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1984/04/18 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第9号
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1984/04/18 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第9号

#1
第102回国会 法務委員会 第9号
昭和六十年四月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十六日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     安井  謙君
     佐藤 昭夫君     宮本 顕治君
 四月十七日
    辞任         補欠選任
     水谷  力君     河本嘉久蔵君
     柳川 覺治君     石本  茂君
     吉川  博君     徳永 正利君
     吉村 真事君     川原新次郎君
     宮本 顕治君     近藤 忠孝君
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     吉村 真事君
     河本嘉久蔵君     竹山  裕君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大川 清幸君
    理 事
                海江田鶴造君
                小島 静馬君
                寺田 熊雄君
                飯田 忠雄君
    委 員
                竹山  裕君
                土屋 義彦君
                徳永 正利君
                名尾 良孝君
                吉村 真事君
                小山 一平君
                橋本  敦君
                近藤 忠孝君
                柳澤 錬造君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  嶋崎  均君
   政府委員
       法務大臣官房長  岡村 泰孝君
       法務大臣官房会
       計課長      清水  湛君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
       法務省刑事局長  筧  榮一君
       法務省訟務局長  藤井 俊彦君
       法務省人権擁護
       局長       野崎 幸雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   説明員
       大蔵省主計局主
       計官       吉本 修二君
       国税庁直税部資
       産評価企画官   山口 省二君
   参考人
       筑波大学教授   穂鷹 良介君
       株式会社東芝総
       合研究所情報シ
       ステム研究所所
       長        森  健一君
       労働省産業医学
       総合研究所労働
       保健研究部長   山本 宗平君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、佐藤昭夫君及び森山眞弓君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君及び安井謙君が選任されました。
 また、昨十七日、水谷力君、柳川覺治君、吉川博君、吉村真事君及び宮本顕治君が委員を辞任され、その補欠として河本嘉久蔵君、石本茂君、徳永正利君、川原新次郎君及び近藤忠孝君が選任されました。
 本日、石本茂君及び河本嘉久蔵君が委員を辞任され、その補欠として吉村真事君及び竹山裕君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大川清幸君) 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、お手元に配付の参考人名簿のとおり、筑波大学教授穂鷹良介君、株式会社東芝総合研究所情報システム研究所所長森健一君及び労働省産業医学総合研究所労働保健研究部長山本宗平君の三名の方々に参考人として御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案につきまして忌憚のない御意見を拝聴し、今後の審査の参考にいたしたいと存じております。
 また、議事の進め方といたしましては、まず参考人の方々からそれぞれ十五分程度御意見を述べていただき、その後、委員の質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じておりますので、よろしくお願いをいたします。
 それでは、まず穂鷹参考人からお願いいたします。穂鷹参考人。
#4
○参考人(穂鷹良介君) 筑波大学、穂鷹と申します。
 まず、本件とのかかわり合いでございますけれども、私は法務省の不動産登記業務を行うためのパイロットシステムの評価委員といたしまして二年ほど従事しておりますが、主にコンピューターのハードウエア、ソフトウエアの技術的側面からの検証に携わってまいりましたので、きょうは主に技術的な側面から意見を申し述べたいと思います。
 一応三点にまとめましてお話をさせていただきます。一番は、計算機技術の一般動向と登記事務の関係についてでございます。二番目は、現在板橋登記所で試行されておりますパイロットシステムの評価とその将来の見通しについて申し述べたいと思います。最後に、登記事務システムの意義、日本国の情報処理の中での位置づけに関しまして意見を述べさしていただきたいと思っております。
 まず、計算機技術の一般動向と登記事務との関係でございますが、これが可能になりましたのは、何と申しましても計算機のハードウエアの技術が近年著しい発展を遂げたということ、これが本システムを可能にした原因でございます。例を申し上げますと、私が学生時代に部屋いっぱいに広がっているコンピューターを使ったことがあるわけですが、ほぼ同じ機能のコンピューターが現在は手のひらに入るという状態になっております。その結果、日本語の処理が従来のアルファベット並みになった、全く同じというわけではございませんが、ほぼ近くなりました。
 これはどういうことかと申しますと、英文字の種類の表現には現在までに八ビットという単位が必要でございます。八ビットと申しますのは、一ビットというのは二つの状態を表現する単位でございまして、したがって一ビットで二個、二ビットで四個、三ビットで八個の状態を識別します。ですから、八ビットで二百五十六個の状態を識別するわけでありまして、これでアルファベットはオーケーなんですけれども、漢字はそうはまいりません。現在は漢字を十六ビットでもって表現するのが主流でございますけれども、その場合ですと、約六万五千ほどの状態を識別いたしますので、八ビットのものを十六ビットにふやしても耐えられる、そういう状態にハードウェアの進歩がなったためにこのようなシステムがかなり先が見えてきた、そういうことになっております。
 かつ、そういう場合には係員の一人一人にそういう漢字などを入力したときに一人一人がそれを計算機の方で正しく受けつけるようなかなり高度のコンピューターが必要になるわけですが、そのコンピューターも非常に安くなりまして、昨今言われておりますワープロというものでございますが、そういうもので可能になった、これが登記事務というような膨大な事務処理を行うものを可能にした理由でございます。
 それから次に、板橋で行われておりますパイロットシステムの評価と将来の見通しについて申し上げます。
 現在行っておりますパイロットシステムのやり方は、登記簿を扱うのに例えて申しますとコピーマシンが登記簿を見るような見方ではなく、あたかも登記官がその内容を見るような見方、こういう方式でやっております。どういうことかと申しますと、登記簿の記載事項を計算機が一字一字読んでその意味を正しく理解するという方式をとっておるわけです。
 計算機が意味を理解するということはどういうことかといいますと、例えばおもちゃの自動制御を備えた自動車をちょっと考えてみますと、入力信号の中に例えばとまれとか、あるいは右とか左とかという入力信号が入ってきたといたします。そのときにおもちゃの自動車の方ではとまれという文字に等しい入力信号があらわれてきたときにストップさせればよろしいわけですし、右という文字が来たときには右の方に行くように制御をすればよろしいわけです。つまりその場合計算機は意味は知っているかどうかはわからないんですけれども、外見上は意味を知っているかのごとく動作をさせることができる、こういう感じで登記所の方の処理がなされている、こういうわけであります。
 ですから、抵当権を設定するとはどういうことか、それは一体ほかの登記簿にどのような関係があるかということは、それなりの処理を行えば人間が意味を理解してやったかのごとく事が結果としては生じてしまうわけです。当然のことですが、そういう考えるケースが非常に膨大なものになりますと、それに応じてプログラムが膨大なものとなります。ですから今回のシステムは非常に膨大なものでありまして、それは登記事務の複雑度に応じてプログラムが複雑化しておる、こういうことになるわけであります。
 板橋で行っておりますパイロットシステムでは、最初にマンションの区分所有関係を扱うものを対象といたしました。これは登記事務の中では非常に複雑なケースについて行ったわけでありまして、これに比較いたしますと、一戸建ての場合あるいは商業登記等の処理は今までになした仕事に比べるとやや簡単である、こう申せましょう。つまりそれは一番最初に複雑な部分をクリアいたしておりますので、これから大体どういうことが期待できるかということがそれでかなりわかったということになるわけであります。
 現在の状況でございますが、安定的かつ安全に運用されております。私はシステムのハードウエア、ソフトウエアについての検証を行いましたけれども、満足すべき品質でございました。それから障害に対しましても満足すべき対応体制がしかれておったと思います。開発されたソフトウエアは民間にもう少し大きいのもありますけれども、官庁関係では国内でも有数の巨大なシステムでございまして、およそ先ほどのプログラムのステップ数にして百万前後の巨大なものでございまして現在も増加中でございます。開発担当は国産のメーカーの二社が行いましたけれども、その二社、それから法務省ともに大変立派な仕事をなされたというふうに私は思います。このことによって全国展開の技術的可能性が実証されたと、このように私は思っております。もっとも、全国展開をなすためにはまたプログラムの作成の変更が必要でございまして、それはそれなりの考慮をする必要がございます。
 最後になりますが、登記事務システムの意義、日本国の情報処理の中での位置づけということについて申し上げます。
 先ほど登記の記載内容の意味を知る方式というのを採用するということ、そういう方式をとっているということを申し上げましたが、その方式をとっている限り将来のあらゆる可能性に対処できるわけです。そのメカニズムは、ある種の対処が必要になったならばそれに必要なプログラムを別途開発すればよいという、こういうメカニズムによっていかようにでも人間の処理に近づけることができるであろう、こう思われます。その意味を知る方式というのは、現在は不動産登記システムに関してその方式をとっておりますが、商業登記システム等はまだ未定でございますので、どういう方式になるかは今までは試行はいたしておりません。今まで不動産登記システムについてだけはその方式でやったということであります。
 意味を知る方式というのはしかし代償がございまして、大変に高価な方式になります。つまり一字一句をゼロックスコピーマシンのようにさっと読むだけでは足りませんで、一字一字投入しなければいけないという、そういう苦労が伴うという意味で高価なシステムであります。ただし十分にそれだけの柔軟性、将来に対する拡張性というのは持つことができる、こういうことになります。その結果、国の各種事業との関連づけを効率的にし、将来のサービス向上を可能にすることができます。余り詳しいことは知らないのですけれども、一つの登記が行われますと、関連の情報を、ただいまは人間がそれをほかの省庁等に回しておるようでございますが、その辺も将来はコンピューターでエイドすることができるというような可能性も開けてくることになります。
 一たんプログラム等をつくってしまいますと、サービスを向上させてもサービスは計算機によってなされますので将来の人件費抑制の効果があろうかと思われます。ただしこれもやはり初期の移行時は、先ほど申しましたように文字を一字一字入れるということは大変なお金がかかります。それから初期のシステム開発というのも初期のときには余計にかかりますので、これはそれだけの大きな仕事をするために払わねばならない代償である、こういうふうに思われます。それから簡単な誤りチェック等が自動的になされますので人間はより高度な作業に集中可能である、そういうメリットが出ると思います。
 最後に、このシステムの社会から見た緊急度に関してでございますが、非常に緊急を要するシステムであると私は思っております。と申しますのは、例えて申しますと東名高速道路を走ってきた車が料金所のところで延々と渋滞するような事態が今は観察できる。ということはどういうことかと申しますと、社会のほかのシステムは次々にコンピューター化されております。つまりそこは東名高速道路のような感じで走ってきているわけですが、走ってきたその登記所を利用するという車が登記所という料金所で渋滞してしまっている可能性がふえる。つまり他の社会システムとの関連において今のところはバランスがそういう意味で非常に崩れておる。ですから社会のシステムのためにもこの部分の隘路をなくするということが非常に社会的に緊急ではないか、そのように判断いたします。
 以上でございます。
#5
○委員長(大川清幸君) どうもありがとうございました。
 次に、森参考人にお願いいたします。森参考人。
#6
○参考人(森健一君) 森でございます。
 私は東芝の研究所に勤めておりますが、東芝は昭和五十年以来十年にわたりまして法務省の委託を受けまして登記事務のコンピューター処理システムの開発に関与してまいりました。その経験を踏まえまして登記事務処理のコンピューター化について技術的側面からの意見を述べさしていただきたいと思います。
 開発に着手して以来、研究、試作、実験を重ねてようやくパイロットシステムの完成を見たわけでございますが、この間に技術的に克服しなければならなかったいろいろな困難がございました。これらの技術的な課題を三つの側面から述べたいと思います。第一は日本語処理の問題でございます。第二はどういうシステムを構築していくかという問題でございます。第三番目はシステムの保全の問題でございます。
 まず第一の日本語処理についてでございますが、登記事務におきましては、まず登記の申請書が参りますと、その登記内容を調査の上、磁気ディスク上にファイルとして記録をいたします。その後謄抄本の申請が参りますと、この磁気ファイルから即時に検索いたしまして紙に印刷し、認証し交付するという作業がございます。この登記の申請書の内容は当然日本語で書いてございまして、この日本語の情報を計算機の中に効率よく入力いたしましたり、あるいは紙の上に印刷するという、こういう計算機に日本語の情報を入出力するという問題が非常に大きな問題でございました。
 先ほど穂鷹参考人から御説明がございましたように、十年前、日本では計算機の利用が数字、アルファベット、片仮名に限定されておりました。この状態から漢字でございますと一万字種以上を対象としなければなりません。百倍技術が難しくなると考えていただいてもよろしいかと思います。最初はこの登記所の登記の申請書の内容をそのまま機械に人手を介さずに入力できないかという検討がなされました。すなわち文字読み取り装置というものがその当時英字、英数字、仮名文字に対してはできておりましたので、これを拡張いたしまして漢字を含みます日本語の文章を読み取る、そういう機械ができないものであろうかという検討がなされました。私どもの研究所でも大変この面で試作も行い努力もいたしました。
 その結果、活字で印刷されているもの、申請書の大部分はタイプライターで印刷されておりますが、こういうものを読み取ることは可能であるということがわかりました。申請書の一部は手書き文字でございます。手書きの漢字を読むというのは技術的に相当先のことになるだろうと判断されました。もう一つは、漢字の読み取り装置は技術的には可能であることがわかりましたが、そのコストという面から大変入力装置としては高過ぎるということもはっきりいたしました。そういうことでこの漢字の自動読み取り装置というのは時期がまだ早過ぎるという判断に達しました。
 その次に行いましたことは、申請書の活字の方を変えまして、活字の下にバーコードというのをつけまして、人間は上の漢字の部分を読む、機械はそのバーコードの部分を読む、こういうようなことではどうかという検討がなされました。バーコードと申しますのは、最近例えば食品などではすべて縦線で太い線細い線、あるいはその線の間隔が広いもの狭いものというようなバーコードが印刷されておりまして、これを読み取ることによってその品物の番号がわかり、計算機の中に記憶されておりますきょうのその品物に対する価格を知ることによって窓口で会計がスムーズに行われる、こういうシステムが使われておりますが、これを漢字の一字ずつの下につけまして、そして機械の方はそのバーコードのところを読む。これは技術的に非常に安定しているものでございます。
 実際そういう読み取り装置を試作いたしまして模擬的な登記事務を行ってみました。その結果わかりましたことは、装置としては確かに安定して読み取りが行われる、しかしながら特殊なタイプライター、すなわちバーコードのついた特殊な活字を使ったタイプライターを要求いたします。そうしますと、手近にありますタイプライターそのものでは使えないということで、これは利用者の方の負担増になる、こういう結論になりまして、これが使えない。まあ無理に使えば使えないことはございませんが、もっといい方法はないかということを検討いたしました。
 ちょうどそのころ昭和五十三年でございますが、日本語のワードプロセッサーが開発されまして、それ以来現在では多数の日本語ワードプロセッサーが事務所で使われるようになりました。このワードプロセッサーの機能を利用してはどうか。日本語ワードプロセッサーでは仮名文から入れますと漢字に自動的に変換してくれるという機能がございますので、キーボードとしては仮名文が入力できればいいということになります。コスト的に見ましてもワードプロセッサーの価格は先ほどの漢字の読み取り装置あるいはバーコードの読み取り装置に比べて安価であるということがわかりました。この法務省の不動産登記情報システムが最初に軌道に乗りそうであるという見通しが得られましたのは、この日本語ワードプロセッサーの出現が大きな契機になったというふうに考えます。
 その後、日本語ワードプロセッサーは事務所で文書をつくることに適した装置でございますが、登記事務におきましては登記事務固有の業務がございます。そういうことで、ワードプロセッサーをベースにいたしまして専用の記入端末機を開発いたしました。登記事務におきましては長い年月をかけまして登記官の方々が非常な工夫をいたしまして登記事務を円滑に進めるための工夫が積み重ねてございました。これは人手で行っておったわけでございますが、その人手で行っておった過程で蓄積されました知識、ノーハウ、こういうものを電子化するという方向で登記事務に適した使い勝手のよいそういう専用端末装置を開発することができました。
 現在パイロットシステムにおいてこれを実際に使用してみた結果、大変良好な結果を得ております。これは最新の電子技術と長い間に蓄積されました登記所におきますノーハウとの組み合わさったものであるということが言えようかと思います。漢字の出力装置につきましても、日本語ワードプロセッサーの出現によりましてプリンター及びディスプレーの面で安価な装置が入手できるようになりました。このような過程を経まして漢字の問題はほぼ解決されたと考えております。
 次に、システムの構成でございますが、約三億筆個に近い登記簿、その中には約二千億文字が記録されてございます。これをどういう媒体に記憶しておいたらよいのかということが問題になります。例えば磁気テープというものが計算機で使われておりますが、これで計算をいたしますと一万から一万五千台必要となってしまいます。これは膨大な数の装置でございまして、もっと高密度なものはないかということが検討されました。
 次に検討されましたのはマイクロフィッシュ、マイクロフィルムでございます。マイクロフィルムの場合は保存性、それからコンパクトに記録できるという点は大変すぐれております。しかしながら登記事務におきましては抵当権を抹消するとか、あるいは過去の記録にさかのぼって付記をするとか、住所変更があったために変更の登記がなされるとか、こういうようなことで過去の記録にさかのぼりまして追加訂正がございます。こういうものに対してマイクロフィルムというのはそこで現像してしまいますので非常に不便であるということがわかってまいりまして、結局磁気ディスク装置というものが最も有望ではないか、また磁気ディスク装置は年々高密度化が図られております。そういうことで将来にわたってもこの高密度化は続けられるであろうということで、この磁気ディスク装置がファイルの媒体として最終的に選ばれました。
 また、コンピューターはこの登記事務処理を行うのに十分な能力があるかということも大きな検討課題でございました。この過程で行いましたことは、登記官によります法律的な判断を要する作業と計算機が得意とする作業とをはっきり区分をしていこうと。今まではその両方の作業は登記官によって行われておったわけですが、一人の登記官の行う作業のうち法律的な判断を伴うもの、これは最後まで登記官の仕事として、計算機はシラミつぶしに探す、こういうようなことは大変得意でございますので、そういう部分を計算機に任せる。こういう区分を厳密に行ってまいりました。
 計算機が得意とするものは、例えば登記申請の優先順位の管理でありますとか、先ほど先生が挙げられましたマンションのような一つの敷地の上にたくさんの区分建物が乗っているもの、こういうようなものの権利関係は大変錯綜しておりまして計算機が探すのに大変適している作業でございます。こういうようなものを計算機のプログラムに移していくということを行うことによりまして、現在板橋のパイロットシステムに見られますように登記所内に設置できる程度の規模の計算機でこの処理が可能であるということが明らかになりました。
 最後に、システムの障害に対する保全でございますが、当初、計算機がこれからどんどん大きくなっていくだろう、高性能化していくだろうということから、集中システムと申しまして一つの大きな計算機で全体をカバーするということが検討されました。しかしながら、これではその真ん中の計算機が障害が起きますと、その計算機につながっているすべての登記所の機能がダウンをするということになりますので、分散システムというものがすぐれているという結論になりました。
 先ほど穂鷹参考人からも御指摘ありましたように、この十年間に計算機技術は大変進みまして、計算機システムそのものの価格がより安価になり、同じ価格であれば性能が向上するということによって分散システムが可能になってまいったわけです。分散システムは拡張性にもすぐれ、移行性にもすぐれておりますので、分散システムを採用されることになりました。また、ファイルを災害とかそういうものから保全するためにバックアップシステムを厳重にとるということもシステムの構築の中で当然考えられなければならないことであります。
 また、人為的に、犯罪的なと言った方がいいかもしれませんが、悪意を持ってファイルを改ざんしようという者に対しての対策としましては、この装置では先ほど御紹介しました専用記入端末からしか記入が行えません。これはその操作方法を承知してなければ使えませんし、さらに登記官の個人を識別するためのIDカードというようなものを差し込みませんと記入を許可しないというシステムになっております。また障害の回復復帰の機能もつけておりまして、計算機は常に自分の動作が正確に行われているかということをチェックする機構が内蔵されておりますが、その装置で一過的な障害が検出されますと直ちにこの障害復帰機能が働きまして処理をやり直すということができるようになっております。
 以上のような技術的な検討施策及びパイロットシステムでの実験結果から、不動産登記システムは十分に実現の可能性があり、その安全性、登記業務の円滑化、将来の拡張性において十分効果を発揮できるものと判断しております。
 以上でございます。
#7
○委員長(大川清幸君) どうもありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。山本参考人。
#8
○参考人(山本宗平君) 労働省産業医学総合研究所労働保健研究部長の山本宗平でございます。
 専門は労働生理学でございますが、現在中央労働災害防止協会で組織しておりますOA化などに伴う労働衛生対策研究委員会の座長を務めております。そういった関係で、昨年の十二月よりパイロットシステムの評価委員会に参加しております。きょう申し上げることは、まずVDT作業に伴う作業者の健康管理上の問題一般についてお話しいたしまして、その後パイロットシステム評価に関係する衛生管理の面について触れたいと思います。
 一般にオフィスの業務の内容を見てみますと、文書の作成でありますとか、計算でありますとか、あるいは文献検索といったものが多く占められております。そして、こういった作業の内容のところにVDT作業が急速に導入されてきているわけでございます。このVDT作業と言っております作業の形態を簡単に申しますと、ブラウン管の画面を見ながら行う作業であると言うことができると思います。そしてこれにコンピューターが接続されておりますので、例えば計算のような作業をする場合にはその計算の過程をブラウン管の画面に表示させることができるわけでございます。そのようにしまして作業過程のミスのチェックといったこともできるわけでございます。
 さて、こういったVDT作業が日本に導入され始めたのが昭和四十六年ごろからでございますけれども、昭和五十年ごろに至りまして急激に多くの事業所で導入を始めております。私どもが昨年私どもの研究所で行いました調査を見まして気のついたことでございますけれども、設置場所のところを見ますと、一般事務室に非常に多く設置されておりますけれども、それ以外にも非常に設置場所が多岐にわたっているということに気がついております。例えば作業場でありますとか、場合によっては倉庫といったところに設置されておるわけでございます。こういった状況から判断しまして、やはり導入のスピードが急速である、そういったことからまだ設置場所の整備が完全にできていない、そういった状況のところに導入されているといったことも推測できるわけでございます。
 このようにいたしましてVDT作業者の数も急速にふえてきたわけでございますけれども、昨年に至りまして大型のアンケート調査が実施されております。VDT作業者の間でいろいろな身体上の自覚的な症状が報告されてきたからでございます。例えば労働省でも調査をしておりますし、また総評あるいは電機労連といったところでも調査をしております。さらに私たちの研究所でも調査をしております。このような調査結果を見てみますと、おおよそその身体的な症状が三つほどのグループに整理できると思います。
 一つが目の疲れに関係するものでございまして、調査によりまして若干の数値の違いがございますけれども、ほぼ七〇%から八〇%の作業者に目の疲れの訴えがあるという結果が出ております。それから第二番目に多い自覚症状としましては、首、肩、腕の凝りあるいは痛み、そういった症状でございまして、ほぼ四〇%から七〇%の作業者にこういった訴えがあらわれておるようでございます。第三番目の症状としましては、精神的な疲労に関係するものでございまして、十数%から五〇%近くの作業者が訴えているという結果が出ております。例えばいらいらでありますとか不安、あるいは抑うつ状態、そういった症状が見られると言われております。
 このような現状を踏まえまして、それでは労働衛生対策をどのように進めていくかといったことが問題になるわけでございますが、こういった面につきまして専門の学者もそれぞれの立場から研究をしております。日本の場合どのような学会がこれに関与しておるかと申しますと、例えば人間工学会という学会がございます。それから産業衛生学会という学会もございます。私もこの産業衛生学会の会員になっておりますけれども、ここでVDT作業に関する研究発表の数が非常に多くなってきております。昭和五十八年には八題ございましたが、五十九年には十五題にふえております。そして六十年には十八題といった形にふえてきております。また、照明学会でも大変な関心を寄せまして、照明学会独自で文書を作成しております。
 一方、外国の事情でございますけれども、外国の方ではこういった研究がやや先行しておりまして、一九七五年、昭和五十年ごろでございますけれども、スウェーデンの学者が最初にディスプレー作業の健康に与える影響を指摘しておりますが、その後、五年たちまして一九八〇年にミラノでワークショップが開かれております。このミラノのワークショップには世界各国から関係のある学者が集まりまして、いろいろな角度からこの問題を検討しております。三十九題ほど報告されております。ここで、このVDT作業に関係する問題点のおおよその要因が出そろっていると解釈してよかろうかと思います。
 それでは、どのような問題点がそこで指摘されているかということでございますけれども、第一の問題点が視覚的要因でございます。目に関係する要因でございます。このVDT作業といいますのは、先ほど申しましたように、特徴がブラウン管の画面を見る作業でございます。非常に見る対象が特殊でございます。そこで、このブラウン管画面に表示する文字でございますけれども、ドットで構成されております。したがって、輪郭がぼけているという欠点があるわけでございます。それからまた室内の照明も大きく関係してくるわけでございます。発光体を見ておりますので、普通の文書ですと室内照明を上げていきますと見やすくなるということがわかっておりますけれども、テレビを見ると同じような状況でございまして、室内照明を上げますとかえって文字あるいは図形が見にくくなるといった特徴があるわけでございます。それ以外にも、反射の問題でありますとか、あるいはグレアの問題でありますとか、あるいは点滅、フリッカーの問題でありますとか、そういった目に負担を与える要因が幾つか考えられるわけでございます。
 第二番目の問題点が姿勢要因と言われておりますけれども、作業姿勢が大変大事であるといった指摘でございます。つまり作業の対象がブラウン管の画面を見るということと、それ以外に文書を見ます。それからキー操作もいたします。そういった関係で作業の対象が三つほどございますので、見方によりましてはその姿勢の拘束が大きいということになるわけでございます。そこで、机の高さでありますとか、あるいはいすの高さでありますとか、そういったことが重要な衛生管理上の問題点になってくるわけであります。
 第三番目が環境要因でございますが、空調でありますとか、あるいは騒音でありますとか、あるいは静電気の問題、そういったことも問題点として指摘されております。
 次がワークデザイン要因でございます。これは作業時間と休憩のとり方の問題でございます。作業時間と休憩のとり方が適切かどうかということによりまして作業者に与える疲労に大きく影響するということがわかっております。
 それから最後に、五番目の要因としましてパーソナル要因が挙げられておりますが、これは作業者が高齢者の場合はどうであるかとか、あるいは作業者の視力が極端に低下しているといった場合にはどのような影響があるかといった問題から始まりまして、モチベーションも疲労に大きく関係してくるというようなことが指摘されているわけでございます。
 このワークデザインの問題は大切だと思いますので、もう少し追加させていただきたいと思いますけれども、これに関係する要素としまして幾つか指摘することができると思います。一つは、その作業内容の多様性ということを考えていく必要があると思います。例えば私たちも幾つかの事業場を回りまして作業内容を整理してみたわけでございますけれども、原簿を見ながら数字を入力するといった銀行などで行われている作業がございます。それからまたプログラムを作成するといった作業もございます。また図表の作成、修正といった作業もあるわけでございます。このような作業を負荷、負担という面から見ますと、作業のペースがある作業は機械によって規制されております。しかしまたある作業は作業者自身によって自律的に調節できるといった面がございます。作業のペースによって負荷が大きく違ってくると思われます。作業姿勢につきましても大部分は座位で作業をしておりますけれども、場合によっては立位で作業をしておるという場合もございます。
 それから次に問題になりますことは、他の作業との組み合わせの問題でございますが、ローテーションという問題でございますけれども、私どもの調査によりますと、専任のVDT作業者というものが意外と少なくて、大部分は兼任の作業者でございます。つまりいろいろな作業の組み合わせの中の一つとしてそのVDT作業を行っているということがわかってきております。外国の方でもこの作業の分類について幾つかの報告がございますけれども、例えば視線を固定した作業というものと視線を移動させる作業といった区別をしている学者もありますし、また入力型作業と対話型作業といった区別をしている学者もあります。この分類は割合と普及しているようでございます。
 このように、作業のタイプが違いますので負担の内容も大きく違ってまいります。幾つかの報告がございますけれども、例えばある報告を見ますと、ブラウン管のスクリーンを見る時間が長くなりますと眼精疲労が多くなってくるといった報告がございます。そしてこの場合には職業上の圧力といいますか、プレッシャー、それは余り関係ないといったことを報告しております。また、ある学者は作業ペースが機械によって規定されておる場合には精神的なストレスが多くなってくるといったことを報告しているわけでございます。
 さて、こういった状況の中で、現実にどのような形で労働衛生管理を進めていったらよろしいかということになるわけでございますけれども、これは各国で勧告なりあるいは指導要領を出しております。アメリカ、西ドイツ、スウェーデンなどで出しておりますが、日本の場合にも、昨年の二月、ガイドラインを出しております。労働省でガイドラインを発表しております。それ以外にも電機労連あるいは同盟、あるいは目黒区などで基準あるいは指針といったものを出しております。
 さて、労働省で指針を出しましてから現在まで一年ちょっとたっているわけでございますけれども、その後また幾つかの問題点が指摘されてきております。例えば精神的なストレスの問題でありますとか、また先ほども言いましたけれども、照明学会の方でも新時代における照明の調査研究といったドキュメントを出しております。国際照明学会でも文書を発表しております。そして学会の方でも多くの発表がなされているわけでございます。
 そこで、このパイロットシステムの評価に当たりましてはガイドラインとその後出された幾つかの問題点、そういったものを総合的に含めまして評価していったわけでございます。このパイロットシステムの評価委員会が発足したのが五十八年三月でございますので、二年ほど経過しておるわけでございます。この二年間という期間は大変重要な期間であったと私は思います。この期間に健康診断が行われておりますし、またガイドラインに沿った環境基準の評価といったものもなされております。そしてまた職員の研修が六回ほどなされております。健康教育もなされております。これは試行期間といった意味で大事な問題だと思います。また登記事務の方は受付、調査、記入、校合といった一連の工程でございまして、これはある種のローテーションでございます。したがってペースを規定された単純作業ではないといった特徴があると思います。
 それからさらに大事なことだと思いますけれども、プログラミングをする際に現場でプログラムをしておりますけれども、このときに作業の経験を非常に生かしながらプログラムをしております。こういったことは現在ME化が進行する中で人間の疎外といったことが問題にされてきておるわけでございますけれども、作業者の経験を生かすということでストレスの解消に大きく役立つであろうと思いますし、また、こういった一連の系統的な事務作業のコンピューター化のパイオニア的な仕事として非常に大きな意義を持った仕事であろうかと思います。
 以上で終わらせていただきます。
#9
○委員長(大川清幸君) どうもありがとうございました。
 以上で各参考人からの意見聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#10
○寺田熊雄君 お三人の方にそれぞれお尋ねをしたいわけですが、最初に森参考人にお尋ねをします。
 今お話を伺いますと、今の不動産登記に関するすべての記入例といいますか、いろいろな所有権の変更やら、それから抵当権設定その他不動産登記に関するさまざまな法制度がありますね。それが登記簿に記入されている。それを全部コンピューターは結果的に理解すると同じような効果を生めるものなんでしょうか。例えば所有権の移転のときに、もしこういう条件に違反した場合にはそれが無効になるというような特約事項というようなものがありますね。そういうようなものももちろん理解し得るわけでしょうか。
 それから、漢字の問題が非常に御苦心になったようですが、すべての漢字を読み取れるのでしょうか。例えば仮に一万字の漢字を記憶するとしますと、それの中に含まれない漢字が出てきたような場合、これはどういうふうに対応するのでしょうか。そういう点についてお尋ねをしたいと思います。
 それから、大変十年間にわたって研究開発に御苦心になったように承りました。その研究開発の費用というものは法務省の委託によるというんでしょうか。法務省が負担をしたのでしょうか、それともおたくの方が御負担になったんでしょうか。また、それが十年間に額としてはどのくらいに上ったんでしょうか。それから、この機械はリースのようですが、このリース料というものは今後変更し得るものでしょうか。機械が絶えず改革され新しいものに変わってくるというようなことも予想できるんでしょうね。そうすると、リース料にそれがはね返りますか。そういう問題をお尋ねしたいと思うんです。
 それから、山木参考人にお尋ねをするのは、結局結論的に言いまして今の執務体制と比べて、こういうふうなコンピューター導入による作業方法の変更後の職員の健康というものは多少でも悪化するというふうに考えられますか。もし変更がないものならそれでも結構なんですし、もし悪化する場合にはそれは一定の努力によって克服され得るものなんでしょうか。そういう点をお尋ねしたいのですが。
#11
○委員長(大川清幸君) それでは、最初に森参考人からお答え願います。
#12
○参考人(森健一君) お答えいたします。
 最初に、記入例というものがございますが、それを全部計算機の方は理解しておるのかという点につきましてでございます。記入例は長い間の登記官の御経験から九百余りの類型化されたものに整理されてございます。先ほど申し上げましたように、その九百例であってもさらに例外的な事項が出てまいります。そういうような場合に対してはこれは登記官の法律的な判断が必要でございます。計算機はそういう類型化されたものを処理するのは大変得意でございますが、全く見たこともない例外的な事項に対しては計算機のプログラムを用意しておくというのは大変難しゅうございます。そういうことで例外的な事項に関しては、あるいは法律的な判断を伴ってそれを例外であるかどうかを判断する、こういうようなことはすべて登記官の方に任される、こういうふうに御理解いただけたらよろしいかと思います。そういうことで、特約事項につきましても割合頻度の高く出てくるものにつきましては同様に計算機の中に組み込む、プログラム化することが可能でございますが、全く特殊な特約事項がある場合にはこれは登記官の判断にまつ、こういうふうにしてございます。
 それから、二番目の、日本語の中に出てくる漢字が今一万種類程度用意されておるわけでございますが、それに対して不十分ではないか、例えば氏名あるいは地名などになりますと、それ以外の漢字が出てまいります。先ほど御紹介しました日本語ワードプロセッサーでは漢字のパターンと申しましょうか、こういう字、こういう格好をしている文字であるというものを新しく計算機の中につくる機能、外からつくって与える機能がございます。そういうことで、これは普通に市販されている日本語ワードプロセッサーにもその機能がついてございます。そういうことで、例えばある方のお名前は点がどうしてもあるんだ、普通の字にはない点だけがここへついているんだというようなときは、その点をつけた字を自分でつくることができます。そういうことによりまして新しい文字を計算機の中に登録することができます。こういうことによりまして一万字以外の字が出た場合でありましても対処できるようになってございます。
 三番目は研究開発費の問題でございますが、研究開発いたしました仕事の中で法務省さんだけの固有のものにつきましては費用の負担をお願いいたしました。しかしながら、先ほどの漢字の読み取り装置でありますとか、あるいはバーコードの読み取り装置というのは何も法務省さんの仕事だけに固有の問題ではなくて、その技術が開発されますとそれ以外の多くの応用がございます。こういうものにつきましては当社の自己負担ということで研究を進めてまいりました。額の総額については今つかんでおりませんのでお答え申し上げられませんで大変申しわけございません。
 それから計算機のリース料につきまして、これが技術の発展とともに変わっていくのかという御質問でございます。これは当然変わっていくと理解しております。先ほど申しましたように、計算機の世界では時間がたっとともに同じ料金であれば性能が高いものを購入することができますし、性能が同じであれば価格が安くなっていくという傾向にございますので、当然時間とともにこのリース料というのは変わっていく、そういうふうに理解しております。
#13
○委員長(大川清幸君) それでは、次に山本参考人にお願いいたします。
#14
○参考人(山本宗平君) お答えいたします。
 結論的に申しまして、このパイロットシステムの場合には職員の健康に悪影響を及ぼすということはないというふうに私は判断しております。
 その理由を申し上げますが、まず第一に環境改善がなされておるわけでございます。従来は文書を書庫から持ち出して移動するといった肉体的な作業がございました。そして、そのときにやはりじんあいが出たりといった問題がございます。しかし、そういう問題がコンピューターの導入によって解消されるわけでございます。つまり肉体的な作業から解消され、そしてまた、じんあいといった空気の汚染でございますけれども、それもなくなると思います。そして現在のコピーですと薬品としましてアンモニアなどを使っておりますけれども、そういったものの影響もなくなるということが期待できるわけでございます。
 それから第二点としましては、コンピューターの導入に伴いまして健康診断の内容をきちっと整備いたしまして、殊に視覚の検査、目の検査でございますけれども、十分行っているということが挙げられます。例えば従来ですと、ただ遠方の視力、五メートルの視力だけを測定しているわけでございますけれども、近点視力と申しまして近いものを見る視力、これはまた別個に測定しなければならない機能でございますけれども、そういったものも測定されるわけでありますし、それから立体視、あるいは斜視でございますが、やぶにらみといいますか、動眼筋、これは眼球を左右に動かす筋肉でございますけれども、これのアンバランスが潜在的にある方がおられますけれども、そういった検査もしていかれるわけでございます。そういったことで健診の内容が整備されてきて、充実されてきているということが挙げられると思います。
 そしてまた今後の問題点としましては、休止時間に職場体操を導入するといった健康管理上の教育もなされていくことが期待されますし、そしてまた、これは一般的なVDT作業の職場に共通していることでございますけれども、休憩室の整備ということも重要な問題でございまして、そういった幾つかの職場改善というものを伴いつつコンピューターが導入されていかれるわけでございます。したがいまして、総合的に見ました場合、従来よりも職員の健康は悪化するということは考えられないと思います。
 以上でございます。
#15
○寺田熊雄君 今森参考人のおっしゃることで、ワードプロセッサーが新しい漢字をつくり出す能力があるとおっしゃったでしょう。それつくり出して磁気ファイルにそれがインプットされますね。今度はこれを出すときに読み取ることもできるわけですか。
#16
○参考人(森健一君) お答えします。
 漢字のパターンをまずつくりますと、それに対して計算機の中でそれをどういうふうなコードといいましょうか、番号をつけておくかということをあらかじめ指定いたしまして、その番号で計算機の中では呼び出すわけでございます。普通はこういう一万字以外のものを外字、用意されている文字より外という意味で外の字、外字と言っておりますが、その外字に対して一連の番号が振ってございまして、それの何番目の字であるかということで計算機は引き出してまいります。
#17
○飯田忠雄君 森先生と山本先生に主となると思いますが、もし穂鷹先生も御関係ありましたらお答え願いたいと思います。
 まず、技術開発をなさいましてそれを法務省の方で御利用になっておるというのですが、これは東芝の特許権のある技術でございますか。こういう点です。
 それから次に、登記ファイルの安全性の問題ですが、先般いろいろ見せていただいたときに磁気ファイル、登録されたものを格納器の中に入れておられますが、あの茶色の格納器は外からの磁気の影響排除力があるかどうかということです。この問題、内からのものは余り関係ないと思いますが、磁気の影響排除力ですね。これについてお伺いします。
 それから次に、テープにファイルするということがされているということを聞きましたが、テープに収録をした登記されたものですね。これを実際に利用するときに時間は余りかからないのか。それとも相当時間がかかるのかという問題ですが、この点をお伺いします。
 それからこれは山本先生の分野だと思いますが、労働基準法上の特例を設ける必要はないでしょうか。
 以上でございますが、お願いいたします。
#18
○参考人(森健一君) お答えいたします。
 パイロットシステムを構築する上に当たりましていろいろの技術開発が行われました。それからソフトウェアの開発が行われました。これらに伴います権利関係がどうなっているのかという御質問と、特許だけでなくて広げてお答えしたいと思いますが、もともとその要素技術として使われているもの、例えばワードプロセッサーの技術、こういうものは東芝の固有の技術、それを利用する前からもう持っている技術という意味で特許権その他は東芝に属していると思います。しかしながら、このシステムに固有の専用装置というものを開発したり、あるいは専用のプログラムを開発しております。これらの権利は法務省に属していると理解しております。
 それから、磁気ファイルが格納器に入ってございますが、これの磁気シールドの関係は外からの磁気的な妨害に対してどういうふうになっているかという御質問でございますが、磁気ファイルの格納器はプラスチック系のものでございまして、磁気的にシールドを十分考えているものではございません。磁気ファイルは普通磁気ディスクの中に入っておりまして、磁気ディスクの中は外からの磁気に対して当然厳重にシールドされてございます。普通はそこの中に入っております。それを今度取り出しまして別のところへ保管するというときには、これは保管する入れ物が金属でできておりましてシールドされているということで、計算機室の中はそういう意味の磁石というものを持ち歩くような場ではございませんので、普通は中のあれが壊されることはまず考えられません。また計算機を取り扱うときにはめったに磁気ファイルというのは外に取り出す必要がないものでございますので、中に入れたままになって常時回っておりますので、これは普通は取り出さないことが原則になっております。
 それから、磁気テープの利用についての御質問でございますが、登記ファイルそのものは先ほど御紹介しましたように磁気ファイルの中へ記録されております。磁気テープはトランザクションデータといいまして、先ほどの障害復旧のときにいつの瞬間に壊れるかわかりませんので、その途中のデータを常時どこかへ保存しておく必要があるわけでございますが、こういうようなときに磁気テープは使われております。しかしながら、これはめったに起こることではありませんので、それから復旧に常時仕事をしているのと同じ速度で戻る必要はないということで、磁気テープの方が磁気ディスクに比べますと大変遅いわけでございますが、それでも十分であるというふうに考えております。
#19
○参考人(山本宗平君) お答えいたします。
 労基法上の特例を設けるかどうかといった問題の科学的な検討をする必要があると思うわけでございますが、例えば有害業務に該当するかどうかということから考えてみたいと思います。
 それで、頸肩腕障害というのがございますけれども、これにつきまして長い時間をかけて産業衛生学会の専門の検討委員会が検討いたしまして、そして程度を一度から四度ほどに分けたものがございます。ちょっと御紹介いたしますと、一度はほとんど自覚症状程度でとまっているもの、二度になりますと筋肉がかたくなっている、それから筋肉を押さえると圧痛を感ずるといったものが二度でございます。三度になってまいりますと、そういった筋の硬結あるいは圧痛に加えまして神経学的な検査をしまして、それで異常が出てくる、あるいは知覚の異常が出てくる、それから筋力が低下する等々多角的な知見がたくさん出てきております。それから第四度になりますと、さらにこういった多角的な知見が顕著になってくるということでございまして、このような多角的な検査は整形外科といった医学の専門分野がございますけれども、そういった分野で検査して、そして所見として認められるものということになります。
 そこで、VDT作業の問題でございますけれども、先ほども申しましたように自覚的な目の疲れといった訴えは非常に多うございます。そこで、私どもは眼科医が現在どのような考え方をしているかということに対しまして非常に関心を持っております。そして中央労働災害防止協会の委員会にも二名ほど眼科医を加えていただきましたし、それからまた昨年の十一月でございますけれども、日本災害医学会というのがございましたが、そのときに労災病院の眼科の医長に集まっていただきまして、この問題提起をしたことがございます。しかし、そういった限りにおきましては、眼科医の間から、特別な器質的な異常と申しますけれども、例えば網膜に所見が出てきたとか、そういった臓器に障害が残っているといった症例は報告されなかったわけでございます。
 そういった事情から考えまして、これは愁訴は非常に多い作業である、しかしながら器質的な障害というところになりますとほとんど認められない。そういう意味で愁訴先行型の作業というような言い方をしている委員もございますけれども、そのようなとらえ方をしているわけでございます。しかし、さらにこの眼科医の情報といったものは私たちとしては今後も重視していく所存でございます。しかし現状としましてはそういった事情から判断しまして有害業務という範疇には入らないのではないかといった考えを持っているわけでございます。
 殊にパイロットシステムについて若干追加いたしますと、コンピューターを見る時間というものが非常に少ないということが調査の結果わかっております。例えば謄本の作製処理時間でございますけれども、一通平均二十一分五十四秒ぐらいであるそうでございます。このうちコンピューターの処理時間は一一・三%ほどで二分十五秒ほどになるそうでございます。そうしますと、一日の申請件数が例えば十四・二といった数が出てきているわけでございますけれども、ブラウン管の画面を見ている時間はごく限られた時間であるということになると思います。そういった意味もありましてやはり特別の有害業務といった範疇には入らないのではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#20
○橋本敦君 では、私から伺わさしていただきます。システム開発の問題に関連すると思いますので、穂鷹参考人あるいは森参考人、いずれからでも結構でございます。
 まず第一点は、将来閲覧という問題についての処理はどうしていくのかということについて技術的な面として御意見を賜りたいのであります。現在閲覧制度というのは登記の公示制度とも関連をして大変重要な機能を果たしておりますので、閲覧それ自体をやっていくということをやるためにはどういうことが必要でどういう問題があるかという質問であります。
 第二番目は、膨大な地籍図、図面等がございますけれども、こういったもののコンピューター導入について将来はどうなるのか、何が可能かということが第二点であります。
 それからもう一つの問題としては、例えば大阪で北海道あるいは九州のどこかの土地の登記事項、現在事項を調べたい、こういったことが全国的に集中するようなセンターがありますと、それも可能になろうかと思うのですが、そういった将来構想については技術的にはどうお考えか、あるいはシステム問題としてはどうお考えか。以上であります。
 それから、森参考人に技術的な問題として追加でお伺いしたいのは、先ほど保全の問題のお話がございました。保全の問題といえば、改ざんの可能性は、先ほどのお話によりますと、登記官のIDカードのチェック、それから専用記入端末機制度をとるので、どこからでもインプットできない、あるいはキーをたたけないということで防げるというお話でございましたが、最近のコンピューター犯罪というものの心配の一つには、どこからかいろいろな操作をやって、そういう情報の中にインベードしていくというようなことで、例えば銀行のオンラインシステムなんかでは預金残高が改ざんされるとか、引き出しがなされるとかいう犯罪もあったわけですが、そういった心配は技術的に一切ないと言い切れるのかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
 それから、山本参考人に対しまして、一点だけでございますけれども、諸外国と我が国のVDTについての健康管理のガイドライン、大体共通なのか、大きな相違点がどこかにあるのかどうかということ。それからもう一つは、有害業務ではないけれども健康診断としては特殊な健康診断プログラムが要るのかどうかということをお伺いさしていただきたいと思います。
 以上でございます。
#21
○参考人(穂鷹良介君) 三点御質問があったかと思いますが、それについて話させていただきます。
 閲覧の件でございますが、これは確かにいろいろと問題のあるところでございまして、普通の登記簿ですと、見る方はページをめくればよろしいわけですから、だれでも見方はわかっているんですけれども、今度もしもそういった原簿がコンピューターファイルの中にありますと、それをやはり表示する画面で見ざるを得ないということになります。これにはやはり相当問題があろうかと思われまして、まだ現在どのように設計するかははっきりは決まっていないと私は了解しておりますけれども、やはり将来大規模な画面みたいなものが出るのが望ましいというふうに私は思っています。現状ですとやや小さい画面でやることになりますので、だれがさわってもわかるようなよいガイドをつくる、そういうシステムをつくって、見ていただくようになるように頑張らなければいけない、まあ少し難しいところがあるように私は思います。ですから手軽に謄本等が取れるような、そちらの方がよいのかもしれません。閲覧は確かに少し難しいところがございます。
 それから、二番目の図面の件でございますが、これはさほど技術的には問題はないと思います。地形の図は、見させていただいたところによりますと直線でつくられておりますので、すべて三角形に帰着しますので、それは三点押さえればよろしいので、できるのですけれども、むしろ問題は、それよりも、図面がはっきりしますと、現在でも他の所有との間の境界がはっきりしないところがあるやに聞いておりますけれども、そちらの方の政治的な問題の方が大きいのではないかと思いますが、技術上はさほど問題はない。それによって面積なんかすぐ計算できるようなシステムができるだろう、こういうふうに思っております。
 それから、三番目もこれもやはり技術的には問題がなくて、オンラインでつないでしまいますと、どこからでも、どこの内容でも見るということは実は可能になってしまいます。問題はそれを法律的にどう許すかという、そちらの問題ではないか、そのように判断いたします。
 以上です。
#22
○参考人(森健一君) お答えします。
 システムの保全につきまして外からのインベードと申しますか、それに対しての対応が十分であろうかという御質問でございます。
 銀行のシステムあるいはこの間映画でも問題になりましたような、離れた端末機から真ん中の計算機に、何らかの形でパスワードを盗み、そしてその関門を通り抜けて真ん中のコンピューターにアクセスをする、こういうシステムの場合は、多くの場合システムの基本的なところにおいて、真ん中のコンピューターに多数の端末が電話線なり何らかの公衆回線を通じて直につながっているという状態がシステムの基本状態になっている。銀行の場合も端末機が開放されておりまして、真ん中のコンピューターセンターに対しまして非常に遠隔地からも端末が公衆回線を通じてつながっている。そういう状態がシステムのあるべき姿になってしまっております。
 それに対しまして、今のパイロットシステムに見られますように、登記所の内にコンピューターがありまして、端末機も登記所の内にございます。そういうことでコンピューターと端末機との間には電話回線というようなオープンになったものが入っておりません。そういうことで記入とかそういうものは原則として中からしかないということで、割り込む余地が現実的にはないということで非常にやるとしても難しい。普通のような銀行システムの場合でも相当難しいわけですが、これはもともとは外につながっておりますので、何らかのパスワードやいろいろのプロトコルといって端末と計算機を通信するときの約束事があるわけですが、それは普通秘密になっておりますが、それも見破ってやるということは現実に例があるわけでございますので、ないとは言えないわけですが、それが今度は中にも閉じたシステムになっておりますと、これはもうちょっとどうしようもないという感じがいたします。
#23
○参考人(山本宗平君) お答えします。
 まず第一点の諸外国と我が国のガイドラインの相違でございますけれども、例えばアメリカ、西ドイツ、スウェーデン、そういったところでは政府としてガイドラインを出しております。それから、ついでに国際印刷産業労組、このガイドラインも含めてちょっと比較して御説明したいと思いますけれども、まずガイドラインに盛り込まれている項目でございますけれども、例えば各部分の配置としまして、キーボードでありますとか作業机あるいは画面、いす、そういったものに関しましてはほぼ同じような内容になっております。それから画面の特性につきましても、若干の表現の違いはございますけれども、大体触れております。それから照明の照度あるいはグレアの防止といったことにつきましても大体同じような数値になっております。
 ただ問題は、放射線の問題でございますけれども、これはアメリカ、西ドイツ、スウェーデンのガイドラインは全く記載はございません。ただ国際印刷産業労組の勧告に記載がございまして、妊婦の放射線暴露量の規制の数値が出ております。それから日本の労働省の指標の場合でございますけれども、放射線そのものの記載はございませんが、静電気、騒音、換気、気温といったものについての記載が配慮すべきであるといった形で幾つか出ております。
 それから、作業時間と休憩時間の問題でございますけれども、アメリカの場合には二段階に分けて時間の勧告をしております。中等度の視覚負担といったものと、それから高度の視覚負担と分けておりまして、中等度の場合には二時間前後作業して十五分休憩するとなっております。それから高度の場合には連続一時間で十五分休憩となっております。日本の場合には、連続作業の場合一時間につき十ないし十五分の休止となっております。休憩という言葉でなくて休止という表現が使われております。
 なお、日本のガイドラインの場合には、一時間の作業時間の中でも一ないし二回程度の小休止が望ましいという記載がございます。これの背景でございますけれども、中枢神経の疲労の経過を見ておりますと一時間注意の集中が持続するということは大変難しいといった実験結果も出ております。つまり中枢神経の興奮レベルには波がございまして、二十分あるいは三十分ぐらいの波で変動しているといった実験がございますので、そういった根拠から連続作業時間一時間の中でも一、二回の小休止をとることが望ましいとなっております。そういった点で小部分の違いがございますけれども、しかし大枠の項目につきましては大差はないというふうに判断しております。
 それから、特殊検診をどのように考えるかという御指摘でございますけれども、これは現在中央労働災害防止協会の委員会で眼科医と産業医両方から構成されておりますので、両者の間で意見の交換をして調整をしていただいております。若干意見の食い違いがあるところがございます。といいますのは、高度の眼科学的な検査を導入した場合に現在の産業医で果たして対応できるかどうかといったことを産業医が心配しているわけでございます。それで産業医でもできるようなできるだけ能率的な、大勢の被険者を対象にできる検査方法として適当なものがないかどうかといったことが論点になっておりまして、この点は今のところ合意といいますか結論が出ておりませんけれども、もう少し意見の調整をしていきたいと思っております。
 以上でございます。
#24
○柳澤錬造君 時間も大分たちましたから簡単に、それでもお三人の参考人に一問ずつお聞きをしてまいりたいと思うんですけれども、穂鷹参考人は法務省の不動産登記業務を行うパイロットシステムの評価委員をなさっておったということなので、そういう意味でお聞きをしたいことは、先ほど高速道路の料金支払い所の渋滞を例にとりまして、社会の他がコンピューター化しているときに登記所だけが渋滞しているのはよくないんだ、社会的な緊急性があるんだという意味でのお話がありました。私はもうそれは全く同感なんです。
 ただ私がお聞きしたいのは、あの登記簿の様式というのは、あれは明治からのものだと思うんです。明治時代にはああいうものの一つの必要性というか、なにがあったと思うんですけれども、それが御指摘のような今日これだけ近代化されていろいろのものが進歩している時代に、あの明治時代のああいう登記簿でなくちゃいかぬのかどうなのか。私の出身のところなんというのは、もう二、三十年も前に従業員は昇給したからといって昇給の辞令はないんです。課長になったからといって課長の辞令もくれないんです。従業員の側にはあなたの本給は幾らだという証拠は何にも残っていないけれども、それできちんと済ましているわけで、それは登記簿をなくすわけにはいかないんだけれども、私がどう考えても理解がつかないのは、あのしち面倒くさい難しい登記簿が何で必要なのか。難しいああいう様式にしておくから本人が直接登記ができなくて代書人を頼まなければいけないので、そういう点で、登記の様式というものについてもう少し簡素化したことをお考えにならなかったのでしょうかということをお聞きしたいんです。
 それから、森参考人の方はこういうものの専門家ですから、私がむしろお聞きしたいのは、十年後ごろにはこのコンピューターシステムのこういうものがどのくらいに進んでいるというか発展をしているんでしょうか。何年か前に予算委員会で私九州のIC工場へ行ったんです。それであの小さななにを見せられまして、四ミリ角ぐらいのところへ、まだあのときはICで、昔のトランジスターで五千個分ここに入っているんですということで、それはすばらしいけれども、これだけのものを開発したらこれは何年もつんですかと言ったら、せいぜい一年半で、短いのはもう半年でだめになりますというようなお話を聞きまして、その後LSIができて、もう今は十万個とかなんとか言われているんですけれども、十年後になったらどのような状態になっているかということを森参考人の個人的なお考えでお教えをいただきたいと思うんです。
 それから山本参考人の方は、橋本先生の方から休憩時間の関係をお聞きになりましたから、私もその点お聞きしたかったんですけれどもやめまして、ただこの点だけお感じをお聞きしたいんですが、板橋の登記所へこの前行きましたんです。あそこへ入っていって私が最初に直感的に思ったのは、とてもじゃないけれどもこれはこれだけの新鋭の機械を装置して働くような場所でないなという、まあバラックの中でモーニングを着て生活しているというような感じを最初にあそこへ入っていったときに受けたんです。ですからそういう点で、特にこの働く人たちのことをよほど、何といったって労働密度が高まるのですからそういう点のことも考えなくてはいけないし、あれだけの近代的な機械を装置しておくについては余りにもあそこの環境がよくないんだけれども、山本参考人からごらんになってどういうお考えになりましたかお聞きしたいんです。
#25
○参考人(穂鷹良介君) 様式は確かにおっしゃるとおり古めかしいものでございまして、私ももう少し変えた方がいいなというところは工夫すれば幾らでもあるだろうというふうに思っております。ただ法務省の方が導入を図られた背後には、できるだけこのシステムをスムーズに導入したいという配慮を非常にされたのではないかと思います。なるべく波風を立てずに、従来の人に違ったショックを与えないようにコンセンサスをとりたいというそういう意図が強く働いたために、機械の方でできるだけ犠牲をしょって人間とのつき合いの部分はできるだけ同じにしておこうと、そういうのでわざとああいうふうにしたわけでありまして、もっとよいものを考えようというふうにおっしゃるのでございましたならば、それはそれなりによいものを工夫することはできると思います。
 ただ、私はあの縦書きのものを見せていただいたのですけれども、あれはあれなりに非常によくできておりまして、やはり長年の間によく考えてつくられておりまして、私はデータベースが専門ですけれども、勉強するところが私自身にはある。あれはあれなりに安定してよいシステムのものでございます。
 以上でございます。
#26
○参考人(森健一君) お答えします。
 十年後という御質問でございます。大変難しい御質問でございます。逆に振り返りまして、今十年たちまして、このパイロットシステムをつくる前のその十年前はどうだったろうかということを考えますと、最初御相談を受けましたときに、とんでもないシステムであると。先ほど御紹介しましたように、二千億文字をファイリングする。全国の登記簿の三億枚、三億筆個を問題にする。しかもそれは国民の基本的な財産の帳簿であって一切間違いがあってはならぬ。また商取引の円滑に資するためには、これがそんなにゆっくりゆっくりやられるものであってはならない。こういうような基本的な条件をお聞きしましたときは、まあ十年前はエベレスト、ヒマラヤにどうやって登ったらいいか、例えば私が素人で登山家ではないとして、どういうふうにして登るのか、ちょっと全く雲をつかむような話であるというふうに印象を持ちました。今ある程度、ヒマラヤですと山と山の肩のところへ来て、これから本格的に峰に登るというところでございますけれども、何とかここまでできてきたのだから、本当の峰も何とかこなせるのじゃないか、攻撃ルートが見えてきたのじゃないか、こんなふうな印象を持っております。やはり十年間というのは長いようで短く、短いようで長いような印象を持っております。
 今後の十年間と申しますと、一番最初に穂鷹参考人が御紹介しましたように、ソフトウエアがこのシステムの中には大変膨大なものが入ってございますが、これは営々として積み上げていくものでございますので、使っている間にソフトウエアというものはどんどん改良されてまいります。改良されて、それが蓄積されてまいります。この蓄積の効果というものは大変大きいものでございまして、現在日本が計算機の産業におきまして、米国その他の計算機の先進国に対しましてハードウエアの面ではかなりいいところまできた。ところが決定的に差がありますのはソフトウエアの面でございまして、ソフトウエアというものは、そういう意味の積み上げ、蓄積というようなことで、いいソフトウエア、人間にとって使いやすいソフトウエアというものが決まってまいります。日本のコンピューターの歴史は昭和三十五、六年からでございますから、せいぜい二十五年ぐらいでございます。それに対して、アメリカはその倍ぐらいの歴史を持っております。そういうことで、ソフトウエアの面というのはそうそう急速には追いつけない面がございます。
 この不動産登記システムにおきましても、今後十年間このシステムが全国展開をされる間にいろいろのそういう工夫がソフトウエアという形で蓄積されてまいります。今ごらんになって、板橋の職員の方がそのシステムに対していろいろぎくしゃくしている面があろうかと思います。ある面は使いやすいが、ある面はとても使いにくいというような面で不便を感じたり、ある面では何かここだけは妙に速かったりというようなアンバランス感を持っておられると思いますが、十年の期間を持つと、その点ではもう非常に枯れたといいましょうか、人間にとって、作業者にとっては非常に信頼感のある扱いやすい道具として、計算機はもう今はかなり柄が大きいですけれども、さらに小さくなっていくと思いますから、そうしますと全く道具として人間にとって使いこなしている状態に十年後にはなっているのではないか。
 また、技術の面では十年後にどういうことが出てくるかというようなことに関しましては、ちょうど今我々研究者は十年後を目指しまして研究をしております。今までの計算機を含めまして私たちが使っている機械というものは、どちらかというと設計の思想が機械中心の設計思想になっております。例えば自動車にしても、どちらかへ行きたいというときにハンドルを回してください、アクセルとブレーキとを間違えないで踏んでください、そのかげんは足かげんでこうやるんですというようなことで、ある訓練をしないと機械は使いこなせないという、機械にとって都合のいいように設計されております。
 計算機においても同じでございます。先ほどのプログラミングというのは特別の言語という、私たちの使っている日本語では直接できないわけでございまして、プログラマーという方がそれを翻訳して計算機を動かす仕組みを、まあ約百万ステップという御紹介がありましたように、百万ラインを書いていかなければいけない状態が現状でございます。それに対して十年後を計算機の研究者が理想として追っておりますのは、そういう機械本位の設計でなくて、むしろ人間本位の設計、人間同士が情報交換しているのは音声であったり文字であったり図面である、こういう人間同士が使っている情報をそのまま計算機は理解してもらいたい。そうすることによって人間にとって計算機というのは全くの道具として自由自在に使えるものになる。そういうようにするためにはどうしたらいいのかというような研究を進めております。
 一つの例としては通産省で進めております第五世代のコンピューターのプロジェクト、こういうようなものがそれでございますし、十年後といわずに今からもう始まっておるわけでありますが、人工知能の研究、あるいは知識情報処理というような言葉を最近新聞や雑誌で見かけられることがあろうかと思いますが、そういう人工知能の研究というものがこの計算機の分野で今大変一生懸命研究されております。十年たちますと、それがいろいろいい製品となってあらわれてくるのではないか、また計算機も変わってくるのではないかと、そういうふうに思っております。
#27
○参考人(山本宗平君) 今先生がおっしゃいましたように、私も最初に板橋の所に行きまして若干戸惑った面がございました。どうして戸惑ったかと後で反省してみたわけでございますけれども、その大きな理由は、登記業務の流れというものの予備知識が私の場合にはございませんでした。それで説明を聞いていく過程で、受け付け、調査、記入、校合といった一連の流れがあるということが理解できたわけでございますけれども、そういった流れに従って合理的な配置がされているかといいますと、そのようには思えませんでした。そういったことで一連の工程の作業であると思いますけれども、全体像の把握ができなかったということが若干戸惑った原因だろうと思います。
 それから、もう一つ大事なことだと思いますけれども、従来の帳簿による登記とコンピューターによる登記とあそこでは並行して行っているということを聞いております。したがいまして両方の業務が同じ場所で行われているというようなこともありまして、若干第三者には整理つかない面があるのではないかと思っております。そのような観点からいきますと、コンピューターの業務に一本化しますならば作業の流れも整備できると思いますし、随分環境の方も利用者に理解されやすいような形になるのではないかと思っております。
 そして、例えば閲覧でございますけれども、閲覧の業務は従来どおりの帳簿の閲覧をしているようでございましたけれども、こういったこともございまして、まだ完全にコンピューター化されていない、並行して行われているといったことが外から理解できない、混乱しているといった印象を与える一つの要因ではなかったかと思っております。
 以上でございます。
#28
○中山千夏君 私、穂鷹さんに二点、それから山本さんに一点お伺いしたいと思います。
 まず穂鷹さんが、マンション登記が非常に難しくて、これをクリアしたんだから最難関を突破したというお話だったんですが、会社関係のたくさん抵当がついているような、そういうものの登記が非常に難しいということを聞いたことがあるんですけれども、コンピューターにとってそういう会社関係の登記などよりもマンション登記が一番難しいというのはどういうことなのかというのをちょっとわかりやすく御説明いただけたらと思います。
 それからもう一つは、この間視察をさせていただいたときに、入力してきたものを、一度文字になっているものを人間が間違いを見つけて、そして訂正するという作業が入っていたんですが、結構間違いがあるようだったんですね。これ何と比べたらいいのか私わかりませんけれども、この間違いの程度というのはまあまあ許せる程度なのか、まだかなり多いのか、それからこれは今後改善されていく問題なのかどうかというあたりを御説明ください。
 それから山本さんに、これ職員の配置の変化なんということに関係があると思うのでお伺いしたいんですが、コンピューター作業、VDTというんですか、その障害の要因の一つにパーソナル要因というのがあって、その中で年齢というのを挙げておられたんですが、少々その内容を詳しく御説明いただけたらと思います。
 以上です。
#29
○参考人(穂鷹良介君) 私も法律の辺を全部はっきりわかっているわけではないんですけれども、その会社の方が難しいという意味が、会社が主体となっていろいろな抵当権を設定したり、例えばマンションを売ったりという、そういう取引に出たときに難しくなるという意味で、やはり会社が主体になっているわけであって、会社の方をやっている登記が難しいという意味ではないのではないかと思います。
 つまり私が言った会社の方の登記というのは商業登記でありまして、これは余りよく勉強していないんですけれども、代表者の名前を変えるとか、あるいは取締役の名簿を変えるとか、そういうようなたぐいのことでありまして、余り権利関係とかなんとかというのはさほど難しくはないわけであります。むしろ難しいのは抵当権であるとか地上権であるとか、そういうものが入り組んだ不動産登記の方が難しくて、その不動産登記の中でも物件が一件一件別々になっているのはまだやりやすいんですけれども、マンションの場合には区分所有というふうになっておりまして、建物が一つの土地の上に乗っかっているわけですが、その上にたくさんの人が入ってきてしまう。同時に所有してしまう。そういうので一つのものにたくさんの人が入ってしまうので非常に難しくなる。そんなような感じでございます。
 それから入力の訂正の件でございますが、あれくらいは普通でありまして、私が例えばコンピューターをやる場合にはもっとたくさん誤りをしますので、全然大した話じゃないと思うのです。それよりは計算機をやっている場合には間違いを起こすことにそれほど我々なんかですと神経質じゃなくて、間違いがあったらすぐ直せるのですね。そういう意味ではかえってテンションが少なくなって、計算機とつき合うときには間違いが起きたことに関しては緊張が解けてよいものだと思っております。
 それから同時に、間違いの中で相互関連で非常にうかつなエラーを私などはよくやるのですが、それは計算機の方でチェックしてくれますので、むしろそういう意味では間違いが非常に少なくなる。現に板橋の方で過去の登記簿を移行しているのですが、これは言っていいのかどうかあれなんですけれども、過去に人間がやった間違いをもう大分見つけまして、そういう意味では間違いが非常に少なくなったと、そういうふうに思っております。
 以上です。
#30
○参考人(山本宗平君) お答えします。
 パーソナル要因としまして、殊に高齢者がコンピューター作業に適するかどうかといった問題は、これは一般論としても大きな問題になっております。それでパイロット評価委員会におきましても、この点について委員の間でディスカッションをしております。そのディスカッションの中で出てきた問題でございますけれども、高齢者になりますと水晶体が若干濁ってまいります。そうしますと、同じ照度の場合ですとやはり見にくくなる。ですから、照度を高めますと高齢者でもかなり作業の能率が上がるということが言われております。しかしながら、照度を高めますと、今度はディスプレーの文字が見にくくなるといった問題が出てくるわけでございまして、そういった点は配慮していく重要な問題点だろうと思います。
 それにまたいわゆる老眼でございますけれども、この場合には近点距離が延長いたしますので、特別の眼鏡による補正が必要であろうということになりますけれども、この眼鏡による補正というものは高齢者に限らず若年者でも言えることでございます。遠方の視力と近方の視力というものは全く同じものではございませんでして、やはり別個に測定して、そして眼鏡をつくる場合には近距離用の眼鏡をつくるということによりまして非常に見やすくなると言われておりますので、高齢者の場合にはそういった配慮が必要になるのではなかろうかと思います。
 それからまた別の問題になりますけれども、新しいシステムなりあるいは技術なりが導入された場合に、なかなかその技術を消化して生かしていくということが高齢者では不得意であると言われておるわけでございます。しかし、なぜ不得意であるかということでございますけれども、例えば受験勉強で高校生が大学を受験するといったようなペースでは高齢者の場合には修得できないのではないかというわけでございます。したがいまして、トレーニングの期間というものをやはりかなり長く取っておくならば、高齢者でも新しい技術に対応できるのではないかと考えられるわけであります。そこで高齢者向きのマニュアルをつくる問題でありますとか、あるいは研修の期間を長く取るといった配慮をしますならば、高齢者でもコンピューターの作業に適応できるのではないかと思っております。
 以上でございます。
#31
○寺田熊雄君 森参考人にお伺いしますが、磁気ファイルに収納されたすべての記録ですが、これは何回使っても画面に映る場合に鮮明さが薄れてくるというようなおそれはないわけですか。それからまた鮮明度というようなものは永久に変わらないものですか。
#32
○参考人(森健一君) お答えします。
 磁気ファイルの中身は直接ディスプレーやプリンターに出てくるわけではございませんで、磁気ファイルの中では0か1かのディジタル化された信号になっておりまして、それを変換しましてディスプレーの上で漢字にするなりして表示してございます。先ほどからVDT作業といって文字が鮮明かどうかということが問題になっておりますが、これはブラウン管そのものの特性でございまして、磁気ファイルとは直接関係ございません。磁気ファイルの方ではそういう0か1かの信号にすることによって極めてはっきりした状態で記録されております。
#33
○委員長(大川清幸君) ほかに御発言もなければ、以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には長時間にわたりまして貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   正午休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#34
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#35
○寺田熊雄君 初めに訟務局長にお尋ねをしたいのですが、現在最高裁に係属しております衆議院議員の定数配分規定の無効を主張しております訴訟ですね。高裁から上がりました訴訟が随分たくさんあるようですね。全体で八件あるようですが、間違いございませんか。
#36
○政府委員(藤井俊彦君) 今御指摘の訴訟につきましては、第一審の高等裁判所の段階で、札幌、それから東京、大阪、仙台、各高等裁判所に訴えが提起されたわけでございます。その内容は全国各地の選挙区二十一選挙区につきまして訴訟が起こされました。そのうち一選挙区につきましては同じところから二件訴えが起こされまして、訴訟事件といたしましては二十二件あったわけでございます。その二十二件の訴訟につきまして御承知のように去年の九月から十二月にかけましてそれぞれ裁判があったわけでございます。この裁判は大阪の高等裁判所におきましては、それぞれ部が別々の部で審理、判決がなされまして、これが五カ部あったわけでございます。そういうわけでございまして、判決をなさいました部といたしましては八カ部ということでございます。そういうわけで、その八カ部におきましてなされました判決につきまして選挙管理委員会側、それから原告側からそれぞれ上告がなされておりまして、現在最高裁判所に係属中と、そういう状況でございます。
#37
○寺田熊雄君 これは五十八年の総選挙に関するものでありますが、この定数配分規定というのは五十年に制定されまして、五十一年から施行されたようですね。したがって制定後、その選挙までには八年余り、施行後六年有余を経ておると思うんですが、そのとおりでしょうか。
#38
○政府委員(藤井俊彦君) 御承知のように昭和五十年に選挙法の改正がなされまして、その施行が五十一年でございます。そういうわけでございますので五十一年から五十八年の十二月十八日の選挙までにはおよそ七年が経過している、そういうことになるわけでございます。
 なお、まことに失礼でございますけれども、私先ほどのお答えの中で各高等裁判所の名前をつい言い間違えまして訂正させていただきたいと思いますが、広島、大阪、東京、札幌、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
#39
○寺田熊雄君 したがいまして、従来の最高裁大法廷判決の理論、これは是正のための合理的期間が必要である、これを経過すれば憲法違反と断ぜざるを得ないという、そういう理論を考慮いたしますと、人口移動による著しい投票権の不平等を是正するために必要な期間は、今局長のおっしゃった七年ということになりますと、十分にあったとする各高裁判決が是認される可能性、つまり高裁判決でその是正のために必要な期間があったのにそれを怠った以上はやはり違憲であるという判断をこうむらざるを得ない、そういう高裁判決が最高裁でもやはり是認される可能性というものはかなり高いと見ざるを得ないと思うんですが、その点いかがでしょうか。
#40
○政府委員(藤井俊彦君) 現在最高裁判所に事件は係属中でございますし、来週四月二十四日にはこの事件につきまして最高裁判所の大法廷で口頭弁論が行われるという予定になっております段階でございますので、具体的にこういうふうになるでありましょうというようなことはお答えを差し控えさせていただきたいのでございますけれども、いろいろと考えますと、理論的には今委員の御指摘のような可能性もあり得るところであろうかというふうに存じております。
#41
○寺田熊雄君 私もその点は疑いないように思うのでありますが、ただ政府部内では、法律の番人であります法制局長官もこの法務委員会にお出になりまして、たとえこの現在の配分規定、つまり違憲と断定せられた場合の配分規定であっても、政府の解散権は制約を受けないという意見をおっしゃっておられるわけです。極めて異例のことでありますというような弁明はなさっておられるんですが、結論としてはそういうことをおっしゃっているわけですが、そうといたしますと、もし解散がありますと違憲の法律に基づく選挙が行われるというゆゆしい事態にならざるを得ないんですが、局長も理論的には解散の場合は違憲の法律による選挙が今のままでいくと行われざるを得ないということになる。これはお認めになりますでしょう。
#42
○政府委員(藤井俊彦君) その点は事実の問題だと思いますけれども、最高裁判所の御判決が遠からずあるとは思いますけれども、その最高裁判所の御判決がありまして、それからまたいつ選挙があるかはわかりませんけれども、その次に選挙が行われるまでに、現在、その最高裁判所の御判断のありました昭和五十年改正の公職選挙法の改正が行われていないということを前提といたしますならば、これはもうだれが考えましてもそういうことになるわけでございます。
#43
○寺田熊雄君 その場合、最高裁が憲法上与えられております違憲立法審査権というものが事実上踏みにじられる結果になってしまうんですが、理論的にそう思わざるを得ないんですが、これはお認めになりますか。
#44
○政府委員(藤井俊彦君) その場合に、それだけのことで最高裁判所が憲法上付与されております違憲立法審査権が踏みにじられることになるかどうか、これは必ずしもそうとも言えないのではないかというふうに私は今思いますけれども、何分にも私の方の所管といたしましては訴訟の担当をしておるところでございますので、その点の一般的な見解ということになりますと、またそれぞれ所管のところでお答えされるのが適当かと思いますので、この程度のところで御答弁をお許し願いたいと思うところでございます。
#45
○寺田熊雄君 余り局長にその点、無理なお答えを求める気はないんですが、ただ最高裁としては違憲だよと判定したその選挙規定に基づいて政府が強引に選挙を実施するということになりますと、最高裁が究極の判断権者であるという現行憲法の規定に政府が背いたことになりますね。最高裁がその権限を持って、その権限に基づいて違憲だと言ったのを、政府は平然とその違憲の法律で選挙を行うというのですから、これはどう考えても最高裁の違憲立法審査権というのはそれだけへこみを受けたということは疑いないので、それは全面的に全部局長のおっしゃるようにすべてが失われるということじゃないでしょうけれども、その限りにおいては違憲立法審査権の行使の結果というのは踏みにじられますからね。私は最高裁がそういう事態になることを非常に憂慮していると考えております。これは、じゃ、どうしてそれがわかるかということを言われますと私もちょっと申しにくいんですが、いろいろな見地から考えてそれは当然憂慮しておると考えざるを得ないんですが、これは局長もそうお考えになるでしょう。
#46
○政府委員(藤井俊彦君) その点につきましては、さきに昭和五十八年十一月七日になされました最高裁判所大法廷の判決におかれましても「昭和五〇年改正法施行後既に約七年を経過している現在、できる限り速やかに改正されることが強く望まれるところである。」というふうに判示しておられますところからいたしましても、そのように理解されるものと思っております。
#47
○寺田熊雄君 今まさにそういう点では最高裁の憂慮というものがこれは何びとも認めざるを得ないと思うんですが、それじゃ、そういうことがないために最高裁がどういう手だてを講ずるだろうかという問題なんです。
 これは五十一年四月十四日の大法廷判決では岡原裁判官ら五人の裁判官が当該の著しい投票権の平等の格差をこうむった選挙区の当該選挙を「無効とすべきである。」という意見を述べておられますね。まあ五人ですが、これがもうあと三人ふえますと一部無効ということの判決になってしまうわけですね。それ一部無効の判決があり得るだろうかと考えますと、今申し上げたように既に過去において五人の方がそういう意見をお持ちになった、だからあと三人ふえればそうなるんだよということは、これは疑いもないわけです。全部無効の判決がおりるだろうかと言うと、これは私は国政上回復しがたい混乱を生じますので、これはないだろうということは法律家として常識上考えられるんですが、一部無効の判決というのはあり得るぞと思うのですが、これについてはどういうふうに思われますか。
#48
○政府委員(藤井俊彦君) この御質問も、今係属しております最高裁判所の御判決についてこういうことがあるのではないかという御質問でございますけれども、先ほど申し上げましたように、今私ども最高裁判所に対しましてそれぞれ主張を申し述べて公正な御判断をいただきたいというふうに思っておるところでございますので、具体的にそのようなことはありましょうとか、ありますまいというふうにお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、これも理論的には今先生の御指摘になりましたのは、いわゆる不可分説と可分説に基づく線上でこの事件が考えられる場合の推移でございまして、そういう可分説を最高裁判所の方でおとりになる方が御質問のとおり数多くもしおいでになるということになりますならば、理論的にはそういうこともあり得るであろうというふうに存じます。
#49
○寺田熊雄君 この憲法判断をした最高裁の権威を守るために思い切った処置を講ずるとすると全部無効判決、それから今局長も理論的にお認めになった一部無効判決、こう二つあります。もうそれ以上ないかと言いますと、私はあると思うのですよ。
 それは局長が今おっしゃった五十八年十一月七日の最高裁大法廷判決の判決理由で、できるだけ速やかにこの配分規定を改正することが「強く望まれる」と言って政府に強い口調で注文をつけたと同じように、判決理由で、もしも最高裁が違憲と判断したそういう違憲の法律に基づいてその選挙が行われるというような憲法を無視したことが行われるならば、その場合には一部無効というふうな強い判決を余儀なくされることもあり得るぞというようなことを、表現は別として、この五十八年の大法廷判決よりもさらに一層強い口調で政府に対して注意を促すというような方法ですね。これも当然私はあり得る、いわば第三の道ですが、私は判断しますが、局長これは認められますか。
#50
○政府委員(藤井俊彦君) 今まで最高裁判所の大法廷で、衆議院の定数訴訟につきましては御承知のように昭和五十一任四月十四日の大法廷判決、それから昭和五十八年十一月七日の大法廷判決ございますけれども、そのまず五十一年判決におきます多数意見の理由の内容、特にその中におきます裁判所がこの種の訴訟に裁判権を有するのだと、言いかえますと公職選挙法の二百四条の規定によってこの種の憲法違反を理由とする選挙無効の訴訟について裁判をすることができるんだというふうにお示しになっているその法的根拠、それから同じく五十一年の大法廷判決におきまして示されておりますいわゆる事情判決の理論的な根拠、それからその法的な性格、加うるに昭和五十八年の十一月七日に言い渡されております大法廷判決の今委員御指摘の説示、それにこの大法廷判決、五十八年判決でございますけれども、そこにあります少数意見の中の団藤裁判官、それから中村裁判官、谷口裁判官、木戸口裁判官などの御意見を詳細に検討いたしてみますと、先生の御指摘のような判示が来るべき判決の理由中において示されるということも理論的には想定され得るところであろうというふうに思います。
#51
○寺田熊雄君 次に、登記事務が機械化の先端を行く電子技術を用いて行われるというのは、私はある意味では歴史の必然ではないかと考えておる一人であります。問題は、機械が登記事務処理のために特に注文生産されたもののように聞いておるんですが、これはどことどこの会社に注文して生産を促したのでしょうか。
#52
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在板橋でパイロットシステムによる現場実験を行っておりますが、この実験に使用されております機械のメーカーは富士通と東芝でございます。富士通の方の機械は特別な機械というわけではないと思いますが、東芝の方で入れてもらっております出入力の機械の方は、けさ午前中に森参考人の方からもお話しございましたけれども、通常のワードプロセッサーを一応基本にいたしまして登記用に使えるようにする。しかも板橋でごらんいただいたと思いますけれども、登記用紙に対する記入も同時に行うというような形での機械でございます。それはまさに登記所だけしか要らない機械でございますので、それはこのパイロットシステム用に特別につくったものだというふうなことが言えようかと思います。
#53
○寺田熊雄君 当然のことではありますが、特に国の委託による研究開発にはある程度の費用はかかりますね。その費用は十年間の間と、さっき森参考人は十年とおっしゃったんですが、十年間の間にどのぐらい必要としたんだろうか。法務省の方で支払われた総額でいいんですが、どの程度の経費を要しましたでしょうか。
#54
○政府委員(枇杷田泰助君) 五十九年度までの総支出額が約五億六千万円でございます。
#55
○寺田熊雄君 これは特に今の東芝それから富士通、ここの会社に委嘱なさったのはそれなりの理由があると思うんですが、特に二社に的を絞られたのはどういうわけでしょうか。と申しますのは、私どもそうしたもろもろの機械化の経費というものが結局は国民の肩にかかっていくということを考えますね。もちろんそれによって国家的な経費が縮減を受けるというプラス面もあるわけでしょう。同時にまた、その経費というものはいや応なしに国民の肩にかかるという現実もある。したがって、できるだけ研究開発の成果というものは多くの会社で競争した方が国家的な経費というものはそれだけ減少するんじゃないだろうかと考えるわけですね。したがって、自由競争が行われ得ないような二社独占ということで果たしていいんだろうかということも考えるわけですが、どういう理由によって二社を選択されたんでしょうか。
#56
○政府委員(枇杷田泰助君) 従来のコンピューター導入のための開発は実は昭和四十九年度から行っております。東芝、富士通が出てまいりますのは五十年度でございますけれども、実際は四十九年度から始めておりますが、このときには電電公社に研究を委託いたしております。五十年度にいたしましていろいろなシステムの試案を作成しなければいけないということで、電電公社のほかに入出力の関係を主といたしまして富士通、それから日本電気、東芝、日立製作所、そのほかに日本システム技術というような会社にいろいろな面で研究してほしいということで委託をいたしました。
 そういう状態でございましたけれども、先ほど森参考人からのお話もございましたけれども、当時といたしますとどれだけ実際上の実現性があるかということについては雲をつかむような状態でございました。そういうようなところから自社の方でいろいろ研究開発を進めていくこととの関連において登記のシステムを考えていく、あるいは入出力の技術を開発するということが結びつくような会社は比較的今後も研究を委託を受けて進めていきたいという気持ちを持つわけでございますが、そうでないところは次第に辞退をしていくというふうなことが起きました。その結果、五十二年度から本体の方といいますかにつきましては富士通の方がなおその研究委託を進めていきたい、それから入出力につきましては東芝の方が進めていきたいというふうなことでずっと継続しておるわけでございます。
 殊に東芝につきましては、今度の登記のパイロットシステムが具体的になりました理由が漢字の入出力ができるようになったというところに飛躍的な段階があるわけでございますけれども、その漢字入力ができるようになったというためのワードプロセッサーの開発、これが実は東芝が一番先に開発をして一番先に技術が完成したというふうなことがございます。そういうふうなところからパイロットシステムのいろいろな試案段階において富士通と東芝とが残ってこの研究を同時に進めていきたいということで今日まできておるわけでございます。したがいまして、私の方ではほかの会社の方の門戸を閉ざしたというわけではございませんで、そういったようないきさつで各メーカーそれ自身の方針で残るか、あるいは引き続きやるかというふうなことで今日まできたというふうな経過でございます。
#57
○寺田熊雄君 そうしますと、法務省としてはかなりな数のメーカーに当たったけれども、究極的には富士通と東芝がその機械の開発を引き受けた、研究開発を引き受けた、したがっておのずから二社に絞られる結果となった、本体の方は富士通でやる、それ以外の機械は東芝でやる、こういうことですね。
#58
○政府委員(枇杷田泰助君) 要約的に申しますと、ただいまおっしゃったとおりのことになります。
#59
○寺田熊雄君 そうしますと、これは将来においてもこの二社のいわば独占といいますか、ほかのメーカーによる競争、自由競争という道はもうないことになりますか。
#60
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもの考え方といたしますと、従来富士通、東芝に非常に熱心に研究を進めていただいたという恩義的といいますか、そういうつながりから富士通、東芝に頼もうという気持ちはございません。できるだけ門戸を開いて多くの会社に競争的に入ってもらうということが一面では望ましいという気持ちは持っておりますが、ただ現実問題といたしますと、現在板橋のパイロットシステムの開発で、先ほども話が出ましたけれども、九十万を超え百万に近いステップ数の開発がなされております。これから本番と申しましょうか全国展開をしていく場合にそれなりのシステムをつくっていかなければなりませんけれども、そのような場合に、既存の開発された九十万以上のステップのうちの七割以上のステップ数が実はもうそれで使えるわけでございます。
 このコンピューターの機械と申しますのは、私もちょっとなぜそうなのかというのはよくわかりませんけれども、各メーカーの機械のデータベースといいますか、ハードを前提としてソフトが組まれていくというふうなことでございますので、したがいまして、今まで開発されました九十万を超えるステップというのは富士通並びに東芝の機械を前提にするステップなんでございます。これを全国展開していく場合にそのうちの七割以上のものが使えるということは大変メリットでございます。ほかの会社が参入をするということになりますと、改めてその当該メーカーのデータベースに基づく新しいソフトウェアを百万ステップ、あるいは全体とすれば私は二百万ステップくらい必要だというふうに聞いておりますけれども、それを新規にやらなければいけないということになるわけで、したがいまして経費的にも、また開発の時間からいいましても、実際問題からすると他社が入ってくるということは、これは事実上困難と申しましょうか、それをやるとすればかなりの経費と時間がかかるという隘路がございます。
 そういう面で私どもは結果的には富士通と東芝に引き続きお願いをすることが合理的ではないかというふうな感じではございますが、ただ、これからいろいろ開発していくにつきまして新しい分野のものがあろうかと思います。そういう面については全く富士通や東芝も初めて手がけることでございますので、そういう分野である場合にはそれは門戸開放といいますか、競争的にやっていただこう、それが合理的であろうというふうに考えておる次第でございます。
#61
○寺田熊雄君 リース料というのは今の試算では一法務局出張所当たりどのぐらいになる見込みですか。
#62
○政府委員(枇杷田泰助君) これはその出張所の規模等によりましてランクづけがされることになります。一年一億ぐらいかかるのもありましょうし、三千数百万円ぐらいのものもあるだろうというふうに私どもは現在の価格で考えておりますけれども、平均的に申しますと五千万か六千万ぐらいになるのではないか。しかしこれからも、先ほど午前中にも話出ましたように、また価格は大いに変動してまいろうかと思いますが、現在ではそうでございます。なおただいま申しました値段と申しますのは、厳密な意味ではリースではなくてレンタル料と呼ばれているものでございます。
 余談でございますけれども、コンピューターをユーザーが使う場合にどういう形式があるかというと、業界での言葉では三種類あるようでございます。一つは買い取り、一つはリース、もう一つはレンタルと呼ばれているものでございます。レンタルとリースとの違いと申しますのは、リースはただ賃料を払って、そして最終的な所有権はユーザーのものになるというふうなことかもしれませんが、レンタルの方はいわばその機能をずっと維持するという一種の請負的な要素が入っておりまして、賃料と同時に保守についても責任を持つというふうな形でございます。そういうもので現在も板橋ではレンタル方式でやっておりますし、将来もその方が合理的ではないか。新しい機種が開発された場合にはすぐ取りかえるというふうなことも可能になってまいりますので、ですから厳密な意味ではレンタル料というふうに御理解をいただきたいと思います。
#63
○寺田熊雄君 問題は、国民経済的に考えますと、それでもって例えば三千人を必要とする増員がその機械のために千五百人で済むということになれば、財政支出というものは千五百人分の人件費というのが浮いてくる。それから大衆を三時間今待たしている。そういう登記所の実情なのに、今度は十分待てば大衆が希望する登記簿の謄抄本が手に入る、二時間五十分も国民の時間が節約になる。そういうことを考えますと、国民経済的な見地からは機械化というものはこれは大変好ましいものだということは言えるかとも思うんですが、今度のコンピューター導入では早速手数料を五十円引き上げていますね。そういうふうに機械化の進展あるいは改良、速度、そういうものに応じてどんどんと手数料を引き上げていくということになると、これは国民負担の見地から果たしてどうかなというふうに思わざるを得ませんね。その点はどういうふうに考えていらっしゃるんですか。
#64
○政府委員(枇杷田泰助君) 原則的にコンピューター化は受益者負担の方式でお願いをしたいという考えでございます。したがいまして、余りスピードアップをするとか余り経費のかかるようなやり方をしますと国民の方に御負担が多くなり過ぎるという面があるわけでございます。その点は私どもも十分に考えていかなければならないだろうと思います。
 したがいまして、値上げと申しましてもこれはおのずから限界があることだろうと思います。私どもも遠い将来でございますからわかりませんが、ことしの七月から謄本を四百円にいたしまして、そしてさらに数年後にはまた値上げというふうなことが、そういう問題が起こるだろうとは予測しておりますが、終局的に何千円もするとか千円を超えるというふうな、そういう手数料にすることはこれは避けなければいけない。そういうふうなことになる場合にはむしろコンピューター計画をあるいは期間を延長するとか、あるいは何か別の簡素な方式を考えるようにするとかというふうなことでなければ、いい制度だからといって国民に余りにも大きい負担を強いるということは適当でない。原則的にはそのような考え方で将来の計画を立て推進をするという考え方でございます。
#65
○寺田熊雄君 登記特別会計が今度新しく考えられて、現に衆議院の大蔵委員会にこれは係属しておるわけでありますが、その会計の中身を見てみますと、収入は主として一般会計からの繰り入れ、六十年度三百七億、それから登記手数料、これは同じ六十年度二百四十八億、この二つの両収入から成っておりますね。その比率は五五対四五という比率でありますが、この比率はどういう因子によって変わってくるんでしょう。
#66
○政府委員(枇杷田泰助君) 特別会計の歳入面は一応原則としては手数料収入でございますが、歳出の方はコンピューター化の経費も含めまして登記制度全体を運営していく経費ということになります。したがいまして、その差額が一般会計から繰り入れられるということになるわけでございまして、今後の変化といたしますと、まず手数料の収入がどのように変化していくかということでございます。その変化が一つには事件数がどういうふうに伸びていくか、それからまた将来値上げをするとすればそれによってふえるという要素がございます。そういうふうなことで、むしろ手数料の方は今までの経過からいいますと事件数の伸びを中心として毎年ふえていくであろうという予測を立てております。
 一方、人件費などの拡大というふうなこともベースアップ等に伴って当然出てくるわけでございます。それからコンピューターの導入の仕方によってはその経費もふえていくということになりますので、一般会計からの繰入額もこれはふえるという要素を持っていると思いますが、全体としては、これは将来その関係がどうなるかということは予測しがたいことでございますけれども、一般会計の操入額の構成比が六十年度においては五五%ではございますけれども、だんだん五〇・五〇に近づいていくだろう、そして場合によっては一般会計の繰入額の方の比率が減るという方向に行くのじゃないか、繰入額の方の構成比がふえるということはちょっと予測しがたいのではないかというふうに思っております。
#67
○寺田熊雄君 問題は、その人件費が非常に増加していく、機械の導入費、レンタル料がふえていく。しかし公共事業が往年のごとく拡大基調にはない。したがって、それほど登記の手数料収入はふえない。これは甲号事件が主でしょうが、手数料収入というと乙号事件になりますね。乙号事件の収入も甲号事件の増加基調と必ずしも背馳するものじゃないんで、むしろ並行するもののように思いますから、乙号収入もそれほどふえない。そうすると、私は、その困難を手数料の増加によって賄うということじゃ困るので、できるだけ一般会計からの繰り入れによってそういう困難を克服する道を選んでいただかなければ困ると私は考えておるんですよ。
 それで問題は、やはり甲号事件の処理に当たって登録免許料が印紙の貼用によって国庫収入になりますね。これは一般会計上の国庫収入になる。乙号事件は、今度は新しく登記印紙制度というのができて、登記印紙の貼用によって登記特別会計への国庫収入になる。私は、これは乙号事件といえども甲号事件といえども、どちらも法務局職員の労働によってこれが得られるものである、殊に甲号事件は登記官の非常に高度の判断なり精神的な労働の要素が加味されたそういうものによって得られるものであるからして、これはやはりそういう手数料的要素が登録免許税の中には包含されているんだと考えておるんですよ。したがって、一般会計から繰り入れても少しも不自然なことはないので、多々ますます弁ずべきであるというふうに考えるんだけれども、これは法務省と大蔵省であるいは多少の意見の相違はあるかもしれませんが、御両省の御意見をちょっと承りたいんです。
#68
○政府委員(枇杷田泰助君) 登録免許税につきましては沿革的には手数料的な要素を考えていたことがあるのではないかと思われる節がございます。しかしながら、現在では少なくとも登録免許税として税という形での構成をいたしておりますので、したがいまして、理論的に、これが直ちに手数料で、実費の部分は登記の事務処理経費に当然回すべきだということは言えないと思います。しかしながら、そういう要素もありますので、したがって、一般会計からの繰り入れの際にはそういうふうな要素も考えていいじゃないかというふうな議論も確かにあり得ようかと思いますが、しかし先ほど申し上げましたように税金でございますので、理論的にどうも手数料的に考えるというのは問題であるというふうな結論に達しております。
 それで、先ほどちょっと手数料的な要素が沿革的にはあると申し上げましたけれども、じゃ、全部が手数料であったのかというと、それは決してそうでない。じゃ、どれぐらいの金額、あるいはどれぐらいの比率だということも、これも何にもないわけでございます。そういうことからいたしますと、この特別会計を考える際に、沿革的にそういう要素があったからといって、それを中心に理論的に区分けをしてやるということはかえって技術的に混乱を招くことにもなるではないかというふうな面から、この登録免許税を特別会計についての特別の財源というふうな扱いにすることは適当でない。そのかわり、いわば登記事務の運営全体を考えた上で、その手数料収入だけで賄えない分については一般会計からも繰り入れるということは、むしろ当然といいますか、その際には登記の運営が十分円滑にいくようにという判断のもとに繰り入れていただければ、それで結果的には同じことではないかというふうなことで、私どもはその登録免許税の中の手数料的性格論を余り強調して、特別会計の制度をかえって技術的にわかりずらくするというふうなことはあえてすべきでないという結論で、今回のような特別会計制度が一番現実にマッチしているものだという理解をいたしておる次第でございます。
#69
○説明員(吉本修二君) 若干重複いたしますけれども、私の方から御説明さしていただきます。
 手数料というのは一つの行政サービスに対してその実費を賄うという意味で対価としていただく、こういう精神でやっておるわけでございます。この登録免許税は沿革的な問題はいろいろあろうかと思いますけれども、特に昭和四十二年に現行の登録免許税制という体系がすっきりいたしまして、その考え方は、例えば不動産の場合ですと、その財産権の創設とか移転とか、そういうことの背後には担税力に着目して税として徴収する、そういう税として純化する、こういう考え方に完全に立脚するシステムででき上がっておるものでございます。したがって、これはあくまで税金であるという考え方に立つ限り、これは手数料的なものが入っているとか入ってないとか、そういう議論じゃなくて、税であるからそれは手数料ではない、こういうことに相なるわけでございます。
 したがって、結局今回の特別会計における一般会計の受け入れという問題については、一たん担税力に着目して税として取ったもの、それが一般財源として国庫収入に入ります。その国庫収入に入った登録免許税であるか、そのほかのあらゆる財源を含めて一般財源でございますから、その中から特別会計に一般会計負担分ということで繰り入れるという考え方をとるわけでございますけれども、そういう構成をとるときに、沿革的なことも含め、また現実の、いわゆる甲号でございますが、そういう権利申請者が登録免許税という大きな税負担をしておるという点に着目してそういうものの繰り入れをするということも合理性があるだろう、こういう考え方に立っておるわけでございます。
#70
○寺田熊雄君 あなた方のお考えはよくわかります。法務省の方は非常に謙抑的な御意見で、これはいろいろな関係でやむを得ないかもしれない。それからまた大蔵省の方は、今現にこれは法律で税になっているんだから手数料とは違いますというその理屈もわかる。私の言うのはもっと本質的な哲学的なことを問うているわけで、それはつまり法務局職員の労働の集積というものが根底にあるから、それに対する国民の、何といいますか、報酬と言ってはなんだけれども、当然支払うべき対価というか、そういう要素も本質的には包含されていると見ざるを得ない。こういう本質論から言っているわけで、今ここであなた方が円満にそういう理解に達しておられるのに蒸し返す気持ちはないから、これだけで終えておきます。
 それから時間も余りないんですが、この登記特別会計によって庁舎を新築することも当然可能になるわけですね。というと、これは主計官もよく聞いておいていただきたいんだが、あなたも御存じだろうけれども、今の法務局の各地の出張所というものは非常に執務環境が劣悪で、渋谷の出張所を見ていただければよくわかるんだけれども、あのままでやられてはかなわない。そこでできるだけこの特別会計を活用して庁舎の新築に努力してほしい、それが執務環境というか職場の環境というものを改良し国民にも不快な思いをさせないということになると私は考えておる。最後に、庁舎の新築が可能であると思うけれどもその点はどうか。六十年度においてはどの程度この会計から舎庁の新築、改築に振り向けていくか、この点だけ伺ってあとはまた別の機会にいたします。
#71
○政府委員(枇杷田泰助君) 特別会計の中で施設費が計上されることになりました。この特別会計の中で賄われます支出と申しますのは登記事務を処理するために必要な施設の整備ということになります。現実問題といたしますと、法務局の出張所はこれは登記をやっておるところだということになりますから、出張所の施設費は全部この特別会計で見るということになるわけでございます。あと本局、支局が登記以外のこともやっておりますので、これを面積的に分けるというのも大変なことでございますので、実際問題といたしますとどういうものを特別会計でし、どの庁舎を一般会計でやるかということは大蔵省と協議をして決めていかなければならぬことになりますけれども、中心的には登記事務のための施設というのが法務局の場合には中心になりますので、特別会計によってそれが賄われるということになろうかと思います。
 昭和六十年度におきましてはこれはちょっと変則的でございまして、四月から六月までの第一・四半期は一般会計で全部が賄われる、七月から来年の三月までは先ほど申しました登記関係の施設費は特別会計で賄われるという変則的なことでございますので、ちょっと平年度化して御説明はしがたいわけでございますが、六十年度の特別会計における施設費は金額的には三十億が計上されております。
#72
○飯田忠雄君 本日は不動産登記の問題についてお尋ねをいたしますが、まずその前にこのたびのファイルシステムをつくられるに当たりまして東芝が開発した技術で登記所固有のものでないものについては東芝が特許権を持つ、そうでないものは法務省に権利がある、こういう参考人のお話を承ったように思うんですが、私の誤解があるといけませんので念のためにお尋ねをいたしますが、そのようなことになっておりますか。
#73
○政府委員(枇杷田泰助君) 東芝が分担いたしましたのは入出力の関係でございまして、それにつきましては機械も新たなものをつくりましたし、それよりもソフトウエアとしていろいろな面の開発がなされておりますが、その面におきましてまず東芝がもともと持っております技術と申しますかソフトウエア、これがワードプロセッサー一般については東芝が持っているわけです。それにプラスして登記専用と申しますか、そういうふうな仕組みをつくっていくというのは、法務省の方から委託をいたしまして、そしてその委託料の金額もお払いをして、そしてつくってもらったわけでございます。したがいまして、実際問題としてどこでどう仕分けるかということになりますとちょっと難しい問題あろうかと思いますが、観念的には、そこに新たに一般の東芝のワードプロセッサーにつけ加わった技術といいますかソフトウェアは、これは法務省の委託に基づいて法務省の予算が支払われてつくられたものでございますので、したがいまして、その権利は法務省が持つと申しましょうか国の物だということになろうかと思います。
#74
○飯田忠雄君 このたび特別会計ができましたが、新しくつくられましたいろいろの機械だとか設備、こういうものの減価償却の問題ですが、これは大体何年ぐらいの御計画でございますか。
#75
○政府委員(枇杷田泰助君) これは先ほども寺田委員の御質問にお答えいたしましたけれども、買い取りで行っておるわけではございませんので、したがいまして減価償却という問題は出てまいりません。レンタル契約でございますので、年々提供されるサービスと申しますか、そういうものに見合ったものが支払われていくということでございますので、償却の問題は考えておりません。
#76
○飯田忠雄君 不動産登記法の十七条によりますと、図面の備えつけ義務を課しておりますが、この図面、地図及び建物所在図の問題ですが、これはどのようにして作成をしておいでになり、また今後はどういうふうにして作成されるのかお尋ねいたします。これはどうしてこういうことをお尋ねするかといいますと、不動産登記をいたしましても、どうもそれに関連する地図とか建物所在図が完備しておるように思えませんのでお尋ねをするわけでございます。
#77
○政府委員(枇杷田泰助君) 昭和三十五年の不動産登記法の改正によりまして、ただいま御指摘の十七条で、地図とそれから建物所在図を登記所に備えるということになったわけでございますが、その時点におきまして登記所が保管しておりました地図は、税務署から課税台帳、すなわち土地台帳、家屋台帳の附属地図として使われていたものがその当時登記所にあったわけでございます。これが一面公図という名前でも呼ばれております。そのような公図は、いわば一筆の所在とそれから隣地との筆界を明確にしているものとは言いがたいものでございますので、その地図を十七条の地図というふうな扱いは今日でもしておりません。
 したがいまして、その十七条で言っております地図に相応するような地図をつくらなければいかぬということが課題になっておるわけでございますが、これは大きく分けまして二つの方法で処理をいたします。一つは、法務省外のところの地図作成と申しましょうか、その地図をいただいてそれを備えつけるという方法でございます。その内容は一番中心になりますのが国土調査法によりますところの地籍調査でございます。これを年次計画で国土庁の方で現在進めておられます。その国土調査の結果、地籍図が完成されますと登記所に送付されることになります。これを登記所の方で、若干時間的なずれがございますので修正を施した上で十七条の地図として備えつけるということをいたしております。なおそのほかにも、土地改良だとか土地区画整理などで換地確定図のようなものができて、それが精度がいいというものについては十七条の地図の指定をいたしております。これは外部からのものでございます。
 それから、法務局自体でもつくってみようということで、毎年ある程度の地域についてやっておりますが、これは予算的にもなお法務局の人的な余力の問題からいたしましても、年に一平方キロとか二平方キロとか、その程度のものしかできないわけでございまして、これは構成比的にはとても一%にも及ばないという微々たるものでございます。しかし、その二通りで進めております。
 じゃ今後どうするかということでございますが、やはり計画的にやっておられます国土庁の国土調査による成果図、これを中心として整備をするということが一番望ましいことだということで考えておりまして、国土庁の方にもできるだけその整備を急いでいただくように、また内容についても登記所で使うのに問題が生じないようにというふうなことでお願いをしてやっていただいております。
 それが逐次整備されるだろうと思いますが、現段階におきましてはちょっと地図の大きさが違うので比較できないのでございますけれども、地図の枚数的に申しますと大体三〇%近い枚数が十七条の地図になっております。面積的に申しますと二四、五%かなという状況でございます。まだまだこれから整備をしなければならないところがございますし、殊に都市及びその周辺地区について国土調査の方の地籍調査がなかなか手がつかないという状況でございますので、この点について何とか整備をいたしたいということが課題でございますが、何分現在の法務局独自の力でやるということも、私どもとしては拡大はしたいと思いますけれども、現段階でそう一遍に拡大するような余力がございませんので、実は私どもの方でも内心は焦りみたいなものも感じている状況でございます。
 問題としては十分に受けとめておりますので、将来これについて本格的に取り組まなければいけないという気持ちを持っております。
#78
○飯田忠雄君 この場合の地図とか建物所在図というのは個々の登記される土地とか家に関連を持ったものでございますね。ですから、そう大きなものじゃなくて小さなものではないかと思うんですが、こういうものにつきまして今後は新しい制度でこれをファイルするということになりますと写真か何か撮っておやりになるつもりなんでしょうか、ファイルは。それとも登記申請者が申請するときに申請書に自分の関連のある図面を添えて出すとかということをおやりになるのか。その点はいかがでございますか。
#79
○政府委員(枇杷田泰助君) 大きな意味での地図というものは二種類あるわけでございまして、一つは、位置がわからないとそれは地図になりませんので、したがいましてある一定の広さのところに百筆とか二百筆とかいうものが書かれておるというような地図が普通私どもが考えておる地図で、先ほど御説明申し上げましたのもそういうような地図でございます。
 なお、今ちょっとお触れになりました一筆ごととかあるいは建物一個ごとの図面というものは、地積測量図とか建物図面とかというふうに呼んでおりまして、これは分筆のときだとか合筆のときだとか、あるいは家屋の新築のときなどにその申請書に添付して出していただいております。これは縮尺の関係でかなり大きな表現になるわけでございます。そういうものは申請と同時に出していただいて、地番順、家屋番号順に編綴をして永久保存的に登記所で保管をいたしております。
 将来これをどのようにして保管するかというふうなことが問題になりますが、午前中にもちょっとお話出ましたが、大きな方の地図、普通言われております地図は、将来は技術的にはコンピューターによって記録をさせ、それによって分筆線を入れるとか、合筆によって筆界線をとるとかいうふうなことは可能になってまいろうかと思います。ただ、今登記簿自体をコンピューターに入力するだけでも大変な作業でございますので、それは具体的な計画としては挙がっておりませんが、技術的には将来そのようなことも考えられる時代が来るであろうとは思います。現在はそういうことができませんので、マイラーという、紙ではございませんけれども、そういう性質のものにきちんと製図をしたもので保管をいたしておりまして、それによって、ぼろぼろになるとか筆界線が見えなくなるというふうなことはないような状況で保存をいたしております。
 先ほど申し上げました地積測量図とか、建物図面とかというふうに、申請ごとに一筆、一件ごとに出していただく。そういうものは現在バインダーに挟み込んで保管しておりますが、このようなものは場合によってはマイクロフィルムで保管をするということも可能だろうと思いますが、まだそういう方面について予算的に手が回るという状況にないのでバインダーで保管するというままになっておりますが、将来はその保管法についても合理的なことを考えていかなければならないだろうというふうに思っております。
#80
○飯田忠雄君 登記簿とかその附属書類、あるいは今問題になりました地図とか、建物所在図というもの、こういうものの滅失を予防する措置が要ると思いますが、そういう措置は具体的にはどのようになさっておるでしょうか。
#81
○政府委員(枇杷田泰助君) 一般的な申請書、それから附属書類と申しますのは、保存期間が権利の登記については十年、表示の登記については五年でございますので、そのまま月別とか日別にまとめて保存をしておくということにとどめておりますが、地図の関係につきましては、これは非常に重要なものですし、また永久保存的なものでございます。したがいまして、先ほどもちょっと触れましたけれども、税務署から引き継ぎました公図でございますね。これは精度は十分ではございませんけれども唯一土地の位置、形状というものを知る手がかりになる重要な図面でございますので、これを先ほど申しましたマイラーという素材のものに移しかえをして、そして保存をいたしております。これによりますと、折り畳んだりなんかするたびに摩滅するとかいうふうなことでありますとか、それからちょっとした火で燃えるというふうなこともございません。そういうふうなものに切りかえつつあります。
 それから地積測量図とか建物図面とかと申しますものは、これは先ほどバインダーにとじておるだけだと申しましたけれども、単純に紙のままで折り畳んで入れますと、すれて摩耗いたしますので、これはポリエステルの袋の中に一枚ずつを入れて、そしてその摩擦によって摩耗するとか線が薄くなるというふうなことがないような防止策は講じておりますが、火災などについての特段の手当てをするというふうなことまではいたしておりません。
#82
○飯田忠雄君 それでは次のことをお尋ねいたしますが、不動産登記法の第六十条を見ますと登記済証の還付ということが書いてございます。この還付手続がどうもこの法文からははっきりいたしませんが、何をなさることかということ。それから、この新しいファイル記録制度の場合に還付される登記済証というのは一体どういうような形になるのでありましょうか。こういう点についてお尋ねいたします。
#83
○政府委員(枇杷田泰助君) 不動産登記法の六十条の登記済みは二種類ございまして、一項の場合と二項の場合があるわけでございますが、登記の手続から申しますと、例えば甲という人が乙という人に売買によって所有権を移転する、そういう登記の申請がある場合には甲という人が登記義務者になるわけでございまして、その登記義務者が、既に自分がその登記を受けたときにもらった権利証があるわけです。それが登記済証ですが、それを出します。そして新しく所有者になる乙の権利証になるべきものを出してもらう。これが原因証書と申しまして、売買契約書などがある場合にはそれを出していただくし、そういうものがない場合には申請書の副本という形で出していただきます。それが登記所に提出をされて登記が完了いたしますと、甲野太郎さんの方から出していただいた権利証は、いわばもうこの権利は空になりましたよというふうなことを表示するための登記済みをいたします。これが六十条の二項でございます。
 それから、乙野太邸さんの方に新しい権利証をつくるというのが一項の登記済みでございまして、ここに登記所のこの条文で書いてありますような手続で大きな判こを押した登記済みというものをこしらえます。これが世間で言われている権利証になるわけです。そういうものを申請人にそれぞれ還付をするということでございますので、したがいまして甲野太郎さんの用済みになった登記済証は甲の方に、それから新しい権利者になった乙の方には新しい権利証がそれぞれ渡されるということがこの還付の意味でございます。多くの場合には司法書士の人が代理をすることが大いにございますので、その代理人の司法書士に渡されるということになるわけでございますが、そういう手続でございます。
 なお新しく今度はコンピューター化になりましてこの手続がどうなるかということでございますけれども、用済みになった方の権利証の登記済みは既につくられている登記済みにこれは空になったということを表示するものでございますから、これは全く現在と変わらないことになると思いますが、新しく発行する登記済証、権利証はこれは従来のやり方のように原因証書なり申請書の副本なりをもとにしてつくることもできますが、またコンピューターから謄本のようにして打ち出されて、そしてそれにある程度の判こを押して作製するということも技術的には可能でございます。それをどういうふうなことにするかということはこれから不動産登記法の改正の際に検討をしなければならない一項目だというふうには考えておりますが、現状のままでもそんなに不都合はないのではないかというふうな意見もございますので、この点はどうなるか現在のところではちょっと予測しかねるということでございます。
#84
○飯田忠雄君 わかりました。
 登記済証が登記権者に還付されました後で登記権者が登記済証を紛失してしまったという場合に、登記済証の再発行はなかなかしていただけないんですが、救済策は何かございますか。
#85
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記済証を滅失したあるいは紛失したという場合の再発行というのはやっておりません。これは登記法でそのような手続を設けておりません。これは権利証というのは次の登記をする際に重要なものでございます。世間でもよく神棚に上げるとか仏壇にしまうとかというふうにして大事しているものでございますので、この再発行をみだりにやる、みだりでなくても再発行というものがあるということになりますと、かえって混乱させるということがございますので、再発行手続はとっておらないわけでございます。
 ところが、そういたしますと、そういう登記済証をなくした方が今度はその家を売りたいあるいは土地に抵当権をつけたいという場合に登記ができなくなるということになってはこれまた不都合でございます。そういう場合には保証書制度というものがございまして、保証人が二人ついて、この登記の申請をする人はこの何番地の土地の権利者である甲野太郎という人に間違いないんだよと、いわば一種の身分保証といいますか身元保証といいますか、そういうふうな保証書を出していただいて、それで登記手続をするという道を開いております。ただ、その場合でも権利証を持っていないということは本人の申請でないかもしれないという疑いもございますので、そのためには本人に登記所の方から通知をして、間違いないという郵便が戻ってこなければ登記をしないというふうな手続も加えておりますが、そういう形で登記済証をなくされた方についての救済方法といいますか、処理方法というものは法定されております。
#86
○飯田忠雄君 わかりました。
 では次の問題にいきますが、不動産登記請求権者、これは義務者に対する請求権という意味もあると思いますけれども、あるいは登記名義人の変更登記権者という人たちがみずからの怠慢で登記の請求をせずに済ませた、そして十年なり二十年なり経過した場合に、この登記請求権という権利は時効にかかるか、消滅時効になるかと、とういう問題ですが、そうして、もしそういう時効ということがあるとすると、この請求権者は所有権の取得時効、こういうものとの関係はどうなるんであろうかという問題ですが。
#87
○政府委員(枇杷田泰助君) 登記請求権と申しますのはどういう性格のものかについてはいろいろな考え方がございますけれども、通説的考え方あるいは判例で、最高裁の判例も出ておりますそういう考え方によりますと、例えば所有権移転の場合には所有権移転という事実が存する限り時効にはならないというのが判例並びに通説の考え方でございますし、私どももそれを前提として登記制度を運用いたしております。したがいまして、何年たっても登記請求権というものは、実際上の所有権移転があればそれは現在の名義人、要するに売り主に対して登記を自分に移転しなさいという請求権はあるわけでございまして、時効にはならないということでございます。
#88
○飯田忠雄君 登記請求権の時効はもう考えられない、債権じゃないんだと、こういうことでございますが、それでは登記に書いてある名前の人、名義人、これは所有権者じゃないのだけれども、そのままそこに居座っておった場合に取得時効が成立するのではないか。こうなりますと、売り主自体は金も取り取得時効も成立するという事態になってしまうのですが、そういう場合に登記請求権者は請求権については時効が成立しないから、登記義務者に対して登記に協力することを要求できるかという問題なんですが、こういう問題についてはどうでしょうか。
#89
○政府委員(枇杷田泰助君) 売買によって、意思表示によりまして所有権は移転をいたします。移転をいたしますが、そのまま売り主の方がそこに占拠を続けておる、占有を続けておって時効は完成するかということでございますが、これは悪意であり、無過失とも言えませんので、時効の問題はちょっと論外だろうと思いますが、一つにはそういう場合には売買契約上の引き渡し債務、こういうものを履行していないということになる。登記をするということも一つの履行でございますが、現物も引き渡していない、登記も移転をしていないということになりますと、債務を履行していないということになるわけでございます。そういう面で、何といいますか、引き渡しの関係は、これは時効にかかるということが、それは考えようがあろうかと思いますが、時効で考えるという平面の問題ではちょっとないような気がいたします。
#90
○飯田忠雄君 実は代がかわりますと、今のようなことでわからなくなってしまいまして、登記請求をしようとしても相手が応じないで自分のものだということを主張してしまっておる事件がときどき起こるのでございますが、非常にその場合の法律関係がややこしくてはっきりしませんので困ることが多いんですが、こういう場合に時効の問題だとか請求権の消滅の問題とかいうことは起こらないのでしょうか。
#91
○政府委員(枇杷田泰助君) これは理論的にも問題があるかもしれませんけれども、むしろ事実認定か大変長く経過いたしますと問題になるというふうなことが裁判実務上では多くあらわれてくるように思います。実際に売ったのかどうかということが相続人にはよくわからない、しかも古くなっておりますので書面も余りはっきりしないというふうなことで事実認定の問題がまず実際の事例の場合には多いかと思いますが、理論的にはそういう売ったか買ったか、そして引き渡しがどうかというふうなことが認定されますと、これはそれほど難しい法律問題ではないように思います。ただそこに第三者があらわれてまいりまして、売り主、買い主じゃない第三者があらわれて、それがいわば占有を続けてそして十年なり二十年なりたって、そして時効が完成したという主張をする者が加わってくるということになりますと、いつの時期にその占有が始まったかとかいうふうなこととの関係で入り組んだ問題が生ずる余地はあろうかと思います。
#92
○飯田忠雄君 わかりました。
 それでは次の問題に入りますが、建物を共同出資で建築をいたしました場合に、例えばAは二階、Bは階下と、こういうことで決めまして家をつくった。こういう場合に区分所有にできるかということをよく聞かれるわけですが、どういうことになるでしょうか。
#93
○政府委員(枇杷田泰助君) 一棟の建物が数戸の専有部分があるとして、区分所有の対象になるための要件といたしましては、その専有部分になるかどうか、問題になる部分が利用上、構造上独立性を有するかどうかということで判断されることになります。出資が、建築費を数人が出したか出さないかということではなくて、でき上がった建物の構造がどうなっているか、あるいは利用上がどうなっているか、独立性があるかということで判断されるわけでございます。したがいまして、一軒の木造家屋で玄関も同じ、それから二階に上がるのも階段でつながっているというふうな状況で、実際上は半分お金を出した人が二階の方に住み、あとの半分のお金を出した人が一隅に住むというふうな状況では、これは区分にはならないと思います。普通マンションなどに見られますように、玄関は仮に一緒でありましても、各一部屋ずつの区切りというものがはっきりして出入り口がそれぞれ別だというふうな構造があり、利用的にも独立して利用できるというふうなことになった場合に初めて区分所有の対象になるというふうに思います。
#94
○飯田忠雄君 次に不動産の貸借の問題に入りたいと思いますが、不動産の借り主に対しまして貸し主が買い取り交渉をいたす場合に、今日では実際の例としまして借り主が時価の四割程度でなければ買わない、こういう主張をいたすことが通例のようであります。そこで、借地借家法ができた当時は地主とか家主の方が力が強くて借り手の方が弱かったために、その保護ということは非常に意味があったと思いますけれども、今日の段階におきましては必ずしもそういうことにはならぬのではないか。借り主の方が強大な経済力を持って、貸し主の方が実は弱いという事例もしばしばあらわれるわけでございまして、土地を一たん貸したが最後、もうこれはとられたと同じで返ってこないというふうに一般の人は言うておりまして、売るのはいいが貸すのはだめだということになっておるようでございます。
 ところで、こういう問題について果たしてこれでいいのかということを考えるわけですが、憲法の二十九条では「財産権は、これを侵してはならない。」と、こう書いておりまして、これは国は国民の財産権を侵してはならないということだろうと思いますけれども、そうなりますと、法律の不備によって国民の財産が侵害されるという問題は禁止されておるのではないかというふうに考えられるわけであります。借地借家法の規定の仕方が不備のために土地を持っている者あるいは家を持っている者が自己の所有権の四割の価値に下げられてしまう。
 こういう現実はやはり法の不備から来るところの問題ではないかと思われますので、次のことについて質問いたしますが、土地とか家屋の賃借権とか地上権、その他の利用権、こういう権利は設定されております期間中における権利であって、期間が満了後はその権利は主張し得ないはずだと思われます。ところが、ある不動産を借りておる人に対して買い取り請求をいたします場合に、期限が満期になっておる段階におきましては当然その賃借権を主張して価格を安くするということは理由にならないのではないか、こう考えるわけです。ところが実際にはそういう場合でも四割でなければ買わないという主張がなされて、実際上そうなっておるということでございます。それで、こういう場合については時価で買い取るのが当然ではないかというふうに考えられるんですが、こういう点について法務御当局ではどういうようなお考えをお持ちでしょうか。
#95
○政府委員(枇杷田泰助君) これは結果的には買い主と売り主との交渉によってその値段が決まるべきものでございます。ただ、その場合に市場価格と申しますか、そういう場合に、これを借り主でない第三者に売ろうとする場合には、その人はどういうふうな価格算定をして買うであろうかということになりますと、いわば借地権の負担がついている土地を買うという場合には、更地を買うよりはかなり安く買わなければ実際上経済的に合わない。それが四割とか三割とかというふうなことになるわけでございます。
 そういうふうなことから、一般市場的なそういう動きを反映いたしまして、借り主が買う場合にもやはりそのような価格で買うのだというふうなことが事実上行われておるわけでございまして、私どもは、それは借地法の欠陥というふうに一概に言えるかどうかは、借地法の問題かどうかということについてはちょっと疑問を持っておる次第でございますが、経済的にあるいは借り主の方が非常に有利な立場にあるというふうな問題指摘もそれは私も聞いておりますけれども、現在の借地法が借り主の側の方の長期な安定性というふうなものを重視してつくられておりますし、またそれはそれなりに合理性を持っておるわけでございますので、そういう観点から派生的に出てきた事実上の問題としてそれは受けとめざるを得ないのじゃないかというふうに思っております。
#96
○飯田忠雄君 現在の借地借家法を見ますと、これは文言からはそんなに問題がないように思えますけれども、これを利用することによって随分悪らつなこともできる状態になっておるわけです。例えば法律には買い取り請求権というのは借り主の方の権利としてだけ決めておられまして、貸し主の方の権利はないわけですね。
 したがいまして、具体的な例を挙げますというと、ある家なり土地なり、あるところに行きまして、これを仲介業者を置きまして貸してくれという申し込みをする。仲介業者は説得いたしまして何とか売らせようとして説得して口約束をとる、口約束をとって相手に言いますと、相手の人がそれを契約をしたということで契約書をつくりまして郵送して、送りつけて、そしてその家に入ってしまう。一たん手をつけますと、もうそこから出ないわけだね。出てくれと言うと、それじゃ出てやるかわりに金払え、今までことに相当の金を使ったからそれを賠償せよと。それから、それの賠償が嫌ならばこの建物をこちらへ売れと。いや、売ってもいい、こう言いますと、それじゃこれは借地権がついているんだから四割、四〇%だぞ、それで売れと、こういうことで強引に買い取られる。貸した方は経済力のない弱い者ですから買う方が非常に経済力が強い。そういうのがしばしば起こるんですよ。これなどは明らかに借地法の不公平から来た問題ではないか、こう考えるわけですが、そういうようなことが生ずるということについてもう少し何とか借地法あるいは借家法に手当てをする必要はないか。こういうことが起こってきておるわけですね。こういうような問題についてどのようにお考えでしょうか。
#97
○政府委員(枇杷田泰助君) 具体的なケースにつきましては、借地人の方に少し無理があるんじゃないかと思われるようなケースもそれは御指摘のとおりございます。そういう場合の解約であるとか、それから更新の拒絶だとかというふうな事案につきましては、裁判所もそういうふうな事情をよく考慮いたしまして、そして総合的な判断を下すというふうな傾向でございます。殊にそういう長期的な契約の状態でございますので、貸し主と借り主との間の信頼関係というものが基本になければいけない、それを片方の方が完全に裏切って信頼関係が維持できないというふうな場合には契約の解除もできるというふうな判例も大体確立をいたしております。
 そういうことで処理をされておるところでございますが、ただいま御指摘ございましたように、社会情勢も借地法制定当初あるいは戦後の住宅難当時とは少しずつ変わってきたということもございます。そういうことを踏まえて、今御指摘になったような点はこれから少し研究をしなければいけない問題だという認識は私ども持っております。
#98
○飯田忠雄君 土地とか家屋を売りました場合に、借りておる人に売る場合は相手が事実上は四割で買い取るわけだ。相手の人は買い取るのですが、買い取った場合には土地の所有権を買い取るわけです。所有権の中身には利用権も入っておるわけですね。利用権も買い取っておるわけです。にもかかわらず実は四割というのは大体所有権の中の利用権を取られた残りの処分権ぐらいしか残っておりませんが、それの値段なんですね。その値段で買い取っておるわけです。そして利用権も実は買い取っておるにもかかわらず利用権の代金は払っていない状態ですね。つまり利用権も全部自分が借りているんですが、所有権を買い取るんですから、ということは利用権も買い取っておるわけだ。ところが利用権については金を払ってないんですから、そうなると、利用権については不当利得をしているという勘定になるわけですね。不当利得をしておるという状態が実は現実にどこへ行っても行われておるということであるならば、その不当利得というのは贈与に該当するんではないか。贈与に該当するのならば、そういう人たちからは贈与税を取るべきではないか、こう考えますが、この点について国税庁の方はどうお考えになりますか。
#99
○説明員(山口省二君) 借地権の取得の経緯ということにつきましてはいろいろな形があろうかと思うわけでございますけれども、一たん借地権として認められ、それを取得したんだということになりますと、先ほど来お話が出ておりますように借地法の保護を受け、現実に経済実体として見ますと一定の価値があるということで取引されているわけでございます。したがいまして、御指摘のような取引がございましても、その地域が借地権を考慮した価額で取引されているような地域であるということになりますと、税務上その実態に即して取り扱うということになります。すなわち借地人はそれによって特別の利益を受けたことにならないということでございますので、課税問題は生じないということになろうかと思います。
#100
○飯田忠雄君 ただいまの御答弁もう少し、私の質問がへただったからだと思いますが、法律によりますと所有権の中身は占有と収益、それから使用、処分、これだけの四つの権利の合体したものが民法上は所有権なんですね。そうしますと、その所有権を売買するということはその四つを売買することであるわけだね。賃借人というのは所有権の中の利用権を持っておる。つまり占有、収益、使用ですね。この三つを賃借権で持っておるわけでしょう。それで所有権を買い取るときには、この三つの権利も一緒に買い取るわけだ。買い取るんだから元来賃借権というのは消えてしまうわけだね。もし買い取らないのなら、賃借権が残っておるとおっしゃるのなら、その残っておるものは売った方に残ってなければならぬ。売った方というのは貸し主の方ですね。貸し主の方に残っていなければならぬでしょう。もし賃借権というものは貸し主が向こうにやったと、こう言うのなら、その賃借権のもとになるものをまだ売り主はこっちに持ってなければいかぬ。ところが事実持ってないんです。全部相手に渡しちゃった。全部渡してしまえば、つまり賃借権というものはもう買い取られてしまってないものだ、所有権の中身を買い取られているんですから。元来買い取るときには、その賃借権の基礎になったものを買い取るんだから、そうすれば買い取るときに賃借権というものは消滅しているんですよ。
 それからもう一つは、期限が来てから買う場合が一番わかりやすいから申しますと、賃借権の期限が来ますというと、そこで賃借権はもうないでしょう。賃借権は消滅していますね。消滅しているにもかかわらず、なお賃借権を主張して四割で買うということが現実に行われておる。これはおかしいではないか。この場合には不当利得をしているんだから、不当利得の返還はそれはできないかもしれませんよ。契約でできたんだからね。契約してそういう安い値段で売ったんだから不当利得の返還ということはできないかもしれませんが、税務署の立場からいけば、あれは不当利得をしているんだから余分にもうけている、だから六割というものはもうかっているんですから、これは不当利得であり、それは贈与とみなすべきではないか。つまり貸し主から借り主に売買する際に贈与した、それならば贈与税の対象になるではないか、こういうことなんですが、どうですか。
#101
○説明員(山口省二君) ただいま借地権の満了したときに無償で返還した場合はどうだというようなお話がございましたけれども、借地契約が満了して地主に返還するということ、これは実態的に見れば借地権が借地人から地主に譲渡されるということになろうかと思うわけです。このような場合、通常でございますと経済実体としては地主から借地人に対してその対価が支払われているのが実態的であろうというふうに思われるわけでございます。そうしますと、税務署もやはり実態に即して課税するということになろうかと思うわけでございます。
 先生御指摘のような、借地を無償で返還するんだというようなことは極めてまれなケースではなかろうかというふうに思うわけでございまして、その場合には何か個別具体的な事情がいろいろあるのだろうというふうに思われますので、その事情を十分慎重に検討させていただいて課税関係を処理するということになろうかと思います。
#102
○飯田忠雄君 時間が来ましたので、終わります。
#103
○柳澤錬造君 時間が余りありませんから、きょうは一昨日の残りをお聞きをしてまいります。
 最初は事故防止についてなんですが、登記簿をコンピューターに入れたら登記簿は要らなくなってしまうんだけれども、その原本は保存して残しておくのか、それとももう原本もなくなして全部コンピューターにお任せをしてしまうのか、そこはどちらですか。
 それからもう一つ、今もお話が出ておったんですが、不動産を持っている人が売買して売った場合、そうすると新しく買った人が登記をして権利証を持つわけだけれども、今まで持っておった人もそのままその権利証は手元に残っておるわけなんですね。何かバッテンでもしてしまうと、これは全然無効だとすぐ一目見てわかるけれども、ですからそういうことで事故が起きたことがないのかどうなのか。その二点をお聞きします。
#104
○政府委員(枇杷田泰助君) まず、第一点のコンピューター化がされた場合の登記簿の扱いでございますが、法律的には登記ファイルが現在の登記簿と同じような効力を持つ存在となろうと思います。そうなりますと、従来の登記簿というものが一応要らなくなるわけでございますが、過去の権利関係の動きというふうなものも、これは情報を残しておくという必要が当然あるわけでございます。現在も閉鎖登記簿ということで用済みになったようなものも保管をするという手続がございます。まだ正式に決めたわけではございませんが、もうこれを廃棄してしまうというふうなことはせずに、やはり閉鎖登記簿と同じような扱いをするということで保存をする必要があるものと考えております。
 それから第二点の登記済みの関係でございますが、先ほど飯田委員の御質問にもお答えいたしましたとおり、甲から乙に所有権移転をいたしました場合に、甲の権利証すなわち登記済証を登記所に出していただきます。その際に、登記法の六十条二項の規定によりましてその出していただいた登記済みには、これはもういわば空になったという、そういう言葉は使いませんけれども、そういう式のいわば登記済みをもう一回することになります。したがいまして、その権利証はもう権利証としては役に立たないんだということが明示されることになっております。ただ全くの素人の方がごらんになりますと、二つ押してある登記済みの意味がどういうことなのかということがおわかりにならない方があるかもしれませんが、今までそれを生きている登記済みだというふうにだまして何か不慮の損害を受けたというふうなケースは、絶無ではなかったかもしれませんけれども、私の知る限りでは余り聞いたことがないことでございます。
#105
○柳澤錬造君 私は本当に思い切って赤ペンか何かでバツしておったら一目瞭然で、それをまただまして使うこともできないと思うんだけれども、事故がなかったといえば、それは結構です。
 次には、プライバシーの保護の問題でお聞きをしていくんだけれども、登記簿の閲覧は自由だということになっている。だけれども、申請のときにはこれこれしかじかで、例えばこれを買いたいからとかなんとかという、何かその理由を明記して申請して閲覧をさせてもらっているのかどうなのか。それから今度はその不動産を持っている人が私のこれを閲覧に来た人がいるんじゃないかといって聞かれたときに、それは明らかに教えるというか、お答えすべきだと思うんだけれども、その辺はどうなっているんですか。
#106
○政府委員(枇杷田泰助君) 現在登記簿の閲覧につきましては、申請書になぜ閲覧をするんだという理由は書いていただいておりません。これはかつては書いていただいたこともあるのでございますが、単に取引をする予定とかというふうに書かれましても、ただもう決まり文句的になってしまいまして全く意味がないということで、申請手続の簡素化からそういう理由は一切書いてもらっていないのが現状でございます。また、この閲覧と申しますのは、登記というのは公開が原則でございます。公開することによっていわば実質的に第三者に自分の権利が対抗できるという一応の基盤があるというふうに考えておりますので、公開制度というものはこれは制限するということは適当でないというふうに考えております。
 ただいまお話しの自分の登記簿を閲覧に来た者がいるか、いればだれだというふうなことの質問は、これは登記所ではお答えはいたしません。それは何と申しましょうか、そういうふうな義務規定みたいなものがないというばかりでなくて、いわば公開が原則でございますので、そういうことを一々チェックするというふうなことはすべきでないという考え方が基礎になっておると思いますが、ただ、後になりまして偽造の事件が起きるとか、そういうふうなことになりますと、これはそういう場合には登記所の側の方でそういう事実を中心とした調査をいたします。そういう調査の過程で実際の所有者の方にお話しをするということもあろうかと思いますが、ただ、何もなくて自分の土地の登記簿を閲覧に来た人がいるかというふうなことについてはお答えはしないということになっております。
#107
○柳澤錬造君 そういうことで、そのプライバシーということが非常に今やかましく言われているわけでしょう。それで、土地がこれだけあります、建物がこうですというふうなことだけだったならば別にだれに見られても問題ないけれども、抵当権の設定がされてあって、それがさらにその上に二次抵当だ何だかんだいろいろあそこへ書き込まれているのが、それはそれこそ個人のそういう私生活をのぞかれると同じようなことであって、ですから、今の局長のそういうお考え、しかも私の不動産のそれを見に来た人がいるから教えてくれといってもそれは教えないというんですから、そういうことをやっていると、そうすると、こういうことも許されるわけですか。だれでも勝手に行って、それで、あるエリアのところをみんな端からもう全部手数料を払って抄本をもらってきて、それで今のコンピューターでも何でもできるんですから、それで登記所へ行くと手数料幾ら幾ら取られる、私のところだったらその半額で全部見られるようにしてあげますといって、そういう商売やるのが出てきてもこれはとめることができないんですね。
#108
○政府委員(枇杷田泰助君) どなたでも謄抄本の請求をされますと、登記所は手数料をちょうだいしてそれを発行いたします。それがどのように使われるかということは登記所としてはわかりもしませんし、関係がないということになりますので、ただいま御指摘のようなことで片端から謄抄本をとって、それを自分のところのコンピューターに入力をして情報を把握してそれを売り物にするというふうなことも、それは考えられなくはないかもしれませんが、私は実はそのようなことが望ましいかどうかということについては一つのまた議論があろうかと思いますが、私は実際上そういうふうな商売は成り立たないのではないかという気がいたします。
 と申しますのは、ともかく登記所から情報をとるについては一通現行法では三百五十円の手数料が要るわけでございます。しかも一つの登記所を網羅するにいたしましても十万とか二十万とかという筆数全部を持たなければ商売の基礎が成り立たないと思いますが、それを手数料を取ってそしてまたコンピューターに入力をするということで経費をかけて、しかもそれを登記所の手数料よりも安くというふうなことが成り立たないだろうという点が一つ。
 それからもう一つは、登記というのは毎日毎日いろいろな物件について抵当権が設定されたり抹消されたり、所有権が移転したりして動いているわけです。そういう動きをしょっちゅうフォローしてまいりませんと最新の情報にならない。一カ月、二カ月前の情報ではこれは実際の取引の実情から申しますと安心ならないということで、現在時点における情報というものを欲しがるわけでございます。そういう面からすると、とても日々の動いていく権利関係をフォローするということは容易でないだろう。それを維持しようとすればかなりの経費を使って維持しなければならないので、そういう面からも実際は不可能ではないかというふうに考えておるところでございます。
#109
○柳澤錬造君 別に私そういうことを奨励するわけでもないんだけれども、ただ、この前も申し上げたけれども、皆さん方がお役所の自分の都合だけで物事を考えているからそういう御答弁が私は出てくると思う。今電話がただで使えるようになったんですよ、これは市内電話だけだけれども。そのかわりかけたときにそこへコマーシャルが入ってくる。それを聞いてさえくれればあとは全部かけて、大臣、それで話が終わってなにしたときは、自分が最初は入れなくちゃいけないんだから十円玉入れるんだけれども、その十円玉はちゃんと返ってくる。それで、もちろんそれは今度は電電株式会社にその会社がそれだけの使った電話代を納めるんですよ。利用する側は一銭も払わないで電話がかけられる。そういう商売をやる会社が成り立って、あるんですから、それを今のような不可能だというふうな、そういう判断でお考えになっていると私は判断が誤ると思うが、そこはその辺にしておきます。
 それから、これはもう先ほど寺田先生も御質問なさって、私もお聞きしたいところなんだから、もう少し突っ込んでお聞きするんですが、一昨日のときに登録税と手数料でもって年間なにすると大体五千億円入ってくる。それで、きょうのあなたの答弁もそうだけれども、大蔵省から来ているのも、登録税だからあれはもう大蔵省へもらうんだと。そんな勝手な解釈が成り立ちますか。何でそれ法務省が黙っているんですか。
 こういう不動産の財産があって、土地でも建物でも、それを売買されて登記所へ行って所有権の登記をする、そのために手間をかけるのは登記所でしょう。それでその手間をかけた登記所の方に、だからそれなりの、その登録税なら登録税という名前になっているから今払わされるわけだけれども、極端に言えばここに一軒の家がもうしょっちゅう売り買いされておって毎年のように動いたら、毎年のようにその都度登記をやるたびに登録税が入るわけでしょう。大蔵省の方にはちゃんとその不動産なら不動産には固定資産税がかかって、これは移動がされようが一人の人間がずっと何十年持っていようが間違いなく毎年その持っていた人のところへ固定資産税がかかって、それでそれはもう税金として国へ納めるというんです。登録することによって手間暇かけるのは登記所の人たちでしょう。法務省なんでしょう。
 それで、もういなくなっちゃったからあれだけれども、さっき私寺田先生のを黙って聞いていると、税とつくからこれは税だと。そんなことが通用するんだったら、そんなものは法律変えて、それを登録手数料としちゃったらどうなんですか。それで、おとといもあなた言ったが、特別会計までつくって十年、十五年かけて千二百カ所やるわけでしょう。それだったら、その登記所にそうやって入ってくるお金を特別会計に全部ぶち込んで、そしてこれからのそういうふうなことをスムーズにやっていくという、一般的な言葉で言うならむしろ独立採算制で、一般会計から援助をいただかなくても自分たちのなにでやっていきますと。それで採算に合っていったら、これも言われているけれども、そんな手数料の値上げなんてやるべきでないですよ。これだけの機械化をやって便利になって、そのかわり皆さん方の言う値上げなんかしないでもってやれるということをしなくちゃいけないんだけれども、大体その五千億円の行方についてどういうことになっているんですか。
#110
○政府委員(枇杷田泰助君) 結論から申しますと、ただいまの御質問の最終に言われました五千億円の登録免許税は、これは一般会計の歳入の中に計上されている、具体的に申しますと印紙収入という形で入っているわけでございます。したがいまして、これは一般会計全般を賄うための財源として使われておるわけでございます。この登録免許税の関係につきまして、ただいま御指摘のように、これを登記所の運営費に充てたらどうだというふうな御意見は、もしそれが可能なら私どもとしてはそれに越したことはないぐらいなことでございます。むしろ登記所だけでは使い切れませんで、法務省の全体予算でまだおつりが来るというようなことでございます。しかし一方、そういうふうな金額であるだけに、これが実費をいただいているという性格のものでないということも同時にあらわしておるわけでございます。
 ただ、先ほど寺田委員の御質問にもお答えいたしましたように、沿革的には登記料と言われた時代がございますが、その時代にはどうも手数料的な要素も加味されていたらしいというのが明治時代のいろいろな文献などには出ておるところでございますが、ただ現在の登録免許税制度になりますと、それはやはりその登記をする際にその背景にある物権変動、取引という過程で担税力があるのだというとらえ方で税金という形にいたしております。しかもそれが目的税ではございませんので、理論的にこれを特別会計の財源にするとか、あるいは法務省独自の独立採算的な財源にするというふうなことはちょっとなじまないのではないかとは思います。
 したがいまして、今度の特別会計の歳入財源として登録免許税あるいはその一部を充てるというふうなことにはいたしておりませんけれども、しかし手数料的な要素が全くないということも言えないということから、そういう面も配慮をして一般会計の繰り入れの際にはいわば登記の審査事務経費についてもある程度の配慮はすべきであるという主張は私どももいたしておりますし、それに対して大蔵省も理解を示しているということでございます。そういう形で運営する以外に理論的にはないだろうというふうに思っております。
#111
○柳澤錬造君 時間もなくなっちゃうが、大臣、聞いたとおりです。だけれども局長、これは担税能力があるから納めているんじゃないわけですよ。やむ得なく転勤だったりして、もうこっちはあれだから売って、また向こうへ行って買うとかやる人もいるわけですから。むしろそういう判断ではなくて、それで毎年五千億も入ってきて使い切れないから困っちゃうのだというならば、むしろおんぼろの法務省の中のいろいろの施設をそれで新しくやっていったらいいですよ。それは法務大臣頑張って、そんなものあんた、それでごちゃごちゃ言うんなら、じゃ登録税は登録手数料にすると言って法を改正すればいい。現実に国道だってそうでしょう。国道だといったら国が全部あれお金出して補修整備やっているかといったら、国が全部金出さないで地方自治体の府県からみんな何割かを金出させるでしょう。国道だといっても自分でやらないで府県からも、おまえらもこれなにするんだから幾らか銭よこせとやっておって、それで税と名がつくからこれは大蔵省が使うんだと。そんなことに法務省が何でへこたれているんですか。だらしがない。法務大臣頑張りなさいよ、そんなの。
#112
○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、国の財政自体が特例公債に依存をしなければならぬというような事態になっておるわけでございまして、何らかの形で税負担を求めなければならぬという実体はやっぱり変わらないのだと思うんです。
 その部分だけ切っておやりになると、窓口は法務局じゃないかというような御議論があるかもしれませんが、既に御説明申し上げましたように、さきの登録税の改正のときの考え方として、やはり担税力をどこに見つけて、それにどういう負担をしていただくかというような考え方で事柄は整理した経過があるわけでございます。したがいまして、今度の特別会計をつくるときに、我々も先生のおっしゃられるように、そのことが全然頭になかったわけじゃないわけでございます。現に結果として見るときに、ともかく一般会計から三百七億の金が入っている現実があるわけでございます。
 それはその中の手数料部分がどれだけあるかという論議を仮にやりまして、それが何%だというような話で、これは話が脱線ぎみになって申しわけないんですが、その部分だけ今度主税局とけんかをしていたら、登記の特別会計ができるのはとても間に合わないようになるかもしれない。それより何より現に努力をしましてね我々もこの会計を維持するために手数料問題というのに真剣に取り組んでいきます、しかしそれで賄えないところもあるじゃないか、現に公簿の関係につきましてはいろいろな手数もかかり、また大変苦労もしているじゃないか、そういうことをひとつ十分織り込んで一般会計からの繰り入れということも考えていただかなければならないんじゃないかということがあるわけです。
 また、これ何でもないようですけれども、大蔵省にすれば特別会計一つつくるということは実は一般会計と別枠の話でございますから、そのこと自体も大変なことなんで、これも御承知だと思うんですが、厚生省にある特別会計を一つつぶしておるというようなことになっておるわけでございます。そんな、これは脱線ぎみでございますけれども、そういう苦心の上にこの特別会計がスタートをするということになっておるわけでございます。
 今後もそういう意味でいろいろな努力をしていかなければならぬと思いますけれども、今ともかく待ち時間が三時間とか四時間とかというような時間がかかっておる、また逆にそれをサービスするために法務局の中でもてんてこ舞いで仕事をしているああいう悪い雰囲気が現にあるわけでございます。そういうことを考えますと、ここはいろいろな意味で登記を求められている皆さん方に少しでもサービスを返していかなければならない。我々自身も返すために中でうんと能率の上がる体制というものをつくっていかなければならない。そのためには一挙になかなか切りかえはできないかもしれませんけれども、十分な準備を進めて、しかもなるべく期間を短くてそれを完成させなければならぬ。
 全体のバランスというものをどういうぐあいに構想するのか、もう時代がどんどん変わっておりますけれども、今の時点で考えますと職員もどんどん減りそうな感じになりますけれども、現にやっぱり五%ぐらいは乙号の事件は伸びておるわけだし、甲号でも二%ぐらいずつ伸びておるわけでございます。そういう計算をある程度念頭に置いて、ここぎりぎりのところ話を詰めるとどういうことなのかということで、法務省は法務省として非常にまじめな立場からこの問題を真剣に考え、また関係の大蔵省その他の関係官庁の皆さん方にも、ある意味で大変何というか我々の窮状というものを理解していただいて、そういう中でともかくこれがスタートしたというのが現実であるわけでございます。
 今後もその部分だけとって御議論をされるといろいろな御議論もないわけじゃないと思うけれども、しかし私は今までの過去の経過また今の税法の建前、それから今の手数料の考え方、それからこの特別会計の運用の仕方というものについては、やっぱりそういう全体的なことを十分考えて総合的に事柄を推し進めていかなければならぬというふうに思っておるわけでございまして、そういう意味でこの法案についてぜひとも御理解を賜りますようお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#113
○中山千夏君 午前中に参考人の方のお話をお伺いしましたので、ちょっとそれに関係したことをきょうはお伺いしたいと思っています。
 最初に、穂鷹さんに会社関係の登記のことをお伺いしたんですが、私がどうも言い方がまずかったようで、会社関係の不動産登記というふうにきっと言わなければいけなかったんだと思います。というのは、どうしてああいうことを伺ったかというと、この間渋谷に参りましたときに、御説明の中で渋谷が大変だと。それは確かに来る方、お客さんが多いということもありますけれども、土地の事情として非常に会社が多いんで、会社というのがまた抵当がいっぱいついていたりして大変にややこしいんですというお話を伺ったんです。
 渋谷というところはマンションもいっぱいありますね。マンションもやっていらっしゃる渋谷で会社の関係の登記が大変だとおっしゃるわけだから、これはかなり大変なんだろうと。実際考えてみると、あのあたりはマンションの中をまた借りたり買ったりして会社がいっぱい入っていまして、それで、この間もマンション自体の売り買いが行われて、だけれども売買の何か手順が悪かったようで、入っている人たちは両方から家賃を請求されたりしまして、その関連で入っている人がこれはどうなっているんだというので登記所へ行って謄本をとりましたら、五センチぐらいの厚さで、お金も何だかすごく一万幾らかかったという話だったんです。それだけやっぱり大変膨大なものなんだろうと思うんですね。
 そうすると、これは一般のマンション登記に比べて量的に大変なだけなのか、あるいはちょっとまた質的に違うのじゃないかなという気もするんですね。そうすると、プログラミングみたいなところがやっぱりまた考えなければならないところがあるだろうと思うんですが、その辺の対処といいますか、それはもう完全にでき上がっちゃっているんですか。
#114
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに渋谷の出張所では法人が非常に多くなりました。殊に原宿は住宅地がいわば商業地区に変わりまして、ファッション業者があそこに本店を置くことで大変箔がつくというようなことで、かなり一斉に会社数がふえております。その会社が登記にあらわしてくる場合には商業登記という形で出てくると同時に、やはり建物を買ったり抵当権をつけたりするというふうなことで不動産登記にもかなり影響があります。
 通常の居住用のマンションの場合には、これは所有権移転と、それから住宅ローンの関係での抵当権設定という形が多いわけでございますが、企業の場合には、店舗的なマンションの場合にはこれは単にローンだけの問題ではなくて企業の運転資金を借りるというふうなことが出てまいります。そういう関係から一番抵当から五番抵当までつくとか、あるいはそれの間で順位の変更が行われるとか、いろいろなような個人の不動産とは違った種類の登記事件が出ておりまして、そして甲区部分でなくて抵当権とか地上権とかということを書きあらわすものとして登記簿に乙区という区があるんですけれども、そこの記載事項が大変多うございます。そういうふうなことから量的にも大変であるし、それからまた個人のマンションとは違った種類の事件といいますか、記載が行われるということがあります。しかしながら、そういう面につきましてはそれなりのプログラミングを用意しておけばよろしい。先ほど午前中に話していましたように九百通りの登記の種類については対応はできるというふうなプログラムができているわけでございます。その中で賄えて、あとは量の問題だということになるわけです。
 ところが、企業が入っておろうと個人が入っておろうと、マンションはそれ以外で登記のプログラミングが非常に大変なシステムを必要とするわけでございまして、これは一棟の建物の中で非常に多くの区分所有に分かれておる。しかしそれが一棟の建物全体として把握しなければならない。共用部分の関係であるとか、あるいはその構造上の共用の部分であるとか、あるいは規約による共用の部分であるとかというふうな特殊な要素がございますし、殊に敷地との関連で上物だけを売るということはこれはナンセンスなんで、敷地の権利の持ち分も一緒に売るというふうなつながりがございます。極めて立体的に動いていくというふうなことからマンション独自のプログラミングというのは大変複雑で、これが克服できればほかの種類の事件のものも、これはそれほどの複雑なプログラミングは必要としないということでございまして、したがって、そういう意味でまず最初にこの一番難しいところをやってみて、それができれば見通しがつくということでやっている。そういう意味でマンションの方が企業関係の事件のよりも難しいのだというふうに穂鷹参考人は言われたんだというふうに思います。
#115
○中山千夏君 次に、今度は労働の方で山本さんにお伺いしたことに関係しているんですが、山本さんのお話では、放射線についてたしか国際印刷産業労組が、これもし私の書き取り違いでしたら後で訂正させていただきたいんですが、妊婦について規制数値を決めているということでした。それでアメリカ、西ドイツ、スウェーデンはそういうことはやってない、触れていない。それから日本もガイドラインで触れていないということだったんですけれども、ガイドラインで触れていないということは因果関係といいますか、そういうことが確定、はっきりした証拠がないということなんだろうと思いますけれども、外国の航空会社なんかでもデスクでコンピューターを使ってやる仕事に女の人がついていて、それでやっぱりその人が妊娠したときには申し出て外すというような制度でやっているところもあるそうなんですね。ガイドラインにはないけれども、できればそういうところもちょっと考えていただいた方がいいという気がするんです。その辺はどういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
#116
○政府委員(枇杷田泰助君) 私はその方面の専門的な知識は持っておりませんけれども、評価委員会で議論になった際にはただいまお話ございましたようなことが言われておるということは報告がございましたし、その点についてパイロットシステムの実験ではどうだろうかというようなことも議論になったわけでございますが、どうもそういう放射能的なものがディスプレーの段階で出てくるということはないのではないかというふうなことだったように思います。ただああいう電気を使ってやる仕事でございますので、何がしかの電磁波といいますか、そういうふうなものは皆無ではなさそうなんですけれども、どうも放射能汚染のような形の何か出てくるというふうなことはどうもまだ突きとめられていないように伺いました。
 しかしながら、そういう面も含めまして妊婦の方を中心として職員の健康にいささかでも影響があってはいけないという気がいたします。したがいまして、まだそういう問題については研究も十分でないという面もあろうかと思いますので、各学会の方でのこれからの研究の動向は十分に検討したいと思いますし、それからまた日本の労働組合関係の方でも恐らくそういうことには関心を持っているだろうと思いますので、そういう方面からの提言とか問題点の指摘があれば私ども十分受けとめて、妊婦の方に影響があるというならばもうそういう仕事から外すというふうなことで対処しなければいけないというふうに考えております。
#117
○中山千夏君 はっきりわかっちゃってからでは遅いということもありますから、なるべくちょっとでも疑わしいというような場合には気をつけるという姿勢でぜひ臨んでいただきたいと思います。
 それからもう一つ、中央労働災害防止協会調査研究部が去年の二月に出しましたOA化等に伴う労働衛生対策研究委員会第一次報告書というものを読んでおりましたら、西山勝夫さんのこういう意見が紹介されているんです。「ビデオ端末取扱い作業における健康障害について」というレポートだそうですが、「ビデオ端末自体、人間工学的、衛生学的に問題を有し、しかもまだ完成されたものとして定着している訳でないから、当然、作業環境、作業編成、休息条件、健康管理について十分な配慮が払われ、状況に応じて柔軟に対応ができる体制があるかが問題となる」ということなんですね。それで、この委員会自体の意見としても「事後措置の重要なことは他の健康診断と同様であるが、事後措置が十分に行われるかどうかは健康管理体制如何にかかるところ大であって、何らかの愁訴が生じた時、気軽に利用出来る健康相談の場を整備し、健康管理が健康診断の実施にとどまることなく、点の管理でなく線の管理が行われる体制作りの必要なことを強調したい。」とあるわけです。
 これは本当に気軽に相談できる場所というのは必要だと思うんですね。前に航空機の機長さんがちょっと精神的に不安定になって大変大きな事故を引き起こすということがありまして、これも日ごろのいわゆる線の健康管理というものに問題があったんじゃないかと随分言われています。もちろん登記事務は命にかかわることではありませんけれども、やっぱりある種かなりサービスという部分もあるわけですから、職員の方が気持ちよくいい精神状態で接してくだすった方がいいわけですし、それで非常に気軽に相談できる診療所というようなものは大事だなと私も思うわけです。それで、今はそういうところはどうなっているのか、それから今後そういうところはどういうふうにしていらっしゃるつもりなのか、その辺をお伺いしたいのです。
#118
○政府委員(枇杷田泰助君) 職員の健康問題は私どもも大変大切なことだと思っております。したがいまして、普通には少しオーバーだと言われるぐらいの措置をとるべきだろうと思っております。現在、大体各局の本局には診療所を設けておりまして、そこで問題のある方は診察を受けるという体制をとっておりますが、今後コンピューターが拡大をしてまいりますと、その職場における特殊な健康上の問題も発生することが考えられますので、そういう場合の体制としては、先ほど点の問題というふうに言われましたその点の問題も、従来の健康診断のやり方も工夫してそのコンピューター独特の職業病みたいなものの発生を未然にとか、あるいは初期の段階で食いとめるというふうな措置を考えると同時に、各登記所ごとに診療所を設けるということはこれは物理的に不可能でございますが、例えば嘱託医、そういう産業労働関係のことがよくおわかりになるような方を何か嘱託医的な形にでもして、そして問題があればそこですぐ診断していただくというふうなこともあわせてコンピューター化の導入は進めていかなければいけないというふうに考えております。
#119
○中山千夏君 大臣、局長はああおっしゃっているんですが、私なんかできれば、予算とか条件が許せば各所ごとに診療所なり簡単なものでもいいからあるといいなという気がするんです。そうやっていくぐらいの勢いでぜひ健康管理をお願いしたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(嶋崎均君) 御承知のように、今板橋でそういうことをやっておりますし、またそのほかにつきましても法務省の中でもいろいろな判例その他のものの整理とかなんとかいうようなことでこの種に属した仕事も処理をしているわけでございます。したがいまして、今後ともそういう点については十分気をつけた運営をしていかなければならぬというふうに思っております。
#121
○中山千夏君 終わります。
#122
○橋本敦君 前回に続いて質問をさしていただきますが、途中で出入りしておりまして委員の質問を全部聞いておりませんので重複するところがあるかもしれませんが、その点はお許しをいただきたいと思います。
 まず民事局長にお伺いしたいのですが、不動産の権利関係の移転の経過といいますものは、私どもが実際の訴訟でも、所有権の確認にしろ既存登記の抹消にしろ、裁判所が御判断をいただく上でも不可欠の資料ということになるわけでございますが、今後コンピューター化が進む中でそういった不動産の権利移転関係の経過も謄本という形あるいはその他証明という形で出していただけるのかどうか。この点はいかがでございますか。
#123
○政府委員(枇杷田泰助君) その経過につきましては、コンピューターに入力をされている限りのものは謄本の請求がございますとそれは全部打ち出されます。それ以前の経過についてということになりますと、それはいわば御用済みになった登記簿から出さなければいけないことになろうかと思います。その場合には先ほどの御質問にもお答えした点でございますけれども、当分の間はこの登記簿は閉鎖登記簿そのものとするか、あるいはそれに準ずるということになるかわかりませんけれども、これを保存しておきまして、そしてその謄本という形で請求があれば交付をするということにいたしたいと思います。なお、現在の閉鎖登記簿の保存期間で足りるかというふうな問題もございますので、登記法の改正の際にはそういう面も含めてどれくらい保存したらいいかということも検討してまいりたいと思っております。
#124
○橋本敦君 今の関係で言いますと、不動産登記法二十条の永久保存という関係はどうとらえていらっしゃいますか。
#125
○政府委員(枇杷田泰助君) この登記簿の永久保存というのに該当する登記簿は、コンピューター導入後は磁気ファイルということになるわけでございます。それ以外のものは閉鎖登記簿ということになるわけでございますので、これは有期的なことになりますが、ただ現在の登記簿は少し長く、まあ永久にという必要があるかどうかは知りませんけれども、ある程度長期間保存をするというふうな決め方をするのが適当じゃないかと思っております。
#126
○橋本敦君 したがって、その点の不動産登記法の改正ということも実際はあわせ考慮しませんと権利関係の保全ということでは欠けてくるという問題が一つあるわけですね。
 もう一つの問題は閲覧の問題であります。この閲覧というのは、御存じのように利害関係人はいつでも閲覧できるということがこれまた不動産登記法二十一条一項で明確に定められておりますし、公示制度という建前から見てもこの閲覧は国民の側からしても大事な知る権利の一つだと私は思うんですね。ところが、きょうも参考人の穂鷹さんが言われたように、実際今度はコンピューター化すれば閲覧ということが可能になるかどうか、これはなかなか困難な問題だという指摘があったわけですが、法務省としてはどうお考えでしょうか。
#127
○政府委員(枇杷田泰助君) 実はその問題が大問題でございまして、この法案が成立いたしましたならば早速民事行政審議会を開いて各界の御意見も伺ってみなければならない重要な点であろうと思っております。
 技術的にはこれはテレビのような機械を据えて、そのブラウン管に磁気ディスクの記録内容をアウトプットしてごらんいただくということは可能でございます。そのような措置をとる場合には、実は閲覧について各登記所に一個のブラウン管では済まなくなります。相当な数のものを据えなければならない。しかもその閲覧用の端末機械を操作いたしまして、そして特定の不動産の分を呼び出して映すということになるわけでございますので、機械の操作が要ります。これが一般の閲覧の希望者の方がすぐにその操作ができるかということになると問題がございまして、そこでまた職員があるいはそれに関与しなければならぬということにもなってまいります。そういうことになりますと、かなり所要のものが映し出されてくるまでの間に時間がかかる、そして経費も余計かかるということになります。そうしますと、実は今は閲覧の方が安いわけですけれども、実費計算をいたしますと閲覧が謄本をとるよりも高いという、実費をいただかなければ維持できないということになるかもしれない。
 そういうことと、それからいわば極めて短時間の間に謄抄本がアウトプットされるという制度が一方でできるわけでございますので、その兼ね合いで、なおかつそういうものを残すのが制度全体としていいことかどうかということが一つ問題になるわけで、その点が民事行政審議会での議論の中心点になろうかと思います。私どもは、技術的には可能だけれども、実際上そうなった暁の利用者にあくまでも閲覧だというふうな希望がどれほどあるものかどうかがよくわかりませんので、各界の御意見を十分に聞いてみたいと思っております。
#128
○橋本敦君 端的に言えば、コンピューター化が将来全国的に進めば閲覧よりもむしろ謄抄本をとってもらうということの方が法務省としては望ましい、現段階ではそうお考えだと、今のお話からはこう伺っていいんじゃないでしょうか。
#129
○政府委員(枇杷田泰助君) 端的に申しますと、移行経費などもその方が安上がりになりますので、できることならば閲覧制度は廃止した方がいいなとは思いますが、そうかといって公開制度の関係について利用者の利便を犠牲にしてやるということにも限度がございますので、その点のことで今日段階で踏み切っておるということではないわけでございます。
#130
○橋本敦君 確かに簡単に踏み切るには余りにも大事な登記の公開制度の原則ですが、しかし、それがコンピューター化によってどうなるかという重大な問題があることは今お話しのとおりですね。
 そこで、この関係でもう一つ伺いたいのは、今後順次法務大臣の指定が登記所にずっと進めていかれる過程で、移行形態、これが進んでいくわけですね。そこで、その関係で一つ聞きたいのは第三条の規定でありますが、この第三条では、手数料を納付して登記ファイルに記録されている事項、つまり登記事項を証明した書面の交付を請求できる、これは簡単に言えば今までの登記謄本請求、抄本請求になるわけですが、その場合に証明した書面、つまりコンピューターによる「証明した書面の交付を請求することができる。」と書いてある意味ですね。請求をしなければならないじゃなくて「できる。」と書いてある意味、これはどういう意味から「できる。」ということになったんでしょうか。謄本請求というのは当然の請求権として利用する国民の側にあるのではないですか。
#131
○政府委員(枇杷田泰助君) この法律の三条は、法務大臣の指定を受けまして移行作業を進める、しかしながら新しい登記法が適用を受けないという、そういう中間過程における証明書制度を規定したものでございます。したがいまして、その時点におきましては登記簿というのがあるのでございます。したがって、その登記簿の謄本という形でくれと言われたときに、もう片一方で実際上移行が進んでいるのだから、そっちでなければいけませんよというふうな制限を加えることはいかがなものかということで、私どもの方からいたしますと、せっかくコンピューターに入っているのだから簡単に打ち出される、これでやっていただきたいという気持ちがございますが、理論的には登記簿がある以上、その登記簿の直截な謄抄本をくれということを妨げることはできない。したがって、ここの方はこちらの方の道ができますというふうな書き方になっているわけでございます。
#132
○橋本敦君 私もそういう二重形態が移行期間中はあるという趣旨だということは理解をしておりましたので、今のような質問をしたわけです。だから、したがってこの移行形態が進む間は利用者の側において従前どおりのブックシステムに基づく登記簿の謄本を欲しいと言うこともできるということになるわけですね。
 そこで、それに関連をして今度は印紙の問題、証紙の問題を伺いたいのであります。今度はそういうことになっていきますから、従来どおりの登記謄本を請求するという場合は従来どおり定めた印紙を買って請求すればよろしいのか。あるいは今度は特会の関係で、その従来どおりの謄本請求も、それからコンピューターに移行した証明をもらう、これも今度新しく出そうとされておる登記印紙といいますか登記証紙といいますか、これによってやるということになるのか。その点の扱いはどうなりますか。
#133
○政府委員(枇杷田泰助君) その関係につきましては現在衆議院で御審議中でございますけれども、七月一日以降は特別会計が実施をされますので、それの歳入を明確にするという意味で、登記簿の謄抄本も、それからこの法律によります手数料も全部登記印紙によって納めていただくということが附則でうたわれておるわけでございます。
#134
○橋本敦君 そこで、甲号関係の登記は従来どおりの印紙ですね。
#135
○政府委員(枇杷田泰助君) そのとおりでございます。
#136
○橋本敦君 そこで、乙号関係はブックシステムによるかあるいは今度のコンピューターシステムによるかは別にして、登記印紙ということになりますと、今度は登記印紙の販売について国民に極めて利便な方法でなし得る処置が今できておるのかどうか、この点が私は心配なんですね。今の印紙ですと、委託販売も含めて非常に簡単に近くで軽便に買い得る処置があるわけですね。ある場合にはたばこ屋さんとか薬局でもある。今度の乙号登記印紙は、これは郵政官署に委託販売ということに原則としてなるわけですが、そういう細かなサービスを利用者のために販売でできるという、そういう体制は今ありますか。
#137
○政府委員(枇杷田泰助君) この登記印紙の販売方法につきましては、収入印紙と同じように郵政で売っていただくというふうなことにいたしております。これは一応建前とすれば郵便局で売るということになりますが、たばこ屋さん等、またあるいは登記所の内部で印紙売りさばき人が売っておるということでございますが、それと同じような仕組みで郵便局からその印紙売りさばき人が登記印紙も同時に郵便局から買うといいますか、販売の委託を受けるような形で引き取って、そして売るというふうな形で進めたいと思います。したがいまして、現在登記の謄抄本を求められる方がお買いになっておられる収入印紙を売っているところがその登記印紙も売るというふうなことにいたしたいと思います。ただ、全国非常にたくさんの印紙売りさばき所がございますが、そこに全部ばらまく必要があるかどうかということについてはちょっと疑問がございますが、登記所の周辺とか、要するに登記に関係される方がおられるようなところは、これは漏れなく販売する体制を整えたいという考え方でおります。
#138
○橋本敦君 問題は、登記所の近くで売ってあげるということが一番利便なわけでしょう。だから、これがうまく確保できるかどうかの見通しをはっきり聞きたいんですが、いかがですか。
#139
○政府委員(枇杷田泰助君) それはもう遺漏なくやりたいと思います。七月一日までにかなりの牧数のものを印刷して、そしてそういう売りさばき所に届くというふうな措置を考えております。
#140
○橋本敦君 その売りさばき所が、いや、局長がおっしゃるようなことは面倒だからもう嫌だ、従来の印紙だけしか扱わぬといった場合、強制的にこれを委託する方法はないでしょう。
#141
○政府委員(枇杷田泰助君) それは強制規則は私どもは持ちませんけれども、経済原則の問題だろうと思いますので、今までも登記の印紙、殊に謄抄本の関係での売りさばき量というものは登記所の近辺ではかなりの量に上りますので、それによっての手数料が売りさばき所に落ちるわけでございますので、それを返上するということは少なくとも登記所の周辺では起こらない、むしろそういうのを専門に売らしてもらいたいところが出てくるぐらいではないかというふうに思っております。
#142
○橋本敦君 それは局長の期待ですが、私が逆に心配しますのは、甲号事件は従来の印紙だよ、それから乙号事件については今度は登記印紙だよと、今度は印紙の姿も変わってくるわけですね。ところが国民の方は、ここで議論しているように、なるほど登記時会はそういうものか、今度は甲号はこっちなんだな、乙号はこれだなと、それは販売所も含めて国民の方はなかなか理解するには時間がかかるし暇がかかりますよ。そうしますと、従来の印紙下さいといって買ってきて、それで今度は乙号の請求に知らずにそれを押して出した、登記所の方でうっかり消印でもしちゃったら、さあ一体だれがその誤りについて訂正して責任を持つのかということになりますと、売りさばき所に、あんたが親切にこれは乙号だからこっちですよと教えてくれなかったから私は二枚買わなくちゃならぬとか、いろいろなトラブルがあれば引き受けてくれなくなりますよ。
 そこで、こういう問題について周知徹底方法は、これはかなりやっぱり大変なことだと私は思うんですが、そういう国民に対するサービスとして、法務省は周知徹底方をどのような方法でおやりになればよろしいとお考えですか。いかがでしょうか。
#143
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに御指摘のような問題は重要なことだと思っております。したがいまして、その周知徹底の方法といたしますと、まず一つには、ポスターをつくりまして、そして六月あるいはその前から登記所、市町村、それから印紙の売りさばき所、そういうところを中心にして、こういうふうに制度が変わるということの周知を図る。それから市町村にお願いをしまして、市町村の広報にそういう旨の記事を載せていただくというふうなこと、それから、もちろん司法書士とか調査士とか、あるいは不動産業関係とか、そういう登記に関係の深いようなところには、そういうことについての制度が変わるということをお知らせすると同時に、またその旨をできるだけ近辺の方にも周知されるようにお願いをするというふうな措置を講じたいと思っております。
 そういうような点で、七月一日からでございますので、なるべく早く行動を起こしたいと思っておりますので、この法案並びに特会法案が早く成立することを強く期待いたしておる次第でございます。
#144
○橋本敦君 そういう答弁を期待しておったわけではもちろんないのでありますが、そこでその次の問題は、七月一日に本法は施行される予定ですが、早速謄本及び証明申請等手数料が値上がりになるという予定だとも仄聞しますが、そういう御予定でございますか。
#145
○政府委員(枇杷田泰助君) 七月一日から謄抄本につきましては現在の一通三百五十円を四百円に、閲覧一回百円を二百円に、手数料の改定をいたしたいと考えております。
#146
○橋本敦君 早速登記特会によって受益者負担で財源確保ということに乗り出されるようでありますが、私はここにも、今度は逆に局長に申し上げますが、我が党が反対する理由の一つがあるわけでございます。
 そこで次の問題に行きますが、第五条で民事行政審議会に今後重要事項を法務大臣から付議するということになっております。このコンピューターの本格化問題については、今まで私も指摘し委員会で議論されたように、国民への周知徹底はもちろんのこととして、多くの重要課題がある。例えば閲覧の問題がある、不動産登記法の改正の問題がある、いろいろあるわけですが、どっちにしても将来、一つは不動産登記法なり商業登記法なりの改正問題が日程に上ってきますね。だから、これもこの行政審議会に付議されるのか、これは法律なのでもう付議しないということなのか、この点はいかがですか。
#147
○政府委員(枇杷田泰助君) 法律案そのものとして付議をするということもこれは考えられると思います。昨年国籍法の改正の際に戸籍法の改正もございまして、その際には戸籍法の改正要綱案という形で民事行政審議会にお諮りをしたわけでございます。ただ、今度の場合には法律問題のほかにいろいろな具体的な施策をどうするかというふうな問題も同時に審議会の御意見を伺わなければなりません。ですから、したがって要綱案の審議をいただくというふうな形でいくか、あるいはその要綱案の内容をなす問題点について個別に御意見を伺うという形にするか、どちらがいいかという問題がございますが、いずれにいたしましても、法律案の内容になる主要な点については、これは民事行政審議会の意見を聞いてまとめていきたいというふうに思っております。
#148
○橋本敦君 このコンピューターの本格導入に際して、当面法務省が不動産登記法の改正点としてお考えになっていらっしゃる幾つかの問題点が明らかになっておりましたら、項目で結構ですからお知らせいただきたいのです。
#149
○政府委員(枇杷田泰助君) 具体的なコンピューター化の作業の進め方等は、これは別といたしまして、制度的あるいは法律的な問題といたしますと、先ほど御指摘ございました閲覧制度をどうするかという問題、それから管轄制度をどうするかという問題でございます。それから場合によっては申請書について何か特別なものに決めてしまうかどうか。例えば板橋で乙号の申請書についてマークシートを一部使っておりますが、私どもはあれを原則にというつもりは現在持ってないのですけれども、もし仮にああいうものを取り入れるべきであるということになれば、そのことも法律問題になってこようかと思います。
 それから、今の構想では各登記所ごとに本体を入れまして、そこで一応完結的に処理するようにいたしておりますが、その後にバックアップセンターをつくり、またその背後に開発センターというものをつくる予定にいたしております。その場合に、万が一ある一つの登記所が震災なりあるいは火災なりでそのデータが失われた場合に、現在の仕組みですと滅失回復手続をとるわけでございます。しかしながら、そういう場合に備えて実はバックアップセンターでバックアップすることになっておりますので、したがって直ちに登記簿が復元できるという状態になります。そういうふうな場合にその滅失回復手続というものをどう考えていったらいいかというような新たな問題が出てまいります。そういうような法律問題を、あるいは制度的な問題を考えていただくことになるのではないか。
 それから、先ほども柳澤議員の方からもちょっとお話ございましたけれども、板橋でやっておりますのは現在の登記簿の謄本と同じ様式で、同じスタイルで打ち出しておりますけれども、あるいはこの際、打ち出す場合には横書きにしたらどうかとか、あるいは甲とか乙とかというふうな区別は維持すべきなのかどうなのかとか、そういうようなこと。それから付記登記という形をどういうふうにしてあらわすとかいうようなこと、あるいは仮登記も余白を残して云々とありますけれども、それをコンピューターの場合にはブックと違いまして余白という問題はないわけなんで、それを法律的にはどういうふうにとらえて表現すべきかというふうな問題もいろいろ出てこようかと思います。
 私どももある程度の今申し上げましたような点については問題点として考えておりますけれども、また民事行政審議会を開きますといろいろな角度からの問題の指摘が出てくるのじゃないか、むしろそういう問題の指摘も受けたいというつもりでおるわけでございます。
#150
○橋本敦君 そこで、この民事行政審議会の審議事項というのは、将来のコンピューター本格導入に伴う我が国の不動産登記制度の従来の建前なり態様をかなり大きく変更する可能性のある重要な問題がこれから幾つも議論される可能性があるということになるわけですね。
 そこで、この第五条の問題としては、この審議会でそういう将来の根本的な問題が次々と審議をされていくという、そういう構想であることはわかりましたが、それだけにこの審議会はいわば将来に重要問題が起こればそこで全部審議するということで、あらかじめ白紙委任をしておくような、言ってみればそういう審議会としてできているというところに現在もっともっと議論しなければならぬ問題、例えばもう目に見えている閲覧とか、今登記簿の横書きの問題もそうですけれども、付記の問題もそうですが、そういう議論を先送りして審議会に入れてしまうというやり方は、国会における審議としていささか国会審議を軽視することになる嫌いがあるのではないかというように私は心配をしてこの点を見ておるのですが、この点、国会審議との関係でございますので、大臣のお考えを聞きたいのであります。
#151
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもは最終的には不動産登記法あるいは商業登記法の改正の際に十分そこで御審議をいただきたいというふうに思っております。その登記法の改正案の骨子になるものをまとめていただくために民事行政審議会というものを考えておるわけでございますし、またその中間でいろいろな考え方が出てこようかと思いますけれども、そういう点についてこの当委員会等で御質問があれば、その都度どういうふうな方向にあるということは十分にお答えをしていくというふうに考えております。
#152
○橋本敦君 観点を変えて、将来のこのシステムによる国民サービスの観点から考えていきますと、例えばきょうも参考人にお伺いしたんですが、センターをつくり、そしてネットワークをつくってオンラインに乗せますと、大阪で、あるいは東京で全国の登記状況を知るということも可能になる。こうなりますと、局長のおっしゃったように管轄問題をどうすればいいかという、これはもう大問題になってくるわけですね。管轄問題がそういうことで広範囲になってきますと、今までの法務局の所在地と管轄という関係が直接に必要なのかどうかということにもなって、私はこれはもう本当に根本的な大転換になってくると思うんですね。こういう問題は今おっしゃったような法案が出てくるというそのときどきというより、構
想の根本問題ですから国会としても十分議論する必要がある。そういう意味でこの五条に全部任せるのはいかがか、大きな問題だと見ておるわけです。
 そこで、その一つとして伺いますが、最近土地についても、その利用は、その土地の建ぺい率はどうかとか、商業区域か風致地区かあるいは調整区域か、いろいろな制限も付加されているところがたくさんありますね。将来コンピューターシステムが進んでさますと、地方公共団体なりあるいは政府なり公的な機関がその土地について加えている制限なり、公共の福祉のために出しているそういうチェックポイントなり、そういうのがあるのかないかも含めて、情報提供というサービスをその土地について一目してわかるような国民サービスも可能になるのではないかという気もするんですが、そういうサービスは将来課題としてお考えになっているのかいないのか。これは結論だけで結構ですが、そういうことはどうですか。
#153
○政府委員(枇杷田泰助君) 私どもそういう点につきましては問題意識を持っております。また、そういうふうなことをやるための技術的なことは私も可能だと思います。ただ、そういう情報があれば便利ではあるという面はありますけれども、登記所がそういう情報を責任を待って公表できるというふうなことができるものかどうかというふうな面もございますので、当面はそういうものは入らない状態で移行作業もし、プログラミングもしていくということでございますが、遠い将来そういうことをまとめてやれというふうな声が非常に強くなって、そして情報が確実なものが何かまとめてつくれるようになるというふうなことになれば、そういう制度をやることが基本的に悪いということはないと私は思います。
#154
○橋本敦君 もう一つの見方から伺いますが、例えば物件の検索の場合、コンピューターで出してくるのに地番を中心に出してくるという一つの方法がありますが、今度は人名別に例えば橋本敦なら橋本敦所有の総不動産を、全国的にあっちこっちある場合、私のはありませんけれども、例えばの話ですが、これを出すというような検索もサービスとして可能になるのかどうか。これはいかがですか。
#155
○政府委員(枇杷田泰助君) それは技術的には可能だと思います。ただ、そういうふうなことをやるかどうかについては、これは現在でもその点についてはいろいろな御意見があるというふうに承知いたしております。これは登記は公開制度でございますから、それは情報を公開するのは当然でございますけれども、ある一人の人の不動産関係の財産関係を全部まとめて掌握する、あるいは情報として提供するということになりますと、単なる対抗の問題だけではなくて、また違った次元の問題、プライバシー的な問題が出てくる。そういう面でどうかというふうな批判もあるわけでございます。ですから、私どもは技術的にはどのようにでもできるわけですけれども、それはどのようなことで制限をしていくかということは今後のやっぱり世論が決めることだろう。そういうものも民事行政審議会の今意見も聞いてやりたいと思いますが、当面私は今出発当初からそういう形のものを導入するのには適していないように思っております。
#156
○橋本敦君 時間がありませんので次に進みますが、今後全国にこのシステムが実際に実現をしていく、こうなりますと機械は全部リースでいくのか、端末機はもう法務省が買い入れて各法務局に備えていくということでいくのかということも含めて、現在は富士通と東芝ですが、これは開発をやってきたわけですが、将来の全体構想になりますと機械の費用だけで総額何千億になるかわかりませんけれども、国の契約としては基本的には随意契約というよりもむしろ入札ということが基本ですし、そこのあたりはソフトウエアの開発はこれはなかなかそうはいきませんが、ハードウエアなり端末機なりこういった問題については国の立場としては、多くのメーカーがありますので競争入札を原則としてよい物を安く仕入れるという原則を守るべきじゃないかと私は思っておるんですが、そこらあたりの将来構想はもうあるんですか。
#157
○政府委員(枇杷田泰助君) これも先ほどほかの委員の方の御質問にお答えした点でございますけれども、当面のシステム開発については、過去の実績を踏まえた東芝あるいは富士通に頼むということが経済性からいっても短期に処理をするという面からしても妥当ではないかというふうに考えております。
 しかし、具体的にその全国展開をしていく際には、そのシステム開発という面から、あるいはプログラミングというソフトウエアの関係からいたしまして機種が特定せざるを得ないという面がございます。そういうものは固定することになると思いますが、端末の機械等でそういうものが必要がない、どの機械でもある一定以上の技術水準にあるもの、それに耐えられるというものは、私は現在の二社に限ることは必要もないし、またすべきでないというふうに思っております。したがって、競争的にやっていただけばいいだろう。それから現在は不動産登記を中心にやっておりますけれども、ほかにもいろいろな種類の登記があるわけでございます。そういうものについてはまた別のシステムでやった方がいいという面もあるいは出てくるかもしれない。そういう場合には新規の話でございますので、全く競争的にやっていただければいいんじゃないかというふうに思っております。
#158
○橋本敦君 研究開発ということが非常に大事なシステムでありますから、簡単になかなかいかない面がありますので、そう簡単に私も言っているわけじゃないんですが、将来端末機というものを全国にたくさん置くということになれば、それはもう可能になってくるかもしれませんから、原則はやっぱりきちっと守っていただきたい、こういうことであります。
 そこで、今度は評価委員会の関係ですが、評価委員会の中間報告を拝見いたしましていろいろ検討されていることがわかりました。ただ、私はもう時間がありませんので多くを申し上げませんけれども、この評価委員会の中間報告でも、今私が申し上げました対国民サービスの観点では、今後とも理論的、技術的にはディスプレー端末での閲覧、謄抄本交付請求の管轄廃止、それから地図のコンピューター化等多くのサービスが考えられ、こういうことについては「今後、将来のシステムを作る上で検討していく必要がある。」ということで、今後の課題に一つは残しておりますね。結論的にこの評価の部分を読んでみましても、そういう将来システムの開発も含めまして執務環境への影響、今言った利用者に対するサービス向上の効果、移行作業の実施上の問題点については今までの板橋区のパイロットシステムのデータだけではまだ十分でないために、今後とも「精密な評価を行う必要がある」というように言いまして、結局「より詳細かつ正確なデータを収集して分析検討したうえで、最終報告を取りまとめ」る、こう言っておりますね。
 だから、したがって評価委員会は現段階では中間報告ということであって、最終報告はまだまだ慎重に多くの課題を検討する、こう言っておるわけでありますから、本当ならば最終報告を待ってコンピューター本格化のための本法案が出されるのが筋ではないか。そういう意味で評価委員会のもっとしっかりした審議と評価を得た上が妥当なのに、いささか早過ぎるのではないかということを感じておるわけですが、この点はどうお考えですか。
#159
○政府委員(枇杷田泰助君) 確かに御指摘のような面があることは否定しがたいと思います。したがいまして、最終的な検討の結果を踏まえた上でコンピューター化のこの法案を出すべきだというふうな御意見も私はわからないわけではないのでございますけれども、ただ中間報告の段階にいたしましても、何もこの二年だけでコンピューターを手がけているわけではございませんで、かなり前からやっております。そういうふうなことから申しましても、一つの方向として具体的な中身をどうするかということは別としましても、方向としてコンピューターの方向でさらに進めていくということを決めていただく、御承認いただくというふうなことには、そんなに差しさわりがあるほどのことではないだろうということ、それからもう一つは登記所の現状からいたしますと、なるべく早く将来の展望といいますか、そういう方向というものを決めなければならない実情にあるというふうなことから、この時期に特別会計とあわせて、そしてこの法案を御審議いただいて方向を決定さしていただきたいということでございます。慎重であればあるほどいいという面はございますけれども、私は今の時点で踏み切るのにはそう支障がない程度の状況にはなっているという認識をいたしております。
#160
○橋本敦君 その点の認識の違いははっきりいたしました。
 もう一つ、健康管理をどうするかというVDTの関係で作業ラインの問題ございますが、もう時間がありませんので質問は取りやめますけれども、この点についての検討もまだまだしっかりやらなくてはならぬ課題であるということを申し上げて質問を終わります。
#161
○委員長(大川清幸君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 次回は来る二十三日火曜日、午前十一時五十分理事会、正午委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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