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1947/08/02 第1回国会 参議院 参議院会議録情報 第001回国会 決算委員会決算審査方針に関する小委員会 第1号
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1947/08/02 第1回国会 参議院

参議院会議録情報 第001回国会 決算委員会決算審査方針に関する小委員会 第1号

#1
第001回国会 決算委員会決算審査方針に関する小委員会 第1号
  付託事件
○決算審査方針に関する件
――――――――――――――――
昭和二十二年八月一日(金曜日)決算
委員長において、左の通り小委員を選
定した。
           下條 康麿君
           西山 龜七君
           山下 義信君
           太田 敏兄君
           小川 友三君
           千田  正君
           田方  進君
――――――――――――――――
昭和二十二年八月二日(土曜日)
   午前十時二十三分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○小委員長の互選
○決算審査方針に関する件
  ―――――――――――――
   〔年長者下條康麿君仮委員長と
なる〕
#2
○仮委員長(下條康麿君) それでは小委員会をこれから開きます。最初に小委員長の互選を行わなければならんのですが、いかがいたしましようか。
#3
○山下義信君 小委員長は委員長において兼務せられんことを希望いたします。
#4
○仮委員長(下條康麿君) いかかでございましようか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#5
○仮委員長(下條康麿君) それでは小委員長は私委員長が兼ねることにいたします。どうぞよろしくお願いいたします。
#6
○委員長(下條康麿君) それでは小委員会を開きまして、先ず最初に決算審査方針に関することを議題にいたしたいと思います。委員部長から御説明いたします。
#7
○参事(河野義克君) それでは便宜私から御説明申上げます。國会法と従來の議院法と大分変つておるのでございますが、決算の審査につきましては、やはり從來の貴族院の時の決算議定細則及び決算の審査方針のことを一應御説明申上げました方が、この小委員会のお仕事を進めて戴く上に便利かと思いますので、一應御説明申上げます。御承知の通り日本國憲法の九十條におきまして、「國の収入支出の決算はすべて毎年会計檢査院がこれを檢査し、内閣は、次の年度に、その檢査報告とともに、これを國会に提出しなければならない」とございます。大日本帝國憲法の時代にも、やはりこれとほぼ同趣旨の規定がございまして、いずれも帝國議会若しくは國会に提出すべしとありまして、提出をしたらば國会はどういうふうにそれを処理するか、又國会の議決が決算に対してどういう意義を持つかというようなことは、頗る曖昧に規定されておつたのであります。それで貴族院におきましては、帝國議会の初期の頃、即ち明治二十七年の五月二十九日に、決算議定細則というものを伴つたわけでありますが、この決算議定細則というものを作り、これによつて決算の議定を行わんとしたのであります。併しこの細則が実際は貴族院時代におきましても殆ど行われなかつた個條が多かつたのでありますが、実際は運用にこれと異なる取扱が大分行われておりました。その後決算の審査方針といたしまして昭和十二年の三月二日第七十囘議会におきまして決算審査方針というものが決められまして、爾後毎囘それに礎つてやつておつたのでありますが、それについて逐次御説明を申上げます。
 決算議定細則審査方針として先日お手許にお配りしておいたと思いますが今それについて逐條的にちよつと申上げますと、これから私が申上げますように、殆ど國会法、或いは参議院規則等に規定されておる部分であり、又規定されないでもこういう規定を置く必要はないというものがありまして、現在としては不要な個條が多いのでありますが、初めから申上げますと、第一條に、本院ニ於テ決算ヲ受取リタルトキハ議長ハ之ヲ議院ニ報告シ及印刷シテ之ヲ各議員ニ配付スヘシ」とあります。併しながら今度の参議院規則二十七條によりますと、「衆議院及び内閣から議案が提出されたとき、衆議院から議案が送付されたとき、及び予備審査のため衆議院及び内閣から議案が送付されたときは、議長は、これを印刷させ、各議員に配付する。」という規定があります。つまり議案が、提出された時はこれを印刷して各議員に配付する。こういう規定があるのであります。ただ決算が議案であるかどうかということについてはやや疑義があるのでありまして、議案の観念というのは頗る元の議院法の時も曖昧でございましたし、今度の國会法におきましてもやや曖昧でございます。議院法の時は議案というのは両院の協賛を受けるものであつて、又受けるものであるという観念が一部分にありまして、從つて法律とか予算とか、両院の協賛を受けるものは議案であるが、請願とか、決算とか、一院づつ別個に審査するようなものは議案でないという観念がございました。それから又議案というのは案であるから、やはり不確定の状態にあるものであるから決算とか、予備金支出とか、そういつたものはすでに確定しておるものであつて、それに承諾を與えるだけのものであるから、これは議案でないというような観念がございまして、いずれにいたしましても決算は議案でないというような観念があつたのでありますが、今度の國会法におきましては、例えば第四十二條に
 「各議院の常任委員会は、左の通りとし、その部門に属する議案、請願、陳情書その他を審査する。」とありますが請願でも陳情書でもない決算がその他に入るという気持でなかつたことは明瞭なので、而も決算委員会があつてその決算会が主として、決算をやることは参当然考えられることでありますから、この議案の中には決算が入ると、この四十二條の関係では言われると思います。從つて議院規則第二十七條の「衆議院及び内閣から議案が提出されたとき、衆議院から議案が送付されたとき、及び予備審査のため衆議院及び内閣から議案が送付されたときは、議長は、これを印刷させ、各議員に配付する。」という議案の中には、決算も今度の國会法では入ると考えられますし仮にそこに疑義がありましてもこれを準用するということは、類推適用するということは、何ら差支ないのであつて、從つて決算議定細則の第一條の規定は今後不必要ではないかと考えられます。
 それから第三條の「決算委員ハ数科ニ分割シ各科ニ主査ヲ置クヘシ」ということでありますが、これは参議院規則第七十五條に「予算委員会及び決算委員会は、審査の便宜のため、委員を数科に分けることができる。各分科会は無名投票で、主査及び副主査各各一人を互選する。但し、互選は推薦の方法に上ることを妨げない。」云々とずつと書いてありますが、この第七十五條の規定があれば、この決算議定細則第三條に相当することは不要であると思います。それから第三條の「決算委員ノ各科ニ於テハ付託セラレタル決算各部ノ審査ヲナスヘシ」ということは、事の性質上事明であるのみならず、委員長が決算を各分科に付託する時には「これを以ちまして一應決算委員会の審査を終つて、各所管に應じて各分科に決算を付託する」ということを宣言なさいますので、第三條のような規定は不要であろうと思います。
 それから第四條は「決算委員ノ各科ニ於テ審査終リタルトキハ主査ヨリ其ノ結果ヲ委員長ニ報告スヘシ」とありますが、これも事柄が事明であるのみならず、やはり委員長が各分科に付託いたします場合に、何日まで、或いは審査報告結了次第、主査からその結果を委員会に報告せられんことを望みますということを言われますので、この規定も不要ではないかと思います。
 それから第五條の「前條ノ審査報告アリタルトキハ決算委員會ヲ開クヘシ。」これも当然のことでありまして、わざわざ法規に特に規定する必要もないかと思つております。
 それから第六條の「各科ノ主査ハ決算委員會ニ於テ其ノ科ニ於ケル審査ノ報告ヲナシ併セテ其ノ説明ノ責ニ任スヘシ。」この言葉は各分科における主査が各委員会における委員長とほぼ同じ権限をお持ちになる関係から、審査報告をして、その説明をするということはこれも当然のことであろうと存じております。それから第七條「決算委員會ニ於テハ異議アル収支ノ款項ニ限リ之ヲ議題トナシ其ノ異議ナキ款項ハ総括シテ之ヲ議決ニ付スヘシ。」この規定は或いは何らかの形で議定細則として、或いは審査方針として、或いは申合せとして、何らかの方法でお決め願つて置く方がいいかのようにも思います。この規定は、要するに歳入歳出によりまして予算の款項と全然同じ形式で決算ができておるわけであります。その一々の款項について規定するようなことはなくて、異議のある款項について、これこれの款項について、然るべき決議をなさいまして、その他異議のない款項は総括してこれを議決に付するということでありまして、まあ款項を逐次すべて議決することは大変で、実際に合わないと思いますから、取扱としては大体こういつたような取扱になるかと思うのでありますけれども、こういつた規則としてこういうふうに要るかどうか。研究の余地があろうと思います。
 第八條「決算委員會ニ於テ其ノ決算ヲ至當ナリト決スルトキハ其ノ旨ヲ議長ニ報告スヘシ。」第八條だけでは意味をなさないので、第八條と第九條とは関聯があるだろうと思います。第八條は「其ノ決算ヲ至當ナリト決スルトキ」、第九條は「決算委員會ニ於テ其ノ決算中違法又ハ不當ノ収支アリト認ムルトキハ其ノ決議案又ハ上奏案ヲ呉へテ議長ニ報告スヘシ」。要するにその決算が至当である場合は、第八條で議長に報告するというのでありますが、決算委員会は常任委員会でありまして、常任委員会がその付託された原案を審査した場合に、その審査報告を議長に出すということは、これは國会法上当然のことでありまして、わざわざ第八條のような規定は要らないのであります。
 第九條「決算委員會ニ於テ其ノ決算中違法又ハ不當ノ収支アリト認ムルトキハ共ノ決議案又ハ上奏案ヲ其ヘテ議長ニ報告スヘシ」。天皇の政治上の地位が日本國憲法によりまして從來と変更を見ました今日、上奏案の問題は生じて來ないと思いますが、決議案につきましてはそういう事態が起ることは予想されるのであります。それで決議案でありますから、本会議で決議をするその案を委員会で起草して委員長報告に添えて出す。こういうわけであります。それで違法又は不当の收支ありと認むる時は、委員会が本会議で決議すべき決議案を出して大いに事理を究明する、趣旨を明かにすることは非常に結構であります。ただ問題は違法又は不当の収支ありと認むる時は一々決議案を出さなければならないようになつておりますが、事態がやや重い時には決議案を出し得るというような恰好の方が、実情に副うではないかと存じております。從來の例を申上げますと、初期の項、例えば谷干城なんという方がおられました頃は、非常に、今から言えば微細なことについて上奏案を出すということでやられたことがあります。それから決議案も出されたことがありますが、違法又は不当のもの全部に対して決議案を出したわけでないので、議定細則に一つの疑があつたのでありますが、事実としては全部に対して決議案を出したわけでないのであります。
 第十條は「決算委員長ノ報告アリタルトキハ議長ハ之ヲ印刷シテ各議員に配付シ其ノ省議ヲ開クヘシ」とあります。これも参議院規則第七十二條の末項に、「議長は、報告書を印刷させ、各議員に配付する。」とありますので、議定細則第十條の関係も不要であると思うのであります。
 次に第十一條に[決算ノ省議ニ於テハ決算委員長ノ報告ヲ議題トナスヘシ。」ということがありますが、これは第十一條がどういう趣旨が、ちよつと解釋に惑うのであります。これは決算は議案でないと考えておつたために、議題とする時に、それを議題にするということからこういう規定を置いてあるのか或いは委員会の審議を必ず経ろという意味において置いておるのか。從來もまあ何のためにこういうことを置いたのだろうと言つておつたのであります。こういう第十一條のような問題も今後は決算自体を議題として一向かまわないではないかと言つております。以上が決算議定細則でございます。次にそこを少しめくつて戴きますと、「決算及び國有財産の審査方針に関する例」というのがございます。ここに「決算及び國有財産」とありますが今度の國会におきましては、國有財産は財政及び金融委員会の所管になつておりますから、國有財産には審査の関係は生じないと思います。
 それで決算の審査方針について申上げますと、ここに書いてありますように、第七十回議会、昭和十二年三月二日の決算委員会で、決算の審査方針を左のごとく決めたわけであります。ここにありますように、決算審査方針というのは決算委員会限りで決めたのでありまして決算議定細則というのは無論本会議で議決したわけであります。從つて決算議定細則というのは、恒久的な性質を持つております。併し決算審査方針というのは、この七十回の議会の委員会の審査方針だけであるわけでありますが、これが毎年の「前年の決算審査方針で御異議ございませんかということで、異議なしということになつて、ずつと帝國議会時代は來ておつたわけであります。この審査方針というのは、御覧になるとわかりますように、実は決議方針みたいなものでございまして、
 第一 政府ノ措置不常ナリト認ムルモノ(決議案ヲ付ス)
 第二 政府ノ措置穏常ヲ缺クヲ以テ特ニ将来ノ注意ヲ促スヘキモト認ムルモノ
 第三 政府ノ措置適切ナラサルモノト認ムルモノ
 第四 政府ニ對シ將來ノ注意ヲ促スヘキモノト認ムルモノ
 第五 異議ナシト認ムルモノ
 こういうふうになつております。これは相当然るべく研究をなさつてお決めになつたわけでありますが、第一におかしいことは、第五は別として、第一から第四までは、もし第一、第二、第三、第四というのをとつてしまいましてどれが一等重いと思うかといつた場合に、人によつて判断が区々であろうと思われるほど、どれが一体重いのやらわからないので、第一、第二、第三、第四という順序があるので初めてわかるというような恰好で、頗る非論理的にできているような氣がいたします。それからそういつた重大性の順序によつているのではなくて、何か個々の場合に照して、いろいろな場合があるからこういうふうに規定したというのでその中の特にどれが重いのじやないということが或いは言えるかも知れませんが、やはりそうではなくて、第一、第二、第三、第四、第五の順に、重い方から軽い方に來ているつもりで、これは作られたのでありまして、どうもその点がおかしいということと、それから從來のことを申上げますと、決算の議定細則の、「違法又ハ不當ノ収支アリト認ムルトキハ其ノ決議案ヲ其ヘテ議長ニ報告スヘシ」。違法又は不当の収支あるときは必ず決議案を具えなければならなかつたのでありますが、この審査方針の第一の場合にだけ決議案を附しておつたので、これを法規的に解釋すれば、第二以降の場合には、決算議定細則にいわゆる不法でもなければ不当でもない。こう考えざるを得ないので、決算議定細則にいわゆる違法又は不当ではないけれども、とにかく政府の措置が穏当を欠き、或いは適切でないというようなことから、こういう決議をしたと解釋せざるを得ないので、從來としても非常におかしいものであるというので、歴代の決算委員長はこれの改正を企図されており、我々としていろいろとやつ見たのでありますが、結局満足することに至らないで今日になつておるのであります。その他に貴族院委員會の先例録といたしまして、決算委員會における審査の順序それから決算委員の分科會における審査の順序に関する例がありますが、これは或る程度まで、今度においても参考になることであろうと思いますので一應朗読をいたします。
 「政府ヨリ決算書類、會計檢査院ノ檢査報告書及國有財産ニ關スル書類ノ提出アリタルトキハ委員會ヲ開キ主任ノ國務大臣若ハ政府委員ヨリ全體ニ亙ル説明アリタル後、委員ハ大體ノ質疑ヲ爲シ、次デ審査ノ方法ヲ決定シ審査期限ヲ定メ分科及國有財産審査ノ爲ノ小委員ニ付託ス。而シテ各分科及小委員ノ審査報告書ノ提出アリタルトキハ再ビ委員會ヲ開キ主査及小委員會委員長ノ報告書ヲ議題ニ供シ各主査及小委員會委員長ヨリ審査ノ経過及結果ヲ報告セシメ、次デ其ノ審査ニ移リ表決ヲ爲スヲ例トス。」
 というふうに、決算書類が出ただけでは、從來は審査しませんで、會計檢査院の檢査報告「これは法律上当然附いて來るのでありますが、その外政府の弁明書が出るのを待つて、決算委員會を開いておつたのであります。それで初め大藏大臣若しくは大藏省関係の政府委員から全体に亙る説明がありまして、委員會において委員は大体の質疑をなしまして、次いで審査の方法を決定する。というのは委員會はいつ頃までに報告を完了するとか、審査方針先程読みましたあれ通りにやるとか、そういうことを決めておつたわけでありますが、審査方法を決定し、審査期限を定め、それから分科に付託しておりました。小委員というのは國有財産審査のための関係でありますから、今は関係がありません。それで各分科から審査報告書の提出があるとき喜び委員會を開いて主査の報告書を議題に供して、各主査から審査の経過及び結果を報告させ、その審査によつて表決をなしたのを例といたしておりまして、それでは分科會ではどうしておつたかと言いますと、決算委員分科會における審査の順序の例にありますように、「第二十四囘議會決算委員各分科會明治四十一年二月十五日ニ於テ左ノ如ク審査ノ順序ヲ決定セリ。
第一、第一囘各分科會ニ於テハ政府委員ノ出席ヲ求メス各委員ハ會計檢査院ノ檢査報告書並政府ノ辯明書ニ就キ豫メ政府委員ニ封シ質問スヘキ箇所ヲ調査スルコト
第二、第二囘各分科會ニ於テ政府委員ノ出席ヲ求メ各自調査シタル要點ニ付キ政府委員ニ質問スルコト
第二、第三囘各分科會ニ於テハ政府委員ノ出席ヲ求メスシテ第二囘分科會ニ於ケル質問答辯其ノ他委員ノ開陳シタル意見ノ徴シ各分科委員ノ假決議ヲ爲スコト
第四、前項ノ假決議ハ各主査會ニ於テ更ニ之ヲ審議スルコト
第五、最終ノ各分科會ニ於テハ政府委員ノ説明ヲ聽キ本決議ヲ爲スコト最近ハ分科會ニ於テ國務大臣若ハ政府委員ノ説明ヲ求メタル後委員ヨリ質疑ヲ爲シ、次デ仮決議ヲ矯ス。更ニ主査打合會ヲ爲シタル後再ビ分科會ヲ開キテ本決議ヲ爲ス。假決議及本決議ノ期院並主査打合會ノ期日ハ委員會ニ於テ之ヲ定ムルヲ例トス。」となつておりますが、この明治四十一年に決めましたのと、若干違いまして最近においては一分科會においてやはり國務大臣若しくは政府委員の説明を聽いた後委員から質疑をなして、次いで仮決議をなしておりました。この仮決議をなす必要は、各分科におきましてほぼ同一の違法事件或いは同一の不当なる事件につきましては、例えば特別会計と一般会計におきまして、その手数料の取り方が適法に行かなかつたような場合に、そのことが政府の措置が適切でなかつたとか、或いは穏当を欠いたとかいうような議決をする場合に同一の事件について分科によつて議決が違うことは、決算委員会としての統一が保てないために、一應仮決議をしておいて、更に主査同志がお寄りになつて、仮決議の間の均衡をおとりになつて、凸凹を直されて、各分科会の歩調を合された所で本決議をなすということで、そういうことのために仮決議ということを從來なしておつたのであります。
 以上が決算の審査方針の大体でありますが今度の國会の決算審査につきましては非常にこれと違う点が数ヶ所あると思うのでありますが、その第一は國会法によりまして、委員会が会計檢査院の院長及び檢査官の出席、説明を要求することができるというわけで、議院法時代には、議会というものはとにかく政府とのみ交渉するもので、他とは一切交渉してはいかんという恰好であつたのでありますが、今度は会計檢査院の出席説明を求めることができるということ、又会計檢査院法におきまして、会計檢査院の方から委員会に対して、出席説明したいときは、そう申出て委員会に出席説明をなさることができる等、両方から規定してございます。会計檢査院との交渉を生じて來、会計檢査院から直接説明を聴く途が開かれたということが一点。それからまあ只今申上げましたこともその一つでありましようが、從來は書面審査であつて、決算というものは書面審査という観点でありますが、今後は会計檢査院も呼び得るのみならず、場合によつては証人として当該出納官吏とか一般國民とか、そういう人を遠慮なく委員会に呼ぶことができ、そこで事件の眞相を糾明することができますのみならず委員会が調査のために必要があるときには、委員会として外部に出張なさつて、そこで調査なさることもできる。こういうふうに書面審査という立前から、非常に外部との折衝ができるようになつたということが大きな相違点であろうと思います。それからその他の点においての会計檢査院との関係を申上げますれば、会計檢査院から報告が出るのでありますが、その中に批難案件というものが出て來るのでありますが、從來の議会の決算委員会の審査は、その会計檢査院の報告に束縛されることはないのでありまして、自主的な立場から判断できるわけでありますから、会計檢査院が批難をしておりましても、決算委員会はそれは別に違法でも不当でもないと審査し得ると同時に会計檢査院が批難していない個所についても、それが違法乃至不当であるという場合は、決算委員会はそのことを指摘し得ることになるわけでありますが、このことは從來でもできた筈でありますが、書面審査であつた関係その他から、実際問題としてはできにくかつたのでありますが、今後は証人の喚問とか実地調査という途が開かれましたので、そういうことについても或いはそういう事態が生ずるかも知れないと存じます。以上いろいろ雜駁に申上げましたが、決算の審査ということは、大体そういうことであることに関聯しまして、國会法、参議院規則の規定の外に、審査方針とか決議方針とか、何らかの規定か或いは申合せ、或いは委員会の決議、そういうものをしておいて戴くことが審議の御便利ではないかと一應存じておりますが、内容をどういうものにしろ、形式をどういうものにするかということについては、よく御檢討を願いたいと思います。政府並びに会計檢査院の御経験の深い方々もおいでになつておりますし十分小委員会としてその問題を御檢討を願いたいと存じておるわけであります。
#8
○委員長(下條康麿君) 今委員部長からいろいろ説明がありましたが、お尋ねになることか御意見がありましたらお述べ願いたいと思います。
#9
○千田正君 先程も大分疑義があるように考えますが、決算及び國有財産の審査方針に関する例の内、決算の審査方針の中に第一から第五までありますが、第一の「政府の措置が不当なりと認むるもの」。それから第三の「政府の措置適切ならざるものと認むるもの」。第二この「政府の措置穏当を欠くを以て特に將來の注意を促すべきものと認む」。第四の「政府に対し將來の注意を促すべきものと認むるもの」。この三についても我々は非常に疑義を持つのでありますが、將來新らしい國会においてこの面をどういうふうに取上げていつたらいいかということを一應研究して見たいと思いますが、いかがでございますか。これは等差を付けたということはあれでございますか。第一と第二は第三、第四より或意味において重く政府に向つて注意を促したり、或いは是正を求めたりするということで「認む」と付けておつたわけですか。
#10
○参事(河野義克君) 決算を御審査願いまして、個々の具体的な例になりました場合に、ただそれに対して、異議ありということではどうもしつくりしない。その間に事案に重い軽いがあるから、大体それに從つて決算委員会の方も、重いものには重い、軽いものには軽い意味の決議をしたいということから、こういうことができて來たのだろうと思います。こういうことの法律的な効果というものは実ははつきりしていないというか、ないというか、ないわけだろうと思うのであります。
 それでいわば議会がこういうことを決議することによつて政府の政治的な責任或いは当該官吏の政治的な責任が発生するので、その法律的な責任については会計檢査院の判決が主としてこれに当ることだと存じております。それでただ議会が議決したことについての処分報告ということは、政府から毎年翌年度に求めておりますから、昨年こちらがその件は政府の措置が不当であつたと議決したものについてはその後政府はいかなる処分をしたかいかなる措置をとつたかということの報告は受けております。今後参議院の決算委員会が非常な御決意を以て決算委員会で決議をされたことについては、その決議の趣旨が貫徹するように、事の行末を追求するという御決意がありますならば、それは要するにその御決意のいかん。或いは参議院の政治力のいかんということに結局なることだろうと思うので、憲法或いは國会法に認めておる國会の立場から言えば、相当なことが政治上、実際上の問題としてはできるだろうと思います。
#11
○千田正君 有難うございます。私としてはこの点或る程度今までのような早く言えば結局一つの始末書くらいの程度で納まつたというような意味じやなく、もつとはつきりした責任と義務をお互いが負うべきじやないかと私は思うのです。新らしい國会ができた以上は、もう少し我々としては國民の輿望を担つたところの國会の権威というものを保つて行くという意味から言つてこれをもう少し徹底化して行きたいと私は希望として申上げておきます。
#12
○山下義信君 只今千田君から御意見か出まして、全く同感でありまして、從來決算委員会というものは、我々が承知いたしておりまする範囲では、会計檢査院から議会に御報告になり、それを決算委員会に御委託になる。決算会員会は殆んど会計檢査院の御報告を鵜呑みになさつて、若干それに枝葉をお付けになつて議会に報告せられる。いわゆるお坐なりのお取扱ということが殆んど常例のようなことになつておつたようであります。それで不当の支出がありましても、政府が不当の措置をいたしておりましても、更にこれを追究ということが殆んどございませんようで、又決議文などがありましたとして見たところで、そういうものを報告したという程度に止つてあつたようでございます。只今委員部長のお話にもありましたように、それを更に國会の権限において、それぞれの責任者を追究して行くということは余り多くなかつたように思われます。それでは國の財政の取扱の檢査をいたす會計檢査院という権威ある官職が調査をいたし國会が更に又それを審議をいたしましたその結果というものが、結局何人もその責任を負うものがないというようなことに終りますことは、これは誠に妥当でございません。この新國会からいたしまして、國会本來の責任から申しましても、これは相当重き審議の方針というものを定めなければならんと考えるのでございます。従いまして只今委員部長から縷々從來の事例につきまして参考の御説明もございましたがそれらを採入れつつ、我々の持つておりまする考え方も採入れ、且つ又政府当局、会計檢査院当局のいろいろ有益なる御意見も承りまして、相当考慮いたしました審議というものを定めたいと存じますのでございます。
#13
○委員長(下條康麿君) それではこの際、大藏省、会計檢査院の方から、從來の審査の実績、その他に今後の決算の審査に関する御意見を承ると大変に幸いと思います。
#14
○政府委員(野田卯一君) 主計局長でございます。決算の國会における御審議は私たち役所の側から見まして、今までのは何と申しますか、非常に物足りんと申しますか、非常に不十分だと思います。特に最近政府当局におきましても、予算の実行ということに対しまして非常に注意をし、従來は予算を編成することばかりに力を入れましてそれの実行の部門に対する監督と申しますか、果して予算が編成された当時のような精神によつて、それが実行されておるか、或いは議会で協賛を得たその趣旨に基いて金が使われておるかどうかという方面に対する監督なり、監視というものが非常に不徹底だという実情でございます。これにつきましては、我々も從來からその不備なることを痛感をいたしておりまして、特に最近終戰後に至りまして、聯合國から監督を受けるようになりましてからその聯合國側の意向も、非常に日本の制度は、予算編成に力を入れるけれども、実行監査の方面は極めて杜撰と申しますか粗雜である。この点に対して今後極力政府側も機構を整備するなり、或いはその他の制度を整えるなりして充実した方法をとる必要があるということを要請されております。これに即應いたしまして、政府の方においてこれは大藏省の方でございますが、大藏省におきまして、主計局の機構を拡充いたしまして、その方面に対する指導の手が廻せるようにして、同時に地方にやはり手足を持たなければなりません。予算の実行ということは全國的に行われておるのでありますから、地方の機構といたしまして財務局の地方部というものを各府縣廳の所在地に作りまして、その地方部を活用いたしまして、実際に各地方において色色な役所の末端がございます。或いは出張所がございますが、その予算の使い方がどういうことになつておるかということを現地におきましても十分監督するというような制度を打ち立てて目下動き出しておるというような実状でございます。尚会計檢査院の方からお話があると思いますが、会計檢査院につきましても機構の拡充に十分力を入れて、会計檢査院の地位というものも非常に高くなつております。非常に内容的にも段々充実する。こういうわけで全体の計画といたしましては、予算の実行監査、決算の面に対する監視を十分にして行くということになつておりますので、政府も万全の努力を盡しておるのでありますが、これに対しまして國会の方におきましても從來の審議振り等につきまして、どうぞこの体制をよくお酌取りの上、十分なる御批判或いは御指導を願いたいと考えておる次第であります。
#15
○委員長(下條康麿君) 何かお尋ねになりますか。
#16
○山下義信君 私は会計檢査ということは結局、うまくやれば行政の檢査にもなり、行政の刷新にもなる。又会計檢査院の報告はつぶさには拝見しておりませんが、報告を見ましてもいろいろそういう点が暗に指摘してあるという御報告もあるようでありまして、実際問題としてこの予算をお使いになりまするのがいろいろにからくり……からくりという言葉も悪うございますが不明瞭な使い方をなされたということが実状ではないかと思うのでございます。各省が大藏省から予算を貰つて戻る。それで一つの粋を持つておる。例えて申しますと、地方から予算を貰いに來る。つまり地方から予算を貰いに來るのは、腕のある者が予算を沢山下げて帰るというようなことでありまして、殆んど東京には地方から参つておりますが、それぞれ関係者が各々のルートを辿つて本省へ予算をねだりに参りまする者が競爭いたしまして、どうして適法に自分の縣だけが余計に沢山に予算が貰つて帰られるかということ、でひしめいておるというような実状、そういうことに対しまする大藏省自体におかれましても予算がこうずつと流れて行きまする行き方が、もとより款項目の上におきまして濫りにそれが取扱のできないようにはなつておりましようけれども、実状といたしましてはそういう状態になつております。これらの監督というものは、大藏省の側におきましてどういうふうにそれができておりますか。もう一旦枠の中で渡してしまいました予算は、その使い方がどういうふうになつてあろうと、まあ知つて知らん振りをなさいますのか、或る程度は注意しておいでになりますかどうか。この際ちよつと伺つて置きたいと思います。
#17
○政府委員(野田卯一君) 非常に肯綮に当つた御質問だと思いますが、お話のような点が從來非常に弊害として挙げられると思います。この点につきましては新憲法に基きまして、財政法を新らしく作り、又会計法を改正いたしました際にも、十分論議をいたし、研究をいたしたのであります。制度的にいたしましても御承知のようにずつと昭和六年、いわゆる満洲事変以來というものは一種の軍國予算になりましてとにかく戰争に勝つ、或いは戰力を増強することが、あらゆるものの中心になつておりました。従いましてそれに邪魔にならんようにというわけで、会計制度等におきましても、その実際の取扱におきましても段々いわゆるルーズになつて來た。極端な例は、数百億に上るところの、臨時軍事費というものは一本一款一項で行くというように、これは極端な例でありますが、それが一事が万事とは申しませんが、非常に項目が大きくなりまして、中の細分というようなものは、極めて大まかになりまして、そうしていわゆる予算の弾力性機動性と申しまして、何でも金を使えるようになつていた方がいいだろうということになつてしまいまして、結局言い換えて見ますれば、金を使う方においては便利でありますが、これを監督する國家の立場から言えば妙なものでありまして、まるきり政府の方で金を與え放しにしておるということになる、大藏省の方におきましても、財務当局とこれを使用するものから申しますと、同じような関係を生じまして、大まかに金を與えてしまう。従いましてそんな金はいろいろなやりくりをやる。或いは初めの趣旨から逸脱したものに使つてしまうようなことが制度的にも樂にできるようになつておつたと見受けられる点があつたのであります。終戰後今度憲法に基く新らしい会計法といたしましては、制度的に見ましても從來の大まかな、どうとも勝手にできるというような点を極力少くするようにいたしまして、從つて制度的にいわゆる受ける側から見ますると、窮屈になつたというものが非常に多いと思います。従来の方式が余りに放埓であつたのでありますが、本当に会計制度なり或いは財政の運営を軌道に戻す上におきまして、相当從來より窮屈になることは止むを得ない。それを窮屈になつても適正にやつて行けば、全体の立場から言つて適正に行われるようになつて行く。大局観から我々はそれを主張いたしておるわけでありますが、大体その方向に動いております。又実行の面におきましても予算が議会を通りますと、それを全部各省が或る意味において自由に……勿論款項に從つてやる必要はございますけれども、その間には大きい関係は自由にできたと申せましようが、最近は支拂予算の制度というものを作りまして、そうして金を使う場合には、只今実行しておりますのは、それは四半期別でありますが、それは予算を貰いましても実際使いまする場合は四半期に区切つてこの四半期にはこれだけを、次の四半期にはこれだけを、使つてよろしいというように、実際の仕事の進行と睨み合せて、仕事の金を渡すという使い方をしております。その間には詳しい書類を取つて、それと見合せてやる。尚この制度を裏付けするために日本全國各地に散在しておりまする支出官という役人がおりますが、その方から速報というものを毎月取つております。そうして今月はどれだけ金を使つたかというのを出させまして、日本全國から持寄つて、毎月金がどれぐらい出たか、どのくらい毎月使つたかを毎月々々わかるようにしております。そうして金を使つたあとと、仕事の進行状況を睨み合せまして、その次の金を使つて行くというやり方をしております。尚最近におきましては、内務省の方とも連絡を取りまして、政府と取引しておるような関係も注意が及ぶようにいたしまして、役所の方では、これは金は十分拂つたというけれども、役所の相手方になつておる商賣人から言えば、いや、なかなか拂つてくれないという現象があるわけでありますから、そういう点にも檢討のメスを加えまして、その間にいろいろな問題を起すとか、或いは銀行、金融等に対する迷惑の及ぶことのないように、いろいろ配慮いたしておるわけであります。尚、更に最後には、実地についていろいろ檢査をする。或いは調べ歩くという手段もとりつつあるわけであります。こういう実情であります。
#18
○山下義信君 それで、ちよつとお尋ねするのでございますが、地方財政の方に流れて行きましていろいろ國庫の補助金、そういうものの御注意なさるあれは、大体なんでございますか。やはり大藏省の方でずつと行き方を見ておいでになりますか。或いは内務省の方で從來は……今後解体いたしますればどうなりますか。内務省がそういうふうな監督をいたしておりましたものでございましようか。ちよつと参考に承りたいのでございますが……。
#19
○政府委員(野田卯一君) この点につきまして勿論内務省の方でもいろいろと御調査をなすつて折角監督しておられると思います。私の方におきましても最近は、実際やつておることを申し上げますと、各種の補助金につきまして、その使用の実績というものを地方部に命じまして、今調書を出さしております。私も最近その調書を読んでおるのでありますが、いろいろな、教育施設の問題もありましよう。或いは衞生施設の問題もありましよう。或いは農業の関係、林業の関係いろいろな関係で政府の方から補助金が出ておりまする。市町村なり農業会なり、或いは普通の團体というやうに、そういうものに実際どういうふうに行き渡つて、どういうふうに使われておるか。目的の事業はどういうふうに進んでおるかということを詳しく取りまして調べまして、それを主管しておる役所と連絡を取りまして、若しやり方が間違つておる、或いは非常に不適当だという場合には、それを訂正させるというような方法を取りつつあるわけであります。
#20
○説明員(荒井誠一君) 只今地方團体或いは農業会等に対する補助のお話が出ました。これは主管の経費を持つております所で原則として監督いたしておるのであります。併しこれがどうも我々の目から見ますと、十分でございません。で、会計檢査院といたしましても、是非これはもう少し厳格に行かなければならない。極めてわかりよく申しますれば、二十年度の予算におきましても、檢査報告に出ておりますように、仕事が進んでおるか進んでおらんかも見ないで、金を一括して渡してしまう。それが農業会なり或いは地方の團体の手に残つておる。これが段段二年も三年も掛つて使われる。そういたしますと、それはもうその予算の年度の区分を紊りますし、予算の使用の目的にも違つて來る。又後になりますると、不用にすべきものを不用にしないで、外の廳費等に流用するというような弊害も起つて來ます。これらにつきましては何とか方法を講じなければいかん。こういうことを考えておるのであります。これはまあ一つの例でございますが、只今大藏当局からお話がありましたように、戰争中並びに戰後、経済が非常に大雜把になりましてこの風習が十分に今日取れておるというわけに参らないのであります。会計檢査院といたしましては、是非これを直したいということが一つの大きな目的でございます。不当事項等について批難する。これはもう報告の一部分でございまして、我々の仕事といたしましては少くとも毎月々々報告をとりまして、證明をさせる、こういうことにいたしますれば、そこに、使う方も余程用心いたしまして、正確な使い方をする。今日の実情を申しますると、毎月出すべき報告等もなかなか参らないのでございまして、檢査院としてこれを督促に出かけるというような状況であります。従いまして、檢査も十分にできないということになつております。これを正常の状態に直すということは、極めて緊急且つ必要なことと考えております。これは勿論檢査院だけの力でできるということは申すことができないのでありまして、地方における経理官或いは中央における経理官の力をもう少し充実しまして、これらの人が正直に予算も使い、又正直に要求もし、実行もする。こういうようにいたさなければならんかと考えております。
 只今檢査報告につきまして、極めて一部分ということを申しておつたのでありますが、この二十年度の檢査報告も旧法によつて提出されておるのでありまして、旧会計檢査院法の規定によつて作成されて提出されたのでありますが、今日におきましては新らしい檢査院法も施行されておるのであります。この規定によりまして作りまする檢査報告というものは余程形が変つて来ると思います。従いまして先程以來お話がありました審査方針につきましても、これは御参考に申上げるのでありますが、大分影響があるのではなかろうか。こういうふうに考えておりますので、一應その違つておる所も申述べて見たいと思います。先程來いろいろお話がありました通り、從來の会計檢査院は議会との関係も、ございません。ただ報告を内閣に送付する。その報告が議会に廻つて來るということになるのでありますが、この度は國会に直接の関係の関係を持つて参つたのでありまして、その会計檢査院の権限につきましても、今まではただ報告を出すだけでありまして、不当なことがありましても当該官廳に対しまして、その職員に対する懲戒等の要求はできなかつたのであります。又相手側に対して是正を求める。或いは適当の処置を求めるというような積極的な行動は殆んどなかつたのであります。それは事実上は議会に報告するから出直すという結果になるのでありますが、今度の新法によりますと、明らかに不当な取扱がありますれば、檢査の中途におきましてこれを発見した場合には、これの是正を要求することができる。こういう積極的な機能を持ちまして、現にこれは実行しつつあるのであります。又会計檢査院法の規定によりましても、議会に対する報告につきましても又檢査の中途等において是正を要求したりする事項、或いは職員に対する懲戒等を要求したりする事項、これらを檢査報告に書いて参るということ。書かなければならんということになつておるのであります。従いまして、もうすでに各省におきまして穏当ならざると認めて訂正されたる事項につきましても、檢査報告に載つて参るということになるのではなかろうかと思います。從來は大体各省において直してしまいますれば、これは檢査報告に載せないものが多かつたのであります。今後におきましては全般的のことについて報告をしなければならんかと思つております。と申しまするのは、できるだけ政府の経理或いは会計檢査院が檢査いたしますその他の団体の経理状況が、議会にそのまま明らかにされるということを檢査の報告の目的といたさなければならんかと思うのであります。これらの報告に基かれまして、委員会において十分御審議を願い、今後の檢査方針を確立する上にいろいろ有效なる御意見も承わることもでき、又御注意も承わるということにいたさなければならんかと考えております。従いまして今後の私共の立場から申しますれば、今後の御審議につきましていろいろ変つた状態が起る。檢査報告ももう少し詳細な、実情を明らかにしたる檢査報告にいたしたい。或いは檢査報告だけで足りなければ会計檢査院の活動状況或いは各省の経理状況等を明らかにした年報式の資料も提出する。こういうことにいたしまして、十分御審議を願いたいことと存じております。只今まで問題になつておりますことを、又二三申上げますると、このいわゆる批難事項につきまして、従卒両院で決議をされますが、これが從來の貴族院、衆議院におきまする決議が一致していない場合があります。そういう場合において、政府としてはいかに処置するかということ、又今後においては檢査院におきまして、或る院においてはこの官吏に対して懲戒の要求をしろ。すべきが本当である。こういう意見がありまして検査院がそれに從おうと思つておる際に、他の院におきましてはこれはその必要なしと、こういうふうな決議があるということ、そういう場合にはどう調整するかということは我我は疑問に思つておる点がございます。それから先程申しました新旧法規の差異に基きまして、審査の方針が違うということになるかと思います。又今囘の檢査報告、これは文書で出しますので、極めて簡潔に書いておりますし、その意を盡さん点が大分あるかと思います。従いましてその事実を基礎にいたしまして、我々が目的としておる所、狙いとしておる所等については十分説明を附加しなければなりません。これが完全なる法律と申すわけにはいかんかと考えております。先程來大藏当局からお話がありました通り、関係方面におきましても、もう少し政府の決算を嚴格にしなければいかん。檢査院の権能も強くして、もう少し嚴正なる檢査を実行しなければいかん。責任者につきましても、出來るだけ早くこれが処理をしなければいかんという話がありまして、我々も又それを感じておつたのでありまするが、新法が施行になりまして、この新法に基きまして各省と交渉いたしまして、各省の責任者につきましては、或る点まで自発的にその責任を明らかにして貰つた、のであります。いずれ弁明の際にもそのことは明らかになるかと思うのであります。こういうことにいたしましてできるだけ新法によつて責任も明らかにしたいということを考えております。従いまして各省におきましても、從來とは答弁の様子も大分変つて参りました。議会におきまして公正なる御判断を願うということでありますから書面の答弁におきまして從來それで済んでおつたものも又覆えるということもあることが心配になりますので、十分に前に改むべきことは改めるということに態度を決定せられたようであります。漸次これらのことは改善されて参ると思うのでありますが、これを急速に解決して行くということは余程の努力を要すると思います。多少の年月を貸して戴いて、その間においてできるだけのことをいたしたいと考えております。要するに私共の立場は、これは内閣とは独立いたしまして、むしろ國会の耳目といたしまして檢査を実行し、これをできるだけ詳細に報告するということが今日の新制度におけろ檢査院の役であるとこう考えております。
#21
○山下義信君 ちよつと伺つて、おきたいと思いますが、財政計画が最近は只今大藏当局のおつしやつたように四半期毎にということに立前がとられてあるようでございますが、会計檢査の上におきましても、やはりそういうふうに四半期毎に取り纏めて、御檢査をなさるというようなことになさつておいでになりますかどうか伺いたいと思います。それから今一つ、会計檢査はすべて申すまでもなく金の上のことと思うのでございますが、或いは私が迂遠であるかも存じませんが、物の面の上におきましても、やはり十分御檢査をなさるのでございましようか。例えば今日問題になつておりまする遊休物資言ひ換えますると隠匿物資もありましよう。隠退藏物資もございましよう。その例えば隠退藏物資というようなものを摘発をいたします。それを國が取ります。幾らかの代金でその支拂をいたす形で取りまするか。又それを正式ルートに載せると称しまして、或る種の團体、或いは配給機構というものに流して行く。つまり或る金額で拂い下げの形を取ります。そういうような物の動きの面を、今言つたような買い上げ價格、或いは拂い下げ價格というような面におきまして、これは会計檢査院が余程御注意相成つておると思いますが、そういうことに御盡力下されてありましようか。又具体的な例で申しますと、最近安定本部などが摘発者に二割の報奨金を與えるというようなことを申しております。そういう報奨金などというものが予算の上にとつてあるかないか私存じませんが、そういうその上に不当な支出というような面に御注意下されてありましようかどうか。伺いたいと思うのでございます。
#22
○説明員(荒井誠一君) この度大藏当局におきまして、四半期の計画を立ててそれによつて歳出の面を見て行くこれは極めて適当な計画であります。会計檢査院においてそれに対しましてどういう檢査をやるかということになるのでありますが、從來はとかく今まで既往年度の決算、これは後から見て行くということになつておつたのでありますが、今度の新法には絶えず檢査をしなければならないということになつております。常時に檢査をして、経理の適正を図るということに改正されまして、既往年度ばかりではありませんで、現に進行の年度におきましても常時檢査をしなければならん。それは毎月々々報告がきちんきちんと参りますれば、それによつて証憑書も調べます。或いはこれと支拂い予算と対照して調べるのがこれが本当の筋と思います。併し今日の状況におきまして、これが完全にできるかと申しますと、正直に申しますとそれまでは手が廻り兼ねるという状況になつております。各省から書類の提出が遅れます。それからこちらが又それを見るのに慣れておりません。急に増資いたしましても、新らしい人が多いという状況で、漸次そういう方向に行かなければ、これは檢査院の本当の職務を盡したとは申されんと考えております。それから物の面の関係でございますが、只今お話の通り誠に御尤もなことでありまして、今日金の使用方法、これに伴う物というものについて、重きを置かなければならんことでありますが、とかく会計の面におきましても、金銭会計に重きを置かれ、物品会計というものについて重きを置かれておらなかつたのが、これまでの状況であります。又戰後におきましての問題は、いわゆる隠匿物資、或いは特殊物件の問題でありまするが、隠匿物資の関係につきましては私その実情を明らかにいたしません。多く民間の持つているもので、これをどういうふうに処理するか。政府の手にどれだけのものが入るか。これは買上げ等のことがありますれば、これは政府のものになるかと思います。又手数料の関係等いろいろ困難な問題が起こるかと思いますが、或いはこれは大藏当局から御説明があるかと思います。私共といたしまして、ともかく戰事後相当の緊急放出物資等、こういうものがあります。それからその後に府縣に與えられました特殊物件、これも相当の金額でありますが、正確な数は分りませんが、三十数億という金額も見えるのでありますが、これにつきましてやはり物の関係を従來嚴格にやつておりません。これの拂下、或いは拂下げた物の取立、或いは取立につきましてもなかなか急にやつ薫らんというような状況があります。これは当時の放出物資或いは特殊物件等の放出された状況にもよります。これを正して行くということが非常に骨が折れることではありますし、これはやはり國民の物でありまして、その國民の物が或る所に利用されますればこれに対する相当の代價を取るということは当然と思いますので、各府縣に人を派しまして、これまで約二十数縣には参りましたろう。内務省と協力いたしまして、これが処理には十分努力している積でございます。併しこれらには余程複雑な事情もありまして、大分前に処理された物もありますので、なかなか骨が折れるのでありますが、できるだけのことはやりたいと考えております。
#23
○山下義信君 いろいろお尋ねいたしましたのでありますが、私の質問は本日はこの程度で止めて置きますが、私は会計檢査院長にこの機会にお願いをして置きたいと思います。新憲法施行以來、段々とそれに伴うところの國家の重要なる機構が整備せられて参りまして、最近には最高裁判所の構成も完備いたして参つたようでございます。会計檢査院は言うまでもなく、財政並びに会計に対しまする最高裁判所であります。この存在がありまするために実は千幾百億、殆んど二千億になんなんとするところの厖大なる予算、悉くこれ國民の膏血でございまするが、敗戰の中にあえぎながら実に惨憺たる生活の中から、國民はこの尨大な負担を堪えまして、そしていたしておりまするこの財政の使い方というものに対しましては、実は多大なる疑惑を持つておるのでございます。言葉を換えて申しまするというと、この國家の財政を施行いたしまするこの役人の、政府のやり方というものに対しまして、漠然とではございまするが何となくそこに乱脈なるものがあるのではないかという疑惑を抱き、不安を持つておりまする國民が非常に多いのでございます。それらの國民はただつまるところは会計檢査院が毅然としてこれを睨んでおるというところに、実はこの思いを掛けておるのでございます。檢査院におかれましては十分この國民の期待に副うべく御努力相成つて下されてあるとは存じまするが、私はこの際院内の職員各位に対して院長から切々たる御訓示のおありになりますることは又当然でござりまするが、院外に対しましても会計檢査院が十分機能を発揮して、國家の財政の運用の上に、國民に対してここに会計檢査院がしつかりとやるということを、一つ十分力強く御声明願いたい。一つには國民に対して安心を與え、一つには幾百万というこの財政に携わりまする幾多の官公職員というものに対しまして、みずから注意をさせまするということが、この際非常に必要ではないかと考えられまするのでその点に対しまして私は賢明なる院長閣下に深甚なる御期待をいたしますものでございます。どうかよろしくお願い申上げます。
#24
○西山龜七君 ちよつとお問いしとうござりますが、各省、それから各府縣の経理というものは、月々に決算をするようなことになつておるものですか。或いは四半期とか、年に何度というようなことになうておるのでしようか。若し月々にやつておるとすれば、これがやはり主管省に報告になつておるものでしようか。その一切の締め括りはどういう方面でやるようになつておるのでありましようか。ちよつと伺います。
#25
○政府委員(野田卯一君) 只今のところは各省並びに地方廳における会計の締め括りは、年に一囘ということになつております。
#26
○西山龜七君 月々はやつておらない……
#27
○政府委員(野田卯一君) 月々はやつておらないと思います。
#28
○説明員(荒井誠一君) 只今のは大藏省の関係でございますが、会計檢査院に対しましては主なる報告は毎月出すということになつております。支出計算書というものを出しまして、七月なら七月には幾らの支出をした。それらに対しまして証憑書類を附けましてこれを毎月送つて來る。こういうことになつておるのでございます。それを克明に調べますならば、大体この月にどういう支出がある。それを又総計いたしますれば、全体の支出が幾らということがわかるのでありまするが、先程申上げました通り、戰後これらの報告が非常に遅延いたしております。今日それを完全なものになすことについて非常な努力を要する次第であります。只今御期待に副うようなことはちよつと可能でない。不可能だろうということを申上げるより外いたし方がない。併し是非これは実行いたしたい。こう考えております。
#29
○政府委員(野田卯一君) 只今私の申上げましたのは、決算としては年一囘でございますが、会計檢査院の方の取扱と囘じように、大藏省に対しましても報告は毎月であります。
#30
○西山龜七君 各府縣から……
#31
○政府委員(野田卯一君) はい。府縣と、それから各府縣よりも……むしろ各省の收支の状況は毎月報告になつております。
#32
○西山龜七君 各省の方に各府縣のものが集まつておるわけですか。
#33
○政府委員(野田卯一君) 府縣の方は各省の方へ……
#34
○西山龜七君 私は是非とも月々の決算というものを確実にして行くということが、基礎を決める基に相成る。我々が事業をいたしましても、それが基礎にならなければ、どうしても事業が興りません。そうやつて行きますと、いろいろの不純なこともできない。かように考えますので、先程お話がありましたように、これを是非とも確立するようにしたいと、かように考えております。
#35
○委員長(下條康麿君) 段々御意見を伺いまして誠に有益な示唆を得たのであります。それで、私も皆様のお述べになつた通り感じておつたのであります。從來貴族院時代も三囘ほど決算委員を勤めたことがありますが、議会の決算に関する権能が極めて幅が狹く、そうして十分なる効果が挙げられなかつたということは、明白な事実であつたのであります。今回幸い國会の権能が、それらについて極めて幅廣く十分力を伸ばし得るようになつたのでありまして、一方只今伺いました大藏省の御嵩のいろいろの御努力並びに会計檢査院の非常な御奮発等によりましてこの決算に関することが十二分の効果を挙げるようにいたしたいと思うのであります。
 それで、私ども今まで考えたところで一番大きな問題は、決算上の不始末があつた場合の責任者の処罰、処分ということが、十分でなかつたのではないか。これを嚴格にしたならば必ずや決算に……予算の執行ということに関する注意がもつと十分に行くのではないかというように考えておるのであります。これらは今段々会計檢査院の方の御意見も伺つたのですが、そういう点におきまして、場合によりましては若しその人に対する責任が、何か行政罰だけでは、すでにもう退官しておるような関係でできないという場合には、何か政治上の面においてでもそういう人の責任を追究して、あたかも適格上支障のある人は再び官界にも政治界にも出られないというような意味のことが、決算の檢査の運用上できるということにまで行かなければ、本当の効果が挙らんのではないかというように考えております。殊に今囘決算委員会というものに対する新らしい制度の中にも、恐らくそういう点について考えておるのではないかと思うのであります。いろいろその他の問題の点があると思いますが、只今お伺いしたいろいろなご意見、並びに政府並びに檢査院の御説明や御意見等を綜合しまして、委員、部長とそれから大藏省並びに檢査院の関係の方、並びに近くこの決算委員会の専門委員として任命せらるべき現在まだ在官の方でありますがこの適格の審査も済んでおりまして、近く専門委員になられます東京帝大経済学部の森教授にも、諸君の御囘意があれば入つて戴いて、この審査順序、方針等に関して一つ新らしい見地からすつかり適当な案を作るということにいたしたらいかがかと思うのですが、いかがですか。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#36
○委員長(下條康麿君) ではそういうことに願いたいと思います。それでは今日はこれにて散会いたします。
   午前十時五十一分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     下條 康麿君
   委員
           西山 龜七君
           山下 義信君
           太田 敏兄君
           千田  正君
  政府委員
   大藏省事務官
   (主計局長)  野田 卯一君
  説明員
   会計検査院長  荒井誠一郎君
  事務局側
   参     事
   (委員部長)  河野 義克君
ソース: 国立国会図書館
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