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1984/03/26 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第7号
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1984/03/26 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第7号

#1
第102回国会 地方行政委員会 第7号
昭和六十年三月二十六日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十二日
    辞任         補欠選任
     佐藤 三吾君     梶原 敬義君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 三郎君
    理 事
                岩上 二郎君
                松浦  功君
                上野 雄文君
                三治 重信君
    委 員
                井上  孝君
               大河原太一郎君
                加藤 武徳君
                上條 勝久君
                古賀雷四郎君
                出口 廣光君
                吉川 芳男君
                梶原 敬義君
                志苫  裕君
                丸谷 金保君
                中野  明君
                峯山 昭範君
                神谷信之助君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    古屋  亨君
   政府委員
       内閣法制局第一
       部長       前田 正道君
       警察庁長官官房
       長        鈴木 良一君
       警察庁刑事局長  金澤 昭雄君
       警察庁刑事局保
       安部長      中山 好雄君
       文部省学術国際
       局長       大崎  仁君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       自治大臣官房審
       議官       吉住 俊彦君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省行政局公
       務員部長     中島 忠能君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
       消防庁長官    関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       外務省国際連合
       局社会協力課長  馬淵 睦夫君
       文部省体育局学
       校給食課長    小西  亘君
       厚生省保険局国
       民健康保険課長  近藤純五郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
○地方行政の改革に関する調査
 (地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施策に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(金丸三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 三月二十二日、佐藤三吾君が委員を辞任され、その補欠として梶原敬義君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(金丸三郎君) 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。古屋自治大臣。
#4
○国務大臣(古屋亨君) ただいま議題となりました市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由とその要旨を御説明申し上げます。
 現在、市町村がその地域の実情に応じ、自主的な判断に基づいて、合併しようとする場合には、合併が円滑に行われるよう、特例措置として一、合併市町村の議会の議員の定数または在任期間の特例を設け、例えば編入合併の場合においては編入する区域との人口比率により編入される区域からも議員が選出されるようにすること。二、地方交付税が合併後一定期間に限り、合併前の合算額を下らないようにすること。三、合併後一定期間に災害が生じ、国の財政援助を受ける場合には、合併市町村が不利益とならないようにすること。四、都道府県議会の議員の選挙区を、合併後最初に行われる一般選挙において選出された議員の任期が終わるまでの間に限り、従前のままとすることができること等を内容とする市町村の合併の特例に関する法律が定められております。
 この法律は、十年間の時限法として昭和四十年三月二十九日に公布施行されましたが、その後昭和五十年に延長され、本年三月三十一日をもって失効することとされております。
 この間、百二十八件の合併が行われ、百九十六の団体が減少しておりますが、今後におきましても、市町村が、自主的な判断に基づいて、住民サービスの向上、地域の一体的整備及び市町村の自治能力の強化等のために合併をしようとする場合には、その円滑化を図るための措置を講ずる必要があります。
 このため、現在の法律の有効期限を昭和七十年三月三十一日まで延長するとともに、最近における市町村の合併の実態等にかんがみ、新たに地方自治法第二百五十二条の十九第一項の指定都市をこの法律の適用対象とし、あわせて合併市町村の建設に資するため、合併市町村が市町村建設計画を達成するために行う事業に係る地方債について適切な配慮を行おうとするものであります。
 以上が市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由及びその要旨であります。
 何とぞ慎重御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#5
○委員長(金丸三郎君) これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#6
○上野雄文君 これまで行われました合併の効果なり問題点についてお尋ねをしたいのであります。
 今まで行われた合併はすべて所期の効果を上げている、そういうふうに政府の方ではお考えになっているのかどうか。合併によって当該地域の住民にマイナスになった、そういうことはないのか。例えば合併の結果、中心市街地を基盤とした都市行政が中心になってしまって、周辺の編入された農村部が市政の中心課題から外れている、そういうような問題が起こっているのではないかと思うのでありますけれども、こういう点などについてどのように把握をされておられるか、お尋ねをいたしたいと思います。
#7
○政府委員(大林勝臣君) 御案内のように、市町村の合併は昭和二十八年以来今日までその都度行われてきております。昭和二十八年からおおむね昭和三十年代にかけましては、どちらかと申しますと国の施策として合併計画というものを立てまして、現在は当時の三分の一の市町村数に減少するという形になっておりますが、昭和四十年代以降はもっぱら市町村の自主合併ということで今日まで進んでおります。
 この間の経緯を考えてみますと、やはり当時一万にも及びました市町村の中で、非常に市町村の間で行財政能力にばらつきがある。これが今日三分の一に減ったわけでありますけれども、やはり住民の生活圏の広域化に対応した市町村の規模に近づいてきた。つまり合併の効果といたしましては、一般的に言えることは行財政の基盤が強化されたということが言えると思います。さらに、住民の日常生活圏に対応する総合的なあるいは一体的な施策を行うことができるということも言えると思います。結局は行財政の合理的な効率的な運営が図られるということで、昔と比べますと非常に市町村の行財政能力は向上したと私ども考えております。
 ただ、この合併問題というのは非常に住民間でいろいろ思惑の交錯する問題でありますので、合併に関連をして住民間の中でしこりが残る、あるいは合併市町村の全体の中で施策の重点の置き方によりまして多少ちぐはぐな点も残るという点はあろうかと思います。今までの合併市町村の関係者のお話を聞いておりますと、昭和四十年代以降は自主合併ではありますけれども、合併の障害を取り除くということに重点を置いて制度が構成されておりますが、ただ合併後、例えば編入をした場合に編入された地域というのがどうも余り力を入れてくれない、こういう不満もあるようでありまして、こういったことが自主合併の一つの障害になっておるのではないかというような反省もいたしておるわけであります。
 そこで、今回そういうことがないように、合併市町村の建設に資しますために市町村の建設計画に係る事業につきましては地方債の配慮規定を設けるという措置を新たに置きまして、合併市町村の合併後の一体性の確立ということを頭に置きまして、ちぐはぐがないような、合併後もスムーズに行財政が行われますような措置を講じようとしておるわけであります。
#8
○上野雄文君 やっぱりたくさんの問題が残っているように思うんです。私の経験でも、役場のあった地域が、それがなくなってしまったというようなところはどうしても町そのものが寂れるような形態というものが出ているのです。何かもっと住民の自主的な意欲がわくような方策というようなものを考えられないかということを常々思っている一人なんですけれども、その辺のことなんかについて何かお考えお持ちですか。
#9
○政府委員(大林勝臣君) 一つには、寂れるということになりますと、結局公共施設というものがどうしても中心部に重さを置かれるということからそういう気持ちになるケースが多いのであろうと思います。ただ、合併というのは、区域の拡張に伴いまして行財政能力は向上するけれども、逆に言いますと、今までの住民の連帯感というのが合併に伴って薄れていくのではないだろうかという心配も片方にあるわけであります。そこで、広域行政あるいは自主合併というものを進めてまいります傍ら、結局それぞれの新しい市町村の地域の中のいわゆるコミュニティー、こういった人と人とのつながりというものも重視していかなければならない、こういう意味でコミュニティー施策というのを昭和四十年代に入ると自主合併の推進と並行して行っておるわけでありまして、コミュニティー施策についていろんな補助あるいは資金手当て、こういったものを現在継続してやっておるところであります。
#10
○上野雄文君 次に、市町村の合併と広域市町村圏との関係についてお尋ねをいたしたいと思うわけですけれども、まず広域市町村圏の現状はどんなふうになっておりますか。数とか自治体をずっとカバーしている比率でありますとか、さらに広域行政そのものが効果を上げているのかどうか、それからさらに一部事務組合などの市町村の自主的な共同処理の現状はどんなふうになっているのか、それをお知らせいただきたいと思うんです。
#11
○政府委員(大林勝臣君) 住民生活の都市化と広域化に対応しまして、都市と周辺農村の有機的な結合による圏域の総合的な振興整備を図るという趣旨から、昭和四十四年から広域市町村圏政策というものをやってまいっておるわけでありまして、現在全国で三百三十六圏域が設定をされております。さらに、大都市地域におきましても、人口集中でありますとか市街地のスプロール化、こういったものに対応するために広域市町村圏政策が進められておりまして、大都市地域で二十二圏域設定をされております。したがって、合計三百五十八圏域が全国で設定をされておるわけでありますが、関係市町村数で申しますと三千百五十五団体で、全国市町村数の九七%が広域市町村圏に属しておる。面積で申しますと全国面積の九七%、人口数で申しますと全国人口の七二%を占めております。
 特に施策の中で主なものをピックアップいたしますと、道路などの広域ネットワークの整備あるいはごみ処理、消防、こういった共同事務処理システムの形成、こういったものを通じましてその広域圏の地域社会づくりに大きな成果を上げてきておると私どもは考えております。
 さらに、事務の共同処理の方式でございますけれども、協議会方式あるいは機関の共同設置方式あるいは職員の派遣方式、一部事務組合方式、いろいろな方式があるわけでありますけれども、この実態は共同処理をしております件数が全国で約六千二百十件、関係団体が延べ五万七千六百七十七団体となっておりまして、これは年々増加傾向にあると考えます。そのうちで、今一部事務組合方式が極めて多いわけでありますが、一部事務組合の設置件数が二千九百十八件ございます。全体の四七%を占めておりまして、組織団体数は延べ二万五千八百九十四団体に上っております。
 その仕事の内容は環境衛生関係が一番多くて二三%、次いで厚生福祉の仕事が一二・八%、第三位が第一次産業振興の一一%、こういう状況でございます。
#12
○上野雄文君 今のお話で、かなり各自治体間での共同処理方式といいますか、これが進んでいるということがよくわかったわけでありますが、問題は、こういう形態で全体が相互に連携を取り合いながら仕事を進めているわけでありますが、今度またさらに延長するというこの法律の中で、広域市町村圏と市町村の合併、この関係をどういうふうに認識をされているのか。特に市町村合併を前提としてこういったことが考えられているのではないかという気がしないでもないのですけれども、そういう点についてはどうです。
#13
○政府委員(大林勝臣君) 町村合併につきましての国の考え方というものが、先ほど触れましたように、昭和四十年ぐらいを境にして相当変わってまいりました。それまでは、どちらかと申しますと国の施策として合併計画をつくっていただいて一定の年限のもとにそれを達成していただく、こういう歴史を持っておったわけでありますけれども、昭和四十年代に入りまして、一応国の施策としてこれを全国一律に推進するということはやめまして、その後は市町村の自主的な合併ということに方向を転換いたしました。ただ、住民の社会生活圏というのはその後もどんどん広域化しております。しかしながら、そういった環境の中にありながら、昔のような一律的な合併というのは適当ではないだろう、むしろ広域行政の推進を図るためには広域市町村圏施策、つまり現在の市町村の一つ一つが横に手を取り合って共同して事務処理をする、こういうことで広域行政の要請に対応していくのが第一番、そういった状況、歴史を踏まえて自然とその地域内で合併の機運が生まれました場合にはこれは自主合併ということで、これはまた自主合併の推進をしていくのは結構なことではないか、こういうことで今日まで施策を続けてまいっておるわけであります。
 したがいまして、今回の特例法の延長に際しましても考え方は同じでありまして、第一義的には広域市町村圏施策を継続をしながら、その枠の中で自然と合併機運というものが生まれました場合には自主的に合併をお願いをする、こういうのが基本的な考え方であります。
#14
○上野雄文君 そうしますと、かつての合併のように何でもかんでも規模を大きくすればそれでいいというようなことではない、自主的にやっていくのだということについてわかりましたが、最近いろんな印刷物でそれなりの経歴を持った方々が書いているものを読みますと、二十一世紀に向けてさらに合併が必要だという議論が展開されているのですが、そんなことについてどうお考えですか。
#15
○政府委員(大林勝臣君) 最近、二十一世紀を目指しまして社会が一体どういう格好になるだろうかという議論が続いております。よく言われますことは、日本の老齢人口というものが恐らく急速に伸びるだろうということが一つ、それから現在の技術力の驚異的な進展に伴いまして情報化社会というのが大変進展するであろうということが二つ、そのほか国際化の問題、いろんな問題が関連をして言われておるわけでありますけれども、そういった情報化社会とか老齢化社会の進展ということを考えました場合に、二十一世紀において現在の市町村の規模で果たして市町村の行財政能力がそれに耐え得るようになるだろうかどうか、そういった老齢化社会とか情報化社会という大変な社会の変転に即して市町村が十分に住民サービスというものを供給することができるだろうかどうかということが今後議論の中心になろうかと思います。そういったことを踏まえまして二十一世紀における適正な市町村の行財政能力規模というものを今から十分に勉強する必要があるのではないか、こういう声が出ていることは私どもも存じておりまして、今後における一つの勉強の課題ではあろうと私どもは考えております。
#16
○上野雄文君 そうしますと、その勉強の課題についていろいろ研究をされているのではないかというふうに思うのですが、地方自治協会というのがありますね。そこで市町村の規模、能力に応じた権限の移譲、こういったことを調査研究をしているのだというふうに聞いておりますけれども、そのあらましはどのように把握されておるのか、お差し支えなければぜひ教えていただきたいと、こう思うんです。
#17
○政府委員(大林勝臣君) 先ほど来の御指摘の問題に関連をしまして、今いろんな研究があちこちで行われておるようでございますけれども、協会の方で現在中間報告みたいなものが出されております。近く最終的な結論を得たいという御意向のように伺っておりますけれども、現在の階段は今後の国と地方との関係というのを頭にまず置きまして、国から住民に身近な仕事としてどういう仕事を移譲した方がいいかどうか、あるいは都道府県の持っておる仕事の中で市町村に移譲すべきものにどんなものがあるかと、こういうものを羅列する作業が中間報告では行われました。ただ、その目的とするところは、市町村の規模に応じてどういう事務の移譲の仕方をしたらいいかというのが最終の目的のようであります。
 御案内のように、現在市町村の事務というのは、指定都市、これは非常な特例がございまして、ある程度の県並みの仕事をやっておるのでありますけれども、一般の市なり一般の町村は必ずしも人口段階の格差があるとはいえ仕事に余り相違がないわけであります。今後国の仕事を地方に移譲するあるいは県の仕事を地方に移譲するということが当面の課題になっておるわけでありますけれども、実際問題として、人口規模あるいは行財政能力規模のいかんにかかわらず一律に特定の仕事を全部おろしてしまうということはなかなか現実問題としては難しいであろう、したがって、国の仕事を下におろす、県の仕事を下におろす場合におきましても、おろされる市町村の行財政能力でありますとか人口規模、こういったものに何か段階をつけまして、その段階ごとに具体的な仕事をおろすというのが一番現実的ではなかろうか、こういう考え方のもとに市町村の人口規模あるいは行財政能力規模で、例えば人口が二十五万ぐらいの市町村はどうであるかとか、人口十万ぐらいの市町村についてはどういう仕事をおろしたらいいのだろうかとか、こういうことを今模索研究をされておると伺っておりまして、できるだけ早くその結論を得たいと、こういう御意向のように伺っております。
#18
○上野雄文君 いつごろその結論みたいなものは出るのですか。
#19
○政府委員(大林勝臣君) 確実な時期としていつごろというふうに私ども承ってはおりませんけれども、見込みとしましては恐らく数カ月以内を頭に置かれておるようであります。
#20
○上野雄文君 そうすると、今地方行革大綱が出ていますね。それで、国の必置規制だとか、いろんな機関委任事務の移譲であるとかという議論が余りおくれてくると、何かせっかくいいものが出てきてもそれが議論の対象にならないなんということになってしまったら、せっかくの研究がむだになってしまうのではないかと思うのですが、全体の流れの中でその辺の問題についてはどういうふうにお考えですか。
#21
○政府委員(大林勝臣君) 今後、権限移譲をどう持っていくか、機関委任事務の整理をどう持っていくかというのを六月ごろを目途として行革審において結論を出すというスケジュールになっております。協会におきましてもそういったことを頭に置いて昨年来研究を続けておられるわけでありまして、私どもが行革審のヒアリングを受ける際に意見として申し上げるあるいは要望として申し上げる場合の一つの資料となるようなものが、あるいはできるのではないだろうかと考えております。と申しますのは、先ほど申し上げましたように、事務の移譲ということになりますと、国としても長い間持っておった権限でございますから、これを下におろすにいたしましても、一体市町村でこういった事務能力があるのだろうかどうだろうか、むしろ市町村におろすと仕事がスムーズに行われないのじゃないだろうかという危惧の念から、どうしてもなかなか下におろさないということもございます。そこで、そういった仕事については、これだけのやっぱり人口規模を持っておれば、いろんな実態調査、研究の結果、それは大丈夫なんだというような一つの主張が必要になるわけでありまして、私どももそういう意味で協会の研究の成果というものを見守っておるわけであります。
#22
○上野雄文君 ことしの「自治研修」の一月号でしたか、かつて皆さんの大先輩だと思うのですが、岡山県の知事をやっておられる長野さんが合併の問題について、あるいは事務の権限移譲の問題について述べておられるのです。今局長答弁された事務の移譲の問題なんかについても彼は大胆に、今の国の各省の仕事を半分にすればもう人員だって半分になるはずだ、それを自治体に移していけばいいのじゃないかというようなことまで言っているのです。私もこれは大賛成なんで、そうすれば今中曽根内閣がやっている行政改革なんというのはもう全部達成されてしまうのじゃないかと思うくらいです。さらに、長野さんは戦後の第一次の合併のときの推進者でもあったのです。今度はみずから地方自治の第一線に立ってみて、今いろんな反省をされています。あれだけの大事業をやったわけですから、全然問題が残らないということにはやっぱりなるまい。いろんな後遺症も残っているので、これからの合併の問題についても触れられて、画一的なやり方でもってやっていくというのはどうももう少し慎重に考えていかなければならないのではないかというようなことを述べておられるわけであります。
 私も自分の住んでいる県の実態を見て、全然合併をしなかった町村がうちの県には二つ、正確に言うと基本計画に載らなかったのもありますから、合併をしなかった町村は三つほどありますけれども、今日それはそれなりに機能していますし、これもどこかにさらにくっつけなければなるまいなどというようなことは考えなくてもいい状態にあると思うんです。
   〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕ですから、十年間延長するこの法律が、過去十年間を見てみると件数にして二けたに遠い一けたという件数しかないわけです。ですから、市町村の自主性、住民の意思、そういうものがやはり最優先されるように扱っていくべきではないか、こういうふうに思うのでありますけれども、この点について最後に大臣から御答弁をいただきまして私の質問を終わりたいと思います。
#23
○国務大臣(古屋亨君) お話しの点全くそのとおりでありまして、この法律はかつての町村合併促進法のように町村合併に関する計画の策定等の一定の合併目標を定め、全国一律的に合併を推進しようとするものでは全くありません。市町村が自主的な合併を行おうとする場合に、その円滑化を図るための特例措置を定めたものでございます。したがいまして、住民の意向を十分踏まえまして、住民意識の一体化の進展、また広域行政の定着化によりまして、条件の整った地域におきまして関係市町村の自主的な判断に基づいて合併を進めるということが望ましい、私もその点は先生のお話と同感でございます。
#24
○中野明君 先ほどの大臣の趣旨説明にもございますが、この合併の特例が四十年から始まりまして十年間、そしてまた五十年に再延長されて十年、この二十年間現在まできているわけですが、前期の十年間と後期の十年間というのは、合併の実態といいますか、百二十八件、百九十六団体が減少していると一まとめにおっしゃっているのですが、前期の十年間は非常に進んだように見ておりますが、後期はわずかに増減で三団体ぐらいじゃないか、こういうふうになっております。この状況について自治省としてどう見ておられますか。今後十年延長するというこの法律なんですが、まだ将来にわたって合併の機運というものが非常に強くあるのかどうか、その辺も含めて前期と後期の合併の状況をちょっとお考えになっていることを述べていただきたい。
#25
○政府委員(大林勝臣君) お話しのように、この合併特例法は昭和四十年に制定されまして、既に二十年間たっております。今回期限切れになりますので、さらに再延長をお願いをしておるわけでありますが、これまでの歴史を見て見ますと二十年間に約百三十件の合併が行われておりますが、前期十年間と後期十年間を比較いたしますと、後期十年間は非常に合併件数が減っておりまして、前期が約百三十件のうちの百二十五件、後期は四件という極めて少ない数字になっております。これは前期の十年間の合併というのが当時の社会経済情勢を反映をいたしまして、経済の高度成長、こういったものから、新産業都市でありますとかあるいは工業整備特別地域の推進でありますとか、こういった産業中心の地域の一体的な開発整備というのが一つの施策として進められてまいりました。こういったことからそういう目的の合併が非常に多かったということが言えると思います。ところが、後期の十年間、つまり昭和五十年代に入りますとおおむね経済が低成長化いたしました。そういう状況の変化があったのであろうと思いますが、合併の動きは極めて緩慢になっております。ただ、恐らくこの後期の十年間の四件というのもそういった経済中心の合併ということでなくて、従来から合併問題が非常に懸案事項として長い間議論はされてきたけれども、それだけの長い歴史を踏まえて自然に住民の方から、もうそろそろ合併しよう、こういう意向が出てきたもの、自然的な合併ということが言えるのではないかと思います。これが前期の十年間と後期の十年間の合併を取り巻く環境の変化であろうと認識をいたしております。
#26
○中野明君 先ほども上野委員からもお話がありましたが、合併によってかなり無理があったところがあって後遺症が残っているという地域を私どもも間々目にするわけですが、一つの例を挙げますと、私の住んでいる高知県でも、恐らく合併のときに相当強引に無理があったのじゃないかと思われるのですが、庁舎ですね、役場の位置を二年交代で片方から片方へ宿変えをするということで、そのために大変な経費が要るし住民も大迷惑をしている。それで、強引に庁舎の位置を議会で決めたために議会が解散まで追い込まれて大騒ぎをしたというような例があります。そしてまた、人口が過疎化になってきますとますますやはり役場の位置が問題になってきて、地域の経済に及ぼす影響ということが顕著にあらわれて、住民の感情と相まってそういうことが出たりする例があります。非常にこれは難しい問題でございますが、そういう状況を私どもも踏まえながら、そうかといってダムができたりなんかして家が、もうほとんど人口が減ってしまって四千とか二千とかというような人口になってくる、もっと減ると千二百とかこうなりますと、私ども心配しておりますのは、それでは行政の体をなさぬのじゃないだろうかという心配もあるわけです。そういう点で、自治省として市町村の規模、これについて大体どういうお考えを持っておられるのか。
 先ほども議論がありましたように、臨調の答申の中で、権限を地方に委譲しろというような答申も強く出てきておるわけですが、もともと人口の小さいところはもう余り行政の体をなさぬような状況にまで追い込まれているところもあるわけでして、そういうことと考え合わせますと、合併というのは住民の意思が基本でございますけれども、上から強制的にこうせい、ああせいというわけにはいかぬ問題も含まれておりまして、私は非常に難しい問題と思いますが、自治省として市町村の規模といいますか人口の基準といいますか、何かそういう物差しはお持ちになっているのかどうか、その辺を含めて御答弁いただきたいんです。
#27
○政府委員(大林勝臣君) 市町村の人口規模がどのくらいが一番適正かというのは、音から議論をされながら、なかなか結論の出ない問題であります。
 御案内のように、昭和二十八年当時、つまり匡の施策として市町村合併を全国的に推進をいたしました際には、やはり全国的に推進をするからには一つの基準が要るだろう、その基準をどのくらいにしようかという議論がございました。当時は戦後の混乱期でございましたわけでありますけれども、一番国の施策として早くやらなければいけなかったのがいわゆる六・三制の教育の問題でありました。つまり、各市町村にやっぱり中学校の一つぐらいはないとどうにもならない。そこで、中学校を一つ建てるためには最低限度どのくらいの生徒数が要るだろうか、ここら辺から考えたようであります。中学校一つ運営していきますために必要な生徒数、これを割り出しまして、その生徒数を維持するためにはどのくらいの人口が必要だろうか、こういう逆算をいたしまして、おおむね人口八千人、これが町村としての当時の適正規模だろう、こういう結論を当時は得たわけであります。
 その後の社会情勢の変転を考えて、将来は一体どの程度の人口水準というのを適正規模と考えるかという問題が一つの宿題になってまいっておるわけでありますけれども、区域の問題、つまり人口規模の問題と申しますのは極めて密接に事務処理の能力範囲、つまりどのくらいの仕事を市町村がサービスとして行わなければならないかということと密接に関連をしてくるわけであります。今後、国の権限移譲がどうなりますか、今のところ予断は許しませんけれども、先ほどのお話にも出ておりましたように、場合によっては市町村の人口段階別に事務移譲の種類というものを考えないといけないという議論が出てくるかもしれません。その場合に一体全国的な適正規模というものがどのくらいのものであるかということがあわせて議論になるかと存じます。この問題につきましては、一律に人口だけでいいのか、そのほか産業構造、そういったものも考慮しなければいけないのじゃないかというような話が出てまいるかとも思いますけれども、地方制度調査会としましても今後の一番大きな検討課題という考え方でおりまして、今次の地方制度調査会におきましても一つの検討材料として提起されておるところであります。
#28
○中野明君 いま一点お尋ねしますけれども、適正規模という観点からなんですが、一番最低といいますか、私もちょっと感じますのに、もう行政の体をなさぬというような状況にあるような小さな村なんかもあるわけなんですが、最低限はどの程度が限界点だと、このように考えておられますか。その辺、何かお考えがあればおっしゃってください。
#29
○政府委員(大林勝臣君) 現在はそれぞれの市町村におきまして非常に人口格差がございます。この場合に、最低限度どのくらいの人口がなければならないのかという御質問、どうも大変これは難しいわけでありまして、地理的な問題も出てまいりましょう。合併しようとしてもとても海の中に離れておる、あるいは山脈に囲まれておるということで物理的になかなか合併ができないというところ、これは昔から合併不能町村、こういうふうに言われておるところでありますけれども、そういうところは除きまして、一般的な状況のもとで最低限度どのくらいあればいいのかという問題、昔が人口八千人だったから現在はどのくらいか、こういう御趣旨だろうと思いますけれども、なかなか一律に現在の段階では最低限度このくらいの人口規模が欲しいなということを責任を持ってお答えするまだ状況にないということをお断り申し上げます。
#30
○中野明君 非常にそれは難しい問題で、住民の意思が基本であることは私も十分わかるのですが、特殊事情で、先ほど申し上げましたように、ダムが建設されて水没地域ができて、それでほとんど出ちゃって千とか八百とかいうようなことになって、果たして行政としてこれは体をなすのだろうかと心配しているのです。何とかやってはおるようですけれども、そういうことから考えて、やはり国としてあるいは自治省として、さっき申されたように特殊なところは別ですが、しかし情報化時代にもなりましたしニューメディアもかなり取り込んでいけるわけですから、一定のやはり八千という、先ほどからおっしゃっておりましたが、これ以下の団体に対しての何か指針というのですか、そういうことをお出しになる考えはないのですか。
#31
○政府委員(大林勝臣君) 御指摘のような問題がございます。特に二十一世紀における社会情勢の変化、こういったものを頭に置いて、一体そういう非常に小さい町村が生きていけるのかというような問題は対応するためには、せめてこの程度の規模の町村になってくださいよというのも一つのやっぱり行政の役目であろうと思います。
 問題は、その基準をどこに置くかということが現在の段階ではまだ残念ながら結論が出ておらない状況でございまして、そういった問題を含めて地方制度調査会で検討をお願いしておるところでございます。
#32
○中野明君 それで、この法律なんですが、前回は単純延長でございましたが、今回は少し若干の改正を加えておられるようですけれども、この法律の趣旨に変更はございませんか。
#33
○政府委員(大林勝臣君) この法律の趣旨には変更はございません。この法律自体は、昭和四十年に制定されました時点から専ら国が政策として一律に町村合併を推進するという方向はやめまして、自主的な判断で合併をする場合にやはり障害になる面がいろいろあるだろう、議員の任期あるいは交付税、補助金、そういった問題、こういう合併の障害になるものを取り除くというのがこの法律の本来の趣旨であります。
 ただ、今回一部手直しをさせていただきますのは、合併をいたしました場合に、特に編入をされた側からの立場で申しますと、どうもその後余り面倒が見てもらえない、今後取り残されるのじゃないだろうか、こういう不安も少なからずあるようであります。そういった場合には、合併をして取り残されるのじゃないかという不安もやはり除去しておくことが合併の障害の除去ということになるであろうと考えまして、合併の建設計画、こういったものを恐らくは編入される側の建設というものが当然重点になろうと思いますので、そういったものについては地方債について適正な配慮をしましょう、こういう条項を盛り込んだわけであります。つまり私どもの頭では、合併の障害の除去の一つである、こういう基本認識でありまして、従来の基本的な考え方と今回の改正は変わるものではございません。
#34
○中野明君 最近合併に伴う紛争というのがあちらこちらで問題になっているわけなんですが、これは前回の延長のときの論議を見せていただきますと、やはり時限立法でやるための紛争じゃないかというニュアンスで議論がなされているわけなんですが、その合併に伴う紛争の問題についてどうとらえておられますか、お答えいただきたいと思います。
#35
○政府委員(大林勝臣君) できるだけ自主合併の推進をするという立場から申しまと、住民全体が合併について賛成するという状況になるのが、これは一番理想であり好ましいわけでありますけれども、それぞれの地域において住民の間でいろいろまた意見が違うというのも、これまたやむを得ないことであろうと思います。この合併というのは、したがいまして相当の長い年月をかけましていろいろ住民に議論をしてもらう、そういう歴史を踏まえて今日までやってきていただいておるわけでありますけれども、その紛争自体がこの特例法が時限立法であるから起きておるのだというような面はないのじゃないか。この特例法を十年間の時限立法にしておりますのは、本来の行政のルールに対するやはり特例でありまして、特例は特例だから、特例とすべきものはやはり一本の法律で期限を切ってその都度御審議をお願いするのが一番いいだろう、こういうことで今日までお願いをしておるわけであります。特に時限立法ということで住民紛争というものとの直接のかかわり合いは私どもはないのじゃないかと考えております。
#36
○中野明君 これが期限切れの間近になるとそういう問題が起こるということですから、やはり期限内は間に合わそうということで合併推進の人たちが急がれる余りの紛争じゃないかと、こういう認識を私どもも持たざるを得ぬのです。紛争の起こっている時期を見ますと、どうしても期限が近づいてくると起こっているということですから、今のお答えは正確にそれをとらえておられないのじゃないかと、私はこういう気がするわけです。ですから、そういうことをなくする上からも、やはり住民の要望であり住民の意思がまとまれば、合併は時代の流れとして当然私は必要だと思っております。ですから、それぞれの法律の中に合併の際の特例措置を本法の中で入れておけばそんな問題も妨げるのじゃないかと、こういう感じがするのですが、お考えはどうなんですか。
#37
○政府委員(大林勝臣君) 確かに、一つの時期の問題として合併推進派がかなりの焦りを持つということは、この法律の有効期限が決まっておるということと関連をして結果的に起こってくるとは私どもも思います。
 そこで、御指摘のように、こういったいろんな特例を定めるのであればそれぞれの本法の中に組み込んだらいいではないかという御意見、これも一つの御意見であろうと思います。ただ、制度の一つのルールといたしましては、こういった特例がなくとも自主的に合併をするときには合併をしていただくのが本来は一番いいわけでありまして、これだけの特例を定めるというのは結局はやはり特例でございます。そこで、この特例を個々の法律の中に組み込むというよりは、特例は特例として、そういったものは一本の法律にまとめておきます方が運用上も便宜であるし一般の方々にもわかりやすいと、こういうことで一つの特例法としてまとめておるところであります。先生の御意見は確かに一つの御意見であろうと思います。
#38
○中野明君 一番最初にお尋ねしましたように、過去の前期十年間と後期十年間の合併の実態から見ましても、そうこれから爆発的に合併が行われるというような状況でもないように思います。しかしながら、将来の長期ビジョンを考えますと、やはり地域住民のサービス、そういう問題あるいは社会情勢の変化から見て、ある程度行政がそれだけの対応できる能力を持つということで、先ほど申し上げたように人口の問題に戻ってくるわけなんですが、そういうことで自治省として、国としては、将来ともにやはり一定の線まで人口が保持できるような合併の方向というものは、私は好ましいと思っておられると思うんです。
 そういうことを考えますと、地域の住民としては、なるだけ田舎へ行けば行くほど今のままでいいという考えの人も随分ありますけれども、それに対してやはり合併を側面から推進していく方がみんなのためですよということからこの特例が設けられているのでしょうから、本法の中にそれを組み込んでおいたからといって決して不都合はない。そうしないと、この特例法ということでこれを延長しますと、もう三十年ということになります。特例、特例で三十年も続けるということはいかがなものかという議論も私ども持っているわけです。しかし、要望があればそれに側面から応援してあげるということは必要なことですから、今回のこの法律を我々は是としておりますけれども、そういう状況から考えて、ぜひそういう方向で一応検討をなさる必要があるのじゃないだろうかと、こう思っておりますが、最後に大臣から、この市町村の適正規模の問題、そして特例法をもう何遍も何遍もというのはいかがなものかということに対して大臣の御所見を聞いて終わりたいと思います。
#39
○国務大臣(古屋亨君) 中野先生のお話を聞きまして、実は一週間ばかり前に私の地元におきましても、一番初めに言われました合併の問題で、やはり今度何とか直したいというような意向がありまして、ちょうど先生の、時期が来る直前にこういうような紛争の問題があると、私全く同感で、自分も地元でそういうことをこの間聞いたばかりでございます。
 そういう意味におきまして、基本的にはやはり市町村の自主的判断を尊重する、この基本は変わっておりませんが、地方制度調査会の報告もございますように、規模が二百九十万のところもあれば二百人のところもあるというようなことでございますし、住民の日常生活圏とそれから市町村の行政区域との乖離の問題もございます。行政事務の再配分の受け皿として市町村の基盤の未整備ということの問題がございます。私は、住民意識の一体化の進展あるいは広域行政の定着化などによりまして条件の整った地域においては、関係市町村の自主的判断に基づいて合併を進めることが望ましいと考えております。
 今の先生の最後のお話であります特例、特例で三十年も延長するのは、確かに私はそのとおりだと思いまして、今後恐らく遠くなく、地方行政全般につきまして、いろんな制度につきまして御支援を得て整備をしなければならぬ機会が私は近く来ると思います。
   〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕
そういうときにおきまして、こういう問題の取り扱いも十分御意見の点をしんしゃくさしていただきたいと思っております。
#40
○神谷信之助君 まず最初にお聞きをしたいのは、十年前にこの特例の延長を審議をしたときに、当地方行政委員会で附帯決議をいたしましたが、その第二項の「市町村の自主的合併に当っては、民主的に行われるよう住民投票等を極力推進すること。」ということを当委員会で決議をしておりますが、この住民投票などを極力推進をする努力というものをこの十年間どうなさってきたのかという点をまずお聞きしたいと思います。
#41
○政府委員(大林勝臣君) 十年前に委員会の御指摘をいただきまして、私どもとしましても地方制度調査会に御意見も伺ったところであります。地方制度調査会におきましてもいろんな御議論があったようでございます。
 昭和五十一年の第十六次の答申の中に「住民投票制度の拡張」と題しまして、「現行制度においても一部に住民投票制度が採用されているが、住民の自治意識醸成の見地からも、例えば、地方公共団体の廃置分合、特定の重大な施策、事業を実施するために必要となる経費に係る住民の特別の負担、さらには議会と長との意見が対立している特に重要な事件等について、住民投票制度を導入することを検討する必要があろう。」と、こういう御意見をいただいております。ただ、それに条件がついておりまして、「しかし、住民投票制度は、代表民主制に対する補完的な制度として採用されるものであって、それにより議会や長の本来の機能と責任を損なうことのないように配慮する必要があると思われる。」、つまり、一言で言いますと、こういった廃置分合でありますとかその他、その地域における重大な施策の決定に際しまして住民投票制度というものを採用することを検討する必要があるけれども、その検討に際しては本来の議会や長の権限を損なうことのないように配慮しろと、こういう御注文でございました。非常にそこが難しいわけであります。
 そこで、私どもいろいろその後勉強を続けてきたわけでありますけれども、現在のシステムそのものが御案内のように間接民主主義で、つまり議会というものの地位、機能というものでほとんどが動いておるというシステムになっております。確かに、条例の制定改廃、こういう住民投票がございます。あるいはリコール、こういった住民投票がございます。ただ、条例制定改廃の住民投票と申しましても、住民自身がその条例をつくり、その条例の成立を決めてしまうものではなくて、一つの発案であって、やっぱり最後は議会がその判断を持っておる。あるいはリコールにいたしましても、これは一度選挙したけれども後で何か非違があったからもうやめさせようというようなものでありまして、これも一つの特殊なものであります。つまり現在の制度上は、住民投票はそれによって、つまり住民の投票によって政策を決定するという意味の住民投票制度は実は採用してない。これはやはり長や議会の権限というものを重く見ておるからそうであろうと思います。
 そこで、こういった合併問題を新しく住民投票制度で決めるというようなシステムを考える場合に、それは一つの政策決定に住民投票を使うというような新しい分野になってくるわけでありまして、しからば合併のほかに、この地方制度調査会の答申にもありますように、その地域の特定の重大な施策、事業を実施するために必要となる経費に係る特別の負担、こういったものは具体的にどういうものがあるだろうかとか、さらには議会と長の意見が対立している場合の住民投票制度の導入という場合にどういう具体的なケースを考えて制度化したらいいのだろうか、しかもなおかつそういった問題について最終的に住民に決めてもらうんではなくて、やっぱり議会の権限は議会の権限として確保しておくという方策にどういう方策があるかと、いろいろ二つの要請を調和するために勉強してまいったのでありますけれども、なかなかこれという妙案が結局今日まで見つからなくて、御決議に沿うような制度的な改正が行われずに至っておるというのが今日までの経過でございます。
#42
○神谷信之助君 十年前のときにちょうど広島県の船越町と広島市との合併問題ありましたね。あのときには、最初有権者六割ぐらいの署名による請願書が出てきた。それらの合併賛成、反対の問題ではなしに、資料を広報に掲載することとか説明会や公開討論会をやることとか、あるいは最終判断は住民投票でやってもらいたいとかという、そういう請願でした。これが地方議会で不採択になって、代案として全戸対象のアンケートというものが議会の意思になりました。しかし、全戸対象のアンケートは住民投票と同じことになるということで町長が了承しないという、そういう状況で合併手続が進行していく。そこで、議会解散の請求が行われる。法定数の三分の一以上確保して選管に提出してやったのですけれども、ここでまたトラブルが起こって選管が全員総辞職してしまう。こういうことになって、結局三月二十日の合併期日前に住民投票を行うことができない、こういう結果になって結局は中止になった。
 私は、これは大変重要な問題だと思うんです。合併問題そのものについての住民投票を行う制度というものがない。したがって、そうなるとその合併を進めている議会の構成そのものを改めて選挙によって問うということで議会解散の、これは憲法十五条に基づく国民固有の権利、これを行使しようとしたら、町長の方が、署名した者を徹底的に調べいと、呼び出しをじゃんじゃん出すということをやって、それに対して抗議をして選管委が総辞職してしまった。実際、事実上できなくなった。当時の自治省の方の答弁にも、これは権利侵害ということには当たらないけれども、少なくとも結果としてやっぱりそういう事態を引き起こしたという答弁を当時の林行政局長がなさってます。そういう事態を回避するために具体的にどうしたらいいかということで、これを未然に防止する措置、これをひとつ考えるべきではないか。
 例えば合併は特別決議にして、過半数じゃなしに三分の二の議決にするとか、あるいは公聴会とか部落ごとの説明会を義務化するとか周知徹底を図る、そういう問題を提起をして、それはひとつ立法問題としては非常に十分検討する価値のある問題だというように答弁がなされていたと思うんです。当時の福田自治大臣も、今後検討して、必要であれば法案も修正してもいいという答弁をなさっていて、それが先ほど申し上げたような附帯決議の中身になってきたと思うんです。
 ところが、今回また同じように広島市と五日市町ですか、これとの合併問題、この三月二十日に成立をいたしましたけれども、これをめぐってもやっぱり同じ問題が起こっています。これも住民投票に付するという制度がありませんから、結局それを推進をする町長のリコールという形態をとらざるを得なかったわけでしょう。十一月の二十八日に合併協定書が調印をされると、そしてそれに対して十一月の三十日には法定数を上回る署名が選管で確認をされてリコールの要求が成立をする。そうして、十二月の八日に選管は一月二十七日のリコールの投票日を含めた決定を行っています。その直前の十二月五日には町議会の合併決議が行われて、これに警察官が導入をされて大変な混乱の中で決議がされる。あと実際には、合併の手続は広島市会が十二月十一日、広島県会は十二月十九日と手続が済んで、合併の官報告示が一月の十二日にやられた。こうなりますと、これはリコールは不成立になりましたけれども、仮にリコールが成立をしても、町長選挙が行われるけれども、合併手続そのものは完了したと、こういうことになるわけでしょう、この点いかがですか。
#43
○政府委員(大林勝臣君) リコールの成立のいかんにかかわらず、現行制度におきましては、議会の議決で合併が意思決定されるということになります。
#44
○神谷信之助君 リコールの手続といいますか、それから合併の手続というのはそれぞれ別個の手続ですから、それは強行採決とかいろいろな問題が仮にあったとしても、それはそれなりにちゃんと形式的には合法的に手続はそれぞれ別個に行われておる。しかし、その結果として、仮にリコールが成立をしても、合併そのものはもう済んでしまう。そうすると、憲法十五条に基づく国民の固有の権利、これが実際上の効果を発揮しないという事態、これがそのまま放置されていいのかどうかという問題が残ると思うのですが、この点はいかがですか。
#45
○政府委員(大林勝臣君) 合併問題に関連をいたしまして紛争が起こり、その結果御指摘のような事態が起こったということについては、私ども大変に残念に考えております。ただ、現行制度におきまして住民投票制度の導入がなかなか技術的に現在の段階で難しいことは先ほどお答え申し上げましたけれども、憲法との関連で申しますと、やはり地方自治の本旨に基づいて法律で組織運営を決めると、こう書いてあるわけであります。結局は地方自治の本旨は守らなければならないけれども、その地方自治の本旨をどういうふうに組織運営に反映をしていくかというのはこれは法律で決める、こうなっておるのが現在の憲法であります。そこで、憲法の趣旨を受けて現在の地方自治法ができており、合併特例法もその趣旨でできておるつもりでありますけれども、結局政策判断の問題になろうかと思いますけれども、私どもは現行のもとで住民投票が行われずに合併が行われたというだけで憲法の趣旨に反するというふうには考えておりません。
#46
○神谷信之助君 私は、住民投票が行われなかったということで合併手続を進めた、成立した、それが憲法の趣旨には反しないというそのことを問題にしているのじゃないのです。だから、憲法十五条の規定と、片一方は九十二条の地方自治の本旨に基づいて法律でこれを進めていく、これに基づいてやるのですけれども、この点を法制的に調整をするといいますか、この関係をもう少し明らかにしていくような法律というもの、あるいは法制、このことが考えられないかどうかという点が一つ。これは確かに局長が言うように、いろいろな問題を持っていることは事実です。しかし、地方自治が団体自治と住民自治、そして住民自治の中身として、間接民主主義を基本にしながら直接民主主義でこれを補完をしていくあるいはチェックをしていくということでリコール権その他をつくっているわけですから、これがその機能を果たし得ないような状態というのは、それじゃ逆に言うと、立法の趣旨からいっておかしいのではないのか。
 そこで、五日市町の問題でいいますと、五十三年でしたか、同じように強行採決をした時期がありました。当時は今参議院議員になっている宮澤さんが知事で、仲介に入って一応もとに戻すといいますか、それ以上強行しない措置をとって、十分に納得がいくようにしなさいと、そういう賢明な措置をとられたのですけれども、そういう請求権に基づく行為が行われてきた場合に、少なくともその効果が発揮されないような事態を招かないように、行政側といいますか議会側といいますか、こちらの方は慎重に対処をするというこの点の指導を自治省として、当事者の方は感情的な問題もあったりしていろいろしているでしょうけれども、冷静に自治省が判断をして技術的な助言なり指導というものをやるのがいいのじゃないだろうか。少なくともそれは現行制度の中でもできるし、やらなきゃならぬ問題である、こういうように思うのですが、いかがでしょうか。
#47
○政府委員(大林勝臣君) 要するに合併問題につきましては住民の意向にそごがないように、できるだけ大多数の住民の賛成を得て行われるのが一番いいわけであります。
 御案内のように、五日市町の合併問題というのも相当長い歴史を持っております。五十三年当時の紛争もございました。そういったものを眺めながら実際の合併処分を行いますのは知事であります。昔は内務大臣の許可を得てという国の包括的な権限の中に入っておりましたけれども、現在は地方の自主性ということで知事が判断をする。そこで、知事といたしましても五十三年の紛争を頭に置きながら、なおかつそれ以降今日に至る経緯、五日市町の中における情勢、こういったものを総合的に判断をされて今回の処分になったものと私どもは伺っております。広島県は広島県なりに極めて長年月、慎重に配慮された結果であろうと思います。
#48
○神谷信之助君 私は、今この問題で広島県知事のとった態度についてどうのこうのと言うわけではないわけです。これからこの特例十年延長しようとするのでしょう。そういう事態が起こったときに自治省としては慎重な対処を求めるのが当然ではないだろうか。私は、特に広島の場合は政令指定都市になりたい、百万都市をつくりたいということで、ある意味では相当な力の集中があって、そこから無理もあったのではないかというふうに思いますけれども、いずれはしても我々は、町村合併というのは恋愛結婚であるべきだ、政略結婚であってはならぬ、その政略結婚的においが大分強いところに常に紛争が起こってきているので、自治省の方も恋愛結婚でいきたいと言うておるのだろうと思うので、無理がある場合には慎重にやりなさいよという指導はこれからの問題としてやるべきだというように思うんですが、いかがですか。
#49
○政府委員(大林勝臣君) 紛争が起こらないように、できるだけ関係住民の納得のもとで合併が行われるというような指導は今後ともいたしてまいりたいと思います。
#50
○神谷信之助君 この点はひとつ大臣の方にもよろしくお願いしておきたいと思うのです。
 もう一つの問題は、先ほどもちょっと話がありましたけれども、合併の場合は特例法で一本にした方がいいという局長の答弁でしたけれども、合併の場合には特別にこういうことをしますよということですから、そのことを私は本法の中にちゃんとしても、その中身は別にして、そのこと自身は可能なことだしその方がいいではないか。三十年も延長せんならぬというそんな特例じゃなしに、特例として本法の中に、ただしとかなんとかというのはほかにも余計あるのですから、そういう措置がなされるべきだと思います。
 ただ、今回やられる場合、どうも気になるのは、恋愛結婚を目指しているのだとおっしゃるのだけれども、臨調の基本答申の中身を見ましても、結局は市町村合併の条件整備を図れ、地域の自主性を尊重しつつも合併を推進すべきであるということですし、それから地方制度調査会の方も市町村の規模の適正化について検討して、そして市町村合併の推進の方向というのを出されています。こういうことなんですが、それから自治省の出された六十年度の地方行政重点施策ですか、その中にも「市町村の規模の適正化についても検討をすすめる」、「市町村の自主的合併を促進するために所要の措置を講ずる」、こういうふうにあるのですけれども、具体的にお聞きをしたいのは、所要の措置を講ずるというのはどういうことを考えているんですか。
#51
○政府委員(大林勝臣君) 昨年策定いたしました自治省の今年度の重点施策の中に、合併関係について所要の措置を講ずると、こういうことを盛り込みましたのは、まさに今回合併特例法の期限切れになることを頭に置きまして、これの延長ということを考えた結果でございます。
#52
○神谷信之助君 これは去年の七月三十日ですか、「「定住構想推進のための市町村の適正規模及び広域行政の展開に関する調査」研究要綱」というのを出されていますが、これで研究委員、幹事をつくって研究を始めておられるようですが、この中で適正規模、これの研究、これの結果が出てくれば、この適正規模を基準にして、ちょうど二十八年当時と同じですね、八千なら八千とか、これを合併の基準として促進をする、そういうことをお考えになっているのではないのか、この点はいかがでしょうo
#53
○政府委員(大林勝臣君) ただいま御指摘になりました研究の状況については私どもまだ現在の段階でつまびらかに承知はいたしておりませんが、いずれにしろ今後国土庁の方で定住構想を見直すその場合の一つの問題として、将来の市町村の適正規模ということに言及をされておるのであろうと思います。
 この問題につきましては、各方面で二十一世紀の社会経済情勢の変化を頭に置きながら今から研究をする必要があるということで勉強をされておるわけでありますけれども、私どもといたしましても一つの勉強課題とは認識をしております。老齢化人口というものが非常に急速に進む、そうすると地方におきましてはもう非常に老齢者ばかりが残るようなところもできてくるのではないだろうか。これは非常に極端な話でありますけれども、そういったことも頭に置きながら、二十一世紀の地方自治を進展するためには最低限度どのくらいの規模が必要かということは今後とも勉強してまいるつもりでありますけれども、現在の段階でそういった結論が出た暁に二十八年当時のような全国一律の合併推進ということを頭に置いて勉強しておるわけではございません。
#54
○神谷信之助君 それじゃ、現在のところはそう頭に置いておらぬというのだけれども、できてきたら今度はそれが息を吹き返す、死んだふりしておるけれども、生き返る危険というのは否定できないわけなんで、その点が非常に我々は危険だというように考えます。
 最後に、大臣にお伺いしますが、先ほど申し上げましたように、自主的な合併を進めていくのだという御趣旨ですが、すなわち恋愛結婚がいいのであって、政略結婚ではいけないということです。そういう意味では、私は十年前の議事録を見ましても、当時の林行政局長も、間接民主主義がもう絶対に正しいというわけではない、そういう点では直接民主主義に基づくチェックというのは必要だと、それがそういうことになっているので、それが結果としてその効力を発揮してないというのを遺憾の意を表しておられましたけれども、この点は先ほど言いましたように、具体的にそういう問題が起こったときに当事者はかっかしますから、いずれにしても慎重にやっぱり対処して、国民の固有の権利が生かされるように十分配慮してもらいたいという点が一つと、それから先ほど言いましたように、画一的な合併は進めるべきではないという点についての見解を最後に承っておきたいと思うんです。
#55
○国務大臣(古屋亨君) 基本的には市町村の自主的判断を尊重すべきものであるということは先ほどから申し上げるとおりでございます。ただ、地方制度調査会小委員会の報告で、現在の市町村の規模におきまして格差が相当ある、あるいは生活圏と行政区域との乖離とか行政事務の再配分の受け皿として市町村の基盤が未整備という問題がございます。私どもといたしましては、広域行政の定着化等によりまして条件の整った地域において市町村の自主的判断に基づいて合併を進めることが望ましいと考えております。今までのように、合併促進のために今後は全国一律的に、画一的に合併を促進するという考えは絶対にありませんので、その点はひとつ御了承いただきたいと思います。あくまでも市町村の自主性を尊重するという立場で行いたいと思っております。
#56
○三治重信君 自治法の関係のことでお伺いしますが、自治法の中に合併の条項が入っていないような気がするのですが、これはやはり市町村、地方自治体の合併という問題については、自治法をつくったときにはそういう問題を余り考えないでやったのか。合併の問題を出したのは、今六法を拾ってみると、二十八年の町村合併促進法、これは市も入っていない。町村合併促進法といって二十八年に初めて特例法をつくったみたいになっているのですが、その点のいきさつはどうなっているんですか。
#57
○政府委員(大林勝臣君) 地方自治法におきましては、合併につきましては合併をする場合の手続を第七条以下に書いてございます。
 ただ、御案内のように、町村合併促進法あるいは市町村の合併の特例に関する法律に書いてありますようなことは自治法の中には組み込まれておりません。昭和二十八年に町村合併促進法が制定されました背景には、当時の市町村が一万を超える非常に小規模な市町村が多い。戦後非常に市町村の事務がふえまして、当時としては戦災復興あるいは食糧配給、そういったものを市町村が責任を持ってやらないといけない、あるいは六・三制を実施しなければいけない、いろんな施設をつくらぬといけない、そういう場合に非常に小さい財政能力のない町村では事務にたえない。したがいまして、昭和二十四年にシャウプが参りましたときに、シャウプ勧告にもこの合併問題というのが取り上げられ、これを受けて地方行政調査委員会議におきましても町村合併の推進ということが一つの大きな政治課題としてうたわれたわけであります。しかも、なおかつ当時の地方団体側、知事会あるいは議長会、町村会、そういった地方六団体側からの町村合併促進の御要望というのが今日では考えられないほど非常に強く出ておりました。そこで、町村合併促進というのを一つの政府の大きな政治課題として取り上げまして、国会御自身で町村合併促進法をおつくりいただいて町村合併という施策を進められたという経緯が一つございます。
 それが昭和三十年代に入りましておおむね目標の三分の一の町村数になった。つまり合併計画がおおむね達成されたということで、一応一律に全国合併を進めるという施策はこれをやめまして、それ以降の社会経済情勢の広域化に伴う広域行政に対処する方法としては、まず市町村が手をつないで共同処理の方式を進めよう、その共同処理の方式を進める上で地元で自然的に合併機運というものが盛り上がれば、それはそれでそういう機運は推進する必要があるであろう。つまり、自主合併の推進ということに政策を転換をいたしたわけでありまして、これが今日の市町村合併の特例の法律になって今日に至っておるわけであります。
#58
○三治重信君 この原則の方だと、結局市町村の廃置分合、境界変更という原則だけしか出てないわけです。だから、結局特例が必要だと、こういうような格好になろうかと思うのですが、これだけ各市町村の方で権利義務やいろいろ複雑なことが出てきた場合には、こういうような簡単な規定を再検討してもらって、やはり今後とも町村合併というのは必要だし理論上出てくるのだから、基本法の中へ新しい章を設けて入れてもらうような方が私はいいのじゃないかと、こういうふうに思います。町村合併の規定は基本法にあるから、そのほかのことは特例でやるのだというのが答弁の趣旨のようですけれども、そう法律のもとを改正するのを拒まぬで、やはり地方自治において町村合併というのが基本的に常に出てくる問題だということになれば、自治法を改正して新しい章を設けて、そういう総則ということだけでなくてやるようなことをひとつ特別御検討を願いたいと、こう思うわけであります。
 そこで、合併までに至らぬで地方自治体が今後いろいろ住民のサービスをやるためには、これは自治法に一部事務組合や地方開発事業団、協議会等という特別地方公共団体の事例がずっと書いてあるわけなんです。だから、その事例はいいわけなんだが、そういう問題でひとつ私は、こういう地方自治体が一部事務組合というものを相当利用してきているのじゃないか、またそれがやはり地方自治体が住民のサービスをやる上において、各地方自治体が独自に独立して行政でやるわけじゃなくて、関係市町村と共同で事務組合をつくり、あるいは事業団をつくって住民サービスをやるという機運が相当出てきているのじゃないか。それはまた非常にいいことだし、何も合併ばかりじゃなくて、そういうことによって多様な格好でやるということもいいのじゃないかと思うのですが、こういうものの実際はどういうふうになっているかひとつ御説明願いたいと思います。
#59
○政府委員(大林勝臣君) 広域共同処理事業というものを昭和四十年以降特に推進してまいっております。現在、一部事務組合の設置件数がもう二千九百十八件に上っておりまして、共同処理方式の中では四七%を占めるというふうにふえてまいっております。基本的にはこういった一部事務組合の共同処理方式が一番私ども望ましいと考えておりまして、今後ともこういった一部事務組合方式の共同処理を推進してまいろうと考えております。
 一つ問題点がございますのは、これは地方制度調査会等でもいろいろ御議論いただいておるわけでありますけれども、それぞれの共同処理をいたします場合に、団体がそれぞれ独立をしておりますから、やはり相談事、協議、こういったものに非常に時間がかかる、あるいは中心市が得をするのではないかとか損をするんではないかとか、負担の割合の協定、そういったものになかなか現場では苦労話が絶えないようであります。今後一部事務組合をできるだけ複合化しましていろんな多様な共同処理ができるようにさらに進めてまいりたいと思いますけれども、この組合の運営方式、これをどう簡素化できるであろうかというのが今後の一つの課題として考えております。
#60
○三治重信君 確かにそういう問題が出てくると思う。一部事務組合はどっちかというと事業をやるという事業の方でしょう。したがって、そこの事務組合の組合長というのですか、そういう者のいわゆる経営責任というものがしっかりそこに委任されないで、両方の市町村の議会や市長が勝手に口を出すというと、それは意味をなさないということだろうと思うのですが、そういうことについてひとつ自治省の方で事務組合の関係で特別措置をするようなことをやる、さらに自治法の改正でそういうことがやれるように私はやるべきだと思うんです。確かに事務組合のやり方について簡便な、しかも事業の責任が完全に移譲される方法で検討されることが必要じゃないかと思うのですが、そういうことをひとつ特にお願いしておきたいと思います。
 それから関連して、政令指定都市というものをつくってだんだんふえているわけなんですが、一般の市と政令指定都市とどう変わるのか。政令指定都市は、県のやることを政令指定都市だとできるということに一般的にはなっているわけなんですけれども、どの程度政令指定都市というものの県の行政と調和といいますか、権限移譲なりしていって一般都市と比べてどう特徴づけていくのか、またそれがどういうメリットがあるのかということを考えてみると、私は何と申しますか、政令指定都市の考え方というものがどうも納得というのですか、はっきりしないような気がするのですが、そこをどういうふうにお考えになっているのか。
#61
○政府委員(大林勝臣君) 御指摘のように、政令指定都市の現行制度というものがかなり都道府県で行うべき事務を政令指定都市が行うというスタイルになっておりますけれども、そうかといって都道府県と比べまして政令指定都市が全く同一ランクになっておるかどうかという話になりますと、まだまだそこまでにはいっていないというのが現状であります。ただ、政令指定都市というのは理屈というよりもむしろ非常に長い歴史的な沿革を受けておるわけでありまして、昔の三府五港の時代から特に大都市に対しては特別な地位が与えられてきたわけであります。戦後はそれを特別市としまして、全く県から独立をした一つの地方団体にしたらどうかという議論がございました。
 地方自治法を戦後改正をいたしましたときに、特別市制度というものを設けて県と同列の地方団体をつくるシステムにいたしたわけでありますが、その途端に特別市というものとそれを包括する都道府県というものとの関係を一体どう考えたらいいのだということを中心としまして、都道府県対特別市側の紛争が非常に激化いたしました。大変当時は困りまして、結局十年議論を続けました結果、昭和三十一年の地方自治法の改正におきまして、当時の地方制度調査会の答申に沿って、完全な都道府県並みの特別市はこれはもうやめる。しかしながら、当時の人口でいいまして五十万人を超えるような大都市につきましては、都道府県の事務の一部を移譲いたしまして、一般の市とはこれは違うのだというランクづけをするという一つの妥協の産物になったのが今日に至っておるわけであります。政令指定都市というふうに特別市から名前が変わってきておりますけれども、今日におきましてもできるだけ事務権限の移譲ということが言われておる世の中で、さらに一層県から事務移譲してほしいという要望が政令都市側からはございます。
 ただ、こういう問題を解決する場合には、やはり政令指定都市を包括する都道府県の行政上の意見というものも十分配慮していかなければなりません。今後都道府県と政令指定都市とのいろんな意見の交換というものをめぐりまして、さらに政令指定都市の事務移譲に関する位置づけというものが形成されていくのであろうと、こういうふうに考えております。
#62
○三治重信君 そういうふうな妥協の産物で政令指定都市をつくった。しかし、県を通して市町村へやっているものを県を通さぬで政令指定都市へやっている。各省そういうことをやる省とやらぬ省とあるわけなんだが、しかしそのメリットはどういうところにあらわれているのか。ただ移譲しただけで、メリットというのか、行政事務の簡素化とか特別どういうところがよくなったかというような効果というものがどうもわからぬがどうなのか。
#63
○政府委員(大林勝臣君) 政令都市になりますと、法律上は特に民生、衛生、都市計画、こういった事務が県から移譲される。さらにはそういった事務移譲に伴いまして石油ガス譲与税等の税財源も移譲される。さらには市長の権限に属する事務を分掌させるために行政区が設置をされる。つまり、行政区が設置をされるということは、その行政区内の行政が、区役所というものができますから、住民の身近な行政が余計濃密にできていくであろうというメリットがあろうと思います。そういうことで一般の市とは異なった扱いがされておりまして、結局のところは、政令指定都市になればそういった事務移譲、財源配分、さらには行政区の設置、こういったものを通じまして住民の日常生活に直結した事務が府県との二重行政でなく、直接的に処理されるというところにメリットがあるというのが現状でございます。
#64
○委員長(金丸三郎君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#65
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#66
○神谷信之助君 私は、日本共産党を代表して、市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正すする法律案に対し、反対の討論を行うものであります。
 市町村の合併は、本来住民サービスの向上、負担の軽減あるいは市町村財政の健全化など、全体として地方自治の拡充を目指すとともに住民大多数の合意によることが基本とならなければなりません。
 しかるに、本法による特例措置は、このような合併の本来の趣旨から見ると極めて不十分なものであります。すなわち、財政上の特例措置は災害復旧を除けば交付税の算定の特例のみであり、これでは合併後の市町村建設計画に基づく事業の市町村負担分を補てんすることさえできないのであります。
 今回この市町村建設計画の事業について地方債の許可を優先的に取り扱う旨の規定が設けられましたが、これは何ら新しい財政措置ではなく、国の支出をふやさずに合併促進を図る措置にすぎず、地方への借金の押しつけの一形態であると言わざるを得ないのであります。
 また、本特例法は歴史的に見ると新産・工特法と連動し、財界奉仕の地域開発をねらいとした市町村合併促進の役割を果たしたものであり、引き続き、第二次臨調基本答申や地方制度調査会の答申等に見られるように、市町村の規模の適正化の名のもとに合併の推進が図られようとしている今、本特例法の延長が自主的合併でなく政策的合併の危惧を抱かざるを得ないのであります。
 さらに、現行の合併は住民投票制度など民主的な合併手続が保障されておらず、最近の広島市と五日市町との合併に見られるように、憲法第十五条の趣旨にそぐわない事態を引き起こしていることからして、慎重な対処を含め法的整備が求められているのであります。
 この点は前回の本法延長の際に既に指摘され、本委員会でも附帯決議が行われているところでありますが、十年を経て何ら具体的な検討結果を示さず、本特例法の延長のみを行えというのは余りにも国会を軽視するものと言わざるを得ません。
 以上、改正案に反対する理由を述べて討論を終わります。
#67
○委員長(金丸三郎君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認めます。
 それでは、これより採決に入ります。
 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#69
○委員長(金丸三郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 上野君から発言を求められておりますので、これを許します。上野君。
#70
○上野雄文君 私は、ただいま可決されました法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、日本社会党、公明党・国民会議、日本共産党及び民社党・国民連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
  市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、左の諸点につき善処すべきである。
 一 合併に当たっては、市町村の自主性を十分尊重し、住民投票等により住民の意思が極力反映されるよう努めること。
 二 合併に当たっては、特に当該地域の歴史的、伝統的地名、文化、風士等を尊重し、その保全を図るよう特段の配慮を行うこと。
 三 小規模市町村に対する財政的・金融的援助に十分配慮すること。
 四 本法は、その定める期間をもって廃止するよう万全を期すること。
  右決議する。
 以上であります。何とぞ御賛同をいただけますようにお願いをいたします。
#71
○委員長(金丸三郎君) ただいま上野君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#72
○委員長(金丸三郎君) 全会一致と認めます。よって、上野君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、古屋自治大臣から発言を求められておりますので、これを許します。古屋自治大臣。
#73
○国務大臣(古屋亨君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重して善処してまいりたいと存じます。
#74
○委員長(金丸三郎君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#75
○委員長(金丸三郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 午後一時二十分再開することとし、休憩いたします。
   午前十一時四十九分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十三分開会
#76
○委員長(金丸三郎君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。
 地方行政の改革に関する調査のうち地方行財政、消防行政、警察行政等の基本施策に関する件を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#77
○丸谷金保君 大臣の所信表明に対してお伺いをいたしたいと思います。
 実は先般、所信表明の流れをと思いまして、昭和四十年、四十五年、五十年、五十五年、それから五十六年からは毎年の分をずっと読んでみたのです。余り変わってないのです、この毎年の大臣の所信表明が、大臣はかわるけれども、中身は余り変わっていない。まさかお一人の人が全部原案つくるわけじゃないのだろうけれども、消防、警察という並べ方までほとんど一つの型があってそのとおりなんです。これじゃ、所信表明というのは昔のを読んでおればいいのかと思ったんです。ところが、さすがに古屋大臣になってぴかっと違うところが出てきたんです。さすがベテランの大臣になると違うなと思いまして、実は感心したんです。というのは、これ昔のには出てなかったし最近も余り出てないのですが、大臣は、「地方公共団体等が有する地域の情報を一元的に蓄積管理する総合的な情報のシステム」、これを検討する、これはやはり最近の一つの方向として出てきたのだと思います。
 それで、これは大臣がおっしゃっているのですから、特に大臣に聞きたいんです。ここに言う「地域の情報を一元的に蓄積管理する総合的な情報のシステム」というのはどういうものを指しているのか、ひとつもう少し詳しく教えていただきたいと思います。
#78
○国務大臣(古屋亨君) ただいまの先生の御質問でございますが、現在こういうような情報化時代と申しますか、時代におきましては、多くの地方団体ではニューメディア研究会などの検討会を多くの自治体でつくりつつある状況でございまして、高度情報化に対する取り組みが積極的に行われておる。そういう意味で、各種データベースを既に構築しているような公共団体は、数字で申し上げますと二百五十団体を超えております。また、情報通信ネットワークの構想や計画を持つ地方公共団体も増加している実情でございます。
 自治省におきましてはこれらの状況を踏まえまして、高度情報社会に即応した地方行政の推進を図るために、情報化の対応の一つとして地方行財政に関する情報を初めといたしまして、地域経済その他情報を総合的に蓄積、活用する総合的な情報システムの構築ということについて研究をしているのでございます。その具体的内容等につきましては、地方公共団体における情報化の動向や先進的な地方団体の取り組み等も参考にして積極的に検討を進めてまいりたいと考えております。
#79
○丸谷金保君 そうしますと、それは一元的に情報を集約していく、集積するということになると、例えばどこか一カ所自治省として管理する磁気ディスクか何か、あるいはそういった管理システムをつくるということなんですか。
#80
○国務大臣(古屋亨君) こういうような高度情報化の時代に対処しまして地方でもそれぞれ特性を生かして、今も申し上げましたように、検討あるいは具体的な構築を進めております。だから、私どもといたしましてはその構想を高く評価しますと同時に、自治省としても何らかこういうものにつきましていかなる組織をつくるか、いかなる研究をするかということについて検討を始めておるというのが今の段階でございます。
#81
○丸谷金保君 地方でこの種問題に取り組むときに非常に問題になるのは、市町村あるいは都道府県の職員にノーハウがないことです。北海道でもINSというようなことを始めようとしましたけれども、従来の自治体の職員ではほとんどそういうことに対するノーハウがないので、電電公社その他から特に人を派遣してもらって検討を始めている。自治省はノーハウがあるんですか。
#82
○政府委員(石山努君) 情報化に関連をいたしまして今後地方団体としてどう対応するかということは、今大臣からお答えいたしましたように、非常に大きな問題でございますが、今御指摘もありましたように、地方団体側としてもなお現段階におきましては今後に検討、研究を要する問題が非常に多く残されております。そういうことから各地方公共団体におきましては、ニューメディア研究会等の検討会を設置をいたしましてかなり積極的な研究、検討が進められているところであります。
 私どもといたしましても、そういう地方団体の高度情報化に対する取り組みというものとの関連も考えながら、自治省としても内部検討組織をつくりながら現在鋭意検討を進めているところでございます。
#83
○丸谷金保君 私がお伺いしているのは、自治省の中にそういうノーハウがあるのかということなんです。新しい情報化社会に対応するどういうシステムを入れていくにしても、地方の場合それがないので、みんな検討すると言って会議はするけれども、大体において進まないんです。自治省はどういうあれをお持ちですか。
#84
○政府委員(石山努君) 情報化に関連をする今御指摘のありましたノーハウ等につきましては、現時点においては私どもとしても必ずしも十分なものを持っているというようには申し上げる段階にはないわけでございまして、この点につきましては省内の検討委員会も設けまして現在鋭意研究、検討を進めているところであります。
#85
○丸谷金保君 鋭意研究、検討と言いますけれども、ノーハウのないところで何を検討するんですか。例えば今の国家公務員等の上級職試験で採用になってきても、ニューメディアとか情報化社会に対するこういうこと、例えばプログラムをどう組むかとかそういうことについて従来の形の中にはないんですよ。私たちも含めてないんです。だから、自治省には新たなそういう意味での人材を入れて検討しているのかどうかということなんです。従来の人が何ぼ集まって検討するといったって、これはできないんです。INSの問題一つとりましてもVANの問題一つとりましてもそうでしょう。そういうものがあるのかないのかと聞いているのであって、鋭意検討を聞いているのじゃないんです。
#86
○政府委員(石山努君) 御指摘のような点もございますので、私どもとしては省内に研究会等を設けておりますが、それについては外部のそれぞれの情報化に関連する専門の先生方にも御参画をいただきまして御意見を伺うと同時に、私どもとしてもそういう研究会を通していろいろと研究を重ねているというのが現状でございます。
#87
○丸谷金保君 つまり、自治省にはそういうノーハウはまだございませんということですね。そういう意味での人材を自分たちのところで持って、大臣が言ったようなことを進めていくためのそういう人材なりグループなりは持ち合わせていないから外部から呼んできて聞いて勉強していると、こういうことですね。
#88
○政府委員(石山努君) 省内には情報管理の組織としては情報管理官という組織がございまして、電算処理につきましてはその情報管理官室が中心となってこれを取り進めているわけでございます。ただ、今後の高度情報化というのはこれまでのものとは違いまして、その内容も非常に高度であります。しかも、非常に幅広いものでありますから、私どもとしてもそういうような今後の情報化の進展に即応して幅広い研究検討を進めなければならないというように考えているわけでございます。
#89
○丸谷金保君 検討はわかるんです。情報管理官がいても今やっているのはそれぞれインプットしてあるもので、これからの新たな、ここで言う高度情報化という全く違った次元に対する対応じゃないでしょう、今やっている仕事というのは。ですから、任用の制度その他の問題から検討しなければ、そういう意味で自治省が管理できるような仕組み、システムはできないんですよ。大臣、高度情報化社会というものに対応するのはそういうことなんです。そうすると、今の任用の制度の中からは自前の人材というのはなかなかできていかない。ですから、大臣がここでこれだけ明確にそういう方向へ行くと――行くことがいい悪いの論議はまだありますよ。全部管理されたら町村なんかたまったものじゃないから、ありますけれども、少なくとも所信表明で言うからには、そういう人材登用の道も設けていかないと、これはやっぱりまた毎年同じことを検討、検討でまた十年ぐらいやるということになりかねないのです。後ろから何か紙が回ってきましたからお読みください。何かそれに答弁出ているんでしょう。
#90
○国務大臣(古屋亨君) ただいの御意見、積極的に検討しておるということを申し上げましたが、具体的にどうするかというような問題に結局なってくるかと思うのでありますが、その検討している中におきましては、職員の資質の向上はどういうふうにやっていくか、あるいはまた専門機関として地方情報センターとどういうふうな連携をとっていくか、あるいは先進的な地方公共団体との連携をどういうふうにとるかということ等々を含めまして、今のお話のような検討を検討で終わらぬように前向きに十分検討いたしまして、具体的な案をつくってまいることを私ども考えております。
#91
○丸谷金保君 じゃ、もう一問だけ具体的に聞きますが、双方向システムは採用する予定なんですか。
#92
○政府委員(石山努君) 私どもの今検討しております内政情報ネットワークシステムといいますのは、地方公共団体におきましても各種のデータベースの構築など、かなり積極的な取り組みが見られておりますし、そういう地方団体を単位とするいわば分散型のデータベースと申しますか、そういうものと国におけるデータベースというものをオンラインで連結をいたしまして全国的なネットワークシステムというものを構築する、そういう必要があろうということで検討を進めているわけでございます。
#93
○丸谷金保君 その全国的なネットワークはわかるんです。INSというのはネットワークのことですが、それは双方向システムまで入れる考え方を持っているかどうかということなんです。長くなりますから簡単に言いますと、市役所なら市役所の管理機構がある。そこで例えば住民の方に情報を流すことはできますが、住民の方からポンポンとやれば印鑑証明くらいはさっと茶の間でもらえる、戸籍謄本くらいもらえる、そういう情報の管理を全部自治省がおやりになるのかどうかということなんです。自治体ではもうそこまで考えていますよ。双方向システムをやることはできるんです。線が一本でも、VANを入れればできますでしょう。そこまでやるつもりなのかということなんです。そうでないのだ、一方的な情報の集まってくるのを管理するだけだというのか。自治省は、ポンとキーをたたけば全国至るところのものがポンポンと末端の家庭にまで届くような、そういう意味での高度情報化社会に対する対応の仕方を考えているのですかと、こういうことを聞いているんです。
#94
○政府委員(石山努君) 今後INSの整備が二十一世紀へ向けて進められるわけでございますが、全国的な高度情報システムが実現をする、そういう段階におきましては、私どもの今検討しておりますところの内政情報ネットワークシステムというものも、国でも都道府県でもそれぞれのところで必要な情報が得られる、そういうような仕組みをつくる必要があるというように考えているわけでございます。
 今御指摘の住民票等の交付の問題は、既に三鷹の現在のINSのモデル実験においてもその対象に取り上げられておりますし、今後の地方行政における高度情報化の一環として当然今後検討をされ、推進をされるべき問題だというように理解をしております。
#95
○丸谷金保君 前に進みます。
 もう一つ、これは毎年言っていることなんですが、「最近における警察職員の不祥事案を踏まえ、警察職員の資質の向上を図るための警察教養の徹底と処遇の改善に配意する」というふうなことでおっしゃっておりますね。最近のこれを見ますと大臣、こういうのを舌の根の乾かぬうちにということなんですよ。しかも、御丁寧に二カ所で言っているんです。現在の所信をもう一度お聞きしておきたい。
#96
○国務大臣(古屋亨君) 新聞で昨日報道されました。今回また敢行されました。私も大変残念に、もう残念残念でございますが、不祥事件が起こっておりますことはまことに申しわけない次第と思っております。いろいろ施策を不祥事件の防止のためには尽くしておりますが、そうした中で元警察官による事犯が発生した、退職警察官の大部分が社会の中で立派に活躍しておるところに本件のような、またこの前の強盗のような事件が、元誓察官としての自覚に欠ける反社会的な行為が行われますことはまことに残念であり、また申しわけないと思っております。
 何といたしましても、警察の使命は士気の高揚、規律の堅持ということにあると思います。そうしなければ治安確保というものは大変難しいものでございますので、私はこういうような事件に対しましては、今後警察官に対しましてはその生涯を通じてみずからを正しく律するような、そういうような教育の徹底を警察官時代に図っていきますと同時に、退職した警察官についても今回のような事犯の再発防止にどういう方法があるか一生懸命で検討いたしまして、二度とこういう事件が起こらぬように、私もこの前の強盗事件、横浜の事件等で本当に自分の身を切られるような癖さで申しわけないと、国民の皆さんに大変私は申しわけない遺憾な出来事と思っておりますが、一層これを契機として規律の遵守ということにつきまして特段の配意をいたし、国民の信頼を得るよう警察庁長官を通じまして指示をいたすつもりでございます。
#97
○丸谷金保君 それで、こういうことが非常に問題になります。しかし、退職警官の問題にいたしましても、例えば警察官とかあるいは教員であるとか地方自治体の職員、こういう人たちは、何か問題を起こしますと退職後でも非常に世間は厳しい目で見ます。いいですか。やっぱりそれだけ倫理性を要求される、退職後も倫理性を要求されている、そういうふうな今の社会情勢です。
 そこで、そういう中でなぜラスパイレスというふうなことが問題になり、民間との格差がどうだこうだということが問題になるのか。これは違うはずなんです。違うものを一緒にしようとするところに私は大変問題がある。倫理性も要求される、退職してさえも世間の目は厳しい、そうすれば年金の問題にしろ何にしろ、そういう形の中できちっと位置づけてやらなければならないのじゃないか。きょうは年金問題はあれですが、年金一元化というふうなことについても、何かみんな同じになればいいのだというふうな風潮が臨調を中心にして流れています。私はそういうところをもう少し、違いは違いでこういうことがあるのだという点も、厳しく通達するだけでなくて、優しくあるいはまた温情を持って、おまえらしっかりせい、そのかわりこういう点は違う、ちゃんとそれだけ見ているじゃないかというふうなこともしっかりする必要があるのではないか。いかがですか、大臣。
#98
○国務大臣(古屋亨君) ただいま警察官に対するこういう事犯に対しまして、非常に先生からある意味におきまして御激励の言葉をいただきました。
 私どもは、やはり退職後におきましても今のお話のように元警察官あるいは元教員というものは特別の社会的地位、そういうように見られておるのでありますから、それに対する処遇あるいは解釈というものにつきましては、そういう特別の地位にあった者がやめて普通になってもやはりそういう特別の地位にあったということが社会間にあるわけでございますから、そういうような退職後の待遇あるいはまた就職の世話その他全般を通じまして、今度のような不祥事件が絶対にないように私も最善の努力をいたします。同時に、今のお話しのように通達だけではだめでありまして、やはりそういうことができるような環境をつくるということも十分ひとつ御意見に従って考えてまいります。
#99
○丸谷金保君 そこで、実は国連大学というのがありますね。これに対して東京都が土地の無償提供その他やるからぜひ東京に誘致したいというふうなことで進めておりまして、都議会等でもこのことが論議されておるようでございます。しかし、一方では国は昭和五十一年に、国際連合大学本部に関する国際連合と日本国との間の協定の実施に伴う特別措置法という中で国有財産の無償供与ということをうたっているのです。そうするとこの法律は、東京都が無償で出すのだといえば要らなくなりますか、どうなんでしょう。
#100
○政府委員(大崎仁君) 先生御指摘のように、国際連合大学、いわゆる国連大学がその本部を日本に持つということに際しまして協定が締結をされ、その二条三項で政府は国連大学の本部施設を大学の用に供するという規定がなされておるわけでございます。現在は渋谷にございます東邦生命ビルのフロアを国で借り上げましてこれを用に供しているわけでございますが、さらに協定上、恒久的な本部施設をいずれ国連大学の用に供するということになっておるわけでございます。ただ、それに関連をいたしまして国の財産の無償貸与等が、別途特別措置法で規定が設けられましたということにつきましては、財政法九条等の原則によりまして、国の財産を法律に基づかないで無償で貸し付け、譲渡というようなことをしてはならないという規定がございますので、これに対する特例を設ける必要があるということから特別措置法の規定がなされたというふうに承知をいたしておるわけでございます。
#101
○丸谷金保君 そこのところはよくわかっているのです。私の聞いているのは、国が無償提供していると言っているのです。東京都も無償で提供しますと言っている。しかし、これは本来国が法律を決めているのだから、国が無償提供するものでしょう。おたくの方の観点からいうと、そうすると東京都が無償提供するというのは一体どういうことなんです。こんなことできるのだろうかということなんです。これは、自治省は東京都がやること差し支えないと言っていますね。どうなんですか。
#102
○政府委員(花岡圭三君) この国連大学本部の用地につきましては東京都と国連との間で確認書を交わして、そして国連に対して無償貸与するというふうに聞いているわけでございます。私どもといたしましても、いわゆる地方財政再建促進特別措置法の規定に照らして一体妥当なことであるかどうかるる検討しておりましたところ、必ずしも趣旨において妥当なというものではないという感じはいたしますけれども、法律の規定から由しまして、国または公社、公団等に対する寄附あるいは無償での貸与と申しますか、そういった規定には該当しないということで、法律上違法であるという結論には達しなかったわけでございます。
#103
○丸谷金保君 当時国連大学は我が方へ我が方へと誘致合戦もありましたから、うちへ来れば無償で提供するという東京都の焦りもわかるのです。でも、国の方が無償で提供していると言っている、提供と法律までできているんですよ。国の方では国が出しますと言って、それに東京都が私の方は無償で出しますと言うのは特別措置法には抵触しないですか。自治省ではそれでいいというふうにお考えになっているようですけれども、そうすると国の法律何なのだ、要らないことになりませんか。国で出してくれるというのに何で東京都が無償で出す必要があるんですか。これはどちらかがおかしいことになりませんか。自治省は東京都で出すことに差し支えない、こういう見解ですね。
#104
○政府委員(花岡圭三君) 私どもの従来の指導的な考え方からいたしますと、国と地方との財政秩序の上から見れば必ずしも適当ではないのではないかとは存じますけれども、法律に違反する行為ではないということでございます。
#105
○丸谷金保君 東京都の財政局長が、これは自治省等に問い合わせたけれども、問題なしということだったと言っているんです。これは本当に問題ないんですか。ちょっと私問題だと思うんです。これは問題ないということでいいんですね。必ずしも好ましくないというのであれば、いろんな制裁措置やっていますでしょう、ラスパイレスやなんかでも。これは、自治省は認めるのですか。国がちゃんと法律で出すと言っているのを地方公共団体が、いやおれの方が出すからと、こういうことがまかり通っていくのでしょうか。片一方は法律ですよ。どうでしょう、もう一度。
#106
○政府委員(花岡圭三君) 確かに当時の立法ございまして、国の無償貸与の制度ができておるわけでございますから、考え方からいたしますと、本来これは国が提供しようとしたものだと私どもも思うわけでございます。ただ、横浜市あるいは東京都の間で誘致の問題が起こっているということから、いろいろこういったことになったのだろうと思いますけれども、そういった意味で、私どもいわゆる誘致合戦にこういったことをやるということは妥当ではないというふうには考えますけれども、これが国との間でございますれば明らかに問題、これは違法であるというふうなことは言えますけれども、国連との間でございまして、地方公共団体が国または公社に対して寄附金等を禁止しているあの規定には該当しない、そういった意味で、いわゆる都の行為についてこれは差し支えないというふうな結論を出したわけでございます。
#107
○丸谷金保君 これは、確認書では国連大学の学長と知事との間でもって調印しております。御承知のように、これはちゃんと東京都にできて、青山の車庫跡地でやると、こういうことになっているんです。そうすれば、これが差し支えないということになれば、文部省と大蔵省で提案したこの法律は廃止してもいいのじゃないですか。意味ないじゃないですか、これ決まっているのなら。
#108
○政府委員(大崎仁君) 協定上の義務といたしましては、何らかの形で本部施設を国連大学の用に供するということでございまして、どのような形態で本部施設を提供するかということはいわば日本側に任されておるわけでございます。この規定は現に暫定施設を無償で供与しておるということにつきましての根拠にもなっておりますし、それから今後青山車庫跡地に建物を建てなければならないわけでございますが、これを建物で建てました上で国連大学に無償で供与するという際にもこの規定が必要になるというふうに存じておるわけでございます。
#109
○丸谷金保君 そうすると、国と地方公共団体との間において、国は国でもって出します、地方公共団体は地方公共団体の意思として私の方も無償で出します、こういうふうなことは要するに地方自治法の精神からいって差し支えない。文部省の方もそれは認めるし、それから自治省の方もそれで差し支えないというふうに認めるというわけですか。こういうわけなんですね。
#110
○政府委員(大崎仁君) 文部省といたしましては、当時東京都の側から全く自発的に強い御要望があり、かつ時を同じくしまして国連大学側からも東京都の申し入れをぜひ受けたいという意向の伝達がございましたので、それらの御意向を尊重いたしまして、あの青山車庫跡地を用地にしたいということで当時閣議で大臣が報告した、こういう経緯になっているわけでございます。
#111
○丸谷金保君 自治省の方はどうなんですか。
#112
○政府委員(花岡圭三君) 先ほど来申しておりますように、考え方といたしましては必ずしも適切ではないというふうな面もございますけれども、東京都が国連の活動に協力するという意味合いでこういった措置をすることについて必ずしも違法ではないというふうな結論でございます。
#113
○丸谷金保君 適当ではないけれども違法ではない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。もう一度。
#114
○政府委員(花岡圭三君) 適当ではないと必ずしもそこで言い切っているわけではございませんで、私どもといたしましては、何も国連の問題に限らず、国の施設の誘致の問題等についてよくこのような事例があるわけでございます。そういった意味に似ておる点はございます。ただ、物が物だけに、いわゆる国連の活動に我が国の地方団体が協力するという点において特に問題があるというわけではございません。その辺で地方財政再建促進特別措置法の二十四条の第二項の規定の趣旨と、必ずしもこの点に照らして適当でないと申しておるわけではございませんけれども、本来的には、先ほど御指摘のございましたような特別の法律もあるわけでございますから、これは国が出してしかるべきではなかろうかという観点が一点あったわけでございます。そういった意味で、国と地方との財政秩序という一般的な私どもが指導いたしております点から見て若干適当ではないのじゃないかと思われますけれども、違法ではないではないかということでこれを認めたわけでございます。
#115
○丸谷金保君 角度を変えて考えますと、国が出すと言っているのですから、青山の跡地を国に買ってもらって、そして国が無償で提供するのならわかるのです。そこが適地だということで決めるのであれば、法律でもって無償で提供すると国側の方で決めているのですから東京都は、ここがいいからひとつこれは国が買ってくれ、そう言うのならわかるんです。みすみす何か都民が損しているという感じなんです。国が無償で出すと言っているのに東京都は、いや、おれが出すんだと言ってみすみす損をすることをやっているということは明らかですね。そういうことが自治法の精神からいって、再建措置法でなくて全体的な法の建前からいうと、必ずしもそれを賛成とは言い切れないというお考えだろうと思うんです。ところが、適切でないけれども違法でないということがどんどんまかり通っております。それに対してどうも東京都にはちょっと甘いのでないかという気がするんです。
 まず一昨年、五十八年ですか、国が制裁措置を東京都にやるということで、職員の給与の問題その他で制裁措置を行って起債の制限をしました。実際に調べてみますと、あれなんかでもそうなんです。五十九年の三月三十日に決定したというのだ。これで起債制限できますか。もうほとんど事業終わっているし起債も決まっているでしょう。聞くと何百億かのものはやめたと言ってますけれども、実際には三兆二千億の東京都の財政の中で百億単位のそれを、工事が施工して全部でき上がってから、これを抑えましたと言ったって、それは痛くもかゆくもないんです。やるのなら、なぜ後年度でやらないのですか。何にも実益のないことでやって、やった、やったと。これは実際は知事の権限で、適当ではないといっても違法じゃないから仕方がなかったのでしょう。認めざるを得なかった。あのときはベアか退職金、何か上積みでしたね。どうなんでしょう。
#116
○政府委員(花岡圭三君) 五十八年度に東京都がいわゆる国を上回る給与改定をやりまして、それに対して年度末で措置をしたわけでございますが、結局高給与団体について起債の制限をするというふうな決定がなりましたのが年度の後半でございましたために、東京都の場合を含め他の団体につきましても、これは年度末においてそういった措置をとったわけでございます。したがいまして、当時の起債の申請というのはほとんど追加申請に係るもの、こういった形になったのは御指摘のとおりでございます。
#117
○丸谷金保君 東京都は、実際にはそれで起債が許可にならなかったのはわずかあったけれども、事業はちゃんとやってしまったでしょう。どうですか。
#118
○政府委員(花岡圭三君) 起債を留保されたものと実際に事業をやった内容というものを一々調べておるわけでもございませんけれども、多くのものは退職手当債とかいうふうなものもございますので、現実に退職手当が支払われていることは事実でございますし、一般的に財政に余裕ありという形で起債の保留をやったわけでございますから、恐らく一般の仕事というものはできておるものと思います。ただ、公共用地の先行取得債などに係る分につきましては、その土地の取得はしてないというふうなこともあろうかと思います。
#119
○丸谷金保君 ベアとそれから起債制限の問題についても、自治省がえらい大きな声出して言うほどに実際は何の実害も受けてないです。そして、とめもできない。それで、一方ではまた地方の小さな公共団体に対しては物すごい圧力をかけている問題があります。しかし、それはまた別な機会にじっくりやらしていただきたいと思うんです。きょうは所信に対する質疑の段階ですから、少し先を急がしていただこうと思うんです。
 同じく今、東京都では公益信託の問題が勝鬨橋を中心にして出ております。これなんかも何か自治省の方でははっきりしない。いいのか悪いのか、一体どうなんです。高槻市からも出ておりますけれども、これなんかも絶対だめだとは言わないけれども、好ましくないというふうなことで、非常に有権解釈がはっきりしないんですね。
#120
○政府委員(大林勝臣君) 民間活力の活用の一環として、土地信託ということで地方団体が信託会社と信託契約を結んでいろんな施設を整備しよう、こういう動きが最近出ておることは事実であります。東京都もそうでありますし、高槻市などもそういうことを考えられておるようであります。
 問題は、そういった信託法に基づく土地信託というものを地方公共団体が行います場合に法律でどういう手続になるのだろうかということが一番真っ先に問題になるわけであります。従来全く経験のない世界であったわけでありますから、そこで地方自治法の上では、財産の取得なり処分なりいろいろな契約なり、そういった定型的なケースについて議会の議決であるとか条例であるとかあるいは契約の締結方法とかのルールがそれぞれ決まっておるわけでありますけれども、およそ信託ということを前提として法律ができておるのではないのじゃないだろうかという疑問が極めて強いわけであります。
 そこで、国が土地信託をする、地方公共団体が土地信託をする場合に一体法制上どうなんだということが現在問題になっていることは事実でありますけれども、大蔵省方面におきましても、国有財産法上土地信託というものが一体予定されておるのだろうかどうであるのだろうか、実際に適用ができるのだろうかということを今真剣に検討されておる最中であります。また、この財産の管理運用につきましては、地方自治法の財産の管理運用は国有財産の管理運用のルールというものを昭和三十八年におおむね受け継いでおりまして、システムとしてはおおむねパラレルなシステムになっておるわけであります。私どもとしてもいろいろ勉強はしておるのでありますけれども、現在のところは、信託というものは地方自治法がまず予定をしていないのであろう。地方自治法のルールに乗っかって土地信託をすることは法律上ちょっと無理であろう、こういう考え方になっておるわけであります。
#121
○丸谷金保君 私も、これは例えば信託を受けるナショナルトラストのようなああいう問題と、それから地方自治体が持っている財産を信託にかけている場合と二通りあると思うのです。これはやはり分けて、これからの法律の体制をつくっていく上でも検討しなきゃならぬ課題だろうと思います。ただ、例えば東京都がそういうものをやる場合には許可や認可の方の臨時措置令ですか、そういうふうなことで主務官庁の許可が必要ですね。そうすると、東京都がそういうことをやろうとすれば、主務官庁はこれは自治省でしょう。そうでないでしょうか、どうでしょう。
#122
○政府委員(大林勝臣君) いわゆる最近よく言われる言葉としましてナショナルトラストみたいな言葉があります。要するにこれは、一般の人々から寄附を受けて地方公共団体が主体となって財産の運用をする、これがいわゆる公益信託と言われておるものであります。今の東京都とか高槻市なんかの場合には、いみじくも今先生が分けて考えるべきだとおっしゃったように、地方団体の方が相手方に信託をするという問題でありますから、そこに許可関係はございません。地方団体が金融機関に信託をするという場合に別段許可という制度はございません。
#123
○丸谷金保君 そうすると、全く法制的自身なじまない、現行法の中ではつけるところがないというふうに理解してよろしゅうございますか。
#124
○政府委員(大林勝臣君) そこで、地方団体の方が信託銀行なんかと信託契約をする場合に、その契約は地方自治法のどの条項でやるのだとか、あるいはその際に議会の議決が要るのかどうかとかいう問題がすぐ出てくるわけでありますが、現在の法律ではなかなかそれは読みにくい、読めないという感じでございます。
#125
○丸谷金保君 そうすると、そういう点で読みにくいから高槻の場合にもちょっと待てということでそのままペンディングになった、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
#126
○政府委員(大林勝臣君) さようでございます。
#127
○丸谷金保君 高槻がだめで東京都がいいということにはなりませんでしょう。どうなんですか。
#128
○政府委員(大林勝臣君) 同じ問題であります。
#129
○丸谷金保君 それはわかりましたが、これはちょっと法制的には今後の問題として相当検討を要する。ちょうど大正十一年にできてから五十年間眠っていた法律が動き出したのですから、やはり十分これからそこら辺は検討を要する問題だと思います。
 そこで、ナショナルトラストの関係なんですが、同じそれでも今度は受ける方の側、これは例えば斜里の前の町長藤谷さんなんか一番最初は知床でということで始めまして、一生懸命になって我々も協力してやってきたんです。最近ようやく減税措置がとられるような形になった。これらについては税制改正を自治省の方も既に了解しておりますか。
#130
○政府委員(大林勝臣君) 今度は地方団体の方が信託を受ける場合、これがいわゆる信託法の中の公益信託と言われているものに相当するのだろうと思います。そこで、その場合にも一体また同じような問題が一つ出てくるのは、地方自治法がそういった信託を受けた財産を管理運用することまで予定して現在のルールをつくっておるのだろうかということは、同じような問題が出てまいると思います。
 それからもう一つは、地方団体がそういう公益信託を受けるということになりますと、一般の信託と違いまして公益信託になりますと主務官庁の監督権というのが出てまいります。地方公共団体が信託を受けてやるということになりますと、恐らく普通財産という取り扱いでそれを信託財産にするという格好になるのでありましょうけれども、そういう財産管理において主務官庁の検査権とか、そういった権限というものが及んでくるのが地方自治制度の上で適当かどうかということは、また別途大きな問題だと認識しております。
#131
○丸谷金保君 それでも、例えば試験研究法人等についての減税措置、このことは自治省も了解するのでしょう。例えば固定資産税だとかあるいは所得税だとか、そういうふうなものが、国税だけでなく地方税の関係でも関連してきますね。これらはどうなんですか。それらの減免はやらないというんですか。
#132
○政府委員(吉住俊彦君) 御指摘のナショナルトラストには、今行政局長からお答えがありましたように、いろんな法制上の問題があるわけでありますが、ただそういうものが適法に行われる、適切に行われるということを前提といたしまして、いずれ税の減免等について通達により指導するというような心構えは持っておるわけでございますが、今いろいろお話のありましたような法制的な問題もございますので、ただいまのところは申し上げる段階にございません。
#133
○丸谷金保君 そうすると、いつごろになったら結論が出て通達が出せるのですか。伝え聞くところによると、四月一日というふうなことで話も流れて、我々は大変喜んでおるのですが、どうなんです。
#134
○政府委員(吉住俊彦君) 今これから御審議をいただきます地方税法の行く末等もございますので、それらが終わりました段階で一般的な通達を流す、その段階で考慮いたしたいというふうに考えておる次第でございます。
#135
○丸谷金保君 重ねてお伺いしますけれども、大体それはいつころになる予定ですか。
#136
○政府委員(吉住俊彦君) 一般的に通達を出しますのは四月上旬で、例年の例でいきますと四月上旬でございます。
#137
○丸谷金保君 そうすると四月の上旬には、適法に行われて目的もきちんとし、事業も行われているようなものについての地方税の減免措置ということについては少なくとも明年度から考慮する考えだというふうに、大臣、承ってよろしゅうございましょうか。
#138
○政府委員(吉住俊彦君) ちょっとその前に技術的な問題だけお答えしたいと思います。今いろいろ先生おっしゃいましたような、例えば主体の絞り方なり何なり、そういうことを現在検討中でございます。
#139
○丸谷金保君 それで、技術的な問題がいろいろあるんです。例えばその場合、固定資産税減免しますと当然地方公共団体がそれだけ税収が減るわけですから、そういう場合にこれは特別交付税なりあるいは普通交付税の中で見てもらえるのかどうか。これはどうなんでしょう。ただ通達でそういう場合に減免してもいいというだけになってしまったのじゃ、ちょっと地方としては困ると思うんです。
#140
○政府委員(吉住俊彦君) 通達による指導でございますので、それは地方団体が自分の自律性、自主性において受けとめて、それぞれ自主的におやりいただくことを期待するものでございますので、普通交付税の対象とすることは考えておりません。
#141
○丸谷金保君 特別交付税の検討材料にはなりますか。
#142
○政府委員(花岡圭三君) 通常自分の団体の施策としてみずからおやりになる場合に特別交付税で措置するというのは、現在まだ検討いたしておりませんけれども、ちょっと難しいのじゃなかろうかという感じはいたしております。
#143
○丸谷金保君 それで、これは大蔵の方でも法人税の要するに損金算入とか寄附金等の免税措置というふうなものをこれらについてはとるお考えですか。――じゃ、大蔵の方は来てないようですから、そちらの方はやめまして、公選法との関係なんですが、例えば寄附金控除とかなんとか、そういうことが所得税法、法人税法で損金算入が認められるわけです。そうしますと、それによって公選法の関係が出てきます。というのは、寄附を禁止されている個人がこれに寄附することはできるかできないかという問題なんです。どうでしょう。
#144
○政府委員(大林勝臣君) 公職選挙法の方では、公職の候補者はその選挙区内にある者に寄附をしてはいかぬと、非常に大ざっぱな規定になっております。これはその制定の沿革から申しますと極めて広いことを考えておるのでありまして、要するにその選挙区内にある者というのは法人、個人を問わない。公益目的であろうが何であろうが問わない。要するに一切合財選挙区内にある者に寄附をしてはいかぬ、こういう規定になっておるわけであります。これはまことに無理ではないかというようなケースがときどき出てまいります。その都度議論になるのでありますけれども、あの規定ができました当時は、もう無理でもいいから規定が要るのだと、そうしないと金がかかってしようがないから、そういう無理を承知で国会の先生方、地方の先生方ももう我慢するのだと、だからひとつああいう大上段な規定を入れようではないかと、こういう合意のもとにおつくりいただいたわけでありまして、したがいまして名目、時期のいかんを問わず選挙区内にある者に対する寄附は禁止されておるということでございます。
#145
○丸谷金保君 それで、一方では所得税法で、寄附をした場合に寄附金控除の対象になるでしょう。だから、それは大蔵認めますよ。要するに所得から控除になるのをだれがやっても認めますよ。そうして、片っ方では公選法にかかるということになります。どうもちょっとこれがぴんとこないんです。
#146
○政府委員(大林勝臣君) 公選法の方では、政治団体に対する寄附は例外としてこれは許されておるわけであります。つまり、公職の候補者が政治団体に寄附するのはよろしい。
#147
○丸谷金保君 政治団体じゃない。ナショナルトラストを言っているんです。
#148
○政府委員(大林勝臣君) だから、それ以外の者については寄附はいけないのだと。それから、一般的に税の方で特定のケースについては減免措置というものが決められておりますけれども、要するに公職の候補者は、そういった特例的な寄附ができる場合を除いては、選挙区内にある者に寄附をしてはいかぬというのが選挙法の規定であります。
#149
○丸谷金保君 そうすると、これは税法と公選法とぶつかりますね。ここのところ、例えば学校その他のようなことで特定しての寄附というのが法人にありますね。これはいいのでしょう。例えば全国の候補者が学校へみんなやっています、それで免税になるというので。これはどうなんですか。
#150
○政府委員(大林勝臣君) 先ほど申し上げましたように、選挙法の規定というのは、目的のいかんを問わずこれは禁止になっておるわけであります。そこで、それは無理ではないかと私どもは申し上げたのでありますけれども、それは我慢するのだと、こうおっしゃるものでありますからあの規定ができたわけであります。それがその都度その都度御議論の対象になるわけで、実はその御質問を受けるたびに私どもも困るのでありますけれども、そういう制定経過があるということをひとつ御理解いただきたいと存ずる次第であります。
#151
○丸谷金保君 議員立法ですからそれ以上のことにはならないのかもしれませんが、しかし自治省は公選法の関係の所管の役所ですから、いろいろな法律のそういう問題が出てきたときのことについては、やはりもう少しちゃんと言ってもらわないと、それこそこっちも困るのじゃないかと思うんです。例えばナショナルトラストに寄附している国会議員、たくさんいるんです。そうしたら、これどうしてくれます。どうなるんですか。
#152
○政府委員(大林勝臣君) その寄附の禁止の規定のもとは選挙に関して禁止されておったわけであります。そこで、選挙に関して寄附をしてはならぬというものでありますから、いや、これは選挙に関する寄附ではないという言い抜けがその都度たくさんできるわけであります。選挙に関するか関しないかというのは、その時点でこれはクロだ、これはシロだという判断はなかなか難しゅうございます。そこで、そういうわけのわからない前提があるからみんなが困っておるのだから、この際はその前提をとって、四六時中、名目のいかんを問わず寄附を禁止させようと、こういう御議論に当時はなったわけであります。そうすると、それは困るでありましょう、お子さんが学校に行かれておりましょう、学校のPTAの寄附もあるでしょう、町内会の寄附だってあるでしょう、常識外のものは別としまして。そうすると、それは政治家だからうちのお父さんは寄附ができないのだと言えば子供の立場もないでしょうというような話を非公式に、その都度私どもは申し上げてきたわけでありますが、それはつらいことになるということはよくわかるけれども、そこをひとつ我我も我慢するからということであの条文ができたというのが経緯であります。
 ただ、罰則をどうするかという話になりますと、そういうものにまで罰則を全部つけるというわけには、これは法律常識としてとても成り立ちません。したがいまして、寄附は名目のいかんを問わず禁止をするけれども、罰則の対象になるのは社会一般、通常の交際の常識を超えた寄附というものだけが罰則の対象になるというのが現行法であります。
#153
○吉川芳男君 自治大臣の所信表明に関連いたして若干の質問をしたいと思うのであります。
 私に与えられた時間は四十五分でございますので、端的にお聞きしたいと思うのであります。
 まず第一は、補助金の一割一律カットの問題についてでありますが、地方の時代と、こう言われて久しいわけでございますし、また、特にことしは地方行革の年だと、こういうことで、地方よ、あなたが主役だ、出番だと、こう言わぬばかりな持ち上げ方でございますが、その実どうも私は、この数年来の地方の待遇といいますか、受難の時代だと思っております。去年の予算編成では例の地方交付税特別会計の利息の帰属をめぐりまして大論争になったわけでございまして、そのあげく、交付税特別会計十一兆五千二百億円は国が負担するものが五兆八千三百億、それから地方が負担すべきものが五兆六千九百億ということでたて分けされ、ほぼ折半されたわけでございまして、利息をどちらが持つのだというような、いわゆる不毛の議論がなくなったことを私は非常によかったと思うのでございます。
   〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕
 ところが今度、ことしの予算には、国は財政難であって、予算編成をするに当たってはどうしてもこの高率補助を一割一律カットして地方は協力してもらわなければならぬ、こういうことになったわけでございます。そして、これに対しましては最終的に自治大臣も随分頑張られて、これは一年限りだ、その財源不足五千八百億については地方交付税の増額あるいは建設地方債の増額等により完全に補てんするのだから、まあやむを得ないと、これは「週刊時事」の内政部長滝沢周次さんと大臣、なかなか詳しくその点についてのやりとりがなされているのが収録されておりますが、そこにはやっぱり一割一律カットというのは緊急避難的なんだということを再三にわたって繰り返していますけれども、私から見ますと、どうもこのことし限りだという国の、特に大蔵省の言い分というものは、国の財政的優位を盾に自分の方のつじつまだけを合わせて、そのしわ寄せは地方に持っていってやるというようなやり方で、これがことし一年で来年からはもとへ戻るのだというふうには、どうも信用できない感じなんです。
 そこで、大臣はいかなる保証といかなる担保をつけられて、ことしだけひとつ協力してくれとこういうことに同調されたのか、その辺をお聞かせ願いたいと思うのであります。
#154
○国務大臣(古屋亨君) 去年の十二月の予算編成上の過程で、私どもは十二月の二十一日までは地方自治団体の立場から一律カットは反対であるということを強く主張してまいったのでありますが、どうしても国の財政が厳しいから、何とか自治大臣はこれを処理してくれぬと予算が組めないというような話もありまして、私どももそういうことで地方団体との関係もありますので、やむを得ない一年限りの暫定措置、しかも不足分の二千六百億の経常経費分と投資的経費の三千二百億、合わせて五千八百億の分については、とにかく国で責任を持ってもらう。そして、これはあくまでも一年限り。
 それで、特に一番私ども問題にしたのは経常的経費の社会保障の方でございまして、十一カ月分の予算は組めないかとか、いろいろ申し入れをしたのでありますが、結局福祉関係につきましては厚生省関係でございますが、大蔵大臣、自治大臣、それから厚生大臣、三者の覚書をそこへつくりまして、そしてこれは一年のうちに検討して、検討の結果によって対処するということで、あくまでも一年限り、その間に検討を三省でするという約束をしたわけでありまして、これから事務的な検討を始めまして、来年度の予算編成に間に合うように私どもは私どもの立場を主張いたしまして進めてまいりたいと思っております。
 社会保障以外については直接の覚書はありませんが、その三省でやりましたときに追加で、ほかの事業についても必要があればこれを検討するというような片をつけておるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これはあくまで本年の一年限りの措置。
 率直に申しまして、私どもは補助金の整理ということは自治省としては物によっては賛成でございます。ただ、一律カットということがおかしいというわけで実は主張してまいったのでありまして、それに対して今申し上げましたような応急的な緊急措置ということで一応予算編成は終わったわけでございますが、あくまでも私どもは一年限りの措置。それから五千八百億の問題につきましては、御指摘があれば詳細に申し上げますが、二千六百億と三千二百億は交付税も一千億入り、四千八百億の建設地方債につきましても国でどういうふうに面倒見るかということもはっきり約束をしておるわけでございまして、私はこの約束はどうしても守ってもらう。また、そうしてもらわなきゃならぬという考え方で今やっておるところでございます。
#155
○吉川芳男君 今大臣から力強い答弁がございましたが、去年の状況を思い出しますときに、かなり大臣も頑張られたとみえまして、このままでは予算編成ができない、自民党の政調会長も中に入るからひとつ自民党の顔を立ててというか、政府与党ですからこれは当然なわけでございますが、そういうことで折れたという話も漏れ承っておりますし、今社会保障に関しましては三大臣、厚生大臣、自治大臣、大蔵大臣でもって覚書を結んだというお話を承りました。これに対しまして、それ以外の公共事業関連も相当あるわけでございまして、今回のこの臨時特例に関する法律は六十六項目、五十九法律にまたがっておるわけでございまして、社会保障だけは覚書が交わされているといえば、これは安心して可なりと思うのでございますが、他のことについても話し合いはしているのだと、こう言いますが、どういう保証といいますか、担保がなされようとしているのでしょうか、重ねてで恐縮でございますが。
#156
○政府委員(花岡圭三君) 今回の三省の大臣の覚書につきましては、社会保障関係の経費について取り決めを行っておるわけでございます。と申しますのも、やはりああいった社会保障というものは、生活保護費等いわゆる社会保障の根幹をなすようなもの、これにつきましてはいろいろいきさつもありますし、また議論もあったわけでございまして、その国と地方との機能分担の見直しをしないで、そして一律に下げるというのはおかしいではないかという議論があった。その結果ああいう覚書になったわけでございます。
 その他公共事業等につきましては、これはもともと大蔵省の方は暫定措置としてやりたいという気持ちを持っておりましたし、また、この公共事業の補助率につきましては、これまでも財政の状況、地方財政の状況とか国の財政の状況とかいろいろございますけれども、それに応じて動いておったものでもございます。そういった意味で、こちらの方についてはさほど哲学的な論争というふうなものまでいっていないというふうなこともございます。そういったことで、必要があればそういったものについても議論はするけれども、やはり一番議論をして決めなきゃならぬ問題というのは社会保障系統の経費であるというふうな観点から覚書が結ばれたということでございます。
#157
○吉川芳男君 この問題につきましてはことしの六十年度の予算はもう組み上がったわけでございますし、議会の承認さえ得られればもういいわけでございますが、ペンディングになっている問題につきましてはこれから夏にかけましてホットな議論があろうと思うのでございまして、ぜひ自治省といたしましてはひとつ立場を貫いていただきまして、地方に無用な心配や不安を与えないようにお願いをしておく次第でございます。
 次は、地方行革大綱でございますが、これもなかなか重大な大きな問題だと思うのでございます。一月の二十二日の閣議で「地方公共団体における行政改革推進の方針(地方行革大綱)」というものが了承されて、同日午後の全国都道府県総務部長会議で、これはまた珍しいことに総理みずからが出られまして、自治大臣も一緒に出られまして地方に協力を呼びかけられた。こういうわけでございますが、これは政府や自治省から今さらこの行革を呼びかけられるまでもなく、地方の三千三百の自治体においては、自分のことなんですから一生懸命行革に努めておると思うのでございますが、この際、国が特に地方に行革推進のための委員会や本部というものを置けと、若干項目的に見ますると、事務次官通達でもって、八月末までに団体ごとに行革大綱を作成しなさい、その際には民間有識者を加えて委員会をつくりなさい、そしてその本部長には市町村長みずからが当たりなさい、こういうことで指示されています。期間はおおむね三カ年とする、そしてその結果については公表しなさい。こういう厳しい注文がついているわけでございます。
 これに関連いたしまして、実はこの参議院の予算委員会の地方公聴会がたまたま新潟で開かれまして、我が新潟県知事もこの行財政改革の問題についての公述をする機会が与えられたわけでございますが、そのときに、この行政機構というものは非常に複雑多岐になっているので、そう素人が口を出してわかるようなものじゃないのだと、本人の言い方を文書によって言ってみますと、「行政制度、施策並びに組織の実態を十分熟知している者が、見直しの効果を確かめながら、継続的に見直しに当たる必要があると考えております。」と、そこで「このように平常的に見直しを進めることにより、組織や事務事業が全庁的な規模で一挙に変革するなどの混乱が避けられ、一つ一つの見直しがスムーズに、しかも効果を確かめながら実施できております。」ということを言っているわけでございます。
 国は、何か臨調では土光さんという大変偉い、力のある方がキャップに座って、またそれなりの有識者、権威者を集めてやっておられますけれども、三千三百の地方自治体すべてに精通している有識者がいるとも思わないですけれども、ひとつ行革大綱の真のねらいとでもいいますか、地方にこういうことをぜひしてもらいたいのだということを自治大臣のお口からひとつ承りたいと思います。
#158
○国務大臣(古屋亨君) ただいまの古川先生の御質問でございますが、最初に申し上げておきたいのは、国の行政改革はやられておりますが、地方は今まで国に先駆けて相当進められておるところもあることは事実でございまして、地方がやっていないなどとは、私どもは全然思っておりません。ただ、国もやるもので、私どもは地方の実情に応じて地域の自主性を尊重しながら地方行政改革をやっていただきたい。その重点項目というものをお知らせしたのでございますが、これはあくまでも基準でございます。
 それから、今お話しになりましたように、八月までに大綱をつくって機構等をつくれというのは、地域の実情に合うように、例えばこの間もある県から、おれのところは副知事が会長やっているからそれでいいでしょうと言うから、それは結構でございます、地方の実情に応じて変わっていくことは当然でございますということを言っておったわけでございます。地方で国よりも先に進んでおるところも事実ございますが、また反面、ほとんど行われていなくて住民からもいろいろ批判を受けているようなところもあるわけでございます。私どもは、国は行革をやっているが、地方もぜひ足並みをそろえてやっていただきたい。ただ、その場合にはあくまでも地方の自主性、自律性をもとにしてやっていただきたいということでございまして、内容等も重点項目を七つばかり挙げておりますが、これもあくまで基準としてやっていただくということで、最初申し上げました委員会等をつくっていただく、民間を入れていただくということも、地域の状況によってはどんな方を入れていただくか、内容を私どもが指示したことはございませんで、あくまでも地域の実情に応じてやっていただく。
 それで、今の先生のお話で私一番感じますのは、地方がやろうと思っても国からいろいろ上において邪魔をしているものが相当ありまして、その一部の必置規制だとか国の関与ということは、今度提出をされております総務庁主管の法律に載っておりますが、それだけではだめでございまして、権限移譲だとか許認可の問題がありますので、これは行革審にお願いしまして、この六月ごろまでには答申が出るということで、それを構えてまたその問題には進んでいかなければならぬと思っております。
 再三申し上げますが、私は地方行革を足並みそろえてやってもらうということは重視しておりますけれども、あくまでも地方の自律性ということを前提として進めていただきたい。だから、邪魔になるものは私どももできるだけ早くこれを地域の自主性に基づいて解決してもらうように努力をしなければならぬことは当然でございまして、今言った権限の問題、許認可の問題も行革審で審議していただきまして、こちらの意見等はいろいろ申し上げているような状況でございますから、これら六月の答申が出るのを私ども国としては待って、すぐ地方へ流したいと思っております。それが大体の状況でございます。
#159
○吉川芳男君 大臣の方針はわかりましたが、この行革大綱を策定するときに、別表といたしまして、地方公共団体における行政改革の進捗状況についてという幾つかの指標が説明されております。
 一つは、行政機構の整理合理化はどうなっているか。第二は給与の適正化、いわゆるラスパイレス指数はどうなっているか。それから三番目は、定員管理はどういうふうになっているか。四番目に、民間委託はどう進んでいるか。それから五番目に、OA化の推進。六番目に、議員定数の減少はどうなっているかということも説明されておりますが、これは大臣から御説明いただかなくとも、事務当局からおおよその数字がどこまで来ているかということと、それからこの数字が出る以上は、この目標値は自治大臣は今地方の自主性、自律性に任せるのだと、こうおっしゃっていますけれども、一つの目安というものを自治省は考えているのかどうか。そこらをひとつ事務当局から御説明願いたいと思います。
#160
○政府委員(大林勝臣君) 現在の地方行革の進捗状況の御質問でございますけれども、私どもは、最近は二年置きに進捗状況の報告を地方からいただいておるわけであります。
 一番最近の状況が五十七年度から五十九年度、この二年間の進捗状況の報告をいただいておるわけでありまして、そこに報告されました内容は、まず第一が行政機構の整理合理化であります。局、部、室、課といったものの統廃合、この二年間に四十一都道府県で、あるいは千百九十九市町村でそれぞれ行われております。出先機関の統廃合も三十二道府県、審議会等の統廃合が四十三道府県、四百五十七市町村。事務事業の見直しといたしまして、事務事業の廃止を行いましたのが四十四都道府県、六百四十四市町村。民間委託、これが四十四都道府県、千二十四市町村。補助金の整理合理化が、これはもう全都道府県であります。市町村数は千三百九市町村にわたって補助金の整理合理化をやっております。
 定員管理の適正化につきましても、定員削減が三十九都道府県、七百六十市町村。定員削減計画の策定を行っておりますのが十五都県、二百三市町村等であります。
 給与につきましても、給与水準のラスパイレス指数が、徐々にではありますけれども低下の傾向を示しておりまして、昭和五十八年四月一日現在では、十年前の一一〇・六というラスが一〇五・九まで低下の努力をしていただいております。
 定数の問題につきましても、一般職員だけで見ますと、この三年間に約一万人ほどの減員を見ております。ただ、地方の場合には国と違いまして、特別行政部門の職員というのがおります。一番多いのが教員などでありますけれども、こういったものにつきましては、やはり定数基準というものが国の方から定められてきますので、なかなか地方としては定数削減の努力がそちらの方には徹底しないという面はありますけれども、少なくとも一般職員でもこの三年間に一万人というのは大変な努力をしておるという結果になっております。
 地方の議員定数の削減につきましては、おおむね一万五千人ぐらいが法定数の議員数よりも削減をされておる、こういう状況でございます。
#161
○吉川芳男君 先ほどの大臣の答弁と今の局長の答弁の中にもかいま見られますように、大臣は権限移譲を進めなければと、こういうお話もありましたし、それから今の局長のお話の中には、地方が減員をしたいと思っても、国の方で基準を決めて押しつけるということもないでしょうけれども、例えば消防職員あるいは警察職員あるいは学校の先生方というものが非常に定員の減に逆行するといいますか、ふえている部面があるのだということはもう特に指摘されているところでございます。
 これは「わがまちの行政改革」という経済広報センターの監修した中に、これは主に全国の青年会議所が行革に取り組んでのアンケートなわけでございますが、その中で、「地方公務員の定員は昭和五十八年四月一日現在で約三百二十三万人であるが、昭和四十二年以降約九十一万人、昭和五十年以降においても約二十九万人増加」している、しかしこの増加しておる大部分は、先ほど私が申しましたような特別行政部門の職員――公立小、中学校及び高校の教職員、地方の警察職員あるいは消防職員ということになっておるということを指摘しておるわけでございまして、これはやっぱり国の責任といいますか、重大だと私は思うわけでございます。
 そういう中にありまして、実は三月に入りまして自治省はまことに矢継ぎ早に新機軸を打ち出されているわけでございます。これは日本経済新聞だけの切り抜きで見ますと、三月十一日には「市町村への事務移譲促進」しよう、「都市開発など50項目」にわたってひとつやっいてきたい、夏までに具体案をつくって「権限移譲立法の柱」にしていきたい、こういうふうに三月十一日に発表したと思ったら、今度十九日には、これまた大問題をぶち上げられたんです。「戦後制度を総点検」しよう、これは大きく出たわけです。中曽根さんのひとつ上を行こうというわけです。「地方行政に新長期ビジョン」ということで自治省は打ち出されているわけでございまして、「情報化に対応、効率化も探る」、こういうわけでございます。内容については紹介は略しますが、その上に、さらに二月の二十三日には、これはまだ予算委員会でも本物になっていないところの大型間接税が実施されたら、その増収の半分は地方にいただきたいということを自治省は大胆にこれを打ち出されているわけでございますが、こう幾つも幾つも出されても、これは一体全部できるのか。これは何年に一回というような大改革をこの二、三月に三つも出されたという自治省の意気は壮たるものだと思いまして、この点は大変高く評価するわけでございますが、果たしてできるのかどうか。その権限移譲一つだけでも私は重大だと思うのでございます。
 よく地方行革というのは地方の自主性、独立性とあわせて、国の権限移譲がこれは二大柱だと、こう言いますが、一体権限だけ移譲されても地方も困ってしまうと思うんです。やっぱり権限にあわせて財源の付与というものを常に一緒に言ってもらわないと困ると思うのです。仕事だけは地方へやれ、倹約するところだけは国が全部いただくのだと、こうなっては困ると思うのでございますが、そこらも含めて、この三つの大構想をどういうふうにまとめられるのか、消化不良にならないのかということについて、大臣初め局長さん方の御所見を承りたいと思うのであります。
#162
○国務大臣(古屋亨君) 今先生のお話しの自治省のビジョンにつきましては、私どもに地方制度調査会というものがございますので、そこへ諮問をするその前の事務当局の検討でこういうことを考えているということで、これを地方制度調査会にこういうようなもののうちから諮問をいたしました。その御検討をいただいて政策としては考えを出したいと思っておるのでございます。
 それから、権限移譲をしても財源をやらなきゃ困るじゃないか。まことにそのとおりでございます。だから、行革をやるにつきましては国、地方を通ずる行政の簡素化と地方分権の推進から、住民に身近な事務は地方公共団体で処理できるような権限の移譲ということが必要でありますが、その際はあわせて財源配分の見直しを図ることが基本的に一番必要であると考えております。
 そういう意味で、具体的には個々の事務権限の移譲や地方団体の事務事業として同化定着しているような補助金の整理が毎年度の事務事業の見直しの結果として行われることになりますが、その場合にも必ずしもすべて税財源の移譲に結びつけることではありませんで、全体の地方財政の収支見通しを踏まえつつ別途国の財政措置を講ずる必要が物によってはないものもありますし、またそういうことを必要とする場合もあると考えております。
 なお、補足につきましては政府委員から御答弁いたします。
#163
○政府委員(大林勝臣君) 新聞の記事でごらんになったと思います。いろんな昭和六十年度以降の問題につきまして自治省が今後進めようと考えておりますことが報道されておるわけでありますけれども、これは昨年の夏に六十年度の自治省の重点施策というものを取りまとめましたときは、二十一世紀の将来において地方自治というものがどういう姿になるだろうか、老齢化社会の進行、情報化社会の高度化、こういったものを背景にして地方自治行政をどう進めていけばよいのかという考え方から、今後地方自治法を初めといたします地方自治の総点検をやっていく必要があるだろうというようなことを発表したものがその都度記事になってお目にとまるのであろうと思います。
 権限移譲の問題につきましても、既に行革審でことしの行革審の作業としては一番大きな作業として位置づけられて、現在いろいろ各省からのヒアリングを受けながら取りまとめ作業を急がれておる最中でありまして、これも私は取りまとめというのは非常に難しいと思います。長い間各省が握っておりました権限を地方に移譲するということになりますと、なかなか役所サイドとしては非常に抵抗が強いのはこれは容易に予測されるところでありますけれども、しかしそういった背景にはありましても、今後の地方行財政の進展のためにはやはり権限移譲というものあるいは機関委任事務の整理というものをどんどん進めていかなければいかぬと、こういう気構えでおるわけでありまして、今後ともそういった方向で努力してまいりたいと考えておるところであります。
#164
○吉川芳男君 まことに意気壮たるところ、先ほど申しましたようでございますが、蛇足のようになるかもしれませんが、大臣に所見をお聞きしたいのは、昨年田川自治大臣がある新聞に任期というものは限られているのだから大臣の任期中にぜひひとつやりたいことを一つぐらいはやっていきたいということを言われたので、じゃ、この席でひとつおっしゃってみたらどうですかと言いましたところが、とうとうと言われたのは、マスコミはかなりもうけている機関がある、しかも全国平均の労働者の平均賃金が二百七十万円の中で七百万円にもなっておる、それなのに事業税をまけてやることはないのだということを言われました。そういうことに対して、居並ぶ記者諸君にも聞こえよがしとばかりに、こういうことを私が言ったところでマスコミは取り上げないでしょうねということを言いました。全くそのとおりでございましたけれども、しかし、最終的には自民党の政調会に持ち出されてこの実現を図ったわけでございます。
 先ほどから申しますように、田川自治大臣になられまして、自治省はこうもやりたい、ああもやりたいという項目は随分たくさん聞いているように思います。そこで、自治大臣はすべてやりたいのでしょうけれども、ここはひとつぜひ近々のうちに成案を見たいというものがあられたらお聞かせ願いたいと思うのであります。
#165
○国務大臣(古屋亨君) 今の御質問は、私も率直に言って実現が頭からできないようなことを言ってもあれでございますが、一つは、財政的な面におきまして地方交付税を絶対に減らさぬようにしないと、私は率直に言うて、国の補助金というものの一割カット、あのときのあれから見てこの次に来るのは交付税を減らすことが来るのじゃないかと、まあお話ししちゃっては私の腹があれでございますが、私はそういうことに一番気をつけていかなければいかぬと思っております。
 それから、とにかく地方財政は豊かであるというような印象が、私も今度国会でいろいろお話ししているうちに、一部の方にはそういうことが大変強く肌で感じました。これは、本当は地方は五十兆の地方財政計画で五十六兆余の借金やあるいは交付税借りたのを返さんならぬというものがある。だから、地方財政は二〇%以上の公債負担率の町村が八百二十もあるというような現実でございますから、私は国が窮屈で地方は豊か、こんなことはもちろんあり得ないと思うわけでありまして、地方も非常に厳しい。だから、両方とも一緒になって厳しいのに対処していかなきゃならぬと思いますが、やはり政治の一番末端は住民でございます。だから、住民が心豊かな暮らしができるということが一番最低限のと申しますか、一番のミニマムの私は必要だと思いまして、そういう意味で財政の問題を申し上げたわけでございます。
 それから、行革を推進することは当然でございますが、地方税の問題につきましても、私ども折衝であれもらいたかった、これやりたかった、いろいろ出ておりまして、事業税につきましても今お話しの新聞関係ほか六事業の分は一応今度地方税として御提案申し上げておりますが、それなら社会保険診療報酬はどうしたと言われると、またそういう御議論も随分出ておるのでございますし、また事業所の規模の問題についての税金を拡大していく問題、あるいはまたグリーンカードはなくなってもいわゆる限度管理ということが行われて、源泉をとっておるところは住民税が課せられていないというような状況から考えると、これは地方もそういう点は考えてもらわなきゃならぬだろう。いろいろな問題がたくさんございますが、アンバランスなものはとにかく直していかなければならぬし、そういう努力をしなければならぬということをつくづく自分でも考えておるのでありまして、余りいろいろ大きいことを申し上げましてもできなければ、またほら吹いたかと、こう言われますので、私は身近でぜひ考えておきたいことだけを今御報告申し上げた次第でございます。
#166
○吉川芳男君 大変率直な御答弁いただきました。今日的な問題を幾つか挙げられましたが、特に財政について思いをいたしていらっしゃることはよくわかります。
 そこで、私から一言コメントさせてもらいますと、三二%の交付税を絶対にへこましてはならぬという気概を込めての御答弁、そのとおりでございますが、私は守りに徹してもいかぬことだと思うのでございまして、さっきの権限移譲に絡めてぜひ交付税の額をふやす、率をふやすというぐらいの心構えで、ひとつ今後大蔵省とも折衝をお願いしたいと思っております。これは私の要望、意見だけでございます。
 最後に、せっかく消防庁さんお見えでございますので、一言お聞きいたします。
 消防行政についての所信の中に、「何よりもまず人命の尊重を基本とし、安全な地域社会を実現するため」云々ということを言われておりますが、消防力については、昨今かなり充足されてきていると思うのでございますが、火災外でも、例えば交通事故とかあるいは登山あるいは釣り客の水難事故とか、あるいは土砂崩れとかあるいは雪崩事故というような思わぬ災害がたくさんあるわけでございまして、これは一体警察が所管するのかあるいは消防が所管するのか、その境が判然としない救難、救急というような問題があるわけでございますが、こういう人命救助等の救助活動について、どうも救助業務の実施基準とかあるいは経費の財源がどうなるのかということについて明確でないというので、これまた地元のことで恐縮でございますが、新潟県の消防大会において決議されているわけでございます。こういうことにつきまして消防庁はどういうふうな思いをいたして、どういう構想のもとに政策の中に取り入れようとしていらっしゃるのか、ひとつお聞かせ願いたいと思うのであります。
#167
○政府委員(関根則之君) 所信表明におきまして大臣から人命尊重の分野が極めて重要であるという方針を申し上げたわけでございますが、そういう基本的な方針に基づきまして消防行政を進めているところでございます。
 当然のことながら、火災に伴います人命救助、これは消防の本来の仕事の中に入るわけでございます。しかし、それ以外の今お示しがございました交通事故でありますとか登山の問題でありますとか水難、土砂崩壊、そういった一般的な人的な災害、自然の災害を通じまして、災害に対処して被害を最小限度にとどめる、その上で人命を救助していく、そういう仕事は消防法第一条及び消防組織法にも第一条に書かれておるところでございまして、消防の分野の重要な仕事であるというふうに考えておるところでございます。
 近年、実は救助業務の全体の中で、火災のときに出動しているのはわずか二五%ぐらいしかない。したがって、全体の四分の三程度はそれ以外の交通事故でありますとか水難事故でありますとか、そういった面で消防の救助活動が行われているということになるわけでございまして、そういう火災以外の場合で消防が出動いたします救助活動というのはこれからだんだん多くなってくるだろうと私は考えております。
 特に地震等の大災害ということを考えました場合に、都市部等におきましては建物が非常に複雑になっておりますから、例えば高層建築の屋上からの救出でありますとかあるいは建物がゆがんだ場合の救出作業、こういったようなことは非常に消防として真剣に取り組んでいかなければならない分野であろうというふうに考えております。
 従来から救助業務につきましては、私ども、当然市町村の消防に対しまして、それの充足整備を進めるよう指導してきたところでございます。特に救助操法の基準でありますとかあるいは救助隊員の教育につきましての教育訓練課程でありますとか、そういうものにつきましても基準を設けまして指導をしてまいったところでございます。
 また、財政的にも救助のためのいろんな用具、器具がございますが、そういったものにつきまして交付税上基準財政需要額に算入する方途等につきましても財政局にお願いをして、だんだん整備を進めつつあったわけでございます。
 しかし、最近になりまして特に救助分野のウエートというのは高まってまいりましたので、新潟県からもお話承っておりますけれども、全国の消防関係者から、もう少し消防の中における救助隊の配置基準でありますとかあるいは装備の具体的な基準を示すべきではないか、また財政的な措置につきましてももっと明確にしてかつ十分な措置を講ずべきではないかと、こういう要望がなされておりまして、そういうことを私どもは十分承知をいたしております。基本的な考え方といたしましては、まさに私どもも救助業務というのがこれからの分野でますます重要であるというふうに考えておりますので、配置基準なり装備基準というものをできるだけ早く明確にして示していきたい。そのための準備作業を今やっておるところでございます。
 また、財政措置につきましては、実は今お願いをいたしております地方交付税法の改正規定の中にも一項私どもが要望いたしまして、救助工作車の購入経費といいますか、それに係る経費を単位費用の積算に入れてくれということをお願いをいたしまして、それが入った形で現在法案をお願いをしているところでございます。
 こういう改善も昭和六十年度におきましてやっていただいておりますけれども、さらに来年度以降も、基本的な救助隊の配備基準等が決まりました段階で財政当局とも折衝をいたしまして財政措置をしっかりしていきたいというふうに考えているところでございます。
#168
○上野雄文君 私は、時間も短いわけですから絞りまして、警察の諸問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 もうおとといから、三菱銀行事件について一連の報道がされておりますけれども、まことに遺憾な事態が起きたなと思っております。ただ、このことについてきょう質問するに当たって、私が前の方でやるものですから、各党とも同じような質問をしてもということから、私が真っ先に御質問申し上げるということになったわけでありますけれども、原因究明というか、どうしてこういう事態になったのかというようなことについてひとつ警察庁の方の、この事件を契機にして今までのこともひっくるめてお考えをお聞かせをいただきたいというふうに思うんです。
#169
○政府委員(鈴木良一君) 先生御指摘の事件が起きましてまことに遺憾に存じております。昨年来、元警察官による犯罪が続いております。ほとんどの退職者は立派に社会で活躍しておるわけでございまして、このような犯罪を行った者はごく少数であるわけでございます。そうして、これが警察の仕事に適応いたしませんで、途中で退職していった者でございますけれども、いかに少数とはいえ、一たん警察に職を奉じていた者がかような事案を起こしたということはまことに残念なことだというふうに考えております。
 従来から各種の施策を進めてきたわけでございますけれども、今後このような事案の再発を防止するためには、警察官の採用時の適性検査というようなものを厳格に行いまして、やはり警察官として真にふさわしい者の採用に努めていくということがまず何よりも大事だろうと思います。また、採用後におきまして、当然のことながら、生涯を通じてみずから厳しく律していくということにつきまして教育を徹底していく、使命感というものあるいは生きがい、誇りというものを持ってやっていくという、そういう職業倫理というものを植えつけていくということが極めて大事であろうというふうに考えております。なかなか先ほど言いましたように採用を厳格にしていくということが大事でございますが、不幸にして、残念ながら警察官としてふさわしくないという場合には厳しく臨んでまいりまして、必要な場合には組織から排除をしていくということもやはり十分考えていかなければならないと、かように考えております。
 ただ、退職した者につきましては、やはり再就職のあっせんであるとかあるいは退職後の生活設計というようなものにつきまして助言、指導に努めていくということが極めて大事だろうと思います。そういう形で、実はいろいろな施策の中でそういう生活指導の面を、先ほど言いましたように、現職だけじゃなくて退職者も含め、また家族も含めてそういう形の努力をしてきた途上であったわけでございますけれども、残念ながらこういう形が起きた。今後はやはりそういう面での指導というものを強めてまいりたいと、かように思います。
 それからまた、現職と退職者との関係でございますけれども、なかなか退職をいたしますと難しい面もございますけれども、現職と退職者の親和といいますか、親睦融和というものに努めていく、あるいは退職者相互間の親睦融和というものも図っていくというようなことを今後一層やっていかなければならないだろうということでございまして、そういうふうなことで、先ほども言いましたように、退職者につきましては現職者に対します対応ほどは必ずしも十分にいかない面もありますけれども、また問題があって職を離れたという者に対しましてはなかなか困難な面もあるわけでございますけれども、今申しましたような点につきましてさらに鋭意努力してまいりたいと、かように考えております。
#170
○上野雄文君 今度の事件について新聞の報道によると、サラ金が何か直接の原因になったというような記事の中身でありますけれども、その辺のことについてどういうふうに見ておられますか。
#171
○政府委員(鈴木良一君) 今度の元警察官は、一応昨年の十月に独立して事業を始めたいということで退職を希望して退職をした者ではございますけれども、やはり退職時にサラ金の借金がかなりあったわけでございまして、これを退職金で清算をいたしまして、退職後間もなく古物商の許可を取って営業を始めたということでございます。いろいろな問題の中でサラ金というものがかなり大きなウエートを占めておるということがあることも事実でございます。そういうことで私どもも先ほど申しましたような、それぞれの個人の生活設計ということに対しましてよく指導をしていくということを鋭意始めておるわけでございますけれども、そういうふうな面で今後もさらに生活指導、生活相談というものを強めて、そういうふうなサラ金苦に追われることのないように指導してまいりたいと、かように考えております。
#172
○上野雄文君 私も、自分の経験ですけれども、私の場合は県職員ですが、やっぱりサラ金が始まってから手を出している連中はたくさんおりますね。この問題は役所の機構の中の上下の関係で問題を解決しようとしても非常に難しい。同僚同士でというと、私のところでは労働組合の役員がサラ金専門に当たるんですが、これなれてくると、大体借りた人は本当のことを一遍には言いませんから、かなり突っ込んだところまでいかないとこういう問題は決まりつかないだろうと思うんです。大体周りの職場を、ずっとよその企業やなんかありとあらゆるところを見ても必ずこういう連中はいるわけです。そういう者に温かみのあるような取り扱いができるような仕組みというものも考えないと、これはもうどうにもならないんじゃないのか。警察が権力機構の中で上から抑えつけていくだけというようなやり方だとどうにもならないのではないかという気がするんです。何もそれだけではないと思うのですが、ここのところ新聞には続けざまに警察の関係の記事が出ておりますから、これは公安委員長、先ほど丸谷先生の質問でお話を承りましたから重ねて伺おうとは思いません。全体の九九・九九九%はみんなまじめにやっている人だと思うんです。しかもキャリア組以外で、偉くなれるという見通しだってない連中が走り回っているわけですから、そういう点でひとつ今後ともしっかりやっていただきたい、こう思うんです。
 さて、次の問題についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、うちの県が関係していることでありますけれども、警備会社の問題であります。最近はどこでも自治体のほとんどのところが警備会社に自分のところの施設の警備を依願していると思うんです。警備業法ができてこれが公安委員会の所管になってそれぞれ一定の規制を受けて仕事をやっていると思うのでありますけれども、茨城、栃木、埼玉、三県をめぐって例のセコムという会社がどうも定められたきちっとした業務をやっていない。警察の方でそれぞれ調査をされたようでありますけれども、この会社は一体警察庁の方でお調べになって、どんなふうにとらえておられるか、ちょっと教えていただければと思います。
#173
○政府委員(中山好雄君) セコムという会社でございますが、警備業界で大手の会社でございまして、警備員数で全警備員の一五・七%を占める会社でございます。
#174
○上野雄文君 新聞報道によると、全国の警備のシェア四五%、こう書いてあったのですけれども、日本全体ですから、それほど大きい会社なんですか。
#175
○政府委員(中山好雄君) ただいま申し上げましたのは、警備員数でのセコム本社のシェアでございます。関連会社、子会社といいますか、系列会社を加えますと警備員数が二二・二%、それから対象施設が四六%を占める会社でございます。
#176
○上野雄文君 それからこの会社が、長野県の何か農協関係かあるいは県関係かわかりませんが、年間の警備の費用が三百六十円という考えられないような額で落札をした、こういう記事も見たような気がするわけですけれども、そんな事実がやっぱりあったんですか。
#177
○政府委員(中山好雄君) 私どももそのような話をお聞きしましたが、結果的には妥当な金額で契約がなされたというふうに聞いております。
#178
○上野雄文君 三百六十円で落札はしたのだけれども後からまたもとへ戻した、そういうことなんですね。
#179
○政府委員(中山好雄君) そのように聞いております。詳しくは私今手元に資料がございません。
#180
○上野雄文君 先ほど官房長から退職警察官の話をちょっとお聞きしたわけですけれども、実は私のおやじも退職警察官なんです。ですから、警察のOBの方々ともいろいろおつき合いもあります。それで、今度のこのセコムの話が出まして、私のおやじの友人である人がやっている警備会社に行っていろいろ話を聞いてきました。そうしましたら、今回のこのセコムのやり方というのは何といっても業界として風上に置けないようなやり方だ、こう言うんです。栃木県で起きた事件だと、学校から異常発報があったと学校の管理者に知らせがあった、知らせを受けた人がふっ飛んで学校へ行ってみたら、まだ警備会社の人も来ないし、ついに来なかったというのが一件、行ってから一時間もたってから来たというのが一件というので、これは公安委員会規則やなんかに定められている二十五分以内に到着しなきゃいかぬというようなことも守り切っていない、こういうような会社なんです。さらに、今までのセコムに関しての全国のいろんな報道されたものを集めてみますと、警備員が窃盗をしたりとか、いろんな問題があるんです。私は、こういうものについては警察庁は指導助言の立場に立つのでありましょうけれども、やっぱりもう少し全国的な情報というようなものも各県警に知らせて、警備会社に対する指導というものを強めてもらわなきゃいけないのではないか、こう思っております。
 それから、これも実はお聞きしておきたいと思うのでありますけれども、この会社は異常発報があるとすぐに警察へ知らせるのだそうですね。自分が行くより前に警察が先に飛んでいくという場面がたくさんある。そうすると、仕事を請け負っておいて警察を利用しながら金もうけを巧みにやっているというふうにしか考えられないのでありますけれども、その辺のことについてはどんなふうにとらえられておられますか。
#181
○政府委員(中山好雄君) 異常発報があった場合にどうしていただくかというのは、事案にもよりますし、すぐに知らしていただくのがいい場合、それから、先ほどおっしゃった二十五分以内に警備員が到着してその原因等を究明してから必要により警察に知らしていただくのがいい場合、いろいろあると思いますが、事案によって違うと存じます。
 ただ、セコムにつきましては御指摘のような点が懸念されたということで、去年の十一月でございましたか、おっしゃっていた栃木と茨城、埼玉、この三県が合同で埼玉県の大宮にございます機械警備の基地局の立ち入りをいたしました。その結果、即応態勢、警備員教育、書類の備えつけ等に関しまして不備、欠陥がございます。そういったことで、関係県警察におきまして指示処分あるいは誓約書徴取という行政措置を行ったところであります。それにあわせまして、先ほどから御案内のとおりセコムは全国的規模の会社でございますといったことから、さらに警察庁におきましてもセコムの本社に対しまして地方支社に対する指導を徹底するようにという行政指導も行っているところでございます。
#182
○上野雄文君 さらにお尋ねをしたいのは、今お話のあったような埼玉の施設の点検調査、そういうものをした上でそれぞれの県警が、公安委員会ですかが処分をする、そういう経過になってきているようでありますが、実はうちの県でやっぱり問題になったのは、セコムが警察庁に泣き込んで、そして処分を軽くしてくれるように頼んだと、そういうふうに疑うに足るいろんな例証がある、だからこれは黒い癒着ではないかと、こういうことが言われているわけなんです。そういう点についてあなたの方ではどういうふうにこのことについて受けとめておられるのか、そのこともお聞かせをいただきたいと思うんです。
#183
○政府委員(中山好雄君) 一部におきまして、セコムに対する警察の指導が甘いのではないか、こういう御批判もあったようでございますが、警察といたしましては、警備業者に対する行政指導等を行うに当たりましては、問題の生じた点をいかなる方法によって改善させるのが行政目的に照らして適切であるかと、そういう判断に基づいて行っているわけでございまして、今回のセコムに対する行政措置につきましても同様の観点から行ったものでございまして、この措置によりまして栃木県の例では誓約書を徴取したわけでございます。誓約書を徴収して一カ月以内に是正しますということでございます。一カ月後に再び立ち入りをいたしまして、その段階では即応態勢が整備されているのを確認したと、こういう状況でございます。行政目的はそれによって達成されたというふうに見ているわけでございます。その他の同社の体制等も逐次改善されていると聞いているところでございます。
 今後とも事態に応じて適切な行政措置を講じていきたいと、こう考えているところでございます。
#184
○上野雄文君 これは国家公安委員長にお答えいただいた方がいいのではないかと思うのですけれども、実は先ほど来から吉川委員も行革問題で質問されておりましたけれども、この警備の仕事を自治体が頼んでいるというのがものすごくふえてきているわけです。この間、ある新聞では、まだ学校に警備員を置いてえらい金使っている、警備会社に頼めばこんなに安くなるのにというような記事もありました。私は一概にそうすることがいいのだというふうに結論づけるわけにはいくまいという疑問を持っている一人なんですけれども、こういうものが出てきたりすると、これはまさにとんでもない話なんでありまして、警備をいいことにして金もうけの対象にしている。これは警察庁の方からこの規模の問題について触れてはっきり言われませんでしたけれども、とにもかくにも全国至るところに根っ子を張って、新潟でも埼玉でも神戸の方でも事件を起こしているんです。ですから、こういうものについても、自治省が将来とも民託の問題やなんかでどんどん進めようとする場合に、何でもいいんだというような話にならぬことなんだろうと私は思うんです。ですから、これはひとつ手厳しくやっていただきたいと思います。
 それから、私が警察庁からいろいろ事前に話を聞いたところによると、警察庁のOBがこのセコムに入っておったというようなふうに受けとめておったのですが、随分前の話で、しかも顧問だというようなことでお年も八十歳近い人だというから、その人がいるから黒い癒着だなどということの話にはならないのだろうと、こう思うのですけれども、火のないところに煙は立たぬという例えもあります。指導助言をするという立場におありになるわけでありますから、そういう疑いの持たれることのないように今後対応していっていただかなければ困る、こう思うのでありますが、国家公安委員長としてひとつ御所見をお述べいただきたいというようは思うんです。
#185
○国務大臣(古屋亨君) 先ほどから上野先生のお話を聞いておりまして、私も栃木、埼玉の具体的なことはよく知りませんけれども、こういう警備業者の適切な業務の推進あるいは警備業界の健全な発展を図るというためには、そういうような疑惑を抱かれるということは絶対に目的に反するものでございますので、私は、警察といたしましても業界の健全な発展を図るように的確なる行政措置を行います。いやしくも今先生のお話のような疑いを持たれることがあってはこれは非常にまずいし、それからまた、いろいろの民間委託ということも出ておりまして、恐らくそういうことに関係されておる方もあると思いますが、警備業界であるからケースが甘いのではないかというような疑惑を抱かれないように私も十分警察庁に注意をいたしまして御期待に沿うように努力をしてまいります。
#186
○中野明君 まず大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど吉川委員の議論の中にもありましたが、政府部内に地方財政余裕論というのが非常に強くあります。これははっきりそう言っておるようですが、私も国庫補助の一律一割カット法案というのは腹に据えかねているわけですが、大臣のお話によると、結局は何だかんだと言いながら押し切られたということになるわけですが、大臣自身の心の中に地方財政余裕論というものがやはり影を引いていたのじゃないかと、そういうような気がするのですが、その辺は大臣、地方財政余裕論というものを打ち破るために今後最大の努力をしていただかなければなりませんが、地方財政の現状というものをどのように大臣は思っておられるか、いま一度。
#187
○国務大臣(古屋亨君) 私は、国が厳しい状況にあるけれども地方も今厳しい状況にあるというような、結論的に申し上げますとそういう意識を持っておりまして、五十七兆近い借金といいますか、マイナスを抱えておる地方団体全体の負債状況でございますし、それから公債負担率が二〇%以上というようなところが四分の一に当たる八百二十団体もあるということから考えまして、私は地方財政は豊かどころか非常に火の車であるというように感じております。ただ、一部の財政に若干ゆとりがあると申しますか、あるいは地方税源の豊かであるというようなところにおきまして、何と申しますか、高い、常識的に許されないような給与とか、そういうことをされておるということは、私は本当にそれだけで地方の方が豊かじゃないかというような意識を持たせることが非常に多いと思っております。
 したがいまして、実は先ほど私の感じを申し上げたのでありますが、国会の予算委員会の論議を私聞いておりましても、一部に何だか地方は豊かである、もっと負担さしてもいいというような方が、地方財政の皆様方にそういう意識は全然あるとは私は思っておりませんが、そうじゃない専門の方のうちにそういう意識があり、そういうことがだんだん伸びてまいりますと、もっと地方に負担させても大丈夫というような声が出ることを大変おそれておるところでございます。そういう意味で、非常ほ高いといいますか、この間も神奈川県でありましたような事例が出てまいりますと、どうだ、だから地方は豊かじゃないかというようなお言葉が出てくることを私は非常に心配しておるのでありまして、そういう意味で、一律カットのときも私、地方は豊かでないからそれは一年限りで、五千八百億は全部国で補てんしてもらいたいということをはっきり大蔵大臣に申し上げたわけでございまして、私は地方は非常に厳しいという認識を持っておりますし、それからまた行革の問題も随分まじめにやっておるところが多いということを私は自分で目のあたり感じております。
 ただ一部がそういうのと全然反対の方に動いて、それがマスコミに出たり、そういうことが財政余裕論に火の粉といいますか、そういう論議をされる方があるということは、私はこれからあらゆる機会を利用して、地方はまじめにこういうふうにやっておるのだと、立派にということをぜひあらゆる方たちに知っていただきます。何と申しましても厳しいということは事実でございまして、そういうことが本当に実際そうであるというふうに全国民に認識を持っていたたくことが私は一番根本だと思っておりまして、今後とも一生懸命にそういう点の努力をさせていただきたいと思っております。
#188
○中野明君 どうも私どもも心配をしておりますのは、やはりせっかく大臣が強い決意で臨んでおられても、最終的に国の財政が厳しいということで今度の問題も押し切られるということですから、先ほどちょっと出ましたように、交付税の問題にしてもここで歯どめをしておかないと今後も大変じゃないかという感じで、このことしの一割カットは頑張ってほしかったなというものがあります。地方のそれは一部大きなところは少し余裕のあるところがあるかもしれませんが、もう全体的に見まして、特に僻地へ参りますとこれはもう大変なものです。もう首長さんが当初予算をどうして組もうかということで、それこそ脂汗をかいているというのが現状でありまして、それへ補助金がカットされてきたり、後ほど触れますけれども、いわゆる退職者の医療の問題もこれは大変な問題になってきておるわけでして、そういうことをいろいろ考えますと、ぜひ地方の財源確保のために全力を挙げて闘っていただきたいと思います。
 それで、きょうは時間にも制約がありますので、まず最初に消防庁の方にお尋ねをしたいと思いますが、山の林野火災、これについてお答えをいただきたいのですが、ことしの二月に愛媛県の川之江市から香川県の豊浜町にわたりまして、ちょうど都合が悪く異常乾燥の真っ最中だったのですが、火災が発生をしまして、両県にまたがって大変な災害が出たわけなんですが、このときにいわゆる愛媛県側とそして香川県側で無線の連絡がつかぬ。周波数が合わぬというのですか、機械が合わぬというのですか、連絡がつかなくて火災が長引いたという非常に苦い経験を踏んだわけなんです。
 ところで、東北地方に起こりましたあの久慈火災におきましてもやはりそのようなことで、消防庁の方としては全国のいわゆる消防に通達を出しておられるのを手元にもいただいておりますけれども、そのように過去の教訓を生かして適切な指導と通達が出されているにかかわらずそれが守られてないということは、一体これはどういうことなんだろうか。その辺に今回の香川県、愛媛県にわたったこの火災の広がった理由もあるのじゃないかと、こういうような気もするわけなんですが、その辺をどうお考えになっておりますか。通達が守られないのだったら、こんな通達はもうそれこそただ一片の紙切れにすぎないということです。私一番大事なのは、やはり同じ問題での事故の再発を防止するということが一番大切なことじゃないかと思います。それが教訓が生かされないということになると、その辺は非常に綱紀といいますか、指令が届かないということで、また大きな事故を起こすもとになるのじゃないかと心配をするわけなんですが、その辺ちょっと御説明をいただきたい。
#189
○政府委員(関根則之君) 愛媛県の川之江市で発生をいたしました山火事で三百九十一ヘクタールもの林野を焼いてしまったということ、まことに残念なことだったと考えておるわけでございます。しかし、そういうことになりました原因は、先生御指摘がありましたように、無線がうまく連絡がとれなかったためにという連絡上の問題もあると思いますけれども、ほかにもいろいろあるわけでございまして、突き詰めて申しますと、やはり最終的には山火事に対する消防力全体の水準が低かったと、まだまだ山火事に対応する、しかも広域的な山火事に対応するだけの消防力の整備が必ずしも十分ではなかったということになるのではないかと思うんです。
 そこで、御承知のとおり日本の消防というのは国家消防でもなく都道府県消防でもなく、三千三百の自治体が自分で消防力を保持している。それに対して国なり県なりができるだけのいろいろ制度面その他で応援をしていく、また御指導も申し上げると、こういう役割を担っているわけです。したがって、無線の問題につきましても、私どもはできるだけ県内の連絡は当然のことながら、県間にわたってもうまく連絡がとれるように全国の消防の共通波というものを郵政省にお願いをいたしまして電波割り当てをもらっているわけです。しかし、それを実際に使うには各消防機関がそれぞれその周波数に合った機械をお互いに持ち合いながら連絡をしなきゃいかぬわけです。したがって、これは通達を出して、こういうことで整備をしなさいよということは私ども指導をしておりますけれども、実際に効力を発掘するのは、各消防隊がそれぞれそういう機械を買いまして整備をし、持つことによって初めてできると、こういうことでございますから、単に通達を出したら途端にそれでぱっとできるというものではない、時間がやっぱりかかるということでございます。
 私どもは財政面その他につきましても、また補助金もわずかながら持っておりますので、そういうものもフルに活用しながらできるだけ整備を急ぎたいというふうに考えておるところでございます。おととしでございますか、東北に起こりました地震の教訓というものが役に立ってないということでは決してございませんけれども、時間をかけていろいろな整備をしていかなければならない消防力の整備が、やはり一朝一夕にはできないということに基本的な原因があるのではなかろうかと思っております。
#190
○中野明君 せっかくの御答弁なんですが、この無線というものは、きょう今日でいえばアマチュア無線ももう本当に簡単に操作できるという時代にもなっていますし、情報化時代の今日、せっかく無線設備を持っておっても隣の県と、県が違ったらもう全然同じ火災なのに連係がとれなくて消火活動に手間取ったというのが、今回の火災の済んだ後の反省会で強く地元から出てきているわけです。ですから、そういうことを考えますと、周波数さえ合わせればそんなに私難しい問題じゃないと思いますし、日ごろのやっぱり油断じゃないかと、そういう気がするわけです。まさか隣の県へまでということ。山火事というのは、これはもう遠慮会釈ないのですから、県境もなにもないのですから、その辺は今後十分に指導、周知徹底をお願いしたいと、このように思っております。
 それで、その次の問題なんですが、いわゆる情報化時代の都市災害じゃないかとまで言われました東京の世田谷の電報電話局の溝道火災、これは大変な騒ぎになりました。私も溝道の中へは何回か入ってみましたが、普通の常識で考えて、あそこは火事がいくようなところじゃありません。そこで、火事がいって丸焼けになったというのが大きな痛手なんでございますが、この世田谷火災の原因の究明ほどこまで進んでおりますか、最初にそれを。
#191
○政府委員(関根則之君) 林野火災の、先ほどの指導をすべきであるというお話でございますけれども、私ども積極的にこれから全国共通の周波数が使えるような機械設備等をしていくように、その設備がしてありませんと周波数がどんなにありましても実際使えないわけでございますから、そういった指導もしていきたい。また、そのための我々がやらなければならないいろんな面におきます努力もしていきたいと考えております。
 洞道火災でございますが、現在、結論的には調査中でございます。というのは、大体現場検証等につきましてはそれほど時間がかかるわけではございませんから既に済んでおりますし、関係者からの事情聴取等につきましても一通り済んでおります。問題は、なかなかやはり技術的にも難しい問題をどうも含んでいる火災のようでございますので、実際の着火からそれの拡大の過程が具体的にどうなっているのか実験をいろいろやってみる。理論的ないろんな仮説はありますけれども、実際に燃やしてみて、本当にそのとおりになるのかどうか、その辺のところをやはり裏打ちをしなければいけませんので、そういう実験をやる必要があるということで、いまだ最終的な結論が出るに至っていないというのが現状でございます。
#192
○中野明君 これはどれぐらいかかるものでしょうか。訴訟まで起こり始めました、公社に対して。地域の住民は大変な迷惑をこうむって大騒ぎになったわけなんですが、これは先ほども申し上げましたように、今後の教訓と再発防止ということになりますと、まず原因の究明、これは原因がわからないことには同じ種類の事件が起こることを防ぐことは、これまた十分じゃありません。ところが、あれだけのわずかなところで燃えたのですから、もう原因がはっきりしていいのじゃないかと私は思うんです。もうじき半年近くになりますからね。あれだけのところで、ほかにも火の気のないところなんですから、どうなんでしょう。警察の方もある程度原因究明はなさるわけなんですが、大体どれぐらい時間がかかるものなんでしょうか。見通しはわかりませんか。
#193
○政府委員(関根則之君) 具体的には現在東京の消防庁におきまして原因究明をやっているわけでございます。消防サイドといたしましては、まだ実験等でこれからやらなければいけない実験等もあるようでございますので、現時点において、いつごろまでには完全にわかるという日時を確定することができない状況でございます。
#194
○中野明君 警察の方はどうなんでしょう。原因はどう思っておられるのですか。
#195
○政府委員(金澤昭雄君) 原因の調査につきましては現在警視庁の方でやっておりますが、今消防庁の方からお答えになりましたように、警察の方といたしましても、現段階でいつごろまでにめどがつくということはちょっと難しい段階でございます。
#196
○中野明君 どうも慎重にならなきゃならぬ気持ちは私わからぬことはないんですが、あれだけのところで火事が起こって、この科学の発達している時代に原因の究明にいつまでかかるのだろうかという、部外者として生意気な言い方かもしれませんが、素朴な疑問を持つわけです。何かこれは政治的に原因の究明をちょっと延ばしてくれというような、そういう動きがあるのじゃないかとまで勘ぐりたくなるぐらいスローモーなんです。原因の究明を急がないと、これまた同じようなことが起こったときに、それこそ責任といいますか、消防は何をしているのだという非難をまた受けるようなことにもなりかねないと思うんです。何か聞いてみますと、ニュージャパンの火災のときにも、たばこの火の不始末という結論を出すまでに一年かかったというようなことを聞いていますが、それほどやっぱり原因の究明というのは難しいものなんでしょうか。この素朴な疑問を私持っていますが、もう一度お答えいただけますか。
#197
○政府委員(関根則之君) 私も技術屋ではございませんから、詳しいことは必ずしもよくわかりませんが、東京消防庁に対しまして原因究明を急ぐようにということは指示をいたしておりまして、東京消防庁におきましても一生懸命努力をしていることは間違いないと思います。それから外部から、消防の原因究明というまともな理由以外のところからこの原因究明をおくらせるというような話は全く聞いておりません。そういうことはないものと確信をいたしております。
 それからもう一つ、原因究明がおくれていくと再発防止の上で問題が生じるではないかというお話でございます。それはまさにもっともなことでございますが、今の原因究明というのは、まさに具体的な火事の問題につきまして、どこから火がついてどういう形で延焼したのかということを究明しているわけでございまして、それは多少おくれましても、現にああいう洞道におきまして集中配管が、配線の被覆が燃えたということはわかっておりますから、いろんな事情はあるでしょうけれども、どういう理由があろうと二度とそういうものに火がつかないようにする、あるいは火が出た場合にそれの延焼防止ができるようにしていく、そのための消防の対応は、個別の原因究明の進行とは別に、既に我々としてはもう取りかかっておりますので、原因究明ができないために――確かにその面はあることはあるのですけれども、全然関係ないとは申しませんが、体制としては、大きな分野としては、消防として対応策を既に進めつつあるというふうに御理解をいただきたいと思います。
#198
○中野明君 それから、先ほど吉川委員もちょっと触れておられましたが、けさのテレビでもやっておりましたが、火事で一番悲惨なのはやはり人身事故だと思いますが、最近の火災で人身事故が特に月目立つのは都会の二階であると、そういうことが報告されているわけなんです。いわゆる建築が進んで、外は防火というのですか、なかなかよくできているのですが、いわゆる室内におけるガスが異常に発生するような新建材といいますか、そういうこととか、二階から、近所がもういっぱい詰まっているものですから階段しか逃げるところがない、そういうことで起こっているようなんですが、非常に人身事故というのは痛ましい限りでございますが、そういう点で、建材といいますか、そういうことについての指導というものはどういうふうにお考えになっているのでしょうか。
#199
○政府委員(関根則之君) 御指摘がございましたように、住居の中での焼死事件というのが非常に多くなっているわけでございます。昭和五十九年は二千八十九人の焼死者を実は出してしまいまして、これは戦後焼死者の数としては最高を記録をしたわけでございます。我々はこういう事態を深刻に受けとめておりまして、できるだけ消防サイドにおきまして出火防止その他、人命の犠牲を出さないように努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
 建材問題につきましては、私どもは当然のことながら出火をしないように、仮に出火した場合におきましても延焼しないような、そういう建材の使用をお願いをしているところでございますし、また焼死者の原因が一酸化炭素を中心とします有毒物質によって発生しているということも数字の上ではっきりいたしておりますので、そういう有毒ガスを発生しないような建材の使用をお願いをしているところでございますが、具体的には実は所管がこれは建設省だと思います。建設省に対しまして、そういう指導について万全を期するようにお願いをしているところでございます。
#200
○中野明君 消防はもう一件だけ。
 去年でしたか、北海道の小樽で消防のはしご車が訓練中に折れて、そして消防職員が亡くなった。そういう事件があったようでございますが、これはどうなんでしょう。つい最近の東京の火災でも、民間の建築業者が使っているリフトですか、あれで人助けをしたというようなことも出ているのですが、消防が正規に使っているはしごが途中で折れて、そして消防職員が落っこちて死んでしまうというような、そんないいかげんなはしご、そういうのがどこかもう一カ所それよりも以前に何かあったということも耳にしたのですが、製品の安全検査といいますか、こういう器具の安全検査というのはどういうふうになさっているのでしょうか。
#201
○政府委員(関根則之君) 札幌ではしご車の折損事故がありまして消防士が亡くなっております。私どもとしては、まことに痛ましい事故でございますし、先生のおっしゃるように、まさに一般の住民の命を守らなければならない消防士自身が自分の機械によって命を失うということはまことに残念なことでございますので、そういうことのないように努力をしていかなきゃいかぬというふうに考えております。
 やはり消防というのは常に危険に身をさらして活動するものですから、機械そのものにつきましても安全性が十分確保されなければいけないわけでございまして、通常の消防の機械器具等につきましては検定制度というのがございまして、消防検定協会におきまして検定をやっております。ただ、はしご車につきましては、今まで検定制度というのが正式には適用されておりませんで、鑑定という形で強度の試験等を実際に検定協会で行いまして、それにパスしたものを補助対象にする、そういう取り扱いにいたしているわけでございます。したがって、通常の状態でありますと、鑑定にパスした消防用のはしご車というものは通常の使用方法下におきましては安全であるというふうに私どもは考えておったわけでございます。しかし、残念ながら具体的な事故が起こったわけでございます。これをもとにいたしまして、実際に同型の機種もあるわけでございますので、こういったものにつきましては事故が起こりました昨年の四月の時点で一斉に点検をさせますとともに、実際の扱い方そのものについても、いわばソフト面におきましても安全基準を守ったやり方での操作をするように、操作の適正化ということにつきましても十分注意するよう通達を出し、それに従ってやってもらっているところでございます。
 今後、はしご車そのものについての検定なり安全試験のあり方というものにつきましては、今回の事故を参考にいたしまして、消防庁の内部におきましても今検討を実は続けているところでございます。検討委員会を設置いたしまして研究をしております。もう一年そろそろたちますので、できるだけ早く結論を得て具体的な今後の安全策をどうしたらいいかということを決めていきたいというふうに考えておるところでございます。
   〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕
#202
○中野明君 はしご車の設計ミスだったのでしょうか。その辺の原因はわかっているんですか。
#203
○政府委員(関根則之君) 一口で設計ミスと言えるかどうかでございますが、警察の方からの措置としては、どうもひねり強度が足りないのではないかというようなお考え方のもとに警察としての措置をおとりいただいたというふうに承っております。私どもはそういうことも含めて、現在、先ほど申し上げました検討会におきまして検討し、これには当然力学的な関係の学者の先生方も入っておりますし、実際使っていただいております消防関係者、また検定をやっております日本消防検定協会の関係者、技術屋にも入ってもらいまして真剣に検討をいたしておるところでございますので、今回の警察の見解をも含めて対応策を考えていきたいというふうに考えております。
#204
○中野明君 先ほどの御答弁にも操作云々というようなお話があったわけですけれども、ちょっとぐらい操作を間違えたら折れるというようなはしごは困るのでありまして、消防なんかは緊急の場合ですから、やはりある程度慌てているときもありましょうし、ちょっと操作を間違えたらはしごが折れてしまうようなことでは困るのでして、やはり設計に万全を期していただかないとならぬのじゃないだろうか。もちろんそれはむちゃくちゃ使っていいという意味で私申し上げているのじゃないですけれども、順序一つぐらい逆になったからというて、はしごが折れるようじゃ困るということでして、その辺を含めて欠陥じゃないかと私思いますけれども、ぜひそういうことも対策を立てていただきたいと、こう思うわけです。物事が起こってから、いつも後から後から対策を講じて問題点を指摘されるようなことになっているわけですけれども、やはり現場で働いている人というのは身を挺してやっているわけですから、現場の声もお聞きになって、そして一番安全でしかも確実な消防活動ができるような対策をお願いしたい、こう要望しておきます。
 それで、警察庁の方にお尋ねをいたしたいのですが、関西で起こりましたいわゆる暴力団の抗争事件なんですが、これは私自身感じておりますけれども、この抗争事件というのはちょっと長期化するのではないかというような感じを受けます。特に毎日の新聞にもう暴力団の発砲事件が載らない日はないというぐらいににぎやかに載っております。横浜の事件は残念な事件でございましたが、あの事件が大きく報じられましたために、発砲事件がやっぱりあったのですけれども、きのうあたりはその記事が非常に小さくなってしまっておりますが、各地で抗争事件の余波といいますか、対立抗争が起こって非常にその地域の住民の皆さん方は迷惑をこうむっているわけです。この点について、暴力団の抗争事件というものをどう見ておられるのか、まず最初にそのことからお答えいただきたい。
#205
○政府委員(金澤昭雄君) 暴力団の対立抗争事件の状況でございますが、一月の二十六日に山口組の組長らが狙撃されまして死亡したという事件に端を発しまして、現在全国的に山口組とその対立する団体であります一和会との対立抗争事件が相次いで発生をしておるわけでございます。きのうまでの状況でいきまして二十六回、この山口組と一和会の対立抗争という関係で二十六回の抗争事件が発生をいたしております。
 今後の状況でございますが、一月二十六日発生しました直後に、全国にこの対立抗争事件についての取り締まりの強化、一つはこの両方の構成の組員の大量検挙、けん銃の押収、それに警戒するべき場所に対する警戒を徹底してやりまして市民の保護ということに万全を尽くせと、こういう全国に通達を出しました。その後、二月一日にこの山口、一和両組織を抱えております全国三十二都府県の暴力団担当課長を集めまして、同じような指示を強力に行ったわけでございます。そこで、徹底した取り締まりを現在やっておりますし、またこの両方の組も相互に報復行動を恐れて非常に警戒しておると、こういうふうな状況から、両方の報復活動が短期間におさまってくるということはちょっと考えられないような状況だと思います。
 したがいまして、警察としましては相当長期間にわたって抗争が続くものというふうに考えまして、その前提で現在取り締まり等、警戒の強化、これをやっておるわけでございます。
#206
○中野明君 それで、私は今高知県に住んでおるわけなんですが、もちろん本拠の大阪、兵庫がもう大変なことはわかるのですが、高知県のような小さないわゆる僻地の県警本部というものは、これ大変なんですね、そういうところで事件が起きますと。しかも、白昼市内で発砲事件があって、今度は射殺事件があって暴発事件があってというふうに矢継ぎ早で、一カ月の間に去年一年間で押収したよりも多いけん銃を押収して、暴力団を一人捕まえたら必ずピストルを持っているというような状況で、それも種類はもうアメリカ製からイタリア製からソ連製まで入っている、国際的な市場になっているような感じで非常に厄介なことで、そのために県警全部で千四百でしたか、千四百人の皆さんの中で大半がこの高知市へ集中しなきゃいかぬ。
 そうしますと、私が一番心配しますのは後方のいわゆる治安と保安です。これで大多数の人がこの高知市内にあの広い県で集中させられるものですから、もう後方の人たちは精神的と肉体的にグロッキーです。これが長く続くということになりますと、これは問題じゃないだろうか。それで、ちょっと高知の田舎でやはりけん銃自殺をした人が出たり、それから愛媛県の片田舎では、駐在所で上役が何か言ったら頭へきて刃傷ざたが起こったとか、そういういらいらした気分、不安も本当にやむを得ぬなと言うたら語弊がありますけれども、それほど大変です。
 だから、そういうことを考えていきますと、今お話がありましたように長期化するということになると、その対策というものをぜひとってあげないと、警察官といえども人間ですから限界があると思うんです。しかも、日曜も深夜もない、張りつけられる。そうすると、これ本当に見ていて気の毒なんです。それで、張りついておられるそれは結構なんですが、近所がまた迷惑だ、商売にならぬとか。私のしょっちゅう行く散髪屋さんも、お客さん半分に減りましたよと。なるほど散髪屋の前にいつも制服を着た人がおるのですから、そうすると、お客さんもこの次にしようかということになるというようなことで散髪屋さんまで影響が出ているというように、市民生活に迷惑も出ているし、警備をしておられる方はそれこそ肉体的にも精神的にも休みなしに大変だ。また、予算面でいきましても、超過勤務ですか、それがもうとてもじゃないがもたぬということで県にも追加請求をなさっているようですが、県もねじり鉢巻きで、先ほど自治大臣もお答えになったように、そんなあり余ったお金はないのですから、もうどうしようということです。そうなりますと、これはよほど両面を考えていかないと大変だということで、そういう面の長期化した場合の後方の治安とかあるいは予算面とか、そういうことは万全なんでしょうかどうか、その辺はどうなんでしょうか。
#207
○政府委員(金澤昭雄君) お話のありました高知県警は定員が千四百三十名でございます。現在、この高知で発砲事件、対立抗争が発生をいたしまして以来、この捜査本部それから十七カ所の警戒箇所への警戒、これで現在三百名の体制を組んでやっております。したがいまして、今お話がありましたように、確かに広い高知県の土地でございますから、後方治安の方は大きな問題かと思います。しかし、現実の問題といたしまして、今お話がありましたように発砲事件が昨晩も発生をしたという状況でありますので、県民、市民の保護という立場からいきますと、危ない状態の場合には、相当県警として負担が重くても、やはりこれは警戒を強化しなきゃならぬというふうに思います。
 しかし、長続きさせていくために、警戒員のローテーションなり、それから予算面で特に超過勤務手当の充当というようなことについて、これは県警の管理面で現在もいろいろと考えておりますし、今後そういう点に特に注意を払っていかなきゃならぬと思います。幸いこのところ、きのう発生しましたが、この前死傷者が出ました後はちょっと小康状態というふうになっておりますし、これまでのところ県警の方も全部で五十四名、けん銃十七丁と、こういうことで取り締まりも着々とやっておるということです。しかし、これは大量検挙によって抑え込まなければ、とても完全な解決はあり得ないと、こういうことで、つらくても頑張ってやっていきたいというように考えております。
#208
○中野明君 それで、御承知だろうと思いますが、高知県というのはもう過疎地で産業もそんなにないところですので、観光に力を入れる以外にないということで、今年は坂本龍馬生誕百五十年ということで、えらい大々的にキャンペーンをやったところが、こんなことが起こってもうキャンセルばかりで、早く何とかしてほしいということで、市民も警察だけに任しておいてもいかぬ、我我も立ち上がろうということで、市民が暴力追放の総決起大会をしまして、八百人ぐらい来たら上等だろうと言っておったら千五百人も来まして、非常に関心も高まっております。
 そういう状況の中で一日も早い解決ということを望んでいるわけなんですが、ちょっとこれは肝心の一番の親玉が殺されているものですから、なかなかおさまりそうにないなという感じでおります。しかしながら、市民生活というものにはそれほどあれは出てないように感じるのですけれども、報道が余りにも、特にスポーツ紙なんかが大きく報道したものですから、高知というところは一体どうなっているのだと、無法地帯のように言われて、私らも高知へ帰ると言ったら、気をつけて帰ってくださいよというふうに言われるぐらいで、何でそんなに言われなきゃいかぬのだろうかというぐらい日本じゅうに知れわたってえらい迷惑をこうむっているので、何とか早い解決というか、抑え込みをお願いしたいと強く思っております。
 それで、そういう場合、余り長引いた場合はほかの県から応援というようなことはできないものなんでしょうか。その辺はどうなんでしょうか。
#209
○政府委員(金澤昭雄君) 一つの県の警察力でなかなか手に余るというような場合には、これは公安委員会の応援要請ということで、もちろん応援をやるということは可能でございますけれど、今のところは高知県警も頑張って何とか大量検挙によって事態を解決すると。ほかの県から応援をもらってやりましてもこれは一時的な対症療法的なものでしかありませんので、やはり先ほど申しましたように、大量検挙によって完全に県警が抑え込むということを基本にしまして現在やらしておるわけでございます。どこの県でも、特に関西の府県警におきましては自分のところに山口組、一和会の両方の系列を抱えておりますので、なかなかそれぞれ大変でございますから、自分のところでひとつ完全に抑え込むということでやらしております。
 御参考にちょっと申し上げますと、現在までに一月二十日以来検挙しました暴力団の数は千五百七十二名、拳銃八十三丁。千五百七十二名と申しますのは山口組、一和会両方合わせた数の一割強でございます。これを現在逮捕しておると、こういうことでやっておりますが、今後引き続いて強力に取り締まりをやっていきたいと思います。
#210
○中野明君 それじゃ、もう一点だけ簡単で結構でございますが、グリコ・森永事件なんです。一年を経過して犯人もいろいろあれをしているようなんですが、これの見通しはどんなものなんでしょう、それだけ。
#211
○政府委員(金澤昭雄君) 発生以来一年を経過をいたしまして、非常に国民の皆様方に御心配をおかけしておることは本当に遺憾に思っております。特に大阪府警、兵庫県警、京都府警、これが中心になりまして現在も全力を挙げて捜査をやっておるわけでございます。一年間かかった、非常に長期化しておるという原因につきましては二つ考えられると思います。
 一つは、我々の捜査面での考え方でございますが、これはやっております捜査が非常に大量に生産され大量に流通をしております物の捜査、遺留品、これに非常に人手と時間がかかっておるということ、それから国民から多数寄せられております人に関する情報、これが多数貴重な情報が入っておりますが、これの一つ一つ白黒をつけていくという捜査に時間がかかっておるという面でございます。
 それともう一つ、犯人側の特性といいますか、この犯人グループはほかの頻発いたしました模倣犯に比べますと極めて用心深い、それと極めて計画的、緻密に計画を立てて警察の動きに非常は神経を使いながら犯行に及ぶと、こういうことがこの逮捕までに時間がかかっておる状況だと思います。
 しかし、そうはいいましても、もう全力を挙げて解決するというのが今我々に与えられました最大の課題でありますので、ひとつこれからも全力投球でやっていきたいというふうに思っております。
#212
○中野明君 それじゃ、最後に退職者医療制度についてちょっとお尋ねをしておきたいと思うんです。
 厚生省も見えていただいていると思いますが、昨年の十月に退職者医療制度が発足をしたわけなんですが、当初厚生省が言っておった対象者の見込みが大きく崩れてまいっておりますが、現状はどうなっておりますか。
#213
○説明員(近藤純五郎君) 御指摘のとおり、昨年の十月から退職者医療制度を発足したわけでございますが、現在の把握状況でございますが、一月末でございますけれども、二百六十二万人でございまして、全体の当初見込みました数に比べまして六五%の把握率になっております。
#214
○中野明君 それで、この退職者の医療制度がそれほど見込みが違ったのはどういう理由によるのか。その辺はどう把握しておられますか、それをお答えいただきたい。
#215
○説明員(近藤純五郎君) 私どもの退職者の見込みでございますけれども、この見込みにつきましては、年金の受給者の数でございますとかその国保への加入状況等の各種の統計を用いまして可能な限り正確に推計したつもりでございますが、現在のところ把握がおくれておりますのは、市町村によりいろいろ事情が異なるかと存じますけれども、やはり制度の中身がまだ国民的に知られていないというのが一つの大きな理由ではないかと思っております。
 それから、この対象者の認定につきまして年金の受給者のリストで行っているわけでございますけれども、五十九年度の新規の対象者のリストが昨年の十一月から十二月にかけて市町村に送られておりますので、この関係がまだ把握できてないのではないかというふうなこととか、あるいはそのリストが送られてもその後住所が変わってしまうというふうな方につきましてはリストではなかなかつかまらないというふうなのが主な理由ではないかというふうに考えております。
#216
○中野明君 それで、この法案を通すときには厚生省の方は、国保の方には絶対迷惑はかからぬ、そういうふうに言っておられたわけなんですが、実際にやってみると、四カ月しかたってないと言えばそれまでかもしれませんが、六割にも満たないということで大変なんです。国庫補助だけカットされて、そして退職者は一向に加入してくれないから、もう地方の国保会計というのはどうもならぬということで、各議会でもこの三月議会は大騒ぎになっているところが私は全国的に多いのじゃないかと思う。特に過疎地域に行きますと、退職者というのはもう皆無に等しいところもあります。こういう状況で、ある市なんか聞いてみますと、国保の積立金八千万あったのを全部崩してなお二九%のアップということで、議会で通るや通らぬやというて、市長がもうそれこそ各議員に懇願をして何とか切り抜けているというような現状でありますが、こういうことが起こったことによる財政的な、当初言われておった迷惑をかけないということについて、いわゆる財政的な対策というものをどう考えておられるか。実態を調べるように今通達を出しておられるように聞いておりますが、その面も含めて厚生省と自治省の見解を両方から御答弁いただきたい。
#217
○説明員(近藤純五郎君) 私どもも、一部の市町村からでございますけれども、そのような御要望を確かに受けております。
 私どもの国庫補助の合理化につきましては、退職者医療制度の創設でございますとか市町村国保におきます医療費の適正化対策の効果、こういうものを見込みまして国庫補助制度の合理化を行ったわけでございますけれども、いずれにいたしましても、当初見込んでいたとおりには今のところ進んでないというふうな状況でございますので、私どもの方も新しい年度に入りましてから調査を行いまして、その結果件基づきまして必要な対策を考えたいというふうに考えております。
#218
○政府委員(花岡圭三君) 市町村国保に係る国庫補助負担制度の仕組みが変更されたところでありますけれども、この医療費適正化の推進と相まって今回の制度改革によります市町村国保全体としての保険料の負担水準の上昇をもたらすものではないということを所管省から説明を受けておるわけでございます。
 ところが、御指摘のように、実施されてみますと退職者医療制度の適用者が見込みより大幅に減ってきたということで、市町村におきまして大変大きな問題になっておる。町村会などの動きを見ておりましても、市町村の一般会計からの繰入金によって補てんはしないでおいてほしい、あるいは積立金も取り崩さないで六十年度会計からの繰り上げ充用によって処理をせよ、そうすることによってこの影響というものを明らかにしておく必要があるという連絡を全国にしておるというふうなことも聞いておるわけでございます。私ども、この点に関しましては、先ほど少し申し上げましたけれども、市町村国保全体として大幅な保険料水準の引き上げを余儀なくされるような事態が生ずる場合には所管省の責任において所要の措置が講じられるものと承知しておるわけでございます。
 現在、自治省の方におきましても調査をいたしておりますけれども、これは全団体の一割、約三百団体につきまして五十九年度の決算見込みと六十年度の当初予算状況につきまして抽出調査をいたしております。このように現在市町村の状態を十分に把握して、そして健全な国保財政の運営を確保するために所管省において適切な措置をとってもらいたいという資料にもいたしたいということの考えでこういった措置を講じておるわけでございます。
#219
○中野明君 今厚生省の方から、一部の地域からというようなことをおっしゃっていますが、これは恐らくもう少ししたら、一部じゃなしに全部の地域から声が上がってきて、大騒ぎになることは間違いありません。
 ですから、調整金も用意しておられるというのですけれども、とてもそれどころじゃどうもならぬのじゃないかというような気もするわけですが、大臣、これは最後にこの問題につきまして、これは地方のいわゆる国保の会計というものは前前から大変なところをやっとこれができるからということで、少しはという感じを私どもも持っていたわけなんですが、もとの数字に、これはうそと言えばちょっと言い過ぎかもしれませんが、初めの数字にうそがあったのじゃないか、ごまかしというか計算間違いがあったのじゃないかとすら思うぐらい少ないんです。実際に聞いてみると、別に余り大したことないのだからとか息子の健康保険の扶養家族になっておけばいいというようなことで、退職者が事実あっても任意参加ですから、息子の方の扶養家族にしてもらうとか今のままでよろしいとかというようなものも出てきたり、なかなかうまくいってないようなので、今局長答弁がありましたように、所管省との話し合いもこれあり、自治大臣としても責任を持って、これは大きな問題になってくることはもう明らかですから、ぜひ善処していただきたいと、こう思うわけですが、御答弁をお願いします。
#220
○国務大臣(古屋亨君) この問題は中野先生のお話しになるとおりでございまして、私のところへも町村長会長さんが資料を持って一月の終わりにやってこられました。私も審議官に依頼いたしまして、私の知っている関係の数十カ町の町村の実態を調べてもらいました。やはり根本は、退職者医療制度の数が現実と違っておる結果の問題であります。そういうことも大きな原因でございました。国庫補助の方もそういうわけで減ってきている、それから保険料の方もこれは何とかしなきゃならないという状況でございまして、今財政局長が言いましたように、自治省としてはとりあえずは繰り上げ充用ということを要望しておりますが、現実に見ますと、保険料も一一%ぐらい上げた、市町村もやむなくそういう状況をとったとかあるいは財源の切り崩しを行っておるということも事実でございます。これはもうこのままほうっておけない大変重要な問題であると考えまして、私も実はそういう資料が大体できましたので、これに基づいて厚生大臣に所要の措置をできるだけ早くとってもらうように強く要望いたしました。
 市町村では大体来年度の予算のちょうど今議会をやっており、あるいは終わったところもあるようでございますが、私の地元でも一一%ぐらい引き上げをせんならぬというところもありますし、あるいは三%ぐらいというところもありまして、地域によっては当然違っておりますけれども、ともあれこれだけ大きな事態に至りましては大変でございますので、近く私の方の調査の資料もまとまりますので、それに基づきまして、厚生大臣にとにかく早く措置をしてもらいたい、予備費でやるか補正でやるか、何でやるかわかりませんが、そういう点を強く感じておりまして、厚生大臣と何とかしてこの問題を早く解決するように処理をしていかないと地方の自治体が参ってしまうというようなことにもなりかねないと思いまして、今のお話のとおり、私は重大決意を持って対処してまいりたいと思っております。
#221
○神谷信之助君 最初に、先ほど上野議員の方から横浜に起こりました三菱銀行の元警官を含む強盗事件について質問がありました。私は時間の関係がありますから答弁は要りません。ただ、私どもの見解だけはちょっと申し上げておきたいと思うんです。参考にしてもらえば。
 警官の制服の持っている力というのは非常に大きいのですけれども、今度の事件で、退職の際は返還をするけれども、在職中は自己廃棄処分するというのを知ってちょっと驚いているわけです。だから、交通違反なんかで警官が質問をするあるいは免許証を見せいと言うと、警官にお前も免許証見せいというトラブルが起こっているでしょう。そういうトラブルが起こっても無理もないような事件になってしまった。これはもう言語道断だというように思うんです。こういう問題が次々起こる上で、私どもは大体本質的に二つの問題を考えておる。
 一つは、やっぱり日本の警察が政治警察の偏向が大きいということです。警備、公安が偏向している問題です。私ども共産党やあるいは労働組合やあるいは民主団体に対して尾行をしたりあるいはスパイ行為をやったり、あるいはまた窃盗まがいのことまでやるというようなことがまかり通ると、これではもう人権感覚を失う。この問題が一つあるでしょう。
 もう一つは、警察の上意下達というか階級構成といいますか、その中で自由に物が言えるような民主的な状況というのがなかなか存在しない。抜本的な民主化といいますか、労働組合まで認められていないわけですから、そういった問題が根本問題としてあるというふうに考えます。この点だけひとつ国家公安委員長に申し上げておいて、きょうは地方行革大綱にかかわる問題、これをひとつ質問したいというふうに思います。
 最初に、地方行革大綱の性格ですが、一月二十二日に閣議決定されました。自治省に聞くと閣議報告ということなんですね。この点、決定と了解あるいは報告この違い、効力について一体どうなのか。この点をまずお聞きしたいと思います。
#222
○政府委員(大林勝臣君) 一月に策定しました地方行革大綱は閣議報告という形式になっております。地方行革大綱は、地方制度調査会の十二月の答申を受けまして、十二月の末に閣議決定をされましたその閣議決定をされたことに基づきまして自治省で策定いたしましたことについて報告を申し上げたと、こういう経緯になっておるわけであります。
#223
○神谷信之助君 だから、拘束力はどういうことですか。
#224
○政府委員(大林勝臣君) 閣議決定、閣議報告、閣議了解、いろいろ閣議で処理される形式があるようでありますけれども、代々こういったものは、昔からのそのときそのときの慣例ということになっておるようでありまして、どちらが拘束力があるとかないとかというようなことではないと承知しております。
#225
○神谷信之助君 これは法律上明記されているものではないんです。しかも慣行上は、いわゆる法案の決定とかいうように、政府の意思決定というのが一番大きくて、了解はそれぞれの各省大臣、各省の専決事項でやっても関係各省に協力を得るという意味での了解を行う。報告は、これはこういうことをそれぞれの専決事項の範囲内で行いますという、了解よりもう一つ軽い形でしょう。私はそういうように法制局から聞いております。だから、そういう意味で拘束力は、法律ではないわけなんですが、この地方行革大綱に基づいて当日事務次官の通知が出て、そしてこれの推進方向というのが全国に指示をされました。これはどうなんですか。
 大体全国一律にそういうことをやるという場合には、災害の場合だと災害対策基本法がありますし、それから都市計画なら都市計画法で全国的にやる、そういうようにそれぞれ独立立法しますね。今度の地方行革大綱に基づいて地方行革を進めるというのは全国一斉に、先ほどの大臣の言うので言えば、足並みそろえてと、こういうのを国会の審議を経るということなしに行政指導という形でなされることについての御意見はどういうことなんですか。
#226
○政府委員(大林勝臣君) 今度の地方行革大綱と申しますのは、その経緯につきましては本日の御質問でその都度出ておるところであります。
 非常に国、地方をめぐります行財政環境が厳しい中で、国、地方それぞれが総力を挙げて行革に取り組んでいかないといかぬわけでありますが、特に地方行革につきましては、前々からまず地方行革を阻害しておる国の要因を除去することが先決である。これはまた関与、必暦規制、権限移譲、機関委任事務の問題として既に法律が提案されているものもございますし、今後行革審で結論が出るものもございます。一方、今度は地方団体自体が地方団体の自主的な改革努力を推進する必要というものが当然あるわけであります。
 従来、地方団体の方が、どちらかと申しますと国よりも先駆けて行革の実績を上げているケースが多かったわけでありますが、一面行革の努力が不足いたしますために住民から批判を受ける、こういう地方団体も少なくないこともまた事実であったわけであります。そして、ややもするとそういった行革努力の少ない地方団体の方が目立つと申しますか、問題としてその都度取り上げられ、次第次第に、地方全体が行革努力をしてないのじゃないかという印象が強くにじみ出てきておったのもまた事実であります。この際ひとつ地方が、やってない団体も、それから従来やっておる団体もさらに一層努力をするという意味で、足並みをそろえて行革に努力する姿勢を示すという必要があろうということで地方行革大綱を策定してお願いをいたしておるわけでありますが、この精神そのものは、地方自治法に基づきまして地方団体はすべからくその組織、運営の合理化に努める、こういう義務がございますし、こういった方向で国といたしましても地方団体に対して助言あるいは指導という、また責務もございますといったことに基づきまして、この行革大綱で各地方団体が自主的にそれぞれの地域で行革大綱をつくって行革に邁進していただきたいというのが今回の趣旨でございます。
#227
○神谷信之助君 ちょっと聞きますが、二月四日に自治省の行政局行政課の方から、想定質問というのをおつくりになって各自治体におろされた。あるいはさらに、○○市行政改革大綱(案)、それから、○○市行政改革推進委員会設置条例(案)、○○市行政改革懇談会設置要綱(案)、○○市行政改革推進本部設置要綱(案)という案までつくって全体におろしておられるのですけれども、この想定質問というのは、これはどんな性格、役割を果たすのか。
#228
○政府委員(大林勝臣君) 行革大綱を総務部長会議で示しました後に、各都道府県から具体的なやり方についての質問が殺到いたしました。そこで、さらに具体的な御質問に答えるために、各部道府県の地方課長会議をブロック別に招集をいたしまして、従来都道府県の方から細かい質問を含めまして提出されておりました質問をあらかじめ質問集みたいな形で取りまとめまして、それを口頭説明をしたわけであります。同時に都道府県の方からは、具体的に市町村に行革の努力を要請する場合にも何かやはりひな形というようなものがあった方が理解がしやすいのじゃないかと、こういうまた要望もあったものでありますから、一つの基準と申しますか、一つのひな形と申しますか、そういうものを用意して説明をしたわけであります。
#229
○神谷信之助君 こうやってそれぞれの議会でいろいろ質問があっても、大体これに基づいて答弁をしなさい、つくる場合はこういうモデルがありますよと、あとこの「○○」にその地域の名前を入れれば大体できるようにうまくできておるんですね。手をとり足をとり親切な指導と言えばそれまでですが、これどうなんですか。先ほどから自主性、自主性とおっしゃっているのだけれども、しかしこれを見ますと、どこにも推進委員会とか推進本部はつくりなさいよ、従来のやつがあってもそれは改組しなさいよ、今までやってきたところもやり直しをやれと。それから、項目も重点七項目に従って大綱はこうやってつくりなさいよと。これはもう指導じゃなしに強制だ。まさに画一的な指導であって、何といい法すか、過保護というよりは、まさに支配介入であって、こういう画一的なやり方というのは私は非常に危険に思うんですが、大臣はどうですか。
#230
○国務大臣(古屋亨君) ひな形がありますので画一的と、こういうような御意見もあると思いますが、私はさっきから申し上げましたように、地方で今までやっておられるのはそれでもいいですし、それからまた重点項目を示しておるのも一つの基準でありますから、それによって自主的にそれぞれの特色を生かしてつくっていただきたいという気持ちでございまして、決して介入とか干渉とか、そういう気持ちは全然持っておりませんけれども、今後もそういう点のよく指導を受けられることにいたしまして、誤解をぜひ避けるように努力をいたしたいと思います。
#231
○神谷信之助君 今の大臣のお話ですと、従来からあるものはそのままで結構です、これに何も右へ倣えせぬでもよろしいということなんですね。想定質問には、そういうところも皆改組してこれもやりなさい、こういうふうに言っているのだけれども、私は大臣がそうおっしゃるならその方が正しいと思うのです。それはそれぞれの自治体がやるべきだ。したがって、想定質問になりますが、これは法的に言っても拘束力がないことは明らかなんだけれども、やらなかった、出てこなかったとしても、それに対する制裁措置はありません、やりませんというように書いていますけれども、この点は制裁措置がないというように理解をしていいですか。
#232
○国務大臣(古屋亨君) お話しのとおりでございます。
#233
○神谷信之助君 もうちょっと念のために言いますが、今の給与の適正化とかああいうことでだんだん起債制限が強まってくるというような制裁措置が現実に行われているのですけれども、この大綱なり次官の通知によりますと、自治省が言っているのでは、三月議会でこの必要な条例をつくって委員会をつくって、それから五月の連休後にはヒアリングを始める、だからそれまでに一応大綱案をつくりなさい、そして自治省の方でヒアリングをしましょう、八月にはちゃんと三年間の計画をつくって、八月末までには全部仕上げなさいと、こういう指示なんです。だから、そういう意味では議論が長引いておくれるという場合もあるだろうし、あるいは自治省が言うような大綱どおりにならなくても、それ自身がそれぞれの地域の実態に応じて議会の意見も入れ、あるいはいろんな団体の意見も入れ、そして全体が進めていく行政改革の大綱をつくるということであっても、これは制裁がやられるとか、あるいは今までだと財政的な制裁ですね、起債制限とかそんなことまでやるつもりはないということをもう一遍確認しておきたいのですが、いかがですか。
#234
○政府委員(大林勝臣君) 地方行革大綱を定めまして、今後行革努力を要請しますからには一応の目標というものがなければならないわけでありまして、できるだけ速やかに地方全体が足並みをそろえてそういった態勢に入ったということにしていただきたいという意味で目標を八月と、こういうふうに置いたわけであります。あるいは計画をおおむね三年間と申しますのは、従来行革努力を行っておられる地方団体それぞれに計画期間というのがございますけれども、大体三年というケースがケースとしては多いということで、一つの目鼻としておおむね三年と、こうしたわけでありまして、結局それぞれの地方団体の実情もありましょうから、必ずしもそれにぴしっと合うようなことにならないかもしれません。そのあたりは自主的にやっていただければいいわけでありますが、私どもの気持ちとしてはできるだけ早く取りまとめていただきたいという要請をしておるところでありまして、制裁云々につきましては私どもの頭にはございません。
#235
○神谷信之助君 地方議会の問題についても注文がついているのですけれども、一応実績検討と言いながら、重点項目に地方議会の合理化を挙げておられるんです。定数の削減を目指している臨調路線が私はこの中にも貫かれておると思いますが、議会制民主主義の政治を経費の削減の犠牲に私はしてはならぬと思います。少なければ少ない方がいいという問題ではない。大事なことは、どれだけ多くの民意を正しく反映することができるかどうかであって、数を減らせばそれでいいという考え方に立つべきではない。私はこういうように思うんですが、大臣御見解いかがですか。
#236
○政府委員(大林勝臣君) 議員定数の問題につきましては、私どもが常々考えておりますことは、現在の地方自治法で、法定数としてそれぞれの地方団体の人口段階ごとに一応の基準が決められております。この法定数の見直しということがよく言われるわけでありますけれども、なかなか法定数の見直しというのは現実問題としては難しゅうございます。定数力学というものがあるわけのものでもございません。非常に昔からの沿革的な歴史がございまして、現在の自治法がとっております法定数の数字も市制、町村制、府県制以来の数字が大体踏襲されておるところであります。したがって、これを見直すかどうかの問題というのは、現実に地方議会が果たしておる機能なりあるいは役割なり、そういったものとの関連において勉強していかなければならないのであって、一概に少なければいいというようなものでないことは御指摘のとおりだろうと思います。
 ただ、一応自治法で法定数というものを基準として掲げてはおりますけれども、同時に、同じ条例で地域の実情を勘案して減少することもできるのだ、こういうことになっておるわけでありまして、したがって従来各地方団体で定数削減ということがそれぞれ行われてきておりますけれども、これもすべてそれぞれの地方団体の自主的な議会内の御協議、そういったもので今日まで行われてきておるわけであります。そういう自主的な議会自身の御努力というものは、これはまたあってしかるべきであろう、これが私どもの考え方であります。
#237
○神谷信之助君 国会でも、衆議院の定数問題で憲法違反の判決が大分続きながら、問題まだ解決しないでしょう。地方議会でも、人口の変動に基づく定数問題、たくさん選挙区が分かれている場合、そういう問題というのはなかなか解決するのは困難です。いずれにしても法定数が決まってそれ以下に減らすこともできる。それはそれぞれその地域の条件、合併をした条件と、それからまとまっている地域とかあるいは政治経済構造の違い、それぞれありますから、それはそれぞれ自主的にそれこそ決定すべきものであって、削減をしたことをもって何か称賛に値するかのような、そういう表現というのは私は根本的に間違っていると思う。先ほど行政局長は、地方議員の問題も法定数に比べると約一万五千人ほど削減することができますと得々としているのだ。削減をすることを奨励するというのはけしからぬ話だということを申し上げておきます。
 それから計画自身も、したがって人員配置の問題にしても、あるいは地域の実情によって異なるのは当然だと思うのですが、それを画一的な定員のモデルをつくって、そしてそれを押しつけるといいますか、それを基準にしなさいという指導、こうやってまいりますと大変だと思うのです。それを上から、しかも職員参加による事務能率向上運動とかあるいは公共施設の管理運営について地域住民のボランティアの活用とかというように、上から権力的にこういうことを強めるということ、これはまさに私は戦前の国民精神作興運動、あれを思い出す。まさにそれと同じような形で画一的なモデルをつくって、これでやりなさい、三年間ですよ、こういうやり方は私は大変なことだというように思うのです。
 ですから、この間ひょっと新聞見ていますと、前文部大臣の森衆議院議員、あの人のお父さんが今石川県の根上町の町長をなさっているのですが、この間の三月町議会で、この地方行革大綱における行政改革推進の方針について、地方自治体の自主性を奪うような上からの押しつけは許すことができない、大綱作成は反対だ、こういう答弁なさっているという報道がありました。私は、先ほどの大臣のおっしゃるそういうのがそのままならばいいのだけれども、前森文部大臣の実父でも、どうも上から抑えつけて権力的にやるようなそういう感じで受けとめて、そういう地方行革大綱の作成には反対だと答弁をなさっているのですから、この辺はひとつ十分自主性を本当の意味で尊重するということを確認をしておきたいと思うのです。
 特に私は思うのですが、それじゃ、一体どういう行政改革が必要なのかという問題ですが、私は一例として申し上げたいのは、大阪の羽曳野市政です。御承知のように解同の屈服市政のために膨大な赤字を抱える最大のむだが存在しているときに今の津田市政が誕生したわけですけれども、徹底的に毅然としてこれと闘いながら赤字を黒字に転換したわけでしょう。現在、職員数は人口千人当たり七・三人で、大阪府最低なんです。第二位が河内長野市で七・五人です。こうやって人はふやしてない。しかし、それじゃ仕事もしてないのかというと、そうじゃない。河内長野の方は七・五人ですが、公立の幼稚園、保育所というのは合わせて五カ所です。片一方、羽曳野の方は公立の幼稚園、保育園合わせて二十カ所にふやしながら人はふやしてない。すなわち重要なところに人員を配置をしている。必要なところに、住民にサービスする部門にふやしていく。あるいは土木部に維持管理課というのがあって、これは衛生、土木、下水道、こういう現場部門というのを一つにまとめている。そして、市民の方から注文があればすぐ担当が一緒に走っていく、すぐ処理をしてきている、こういう状況が生まれてきている。
 問題は、なぜこういうのが生まれてきたのかというと、徹底的に職場の労働者の意見を聞き入れ、生き生きとした職場がつくられ、民主的な職場がつくられるところに全員が一致し、住民とも力を合わせてむだのない効率的な、民主的な行政ができる。私は真の行政改革というのはそういうものでなければいかぬ。上から強制をし、財政至上主義で進んでいくと、これは自治否定につながる、住民サービスの低下につながる、こういうように思うのですけれども、この点について大臣の御所見を聞きたいと思います。
#238
○国務大臣(古屋亨君) 今のお話しを聞いておりまして、私はさっきから地方の自主性というものを一番基調とするということを申し上げておりましたので、その趣旨は御了解いただけたかと思っております。
 ただ、今のように人さえ減らせばいいだとか財政的観点ももちろん大事でありますが、財政的観点からだけで判断するのでは、これは問題にならぬと思います。そういう気持ちは一つも持ってない。要するに、国も厳しい財政状況を控えて行政改革をやっておりますので、できるだけ地方も足並みをそろえて進んでいただきたい。それはあくまでも地方の実情に応じて自主的に決めていただきたい。そして、決め方もその地方地方の実情に合うようにして決めていただきたい、そういうように非常に幅のあるやり方が押しつけでない証拠でございまして、そういうように進めていきたいと思います。
#239
○神谷信之助君 今はどこも自治体財政は窮屈ですから、やっぱりどうやって効率的な運用をしようか、むだのないやり方でやろうか、そういう点で苦労なさっているんです。だから、できるだけ経費を使わないで住民の期待にこたえる行政を進めようということで腐心をされているわけですから、その点にやっぱり信頼を持って、それぞれの生き生きとした行政の道というものをつくっていく必要があると思います。
 そこで、私は次に問題にしたいのは、この行革大綱の重点の一つに民間委託問題があります。この問題の具体的な実例として学校給食の問題を例にとって少し質問したいと思うのですが、文部省見えていますか。
 学校給食については教育の一環と言われておりますが、この教育の観点から学校給食についてどういうようにお考えですか。
#240
○説明員(小西亘君) 学校給食につきましては学校給食法という法律がございまして、そこに学校給食の目的についてはっきり明定されているところでございます。内容的には、例えば学校給食はバランスのとれた栄養豊かな食事を提供して、体位の向上、正しい食習慣の形成を図るとか、あるいはまた学校で食事をともにすることによって心の触れ合いの場というものをそこにつくり、望ましい人間関係を形成するとか、あるいはまた共同、協調の精神を養うとか、そういったことが学校給食に求められているのでございまして、そういった点から学校教育の一環であるというように私どもは位置づけているのでございます。
#241
○神谷信之助君 それじゃ、続いて聞きますが、そういう方向で学校給食を教育の一環として進めてこられたのだけれども、ことしの一月二十一日付で体育局長通知が出ていますが、これに対して、今おっしゃったような原則をお変えになったのじゃないのか、あるいは民間委託なり共同調理方式、これをいよいよ推進していくという、そういうコスト主義の立場に立ったのではないか、そういう疑問が生まれているのですが、この通知が出てきた背景と、それから今までの原則との関係、この二点についてちょっとお答えいただきたいと思います。
#242
○説明員(小西亘君) 学校給食業務の運営の合理化の問題につきましては、かねてから臨時行政調査会等で指摘を受けているところでございまして、今先生御指摘のように、去る一月二十一日に各都道府県の教育長に対しまして体育局長通知を出し、その中で、地域の実情等に応じた適切な方法により運営の合理化が促進されるように、そういうことについて依頼したわけでございます。その具体的な方法につきましては、これは基本的には学校給食の直接の責任者である設置者が自主的に判断すべきことでございますけれども、一応私どもは、この地域の実情に応じて、パートタイム職員の活用とかあるいはまた共同調理場方式とか、今御指摘のございましたような民間委託等の方法によって、いわゆる人件費等の経常経費の適正化を図っていただきたい、そういうことを期待しているわけでございます。
 そこで、今先生御指摘の、学校教育の一環ということとのかかわりはどうかということでございます。今恐らく御指摘は、私どもが例示いたしましたことの民間委託という問題についての御指摘なんだろうと思いますけれども、一応民間委託を行います場合に、私どもも幾つかの留意事項を今回の通知についてはつけておりまして、例えば献立の作成というのはあくまで設置者が責任を持ってやるべきことであるから、これは委託の対象としてはいけないとか、あるいはまた物資の購入とか調理業務等における衛生、安全の確保という問題につきましては、これは設置者の意向が十分反映できるような管理体制を設けるとか、その他幾つかの留意事項が付されているわけでございます。これはどうしてこういうことをつけたかと申しますと、今おっしゃいましたように、学校給食というのはこれは教育の一環であり、設置者としての責任というものがどうしてもそこにあるのだから、設置者の責任が全うできるような方法というものを同時にこれは考えなければいけないという考え方で、今度の通知についてもこのような留意事項をつけたような次第でございます。
#243
○神谷信之助君 だから、その点これは臨調あるいは行革なりの意見あるいは行管庁の監察報告なんかあったようですが、そういう点から、いわゆるコストダウンのためにできることはひとつやれ、しかし片一方質は落としたらいかぬよというお考えなんでしょうか。
#244
○説明員(小西亘君) 今先生御指摘のとおりでございまして、行政の合理化あるいはまた効率化という問題はやはり今日的課題であると私ども考えております。しかし、そのことによって学校給食の質が低下してはいけないというのが、同時にまた私どもの考え方でございます。そういった中で今回の措置を出したわけでございます。
#245
○神谷信之助君 私の住んでいる京都の福知山では全市一カ所のセンターをつくって、そして調理は、長田野工業団地がありますから、そこに弁当を入れている協同組合、それに委託をしてやっているんです。そうすると、遠いところは大江山のふもとの学校まで行くと二時間ぐらい見なきゃならぬ。だから、第一便というのは十時に出発です。現場を見てきた。十時ごろに行ったら、十時ごろに出る第一便のかまだけができ上がっているのと違って、ほかのかまも全部煮上がっているわけだ。だから、便は第一便十時に出ますけれども、二便、三便のも調理は既に一緒にできているわけです。つまり、少い人数ですから大量に一気にやろうと。第一便だけ先につくって、第二便はその後につくってという、そういうことはやらないわけでしょう。そうすると、実質上冷える問題も出てきます。もちろんいろいろ保温装置つけた食缶を使ったりしています。しかし食缶を使ってみても、湯気が上がって水が回りますから味が落ちる。だから、評判が非常に悪いわけです、まずいまずいと。そういう状態が起こるわけです。
 だから、コストダウンの面だけを見ていくと、そういう味とか栄養とかそういうものは保証できない、こういう問題が現実の問題として起こっているのですが、これは文部省で、そういった共同調理方式、特に民間委託になればそういった問題が起こっているというように我々は思うのだけれども、その点についてはどういうように把握をされていますか。
#246
○説明員(小西亘君) 先ほど御答弁申し上げましたように、今回のこの合理化の通知を出すに当たりまして基本的に私どもがはっきりと申し上げたのが、いわゆる質の低下があってはならないというその原則を守っていただきたいということでございまして、したがってこの合理化を進めるに当たって、やはり今先生が御指摘になったことも含めまして、いわゆる質の低下をもたらすようなことがあってはならない、このように考えております。
#247
○神谷信之助君 しかし、民間委託をやるのは、今までの直営でやっているあるいは自校炊飯方式でやっているそれよりもコストダウンしようと民間委託をやるわけでしょう。ところが民間業者は、やりながら利潤は上げなきゃいかぬわけでしょう。そうすると、どうするか。結局大量購入によるコストダウンを図る、それから労働条件、労働賃金によるコストダウンを図る、そういうことを考えざるを得ないわけでしょう。そのことはどうですか。
#248
○説明員(小西亘君) 私どもの通知では、先生も御存じのことだと思いますけれども、具体的な方法についてはこれという言い方をせずに、いわゆる市町村の判断にゆだねるというやり方をやっておりまして、ここで示しておりますことも例示という形をとっております。したがって、これでなければいけないということはないわけでございますが、私が先ほどから申し上げておりますように、やはり質の低下をもたらすということはこの通知の精神に反するという理解をいたしております。したがって、民間委託することが果たして質の低下ということをもたらすかどうかということはケース・バイ・ケースで考えていかなければいけないし、一概にそのことが質の低下をもたらすと私ども思いませんけれども、仮にそういうことがあったとすれば、これはやはりこの通知の精神に反することだと、このように考えております。
#249
○神谷信之助君 設置者の責任であることは明らかなんだけれども、教育の一環として学校給食の事業を進めているのは文部省なんだから、その点、私は責任を回避するのは許せぬと思うんです。現に例えば東京の小平市の中学校で、学校給食の年間の平均日数が百三十三日ぐらいです。全国平均ですと百九十日前後でしょう。都内の中学校の平均百七十日に比べても二割以上少ない。何でそうなるのかと言ったら、まずいからです、子供が要望しないからと。だから、各学校が期末テストとか行事のときにはもう給食は断る、来てもらわないというから、平均百九十日ほどのものが百三十三日になっておる。まずいからですよ。
 京都でも調べてみると、やっぱりまずいものをちゃんと残さずに食べなさいという指導はできないわけです。まずかったら残していいですよと。先生自身も食ってみて食えたものじゃないから残してしまう。だから、物を大切にする考えとかいろんな教育的観点というのはできないわけでしょう。あれは単なる教材ではないんだから、そのつくられる過程自身も非常に大事になってくるわけでしょう。そういう教育的観点について、単に質の低下だけはいけませんよと、そんな第三者が心配になっているような態度でこの学校給食の現在の姿を見ていられたのでは、現場で困難な中で頑張ってきたり、お母さん方と力を合わせてよい学校給食をという人たちにとっては、もうまさに怒り心頭に発するというような感じのするぐらいのものだというように思うんです。逆に、向日市という京都の西山のふもとの地域に住むここだったら自校方式ですから、西山のタケノコをしゅんのときは使ったり、あるいは近所でとれている野菜を使ったり、あるいはそれぞれその地域のなにと提携をして材料を購入したり、いろんなュニークなやつをそれぞれがやれるわけです。そのつくっている現場を見ていることによってまた子供たちの教育になるわけでしょう。
 だから、本当に教育の一環としてやるならば、大変これは実際問題としては困難なことなんだけれども、自校方式というのがいい。自校方式をより大きくすれば大きなかまが要るし、いろんな機械もまた入れなきゃいかぬ。第一、土地を手に入れなきゃいかぬわけですが、自校方式なら自分の学校の中につくれるわけですから土地代だってただでしょう。そして、そんなでかい機械は要らないわけです。だから、コストだけを言うても、その点では自校方式というのはいい面を持っているし、何よりも教育にとっては一番いい方法だというふうに思います。私は、その点を握って放さないというのが教育を担当する文部省の態度でなきゃならぬというように思うんですけれども、この点はいかがですか。
#250
○説明員(小西亘君) 先生今御指摘の自校方式というやり方も現在行われているやり方の一つでございますが、それぞれ月校方式あるいはまた共同調理場方式、幾つかの方式ございますけれども、それなりに長所があり、問題点もあるかと思います。しかし、私は決して自校方式だけが最高の方法だとは考えていないわけでございまして、やはり共同調理場方式もなかなか、いろんな機械化というものを進めるに当たって非常にメリットもございますし、あるいはまた非常に多様な食事に対応できる体制もそこで整うわけでございまして、幾つかの点で私はメリットもあろうかと思います。それはそれぞれの地域の実情等に応じて考えていくべきことだろうと思っています。
#251
○神谷信之助君 共同調理場方式で働いておる調理員の皆さんの意見聞くと、何とか自校方式に追いついて追い越して、子供たちが喜んでもらえるような給食をしたい、そう言うて一生懸命頑張っている。だから、給食の中身では負けないところまでいけるが、どうしても解決できないのは運搬に要する時間、そして直接に子供たちと接し、子供たちの喜ぶ姿を見ながら調理をするという、その調理をする喜び自身は感ずることができない、こう言っています。だから、ただつくればいいという問題ではない。それは子供たちの教育になるように、調理員の人たちも栄養士の人たちも含めて子供たちの教育を支えていくという観点がなければ私はだめだというように思うんです。これはもう答弁要りません、時間がありませんので。
 そこで大臣、私は民間委託の問題の一つの例として学校給食の問題を取り上げたのだけれども、公共サービスと民間サービスの違いの問題ですね。今度の行革大綱なりあるいは臨調行革の法律の中でも、具体的には例えば清掃業務とか学校給食の業務とか、それから管理業務ですか、何か四つほど民間委託の例示をされています。しかし、民間委託すべて私は悪いとは言わぬのだけれども、公共サービスと民間サービスとの違い、これはしっかりとらまえてやらないと、先ほどの行政局長の答弁じゃないが、民間委託がどれだけふえましたと得々として報告するような姿勢ではいかぬ。中身をちゃんと見ないかぬ、こう思うのだけれども、大臣いかがですか。
#252
○国務大臣(古屋亨君) 民間サービスは普通の民間のあれでありますから、当然損をしないようにやると思います。公共の方は住民の福祉の向上ということを目的とした、概念の違いはそういうようにあると思います。
 私は、民間委託につきましては地方団体がやはりそういう相違を頭に置いて、例えば極端な例を言いますと、給食の内容等についても管理者の責任といいますか、公共的な見地における責任のもとでだれがやるにしてもやる。つまり、監督がそこにきちっとしておる。私は、恐らく文部省もそういう気持ちだろうと思っております。そういうようにして、経費だけのことを頭に置いてやるという意味じゃなくて、経費のこともあるかもしれませんけれども、やはり何といいますか、広い意味の公共のサービスであるということは変わりないわけでございますから、質を下げたり、あるいは先ほどまずいという話が出ましたけれども、健康を損なうようなことがあってはならぬという点は私も考えております。
#253
○神谷信之助君 管理をちゃんとすればいいという問題では私は済まない問題が出てくると思います。例えば肉もちゃんと管理するんやと、そうすると、民間で利潤を上げようとするとどうするか。働く人の賃金を下げるなりパートにするなり、とにかく低賃金あるいは無権利の状態をつくるだけです。だから、その点で私はちょっと外務省に聞きたいのだけれども、ILO条約の第九十四号、この内容と、そして日本がこれ批准をしていないのですが、その理由、この点についてちょつと。
#254
○説明員(馬淵睦夫君) ILO条約第九十四号の内容でございます。先生御承知のとおり、本条約は公契約における労働条項に関するものでございまして、公契約は基づいて使用される労働者の労働条件を当該労働が行われる当該地方におきまして関係ある職業または産業におきます同種の労働者の賃金、労働時間等の労働条件に劣らないものとするということ等を規定しているものでございます。
 二番目の御質問でございます我が国が同条約を批准してない理由でございますけれども、今御説明申し上げましたように、この条約は当該の地方におきまして公契約の対象となります職業または産業に関しまして、労働協約と申しますか、使用者、労働者の大部分を代表する使用者団体及び労働者団体の間の労働協約等によりまして賃金、労働時間などの労働条件が定められているということを前提といたしておるわけでございます。しかしながら、我が国の事情は、現状は必ずしもこのような職業別、産業別の労働協約によって労働条件が決定されておるわけではないというふうに承知いたしておりまして、かかる事情にかんがみますと、本条約の規定に対応するような国内法令を設けることには非常に困難があるということでございまして、また現に、現時点ではかかる国内法は存在しておらないわけでございます。したがいまして、このような理由によりまして本条約につきましては批准に至っていないものでございます。
#255
○神谷信之助君 我が国がこれの批准に至っていないのは、それに適合する国内法が存在をしていないということがその最大の理由でありますけれども、これは大臣お聞きのように、公契約に基づいて使用される労働者の労働条件、これを一般の労働条件よりも低いものにしちゃいかぬ、公のところが劣悪な労働条件をつくり出しちゃいかぬ、そういうことを規定している条約でして、したがってその趣旨そのものは否定なさらないと思うのですが、私はこの点がやっぱり大事だと思うんです。だから、最後の管理をちゃんとやっていけばいいでしょうというても、コストダウンしようとすると、そのしわ寄せというのがどこにいくかというたら、そこに働く労働者の労働条件にいかざるを得ない、こういうことになっていくわけです。確かに労働の密度の高い時間というのは集中しますから、パート労働者の採用という条件も、例えば給食の場合に存在することは否定できません。しかし、パート労働者の協約の内容やあるいは厚生保険その他の労働条件やら、現在法律は一切ないわけです。だから、無権利の状態になるそういう労働者を地方自治体が積極的につくっていくということがいいのかどうかという問題があると思うんです。
 私は、これは局長に聞きますけれども、いわゆる清掃法に基づいて清掃業務を民間委託する場合、委託の基準というのが八項目、第四条で決まっています。これに基づいて、例えば清掃業務の委託をする場合はそれに基づいた契約を少なくともやらなければいかぬ、こうなっております。この中の第五項が「委託料が受託業務を遂行するに足りる額であること。」、こういう規定がある。一項、二項は設備その他いろいろ、あるいは経験を含めてあるわけですけれども、第五項には委託料がそういう「受託業務を遂行するに足りる額であること。」とありますが、この中には労働条件や労働賃金、これを含めてやられているのですかどうですか。
#256
○政府委員(大林勝臣君) 清掃法の関係でそういう基準が決められておることは承知しておりますけれども、私ども清掃法の所管官庁でもございませんので、責任ある答弁は差し控えさしていただきます。
#257
○神谷信之助君 厚生省だからわしは知らぬということになるかもしれませんが、しかし私はそれは無責任だと思うんです。
 自治大臣、もう時間がありませんから、最後にお聞きをしたいと思うんですが、今申し上げましたように、国や地方自治体が下請労働者の低賃金や長時間労働を税金を使ってさらに拡大再生産をするというような結果になるようなことはすべきではない。これはもう行政上の公正の確保からいっても、また、働いておる人はそこに住んでおる市民ですから、そういう地域住民の人たちの暮らしと権利を守るという地方自治体自身の責任からいっても、これは十分考えなきゃならぬ問題であるというように思うのですが、先ほど大臣おっしゃったように、財政至上主義で我々は考えるのじゃない、サービスの低下を招かない、私はこの点一点確認できたが、もう一つ、その地域のそこに働く労働者が低い賃金をさらに生み出していくような、ひいては地域の経済の振興に障害になるような状態、こういうことで民間委託を進めるべきではない。民間委託を仮に進めるとすれば、一定の労働賃金と労働条件をちゃんと契約の内容にして、自治体も責任を持って、主人公である市民、住民がそこで働くわけですから、その人たちの生活を守るという観点を含めて考えるべきだというように思うのですが、この点についての大臣の見解を聞きたいと思うんです。
#258
○国務大臣(古屋亨君) 私は、地方自治というのは住民の責任とその負担によって運営されるものでありますから、公共団体が事務処理に当たりましては最小限度の経費で最大の効果を上げるということが地方自治法の精神ではないかと思っております。特に、非常に厳しい行財政環境のもとで住民福祉の向上を図っていきますためには、最小の経費でどうしたら最大の効果を上げるか、そういう意味においての事務見直しあるいは民間委託の推進等によって合理化と申しますか、行政運営全般にわたって効率化を図っていかなきゃならぬと思っております。
 御指摘の賃金の問題につきましては、地方公共団体の職員の場合は人事院勧告に基づいて措置されるということでございますし、また民間における賃金につきましては当該地域の置かれた社会的、経済的条件等によって決定せらるべきものと考えております。
#259
○神谷信之助君 今の最後の賃金問題では、無権利の低賃金の労働者を拡大再生産をするような措置はとるべきでない。契約を結ぶ場合に、そういった問題も含めて目を光らせて、市民の、住民の暮らしを守るという見地を貫くべきだという点を最後にもう一遍強調して、私の質問を終わります。
#260
○委員長(金丸三郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。
 これにて散会いたします。
   午後五時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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