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1984/01/29 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第5号
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1984/01/29 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第5号

#1
第102回国会 本会議 第5号
昭和六十年一月二十九日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
  昭和六十年一月二十九日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会談に付した案件
 一、議員村田秀三君逝去につき哀悼の件
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 議員村田秀三君は、去る五日逝去されました。まことに痛惜哀悼の至りにたえません。
 同君に対しましては、議長は、既に弔詞をささげました。
 ここにその弔詞を朗読いたします。
   〔総員起立〕
 参議院はわが国民主政治発展のため力を尽くされさきに社会労働委員長災害対策特別委員長の重任にあたられました議員正四位勲二等村田秀三君の長逝に対しつつしんで哀悼の意を表しうやうやしく弔詞をささげます
    ─────────────
#4
○議長(木村睦男君) 降矢敬義君から発言を求められております。この際、発言を許します。降矢敬義君。
   〔降矢敬義君登壇〕
#5
○降矢敬義君 議員村田秀三君は、去る一月五日、郷里の福島県白河市において、心筋梗塞のため、忽然として逝去されました。同僚議員として、まことに痛惜にたえません。皆様のお許しを得て、ここに同君の御生前をしのび、謹んで哀悼の辞をささげたいと存じます。
 村田君は、大正十年五月、白河市にお生まれになり、昭和十四年、仙台の逓信講習所を御卒業の後、白河郵便局に就職されました。戦争中は召集を受け、南方戦線で多くの戦友を失い、その悲惨な体験から平和を守る決意を固め、これが戦後に労働運動に入られた動機の一つになったと伺っております。昭和三十一年以降九期にわたり全逓福島地区本部委員長に推挙され、この間、福島県労働組合協議会議長に七期選任され、また福島県の各種審議会委員等を歴任されました。
 村田君は、昭和四十年に参議院通常選挙に福島県から出馬、見事に当選の栄をかち取られ、その後連続四回の当選を果たし、約二十年の長きにわたって活躍されました。
 参議院では、農林水産、建設、商工を初め、数多くの委員会の委員として、広い分野にわたる国政審議に参画されました。国会における村田君の論議は、いつも弱者に対する温かい思いやりにあふれるものであり、マスコミ等で派手に喧伝されている問題よりも、むしろ地域住民の福祉向上につながる地道な問題を丹念に取り上げておられたことが強く印象に残っております。特に社会労働委員長在任中の昭和五十年には、原爆二法の審議に際し、広島、長崎の両県へ国会として初めての現地調査を実施するなど、充実した審議を行い、また災害対策特別委員長在任中の昭和五十二年から五十三年は、有珠山、桜島の噴火、宮城沖地震など大きな災害の頻発した時期でありましたが、前後七回にわたって精力的に災害地を視察し、大規模地震対策法等を成立させ、活動火山対策について委員会決議を行うなどの意欲的な活動を通じて、国民の生活を守るため情熱を傾けられました。
 参議院社会党にあっては、議員総会座長、国会対策委員会副委員長等の要職を歴任し、また日本社会党福島県本部にあっては、昨年まで十一期にわたって県本部委員長の重責を担い、困難な時代を切り抜けてこられました。
 村田君は、広く人を入れる雅量に富み、相手の立場にも深い理解を示される円満、温容の人柄でありました。頼まれると、自分のことは顧みず人のために奔走する責任感の強い人でありました。平素は人の話にじっくり耳を傾ける寡黙の人でありましたが、酒が入れば談論風発し、興至れば独特の佐渡おけさや白虎隊を踊ってみせるという一面もあり、その素朴で庶民的な人柄は、だれからも親しまれ、敬愛されたのであります。
 村田君のまとめ役としてのすぐれた力量は、既に福島県労議長の時代から定評がありました。口八丁、手八丁の闘士たちの中で、誠実そのままに、とつとつと真情を披瀝するはったりのなさが人々の心を打ち、その卓越した調整能力は御人徳によるところも少なくなかったのではないかと思うのであります。
 村田君は、また大変な勉強家でもあり、委員会の質疑に当たっては常に内外の資料を丹念に収集し、問題を自分のものとして吸収し尽くすまで研さんを重ねられ、その政策論議は理路整然として核心をつくものでありました。今次国会では、去る十二月七日の電電改革法案の連合審査会において、商工委員の立場から、アメリカの通信機器市場開放要求と電電公社民営化後の資材調達問題について時宜を得た質疑を展開しておられました。これが村田君の国会における最後の質疑となりましたが、つい最近までの元気なお姿からだれがこのたびの突然の悲報を想像し得たでありましょうか。
 私は、村田君とは党派は異にしているものの、お互いに心の通える同僚議員として深く尊敬してまいりましたが、これはひとり私ばかりではないと存じます。
 ここに重ねて村田秀三君の誠実温厚な人柄と業績をしのび、院を代表して謹んで哀悼の意を表し、御冥福を心からお祈りいたします。
     ─────・─────
#6
○議長(木村睦男君) 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る二十五日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。小野明君。
   〔小野明君登壇、拍手〕
#7
○小野明君 私は、日本社会党を代表し、中曽根総理大臣の施政方針に対し、若干の質問を行うものであります。
 質問に先立ちまして、昨日起こりました長野県の悲惨なバス事故により亡くなられました二十五名の皆様の御冥福と、御遺族に対しまして心からの弔意を表したいと思うのであります。
 同時に、政府は、この事故原因の徹底的究明、さらに再発防止策な早急に本国会に報告されることを要求いたすものであります。
 さて、総理、あなたが政権の座につかれて二年二カ月に相なります。この間、あなたは、日本列島不沈空母論や三海峡封鎖発言などに見られるタカ派的姿勢を露骨に示し、それが批判を浴びるや、軌道修正したかのポーズを示して、今度は平和と軍縮を強調しました。強気で臨んだ総選挙に敗れると、新自由クラブと連立をして低姿勢の国会運営に変身しようとしました。また、自民党総裁選びの最終局面で激しい中曽根批判に見舞われると、浅学非才、不徳のいたすところと、謙虚宰相へとイメージチェンジを図ろうといたしております。このような変わり身の早さに対し、多くの国民は、あなたが進めてきた内政、外交に対し、一体総理の本音はどこにあるのかと疑いつつあります。
 先般の日米首脳会談におけるアメリカのスターウオーズ計画に賛意を表したことにも見られますように、依然として総理の政治姿勢は、戦後政治の総決算、すなわち、戦後の憲法体制をなし崩しに転換をし、改憲、軍事大国への道を目指しているのではないかと強い危惧の念を抱きつつあります。あなたの政治姿勢について明確な御見解を伺いたいのであります。
 総理、あなたは行管庁長官時代に第二臨調を設置し、総理に就任してから臨時教育審議会を設置しました。あなたは、これらの機関に対し、国会の代行機関として、政策転換の理念的役割を果たさせておりますが、このような政治手法は議会制民主主義に反し、国会を形骸化するものと言わざるを得ません。他方、あなたは、私的に平和問題研究会や文化と教育に関する懇談会などを設置し、行革、経済、外交、防衛、教育、文化といった我が国の基本政策について新しい枠組みづくりを進めてまいりました。総理は、幅広く各界の意見を聞くためと主張されておりますが、特定の数人の学者や経済人、文化人を繰り返し登用し、結果的に総理の思惑どおりの方向に政策を誘導する役割を担わせてきたのではありませんか。
 現に、平和問題研究会では、防衛予算のGNP一%枠について、これが国民にわかりやすい歯どめとして機能してきたとの意見があったにもかかわらず、少数意見は一切添付されず、それどころか、総理みずからが素案に朱を入れたとか、さらには側近から主要メンバーに対し、一%枠は撤廃し新しい歯どめは定性的なものにする方向でとの根回しがあったとさえ言われているのであります。やらないのは天気予報ぐらいのものと言われるほど、我が国の最重要政策について、審議会を設置し、総理の意図する結論を導き出し、それによって国民的合意という幻想を映し出そうとしているのではありませんか。
 戦後政治の総決算を、中曽根政治はその政治的手法として、審議会や私的諮問機関への諮問、答申を通じて政策展開の地ならしを進めることは、議会制民主主義を空洞化させる以外の何物でもないと言わざるを得ません。総理の御見解を承りたいのであります。
 政治倫理の問題は、大衆の目から見て、正邪曲直の価値判断で、誤りない政治が行われていると信頼されるか否かに尽きると私は思うのであります。しかるに、ロッキード事件以来の我が国政治は、党外の政治家が保守党政治を牛耳り、キングメーカーとして君臨し、数こそ力の論理で物事をねじ曲げる、これが排除されない限り政治倫理の確立はないと確信をいたします。しかるに、この勢力に乗って政権の座にいるあなたに、田中氏の影響力排除の総裁声明の実行ができますか。その設置が煮詰まってきた政治倫理審査会が、田中問題にふたをするためのものであってはならないと思います。この問題を審査の俎上にのせる約束ができますか、御答弁を願いたいところであります。
 次に、外交問題について伺います。
 最近、米ソ首脳の間で軍縮交渉の再開が合意され、東西間に対話の機運が高まってまいりました。核戦争三分前と言われる危機的現状の中で、被爆国である我が国国民はもとより、全世界の平和を願う人々が歓迎をいたしております。これは平和を希求する広範な国際世論がもたらした結果であると言わなければなりません。しかるに総理は、今回の日米会談で、口では平和と軍縮と言いながら、その実、レーガン大統領の力の政策を全面的に支持したことは矛盾のきわみであります。その端的な事実はSDI、いわゆるスターウオーズ計画の研究に理解を示したことであります。否、総理は、支持するというのが本音ではないでしょうか。
 SDI計画は、核軍拡を宇宙にまで拡大する危険きわまりないものであり、宇宙における軍備競争防止のための国連決議に違反することはだれの目にも明らかであります。研究が単なる研究にとどまらず、やがて実戦配備につながることは子供でもわかる軍拡の論理ではありませんか。にもかかわらず、防衛的なものであり、核廃絶のためであるというレーガン大統領の詭弁をうのみにしたことの責任は極めて重大であります。なぜ総理は宇宙の平和利用という我が国の基本方針に立って大統領を説得しなかったのでありましょうか。そのようなイニシアをとることこそ、非核、平和国家日本の総理大臣に課せられた使命ではありませんか。総理の御見解を伺います。
 一方、我が国においても、カールビンソンの横須賀寄港、トマホーク搭載艦の入港、日米共同計画の策定等によって非核三原則や専守防衛の枠組みが次々に破られているのであります。これらは平和憲法と国是を踏みにじり、西側の一員と称してレーガン戦略に加担しようとする中曽根外交の本質を示すものであり、断じて容認できるものではありません。直ちに憲法と国是を守る政策に立ち返るべきであります。あわせて御見解を伺いたいのであります。
 昨年来アメリカは環太平洋協力の構想を打ち出しておりますが、その背景には、この地域が対ソ戦略上重要な地域となったという軍事情勢に対する認識があることは否定できません。また、この地域をアメリカ経済の有望なマーケットにしようとする経済進出の意図も明らかであります。したがって、我が国がこの構想に同調することに対し、環太平洋諸国から、日米による太平洋支配に通ずるのではないか、環太平洋の平和と繁栄に逆行するのではないかとの強い疑念が出されております。我が国にとって真に必要な環太平洋協力とは、米ソの核戦略の対決の場となっているこの地域に非核地帯を設置するため、関係国とともに協力することではないでしょうか。その点、先般の大洋州訪問における総理の姿勢はまことに積極性を欠くものと言わざるを得ません。総りの御見解を伺います。
 さて、ソ連との外交を積極的に打開することは我が国外交の重要課題の一つであります。要は、アメリカの対ソ姿勢をうかがいながら行うのではなく、日ソ関係の進展が米ソ関係の改善をリードするくらいの意気込みで取り組むことであります。総理の決意のほどをお聞かせ願います。
 朝鮮半島では、とりわけ朝鮮民主主義人民共和国の柔軟な姿勢によって南北対話促進の機運が芽生えたにもかかわらず、米韓軍事演習の強行によってこの機運が損なわれようとしているのは甚だ遺憾であります。政府は、こうした南北対話を積極的に推進するとともに、朝鮮民主主義人民共和国に対する従来のような消極的態度を改め、貿易事務所の相互開設、常駐記者の交換等を手始めに具体的な関係改善措置をとるべきであります。総理の御見解を伺います。
 他方、韓国では、二月の総選挙に向け野党勢力が民主化を要求する中で、金泳三氏が自宅軟禁されるなど憂うべき状況にあります。また、近々帰国する金大中氏への韓国政府の対応が注目されますが、金大中氏事件が我が国に対する明らかな主権侵害であったにもかかわらず、あいまいな政治決着をつけた経緯にかんがみ、政府はせめて金大中氏の帰国後の自由を韓国政府に要求すべきではないでしょうか。総理の御見解をお伺いいたします。
 言うまでもなく、経済協力は我が国平和外交の大きな柱でありますが、今回の日米会談で米国は、我が国の政府開発援助が世界の平和と安定にとって重要な地域に行われていると、その戦略援助的側面を高く評価し、さらに今後は日米両国が協調して援助を進める方向で合意したのであります。これは我が国の援助を米国の世界戦略に完全に組み込もうとするものであり、我々はこのような援助を認めることはできません。我が国は、あくまで人道的観点に立ち、アフリカ諸国の飢餓、開発途上国における農村と都市の二重の貧困などを打開するためにいわば平和的経済協力を進めるべきであります。総理の御所見をお聞かせ願います。
 次に、防衛問題についてお伺いします。
 総理は、就任以来、レーガン政権の対ソ戦略と呼応して、力の均衡による抑止を打ち出し、防衛力増強の姿勢を一貫してとってまいりました。この結果、防衛費は財政再建下にもかかわらず聖域扱いされ、来年度予算においても訪米の手土産として六・九%と突出をさせたのであります。たび重なる軍事偏重予算との指摘に対し、総理は、必要最小限の防衛費、国際情勢の変化、これを理由にその姿勢を改めようとしないのであります。昭和初期の我が国が、現在と同様に国際情勢の変化と必要最小限を理由に急速な軍拡を行ったことを想起するとき、いつか来た道を歩もうとしていることに強い危惧の念を抱かざるを得ないのであります。総理は、ことしを平和と軍縮の年にしたいと語りましたが、防衛費の突出と軍縮とはどこでどう結びつくのか、全く理解に苦しむところであります。これでは、幾ら軍縮を叫んでも、我が国国民はもとより、国際的にも信用されるはずはないではありませんか。
 また、防衛費は二兆三千億円余の後年度負担を抱えており、予算の三四%に当たる一兆一千億円が既存のツケの支払いに充てられることになっており、財政の硬直化をもたらしているではありませんか。総理が真に平和と軍縮を言われるなら、この悪循環を断ち切り、防衛費を削減し、世界の平和と安定、国民の福祉の向上に役立つ経費に充てるべきであると考えますが、いかがですか。
 そして、防衛費に政府みずからが歯どめをかけたGNP一%枠については昨日衆議院で御答弁がありましたが、人事院勧告はもちろん完全実施すべきものであります。そこで、装備費を削ってでも一%枠は守るべきだと思いますが、総理の明確な御答弁をいただきたいのであります。
 さらに、防衛計画の大綱見直しの問題についてであります。もともとこの大綱は、量的歯どめというよりも科学技術の進歩、周辺軍事情勢への対応といった兵器の質的向上をてこに最新兵器を追い求めるものであります。このような軍拡に拍車をかける大綱見直しは即時中止すべきであります。総理の御見解を伺います。
 次に、経済、財政問題について伺います。
 戦後最大の不況と言われた第二次石油危機の後遺症からようやく脱却し、昨年は景気が回復から拡大へと歩み始めた年でありました。しかし、その回復と拡大の中身は、政府の描いた最終消費と国内投資を中心とした成長にはほど遠く、専らアメリカの景気拡大に支えられた輸出依存型の成長そのものでありました。そのため、輸出比率の高い大企業はその収益は極めて良好である一方、輸出力の弱い中小企業は回復から拡大への波に乗り切れず、昨年の倒産件数は史上最高を記録したのであります。また、低い賃上げによる所得の伸び悩みはそのまま消費の長期停滞を招来し、内需拡大の足を引っ張っているのであります。総理は、こうした内外需の不均衡と国内経済のゆがみをどう認識され、どのような是正対策をとられてきたか。あわせて、六十年度の経済運営を内需型に転換すると言われますが、そのために本年度と違ったどんな政策を準備されたのか、伺いたいのであります。
 次に外需、とりわけ対米輸出依存度の高い我が国経済は、来年度も四百億ドルを上回る莫大な貿易黒字を計上しようとしております。逆にアメリカ経済は景気拡大とドル高によって巨額の貿易赤字に陥っており、両国の間に再び大きな通商摩擦の危険が広がっております。こうした両国間の状況を前に、さきの総理とレーガン大統領との会談では、懸案の通商問題を早期解決することで意見が一致したと報じられております。しかし、会談の内容を検討するとき、意見一致の宣伝とは逆に、我が国にとって解決策を見出しにくい難題を背負わされたものと言わざるを得ません。すなわち、これまで我が国がとってきた懸案を一括処理する総合対策方式では、もはやアメリカはもとより諸外国を納得させることはできず、今後は通信、衛星、ハイテク、自動車といった個別問題ごとに市場開放策を検討せざるを得なくなりているのではありませんか。にもかかわらず総理は、なぜ貿易不均衡の元凶であるアメリカの高金利政策や軍事優先の財政政策を改めるよう我が国の率直な意見を表明しなかったのか、理解に苦しむ点であります。
 さらに総理は、会談後の記者会見で、三月をめどに市場開放策の成案を得たいとも述べておられます。総理、これまで果たそうとして果たし得なかった市場開放策が、三月までという短期間でまとめ上げる自信がおありですか。これには与党首脳も難色を示しておられるようでありますが、個別案件の具体策決定が暗礁に乗り上げたとき、これを乗り切る覚悟がおありになるのかどうか、あわせて御答弁をいただきます。
 財政問題については、五十年代の我が国の財政運営は、その前半において増税による再建をもくろんで失敗し、後半は増税なしの歳出削減による再建を目指しました。しかし、税収の大幅な見込み違いからこれまた失敗に終わり、財政再建は空念仏に終わりました。中曽根内閣の歳出削減の手法は、財界主導の第二臨調を背景にした極めて削りやすいところから削るという弱者しわ寄せの削減方式であったと言わざるを得ません。政府の言う「削減に聖域なし」の言葉とは裏腹に、防衛予算は異常突出で優遇し、福祉、文教関係は制度をねじ曲げてまでも大幅削減を追っているではありませんか。総理、これでも削減に聖域を設けなかったと言い得るのでありましょうか。一体総理の言われる聖域とは何でしょうか、御説明をいただきたい点であります。
 政府は、さきの「展望と指針」において六十五年度赤字国債脱却をうたいましたが、既に五十九、六十両年度においては計画以下の赤字国債減額しかできておりません。そのため今後は毎年度赤字国債一兆一千四百六十億円の減額と数兆円の要調整額の削減をしていかなければなりません。六十年度は、国債費定率繰り入れの三年連続停止を初め、地方への負担転嫁、支出の後送り等の帳じり合わせで辛うじて収支を合わせたものの、もはやこの種の手品は通用するはずもなく、一般歳出の削減が一段と厳しくなることは火を見るより明らかであります。加えて、これまで歳出削減に大きく貢献したマイナスシーリング方式も三年目を迎えて、政府・与党内部から、もはや限界に来たとの主張が頻繁にされているではありませんか。今後一段と難しくなっていく歳出削減、四方八方から聞こえてくる削減反対の声の中で、総理はそれでも増税なしの財政再建と六十五年度赤字国債脱却を貫く決意があるのかどうか、また、その場合の具体的な再建手法をあわせてお答えいただきたいのであります。
 問題は、こうした歳出削減の限界の声とともに、政府・与党、あの財界までが最近増税を容認する発言を行っている点であります。トーゴーサンの不公平税制、金持ちと大企業優遇の不公平税制の是正をなおざりにしてきた政府は、こうした声をいいことに、大型増税導入の環境づくりを進めようとしているのではありませんか。総理、これではもはや政府は増税なしの財政再建を放棄したと国民の目には映ります。昨日、総理は衆議院で、一般消費税は導入しないと答弁されました。これは、大平内閣当時、国会で一般消費税創設禁止の決議がある以上当然であります。この答弁は、現在まで各国で実施されてきた五つのタイプの大型間接税は導入しないという趣旨であるかどうか、明確にしていただきたいのであります。
 次に、教育問題について伺います。
 受験地獄、非行、暴力、偏差値教育に見られる現在の教育荒廃の克服は国民共通の願いであります。しかし、今行われている総理主導の教育改革、すなわち臨教審の審議には深く危惧の念を感じます。例えば、「教育の自由化」が主張されていますが、これは学校設立の自由化と称し、塾まで学校に認定せよというものでありまして、教育現場に自主性を与える真の教育の自由とはおよそ似て非なるものであり、教育に企業の論理を持ち込み、国や自治体が責任を持つ公教育の解体につながるものであります。
 私は、臨教審に対し疑念を持っております。もともと政権党の領袖が直属の機関によっての教育改革は、教育の中立、不偏不党の原則になじまないと確信するからであります。実際に委員や専門委員の顔ぶれは教育の専門家をほとんど欠き、中曽根ブレーンの登用など、総理好みの人選となっているではありませんか。これをどう説明されますか。
 また、教育は「国家百年の大計」と言われるように、教育政策の立案は断じて拙速であってはなりません。しかるに臨教審は、我が国教育が直面している諸問題について十分な基礎的、実証的な調査研究と基本的な検討を行うことなく答申づくりを進めようとしております。これでは国民合意の改革ではなく、総理の手による間接的な教育引き回しではありませんか。今、国民が強く望んでいることは、国民合意の制度改革であり、四十人学級の早期実現、過大規模校の解消、私学助成の充実等、行き届いた教育の実現であります。ところが、文教関係予算はわずかに〇・二%の増、しかもこれには人件費等の当然増が含まれており、実質はマイナス予算であります。ここに総理の言う教育改革の実態があります。総理は、金のかからないスケールの大きい改革を目指す、すなわち教育基本法改正の地ならしをねらっておられるのではないでしょうか。御所見を承ります。
 次に、高齢化社会への対応についてお尋ねいたします。
 今日の我が国は、世界に例を見ないスピードで高齢化社会を迎えており、これに対処する諸施策は緊急を要し、政府の責任は重大であります。今、緊急になさねばならないことは、老後を安心して過ごせる仕事と暮らしの場の保障であります。中曽根内閣は、老人のための社会施設を、「施設中心から地域中心へ」の宣伝文句で、家庭扶養と自助努力を強調し、他方で政府のやるべき施設の充実や介護者確保等、諸般の施策を手抜きしてはおりませんか。
 また、老後の所得保障としての年金について、食べられる年金はどこへやら、制度改革に名をかりて、雇用予測など成長要因を入れずに、支給額の切り下げと支給年齢の引き上げという改悪をねらっているではありませんか。我が党はかねてより、夫婦で十万円の基本年金など暮らせる年金制度への抜本改正と、その財源確保のため福祉税の創設を提示しております。総理は、国民生活の動向等を考慮に入れた年金保障と将来の水準引き上げにどのような構想をお持ちでしょうか、お伺いをいたします。
 次に、国鉄問題について伺います。
 現在、国鉄は二十二兆円にも及ぶ長期債務を抱え、まさに破産の状態にあります。ところが、この危機の原因について、政府も自民党も、国鉄内部のみにあるかのごとき態度をとっていることは承知できません。赤字承知で、しかも巨額な建設資金は借金というやり方で新線建設を行ったり、景気浮揚策に国鉄を従属させ、設備投資を借金で行わせたツケが長期債務の半分以上を占めることは何を意味しますか。国民と関係労働者に大きな犠牲を強要しながら、今度こそはこれで再建すると国鉄関連法案を強行成立させてきた責任はだれが負うべきですか。こうした場当たり的な政治そのものが、国鉄経営をますます深刻にした事実を率直に認めるべきだと思います。
 そして今度は、経営再建と称して、国民の財産である国鉄を解体に導く分割民営を強行しようとすることは、真の国鉄再建につながらないと信じます。私は、ここで改めて政府が国鉄をこのような事態にまで追い込んだ責任を厳しく問うと同時に、総合交通政策を樹立、その中で公共交通として国鉄を存置すべきであると思いますが、総理の御所見を伺います。
 次に、女子差別撤廃について伺います。
 国連婦人の十年も最後の年となりました。婦人差別撤廃条約も既に六十二カ国が批准、大きな効力を発揮しております。総理も七月の世界会議までには批准すると公約されておりますが、そのためには国内において条約の理念が生かされ、その要請を満たす諸施策が実施されなければなりません。また、継続審議となっている男女雇用機会均等法は、大方の期待を裏切り、先進国の法律としてはまことに貧弱な内容と言わざるを得ません。平等実現のために制定される法律がかえって格差を拡大し、女性の労働権を奪うおそれさえあるものとなっていることは甚だ遺憾であります。政府は、参議院審議の段階において、女性の労働権を基本的人権として、保障、雇用のすべての分野における差別の禁止、救済の措置を明記した実効あるものとすべきであります。総理の御見解を承ります。
 さらに、基本的人権にかかわるいま一つの問題として部落差別問題があります。
 本年は同対審答申が出されて二十年に相なります。同和事業は一定の前進を示しておりますが、今なお教育や労働の面で深刻な事態があり、また差別事件が激発している現状にかんがみ、差別の実態を総合的に把握し、部落差別の根本的解決に向けた方向を明らかにする必要があります。総理の御決意のほどを承りたいのであります。
 最後に、中曽根内閣は発足後三年目を迎えております。しかし、党内基盤の脆弱さから、総理の専権事項である解散問題についてさえ、与党の首脳が、年内解散はないと繰り返し、増税のチャンスとまで発言をしておりまして、党高政低、あすなき中曽根政権とさえ言われております。政党政治である以上、与党が内閣に強い影響を持つのは当然ですが、党と内閣は相互に独立し、政府のチェックは議会を中心に進めるのが議会制民主主義の根本原理ではないでしょうか。
 私は、今尾崎行雄先生の「憲政の危機」の一文を想起するのであります。先生は、「議会は言論を闘わし、事実と道理の有無、正邪曲直の区別を明らかにし、もって国家民衆の福利を図るためにある。しかして、いかに多数でも、邪を転じて正となし、曲を変じて直となすことは許されず、議会政治の根本はこの一事にある」「しかるに、表決において多数さえ得ればそれで満足する向きがあるが、これでは議事堂にあらず表決堂に陥る」と、議会政治の真髄を説いておられます。
 総理、我が国政治の現状は、まさに尾崎先生が指摘されたとおりではないでしょうか。道理と正邪曲直が素直に国民に理解される政治、少数意見が尊重される議会制民主主義の政治の確立を強く総理に要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 小野議員の御質問にお答えを申し上げます。
 まず第一は、政治姿勢でございますが、私は戦後政治の総決算ということを申し上げましたが、これは戦後四十年の日本のたどってきたこの輝かしい成果をさらに発展助長するということと同時に、今までの欠陥を改め、二十一世紀に向かってたくましい文化と福祉の国を築き上げようという考えに立って、国際国家、あるいは行革、財革、教育改革等の三大改革を着実に実らしていこう、そういう信念に立って行っておるものであります。この点につきましてはいろいろ御理解をお願いいたしたいと思っております。いろいろ私の政治手法について御批判をいただきましたが、この基本やあるいは政治信念というものは微動だにもするものではありません。しかし、政治というものは変化に対応する能力を持っているのがまた政治でもある、そのように考えております。
 さらに、審議会の問題について御質問いただきましたが、行政の運営に当たりましては、独善に流れることのないように、各界にわたる有識者の意見を聞いて、国民世論をいかに反映させるか、国民の御理解をいかにいただいていくか、これがやはり民主主義的な政治手法の一つのあり方であります。
 そういう考えに立ちまして、行政府といたしましては、いろいろの国民世論その他を採択し、検討する必要上、今のような処置をとっております。そして、例えば社会保障制度審議会とか、地方制度調査会とか、あるいは原子力委員会とか、あるいは臨時行政調査会とか、あるいは今回の臨時教育審議会とか、あるいは高度情報社会懇談会とか、あるいは御指摘の平和問題研究会とか、みんな国民世論を反映して、そして国民に批判のチャンスを与え、的確に、有効に機能していると思っております。
 ただ、懇談会の場合は、これは委員個々の意見を拝聴する、そういう考えでいわゆる答申というものはありません。政府が行政を行うその責任におきまして、一体国民の皆様は何をお考えになっておるのだろうかという、そういう国民全体の意見を反映させるという意味におきまして個々の委員の御意見を拝聴する、こういうやり方で行っておるので、最終的には国会におきまして予算や法律の御審議を願って国会で決めていただいておるものでありまして、これはあくまで民主的な一つの手法である、そのようにお考え願いたいと思うのであります。
 政治倫理につきましては、いわゆる総裁声明は守られていると確信しております。自由民主党は公党でありまして、機関中心主義で動いておるのであります。党外の方々のいろいろ御意見やあるいはさまざまな御見解が表明されることはあるでしょう。これは、議員である以上はそのような権能を持ち、職責を持って選挙民に対する義務を果たす必要があると思うのでありますが、自由民主党がどういう政策を行い、どういうような党運営を行っているかということは、党の機関が中心になって総意を結集して行われておるということをぜひ御了知願いたいと思うのであります。
 次に、政治倫理審査会の問題でございます。
 これは今、政治倫理協議会におきまして各党間で鋭意協議しておるところでありまして、どのような項目について審査を行うかということは各党間におきまして決定すべきことであり、この推移を見守っておる、できるだけ早期に審査会設置につきまして各党の合意が得られるように我々も懸命の努力をいたす所存でございます。
 次に、米国の戦略防衛構想に関する御質問でございましたが、レーガン大統領と私との会談におきましては、明確に先方は、これは非核兵器であるということ、防御兵器であるということ、そして相手の弾道弾が来る途中でこれを無能力化するという兵器である、そして最終的には核兵器を地上からなくすための考え方で行っており、長期的な研究をやろうとしている、そういう考えでありましたので、非核であり、防御兵器であり、核兵器を廃止する目的であるという点に私は共鳴いたしまして、そうしてSDIの研究については理解を示した。
 ただ、これが将来どういう内容を持ってどういうふうに発展していくかということは未知でありますから、随時情報を与えてもらいたい、また協議をやってもらいたいということを申し述べまして、先方の了解を得たところであります。これらの推移に応じましては、平和国家としての基本的な理念を踏まえて、政府としての対応を自主的に今後検討をしてまいるつもりであります。
 我が国の防衛政策について御質問をいただきましたが、我が国の防衛政策は、やはり日本の防衛というものを中心にいたしまして日米安保体制の円滑かつ効果的な運用を図る。そして、自衛の必要な範囲におきまして質の高い効率的な防衛力を整備し、平和憲法のもとで専守防衛に徹し、非核三原則を堅持し、近隣諸国に軍事的脅威を与えない、これらの従来の方針にのっとって行うものであります。しかし、防衛の思想の根底には社会党と違うところがあると思うのであります。それは、我々はいわゆる非武装中立論というものをとっていない。その基本からも出ていると思うのでありますが、遺憾ながら、現在の平和が維持されているというのは、均衡による抑止力というものによって現に戦争の勃発が抑止されていると考えております。
 第二番目に、防衛の問題というものは、やはり世界的視野に立って、そして世界全体の協力において戦争を起こさせないような努力をし、日本もその一環を受け持って平和のために努力するというのが方針であります。そういうような考えに立って、特にこれらの軍縮等の問題について、日本やアジアの犠牲においてこれがなされてはならないということをあくまで確保しておきたいと考えておるのであります。
 太平洋協力につきましては、太平洋協力の時代が来るということは歴史の趨勢であると考えております。しかし、日本やアメリカが突出することは、また経済的に支配するのであろうという危惧、猜疑心を生みます。したがって、これについては極めて慎重な態度を要するということを私言いまして、レーガン大統領やあるいはホーク・オーストラリア首相等とも話をして、意見の一致を見たのであります。その点は、まず経済、文化、技術を中心にするということ、排他的であってはならない、世界各地域との協力を前提にする、ASE AN諸国等を中心にそのイニシアチブを尊重していきたい、そしてアメリカや日本が突出することは厳に慎む等々において完全に意見が一致したものなのであり、今後そのような方針で進めていきます。
 非核地帯設置という問題につきましては、これらの太平洋協力は我が方の考えでは、政治や軍事という問題にはかかわらないという考えを持っておるということを申し上げたいのであります。
 日ソ関係につきましては、何といっても領土問題というこの基本的問題を避けて通るわけにはまいりません。日ソ関係の進展というものは、一面においては世界情勢に関係してくる。世界情勢からの影響、米ソ間の影響というものも一つはあると思います。しかし、世界情勢ができるだけ東西の融和、対話の方向に向かうように私は努力すべきものであると思っております。日ソ両国間の関係におきましても、この対話を維持拡大して、関係改善に今後とも積極的に努力してまいりたい。先方も日本の実情をよく認識して、そして向こうの方も積極的に努力するように期待しているものなのであります。
 南北問題と日朝問題でございますが、南北対話の再開のための環境づくりにつきましては、政府は引き続き努力してまいります。
 北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との関係につきましては、従来どおり民間レベルの交流を維持して経済等について考慮してまいるということでありますが、しかしいわゆる貿易事務所の問題や常駐記者の交換等は、あくまでこれは南北相互の融和がどのように進むであろうか、あるいは韓国政府の考え方がいかなるものであろうか、あるいは半島情勢全般の平和と安定に対していかなる影響を与えるであろうかと、こういうような点をよく考慮しつつ慎重に考うべき問題であると思います。
 金大中氏の問題につきましては、政府としても同氏の安全な帰国を希望しておりますが、この帰国問題あるいは帰国後いかなる扱いを受けるかということは韓国の国内問題でありまして、我々がコメントする問題ではないと思います。
 我が国の援助政策につきましては、これは相互依存とそれから人道主義という観点に基づき、特にその国々の福祉と安定というものを中心に考えており、この点については日米間においても協議しておるところであり、最終的には我が国の独自の見解、それから我が国の国策、こういうものを中心にして決定してまいりたいと考えております。
 さらに、防衛費の問題でございますが、先ほど申し上げましたような防衛の基本理念、基本政策に基づきまして、必要最小限度の費用で、しかも予算編成に当たりましては、社会福祉や教育やそのほかとの調和もよく考慮しつつ、ぎりぎりの調和を図ってきたということであります。
 六十年度の予算編成におきましては、厳しい財政ではありますが、いわゆる新規後年度負担額というものは一兆二千三百二十八億になります。この数字は前年度に対して六・三%増であり、増加額七百二十九億円でありますが、これらはいずれも額としては前年度を下回っておる水準になっておるのであります。数字をちょっと申し上げますと、昨年度は七百九十八億円の増、今年度は七百二十九億円の増、こういうことになっております。
 防衛費の削減の問題でございますが、それは、先ほど申し上げましたような考えに基づきまして、さらに経費の効率化、合理化に努めつつ、他の諸施策との調和を図ってまいります。
 福祉予算につきましても、今回は老人や心身障害者に対する福祉の充実、あるいは保健事業、高齢者対策等についても細かく配慮しておるところであります。
 GNP一%の問題については、これはきのうも御答弁申し上げましたが、できるだけ守るように努力をする。しかし、一面においては早く防衛計画の大綱の水準を達成するという努力もやらなければなりません。そして、六十年度の人勧あるいはGNPの伸び等々の問題とも関係してまいりまして、現時点で確たることを申し述べることは困難でございます。仮に将来この方針を変更せざるを得ないという場合が生じたときにはそのときに対応する。もちろん変更するという場合には、閣議あるいは国防会議における論議もあり、またいわゆる節度ある防衛力のあり方について当然検討すべきものであると考えております。
 次に、国際軍事情勢は防衛計画の大綱策定当時に比して非常に厳しさを増しており、大きな変化をしておると思います。政府としては、大綱の早期達成に努力するということが我々の現在の努力の目標でございまして、これを見直すことは今考えてはおりません。
 次に、経済の問題でございますが、五十九年度は、我が国経済は輸出が引き続き増加傾向にあり、一面において設備投資と消費がかなり出てきておるのでございます。若干景気にはばらつきが出てきておりますが、この設備投資と消費の増高というものに弾みをつけるように今後とも努力をしております。六十年度におきましては、特に物価安定、これをさらに持続していくということと、国内民間需要の拡大を図る、そして持続的な安定成長を図っていくという考えに立ち、民間活力を最大限に発揮するという考えに立って実行しております。
 中小企業におきましても、政府としては大きな関心を持って政策を行っておるところでございますが、最近は中小企業の設備投資の意欲が非常に出てまいり、内需中心の拡大に応じて中小企業政策についてもきめの細かい政策をしてまいります。昭和六十年度の経済成長率は名目で六・一%、実質で四・六%程度は達成できる見込みでございます。
 次に、日米首脳会談でございますが、この日米首脳会談におきましては、世界経済及び両国経済の問題の推進、解決について完全に意見の一致を見たところでございます。我が方からは、アメリカはいろいろ財政難に悩んでおりますが、外国に急激なショックを与えるような政策は絶対回避するということ、いわゆるニクソン・ショックのようなことを再び起こしてはならない、そういう意味において、アメリカ経済のソフトランディング、軟着陸を強く要望いたしました。それから高金利の是正、それから保護主義に対する徹底的な闘争、これをともに実行しようということで努力してまいりたいということでございます。この三つの点は我が方からも強く主張したところであります。
 なお、米国の国防政策は、いずれ教書が出てくると思いますが、私はレーガン大統領と会ってみまして、これは真に軍縮と平和を求めているな、真剣にジュネーブ会議に出ていくなということを実感いたしました。果たせるかな、ソ連側にもそういう熱意がありまして、ジュネーブ会議が一応妥結して次の道が開けたことは甚だ歓迎すべきものであると考えております。
 市場開放政策につきましては、日米会談において市場開放を要請され、何しろ三百数十億ドルに及ぶ日本の輸出超過が出ておるものでございますから、アメリカ国民や議会に対する政府の立場もあると思うのであります。特に、電気通信、エレクトロニクス、それから医薬品、医療器具、木材製品における我が国の一層の努力を要請されたことは事実であります。我が方は、いわゆる経済関係の閣僚会議を設置をし、また諮問委員会をつくりまして、この諮問委員会の特別参考人にアジア、アメリカ、ヨーロッパからの外国人も入れまして、その猜疑心をなくし、透明性を確認してもらう、そういう特別の措置もとっており、関係各省の事務次官を中心にして、これに対する対応を今やらしており、いよいよ交渉が開始されるという段階になっておるのであります。
 防衛予算が突出ではないかという御質問でございますが、これはいわゆる聖域を設けずやったのであります。しかし、今までの予算編成と同じように、国際関係であるとかエネルギーであるとか、そういう点は若干考慮してきた、これは予算編成の基準としても今までとってきたところであり、ODA等も特別の配慮を行ったというところでございます。
 次に、増税なき財政再建と赤字国債脱却の問題でございます。
 確かに、我が国の財政状況は中長期的に見まして極めて厳しい状況にあって、六十五年度赤字公債依存体質脱却ということも非常に厳しい道であるとは思いますが、その達成に向かって今後も努力をしてまいります。今回も予算におきまして、苦しい中で一兆円の国債減額を実行し、あるいは電電公社、専売公社等の株式の売却可能な分につきましてはこれを公債償還財源として組み込んでおいた、これらはいずれも財政改革に役立つものであると考えております。
 今後とも歳出面におきましては、政府と民間との役割分担あるいは国と地方との機能分担、権限の移譲等々につきまして引き続いて努力をしてまいりますし、歳入につきましても、税制調査会の答申、あるいは将来にわたる一つの課題として、この税、終戦以来、シャウプ税制以来の日本の税体系というものは相当なゆがみも出、国民の不満も相当ございます。そういう意味におきまして根本的検討に入ろう、そういうことをこの国会でも御説明申し上げたところなのでございます。
 その趣旨は、税収を目的としているのではない、財政再建のために行おうとしているのではない、日本の税制自体が非常にゆがみとひずみを生じておるし、国民の不満が多い、そういうものを公平、公正、簡素、それから選択、こういうようなプリンシプルを中心にして根本的に見直していただこう、そういう考えに立って行うものなのであります。
 大型間接税の問題につきましては、今まで申し上げましたように、いわゆる一般消費税というものは中曽根内閣では行わないと申し上げたとおりであります。将来の税体系のあり方については、政府税調及び党の税調等においてこれから御審議を願い、あるいは今申し上げた根本的な再検討に入るということになりますが、これらについて政府は白紙の態度で臨みたいと考えておるところでございます。
 次に、臨教審の問題でありますが、委員及び専門委員の任命に当たりましては、国民各層の世論を余すことなく反映できるような人選に配慮をした、そういうことなのであります。
 臨教審における審議は、我が国教育の実態、それから我が国教育と外国教育との比較、あるいは国民の不満、あるいは一面におきましては受ける方の学生や子供たちの立場も考える、これは非常に大事な点であります。そういうような観点から委員会におきましていろいろ御議論を願いたいと思いますし、今非常に活発な白熱的な論議が行われているということを歓迎するものであります。臨教審の運営は、もとより臨教審が主体的、自主的に行うものでありまして、審議会の合意がどういうふうに形成されるか、我々は見守る立場にあります。
 次に、教育基本法の問題でございますが、臨教審設置法にも明示されておりますとおり、教育基本法の精神にのっとり、これと取り組んでいただきたいという立場でございまして、政府としては教育基本法を改正する意思はございません。もちろん、臨教審は言論は自由でございます。また、政府は答申尊重の義務を法律上負っております。どういう答申が出たか、出た際に国民あるいは国会の皆さんの御議論等をよく勘案して政府は検討したい、そのように考えております。
 社会施設や老人対策でございますが、私は、やはり地域社会の協力それから在宅福祉、これが重要な原則であると思いますし、また老人や身体障害者については生きがいを我々が保障する、そういう環境をつくり上げていくということがやはり中心でなければならぬと思っております。しかし、寝たきり老人その他については、家庭奉仕員の派遣とか増員とかその他についてきめ細かい努力をしております。老人ホームの整備につきましても同様に努力しております。
 六十年度におきましては、家庭奉仕員は大体千七百五名ふやそうと思っております。それから特別養護老人ホーム、これは五十八年でありますが、十万五千八百八十七人の方々がこの中に収容されており、これらにつきましても努力してまいりたいと思います。
 社会保障につきましては、年金制度の抜本的改革を行う必要があるのであります。それは現在のまま放置したら年金会計がパンクする危険も出てくるし、非常な世代間の不公平も出てくる危険性があるからであり、それは高齢化社会が急速に到来しているからなのでもあります。そういう意味におきまして、この世代間の公平、それから給付と負担の公平、こういう点を考えまして、七十年を目標に年金体系の一元化に向かって政府は今全力を尽くしておるところでございまして、今回も法案を提出しておりますが、ぜひとも早目に御審議をいただきたい、そう考えております。年金水準につきましには、賃金とか物価水準とか、あるいは負担率とか、そういうものを慎重に考えていくべきであると考えております。
 次に、国鉄問題でございます。
 国鉄破綻の原因がどこにあるかということでございますが、やはり一つは、現在あるこの公社制度の欠陥というものが大きくあるのではないかと思います。また、いわゆるモータリゼーションとか航空輸送の増加に対応する国鉄の対応力が弱かったという経営上の問題もあるのではないかと思います。あるいは設備投資の問題もございましょう。そういうさまざまな理由によって今日の国鉄の状態が誘致されたと考えております。
 さらに、これからの問題といたしましては、このような経営の抜本的改革の問題や長期債務の問題等重大な問題がございますが、国鉄再建監理委員会において御審議を願い、その結論を尊重して行いたいと思います。国鉄につきましては、今や全国民が国鉄の抜本的改革を期待しておると、そのように考えております。
 総合交通体系につきましては、私も賛成でございまして、これは鉄道とか自動車とか海運とか航空とか、さまざまな機関の特色を生かした調和のある効率的な体系をつくり上げる。国鉄についてもその一部分として特性を生かすような体系をつくってまいりたいと考えております。
 次に、婦人差別問題でございますが、政府は、雇用における男女の機会均等及び待遇の確保を促進するために、現段階において最も適切な措置として男女雇用機会均等法案を前国会に提出いたしました。これにつきましては、ぜひとも、条約批准の関係もありまして、速やかに御審議、決定願いたいとお願いする次第でございます。
 同和問題に対する御質問でございますが、同和問題の早期解決を図るために、地域改善対策特別措置法によりまして積極的に今推進しておるところでございます。この特別措置法はあと二年という現時点に立ちまして、同和問題の実態を的確に把握した上、この法の有効期間内に残事業の計画的達成を図る所存でございます。
 最後に、議会制民主主義についての御質問でございますが、もちろん党と内閣とは別の組織であり、片や民であり、片は官であり公であります。しかし、現在の民主政治はいわゆる議院内閣制のもとに運用されておりまして、政党政治であります。政党政治である以上、責任政党による与党と内閣とが密接な連携を持って政治を行っていくのが当然であり、つまり民主政治、政党政治は国民世論を反映する政治であり、主権者である国民の意思に従った政治であるという意味において、その媒体である政党の重要性というものは非常に多いわけであります。そういう意味において、私は政党人としていわゆる党高政低というものはもっともな考えであると、そう考えておるのであります。しかし、内閣は内閣としての憲法上の立場があり、国民を代表する行政権、国民の負託を受けた行政権を預かっておるわけでございますから、内閣自体の権威というものもやはり保持しなければなりませんし、効率性も持っていかなければならないと思って、議会制民主主義の有終の美をおさめるように努力してまいりたいと思っております。
 わかりやすい政治、民意を反映する議会民主政治というものをぜひとも実現するようにいたしたいと思いますが、いずれにせよ、民主政治というものは、最終的には主権者である国民の意思に従うものであり、国民審判というものが最終、最高のものであると私は考えております。
 以上で答弁を終わりにいたします。(拍手)
    ─────────────
#9
○議長(木村睦男君) 古賀雷四郎君。
   〔古賀雷四郎君登壇、拍手〕
#10
○古賀雷四郎君 私は、自由民主党・自由国民会議を代表して、当面する内外の重要課題について、総理初め関係閣僚に対し若干の質問をいたします。
 質問に入る前に、長野市信更町の国道十九号線において、バス転落により、日本福祉大学の学生及び学校関係者の二十五人の死亡という痛ましい事故が発生いたしました。謹んでここに亡くなられた方々の御冥福を祈るとともに、御遺族のお見舞いを申し上げたいと存じます。
 政府並びに地方自治体等は、事故発生原因の徹底的究明を行うとともに、再発防止に万遺漏なきを期せられるように強く要請をいたします。
 さて、中曽根総理、あなたは十数年ぶりに自由民主党総裁に再任されました。そして、この難しい時期の政権を引き続き担当することになりました。総理は、就任以来、文字どおり東奔西走、世界の首脳外交を積極的に展開し、今や我が国の国際政治の面における責任と役割は確実に高まっております。また、内政面においても、従来の行財政改革を強力に推進し、続いて教育改革に取り組む姿勢を示すなど、戦後政治の総決算に着手していることは御承知のとおりでございます。こうした二年間にわたる総理の業績は、世評、仕事師内閣と言われ、高い評価を受け、中曽根内閣及び自由民主党に対する最近のマスコミの世論調査では、内閣発足以来、最高の支持となっていることは御承知のとおりでございます。
 本年は、大戦後四十年、我が党結党三十年、内閣制度百年の大きな節目を迎えております。そして、三十一世紀は指呼の間に迫ろうとしていることは御理解のとおりでございます。今日の重大時局を乗り切るには、従来の概念にとらわれず、創造的な発想とそれに伴う実行が政治に求められていると存じます。総理は、これまでの経験を踏まえ、この難局をどう認識し、分析し、政権を担当していく決意であるか。また、今日、我が国が経済大国として、国際国家としてあるのは、自由と民主主義を掲げ、戦後約四十年政権を担当してきた我が自由民主党政治により実現したものであります。今後も国の命運を担うのは我が党以外にはありません。今こそ二十一世紀を目指した新しい国づくりの道、国家目標を国民の前に示す必要があると考えます。総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、外交問題について伺います。
 まず、軍縮問題についてであります。
 総理が、本年は「平和と軍縮の年」であるといみじくも言われているとおり、現在、世界の平和と安定にとって最も緊要な課題は軍備管理、軍縮の促進を中心とする安定した東西関係であります。この観点から、今月初め、ジュネーブにおける米ソ外相会談で今後の米ソ交渉の枠組みにつき基本的に合意を見たことは大いに歓迎すべきことだと思います。しかしながら、世界の平和と安定の基礎となるべきこの交渉の見通しにつきましては、米ソの立場が大きく隔たっているところもあり、楽観を許さないものと予想されます。このような状況において、米ソ間の真摯な対話を期待しつつ、我が国としては、米ソ間軍備管理、軍縮交渉の進展のためにいかなる努力を払っていく所存であるか。まして我が国は、国連軍縮会議等の場でも具体的な軍縮措置の実現に向けて積極的に貢献していかなければならないと思いますが、総理の決意をお伺いいたします。
 次は、訪米の成果と今後の日米関係についてであります。
 さきにも述べましたように、本年は、米ソ間の軍備管理交渉等を通じ東西関係の進展が期待される年であり、また世界経済のインフレなき持続的成長の確保という観点からも重要な年であります。このように、世界の平和と繁栄にとって節目ともなり得る本年の年頭に当たって、総理が訪米され、レーガン大統領と首脳会談を行われたことは、総理が世界の平和と繁栄のために日米両国が果たすべき役割と責任を十分認識されてのことと思います。今回の訪米の成果と今後の日米関係のあり方について総理の見解を伺います。
 日米間には現実に大きな貿易不均衡が存在し、今後ますます日本に対する市場開放への圧力が高まってくると予想されます。現に、首脳会談においては、レーガン大統領みずから個別分野について市場開放を要請したと聞いております。具体的にはどのような話し合いが行われたのか。また、我が国としては、今後こうした米国の要求に対しどのように対応していく考えでありましょうか。
 今回の首脳会談において、総理は、米国の戦略防衛構想、SDIに理解を示したとのことでありますが、それはいかなる考えに立ってのことか。また、戦略防衛構想とはいかなるものと認識されているのか、お伺いしたいと思います。
 続いて、日ソ関係について伺います。
 本年は、我が国固有の領土である北方領土にソ連軍が上陸しまして四十年目を迎えます。一日も早く四島の一括返還を実現することが国民の悲願であり、総意であります。昨年から日ソ間の種々の対話が進む中で、ともすれば領土抜きの友好といった安易な道に引きずり込まれるのではないかとの懸念も聞かれております。今後、日ソ対話を進めるに当たり、政府の方針と、北方領土問題の解決に向けての総理の決意、及び難航している漁業問題についてどのような対応を考えているのか、総理、外務大臣にお伺いします。
 次に、開発途上国に対する経済協力について伺います。
 開発途上国に対する援助を今後一層拡充していくことは、我が国が世界の平和と安定に貢献するためにも、また対外経済依存度の高い我が国が国際協調のもとに生きていくためにも極めて重要なことと思います。我が国としては、国際公約たる現行の中期目標の達成に最大の努力を払うとともに、今後とも引き続き政府開発援助の量的、質的拡充に努める必要があると考えます。他方、同時に、援助を相手国の経済社会開発、民生の安定、福祉の向上に真に役立つものにしていく努力、そうして我が国国民の善意と友好のしるしとして心から感謝されるものとしていく努力が重要だと思います。このような目的を確保する一環として、我が国が協力している援助案件がどのように進められているか、みずから評価を行い、その結果をさらに援助の実施に反映させていくことが極めて重要であり、今後とも評価体制の一層の強化充実を図るべきものと考えます。外務大臣の考えを伺います。
 また、評価が厳正かつ公正に行われるべきことはもちろん、政府はこれを確保するためどのような方法を講じているか、お聞きしたいものであります。
 さらに、外交体制の強化の問題であります。
 我が国の外務省の陣容を見ると、定員、予算とも先進国で最低であります。これでは国運を左右する外交の大任を果たすには心もとない限りだと存じます。かかる現状にかんがみ、外交体制を強化すべきだと思いますが、外務大臣の所見を伺います。
 次に、安全保障についてお伺いします。
 国際紛争は武力によらず話し合いによって解決し、実効性ある軍縮、とりわけ核軍縮を目指すことは人類が希求する共通の願いであります。しかしながら、今日、世界の平和は軍事力の均衡に基づく抑止力によって保たれていることは冷厳な事実であります。六十年の防衛費は三兆一千三百七十一億円、前年度に比べ六・九%の増であります。これは、厳しい財政事情にあって、政府として防衛の重要性を認識した結果であり、評価するものであります。これに対し防衛予算の突出と批判する向きがありますが、これは我が国が置かれている軍事情勢の実態を理解せず、また国の独立と安全があって初めて国民の幸せがあるという国家存立の基本を忘れた誤った意見だと思います。いかがお考えでしょうか。
 六十年度の防衛予算をめぐる大きな問題にGNP一%枠の問題があります。
 防衛費のGNP比は〇・九九七%、政府公約の一%との差は予算額にして九十億でございます。今後、国家公務員の給与改善があれば一%枠の突破は必至の状況にあります。元来、この一%枠を五十一年度に決定した背景には、当時のGNPの成長率が一〇%以上というところから、一%以下の経費でも防衛計画の大綱の達成は可能であるとの判断があり、決められたものと存じます。一%論厳守でいくと、GNPが変動すればそれだけ防衛費は増します。GNPが伸びなければ防衛費は減ります。その一%そのものに合理性がありません。以上のことから、国の防衛は固定概念ではなく、そのときどきの国際情勢を十分勘案して決定すべきものであり、この一%枠は国民にわかりやすい方法で何らかの歯どめを設定して見直すべきだと存じます。
 あわせて、五十一年当時のデタント時代の限定的な小規模戦を想定して策定された防衛計画の大綱は、今日の科学技術の進歩等を考えれば再検討すべきと存じますが、これらについて総理より所見を承りたいと存じます。
 今日、世界いずこの国を見ても、自国の防衛に最も重要な秘密事項を外国に漏えいするスパイ行為に対しては法規で厳しく処断しております。我が国としても、独立国家である以上、防衛機密は国の安全のためにこれを保護する法的整備が必要と考えます。政府としてどう取り組むのか、総理の決意をお伺いしたいと存じます。
 次に、経済問題について伺います。
 まず、昭和六十年度政府経済見通しの実質経済成長率四・六%をどのようにして達成し、内需主導の経済を実現していくかであります。一昨年の二月を底に日本経済は上昇基調にあり、昭和五十九年度の実質成長率は五・三%と、五年ぶりに五%台を達成しようとしております。これは人々の予想を超えたアメリカ経済の拡大による輸出の急増と、それに誘発された企業の設備投資の増加によるものと存じます。しかし、そのアメリカ経済も昨年の夏以来成長速度が衰え、ことしは昨年の半分以下の三%台に成長率が落ち込むと見られております。したがって、日本からの輸出も減少することから、民需全般にデフレ的影響がもたらされることは避けられません。
 外需依存から内需中心の四・六%の実質成長を達成するためには、財政面からの支えが必要だと思います。六十年度予算では、財源難を理由に、道路予算を中心に若干の工夫がなされたほかは、公共投資はほぼ昨年並みにとどまりました。率直に申して、アメリカの景気後退の影響を相殺し、内需主導に転換を図るにはやや力不足と思われます。今後、経済の動向に配意し、民間活力の導入を初め内需拡大を行い得る政策手段を整えておくべきだと存じます。総理及び経済企画庁長官の見解を伺います。
 次に、対外貿易摩擦の解消についてであります。
 近年、日本の経常収支は巨額な黒字を続け、五十九年度は三百四十億ドル、六十年度も、政府見通しどおり内需主導経済が実現したとしても、今年度と同額の黒字が見込まれております。貿易立国の我が国は、諸外国との円滑な経済関係を維持することが重要であり、そのためにも保護貿易主義の台頭を許して世界の自由貿易を破壊する巨額な国際収支の黒字の累積は何としても避けなければなりません。特に、貿易の三割近くを占めるアメリカとの経済摩擦は激化さしてはならないと存じます。幸い本年正月早々の中曽根・レーガン会談で貿易摩擦解消に向けて話し合いが行われたことは、まことに時宜を得たと存じます。そこで表明された通信機器、木材の市場開放はその影響するところが大きいわけであります。今後どのような方針と段取りで取りまとめていくつもりでありますか。
 特にこの際指摘したいのは、木材製品の問題であります。
 近年、我が国の林産業は住宅建設の低迷を反映し厳しい不況下にあります。このことが国土の三分の二を占める森林、林業に深刻な影響を及ぼし、ひいては国土の保全や水源の涵養等、森林の有する公益的機能の発揮にも悪影響を生じております。こうした我が国の森林、林業に及ぼす影響を考慮した場合、木材製品の関税引き下げは慎重に対応することが必要と考えますが、これに対する総理の見解を承りたいと存じます。
 対米出超の問題は、日本の内需転換のおくれもありますが、同時にアメリカの巨額な財政赤字に起因した金融政策による異常なドル高によるものであり、政府は市場開放の検討とあわせ強くドル高の是正をアメリカに要求すべきだと思います。総理の見解を伺います。
 次に、行政改革について伺います。
 申すまでもなく、行政改革の推進は国民の声であります。我が党並びに政府は一体となり、これまで一貫して行政改革の推進に取り組んできたところであり、既に電電、専売の改革、医療保険制度の改革を初め、諸般の改革は着実に軌道に乗りつつあるものと思います。しかしながら、行政改革の推進はこれからが正念場であります。そこでまず、総理の行政改革に取り組む決意をこの際お尋ねいたします。
 これまでの政府における行政改革は、省庁組織の再編合理化、公社、特殊法人の改革あるいは社会保障等重要政策分野の改革を初め、どちらかといえば国の側の改革に重点が置かれていたのであります。しかし、我が国行政は国と地方がいわば車の両輪であり、我が国行政に占める地方公共団体の役割は極めて大であります。そこで、今後、行政改革が全体として真に実りあるものとするためには、地方公共団体においても高額給与の是正を初め徹底した減量化、効率化を行う必要があると考えます。さきに地方行革大綱が発表されましたが、今後地方行革をどのように推進していくお考えか、総理に伺います。
 次に、国鉄の事業再建についてであります。
 その緊要性にかんがみ、既に国鉄再建監理委員会において活発な審議が進められています。また、経営合理化のための各般の緊急対策も実施に移されているところであります。しかしながら、国鉄の経営は今日なお深刻の度を深め、長期債務残高は昭和六十年度末には二十三兆円を超える見込みであります。再建の前途はなお厳しいものと考えざるを得ないのであります。政府は、昭和六十二年七月末までに経営形態の抜本的改革の実現を図る旨明らかにしていますが、国鉄の再建については広く国民の理解を得てまいらなければなりません。政府は、再建に至る具体的な手順及び今後の見通しについてどのように考えておられるか、総理の見解をお伺いします。
 次に、財政改革についてお伺いします。
 我が国の財政は、六十年度末には百三十三兆円という巨額の公債残高に達する見込みであり、今後も多額の公債発行を続けざるを得ない状況にあります。この結果、国債の利払いが大半を占める国債費は十兆二千二百四十一億円となり、ついに社会保障費、地方交付税交付金を追い越して最大の歳出項目になっております。今後の高齢化社会の到来や国際社会における責任の増大等を考えれば、利払い費の急増は政策的な経費に充てる財源を圧迫し、財政の硬直化をもたらしていることは御承知のとおりでございます。六十年度からは、赤字国債の借りかえ、期間一年未満の短期国債発行という新たな問題を抱え、六十五年度赤字公債依存体質からの脱却目標が果たして達成できるのか危惧しているところであります。財政体質を改善し、財政の対応力を回復することは緊急の課題であります。また、現世代の後世代に対する責務でもあります。財政改革に臨む決意を総理にお伺いします。
 さて、政府は、昭和六十年度予算の一般歳出を前年度以下に抑え、五十八年度以来三年連続の超緊縮予算を編成されました。戦後の財政にこのような例はありません。増税なき財政再建のもと、政府が歳出削減に徹底したメスを振るわれた結果であります。しかし、財政再建の目安となる赤字国債約一兆円の減額は、五十九年度に続いて六十年度も達成できるかどうか。歳出削減だけでは財政再建が困難なことを示していると思います。臨調の増税なき財政再建策は、水膨れした高度成長型から安定成長型に財政構造を転換させるのに大きな役割を果たし、国民の支持を得たと思います。しかしながら、今後とも歳出削減だけに頼った財政再建を推し進めようとすれば、経済の拡大が抑えられ、税の自然増収は多くを期待できず、しかもそれは国債の利払いと地方交付税に消えてしまい、政策経費の一般歳出は財政再建の六十五年度までふやすことができないということが考えられます。
 今や、財政の実態とかけ離れ、言葉だけがひとり歩きしている増税なき財政再建について再検討し、財政経済の実態に合った具体的で実現可能な財政再建策を立てるべきだと思います。すなわち、臨調答申による歳出の見直しに努める一方、従来タブー視されていた歳入面の改革を図り、国債の縮減と歳出の拡大に振り向け、もって経済の成長を促す財政均衡方式を目指すべきだと確信します。総理及び大蔵大臣の見解をお伺いします。
 第二は、具体的な歳入構造の改革についてであります。
 総理も施政方針演説で税制改革の必要について言及されました。既に申し上げましたように、財政再建のために歳入面の改革は必要でありますが、さらに来るべき高齢化社会の年金を初めとする各種福祉施策に対する財源の確保の点を考えても、税構造の改革は緊急の課題であると言わなければなりません。私は、総理が戦後政治の総決算の一つとして、行革、教育に続いて税制の改革を提案されたことを受け、この際単なる直間比率の是正にとどまることなく、抜本的な改革を要請いたしたいのであります。
 すなわち、シャウプ勧告以来三十六年を経て、社会経済の変化に応じて修正、複雑化された現行税体系はいろいろな矛盾や問題点を含んでおります。すなわち、所得税における高累進税率構造の問題、法人税における高い負担と税率格差の問題、複雑で合理性の少ない個別物品税のあり方、ともすれば不公平税制の批判のある租税特別措置法等における政策税制の問題等々は、この際、より合理的かつ実情に合った、国民にわかりやすい簡素な税体系に抜本的に改めるべきであると存じます。その際、心すべきことは、税制の大幅改正が租税と社会保障の国民負担率の引き上げとなり、欧米諸国に見られるような、やる気のない、勤労意欲を喪失したいわゆる先進国病に陥らぬように、国民が負担し得る適正な負担水準はぜひ厳守していただきたいと存じます。
 以上挙げました問題をどう受けとめ、今後の税制改正に臨むのか、その基本方針を伺いますとともに、適正な国民負担率の水準をどう認識しておられるか、総理及び大蔵大臣の所見を求めたいのであります。
 次に、教育改革について伺います。
 教育は国家百年の大計と言われるように、国を担うものは人であります。我が国は、明治以来、国民の教育に対する熱情と努力により、我が国教育の充実は世界でも最高の水準になって、教育が今日の我が国の目覚ましい発展と繁栄の基盤を築いたのであります。しかしながら、戦後の教育改革から四十年を経た今日、過熱化した受験戦争から偏差値教育がまかり通り、学校教育をゆがめているほか、学校内における暴力、青少年の非行が横行し、大きな社会の問題になっております。今こそ我々は、二十一世紀の日本を担う青少年が豊かな人間性を持ち、心たくましく、社会的な連帯感と公共に奉仕する精神を持った、国際性豊かな人間に育てることが急務となっております。
 我が党・政府は、かかる教育における実態を直視し、昨年九月、臨時教育審議会を設置し、目下具体的改革案づくりが精力的に行われていますが、どうか、教育者のあり方、入試中心の偏差値教育の是正を初めとして、学校制度、教育内容、非行化対策、生涯教育等々教育全般にわたり、新しい時代の要請にこたえた、はつらつとした改革案の提示を期待いたしており、これにあわせて報告されたものは速やかに逐次実施に移していただきたいと存ずるわけでございます。総理の教育改革に取り組む決意を伺いたいのであります。
 これまでの教育は、ともすれば知的教育に偏して、人間形成の面がおろそかではなかったでしょうか。物質万能で、出世主義、功利主義に走り、国を愛すること、親を敬うこと、思いやり、助け合い等の意識が薄く、果たしてこのようなことでよいのか。かつての修身の復活ではありませんが、現行の教育基本法に問題はないのかどうか、いかがでありましょうか。
 このような観点から重視していただきたいのは道徳教育であります。現在、道徳教育については検定の教科書がありません。学習指導要領をもとに副読本、教材等を使用して実施されております。この際、道徳教育の一層の充実を図る必要があると思いますが、文部大臣の所見を承りたいと存じます。
 次に、社会保障について伺います。
 我が国の社会保障は、現在、経済の安定成長下、しかも特例公債からの脱却という財政再建を迫られる最中で高齢化社会に対応していかなければならないという大変厳しい事態に直面しております。我が国においては、今日、出生児のうち八十歳を迎えることができます者は男性では四一%、女性では六一%に達しており、まさに人生八十年時代が到来していると言われております。このような時代の到来に伴い、個々人の生活設計とともにライフサイクルの変化等を踏まえた制度、システムの樹立が必要になってまいっております。
 特に人生八十年時代においては、社会の活力を維持し、高齢者の生活を充実するため、高齢者の能力、経験をできるだけ生かす工夫がなされなければなりません。このような意味において、高年齢労働者の能力の開発向上等高齢者の雇用の確保は喫急の課題と考えます。また同時に、個々人が長い人生を健康で生きがいを持って過ごせるような健康づくり対策、生きがい対策を推進する必要があります。これらにつきまして総理の方針をお伺いいたします。
 次に、農業及び中小企業の振興について伺います。
 我が国の農林水産業を取り巻く諸情勢にはまことに厳しいものがあります。すなわち、国内では農産物等の消費の伸び悩み、価格の低迷などの問題に直面しているほか、行財政改革の観点から効率的な行政への対応が迫られています。また、対外的には米国を初め諸外国からの市場開放要求が相次いでおります。しかしながら、国民のため食糧自給率の向上を図り、食糧の安全を保障することは国として当然のことであります。このような視点から見ますと、内外の経済社会情勢がいかに厳しくとも、農家の方々が安心して将来に夢と希望を持ちながら農業にいそしめるような施策を積極的に進めていく必要があります。
 私は、困難なこととは存じますが、農業の生産性の向上を図り、我が国の農業を自立性ある足腰の強い農業にぜひ育成していただきたいと思うのであります。この際、今日の農政全般にわたり抜本的な検討を行い、先ほど申し上げました足腰の強い農業のための施策を実行していただきたいと思います。中曽根総理の御意見を承りたいと存じます。
 また、中小企業は経済の活力の源泉であります。国民のニーズの多様化、技術革新の進展等の環境変化のもと、我が国経済の今後の発展に向けての牽引力の基盤として、中小企業の機動性、創造性に対する期待は極めて大きいのであります。中小企業の技術化、情報化の中で中小企業に活力を与え、その振興を図ることが肝要と考えます。中小企業の振興のための対策をどう講ぜられるのか。以上、総理の所見を伺いたいのであります。
 次に、我が国の科学技術政策についてお尋ねいたします。
 資源小国である我が国が、科学技術立国として今後とも安定的な発展を維持していくためにも、また国際社会に対して一層の貢献をしていくためにも、独創的な科学技術の振興を図ることが必要であり、このためには特に国として基礎的研究を強力に推進することが重要であると考えます。また、我が国全体としての科学技術の推進に当たりましては、最近の学際的研究の必要性あるいは研究開発の生産性向上の見地から、基礎的研究と応用開発研究相互の交流、学際的、総合的アプローチが必要となっております。このため、産業界、大学、国立研究機関、いわゆる産学官の間の連携を一層強化することが必要であると考えます。さらに、国の科学技術に関する長期的、総合的な政策を策定するための科学技術会議の役割は重要であり、同会議の積極的な活用を図る必要があります。これらの点について総理のお考えを伺います。
 次に、先端技術分野の技術開発に対する政府の取り組みについて伺います。
 昭和六十年代は日米ハイテク戦争の時代と言われております。最近のアメリカ経済は、先端技術を中心とする技術革新の波と規制緩和、投資減税等の政策効果が相まって目覚ましい復調を示しております。我が国経済が国際化の時代を迎え、今後も持続的成長を遂げていくためには、先端技術分野における技術開発の進展いかんがそのかぎを握っていると申しても過言ではありません。
 現在、先端技術の多くは在来の産業区分を超えたところに花咲いております。例えば、光ファイバーには電線、繊維、ガラス、樹脂等の各産業、バイオテクノロジーには医薬、食料品、化学、エネルギー産業など、これまでの産業分類では異業種と考えられていた業界が横断的に入り乱れて参入し、あるいは分類不明とも言うべき産業が急成長しております。したがって、伝統的な産業構造に対応する各省庁の縦割り行政では、その所管事項を超えたところ、またはその接点に当たる部分にさまざまな問題が発生し、例えばVAN規制やソフトウエア保護論争などでは省際摩擦の言葉が生まれたように、各省間の調整のおくれから行政面での対応が後手後手に回っているのが実情であります。行政の立ちおくれが技術革新における民間活力の障害や足かせになってはなりません。
 私は、高度情報化社会への歴史的転換期に当たり、先端技術分野の技術開発政策を総理の責任のもとに内閣レベルで総合調整し、行政組織の弾力化、活性化を図ることが必要ではないかと存じます。総理の決意のほどをお伺いいたします。
 次に、建国記念日の式典に関して伺います。
 建国記念の日の奉祝式典は、四十一年十二月に建国記念の日が制定されて以来、民間の奉祝運営委員会が主催、五十三年から総理府が、五十六年からは文部省が、五十八年からは自治省が後援する形をとってきたところであります。これまでの式典の運営が宗教色、政治色の有無に関し論議があり、首相の出席は実現に至りませんでした。これに対し、昨年春、中曽根総理は、従来から、建国記念の日は国民の祝日なのだから国民のあらゆる階層の人々が参加して祝えるものとすべきだという考えをお持ちであり、この結果、来月十一日の式典は従来の主催組織と性格を大幅に変更し、現職首相として初めて出席するやに伺っており、私としてもこれを期待し、歓迎をいたすものであります。将来は国民参加のもとに政府主催の式典を目指すべきであると存じますが、式典についての御認識と将来のあり方を総理としてどう考えておられるのか伺います。
 次は、いわゆる忌まわしいグリコ・森永事件であります。
 昨年三月事件発生以来、犯人はますます脅迫の対象を広げ、国民に不安と恐怖を与えるばかりでなく、脅かされた関連企業は死活的な損害をこうむるなど今や大きな社会問題となって、速やかな解決が望まれるところであります。この間、警察当局においては、犯人検挙に向かってそれなりの努力を払っていることを多とするものであります。今回の捜査を振り返って、情報化社会における情報・通信システム、広域捜査等に対する対応、あり方については反省なきにしもありません。
 治安のよさは世界でも誇り得る我が国ではありますが、この際、科学化、情報化時代における警察機能の発揮のために、これまでの警察の機構、組織、人事等を洗い直すとともに、ディジタル化、コンピューター化を進め、新しい型の犯罪にも速やかに対応し、検挙できる態勢を確立していただきたいのであります。これにあわせ、このような悪質知能的な残忍きわまる犯罪に対しては厳罰に処すべきであり、新規の立法が必要であると考えます。総理の決意のほどをお伺いいたしたいと存じます。
 最後は、参議院改革の問題であります。
 政治は、新しい経済社会や国民のニーズ、価値観の変遷に対応して、その中で生ずる問題点を事前に国民に指摘することが重要であります。そのことが新しい体制へ移行するための国民的合意の形成に役立つものと考えます。その意味から、国政の一翼を担う本院の使命は極めて大であります。勅選による貴族院から公選による参議院へ生まれ変わってから、はや三十八年になります。この間、本院は国権の最高機関として、六年という長い任期の保障のもと、国民より選ばれた多くの優秀なオピニオンリーダーが、国家、国民の規範としての法律制度の検討を通じて、議会政治、民主政治の発展と国民生活の向上に尽くしてまいったところであります。多くの国民より本院に寄せる関心と期待は強いものがありますが、一部より衆議院のカーボンコピー、無用論の声があることも否定できません。
 本院としては、これまでも制度、運用面にわたり改革を行って、現に重要政策を中長期的に展望し、その指針を示すための調査特別委員会の新設を初めとして数々の改革を行ってきたところであります。今後とも二院制の本旨に照らし、先見性、独自性を発揮し、活力ある新しい参議院を目指して、我が党は各会派と協力し、率先して改革に取り組み、もって二院制の真価を発揮し、権威の高揚を図る決意であります。参議院改革は立法府みずからの課題でありますが、参議院の使命、あり方を自由民主党総裁としてどう認識しているか伺いたいのであります。
 今年は、我が党立党三十年の記念すべき年であります。世界に比類なき政権政党として、我々は「三十にして立つ」の初心に返り、厳しい政治倫理に徹して、国民とともにこの難局を乗り切り、輝かしい次の時代を目指して前進することを国民各位に誓い、代表質問を終わらしていただきます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(中曽根康弘君) 古賀議員にお答えをいたします。
 まず、先ほど小野さんも古賀さんも御指摘になりましたスキーバスの遭難事故につきましては、お亡くなりになりました皆様方に心から哀悼の意を表する次第でございます。
 また、小野さんからも今後の対策についていろいろ御指示がございましたが、やはり運転員が過労に陥っているかいないか、車体の整備が十分であったかどうか、その他の問題等につきましても厳重に検討も加え、調査もいたしまして、このような事故が再び起きないようにいたしたいと思います。冬になりますとスキーバスが約十万台運行されるそうでございます。そういう面からも、この事故を再び起こさないように、政府としても万全の策を講ずる考え方でございます。
 次に、政局担当に関する決意について御質問がございましたが、今、日本は歴史的な転換期にあると考えております。我々は、一面において、過去四十年の業績を振り返ると同時に、二十一世紀に向かっての準備をし、渡り廊下を形成する大事なときであります。
   〔議長退席、副議長着席〕こういう決意に燃えまして、まず平和の価値、民主主義と自由の価値、これらの問題をよくかみしめて、これらを基本として、今後の日本をさらに発展せしむべく、諸般の政策を講じてまいりたいと思っております。
 次に、軍縮の問題でございますが、この点につきましても、先ほど申し上げましたように、ことしは軍縮と平和の年である、こう申し上げました。国連あるいは各国間における軍縮会議等の場所におきまして、我々の目標を実現できるように今後とも努力をし、一つ一つ実績を上げていくように努力してまいりたいと思っております。
 訪米の成果でございますが、私は、レーガン大統領との会談でまず強調したのは、八五年は軍縮と平和の年にぜひしようではないか、実りある年にしようではないかと、そういう基本的なことをまず申し上げまして、レーガン大統領も非常な熱意を示されまして、私は、その会談のときの感じとして、これは真剣に成果を得るように臨むつもりだなと、そういうふうに感じました。果たせるかな、ジュネーブにおけるシュルツ・グロムイコ会談はその方向に一歩前進しつつあります。しかし、我々は、幻想は抱かない、しかし一つ一つ着実に、現実にこれを進めるように今後とも粘り強く努力してまいるつもりでございます。
 次に、市場開放問題でございますが、先ほど申し上げましたように、アメリカ側からは電気通信、エレクトロニクス、医薬品、医療器具、木材等について特に指摘があり、要請があったことは事実であります。我が方からは、アメリカがいわゆるソフトランディングを行って、過激な急激な政策を行わないように、それから保護主義に対する徹底的闘いを持続してもらいたい、それから金利の是正の問題についても特に考慮してもらいたい。日米間には約五%の金利の開きがあります。これが、日本の資本がアメリカに流出する最大の一つの原因でもあります。この問題を放置して貿易のバランスを是正するということも難しい状況にもあります。その点も強く指摘し、要請もしてきたところであります。この対策につきましては閣僚会議及び次官会議等を通じまして、各省事務次官の努力等を促しまして、今懸命の努力をしているところであります。
 米国の戦略防衛構想とはいかんという御質問でございますが、これはそのとき、日米会談における説明によりますれば、これは核兵器ではない、通常兵器である、そして大陸間弾道弾等が飛来してくる途中でこれを無力にするという方策である。そしてそれは核兵器を廃絶に向けるための我々の道具と考えておる、しかしこれは長期間を要し、研究の段階である、こういう説明がありました。我々は、核兵器を廃絶するための道具であり、非核兵器であり、防御兵器であるという点において画期的な発想であると思います。これが有効に適切に運用されれば核兵器廃絶もむなしくはないという希望を持たせられるに至ったのであります。そういう意味において、研究についてはこれを理解し、今後、情報の提供及び協議ということを要望して、先方も了承した次第なのであります。
 日ソ間の問題につきましては、北方領土問題を解決して平和条約を締結する、この基本的な構えをあくまで貫き、しかも対話を持続的に粘り強く行いまして、諸般の懸案問題を解決してまいりたいと思います。
 現在、二百海里の漁業交渉が進行しておりまして、かなり厳しい状況にございますが、日本及びソ連の隣同士の今後の長いつき合いも考えまして、お互いの間で話し合う十分な余地を持って、そして円満なる妥結、長期的安定を目指して努力してまいりたい。特に、北洋漁業に従事する多数の漁業者の切実なお気持ちを体して、最善を尽くすということをこの際申し上げる次第であります。
 防衛費の問題につきましては、今まで我が党が申し上げましたような諸般の政策を基本にいたしつつ、節度のある必要最小限の防衛費という考えで実行してまいりたいと思っております。基本的には、しかし防衛計画の大綱水準にできるだけ早く到達するという基本的な考え方を持ち、その考えに立ちまして、しかも諸般の国策との調整、調和を考えつつ、今後努力してまいるということでございます。
 ちなみに、防衛費突出と言われておりますが、数字を調べてみますと、主要経費との比較においては、昭和三十年と昭和六十年とを比べますと、社会保障関係費は約九十一倍です。文教、科学技術振興費は三十七倍です。防衛費は二十三倍です。一般歳出は約四十倍。一般会計は約五十二倍になっております。こういう数字を見ますと、防衛費突出とは必ずしも言えないのであります。ちなみに、外国との比較を見ますと、米国が約六・五%、西ドイツは四・一%、英国が五・三%、フランスが四・二%、日本が〇・九%です。一人当たりの国防費負担を見ますと、アメリカが約二十一万円、西独が十一万円、英国が十万円、フランスが十万円、日本は二万二千円であります。こういう情勢を見ますと、必ずしも突出とは言い得ないと、このように考えます。
 次に、一%の問題につきましては、先ほど申し上げましたようにできるだけこれを守っていく、しかし防衛計画の大綱水準達成に努力もしなければならない、人勧やGNPの成長等々の要素も考えなければならない、したがってまだ不確定でありますと。もしこれを改革しなければならぬという事態が出た場合には、これは当然あるいは国防会議あるいは閣議等で討議され、いわゆる節度ある防衛力のあり方についていろいろ検討すべき問題であると考えております。
 次に、経済情勢の問題でございますが、これらは大蔵大臣あるいは関係閣僚に御答弁願いたいと思いますが、昭和六十年度におきましては名目六・一%、実質四・六%の達成は可能であると考え、また努力をいたします。
 市場開放につきましては、先ほど申し上げましたが、特に対外経済問題閣僚会議、これを活用いたしまして、この会議を中心にして、各省事務次官が自分の所管事項について最大限の努力をするように指示したところでございます。やはりこの市場開放問題については日本がアンフェアであるという誤解を与えていることが一番残念なことなのであります。こういう問題については逃げないで、堂々と正面から取り組んで、言うべきことは言い、先方のまた聞くべきことは聞き、そしてお互いが率直な話し合いで胸を開いて立ち向かうようにということを特に指示したところであります。
 しかし、彼我のいわゆる文化や社会制度の相違から来ているギャップがあります。このギャップを埋めるという努力も日本もしなければなりませんし、アメリカや外国もしなければならないのであります。そういう点についての努力をさらにするように指示したところでございます。何といっても、日本がアンフェアである、不公正である、そういうことを外国から指摘されることだけは断じてやめるようにしたい、そう思っておるのであります。
 木材製品につきましては、関税引き下げの問題は非常に難しいということを先方にも伝えておりますが、今後の情勢も十分考慮し、慎重かつ適切に対処してまいります。
 ドル高是正の問題につきましては、先ほど申し上げたとおりでございます。やはりいろいろ考えてみますというと、アメリカ経済がなお強気で上昇の方向にあるということ、それから万一の危機の際にアメリカに投資しておくことが一番安全である、いわゆるセーフティーヘーブン、そういうような考え方があってどうしてもドル高ということがやまないのであります。しかし、政策的に見ましても、このドル高が世界経済に及ぼしておる大きな影響にかんがみまして、我々はアメリカともよく話し合って、これはいわゆるソフトランディングの政策の一環としてもこれを低下させるようにお互いに努力してまいりたい、そう思っておるのであります。
 行革につきましては、行革大綱及び今回の地方行革大綱等を推進いたしまして、営々として持続的に努力してまいるつもりでございます。特に、本年は地方行革大綱を決めまして、地方の給与、定員管理、組織機構の簡素化、あるいは地方公共団体においておのおの行政改革推進本部等をつくっていただいて、そうして各府県、市町村ごとに行政改革の大綱を策定し、公表し、自主的総合的な行政改革を推進するように要請したところです。私は先般都道府県の総務部長・企画部長会議に出席いたしまして、特にこの行革の推進、あるいは緑の展開等につきまして要請したところであります。総務部長会議に総理大臣が出席するということは全く異例なことでありますが、ことしは地方行革が非常に重要な国民的関心事でありますから、政府の責任としてもこれを推進してまいりたいと思っておるから行ったのであります。
 国鉄再建につきましては、再建監理委員会の意見を尊重して、関係法令の整備その他所要の措置を実行いたしたいと思っております。
 財政改革につきましては、六十五年度までに特例公債依存体質からの脱却を行うということを全力を尽くして今後もやりたいと思っております。今回は、国債の一兆円減額、あるいは電電公社等の公社の株式の処分可能なものについて国債整理基金にこれを組み入れる、そういう方策を講じまして、大きく一歩前進したものと考えております。
 増税なき財政再建については、これは理念として今後も我々は堅持し、その心構えで努力してまいります。歳出面、歳入面におきまして、おのおの適切妥当な措置を行いまして、この目的に向かって進むつもりであります。
 さらに、税制改革につきましても、これは課題といたしまして、公平、公正、簡素、選択という観点に立ちまして、これから検討課題としてとらえてまいりたいと思っております。
 脱体系の内容的なあり方については、税調等において今後審議される問題であり、政府としては白紙であるということを申し上げる次第であります。
 教育改革につきましては、文部大臣から御説明があると思いますが、今や全国民の世論に従いまして、全体的な見直し、根本的改革の時期に入っていると思います。臨教審の答申が出た場合には、できるだけ速やかにこれを尊重して実行したいと思います。
 高齢者対策につきましては、何といっても高齢者対策の基本は、高齢者の健康を維持することと、それから生きがいを与えること、そのためには働く場所を欲しいと言われる方にはそれを保障する、この三つが実は大事ではないかと思いまして、今後とも努力してまいるつもりであります。定年後の雇用延長の促進とか、あるいはシルバー人材センターの活用とか、あるいは短時間勤務の推進、さまざまな対応があり得ると考えております。
 次に、農業の問題でございます。
 前から申し上げているとおり、農は国のもとであり、かつ農は生命産業であると申し上げまして、普通の工業とは性格が違うわけであります。まず第一に農地の流動化等による経営規模の拡大、それから農業生産基盤の整備、技術の開発普及、これら各般の施策を展開してまいりたいと思っております。食糧の問題は安全保障の問題とも絡みまして重要な問題であり、備蓄等の問題も適切に考えていくべき問題であると考えております。
 中小企業の政策につきましては、技術革新あるいは情報化の進展、あるいは国民ニーズの多様化等に対応するような中小企業の改善改革が必要であります。技術力の向上あるいは情報の供給、人材養成の強化あるいは金融措置等、これらの措置につきまして十全の措置を講じてまいります。
 科学技術につきましては、先般十一月に科学技術会議の答申がございまして、まず創造性豊かな科学技術の振興、科学技術と人間及び社会との調和ある発展、国際性を重視した展開、この三つが指摘されました。そして、これらにつきましては、科学技術会議等を中心にして、特に産学官の研究開発組織の柔軟かつ多様な組み合わせ等も考慮いたしまして、答申の線に沿って推進してまいります。
 先端科学技術につきましては、総理を議長として関係閣僚を含めた科学技術会議を活用いたしまして、今、基本的総合調整を図っております。そして、今回の予算におきましても、これらの基礎科学技術等につきまして特別に推進するために、電電公社等の株式の一部の利益をもってこれの研究を推進する等の措置も講じておるところであります。
 建国記念の日につきましては、これは全国民の祝日であります。したがいまして、全国民が喜んで参加し得るような内容のものにすることが望ましい、そう考えておりまして、今いろいろ調整しておるところであり、ぜひ参加させていただぎたいという熱望に燃えておる次第であります。
 将来、政府の主催とするかどうかという点は、これは国民一人一人がお祝いをするというもので、祝日全部を政府主催とするということはいかがなものかとも考えられ、目下のところ政府主催は考えておりません。
 次に、グリコ・森永事件でございますが、このような新しい社会に出てまいりました知能犯に対しましては、社会的影響が甚大であります。そのために防圧、検挙に今全力を尽くしておりまして、通信機のディジタル化とかそのほかの諸般の対策も今追加的にやっておるところでございます。
 法制上の問題については、今、自民党及び関係当局において検討中でございます。
 参議院改革の問題でございますが、日本国憲法第四十二条は、「国会は、衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。」と定め、第四十三条第一項は、「両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。」と、こう決められて、いわゆる二院制を採用しておるところでございます。二院制を採用しておる理由は、議会に民意をより正しく反映させる、そして議事の公正、慎重を期す、第一院が活動不能となった場合にもでざるだけ民主的に国務を処理するという実際的必要、第二院の存在というものはそういう意味で認められていると思うのであります。第二院はこれにふさわしいものとする。いわゆる参議院につきましては良識の府という点が特に期待されておるところであり、参議院の皆様方のそのような御努力を私たちは熱望しておる次第でございます。
 今回、参議院を考える会による参議院改革に関する御提言も拝聴、拝読いたしました。参議院の使命をさらに深めるために、真摯な御意見として非常に敬意を表しておる次第であり、この御検討が各党間に進められるように期待しておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣安倍晋太郎君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(安倍晋太郎君) 古賀さんの御質問は三点にわたっております。
 まず、日ソ問題についてでございますが、日ソ間の最大の懸案であります北方領土問題を解決し、平和条約を締結することにより、我が国の重要な隣国たるソ連との間に真の相互理解に基づく安定的な関係を確立することが、従来より一貫した我が国の対ソ外交の基本であります。北方領土問題に関するソ連側の態度は依然として厳しいものがありますが、戦後四十年目を迎えるに当たりまして、この問題を解決しなければ真の意味で戦後が終わったとは言えないとの決意を新たにいたしまして、今後ともあらゆる対話の機会を利用して、北方領土問題を初めとする日ソ間の諸懸案の解決をソ連側に粘り強く働きかけていきたいと存じております。
 日ソの二百海里漁業交渉につきましては、目下モスクワで行われておりますが、漁獲割り当て量、操業条件において等量主義、相互主義をソ連側が打ち出しまして、日ソ間の漁獲の均等を図ろうといたしております。その態度は非非に強く、交渉は大変厳しい状況にあります。しかし、政府としましては、この交渉は北洋漁業に従事する多数の漁業者の生活の問題でもございますから、従来よりの実績にできる限り近い実績が得られるように、交渉におきましてさらに最大限の努力を払っていかなければならない、こういうふうに考えております。
 次に、政府開発援助、いわゆるODAの問題でございますが、政府は中期目標のもとにその計画的拡充に努めておりまして、昭和六十年度予算の政府原案におきましても、この政府開発援助を対前年度比一〇%増とする特段の配慮を払ってまいりました。我が国としましては、その経済力に見合ったODAの計画的拡充に対する国際社会の期待にこたえるべく、今後とも最大限の努力を続ける考えであります。
 現下の厳しい財政状況のもとで、今後とも我が国のODAの拡充を図るに当たりまして、援助の一層効果的な、かつ効率的な推進を図っていくべきことについては、政府としてもその重要性を十分認識をいたしておりまして、評価はそのための重要な柱の一つであると考えております。かかる観点から、政府としては、援助が適正に実施されておるか、所期の目的が十分達成されているか、いかなる波及効果があるかなどの多角的な視点から、外務省、在外公館及び援助実施機関のほか、外部の有識者にも依頼をいたしまして、厳正かつ公正な評価の実施に努めてきております。今後ともこうした評価の一層の充実強化に努める所存であります。
 第三点といたしまして、外交体制を強化しなければならぬという御意見でございますが、まさにそのとおりでございます。厳しさを増しております国際情勢の中で、平和国家たる我が国が繁栄と安全を確保するために、外交に課せられた使命はまことに重要であります。この外交を遂行する責任を担っておる外務省の定員及び予算をさらに拡充強化していくことは、御指摘のとおり非常に重要であると考えます。したがって、私としましても、この二年間その方向で最大限の努力を行ってまいりましたが、引き続き皆様方の御支援を得て、外務省の定員、予算の拡充強化のために努力を傾ける決意でございます。御協力のほどをお願いいたします。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(金子一平君) アメリカ経済の鈍化に伴いまして、日本の輸出の増加も緩やかになるものと考えられまするけれども、一面、内需につきましては、景気拡大の影響が従来やや出おくれておりました個人消費や住宅投資のような家計部門にも及びまして、バランスのとれた姿になって内需中心の成長になるものと私どもは考えております。すなわち、個人消費は引き続き所得が順調に増加し、また景気拡大が続くことによりまして消費マインドに明るさが増すと期待ができますので、前年度よりその伸びを高めるものと見込まれております。また、住宅投資も着実に増加するものと考えております。
 また、設備投資につきましては、輸出の伸びが鈍化するために影響を受ける部門もございまするけれども、他面、輸出と関係のない技術革新関連投資が引き続き活発に行われておるのが現在の姿でございまして、特に個人消費の着実な増加に伴いまして、卸、小売業などのサービス関連業種にもその動意が期待されるので、引き続き堅調に増加するものと考えております。こういったことから、内需の寄与度も五十九年度四%程度から四・一%程度へと六十年度には上昇することとなりまして、六十年度の我が国経済は内需中心に実質四・六%程度の成長を達成するものと確信しておる次第でございます。
 御指摘のございましたように、六十年度予算、極めて財政事情が厳しいものですから思い切った公共投資の増額もできませんでしたけれども、事業費につきましては昨年を上回る水準を確保いたすことになっておりまするし、また税制面でも基盤技術の研究開発促進等に必要な税制上の措置を講ずることとしております。
 特に、一番大事なことは、民間活力が思い切った最大限に発揮されるような環境整備をしっかりやって、民需主導の経済を実現することであろうと思いますので、こういった環境整備をしっかりやっていくことにしておるわけでありまするが、そのために必要ないろいろな規制が今網の目のように張りめぐらされておりますけれども、こういった規制の緩和につきましては、今後とも強力に推進してまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(竹下登君) まず、お触れになりました対米出超問題に対するいわゆるドル高是正問題でございます。
 この問題は、米国の巨額な財政赤字を背景とした米国の高金利ということがドル高の要因であるということは、私どももその一部であると理解をいたしております。したがって、先般の五カ国蔵相会議等あらゆる機会をとらまえまして今後ともこの問題の指摘をしてまいる所存であります。
 それから次が財政再建に関してのお尋ねであります。
 総理からもお答えがございましたように、やはり増税なき財政再建、これは理念として堅持すべきものであろうと思います。この理念を失ったときに、直ちにいわゆる歳出に対する厳しさがなくなってまいります。したがって、やはり今後とも政府と民間の役割分担、あるいは国と地方との機能分担、費用負担等の見直し、これは連年の努力を踏まえていかなければならないと考えます。
 一方、歳入面でございますが、これも総理から税制改正の基本的考え方を通じてお答えになったことになるわけでありますが、このたびの税制調査会の答申をちょうだいいたしましたのを見てみましても、「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期に来ていると考える。」、このような御指摘をいただいております。
 したがって、その考え方に立ちますならば、税制全般について広範な角度から論議と検討が行われるべき問題であるという問題意識をまず十分持っております。したがって、まさに「国民各層における広範な議論を踏まえつつ、」というお言葉がございますように、その広範な論議の私は着手が今次国会におけるもろもろの議論ではなかろうかというふうに認識をいたしておるつもりであります。したがって、それらもろもろの議論をまた政府税調の方でそしゃくしてもらいますだけに、あらかじめ予見を持った具体的な税制に政府そのものが言及していくということは差し控えるべきではなかろうか、このように考えておるところであります。
 それからいま一つ、先進国病になることを憂えての前提の上に立った国民負担水準についての御質問がございました。
 国民負担水準の目標数値は、これは究極的には政府部門と民間部門に資源をどのように配分するのが適当かという問題と裏腹をなすものでありまして、国民が必要とする公共支出の水準に対応して決まっていく性格のものであります。したがって、その国民負担水準ということは、結局、毎年毎年の予算編成過程において国民の選択を通じて明らかにされていくべきものでございますだけに、あらかじめこの程度が適当だという固定的な考え方に立つものではなかろうというふうに考えております。
 ただ、国民負担水準の中期的な方向につきましては、かつて臨調の答申にもございますように、「全体としての国民の負担率は、現状よりは上昇することとならざるを得ないが、」「徹底的な制度改革の推進により、現在のヨーロッパ諸国の水準よりはかなり低位にとどめることが必要である。」こういう御指摘がございますことを基礎認識として今日も持ち続けておるということを申し上げておきます。(拍手)
   〔国務大臣松永光君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(松永光君) お答えいたします。
 古賀先生の私に対する質問の趣旨は、これまでの教育は人間形成の面でおろそかになっている点はないのか、また、その関係で教育基本法に問題はないのか、道徳教育をさらに一層充実すべきではないのかという趣旨であったと思います。
 学校教育においては、知、徳、体の調和のとれた人間形成を目指し、心身ともに健全な国民を育成することが極めて重要な課題と考えております。教育基本法は、その精神において、国を愛する心、家族や親に対する敬愛、他人への思いやりの心などについて指導することを当然その趣旨に含んでおると考えております。したがって、今日まで学校教育においてもこれらについての指導を行っているところであります。
 しかしながら、現在の児童生徒の実態を見ると、この面での指導をさらに充実することが極めて重要であると考えております。文部省としては、教師の研修や指導資料の整備充実、自然教室推進事業、学校と家庭との連携を強化する事業などを通じて道徳教育の充実を図り、人間性豊かな児童生徒を育てる心の教育を一層推進してまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
#16
○副議長(阿具根登君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(阿具根登君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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