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1984/04/04 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第5号
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1984/04/04 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第5号

#1
第102回国会 外務委員会 第5号
昭和六十年四月四日(木曜日)
   午前十時六分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     吉川 芳男君
     中西 一郎君     吉村 真事君
     中山 太郎君     水谷  力君
     寺田 熊雄君     秋山 長造君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                鳩山威一郎君
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                抜山 映子君
    委 員
                大鷹 淑子君
                後藤 正夫君
                夏目 忠雄君
                秦野  章君
                原 文兵衛君
                水谷  力君
                吉川 芳男君
                吉村 真事君
                秋山 長造君
                八百板 正君
                黒柳  明君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
                秦   豊君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       外務大臣官房長  北村  汎君
       外務大臣官房外
       務報道官     波多野敬雄君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務大臣官房領
       事移住部長    谷田 正躬君
       外務省アジア局
       長        後藤 利雄君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省中近東ア
       フリカ局長    三宅 和助君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       法務省民事局第
       二課長      細川  清君
       文部省学術国際
       局留学生課長   雨宮  忠君
       厚生省児童家庭
       局企画課長    土井  豊君
       厚生省援護局業
       務第一課長    石井  清君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
○郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、寺田熊雄君、中西一郎君、嶋崎均君、及び中山太郎君が委員を辞任され、その補欠として秋山長造君、吉村真事君、吉川芳男君及び水谷力君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(平井卓志君) 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○久保田真苗君 今回瀋陽に総領事館が設けられますことはまことに中国の開放体制に沿い、またたくさん残っております中国残留孤児の問題等の処理に当たられる上から非常に適切なことではないかと考えます。
 そこで大臣にお伺いしたいんですが、この総領事館が設置されますと、まず業務の上にどのようないいことと申しますか、実績が期待されますでしょうか。
#5
○政府委員(後藤利雄君) 今回御審議をいただきます瀋陽でございますけれども、御案内のとおり、瀋陽は中国の東北地方にございますけれども、この東北地方は二千数百人、大体中国には七千人余の日本人がおられますが、その三分の一に上ります二千数百人の在留邦人がおられます。
 それから多数の中国残留日本人孤児がこのあたりに居住しておられるわけでございまして、これらの方々の本邦への引き揚げ、一時国内親捜しを含みます特に領事事務を円滑に実施する必要があるということでこの総領事館設置をお願いしているわけでございます。東北地方は中国でも非常に重要な重工業地域でもございますし、同時に穀倉地帯でもございますので、最近は同地方の港湾であります大連が対外開放沿海都市の一つに指定されまして、我が国との経済交流が今後非常に大幅に拡大することが予想されるわけでございます。このような交流の拡大に伴いまして領事事務、邦人進出企業等の連絡保護、ビザの発給手続等の増大に対しまして、私ども政府としては迅速に取り組む態勢を確立する必要があろう、こういうことでございます。こういうことで瀋陽の総領事館を新設する必要があろうかと思っております。いずれも前述の、ただいま申し上げました業務は、これまでは北京の我が方の大使館が取り扱ってきておりましたけれども、新設が認められますれば、孤児関連業務、査証等の業務はこの地方につきましては瀋陽総領事館において行ってもらいたい、こういうことでございます。
#6
○久保田真苗君 そこで、残留孤児の問題でございますが、これはこの領事館に期待される特別の任務であると考えるわけでございます。孤児の方方は本当に孤児とお呼びするには申しわけないほどお年もだんだん高齢化してこられまして、特に
肉親、御両親の亡くなった方が非常に多うございます。このような状況を考えますと、この残留孤児の問題は一日も早く、肉親捜しあるいは里帰りの調査の業務を終えまして、お互いにいい後々の関係ができますようにお願いしたいのでございますけれども、厚生省おいでになりますね、これに関連しまして残留孤児の業務というのは今の時点でどういう状況になっておりますか、どれだけ済みかつここ当分の間どのように推進していかれるつもりかお聞かせいただきたいと思います。
#7
○説明員(石井清君) お答えいたします。
 昭和六十年三月末のところで厚生省が肉親調査の依頼を受けております孤児は千六百二十六人でございまして、これまでに八百二十八人の孤児の身元が判明し、あと七百九十八人につきまして調査中でございます。
 孤児の肉親捜しにつきましては、六十年度におきまして訪日孤児を五十九年度の百八十人から四百人に増員し、一方中国側の協力を得まして厚生省の職員等を中国に派遣いたしまして、孤児からの事情聴取あるいはビデオ撮り等を行う訪中調査を計画しているわけでございます。六十一年度までには孤児の肉親調査をおおむね概了したいという方針でございます。
#8
○久保田真苗君 そういたしますと、この瀋陽の総領事館を拠点としてなさるお仕事も非常に多いと思うのでございますが、外務省から伺いましたところでは今回配置される定員は四名でございまして、その他の総領事館、例えば広州、上海等に比べますと人数が少ないように思うのでございますけれども、厚生省関係のこの残留孤児の業務を含めてこれで対応できますんでしょうか、いかがでしょうか。
#9
○政府委員(北村汎君) 総領事館を最初に開設いたします場合、大体四名という最初の人数が決められることが多いわけでございます。委員から御指摘がございましたように、非常に小人数の公館になりますので、事務もその処理が相当効率的に行いませんと非常に忙しくなるわけでございますが、まず開設のときはこれで始めまして、それから皆様方の御理解を得てだんだんふやしていきたい、こういうふうに考えております。
#10
○久保田真苗君 そういたしますと、開設された後その業務などと見合って増強するということも当然考えられる、こういうことでございますね。その場合、厚生省関係の残留孤児の問題は当分続くと思うのでございますが、厚生省としてはどういうふうに対応なさるおつもりですか。
#11
○説明員(石井清君) 厚生省の職員を派遣するという御意見でございますが、私どもは先生の貴重な御意見といたしまして今後の検討課題ということにさしていただきたいと思います。
#12
○久保田真苗君 じゃ、ひとつ新しい総領事館の仕事がスムーズに行われますよう、ひとつ大臣に格段の御努力をお願いいたしたいと思います。
 そこで、私領事館のサービスにつきまして一つ関連で前々からお願いしてあることがございます。それは、昨年の国会で可決されました国籍法に関連してのことなんでございますが、私はそもそも国籍法の中で男女の平等が実現されたことにつきましては大変これを評価しているものなんでございますけれども、ここに一つ一種の便乗値上げ的な制度が拡大されました。それは国籍留保に関する制度なんでございまして、この内容は、今回新たに、国外で生まれた子供が出生国の国籍と日本国籍とを成年に達した時点で選択するという選択制度を設けたのでございますけれども、従来ございました国籍留保制度はそのまま存続させ、しかもこれを拡大適用するということになったことに関してでございます。すなわち、国外で出生した子供はその子供が日本人であれば当然日本国籍を取得するのは国内法の経緯からしても明らかであるにもかかわらず、これを、三カ月以内に領事館に届け出て国籍留保の意思表示をしないと、つまり親が手続を怠るとその子は出生にさかのぼって日本国籍を失うという手続が世界全域に適用されることになったのでございます。これは、私は国籍を失うという事柄の重大さから考えて、いささか法務大臣の権限のお使いになり過ぎじゃないかということで大いに反対の意見を申し上げましたけれども、しかし国籍法は通過いたしまして、ことしの初めに実施されたわけでございます。でございますから、この点についての御答弁を求めるわけではなくて、このような重大な事柄であるということを踏まえた上で、そのときあわせて御指摘いたしました問題についてお答えいただきたいのでございます。
 それは領事館のサービスのことでございまして、一つは出生届けの様式の問題について御指摘申し上げました。間違いなく届け出た人が国籍留保を必要とするということがわかるような、そういう親切な様式にしていただきたいとお願いしました。この点が第一点でございます。
 第二点は、それでも非常に複雑なことでございますので、ややこしくてわかりにくいんですね。窓口の御指導適切を得るかどうかという、この懸念でございます。これについてどのように対応していただけたのかということでございます。
 第三点は、国籍法全般の改正に伴いまして、これを海外におります日本人の方々に周知徹底させていただきたいという点でございます。
 これにつきましては、外務省と法務省のそれぞれの御分担があるとは思いますけれども、全体としてどのように対応していただけたかということを御説明願いたいと思います。
#13
○政府委員(谷田正躬君) 御指摘の点につきましては、それぞれ外務省としてとりました措置を御報告申し上げますと、第一のフォームの点でございますけれども、従来は留保届けは出生届けのその他欄に届け出人がみずからその趣旨を記載するという様式を用いられておりましたけれども、今回の改正を契機に法務省と協議いたしました上で、出生届けのその他欄には日本国籍を留保するという旨をもう印刷いたしまして、届け出人はそれに署名捺印すればよいということに改めまして、これによって届け人の注意喚起を図るとともにまた便宜を図るということにいたしました。
 それから、二番目の窓口の取り扱いの件でございますけれども、これは我々といたしましては人権にかかわる重要な問題であるという非常に強い認識を持って各領事館を指導いたしまして、まずこの取り扱いに当たる領事そのものが十分にこの新しい国籍法の制度について勉強する、特に今御指摘の新しく拡大されました留保届けの点につきましてこれを徹底させるということをやっております。
 それから、三番目の全世界におられる在外邦人の方々に対する周知徹底の問題でございますけれども、具体的にとった措置を申しますと、まず在外公館におきましては、新国籍法についてのお知らせというものをつくりまして、この中に国籍留保制度その他につきまして十分に説明し理解を得るとともに、法務省で作成していただきましたポスターあるいはリーフレットを在外公館にくまなく配付いたしまして、これを掲示するほか、日本人会等在留邦人団体あるいはその事務局にも掲示を依頼いたしました。それから現地で日系の新聞があるようなところ、それから日本人会の会報が発行されておりますところにもやはりお願いいたしまして、その周知を図っております。それからさらにNHKの海外向け放送を利用いたしまして、この新しい国籍法の改正要件等についてこれを放送していただきまして、海外におられる方の御理解を得るという措置をとった次第でございます。
#14
○久保田真苗君 法務省はいかがでございます
#15
○説明員(細川清君) 第一点の留保届けの様式につきましては、ただいま外務省から御答弁のあったとおり、昨年二月三日の先生の御指摘を踏まえまして改正をしたわけでございます。
 第二点のサービスの点につきましては、これは私どもが直接申し上げることではございませんけれども、外務省でしかるべき措置を講じておられるというふうに聞いております。
 第三点の広報につきましては、国内の広報につ
きましては私どもできる限りのことをいたしたつもりでございますけれども、外国におられる日本人の方々には私どもから直接お願いすることは困難でございますので、外務省と相談いたしまして、今外務省から御答弁がありましたように、私どもの方からはポスター、リーフレットを送付いたしまして、その活用方をお願いしたわけでございます。
#16
○久保田真苗君 在外邦人は五十万人からいるんですね。そして、その方々全部が出生届をお出しになるわけではもちろんないと思いますけれども、しかしお出しになる必要な方が例えばヒマラヤやアンデスの奥にも今日の技術協力の時代にはいらっしゃるんだろうと思うのです。そういう方たちにも十分に周知ができたというふうにお思いになりますでしょうか。例えば郵便などでそういうところへも送り届けた、そういう手は打っていただいているんでしょうか。
#17
○政府委員(谷田正躬君) 在外邦人で、ある程度数がまとまって住んでおられるような地域には在外公館の方から出張いたしまして説明会を行うということをいたしました。具体的には三十一公館でそのような措置をとりました。しかしながら、今例示をいただきましたヒマラヤの奥とかあるいは全世界であちこち散在しておられる方々、まず一つには所在もつかめていないというような方もございますし、またたとえ所在がわかってもそういう方々に対して一々郵便でお知らせするという措置まではちょっと手が回りかねて、いたしておりません。
#18
○久保田真苗君 私はこの国籍留保制度を全適用したために外務省には大変な御負担がかかっているだろうと思うのです。けれども、これはやはり子供の人権の問題でして、どうしてもこれは大人の不注意で失われちゃならないものだと思うものですから、ぜひ必要な資料をお整えになりまして、改正の時点一回でいいということなく、今後もどんどんと周知徹底を図っていただきますように、ひとつ大臣にもその辺の監督をよろしくお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#19
○国務大臣(安倍晋太郎君) おっしゃることはよくわかります。予算の問題もありますが、外務省としましてもできるだけ在外の邦人に対しましてその趣旨を徹底させるように努力を重ねてまいりたいと思います。
#20
○久保田真苗君 お願いします。
 次に、外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に移りますが、これの内容でございますね。今回何がどう改正されたのかということにつきまして、間違っていましたら御指摘いただきたいんですが、定額一万八千円、それを世界全域の外務公務員の子供に、六歳から十八歳まで適用する、こういうことでございますね。そして、特別の場合に三万六千円の加算制度が設けられる、こういうことでございますね。この特別の場合というのはどういう場合でございますか。
#21
○政府委員(北村汎君) ただいま委員御指摘のとおり、子女教育手当の制度は定額一万八千円というものがございまして、それで現行制度ではそれに一万八千円の加算を、いろいろ条件がございますけれども加算は一万八千円、したがって合算しまして三万六千円の限度までしか出なかったのを今度はまず加算対象の職員を現行の限られた範囲、現行では瘴癘地とかあるいは社会主義国の場所で日本人学校のないところとなっておりましたのを、今度はそういう制限を外しまして、非常に教育費が高いところということにいたしました。
 それから二番目には、特別の事情で在外勤務地以外の外国の土地で勉強せざるを得ないというような場合もこれに含めました。
 それから三番目に、先ほど委員がおっしゃいましたように、加算の限度額を三万六千円に上げまして、したがいまして五万四千円までは出るということになったわけでございます。
#22
○久保田真苗君 そういたしますと、お子さんが二人なら十万八千円、三人ならば十六万何ぼと、こういうふうになりますね。それはいわゆる扶養家族手当は別にあった上にこれは教育のため、こういうことでございますね。
#23
○政府委員(北村汎君) おっしゃいますとおりこの子女教育手当といいますのは在外職員に与えております基本手当というもの以外に教育に関する手当として支給するものでございます。
#24
○久保田真苗君 私、国外で国務につかれます外務公務員の子女がいい教育を受けるということは非常に大事なことだと思いますし、またそれが実情に合った形で支給される、改善されるということに何ら異議を差し挟むものではございませんけれども、ちょうどこの金額が私に思い出させましたのは、ただいま同じこの国会に提出されております児童扶養手当の問題です。片方は給与、片方は福祉の手当でございますからストレートにこれを比較するということはできませんでしょうけれども、しかしこの二つのコントラストは非常に明暗を分けた、つまり離婚などによる母子家庭に対しては給付の水準が著しく切り下げられたという一方で、やはりお金のあるところにはあるものだなと、こういう感じをぬぐい切れないのでございます。
 それで、大臣にはこの際ひとつ内閣の有力閣僚のお一人としてお聞きになっていただいておきたいのでございますけれども、児童扶養手当が今後どうなるかはこれは国会の審議によるところでございまして、この中身につきましては外務省にも関係のあるところがございます。まずその水準の問題で、今ストレートにこの十八歳にかかわるポイントといたしましては、現在の児童扶養手当は離婚などによって母子家庭となった子供が十八歳に達するまで三万円ばかりの手当を出しているわけでございます。今回政府が提案しております改正案は、これを七年間というふうに限定いたしまして、それでも、七年たっても義務教育が終わっていない者については義務教育までなら認める、こういう内容になっております。今日九五%からの子供が高等学校の教育を受けておりますときに、離婚などによった母子家庭の場合には義務教育という水準に切り下げられるということは、この日本が経済摩擦まで起こして経済大国になっている現状からは、まことにふさわしくない水準ではないかと痛感しておりまして、各野党皆これに対して反対を表明しているところでございます。
 大変恐縮でございますけれども、大臣にお伺いしたいのはこれについての御感想でございまして、同じ政府が同じ時点で出しているこういう子供に対する手当の改善にこのような大きな逆方向の格差が生じていることについて、コメントがございましたらお願いしたいのですが。
#25
○国務大臣(安倍晋太郎君) 直接外務省の仕事とつながっているものではございませんし、私の立場で意見を言うことはいかがかとも思いますが、御心情のほどはわかります。わかりますが、やはり非常に限られた予算でございますから、そういう中で合理的にこういう問題が決められるということでなければならないだろう、こういうふうに思っております。国会の審議を尽くしていただきまして、国会で御決定をされる問題であろう、こういうふうに思います。
#26
○久保田真苗君 予算の点といいますと、常に犠牲にされるのは頭数の多い層なんでございます。そうでないところにはお金が回る。先憂後楽といわれる日本の公務員の倫理観からいって果たしていかがなものであろうかということも思わざるを得ないというほどこちらが悪くなっている、こういうわけでございます。
 同じ児童扶養手当の第二点といたしまして、今回適用の範囲からいわゆる婚姻外の子供を落としたという点がございます。これにつきましては、私が特に憂慮しておりますのは、外務省が御所管になっておりますところの国連婦人の地位委員会、この委員会が創設以来非常に努力してまいりました問題の一つが、婚姻外の子供の権利を守るということでございます。当時、婚姻外の子供に対する差別は非常にどこにもございました。しかし世の中が進みますにつれて、このような問題は各種の国際文書の中で差別禁止を規定されまして、先日、私何度もこの問題を持ち出してまこと
に恐縮なんでございますが、山田国連局長にも予算の総括質疑のところで内容を御説明いただいたわけでございます。きょうはその点を長く申し上げるつもりはございませんけれども、一つは世界人権宣言でございますね。この中に「すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける」と、こういうふうに規定されているのでございます。私、外務大臣にぜひお願いしたいと思いますのは、このような国際文書に関連して外交のみならず内政にも目をお配りいただく、そういう部署をはっきりと設けていただきたいということなんでございます。
 なお、ついでにもう一つ申し上げますと、外務省が批准のためにさんざん御苦労なさいました人権規約ですね、人権規約の社会経済に関する規約の方でございますけれども、その中に、子供につきましては、できる限り広範な保護や援助が、家族に対し、特に扶養児童の養育や教育について、責任を家庭が持っている間に与えられるべきであるという趣旨をうたいまして、その第三項におきまして「保護及び援助のための特別な措置が、出生その他の事情を理由とするいかなる差別もなく、すべての児童及び年少者のためにとられるべきである。」こう言っているのでございます。私、こういう点からいいましても、この国連婦人の十年のことし締めくくり年に当たり、ナイロビで世界会議も行われるという、ちょうどこういう年に日本の国会でこのような婚姻外の子供に対する差別的な法律改正が行われるということには何が何でも抗議しなければならないと思うわけでございます。
 まず、厚生省はこの点いかがでございますか。
#27
○説明員(土井豊君) ただいまお話の児童扶養手当の改正問題でございますが、本来国民年金の中に死別母子家庭に対して母子福祉年金というのがございましたが、それを補完するものとして児童扶養手当制度というのが三十七年から発足をいたしております。その後二十年余を経まして、母子福祉年金は受給者が千人を割る……。
#28
○久保田真苗君 ポイントだけ簡単にお願いできますか、時間がないので。
#29
○委員長(平井卓志君) 簡単にお答えください。
#30
○説明員(土井豊君) はい。
 一方、離婚の増加に伴いまして児童扶養手当の受給者は六十万人というような背景のもとで、かつまた、従来十分の十の国庫負担の制度でございましたが、地方負担の二割導入というような全体の動きの中でこの制度の今後のあり方というものを検討いたしまして、母子家庭の生活の安定と自立の促進を促すという趣旨で制度の見直しを行ったわけでございます。
 言いかえますと、父母がそろっていまして子供を育てる、それが一番望ましい形でございますが、不幸にして離婚というような事態に立ち至った場合に、母親が子供を育てるに当たりまして非常に生活の激変があり、かつまたそういうような家庭に対する政府の援助あるいは自立の促進という趣旨からこの制度を位置づけているわけでございまして、そのような事情のないいわゆる未婚の母につきましては今回対象から除外したというものでございますが、なお未婚の母の方々につきましても、例えば乳児院でありますとか母子寮でありますとか、あるいは今回また新しく児童扶養資金というような無利子の貸し付け制度等もつくりまして、種々の面で配慮をしながら施策を進めてまいりたい、そういうふうに考えている次第でありまして、お話の世界人権宣言等の趣旨に反するものではないという考え方をとっているものでございます。
#31
○久保田真苗君 他の方策を考えていらっしゃるということでございますけれども、私が今問題にしていますのは、今まで適用範囲を政令によって定めまして、第一は一年以上父が遺棄していた児童、父が一年以上拘禁されていた児童、母が婚姻によらないで懐胎した児童というふうな適用範囲を決めておりました。今回この「母が」という一つを落としてこれを法律にしたわけでございます。この法律にしたということにおいて、国会はこれを承認することにおいて、人権規約にまことに違反するような立法をすることになると私は思うのです。厚生省が他の面で手当てをなさる、それは厚生省がなさったらいい。けれども、この立法そのものはまさに改正の経緯から申しましてこの一項だけをずばっと落とした形なんですね。私はこういうものをこの国会が認めるということは不見識も甚だしいと思うのです。
 私は厚生省が予算の上でシーリングを設けられて非常に苦労していらっしゃる、あらゆる面で、どこからお金を捻出していくかという点で苦労していらっしゃるということはよくわかります。けれども、私はこういう基本的な筋を曲げてまでわずかなお金をひねり出すというような、そういう方向をとっていただくということは大変困るわけでございます。私はこの問題について、お差し支えなければ外務省の御意見も伺いたいんですけれども、いかがですか。
#32
○政府委員(山田中正君) 児童を出生の事情によってゆえなく差別すべきでないということ、先生御指摘のように、国連の中で種々の努力が行われまして、先ほど御指摘ございましたような国際文書に結実いたしておるわけでございます。この趣旨、人権規約の内容、これは、政府全体といたしまして、厚生省におかれましても十分その趣旨を理解していただいております。
 今回の先生御指摘の改正につきましては、先ほども厚生省の方より御説明がございましたが、母子家庭の生活の激変を緩和するという趣旨からの福祉制度としてとらえられており、また未婚の母子の福祉についてはこれを決して等閑視するものでないという方策をとられるものと承知いたしておりますので、その点から申しますれば、人権規約上直ちに問題になるものではないと承知いたしております。
#33
○久保田真苗君 しかし、人権規約におきましては、やはり社会的保護に関連して、出生というのは原文ではペアレンテージという言葉を使っているわけですから、子供に対する親のあり方、子供と親との関係という意味でございますから、まさにこれは婚姻外の子供を指しているわけでして、婚姻外の子供が同じ条件で、同じ低所得層で、そして同じく子供を抱えて、生活の激変という点を言っておられますけれども、未婚の母にもあるいは職場をやめることを余儀なくされる、しかも乳飲み子を抱えて相手の男性には遺棄されるあるいは死なれるといったような事情から、生活の激変がないとは決して申せないんです。もし生活の激変を理由とされるならばそのような基準をおつくりになるべきなのであって、しかし、私はそれが非常に煩雑であることから行政的にいい手段とは思いませんけれども、このように母が未婚で婚姻外で懐胎したというこの一つだけをもって手当の支給から、この手当がある以上、これを除くということは、私はやはり社会的保護に対して、婚姻外の子であるために差別されたと見ざるを得ないわけでございますね。時間が来てしまいましたので、私はともかくこの問題につきまして、国会審議の中で、政府におかれましてもこういう点を十分考えて対処なさいますようにお願いいたしたいと思います。
 最後に、外務大臣にお願いしたいと思いますのは、日本は条約をなかなか慎重で批准いたしませんけれども、批准した場合に、それではその条約を本当に憲法に即して誠実に守っていくかという点についての疑問を呈せざるを得ないんですね。
 そういたしますと、現在婦人差別撤廃条約の批准が期待されているわけですけれども、条約を批准すれば、その後はどこもそれを目配りして国内法との関係などに考慮を払っていくところがないのじゃないか、こう思いますけれども、私としてはぜひそれは一義的には外務省の御責任でやっていっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#34
○国務大臣(安倍晋太郎君) 国際条約に批准をすれば、日本政府全体としてこれを日本国として守っていかなきゃならぬ国際的義務が生ずるわけで
ございますし、ですから条約を批准したということでこれで事足れりということではもちろん済まないわけでありますし、具体的には各省の関係の事務等にゆだねられることもあるでしょうが、そういう点についてはこうした国際条約との整合性を十分考えながら、各省で、実際に国内マターについては条約との関係を踏まえて各省がこれを実行していく、こういうことでなければならぬと思いますし、これまでも日本はそういうふうにしてきた。それでなければ条約に批准をしたという意味はなさないと私は思っております。
#35
○久保田真苗君 どうぞぜひ今後ともよろしくお願いいたします。
#36
○和田教美君 まず、外務大臣に、深刻化しております日米通商摩擦の問題について一点お伺いいたします。
 アメリカの上院財政委員会で対日報復法案が可決されたわけですが、この法案については、ドール共和党院内総務が、この法案を五月初めのサミット前には本会議にかけないというふうなことを言ったという報道がなされております。またきのうは、松永駐米大使がボルドリッジ商務長官に会われて、電気通信機器の市場開放問題について話し合われたようですけれども、全体として一時は猛烈に急ピッチで進むんじゃないかと思われたアメリカのこの対日不満、批判というものがややトーンダウンというか、そこまでいかないにしても、やや調子が変わってきたんじゃないかという感じも持つんですけれども、きょうは対外経済閣僚会議もあるようですから、外務大臣としてこの点どういう感触を持っておられるのか、また今後の解決策についてどういう展望をお持ちなのか、それをお伺いしたいと思います。
#37
○国務大臣(安倍晋太郎君) ドール共和党の院内総務が今おっしゃいました発言をしたというのは私もニュースで拝見をしたんですが、この真意がどこにあるか、やはり見定めなければならないと思いますし、法律は出しておいてそして審議を延ばすとか、そういうことになるのか、法律も出さないのか、その辺のところはアメリカ議会、また日本の議会とは違った運営が行われておりますし、私もその辺のドール院内総務の真意というのはわかりませんが、いずれにしても、日本の通信機器に対する回答というものについてアメリカ政府がこれを評価して、そのアメリカ政府の評価という空気が議会内にもそれなりのいい印象は与えたんじゃないだろうか、こういうふうに思いますし、恐らく政府は共和党の議員に対しまして、ここで保護主義的な立法が成立するということはまずいという立場から働きかけも行ったんじゃないか、こういうふうに私は推察するわけですけれども、しかし果たして鎮静の方向に進んでいるのかどうか、これについてはまだ確たる見通しは立てられないと思いますが、日本としましてもいずれにしてもやるべきことはちゃんとやっていくということが大事でございますから、この四分野における作業は進めながら、なおかつ今事務当局で詰めております対外経済対策ですね、このパッケージをきょうの経済対策閣僚会議でも論議をして、九日には最終的にこれを決める、そして決めると同時にこれを実行していく、こういうことにいたしまして、さらにやはり危機といいますか、こうした保護主義が台頭する危機を何とか防いで、そしてボン・サミットでは自由貿易体制を守ってニューラウンドの準備を進める、そして交渉を来年から開始するという基本路線を確実なものにしたい、こういうふうに思っております。
#38
○和田教美君 今のお話は大体了解いたしますけれども、それだけに十三日、十四日の安倍外務大臣の訪米、シュルツさんとの会談、あるいはまたサミット、あるいはまたサミットの前の日米会談というふうなものが実質的に問題を前進させる非常に重要なポイントになってきたと思うので、せいぜい御努力をお願いしたいと思います。
 そこで次に、今議題になっております在外公館の名称、位置法の一部改正案に関連して御質問を申し上げます。
 先ほど久保田委員に対するお答えで、今度瀋陽につくられる総領事館の仕事というのは大体わかりました。そこでそれに関連をして申し上げたいんですけれども、残留日本人孤児の肉親捜しとか里帰り、身元調査というふうな問題で瀋陽の総領事館がこれから関与する面が非常に大きいと思うのですけれども、大体中国側の調べによりますと、残留日本人孤児というのは二千人ぐらいまだおるというふうな話だということですけれども、その中で東北地方にどのぐらいおるんですか。
#39
○政府委員(後藤利雄君) お答えいたします。
 東北地方に私どもが大体把握しておりますのは、二千人という数字を中国は申しておりますが、私どもの方では身元調査を依頼してきた孤児が千六百二十六名ということで、若干数字の差がありまして、この点は中国ともう一度私どもで詰めておるわけでございますけれども、いずれにしましても約九割が東北地方におられるというように私どもは理解しております。千六百人の中の約千四百人以上というのがあちらにおられるんじゃないか、こう思っております。
#40
○和田教美君 残留日本人孤児を日本に来てもらっていろいろ身元調査したり、親捜しをするというのが始まったのは八一年からでございますね。今も続いているわけだけれども、状況を見ておりますと、効率といいますか、実際に捜す効率はだんだん低下してきているように思うのですね。それだけに厚生省でいろいろ工夫はされているんだろうと思うのだけれども、外務省が関与する問題では特に事前調査ですね。総領事館なんかを中心とする事前調査ということにもっと力を入れなきゃいかぬと思うのですけれども、その辺については何か知恵を持っておられるんですか。
#41
○政府委員(後藤利雄君) 特別な知恵というものはないわけでございますけれども、基本的には中国の中央政府、それから今東北地方が九割もおりますから、今度できます瀋陽中心のいわゆる地方の人民政府と我が方の大使館、あるいは今度御許可いただきたいと思っております瀋陽の総領事館等の、あるいは私ども日本の厚生省、外務省とのいわゆる協力というものが非常に必要ではないだろうかと思っております。その点では先生も御案内かと存じますけれども、昨年の三月の十七日に中国残留日本人孤児問題の解決に関する日中間の協議というものが口上書が交換されまして、親捜し、孤児捜しについて日本と中国の政府において積極的に協力しようというような口上書もできておりますので、こういうものを踏まえてひとつ一層の努力をしてまいりたい、こう考えております。
#42
○和田教美君 在外公館の数は今度の瀋陽の総領事館新設を含めましてどのくらいになりますか。
#43
○政府委員(北村汎君) 今回瀋陽の総領事館が開設されますと百六十九になります。
#44
○和田教美君 その百六十九の在外公館ですけれども、大体その施設は今度の予算でも在外公館施設の拡充というのが重点項目の一つになっておりますね。今までは大体なるべく国有化方針を進めていくというふうになっておると聞いておったんですけども、実際に調べてみますと、公邸は六二%ぐらいまでは国有化しているけれども、事務所の方は二八%ぐらいしかまだ国有化していない。大部分は借り物というか、マンションを借りたりそういう形になっている。これは何か、事務所というのはやはり海外においては一種の日本の象徴みたいなものであるわけですから、これは相当おくれているんじゃないかという感じがするんですが、どういうことでしょうか。
#45
○政府委員(北村汎君) ただいま委員御指摘のとおり、私どもも在外公館の公邸それから事務所の国有化を進めるということでまいってきておるわけでございますが、もちろん機密保全それから事務の能率あるいは体面というようなことから申しましても国有化するのが一番いいわけでございます。それで、公邸の方は御指摘のとおり六割強の国有化を達成しておるわけでございますが、事務所の方は、その事務所の場所はどうしてもやはり町の非常に中心街で、また非常に枢要な通りに面していなければならぬ、こういうようなことがご
ざいましてなかなかその買い取る物件というものが非常に少ないということも一つはございます。例えばビルができましてもその部屋は貸すというようなことになりまして、それを買い取るという物件が割合少ないということと、それからもう一つ、我々もどんどん事務所を拡充していきたいということを考えておりまして、現在の陣容で事務所を開きまして将来のことも考えなきゃなりませんので、そういうことでやはり事務所の場合は公邸に比べておくれぎみになっておる。しかし私どもは、委員御指摘のとおり、やはり国有化をしていかなきゃならないということでいい物件があり次第それを国有化するように今努力をしてきておるわけでございます。
#46
○和田教美君 それからもう一つ、在外職員の旅費の問題ですね。きのうも抜山さんでしたか質問に出ていたと思うのですけれども、どうも海外をちょっと回っていろいろ若い在外勤務の職員の方方の御意見を聞くと旅費が特に窮屈だという話をよく聞くんですよ。特に管内の視察旅費というふうなこと以外に国際会議なんかに出かけるための旅費も非常に制限されておって、そのために国際会議に日本側から出ている人員がほかの国に比べるとかなり少ないというふうな事情もあるんじゃないかというふうな話も聞いたことがあるんですけれども、この辺はどうですかね。日本の予算編成は、各省一律にとにかく旅費の節減なんということをまず最初にやられるんでしょうけれども、在外公館という場合には全く特別の扱いをすべきではないか、こういうふうに思うのですがいかがでしょうか、この点外務大臣いかがですか。
#47
○国務大臣(安倍晋太郎君) 財政当局もそうですし、政府としては財政再建において予算のそうしたものについては聖域を設けないという立場でやっておりますし、これはやはり財政再建に協力するというのは政府の責任ですから、各省、外務省もそうした立場で協力をしていくということはこれはやむを得ないと思っておりますが、ただそういう中で今外務省の置かれておる立場、特に在外公館の環境等については十分配慮してほしいということはかねがね財政当局にも言っておりますし、予算の折衝の中でもそうした点についてそれなりの配慮はしていただいておる、こういうふうに思っております。
#48
○和田教美君 それでは時間も余りありませんので、海外からの留学生の受け入れ対策についてお尋ねしたいと思います。
 これは大部分は文部省の関係だと思うのですが、外務省も多少は関係があると思うのでお尋ねするわけですが、今日本で学んでおる海外の留学生、これはどのくらいですか。それから、六十年度予算で留学生関係予算というのはどのくらいですか。
#49
○説明員(雨宮忠君) 昭和五十九年の五月一日現在で我が国の大学等で勉学している外国人の留学生の数でございますが、合計で一万二千四百十人ということでございます。
 それから第二のお尋ねでございますが、六十年度の文部省で所管しております留学生関係の予算案といたしましては、百億五千八百万円というのが留学生関係の予算の内容になっておるわけでございます。
#50
○和田教美君 私の調べたところによると、前年度に比べると一三・一%ぐらい留学生対策費がふえているということで、それ相応の努力はされているんだろうと思うのですが、しかし先進国に比べますと非常に際立って少ないですね。アメリカの大体三十分の一、フランスの十一分の一、西独やイギリスの五分の一程度が現状だと思うのですけれども、特に国費留学生の比率、これは大体どのくらいですか。
#51
○説明員(雨宮忠君) 先ほど申し上げました一万二千四百人余りの中でそのうちの国費を除きます、政府派遣も若干含みますが、私費の留学生の数が一万六十五人ということでございまして、大ざっぱに言いまして国費と私費の割合は二対八ということでございます。
#52
○和田教美君 国費が二割ですね。
#53
○説明員(雨宮忠君) はい。
#54
○和田教美君 それで、なぜ今申しましたように先進国に比べて留学生の数がこんなに少ないのか、一体どういうふうな原因に基づくのか、いろんな原因はあると思うのですが、簡潔にひとつおっしゃっていただけませんか。
#55
○政府委員(波多野敬雄君) 留学生の問題につきましては、やはり何といっても一番重要なのは日本が魅力ある留学先になるということなのではないかと思うのです。そのためには、言葉の問題とか、宿舎の問題とか、学位の問題とか、いろいろ問題がございます。しかし、一番その際重要なのは、やはり心の通った温かい受け入れをするという気持ちの問題なのではないかと思います。外務省といたしましても、国内広報課というのがございますので、そういうところを通じまして国内に留学生受け入れの重要性、必要性等についてPRに努めていきたいと考えております。
#56
○和田教美君 まあ、いろいろな理由があると思うのですが、日本語の障害とか、それから今おっしゃったような生活環境の問題、留学生の宿舎が非常に不足している。留学生用に確保されているのは全体の約二五%で、残りは下宿、アパートだというふうな統計も出ておりますね。それから社会の非開放性というような問題もあると思うし、それから学位取得の困難性ということがあるというふうに言われておる。特に文科系なんかでは学位取得の率が非常に低いというふうなことの統計もございます。それからまた逆に、日本でせっかく学位を取っても国外で通用しない国がある、公務員の採用なんかの基準としてですね。こういう資格要件にならない国もあるというふうなことも言われておるわけなんですけれども、そういう意味で外務省でやはりもっと積極的に海外にPRしていく、あるいは交渉していく問題も多いんじゃないかと思うのです。
 今の学位の問題とか、それから就職の問題も、どうも日本人商社なんかが優先的に日本人留学生を採るようなことをしないという、そういう不満が元留学生の間にあるというふうな報道もございましたけれども、その辺はどうお考えでしょうか。
#57
○政府委員(波多野敬雄君) 学位の問題は極めて難しい問題でございますけれども、何と申しましても日本の問題というよりも外国政府がどのように日本の学位を判断するかという問題でございますので、我々ができる範囲も限られてはおりますけれども、しかしその範囲内において内政干渉にわたらないように配慮しながら、できる限り日本の学位のいかにそれが高度であるかということ、それから各国においてこれがしかるべき配慮を受けるべきであるということを今後とも説得に努めていきたいと思っております。
 お話にございました日本の会社が日本に留学した人を余り喜んで雇わないという傾向が依然として残念ながらあることは事実でございますけれども、しかしこの傾向はだんだんと解消されつつあると思います。私が二十数年前にバンコクに勤務いたしましたときと十年ほど前にジャカルタに勤務いたしましたときとでは相当現地の日本商社の受け入れ態勢が変わっておりまして、前向きになってきております。このごろは商社の方も意識的に留学生を採用しなければならないというようなことも言っている向きもございますので、今後ともそういうふうに働きかけていきたいと思っております。
#58
○和田教美君 文部省にお尋ねしたいんですが、生活環境の改善ということ、特に留学生宿舎の不足という問題、これについては抜本的な改善策というようなものをお考えなんでしょうか。
#59
○説明員(雨宮忠君) 先生御指摘のように、留学生にとりましてしかるべき住居を確保するということは極めて重要なわけでございます。
 先ほど先生御紹介のように、現在いわゆる留学生宿舎あるいは寮に入っております留学生の数は約二割五分ということでございまして、他は下宿、アパートということでございます。まあ、下宿、アパートにおいて生活するということがすべ
ての場合においてぐあいの悪いこととは必ずしも考えないわけではございますが、留学生の経済的な負担とかというようなことから考えますと、今後留学生のための宿舎の確保、充実を図っていくということは非常重要なことであると考えておるわけでございますが、先ほど先生からのお話にございました予算の中でも、国立大学の宿舎の充実を図っていくというのが一つ、それから、財団法人で日本国際教育協会という法人がございますが、そこの留学生宿舎建設の計画がございます。東京教育大学の跡地が成城学園の近くにございまして、ここに三百五十人程度の規模の宿舎を建設する計画がございます。これの基本設計ということのための予算が六十年度予算案の中に計上されておりますので、これらの施策を通じましてできるだけ留学生の宿舎の確保を図ってまいりたいと思うわけでございます。
#60
○和田教美君 五十八年に提言されました「二十一世紀への留学生政策に関する提言」あるいはまた去年の六月の留学生問題調査・研究に関する協力者会議の報告というふうなものを踏まえて、文部省はこの二十一世紀初頭に大体留学生の数を十万人にするという計画をお持ちだと言うんですが、これはいつからスタートするんですか。
#61
○説明員(雨宮忠君) 今先生のお示しの提言、それから昨年の六月末に出されました「二十一世紀への留学生政策の展開について」という文部大臣向けの報告がございます。これでお示しのような二十一世紀初頭において十万人の留学生受け入れということで、そのためのガイドラインを提示しておるわけでございますが、この計画につきましては、既にスタートしておるということでございます。
#62
○和田教美君 いつからスタートしたんですか。
#63
○説明員(雨宮忠君) この提言が行われましたのが昨年の六月でございますので、その時点の数字からスタートいたしまして十万人ということでございます。
#64
○和田教美君 具体的に予算化されたのは今度が初めてですか。
#65
○説明員(雨宮忠君) 御指摘のとおりでございます。
#66
○和田教美君 ところがこの十万人計画を見ますと、何といいますか、私費留学生ですね、それから公費留学生というものの比率を見ますと、先ほどは現状は私費が八割というお話でしたけれども、どうも文部省のお考えを見ますと、これが下がっちゃって公費留学生が一割ぐらいになる、私費留学生が九割になるというような計画のようですけれども、二割が一割に下がるとますます民間依存が強くなるということなんですが、これでは余り留学生政策推進ということにならないんじゃないですか。
#67
○説明員(雨宮忠君) 十万人の中の一割を国費の留学生というように設定してあることは御指摘のとおりでございます。これは、欧米諸国の例を参考といたしまして、例えばフランスでございますと、全体で十二万人のうちの約一万人が国費ということでございます。それから、先ほどアメリカの例がございましたが、例えばアメリカの例をとりますと、三十万以上の留学生の中で、いわゆる国費といわれておりますのは一万人を切るというようなことでございまして、したがいまして、我が国といたしましても二十一世紀初頭の十万人ということを目標にした場合の国費の割合というものを一割ということにセットしているわけでございます。
#68
○和田教美君 どうも今の答弁、非常に形式的で納得できないんですけれども、私費留学生ということになりますと、相当な経済負担、しかも日本語の勉強もしなきゃいかぬというような、そういういろいろな負担がかかるわけですね。しかも宿舎の施設なんかが非常に悪いというふうな、条件が悪いというふうな状況が重なってくるわけであって、ヨーロッパの例と、そのままそれを引き写しするというのは必ずしも適切ではないんではないかというふうに思うのです。しかも私費留学生に対するいわゆる国としての施策というものがほとんど積極的なものが見られないように私には思える。つまり民間おんぶ型で十万人計画というのを立てているように思うのですが、そうなるとやはり計画どおりになかなか進まない。とらぬタヌキの皮算用になってしまう危険性があるんではないかという感じを私は持っているんですけれども、その辺についてはどういうお考えでしょうか。
#69
○説明員(雨宮忠君) 先生御指摘のように、来世紀に向けて留学生受け入れを大幅に拡大していくという場合に、私費留学生についての施策につきましては、今後一層のしかるべき配慮を払っていかなければならないということでございます。これは国費、私費を通じての話でございますが、日本の大学で勉強するということでございますので、まずは日本の大学等における教育指導の充実でありますとか、あるいは先ほどお話の出ましたような宿舎の整備もしなければならないということもございます。
 それから、現在行っている事業の中で医療費につきましては八割補助をするというような事業もございますが、それらの国費、私費を通じました事業が一つございます。それからもう一つは、私費の留学生だけに着目した事業というのも若干なからあるわけでございまして、日本国際教育協会を通じまして月額四万円の学習奨励費というのを、一番最近の数字で申しますと年間百六十人ぐらいに支給してございます。
 それから優秀な私費の留学生につきましては、国費留学生へ採用するというような施策も一部分でございますけれども、やっておるわけでございますが、しかし先生御指摘のように、大部分はもちろん建前どおり私費で、親の仕送り等を受けて来ているわけでございます。
 これらにつきましては、やはり民間の留学生の奨学団体というところにその経済生活について支援を求めるという側面も大いに期待しているわけでございまして、最近、民間の方でいろいろそういう留学生の経済生活を支援するという機運が非常に高まってまいりまして、日立の国際奨学財団でありますとか、あるいは神林留学生奨学会でありますとか、岩城留学生奨学会でありますとか、五十九年度中にもこのような三つの奨学財団が設立されておるわけでございまして、民間にということではございましたけれども、民間の力もおかりして私費の留学生の経済的な生活についても、私どもとして民間の努力をできるだけお助けできるような方向で努力いたしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#70
○和田教美君 最後に外務大臣にお尋ねしたいんですが、この留学生の問題というのも一種の援助政策だと思うのです。ところが、どうも日本の、特に東南アジアなんかに対する援助政策は、今までは余りにも経済的、政治的効率ということを重視して、とにかく伸ばしていくということばかりを考えておったと思うのですけれども、実際にこの留学生の問題なんというのは非常に先進国に比べるとおくれているわけで、これからは文化的効率というか、文化的影響といいますか、そういうものをもっと考えた、援助政策の一環としての留学生対策ということを重視していかなきゃいかぬのじゃないかと思うのですけれども、それをお聞きして終わりたいと思います。
#71
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私もその点は痛感をしております。ASEAN等を回りますと、やはり留学生、研修生等が、あるいはまた家族等もどうしても欧米志向といいますか、そちらの方へ行かしたがる、本人も行きたがるという傾向が非常に強いように思っております。しかし、経済的な面、貿易の面では日本とのつながりが非常に強くなってきておるわけですから、その辺を日本もASE ANも、全体的にこれからのアジア、太平洋の将来という観点からもお互いに見直しながら、留学生、研修生の受け入れ、あるいはまた相互交歓といったものを積極的にやっていく必要があるということは、私も非常は痛感をしておりますから、日本としましても特に研修生の問題等は拡大
もしておりますし、あるいはまた青少年の人的交流の面も拡大しておりますが、留学生その他についても、予算等の問題もありますけれども、できるだけひとつ将来を考えて、拡大をしていくべきだと思っております。
#72
○和田教美君 終わります。
#73
○抜山映子君 海外に赴任する外交官の方で、子弟を日本に残していかれる方と、ともに連れていく人とのパーセンテージはどういうことになっておりましょうか。
#74
○政府委員(北村汎君) お尋ねの件でございますが、本邦に子女を残していく場合、約二割強でございます。二二%ぐらいの数字が出ております。
 それから海外に連れていっておる子女の中で、日本人学校に入れておるのが三六%、現地の学校、これは私立、公立あるいは外国人の学校ございますが、合わして四二、三%、任地以外の国に置いておるのが、これは日本を除きますけれども約一%ぐらい、こんな程度になると思います。
#75
○抜山映子君 日本に子弟を残していく場合に、たしか学齢期に達した人の寮か何かございましたかしら、そこに入れて行かれる方のパーセンテージをさらにお知らせください。
#76
○政府委員(北村汎君) 外務省は残留する子弟を預かる寮があるのでございますけれども、非常に規模が小そうございまして、極めて限られた人しか入っておりません。
#77
○抜山映子君 概括的でよろしいんですけれども、その寮の規模ですね、荒っぽくてよろしいんですが。
#78
○政府委員(北村汎君) 確かな数字は今電話で調べますが、大体男が四十人ぐらい、女が十三、四人ぐらいというところかと思います。
#79
○抜山映子君 海外で教育費の手当が出ておるわけですけれども、日本人学校それから現地の学校、両方あると思いますが、その手当と月謝とはまあほぼ見合うレベルに達しておるのでしょうか。
#80
○政府委員(北村汎君) 今回お願いしております子女教育手当の増額が達成されますと、ほぼ九割強の子弟の教育の費用がこの手当で賄えるということになろうかと思います。
#81
○抜山映子君 日本人学校のある場所、そして数を教えていただけませんか。
#82
○政府委員(谷田正躬君) 現在海外にあります日本人学校の数は七十六校でございます。その場所でございますが、一々挙げるのもあれですが、アジアには二十四、大洋州に二、北米に二、中南米十七、ヨーロッパ十六、中近東十、アフリカが五、これで総計七十六校ということでございます。
#83
○抜山映子君 大体規模にもピンからキリまであると思いますけれども、どれぐらいが平均的な規模でございましょうか。
#84
○政府委員(谷田正躬君) この七十六校に在籍しております児童数は今一万五千人でございます。したがいまして、全く平均的にこれを割るということで一応数字は出るわけでございますけれども、非常に大小格差がございまして、一番大きいのはシンガポールで二千人の生徒がございます。それから小さいところでは三十人という、非常に大きな格差がございます。
#85
○抜山映子君 この教師の派遣についての選択はどういうようになっておりますでしょうか。
#86
○政府委員(谷田正躬君) 教員の派遣につきましては実はこれは文部省の所管でございますんですが、私の承知しております限りでは、海外派遣教員の志望者をまず募りまして、その中から選考して派遣教員を決めるという仕組みでございます。その場合、派遣される場所につきましては、まず教員側の方からの第一、第二、第三ぐらいまでたしか志望を募って、それにできるだけ沿うような形でやるわけでございますけれども、もちろんこれはでこぼこが必然的に出てきますので、中には希望されないところに派遣される教員も出ることになるかと思います。
#87
○抜山映子君 教師の方のレベルについては、特別に資格とか語学力とか、そういうものの要件はついておるんでしょうか。
#88
○政府委員(谷田正躬君) これもだんだん文部省の御所管の中の事項に立ち入るので、私から申し上げるのもなにでございますけれども、選考のときに外務省の方も一緒に協力してやってございますが、そもそもの教員資格の審査の点についてはこれは文部省の方でございます。あと、海外生活に適応の能力があるかといった点については、外務省の方からも審査に参加するという形をとっております。それから語学の点につきましては、特に審査の基準にはいたしておりませんけれども、赴任前研修というのをやっておりまして、そのときにできるだけ派遣される国の言葉を少しでも勉強していただくというシステムはとっております。
#89
○抜山映子君 ちょっと細かくなるんですけれども、教科書なんかはどういうようなものを使っておるんでしょうか。これも文部省の所管になるのかもしれませんが。
#90
○政府委員(谷田正躬君) 教科書につきましては、日本で使っております教科書をそのまま送っております。
#91
○抜山映子君 日本人学校もシンガポールなんかは非常に日本の学校以上に充実しているということを聞いておりますが、やはり日本のレベルから見ると非常に程度の低いところがかなりあると思うのでございます。海外に赴任するのは外交官にとどまらず、商社マンその他もろもろの人たちが大変にふえましたので、厳しい予算ではございましょうが、日本人学校のレベルアップということもひとつ考慮に入れていただきたいと思いますが、その点いかがでしょうか。
#92
○政府委員(谷田正躬君) 海外において活躍する邦人数が増大しておるということでございまして、それに伴って海外子女教育問題の重要性というものはますます高まってきているというのが我我の認識でございます。そして、先ほど申しましたように、現在海外には七十六校の全日制学校、それから百二校の補習学校がございます。これは現地の学校に通いながら週末に日本語の教育を受けるという学校でございますが、そういった施設が設置されておりまして、これに対して派遣される教員が約千人ございます。外務省といたしましては、今後とも文部省と協力いたしまして、こういった在外施設の拡充強化にできるだけ努めていく所存でございます。
#93
○抜山映子君 今度は帰国した子女の受け入れ態勢の方をお伺いしたいと思うのですが、教育の自由化ということも最近大分派手に議論されるようになっておりまして、九月入学が多い外国に合わせたいというような意向も出ておりますが、現在九月入学を特例として認めているような学校はあるんでしょうか。
#94
○説明員(雨宮忠君) 大学院レベルで一部九月入学を認めているというところがございます。
#95
○抜山映子君 今後のその実現の見込み、これは見込みで結構なんですが、どういうことになりましょうか。
#96
○説明員(雨宮忠君) 現在、法令上は九月入学ということを選択することもできるわけではございますが、それぞれ大学のその態勢整備というようなこととも関連いたしますので、それらの努力いかんということによる面が多分にあろうかと思います。
#97
○抜山映子君 国立大学、公立大学、私立大学と分けまして海外から帰国した子女について特別入試なりあるいは特別な書類選考で入れる大学がどの程度あるかお教えいただけませんか。
#98
○説明員(雨宮忠君) 所管ではございますが文部省でございますので、いずれ調べまして御報告さしていただきます。
#99
○抜山映子君 徐々にふえつつはあるらしいんですが、これもかなり枠が狭いようなのでございます。したがいまして、まあ何といっても赴任する際に一番心配なのが子弟の教育問題でございます。そういう意味で外務省としてもひとつ文部省にそういう特別入試を認めるように働きかけていただきたいと切望するものでございます。
 それから、次いで教育情報の海外との交換の問題について伺いたいと思います。
 日本でどういう教育を行っているか、例えば日本語でやっている講座とそれから英語でやっている講座もあると思うのですが、それらについての情報をどの程度海外に今流していらっしゃるでしょうか。
#100
○政府委員(波多野敬雄君) 外務省のやっております留学生関係の努力の一環といたしまして、海外において我が国における教育の機会、教育のやり方等についてあらゆる観点から努力をしておりますが、詳細、どの程度の情報を流しているかということは国によって違うと思いますし、一応原則としては現地における照会に答えるという形で大使館の領事担当者がその都度東京に照会するなり手持ちの資料をもって答えるなりしておりますけれども、ちなみに在外に備えてございます資料といたしましては、我が国留学制度の概要であるとか、入学案内であるとか奨学金の案内であるとか、大学院の案内であるとか、大学要覧であるとか、その他英文の資料も多数備えてございまして、これを閲覧に供するようにしてございます。
#101
○抜山映子君 その都度の照会に答えるというのではちょっと不十分な気がするんですね。というのは、先般シドニーで開かれた日豪関係のシンポジウムで結論として教育情報の交換をもっと密にすべきだという意見が出たというわけです。特に日本に来てみたら日本語で授業があって、これは英語であるとばかり思っていたのが日本語で授業がされているので日本語の習得の方に時間をとられて専門科目は全く勉強できないという留学生も中にはいる、それからまた、日本語であるものとばかり思っていたら案外英語で受けられる授業があったじゃないか、それならなぜもっと早めに教えてくれなかったのか、そういうような留学生の声もあるそうでございますので、特に語学について、どの講座は英語で受けられるとか、どの講座は日本語でしかだめだとか、学位論文は英語でいいならば英語でいいとか、特に語学についての情報は盛んにしていただきたいと切望するものでございます。
 それから、大学ごとに外国人に対する奨学制の枠があるところもあるというんですが、これは今どういうようなことになっておりますでしょうか。
#102
○説明員(雨宮忠君) 今のお尋ねにお答えする前に、先ほどの情報の点につきまして補足させていただきますと、現在、日本国際教育協会におきまして、留学生のインフォメーションセンターというのがございます。そこで各種の問い合わせに対応しているだけでなく、先ほど外務省からお答え申し上げましたように、外務省の御協力を得まして留学の手引のごとき冊子を在外公館に配付して情報提供に努力しているわけでございます。また現在、協会で国内の大学につきまして、学科の内容、どういう教育コースがあるのかというようなこと等を中心にいたしまして、かなり詳しく英語で記述した大学一覧のごときものを編集しておりまして、近く完成する予定でございます。これも外務省の協力を得まして各在外公館に配付いたしましたり、あるいは関係団体にも配付するということによって留学生の情報を豊かにするということについて努力いたしたいと思っておるわけでございます。
 それから、先ほど二点目に留学生の枠が大学に置いてあるのかということについてのお尋ねでございました……。
#103
○抜山映子君 済みません、奨学金制度の枠があるというのを聞いているんですが、これはどれぐらいの学校がどの程度の奨学金、そういうのを出しているのかということを聞いたわけです。
#104
○説明員(雨宮忠君) 各大学が自主的な努力によりまして、一種の基金的なものを備えている場合がございます。私どもで承知している範囲で申し上げますと、例えば国際基督教大学など十大学で約百三十人に奨学金などを支給しておるということでございます。
#105
○抜山映子君 留学生が、ほとんど帰国するときには反日的になって帰るということが言われておるのでございます。ところが一方、日本が一番貧しいころ、戦時中下にアジアからたくさん留学生が参りましたけれども、その方たちがみんな親日的になって帰ったということが言われておるわけです。現在、この留学生が反日的になって帰っていくという原因をどのように分析しておられるか、これは外務大臣にお伺いいたしたいと思います。
#106
○政府委員(波多野敬雄君) 留学生が反日的になって帰っていくというのは必ずしも一般的な現象ではないと思います。そのような事例が極めてまれにあるかとは思いますけれども、多くの人は日本に親近感を抱いて帰ってくれているものと考えております。
 やはり留学というのは、先ほど私申し上げましたけれども、心の通った温かい受け入れをしてあげるということが何よりも大切なのではないだろろうか、いろいろ経済的な問題もございましょう。言葉の問題もございましょう。しかし、何よりも重要なのは心の問題であるというふうに考えております。
#107
○抜山映子君 外務大臣に御見解を伺いたいと思います。
#108
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かにそういう人もおると思います。私もASEANに参りまして日本の留学生であった諸君と何回かお目にかかりました。そういう際に、その中で、自分は日本で留学してそれなりに楽しい思いをしたけれど、しかし子供はもう日本には留学させたくない、むしろ欧米に行かせたいなんということを言いまして大変ショックを受けたんですが、それは聞いてみますと、結局向こうでの扱いですね。日本でせっかく勉強してもなかなかその勉強の成果というのが自分の母国で受け入れられない。むしろヨーロッパとかアメリカ等で勉強した人の方が優遇される。これはいろいろと資格とか免状とかの問題もあるんじゃないかと思っておりますが、全般的には日本に来た人たちは、日本にはいい感情を持っておりますけれども、そうした国に帰ってからのいろいろと問題があるようです。その点はやはりこれからお互いに努力していかなきゃならぬことじゃないかと、そういうふうに思いました。もちろん日本における留学生の受け入れについてもいろいろと改善をすべき点がある、その点については改善をしなきゃならぬ、こういうふうに思います。
#109
○抜山映子君 ただいま心の問題があるという原因と、それから日本で勉強した成果が帰国して生かせない、それが原因であると、二つの原因が挙げられたわけでございます。それで、心の問題なのでございますけれども、例えば留学生は日本に来ると大変に心細い思いでおるわけですが、これは現在行われていますかどうか、留学期間にホームステー、たとえ一日でも二日でも日本の家庭に泊まってホームステーさせるというようなことは、まあアメリカなんかではよくやっておるんですが、そういう臨時に、休日とかそういうときにホームステーをさせる制度を今やっておるのでしょうか、どうでしょうか。
#110
○説明員(雨宮忠君) 民間団体におきまして、例えば昨年夏には青年会議所がホームステーの事業を行いまして、約五百人近い留学生を青年会議所の会員宅にホームステーさせたというような事業もございますし、また南北海道でありますとか、あるいは鹿児島でからいも交流というようなことで言われておりますように、各種の民間の活動でホームステー等の活動がなされておるわけでございます。また、国立大学に関して申しますれば、そのような事業を行うときに若干なりの謝礼を大学の方で払うというような予算措置も若干ながら講じておるわけでございます。
#111
○抜山映子君 現在、ホームステー制度はロータリークラブのメンバーなんかによるボランティア的なものが多いと思うんですけれども、ひとつこれを、留学生として来た者は全員このホームステー制度に浴せるというぐらいに、これは制度としてつくった方がいいのではないかと思うのです
が、この点御意見はいかがでしょうか。
#112
○説明員(雨宮忠君) 先生御指摘のように、留学生にとっては本来勉強するということが第一義ではございますが、日本文化なり、あるいは日本事情に親しく接するということもまた留学生交流の意義でございます。おっしゃるような意味に応じまして、今後ともそれらの活動が促進されるように検討してまいりたいと思っております。
#113
○抜山映子君 それから、実際に専門科目を勉強する前に、日本人の物の考え方あるいは日本の慣習、語学を含めまして、オリエンテーション制度はあるんでしょうか、ないんでしょうか。
#114
○説明員(雨宮忠君) 例えば国費留学生の場合を例にとりますと、日本に参りまして六カ月間の予備教育の期間があるわけでございます。その場合に、その内容といたしまして、一般的な日本生活上の基礎的な知識等も得られるような配慮はしておるわけでございます。
#115
○抜山映子君 最後に、なぜ反日的になるかの原因なんでございますが、先ほどそんなに反日的になっていないという御意見もあったので、ひとつその発言をされた方は留学生会館に行って聞いていただくとよくわかると思いますけれど、ほとんどが非常に不満を持っておるわけです。それは日本人の心のあり方の問題について非常に不満が多いのと、それから先ほどちょっと出ましたが、子供たちはやりたくない、妹たちはやりたくない、弟はやりたくないという意見の中に、日本人の心が非常に冷たい、テレビの番組の内容も非常にくだらない、こういう意見が非常に充満しておることを忠告申し上げておきたいと思います。
 それからもう一つは、経済的な不満でございます。これは、経済的な不満といいますと、じゃ戦時中の方がもっと経済的に不満であったろうということが言えると思うのですが、その場合は、日本人との生活が、日本人も同じように貧しい生活をしておったわけで不満がなかったわけなんですが、今の留学生は、日本人はもっともっとぜいたくしておる、我々はこんなにつましい生活をしているということで非常に不満が噴き出しておるわけです。特に熱帯地方から来られた方は日本で衣服を整えなくちゃいけない。そういうときに大変に高いわけで、そのお金の出どころがないわけですね。そういう意味で、私は留学生の手当についても予算が許す限りもう少しアップしていいのではないかということを申し上げて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#116
○立木洋君 今回のこの法律案に関連してですが、中国の瀋陽市に総領事館が設置されるということについては、この瀋陽市が中国東北地方の中心地でありますし、また日本人孤児の占める割合が九割にも及ぶ、あるいは今後の日中の経済的な協力関係を考えても、私は意味のあることだろうと思うのです。
 そこで最初にお尋ねしておきたいのは、日本人孤児という問題について大臣はどのようにお考えになっておられるでしょうか。
#117
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本人孤児につきましては、ああした不幸な戦争の結果生まれた非常にお気の毒な問題だと思います。しかし同時に、日本人孤児を温く迎えて、そしてこれを育てていただいたということに対して、日本としましてもその養父母に対しまして心から感謝をしなきゃならぬ。同時に、そうした孤児の日本人父母捜し、あるいはまた孤児のこれからの生活の安定といった面につきましても、できるだけの協力をしていかなきゃならぬ、こういうふうに思います。
#118
○立木洋君 大臣がそういう御努力の方向を出していただいたのであれなんですけれども、閣僚の方の中にもいろいろと変なといいますか、よくないお考えをお持ちの方があったので、ぜひ大臣そういう点で今後とも御努力をお願いしたいと思うのです。
 特に、孤児の身元を確認したり、あるいは親子の対面ができるというふうな場合、一番多いのはやはりテレビだとか新聞だとか、そういうことによって確認されるという例が非常に多いと思うのです。それで、瀋陽にそういう総領事館が設置された場合に、例えば中国側との協力もあるわけですから、中国側にも申し入れをして、例えば新聞等で広告をする。それで身元の確認を求めたい方や、いろいろ材料、新たな情報がわかったならば瀋陽に、こういうところに届けてほしいとかいうふうなことを広告するとか、なかなか中国というのは情報が徹底しませんから、そういうふうなことを使うとか、また外務省で得た情報ですね、そういう身元がさらに確認された、よりよくわかるような情報が入手できた場合に、一定期間まとめて、それを厚生省なんかと協力して、本人が来なくても日本のテレビだとかあるいは新聞等で出すとか、こういうことをやりますと、今のままで来たときにだけそれをやりますと非常に長くかかるわけですが、そういうような方法を通じてやると、より身元の確認というのが促進できるんではないかというふうに考えるので、いろいろ御検討されておると思いますけれども、厚生省と協力してそういう面でも努力をいただきたいと思いますがいかがでしょうか。
#119
○政府委員(後藤利雄君) 今、立木先生からのお話のように、私も、孤児の方が来られましてテレビを拝見しておりますと、御親族がおわかりになった方が記者会見をされておりますと非常に顔形が似ておられる方が多くて、そういう点ではテレビとかビデオとかそういうものが非常に有用であろうという個人的な印象を持っております。また厚生省も既にいろいろと御検討いただいていると思いますけれども、厚生省とも十分なお一層連絡をとりまして、先生の今のような御示唆もよく踏まえまして努力してまいりたいと思っております。
#120
○立木洋君 それから、この数年来、日本と中国との経済関係、とりわけ貿易なんかの面で徐々に拡大しつつあるというふうなことはわかるわけですが、中国で特殊な経済特区だとかいうものが設置されて、以後、日中両方の合弁だとか投資の状態だとかは、どういうふうになってきているんでしょうか。若干最近の特徴について説明していただきたいんですが。
#121
○政府委員(後藤利雄君) 今御指摘の貿易も、昨年、一九八四年は百億ドルを超えて百二十億ドルぐらいに達するんじゃないだろうかということが言われております。私の手元では、十月までの数字でございますが、既に百三億強という数字になっております。そういう点で、日本と中国の貿易あるいはその投資の関係というのはますます深まっていくだろうという気がいたします。
 ただいまの御質問でございますけれども、現状の中国における日中間の合弁事業は一九八四年、昨年十二月末現在で三十件が認可されておるというように承知しております。この中で今御指摘のありましたところのいわゆる経済特区あるいは特別市でございましょうか、こういうところの中では深セン、汕頭等の経済特区におきますものは四件でございます。ほかは天津市あるいは江蘇省等が比較的に多いというように私どもの数字あるいは資料では承知しております。
 ただいま申し上げましたように、日中合弁事業は交渉中のものも多々ありまして、今後とも増加していくというように思っておりますけれども、私どもといたしましても円滑な対中投資を促進する、それから中国自身も日本からの投資というもの、あるいは技術移転というものを非常にもっと積極的にしてほしいということをいろいろな機会で言われておりますので、中国の近代化の努力に貢献するということで一方においては先方の法整備等、投資環境の整備をお願いしなくちゃいけないわけでございますけれども、今後とも進出していく状況にあるんじゃないだろうかというように承知しております。
#122
○立木洋君 今決まっている三十件の概要ですが、どういうふうな種類のもの、それから企業別にするとどういうふうな形になっているのか、ちょっと御説明いただけますか。
#123
○政府委員(後藤利雄君) 私のところに資料がございます。どういうものがあるだろうかといいますと、極めて多々にわたっておりまして、例えば
カラーテレビの生産からあるいはコンピューターソフトの開発、ホテルの建設、それからプラスチックの加工、細かい手袋の製造とかマッシュルームの栽培とか、そういうように非常に多岐にわたっております。具体的に大きく、どういう建設がどうだろうかというようなのは、ちょっと私直ちに手元にありませんけれども、もし必要ならば整理いたしましてまた後ほど先生にお届けしたいと思います。
#124
○立木洋君 それをお伺いしたのは、実は中国側に投資をしたりあるいは合弁を進めているというのが比較的中小企業に多いんではないか、大企業がそういうふうなことを若干慎重に見ているといいますか、ちゅうちょしているとまで言っていいのかどうかわかりませんけれども、なかなか進んでいないというふうなことをちょっと耳にしているんですが、それはどういうところに原因があるのか。確かに歴史的に見れば一九七八年、七九年なんかの若干のそういう問題、経緯もあったようでありますけれども、今の時点では何がネックと言うのか、何がそういうふうに進めることのできない状態にしているのか、中国側としてはどういう問題があるのか、あるいは日本側としてはどういう問題が考えられるのか、そこらあたりは外務省としてはどのように判断されているんでしょうか。
#125
○政府委員(後藤利雄君) 直接的なお答えができるかどうかわかりません。そういうような御指摘は再三にわたりまして伺っておりますので、実は、昨年来から、例えば日本の企業が中国に対して投資を行う場合に一体どういう問題点があるだろうかということを中国に進出されている企業あるいは関心を持っている企業につきまして調査いたしました結果がございます。要すればまた別途御説明させていただきたいと思いますけれども、一言で言いますと、なお先ほどもちょっと触れましたように、先方の法制の整備が日本の企業から見て不十分と言っては甚だ語弊がありますけれども、やや不確かな部分があるとか、あるいはソフトに対する評価が必ずしも十分でないとか、それから地方に参りますと中国の中央政府の指令というか、あれが徹底しておらないというようなこともございます。他方、中国から見ますと、私の承知する限りでは、何か技術移転というものについて、価格の問題は日本というのは御存じのとおりかなり競争力があるわけでございますが、やや技術移転について消極的な部分があるというように中国側は言っております。この点、今まではそういう先生のような御指摘があったと思いますが、私どもが最近承知する限りでは、中国に対する投資に対する関心というものはこれからの問題でございましょうけれどもかなり高まってきているというのが現状ではないだろうかというように認識しております。
#126
○立木洋君 一般的に言われるいわゆる社会主義国との経済協力の面でいろいろとトラブルが生じるというのは、社会主義というのは制度が違うわけで、だから資本主義国で行われている商ルールだとかいわゆる取り決めのやり方だとかというようなことについてなかなか理解しにくい、そのために社会主義的な常識で判断するとそうはいかないんで、実はそうではないんだということでトラブルが発生するということが非常に多いということも承知しているわけで、そこらあたりの問題は、これは民間だけに任すことなく、いろいろな機会に、そういう経済協力が正しく発展するためにはお互いをよりよく理解するということが重要なので、そこらあたりもぜひ今後とも注意をしていただいて力を注いでいただけるようにお願いしたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
#127
○政府委員(後藤利雄君) 承りました。大企業が全く出てないということではございません。例えば、日立とか、三井鉱山、サントリーなどが深センその他にもセメントその他の関係で出ております。
 同時に、今御指摘のように、制度が違うという点は率直に認めざるを得ないということで、むしろ進出される場合には十分先方の制度というものを踏まえていかれた方が、途中から何か問題が起きるということになりますと大変不幸なことでございますので、外務省あるいは特に通産省・ジェトロ等がこの点については十分御協力、御相談をいたしておりますし、そういう点は踏まえて今後ともやってまいりたい、かように思います。
#128
○立木洋君 最後に、ちょっと一分間あるので、これは担当官の方がおいでになるかどうかわからぬのですが、ちょっと気にかかるのでお尋ねしたいんですが、日ソの漁業交渉ですね。七日からまた再開されるというようなことになって期限も一定期間決まっているんですけれども、大体、見通しその他どういうふうになっているのか、状況がわかったらそれをお答えしていただいて、私の質問を終わります。
#129
○政府委員(小和田恒君) ただいま欧亜局長がおりませんのでかわってお答えいたしますが、御承知のように三月の二十七日から第六回の協議をモスクワでやっているわけでございまして、現に、今代表団がモスクワできょうも交渉をやっているわけでございます。
 見通しにつきましては、今の段階で申し上げるのは非常に難しゅうございますが、原則的な問題と実態の問題と分けまして、実態につきましてはソ連側も日本がサケ・マスの沖取りをするということ自体についてはそれほど反対をしているわけではないわけでございますが、その基礎といたしましてソ連側がどの程度の権利を持つのか、日本側がどの程度の権利を国際法上、したがって協定上持つのかということについてなかなか意見が一致していないという点がございます。これは御承知のように、新しい海洋法条約ができまして、発効はしておりませんけれども、採択されました条約の第六十六条という御承知の規定がございますが、この規定をどういうふうに今度の日ソの協定の中に取り込んで、日ソそれぞれの権利義務関係を仕分けるかというところがなかなか離しい問題で、これは操業の実態と関連する面があるものでございますから双方ともなかなか譲れない面があるということで、今鋭意交渉しているわけです。
 私どもといたしましては、とにかく漁期に間に合うようにこの協定の締結を急ぎたいということで鋭意努力しておりますけれども、今の段階で見通しを的確に述べるというふうなお尋ねでございますと、ちょっともう少し様子を見ないとなかなかはっきりしたことは申し上げられないということでございます。
#130
○秦豊君 法案関係に入る前にちょっと安倍外務大臣に一つ二つ。
 日米摩擦の動きがこのようになりますと外務大臣が御苦労される四月十三日の安倍・シュルツ会談の非常に具体的な焦点の一つは木材製品の関税引き下げ問題ではないでしょうか。
#131
○国務大臣(安倍晋太郎君) この点については向こう側の要制もよく私も承知しております。ただ、日本としてどういうふうに対応するかということは私はとにかく非常に難しい問題だ、国内的にも非常に難しいということを言い続けてきておるわけですが、九日に対外開放政策を発表いたしますから、その発表の中にこの問題も含めていろいろと我が党と政府との間で話し合いも進んでおるように思いますので、どこまでそこで詰められるか、詰めた問題をその範囲内でアメリカに伝える以外にはない、こういうふうに思います。
#132
○秦豊君 四月十三日に一発で木材関税引き下げ、わかりました、合意というふうにはなかなか私はまいらないと思うのです。国内がブレーキになっていますから、党内もブレーキです。したがって、かなりもつれ込むと見てよろしいでしょうか。
#133
○国務大臣(安倍晋太郎君) 九日にどういうふうな対策が出るかということですが、そう簡単に見通しとして日米間で完全に片がつくというようなことはちょっとこれは難しいと思います。
#134
○秦豊君 アメリカ政府と議会のかなりな部分に中曽根氏がもたらした感触は感触として、四分野のすり合わせだけでも四カ月以上かかるだろう、こういう見方がちらついておりますが、大臣の感
触はいかがですか。
#135
○国務大臣(安倍晋太郎君) 問題によってはなかなか、例えば木材製品等についてはこれは難しい問題だと思いますが、その他の分野についてはテレコムの方は解決しましたし、エレクトロニクスの方はアメリカもある程度満足している状況で進んでいますし、薬品、医療器具の方も基準問題ですが、これも前進があってこれから作業が進むわけですが、そういつまでも長くかけるというわけにはいかないのではないか、こういうふうに思います。
#136
○秦豊君 それから、いわゆるMOSS方式という方式、市場指向型個別協議方式と訳しましょうか、アメリカと日本の、それは合意ですね。
#137
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは合意です。
#138
○秦豊君 そうしますと、アメリカ側の受け取り方がMOSS方式による第一段階がようやく終わりつつあるにすぎない、あとが控えているんだという認識には間違いございませんか。
#139
○国務大臣(安倍晋太郎君) アメリカとしては日本のまだまだ開放体制が十分でないという認識を持っていますし、それから黒字問題がアメリカ政府にとっても頭の痛い問題ですから、そういうことも含めてこれは四分野を終わったところで依然として問題は続いていくだろう、こういうふうに思います。
#140
○秦豊君 そうしますと、僕は大臣のおっしゃるとおりに非常にシビアに見ているのですが、ひとつかなり険しい山を越えたら、もっとさらに険しい山がありかねない。つまり構造と構造が対決をしているわけですから、太平洋を挟んで。そんなに簡単なものではないと思います。アメリカ筋の一部には四つの分野の次にはすぐに例えばケミカル、化学製品、それから日本がただでさえ弱くて弱っているアルミニウム、軽金属素材等を突きつけるという動きも看取されますけれども、どういうものでしょうか。
#141
○国務大臣(安倍晋太郎君) 関税の引き下げについては、四分野だけではなくて木材とかエレクトロニクスだけじゃなくて、その他広範な形でアメリカから具体的に要請が出ております。これはアメリカだけじゃなくてECとか、あるいはASEANにも及ぶ問題として提起をされておりますし、何といっても巨額なアメリカにとっては対日赤字です。日本にとっては黒字ですから、こういう状況がさらに拡大していくということになると、これは容易なことではない。膨大な経済のつながりですから、アメリカと日本との間で何もかも貿易経済が完全に片づくなどということはちょとあり得ない。いつの時代でも、私はこれだけの膨大な経済の交流になれば摩擦があることは当然だと思います。しかし、日本も不公正と言われないような、そういう態勢はつくっていく必要があるんじゃないか、こういうふうに考えます。
#142
○秦豊君 法案に返りますけれども、この法案についてはことごとく私は賛意を表しておるわけでありまして、若干の注文だけしておきたいと思いますが、同僚議員もさっきお触れになりましたが、日中間の貿易が恐らく数年で百五十億ドル、合弁も恐らく大企業がそろそろ腰を入れ始める。五島昇ミッション等々の動向、その他財界の動向、そうしますと一番私懸念を感じますのは一九八〇年の第一回の日中閣僚会議の際に、日本の方から提起して北京が受けた例の投資保護協定ですね。これは五年間にわたって懸案になっているわけだし、安倍外務大臣の時代にそろそろ私はまとめ上げておく方が今後の経済交流の活性化の基盤づくりになるインフラ的な部分があると思いますが、いかがでしょうか。
#143
○政府委員(後藤利雄君) ただいま秦先生が御指摘のように、この日中投資保護協定は、第一回目の交渉を八一年の五月に行いまして既に五年がたっております。その間正式の交渉は五回やっておりますけれども、それとはまた別に関係省庁とも調整いたしまして、中国とも適宜非公式の意見交換を持っております。確かに秦先生そろそろ締結する時期ではないかという御感触、私個身もそろそろまとめないと外務大臣からおまえ何をしているか、こういうようにしかられるのじゃないかと思いまして、非常に努力しております。現在率直に申し上げまして交渉中でございますので、詳細にわたる部分の御紹介は避けさしていただきたいと思いますが、先ほども御指摘にありましたように、どうしても両国間の社会体制の差というところに技術的にも問題点が幾つかあるということは認めざるを得ないわけでございますけれども、とにかく今のような御指摘、それから財界からもそういう早期の締結の御要望が大変強く寄せられておりますという現状は十分理解しておりますので、中国ともよく諮りまして、何とか前向きにやっていくという努力ははっきりここで申し上げたいと思っております。
#144
○秦豊君 今中国課長が北京にたしか行ったか行くかと思いますが、そういうことはいろいろな案件を持って行くのでしょうから、投資保護協定のみに限定しない、これは常識でしょう。やはりアジア局長の意向を受けて浅井さんが行ったことは、そろそろ微妙な調整段階のさらにすり合わせというふうな意味も含まれているんじゃありませんか。
#145
○政府委員(後藤利雄君) 確かに中国課長を中国に出張させましたのは、これを、単にこの問題のみならず、担当の課長としていろいろと大使館との連絡、それから中国政府との話し合いをしてくると思います。もちろんこの中には、率直に申し上げまして、この協定を何とか早くまとめたいという私どもの強い意思を十分伝えて、何かまだ問題点が、少しでも滞在の期間でも話し合うことができればしてこいということは事実でございます。
#146
○秦豊君 今度の国会は四月二十九日に一応終わりましてね、あと五十何日継ぎ足すかという問題が微妙に浮上してくるわけで、しかし、それにしても今国会に投資保護協定がこの当委員会に上がってくる、ちらつくなんていうことは無理ではないか、秋の臨時国会ぐらいという期待はそう幻想的ではないと思いますが、どうですか。
#147
○政府委員(後藤利雄君) 今の先生の御指摘のように、私はある時期というものをここで明示的に申し上げる立場にもちろんないわけであります。相手があるわけでございますけれども、とにかくしかし、早期にあれをまとめたいということを私ここで強く申し上げるということでお答えにかえさしていただきたいと思います。
#148
○秦豊君 それから、在外公館ですが、瀋陽を開設、具体的に動き出すのは何カ月かかかるわけですけれども、あるいは来年とか、瀋陽をつくってそれで終わりですか、あるいは望むらくはあと一カ所開設をしたいという御希望はアジア局におありですか。
#149
○政府委員(後藤利雄君) 先生も御案内のように、今日本にあります、中国は大使館はもちろん東京でございますが、そのほかに大阪、札幌ができておりまして、近く福岡と長崎に総領事館が設置される。既に先方はそれぞれの総領事も任命されて、私の理解するところでは、近々中に総領事も着任するというように聞いております。
 他方、我が方は、北京に大使館がありまして、上海、広州と、それから今度お認めいただけますれば瀋陽ということになりますので、もう一つの総領事館というものがあり得るわけでございますが、これは私、アジア局というよりも外務省全体の在外公館の設置の兼ね合いということもございますので、その中でこの第四の総領事館の設置というものについて今後の問題として検討をさせていただきたいと考えております。
#150
○秦豊君 東京―北京を飛びますと、いつも思われますのは、もっと最短コースがないか、これは恐らくどなたの胸にも去来していると思いますね。それで、たしか記憶違いでなければの話ですが、昭和五十八年にシンガポールでICAOが集まりましたね。形は知りませんが、ICAOが仲介というよりコーディネーターとして日中間の航空路問題をもっと短縮できないかという日本、中国、韓国ですか、たしかそれが動きがあったと記憶して、ぷつっと切れたような印象ですけれど
も、一体どうなっているのか、非常にデリケートな外交問題の領域であることは承知しておりますけれども、現段階と展望をちょっとお伝えください。
#151
○政府委員(後藤利雄君) 今、御指摘のように、五十八年の八月に日中間の航空路は日中及び日韓間の話し合い及び今の御指摘のようにICAOの協力によりまして一部が既に短縮されております。時間的にいいますと二十一分の短縮がそのときになされております。私、素人でございますけれども、航空機一機当たりが一分間の燃料というのは約一万円だそうでございますので、かなりな燃料の節約ということになっておりますが、なお依然として真っすぐになっているわけではない。朝鮮半島をかなり迂回する形になっております。この点につきましては、今の御指摘のように、いろいろと関係国がそこの中に関係いたしますので、今後とも関係国に対しまして積極的に働きかけてまいりたいということは考えております。
#152
○秦豊君 最後に、よろしゅうございますか、大臣に。
 今の航空路問題は実は高度な政治判断と外交領域の問題で、私は東京と平壌が向かい合ってこれからゆっくりやわらかい方向を目指すとした場合に、最大のシグナルになるのは、航空路の開設問題について平壌側がどう対応するかというのがメルクマールにもなり得る、あとの文化交流やなんかは別の問題と思いますが、安倍外務大臣の時期にやはりこの日中間の航空路短縮に関連して、北側とのアプローチというふうな構想は、全く今ちらついてはおりませんか。
#153
○国務大臣(安倍晋太郎君) なかなかこれは、国交が北朝鮮と日本にないものですから、政府間の話し合いというものをしなければならぬわけでしょうし、そういう点で、ちょっと今の段階で難しいんじゃないか。ただ、南北の対話がどういうふうに進むかとか、オリンピックとの関係も出てきましょうし、いろいろとこれからの情勢は踏まえながら、見ながら、でき得べくんばやはり航空路が短縮されることは好ましいことですから、情勢等を見詰めてまいりたいと思っております。
#154
○委員長(平井卓志君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#155
○委員長(平井卓志君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(平井卓志君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#157
○委員長(平井卓志君) 次に、万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件、以上五件を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。
#158
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合は、世界で最も古い歴史を有する国際機関の一つであり、我が国も、明治十年に加盟して以来積極的に連合の活動に参加し、郵便の分野における国際協力のために努力しております。
 万国郵便連合憲章は、連合の基本文書でありますが、第三追加議定書は、この憲章について連合の組織及び運営の効率化の観点から、所要の改正を施すことを目的とするものであります。
 この議定書を締結することは、我が国が連合の一員として今後とも連合における活動を続けるために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合一般規則は憲章の適用及び連合の運営について定め、万国郵便条約は国際郵便業務に適用する共通の規則と通常郵便業務に関する規定とを内容とするものであり、すべての連合の加盟国について締結が義務づけられております。
 この一般規則及び条約は、国際郵便業務における最近の事情を考慮して万国郵便連合の運営及び業務に関する事項について所要の変更と補足を施した上で現行の一般規則及び条約を更新するものであります。
 この一般規則及び条約を締結することは、我が国が連合の一員として今後とも連合における活動を続けるため、また、我が国と他の締約国との間の各種郵便業務の円滑な運営の継続を図るために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この一般規則及び条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 小包郵便物に関する約定は、締約国の間における小包郵便物の交換を規律することを目的としております。この約定は、小包郵便業務に関する最近の事情を考慮してその内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の小包郵便業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定は、送金の制度としての郵便為替業務等を規律することを目的としております。この約定は、郵便為替業務に関する最近の事情を考慮してその内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便為替業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 郵便小切手業務に関する約定は、郵便振替口座を利用して行う送金の制度である郵便小切手業務を規律することを目的としております。この約定は、郵便小切手業務に関する最近の事情を考慮してその内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便小切手業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上五件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#159
○委員長(平井卓志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 五件に対する質疑は後日に譲ることにいたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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