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1984/05/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第13号
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1984/05/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第13号

#1
第102回国会 外務委員会 第13号
昭和六十年五月二十三日(木曜日)
   午後一時三十四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     浦田  勝君     嶋崎  均君
     志村 哲良君     園田 清充君
     藤野 賢二君     中西 一郎君
     吉川  博君     夏目 忠雄君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     嶋崎  均君     吉川 芳男君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平井 卓志君
    理 事
                宮澤  弘君
                久保田真苗君
                抜山 映子君
    委 員
                後藤 正夫君
                原 文兵衛君
                吉川 芳男君
                秋山 長造君
                八百板 正君
                黒柳  明君
                和田 教美君
                立木  洋君
                関  嘉彦君
                秦   豊君
   国務大臣
       外 務 大 臣  安倍晋太郎君
   政府委員
       外務大臣官房審
       議官       有馬 龍夫君
       外務大臣官房審
       議官       斉藤 邦彦君
       外務省北米局長  栗山 尚一君
       外務省中南米局
       長        堂ノ脇光朗君
       外務省欧亜局長  西山 健彦君
       外務省経済局次
       長        恩田  宗君
       外務省経済協力
       局長       藤田 公郎君
       外務省条約局長  小和田 恒君
       外務省国際連合
       局長       山田 中正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山本 義彰君
   説明員
       外務省中南米局
       外務参事官    小野 純男君
       外務省経済協力
       局審議官     木幡 昭七君
       大蔵省国際金融
       局投資第一課長  畠山  蕃君
       水産庁海洋漁業
       部国際課長    草野 英治君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(平井卓志君) ただいまから外務委員会を開会いたします。
 まず委員の異動について御報告いたします。
 昨日、浦田勝君、志村哲良君、藤野賢二君及び吉川博君が委員を辞任され、その補欠として嶋崎均君、園田清充君、中西一郎君及び夏目忠雄君が選任されました。
 また、本日嶋崎均君が委員を辞任され、その補欠として吉川芳男君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(平井卓志君) 米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。安倍外務大臣。
#4
○国務大臣(安倍晋太郎君) ただいま議題となりました米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。
 この協定は、米州開発銀行の場で検討が進められ、昭和五十九年十一月十九日にワシントンで開催された関係国の会合において作成されたもので、昭和六十年十二月三十一日まで署名のために開放されております。
 この協定は、中南米地域の経済開発を促進するため、米州開発銀行の活動を補足し、民間の中小企業を支援する米州投資公社を設立することを目的としており、同公社の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営等について規定しております。
 我が国がこの協定を締結することにより公社に加盟することは、開発途上国に対する経済協力に関し、国際社会において重要な役割を果たさんとする我が国の外交政策に合致するものであり、また我が国と中南米諸国との友好関係を促進する見地からも重要な意義を有するものであります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#5
○委員長(平井卓志君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○久保田真苗君 たった今衆議院から送られてきたものをやるので、非常に今回時間が足りなくて準備不足な点をまずおわびしておきます。私も準備不足なほか、役所の方々には夜遅く資料要求などしまして難儀をおかけしたと思います。しかし、それも十分でないものですから、私はきょうは事実関係と、それから目についたところに限って御質問いたしまして、あとは他日に譲りたいと思います。
 まず本題に入ります前に、昨日の新聞で拝見しましたユネスコ職員の解雇問題についてちょっとお伺いしたいと思うんですが、ユネスコにつきましては予算委員会で多数の議員が既に総理、外務大臣に御質問申し上げたところです。
 ところで、今回ムボウ事務局長が五月二十一日に、アメリカの脱退による財政難を理由に二千八百人のユネスコ職員のうち三百人を解雇すると発表したところでございまして、これは当然予測しておられたところだと思いますが、これについての情報が入っておりますでしょうか。
#7
○政府委員(山田中正君) 現在パリでユネスコの執行委員会が行われておりまして、そこで一九八六年、八七年の予算の審査をいたしておるところでございますが、この予算の扱い方といたしまして、現在基本的には、ユネスコの現行の規模というものをまず基礎にいたしまして実質成長をゼロにして、そしてアメリカの分担金二五%に該当するものを削減した形で、これをいかに合理化することによってその削減を図ろうかという審議を今いたしておるところでございます。
 その関連で、先生今御指摘になりました人件費の分野につきましては、事務局の一応のめどといたしまして予算全体での二五%を削減するのに対
しまして、この項目では二五・一九%の削減の案が出ております。この削減をいたしますと、先生御指摘になりました約三百名に該当するポストの削減が必要となってくるわけでございます。
#8
○久保田真苗君 そうしますと、別に具体的に解雇の発表ないしは内示的な発表をしたというわけではないんですね。
#9
○政府委員(山田中正君) 先生仰せのとおりでございます。
 現在作業いたしておりますのは、予算全体の枠組みというものをどうするかということでございまして、三百名のポストを来年以降削減するに当たりましては、ユネスコの現在の職員に対する影響と申しますか、それをできるだけ少なくし、優秀な人を残しユネスコの機構を維持するという立場からの検討を行っておるわけでございまして、いろんな方策が現在考えられておりますが、例えば空席ポスト、現在二百九十ほど空席ポストがございますが、空席ポストの採用中止でございますとか、定年の延長、これがたびたび行われておりますが、これの廃止でございますとか、ポストの格上げの中止、早期退職の勧奨、それから予算外の種々の財源、自発的拠出等がございますが、そのポストへの転換、または他の国際機関への転職を図る、こういうふうな方策について現在検討をいたしておるところでございます。
#10
○久保田真苗君 具体的でないということでわかりました。
 大体国際機関のポストというのは事業というのに一応リンクされておりますから、事業が削減されるというとそのポストが削減されるということになると思うんですが、事業についての削減案は出たわけでございますか。
#11
○政府委員(山田中正君) 事業の分につきましては、一応事業の優先度というのを事務局側でつけましてそれを現在執行委員の間で検討いたしておるわけでございますが、この優先度の一番低いと申しますか、優先度が低いと事務局が指定いたしましたもの、最終的に加盟国の間で必ずしもそれに限るということではないと思いますが、それを削減いたしたといたしますと二五%をやや上回る削減になる予定でございます。
#12
○久保田真苗君 その事業は何でございましたか。今最低の優先度の事業というのはどういうものでしたか。
#13
○政府委員(山田中正君) ユネスコの事業、非常にたくさんございまして、その優先度、低い優先度というのを事務局がつけましたものの中には少し延ばしていいものとかいろいろあるんですが、非常に詳しいものでございますので、もしお許しいただければ別途先生の方に資料の形で御提出させていただいた方がよろしいと思いますが、そのように御了承いただけますでしょうか。
#14
○久保田真苗君 それじゃどうぞそういうふうにお願いいたします。
 ただ一言申し上げておきたいのは、アメリカの脱退、次にも脱退声明しているところもあることですから、私はやはり日本政府としては地理的配分対象ポストというものを重視していただきたいと思うんですね。日本は、どこでもそうですしまたこのユネスコでもそうなんですけれども、国別の望ましいレインジというのを大きく下回っているわけでして、もちろん地理的配分が唯一の要素ではありませんけれども、しかしこれは国際約束なんですから、やはり少なくとも同等の条件にある職員であれば日本の職員は優先的に解雇から除かるべきではないかと私は思うんです。こう申し上げますのは、何もそれが日本人だからというよりはそれが筋であってルールであるからです。だから、私はこれを今後必要に応じて主張していただきたいと思いますし、日本の代表率の低さは日本の政府が言わなければだれも言ってくれないわけですから、そのようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
#15
○政府委員(山田中正君) 先生御指摘のように、ユネスコで地理的配分が適用されますポスト現在千三百八ポストでございますが、その中で本来邦人が占めるべき適正範囲というのは三十五人から四十六人になっておりますが、現状は二十九名、こういうことでこの水準を大きく下回っております。私ども常日ごろこの状態を何とか改善いたしたいと努力いたしておりますし、大臣がムボウ事務局長にお会いになりました際にも常にこの点は先方に申し入れていただいております。今回のポスト削減の際には我が国の職員の適正水準と申しますか、アンダリプレゼンテーションがさらに悪くなるというようなことが絶対にないように、この機会にむしろ改善するようにできるだけの努力をいたしたいと思います。
#16
○久保田真苗君 大臣には既に御尽力いただいたそうですけれども、ひとつ今後ともよろしくお願いしたいと思います。
#17
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今局長がおっしゃったように、邦人職員はまだ適正規模に達しておりませんから、今後ともこれを満たすように事務局長に対してはこれまでも申し入れましたし、今後も要請してまいりたい、こういうふうに思っております。もちろんユネスコの改革というのは行ってもらわなければなりませんけれども、今おっしゃいますように筋は筋ですから、筋は通していただきたい、こういうふうに思います。
#18
○久保田真苗君 次にもう一つ、イギリスで駐英大使がいろいろな対日非難の的にさらされたということなんでございますけれども、ちょっと伺うだけですが、ここで私の目を引きましたのは、イギリスのテビット貿易産業大臣が、日本は輸入増加の目標を数字で示せというようなことを言ったと、こう報道されているんですけれども、現地からどういう主張がなされたのか、入っておりますでしょうか。
#19
○国務大臣(安倍晋太郎君) 山崎駐英大使が議会に呼ばれまして議員の皆さんと懇談したわけですが、その際イギリスの議員の諸君から日本とイギリスとの貿易が非常にインバランスだということ、あるいはまた例えばボスポラス海峡の今回日本が受注した橋についての問題があるんじゃないかとかいろんな点が指摘されたわけですが、その中には随分誤解もあると思います。例えばボスポラス海峡の橋の受注についてはこれはもう全く公正な入札によってやったわけでありますし、イギリス政府にもこのことは十分通知をしてあるわけでございます。
 イギリスとの間に確かにインバランスがありますけれども、それはそれなりに日本としてもいろいろと市場アクセス等については努力しておるわけでありますし、輸入は必ずしも減っておるわけではございません。これから計画的にどうしろということは自由貿易という立場からそれは困難ですけれども、自由貿易という立場から日本がこれからも日本への市場アクセスというものを改善するということで努力しましたし、今回も今アクションプログラムをつくっておりますし、今後日本としては彼らから批難を受けないようなひとつ体制に持っていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。しかし、ある程度の貿易のバランスが崩れることはこれは自由貿易ですからやむを得ない。私から言わしめればやっぱりイギリスももっと日本に対して輸出努力をしてもらいたい、こういうふうに思っておるわけでございますが、政府間でもお互いに話し合いながらこの貿易については拡大均衡ということで努力をしてまいらなければならぬ、こういうふうに思います。
#20
○久保田真苗君 今まで言われていた単なる市場開放とかアクセスを公平にするとかそういうことよりも、今度もし輸入増加の目標を数字で示せという要求が今回出て、そして今後こういう形で出るんだとしますと、ある意味でアクセスの問題よりも非常に厳しいような感じがいたします。こういうことも含めて御検討になるのでしょうか。つまり輸入増加の目標値、それを数字で出すということを対外経済対策の中でそれを御検討になり、かつ何らかの結果をお出しになるというそういう御予定でしょうか。
#21
○国務大臣(安倍晋太郎君) 輸入を拡大していくための例えば内需の問題とか拡大だとか、あるいはまたアクセスの問題とか、そういうものの改
善、これはこれからの大きな課題になっておりますけれども、しかし輸入数値を示せと言われても、これは自由貿易体制でそういうことはできるはずはないわけですから、輸入を拡大していくためのこういう基本問題について努力するということしかこれは言えない。これはイギリスに対してもアメリカに対してもそういうことじゃないかと、数値を示せと言われてもこれは示せるという立場にはないわけであります。
#22
○久保田真苗君 大臣、今度の米州投資公社を設立する協定に関連しまして一般的にお伺いしておきたいのですが、最近になりまして中南米諸国は若干の経済回復が見られ、特に貿易収支は黒字が見られるようになったということなんですが、しかしラテンアメリカ地域全体は非常にインフレ率が高い、いただいた資料で見ますと一六五%というような史上最高値であって、そして失業率も先進諸国並みの一〇%を超すようなものになっておりまして、また有名な累積債務は三千六百億ドルを超している、それに対する利払いがその一割を超しているというような状況でございます。せっかく営々とやってきた貿易黒字もこの利払いで消し飛んでいるという状態なんですが、日本の中南米諸国に対する基本政策、これがどうあるべきか、私いろいろ新聞などでも拝見してはおりますけれども、もう一つ歯切れが悪いような気がするんですが、基本政策は日本としてはどうあるべきなのか、この点についてお尋ねできますでしょうか。
#23
○国務大臣(安倍晋太郎君) 中南米諸国と我が国は伝統的に友好協力関係にあるわけでありまして、経済的にも相互補完関係にあると言えます。また九十五万人に上る在留邦人、日系人の活躍は我が国と中南米諸国の結びつきを一層緊密にしておることは御承知のとおりであります。我が国はこうした伝統的な友好協力関係の維持増進を中南米政策の基本といたしております。
 我が国の国際的地位の向上に伴いまして、中南米諸国の対日期待は非常に高くなっておりまして、我が国は従来より中南米諸国の要望に応じ経済交流及び経済技術協力を強化してきております。また最近では、債務累積問題等中南米諸国が直面しているところの経済困難の克服のための努力にも協力をしてきておるわけでございます。
 今後とも我が国としましては中南米諸国の経済・社会開発のための協力を一層進めるとともに、要人等の人的往来、文化交流等を含む広範な分野における交流を推進して相互理解と友好協力関係の増進に努めてまいりたいと考えております。
#24
○久保田真苗君 メキシコとかパナマとかいわゆるコンタドーラ・グループの和平工作というのがずっと行われてきたんですが、たびたび挫折しているわけですね。これはこういった中南米にある事態を、いろいろ紛争が絶えない土地ですけれども、これを東西対立としてとらえるよりは関係国の話し合いで、中南米の仲間同士で解決を求めていくというようなんですが、もちろん大臣はたびたびこのコンタドーラ・グループの支持ということをおっしゃっているんですが、この和平工作の成功の見通しというふうなものについてはどうごらんになっていますでしょうか。
#25
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中米地域の紛争を平和的に解決するために、中米の周辺にございます四カ国が先生おっしゃいますコンタドーラ諸国でございまして、メキシコ、パナマ、コロンビア、ベネズエラ、この四カ国が一九八三年の一月以来和平解決のための努力をいろいろ重ねてきております。そうしまして八三年の九月にはいわゆる二十一項目からなります目的文書、これは中米紛争の解決の方向を示したものでございまして、例えば、お互いに周辺の国を侵略しないとか、あるいは反政府グループを支援しないとか、あるいは軍備を縮小するとか、あるいは民主化を進めるとかいったようなことを盛り込んだ文書でございまして、幸いこの目的文書はニカラグアを含めまして中米五カ国が全部受け入れたわけでございます。そこで、これを中米和平協力協定という形にまとめ上げる作業がその後開かれまして、昨年、八四年の九月にはその草案ができ上がってきたと、ただ、その草案をめぐりまして現在ニカラグア政府は早々とこの草案で結構であると申しましたけれども、他の中米四カ国がその草案につきましては、ニカラグアがそんなに早々と署名の用意を表明するからにはちょっとまだ問題があるんじゃなかろうかということから新たな議論を提示しまして、現在条文の詰めが行われているという状況でございます。
 ことしの初めコンタドーラ・グループの活動がやや挫折ぎみであるということが言われたことがございますけれども、最近になりまして、この四月、五月にかけて二回ほど中米五カ国プラスコンタドーラ四カ国の会合が二回ほど開かれておりまして、鋭意和平の実現、協定案文の確定といったことに向けて努力が行われております。
#26
○久保田真苗君 もちろん日本もこれが成功するように努力していただけるものと思っております。
 ところで協定に入りまして、昨日、衆議院での外務委員会の採決に当たりまして、この米州投資公社が今後投融資あるいは技術援助をしていく対象に、中南米の企業で武器製造業を営むものにこのお金が流れるんじゃないかということが大変心配されまして、外務省として米州開発銀行の副総裁のメモランダムをお取り寄せになって答弁をなさったと伺います。その内容はどういうものだったか御説明いただけますでしょうか。
#27
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御質問を若干補足さしていただきますと、五月の十七日の衆議院外務委員会におきます本条約の審議におきまして、本協定第一条第一項の目的に掲げられております「域内開発途上加盟国の経済開発を促進することを目的とする。」この目的に掲げられていることが明確に兵器の生産等、軍事的な用途にかかわる企業への投資ないし融資をきちんと排除するものかどうかという御質問がございまして、それにお答えをいたします形で昨二十二日の衆議院外務委員会における御質疑に対しまして、外務大臣からただいま委員の言及なさいました米州開銀側のメモランダムを御紹介したという状況でございます。
 その同メモランダムの内容でございますが、米州開発銀行筆頭副総裁マイケル・カーティンより、我が方、日本の藤川米州開発銀行理事あてに五月二十日付でメモランダムを発出されまして、米州開発銀行としましてはその活動において軍事活動のための施設建設・装備ないし武器の製造、売買のためにその資金を使用することはできない旨の米州開発銀行法律顧問の意見書を添付の上、米州投資公社が米州開発銀行の姉妹機関であり、経済社会開発のため米州開発銀行を補助することを目的とする機関である以上、米州開発銀行同様、米州投資公社も武器産業に投融資することは許されないことになる旨を表明してまいりました。
#28
○久保田真苗君 そのメモランダムを私は拝見していないんですが、外務省はこれを何でお受けになりましたか、テレックスでお受けになっているんですか、電信ですか。
#29
○政府委員(藤田公郎君) 御承知のとおり、ワシントンに米州開発銀行の藤川理事が常駐いたしておるものですから、藤川理事を通じまして電信及びファックス信で受けております。
#30
○久保田真苗君 例えば確かに投融資の中に当然この目的に載っています「技術上及び経営上のノウ・ハウを利用する機会を促進」と、ありますね。それからもう一つ「事業の準備、実施のための技術協力(適当な技術の移転を含む。)」こうあるわけです。これは一条の目的の中に入っているんですが、このような技術援助も外務省としては含まれているというふうにお考えになるんでしょうね。
#31
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの御質問は、今御紹介いたしましたメモランダムはこの技術ノーハウの提供等々をも対象にした見解であると理解してよろしいかということでございますか。
#32
○久保田真苗君 はい。
#33
○政府委員(藤田公郎君) そのとおりでございます。
#34
○久保田真苗君 じゃその点は確認いたしました。
 それで大変残念なことだと思うんですが、当然あちらの副総裁からこういう確認が十分とれるわけで、もともと公社の設立目的としては軍需産業に投融資をする考えはないと見られるわけですから、本当でしたらこの協定の中に一項を盛り込んでいただけたら本当によかったと思うんですね。しかしもうこれはこういう形で提出されているものですから、今後理事会でもって規則をつくられますね、規則をつくる、その規則の中にいろんなことを詳細にお定めになるんだそうで、その中に投資政策なんていうのも含まれているわけです。ですから、規則をつくるときにこの一項を盛り込むと、そういうことを提案していただけないでしょうか。
#35
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員御指摘のとおり、兵器の生産等々が含まれないということをはっきりと先方の責任者、米州開発銀行の筆頭副総裁が申しているわけでございますけれども、これは実は同種の国際金融機関は御承知のとおり世界に多くございますが、これらの国際金融機関いずれも表現は若干ずつは変わりますけれども、経済開発の促進というようなことを目的に掲げておりまして、例えば世界銀行の例によりますと、業務の説明書というようなところに念のためだけれども兵器関係は入らないということで明記してございまして、言うなれば経済開発という目的には兵器生産等々は入らないということの認識については加盟国、それから本協定の場合でございますと協定の締結交渉の参加国等には完全に認識の一致がございまして、改めて実はこれを問題にする国もなかったというのが実情でございます。したがいまして、明記するまでもなしということでこの中には入っていないというのが実情であろうと思われます。
 それから、第二点の委員御指摘の第一条第三項の「政策」というところに「理事会が承認した規則」ということで、規則をこれから定めるらしいという御指摘でございますが、これは公社が、もちろんまだ発足しておりませんけれども、独立した国際金融機関としての規則を定めていくものでございますから、公社は独自の政策を定めていくということで、そこに我が国の政策を反映させてもらうということはなかなか難しいことではないかと思います。この公社自身独立の金融機関としての業務の方針というものを持って施策を行っていくと思われますので。ただ私ども日本が選ばれるかどうかとということは人数が御承知のとおり二名ないし三名域外国から選ばれますので、日本出身の理事が理事会に参加できるかどうかわかりませんけれども、我が国の総務ないし理事が我が国のよって立ちます平和主義と申しますか、我が国の基本的な国策に基づいた主張を行うということは当然のことと考えますけれども、独立した国際金融機関であるこの公社の業務をどういうふうに進めていくかというのは、やはり公社がこの協定に基づいて考えていかなければならないことだと思いますので、内容がどういうふうになるかということまで私どもとしてはちょっと今お答えする立場にはないということでございます。
#36
○久保田真苗君 結果的に決まるのは理事会で決まるだろうと思いますね。しかし私、大臣の御確認も今お願いしたいんですが、少なくとも世銀でそういうことを入れているのであれば、別世帯であるところの公社がそれを規則の中に盛り込むことはこのメモランダムにあるように武器製造に投融資をする気は全くないのであれば、それはただ事実を規則に引き直すだけの話なので、私は日本の立場としては極力当然主張すべきだと思うし、していただかなければならないと思うんです。なぜならこの中米の地域というのはかなり中進国的な要素がありますから、累積債務の解消のために現に幾つもの国が武器製造によってそれを輸出して債務の利払いに充てるというようなそういう経済のあり方が特に懸念される土地でございますから、間違ってもこのような国際的な公社がそういう武器をつくる産業に投融資をして地域の紛争でお互いに殺し合いをやるというようなことに加担するわけにはいかないわけでございますから、それを主張していただきたいと、こう思うわけです。大臣ちょっと御確認いただきたいんですが、今局長がおっしゃいましたことをもう一度御確認いただきたいんですが、この軍需産業に対する投融資の中には、当然に一条の目的にあるノーハウ利用の機会とか技術協力を含むという、そのことをまず御確認いただけますか。
#37
○国務大臣(安倍晋太郎君) 第一に、メモランダムによりまして米州開銀と公社とは同じ取り扱いになるわけで、したがって同じように武器産業に対する投融資をすることは許されないということをはっきり言っておりますし、この点に関して中南米でいろいろと武器産業があったとしても投融資ということはあり得ないということははっきり言えると思うわけでございます。全体的に見ますと、世銀グループ諸機関とか米州開銀のいわゆる国際開発金融機関は、いずれも協定上、公社を設立する協定同様、経済開発を目的とし、その決定は経済上の考慮のみに基づいて行われる等々の規定を置いておるわけでありますが、これら規定上武器産業への資金支援はできないという運用が確立されておりまして、当然公社においても同様と解さるべきことである、こういうふうに思うわけでございますが、同時にこれはメモランダムにおいてさらに確認をいたした次第です。
#38
○久保田真苗君 もう一つ御答弁いただきたいんですが、米州投資公社の規則を、これはまだできていない規則を詳細に定める段階があるわけです。この規則の中には投資政策というようなものも含まれると書いてございますので、この規則をつくるときに、日本の立場として出ていらっしゃる代表の方に、規則の中にこのメモランダムにある内容を反映した武器産業に対する投融資は除くというような、そのようなものを含める、そういう努力を御指示いただきたいんですが、よろしゅうございますか。
#39
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは先ほどから申し上げましたように、そういうことはメモランダムにおいてもはっきり言っておるわけですが、あり得ないわけでございますが、日本としても武器禁輸三原則というのを持っておりますし、そうした日本のいろいろな諸原則というのがありますし、平和国家の理念に基づいて理事だとか総務だとか日本から選出しましたそういう者が活躍する、活動するわけでございますし、このメモランダムというものを踏まえましてきちっとそういう点においては対処していくことになることは当然のことであります。
#40
○久保田真苗君 では規則を審議する段階でどうぞよろしくお願いいたします。
 それから次に、この公社設立の経緯について少し伺いたいんです。それは、この公社設立の希望はどこの国からそもそも出てきたものなんでしょうか。
#41
○政府委員(藤田公郎君) 本公社のそもそもの原型と申しますか、中南米におきます民間、特に中小規模の民間企業に対する投融資活動を主たる目的とする何らかの機構をつくるという提案は、米州開発銀行の総務会の場におきましてベネズエラより提案されました。
#42
○久保田真苗君 かなりの年数をかけているわけですね。
 そこで、ちょっと出資比率の点が目につくんですが、出資比率が合意に至るまでどこの国が何株で何%を主張したかというようなことですね。各国の目立った主張がありましたらお聞かせください。
#43
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員御指摘のシェアでございますが、お手元の協定「付表A」に掲げられておりまして、かつ注記されておりますが、経緯的にこれを申し上げますと、まず中南米の借入国と申しますか、開発途上国のシェアをどうするかということで、この比率は米州開発銀
行の出資シェアと同じように開発途上国を五五%にする、それから先進国を四五%にするということが決定いたしました。
 それから、先進国のうち米国につきましては、御承知のとおり世界銀行グループに国際金融公社という民間企業に対する投融資を主たる任務とする機関がございます。IFCと称しておりますが、この世銀グループの国際金融公社にほぼ役割が今回の公社は似ているものでございますから、それをも勘案いたしまして、国際金融公社に対する米国のシェアが二六・九七%、四分の一強ということでございますので、米国については二五・五%ということで次に合意を見ました。米国側はもう少し多い比率を望んだわけでございますが、一応これで二五・五ということに決まりました。先進国は先ほど申し上げましたように四五%でございますので、そのうちから二五・五%を引きました一九・五%をほかの先進加盟国で分担をするということになりまして、付表に掲げてございます九カ国のうち、比較的国力と申しますか、経済力の高いフランス、ドイツ、イタリア、日本、スペイン、この五カ国が同じ金額、比率の三・一三%を占める、その他の経済力の低い国が順次低い比率を占めるということで先進国の比率が決定いたしました。
 それから今度は、域内開発途上加盟国でございますけれども、この付表でごらんのとおり、最終的には開発途上国が二十四カ国入っておりますが、この域内の二十四カ国のうち大国であると自他ともに任じている国が四カ国、アルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラとございます。この四カ国の合計を三七%にするということは実は先に決まったわけですが、この中でのシェア争いがなかなか決着がつきませんで、最終的にはここの表に掲げておりますように、アルゼンチン、ブラジルが一一・六三六%で同じ比率、それから次いでメキシコの七・四九〇%、最後にベネズエラの六・二三八%という形になりましたが、これは最終的なこういう形になりますまでにはかなりの紆曲折がございまして、各国がそれぞれもうちょっとふやしてもらいたかったというような意向を付表の注記という形で記録に残してございます。
 それから、その次の中型国と申しますか、チリ、コロンビア、ペルーがその次のグループに入りまして、ごらんの九%負担、こういうことになります。
#44
○久保田真苗君 はい、わかりました。どうもありがとうございました。
 それでカナダは域内国なのですが、今度カナダが加盟していませんね。どういう理由なのですか。
#45
○政府委員(藤田公郎君) 域内国で加盟いたしておりません国は、先進国ではカナダ、開発途上国ではスリナムと二カ国が参加いたしておりません。カナダが何ゆえに参加しないのかということにつきましては必ずしもはっきりと理由を述べてはおりませんけれども、間接的ないしは内々聞いてみましたところでは、当面公社の活動状況を見守りたいという態度でいるというふうに承知いたしております。
#46
○久保田真苗君 質の高い経済援助で知られる北欧三国も加盟しておりませんけれども、その理由は何ですか。
#47
○政府委員(藤田公郎君) ただいま御指摘の域外国としまして、デンマーク、フィンランド、スウェーデン、この三カ国が入っておりませんが、フィンランドにつきましては援助予算の逼迫等の理由によって公社への参加を見合わせる。しかしながら、公社の発足後の進展を見守って将来適当な時期に加盟につきまして再検討をするというふうに承知しております。デンマーク及びスウェーデンにつきましては、カナダと同様非加盟の理由をはっきりしておりませんけれども、やはり公社の活動状況を見守る方針であるというふうに私どもは承知しております。
#48
○久保田真苗君 三条にこの対象になる国は、「ラテン・アメリカの国民である投資者が過半数の投票権を保有する企業」に対して貸付投資の対象とすると、こういうふうになっているんですが、この種の企業に限られるわけなんでしょうか。おおむねということですか。
#49
○政府委員(藤田公郎君) 第三条第一項(b)の規定をおっしゃっているのかと思いますけれども、「ラテン・アメリカの国民である投資者が過半数の投票権を保有する企業に対し、貸付け並びに、株式又は交換可能」云々ということでこれに限られるということでございます。
#50
○久保田真苗君 そうしますと、例えば合弁会社とか多国籍企業自体はこういうところの対象にはなろうと思わないでしょうけれども、それの子会社みたいなものですね。そういう場合はどうなりますんでしょうか。どういう条件が必要ですか。
#51
○政府委員(藤田公郎君) このラテンアメリカの国民が過半数の投票権を保有しております限りにおきましては、合弁企業でございましても対象として含まれます。
#52
○久保田真苗君 中小企業、「中小規模」の企業というふうになっているんですが、中小企業というのは日本では一定の定義が法律上ありますけれども、この場合はどういうことですか、「中小規模」というのは。
#53
○政府委員(藤田公郎君) 具体的な投資の態様は、御承知のとおり、本協定に規定しておりますように理事会の決定を見るわけでございます。「中小規模」の定義というものは本協定には規定してございません。先生御指摘のとおり、我が国の国内法で出てきているような従業員の数とか、資本の額ということは改めてはっきりした定義はございません。
 その融資ないし投資の申請が出ました段階で、その国の経済開発状況等を勘案して理事会で決定するというのが最終的な形かと思われますが、本協定の締結交渉の過程で出ました議論を三点メルクマールとせよということが出ておりますので、それを御紹介させていただきますと、第一は雇用者の数が多くなく、売上高、資産価値が相対的に小さいためその活動分野において支配的な地位を占めていないもの、それから第二としまして大規模な金融グループと関係がないこと、第三点としまして他の大企業から法律的に独立していること、この三つの点を基準として理事会ないし執行委員会が融資及び投資の決定を行うようにということが議論として出ておりましたことを御紹介いたします。
#54
○久保田真苗君 ああそうですか。後でそれをいただけますか。
 次に金利なんですけれども、どうも大分高い金利になりそうだといううわさですね。この金利を決めるのは一応何か民間に準ずるような、そういう規定があるようですけれども、どのくらいになるというふうに考えておられますか。
#55
○説明員(畠山蕃君) 米州投資公社の個々の貸付金利等条件につきましては、やはりこの公社がまだ発足しておりませんので、発足いたしましてから理事会において決定されることになりますので現段階では確たることを申し上げることはできませんが、協定第三条第三項(c)に規定されておりますように、おおむね民間市場調達に準ずる条件になるというふうに考えられます。ちなみに、米州投資公社と全く同じような形の融資方法をとっております国際金融公社というのが既にありますが、これについては通常金利は一三%程度で、期間が七年から十二年という形での融資を行っているところでございます。
#56
○久保田真苗君 一三%といいますとちょっと本当に驚くような金利なんですね。日本の中小企業金融公庫なんかの条件は何%ですか。
#57
○説明員(畠山蕃君) 御質問の中小企業金融公庫等の現段階の金利は手元に資料がございませんで、申しわけございませんが申し上げることができませんが、ただいま国際金融公社について一三%と申し上げましたのは、過去におきます一定の計算方法に基づいて市場金利に近いということで計算されたものが一三%でございまして、その都度見直しを行っておりますので、それぞれ機関態
様によって金利は異なっておりまして、したがって原則的に市場金利によるということでございます。その趣旨は、市場金利によりませんとむしろ、そもそも米州投資公社ないしは国際金融公社というものの趣旨が市場原理に基づく経済活動を支援しようということにあるわけでございますので、これが必要以上に低い金利で貸すということにいたしますと、かえって市中からの融資を排除するというようなことになりますので、そういった意味で市中の金利に準じて決めるという趣旨でございます。
#58
○久保田真苗君 その市中金利が問題なんですよね。ともかくアメリカの高金利でもって累積債務に苦しむ国が非常に悲鳴を上げているわけです。たしか私このサミットの前だったと思うんですけれども、中南米十一カ国がサミットに出かける国に対して文書で要求を出していますね。その中身は、詳しくは覚えておりませんけれども、高金利が続いたんじゃ今後大変な債務になる。その問題点としては国際金融システムに問題があるんだから先進国は何とかしろという、そういう内容だったと思うんです。もちろん国際金融システムというのはいわゆる商業ベースのものを含んで考えておるんでしょうけれども、これに対して日本としてはこの十一カ国に何かお返事を出されたんでしょうか。
#59
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 委員御指摘のとおり、サミットの直前でございましたが、いわゆる中南米のカルタヘナグループという十一カ国の国を代表しましてウルグアイのサンギネッチ大統領から中曽根総理あての書簡が参りました。このカルタヘナグループと申しますのは、昨年の六月以来ことしまでに三度ほど会合しておりまして、累積債務問題についてのこれらの中南米の債務国の主張をまとめてきているわけでございます。このたびの中曽根総理あての書簡と同様のものがほかのサミット諸国の首脳にも送られておりますが、その中で述べられておりますことは、これらの諸国の従来からの主張でございます高金利と、それから返済条件の厳しさといったことを指摘してきておりまして、この累積債務問題については自分たちも努力をするけれども、やはり債権国側の協力も必要であるということを訴えております。またこの問題が政治、社会的な問題でもあるということから、対話の必要性ということも強調しておりました。
 サミットにおきましては、この書簡を踏まえて、中曽根総理以下代表の方々がこの問題の討議に臨んだというふうに聞いております。その結果、ボン宣言の中ではやはり債務国の立場に対して十分理解を持つ必要があるということが指摘されましたし、いろいろな既存の国際機関の協力等々が指摘されているわけでございます。
 そういうサミットの結果を踏まえまして、これらの諸国に対する書簡と申しますか、返事を出すことを目下準備しておりますが、まだ発出されてはおりませんが、近日中に発出するという段階になっていると承知しております。
#60
○久保田真苗君 わかりました。
 そういたしますと、こういう要望もあるところへ、また公社の金利が市中金利並みだということで、ますます累積債務を助長するような感じになるんじゃないか。私は、だからこの金利自体を低くしろというお願いをしても、やはりこれはこの趣旨から言うとだめらしいですね。だからこれは嫌なら借りなきゃいいというものでもないんじゃないかと思うんです。何しろ中南米の国は借金でもって、お金が欲しくてたまらないわけですからね。そこへサラ金以上の金利を持っていってお金をちらつかしていくということ自体が非常に悪い趣味じゃないかと思いますし、問題だなということを申し上げて、大臣、何かこれは解決策はないんでしょうか。
#61
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 私から先にお答え申し上げますが、ボン・サミットで採択されました宣言の中でもこの累積債務に苦しんでいる貧困国に対する資金の流れが維持される必要があるということが非常に強調されておりまして、また特に先進国からの直接投資のような金融が促進されるべきであるということもうたわれているわけです。その趣旨は、中南米諸国が累積債務に苦しんで非常に経済困難にあるということから先進国あるいは債権国側の民間企業も投資を渋るという傾向がございまして、そういう傾向を押しとどめよう、そしてより資金が流れやすくするということが目標でございます。したがいまして、今回の投資公社の設立もやはりそういう投資の流れ、資金の流れを促進するという目的から出ているものでございまして、決して高金利であるから困るだろうというんじゃなくて、高金利であっても流れていかないというところが問題であるというふうに私どもは了解をしております。
#62
○久保田真苗君 それはまた伺います。
 一つ執行委員会の問題なんですが、非常にこの執行委員会は、総務会、理事会、執行委員会と、こうなっていましてね、他の国際金融機関に見られない組織だと思いますけれども、これについての問題を一つ申し上げたいと思いますが、その前に、日本はこの執行委員会のメンバーとして、これは立候補になるんですか、一応域外から一カ国、域内途上国から二人、最大出資国のアメリカから一人、なっておりますけれども、日本は立候補しますか。
#63
○政府委員(藤田公郎君) ただいまの実は最初の御質問と第二の御質問は若干関連していると思いますので、あわせて御答弁させていただきますが、確かに委員御指摘のとおり総務会、理事会というのはほかの国際金融機関にございますが、この当公社につきましては、執行委員会という特別の制度を設けまして機動的な業務の推進ができるような形になっております。理事会が、この本規定にございますように、域内の開発途上国が九理事、それからアメリカが一、それからそのほかが二名ないし三名という姿、十三名という形になっております。その中から今度は執行委員会が選ばれるわけでございますが、一名はアメリカということになりまして、そのほかの二名が九開発途上国から選ばれます。
#64
○久保田真苗君 時間がありませんので、私が申し上げたことはおっしゃらないでいただきたいんです。
 日本はこれに立候補しますか。
#65
○政府委員(藤田公郎君) 立候補ということではございませんで、理事の中から選ばれますので、そもそも日本がこの域外国の理事の中に入るかどうかというのがまず一つの問題でございます。その二名ないし三名の理事の中に日本が域外国理事として仮に入っておりました場合に選ばれるかどうかというのは、その中のシニオリティーで決まるものというふうに承知しております。
#66
○久保田真苗君 ところで、この執行委員会の業務の主たることは、この四条六項(c)にあります貸し付け及び投資についての審査だと思うんですね。私は、これがこの執行委員会の業務の中心であり、かつ最大の権限だと思うんです。これによりますと、理事会はばかみたいなものですね。「執行委員会が承認した業務に関する報告は、理事会に送付する。当該業務は、いずれかの理事の要請により、理事会の表決に付する。」ところが、その要請がなければ承認したものとみなす、こうなっているわけです。
 大体、こういった審査書のようなものは一定の期間を、かなり短い期間を決めて、その上にまた業務がおくれおくれていくというのが常識なんですよね。そういたしますと、事実上仕事するのは執行委員会であって、理事会は余りあれがないんだなというふうに思いますが、そういうふうに思われますか。
#67
○政府委員(藤田公郎君) 御承知のとおり、かなり案件等が多いことが予想されますので、機動的、能率的にこの本公社の業務を運営しますために執行委員会という四名の機関で主たる業務を行いまして、若干問題が生じたりする際には必ず理事会に持ち上げてその決定を仰ぐという形になっているのが、この第六項の規定の意味するところと承知しております。
#68
○久保田真苗君 同じ六項の(g)にございますね。これによりますと、ここの趣旨は、要は執行委員会が却下した案件ですね。それについて、貸し付け、投資等の却下案件については理事会は討議と勧告を行うわけですけれども、理事会としては法的にはそれをひっくり返すことはできないというこういう理解をしてよろしいですか。
#69
○政府委員(藤田公郎君) そのとおりでございます。
#70
○久保田真苗君 そうしますと、この四人の執行委員の権限は実に絶大なものになりますね。この対象となる企業の投融資の審査、つまり承認あるいは拒否ですね、これが四人の手に握られる、こういうことになるわけです。その場合私が特に注目しますのは、理事会は持ち株数に応じて投票権があるわけですね。理事の数は問題にならないわけです。ところがこの執行委員会は頭数でやっているわけです。つまり途上国の二人は五〇%の発言権しかない。そしてアメリカともう一つ域外先進国の人がこれを持つということになるわけで、私は仮にこのアメリカと組んだ先進国というものは、いろんな予測をしてもしようがありませんけれども、この協定全体の、非常にアメリカの権限を他の協定に見られないまさに類のないアメリカの権限を強化したこの協定で、アメリカと組む執行委員というのはこれは大変な役だと思うし、悪玉になりかねない役だとこういうふうに思うので、一応私の意見を申し上げておきます。
 それから次に、理事会なんですが、理事会はさっき申し上げましたように、株数で決まるわけです。ところで、この場合アメリカの理事の持ち株が二五・五%ということになるわけですね。そういたしますと、これは四分の一を〇・五%超えるわけです。この場合、四分の三あるいは五分の四の投票で決定する案件はアメリカが拒否権を持つ、こういうことになりますね。そうですね。
#71
○政府委員(藤田公郎君) そのとおりでございます。
#72
○久保田真苗君 そして一国の反対でこの公社が動けなくなる案件が幾つもあるわけです。私はそれを挙げていただきたいんですけれども、今は時間がありませんから省略いたします。
 そして、なおかっこの協定の発効要件として、発効するにはアメリカの応募が必要だということになっていますが、アメリカは応募したんでしょうか。
#73
○政府委員(藤田公郎君) まだでございます。
#74
○久保田真苗君 そういたしますと、日本がこんなに急いで、アメリカより先に応募するというのはどういうわけですか。発効もしないわけです。もしアメリカがこれでぐずぐずと引き延ばしていたらこちらはいい面の皮になりますね。
#75
○説明員(畠山蕃君) 応募期限が本年の十二月末ということになっております関係で、現段階で日本としても応募をいたすためには協定についての批准をいただくとともに、予算的にも裏打ちのある形にしていただいておくということが必要であるということでございます。
#76
○久保田真苗君 また後でそこへ戻ります。
 私は、やはり国際機関の分担金の比率というものには通常さっきのユネスコもそうですし、国連本部もそうですけれども、どんなにお金持ちの国でも二五%以上は出せないんですね。それは要するに四分の三事項についての拒否権を持つからです。ところがこの場合、アメリカはわずか〇・五%で相当幅の広い拒否権を持っているわけですね。私はこういう例を見ない国際協定というものに参加するということに非常に気恥ずかしさを感じるんですね。それから、もし心ある域外国だったらこういうものにある種の屈辱を感じて当然だと思うんです。しかし、なおかつ日本はどこの国にも先んじてこれに応募しようということについては、アメリカからいろいろな要請があるんでしょうか。
#77
○政府委員(藤田公郎君) アメリカから特に早く批准をするように云々というような要請はございません。我が国が本公社に積極的に参加いたしますのはあくまでも中南米、域内諸国の経済開発に積極的に貢献するという姿勢を示すために行っている次第でございます。
#78
○久保田真苗君 アメリカがこういう二五・五%、二五%でなくて、この〇・五%については下げた方がいいとお思いになりませんか。
#79
○政府委員(藤田公郎君) 先ほどちょっと申し上げましたけれども、本公社の親機関と申しますか、姉妹機関でございます米州開発銀行におきます米国のシェアは三四・七%ということになっておりますし、世界銀行を見てみますと、米国のシェアでございます世界銀行グループでは国際開発協会いわゆる第二世銀でございますが、これが二八・四%、それから国際金融公社が二七%ということで、大体国際開発金融機関における米国のシェアというのは四分の一を超えているというのが今の状況と承知しております。
#80
○久保田真苗君 ワシントンにいずれも事務所があるそういう金融機関でございますけれども、これが今回特に民間への投資を行うという、そういう立場にあるわけですから、これはいろんな途上国も含めて、途上国にも自分たちの間のシェアの問題があったりしてこういう結果になったというふうに思いますけれども、私はやはりアメリカが非常な大変な法律の国でございまして、実にうまく有能にこの協定をおつくりになったと、五重にも六重にも自分の発言権に影響が及ばないような、そういう方法をとっていると思うのです。逆に言えば、よその国から見たらこんなばかなことはないと思わざるを得ないんですね。
 私はこの際一言だけ申し上げておきますけれども、アメリカがこういうことをなさらなくても、事実上そういうふうに決まるのはともかくとして、協定上こういうことをお決めになって拒否権その他いろいろなことをやっていらっしゃるわけで、こういうことをなさらなくてもこの地域においてアメリカの影響力が阻害されるなんていうことはこの種のものに限って考えられないと思うのですね。そういうことが、それとも非常に心配だからこういうふうにしたということであれば、逆に言えばこういうことをやっても反発するところはとめられない、こういうことじゃないかと思うのです。
 次にまた、これに関して大臣や外務省の御見解を伺いたいと思いますけれども、どうなんでしょう大臣、この協定についてやはりもう少し穏やかな方法がとれなかったかと私は思うのですが、大臣の御見解はどうでしょうか。
#81
○国務大臣(安倍晋太郎君) 私はこの協定についてはアメリカがもちろん大きな発言力を持っていることは事実ですけれども、南米の各国、これはニカラグアも含めて協定に参加をしておりまして、今の南米の経済状況から言えば特に中小企業が非常に困っておる、米州開銀があったとしても中小企業、民間企業に対しては融資等が非常に難しいと、こういう状況ですから、やはり中南米の経済の開発を進めていくにはこうした民間の特に中小企業に対しててこ入れするということは今日の時代から言えば非常に意義が深いんじゃないか、そしてまたそれなりの成果というのは私は中南米の経済の面においては出てくるんじゃないか、こういうふうに思っております。
 いろいろと政治を絡めて言えばきりがないんですが、政治問題には介入しないという一線がありますし、ですから私は御心配のようなことはないんじゃないか、ですから大変日本にとっても中南米の経済に貢献をしていく一つのあり方としてはそれなりに評価される方向じゃないだろうか、こういうふうに思っております。日本政府としては積極的な姿勢でこれに取り組んでいきたいと思います。
#82
○和田教美君 私は米州投資公社に関する質問を中心にお伺いしたいと思うのですが、その前に二、三の点についてお伺いしたいと思います。
 まず第一は、ゴルバチョフソ連共産党書記長が二十一日の夜にインドのガンジー首相の歓迎夕食会で、十年前にヘルシンキで行われました全欧安保協力会議型の全アジア安保会議の開催を提案いたしました。これについての外務省の反響という
ものがきょうの新聞に出ておりますけれども、外務省高官の見解というものの受け取り方がまちまちでございます。全欧安保会議のような国境線の現状固定を前提とする構想には北方領土問題を抱えている日本として応ずることはできないというふうな否定的な発言をされたように書いているところもあるし、逆に、この全アジア安保会議については米国の参加、北方領土問題の解決ということを前提条件とするけれども、しかしアジアの軍縮に向かうものであれば検討する用意があると強い関心を示しているというふうな書き方をしているところもありますが、外務大臣としてはこのゴルバチョフ提案についてどういう見解をお持ちでしょうか。
#83
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回のゴルバチョフ演説で言及があった全アジア安保会議の開催に関するソ連側の考え方の詳細は、これは明らかになっていないわけですから、ただ、同書記長の演説の文脈から判断をすると、ソ連は欧州安保協力会議、いわゆるCSCEと同様の会議をアジアにおいて開催することを意図しておると思うわけでございます。こうした構想が、ブレジネフ時代の一九七〇年代前半からのアジア集団安保構想と同じものであるかどうかということに一つの問題点があるんじゃないかと思うわけです。このブレジネフ時代のアジア集団安保構想というものに対しては非常に否定的な立場を日本はもちろんとっておる。というのは、アジア集団安保構想は国境の不可侵と国家の領土保全に関する関係国間の同意を含むものと、こういうふうに理解しておるわけですし、したがって、かつて中国からもこの集団安保に対してはソ連が不法に侵略、占領した、他国の領土を固定化し、しかも合法化することに主要なねらいがあるとの批判も受けた経緯もありますし、また日ソ間では戦後未解決の北方領土問題がありますし、そういうことですから、今のアジア集団安保構想と軌を一にするものであるならば我々も今申し上げたような立場に立つわけです。
 しかし、ゴルバチョフ書記長が言っておる今度の会議がまたそれとは内容的に異なっておるといいますか、内容的に考えを変えておるということになれば、そしてそれは、先ほど言われましたように、アメリカがこれはもう全欧安保会議にも参加しておるわけですから、やっぱりアメリカが、アジア安保を進めるとしても参加しない会議というのは意味がないわけですから、アメリカが参加をするという、欧州会議と同じように、全欧会議と同じようにアメリカが参加する。あるいはまた、日本の基本的な方針であります今の領土問題を、これを今までどおり現状で固定化するというようなことが前提でないということであり、さらに米ソの軍縮がこれから着実に進んでいく、それからソ連がやはり真剣に今のアジアの軍縮というものを志向しているというようなことであるならば、これは日本としても、ただソ連が言っておるから、いわばブレジネフと同じ考えだということだけで否定ということもできないんじゃないか。ですから、これはもっと内容を見なきゃわかりませんが、内容をもっと検討してといいますか、内容を知った上で、今私が申し上げましたような前提があるならばこれは検討をする必要があるんじゃないか、私はそういうふうに思っております。
#84
○和田教美君 大体今のことでよくわかりましたが、とにかくこの問題は日本としても長期的な課題としてやはり検討をすべき問題だと思うし、領土問題の、領土不可侵というようなことがあると、これは北方領土を抱えている日本としては到底受け入れられないというのもよくわかります。そういうことについてこれからソ連の意向もよく確めてひとつ御検討願いたい、こういうふうに思います。
 それから、きょうのテレビのニュースでやっておったんですけれども、一九五二年から五四年、つまり昭和二十七年からのアメリカの外交文書が公表された。その日本編の中に、当時の岡崎国務大臣が、吉田総理が憲法九条の改定を意図していることを当時のマーフィー駐日米大使に述べた、こういうことがマーフィー大使の本国の国務省あてに送った電信の中に記述されていると、こういう発表があったようでございます。それを裏づけるような何か記録というようなものが日本側、つまり外務省の方にあるのかどうか。それから岡崎さんの言っていることがもし事実だとすれば、もう相当前から政府・自民党に憲法改正の考え方があったということにもなるわけで、この吉田さんが在任中に憲法改正論に傾いておったかどうかということについては、戦後政治史を研究している人の非常に興味の中心でもあるんですけれども、政府・自民党の領袖の一人である安倍外務大臣としてこれをどういうふうに見られるか、その辺のところをお聞かせ願いたいと思います。
#85
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今回この米国の公開文書の内容についてはいまだ外務省としては入手していないということでありますので、現段階で当時の日米間のやりとりの事実関係についてコメントするということは差し控えさせていただきたいと思いますが、また米側の文書を入手した上で改めてお答えをすることもあり得ると、こういうふうに思っております。私も当時新聞記者もしておりましたけれども、政府のガードがかたくて、その文書にあらわれているようなことについて何もキャッチしたという覚えはありません。
   〔委員長退席、理事宮澤弘君着席〕
#86
○和田教美君 それでは、今の件は後刻またお知らせ願いたいと思います。
 次に、水産庁の方いらっしゃっていますか――日ソサケ・マス漁業交渉の問題についてちょっとお伺いしたいんですけれども、サケ・マス交渉が非常に難航しているわけです。日本の漁獲割り当て量について、日本側が四万二千五百トンと提案しているのにソ連は三万五千トンという、去年よりもさらに低い提案をしてきておりますし、また、きょうあたりの報道によりますと、漁業協力費について日本側が出している条件をすべて満たした上で四十二億五千万円ぐらいは出してもいいということを言っているのに対して、ソ連側が五十億から五十五億ぐらい要求をしていると、こういうふうな報道もございます。さらに、従来ソ連側は公海上についてだけ匹数制限を実施しておったんですけれども、これを今度はソ連の母川国主ということを強く前面に出してきて、公海だけでなくて日本の二百海里内の漁獲のすべてに対しても魚種別匹数制限を設定してきているというふうなことでございますが、これだと到底日本側としてはのめないと思うんですけれども、大体交渉の見通しはどうなっているのか。
 それからもう一つ、今日本の二百海里内の漁獲のすべてに対して魚種別匹数制限を設定するというふうなことは、日ソ漁業協力協定あるいはその基礎になっている国連海洋法条約に基づく母川国主義というふうなことから認められるのかどうかというふうなことについての見解をお伺いしたいと思います。
#87
○説明員(草野英治君) お答えいたします。
 先生ただいま御指摘のとおり、サケ・マスの実態交渉につきましては十三日から始まっておりますが、一時膠着状態になりまして、今週からいわゆるクォータ等の双方の提示あるいは提案等を行っております。先生今御指摘のとおり、我が方の提案といたしましては漁獲量につきましては四万二千五百トン、うち公海部分は二万三千五百トンという提案をしております。それから尾数につきましては三千五百二十万尾、うち公海部分が千七百六十万尾という提案をいたしております。もう一つはいわゆる中型サケ・マス漁業につきましては漁場転換ということがございまして、現行の四十四度以南の水域を北緯四十八度までいわゆる漁場交換と言っておりますが、それを提案いたすとともに、以上の状況のすべてを満たすということを条件にいたしまして、いわゆる協力費につきましては四十二億五千万を払う用意があるということを日本側として提示しておったところ、ソ連側といたしましてはクォータは三万五千トンである、うち公海部分は一万七千トンというふうに言っておりますし、尾数につきましても二千九百二十一万尾ということでありまして、御指摘のよう
に全水域それから公海ごとの魚種別漁獲尾数を設定したいというふうに言ってきております。なお、操業転換、漁場転換につきましてもこれは認めないという立場をとっておりますし、漁期につきましても、通常は我々は五月一日と思っておりますが、六月一日開始ということを言ってきておりますし、昨日は協力費につきましては五十から五十五億円の範囲内で考えているということで非常に厳しい対応をしてきているわけでございます。
 第二点の御質問でございますが、いわゆる今申しましたように魚種別尾数につきましては、従来はこれまでは公海部分だけにつきまして設定されておったわけでございますが、今回のソ連側は我が国二百海里を含む全水域につきまして魚種別尾数というものをさらに設定したいということを言ってきておるわけでございます。御承知のとおり、今回御承認いただきました日ソ漁業協力協定のもとにおきましては我が国の二百海里内におきますソ連系サケ・マスの保存及び管理につきましては母川国であるソ連と協力をするということになっておりまして、その協力の内容といたしましては、我々としましては従来と同じように漁獲量につきましては一定の限度を設ける、あるいは伝統的な統計資料についての提供を行うということを協力の内容として考えておりますが、ソ連が言っておりますような魚種別の尾数、これにつきましてはやはり規制の強化につながるということでございますので、我々としましては従来どおり尾数制限につきましては公海のみに限って行われるように最大の努力をいたしたいというふうに考えております。
#88
○和田教美君 それでは米州投資公社の協定についてお伺いいたします。
 まず第一点はなぜ米州だけに開発銀行以外の投資公社をつくるのかという問題でございます。国際地域開発金融機関としては中南米対象の米州開発銀行のほかにアジア開銀、アフリカ開発銀行、この三つあるわけでございますが、民間中小企業への投融資を対象とする米州投資公社、こういうふうなものを別に開発銀行以外につくるというのは米州だけでございます。世界銀行グループにはなるほど開発途上国の民間企業に投資を行う国際金融公社がありますけれども、これは世界じゅうを対象にしたものでございまして、性質が違うと思うんですが、なぜ米州だけにつくるのかということについてまずお伺いいたします。
#89
○政府委員(藤田公郎君) まずアジアとの対比で申し上げますが、中南米地域についてみますと、御承知のとおり一人当たりの所得等の指標に見られますとおり、中南米地域の方がアジア地域に比較しますと平均として見ると開発というものが進んでいるということが概して申せるかと思います。
 それから第二番目の点としまして、アジア開発銀行は投資の機能というのを備えておりまして、現にそれほど大規模ではございませんけれども、八二年の総務会決議以降、八三年から民間部門への投資の業務というものを開始しておりまして、そういう面での機能はアジア開発銀行自体が備えている。それに比しまして米州開発銀行の場合は投資機能を備えておりませんで、融資だけにとどまっているというのが第一の点かと思います。
 第三番目のアフリカ開発銀行との関係でございますが、確かにアフリカ開発銀行のもとには本件公社のごとき民間部門を直接対象にする特別の機構はございませんが、やはりこれはアフリカ地域における民間部門の未発達ということからその必要性がないということで、同域内にこのような声が起こってきていない。それが理由かと承知しております。
#90
○和田教美君 アジア開銀については既に今お話もございましたように協定に基づく株式投資も行われておるんだけれども、外務省で確かめたところ大体三件しかまだ出てないということです。アジア地域も中南米と比べてどんどん中進国が出てきているというふうなことで、民間企業、特に中小企業に対する投資の需要というものはふえつつあるんではないかと思うんですね。特に日本政府としては環太平洋構想などで民間活力の活用というふうなことも言っておられるわけですから、アジアにおいてもこういう投資公社ができればよりベターではないかというふうに思うんですが、どうも聞いたところアジアにはそういう考え方はないということですが、腑に落ちないわけですが、どうでしょうか。
#91
○政府委員(藤田公郎君) 確かに先生御指摘のとおり、ただいままでアジア開発銀行を利用します民間部門への投資実績というのは三件のみでございまして、それほど多いという数でもございません。それから特別にアジア地域にこのような民間投資を専門にする機構をつくれという声が強いということも私ども承知しておりません。理由につきましてはちょっと私どもわかりかねます。
#92
○和田教美君 じゃ、そういう考え方はないわけですか。
#93
○政府委員(藤田公郎君) はい。
#94
○和田教美君 どうもよく納得できないんですけれども、その問題はそれぐらいにいたしまして、先ほど久保田委員からもいろいろ御指摘がありましたけれども、この投資公社はアメリカの影響力が非常に強くなるということが一つの重大な問題点だというふうに指摘できると思うんです。公社の授権資本国、株式への各国の応募株式数を見てみますと、アメリカが全体の四分の一以上、つまり二五・五%ということになっております。日本は三・一三%、先ほど政府の答弁で米州開発銀行についてはもっとアメリカのシェアは大きいという話もございましたけれども、こういうとにかく四分の一以上の株式を持っておるということがアメリカの影響力が投資、貸し付けのいろんな面を通じて中南米に対する経済的主導権を握る可能性、それからまた、いわゆる最近の戦略援助というふうな言葉に対して戦略的投資というふうな方向に動いていく可能性がないかどうか。その辺を念のためにお伺いしたいと思います。
#95
○政府委員(藤田公郎君) 確かに先ほどの御質問にもございましたとおり、米国が最大の出資国ということで、四分の三の多数を必要とする案件につきましては拒否権を有しているということはそのとおりでございます。
   〔理事宮澤弘君退席、委員長着席〕
他方、今度は積極的にということを考えてみますと、投票権シェア自体は今委員御指摘のとおり二五・五%であるということと、それから米州域内の開発途上国が五五%の多数のシェアを持っているということ、及び理事会の決定自体は総票数の過半数ということでございますので、そういう点から言いましても、積極的に米国の意向どおりに本公社が動かされるということはないものと考えております。
#96
○和田教美君 これはもう先ほど久保田委員に対するお答えがございましたけれども、公社への加盟国は米州開発銀行の加盟国に限られるということになっておりますが、ところが原加盟国に予定されているのが三十四カ国、その中には、域内では先ほども答弁ございましたように、カナダ、スリナムが入ってないということでございます。カナダについてよく理由がわからないというのもこれまた我々納得できないわけなんですけれども、それはそれとして、域外国の中で先ほどは北欧の国々のことが出ておりましたけれども、イギリスも入っておりませんね。この辺、どうも何かいろいろと公社に批判があるんではないか。そういう感じがするんですけれども、いかがですか。
#97
○政府委員(藤田公郎君) イギリスという御質問でございますが、イギリスにつきましては御承知のとおり援助予算自体かなり厳しい状況でございまして、財政赤字それから援助予算の逼迫、外貨事情の悪化というようなことから、そもそも援助全体について非常に厳しい態度をとっているというのはもう委員御承知のとおりでございます。それで、イギリスにつきまして照会等をいたしましたところでは、ただいま申し上げたような種々の理由から公社への参加を見合わせていると。ただし、公社発足後の進展を見守って、将来適当な時
期に加盟につき再検討することを予定しているというふうに承知いたしております。
#98
○和田教美君 中南米諸国の経済情勢ですけれども、累積債務の問題で非常に悩んでいるということは、これはもう天下周知の事実ですけれども、全体としてどうなんですか、少し経済の方はよりよくなってきているのか、より泥沼的な状況になっているのか。その辺はどうでございますか。
#99
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 委員も御案内のとおり、中南米地域は累積債務問題で一九八二年以来苦しんでおりまして、特に八三年が成長もマイナスが一番大きかった年でございますが、昨年、一九八四年を見ますと、国連のラ米経済委員会の報告を見ましても、全体の成長率が対前年比二・六%ということを記録しておりまして、やや好転しつつあるということが言えるかと思います。ただ、国によりばらつきがございまして、メキシコ、ブラジル等は成長率が目覚ましいけれども、他方依然としてマイナスの国もあるという状況でございます。また、累積債務問題につきましては、メキシコ、ベネズエラ等につきまして民間の累積債務の多年度繰り延べということが行われまして、一年間に支払う元本の支払いにつきまして、これを将来に延ばすことによって非常に額を減らすということが行われておりまして、一応累積債務問題についてはやや事態の改善が見られるという状況かと思います。
 ただ、インフレが問題でございまして、特にメキシコの場合はそれほどひどい状況ではございませんが、アルゼンチンにおきましては約七〇〇%近いインフレ率であった。それから、ボリビアに至りましては一〇〇〇%かあるいは二〇〇〇%と言われるほどの高いインフレ率でございまして、中南米全体としてインフレがやはりまだ克服されてないということが言われております。ごく簡単に概況を申し上げますと、そういう状況でございます。
#100
○和田教美君 今出ました累積債務ですけれども、世界全体の累積債務は八四年末で、これは世銀の統計ですけれども、九千億ドルぐらいというふうに聞いておりますけれども、この中で中南米の累積債務の残高というのはどのくらいあるんでしょうか。
#101
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 先ほど申し上げました国連ラ米経済委員会の統計によりますと、一九八四年の末で三千六百億ドルと言われておりまして、途上国全体の累積債務の約半分くらいというふうに私どもは考えております。
#102
○和田教美君 主な国別ではどのくらいですか、ブラジルとかメキシコとか。
#103
○政府委員(堂ノ脇光朗君) これは別の資料でございますが、一九八〇年末のOECDの統計によりますと、国別ではブラジルが一三%、メキシコが一一%、アルゼンチンが五%、ベネズエラが三%。金額的に申しますと、非常に大まかな数字で申しますと、メキシコ、ブラジルが約九百億ドル、それからアルゼンチンが四百八十億ドルぐらいという感じでございます。
#104
○和田教美君 投資公社をつくった場合に、先ほど久保田委員から非常に利子が高いというふうな話もあって、かえって累積債務問題に輪をかけるようなことにならないかというふうな御指摘もございましたけれども、政府としてはこの公社が投融資の活動を始めた場合に累積債務という問題についてもこれを減らす、改善するという方向に資するというふうにお考えなんでしょうか。その辺はどうでしょう。
#105
○政府委員(堂ノ脇光朗君) とりあえず私からお答え申し上げますと、金利が高いということが中南米累積債務諸国の累積債務をさらに増大させるという傾向があることは事実でございまして、そのために返済条件の緩和ということを債務国は訴えております。現にIMF、世銀などの場を通じまして、あるいは国際銀行、世銀団というものとの交渉を通じまして、金利の下げのための努力というものが行われてきておりますし、なるべく債務国の負担にならないように多年度繰り延べということも行われているわけです。他方、そのような経済困難にある国におきましては、経済が落ち込んでいるということもありますけれども、信頼感も落ちてきているということから、先進諸国側の民間の企業も非常に投資を渋るということがございまして、金利がいかんであってもなかなか信用がないところには投資が行われない、そういう状態も救う必要があるということでございます。したがいまして、この開発公社の設立はそのような投資の流れをよくしていくという意味があるものと私は考えております。
#106
○和田教美君 中南米諸国の対外債務の約七割は民間銀行からの借り入れだというふうに承知いたしております。日本の銀行も中南米諸国に対しては相当貸し込んでいるわけで、累積債務の問題、それだけに重要な問題になっておったわけでございますけれども、大体日本の民間金融機関からの貸し付けないし投資の残高はどのくらいですか。
#107
○説明員(畠山蕃君) 我が国の民間の金融機関の中南米諸国に対します中長期の貸付残高は、昨年九月末でございますけれども、約二百八十億ドルでございます。
#108
○和田教美君 中南米の経済情勢から見て民間もなかなか貸すのを渋るというふうな状況だからこの投資公社は意味があるんだというふうな答えがさっきございましたけれども、この協定を見ますと、公社は民間との協調融資ですね、そういうものも大いにやるということになっておるわけなんですけれども、日本の民間金融機関の場合に、そういう協調融資という話が将来あった場合に、それをかなり歓迎して受けるというふうにお考えなんですか。
#109
○説明員(畠山蕃君) この米州投資公社の資金の効率化といいますか資金のソースといいますか、そういうことで考えられております一つの重要な点が今御指摘の協調融資という点でございまして、資本金規模が二億ドルでございますけれども、それに民間資金を合わせまして行いますこの協調融資がこの投資公社の大きな機能の一つでございます。したがいまして、もしそういう話が具体的にございますれば、我が国の銀行も条件さえ整う限りこれに積極的に対応していくということになろうかと思われます。
#110
○和田教美君 なぜそういうふうに、歓迎するというふうに判断をされているわけですか。
#111
○説明員(畠山蕃君) 先ほど外務省の局長の方から御答弁ございましたように、まさに現在の中南米の債務累積国は信用の点において資金の流れが確保されなければならないというのが第一に重要な点でございます。したがいまして、この中南米地域におきます民間企業がその意思において資金を取り入れたいという状況がございますれば、当然米州公社がこれに対応すべきであると思いますし、それでなお資金規模として不足であるならば、民間金融機関も条件さえ合えばこれに対応していって資金の流れを十分に確保するということがまずもって重要なことであると考えます。
#112
○和田教美君 先ほど出ておりましたけれども、最近南米諸国には、非常に深刻になっている累積債務の問題を解決するために、兵器輸出で債務を返済しようというような動きが非常に強くなっている。例えばブラジルの場合には兵器製造公社の主力工場を民間に払い下げて、その民間が民間活力、民間資金を導入してどんどん兵器をつくっている動きがあるというような報道もございます。そういうことで、先ほど米州開銀側のメモランダムというのが紹介されましたけれども、開銀側としては要するにそういう軍事活動への、武器産業に対する投融資活動というようなことはしないんだという考え方でございましょうけれども、しかし問題は中小企業に対する投融資ですね、このねらいは。そうすると、中小企業の規模というのが問題になりますけれども、直接の軍需産業というよりもその下請というふうな関係に立つ中小企業もかなりあるんではないかというふうに思うんで、そういうふうなもののチェックは実際問題として十分できるのかどうかということはどうでしょうか。
#113
○政府委員(藤田公郎君) 先ほどの御紹介を申し
上げました米州開発銀行筆頭副総裁の説明にも、経済開発を目的とするという活動におきまして、軍事活動のための施設建設、装備ないし武器の製造、売買のためにもその資金を使用することはできないというのが米州開発銀行の法律顧問の見解でございまして、かつそれと同様に公社も武器産業に投融資することは許されないということを申しております。
 実際のチェック体制はいかがかという御質問でございますが、投融資の申請が行われます場合に、まず当然のことながら公社の事務局による審査、次いで理事会の執行委員会、理事会等の場において厳密な審査が行われるということでございますので、委員の御懸念のようなことは万ないものと信じております。
#114
○和田教美君 この問題は、公社が実際に活動を始めた場合に、日本政府としては平和原則というものの建前もあるので、継続的に十分とにかく監視をするというか注目をしていくということが私は必要ではないかというふうに思います。
 次に、中南米に対するODAを中心とする援助の問題、その問題をお聞きしたいと思うんですけれども、二国間ODAの地域配分では、大体中南米は約一割ということになってございますね。八三年では九・九%。最近の傾向から見ると、八一年が七・八%、八二年が七・八%、それに対して八三年が九・九%ということで、中南米向けが少しふえているというふうに見ていいのか、その辺はどうでございますか。大体一割程度というのがそんなに近い将来変わらないというふうに見ていいのか。
#115
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員御指摘のとおり、一般的に申しますと大体二国間ODAの一割という姿で、八一年、八二年は若干欠けておりましたけれども、八三年は九・九%ということでシェアもほぼ一割になりました。八三年は円借款がかなり、ジャマイカ、ホンジュラス等がかなりデスバースの面でふえたということがこのシェアの拡大、金額の拡大にも寄与したものと考えております。
#116
○和田教美君 まあ大体この傾向はそう大きくは変わらないというふうに見ていいんですか、一割というのは。
#117
○政府委員(藤田公郎君) 八四年の数字はまだはっきりしておりませんけれども、実は八四年は中南米に債務繰り延べ国がふえたものでございますから、八四年の中南米に対する実績はちょっと落ちるのではないかと思っております。
#118
○和田教美君 技術協力はどうですか。かなり中南米にいっておりますね。
#119
○政府委員(藤田公郎君) 技術協力は大体毎年地域別に見ますと二〇%が中南米に向けられておりまして、この比率はほぼ変わらないものと考えております。
#120
○和田教美君 その中南米に対する、特に中米に対する援助の問題ですけれども、ニカラグアの問題が出てから外務省の中に中米に対する援助をむしろふやすべきだというふうな意見が出てきているという、これは新聞報道でございますけれどもございました。まあ要するに、ニカラグアの問題についてはアメリカの立場もある程度理解しなきゃいかぬけれども、中米の国々には親日的な国も多いんだから、もっとふやすことによってアメリカも喜ぶし、中米の国々も喜ぶような手をとったらどうかというふうなことだというふうなことが報道されておりましたけれども、そういう考え方があるわけでございますか。
#121
○政府委員(藤田公郎君) 私もその新聞記事を拝読いたしたわけでございますけれども、中米・カリブということで対象を限った実績で、実は八一年、八二年、八三年というところまで見ますとかなり増大をしております。これは我が国の援助自体がかなり地域的に広がってきたということの一環というふうに申せるかと思うんでございますが、八四年は実は、先ほどもちょっと触れましたけれども、債務繰り延べ国が非常にふえてしまった、これが中米・カリブについても適用がございまして、八四年はかなり実績がダウンしているというのが実情でございます。
#122
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 補足さしていただきますが、中米地域という委員の御質問でございますが、中米地域の現在の政治的な不安定というものの根底にございますのがやはり社会的な不公正とかあるいは経済的な開発のおくれということがございまして、そのためにまた貧富の差も激しいし、政情も非常に混乱しているという状態でございます。これを解決していくためには、やはり我が国としてできますことは我が国のできる援助政策の範囲内で、できる限り中米地域に対する経済面での協力を進めていくということであると私どもは認識しております。
#123
○和田教美君 ニカラグアの問題をちょっとお伺いしたいんですけれども、これは外務大臣にお伺いするんですが、この間から外務大臣はしばしば、ニカラグアの問題についてはアメリカが経済制裁に踏み切ったいきさつ、背景は理解できるけれども、しかしアメリカに追随して制裁措置をとるようなことはしない、そして基本的にはコンタドーラ・グループの調停に期待するというふうな答弁を繰り返されておるわけなんですけれども、むしろヨーロッパなんかはアメリカのそういう制裁措置に対して、これは行き過ぎだということで相当批判的な空気が強いようだし、援助も、むしろニカラグアに対する援助はふやそうというような考え方さえあるように聞いておるわけなんでございますけれども、基本的にどういうお考えなのかということと、援助の問題については従来どおりやっていくということなのか。
 それから、アメリカのそういうレーガン政権の、まあ中米は裏庭だということで相当いきり立っているというふうなことについて少し頭を冷やすような、そういう働きかけというふうなものをやる意思がないかどうかというふうな点をお伺いしたいと思います。
#124
○国務大臣(安倍晋太郎君) 米国のとったこの経済措置については、先般のボン・サミットにおきまして私から、こうした措置をとるに至った事情については理解をする旨米側にも述べたわけでありますが、これは米側の具体的な政策に対しまして支持を表明したものではありませんで、この問題というのは、本来的には米国とニカラグア両国間の問題であるというふうに考えます。日本としましての基本方針は、あくまでもコンタドーラ・グループのイニシアチブを支持してニカラグアの紛争が平和的に解決することを期待いたしておるわけでございます。
 なお、ニカラグアに対する援助でございますが、我が国が人道援助あるいは相互依存という立場からの援助、こういうことを基本としておりまして、ニカラグアに対しましても、従来から研修員の受け入れとかあるいは機材供与を内容とする技術協力を行っておりまして、五十七年度には水害被害に対する緊急援助もいたしておるわけですが、我が国としましても、今後とも同国をめぐる諸情勢を踏まえながら適宜援助を行っていく。今日の段階においては、やはりああいう紛争当事国でありますから、人道援助というものに限って行うという考えであります。
#125
○和田教美君 いわゆる戦略援助という問題についてお伺いしたいんですけれども、政府は戦略援助という場合に大体どういう定義をしているんでしょうか。
#126
○政府委員(藤田公郎君) 実はただいままでの国会、特に国会におきます御審議で御質問が出ておりました戦略援助という概念は、米国の戦略の肩がわりをする援助ないしは米国が戦略的に重視している国に対する援助、これを戦略援助というふうに定義づけられまして、御質問が行われてきたというのが実情ではないかと思います。
#127
○和田教美君 中南米だけでなくてアジアも含めて、最近の外務省の援助方針というものについて、どうも戦略援助的なにおいがするんではないかということがしばしば報道されるわけです。
 三月の三十日の参議院の予算委員会で、公明党・国民会議の中西珠子さんに対する答弁の中で安倍外務大臣は、あくまで我が国の援助は「開発
途上国の民生の安定、福祉の向上のために役立つものでなければならない」戦略援助はしないということを明言されておるわけでございますが、しかし、具体的に中米、中南米の国々なんかを見ても、最近どうも戦略援助と思われてもしようがないような国々に対して援助がふえている、急にふえているというふうな例も、この委員会でも指摘されたこともあるわけでございますが、重ねてその点は絶対にないというふうに明言をできますか。
#128
○国務大臣(安倍晋太郎君) 戦略援助といえば、今藤田局長が言ったようなことだろうと思いますが、実は日本とアメリカも援助問題については協議をしております。その協議を始める場合においても、私とシュルツ長官との間でも、日本には日本の援助の基本的な考え方がある、アメリカにはアメリカの考え方があるだろうと。日本もその基本的な援助の枠組みというものを超えて援助をするというわけにはいかない。したがって、その枠組みの中でお互いにその援助というのをもっと効率的にやるためにお互いに協力し合った方がいいということならばそれはやりましょう、その辺のことはやっぱり相談した方がいいんじゃないかと私も思うから、相談しましょうということで、今協議が行われておりまして、これは有効に私は行われておると思っております。
 日本の援助というのは、先ほども申し上げましたように、あくまでも開発途上国の民生あるいは福祉の向上、そしてその基本精神は人道的なもので、相互依存的なものでなきゃならぬというのが日本の基本的な姿勢でありまして、それに基づいてずっと援助をやっておるわけでございますから、アメリカの戦略援助に乗せられて、巻き込まれて日本がやるということはないわけでありますが、しかし、中米なんかについては、そうしたアメリカの戦略的な考えとは別に私はやはり今のああしたニカラグアの状況、そうしたニカラグアとかエルサルバドルとか、ああいう紛争の起こった一つの大きな原因というのはやっぱり中米の非常に貧富の格差もありますし、中米全体の貧困ということもあるわけでありますから、やはりこういう中米諸国が経済的にあるいは政治的に安定していくためには、こうした国々に対しても援助は拡大をしていくということは、日本の貢献といいますか、日本の援助の精神にこれは何ら抵触するものじゃないだろうと、私はこういうふうに思っておるわけであります。
#129
○和田教美君 我々は米州投資公社に参加、加盟するということは発展途上国に対する多数国間経済協力の一環だというふうに理解をいたしております。
 また、公社の活動を通じて中南米諸国における民間投資を促進することによって中南米諸国との友好関係も正しく運営されれば促進できるんではないかというふうに考えております。
 そういう立場から我々は賛成なんでございますが、しかし、今私が指摘しましたようないろいろな問題点、疑問点あるいは懸念される点というのもあるわけでございますから、今後とも政府は十分その辺のところを注意して、公社任せということではなくてひとつ運営に当たっていただきたいというふうに希望いたしまして私の質問を終わります。
#130
○抜山映子君 アメリカを初め各国の中南米に対するコミットメント、まあコミットしている国を上位から五番目ぐらいまで教えていただけませんか。
#131
○政府委員(藤田公郎君) 申しわけございません、ただいまの御質問は援助額でございますか、債務額でございますか。
#132
○抜山映子君 いいえ、コミットしているというんですか、投資額とかそれから貿易額とかですね、そういう意味です。
#133
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 御質問の御趣旨が、もし経済面での関係の深さということでございますと、何と申しましてもアメリカが一番でございまして、貿易面でもアメリカの占めるシェアがたしか二〇%、三〇%といった状況であったかと思います。次いでEC諸国、それから日本という順番でございますが、EC諸国は国の数が多いわけでございまして、そういう個々の国を見ますと、我が国はかなり上位にございます。
#134
○抜山映子君 先ほど同僚議員からの質問でも回答が出ましたけど、援助費については日本は中南米に一割ぐらいしている。世界全体の比率からいくと、大体アジアが七割、中近東一割、アフリカ一割、そして中南米一割、こういう比率になっておると理解しておるわけです。
 そのほか、投資とか貿易額とか、そういう方面では日本はどの程度南米にコミットしておりますでしょうか。
#135
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 私どもの方で一度調べたことはございますが、貿易で見ますと日本はアメリカに次いで第二位、それから投資で見ますとたしか日本は第三位、それから債権の貸出額からいきますと日本はやはり二位、それからODAでは五位というのが中南米全体に対する日本の占めるシェアということでございます。特に、投資について見ますと中南米に対する投資の累計は昨年の三月末で百七億三千万ドルということでございまして、我が国の海外投資の中では地域別に見ますと北米、アジアに次いで三番目に中南米に投資が行われているという状況でございます。
#136
○抜山映子君 南米に対するコミットメントは次第に高くなってきつつあると私は理解しておりますが、その理解でよろしいですか。
#137
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中長期的な期間をとりますと、第二次大戦後、この十年、二十年ほどの間に南米に対する我が国の経済的なコミットメントと申しますか、かかわり合いというものはふえている傾向にございます。ただ、この二、三年の累積債務問題というのがございましたので若干停滞した時期がございますが、全体として見ればふえつつあると言ってよろしいかと思います。
#138
○抜山映子君 大臣にお伺いしたいんですけれども、今後の中南米とのかかわり合いをどのようにしていくか、その基本的な姿勢をお伺いしたいと思います。
#139
○委員長(平井卓志君) 大臣は、ちょっと中座しておりますから。
#140
○抜山映子君 ああそうですね。じゃあそれは飛ばしましょう。
 米州開発銀行設立協定の加盟国を見ますと四十三カ国ございますね。ところが米州投資公社の方は三十四カ国と若干落ちておりますが、これはどういうことからでしょうか。
#141
○政府委員(藤田公郎君) 加盟資格がございます米州開発銀行加盟国で公社へ加盟を予定しておりません国が九カ国ございます。域内国ではカナダ、スリナムの二カ国、それから域外国ではベルギー、デンマーク、フィンランド、ポルトガル、スウェーデン、英国、ユーゴスラビアの七カ国でございます。この理由についてのお尋ねでございますが、これらの国のうちスリナム、ベルギー、フィンランド、ポルトガル、英国及びユーゴスラビアの諸国につきましては財政赤字、援助予算の逼迫、外貨事情の悪化等の理由によりまして公社への参加を見合わせたものと私どもとしては承知いたしております。しかしながらスリナム、これは域内国でございますが、スリナムにつきましては加盟を拒否しているということではございませんで、同国の財政状況を見つつ、なお加盟について目下検討中であるというふうに承知しております。また、ベルギー、フィンランド及び英国につきましては、公社発足後の進展を見守り、将来適当な時期に加盟につき再検討することを予定していると承知しております。ユーゴスラビアは外貨事情が好転すれば加盟を検討する方針というふうに承知しております。カナダ、デンマーク及びスウェーデンにつきましては、公社に加盟しない理由を必ずしも明らかにいたしておりませんが、当面公社の活動状況を見守る方針であると承知しております。
 以上でございます。
#142
○抜山映子君 本年三月、米州開発銀行の総会がウィーンで開かれたと聞いております。この会議
で、ニカラグアを初め南米各国がかなり公社の設立加盟について熱弁を振るったというように聞いておるんですが、どの国がどのような発言をしたか把握しておられますか。
#143
○政府委員(藤田公郎君) 本年三月ウィーンにおきまして米州開発銀行の総会が開かれまして、我が国を含みます各国総務の多数が本公社の設立を歓迎するという発言を行っております。特にペルー、ニカラグア、フランス等を初め十カ国余りが、本総会の期間中に本件公社設立協定に署名を行うことによりまして本公社に対する支持の意向を示しております。また、米州開発銀行の総裁も本公社設立を強く支援するという発言を行っております。
#144
○抜山映子君 この米州投資公社を設立する協定の末尾の方を見ますと、注1、注2、注3と、この記載を見ますと、その趣旨は、自国の株式比率をもっと本来はふやしたかったんだという趣旨で、それぞれ自分の国の主張を明記してもらうという形になっておると思うんですが、その理解で正しいわけですね。
#145
○政府委員(藤田公郎君) ただいま委員の御指摘のとおり、注記に掲げてございますアルゼンチン、ブラジル、メキシコ、ベネズエラの四カ国につきましては、それぞれ自国の比率の将来の増加の可能性、ないしはアルゼンチン、ブラジルの両国につきましては、両国のシェアの維持ということを強く主張したという旨を記録にとどめるという主張を行いまして、これがこの記録、注記という形になってあらわれております。
#146
○抜山映子君 このように南米のうちの主要国を初め多くの南米の国がこの公社の設立に非常に意欲的で、しかも参加意欲も旺盛であるというように理解されるんですが、我々が心配しますのは、一九八〇年代深刻な政治経済危機に南米各国が見舞われておるわけです。特に同僚議員も何度も指摘しましたように、債務累積が顕在化してきているということがラテンアメリカの経済の脆弱性を露呈している。そういう意味で大変にどうかなというような疑問を感じるわけなのでございます。
 その累積債務の問題はほとんど繰り延べられて、そしてかなりの国ではこの繰り延べのりスケジュールに加えて、さらに新規借款を要請して、それを利子支払いの一部に充てたというふうに報道されておりますが、この累積債務の処理、現状はどのようになっておるか概略をお聞かせください。
#147
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中南米諸国の累積債務の総額は、昨年の未現在で約三千六百億ドル、恐らく中南米地域のGNPの全体の六割ぐらいと見られておるわけでございまして、これを返済するということはなかなか容易でないわけでございます。このようなことから、中南米諸国の経済が脆弱であるかと申しますと、実はやはり中南米諸国はどちらかと申しますと中進国が多いわけでございまして、また資源も豊富であるということからかなりの高い経済成長を六〇年代、七〇年代やっておったわけでございまして、その中で特にオイルダラーが貸付先がないということから流れ込んでいっていつの間にか自信過剰と申しましょうか、借り入れ過ぎた、手を広げ過ぎたということが根幹にあるわけでございます。したがいまして、基本的には中南米諸国の経済はそう言われるほど脆弱ではない。むしろ中南米諸国が信頼を回復してほかの国からの資金流入ということがまた行われるようになればかなりよくなると見られているわけです。そのためにも、とりあえずは中南米諸国の経済の立ち直りを助けるために支払いの繰り延べといった手段もとられているわけでございまして、その一環としまして、昨年のロンドン・サミットで合意されました一年ごとの繰り延べではなくて数年間にわたる多年度のりスケジュールという方式が編み出されたわけでございます。そのおかげで特にメキシコそれからベネズエラといった国につきましては、六年とか七年とかにわたっての返済分を一括して長い期間、十数年とか二十年近いような期間にわたって返済できるように繰り延べたということによりまして大口債務国については一息つける状態になってきた。また、アメリカの景気回復を中心としまして世界的な景気回復ということもございましたし、それから債務国自身の自助努力、経済の緊縮財政の実施とか輸入の抑制といったこともあってかなりよくなってきているということが言えます。ただ問題は、若干の中小債務国というものがございまして、ペルー、ボリビア等がそれに当たるわけでございますが、これらの国につきましてはいまだに経済の回復のテンポものろうございますし、いろいろ困難があるということから、ことしのボン・サミットではそのような国についての若干の言及と思われるものがございます。それはボン・サミット宣言では第八項のおしまいの方でございますが、
 我々は、最貧国でもなく、また主要債務国グループの中で最も大口の債務国でもない、いくつかの開発途上国が直面している特別な問題に引き続き懸念を有している。我々は、ケース・バイ・ケースで、これら諸国の財政的制約を軽減するよう配慮するべきであることに合意する。
という表現が入っておりますけれども、そういうことが現在の中南米諸国の累積債務の問題について指摘されるといいましょうか、一つの問題点として指摘されているということではないかと考えております。
#148
○抜山映子君 もう一つ心配なのは政権が安定していないと申しますか、軍政から民政にと転々と変わっている国が大変に多いわけでございます。ペルーなんかも随分変わっていて、六〇年代は輸入代替の工業化を図って、七〇年代には国有化、国家主義化を図る、そして八〇年代はまた自由市場理論を適用し始めるというようなことで経済体制も何かころころ変わっておるような気がするんですけれども、そういう意味での不安感をどのようにとらえておられますでしょうか。
#149
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中南米の多くの国におきまして軍政があり、また軍政がひっくり返って民政になりということを繰り返してまいりましたが、最近の傾向としましては一九七九年のエクアドルを初めとしまして八〇年のペルー、それからその後アルゼンチン、ウルグアイ、それから一番最近ではブラジルというふうに軍政から民政へという移行が行われてきている。これがまた軍政に戻る、くるくる変わるだろうかという点につきましては、今回の新しい傾向は必ずしもそういうサイクルの一つではなくて全体的な流れとして軍政よりも民政、民主化の進展が見られるんではないかというのが一般的な多くの方々の見方ではないかと思うわけでございます。
 ペルーにつきましては、一九八〇年に民政、民主政権が選挙によって誕生したわけでございまして、そしてまたことし二度目の選挙によりまして民主政権が二代にわたって続くという可能性が見えてまいりました。しかもその民主政権は中道左派と申しますか、アプラ党のガルシアというわずか三十五歳の候補でございましたが、大統領に当選してこの七月に就任すると見られているわけでございます。
 ペルーの場合非常に気の毒でございますのは、一九八〇年、八一年のころにエル・ニーニョ現象という海洋の異常気象現象がございまして、そのためにペルーが一番頼りにしております漁業がまず打撃を受ける、それから水害にも見舞われるということで、特にペルーの経済は後退したというのが実情でございます。
#150
○抜山映子君 さらに加えて南米諸国のインフレの異常な高進ということが大変に不安に思われるわけです。いただきました資料を見ますと、物価上昇率対前年比という欄がございまして、ブラジルは前年比一九五%、アルゼンチンが六七五%、ボリビアなんか見ますと一〇八五%、こういうようになって信じられないような数字なんですけれども、漏れ聞くところではインデクセーションというのが行われて、うまくそこは調整をとっているんだといううわさも聞くんですけれども、そのあたりはどうなっておるんでしょうか。
#151
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中南米諸国のインフレは確かにこれらの諸国の経済の安定発展の大変
な障害になっておると思われます。そのために各国ともIMF、世銀などから厳しく言われましてインフレ抑制策というものをとることを求められておるわけです。そのためには、一つには賃金の値上げということを抑えなければならないということがございますし、また財政赤字も抑えなければならない。しかし、そのような政策は特に軍政から民主化に移行したばかりの国につきましては非常に厳しい政策となる、国民に緊縮経済を強制するということでございまして、独裁軍事政権でございますと、これを世論の反対あるいは議会の承認なしにやれる面もあるかと思うんですが、民主化を行ったばかりの国につきましては納得づくで議会の承認を得、世論の承認を得なければならない。そうしますと、やはり抵抗が強くてどうしてもインフレと同じ率あるいはそれ以上の賃上げを約束してしまう。また赤字に苦しんでいるような公社、公団についてもなかなか整理ができない。人員の整理とか、そういった公団、公社の整理ということができないということからインフレがとまらないという国が若干ございます。そういう国としてアルゼンチン、ボリビアなどが挙げられるんではなかろうかと思うわけでございます。
#152
○抜山映子君 これらの国で産油国がかなりあるわけですけれども、これらのオイルの日本との取引、現在どれぐらいあって将来はどうなるような見通しでしょうか。
#153
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 詳しい数字は持ち合わせておりませんが、主としてメキシコからの輸入が一番多うございまして一日十六万バレルという量でメキシコから引き取ることをやっております。昨年も、それからまた本年もそういうふうになっておる。そのほかの産油国としましてベネズエラあるいはエクアドルといった国がございますが、日本の石油引き取り量は非常に少ないというふうに聞いております。
#154
○抜山映子君 将来的な展望をお伺いしたいんですけれども。
#155
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 特に石油に関しましては、メキシコなどは日本に対する安定的な石油の供給源となりたい、恐らく日本側としても石油の輸入先の多角化ということがいわゆる総合的な安全保障に役立つでしょうということをメキシコ側も言っております。ただ何分石油の質と価格といったものが石油の輸入を決定する一つの大事な要因でございまして、その面で日本側の輸入業者からメキシコの石油についてはまだ難点があるということが言われている状況でございますが、長い目で見ますと、次第に少しずつふえていくということが望ましいと言われているわけでございます。
#156
○抜山映子君 いろいろ南米の諸国については不安定要素もあるわけでございますが、反面から見ますと、このように大勢の国が協調して公社をつくって連帯共同する形で地域の開発、雇用の促進を図るという意味では望ましいのではないかと我が党では思料するわけです。また石油の産油国もございますこととて、その安定的な供給を得る意味からもこのようなことに協力的でなくてはならないのではないか、このように思うわけでございます。
 そこで先ほど大臣いらっしゃらなかったので、日本が今後中南米に対してどのように基本的に取り組んでいくかお伺いいたしたいと思います。
#157
○国務大臣(安倍晋太郎君) 日本と中南米というのは伝統的な友好関係にもありますし、経済的にも相互補完関係にあるわけですし、それから九十五万人ぐらいの在留邦人、日系人が活躍をしている、そういうことで我が国とこうした伝統的な協力関係を持っておりますこれらの国々との間の関係を維持発展さしていくということが基本的に必要だと思っております。我が国の国際的地位の向上に伴いまして、中南米諸国の対日期待はだんだん高まっておりまして、我が国は従来より中南米諸国の要望に応じて経済交流及び経済技術協力を強化してきております。また最近では、債務累積問題等中南米諸国が当面している経済困難の克服のための努力にも協力してきておるところであります。
 今後とも我が国としては中南米諸国の経済・社会開発のための協力を一層進めるとともに要人等人的往来、文化交流等を含むより広範な分野における交流を推進し、相互理解と友好協力関係の増進に努めてまいりたいと考えております。
#158
○抜山映子君 この米州投資公社は、中小企業に投資するということがねらいだというように解説されておりますが、国によって随分違うでしょうけれども、大体中小企業の比重は、事業数とか従業員数ではどれぐらいの比率を南米では占めておるんでしょうか。
#159
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 私からお答えいたします。
 もちろん全体の国について非常に詳しいデータが集まったわけじゃございませんが、調べてみたところによりますと、国によって若干差異がございまして、ブラジルの統計では従業員数五百名未満の企業が中小企業と定義されておりまして、八三年末現在で、全登録企業すなわち三百万社のうちの九九・八%がそれに分類されるということでございます。従業員の数から申しますと、全登録労働者のうち二六・五%でございますところの八百五十八万五千五百九十人というのが中小企業に入っていると言われております。
 メキシコにおきましては中小企業の定義としましては、従業員が二百五十人以下ということになっておりまして、また売り上げ高が年十一億ペソ以下ということとされておりまして、メキシコ政府の統計によりますと、製造業部門に占める中小企業数の割合はこれまた九九%と圧倒的に数の上からいえば多いわけでございまして、その部門に雇用されております労働者数ということから見ますと、中小企業の占める割合は約五五%ということになります。また、このような製造部門が生産総額で占める比率、中小企業の占める比率というのは約四三%と見られております。
 最後に、アルゼンチンの例でございますが、アルゼンチンの工業連合会では従業員三百人以下の企業を中小企業と観念しておるようでございまして、少し古うございますが、一九七四年の国勢調査によりますと、製造業について従業員百人以下の企業の全企業に占める割合というものが企業数で九八・三%、雇用者数では五〇・八%、生産額では三五%という状況でございます。
#160
○抜山映子君 今ちょっと伺った印象では、事業数としては日本は九一%ですから、事業数としてはかなり多い。しかし、従業員数の方では日本は八十何%ですから、むしろ南米の方は従業員数としては非常に少ない。そうすると、結論からいうと大企業に雇用されている数が日本と比べて非常に多い、こういうように了解してよろしいんでしょうか。
#161
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 委員の御指摘のとおりだろうと思います。
#162
○抜山映子君 先ほど同僚委員の質問に、武器を製造する中小企業に対する融資というものは考えていない、こういうことを言われたわけなんですけれども、大体中南米地域の中小企業に位置する産業というのは日本とかなり業種が違うと思うんですけれども、どういうものが主体でございましょうか。
#163
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 先ほども申しましたが、中南米諸国、特にさっき例示しましたブラジル、アルゼンチン、メキシコなどはほぼ工業国に近づきつつあるところの途上国、中進国であるというふうに見てよろしいかと思うんです。特にブラジルなどは自由主義諸国の中のGNPが八位ということでございますから、サミット諸国に次ぐ順番を占めておるわけでございまして、かなり工業化が進んでいると見てよろしいと思います。そういう状況でございまして、日本の中小企業に比べればやや日本よりは工業化がまだ進んでいない段階、日本で申しますと昭和何年ごろか存じませんが、そのころの日本の中小企業の分野とそれほど変わらないんじゃなかろうかというふうに思います。
#164
○抜山映子君 しかし、ブラジルとかメキシコみ
たいな大きなところを除きますと名前も余り聞かない随分小さな国も加盟国に入っておるわけで、そういうところの中小企業の業種というのは日本とかなり違って衣料とか食品とか木材とか、そういうものが多いんじゃないですか。
#165
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 国々によって違うと思いますが、資源の豊富な国が多いわけでございまして、特にブラジルなど農業それから鉄鋼業なども盛んでございますからそれに関連した企業、特に中小企業も多いんではなかろうかと思います。
#166
○抜山映子君 日本では中小企業は大体下請中小企業が多いわけでございまして、またそのほとんどが一社専属型が多いわけなんですけれども、この南米諸国ではどのようなことでしょうか。
#167
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 詳しいことは私どもよくわからないんでございますが、日本の場合でございますと、例えば自動車産業は約八千ぐらいの下請会社がいると言われているわけでございますが、中南米の場合はそのような一社専属の中小企業があるかどうかという点につきましては私どもは実は情報を持ち合わせておりません。ただ業種という点で先ほどの質問になりますけれども、お答えいたしますと、メキシコの場合は代表的な中小企業としては家具、備品とか衣類とか出版、印刷、食料品、皮革製品等々という感じになっております。
#168
○抜山映子君 南米諸国では中小企業は家族の所有支配のもとに置かれているのではないでしょうか。家族形態ですね、要するに。
#169
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 確かに委員の御指摘のような傾向が強いというふうに理解しております。
#170
○抜山映子君 そうすると、特定のファミリーを富ませるという効果の方が大きくなって地域開発にはもうひとつ利しないのではないかと、こういうことを懸念するんですが、いかがなものでございましょう。
#171
○政府委員(堂ノ脇光朗君) うまくお答えしかねるんでございますが、やはり家族支配の強い企業でございましても一定の経済原則に従って資金の借り入れ、商売をするということではないかと考えます。
#172
○抜山映子君 多少細かくなるんですけれども、この米州投資公社を設立する協定の第五項「優先応募権」要するに増資のときの優先応募権ですね。この規定を見ますと、「それまでに応募した額の割合と等しい割合で資本の増額分について応募する権利を有する。」要するに比率を現状でずっと維持していこうと、こういうのが原則になっておるわけですね。しかしその後に「加盟国は、資本の増額分のいかなる部分についても応募する義務を負わない。」と、こういうようになっておるわけですから優先応募権に応じない場合もあり得るわけです。そうしますと、いつまでにこの優先応募権に応じなくちゃいけないのか、そして応じなければこの権利が消滅して応募しなかった分はどうなるのか、このあたりの規定がないわけなんですけれども、これはどういうように処理なさるわけですか。
#173
○説明員(木幡昭七君) この十ページにございます第五項「優先応募権」のところでございますが、確かにその具体的な細かいところは先生御指摘のとおり規定されてございません。しかし、増資の場合には当然関係国が集まって協議をするわけでございますので、その過程におきましてそういう細かいところは決まってくるというふうになろうかと思います。すべてその辺は理事会が決定すると、こういうことでございます。
#174
○抜山映子君 私が指摘したいのはケース・バイ・ケースで理事会が決めるんだということですと、将来の持ち株比率がどうなるのか予測がつかないということが言えると思うんですね。これは域外国、それから米国、そしてその他の国とこういうように分かれておりますから、例えば応募に応じなかった分は同じ圏内の国に割り当てられるとか、そういうことであれば割と将来の形が予測できるんですけれども、応募しなかった分が一体どこへ行くのかわからないというようなことでは、現在の姿が将来も続くのかどうかちょっとわからないという点が難点があると思うんですが、そのあたりはいかがでしょう。
#175
○説明員(木幡昭七君) ここに先生先ほど御指摘の「優先応募権」のところにございました「応募した額の割合と等しい割合で資本の増額分について応募する権利を有する。」これは権利としてそこを認めているわけでございます。したがいまして、それを希望しない場合にはそれは放棄し得るということでございまして、少なくとも当初持っておりました割合についてみずから放棄することなしにその国がシェアを減少される、そういうことはないわけでございます。
#176
○抜山映子君 それはわかっているんですけれども、じゃ応募しなかった分がどこへ行くのかこれではわかりませんね、そういう難点がありますねということを、同じようなことを今後政府としても交渉なさる場合があると思うので、私はそういう難点がありますねということを申し上げているんですが、それについてはいかがでしょうか。
#177
○説明員(木幡昭七君) その点は先生御指摘のとおりでございますが、この点も先ほど申し上げましたとおり、そういうケースが生じましたときに理事会において十分審議して決定をする、そういうことでございます。
#178
○抜山映子君 今後もこの種の協定が結ばれるときがあると思います。そういう場合のドラフトについて今の難点を注意して交渉に当たっていただきたいということを希望するにとどめます。
 次いで、総務会、理事会、執行委員会の構成の問題なんですけれども、総務会は中南米が一万一千株、アメリカが五千百株、日本、欧米が三千九百株、トータルが二万株ですね。それの三分の二が出席、定足数になるわけですね。ですから、一万三千三百三十四株を保有している者が出席すればいいわけですけれども、そうしますと、中南米とアメリカだけで十分一万六千百株ですから定足数も満たす。それから総務の過半数、これも全部が三十四カ国ですから十八カ国で満たすわけですね。そうしますと、中南米とアメリカだけで総務会はどんどん牛耳ることができる、こういうことが言えると思うんですが、その理解で正しいですね。
#179
○説明員(木幡昭七君) 数の上ではそういうことになろうかと存じます。
#180
○抜山映子君 それから理事会の方でございますが、米国から一名、南米から九名、それから日、欧から三名、合計で十三名ですね、その理事会の決議は理事の過半数ですか、ですからこれも南米だけでもできるし、南米と米国でもちろんできる、こういうことになりますね。
#181
○説明員(木幡昭七君) そのとおりでございます。
#182
○抜山映子君 それから執行委員会の方は、これが一番先ほど来久保田議員からも指摘がございました貸し付け及び投資の審査をすることになります一番重要な委員会でございますけれども、一名が米国、二名が南米、そして一名がその他から出て、しかもこれは四名ですから過半数でない場合には理事会の議長が投票することになっておりますから、そういう場合は三名で決議されるわけですけれども、この理事会の議長というのは現在どこの国がやっておりますか。
#183
○説明員(木幡昭七君) この組織はまだ実際につくられておりませんので、現在理事会の議長というのもいないわけでございます。
#184
○抜山映子君 私が説明の折に聞いたのは、米州開発銀行の総裁がなるようになっているんだと、メキシコ人がなるというように聞いておりましたが、その説明は正しくなかったのかしら。
#185
○説明員(木幡昭七君) この協定が実際に発効しまして、組織としてそういうものがつくられた場合には、先生今御指摘のとおりIDBの総裁が理事会の議長になる、そういうことでございます。
#186
○抜山映子君 そうすると今メキシコの方がやっているわけですね。
#187
○説明員(木幡昭七君) そのとおりでございます。
#188
○抜山映子君 そうすると、過半数ということになりますと、やはり米国と南米だけで決めることができる、そういうシステムになっており、それこそまさに米国そして南米の国々が望んでおるところだからそうなっておるんでしょうけれども、そういうことで日本がこれに関与しても余り発言権は期待できないという認識が正しいと思うんです。そういう意味で、今後数の上では余り発言権がないわけなんですけれども、ひとつなるべく中枢の理事国などに立候補して、その他の国を代表する立場から穏当な発言をして円滑にこの米州公社が機能するようにお願いして、私の質問を終わります。
#189
○立木洋君 この公社が、中南米地域における民間企業に対する投資などの拡大を促進する、資本の流れを進めるというふうなことで同地域における経済開発を促進するということになっているわけですけれども、問題は先ほど来いろいろ議論されておりますように、中南米の現在の経済事情がどうなっているのか、なぜそういう悪化した事態が生じているのか、そうした中でこうした公社の役割というのが本当にそういう事態になり得るのかどうなのかということは私は十分にやっぱり改めておく必要があるだろうというふうに思うわけです。
 それで最初にお尋ねしておきたいのは、先ほど局長も言われましたように現在の中南米の経済事情、これはなかなか大変な状況になって、八一年から四年間ですか、ECLAのあれによりますと経済成長はトータルではゼロになっている。そして、あれはメナ総裁の発言によりますと、ことしの三月の報告では現在の中南米における一人の生産、これが一九七七年とほとんど同じ状況だというふうなことが言われているわけですからなかなか大変な事情にあるということは察知できるわけですね。債務の問題、失業の問題、インフレの問題、いろいろな問題が山積みされている。そこで、先ほど今後の見通しの問題については、一九八四年二・六%の成長がトータルとして見えてきている。もともと中南米という国はいわゆるアフリカなんかと比べて経済的に脆弱だということじゃなくて、いわゆる外国の資本に依存し過ぎたという嫌いがある等々の問題点が指摘をされて、若干先行き前進の見通しがあるかのような御発言があったのだけれども、こういう経済的な問題というのが本当にここ数年間で打開されていくような見通しが果たしてあり得るのかどうなのか、あるいは米州開銀としてはそういうふうな見通しを立てているのかどうなのか、そこらあたりはどのように見ておいでになるのでしょうか。
#190
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 米州開銀の見通し、私存じないわけでございますが、中米諸国の経済全般につきましては先ほど委員の御指摘のあったとおりの状況でございまして、ECLAのことし発表されました報告によりますと、昨年経済回復を示して中南米全体で二・六%の成長率を示した。これはかなりの部分世界的、特にアメリカを中心とする世界経済の回復に助けられたという面があるわけでございますが、世界景気の先行きといったものについても、どこまで、いつまでそれが続くか、楽観できるかといった要因もございますし、なかなか予測が困難であろうと思うわけでございます。ただ、全体的にもう少し長期に眺めてみますと、やはり中米地域は、六十年代、七十年代特にNICSと言われるようなブラジル、メキシコなどの目覚ましい発展があった。その発展の中で少し借り入れが多過ぎたということはございますけれども、何と申しましても資源の多い国もございますし、また国民も、他の地域と比較するのはどうかと思いますが、かなりバイタリティーといいますか、意欲を持って経済建設に努力をしている。そういうことから考えますと、累積債務の問題はございますが、これは何といっても外部からの信頼を失ったことによる資金の流入からくる困難、手元不如意からくる困難、破産状態というよりはむしろ流動性の問題と見る人たちが多いわけでございまして、そういうふうに考えてまいりますと、全体としては先行きは希望を持てるのではないかという感じを持っております。
#191
○立木洋君 確かにこの中南米の地域が対外的に経済的にも依存しているといいますか、非常に緊密な関係にある。だからそういう意味では資本の流れが変わるということが一定の意味合いを持ち得るということを否定するつもりはありませんけれども、しかし今の中南米の経済状態を見れば、問題はどういう点にこういうふうな事態になった原因があるのかということを総合的に判断して、その中で資本の流れが変わるという問題がどういう意味を持ち得るのかやはり見る必要があるのではないかと思うのですが、総合的に見て中南米の経済が悪化している原因というのをどういうふうにごらんになりますか。
#192
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 中南米諸国が抱えております最大の問題が累積債務問題ということになっておりますが、その累積債務問題に関するこれまでの反省と申しましょうか、それによりますと、やはり一つには七三年、七九年あたりの石油危機でオイルダラーがだぶついたわけでございますが、その投資先を求めた、そしてまた安易にそういう資金が安く、ドルのインフレの中でむしろマイナス利息ぐらいで借りられたということから、貸し手にも責任があるけれども借り手の側にも安易に借りてしまったということがあった。国によりましては、軍事政権でございましたブラジルとかあるいはアルゼンチンとかそういうところでは、国営、公営企業が多過ぎましてどうしても殿様商売的にどんどん借りてかなり無暴な事業に投資を行ったということが反省されているというふうに言われておりまして、そういうところにやはり大きな原因があったのだろうと、貸し手の側にも責任があったかもしれないけれども、借り手の側にもかなり放漫な経済運営、赤字経営とかあるいは賃上げとか、そういったことをもう少し節度を持ってやるべきであったところがそうでなかったということに原因があると言われております。
#193
○立木洋君 昨年のキト宣言ですね、あの中でも指摘されておりますけれども、やはり問題をよく見てい必要があるのは交易条件の問題、これは非常に悪い条件に依然としてあるし、これが改善されるのではなくて、依然として悪化する方向があるという問題点というのが一つ大きく前提としてあるだろうと思うんです。債務問題というのは、そうした結果生じてくるいろいろなことですから、もちろんそうした債務の問題についても言えば、金利の過度の引き上げだとか、あるいは資本の流れを突然変化したとかいうふうな指摘がされて、去年の後半でしたかね、行われました中南米の債務国会議の席上でも、今言われたように問題点が指摘されて、先進工業国の高金利と保護主義の二つを挙げて問題点が指摘されるというふうな状況にあると思うんですよ。ですから、やはり中南米全体の本当に経済の開発あるいは回復といいますか、これの方向を目指すならば、そういう意味では交易条件を改善していくような努力がやっぱり先進国の側からも図られる、あるいは一次産品の国際的な協定の促進により価格や商品の流通の安定化を図るとか、あるいは高金利の問題に対する是正の努力をするとか、総合的な努力があって初めて資本の問題ということも念頭に置かなければならないというふうに考えられると思うんです。
 それで先ほど来言われたアフリカの開銀などの問題とは違って、民間に対する直接投資ということがある。それからアジアの場合には極めてそれが少ない、またそういう声がない。しかし、ここの場合にはそうした状況が存在している。もちろん資本の流れを、流入を求める声があるということを否定するわけではないし、それがすべて問題だと言っているわけじゃありませんけれども、民間に対する直接投資が、一方では雇用だとか所得の増大をもたらしますけれども、しかし、これまで世界的に見た中でいろいろと問題をも引き起こしておるという側面をやっぱり見ておく必要があるだろうと思うんですね。
 それでお伺いしたい点は国連で採択されました経済権利義務憲章、これは日本の政府は残念な
がら棄権をしているわけですが、この中で挙げられている第二章の第二条第二項、ここに民間投資に関する問題で、いわゆる受け入れ国側の権利を主張している部分があるわけですが、こういう内容から見てこの投資規定はどういうふうに判断されますか、投資公社の設立はどういうふうに判断されますか。
#194
○政府委員(堂ノ脇光朗君) とりあえず私の方からお答えしますが、中南米諸国の間では、確かにかつて外国資本に支配された記憶もありまして、その後投資に対しては非常に慎重になったといいますか、そういう時期もあったわけでございます。そういうことから投資よりは金を借りた方がいいじゃないかという気持ちもあって、先ほどのように累積債務が膨れ上がってしまった。これはもちろん高金利とか、いろんな要素によって膨れ上がってしまったわけでございます。そういう中でまた最近の傾向、特にキト宣言の後に開かれましたカルタヘナ会議でございますが、そこでカルタヘナ会議を主宰しましたコロンビアのべタンクール大統領は、やはり投資を受け入れた方が、投資であればそこに定着する資金でございまして、元本を返済する必要もない、あるいは技術移転もあるかもしれないということでだんだんと投資に対する考え方を改めてきておる。そして政府からの公的な資金と申しますか、投資、経済協力、融資も欲しいけれども、民間の投資も奨励したいというのが最近の主な傾向ではないかと考えるわけであります。投資公社もその中につくっていると考えます。
#195
○立木洋君 この投資公社の内容から見ればもちろんそうなっているわけですけれども、投資する側の利益の保証という点ではいろいろな面が配慮されている。しかし、今度投資される側の問題については、もちろん公社の設立ですからそういう面でも一定の規制を加えておく必要があるということがないと、受け入れた場合、それは投資公社からいろいろの側で受け入れてみたものの実際にはうまくいかぬではないかという批判が起こってくるのは私は当然だろうと思うのですね。
 そういう見地から問題を見ますと、例えば今まで直接投資を行ってみた統計、これは低開発国、非同盟諸国等々が出しておる前回の非同盟諸国会議の内容を見てみますと、一九七〇年から八〇年の直接投資純流量に対する本国送金利益の比率は、同じ期間の投資純額一ドルにつき本国送金七ドル以上であったと。だから、投資率、受ける側は一ドル受けた、それが本国に対して純利益として送金されるのが七ドルある、こういう金の流れになるということが批判的に出されているわけですね。
 それから、あるいはまたこれは先ほど来利率の問題で問題にされましたけれども、実際、利息ですか、一三%ということで非常に高いという意見、指摘もありましたけれども、例えばこうした低開発国の場合、企業の労働者の平均時給を見てみればほぼ四十セントである。それがアメリカの場合には類似の仕事で平均時給が四ドル以上だと。だから言葉を言いかえれば、いわゆる資源がある、そして労働力の賃金が極めて安い。そこで、高い利潤、利益を上げる、収益を上げるために保証された形での投資が進められていくというふうな形に一方なる。だから、他方、資本を受け入れる側としては、やっぱり自分自身も完全に経済開発に対して利益をこうむるような状態ならば、それにふさわしい規制だとか保証だとかということがなければ、これは多国籍企業なんかがどんどん入ってきて、資本が入ってきて、それで利潤だけはどんどん吸い上げていくけれども、実際には残されてみたら経済自立は成り立っていないというふうな結果になるおそれがこの公社の場合あり得るんではないか。これは私はまだ時間の関係で詳細に一条一条全部分析はしてないけれども、そういう危険性があるんではないか、今までの直接投資がもたらした弊害から見るならば。こういう点はどういうふうにお考えになっていますか。
#196
○政府委員(堂ノ脇光朗君) 委員の御指摘のような問題点については十分私ども理解できるわけでございますが、ただ同じ開発途上国の中でも中南米諸国は一つのグループをつくっておりまして、投資問題についてはまた若干ニュアンスの違う立場をとっているところです。必ずしも、投資自体が投資国側による利潤の奪といいますか、投資した以上に利潤を持っていくというふうに見た時期もあったわけでございますが、最近になってきて、借金で利息で苦しむよりもやはり土地に定着する投資をしてもらった方がいいということで、次第に、投資については従来から非常に厳しい条件をつけておりまして投資のうまみがなかったわけでございますが、それを投資がうまみがあるように、投資した側にもそれなりの努力には報いるという体制をつくらなければ流れてこないということを認識しつつあると私ども考えております。
 先ほど申しましたように、カルタヘナ会議を主宰しましたコロンビアのべタンクール大統領はこの点を非常に強調していまして、借金よりも投資のパックの方がありがたいということを言っているぐらいでございます。ただ、それにもかかわらず、従来からの投資に対する懸念ということがあって、各国とも投資に対してはかなり厳しい規制をやっている。これは世界のほかの地域の途上国と中南米地域の若干の違いを示しているのではなかろうかと考えております。
#197
○立木洋君 時間があれですから私はきょうはもう繰り返しませんけれども、先ほど来の同僚議員の指摘によりましても、やっぱり今後の理事会あるいは執行委員会ですか等々の協議に重要な事項がゆだねられる。こういう事項というのは非常に多いですね。この中でも、株の持ち方から見ても、一株一票ですからどういう影響力が行使できるかということはもうこれを見たら一目瞭然なわけですよね。ましてや、アメリカが、先ほど来問題にされておりますように、経済援助というのを戦略的に用いるという対応というのをますます強めてきているという状況を考えますと、この公社の中でこれほど重要な影響力を行使し得る立場にある国が、また重要な諸問題が今後の協議によって決められるという余地が多分に残されているということを考えに入れるならば、やはり問題点は私は少なくないんじゃないかという懸念を持つんですよ。
 一つだけ例を挙げてお尋ねしたいんですが、例えば今度の場合にも、金を貸し付ける問題等についても、投資の問題についてもその国の政治的なあれによって影響されないというふうなことが十九ページに書いてありますね。「いかなる決定を行うに当たっても、関係加盟国の政治的性格によって影響されてはならない。」という趣旨のことが書いてある。これと同じ趣旨のことが、米州開発銀行の設立に関する協定の中でもこれがうたわれていますよね。これは第八条の組織及び運営の中の第五項(f)のところに、決定を下すに当たって、関係の加盟国の政治的特性に影響されるものであってはならないということもここに書かれてある。だから私は同じ趣旨のものだと思うんですが、ただ問題になってきますのは、今回ニカラグアに対する農業援助、農業開発のための援助ということが米州開銀でいろいろと決められてきたにもかかわらず、この点についてアメリカはこれに対する政治的な介入をして、そして米州開銀がニカラグアに農業開発のための貸し付けを行うならば、これを中止しないならば、出資を引き上げると言って同銀行に対する態度表明をとっているというふうなことがあるわけですね。こういうことになってきますと、実際にはそういう重大な比重を占める、株の所有の比重を占めるアメリカがそういう態度をとるならば、この公社自身が本当にそういう中南米における経済開発で公平な、そしてその国の経済自立にも資するような、そういうことが本当になし得るのかどうかということの疑問をどうしても感じざるを得ないんですが、この事実とそういう点についての、後で外務大臣に最後にこの点についての見解を伺いたいんですが、その事実関係はどうなっているのか、御承知でしょうか。
#198
○説明員(木幡昭七君) 私どもが聞いている情報
によりますと三月十二日の米国の上院外交委員会国際経済政策小委員会における国際開発金融機関に関する公聴会におきまして、コルフォード財務省次官補は、米政府は国際開発金融機関における融資決定に際しては、専ら経済的基準及び議会よりマンデートを受けている人権等の問題のみを考慮している旨述べるとともに、ニカラグアに関しましては同国の経済パフォーマンスの悪さや国際開発金融機関、世銀とかIMFでございますが、国際開発金融機関への返済義務履行に消極的であるというような問題点を指摘しつつ、これを契機としてニカラグアが返済義務履行を行うことを期待している、こういうことを発言したというふうに聞いております。
#199
○立木洋君 大臣、ちょっとその事実関係をもう少しはっきり言いますと、ことしの五月十五日に中南米経済機構が開かれて、二十四カ国がこれに参加をして全加盟国、チリを除いてですが、そこの決議では、すべての国は経済的、社会的、政治的進路を外部の干渉、圧力、圧迫なしに自由に選ぶ権利があるということを明確に述べて、この地域の経済的安定を侵し、中米の緊張を高める抑圧措置を、経済制裁措置を米国がとっているということを厳しく非難をして、そして米国に対して米州開発銀行への政治介入をやめるようにということを決議の中で述べているわけですよ。その農業開発援助ということをやるべきだと。そしてそういう圧力をやめるべきだということを述べているわけです。
 まさに米州開銀の中ではここに、先ほど言いましたように政治的な性格によって影響されてはならないということを言っているから、アメリカ議会の中では純粋に経済的な問題ですと言っているけれども、二十四カ国が参加して開かれた中南米のこの経済機構の中ではそういう決議までされているんですから、やはりそれは正当に運用されるという見地に立つならば、そういうことはやはり改めさせなければならないというふうに考えるわけですが、その点についての大臣の見解だけを伺って、きょうのところは質問は次に残します。
#200
○国務大臣(安倍晋太郎君) 今これはIDBの融資に関してだろうと思いますが、この当該の案件につきましては、当該案件が対象国の経済情勢に十分な配慮が払われた適当な融資案件である場合にはこれを支持する方針を我が国としてはとっておりまして、したがってニカラグアに対する本件融資案件についてもこの方針に従う、こういうふうにいたしたい、こう思っておるわけであります。
 ラ米の経済機構臨時理事会が開催をされまして、米国の対ニカラグア経済制裁措置が討議されたことは承知しておりますが、最終的な決議案はまだ入手をしておりません。しかし米州開銀というのが、これは政治的ないわゆる内政干渉的な融資とか、そういう投融資というものはやってはならないという米州開銀の基本的な原則がありますから、米州開銀としてはそれに基づいてやるというのがこれは当然のことであろうと思います。
#201
○秦豊君 なるべく早くIIC、米州投資公社の本題に入りますけれども、その前に少し大臣に伺っておきたいことがあります。
 もう御高承のとおり、二十一日に発表されたアメリカの経済見通しですね。ことし第一・四半期の実質経済成長率が大幅に下方修正された。つまり〇・七%の伸びにとどまった。もちろんこれについては当のアメリカ国内でもエコノミストや、まあ官庁エコノミストを含め、経済学者を含め見解がほとんど中間の意見がなくて両極に二分されていますから、何とも透明な見通しは持てないにいたしましても、これが我が国に与える影響というのは必ずしも無視できないと思います。
 それで、今までの反応の中では、さすがに澄田日銀総裁の方は、ドル相場への影響の方を第一義として注意深く見守っていくという、非常に言葉を選んだ反応を述べているし、大蔵省の方は首脳の言明として、個人消費は依然としていい方向だし、むしろ上方修正だし、要はドル高で輸入がふえたところに、根っこに問題点がある。だからそれほどどうこう言うほどではないという、つまりこれは悲観論否定の見解ですね。ところがこうした反応の中で外務省首脳の二十二日夜の見解として、日本としては内需拡大のための財源対策が今や必要である。したがって今年度補正予算編成ということも政治上否定ができないのではないか。つまりこのことは国内要因というよりは、国内要因も入るんでしょうけれども、対外的な他動的見地から補正予算編成の必要性に触れる発言をしているわけです。この報道はさらにコメントがついていまして、その外務省首脳というのは、これまでは持論として内需拡大のためには民間活力活用、規制緩和等が主体であるべきであって、財政とか予算絡みのことにはほとんど触れていない論者であった、それだけに発言に目新しさがあるという観点のコメントがついているわけです。
 そこで安倍外務大臣、即断はできないにしても、こういうかなり重要な動向に対して外務省首脳の発言も織り込んで、大臣としては当面この段階でどういうふうに見ていらっしゃいますか。
#202
○国務大臣(安倍晋太郎君) まだその外務省首脳の記事は私読んでおりませんけれども、このアメリカ経済の成長率が第一・四半期〇・七%になったということについては私も注目をしておるわけで、確かに個人消費が依然として堅調である、設備投資もまあまあであるわけですが、この大きな原因は輸入が三一・四%と伸びているというふうなところにも大きな原因があるわけですから、安定成長基調というものに果たして大きな変化があるかどうかということになると、今それを変化があると即断するわけにいかないと思いますね。自動車の売れ行きだとか、あるいは住宅等の建設の状況等を見てみますと比較的堅調な面もあるわけですが、ただ成長率が昨年後半より鈍化傾向をずっと示しておるということは事実でありますから、やはり米国経済の動向というものにはこれは注目をしていかなきゃならぬと思っております。
 これはひとり米国経済にのみとどまらないでこれが世界経済に与える影響は大きいわけで、実は私はきのうはOECDのペイユという事務総長とこの問題について論議したわけですが、その際ペイユさんはむしろ三%から三・六%ぐらいにことしのアメリカ経済というのは、一%前後多少ずれはあるだろう、しかしそういうところに行くんじゃないかと比較的安定成長という方向でOECDは見ているようでありますが、しかし今の下降現象ということを見ると、そして今の不確実性の経済情勢ですからなかなか楽観もできないような状況じゃないか、こういうふうに私は思っております。
#203
○秦豊君 その点で私が後段で伺った外務省首脳のこれはあくまで個人的見解としての補正予算編成の必要性、こういう点についてはこの時点では大臣はどうですか。
#204
○国務大臣(安倍晋太郎君) とにかく七月までにいわゆる市場アクセスの改善を含めたアクションプログラムをつくらなければなりませんし、その際にやはり内需振興の問題等もこれは当然政府・与党として議論しなきゃならぬわけでありますし、それまでの間のアメリカの景気だとか、これからの日本の輸出入の動向とか、そういうものを踏まえながら、もっと検討、そして事態を見ながらその時点で判断をしなきゃならないんじゃないか。私は基本的には今の規制緩和とか、民間活力の推進とか、そういうものによって内需の振興を行うべきである、これはサミットでも各国とも財政というものについてはそれぞれの国が問題を持っておりますからそういう方向で内需の振興を図るべきだ、図らなきゃならぬということで合意したわけで、そういうことが基本的には筋であろうと思いますけれども、これからの状況次第によっては果たしてそういうことで済まされるかどうかという点はやはりこれから一、二カ月の状況を見なきゃならぬ、そういうふうに思います。
#205
○秦豊君 確かに大臣もおっしゃったとおりでして、所得減税といってもすぐじゃ財源はと、マル優刷新といっても抵抗が大き過ぎる、規制緩和といっても百三十あるやつを横断的にどう洗い出し
て本当にびしびしとどうやっていくのか、即効性がない。諸外国は好感視しています。そうすると、いろいろ選択肢を消去法で消していった場合、この外務省首脳のずばり語っている本年度補正予算というのは否定できないんじゃないかという一つの指摘というか、とらえ方は意外に最後まで残ってくる選択肢じゃないかなという気が私はしてならないんですよ。どうでしょうかね。
#206
○国務大臣(安倍晋太郎君) これはこれから全体的に判断をして十分議論しなきゃならぬ問題だと思うわけでありますが、広い意味の選択肢の中には確かにこれは含めて検討、研究はする必要もあるかもしれない、やはりこれからの情勢というものが大きく関連してくると思います。
#207
○秦豊君 今の大臣に申し上げたアメリカ経済の動向にこれは直結するんですけれども、アメリカの上院が強いアメリカを目指して一路ばく進してきたレーガン路線にいわば立ちはだかる感じで実質五・六%の国防予算増額についてはノーを打ち出した。今度は下院の番になるわけですが、下院の場合は、大臣もう熟知されているように、あの雰囲気と勢力分布でなおさら民主党優勢の中にその案が持ち込まれる。一部の観測では恐らく上下両院の合同協議会の場にゆだねられて、それで調整、修正する。修正しても実質〇%ではないか、ということは削減になりかねない。これはレーガン政治にとっては初めての対内政治上の最大の敗北につながりかねない。それを受けてペンタゴンとか国務省の一部、これは一部だそうですが、こういうことになると、これは不可避の動向だから、NATOの各国であるとか、特に同盟国日本に対して五九中業を基軸にして強力に増強、増強という要請を続けたいんだけれども、どうも要請が打ち出しにくくなったという珍しくさめた声が聞こえ始めているとされております。私、だからというわけではなくて、これは外務大臣でもあり、国防会議の重要な構成メンバーでもいらっしゃる安倍外務大臣、総合安全保障関係閣僚会議の枢要な一員である安倍外務大臣、そういうさまざまな立場を踏まえられて、私もこれから国会論議で大いに深めていって、恐らくヨーロッパ議会でもかなりやると思いますね、やっぱり僕はこの五九中業、もう七月末にひっくくって、そして国防会議をなるべく早期に開いて来年度予算編成に反映する、こういう路線にのみのめり込むんじゃなくて、アメリカのこの動向を冷静に受けとめながら、では同盟国としての応分の貢献というスタンスの中でなおかつ財政再建を堅持するという日本の行政選択としてはやはりいい機会だから立ちどまって考えようと、踏みとどまろうという思考があって私は当然ではないかと思いますけれども、国務大臣としての安倍大臣、この問題はどうでしょうか。
#208
○国務大臣(安倍晋太郎君) これは私がとやかく言う筋合いでもないかもしれませんが、私は日本の防衛政策、特に五九中業のこれからの取り組み方の問題がアメリカの議会の動きに左右されるということであってはならない、その必要も私はないのじゃないかと思うんです。アメリカの議会が果たしてどういう結論を出すかというのはまだまだ様子を見ないと結論的にわからぬわけですし、日本の五九中業についてはいろいろと作業が進んでいるわけで、これは日本の場合はいわゆる防衛大綱を実現していく、実施をするという基本的な立場でいわゆる継戦能力の近代化というための五九中業の策定でありますから、ですから、これはこれなりに日本独自でアメリカの議会とか、あるいはまたアメリカのその他の経済だとか財政とか、そういう情勢とは離れて日本自体の問題として考えていくべきことではないだろうか、こういうふうに思っております。
#209
○秦豊君 それから、その後リビア駐在それからシリア駐剳、レバノン駐剳、イスラエル駐在を含めて在外公館からそれぞれのチャンネルを通じて大臣に寄せられてきたさまざまな報告の中で、現在はトリポリないし近郊にいると言われている岡本公三についての新しいものは大臣のところには届いておりませんか。
#210
○国務大臣(安倍晋太郎君) いろいろの情報が入っておりますが、どれが正確なのかちょっと我々も判断しかねておるわけですが、とにかくはっきり言えることは今トリポリにおるということでありますし、そしてこれが一時的なものであろうと思いますが、時間がどういうことになりますか、一時的というのが一週間なのか一月なのか、健康の問題も確かにあるようでありますし、その滞在を経てシリアの方へ向かうのではないだろうかと、この情報が一番多いように思いますですね。
#211
○秦豊君 田邊社会党書記長がピョンヤン滞在中、きのうの会談で、午後だと言われていますが、北朝鮮側の要人にただしたところ、ただしたということは、シリアは経由地にすぎないんだ、目的地はお国なんだという観測もあるんだがそれについてはどうでしょうねと、こうさらっと聞いたら、政府都内で検討してお答えすると。いきなりにべもなく切って捨てないで政府部内で検討して社会党にお答えする、こういうことを言っておりますので、それはもちろんわかりません。当面はダマスカス近郊だと思いますけれども。
 そこで、残された時間IICの問題をお尋ねしておきたいと思うんですが、最初に、同僚議員もさんざんお触れになっていらっしゃるしこれからも当然切っていくと思うんですけれども、第三条の「業務」に非常に礼々しくいろんなことを書いてあるんですね、八項目にわたって。ところが授権資本二億ドルのこのIICが、協調融資はよくわかっていますけれども、こんな礼々しく列挙された事業というふうなことを具体的に展開していけるのかなという疑問がまずあるわけです。これどうでしょうかね。
#212
○説明員(木幡昭七君) 先生御指摘のように公社の当初の授権資本は二億ドルでございます。公社としましては、当面問題にはならないと存じますが将来の可能性としては増資という可能性も残されておりましょうし、また公社は現在の規模の授権資本であっても借り入れ、協調融資、これは先生お触れになられましたが、協調融資及び資金効率を高めるといった政策をとることなどによりましてより大きな資金の動員が可能となるわけでございます。したがいまして、今後公社の運営についてこの当初の授権資本の規模が大きな障害になるということは余り考えられませんで、むしろこの規模であっても十分な活動効果が期待できるというふうに私どもは考えている次第でございます。
#213
○秦豊君 安倍外務大臣、これまだ私もよく勉強する必要があるんですけれども、日本外交ないし日本の行政の選択としまして技術協力は二〇%ラテンアメリカにやっているわけですが、ODAが八・三から九・二、三、一〇%内外ですね。そうすると、行政選択として私は国費を支出する金額は三億七千百万円、そう大きくないじゃないか、日ソ漁業の問題に比べたらこれは小さいじゃないかという印象は否めないんですよ。だけれども、行政選択としてより賢いまた誠実な対応としても、私は安倍外交になってから着実に伸ばしてこられたODA、これを忠実に、また着実にずっと強化していく、こういうことでもって十分に国際的義務というものは果たせるわけであって、こういういろんな問題点を含んだものに協賛する、参人するという路線よりも僕はODA路線というのがあるんだから、こういうものはむしろ小さい選択肢じゃないのかと思えてなりませんが、どうでしょうか。
#214
○国務大臣(安倍晋太郎君) 確かに日本のODA政策を拡充していかなきゃならぬと思いますし、特にODAの中でも二国間の協力関係といいますか、援助はこれも拡大していきたいと思いますが、やっぱり一方においては多国間援助といいますか、多国間協力というのも私は必要じゃないか、ですから、これはいわば多国間の協力ということになってくるわけなんですね。こういう行き方というのも日本が広く国際的な貢献をする場合に一つのあり方だと思っております。特に今度の場合はニカラグアも含めた南米の多くの国が加入して、そして彼らはやっぱり民間に対して投資を
求めておるわけですから、私はいろいろと見方はありますけれども、これはあくまでも内政干渉というのは排除しておりますし、これが経済開発という純粋な目的に限って行われるということになるわけですから、そうなってくれば、やはり投資公社というものの効用というのも相当期待はできるんじゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけですが、投資公社というのは、米州銀行でなかなかできない中小企業分野に対するむしろ独立した米州銀行の姉妹機関になるわけですが、独立した形の融資の機関ですから、主として中小企業対象ですから、それは私は今の中南米にとっては必要なことじゃないだろうか、求められていることじゃないだろうか、こういうふうに思っております。
#215
○秦豊君 それから、アメリカとニカラグアのことをちょっと確認しておきたいんですけれども、今のところアメリカ議会のブレーキがかなり強力でして、ホワイトハウスも独走はもちろんできない。したがって、周辺で演習を強化するぐらいのことは、デモンストレーションは軍事的、政治的に行えるけれども、なかなかあれ以上は僕はできないだろうと。またそう期待したいんだけれども、アメリカ・ニカラグア関係について専門職としてはどういう感触を持っていますか、今後の見通しは。
#216
○説明員(小野純男君) 私どもといたしましては、米国・中米問題につきましてはコンタドーラ・グループの和平努力、これを重要視しております。このコンタドーラ・グループの和平努力は中南米の域内努力ということで非常に特徴がございまして、この点では中近東とは異なっているところでございます。このコンタドーラ・グループはもう二年半近く努力を行ってきておりまして、二十一の目的文書、これは合意を見ておりますし、今コンタドーラ中米和平協定の達成のため努力しておりますが、この中の一つの重要な中身が中米の各国におきます国内の融和と民主化、この推進が重要な内容になっております。米国といたしましては、私どもが推測いたしまするに、このニカラグアにおきます国内の融和と民主化、これを非常に強く求めてきておりまして、このための、言ってみれば一つのてことして最近の措置をとったんじゃなかろうかと思っておるわけでございます。
#217
○秦豊君 終わりましょう。
#218
○委員長(平井卓志君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時十分散会
ソース: 国立国会図書館
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