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1984/05/22 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第15号
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1984/05/22 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第15号

#1
第102回国会 地方行政委員会 第15号
昭和六十年五月二十二日(水曜日)
   午後一時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         金丸 三郎君
    理 事
                岩上 二郎君
                松浦  功君
                上野 雄文君
                三治 重信君
    委 員
                上田  稔君
               大河原太一郎君
                上條 勝久君
                古賀雷四郎君
                吉川 芳男君
                佐藤 三吾君
                志苫  裕君
                丸谷 金保君
                中野  明君
                神谷信之助君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        高池 忠和君
   参考人
       宇都宮市長    増山 道保君
       穂 波 町 長  山本  滋君
       岡山大学経済学
       部教授      坂本 忠次君
       統一労組懇自治
       体部会政策委員
       長        佐藤 光雄君
       専修大学経済学
       部助教授     原田 博夫君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○地方交付税法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(金丸三郎君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本法律案審査のため、参考人として、宇都宮市長増山道保君、穂波町長山本滋君、岡山大学経済学部教授坂本忠次君、統一労組懇自治体部会政策委員長佐藤光雄君、専修大学経済学部助教授原田博夫君、以上五名の方々の御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、極めて御多忙中のところを本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。本案につきまして皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 なお、議事の進行上、参考人の方々にはそれぞれ十五分程度御意見を順次お述べいただきまして、陳述が全部終わりました後に各委員の質疑にお答え願いたいと存じます。
 なお、御発言の際はその都度委員長の許可を受けることになっておりますので、あらかじめ御了承願いたいと存じます。
 それでは、まず増山参考人にお願いいたします。
#3
○参考人(増山道保君) 全国市長会の評議員をいたしております宇都宮市長の増山道保でございます。
 参議院地方行政委員会の諸先生方には、地方行財政の諸問題につきまして日ごろ特段の御理解と御尽力を賜っており、衷心より感謝を申し上げます。
 本日は、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして意見を申し述べる機会をいただきましたので、直接都市行政に携わっております市長の立場から意見を申し述べさせていただきます。
 まず、高率の国庫補助負担率の一律引き下げ問題についてでありますが、昭和六十年度の地方財政はこの問題で明け暮れたところでございます。今さら申し上げるまでもないことでありますが、行政改革の推進と財政再建は国、地方を通じる現下の最も緊急かつ重要な課題でありますので、これを着実に推進してまいらなければならないことは当然であります。地方団体におきましては、これまでも行財政運営の効率化を目指して自主的な改革を努めてきたところでございます。行政改革と財政再建の要諦は、国も地方も現在の事務事業そのものを抜本的に見直し、思い切った整理縮減を行うことによって行政全体の減量化と総歳出の削減を図ることであります。そして、国と地方との二重行政を排除して身軽になることであろうと思います。このため私どもは、地方団体の経常的な事務事業として既に同化定着しているものなど、地方の自主性にゆだねることが適切と考えられる補助金や人件費、法施行事務費等、運営費に係る補助金等を廃止をし、縮減し、地方一般財源化を図るべきであるとして具体的方策の提案をしてまいったところであります。こうすることにより、地方の自主性、自律性も強化されますとともに、国の事務と負担もまた大幅に軽減され、財政再建にも大きく寄与することができるものと信じているものであります。
 ところで政府は、昭和六十年度の予算編成におきまして、これら国、地方を通じる事務事業の抜本的な見直しを行わないまま、国民生活と密接に関連する生活保護費を初めとする社会保障関係費や公共事業の国庫補助負担率を一律に引き下げたり、義務教育費国庫負担金における教材費、旅費を国庫負担対象から除外するなど、一方的に削減を行おうとしたのであります。このことは単に国の財政負担を地方へ転嫁するだけでなく、国と地方の事務量と経費の節減合理化には何ら寄与するものではありません。さらに行政改革の趣旨にも反するだけでなく、国と地方との正常な財政秩序は乱され、その信頼関係をも損なうことになると危惧をいたしているものであります。
 私ども地方団体は、このような国庫補助負担率の一律引き下げについてはこれを絶対に容認することはできず、その撤回を強く求め、総力を挙げて反対運動を展開したのであります。予算編成の大詰めの段階で、今回の措置は昭和六十年度限りの暫定措置とされ、また地方財政運営には支障を生じることのないよう当面の対策が講じられましたので、私どもとしてもまことに不本意ながら、これを受け入れざるを得なかったのでございます。ちなみに、国庫補助負担率の引き下げによる地方負担の増加額について申し上げますと、経常経費系統で二千六百億円、投資的経費系統で三千二百億円、合計で五千八百億円にも達し、経常経費系統の二千六百億円につきましては地方交付税の一千億円の特例加算、建設地方債の増発千六百億円で措置され、また投資的経費系統の三千二百億円につきましては、元利償還に要する経費が地方交付税において全額算入される臨時財政特例債分二千億円を含め、建設地方債の増発で対処されたのであります。
 このように六十年度の国庫補助負担率の引き下げに当たりましては所要の措置が講じられたわけでありますが、私ども地方団体は、今後においても社会保障制度のあり方、国と地方との間の機能分担等の見直しが行われないまま、単に補助率を一律に引き下げるということにつきましては納得できないという考え方であります。昭和六十一年度以降の補助率のあり方については政府部内において今後検討されるとのことでありますので、ぜひとも私どもがこれまで要望してまいりました方向での適切な結論が早急に得られるよう強く期待をするものであります。
 次に、地方の自主性、自律性を確保する観点から、地方財政の長期的、安定的な財源確保につきまして諸先生方に御配意をお願いいたしたいと存じます。
 御案内のように、昭和六十年度の地方財政計画は、累積した巨額の借入金を抱え、引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により策定されております。歳入面においては、地方債の抑制に努めるとともに、地方税負担の公正適正化を推進しつつ地方税源の充実強化と地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。その結果、地方財政計画の規模は、総額で五十兆五千二百七十一億円、前年度対比で四・六%の増となり、昨年度の一・七%増及び国の予算の伸び率三・七%をいずれも上回るものとなっております。一般財源は一〇・五%の増、一般財源比率は六四・二%となり、地方債依存度は七・八%となるなど、内容は改善されてきております。また、地方債資金に占める政府資金の比率が前年度の四八・五%から五八・六%になるなど、現在の財政状況下では所要の配慮がなされておりまして、地方団体としても一応の評価をいたしておるものであります。
 このように述べてまいりますと、地方財政もやや積極的な計画規模になったと見る向きもあろうかと存じますが、しかし先ほどから申し述べておりますように、国庫補助率の引き下げに伴う地方負担の増があることを考慮しなければなりません。また、一般財源の伸び率一〇・五%に対して歳出を四・六%と抑制した中にあって、公債費が九・八%の増、給与関係経費が五・六%の増と、義務的経費が高い伸びを示しており、一般行政経費は三・八%の増、投資的経費は一・五%の増にとどまり、歳出構造は引き続き硬直化しております。
 さらに、地方財政の現状は昭和六十年度末において五十六兆円に上る借入金残高を抱えるなど、極めて厳しい状況に置かれており、個々の地方団体についても公債費負担比率が年々著しく上昇しており、危険信号とも言える二〇%を超える団体が全体の四分の一を占めるのが実態であります。地方財政は国の財政構造とは異なり、義務的経費のウエートが高い上、歳入構造から見ても自主財源が極めて乏しく、その上、国の制度、施策の影響を極めて強く受けるという特質を持っているとともに、三千三百団体余の財政主体の集合体であることなどを考えますると、現下の地方財政の実態は全く予断を許さない状況にあり、地方財政の健全化はまだまだと言わざるを得ないのであります。
 もとより、地方団体におきましてもこの財政危機を打開すべく、事務事業の見直し、組織機構の簡素化、職員の給与、定員の適正化、経費の節減合理化などに努め、みずから努力をしておるところであります。今後も引き続き一層の行政の簡素合理化、財政の効率的な運用を積極的に推進してまいる覚悟でございますが、ここで地方の自主性、自律性を確保する観点から、また地方財政の長期的、安定的な財源を確保するため、諸先生方に特に次の三点について御配慮を賜りたく申し述べさせていただきたいと存じます。
 まず第一点は地方税源の充実強化についてでございます。
 地方団体の事務は、住民福祉の向上、公共施設の整備、維持など、住民に身近な経常的なものが多い上に、人口の高齢化、価値観の多様化などによって行政需要は増加の一途をたどっております。これらの要請にこたえ、地域の特性、多様性を生かし、魅力ある地域づくりを進めるためには安定した財源が必要であり、さらに地方財政の健全性を回復するためにも、地方団体の収入の中心をなす地方税源の拡充強化がぜひとも必要であります。昭和六十年度の地方税収入見込み額は二十二兆五千百八十五億円で、前年度に対し一〇・六%の増となっておりますが、これは経済の順調な伸びを反映した法人関係税の大幅な自然増収に支えられたものであります。このような既存税制の基本的枠組みの中で自然増を期待するということではなく、より中長期的な観点から適正な租税負担のあり方、国、地方を通ずる税源の再配分に関して抜本的な検討を行い、地方税源の増強を図っていただきたいのであります。
 さらに、私ども都市の立場から申しますと、都市的税目である法人所得課税の市町村への配分の強化、個人所得課税における市町村の配分割合の拡充、消費流通課税等間接税の充実を図るとともに、地方道、特に市町村道の整備促進のための道路財源の強化を推進する必要があると存じます。また、マル優などの非課税貯蓄制度の改革が大きな問題となりましたが、結局現行制度の中で限度額管理を強化することで決着し、住民税については現在と同様、所得税課税の中で貯蓄の利子所得等が課税対象となっていないものがあるという不公平が依然として残ることになったのであります。私ども地方団体といたしましては、何とか地方税として課税できる方途を検討していただきたいと思っているのであります。
 第二点は地方交付税総額の安定的確保についてであります。
 御承知のとおり、地方交付税制度は、地方団体の自主性を維持しながら地方財源の均衡化及び必要な財源の保障により地方自治の本旨の実現を図ることを目的としております。また私ども地方団体は、これは国が便宜的に一括徴収する形態の地方税とも言うべきもので、独立共有財源と認識をいたしておりまして、地方税とともに自主財源の大きな柱となっております。現在御審議中の改正法案におきましてその総額は前年度に対して一〇・九%の伸びとなり、昭和五十七年度以来三年ぶりに大幅な増額となったのであります。しかしながら、先ほども申し述べましたとおり、累積した地方債残高、巨額の交付税特別会計の借入金残高等、地方財政を取り巻く厳しい財政環境を考え合わせますと、財源の確保は今後においても極めて重要な課題となりますので、諸先生方におかれましては個々の地方団体の各年度の財政運営に支障を生じないよう十分御留意を賜り、地方交付税総額を安定的に確保していただきますようお願い申し上げる次第であります。
 第三点は国庫補助金等の整理合理化についてであります。
 この問題につきましては先ほども申し述べましたので重複を避けたいと存じますが、ぜひとも抜本的な改善が図られるよう要望いたします。仄聞するところによりますと、昭和六十一年度以降においても今回の補助率引き下げ等の措置を継続すべき旨の意見があるようでございますが、昭和六十年度限りとすることを厳守していただきますよう、この際強く御要望を申し上げまするとともに、今後このような地方団体の不信を招くことが二度と繰り返されないよう、あわせて強くお願いを申し上げる次第でございます。なお、補助金等に係る超過負担の解消につきましては、政府において毎年度合同調査を実施し、その解消措置がとられておりますが、引き続き御配慮を賜りますようお願いを申し上げます。
 以上、当面する地方行財政の諸問題についてお願いかたがた、忌憚のない意見を申し述べさせていただきました。どうぞ地方財政の厳しい実情を御理解いただき、速やかに本改正法案が成立いたしますよう、よろしくお願いを申し上げまして私の公述を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#4
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 次に、山本参考人にお願いいたします。
#5
○参考人(山本滋君) 私は福岡県穂波町長の山本でございます。
 穂波町は福岡県のほぼ中央に位置し、筑豊盆地にあり、飯塚市に南に接する人口二万八千、戸数八千九百戸、面積二十五平方キロの町であります。以前は住友、日鉄、三菱の大手三山があり、三十一年までは村でありまして、人口四万三千を擁し、日本一の村と言われておりましたが、三十二年に町制を施行しましたが、エネルギー革命により炭鉱は閉山され、四十一年には人口二万五千に落ち込んだ過疎の町でありましたが、少しずつ人口を増加し、勢いを増してきているところであります。
 町の予算は五十九年度で五十二億で、その中の予算は産炭地の後遺病をなくするための施策が大きく占めます。失業対策事業、緊急就労事業、開発就労事業、特別開発就労事業の四事業が大きく、その次は炭鉱跡地に当時の従業員で年齢その他の事情で会社が紹介した関連会社に行けなかった人々が住んでおるところは三カ所、一千戸あります。そのところの環境整備、また一つは大手炭鉱周辺に住みついて、それに依存して生活していた人々が四カ所、八百戸、こういうことについては道路、排水等の環境整備が必要になってまいります。さらに、生活保護者が千三百十七世帯、二千七百六十八人おります。また学校が、中学校二、小学校五つありまして、炭鉱の盛んな時代は生徒増に伴う増築に追われ、閉山とともに校舎は余りましたが、それから二十年、危険校舎ばかりなので、今まで十年間に中学校二、小学校一を新築いたしましたが、あと四つが残っておるのが問題であります。
 参考のために資料をお配りしてありますが、六十年度予算では減りまして四十七億、このうちに税が十三億、地方交付税が十八億を占めます。この十八億の交付税の変動が大きくなるとその影響が非常に来るわけでございます。
 このたび地方交付税法改正によりまして単位費用がそれぞれ少しずつ上がっており、喜ばしいことですが、ところがそれだけでは喜べないのであります。それは第十三条によると思いますが、種別補正、密度補正、態容補正、段階補正等があり、おおよそ下げる方向に傾くのであります。新しいことが起こりますと自治省は、そのうちこれこれの分は交付税に入れますからと説得いたしますが、総枠でその分を追加するということを聞きません。この種補正係数を少しずつ下げることによって、新しいものを入れても総枠に含まれるようにしているのではないかと疑いを持たれます。こういう点も堂々と議会に出し、議員さんに公表して批判を受けるべきだと考えます。
 失対事業について申し上げます。労働省は五十八年、五十九年度は就労者の就労方数を減らすことで失対予算の国の予算一割減に対応してきたものですが、六十年はそれには触れず、県、市町村の予算の負担増によって国の労働予算一割減をしようとして、五十九年の中ごろから町村に対して補助金の一割削減を説得されたわけであります。その穴埋めは地方交付税によって埋める、理屈的に言えばそれだけ財政需要額が多くなるのだから、当然交付税が多くなるのは当たり前でしょう、もちろん不交付団体は何も行かないようになりますがと大蔵省を含めて説得されました。ところが、最後どうだったでしょうか。自治省と大蔵省とがけんかして、ついに一年限りということで自治省が折れましたのは御存じのとおりでございます。その一割カットの法律がやっとできたのに、もうその一割カットを恒久化するという大蔵省は宣伝しています。町村をばかにするのも甚だしいと思います。
 町村では交付税だけというのが、交付税と、一部が建設であるから公債に肩がわりさせられました。町村はだまされ続けたわけであります。穂波町の場合、一割削減で七千万円の減でありますが、今はっきりしているのは建設公債一千五百万円だけで、交付税については今から計算されるわけですのでわかりません。第一、法律をつくらないうちに実行をさせ、その年度に入ってから法律をつくってつじつまを合わせるようなありさまです。しかも、その内容が最初の話と違って悪くなっています。こういうことで町村は国が信用できましょうか。こんなことを町村でやっていいでしょうか。町村の条例を予定しながら一方的に住民に押しつけて税金を取り、後になって条例を提案するなどやって許されるでしょうか。地方課からこっぴどくしかられるのが落ちでございましょう。こういうことを平気で国側はやられます。しかも、ことしきりがもう既に、先ほども言われましたように、恒久化しようという話が出ているぐらいでございます。
 それから、公債比率のことでございますが、資料の三枚目に入れておりますが、そういうことから公債比率は次々と上がってきております。これも産炭地のためのものがかなり占めておると思いますが、五十五年一〇・八、これは正規に言う公債比率ではなくて、三年平均でなくて単年度ごとを出しておりますが、一〇・八から一七・五、もう警戒線は一昨年突破したという状況でございますので、六十年度は産炭地事業以外は何らの新しい事業はやれないということで、やっておりません。それで四十六億ということになったわけだろうと思います。
 次に、地方団体が金が余っておるから地方から減ずればいいじゃないかというような国に考え方があるようでございますが、余っておるような金はございません。ようやくにしてその日その日を暮らしているというのが産炭地の実情でございます。
 給与が高いという話も聞きます。そこにラスパイレスを出しております。私が町長になった年が五十年でございますが、五十年が一〇七・二、次々に下がっていっております。ただ、五十四年と五年につきましては若干の不合理是正等をしまして横ばいになっておりますが、そういうことをやらなければ常に下がっていくわけでございます。下がるのも当たり前でございます。国は必ず十五分の二の特昇をやっております。したがいまして、六年半すれば全員一号上がるわけです、平均としましては。それで上がるのは当たり前です。市町村ではそういうことはやっておりません。そういうことで苦労してやっておるわけでございます。
 そういうことでございますので、この際もう過去のことは申し上げませんが、国の施策というものは信頼を持てるような施策にしていただく、しかも、法律は決まって実行していただくということが筋ではなかろうかと思います。そして、安定した地方交付税を信頼できるように、ことしはこれだから来年はこうなるだろう、したがってこういう仕事をやろうという、先を見て我々はやらなければなりませんので、来年はどうなるかわからぬような地方交付税は非常に困ります。いつ、どう削られるかわからぬということでは困りますので、若干の変化はあってもその変化の方向が見出せるような交付税であってほしいと思います。ことしの場合が今までと違いまして、非常な変化をしましたので、一番見出せなかったです。交付税をやると言いながら、もらえるものかもらえないものかわからぬ。先ほど言いましたように、七千万のうちの千五百万円だけが今信頼できるものでございます。それでは町の財政の運営といいますか、組み立てには非常に苦労するわけでございます。
 そういうことで、今後とも大変御苦労ではございましょうが、国の施策は町村の安心できる、信頼できるものであり、また安定した交付税制度としていただきたいと思います。その他のことについては前の参考人から主なことを言われましたので、穂波の苦しいところを訴えながらお願いいたします。
#6
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 次に、坂本参考人にお願いいたします。
#7
○参考人(坂本忠次君) 岡山大学の坂本でございます。
 地方交付税法等の一部を改正する法律案に関連しましては、国、地方財政の危機にかかわる当面の問題と我が国の国と地方の行財政関係をめぐる長期的な問題があるわけでございますが、私は、我が国の地方自治と分権を進め、地方財政自主権を国民的に強化し、都市、農村における地域住民の生活と自治を保障していくという立場から、当面の課題を中心に三、四点につきまして意見を述べさせていただきます。
 第一に、本年度の地方交付税法の改正は、特例措置額一千億円の加算に関連しまして、さきに国会で成立しました補助金法と密接に関連いたしますので、まずこの点に触れておくことから始めたいと思います。
 戦後我が国の国と地方の財政関係におきまして、いわゆる補助金等の削減は、昭和二十五年にシャウプ勧告で提案されて以来の懸案事項でございました。しかし、さきの政府提案に見られますような補助金一括削減法案のようなやり方での削減方法につきましては、にわかに賛成しがたい点につきましては既に地方六団体からの意見を初め、本国会でも多くの論議を見、参議院における附帯決議となってあらわれたところでもあります。
 本年度の交付税の特例措置は、地方財源を特定財源から一般財源に変更していくという意味では補助金等の整理合理化の方向に合致し、一見望ましく見られるのでありますが、なおここに幾つかの基本的な問題が未解決のまま残されているところであります。元来、補助金等と申しましても、我が国では国庫支出金の言葉に総称されていますとおり、その機能や内容は多岐にわたり、その整理合理化も画一的には行い得ないのであります。御承知のところでありますが、現行の地方財政法の規定のもとでも、補助金等には十条三までの関係の国庫負担金、十条四の委託金または委託費、十六条のいわゆる奨励的補助金が少なくとも存在するわけであります。
 今回削減対象となった高率補助金のほとんどは、このうち国庫負担金に相当し、地域住民、市民のナショナルミニマムを保障していくため国が法で定めたものであります。この中には、昭和二十七年の義務教育費国庫負担法など、シャウプ改革以降に成立したもの、その後改正を見たものなどが多いことでございます。
 昭和六十一年度の予算編成に際しましては、この問題をいかに扱うかにつきましては大蔵省、自治省及び関係各省ほかの参加する専門家機関で慎重に検討されるということでありますが、特に私の申し上げておきたいことは、今回一律削減の対象となった例えば生活保護費のカットにつきましては、不安定就業層の多い大都市や地方都市では特に影響が大きく、近年の出生率の低下と平均寿命の延長による高齢化の進展、外国人登録者の増大などがこれに作用しています。具体的には関西の大阪市を初め、先ほどもお話がございましたが、炭鉱離職者を抱える福岡県の北九州市ほかの市町村、私の住んでおります岡山市や倉敷市などの地方都市でも工業化や都市化を反映しまして、市営住宅居住者を中心に生活保護世帯が増加し、性質別経費のうち義務的経費の増大をもたらしているところであります。
 今日の生活保護世帯の問題は、都市、農村財政の構造的問題であるとの認識が必要であり、この点を特例措置で基準財政需要額の加算を行うことももちろん必要な措置ではありますが、このような方法だけでは決して十分ではありません。ここに今日の地方行財政にビルトインしておりますナショナルミニマムの保障に関連する国庫負担金をどのように考えるか、地方交付税の将来とあわせ、改めて注意を喚起しておきたいと思うからであります。
 第二に、今日の我が国の地方財政調整制度の根幹をなす地方交付税に関する最大の問題点の一つは、現段階で現実の交付額をいかにして現行の三二%の水準まで確保できるかの問題であります。つまり、今日我が国の普通交付税交付基準額の算定方式による財源不足額、つまり基準財政需要額から基準財政収入額を差し引いた額に満たないことが恒常的になってきておりまして、その地方財源としての不安定性があらわれてきていることをいかにして改善するかの問題であります。
 主要国税三税の一定割合を地方に配分する交付税制度は、昭和四十一年度以来、いわゆる地方財政好転論などを理由に税率を三二%に固定してしまっておりまして、既に四十三年度に交付税の減額を行ってから、大蔵省資金運用部資金からの借り入れ、あるいは繰り越し、減額など年度間の調整が恒常的に行われるようになってきております。とりわけ昭和五十年度補正に伴う一兆一千二百億円の借入金以来、地方交付税の不足は年々拡大し、これへの対応としまして、特例によって交付税特会による国からの借入金によるか、ないしは地方債、つまり建設地方債、財源対策債などの増発によって年々賄われることになってまいりました。このうち交付税特別会計における国からの借入金は、私の計算では昭和五十八年度末までで十一兆五千二百十八億円に達し、五十九年度末までで償還額二千五百八十億円、うち地方負担が二分の一の千二百八十九億円ですが、これを差し引いて十一兆二千六百三十八億円となっております。昭和六十年度分の交付税総額からは利子支払い額として三千六百九十億円の控除が必要とされることですが、今後の借入金償還計画により七十三年度で残高ゼロとなる計画であり、五十八から七十三年度までの償還額累計十一兆五千二百十八億円のうち地方負担分が五兆六千九百四十一億円となる計算となります。一方、不足額の半ばは建設地方債あるいは財源対策債等の増発によって賄われ、毎年これが一兆円を超えるのであり、その元利償還金が基準財政需要額に算入されるとはいいましても、公債費比率の上昇を招いておりますことは否定できません。
 したがって、この実態からしましても、国に比べて地方財政に余裕があるとは決して言われないと思われることであります。このようにしまして、交付税率を据え置いたままで不足に対しては法律による特例措置をその都度講ずるという方法に移行してきているわけでございますが、このような方法では現行の三二%の交付税率分さえも確保できるかどうかが問題点として浮上してきているわけでございます。事実、五十九年度に交付税特別会計から各地方団体に交付された交付額は国税三税の三一・三%にとどまったのであります。我が国の交付税の目的は、地方交付税法第一条にもありますとおり、「地方行政の計画的な運営を保障することによって、地方自治の本旨の実現に資する」ことにあります。そうして、同法の六条三の二項にありますとおり、普通地方交付税の総額が引き続き各地方団体について算定した額の合算額と著しく異なることとなった場合においては、地方財政もしくは地方行政に係る制度の改正または交付税率の変更を行うとする改革方向が基本的に必要とされるのであります。
 しかし、国の財源の現状からして当然アップされるべきはずのものが当面は困難といたしますと、現行の三二%をミニマムとして、そこまでの財源保障が有効になされることが当然要請されるわけであります。昨今では補助金等の整理合理化とあわせて交付税率も弾力化すべきとの意見もあるやにも聞いておりますが、景気変動に応じて交付税率の弾力化を図ることは、現状ではその税率の切り下げを容認するだけに終わることが懸念されるわけであります。
 我が国の地域経済の不均等は、第一次及び第二次石油ショックを経過する中で再び拡大する傾向も見られ出し、我が国の交付税が財政力格差の調整とともに地方行政に一定のナショナルミニマムを維持させるための財源保障機能において今日もなお大きな機能を有しているといたしますと、交付税は憲法第九十二条に掲げた「地方自治の本旨」を実現するための地方の固有の財源と言っても過言ではなかろうかと存じます。したがいまして、当面基準財政需要額の算定における経常経費並びに投資的経費間の案分と改善を図り、この税率の水準まで安定的に確保していく努力が今後も地道に続けられねばならないと思われるのであります。
 第三に、この点に関連して申し上げたいことは、普通交付税における基準財政需要額の算定を今日の変動していく財政需要にいかに適応させ、今後その制度の充実化を図るかの課題が残されております。
 今日では高齢化が都市及び過疎地農村で進展していく中で、地域における生活保護、老人福祉、教育費問題などに十分配慮していく必要があるわけであります。また今日、特に大都市とあわせて地方の県庁都市や工業都市など人口二十万から三十万あるいは五十万前後の地方中核都市の人口増加に伴う都市的財政需要の拡大は極めて大きく、今後とも単位費用の算定の改善等に一層配慮していく必要があります。この意味から、単位費用の算定に際し用いられる「標準的条件を備えた地方団体」の概念も、特に都市自治体について大きく修正される必要が生じてくるのではないかと考えられることであります。
 第四に、普通交付税の基準財政収入の算定の基礎となる基準税率や法定内普通税の標準税率の設定は、地方自治体の徴税努力を前提し、地方財源の弾力性を高める上で有効であり、この変更を当面拡大こそすれ、縮小することは望ましいとは言えないことであります。
   〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕
交付税は自主財源としての地方税とともに一般財源を構成しており、徴税努力の高い地方団体の交付税の画一的な削減が起こらない方向でのこの法の本来の精神に沿った充実化が望まれるところであります。
 なお、現行の地方交付税の決定、運用につきましては、この税が地方の固有財源ないしは独立共有財源として確認されるならば、さきに述べました地方財源不足額の操作、したがって地方財政計画の策定過程にいま少し地方団体の要求を反映させる制度的保障が必要ではないかと思われますが、現状ではその運用に対する地方団体の参加は厳しく制限されており、交付税の額の決定または変更について、法第十八条の審査の申し立て、法第十九条七項の異議の申し立て、法二十条の聴聞の、三つの救済制度しかないのが現状であります。欧米先進国の例に照らしましても、この面の制度的改善が我が国でも検討されてしかるべきと思われます。
 最後に、国、地方の行財政関係の長期的な改革のためには、言われておりますような機関委任事務の見直しと地方への事務、権限の移譲、これに伴う財源措置の充実が基本的に望まれる方向であることは言うまでもありません。しかし、我が国の地域間の財政力格差がなお大きく存在する現状からいたしますと、交付税もなお我が国の国と地方の財政関係のかなめの一つとして重要な位置を占めているのであります。
 今日、我が国の交付税制度は、確かに幾つかの制度上及び運用面での改善されるべき問題点を生じさせていることも事実ではありますが、なおも世界に冠たる精緻な地方財政調整制度として機能していることもまた否定し得ないところであります。したがいまして、最後に何よりも申し上げておきたいことでございますが、行財政改革、減量経営下におきまして、国の財政的な都合のみでせっかくのこのすぐれた制度の解体を招くことのないよう、今後ともこの制度の改革及び運用面での改善に向けて十分配慮くださることを希望いたしまして、私の意見とさしていただきます。
 どうもありがとうございました。
#8
○理事(岩上二郎君) ありがとうございました。
 それでは次に、統一労組懇自治体部会政策委員長佐藤光雄君、どうぞ御発言願います。
#9
○参考人(佐藤光雄君) 統一労組懇自治体部会政策委員長で佐藤と申します。なお、広島市職員労働組合の委員長もいたしております。
 私は、今回の地方交付税法案は次の点で基本的で重要な問題点を持っているものと思います。
 その第一は、今回の法改正によって、全国三千三百の地方自治体の財源を保障し調整するという地方交付税制度本来の機能すなわち働きがますます失われ、地方交付税の制度はその趣旨から離れ、政府の財政操作の従属物的な存在になってしまっていることです。
 したがって第二点としては、そのことの帰結として地方交付税法第六条の三第二項に規定されている地方交付税の税率引き上げがどうしても必要になってきていると思うものであります。
 まず、今回の改正によりまして地方交付税総額は九兆四千四百九十九億円と確定されましたが、これは所得税、法人税、酒税の、いわゆる国税三税の合計額二十九兆九千六百九十億円の三一・五三%となっておりまして、交付税法第六条で定めています三二%という税率を割り込んでいるのであります。これは、過年度において地方財政不足を補てんをするためだとして、本来地方交付税の税率を引き上げるべきところを、これを行わないで巨額の借り入れを行うことで事態の解決を糊塗してきたツケがこのような形で既に回ってきているのだと思います。政府の借り入れ返済に充てるべき費用は、今年度の場合、借入金の利子だけでも三千六百九十四億円の巨額に達しております。また、元金は六十六年度以降から償還が始まり、六十六年度は三千六百三十億円の元金を償還をし、ピークの七十二年度には七千二十五億円もの巨額の償還を行わなくてはなりません。このようにして、今年度は利子払いだけなのですが、この三千六百九十四億円の利子は、後ほど指摘したいと思っております補助金一括カットによるところの、補助率五割を超えるいわゆる高率補助金、公共事業関係を除いたものでありますが、この四十一件のカット総合計二千七百億円の一・三倍に相当する巨額となっています。
 補助金のカット問題につきましては、今国会の最も重要な法案であるとしてこの参議院におきましては特別委員会まで設置されまして議論が交わされたのでありますが、この補助金のカット額を上回る返済金が地方交付税総額から差し引かれる問題も、地方自治体にとりましてはこれにまさるとも劣らない重要問題であると私は思うものであります。地方交付税の税率を引き上げずに今日まで問題を引き延ばしてきたツケは非常に大きいものがあることを強調したいと思います。
 問題はこれだけにとどまりません。補助金カットの見返りとして、改正案では一千億円を交付税で補てんをし、カットによる自治体への影響を避けたなどと言われています。補てん額一千億円が、先ほど述べました四十一件、二千七百億円のカットに比べても、完全な補てんにほど遠いことは明らかでありますし、実はこの一千億円の補てんと引きかえに、例年行われてまいりました財源対策臨時特例交付金五百億円、利差を補てんする臨時特例交付金七百八十六億円など、合計千三百五十五億円もの交付金が六年後に繰り延べされているのであります。つまり、補助金カット補てんの一千億円と引きかえに、これを三百五十五億円も上回る額が、本来交付税総額に加算されるべきところ、加算されずに繰り延べされているという結果は、この交付金と補助金カット補てん額が相殺をされ、交付税総額を引き上げることになっていない点も指摘しなければならないと思うものであります。この点も十分な解明が必要ではないかと思っているものであります。
 さらに指摘しなければならない問題は、基準財政需要額における公債費の増額の問題です。過年度において政府が地方財政不足をいわゆる財源対策債として地方債の増発でしのぐという方法をとったために、自治体は今年度から二十年間をとってみても七兆八千九百三十億円の元金と三兆九千三百三十六億円の利子、合計十一兆八千二百六十六億円の膨大な償還金を抱えています。これは本来交付税において措置すべきところを地方債に振りかえたという政府の都合によるものですから、この八〇%または一〇〇%を交付税の基準財政需要額に算入して見ていくという措置がとられています。この算入額は、国会に提出をされた資料で見ましても、五十九年度の場合、都道府県と市町村分を合計をいたしまして実に九千七百七十四億円と、これまた一兆円に迫ろうとしています。翻って見た場合、交付税総額九兆四千五百億円のうち一割を超える額がいわゆる借金返済に充てられるという異常な状況となっているのであります。しかも、この額は一般事業に充てることができないわけですから、自由に自治体で使用することのできないものであります。その意味で、この財源対策債償還額算入分を今年度の場合少ない目に見たとしても約一兆二千億円ありますから、これを交付税総額から控除して計算をしてみますと、国税三税に対します総額の割合は二七・五%という数字が出てまいります。
 こうして見てまいりますと、本年度の場合、交付税総額は前年度より一〇%余り増加したと言われているものの、その内実は政府の御都合主義的な手法でもって地方交付税制度は法定の三二%を大きく割り込み、制度としては完全に破綻してしまっているのであります。
 中曽根首相は、国会答弁で地方交付税の税率引き下げについてこれを否定する明確な答弁を避け、これについて政府が検討を加える余地を残そうとしていますが、地方交付税の税率は、今も述べましたように、既に法定の三二%から実質的には二八%弱まで落ち込んでいるということについて、私はこの税率の引き下げよりも、逆にこれを四〇%程度まで引き上げる必要があるということを思うものであります。
 以上が改正についての基本的な見解であります。
 続きまして、補助金一括削減法との関係で若干の問題を申し上げます。
 まずその一つは、補助金カットの補てんを交付税と地方債で行うこととしていますが、私は交付税における補てんというものが万全なものかということについては疑問を呈したいと思うものであります。
 広島市の場合、補助金カットによる影響は生活保護費の八億円を筆頭に、老人ホーム入所措置費二億円、保育所措置費二億円など、民生局関係を中心に合計約二十二億円の影響が出ることになります。このうち六億六千万円は公共事業関係でありますから地方債による補てんとなりますが、残余の十六億円余りは交付税による補てんに頼らざるを得ないことになります。
   〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕
 ところが広島市の場合、地方交付税は前年度より十二億円の増加と見込まれておりまして、十六億円のカット分を補てんするには四億円不足をするという結果となります。生活保護費カット分の半額が当市に転嫁されることとなるのであります。また、この問題は、先ほども指摘しましたように、交付税の税率引き上げがなされない以上、全体としては他の需要費を圧迫することとなり、補助金カットの交付税補てん方式も問題があることを指摘しておきたいと思います。
 二つ目に申し上げたいことは、既に成立を見ましたこの補助金一括削減法は、高率補助金の補助率カットのほか、御承知のように地方自治体への補助金そのものを廃止しまして、これを一般財源化するとしてこの改正案で措置されています。こうして今回、義務教育学校の教材費並びに教員の旅費が一般財源化されたわけであります。
 私は、先ほど述べましたように、地方交付税の税率が例えば四〇%に引き上げられ、その上でひもつき補助金が廃止をされ一般財源化されるというなら、これは地方自治体の自主性を尊重する上で非常に好ましいことであろうと思うものであります。ところが、交付税の税率の方は据え置きどころか、実質的には大きく落ち込んでいるという状況の中で、この一般財源化というものは果たして地方自治体の自主性を尊重した措置であるのだろうかと疑問に思うものであります。これは結局のところ、限られた交付税総額の中でやりくりすることとなり、たとえこのことで新しく需要額の科目がふえたとしても、相対としてはどこかで相当する額を削減しなければ勘定が合わないことになります。結局のところ、一般財源化という名目の補助金の廃止にほかならないのであります。
 事実、埼玉県下では十五に上る自治体が前年度より教材費を削減しているということが行われています。これは、一般財源化されたとしても、自治体では交付税がふえることはないと見ているからだと私は思うものであります。この中で草加市では、PTAがバザーを開いて教材を購入する資金を捻出するということがことしは全面的に行われるようになったという小学校や、また別の小学校では学級通信を印刷する用紙が父母負担になったというところもあります。また、ある中学校ではPTAの学校協力費を増額をするということも起きています。こうして義務教育の父母負担がふえてくるという影響が既に出ているのであります。
 また、農業改良普及対策補助金も同様に一般財源化されたわけでありますが、既に新潟県では農業改良普及所の統廃合計画が進行しておりまして、この過程で既に三十名の改良普及員が削減をされ、さらに今後も百名を上回る削減が予定されていますが、このように米どころの新潟県でさえ、農業振興事業の後退の中で今回の改良普及対策補助金の一般財源化というものは、ソフトとハードの両面から農業振興行政の後退を加速させる結果となるものと思うものであります。
 以上、今回の地方交付税法案の問題点について私の意見を述べさせていただきました。
 結論的にまとめますと改正案は、社会保障制度や福祉の重大な後退であります補助金一律削減法とまさに表裏一体の措置として位置づけられるものではないかという思いが強くするのでありまして、財源保障のない地方自治は全く絵にかいたもちと言わざるを得ず、私の見解としてはこの法案に反対を申し上げざるを得ないと思うものであります。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#10
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 次に、原田参考人にお願いいたします。
#11
○参考人(原田博夫君) 専修大学の原田でございます。
 本日は地方交付税等の一部を改正する法律案について意見を述べる機会を与えていただきまして、ありがとうございました。
 私は、現場の立場とかあるいは現場の実情についてさほど通じておるわけではございませんので、やや抽象的な観点から私の地方財政及び地方交付税等に関する意見を申し述べたいと存じます。
 まず最初に、地方財政に関する基本的な原則というのは一体どういうものがあるだろうかということを考えてみますと、これは必ずしも地方財政だけには限らないのでありますが、社会的なルール、国民全体に及ぶような社会的なルール一般というものは、少なくとも人々がどういう立場にあるかわからないということが将来的には考えられますので、いかなる立場に陥ったとしても、つまり将来において考えられるどんな不確実な事態に対応しても十分に対処できるような、そういうシステムであることが望ましいと考えられます。したがいまして、地方財政制度ということにやや問題を限定して考えますと、人々がどういう地域に住むかわからないということが考えられます。つまり、住居に関しては一応不確実であると。ですから、そういう意味においてどういう地域に住むことになっても基本的な住民サービスあるいは公共サービスというものに関しては一定水準を享受できるということが前提にされていなくてはならないだろうと思われるわけであります。
 それで、そういういわばナショナルミニマムが満たされているという前提の上で、その原則が満たされた上で次に問題になるのは、人々の地域サービスに対する選好の多様性にふさわしいバラエティーを持った公共サービスというものが各地方団体ごとに給付されているという事態が生じていることが望ましいのではないか。すなわち、第一の原則はナショナルミニマムであり、もう一つの原則は人々の選好の多様性とそれを維持するにたる自治体側の給付のバラエティー、この二大原則が満たされていなくてはいけないだろうと思われるわけであります。
 そして、次にいささか具体的に地方財政のモデルを考えてみますと、ちょっと抽象的になって恐縮でございますが、もし人々が地域間を自由に選択して移動することが可能であり、かつそれに対応した形で行政サービスが地域ごとにバラエティーを持って給付することができるとするならば、もしその場合の住民移動というものがいささかのコストをかけずに移動できるのであるならば、住民の選好を最大限に尊重するような地方制度をつくってしまえば、ある意味では基本的な地方財政問題というのはそれで解決してしまうということになろうかと思います。しかし現実には、人々の地域間の移動ということはコスト面で、直接的なコストだけではありませんで、それ以上の機会費用、さまざまな問題を考えましても無視できないものでありますので、この住民移動というものにはかなり重大な制約条件が課せられているだろう。つまり、人々はむしろ移動をする可能性が確保されているという、そういう意味での機会の平等が達成されている状態よりも、むしろどの地域に住んでいても結果として基本的に共通の公共サービスを享受できるという、そういう結果の平等の方を支持するのではないだろうかと思われるわけであります。
 そして、もしそうであるとすれば、次にどういうような地方税の体係が要求されるかということになるわけであります。その場合、地方税の税目というのを各地域間でばらばらに設けることはまことに全国的に住民を差別的に扱う可能性がございますので、そういう意味からしましても、地方税の税目は各地域間で均一であることが望ましいだろう。そしてまた、もう一つの原則としては、税源が地域的に偏在の少ない税目というものが地方税としては望ましいはずである。少なくともこの程度のことは地方税に関して要求される原則だろうと思います。
 そして、それでは設定された地方税に関しての税率の問題になるわけでございますが、我が国の場合には一応標準税率というものが設けられておりまして、それに多少制限税率までも課税することは許されておるようであります。しかし、地方税収全体で見ましても、標準税収に加えて上がってくる税収の割合というのはわずか二、三%であるというふうに言われておりますので、基本的には標準税率で課税がなされていると、こういうふうに考えて結構だろうと思います。そして、その場合に問題になりますのは、支出水準の状態に応じて必要税額が決まってくるわけですけれども、その必要税額の多寡に応じて税率変更をすることができないということであります。そのことはどういうことになるかというと、支出水準が別の基準で決定されている、税収額で決定されているのではないということであります。したがって、支出水準と税収額とのギャップを埋めるために全国的な規模でのトランスファーシステムというものが必要になってくる。
 そういうふうに考えますと、現在我が国で行っております地方交付税というのは、その機能面においてはこのような趣旨に一応沿ってつくられているというふうに考えられます。しかし、このような地方交付税によって達成されているものはどういう事態であるかというと、基本的にはフローとしての財政収支が地域間でバランスされているにすぎない、修正されているのにすぎない。例えば社会資本あるいはその他の生活関連指標に関してまで格差が地域間で完全に解消するということは基本的に考えてはならないのではないか。したがいまして、余り過大な期待を持つことは危険であるということであります。そして、もう一つの問題点としましては、地方交付税というのは基本的に地方税によって生じるであろう地域間のギャップを調整するような、そういう課税ベースを財源とすることが望ましいのではないだろうかということが考えられるわけであります。
 以上、基本的なフレームワークを申し上げたわけでありますが、さて次に、先般来成立しました高率補助金一括削減法についての意見を申し上げたいと思います。
 この問題につきましては幾つかの問題点があるのですけれども、まず第一に、補助金削減を行うということですけれども、その前提としての国と地方の事務配分の見直しというものは必ずしも十分になされていなかったのではないかというふうに考えられます。例えば地方の側では、非効率な零細補助金の廃止あるいは地方に同化定着した事務事業に支出されている国庫補助金の廃止といったようなこと、そしてそれを地方一般財源へ振りかえても構わないというようなことを既に主張していたにもかかわらず、そういう主張が非常に機械的な形での高率補助金一括削減というような形で行われてしまったために、残念ながら十分ではなかった。
 それから第二としては、これは私の推測にもなるわけでございますが、国あるいは大蔵省側としましては、地方行革を推進する観点からというよりも、より差し迫った目標として、国の財源難を回避するために地方への補助金削減を強行している、こういうふうにしか思えないわけであります。つまり、国で不足している分を地方で肩がわりしていただこう、こういうような形になってしまっているのではないか。しかし、現実に行われました昭和六十年度の地方財政対策について検討してみますと、地方の負担増が五千八百億円、しかしながら、このうち国が何らかの形で結局負担せざるを得ないあるいは手当てを用意せざるを得なくなっている部分というのは、交付税の増額一千億以外にも建設地方債の分が四千八百億円、これにつきましては全額ではないまでも、かなりの部分が後年度地方交付税によって財源措置を講ずるという取り決めができているように伺っておりますので、そうしますと、かえって将来的に負担を交付税制度にかけていることになるのではないだろうか、こういうふうに思われるわけです。
 そうしますと、これだけの反対を押し切って進めたこの法律案というのは一体どういうことをそもそもねらいとしていたのかというのが、いささか私にはわかりかねるわけであります。
 そもそもこういう補助金削減というものの進め方というもの、これは補助金削減ということそれ自体に関しましてはかなりの程度コンセンサスができているかと思います。しかし、その進め方には、まず幾つかの方法論といいますか、ルールがあるのではないだろうか。例えば今回特に削減の対象となりました生活保護費の場合についてみますと、補助率は八割でございますが、この八割の補助率ということは本来、国と地方の責任が八対二であるということを基本的には踏まえているはずであります。それを一割カットして七割にするということは、国の責任がこの業務に関してはいささか後退したということに関して国民的な合意が成立していた、あるいはしているべきであろうかと思うわけであります。しかし、そういう問題に関して十分な検討がなされたというふうには、残念ながら思えないわけであります。そういう点がまず第一の問題点であろうかと思います。
 それから次に、そもそも行政サービスというものを、特に基本的なものに関してでありますけれども、一種の価格メカニズムを利用したような形で賞罰システムを導入するというやり方は必ずしも適切ではないのではないか、まあやってもやらなくてもいい、あるいは多少減らしてもいいというようなそういう行政サービスであるならば、そもそも必ずしも国が全国的なべースで介入する必要は基本的にないはずであろう、こういうふうに思うわけであります。
 次に、仮に補助金行政のウエートを縮小するということにかなりの程度コンセンサスができたとしました場合に、その場合に二つほど方向として考えていただきたいわけであります。
 その第一は、事務内容を実施事務だけを地方に押しつけるというようなことをせずに、既に企画立案の段階からの事務内容を地方に移管するような形で補助金の整理合理化を図っていただきたい。それから、今回のようにいわゆる高率の補助率のものについてカットするという行き方よりも、むしろ少額零細補助金こそ削減の対象とすべきではないだろうかということであります。幸いにして補助金の整理合理化という問題について官民を問わず、あるいは交付する側あるいは受領する側を問わず、かなりの程度コンセンサスができているというふうに思われます。総論賛成の立場には皆さん立っていらっしゃるのではないだろうかと思うのであります。ですから、本年度のやり方は六十年度限りということでございますから、ぜひとも中長期的な観点に立って国と地方の事務配分の見直しあるいは財源配分のあり方というものについて検討する機会をこの際どうしても設けていただきたいということであります。
 それから、最後になりましたけれども、一言地方税について申し上げておきたいと思います。
 最近、税制改革の論議がアメリカ、イギリス等を初め、日本でも中曽根総理大臣以下多くの方面から議論に上っておりますけれども、導入が予定あるいは予想されているといいましょうか、そういうものとしては、現在大型間接税あるいは一般消費税といったようなものが考えられているように伺っております。これは先ほど地方税の原則のところで申し上げましたように、本来の趣旨からいってこういった一人当たりの課税ベースに地域的な偏在が比較的少ないと思われるような税目、大型間接税あるいは一般消費税といったようなものですが、そういうものは地方へ大幅にその権限をゆだねていっていただきたい。つまり、地方間接税あるいは地方一般消費税というようなものがぜひ設けられてほしいと思うわけであります。これは今日の地方税の体系が、本来の趣旨ではさほど地域間の格差が出ていないだろうと思われているのにもかかわらず、現実には所得税などの場合よりも、課税ベースで見ますと、地域間の格差はむしろ大きくなっているということでございますので、こういう点にも配慮していただきたいと思うわけでございます。
 以上、やや抽象的な立場からでしたけれども、今回の問題について意見を述べさしていただきました。
 ありがとうございました。
#12
○委員長(金丸三郎君) ありがとうございました。
 以上で各参考人の御意見の陳述は終了いたしました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#13
○岩上二郎君 それぞれ皆さん方から貴重な御意見をいただきましてありがとうございました。改めてお礼を申し上げる次第でございます。
 そこで、それぞれ皆さん方に一、二点お伺いいたしまして、お答えいただければ幸いと思います。
 増山さん、大変地方自治体の市長さんとして御苦労されておられまして、本当に大変な時期を迎えておられて、運営上非常に問題を抱えておられるのではないかと思います。
 そこで、今回の国庫補助率の引き下げにつきましては六十年度限りということで、六十一年度以降は、それぞれその取り扱いについては政府部内でさらに検討をすると、こういうふうになって、一時はまあまあというところで決着を見たわけでございますが、問題は六十一年度をどうするかという問題にかかわってくるだけに、非常に重要な課題を抱えておられると思います。そこで皆さん方それぞれの国に対する御要望あるいは御批判、そしてまた反対等の意見等を拝聴したわけでございますが、非常に身にしみて私どもも、それぞれ参考人の御意見をどう国政の場で取り上げていくかということについて本当にありがたい御示唆をいただいたものと思います。
 そこで、時間もありませんので、簡単にそれぞれポイントだけ申し上げて、お答えいただければと思います。
 一つは、国庫補助金あるいは交付税、将来交付税等においても国庫補助削減と同じように中身に切り込まれるのではなかろうか、こういう不安もないわけではございません。しかし、国庫補助につきましてはいろいろと種類がございますが、国が当然に責任を持たなければならない国庫負担金問題については、これは早急にいろいろといじるべきではないと、このように思いますが、奨励補助みたいなものはやはりある程度段差を設けて、あるいは格差を設けるというか、そういうことで弱い市町村に対して設定をしてみてはどうだろうかという意見もございますが、そこらあたりの考え方はいかがなものだろうか。
 それからもう一つは、それぞれ地方団体におきましても行政改革、財政再建の問題等において日ごろ努力をされておられますが、例えば宇都宮の市政においてどのような対策をお立てになっておられるか、その状況をちょっとお聞かせ願えればと、このように思います。
 それからもう一つは、国も一生懸命行政改革をやっていると言うけれども、地方から見た場合に国の行政改革は一体どういうふうな物の見方をされているか、国の行政改革の姿勢について地方から見た場合の問題点というものがあるとすれば、それもお伺いいたしたいと思います。
 それから山本町長さん、大変産炭地域の町長さんとして御苦労されてこられまして、非常に胸に迫るような思いで拝聴しておりました。
 交付税の中で種別補正というのが幾つかございますが、この種別補正を幾らやってみても総枠が抑えられたのじゃ、これは話にならないじゃないか、これが実感のようにお伺いいたしましたが、この種別補正のあり方と交付税との絡みについて、もうちょっと種別補正なるものの内容等においてこういうところに問題があるということをお聞かせ願えればと、このように思います。
 それから坂本さんにお伺いしたいと思いますが、シャウプ勧告、これは非常にすばらしい、地方自治の確立のためには非常にいいサゼスチョンを与えてお帰りになられた方でありますが、その後、日本の補助金体制あるいは交付税絡みというようなものが大きく変化しつつあるわけでございますが、補助金というものは大体、中央集権のある一つの地方を抑える手段であるとも言われているわけでありますが、この補助金の問題についてどのようにお考えになられているか。今のような一割削減という問題と絡めてもう少しお伺いしたいと、このように思います。
 それから佐藤さん、統一労組懇の自治体部会の政策委員長をされている関係で、今ラスパイレス指数が問題になっています。で、この線でいかないで給与を高くしたりなんかされては困る、したがって地方財源非常に枯渇している中で職員の給与だけ上げられては困りますと、こういうふうなことで、それをやった場合には起債その他制限をすると、こういうふうな行き方がないわけではなかったわけです。しかし、そこのところの問題として、これは確かに一つの労使関係でお互いに交渉をして出てきたものについてはこれを守るべきだというのが一方にある。一方では財政難で容易ではないという使用者側の考え方もある。そういう中で行きつ戻りつしているのが現状であろうと思うんです。その際に私は、住民の意見というか、住民の姿勢の中から、こういうものはやっぱりもう少し自重すべきではないかと、このような意見が出て、そしてその中でラスパイレス指数というものはどうなるのだろうかという住民の感覚が公正に反映できるような、そういう中で交渉ができないものだろうか、このような考え方を持っておりますけれども、その点について一言お伺いしたいと思います。
 それから、原田さんの御意見でございますが、交付税の問題、これは確かに時代の変化に応じて中身が修正をされたり、いろんな形になっておりますが、本来は基準財政需要額マイナス収入イコール交付税と、こういうふうになっている。しかし、その間の絡みというものが、いろいろと特別交付税とかいろんな配慮があって、まあまあという線に落ち着ついているわけでありますけれども、いわゆる平衡感覚というか、公正公平、こういうふうな感覚からすれば、昔やった平衡交付金という制度があったわけです。ああいう制度との折り合いを考えるある一つの交付税の姿勢というものに、従来のような交付税ではなくて、もう少し何か均一されるようなそういうものがあっていいかどうかというところ、ちょっと、ふっと頭の中に浮かんだものですから、この交付税問題というものをどのようにしたらいいものだろうか、このように一点お伺いいたしたいと思います。
 それから、今の自由化体制の中でそれぞれ多種多様の要望というものが出てくる。それに対して対策が思うようにとられていないような現実の中で、一体自由主義社会における地方行政のあり方というものは、今のような従来のスタイル、国と地方との権限問題とかあるいは超過負担の解消の問題だとかあるいは税源の配分の問題とかという、一つの従来から主張していた枠組みだけの問題で解決できないような時代になってしまった。特に国の場合には物すごい借金を抱えてしまった。もう驚くほかないような、もうどうしていいかわけがわからないというのが今の国の借金財政である。こういうような中で、従来の仕組みの中だけで問題の解決ができるとは思えない。とすれば、幅広い感覚の中で、抽象論であっても何でも結構でございますが、ひとつ原田さんのお考えになっている地方行政あるいは地方財政、住民とのかかわり合いの中で、地方自治の本旨に基づくという憲法九十二条でしたか、四条ほどあるそのラインに沿ってどのように仕組んだらいいものだろうかということをひとつ御意見としてお述べいただければと、このように考える次第でございます。
 以上、極めて粗雑な質問で恐縮でございますが、お答えいただければ幸いと思う次第でございます。
#14
○委員長(金丸三郎君) 参考人全員の方への御質問でございますので、増山参考人から順次お願いいたします。
#15
○参考人(増山道保君) まず第一点の奨励補助についてでございまするけれども、たとえ少額でございましても地方にとりましては大変貴重な財源でございます。地方におきましては国のこうした措置を当てにしてそれぞれ対応いたしておりますので、これらにつきましては引き続きこの制度を充実されるように御要望を申し上げたいと存じます。
 また、六十年度の補助率引き下げに対する地方の対策として、私どもの町では幸い幾ばくかの財政調整基金がございまして、これらを取り崩しながら対処をしたところでございます。御案内のように自治、大蔵、厚生三大臣の覚書にもございますように、これらの補助率引き下げはあくまでも昭和六十年度の暫定措置というように承っております。今年度限りの暫定措置ということでこれをぜひとも厳守をしていただき、六十一年度以降、こうしたことを二度と繰り返さないように、もとに戻られるよう、ぜひとも強く御要望を、この席をかりまして申し上げたいと存じます。
 また、地方から見た国の行革の姿勢についてどう思うかということでございまするけれども、現在の行政改革、財政状況の中でまことにやむを得ないものと思いまするけれども、どうぞ地方分権ということを基調に、十分これを御勘案をいただきながらやっていただきたい。地方におきましても今、長い、数年にわたって自治体それなりの行革に取り組んでおるところでございますが、また新たな体制をつくりながら行革の取り組みも始まっておるところでございます。国に倣いまして地方も決意を新たに行革に取り組んでおるところでございますが、よろしく御指導いただければありがたいと存じます。
#16
○参考人(山本滋君) 種別補正のことでございますが、補正そのものはいろいろ五種類かございますが、そういう補正のほか、単位補正並びに係数補正もあってしかるべきだろうと思います。ただ、全体的に見ました場合に、逆に言えばそういうのを操作しながら総枠操作になっているんじゃないか。それは、地方全部は変わらないわけですから、新しい法律ができた、これは入れますよとおっしゃるが、総枠は変わってない。どうして入れたかというと、どこかのを係数で減ずって、その分を入れたのではないかと、こういうような気がするわけです。
 一つの例を申し上げますと、産業経済費の農業行政費の経常経費のうちに、農家数を根拠にして昨年が二万七千九百円となっておりました。ことしが二万九千七百円。千八百円ほど上がっているわけです。これは結構なことだと思います。ことしの分はまだ見るわけにはいっておりませんが、このことに対する係数を見てきましたところが、五十八年度が〇・五です。〇・五を掛けるとなっている。五十九年度が〇・三です。穂波町では戸数は変わっておりません。そういう中で〇・二も下げられた。農家戸数が七百九十ぐらいですから総額としては大したことありませんけれども、その分についてはかなり下げられたということになります。そういうことは何でそうなったのかというのがわかりませんし、聞きますと、この単位費用については法律で明示されております。ところが、係数については国会議員さんにも見せてないようでございますので、その点を皆さんに公表していただくようにお願いしたいわけでございます。
#17
○参考人(坂本忠次君) 岩上議員から、シャウプ改革後の補助金の問題について御質問ございましたが、補助金は、シャウプが勧告しましたように、確かに地方財政あるいは地方自治、古典的な地方自治と申しておりますけれども、そういう視点から言いますと非常に望ましくない、むだも多いしということでございました。しかし私は、補助金がそういう側面を非常に強く持っていると思うわけでありますけれども、補助金は地方に対するコントロールの面と同時に、これはイギリスとか外国の例で見ますと特にそうですが、地方に対して一定のやはりナショナルミニマムを保障していくという面を持っている。コントロールの面と保障していくという面と、両面を持っているのだろうと思うのであります。
 これは意見のところで時間がなくて申し上げませんでしたけれども、補助金等という概念の中に、今日の地方財政法は非常によくできておりまして、もう皆さん御承知のことかと思いますけれども、もう一回繰り返しますと、第十条の普通国庫負担金と、それから十条の二の建設事業費国庫負担金、失業対策事業費国庫負担金、それから十条の三の災害復旧事業費国庫負担金というものが存在しております。その国費、地方費の負担区分が国の法で定められているわけでございます。それから国勢調査、外国人登録など、専ら国の利害に関係のある事務の経費に充てる十条の四に相当する委託金、委託費があるわけであります。それから三番目に、これが問題になっている第十六条に相当する零細なものを含む多数の奨励的な補助金があるわけでありまして、シャウプが念頭に置いたのはこの三番目を主として当てておったというふうにも考えられるのです。
 ところが、その後日本の社会保障制度が戦後特にかなり発達したわけでありますけれども、その過程で義務教育国庫負担法は昭和二十七年にできますけれども、同時に、それ以外に生活保護法が昭和二十五年に新しい法律ができます。その後いろいろ改正されまして、いろいろ国の各種の法律を通じまして日本の社会保障が発達していったわけでございます。その主力が国庫負担金にあると思うのであります。そこで、シャウプの問題との関連でいろいろ矛盾と、その後発展したものと、そういう問題が出てくるわけでございまして、その点をやはり十分中身を検討していただきまして、本当に機能が終わったものあるいは零細で要らないもの、もちろん奨励的補助金の中にも地方にとっては全くそれが無視できない、例えば公害行政とか環境行政にかかわって必要なものもございます。そういったふうに考えますとなかなか難しいわけでございますけれども、そういう大きな流れの中でこの問題を検討していただきたい、こういうのが私の考えでございます。
#18
○参考人(佐藤光雄君) ただいま地方公務員労働者の賃金のあり方について、とりわけラスパイレス指数の問題を例に引かれまして、公務員労働者としての賃金のあり方をいかように考えるかという意味の御質問であったと思いますが、私は、憲法第十五条でうたわれておりますように、公務員労働者は全体の奉仕者として住民の支持と納得と、そして地域住民から喜ばれるサービスができるような仕事をすべく、それに適合するような賃金のあり方が妥当だと考えています。
 御指摘のように、労使の団体交渉だけで事が決するという、そういうことであってはならないと思います。といいますのは、地域住民の支持と理解と納得が必要であり、それを前提にした団体交渉で取り決めをされるということが妥当だと思うからです。そういった意味では私どもは、そういう全体の公務員労働者のあり方を視野に入れたそういう賃金決定の原則、つまり法定主義であり、そして開かれた地方自治体で決まるということでは、条例主義であるということが大切な今求められている給与のあり方だと思います。もちろん前提として公務員労働者の賃金決定には、ストライキ権が奪われた代償として人事院勧告制度が存在をしておりまして、地方財政危機、国の財政危機、それを前提にして一方的にそれが抑制をされるというこのこと自体は、文字どおり憲法違反以外の何物でもないという前提に立っていることを申し添えておきたいと思います。
#19
○参考人(原田博夫君) ただいま岩上議員の方から大変に重要な観点で御指摘いただきましてありがとうございました。
 御指摘の点は二点ほどあったかと思います。まず第一点は、現行の地方交付税制度というものが従来の平衡交付金等との関連でどういうふうになっているか。そして現在、公正というような観点からいって、いかがなものであるかということになろうかと思います。
 従来の平衡交付金制度との比較で申しますと、現行の交付税制度というものは地方の財源不足額をそのまま交付するというシステムではないということになっておりますので、その限りにおいては、過大な地方からの要求が出るというようなことをチェックできるという点で、交付するサイドからいいますと、これは明らかに前進だと考えられるわけですけれども、受け取る立場からいいますと常に不足の状態に置かれているということになろうかと思います。ただ、これは立場の違いがありまして、私はどちらが一方的に正しいというふうには申し上げられないわけであります。むしろ問題点はそれよりも、制度の発足して以来、各種の補正あるいは補正係数というものが導入されてきまして、この導入の際にはそれぞれ各種の要求、いろいろな要求に応じた形で個別的にその都度その都度の合理性を維持しよう、あるいは合理性を確保しようという観点から導入されたのだろうと思うのでありますが、そのことが結果としては残念ながら全体としての合理性、整合性を損ないつつあるのではないかという感じを持っております。
 したがいまして、もう少し初心に帰るといいますか、この地方交付税制度に関しましてその方がむしろ本来の趣旨により近づくのではないか。何か本卦帰りのようなことになって大変恐縮でございますが、そういう印象を持っております。
 それから第二点に関しましては、大変に難しい御質問でございますが、地方自治の今日的なあり方というものはどういうふうなものであろうかというような御質問の趣旨であったかと存じます。
 私も、先ほど来いろいろと御意見が出ておりますシャウプ勧告というものについては、この趣旨はやはり今日でも生かしておきたい、生かすべきである、こういうふうに考えております。しかし余りにも、そのときと比べますと、地方行財政を取り巻いている社会経済環境は大きく変わってきております。ですから、今日それに対応するシステムの再構築、これは制度を新たにつくりかえるということまでいくのかあるいは制度の運用を変えるということで済むのか、そこら辺はまだ十分細部にまでわたって詰めなくてはならないかと思いますけれども、いずれにせよ、現在の地方財政の運営システムを再構築する必要はあるだろうというふうに認識しております。
 私が考えている方向といたしましては、提言というほど大げさなものではございませんけれども、一つ考えておりますのは、都道府県レベルと市町村レベルでは現時点では若干の運用上の差異はございますけれども、基本的な運営の仕組みというのは同じように行われているように思われます。しかしながら、それもかなり行政の質といいますか、そういうものは異なっているはずでございますので、市町村レベルあるいは都道府県レベルというその二段階ぐらいにおいては、行財政運営の仕組みというものはいささか異なったものであってもしかるべきではないだろうかというふうに考えております。これが私の一応の所見でございます。
#20
○上野雄文君 参考人の市長さん、町長さん、諸先生方、大変御苦労さまです。私に与えられた時間が三十分しかないものですから、大変恐縮でありますが、市長さんと町長さんに主としてお答えをいただきたいと思うんです。
 宇都宮の増山市長は実は私の住んでいる市の市長さんでありますから、八百長であいつは質問しているのじゃないかなどと言われるおそれなしとしないのでありますけれども、ひとつ率直な御意見をこの際お聞かせをいただきたいと思うんです。
 増山市長それから山本町長御両者よりそれぞれお答えを賜りたいと思います。
 最初にお聞きをしたいのでありますけれども、補助率一括削減によって皆さんの市と町が直接的に受けた被害はどのぐらいに今なっておりますか。それから、そのことによってやりたかった仕事もやれなくなってしまったなんという仕事はどんなものがおありでしょうか。それらの問題に直面して、現場での悩んでおられる事柄などについてお聞かせをいただきたいと思うんです。
#21
○参考人(増山道保君) 上野議員からの御質問でございますが、本市の今回の国庫補助金等の一律の削減による影響についてでございますが、御案内のように我が宇都宮市は人口四十万になりました。そういう中で今回の影響でございまするけれども、非公共事業で約五億三千万、そのうち生活保護費では約二億八千万円でございます。公共事業で二億二千万円、合計約七億五千万円の影響があったわけでございます。概括的に申し上げましたけれども、ただいまの七億五千万、宇都宮市が自主的に使用のできる財源がこれだけ減額されたということであります。この七億五千万という一般財源がございますと相当の単独事業ができることになります。財政の厳しい中で住民の皆さんの期待にこたえられる単独の投資的事業あるいは社会福祉施策の削減が余儀なくされ、地方自治体にとりましては行政サービスの低下をもろに住民の皆さんにしわ寄せをせざるを得なかったというつらい状況にございます。
 以上、実態の御報告を申し上げました。
#22
○参考人(山本滋君) 私の方は町村ですから、生活保護で直接出すものはございません。したがいまして、主として労働四事業といいますか三事業といいますか、この分が主でございます。全部そのものは人間を使っておりますので休ませるわけにはまいりませんから、その事業をやめるというわけにはいきません。だから、千五百万円の見込みはつきましたが、あとの五千五百万円については交付税で見ていただける予定にはなっておりますが、今のところ計算ができません。しかし、そういう関連で事業そのものをやめることはできません。ただ、五千五百万円がまだ未確定なものだから来るか来ぬかわからぬということから、単費事業について三千万ほど保留、予算を組んでないものがございます。そういうものはありますが、事業そのものをやめたのはございません。
#23
○上野雄文君 この前、補助金一括削減のその補助金等の特別委員会で実は一番問題になったのは、ごく最近話題になっている退職者医療制度の問題なんです。これは一口に言って厚生省の見込み違いで、補助金だけ先にばっさり切られてしまって、後はおまえさんらで努力しなさいという格好でぶつけられたわけです。両市町の実態はいかがですか。
#24
○参考人(増山道保君) 退職者医療制度の対象者の数でございますが、本市の場合、本年四月一日現在で約八千五百人でございます。国民健康保険加入者数が約十三万人を占める。その割合は六・六%。厚生省の当初見込みの一〇%を大きく下回っております。六十年度当初予算の編成に当たりましては、国保会計の歳入につきまして現行の税率ベース及び国庫負担金の改定分で試算をいたしましたところが、約八億円の財源不足に直面をいたしましたので、六十年度からは一五%余の大幅な税率改定を余儀なくされたところであります。また、一般会計からの繰り入れにつきましても七千万円を増額をいたし、二億円といたしました。一般財源も圧迫されたところでございますが、こうしたことから、退職者医療制度の加入は、国全体といたしましても四百六万に対しまして二百六十七万。被用者保険からの拠出金が大幅に減少するとともに、国庫負担率削減の影響は増大をいたしまして、市町村の国保財政を極めて圧迫をしております。
 こうした地方の実情から、五十九、六十年度分につきまして国庫補助金を補てんするようにお願いをいたしたいと同時に、六十一年度以降につきましては、国保保険税の負担増を招かないよう、現行の国保国庫補助制度を見直すように強くお願いをいたしたいところでございます。
#25
○参考人(山本滋君) 国保については非常に困難にしておりますが、現在のところ、私の方では年間予算七億ぐらいのに対して三千万円の単費を補助いたしております。それで、今の率で頑張っておるわけでございますが、老人保健法ができましたときに、これで楽になるのだという感じで受け持ったわけでございます。ところが、あに図らんや、これでまたマイナスが出ております。と申しますのは、それはそれなりに来ておるわけでございますが、高額療養その他が多くなるとともに、国が補助金を切っております。その分がもろに来たわけでございます。
 そこで、その次が退職医療制度でございます。今度は楽になるぞと思っておりましたところが、政府は一〇%見ておけというのが一〇%に及びません。そういうことから、またこれがマイナスの要因になりまして、来年度六十一年からは値上げせねばいかぬのじゃないか。ところが、現在のところ、値上げすれば必ず徴収率が下がります。そこで、値上げした効果が半分しかあらわれないということから苦慮しておるところでございます。ただ、老人医療制度の一割負担ですか、七十歳以上は別として、一割負担の分がどう影響するかというのがまだはっきりつかめておりません、去年の十月からでございますので。それで、療養にかかる者が少なくなるということになれば幾らかは楽になるかと思いますが、今のところ、その見込みは立っておりません。
#26
○上野雄文君 生活保護のことについてお尋ねしたいんですが、これはもう国の負担金が減ってきたわけですから、それなりに大変な影響が出てきているということはわかりますが、宇都宮市の場合は、市としての具体的な対応策といいますか、そういうようなものは何かお立てになったものはありますか。ただ単に転嫁された分だけ穴埋めするということだけじゃなくて、暴力団対策なんかで適正化の通知なんかが来ましたけれども、百二十三号通知、そういうような話もいろんなところでいろんなやり方やっているというのを聞かされておりますが、何か宇都宮で特徴的なことがあったらお教えをいただければと思います。
 穂波の町長さん、この間補助金の特別委員会で週刊誌が持ち込まれて、グラビア版に田川の周辺の記事がそれに載っておりましたけれども、生活保護世帯の率が二七%、ちょっと私どもでは考えられないような高い率なんですね。やはり筑豊の炭鉱地帯だといえばそれなりに同じような傾向があらわれているのではないのかなと思うんですけれども、穂波町や周辺の生活保護の状態など、お教えをいただければ大変ありがたいなと思います。
#27
○参考人(増山道保君) 生活保護に関して宇都宮において何か特別な方策を講じているかという御趣旨の御質問でございますが、生活保護費というものは全国的な見地から画一的、統一的な基準で行われるべきものである。また、他市と比べまして宇都宮市におきましてはその受給率が千人に対しまして六人という状況で、適正な受給者の把握が行われておりまして、特別な対策を講ずることなく円滑に行われている、このように理解をいたして取り組んでおるところでございます。
#28
○参考人(山本滋君) 生活保護につきましては、これは県の福祉事務所が把握しております。したがいまして、私どもは横から見ながら、どうかなという気はいたしますが、直接携わることはできませんし、また昔は国のします民生委員が何らかそういう措置をしておりましたが、今はそのことはありませんので、町としては横で見ておるだけです。過去にこういうことがあったことだけを申し上げましょう。
 このごろは余り聞きませんが、五、六年前、隣が飯塚市でございます、飯塚市は市の福祉事務所が把握するわけで、ケースワーカーをつけるわけです。穂波は県の福祉が行きます。そうすると、飯塚市ではなかなか生活保護になれないというようなことがあるらしいんで、それで穂波に転居します。そうすると、もうごちゃごちゃになっているところですから、穂波に転居してそこで県のケースワーカーで生活保護に認定してもらう、そしてまた転居するわけです。転居といっても本当の転居か何かわかりません。どこかの家におったようにするかもしれませんし、そういうことで生活保護というものは県の方がなりやすいということがあるのじゃないかと思います。それで、件数も八十何件持っておりますので大変だろうと思いますが、そういう点が飯塚市の場合、やはりいわば市役所全員が見ておるという形になるわけです。ケースワーカーが見ますけれども、やはり職員の中でその付近の人がおりますから聞いてみたりするだろうと思います。ところが、県の場合はそれがありませんので、若干ルーズな点があるのじゃないか。
 したがいまして、私ども年に二回その方々と会うことがございます。といいますのが、わずかなものですが、町単費で見舞い金をやっているわけです。そういうときにそういう方々と直接出会いますが、私が十年前なった当時なんか、この人が生活保護だろうかな、おれの洋服よりいいなというような感じがいたしました。しかし、それでもやはりそのころ二千円とか三千円の見舞い金を出しておりましたが、そういう実態がございます。それから、まず遊んでおりますから必ず元気な者はパチンコに行っております。極端に言えば、パチンコで内職をしながら生活保護はもらう。だから、これが町が直接やることになれば幾らか減るかもしれませんけれども、それはまたそれを好んでやりたいことではございませんが、本当にそういう点がございます。
 それで、先ほど言いましたように千三百十七世帯、二千七百六十八人でございますが、月に九千百万円出しております。これがまた町を潤す、商売人を潤す大きなものにはなっているわけですが。自動車を持っておるのもおりますし、何とかせにゃならぬと思いますが、田川ほどはございません。指切ったり、そういうのはおりませんけれども、やはりたちは悪くないが、何となくもらっておる。一たんもらい出すとなかなか切れないものです。それを根拠にしておって別に少しずつ内職入れば基本賃金はもらっているわけですが、そういうことでなかなか切れないようでございます。
#29
○上野雄文君 これも補助金一括の特別委員会で議論をしたのですけれども、ただ単に負担を自治体に転嫁をするだけではなくて、それならばそのようにそれぞれの県市町村で生活保護世帯をなく
すような施策というのが同時に組まれていかなければだめじゃないかというようなことの質問をやったのですけれども、政府の方からは、具体的なものはそれぞれのところでやっておりますと。厚生省はただ厚生という言葉を使って対応しているだけなんで、自治体の側からこういうことをやってくれればなというような何か具体的な問題提起ございますか。生活保護世帯、今穂波の町長さんが言われたみたいに、それをベースにしてやってばかりおられたのでは町全体が活性化しませんし、そういうことで何かこんなことをやってくれればなという、我々が要求をする場合の一つの知恵をおかしいただければと、こう思うのですけれども、御意見がありましたらお聞かせ願いたいと思うんです。
#30
○参考人(山本滋君) これを私の意見としてとってもらうと非常に他の町村に対してぐあいが悪うございますが、先ほど言いました例のように、いわゆる市の場合は厳しくできておる、町の場合は県のケースワーカーですのでなかなか厳しくできてない、保護世帯にするまではいいとして、それから後の変化についてはついていけない。それから、これは昼行ったっておらぬわけですよ。必ず夜行かなければ実態はつかめない。ところが、県の場合はそれをしないわけです。市の場合だったら、やはり怪しいと思ったら晩でも出ていくということがあるだろうと思うんです。そういうことで、やはり身近なところにケースワーカーがあるとそれがある程度厳密にできるということはあろうと思います。それ以上のことは言えません。
#31
○上野雄文君 増山市長さん、何かありますか。
#32
○参考人(増山道保君) 極めて原則的なお答えになろうかと思いまするけれども、上級官庁であります厚生省におきましてそうした地方の実態というものを十分踏まえまして、この取り扱いについて疑義が生じないように、より明確な基準を定めて公平的確な処理が行われるように御指示をいただければという希望を申し上げたいと存じます。
   〔委員長退席、理事岩上二郎君着席〕
#33
○上野雄文君 全くの八百長でなくて、宇都宮市は不交付団体ですね。僕らは宇都宮市に交付税が来るように何とか手を打とうと思っていろんなことを仕組んだわけですけれども、それでもなお不交付団体であり続けるわけです。今度の措置は、何ぼ私たちが中身を検討してみても不交付団体にいい話はないと思うんです。これは市長会としてもあるいは町村長会としても、地方六団体の側から全国的に見て、やはりそのように大変な問題だと私は思っている一人なんでありますけれども、やられっ放しという不交付団体の立場から、増山市長からひとつ恨みつらみを述べてもらえれば、これもまた私は闘いの材料にしていきたいなと思っているんです。ひとつその辺についての所感を述べていただきたいと、こう思うんです。
#34
○参考人(増山道保君) 今回一律削減ということで、私ども不交付団体とは言いながらも非公共事業で約五億三千万、公共事業で二億二千万、計七億五千万という国庫補助率の削減の影響を受けたところでございますが、最終的には地方交付税の振りかえ措置ということになっておりますが、現在本市が不交付団体であるというために、結果としてその恩恵に浴することができません。行政需要がたくさんある中でまことに厳しいというように受けとめております。
   〔理事岩上二郎君退席、委員長着席〕
不交付団体とは言いながらも、日本の経済の貿易摩擦等も含めたそのいかんによっては、いつ交付団体に転落するかもわからないというような状況の中で、厳しいものと感じておりまするけれども、そうした意味におきまして補助率削減措置はこの六十年度限りで、ぜひ六十一年度からは元に戻していただきたいということを、重ねてこの席を通じてお願いを申し上げたいと存じます。
#35
○参考人(山本滋君) 私の方は不交付団体でありませんが、たまたま労働関係が一割削減ということで労働省と交渉をしておりました。五十九年中、労働省を含めて大蔵省に陳情に行ったわけです。そういう中でこういうことを聞きました。もちろん自治省関係の主計官ということを聞いておりましたが、その方から、今度の一割削減はあなたたちのところは何もないですよ、不交付団体を削るための措置です、極端に言うたら、補助金というのは金があろうとなかろうと六割、七割やる、分限者も貧乏人もやるんだ、しかし分限者のところはやらぬでいいじゃないですか、それをこういう形で一割だけもらいました、それが何億か何十億かになりますと、こう言っておりました。本音じゃないかと思って私は聞きました。
#36
○上野雄文君 ほかの先生方お尋ねしないで大変申しわけありませんが、生々しい声を聞きたいためにお二人にお聞きをしたわけです。どうもありがとうございました。
#37
○中野明君 公明党の中野明でございます。
 参考人の先生方には大変きょうはありがとうございます。
 時間が限られておりますので二、三点だけお尋ねしたいと思いますが、今回の補助金削減の法案と私どもは言っておりますが、法律の正式の名前は補助金の整理合理化等に関する法律ということで、名前はまことに結構な名前なんですが、中身は一律カットが主体の法案でありまして、非常に私ども不満足で反対でございましたが、過日通過をいたしました。そこで、いわゆるこういうことが起こってくるのも国、地方を通じて、特に国の方の財政再建ということが全面的に表に出まして、国の財政の都合でこういうことになった。まことに遺憾なことであると思っておりますが、特にこれからは国、地方を通じて行財政改革というのが大きな政治課題になっております。その中でやはり補助金の整理合理化というのが一番私は基本になってくるのではないかと思っております。
 特に、先日も私質問をしたわけですが、この補助金の事務手続、それから申請に要する添付書類その他、非常に労力がかかっておりまして、都道府県では約六〇%というような数字が出ております。市町村段階で四〇%ぐらい労力がそれにとられて、ほとんど地域の住民のことに関しては一一%とかあるいは二〇%ぐらいしか割けないというようなひどい状態でございます。そこで私は、思い切った補助金の整理合理化が必要であり、必要なものは当然それなりの効果が上がってきておりますし、やるべきだと思いますが、零細の補助金はこれはぜひカットしなきゃいかぬ、このように考えております。
 その点で、零細補助金は後ほどお尋ねするとして、この補助金の事務手続の簡素合理化ということについて、現場のお立場から増山参考人と山本参考人に御意見がありましたらお聞かせいただきたいんです。膨大な書類です。私も見せてもらいまして、これほど要るのだろうかと言うんですが、何かこういうものはやめたらどうかというところがありましたら、御意見を最初にお二人からお伺いしておきたいと思います。
#38
○参考人(増山道保君) 地方自治体にとりましては、国の補助金というものは事業を執行する上において大変な財源になっておるわけでございます。従来の慣習から申しますと、たとえ幾ばくなりといえども全力を注いでその補助金を獲得し、ちょうだいをすることが私ども地方自治体の長にとりましては、もう使命感に燃えておりますので、たとえ一尺の山になる書類であっても夜を徹して陳情申し上げてちょうだいいたしておるのが実情でございます。そうした経過の中にありましても、ただいま貴重な御示唆をいただきましたけれども、行政改革、合理化というような面からいうならば、本当に簡素化をしていただきますならば、またある程度のルール化ができるものならばこれにこしたことはございませんので、これからの行政の中でどうぞそういう点に御配慮をいただきながら地方自治体の育成を御考慮いただければ大変幸せだと思います。よろしくお願いをいたしたいと存じます。
#39
○参考人(山本滋君) 今市長さんのおっしゃったのと同じ気持ちでございますが、一部には私どもの方の欠陥もあるのだろうと思いますが、例えば一つの補助金ができ上がったといたします。最初のときは、初年度は三枚か四枚で終わってよかったわけです。そうしますと、今度は枚数が次年度になりますと、三枚が五枚になってきます。と申しますのは、やはり各町、各団体から出ますから、その中でいろいろ照らし合わせた場合、これももう一つつけておいたらいいだろう、これもつけておいた方がいいだろうというのがふえてくるわけです。そして、最終的には膨大なものになる、年数を経るごとになるという傾向があります。したがって、例えば私どもから見て、これだけあるうちのこれとこれは同じで要らぬのではないか、あるいはこの一枚の紙の最後のやつを五番目の紙にちょっとひっつけておけばもうそれで終わるのじゃないか、そういうふうなものはございます。ところが、補助金をもらう方からはなかなか言いにくいのでございまして、やる方がこれは要らぬぞとおっしゃっていただくといつでも減らしますけれども、もらう方からは、これは要らぬでしょうがとはなかなか言いにくうございます。
#40
○中野明君 現場の立場でお気持ちをおっしゃっていただいたのですが、やはりそういうところ、私とはちょっと意見が違うところがあります。
 そこで、これは坂本先生にそれではお伺いをするわけですが、今はしなくも山本町長おっしゃったように、現場におるもらう者からは言いにくいという御心境のようでございますが、先生のお立場で、補助金の手続の簡素合理化という中で、こういうものは実際こんなにまでしなくてもいいじゃないかというようなことについて何か御示唆がいただければ、参考までにお教えいただきたいと思います。
#41
○参考人(坂本忠次君) 具体的にと言われますと、私も現場を担当していませんからわかりませんが、私は大学で地方財政学を教えたり、いろいろ地方財政の調査をしておりますけれども、そういったことの話を聞きますと、やはり二重になっているといいますか、一つは府県と町村の関係があって、特に町村の場合は府県の地方課や市町村課やそういったところでかなりチェックされて、それからまた国へ行く、あるいは直接国へ行くという場合もございますけれども、そういうような二重の構造になっている。府県の場合はもちろん直接陳情するわけですが、そういった面で、やはり何か行政の段階があって、そういうことが日本では伝統的にもう繰り返し行われてきておる。これはなかなか難しいのですけれども、最近は要するにメニュー化とかそういった方向が今出ておりますけれども、何か一定の範囲までは自動承認にできるような、県段階においてもそういうような方向をもう少しいろいろ検討する、そういう方向にぼつぼつなっておりますけれども、その点を一番私は感じているわけでございます。
#42
○中野明君 先ほどの宇都宮市長の増山参考人の御意見にもありましたが、どんな零細な補助金でも書類を山と積んでもというお気持ち、わからぬでもありませんが、行政改革、財政再建、いろいろ言われておりますが、これをやるにはどうしても補助金行政にメスを入れないと、これは絶対に身軽にならないのじゃないかというのが基本的な私どもの考えでありまして、現在第一線の現場におられる御心境としてはそのままお受けいたしますけれども、考え方として、先日も私指摘をしたのですが、わずか十五万とか二十万とか、一つの例を挙げますと米の消費拡大の推進ということで平均で二十五万ぐらいになっています。ですから、少ないところは十六万ぐらい、多いところで、大都会で五十万ぐらいでしょうか。全国の公共団体で二千市町村ぐらいがその事業を実施しているんですが、それも同じように手続にそれこそ書類を山と積まなんだら来ぬのですね。そうすると、計算をしてみますと恐らく書類をつくるだけで経費がもうほとんどかかってしまうのじゃないかというような感じすら受けるわけでして、こういうのはむだなばらまきの補助金じゃないか、そういうのはやめて一般財源化して、そして皆さん方が自由にやれるような形にすべきじゃないかということを言っているわけですが、役所の方は一たん補助金をつくりますとなかなかそれを廃止するということに踏み切れないようでして、私どももこれからその点についてはさらに議論をしていかなければならないと思っておるわけでございます。そういう意味から、お答えにくかったかもしれませんが、お尋ねをしたわけでございますので、御了承をいただきたいと思います。
 それから、今回の一律カットという措置は確かに公平なようにも思いますし、各本省の抵抗を排除するためには一律カットしか方法はなかったろうという気持ちはわかります。しかし、これをやることによって、表面は公平なように見えて、実際は地方の状況によっては不公平になって、弱いところはますます弱くなって格差が広がる。生活保護費は町長さんのところは直接関係ありませんが、人口三万とかあるいは五万とかいうような市にとりましては、これはもう致命傷になってまいりまして、ますます地方公共団体間の格差が広がるということで、私どもは非常に懸念をしております。そういうことにつきまして、この格差を是正するというのがこれからの地方行政の大きな課題ではないかという気もするわけですが、増山参考人、山本参考人、それから坂本参考人も御意見がありましたら、この格差是正についてどういう方法が考えられるか、御意見がございましたらおっしゃっていただくとありがたいなと、こう思います。――結構でございます。
 そうしますと、最後の問題として、先ほど原田先生もお述べになっておりましたが、今回のこの補助金一括法のこの措置、これはどう考えてみましても、大蔵省の答弁も自治省の答弁もそうなんですが、地方に迷惑をかけないようにもう全面的に財源は配慮いたしました、こういうことです。そこまでするのならば、なぜ大騒ぎをしてこれだけの法律をつくって、そして参議院では特別委員会までつくって審議をしたわけですが、先生もさっきちょっとおっしゃっておりましたが、こんなにまでしなければならぬか、それでして、自治省というか、地方公共団体は損害の方ですが、大蔵省側、財政当局に一体どれだけの実利があるのかということです。
 しかも、先ほどから宇都宮市長さんがおっしゃっているように、今年度限りということで、もう本当に地方公共団体としては悲壮な思いでこの措置をのまれた。私どももそう思います。そうなってくると、国会でもそこのところを歯どめをしようと思って苦労したわけですが、附帯決議にもそれをうたっておるわけですが、こういう大騒ぎをしてこんな措置までしてくるという背景の、大蔵省というか、財政当局の意図というのはどういう意図があるのだろうかと先生は思われますか。もしお考えがあればおっしゃっていただきたいんです。私どもはこれを恒久化しようという意図があるのと違うかという心配があったものですから、それで六十年度限りということできつく歯どめをしたつもりでございますが、その辺を含めて先生御意見がありましたら、おっしゃってください。
#43
○参考人(原田博夫君) 大変に難しい御質問で、私もちょっと推測の域を出ませんのですけれども、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国あるいは大蔵省のサイドとしましては、今回の高率補助金をカットするというやり方によって恐らく全体、つまり国の例えば八割負担の部分を七割に引き下げるということは、国は七割しか責任持ちませんよということではなくて、今まで十割だったものを九割にするということで全体の規模の縮小ということを図っているのではないだろうか。それをそういう形ではなくて、補助率削減という形で表現したのではないだろうかというふうに私は理解しておるのであります。そうしますと、恐らく今までの負担額でいいますと、地方が同じ負担額でやれば、当然のことですけれども全体として九割、全体として一割減ってしまう、それで構わないのではないかというふうに、あるいは国の方は最終的にはねらっていたのかなというふうに私は想像しております。
 しかし、いずれにしてもそういうやり方というのは、ちょっと問題の趣旨から申しまして、本来の本質から申しまして余り適切であったとは言えない。やはり生活保護であるならば、それに関しては業務を今までよりも一割減らしますよと初めから公表すべきではないかなというふうに私は考えております。
#44
○中野明君 それでは、最後になりましたが、宇都宮市長さんにもう一問だけお願いをしたいと思いますが、宇都宮市におきましても生活保護で二億八千万円ですか影響を受けた、こうおっしゃっておりますが、それはそれとして、この補助金一括法案が通るまではこれの交付がされないで立てかえをしていただいた、こういうことになっております。それで、法律が通った明くる日十八日に七月分まで前倒し、これは苦労してここまで持ってきたわけですが、前倒しをしてお支払いをするということになって、それによって今まで立てかえられたことに対する利子あるいは得べき逸失利益というのですか、それが何とか埋まるのじゃないかと私ども見ておりますが、その辺は宇都宮市においてはどうでしょうか。
#45
○参考人(増山道保君) 去る十七日におかげさまで法案の成立を見た、その結果早速、国庫補助金を一昨日ちょうだいをいたしました。本市におきましても約六億円というお金をちょうだいをしたわけでございますが、生活保護費とか老人措置費などで現在までに約四億円を支払っております。その財源としての国庫負担金が未収金でございましたために、本市といたしましては二億六千万円の一時借り入れを行いました。その金利が約百二十万円でございますが、このたび六億円をちょうだいいたしたことによりまして、その差額を少し現先とか利回りのいいところへ預金をすることによりまして幾らかでも取り返しがつけられるような財政努力をしたい、このように思っておるところでございまして、格別の御配慮、心から感謝申し上げたいと存じます。
#46
○中野明君 地方六団体絶対反対という立場におられて、最終的には今おっしゃいましたように通って、やれやれというような、まことに奇妙な法案でございまして、私どもも非常に悩みました。こういうことが二度と繰り返されないように我々としても厳重な警告を政府にしたわけですが、今のお話を聞きまして、大体私ども意図したことが満たされるのじゃないかと思って安心をいたしました。
 きょうは皆さん方どうもありがとうございました。
#47
○参考人(坂本忠次君) ちょっと今補足してよろしいですか。時間よろしいですか。
#48
○委員長(金丸三郎君) どうぞ。
#49
○参考人(坂本忠次君) 先ほど中野議員の御質問でちょっと言いそびれましたけれども、格差是正につきましては、特に過疎地につきましては傾斜配分の問題で言えば、今交付税の補正とかいろいろなことでやられているわけでございますけれども、私はやはりそれとあわせて、余り陳情なんかにならない、非常に自動的に来るような、国庫負担金はやはり一定のそういう意味を持っているわけですから、それとあわせてやるという二重論なんであります。
 それから国庫負担金については、町村につきましては府県の役割が非常に大きいわけでございます。だから、府県が大きな調整機能を持っているわけですから、補助金に段階をつけろ、過密ではそういうことをやっているわけですけれども、過疎をそこまでやるのがいいかどうかわかりませんが、私はそういうことを一応は考えているわけでございます。ちょっと補足さしていただきます。
#50
○神谷信之助君 共産党の神谷でございます。
 参考人の皆さん、本当にお忙しいところ、貴重な意見を聞かしていただいてありがとうございます。ただ、私の持ち時間が十五分でございますので、参考人の皆さん全部にお尋ねすることができません。その点、失礼の段はあらかじめおわびを申し上げておきます。
 まず最初に増山参考人に伺いたいのは、同化定着をしている補助金は一般財源化してよろしいという御意見を初めの方でお述べになりました。ところが実際は、一般財源化してもこの六十年度の場合、新たな財源が付与されないままで交付税措置をする、こうなってきていますから、言うなれば、地方財政全体の枠からいうと逆にふえてないわけです。そういう状況になっているわけです。片一方、先ほどの質問に対して今度市長さんは、奨励的な補助金であってもぜひとものどから手が出るほど欲しい、一面でまたそうおっしゃっているわけでしょう。だから、そういう点ではやっぱり意見に若干矛盾した側面が出ているのじゃないかと思うんです。私も定着同化しているもの、これを一般財源化することには賛成なんだけれども、それに応じて財源もちゃんと来て、交付税財源としてふえるという措置がされないと、これは地方の財源をみずから食ってしまうといいますか、そういうことになってしまうというように思うので、この点が一つです。
 それからもう一つは、我々も国会で、六十年度限りの措置で六十一年度からはもとへ戻るのだということで、その点の大蔵大臣や政府関係者の答弁を求めましたけれども、これは絶対にそうは言わない。明らかに六十一年度以降も、全部が全部かどうかは知りませんが、続ける意図を持っているということは、私は明らかだと思うんです。しかし、その中で全部一々御意見を聞くのはなんですから、とりわけお聞きしたいと思うのは、社会保障関係については自治、大蔵、厚生三大臣が一年間協議をして十二月までに方針を決める、協議をする内容は社会保障制度を国と地方がどのように役割分担するか、それに基づいて負担割合を決めようと、こうなるんですね。
 そうすると、これは憲法二十五条とそれに基づく生活保護法の第一条で、国の責任として行う事業として今日まできた歴史があって、それで地方の方も二割は負担をしなさいということで八対二の負担割合になってきているわけです。これを見直して国も地方も共同で責任を持とうと、生活保護法の第一条もそういう意味で変える、生活保護法全体を全面的に変える。あるいは半々にしようとか六、四にしようとか七、三にしようとかということになってくる。この辺はどこへ線を引くかで大議論になります。これは社会保障制度のあり方そのものの根本問題にかかわりますから、十二月までに結論を出せるような生易しい問題ではない、それができるまでは今の状態でいきますのやと、こうなったら、これは何をしておるかわからぬ。そこまで突っ込んだ議論をして機能分担あるいは役割分担を議論をして、そして負担割合を決めようという、そういうことなのかどうかということできのう自治大臣にも聞きましたけれども、そこまではやるつもりはないみたいなんです。そうすると、そこまでやらなかったら国と地方の役割分担といっても決めようがないわけでしょう。
 結局、財政負担をどうするかというだけなんで、銭の話になる。その場合、今度はそれじゃ自治体が三割持ちなさい、四割持ちなさいとなれば、当然財源措置をしてもらわなければいかぬ。交付税率を引き上げるか、あるいは市長さん先ほどおっしゃったように税源の移譲をするか、ここまで踏み込んでもらわなければ困ると、こうなるでしょう。しかし、それはなかなか国の今の財政事情からいうと、要求はしても実現の見通しは非常に難しくなってきた。地方団体の方は搾れば搾るほどもっと取れるのだ、やれるのだという考えが非常に強いわけですね。すなわち、地方団体の方の予算の組み方は、入る金に応じて出る金を決めるのであって、国のように必要な金は出すというて歳入を決めるのじゃないです。税をふやしたり減らしたりするわけじゃないですから、借金をするにも国の承認なしにはできないわけですから、ある意味でいうと、どんどん財政規模を抑えられてきたら、それでやりくりせにゃしようがないと、こうなる。出ることまでしかできない、ないそでは振れませんと市長さん、町長さんが言うたら、しようがないと、こうなるわけです。だから、これは大変これからこの一年間重要な問題になる。私は、これからの地方財政のあり方にかかわる大事な問題になると思うんですけれども、この辺についての御意見を増山市長さんにお願いをしたいと思います。
 それから、坂本参考人にお伺いします。
 先生の書かれた論文も幾つか読ましていただき、また私の国会の質問でも利用さしていただいておりまして、この機会にお礼を申し上げておきたいと思いますが、私はもう今、何といいますか、交付税制度そのものが崩壊の危機に来ているのではないかというように思っておるんです。五十年度以降ずっと膨大な財源不足額を出してきましたし、不交付団体は極めて少ない状態で、圧倒的多数の団体が交付団体になっています。三二%に抑えられて、足らない分は起債なり交付税特会の借り入れでごまかしてきていますから、実際にはもう何といいますか、財政力の差に応じた調整機能を果たしたり、必要な財源を保障するという機能が果たせない状態で五十九年度まできている。ところが、六十年度になったら途端に地方財政計画上収支が均衡するんです。去年の十一月ぐらいまでは、六十年度は財源不足額が一兆五千億というように自治省は言っておりましたけれども、最終段階になったら地方税の伸びが大きくなって、そのほかの理由もありますが、それを中心にして収支が均衡した、足らぬようになったのはカットされた五千八百億だけですと、だからそれに対する財源措置をしましたと、こういうことになってくるんですね。
 何でそういうことができるかといったら、先ほど言いましたように、与えられたものしか自治体の方ではやりようがないということになりますから、そういう状態が起こってくる、それが効くわけですね。だから、そういう点からいうと交付税制度がもう崩壊しつつある。先ほど佐藤参考人にも言いましたけれども、既に交付税の中で、六十年度ですと一兆二千億は借金返しと言われて使途は決められているんです。交付税は自由に使えるという財源ではなくなってきている。そういう点からいいましても、これからずっと続きますから、そういう状態にあるというふうに私は思うんですが、この点についての先生の御見解をお聞きしたい。
 それから、最後に佐藤参考人には、そういう厳しい地方財政のもとで、先ほどの質問にお答えになったように、全体の奉仕者としての公務員労働の特性、これを考えながら自治体労働者が地方自治を守り、住民の要求にこたえられる地方行政を進めていくという点で頑張っておられると思うんですが、どのような展望を持ち、どのような行動をしているかという点で若干意見を聞かせてもらいたいと、このように思います。
#51
○委員長(金丸三郎君) じゃ、三人の方にお願いいたします。よろしゅうございますか。
#52
○参考人(増山道保君) 最初御質問のございました補助金の関連でございまするけれども、先ほど中野先生のお話の中にもございましたように少額零細補助金の関係でございますが、私どもも地方自治体として行政改革、合理化というようなことで、今度は町の中にある各種団体に対する零細補助金を毎年毎年見直しをしながらこれを削ろう、これを何とか抑えようというようなことでやっております。立場が変わりますとこのように変わる。ところが、国に対しましては、どんな小さな補助金でもということで一生懸命やっておりまするけれども、先ほどお話がございましたような例えば米食普及の補助金にいたしましても、地方自治体におきましては年に二回関係者が集まっては、おいしい御飯の食べ方食べさせ方、婦人会とかそういうものが中心になって大変な行政効果を上げている実態というものを私どもも肌身に感じているだけに、それなりの大変な行政効果を上げているという評価もいただきながら取捨選択をしていただきたいな、このように思うわけでございまして、事業の見直し等も十分にやった上で零細なものにつきましては一般財源で手当てをしていただけるならば大変ありがたいと思うのでございます。
 次に、国庫補助金の負担引き下げに伴う地方自治体と国との関係についてでございまするけれども、私どもは先ほどからも申し上げておりまするように、特に六十一年度に向かっての検討につきましては、今回の引き下げにつきまして自治、大蔵、厚生三大臣の覚書にもございますように、六十年度限りの暫定措置である、こういうことでこれを前提としておりまするので、ぜひとも昭和五十九年度までの国庫補助負担率を基点として今後のあり方をさらに検討をしていただきたいというのが私どもの本音でございまして、六十年度の暫定措置を根拠にということは時期尚早かな、ぜひひとつ五十九年度にさかのぼって御検討をいただきたいというのが地方自治体の希望でございますので、御事情を御理解いただきたいと存じます。
#53
○参考人(坂本忠次君) 神谷議員からの御質問でございますが、地方財政が非常に好転しているという意見が強いのですけれども、私はこの点では先ほども申しましたけれども、交付税特別会計の借入金が確かに五十九年度はなかったわけでありますけれども、現実には地方債の増発が非常に多い、これも政策的にやられているわけでありますから。それで、その累積が既に十一兆以上あるということを申し上げたわけですが、これがやはりどんどん拡大しているということをどう見るかという問題と、それから本来地方財政の赤字という概念が国の場合と非常に違っておりまして、地方財政の場合は、地方債が国の許可の範囲の中で処理されておりますから、全くそれは赤字とみなされないというような二つの問題が大きく言えばあるわけでございます。
 したがって、そういった面から申しますと決して好転していると言えない。それから義務的経費が、特に生活保護費なんかが非常に構造化している。義務的経費が上がるのは、都市なんかはもう当然のことですね。だから、そういうようなことを考えると決して単純にいかないわけでありまして、そういう中で私は、交付税制度の今日の三二%を自主的に維持するということは当面やはりしていかなければいかぬじゃないかということを非常に強く強調したいわけでございます。
 この問題は、不交付団体が減って調整機能が落ちているのじゃないかということなんですけれども、確かにそういう面があるのですが、私はやはりこれを今後どういうふうに改革していくかということは非常に難しいのですけれども、道府県内とかそういった問題での調整機能をもっと強化できるようなシステムをもっともっと考えていくべきじゃないかというようなことも考えております。だから、当面これを十分やはり維持しながらそういう方向を今後いろいろ工夫していくべきじゃないかということでございます。
#54
○参考人(佐藤光雄君) 私は、戦後四十年定着をした地方自治というのは既に全国民の民主主義の重要な柱として揺るがすことのできないものに今なっているのではないかというふうに考えます。
 先ほど申し上げたように、交付税制度の実態、一般財源としては二八%弱になっていること、だからこそ四〇%にすべきであるという主張を先ほどいたしました。それは、特権的な減免税の制度、これを改めるとか、また防衛費、軍事費を削減をするというふうな方法こそ必要ではないかと考えています。また、国庫補助金の基準が実態に比べて不当に低いために生ずる地方自治体の超過負担を段階的に解消するために、今こそ国の特別交付金の支出もお願いをしたいというふうにも考えるわけですし、今問題になっております地方交付税制度、これは地方財政の実態に応じて適正に引き上げて、交付税が地域、地方自治体の実態を正しく反映できるような基準財政需要額などの算定の方法についても改善をする必要があるのではないかと考えるわけです。
 しかし、さりとて国も地方自治体も大変な財政危機であることには間違いありません。したがって私どもは、清潔で公正な行政であること、さらに住民に責任を負う行政であること、さらには住民と自治体労働者の参画による行政を目指して運動を、また地方自治体のあり方を追求をする必要があろうかと考えています。そのために私ども自治体労働者としては、現場におきましては例えば窓口業務は昼休みでも行うように改善をするのだとか、公立保育園の保育時間は父母の要求に基づいて適正に延長するのだとか、また図書館や児童館、動物園、植物園などは勤労者や児童にとっては利用度の高い施設に利用時間の延長をするのだとか、また日曜、祝日の開館を行うのだとか、また今真剣に私ども議論をしておりますが、例えば学校給食は児童や父母の要求に応じできるだけ給食日数の一定の延長だとか三季休業中の効果的な業務のあり方等も含めまして追求をしていきたいというふうにも考えているところです。
 いずれにいたしましても、私どもは開かれた地方自治体、しかし同時に地方自治体のあり方には財源が保障されるそういう制度がまた当然必要でありまして、今行われようとしているこの地方交付税法の大改悪と申し上げて過言でないと思いますが、これはぜひ皆さん方御審議をいただきまして、そのようなことのないようにお願いしたいと思います。
 最初に岩上議員から御質問いただいた起債の問題について私の考え方を述べるのが先ほど漏れておりました。
 私は、地方自治体労働者、公務員労働者の賃金のあり方については先ほど申し上げた考え方のとおりでありますが、だからといって賃金ラスパイレスを基準にして国の方針で起債を統制をするというのは、これまた大変な地方自治体への介入になるというふうに考えます。法定主義、条例主義ということも申し上げましたが、そういう前提で地方自治体で決めたそれを国が介入して変えるということは、これは許されないことではないかというふうに考えているところです。
 以上です。
#55
○三治重信君 民社党の三治ですが、各同僚委員から質問がありましたので重複を避けてごく簡潔に御質問をしたいと思うんです。
 山本さん、地方交付税の算定がことしはどれだけ来るのかわからぬというお話だったのですが、今までは大体わかっていたのですか。その点、今まではわかっていたけれども、今度わからなくなったというのはどういうわけか。大体交付税というのは交付の算定が決まっていて、各市町村みんなどれだけ来るかというのが計算できるところに交付税のいいところが、ごまかしがなくていいところがあるのじゃないかと思っているのですが、どうしてことしはどれだけ来るかわからぬようになったのか。それには何か係数がどうのこうのというお話もちょっとあったのですが、そんな点、どういうところに交付税の金額が算定できなくなったと、こう考えておられるのか、その点一つ。
 それから坂本さんに、普通交付税の単位費用の再検討をやるべきときではないか、高齢化社会に向かって、殊に中核都市や地方都市の性格が変わってきているから単位費用の検討をやるべきじゃないかと、こういう御意見がちょっとあったと思うのですが、私もこの地方交付税の配付の基準である単位費用というのですか、この基準をやはり自治省は再検討すべきときではないか、それは非常に難しい問題が、利害関係があるから一概には言えないけれども、やはり社会の変化に応じて交付税の配付の基準の単価というものは一定の時期ごとに変えるべきじゃないかということを考えているわけなんですが、その点についていま少し結論的に言えば、概略的な方向として都市の方が多くなるような単位費用を改定すべきという考えですかどうか。
 それから原田さんに、地方税の改革で大型間接税だとかいろいろあるけれども、いわゆる地方の自主財源ということからいえば、この大型間接税を国がやるよりか地方消費税でやった方がベターじゃないかというような御意見がちょっとあったと思うのですが、そういうことについて、今後税制改正で、殊に地方税において地方の一般的な消費税についてどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお話しいただきたいと思います。
#56
○委員長(金丸三郎君) 御三人に御質問がございましたが、それじゃ山本参考人からお願いいたしましょう。
#57
○参考人(山本滋君) 先ほど申しましたように、私の方で一割カットで減るのが七千万円でございます。千五百万円は建設事業だということで起債を認めるということ、これは地方課の方から参りました。ところが、あとの五千五百万円については交付税の中の単位費用が変わってくるわけです。それから係数も変わってくる。単位費用については今法律が出ておりますので、私どもこれも出発前にもらったわけで、予算算定は大体一月か二月ごろいたしますので、そういう時点では全然わかりません。ただ千五百万だけはわかったという状態でございます。
 特に私の方の場合は労働費でございますので、算定を労働費のみで言ってくるのか、どこでどういう形で来るのかわかりません。全部入れてないということはないですが、そういうことで現在の段階では算定してまいりましたが、果たしてこれだけふえるかどうか。と申しますのは、昨年の算定と、単位費用はわかりましたから、それと単位費用を掛けまして、なお測定単位の変更あるいは補正係数については昨年どおりにいたしております。それで三億二千万ふえるということになるのですが、果たしてこんなにふえるだろうかという疑問を持つわけです。こんなにふえたことありませんから、だからこういうのは補正表の中でまんぐりされるのではないかと、こう思うわけでございます。
#58
○委員長(金丸三郎君) それでは、次に坂本参考人、お願いいたします。
#59
○参考人(坂本忠次君) 先ほどの御質問でございますが、都市ということを強調したのですが、私は特に日本のこの地域的な不均等は大都市圏と地方圏との関係からというよりも、同一府県内部の中核都市とそれから農村過疎地との格差が逆に広がっている面がございます。国土庁の人口統計なんかを見ましても、人口急増都市というのは今地方都市に移りつつあるのじゃないかと思うんです。もちろん大都市も問題は抱えているわけですけれども、そういう中でやはりかつての大都市問題のような問題が今地方の、宇都宮市もございますが、そういうところに移りつつあるという意味で、そこの単位費用をもっともっと、まあ検討されると思いますけれども、検討していく必要がある。
 その面で、補助金の場合にはいわゆる超過負担問題というのがございまして、補助対象基本額に対する実質の補助比率、この計算も難しいわけですけれども、これが非常に一人当たりを見ましても格差があるということで超過負担問題が起こるわけでありますが、それに似たような考え方で交付税の基準財政需要額について、例えば生活保護とかいろいろな問題、そういう高齢化社会がもたらす問題がそこに大変大きくビルトインして義務的経費を上げておりますから、それを同様な考え方で――そういう試算が沖縄とか幾つかあるのですけれども、それをもっともっとやっていく必要があるのじゃないか。その上で基準財政需要額の考え方をもっと充実していくということ、これは一種のシビルミニマム思想とも関係しておりますけれども、こういう検討がもっと補助金に類似してやられていかなければいけないのじゃないかということを申し上げたいわけでございます。おわかりいただけたでしょうか。
#60
○委員長(金丸三郎君) 原田参考人、お願いいたします。
#61
○参考人(原田博夫君) ただいま三治議員の方からの御質問の趣旨は、将来導入されるかもしれないとされている消費税を地方税として導入した際にそれはどういうふうな姿になるだろうかというようなお話だったと思います。
 まだ仮定の話で、仮定の話をこのような国会の場所で申し上げるのはまことに恐縮なんですけれども、原則といたしましては現行の地方交付税の財源として国税三税が決められておるわけですけれども、少なくともそれに十分にかわり得るだけのものでなくてはいけないだろうというふうに思っております。その程度の規模であるべきだろう。そして、財源的には現在は三二%ということですが、実態もうちょっと低いというふうな指摘もございますけれども、そういうふうになっておりますが、これは本来の趣旨から申しまして、もし導入されるならば、その大型地方消費税というようなものの半分程度は地方に固有の権限があるというふうに考えてもよろしいのではないかというふうに私は思っております。
 どうしてこういう消費税というものが地方へ配分するのにふさわしいかといえば、最大の理由は、地域間で財源的に偏在度が、一人当たりに置きかえた場合ですけれども、比較的少ないということが最大の理由であろうかと思います。具体的にどういう税の種類にするかというのは、これは実際に検討してみないと細かい点はわかりかねますけれども、課税ベースで申し上げればそういうことが申し上げられると思います。
#62
○委員長(金丸三郎君) ほかに御発言もなければ、参考人に対する質疑はこれで終わります。
 参考人の方々にごあいさつを申し上げます。
 本日は、長時間にわたりまして、また御遠方からわざわざ御出席をいただき、貴重な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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