の経済開発に資するか否かという観点から、そういう観点のみから検討して結論は出さなきゃいかぬ問題だ、こう思っております。これは米州開発銀行の今のニカラグアの分を反対しておるという環境の上に立っては、そういうふうに考えております。したがって、やっぱりかなり議論を詰めて今日に至ったわけですが、今のような国際情勢の中で、別に直ちに批准したり、あるいはこの法律を通したりという環境には直ちにはないじゃないか、もう少し様子を見てもいいじゃないか、こんな気持ちは私どもも議論の中でいたしてみました。しかし諸般の経過からすると、まずは適当な時期ではなかろうか。ニカラグアと開発銀行の問題は別としまして、この投資公社が直ちに動くという状態にもございませんので、過去の経過からすれば、やはりこの辺でこの法案を出し、そして外務省からすれば本条約の批准をしていただくというのが適当な時期ではないかという総合判断の上に立ったわけでございます。
#56
○竹田四郎君 私は個人的には見解をまた別にしますけれども、協定に私ども反対しているわけでありますから、その協定に出資をするというわけには筋論としてまいりません。その点はひとつ理解をしていただきたいと思います。
 もう時間がありませんから最後にお聞きしたいと思います。
 五月からですか、アメリカがニカラグアに対する経済制裁をやった。その経済制裁のぐあいではさらに次の手を打つかもしれないということをはっきり公言をしている。これに対してニカラグアは、ガットの違反ではないかということでガット理事会に提訴をして、これは何か五月二十九日ですか、理事会をやられたというんですが、この結論はどうなったのか。ガットの議長国として、日本はこれに対してどういう態度を示したのか。この辺をちょっと伺わせていただきたいと思いま
す。
#57
○説明員(赤沢正人君) 先生今御指摘のとおり、米国の対ニカラグア経済制裁措置につきましては去る五月の二十九日にガットの理事会におきまして討議されまして、ニカラグア、アメリカ双方より応酬が行われました。決着を見るには至りませんでした。
 それで、今後の理事会の取り扱いにつきましては、議長が協議することで異議なく了承されましたけれども、我が国としては、この協議を通じてこの問題が円満に解決されることを期待するとの方針で臨んでおります。
#58
○竹田四郎君 確かにそういうことだろうと思うんですが、これはもう大蔵大臣に伺わなくちゃならぬと思うんですが、今のこの問題というのは、ニューラウンドの問題も来年に控えているわけですね。ニューラウンドにいたしましても、途上国の側では必ずしも全面的に賛成するという形でなくて、その辺は、どちらかというと反対的な空気があることももう大蔵大臣は御承知のとおりだと思うんです。だからこの対応を誤れば恐らく来年の東京サミットあたりでの問題というものも成果は上がらないということで、このさばき方というのは私は大変重要だ、こう思うわけです。恐らくこれも、今までの、アメリカだけについてやっていくという情勢には私はないだろうと思うんですね。これは内閣としてどんなふうに考えていますか。
#59
○国務大臣(竹下登君) これは今外務省から、極めて整然とし、公式的なとでも申しましょうか、そういうお答えがございましたが、まさにそのお答えどおりの状態で期待をしておるというところでございます。
 ニューラウンドの問題につきましては、間もなく、恐らく高級事務レベル会議が行われて、どういう運びでこれからやっていくか、そして開発途上国問題になりますと、あるいはASEANに対しては日本の方がそれを担当するがよかろうとか、いろんなそういう議論もあろうかと思いますので、その問題はその問題として進めながら、この今の問題がこれに波及しないようにそれは対応していかなきゃいかぬじゃなかろうかな、内閣で議論をして申し上げた答弁ではこの限りにおいてはございません。
#60
○竹田四郎君 これは本来ならば外務大臣に来ていただかなくちゃならぬと思うんですけれども、確かに私は今ニカラグアを中心として、必ずしもアメリカの政策がそのままうまくいくという状態じゃないと思うんです。どちらかというと、アメリカの政府がまさに孤立をしているという状態だと思うんです。きょうの新聞あたりを見ましても、このままいくとあそこに今度はさらに大きな戦乱というようなものが起きてくる可能性というものも何か感ぜられるわけです。
 これについてはひとつ内閣の一員として、ぜひそういう形にならないように、兵力を使って事件を解決するということのないような努力を日本はしていかなくちゃいけないだろうというふうに私は思っておりますけれども、その辺の大臣の考え方、外務大臣じゃございませんけれども、内閣の有力な、場合によれば次の総理大臣になる方でございますので、その辺の御決意をひとつ伺って、私の質問は終わりたいと思います。
#61
○国務大臣(竹下登君) もとより外務大臣でもございませんので今感想を述べる立場にございませんが、今竹田さんのおっしゃったような考え方が日本のみならず諸外国にも非常にあるであろうということを十分意識した上で対応をしていくべき課題だという問題意識を持って、これから仮に議論に参加することがあれば対応したいと思っております。
#62
○委員長(藤井裕久君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時四十分まで休憩いたします。
   午前十一時二十九分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十三分開会
#63
○委員長(藤井裕久君) ただいまから大蔵委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#64
○桑名義治君 米州投資公社への加盟資格はいわゆる米州開発銀行の加盟国である、こういうふうに規定をされているわけでございまして、組織及び運営についても米州開発銀行と一体であるようにも思えるわけでございます。
 そこで、午前中にも質疑があっておりましたが、米州開発銀行の組織あるいは任務あるいは業務内容、こういったところを改正することによってむしろ対応ができたのではなかろうか、こういうふうにどうしても思えるわけでございますが、このようにいわゆる独立した機関になったその理由と経過をもう一度説明願いたいと思います。
#65
○政府委員(行天豊雄君) 委員御指摘のように、確かにこの米州投資公社の主なる目的は、この地域におきます主として中小規模の民間企業に対する投融資を行うということでございます。
 現在の米州開発銀行は、協定上、政府の保証なしにこういった民間企業に対する投融資が行えないような建前になっております。もちろん、米州開発銀行のそういう仕組みを変えてこのような業務も行えるようにするということは、これは理論的には可能でございまして、そのためには米州開発銀行の協定を改正すればよろしいわけでございます。しかし、この協定改正というのは、どこの機関でも同じでございますけれどもなかなかいろいろと難しい、難しいと申しますか、そう簡単に協定を改正できないような仕組みになっておりまして、例えば米州開発銀行の場合でも、協定を改正いたしますためには、数にいたしまして全加盟国総務の半分以上、それからその持っております投票権の面でも全体の四分の三以上の賛成がなければ改正できない、こういうことになっておるわけでございます。
 こういうふうに、協定を改正することによって新しい業務分野に進むということは確かに考えられるわけでございますが、実は設立の経緯からいたしまして、米州開発銀行の加盟国の中には、必ずしもこういう形で米州開発銀行の業務範囲を変更するということを好ましいと思っていない加盟国も現にあったわけでございます。したがいまして、そういう状況のもとであえて協定改正という方法を強行するよりも、そういった目的に賛同しておる加盟国が別途新しい機関をつくっていった方が効率的ではないかという判断が一つあったと思いますし、さらに、そもそもこの設立の目的がそういうことで新しい民間分野への助成のための投融資ということでございますから、対外的にも一つの新しい旗印のもとに新しい機関をつくって仕事をしていった方が結局その目的達成のためにも効果的なのじゃないか、多分こういう二つの配慮から、協定改正という方向でなく、新機関の設立という道を選んだというふうに私ども理解しておるわけでございます。
 ほかの機関についても、御高承のとおり世界銀行の場合は米州開発銀行と同じような制約がございまして、またこの米州投資公社と同じような需要が生まれてきて、IFC、国際金融公社という新しい機関が誕生いたしたわけでございます。ですから、過去にもそういったケースもございます。したがいまして、私ども、米州投資公社設立には、それなりの理由と、それを正当化する状況はあったのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
#66
○桑名義治君 そこで、今もちょっとお話がございましたが、いわゆるIFC、この投資実績というものをずっと眺めてみますと、ラテンアメリカが圧倒的に多いわけですね。そういうことから考えた場合に、ラテンアメリカ方面になお一層のこういう投資を必要とするどういう理由があるのか、そこら辺をもう一度伺っておきたいと思うんです。IFCのそういう融資実績割合というものを見た場合に、中南米地域のニーズにある程度対応できているのではないか、こういうふうにも思
われるわけでございますが、この点はどういうふうに解釈すべきですか。
#67
○政府委員(行天豊雄君) 委員御指摘のとおり、IFC、国際金融公社の今までの投融資実績を見てまいりますと、中南米地域の比重が高いことはそのとおりでございます。例えば一九八四年、昨年の実績を見てみますと、全体の投融資額が六億一千一百万ドルでございましたが、そのうち一億四千六百万ドル、すなわち二三・九%というものは中南米向けであったわけでございます。考えてみますと、世界各地域の開発途上国、大ざっぱに申しましてこの中南米のほかアジア地域それからアフリカ地域というのがあるわけでございますけれども、相対的に何と申しますか経済発展の度合いが高く、その意味で民間企業の役割というのが大きくなっておるのは、今の三つの地域の中で申しますと中南米地域が一番進んでおるのかなという気がいたします。つまり、民間企業を育成するという一つの土壌が相対的には整っておる地域であろうかと思います。それなればこそ、この国際金融公社の投融資の比重がかなり今申しましたように中南米に向かっておるわけでございます。
 それでは、どうしてこの投資公社が別途必要なのかという御質問でございますけれども、やはり中南米地域と申しましても非常に国の数も多うございますし、その経済構造、経済情勢は多岐にわたっておりまして、従来の国際金融公社の民間企業投融資というのは、結果的には、国の面から申しましても、かなり特定のと申しますか、ブラジルとかメキシコとかアルゼンチンとか、特に民度が高く民間部門の発展が進んでおる国に集中をしておりましたし、それから、特に投資対象の民間企業の規模という点から申しますと、相当大きなものにやはり集中をしておったわけでございます。
 今回のこの投資公社の設立は、そういう意味では、国際金融公社の役割で今まで十分カバーされていなかった部分を補完するというねらいが非常に大きいわけでございまして、国の面から申しましても、カリブ海とか中米等を中心とした小国、それから対象民間企業も、資本規模その他中小の小さなものを中心にということでございますので、国際金融公社があるからそういった必要はもうないという状況ではなかったのではないかと思っております。
#68
○桑名義治君 そういう解釈をしますと、アジア、アフリカ地域では必要性はないというふうに考えられたわけでございますか。
#69
○政府委員(行天豊雄君) もちろんアジアでもアフリカでも、民間企業を活力化する、大いにそういった健全な民間企業を育成することによってその経済を強化していくという必要はあると思います。現に、実はアジア地域につきましては、アジア開発銀行が一九六六年に設立されましたときに既にそういった問題意識がございましたものですから、御承知のとおりアジア開発銀行の場合は、銀行の協定によりまして銀行の本体がそういう投融資活動も行い得るような仕組みになっておるわけでございます。同様のことはアフリカについても言えます。アフリカ開発銀行の場合も、協定上そういった業務が行えるような仕組みになっておるわけでございます。ですから、必要という点においては、アジア地域におきましてもアフリカ地域におきましても、同じように民間企業、特に中小企業育成の必要があると思います。
 ただ、相対的に申しますと、やはり中南米地域というのは、アジア、特にアフリカなんかと比べますと民間企業の基盤というのは整っておる、それだけ仕事をする舞台が既により広くできておるということは言えるのではないかと思っております。
#70
○桑名義治君 IFCのこの数字を見てみますと、アジア地域におきましてもこの近年大きく貸し出しが伸びている、融資が伸びているという状況になっておるわけでございまして、アジア地域についてもこれは格段、先進国としては、日本としては今後も考えていかなきやならない問題ではなかろうかとも思うわけでございますが、いずれにしましても、このような問題はこれは国際的な問題でございますので、日本の一方的な考え方で処理することは非常に難しい問題でもございます。
 次の問題をちょっとお尋ねしておきたいのは、我が国の出資額は六百二十六万ドル、出資比率で見ますと西ドイツ、フランスなどと同じように三・一%、こういうふうになっておるわけでございますが、各国の出資額を決めるに至った経過、または、域内加盟国は付表のAを読んでみますと出資額に不満があるように随分書かれているわけでございますが、その点についてはどういうふうに認識をされているわけでございますか。
#71
○政府委員(行天豊雄君) この出資比率の決定に至ります経緯でございますが、まず非常に大きく申しまして、域内の開発途上国には過半数でございます五五%の投票権を与えようということは、最初から余り議論なくといいますか、異論なく決まっておったわけでございます。残りの四五%の中で、これは地域的には域内でございますが先進国である米国、これは当然最大の拠出国になっておるわけでございますけれども、このシェアについては米州開発銀行の場合と同じように二五・五%というシェアを与えるということについても、特に異論はございませんでした。したがいまして、残りました問題は、この五五%という域内の途上国のシェアを国別にどうするかという問題と、それから域外の先進国に割り当てられました一九・五%というシェアの国別の配分をどうするか、こういう二つの問題があったわけでございます。
 率直に申しまして、この二つの問題はいずれもなかなか厄介な話でございまして、特に域内国の場合は、中南米の場合かなり規模の大きな国のグループがございまして、それぞれ、域内での何と申しますか、相対的な地位を保つという強い希望があるわけでございます。御指摘のように、一部の国の中で、そのシェアをどうするかということにつきましてかなり難しい交渉が行われた経緯があるわけでございますが、結果的には、それぞれの国がそれぞれの立場、それぞれの希望というものを、協定のあの付表に注という格好で書きとどめるということで合意が成立したということでございます。
 それから一方、域外の先進国の方は一九・五%を分けるということでございますが、この場合も、日本を初めといたしまして、ヨーロッパからかなりの数の先進国が参加しておるわけでございますが、ここにつきましては、全体としてこの域外の加盟国からは三名の理事が選出されるという仕組みになっておるものでございますから、全体を三つのグループにうまく分かれるように、その場合にそれぞれのグループに、相対的に大きな出資国、中ぐらいのところ、小さなところとこういうふうに分ければ全体としての案分がよくいくのじゃないかというようなことから、一番大きな国のグループはそれぞれ三・一%ということにして横並びを図った、これによって全体的な合意ができ上がった、こういう経緯がございます。
#72
○桑名義治君 そこで、今も御説明がございましたように、米国の場合には二五・五%、最大の出資国となっているわけでございます、それだけに発言権も非常に大きい、こういうふうに言わなければならないと思いますが、いわゆる四分の三以上の多数決でもって一切の議を決定していく。この議決権というものはそういうふうな数になっているようでございますけれども、そうなってまいりますと、二五・五%、アメリカが反対すればこれは一切が非常に運営上困難になるというようなことも一応考えられるわけでございますが、この点についてどういうふうにお考えになっていらっしゃるのか。
 あるいはまた、米国も株式応募しなければならないということになっているわけでございますが、午前中の質疑の中でも、また批准はしていないというような状況でございます。米国のこの批准の見通し。それから、先ほど申し上げましたように、同公社に対する米国の影響力をどういうふ
うにお考えになっていらっしゃるのか、この点について伺っておきたいと思います。
#73
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、米国のシェアは二五・五%ということで四分の一をわずかに超えることになっております。したがいまして、協定上四分の三以上の賛成が必要であるという事項につきましては、米国がいわゆる拒否権を結果的に持つということになるのは御指摘のとおりでございます。
 こういう事態がいいか悪いかということは、やはり国際機関の場合、資金の面で負っておるそれぞれの国の責任の度合い、それからそれに基づく発言権というものの関係を考えてみなければならないのだろうと思います。率直に申しまして、中南米地域というのは、米国は言うなれば域内国の一員でございますし、歴史的に申しましても、米国がこの地域の経済発展について先進国の中では一番大きな責任を持っておるという事実はこれは否定できないのだろうと思いますし、また米国といたしましても、そういう責任感があるからこそこういう大きな出資のシェアを持っておるし、また同時にそれに伴う発言権の確保も要求する、こういう関係になっておるのだと思います。したがいまして、米国がそういう意味でほかの加盟国に比べてより大きな責任と同時に権利を持っておるという事実はこれは否定できませんけれども、まさに中南米地域の経済発展ということにおきます米国の役割というものがそこに反映されているというふうに私ども考えておるわけでございます。
 それから、米国の批准の状況の御質問でございましたが、米国は実は投資公社に対しまして加盟するための授権法というのが昨年の十一月に既に議会で成立をいたしておりまして、現在、実際に出資を行いますための予算措置が議会で審議をされております。私ども聞いておりますところでは、ごく近々にこの予算措置は成立をするという見通しのようでございますので、それが完了し次第、米国はこの公社に対する署名、批准という行為をとるものと予想しております。
#74
○桑名義治君 米国が二五・五%のいわゆる株を持っている、こういう事柄について、米国は域内の国の一つであるということ、あるいは中南米の開発についてそれだけ米国の責任の度合いが深いのだということ、これは一応理解できるわけです。しかし、最近の中南米等の紛争の中に米国は大きく介入をしている。これが悪い意味に使われた場合には大変なことになる。現在のニカラグアの問題につきましても、これが財政的に、経済的に悪い方向に進みつつあるような気がしてならないわけでございます。そういうことを勘案しますと、メリットとデメリット、これが相半ばするような気がしてならないわけでございます。
 これに対して我が国としてはどういうふうな考え方を持ち対処していくかということは非常に重大な問題だと思うんですが、この点についてはどういうふうにお考えでございますか。
#75
○政府委員(行天豊雄君) これはいずれの国際機関でも同様だと思いますが、大きな出資をし、それなりに大きな投票権、影響力を持っておる加盟国の責任というのは当然それだけ大きいわけでございまして、そういった国が仮にもその国際機関を純粋の開発途上国の経済発展という目的でない、ゆがんだ目的のために使おうというようなことが非常に望ましくないということは、私も委員と全く同感でございます。まさにこの投資公社につきましても、そういった経済的考慮以外の考慮でもって運用がゆがめられるというようなことがないように、協定の中にもいろいろな点が規定されておるわけでございます。
 御指摘の政治的問題云々の点につきましても、協定の第三条第八項では「政治活動の禁止」ということで、「公社及びその役員は、いずれの加盟国の政治問題にも干渉してはならず、また、いかなる決定を行うに当たっても、関係加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。公社の決定は、経済上の考慮にのみ基づいて行うものとし、公社は、この考慮を行うに当たっては、この協定の目的を達成するため、公平に比較衡量を行う。」というふうに規定されております。私どもといたしましては、この公社がこういう協定に基づいて発足をいたしました暁には、まさにこの第三条第八項の規定のような公正な形でその運営が行われますよう、日本は日本なりの、小さなものでございますけれども投票権を行使いたしまして、その遺漏なきを図っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#76
○桑名義治君 この問題に関連しまして、対外債権の問題も少しお尋ねしておきたいと思います。
 邦銀のいわゆる対外債権も、国内の金融緩和を反映しまして、貸付競争が原因となって近年急増している、こういうふうに思われるわけでございますが、邦銀の対外貸付残高を金額をもってお示し願いたいと思います。また、中でも中南米向けの貸付状況がどういうふうになっているのか明らかにしていただきたいと思います。
#77
○政府委員(行天豊雄君) 委員御指摘のとおり、我が国の金融機関が対外的に行っております与信は、近年非常に活発になってきております。私ども、こういった与信活動は、相手国におきます資本不足を補う、あるいはそれによって現地における経済活動が活発化するということによって、雇用の増大とか民生の向上に資するということで、基本的には非常に好ましいことだと思っておるわけでございます。
 御質問のございました日本の銀行の対外貸し付けは、昨年のこれ九月末の数字でございますけれども、世界全体につきまして約九百二十億ドルというふうになっております。大体世界各地にこれはまんべんなく行っておるのでございますけれども、この中で、中南米諸国に対します貸付残高は約三分の一、二百八十億ドルというふうに御理解いただいてよろしいかと思うわけでございます。
#78
○桑名義治君 最近、対米輸出の伸びで経済再建もやや好転に向かっておりました中南米諸国の経済は、米国の景気の見通しに大きな影響を受けることはこれはもう言をまたないわけでございます。最近の米国の景気の内容というものが、先日からも発表されておりますように大変大きな落ち込みがあるように言われておるわけでございます。したがって、八四年のようなGNP年率六・八%の伸びということはこれはもう到底考えられない、大体年率で三%程度ではなかろうかというふうに一応経済界では言われているわけでございますが、そうなってまいりますと、この中南米諸国の経済というものが大きな打撃を受けていくのではなかろうか、こういうふうにも考えられるわけでございますが、この点についてはどういうふうにお考えになっておられますか。
#79
○政府委員(行天豊雄君) 確かに米国の経済は、その規模から申しましても、それからまた中南米地域に非常に地理的、歴史的に近いという点から申しましても、米国経済の動向が中南米地域の開発途上国に与える影響というのは決して小さくないということは御指摘のとおりだと思います。したがって、中南米開発途上国経済の将来を考える際には、米国経済の動向ということを忘れるわけにはいかないわけでございます。御指摘のように米国経済は、昨年、一九八四年は、実質GNP六・八%の上昇ということで大変活発な拡大が行われた。そのことによって米国の輸入需要がふえて、それにこたえるために中南米諸国からの対米輸出もふえたということで、中南米諸国がこの米国経済の拡大の恩恵をこうむったことは間違いのないところであろうかと思います。問題は、最近米国経済の成長が鈍化をしているということから、これがどういう影響を中南米諸国に与えるかということだと思います。私ども非常に関心を持っておりますが、確かに米国経済はことしの第一・四半期以降その成長率に相当の鈍化があらわれておるような感じがいたします。
 ただ、現在のところ、いろいろと見方はあるようでございますけれども、おおむね米国経済が、昨年ほどではないにしても、緩やかな拡大のテンポは維持しつついわゆるソフトランディングに成功するのではないかという見方が現在のところでは多数意見のように思っておりますので、米国経
済が非常に急速に何か悪化をすることによって中南米諸国が大きな打撃を受けるという事態は考えられないのかなと思っております。
 それともう一つは、確かに、米国経済が減速をいたしましてその結果米国の輸入需要の伸びが減るということになりますと、中南米諸国からの輸出がそれだけ同じように減速をするという悪い面があることはこれは間違いないのでございますけれども、もし米国の経済のソフトランディングが例えば高金利の是正であるとかあるいはドル高の是正といういい効果を伴って起こるとすれば、現在の中南米諸国は相当大規模なドル建ての対外債務を負っておるわけでございますので、その利払いがばかにならないという実情がございますから、もしドル高、高金利の是正ということが同時に起これば、その面では中南米諸国の経済にとってはプラスの要素も出てくるというふうに考えられます。
 したがいまして、私ども、米国経済の動向は十分注意していく必要があると思いますけれども、現在の時点では、特にそれが非常に何か大きな打撃を与えるおそれがあるというふうにも考えておらないというのが現実でございます。
#80
○桑名義治君 確かに、今の御説明にもございましたけれども、その反面にいわゆる米国経済が大きく後退をするようなことが起こるとするならば、中南米諸国が輸出に頼っているのはアメリカ、一番中心国がアメリカだと思うのです。そうなってまいりますと輸出の減にもつながりますし、そうなってくると今度は累積債務の問題がまたこれ一つ深刻な問題になってくるという一面もまた私はあるのではなかろうか、こういうふうにも危惧しているわけでございます。
 我が国の中南米向けの融資を中心にしたいわゆる途上国向け融資が不良債権化していることが一時期大変に問題になったわけでございます。銀行の経営危機に発展をするようなことがあってはならないと考えるわけでございますが、このリスク管理の問題についてどういうふうな体制をとっておられますか。
#81
○政府委員(行天豊雄君) 先ほども申しましたように、我が国の銀行は中南米地域に対しましてかなりの規模の債権を持っておるわけでございますので、これらの国々の将来、特に債務返済能力につきましては、銀行といたしましても、また私どもといたしましても、非常に関心を持っておるわけでございます。ただ、今委員御指摘になられましたように、現在既に中南米の諸国に対する債権が不良債権化しておるというのは、ちょっと私どもまだそういうふうに断定するような事態ではないのではないかなというふうに考えておることをまず申し上げたいと思います。確かに中南米の国の中には、非常に対外債務の額がふえておる、あるいは当初の契約どおりの債務の返済というものが非常に難しくなったために、いわゆるリスケジュール、繰り延べというような措置がとられている国もございます。ございますけれども、しかし現在のところ、こういった国に対する債権が将来もう返ってこないというような意味で不良債権化しているというような状態ではまだないのではないかというふうに思っております。ただ、まさに御指摘のとおり対外債務累積の問題というのは一朝一夕に解決できる話でもございません。これから関係者がよほどの努力と協力をして、時間をかけて解決する必要があるわけでございます。
 つきましては、一方、貸しております銀行の方も、その経営の体質につきましては、十分その辺を考慮に入れて経営を図っていかなければならないと思っております。私どもかねがね、そういう観点から、日本の銀行の対外貸し付けにつきましては、これが野方図に行われて銀行の経営そのものに悪影響を及ぼすというようなことがないように、いろいろな指導と申しますか、ガイドラインというような形で経営の健全を維持するように努力しておるわけでございます。
 例えば、特定の銀行がある特定の国に対して持っておる債権の金額はその銀行の資本金の一定の割合を超えないようにしろとか、あるいは対外負債全体とそれから自己資本の比率が余りに大きくならないようにしろとか、いろいろな指標を用いまして、日本の銀行が対外貸し付けによってその経営が悪化するというようなことがないように指導しておりますし、これからもますますその点は各地の経済状態等を十分注意して見守りながらやってまいりたいと思っておるわけでございます。
#82
○桑名義治君 去年の五月にFRB、それからFDICの救済融資が表面化しまして、米国のコンチネンタルイリノイ銀行その他の銀行やあるいは会社が経営破綻を起こしたということで、一時期これが大変な騒ぎになったわけでございますが、これらはいわゆるアルゼンチン等の中南米に対する多額の融資、これが重荷になった、そこから生じた結果だ、こういうふうにも言われているわけでございます。
 政府当局は、このような事態についてどういうふうに受けとめておられるか。あるいはこのような状況を、教訓としてどのように受けとめておられるか。そこのところをお聞かせ願いたいと思います。
#83
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、昨年、米国のコンチネンタルイリノイという、全米七位の非常な大銀行でございましたが、その経営困難の問題が表面化をいたしまして、お話のございましたように、連邦準備制度、あるいは連邦預金保険公社等が救済に入ったというようなことがあったわけでございます。ただ、私ども経営困難の内容につきましてそれほど立ち入ってよく資料を持っておるわけではございませんのですが、コンチネンタルの経営破綻の最大の原因というのは、私の理解しておりますところでは、中南米向けの貸し込みということではなくて、御承知のとおり、最近特に第二次オイルショックの後エネルギー問題というのが非常に大きくなってまいりまして、八〇年代に入りましてから、世界的な成長の鈍化、それから各国における省エネルギーの進展というようなことから、従来非常に成長産業だと思われておったエネルギー産業というものがそうでもないということになって、そこで相当の思惑違いということがあったわけでございます。
 実は、コンチネンタルの場合は、一番大きな原因はやはりエネルギー産業、石油、石炭等でございますが、に不良債権が出てきてしまったということであったと私どもは理解しております。
 原因はともかくといたしまして、こういう大銀行が経営困難に陥るというようなことになりますと、それが国内の金融秩序あるいは国際金融情勢に及ぼす影響は非常に大きいわけでございます。それなればこそ米国の場合でもFRBなりFDICがああいう積極的な介入を行ったのだと思っておりますけれども、私どもも、間違っても我が国の銀行がそういうような判断の誤りあるいは経営の失敗というような形で一国の金融秩序なり国際的な金融情勢に悪影響を及ぼすことのないよう従来からもできるだけの注意と指導をしておりますけれども、今後とも続けてまいりたいと思っております。その意味では、コンチネンタルイリノイの事例というのはいろいろな意味で他山の石とするに足る事柄であったのかなというふうに思っている次第でございます。
#84
○桑名義治君 そこで、中南米諸国の対外債務を中心といたしました途上国債務問題は、先ほどの御答弁の中ではそう不良債権化しているという認識はない、こういうふうなお話でございましたが、いずれにしましても、現在、緊急融資とりスケジュールの繰り返しによりまして一時的に問題が糊塗されている、こういうふうに見るのが適切ではなかろうかというふうに思うわけです。
 基本的には、債務返済あるいは負担の軽減、長期的な視点に立った構造調整的な開発融資の供与、それから自主的な経済発展路線の確立によりまして、先進工業国との共存共栄を図ることによって債務問題は打開される、こういうふうに考えるのが妥当ではなかろうかと思うわけでございます。また、中南米におきましては特にアメリカの影響力が非常に強いわけでございますので、アメリカはいわゆる金利の引き下げと軍縮を含む財政
赤字の削減、こういったことが必要でもございますし、また先進国は、途上国に対しまして技術を移転するとともに市場を開放するとか、あるいはまた国際産業調整の負担にも耐えなければならない、こういうふうにも考えるわけでございます。しかし、その場合でも最大の問題となるのは、銀行がいわゆる共存の債務にかかわる負担について相当のものを受け入れるということではないか、こういうふうにも考えるわけでございます。
 政府の考えるいわゆる国際債務問題の基本的解決策のあり方、その際銀行経営に与える影響に対する見通し、こういった事柄についてお尋ねをしておきたいと思います。
#85
○政府委員(行天豊雄君) まさに御指摘のとおり、この債務問題というのは世界経済全体にとっての一つの大きな課題になっております。どうしてこういう事態に立ち至ったかということは今さら詳しく申し上げる必要もないと思いますが、少なくとも今後この事態をこれ以上悪化させないで、どうやったら改善に向けて進んでいけるかということでございますけれども、私どもやはり最大のポイントというのは、債務国自体における厳しい調整の努力、何とかして自力で借金経済というものから脱却をしていこうというその国自体の非常な決意と努力というのがまず当然なければならないわけでございますが、一方、御指摘のとおり先進国の方におきましても、そこの経済を安定的な拡大路線に保つことによって、そういった途上国が輸出という格好で外貨を稼ぐことができるようにする、それからまた、それと同じ話でございますけれども、市場の開放について努力をするということも当然必要でございましょう。それから、最近特に重視されておりますのが、国際通貨基金、IMFとか世界銀行等々の国際機関が果たす役割ということでございまして、国際機関の場合はそれぞれの特別な機能がございますので役割も違っておりますけれども、IMFのようにどちらかというとお金よりもむしろ知恵をかすということも必要でございましょうし、世界銀行とか米州開発銀行のように資金を貸すということが大事な機関もございますが、そういった機関がやっぱり中心的な役割を果たすということが大事だろうと思います。
 それに加えまして、今委員御指摘の民間の銀行、金を貸しておる債権銀行の役割と申しますか、責任というのも最近は非常に大きくなってきておると思います。もちろん日本の銀行も同じでございますけれども、金融機関がそういった対外融資を行いますのは、当然経営としての判断から、そういった業務が有利である、将来性があると思ってやっておる面がございます。しかし同時に、その意図いかんにかかわらず、こういった民間銀行の投融資というものが世界経済の中での非常に重要な資金の流れの一端を担うようになっておるわけでございますから、こういった銀行は、相手国の経済が悪くなったからもうその融資をやめてしまうというようなことは行うべきではないのでありまして、やはり長期的に見て、その国の経済を本当に回復させ発展されるためには民間の金融機関としてどういうことができるかということを考えながら、場合によっては、お話がございましたが、リスケジュールもする必要がございますでしょうし、新規融資をする必要もあると思いますけれども、そういった形で民間銀行が果たす役割というのも最近は非常に高まっておるという点につきましては、全く委員御指摘のとおりだと思っております。
#86
○桑名義治君 債務の累積問題の解決の一つといたしまして、政府の開発援助資金のパイプを太くするということも非常に重要な事柄ではなかろうかと思うわけでございますが、そこで、累積債務問題に対する日本の考え方、対処の仕方につきましては、政府の開発援助の面での協力を積極化することが非常に必要だ、こういうふうにも思うわけでございます。
 累積債務問題解決への日本の国際的な責務を、政府はどのような形で果たそうと考えておられるのか、外務省の方にお伺いしたいと思います。
#87
○説明員(須藤隆也君) 累積債務問題につきましては、ただいままで御議論がございましたように、いろいろ複雑な背景に基づいて出てきた問題でございますので、それに対する取り組みも貿易、投資それから政府開発援助等、総合的な取り組みが必要ではないかと考えております。
 特に私どもが所管しております政府開発援助につきましては、累積債務問題の長期的あるいは中長期的解決への一つの有力な手段ではないかと考えております。したがいまして、中南米地域につきましても従来から政府開発援助を行ってきているわけでございますが、比較的中南米地域は所得水準の高い国が多いものでございますから量としてはそれほど多くはございませんが、十年前に比べますと量にしても七倍ぐらいにふえておりまして、シェアにしても中南米地域に政府開発援助の一割弱が現在振り向けられております。特に技術協力を通じる協力が全体の二割ぐらいを占めております。
 そういうことでございまして、政府開発援助面におきましては、一つは輸出振興のための協力、あるいは輸入代替のための協力、それから当面の措置としては公的債務の繰り延べ、これはパリ・クラブで債権国会議の合意に基づいて行われるものでございますが。そういうことを通じて累積債務問題の解決に寄与していきたいというふうに考えております。
#88
○桑名義治君 それで、昭和五十六年に設定をしましたODAの五カ年倍増のいわゆる中期目標ですね、これは本年度が最終年になるわけでございますが、達成の見通しはどうですか。
#89
○説明員(須藤隆也君) 御指摘のとおり、五十六年度からスタートいたしましたODA中期目標につきましては、予算面と実績面とございまして、予算のベースでは六十年度予算が最終年度に当たるわけでございますが、非常に厳しい財政事情のもとにおきまして格段の御配慮をいただきまして、五十九年度との比較において一〇%増、五千八百十億円の予算を認めていただきまして、その結果予算ベースでは九八%、ほぼ倍増に近い実績の達成ができたわけでございます。
 他方、支出ベースの実績につきましては、これはドルベースでネットの支出ということで回収金などを差っ引いた実績でいくわけでございますが、これまでのところ五十六年から五十八年までの三年間の実績しか出ておりませんで、五十九年度を現在集計中でございまして近く数字が出てくると思いますが、五十九年度と六十年度の数字がまだわかりませんので、現在の段階では確かなことは言いがたいという状況にございます。支出ベースの実績につきましては、円とドルのレート、それから特に二国間の借款で約束済みのものが工事に合わせてどのくらい支出されるかというような不確定要因がございますので、これから数字が出てこないとはっきりしたことは言えないという状況にございます。
#90
○桑名義治君 いずれにしましても、五十六年のODAの五カ年倍増計画というものは一応本年度が最終年になるわけでございますが、そこで新たな中期目標ですか、これを決定なさると思うんですが、これはいつごろに決定をするのかお伺いしておきたいのと、それから今回の目標というものは、特に今までの量の拡大に加えまして、贈与比率等の質の改善も盛り込むべきではないか、ふやすべきではないか、こういうような意見が非常に強くなっているわけでございますが、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
#91
○説明員(須藤隆也君) 現行中期目標が本年をもって終わりますので、来年からどうするかという問題がございますわけですが、政府開発援助の拡充は日本が果たすべき国際的な責務であるという認識に基づきまして、来年度以降も引き続きODAの拡充に努力してまいりたいと考えているわけでございますが、去る四月四日に大蔵大臣、外務大臣、経済企画庁長官、通産大臣の四大臣に集まっていただいたところで、来年度以降も新たな中期目標を設定して、ODAの拡充に引き続き努力するという合意をしていただいた次第でございま
す。
 合意の具体的な内容につきましては、先ほど御説明いたしましたように現行中期目標の数字がまだ出ておりませんので、それの達成状況、それから六十一年度以降の財政状況についての見通し等を踏まえまして、これから関係省庁と検討を進めていくこととなっております。
 それから、委員御指摘の質の問題でございますが、御指摘のとおり我が国のODAにつきましては、量的には急速に伸びてきているわけでございますが、質の面では、いわゆる国際的な比較に用いられます贈与比率であるとか、それから総合グラントエレメントであるとか、そういう指標でいきますと確かにまだ国際水準には及んでおりませんで、DAC十七カ国の援助国中十六位という位置にあるわけでございます。
 しかしながら、これは若干事情もございまして、我が国の援助の七割弱がアジア諸国に向けられているということがありまして、特に東南アジア諸国の場合にはほかの地域に比べて所得水準あるいは発展段階が高い国が多くて借款でも十分返済能力があるという国も多いものでございますから、そういう国に対して効率的な援助を進めるというためには借款の効用というものも十分ございますわけでありまして、そういうことで借款の比率が多いという事情もございます。しかしながら、国際的には確かに質の改善にも努力していかなくてはならない事情にございますので、新しい中期目標の内容の検討の際には、質の向上についても十分考慮して決定してまいりたいというふうに考えております。
#92
○桑名義治君 ODAの問題につきましては、これはお金の絡むことでもございますし、大蔵大臣の御所見も伺っておきたいと思います。
#93
○国務大臣(竹下登君) 今外務省からお答えがありましたように、四大臣で目標を決めよう、こういうことにしたわけでございます。それをどうやるか。今の外務省の答弁は非常に正確でございます。今度の第四年次の集計が出てきますと、まずは事務当局ベースで検討を開始しなきゃならぬなと思っておるところでございます。
 で、これは政治家同士の問答として聞いていただきますならば、私は、これは少し荒っぽい議論でございますけれども、あの最初のときの為替レートは非常に円高のときに定めた目標でございます。しかし、それは余り理屈にならぬかもしれません、ドルで話をしているわけでございますから。したがって、あの当時のレートで計算したならばということが一つと、それからもう一つは、絶えず出資、増資の際にやや日本が積極的発言をしておりますが、結果はいつもそれよりも下がっております。それらを日本が期待しておった額に計算したらこれはもう十分目標は達成されたという結果になるじゃないか、こういうことを申しております。これは政治家同士の問答でお答えしただけで、これが国際的に大変通用する議論だとは必ずしも思っておりません。
 そういうことをいろいろ考えてみますと、今度恐らく議論として出るのは、ASEAN閣僚会議があるじゃないかとか、あるいはアクションプログラムをつくる時期もあるじゃないかとか、したがって、この前のは御案内のとおりに面積が倍になるわけでございますけれども、面積の問題で議論するのか率の問題で議論するのかは別として、早く決めようじゃないか、こういう議論が出るだろうと私は予測しております。しかしながら、仮にそれをやりますと、私どもはあらゆる分野に聖域をつくらない、こう申しておるわけでございますから、ある種の聖域を設定した、こういうことになりますと、これは予算の概算要求に当たりましても、従来貫いてきた方針とは著しく変化せざるを得ない、こういうことになりますので、ぎりぎりそういう議論をしておると予算編成の十二月までに中身を詰める問題なのかな、こう思ってみたりしておる段階でございます。きょうはまさに桑名さんとの政治家同士の答弁みたいな形になりましたけれども、今のところ、どういう対応の仕方をするかというのは、この四年目の実績を見た上でまずは検討開始、こういう段階かな。しかし、中期目標を掲げるということをデクレアしたわけでございますからこれは何かしなきゃなりませんが、結果として実現不可能なようなことを宣言してもなりませんので、部内で慎重に検討してまいろうというふうな考え方で今日私自身がおる、こういうことであります。
#94
○桑名義治君 時間がもうあと八分になりましたので、次に進みたいと思います。
 我が国の世界銀行に対する出資は米国に次いで第二位になったわけでございますが、他の国際開発金融機関に対する出資も非常に多くなっていると言えるのではないかと思います。出資が多い分、我が国の発言力も相当大きくなったのではなかろうか、こう思われるわけでございます。
 このごろ、地域開発金融機関の一つでありますアジア開発銀行の貸出減についての報道がなされているわけでございますが、アジア開発銀行の貸出減の原因は、概して国際地域開発金融機関に対する米国のいわゆる冷たい態度にあるのではないかという事柄がよく新聞紙上でも報道されているわけでございます。特に米国は、レーガン政権になってから、対外援助は米国の戦略上必要な対象国に直接与えるのが効果的だ、このような考え方が顕著にあらわれているのではなかろうか、こういうふうにも思われるわけでございますが、大蔵大臣はことしのアジア開発銀行の総会にも出席をされておられることでもございますし、アジア開発銀行の貸出減の原因、あわせて米国の対外経済援助の考え方、特に国際地域開発金融機関への対応についての御所見を伺いたいと思います。
#95
○国務大臣(竹下登君) なお、先ほどの答弁で一つ落としましたことをまず補足させていただきますが、外務省からも正確に答弁があっておりますが、例の質の問題でございます。
 かつて英領何々とか仏領何々とかそういう国は、どうしてもかつての宗主国でございますから、贈与が中心になりがちでございます。アジアの場合は、これは一つの物の考え方でございますが、いわゆる自立自助という意味においては贈与よりも借款の方がより効果的ではないかという考え方を、基本に我々が持っておるわけであります。グラントエレメントの計算のときにはちょっとぐあいが悪いなという感じは持ちますけれども、基本的にアジアでかなりそういう国が出ておるということと、そして自立自助というのがやはり本来あるべき姿であるという考え方がありますということだけ、つけ加えて申し上げておきます。
 それから次はアジ銀、この間の総会に行きましたが、最近米国が国際開発金融機関に対して消極的であるということ、これは事実であります。本年のアジア開発銀行の融資の停滞傾向については、これは別の要因があると考えられます。すなわち、現在アジア開発銀行事務局はことしの貸し出しは前年に比して減少すると見込んでおりますが、これは借入国側の財政事情が押しなべて悪化したためにADBプロジェクト実施に必要ないわゆる自国負担金の捻出が困難だということが一つの理由だと思っております。
 それから、低所得向けに緩和された条件で融資を行いますアジア開発基金につきましては、米国の払い込み遅延のための資金繰りが悪化しておることはこれは事実でございます。この遅延相当額は既に補正予算として議会に提出されておりますので、近々議会を通過する見通しでありますので、その意味においては最終的には貸し出しの減少につながらないで済む、こういうことになろうかと思っております。しかしながら、我が国といたしましてはそういう出資あるいは増資でございますか、それについては積極的な姿勢をとって今日まで来たことも事実でございます。ただ、全体の出資交渉等を行いますと、やっぱりこれはいろいろな経過がございまして、例えばアメリカを差しおいてその上へ上がっていくとか、我が国のおよそのシェアというものの客観的な評価というものもございますので、その辺はもちろん配慮に入れますものの、我が方としては積極的に出資、増
資には取り組んでいくという姿勢をこれからも貫いていかなければならないというふうに考えておるところであります。
#96
○桑名義治君 時間がもうほとんどなくなりましたので、あと一問だけお尋ねしておきたいと思います。
 先ほどもちょっと申し上げましたように、米国の態度はこういう国際金融機関に対して非常に冷たくなった、しかもこういった問題がいわゆる戦略上の問題と結びつけられているというようなことはこれは決して好ましいことではないと思うのでございますが、この点について大臣の最終的な御意見を伺って、質問を終わりたいと思います。
#97
○国務大臣(竹下登君) 近年、いわゆるバイは別としまして、多国間援助についてアメリカが消極的な態度をとっておる。しかし、我が国としてはやっぱりどちらかといえば国際機関中心という感じで今日まで来ておりますので、そういう多国間援助の重要性にかんがみ、機会あるごとにアメリカに対しましても前向きな姿勢をとるように働きかけておるところでございます。
 それから、現実の融資そのものにつきましては、あくまでもいわゆる経済というものを本位に考えて対応する、これは我が方は理事等がそれぞれ出かけておりますし、そういう基本姿勢でこれからも貫いていかなきゃならぬと思っております。
#98
○近藤忠孝君 昨年、アジア開発銀行に対する増資法案の審議をしたときでありますが、私は、国際機関の活動については、日ごろ国民の目に触れないものですから、少なくとも増資の際にはその活動をよく見てみる、そういういい機会じゃないか、その都度法案を提出して十分審議できるようにすべきじゃないか、こういう問題を提起いたしました。これに対して竹下大蔵大臣は、従来のやり方につきまして、特にその法案の提出の仕方について反省すべきである、これは大変歯切れのいい発言をして、じゃ反省してどうするのかと言ったら後は歯切れが悪かったけれども、ともかくそういうやりとりがあったわけであります。
 今回、この米州投資公社法案でありますが、この第二項で、政府は次回以降の追加出資については法律改正を要しないという規定を設けたわけであります。先ほど理事会で一定の協議がされたわけでありますが、私はそれはそれとして、こういう立法形式だと、一たん設立されてしまった後はその国際機関がどのように運営されようと国会の監視の目がなくなって、やっぱり非常に問題だと思うんです。私は、これが本法案反対の第一の理由であります。
 いかにこれが問題であるかと申しますと、この米州開銀のニカラグアに対する融資ストップの問題でありまして、私はこれを取り上げて問題点を明らかにしたいと思うんです。
 この中で、米州開銀同様米州投資公社が、アメリカによる中米支配の道具として利用されるおそれが大変にあるということを指摘せざるを得ないわけであります。以下、具体的に指摘をしたいのです。いままでは意見ですから答弁は要りません。
 まず、去る三月開かれました米州開銀の総会で、ニカラグアの代表が、これは歴史に残るとも言うべき大演説を行っております。その資料を拝見いたしました。この演説の中でニカラグアは、一九八二年に米州開銀に対して申し込んでおりました農業開発のための五千八百四十万ドルの融資案件がアメリカの反対でいまだに決定していないことについて、その不当性を強く訴えています。これは午前中もその質疑があったようです。この演説によりますと、当案件については既に米州開銀当局によって調査、分析が行われておりまして、米州開銀の技術的な条件、政治的な問題じゃなくて技術的な条件に合わせて、若干の手直しもされたものであります。そして、開銀のエキスパートによりますと、この案件は技術的にも財政的にも経済的にも法的にも、また計画面でも全く申し分のないものであることが確認されている、このように言われておりますが、この点は事実の確認ですが、いかがですか。
#99
○政府委員(行天豊雄君) ニカラグアが米州開発銀行に対しまして総合的な農業信用供与プログラムのために約五千八百万ドルの融資を申請しておるということは、御指摘のとおりでございます。また、現在、米州開発銀行の事務局がこの申請につきましてフィージビリティー調査などの技術的な検討を進めておるということも御指摘のとおりでございまして、私どもの聞いておりますところでは、その作業は今やそろそろ終了しつつある、したがいまして近いうちにこの案件が理事会に諮られるということになろう、こういうことでございます。
#100
○近藤忠孝君 この問題については、ことし一月、IDBのすべてのラテンアメリカの理事がIDBの首脳に対して、この案件が理事会において一刻の猶予も置かず解決されるべきであるということを要求しております。この事実はいかがですか。
#101
○政府委員(行天豊雄君) このニカラグアからの融資申請につきましては、ことしの初めに、ただいま委員御指摘になりましたように、域内の開発途上国が早期に承認をされるべきであるというふうに要望しておるというふうに私どもも理解をしております。
#102
○近藤忠孝君 それはことし一月なんですね。ということは、開銀の中でのいわば事務的なあるいは技術的な審査がずっと進んでおって、その中身を理解しつつあったと思うんです。
 私はきのう、質問通告の中で、先ほど申し上げたような開銀のエキスパートによって、先ほど言ったような申し分のないものであることが確認されておる、この事実を確かめてほしい、こういうことを言っておったんですが、これは確かめられたんですか。
#103
○政府委員(行天豊雄君) 私どもが理解しておりますのは、まだこの事務局によります技術的検討というのは完了していないようでございまして、したがいましてまだ私どもは、事務局として本プロジェクトについて最終的な結論を下した、それがどういうものであったかということは承知しておりません。ただ、先ほど申しましたように、もうそろそろ完了しそうだ、完了すればこれが融資案件として理事会に諮られるであろうということは私どもも承知しております。
#104
○近藤忠孝君 諮られるのは諮られるでいいんですが、その前にいわば事務方で内部的に審査が進んで、先ほど申し上げたような幾つかの点でのこれは中身は大丈夫なんだということは、これは当然日本の大蔵省としてもわかっておってしかるべきではないのでしょうか。確認したらわかるのじゃないんですか。
#105
○政府委員(行天豊雄君) これは別に米州開銀に限りませんのですが、国際機関におきまして融資申請があってそれを処理いたします場合に、まず当然事務局がいろんな観点からこのプロジェクトの必要性等を検討するわけでございますけれども、その事務局の検討の結果というのは、事務局が検討の結果事務局としてはこの案件について融資をすることが望ましいと思うという格好でそれを理事会に諮るという、その行為によって初めて決定するわけでございます。ですから、まことに申しわけないのでございますけれども、事務局といたしましても、理事会に諮る前にその事務局としての態度を外部に教えるということは、これはちょっと国際機関の建前からまいりまして難しいことではないかと思っております。まだその段階には至っていないというのが私どもの理解でございます。
#106
○近藤忠孝君 先ほど局長もお認めになったように、すべてのラテンアメリカの理事が先ほど言ったようなことを言っている、要求しているということは、相当熟したものになっていると思うんです。それがしかもことしの一月ですね。
 問題は、このように融資案件がいろんな角度から見てIDBの融資基準に合致しているにもかかわらずこれがいまだ承認されていない理由は、一にかかって、政治的な理由からアメリカが米州開
銀に対して横やりを入れているからだと思うんです。その点はどうか。事実の確認を求めます。
 先ほどのニカラグア代表は演説の中で、アメリカのシュルツ国務長官が、IDBの歴史の中では全く異例のことではあるが、銀行の総裁に書簡を送って、明確に政治的な理由からその融資案件に関する書類を理事会に回すことに反対している、こう述べております。
 で、お聞きしたいのは、このシュルツ国務長官の書簡なるものを御存じかどうか、そしてその内容はどうなのか、以上お答えいただきたいと思うんです。
#107
○政府委員(行天豊雄君) 米国がこのニカラグアに対する融資につきまして反対の意見を持っておるということは、私どもも聞いております。それから、シュルツ長官が書簡の形で米州開銀の事務局に対してそういったアメリカの態度というものを伝えたということも聞いておりますが、この書簡自体はこれは公表されるような筋のものではございませんので、私どもも了知しておりません。したがいましてその正確な内容については申し上げられませんが、情報として私たちが聞いておりますところでは、米国は、ニカラグアはそのほかの国際機関、世界銀行であるとかそれからIMFであるとかいうところから既にいろいろな形で融資を受けているわけでございますけれども、その返済が延び延びになっているというようなことがある。したがって、どうもニカラグアはそういう意味では融資に対する十分な返済能力がないのじゃないかという疑問がある。そういう点から本件融資に対して消極的な態度をとっておるというふうに私どもは聞いております。
#108
○近藤忠孝君 そういう経済的な問題でなくて政治的な理由ということであり、この書簡の中身はこういうことのようですね。
 金には色がついていないのだから、そのような融資をニカラグアに対して行うならば、ニカラグア政府の財政負担を軽くし現体制を固めることに役立つことになる、こういうことが述べられておるというんです。
 これは恐らく調べればわかるだろうと思うんです。これが事実だとしますと、まさにアメリカによる米州開銀に対する政治的介入そのものだと思うんです。こういった事実は既に指摘されていますね。現にニカラグア代表が米州開銀総会で演説の中で触れているんですから、ある意味ではこれは公になっていることです。となれば、日本政府としても当然この事実があったかどうか確かめる必要があるのじゃないか。大臣いかがですか。
#109
○国務大臣(竹下登君) この問題につきましては、いわゆる国際機関の融資は政治的考慮を行わないで純粋に経済的効果のみから決定するものでありまするから、一国の政治的理由から融資案件を左右するということは、これらやっぱり適当でないという考え方の上に立つべきである。したがって、まさにそれが経済開発にどれだけ利益するかという経済的な条件の中で対応すべきものであるというふうに私はいつでも考えております。
#110
○近藤忠孝君 となりますと、ニカラグア代表が総会で発言したように、アメリカの政治的な理由、そのことによって融資をしてはならぬと、しかもこれは開銀の中のアメリカの代表が言うのならまだしも、シュルツ国務長官といういわば外からこういった要求をしている。これは介入そのものですね。しかもそのことが、総会という場でニカラグアの代表から述べられているわけです。当然これは大臣の耳には入っているわけです。となれば大臣、そういう事実があったのかなかったのか当然調べるべきだと思うんです。
 ですから質問としては、そういう政治的な介入であっちゃいかぬ、もしあったらこれはアメリカが間違ったことですね。その点の確認が一つ。そして今私が指摘したようなそういう状況をむしろ調べるべきじゃないかと思うんですが、その点について。
#111
○政府委員(行天豊雄君) 先ほど申しましたように、シュルツ長官の書簡なるものはこれは公表されておりませんので、私どもその内容の詳細については存じていないということでございます。ただ、委員が御指摘されましたように、間接的にこの中身についてはいろいろと言われていることは事実でございます。
 まさに大臣が先ほど答弁なさいましたように、私どもは基本的にこの国際機関の融資決定が政治的な動機、経済的でない動機によって行われるということは好ましくないということでございますので、私どもの立場といたしましては、何せこの案件というのはまだ理事会に諮られていないわけでございまして、私たちが加盟国といたしましてこの案件を審議し、それに対して賛否の立場を明らかにするというのは、案件が理事会に諮られた段階でございますから、このプロジェクトが理事会に提出されました暁におきましては、我が国は御承知のとおり米州開発銀行には理事も持っておりますので、その場合には、我々がかねてから持っております方針、つまり経済的考慮でもってそのプロジェクトが本当にその国の役に立つかどうかという観点からだけ判断をしてその適否を決めていきたいというふうに考えております。
#112
○近藤忠孝君 まだ理事会に出ていないというんですが、既に一月の段階ですべてのラテンアメリカ代表が、早くこれは処理せよ、そう言っておるんだから、もう機は熟しておるのに、なぜできないのか。それはやっぱりアメリカの圧力があったからなんですね。
 しかもこれは、これまたニカラグア代表の演説の中ではっきりしておりますけれども、この融資案件が承認されたらIDBに対する直接の脅迫が用意されておる、アメリカはこう言っておるというんです。これは当然演説でやったんだからお聞きになっているでしょう。その事実はどうか。となればそれは当然調査すべきです。まさにアメリカが、承認されたらIDBに対する直接の脅迫をするぞと言っているんですからね、これはゆゆしき事態だと思います。となれば、この中で重要な役割を持っている竹下さん、これはほっておけないことです。その点は御確認になったか。もしそうだとしますと、これは一体どうするのか。
#113
○政府委員(行天豊雄君) ニカラグアの代表が総務演説の中で本件に関しまして言及しておるということは私どもももちろん存じております。ただ、同時に米州開発銀行の総裁自体が同じ総会の演説におきまして、米州開銀がその融資決定に当たっては政治的な考慮でなくてあくまで経済的な観点からの検討でもって事を決めるのだということを再三確認しておるということもございますので、私ども率直に申しまして、ある総務がその演説の中で言われたことについて一々その何と申しますか、真偽を確かめるということは、これはいささか適当ではないのではないかと思っておりますし、現にまた総裁自身が機関としてのはっきりとした政策を確認しておられるわけでございますから、私どもはまさにそういった総裁の確認を信じて、事務局が案件を処理し理事会に諮ってくるというときを待ちまして、我々としてそれに対する態度を決めていきたいというふうに考えておるわけでございます。
#114
○近藤忠孝君 私も発言の一々を全部確認しろとは言わないんです。ただ、この中身は極めて重要な中身です。単にこれはニカラグア一国に対する融資条件の問題じゃなくて、これは設立されて二十五年の歴史を持つ米州開銀の存在にかかわる、存続にかかわる問題です。ニカラグア代表も、単に自分の国の問題じゃない、これはこの開銀の組織そのものの問題だ、こういうぐあいに切実に訴えて、大変感銘を与えているものなんです。
 となれば、これは当然、しかもそれがアメリカの介入だと訴えているのですから、そういったことがあっちゃならぬということです。これはそういう角度から竹下さん、当然今私が言った事実を調べるべきであったし、調べてないのなら当然調べて、開銀に対してそれに対する措置をやっぱりとるべきじゃないのか、こう思うんですが、いかがですか。
#115
○国務大臣(竹下登君) 大体先ほど来申し上げておりますように、日本が国際機関中心というの
は、振り返ってみれば、いつも申すようですが、新幹線も東名高速も、あのダムもあの製鉄所も、世銀で借りた経験があるということがやはり国際機関中心であって、そしてしかもそれに対しては経済的理由のみを先行させて対応するという方針を今日貫いているわけですから、それは中身に至ってあるいはIMF、世銀にまだ滞りが残っておるんじゃないかとか、いろんな内容はあろうかと思いますが、その内容等をさらけ出す議論に参加することも必要じゃないじゃないか。あくまでもこれは経済的理由の中で我々は対処してきたし、今後も対処していこうという方針で臨むべきだという基本的な考え方です。
#116
○近藤忠孝君 日本は経済的な観点から臨もうと繰り返し答弁されていますからそれはそれでいいんだけれども、ただ現実にはやっぱりアメリカの介入で処理がおくれているのだと思うんです。それに対する的確な対応が必要だと思うんです。
 しかも、もう時間がないのであと全部まとめて言っちゃいますが、アメリカがこういう政治的な発言をし介入するには根拠があるのです。それは、資料要求をしておきましたけれども、一九八二年の二月に国際開発金融機関に対する援助政策というアメリカの政策をまとめた報告書があるんです。その中身によりますと、国際機関への参画に当たっては基本的にこういうことで臨もうと。一つは自由主義国のリーダーとしての強いアメリカの確保、第二に民間の活力を活用し小さな政府を目指すというもので、国際機関への協力に当たってはアメリカにとって政治的、戦略的に重要であるかどうかが重要な基準とされているわけですね。
 で、そのとおりかどうか、その確認を求めます。もしそうだとすれば、そういう基本的立場からの介入なんで、日本としては当然やっぱり、出資シェアも増している重要な国ですから、こういう動きに対して本当に、単に経済的に判断しますというだけじゃなくてもっと積極的な対応が必要だ、こう思うんですが、それに対する答弁。
 外務省、せっかく来てもらったので簡単に申しますと、一つはアメリカがニカラグアに対して軍事的な介入の準備をしているという報道がありますが、それについてどうか。それから、お隣のホンジュラスに対しては大変日本からの援助が急にふえているのですね。これは親米国だからです。片や、一人当たりGNPの大きさでは同じような国、大体それが援助の基準になるようですが、そのニカラグアに対してはこれはやってない。これはやはり日本の外務省自身がアメリカのいわば手代のような役割を果たしているんじゃないか、こういうことですが、その点についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
#117
○政府委員(行天豊雄君) 御指摘のレポート、確かにレーガン政権当初のころアメリカ政府部内でそういうレポートが出たことは私どもも承知しております。ただ、そのレポートとそれからただいま委員御指摘の米州開銀におけるニカラグア融資との関係がどうなっておるのかということは、ちょっと私どももつまびらかにしておりません。しかし、繰り返し申しますけれども、この米州開銀につきましても、協定上、融資は政治的な配慮ではなくて純粋に経済的考慮でやるのだということになっておるわけでございますから、私どもこれからあらゆる機会をとらえまして、理事会等の場におきまして我々の立場を当然申しますし、それから米州開銀の融資決定がそういった本来の方針によって行われるように努力をしてまいりたいと思っております。
#118
○説明員(赤沢正人君) 先生御指摘のアメリカによるニカラグアへの侵攻の準備の可能性というのは、六月四日付のニューヨーク・タイムズが、米国がニカラグア侵攻への準備を完了したと報じているということをお指しだと思いますけれども、この事実については承知しておりますけれども、米国は従来から中米問題につきましては、この域内の和平努力でありますコンタドーラ・グループの活動を支持する旨繰り返して明らかにしてきておりますし、米国政府がニカラグア侵攻の意図を有しているということは承知しておりません。
#119
○説明員(須藤隆也君) 我が国のホンジュラス並びにニカラグアに対する援助についての考え方でございますが、我が国としましては、開発途上国に対する援助に当たりましては、相互依存と人道的考慮という南北問題の基本的な理念を基礎としまして、相手国との全般的な関係、それから相手国の開発ニーズ、そういうものを総合的に勘案して行っているわけでございますが、御指摘のとおりホンジュラスに対する援助に比べますとニカラグアの援助は少ないわけでございますが、援助してないというわけではございませんで、ニカラグアに対しても従来から研修員の受け入れ、それから無償資金協力、それから機材供与、最近では五十七年度には水害被害に対する緊急援助として五万ドルの援助供与をした実績もございます。したがいまして、ニカラグアに対して援助をしないということではなくて、一般的な方針に従って援助を供与しておりますし、これからもそういう方針でございます。
 なお、こういう援助の結果になっておりますことは、アメリカの指示あるいは要請に基づいてやっているということではなくて、我が国の援助の考え方に基づいてやっている結果でございます。
#120
○近藤忠孝君 終わります。
#121
○栗林卓司君 開発途上諸国の経済発展に日本として協力すべきであるという点は全く賛成でありますし、その理由で、米州投資公社の設立に伴って拠出をすることについても賛成であります。
 ただ、一点だけ協定の中身についてお尋ねをしたいと思うのですが、改めて整理をしてみますと、開発途上諸国に対する投融資の問題について、国際金融公社がございます。これは生産的民間企業の育成ということですから、平たく言いますと大企業が対象になる。あと、米州開発銀行になりますと、業務の対象は主として加盟国政府あるいは政府機関に限られておりますので、これはそっちが対象になる。今回つくりました米州投資公社というのは、民間の中小企業を対象にして投融資をする。それで全体としてある補完機能を果たしていくのだ、こういったねらいだと思うんですが、中小企業と一口に申しましても、見方を変えていいますと、中小企業というのはそれぞれの産業の問題だと私は思うんです。一般的に中小企業問題とあるのではなくて、それは運輸産業の問題なのか繊維産業の問題なのか、あるいは何産業の問題なのか。したがって、個別の産業政策と切り離された中小企業問題というのは私は存在しないのではないか。
 そういった面で見てまいりますと、中小企業に対して投融資をやることによって経済の活性化を図るといいましても、そのために当該国政府がどういう政策で何をやろうとしているのか。いわばどういう産業政策、経済政策で今後臨もうとしているのかということと、これは不可分の問題だと思うんです。したがって、投融資に限定された純経済ベース、こう言いましても、仮にその投融資が効果を上げていくためにも、当該加盟国政府が今何を考え何を欲しているかということは相当重要なかかわり合いが私あると思うんです。もちろん協定の中を見ますと、加盟国政府が反対をしたらその融資はできないとありますけれども、それだけでして、反対じゃないけれども積極的賛成ではないとか、いろいろな濃淡があると思うんです。
 そういった問題に対して今回の米州投資公社の規定というのは、平たく言うといわば当該国政府の頭越しで投融資が行われる。私はこれ、けげんな気がするんです。それは、投融資を受けるのは中小企業ですよ。その国の政府が、ではそれによってどういう責任を負うのか、あるいは事前にどういう意見表明をしかるべく言うのかという条項が全くない。となりますと、ちょっとこの点が一番欠けているのではないかという気がするんですが、いかがでございますか。
#122
○政府委員(行天豊雄君) 委員御指摘のとおり、米州開発銀行の融資形態と比べてみますと、現在御審議いただいておりますこの投資公社は中小規
模の民間企業というものが対象になっておる。これも御指摘のとおり、中小企業の問題というのは非常に産業構造の問題と密接にかかわっておるということはまさにそのとおりだと思います。現に中南米におきましても、中小企業がより多く存在しております分野と申しますのは、どちらかと申すと伝統的な地場産業、繊維であるとか建設であるとかあるいは食料品であるとかいうようなところが多いようでございます。ですから、こういった民間企業が国際機関から投融資を受けてそれなりに発展をしていくということが、単にその企業の問題だけではなくて、その国の広い意味での経済政策、経済構造の問題とかかわり合っておるということは、まことにおっしゃるとおりだと思います。現在のこの公社の仕組みが、そういう観点から見ると、当該国の政策責任者である政府が全く関与しないままにそういった投融資が行われるのじゃないか、そのことがかえってその国の経済政策にマイナスの効果があるのじゃないかという御指摘だろうと思いますが、確かにそういうことがあってはならないと私ども思っております。
 国際機関のメリットと申しますのは、加盟国あるいは域外国が、あるいは事務局への参画あるいは理事会への参画等々の形でもって、それぞれの国の政策というものをそれなりに反映させることができるような仕組みになっているところがまさにメリットだろうと思うのでございますけれども、この投資公社の融資のプロセスをごらんいただきますと、もちろん最初は金を借りたいあるいは投資を受けたいという企業が申請をするわけでございますけれども、それがまずこの公社の事務局、これは当然のことでございますけれども各国からの人間が集まっておるわけでございます、によって検討され、それから当然この公社の方から調査の調査団みたいなものが現地に派遣されるというようなこともございますでしょうし、そういったプロセスを経てそのプロジェクトについての審査が行われていくわけでございますから、これは決して当該国政府に秘密にされているわけでも何でもございませんし、どういう申請があったかということは当該国政府としても当然知り得る立場にあると思いますし、それから事務局として一たん審査が終わりますと執行委員会というのにかかることになっています。ここでまた域内途上国、これには、二名でございますけれどもそれぞれを代表した集合的な意見としての代表がおるわけでございます。それがおる。それから理事会、という何段階かのプロセスを経てそのプロジェクトの審査と決定が行われるわけでございますから、私は実際問題としてあるプロジェクトが当該国の大きな経済政策と全く背馳するような格好で決められていくという心配は余りないのじゃないかなというふうに考えております。
 もちろん先生御指摘のとおり、規定の中にも、最終的にもしこのプロジェクトはどうしても困るというときには反対できるという規定もございますが、さらにその前の段階で私は、加盟国政府としてプロジェクトの選定で、特に自国内のプロジェクトの選定につきまして、いろいろな形で意見を言いあるいは検討に加わるというチャンスは十分与えられるというふうに考えております。
#123
○栗林卓司君 協定の内容ですが、第三条業務を見てみますと、「公社は、その目的を達成するため、次の権限を有する。」、(a)として「次の性質の一又は二以上を有する事業を優先しつつ、経済的実行可能性及び効率性の基準を満たす事業を特定し及び促進すること。」とありまして、(i)は「開発途上加盟国の物的及び人的資源の開発及び利用を促進する事業」、「(ii)雇用の創出のための誘因となる事業 (iii)貯蓄及び生産的投資に係る資本の利用を促進する事業」、以下省略をしますけれど、ここの選択というのは各国の経済政策そのものですよね。また、そういった内容でなければ効果の上がる投融資ではないんですから、このことを私は非難していないんです。業務として「次の性質の一又は二以上を有する事業を優先しつつ、」という書き方というのは、各国の政府そのものが取り組んでいる課題です。
 そうなりますと、投資公社をつくるのはいいんですが、やっぱり米州開発銀行みたいに投資対象は政府もしくは政府機関、そこが政策を絡めてそういった分野に投融資をなさいという方が私はどうも自然みたいな気がする。それは、善意が固まってこういう国際機関になるのだとおっしゃればそれっきりなんだけど、そうは言っても、開発途上諸国の開発の乱開発をどう防ぐかというテーマにしたって、あるいは域内の開発途上諸国は非常に数が多いですよね、そこがどういう役割を分担してあのラテンアメリカ一帯の全体の経済水準を上げていくのかという問題等々を考えますと、それは国際機関の持っている助言機能というのは私は否定しないんですが、ただ、とにもかくにもそれぞれは国であるわけですから、したがって経済政策の根幹にかかわる部分については、この公社が選択するだけではなくて、やっぱりそのところどころの政府の意見も徴しながら決めていくというのが私はどうも自然な気がする。
 ですから、ちょっとひがんで申し上げますと、要するにあの南米諸国の政府に対する不信感がこの公社のコンストラクションになったんだろう。であればこそ、午前中も触れておられましたけれども従来にない注記があって、だったら発言力をよこせというぐあいになってきたのじゃないか、どうもそんな気がしてならないんだけど、その点はどうなんでしょうか。
#124
○政府委員(行天豊雄君) 確かに発展途上国の経済発展でだれがどういう役割を担うべきかというのはなかなか難しい問題だろうと思います。大きく分けまして政府部門とそれから民間部門の役割をどうするかというのは、これはどこの途上国でも直面している問題だろうと思います。中南米諸国におきましても公営企業、政府関係企業というものが相当大きな役割を持っております。特に基幹産業分野などではそうでございまして、反面また外資系の企業が強いところもあるし、そうでない民間部門もあるというような経済構造でございますので、やっぱりそれぞれの主体が一番効率的な活動をするということが国全体の経済発展のためにとってプラスであろうということは、これまた否定できないだろうと思うのでございます。
 この投資公社が例えば米州開発銀行に対しまして補完的な役割を果たすことを期待されておるという意味は、その米州開発銀行の方は御指摘のとおり政府もしくは政府機関ということでいわゆるパブリックな部門を強化する、その活動を支援するということでございますが、それだけでいけないということもまたこれ事実でございましょうが、特にこの公社は余り今まで国際的な支援というものを受ける余地のなかった中小企業の地場産業のようなところを主にやっていこうねと、こういうことでございますから、私はそれはそれなりに国全体の経済発展戦略の中で意味を持ち得るのじゃないかと思うのでございます。それを国の政府が一つのマクロ経済政策の一部分として見るというその機能は、私はこの公社ができたからといって国のそういう機能が損なわれてしまうというような心配はないのだろうと思います。むしろ、従来は政府からの支援あるいは国際的な公の支援というものがなかったそういう部門に新しくそういう民間の金も含めて金が入ってくる、技術も入ってくるというところにメリットを感じておるわけでございます。
#125
○栗林卓司君 繰り返しになりますけれども、十分な資金が妥当な条件で供給される場合には融資ができないことになっていますね。したがって、ある意味で言いますと非常にリスキーな分野について投融資をしていく任務をしょっているのがこの公社ですよね。そのリスキーな分野に対して、それは通常の条件での担保処置は講じると書いてありますけれども、少なくとも世界各国のお金を集めながらそれを使って投融資をしているわけですが、そのときの当該国政府がその融資に対して何の責任も持たないんだ、裏返して言いますとこういった問題でもあるんです。
 十分な資金を政府としても供給できない、市中機関もなかなかできない、したがってこの公社に
よろしくと言うんだけど、よろしくと言って受け入れた投融資について、それは一義的にはその中小企業の借金であり資本金です、しかしその先行きについては当然当該国政府がやっぱりある種の責任感をしょわなきゃ世の中の筋道が通らない。そういったぐあいに当該国政府が責任を持ってその投融資を受けた産業分野については育成を図りますという条項はここにない。あくまでも投融資を限度とした純経済ベース。やっぱり私どこかわかりかねる点があるんだけど、ちょっと今裏返して申し上げましたが、その点いかがですか。
#126
○政府委員(行天豊雄君) ただいまの御議論は、最近我が国でも非常に関心を集めておりますいわゆる民活の問題と一脈相通ずるところがあるのかなという気がしたのでございます。確かに金を貸したり投資したりする側から見ますれば、しっかりした保証があるあるいは担保があるというのがいいにこしたことはないわけでございますけれども、同時にそれは収益性との間の絡み合いもございましょうし、それからまた、その国の経済全体の立場から見ましても、果たして、だれが見てもこれは安心な仕事だから保証もしよう担保も出そうというそういうプロジェクトだけしか伸ばせない、伸びないということでいいのかということになりますと、やはりそうでもないのかなという気もするのでございます。ですから、ほかに十分に金が調達できる場合には貸さないという趣旨は、そこに何がしか一つの将来性はあるけれども同時にそのいわば見返りとしてだれもが安心して保証するというようなそういう要素がないという面とまさにバランスを保っておる、ベンチャーキャピタルなんという言葉がございますけれども、そういった要素がやっぱり民活の場合にはどうしても必要になってくるのだろうと思います。
 ですから、御指摘のとおりこれは、そういう投融資の安全性という観点から見ますと、政府に貸している金、政府保証がついている金とは別だと言われれば全くそのとおりだと思いますけれども、その国の経済の将来を考えました場合に、特に中南米の国なんかは割と統制経済的なところもございますし、そのことのマイナスというようなことも指摘をされておりますし、その意味でこそこの民活という考え方が関心を集めたのだろうと思いますので、そういう民活というものの持つリスクと同時に将来性といったものも考えてこの機関の発展を見守っていきたいというふうに私ども考えておるわけでございます。
#127
○栗林卓司君 日本の場合を例にとって考えてみますと、リスクが深くなるに従いまして、一番薄い部分は市中金融機関、二番目は開発銀行、三番目は補助金、おおむねこの段階でそういう対策を講じているわけですね。したがって、リスクが深まるに従って政府系金融機関、政府の予算支出。こんなことはどこの国の政府だって同じことだと思うんです。だから、そういった分野についてはその国の政府そのものがちょっと腕まくりしてくれなかったらそれはとてもだめだと思いますよ。ところが、そのお金をひっくるめてエージェンシーが査定をして金を貸しますというのは、逆に見ますと何だか内政干渉にも見えるし、まことに奇妙な構造の私は協定だと理解をしますね。
#128
○政府委員(行天豊雄君) 確かに、日本のようにいろいろな意味でしっかりしている国では、御指摘のようにリスクが相対的に高いところはむしろ政府が出ていくという体制があるのだろうと思います。ただ、別に中南米には限りませんけれども、開発途上国の抱えている問題というのは、まさにそういう将来性とリスクを兼ね持っているような産業分野について政府自身が全面的にその責任を負うというような体制ができていないというところも、開発途上国の抱えている問題の一つだと思うのでございます。
 それで、もちろん民間の金融機関はそういうリスクの多いところには出ていきたがりませんから、結局その国ではそういう分野が伸びないということになってしまう。その際に、今御審議いただいている公社、公的な機関でございますね、これはもう国際的な公的な機関、が十分審査をした上で投融資をするという決定をすれば、そのことが恐らく当該国政府なりあるいは民間の金融機関に、なるほどこれはリスクは多いかもしれぬけれども将来性がある大事な産業分野だということで、いわば呼び水のような触媒のような働きが果たせるということも私はこの一つの期待の中には入っておるのじゃないかと思うわけでございます。
#129
○栗林卓司君 せっかくつくったわけでありまして、恐らくはラテンアメリカの特性も片目で見ながらの構造だと思うのです。二億ドルの金が十分生きるような形で運営していただくことを心から希望しまして、質問を終わります。
#130
○委員長(藤井裕久君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。
 米州投資公社への加盟に伴う措置に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#132
○委員長(藤井裕久君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#133
○委員長(藤井裕久君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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