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1984/05/21 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第11号
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1984/05/21 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 内閣委員会 第11号

#1
第102回国会 内閣委員会 第11号
昭和六十年五月二十一日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十三日
    辞任         補欠選任
     伊藤 郁男君     柄谷 道一君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     岡野  裕君     板垣  正君
     竹山  裕君     森山 眞弓君
     大森  昭君     矢田部 理君
 四月二十五日
    辞任         補欠選任
     森山 眞弓君     曽根田郁夫君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     曽根田郁夫君     森山 眞弓君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         大島 友治君
    理 事
                亀長 友義君
                坂野 重信君
                穐山  篤君
                原田  立君
    委 員
                板垣  正君
                岡田  広君
                源田  実君
                沢田 一精君
                林  寛子君
                桧垣徳太郎君
                堀江 正夫君
                森山 眞弓君
                小野  明君
                矢田部 理君
                太田 淳夫君
                内藤  功君
   国務大臣
       国 務 大 臣
       (内閣官房長官) 藤波 孝生君
       国 務 大 臣
       (総務庁長官)  後藤田正晴君
   政府委員
       内閣官房内閣審
       議室長
       兼内閣総理大臣
       官房審議室長   吉居 時哉君
       内閣総理大臣官
       房審議官     田中 宏樹君
       内閣総理大臣官
       房管理室長    藤田 康夫君
       臨時行政改革推
       進審議会事務局
       次長       山本 貞雄君
       総務庁長官官房
       長
       兼総務庁恩給局
       長        藤江 弘一君
       総務庁人事局長  藤井 良二君
       防衛庁防衛局長  矢崎 新二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        林  利雄君
   説明員
       内閣総理大臣官
       房参事官     杉浦  力君
       総務庁恩給局恩
       給問題審議室長  鳥山 郁男君
       厚生省年金局年
       金課長      山口 剛彦君
       厚生省援護局業
       務第一課長    石井  清君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○恩給法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ─────────────
#2
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る四月二十三日、伊藤郁男君が委員を辞任され、その補欠として柄谷道一君が選任されました。
 また、四月二十四日、岡野裕君、竹山裕君及び大森昭君が委員を辞任され、その補欠として板垣正君、森山眞弓君及び矢田部理君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(大島友治君) 恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 趣旨説明は前回既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#4
○小野明君 初めに総務庁長官にお尋ねいたします。
 御承知のように、恩給は人事院勧告による公務員給与の改善を基礎といましまして増額が図られてまいってきておるところであります。本年も既に五月の上旬から人事院が民間給与の実態調査に入っておられるところでございまして、六月の中旬にはこの実態調査が終わりまして、例年のように八月の上旬から中旬にかけまして人事院の勧告が行われるかと思います。
 当委員会でも、既に何回かこの人勧の取り扱いについては長官の御見解を承っているところでありますが、この人勧の取り扱いいかんによりましては、明年度の恩給の増額にも影響を及ぼすことに相なるわけであります。この人勧の取り扱いにつきまして、衆議院の方でもいろいろ長官も見解を表明されておるようでありますが、改めてこの人勧の取り扱いにつきまして長官の基本的な姿勢について御所見を伺いたいのであります。
#5
○国務大臣(後藤田正晴君) 現在、御案内のように、人事院で本年度の公務員給与の問題について官民較差御調査中でございますから、例年どおり仮に作業が進んでいくとするならば、八月上旬ごろには政府、国会に対して人事院から勧告が出る、これは予想されるわけでございますが、政府といたしましては、その段階で、従来からしばしば言明をいたしておりますように、人事院の勧告制度は最大限に私どもとしては尊重して、国政全般との関連の中で完全実施に向けて最大限の努力を尽くしてまいりたい。なお、その際に、五十九年度の改正に当たって、いわゆる積み残しといったようなものがございますが、これらの扱いについても、官房長官談話で政府の基本的な考え方を明らかにいたしておりますから、これは当然私どもとしてはそれも頭に置きながら、しかしいずれにせよ、最大限完全実施に向けて努力をする、こういう政府の基本方針はいささかも変わるものではない、その線に沿って全力を挙げたいと、かように考えております。
#6
○小野明君 官房長官は時間がおありになるようでございますので、先に若干の質問を申し上げたいと思います。
 新聞報道によりますと、金丸幹事長が、この秋の臨時国会は見送る、そうして今国会と同様に本年十二月の早期に通常国会を召集する、こういうふうに発言されておるところでございます。官房長官もこれを受けられまして、これは与党の幹事長の発言だから十分重い受けとめ方をしなければならないと、こういう御見解を表明されたようでございます。だといたしますと、昨年の勧告が参
議院通過をいたしましたのは、処理されたのは十二月の二十一日、こういうことでございます。そうなりますと、ことし八月の人勧も結局年末でないと決着が図られない。公務員諸君の生活を考えますと、人勧は早期完全実施をしてもらいたい。今長官が言われるように、最大限の努力という御表明があったわけですが、当委員会でもかねてからこの点は政府に注文をつけてまいっておるのでありますが、公務員の生活を擁護する立場にある官房長官としては、どういった見通しをお持ちであるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#7
○国務大臣(藤波孝生君) 金丸自由民主党幹事長が臨時国会に関して御発言になりましたこと、今御指摘のあったとおりでございます。政府としましては、今この延長になりました国会で、いろんな法案の御審議をお願いしておりまして、特に非常に重要な共済年金関係の法案などもこれから審議をお願いしたいということで、提出をいたしましたすべての法案の成立を期してさらに御審議の促進をお願いしておるところでございます。したがいまして、この国会がまだ終わりませぬ段階で秋の臨時国会とかあるいは通常国会はどうなるかとかといったことについて定かに予測を申し上げる段階にはないということをおわびを申し上げなければならぬと思うのでございます。当面はこの国会での法案の審議に全力を挙げるという姿勢でございます。
 ただ問題は、政府・与党一体になって政治の運営を進めてきておりますので、その与党の幹事長であります金丸幹事長が御発言になりましたことにつきましては、これはもう当然非常に重要視してこの発言を受けとめなければならぬ、こういうことを申し上げたところでございます。厳密に言えば、国会の召集は閣議決定して政府の方からお願いする事項でございますし、またその後の新聞記者さんとの会見などで秋の政局について相当細かく金丸幹事長が触れて、それを踏まえて、臨時国会はないのがいいと思う、通常国会を早期にということがいいと思うというような御発言になった。それらを全部中身として踏まえておられる事柄についても官房長官はそれがいいと思うのかということでございましたから、政治の話というのはそんなに幾何学の問題を解くように隅から隅まで細かく点検してする話ではなくて、与党の幹事長の御発言を重々しく受けとめると、こういうふうに申し上げたのであるということをそのときも答えた次第でございます。
 人事院勧告につきましては、勧告が出されました段階で完全実施に向けて最善の努力をする、ただいま総務庁長官からお答えがあったとおりでございます。しかもこれはなるべく早く政府の態度を決定するということが年々要望もされてきておりますし、また政府としてもそんな気持ちで取り組んできておるところでございます。
 なお、政府の態度が決定をいたしましたならば、給与法の法案化をしていくという作業時間が相当日数かかるかと思うのでございますが、それらも十分踏まえましてなるべく早く国会での御審議をお願いするという運びにしていくことがいいか、こう思うのでございますが、今申し上げましたように、なお通常国会、延長国会の御審議をお願いしているところでございますので、この国会が終了した後の国会がどんな姿になるかということを予測して申し上げる段階にはないということをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。気持ちといたしましては、人勧が出ましたならば、なるべく早く政府の態度を決定して、そして一日も早くそれが実行に移るように努力をしていくべきものと、このように考えております考え方だけ申し上げたいと思うのでございます。
#8
○小野明君 官房長官の今の御答弁をお聞きいたしますと、その辺までしか言えないのかなという感じがするわけでございます。この国会の見通しというようなものにつきましても金丸幹事長は既に見当をつけられておる、その上でこの発言になった。その上で官房長官もまた、十分重い受けとめ方をしなければならない、こういうふうに御発言があったと私は理解するわけでございます。
 政局の見通しというのはなかなか難しい問題でもあろうかと思いますが、私がお尋ねいたしましたのは、金丸幹事長は幹事長としての見通しを言われた、政府としては、官房長官としてはそういうことは百も踏まえた上での御見解というのを重い受けとめ方という言葉で私はお聞きをしておるわけです。いかがでしょうか、そういった通り一遍の御答弁というのでなくて、この秋の臨時国会を一体どうするんだというお見通しは官房長官お持ちであろうと思いますが、いま一度見通し等を含めてひとつ御答弁をいただきたいと思います。
#9
○国務大臣(藤波孝生君) 今のところ、この国会で提出いたしております法案全部の成立を期してぜひ御審議をお願い申し上げたい、このように希望いたしております気持ちでもう今いっぱいでございます。
 それから政府の仕事といたしますと、臨時教育審議会の第一次の答申でございますとか、あるいは御審議願っております行革審のいろいろなテーマについての御報告でございますとか、あるいは国鉄の監理委員会の御報告とか、中曽根内閣としてまさに正念場とも言うべきいろいろな問題についての御答申や報告がこれから順次いただくことになっておりまして、これらを精力的に、いわゆる私どもの俗に言う言葉で、こなしていかなきゃいかぬというふうに考えておりまして、これらに全力投球して内閣全体が対処してまいらなければならぬ、こう考えておるところでございます。
 秋以降どういうことになりますかにつきましては、与党の金丸幹事長の発言を重々しく受けとめる、こういうふうに申し上げておるところでございますが、通常国会がどのような形で終了いたしますか、またこれから秋にかけてどんなふうに各党などもお考えになるかというようなことも十分頭に置いてまいらなければならぬかと、こう思うのでございまして、若造の私などがとやかく申し上げるよりも経験豊かな小野先生の方がいろいろ御想像、御推察いただけるのではないか、こんなふうに思いますので、どうぞ深い御理解を賜りますようにお願いを申し上げたいと思うのでございます。
#10
○小野明君 冷やかされたような気持ちになっておりますが、その問題はそれ以上のことはなかなか官房長官としてはおっしゃりにくい問題かと思います。これはまたこの国会のかなり進んだ段階でも再度質問申し上げる機会もあろうかと思います。
 次の問題は、ことしの春闘による民間の賃上げが昨年を上回っておることは事実であります。人事院の勧告も、昨年のいわゆる積み残しがありますね、大体六%前後になるのではないか、このように見られておるわけであります。一方、この人勧によって一・六七%以上の実施ということになりますと、防衛関係費のGNP一%枠を突破するということに相なるわけであります。そこでこの問題は、総理が本会議あるいは予算委員会等でも言明されておりますように、一%枠を守りたい、こういう表明をされておる。一国の総理が、人事院の勧告がありましても一%を守りたいと、こういうふうにおっしゃっておられる以上、完全実施があってもこれは防衛関係費とは別の問題である。また我が党も、参議院の予算委員会におきましては、防衛関係費の二千二十五億円削減の修正案を提案した。秋の仮に臨時国会があるといたしましても、補正予算を組む段階で一%を超えない出し方ということができると思うわけであります。人勧の完全実施について最大限の努力をするという御見解でありますし、同時にまた防衛費は一%を超えないという総理の言明ですから、そのあたり官房長官はどのようにお考えであるのか、ひとつ御見解を承りたいと思います。
#11
○国務大臣(藤波孝生君) 今後の防衛関係費がGNP比との関係でどのように推移するかということにつきましては、六十年度の人勧とかあるいはGNPの動きとか、今後にまたないと結論の出てこない不確定の部分がたくさんにございますので、現在の時点で確定的なことを申し上げることは非常に困難でございます。ただ、いずれにいた
しましても、今お話がございましたように、衆議院の予算委員会で田邊書記長の御質問に対して中曽根内閣総理大臣は、「防衛費につきましては、今日まで対GNP比一%を超えないことをめどとするとの三木内閣の閣議決定の方針を守ってきました。六十年度も、当初予算においても、その方針を守ったところであります。今後とも、その方針を守りたいと存じます。」というふうにお答えをいたしておるところでございまして、今後ともこの三木内閣以来の方針を守るために努力をしていくという姿勢には変わりはないところでございます。
 問題は、今お話がございました人勧との関係になるわけでございますが、勧告が出ないと確定的なことは申し上げられないわけでございますけれども、問題は、今総務庁長官からも御答弁がございましたように、政府といたしましては、人勧が出ましたならば完全実施に向けて最善の努力をするという姿勢はぜひひとつ貫いて頑張っていきたい、そして政府部内の意見を取りまとめてできるだけの努力をして政府の方針を決めていくということに努力をしたいと、こういうふうに思っているわけでございます。
 一方、防衛費のGNP比との関係につきましては、今申し上げておりますように予測しがたいいろんな要件がございますので、今から確たることを申し上げるわけにはまいりませんが、そのことによりまして人勧の実施に向けての政府の考え方が左右されるということはないということはぜひお答えを申し上げておきたいと思うのでございます。
 人勧の方は完全実施に向けて努力するというのは基本的な姿勢でございます。一方、防衛費につきましては、総理が御答弁申し上げておりますようにできるだけ守りたいという、そういう姿勢を進めてまいりたいと、こう思っているところでございますが、最後に御質問のございましたその二つをどういうふうに考えるかということにつきましては、なお不確定の要素がたくさんにございますので、今日の段階で確定的なことを申し上げることは差し控えさせていただきたい、こういうふうにしか申し上げようがありませんので、御理解をいただきたいと思います。
#12
○小野明君 官房長官に重ねてお尋ねいたしますが、あなたの私的諮問機関であった戦後処理問題懇談会というのがございます。昨年の十二月二十一日にこれが報告書を出されておるわけですが、この報告に基づいて政府が六十年度予算に戦後処理問題に関する特別基金の検討及び実情調査のための経費として一億五千七百万円を計上しているわけでございます。去る四月十日には総理府に特別基金検討調査室が設置されて、平和祈念事業のための特別基金の額あるいは内容、創設の時期、運用方法などを検討する意向のようでありますが、いつごろをめどにどのような事項について検討し結論を出される見通しであるのか承りたいと思います。
#13
○国務大臣(藤波孝生君) 今後のこの問題の検討につきましては、基金のどのような事業活動がふさわしいか、あるいはどのような事業を進めて、実際に他の省庁でいろいろやっておること、実施しておる事業との関連性をどのように整理するか、また財源や事業の規模をどのように構えていくか、また基金の設立形態をどうするか、いろいろと検討していく幾つかの柱がございます。それらを精力的に検討を進めていかなければならぬ、このように考えておるところでございまして、それらを頭に置きながら各省庁お集まりを願って検討に入ったところでございます。
 いつごろまでにこの検討が終わるのかということにつきましては、そういった今回の検討をするための作業を始める際に頭に置いておりますそれぞれの項目などがどのようにしかるべき結論を得ることができるかというところに問題があるわけでございますので、初めからいつごろまでに検討を終わるということを申し上げて検討に入っていくというよりも、ひとつ精力的にこれらの検討を進めていって適切な結論を得るようにしよう、考え方としてはそう思っているわけでございます。ただ、関係者の方々にいたしますと、長い間この問題について深い関心を持ってこられた、しかも戦後処理の懇談会で非常に時間をかけていろいろな角度から御意見をお出しをいただいてきた、その間いわば注目しながら待っていた、こういう環境にあるわけでございますので、余り時間をかけてだらだらと検討しているということで済むことではありますまいというふうに気持ちとしては思っておりまして、それぞれ各省庁の御努力をいただきましてその検討をなるべく早くひとつ進めていくようにいたしたい、このように考えておるところでございます。作業の進展ぐあい、中身の詰まりぐあいによりますので、明確にいつごろをめどとしてということを申し上げることは現在の時点で、まだ出発したばかりでございますので、お許しをいただきたいと思う次第でございます。
#14
○小野明君 予算は一億五千七百万でございますが、この予算を計上するに当たりまして、この基金の性格あるいは事業を検討すると同時に、対象者の実態調査ができる形を残すことも政府と自民党との間で約束されているとも報道されております。
 そこで、いわゆる個人補償を前提とした実態調査を行うのかどうか、見解を聞いておきたいところであります。
#15
○国務大臣(藤波孝生君) 予算委員会あるいは内閣委員会等でも再三にわたって御質問をいただいてきたところでございまして、戦後処理問題懇談会の報告では、いわゆる戦後処理問題についてこれ以上国において措置すべきものはないとするとともに関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から特別の基金を創設することを提唱する、これを受けて基金創設のいろんな検討、そして実情調査ということで予算化をお願いしてきたところでございます。個人補償的なものを含むのかどうかということについても再三御質問いただいてまいりましたが、そのことにつきましても、今申し上げましたような懇談会の提唱を受けて予算化をしているということをお答えしてきたところでございます。
 問題は、検討いたしてまいります中で関係各省庁の意見をいろいろと述べ合う、さらにこれらの問題につきましていろいろとお世話をいただいてきておりますそれぞれ団体もあるわけでございまして、それらの方々がこの基金の創設ということを中心にいたしましていろいろと意見を述べていただくという機会をつくらなければなりますまいというふうに考えておるところでございまして、それらも検討の中に入っていくかと思うのでございます。また同時に、この基金を創設いたしまして、どのような規模でどのような事業をやっていくかというようなことを考えますときに、従来、これらの問題に該当する方々の実情がわかりませんと、どういうふうに何を設定しようと思いましても実態にそぐわないものになるという心配がございます。そういう意味でも、関係者の方々の実情をよく調査するということは非常に大事なことであるというふうに考えておりまして、今までのところ、そういうふうなことを頭に置いて、ひとつよく関係各方面の御意見も聞きながら検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておりますことを御理解いただきたいと思うのでございます。
#16
○小野明君 そうしますと、個人補償等を前提とした実態調査を行うのかどうかという点がどうも明確でございませんが、その点はいかがでしょうか。
#17
○国務大臣(藤波孝生君) 懇談会の、くどいようでございますが、繰り返しになりますが、懇談会では、基金の創設を十分ひとつ活用して関係者の方々の心情にお報いをしなければならぬ、こういうふうに提唱されておるところでございまして、それを受けてどのように基金を創設していくかということをあくまでも頭に置いて検討を進めていくことになるというふうに思っているところでございます。しかし同時に、ただいまも申し上げましたように、該当者の方々の実態、実情をよく調
査していく、しかも関係団体の方々の御意見もよく聞いていくということを検討の中で進めていくようにいたしたい、こう考えておるところでございまして、これらが今後の基金を創設してその事業をどのように構えていくかというようなことの中でいろいろ話し合われるべきことであろうかというふうに思いますし、また検討されるべき中心の項目になろうかと、こういうふうに思いますので、非常に何かはっきりしないようでございますけれども、今申し上げましたことで全部でございまして、そんな気持ちで検討に入っていくようにいたしたい、こう思っているところでございます。
#18
○小野明君 官房長官、時間が若干超過いたしましたが、お引き取りいただいて結構でございます。
 総務庁長官に若干質問が重複をいたしますが、春闘によって、先ほど官房長官に質問を申し上げましたように、人事院の勧告はいろんな実績等を見まして六%前後になるのではないかという見通しを私は持っております。そうすると、この中にはいわゆる積み残しを含めてというふうに私は思うんですが、大体人件費で一%は既に計上されておるわけですね。そしてGNP一%との天井は、すき間は八十九億円しかない、非常に少ない。しかし最初に長官が答弁なさいましたように完全実施に向けて、これは当然の責務でありますが、最大限の努力をなさると、こういうことでありますが、総理のああいった国民への約束もございます。もともと防衛関係費と人事院勧告の完全実施というのは性格の違うものである。しかも一方では、五十七年以来凍結、値切りということで公務員の士気にも、公務能率にも影響を与える、こういった問題点があるわけでございます。この辺を、総務庁長官も閣僚の中では実力者と言われておるんでありますから、その辺のひとつ御見解をお伺いをしておきたいと思います。
#19
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど官房長官がお答えをいたしましたように、防衛費の対GNP比一%の問題については、既に総理からこの国会でお答えをしてあるとおりで、先ほど小野さんがおっしゃったとおりでございます。ただ、この問題は、人事院勧告その他の問題がどうなるのか、分子分母の関係がございますから今ここでにわかに断定はできません。できませんが、これは一%を守りたいと、こう言っておりますから、これはそれなりに政府としては努力をすべきものと、かように考えるわけでございますが、同時に公務員給与の問題は給与の問題として、人事院勧告の完全実施に向けて最大限の努力をするということも当然の政府の責務であろうと、こう考えるわけです。
 そこでその関連いかんと、こういうことになるわけですが、この点につきましては、人件費というものが防衛庁の予算の中に入っているわけでございますから、人件費がそれだけ上がれば当然GNPと防衛費の比較の問題に影響することは、これはもうそのとおりに影響せざるを得ないわけでございますね。しかし、さればといって、それじゃ防衛費の方を一%に抑えなきゃならぬということから、今度は逆に人件費の方を抑えるというのは、それは筋が違う。人件費の方の、つまり給与の問題の方は給与の問題として処理をすべきものであると、かように考えているわけでございますので、防衛費一%の問題で人件費の扱いが左右せられるということは私はあってはならないと、かような考え方で、給与勧告については給与勧告として扱ってまいりたい、こういう考え方でございます。
#20
○小野明君 きょうお尋ねしております趣旨は、四年間も凍結、値切りが続いている人事院勧告について完全実施をすべきである、それがまた恩給にもはね返ってまいる、こういう立場からお尋ねをし、長官もそういった立場で完全実施をすべきものである、こういう決意が表明されているわけであります。これは当然です。
 ところで、総理の言明もございました。これは人勧が出てみなければわからないという問題もありますが、ほぼ大体いわゆる積み残し分を含めて六%前後、こう相なると思うわけですが、私は、これは補正予算の組み方で、私ども参議院の予算委員会で防衛費の二千二十五億円削減という修正案を出しましたが、これならば何も総理の言明とも予盾をしない、補正予算の際にそういった工夫ができるのではないか、こう思うんですが、長官はどうお考えでしょうか。
#21
○国務大臣(後藤田正晴君) ただいまお答えしましたように、人件費の方の問題がGNP一%の問題の方に影響することは、これはもう当然そのとおりですね。しかし、さればといって一%の問題があるから人件費の方は抑制する、これはあり得ない。私は、人件費は人件費として、今日人事院勧告制度というものを政府が最大限尊重してやるんですから、それはそれとして処理をしてまいりたい。ただ、今の段階で、それじゃ人事院勧告が出た段階で防衛費の方がどうなるのか、一%の関係で。これは先ほど言いましたようにGNPとの関係がございますから、その段階で検討して、そこで一体どうなるのか、こういうこと。しかしどうなるのかという際には、総理の言明もありますから、これは政府としてそれをどのように総理の言明を実現していくかということを検討、工夫すべき筋合いのものである、私はさように考えるわけでございます。
#22
○小野明君 もともと人事院勧告の完全実施という問題と防衛費の関係というのは性格の違うものですから、ですから長官としてはあくまでも公務能率の増進、あるいは良好な労使関係の維持ということで、長く値切られております人勧の完全実施へ向けておっしゃるように最大限のひとつ御努力を願いたいと要望しておきたいと思います。
 それから、官房長官にお尋ねしようと思いましたけれども、総務庁長官にお尋ねをいたしますが、昭和五十四年から旧日赤の救護看護婦に対する慰労給付金が出されておりますね。それから二年おくれて昭和五十六年から旧陸海軍従軍看護婦に対する慰労給付金が出されておるわけでございます。今回は、五十五年にこの基準をとりまして、それ以来の消費者物価の上昇に合わしてことしの六月分以降一二・三%の増額を行う、そして実質価値を維持する、こういうことに相なっておるわけであります。厚生年金を見ても、消費者物価が五%上昇したときには年金の改定を行うようになっております。この慰労給付金というのは、かねてから衆議院でもいろいろ言明があっておるようでございますが、年金的な性格ではない、そこでそういった立場からの増額ではない、こういうふうにしているようであります。ただ、実質的なこの慰労給付金の価値を維持するという立場での表明があっておるわけでございます。そこで、今回一二・三%のアップの措置がとられておるんですが、これについては一定のルールをつくって、そうして今後とも実質的な価値は維持するようにすべきではないか、このように私は思うわけでございます。長官の御見解を伺いたいと思います。
#23
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は、私は、従軍看護婦のあの当時置かれておった立場、そういうものを考えますと温かい配慮をもって政府としては対応すべきものである、私は基本的にはそう考えておるんですが、何せこれは恩給といいますか、年金にはなじまないということで慰労給付金という形で今日出しているわけですね。そこで、ことしも大変予算が厳しい中ではございましたけれども、実質価値を維持しなきゃなるまいということで一二%余りのアップの措置をして、政府としては最大限の温かい配慮をしたものと、私はこう考えておりますけれども、なおこれに対してはいろんな御意見があることは承知いたしております。そういった点は、我々としてはあの当時の従軍看護婦の置かれた立場というものをよく考えて、できる限りの手厚い処置はすべきものである、かように考えているわけでございますが、本件につきましては、事務当局が総理府の方から参っておりますので、お答えをいたさせたい、かように思います。
#24
○政府委員(藤田康夫君) ただいま総務庁長官の
方からお話がございました慰労給付金は、先生からお話がございましたように、所得の保障を図るという年金的な性格を有するものでないので、従来増額は非常に困難であるとしてきたところでございますが、しかしながら措置がとられて以来四年ないし六年の期間が経過しておりまして、その間かなりの消費者物価の上昇がありまして、このまま据え置いておくのはいかにもお気の毒である、こういうことで実質的価値を維持する必要があると判断いたしまして、現在、財政状況が極めて厳しい状況ではございますが、先生からお話ございましたとおり、過去五年間の消費者物価指数の上昇率一二・三%の改善を図ることといたしたわけでございます。したがいまして、毎年増額する、かようなことは考えておらないところでございます。
 なお、今後の取り扱いでございます。総務庁長官からもお話がございましたが、今回の増額の経緯等を踏まえて十分慎重に検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#25
○小野明君 今私がお尋ねいたしましたのは、日赤にいたしましても、あるいは旧陸海軍の従軍看護婦にいたしましても、数が非常に少ないわけですね、大した数ではない。今回改定されて、大体十一万から三十四万ぐらいの間、それぞれ該当するところでも三年から五年というところが八百人足らずでございますよね。今回五年ぶりで一二・三%の改定をやる。これは実質的な価値を維持するという理屈がつけられているわけですが、これにも一定のルールをつくってはどうか、余り数が多数にわたるわけではないわけですからね。そういう質問を申し上げているわけですが、この一定のルールをつくるということについてはいかがですか。
#26
○政府委員(藤田康夫君) 一定のルールをつくったらどうかという御提案であるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますように、この慰労給付金、長年にわたりまして戦時衛生勤務ということに対します慰労給付金ということでございまして、年金的な性格を持つものではございません。したがいまして、今回は実質的価値を維持するという観点から一二・三%の改善を図ることといたしたわけでございます。
 今後の取り扱いでございますが、先ほどから繰り返しになって恐縮でございますが、今回の増額の経緯等を踏まえて十分慎重に検討さしていただきたいと、こう考えておるところでございます。
#27
○小野明君 基準のとり方にしても、昭和五十五年を基準にされておることに私は非常に疑義を感じます。五十四年から始まっているわけですから、本来であれば五十四年から起算して物価上昇に合わして実質価値を保持すると、そういうふうにされるのが論理的ではないのか、整合性があるんではないか、こう思うわけですが、今後の一定のルールについては検討をされるということでございますから、十分ひとつ今回の措置を先例にして検討していただくようにお願いしたいと思いますが、この点は再度総務庁長官にお尋ねをしたいと思うんです。
#28
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は私の所管でもございませんけれども、先ほど言いましたようにできる限り思いやりのある措置をすべきであろうと、こう思いますが、そういった立場で勉強さしていただく課題であると、かようにひとつ御理解を賜りたい、かように思います。
#29
○小野明君 次に、今回の恩給の増額というのは例年と同じように昨年の公務員給与の改善傾向を分析した結果に基づいて本年四月から平均三・三%程度の増額を行うことが中心となっております。昨年の増額は例年より一カ月繰り上げて三月実施でありまして、私たちもおやっと、こう思ったわけでございます。どういう含みかなと、こういうふうに思いました。
 ところで、この三月実施をめぐって共済年金につきましても同時に三月実施とすべきであるという見地から私が修正案を提出したのであります。これは否決をされたわけですが、本年の恩給増額の実施時期はどうしてか昨年の三月を踏襲せずにまた四月に戻っておる。政治的な扱いがひど過ぎる。三月実施になればそれを踏襲すべきではないのか、こういうふうに思うんですが、この点は長官どういうことでございましょうか。
#30
○国務大臣(後藤田正晴君) それはちょっと小野さんと考え方が違うんです。三月という方が例外でして四月からが原則なんです。
 なぜ三月にしたんだと言えば、これは五十七年度完全に公務員のベースアップを凍結してしまいましたから、そういったような特殊事情を考えまして、この恩給の改善を検討する際にいろんな議論の末一カ月だけ例外として繰り上げて実施した。こういうことでございまして、ことしはそうじゃありませんから、これは原則どおり四月一日からの実施、かように原則に返った、こういう御理解を賜りたい、かように思うわけでございます。
#31
○小野明君 私どもとしましては、法案が上がりますときにいろいろつけられます附帯決議について、政府がこれを重視する姿勢がない、全然おまけみたいなもんだ、その場逃れでよろしい、こういうふうなお考えに立って附帯決議を無視していく、こういうことを甚だ遺憾に思うわけでございます。
 それで、今国会でも、衆議院の内閣委員会の附帯決議を見ますと、「恩給の実施時期については、現職公務員の給与との遅れをなくすよう特段の配慮をする」ということがつけられております。昨年の当内閣委員会の附帯決議でも「恩給の改定実施時期については、現職公務員の給与改定時期を考慮し、均衡を失しないよう配慮する」、こういうふうになっておるわけです。
 こういった趣旨の附帯決議が何回となくつけられておりまして、昨年の三月実施は、どういった理由であれ、この附帯決議の趣旨に一歩でもこたえたもの、こういうふうに思いまして歓迎をしておった。ところが、本年はまた四月というふうに後退してしまっておるわけですが、こういった衆参両院の、国権の最高機関でありますが、附帯決議に長官はどのように対処されようとするんでございますか、お伺いしたいと思います。
#32
○国務大臣(後藤田正晴君) もちろん、この附帯決議は国会の御意思でございますから、政府としてはそれを尊重しなきゃならぬという基本の考え方は持っておるわけでございます。
 ただ、この恩給の実施時期、改善の実施時期につきましては、政府としてはこの際公務員のベースアップにスライドしてきちんとした処理をやるということになったわけでございますから、五十七年度の例外措置は原則どおりにしていただきたい、こういうことで四月に返った、原則に返ったということでございます。この点はぜひ御理解をしていただきたい、かように考えるわけでございます。
#33
○小野明君 その点は理解ができませんね。承知できません。この附帯決議の趣旨に合わせまして差をなくしていくという方向にひとつ御努力をいただきたい。この国会の意思にこたえるようにしていただきたい。四月実施が原則であると言われるが、これは行政府の原則で、国会の意思に沿うように御努力をなさるのが本筋ではなかろうかと、このように思います。
 次に移りますが、五十七年の七月三十日に出されました臨調の基本答申によりますと、高齢化社会への対応として、年金制度の改革あるいは年金行政の一元化というものが指摘されておりました。あわせて恩給制度につきましても、「年金制度とのバランスをとるために必要な見直しを行う。」ということが述べられております。これは長官御承知のとおりであります。続いて五十九年の七月二十五日に行革審から出されました「当面の行政改革推進方策に関する意見」の中でも「恩給制度について公的年金制度改正とのバランスを考慮し必要な見直しを行う。」と、非常に重要な点であります、指摘されております。
 言うまでもなく、国民年金、厚生年金の改革法案というのは、我が党の反対にもかかわらず既に成立しておるわけでございます。一方、恩給とも
関連の深い共済年金の改革法案も国会に会期末に提出されておるんでありますが、こういった状態の中で、臨調、行革審の指摘にどのように対応していくおつもりであるのか、見解を伺いたいと思います。
#34
○国務大臣(後藤田正晴君) その点は、恩給制度と他の社会保障制度としての公的年金で基本的な性格が違っておるんではないかという基本的な理解を私はしているんです。しかし、同時に機能の面から見ますと、他の公的年金と恩給というものは類似の役割を果たしていることも事実ですね。そういったことで、社会保障制度審議会とかあるいは行革審からは、バランスを考慮すべし、こういう御提言をちょうだいしている、これは私は百も承知しております。しかし基本的性格が違うからこそ公的年金制度統合のあの計画の中には恩給は入っておりませんね。別扱いになっている。これはやはりそういう点を考慮なさってそうなっているんだろうと思います。
 恩給は、申し上げるまでもなく、これは新規参入者がないわけですよ、恩給は。その多くは旧軍人の方々なんですね。こういったいろんな面で制度が違いますから見直せと、こういうことですから、私どもとしてはこれは検討をせざるを得ない、慎重な検討課題であるということは申し上げなきゃなりませんけれども、その検討をするに当たりましても、恩給と他の公的年金制度とは基本的性格が違うんだという理解の上に立って検討をさせていただきたい、かように考えておるわけでございます。
#35
○小野明君 おっしゃるように、恩給というのは国家補償という観点が土台になっておりますから、他の年金制度のように保険数理で動くものではありませんから、そういった立場はひとつ堅持していただきたいと、こう思っているわけであります。
 ただ、今回の法案もそうでありますが、過去ずっと恩給、共済年金というのは人事院勧告による公務員給与の改善にスライドして増額が図られてまいっております。しかし、この国会に提出されました共済年金の改革法案を見ますと、共済年金については今後は消費者物価が五%以上上昇したときに自動スライドをすることに相なっておる。仮にこの改革法案が可決をされるとしたならば、六十二年度以降は物価スライドになりまして、人勧による公務員給与にスライドすることはなくなってしまうわけです。こう見てくると、恩給が国家補償という性格で最初申し上げましたように他の年金とは違うということは長官もおっしゃっておられるとおりですが、ただ恩給だけが公務員給与スライドでいいか、こういう問題も出てくるのではないかと、こう思うんです。その制度の違いを踏まえながら検討していかれるという御答弁でございますが、この問題を含めて、いつごろまでにどういった結論をお出しになるつもりであるのか、お尋ねいたしたいと思います。
#36
○政府委員(藤江弘一君) 恩給のベースアップの基礎といたしまして何をとるかということにつきましては、終戦以来これまでいろいろな経緯がございました。例えば物価水準をとるとか、生活費水準をとるとか、物価水準と公務員給与のベースアップ分の折衷案というふうな形をとるとか、いろいろなことがございましたが、昭和四十八年以来は、前年度の公務員給与のベースアップを指標とするということが定着いたしておるわけでございます。
 しかしながら、ただいま先生御指摘のように、同じ元公務員に対する年金であります共済年金につきましては、ただいま御指摘のように物価水準に移行するということが法案上確定いたしているわけでございます。したがいまして、恩給としましても、これについては重大な検討課題であろうかと考えるわけでございます。
 ただ、時期につきましては、これも先生御指摘のように、共済法では六十二年から物価スライドを実施するということが明定されているわけでございまして、六十一年をどうするかということについてはまだ未定の状況でございます。
 したがいまして、私どもとしては、それらの状況等も見ながら、指標をどうするかということは重要な問題でございますので、諸方面の御意見も伺いながら検討を続けてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#37
○小野明君 この結論を出すにはそう時間はないわけですよ。共済年金はもう既に提出されておるわけですから、早急にこれは結論を出さなきゃならぬ問題だと思いますが、今の制度の違い、こういう重大な問題を抱えている問題ですから、いつごろまでに結論を出されるんでしょうか。
#38
○政府委員(藤江弘一君) ただいま申し上げましたように、六十一年のベアがどうなるかということが一つの問題点となる時期、つまり今年度の予算編成時期、十二月が一つのめどとなろうかと思うわけでございます。
#39
○小野明君 恩給の増額の方法につきましては、いろんな変遷をたどってきておるようであります。昭和五十一年以前は一律方式をとってきておったわけですが、これでは恩給年額の高い者ほど高くなってくる。三十万から五百万ぐらいのところがございます。こういうことで問題がありはしないかということから、上薄下厚、下に厚い、こういう方式がとられて今日に及んでいると思います。
 仮に物価スライドをとりますと、これは恩給がかつてやったと同じ問題が出てくる、こういうおそれがあると思います。かといって、他の公的年金がすべて物価スライドをとっておるのに恩給だけが公務員給与にスライドしているのはどうかという問題も出てくるのではないかと考えられるわけでありまして、恩給受給者は他の年金制度における受給者と異なって、長官も先ほどおっしゃっておりましたが、かなり高齢化しておる、あるいは戦没者の遺族、傷病者などの経済的な弱者が多い、これらにも十分な配慮をして検討すべきではないかと思うのでありますが、今後の恩給の検討について、これは後藤田長官に御見解を伺いたいわけでございますが、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(後藤田正晴君) 恩給制度の基準というか指標は、いろんな経緯があったわけですけれども、四十八年から今日のような公務員の給与にスライドしていく、こういうことになっているわけですね。ただこの問題は、他の公的年金が物価スライドということになれば、政府としてはこれは重要な検討課題である、こう受けとめなきゃならぬと考えておるのです。ただその際に、やはり基本の性格が違うということと、もう一つは、この物価スライドといったときに、今まで確立しておる恩給についての上薄下厚というやり方、これが崩れるということになると、これはちょっとやりにくいということがございますから、ここらを踏まえながら、ひとつ重大な検討課題として政府としては受けとめておるのだということで今日のところは御理解をしておいていただきたい、かように考えます。
#41
○小野明君 次へ進みますが、恩給受給者の現況を資料で見ますと、五十四年の末で受給者総数が二百五十二万六千人、六十年度では二百二十四万三千人、六年間に二十八万三千人減少しております。これを文官と軍人で分けてみますと、文官では五十四年に十六万四千人であったものが六十年度は十二万八千人、三万六千人減少しております。旧軍人関係では二百三十六万二千人が二百十一万五千人、二十四万七千人減少をいたしております。一方、恩給予算を見てみましても、五十九年度、一兆七千二百八十九億円、これが本年度は三・四%の増額を図ってもなお一兆七千三十億円、二百五十九億円の減少を見ております。将来における恩給の受給者数の推計についてはどのように見込んでおられるのか。ベースアップは今後とも続けられるでありましょうが、恩給費についてはどのように推移していくと見ておられるのでしょうか、この点をお尋ねしたい。
#42
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘の恩給受給者数及び恩給費総額の見通しにつきましては、一体その失権による減少をどの程度見込むのかとか、また恩給改善をどう見込むか、その場合
には社会経済状態が非常に影響するわけでございまして、正確な推計をということは極めて困難でございますが、ただ仮に、私どもとして、昭和六十年度予算において見込んだ人員を基礎といたしまして、昭和六十年度における恩給制度のまま推移するものとして、厚生省の人口問題研究所の簡速静止人口表を使いまして見通しを立てたもので作業いたしておりますので、御報告申し上げたいと思います。
 六十五年度、五年後には百九十七万人、これはおよそ八八%、金額にいたしまして一兆四千三百億円。七十年度、十年後には百六十七万人、一兆一千二百億円。七十五年度、十五年後には百三十三万人、これは五九・六%、八千二百億円でございます。八十年度、二十年後には九十四万人、四二%、五千四百億円。八十五年度には五十七万人、約二五%、四分の一でございます、三千百億円。その後の推計になりますと極めて不正確になると思いますけれども、念のために申し上げますと、九十年度には二十八万人、千四百億円、九十五年度には十一万人、四・八%、五百億円というふうな推計をいたしておるわけでございます。
#43
○小野明君 恩給は仮定俸給年額、旧軍人の場合には階級と在職年によって恩給年額が算出されるような仕組みになっておりますね。その額が最低保障額より低い場合には最低保障額が支給されるということに相なっておるわけでございます。一人一人恩給年額が異なっているのでありますが、いろいろな資料を見てみますけれども、現在の恩給の水準、つまり平均在職年数と平均年額というものがわかりません。平均在職年数と平均年額、これは一体どうなっておるのか、また今回の改正によってどのようになっていくのか、この点おわかりでしたら、これは当然局長としてはわかっておらなければいかぬ問題だと思いますが、いかがでしょう。
#44
○政府委員(藤江弘一君) 二点についての御質問でございますが、まず平均在職年数につきましては、これはただいま御指摘のように改正によって変動するというものではございませんで、経年によりまして変動するというものでございます。これは最新の恩給統計が五十九年三月時点のものでございます。文官普通恩給につきましては二十二・〇年、普通扶助料につきましては二十三・五年、旧軍人の普通恩給が十一・一年、普通扶助料が十二・九年となってございます。
 恩給の平均年額でございますけれども、これはただいま御指摘のように種類、在職年数、年齢等によりまして異なっているわけでございますが、昭和六十年度における恩給受給者の一人当たり平均年額を文官、旧軍人別に推計いたしますと、文官恩給は九十九万二千円、現行額が九十五万七千円ですので三・六%増となります。旧軍人遺族等の恩給は七十七万三千八百三十一円、現行額が七十四万円余でございますので四・五%増となります。
 さらに、普通恩給及び普通扶助料について推計した一人当たりの平均年額は、文官の普通恩給が百十七万一千四百三十九円、現行額が百十三万四千百二十四円でございますので三・三%増、普通扶助料が七十九万二千九百九十六円、現行額が七十六万五千八百六十九円で三・五%増でございます。旧軍人の普通恩給は四十四万九千八百八十四円、現行額が四十三万四千七百五円でございますので三・五%増となります。普通扶助料は四十五万三千五百三十六円、現行額が四十三万三千九百九十円の四・五%増ということでございます。
#45
○小野明君 初めてそういう数字がわかりました。恩給の水準がどういったものにあるのかというのを非常に疑問に思っておりました。
 恩給の性格は、先ほど申し上げましたように国家補償というものでありまして、保険数理の原則によって支給される年金あるいは生活保護とは違うと、こう申しましても、生活の支えになっている点については恩給も年金も同じことであろうと思います。しかし恩給を受給しながらなおかつ生活保護を受給しているという声を聞くわけですが、これは短期在職者でも恩給はつく人もおることから来るのではないかと思われるわけですが、恩給局は恩給受給者の恩給が生活にどう寄与しているのか実態調査を行ったことがあるのかどうか、今説明がありました水準からいきますとかなり厳しいものであると思われるわけですが、この実態調査についてその結果は一体どういうものになっておるわけでしょうか。
#46
○政府委員(藤江弘一君) 恩給局といたしましては、恩給受給者の生活状況を把握するという意味におきまして毎年、恩給種類別に抽出調査の方法によりまして家族構成とか就業状況、恩給受給者世帯の収入に占める恩給の役割等につきまして調査を行っているところでございます。そのうち特に重要なファクターと思われます世帯収入に占める恩給の割合につきまして以下申し上げたいと思います。
 これは調査時点は、ただいま申しましたように種類別に変えておりますので同一時点ではございませんので、念のために申し上げたいと思います。また調査方法といたしまして、主要な収入と二位の収入というのをつけさせているわけでございまして、したがいまして、主な収入といいましても他の収入もある場合もある、つまり全額恩給のみに依存しているという数については不明であるということをつけ加えさしていただきます。
 まず、文官普通恩給受給者世帯でございますが、長期在職者で見ますと、普通恩給が主要な収入となっておりますのが四六・四%、普通恩給が第二位の収入というのが四二・三%でございます。それから短期在職者につきましては、普通恩給が主要な収入といたしております者が一四・二%、普通恩給が第二位の収入といたしておりますのが四六・八%ということでございます。
 それから旧軍人の普通恩給受給者世帯につきまして見ますと、長期在職者につきましては、普通恩給が主要な収入といたしておりますのが二八・五%、普通恩給を第二位の収入といたしておりますのが五一・一%、それから短期在職者につきましては、普通恩給が主要な収入といたしております者が四・〇%、第二位の収入といたしております者が四六・八%でございます。
 それから普通扶助料の受給者世帯でございます。まず、文官では、主要な収入といたしております者三〇・四%、第二位の収入といたしております者四七・三%。旧軍人の場合には、主要な収入としております者が一〇・七%、第二位の収入の者が五三・二%ということでございます。それから旧軍人の公務扶助料受給者世帯につきまして見ますと、主要な収入といたしておりますのが二八・〇%と比較的高い数値を示しております。第二位の収入が六七・七%ということでございます。
 それから傷病恩給受給者世帯でございます。これは非常に依存率が高うございまして、増加恩給を主要な収入といたしております者が五九・七%、第二位の収入といたしております者が三三・一%。比較的軽度の傷病であります傷病者に支給されます傷病年金につきましては、主要な収入といたしております者が一九・二%、第二位の収入が五五・八%というふうなことになっているわけでございます。
#47
○小野明君 そういった数字がおわかりになっているわけですね。恩給の増額については従来一定のルールでやってこられたわけです。今の実態から、主たる収入だというのは文官の長期ぐらいのものですよね。あとはみな従たるものになっている。こういった実態から改善すべき点があれば改善していただかなければならぬと思いますが、そういった点については今後どういうふうに改善をすべきだという見解といいますか、見通しといいますか、そういったものをお持ちであればひとつ御説明いただきたいと思うんです。
#48
○政府委員(藤江弘一君) これらの生活実態調査からいたしまして、私どもといたしましては、依存度の高い長期在職者の年金の、特に老齢者に対する手当てをこれまでも配慮してきたところでございますが、今後とも十分に考えたいということ。それからただいまも申し上げましたように、
傷病年金等につきましても、これも依存率が非常に高いわけでございます。そういう意味で、傷病者等の実態に即しました改善、財政事情等もございますが、できるだけの措置をいたしてまいりたい。また寡婦等についてもこれまでいろいろの配慮を同様いたしておるわけでございますけれども、この点についてもできるだけの配慮を他の公的年金等との見合いも考慮しながら配慮してまいりたいと、かように考えているわけでございます。
#49
○小野明君 もう大体時間が来ておるようですが、最後にこれだけお尋ねしたいと思うんです。
 国民年金法あるいは施行令によりますと、原則としては公的年金を受けている者には老齢福祉年金、六十年度は月額二万六千五百円であります、これが支給されないということになっております。しかし公的年金が六十年の六月から五十三万二千円未満のときはその差額を支給するということになっております。この公的年金の中には恩給受給者ももちろん含まれておるわけです。衆議院の内閣委員会の附帯決議でも「恩給受給者に対する老齢福祉年金の支給制限を撤廃すること。」と附帯決議がされております。当委員会でもこの趣旨と同様のものは昨年もつけておるわけです。
 国民年金は厚生省の所管ではありますけれども、恩給局としても総理府としても、厚生省にそういった点の働きかけをすべきだと思うが、いかがでしょうか。
#50
○政府委員(藤江弘一君) ただいまの国民年金法に基づきます福祉年金をどう給付するかということにつきましては、これはまさに厚生省の所管の事項でございまして、私どもの判断すべきことではないとは思いますが、先生のただいまの御発言の御趣旨等につきましては、今後とも十分に厚生省にお伝えしたいと考えております。
#51
○小野明君 終わります。
#52
○穐山篤君 ただいまいろんな数字について事務的に説明がありました。きのう私がいただきました恩給受給者数の推計というのがあるわけですが、今小野委員に説明した数字と私がもらっております数字は随分違いがあります。これはどこに原因があって違う数字が出てきたのか、具体的におっしゃってもらいたい。
#53
○政府委員(藤江弘一君) 私どもとしては決して違う数字を差し上げたつもりはございませんが、もし何らかの手落ちがございましたら、その点はお許しいただきたいと思います。その点につきましては、至急調べまして、もし間違っておりましたら正確なものを差し上げるようにいたしたいと思います。
#54
○穐山篤君 細かいことですから余り注文はつけませんけれども、私が今持っております数字は予算委員会のときにたしか出された数字の表が再び印刷されて私の手元に来たのではないかなと、こういうふうに思います。大分数字の違いがありますので、後で公式の文書をいただきたいというふうに申し上げておきます。
 行革審の事務局の方に。先ほど小野委員からも指摘がありましたが、特に去年の七月二十五日に出されました意見というのがありますね。簡単に言いますと、「恩給等の給付改定の検討に当たっては厳しい財政事情等を考慮するとともに、新規の個別改善は行わない。」、これが一つですね。それから二つ目は、「また、共済年金制度について公的年金制度の一元化を目指した改革案を早急に作成するとともに、恩給制度について公的年金制度改正とのバランスを考慮し必要な見直しを行う。」、こういうふうになっているわけです。行革審がこの意見を出すに当たっていろんな角度から研究したと思いますが、これの背景はどこにあるんでしょうか。
#55
○政府委員(山本貞雄君) ただいま御指摘の二点につきましては、臨調答申におきまして同じような趣旨の指摘を行っておるわけでございます。行革審におきましても、昨年の時点で検討いたしまして、この際同じような趣旨の指摘をやはりしておく必要があるということで御意見を提出いたしたという次第でございます。
#56
○穐山篤君 それでは説明にならぬですよ。どういうわけで新規の個別改善はしてはならないというふうに行革審は考えたのか、具体的に説明をしてもらいたい。
#57
○政府委員(山本貞雄君) まず、個別改善の点でございますが、先ほど申し上げましたように、恩給につきまして臨調第一次答申及び第三次答申が同じような指摘をいたしまして、昨年行革審が指摘いたしました点もこれと同一の趣旨でございます。その意味いたしますところは、現在の厳しい財政事情等を考慮いたしまして、恩給の給付改定に当たりましては、新たに個別の事情等に着目して制度の仕組みを変えるような個別の制度改善はこの際は行うべきではないと、このようなことを指摘しておるわけでございます。
#58
○穐山篤君 まあ、財政事情というのは一般論としてあるのは当然ですね。そこで、例えば補助金の一律カットのように、地方にその財源を求める、あるいは地方に財政上の負担をお願いするというふうなことにして、中央政府の財政事情を十分考えるというふうなことが現に行われたわけです。その意味でいきますと、厳しい財政事情を考慮するならば、下げるというふうになぜ言わなくて、新規の個別改善のものだけに限定をしたのか、もう少し財政上の分析が行われる、あるいは恩給というものの内容について点検が行われた上でこういう文章が出てきたのかどうか、その点が非常に疑問であります。その点をもう少し明確にしてほしいと思う。
#59
○政府委員(山本貞雄君) 昨年の行革審意見におきましては、いわゆるベースアップ、恩給のベースアップに対応します給付改定、これにつきましては下げるというふうなことは言っておらないわけでございます。ただ、あくまで新たに制度の仕組みを変えるような個別改善、例えば従来恩給の対象とされていなかったような期間を新たに通算する、その他もろもろの新たな制度改善はこの際、厳しい財政事情等にかんがみまして差し控えることが適当であると、このように指摘しておるわけでございます。
#60
○穐山篤君 後藤田長官、この点について担当の大臣としてどういうふうに認識をされたんでしょうか。
#61
○国務大臣(後藤田正晴君) この問題は、私は詳しい審議内容は承知しておりませんけれども、臨調なり行革審なりは、要するにこの恩給の制度改善に至るような個別の改善措置については差し控えてもらいたいと、こういう受けとめ方を政府としてはしておるわけでございます。しかし、従来からある制度でベースアップがあればベースアップすべきであるといったようなものまで臨調が抑えているなんということは、私は理解はいたしておりません。要は、個別問題で今までの範囲を広げてしまうとかそういったこと、あるいは期間の計算等で新しいあれを設けなさいとか、こういうことは政府としてはこの際厳しい客観情勢だから差し控えるべきである、かように私は理解をいたしておるわけでございます。
#62
○穐山篤君 また事務局に伺いますが、その「厳しい財政事情等を考慮するとともに」と。これは一般論としては私は受けてもいいと思うんですがね。しかし、この第一項で指摘している点について言うと、ある程度の予算の枠とか、あるいは将来展望を考えて、一定の枠に恩給にかかる費用というものは抑えなさいという意識があってこういうふうな提案になったんですか。その点はもっと詳しく説明をいただきたいと思います。
#63
○政府委員(山本貞雄君) 先生御案内のとおり、臨調並びに臨調答申の推進を任務といたしております行革審は、現在の非常に大きな累積赤字を抱えております財政というものを増税なき財政再建で行わなければ、今後の国民生活あるいは国民経済に非常なマイナスになる。そういったことから、臨調、行革審は、この財政再建期間中はできるだけ最大限の努力をいたしまして歳出の合理化あるいはでき得れば削減も行う、そうすることによって増税なき財政再建を達成する必要がある。このような観点から、すべての制度につきまし
て、この際はできるだけ新規の制度の改善、改革は行わない。また仮にその合理化によって削減が行われるならば、それはむしろ歳出削減に振り向けるべきであって、それをもって新たな制度改善の原資とすべきであるというふうには臨調、行革審は考えていない次第でございます。
#64
○穐山篤君 説明はとても科学的でもないし合理的でもないですね。
 さてそこで厚生省に伺います。「公的年金制度改正とのバランスを考慮し」というふうに言われているわけですが、厚生省としてこの見解についてはどういうふうに考えますか。
#65
○説明員(山口剛彦君) 公的年金の改革につきましては、政府といたしましても改革のスケジュールを決めて取り組んでおるわけでございますが、おかげさまで、国民年金、厚生年金の関係につきましては、その第一弾とも言うべき改革法案が成立いたしました。その後、共済年金につきましても今国会にその趣旨に沿った改革案を提出をさせていただいているわけでございます。
 公的年金全体としては、そういうことで七十年を目途に一元化をするということで進めておりますが、この改革のスケジュールの中では、恩給制度についてはこれは含まれておりません。したがいまして、私どもの公的年金改革スケジュールの中に恩給制度の改革は入ってこないわけでございますけれども、今申し上げましたように、厚生年金、国民年金の改革に続いて共済年金の改革も行われようとしている、そういう状況下で、関係省庁におきましても、恩給制度についても、基本的な性格は異にするけれども、この改革を考慮しながら将来の方向について御検討をいただくということで現在進めていただいておりますので、私どもも大変強い関心を持ってその検討の状況を見さしていただいているというのが現況でございます。
#66
○穐山篤君 七十年までのものについては私も関係しておりますから、事のよしあしは別にして理解をします。私の聞きたいのは、恩給制度について、言いかえてみれば、これは恩給の体系あるいは水準、支払いの方法、こういうもの全体を一つは指していると思うんです。そのことについて「公的年金制度改正とのバランス」という物差しをここで主張しているわけですね。そういう物差しを言われた。総務庁長官にはまた別に聞きますが、厚生省としてはこういう指摘をどういうふうに考えるか、あるいは認識をするかということをお尋ねしているわけです。
#67
○説明員(山口剛彦君) 私どもの今回の改革は、今先生御指摘のございました水準について申し上げれば、年金制度、保険数理に基づきまして給付と負担とのバランスをとっていくということが一番大事でございますので、そういう観点から将来に向かって給付水準の適正化を図る、あわせて負担についても軽減を図るというのが大きなポイントになっております。また改定をどういうふうにしていくかということにつきましても、従来から厚生年金、国民年金はそういう考え方をとっておるわけですけれども、物価上昇が一定程度以上であればそれに応じて物価スライドをする、ただし五年ごとの再計算期ごとに国民の生活水準等をにらみながら年金の水準についても改定していくという考え方をとっておるわけで、今回もその考え方は踏襲しているわけでございます。
 以上の主要な点につきましても、現在提出されております共済年金の改革案におきましては、基本的には厚生年金、国民年金の考え方に合わせまして改定の仕方、年金の水準等についても適正化をしていくということでございますので、そういう状況を見ながら、恩給制度についても、先ほど来御議論がございますけれども、基本的な性格を異にしている面があるということと、それから一定の機能としては同様の点もあるという御指摘でございますので、そういう両方の面から私どもが現在進めております公的年金の改革の考え方にどこが沿った改革ができるのか、あるいは恩給制度としての独自性がどこにあるのかというようなことを御検討をいただいて、全体として見て公的年金の行き方とバランスのとれた改革を恩給制度についても考えて検討していただいているというふうに私どもは受けとめております。
#68
○穐山篤君 行革審事務局に伺いますが、この「公的年金制度改正とのバランス」を考えというそのバランスというのは何をここでは指摘しているんでしょうか。
#69
○政府委員(山本貞雄君) ただいま御指摘の点でございますが、臨調第三次答申におきましても同じような趣旨の指摘をいたしておるわけでございますが、この意味は、恩給制度は公的年金制度とは別個の体系のものとされておるわけでございますが、公務員が退職または死亡いたしました場合に支給される年金であるという点におきまして公的年金制度との類似性も見られるわけでございまして、したがいまして、そういう観点から公的年金制度改正とのバランスを考膚して必要な見直しを行うことを求めたものでございます。具体的には各公的年金制度との関連におきまして、今後スライドのあり方あるいは給付水準等につきまして見直しの必要性を指摘したものでございます。
#70
○穐山篤君 この恩給法は、その生い立ちから言いまして、軍人という集団を考えたいきさつがあるわけです。それと同時に文官という集団を考えた法律があったわけです。まとめて恩給法になり、文官の部分についてはそれを引き継いで共済年金に発展したといういきさつがあるわけですね。
 そこで、もうちょっと詳しくお伺いしますが、給付水準ということをバランスの中に入れているようでありますが、例えば文官と旧軍人とを分けるというふうなことが見直しの中に入っているのか、いないのか、そういう検討まで十分やったのかどうか。その点はいかがでしょうか。
#71
○政府委員(山本貞雄君) 確かに恩給制度の中には文官と軍人の両方の制度があるわけでございますが、しかしながら、先ほど来先生御指摘のように、恩給というものは全額国庫負担による国家補償である。そういった点において文官、軍人とも共通の性格があるというふうに理解いたしております。したがいまして、いわゆる年金制度との「バランスを考慮」すると言いました場合は、文官、軍人両方の恩給制度を含めて指摘をいたしておる次第でございます。
#72
○穐山篤君 臨調の当初の答申にあるからそれを受け継いだというのは余り合理的な説明ではないと思うんです。
 そこで、さらにお伺いをしますが、公的年金制度を七つに今集約をされていますね。それから国民年金、厚生年金、これから審議するであろう共済組合年金につきましても、平家建て、二階建て、三階建てを制度に考えながらそれぞれ水準が出ますが、給付の水準というのは現在の公的年金制度の給付水準からいきますと下がるという状況にあるわけです、長期的に見ますと下がる。社会保険方式でありますから、金を拠出しなければならぬわけですが、その負担もどんどんふえていく。ふえていく割合に給付水準が下がるという片方の現実があるわけですね。その点は臨調も十分計算したわけではないと思いますが、傾向としてそうなるだろうということを意識をしながらこのバランス論というのを議論して、今言いましたようにスライドのあり方なり給付の水準について見直しをしろ、こういうふうに専門的に勉強されたんですか。その点いかがでしょうか。
#73
○政府委員(山本貞雄君) ただいま先生御指摘のとおり、昨年行革審におきましては、そういったただいま御指摘の点を十分検討いたしまして、そうして例えばスライドの問題につきましては、従来給与スライドとされておりました共済年金が、厚生年金等と同様に物価スライドになりますと、恩給のスライドのあり方も問題になるであろうというふうに考えられたものでございます。また給付水準につきましては、共済年金につきまして厚生年金等と同様今後給付水準の抑制が図られました場合には、恩給の給付水準につきましてもそのあり方が問題になるであろうというふうに行革審では検討の上御指摘を申し上げた次第でございま
す。
#74
○穐山篤君 公的年金制度は八つが七つになりましたが、我が国におきますこれに類似のものはたくさんありますね。恩給もその一つでありましょう、我々の互助年金もそうでありましょう、あるいは執行官法というものもそうでありましょう。あるいは農業者年金基金というふうなものについても複雑多岐にわたっているわけですね。その仕組みも違う。この公的年金制度をあえてここに持ち出した理由は何でしょうか。
#75
○政府委員(山本貞雄君) 昨年の行革審におきましては、ただいま御指摘のようないわゆる公的八年金以外に若干の類似性を持った制度がそれぞれあることは事実でございます。しかしながら、例えば農業者年金制度等は、後継者に農業経営を譲るという観点からそのような制度が立てられているとか、それぞれ特殊な事情がございますので、行革審におきましては、一般的な制度でございますところの八つの公的年金制度とのバランスを基本的に検討し、御意見を申し上げた次第でございます。
#76
○穐山篤君 恩給法の性格とそれから公的年金制度の性格は違う、それは当然であります。
 そこで、少し仮定の話でお伺いするわけですが、例えば公的年金制度のスライドのあり方あるいは給付水準において、給付水準の方が判断する上では一番いいと思いますが、先ほど言いましたように、傾向的には下がる。しかし、どういう事情がこれから起きるかもわかりません。そこで、下がる場合のバランスの問題と、また逆に公的年金制度が改正されて、老後の生活をもっとよくしましょうということで、五万円年金が七万円になるとか十万円になるという場合の恩給法に基づく給付水準のバランス、両面から物を見る必要があるわけですね。あるいは逆に言えば、恩給適用の給付水準の方が非常に高くて、公的年金の方が下がるというふうなことも事情によってはあり得るわけです。そういうふうなことをいろいろ考えてみると、この「バランスを考慮し」という意味は、後藤田長官、どういうふうに理解をされているのか。あるいは行革審からの説明を受けているのか、その点をお伺いします。
 同時に、厚生省につきましても、公的年金制度というものが物差しにされたわけです。された立場からどういうふうに恩給のスライドなり、あるいは水準というものを眺めていくかということも、これは省が違うからといって放置はできないと思うんですね。お二人からその点についての考え方をお伺いしたいと思います。
#77
○国務大臣(後藤田正晴君) この点は先ほど来お答えしましたように、基本的な保険数理でやる公的年金制度と国家補償的な性格を持つ恩給は性格は違う、私はこう考えておるんです。これを頭に置きながら、しかし同時に、公的年金も、恩給もやはり老後の生活の支えあるいは病気になった人、遺族の方、いろいろな方の生活の下支えをしておるわけでございますから、そういう機能面に着眼するならば、水準についてバランスをとるべき筋合いのものであろう。したがって、公的年金制度がどんどん上がるということになれば、恩給の方もその水準を見ながら改善をすべきである。公的年金制度は下がるということはないとは思いますけれども、これが下がるということであれば、これはやはり恩給もその水準を考慮しながらバランスをとっていくべきものと私自身はさような理解のいたし方をいたしておるわけでございます。
#78
○説明員(山口剛彦君) 私どもの今回の年金水準の考え方でございますけれども、サラリーマンの年金につきましては、年金制度、ただいまも御指摘がございましたように、保険数理に基づきまして一定の拠出をしていただき、その拠出に応じた給付をするという原則になっておりますので、一番のポイントは、年金を負担していただく方々の負担の水準と、それから原則として老夫婦が受給する年金の水準がほどほどのところでバランスがとれている、そういう状態をいつの状態になっても維持していくということが一番大事じゃないかということで、将来に向かってそういう方向で現行制度を見直していこうというのが今回の改正の基本的なポイントでございます。
 そういう観点で、どこのどの辺でバランスをとるかというのはいろいろ御議論があるわけですけれども、今回の改正では、現在の水準は、大体現役の方々の定期給与の七割弱のところに、平均的なサラリーマン生活を送ってこられた男子の場合ですけれども、年金の水準がいっておりますので、将来加入期間がどんどん延びてほうっておけば年金額が上がっていくような仕組みになっているそこを横ばいに維持するというような形で、将来とも平均的に見ました場合に現役の賃金の七割弱の水準を老夫婦に保障していくという考え方で、年金水準について軌道修正、適正化をしていこう、そういうことによってこれからの若い人たちの負担の軽減も図っていこう、こういうことでございます。
 ただし、そのときに、年金をいつから出す、何歳から出すかというのも非常に大きなポイントでございますが、今回の改正では六十歳支給をそのままにしております。したがいまして、負担の方についても現行のままいった場合よりも相当適正化されるわけですけれども、それにいたしましても受給者がふえてまいりますので、今回適正化をいたしましても、現在の三倍弱ぐらいの保険料を高齢化のピーク時にはいただかないと安定した運営ができないというような予測でございます。
 そういう考え方で私どもは年金の水準の適正化を図ったわけですけれども、申し上げておりますように、これはあくまでも拠出に応じた給付をする保険数理の原則に立ってやっております社会保険制度における考え方でございますので、先ほど来、恩給の場合にはそういう原則はとっていないということでございますので、給付水準についてはその辺を恩給制度の基本的な思想といいますか、そういう面からこの公的年金の方を改めて見ていただきまして、恩給制度としての年金の水準がいかにあるべきかということを御検討いただいておるのではないかというふうに理解いたしております。
#79
○委員長(大島友治君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時四分開会
#80
○委員長(大島友治君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、恩給法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#81
○穐山篤君 官房長官の都合がおありのようでありますので、戦後処理の問題につきまして午前中に引き続き進めたいと思っております。
 今百二国会では、我が党の田邊書記長が衆議院予算委員会で問題の指摘を行いました。それから御案内のように私が参議院予算委員会でさらに内容を詰めたわけでありますが、まだ少し問題が残っております。
 そこで官房長官にお伺いをしますが、戦後処理問題につきましては、外務大臣の立場、それから官房長官、厚生大臣、それらを踏まえてまだ完結をしていない、こういう御答弁をいただいたわけです。もちろんかつて鈴木総理大臣が、言うところの戦後処理問題はすべて完了した、こういう言明をしたにもかかわらず問題がまだ残っているわけです。それだけに戦後処理問題というのが非常に複雑多岐にわたっているということを証明していると思います。それからもう一つは、現にこの百二国会に対しましてもあらゆる分野から戦後処理関係の請願書が幾つか出ているわけであります。政治的に言えば、何らかの対応措置あるいは適切な措置をとらなければ政治的には終わらないというふうに思うところであります。
 そこで、政府としては例の答申に基づいて対策室を設置されました。陣容も決まったと思うんです。この対策室は具体的にどういう作業をテープ
ルの上において進めるのか、性格、範囲というものについてまず最初に伺っておきたいと思います。
#82
○国務大臣(藤波孝生君) お話しのように、戦後処理問題懇談会の報告におきましては、いわゆる戦後処理問題について、これ以上国において措置すべきものはないとするとともに、関係者の心情に深く心をいたすという趣旨から特別の基金を創設することを提案すると、こういう報告が出されまして、それを受けて政府といたしましては、この基金の性格や、あるいは規模や、どのようにこの基金を活用して事業を進めていくかといった等のことについて検討を進めていくということを目的といたしまして、戦後処理問題についての特別基金検討調査室を出発させるということにいたしまして既に出発させたところでございます。今後、関係省庁などとも十分相談をしながら、その検討及び実情調査を進めていくようにいたしたい、このように考えておりまして、いつごろから精力的にということはいろいろ考えておりましたけれども、予算も成立をさせていただきましたのを受けてひとつ進めていこう、こういう気持ちに達しましてその作業を進めておるところでございます。精力的に検討を進めてまいりまして所期の目的を達するようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
#83
○穐山篤君 それから新聞にも発表されておりますが、いわゆる連絡会議というものを設置されたようでありますが、この連絡会議というのはどういうことを対象にして作業を進められるのか、その点はいかがでしょうか。
#84
○政府委員(田中宏樹君) お答え申し上げます。
 総理府としましては、今官房長官の御答弁をいただきましたように、この戦後処理問題懇談会の報告の趣旨に沿いまして、今後、特別基金の具体化の検討及び実情調査の内容、対象、方法等につきまして具体的に検討していくために、関係省庁の連絡会議を今月中にでも開催するように作業を進めているところでございます。
#85
○穐山篤君 私は、予算委員会で官房長官に質問いたしましたところ、新しい特別基金検討調査室を設置するので、そこでいろんな角度から意見を十分に聞きたい、こういう御答弁がありました。
 そこで問題になりますのは、この戦後処理の懇談会では主要な問題三つが議論の対象でありましたね。抑留者問題とか軍恩であるとか、あるいは補償の問題、そのほかにも言うところの戦後処理の要求というのはたくさん出ているわけです。先ほども言いましたように、請願書も出ているわけです。そこで、この調査室というのは、私が今申し上げた幅広い範囲で各団体の意見なり、あるいは関係者の意見並びに資料というものを十分に収集する、そういう役割を持っているというふうに理解しているわけですが、そういうことでよろしゅうございますか。
#86
○国務大臣(藤波孝生君) 検討いたしますための調査室が中心になりまして、ここが事務的な役割を果たしまして、そして事柄が各省庁にまたがりますので、それぞれの省庁が連絡を取り合うという意味で連絡会議を開くというところまで今申し上げたところでございます。
 戦争によるいろいろな犠牲につきましては、いろいろな角度から御要求があって今日に至っているところでございますが、戦後処理問題懇談会におきましては、今先生御指摘がございましたように、恩欠の問題、シベリア抑留の問題、在外資産の問題、主としてこの三つを中心にいたしまして関係者、該当者の方々からの強い要請もあって、いろいろ意見をお出しをいただいてきたところでございますが、際限なくいろいろな立場からの補償要求であるとか、あるいは慰謝の要求であるとかといったことについて広がりを見せてまいりますと、結局まとまりがなくなってしまうし、どこにバランスを置くかというのは非常に難しいことかと思うのでございます。
 それらの中で特にこの三つの事柄に関していろいろ御意見をお出しいただきたいということで、戦後処理問題の懇談会の意見が述べられ、会議が進められてきたところでございますが、この三つだけに限るということでもなくて、その三つの該当の方々と同じようにあるいはそれに準じていろいろ特に御苦労をいただいた方々などについての問題というのも、戦後処理問題懇談会の中ではいろいろ意見が述べられてきておるところでございます。それらも包括されるような形で基金の創設をという提唱があったものというふうに考えておりますので、検討をいたしてまいります中では、三つの関係以外のいろいろな問題についても意見をお聞きしたり、あるいは検討したりということは必要なのではないだろうかというふうに考えておりまして、これはどんどんと広がりを見せるという意味とは違いますけれども、そこはおのずからバランスがございますけれども、そんな気持ちで取り組んでいかなければなりますまいか、こう考えておるところでございます。
#87
○穐山篤君 予算委員会で、私は戦後処理問題で例えば孤児の問題であるとか、墓参であるとか、領土の問題以外の問題について、ある程度の対処要求というものを予算委員会で一応お示しをしたつもりでありますが、官房長官としてどういう問題が残っているなということを、内容のことは別で結構でありますが、例示として幾つか挙げてみてもらいたいというふうに思います。いかがでしょう。
#88
○国務大臣(藤波孝生君) これはいろいろな御要求があったり、御意見が寄せられるから取り上げるというものでもありませんけれども、おのずから政府でいろいろ検討して、今申し上げたように、本当にこういう方々の問題はもう放置できないなというふうに考えて、先生から御指摘いただくように例示できるようなことであるべきだろうと思いますけれども、基本的には今申し上げました懇談会でいろいろ御意見をお寄せいただいてきた三つの団体といいますか、関係者の方々の問題を中心にして進めていくという中で、いろいろなまた御意見もお寄せいただくでございましょうし、御指摘もありましょうしして、それらも頭に置きながら検討を進めていくことになろうかと、こういうふうに考えておりまして、私の方から例示を申し上げるということについては少し差し控えさせていただきたいと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
#89
○穐山篤君 午前中、恩給法の審議の際に、新規のものはもう控えなさいという行革審の意見の解明を行いました。
 そこで、こういう問題の提起をしますとどうなるだろうかというのを少し検討してもらいたいと思うんですが、例えばある問題で年金に期間を通算してほしい、こういうふうに言うと、それは厚生省であると。ところが、何らかの措置をお願いしたいということになると、官房長官のところかあるいは後藤田長官のところに問題が移り変わる。そういう性格の問題がたくさんあるわけですね。あるいは昨年の衆議院の附帯決議の中で、指定機関について十分に調査をされたいということになりますと、それは恩給法の部分に該当する。ですから問題の提起の仕方あるいは処理の仕方によりましては、必ずしも戦後処理と言わなくても解決できる道もある。非常にラップしておりまして問題の処理いかんによっては区分けがされるわけであります。その点が一つの問題点。
 それからもう一つ。私は三つの大きな主要な団体の意見のほかに、いわゆる戦後処理問題という角度で請願、陳情、要求を出している各団体の意見を一応は全部聞いてもらいたいと考えているわけです。実はその中には、私も幾つか手紙をもらっておりますが、表向きはどこでも一〇〇%要求ですが、建前論が全部要求になっているわけですね。ところが、こういう道をとってくれれば私の団体では何らかの終結が可能である、そういう問題提起もたくさん受けているわけです。したがって、今回設置されました調査室では、もうありとあらゆる分野にわたって十分に話を聞いてみる、資料の点検をしてみる、本音も聞いてみるということをぜひやってほしいと思いますけれども、調査室の担当の方でも結構ですが、その点いかがで
しょう。
#90
○政府委員(田中宏樹君) 戦後処理問題懇談会の報告で提唱しております特別基金の事業といたしましては、提案が具体化されておりませんで、非常に抽象的な提案だと思います。ちょっとなぞってみますと、とうとい戦争犠牲が風化することを防ぎ、さらに後世の国民に語り継がれ、国民が戦争により損害を受けた関係者に衷心より慰謝の念を示すための何らかの事業という方向で包括的な提案のされ方をしておりますので、先生御指摘のような問題につきましても、あるいはこういう方向で取り上げられることが可能かどうかという意味合いの点検はさしていただいてもよろしいんじゃないかというふうに思っておりますので、また御指導願いたいと思います。
#91
○穐山篤君 私は言葉を選びながら物を言ったつもりであります。必ずしも個人補償のことだけを指摘しているわけじゃないんです。調査室なり連絡会議で一億数千万円の金の使い方あるいは顕彰の仕方について議論が当然されるでありましょう。そのことについてもそれぞれの団体もみんなそれぞれの意見を持っているわけです。最も効果的な顕彰というのはどういうものであろうか、戦争の体験をした立場からそういう問題の提起があるわけですね。ですから、私は以下一々申し上げますけれども、そういうことについて調査室なり連絡会議だけで物を判断して決めないでほしい、逆に言えば。そういうことについての配慮はいかがでしょうかね、官房長官。
#92
○国務大臣(藤波孝生君) 先ほどの御質問に対する一つは、いろんな問題が省庁間のキャッチボールで非常にはぐらかされたり、時間が延ばされたり、期待感をそいだりしている部分があるということについては、政府部内よく連絡を取り合って対応していくようにしなけりゃならぬということを考えておるところでございまして、これを一つ先ほどの御質問にお答えを申し上げたいと思います。
 それからもう一つは、今お話しのとおりでございまして、この戦後処理問題という事柄の、何といいますか、非常に意味の深さを考えますときに、扱いは丁寧でなければならぬだろうというふうに思います。そういう意味では、いろいろな御意見をお持ちの方々に御意見をお寄せいただく機会を持つとか、あるいはその方々を該当者としていろいろ検討するとかといったことについては、できるだけ丁寧であるべきだというふうに考えておりまして、調査室としてそのように取り組んでいくようにいたしたいと思います。
 ただ問題は、これはこういった問題の取り扱い方の難しいところでございますけれども、行って話があったので意見を述べてきたという、そのことで、その事柄を足場にして今度は大きな期待感が広がるというようなことも間々ありがちでございまして、いろんな角度の方々がそれぞれのお立場でいろいろ御意見をお寄せいただいたり、あるいは顕彰や慰謝の方法について具体的な御提言などをいただくことはとてもありがたいことだし、そのことは丁寧にお聞きをしたり検討をすべきだと思いますけれども、そのことによってどんどんどんどんと該当者の方々の期待感が広がる。先生今あえてお断りくださいまして、個人補償のことまでは言わぬがというお話がございましたけれども、いろいろと期待感のみが広がってまいりますと、かえって礼を失することになってもいかぬというところがございますので、なかなか扱いが難しいかと思いますけれども、先生が御指摘をいただいております御趣旨に沿うようにできるだけ努力をしてまいりたい、このように考える次第でございます。
#93
○穐山篤君 その第一の顕彰のあり方の問題については、十分そういう意味で努力をいただきたいと思うんです。
 それから二つ目の問題提起をしておきたいと思います。私は官房長官には書類を見せてはおりませんけれども、戦後処理の諸問題の中で特務機関にかかわるもの以外の要求につきましては、実は昨年の暮れからことしにかけまして、各団体に私は私信を、自分の手紙を出しまして、それぞれの責任者から全部御回答をいただいているわけです。その回答を寄せられました大部分の会の代表はほとんど自民党の議員さんが会長、理事長というふうな仕掛けのものであります。それはもう皆さん方十分に御存じだと思うんです。いただきました手紙を全部読んでみますと、戦後処理問題懇談会の答申というのを了解するわけにいかない、賛成はできない、そういう立場に立って改めて意見が全部出されているわけです。その要求の中には、先ほど私が冒頭に申し上げました建前論だけで来ているものと、それから集団として何らかの措置がされるならば、この際けじめをつけたいという意見もあります。それから中には現在の基準、資格要件というものを一たん下げて緩和して、もうこれですべて終わりにするということを条件にして部分的な解決でもよろしい、それで完結してもよろしい、こういう提案、意見も出ているわけであります。そのほか、生存者の方法を何とか考えてほしいという、個人補償にわたる問題の提起もあるわけであります。
 そこで、第二の問題の提起としては、午前中、小野先生からも指摘をされましたが、個人補償をすると言いますとすぐ問題に飛びついてきまして、なかなかややこしくなりますので、団体として、集団として何らかの措置ができるかどうか、けじめがつけられるかどうかということを第二段目に考えてみたらどうか。
 それから第三段目の問題提起としては、個人補償と言えるかどうかわかりませんが、個人に対する何らかの措置、これは何も金銭だけを含んでいるわけじゃないと思います。そういうふうに幾つか節目をつくって問題の処理に当たる必要があるんじゃないかと私は考えるわけです。
 問題は、昭和生まれが人口の八割を占めるようになりました。直接戦争に参加したという人は五十七、八からそれ以上の年齢の方であります、間接的には年齢の若い人もありますけれども。近年中に問題を完結しなければ、問題自身も風化してしまいますし、問題の解決がなかなか容易ではない。なかんずく、こういう問題は国民全体のコンセンサスを得るということが何としても必要だと思うんですね。今の青少年の意識、気持ちから考えてみますと、平和になりましたために、過去のものについてはなかなか思い出すことも難しい状況にあるわけです。しかし、国家として何らかの措置をするわけですから、国民的な合意が得られる合理的な範囲で問題の完結を図る、今回ですべて終わりというふうな方法を鮮明にしながら問題に取り組む必要があるだろうなというふうに、以上五つを私としてはこの際具体的に提案しておきたいと思うんですが、官房長官の御感想はこの点についてはいかがでしょう。
#94
○国務大臣(藤波孝生君) 戦後処理問題というのは非常に奥行きの深い問題でございますだけに、今までにももうこれで終わりだ、この問題が片づいたら全部戦後処理問題というのは終わるんだというようなことで、何回か申し合わせたり、外に向かって宣言をしたりしながら、今日になお至ってきておって、特に三つの問題を中心にいたしまして非常に強い御意見が出ましたので、懇談会の場を設けていろいろ御提案もいただいてこういう形できているということでございます。
 先生お話しのように、いろいろな問題、戦後問題が出ますときに、関係者の方々がどんどん亡くなっていかれる、どんどんと該当者が減っていく。だから、解決するにしても早く解決しないと念を残したままお亡くなりになる方が多いといったような御意見も多数寄せられるわけでございます。戦時中にいろんな経験をなさった方もだんだんと減っていく。そしてこういう問題について国民的な合意を得るということになりますと、今日戦後四十年というのが一番時間のたったところで合意の得られる時期に当たるのではないだろうか。先生の今の御意見にも私ども全く同感でございます。
 そういう意味でこれがもう最後の機会というふうに考えて、戦後処理問題についての一定の結論
を導き出すようにしなければなりますまいというふうに考えるわけでございますが、事柄は、個人的にいろいろ国としてなすべきことはない。ただ、非常に心情的に御同情申し上げなければならぬし、また御苦労に対して何らかのお報いする方法があればということで基金の創設ということになってきておりますので、あくまでも基金の創設並びにその活用というところを主眼にいたしまして、今お話のございましたように、いろいろな団体の具体的な御意見や御提言なども承りながら、この問題の締めくくりをするような方向に向かって検討を進めていけばと、このように考えておる次第でございますので、またしかるべき御指導を賜れば大変ありがたいと思う次第でございます。
#95
○穐山篤君 私は結論を言うつもりはありませんけれども、先ほどから再三指摘しておりますように、一定の資格要件をこの際緩和することによって完結するという方法もあります。そういう場合には現行法の範囲内で処理ができるわけであります。
 例えば一例として言うならば、軍人恩給欠格者連盟というのがございますね。この軍人恩給につきましては、櫻内義雄さんが会長で、社会党の武藤山治さんが事務局長になっている、そういう政治集団であります。こういうところの意見を聞きましても、それは建前としては全部何とかしろと、こういうふうに言っておりますが、バランスの問題もありますし、国民の合意という点からいってみても、一定の線、節目をつけざるを得ない。そういう意味では総務庁長官の方の分野になってくる。
 それから軍人軍属援護法の幅広い規則の中で解釈をこの際若干緩和する、あるいは緩和するということよりも、実情を認めてその解釈の範囲内において処理をするということになれば、これは厚生省の担当。こういうふうに各省庁にまたがるわけですから、私は官房長官のところで戦後処理を扱うにいたしましても、目配りとしては幅広いことを十分に考えてほしいと思うんです。いずれ作業が進むならば私どもの具体的な問題提起もいたしますけれども、幅広い目配りのもとにこの作業を進めていく。何らかの解決をやろうと思えば厚生省の所管でもよろしいし、あるいは行管の範囲でもよろしいし、要求を出している人の立場から言えばどこどこでなければならぬということを言っているわけじゃないんですね。ですからそういう意味で、くどくなりますけれども、少し幅の広いテーブルを広げてもらってその上に全部材料をのせて議論してほしい。この点はいかがですかね。もう一度お伺いします。
#96
○国務大臣(藤波孝生君) 先生は御質問が非常にお上手でいらっしゃいますので、具体的にいろいろ御提言を今いただいて、そして幅広くやれるかと、こういうふうな御質問になるわけですが、先ほど来の御質問は非常に具体的なお話でございますので、それをそのままやりますというふうに今はお答え申し上げるということはいかがかと、こう思うわけでございます。いろいろな御意見があろうかと思います。そういった御意見もいろいろ伺いまして、何回も申し上げますけれども、この問題については基金の創設とその活用ということを中心にいたしまして検討を進めていくようにいたしたい、こう考えておる次第でございます。
 先ほども申し上げましたが、その間に何か政府部内で省庁のキャッチボールになるようなそういうことをすべきではないと思いますし、いろいろな問題を処理する場合、結論を導く場合には政府挙げていろいろ連絡を取り合ってどこかでやるということについては、当然その連絡を密にして進んでいくべきものというふうに思うのですが、一定の基準を緩和したり云々といったような具体的なことは、これからどういうふうなことになるか、なお検討をいたしませんと何ともお答えしようのないことかと思いますので、本日お答えを申し上げますことは差し控えさしていただきたい、こう思うわけでございます。
#97
○穐山篤君 総務庁長官にお伺いをしますが、恩給法自身のことは後ほどお伺いするとして、戦後処理問題の一つという意味も含め、附帯決議の中にあります問題を伺っておきたいと思うのです。
 去年の四月二十四日衆議院の内閣委員会の附帯決議の中に「外国特殊法人及び外国特殊機関の未指定分の件について、速やかに再検討を加え適切な措置を講ずること。」、こういうふうになっております。この恩給法の仕組みの中では、政府が書かれておりますものの中で外国特殊法人並びに外国特殊機関というものが個別に指定されております。
 そこでお伺いしますが、指定をされていないと思われる諸団体から指定をしてほしいという要求が皆さん方のところにも出ております。私どものところにも来ておりますし、請願にも上がっているわけですね。そこで残っていると思われるもの、指定をするかしないかは別にしまして、特殊法人並びに特殊機関にはこういうものがあるという意味で、どんなものがあるか事務局の方で調べられていると思いますから明らかにしてもらいたい。
#98
○政府委員(藤江弘一君) ただいま先生御指摘の通算につきまして陳情がありました主な在外特殊法人等につきまして御報告申し上げます。
 一つは満州棉花協会、それから中華航空株式会社、満州航空株式会社、興農合作社、満州電業株式会社等がございます。
#99
○穐山篤君 旧国際電気通信株式会社の解散前に退職した社員の問題についてはそちらの方にも出ておりますか。
#100
○政府委員(藤江弘一君) 承っております。
#101
○穐山篤君 さてそこで、今指摘されました五つないし六つの棉花協会を初めとする諸団体について十分勉強されたと思うんですが、代表的にとりあえず棉花協会のことについて勉強の成果をちょっと明らかにしてもらいたいと思うんです。
#102
○政府委員(藤江弘一君) 棉花協会につきまして御説明申し上げます。
 この協会は、満州における綿作の普及改良を図り、栽培者の福利を増進するため昭和八年四月三日に満州棉花協会として発足されたものでございまして、主として満州政府と日満棉花協会、これは日本政府の補助によるものでございますが、あるいは満鉄等の出資により運営されまして、綿花栽培の指導奨励とか、綿花に関する調査研究等を事業といたしたものでございます。
#103
○穐山篤君 その棉花協会あるいは華中棉産改進会、華北棉産改進会というものにつきましては、ここに昭和十五年一月の書類があります。これは興亜院政務部が発行したもので、棉花協会の内部の諸問題につきましてはこれに十分列記してありますから私は私なりに勉強しております。この機関を指定してほしいと、こういうことで請願が出ているわけですね。それらを頭の中に入れながら衆議院では附帯決議を昨年つけたわけです。したがって、事務局側としては、幾つかあります指定要求について具体的に因果関係を調べられて、これが恩給法の対象になるものやら、あるいは対象にならないものやら、あるいはその他の分野で解決すべき道があるやらないやら、そういうことについて勉強されたと思うんですね。その点を私はお伺いをしているわけです。
#104
○政府委員(藤江弘一君) これらの法人、機関等につきまして種々検討をさしていただいたわけでございますけれども、これらの特殊法人とか外国特殊機関等につきましては、その組織の沿革であるとかあるいは機関の性格とか人事交流の実態等を総合的に勘案いたしました場合に、また内地におきますところの同種の国策会社等について通算が認められていないというふうなこととの均衡等を考慮いたしまして、通算の対象とすることは適当ではないという判断をいたしておるわけでございます。
#105
○穐山篤君 これだけで時間をとることにはしたくないと思いますが、国と棉花協会との関係ですね。それから華中でも旧満州でもいいわけですが、関東軍とどういう関係にあったのか。直接国との使用関係がない場合でも、関東軍が持っております権限の中で使用関係というものが発生して
いる部分も文書の上では見られるわけですね。
 それから今の御答弁では国内とのバランスの問題が言われましたが、例えば国内の同種のものとすればこういうものがあって、これには適用していない、そのためにバランス上棉花協会というのは適用することが困難だとか、ある程度の物差しというものが明示をされませんと、一方的にこれはだめだというだけでは戦後処理問題の解決にはならぬ。また衆議院の附帯決議というのは幾つかの協会なり会社なり何なりを想定しながら附帯決議をつけているわけです。もちろん与党、野党の人によりましては、自分が意識しております会社は必ずしも一緒ではないとは思いますけれども、ある程度のものを頭の中に入れながら満場一致ででき上がった附帯決議なんですよね。ですからそういうことについてもっと合理的な説明がなければ皆さん方の検討が十分だというふうに評価するわけにいかないと思うんです。その点いかがでしょう。
#106
○政府委員(藤江弘一君) ただいま先生御指摘の点等につきましても、種々の角度から検討が加えられている問題でございますが、まことに残念でございますが、現在手元にその資料がございませんので十分御説明できかねるわけでございます。
 なお、これは先ほども大臣申されましたように国権の最高機関としての意思決定であるわけでございますから、私どもとしてはただいま御指摘の点も加えまして十分に検討し、その明らかにした状況につきまして改めて御報告を差し上げたいと思っているわけでございます。
#107
○穐山篤君 過去の具体的な例を参考にしてもらってさらに勉強を続けてもらいたいと思うんです。たしかあれは昭和五十五年だと思いますけれども、旧満蒙開拓青少年義勇隊の処遇の問題に長年手をつけていたわけですが、最終的にどこで問題の解決の糸口が見つけられたかといいますと、これは国との使用関係は一切ありませんでしたということでその部分についての援護法の適用はなかったわけです。厚生省が長い間勉強されましたけれども使用関係はない、こういうことであったわけです。私は古い書類を参考にしながら研究した結果、いわゆる国の使用人ではなかったけれども軍との使用関係あるいは雇用関係というものの存在を事実に照らして証明したわけです。その結果、法律は改正しませんでしたけれども、法律の条項の中で適用するということが発生したわけです。要求自身は二十年近くも出ておったわけですが、国との使用関係、軍との使用関係が十分に証明されなかったために待遇改善が行われていなかったわけです。今のような事柄が過去にあったわけです。したがって、この法人の指定それから指定機関の問題についても、非常に古い書類を出さないとその因果関係というのはなかなか確認することは難しいと思いますけれども、事実関係を十分に踏まえて、これはこういう理由で適用ができませんというふうに明らかになってもよろしいし、こういう理由で事実関係が明確になったので指定をしますというふうに、ほとんどこの問題はあと五つか六つの問題に限られてきたわけですから、この際しっかり研究してもらって最終的な判断を下せるようにしてもらいたい。こういうふうに思いますが、後藤田長官いかがでしょうか。
#108
○国務大臣(後藤田正晴君) 法人の指定の問題でございますけれども、従来から国会の附帯決議、それからまた団体等からの御陳情、これらは承知しておるわけでございます。事務当局としては、今日までそれらについていろんな資料を集めて、国との特別の関係ありというような根拠のはっきりしたもの、これで指定すべきものは指定をしてしまっている。私が報告を聞いている範囲では今残っている問題、いろいろ御議論があるけれどもこれは大変難しい問題である。さように私自身は事務当局から報告を聞いておりますから、穐山さんのいろんな御意見、今お伺いいたしまして、事務当局としては今日までの検討の結果を御連絡申し上げるということにいたしたいと思いますが、私自身としてはなかなかこの範囲を広げるということは、まことに御陳情なり何なりの御趣旨はわかるけれども、難しい課題である、かようにお答えせざるを得ないわけでございまするので御理解を賜りたい、かように思います。
#109
○穐山篤君 長官のせっかくのお話ですが、私もよく研究します。事務局も十分勉強してもらって、期待権を持たせるだけでも能がないと思いますので、これはごく近いうちにけじめをつけるという立場からぜひ研究をしていただきたいというふうに思っております。
 さて、本題の恩給法の改正についてお伺いをしたいと思います。型どおりで恐縮でありますけれども、今回の改正の主要な部分、これについて事務的に御説明をいただきたいと思っております。
#110
○政府委員(藤江弘一君) 法案の内容に盛られております昭和六十年度における恩給の改善措置につきましては、まず第一に、経済事情の変動に伴い年金、恩給の実質価値を維持するために、公務員給与の改善を基礎としまして恩給年額を増額することが一つの柱でございます。
 二番目に、戦没者の遺族に支給する公務扶助料や傷病者の恩給を改善いたしまして、これらの者に対します処遇の一層の充実を図るということが二番目の柱でございます。
 第三に、普通扶助料の最低保障額等につきまして、他の公的年金の給付水準、特に厚生年金の給付水準との均衡を考慮いたしましてその改善を行うことを基本的な柱といたしまして、改善措置を講ずることといたしてございます。
#111
○穐山篤君 午前中も行革審の意見というものを取り上げてみましたが、この行革審の意見と今回の給付水準の引き上げ、平均三・五%を含む恩給法の改正というのはその意味では整合性がとれている、こういうふうにお考えですか。
#112
○政府委員(藤江弘一君) 先ほどいろいろ御議論がございましたが、私どもの理解といたしましては、臨調の指摘は新しい制度的な改正というふうなものとして理解いたしておるわけでございます。公務員給与を基礎といたしますベースアップはもとよりでございますけれども、扶助料等につきましての最低保障額の改善につきましては、これはここ年来他の公的年金等とのバランスを考慮しながら逐年行ってきた改善でございまして、それらを包括いたしまして臨調答申にはいささかも反するものではないというふうに考えておるわけでございます。
#113
○穐山篤君 長官にお伺いをしますが、午前中ちょっと時間がなかったので、確認のしょうがなかったんですが、臨調なり行革審の意見というのを、言ってみれば整合性あり、こういうふうに型どおり言われておりますけれども、見直しを行えというふうな提案に対しては意に介していない、こういうふうにお考えなんですか。
#114
○国務大臣(後藤田正晴君) 臨調の答申あるいは行革審の御意見というのは、これは政府は閣議決定して、最大限尊重する、こうなっておりますから、意に介さないなんと言っちゃこれは大変におしかりを受けますから、そういうつもりではございません。ただ、事柄の性質上、臨調の新しい措置については制度改正を伴うものはこの際見合わせるべきだ、こういうふうに私自身は理解しております。
 しかし、従来からやっておるものを、それぞれの実態に合わせて価値の維持を図っていくといったようなことは私は一向に差し支えないことではないのか。こういう観点で、ベースアップ等、それから例の十二万円の問題、それから厚年との最低保障額のバランスとりということは、これは臨調答申には反しているとは私自身は理解してない。こういう意味で今回の改善措置をお願いを申し上げておる、こういうことでございます。
#115
○穐山篤君 今回は臨調の意見も十分に踏まえてやったものだ、こういうふうにおっしゃるわけです。
 さて、私も少し疑点は一方では持っておりますけれども、公的年金制度改正とのバランスと改正ということを具体的に指摘をしたわけです。それは七つあります公的年金制度のうちの二つについてとりあえず抜本的な制度改正が行われたわけで
す。それをにらんで、来年賃上げがあるとすれば、恩給法の一部改正ということも考えざるを得ない。あるいは共済年金法の改正というものが行われるとするならばそれも一にらみにらんでみなければならぬ。そういう意味でバランス論というのは今回を含めて特に来年度以降からは本格的な議論になる可能性を持っているわけです。その場合に「必要な見直しを行う」という提言でありますので、必要でなければこれは何も見直さなくてもいいんですけれども、この行革審なり臨調が言っております「必要な見直し」というのはどういう点を想定しながら書かれていたものかどうか。その点総務庁長官の認識といいますか、御感想をちょっとお願いをしたいと思います。
#116
○国務大臣(後藤田正晴君) 先ほど午前中お答えしましたように恩給制度というものと保険数理による年金は別である、性格が違う、したがって、年金統合の中には恩給の問題は入ってない。これが基本に一つあるわけですね。
 しかしながら、退職者なり遺族なり、そういった方の生活の支えという機能の面、ファンクションの面から見れば、これはやはりバランスということを考えなきゃならない。こういう基本の線に立って行革審もそういう意味でバランスを考える。恩給の基本性格を変えるとは私は理解してないわけなんです。
 ただ、午前中の御質問の中にもありましたように、例えば今度の共済年金で従来と比べますとこれは不利になりますね。そうなってくると、恩給とのバランスは一体どうなるんだという問題は当然出てくるんじゃないか、こう考えるんです。しかしながら、恩給の方は御承知のように新規参入はない、既裁定者ばかりなんですね。それから共済も既裁定の人は今の額を減らせとはならぬと私はそういうふうに理解しているんです。ただ、仮に共済で今日百二十万もらっている、ところが、この裁定の見直しということがありますと、見直しによって何ぼになるのか私は専門家じゃありませんからわかりませんが、仮定として、それが百万円になる。そうすると百二十万になるまではベースアップはとめられますね。ところが、恩給の方は今共済と同じように百二十万もらっている、これはベースアップがあるわけです。さて、このバランスをどう考えるんだという問題はあると思います。しかしながら、私どもとしては、その面も考えなきゃならぬしするが、しかし同時に厚年の方はそれじゃどうかというと、厚年の方はベースアップはあるわけですよ。そこら大変複雑な要素が絡んでくる問題だな、この問題は。しかし、それが幅広く厚年なりあるいは共済なり恩給なりということを基本の性格を踏まえながらバランス論というのは恩給についても一つの検討の課題であろう、かように私は理解しておるんです。
 今日どうするか。例えばアップする場合でも片方は物価でやるわけですね、今度。恩給の方は公務員のベースアップですね。さてこれの関係をどうするのかといったような先行き検討しなきゃならぬ課題があるので、この点は慎重に勉強さしていただきたい、かように今日の段階ではお答えさせていただきたい、こう思います。
#117
○穐山篤君 午前中バランスの問題に関連して、スライドの方法が物価であるのか賃金スライドであるのか、そういう点もいずれは調整をしなければならぬと思うんです。
 そこで、ちょっと事務局にお伺いしますが、給付水準という問題だけを念頭に置いてバランスの議論を仮にするとすれば、恩給法の場合には厚生年金が一番適当だと思うんですが、厚生年金のどこの部分、スライドを例えば三・五%両方同じにやるとすれば、この話は別にして、給付水準を比較する場合に、厚生年金のどういう分野をテーブルに敷き、恩給ではどういうものを物差しにしてはかりにかけるか。バランスを見るかというのは、専門的にはどういうもの、どういう数字を使うことになりましょうかね。
#118
○政府委員(藤江弘一君) 先ほど大臣も申されましたように、恩給につきましては今回の年金一元化の対象にはされてないわけでございます。したがいまして、私どもとしましては、例えば構造的な意味で基礎年金を導入するというふうなことは頭にございません。したがいまして、そのようなことから考えますと、厚生年金と恩給につきましては構造が違う、計算方式も全く違うということでございます。そういう意味からいいますと、どの部分ということではなく、私どもの今頭にある考え方としましては、トータルのものをそれぞれ比較するということにならざるを得ないではないかというふうに考えております。
#119
○穐山篤君 まあ無難な答弁だろうなというふうに思いますが、具体的には来年度以降我々としても十分にその点を考えなきゃいかぬなと思うんです。
 さてそこで、バランスの面でも一つの指標になりますし、今回の改正の一番基礎になっておりますのは、六十五歳以上の長期在職者の普通恩給についての最低保障額ですね。これがバランスの議論をする一つの種にもなりますし比較の対象にもなるわけですが、たしか昭和五十五年の恩給法の改正のときに、最低保障の算定の仕方について当委員会で議論になっております。それは厚生年金を頭に入れて計算する方法、それから全く無視はできないけれども恩給独自の物の考え方で最低保障を決めましょう、こういうことが昭和五十五年の当委員会でも議論されていたと記憶するわけですね。そこで、最低保障八十万六千八百円をことしの四月から八十三万五千円にする、こういう提案が行われているわけですが、従来の厚生年金方式で計算をいたしますとこの金額はどういう数字になりましょうか、その点お伺いします。
#120
○政府委員(藤江弘一君) ただいま先生御指摘のように、昭和五十五年度におきまして普通恩給の最低保障額の算定を厚生年金の定額部分とそれから兵の仮定俸給を基礎とした報酬比例部分及び恩給受給者の実態等を考慮した加給部分といったふうなものを考慮いたしまして決定いたしたという経緯がございます。しかし、その後は恩給のベア率そのものによりまして引き上げてきたというふうなことでございまして、昭和六十年度においてもその方法を踏襲したということでございます。したがいまして、先生御指摘の五十五年当時の算定方式によって幾らになるかということにつきましては現在算定いたしてございません。
#121
○穐山篤君 たしか昭和五十五年だと思いますが、従来どおり厚生年金というものを算定の参考にしまして計算して大蔵省に要求した、概算要求のところでは出した。ところが、それが大蔵省との折衝の中で削られまして、その当時の数字でいきますと、昭和五十五年度の記録でいきますと、従来方式でやりますと八十一万円になる。予算要求をしたときに共済組合方式で計算して七十二万四千円というものを大蔵省に出した。ところが、最終的に査定の段階で七十万円になった。当時どういう理屈で七十万円にしたかというのは随分議論が残っているわけですね。
 そのことは、現在受けている受給者も、なぜ従来どおりの計算方式でやってくれないのかと。その方が最低保障額も高くなりますし、あるいは扶助料につきましても高くなる。そういう意味で昔使っておりました計算方式について我々も質問を受けるわけです。なぜ、高いと言っちゃ語弊がありますが、従来どおりの計算をしなかったのか。予算上、財政上の理由でそれは抑えられましたというだけでは確かに説明が不足するわけです。ですから、恩給というものの性格から考えてみて、計算はこういうふうにいたしましたので八十三万五千円になります、従来方式の計算をやめたのはこういう理由ですというふうに明快にいたしませんと、受給をされている今の皆さん方についても疑問があるわけです。それは期待権ではありませんけれども、自分がそろばんに入れておった数字と随分違うなという意味で先輩の人たちから私ども意見をもらうわけです。ですから、そのことについてもう一度わかりやすいように説明をしてもらいたいと思うんです。
#122
○政府委員(藤江弘一君) 大変に申しわけありませんが、率直に申し上げまして、その経緯の詳細
について私存じません。いろいろな応酬があったのは事実であろうかと思いますが、いずれにしましても、最低保障制度そのものが他の年金との見合いで導入された新しい戦後の制度でございます。したがいまして、その水準等につきましても、それらとの横並びというものは当然念頭にあったわけでございまして、五十五年におきましては、確かに恩給の最低保障額が他の年金に比べまして低いというふうなこともございますが、その後の逐年の改善によりまして、現時点におきましては、先生御承知のように、普通恩給の最低保障額は八十三万五千円、それに対しまして共済の最低保障額は七十七万四千円ということで上回っている現状でございます。
#123
○穐山篤君 いや、私のお伺いをしているのは、この八十三万五千円の計算の根拠は、厚生年金の定額部分というものを念頭に置きながら、それから比例報酬部分というものも考えながら、あるいは加給のことも若干加味しながら、その当時、昭和五十五年のときに六十九万何がしという数字を丸くして七十万円にしたと思うんです。今回の計算というのは、先ほどから三・何%というふうなお話を聞きますけれども、私が質問しているように、例えば厚生年金との見合いで計算はこういうふうに積み上げたものですという、何だかそういう意味の具体的な数字の根拠はないんでしょうか。
#124
○説明員(鳥山郁男君) 過去の経緯に関する問題でございますので、私からお答えさしていただきます。
 先生御指摘のとおり、恩給の最低保障額は厚生年金の計算方式を借用いたしました共済年金の最低保障額というものを直接見ながら四十九年以来ずっと引き上げを行ってきたわけでございます。ところが、先生御指摘のとおり、五十五年に至りまして厚生年金の加給年金の考え方あるいはその額の設定の仕方というものが大幅に変わりましたために、共済年金におきましても従来のように厚生年金の計算方式を使って最低保障額を算出するということができなくなったわけでございます。したがいまして、先ほど先生御指摘のとおり、概算要求時点におきましては七十二万四千円という従来どおりの方法で計算して出したわけでございますが、先ほど言いましたように厚生年金の方で非常に大幅な考え方の変更があったということで、それではひとつ恩給独自の考え方で従来の厚生年金の考え方を借用しつつ計算できないかということで算出いたしましたのが、先ほど局長も申しました計算方式でございまして、具体的には七十万円ということで決定させていただいたわけでございます。
 その後五十六年に一度この方式を踏襲いたしましたんですが、その基礎は物価スライドにございまして、定額部分の物価スライドということでございましたんで、全体額のアップというものがどうしても恩給のスライド率を下回ってしまうという問題点がございます。例えば恩給の兵隊クラスのアップが五%であったというときに、従来方式のそういう計算方式でやりますと、五%に達しないというような事態が起こってまいりましたために、こういう低額受給者の年額というのはそのときそのときにおけるスライド未満の率で行うべきではなかろうということで、それ以後は兵の仮定俸給のアップ率というものを使いながら引き上げてきたというのが現状でございます。
#125
○穐山篤君 議論は残ると思いますが、事情はよくわかりました。
 さて、ことしもそうでありますが、四月一日に改定のものと八月一日改定のものとある。ほかの法律案には年度の途中二つの節目で値上げをする、スライドをする、改善をするということは少ないんですが、今回も四月、八月になっていますね。これは恩給独自のものだと思う。去年もそうでありましたし、その前もそうでありましたね。これはどういう根拠に基づいていますか。
#126
○政府委員(藤江弘一君) 確かに先生御指摘の問題はあるわけでございまして、私どももできれば実施時期は四月に統一するというのが最もベストな姿だと思うわけでございます。しかしながら、御承知のように一方極めて厳しい財政事情にあるわけでございまして、その中で私どもとしては諸方面の御意見を踏まえながらできるだけ改善の内容も盛り込みたいということで、いわばその接点が実施時期のずれという形になってあらわれているわけでございます。しかし、これ自体は決して望ましいことではございませんし、附帯決議等でも御決定いただいているわけでございます。したがいまして、私どもとしては今後、厳しい財政事情の中ではありますけれども、できるだけ同一時点での実施という形で要求を続けてまいりたいと考えております。
#127
○穐山篤君 これも余り合理的な説明じゃないですね。これは恩給だけにある独特な値上げの方法です。皆さん方は十分意識をされておると思いますのであえて申し上げません。
 最後にちょっと厚生省にお願いをしたいんですが、目下厚生省の代表が中国に渡りまして、日本人孤児という言葉が適切かどうかわかりませんが、調査をされておりますね。これはどういう状況になっていましょうか。
#128
○説明員(石井清君) お答えいたします。
 孤児の問題につきましては、昭和六十年四月末現在におきまして厚生省の方で肉親の調査依頼を受けているという孤児は千六百三十五人でございます。これまでに八百三十人の孤児の肉親が判明しまして、あと八百五人につきまして現在調査中でございます。なお、孤児の肉親捜しにつきましては、六十年度におきまして、訪日孤児を五十九年度の百八十人から四百人に増員しております。また一方、中国側の協力を得まして、厚生省の職員等を去る五月十七日から六月八日までの二十三日間にわたりまして中国にこれを派遣し、孤児から事情を聴取する、あるいはビデオ撮り等を行う訪中調査を行っているところでございます。現在のところ六十一年度までにこれらの調査を進めまして孤児の肉親調査というものをおおむね終了したいという考えでいるところでございます。
#129
○穐山篤君 大変御苦労なことですが、何としても全体の掌握を正確にまず行うということが一番重要だろうと思うんですね。当時の状況からいいますと、ソビエトとの国境に近いところに相当の方々がおいでになる。私の同僚も現に向こうに骨を埋めるということで中国人になりまして、村長をやっておりますけれども、その方の意見を聞いておりましても、広大な地域なために調査がなかなか思うように進まない、ぜひ日本政府においても十分な調査をしてほしいという依頼も受けたことがあるわけですが、その調査についてしっかりやっていただきたいと思っております。
 それに関連しまして、外交上の措置になったんでしょうが、養父母に対します感謝の気持ちその他の問題については、もう障害は何もないんでしょうか。全部完結をしたんでしょうか。
#130
○説明員(石井清君) 今一番懸案になっておりますのは養父母の扶養費の支払い問題というのがございます。これは先生御案内のとおり、昨年の三月十七日に日中両国政府間で交換されました口上書によりまして、日本に永住帰国した孤児が負担すべき扶養費といいますか、この二分の一は日本政府が援助することとなっております。扶養費の標準の額であるとか、あるいは支払いの方法、こういうものにつきましては、細目につきまして日中双方が別途協議する、こういうことになったわけでございます。これに基づきまして、ことしの二月、そしてこの五月に担当課長が中国に行きまして、中国の外交部と協議し、双方とも孤児が帰国した後の養父母の安定した生活を確保すべきであるという点では意見が一致いたしておりますが、具体的な生活費等のとらえ方の問題等につきまして、なお継続検討、協議をしているところでございます。
 付随いたしまして、この問題につきましては、養父母の高齢化ということもございますし、日中双方ともに早急に解決したいと考えております。また厚生省といたしましても、一日も早く結論が得られるよう最大限の努力をしたいと、こう思っ
ております。
#131
○穐山篤君 しこりがないように十分措置をしてもらいたいと思います。
 それから厚生省にもう一問お願いをしたいわけです。
 国会の議論を通して東北部に対して墓参の話が出ました。墓参についての予算措置も行われたところですね。言いかえてみますと国の立場において墓参を行う。もちろん相手側の感情を害してまでというまずいやり方は工夫をしなければならぬと思いますが、旧軍人あるいは軍属、それから民間人あるいは満蒙の開拓団、いろんなグループの方々から国の代表と一緒に墓参を継続してほしいという強い要求もあるわけですが、この点については厚生省の態度はいかがですか。
#132
○説明員(石井清君) 厚生省といたしましては、遺族の墓参ということは予算措置を行っております。ただ、限られた人数ということもございまして、毎年実施はいたしておりますけれども、県等と連絡をとりまして、行く場所等によりまして選考していただいているというのが実情でございまして、できるだけ多くの人が行かれるように今後も進めていきたいと、かように思います。
#133
○穐山篤君 厚生省からいただきましたが、ソロモン諸島であるとか、いろんなところがあるわけですが、それを含めてまだ墓参の手をつけていない地域が若干残っているわけですね。この点についての政府のこれからの作業というのはどんなふうに検討されておりますか。
#134
○説明員(石井清君) 私、直接の所管ではないんでございますが、本来、当初始めましたときは遺骨収集が可能な、可能といいますか、終わったところでその後慰霊巡拝または墓参を行うという趣旨でございまして、過去続けているわけでございます。
 特に墓参につきましては、例えば外国人の立入禁止区域、こういうところがございまして、これらは実現していないわけでございますが、一般的には例えばサイパンであるとか、あるいは五十九年度につきましたペリリュウ島の慰霊碑とか、こういうものが建立しました後、それに合わせまして遺族の方々に慰霊巡拝を兼ねて行っていただくような方法をとっております。
#135
○堀江正夫君 私は、次に質問いたします板垣委員と共通のいろんな問題点を抱えておるわけでございますが、限られた時間でございますので、三点だけ御質問したいと思います。
 まず初めにお伺いいたしますのは、満州国軍の日本人軍官関係の問題でございます。これにつきましては、五十八年に当参議院で請願が採択されました。続いて、五十九年には衆議院で採択されておるわけでございます。そしてこれらについてはそれぞれ政府の見解も既に出されております。また昨年の恩給法の改正のときには、「旧満州国軍内の日本軍官の処遇問題について検討すること。」という附帯決議も出されておりますことは御承知のとおりでございます。また当参議院におきましても、与野党多くの委員から何回もこの問題について質疑が行われました。私自身は長官にもこの問題についていろいろ御意見を聞いたこともございますし、恩給局その他関係当局ともお話しし合ったことがございます。さらにこの四月十六日には衆議院の内閣委員会で田中委員が質問をし、これについていろいろとお答えがございます。こういうような問題を全部私は踏んまえた上できょうは質問をしようということでございます。
 ここで私が特に申し上げたいと思いますことは、満州国軍の日系軍人というものは外地に服務した旧日本軍人と全く同一のものだったという認識でございます。と申しますのは、公文書館でいろんな資料を調べてみたわけでございます。調べてみますと、例えば満州国の陸軍指導要綱といったようなものが出てまいりました。それらを見ますと、確かに独立国満州国軍には違いませんけれども、その統帥権は完全に日本側にあったということを証拠立てておるわけでございます。またその身分等につきましても、本当に一体的に取り扱われておったという証拠がいろいろと出てまいっております。それは例えば勅令によりまして徴兵義務免除の措置がとられております。また日系軍人というのは戦時不可充要員として召集同様の戦時勤務にあると認定をしておる事実がございます。さらに言いますと、満州国軍の作戦人事諸規程は日本陸軍のものと全く同じでございます。しかもその運用になりますと、関東軍司令部付の現役将校が満州国軍の顧問として完全に掌握しておる。その上に、日系軍人の考課というのは、これは満系の上長官には全く関係なく専ら顧問部によって作成管理されておる、こういう事実もございます。士官学校を受験した。おまえは日本の士官学校はだめだが満州国の軍官学校だったならば入校させてやるからそっちへ行けという指導も行われた。いろんな事実があるわけでございますね。さらに作戦の具体的な運用を考えましても、関東軍の計画下、指揮下で行われておる。私はこういうようなことが、日本軍の指揮下の戦死者の靖国神社の合祀の問題、公務扶助料の問題、この背景にもなっておるんじゃないか、こうも考えられるわけでございます。
 いろいろな例を申し上げましたけれども、確かに独立国満州であり、独立国満州の軍隊、軍人だったわけでございますが、その実は日本軍そのものであると、こういった事実をどのように政府当局はお認めになるか、お考えになるか、まず承りたいと思います。
#136
○国務大臣(後藤田正晴君) 当時の日本人で満州国軍隊に軍人として勤務された方の満州国軍の実態、これは堀江さんのおっしゃったとおりの実態であったという認識は持っておるつもりでございます。
#137
○堀江正夫君 全く同じ認識を持っていただいているということはこの問題を今後処理する上の大変重大な問題であると、私はこう思っておるわけでございます。
 そこで、従来から何回か請願が行われておりますが、その対象人員は二千数百名だけなんですね。しかもほかのいろんな旧軍人の待遇改善とは違いまして、これをやったからといって例の陸海軍の従軍看護婦のようにほかに波及し拡大をするという性質のものじゃないわけですね、これは満州国軍人ですし、日本軍人じゃないわけですから。その点はいかがでございますか、そのように私は思うわけですけれども。
#138
○政府委員(藤江弘一君) 実態につきましては確かに大臣がお答え申し上げたとおりであろうかと思いますけれども、これは大原則を申し上げて大変に恐縮でございますけれども、恩給制度そのものが日本の公務員、文官であれ軍人であれ、公務員であるという身分関係に立つ者に対して支給するということで、これは恩給法上の大原則でございます。その意味で言いまして、それを拡大するということにつきましてはこれはいささか問題が大き過ぎるのではないか、恩給制度の本質に触れる問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。ただいま先生、人数とかあるいは財源等、大したことではないんじゃないかというふうなお話がございましたけれども、財源的な問題というより、私どもとしてはその本質としての取り扱いというものからいたしましてその点は大変に難しい。
 また、他に波及するかしないかということでございますが、これも先生御承知だと思いますけれども、日本の公務員でない、端的に申しますと軍属であるとか雇傭人であるとか、そういう方々からも御要望が出ているのも事実でございます。そういう意味から言いまして、今波及するおそれがあると言うとまことに僣越でございますけれども、必ずしもその可能性がないわけではないというふうに考えているわけでございます。
#139
○堀江正夫君 今お答えを聞きまして、大変苦しい答弁だなと、こう私は思いました。どうもピントが質問に対して違ったところに行っているなと思います。私は、満州国軍人というものはまさに恩給法上日本軍人でないことははっきりしていますから、今対象になっていないということについ
ては全くそのとおりだと思います。
 それで、従来からお話しする中で恩給局は、おれの方は日本軍人だと認めてくれればちゃんとやりますよ、それを認めるのは厚生省でしょう、こういう言い方でございます。厚生省の方は、いやいや我々の方は日本軍人についてやっているんであって、日本軍人でない者についてはやれない、こういう話でございまして、何度お話してみても行ったり来たり行ったり来たりでございます。
 今、まさに確かに満州国軍人である、独立国の満州の軍人であるけれどもその実態は日本軍人だった、そのものだったということを総務庁長官も御理解していただいたんだろうと思います。私は、この問題は今の状況では仮に何とかしてやろうという御意図があってもうまくこれ以上進まないと思います。そこで、本当はきょうは内閣を代表する官房長官にもおいでいただきたかったわけですし、厚生大臣にもおいでいただきたかったわけですが、いろんな御都合でおいでいただけませんでした。そこで、国務大臣であります総務庁長官に特にお願いがございます。政府の関係大臣の中でこの問題を御相談いただけないか。これは政治的に御判断いただく以外には前進する道はないと、私はそう思います。先ほど私は、これを仮に措置しても、日本軍人のいろんな現在波及しておるところの問題、拡大しているいろんな問題とは別個に扱える問題だというふうに申し上げました。今もその考え方は変わっておりません。だから、別個なものとして、特別なものとして何とか御相談いただけないかなと、こういう私の心からの願望でございます。総務庁長官、いかがでございますか。総務庁長官じゃありません、後藤田国務大臣いかがでございますか。
#140
○国務大臣(後藤田正晴君) これは大変難しい問題でして、満州国の軍人になった日本人の実態は先ほど言ったようなのが真実であったと思うわけですね。ところが、これは我々考える場合には軍人だけじゃありません、一般の他の公務員がどうであったか。そうしますと、軍人、公務員等ですが、満州国は割にはっきりしていましたね。一体インド国民政府軍がどうだったんだろうかと、あそこへ日本人が入っておったのか入ってなかったのか。あるいはビルマがありましたね、こういう点がどうなったのか。これは今資料がありませんからわかりません。したがって、場合によればそういうところに波及するかもしれないし、そういうものがなかったらばないでこれは波及しないと、こういう問題もあろうかと思いますね。
 それから公務員全体として、日・満・日と動いた人、それから日・満と動いて終戦当時満州国の政府なり軍におったという人、それから最初満におって日に来ておった、後になって日本の国民になった人、こういう人は解決しているわけですね。これは恩給法上の公務員になっていると思いますよ。問題は満・日・満と、こういって行った人の場合が現在残っておるんじゃないかな。これは間違っておったら事務当局に訂正させますが、私はそういうように理解しておる、これは一つの問題である。
 それからもう一つの問題は軍人の場合ですよ。軍人の場合には共同作戦をやった人、満軍と日本軍が。これは解決していますね、恩給法上の公務員として。関東軍が日本の軍人だといって入れちゃったんですから解決しているんですよ。それから満軍の単独作戦で亡くなった人ですね、戦死した人。これは制度改正はしてないけれども、運用上で解決しているんじゃないかなと私は考えているんですよ。これももし間違っておったら厚生省事務当局に答弁を直させていただきたい、こう思うわけですね。
 それから戦後の問題はどうか。戦後は抑留状態で死んだ人ですね。これもたしか制度改正しないで運用上で解決しておるんではないかな。これも厚生省で間違っておれば答弁を訂正させていただきたいと思います。
 いずれにせよ、そういうように大体やっているんですよ。そこらをひとつきょうのこの私の答弁としてはお答えをさせていただきたい、こう考えるわけです。
#141
○堀江正夫君 今長官おっしゃったのは合っているのもありますし、間違っているのもあるようでございます。しかし小さいことを私申し上げません。先ほど二千数百名と言いましたが、その大部は、いろいろありますけれども、その大部はソ連参戦と同時に関東軍の指揮下に入ったときの生存者の問題なんです、問題は。もちろん死亡者の問題もあります。作戦指揮下になかった戦死者の問題もありますけれども、大部分はそれなんです。ですから、先ほど言いましたように、この問題は単なる個々の法律上の問題じゃないんです。救済できる者はしていただいておることもよく知っております。基本的に政治の問題として関係の大臣でぜひとも御相談いただきたい、重ねてお願いでございます。
#142
○国務大臣(後藤田正晴君) 今言ったのは戦死した人とか亡くなった方の話です。先ほど言ったように満・日・満といった人が残っておるんじゃないかなと、こう思いますが、要するに他への波及があるのかないのかといったような点も十分検討さしていただいて研究課題にさしていただきたい、かように思います。
#143
○堀江正夫君 今研究課題とすると、こういうことでございますので、先ほど申し上げましたが、単なる事務的じゃいかぬわけでございまして、政治的に御相談をいただき、解決の道を見出していただくように重ねて心からお願いをいたします。
 次は、これも今まで何度も請願の採択をされ、そしてこの参議院でも何回か議題になりました中シナ湘桂作戦の問題でございます。これにつきましても、私、後藤田長官にお願いに上がりましたとき、これは君、難しいよと言われたことをはっきり覚えております。また難しさについては、この四月十六日の衆議院の内閣委員会の田中委員の質疑に対する長官初め政府側の御答弁でもよく承知しております。その上で申し上げるわけなんです。
 これは前にこの委員会で柄谷委員が、総理府の方から厚生省の方に調査をさしてもらえないかと、こういうことがございました、総理府時代でございます。それに対して厚生省で御調査いただいた、これは承知しております。またこの調査された内容がこの前の田中委員の御答弁の中にも出ておるわけでございます。さらに、この調査した結果、後藤田長官も一部の部隊についての相当数の戦死者についてはこれをお認めになったわけでございます。
 私は、こういうことは戦務地乙の中では余り例がないんだろうと思うわけであります、こういうような大きな損害が出ておるという例は。そうなりますと、せっかくまず調査、厚生省の資料について御調査をいただいたわけですが、もっとそれを掘り下げて調査しようというふうに行政としてはしていただくことがしかるべきじゃないかなと、こう私は思うわけであります。と申しますのは、ここの作戦に従軍した人たちが必ずしも全部戦務地甲に改善することによって恩給がもらえるからという意味ばかりじゃないんです。これだけの激戦をやった、これだけの損害が出た戦いに従軍したんだ、にもかかわらず戦務地乙というのはどうも理解できないという心情的なものがあるわけです、一つは。そういう人たちの心情にこたえる意味からももっと調査を広げていただく。この調査を広げれば、例えば各県の援護課にも兵籍その他ございますよね。それからさらにこれに参戦した部隊が遺族名簿とかそんなのを持って帰っておるのもございます。さらに防衛庁にも資料がございます。そういうようなものをもっと突っ込んで幅広く御調査いただくことが、これが政治であり行政じゃないかなと思うわけであります。結果はどうだこうだと言う前にまずそれをやっていただくことがいかがかなと、こう思うわけでございますが、いかがでございますか。
#144
○国務大臣(後藤田正晴君) 湘桂作戦についての御陳情なりお申し出、これは私どもも真っ正面から受けとめまして、今ある資料についてできる限り厚生省にお願いをして調査をしたわけでござい
ますが、全体わかったというわけでありません。しかしながら、少なくとも今ある資料で判明した限りでは、あの作戦が相当厳しい作戦で多くの戦死傷者が出ておるということは、これは間違いのない事実でございます。これは堀江さんの方が私より専門家でございます。こういった第二次世界大戦の際の日本軍の各戦地における戦闘状況、被害の状況、戦闘の性格、こういったようなことを一番よく知っているというのは陸海軍省なんですよ。その陸海軍省がそういった厳密な資料に基づいて戦務加算の地域を決めてあるわけですね。これを戦後四十年たった今変えろと言われますと、これはなかなか、おっしゃるお気持ちはよくわかるけれども、政府としてこれは政治だからやれと言われましても、これはそれなりの客観的資料というものが完全にそろわない限りは、これはなかなか容易なことでは解決をしないんじゃないか。これはほかへ必ず波及いたします。湘桂作戦だけじゃありません。これはなかなか容易ならざる仕事である、こう考えておりまするので、これはぜひひとつ非常に難しいんだということだけ御理解をしておいていただきたい、かように思います。
#145
○堀江正夫君 その辺の事情、私も本当によく承知した上で申し上げておるわけです。
 そこで、戦後新たな加算措置をしておられます。それは琉球諸島、薩南諸島、伊豆諸島、あるいは終戦前のどさくさで処置できなかったと思われる地域、そういうことをやっておられますですね。確かに証拠として陸軍省、海軍省から申達した文書も私の手元にございます。私、常識的に考えますと、この湘桂作戦なんかは陸軍省から申達しているに違いない、私はこう思うんです。たまたまないというわけですね。もう少しいろんなところで調べていただけませんか、その辺を。私も調べます。それによって検討していただくというのも一つじゃないかなと、こういうふうに考えるわけでございます。特に湘桂作戦についてはこれを嘉賞されてお言葉まで賜っておることは御承知のとおりでございまして、戦務乙の作戦の中でそういうような例は余りないんですね。そういうことも踏んまえながらひとつお考えいただきたい。これは、もう一つ私質問したいことがあるものですから、中途半端になりましたがお願いだけでとどめておきます。
 最後に、時間がございませんが、傷痍軍人の問題でございます。傷痍軍人の問題につきまして一つだけ申し上げたいと思いますのは、傷病者の遺族特別年金の問題でございます。これにつきましては、五十一年にこの制度が施行されました。五十八年には遺族加算制度が採用されました。そして本年度、この遺族加算年額四万八千円が三千円ほどアップされて五万一千円とされたわけでございまして、これらの政府の配慮に対しては私は深く敬意を表するものでございます。
 しかし、率直に申しますと、関連をする他の施策との関係もあるわけでございますけれども、社会通念から見まして、遺族加算を含んで年三十三万四千円というのはいかにも低過ぎるんじゃないか。そこで、款症者でありますが、戦傷者でありまして、その妻であるというようなことを考えて、さらに具体的な改善について政府の特別の配慮をお願いしたい、こう思うわけでございます。具体的に申し上げますと、遺族加算を三号扶助料の九万六千円にできるだけ近づけるというのも一つの方法だと思います。この年金制度の二段階制を一款症以上の段階に全部統一してしまうという方法も一つの方法としてあろうかと思います。また関連するところの普通扶助料の最低額を引き上げる、あるいはまず普通扶助料の長期最低額を厚生年金の遺族年金の最低保障額と、ことしは三分の一だけに相当する分をその差額についてアップされましたが、六十一年度には同額にして、さらに六十二年度以降に普通扶助料の特別の性格からしてこれ以上を目指すというようないろんな方法があると思うわけであります。このような努力がされてしかるべきじゃないか、ぜひともこのような施策を進めてもらいたいと思うわけでございまして、これについての御見解を承りまして、中途半端になりましたが、私の質問を終わります。
#146
○政府委員(藤江弘一君) 傷遺特の受給者の方々のお立場につきましては、私ども日ごろから御同情申し上げているわけでございますが、この制度そのものがただいま先生御指摘のように昭和五十一年度に新たに創設されたものだということが一方にあるわけでございまして、またかたがた、今の戦傷病者になられた方々等の公務との関連性等から、あるいは症状の程度等からいいまして、より軽度であるというふうな実態もあるわけでございまして、したがいまして、恩給制度全体としては他の年金とのそういう意味での均衡というのはこれは考慮せざるを得ないというのが私どもの実感でございます。しかしながら、先生御指摘のように、大変にお気の毒な状態であり、額としても必ずしも多くはないというのも事実でございますので、極めて厳しい財政事情でございますが、私どもとしてはできるだけ改善に取り組んでまいりたいと思います。ただしかし、繰り返すようでございますけれども、恩給制度の内部での均衡というものは、これはやはり失することができないのではないだろうかというふうに考えております。
#147
○板垣正君 私は、まず遺族の公務扶助料等を中心としてお伺いいたしたいと思いますが、まず昭和六十年度の改正におきまして、戦没者遺族が多年念願をいたしておりました月額十二万円、年額百四十四万円の公務扶助料が、ことしの八月からでございますが、実現を見ましたことは関係者も大変感謝いたしているところでございまして、長官また恩給当局の御配慮に対しまして御礼を申し上げる次第であります。
 そこで今後の問題でございます。
   〔委員長退席、理事坂野重信君着席〕
 まず、基本的に恩給、特に公務扶助料等の増額の問題につきまして、恩給制度のいわゆる国家補償という基本性格、基本線、これは今後も変わりがない、いわゆる公的年金の一元化の問題等いろいろな論議がございますが、あくまで恩給は恩給として今後も国家補償としての基本線を貫いていく、そういう点について改めて長官の御意見を承りたいと思います。
#148
○国務大臣(後藤田正晴君) けさほど来その点についてお答えいたしておりますように、恩給は国家補償的な性格を持ち、他の公的年金とは極めて性格が違うということを基本に置きながら、しかし同時にそれはファンクション、機能の面から見れば、他の公的年金制度と同じように生活の支えになるということもございますから、それらのバランスも考えながら、財政事情等にらみ合わせながら、今後改善すべき点があれば改善していく努力はいたしたいと、かように考えます。
#149
○板垣正君 今後の増額措置についてでございますが、ここ十年来定着した増額措置のあり方として、まず公務員給与のベースアップにスライドさせて増額措置をとる、これは恩給そのもの、公務扶助料そのものの価値を維持するという面でございましょう。それから第二番目が国家補償的な色彩が特に出てくるわけでありますが、最低保障額の引き上げ。こういう二段階の措置で現在まで引き上げ措置がとられてきたわけでございます。
 そこで、公務扶助料も月額十二万円、ある意味で大きな山を越したという見方もできますが、しかし今後も物価等も上がってくるでございましょうし、また公務員の給与も上がってまいるでありましょう。したがって、この第一点の公務員給与のベースアップに伴うスライド措置ということについてはもうほぼある意味の既定の事実と、このように受けとめさしていただいて差し支えないんではないかと思っておりますが、その点はいかがでございますか。
#150
○国務大臣(後藤田正晴君) これも午前中以来お答えしましたように、公務員の共済年金制度は今回の改正で物価スライドということになるわけですね。そうしますと勢いバランスという点から見ますと、これは今ここで、いやそうじゃない、恩給は基本的性格が違うから公務員のベースアップどおりいくんだと、こう断言してお答えすることは差し控えさせていただきたい。
   〔理事坂野重信君退席、委員長着席〕
ただ、物価でスライドしますと、こうなると、これは上薄下厚という制度が崩れるということにもなりますししますから、そういったいろんな方面に目配りをしながら妥当な結論を出すように検討さしていただきたい、かように思います。
#151
○板垣正君 その点は公務員給与、人事院勧告の扱い等大きな問題がございますが、いずれにしましても、公務員給与の引き上げ、数字的に明確に出てまいりますし、それに基づいての恩給等の引き上げということで、ここ十年来定着した姿ということでございますので、ぜひ引き続きそうした方向で進めていただきたい、強くお願いをいたす次第であります。
 二点目のいわゆる改善措置であります。国家補償としての最低保障額の引き上げ。この最低保障額は御承知のとおり昭和四十八年、月二万円、年額二十四万円からスタートしたわけでございます。昭和五十二年に年額七十二万円、月額六万円、六十年度から年額百四十四万、月額十二万、ちょうど倍になるわけでございます。
 それで、この八年ほどの間の経緯を見ますと、公務員給与にスライドして上げていただく分、最低保障額の改善措置として上げる分を比較いたしますと、例えば五十三年度についてはスライド分が年額五万円、改善分が遺族加算も入りますが八万二千円。五十四年度はスライド分が三万二千円、改善分が十万六千円。五十五年度は三万五千円に対して十万九千円。五十六年度は五万円に対して五万二千円。五十七年度が、これ以降公務員給与の上がりが厳しくなりますが、五十七年度の場合はスライド分が六万三千円で改善分が二万一千円。今年度について言いますと、スライド分が三・五%で四万五千円、改善分が二万五千円。数が逆転いたしておりますが、月領六万から月額十二万になりましたこの約十年を通して積算しますと、スライドで上がった分が年額三十万一千円であります。スライド分で上がったのが年額三十万一千円。そして改善措置分として上がった分が四十一万九千円。これは遺族加算も入っております。
 いずれにいたしましても、これだけのウエートを置いて公務員給与のスライドということで全恩給受給者にこれが均てんするわけですが、公務扶助料あるいは傷痍軍人傷病恩給等々を中心とした国家補償の特に性格の濃いものについて、最低保障額の引き上げという形で相当なウエートを置いてきていただいているのが今までの実績でございます。またそうした結果ようやく十二万円。最低保障額が十二万ということで、階級から言いますと、兵の階級から少佐までは全部十二万円であります。その上からの数というのは数としてはもう非常に少ない。そういう形でここまで参りましたので、遺族会としても、また目標を十三万とか十五万とか打ち上げて、それで毎年毎年同じような運動を繰り返していくということはもうこの辺にして、これが国家補償であるならば、公務員給与のスライド分はもう大丈夫ですよ、またそれと見合う、あるいはそれにもっと配慮を加えた公務扶助料の改善措置も今までの積み重ねを踏まえて配慮してやろう、こういう基本的な線を打ち立てていただければ、高齢化しております遺族の立場も非常に物心両面に安らぎを持てると思うわけであります。十二万円を契機としてそうした御配慮をぜひ長官にお願いしたいと思うのでありますが、いかがでございますか。
#152
○国務大臣(後藤田正晴君) ようやくことしの改善で月十二万円、年額百四十四万円、こうなったわけですが、今後は私はいろんな御要望もあろうかと思いますけれども、公務員のベースアップがございますから、そのベースアップにスライドさしていく、こういうことではなかろうかな、かように考えております。
#153
○板垣正君 その点を申し上げたわけでございます。公務員給与のスライドというのは、言うなれば恩給の価値を維持する、それに対して政策的な配慮もあって、改善措置として実施時期が本来ならば四月に合わせてやっていただければいいわけですが、四月とか八月とか二段階で、そこで二段階の改善措置、最低保障額の引き上げということで国家補償として国家に配慮してもらっておる。こういう受けとめ方で皆ここまで来ておりますので、私がお願い申し上げたいことは、スライド分はスライド分として、今までの改善措置についてもここまで積み重ねられてきた、しかも過去十年の実績から見れば、スライド分を上回るだけの配慮もしてきていただいておる。私どももほかの年金とのバランス等も考えなければならないということはもちろんわかりますけれども、何分にも多くの遺族が既に高齢化いたしておりますし、そうした面での国の御配慮をぜひ願いたい、スライド分にプラスした改善措置についても引き続き御検討いただくということを長官にぜひお願いいたしたいと思います。
#154
○国務大臣(後藤田正晴君) その点は御要望として承っておきたいと思います。
 やはり他とのバランスの問題もございますし、スライド分の実施時期については検討の余地があろうかと思います。しかしスライド分以上のプラス改善措置をやってもらいたい、こういう御要望だと思いますが、それについては、この席でそういうようにいたしましょうと言うわけにはまいりません。これは他との均衡等もございますから、そこらは御要望として承らしていただきたい、かように思います。
#155
○板垣正君 それから次に増額の実施時期でございます。今もございましたスライドの実施時期でございますが、これは恩給受給者全体の感じとして一年おくれという気持ちを皆持っているわけでございますね。人事院勧告はことし出て、実施の決定次第四月にさかのぼってその年度に実施される。恩給受給者の場合はそれが翌年の基準になりまして、そしてそれが最近は四月からという形にはなっておりますけれども、やはり一年おくれという感じを持っております。これは委員会の附帯決議等にもあったと思いますけれども、この点は恩給局長いかがでしょう、改善の御検討はなさっておるんでしょうか。
#156
○政府委員(藤江弘一君) 確かに御指摘のような御意見もあろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、御承知の二条ノ二の実質価値の維持の規定の運用といたしまして何を指標にとるか。その場合に、前年度の公務員給与のベースアップを指標として、これは四十八年度以来定着した方法としてとっているということでございまして、これをこの時点で直ちに変えるということについては、いろいろ慎重な検討が必要であろうかと思います。
#157
○板垣正君 その辺も四十八年以来定着したやり方で、我々も急に改めるのは困難であろうとは思いますから、先ほど来長官に私も申し上げた、四十八年以来の一つの定着したやり方の改善のことについては、恩給当局でも十分ひとつ検討していただきたいと思います。
 それから遺族加算について、これは御承知のとおり五十一年度から、厚生年金、共済年金、これらと共通の制度で寡婦加算制度が設けられましたですね。これが五十一年にスタートいたしましたとき、これと関連して公務扶助料については遺族加算という制度が五十一年から設けられたわけでございますね。これがスタートしたときは、五十一年のときは扶養者の数、あるいは寡婦加算の場合は重度障害者の数等もございますが、一応公務扶助料の場合も扶養遺族が二人以上ある場合に年額六万、一人の場合は三万六千円、扶養遺族がない場合には二万四千円、これは寡婦加算の場合と全く同額であります。五十三年にこれが二万四千円増額されております。この場合も全く寡婦加算と遺族加算は同額な扱いですね。五十四年までは増額の扱いで来ております。五十四年におきましては、扶養者の数によりますが、八万四千円、六万、四万八千円。これが五十五年の改正によりまして、寡婦加算の方は重度障害のお子さんが二人以上ある場合、これは特別といたしまして、六十歳以上の場合、重度障害のお子さんがお一人の場合、これが十二万、遺族加算の場合は、この五十
五年を境にして九万六千円。同じ制度がスタートしてずっと同じ扱いでまいりましたのが五十五年以降は遺族加算は差がつけられておる。これはどういう理由によるんでしょうか。この改善の要望を私どもはいたしておるわけでありますが、いかがでしょうか。
#158
○政府委員(藤江弘一君) ただいま御指摘のように、遺族加算につきましては寡婦加算と同じ時点で導入された仕組みではございます。しかしながら、寡婦加算につきましては、これは他の厚生年金等と同様、六十歳以上の寡婦に対して支給されるというものでございまして、この遺族加算については恩給制度独自のものとしてすべての遺族に支給されるということで、その性質についてはこれは違うものと言わざるを得ないわけでございます。したがいまして、私どもとしてはこれは必ずしも横並びでなければならないというふうには理解してございません。
#159
○板垣正君 寡婦加算の場合、もちろん六十歳以上というわけでありますが、遺族加算の場合に六十歳以下の人というのはおりませんから、皆七十歳前後あるいはそれ以上、こういうことで、その点、今後御検討願いたいと思います。
 それから最後に、特例扶助料も公務扶助料と同額にしてほしいという関係者の非常な熱願がありまして、特例関係の方々ですから全然同じ額というわけにはいかないかもしれませんが、今八割ぐらいですか、もう少し八割五分ぐらいに、そのぐらいになれば気持ちとしてはおさまるんではないかと思うんですが、どうでしょうか、踏み切っていただけませんか。
#160
○政府委員(藤江弘一君) 特例扶助料は、先生御承知のように、戦後に新たに設けられた制度でございまして、これにつきましては先ほどもちょっと申し上げましたけれども、症状の程度あるいは職務の関連性等からいいますと、傷病恩給の受給者に比べますと、その関連性というのは比較的弱いわけでございまして、そういう点を考慮いたしまして、当初出発は七五%だったのが現在ではほぼ八〇%に近い状態になっているわけでございます。
 ただいま改善のお話がございましたけれども、私どもとしては恩給制度全体としての均衡というもの、制度内部の均衡というものを考えざるを得ないというふうに思っているわけでございまして、それらの点につきましては、今後関係の方々とも十分御意見を拝聴しながら検討さしていただきたいと思っております。
#161
○板垣正君 次に戦後処理の問題でありますが、特別基金検討連絡会議というのはもうスタートしたんですか。
#162
○説明員(杉浦力君) お答え申し上げます。
 先生御案内と思いますが、私どもの部屋ができましたのが四月十日ということで、その後関係の省庁といろいろ御連絡をとっておりますが、いまだ特別連絡会議は開催いたしておりません。現在のところ、関係省庁と開催すべく詰めておる最中でございます。なるべく早い時期にやりたいと思っております。
#163
○板垣正君 これは非常に長いいろんな経緯を経て、連絡会議ということで予算も成立して大分日時もたつわけですが、その辺にもこの問題に対してのいささか消極的な姿勢があらわれておるんではないかということが第一点でありますから、なるべく早くひとつスタートさしていただきたい。従来こうした問題はなかなか責任の中心があいまいで、長官の言っておられたキャッチボールみたいな格好になりかねない。そういう点で、今度は調査室もできたわけでありますから、リーダーシップをとって各省庁にも積極的に働きかけてなるべく早くスタートさしていただきたい。これは処理懇談会の答申もさることながら、これは私的懇談会であり、あくまで政府の参考意見だと思うのですよ。これを金科玉条として、せめて基金をと言われたから、この戦後処理検討調査室も連絡会議も、この基金をつくって基金をどう運用するかということだけに偏ったんでは、昨年、予算の詰めの経緯で実情調査、実態調査をという我が党側の非常に強い要望もあって、基金の検討及び実情の調査と二本立てになっておりますが、それがいつの間にか基金の検討調査だというふうにあいまいになってしまうと、また関係者の期待とずれて、非常にかえっておもしろくない姿になっていきかねない。
 そこで、個人補償の問題は極めて重大な問題であり、関係者の切望しておるところは権威のある調査をしてほしいということ。特にシベリア抑留者等の場合、今ごろになって非常に後遺症で苦しんでおる。相当な後遺症については国としての措置もとられている面もあるでしょうけれども、そのほかいろいろ現在の実態についてもっと確かな実態をつかんでいただく。そういうところから国としての措置ということについても、懇談会の答申は答申として、国として特にこの抑留者等の場合は戦後生じた問題であるという点においてほかの戦後処理問題とは趣きを異にする面もあろうと思います。その点についてのお考え方いかがですか。
#164
○説明員(杉浦力君) お答え申し上げます。
 まず先生からお話のございました私的懇談会の問題でございますが、この私的懇談会につきましても、二年有余にわたりまして相当長期間何度も検討の回を重ねて御検討いただいたわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、ここで御検討いただきました中身には相当重いものがあると理解いたしておるわけでございます。したがって、私どもこの報告の趣旨に沿った事業を考えざるを得ないという点につきましては、けさほどからも相当御議論がございましたのですが、私どもの基本の立場だと思っております。
 それからもう一つ、いろいろな実態の調査をすべきであるというお話でございますが、私どもきょう官房長官からもお話がございましたのですが、基金等でこういったものに対応する場合にも、実情は大変必要なものであると思っておりますので、その実情調査の仕方、内容等につきまして、先ほど先生からお話のございました連絡会議等の場を使いまして検討していきたいと思っております。
 以上でございます。
#165
○板垣正君 積極的な姿勢でひとつ取り組んでいただきたいと思います。
 次が台湾人の元日本軍人軍属の問題でありますが、これはどうなんですか、この台湾人元日本兵問題に関する関係省庁連絡会議は発足したんですか。
#166
○政府委員(吉居時哉君) いわゆる台湾人元日本兵問題についてどう考えるかということで、六十年度予算におきまして総理府に五百万円の検討費が計上されたところでございます。この問題に関係する関係各省かなり多いものでございますが、この問題を検討するために関係省庁による連絡協議の会議を今月中にも開きたい、かように考えておるところでございます。その場で今後の検討の内容、どういうふうな方法でこの問題に取り組んでいくかということにつきましても関係省庁協議の上決めてまいりたい、かように考えております。
#167
○板垣正君 この問題も非常に長い懸案でございまして、委員会等でも再三取り上げられてきた。しかも、これはもう本当に人道的な問題として、関係者、国会におきましても党派を超えてこの処理を迫ってきている。今回初めて五百万円の検討費が計上された。これは予算の折衝経過で各党からの御要望もあり、それを受けて党の藤尾政調会長等が中心になって最終的に計上されたという経緯がありますけれども、少なくとも国の立場で、政府の立場で初めてこの検討費が公のものに取り上げられたということは、それなりの大きなまさに重い意味を持つと思いますね。それだけに、各省庁で御検討いただくことはもとより結構でありますけれども、何としてもこれを解決する、こういう立場で進めていただかないと、今まで繰り返し繰り返し言われておる、日華条約の関係がどうだとか、他に波及するとか、こういう同じことをまた各省庁で繰り返しているだけでは、公のもの
になっただけに、関係者からも、日本民族とは何と血も涙もない道義をわきまえない国民なんだろうという形で、かえって悪化してしまうことを非常に憂慮するわけであります。したがって、これは何としても、政府として取り上げていただいた以上、いろいろな困難を乗り越えて、人道的立場において具体的にこれをどう処理するかということ、ここの一点に絞ってぜひ積極的に取り組んでもらいたい。いかがですか。
#168
○政府委員(吉居時哉君) ただいま先生御指摘のように、この台湾人元日本兵問題は大変長い歴史を持った問題でございまして、国会でもしばしば御論議をいただいているわけでございます。ただいま先生のお話しのような観点も私どもも十分承知いたしておりますが、ただ、同時に大変難しい問題があることもまた事実でございます。したがいまして、そういう点を十分詰めながら誠意を持って取り組んでまいりたい、かように考えております。
#169
○板垣正君 終わります。
#170
○委員長(大島友治君) 本案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時二十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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