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1984/04/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第10号
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1984/04/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第10号

#1
第102回国会 法務委員会 第10号
昭和六十年四月二十三日(火曜日)
   午後零時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     近藤 忠孝君     宮本 顕治君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     川原新次郎君     藤田 正明君
     竹山  裕君     河本嘉久蔵君
     吉村 真事君     石本  茂君
 四月二十二日
    辞任         補欠選任
     園田 清充君     井上  孝君
     藤田 正明君     工藤万砂美君
     安井  謙君     柳川 覺治君
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     出口 廣光君
     河本嘉久蔵君     吉川 芳男君
     宮本 顕治君     山中 郁子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大川 清幸君
    理 事
                小島 静馬君
                寺田 熊雄君
                飯田 忠雄君
    委 員
                井上  孝君
                工藤万砂美君
                土屋 義彦君
                出口 廣光君
                徳永 正利君
                名尾 良孝君
                柳川 覺治君
                吉川 芳男君
                小山 一平君
                橋本  敦君
                山中 郁子君
                柳澤 錬造君
                中山 千夏君
   国務大臣
       法 務 大 臣  嶋崎  均君
   政府委員
       法務大臣官房長  岡村 泰孝君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、近藤忠孝君が委員を辞任され、その補欠として宮本顕治君が選任されました。
 また、去る十九日、川原新次郎君、竹山裕君及び吉村真事君が委員を辞任され、その補欠として藤田正明君、河本嘉久蔵君及び石本茂君が選任されました。
 また、昨二十二日、園田清充君、藤田正明君及び安井謙君が委員を辞任され、その補欠として井上孝君、工藤万砂美君及び柳川覺治君が選任されました。
 また、本日、宮本顕治君、河本嘉久蔵君及び石本茂君が委員を辞任され、その補欠として山中郁子君、吉川芳男君及び出口廣光君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大川清幸君) 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。
 前回に引き続き質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○寺田熊雄君 この法案と登記特別会計法案とは一体をなしております。登記事務にコンピューターを導入するものでありますが、それは主として乙号事件の現在の量的拡大に対応し切れない職員と、庁舎の増改築の困難、それから生ずる国民の時間的ロスなどの解決のためと考えられておりますけれども、しかし、それは甲号事件の処理も同時にコンピューター化されるのでありまして、登記簿が従来の紙に文字で書かれたものから磁気ディスクに記号でファイルされることが前提となっております。それゆえ、この会計の歳入を乙号事件の手数料で賄うというのは誤りでありますし、コンピューター化を急ぎ過ぎますと、勢い手数料の引き上げという安易な方法に頼らざるを得なくなります。コンピューター化の経費がふえる場合も同様でありまして、私たちは、甲号事件の収入すなわち登録免許税が一般会計に全額繰り入れられておることを前提といたしまして、一般会計からの繰り入れも少なくとも半分程度はあるべきではないだろうかというふうに考えております。
 この点は法務当局の対大蔵との努力にまつほかはありませんけれども、この点をよくお考えになりまして、コンピューター化の経費を手数料だけに頼ることがなく、これを値上げすることに安易に依存するというような態度をとっていただきたくないのでありますが、この点いかがでしょうか。
#5
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいまお話しのように、コンピューターの経費を手数料で賄うということのために手数料が余り過度に値上げされるということは、これは問題であるということは私どもも重々認識をいたしております。したがいまして、作業のやり方であるとか、あるいは作業期間というふうなものも手数料との関連において慎重に検討して、余り大きな負担を国民の方々におかけしないように精いっぱいの努力をしてまいりたいと思います。
#6
○寺田熊雄君 第二の問題は、コンピューター化によりまして不動産登記法第二十一条の閲覧制度が非常に困難を来すことであります。この閲覧制度が必要になっております一半の理由は、登記地番が住居表示の地番と異なるためであります。もしこれが住居表示の地番と一致すれば、私どもはたやすく利害関係のある土地、家屋の登記簿謄本を求めることができます。それゆえ法務当局は将来コンピューター化を実施するに当たってはできるだけ住居表示の地番で登記簿の謄抄本が入手できるように工夫をすべきであります。また、現在においても、できるだけ我々が住居表示によって登記簿の謄抄本の入手ができるように国民の利便を図るべきでありますが、いかがでしょう。
#7
○政府委員(枇杷田泰助君) ただいま御指摘ございましたように、住居表示と登記上の地番とが相違をいたしておりますために、実質的に閲覧をしたりあるいは謄抄本の交付を受けたりするという目的のための地番の特定がなかなか一般の方にはできがたいという状況にございます。その問題を解消するために、今度のコンピューター化の際には住居表示によって土地あるいは家屋の検索ができるようなシステムを開発してまいりたいと思います。現に板橋の出張所におきましてパイロッ
トシステムで行っております実験の際にはそのようなシステムを導入いたしまして、それによって、まだごくわずかな地域でございますけれども、申請人の方々から好評を得ているところでございます。したがいまして、本番導入の際にもそのようなシステムを採用することにいたしてまいりたいと思います。
 なお、コンピューター化が導入されるまでの間におきましても、登記所の窓口に住居表示と地番との対照表などを整備いたしまして、それによって申請人の方々に御不便をかけないような工夫を凝らしてまいりたいと思っております。
#8
○寺田熊雄君 この点はいかがでしょう。一法務局出張所当たりのコンピューターシステムのレンタル料が年間三千万ないし一億、平均五千万円という御説明でありましたけれども、平均五千万円といたしますと、これが十人分の人件費に相当するわけであります。したがって、一人庁など少数の法務局出張所の場合には、むしろ経費倒れになるんじゃないかというふうなことも考えられるのでありますが、この点はどういうふうに御説明になりますか。
#9
○政府委員(枇杷田泰助君) 先回の当委員会におきましての御質問で、大体平均五千万近くのものになるであろうというふうにお答え申し上げましたが、実はそれはある程度の規模以上のものにコンピューターの本体を据えつけるという前提でお答えをした次第でございまして、一人庁、二人庁などにつきましては、ただいまお話ございましたように経費倒れになるというふうなこともございます。したがいまして、そのようなごく小規模のところには端末機を置いて、そして近隣の中規模庁以上の庁との間に回線で結んで、その中規模庁のコンピューターを利用して事務を処理するというふうな方法を講じていきたいと思っております。そういたしますと、小規模庁におきます端末は現在の価格でも七百万程度で済むのではないかというふうに考えられます。将来はそのような経費もだんだん安くなっていくであろうというふうな見込みも立ちますので、したがいまして、採算上おかしいというような現象は起きないものと考えております。
#10
○寺田熊雄君 本法案の審議を終えるに当たりまして、与野党の全委員が一致した希望は、速やかに法務局の老朽庁舎ないし狭隘な庁舎を改築して快適な職場環境をつくり出すということと、登記関係職員の増員がこのコンピューター化によって衰えることがなく、従来以上の熱意を持って取り組んでこれの実現を期してほしいということでありますが、この点はいかがでしょうか。
#11
○政府委員(枇杷田泰助君) 法務局の現状は非常に人手が不足をしておるということと、施設環境が悪いということが言えると思います。その点につきまして、従来からも法務局の予算要求の際の最重点事項として努力をしてまいりましたが、このたびコンピューター化の方向が決まりましても急にそのような状況が改善するわけのものではございませんので、なお従前と同様な姿勢で人員の確保と、それから施設の改善については最大の努力を傾けてまいりたいと思っております。
#12
○寺田熊雄君 これは大臣、与野党一致の年来の懸案と言っていいわけです。大臣のこの点についての御決意を伺いたいと思います。
#13
○国務大臣(嶋崎均君) 今御質問の問題でございますが、登記事務の問題につきましては全国的にコンピューター化されていくということになるならば、いわゆる乙号関係の謄抄本の処理あるいは閲覧というような問題が将来いろいろな問題があるかもしれませんけれども、そういうことを含めて、その部面につきましては私は相当合理化が達成をされていくのだろうというふうに思いますけれども、御承知のように登記の申請書類の審査、その他の問題はやはりきちっとした手続が必要なわけでございますし、そういう関係の仕事も残るわけでございます。かつまた、課題として残っておる地図その他というような問題もあるわけでございます。
 御承知のように、今民事局長からもお話がありましたように、現在の何か登記関係の仕事の立て方が十分ではないという一般の皆さん方の御批判をいただいておる。それは一つは事務が非常に錯雑化しておるということも一つの原因であろうと思いますし、かつまたそれを受ける我々の態度の中でも少しいろいろな意味で吟味をしなくてはならぬというところもあるのかもしれないと思います。そういう点についてはやはり従来厳しい環境の中で時期の変化に伴いまして事件数が非常に多くなってきているということで、十分人員が配置をされていなかったというようなことも絡んでおるのだろうと私たちは思っておるわけでございます。
 当分この二年間の間はコンピューターが現実動くわけでもありませんし、その準備段階であるわけでございますから、その点については十分配慮をしていかなければならぬことは、これはもう当然のことでございますが、その後におきましてもやはり相当長期にかかって仕事をやっていかなければならない。しかも、今申し上げましたように、申請関係その他のいろいろな仕事というものは残っておるわけです。また、外部応援を随分いただいて処理をしている現実もあるわけでございますから、そういう点を考えまして、必要な人員の確保につきましては十分配慮をしていかなければいけないというふうに思っておる次第でございます。
 また、施設関係のところは、御承知のように裁判が独立をしたというような、裁判所が独立した関係でその関連の施設として法務関係の施設が飛び出たような格好になって現在まできたわけでございます。そういう意味で、なかなか大きいところの実は整備もおくれておった、末端のことについても十分配慮をして今日まで努力をしてまいりましたけれども、いろいろな配置その他の問題もありまして、十分でないということは十分心得ておるつもりでございます。今度の特別会計ができたときに、それを理由にしてある程度金額は積んでいただいたつもりでおりますけれども、今後ともその施設の充実については十分気をつけていきますとともに、やはりコンピューターが導入をされるということに伴うところのいろいろな環境整備にも配慮をして事柄をやっていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
 したがいまして、御指摘の二点につきましては、今後とも十分配慮をして対処をしてまいりたいと思っておる次第でございます。
#14
○寺田熊雄君 大臣非常に地味なお方ですから余り大言壮語はなさらないけれども、ひとつこれはぜひ重点を置いて取り組んでいただきたいと思います。
 それから最後に、本法によって不動産登記法の改正が必要になるんじゃないかというふうに考えますが、長くなってもいけませんので、どういう点が改正になるか、その改正はいつ国会に法務当局としては提案なさるおつもりなのか、大体のところをおっしゃっていただきたい。
#15
○政府委員(枇杷田泰助君) コンピューター化が進められてまいりまして、いよいよ本番と申しましょうか、全国展開でやるというふうな準備ができました際には、当然法律的にもその裏づけをするために不動産登記法あるいは商業登記法等の登記関係の法律の改正が必要であるというふうに考えております。
 その改正の骨子は、何と申しましても現在の登記簿によって登記をすることが登記であるという仕組みを、今度は登記ファイルに記録をすることをもって登記とするというところに一番の改正の主眼点がございます。その登記簿を登記ファイルに切りかえていくということに伴いまして細かな点ではいろいろな点を検討してまいらなければならないと思いますけれども、まだ改正の大きな方向を決めておるわけではございませんが、改正の際に大きな問題となるのは、先ほども御指摘ございましたように閲覧制度というのを存置するのかしないのか、存置するとした場合にはどういう形で存置するかというような点等が一番の中心点になってまいろうかと思います。その改正の時期で
ございますけれども、私どもの現在の予定といたしますと二年後の、要するに昭和六十二年の二月か三月ごろに成案をまとめて法案を提出するという予定でこれから作業を進めたいと思っております。
#16
○委員長(大川清幸君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#18
○橋本敦君 私は本法案に対する反対討論を行いまして、日本共産党がこの法案に反対する理由を明確にしておきたいと思います。
 今回の法律案は、現在板橋で行われておりますパイロットモデルが成功することを前提にして特別会計制度を設け、総額四千数百億円という巨費と十数年という歳月をかけて全国の登記事務の処理をコンピューター化するために必要な法制上の措置を講じようとするものであります。
 我が党は、科学技術の進歩に伴って登記事務の処理にもコンピューターを導入するとすれば、それは何よりも真に国民に対する行政サービスの向上につながるという具体的な保障がなければならないと考えるものであります。したがって、コンピューターの導入による効率化と引きかえに、一方で登記制度のあるべき姿をゆがめたり、他方で国民の負担をかえって増大させ、あるいは法務局に働く職員の大量の整理や解雇はもちろんのこと、労働環境の悪化を招くという状況があるのであれば、これは問題であります。
 このような問題点を解明するためには、現在行われておりますパイロットモデルの実験が終了する来年の三月を待って、技術的側面に問題はないか、国民に対するサービス面ではどうか、その職場で働く労働者に与える影響はどうかなど全面的な検討を加え、評価委員会の最終結論も得て、これに基づいて基本計画を策定し、その上で国会の審議を求めるべき性質のものだと思うのであります。
 ところが、私の質問でも、この審議の中で明らかになりましたように、構想あってもいまだ具体的計画は樹立されておらず、予算の面でも四千数百億円という大規模な事業の試算はなされてはおりますけれども、その算定の基礎が具体的明確性とデータにまだ欠けるところもありますし、加えて受益者負担ということで国民が支払う手数料も早速七月一日から値上げが予定されておりますように、将来安易に引き上げられるおそれさえあるのであります。また、コンピューター化による効率化によって大幅な定員削減も予想されるところでありまして、この点は大蔵省の担当官も当委員会においてそれを期待している旨の答弁をしているとおりであります。こういう状況でありますから、本格的なコンピューター導入の前に、労働組合とこの点について協議をするという重要な約束をぜひ果たさねばなりませんが、これもいまだ確定的に果たされている状況でございません。
 登記制度は、本来、不動産物権を公示する制度として、国民の権利の登録とその自由な閲覧を本質的な要素とするものでありますが、この法案では閲覧がどうなるか具体的に触れられておらず、むしろ審議の中で明らかになりましたように、閲覧制度そのものをなくす可能性も検討されているようであります。これは現在の登記制度の根幹に触れるものとして、なお慎重な取り扱いについて議論を深めねばなりません。
 さらに、コンピューターの導入という画期的な事業を開始するからには、時代の要求にこたえ、国民のサービス要求にもマッチして新たな登記事項にどのように変更を加え対応するか、その必要があるかどうかという問題、さらにはコンピューターに記録をされた情報が悪用されたり盗まれたりするおそれは一切ないかどうか等まだ検討すべき課題も多いのであります。このように実験段階と本格的導入との間にワンステップを置いてまだまだ十分な検討と条件整備を行うべきでありまして、不動産登記法改正の方向もいまだ明確にせぬまま、すべてを第五条の民事行政審議会にゆだねて、なし崩し的に行おうとするには余りにもこれは大事業であり、拙速主義は避けるべきだと思います。
 我が党が明治以来行われてきた現行登記制度の根幹に触れる今回の大改正の問題に対し直ちに賛同することはできない慎重な態度をとるのは以上の理由からであります。
 以上をもって反対の討論を終わります。
#19
○寺田熊雄君 私は、日本社会党を代表して、本法案に賛成の立場から討論をいたします。
 今、登記制度全般を理想的状態に置くためには法務当局は三千人以上の職員の増員を必要とするというのでありますが、その実現は与野党一致の努力にもかかわらず、国家財政の現状から今後相当期間にわたって困難視せられるのであります。しかし、それにもかかわらず当局は異常な増加を示す不動産登記乙号事件について事件数の増加に追いつかない職員数で対応しなければなりませんし、またその処理をスピードアップして国民の時間的ロスを解消する必要に迫られるのであります。それゆえ、当局がコンピューター及びその附属機器の導入によって、その隘路を打開せんとしたことは我々としても理解せざるを得ません。また、これによって職員の必要とする労働がこの部門に関する限り著しく軽減せられ、国民の時間的ロスも減少を見ることは確実と考えられるのでありまして、これが本法案に賛成する第一の理由であります。
 そのほか、この制度の採用により、従来の莫大な量の登記簿が著しくコンパクトな磁気ファイルに取ってかわられますため、従来のように登記簿冊の収納に膨大な施設を必要としなくなるという国民経済的メリットがあるのであります。また、たやすく磁気ファイルの副本が得られて、火災などの災害に対する恐怖から解放されるという効果も無視できません。これが本法案に賛成する第二の理由であります。
 しかしながら、本法案の施行に当たっては幾多の事項について留意することが必要であります。
 その第一は、本法案は登記特別会計法案と一体をなすものでありますが、この特別会計は手数料収入と一般会計からの繰入金とをもって主要な財源とするのであります。このコンピューターシステムは、前述のように不動産登記乙号事件の著しい増加がその導入の一つの主要な動機になっておりますが、甲号事件についても同程度の関連を持つ不動産登記制度全般の変革でありますので、コンピューター化の移行経費は乙号事件の手数料収入と甲号事件の登録免許税を考慮に入れつつ、一般会計からの繰入金と登記手数料収入とが適正な比率をもって支弁せられるべきでありまして、安易に手数料収入を引き上げ、これに重き比重をかけることは決して当を得たものでないことを特に指摘したいと存じます。
 第二は、コンピューター化は一面において不動産登記法第二十一条の閲覧制度を困難ならしめる欠点を持つのでありますが、閲覧制度は自己に利害関係を持つ不動産のありようを知るためでありますところ、現在の不動産登記表示の地番は住居表示と異なるために目的の不動産を知ることが極めて困難であります。これが閲覧によって初めて知り得る現状なのであります。それゆえ、住居表示なり不動産所有者の氏名がわかれば直ちにその目的とする不動産を認識することができて、国民がたやすく当該の登記簿謄抄本を入手できるようにすれば、これは閲覧制度にかわり得るものと考えるのでありまして、法務当局はこのような国民の利便を図るための努力が必要であります。
 第三に、このコンピューター化は職員の執務方法や健康等に重大な影響を持つと考えられますので、唯一の職員団体たる全法務労働組合とその実施について十分協議して行うことが必要であるのであります。法務当局も、今この全法務労働組合と誠実に協議を続けていくことを私どもに確約しておる現状であります。
 第四に、このコンピューター化によりまして、従来の懸案たる職員の増員と施設の改善についてはいささかも熱意を減少することなく、むしろ従来にも増した熱意を持って取り組むべきであります。特にこの点は先ほど民事局長と法務大臣に念を押したところであります。
 以上の四つの条件を前提といたしまして、私、日本社会党の本法案に賛成の討論といたします。
#20
○委員長(大川清幸君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#22
○委員長(大川清幸君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、寺田君から発言を求められておりますので、これを許します。寺田君。
#23
○寺田熊雄君 私は、ただいま可決されました電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派及び各派に属しない議員中山千夏君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に伴い、次の諸点について格段の配慮をすべきである。
 一 登記事務処理のコンピューター化とともに、登記事務の円滑な処理を図るため必要な人員の確保、施設の改善については、なお格段の努力をすること。
 二 登記事務処理のコンピューター化に当たっては、関係諸団体の意見を配慮し、事務処理の円滑化と職員の健康の保持等に努めること。
 三 登記事務処理のコンピューター化のための経費は、過度に登記手数料に依存することなく、その額の適正を期すること。
 四 登記事務処理のコンピューター化に当たっては、住居表示により登記簿謄抄本の交付請求を容易にすることができるよう配意すること。
  右決議する。
#24
○委員長(大川清幸君) ただいま寺田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
  〔賛成者挙手〕
#25
○委員長(大川清幸君) 全会一致と認めます。よって、寺田君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、嶋崎法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。嶋崎法務大臣。
#26
○国務大臣(嶋崎均君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、鋭意努力してまいりたいと考えております。
#27
○委員長(大川清幸君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
  〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(大川清幸君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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