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1984/04/02 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第9号
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1984/04/02 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第9号

#1
第102回国会 地方行政委員会 第9号
昭和六十年四月二日(火曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十九日
    辞任         補欠選任
     佐藤栄佐久君     上田  稔君
     石井 道子君     加藤 武徳君
 四月一日
    辞任         補欠選任
     丸谷 金保君     稲村 稔夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 三郎君
    理 事
                岩上 二郎君
                松浦  功君
                上野 雄文君
                三治 重信君
    委 員
                井上  孝君
               大河原太一郎君
                加藤 武徳君
                古賀雷四郎君
                出口 廣光君
                吉川 芳男君
                稲村 稔夫君
                佐藤 三吾君
                中野  明君
                神谷信之助君
   国務大臣
       自 治 大 臣
       国 務 大 臣
       (国家公安委員
       会委員長)    古屋  亨君
   政府委員
       警察庁長官官房
       長        鈴木 良一君
       警察庁長官官房
       会計課長     立花 昌雄君
       自治大臣官房長  津田  正君
       自治大臣官房審
       議官       石山  努君
       自治大臣官房審
       議官       土田 栄作君
       自治大臣官房審
       議官       井上 孝男君
       自治大臣官房会
       計課長      大島  満君
       自治省行政局長  大林 勝臣君
       自治省財政局長  花岡 圭三君
       自治省税務局長  矢野浩一郎君
       消防庁長官    関根 則之君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     中川 良一君
       国立公文書館次
       長        山田 昭三君
       文部省社会教育
       局学習情報課長  平川 忠男君
       農林水産省畜産
       局競馬監督課長  嶌田 道夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○昭和六十年度一般会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度特別会計予算(内閣提出、衆議院送付)、昭和六十年度政府関係機関予算(内閣提出、衆議院送付)について
 (総理府所管警察庁)、自治省所管及び公営企業金融公庫)
    ─────────────
   〔理事岩上二郎君委員長席に着く〕
#2
○理事(岩上二郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 三月二十九日、佐藤栄佐久君、石井道子君が、また、四月一日、丸谷金保君が委員を辞任され、その補欠として上田稔君、加藤武徳君、稲村稔夫君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#3
○理事(岩上二郎君) 去る三月二十九日、予算委員会から、四月二日の午後一時から四月三日の午後三時までの間、昭和六十年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、総理府所管のうち警察庁、自治省所管及び公営企業金融公庫についての審査の委嘱がありました。
 この際、本件を議題といたします。
 本件に関する説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#4
○稲村稔夫君 六十年度の予算の審査に当たりましていろいろとお伺いしたいと思っていたことがあるわけでありますが、特にきょうは時間の関係もございますので、私は自治体、特に市町村の財源確保の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 具体的な質問を申し上げます前に、最初に大臣の御見解を伺っておきたい、このように思うわけであります。
 その第一は、自治省にかかわります自治省所管の各種の法律があるわけでありますけれども、この法律の運用に当たりまして、法の条理を主としてお考えになって運用されるのかあるいは条文の解釈を中心にして運用されるのか、この点については、大臣も立法府から大臣になられた方でありますから、きちっとした御見識をお持ちになっていると思うわけでありますが、今後の特に自治体財政の運用に当たっては、いろいろと法の運用とのかかわりで問題があると思うわけであります。それだけに、法の運用については条理が中心になって行われるのかあるいは条文の解釈ということが中心になるのか、その辺のところをぜひ御見解を伺いたいと思います。
 次に大臣にお伺いしたいと思いますのは、最近の住民の行政に対する要望というのは大変多様化をしているというふうに思うわけでありますが、そうした多様化と同時に、また質的な変化もいろいろとあると思うわけであります。こうした住民の要望の多様化、質的変化というものに行政が対応していくためには、やはり自治体というものの果たす役割が極めて重要だというふうに思うわけであります。こうした住民の要望の多様化、質的変化というものをどういうふうにお考えになっているか、特にこれを自治体とのかかわりでどのようにお考えになっているか、この点をまずお聞きをしたいと思います。
#5
○国務大臣(古屋亨君) ただいま法の運用についての私の基本的な姿勢について御質問がございました。
 私は、法律の規定はできるだけ当該法律の精神に即しまして、これと調和するよう合理的に解釈すべきものと考えております。地方自治法では特に一項を設けまして、「地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基いて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。」、第二条第十二項で明文が規定されておるのであります。すなわち、地方公共団体の自主性と自律性とを十分発揮できるような方向で解釈、運用しなければならないと考えております。
 先生の第二の質問は、住民要望の多様化、質的変化につきましての認識の問題でございます。さ
らに、その認識を踏まえまして自治行政の位置づけということについての御意見だと思うのでありますが、今日我が国の社会経済は、人口の高齢化、国民の価値観の多様化など、さまざまな面におきまして成熟化が進んでおりますことは御承知のとおりでありまして、地域住民の要望が多様化すればするとともに生活の質的向上や心の豊かさというものを求めるようになってまいったところでございます。こういう認識のもとに地域の特性を生かす個性豊かな地域づくりが重要視されるものでありまして、地方公共団体の果たすべき役割はますます重要になってきていると考えております。このため住民に対しましては、卑近な行政はできるだけ住民に身近な地方公共団体におきまして自主的、自律的に処理し得るように地方分権を推進し、地方自治の基盤の充実強化を図る必要があると考えております。
#6
○稲村稔夫君 ありがとうございました。今の大臣の御答弁、なおこれから私は特に自治体財源の確保について伺っていきますけれども、その中でまた、今お答えになりましたことと照らし合わせてどうかということを、あるいはそれぞれの御答弁の中で伺うことがあるかもしれません。よろしくお願いをいたします。
 そこで、各種の法律、特に自治関係の法律については、法のいわば条理に基づいて、解釈もその条理を忘れた解釈であってはならない、こういうふうに言われたのではないかというふうに私は思うわけであります。そういうものを踏まえながら今の住民の要望のいろいろな変化というものに対応していくためには、自治体の役割は非常に重要である。特に、自主的、自律的というようなお言葉もお使いになりましたけれども、いわば住民自治というそういう観点の重要性というものを大臣もお認めになったのではないか、こんなふうにも思うわけであります。そうしますと、そういう重要性が増しているにもかかわらず、自治体の今財政状況というのは極めて厳しい状況に置かれている、こういうことになろうかと思うわけであります。
 そこで、自治体の財源確保の問題について少し詳しくお伺いをしていきたい、このように思います。
 第一は一般財源についてでありますけれども、一般財源は何といいましても自治体にとりまして、特に市町村という住民と一番近いところのものにとりましては、一般財源が非常に大きな意味を持っていることはもう申し上げるまでもないわけであります。その一般財源の中で、もちろん交付税不交付団体というのもあるわけでありますからそういう不交付団体の場合はちょっと今別に置いておきまして、多くの市町村は多かれ少なかれ交付税を当てにして財政を組んでいる、こういうことにもなろうと思います。
 そこで、そうした一般財源の中で非常に大きな地位を占めております交付税の問題をいろいろと私は伺いたいと思うわけでありますが、そこでその交付税の算定に当たりまして基準財政需要額の計算がされるわけでありますが、基準財政需要額の中身、これはどういうふうに決められるのであろうかということなのであります。これは交付税法にもきちっと規定がしてあって、経費の測定単位とか種類とか、そういうようなものについても表となって明記をされているわけでありますが、この基準財政需要額算定に当たっての経費の測定単位と種類、こういうものは今の住民の要望の多様な変化、質的な変化、こういったものとのかかわりの中でこれを変更することは必要がないのであろうか、そういう点について御検討になっているかどうか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
#7
○政府委員(花岡圭三君) 基準財政需要額は、申し上げるまでもございませんけれども、各地方団体が合理的でかつ妥当な水準における行政を行うのに必要な財政需要を測定するものでございます。このために、基準財政需要額の算定に当たりましては単位費用に測定単位の数値を乗ずるということを基本にしておるわけでございますけれども、その中で、特に算定の過程におきまして地方団体の規模の大小あるいは地理的、社会的、自然的条件等を考慮いたしまして幾つかの補正を行っております。
 御承知のように、種別、段階、密度、態容、寒冷補正、こういった各種の補正がございます。こういった各種の補正を適用いたしまして合理的なあるべき財政需要額の算定が行われるようにいたしておるわけでございます。測定単位は基準財政需要額の算定の基礎をなすものでございますから、地方行政の種類ごとにその経費の多寡を最も的確かつ合理的に反映する必要があるわけでございまして、測定単位を選択するに当たりましては、その行政項目の財政需要を的確に捕捉できるものであること、またその数値が各地方団体ごとに客観的に把握できる資料に基づくものでなければならないというふうなことがございます。
 そういったようなことから、いろいろこの数値を補正して現実の需要に合わせるようにいたしておりますために、私ども毎年測定単位のとり方というものも見直しの検討をいたしておりますけれども、基本的にはそういうふうな考え方で数値を補正していくということで十分対応できておる。ただ、やはり御指摘のように、この測定単位というものも、算定技術の進歩といいますか、また各地方団体の情勢の変化、こういったものに合わせてできるだけ的確な算定をいたしますために、現在改正法案の御審議をお願いしておりますけれども、例えば今回は道府県分の徴税費の測定単位を「道府県税の税額」から「世帯数」に改める、また市町村分の下水道費の測定単位を「人口集中地区人口」から「人口」に変更する、こういったふうな措置も講じておるわけでございます。これからも地方団体の財政需要をより合理的、的確に算定いたしますように絶えず研究をいたしてまいりたいと考えておるところでございます。
#8
○稲村稔夫君 そうすると、今御答弁のありました補正を加えながらというのは必ずしも交付税法の十三条による補正ということだけではないわけですね。
#9
○政府委員(花岡圭三君) ただいま申し上げました補正は十三条の補正でございます。
#10
○稲村稔夫君 いろいろと時の流れに応じて、その必要に応じて的確に対応するために十三条に基づき補正をしながら決めておる、こういうことでありますが、それではその経費の数値というのはどういう計算方法でやられるのでしょうか。例えば今下水道費について言われました。下水道費は人口集中地区のことから人口に変更されたというふうに言われましたけれども、そうするとこれは人口に従って必要経費というのを一定程度見る、そういうことになるのでありましょうから、当然これは金額にみんな計算し直していくわけでしょう。金額に計算をするときにはどういう方法で計算されるんですか。
#11
○政府委員(花岡圭三君) 基準財政需要額の算定は、まずその単位費用に補正後の測定単位の数値を乗じて行うわけでございます。先ほど例に挙げられましたのは、今度下水道費につきましては人口になるわけでございますけれども、それぞれの測定単位の数値をいろいろ団体によって補正をしていく、そしてこの単位費用に乗ずるわけでございますが、この単位費用は交付税で想定いたしております標準団体、道府県は人口百七十万、それから市町村は人口十万人でございますが、とにかく全国ベースでどれだけの経費を必要とするのかというふうなこと等を基本にいたしまして、こういった標準団体でどの程度の額の経費になるかということを算定いたします。そして、その経費に見合う補助金等を控除いたしまして、そして所要一般財源を計算して単位費用を積算するという形をとっております。
 そこで、それに測定単位というものが財政需要をあらわすのに最もふさわしいと考えられる指標でございますから、これをそれぞれの団体の態容等によって補正をしたものを乗じていくという計算をいたすわけでございまして、非常に計算そのものは厄介なようでございますけれども、理屈は
極めて簡単なものでございまして、例えば補正のあり方といたしましても、都市的なところあるいはそうでないところ、あるいは人口が多いと経費は逓減するとか、そういったことやら、また密度といいますと、例えば生活保護につきまして標準団体における計算よりもさらに大きくそういった保護者数がおるとか、そういった補正をいろいろやって、先ほど申し上げましたような積算をした単位費用に乗ずるわけでございますので、全体としては大体的確にそれぞれの需要に見合うような算定ができておるというふうに考えております。
#12
○稲村稔夫君 どうも私は、確かに言葉の上ではそういうふうにして補正をしながら的確に対応をしてというふうに言われることはわかるのでありますけれども、現実に算定をされるときにどうなるのかということについてはやはりよくわからないところがあるわけであります。今も御答弁の中にもありましたように、作業としてはいろいろと複雑な作業がされるわけでありますが、それだけにわかりづらいという側面があると思います。
 そこで、またちょっと違った角度での聞き方で恐縮でありますけれども、例えば、よく政府の施策展開に伴いましていろいろと財政需要が自治体の方でふえるということになりましたときに、いろいろと今の市町村や県から財政措置をしてもらいたいという要望などが上がってくる中で、よくそれは交付税算入済みですというようなお言葉が返ってくることがあるわけであります。そうすると、交付税算入済みというのはどういう作業でされるのでありましょうか。
#13
○政府委員(花岡圭三君) いろいろな需要の算入がございますが、交付税に算入するという場合には、要は基準財政需要額に所要額が織り込まれたかどうかということになるわけでございまして、例えばある事業について補助金がある、その裏負担を一体算入したかということになりますれば、その単位費用を策定いたしますときに、予算単価、これに国の予算単価を用いましてその裏負担分を算定するというふうな措置を講ずるわけでございまして、先ほどから申しておりますけれども、標準団体分についてのそういった単位費用を積算いたしまして、それを各団体ごとの測定単位、これに補正を乗じてその需要を出すということでございまして、例えば今度のように補助率の引き下げがあった、こういう場合には、単位費用を策定いたしますときに、所要額を算定して、その中から補助負担金を控除して、一般財源を測定単位の数値で割って単位費用を出しておりますから、この控除すべき補助金、これを減らすわけでございます。そうすると、その分一般財源がふえてくるという形で単位費用がふえてくるということでございまして、それを従前のような測定単位を補正したものに掛けていく。そうすれば、その団体の補助率引き下げ分に見合う需要は算入されるということになるわけでございます。
#14
○稲村稔夫君 どうもそこがよくまだわからぬのです。
 例えば補助率の引き下げに伴って出てくる自治体財政の問題点は、これは今のお話で、それぞれのあれから補助金の減った分が見込まれるようになっておると、こういうことなのかもしれません。しかし、例えば新たな政策展開に基づいて、それがわずかか多いかということは別にいたしまして、財政需要が起こってくる。先ほども裏負担というあれがありましたけれども、財政需要が起こってくることがありますね。そうすると、それは項目としてどうしたってふえなきゃならないことなんだろうというふうに思うのですけれども、交付税は全体で三税の三二%ですか、決まっています。その決まった枠の中で、何か項目だけがというか、それが今の計算のときにいろいろといじられて、結局そこの中で配慮をしたというふうに見えるようにできてしまうのじゃないだろうか。大変疑い深い質問をして申しわけありませんけれども、その辺はいかがでしょうか。
#15
○政府委員(花岡圭三君) 御指摘のように、交付税の額そのものは先に決まってくる。国税三税の三二%が基礎でございますから、これは決まっておる。これを配分する形になるわけでございます。その配分の基礎となりますのが基準財政需要額から基準財政収入額を引いた財源不足額。で、新しい需要ができた場合には、これは交付税に算入すべきものであるというものでありますれば、先ほど申しましたような算定をいたすわけでございます。
 ただ、交付税のほかにも地方税もふえておるわけでございます。そういたしますと、まず全体として地方財政が成り立つか成り立たないかということは、地方財政計画を策定いたします際に、どれだけの地方に支出があるのか、そしてどれだけの歳入があるのかということを計算いたしまして、財源不足が生ずる場合にはこれを計画上補てんする形をとっております。
 その中での歳入の一部としての交付税をどのように配分するかという技術的計算が先ほど申し上げました基準財政需要額の算定になるわけでございますので、交付税の基準財政需要額に算入をいたしまして、そして基準財政収入額を差し引いたものが現ナマとして地方団体に交付されますけれども、算定の基礎にはそういったもろもろの計画に織り込まれました歳出の事由というものはそちらに入ってくる。また、その他交付税で見てないもの等もございますが、これらは留保財源とかあるいは使用料、手数料とか、そういったふうなことで、とにかく全体としてはきちんと算定されるようになってくるわけでございます。
 ただ、先生御指摘のように交付税というのは画一的な算定でございますので、どうしても人口とか面積とかというものをとっていきますと、その団体の需要に全く合致するかどうかということにつきましては、どんぴしゃりというわけにはまいらない点がございます。そういう点につきましては、特別交付税でそういったものも補っていくというシステムになっておるわけでございます。
#16
○稲村稔夫君 どうも伺っていましても、交付税の税率というのが決まっていて、その決まっている税率の中で今の基準財政需要額の計算をしながら不足分が交付税として交付をされる。いろいろな言い方があるのでしょうけれども、非常に俗な比噂で申しわけありませんけれども、何か大きさが決まったどんぶりがあって、その中へ入る容量はもう決まっている。その決まったどんぶりの中に、そのときのあれに従って中に入っている具が、今まで十種類入っていた具が今度は十一種類になりましたとか十二種類になりましたとかというような計算になっているというふうに受け取らざるを得ないような場合というのが結構あるのじゃないのか。その辺が私は大変大事な問題だと思うので、御見解を伺いたいと思います。
#17
○政府委員(花岡圭三君) 仮に交付税の額がこれでは不足するというときには、これまでも交付税の総額を増額する措置をとってきたわけでございます。
 これが仮に全然動かないとき、交付税の総額が同じで、そのときに需要というものをふやせるかふやせないか。これは、交付税計画をつくりまして、都道府県あるいは市町村の需要を膨らましたらこれだけになる、で、収入はどのぐらいになるであろうかと、その年度の基準財政収入を見積もっていくわけでございます。したがいまして、物すごく大きな新規需要が出てきたが、これを交付税が伸びてないが受け入れられるのかというふうな問題につきましては、やはりそれは交付税の額もありますけれども、地方税の総額がどうなっているかというふうなことにも影響があるわけでございまして、そこらもいろいろ勘案しながら交付税の総額といいますか、基準財政需要額の算入にどれだけの算入をするかを決定してまいるわけでございまして、入らないものを無理やりに押し込んでいるというものではございません。
#18
○稲村稔夫君 どうも水かけ論みたいになっていますけれども、私はさらにそういう中で伺っておきたいと思うのは、例えば先ほど下水道が出ましたから下水道の例でまいりますと、下水道を建設するその時期によってかなり経費的な違いが出てまいります。このことは、もちろん建設そのもの
はまた別のその補助金等をいただきながら自治体がそれぞれ建設をしていくわけでありますけれども、それによって地域住民の受益者負担というようなものも、古い時代につくられたところとそれから今新しくつくっていくところではかなり差が出てくるというようなことがあると思うんです。そうすると、これは今基準財政需要だけでいろいろと議論になっていますけれども、そのそれぞれの地方に住む住民という観点からいくと、やはり住民格差というものを結局つくっていることになるのじゃないかというふうに私は思うんです。というのは、この都市に住んでいる人はごく新しい時期に建設が始まったものだから受益者負担も結構大きくならざるを得ません、こちらの方はもう古くというか、ずっと昔のところだとか、大都市はちょっと別にいたしまして、古く建設をしたところでは比較的そこに比べれば少なくて済みますと、こういうふうなことになってくると、これは住民自身の負担の面でかなり差がつくということにもなる。そんなことも起こると思います。
 それからまた、例えば商工関係のことなどはこれは人口で見るように何か表の方はなっていますけれども、それぞれの市町村で工場誘致だとかなんか一生懸命やりますということで努力をしてまいりました。団地化やなんかいろいろなことがやられますそれに伴って生まれてくる自治体の財政負担というものも、いわゆる建設に伴ってのことではなくて経常的に必要になってくる、そういう経費というものがだんだんふえていくというようなことが起こります。これらのことを考えてまいりますと、今の補正をというふうに言われておりましただけでは、どうも問題解決できないのじゃないでしょうか。やはりこれはもう少し根本的な御検討をいただかなければいかぬのじゃないだろうか、こんなふうに思いますが、その辺はいかがでしょう。
#19
○政府委員(花岡圭三君) 今下水道の例でおっしゃいましたような、地域に新しくつくったところと、それから古くからできて償却がかなり進んでいるというふうなところでは確かに差がございます。この辺になりますと、地方交付税の制約からいたしまして、地方交付税はいわゆる下水道の処理をするのを交付税で見ているのは雨水分について算入しておるわけでございまして、汚水分はこれは使用料でいただくという形でございます。したがいまして、これは国庫補助なり起債なりで建設していくということになってまいるわけでございますが、その元利償還について交付税に算入をしていくという形になってまいりますので、その起債の多寡によりましてそこら辺が若干変わってくるという点もございます。確かに、新しくつくる方が金がかかって、算入率の状況によってはその団体の需要というものが十分に見られないという点も出てくるかと思います。この辺になりますと交付税の制約でございまして、全国一律に算定いたさなければ難しいというものでもございます。
 また、商工行政費の工場誘致に伴う経費ということになりますと、これはもう各団体千差万別でございまして、普通交付税のような画一算定というものに非常になじみにくい。全体的に例えば商工行政費につきましては現在測定単位は人口となっております。これもかつて四十六年度に人口に変更したわけでございまして、それ以前は商工業の従業者数をこの商工行政費は測定単位の数値に使っておったわけでございます。しかし、どちらが的確に反映するのかということで、まず人口を測定単位に四十六年に変更いたしまして、そして道府県分については商工業の事業所数、これを用いて補正をする、また市町村分は第二次、第三次産業の就業者数を指標として密度補正をするというふうなやり方に変えて、できるだけ各団体の実態に近づけるような努力をしてきたわけでございまして、これは補正だけではございませんで、先ほど申し上げましたように、測定単位の数値のとり方も変えたわけでございます。
 そういったことで、できるだけ合理的あるいは的確に算定できるように努力してきておるのが実情でございます。どうしてもその団体の需要にはみ出る、しかもこれはやむを得ざる経費であるというときには、これは特別交付税の算定ということで御理解を願いたいと思います。
#20
○稲村稔夫君 どうもまだその辺をもう少しいろいろと伺いたいと思う面もあるわけでありますが、それぞれ立地的な条件やなんかで画一的に必ずしも算定できない、しかし一定程度確保していかなければならぬと思われるものについては特別交付税で対応をしてこられたということなんでありますが、私は雪国でありますから、特に積雪地の問題については大変深刻にいろいろと日ごろから受けとめ、政府にも御要望してきているところでありますが、雪国対策などについては特別交付税で見込んでいただく、こういうことになっていると思うのですけれども、そうなってくると、今度はさらに特別交付税についての基準が私どもには余り明らかになっていないという点もございます。これはどういう基準でお決めになりますか。
#21
○政府委員(花岡圭三君) 除雪関係の経費につきましては、普通交付税の各費目におきまして積雪度に関連する経費は寒冷補正で手当てをしておるわけでございまして、これに相当額の除雪経費も算入されております。それより以上に雪が降って経費の持ち出しがあったという場合に、そういう団体についてのみ特別交付税の算定をいたすわけでございまして、普通交付税で算入したまでの雪しか降らなかったところはもうかったと言えばもうかった格好になります。それをオーバーした団体につきましては、各地方団体から除雪経費の報告をとりまして、それを基礎にして同じ算入率で措置をいたしておるわけでございます。
#22
○稲村稔夫君 どうも穏やかでない御発言がありました。何かもうかったと言えばもうかったというようなお話がありましたが、これはちょっと私はいただけないのでありまして、それは確かに、予測をしていたときよりも少なかったというときがあるということも、それは私は否定しません。だが、予測せざるときというそのときに十分な手当てをしていただいているということがそれぞれの自治体でできていれば、私はそんなに強い要望にはならぬかもしれぬと思います。しかし、必ずしもそれが十分に対応できているわけではありません、お互いに国も地方も財政上の問題がある、そういうこともありますからということであります。そうすると、その辺は積雪のことだけでいけば、全体にならしてみて、決して何年かの間に特交でもって余分に使わしていただいたというような形にはならぬというふうに思うんです。その辺はいろいろと見解があるのかもしれませんけれども、少なくともそうもうかったなどというふうにはとっていただきたくない。こんなふうに思うわけです。
 この辺もいろいろと論争していると切りがありませんけれども、私は今の積雪は一つの例として申し上げたということなんでありまして、特交の場合の基準というのは何に基づいてどういうふうにして御決定になりますか。
#23
○政府委員(花岡圭三君) 除雪経費につきましては年々要望が多いわけでございまして、特に最近雪が割と降る量が多くなってきたということもありまして、そしてまた住民生活を安定させる意味から、割と早く除雪をされるというふうなこともありまして、年々普通交付税に算入しております除雪経費というものは増額いたしてきております。現在ではたしか九百億円ぐらい除雪経費を算入いたしておるわけでございまして、今年度の雪につきまして、毎年このように充実してきましても、なおかつその配分額をオーバーするという団体につきましては、今年度は百二十億円の除雪の経費を算定したわけでございますが、これは各地方団体の実際に使った経費を基礎にいたしまして算定をいたしておるところでございます。
#24
○稲村稔夫君 今の例にも見られるように、それぞれ住民の要望というものは経済活動の展開とともなっていろいろと変化をしてきますし、そして今の除雪でいけば、早期除雪というようなことはもう今どうしてもやらなければ経済活動に重大な
影響が出てくるという状況になってきていますから、皆さんそれぞれ自治体は積極的にそういう支障が起こらないように努力しておられるということになるわけであります。ですから、私は一つの例を申し上げているにすぎないわけでありますが、全体的にやはり自治体にとりましての財政需要というものはいろいろとふえてきている、ふえてきている中である程度のやりくりを皆さんやっておられるわけであります。そういう中で住民の要望というものと密着をした自治体の財政確保に、それぞれの自治体が画一的な形でのものではなくて弾力的に自分の自治体に合った対応をしていく、そういうためには、私は一般財源というものの比率がもっともっと高くなってほしいとみんな願っていると思うんです。そういう中で私は交付税率というのを一つの例として今申し上げてきたわけでありますけれども、この交付税率についてはずっと自治団体からもう長年要求がされ続けてきておりますが、交付税率を引き上げるということについてはどのようにお考えになりますか。
#25
○政府委員(花岡圭三君) 地方財源の充実確保を図りますためには、基本といたしましては地方税源の充実強化とあわせまして地方交付税の所要額を安定的に確保していくということが一番重要でございます。私どもも、この点につきましては地方制度調査会等の御意見等を承りながら地方財政をめぐる諸情勢の推移に即応して検討をしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。この場合に交付税の税率の引き上げというのも当然検討の対象になるわけでございますけれども、厳しい国、地方の財政環境を踏まえまして、国、地方の事務配分、財源配分のあり方等ともあわせて検討してまいりたいと存じます。
#26
○稲村稔夫君 御検討していきたいというお話でありますから、地方財政がそういう住民のニーズにこたえられるようにということをひとつ念頭に置きながらぜひ御検討いただきたい、交付税率の引き上げということを私はぜひお願いをしたいというふうに思っております。これは要望でありますからこの程度にさしていただきます。
 次に、一般財源を確保していく方法として法定外普通税の課税の問題がありますけれども、これは特に市町村にとっては極めて狭い範囲しか対象がとれないわけでありますけれども、こうした法定外普通課税は財源確保のために自治省としては推奨をする、推奨というと言葉があれでありますが、もっと積極的にそういうふうにして課税していくべきだというふうにお考えになっているのか、あるいはこれはあくまでも特例だということで余り地方財源の確保の中では考えない方がよろしいと、こんなふうにお考えになっているのか、その辺の御判断を聞きたいと思います。
#27
○国務大臣(古屋亨君) 法定外普通税の創設についての基本的な意見でございますが、この制度は地方団体の課税に関する自主性を尊重する立場で設けられたものであることは御承知のとおりであります。したがいまして、法律上の要件を備えているものであれば地方団体の実情に応じて実施できるものでございますが、これは言うまでもなく通常の税負担以上に納税者には特別な負担を求めるというものでございますので、その実施に当たりましては、これを必要とする特別の財政需要の緊要性を明確にする、あるいはまた当該財政需要と新たな負担を負うこととなる者との関連、あるいは他の団体に対する影響等を考慮しながら住民の理解と協力とを得て慎重に検討する必要があると思います。
   〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕
 なお、法定外普通税につきましては、地方団体から新設の申請がありました場合には具体的に検討いたしまして、地方税法の定むる要件に該当するものであればこれを認めていくという考えでございまして、抑制することは考えておりません。
#28
○稲村稔夫君 大臣から今御答弁がありまして、自治体のいろいろな工夫によって対応していくものとして、提起をされてまいりましたときにはもちろん今御答弁になったような内容でいろいろと御指導にはなるのでありましょうが、これを認めていくという姿勢が示されたものというふうに受け取ってよろしゅうございますね。ありがとうございました。
 それでは、さらに今度は特定財源について少しお伺いをしたいというふうに思います。
 今負担金と補助金というものがあるわけでありますけれども、とりあえず、まず負担金と補助金と言われているものの中で、これは自治省ばかりではありません、各省庁とも今あるわけでありますけれども、その中で私は本来この補助金というふうに言っていいのかどうか、むしろ負担金とでも言うべきではないかと思われるようなものがあるのではないか、こんなふうにも思うわけでありますけれども、その辺、負担金と補助金についてのまず区別をひとつはっきりとさしていただきたいと思います。
#29
○政府委員(花岡圭三君) 地方財政法上負担金というものは、一つは国と地方の双方に利害があって、なお国が進んでその経費を負担する必要がある場合、これが一つでございます。それから、国民経済に適合するよう総合的に樹立された計画に従って土木その他の建設事業を実施する場合、これが二つ目でございます。それから三番目に、災害復旧事業等を実施する場合、このような場合には国がその全部または一部を負担するということとされております。
 補助金につきましては、国がその施策を行うために特別の必要があると認める場合または地方団体の財政上特別の必要があると認めるときは交付することができるということにされておるわけでございます。このような区別を地方財政法の上でいたしておるわけでございます。
#30
○稲村稔夫君 法律の文言の上ではそういうふうになっているわけでありますけれども、実際上の運用の面でいきますと、例えば国が政策上進めていくというものでありましても、いわばそれぞれの地方自治体が大体同じレベルになっていくためにやはり必要だというものがそれぞれみんなあります。例えば道路にしたって、道路の舗装率なら舗装率というようなものが、こっちはよく整備されているけれどもこちらの方はなかなかいかないというようなことであってはならない、こういうようなことになってくるわけでありますけれども、それは公共施設だとかいろいろなそういうもので一般的に言えると思うのであります。ですから、これはやってもらった方がいいというような政策にかかわるものについては、確かに補助金ということでもわからぬわけではありませんけれども、全体に都市生活それぞれの住民のレベルアップということで平均化していこうというふうに考えていきますと、今補助金と言われているものの中でも私は一般的に社会的な負担というふうに理解をすべきものというのがかなり数としてはあると思うのであります。そこで、そうした社会的負担と考えてもいいようなものについては、これは補助金という形で対応するのはおかしいのではないか。むしろ積極的に負担金というような形できちっとされる、あるいは新しい形で対応されるということが必要なんではないだろうかと、こんなふうに思うわけです。
 このことを私が伺いますのは、特に補助金獲得のために各自治体の首長も議会も、それこそ中央にお百度を踏むみたいな形が今のところずっとあるわけであります。こういうむだなエネルギーというものはできるだけ解消していく、こういう観点に立ちますと、むしろ社会的負担になるものはきちんと社会的負担として措置されることによって大分その辺のところが軽減されていくのではないだろうかと、こんなふうにも思うわけであります。私の見解を交えてのことでありますけれども、御見解を伺いたいと思います。
#31
○政府委員(花岡圭三君) 確かに、国の補助金と言われるものの中には、先ほども申し上げました地方財政上の地位からいきますと負担金に分類されているものも多々あるわけでございます。例えば生活保護費でも、あれは補助金という名前がついておりますけれども、地方財政法では十条の負担金になっております。また道路につきまして
も、これは十条の二の負担金に挙げられておるわけでございます。そういった意味からいきまして、補助金という名前でもそのような負担金の性格を持ったものが多々ございます。
 結局、性質によりますけれども、先ほどの例えば生活保護のようなものは要保護者がおればそれに応じて国の負担金がそのまま計算されて出てくる。道路につきましては、これは箇所づけという問題が起こってくるわけでございまして、この辺で地方団体の方々がいろいろ陳情をされるというふうな形になってくるわけでございまして、そこら辺が補助金的な扱いかどうかということになりますけれども、負担する率は同じでございますが、どれが採択されるかというその路線ごとの問題ということになりますと、これは建設省の方でいろいろ全体の国の立場から見て決められるものだと思いますけれども、そこらにいわゆる陳情合戦というものが行われる余地が残っておる。したがいまして、負担金でありましてもそのようなことが行われる。
 それから、補助金というものにつきましても、やはり地方団体が名のりを上げる場合が多いとそういう問題も起こりますし、また逆に、どうもこれがどこの団体も欲しくないというふうな補助金だって出てくるというふうなこともあるわけでございまして、そこら辺、なかなか実際問題として補助金、負担金に対しての地方団体の受けとめ方というものは、これが負担金であるからすっとそういった陳情をしないで済むかといえば、そういかない仕組みになっているのが現状でございまして、この辺になりますと、やはり社会資本の整備が非常におくれておるとか、そういったことから、まず道路をできるだけ早くよくしたいというふうな団体が現在のところ多いわけでございますので、そのような問題が起こってくる。
 この辺は国の予算のいわゆる財政の都合にもよる点があろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、仰せの趣旨ごもっともでございまして、その事務事業の性質上国がその全部または一部を負担する責任があるというふうに考えられるものにつきましては国費、地方費の負担区分を明確化して、そして国の負担義務を法律上明らかにするようにこれまでも努めてきたところでございまして、今後とも社会経済情勢の推移に応じまして、そのような事業についての分類につきましては同じような姿勢で対処してまいりたいと考えております。
#32
○稲村稔夫君 今の負担金、補助金についての考え方は、私は全体的にはやはりそれぞれの自治体が自治体の判断においてその財源の使い方がいろいろと工夫をされるようにできる余地というものができるだけ大きくないとならぬと思うのです。そういうあれでいきますと、負担金にしても補助金にしても、そういう面ではある程度地方自治体財政を縛る要素を一面では持っていますということでありますから、そのことはまた前の方に返ってまいりますが、やはり交付税の税率変更等をとりながら一般財源を多く確保する、こういうために自治省としては御努力をいただきたいと、こんなふうに思うわけです。
 さらに、もう時間ございませんから、もう一つだけ地方財政の問題について伺っておきたいのですが、地方債についてであります。
 これは地方債の許可は「当分の間」ということに法律上はなっておりますけれども、当分の間というのはこの法律が成立して以来当分の間なんですけれども、一体当分の間というのはいつまでなんでしょうか。
#33
○政府委員(花岡圭三君) 自治法制定当時から「当分の間」が入っておるということでございます。その後三十八年にこの二百五十条の条文を改正いたしておりますけれども、これも「当分の間」はそのままに据え置いたということになっております。これは、考え方といたしましては、自治法の考え方というのは、原則的にはその団体の判断で発行できるようにすべきであるというのが基本ではないかと私ども考えております。ただ、当時は国及び地方団体の財政事情とか金融事情大変厳しいものがございまして、当分の間の許可制度ということになったと思うわけでございます。
 では、現在それがどのように社会情勢が変わったかということでございますが、確かに当時とはいろいろな面において社会経済情勢も変わってまいりました。国、地方の財政の規模も変わってきたし、金融の情勢も変わってきているのは事実でございます。ただ、基本的に見てみました場合には、じゃ、地方財政というものがその地方団体に起債を全部任していいほどに健全化されているのかと申しますと、やはり現在でも五十六兆円に上る借金を負っておるというふうな地方財政の状況でもございますし、また公債の消化の問題につきましては、地方債のみならず国債もあわせてこの消化の問題、借りかえも含めましていろいろな金融問題もあるわけでございまして、そういったまた新たな観点におきますこの財政金融状況というものが、やはりなかなかこれを自治体の独自の発行に任せるまでには変わってないのじゃないか。基本的にはまだそういった変化がないのではないかというふうに考えておるところでございまして……
#34
○稲村稔夫君 それでいいです。
#35
○政府委員(花岡圭三君) そういう意味で同制度を維持したいというふうに考えております。
#36
○稲村稔夫君 時間がありませんから、申しわけないけれども途中で切らしてもらったわけですけれども、私は今の御答弁の中に一番大きな問題があると思うんです。というのは、基本的にその地方自治体がまだみずから財政状況をよくしていくための能力がないと、極端に言ってしまえばそういうふうに今の御答弁では受け取れるわけでありまして、私はいろいろと国からの指導とかなんとかというのが強化をされていく、そういう中で結局地方自治体も、やむを得ずというよりも、そういう指導をされるから指導に従っていきましょうということで、積極的にみずからの財政をどういうふうにしていこうというふうになかなかいかない、そういう側面があると思うんです。
 私は、むしろ「当分の間」などというものはもうこの際とっていただいて、そして自分の自治体で財源どうするかということをそれこそその自治体の長も理事者も議会も真剣に議論をしてきちっとやる。やれる能力をみんな持っているのですから、それこそ地方自治への一つの大事なステップなのではないだろうか。これをいつまでも「当分の間」で子供扱いしているといつまでたっても子供から抜け切れない、そう思うのですけれども、いかがでしょうか。
#37
○政府委員(花岡圭三君) やはり地方債と申しますものは将来元利償還というものによる財政負担が大きいわけでございますから、その適正限度を保持して財政の健全性を確保するというのは現段階では非常に必要なことではないか。また、この元利償還というものは財政計画に計上いたしましてその所要の財源措置を講じていく必要もございますので、この地方債の発行がいろいろパンクするほどの大きなものでありますと、これは非常に難しい問題が起こってくる。それから、財政金融制度が現在のような状況でございますと、国と民間、こういった資金需要との調整を図って、限られた資金というものを適切に配分しなければならないという問題もございます。また、財政力のある団体だけが起こせるとか借りられるとかというふうなことを防ぐためにもこの資金配分の公平を図っていくというふうなこともございますので、現在の段階では、私どもも先生のおっしゃいます精神はよく心得ておるつもりでございますけれども、現状では現行制度を維持せざるを得ないのではないかというふうに考えております。
#38
○稲村稔夫君 当分の間まだ子供だということですな。わかりました。
#39
○岩上二郎君 まず、自治省にお伺いしたいと思います。
 今度の国会では町村合併の改正法案が可決されたわけでありますが、その際に附帯決議として、それぞれ町名の変更とかあるいは文化全般にわたる地域の特性を十分に尊重するようにと、このよ
うな附帯をしまして可決されたわけでありますが、それと関連しまして、いろいろと公文書の史料整備の問題等についてどういうふうな指導をされているかということを自治省を初め文部省あるいは総理府等々にお伺いをしたいと思うんです。
 最近、知る権利あるいは情報公開という、そういう路線が強く出てきているためにいろいろと地方においてトラブルを起こしているわけであります。特に埼玉の事件、これは既に住民訴訟が提起されて敗訴をし、控訴を断念するというような事態もあるわけであります。これは一件だけではなさそうでございまして、やはりその背景にあるものを十分に整理をしないところに問題があるのではないか、このような考えを持っておりますが、それらにつきまして自治省はどのように御指導をされているか、伺っておきたいと思います。簡単で結構です。
#40
○政府委員(大林勝臣君) 戦前から戦後にかけまして、町村合併によって相当市町村の規模も変わりましたし、名称も変わりました。その都度十分な史料の引き継ぎができておったかということを今から考えてみますと、恐らく必ずしも十分ではなかったのではないかという気もいたします。ただ最近は、町村合併の経緯なりあるいは町村合併に至るまでの史料、その後の史料を含めまして、各地で町村合併史という一つの地史と申しますか歴史と申しますか、そういったものの編さんもかなり熱意を持ってやられておるわけでありまして、これは非常にいい傾向だと私どもも歓迎をいたしておるところであります。
 確かに最近の情報公開をめぐります住民の需要の多様化、こういったものもそれぞれ一つの情報開示の請求としてあらわれ、あるいは裁判においてそういったものの是非が問われております。ただ、この情報公開という面はまだ地方団体にとっては全く初めての世界の問題でありまして、言うなれば、現在は既に二十五団体ほど条例あるいは要綱をつくって実施はしておりますけれども、まだ実験段階というような段階であろうと思います。これから一歩一歩そういった実例、問題点の整理が所管市役所あるいは裁判所で積み重ねられて固まっていくのであろうと思いますけれども、その前提としても、つまり情報公開をうまく取り運んでいくためにも、やはり史料の整理、検索制度、そういったものの整備がまず先決であります。
 従来から情報公開制度についていろいろ私どものところに御相談もあるわけでありますけれども、御相談がある都度、まずその前提として史料の整理なり検索制度、あるいは情報公開をやりますためにはやはりある程度の施設も準備をする必要がありましょう。そういった準備を住民の理解のもとに慎重に取り運んでからやっていただくように、順序を十分につけた上でやっていただくようにいろいろ御相談に応じておるところであります。
#41
○岩上二郎君 最近、地方団体、特に道府県におきましては非常に文書館の設立問題に拍車をかけようというような動きがあり、また自治省におきましてもそういう団体には特別起債をつけて御指導されていることは非常に結構な行政指導であろうと、このように思います。しかし、ただそういう状態だけでこの文書の整備ができるものではなく、ある一つの文書を整理し、保存し、調査をする、そういう一つの法体系をぜひこれはつくる必要があるのではないかと、このように考えていたわけです。
 この問題につきましては三年か四年前に安孫子大臣のときにも申し上げたし、また参議院の予算委員会においても、その当時中曽根総理が行管庁長官をやっていた際にも強く主張して、前向きで検討する、こういうふうな答えもあったわけでございますが、その後参議院の自民党の政審でこの問題を取り上げていただいて、各省とも参加を願っていろいろと検討をしていただいた経過もあるわけです。しかし、御趣旨のほどは十分にわかりますと、しかしなかなか思うようにいかないと、じゃ再度検討をしようと、こういうふうなことになって時が流れてきょうを迎えたわけであります。
 自治省は各省の中で一番地方とのかかわり合いを持っているだけに、その対応には敏感にこたえていただいておることはとても感謝をしているわけです。しかし、それは地方の問題だけではなくて、実は国自体の問題にもかかわることではないだろうかと、このように考えざるを得ないのであります。そこで、各省とも主として行政文書に対してどのような取り扱いをされているか。各省ともおいでいただくこともどうかと思いましたので、国立公文書館の方がいらっしゃっていると思います。おられますね。
 各省からそれぞれ永年物あるいは五年、三年、こういうふうに区分をされて、重要なものは国立公文書館の方に移管をされるというような経過をたどりながら今日来ていると思いますが、現在の手狭な国立公文書館で、これであと何年ぐらいで満杯になっていくのだろうか。それから、それに対する取り扱いの人数等、簡単で結構でございます。一、二分で結構ですが、御説明をいただきたいと思います。
#42
○説明員(山田昭三君) お答え申し上げます。
 現在、公文書館書庫のスペース、キロ数にしまして四十キロくらいございますが、逆に四センチ換算であとどのぐらいスペースがあるか、実際にはかったわけでございますが、四センチ換算で収容数が現在のところ十八万八千六百冊ぐらいの収容予定でございます。それで、現実に過去五年間の各省庁からの受け入れ実績といいますか、四センチ換算で受け入れられた過去五年間が九万二千五百冊ございます。これを五年間で割ってみますと、年間平均一万八千五百冊分ということになります。そうしますと、現在の未収容のスペースが十八万八千六百冊ぐらいございますので、あと十年くらいは収納の余地があるのじゃないかと、こう考えております。
 しかし、いずれにしろ十年といいましても参りますので、私たちとしては将来第二書庫なり中間書庫なり、この点を念頭に置いて問題点として把握していかなくちゃならないのだと、こういう認識を持っております。
#43
○岩上二郎君 これを取り扱う職員は何名ぐらい。
#44
○説明員(山田昭三君) 現在の公文書館の人員は、今年度四十三名でございます。設立当初は三十八名でございました。これが職員の現状でございます。
#45
○岩上二郎君 私もこの国立公文書館に三、四年ほど前にお伺いしたことはあるのですけれども、非常に手狭な感じ。私の茨城県の歴史館から見ると十分の一程度。しかも、職員の数は、私の県の茨城県では五十名、国立公文書館ではそれが今のお話を聞きますと四十三名。恐らく行革絡みで定員削減をずっとされてきたことからかと、こういうふうな印象を持っておりますが、これは非常に大事な公文書館でありますので、ぜひその点は頑張っていただく必要があるのではないかと、このように思います。
#46
○説明員(山田昭三君) 先生のおっしゃるとおりの趣旨に従いまして鋭意努力していきたいと思っております。
#47
○岩上二郎君 国立公文書館の方はもう結構でございます。
 文部省の方いらっしゃると思いますが、文部省関係で図書館法と博物館法との絡みでそれぞれ施設ができているわけでありますが、この図書館法、博物館法、いずれも専門職として司書あるいは学芸員が配置されているようになっているわけです。そこで、この建物が非常に立派にそれぞれつくられてあります、国、地方団体とも。しかし、この図書館ないし博物館等における運営の面で必ずしも図書館あるいは博物館法の法律に基づいて運営されているとは言えない、このような現状であるように思うんです。
 と申しますのは、図書館法の例えば第二条を見ましても、ここではそれぞれの記録を収集、そして保存、調査、そして公開をする、こういうふう
な建前になっておりますが、前段の面についてはほとんどなされていないような現状ではないだろうか。したがって、各都道府県では、図書館法に基づく施設ではどうにもならないということで、行政文書等については新たに組織をつくる必要がある、こういうことでそれぞれ歴史館なりあるいは文書館なりをつくっているのではないか。国自体においても総理府所管の、ただいま御説明をいただきました国立公文書館の組織等の生まれた背景はそういうところにあるのじゃないか。しかもまた、既に学術会議においては、前後二回ないし三回程度、こういう歴史資料の保存について、あるいはまた文書館法の制定等について政府に対する勧告をされていることは御承知であろうと思うんです。
 そういうふうな背景は、考えてみると、やはり図書館法なりあるいは博物館法ではどうすることもできないような実態になっているからではないだろうか。もしこれが図書館法に基づくような整理ができれば、新たに歴史資料館とか文書館とか、こういうようなものをつくる必要はなくなってくるのではないだろうか、このように思うんです。そこらあたりの関係につきまして文部省のお考え方を一応伺っておきたいと思うんです。
#48
○説明員(平川忠男君) 今先生から御指摘ありましたように、図書館においても地方行政資料を収集することが可能になっておりますが、基本的には図書館は図書、記録その他必要な資料を収集しまして、さらにそれを整理、保存した上で一般公衆の利用に供するということを主たる目的といたします社会教育施設でございます。公文書等の収集を直接の業務としては想定してございませんが、しかしながら図書館法の規定においては、図書館の運営に当たって、郷土資料のほかに地方行政資料なども収集し、一般公衆の利用に供するということを目的としてございます。現に県立図書館につきまして調査いたしましたところ、七十一の県立の図書館のうち六十二の図書館では郷土資料、地方行政資料等を保有し、利用に供しているという調査結果がございます。また、都道府県におきましても県立図書館を発展的に独立させまして、県立の公文書館であるとかあるいはその県立図書館の機構の一部として郷土資料コーナー等を設けまして、地方行政資料の収集、整理、一般公衆への利用に供しているという実態にございますので、文部省としましてもそういった図書館の充実、地方行政資料の収集とかいった点について今後とも各地方における図書館の充実を図ってまいりたい、かように考えております。
#49
○岩上二郎君 ただいまの御説明の中で、さらに充実をしていくという御意見でございますので、非常にいい姿勢であろう、このように思いますが、とかく図書館ということになりますと、社会教育を重点にする。むしろ見せる以前の、歴史的な資料、そういうようなものを収集し、保存し、調査をする、こういうふうな姿勢が欠けている、そこに問題があるために歴史資料館なりあるいは文書館等が、それぞれ図書館がありながらできてくる、こういうふうなことになってきたのではないだろうか。したがいまして、本来の業務をもっとしっかりおやりになっていってくれるならば非常にすばらしい図書館が生まれるはずだ、このように思うのです。ところが、これが非常に当面する問題の需要にマッチさせるために、見せる、知らせる、こういうふうな方向に進み過ぎたために、見せる、知らせる以前の、その資料の保存、調査、研究というものがおろそかになってしまったのでは、これは非常に文化行政の上での大事な問題、いわゆる本当の意味の文化というものが欠落する、こういうことになりはしないだろうかということを恐れておりますので、ひとつ文部省としてもそこらあたり十分にお考えおきいただく必要があるのではないか、このように思いますが、いかがですか。
#50
○説明員(平川忠男君) 一口に地方におきます行政資料あるいは歴史的資料と申しましても、その種類、内容等が極めて多様でございますし広い範囲にわたっております。いずれにしましても、そういったものを収集し、保存し、利用に供することはまことに意義深いことではあると思います。そこで、そういった地方行政資料あるいは歴史的資料をどこで取り扱うか、どこで保存等をするかということは非常にほかの分野とも関連する難しい問題でございますけれども、各地方自治体において適切な管理をするということを建前としまして、図書館におきましても十分それに対応するよう整備に心がけてまいりたい、かように存じております。
#51
○岩上二郎君 総理府関係をお伺いしたいと思います。
 学術会議の政府勧告というものは御承知でございますね。それの第一回の勧告を受けまして国立公文書館をおつくりになった。さらに、文書館法をつくれ、こういうふうに政府に勧告をされたわけですけれども、その問題について政府のどの省も恐らくこたえてくれていないのではないか。総理府ではどのようにお考えになっているか、お伺いしてみたいと思います。
#52
○説明員(中川良一君) お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘のとおり、国の行政に関する公文書その他の記録を保存いたしまして閲覧に供する施設といたしまして、昭和四十六年七月に国立公文書館が設置されたところでございます。国立公文書館では各省庁との間で申し合わせを行いまして、その趣旨を踏まえまして引き続き公文書の移管の促進を図っていくというふうな考え方でおりまして、総理府といたしましてはこういう施策を充実することによりまして、国の行政機関に関しましては御指摘の趣旨、目的を達するように努めていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#53
○岩上二郎君 学術会議の方で第二回の勧告をされたのに対して、これはどのようにおこたえになっていますか。
#54
○説明員(中川良一君) 繰り返しになって恐縮でございますが、国の行政機関につきます公文書の保存、収集、閲覧という業務を現在総理府の方で担当しておるわけでございますが、総理府といたしましては、この公文書館における資料の収集、整備、閲覧というものをさらに充実さしていくということによりまして、実質的に国の行政機関につきまして公文書の収集、閲覧というものを充実させていくということで新たに別途法整備を行うかどうか、この問題は地方公共団体の問題も含めまして総理府の立場でひとり云々できるような性格の問題ではないというふうに考えておる次第でございます。
#55
○岩上二郎君 たびたびお伺いするわけですけれども、そういう学術会議の勧告に対して別にこたえもせず、そして従来の勧告を受けてつくった国立公文書館を中心にして各省ともできる限り重要書類は逐次移管をする、そして文書行政について姿勢を正していきますよと、こういうふうな考えだけであるということから、学術会議としては、せっかく勧告をしたにもかかわらずさっぱり体制が整っていない、こういうふうな不満が非常に多いわけです。そういう声はひとり学術会議だけではございません。地方団体におきましても従来から、ここ五、六年の間、歴史資料保存協議会という全国的な組織をつくって、地方団体においてもこの文書館をつくってはどうか、つくるためには一つの親骨であるそういうものをつくらせる元手になる法律が必要である、いろいろとこのような意見をたびたび出されているわけです。
 しかし、各省とも縦割り行政であるために、私も十分各省に対して説明をするのですけれども、我が省といたしましてはということで、省の中に埋没をしてしまって、さらに一歩飛躍して、じゃ私の省庁でやりますというところまではなかなか行き着かないところに問題があるわけなんです。どうかひとつ総理府としましても、せっかくそういう一つの国立公文書館をつくった歴史的な経過もあるのですから、従来の枠にこだわらず、今非常に重要な時期にかかっているだけに、心を新たにして考え直していただきたいと思うのですけれども、いかがなものでしょうか。
#56
○説明員(中川良一君) 地方公共団体との関係におきましては、私ども例えば国立公文書館におきまして各地方公共団体におきます文書館の設立に際しての技術的援助でございますとか、あるいは研修の受け入れというようなことを通じまして実体的に御援助申し上げておるところでございますが、ただいま先生御指摘の全く新たな立法措置というようなことになりますといろいろ関連する問題もございまして、総理府としてもなかなか打開の糸口が見つけられていないという現状でございますが、なお関係の向きと十分御相談させていただきたいというふうに考えております。
#57
○岩上二郎君 従来よりもいささか前向きの御答弁がありましたので、ちょっと何とかなるかしらと、こういうふうな気持ちを持ったわけです。結構でございます。
 各省庁とも、大蔵初め通産、農林、それぞれの文書の取り扱いの実態というものをある程度委員部を通じて拝聴いたしました。非常によくやっているところと、去年は全然どれだけどのようになっているかわからないというような省庁もありまして、千差万別です。しかし、それが日本の実態ではなかろうか、このように思うのですが、これから私の私見を加えて、大臣にお答えを願いたいとこのように思います。
 とにかく前後二回にわたりましてもなかなか新しい法律をつくるということは難しいというような印象を受けながらきょう質問しているわけでございますが、行政文書であれあるいは一般の記録であれ、これは歴史的な目から見れば一つの事実関係としてその時代時代に生きているものであると思うのです。したがって、文書というのは国民共有の財産と見ていいものであろうと思うんです。
 日本の場合には、表にあらわれた例えば仏像だとか絵画とかそういうものを文化財としてとらえ、民族資料としてもとらえてこれを保存をする、こういうふうな傾向があるわけです。ところが、その時代時代を語る言葉を刷り上げた文書というものは余り重点を置かれない、そういうふうな実態になっているのが今日の状態ではないだろうか、このように思うんです。むしろ、物よりもその時代時代を語った言葉を文章にしたものの方が文化的な価値があるものだと、私はそのような認識を持っているわけです。じゃ、日本人の性格かというと必ずしもそうではない。かつて室町時代においては記録所をつくり、そして政府の組織として重要な位置を与えていたこともある。あるいは明治の初期において内閣文庫をつくり、既に五十何万冊。国立公文書館では三十七万冊かにわたる膨大な資料を収蔵をされている。こういうふうな実態等もあったわけです。
 しかし、明治の中期以降、大正、昭和にかけてたびたびの戦争の経験あるいは町村合併、特に三十年以前から行われた全国的なあの町村合併のあらしによって、それぞれの町村で持っている重要な資料というものは一部は焼却され、そして古本屋に流れ、そして重要だと思うものさえも十分な保管をされずに、ただこの書類が古い倉庫の中に堆積をされている。このことは多かれ少なかれ各省においても同じようなことが言い得るのではないだろうか、こういうふうに思うんです。しかも、永久保存とかあるいは十年保存とか五年とか三年とか、それぞれ各省ごとに規定をつくって、そして保管をされているわけでございますので、その保管の基準もまちまちであります。そういう保管された資料を今度は整理する職員、これが一般の公務員でありますから、しょっちゅう二年あるいは三年で場所が変わるということでもございますので、せっかくつくられた文書館等に勤めている職員すらもしょっちゅう入れかわりをする、こういうふうな実態ですから、なかなかこの文書の整理ということさえも容易ではない。
 ただ、一面文部省の所管であります図書館あるいは博物館等においてはそれぞれ専門的な司書あるいは学芸員、こういうようなものが配置をされて、そして身分関係もはっきりしている、こういうふうなところではこれは十分に整理ができるはずなんです。ところが、図書館自体あるいは博物館自体がこの膨大な資料を全部そこへ集めて一般に公開ができるような体制にはなっていない。したがって、この文書の重要性を認識した都道府県の知事等においては、これは別個に新しく組織をつくっていく必要がある、こういうことで歴史館なりあるいは文書館をつくられつつあるのが現状ではないだろうか、このように思いますが、その整理をする職員すらも一般の公務員、こういうふうな実態になっていますので、どうしてもやはりそこらあたりを考えてみると新しい一つの法律をつくる必要があるのではないか。そして、それを整理する専門職、こういうようなものを配置をするというようなこととあわせて、文部省でもできる限り大学院なりあるいは大学においてそういう専門的な知識を与えるための教育計画というようなものをお持ちになる必要もあるのではないか。むしろこのように前向きで各省庁とこの文書行政について積極的に取り組んでいただきたいものと、このように私は念願をしているわけであります。
 特に、なぜそういうふうに私がもうここ五、六年の間この文書行政についてしつこく皆さん方に申し上げているかというと、外国の実態というものが日本の実態とまるっきり違うからであります。外国の場合は、図書館とかあるいは博物館の法と並んで、やはり文書館法をつくっている、こういう文書館法の方がはるかに高い位置づけをされている。しかも、国際的にはユネスコという文部省関係の組織もあって、そこの本部にもそういう文書行政情報システムというものがどうあるべきかという機関さえも設けて、各国に対して国際的な協議会をつくり、そして先進国あるいは開発途上国とを問わずPRをされているわけです。
 アメリカのバーンズという博士が日本にたまたまおいでになって、日本の文化行政の中で一番立ちおくれているのは文書行政であるということを指摘してお帰りになったのが昨年の九月です。その中身を見ましても、がっかりしてお帰りになっておるのです。
 これは今度は全体で見てまいりますと、世界各国の中で日本ほどおくれている国はない。インド、インドネシアよりもおくれている。フランス等においては、産業革命以降とにかく各市町村までいわゆる文書司というものを置いておるわけです。アーキビストといいますけれども、そのアーキビストは各市町村まで少なくとも一名は配置されている、こういうふうな実態の中で、従来の歴史的な五世紀も六世紀も七世紀もかかっているそういうふうな歴史の積み重ねの中で国を守っていく、こういうふうな姿勢がありありと見えるわけです。フランスにしてしかり、西ドイツしかり、英国、フランス、イタリーあるいはアメリカにおいてもそのような実態ですけれども、日本の場合はその基礎的なものが全然準備をされないで、ただ見せる、知らせる、こういうふうなことと相まって、住民の側から見れば知る権利、こういうふうなことの中でトラブルがしょっちゅう絶えないが、こういうふうな現象的なものに皆さん方はとらわれず、そして基本的になすべき大事な問題をこれから真剣に考えてもらわなければならない、このような考えを私は持っております。
 したがいまして各省とも、私の趣旨は賛成、しかし我が省としましてはということになりますとノー、こういうふうな拒否反応が必ず出てくるのが今まで私の受けた経験です。議員立法というようなことも考えないではないのですけれども、しかし一体どこの省でそれをおまとめになるのかというと、これはまとめ先がない。自治省か、いや、自治省は地方団体の世話役でございますので、全体の文書行政はこれは総務庁ではないでしょうか、総務庁は、いや、それはなかなかそこまではいきませんと、こういうふうなことで文部省か、これは教育行政が中心でございますのでということになりますと、どこの省がその問題を整理をしようとするような姿勢をお持ちなのかということになるとさっぱりわからない。
 こういうふうな文化行政の中で、図書館、博物
館、それから文書館法と、この三つが並び立って初めて日本が文化国家になるのだと、世界に向かって日本は文化国家だと、こういうことを言えるのですけれども、一番大事なこういう文書行政というものが欠落している中では最低の未開発国日本と言われてもやむを得ない。したがって、国際会議に出ても肩身の狭い思いでオブザーバーとして一人ぽつっと参加をしているにしかすぎない。今の中国、これは物すごく燃え上がるような動きの中でこの文書行政に取り組んでいる、こういうふうな情報を伺いますと、この際やはり皆さん方に、ことしぜひ法律をつくれというようなことを言っても無理なことでございますが、まず意識の改造というか、意識変革というものを皆さん方に求めたい、このような気持ちで、各省の重立った、特に関係のあるという省庁に一つはおいでをいただいた理由があるわけです。
 そこで、大臣にお伺いしたいのですけれども、従来の因果関係等もございまして、しかも文書行政の重要性については各省よりいささか自治省の方が積極的に取り組んでいるやに伺いもしますし、またこういう財源問題についても起債を配慮したりしておりまするような経過にかんがみまして、これは自治省が十分に音頭をとってやってくれれば幸いですけれども、なかなかそうもいくまい、このように思います。これは内閣全体あるいは政府全体の問題ではないか、このように考えますので、ぜひひとつ自治大臣の方から閣議にかけていただきたい。この問題については中曽根総理も私の質問に答えて、前向きで検討しますということを行管庁時代にも答弁をいただいております。よもやお忘れではないだろうと思いますので、ぜひ内閣において取り上げていただいて、どこの省でやるかわかりませんけれども、ひとつ閣議で御発言を願い、非常におくれている文化行政の汚名を返上するためにも、ひとつ古屋大臣の御決意をお伺いする次第でございます。
#58
○国務大臣(古屋亨君) 岩上先生の今日までのお話を聞いておりますと、非常に御熱心に、また本当にこれを推進しようという御熱意の状況を承りまして、私ども感激をしておるところでございます。
 私、実は総理府の副長官のときに今の公文書館というものの前身を大体考えたのでございますが、今お話のように、文部省あり、いろいろの省があります。また、地方の問題については自治省というのもあるわけでございます。
   〔委員長退席、理事松浦功君着席〕
この問題の重要性ということを私もよくわかっておりますので、官房長官とよく御連絡いたしまして、どこで調整してそういうものをやるのが一番いいかということを文部大臣とも、あるいは総務長官あるいは官房長官ともよく相談をいたしまして、先生の御熱意のあるところをお伝えし、そうして日本のおくれている状況もお話しいたしまして、こういう問題について前向きの姿勢で考えていくように、実は私もそういうような申し入れといいますか、非公式な話し合いを関係大臣といたすというつもりでございます。
 結局、中央の問題といたしましては、先生の御意見のあるところ、公文書保存の重要性につきましても、よく官房長官、総務長官、文部大臣等、関係大臣と連絡をいたしまして、この推進について私も積極的に話を行いたいと思っております。
 それから、地方の問題につきましては、大体地方の公共団体の自主的な判断でそれぞれ整備を進めておるところでございまして、私どもも公文書の保存の重要性は地方行政におきましても非常に重要なことでもありますし、起債の問題につきましても相当な指導をしておるし、また各地域で、地方においてもいろいろこういう問題をやっております。今直ちに地方のために自治省が法律をつくって、公文書館の保存を地方自治団体に義務づけるということにつきましては、ひとつ関係省庁の意見もまた十分聞きまして慎重に検討してまいりたいと思っております。
#59
○岩上二郎君 ただいま大臣の誠意あるお答えに私は非常に感激を覚えております。ぜひひとつ、行政の欠落している部分で、国際的、国際並みに持っていこうとする端緒をどう開くかが問題でございますので、いろんな障害があるだろうと思いますけれども、何とかその障害を乗り越えていただくようにお願いをいたしたいと思うんです。
 さらに、大臣にこういう問題があるということだけをちょっとお伝えしておいた方がいいかなと、こういうふうに思っておりますので、お話を申し上げさしていただきたいと思うのですけれども、こういう文書行政、文書館をつくるということは都道府県の自治体の固有事務である、こういうふうな認識もあるだろうと思うのです。そのために、趣味のある知事さんあるいはそういうものに興味のある市町村長は、それに対して十分に何とかしなきゃならないということで施設はおつくりになるけれども、興味がない、しかも選挙みたいなものには割と関係がございませんので非常にこういうものには冷淡な自治体の首長もおられると思います。したがいまして、どうしても抽象的ではあるけれども、これはある一つの文書行政を進めていく上の流れとして、やはり法律というものをつくる場合には、市町村まではいかないとしても、各都道府県ぐらいまでには、できれば必置義務みたいなものをつくらせた方がいいのではないか。
 それから、総務庁関係とも絡むわけですけれども、総務庁は行管あるいは総理府等の一部と合併して総務庁になっているわけでございますが、とかく行管の姿勢というのが非常にかたいと思うんです。しかし、最初はある程度の指導体制をどうつくるかということを重点に置いた法律で結構だと私は思うんです。逐次充実するに従ってこの法律は改正をしていく、こういうふうな手順でいいのです。アーキビストというか、いわゆる専門職さえも全然配置されていないような実態で今急にその専門職を配置するというようなことを求めることは容易なことではないと思うんです。先ほども申し上げましたように、文部省で教育計画さえもない、そういうアーキビストの養成をどうするかという問題等々もあるわけでございますから、法三章で私は結構かと、このように思うんです。
   〔理事松浦功君退席、委員長着席〕
しかも財政的にはそれほど負担をかけるものではない。それぞれ各省で持っている倉庫、これが書類が滞積している滞積所みたいなそういうふうな形になっていて、わずかな職員が整理をしているにしかすぎないようなそういう実態はやはり行政経費で、したがって年々倉庫が不十分である、大きくしなきゃならない、どこかに移転しなきゃならないというときには普通の行政経費で十分落としていくことができるし、今度は地方団体にやらせる場合でも起債ぐらいの程度で補助金を別につけるということではなくても済みます。
 従来の行政の職員というようなものをある程度専門的なそういう立場につけていく、そういうふうな経過も必要である、そのためにはある程度の期間も必要であろうと、このように思いますが、それほど総務庁がお考えになるような、これは大変だというようなことにはならないで済みますし、また科学技術が進んでいる今日、マイクロフィルムとかあるいは磁気フィルムとか、それからコンピューターによる自動システムとか、そういうふうなものを十分に活用すればそれほどの人員は必要ではないということにもかかわり合いを持ちますので、やるかやらないかというような姿勢さえあれば、私はこの文書行政というのは急速に進んでいくのではないだろうか。とかくこういう文書についての認識不足から来る行政の埋没したところの箇所、それにぜひひとつ何とか焦点を当てて、そして日本の文化行政はなるほどと、こういうふうに国際的にも認められるようなそういう位置に持っていくように古屋大臣の特別なお力添えを特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わらしていただきたいと思います。ありがとうございました。
#60
○中野明君 最初に大臣に見解をお聞きするわけですが、過日来問題にしておりますけれども、この六十年度の国家予算というものの編成に当たり
まして私は非常に心配をいたします。と申し上げますのは、行政改革と財政再建というのは今我が国内政の最大課題でございますけれども、この行政改革と財政再建ということについて、私は行政改革が基本で、これをきちんとすれば財政再建はおのずとついてくると、こういう考え方を持っております。ところが、ことしの予算審議を通じても、大臣もお感じになっていると思いますが、内閣は財政再建ということにとらわれ過ぎて、財政再建の手段として行政改革という言葉をにしきの御旗にして利用しているのではないか、こういう心配をするわけです。
 まず大臣の考えをお聞きしたいのですが、私のこの考え方、それは違うのだとお思いになりますか。それとも大臣のお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
#61
○国務大臣(古屋亨君) 今の中野先生のお話でございますが、私は、結論は今先生のおっしゃったように行政改革をやれば財政再建はそれについてくるというような感じを持っておりますが、中央行財政をめぐる現下の環境は非常に厳しいことは御承知のとおりでございます。これを克服して、人口の高齢化、高度情報社会への移行、国民の価値観の多様化等、内外の経済社会情勢の変化に対応しながら活力ある地域社会を形成いたしますとともに、地方の行政水準の確保充実を図っていくためには、行政改革と財政再建のうちどちらを優先するかというよりも、簡素にして効率的な行政を実現すべく一層積極的に行政改革を推進いたしますと同時に、それによりまして経費の節減合理化、また一方において地方財源の充実に努めて地方財政の健全化を図っていく必要があると思います。
 したがいまして、どちらが優先という、言葉の使い方と思いますが、私は行政改革を真剣にやれば財政再建はそれについてくるという感じを持っておるのでございまして、とにかく国、地方を通ずる行政改革というものが一番当面の問題の重点である。もちろん、非常に厳しい財政状況でありますから、財政を膨張させないようなことで当然この行政改革をやっていけば財政というものの方の健全化にも必ず役立つことができると考えておるわけでございます。
#62
○中野明君 大臣も大体同感という意味のお話がありました。決して私も財政再建をないがしろにしろという意味で申し上げているのじゃありません。考え方がそこになければかえって行政改革はうまくいかないと、そういうことで申し上げているのでありまして、先日も本会議でも申し上げましたが、特に今回のこの補助金一括削減につきまして政府がとろうとしておりますこの財政再建の手法、やり方、これがもう非常に危険だと私思っております。それで、大臣は国会答弁でも率直に順序が逆になったと、こういうふうにお答えをしておられるのですが、改めてこの大臣の真意、こういうお答えをなさった真意をおっしゃっていただきたいと思います。
#63
○国務大臣(古屋亨君) お話しの国庫補助率の引き下げ問題につきましては、私ども自治省といたしまして、十二月四日に出ました地方制度調査会の答申に示されておりますように、国庫補助金の整理合理化は必要である、やらなきゃならぬ、ただ国、地方を通ずる行財政の簡素合理化、地方団体の自主性、自律性という観点からいたしまして、事務事業の廃止、縮減は行わなきゃならぬ、しかも地方の自主性に任すべきものは一般財源に移していいのじゃないかというようなことを基本として推進すべきものであるということは、先生もお話しのとおりでございます。
 私は、国と地方との機能分担、費用負担のあり方を根本から見直すことなくして国庫補助の負担率を一律に引き下げるようなことはやるべきではないと思っておりますし、またそういうように考えておる次第でございます。しかし、この問題につきましては、御承知のように、地方の立場と国の立場との間に大きな食い違いがありまして、昨年暮れの予算編成の直前になりまして暫定的な措置を御承知のようにとらざるを得なかったところでございます。そういう意味で、私が答弁いたしましたのは地方の立場から従来主張したものを申し上げたのでありまして、その基本的考え方は今まで申し上げたとおりでございます。やはり地方の財源の充実、仕事の分担の把握ということをやっていかなければならないということを考えておるわけでございます。
#64
○中野明君 大臣が順序が逆だとおっしゃったことは正しいんです。ただ、そういう順序が逆だけではなしに、政府が苦し紛れにこういう措置をするということで、私は議会制民主主義というものに非常に不安を持つわけです。予算編成のたびにこういうやり方がまかり通るとするならば、一体国会の議論というのは何だろうか。政府がもう先に既定事実をつくって、そして後からこれを認めさせようというような魂胆があるのじゃないかということで、これでは議会を軽視することにならないか。国会の議論というものを一体どうお考えになっているのだろうか。その辺を大臣も御心配になって順序が逆ということをおっしゃったのじゃないだろうかと、私は私なりに想像しているわけでして、この順序の逆というのが非常に民主主義とは逆行している。
 民主主義というのは、大臣も御承知のように、ある一面からいえば手続主義とも言われておりまして、手続が非常に大事なんです。それが逆になるということで民主主義に対して不安を持つというのは当然であります。外国の例なんか見てみますと、特に西ドイツも財政再建で非常に努力をしているように聞いておりますが、あそこのやり方を見ると、とにかく財政再建法という法律を出して、かっちりその法律を国会でもやっさやっさ審議をして、しかる後に予算に取り組んでいるという正しい手順をとっているわけです。日本は逆にやろうとしているところに私は非常に心配なものを感じております。ですから、こういうことを繰り返してはなりませんし繰り返さしてもいけません。そういう意味で大臣頑張られて六十年度限りの措置というところまで押し込んでこられたのだろうと思います。その御苦労は私評価しておりますけれども、本当にこういうやり方が当たり前のようになってきたら、これに議会というものは何か物を言わなければならぬ。大臣も立法府に籍を置いておられますから御案内と思いますけれども、議会としてこれを黙って、ああそうですか、これしようがありませんと言うわけにはまいらないということなんで、いま一度大臣の率直なお考えをおっしゃってください。
#65
○国務大臣(古屋亨君) 国庫補助負担率の引き下げの問題につきましては、この問題が提起されました段階から地方団体の御意見を承りながら対処したところでありますし、また十二月の初めの地方制度調査会においても、私ども自治省が元来持っておった意見を地方制度調査会でもそういうようにやりなさいというような御答申をいただいておったところでございます。したがいまして、厳しい財政状況のもとでこれが暫定措置として行われるようになりましたことはもう私ども大変残念でございますが、一年限りということでこれをお受けしたような次第でございますが、こういうような問題につきましては、私どもはただ補えばいいというだけの観点ではなくて、地方団体の御意見を十分承りながらこれに対処していくべきである。
 私は、先ほど事務事業の見直しが先決であるということを申し上げたのでありますが、今まさに国の必置規制だとかあるいは国の関与ということが今度総務庁から提出しました法案でもあらわれておりますし、今また行革審におきまして権限移譲の問題についても六月ごろには御答申をいただけるものと考えておる次第でございまして、そういう意味からいたしまして、事務分担、事務のあり方ということが国と地方との関係では一番大事である。だから、財政的に幾ら苦しいからといって、かちっと決めてしまったことは私もまことにやむを得なかったと思いながら、この問題、あのときには非常に厳しい財政事情下にあるから何とかこれを聞いてくれないかというお話に対しまし
て、一年限りで、国で面倒見てくれれば承知しましたというようなことを申し上げたのでありますが、本当にこれは緊急避難的な措置であると私は考えておりまして、今後は六十年度、ことしのうちにおきまして来年度のこういう施策をどういうふうにやるか十分各省と密接に連絡し、あるいはまた地方団体の御意見を伺いながら私どもの考えているところをぜひ施策の上に反映をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#66
○中野明君 大臣も先ほど申されたように、この地方制度調査会の答申、これにはそういうことを心配して答申が出ていると思いますし、それにこたえて大臣も自治省の考えということを言われましたけれども、これは当然大臣としてのあいさつであったわけですが述べておられるわけなんですが、そういうことを地方制度調査会のメンバーの人たちも今日あることを心配してこういう答申も出ているし、大臣もそういうあいさつをなさっているにかかわらずこうなった。まことに残念なことだと思いますが、今度の地方制度調査会で大臣はどういう言いわけをなさいますか、これについて。
#67
○国務大臣(古屋亨君) この問題につきましては、非常に厳しい国の財政状況のもとにおいて、しかも予算編成ができなきゃ困るというような強い要請がございました。私としては、応急的な臨時的なものであり、そうして一年限りのものであるから御了承をいただきたい、そして今度は十分地方団体の意見をあらかじめ聴しながらこういう問題に対処いたしますということを申し上げたところでございます。
#68
○中野明君 それで、この地方制度調査会の報告書を私も見せてもらいましたが、この調査会の委員の先生方の中にも、一生懸命自分たちは苦労して答申を出すけれどもしり抜けになって一つも言うことを聞いてくれないと、しかも時によれば答申と反対のようなことをやってくるというような不満がかなりうっせきしているようです。そういうことを考えますと、大臣、本当に総理も答申を尊重する大臣も尊重するとおっしゃっておりながら形骸化していく、こういうことも一つ心配でございます。その上に、もしそういうことで国の方がやむを得ぬということでそういう措置をされたのならば、やはり全額私は交付税を上積みするとかなんとか、そういう方法がなければ意味がないと思うんです。いま一つ、今回一千億は交付税の上積みで残りは公債で、建設とそれから特例公債ですか、公債で措置したと、こうおっしゃっているわけなんですが、先ほどの同僚委員の議論にもありましたが、いわゆる地方債というものを許可制にしておられるこの本当の真意というのはどこら辺にあるのか、もう一度御答弁いただきたいのです。
#69
○政府委員(花岡圭三君) 地方債の許可制度は、一つは、地方債というものが将来その元利償還による財政負担を伴いますために、個々の地方公共団体及び地方財政全体についてその適正限度を保持し、地方財政の健全性を確保する必要があるということでございます。二つ目には、地方債の元利償還金は地方財政計画に計上いたしまして所要の財源措置を講じていく必要がありますことから、地方債の発行の適正限度が保持されなければならない。三つ目には、現行の財政金融制度のもとでは、地方公共団体の資金需要も国または民間などの資金需要との調整を図り、限られた資金を適切に配分する必要があるということ。それからもう一つ、資金配分の公平を図り、特定団体への資金の偏重を防止することによりまして、地方公共団体の財政力のいかんにかかわらず必要な資金が確保されるようにする必要があること。こういったような理由から設けられているものでございます。
#70
○中野明君 今三つが挙げられましたが、一つの理由として、やはり地方の公共団体が焦って地方債を余りたくさん発行し過ぎて舞が舞わぬようになったらいかぬというか、にっちもさっちもいかぬようになったらいかぬということである程度セーブしようというお考えもあるのでしょう。
#71
○政府委員(花岡圭三君) やはり地方団体が財政を運営いたします場合にその健全性を確保するというのは非常に重要なことでございますので、あるいは先生のおっしゃいますような表現でそれが入っているのかとも思いますけれども、私ども、特定の団体がめちゃめちゃにやるとかいうふうなことではございませんで、要は適正な財政規模を堅持していただきたい。そうでなければ地方財政全体として財源措置もできなくなるおそれがあるというふうなことも考えて、この起債の許可制度を維持していくべきではなかろうかと考えておる一つでございます。
#72
○中野明君 私が心配するのは、許可制になっている、だからこの制度をある程度自治大臣がそういう権限をお持ちになっているから、それが今回の措置であって、地方債であと賄いますよと、地方は自分のところの方から自発的に地方債の発行を許可をしてくれというのが順序でしょうけれども、国の方の都合で地方債を許可してやる、それで財源は事足れり、万全の手を打ちましたというのはいかがなものか。何か権限を逆手にとっておられるのじゃないかという、そんな気もしてならぬのです。
 それで、同じく地方制度調査会で、「地方債残高の累増は、公債費負担比率の急増をもたらし、個々の地方公共団体の財政運営を硬直化させ、特に多くの財政力の乏しい団体にとって危険な水準にまで達していると考えられるので、地方債依存をできる限り抑制することを目指さなければならない。このため、明年度においては、財源不足を補てんするための建設地方債の増発はできる限り行うべきでない。」と、こう答申しているんです。これにもやはり言うことを聞いてないわけです。建設地方債をやるなと言っているんですが、それをまた二千億認めようということですから、非常にこの今回の措置というのは言いわけに苦しい無理があるということが言えるわけでして、こういうことはもう本当にことし限りでやめてもらいたいということを強く私お願いをしておきます。
 それでもう一つは、いわゆる五千八百億を一千億の交付税の上積みとあとは地方債で万全の措置を講じましたと、こうおっしゃっておるのですが、ところが国全体としてはなるほどそれでつじつまは合っているように考えるわけですが、地方によりましてもう財政的に非常に格差がありまして困っているわけです。それへこういう措置が一律カットでばさっときますと、いわゆる財政基盤の弱い県というものはこれは大変なことになります。
 私がおります高知県のことでちょっと聞いてみたのですが、何か今回の補助削減に伴って六十年度当初予算で高知県としては、公共事業で四十四億二千八百万円、非公共で十九億三千百万円ですか、何かもう県の当初予算が三千億ぐらいしかないのにこれだけこたえてきている。それで、国の方の地方財政の計画を見てみますと、地方税の増減率を見ますと一〇・六%地方税がふえるということに全体ではなっています。ところが、高知県で聞いてみますと、高知県は地方税は四・八しか伸びない、全国平均の半分以下です。ですから、全国で見たらとんとんなんですけれども、財政基盤の弱いところはこれはもう大変で、税収の少ないところというのはもうこれはどうもこうもならぬような感じになっております。その上に災害が多いところですから、過去に災害のために相当地方債も出しております。そんなことで、こういうことをやりますと地域間の格差がますます大きくなるという懸念を持っているのですが、その点は自治省どういうふうに見ておられますか。
#73
○政府委員(花岡圭三君) 先生御指摘のように、このところ地方税収のばらつきというのが大分ひどくなってきたような感じがするわけでございます。特に明年度のように大きな税収入が全体として見込まれる場合には、税収の多い団体、それから余り伸びない団体、これのかなり格差がついてくるというのは事実でございます。そういった団体につきましては、理論的には地方交付税で、税
が伸びない団体につきましては地方交付税の配分がそれだけ行く仕組みになっておるわけでございまして、地方団体の当面の財政運営というものには私ども支障のないように措置をいたしてまいるつもりでございます。ただ、団体間の格差が生ずるという点につきましては、確かにそういった面は出てくるものと思います。そういったことも考えながら、これからの各団体の財政運営につきましては、新しい年度に入りましてからも各団体の財政事情を十分にお聞きしながら適切な対処をしてまいりたいというふうに考えております。
#74
○中野明君 格差が広がってはもう話になりませんので、ぜひ格差を縮めるように努力してもらわなければなりません。それとともに、そういう財政力の弱いところほど事業はもういっぱい積み残されて、仕事をしたくてたまらぬのですけれども金がない、そういうところへまたこういう措置をされると、持ち出しができなければ仕事もできないということで、仕組みの上では今おっしゃったように行くようになっているとおっしゃっているのですけれども、現実の問題として、来たからといって地元で金がなければよう事業も受けられぬというようなことにもなってみたり、そういうところに限って県の単独事業なんかはもうどんどんやらなければならぬのが、こういうことになってくるとますますできなくなって格差ができる、こういうことがありますので、国の方で全体のトータルでバランスがとれて、これでもういいんだ、事足れりということになさらないように、個々に本当に目を通していただかないと、これはいろいろ先日も申し上げたように、いわゆる退職者の問題から何からもう全部地方へ――結局国の方は行政改革だと言っているけれども、私はこのやり方は行政改革じゃないと思います。国の方が、自分のところが肩が軽くなっただけでその分丸々地方へ行っているのですから、国債でいえば、極端な言い方かもしれませんけれども、国が国債を発行するのを地方に肩がわりさしただけじゃないか。それでもって行政改革だ、臨調の言うたとおりですと言われたのではかなわぬ。こんなことは行政改革ではありません。地方に肩がわりをさしただけです。
 だから、最初に私が申し上げましたように、財政再建を急ぐ余りというか、これを重視する余りに行政改革という名前を使っているだけじゃないか、そんな行政改革だったらだれにもできます。地方にばっと肩がわりしておいて、しかも心配なのは、大臣頑張ってくれましたけれども、大蔵大臣が自治大臣一人を説得すれば、あるいは厚生大臣を説得したらそれで事足れりというような安易なやり方になってきたら怖いということを私は申し上げているのですから、ぜひ大臣、今いろいろ申し上げましたが、それを踏まえて、この問題のこれで最後にしたいと思いますので、大臣の御答弁をお願いしたいと思います。
#75
○国務大臣(古屋亨君) 今局長から申しましたように、総枠としては国として一応の措置を講じたということを申し上げたのでありますが、先生のお話の個々の地方団体に対する具体的な影響につきましては、これから国の補助金等が配分になってくると思いますから、配分の前におきまして申し上げることは難しいのですが、やっぱり生活保護費の支給者の多い少ない、あるいはお話しの公共事業の実施状況によりまして地方団体によりまして影響の度合いが異なり、また相当多いところもあるということは私も考えておるのでございまして、全体としては万全の措置を講じたと言っておりますが、個々の具体的問題につきましては、自治省といたしましても十分各県等の状況あるいは市町村の状況は県を通じてお伺いいたしまして、具体的にそういう問題で特別に必要なものにつきましては交付税措置あるいは起債の措置ということについても弾力的にやっていくべき必要があると考えております。
#76
○中野明君 次の問題に入りますが、これまた答申でも「公営競技の経営状況は近年悪化の傾向にあるため、これら施行団体にあっては、今後一層の経営の改善、合理化を図るよう努めるべきである。」と、こう出ているわけです。
 そこで、ちょっとお尋ねをしたいわけなんですが、現在全国でお聞きしますと、地方競馬を開催している自治体は三十二あって、公営競技の中でも特に経営が悪化していると目立っているのが競馬のようでございますが、この構成する自治体数は七十一に上っております。ところが、五十五年をピークにして公営競技の売上高が非常に落ちてまいりまして、特に地方競馬は激しいという状況のようでありますが、この現状の背景と理由を農林省来ておられたら述べてください。
#77
○説明員(嶌田道夫君) 最近の地方競馬の状況でございますが、今先生がおっしゃいましたように、昭和五十五年度に売り上げが七千九百七十三億円に達しましたが、それが五十八年度にはピーク時の約八三%となっております。この減少傾向は、まだ決算が出ておりませんが、五十九年度も引き続いておるというふうに考えております。
 このような地方競馬の不振の原因でございますが、これは国民のレジャーの多様化、例えばスポーツであるとか市民活動の多様化というようなことによりましてファンが分散しているというようなこと、それから若年層の公営競技離れ、一つはレースに魅力が不足しているというようないろんな理由があろうかと思います。それから、さらに実質所得の伸び悩みによります可処分所得の減少というようなことがございまして、地方競馬全体として不振の状況にあるということでございます。
#78
○中野明君 この地方競馬を開催する自治体の中で、過去三年間で赤字に転落している自治体と赤字額の推移についてちょっと報告していただきます。
#79
○説明員(嶌田道夫君) 地方競馬の状況は今申し述べましたような状況でございます。昭和五十六年度には赤字の施行者四団体ございまして、それが五十七年度同じように四団体、それから五十八年度はそれが十二団体となっております。例えば五十八年度でございますと北海道、それから旭川、新潟、足利、千葉、愛知、名古屋、和歌山、益田、高知、中津等でございます。
#80
○中野明君 今お述べいただいたように、五十九年度も大体余り変わらぬのじゃないか、またふえるのじゃないかという心配もしておりますが、五十七年度四団体だったのが五十八年度に一挙に十二にふえている。金額でも新潟県をトップにして赤字が五億五百万ですか、北海道が四億というような状態でありますが、今までからずっと出ているこの赤字の措置はどうなさっているのでしょうか。赤字をどういうふうに穴埋めしておられるのか。
#81
○政府委員(花岡圭三君) それぞれの会計におきまして大体翌年度の歳入の繰り上げ充用、あるいは他の収益事業をやっている場合にはそちらの方から充当するというふうなことで大体措置をされているようでございます。
#82
○中野明君 こういう状態が続きますと、そういう今おっしゃったような措置もできなくなるという心配も出てくるわけなんですが、自治省としてこの事態というものをどのように見ておられるのか、そして今後どういうふうに指導しようとしておられるのか、自治省の基本的な考え方をおっしゃってください。
#83
○政府委員(花岡圭三君) 申し上げるまでもなく、競馬などの公営競技といいますものは、それぞれの競技法に基づいて、畜産とか機械工業の振興とか、そういったことに寄与いたしますとともに地方財政の健全化に資するための収益の確保ということが重要な目的の一つになっておるわけでございます。したがいまして、この収益率が著しく低下したり、まして赤字を生ずるというふうなことになりますと、この公営競技の存立の基盤というものを揺るがす事態にもなってくるわけでございます。自治省といたしましては、このために売り上げの増強とかあるいは開催経費の節減等、こういった面でこの経営改善を抜本的にやっていかなければ、これはこのままではどうにもならぬのではないかというふうに考えておりまして、こ
の点農林水省とも十分協議いたしながら施行団体に対してこの健全化についての指導、助言を図ってまいりたいと存じております。
   〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕
#84
○中野明君 もう一点お尋ねしますが、今後の状況を農水省としてはどう判断しておられますか。
#85
○説明員(嶌田道夫君) 地方競馬は、今もお話にありましたように、地方財政への寄与とか畜産の振興に大きな役割を果たしておりまして、農水省としましてもこのような地方競馬の健全な発展を図っていくということが大事であろうと考えております。
 最近の状況でございますと、大体去年の夏以降少し回復しているような嫌いもございまして、何といいましても、地方競馬の振興を図りますためには各主催者がファンに喜ばれます魅力あるレースを行うというようなことであるとか、それから今もお話しになりましたような競馬開催経費に占めます割合の高い馬主さんの賞金であるとか人件費等の合理化とかというようないろんなことをこれからやりまして、何とか地方競馬の振興を図っていきたいというふうに考えております。
#86
○中野明君 この問題で基本的に大臣のお考えを述べていただきたいと思います。いつまでもこのままではこれは大変なことになるのじゃないかと心配をいたします。今までは地方公共団体とかあるいは畜産振興にそれなりの役目を果たしておるわけですから、なんですけれども、赤字になって、これが何年も赤字が続いて穴が埋まらぬということになってくるとこれはえらいことになりますので、その辺を含めて大臣としてどうなさいますか。
#87
○国務大臣(古屋亨君) お話しのように、大変最近は一般的に申し上げまして収益が赤字になっておるというところが多いわけでございまして、やはり公営競技の存立の基礎を揺るがす容易ならざる事態と考えております。したがいまして、売り上げ増強やあるいは開催経費の節減というような面におきまして根本的な経営改善が講ぜられるよう、主務省と協力しながら施行団体に対しまして指導、助言を行っていかなければならないと考えております。
#88
○中野明君 それでは次に、警察庁の予算で二、三お尋ねをいたします。
 先日も刑事局長は国会答弁で、グリコ・森永事件で犯人がどうも警察の手のうちを知ってその裏をかいたのじゃないかというようなことを述べておられるのですが、これはどういう事態をおっしゃっているんですか。
#89
○政府委員(鈴木良一君) 犯人が警察の手のうちといいますか、そういうふうなものの裏をかくというのはいろいろあり得ると思いますけれども、一つは、警察無線というものが犯人に傍受される、それによって警察の手のうちを知り裏をかくということが行われることがあるわけでございまして、グリコ・森永事件におきましても、犯人が乗り捨てたと見られる乗用車の中に無線機が発見されておるというようなことから、警察無線がかなりの割合で傍受されているということがあるであろうと、かように考えております。
#90
○中野明君 そうしますと、無線の傍受とそれから妨害なんかもあるという事例をときどき聞くのですが、妨害なんかはどれぐらいあるものでしょうか。
#91
○政府委員(鈴木良一君) 警察無線に対します妨害といいますのは、やや意図的な妨害と混信というものが明確に判別できない場合もございますけれども、実は年々こういうふうな形の妨害はふえておると見ておりまして、昨年度の妨害の回数は年間約一万七千回に及ぶというふうに考えております。
#92
○中野明君 そうすると、妨害のために事件の解決がおくれるというか、あるいは阻害されたというような事例は出てきているのですか。
#93
○政府委員(鈴木良一君) 一番端的な例は昨年の九月に自民党本部に対します放火事件があったわけでございますが、このときも事件直後から四十一分間にわたりまして警視庁の無線通信が妨害を受ける、そのために緊急配備その他に大変な支障を来したということがあるわけでございます。
#94
○中野明君 それで、ことしの予算では警察通信施設の整備とかそういうことで警察無線のディジタル化というものが出ているようなんですが、これは幾らぐらい予算についているのですか。
#95
○政府委員(鈴木良一君) 先ほどのお話のように傍受、妨害というものが大変ひどいという状況にかんがみまして、何とか早く警察無線を整備したいということで、今お話しの警察無線のディジタル化を進めているわけでございますが、六十年度の予算では五十三億二千四百万円お願いしているところでございます。
#96
○中野明君 そうしますと、これで全国カバーできるのですか。
#97
○政府委員(鈴木良一君) これによりましてディジタル化の整備率は、携帯無線機で申しますと約六〇%の整備になります。それから、パトカーに積みます車戦載線通信系になりますと、これは受令機を除いてでございますけれども、約五〇%整備がされるということでございまして、なお残りのそれぞれ四〇%、五〇%、さらに車載の関係では受令機の関係というのが残ることになります。
#98
○中野明君 そうしますと、これは大変大事なことだと私も思いますので急いでいただかなきゃならぬのですが、なかなか国の方も財政が大変だということもありますが、これは結局盗聴されたりして手のうちがわかったのではもう話になりませんので、これはいつをめどに全国を完全に整備しようとなさっているんですか。
#99
○政府委員(鈴木良一君) お話しのようになるべく早く整備をしたいということでございますが、六十一年度以降の予算折衝を通じて決まっていくことになるわけでございますけれども、早期にディジタル化の整備を行う方向で検討をしてまいりたいということでございます。
#100
○中野明君 国家公安委員長、なかなかこれは急がないと、いつも裏をかかれているというのじゃ警察の信用もまたあれですが、予算の関係もありましょうけれども、これはもうぜひ来年度ぐらいで完成できるような、そういうお考えはないものでしょうか。
#101
○国務大臣(古屋亨君) 実は昨年の秋に、五十九年度の予備費で二十億でございますか、大蔵省から予備費をいただきましてこれに充当いたしました。それから、今年度の予算で御審議いただいているところでは、先ほど官房長から申し上げましたように、五十三億余ということになっておりますが、私どもは実はこれは予算の上では大体六十年度から六十二年度までには完成したいということで、来年度以降の予算になりますもので早計に申し上げることはできませんけれども、大蔵省と話し合いまして、六十二年度の早い機会において、これが全部整備できるように予算的措置を私は講じたいと思っておりますし、そのことを大蔵省に強く要請をいたしておるところでございまして、実質的に満二年少しぐらいということで、大体これは六十二年度の早い機会にこれが完成するように、ことし四月でございますから、六十二年度の早い時期には完成できるように、私は何と申しますか、債務負担行為といいますか、何でありましょうとも大蔵大臣ととにかく実質二年余でこれを整備してもらいたいということをこの前予算折衝におきまして大蔵大臣と折衝いたしまして、最後にその要望をいたしたのでございます。大蔵大臣も嫌とは言いませんでしたけれども、その線に向かって私も頑張っていくつもりでございます。
#102
○中野明君 それからもう一点ですが、昨日から電電公社がNTTというんですか、株式会社になって、そしていよいよ電話も競争化時代に入りましてますます情報化時代が進んでくるわけなんですが、それに伴いまして、情報化が進んでコンピューターが進めば進むほどコンピューター犯罪というものは先進国でも大変巧妙なのが出てくるようでございますが、その点、取り締まる側の警察として、この情報犯罪、コンピューター犯罪といいますか、情報化時代の犯罪に対しての対応策は
どうなっておりますか。
#103
○政府委員(鈴木良一君) お話のとおり、コンピューターシステムにかかわります犯罪事項というのは年々ふえておりまして、しかもその形態によりましては大変多数人の生命、身体、財産に大きな支障を及ぼすということがあるわけでございます。そういうことから、警察としてもこういう情報化時代の到来に備えて早くから対応をしてきておるわけでございまして、内部的には、五十七年に内部での研究会を設けまして鋭意いろいろな角度から検討を進めてまいりました。また、ことしの一月からは部外の学識経験者等も加えました安全対策研究会という形に発展的解消といいますか、そういうものも発足させまして、コンピューターシステムを防護するための安全対策につきまして鋭意検討を進めておるところでございます。
 それからまた、やはり人の養成というものが大変大事になってくるということで、捜査官の養成のためにコンピューター犯罪の捜査専科というものも置きまして、こういう犯罪に対処し得る捜査官の育成に当たっておるというようなこともございます。
 今後ますますこのコンピューター犯罪に対する対応というものが重要になってまいりますので、警察といたしましても安全対策基準というものをつくるということを初めといたしまして、先ほどのような捜査官の養成、その他万般にわたります対策というものを今後鋭意進めてまいりたい、かように考えております。
#104
○中野明君 非常に我々頭の古い人間はついていけないぐらいにどんどんINSとかVANとかいって進んでくるわけでして、それに対しての取り締まる方の対応というのは、私は非常に急がれると思いますし、悪いことをする人というのは、盲点をついて裏をかいてくるという、よほど頭のいい人が悪いことをするようですが、そういう点で心配いたしますのは、結局後でしまったと、いつも後手後手に回っているということでは話になりません。そういうことで、ことしの予算では情報化犯罪に対応する経費というのはどの項でどれぐらい見ておられるのですか、これをちょっと教えてください。
#105
○政府委員(鈴木良一君) コンピューター犯罪ということで格別に計上をいたしておるわけでございませんけれども、先ほど申しましたような人の養成のために特にコンピューター犯罪の捜査専科というものも置いて行えるような形で予算を計上させていただいておるというところでございます。
#106
○中野明君 それはどれぐらいですか。大丈夫なのかと僕は心配するわけです。そうせぬと、犯罪が起こってきて、いや、まだそこまで研究がいっておりませんでした、向こうの方が上でしたということでは、これは何のためかということです。
 先日も申し上げましたように、暴力団の抗争事件にしても、これは一人が一丁ピストルを持っているのじゃないかと言われるぐらいに、つかまえたら必ず持っているというような、連日のように「そういう事件が起こっているというようなことを考えますと、それだってやっぱり装備の面でこれは将来ぼやぼやしておったら向こうの暴力団の方が装備がよかったというようなことになってきたら、これは大変なことになります。それと同じで、情報化時代になってくればくるほど巧妙な犯罪ができてくるんですから、その人材の養成とともにそれ相応の予算を組んで勉強をするなり、あるいは対応をするなりしてやっていかないと、余りのんびりやりおると、それこそまたやられました、いつも向こうが上ですというのではこれは困ります。
 日本の警察というのは非常に世界的にも信頼の高いことで有名なんですけれども、最近はちょっといろいろ失点も出ているようですし、そうなってくると、やはり新たに予想される犯罪に対してそれだけの準備態勢というものをとって、そして警察職員の人たちを教育し、準備をさせておかなければいかぬのじゃないか、そういうふうに思いますので、ぜひこれは大臣、その面については特別に注意を払っていただいて督励をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#107
○国務大臣(古屋亨君) 今のお話はまことにそのとおりでございまして、御承知のようにコンピューター犯罪というのは、コンピューター自体を何か損傷を与えるというような犯罪とコンピューターを利用していろいろなことをやろうという犯罪と、二つの形があると思います。でございますので、一つはそういうことをわかるような専門的な警察官の教養という問題が一番大事だと思いますし、そのための指導者とかそういう方も、今までそういう人は割合に少ないわけでございますので、そういう人材の確保並びに教養ということにつきましては、警察庁といたしましても訓練やそういう費用の内から十分最重点的に考慮いたしまして、お話のような悪質なこういう行為がないように、ぜひ私も一生懸命で努めるように警察庁に指示をしてまいりたいと思っております。
#108
○中野明君 これは今までになかった犯罪になってきますので、今大臣のお答えにありましたように、きょうやってあしたからというわけにいきません。かなりこれは教育と勉強するのに時間がかかるわけですから、相当力を入れてやっていただかないと、向こうの方はそういうことばかり考えてやろうとしているのですから、新しい時代がくればそれに新しい犯罪が出てくることはもう当然でしょうし、ますますこれからふえてくると思いますので、ぜひこれは力を入れてそれに対応できるようにしておいていただきたい、このように思います。
 じゃ、警察庁の予算は終わります。
 それで、次に消防庁の方に移りたいと思います。
 マル適マークの問題なんですけれども、防火基準の適合表示制度ということのようですが、五十六年の四月にこの制度ができてから今日までの実施状況と交付率を御説明いただきたいんです。
#109
○政府委員(関根則之君) 「適」マークの制度は昭和五十六年の五月から発足をしたわけでございます。当初は主として旅館でありますとかホテルでありますとか、こういったものを対象にして制度の発足をしたわけでございますが、その後さらに拡充の必要があるということで、昭和五十八年の四月に対象の建物等を拡大をいたしまして劇場、百貨店等も対象に加えたところでございます。
 最近までの「適」マークの交付状況でございますけれども、最初からございました旅館、ホテル等につきましては、昭和五十九年三月末現在で対象物が一万七千三百七十九件ございましたものに対しまして、「適」マークを交付いたしましたのが一万三千六百四十六件でございまして、交付率にいたしまして七八%ということになっております。後から追加いたしました劇場、百貨店等につきましては、同じく昭和五十九年の調査でございますが、対象全体が一万七千四百八十二ございますうち、六千九百三十に対して「適」マークを交付いたしております。交付率にいたしまして約四○%というふうになっておるところでございます。
#110
○中野明君 人が集まるところで火災が起こるということになりますと大事故に発展をして悲惨なものなんですが、旅館の方は何とか七八%まで来ているようですが、後の方は出発がおくれたという関係もあるのでしょうか、交付率が非常に低いんですが、今後の見通しはどうなんでしょう。
#111
○政府委員(関根則之君) 旅館、ホテル等につきましては既に約四年経過をしているわけですが、今申し上げました調査時点が五十九年でございますので、特に後から追加をいたしましたものにつきましては一年しかたっていないというようなこともありまして四〇%という低い交付率になっているわけでございます。現時点におきましては多少それが数字としては上がっていると思いますが、まだ最近の数字が集計ができていないという状況でございます。ただ、それにいたしましても、現時点でもそれほど高い数字にはなっていないというふうに考えております。時の経過に従いまし
て、私どもできるだけ調査を急がせますし、また住民にも関心を持っていただくというようなことを通じまして、いわば利用者側から「適」マークの普及をプッシュアップしていく、そういったことにも努めていきたいというふうに考えております。時の経過によりましてだんだんこの数字を上げていく、そういう見通しを持ち、またそのための努力をしていきたいというふうに考えております。
#112
○中野明君 それから、これと関連して非常に大事なことは、防火基準の中で、消防法で義務づけられている年二回の避難訓練です。この避難訓練を余りやってないというような報道がなされて、私どもも困ったことだなという感じを持っているのですが、この避難訓練の実施状況、それと今後どういうふうに指導していこうとなさるのですか、これお返事いただきたいんです。
#113
○政府委員(関根則之君) 避難訓練が消防法で定められておりますような年二回というものを満足していない、そういう防火対象物が多いということは御指摘のとおりでございます。
 「適」マークを交付いたしますための前提段階におきまして立入調査をするわけでございますけれども、そのときに二十数項目のチェックポイントがあるわけですが、その中で避難訓練が法律で定められたとおりになされていないために「適」マークがもらえない、そういうケースが非常に多いわけでございまして、これも昨年の秋の数字でございますと、全体の三八・三%が避難訓練をやっていないために「適」マークの対象から除外されてしまうというようなことの数字、いわゆる不備率がそういう数字で出ておりまして、ほかの項目に比べて最も高いというような状況でございます。非常に残念なことだと思っております。
 避難訓練そのものは、本当にその施設の管理者がやる気になっていさえすればそれほど金がかかる問題でもございませんし、またそれほど時間のかかる問題でもないわけでございますから、やってできないことはないだろうと私どもは考えております。さらに管理者につきましての指導の徹底を図りますとともに、旅館等におきましてはお客さんが協力をしてくれなければ困るわけでございますし、また百貨店等ではやはり顧客の協力を得なければいけないという問題もあると思います。そういった住民の方々、利用者の方々にもPRを徹底いたしまして、そういった方々の協力のもとに、少なくも年二回ということでございますので、できるだけ避難訓練をやっていただくように私どもとしても努力をしていきたいと考えております。
#114
○中野明君 ぜひこれは督励をしていただきたいと思います。
 結局事件が起こってしまってから、避難訓練が全然できてなかったとかあるいは消防法を守ってなかったとか、そういうことが出てくるので問題になるわけですが、火事は毎日のように起こっておりますし、きのうもどこかのホテルで、長野県でしたか、どなたか子供さんが亡くなっているようですが、そういうことで、あそこらでも、さてマル適マークはどうだったのだろうかなというような感じも受けておりますが、ぜひこれは督励をしてもらいたいと思います。
 それで、マル適マークも都道府県ごとの状況でばらつきがあるように見えるのですが、全然進んでいない県もあるように聞いているのですが、それについては今後どうなさるつもりですか。
#115
○政府委員(関根則之君) 小谷村の火災につきましてはまだ火災の原因の明確なところもわかっておりませんし、地元が実は昨日四月一日に常備化をしたばかり、その日にああいう事故が起こったというようなことでございまして、消防体制の方も必ずしも的確に対応ができていない。消火そのものは的確な対応がなされたと考えておりますが、事後の調査が余りてきぱきいっておりませんので、今のところ「適」マークその他設備関係がどの程度の状況であったのかということにつきましては御報告するデータを持ち合わせていないところでございます。
 「適」マークの交付状況が県によってまちまちであるというお話がございました。御指摘のとおりでございまして、県によりましては例えば北海道のように九〇%を超える交付率を持っているところもあるわけでございます。山形も九一・二%ということでございますが、反面悪いところは五〇%台にとどまっているところもあるわけでございまして、県並びに県内の消防を直接担当しております市町村の取り組みの熱意といいますか、努力にも相当な差があるのではなかろうかというふうに考えておるところでございます。特に交付率の悪いところ、しかもその前提段階といたしましての調査がまだ行き届いていないというようなところもありますので、そういうところにつきましては消防機関にできるだけ頑張って早く調査を終えるようにするということを督励をしたいと思いますし、また調査は済んでおりますけれども対象物そのものの消防設備が不十分であるというようなものが交付率を下げているわけでございますから、そういうところにつきましては、その施設の管理者等についてできるだけ整備をして法律に定める要件を満たすようPRもし、指導も申し上げていきたいというふうに考えておるところでございます。
#116
○中野明君 じゃ、消防終わります。
 次の問題なんですが、監査委員制度のことについて二、三お尋ねをしておきたいと思います。
 先日も新聞を見ておりましたら、監査委員が空出張して、この監査委員に対して住民監査請求が起こっているというような事例があるようなんですが、自治省は承知をしておられますか。
#117
○政府委員(大林勝臣君) 先般新聞で出ておりました御指摘の件につきましては、沼津市の監査委員二名が東海地区都市監査委員会幹事都市会議の出席のために二泊三日分の旅費を受領しながら実際は一泊二日の旅行であった、こういうことから一泊一日分の旅費について沼津市に返還せよとの住民監査請求がことしの一月二十四日に提出をされました。これを受けまして監査しておりましたわけでありますけれども、三月二十五日に、その結果違法な公金の支出があったということが認められました。そして、ただ既にその金額自体は両委員から市の方へ返納されておりましたために、返還せよとの請求は認められなかったと聞いております。
 地方公共団体の財務会計の番人であるべき監査委員がこういう不祥事を起こしますのはまことに残念でありまして、今後機会あるごとに注意を喚起してまいりたいと考えております。
#118
○中野明君 和歌山県の下津町というのですか、そこで三十億円の公金不正流用がありましてこれは大問題になっておりますが、この立て直しのために住民が余分な負担をしなきゃならぬというようなとんでもない事件も起こっているわけですが、これらも考えてみたら、監査制度が機能していないからこういう問題が起こるのじゃないだろうかという感じがするのですが、いつでしたか、もう五年ほどになるんですか、五十五年でしたか、地方制度調査会でも監査委員制度のあり方について、監査委員制度の強化策というものを答申しておられるのですが、自治省としてはこの答申を受けてどのような検討をなさってきているんですか。
#119
○政府委員(大林勝臣君) 第十八次の地方制度調査会におきまして監査委員制度の整備について答申が行われております。その内容は、監査対象及び職務権限の拡大あるいは監査委員の職務の専門性、これは具体的な選任資格を法律で規定したらどうか、こういう意味でありますが、それと並行しまして独立性の確保、往々にしてその地方公共団体のOBが監査委員になるケースが多いものでありますので、そういった地方公共団体のOBは退職後一定期間は監査委員にはならないようにしてはどうか、こういう意味の独立性の確保であります。三番目に、監査の実施体制の整備、現在は県におきましてはこれは事務局が必置制になっておりますけれども、市におきましてはこれは任意設置ということになっております。そういったも
のの整備、あるいは現在学識経験者から選ばれております監査委員は常勤とすることができるというふうに、これもまた常勤とするかしないかを任意に任せておるわけでありますけれども、これも少なくとも一人は常勤とすべきではないか、こういった答申を受けておるわけであります。
 これに基づきまして、昭和五十六年でございましたか、地方自治法の一部改正の作業を行いました。ただ、この三つの答申のうちの最重点事項と言われておりましたのが監査委員の権限の拡大、現在は御案内のように財務会計あるいは公営企業関係の職務に限定をされておるわけでありますけれども、むしろ住民の多様な要望にこたえるためにも一般行政監査、特に機関委任事務を含めた一般行政監査について監査委員の権限を拡大すべしというのがこの答申のポイントであったわけであります。そこで、そういった立法作業を進めまして、各省といろいろ接触いたしたのでありますけれども、機関委任事務を地方公共団体の監査委員が監査するというのはなかなか各省の同意が得られませんでした。粘り強く折衝を行ったわけでありますけれども、結果として調整ができませんで、結局法律の提案を見送った経緯がございます。
 時あたかもその時点から、いわゆる臨調におきまして機関委任事務のあり方という問題が一つの大きな論議の対象になりました。二年間論議をされたわけでありますが、結論を得られませんでしたので、現在の行革審で継続してこの機関委任事務のあり方、整理につきまして現在検討が行われております。この結論がことしの六月ごろに出ると私どもは承っておりまして、恐らくそこでこの機関委任事務のあり方と関連をして、地方団体の議会や監査委員との関連というものにつきましても御答申が出ることを期待しておるわけでありまして、この答申が出ることを契機に再び監査委員制度の整備について立法作業を進めてまいろうと考えておるところであります。
#120
○中野明君 今御答弁にもありましたように、大体OBの職員を任命する例が多いようですけれども、これはちょっと私も心配なところは、なれ合いになってしまうおそれがあると思いますし、こういうところを今の公認会計士などの専門的な人といいますか、そういう人を任命するというふうなことは考えられませんか、どうでしょうか。
#121
○政府委員(大林勝臣君) 確かにこの答申におきましても、専門性の確保という趣旨はそういった専門的な学識経験を持っておる者、御指摘のような公認会計士という者も含めて選任方法を考えろ、こういう趣旨であります。ただ、この問題について今後とも研究をしてまいらぬといかぬと考えておりますけれども、法律上公認会計士という資格を監査委員の条件とするというふうに決めてしまった場合に、規模の小さい市におきましてはそういった人材が得られるかという問題もございます。
 したがいまして、公認会計士も一つの選任対象として考えるという指導はしてまいらぬといかぬと思いますけれども、法律上ぴしっと、具体的な選任資格として条件をつけるということはなかなか立法上難しいかなという感じが現在のところはしております。さらに勉強はいたしてまいりますが、ただ現在の法律におきましても、学識経験者の中から選任する、その学識経験者の中からの選任の仕方の一つとしてこういった資格を持っておる方を選任していただくことは、これは制度の趣旨に合うものと考えております。
#122
○中野明君 それでは、時間の関係でこの問題で最後にしたいと思いますが、この三月二十八日ですか、閣議で「国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針」というものが報告されているようなんですが、大臣は御承知ですか。
#123
○国務大臣(古屋亨君) そのときに厚生大臣に、これやるなら一体いつごろやるのだということを聞いたことを私は聞きましたので、そういう厚生省が考えを持っておって閣議で報告したことは存じております。
#124
○中野明君 大臣はどうお考えになっているのですか。
#125
○国務大臣(古屋亨君) 一般的に申し上げますと、一般的な考え方におきましては国、地方団体を通じて行政の減量化を図るということは行政改革の基本理念に沿って進むべきものである、ただ国の財政の負担の軽減を図るというために地方団体に経営を移譲することがあってはならないと考えておるのであります。
 厚生省におきましては、この国立病院・療養所の再編成・合理化の基本指針を定めまして、それに基づいて、ことしの暮れごろまでに再編成の対象となっている施設について具体的なリストアップをするということをそのとき厚生大臣から聞いたのでございますが、私どもは今申し上げましたような基本姿勢に立って対処してまいりたいと思っております。
#126
○中野明君 これは大臣、こういう報告があったときには、反対なら反対と最初にぱんと言うておいてほしいですね。医療制度の中で国の責任というものは一体どう考えているんだと。そして、要するに国でやっておったら赤字になる、しかも三百床未満と言うのでしょう。国でやっておっても赤字になるのですから、地方自治体にやっても同じことだと思いますよ。これは最初に申し上げたように、完全に行革の名のもとの肩がわりでしょう。そういうことを平気で出してくるという、いきなり報告か何か知りませんけれども、これは私行革とは到底言えないと思います。行政改革というのは、国の赤字のところを、国は助かるかしりませんけれども、地方団体に肩がわりして国は助かりました、これが行政改革ですというのではとんでもない話で、その点は自治大臣もお人柄かしりませんけれども、そんなばかなことはと言って、一遍は最初にがっと言うておいてもらわないと、どんなふうにやるのですかというようなのんきなことを言うておると、またわっと攻め込まれる。
 そして、聞きますと地方自治団体の中には、そんなことは困る、国立病院は存続しておいてくれという決議をしているところが随分あるのですが、この決議との関係がどうなるかということです。国の方が一方的に肩の荷をおろすために決めてきても、議会で決議をしてそんなものは要らぬ、国でやれという決議をしているということになりますと、この関係も出てきましょうし、将来これは必ず火種をおこして大問題になると思うんですが、基本的に大臣、これは行革だからしようがないからというのでお受けになるつもりなんですか。はっきりしておいていただきたいと思います。
#127
○国務大臣(古屋亨君) その問題につきまして今までの経過について一応審議官から申し上げまして、後から私の意見を述べます。
#128
○政府委員(井上孝男君) ただいま御指摘がございましたように、国立病院・療養所の存続につきましては多くの地方団体が存続の意見書を出してきておるところでございます。私どもといたしましては、この問題に対する関係市町村あるいは関係府県の大きな関心のあらわれでございまして、この問題につきましては深刻にこれらの地元の声を受けとめていく必要があろうかと存じております。
 しかしながら、御承知のように最近におきます医療事情の変化あるいは公私立の医療機関の整備、こういうものがかなり進んでおります状況にありましては、国立医療機関のうち維持すべき施設につきましては機能強化を図るという一方で、その他の施設につきましては統廃合を図るという国の方針もまた時代の推移からしてやむを得ないものと考えられます。したがいまして、自治省といたしましては閣議で報告されました基本方針に沿いつつも、地元地方団体の意向を極力尊重いたしまして、地域医療の確保に十分留意しながらこの問題に対処してまいりたいと考えております。
#129
○中野明君 自治省なりの考えはおありになると思いますけれども、大体私は公的な病院というのは余りもうけを念頭に置いて――今もう世間では悪いお医者さんがおって仁術が算術になっている
というようなことも言われているのですが、公立病院というのは大体もうけてしようという考え方では公立病院じゃないと思います。公立病院はある程度財政的なことを考えないで国民の医療というものを見ていこうというところに公立病院のいいところがあるのであって、それを赤字だからもう地方自治体へ回せばよろしい、それで行政改革やというような、発想は、行政改革の大綱にのっとって、臨調の答申にのっとってというようなところから言うてくるのですけれども、それこそ一番最初にずっと申し上げているように、かけ声、にしきの御旗に利用しているだけで、赤字転嫁でしょう。こんなことが行政改革としてまかり通ったらこれはたまったものじゃない。地方自治体はそれこそ何でもかでももう一切はきだめみたいなことになってしまうということでありまして、その辺大臣、これはまだきょうあしたということはないでしょうけれども、閣議で報告あって、大筋として全体が了承しているみたいな雰囲気ですよ。何も言わなんだら、あれ賛成ということでしょうから、黙って聞いて帰ったらこれはみんな認めてくれたというふうになるでしょうから、大臣としてはやはり次の機会にでも、あれはうちはにわかに賛成できませんよということを言うておいてもらわぬと、どんどん話が進むのじゃないかと私は心配しているわけなんですが、最後に大臣御答弁いただいて、この問題終わりにします。
#130
○国務大臣(古屋亨君) 実はその閣議でそういう書類がありましたので、私は厚生大臣に、その済みました後、これは具体的にいつなるのだと言ったら、ことしの暮れごろまでにリストアップすると。
 実は私は、自分の郷里で傷痍軍人療養所というものが昭和十六年からできまして、今若干総合病院化的に内科以外にもやっておりますけれども、やはり赤字ということで地元の市ではとてもこれを引き受けるつもりもないということを自分で知っておりましたので、厚生大臣にそういうことを聞いたわけでございますが、これは地方の自治体が嫌だというものは、絶対に私は地方に転嫁することはまずいと思っております。医師会その他と相談してどうするか決めたいのでありますが、自治体がこれはそうかといって引き受けることは私はまずいと思っておりまして、今先生のお話のように行政改革をにしきの御旗に、国の赤字が多いから地方へ回すというような考え方は容認できないところであります。リストアップするときには必ず地方団体の意見というものを尊重するということは、今後も十分厚生省と話し合いまして、私の地元の問題にもなっておりますので、この点は今お話しの先生の御主張を十分体しまして、地方団体に押しつけるとかそういうことが絶対にないように、ひとつ一般的問題として考えてまいりたいと思っております。
#131
○理事(岩上二郎君) よろしいですか。
 本日の質疑はこの程度にとどめ、明三日午前十時委員会を開会することとし、これにて散会いたします。
   午後四時十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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