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1984/05/23 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第12号
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1984/05/23 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第12号

#1
第102回国会 法務委員会 第12号
昭和六十年五月二十三日(木曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十二日
    辞任         補欠選任
     倉田 寛之君     安井  謙君
     水谷  力君     徳永 正利君
 五月二十三日
    辞任         補欠選任
     石本  茂君     石井 道子君
     小山 一平君     小野  明君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大川 清幸君
    理 事
                海江田鶴造君
                小島 静馬君
                寺田 熊雄君
                飯田 忠雄君
    委 員
                石井 道子君
                名尾 良孝君
                秦野  章君
                小山 一平君
                橋本  敦君
                柳澤 錬造君
                中山 千夏君
   政府委員
       法務大臣官房審
       議官       稲葉 威雄君
       法務省民事局長  枇杷田泰助君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        奥村 俊光君
   参考人
       日本司法書士会
       連合会会長    俣野幸太郎君
       日本土地家屋調
       査士会連合会会
       長        多田 光吉君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大川清幸君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十二日、倉田寛之君及び水谷力君が委員を辞任され、その補欠として安井謙君及び徳永正利君が選任されました。
 また、本日、石本茂君が委員を辞任され、その補欠として石井通子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大川清幸君) 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案につきまして、お手元の名簿にございます日本司法書士会連合会会長俣野幸太郎君及び日本土地家屋調査士会連合会会長多田光吉君の二名の参考人の方々から御意見を拝聴いたしたいと存じます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ当委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお伺いいたしまして、今後の委員会の審査の参考にさせていただきたいと存じます。
 それでは、これより御意見を述べていただきますが、あらかじめ議事の進め方について申し上げます。御意見をお述べ願う時間は議事の都合により一人十五分程度とし、その順序は俣野参考人、多田参考人といたしたいと思います。参考人の御意見の陳述が済みました後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 それでは、俣野参考人から御発言を願いたいと思います。俣野参考人。
#4
○参考人(俣野幸太郎君) 本日は司法書士法の改正法案につきまして本院で御審議を賜るに当たり、参考人として陳述の機会を与えていただきまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 今次法案の柱は、第一には国の司法書士についての登録事務を私ども団体に移譲の件、第二には公共嘱託登記の受託組織を法人化する件、第三には法務大臣の行政許認可事務の簡素合理化に関する件の三つであることは申すまでもございません。
 第一の件は、私ども先般五十三年法改正に当たりまして、本院におきましてもるる御検討を煩わしたところでございまするが、当時、ある面では私ども団体側におきまして、その受け入れ態勢の熟するを得なかった点もございまして改正の実現を見なかった点でございます。
 第二の点は、私どもが昭和四十七年からいわゆる不動産登記法上の嘱託登記につきまして、公共事業の進展に伴いまする最後の出口における法律的処置としての登記につきまして、法律専門実務家としてみずから積極的にこれを処理、担うことによりまして、かつまたその方法においては膨大なる公共嘱託登記を正確、適正かつ迅速に集団的処理を図るというところを軸といたしまして、人格なき社団である公共嘱託登記委員会の活動を通じましてまいったものでございまするが、何としても受注に当たっては法人格を付与していただく必要があるという大きな原点上の隘路がございまして、これが人格付与につきまして強く要望してまいったところのものでございます。
 第三は、これまた私どもの団体の適正かつ任意な意思に基づきまして処理し得ることにつきましては、法務大臣の許認可の事務につきましてできるだけ私どもの自律性に任せていただきたいと念願してまいったところでございます。したがいまして、いずれも国民各位の権利の擁護と保全を任務といたしまして、いかにして国民の法生活の充実を図るか、そしてその裏当てといたしまして、私ども司法書士が法律専門実務家としてみずからの研さんはもとよりその自律性を高め、司法書士自治をいかにして充実するかという理念に絡む問題ばかりでございまして、今もって私どもは全国の会員挙げてそのような主体的な自覚のもとに、私ども司法書士制度とその業務運営に非常な御理解を有せられ堪通しておられまする法務省民事局当局との再三再四にわたる慎重な協議のもとに、今次法案の成立につきまして熱望をいたしておる問題でございます。
 私ども司法書士制度は、御案内のとおり明治五年の司法職務定制を揺籃といたしまするものでございまして、約百十二年間にわたりまして先輩と現時の会員がこの制度の充実発展に至らないままにも努力研さんしてまいったところでございます。その意味におきまして、今次法改正における前述いたしました三つの柱につきまして、何としても本院におきまする御指導とともに御理解をちょうだいいたしまして法の御成立をお願いいたしたいと、本当に強く厚く要望いたすところでございます。
 これが私ども団体側の意見の取りまとめにつきましては、もちろんいろいろな考え方もあり、また理念目標は一つにいたしまするものの、その手だてについての多様な思惑もなかったわけではございませんが、日本司法書士会連合会並びにそれを支えまする五十地域におきまする司法書士会ともども総力を挙げまして一万五千人有余の会員の説得に当たったところでございます。またその詳細につきましては、先生方からも御指摘も仰ぐであろうと存じまするけれども、今日私ども団体側におきましては、絶対的多数をもちましてこれが法案につきましてコンセンサスを得、また向後の法の運用における私どもの自律的な責務につきましては、これまた全力を挙げまして的確、合理的に処理をいたすべきであるというかたい信念と相互の約束のもとにお願いをいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、過般衆議院を通過されまして本院において御審議を賜るわけでございまするが、先生方の御指摘あるいは先生方からの御指導の中におきまして、改めて一世紀の歴史と伝統を有しております私ども司法書士が、先ほど申し上げましたいかにしてその職責を果たすか、また、それによりまして国民各位の法生活上のニーズに即応することができるか、いろいろと御教示を賜りまするとともに、その中から現在並びに近未来にわたりまする司法書士制度と司法書士の実態につきまして、またその社会的機能につきまして本院先生方におかれまして新たな御認識を得るならば、私どもといたしましては今次法改正の意義がさらに倍加されるものと確信いたしておるところでございます。何とぞよろしくお願いいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(大川清幸君) ありがとうございました。
 次に、多田参考人にお願いいたします。多田参考人。
#6
○参考人(多田光吉君) 御指名をいただきました日本土地家屋調査士会連合会会長の多田光吉でございます。
 ただいま当参議院法務委員会において御審議をいただいております司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして、制度の充実発展に御理解をいただきまして、参考人として意見を申し述べる機会を御配慮賜りましたことを感謝申し上げる次第でございます。
 まず初めに、結論から申し上げてみたいと存じます。御審議をいただいております土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきましては、本国会においてぜひ成立されますことに格別の御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。
 このたびの法律改正案の、特に調査士会連合会といたしましては重点として考えている第一、土地家屋調査士の資格登録事務を日本土地家屋調査士会連合会において行うとする改正案、第二として会則認可の簡素合理化、第三に公共嘱託登記受託組織の法人化、以上三点でございます。
 第一の土地家屋調査士の資格登録事務を日本土地家屋調査士会連合会において行うものとする改正案でありますが、現行の調査士資格の登録事務は「法務局又は地方法務局に備えた土地家屋調査士名簿に登録を」受けることとされておるのでございます。従来から連合会は資格登録制度を資格者団体に移譲することを要望してきたのであります。このことは資格者団体の自主性と社会的地位を高め、会員の会帰属の意識と資質の向上を図るため、そうした必要性から要望してきたわけでございます。たまたま政府の臨時行政調査会の行政改革に関する最終答申におきまして、許認可の整理合理化策として資格登録事務を資格者団体に移譲することが提言されております。このたびの改正は、行政機関の指導監督のもとに土地家屋調査士の資格登録事務を日本土地家屋調査士会連合会に行わせるとしたものであると思うわけでございます。資格登録事務の受け入れにつきましては適正に処理するための準備を進めているところでございます。
 また、司法書士、調査士の使用する補助者の承認につきましては、臨調の提言によりますと廃止を含めて検討するということが提言されております。このことから、本年三月、当該調査士の事務所を管轄する法務局または地方法務局の長に届け出の制度として改正されたのでありますが、その際、連合会は調査士の使用する補助者については各会の自主性を高めるために会に届け出制とすることを要望してきたのでございます。登録移譲は行政事務簡素化の一方策としているところから、今回の法改正に伴って補助者制度についても同様、会に届け出制とすることをあわせて改正されますよう、法務省に要望をしているところでございます。
 第二の会則認可の簡素合理化でございます。土地家屋調査士法は昭和二十五年法律第二百二十八号をもって制定され、昭和三十一年法律第十九号による改正によりまして土地家屋調査士会が強制設立の制度となり、土地家屋調査士会の会員でない者は調査士法第二条に規定する業務を業とすることができないこととされると同時に、調査士会は会則を定めて法務大臣の認可を受けなければならないとされ、調査士はその所属する会の会則を守ることが義務づけられておるわけでございます。会が強制設立とされたことは、調査士が行う業務が不動産登記の基礎である表示に関する登記の正確さの確保に重要な役割を果たすものであり、国民の不動産に関する権利に重大な影響をもたらすものであるところから、調査士の使命及び職責にかんがみ、その品位の保持、業務の改善進歩を図るため、会員の指導及び連絡の事務を行うこととされておるのでございます。
 会則の定め方については、法並びに関係法令に抵触しない限りどのように定めても差し支えないわけでございますが、会則の条文の解釈あるいは運用において、全国各会の会則の内容を統一することが望ましいとして指導してきたのでございます。現行においては会則の変更はすべて法務大臣の認可が効力の要件とされておるのでございますが、連合会は会則の改正また変更等に会員の規制、制約等重要なものを除いて、手続によって当然認可されるべき範囲のものについては会の自主性を認めて簡素合理化を検討してまいってきたわけでございます。このたび改正案第十五条の二で明記されておりますとおり、一部については大臣の認可を要しないことと改正がなされているわけでございます。このことは連合会の制度改革、簡素化の要請が反映されたと受けとめているわけでございます。
 次に、第三でございます公共嘱託登記受託組織の法人化の改正でございます。両連合会は、官公署における大量な登記の嘱託手続を専門的知識と特殊技能を持つ資格者の団体が受託し、登記の事務処理の円滑化、迅速化を図ることが公共事業実施の推進となり、国民の福祉に貢献することとなる制度として、こうした使命のもとに公共嘱託登記受託組織の法人化を要望してきたのでございます。
 昭和四十七年、法務省民事局から、登記事件の迅速処理を要求する反面、公共の登記嘱託事件には不適格なものが多くあり、これが一般登記事件処理の停滞を来しているというところから一般社会に大きな影響を与えている現状が報告されて、この改善方策として法務省民事局の指導によりまして大量事件の処理体制として全国に公共嘱託登記委員会を組織いたしまして、公共事業の実施機関に対し公共嘱託委員会の活用方について積極的に対応してまいったのでございますが、発注者側の意見として契約上に人格がないこと、また責任の所在が不明確である等の指摘がなされ、所期する成果を得るに至っていないことが現状でございます。
 このような状況から契約上の隘路の解消は受託組織の法人格が必要であるといたしまして、基本を公共事業の円滑な推進に寄与することを目的とした法務省民事局の指導のもとに法人格の基本構想を策定いたしまして、昭和五十八年度の連合会定時総会に提案をいたしまして総意をもって決定
したのでございます。連合会はこれをもって法務省民事局に対し早期法人化の法改正を要望してまいったのでございます。法人の運営につきましては、まだ危惧を残す点も数多くありまするが、全国一万八千名の会員の悲願としての要望であるわけでございます。ぜひとも改正法律案につきましては本国会において成立されますよう諸先生方の特段の御尽力をお願いいたします。
 以上、簡単でございますが参考意見といたします。ありがとうございました。
#7
○委員長(大川清幸君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより参考人の方々に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○寺田熊雄君 今回の法案の提出を見るに至りましたまでの経緯につきまして、土地家屋調査士会の方はかなり以前から法人設立についての会内のコンセンサスができておったようでございますが、司法書士会の方は、今回円満にコンセンサスができまして大変結構なこととは思いますけれども、若干時間がかかりましたね。それで、青年諸君が異を唱えておられたということを聞いておるわけですが、この協会設立についての反対論ですか、その論拠はどこにあったんでしょうか。どういう点がそういう方々の反対論の骨子をなしておったんでしょうか。その点ちょっと御説明いただけますか。
#9
○参考人(俣野幸太郎君) 寺田先生の御指摘につきまして申し述べますが、大きくこれをまとめますると二点に集約されると考えております。
 その第一点は、司法書士の資格、それに対しまする法的根拠としての司法書士法の法意から見ますと、これはもう徹頭徹尾個人資格がその基本であるという考え方を私どもの青年層で強く指摘をしておりました。すなわち、法人格というものを持ちまして、いわば団体法の理念でこれを認めるとすると、先ほども申し上げました長い歴史の中で、特に日本国憲法体制になりましてからの四十年の実績にかんがみまするときは大きくこの司法書士法に基本的な変革をもたらすものではないか。さらにはまた政策的な問題といたしまして、今日御案内のとおり国家試験合格者を初めといたしまして、それぞれ司法書士が国から資格を認定されておるわけでございまするけれども、そのような基本性格を持った資格に基づく機能を団体に認めた場合には、それ以外の法の面、すなわち職業である司法書士法以外の法の面におきまして新たなそのような形をとり得る余地もできてくるのではないか。すなわち、その意味におきましては大きな変革をもたらすものであって根幹を揺るがす危惧を持つというのが一つ目でございます。
 それから第二点におきましては、これはもう全く政策的な問題でございまするけれども、国のいろいろな施策の変化によりまして相当官公庁の公務員退職者もお出ましになる。そのような方のいわば受け皿として、この法人格を得た今日法案に見られまする公共嘱託登記協会というものへ退職者が、卑俗な表現で恐縮でございますが、なだれ込んでみえるのではないか。このような一つの考え方のもとに反対をしてまいったというのが大体の実情であろうと存じます。
 ただし、先生も御指摘相なりましたように、今日ではそのような観念の世界における問題は、一部まだともかく、何分考え方の問題でございますから各人が持つことは否めませんけれども、司法書士会の会員としての青年の司法書士こぞって本件の法案の成立を熱望いたしておるということは間違いない事実でございます。
#10
○寺田熊雄君 そういう反対論を克服して皆様方が会のコンセンサスを得られたということになりますと、その必然的な結果と申しますか、この設立される法人、つまり司法書士の業務を行う協会ですか、この協会の業務を行うに当たっておのずからその業務を担当する自然人というものは司法書士たる資格を持つ自然人に限る、そういうことをやはり強く望まれることになりますね。それからもう一つは、やはりできるだけ行政官庁がその監督する民間の機関に天下りをするようなことがこの司法の世界にはあってはならないということ、この二つがやはり反対論を克服するに当たっては大切な条件といいますか、運用に当たっての条件といいますか、そういうことになったんでしょうね。その点いかがですか。
#11
○参考人(俣野幸太郎君) 結論から申し上げますと先生御指摘のとおりでございまするが、その説得はどのようにしたのかというお尋ねと解しまして申し上げまするならば、第一点につきましては、私ども青年司法書士の層におきましてもいろいろと日夜研さんに励んでおりまして、よくその法理を研究いたしますならば、連合会が考えておりまするように決して自然人である司法書士の個人資格を基本とする制度に影響するものではない。すなわち恐らく今日の国の施策の余儀ない御事情によりまして、いっときほどは公共嘱託登記の多大な量を望むことは今後は相当深刻な問題であろうとは存じまするものの、多量な公共嘱託登記事件をみんながチームワークを組みまして、言いかえまするならば自然人である司法書士の資格を持った会員がその個人資格を土台といたしましてそのように働き場におけるチームワークを手をとり合ってやるという集団処理姿勢、これによってむしろ、いささかこのようなことはどうかと存じまするものの、必ずしも公共嘱託事件の処理が今まで十分に果たされていなかったという実情にかんがみましても、私ども法律専門家がここでその一翼を担って法人格を得てやらしていただくのがよいという認識に今日到達をしたということでございます。
 第二の官公職退職者の受け皿という点でございますが、これはもう当初から、御立案につきましては大変な御苦労をかけました法務省民事局当局におかれましても、そのようなことは毛頭考えていないということは、スターティングポイントからのお互いが確認をした一致点なんでございまするが、若い世代というものは非常にいろいろと思いもめぐらしますれば、また自分の考えることにはそれぞれみずからの確信を持って事に当たる、ある意味ではそれが青年の特色でもあるのでございまするが、当初から連合会が今の確認点をるる申し述べてまいったにかかわらず、長い間理解に達しない、ある意味では推理的に不安を感じておったという点も事実でございまして、これもるる対処いたしまして理解に達したところでございます。言うなれば今日の実情は雨降って地固まったというようなことでございます。
#12
○寺田熊雄君 今司法書士会の意思統一の問題についてお尋ねしたんですが、土地家屋調査士会の方は個人があくまでも業務を担当すべきものであるというような問題での反対論はなかったんでしょうか。それから、今の天下りの問題についての懸念といいますか、そういうものからくる慎重論というようなものはおたくの方には初めから全然なかったんでしょうか。その点、多田参考人にお伺いしたいと思います。
#13
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 先ほど私意見の中で申し上げましたように、公共嘱託登記事件が非常に不適格なものが多く、そういう対応の体制として公共嘱託登記委員会を組織して全国で活動をしておったわけでございます。このことは、公共嘱託登記につきましては公共事業に含まれる数多くの大量な事件があるわけでございます。これらにつきまして、個人資格の事務所において適切な事務処理をするとしてもなかなか対応し切れないということから、こういう公共嘱託登記委員会を組織して、大量事件を適正に処理する体制を整えて対応してきたわけでございます。
 こういうことから、そういう組織体の中で発注官庁と受注の人格の問題その他についていろいろな隘路があるという指摘の中から、どうしたらこれを解消しながら公共嘱託登記の大量事件の消化体制をつくることができるのだろうかということで、調査士会といたしましては下部から、こうい
う隘路の解消と、それから公共事業の円滑な推進に協力する体制に今までの公共嘱託登記委員会がないということから、下からの要望として上がってきたわけでございまして、これにつきましては何ら問題はございません。
 それから第二の点で、天下りという言葉がどうかと思いますけれども、調査士会連合会としては、各会にそれぞれできる今度の協会については、その必要があるならば特に制限はしない。その会の自主性に任して、その方が所管庁の退職者であって、そういうような制度が十分機能する、活力の方向になるということであれば、これも何といいますか、活用する一つの方法だということを考えておるわけでございます。したがって天下りがどうの、他から入る者がどうのということでなしに、機能を十分果たすためにはどうあったらいいだろうか、しかしながら業務本来は資格者の手においてするのだ、よそから入ってきた資格のない何といいますか職員ですか、職員には、事務はするとしても実際の仕事はさせない、こういうふうな考え方で進めておるわけでございます。これにつきましては特に議論する点はなかったということが申し上げられると思います。
#14
○寺田熊雄君 ちょっと本題からそれるかもしれませんが、今度御承知のように登記の事務にコンピューターを導入する、電子情報組織によって登記事務を行うという方向が決まったわけなんですが、こういうふうなコンピューター化によりまして、これは主として司法書士の皆さんにむしろ関係が深いのかもしれませんが、何か司法書士の業務に特に変化を生じますか。それとも今までと少しも変わりがないというふうに見ておられますか。この点、両参考人ともちょっと御意見を聞かしてください。
#15
○参考人(俣野幸太郎君) 御指摘の点につきまして、まず総体的な私どもの内部の会員の心理と申しますか、また、ただいま先生御指摘の点についての認識度合いと申しますか、率直に申し上げましていまだ非常に不安定な状況でございます。
 と申しますのは、電子情報組織化によりまして登記事務を円滑化しようという今次の法の御趣旨、実際面で法の条文等は非常に簡明な表現に相なっておりまするだけに、今日の技術革新の状況、さらにはニューメディア時代を見据えましての普通一般常識的な意味の知識においてすら会員はいかようになるであろうかと。もっともそういうことは私ども内部で表現すべきものではございませんけれども、極端に申し上げますれば、登記事務のコンピューター化によって司法書士の行う業務が基本的にいわば矮小化するのではないかというようなところから不安を持つ向きもないではないと思っております。
 ただし、また反面におきましては、いわば超能力的にとも申すべき科学技術の進歩の状況から登記事務がコンピューター化されるのはむしろ時代的必然である、あるいは近未来における当然落ち着くべき姿であるということを前提にいたしまして、深くこれを子細に検討してみれば、そのようないわば革命的な転換がなされるときにこそ、またそれがあるからこそ、むしろ生の人間としての司法書士の本来的な専門性が強調される時代が来る。私どもは非常に長い間地味で、着実にいわゆる国民の広い層、各層、いわゆる庶民の皆様と密着してまいったがゆえに地味でございましたけれども、かえってそのときこそ司法書士の機能が相対的に認識される時代が来るというふうに確信を深めておる向きもございまして、それやこれやでトータルをいたしました場合に、この円滑化法の後にこれから具体的問題といたしまして各種登記法の改正も当然これは行われるであろう、その段階に向かいまして集団並びに団体が挙げてよく本件を勉強いたしまして、その具体化がどのような方向でなされるかをできるだけ早く察知することによりまして対応を図りたいというふうに考えておる問題でございます。
 したがいまして、引き詰めますと、日本司法書士連合会におきましても、今次円滑化法の御成立は当然のことと存じながらも、これが具体化されるべき関連法がどのようなものに相なっていくか、この面におきましては私どもも積極的にこれが対応とお国に対する積極的な考え方、意見等を具申、展開を申し上げたいと期しておるところでございます。
#16
○参考人(多田光吉君) ただいま御質問の登記事務のコンピューター処理ということにつきましては、調査士会連合会といたしましてもいろいろ内容的なものを検討しておるわけでございますけれども、特に調査士業務につきましては定型的なものがコンピューターに組み込まれるような形態の業務でない。このことは調査士業務につきましては現地の物理的状況の明確さを登記簿上に反映する、事務手続の面につきましては現在と何ら変わらない経過をたどるわけでございますけれども、ただ申請されたものが正確であるかどうか、あるいはその事実について記録をしておくということになろうかと思いますので、コンピューター化によってそうした記録が保全されることについては大きな進展があると、このように考えておるわけでございます。こういうことから、調査士業務についてはすべてがコンピューター化によって消化されるものでなく、業務について大きな影響を来さない、そういうような評価でもって歓迎をしているということが言えるわけでございます。
#17
○寺田熊雄君 結局、今回の民法三十四条に基づく法人の設立、協会の設立、その協会に司法書士の業務を担わせるということになったわけですが、そういう法人による処理の一番動機になったものは何でしょう。どうしてそういう手段に頼らざるを得なかったのか、そういう最も主要な動機はどこにありますか。ちょっと御説明いただきたいと思います。簡単で結構ですから。
#18
○参考人(俣野幸太郎君) 冒頭、意見陳述で考え方を申し上げましたときにも少しく触れましたとおり、四十七年から十二年間本件に取り組んでまいりましたが、その当初から法人格を具有すべきであるという考え方はあったことは事実でございます。
 ただし、むしろ先生御指摘の点で、これを単直に申し上げますならば、実際の嘱託登記の発注の場面におきまして、予決令と申しますか、そのような規範的な面からも、また実際の発注者の安心感と申しますか、任せるに値するという感覚から見ますと人格を持たないものは不安定である、責任はだれがこれを持つのかと。当時も私ども人格なき社団である公共嘱託委員会、ルールにおきましては組成する委員会メンバー即司法書士会員が連帯責任を持つということは内規、内部規範では明定はいたしておりましても、相手方が特に官公署等でいらっしゃいますので、客観的な正確性の担保という面につきましては、何分登記というのは非常に重要な事務でございますので、人格のないものは頼れないというような実際面もございまして、そこでやはり当初人格を具有すべきだと考えた点は、人格なき社団として発足いたしまして数年たちました間もなくの段階からその必要性を痛感いたした次第でございます。
#19
○参考人(多田光吉君) 今回の法改正の公嘱法人ということで、これは調査士会、司法書士会が一体とした公共嘱託登記委員会を組織して、先ほど申し上げましたように活動に入ったわけでございますが、先ほど説明した中に契約の問題、その他のいろいろな隘路があって発展をしないということから、法務省のいろいろ御指導をいただきまして、司法書士、調査士を一本とした別の特別立法による法人をつくるというような発想で話を進めてきたわけでございます。
 しかしながら、これらにつきましても、日本土地家屋調査士会連合会、日本司法書士会連合会、両会がなかなか意見の統一がなされなかった。そこで、そうしている間に臨調答申の中から特別法人は制限をするというような意見が出てきて、そういうことで特別法による法人ができないとするならば、何かほかの法人で対応することが必要である、そういうことからだんだんに協議をいたしまして、民法三十四条の法人という姿に変わってきたのが事実でございます。私ども司法書士、調
査士が一つの団体とする特別立法、こういうことをお願いして、折衝をして指導いただいてきたわけでございますが、そういう経過をたどりながら今回の民法三十四条による法人ということに結論的になった、こういうふうに受けとめております。
#20
○寺田熊雄君 この法人の設立につきましては、会の方から両会とも各都道府県に一つであってほしいというような御要望をいただいていますね。それから内部規律で賄えることでしょうけれども、資格のある自然人以外には会の業務を一切取り扱わせないようにしてほしいというような、いろいろな御要望を承っておりますが、ここで改めて会の運営についての御希望というようなものがありましたら、両参考人に簡単におっしゃっていただけますか。
#21
○参考人(俣野幸太郎君) 先生御指摘の点の一地域一法人ということは当初からも、今も、また今後の運用に当たりましても、私ども内部でそれを本来のタイプとするということは一致した見解でございます。ただ、本法の御考案の過程におきまして、法律事項として果たしてそのような表現をとるかどうか、私ども連合会といたしましては、試みに私どもの内部の考え方として表現いたしましたものには、そのような地域制を表現もいたしておるところでございますけれども、やはり法律職に携わる者といたしまして思いをめぐらしますと、法に表現することもいかがかというような点も思い当たるに至った次第でございます。
 したがいまして、何分にも法人設立につきましては法務大臣において御認可いただくという本来の公益法人の認可制度に相なるわけでございますので、これが設立の認可に当たりまして、私どもが現時並びに将来の運用で考えておりますところを基本的に御理解をお酌み取り願いますとともに、今後の実際面におきまして私ども連合会の意見を徴していただきまして、私どもは内部におきまして各地域の司法書士会本会と十分な疎通、連絡を図りまして、そしてその当該地域における法人が一つであってよいのか二つであってよいのかということにつきましての意見を代表して、法務大臣に申し上げたいと考えておる次第でございます。
 したがいまして、本当に先生御指摘のように将来私どもが内部的に自律的にそのような点を処理することに本来の重点があるわけでございますが、しかし行政におかれまする法務大臣のさような御理解と御対処を切に要望するところでございます。
#22
○参考人(多田光吉君) 日本土地家屋調査士会連合会といたしましては、この改正要綱案の中には、法務局、地方法務局ごとに一個とすることということが明記され、こうしたことによって、私どももそういう方向で進んできたわけでございますが、いろいろ事情もございまして、明記はございませんけれども、法文上では幾つもできるような性格になっております。しかしながら、運営の中では一地域について一法人ということでないと、なかなか内部的な統括ができない、あるいは力関係からそれぞれが競合関係に発展をしてお互い同士が弱体化するというような傾向も考えるわけでございます。したがって、連合会といたしましては、一地域一法人ということで強力な指導をしてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
 特に今度の法人組織につきましては法務大臣の認可要件になっておりますので、この認可につきましても法務大臣から日司連、日調連、上部団体に認可についての意見を問われるわけでございますので、そうした指導方向で私ども意見を添えてまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#23
○寺田熊雄君 今度は登録事務を連合会でお扱いになるということになりました。これは自主性の強化という意味で大変結構なことだと思いますが、なお懲戒権については官の方に留保されておるわけですね。これについては両士会の会長はどういうふうにお考えでしょうか。
#24
○参考人(俣野幸太郎君) 一言で申し上げまするならば、いやしくも国民各位の重要なる財産を初めといたしまして、あるいは身分問題、その他各面の法生活上のニーズから生じた面で、長い間黙々と機能を果たしてまいった司法書士という立場から申し上げまするならば、法律職能でございますがゆえに、みずからの自律ということは、国から与えられようと与えられまいと、また法においてということは、国会で与えていただこうと与えていただくまいと、本来はもう原点におきましてみずからが厳しくみずからを戒めなければならない。それであるからこそ法律家だというふうに考えております。したがいまして、手だてといたしましては当然自主懲戒という命題は浮かび上がってくるわけでございます。
 しかしながら、なかなかみずからを戒めるということにつきましては頭で考えるほど簡単にいくものではございませんで、私ども内部、私ども自身のサイドにおきましても現に一万五千人の会員がおりまして、いろいろな面の規律違反等があった場合に、当然憲法の精神に照らしまして内部処理を的確に行わなければならない。これは卑俗なことで申しわけないのでございますが、いわばみずからの友を、同職をみずからでこれを懲戒するということでございますので、そこにはいろいろな生の言うに言えない問題もあるであろうということは間違いないところでございまして、これにつきましてはやはり相当みずからの訓練といいますか、自己鍛錬といいますか、これを経なければならないというのが大もとの問題であろうと考えております。
 その面におきまして、先般幸いに五十三年法におきまして御理解と、ある意味ではみずからの自治に向かいましての指標的な課題を、法の上に御理解の上で注意勧告権という制度をお設けいただいたわけでございますが、これにつきましての実績は、幸いと申しますか、注意勧告に該当するような会員は非常に数が少なくて、いわゆる先例として位置づけるような事案すらもないというような状況でございます。ある意味では非常に連合会としては喜んでおります。しかしながら、それだけにいろいろな今申し上げました非常に難しい生の問題としての対処の体験はいましばらく考えなければならないのではないかというのが原点の問題でございます。
 ただ、具体的な問題といたしまして、じゃ、それを一歩進めるのにはどのように考えるべきかという点になりますと、今回登録事務を国から私ども団体に移譲をしていただくわけでございます。それに見合おうとするならば、やはり現在各地方の法務局または地方法務局の長で御処理に相なっておりまする懲戒機能は法務大臣に御集約に相なってしかるべきだという点は具体的に考えておる問題でございます。
#25
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 登録事務に対する行政の監督権、これにつきましては私どもはこの事務に対する監督ということで、全般的な監督を含まない、こういうことを法務省からの言葉の中でも聞いておりますし、またこの条文の中でも登録事務に対しての監督は当然行われるということを受けとめているわけでございます。と申しますのは、この資格登録事務につきましてはあくまでもそれは行政の所管するものだ、こういうような考え方をしているわけでございます。しかしながら、私どもが要望いたしました連合会に登録事務の移譲をお願いしたのは、先ほど申し上げましたように会員の動静または帰属意識の高揚、こういうようなメリットのあることでございますので、そういう意識の喚起の中でこういう自主性を確立する必要がある、こうして要請をしたわけでございます。
 懲戒権の付与につきましては、前の衆議院の法務委員会において述べましたとおり、私どもこの懲戒権を付与される、さて懲戒権の行使について対応できるかと申しますと、なかなか対応する整理が十分でない、またどう対応していくのか、これは生活権の問題にかかる人権の問題ですから、この点につきましては、何と申しましょうか、懲
戒権は行政の方へお願いした方がいいだろう、こういうような時期尚早という議論がございます。こういうことで私ども現在そうした対応につきましては注意勧告権の活用とか、あるいは調査士会の自律自戒ということで、事前防衛指導と申しましょうか、そういう事案の起こらないような日常の業務の上に日常会員指導の中で十分配慮をして指導してまいりたい、このように考えておりますので、今登録制度が移譲されたからということで特に私ども受けとめ方としては何ら制度の充実発展を意図するところだけにとどまる、特に制約を受けるというような考え方はしておりません。
#26
○飯田忠雄君 両参考人の方にお尋ねを申し上げます。
 公共嘱託登記についてでございますが、協会をこのたびつくるに当たりましての真意を明らかにしたいと思うての質問でございます。従来官公署が不動産の権利に関する登記をいたします場合に、考え方としましては官公署ですから登記事務そのものは登記所が行うのであって、ただどういう内容の登記をしてもらうかということを申し出る手続を司法書士でおやりになったり、あるいはその基礎になる調査を調査士でおやりになったりすることではなかったかと思うわけでございますが、ところが実態はどうもはっきりいたしませんのは、実は司法書士と調査士の事務を取り扱われた量につきまして法務省が発表しておる数字があるわけです。それによりますと、事件取り扱い件数につきまして、昭和五十八年度だけをとりますと、司法書士が四五・三%、調査士が一一・七%、その他四三%、こうなっているんです。
 実はその他というものの実態なんでございますが、私ども実情がわからないのでひとりで推察をしておるわけですが、官公署が行う登記の内容ではないか。つまり司法書士とか調査士に依頼しないで官公署が登記所にこれ登記せいと言うてやらせるという、そういう内容ではなかったかどうかという問題ですが、この点どのように把握なさっておるんでしょうか。まずこの点についてもしおわかりでしたらお教え願いたいのですが。
#27
○参考人(俣野幸太郎君) 先生の御指摘いただきました数理上の統計と申しますか、実績を示す係数といいますか、比率といいますか、そのような点はまことに申しわけないことでございまするが、私ども連合会におきまして正確には把握をし得ておりません。法務省当局におかれましてのこのような面の登記の処理につきましてのデータは大臣官房の司法法制調査部におかれましてお取りまとめになっておるものは散見をいたしておりますけれども、御指摘のような具体的な面の点につきましては大ざっぱな概括推測しかないわけでございます。
 ただ、先生御承知のとおり、不動産登記法第二十五条におきまする嘱託登記には司法機関でございまする裁判所がなされまする訴訟法上の嘱託登記がございまするが、他には徴税官署がなされます嘱託登記もあるわけでございまして、その二つを除きますと、いわば今日の公共事業を中心とする各官公署、公団公社等の事業に関する嘱託登記ということに相なるわけでございます。私どもサイドが把握をいたしておりますのは、司法書士はその全体量のうち、これは調査士が行われまする案件をも含めてでございまするが、その総体量の恐らく三%程度しかやっていないのではないかというようなふうに嘱託登記の取り扱い面ではとらえておるわけでございますので、その点におきましてやはり官公署等がみずからの熟練した嘱託員を御利用になって、みずからなさっておる等々のものが多いのではないかというふうに考えております。はっきりしたケースをつかんでおりませんで、申しわけなく存じます。
#28
○参考人(多田光吉君) ただいまの御質問にお答えをいたします。
 ただいま日司連の俣野会長が申し上げましたように、公嘱事件については私どもも大体の事件数については把握をしておるわけでございますけれども、大体年間六百万件ぐらいの事件数が登記所に提出をされる。そのうち先ほど申し上げました調査士、司法書士による公共嘱託登記委員会の取り扱い事件が三十万件、このような程度で、他につきましては公共事業実施機関が直接申請をしておる。この申請につきましては権利の登記につきましても表示の登記につきましても本人申請が原則でございます。しかしながら登記嘱託書の内容にいろいろ適正を欠く書類が嘱託される。こういうことから訂正、補正あるいは取り下げという事案が多く見られる。そうしたことから、他の一般の登記にも事務処理の停滞を来す。
 と申しますのは、権利の登記でありますと受け付け順に事務は処理されるわけでございますので、前提になるものが処理できないと次の登記ができない。したがって一般登記事件はだんだん延びてしまう。こういうことの問題を解消するために我々も協力をしながら、そうした職能を十分発揮して協力を申し上げたい、こういうことがこの制度の法人化を求める理由になったと、こういうことでございますので、よろしくお願いいたします。
#29
○飯田忠雄君 ありがとうございました。
 それで、それに関連してでございますが、今度、このたび公共嘱託登記司法書士とか調査士とかいう、そういう協会ができるわけでございますが、その協会をつくる意味は、従来各官署が自分の力で登記申請をしておったのを、できるだけ協会にやらせようという、そういう意図があるということは聞いておいでにならないでしょうか。そういうことは関係ないんでしょうか。その点について参考人の御意見を承りたいわけですが――もう一度申し上げますが、従来官公署がみずから登記申請をしておる件数が相当あると思います。先ほどおっしゃられた司法部の登記などあると思いますが、こういうものを公共嘱託登記協会というものをつくりまして、受け皿をつくることによってそこへ今後は任していく、つまり登記事務をより正確に簡単にやるために、官公署みずからがやると間違いを起こしたりうるさいから、そういうことよりも、むしろこの協会に任せた方がうまくいくではないか、そういう発想があったかどうか。これは本当に立派な発想だと思いますよ、この発想は。それをいかぬというんじゃありませんよ。事実関係を実は承りたいと思います。
#30
○参考人(俣野幸太郎君) 十二年間の人格なき社団としての俗に公嘱委員会と申しておりますが、またその統括体といたしまして公嘱連合委員会というのがあったわけでございます。現にまだあるわけでございますが、今次、法の成立とともに解散する方向でございますが、その実績におきましては、先生御指摘のように、この人格なきそういう受注体ですら、非常にこれはいいものですねと、あなた方専門家が責任を持っておやりいただくということはありがたいと。それから、これも先生の御指摘にありました、みずからが行われる場合にはその登記に堪通した方を嘱託員というようなことで御要請に相なりまして、その方々が公共事業の進行のほぼ最後の時点の締めくくりとして登記事務を扱ってみえたわけでございますけれども、これには申すまでもなく人件費を要する。そうでなくても現にいろいろな面での職員の削減問題等もございまして、それを専門家がやってもらうのは本当にありがたいという面は多分にありましたし現在もございます。
 ただ、裏返しの問題といたしまして、何分私どもも職能といたしまして報酬を得て自立を図らなければなりませんので、法務大臣の御認可をちょうだいしておりまする標準報酬額を少々、集団的多数の事件あるいは定型的な事件が固まるという実情に照らしまして、それに対するディスカウントと申しますか、標準報酬額を一〇〇%としますと、一〇〇%ではございませんけれども七〇%近いものをちょうだいしなければならぬのでございます。そこで実際問題が衝突する面がございまして、考え方なりシステムなりけじめなり責任の所在においては非常にありがたい、しかしそれに報酬をお払いしなければならない。その点がみずからで嘱託員を人件費をお払いになっておやりになっておる等々の問題とはかりにかけますと、気持
ちの上では一〇〇%任せてやってほしいがというところにブレーキがかかるわけでございまして、その彼此勘案の結果が私どもサイドから見れば、これまた私どもでも悩んでまいったところでございます。
 今回御理解のもとに法が成立いたしますならば、国会においてお認めいただいたというシステムに相なるわけでございますので、少々そういった実情につきましても発注者側で、ある意味の御英断をいただけるのではないかというふうに期待もいたしておる次第でございます。
#31
○参考人(多田光吉君) お答えをいたします。
 先ほど私申し上げましたことでございますけれども、各発注官庁に参りまして一番問題になるのは、契約に人格がないこと、また会計規則等があってそれが邪魔をしている、もっと重大な問題は予算の関係だろうと思うんです。この点につきましては話の中で皆さん、これは公共嘱託登記委員会というのも年に一回ずつ委員長さん方の集まりの会を開いておるわけでございますが、その中の意見としても、姿勢については一応理解をいたします、しかしそれらの点を何か解決できないかというのが発注側からの声として、要望として上がってきているわけでございます。したがって、法人格が取得でき、また予算との関連の中でいろいろ問題があろうかと思いますけれども、これらについて理解を得るとするならば、これを活用することについて大きなメリットになるということが考えられるわけでございます。
 したがって、ただいま御質問のあったように、発注側の考え方はこれはどうかということですが、そういうところで、真意はどうかわかりませんけれども、言葉の上ではそういう言葉が返ってきているわけです。早く人格を持ってくれ、そうしたらこういう制度を大いに活用しようということの声を聞いているわけでございます。
#32
○飯田忠雄君 そこで、この協会をおつくりになりますと大量に仕事を引き受けますので、少し値段を下げても採算が成り立つということもお考えになっているんでしょうか。それで、そういうことを御理解のもとにつくるとなりますと、ほかの司法書士会の方と衝突が起こらないかどうかという問題がございますが、これについてはどのようにお考えでしょうか。両方の御意見を承りたいんですが。
#33
○参考人(俣野幸太郎君) あるいは先生御指摘のような問題が起こらないわけではないと存じます。今調査士会連合会会長のお話もございましたように、私も触れた点でございまするが、予算等の兼ね合いで、頼みたいけれどもまるきりおんぶするわけにはいかない。結局それを解決しようと思いますと、どのぐらいの点にディスカウントしてくれますかと、こう相なるわけでございますが、この限界が非常に難しいところでございまして、司法書士会本会はいわゆる標準報酬額ということで規定で厳格にこれを遵守してやるという指導体制を持っておりまして、また会員もそれをよしとして今日までまいっておるわけでございますので、片やチーパーな額が公嘱の面で非常に具体化するということに相なりますと、その影響がやはり及ばないわけのものではないという意味でございます。
 しかし官公署におかれましても複雑な事件、例えば登記の所有名義人が死亡いたしまして、さて公共事業で買収にかかるというような入り口の問題もさりながら、最後のけじめとしての登記の段階におきましては厳格に相続人全員の印鑑証明書等を添付いたしまして真正な登記がなされるように担保されなければなりません。そういう面で相続というのは非常にそれぞれの事案でいろいろで、簡単なものもございますれば、また複雑なものに相なりますと相続財産をめぐる係争を伴いまして渋滞するというようなものもありまして、相当これが未処理事件として残っているように思われます。
 この未処理事件の処理こそ、ある意味では渡りに船と申しますか、何としても発注者側におかれましては、従前もそうでございますが、今度こういう法人が御理解によりましてでき上がりますれば、それこそひとつ頼みたいということになることは必至であると思いますが、このようなまた複雑なものにつきましては、これは相当果たした機能に見合いまする多額の報酬をちょうだいしなければ私どもといたしましてもこれは成り立たないわけでございまして、非常に難しい問題があるわけでございまするが、そこらあたりを発注者側と十分今度法人ができたという国会の御理解をバックにいたしましてよく折衝いたしまして妥当な線を編み出したい。
 それから、その線以外に今申し上げました登記事件の類型に従いまして、せめて大まかなものでも、また特別の処理報酬につきましても御相談をいたしてまいれば司法書士会本会サイドも十分に理解ができる。それからまた、この法案の中にもありまするように、そういう実際面の個々の問題につきましては、司法書士会本会が設立されまして、活動する法人に対しまして助言という形でそのような面の指導もしてまいるというふうに考えておる次第でございます。
#34
○参考人(多田光吉君) ただいまの御質問にお答えをいたします。
 確かに公嘱事件につきましては、諸官庁の発注する公共事業に含まれる登記事件でございますが、非常に大量なものがあり、また広範囲にわたるものもある。こういうことから事務処理、私どもの書類の作成あるいは現地調査等について非常に効率的な仕事ができるということから相当価格も安くていいだろう、こういうことになるわけでございますけれども、私どももこういう点につきましては、それらいろいろな報酬額の中にもそうした関連する業務については低額にする規定もございます。また、発注官庁からいたしますといずれにしても予算の範囲でなければ発注ができないということであって、その点については一般調査士とも競合する問題になる点はなかろう。ただ、発注者側の信頼性によって、あるいは個人に頼むか、あるいは協会に頼むかということはございましょうけれども、特にそれでトラブルの起こることはない。原則としては極力大臣の認可報酬の範囲の中、相当幅がありますから、私どもその範囲の中で受注を受ける、こうしたことを前提として考えておるわけでございます。
#35
○飯田忠雄君 ありがとうございました。
 それで次に、もう一つ関連しましてお尋ねをいたしたいんですが、司法書士の人数一万五千七百八十、調査士一万九千三百五という数字を実は法務省の資料で承知いたしておりますが、ところが取扱件数でいきますと調査士が件数におきましてうんと少ないんですね。それで、人数が多くて件数が少ないということになりますと、これは生計がうまく成り立つだろうかという心配が大変出てくるわけですが、そこで公共嘱託登記の場合に司法書士の方はもう要らないので調査士だけでいいという、そういうケースが多いからこういう事態が起こっておるんでしょうか。その点事実関係どうなんでございますか。
#36
○参考人(多田光吉君) 調査士業務は、例えば申請事件につきましても現地調査が伴う、現地の測量調査をして、申請書を作成する、そして登記所に提出される。司法書士業務と違いまして内容的に非常に複雑であり、また手数もかかるわけでございます。同じ事件数によりましても、司法書士の業務につきましては例えば一日に何件もできる、調査士の件数につきましては三日あるいは四日かからないと一件ができないという負担があるわけでございます。そういう内容から、事件数については調査士業務というのは非常に少ないということが言えるかと思います。
#37
○飯田忠雄君 そうしますと、公共嘱託登記というものが占めるつまり価値というものは相当大きいことになるように思いますが、調査士の場合でも司法書士の場合でもそうだと思いますが、そうなりますと、司法書士あるいは調査士の中で協会員になれる人となれない人があるように法の条文からは見えますが、それで協会員になった人と非協会員とでは、随分生活の面でも差ができてくる
のじゃないか、差別が随分できるのではないかという心配があるんですが、そういう点につきましては実際問題としては部内で、つまり司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会なりの中で調整をとっておいでになることなんでしょうか。従来とっておいでになったのか、これからもどういう態度でおやりになるのか、そういう点についてお尋ねをするわけでございます。といいますのは、この法律では協会員になれる者となれない者がありますので、その点についてのことはいかがなっておりましょうか。
#38
○参考人(俣野幸太郎君) ただいま飯田先生御指摘のように、いわば任意加入システムになっております。具体的な面から申し上げますと、公共事業が非常に活発な県地域と申しますか、例えば首都圏周囲は今なお非常に活発でございまして、公共嘱託登記の事件数は恐らく首都圏地域が最も現象としては過密多量ではないか、今なお多量ではないかというふうにも見られるわけでございますが、そうかと思いますと、また非常に山岳地帯の多くを控えまして、面積は広いけれども非常に公共事業の不活発な地域も、先生方もう先刻御案内のとおり散在をいたしておるわけでございます。そういたしますと、当該司法書士会の会員といたしましては、それに見合いまして協会の設立を必緊の急務として、もう法の成立につきまして今満を持しながら準備体制を整えておる会もあるわけでございますが、やはり緩慢な地帯につきましてはよく熟考して、しかしできるだけ早く設立手続に及ぶと思うのでありますが、その組成する社員、すなわち司法書士会会員につきましてはやはり任意でないと、そういう実勢に見合いましたものが強制加入をしてその実を得ないということもあるわけでございます。
 それから、先ほど御指摘ございました点にも関連いたしますが、司法書士の権利の登記は物権変動が非常に多種多様な類型、言いかえますならば登記原因がございまして、それを個別に登記原因に基づきまして整合しながら登記の申請を代理するわけでございますので、したがって件数が多いわけでございます。そこがまた調査士がお扱いになりますように、ただいま多田連合会会長が申されましたように、土地建物の表示という物理的現況を把握しながらおやりになるという面になりますと、量的には備わっておっても内実の件数としては少ないということでございまして、必ずしも表見的な件数の多寡が即実勢を示すというわけのものでもございませんし、公嘱事件との関連関係においてそれを示すものでもないという点がございます。
 いずれにしましても、それとも関係いたしまして、他面一般登記事件と申しておるのでございますが、経済取引等に伴う牽連する登記事件というものは、ただいま非常に停滞、緩慢でございまして、公共事業に関連する公共嘱託登記事件というものが逆に相対的に先ほども先生御指摘のように量的に多いわけでございまして、これが権利の登記を司法書士に扱わしていただく、集団的処理をさしていただくということは本当にありがたいことであることは間違いございませんので、よろしくお願いしたいわけでございます。
#39
○参考人(多田光吉君) 協会に入れない会員と一般会員との格差ということでございましたけれども、協会は会員になることについては拒否をしない。希望者によってやるということになっておりますけれども、現在の段階では、先ほど申し上げました中で発注官庁との理解、協調がなされないことから契約が非常に少ない、こういうことから参加する人が少ない状況になっております。現在公共嘱託委員会に参加している会員が約六〇%ぐらいいると思うんですが、これらの方々はそれぞれ業務の理解、開拓に活動している方、したがってこの法人が成立をいたしますと、また理解を得られて、相当業務の拡大にもつながってくるとなれば、どなたでも参加をしようということになります。協会に参加したからといって協会だけの仕事をするのではなしに、これは個人個人の仕事もそれぞれあるわけですね。協会の仕事のあるときは協会の仕事もするということで、個人格差の点についてはそういうことはない。また組織づくりの上にもそれらを十分理解していただいて、あるいは参加する者、希望しない者、いろいろありましょうけれども、そうした皆さんが同じような利益を受けるという組織づくりをしてまいりたいと、このように考えているわけでございます。
    ─────────────
#40
○委員長(大川清幸君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、小山一平君が委員を辞任され、その補欠として小野明君が選任されました。
    ─────────────
#41
○橋本敦君 きょうは御苦労さまでございます。私からも二、三点、御意見をお伺いしておきたいと思うわけです。
 今回の法改正によりまして、多年の皆さん方の要望ないしは運動が一定の成果ある方向に行こうとしておりますという面で、私も賛成をしているわけですが、その一つがそれぞれの会の自主性の確保という問題でございます。その点で、登録の関係での権限を会が掌握されるということは私も大変結構だと思うんですが、そうなりますと、もう一つ一歩進めまして、先ほどお話がございましたけれども、会の懲戒機能も自主的に処理をなさるという方向をお進みになるということが、次の段階の希望としてやはりあるのではないだろうか。
 例えばもともと懲戒の一つとして登録の取り消しが官側にあったわけですが、今度はそれは会の権限として皆さんのところに自主的にあるわけですね。登録の取り消しというのは私は懲戒機能としてはいわば最も重いものだと思うんですが、最も重いものが皆さんの手に自主的に今度はあるようになったわけですから、その他の懲戒についても、先ほどの御意見では一定の困難なり時期尚早論なりあるというお話でございましたが、将来展望としては皆さんの自主的な自律性の一層の促進、運営の方向として懲戒機能はやはり会がお持ちになるという方向がいいのではないかと私は思っているんですが、重ねて両参考人からまずこの点の御意見をお聞きしたいのであります。
#42
○参考人(俣野幸太郎君) 橋本先生のお言葉を拝聴いたしておりましてもう全くそのとおりと思料いたします。
 ただ、先ほどの御指摘に対しまして今つくづく甚だ失礼なことを申し上げたと、国会でお認めいただこうとお認めいただかなかろうとというような表現をしたことは、あるいは失礼に当たったかと存じますが、最も大底といいますか基盤におきましては、法の上に表現の有無にかかわらず我々は法律実務家といたしましてみずからを戒める認識とその実践行動を兼ね備えねばならぬということを申し上げたかったわけでございます。
 さて、現在の法のあり方あるいは組み立て方から見まして、じゃ、これを今申し上げました点と結びつけてどのように考えるかということになるとすれば、もちろん次期法改正をお願いする場合にはそのような点を実現いたしたいということに相なることは論理的必然でもあるわけでございます。ただ、側面で、申し上げましたように、同職が同職を戒める、極端に申し上げますと業務を取り扱う権利までも結果的にはこれを失わしめるという重要な身分的また実際的な問題もありますので、それに対しましてお互いが法律家であるという自覚のもとに、また法律家であればなおさら他の職業団体で見られる、まあ法律家団体は弁護士団体がおられますが、それ以外の法律関連職能家もいらっしゃいますけれども、よりベターな実践的処理を果たさねばならない、それには当然訓練もみずからが強くこれを意識してかからねばならぬという点があるわけでございます。
 そういう点で申し上げた次第でございますし、また、具体的には現行法の上でそれをどう変えるべきかは、登録の本来の論理から見てもそうでございますし、形式から見ましても日本司法書士会連合会が登録事務の移譲を受けるわけでございますので、それとの見合いにおきまする懲戒機能と
いいますか、懲戒権は中央における法務大臣に御掌握相なってしかるべきということも申し上げた次第でございますが、いずれにいたしましても、私どもが今申し上げました意味で十全な自主懲戒の域に達しました暁には、これは全力を奮いまして、いろいろな問題がございましても、行政、さらには国会に対しまして自主懲戒を理念の描くところの姿で法の上に具現を願いたい、そのときには決然とお願いしたいというふうに思っておる次第でございます。
#43
○参考人(多田光吉君) 橋本先生の御質問ごもっともだという考え方でありますけれども、日本土地家屋調査士会連合会は会員を指導する立場の団体として成立をしておるわけでございます。こういうことから、何か先ほど私まだ自主懲戒権を与えてもらうのは時期尚早だというような言い方をいたしましたけれども、実際問題として会員の身分を剥奪するようなことが的確に行われるのかどうかというような危惧もあるわけでございます。これらにつきましては、今後の推移を見ながら連合会というものは何をすべき目的を持つものか、当然その非行のある者については懲戒権の発動ということもあってもいいと思いますけれども、組織自体が会員の指導ということにありますので、それらの点とも含めて今後の問題として検討していきたい、このように思います。
#44
○橋本敦君 私は、皆さんの仕事が法律実務の専門職として国民の権利義務に深くかかわっておりますから、法務局と密接な調整連絡をとりながらおやりいただく公共的、大事な性格を持っておりますので、したがって法務局あるいは法務省の方が必要な勧告をしたり、また会に対して必要な報告を求めたり御意見を申し上げるということで、自律的自主性とそれから全体の運用との調整を図っていくというのが一つは理想的な姿ではないかというように考えておるわけですね。
 そういう方向を今後もいろいろと議論をしていきたいと思うんですが、それに関連してもう一つ御意見を承っておきたいと思いますのは、先ほどもございましたが、登録に関して補助者の登録をどうするかということで先ほども御意見ございました。司法書士なり土地家屋調査士の皆さんの登録それ自体を会が掌握するわけですから、補助者についても、それぞれのやっぱり司法書士の皆さん、土地家屋調査士の皆さんが責任を持って、補助者は自分の責任で国民に対して信頼ある人を信頼ある形で使っていって、全体として国民の信頼を受けるような形で職務を遂行するという側面から言っても、この問題は私は補助者の問題についても会として自律的にお取り扱いになるという機能を強めたらどうかというようにも思っているんですが、この点についての御意見を二番目にちょっとお伺いしたいわけであります。両参考人にお伺いします。
#45
○参考人(俣野幸太郎君) 先生御指摘の補助者に対しまする私どもの自主的と申しますか自治的な処理という点でございますが、先般、五十三年法で改正をお願いできまして以来、その後逐次法の運用面におきまする問題もいろいろな問題、ここで全部申し述べるいとまはございませんが、私ども司法書士団体サイドではただいま検討もいたしております。ただ、経過におきまして、従前補助者の承認というのを、厳密に申しますと補助者の使用承認でございますが、先生御指摘のように補助者も非常に重要でございまして、本職の行いますような法律職能としての最終判断と、あるいは基本的判断というものはまだその能力におきまして足らない点もございますが、名の示すとおり補助として非常に重要な機能を果たしております。したがいまして、これが把握につきましては国民の信頼にこたえるべきよりベターな方法をとらねばならぬわけでございますので、むしろ使用承認というよりも、ある一定条件に該当する場合、許可ということで、いわば決定的な権能ではないものに御修正をいただきまして、その地方法務局長等の権限の変化に見合って私どもの自主的な裁量というものを行うような現在の実際の運用になっております。
 大きな司法書士会におきましては、補助者につきましての委員会等も設けて審査をするというふうにも行っておりますが、何分会員数の少ないところでは十分にそういった面の把握もでき得るわけでございますので、そのような委員会等を設けて審査するというほどのことはございませんけれども行ってまいっておるところでございます。
 ただ、少しく付言いたしますならば、今申し上げました重要な責務を負っております補助者が、やはり登記についての国の機関でありまする法務局、いわゆる登記所に出入りもいたさねばなりませんので、そのような面の正確な把握という意味におきまして、現在、員数にある程度の制限を置きまして、その員数を各地域の実情に照らしまして当該地方の法務局長と御相談、御協議をいたしまして、十分司法書士会の主体的意見のもとにラインを引くというような運営もなされております。将来はこのような面につきまして実績を見ながらよりよく検討もいたしまして、あるいは本職と現状の補助者のシステムの中間と申しますか、中間段階にまで能力を持った者は国家試験におきまして補助者に対する一つのその能力に見合った待遇を図るような法改正もお願いしなければならないのではないかというふうに考えております。
#46
○参考人(多田光吉君) 御指摘の補助者の問題でございますが、これは私長い間連合会の役員をいたしておりまして、法改正のたびにこの補助者の問題が議論されているところでございます。こういうことから、調査士が使用する補助者をなぜ認可の範囲に置くのだ、自由に使っていいじゃないか、中の審査についてはどうということで議論があるわけでございますが、このたびの、昨年ですか、臨調答申にありますように、臨調答申の中では法務省は三月三十一日までに資格制度のうち補助者については廃止を含めて検討をしろという提言がなされておるようでございます。
 これを受けて、一応法務省といたしましては五十九年三月二十六日に、先ほど説明をいたしましたとおり届け出制、ある一つの枠を定めまして、その枠を超えるものについては認可、枠の範囲であるものについては届け出制ということに改正をされたわけでございますが、私ども法務省といろいろお話をした中では、今度の法改正の時点にはこれを調査士会の方の自治に任せる、こういう私どもとの約束も、ここで発表していいかどうかわかりませんけれども、そういう姿勢で検討しますということで、五十九年三月二十六日に臨調に対する対応ということで改正をされておりますので、この点ひとつよろしくお願いしたいと思います。
#47
○橋本敦君 最後にもう一点だけお伺いしておきたいんですが、私も弁護士なものですから、報酬の問題については日弁連が報酬標準規定をつくっておりまして、それを守るということが事実上はなかなか難しいという実情は私もよく知っておるわけですが、今度の公共事業関係の登記嘱託に関連をしまして協会をつくる、法人化をする。これはそれ自体結構ですが、そのことが先ほどから御意見にもありますように皆さんの標準報酬規定をうんと下回ってしまうということがないようにしなくてはならぬというのは、これは私どももそう思うんですね。だから衆議院の方の附帯決議でも、その点については標準報酬規定の適正な運用を損わないように指導するようにというのを各党派でつけているわけですが、端的に言いまして、この標準報酬規定は大臣が認可されているものですからね。だから、国の方もしくは公共団体が公共嘱託ということでおやりになるその仕事は国の方の側の責任としても、大臣が認可した標準報酬規定があるわけですから、値切るというのじゃなくて、予算というのじゃなくて、できるだけその標準報酬をお支払いするという態度が私は本当じゃないかと率直に思うんですね。そこらあたり御遠慮なく御意見を聞かしてほしい、こういうことが最後の質問でございます。
#48
○参考人(俣野幸太郎君) 公共事業関係の国の行政におきまして、今建設省が非常なウエートで御指導なりまた所管面を扱っていらっしゃるわけで
ございますが、私どもといたしましては、今御指摘のありました標準報酬というものは私どもの機能をよく精査の上で、そしてその仕事のいろいろな類型に従いましての大臣の御認可も得ておるところでございますので、素朴な論理と申しますかから見ましても、御指摘のように少なくともその標準報酬のラインでなければならぬというふうに存ずるところでございます。
 ただ、先ほどもちょっと触れましたように、公共事業の登記に至りまする入り口から中間を越えまするような段階で、発注団体である公共事業体あるいはそれを所管される地方公共団体、国の所管面におきまして実態上相当いろいろな審査も経ながらなさる。単直に具体名を申し上げますと、例えば国道道路用地の買収があるという場合に、だれと用地買収の話をしたらよいのか。これは申すまでもなく、実体法の面におきまして当該当事者を間違えれば法律上無効に終わる買収契約ということになりますので、その公共事業体におきましても、十分と申さねば本来いけないわけでございますが、その点を精査して、当事者との用地買収契約をなさっておる。また、長い間の裁判所の判例におきましても、そのような点に疎漏があったためにいかに公共事業上の買収といえども民事上は無効に帰するという判例もたくさんあった時期がございますが、そういう体験を経て非常にこのごろは実体法上の有無効の認識のもとに用地買収の契約等もなさってみえるという実態がございまして、私ども司法書士も本来的に法律実務家といたしまして表にあらわれません。
 よく司法書士はただ書類を書くだけだ、先生御指摘の報酬の面で見ますと、何だか登記の申請書だけ書いて何千円、あるいは取引の対象物をめぐりまして、えらい巨額の報酬をもらっておるじゃないかというような誤解をよく間々見受けないわけではございませんが、実際面は、私どもがその実体法的な側面といいますか、むしろ前提面において真の当事者であるかどうか、真にそのような実体法律的な意思を持っておるかどうか、そうしてそれが登記申請意思に結びついておるものかどうか、また取引の対象物はどのようなものを目的として当事者が契約をしておるのか、子細にそれをよく私どもが審査いたしまして、そうして最終的に書面にするというのでございまして、その前半の実態面が非常に私どものいわゆる司法書士としての法律職能としての本然の機能なんでございます。
 だから、今の報酬の面では一般的な標準報酬で、あるいはその実情御存じない方が多額に見えるのも、これはある意味の誤解であるというふうに存ずるわけでありますが、公共事業関係におきましてもそういう面が表に見えませんが、先生法律家でいらっしゃるのでもうおわかりでございますとおり、前提面で機能していただいておるという点もありますので、その分は言うなればちょっと差し引いて対応しなければこれは申しわけないではないかというような面で、表向きは値引きといいますか、ディスカウントということに相なりますが、むしろそれはやむを得ない当然の事理であると考えておる次第でございます。しかし、それが余りチーパーでありましては、これは秩序も乱れ、むしろ私どもとしては司法書士の本然の法律職能としての機能を御理解いただいてないという情緒的面も含めまして、何とか十全の報酬をちょうだいするように、今次法人の設立システムになりました暁は努力もいたしたい、あるいは国会の先生方の格段の御支援なり、また地方議会におきまする先生方の御朋友の御支援もちょうだいしたいと切望するところでございます。
#49
○参考人(多田光吉君) 橋本先生から貴重な御意見をちょうだいいたしまして、私ども実態としていろいろ考えさせられるところが多くあるわけでございますが、発注側から見まして非常に表示の登記の効果についてなかなか理解されてない。ただ、今までの昔からなされている形だけできれば登記所の窓口を通る、それによって事足りたという時代を過ぎて、最近では非常に権利関係が錯雑になりまして、それらの果たす役割というものは十分に理解されないために報酬額も非常に低額予算ということでなされておるというのが実態だと思うんです。
 こういうことから、いろいろ話をいたしまして、先ほど俣野会長から権利の関係のお話がございましたけれども、この基本がなければ権利があっても権利の効果はないということになりますので、そういうことで開拓と申しましょうか、よく登記制度の性格を説明しながら御理解をいただいて、最近では調査士の大臣認可の範囲にまで引き上げつつあるという状況でございますので、こういうことから非常に低額な関係が起きてこない。将来については一般事件と同じような価額にまで増額されるのではなかろうか。実態は考えてみてもだれでもわかるわけですけれども、そうした低額で、いつまでも奉仕ということで業務を行うわけにはまいりませんので、理解を得ながら今後適切な対応をしてまいりたい、このように考えるわけでございます。
#50
○柳澤錬造君 俣野参考人、それから多田参考人御苦労さまでございます。この種の問題、私は全く素人でございますので、そういう面に立って大変初歩的なことをお聞きをしてまいりますけれども、両参考人からそれぞれお答えをいただきたいと思うんです。
 今回の法改正というのは、いわゆる司法書士それから土地家屋調査士、それぞれが今までは法務局に登録をしておったのを今度は連合会の方に全部それを登録させて管理するというか、まとめて面倒を見て自主的に運営をしていこうということだと思うんです。この資料を見ておりまして感じたのですけれども、今までも非会員というのがかなりおりますね。司法書士の方でいけば五、六百から七百人ぐらい、土地家屋調査士の方でも四、五百人から多いところは八百人台、もっといるわけですが、全体の四%から六%になるなと見ているんですが、この人たちというものは今度どういうふうになるんですか。いわゆるそういうアウトサイダーは認めないのか。それとも、どうしても嫌だと言うのはそのまま今までどおりに置いておくのか。その点をまずお聞かせいただきたいと思うんです。
#51
○参考人(俣野幸太郎君) 入り口におきましては、司法書士は今までも申し上げましたとおり、やはり法律職能として、職業家でございまするので業務を行う。そして業務を行うことによって国民の法生活上のニーズに対応するというところに本来の意義があるわけでございますものですから、単に司法書士の資格を持っておるだけで業務に携わらない。それがあるべき姿でないとは申しませんが、余儀ない事情もありますけれども、本来は業務機能を果たす司法書士という観点から、登録機関のいずれを問わず、従前も入会と登録と入り口で連動するというシステムになっておるわけでございます。ただ、特に五十三年法で国家試験制度の導入がありまして、いわば一身専属の永久ライセンスという性格を持つに至りまして、以来、司法書士となる資格を持ってはおりましても入会をしていないと即非会員であるという実情があるわけでございます。
 ただ、出口におきまして登録との連動関係がどうなるかという点は必ずしも入り口におけるほどのけじめがないという点もあるわけでございますが、先生御指摘外のことになって恐縮でございますが、この法改正で、関連する公共嘱託登記協会へ構成員として入った社員は、これは当然この公嘱登記を扱うことを業務とする法人でございますので、入会しておる会員でなければだめであるというシステムがとられておるわけでございます。
#52
○参考人(多田光吉君) 御指摘の問題につきましては、先ほど私意見の方で申し上げました会が強制化に変更された時点、会に加入しない調査士は仕事をしてはならないということで、登録とまた業と違った形になっておりますので、そこらに仕事のできない調査士と、それから会に加入をして仕事のできる調査士、こういうのは調査士の資格においても不明朗な形があったわけでございます。これらにつきましても、二年間業務を行わな
いときには資格の取り消しをすることができる、したがって会に入会してない調査士の登録については登録を取り消さなければならなかったのではなかろうか。今後につきましては、こういうものを整理していただいて、日本土地家屋調査士会連合会に登録の事務の移譲をしていただく、この時点で整理をしていただくということで、入会をしてない登録があるけれども会員でない者は今後についてはないというような措置をしていただくというように考えておるわけでございます。
#53
○柳澤錬造君 わかりました。そうすると、司法書士なりそれから土地家屋調査士なりの資格はあるんだけれども、登録してないから、アウトサイダーでは商売はできませんよというふうに判断したらよろしいわけですね。
 それで次に、今もちょっとお話が出ましたんですけれども、先ほどから出ていて私がわからないのは、そういうぐあいでもって連合会へもう全部入りなさいよ、入らなければ商売ができませんよというふうに強化をしていくわけだけれども、今度新しく公共嘱託登記司法書士協会、それから土地家屋の方も同じですけれども、これを認めて、そういうふうなものを官公庁の関係団体についてはやらせるというわけですね。それで、これは法律は政府が出した方ですからあれですけれども、皆さん方から御判断なさって、いかような御判断をなさっているか。私なんか素人考えに、せっかく今までは法務局に登録させたのを、もうだんだん力も持ってきたり強くなったりするから、連合会に登録して、それで連合会が自主的にやってよろしいというふうにまで、こういうふうにやっていくについて、もう一つそういうふうなものを別につくって、そちらはそちらでやってよろしいというふうなことを認めるというものは私は少しおかしいじゃないか。
 例えば、いろいろ裁判とかなんかでも、これは政府関係なんかも幾らでも裁判になるわけだけれども、じゃ、そのときに政府は政府だけでひとつ弁護士群の何かそういう協会をつくっておいて、それで自分たち政府が扱う裁判はそこの弁護士を使ってやるなんということはやるわけではないのであって、そういう点からいくと、この司法書士と土地家屋調査士という、このことについて何でそんなものをやらなければいけないのかということがわからないんだけれども、そこはどう判断したらよろしいんですか。
#54
○参考人(俣野幸太郎君) 昭和二十五年に司法書士法がいわゆる新憲法体制のもとで改正を見まして、以来、司法書士が法律職能家といたしまして集団になっておるわけでございますが、それをひとつ組織化する。そのときに先生御指摘の司法書士会というのが五十の地域に設けられまして、そしてそれは入脱会任意であった。しかしながら、どうもそういうことでは法律職能団体としてもふさわしくないのではないか、国民に対するきちっとしたけじめ、先ほども申しました国民との接触点は一応現象的には業務を通じてでございますので、それで、そのけじめをつけようではないかということで、三十一年強制入会制度というものが設けられた。
 そして、だんだんそれにやはり人格が必要であるということで四十二年に法人格をちょうだいいたしたわけでございますが、この過程におきまして司法書士団体、つまり各地の司法書士会並びにその連合体である日本司法書士会連合会でございますが、いずれも会員の指導と連絡の事務を行うことをもって団体の基本の命題とするということで、法の上でお定めを願ってまいった次第でございます。そこにまた司法書士の国民に対する重要な法律職能としての機能並びに責任を果たすという意味での公共的性格がある。つまり法律職能としてみずからの団体のけじめをつけまして、その組織する会員にそのけじめ、対国民的責任のためにきちっとした指導と連絡を行いなさいということになっておる。
 基本的に、その点で今度公共嘱託登記を業務として扱う法人という、いわば公共事業を中心といたしました発注団体のお仕事を、これをまた法律職能の業務におきましてその責任性で的確迅速に集団処理をするというのをつくるに当たりましては、みずからのそういう会内部の規律は当然前提になるわけでございますけれども、非常に重要な公共嘱託登記の面を集団的、集中的に処理をさしていただくということになると、片や受注活動も必要でございますし、またそれに対しまして、扱いました仕事に対する責任、極端な場合には債務不履行か不法行為か、いずれを問わずやはり賠償責任も負わなければならぬ。そういうものが出てまいりますものですから、いささかといいますか、ある意味では基本的にその司法書士団体そのものと、そしてこの公共嘱託登記業務を扱う法人とは性格を異にするのではないかという点がございまして、私どもも本法案におきまするとおりの別意の法人にしていただく。しかしそれは第三の立法でなくて、司法書士法の中で基本の扱うものはあくまで司法書士、またその会員ということでございますので、司法書士法の中に運用としてやっていただきたいと考えた次第でございます。
#55
○参考人(多田光吉君) ただいまの御質問に対してお答えを申し上げます。
 このたびの公嘱法人化につきましては、先ほど意見の中で申し上げましたように、大量事件の消化体制の整備ということで、これらについて法務局の窓口における登記事務の円滑化と公共事業の円滑な推進、これに貢献をしたいというのが本来の目的でございます。調査士会連合会が登録いたしますのは資格の登録でございまして、調査士会連合会は会員の指導をする団体、業務を行う団体ではございませんので、そこで調査士さんは各固有の資格によって調査士業務を行う。しかし公共事業関係に含まれる事件については大量事件が多いわけでございますので、それらを消化するには個人資格においては処理する能力がない。したがって資格者が集まった集団によって適正な業務をするという法人格が必要だということでこの今回の改正をお願いしたわけでございます。
#56
○柳澤錬造君 今お聞きしていてちょっとわかりにくい点があるんですが、これも御答弁がしにくかったら結構ですけれども、せっかくの機会だから私聞かしていただきたいんですが、司法書士というのは国家試験で、普通みんな試験を受けてなるわけですね。同時に、司法書士法にもありますように、「裁判所事務官、裁判所書記官、法務事務官若しくは検察事務官としてその職務に従事した期間が通算して十年以上になる者又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であって、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの」はパスしてなれる。私も十年ぐらいそういうお仕事をなさっておったら、それはもう国家試験を受けられる方以上に経験も豊かで、それだけの資格は当然あると思うんですよ。
 しかし、例えば例が適当じゃないですけれども、いろいろとフグなんかの調理師が国家試験がしかれたときに、もう長いことフグ料理をやっているから、事その道にかけては絶対心配がないという調理師であっても、あの国家試験のときに学科試験もあって、それがパスしないがゆえに調理師としての資格が得られなかった人がおったわけですね。そういうときには、この人はフグのこういう調理では何十年もやっていて、もう絶対そういう点については間違いないというふうなことがわかっておっても調理師の資格が与えられなかった。
 それで、こういうふうな場合には、こういうぐあいでもって十年以上やっていた者は国家試験免除だといって皆さん方と一緒になにされるわけだけれども、その辺は不合理ではないんですか。それとも、いやそのぐらいのことは当たり前だというふうに考えた方がよろしいのですか。どちらでしょうか。
#57
○参考人(俣野幸太郎君) 柳澤先生の御指摘の不合理か合理的か、結論といたしまして合理的と考えております。
 ただ、そのことが現行のそういう法のおとりになっておる建前、いわゆる一号が国家試験合格者
で二号が法務大臣の認定者という分類に簡略表現できると思うのでありますが、他の職業法におきましても、そのやり方は別といたしまして、引き詰めますと、そういう職業家法でシステムになっておるものが我が国ではほとんど多いわけです。弁護士法においてすらそういう基本的なシステムをとり、採用をいたしておるということでございまして、だから他方もそうであるから司法書士法においても合理的であるという意味じゃございませんが、基本的に司法書士としての対国民的機能を果たし得る、またそれに見合う資質と人格的背景を持っておれば、これは合理的に認められてしかるべきであるという意味でございます。
 申し添えましたように、しかし現行の運用がいかんであるかという点につきましては、従前からも日本司法書士会連合会におきましては、大臣の行われるこの認定の具体面につきまして十分な一度検討の機会をお願いいたしまして、むしろ私ども有資格者になってしまったと申しますか、その畑に入ってしまった者の立場ではなしに、白地の国民といいますか、裸の国民といいますか、これから司法書士になろうと志望いたしまして司法書士試験を受けたい者、あるいはこれから法務大臣の認定を得ようとされる公職の御経験者、いずれも踏まえましたそういうこれから司法書士の畑に入りたいという念願する国民的立場におきまして、客観的にも公平さについて納得が得られたり、あるいはまた各般の面におきまして、なるほどこれなら自分は認定から外されても仕方がないというような御納得のいくような一度検討を御当局ともさせていただきたいという念願は持っております。
 何もそれは今まで行われておる大臣認定の過程において疑義があるとかいうような視点ではございませんで、今申し上げましたような一般的、客観的な国民的立場で一度この検討を煩わしておく必要がある。そうでないと司法書士団体としても国民に対して説明がしにくいのではないかということがあるわけでございます。
 何分にも、どの職業家でありましても、またその職業家法にかかわらず、組成するのは、おこがましい申しようでございますが、ひとえに人間そのものでございまして、長い人生のうち自分がたどってきたその過程におきまする一つの性格形成というものは否めません。率直に申しましてそのような協議を煩わしたいと念願するゆえんの一つには、長い間法務局の中にいらっしゃいまして司法書士と対応してまいりましたりいたしますと、つい立場の御体験で一つのものができ上がってしまいまして、大臣認定を受けまして川を渡って今度は司法書士の世界にお入りになった場合に、昔の御感覚が残存いたしておりまして、今まで司法書士が職業家として申請するものは国として処理してやるんだという認識、感覚をお持ちであった方が、今度川を渡ってこちらへ見えまして、すぐそのチャンネルチェンジができにくいという、これは私は無理もない面もあろうと思うんです。
 したがいまして、司法書士会が開催する総会とか研修会に出席がない。いわゆる司法書士の自治自律機能の一端におきまして行うそういう具体的な集団的行動への参加が非常に消極的であるという事実がございましたりいたしまして、そのような協議を一度してみる必要があるのではないかというふうに至ったものでありまして、現に法務省当局に対しまして常にそのような面は大臣認定に当たって、実際上条件的にあなた方は司法書士になるのだから、ひとつ司法書士の自治と自主的な団体の行動には当然協調する責務があるということを御指導願いたいということも現に御要請をいたしておるような実情でございまして、そういうところからそういうふうに考えておるところでございます。
#58
○参考人(多田光吉君) 今資格付与の問題でございますけれども、私ども二十五年の法律がつくられた時点においては、技術を持つ建築士、測量士、測量士補については登録をすることによって、特認と申しましょうか、調査士になれ、資格が取得できた。その後いろいろ問題がございまして、改正がなされ、技術を持つ者についても一部免除の規定、調査士業務の中で技術を必要とする部分については試験の中で一部免除をする、それで法律的な解釈について試験を受けるということになっておったわけでございますが、これも五十四年の改正の時点に廃止をいたしまして、全部一本で試験を受けるということになったわけでございます。
 このときに問題になりましたのは、連合会でも大分問題になりましたが、特認制度、先ほども申しましたように表示登記事務に十年以上従事した職員については、さらに表示登記官として三年以上ですか、経験のある者については法務大臣が認定をして資格を与える。この理由につきましては、私ども調査士が申請手続をする書面について、その内容的な審査をする、であれば調査士と同様な資質がなければできないということから、そういう面も考えられて、いろいろ問題ありましたが、そういうことで資格について法務大臣が認可するについては、それに調査士になるにふさわしい選考の上で資格を与えるということになっているわけでございまして、これにつきましては、非常に厳選の中で、これはことしから実施されておりますけれども、大勢の中からそれに該当する者としては現在一人ということで先般相談を受けたわけであります。
#59
○柳澤錬造君 時間もなんですから、最後にもう一つだけお聞きしてまいりたいと思います。
 それはこの法律の改正に限らずに私がいつも考えていることですが、法改正をするというときには、その改正によって第一に国民が利益を得るというか、その改正によって国民が一番利益を受けるということがなくてはいかぬし、それから二つ目には、皆さん方当事者が何かにつけて仕事がやりやすくなる、便利になるという、またそれがなかったら何にもならない。それから三つ目には、政府いわゆる行政当局も非常にそういう行政事務が簡素化されて効率よく行政がやれるというふうに、それぞれにメリットというようなものがあってこそ法改正の意義があると思うんです。そういう観点にお立ちになって、今回のこの改正案というものをどういうふうにごらんになっておりますか、最後にお聞きして終わります。
#60
○参考人(俣野幸太郎君) 冒頭のつたない意見を申し述べました際にも、ある意味ではそういった面につきましての考えを申し述べたつもりでございますが、先生御指摘の国民にとっても、また私どもの職能家といたしましても、その団体といたしましても、三番目には行政の御当局におかれましても三者三様にメリットがある。特に第二番目の私どもの集団、団体にとりましてはみずからの自主自律を充実さして国民の負託にこたえるべきさらに一歩を確保する意義がある、またその責務を伴う重要な法改正である、かように認識いたしております。
#61
○参考人(多田光吉君) 先ほど参考人の意見として申し上げました中にも、国民の利益を図る、また行政の簡素化、これにも対応していく、また我々としても国民に調査士制度という制度が何をする制度であるか、国民の利益のためにこうした重要な責務を果たして、そうした位置づけの確立もできる、先生の御指摘のように三者三様の利益が表現できる今度の法改正である、このように思料しておりますので、よろしくお願いいたします。
#62
○中山千夏君 最初に、どうも具体的な話じゃないとわかりにくいものですから、ちょっと立ち入ったことを伺いますが、両会長は資格としては特認の資格をお持ちなんでしょうか、それとも試験の資格をお持ちなんでしょうか。
#63
○参考人(俣野幸太郎君) 先生御指摘の点、ちょっと厳密な意味で御指摘に沿うものかどうか存じませんが、先般本院におきまして御理解をいただきました昭和五十三年法で国家試験制度が導入されるまではすべて認可制度であったわけでございます。その認可制度の中で実質的国家試験とも申すべき大臣の認定に当たっての実際上の試験が行われたという形と、官公職におけるこの専門職能
としてのいわゆる経歴、その実績が司法書士の資格に見合うということで認可された向きと二様あるわけでございます。さらにその昔、まあ昔というほどでもございませんが、前にさかのぼりますと、ひとえに認可という裁量行為によりまして資格が与えられたという時代がございます。
 不肖私に関して御指摘でございますので申し上げますと、私は軍隊から帰りまして昭和二十四年、大学在学中に認可を得た者でございます。しかし官公職の経験者ではございません。
#64
○参考人(多田光吉君) 私も、前歴は行政庁に勤務をしておりまして、これは法務関係ではございませんけれども、こうした測量士の資格によって、法律ができた当時には先ほど申し上げましたように測量士、建築士については登録することによって資格を与える、こういうような制度でございまして、二十五年、法律ができた当時に登録をいたしまして資格をいただいた、こういうことでございます。
#65
○中山千夏君 お二方とも大変御経験が長いので、単純に素人が考える特認か試験資格かというところに当てはまらないところがおありだと思うんですが、私もこういう問題は全く素人ですし、それから内情なども詳しく存じ上げないので、最初にこの法律のお話を法務省から伺ったとき、何かよくわからなかったんですね。どうもすっきりしないというか、一番私がわかりませんでしたのは、法人をつくるというところが、どうしてこれつくらなくてはいけないのか、法人をつくったら官公署の仕事が必ず全部来るという保証があるんですかと言ったら、それはないとおっしゃって、来ることを期待したいというようなお話なんですね。そういう法人を設けて事務処理をしなければ非常に書類上、手続上都合が悪いというのであれば、もっとすべてのというわけにはいかないかもしれませんけれども、完全にその仕事が法人に回ってくるように何か手だてがなければいけないし、どうもこの辺のところがはっきりしないなということを考えていたんです。
 それで実は最初にお伺いした、さっき柳澤さんもちょっと触れておられましたが、資格の問題というところに行き当たりまして、それでいろいろ勉強してみましたら、これなかなか簡単な問題ではなくて、それから特に司法書士連合会の方では大分このことについても内部でいろいろ討議をなさったり研究をなすったり、それからまた法務省に申し入れをなさったりしておられるようですね。これ相当大きな問題であろうと思うんです。
 それで、この法案自体に対して私はあえて反対をするつもりはないんですけれども、賛成をしようと思っておりますが、何か司法書士の国家試験と認可、これ調査士でも同じだと思いますが、そのあり方は、例えば連合会と法務省の間で何か合意ができたり、ちゃんと話し合いができていても、一般国民という側からみますと非常に何かはっきりしない、納得できないという部分がやっぱり残ってしまうところなんですね。
 それで片一方は、これは司法書士会の方で出していらっしゃる本だと思うんですが、そこを見ますと、試験の方は大変に難しくて合格なさる方も二%台というようなことになっている。それから合格者の数も限られている。特認の方で資格をお取りになる方は、その試験制度が始まってから見ましてもだんだん数がふえていらして、それでは司法書士全体の仕事をしていく上で人数がふえ過ぎてしまうというような問題にもなるのじゃないかというようなことを司法書士会の内部でいろいろ御討議なすっているということも聞いています。それと同時に、今度のどうも法人をつくるというのは、その特認の方たちを何か受け皿として受け入れる、そういう団体が必要なのでつくるのじゃないだろうかという、これはちょっと失礼かもしれませんが、そういう感じが一般素人から見るとどうしてもしてしまうんですね。
 それで、私はどうもそういう感じがしておりましたところ、この法案に対しては別段問題はないというふうに聞いていたんですけれども、きょう突然全国青年司法書士連絡協議会というところから反対であるという旨の、何というんでしょうか、書類が私の方へ届きまして、ほかの委員のところにも届いたかもしれませんが、その中にやっぱり私が持っている懸念、いろいろな反対理由の中にそういう懸念が述べられているわけなんですね。
 それで、こういう法案をつくっていく上で、これからの自主性というようなことを両連合会の方で考えていかれる上でもやはりこういう意見の調整といいますか、そういうことは今後大切なことだろうと思いますし、それからいわゆるお役人の受け皿をつくるというような、私なんかがそういうことになるのじゃなかろうかと心配したようなことが、司法書士の仕事をしていらっしゃる方の中からもそういう見方が出ているということをそれで知りまして、もし今後司法書士の法人をつくって実際に運営をしていくときに、その辺のことが国民から見て納得できる人の配置になっていなければいけないだろうと思うんですね。これから運営をしていかれる中ではやっぱりそこを一番気をつけていただきたいことだと私は思うんです。そのあたりについての御意見を伺って私の質問としたいと思います。
#66
○参考人(俣野幸太郎君) まず冒頭、中山先生のお話の中にございました、何か現時点におきまして私どもの全国青年司法書士連絡協議会の名を冠するものが先生の方に、お言葉どおりでございますと反対ということをお願いいたしたというような事実に承りましたが、私は全国一万五千百名になんなんといたしまする司法書士とその団体の代表責任者といたしまして、まことにこの国会に対しまして申しわけないことと、私は団体の責任者としてそのように今痛感いたしておるところでございます。
 なぜなれば、開会以来るる私が陳述の中で申し上げておりますとおり、私どもは法律家の一端を担う者として自負もし努力もいたしておるのでございますが、それであるだけに私どもの内部の規律を厳然と御指摘もございましたように自治自律しなければならない大きな責務があるわけでございまして、団体には団体の内部秩序も当然あるわけでございます。去る一月十六日の連合会総会におきまして、いわゆる民主主義の多数決の原理、それも百に近い多数決によりまして内部意思を固めました問題でございますので、いわば行政当局と多面かつ深い御協議をしました結果も加えまするとき、その内部の意思決定というものは対外的に非常に重要なものであるということは申すまでもございません。それが立法の府に移りまして、衆議院を御通過いただきまして、今当院でさらに独自のお立場で御討議をいただく最中でございますが、法律家団体の代表者として、そのような意味におきまして、じくじたる気持ちで中山先生初めおわびを申し上げるというゆえんでございます。
 ただし、御指摘の実際面のいろいろな問題がございますので、いろいろな御指摘のありました各面の点は、将来の私ども団体としても、また各地の会員におきましても熟慮し、また考えていき、また行政当局にもいろいろと訴えてまいらなければ、問題もいろいろあるわけでございますけれども、少なくとも本院で今御討議いただいておりまするこの三つの柱の問題につきましては、いろいろな面をトータル整合いたしまして、先ほども柳澤先生の御指摘もございましたように、国民にとっても国の行政にとっても私どもの自治団体にとりましてもベターな、デメリットがあるということで一致して法の成立を願っておるところでございますので、先生の御注意はよく今後の問題として対処いたしますが、ひとつお言葉どおりぜひ御賛成賜りまして成立に御理解を示していただきたい。お言葉もございましたが、あえて失礼ながら切にお願い申し上げる次第でございます。
#67
○参考人(多田光吉君) 調査士会連合会といたしましては、この法案改正については連合会から説得して進めたということでなしに、下から盛り上がった声として、先ほど申し上げましたように一万八千の声として、総会において至急にやれとい
う指示が下から盛り上がった声としてやっておりますので、そういう全体が連帯意識の中でもってやっていこうと。それで、この法人、この法改正になって、法人についていろいろ議論があるところですが、それらについては私どもが育てた子供だから私どもの手によっていい子に育てようというような意識でございますので、表現が悪うございますけれども、日本土地家屋調査士会連合会といたしましては、そういう会員の声として受けとめて、この法律改正についてはぜひ御理解をいただきたい、このように思います。
#68
○中山千夏君 理解はしますが、最後に言った今後運用の中で、いわゆる国民一般素人から見て何となく官と癒着をして、いいようにやっているという感じがないものにしていかれるということは、これは期待をしてよろしいんでしょうね。
#69
○参考人(俣野幸太郎君) 結構でございます。
#70
○委員長(大川清幸君) 以上をもちまして参考人の方々に対する質疑は終わりました。
 参考人の方々に一言。お礼を申し上げます。
 本日は御多忙中にもかかわりませず長時間にわたり当委員会に御出席をいただき、大変貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。当委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 次回の委員会は五月二十八日午前十時に開会することとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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