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1984/03/14 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第4号
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1984/03/14 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第4号

#1
第102回国会 内閣委員会 第4号
昭和六十年三月十四日(木曜日)
   午後四時三十五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 十二月二十一日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     原田  立君
 一月二十九日
    辞任         補欠選任
     太田 淳夫君     峯山 昭範君
 一月三十一日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     太田 淳夫君
 二月十二日
    辞任         補欠選任
     太田 淳夫君     峯山 昭範君
 二月十五日
    辞任         補欠選任
     峯山 昭範君     太田 淳夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 友治君
    理 事
                亀長 友義君
                坂野 重信君
                穐山  篤君
                原田  立君
    委 員
                板垣  正君
                源田  実君
                沢田 一精君
                堀江 正夫君
                森山 眞弓君
                小野  明君
                野田  哲君
                矢田部 理君
                柄谷 道一君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
       国 務 大 臣
       (防衛庁長官)  加藤 紘一君
   政府委員
       内閣参事官
       兼内閣総理大臣
       官房会計課長   中嶋 計廣君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       日本学術会議事
       務局長      橋本  豊君
       宮内庁次長    山本  悟君
       皇室経済主管   勝山  亮君
       総務庁長官官房
       長        門田 英郎君
       総務庁長官官房
       会計課長     鈴木 昭雄君
       防衛庁長官官房
       長        西廣 整輝君
       防衛庁防衛局長  矢崎 新二君
       防衛庁経理局長  宍倉 宗夫君
       防衛施設庁長官  佐々 淳行君
       防衛施設庁総務
       部長       梅岡  弘君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査
 (今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案に関する件)
 (総理府関係の施策に関する件)
 (昭和六十年度内閣、総理府関係予算に関する件)
 (総務庁の基本方針に関する件)
 (防衛庁の基本方針に関する件)
 (昭和六十年度防衛庁関係予算に関する件)
 (昭和六十年度皇室費に関する件)
    ─────────────
#2
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨年十二月二十一日、峯山昭範君が委員を辞任され、その補欠として原田立君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大島友治君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(大島友治君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に原田立君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(大島友治君) 国家行政組織及び国家公務員制度等に関する調査並びに国の防衛に関する調査を議題といたします。
 まず、内閣官房長官から、今期国会における本委員会関係の内閣提出予定法律案についての説明並びに所信及び昭和六十年度内閣、総理府関係予算の説明を聴取いたします。藤波内閣官房長官。
#6
○国務大臣(藤波孝生君) 今国会の内閣提出予定法律案は、三月十四日現在、総件数八十一件であり、うち予算関係法律案は三十五件でございます。
 このうち、既に国会に提出されておりますものは五十件でございます。
 なお、現在国会に提出されていない法律案につきましては、できる限り早期に提出するよう努力中でございます。
 これら内閣提出法律案のうち、参議院内閣委員会に付託が予想されます法律案は七件、そのうち予算関係法律案は二件になることと思いますが、これらの法律案の件名及び要旨はお手元の資料のとおりでございます。
 なお、委員会への付託は、議院において決定される問題でございますので、若干の変更もあろうかと存じます。
 次に、総理府本府の所管行政につきまして、所信の一端を申し述べます。
 総理府本府は、賞勲局、大臣官房の審議室、広報室、管理室等のほか、迎賓館、国立公文書館、日本学術会議等から成り、長い伝統を持つ栄典行政、政府の施策について国民の理解と協力を得る上で大きな役割を果たしている政府広報、緑化の推進、婦人に関する施策の推進等重要な行政課題についての関係省庁相互間の連絡調整事務等を初めとして、外局を含む総理府全体の統轄事務や内閣と密接な関連を持つ各種の事務を担当しております。
 この所管行政の主なものにつきまして私の所信の一端を申し述べ、委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いするものであります。
 まず、緑化の推進につきましては、昭和五十八年に緑化推進連絡会議を設置し、全国的な緑化運
動の展開を図ってきた結果、地域に密着した市町村の緑化運動の着実な実施、国及び都道府県の各種の緑化推進事業の積極的な展開により、地域住民の緑化意識の向上が図られ、全国的に大きな盛り上がりを見せております。緑化の推進は、長期的視野に立った適切な地域緑化対策等を計画的、効率的に推進することが重要であると考えます。今後とも、政府、地方公共団体及び民間が相まって協力し、国土の緑化をより効果的に実現するよう努めてまいる所存であります。
 次に、本年、国連婦人の十年の最終年を迎えた婦人に関する施策の推進につきましては、現在、婦人問題企画推進本部において十年の後半期の重点目標として女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約批准のための国内法制の整備に取り組んできているところであります。既に国籍法の改正を行い、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を促進するための法案についても審議を継続していただいているところでありますが、今国会に本条約批准承認案件が提出される予定であります。また、国際連合においては、来る七月、ナイロビにおいて国連婦人の十年最終年の世界会議を開催し、国連婦人の十年の成果の検討と評価を行うとともに、十年終了後の婦人問題への取り組みについて検討を行うこととしておりますが、我が国としてもこの世界会議に積極的に参加し、これらの動きを十分把握したいと思います。
 また、今日の社会経済情勢にかんがみ、国民の心に相互扶助、相互協力の精神を取り戻し、真に住みやすい、心の触れ合う地域社会を築き上げていくための社会連帯運動を推進することが重要であると考えます。このため、今後とも民間の活力と地域の自主性を柱とした各種の国民運動の推進を通じ、社会連帯意識の醸成と高揚を図ってまいる所存であります。
 その他の所管事項につきましても、障害者対策の推進、政府広報の充実等各般の施策の推進に一層の努力を傾注してまいる所存であります。
 委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
 引き続きまして、昭和六十年度における内閣及び総理府所管の歳出予算要求額についてその概要を御説明いたします。
 内閣所管の昭和六十年度における歳出予算要求額は百八億三千七百九十四万四千円でありまして、これを前年度歳出予算額百五億三千八百五十六万五千円に比較いたしますと、二億九千九百三十七万九千円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、内閣官房に必要な経費四十五億二千三十一万七千円、内閣法制局に必要な経費五億九千八百六十二万五千円、人事院に必要な経費五十五億八千七百七万四千円、国防会議に必要な経費一億三千百九十二万八千円であります。
 次に、総理府所管の昭和六十年度における歳出予算要求額は六兆六千七百四十四億六千八百四十九万四千円でありまして、これを前年度歳出予算額六兆四千六百九十七億六百二十万六千円に比較いたしますと、二千四十七億六千二百二十八万八千円の増額となっております。
 このうち、当委員会において御審議を願っております総理本府、日本学術会議、宮内庁及び総務庁の歳出予算要求額は一兆八千百八十七億七千六百二十六万円でありまして、これを前年度歳出予算額一兆八千百二十一億九千三百九十五万五千円に比較いたしますと、六十五億八千二百三十万五千円の増額となっております。
 以下、順を追って申し上げますと、総理本府に必要な経費二百億一千二百二万九千円、日本学術会議に必要な経費八億八千八百五十七万五千円、宮内庁に必要な経費七十五億八十二万六千円、総務庁に必要な経費一兆七千九百三億七千四百八十三万円であります。
 次に、これらの経費についてその概要を御説明いたします。
 総理本府に必要な経費は、政府広報、栄典関係及び婦人問題の総合推進等のための経費でありまして、前年度に比較して十一億四千八百十三万一千円の減額となっております。
 日本学術会議に必要な経費は、科学に関する重要事項の審議、内外の研究連絡調査と国際共同事業の協力に関する業務等に必要な経費でありまして、前年度に比較して一億百万三千円の増額となっております。
 宮内庁に必要な経費は、皇室の公的御活動、皇室用財産の維持管理に附帯して必要となる経費等でありまして、前年度に比較して二億七千百四十七万三千円の増額となっております。
 総務庁に必要な経費は、総務庁一般行政、恩給の支給、国勢調査及び青少年対策等のための経費でありまして、前年度に比較して七十三億五千七百九十六万円の増額となっております。
 また、以上のほかに国庫債務負担行為として総務庁において四百五十九万四千円を計上いたしております。
 以上をもって、昭和六十年度内閣及び総理府所管の歳出予算要求額の概要の説明を終わります。
 何とぞよろしく御審議くださるようお願いいたします。
#7
○委員長(大島友治君) 次に、総務庁長官から所信を聴取いたします。後藤田総務庁長官。
#8
○国務大臣(後藤田正晴君) 第百二回国会における内閣委員会の御審議に先立ち、所信の一端を申し上げます。
 初めに、今国会において御審議をお願いすることといたしております当庁提出の法律案について申し上げます。
 第一に、国家公務員等退職手当法の一部を改正する法律案についてであります。この法律案は、国家公務員について本年三月三十一日から定年制度が施行されること等に伴い、国家公務員が定年退職する場合の退職手当の取り扱いに関する規定の整備、定年前早期退職特例措置の新設、退職手当支給率の改定等所要の改正を行おうとするものであります。
 第二に、総務庁設置法等の一部を改正する法律案についてであります。この法律案は、昭和六十年三月三十一日までに廃止するものとするとされている総務庁四国行政監察支局、大蔵省福岡財務支局及び厚生省四国地方医務支局につきまして、その後の状況の変化等も踏まえ、内部組織・要員の合理化措置を講じた上でこれらを存置することとし、所要の改正を行おうとするものであります。
 第三に、恩給法等の一部を改正する法律案についてであります。この法律案は、昭和五十九年度の公務員給与の改善を基礎として恩給年額を増額するとともに、戦没者遺族に支給する公務扶助料等についても、できる限りの配慮をし、現下の厳しい財政事情のもとではございますが、恩給受給者に対する処遇の一層の充実を図ろうとするものであります。
 さらに、このほか、昨年末に政府が決定いたしました六十年行革大綱において、今国会に所要の法律案を提出するものとされた地方公共団体の事務についての国の関与及び地方公共団体の組織等に関する必置規制の整理合理化事項並びに地方公共団体に係る許認可等の整理合理化事項を取りまとめて措置するための法律案及び去る二月二十日の人事院の国家公務員災害補償法の改正に関する意見の申し出を受け、国家公務員災害補償制度について遺族補償年金の受給資格年齢の引き上げ、年金たる補償の額の改定規定の整備等を行おうとする法律案について、今国会に提出すべく準備を進めているところであります。
 以上、今国会において御審議をお願いすることといたしております法律案等について申し上げましたが、慎重に御審議の上、速やかな成立をお願いする次第であります。
 次に、総務庁が所管する業務一般についてでありますが、第一に行政改革の推進について申し上げます。
 行政改革につきましては、臨時行政調査会及び臨時行政改革推進審議会の答申等を踏まえつつ、累次にわたる行革大綱に沿って、逐次具体的方策
の推進に努めてきたところであります。
 また、今回の昭和六十年度予算編成に際しましては、行政組織の整理合理化、特殊法人等の改革合理化、行政事務の整理、国と地方を通ずる行政の簡素化、効率化等広範に及ぶ改革課題に関し、政府としての当面の実施方針を取りまとめたところであります。
 さらに、今後、国鉄の改革、地方行革の推進、規制行政の緩和を初めとする残された重要課題につきましても、逐次検討を進め、所要の改革を着実に推進してまいる所存であります。
 なお、昭和六十年度の機構、定員等の審査におきましては、機構についてはその膨張を厳に抑制するとともに、定員についても、第六次定員削減計画に基づく定員削減を着実に実施するとともに、新規増員を厳しく抑制するほか、定年制度の施行により一時に大量に発生する退職者の後補充については、真に必要な場合を除いて行わないこととした結果、六千四百八十二人というこれまでにない大幅な縮減を図ることとしております。
 第二に、行政監察業務におきましては、許認可等規制行政の整理合理化、特殊法人の活性化、附属機関の事務事業の合理化、国と地方を通ずる行政改革推進上の課題を取り上げ、また主要な行政分野の諸問題につきましても、その制度、施策、役割等について思い切った見直しを行い、行政改革の一層の推進に資する所存であります。
 また、苦情救済業務につきましては、監察機能との有機的な連携を図り、地域住民と密接に関連する行政施策・運営の改善及び国民の行政に対する苦情の実効ある救済を推進することとしております。
 第三に、行政情報システムの総合調整業務につきましては、時代の変化、情報関連技術の進展等に即応できるようその機能の一層の強化に努めることとし、行政機関の保有する個人データの保護等の諸問題についても積極的に取り組んでまいる所存であります。
 第四に、統計の総合調整業務及び国勢調査の実施について申し上げます。
 まず、統計の総合調整に当たっては、統計調査に伴う国民負担の軽減や行政の簡素化の観点を踏まえつつ、社会経済情勢の変化に対応した、より精度の高い統計の整備充実に努めてまいる所存であります。
 また、本年十月一日に行われる第十四回目の国勢調査については、本調査が我が国における最も大規模かつ基本的な統計調査であることにかんがみ、その円滑な実施に万全を期してまいる所存であります。
 第五に、青少年対策等特定行政分野の総合調整業務について申し上げます。
 まず、青少年対策についてでありますが、本年は、国際連合が定めた国際青年年であります。我が国におきましてもその趣旨を踏まえ、青年及び青年団体の主体的、積極的な参加を求めつつ、国民各層の幅広い理解と協力を得て、国際青年年事業を実施するとともに、各種施策の推進を図ってまいる所存であります。
 また、青少年非行防止についても、青少年の健全育成に携わる省庁の総合調整を図る立場から、家庭、学校、地域社会及び地方公共団体の協力、連携を呼びかけ、全国民的な運動を展開しているところであり、その施策の一層の充実に努めてまいる所存であります。
 次に、交通安全対策につきましては、関係省庁との緊密な連携を確保しながら、総合的な対策の推進に努めてまいるとともに、昭和六十一年度を初年度とする第四次交通安全基本計画の検討、交通安全思想の普及活動の推進、交通事故被害者の援護及び所要の調査研究等を実施することとしております。
 また、老人対策につきましても、高齢者対策が総合的、効果的に行われるよう関係省庁との連絡調整を密にし、各施策の推進に努めてまいるとともに、高齢者問題について国民の理解と関心を深めるため、啓発活動の充実強化に努めてまいる所存であります。
 さらに、同和対策につきましては、地域改善対策特別措置法に基づく関係施設を積極的に進め、法期限内に事業の計画的達成を図るべく鋭意努めてまいる所存であります。
 最後に、公務員制度に関しましては、行政に対する国民の信頼を確保するため、官庁綱紀の厳正な保持及び公務能率の増進に一層努力するとともに、公務員に対する適切な処遇の確保に努めてまいる所存であります。
 以上、所信の一端を申し述べましたが、委員各位の深い御理解と格段の御協力をお願いする次第であります。
#9
○委員長(大島友治君) 次に、防衛庁長官から所信を聴取いたします。加藤防衛庁長官。
#10
○国務大臣(加藤紘一君) 参議院内閣委員会の御審議に当たり、防衛政策の基本に関し私の所信の一端を申し上げたいと思います。
 今日の国際軍事情勢は、米ソを中心とする東西両陣営の軍事的対峙を基本的枠組みとしております。この中にあって第二次世界大戦後今日まで多くの紛争が生起し、今なお幾つかの紛争が続いておりますが、米国を初めとする自由主義諸国が信頼し得る抑止力の維持、強化に努めてきたこともあり、核戦争及びそれに至るような大規模な軍事衝突は回避されてまいりました。
 しかしながら、ソ連は、一九六〇年代から一貫して軍事力の増強を図っており、その蓄積効果には近年顕著なものがあります。ソ連は、強力な戦略核及び中距離核戦力等を保持し、膨大な地上戦力及び航空戦力を配備し、またその海上戦力は、自国周辺海域のみならず、遠隔地への展開を可能とするまでになっております。このような軍事力を背景に、アフガニスタンへの軍事介入あるいはベトナムのカムラン湾の軍事拠点化に見られるように周辺諸国及び第三世界への勢力拡張を図っております。
 ソ連の軍事力増強は、従来、欧州方面を中心として行われてきましたが、近年は、極東方面においても顕著になってきており、グローバルな規模となっております。今日ではソ連邦全体の四分の一から三分の一に相当する核及び通常戦力が極東に配備され、引き続き増強されており、これに伴って艦艇及び航空機の外洋進出や我が国周辺における活動が活発となっております。また我が国固有の領土である北方領土においても約四十機のミグ23を配備したように、軍事力を増強していることは遺憾であります。このようなソ連の動向は、我が国の安全保障にとって潜在的脅威の増大であると受けとめざるを得ません。
 このほか混迷を深める中東情勢、緊張を続けるインドシナ半島及び朝鮮半島情勢など最近の国際軍事情勢には依然厳しくかつ流動的なものがあります。
 以上のような国際軍事情勢のもとにあって、米国を初めとする自由主義諸国は、抑止力の信頼性の維持、強化を図るため、国防努力を継続し、その効果も徐々にあらわれつつあります。
 米国は、ソ連の軍事力増強に対応して抑止力の信頼性を維持強化することを目的として、核戦力及び通常戦力の全般的な整備、近代化を進めております。先日、米議会に提出されました八六会計年度の連邦予算案も、厳しい財政事情のもと、歳出全体の伸びを実質マイナスに抑える中にあって、国防省費に支出額ベースで実質約八%増の二千七百七十五億ドルを充当しております。
 このような国防努力を背景に、米国はより低いレベルでの軍事力の均衡を達成するため、ソ連に対し実質的かつ公正な軍備管理・軍縮に応ずるよう求めてきたところであります。これまで中断されていた戦略兵器削減交渉及び中距離核戦力交渉にかわって、今般新たに核兵器及び宇宙兵器に関する包括的な交渉が米ソ間で開始されたことは歓迎すべきことだと考えております。
 他方、米国は自国の国防努力のみでは十分でないとの認識から、我が国を含む同盟諸国に対しても一層の防衛努力を強く期待しているところであります。
 日米安保条約によって我が国を防衛する立場に
ある米国が、我が国の防衛に関心を有し、期待を表明することは当然のことと存じますが、我が国といたしましては、かねてから米国の期待を念頭に置きつつ、自主的に防衛力整備を進めることとしているところであります。
 既に申し上げましたような依然として厳しい国際軍事情勢のもとにあって平和と安全を確保するためには、あらゆる施策を総合的な安全保障の立場から推進していく必要があることは、改めて申し上げるまでもありません。我が国が自衛のために必要な限度において質の高い防衛力整備に努め、日米安全保障体制の円滑な運用に努めているのも、総合安全保障の一環として、我が国の平和と独立を確かなものとするためのものであります。
 政府はこのような考え方のもとに、かねてから昭和五十一年度に策定した防衛計画の大綱に従ってその時々における経済、財政事情等を勘案し、国の他の諸施策との調和を図りつつ、防衛力整備を進めてきているところでありますが、いまだ同大綱に定める防衛力の水準に達しておりません。
 このため最近の厳しい国際軍事情勢にもかんがみ、平時における基盤的なものとして、必要最小限の防衛力である防衛計画の大綱に定める防衛力の水準を可及的速やかに達成する必要があるとの考えのもとに防衛力整備を進めることとしております。昭和六十年度の防衛予算についても、このような考えのもとに、現下の厳しい財政事情を踏まえ、国の他の諸施策との調和を図りつつ、経費の効率化、合理化に極力配意し、ぎりぎり必要最小限の経費を計上いたしたものであります。
 なお、この予算には、海上自衛隊が米国派遣訓練の際に所要の情報をフリートサット衛星から受信するための装置を計上しております。政府は、宇宙の開発利用に関する国会決議の趣旨について、自衛隊が衛星を直接、殺傷力、破壊力として利用することは認められないが、その利用が一般化しているような衛星の利用は認められるものであると理解しており、今回のフリートサット衛星の利用は、この観点から国会決議の趣旨に反するものではないと考えております。よろしく御理解をいただきたいと思います。
 さらにこの予算においては、技術力が防衛力の質的水準の維持向上にとって極めて重要であるとの認識に立って、各種の技術開発を推進することとしております。
 また、今後とも日米共同訓練を積極的に実施するとともに、日米防衛協力のための指針に基づく共同作戦計画等の研究の継続、在日米軍施設の整備の努力等日米防衛協力の充実に努めてまいります。
 我が国のこのような防衛努力は、結果的に東西の軍事バランス面において自由主義諸国の安全保障の維持にも寄与し、アジアひいては世界の平和と安全に貢献するものと考えております。
 最近広く国民の関心を呼んでいる防衛計画の大綱やGNP一%問題について政府の考えを申し上げたいと思います。
 防衛計画の大綱は、さきに述べたように平時における基盤的なものとして必要最小限の防衛力の水準を定め、節度ある防衛力整備の方針を示すとともに、防衛力がどこまで増強されるのかといった国民の不安にもこたえているものであります。現在の内外情勢等を考慮すれば、防衛計画の大綱の考え方に従い、防衛力整備等を進めるのが最も適当であると考えますので、現在これを見直すことは考えておりません。
 したがって昭和六十一年度から昭和六十五年度までの防衛力整備の主要内容を示すこととなる五九中業も防衛計画の大綱に定める防衛力の水準の達成を期して作成作業を続けているところであります。
 その際、四面環海の我が国の地理的特性等を踏まえ、かつ諸外国の技術的水準の動向にも十分配慮して、質の高い効率的・重点的な防衛力整備に努めるべきは当然であると考えております。
 なお、防衛計画の大綱についていろいろの意見があることは承知いたしております。私としては当内閣委員会を初めとして国会等において、日本の国情にふさわしい節度ある防衛力のあり方、防衛戦略体系といった高い視点から御論議いただき、防衛問題についての国民の理解が深められることを願うものであります。
 また、昭和五十一年の三木内閣の防衛費に関する閣議決定は、大綱に従い、防衛力整備を進めるに当たり、当時の政府のGNPの推移についての見通し等を踏まえ、当面のめどとして決定されたものと承知しております。
 歴代内閣はこの閣議決定を守りつつ、防衛計画の大綱の早期達成に最大限の努力をしてきたところでありますが、対GNP比は逐年上昇し、昭和六十年度予算においては一%枠との差は八十九億円にまで縮まっております。
 この問題に対する政府の考え方は、今国会で累次申し上げているところであります。すなわち
 (一) 昭和五十一年の三木内閣の防衛関係費に関する閣議決定の方針については、これを守ることとして、昭和六十年度予算編成に際しても、GNP比一%枠内を堅持したところであります。
 (二) 政府としては、この閣議決定の方針を今後とも守りたいと考えております。
 (三) 一方、防衛力の整備については、なるべく早く防衛計画の大綱の水準を達成するよう努力する必要があります。
 (四) 今後の見通しについては、六十年度の人勧、GNPの伸び等、現時点では不確定な要素が多く、確たることを述べることは困難であります。
 (五) 現時点においては、たとえ仮定の問題としても一%を超えた時点でいかなる措置をとるか決めておらず、仮にそのような状況になった場合には、その時点において国会における各般の御論議や過去の政府の答弁等を踏まえ慎重に対処いたしたいと存じます。
 いずれにしましても、我が国の防衛は平和憲法のもと、専守防衛に徹し、非核三原則を堅持し、近隣諸国に軍事的脅威を与えるような軍事大国にならない等厳格な制約のもとにあります。我が国の各般の防衛政策は、かかる制約を厳守し、かつまた厳しい文民統制のもとにおいて実施されるものであります。
 私は、引き続き、この基本的考え方を踏まえ、我が国防衛に対する国民の理解と協力を求めていくことが私に課せられた責務であると自覚いたしております。
 最後に防衛施設の問題について一言申し上げたいと思います。
 自衛隊や在日米軍の施設の安定的使用は、我が国の防衛にとって必要不可欠のものであり、従来から関係地方公共団体、住民等の理解と協力を得て維持してきたのでありますが、今後とも防衛施設の設置運用と周辺地域の民生の安定との調和を保つべく、防衛施設周辺の生活環境の整備等に関する諸施策を適切に講じてまいりたいと存じます。
 以上、防衛政策に関する私の所信を申し上げましたが、私は、国民一人一人の理解と支持のもと、我が国の安全確保のために全力を尽くしてまいる覚悟でありますので、大島委員長を初め委員各位の一層の御指導と御鞭撻をお願い申し上げる次第であります。
#11
○委員長(大島友治君) 次に、昭和六十年度防衛庁関係予算について政府委員から説明を聴取いたします。宍倉防衛庁経理局長。
#12
○政府委員(宍倉宗夫君) 昭和六十年度の防衛庁予算についてその概要を御説明いたします。
 まず防衛本庁について申し上げます。
 昭和六十年度の防衛本庁の歳出予算額は、二兆八千百四十六億五千九百万円で前年度の当初予算額に比べますと一千九百七億八千六百万円の増加となっております。
 次に、新規継続費は、昭和六十年度甲型警備艦建造費等で一千五百九十七億九千五百万円、国庫債務負担行為は、武器購入、航空機購入、艦船建造、装備品等整備等で一兆三百七十九億九千八百
万円となっております。
 次に、防衛本庁の予算の内容について申し上げます。
 昭和六十年度予算においては、防衛計画の大綱の水準をできるだけ速やかに達成する必要があるとの認識のもとに、国の他の諸施策との調和を図りつつ質の高い防衛力を着実に整備することといたしております。
 その際、現下の厳しい財政事情を踏まえ、五六中業の第三年度として引き続き質の高い防衛力を着実に整備するとともに、練度の維持向上、隊員の処遇改善、正常な欧隊務運営の確保等に努めることを基本として必要最小限の経費を計上したものであります。
 特に重点を置いた事項について申し上げると次のとおりであります。
 第一に、陸上装備、航空機、艦船等の主要装備については、更新近代化を中心としてその整備を進めることとし、特に、対潜哨戒機P3C及び要撃戦闘機F15の第六次調達を行うほか、現有の地対空誘導弾ナイキの後継としてペトリオットの導入を図ることとしております。
 第二に、防衛力を効果的に発揮させるため、弾薬の備蓄、魚雷・機雷の管理運用態勢の改善を初めとする継戦能力、即応態勢の着実な充実に努めるとともに、航空機用掩体の建設等抗堪性の向上のための諸施策を引き続き進めることとしております。
 第三に、練度の維持向上を図るため、油購入費、修理費、教育訓練経費等について所要の経費を計上しております。
 第四に、隊員施策については、曹クラスの二段ベッド、老朽木造の九・五坪宿舎の段階的解消等を図ることとしております。
 第五に、研究開発を推進し、防衛力の質的水準の維持向上に努めるため、引き続き、新対潜ヘリコプター(艦載型)システム、水上濫用ソーナー等の研究開発を実施するとともに、新たに、深深度係維掃海具、爆弾用誘導装置等の研究開発に着手することとしております。
 以下、機関別の主な内容について申し上げます。
 陸上自衛隊の歳出予算額は一兆一千六百十二億円、国庫債務負担行為は二千四百九十八億九千四百万円となっております。
 陸上装備については、七四式戦車六十両、七三式装甲車十六両、七五式百五十五ミリ自走りゅう弾砲十三門、二〇三ミリ自走りゅう弾砲十二門、新百五十五ミリりゅう弾砲四十三門等の調達を予定しております。
 地対空誘導弾については、一個高射特科群の改良ホークへの改装を予定するとともに、八一式短距離地対空誘導弾八セット等の調達を予定しております。
 航空機については、対戦車ヘリコプター八機、観測ヘリコプター七機、多用途ヘリコプター五機、輸送ヘリコプター三機、合わせて二十三機の調達を予定しております。
 海上自衛隊の歳出予算額は七千三百三十二億六千七百万円、新規継続費は一千五百九十七億九千五百万円、国庫債務負担行為は、二千九百二十七億四百万円となっております。
 艦艇については、護衛艦三千四百トン型三隻、潜水艦二千二百トン型一隻、掃海艇四百四十トン型二隻、合わせて六隻の建造に着手するほか、艦艇の近代化一隻を予定しております。
 航空機については、対潜哨戒機十機、訓練支援機一機、対潜ヘリコプター十機、救難ヘリコプター一機、合わせて二十二機の調達を予定しております。
 航空自衛隊の歳出予算額は八千三百七十五億一千九百万円、国庫債務負担行為は四千六百五十七億二千五百万円となっております。
 航空機については、要撃戦闘機十四機、輸送機二機、高等練習機四機、救難捜索機二機、輸送ヘリコプター一機、救難ヘリコプター五機、合わせて二十八機の調達を予定しております。
 なお、F4型機について、引き続き能力向上のための実用試験を行うことといたしております。
 地対空誘導弾については、ペトリオット二FU(〇・五個高射群相当)、八一式短距離地対空誘導弾五セット等の調達を予定しております。
 内部部局、統合幕僚会議及び施設等機関等の歳出予算額は九百二十六億七千四百万円、国庫債務負担行為は二百九十六億七千五百万円となっております。これは各種装備品等の研究開発費その他各機関の維持運営に必要な経費であります。
 以上のうち、昭和五十一年十一月五日に閣議決定された「防衛力の整備内容のうち主要な事項の取扱いについて」に基づき、国防会議に諮り決定されたものは、七四式戦車等主要陸上装備の調達、地対空誘導弾ホークの改装、ペトリオット及び八一式短距離地対空誘導弾の調達、対戦車ヘリコプター、輸送ヘリコプター、対潜哨戒機、要撃戦闘機等航空機六十四機の調達及び護衛艦三千四百トン型等艦艇六隻の建造であります。
 続いて、防衛施設庁について申し上げます。
 昭和六十年度の防衛施設庁の歳出予算額は三千二百二十三億五千七百万円で、前年度の当初予算額に比べますと百十七億一千万円の増加となっております。また、国庫債務負担行為は提供施設整備及び提供施設移設整備で五百七十一億一千二百万円となっております。
 次に、防衛施設庁の予算の内容について申し上げます。
 昭和六十年度予算において、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。
 第一に、基地周辺対策事業については、住宅防音工事の助成に重点を置き、基地周辺地域の生活環境の整備等を図ることとしております。
 第二に、在日米軍駐留経費の負担については、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、地位協定の範囲内で前年度に引き続き実施することとし、特にF16三沢配備に伴う施設整備費については、配備計画の円滑な実施のために所要の経費を計上しております。
 以下、各項別の主な内容について申し上げます。
 施設運営等関連諸費は二千七百十三億二千三百万円となっております。このうち基地周辺整備事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るように、個人住宅の防音工事費五百二十九億七千四百万円を含め一千四百七十五億九千七百万円を計上しております。このほか、日米安全保障体制の円滑な運営に資するため、提供施設の整備として歳出予算に六百十三億七千万円、国庫債務負担行為で五百四十六億三千九百万円をそれぞれ計上しております。
 調達労務管理費については、駐留軍従業員の離職者対策及び福祉対策等に要する経費として二百二十億四千二百万円を計上しております。
 提供施設移設整備費については、提供施設の整理統合の計画的処理を図るため、歳出予算に六十三億二千六百万円、国庫債務負担行為で二十四億七千二百万円をそれぞれ計上しております。
 その他、相互防衛援助協定交付金一億四千六百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費二百二十五億一千九百万円を計上しております。
 以上申し述べました防衛本庁及び防衛施設庁予算に国防会議予算を加えた昭和六十年度防衛関係費は三兆一千三百七十一億四千八百万円となり、前年度の当初予算額に比べますと二千二十五億三百万円、六・九%の増加となっております。
 以上をもちまして、防衛本庁及び防衛施設庁の予算の概要説明を終わります。
#13
○委員長(大島友治君) 次に、昭和六十年度皇室費について政府委員から説明を聴取いたします。山本宮内庁次長。
#14
○政府委員(山本悟君) 昭和六十年度における皇室費の歳出予算についてその概要を御説明いたします。
 皇室費の昭和六十年度における歳出予算要求額は二十九億五千九百二十六万六千円でありまして、これを前年度予算額二十七億八千百十六万七千円に比較いたしますと、一億七千八百九万九千
円の増加となっております。皇室費の歳出予算に計上いたしましたものは、内廷に必要な経費、宮廷に必要な経費及び皇族に必要な経費であります。
 以下予定経費要求書の順に従って事項別に申し述べますと、内廷に必要な経費二億五千七百万円、宮廷に必要な経費二十四億九千百二十八万二千円、皇族に必要な経費二億一千九十八万四千円であります。
 次に、その概要を御説明いたします。
 内廷に必要な経費は、皇室経済法第四条第一項の規定に基づき、同法施行法第七条に規定する定額を計上することになっておりますが、前年度に比較して一千八百万円の増加となっております。これは昭和五十九年度限りの内廷費の定額二億三千九百万円を昭和六十年度においては二億五千七百万円となることによるものであります。
 宮廷に必要な経費は、内廷費以外の宮廷に必要な経費を計上したものでありまして、その内容といたしましては、皇室の公的御活動に必要な経費三億七千八百四十二万六千円、皇室用財産維持管理等に必要な経費二十一億一千二百八十五万六千円でありまして、前年度に比較して一億一千九百三十九万五千円の増加となっております。
 皇族に必要な経費は、皇室経済法第六条第一項の規定に基づき、同法施行法第八条に規定する定額によって計算した額を計上することになっておりますが、前年度に比較して四千七十万四千円の増加となっております。これは、内廷費と同様に、年額算定の基礎となる定額二千二百万円が昭和六十年度においては二千三百六十万円となること等によるものであります。
 以上をもちまして、昭和六十年度皇室費の歳出予算計上額の説明を終わります。
 よろしく御審議くださるようお願いいたします。
#15
○委員長(大島友治君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時二十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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