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1984/12/21 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第3号
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1984/12/21 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第3号

#1
第102回国会 本会議 第3号
昭和五十九年十二月二十一日(金曜日)
   午前十時七分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第三号
  昭和五十九年十二月二十一日
   午前十時開議
 第一 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)
 第二 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第五 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
 第六 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、日程第一より第六まで
 一、国民年金法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 一、常任委員長辞任の件
 一、常任委員長の選挙
     ─────・─────
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、原子力安全委員会委員に内田秀雄君、田島英三君、山本寛君を、
 科学技術会議議員に芦原義重君、武安義光君を、
 公害健康被害補償不服審査会委員に岸野駿太君、島田晋君を、
 中央更生保護審査会委員に緒方節郎君、西岡正之君を、
 社会保険審査会委員に松浦十四郎君、山縣習作君を、
 運輸審議会委員に安田道夫君を、
 日本放送協会経営委員会委員に天野歓三君、池田敬子君、岩村精一洋君、永倉三郎君、林卓男君を、
 労働保険審査会委員に田中清定君、宮野美宏君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、原子力安全委員会委員のうち内田秀雄君、科学技術会議議員のうち芦原義重君、中央更生保護審査会委員のうち緒方節郎君、運輸審議会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち天野歓三君、岩村精一洋君、永倉三郎君、林卓男君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#4
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、原子力安全委員会委員のうち田島英三君、山本寛君、公害健康被害補償不服審査会委員、労働保険審査会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#5
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、科学技術会議議員のうち武安義光君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#6
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、中央更生保護審査会委員のうち西岡正之君、社会保険審査会委員、日本放送協会経営委員会委員のうち池田敬子君の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#7
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
     ─────・─────
#8
○議長(木村睦男君) 日程第一 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。社会労働委員長遠藤政夫君。
   〔遠藤政夫君登壇、拍手〕
#9
○遠藤政夫君 ただいま議題となりました国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、社会労働委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。
 本案の主なる内容は、厚生年金保険及び船員保険について本年四月から、国民年金については本年五月から特例的な物価スライド措置として二%の引き上げを行い、また、福祉年金、特別児童扶養手当、福祉手当の額を本年六月から引き上げようとするものであります。
 委員会における質疑の詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、日本共産党より修正案が提出され、次いで討論に入りましたところ、日本共産党より原案に反対、修正案に賛成する旨の意見が述べられました。
 討論を終わり、採決の結果、修正案は賛成少数をもって否決され、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決しました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
     ─────・─────
#12
○議長(木村睦男君) 日程第二 一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第三 特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案
 日程第四 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上三案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。内閣委員長大島友治君。
   〔大島友治君登壇、拍手〕
#13
○大島友治君 ただいま議題となりました三法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 まず、一般職の職員の給与に関する法律の一部を改正する法律案は、去る八月十日付の人事院の一般職の職員の給与についての勧告を政府として慎重に検討した結果、本年四月一日から平均三・四%内の改定を行い、その配分については勧告の趣旨に沿って措置することとし、そのため所要の改正を行おうとするものであります。
 その主な内容は、全俸給表の全俸給月額を平均三・三%引き上げるとともに、扶養手当、住居手当、通勤手当、医師等に対する初任給調整手当等の額の改定等を行おうとするものであります。
 次に、特別職の職員の給与に関する法律及び国際科学技術博覧会政府代表の設置に関する臨時措置法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に伴い、特別職の職員の俸給月額等について所要の改定を行おうとするものであります。
 防衛庁職員給与法の一部を改正する法律案は、一般職の職員の給与改定に準じて、防衛庁職員の俸給月額等について所要の改定を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、以上三法律案を一括して審査し、政府が独自に俸給表を作成する法的根拠、仲裁裁定と人事院勧告についての取り扱いの不公平性、ILO報告に対する政府認識、標準生計費との関連、官房長官談話と今後の対処方針、給与改定に伴う防衛費とGNP一%枠等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと思います。
 質疑を終わりましたところ、一般職職員給与法改正案に対し、穐山理事より、日本社会党、公明党・国民会議、民社党・国民連合各派共同提案に係る修正案、内藤委員より、日本共産党提出の修正案が、特別職職員給与法改正案に対し、柄谷委員より、民社党・国民連合提出の修正案が、また防衛庁職員給与法改正案に対し、柄谷委員より、公明党・国民会議、民社党・国民連合各派共同提案に係る修正案がそれぞれ提出されました。
 なお、これら各修正案は予算を伴うものでありますので、内閣の意見を聴取いたしましたところ、後藤田総務庁長官及び加藤防衛庁長官より、各修正案についてそれぞれ反対の旨の発言がありました。
 次いで、討論に入りましたところ、日本社会党を代表して穐山理事より、政府提出の三法案及び内藤委員提出の修正案に反対、穐山理事及び柄谷委員提出の修正案に賛成、自由民主党・自由国民会議を代表して坂野理事より、各修正案に反対、政府提出の三法案に賛成、公明党・国民会議を代表して太田理事より、政府提出の三法案及び内藤委員提出の修正案に反対、穐山理事及び柄谷委員提出の修正案に賛成、日本共産党を代表して内藤委員より、政府提出の三法案及び柄谷委員提出の特別職職員給与法改正案に対する修正案に反対、穐山理事提出の修正案に賛成、柄谷委員提出の防衛庁職員給与法改正案に対する修正案に棄権、民社党・国民連合を代表して柄谷委員より、政府提出の三法案及び内藤委員提出の修正案に反対、穐山理事及び柄谷委員提出の修正案に賛成する旨の発言がありました。
 討論を終わり、順次採決の結果、まず、一般職職員給与法改正案は、内藤委員及び穐山理事提出の修正案を否決し、多数をもって原案どおり可決
すべきものと決定いたしました。
 次に、特別職職員給与法改正案は、柄谷委員提出の修正案を否決し、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 最後に、防衛庁職員給与法改正案は、柄谷委員提出の修正案を否決し、多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(木村睦男君) これより三案を一括して採決いたします。
 三案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#15
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、三案は可決されました。
     ─────・─────
#16
○議長(木村睦男君) 日程第五 裁判官の報酬等に関する法律の一部を改正する法律案
 日程第六 検察官の俸給等に関する法律の一部を改正する法律案
  (いずれも内閣提出、衆議院送付)
 以上両案を一括して議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長大川清幸君。
   〔大川清幸君登壇、拍手〕
#17
○大川清幸君 ただいま議題となりました二法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 両法案は、一般の政府職員の給与改定に伴い、この例に準じて裁判官及び検察官の給与の改定を行おうとするものであります。
 委員会におきましては、両法案を一括して議題とし、裁判官の任命手続、裁判官の報酬の相当なる額の意味、人事院勧告制度の尊重等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑の後、柳澤委員より、昭和五十九年度の人事院勧告の内容に倣って裁判官及び検察官の給与を改善する趣旨の修正案が提出されましたが、政府からは同案に対し賛成しがたい旨の発言がありました。
 討論に入りましたところ、日本社会党を代表して寺田理事より、公明党・国民会議を代表して飯田理事より、日本共産党を代表して橋本委員より、また、中山委員より、それぞれ修正案賛成、原案反対の意見が表明され、自由民主党・自由国民会議を代表して小島理事より、修正案反対、原案賛成の意見が表明されました。
 次いで、採決の結果、両修正案は賛成少数で否決され、両法案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告いたします。(拍手)
    ─────────────
#18
○議長(木村睦男君) これより両案を一括して採決いたします。
 両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#19
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、両案は可決されました。
     ─────・─────
#20
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、国民年金法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#21
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。増岡厚生大臣。
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(増岡博之君) 国民年金法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 近時、我が国の社会経済は、人口構造の高齢化の進行、産業構造、就業構造の変化等により大きく変動しつつあり、これに伴い、年金制度のよって立つ基盤そのものにも重大な変化が生じております。
 年金制度は、国民が安心して老後生活を営んでいく上で最も重要な柱であり、このような社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、長期的に安定した制度運営が維持されなければなりません。とりわけ、我が国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、健全で安定した年金制度の運営が図られるよう長期的展望に立った制度全般
にわたる見直しと改革が迫られております。
 今回提出いたしました改正案は、このような趣旨にかんがみ、年金制度改革に関する各方面の御意見をも踏まえつつ取りまとめたものであります。その主眼は、本格的な高齢化社会と人生八十年時代の到来に備え、公的年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため、国民共通の基礎年金を導入するとともに、給付と負担の均衡を長期的に確保するための措置を計画的に講じることであります。
 こうした見地に立って、今回の改正案においては、まずその第一段階として、国民年金、厚生年金保険及び船員保険について制度体系の再編成を図る等所要の改正を行うことといたしております。
 以下、改正案の内容につきまして、順次御説明申し上げます。
 第一点は、制度体系の再編成であります。基本的には今後とも社会保険方式を維持することとし、国民年金制度を基礎年金を支給する制度として位置づけ、国民年金の適用を厚生年金保険の被保険者及びその配偶者にも拡大することといたしております。基礎年金の給付は、老齢基礎年金、障害基礎年金及び遺族基礎年金の三種類としております。
 一方、厚生年金保険制度は、原則として基礎年金に上乗せする報酬比例の給付としての年金を支給する制度に改めることとしております。また、被用者独自に必要な給付として、三級障害についての障害厚生年金及び子のない寡婦等に対する遺族厚生年金を支給するほか、当分の間、六十歳から六十四歳までの老齢厚生年金を支給することとしております。
 第二点は、将来に向けての給付水準の適正化であります。現行制度のままといたしますと、平均加入年数の伸びに応じて年金の給付水準が上昇し続け、現役の勤労者の賃金とのバランスを失するとともに、将来の保険料負担が過大となり、世代間の公平と制度の円滑な運営が損なわれることが確実に予測されます。そこで、本格的な高齢化社会を迎える二十一世紀に向けて、今後発生する年金給付については所要の見直しを行い、給付と負担の均衡を図ることとしております。
 すなわち、年金水準につきましてほ、平均加入期間が四十年になることを見込み、将来に向けて現在の水準を維持していくことといたしました。具体的には、今後生じる基礎年金の水準を、昭和五十九年度価格で月額五万円の定額とし、また、厚生年金保険の報酬比例の年金の乗率につきましては、施行日における年齢別に二十年の経過期間を設けて段階的に逓減することとしております。
 なお、施行日において既に六十歳に達している者及び既発生の給付については、原則として従来どおりといたしております。
 また、衆議院における修正により、夫婦がともに六十五歳に到達して老齢基礎年金を受給するまでの間における老齢厚生年金については、配偶者加給年金額に特別加算を行うこととされております。
 第三点は、婦人の年金権の確立であります。被用者の妻につきましても、すべて国民年金を適用することといたしますので、改正後は、夫、妻それぞれに基礎年金が支給されることになります。これにより、従来からの課題であった単身世帯と夫婦世帯の給付水準の均衡を図り、妻の年金権の確立を図ることができることとなるわけであります。
 第四点は、障害年金等の改善に関する事項であります。
 まず、これまで障害福祉年金の対象であった二十歳前の障害につきましても障害基礎年金を支給し、額を大幅に引き上げるとともに、厚生年金保険の障害年金につきまして事後重症の五年間の制限期間を撤廃することとしております。
 なお、衆議院における修正により、三級障害についての障害厚生年金の額について、その額が月額三万七千五百円に満たないときは、三万七千五百円とすることとされております。
 遺族年金につきましては、子のある妻、四十歳以上の高齢の妻に手厚い給付となるよう給付の重点化を図ることとしております。これに関連しまして、衆議院における修正により、子のない寡婦の遺族厚生年金に対する月額三万七千五百円の加算については、夫の死亡時に三十五歳以上である寡婦が四十歳に達したときから行うものとし、また、遺族の範囲については、被保険者の死亡の当時五十五歳以上であった夫、父母または祖父母を遺族とするものとし、その者が六十歳に達したときから遺族厚生年金を支給するものとされております。
 以上のほか、厚生年金保険の資格期間に関する四十歳以上の十五年加入の特例、坑内員等の被保険者の期間計算の特例及び脱退手当金は、将来に向かって廃止するほか、女子の支給開始年齢につきましては、男子と同じ六十歳に引き上げることとしております。これらについては、それぞれ所要の経過措置を講じることとしております。
 第五点は、費用負担についてであります。
 基礎年金の給付に要する費用は、国民年金の保険料、厚生年金保険の拠出金及び国庫負担で賄うこととしております。この場合、被用者世帯につきましては、被用者及びその妻に関して厚生年金保険が拠出金としてまとめて負担することにしており、この拠出金の金額は、被用者及びその妻の合計数の総被保険者数に占める割合に応じて政令で定めるところにより計算することとしており、基礎年金の給付に要する費用の総額を厚生年金保険と国民年金がいわば被保険者数の頭割りで公平に負担することにしております。
 国庫負担は、基礎年金に要する費用に一元化し、負担率は給付費の三分の一としております。厚生年金保険では、拠出金額の三分の一ということになります。なお、これとは別に、経過的に特別の国庫負担が行われることとなっております。
 保険料は、自営業者等については、昭和六十一年四月から昭和五十九年度価格で月額六千八百円とし、その後も毎年度段階的に引き上げることといたしております。被用者については、昭和六十年十月から保険料率を千分の十八引き上げることといたしておりますが、女子については、男子との格差を解消するため、引き上げ幅を千分の二十とし、その後も毎年千分の二ずつ引き上げることとしております。
 第六点は、その他の事項についてでありますが、まず年金額の物価スライド制につきましては、実施時期を四月からとするほか、厚生年金保険について、適用事業所の段階的拡大及び標準報酬の上下限の改定を行うこととしております。
 また、船員保険の職務外年金部門については、年金一元化の趣旨にかんがみ、制度的に同一の内容を有する厚生年金保険に統合することとしております。
 さらに、衆議院において国民年金について、自営業者等の保険料及び学生の取り扱いに関し、今後検討を行う旨の規定を設ける等所要の修正が行われたところであります。
 以上の年金制度の基本的な改正の施行期日につきましては、業務処理面の準備なども考慮し、昭和六十一年四月一日としております。
 なお、政府原案におきましては、昭和五十九年度におきます年金額等の改定について、所要の改正を行うこととしておりましたが、別途議員立法により同様の措置を講ずることとされたことに伴い、関係規定を削除する修正が行われております。
 最後に、特別児童扶養手当等の支給に関する法律の改正について申し上げます。
 在宅の重度障害者に対する福祉の一層の増進を図る観点から二十歳以上であって、精神または身体の著しく重度の障害により、日常生活において常時特別の介護を必要とする状態にある在宅の重度障害者に対し、月額二万円の特別障害者手当を支給することとし、昭和六十一年四月一日から実施することといたしております。
 以上がこの法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#23
○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。高杉廸忠君。
   〔高杉廸忠君登壇、拍手〕
#24
○高杉廸忠君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問を行うものであります。
 我が国の年金制度は、昭和三十六年に国民年金が発足し、国民皆年金がスタートいたしました。しかし、今日、多くの国民が我が国の年金制度に不満を持ち、その将来に不安を抱いております。それは、将来の年金財政の見通しが不透明であるばかりでばなく、多くの矛盾と欠陥が制度に内包されているからであります。
 具体的に指摘するならば、第一に、福祉年金等の経過的年金の水準が低く、高齢者、障害者等の生活保障機能を十分果たしていないこと。第二に、制度間あるいは同一制度内の不合理な給付水準の格差、年金額の計算方式、給付体系に見られる整合性の欠如、個人の年金額が容易に計算できず、一般国民にわかりにくいこと。第三に、被用者の妻に独立した年金権の確立がなく、離婚の場合の老後の年金保障が欠落していることなどであります。また、保険料負担、国庫負担等について、制度間のアンバランスなど多くの矛盾と欠陥が見られることであります。さらに、今後、我が国の人口構造が逆ピラミッド型に推移し、高齢化のテンポに比例して大衆負担も急増し、現役世代の可処分所得が減少していくことも明らかであります。
 このようなときに、国民全体が納得できる、信頼に足る年金制度を二十一世紀の将来に向けて打ち立てることこそ極めて重要であり、かつ緊急を要する問題であります。
 しかるに、本案は、五万円の低額な基礎年金へ抑え込み、大幅な給付水準の引き下げ、また一方で国庫負担減らしを図りながら将来の負担の急増等、いずれをとってもこれからの働く世代に明るい光明を与えるものではありません。衆議院段階において修正を経て本院に送付されましたが、残念ながら基本的には何ら前進が見られず、このような修正では国民の期待とはほど遠いものと言わざるを得ないのであります。
 私は、このような観点に立って、以下質問を行うものであります。
 まず、具体的な年金改革の質問に入る前に、年末の予算編成を直前にしている今日であります。昭和六十年度予算に対する中曽根内閣の社会保障予算に対する取り組みの姿勢について伺います。
 ここ数年の社会保障予算の編成を見るに、五十七年度の厚生年金等の国庫負担等の一部繰り延べ、国民健康保険については一カ月分の後送り、五十八年度については前年度同様に加えまして、しかも福祉年金予算について国庫負担の平準化の措置をとっております。さらに本年度は、大幅な医療保険改革による被保険者層に対する大幅な負担増など、いずれも長期的な展望を欠く当面の予算編成だけに終始しており、一方で大幅な防衛費の突出した伸びが特徴であります。
 さらに、来年度は、福祉対策を中心とした国庫補助金について、地方の実情を無視した哲学のない一律一割削減により地方への肩がわりを図ろうとしているのであります。また、最近の報道によれば、政府管掌健康保険の黒字にも食指を動かし、一般会計において一千億円からの借り入れを図ろうとしているのであります。本来短期保険の黒字は保険料率の引き下げに回すべきであります。こうした政府の社会保障費を削減し、国民の負担を大幅に引き上げて軍備を拡大する政策を断じて許すわけにはいかないのであります。
 この際、来年度予算編成について総理はどのような基本姿勢で臨むのか、特に社会保障予算についてその編成の方針と、防衛費についてはGNP一%枠を堅持するのかどうか、ここに具体的に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、本案の年金制度改革について、以下具体的にただしたいと思います。
 第一に、現在我が国の年金は七つの法律のもとに分立した縦割りの年金制度であります。その制度間に格差があることは先ほど指摘したとおりであります。
 我が党は、横割りのナショナルミニマムとしての基本年金を一階として、二階部分に所得比例の社会保障年金をあわせて、公的年金として二階建ての構造を主張してまいりました。しかるに、我が党の主張する最低生活保障の年金的性格は欠落し、本案によれば、単身者は夫婦の二分の一という国際的にも全く類例のない制度となっているのであります。
 さらに保険料は、自営業者等の場合、スタートの昭和六十一年四月時点で、所得の格差を無視して月額六千八百円の定額負担であります。その上、年金額は、現行制度で四十年間加入で月額七万八千円になるものをわずか五万円と低く抑えているのであります。しかも政府は、今日まで、国民年金のモデル年金額は二十五年加入で夫婦二人で月額十万円を超えると大々的に宣伝をしてきたのであります。これはまさに国民を欺くものであると言わざるを得ません。この期待権を裏切った年金額、また、その基本的性格をどのように説明されるのか、明確にしていただきたいのであります。
 第二に、現在でも国民年金について保険料の免除を受けている者が強制加入者の一六%を超えています。沖縄県においては実に四三%を超えている実態であります。掛金が払えず年金が受けられないということでは、制度あって年金なしと言わざるを得ません。
 我が党は、国民年金の基礎年金について、その性格からしても、現在の保険料納付方式を将来とも続けることには限界があると考えております。したがって、国民年金の保険料については目的税的なものを検討すべきであると考えますが、政府の明確なお答えをいただきたいのであります。
 第三に、我が国の年金制度の最大の欠陥の一つでありますわかりやすい年金ではないということについてであります。その典型的な例が、厚生年金の老齢年金額が自分で正確に算出できないということであります。年金額を知り得ないで、何で老後の生活設計ができるでありましょう。
 我が党は、以前から、そのときどきの全労働者の平均賃金との関係から比較算出できるいわゆるポイント制の導入を主張してまいりました。今回のような改革の際に、思い切ってこういった方式の導入をすべきであります。この際、政府の態度を明確にしていただきたいのであります。
 第四に、今回の改革は、大きく財源の負担割合、給付の方法を変革しようとするものであります。それならば、この際、制度を支える財源である保険料、積立金の運用益、さらに国庫負担と将来の保険料負担はどういうように推移するのか、その長期見通しを明らかにすべきであります。
 第五に、女性の年金権について伺います。
 女性の年金についての願いは、独立した個人として一生継続する年金加入権並びに受給権の保障であり、どのような変化の中でも一貫して継続できる年金を確立したいということであります。そのための女性の年金権の確立には特別な工夫が必要であると思います。例えば、無業の妻が夫の所得比例の部分についても応分の年金権が主張できるようにしなければ、男女平等に基礎を置いた年金権を確立したことにはなり得ないと考えますが、政府の見解を求めるものであります。
 第六に、障害者に対する制度改革に触れてただしたいと思います。
 今回、障害福祉年金が障害基礎年金に切りかえられて、給付水準が改善されることは障害者対策の一歩前進であると評価はいたしますが、障害者対策全体がこの改正を受けてどのように整合性を持っていくのか、この点を明らかにしていただき
たいのであります。例えば特別障害者手当についてでありますが、重度の障害で就労できない者に対する手当とするのか、あるいは介護に従事して就労できない家族に対する手当としていくのか、現行の福祉手当との関係を含めて、この際明確にしていただきたいのであります。
 第七に、我が国の年金が拠出者自身コントロールできるものになっていないという点を指摘して伺いたいと思います。
 そもそも年金の原資は、加入者の保険料、国庫負担、積立金の運用益、この三つしかないわけでありますから、その運用益について拠出者が大きな関心を持つのは当然であります。今日、厚生年金四十四兆円を超える積立金の有利運用が将来の保険料率に大きな影響を及ぼすかは、わずかに〇・一%有利に運用すれば何と四百四十億円の増収となる、このことからも明らかなところであります。積立金の有利な運用を積極的に図っていくとともに、拠出者の意向が反映されるように、資金運用審議会のメンバー等の構成等抜本的に再検討すべきではないかと考えますが、総理を初め大蔵、厚生両大臣からもあわせ所見を求める次第であります。
 以上をもって質問を終わりますが、私は、本案の審議は十分に時間をかけて、本院が良識の府にふさわしい幅広い論議の上に、まさに二十一世紀を目指し国民の期待にこたえるため慎重に審議さるべきものであると考えます。そもそも年金制度の改革は、暮らせる年金、わかりやすい年金、国民がコントロールできる年金にすることが基本であり、これを確立することが急務であります。このことを中曽根総理に強く要請して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(中曽根康弘君) まず、年末御繁忙の折、年金問題を御審議いただきまして厚く感謝申し上げる次第でございます。
 高杉議員にお答えを申し上げます。
 まず予算編成におきまして、社会保障予算についてその編成方針いかんという御質問でございます。
 財政改革は、我が国の将来の安定と発展にとって避けることのできない国民的課題でございまして、昭和六十五年度赤字公債依存体質から脱却という努力目標に向けまして、最大限今後も努力してまいる所存でございます。六十年度の予算編成におきましてもこの方針を堅持いたし、さらにいわゆる増税なき財政再建の基本方針のもとに、歳出の徹底した節減合理化に努めていく所存でございます。
 社会保障予算につきましては、高齢化社会の進展等、経済、社会の変化に対応して今後とも各種施策を安定的に維持する等のために、給付の重点化、効率化等を行うとともに、給付と負担の公平化、適正化を行う必要があると思っております。また、真に恵まれない人々にとって必要な施策については、その緊要度、内容等を点検いたしまして、重点的に配慮してまいりたいと思っております。
 防衛費についての御質問でございますが、六十年度の防衛関係費については、防衛計画の大綱水準を可及的速やかに達成するという従来の方針に基づきまして、他の諸経費との調和等を図りつつ経費の効率化に努め、かつ防衛力の着実な整備を図っていくために必要最小限度の費用を計上するつもりでございます。
 今回の予算編成におきましては、従来のGNP一%以内にとどめるように努力いたしたいと思っております。六十年度の進行中はどうであるかという点につきましては、六十年度のGNPがどうなるか、あるいは追加的経費がどのように出るかというような点で、現在はまだ不確定であります。
 次に、基礎年金の基本的性格についての御質問でございます。
 今回の改正は、国民共通の基礎年金を導入することによりまして、全国民を通じて給付と負担の公平化を確立し、年金制度の安定化、制度間の格差の是正を図ることがねらいでございます。基礎年金の水準は、老後生活の基礎的な部分を保障するものとして国民生活の安定に寄与いたしたい、言いかえれば老後生活の支えとしての基礎的部分の保障、このようにお考えいただきたいと思っております。
 次に、国民年金の保険料に福祉税とか、そのほか目的税的なものを導入すべきであるという御所見でございますが、これも一つの御見識であると思っております。しかし、我が国におきましては、従来いわゆる社会保険方式というようなものが定着いたしておりまして、新たに税というやり方でやることを果たして国民が受容するかどうか、これらは検討課題であると思っております。
 女性の年金権確立のためには、今回の制度ではまだ不十分ではないかという御質問でございます。
 今回の案は、一面において基礎年金を導入することによりまして、サラリーマンの妻を含むすべての婦人に独自の年金を保障しようとするものでございます。それによりまして、長年の懸案であった婦人の年金権の確立が大きく前進せられたと考えております。
 次に、年金積立金の運用について、有利なる運用を図るべきであるという御質問でございます。
 この点については私も同感の点がございます。積立金というものは、これは一面においては国民全体の貴重な財源でもございます。安全かつ有利に運用することが大事であると思います。しかし、一面においてはそれは公的資金でありまして、公共的な運用ということも考える必要があり、この公共性と有利性とのバランスをとるという面も必要であり、かつまた拠出者の意向というものもある程度反映されることが必要であると思います。これらの有利な運用等積立金の運用改善につきましては、今後、厚生、大蔵両省間で協議させたいと思っております。
 次に、本改正案は慎重に審議さるべきものであるという御質問でございます。
 本改正案は、広く関係方面の御意見をお聞きいたしまして、二十一世紀を展望して、公平にして安定した年金制度をつくり上げるために適当な案であると考えております。
 今回の改革は、七十年度を目標に年金体系全体の一元化を実行しようというその一段階でございまして、六十一年の四月にこれらの厚生年金や国民年金あるいは共済年金の一元的運用を発足させよう、そういう目標のもとにまず今回の法案を提出した次第なのでございます。共済年金につきましては、いずれ国会に御提案申し上げまして、六十一年四月からの運用に間に合わせるように努力したいと考えておるわけでございます。また、婦人の年金権の確立とかあるいは障害者に対する特別の配慮とかという部面も内容に込められておりまして、できるだく早く審議を尽くして成立されんことをお願いいたしたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(増岡博之君) お答え申し上げます。
 まず、改正案におきましての期待権の取り扱い及び基礎年金の基本的性格についてのお尋ねでございますが、年金制度の長期安定のためには、給付と負担のバランスを図ることが不可欠でございまして、このため、今回の改正におきましても将来に向けて給付水準の適正化を図ることとしておりますが、その際、現行制度からの円滑な移行に配慮し、既得権は保護し、期待権は尊重することを基本とし、きめ細かな経過措置を講じたところであります。
 また、五万円という基礎年金の水準は、高齢者の実際の生計費等を総合的に勘案し、かつ保険料負担とのバランスも考慮して設定したものであります。この水準は、老後生活の基礎的部分を保障するものとしては妥当なものであると考えております。
 次に、目的税のお尋ねでございますけれども、これは先ほど総理からお答えいただきましたとおりでございます。
 次に、年金のポイント制を導入すべきとのお尋ねでございますけれども、ポイント制を導入することは、年金について賃金スライド制をとることを意味しておるわけでございまして、このことは制度の基本的な仕組みにかかわる問題でありますし、また現行制度からの円滑な移行という点で事務処理の面でも難しい問題があることから、政府としては現在のところその導入は考えておりません。
 次に、保険料等の長期的見通しについてのお尋ねでありますが、今回は将来にわたる給付額、保険料の推移等長期の財政収支試算を踏まえ作成したものであります。したがって、今回の改正案はこのような年金制度の長期的な見通しに立ったものであり、これによりその長期的安定が図られるものと考えております。
 次に、無業の妻に夫の報酬比例年金について年金権を認めよとのお尋ねでございますけれども、これにつきましては民法等各種の法体系のもとではなかなか困難な問題であると考えております。
 次に、障害者に対する制度改革についてのお尋ねであります。
 障害者に対する制度改正につきましては、成人の障害者に対する所得保障の充実を図るため、障害基礎年金制度の創設とあわせて現行の福祉手当制度を再編成し、特別障害者手当を創設することといたしております。また、この特別障害者手当は、日常生活において常時特別な介護を必要とする在宅の重度の障害者本人に対し、その負担の軽減を図るため重点的に支給するものであり、これによりまして障害者福祉の一層の向上が図られるものと考えております。
 最後に、積立金運用についてでございますけれども、先ほど総理もお触れになりましたように、将来の年金給付のための貴重な財源でございますので、安全かつできる限り有利に運用することが必要でありますと同時に、年金積立金は強制徴収された保険料の集積でございますので、運用に当たっては拠出者の意向が十分反映されることが必要であります。このような観点から、有利運用等積立金の運用改善についてはいかなる方策がとり得るか、大蔵省と事務当局間で協議を続けているところであります。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(竹下登君) まず、私に対する御質問は二つございます。一つは、国民年金保険料についていわゆる目的税的なものを導入することを検討する時期に来たではないか、こういう御意見でありました。
 総理からもお答えがありましたように、確かに今日までは社会保険方式で運営されて、それが我が国社会においては定着したという感じもございます。そこで、税方式ということになりますと、ある意味においては大きな改革であります。この考え方というのは私も一つの御見識だというふうに考えております。したがって、これからいわゆる保険料を拠出した者としない者との公平が図られるかとか、あるいはいずれにしても税負担でございますから、国民の側にそれだけのコンセンサスがどのような形で求められていくか、そういうような問題がいろいろあろうかと思っております。
 高齢化社会における年金負担のあり方については、そういう今のような意見をも踏まえた幅広い角度からの検討が必要であろうというふうに、私は今の御意見を聞きながら私なりに理解させていただいたところであります。
 それから年金の有利運用の問題でございます。
 私の側から申しますならば、いわゆる資金運用部資金、これは国の制度、信用を通じて集められた公共的資金でありますので、それは一元的運用というものが適当である。しかし、その運用に当たっては、まさに住宅でありますとか生活環境整備あるいは中小企業対策、そうした公共的な運用を行いますとともに、他方では、今の御意見のように預託者の利益を考慮した有利運用と、この二面性を持っておるわけであります。今後とも、公共性とのバランスをとりながら、できる限り有利運用に努めていかなければならぬ問題であるという認識をいたしております。
 したがいまして、資金運用部資金の運用ということになりますと、学識経験者の方から成っております資金運用審議会、この委員の先生方にも年金関係審議会の公益委員の方々に学識経験者として入っていただいて、そうして拠出者の意向も反映されるような形でこれまでも配慮してきておるわけであります。さらに、昭和五十五年以降理財局長の私的な懇談会でございます年金資金懇談会、これを開催いたしまして拠出者の意向反映に一層の意を用いていかなければならぬ。このような基本的立場に立って、また今厚生大臣からもお答えがありましたように、事務当局間で協議しておる問題であることを申し上げてお答えを終わります。(拍手)
    ─────────────
#28
○議長(木村睦男君) 中野鉄造君。
   〔中野鉄造君登壇、拍手〕
#29
○中野鉄造君 私は、公明党・国民会議を代表いたしまして、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係各大臣に若干の質問を行うものであります。
 今日、高齢化が急速に進展し、老後の生活を私的保障にゆだねることはますます困難となり、国民の約七割が老後の収入源の第一位に公的年金を挙げていることからも、その依存と期待は明らかでありますが、その一方で、年金崩壊、年金財政の破綻論が国民の間でささやかれているなど、制度に対する信頼感が著しく危惧されているのも事実であります。だからこそ、年金制度の健全な持続を図るための抜本的改革こそは、重要かつ緊急な課題であることは論をまちません。
 今回の改正案は、我が党が去る昭和五十一年十月に発表した福祉社会トータルプランにおいて主張した国民基本年金構想と大枠においては合致するものであります。しかし、我が党の主張する基本年金構想と異なり、今回の政府案では、無年金者をなくし、すべての国民がその老後において健康で文化的な最低限度の生活を保障されるという憲法二十五条の理念が欠落しており、まことに残念というほかはありません。すなわち、基礎年金という言葉からは、当然のことながら防貧的かつ基本的な生活保障を連想いたしますが、その実は、最低生活の保障にも満たない年金額であるからであります。
 そこで、まず第一に問題にしたいのは、四十年加入で初めて月五万円給付という基礎年金の水準についてであります。
 政府案は、この五万円の根拠として、五十四年の全国消費実態調査に基づく六十五歳以上の単身者の飲食を中心とした消費支出分に、その後の物価上昇分を加味した四万七千六百円によってこれを正当づけようとしていますが、ここには教養娯楽費、交通費、保健衛生費等は含まれておらず、憲法が求める最低の水準すらも満たしておりません。
 なおまた、この水準は、五十九年度、二級地における男性七十二歳、女性六十七歳の老人世帯の場合の生活保護基準である十万六千八百八円をも下回るものであります。我が党の試算では、食費以外の教養娯楽費等を含めた老人の家計支出は五万五千三百五十四円であり、政府案でいくと約五千円が不足することが明らかとなっています。わずか五千円といっても、老人にとってはこれは極めて貴重であります。そこで、何としても五万五千円の基礎年金を要求したいと思うのでありますが、再考の余地はないか、特に総理の英断に期待いたします。
 また、政府案では、四十年間満期満額、完全納
付で初めて五万円の給付という大変厳しい仕組みとなっていますが、この期間の完全納付ということについての若干の緩和が必要と考えるのでありますが、あわせてお伺いしたいと思います。
 第二に、保険料負担の問題について伺います。
 すべての国民を対象に統一的に保障するという基礎年金の本質からすれば、その保険料は何よりも大多数の国民にとって負担可能な範囲でなければなりません。厚生省の試算では、国民年金の保険料負担は今後急激に増加し、昭和八十五年以降にあっては五十九年度価格で月額一万三千円、夫婦では二万六千円にもなると見込まれています。現在においてさえも国民年金の保険料免除者の数は倍増し、負担が月額五千八百三十円であった五十八年度末でも、強制適用被保険者の一六・七%が免除を受けているのが実態であります。この免除率は、今日現に沖縄県の四三・三%を筆頭に既に十二道府県において二割を超えている現況からも、将来の保険料負担に極めて悲観的な見通しを持たざるを得ません。
 この現状を無視して、政府案のような定額拠出方式を施行するならば、必ずさらに免除者やあるいは無年金者等が増大し、あるいは平均的な基礎年金額は五万円を大きく割り込まざるを得ない構造的宿命にあり、実質的に基礎年金として機能しないような事態が危惧されるのであります。
 幸い、衆議院修正において、自営業者等の保険料のあり方については必要な措置を講じる旨の文言が加わったことを一歩前進と評価いたしますが、この際、我が党が主張する均等割と所得割の併用による所得比例制の導入について採用の考えはないか、いま一歩進んだ御答弁を期待したいと思います。
 第三にお伺いしたいのは、基礎年金給付費の三分の一という国庫負担についてであります。
 現行の負担率の維持の必要性については、社会保険審議会の厚生年金部会報告等も指摘しているところでありますが、改正案では厚生年金の国庫負担は切り下げられる方向にあります。我が党は、将来の健全な基礎年金制度を確立するためには、今後十五年間の経過措置により国庫負担を四割にまで漸増させるべきだと主張いたしますが、この点についての御見解を伺います。
 第四は、当面の政策的改善事項としての経過的年金の引き上げの問題についてであります。
 現在、老齢年金受給者の七割は未成熟の拠出制国民年金や福祉年金、月額二、三万円程度の支給を受けているにすぎないのであります。特に福祉年金については、全額国庫負担であるため、財政事情から引き上げが困難というのが政府側の意向のようでありますが、老齢福祉年金の対象者は、明治四十四年四月一日以前生まれの高齢者であるため、毎年平均して二十万人から二十五万人ずつ死亡のため減少し、昭和八十五年ころにはほとんどゼロになると見込まれています。すなわち、対象者数の減による分を給付の改善に振り向けることは財政的に十分可能なはずであります。制度が存在しなかったため年金制度の恩恵に浴し得なかったこれらの人々に対しては、物価スライドのほか毎年千五百円程度の引き上げを行い、老齢基礎年金の額に近づける努力をすることこそが真に血の通った政治と思うのでありますが、改善についての政府の熱意を明らかにしていただきたいと思います。
 最後に、年金積立金の運用について伺います。
 厚生年金の積立金は、五十九年度の予算ベースでは四十四兆七千三百億円にも上りますから、仮に〇・五%の高利運用でも年間約二千二百五十億円の増収が期待できるのであります。そもそも年金の積立金は、金利選好の可能な郵便貯金などと異なり、社会保険料として強制徴収されたものであり、厳しい状況の見込まれる年金財政の将来を想起するならば、政府として可能な限りの高利運用を図る責任を負っていると考えられます。以上述べた理由から、私は厚生年金等についても共済年金並みの運用方式を主張いたしますが、当面の措置として、積立金の一定割合についての自主運用、有利運用を認めるべき時期に来ていると考えるのであります。この点について、特に大蔵、厚生両大臣に見解を伺いたいのであります。
 私は、以上数点にわたり年金問題の基本的事項についてお尋ねいたしましたが、どうかこの年金史上まさに画期的改正時に臨み、後世に称賛される善政を切に要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(中曽根康弘君) 中野議員にお答えをいたします。
 まず第一問は、基礎年金五万円というのは少し少な過ぎるではないか、これを五万五千円に引き上げることを要求する、こういう御質問でございます。
 基礎年金は、老後生活の基礎的部分を保障するという考えに立ちまして、老後の支えと申し上げているところでございますが、この考え方は憲法の精神にも合致しているものと思います。また、五万円という水準は、このような基礎年金の性格と、特に負担とのバランスというものを考慮いたした場合には、この程度でやむを得ないのではないかと考えるものなのであります。
 次に、年金制度の画期的な改正に向かってさらに前進せよというお示しでございますが、今回の改正案は、御指摘の内容も含めて広く関係者の意見も聞きながら、長い年月をかけて練ってきたものでございます。改正案は、二十一世紀を展望した公平で安定的な年金制度をつくり上げるために最良の案として考えたものでございます。
 所得比例制の御提言がございましたが、これも一つの考え方であると敬意を表しますが、我が国の実情から見まして、所得というものの正確な把握という問題について、特に零細中小業者等のことを考えてみますと、これは慎重に検討を要するものがあるのではないかと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。
 まず、基礎年金の要件である四十年を緩和すべきとのお尋ねでございますけれども、我が国の国民皆年金体制は、原則としてすべての国民による二十歳から六十歳までの保険料負担で成り立つ世代間扶養の仕組みでありまして、今後は、四十年加入が一般的でありますので、これを前提とすることが妥当かと考えております。
 次に、所得比例保険料の導入に関するお尋ねでございますが、自営業者等の保険料について所得比例制を導入すべきとの考え方にはもっともな点もあると考えますが、所得の把握等種々の難しい問題がありますので、この問題につきましては、衆議院での修正の趣旨を体し、将来の課題として検討してまいりたいと考えております。
 次に、基礎年金の国庫負担を四割にまで漸増させるべきとのお尋ねでございます。
 年金制度における国庫負担のあり方は大きな検討課題でありますが、現実問題として極めて厳しい財政事情にある今日においては、残念ながら困難であると申さざるを得ません。
 次に、老齢福祉年金等経過年金の引き上げについてのお尋ねでございます。
 年金制度全体としては、年々給付費が増加しておりますことから、今日の厳しい財政状況のもとではお尋ねのようなことは極めて困難でありますが、今後ともできる限りの努力をいたしてまいりたいと考えております。
 最後に、積立金の管理運用についてのお尋ねでございますが、積立金は将来の年金給付の貴重な財源でありますことから、安全かつできる限り有利に運用することが必要でございますし、また、年金積立金は強制徴収された保険料の集積であるので、運用に当たっては拠出者の意向が十分反映されることが必要でございます。このような観点から、有利運用等積立金の運用改善については、いかなる方策がとり得るか、大蔵省と事務当局間
で協議を続けているところでございます。
 以上でございます。
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(竹下登君) 私に対する質問は、いわゆる一部有利運用問題についてであります。
 いわゆる国の制度、信用を通じて集められた公共的な資金、これは資金運用部資金で統合運用する、この形が今日までも定着してきておる問題であります。したがいまして、この運用に当たりましては、いわば公的資金であるという認識のもとに、住宅、生活環境あるいは中小企業、そういうことに運用いたします。そして一方は、今例示がございましたようにやはり有利運用と、この二面性を持っておりますので、そのバランスをとりながら、その範囲の中で、また可能な限り有利運用に努めていかなければならぬ、こういう基本的考え方に立って今日までも運用をさせていただいておるわけであります。
 したがって、今日の時点で一部いろいろな操作をして、枠を決めてそれに限って有利運用にするとか、そういう物の考え方に立たないで、総合調整の中で公共性と有利運用の二面をどう生かしていくかということについて、鋭意努力して今日に至っておるわけであります。(拍手)
    ─────────────
#33
○議長(木村睦男君) 安武洋子君。
   〔安武洋子君登壇、拍手〕
#34
○安武洋子君 私は、日本共産党を代表して、国民年金改正法案について総理並びに厚生大臣に質問いたします。
 総理、我が党の宮本議長が日ソ両党会談でも明らかにしたように、今日の世界政治の差し迫った中心課題は、核戦争阻止、核兵器の完全廃絶であり、これはまた日本国民の切実な願いであります。
 にもかかわらず、総理、あなたはアメリカの対日軍備増強要求にこたえて軍備を大膨張させ、核廃絶を願う国民に背を向けてレーガン政権の核戦略に深く加担する一方、国民に対しては臨調行革の推進によって福祉、教育などを切り捨て、耐えがたい犠牲を押しつけてきました。これがあなたの言う戦後政治の総決算の中身ではありません
か。
   〔議長退席、副議長着席〕
 総理、このようなあなたの政治に対し、ミサイルよりも年金が大事だと国民の怒りが燃え広がっております。あなたはこの国民の声をどのように受けとめられますか、総理の政治姿勢をお聞かせください。
 さて、本法案は、年金給付水準と保険料負担の適正化の名のもとに、現行のすべての制度にわたって年金を七割以下に切り下げ、一方、例えば厚生年金の保険料は直ちに二割引き上げ、将来は二、三倍と大幅に引き上げ、さらに支給開始年齢も将来六十五歳に引き上げるという、国民の老後生活の安定を根本から破壊する許しがたい悪法であります。政府は、昭和四十八年は年金の年と称して、我が国の年金制度に最も強く望まれているのは年金額の大幅な引き上げだと言ってきました。それからわずか十年、一転して今度は高齢化社会に適応できないとして、年金額の大幅な引き下げ等の改悪を行うというのは無責任きわまりないではありませんか。総理、主権者である国民に対し政治責任をどのように感じておられますか、お伺いをいたします。
 政府は、すべての国民に基礎年金五万円が保障されるかのごとき宣伝を行ってきております。ところが、五万円年金は最高月額であり、二十歳から四十年、一カ月も休まずに保険料を納め続けた者のみに支給されるものであって、一カ月でも不足すればそれだけ五万円から減額される仕組み、これが基礎年金ではありませんか。現在、国民年金の保険料納入免除者は一六・七%、その上、保険料納入滞納者が約五%あります。したがって、初めから五人に一人は五万円年金から除外されることになっております。
 厚生大臣に伺います。国民年金で五万円の基礎年金が受けられる人は一体何割程度と予測しているのか、また平均年金額はどれぐらいと見込んでいるのか、さらに無年金者は将来発生しないと断言できるのですか、答弁を求めます。
 さらに、政府は、本法案の目玉の一つとして、仕事を持たないサラリーマンの妻にも基礎年金を支給するので婦人の年金権を確立した、こう言っております。その一方で、現在の婦人に対する五十五歳支給を六十歳支給に、また保険料も男女均等にするため、婦人のみ毎年特別に引き上げるではありませんか。昭和五十八年度に新たに厚生年金を受給した女子の八四%は、月額十万円以下なのです。総理、このような現状で支給年齢と保険料の均一化のみ先に行うやり方に、多くの婦人が反発するのは当然ではありませんか、見解を求めます。
 年金のスライド制についてお聞きします。
 我が党は、スライド部分については、過去二年にわたる物価上昇率を償う四・四%の物価スライドを実施することは政治のとるべき最低限の務めであり、義務であるとの立場から、四・四%の引き上げを内容とする修正案を提出いたしました。しかるに、この修正案は不当にも否決され、その結果、年金受給者は年末ぎりぎりになってわずか二%改定分しか受け取れないことになったのであります。このようなことになるのも、我が国の年金スライド制が五%以上物価に変動があったときに初めてスライドを実施する、こういう仕組みになっており、自動的に物価や賃金にスライドするようになっていないという欠陥を持っているからです。
 厚生大臣、先進諸国で我が国のような五%条項のスライド制はどこにもありません。我が党は、自動的な賃金スライド制を主張するものですが、政府は抜本改正と言いながら、なぜ五%条項を撤廃しなかったのですか、お伺いいたします。
 障害年金についてお伺いします。
 我が党はかねてより、同じ障害を持ちながら年金制度に加入する以前の障害者には極めて低い障害福祉年金しか支給されない不合理や、厚生年金の事後重症制の改善等を主張してまいりました。本法案ではこれらの点で一定の改善はありますが、障害者が自立するにはなお不十分なものであり、今後障害者の意見をよく聞き、充実に努めるべきであります。厚生大臣の御所見を伺います。
 高齢化社会に向けて年金受給者と給付費が増加するのは当然です。その財源をだれがどのように負担し合い、確保するのかが年金制度改革の柱です。政府は、国民の負担増は避けられない、こう宣伝しております。これは、現行の不合理な年金財源負担制度に何ら手をつけないことを前提とした言い分です。ここが根本的に間違っているのです。
 我が国の厚生年金保険料の負担割合は、諸外国に比べ労働者負担が重く、資本家負担が軽いのが特徴です。例えば、我が国が労使折半であるのに対し、フランスでは労働者一に対して事業主は一・七四、イタリアでは二・三八、イギリスでは一・六と、いずれも事業主負担が高くなっております。加えて、大企業の社会保険料負担は減量経営のもとで相対的に軽減している一方、国民は実質所得の頭打ちや税金、社会保険料負担の増大であえいでいることは、政府の指標でも明らかです。
 真に高齢化社会へ向けての安定した年金制度を確立するためには、何よりも保険料の労使負担割合を折半主義から七、三方式、すなわち労働者負担割合の軽減を図るとともに、現行の雇用している労働者の賃金を基礎とした保険料徴収の仕組みに頼るのではなく、大企業に一定の負担増を求めるなど、適切な仕組みに転換すべきではないでしょうか。総理にお伺いをいたします。
 私は、我が党が主張する方向で年金制度の抜本的改革を行うなら、国民に過大な負担を求めることなく、十分老後保障が可能な年金制度をつくり
上げることができると確信をいたします。私は、軍拡と大企業奉仕のために国民生活を切り捨てる臨調行革路線の一環である年金制度の歴史的な大改悪を目指す本法案に断固反対の意思を表明して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(中曽根康弘君) 安武議員にお答え申し上げます。
 まず、戦後政治の総決算の名のもとに年金など福祉政策を後退させることはいけない、こういう御質問でございますが、今回の年金制度の改正は、二十一世紀の高齢化社会においても安定した制度を確立するためのものでありまして、必ずしも福祉切り捨てという御批判は当たらないと思います。この制度を長期、持続的に安定するということ、それから世代間の不公正をできるだけ是正するということ、こういうためにこういう改革も行われておるのであります。また、真に恵まれない立場にある方々については重点的に配慮を行うという私の考えも不変でございます。
 次に、前は昭和四十八年においては年金の年と言い、今こういうような改革をやることは無責任ではないか、こういう御質問でございますが、現行の年金制度については制度間に格差があるということ、それから現行のまま放置すると、将来年金受給者の年金と現役勤労者の賃金とのバランスが崩れるとともに負担も非常に過大になる、こういうおそれがあるわけでございます。
 一般的に見まして、六十五歳の方々を見ますと、今十人がこれを支えて一人が受けている、六十五歳お一人に対して十人がこれを支えているというものでありますが、紀元二〇〇〇年、昭和七十五年になりますと六人で支えなければならないということになります。七十歳のお方については今十五人で一人を支えておりますが、大体十人で一人を支えるということになります。こういうことを放置してそのままにおきますと、相当な負担が現役の方々にかかってくるわけでございます。そういう意味において何らかの調整措置を今からやっておかないと、この制度自体の根幹が危なくなるという問題があるのでございます。国民年金にいたしましても、このまま放置しますと、ピーク時には一番払う方は大体一万九千円ぐらいになりますが、これを一万三千円程度におさめたいというのでこういう改革もしておるわけでございます。
 要するに、負担と給付との公平、あるいは世代間の公平、連続性、そういうような長期的視点に立って今回の改正も行ったということをぜひ御了承願いたいと思うのであります。
 婦人の年金権に関しまして、支給開始年齢と保険料の均一化を先行させるということには反対であるという御質問でございます。
 女子の支給開始年齢の見直しや保険料率の男女格差の解消は、年金制度の公平かつ長期的に安定した運営を図るためにやむを得ない措置であると考えております。
 次に、高齢化社会へ向けて安定した年金制度を確立するためには、保険料の負担割合を七、三割合に変えたらどうかという御質問でございます。
 現行の社会保険料負担は、企業の規模を問わずに労使折半としておりまして、これは久しく我が国に定着しておる制度でございます。事業主、特に大企業に対しまして新たな負担を課するということば、今日の状態において必ずしも適当でないと考えております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#36
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。
 まず、基礎年金五万円を受け取られる人の割合、基礎年金の平均年金額及び無年金者に関するお尋ねでございますけれども、新制度に完全に移行した時点では、保険料の免除とか未納の期間がある者を除いて、すべて月額五万円の年金が支給されることになります。今回の改正では、本人の責任ではなく制度的に無年金になることをなくする措置をとっておるところでございます。
 次に、婦人の年金権についてでございますけれども、先ほど総理からお答えになりましたとおりでございます。
 物価スライド制についてのお尋ねでございますけれども、スライドの五%条項につきましては、政府の人事院勧告の要件などとの均衡から見て妥当と考えておるところでございますし、また、実際には物価五%以下でも改善しておるところでございます。
 次に、障害年金の充実についてのお尋ねでございますけれども、今回は全国民共通の基礎年金の導入に伴い、幼いときからの障害者にも障害基礎年金を支給することとし、障害者の方へ長年の要望にお答えしたものであります。今後とも必要に応じ施策の充実に努めたいと考えております。
 次に、事業主負担の強化についてのお尋ねでございましたが、先ほど総理からお答えになりましたとおりでございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#37
○副議長(阿具根登君) 伊藤郁男君。
   〔伊藤郁男君登壇、拍手〕
#38
○伊藤郁男君 私は、民社党・国民連合を代表いたしまして、ただいま提案説明のありました国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、総理を初め関係大臣に質問を行うものであります。
 現在我が国は、国内外において解決すべき多くの課題を抱えておりますが、その中の重要課題の一つは、来るべき高齢化社会において活力ある福祉社会をいかにして構築していくかであります。
 我が国の高齢化が世界に類例を見ないスピードで進みつつあることは御承知のところでありますが、この急速かつ深刻な人口の高齢化が、我が国の社会経済に及ぼす影響は極めて大きいものがあります。したがいまして、速やかに長期的かつ総合的な高齢者対策を講じ、将来に禍根を残さぬようにしなければなりません。そのためには、現在の縦割り行政を改めることが必要にして不可欠であります。
 この見地から、まず総理の御所見を伺いたいのでありますが、内閣総理大臣のもとに、政、労、使、学識経験者及び国民各層の代表者で構成する高齢者対策国民会議を設置し、雇用、年金、医療、保健サービス、住宅、福祉サービスなど調和のとれた総合的な高齢者福祉計画を策定すべきだと考えますが、総理の御意見をお聞きしたいと存じます。
 次に、雇用の問題について総理にお伺いをいたします。
 我が国は世界有数の長寿国になりましたが、ますます長くなる老後生活を豊かに、生きがいに満ちた第二の人生とするためには、何よりも所得保障が万全でなければなりません。そして、所得保障は雇用と公的年金がその柱となることは言うまでもありません。
 そこで政府の方針をお伺いするのでありますが、第一は定年の問題であります。
 六十歳定年が勤労者の強い要求となっておりますことは御承知のところでありますが、五十九年度の労働省の調査によりますと、一律定年制の企業では定年年齢六十歳以上が辛うじて五〇%を超え、五二・一%になったにすぎません。これは行政指導による定年延長に限界のあることを明らかに示しているのであります。私は、総理が勇断を持って今国会にいわゆる六十歳定年法を提出すべきだと考えますが、いかがでございましょうか。
 次に、関連いたしまして労働大臣にお伺いしておきます。
 六十歳を超えても働く意思と能力のある高齢者は極めて多いのでありますが、そうした人々に雇用の場を保障することは、活力ある福祉社会実現のためには避けて通ることのできない緊急課題であります。この見地から、我が党は、六十五歳までの雇用を保障するために高齢者雇用保障臨時措
置法の制定を強く求めているのでありますが、政府はこれを受け入れるお考えはないのか、六十五歳までの雇用保障の新たな施策を講ずる考えはないか、労働大臣の具体的な御答弁をいただきたいと存じます。
 さて、所得保障のもう一つのかなめは公的年金制度でありますが、この制度にも多くの問題点が存在しております。すなわち、制度が分立しているために制度間に不公正があること、一人一年金が実現していないため、サラリーマンの妻の無年金問題が解決されておりませんし、成熟度が高まるに伴って個別制度ごとに財政が危機的状況に陥るなどの矛盾と問題点を抱えているのであります。
 これらの問題点を解決するためには、基礎年金と所得比例年金の二階建ての制度に改めることが何としても必要であり、我が党がかねてから主張してきたところであります。今回の政府案はその方向に沿うものであり、かつ衆議院で我が党修正要求のうち三項目が修正されたために、我が党は同法案に賛成したところであります。
 しかしながら、なお、我が党として、本院段階において次の三点につきまして法案修正を強く求めたいのであります。
 その第一は、船員や坑内員など第三種被保険者の扱いについてであります。
 これら労働者の就労環境はまことに厳しいものがありますし、今なお一般労働者の何倍もの災害が残念ながら発生しているのであります。しかも、船員や坑内員の従事する海運、水産及び石炭産業は国民生活に欠かすことのできない重要産業であり、この維持発展のためにも、これらに従事する労働者には特別の保護政策が必要であります。
 ところが、今回の改正案では、これら職種の特殊事情や従前からの経緯を考慮せず、年金支給年齢を除き、すべて一般にそろえられようとしておるのであります。このため、加入期間が延びても従前の給付額より下回ることとなり、関係労働者間では激しい憤激と職場混乱が生じているのであります。もちろん制度の長期的安定と公平は必要でありますが、特殊労働者の立場にも配慮することが社会保障としての大義であり、本案の検討に当たった関係審議会においても、きめ細かな配慮の必要性が特に指摘されているところであります。
 そこで、船員、坑内員など第三種被保険者の期間計算については、制度改正がなだらかに行われるよう激変緩和措置を求めるものであります。厚生大臣の明快なる御答弁をいただきたいのであります。
 第二は、女子の保険料率の問題であります。
 女子の保険料率は、現在男子の保険料率千分の百六を下回り、千分の九十三となっております。五十五年の改正でこの格差是正を進めることとなり、毎年千分の一ずつ女子の保険料率を引き上げてまいりましたが、今回の改正案では、その引き上げ幅が毎年千分の三ずっと改められております。私は、男女平等の立場から、保険料率も男女同一が望ましいと考えますけれども、急激な負担増を避けるためにも、現行どおり毎年千分の二ずつに改めるべきだと考えるのでありますが、この点について厚生大臣の御見解をお伺いするものであります。
 また、女子の支給開始年齢は昭和七十五年に六十歳に繰り延べられますが、そのためには雇用における男女平等が達成されることが前提でなければなりません。女子の雇用環境の改善にどう取り組まれますか、この際、労働大臣の所見を求めたいのであります。
 第三は、三級障害厚生年金の給付水準であります。
 衆議院修正によりまして月額三万七千五百円の最低保障制度が設けられ、政府原案より改善された点は認めますけれども、私としてはなお一層の改善が図られるべきだと考えるのであります。なぜならば、標準報酬月額が十万円の者の三級障害者年金は現行月額五万一千円であり、衆議院修正によって最低保障額三万七千五百円が適用されたとしても、現行水準より月額一万三千五百円給付額が低下することになるからであります。私は、最低保障額を基礎年金相当額の月額五万円に引き上げるべきと考えますが、厚生大臣はこれにいかに対処されますか、具体的な方針を示していただきたいと思います。
 次に、年金税制と年金積立金の自主運営について大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 まず年金税制でありますが、現行の老齢者年金特別控除の適用期限が昭和六十年十二月三十一日で切れることになっております。当然これは延長されると考えますが、延長に当たり、昭和五十年以降据え置かれてきた控除額七十八万円を、その後の物価上昇率を考慮して百万円に引き上げるべきだと考えますが、大蔵大臣の御見解をお伺いしておきたいと存じます。
 次に、年金積立金の自主運用についてお聞きいたします。
 公的年金の積立金は現在約四十四兆余円に達しておりますが、この金額が大蔵省の資金運用部に預託されております。こうした現状を打破し、年金積立金の自主運用を図ることが加入者の負担軽減と年金財政の長期安定のために必要不可欠であります。したがって、六十年度において少なくとも新規預託金のうち一割程度を自主財源として運用できる道を切り開くべきだと考えますが、大蔵大臣の具体的な対応策をお尋ねしたいのであります。
 最後に、いわゆる官民格差を是正するため、本法案で設けられる基礎年金を共済年金にも創設するよう早急に共済年金改正法案を国会に提出すべきことを強調しつつ、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#39
○国務大臣(中曽根康弘君) 伊藤議員にお答えをいたします。
 内閣総理大臣のもとに高齢者対策国民会議、あるいは高齢者福祉計画をつくるべきであるという御質問でございますが、高齢者対策につきましては、関係各省庁において幅広く国民各界各層の意見を聴取して行っておるところでございますが、関係各省庁間の緊密な連絡を図って、総合的な施策を推進するために、従来より内閣総理大臣を本部長とする老人対策本部を設置して行っておるところでございます。
 また、高齢者対策のビジョンにつきましては、随時懇談するために、学識経験者等から成る老人問題懇談会も開催しておるところでございます。
 今後とも、これらを活用いたしまして総合的な高齢者の福祉対策の推進に努めてまいる所存でございます。
 次に、民間における六十歳定年法案を今国会に提出する考えはないかという御質問でございます。
 六十歳定年の法制化問題につきましては、今月雇用審議会におきましてこの問題に関する審議が再開されたところでありまして、その結論を得た上で対処いたしたいと思います。いずれにしても、六十歳定年一般化の早期実現に向けて指導、援助してまいりたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#40
○国務大臣(増岡博之君) お答えいたします。
 まず、船員、坑内員等の期間計算の特例に関するお尋ねでございますが、この特例につきましては、公平な年金制度を確立するという観点に立ち、できる限りの経過措置を講じながらこれを廃止することとなっております。
 御指摘の加入期間が延びても年金額が下がるという問題につきましては、五十五歳を年金支給開始年齢としております以上、一般の加入者との均衡から見てやむを得ないものと考えておりますので、御理解を賜りたいと存じます。
 次に、女子の保険料率についてのお尋ねであり
ますが、男女の保険料率の格差の解消につきましては、かねてから関係審議会の御指摘もあり、既に昭和五十五年度以降法律の規定に基づき実施しているところであります。今回の措置は、公平な年金制度を確立するという観点から、より速やかに格差の是正を図ることとしたものであり、御理解願いたいと思います。
 最後に、三級障害厚生年金についてのお尋ねでありますが、この問題については、既に衆議院において修正が行われたところでありますので、政府としてはこれを尊重させていただきたいと存じます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣山口敏夫君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(山口敏夫君) 自分の能力、勤労を通じて社会に貢献し、仕事を持っての喜び、生きがいこそ人生最大の幸せと存じます。したがって、高齢化社会を迎えるに当たって、高齢者の雇用問題は大事な政治課題であり、政府にとりましても重要な政策事項と承知しております。ただ、高齢者は健康、体力等によって個人差もございますし、一律に定年延長によって雇用確保を行うことは、現状においてなかなか難しい問題もございます。このため、雇用延長を行う事業主に対する助成、シルバー人材センターの育成、援助など、その多様な就業ニーズに応じた施策を講じているところでございます。
 今後、本格的な高齢化社会の到来に対処するためには、中長期的な視点に立って高齢者の雇用対策のあり方を見直し、その充実強化を図ることが必要であると考えます。このため、関係審議会等の論議を踏まえ、高年齢者の雇用対策の確立に努力してまいりたいと存じます。
 伊藤先生の御提案を含め、御党の政策提言につきましてもよく勉強し、研究させていただきたいと存じます。
 また、女子雇用の改善の問題でございますが、最近の女子労働者の増加に対応し、女子労働者の能力の有効発揮を図るため、女子の雇用環境の改善が必要であることは御指摘のとおりであります。また、最近の民間調査機関の調査等によりましても、女子雇用を積極的に進めている企業の成長性が評価されております。このため、現在国会で御審議をいただいておりますいわゆる男女雇用機会均等法案の早期成立を期し、雇用における男女の均等な機会と待遇の確保に努めてまいりたいと考えております。
 特に、男子より定年年齢の低い男女別定年制につきましては、積極的な行政指導により改善が進んできておりますが、同法案においても定年、退職、解雇等につきまして男子と差別的取り扱いをしてはならないとしておるわけでございまして、今後さらにその解消に努力してまいりたいと存じます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(竹下登君) 私に対する御質問は、いわゆる年金税制の問題と、それから自主運用、この二つでございます。
 まず、公的老齢年金につきましては、その課税に当たりまして、老年者年金特別控除のほか、給与所得控除の適用が認められておりまして、その結果、公的年金だけしか所得のない老年者夫婦の方の場合には、その年金収入が二百四十一万八千円、配偶者が老人控除対象配偶者の場合には二百五十一万一千円、これ以下の場合には所得税は課税されないということになっておりますので、それなりの優遇措置はしてあるというふうに認識をいたしております。したがって、この老年者年金特別控除額の引き上げということは、今日の時点では考えておりません。
 一昨日ちょうだいいたしました税制調査会の六十年度答申におきましては、公的老齢年金に対する課税につきまして、「各種年金制度の統合化、受給単位の個人化等公的年金制度自体の改正の動向を踏まえて」検討を行うべきであるという答申をちょうだいしておりますことをつけ加えさせていただきます。
 それから、自主運用問題でございますが、再三申し上げますように、国の制度、信用を通じて集められた各種資金は、資金運用部資金としていわゆる一元的に管理運用するという建前を今日もとっておるわけであります。これは、政策的な重要性に応じてバランスのとれた資金配分、すなわち公共性と有利運用、この両面であります。そして財政金融政策との整合性の問題、さらには効率的、機動的な資金運用、こういうことを考えますと、やはり合理的運用の仕組みとはすなわち統合運用であるというふうに考えざるを得ないと思うわけであります。
 また、臨調最終答申あるいはそれを受けましての政府の新行革大綱等におきましても、そういう仕組みを今後も最大限に尊重する旨を明らかにしておるということをつけ加えさせていただきます。(拍手)
#43
○副議長(阿具根登君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#44
○副議長(阿具根登君) この際、お諮りいたします。
 運輸委員長矢原秀男君から常任委員長を辞任いたしたいとの申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#45
○副議長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#46
○副議長(阿具根登君) つきましては、この際、欠員となりました運輸委員長の選挙を行います。
#47
○名尾良孝君 運輸委員長の選挙は、その手続を省略し、議長において指名することの動議を提出いたします。
#48
○浜本万三君 私は、ただいまの名尾君の動議に賛成いたします。
#49
○副議長(阿具根登君) 名尾君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#50
○副議長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、運輸委員長に鶴岡洋君を指名いたします。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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