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1984/12/20 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第3号
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1984/12/20 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第3号

#1
第102回国会 内閣委員会 第3号
昭和五十九年十二月二十日(木曜日)
   午前十時十三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月十八日
    辞任          川原新次郎君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 友治君
    理 事
                亀長 友義君
                坂野 重信君
                穐山  篤君
                太田 淳夫君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                沢田 一精君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                森山 眞弓君
                小野  明君
                野田  哲君
                矢田部 理君
                峯山 昭範君
                内藤  功君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
   政府委員
       内閣法制局長官  茂串  俊君
       内閣法制局第二
       部長       関   守君
       人事院総裁    内海  倫君
       人事院事務総局
       管理局長     網谷 重男君
       人事院事務総局
       給与局長     斧 誠之助君
       総務庁長官官房
       長        門田 英郎君
       総務庁人事局長  藤井 良二君
       総務庁行政管理
       局長       古橋源六郎君
       防衛庁参事官   古川  清君
       防衛庁長官官房
       長        西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  矢崎 新二君
       防衛庁教育訓練
       局長       大高 時男君
       防衛庁人事局長  友藤 一隆君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁総務
       部長       梅岡  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   説明員
       大蔵大臣官房審
       議官       門田  実君
       労働大臣官房審
       議官       平賀 俊行君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を便宜一括して議題といたします。
 まず、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。後藤田総務庁長官。
#3
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案及び特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について、一括してその提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 本年八月十日、一般職の職員の給与について、俸給及び諸手当の改定を内容とする人事院勧告が行われました。政府としては、その内容を検討した結果、本年四月一日から平均三・四%内の改定を行い、その配分については人事院勧告の趣旨に沿って措置することとし、このたび一般職の職員の給与に関する法律について所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、全俸給表の全俸給月額を引き上げることといたしております。
 第二に、初任給調整手当について、医師及び歯科医師に対する支給月額の限度額を二十一万七千六百円に引き上げるとともに、いわゆる医系教官等に対する支給月額の限度額を四万千百円に引き上げることといたしております。
 第三に、扶養手当について、配偶者に係る支給月額を一万三千二百円に、配偶者以外の扶養親族に係る支給月額を二人までについてそれぞれ四千二百円に引き上げ、この場合において、職員に配偶者がない場合にあっては、そのうち一人について八千九百円に引き上げることといたしております。
 第四に、住居手当について、家賃の月額が一万六千五百円を超えるときに加算することとされている二分の一加算の限度額を月額七千二百円に引き上げることといたしております。
 第五に、通勤手当について、交通機関等を利用して通勤する職員に対する全額支給の限度額を月額一万八千三百円に引き上げ、全額支給の限度額を超えるときに加算することとされている二分の一加算の限度額を月額三千四百円に引き上げるとともに、自転車等を使用して通勤する職員に対する支給月額を引き上げることといたしております。
 なお、交通機関等と自転車等を併用して通勤する職員に対する支給月額についても、引き上げることといたしております。
 第六に、非常勤の委員、顧問、参与等に支給する手当について、支給の限度額を日額二万三千五百円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置等について規定することといたしております。
 続きまして、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について御説明申し上げます。
 この法律案は、ただいま御説明申し上げました一般職の職員の給与改定に伴い、特別職の職員の給与について所要の改正を行おうとするものであります。
 次に、法律案の内容について、その概要を御説明申し上げます。
 第一に、特別職の職員の俸給月額を引き上げることといたしております。具体的には、内閣総理大臣の俸給月額は百六十三万二千円、国務大臣等の俸給月額は百十九万円、内閣法制局長官等の俸給月額は百十三万七千円とし、その他政務次官以下の俸給月額については、一般職の職員の指定職俸給表の改定に準じ、九十六万九千円から八十四万千円の範囲内で改定することといたしております。
 また、大使及び公使の俸給月額については、国務大臣と同額の俸給を受ける大使は百十九万円、大使五号俸は百十三万七千円とし、大使四号俸以下及び公使四号俸以下については、一般職の職員の指定職俸給表の改定に準じ、九十五万九千円から六十二万三千円の範囲内で改定することといたしております。
 なお、秘書官については、一般職の職員の給与改定に準じてその俸給月額を引き上げることといたしております。
 第二に、委員手当については、委員会の常勤の委員に日額の手当を支給する場合の支給限度額を四万千四百円に、非常勤の委員に支給する手当の支給限度額を二万三千五百円にそれぞれ引き上げることといたしております。
 第三に、国際科学技術博覧会政府代表の俸給月額を九十五万九千円に引き上げることといたしております。
 以上のほか、附則においては、この法律の施行期日、適用日等について規定いたしております。
 以上が、これら法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#4
○委員長(大島友治君) 加藤防衛庁長官。
#5
○国務大臣(加藤紘一君) ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、このたび提出された一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に準じて、防衛庁職員の給与の改定を行うものであります。
 防衛庁職員の給与の改定につきましては、参事官等及び自衛官の俵給並びに防衛大学校及び防衛医科大学校の学生の学生手当を一般職の職員の給与改定の例に準じて改定を行うとともに、営外手当についても改定することとしております。
 この法律案の規定は、公布の日から施行し、昭和五十九年四月一日から適用することとしております。以上のほか、附則において、俸給表の改定に伴う所要の切りかえ措置について規定しております。
 なお、一般職の職員の給与に関する法律の規定を準用し、またはその例によることとされている事務官等の俸給、扶養手当、通勤手当、住居手当並びに医師及び歯科医師に対する初任給調整手当等につきましては、一般職の職員と同様の改定が防衛庁職員についても行われることとなります。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#6
○委員長(大島友治君) 以上で説明聴取は終わりました。
 それでは、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○野田哲君 まず、今回提案をされている給与法について、法的側面について幾つか政府と人事院、法制局にただしてまいりたいと思います。
 国家公務員法の二十八条「情勢適応の原則」によりますと、「この法律に基いて定められる給与、勤務時間その他勤務条件に関する基礎事項は、国会により社会一般の情勢に適応するように、随時これを変更することができる。その変更に関しては、人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない。」、こういうふうになっているわけであります。したがって、国会に対して行われた勧告というのは、ただいま後藤田総務庁長官が説明をされたものとは異なるものが国会に勧告をされているわけであります。二十八条に基づいて国会に勧告をされたもの、これをまず審議をすることが国家公務員法二十八条「情勢適応の原則」に基づく審議のあり方ではないか、私はこういうふうに考えるわけであります。
 今回この人事院の勧告とは全く内容の異なるものが政府から提案をされているわけでありますが、これは一体国家公務員法の第何条に基づくものなのか、あるいはその他法律的な根拠があるとするならばそれはどのような法律の規定に基づいて提案をされたものであるのか、まずこのことをお伺いしたいと思います。
#8
○政府委員(藤井良二君) 現行法制上、人事院は、社会一般の情勢を考慮して国家公務員給与の改定を国会及び内閣に勧告することとされております。勧告を受けた国会及び内閣は、人事院勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとして憲法上の評価が与えられているものでございますから、この制度が実効を上げるよう最大限の努力をしなければならないということは言うまでもありませんけれども、最大限の努力が尽くされた場合には仮に勧告の実施が抑制されたとしてもそれはやむを得ない措置として法制上の問題は生じないのではないかというふうに考えられます。
 このように最大限の努力をした上で抑制せざるを得ない場合には、政府においてその権限に基づき責任を持ってその取り扱いを決定し、国会に法律案を提出することができるものと考えられます。
 なお、この場合において政府がどのような俸給表を作成するかにつきましては、人事院勧告の趣旨を踏まえ、合理的な配慮を行った上で行うべきものと考えております。
#9
○野田哲君 私がお聞きしたのは、具体的に何法の同条を根拠にして今回の提案がなされているのか、このことをお聞きしているわけなんです。少なくとも、国家公務員法二十八条に基づいて国会に勧告をされたものではないものを審議してくれ、こう言われているわけでありますから、私どもは国家公務員法の趣旨からいえば国家公務員法二十八条の趣旨に沿って八月十日に出されたものを審議をするのが国家公務員法の趣旨に沿うものではないか、こういうふうに理解をしているわけなんですけれども、この二十八条に基づいて勧告されたものとは別のものを政府が提案して審議してくれというわけでありますから、それは一体どういう法的根拠に基づくものか、具体的に何法の第何条によるのか、これを聞きたいと思うんです。
#10
○政府委員(関守君) お尋ねの今回の一般職給与法案につきましても、これを内閣として提出いたしました根拠は他の法案と同様でございまして、内閣法第五条の「内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、」云々という規定がございますけれども、この規定を根拠としているものと考えております。
#11
○野田哲君 内閣法五条という説は私は今初めて聞いたわけですけれども、そうすると二十八条は一体どう理解をすればいいんですか。国家公務員法の二十八条、その点はどうなんですか。国家公務員の給与に関する事項については、国家公務員法、それからいわゆる給与法と言われている一般職の職員の給与に関する法律、この二つの法律に基づく以外には私は考えられないことではないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#12
○政府委員(関守君) 法案の提出根拠といたしますと、内閣から提出をいたしますのは、この内閣法五条に内閣総理大臣が内閣を代表して提出するのだということが書いてございますので、これに基づいてやるわけでございます。国会の方で法案についての国会議員の方々による御提案あるいはそれの議決をされるということはこれまた当然でございますけれども、内閣が提出いたしますのはそういうことだというふうに考えております。
#13
○野田哲君 内閣として国会に法案を提出する権限があるということは、今あなたに説明していただかなくてもわかるんです。わかるんですが、国家公務員法の二十八条によると、「情勢適応の原則」が定めてある。これによると、社会一般の情勢に適応するように勤務時間や勤務条件、給与等の基礎事項は国会で変更するのだ、そしてその変更に関しては人事院においてこれを勧告することを怠ってはならない、こうなっているのだから、少なくともここで審議する公務員の給与に関する法律についてはただ内閣は国会へ法律を出す権限を持っておりますよ、これだけでは私は説明になっていないのじゃないかと思うんです。一体、総務庁としてそういうことをやられた具体的な法律的な根拠はどこにあるのか、これを示してもらいたいと思うんです。
#14
○政府委員(藤井良二君) 一般職の職員の給与に関する法律は国家公務員法と並んで国家公務員に関する制度の一環である給与制度を定めるものでございまして、この法案の立案は、総務庁設置法第四条第一号「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」という規定に基づきまして、総務庁の所掌事務及び権限の範囲内に属するものとして提出しているわけでございます。
 人事院の勧告というのは、給与法の改正によって具体化され、実施に移されるものでございまして、勧告を受けた内閣はその取扱方針を決定し、総務庁設置法の規定の定めるところにより人事行政に関する事務を所掌する総務庁をして俸給表の改定を含む給与法改正案の立案に当たらしめ、閣議の決定を経て国会に提出したものであり、法律上問題はないと考えております。
 なお、過去に人事院勧告を完全実施した場合におきましても、内閣の決定に基づき内閣が給与法改正案を作成し、国会に提出したものと考えております。
#15
○野田哲君 人事局長は、今具体的には総務庁設置法の四条一号によったものだ、こうおっしゃるわけですが、この四条一号は「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」、こうなっているわけですが、勧告とは別の俸給表を提出することもこの四条一号の中に含まれるのだというのはどうもちょっと私はこじつけのような気がするんです。
 なお、総務庁設置法四条を見ると、五号のところで「特別職の国家公務員の給与制度に関する事務を行うこと。」というくだりがあるわけです。給与制度のことについてこういう措置が自由にとり得るのだということであれば、私はこの設置法四条の中にも「特別職の国家公務員の給与制度に関する事務を行うこと。」という規定だけではなくて、一般職並びに特別職の国家公務員の給与制度に関する事務を行うこと、こういうふうになっていなければいけないのじゃないかと思うので、一般職の給与制度に関することが総務庁設置法の四条の中で所掌事務権限の中から抜けているというのは、これは別に国家公務員法によって俸給表の作成等、給与準則の取り扱い等は後でまた伺いますが、人事院の権限として定めてあるから私はこの総務庁設置法の四条からは省いてあるのじゃないか、こういうふうに受けとめるのが素直な理解じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#16
○政府委員(藤井良二君) 総務庁は、総務庁設置法第四条第五号「特別職の国家公務員の給与制度に関する事務を行うこと。」の規定に基づきまして、特別職の職員のうち内閣総理大臣、国務大臣等の給与を規定している特別職の職員の給与に関する法律に規定する関係大臣等からの協議の処理その他の施行事務をも行うとともに、特別職給与法の立案をも行っているところでございます。
 一方、一般職の職員の給与に関する法律は、国家公務員法と一体のものとして一般職国家公務員に関する制度の一環たる給与制度を定めるものであり、総務庁設置法第四条第一号「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」の規定に基づき総務庁がその立案に当たっているところでございます。
 特別職の職員につきまして特にこのように書いてございますのは、一般職の職員につきましては実施及び施行事務を人事院の方で行っているわけでございますけれども、特別職の職員については施行事務ないし実施事務を総務庁の方で行っておりますので、このように書き分けているのじゃなかろうかというふうに思われます。
#17
○野田哲君 もうちょっと具体的に伺いたいと思うんですが、まずそれでは人事院の方に伺いたいと思います。
 国家公務員法の六十三条「給与準則による給与の支給」、こういう規定があります。「職員の給与は、法律により定められる給与準則に基いてなされ、これに基かずには、いかなる金銭又は有価物も支給せられることはできない。」、「人事院は、必要な調査研究を行い、職階制に適合した給与準則を立案し、これを国会及び内閣に提出しなければならない。」、こういうふうになっているわけでありますが、この給与準則というのは今制定されていない。そうすると、これに該当するものというのは一体どこにあるわけですか。
#18
○政府委員(斧誠之助君) 最初に、給与準則につきまして人事院の提出義務が今、先生お読み上げになりました六十三条二項で規定されております。これにつきましては、二十八年に国会と内閣に提出申し上げておるわけでございますけれども、まだその制定を見ていないということであります。
 どういうことかと申しますと、国家公務員法の二十九条の「職階制の確立」という規定の第五項、ここのところに一般職の職員の給与に関する法律が、給与準則が制定されるまでの間は職務分類についてこの給与法が適用される、こういう規定もございます。給与法の方にも同趣旨の規定がございます。そういうことで給与準則にかわるものとして現在一般職の職員に関する給与法、これが制定されておるということでございます。
#19
○野田哲君 六十三条の給与準則にかわるものとして一般職の職員の給与に関する法律が定められている、こういうことですね。
 そういたしますと、この六十三条の二項で「人事院は、必要な調査研究を行い、職階制に適合した給与準則を立案し、これを国会及び内閣に提出しなければならない。」、さらに六十四条で「給与準則には、俸給表が規定されなければならない。」、そして「俸給表は、生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」、こうなっているわけであります。今提案をされている一般職の職員の給与に関する法律では、「人事院の決定する適当な事情を考慮して定められ、」云々、こうなっていないわけでしょう。人事院が調査し、そして民間の賃金と比較をし、そして人事院の決定する判断によって配分をされた俸給表を無視して別の俸給表を提出されているわけでありますから、これは六十四条の俸給表の備えておらなければならない条件を備えていない俸給表、こういうことになるのではないかと思うんですが、総務庁いかがでしょうか。
#20
○政府委員(藤井良二君) 人事院は、俸給表を作成するに当たりまして、生計費、民間賃金等を考慮していると理解しております。このうち生計費につきましては、その傾向を考慮し、俸給表上の配分に生かしているというふうに聞いております。今回政府で作成いたしました俸給表は、閣議決定でも明らかにしているように、本年度の人事院勧告で示された配分に従いまして引き上げ額を比例的に圧縮したものでございまして、傾向としては今、先生が言われたような要素も十分に配慮しているものと考えております。
#21
○野田哲君 「生計費、民間における賃金その他人事院の決定する適当な事情」というのをどう取り入れてあるのかといって聞きますと、配分についても人事院の勧告の配分に従ってということですが、配分については、今計算機を回す、あるいはコンピューターで六・四四分の三・三七でそれは配分の傾向については出せるでしょう。しかし、生計費や民間における賃金、つまり水準を落としたことはこれは六十四条に定めている要件を備えていないのじゃないか、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。あなたのおっしゃるのは、ただ人事院の俸給表の配分の傾向に従ってつくったのだと。一番肝心の率を下げたこと、これは生計費や民間の賃金等を考慮したとは言えないのじゃないですか。
#22
○政府委員(藤井良二君) 今回提出しております給与法に掲げられております俸給表、これは先ほど申し上げましたように、生計費、民間賃金の考慮の結果出された勧告を十分に配慮して作成されているわけでございます。したがいまして、人事院の勧告の水準は下回っておりますけれども、人事院が配慮したような配分の傾向というものは十分に生かされているというふうに考えております。
#23
○野田哲君 民間における賃金とはどういうふうに比較をしたわけですか。
#24
○政府委員(藤井良二君) 人事院勧告で出されました俸給表が民間賃金との比較において作成されたものであり、それを圧縮、比例したものが今回の俸給表となっているわけでございます。
#25
○野田哲君 だから、つまり比較較差を圧縮しているわけです。圧縮しているのだから、六十四条の規定に基づく俸給表であるかどうかということにつきましては、これは明らかに俸給表に定めなければならない原則を外れている、こう言わざるを得ないと思うんです。
 生計費の問題について具体的に伺いたいと思うんですが、総務庁としては設置法の四条に基づいて提出をしたのだ、こうおっしゃっている。その四条の一項では「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画する」、こうなっているわけですが、総務庁としては生計費の調査をやったんですか。
#26
○政府委員(藤井良二君) 総務庁としては生計費の調査はやっておりません。ただ、人事院の方の行いました生計費の調査その他を参考にして今回の俸給表を作成しているわけでございます。例えば、基準といたしまして八の三号俸が、一応東京における独身青年男子の標準生計費を比較するわけでございますけれども、これは手取りで見ましても標準生計費を上回るような額となっております。
#27
○野田哲君 それはちょっと、藤井局長、問題があるのじゃないですか。
 それでは、人事院に確かめますが、人事院で調査をした生計費、独身男子、これは東京では八万七千二百五十円、それから全国平均では八万四千九百十円、こういうふうになっていたと思うんですが、どうでしょうか。
#28
○政府委員(斧誠之助君) ただいま御指摘のとおりでございます。
#29
○野田哲君 今の生計費の私がお伺いした金額、これはそのとおりだという指摘があったわけであります。
 そこで、人事院はこの生計費についての調査をやった上で、藤井局長が今説明された高卒の十八歳の初任給、一般職の俸給表の八等級の三号ですか、これは勧告によると、調整手当九%を含んで十万一千八百六円、それから調整手当のつかない地域では九万三千四百円、こういうふうになっていると思うんですが、人事院そうですね。
#30
○政府委員(斧誠之助君) 俸給が調整手当のつかない地域で九万三千四百円という勧告でございます。東京の場合九%プラスしまして、とっさに合計出ませんので、多分先生のおっしゃるとおりだろうと思います。
#31
○野田哲君 そういたしますと、勧告によれば、この生計費八万七千二百五十円に対して、実際は今の確認をした金額から共済組合の掛金など長期、短期を引きますから、東京で八等級の三号は九万一千四百二十円、それから全国では八万三千十四円、こうなるわけなんです。
 ところが、今回の改正案によりますと、東京で調整手当を含めて八万八千七百七十七円、全国で調整手当のつかないところでは八万六百十四円、こうなるわけです。これにはまだ税金が入っておりません。東京の場合、調整手当がつく地域でも八万八千七百七十七円からさらに所得税を引きますと八万七千百八十七円、こういう手取り額になるわけです。それから調整手当のつかないところでは社会保険料と税金を引きますと七万九千八百六十四円、八万円を切るわけなんです。これは人事院が調査をした独身男子の生計費、東京では八万七千二百五十円、全国では八万四千九百十円、これを大きく下回っているんです。特に、全国で調整手当のつかない地域では生計費を五千円以上下回っていることになるんです。これで人事院の調査をした生計費を考慮しているということに、局長はさっき胸を張って言われましたが、一体そういうことになっているんでしょうか。これは生計費に合わそうとすれば、所得税を払わない、社会保険料も払わない、そうでなければこれは合わないですよ、人事院の調査した独身男子の生計費に。どうでしょうか。
#32
○政府委員(藤井良二君) 私どもで計算いたしました東京の独身の青年男子十八歳の八の三の手取り金額でございますけれども、これは八万八千四百二十円になっております。したがいまして、先ほど人事院の言われた八万七千二百五十円に比べますと千百七十円上回っているという形になっております。
#33
○野田哲君 調整手当のつかないところでどうですか。
#34
○政府委員(藤井良二君) 調整手当のつかないところの手取り額は八万四千八百十二円でございます。それに対して、先ほど人事院から述べられました生計費でございますけれども、これが八万四千九百十円ということで、百円未満を切り捨てますとほぼとんとんということでございます。
#35
○野田哲君 今の調整手当のつかないところの金額、具体的にどうしてそういうふうになるんですか。改正額では八等級の三号は九万七百円でしょう。それから社会保険料、いわゆる共済の掛金、長期千分の七十一・二、短期千分の四十、これを引くと八万円をかなり下回ることになるんですが、どういう計算になっているんですか、今の説明では。
#36
○政府委員(藤井良二君) いろいろな公課だとか社会保険料の負担を除いた額は、私どもが計算したのは八万四千八百十二円になっております。これに対しまして標準生計費が八万四千九百十円でございますから、具体的には九十八円の三角が立っておりますが、大体百円未満切り捨てということでとんとんというふうに申し上げたわけでございます。
#37
○野田哲君 私の計算は、それじゃ間違っていますか。社会保険料が千分の七十一・二と千分の四十、一万八十六円かかる。九万七百円からそれを引きますから八万六百十四円。それからさらに所得税を引きますね。この社会保険料の一万八十六円と所得税七百五十円、これは間違いないでしょうか、どうでしょうか。
#38
○政府委員(藤井良二君) ちょっと地方の方の内訳は持っておりませんけれども、東京の標準生計費でございますけれども、これが俸給が九万七百円でございます。これに調整手当八千百六十三円を加えます。したがいまして俸給月額としては九万八千八百六十三円になります。これに共済掛金が八千六百四十三円、所得税が千八百円、差し引き手取り額が八万八千四百二十円ということでございます。これに対して標準生計費が八万七千二百五十円でございますから、千百七十円上回っているという計算になっております。
#39
○野田哲君 東京の場合で言えば辛うじてとんとん。ちょっとあなたの計算と僕の計算違うんですが、社会保険料や税金が。それから全国の場合で言えば、明らかにこれは八万円を切る、手取額は。九万七百円に対して社会保険料が一万八十六円、所得税が七百五十円、したがって七万九千八百六十四円、こうなる計算を私はしているので、東京以外の調整手当の非支給地域においてはこれはかなり今回の提案をされたものでは生計費を下回っている、こういうことを私は指摘せざるを得ないと思うんです。したがって、これは国家公務員法の六十四条に定める要件を備えていない俸給表と言わざるを得ない、こういうふうに考えるわけです。
 局長、あなたの計算と僕の計算違うんですが、もし私の計算の方が正しくて手取り額が生計費を下回っている、法律に基づく社会保険料や所得税、これを払ってその手取り額が人事院が定めた生計費を下回っているとしたら、ここは訂正をされますか。どうでしょうか。
#40
○政府委員(藤井良二君) 標準生計費の問題でございますけれども、これは先ほど申し上げましたように、人事院の方としてはその傾向を見ながら俸給表を作成しているというふうに聞いております。したがって、傾向を見る場合に百円未満の切り捨て、切り上げが出てくるわけでございますから、その辺、先生と私の計算方法が違いますけれども、私どもの計算としては百円未満の切り上げ、切り捨ての関係で全国の場合には九十八円ぐらい下回っていますけれども、東京の場合には千百七十円ばかり上回っていると考えておりますので、これを直す考え方はございません。
#41
○野田哲君 あなたは先ほど、生計費を満たしている、こういうふうに胸を張って答えられたわけです。私の計算では生計費を満たしていない、こういう計算になったので、もし私の言う指摘がそのとおりであればあなたの言う生計費を満たしているということにならないので、生計費を上回るようにここのところは調整すべきではないですか。どうでしょうか。
#42
○政府委員(藤井良二君) 先ほどから申し上げておりまするように、この標準生計費というのは人事院の勧告俸給表におきましても傾向として考慮されているということでございますので、多少の差がございましても傾向としてこれが入っているとするならば俸給表を調整する必要はないと思います。
#43
○野田哲君 それでは生計費以下で我慢しろ、こういうことなんですか。
#44
○政府委員(藤井良二君) 私どもといたしましては、この標準生計費というのは人事院と同じように傾向として配慮してこういう結果が出ているわけでございますから、これをさらに調整する必要はないというふうに考えております。
#45
○野田哲君 私は傾向を聞いているのじゃないので、生計費を満たしているか満たしていないか、こういうことを聞いているのであって、あなたは先ほど人事院が調査をした生計費を満たしている、こう言われた。私は計算をして、法律に基づく社会保険料や所得税を払えば人事院が調査をした生計費を下回っている、こういう指摘をしたわけで、これはやはり考えなければならないことじゃないか、そういう点からこれは国家公務員法の六十四条に定めている俸給表の要件を満たしていないのじゃないか、こういうふうに指摘をしているわけです。これはひとつ大臣も、そういう問題点があって、計算をきちっとしなければ明確にならない点があるとしても、生計費を下回っているというような問題が含まれて俸給表としては適切を欠いている、こういう点を指摘して、私は次の問題に移っていきたいと思うんです。
 一般職の職員の給与に関する法律の二条で人事院の権限を定めています。その三号で「職員の給与額を研究して、その適当と認める改定を国会及び内閣に同時に勧告すること、」、こういうふうに人事院の権限を定めているわけです。別の項でやはり内閣の権限を定めている規定があるわけでありますが、この一般職の給与の法律の二条について人事院それから総務庁では一体どのように考えているのか。これを見ると、明らかにこの一般職の給与に関する法律の二条からしても、俸給表を作成すること、その適用範囲を決定すること、これは人事院のやるべき権限であって総務庁の権限ではない、こういうふうに私は理解するわけですが、いかがでしょうか。
#46
○政府委員(斧誠之助君) 給与法第二条の第三号、これは人事院の勧告権限を定めた規定でございます。前段で、研究の結果、国会及び内閣に勧告することができる、後段で、調査研究をしてそれを国会及び内閣に報告しなければならない、こういうことでございまして、この給与額――申し忘れました。給与額についての調査研究でございますが、給与額の中には俸給、諸手当、そういうものも含んだものであるというふうに人事院は考えておりまして、そういう意味からいいますと、俸給表につきましては勧告に当たって人事院が作成する権限を持っておる、こういう規定であると思っております。
#47
○野田哲君 国家公務員法の三条で人事院の所管事項を定めている。そして、十八条の二で内閣総理大臣の公務員制度に関しての所管事項を定めています。十八条の二によると、内閣総理大臣の所管事項というのは、「法律の定めるところに従い、職員の能率、厚生、服務等に関する事務をつかさどる。」、そこで括弧して「第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。」、こうなっているわけです。
 ですから、先ほど人事局長は、今回の給与法改正案は一体どういう根拠に基づいて出されたのか、こういう点について、これは総務庁の設置法の四条、これによって提出したのだ、こういうふうに答えられているわけでありますけれども、この総務庁の設置法の四条の一号「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」、これは国家公務員法の十八条の二の内閣総理大臣の権限として定めている、これを受けて総務庁設置法にうたわれているのじゃないかと思うんです。職員の能率や厚生、服務等に関する事務、そしてそれは人事院の所掌に属するものを除くのだ、こうなっているわけであります。
 そして、第二項で「内閣総理大臣は、前項に規定するもののほか、各行政機関がその職員について行なう人事管理に関する方針、計画等に関し、その統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどる。」、こうなっているわけですから、国家公務員法の十八条の二の規定によると、内閣総理大臣の公務員制度に関する職務というのは人事院の所管する事項を除いたものなんだ、こういうふうにはっきり書いてあるわけなんです。そして、人事院のやるべき権限としては、人事院は法律の定めるところに従い、給与その他勤務条件の改善、人事行政の改善に関する勧告等々ここにずっとうたわれているわけなんです。
 ですから、この理解からしても内閣総理大臣の職務権限というのは人事院の所管する事項を除くものなんだ。そして、人事院のやるべきこととしていろいろ定めてあるその中に勧告やあるいは勤務条件の改善あるいは俸給表の作成、こういうものが定めてあるわけです。ですから、やはりこれは私はこの人事院制度を定めている国家公務員法というものを少しこじつけて解釈をされているのじゃないか、こういうふうに思うわけでありまして、俸給表の金額を定めることやあるいは人事院の所管すべき事項、これはそれでやはり厳重に守られるべきことが必要なんじゃないか、こういうふうに思うんですが、この点についての、法制局、それから人事院、総務庁、それぞれ見解を伺いたいと思うんです。
#48
○政府委員(関守君) 御指摘の国家公務員法第十八条の二の規定は、中央人事行政機関としての内閣総理大臣の所掌事務を規定しているものでございます。これを国家行政組織の面で見ますと、つまり国家行政組織法の四条に基づいて所掌事務、権限は別に法律で定めるということになっておりますけれども、それで対応している規定といたしましては総務庁設置法の四条の三号の規定が対応しているのじゃないかというふうに考えられます。
 他方、人事院の勧告を受けて国会に提出する一般職の職員の給与に関する法律の改正案を作成する事務は、これは勧告を受けてやるわけでございますので、人事院の所掌に属するものではなく、同条第一号に規定する国家公務員に関する制度に関し企画する事務に含まれるものとして総務庁の所掌事務とされているというふうに考えるわけでございます。
#49
○政府委員(藤井良二君) 今の御説明のとおりだろうと思います。
 要するに、人事院は俸給表を作成し、その権限に基づいて俸給表の改定案を作成して国会及び内閣に勧告をする権限を有するわけでございますけれども、給与法そのものを国会に提出の権限はございません。したがいまして、給与勧告というのは給与法の改正により具体化され、実施に移されるものでございますから、勧告を受けた内閣としてはその取扱方針を決定し、総務庁設置法の定めるところにより人事行政に関する事務を所掌する総務庁をして給与法改正案の立案に当たらしめ、閣議決定を経て国会に提出するということだろうと思います。
#50
○政府委員(斧誠之助君) 人事院が勧告に当たりまして、給与改定の内容、俸給表、諸手当含めまして勧告申し上げております。これは、先ほど来御議論になっております生計費、民間賃金、その他人事院が決定する事情ということで、物価とか、あるいは民間の配分状況とか、あるいは職員団体の要求、各省の要求、こういうものをもろもろ勘案いたしまして、最も適当である、最も適切であるということで勧告を申し上げておるわけでございますが、それではそれと異なるものが政府によって改定内容が作成された場合にこれが違法であるかどうかというぎりぎりのところになりますと、なかなか違法とは言えないということでございますという御答弁を従来から人事院はしておるわけでございます。
 ただ、今申し上げましたように、人事院の勧告というものはそういう内容を備えたものであるという確信を持ってやっておるわけでございますので、勧告制度の趣旨というものをひとつよく御理解いただきたいというのが人事院の考えでございます。
#51
○野田哲君 藤波官房長官、いろいろ飛び飛びのあれなので、本当からいえばずっと座って聞いてもらっておりながら見解を伺いたいんですけれども、いろいろ職務があるようですからやむを得ませんが、しかし官房長官は給与関係閣僚会議の座長をやっておられるわけでしょう。だとするならば、この法案について、やはりずっと全時間ここに出席をして質問に答えてもらいたい、このことを私は強く要望しておきたいと思うんです。ちょっと質問しにくいんです、飛び飛びだから。
 そこで、まず今の時間に伺っておきたいのは、十月三十一日に三・四内という決定をされた、その後で何か変な談話を出されております。どういう意味かよくわからない。本年度を含めておおむね三年をめどに、こういうふうな意味にとれるのだということなんですけれども、談話そのものがどうもわかりにくい。「来年度以降においては、給与改定後の官民較差が、少なくとも本年度程度更に縮小されるよう鋭意努力してまいる所存であります。」、これは一体どういう意味なんですか。
#52
○国務大臣(藤波孝生君) 先ほど来お話が出ておりますように、人事院勧告制度の趣旨を尊重いたしまして、政府として誠心誠意給与関係閣僚会議を回を重ねて開きまして、政府の態度を決めるためにいろいろ話を煮詰めたところでございます。当然完全実施すべきものでございますけれども、いろんな角度から検討を加えまして、今お話しのように完全実施ということはなかなか難しい、こういうことになりましてその方針を決めた次第でございます。
 ただ、態度を決めますまでの間にいろんな御意見がございました。その非常に有力な意見は、五十七年度、八年度、見送りあるいは抑制で来ておる、その間に較差が非常に大きくなってしまっておって、それを完全実施できない場合にはどのように考えるのかというような御意見がございまして、公務員の方々の士気あるいは将来への希望、さらに非常に心配をいたしております公務員に人材を確保するといったようないろんな角度から考えまして、従来抑制をいたしてまいりまして、いわゆる較差という形が広がっておりますその部分についてなるべく早くこれを解消して完全実施に持っていく、こういう感じが出されることが望ましい、こういうふうな各方面からの強い意見がございました。
 総務庁長官、大蔵大臣などを中心にいたしましていろいろ検討もし、労働大臣初めそれぞれ大臣からもいろんな御発言があり、そういう中でどういうふうに各方面のお気持ちにこたえるかということをいろいろ考えまして、官房長官談話の中で、ことしもこの較差の解消に努力をした、来年も完全実施に向けて全力を挙げて取り組む、しかし来年完全実施できない場合にも、ことし取り組んだその気持ちを頭に置いて、少なくともことしを含めて三年間で従来のいわゆるげたを履いておる部分を解消して、そして完全実施に持っていくようにしたいものだ、こういう気持ちをその官房長官談話の中であらわそうとしたものでございます。
 少し表現がわかりにくいのは、三年間でこれを解消いたしますというようなわかりやすい表現でいたしますと、これは人事院の来年の勧告を今から予測をしたり、あるいは来年取り組む態度を今から内外に示しておるようなことになるのではないか、そのことは人事院勧告制度から見てよろしくない、このように考えましたので、少しわかりにくい表現にしてそのことを気持ちとしてあらわそうとしたというのが実は官房長官談話の内容の真意でございまして、三年間をめどとして完全実施に持っていくという、少なくともそれだけの手かせ足かせを政府自身が自分に課した、こういうふうな気持ちで談話を発表したところでございます。
#53
○野田哲君 この談話を読んで、私どもが何でこんな決定をやったのだ、この談話は一体何ですか、こう詰め寄ると、「来年度以降」云々よりもその前に書いてあることをよく読んでくれ、こう言われるわけです。前には「人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいります。」云々、こうなっているわけです。「人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいります。」、そこをひとつよく読んでくれ、そこなんだ、こう言われるでしょう、長官。
 ところが、官房長官の記者会見の記録を見ると本音が出ているわけです。五十九年十月三十一日、水曜日、十二時三十九分から四十三分までの間、そこでは、「これは、三年で要するに格差を完全実施にもっていくという意味に受け取ってよろしいんですか。」、こういう質問に対してずっと数字を挙げて答えておられるわけです。「昭和五十九年四月一日から平均三・四%内の給与改定を行うということが決まりまして、その結果給与改定後の官民格差は昨年度の四・三六%から二・九%程度というふうに」、数字はともかくとして、ちょっと問題があると思うんですが、「一・五%程度縮小されたというふうに考えるわけであります。今後、完全実施に向けて努力をしてまいりますが、今の談話の中にはいっておりますが、本年度において改定後の官民格差が一・五%程度縮小したものと、少なくとも同程度の格差の縮小にっとめるとこういうふうにいっておりまして このことは、本年度を含めておおむね三年をめどとして官民格差が解消され勧告が完全実施されるよう鋭意努力する所存であるというのが考え方であります。」と、これの最後のところが本音ですね。
 そして、これと同じ内容のものがILOへ追加情報として行っているわけです。だから、完全実施を求める労働組合や私どもが、一体何ということですかと、こう言うと、「完全実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいります。」、ここを読んでくれ、こう言われるわけです。新聞記者とのやりとり、あるいはILOなんかには本音の方が追加情報として行っている、こういう使い分けは私はよくないと思うんです。やっぱり本音でやってもらわなければいけない。
 これは総務庁長官にもちゃんと聞いておいてもらいたいと思うんです。この一番の問題は、六十一年には完全実施をいたしますというところをあなた方は評価してもらいたいと思うのだろうけれども、先の見通しを立てたのだからいいじゃないか、そこの評価をする向きもあるいはあるかもわかりませんが、しかし制度として来年の勧告を値切りますよということをこれは宣言していることでしょう。そうでしょう。こういう扱いが一体ありますか。予告しているんですよ、来年の勧告を値切りますということを。こんなむちゃくちゃな考え方が談話で出されているというのは一体どういうことなんですか。
#54
○国務大臣(藤波孝生君) 今、委員が御指摘になりましたように、この官房長官談話の中に、来年度以降のことについても人事院勧告が出ました段階で完全実施に向けて最大限の努力をするということをまず申し上げておるわけでございまして、それが政府の基本的な姿勢でございます。ことしもそのためのあらゆる努力をしてみたわけですが、完全実施という決定がなかなかとれなかった。これは財政事情その他いろいろございまして、総合的にその態度を打ち出さざるを得なかったわけでございます。まことに申しわけのないことだ、このように考えております。
 いつまでもこういうふうに抑制をしていくということで公務員の士気に大変影響があるという御心配が各方面から寄せられましたので、先ほど申し上げましたように、来年も完全実施に向けて最大限の努力をするということをまずうたい上げまして、そのことが主でございます。それで、もし来年最大限の努力をしてそれでもなお完全実施ができない場合でも、ことしも含めて三年間かかったらこの較差というのはゼロにするということを最低限の話としてどこかで触れさせていただくことによって公務員の士気が阻喪しないように配慮しなければなるまい。
 これは一般に、大体較差がやっぱり解消するのには六年か七年かかるのではないだろうか、今日の財政事情では相当年限をかけないと無理なのではないかというようなそういう意見が相当流れましたので、むしろそういうふうにいつまでたっても抑制基調でいくのだというような感じをどこかできちっと歯どめをかけなきゃいかぬ。むしろ、そんなふうに考えましたのが真意でございまして、決して来年も再来年も完全実施ではありませんということを申し上げようとしたのではなくて、来年も再来年も完全実施を目指して最大限の努力をしていきたいというのが本当のところであるというふうにぜひ御理解をいただきたい。
 ILOに対しましても、そのことをやはり政府の決意としてぜひ伝えておかなければならぬ、こんなふうに思いました。しかし、完全実施できない場合でもこうだということもつけ加えていくことも非常に大事なことかな、情報というような形で、そんな話を申し上げたところでございます。
#55
○野田哲君 総務庁長官はどういうお考えですか。
#56
○国務大臣(後藤田正晴君) 官房長官談話の趣旨についての御質疑でございますが、ただいまるる藤波さんからお答えをしたとおりでございます。
 私の真意は、従来この人事院勧告制度、これは最大限尊重しなければならぬことは当然であります。ということは、完全実施をしなければならぬということ、これは当たり前の話であると私は思うのです。ところが、公務員の給与をめぐっての客観情勢というものは大変厳しい、これまた一般にも御理解が願えるところだろうと思います。
 そういうことで、政府は完全実施に向けて努力する努力すると言いながら、結果としては抑制が続いておる。一番きつい場合は五十七年度のような完全見送りといったようなことが行われたわけです。これはまさに私は異例中の異例の処置である、かように考えるんです。
 そこで、こういう状況を続けますと、今日の財政状況を初め、行財政改革を進めておるさなかでございますから、公務員の立場で考えれば一体いつまで政府は完全実施に向けて努力すると言いながらいつになったら回復してくれるのだという不安感を私は皆さん持っておると思うのです。ならば、やはりそこは、制度としては今、野田さんがおっしゃったような御議論があろうかと思いますけれども、しかしここは政府自身の手をむしろ縛ることによって、そのことがかえって公務員の皆さん方に安心感を与えるのではないか。
 もちろん、来年度は完全実施に向けて努力することは当然です。しかし、客観情勢厳しいこともまたこれ事実なんです。努力をするけれども、それが不可能であったとしても政府としては六十一年度までには完全実施をやりますという政府の決意を表明する。ということは、政府の手を縛ることでございますから、その方が現実的な解決の方法としては、制度上いろいろな御意見はあると思いますけれども、ベターではないか。
 したがって、あの談話の中にも三年を目途としてということを入れたらどうだと私主張したことあるんです。しかし、それでは今日の人勧制度から見ていかにもそれは不適切であるということで、ああいった談話によってそれがにじみ出るような形で政府の手を縛ろう、こういう処置でございますから、ここはぜひ私は御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
#57
○野田哲君 もう一言、それでは官房長官と総務庁長官にこの点について伺って、後は向こうへ行かれるようですから。
 今、両大臣から説明があったわけですが、私どもが一番心配するのは、問題は、借金の催促、これに対する返事ならばあと三年でというようなことで完済のめどを立てたのだからこれで勘弁してくれよというような言い方があるかもわかりませんが、これはやっぱり公務員制度、人事院勧告制度なんですから制度の尊重が第一番だと思うんです。ですから、一番心配するのは、こう言っておるからこれで既成事実ができた、昭和六十年は値切りますよ、これはもう内外に宣言してある、既成事実だ、こうなったのではこれはまさに人事院勧告制度の崩壊だと思うのです。だから、こういう考え方は既成事実としては取り扱わない、やっぱり基本は完全実施なんだ、こういう確認をしておきたいと思うんですが、両大臣いかがでしょうか。
#58
○国務大臣(藤波孝生君) ことしの分がどれだけ残って来年へという話でなくて、人事院では来年度の勧告を出されるに当たって来年度のいろいろな情勢を調査して、そして人事院としての勧告をお出しになる、このように考えておりまして、来年度の勧告が出されました段階で政府は今お話しのように公務員制度、人事院勧告制度の趣旨にのっとりましてこれを完全実施するようにあらゆる努力をしなきゃいかぬ、むしろそこまでが政府のすべての気持ちだ、こう申し上げてもいいと思うんです。来年は来年のそういう新しい決意で取り組んでいく、ただしということで、先ほど来の御心配をいただいてきておるところでございますけれども、とにかく来年度の勧告が出されました段階で完全実施に向けて誠心誠意努力するということをお答え申し上げておきたいと思います。
#59
○野田哲君 どうぞ、次の予定があるようですから。
#60
○国務大臣(後藤田正晴君) 今、藤波さんがお答えしたとおりでございます。
 制度として人徹制度を尊重しなきゃならぬ、これは当たり前だ、これは私はるるこの席でも何回か申し上げているとおりでございまして、したがって官房長官談話のやはり前段をひとつ十分御理解をしていただきたい。ただし……
#61
○野田哲君 ただしがいかぬのだ。
#62
○国務大臣(後藤田正晴君) 申し上げておかぬとぐあいが悪いですから……。政府としては、勧告を出された段階で完全実施に向けて努力はするが、厳しい客観情勢も依然として続くことが予想せられます、そこで国政全般との関連の中で適切に対応いたしたい、かように考えているわけでございます。
#63
○野田哲君 ILOでも話題になっておりますので、ILOの問題について少し伺いたいと思うんです。
 日本の公務員の給与の問題が国際的な場で議論されるというのは、私はこれはいい形じゃないと思うんです。恥ずかしい話だと思うんです。恐らくこれは総務庁長官も同感だと思うんです。ところが、毎度毎度ILOで問題にならざるを得ない状態になっているわけなんです。これはやはり責任は政府にあると思うんです。
 そこで、昭和五十七年の人事院勧告の見送りという措置以来、引き続いて五十八年の大幅削減、そしてまたことしの大幅削減、こういう状態が続いていることについて政府の方からは何回もILOに向けて政府の見解を送っているわけでありますけれども、その説明を見ると全く毎度毎度同じような経過と同じような内容が述べられているわけでありまして、初めから毎回続いている状態に対して版で押したような見解が送られているんです。
 恐らく総務庁長官は一々目を通しておられないと思うんですが、労働省がやっているんですが、毎度毎度どういうことを言っているかといいますと、「政府としては、公務員の労働基本権制約に対する代償措置は十分整備されていると考えている。」、これがいつもの口上書なんです。そして二番目には、「政府は、人事院勧告を尊重するという基本方針を堅持しており、今後もこの方針を変える考えはない。」、これも毎回同じような意味のことを言っているんです。そして三番目には、「来年度以降の人事院勧告の取扱いについては、それが政府に提出された時点で、国政全般との関連において検討する」が、「今回のような措置が繰り返されないように最善の努力をする」、いつもこういう決まり文句が述べられているわけです。
 ところが、ILOの方の対応はずっと変化をしてきているのじゃないかと私は思うんです。ILOの態度について私の承知をしているところでは、八三年三月の結社の自由委員会、それから八四年の五月の専門家委員会、そして八四年の十一月、つい最近ですが、結社の自由委員会そして理事会、この三回にわたってILOの見解が述べられているわけです。この内容がずっと変わってきているというのは、私の承知をしているところでは、八三年三月の結社の自由委員会からのコメントは代償の保障をちゃんとやりなさい、こういうことが中心になっていたと思うんです。それがことしの八四年五月は、制度を再検討したらどうか、ここまで踏み込んできております。そして、この間の八四年十一月の結社の自由委員会そして理事会の勧告は、人勧制度は不完全でかつ当事者の信頼を得ていない、当事者が参加できる新たな制度を確立せよ、こういうふうに変わってきているわけです。だんだん厳しく、そして具体的になってきているわけですが、私の承知している経過の概略はこうだと思うんですが、労働省の方の担当審議官からひとつILOの経過を概要述べてもらいたいと思うんです。
#64
○説明員(平賀俊行君) 御質問のように、五十七年の人事院勧告の取り扱いがなされまして以来、ILOで我が国の人事院勧告の問題について見解のようなものが出ましたのは三回ございます。
 五十七年の取り扱いに関し総評、公務員共闘、それから同盟、全官公が結社の自由委員会に提訴をし、これに対して翌年の三月、結社の自由委員会でそれの結果が出て、その結果を理事会に報告をしたケース、それから五十八年の人事院勧告の取り扱いに関しまして、一つは総評が条約勧告通用委員会に通常の条約の審議の中でほかの問題と一緒にその人事院勧告の取り扱いに言及をし、それについてILOの専門家委員会がコメントを出し、それを本年の総会における条約勧告適用委員会とそれから総会で審議をし、それを認めたというケースと、それから同じく五十八年の人事院勧告の取り扱いについて結社の自由委員会に公務員共闘及び総評が提訴をし、これに対して十一月の理事会における結社の自由委員会で報告を出し、これについて同理事会で承認をした、この三つのケースでございます。
 それで、最初の五十七年の取り扱いに関して同盟、全官公は制度の適用といいますか人事院勧告の完全実施の原則を再確認するということを求め、それから総評、公務員共闘はILOとして公務員に対する労働基本権の原則を想起させるとともに人事院勧告を完全実施すること、それから日本の制度を改善するように、こういう提訴をしました。これに対して、先ほど野田先生は政府の見解の概要をそのままおっしゃいましたけれども、そのような政府が見解を出し、これについてILOの八三年のいわゆる二百二十二次報告と言われている報告では、一つは、このような問題についていつも言われておりますように、公務などにおいて労働基本権が制限されている場合に代償措置が必要であって、それは完全かつ迅速に実施すべきであるという一般原則と、それから政府が人事院勧告を尊重するという立場をとっているということに留意するということと、それから八二年の人事院勧告が実施されなかったことは遺憾である、しかしそういう人事院勧告が完全かつ迅速に実施されて、団体交渉に関する労働組合権及びストライキ権に課せられた制限の代償措置を関係公務員に確保するように強い希望を表明する、これがその五十七年の取り扱いに関するILOの結社の自由委員会の報告で、これはその三月の理事会で承認をされております。
 それから次に、条約勧告適用専門家委員会の方では、ほかの問題とあわせての条約の適用問題についての審査の中で、八三年の人事院勧告の取り扱いについて先ほどの申し上げました一般原則を述べるとともに、こういうふうに日本の公務員のケースのようにストライキ権が否認されているのみならず、その交渉能力も相当程度に制限されている本件においては、委員会は人事院勧告が完全に実施されることがなおさら重要であると考えるということを言い、その後で、こういった制限が維持されるのであれば公務における賃金及び労働条件決定のための手続並びに仕組みを再検討するであろうという希望を表明する、こういう報告というか見解を出しております。
 それから最近のケースでございますけれども、同じく五十八年の人事院勧告の取り扱いに関しまして、結社の自由委員会ではことしの十一月に二百三十六次報告という報告で、先ほどの昨年の二百二十二次報告と、それからただいま申し上げました専門家委員会の見解を引用しながら、結論部分だけ申しますと、「したがって、委員会は、」先ほどの昨年の事件、五十七年の事件である「千百六十五号事件において本委員会が到達した結論及び一九八四年にこの関連で専門家委員会が行ったコメントに対し政府の注意を喚起し、政府が、公務員が現在享受していない基本的権利の適切な代償となり、また、これらの労働者が雇用条件の決定に参加できるような、公務における賃金及び労働条件の決定のための手続を確立することができるようにとの強い希望を表明する。」。
 五十七年の取り扱いについての二百二十二次報告では人事院勧告を実施すべきであるということを基調にし、今度の場合は、五十七年にそういう申し立てがなされて、それに対して結社の自由委員会がコメントを出した、続いて五十八年にも人事院勧告が実施できなかったという問題について提訴があり、それからそれについて、その前の条約勧告適用専門家委員会でこれについてのコメントを出したという事実を踏まえて、結社の自由委員会では、もちろん従来からの完全実施の原則といいますか、最初にILOのこういう労働基本権の制限に対する基本原則をまず述べた後に、一つは、制度に対する信頼関係について問題があるという指摘をし、それから最後にもう一回その制度的な問題についてさらに専門家委員会の結論のようなことを繰り返している、そういう経過がございます。
#65
○野田哲君 総務庁長官、今お聞きのように、最初は、勧告をちゃんとやりなさいよ、こういう程度であったわけですが、ことしの十一月のコメントといいますか勧告は、制度そのものに問題がある、労働者が、当事者が参加できるような制度を確立しなさいと、こういう制度を問題にするところまでILOの認識がずっと進んできているといいますか、エスカレートしてきているわけなんです。日本の公務員制度がこういう手をかりなければならぬというようなことは私は先進国として恥ずべきことだと思うんです。
 ところが問題は、私は総務庁長官は恐らく人事局からずっと経過の報告を受けておられると思うんですが、政府全体としてそれほどの正確な認識は持っておられないのじゃないか、こういうふうに思うんです。認識が少し甘いのじゃないか。それは、ことしの十一月の結社の自由委員会、それから理事会が行われて、日本のこの人勧制度に対する問題についての勧告が出された。その後で、ここに労働大臣が閣議に報告をしたメモがあるんですが、「ILO結社の自由委員会報告について」、恐らく閣議へ報告されたメモだろうと思うんです。そこで、ずっと労働大臣が報告されているんですが、私がこれはちょっと問題だと思うのは、こういうふうに言っているんです。「今回の報告は、昨年の結社の自由委員会及び今年三月の専門家委員会が示した、労働基本権制約の代償措置としての人事院勧告は完全実施されることが重要であるとの見解を再確認したものと受けとめている。」。前の繰り返しだけじゃないんですよ、ILOの働きは。勧告をちゃんとやりなさいというところから、ずっと同じ状態が続くのであれば制度そのものに問題があるというところまで言ってきているのに、これは労働省の便せんのコピーですからうそじゃないと思うんです。「勧告は完全実施されることが重要であるとの見解を再確認したものと受けとめている。」、こういう認識で閣議に報告され、この問題が政府都内で取り扱われるとするならば、私はこれは外国をもだまし続けていることになると思うんです。
 審議官、閣議にはどうしてこういう簡単なといいますか、経過はだんだん変わってきているのに前のとおりでございますというような報告をしたんですか。
#66
○説明員(平賀俊行君) 先ほどはILOの結社の自由委員会及び条約勧告適用専門家委員会の見解を、事実を申し上げたわけでございます。五十七年の人事院勧告の取り扱いに対します二百二十二次報告では、ILOの原則といいますか、そういう代償措置が必要であり、それが完全かつ迅速に実施されなければならないという原則と、それから五十七年の取り扱いについての遺憾の意の表明、それからそれについて将来完全実施するように、そういう趣旨のものでございました。それから専門家委員会の報告も、日本のように基本権が制限されている場合は完全実施することが非常に重要であるということを言い、それを前提としつつ制度の問題に言及した。
 それで、五十八年の二百三十六次報告も、その五十七年の申し立てに対する二百二十二次報告をまず引き、最初にその基本原則を言い、それから五十七年の、前年の取り扱いに対する報告を引用し、それからただいまの専門家委員会の報告を引用し、言ってみれば五十七年の人事院勧告の取り扱いがこれは見送られた、それから五十八年の人事院勧告の実施が完全ではなかった、その二つの事実を引用しながら、どちらも完全実施のことを言っておって、その上で制度問題に言及している。
 そういう意味では、やはりILOの真意というのは、どちらにしてもそういった代償措置が必要である、代償措置は完全かつ迅速に実施されなければならないのだ、その原則を強調した、こういうふうに理解をし、ただいまの大臣のメモを私どもとして作成いたしました。
#67
○野田哲君 だから、もうちょっと正しい認識が持てるような報告にしておかなければ、経過を知らない他の大臣はああそうか、ILOというのは前と同じことを言っているのか、これでは私は結果的には日本の政府はILOで恥をさらすことになるのじゃないか、これを指摘しておきたいと思うんです。これはもっと正しい認識を官房長官や総務庁長官や外務大臣などが持てるように適切にやってもらいたいと思う。ILOで大変問題にされているのに、それをやると労働省の現地にいるアタッシェが力が及ばなかったのじゃないか、国際担当の審議官がちゃんとやらなかったのじゃないかということで何かしかられるということを恐れてか無難な報告にしている、率直に言ってこういう印象を受けます。
 そこで、官房長官が見えたので引き続いて官房長官に伺いますが、十月十日にILOに提出した政府見解の中で、ことしの四日四日の労働四団体に対して政府が示した見解が引用されているんです。「一九八四年四月四日に関係労働団体の代表に対して表明したとおり、政府としては、今後とも人事院勧告制度を尊重するという基本方針を堅持することとしており、一九八四年度の人事院勧告については、そのような基本方針に立って現在検討中である。」、こういう見解を述べているわけです。
 ILOに出されたこの見解を素直に読めば、これはまだ十日三十一日の前だったわけですから、ことしは完全実施されるのか、こういう感じがいたしますよ、これは素直な正直な人が読めば。事実、私もこの四月四日のことについては裏でよく承知をしているわけですから、経過を。この時点では労働四団体の皆さんと会った藤波官房長官、中西総理府総務長官、それから坂本労働大臣、この三人を代表して藤波官房長官が述べられた人事院勧告が出れば完全実施に取り組む、この言明を信用してあの春闘の収拾に当たったわけです。あれで春闘は終わったわけです。私も、ずっと前の晩からいろいろ状況を見ていました。
 ところが、この結果は六・四四%に対して三・三七%、これでは抽象的にILOに対して見解を述べている、代償機能は十分整備され、人事院勧告を尊重するという基本方針が堅持されている、乙の政府見解に合った措置と言えるのかどうか。外国の代表がいっぱい世界じゅうから集まる国連の機関であるILOをもだまし続けてはいけないのじゃないかと思うんです。
 そこで、先ほどの三年間でやりますというのが追加情報で出たわけです。一体、国際機関に対してこういう態度をとり続けることが日本国政府としての信用を維持する上において妥当なことなのかどうなのか、私は疑わしいと思うんですが、その点どうでしょうか。
#68
○国務大臣(藤波孝生君) 国際機関という前に、やはり関係の公務員の皆さん方に対して誠心誠意政府が取り組んでいくという、そういう姿勢を御理解をいただかなきゃいかぬ、こう思うわけでございます。ことしの春闘の際にはいろいろな御要望、御意見が出ましたけれども、非常に私ども感銘深かったのは、従来は人事院勧告を完全実施せよ、あるいは仲裁裁定の結果を尊重して実施せよ、こういう御要望というのはまさに該当する方々の団体の御要望であったのが、ことしの場合にはいわゆる全民労協など民間の労働組合の方々も一緒になってぜひこの制度を大事にしなきゃいかぬという強い御指摘があったということ、そのことを踏まえまして政府として誠意を持って取り組む、こういう姿勢をどうしてもお示しをしなきゃいかぬ、こう思いまして政労会見でそのように申し上げたところでございます。その態度を大事にいたしまして、仲裁裁定の結果に対しましても、あるいは人事院勧告に対しましても、政府の態度を決定する際に全力を挙げて取り組んできたところでございます。しかし、結果は御高承のようなことでございまして、まことに申しわけのないことである、こう思っておるところでございます。
 ILOに対しましても、これは誤った記述をして報告するということ、あるいは説明をするということでありますと、大変日本の政府の発言ということについていろいろ誤解を与えかねないし、また国際機関に対して失礼なことになるというふうに思いますけれども、今申し上げてまいりましたようなこと、その政府の気持ち、そして今日、日本の財政事情などが非常に厳しいというようなことも一緒に説明をしながらILOに対してはいろいろ報告をしてきておるところでございますので、まずILOが日本の政府にだまされたというような、そういう感じにはなっていないのではないかというふうに思うわけでございます。しかし、ILOが今日の日本の実情の中で随分政府が苦労をしてぎりぎりここまで態度を決定したかというふうに評価してくれているかどうかはそれはわかりませんけれども、しかし政府としてはそういう客側的な情勢というものをよく報告して、しかし制度を尊重して誠心誠意取り組むのだ、こういうことを御説明しながら進んできておるところでございますので、今後ともILOに対しましてはそういう気持ちで誠意を持っていろいろ報告もしていくようにしたい、こう考えておる次第でございます。
#69
○野田哲君 藤波さんは労働大臣もやられているのでかなりその辺事情に詳しいと思うんですが、官邸へ来られてからかなり心臓強くなられたですね。
 問題は、大分時間が迫ってきましたので、三年前に言っていることとILOが言っていることは変わっていないのだということではないんだ。だんたん変わってきて、初めは代償機能をちゃんと果たしなさいよと言っていたのが、代償機能が果たせないのなら制度にまで踏み込んで再検討しろというところまで来ているんですから、そういう点にひとつぜひ留意して今後の対応をきちっとやっていただきたいと思うんです。
 結局、問題は国内の問題ですが、公務員の労働組合あるいはその所属するナショナルセンターの人事院勧告をめぐっての政府に対する不信感というものはこれは抜きがたいものになっていると思うんです。後藤田さんは首を横に振られたが、これは本当にそうなんです。あなたは三年先の約束をしてやったから少しは回復しているのじゃないかと思われているかもわかりませんが、そうじゃないんだ。あのこと自身も、これはやっぱり来年もまた、今度は一年前から削減を宣言したのかと、こういう受けとめ方なんです。結局、不信感の一番大きな原因は、政府の関係の大臣がこういう国会答弁の場でも、あるいは労働団体と会った場でもその場しのぎのことしか言わないから、そしてその言葉を使用して収拾に当たると、結果は出てみるとその言葉どおりになっていない、こういう繰り返しが大変な不信感を生んでいるわけなんです。
 私は、ずっとこの問題で歴代の関係大臣との間を行ったり来たりしていろんな取り次ぎをやってきておりますけれども、率直に言って、本音で対応したのは後藤田さんが総務庁長官に就任されてからだと思うんです、本音で対応されたのは。しかし、それは本音で対応されたから評価できるかというとそうはいかないんです、勧告が出る前から、七日ごろから値切るぞ、値切るぞという本音なので。しかし、本音であったことは今になってみれば間違いないわけです。完全実施をしない本音を早々と出されたわけですからこれは評価できない。
 今までの国会での答弁をずっと私も拾い上げてみました。歴代の総理大臣や総務庁長官、官房長官が何回も繰り返して、鈴木内閣以来、労働基本権制約の代償措置である勧告は尊重しますとか、人事院勧告の完全実施に向けて誠意を持って努力します、そして五十七年の凍結あるいは五十八年、五十九年の削減措置についても今回限りの異例中の異例であります、こういうふうに述べておられるんです。本音で対応していないところに私は一番問題があるんです。
 一番問題は、去年の十一月二十六日から七日にかけて、この内閣委員会でのことなんです。当時の総務長官であった丹羽長官が、初めてのことであった俸給表を全然別のものを出したときに、「五十九年度の人事院勧告の取り扱いについてこれまでいろいろ御議論がございましたが、ことに改めて申し上げます。」ということで、これは質問に答えたのじゃないんです。一番最後にわざわざ手を挙げて、自分がしゃしゃり出て、「ここに改めて申し上げます。」、こういうことで、「五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存であります。なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識しております。」、こういうふうに言っておられるわけです。内閣委員会で給与法の審議に際してここまで言われているのだから五十九年は俸給表をつくり変えるようなことはないだろう、正直な人はみんなそう思うんです。私もそう思ったですよ、ここで聞いていて、もうないなと。
 そして、今度は四月四日の先ほど言ったような仲裁裁定、人事院勧告については完全実施に向けて誠意を持って取り組む、こう言われたわけでしょう。そういう経過を見ればだれだって、こんな繰り返しはこれでなくなった、こう思うんですよ。だました方が悪いのか、だまされた方が悪いのか、本当にこれは大変な不信感が高じている。私は、やはりこういう繰り返しは、国会に対しても、労働団体に対しても、そして国際機関に対しても背信行為が続いている、こう言わざるを得ないと思うんです。そういう不信感を払拭するのは、こういうことはやらない、来年はちゃんとやる、これを言明され、そのとおり実行されることしかない、こういうふうに思うんです。先ほど答弁がありましたから、これ以上答弁をこの問題では求めませんが、強く要望しておきたいと思います。
 そこで、時間がありませんので、具体的なことを二点ばかり要望しておきたいと思うんです。
 それは、昭和六十年三月三十一日で公務員の定年制が実行に入ります。だから、今までは、凍結の年でもあるいは五十八年でもやめる、やめないは法律的には選択の余地があったわけです。ことしは凍結されたから時期を待って少し上がった年にやめようか、年金にも響くしと、こういう選択の余地があったわけです。この問題は、防衛庁長官に就任された加藤さんとも国対当時私もいろいろあの凍結のときにやめる人の扱いをどうするかということでやりとりをした経過も今思い起こしているんですが、今年度は選択の余地はないわけです。そういう中で六・四四%上がると思っていたところが三・三七%しか上がらなかった、こうなってくると本人が期待していた退職手当や年金がかなり狂ってくるわけです。
 大ざっぱな例を挙げますと、定年でやめる平均的な人たちの場合を例にとると、六・四四%上がるとすれば一万五千円給与が上がるんです、ことしの四月から。ところが、今回の措置によってそれよりも七千円ばかり上がり方が低くなるわけです。そうするとどういう結果になるかといいますと、月額七千円低くなると退職手当で四十五万円ぐらい完全実施されたよりも低くなるんです。それから年金についても三万二、三千円減額になるわけなんです。たまたま定年制が発足する年に当たっている。そして、本人は選択の余地がない形でやめざるを得ないわけですから、たまたまその年にそういう形で給与が抑制され、退職手当や年金に大きな減額という形が出てくる。もし同程度の人が、たまたま一歳若い人が来年やめる、そして来年は完全実施された、こういうことになるとことに大変な不均衡が本人の選択の余地がない形であらわれるわけなんです。このことについて、退職時の昇給の取り扱いとか、あるいは大蔵省の場合の年金の取り扱いでは仮定俸給表の決め方とか、こういう形で行政的な裁量で救済の方法があるはずでありますから、これはぜひ考えてもらいたい、こういうふうに思うんです。大蔵省なりあるいは総務庁なり人事院なり、それぞれにそういう点についての考え方を伺っておきたいと思うんです。
#70
○政府委員(藤井良二君) 御質問は、近年勧告が完全実施されていないことから、その間に退職した職員から見れば、退職手当、年金が俸給をベースとしていることから完全実施されている場合との差が生ずるという御趣旨と思われますけれども、給与につきましては厳しい客観情勢のもとにおいて勧告の完全実施に向けて政府としてもなし得る最大限の努力の結果として決定したものであることを御理解いただきたいと思います。
 現在、行財政改革を推進している中にあって、国民各層、公務員みずからも痛みを分かち合っている時期でもあり、その間に退職者にのみ特別の措置を講ずるということは困難であるということを御理解いただきたいと思います。
 また、過去におきましても、人事院勧告が完全実施されないことを理由として特別な救済措置を講じたことはございません。
#71
○説明員(門田実君) 共済年金の方でございますが、年金額は退職前一年間の平均本俸により算定されるということになっております。したがいまして、退職前一年間の現実の本俸というものから離れた年金額の算定ということはできないわけでございまして、このためにベアの有無あるいはベアの差異等によりまして退職年次別等で年金額にアンバランスが生じる場合があるわけでございまして、この点に先生の御疑念があるわけでございます。しかし、そういう人たちの年金額につきましては、年金額改定の際に考慮いたしまして、将来にわたって他の退職者と比較して不利にならないように相互のバランスに努めていくということを基本的な考え方として従来からやっておるところでございます。
#72
○政府委員(斧誠之助君) 定年退職される方に選択性がないということはよくわかるわけでございますが、現在私たちが給与を所管しておりますのは給与法の規定に基づいて所管しておるところでございまして、昇給あるいは特別昇給、そういうことを考えます場合に、やはりこれは成績ということを基礎に考えざるを得ない制度になっておりまして、定年退職者について特別にどうするという措置は給与法の規定からいうとなかなか難しいのではないか、そういう感じがいたしております。
#73
○野田哲君 なかなか難しいというお話ですけれども、これは総務庁長官、今、藤井人事局長がペーパーを読まれましたけれども、ああいう形で処理されたのでは私やめる公務員は報われないと思うんです。過去に例かないからそんなことはできないというのは、過去は退職は任意制であったんです。私が言っているのは、ことしからは定年でやめる人は選択の余地がないのだから、これに対しては行政的にできることは最大限に目を開いていくべきではないか、こういう希望を述べたことに対して何か木に竹を接いだようにメモを読み上げて過去にも例がありませんと。過去には定年制というのはなかったのだから、例がないのはしようがないんです。だから、ここはやっぱり何ができるのか、どれだけのことができるのか、こういう点を関係の省庁でよく検討してもらいたいと思うんです。その中心になるのが総務庁じゃないでしょうか。そういうふうに思うんです。一言、何かお答えいただければと思うんですが。
#74
○国務大臣(後藤田正晴君) 野田さんの御意見は十分拝聴させていただきました。退職金とか年金とかの計算、これは先ほど来政府委員からお答えしたような建前で従来からそういう扱いになっておりますからなかなか難しいというのが私は率直な御答弁であったと思います。
 ただ、野田さんは、過去はそうでも、定年制という制度ができたのだから別に考えろ、こういう御意見だと思います。御意見としては拝聴させていただきますが、野田さんの今の御計算には私は多少意見があるんです。それは、三・三七で御計算をなさっていらっしゃるのではないのか。ところが、今おる人は三日三十一日まで勤めてやめるわけでしょう。そうすると、ことしはやはりそのほかに定期昇給分の二・〇八というのが加わるのだということもこれは一応頭に置いていただかなければならぬのではないか。いずれにいたしましても、御意見は御意見として十分拝聴させていただきましたが、大変難しい御要望であるなということをお答えしておきたいと思います。
#75
○野田哲君 私の計算については、定期昇給があるということは念頭に置いて、六・四四の勧告に対して三・三七で実施をされたことによる期待額と実際額との差を出したのでこれは間違いないと思いますので、大臣の認識もそういうふうに受けとめていただきたいと思います。
 終わります。
#76
○委員長(大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時二十分まで休憩いたします。
   午後零時十七分休憩
     ─────・─────
   午後一時二十二分開会
#77
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#78
○太田淳夫君 それでは、午前中いろいろと同僚委員からも質疑がございましたこの人事院勧告制度をめぐる問題でございますけれども、やはり重要な問題でございますので、私も何点か確認をさせていただきながら質問させていただきたいと思います。
 最初に、これは何回も聞いておりますけれども、人事院勧告制度、この重要性について人事院にお伺いしたいと思います。
#79
○政府委員(斧誠之助君) 人事院の勤務条件に関します勧告制度は、昭和二十三年に公務員に対しまして労働基本権の制約が行われまして、その際に公務員法改正として入った制度でございます。そういうことでございますので、公務員の労働基本権制約の代償として置かれた制度でございます。労働基本権はもともと憲法に保障されておるわけですが、そういう意味合いで憲法に由来を発する制度であるということができようかと思います。そういう意味で極めて重要な公務員法上の制度である、そういうふうに認識しておるわけでございます。
#80
○太田淳夫君 今認識お話しありましたけれども、確かに憲法に保障されました労働基本権を国家公務員につきまして制約をしている代償措置として設けられている、それだけ重要な立場であるということは私たちもよく認識をしているわけでございますが、今お話がありました昭和二十三年十二月十日に第一回の勧告を行いましてから、その後今日まで何回人事院勧告が行われて何回完全実施が行われてきたのか、その点どうでしょうか。
#81
○政府委員(斧誠之助君) ただいまお話しのように、昭和二十三年が第一回でございます。以来三十六回の勧告を重ねてきておるわけでございますが、完全実施、内容、時期ともにということになりますと、時期を明示し始めてから四十五年から五十三年まで九回ございます。その以前に、実施時期はお示ししておりませんで、内容がそのとおり実施されたということがございます。それを完全実施ということで含めますというと、手当だけ勧告したようなこともございますので、それらを含めますと二十回あるということでございます。
#82
○太田淳夫君 いろいろと私どもも皆様方の資料を調べてみますと、やはり完全実施の回数、私たちから見て、いろいろな手当云々よりも、十二回ぐらいしかないのじゃないかというような感じがするんですけれども、そうなりますと、最初におっしゃったような人事院の特殊な立場、重要な立場ということから考えられないことが今起こっているわけです。こう見てみますと、人事院というのは第三者的な機関というよりもむしろ単なる調査機関に現在陥っているのじゃないか、これが現実の姿じゃないか、このような感じもするわけですけれども、その点についての認識はどうでしょうか。
#83
○政府委員(内海倫君) 確かに完全実施がかなり行われておらないという実情にはございますけれども、しかしながら人事院が行っておりますいわゆる人事院勧告というものは、先刻御高承いただいておりますように、官民間の給与の較差を単に調査しておるというだけではなくて、かなり広範な範囲にわたって調査するだけでなくて、やはり長い間の試行錯誤を重ねながらどのような調査をし、どういうふうにしていくことが最も厳密な意味で公務員給与として納得できるものであるかということで人事院の機能が働いておるわけでございます。
 したがいまして、政府もいろいろな事情によって完全実施されないことが今までかなりあるわけですけれども、その場合といえども人事院勧告というものを基礎に置いてこの考え方をとり、この調査の結果というものに対して大きな関心を示してようやく政府でもそういう措置をしているという実情でございますから、私はやはり人事院の存在というものはこの労働基本権の制約されておるもとにおいてどうしても健全に存在していかなければならないものであり、その最大の保障は政府でこれをぜひ尊重し、完全実施の道を守っていただくということにあるわけですから、そういう点で国会におかれましても政府におかれましてもこの制度の意義というものを十分理解していただいて、この人事院の人勧制度というものが確立していくことにぜひ御協力をいただかなければならない、こういうふうに思っております。
#84
○太田淳夫君 おっしゃることは私もよくわかります。ただ、お話のとおり、人事院勧告制度をめぐる情勢というのは非常に厳しいのじゃないかという私ども認識を持っているわけですが、この委員会でも先ほど取り上げられておりましたけれども、あるいは常に論議されておりますけれども、昭和四十八年の全農林事件、あの最高裁判決でも労働基本権の代償機能が迅速、公平に本来の機能を果たせなかったらストは容認される、このようにされておりますし、あるいは本年三月のILOの条約勧告適用専門家委員会報告、あるいは十一月の結社の自由委員会報告は、この人事院勧告が完全に実施されることは非常に重要である、このようにしているわけですし、不完全実施が続けば制度の見直しも必要ではないかと制度の再検討も求めているわけだし、藤井前総裁あるいは内海現総裁も労働基本権の見直しあるいは憲法上の疑義について言及をされているわけです。そして、今全農林が人勧ストの処分取り消し、これを求めて訴訟を行っている。このように人事院勧告制度というのはその環境は非常に厳しい、このように私たちは思わざるを得ません。この点についてどうでしょうか、再度お伺いいたします。
#85
○政府委員(内海倫君) ただいまの御意見のように、確かに人勧制度というものが厳しい環境にあることは客観的な条件のもとで事実であると思います。したがいまして、さらに人勧というものが見送られたり、あるいは不完全実施というふうなことが続きますと、どうしても人勧制度というものに対するいろいろな意見が出てくることも予想されます。私どもも、そういう意味で本年の報告及び勧告におきましても、そういうふうなことも頭に十分置いて政府としても御処理いただきたい、あるいは国会においても御審議いただきたいということを申し上げておるわけでございまして、私どもとしましてはけさほど来のいろいろな御意見、あるいは先般の衆議院内閣委員会における御意見等も十分頭に入れまして、政府に対しましてもいろいろとお願いをし、また完全実施への道をぜひ実施していただくように期待をしていきたい、こういうふうに考えております。
#86
○太田淳夫君 今、人事院のいろいろな意見は承りましたけれども、長官どうでしょうか。
#87
○国務大臣(後藤田正晴君) 労働基本権の制約の代償措置でございますから、これは政府としては最大限努力をして、人事院の勧告を尊重していかなきゃならぬということは、これは当然のことであろうと思います。ただ、人事院は生計費であるとかあるいは官民較差、これを精密にお調べになって勧告をなさるわけですが、人事院としてはそれで責務を果たせるわけですけれども、しかし政府は同時にまた人事院の勧告を尊重するという基本姿勢に立ちながらも、やはり国政全般、財政の事情であるとかあるいは世論の動向であるとかいろんな幅広い検討をして適切な処理をしなきゃならぬという場合もあり得るのだということだけは御理解を願いたいと思います。しかし、基本はあくまでもこの勧告を最大限尊重していくということでなければならぬ、かように考えておるわけでございます。
#88
○太田淳夫君 長官は前々からも尊重をするということでおっしゃっておみえになりますが、昨年もそうでございましたが、今年も勧告率を勝手に変更した率をもってこの給与法改正案を提出しているわけです。これは今いろいろとお話がありましたような、公務員の使用者たる政府自身が第三者機関たる人事院の役割というものを無視して、またこのまま続けばその存在を否定するようなことになりかねない、こういうふうに私たち思うわけです。ですから、人事院勧告制度を尊重する、こういうお話をされていますけれども、この制度を否定していくようなこういう措置をとられることについてはどのようにお考えになっていますか。
#89
○国務大臣(後藤田正晴君) せっかくの御質問でございますが、無視していないからこそ政府はこの厳しい客観情勢の中でいろんな苦心をしながら私どもとしては最大限の努力をしておるのだ、その結果がこれなんだ、何とかひとつ御理解をしていただきたい。もちろん、完全実施すべしというお立場から見ればおかしいじゃないかというお考えはこれは当然だと思います。しかし、先ほど言いましたように、政府は国政全般ということを配慮しなきゃならぬのだ、そこらはぜひひとつ御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
#90
○太田淳夫君 我々の立場から今回も修正案を提出して完全実施を求めているわけでございますけれども、長官は十一月八日のこの委員会におきまして積み残しの官民較差を三年を目途にして解消していくという考え方を示されたわけですけれども、これは午前中も論議ありましたけれども、完全実施ということをやはり放棄している、こういうお考えじゃないかと私たちも思うわけです。果たして三年でこれが解消できるという保証もこれはないわけでありまして、長官のおっしゃるような段階的な解消論、これは春闘における低いベアが前提になっているのじゃないか、このように私たちは思わざるを得ませんし、来年の春闘につきましては組合側からも七%程度ということでいろいろな要求案も出ておりますけれども、もしもこれが仮に実現をした場合には三年をめどにして解消するということはなかなか難しくなってくるのじゃないかと思うんですが、そういう立場からも私たちは完全実施をさらに努力すべきではなかったか、このように思うんですが、その点はどうでしょうか。
#91
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまの完全実施を放棄したのじゃないか、こういうお話でございますけれども、私どもは午前中のお答えの中でも申し上げましたように、条件が許せば来年だって完全実施したいのだ、こう申し上げている。それが仮に不可能であっても、今までのような完全実施に向けて努力する、努力する言いながら、いつになったらどうなるのかめどがないというのではかえって職員の皆さんに不安感を与えるのではないか。一方、行財政改革という厳しい施策が進んでいるわけですから、大変な不安感を職員の諸君は持っておると思います。そこで、政府みずからが仮に来年できなくても、少なくとも三年目には完全実施をしよう、こういう政府の決意を示すことによって、逆に言えば政府みずからの手を縛るということによって職員の諸君に安心感を与えようという現実的な解決方策をことしはとらせていただいたのだ、ここはひとつぜひ御理解をしていただきたいと思います。したがって、三年目に保証はあるのかということでございますが、それはただいま申したとおり政府みずから決意を表明しておるわけでございますからその点で御理解を賜りたい、かように思います。
#92
○太田淳夫君 今回提出をされましたこの給与改定案三・三七%アップですが、これを拝見しますと、依然として約三%の積み残しを残しているということになるんですけれども、これは五十七年度の勧告凍結の状態が続いている、このように見てもよろしいんでしょうか。
#93
○政府委員(藤井良二君) 人事院勧告というのは毎年四月における官民の給与を比較して較差がある場合にはそれを埋めるべく出されているものでございまして、その都度国会及び内閣に責任を持って判断しているところでございます。本年度につきましては、八月十日に人事院から六・四四%の勧告が出され、政府としては国政全般との関連において慎重に検討を行いまして、三・三七%の給与改定を行うことに決定したものでございます。したがって、本年度の給与改定を行った後においても官民較差が約三%残るわけでございまして、これは本年度の勧告と給与改定の結果によるものと理解すべきではないかというふうに考えます。
#94
○太田淳夫君 先ほど同僚委員からもこれは御質問がございましたが、五十七年度、五十八年度、ことしを含めまして三カ年にわたりまして退職された方々がみえるわけですけれども、これは勧告率積み残しのまま、あるいはベア積み残しのまま退職させられる、あるいはさせられたことになるわけでございますけれども、現在のところ、定年で退職されていかれる公務員の皆さん方は御承知のように戦後の日本の再建のために懸命に働いてこられた、そういう方々がちょうどその年ごろになってくるわけですけれども、そして賃金はといいますと、大分これは人事院勧告が不完全な状態にあったわけでございます。こういう退職者に対しまして政府はやはり使用者として正当な報酬を支払っていないことになる、このように思うんです。先ほどのお話ですと、なかなかこれは救済もされないような状態ではないかというようなお話なんですけれども、これは政府としてこういう立場の皆さん方の状態を考えてやっぱり適当な対処をすべきじゃないか、このように思いますが、再度答弁願います。
#95
○政府委員(藤井良二君) 先ほどもお答えしたわけでございますけれども、近年勧告が実施されていないことから、その間退職した職員から見れば、退職手当、年金が俸給をベースとしていることから完全実施されている場合との差が生ずるという御趣旨と思われますけれども、給与につきましては厳しい客観情勢のもとにおきまして勧告の完全実施に向けて政府としてもなし得る最大限の努力の結果として決定したものであることを御理解願いたいと思います。過去においても、人事院勧告が完全実施されないことを理由として特別の措置を講じたことはございません。
 先ほど野田先生の御質問で過去には定年制がなかったではないかということを言われたわけでございますけれども、実は自衛官だとか裁判官だとか大学の先生方には定年制が過去においてもございました。このような先生方につきましても、五十七年の完全見送りあるいは昨年の抑制の場合にも特段の措置は講じておりません。
#96
○太田淳夫君 ですから、いつまでもそういうお話をされずに、何らかの救済の対策を今後講じていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 法案の中身にちょっと触れますけれども、平均三・三七%、約八千百三十八円の改善率及び額を出しているわけですけれども、十月三十一日の閣議決定では三・四%内の改定を行う、こういうふうになっているんですけれども、なぜこのような数値になったのか、あるいは俸給表あるいは諸手当改定の考え方、方法について説明していただきたいと思います。
#97
○政府委員(藤井良二君) 閣議決定の平均三・四%内とは、平均三・四%弱、すなわち平均三・三五%から三・三九%の間で俸給表の作成を行って計数を確定していくという趣旨でございます。政府といたしましては、人事院勧告を基礎といたしまして、平均三・四%内となるよう俸給及び諸手当について勧告で示された引き上げ額を比例的に圧縮して百円単位で四捨五入を行った結果三・三七%となったものでございます。政府の配分についての基本的な考え方につきましては、十月三十一日の閣議決定でも明らかにしているように、八月十日に出されました人事院勧告を基礎といたしまして平均三・四%内の改定を行っているわけでございます。
 詳しく申し上げますと、俸給については勧告において示された全俸給表の全俸給月額を改定するとともに、諸手当についても勧告のあった手当について改定を行っております。俸給及び諸手当とも勧告による引き上げ額を全体の改定率が三・四%内になるよう比例的に圧縮して改定したものでございます。
#98
○太田淳夫君 先ほどこれも同僚委員からいろいろとお話がありましたが、標準生計費と本法案の対応俸給、これを比較してみますと公務員の皆さん方の生活は大幅な赤字になるということですが、そちらの方に資料ありますか。先ほど独身男性で行(一)八等給の皆さん方の例をとられましたけれども、例えば行政(一)の五等給の八、こういうような皆さん方、本人、配偶者及びお子さんが二人というような家計についてはどのような計算になりますか。
#99
○政府委員(藤井良二君) 今その辺のところの具体的な数字はちょっと持っていないわけでございますけれども、額といたしましては先ほど申し上げました八の三を基準に設定いたしまして、そのほかの号俸につきましては人事院勧告の配分の傾向をそのまま忠実に圧縮、比例してつくっております。
#100
○太田淳夫君 人事院が今までの例に倣いまして総務庁統計局の家計調査及び厚生省の調査等を基礎にして算定した本年四月における世帯人員別標準生計費を見ますと、四人家族で、調整手当非支給地では二十三万一千五十円、東京都では二十四万七千三百二十円になっていますが、この標準生計費に対応する想定上の国家公務員の皆さん方の給与改善案、これによって算出をしてみますと、本人、配偶者及び子供二人の方、年齢的には三十六歳ですが、調整手当非支給地では二十一万八千五百円、東京では二十三万八千百六十五円となっているんですが、先ほどもお話がございましたが、共済組合の掛金を控除してみますと、共済組合の掛金の率がこの十二月から変わります。そうしますと、変わった率で計算しますと二万一千八百九十五円となります、税金は入っていませんけれども。そうなりますと、それを引きますと、東京都でも二十一万六千二百七十円、調整手当非支給地でも十九万六千六百五円、こういう計算になるわけです。
 そうなりますと、標準生計費からはるか大きな差額が生じてくるわけです。この行政改革の中で公務に精励をしてみえます公務員の皆さん方の家計というものがそれだけ赤字になってしまう。これは非常に士気の面でも影響がされてくることは当然考えられますし、先ほども総務庁長官からもいろいろと御答弁ございましたけれども、再度そういう点を含めてやはり今回の改定につきましてももう少し――もう少しというより完全実施をして皆さん方の生活を守る立場でやっていただかなきゃならぬ、このように思うんですが、この点どうでしょうか。
#101
○国務大臣(後藤田正晴君) 政府側が三・四%内という決定を最終的にしたんですが、大蔵大臣と私との最後の折衝でぎりぎりした話になったわけでございますが、いろんなことを配慮して俸給作成の技術的な問題もあるといったようなことで四捨五入して三・四ということを最終の決定にして、あとは技術的な俸給表の作成に任せよう、こういう実は決定をしたわけでございます。この点、まずお答えをいたしておきたい。
 それから生計費の問題がいろいろ御議論になっておるようですが、その点、局長からもお答えをいたしましたが、私も局長からそういう説明を聞きまして、行(一)の八の三、これを基準にして、私も局長から聞いてそれなら理解ができる、こういうことであったわけでございます。
 御質問の中に共済掛金の値上げの問題がございました。これはやっぱり手取りが問題ですから、だから私の頭の中には大蔵大臣との折衝にはそれは置いておったことは事実でございますけれども、これまた理屈っぽくてえらい恐縮ですけれども、これは後で返ってくるわけですから貯金ではないかとか、こういう理屈が先方からは出てくるわけでございます。そこらも一応考えながら、そして同時に、この方はベースアップの問題ですからあれだけれども、国家公務員の場合は公労協なんかの皆さんとは若干違うものですから、御案内のとおり。そこで、定期昇給というものもこのほかに何%あるなということも私の頭の中に置きまして、それで最終四捨五入して三・四だよということを決定したのだ、率直に裏話まで申し上げまして御理解をしていただきたい、かように思います。
#102
○太田淳夫君 俸給表の作成の点で最後にお聞きしておきたいと思うんですけれども、これは先ほども同僚の野田委員からも質疑がございましたけれども、俸給表の作成の権限、これは総務庁設置法に云々ということでございましたが、もう一度お伺いしておきたいと思います。
#103
○政府委員(藤井良二君) 俸給表作成の権限の問題でございますけれども、現行法制上、人事院は社会一般の情勢を考慮して公務員給与の改定を国会及び内閣に勧告することになっております。勧告を受けた国会及び内閣は、人事院勧告制度が公務員の労働基本権制約の代償措置の一つとして憲法上の評価が与えられているものでございますから、このような制度が実効を上げるよう最大限の努力をしなければならないことは言うまでもありませんが、最大限の努力が尽くされた場合には仮に勧告の実施が抑制されたとしてもそれはやむを得ない措置として法制上の問題は起こらないのではないかというふうに考えられます。このように最大限の努力をした上で抑制せざるを得ない場合には、政府におきまして、その権限に基づいて責任を持ってその取り扱いを決定し、国会に法律案を提出することができるものと考えております。
 なお、この場合におきましても、政府がどのような俸給表を作成するかについては人事院勧告の趣旨を踏まえて合理的な配慮を行った上で行うべきじゃなかろうかというふうに考えます。
 また、国公法及び給与法の規定によれば俸給表の作成は人事院が所掌するのじゃないか、総務庁は関与すべきじゃないのじゃないかという点でございますけれども、人事院の給与勧告というのは給与法の改正によりまして初めて具体化され、実施に移されるものであります。勧告を受けた内閣といたしましては、その取扱方針を決定し、総務庁設置法に定めるところにより、人事行政に関する事務を所掌する総務庁をして俸給表の改定を含む給与法改正案の立案に当たらしめ、閣議決定を経て国会に提出したものでございまして、法律上問題が起こるとは考えておりません。
 なお、過去に人事院勧告を完全実施した場合におきましても、内閣の決定に基づいて内閣がその責任において給与改正法案を国会に提出してきたのでございます。
#104
○太田淳夫君 確かに勧告に基づいて法案を提出するということは政府の任務かもしれませんけれども、せんだっての委員会でも同僚の質問に対しまして、法的などういうところにそういう明文があり、権限があるのだというような質問に対しましてはなかなか明確な答弁がなかったように思いますし、今も俸給法の作成についてこういうような条文によっているのだという明確な答えはございません。
 よく総務庁の方でお引きになりますところの佐藤元人事院総裁の御答弁の中を見ましても、「政府がかりに自主的に独自の案をおつくりになったからといって、公務員法の明文に違反するとか、無効であるとかいうことには、これは私どもの立場としてはちょっと言いにくいことでありますけれども、それは違法、無効にはならない」というような御発言もございまして、よくそれを引かれますけれども、その後の方で、もしもそういうような問題が生じたときには相当重大な問題をはらんでおりますという、こういうお考えも示されておるわけでございまして、この俸給表を作成するということは、せんだっての同僚委員の質問にもありましたけれども、人事院にこれは任さるべきだという点についての御答弁、どうでしょうか。
#105
○政府委員(藤井良二君) 人事院が作成いたします俸給表というのは、あくまでも給与勧告を行うための俸給表の作成でございます。これを実際に実施に移すのは給与法の改正によらなければならないわけでございまして、この給与法の改正案というのは、内閣がその取扱方針を決定して、総務庁設置法に定めるところによりまして、総務庁が俸給表の改定を含む給与法改正案の立案に当たって、閣議決定を経て内閣に提出している次第でございます。
#106
○太田淳夫君 ちょっと長くなりますけれども、総務庁設置法の中にあります「国家公務員に関する制度に関し調査し、研究し、及び企画すること。」、この規定がかなり拡大解釈されるおそれがある、そう思うわけです。国家公務員法あるいは一般職の給与法を見てみますと、果たして総務庁にそのような権限があるのかどうかということが私どもとして素直に受け取れません。
 まず、国公法の第三条には中央人事行政機関としての人事院が定められておりますし、二項で、法律の定めるところに従い、給与その他の勤務条件の改善及び人事行政の改善に関する勧告、給与等に関する事務をつかさどる、このように明確にこれは規定されているわけです。一方で、第十八条の二に、やはり中央人事行政機関である内閣総理大臣、これが定められておりますけれども、これは「職員の能率、厚生、服務等に関する事務(第三条第二項の規定により人事院の所掌に属するものを除く。)をつかさどる」、このように明確に規定されているわけです。各行政機関についての人事管理方針など統一保持上必要な総合調整に関する事務をつかさどるとしかこれは規定されていない、このように思います。そして、これを裏打ちするように国公法の第二十八条あるいは六十三条、六十四条、六十七条、こういうものがそれぞれ規定されているわけです。
 これを受けまして、一般職給与法第二条には人事院の権限として、第三号に「職員の給与額を研究して、その適当と認める改定を国会及び内閣に同時に勧告すること、」、このように規定されておるわけですし、一般職の給与法改定については政府の関与を明確にしている部分はどこにもないと私たちは思うわけです。政府は給与法の立案ができないという禁止の規定がないから違法でないというのでは、人事院の行っている事務を何でも政府はできるということになってくるのじゃないかと私は思います。
 労働基本権が制約されている現行制度のもとで、労使の交渉にかえて給与の決定を客観的に行うために独立した専門的機関としての人事院が必要である、こういうことからこういう法体系になっているんですから、使用者であります政府が、この尊重すべき勧告を無視して、公務員労働者の合意も得ないで、独自の調査研究も行わないで俸給表を作成するということは、国会法とかあるいは一般職給与法の規定の法意に私たちは抵触するものだ、このように思うんですが、その点はどうでしょうか。
#107
○政府委員(藤井良二君) 何遍も同じようなお答えをして恐縮でございますけれども、人事院というのは俸給表作成の権限を有し、その権限に基づきまして俸給法の改定案を作成して勧告を行っているわけでございます。人事院の俸給表作成の権限というのは、あくまでも勧告俸給表の作成の権限でございます。この勧告を給与法の改正によって具体的に実施するにはやっぱり給与法の改正が必要なわけでございまして、勧告を受けた内閣としてはその取扱方針を決定いたしまして、総務庁設置法で人事行政に関する事務が総務庁に事務分掌されておりますので、そこに給与法改正案を立案させて、閣議決定を経て国会に提出している次第でございます。
#108
○太田淳夫君 人事院総裁、どうですか。
#109
○政府委員(斧誠之助君) 先ほど先生、佐藤元総裁の国会の答弁をお読み上げになりましたですが、違法であるのかないのかという突き詰めた話になりますというとなかなかこれは違法であるというところまでは言えない、しかし人事院の勧告の内容を変更しますと問題をはらんでおりますよということを申し上げておりますが、それは勧告制度というものが先ほど来議論になっておりますように非常に公務員制度上重要な制度である、憲法上の評価もあるそういう制度である、それを変更するということになるというとそこには非常に問題があるのではないですか、その勧告の俸給表あるいは手当ということではなくて勧告自体の変更、そこに問題をはらんでおる、そういうことで午前中以来、先生方も一体こういうことで人事院勧告制度というのは維持できるのか、あるいは憲法の問題が発生するのではないかという御議論が展開されておるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
#110
○太田淳夫君 防衛庁長官が見えていますので、防衛庁の職員の給与法についてちょっと触れておきたいと思います。
 防衛庁長官は、今回の防衛庁職員の給与改定、これがやはり低い率に抑えられているわけですけれども、この点についてはどのような認識をお持ちになってみえるか。特に、国を守るという第一線で勤務されてみえる自衛官の士気ということについてはどのようにお考えになっていますか。
#111
○国務大臣(加藤紘一君) 先生御指摘のように、自衛隊の隊員というのは国防という任務を遂行するものでございまして、その給与、処遇は隊員の士気にもかかわる重大な問題であると思って深い関心を持っております。しかし、本年度の給与改定につきましては厳しい財政事情のもとで閣議決定された方針でございますので、私たちも忍びがたいところでございますけれどもやむを得ないものではないか、こう考えております。隊員もその辺の事情をよく理解してくれているものだと私たちは信じております。
#112
○太田淳夫君 今まで防衛庁としましてもあるいは政府としましても防衛費の一%の枠と給与改定は別だという態度をとっておみえになりましたけれども、今回でもその問題は関係ない、防衛費の枠の問題には影響を与えなかった、このように断言できますか。
#113
○政府委員(宍倉宗夫君) 給与改定の問題は給与改定の問題かと存じます。それから防衛関係費につきましての先生おっしゃいます一%の閣議決定につきましては、あれは防衛計画の大綱との関係におきましてできました閣議決定でございますから、全然両者は別個のものと思っております。
#114
○太田淳夫君 今回の給与改定に要する費用は四百三十八億円と聞いておりますけれども、瞬間的に一%の枠を超すのじゃないかということもいろいろと報道されておりますが、防衛庁としてはどの程度超すとお考えになりますか。
#115
○政府委員(宍倉宗夫君) 防衛費の一%に関する閣議決定でございますが、御案内のように、分母にはGNP、分子には防衛関係費でございますが、それはその時点時点におきますGNPの見込み額、あるいはいわゆる決算ベースということになりますれば確定値というのが分母になりますし、分子になります防衛関係費と申しますのはその時点におきます予算額になるわけでございます。ただいまの時点におきましては、分母にございますGNPは政府見通しとしてのGNPとしてことしの一月に決まりました二百九十六兆円というのがございますが、これがございます。それから九月に経済企画庁がレビューとして出しました数字として二百九十六兆四千億という数字がございます。このいずれかということが分母でございます。
 分子の方は当初予算の二兆九千三百四十六億というものしか現時点ではないわけでございますから、計算上の数字といたしまして、今先生御指摘のように、防衛関係費につきまして今御審議いただいております法案が通過いたしたとした場合にあと幾ら要るのだということになりますと三百十六億円要るという計算は確かにそういう計算になるわけでございますが、冒頭から申し上げましたように、対GNP比といいますのはあくまでも予算でございますからして、瞬間的に突破というのは文学的な表現ではあろうかと思いますが、私どもは閣議決定との関係で瞬間的に突破しているとは思っておりません。
#116
○太田淳夫君 そうしますと、こういうことがいろいろと計算されている。補正予算段階で他の経費を節約することによってGNP一%以内という閣議決定を守ろう、こういうふうに防衛庁もせんだって答弁していたと思うんですが、その場合にどのようなところを節約するお考えなのか、その点はどうでしょうか。
#117
○政府委員(宍倉宗夫君) 節約につきましては、ただいま作業をいたしてございます。いろいろもろもろのところを当たりまして、できる限り欧務運営に支障のない限りにおいてぎりぎりいっぱいの努力をいたしているところでございますが、明確に今何費をもって幾らと申し上げるまでの段階には至っておりません。最善の努力をしているということでございます。
#118
○太田淳夫君 防衛庁長官は、この給与法改正案と防衛費のGNP一%枠の閣議決定との整合性についてどのようにお考えでしょうか。
#119
○国務大臣(加藤紘一君) 先生御質問の五十九年度の問題につきましては、今私どもの経理局長から申しましたように、ベースアップによって五十九年度につきましては三百十六億ほどのお金がプラスとして出てくるわけでございますが、その点につきましては本年度は節約等で守り切れると思っております。
#120
○太田淳夫君 六十年度の防衛関係予算を決める際にもこれはいろいろと問題になって、一%枠も当然問題になってくるわけでございますけれども、そのたびごとにいろいろと問題にならないように、やはり防衛の基盤となる自衛官の士気高揚のために、経済見通しあるいは人事院勧告に基づいた給与改定を考慮した予算を組むべきだ、このように思いますが、その点どうでしょうか。
#121
○国務大臣(加藤紘一君) 来年度の防衛関係費とそれからGNP一%との関係でございますが、正直のところ来年度GNPがいかなる規模になるかということもまだわからない状態でございますし、また防衛関係費というものが今度の予算折衝の中でどの程度確保できるかもまだ不確定要素でございます。また同時に、先生来年度のベースアップのことを御指摘ございましたけれども、来年度のベアがどのような人事院勧告としてあるわれてくるか、またそれに対して政府全体としてどういう対処の方針となるか、これもまだ不確定要素でございます。したがって、この段階で特に確定的なことはなかなか申し上げられない段階であろうと思っております。
 いずれにいたしましても、五十一年に三木内閣のもとで決定されました閣議決定の方針はできるだけ守っていけるようにしたい、努力してまいりたいと考えておりますが、数字の面ではいろいろな意味でかなり微妙な段階になってきましたことは、先般、当内閣委員会で私が申し上げたとおりでございます。
#122
○太田淳夫君 ここで長官に一言お聞きしておきますが、総理大臣の諮問機関が一%枠の見直しということを総理に答申を出したり、あるいは総理自身も来年の秋ぐらいには一%の見直しについていろいろと御意見を述べてみえるようですが、その点について防衛庁長官としてどのようにお考えですか。
#123
○国務大臣(加藤紘一君) 総理の私的諮問機関の平和問題研究会で一昨日いろいろ御提言をなさいました。私たちとしては、十分読ませていただいておりますし、いろんな点で参考になる御意見がございますし、政策決定する際に参考になるものは参考にさせていただきたい、こんなふうに思っております。ただ、防衛関係費とかGNP比の問題につきましては、私たちは先ほど申しましたように現在のところ五十一年の内閣決定の方針をできるだけ守っていきたい、こんなふうに思っている次第でございます。
#124
○太田淳夫君 防衛庁職員の給与体系につきましては、この内閣委員会におきましても過去で多くの指摘がされております。余り改善されたとは思えないのでございますけれども、今回も改善はしますよということをおっしゃっていながら改善もされないで提出をされているわけですけれども、見てみますと単に機械的に一般職の俸給表を準用している、こういうふうにしか思えませんが、防衛庁の給与担当者としましてはやはり防衛庁の特殊性あるいは隊員の処遇改善を考えて作業を進めているのかどうか疑問に感ずる声もあるわけですけれども、過日の委員会でも当時の人事教育局長は人事院の給与制度の見直しと絡ませて防衛庁で検討中、こういう答弁をされていました。その当時いろいろと改善された部分もそのときにはお話しになっているようでございますが、防衛庁としてはどのようにこの点について考え、検討を加えられていますか。
#125
○政府委員(友藤一隆君) 先生ただいまお話がございましたように、私どもの自衛隊員の給与体系と申しますのは一般職の給与に準拠いたしておるわけでございますけれども、三つございまして、大別しますと、自衛官の俸給表、それから参事官等の俸給表、それから事務官等の俸給表、この三つがあるわけでございますが、事務官の俸給表につきましてはこれは一般職の俸給表をそのまま使っておりますし、職務の形態も大体一般職とほぼ同様のものでございますので特段の大きな問題はございませんが、自衛官の俸給表等につきましては御案内のとおり特殊な形をとっております。
 しかしながら、やはり自衛隊員も国家公務員の一員でございますし、全般的なレベルといったものにつきましては一般職の水準といったものに均衡をとってまいるということが公正妥当な面であろうかということで、従前から職務が類似いたしております主として公安職の俸給表に準拠し、これに調整を加えた形で現在まで来ておるわけでございますが、お話がございましたように、確かに国防という重要な任務を遂行する自衛官の職務、勤務条件、こういったものは一般の公務員に比べまして甚だ独自なものがあるわけでございまして、こういった特殊性に応ずる措置、こういったものを適時適切に私どもとしては措置をしてまいる必要があるわけでございます。
 しかしながら、一般職には第三者機関といたしまして人事院勧告制度、こういったものがございますけれども、私ども自衛隊にとりましてはこういった制度がございませんので、関係機関とも相談をいたしまして独自にこういった研究、検討をしていかなければいけない、こういうことでございます。そういうことで、自衛官の給与問題の基本にかかわります諸問題につきましては、主として公正妥当性を追求するという意味もございまして、部外の学識経験者をメンバーといたしまして防衛庁職員給与制度等研究会、こういったものを設けましていろいろ御意見を承っておるわけでございます。
 それで、現在までどういうことをやっておったかということでございますけれども、かつては営内居住の自衛官の食費の問題、こういったものについても御意見をいただき措置をしてまいったところでございますが、近年におきましては自衛官の俸給上の職務格付の問題、これは最近の会議でもいろいろ御論議をいただいておるところでございます。例えば三尉から二曹の自衛官の俸給が公安職(一)の五等級にリンクをしておるということで非常にリンクの状況が立て込んでおる、こういった状況でございますので、こういったものはやはりすっきりとした形にすべきではないか、こういう御意見もございまして、これは俸給の構造等も大幅に見直す必要もございますので関係機関とも協議をしなければいけませんが、ちょうど人事院の方では一般職の給与制度全般の見直しをされるというようなことも伺っておりまして、こういったスケジュール等とも歩調を合わせまして私どもといたしましては研究会等の御意見もいただき、内部の意見も吸い上げて改善できるように検討を進めていこう、こういうことに考えておるわけでございます。
#126
○太田淳夫君 時間が来ましたので、最後に人事院にお聞きしますけれども、防衛庁のいろんな見直しのお話も今出ましたんですが、その根幹をなすのはやはり人事院の六十年を目途とされました公務員制度の見直し、こういう問題じゃないかと思うんです。これは戦後の公務員制度の改革という歴史的な大きな意義を持っていると思うんですけれども、今こういう人事院勧告制度が無視されているような状況の中でせっかくの勧告が完全実施をされない、そういう状況の中で基本になるものがきちっと定まらないような情勢の中では非常に厳しいのじゃないかと思うんです。私どももこの公務員制度の改革ということにつきましては大きな意義を認めておるわけでございますけれども、その点について正常な形でこれはできるのかどうか、そういう心配もありますので、その点について最後に御意見を賜って質問を終わりたいと思います。
#127
○政府委員(内海倫君) 公務員制度の見直しの問題につきましては、前年度の報告及び勧告の際にもどういうふうな観点からいかような問題を取り上げるかということは御報告を申し上げておるところであり、自来、人事院におきましてはそうした問題について検討を進めております。
 確かに御意見のように給与というものが抑制されておる状態のもとにおいて、そういうふうな見直しの問題はそれが片づいてからやったらどうだ、これも大変大事な御意見とは思いますが、先刻御存じのように、人事院というものは単に給与だけの問題でなく、その他における諸般の勤務制度等いろいろな問題を検討し、対策を出していかなければいかぬわけでございます。一方における高齢化社会の進展、あるいは高学歴化の進展、さらに経済その他の事情の変動というふうな客観的諸条件の変化に対応して、やはりある程度時期を失しないように措置をしていくということもまた国家公務員に対する我々の大きな任務でございますから、私どもとしましては、確かに一方における給与の抑制下というふうな問題がありますが、反面またそういうふうな問題と別個に見直しの問題で必要なものは具体化を図っていきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしく御協力をいただきたいと思います。
#128
○内藤功君 給与三法案に関連しまして、幾つかの問題点につきまして御質問申し上げたいと思います。
 まず最初に、私たちの基本的な立場から質問をしてみたいと思うんです。人事院は国家公務員一般職の給与引き上げについて六・四四%の勧告を行ったのに対して、政府が十月三十一日の給与関係閣僚会議におきまして三・四%内という形で引き上げを認める、それが閣議決定されたわけですが、私はこれは憲法にも保障された公務員労働者の団体交渉権、ストライキ権、こういう基本権を奪ったものである、そして奪ったかわりに代償措置というふれ込みでこの人事院勧告制度というものがある、こういうふうに言われておるんですが、これさえも無視した不法なものだと言わざるを得ないと思うのであります。
 一昨年は全面凍結、昨年は切り下げ、公務員とその家族の生活は、いろいろな私に対する訴え、国会に対する陳情を見てもわかるように、重大な打撃をこうむっておる。また、三年余にわたっての凍結、抑制は公務員の最低の権利である団体交渉権、スト権さえ侵害をして、段階的実施という口実で人事院勧告の内容を実際上改ざんして、今後長期にわたって給与切り下げの固定化事実を既成事実にしていこうということだと私どもは考えざるを得ないのでございます。
 同時に、乙の人事院勧告の大幅な引き下げということは、公務員それから政府関係の法人の職員の方などの給与に直接打撃を与えて、二千万人余りの年金、恩給受給者の給付抑制、さらにそれがてこになって民間賃金の全体が抑制されようとしている、こういうところに波及しているということが非常に深刻な状況であります。我々、日本経済というものをこういう働く人たちの暮らしという面からまずとらえなければならぬというふうに考えております。
 そこで、政府の御認識を伺いたいんですが、この人勧の相次ぐ凍結ないし抑制によって公務員労働者にどのような影響が出ているか、これは単に物質的な生活面だけではなくて、使用者としての政府に対する信頼感、さらに今禁止されているストライキについての認識というような面も含めての士気の面、こういった面でどういうふうな認識を政府はお持ちであるのかということをまず伺っておきたいのであります。
#129
○政府委員(藤井良二君) 今回の給与法案の決定に当たりましては、給与が職員の生活の糧であることを十分に認識いたしまして、給与改定が職員の生活に与える影響等につきましても十分に配慮しながら検討してきたところでございます。しかし一方、現下の財政事情、行財政改革を推進している中における国民世論の動向についても政府としては考慮せざるを得ないと考えたわけでございます。政府としては、このような公務員給与を取り巻く諸事情を国政全般との関連において総合的に勘案して、政府としてなし得る最大限の努力の結果として昭和五十九年四月一日から平均三・三七%の給与改定を行うことに決定したものでございまして、この点御理解をいただきたいというふうに考えております。
#130
○内藤功君 これは我々として今の御答弁は納得できるものではありません。
 総務庁長官にお尋ねいたしますが、大臣は国会の場で必ずと言っていいほど勧告制度尊重の基本に立って完全実施に取り組む、これは当然であるとか、あるいは大臣よく言われる最大限の努力ということを言っておられる。しかし私は、全農林判決のことが頭にあってのお言葉だと推測するけれども、政府が最大限の尊重、最大限の努力をしているというふうには到底思われないのであります。その証拠が、本朝来しばしば御質問に出ております、来年以降のことについて完全実施が不可能な場合は三年を目安にするとかめどにするという言葉であります。私は、この言葉は素直に聞けば来年以降も完全実施は当分無理だよということを我々に何とか納得させ、押しつけようという言葉のようにとれてならぬのであります。自分の手を縛ったのだとさっきおっしゃいましたけれども、自分の手を縛ろうというのならば来年度は完全実施に努力する、これが一番いいはっきりした縛り方だと私は思うんです。この点、再度、長官にお伺いしたい。
#131
○国務大臣(後藤田正晴君) 御説のように、長官としては国政全般とのにらみ合わせの中で人事院勧告を最大限に尊重するということで精いっぱいの努力をしたつもりでございます。もちろん、公務員の諸君がそれで御満足かといえば御満足はしていただけるとは思いませんけれども、しかし政府としては最悪の条件のもとでもともかく三年目には完全実施しますよ、もちろん来年も最大限の努力をする、こういう官房長官談話を発表することによって、その点で何とかひとつ公務員の諸君の不安感というものはなくしていただくことができたのではなかろうか。よく私は建前は十分承知をしておりますけれども、しかし、やはりこういった厳しい客観情勢の中では現実的な解決の道をはっきりさせるということが本当の政府のやるべきことではないのか。もちろん、来年これが完全実施できれば一番いいことは当然ですし、私どもも努力はしますけれども、相変わらざる厳しい情勢が続くということもこれまた客観的事実であろうと思います。ならば、そういった情勢が続いても三年目にはともかく御安心を願うような処置をする、こういうことでああいう政府の方針というものを明らかにしたのだ、ここをひとつ公務員の諸君にもぜひ御理解をしていただきたい、かように思うわけでございます。
#132
○内藤功君 これも到底納得できないわけです。後藤田さんは有力な政治家であるけれども、三年後同じような立場の閣僚にあるということはこれはだれもわからないわけでございます。
 それはさておいても、私が思い出すのは、この日本の財政の中であの赤字国債の問題です。赤字国債を何年後までにはなくす、さらにその後政府当局の答弁は変わってきて国債依存体質を何年までに直す、そのうちそれが守れなくて内閣がつぶれそうになったときもあるわけです。そういうふうにして来年三月末で百二十二兆円ですか、こういうものにとうとう膨れ上がっている。例を出すのは必ずしも適切かどうかわからないけれども、何年後ということは、特にこの賃金という労働者の命にかかわる問題について今の御答弁は到底納得できない。これはそういうことでならしていって、人事院勧告というのは実行できないものだということをみんなにあきらめさせるというようにしか私はとれないですね。これは幾らやっても論争は平行線になりますから、次の問題としてILOの勧告の問題に関連してであります。
 私は、国際的な労働法の最低基準がILOの条約であり、勧告だというふうに思いますし、この点は御異論がないと思うんです。ここ数年来、政府が人事院勧告を尊重しない、無視し続けるために、労働側はしばしば日本政府を相手方とする申し立てをILO結社の自由委員会などの諸機関に行っているわけです。これは二十数年続いているのじゃないでしょうか。いろんな努力をしておる。これに対して、昨年からことしにかけて、先ほど同僚議員の御質問にもあったように、ILOの結社の自由委員会、専門家会議、理事会等々相次いでこの勧告がなされておるわけです。これだけでも大変な努力を労使当事者とILOが払っているのであります。
 十一月の勧告の中で特に注目すべきことは、こういうふうに言っているところです。人事院勧告が八一年以降完全実施されていないとすれば、本委員会は日本の公務における現在の労働条件決定のシステムは関係当事者の信頼を確保するという点について疑問を表明せざるを得ない、このように述べまして日本政府に注意を喚起する旨の警告を発しているわけです。これはやはり従来の勧告の基本線に立っていますが、さらに一歩進めて強く日本政府に制度そのものの問題に触れて勧告をしたということが重大だと私は思うんです。重大だと思わなければこれはおかしいです。このようなたび重なる勧告は、私は国際的にも、また国内の日本の働く人たちに対しても大変恥ずかしい政府の汚点だ、こういうふうにとらなければならないと思うんです。発達した資本主義国といいますか先進国、その最たる国である日本の国の政府として本当にこれはお粗末きわまりない不名誉なことだと思うのであります。
 そしてまた、ILOの二百二十二次報告、これはたしか去年出された報告でありますが、この報告では労働側の申し立てにつきまして、公務等でストライキ権等が奪われている場合には適切な保障、代償というのは次の三つの条件が必要だ、一つは迅速かつ公正な調停・仲裁制度、二つ目は当事者があらゆる段階で参加できるそういう機関、三つ目には一たん決定された裁定は完全、迅速に実施されるという要件を捕えた、そういうものでなければこれは代償措置と言えないのだということをうたっておるわけです。これは、私はILOいう国際労働機関から最低の国際水準はこれだよ、スト権を奪う場合、団交権を奪う場合でも最低の水準はこれだということの示されたもので、これ以下ということはあり得ないものと受けとめなければならぬと思うんです。
 この際、お伺いしておきますが、こういうようなILOの去年からことしにかけてのいろいろな勧告というものについての政府のこの重大性の受けとめ方、それからこれに対してこのままでもって、いや、日本政府は仲裁裁定、人事院勧告を守るという方針を堅持していますというふうな今までの答弁をなお続けるつもりか、ことでこれにこたえてこういう制度上の問題についてこういうふうな方向でいきたいというお考えはないのか、そこらあたりを再度お伺いしておきたいと思うんです。
#133
○政府委員(藤井良二君) けさほど労働省の方からお答えがあったわけでございますけれども、今回の結社の自由委員会の二百三十六次報告でございますけれども、その中ではいろいろな表現がとられておりますけれども、これはその基調となっておりますのは、五十八年二月の結社の自由委員会二百二十二次報告あるいは本年三月の専門家委員会の報告に述べられていると同様に、人事院勧告の重要性というのを強調したものであるというふうに我々は理解しております。政府は、従来からILOが述べられている労働基本権制約の代償措置に関する原則につきましては十分に理解しておりますし、今後とも人事院勧告制度を維持、尊重するという基本方針を堅持しつつ、勧告の完全実施に向けて最大限の努力を払ってまいりたいというふうに思っております。
 人勧制度を再検討する必要があるのじゃないかということでございますけれども、私どもとしては第三次公務員制度審議会の答申及び第二次臨時行政調査会の基本答申において労働基本権の制約の代償措置である人事院勧告制度によるべきものというふうにされておりますので、政府としては人事院勧告制度を今後とも維持、尊重することにいたしたいというふうに考えております。
#134
○内藤功君 重大性を理解される、こういうお立場に立たれるのならば今のままじゃだめなんです、制度的にも。私は、ストライキ権、団体交渉権の代償というのは、読んで字のごとくストライキ権、団体交渉権があると同じような権利、利益というものをその労働者に与えるということ以外にないと思うんです。そうすると、ストライキ権、団体交渉権を思い切って完全に解放するか。現に、経営側の日経連の最高幹部の一人も、最近ではこういう意見を言っている人がいるんです。既に、そこまで日経連の中でもスト権を与えていいじゃないかと言う人も出てきている。
 こういうスト権、団体交渉権を完全に解放して、政府の官房長官なら官房長官が窓口になってそこで団体交渉をやるという形にするか、あるいはまたILOの最低の要求条件にかなった給与決定制度、給与決定機関、人事院でいいと思うんですが、人事院の制度の中に労働組合、それから使用者としての政府、これが参加できて、そしてどの段階でも参加できる、迅速、公平に救済のできる、そういうような方向に今の人事院制度を改正するという方向を大きく目指していかないと、何年たってもILOから日本という国はこういう守らない国かということになります。ILOにお金はいっぱい出しているから守らなくてもいいということは絶対ないと思います。この制度改善の方向についてのお考えは全くないんですか。
#135
○国務大臣(後藤田正晴君) 私は、公務員の給与の問題、これは国内問題でございますから、こういったことが国際の場でいろいろ論議されるということはまことに遺憾な事態であろうと思います。その根本は何かといえば、人事院勧告が完全実施せられていないのだということが根本の原因であろうと思いますから、そこらは政府としては十分配意をしなければならない、私はさように考えておるわけでございます。
 ただ、ILOのこの勧告の受けとめ方、内藤さんは制度改正に重点を置いていらっしゃる。私はそうは理解しておりません。これはなぜILOがああいう勧告をなさるかといえば、代償措置が完全に機能していない、それならばこういうことにならざるを得ぬではないかという希望を表明していると思うのです。問題は、やはりあの勧告を、日本政府に対して人事院勧告の完全実施を最大限努力してやりなさいよ、こういう御意見であろう、私はかように受けとめておるわけです。したがって、先ほどお答えしたように、一日も早く完全実施の線に向けて政府としては努力をしていく、これが何よりも肝心なことではなかろうか。したがって、現在政府としてこの制度改正を考えるかどうかということになると、日経連の幹部で一、二そういうことを言った人があることも承知しておりますが、公務員制度そのものをよく知らぬからああいう議論が出るのであって、これは利益分配の問題とは違う。これはやはり税金の中から全体の奉仕者に対して払っているのだという公共性といったようなことも十分配意をして今日の制度ができているわけですから、政府としてはこの制度がうまく運用できるように私は最大限の努力をするということが先ではないのか、制度改正の問題はその次に出てきてしかるべき議論であって、現在の時点で制度の改正に踏み切るといったようなことは毛頭考えておりません。
#136
○内藤功君 この制度改正が出てくるというのは、人事院勧告というものがこの三年間凍結ないし抑制ということで守られていない、さすがのILOもしびれを切らして乗り出したというところが本当なんじゃないですか。ですから、人事院勧告完全実施を目指すとおっしゃるならば、もう一遍議論は戻りますけれども、この三年間に云々というようなことではなく、来年度即時完全実施というところで答弁をされなければ筋が通らぬと私は思うんです。
 これは議論がもう一遍戻りますから、次に人事院制度のあり方について関連してお伺いしたいと思います。私は、今まで人事院は御努力されて勧告についていろいろ苦労されているから人事院そのものに対する批判は極力避けてきましたが、この際ひとつ率直に申し上げておきたいと思うので質問いたします。
 総裁に伺いますが、人勧か完全実施されなくなって六回目、六年目ということになります。政府が人事院勧告と違った給与というものを出す場合に、総裁としては談話を発表されて遺憾であると言っておられるわけです。ただ、これは本当に怒ってそう思っておられるのか。役人なり政治家は本当に怒る場合というのは少ないんでしょうけれども、本当に怒りというのは出ているだろうか。私は、例えば先日の内閣委員会の総裁の御答弁の中で、これは矢田部議員の質問に対してですけれども、人事院勧告制度を政府が否定されたとか完全に無視したとかいうふうに理解すべきではなかろうとおっしゃっていますが、これなんかももう少しきっぱりした怒りを持って答えてもらいたかったのであります。
 人事院は、何しろ政府から独立した機関です。そして、この人事院勧告制度というものはストライキ権の代償です。人事院というのは独立した機関です。私がなぜそれを聞くかというと、八三年度、八四年度と総理府あるいは総務庁が独自に俸給表をつくっているんです。これは違法であると私は思います。これはほかの議員がさっき質問されたから、僕はこれを繰り返しません。現行法制下では、俸給表の作成は人事院の所掌事務としてはっきり書いてあります。総務庁にはその権限がない。人事院はこれに関知すべきでない、私はそう思います。
 かつて私は前総裁の藤井さんに会ったときがありますが、去年でしたね、総裁はそのときに、総理府が俸給表を持ってきても自分はそれを見ない、俸給表は人事院がやるのだとはっきり言ったですよ。そして、内海さんも私にそう言ったじゃないかね。言ったでしょう。私はそうだと思うんです。その後に、実際実務の中では給与体系の整合性が損なわれては困るという口実で俸給表作成作業に協力している、こう私は聞いているんですが、そうなんですか。それは人事院は一たん出したらこれが正しいと思ってやっているんですから、それでいいじゃないですか。どうして協力する必要があるんですか。私は、協力するというのは人事院が自分で値打ちを下げていると思います。率直に、私はこの点は非常に遺憾なことだと思うので、人事院のお考えを聞きたい。人事院というもののいろんな努力を認めつつも、こういうことではいけないと思うんですが、いかがでございましょうか。
#137
○政府委員(内海倫君) 段々の御意見がございました。人事院として勧告が完全に行われないということに対する人事院総裁あるいは人事院としての気持ちですけれども、これは怒りとかそういう感情的な問題として処理するには余りにも大事な問題でございますから、私どもは、たびたび申し上げておりますように、あらゆる努力をしてこれが実現を期するということが最大の問題だと思っております。
 ただ、もし感情的な気持ちで言うとすれば、私は深い苦悩というものを感じておることは事実でございます。それだけにこれから、先ほどもいろいろ各委員の先生方から御所見がございましたように、何とか政府において来年こそは完全実施をしていただくということによって問題を解決していただきたい、あるいはいただくように私どもも努力をする、こういうことでございます。
 なお、今回の政府においておつくりになった俸給表の問題につきましては、政府からも私どもへの協力はございませんし、私どももまたそういうことに対して手をかすということはいたしておりません。ただ、もし事務的に何かあったとすれば、事務当局から答弁をいたします。
#138
○政府委員(斧誠之助君) 現在、給与法の改正案の審議が行われておるわけでございますが、仮にこれが成立いたしますというと、その給与法改正につきます実施業務、これは人事院の責務で行わなくちゃいかぬわけでございます。そういう意味で申しますと、法律が制定されましたら法律による委任に係る人事院規則、これは制定しなければなりません。それから法律によって切りかえの方法が附則で示されておりますが、その中にも人事院が定める事項がたくさんあるわけでございます。そのことについても勉強しておかなくちゃならないわけでございます。そういう意味で、国会で法律が改正になった暁に早期に支給できるようにということの準備、そういう必要もありまして、事務的にはやっぱり給与法改正というのはどういうふうに動いていっているのだろうという関係の連絡はお互いにとり合っている、こういうことでございます。
#139
○内藤功君 これは、私のところにもいろいろ資料ありますけれども、実際に事務的な作業の手伝いをしていると私は聞いております。していないなら結構です。僕は、事務的な手伝いも含めてやるべきじゃない、それは人事院の権威を落とすということを重ねて申し上げておきたいと思います。全然やっていなければそれは結構です。やっているとすればおやめいただきたいというのが私の意見であります。
 次に、人事院の勧告というものは国会に対してもなされる、これも先ほどから論議されている。いろいろ人事院について書いている学説を見ると、内閣が勧告を拒否するのを防止する趣旨だという学説、国会独自の立場で勧告を尊重し、勧告の採用を決定すべきものだとする有力な学説もあると思います。こういうふうに凍結、抑制が続く事態では、国会自体が人事院勧告の精神に沿って給与法の議員立法を全会一致でやって、そして国会独自の勧告を受ける立場を発揮せざるを得ないのじゃないかと私は思うんです。この点、当委員会でも大いに議論をして、国会としての立場を明らかにしなきゃならぬ。
 これは政府に聞いても答弁する人はいないんですが、内閣委員長、この問題については、給与を決定する、給与についての権限を持つ常任委員会として、小委員会という案もありますが、それも含めた措置を真剣にやっぱり検討する必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
#140
○委員長(大島友治君) 承って、それを処置していきたいと思います。
#141
○内藤功君 理事会に十分諮っていただきたい。
#142
○委員長(大島友治君) はい。
#143
○内藤功君 次に、防衛庁の給与法に関連しまして防衛庁当局に御質問したい。
 まず、いわゆるGNP一%問題であります。これは、ここ数日来、私の報道で承知するところによれば、いろいろな動きが報道されておるのでございます。そこで、改めてこの問題について防衛庁長官にお伺いしたいわけです。それは今GNP一%というものをどのように理解をするか、ここの原点がやっぱりしっかりと踏まえられなきゃいかぬと思うんです。財政論議、数字合わせだけになっちゃならぬと思うんです。閣僚でも、安倍外相はこれは軍事大国にならないというあかしだと言ったり、河本国務大臣は平和憲法のもとでの日本の進路にとって大変大事なことだと言ったり、いろいろ発言がありますが、何といっても現職の防衛庁長官である加藤大臣のとの点についての御認識、私どももいろいろ承っておりますけれども、改めて加藤長官は、このGNP一%というものがなぜ決められ、どういうこれは国政の中で位置を占めるものか、その重み、これについてはどういうふうにお考えか、まず承っておきたい。
#144
○国務大臣(加藤紘一君) 我が国の防衛力整備につきましては、私が申すまでもなく、戦後ずっと国会のコントロールの中で、国会の中で御議論いただくことによって整備が進められてまいったわけでございます。そして、いわゆる防衛計画の大綱が決定されまして――三木内閣の閣議決定の方針が決まる前はどういう形をしていたかと申しますと、いわゆる三次防、四次防というような形で五カ年間の防衛力整備計画について総額を決定し、そしてその中でこの問題につき国会の中で御議論いただいてきたというものだと思っております。そして、昭和五十一年からは防衛計画の大綱に従って御議論をしていただき、ただこの防衛計画の大綱というのは金額を設定しておりませんでしたので、こういうことを設定する一つのめどといたしまして五十一年の十一月だったかと思いますけれども、一%を超えないことを限度としてという閣議決定がなされたものだと考えております。
#145
○内藤功君 そこで、官房長官おいでになりましたので伺いたいと思いますが、十五日に党首会談が行われた中で中曽根総理が、六十年度予算編成では一%枠を守っていきたい、しかし夏には人事院勧告もあり将来のことはわからない、何らかの変更を求めるようなことが必要なら国民に理解を求めたいという御発言があったやに報道で私は読んでおるわけでございますが、これは一体どういう真意に基づくのか。また、一部には、これは一月訪米のアメリカへの手土産である、お土産であるということを観測しておる新聞もある。ここらあたりについて私は総理に伺いたいのですが、御出席いただけないので、内閣の大番頭さんである長官にこの点を率直に伺いたいと思うんです。
#146
○国務大臣(藤波孝生君) 予算編成を前にいたしまして各党の党首と会談をいたしまして、いろいろ予算編成についての御意見などを伺ったところでございます。その中でのお話でございますので、正確に議事録を持ってということでありませんので、大体の感じとして申し上げますことをお許しいただきたいと思います。
 その節に、民社党の佐々木委員長からお話がございまして、その委員長のお話に対して、政府としては従来もGNP一%以内ということを防衛費の考え方として非常に大事にしてきておる、そのことを従来真剣に守ってきておるし、これからもその考え方をとり続けていくようにいたしたい、こういうふうに政府としては各党の党首にお答えをいたしておるわけでございます。
 そんなやりとりの中で佐々木委員長から、防衛費の中身についていろいろ考えてみるということは当然意義の深いことだと思うけれども、もし一%を超えるというような事態が起こった場合には、それはどうして超えることになるのか、そのことについての政府の考え方を国民に向かって所見を発表する必要があるのではないか、こういうお話でございました。
 それに対して総理から、GNPの大きさとか、あるいは今後防衛費をどんなふうに持っていくかとか、いろいろと予測しがたい問題があるので今から確定的なことを言える段階ではないけれども、六十年度当初についてはその方を堅持していくようにいたしたいということをまず一つ踏まえまして、そして委員長からお話がございましたので、例えばその一%を超えるというような事態が起こった場合には、委員長の言われるようになぜその一%を超すことになったかということについてその考え方を国民に示すということはもっともなことだと思う、そういうときにはそういうふうにしなければなりますまい、こういうふうに申し上げたわけでございまして、少しその辺のやりとりの中で、今御指摘がありましたようなことが新聞の細面では出ておりますけれども、それは何か一部のところだけが報ぜられておる、こういう感じがいたしておるわけでございます。
 政府といたしましては、三木内閣以来とってまいりましたGNP一%以内というこの考え方を大事にいたしまして、今後とも努力を続けていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
#147
○内藤功君 官房長官は世論調査をよくお読みだと思いますが、どの世論調査でも防衛費は現状より超えないというのがやっぱり今一番多い。最近発表されたある新聞のGNP一%堅持はどうかというずばりの世論調査では、七二%の人が一%堅持を言っている。こういう国民の世論を尊重していただく必要があるということを私は申し上げておきたいと思います。
 最後に、防衛庁にもう一点お聞きしたいのは、海上自衛隊が十一月二十七日から三十日の間、本州の東、南方海域でカールビンソンを中心とする米空母機動部隊から戦術情報の提供を受け非常にリアルな状況で訓練をしたい、これは十一月八日の私の質問に対する防衛庁の政府委員の答弁であります。その後この演習が行われたわけですが、この具体的な報告をしていただきたいのであります。特に、戦術情報の提供を受けリアルな状況の現出をしたということは、演習海域付近での具体的なソ連の潜水艦、艦船、航空機の位置、行動の情報の提供をも含むのではないかと私には思われるのですが、この点を含めて報告をいただきたい。
 あわせて、関連しますので、もう一点。その後、この演習の継続として、十二月一日にカールビンソンを中心とする空母機動部隊が日本海に入ってウラジオストクから五十マイル以内の海域まで進出をした。きょうのニューヨーク・タイムズあるいはロイターの電報が各紙に載せておられますが、その中には五十マイルよりもっと近くまで行ったという報道もあります。日本海にいる間に空母機動部隊へのソ連の戦闘機、爆撃機、偵察機の接触は延べ百五十機に上るという報道もあります。これは非常に重大なことだと思うんです。また、けさの名紙によると、米国防総省は、第二次大戦以来最も激しいアメリカの軍事力に対する反応であった、こういう報道もされているようでありますが、この点について防衛庁はいろんな情報からどのように認識をなさっているか、また自衛隊はこれに何らかの支援を行ったことがあるのかどうか、これらの諸点につきまして防衛庁当局の御報告をお願いしたいと思うんです。
#148
○政府委員(大高時男君) 先般、先生の方から内閣委員会におきまして御質問がありました海上自衛隊の第二回対潜訓練でございますが、ただいまお話しのように十五日から三十日の早朝にかけまして予定どおり対潜戦、防空戦あるいは電子戦の訓練を行いまして、日米ともに戦技の向上あるいはまた両者の連係要領の演練というものを行ったわけでありますが、この過程におきまして、先生御指摘のように、十一月の二十七日から北上してまいりました米空母部隊、これから戦術情報の提供を受けております。この戦術情報と申しますのは、第二回の対潜特別訓練に参加いたしました艦艇、航空機、これがいろいろと演習のために動いておりますけれども、これについて非常にすぐれた空母の情報収集能力で得られた結果を提供していただいた、こういうことでございます。
 また、その後の米艦艇の行動につきまして訓練上海上自衛隊の方で何らかの支援をしておるかということでございますけれども、我が方が米空母部隊から支援を受けましたのは十一月三十日まででございまして、それ以降は米国の行動については我が方では関知しないということでございます。
#149
○政府委員(古川清君) 先生の二番目の御質問についてお答えを申し上げます。
 近年アメリカは、ソ連の一貫した軍事力の増強ということに対応する施策といたしまして、アメリカの抑止力の信頼性の維持強化という観点に立ちまして、その一環として空母機動部隊の運用というものを柔軟にいたしまして、その活動を強化することによってプレゼンスの強化を図る、いわゆる柔軟運用と言われているやり方でございますが、この計画をずっと実施しておるわけでございます。今般の空母カールビンソンを初めとするアメリカの軍艦の日本海における行動といいますものもこのような計画に基づくものと私どもは考えております。
 その際、北海道及び東北周辺の日本海の上空におきまして十二月の一日及び十二月二日の両日にわたりまして通常よりもやや活発な航空活動というものを自衛隊のレーダーでとらえております。これは事実でございますけれども、これがカールビンソンとどういう関係にあったかということは私ども承知しておりません。いずれにいたしましても、こういったアメリカのプレゼンスが日本の周辺において強化されるということは私どもとしても大変好ましいものというふうに日本の安全に寄与するものとして評価をしておる次第でございますが、先生の御発言にございましたような自衛隊がアメリカのこういった動きを支援したという事実は全くございません。
#150
○内藤功君 私は、安保条約の問題、評価、さらに米軍の行動についてのいろんな評価について政府と見解を異にする点が多々あると思うんですが、ただ我が国の周辺でもって、しかも日本海という裏庭の中で、カールビンソンという船は移動する核基地だと言う人がおります。つまり一大戦闘基地である、カールビンソンの発行したパンフレットにそう書いてあるんです。カールビンソン自体が発行したパンフレットに一大戦闘基地だと。それが働いている、それが外国の領土の近くに行っている、こういう場合に相手が非常に大きな、第二次大戦以来最も激しい反応をするという報道は私はあり得ると思う。
 こういうことが好ましいという問題、これは一体日本の今の平和国家を目指し軍事大国にならないという立場から見てどうなんでしょうか。こういうような行動が行われ、それに対して激しい反応があるということは、日本の平和という面から見ると、安保条約賛成、反対という問題は一応おいても好ましくない。こういうことがないように米側にも日本の立場、日本の意見を言って、そしてこういうことについては極力自制し慎重にしてもらうというような心構えが日本の政府になければならぬと私は思うんです。少なくともそういうことをはっきりと米側に対して問い合わせ、また事実をはっきりさせる。今の二人の答弁ではそれ以上のことはわからぬというんですから、長官にお答えいただけばいいんですが、古川さんでも結構です。けさいろんな新聞に出ている。それから十三日には、ある新聞の論説委員がトップ記事でこのような一触即発の行動というものを報道しております。こういうものについて、あなた方はアメリカ側に具体的に問い合わせ、情報を得るという努力はしたんですか、どうですか。
#151
○政府委員(古川清君) ただいまお答え申し上げましたとおり、十二月一日及び二日の両日にわたりまして通常よりやや活発な航空活動というものを把握しておるということは私どもで実はやっておるところでございます。
#152
○内藤功君 最後に、長官、お聞きになって、日本の周辺でこういうような行動が行われている、これについて好ましいという答弁が防衛庁の内局の方からはありましたんですけれども、これはどういうふうにお考えになりますか。やっぱり重大なことだと思いますが、こういうことが好ましいんですか。
#153
○国務大臣(加藤紘一君) 日米安保条約のもとに米国の抑止力の信頼性が維持強化されるということは私たち国の安全保障体制の中の一つの重要な一環でございますので、そういう意味で古川参事官の申し上げていたのはその辺を政府の立場を明確に申し上げたことであります。この点につきましては、日米安保条約についての評価が違ったら、政治的立場が違えば当然違った御意見になるだろうと思っております。
#154
○内藤功君 これは一般論で言われるのじゃなくて、もっと問題を絞っていって、こういう核攻撃能力を持った艦載機を四十機ですか五十機ですか、積んだ働く核基地と言われるそういう大きな航空母艦、それに随伴する機動部隊、これがウラジオストクの近く五十マイル以内というところまで行ったというんです。これを否定されていないです。それに対してソ連がいつになく大きな、第二次大戦以来最大の反応を見せたというようなことが日本海にあっても、なお防衛庁長官のお立場は、これは抑止力の強化だから好ましいことだ、これで全部言い通せるものですか。どこまでいくでしょう。GNP一%の問題は量的な限界の問題です。アメリカのそういう行動に対してこっちが関与しない、なるべくアメリカに近くでそういう危険な行動をさせないというのは政策面でのやっぱり一つの日本国家のとるべき限界じゃないでしょうか。これは繰り返しの議論になりますから、予算委員会その他でさらに内閣全体の姿勢を問いたいと思います。私は、これ以上は同じ答弁なら求めませんけれども、非常にこの好ましいという答弁は重大なことだと思います。
#155
○政府委員(古川清君) 一つだけ申し上げておきたいのでございますけれども、五十マイル以内の地域に入ったということを否定されなかったという御発言でございますけれども、私はその点は米艦艇の行動の詳細については承知する立場にないということを申し述べておきたいと思います。
#156
○内藤功君 それなら、きちんと調査をしてもらいたいですね。
#157
○柄谷道一君 まず、内閣法制局長官にお伺いいたします。
 本年八月二十八日の本院内閣委員会で峯山委員は、憲法二十八条で規定している労働基本権の保障は三公社四現業の職員はもちろん非現業の公務員にも及ぶものである、しかしこの労働基本権は公労法や国家公務員法で制約しているけれども、現業と非現業は団結権とスト禁止という点では同じであるけれども、団体交渉権については、現業には労働協約締結権を含む団体交渉権が認められている、これに対して非現業職員に対してはこれが認められていない、したがって非現業に対しては実態的に見て現業より強い規制が加えられている、こう認識してよいか、こういう質問に対して長官はこれをそのとおりであると肯定されております。
 そこで、引き続いて、しかしその代償措置という面から見ると、現業に対しては仲裁裁定については原則として労使双方を拘束してこれに服従しなければならないことが明定されている、予算上、資金上実施が困難であるという判断が下された場合に限り公労法の規定により国会に付議され国会の判断を仰ぐという建前になっている、これに対して非現業の国家公務員に対しては人事院勧告はいわゆる勧告であり、厳密な意味ではその内容をそのまま完全に実施しなければならないという拘束力がないということは公平、公正を失するのではないか、こういう趣旨の質問でございました。
 これに対して長官は、ここからが重要なんですが、人事院勧告については法律上いわゆる尊重義務の規定はないが、明文の規定がないからといって人事院勧告制度が、昭和四十八年四月のいわゆる全農林事件に関する最高裁の判決でもるる述べられているように、公務員の労働基本権制約の代償行為として位置づけがなされている限り、勧告を受けた国会及び内閣がこれを尊重すべきことは言うまでもないことであって、いわゆる尊重義務に関する明文の規定があるか否かによって特に法的な効果が異なるということはないということを指摘申し上げたいと思います、人事院勧告制度については尊重義務が当然に前提とされており、明文があるかないかによって法的効果が異なるということはなく、そういう意味で一概に両者の間に不均衡が実質的に生じているということはないのではないかと思います。これは速記録の再読ですから誤りはないと思います。
 そこで、確認をいたしたいわけでございますが、労働基本権に対する制約の代償措置については明文のあるなしにかかわらず両者とも尊重義務が課せられており、現業、非現業とも公正かつ均等に取り扱われるべきが本旨であり建前である、私は長官の答弁を素直に読みまして、このように理解しているわけでございますが、私の理解に誤りがございますか。
#158
○政府委員(茂串俊君) ただいま御指摘のとおり、さきの本委員会で峯山委員の御質問に対しまして御答弁をしたところでございますが、人事院勧告制度につきましてはたびたび御質問を受けて御答弁を申し上げているところでございまするが、明文の規定はありませんけれども、労働基本権利約の代償措置の一つとしての憲法上の評価が下されているわけでございますから、勧告を受けました国会及び内閣がこれを尊重すべきことは当然であると考えておる次第でございます。
 人事院勧告制度と仲裁裁定制度とは、先ほどの私の前の御答弁にもありましたように、基本的に制度の仕組みが異なっておりますので、直接的に比較することは難しいと存じますけれども、人事院勧告も仲裁裁定もそれぞれの制度の仕組みの中で尊重されるべきことは当然である、かように考えておる次第でございます。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
#159
○柄谷道一君 双方とも尊重されるべきであり、かつ尊重の重みに相違はないというふうに言われたと私は理解します。
 としますと、昭和三十一年に公労法の改正で仲裁裁定に対するいわゆる政府の努力義務が挿入されました。従来ともすれば起こりがちでありました裁定実施に関する紛議をできるだけ避けて、円滑、合理的に処理する基礎がつくられた。その速記録に全部目を通してみました。また、「労働運動史」の昭和三十九年版を読んでみました。この中には、当時の池田総理と太田総評議長会談、これによる公労協の四・一七スト中止の経過が詳述されております。そして、同年の四月十六日、公共企業体と民間企業との賃金較差は公労委が賃金問題を処理するに当たって当然考慮すべき法律上の義務である、したがって公労委における調停等の場を通じて労使ともこの是正に努力するものとする、公労委の決定についてはこれを尊重する、二項が正式に調印されていることも御承知であろうと思います。
 これと同じ尊重の重みを持つ人事院勧告が、五十六年には期末勤勉手当の旧ベース支給、五十七年度は人事院勧告の完全凍結、五十八年度は二・〇%へと抑制、五十九年度三・三七%、四年連続して尊重は実態的にされていないわけでございます。一方、仲裁裁定につきましては、時の情勢によりまして議決案件として上程されたこと、されないことはございますけれども、いずれも仲裁裁定はそのまま実施されております。同じ重みを持つ尊重義務でありながら、現業と非現業との間に実態的にこれだけの差をつけるということが公正であり、両者は均衡がとれていると長官はお考えでございますか。
#160
○政府委員(茂串俊君) 人事院勧告制度と仲裁裁定制度とは基本的に制度の仕組みが異なるわけでありますが、人事院勧告も仲裁裁定もそれぞれの制度の仕組みの中で尊重されるべきものでありますことはただいま申し上げたとおりでございます。
 御指摘のとおり、結果的に見ますと仲裁裁定が実施されましたのに対しまして人事院勧告は完全には実施されていないということがございますけれども、内閣及び国会が勧告の実施について最大限の努力をした上での措置である以上は法的には特に問題があるというふうには考えておりません。
#161
○柄谷道一君 私は、ことで両者の仕組みの違いをるる述べる気持ちはございません、当然建前が違うわけですから。しかし、長官は双方いずれも尊重しなければならぬ、そして財政上等の事情がある場合は片や議決、片や政府案の法律提出という違いはあってもこれはいずれも尊重には重みに差はない、これが法の精神だと言われたですね。私は、法の建前から合法か非合法かと言っているのではなくて、立法の精神に立って、長官の尊重義務が同じであるという認識に立ってこの両者は均衡がとれているとお考えですかということをお伺いしているわけです。
#162
○政府委員(茂串俊君) 先ほどから繰り返しになりまして恐縮でございますけれども、人事院勧告制度とそれから仲裁裁定制度の仕組みというものは法律的にいろいろと違った点があるわけでございまして、その仕組みの中で最大限の尊重努力をするというのが法の趣旨であろうかと思いまして、その結果として国会でも十分に御審議になられた上であのような結果が出てきたのだと思います。その点につきましては特に法的に問題があるというふうには考えておりません。
#163
○柄谷道一君 法制局長官にこれ以上言ってもそれ以上の答えは返ってこないと思うんですけれども、しかしこれは明らかに、同じく公務に携わる者でありながら、しかも同じ尊重の重みを持つ精神でありながら両者の間には著しく差のある取り扱いが行われている、このことだけは否定しがたい現実であろうと私は思うのでございます。
 そこで、官房長官にお伺いいたしますが、私も大正の生まれでございまして、多少古いかもしれませんが、論語の中に、「巧言令色鮮きかな仁」、また「巧言は徳を乱る」、こう教えております。私はそういう教育を受けた者の一人でございますし、恐らく両長官も同じ教育を受けられた世代ではないかと思うのでございます。
 五十六年十一月二十六日に、私は行政改革特別委員会の連合審査のときに当時の鈴木総理に対して質問いたしました。それは、四十八年四月二十五日の最高裁大法廷判決の重みというものに対する総理の認識はどうか、それを伺いますと同時に、異例の措置ということは明生、明後年このような異例が続くということでは異例にはならない、人事院制度を崩壊させることになる、五十七年度以降の人勧完全実施に対する政治姿勢いかんとお伺いしたわけでございます。
 鈴木総理の御答弁は長いものでございますが、これを要約しますと、最高裁判決の趣旨というものは十分政府としてもこれをわきまえており、人事院の勧告は非常に重いものである、この趣旨を私どもは最大限に尊重し、誠意を持ってその実行に当たりたい、「毎年毎年ことしのような異例の措置が繰り返されるようであれば、これはまさに人事院制度の根幹に触れるような結果に相なると思います。政府といたしましては、ことしは御承知のような非常に財政非常の事態でございますので異例の措置をとったわけでございますが、今後は人事院制度の持つ権威なりあるいはその勧告の重みというものを十分心得まして、誠意をもってこれに取り組んでまいる所存でございます。」、鈴木総理のお言葉でございます。
 私は、この答弁は異例の措置は繰り返さないという総理としての決意を表明されたものだと受けとめております。ところが、この言葉がまだ消えないうちに、五十七年は同じく異例の措置という名のもとの完全凍結でございます。五十八年度も異例という名のもとに二・〇%に抑制いたしました。そして、その際、五十八年十一月二十七日の内閣委員会で、当時副長官でございました藤波さんも加えて自、社、公、民が真剣な協議をしたその結果に基づいて丹羽総務長官は、五十九年度以降の人事院勧告の取り扱いについては具体的な勧告が行われるのを待って人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ国政全般との関連を踏まえ俸給表等の勧告内容を尊重した実施に向けて最大限の努力を尽くします、「なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例であると認識しております。」とお答えになりました。ところが、五十九年度も再び俸給表に手をつけられたわけでございます。
 私は、甚だ失礼かもしれませんけれども、こうした五十六年度以降の政府の態度を見ておりますと、いわゆる巧言をもってその場その場を切り抜けるという態度に終始しておる、これは明らかに仁を欠き、徳を乱る行為である、こう言われてもやむを得ないのではないか。こういうその場しのぎの答弁で私は公務員の士気をどのようにして高め、遵法の精神を公務員に説くか、そして良好な労使関係が築かれていくのであろうか。私は、まず政府自体がみずから言った言葉に対して責任を持つ、それが出発点ではないかと思いますが、官房長官の御所見はいかがでございますか。
#164
○国務大臣(藤波孝生君) 従来、政府といたしましては、人事院勧告あるいは仲裁裁定が出ました段階で完全実施に向かって努力する、こういう気持ちで真剣に取り組んできたところでございます。いろいろ国民世論の動向とか財政事情とか総合的に判断をいたしまして、あるいは見送りあるいは抑制といった措置をとらざるを得なかったことを大変残念に思い、また申しわけなく思っておる次第でございます。
 そのときそのときに少し言葉の言い回しでその時点で責任を回避したりあるいは一時を糊塗しようとするのではないかという御指摘につきましては、何か物を言えば全部言いわけになりますので、私も答弁のしようがありませんけれども、しかし何とかしてやはり法の趣旨に照らして完全実施したい、こういうふうに思ってきたものですから、鈴木内閣のときもそうであったろうと思いますし、中曽根内閣になりましてからも大変申しわけない措置をとったことは実に異例のことである、通例のことではない、ですから今度こそはぜひ努力をいたしましてそのとった措置が異例であるということのそういう裏づけにしたい、こう気持ちを込めて努力をしてきたのですけれども、遺憾ながらそういう結論を得るに至らずに今日に至っておりますことはまことに残念なことである、申しわけない、このように思っておりますが、誠心誠意やりたいと思えば思うほど何か形容詞が多くなりまして、言葉ばかり多くなってパーセントがふえない、こういうようなことに結果としてはなっておりまして、まことに申しわけなく思っております。私も巧言令色は仁は少ない、こう思っておりますので、余り形容詞を使わないで、完全実施に向けて努力する、それでいいわけですから、その気持ちを大事にして今後も取り組んでまいりたい、こう考えておる次第でございます。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
#165
○柄谷道一君 過去はそういうことでしょうが、ことしの閣議決定、これは努力したいという期待感を込めた巧言ですか、それとも誓約ですか、総務庁長官に伺います。
#166
○国務大臣(後藤田正晴君) 柄谷さんが御質問なさっていらっしゃるように、従来はやはり率直に言いましてその場その場で政府はいろいろ答弁をなさったと思います。しかし、そういった答弁をしながらも最大限努力したことだけは間違いないんです。結果としてはその答弁と異なる結果になっておるではないか、こういうことだと思います。
 そこで、ことしの決め方で官房長官のああいった談話を出してもらったのは、それではいかぬではないかということで、大蔵大臣と私の間でぎりぎりした話をして、そこで政府全体で、閣議にもかけ、一応の私はだからこそ歯どめをかけたのだ、こういうようにひとつ理解をしていただきたい、かように思います。
#167
○柄谷道一君 総務庁長官にお伺いしますが、行政改革を実現していく、これには公務員の理解と協力を欠くことはできません。それが私は前提であり、先決条件だろうとすら思うのでございます。その行革というのはすべての国民が公平、公正に痛みを分かち合うことである、これは中曽根総理がそう言っておられる。
 ところが、民間では、これは賃金の面をとって言いますと、毎年団体交渉によってベースアップは確実に行われております。また、現業の公務員については仲裁裁定が実施されております。ところが、非現業に対しては財政事情という名のもとにこれが長年にわたって完全実施されない。これはその結果として、場合によっては憲法違反の疑いを増大せしめたり、またたび重なる政府の冷たい仕打ちというものに対して公務員の士気は、長官は低下していないと言われますけれども、低下している、良好な労使関係のこれが崩壊につながっていく危険すら今生じつつあるというのが率直な現状ではないかと私は思うのでございます。今日まで全官公の諸君が法を守り、違法ストライキを否定し、かつ労使関係の正常な発展に努力し、かつ行革の推進と財政再建に向けて努力してきたのは、私は人事院勧告の完全実施に向けての努力とその実現が支えであった、こう思うのでございます。総務庁長官として率直な認識をお示しいただきたい。
#168
○国務大臣(後藤田正晴君) お説のように、行政改革というのは痛みの伴う仕事でございますから、公務員のみならず国民全体の御理解と御協力がなければ到底所期の効果を上げることはできないと思います。行政改革の本体は何かといえば、やはり簡素、能率化ということ、そして変化への対応、したがって既存の制度なりあるいは仕事の運営については見直しをして改革、合理化を進めていく、こういうことですから、当然現在の制度のもとで利益を得ている方々には御辛抱を願わなきゃならぬという面が出てくるわけです。
 そこで、公務員の給与についてどうだということになるわけでございますが、民間の方にもそういった御辛抱を願っている面があるんですから、やはり公務員の諸君にもその点の御辛抱を願わなければならぬということも当然出てくる。民間と公務員の違いはどこだということになれば、先ほどちょっとお答えしたように、民間は利潤分配ということが基本であろう。ところが、公務員の場合には、これは強制力によって徴収した国民の税金でその原資を賄う、したがって給与原資の出方が違う、同時にまた役人は全体の奉仕者である、極めて高い公共性のある仕事に従事しておるわけですから、そこは基本的には民間の方とは若干違った考え方でなければならぬのではないか、私はそういうように思っているんです。
 しかしながら、それなるがゆえにこそ今日スト権を制限し、団体交渉についてもある程度の制約がある、だから人事院制度があるのだ。ならば、その人事院の制度というものは、政府としてはそういった前提に立っての人事院の勧告ですからそれを最大限に尊重して完全実施に向けて努力するのは当然ではないか。ところが、政府の今までのやり方では言っていることと結果が違うじゃないか、それでは公務員諸君の士気は落ち、これはどうにもならなくなるじゃないか。だからこそ、そこで厳しい客観情勢の中、しかも一般国民にも御辛抱を願っている面があるんですから、そこらを広く考えながらもやはり一応の完全実施のめどだけははっきりしなきゃいかぬじゃないかということで、ああいったことしのような政府全体に縛りをかける政府の決意というものを表明したわけですから、こういった点は公務員の皆さん方も理解をしていただきたいし、またいただけるのではなかろうか、私はさように考えておるわけでございます。政府の誠意のあるところはひとつぜひ御理解を賜りたい、かように思います。
#169
○柄谷道一君 防衛庁長官にお伺いいたしますが、これは釈迦に税法かもしれませんが、現在、自衛隊法施行規則第三十九条に基づいて隊員の方々は次のような宣誓をいたしております。
  私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います。
これは一般隊員でございまして、同じく学生、予備自衛官、幹部自衛官もそれぞれ四十条から四十二条による服務の宣誓を行っているわけでございます。
 私は、この宣誓を守り、日夜我が国の平和と独立を守るために精励しておるその自衛官の士気を高めるに当たって、政府みずからが憲法で定めた代償行為たる人事院勧告の完全実施をただ財政上の事情というだけで抑制をし果たして士気が高まるのであろうか、自衛隊員の士気こそ我が国の安全平和保障政策の基本に据えられるべき問題ではないかと思います。
 衆議院段階において我々は修正案を出しました。また、本院でも修正案を出す予定でございますが、衆議院においてただ一言、防衛庁長官は反対でございます、これだけの意見を言われたわけでございます。一体二十五万の自衛隊員が防衛庁長官のこの答弁を何と聞いているでございましょうか。私は、改めて防衛庁長官としての今回の政府の措置に対する率直な所感をお伺いいたしたい。
#170
○国務大臣(加藤紘一君) 先生御指摘のように、我が自衛隊の隊員は入隊に際しまして宣誓書を提出いたします。その中には、先生今読まれましたように、「事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、」という、そういう部分が今、先生がお読みになったようにあるわけですが、本当に一朝有事になりますと文字どおり命を賭さなければならない仕事でございます。また、私も長官就任以来、殉職者の碑に参ったのでございますけれども、自衛隊創立以来まだ三十年にしかなっていないのに殉職者が既にたしか約千四百人前後であったと思います。平時におきましても大変危険な仕事をしているのが第一線の隊員でございます。そういう意味で、防衛庁長官といたしまして、それから防衛庁の人事担当の者は全員、隊員の処遇につきましては深い関心を持っている次第でございます。
 そういう意味から、先般、衆議院の内閣委員会におきまして、民社党・国民連合及び公明党・国民会議の共同提案によりまして自衛隊員の職員の給与につきまして修正案を出していただきましたことは、御両党が大変この隊員の処遇について深い御関心をお持ちいただいていることだというふうに思い、心から敬意を表しておるところでございます。もちろん、現状の国の財政状況から見ますとかなり厳しいものがございますし、いろんな意味での横並びもございますので、そういう中で閣議決定がされまして、そしてこのような今回の法律案になったことは私たち隊員の処遇に責任を持つ者としてまことに忍びがたいものもあるわけでございますけれども、しかし現在の財政状況の中ではいたし方のないことだ、こう考えております。
 一言で政府としては反対でございますというようなことを言ったことにつきまして御批判をいただきましたけれども、あの反対でございますと言うときには万感を込めて言わざるを得ないのでございまして、その辺は先生にも十分御理解いただきたいと思いますし、私は隊員は今度の厳しい状況の中でこういう事態に立ち至ったことを理解してくれているものだと信じております。
#171
○柄谷道一君 万感を込めて言われたかどうかわかりませんが、それでは長官になられたばかりですから過去のことは抜きましょう。
 この政府案が決まるまでの過程、これは主として大蔵と総務庁長官が一生懸命折衝されまして、官房長官が中にも入っておられる。私は、自衛隊の士気にかかわるこの問題については、防衛庁長官は当然その政府案決定に対して重大な発言力を持っていると思うのでございます。今後どのように対処されますか。
#172
○政府委員(友藤一隆君) 事務的な問題を先に申し上げたいと思います。
 私どもの防衛庁職員の給与改定につきましては、御案内のとおり、人事院勧告に対する閣議決定に基づきまして一般職の職員の給与改定に準じて実施されるということで、従来からそういう扱いになってきております。これは私どもからもたびたび申し上げておりますけれども、一般の公務員と同様、私ども自衛隊員もやはり公務員の一員でございますので、一般職の職員とは給与ベースについては一応の均衡をとってまいるということで来ておるわけでございます。ただ、御案内のとおり、大変厳しい任務に携わる自衛隊員でございますので、そういった観点から種々の調整等は十分心がけておりまして、今までもそういった点での努力は常にやっておるわけでございますが、今回のベース改定につきましてはまことに残念ではございますが、先ほどから長官が申しておりますように、厳しい財政事情等を考慮するときまことにやむを得ないものがあったということで考えておるわけでございます。
#173
○国務大臣(加藤紘一君) 先生御指摘のように大変士気にも関係することでございますので、私たちもこれから精いっぱい隊員の処遇の改善につきましては努力を払ってまいりたいと思います。したがって、委員の皆さんにも防衛政策の是非、これの意見の対立とは別に隊員の処遇につきましてはぜひ御理解をいただき、御支援をいただければと思っております。
#174
○柄谷道一君 他の委員の質問がありましたので、私はGNPとの関係を一点だけお伺いしておきますが、総理も六十年度当初予算は一%の枠を守りたい、こう言われた。守りたいということが実現できるのは、五十九年度の人勧を抑制したことと、来年の人件費の改善費を大蔵は一%計上する、そのことが前提になって当初予算では守れるという手法が生まれてくる。ところが、防衛庁長官はできるだけ守りたい、これを二回繰り返された。
 率直にお伺いしますが、できるだけ守りたいという真意は当初予算で守るということなのか、確かにGNPの変動、正面装備その他の防衛費がどう決まるか、さらに人事院勧告がどうなるか、いろいろ不確定要素があることは十分承知しております。しかし、まだ三%の積み残しがあるんです。総務庁長官は、できれば来年清算したい、こう言われたですね。そういう場合を想定して、できるだけというのは当初予算だけではなくて六十年度を通じて守る、そういうお考えですか。
#175
○国務大臣(加藤紘一君) 五十九年度につきましては、繰り返しますけれども、節約等で一%の枠は守り切れるだろうと思っております。
 さて、六十年度でございますが、現在GNPがどうなるか、先生に繰り返しますが、まだ不明確な点が多いのでございます。また、私たちは本年度の概算要求の七%、そしてベースアップに伴う上積み分の一・六%、合計八・六%ほどの支出の増を六十年度予算に向けて要求いたしておりまして、この防衛関係費の結末が本年度の末どうなるか、これも不明でございます。したがって、あと来年度のベア、人勧どの程度になるかということもまた不明でございますので、この段階では確たることはなかなか申し上げられないところでございますが、私たちとしては五十一年度の閣議決定の方針はできるだけ守るようにしてまいりたい、こう思っておりますけれども、数字的にはいろんな意味で微妙になってきていることは事実でございます。
#176
○柄谷道一君 ということは、現在できるだけ守りたいというお考えであって、今後三つの不確定要素が明確になってきた段階で守りたいというお言葉の再検討はあり得る、こういうお考えですか。
#177
○国務大臣(加藤紘一君) 現在までのところそれぞれ三つとも不確定要素でございますので、現在のところただいま私が申し上げた以上のことは申し上げられないと思います。
#178
○柄谷道一君 観点を変えましょう。
 先ほど野田委員は、国公法六十四条二項、いわゆる生計費、民間賃金、人事院の決定する適切な事情によって公務員の給料は決められるべきである、そういう視点から主として十八歳、単身者の標準生計費との関連というものについて質問されました。重複することは避けたいと思います。ただ、ポイント年齢としては、十八歳、独身、八―三号俸のほかに、従来二十七歳、夫婦、七―五号俸、三十三歳、夫婦子供二人、六―八号俸、これがいわゆるポイントになっております。
 そこで、これを見ますと、二十七歳、夫婦のポイントでは、人事院の世帯別標準生計費は十五万七百二十円でございましょう。この法律案によりますと十三万一千五百円ですから、約二万円前後標準生計費より落ち込んだ案になります。三十三歳、夫婦子供二人は、人事院資料では十九万八千五百五十円、これがこの号俸表では十七万九百円ですから、これも二万円ぐらいダウンしております。私は、数字のことをここで争おうとしているのではないんです。人事院は民間賃金との比較、生計費を中心にしてはじき出したわけですから、これを財政上の理由でカットするということは、民間より低くていい、標準生計費に及ばなくても我慢せよ、こういうことになると思うんですが、こういう私の受けとめ方は間違いですか。もしそうでないというなら、人事院は民間より、また標準生計費より高いものを勧告しているということに逆になりますが、いかがでしょうか。
#179
○政府委員(藤井良二君) 人事院は俸給表を作成するに当たって生計費だとか民間賃金を考慮しているというふうに理解しております。このうち生計費につきましては、その傾向を考慮して俸給表の配分に生かしているというふうに聞いております。今回政府で作成いたしました俸給表は、閣議決定でも明らかにしていますように、人事院勧告で示された配分に従って引き上げ額を比例的に圧縮したものでございます。人事院の標準生計費というのは、直接給与水準の算定の指標としているわけじゃなくて、世帯人員別の生計費の負担の動向を把握することによって給与の配分の参考としているというふうな考え方ではないかというふうに思います。
#180
○柄谷道一君 余り言いわけされたら私はいかぬと思うんだ。これは、そうしたら人事院はいいかげんな勧告しているんですか。人事院は人事院で真剣に国公法に基づいて調査をし、算定をして勧告しているんでしょう。それを切り下げるということは、一般傾向として落としたかどうかは別として、明らかにポイント年齢については民間よりも、標準生計費よりも低い、それでも我慢しなさい、財政上金がないのだからしようがないのだ、こういうことじゃないですか。総務庁長官、それは率直に言われた方が私はいいと思うんです。いや、安くないのだということは、それじゃ人事院勧告は高過ぎるんですか。
#181
○政府委員(藤井良二君) 今世帯別の標準生計費の問題を議論しているわけでございますけれども、さっき十八歳の独身男子……
#182
○柄谷道一君 数字はいいですよ。考えを聞いているんだ。
#183
○政府委員(藤井良二君) そのことにつきましては議論が行われたので省略いたしますけれども、これは人事院の方は二人、三人、四人というふうなぐあいでポイントを置いて算定していることは私どもも承知しております。ただ、今、先生が二人世帯、二十七歳、七等級五号俸と言われましたけれども、人事院の方にお伺いしますと、二十七歳になったら必ず二人子供がいるというわけじゃございません。人事院の方としては、二人世帯の場合は二十七歳ないし三十一歳で六の六というふうになっておりまして、この三十一歳、六の六におきましては標準生計費を上回るような設計になっているというふうに聞いておりますし、私どももそういうふうに設計してつくったつもりでございます。
#184
○柄谷道一君 私は、言いわけして民間に劣らないのだ、標準生計費に劣らないのだと言うなら、人事院の勧告に疑問が出ます。財政上の理由で圧縮してほしいというんですから、ポイントないしはその傾向値としてはそれ以下にしてくれというんですから、公務員には申しわけない、それが率直な政府の姿勢であるべきじゃないんですか。論を構えて、この総務庁の出してきた案がいかにも妥当であるがごとき弁を弄されるということは問題を一層複雑にします。今、公務員は忍従に忍従を重ねているんです。その限界に今来ておるんです。そういうときに、数字を弄して、いかにも総務庁のこの原案が人事院の精神を全く酌み取ってつくられた案であると強弁はやめてもらいたい、これだけ言っておきます。
 私は、時間の関係で多くの質問を通告しておったんですが、もう一点聞きます。
 六十年度の給与費の改定の計上についてでございます。私は、後藤田長官が人事院勧告制度を尊重し、誠意を持って対処する、しかもできれば来年、財政事情は厳しくとも積み残しを解消したい、最悪の場合でも六十一年度は解消したいと言われるならば、当然予算上の給与改定費の計上についてはその決意を具体化する担保があってしかるべきではないだろうか、こう思うのでございます。
 従来、予算編成局たる大蔵省がこの計上については事務的に決定してきましたですね。そして、まだ政府案は決まっておりませんけれども、おおむね、聞くところ、来年も一%の計上ということになるであろうと言われております。私は、総務庁長官が閣議で決定され、我々の前にそのことを誓約されるのであれば、大蔵省ベースで事務的に計上するのじゃなくて、総務庁長官と大蔵大臣がこの改善費の計上額について合い議して、そして閣議決定というものを実行し得るに足る担保を予算上明確にするということがあって初めて公務員は政府の決意を信頼するのじゃないでしょうか。六十年度も六十一年度も財政の見通しは甘くないです。その中でもやろうというんですから、この計上費に対する基本姿勢をお伺いいたします。
#185
○国務大臣(後藤田正晴君) 御承知のように、過去の経緯を見ますと、予算計上は、当初予算では五%、二・五%、二%、一%、こう続いておるわけでございます。私は、これは予算技術上の問題だと理解しております。これによって公務員の給与が左右せられる、ベースアップが左右せられるというふうには私は考えておりません。しかし、柄谷さんのような御意見もございますので、予算計上にはそれなりの努力はしなきゃならぬ、かように考えておるわけでございます。
#186
○柄谷道一君 刮目して待ちたいと思いますが、たまたま一%を計上した五十六年から完全実施されないのが始まっているんです。御承知でしょう。四十四年から五十三年までは五%計上です。五十四年は二・五%、五十五年は二%、ここまでは曲がりなりにも実施してきたんです。それが五十六年から一%になった。それ以来、凍結とか抑制が続いている。だから、完全実施をしようと思えば、この予算と尊重とは別だと言われるけれども、この傾向から見てなかなか信用できません。この点は、総務庁長官、努力すると言われるんですから、その努力にまちたいと思います。
 最後に、公団等特殊法人の給与でございます。これは官房長官も御承知のように、これらの労働組合は労働三権を持っているんです。ところが、実態は大蔵省の示す一律内示方式で抑えられております。いわば政府みずからが内示という形式を通じてこれらの理事者側の当事者能力というものに対して規制をするというよりも、むしろ当事者能力を奪っているわけでございます。
 特殊法人についてはそれぞれ設置目的、性格、財務組織、歴史的経緯を異にいたしておりまして、例えば一例を挙げますと、支払基金は昭和二十三年の発足当時は健保法と国家公務員共済法に基づく社会保険の診療報酬の審査、支払い、これが立法の目的でございました。その後、漸次各種公費負担医療が各法文について加わってまいりました。また、五十八年二月から老人保健関連業務が追加されました。そして、五十九年十月からは健保法の改正に伴う退職者医療関係業務がこれにつけ加えられてまいりました。本来、社会保険庁等国が行うべき業務をこの支払基金が代行して行っているわけです。業務内容は非常に拡大しております。
 一方、定員については、わずかな定員増の中でこれら拡大をし続ける業務を処理しておる。そこには、そこに働く人々の士気と良好な労使関係というものが前提でなければならない。幾ら頑張っても内示方式でそれ以上何ともならないのだということで、円満な労使関係が保たれるでしょうか。しかも、閣議で「公庫、公団等の職員の給与については、これまでの経緯等にかんがみ、国家公務員の例に準じて措置されるよう対処する。」、閣議みずからが当事者能力を否定する決定を行うことは私は越権だと思うんです。これに対する基本的な見解をお伺いいたしまして、さらに多くの質問をしたいと思っておりましたが、時間を守るために終わりたいと思います。
#187
○国務大臣(藤波孝生君) 先生が御指摘のように、特殊法人の職員には労働三権が保障されておりまして、あくまでもその給与の決定は労使の交渉にまつべきもの、このように考えております。ただ、一方、特殊法人が公共的な目的のために設立をされて、財政的にも国の補助金などに負うところが非常に大きいというような形で運営されておりますことから、従来からこれらの特殊法人につきましては国家公務員給与に準拠した取り扱いがなされてきたところでございます。
 御指摘のように、閣議決定をして公社、公団などの給与にもいろいろ言及をしておりますこと、国家公務員に準拠していろいろ物を言っておりますことは、この与えられておる労働三権の趣旨から見てまさに労使の交渉に関与するものではないか、こういう御指摘かと思うのでございますが、今申し上げましたような特殊法人の持っております性格にかんがみまして、原則的な方針を決定して、しかし個別の給与の決定等についてはあくまでも労使の話し合いによって決めるべきものだ、こういうふうに考えておりますので、政府として国家公務員に準じて原則的に考えておりますことと、そして労使で話し合って決めていくということとは矛盾をしない、こういうふうに考えておる次第でございまして、御指摘の御趣旨を踏まえて、今後よく気をつけていくようにいたしたい、こう考える次第でございます。
#188
○委員長(大島友治君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#189
○委員長(大島友治君) 御異議ないと認めます。
 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案の修正について穐山君及び内藤君からそれぞれ発言を求められておりますので、この際、順次これを許します。穐山君。
#190
○穐山篤君 私は、ただいま議題となりました一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対し、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案に係る修正の動議を提出いたします。
 その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、提案者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 本年八月十日、人事院は、国会並びに内閣に対し、一般職の職員の給与について、六・四四%、金額にして一万五千五百四十一円の引き上げを行うよう勧告をいたしました。
 しかるに、政府は、この勧告を平均三・四%内、金額にして八千百三十八円に圧縮した改定を行う給与法案を国会に提出してきたのであります。
 人事院勧告の完全実施が公務における労使関係の安定などに大きく寄与してきたことは、今さら申し上げるまでもありませんが、連続六年にも及ぶ人事院勧告の不完全実施、しかも二年連続の政府による俸給表の一方的な改変によって、公務員の労使関係はもとより、生活面、さらには士気の保持や有能な人材の確保など各方面に好ましくない影響が出ていることは歴然たる事実でありまして、このような事態が進めば、公務員制度や行政サービスに大きな障害をもたらすことにもなりかねないと深く憂慮するのであります。
 申し上げるまでもなく、人事院勧告制度は、憲法で保障された労働基本権の代償措置として、公務員の利益を保護するものであります。
 連年にわたる人事院勧告の凍結に次ぐ抑制措置は、労働基本権制約のもとにおける代償措置を全く無視するものであり、このような政府の姿勢は極めて遺憾なことでありまして、その正常化は緊急な課題であります。
 このような観点から、私どもは人事院勧告を完全に実施することが必要であると考えるのであります。
 したがいまして、人事院勧告が国会にもされたものであるという制度の本旨を踏まえ、ここに、人事院勧告を完全実施することを内容とする修正案を提出するものであります。
 以上が、本修正案の提出の理由であります。
 なお、本修正により必要とする経費は、約千九百九十億円と見込んでおります。
 委員各位の御賛同をいただき、速やかに可決されるよう要望して、本修正の趣旨説明を終わります。
#191
○委員長(大島友治君) 内藤君。
#192
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、本案に対する修正の動議を提出し、修正案の趣旨を説明いたします。
 修正案の内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。
 これより、その趣旨について御説明申し上げます。
 政府が提出した今回の一般職職員給与法改正案は、本年八月十日行われた人事院勧告による、一般職職員の俸給及び諸手当等を、本年四月一日から、平均一万五千五百四十一円、六・四四%引き上げるという勧告を、大幅に切り下げて、平均三・三七%にしようとするものであります。
 これは、日本国憲法の保障する公務員労働者の労働基本権の代償という人勧制度の趣旨からも、また俸給表の作成権限などを規定した現行の国家公務員法や一般職職員給与法にも反する不法不当なものであります。
 そして、何よりもたび重なる人勧の凍結、抑制で深刻な状況にある公務員労働者とその家族の生活に重大な打撃を与えるものであります。同時に、人勧抑制の影響が恩給、年金受給者や民間労働者にまで及ぶことは、国民の生活実感から明らかとなっているところであります。
 本修正案は、政府・自民党の不当な人勧切り下げを許さず、公務員労働者の最低限の願いである給与改善勧告の完全実施と近年の人勧切り下げ分の回復措置をとり、公務員労働者と国民の生活を擁護しようとするものであります。また、本修正案が成立した暁には、政府は速やかに関係給与法の規定に従い、一般職に準じた措置をとるのが当然であります。
 次に、修正案の概要を御説明いたします。
 第一に、全俸給表の全俸給月額を人事院勧告どおり引き上げることとしております。
 第二に、諸手当について、初任給調整手当、扶養手当、住居手当、通勤手当、非常勤の委員等の支給手当限度額などを、人勧どおりに引き上げることとしております。
 以上のほか、附則において、昭和五十六年度から五十八年度の期間における人勧の凍結ないし抑制に対し、公務員労働者のこうむった実質的損害額の回復措置を政府に求める規定を設けることとしております。
 なお、本修正案に伴う必要経費は、約一千九百九十億円と見込んでおります。
 以上が、本修正案を提出する理由と内容の概要であります。
 委員各位の御賛同をいただき、公務員労働者と国民の切なる願いにこたえて、本修正案を可決されんことをお願いして、趣旨の説明を終わります。
#193
○委員長(大島友治君) 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案及び防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案の修正について柄谷君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。柄谷君。
#194
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出し、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 言うまでもなく、人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として設けられたものであり、毎年四月時点における官民給与較差を是正させるためのものであります。
 ところが、国家公務員の給与は、ここ三年間、改定の延期、改定の見送り、勧告の一部実施という措置が繰り返されてまいりました。これらは、法治国家において政府みずからが確立した制度を政府みずからがじゅうりんするものであり、極めて不当な措置であると言わなければなりません。
 しかるに、政府は、本年度においてもまた、人事院より勧告された給与改定率六・四四%を大きく下回る内容の改正案を国会に提出してまいりました。政府原案は、公務員の士気の低下を招来し、健全な労使関係を損なうばかりでなく、人事院勧告制度そのものの崩壊につながるものであり、我々はこのような提案を断じて容認することはできません。政府は、人事院勧告制度を守り、すべての国家公務員の給与について勧告の早期完全実施を行うべきであります。
 特別職の職員等の給与について、人事院勧告制度の趣旨に準じてこれを引き上げることは、給与体系上のバランスの維持を図る上でも当然の措置であります。ただし、俸給の引き上げ率にかかわらず、閣僚は初閣議での申し合わせに基づき、給与改定分を返納するという姿勢もまた当然であると考えます。
 この見地から、本修正案は、特別職の職員等の給与について、人事院勧告どおりに完全実施する内容といたしており、本修正に要する経費は約二億円と見込んでおります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
 引き続き、私は、公明党・国民会議及び民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となりました防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対し、修正の動議を提出し、提案理由及び内容の概要を御説明いたします。
 言うまでもなく、人事院勧告制度は、労働基本権制約の代償措置として設けられたものであり、毎年四月時点における官民給与較差を是正させるためのものであります。
 ところが、国家公務員の給与は、ここ三年間、改定の延期、改定の見送り、勧告の一部実施という措置が繰り返されてまいりました。これらは、法治国家において政府みずからが確立した制度を政府みずからがじゅうりんするものであり、極めて不当な措置であると言わなければなりません。
 しかるに、政府は、本年度においてもまた、人事院より勧告された給与改定率六・四四%を大きく下回る内容の改正案を国会に提出してまいりました。政府原案は、公務員の士気の低下を招来し、健全な労使関係を損なうばかりでなく、人事院勧告制度そのものの崩壊につながるものであり、我々はこのような提案を断じて容認することはできません。政府は、人事院勧告制度を守り、すべての国家公務員の給与について勧告の早期完全実施を行うべきであります。
 特に、日本の平和と独立を守るため、日夜努力し、その使命を遂行している防衛庁職員の士気を考えた場合、勧告の趣旨に準じた給与改定を行うことは当然であります。
 この見地から、本修正案は、防衛庁職員の給与について、人事院勧告どおりに完全実施する内容といたしており、本修正に要する経費は約八百三十億円と見込んでおります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
#195
○委員長(大島友治君) ただいまの穐山君提出、内藤君提出及び柄谷君提出の各修正案はそれぞれ予算を伴うものでありますので、国会法第五十七条の三の規定により、内閣から本修正案に対する意見を聴取いたします。後藤田総務庁長官。
#196
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまの一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案並びに特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては反対であります。
#197
○委員長(大島友治君) 加藤防衛庁長官。
#198
○国務大臣(加藤紘一君) 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案につきましては、政府といたしましては反対であります。
#199
○委員長(大島友治君) それでは、ただいまの四修正案に対し、質疑のある方は順次御発言願います。――別に御発言もないようですから、これより三法案並びに四修正案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#200
○穐山篤君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました政府提出の給与関係三法案及び日本共産党提出の一般職職員給与法改正案に対する修正案に反対、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合共同提案に係る一般職職員給与法改正案に対する修正案、民社党・国民連合提出の特別職職員給与法改正案に対する修正案及び公明党・国民会議、民社党・国民連合各派共同提案に係る防衛庁職員給与法改正案に対する修正案に賛成の討論を行うものであります。
 人事院勧告制度は、憲法で保障された労働基本権の代償措置であることは、今さら申し上げるまでもありません。ここ数年にわたる人事院勧告は凍結に次ぐ抑制の連続でありまして、労働基本権制約のもとにおける代償措置が完全に機能しないことは極めて遺憾であり、今や人事院勧告は形骸化し、人事院の存在価値さえ問われているのであります。
 このような措置が繰り返されますと、憲法問題にも発展しかねない重要な問題であると政府は深く認識すべきであります。ILOも、人事院勧告の完全実施の必要性を明確にするとともに、政府が勧告を一方的に抑制できる現行制度の見直しを求める趣旨の報告をしているのでありまして、政府はこの報告を真摯に受けとめ、国際的な批判を受けないようにすべきであります。
 人事院勧告の完全実施は、これまで公務における労使関係の安定に大きく寄与してきたのでありますが、凍結、抑制の連続によって労使関係はもとより公務員の士気にも影響を及ぼし、行政面に大きな障害をもたらすことにもなりかねないと懸念されるのであります。労使関係の正常化維持のためにも人事院勧告は完全に実施されるべきであります。
 昨年十一月、当時の丹羽総務長官は、当委員会において「五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める所存」であると政府の統一見解を述べたのでありますが、この政府見解を簡単にほごにし、本年もまた昨年に引き続き人事院勧告を値切っているのであります。国会の委員会という権威ある公的な場で最大限完全実施の努力を約束しておきながら、勧告が出た段階から既に政府は人事院勧告の段階的実施を目指し、完全実施を放棄していたのではないかと思えるのでありまして、最大限の努力の跡が一向に見られないのであります。これでは、最高裁判決や憲法の趣旨にも違背していると言わなければなりません。
 特に、昨年、「俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識」していると丹羽総務長官は述べたのでありますが、本年もまた昨年に引き続き人事院勧告の骨格をなす俸給表を改変しているのでありまして、私どもは断じて認めるわけにはいきません。異例の上に異例が積み重なるに至っては言語道断であります。国家公務員法は、俸給表は民間賃金、生計費などを勘案して作成されなければならないことを規定しており、しかもこの俸給表の作成は人事院の専権事項となっているのでありますが、政府による俸給表の作成は、給与の根本基準と人事院の権限をじゅうりんするものと言わなければなりません。これでは、政府が今まで公務員関係労働組合の行ってきたストライキを非難し、処分する根拠を失うことになるのであります。
 労働基本権制約のもとにおける代償措置は完全に機能しなければならないことは言うまでもありませんが、連年にわたる人事院勧告の不完全実施は代償措置を全く無視するものであり、その正常化は緊急な課題となっているのであります。
 このような観点から、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合の各派共同提案の人事院勧告の完全実施を図るための一般職職員給与法改正案に対する修正案に賛成し、政府提出の一般職職員給与法改正案には反対であります。
 次に、特別職職員給与法改正案につきましても、人事院勧告に準じて改定すべきでありまして、この趣旨から民社党・国民連合提出の特別職職員給与法改正案に対する修正に賛成し、政府原案には反対であります。
 最後に、防衛庁職員給与法改正案についてでありますが、憲法第九条並びに自衛隊との関係につきましては意見を異にいたしますが、現に公務員である以上、他職員との均衡を図るべきものと考えます。したがって、公明党・国民会議、民社党・国民連合各派共同提案の防衛庁職員給与法改正案に対し賛成し、政府原案に反対するものであります。防衛関係費はGNP一%枠内におさめるという閣議決定は厳守すべきであります。したがって、今回の給与の措置によっても防衛関係費は一%枠内であることを確認し、私の討論を終わります。
#201
○坂野重信君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、ただいま議題となっております給与関係三法案について討論を行い、政府提出の原案に賛成、穐山理事、内藤委員、柄谷委員提出の各修正案にいずれも反対の態度を明らかにしたいと存じます。
 本委員会での質疑において既に明らかとなっておりますように、人事院勧告制度を守っていこうとする政府のかたい決意、その勧告の完全実施に向けて精いっぱいの努力を傾けたいとの誠意は十分に公務員諸君並びに国民一般の理解を得られるものと信じます。
 累積国債の残高が百二十兆円を超すというこの財政危急の現状に思いをいたすとき、三・四%内という今回の給与改定はやむを得ない妥当な線と言うべきであると思います。
 給与関係諸閣僚の皆様も御苦労であったと存じます。
 去る十月三十一日の閣議決定に見られるように、公務員諸君におかれても、ここ両三年苦難の道をともにして政府の行政改革推進に御協力いただけるよう、この機会に望んでおきます。
 なお、給与三法案の施行に当たっては、早急に事務を処理して、改定差額分の年内支給が達成され、これら法案に秘められた政府の誠意が公務員諸君の家庭に届くよう望んで、私の賛成討論を終わります。
#202
○太田淳夫君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました政府提出の給与関係三法案及び日本共産党提出の一般職給与法改正案に対する修正案に反対、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合共同提案に係る一般職給与法改正案に対する修正案、民社党・国民連合提出の特別職職員給与法等改正案に対する修正案及び公明党・国民会議、民社党・国民連合共同提案に係る防衛庁職員給与法改正案に対する修正案に賛成の討論を行うものであります。
 まず、一般職職員給与法改正案についてでありますが、反対の理由の第一は、政府が憲法に保障された労働基本権の制約の代償措置である人事院勧告制度の否定、形骸化を推し進めていることであります。政府は、ILOの場を含め、国内外で人事院勧告制度の尊重を言明しながら、連年にわたる勧告の抑制措置を行ってきております。これは人事院勧告制度を骨抜きにするものであって、断じて認めることはできません。同時に、政府が今まで公務員労組の行ってきた賃金ストを非難する根拠を失うことになるということを強く警告するものであります。
 第二は、人事院制度を導入した国家公務員法の法意に反することを昨年に引き続いて政府が行ってきているということであります。政府が独自で勝手に俸給表を作成し、法案として提出することは、国家公務員法上違法の疑いがあります。政府は違法とは言えないと抗弁しておりますが、公務員の基本法である国家公務員法の法意に反することを行うことは、その立法目的に照らし邪道であると断言せざるを得ません。ましてや、官民較差の段階解消論を前提とした根拠のない数値によって給与の基本である俸給表を勝手に改ざんすることは給与体系の整合性を乱し、給与法の実施、運用に責任のある人事院をないがしろにするものであります。
 第三は、公務員諸君の生活面を全く考慮しない給与改定になっていることであります。五十四年来の給与抑制によって、公務員諸君の生活は非常に苦しいものになっております。これは公務の公正さ、国民への奉仕、士気の保持、労使関係の安定に悪影響を与えるのみならず、行政改革の推進に欠かせない有能な公務員の人材の確保などにも好ましくない影響を与えております。これらのことを考慮すれば、勧告の完全実施が最善の方策であり、同措置を強く求めるものであります。
 特別職職員給与法等改正案につきましては、一般職の職員に準じた処遇改善を行うべきであります。
 防衛庁職員給与法改正案につきましては、国の防衛の基幹となるべき自衛隊員の士気という観点から、また隊員の処遇改善ということからも、一般職の職員の給与改定に準じて改定すべきであると考えます。
 なお、国民的合意とも言うべき防衛費のGNP一%枠という歯どめは、重要なる防衛政策として尊重、遵守されねばならないのは当然であります。したがいまして、今回の給与改定に伴い新たに必要となる経費は、肥大した防衛費の見直しを行い、一%枠におさめるべきであると考えます。
 以上の理由により、政府提出の給与関係三法案及び日本共産党提出の一般職給与法改正案に対する修正案に反対、日本社会党、公明党・国民会議及び民社党・国民連合提案に係る一般職給与法改正案に対する修正案、民社党・国民連合提出の特別職職員給与法等改正案に対する修正案及び公明党・国民会議、民社党・国民連合共同提案に係る防衛庁職員給与法改正案に対する修正案に賛成の意見を表明して、私の討論を終わります。
#203
○内藤功君 私は、日本共産党を代表して、一般職の職員の給与法改正案、特別職の職員給与法改正案及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法改正案、防衛庁職員給与法改正案について、反対の討論を行います。
 まず、一般職職員給与法改正案についてであります。
 本法案は、人事院の給与改善勧告完全実施という公務員労働者の最低限の要求さえも踏みにじり、勧告を大幅に切り下げて実施しようとするものであります。
 日本国憲法では、労働者の生存権を確保する基本的確利として、すべての労働者に労働基本権を保障しています。元来、それは代償措置などによって代替できるものではないのであります。ところが、政府は、公務員労働者の労働基本権剥奪の代償と称して人事院勧告制度を設けておきながら、三年連続の凍結あるいは抑制の上に、さらに今年度も大幅な切り下げ実施を図ろうとしています。これは政府流の憲法解釈にさえ反する暴挙であり、断じて容認できないのであります。
 ILOも、こうした事態に対し、人勧制度がもはや労働者の信頼を確保し得ないものとして疑問を表明し、日本政府に対し制度の改善を勧告しているのであります。人勧の切り下げは、国際労働常識からも認められない近代国家として恥ずべき事柄であります。
 さらに、今回の人勧大幅切り下げは、約五百万に及ぶ国家公務員、地方公務員とその家族の生活を深刻な状態に陥れるだけでなく、年金、恩給あるいは民間労働者の賃金、生活保護、医療報酬などをも抑制し、広範な国民生活に犠牲を強いる突破口となり、我が国経済を国民生活重点の方向で再建する道を阻むものであり、到底容認できません。
 次に、特別職職員給与法改正案についてであります。
 本改正案は、現在でも国民一般の生活実態、生活実感から見て高過ぎると思われる国務大臣や政務次官などの給与水準をさらに引き上げようとするものであり、賛成できません。
 また、防衛庁職員給与法改正案については反対いたします。
 我が党は、自衛隊は憲法違反との基本的立場をとっているのでありますが、本改正案は一般職に準じた人事院勧告切り下げの内容を持ち、隊員及びその家族の生活を守る観点から反対であります。
 なお、他党提出の修正案についての意見を申し述べます。
 まず、一般職については、近年の人事院勧告凍結等による実損回復措置が盛られていない点は不十分でありますが、給与改善勧告完全実施のための修正案であり、賛成をいたします。
 特別職についての修正案は、内閣総理大臣の俸給を例にとりますと、現行百五十八万円を百六十八万円と十万円も引き上げるなど、現在でも高すぎる給与水準を政府案以上に引き上げようとするものであり、賛成できません。
 防衛庁職員についての修正案には、棄権の態度をとるものであります。我が党は、基本的には自衛隊は憲法違反とする立場をとるのでありますが、しかし隊員とその家族の生活を考え、反対という態度をとるものではありません。したがって、従来からの基本的立場を貫き、棄権の態度をとるものであります。
 最後に、政府に対し、三案の速やかな撤回と給与改善勧告完全実施及び人事院勧告実損分の回復措置を可及的速やかに講ずることを重ねて要求し、反対討論を終わります。
#204
○柄谷道一君 私は、民社党・国民連合を代表して、社、公、民三党提出の一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案、公、民両党提出の防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案に対する修正案並びに民社党提出の特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案に対する修正案に賛成、政府提出の三法案及び共産党提出の修正案に反対の討論を行うものであります。
 政府は、昨年十一月二十七日の本参議院内閣委員会において、「五十九年度の人事院勧告の取り扱いについては、人事院勧告制度尊重の基本方針を堅持しつつ、俸給表等の勧告内容を尊重した完全実施に向けて最大限努める」、「なお、本年俸給表の引き上げ率の切り下げを行ったことは異例のことであると認識」しているとの政府見解を表明いたしました。
 しかるに、今回提出されてまいりました政府案は、勧告内容の尊重はおろか、二年連続して俸給表に手を加え、引き上げ率を大幅に切り下げたものとなっており、昨年みずから表明した見解をみずから踏みにじる、許しがたき内容のものであると言わなければなりません。
 財政事情を理由に公務員の給与を抑制するということは、政府の政策失敗のツケを公務員に押しつけるものであり、筋違いも甚だしいものであります。こうした措置は、行政の適切な執行を担う公務員が安んじて職務に精励し得るような条件整備を政府が放棄することであり、特に民主的労働運動の基本理念にのっとり、法と秩序を守りながら職務遂行に専念し、行政改革に率先してこたえるべく努力してきた公務員に対して、法をじゅうりんすることによってこたえるというのは甚だしい裏切り行為であります。
 政府は、五十九年度の一般職職員等の国家公務員給与について速やかに完全実施の措置をとり、これに伴う総人件費の膨脹は、新規採用の抑制、事務事業の整理、民間委託、定員削減の励行、定員増加をもたらす施策の抑制等、行政改革の断行によって抑制すべきであります。
 また、特別職の職員、防衛庁の職員の給与についても、従来行われてまいった制度と同様、一般職の職員の給与改定に準じて完全実施と同様の措置をとることは当然であると考えます。
 なお、最後に、六十年度予算編成に当たっては、人事院勧告を完全に実施できる給与改善費を計上するよう強く要求して、私の討論を終わります。
#205
○委員長(大島友治君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 それでは、これより一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 本案について、穐山君及び内藤君からそれぞれ修正案が提出されております。これら両案にはそれぞれ共通する部分もございますが、便宜、各修正案ごとに採決を行います。
 まず、内藤君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#206
○委員長(大島友治君) 少数と認めます。よって、内藤君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に穐山君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#207
○委員長(大島友治君) 少数と認めます。よって、穐山君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#208
○委員長(大島友治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、柄谷君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#209
○委員長(大島友治君) 少数と認めます。よって、柄谷君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#210
○委員長(大島友治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案について採決に入ります。
 まず、柄谷君提出の修正案の採決を行います。
 本修正案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#211
○委員長(大島友治君) 少数と認めます。よって、柄谷君提出の修正案は否決されました。
 それでは、次に原案全部の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#212
○委員長(大島友治君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、三法律案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#213
○委員長(大島友治君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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