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1984/03/20 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第8号
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1984/03/20 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第8号

#1
第102回国会 本会議 第8号
昭和六十年三月二十日(水曜日)
   午前十時二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第八号
  昭和六十年三月二十日
   午前十時開議
 第一 道路運送法の一部を改正する法律案(梶原清君外二名発議)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、請暇の件
 一、国家公務員等の任命に関する件
 一、法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百六十二番、選挙区選出議員、福島県選出、添田増太郎君。
   〔添田増太郎君起立、拍手〕
#4
○議長(木村睦男君) 議長は、本院規則第三十条により、添田増太郎君を逓信委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(木村睦男君) この際、お諮りいたします。
 伏見康治君から海外旅行のため来る二十四日から九日間、立木洋君から海外旅行のため八日間、それぞれ請暇の申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(木村睦男君) この際、国家公務員等の任命に関する件についてお諮りいたします。
 内閣から、人事官に佐野弘吉君を、
 原子力委員会委員に向坂正男君を、
 宇宙開発委員会委員に齋藤成文君を、
 日本銀行政策委員会委員に川出千速君、村本周三君を、
 中央社会保険医療協議会委員に圓城寺次郎君を、
 商品取引所審議会会長に別府正夫君を、同委員に神崎克郎君、久保田晃君、酒巻俊雄君、杉山克己君を、
 鉄道建設審議会委員に上山善紀君、山田明吉君、宮崎輝君、宇野收君、大和田啓氣君、川勝堅二君、八十島義之助君、山口真弘君を
任命することについて、本院の同意を求めてまいりました。
 まず、人事官の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#8
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、原子力委員会委員、日本銀行政策委員会委員、中央社会保険医療協議会委員、鉄道建設審議会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、いずれも同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#9
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、いずれも同意することに決しました。
 次に、宇宙開発委員会委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#10
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、これに同意することに決しました。
 次に、商品取引所審議会会長、同委員の任命について採決をいたします。
 内閣申し出のとおり、これに同意することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#11
○議長(木村睦男君) 総員起立と認めます。
 よって、全会一致をもってこれに同意することに決しました。
     ─────・─────
#12
○議長(木村睦男君) この際、日程に追加して、
 法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案について提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。竹下大蔵大臣。
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(竹下登君) ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 法人税につきましては、公益法人等及び協同組合等の法人税の負担水準の現況にかんがみ、これらの法人の法人税率を二%引き上げる等所要の措置を講ずることといたしております。
 次に、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 租税特別措置につきましては、最近における社会経済情勢と現下の厳しい財政事情に顧みて、既存の租税特別措置の整理合理化を行うとともに、利子配当等の課税の適正化を図るなど所要の措置を講ずることといたしております。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、企業関係の租税特別措置につきましては、昭和五十一年度以来連年厳しい見直しを行ってきておりますが、昭和六十年度におきましても、特別償却制度及び準備金制度等の整理合理化を行うことといたしております。また、登録免許税の税率軽減措置等につきましても所要の整理合理化を行うことといたしております。
 第二に、利子配当等の課税につきましては、郵便貯金を含む非課税貯蓄制度の限度額管理の適正化を図るため、住民票の写し等所要の書類の提示による氏名、生年月日及び住所の告知、その確認につきましての証印制度を導入する等の措置を講ずるとともに、総合課税の対象となる利子配当等につきましても、本人確認制度の整備を図るほか、源泉分離選択課税制度の適用期限の定めを廃止する等の措置を講ずることといたしております。
 なお、少額貯蓄等利用者カード制度は廃止することといたしております。
 第三に、技術研究開発を推進するため、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除額に加えて、基盤技術の開発研究用資産について取得価額の七%相当額の特別税額控除を認める措置を講ずるとともに、中小企業者等の試験研究費について、その六%相当額の特別税額控除を認める措置を講じ、試験研究費の額が増加した場合の特別税額控除との選択適用を認めることといたしております。
 第四に、民間活力の活用等の観点にも配慮しつつ、高度利用地区等における特定の優良な再開発建築物について割り増し償却を認める措置を講ずることとするほか、優良住宅地の造成等のために土地等を譲渡した場合の課税の特例等につき、所要の見直しを行った上、存置する等の措置を講ずることといたしております。
 第五に、法人が支払いを受ける利子配当及び割引債の償還差益につき源泉徴収された所得税額については、五年間の臨時措置として当該事業年度の法人税額を限度として控除することとし、控除し切れなかった部分の金額については、翌事業年度以降の法人税額から四年間にわたり繰り越して控除し、この期間内に控除し切れなかった部分の金額は、四年目に全額還付する措置を講ずることといたしております。
 その他、協同組合等の法人税の配当軽課税率の引き上げ等を行うとともに、特定外国子会社等に係る所得の課税の特例制度について所要の整備を行うほか、老年者年金特別控除、農業協同組合等の留保所得の特別控除、交際費等の損金不算入措置並びに揮発油税及び地方道路税の税率の特例措置等適用期限の到来する租税特別措置について、実情に応じその適用期限を延長する等所要の措置を講ずることといたしております。
 以上、法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(木村睦男君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。鈴木和美君。
   〔鈴木和美君登壇、拍手〕
#16
○鈴木和美君 私は、日本社会党を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行うものであります。
 まず冒頭、「増税なき財政再建」についてであります。
 我が党は、かねてより財界主導による第二次臨時行政調査会が打ち出した「増税なき財政再建」の欺瞞性を追及してきたところでありますが、現実の財政改革の動きは、まさに我々が指摘したとおり、増税なき財政再建どころか、増税を毎年繰り返し、年度年度の予算編成において、単に収支帳じりを合わせるために後年度に負担を先送りし、地方公共団体へ負担を肩がわりさせるなど、財政運営の当局者としての責任を全く顧みない姑息な手法をとり続けてきました。
 その結果、赤字公債依存からの脱却目標年次を昭和五十九年度から六十五年度まで六年間も先送りせざるを得なくなったばかりでなく、昨年度の法改正において、見合い資産が存在しない赤字公債を借りかえることにより、その償還を六十年先にまで延ばし、現在選挙権を持たない未成年者や、これから生まれてくる赤ん坊にまで現在の借金返済の義務を負わせる羽目に追いやろうとしているのであります。
 このように、財政再建の実質上の目標をはるか将来に先延ばしし、それだけでなく、名目上の六十五年度脱却の可能性もまた極めて困難視されるに至っております。六十五年度に赤字公債の新規発行をゼロにするために一兆円ずつの赤字国債発行額の減額を予定しておきながら、五十九年度五千二百五十億円、六十年度七千二百五十億円しか減額できないのに、六十一年度以降、毎年度一兆一千五百億円もの減額が可能だと考えておられるのでありましょうか。もしできるとするならば、どのような手段を講じて実現されようとしているのかを総理、大蔵大臣にまず伺いたいのであります。
 また、総理、大蔵大臣は、これまでの間、増税なき財政再建の増税なきとは、新たな税目を導入しないことであるとか、租税負担を上昇させるような新たな増収措置をとらないことであるとかの言辞を弄して、その実、大衆課税となる酒税、物品税などの間接税を初めとする増税を毎年度の税制改正において繰り返し、加えて所得税については、物価上昇に伴う実質増税に苦しむ国民の負担増加をしり目に、五十二年度以来七年ぶりにたった一回の減税を行ったにすぎず、この間の実質増税分の解消にはほとんど効果はなかったのであります。その結果、国民所得に対する国税と地方税を合計した租税負担率は、五十一年度以来一貫して増加し、六十年度には二五・二%にも達して、昭和二十五年度にシャウプ税制がしかれて以来最高の水準となっているのであります。これをもって増税なき財政再建を貫いてきたと言えるのですか。総理、大蔵大臣の見解を承りたいのであります。
 さて、租税負担率が継続して上昇していく状況のもとで、六十年度の予算編成の過程において、自民党から歳出削減はもはや限界との声が高まり、これに呼応して、財政を再建するには増税しかないとの機運が財界にも生じ、これが大型間接税の導入論に結びついて、いずれの類型が云々との論議が頻繁に交わされていること自体、私はまことに遺憾であると言わざるを得ません。
 歳出削減限界論を容認し、近い将来の増税、それも大型間接税の導入による財政再建を考えようというのであれば、もうこれにて行革は完了した、今後は財政収支を均衡させるための増税時代の到来であるとでも言うのでありましょうか。税制の抜本的改革とは、現行税制に存在する不公平、不公正を是正し、国民が納得して納税できる環境を整備するための真剣な努力をこそ払うべきではありませんか。
 税収が不足するからといって、国民が知らず知らずのうちに徴収される、しかも巨額の税収を上げることができる大型間接税をというのは、余りにも無責任であり、短絡化した考え方と言わざるを得ません。しかも、これまでの国会論議での総理、大蔵大臣の大型間接税についての答弁は、両者に食い違いが見られるだけでなく、時によってはその方向らしきものが願望になったり、全く不明瞭であります。総理、大蔵大臣の明確な御所見を求めます。
 また、最近総理は、公平、公正、簡素、選択に活力を加えられているようでありますが、大型間接税はいずれの類型をとってみても物価を上昇させ、デフレ効果をもたらすという民間の研究結果が明らかにされていることから見ても、大型間接税を導入して我が国経済に活力が得られるものとは決して思われないのでありますが、経済企画庁長官にもこの際お尋ねをしておきたいのであります。
 次は、現行税制の改正についての問題であります。
 財政運営のみならず、税制改正の中にもその場限りの措置がとられていることを指摘せざるを得ません。その特徴的なものを挙げれば、五十九年度の改正で実施した二年間の臨時措置としての法人税率の引き上げは無論のことですが、法人税の欠損金の繰り戻し還付制度の二年間の適用停止や、本年度の法人税における所得税額の控除不足額の還付に関する五年間の特別措置などは、次年度以降の法人税額で繰り越すことにより、後年度の法人税収に影響を与える措置であります。その場しのぎの増収措置では決して歳入構造の見直しにはつながらないのであります。総理、大蔵大臣
の所見を伺っておきます。
 次は、今国会でシャウプ勧告以来の税制見直しを総理は高らかに挙げておられますが、我が国税制は、今日まで直接税中心主義をとり、所得税をその中心に据えていますが、直接税に占めるウエートが七割を超えていることから、間接税のウエートを高めようとの方向が出されています。しかし、所得税は税収確保と同時に所得再分配機能を持っております。そのためには、すべての所得を総合課税とすること、超過累進課税であること、最低生活費を非課税とすることの三点が守られることが必要であると考えます。
 ところが、昨年の所得税制の改正では、最低税率を引き上げて最高税率を引き下げるという措置をとり、さらに有価証券などのキャピタルゲイン課税にも全く手がつけられておりません。そこにまた逆進性の強い大型間接税の導入が意図されております。
 このように見てきますと、所得税を基幹税として位置づけていくとしながらも、その実体は、所得税中心主義を放棄し、所得税制の持つ機能をも否定しようという方向が見られるわけでありますが、総理、大蔵大臣の見解を承りたいと存じます。
 法人税については、今次改正では、昨年の一%の臨時税率に加えて公益法人等及び協同組合等の税率を二%引き上げています。確かに税調答申では一般法人との税率格差などの観点から税率引き上げを求めていますが、二年間続けて税率を引き上げることは安易に過ぎると言わなければなりません。
 我が国の法人税制は、基本的には法人擬制説の立場をとり、例えば配当については配当軽課制度、配当税額控除制度及び受取配当益金不算入制度を設け、二重課税の調整の仕組みをとっています。しかし、現行の法人税の仕組みについては従来からもろもろの問題が指摘されているところであり、法人税が転嫁するという問題を含めて、その具体的な検討こそが課題となっているのであります。政府がなすべきことは、財源対策としての法人税率の引き上げではなく、法人税が抱える基本的問題の解決でなければなりません。
 また、貸倒引当金の繰入率引き下げについてはその実施が見られたものの、従来から見直しが指摘されてきた退職給与引当金の累積限度額の引き下げは財界からの強い圧力によって見送られたことや、退職給与の法的保全措置について何らの方策も講じられていないことについて、政府の見解も伺っておきたいのであります。
 次は、利子配当課税についてであります。
 今改正では、三年間その実施を凍結していたグリーンカード制度を廃止し、郵便貯金を含めた非課税貯蓄の適正化を図るため、一定の書類による本人確認に基づいて非課税限度額の管理をするということにしています。グリーンカード制は、本人確認による課税貯蓄の総合課税化と非課税貯蓄の限度額管理を目的としたものでありますが、今回の措置では、その実効性の点では極めて疑問と言わざるを得ません。
 さらに問題となるのは、政府が利子配当所得に対して長年言い続けてきた総合課税化をたった一度の税調の報告で百八十度転換し、源泉分離選択課税を恒久化していることであります。
 脱税所得や課税漏れ所得が流れ込む先は金融資産であり、この金融資産収益に適正な課税を及ぼすことがまさに公平な税制と言えるのであります。そのために、分離課税などの特例制度は廃止し、総合課税化を図るべきでありますが、もはやその意思はないのかどうか、政府の見解を明らかにしていただきたいのであります。
 さらに、政府は、税の不公平の最たるものとして常識化しているクロヨンという現存する所得把握の格差を今日まで決して認めようとしていませんでした。しかし、税務統計からの納税者比率を初めとして各種の調査、統計からは、源泉徴収されるサラリーマンと申告所得者の格差は縮小するどころか、むしろ拡大の傾向にあるのが実態であります。そのため、毎年税制を審議する大蔵委員会では各党全会一致で適正な所得の捕捉、いわゆる執行上の不公平を是正するための税務職員の増員確保を決議しておりますが、その実はなかなか上がっていません。公平な税制を確保する観点からも、その方策を真剣に、より具体的に考える必要があると思いますが、政府の見解を伺っておきたいのであります。
 最後に、昨年度七年ぶりに所得税減税が行われ、それによって国民の税負担が減少したかといえば、決してそうではありません。そして六十年度においても、野党各党の強い減税要求に対しても政府は財政事情を盾に断固として認めようとはしませんでした。総理は大型間接税導入の前段としての所得税減税実施の意向を明らかにしていますが、それでは決して減税したことにはなりません。
 私がこれまで指摘した税の不公平はほんの氷山の一角であり、現行税制に存在する各種の不公平な税制を是正すれば、政府が躍起になっている大型間接税を導入せずに財政再建への方途が見られると強く確信し、かつまた所得税減税実現を再度強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(中曽根康弘君) 鈴木議員の御質問にお答えをいたします。
 第一問は、財政と今後の公債減額の問題でございます。
 六十年度予算におきましては、一般歳出を五十八年、五十九年度に引き続きまして三年連続で対前年度減額をするという思い切った措置を行いまして、行革の目的達成に努めているところでございます。そして、公債発行額の一兆円減額も達成したところでございます。
 六十五年度までに特例公債依存体質から脱却するという努力目標の達成は容易ならざる課題ではございますけれども、今後、歳出歳入構造の全般的な見直し、あるいは税外収入の確保、あるいは経済政策の弾力的運用、これらのことを通じましてぜひとも達成いたしたいと思っておる次第でございます。
 次に、租税負担率上昇と増税なき財政再建との関係の御質問でございます。
 近年の租税負担率の上昇は、基本的には景気回復に伴う自然増収によるものが多いのでございます。なお、負担率の上昇分の中には税制改正による部分もございますが、それらは税制の公平化、適正化を推進する見地からなされる税制の見直しの結果生じる増収であります。いわゆる臨調答申の増税なき財政再建の理念はあくまで我々は守ってまいりたいと思っておりますが、この意味は、臨調におきましては、当面の財政再建に当たっては国民所得に対する租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たなる措置を原則としてとらない、こういう定義づけがありまして、この範囲内におきまして我々は実行しておるところなのでございます。
 次に、税制改正のねらいが大型間接税の導入ではないかという御質問でございます。
 我々が考えておりまする根本的な大きな税制改革というものは、シャウプ税制が施行されまして三十五年になります。この間におきまして、幾多のひずみや、ゆがみや、あるいは不公平感、課税重圧感というものが一部あるいはかなりの部分に生じていることも事実でございます。そのような観点から、公平、公正、簡素、選択、活力という基本的考えに立ちまして、これらの是正を目的に行いたいと思って、むしろこれは財政再建や増収を目的にするものではなくして、所得税や法人税等の減税を実は実施して、国民の満足感を充足させたいという希望に燃えて行わんとしておるものなのでございます。
 これらの具体的内容についてはいずれ政府税調等に諮問いたしたいと思っておりますが、まだ時期は未定でございますし、また税制改正の内容につきましても、政府としては白紙の状態でおるの
でございます。
 次に、法人税の増収措置についての御質問でございます。
 昭和五十九年度改正の延納制度の廃止、欠損金の繰り戻し還付の停止措置及び今回の改正の利子配当等にかかわる所得税額の控除等の特例は、御指摘のように改正効果の多くは改正初年度に限られるものではありますが、いずれも厳しい財政事情のもとで社会経済情勢の変化に即して行われた見直し、あるいは財政をこれ以上悪化させないためのやむを得ない措置であると心得ております。
 なお、従来より、歳出の徹底した見直しとあわせまして、税負担の公平化、適正化を推進する見地から、法人税を含め税制の見直しに努めてきておるところでございます。
 その次は、いわゆる所得税中心主義に関する御質問でございます。
 税制調査会の中期答申におきましては、所得税については、その課税ベースが極めて広く、また国民の負担能力に最も適応した租税であり、所得の再分配にも寄与し得る等、他の税に比べてすぐれた特色を持っているとして、今後とも我が国の税体系において基幹的地位を占むべきものであると指摘されておるところであります。
 ただ、税制の持つ所得再分配機能を論ずる場合には、単に個々の税目についてそれが累進的か逆進的かを論ずるのではなく、税制全般としてのバランスあるいは税の機能等を考うべきことでありまして、特にこの問題については、社会保障支出等の歳出面をも含めた財政全体としての効果もあわせて考えることが適当でございます。
 いずれにせよ、今後国民各層、各方面の御意見を伺いながら、必要な見直しは税制調査会において行われるものと思いますが、我々は、いわゆる一般消費税(仮称)あるいは取引高税、あるいはいわゆるEC型付加価値税におきましても、いわゆる多段階、網羅的あるいは投網をかけるような体のものは行う考えはないということを申し上げておる次第なのでございます。
 次に、所得税減税についての御質問でございます。
 先般、与野党の幹事長・書記長会談におきまして取り決められました合意につきましては、その手続が進められ、結果が出ました際には、これを政府としても尊重してまいりたいと思う次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(竹下登君) 総理からお答えがございました点に補足いたしてお答えをいたします。
 まず、六十五年度赤字公債脱却のための国債減額、そして六十年度以降の毎年度の仮定計算にあります一兆一千五百億の減額、この問題について御意見を交えての御質問でございました。
 今年一兆円減額を達しましたということは、これは、この努力が将来へ向かっての公債費負担の重圧を少しでも軽減していくばねになるではないかというふうに基本認識を持っております。それで、仮定計算例に示しておりますように、それこそ六十一年三兆七千億、六十二年四兆九千億、六十三年五兆七千億、こういう要調整額が出ておるわけでありますが、これはまさに仮定の計算に基づくものでありますとはいえ、六十五年度までに脱却するという努力目標の達成というのは容易ならざる課題であるという事実認識はございます。しかし、財政改革の推進は、我が国経済社会の将来の安定と発展にとって避けて通ることのできない国民的課題でございますので、今後ともこれに全力を挙げて取り組んでいかなければならぬ。したがって、毎年度の公債発行額につきましては、毎年毎年の予算編成において決定されるべきものでございますので、あらかじめ固定的にこれを考えるということは必ずしも適切であるとは考えておりません。
 それから次の問題は、国民所得に対する租税負担率、総理からもお答えがございましたが、このいわゆる租税負担率の上昇は、基本的には経済成長に伴いますところの自然増収によるものであります。また、負担率の上昇分の中には税制改正による部分もございますが、これはいわゆる税制の公平化、適正化を推進する見地からなされる税制の見直しの結果として生ずる増収であるわけであります。したがって、臨調でおっしゃっております増税なき財政再建に申します増税、これに当たるということではないというふうに理解をいたしております。
 次が、税制の不公平、不公正是正への願望を無視して大増税への道を開こうとしておるではないか、こういう御意見を交えての御質問でございます。
 社会経済情勢の変化によりまして、いろいろな問題が我が国の税制には指摘されるようになってきております。そこで、まさに幅広い視野から税制全般にわたる改革をこれからの課題として検討することが必要だという基本的考え方でございます。総理からもたびたび申しておりますように、公平、公正、簡素、選択並びに活力、こういう基本的な考え方をお示ししておりますように、これはまさに国民的な課題として取り上げようということでございます。これから税制調査会を中心として、国会の論議等を正確にお伝えし、国民各層、各方面の広範な論議を踏まえながら検討していくべき問題であると考えております。それだけにやはり現段階で予断を与えるような論議は可能な限り差し控えておるというのが実情でございます。
 それから五十九年度の税制改正の延納制度、あるいは欠損金繰り戻し還付停止措置、これらに対する御意見を交えての御質問でございましたが、これは総理から申しましたように、改正の効果の多くは改正初年度に限られたものでございます。社会経済情勢の変化に即して行われた見直し、あるいは財政をこれ以上悪化させないためのやむを得ない措置であるというふうに御理解をいただきたいというふうに考えております。
 それから、所得税の税率構造をなだらかにするという問題と、いわば間接税の持つ逆進性の問題、これに対しての御質問がございました。
 所得税というのは、シャウプ税制以来、今後とも我が国の税体系における基幹税という立場であるというふうにたびたび申しておるところでございます。ただ、税制の持ちます所得再分配機能を論ずる場合には、したがいまして、単に個々の税目についてそれが累進的であるとかあるいは逆進的であるとかを論ずるだけでなく、税制全体として考えるべき問題であろう。なかんずく、社会保障支出等の歳出面も含めた財政全体としての効果を前提に置くべぎものであろうというふうに考えるわけでございます。
 それから法人税の問題につきまして、いわゆる受取配当益金不算入制度及び配当軽課制度は、個人株主の配当控除制度とともに、配当に係る法人税と所得税との間の税負担を調整するための仕組みでありまして、これを企業に対する優遇税制と考えるのは、今鈴木さんもおっしゃいましたように、法人擬制説の立場等からいたしまして適当ではない。このような負担調整の仕組みにつきましては、税制調査会の中期答申も当面その骨格を維持することが適当であるとされておるところでもございます。
 次が、退職給与引当金あるいは退職給与の保全措置等の問題でございます。
 退職給与引当金の累積限度額につきましては、五十五年度改正におきまして期末退職給与の要支給額の五〇%から四〇%に引き下げたところでありまして、そのあり方については、今後とも引き続き検討を続けてまいりたいと考えております。退職金の支払い請求権の保護の問題は、これは民事法や労働関係法規等も含めた総合的な見地から検討すべき課題であろうというふうに考えております。
 その次が、非課税貯蓄の問題についてでござい
ます。
 今回の改正において講ずることとされております公的書類の提示によります本人確認等の適正化措置は、現在実際に機能している制度に比べますと、本人確認制度の厳正化を中心にかなり思い切ったものとなっております。これらの実施に伴いまして、郵貯やマル優の限度管理の適正化が図られることになろうというふうに考えております。
 それから源泉分離課税制度の存置の問題でございます。
 源泉分離選択課税制度は、各種の議論を踏まえまして、六十年度答申には「源泉分離選択課税制度を併置することは、利子・配当所得の特異性等を考慮すれば、実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ない」とされたところでございますので、この答申の趣旨を踏まえて、この制度は存置することとしたものでございます。
 その次が、税執行上の不公平是正についての御意見を交えての御質問でございます。
 たびたび大蔵委員会等におきまして、いわゆる税務職員の増員問題に対しての応援の御決議をいただいておりますことは、大変心強く感じておるところでございます。国税職員の増員について、その業務の重要性に加えまして、歳入官庁としての性格にかんがみ、厳しい定員事情の中にあって特段の配慮がなされてきております。六十年度予算案におきましても、国税庁においては、税務署等第一線部門の強化を中心に五百六十六人の増員、定員削減で五百五十五人と、差し引き純増は十一人ということになっております。今後とも御支援にこたえて、これは厳しい財政事情のもとではございますが、一生懸命努力していかなければならぬと、重ねての御支援を感謝を申し上げます。
 次が、いわゆるそういう税制の是正によって新税、大型間接税の導入なしに財政再建ができるではないか、こういう御質問でございました。
 歳入歳出はいわば車の両輪であります。したがって、歳出歳入両面にわたる抜本的な見直しが今要請されております。我が国の現行税制については、今日各方面から種々の問題が指摘されるに至っております。こうした状況にかんがみまして、政府としては、先ほど申しましたような公平、公正、簡素、選択並びに活力、こういう観点に立って、社会経済情勢の変化に即応する税制のあり方について、まず広範な角度から検討を行う必要があろうと思います。
 不公平税制という言葉は、これは人によって主観的にさまざまな意味を持って使われますが、現行税制における種々の措置はそれぞれ必要があって設けられたものでございます。そもそも国会で議決していただきました税制の中に不公平税制があるということは、私どもは言える立場にはございません。が、例えば租税特別措置、こういうものにつきましても、いわば経済社会の推移に応じて見直しを行っていかなければならぬし、観念的に存在しますクロヨンでございますとか、そうした問題につきましても、絶えず留意を払っていかなければならない問題であるという意識を持っております。
 それから六十年度における所得税減税の問題でございますが、所得税減税問題については、経済情勢を勘案しつつ、政調・政審会長会談において引き続き鋭意かつ誠意を持って検討を進めるという内容のお話が自民党幹事長からあったことは十分承知しております。政府としてもこれを尊重していきたい、このように考えております。
 以上で鈴木さんに対するお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(金子一平君) 鈴木さんからの御質問は、大型間接税の導入の影響はどうかということでございますが、一つには、具体的にどのような態様のものを導入するのかまだ決まっておりません。また二つ目には、直接税、特に所得税を中心にしたその他の税のあり方がどうなるのか。それからまた三つ目には、導入に伴って歳出面でどんな措置が講ぜられることになるのか。こういった要因に大型間接税の導入の影響が大きく左右されると考えまするので、一義的なことをこの際申し上げるのは困難かと存じます。
 ただ、御指摘のように、一過性ではございましょうが、物価上昇をもたらすことは事実でございまするけれども、逆にまた直接税、特に累進度の高い所得税の軽減とを組み合わせて行うことになれば、所得と消費の双方から担税力を捕捉することができまして、課税の公平、公正を期することになるのみならず、社会経済的な活力を与えることになると考えられます。
 しかし、いずれにいたしましても、総理のたびたびおっしゃっているような公平、公正、簡素、選択及び活力という観点に立って、税制全般につきまして、今後税制調査会が中心に広範な角度から論議が行われることを私どもとしては期待しておる次第でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(木村睦男君) 桑名義治君。
   〔桑名義治君登壇、拍手〕
#21
○桑名義治君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質疑を行うものであります。
 総理は、総理就任後、臨調の言う「増税なき財政再建」をにしきの御旗に、六十五年度特例公債脱却を掲げ、増税なきとは国民の租税負担率の上昇を来さないことであると再三答弁をしてきました。しかし、その実情はどうでしょうか。租税負担率は総理の言葉とは裏腹に毎年上昇しており、六十年度には二五・五%にも達する見込みであります。政府もこの矛盾に気がついたのかどうか、最近は専ら財政改革という言葉にすりかえているようでありますが、もはや増税なき財政再建というのは単なるスローガンにすぎないと言えましょう。
 また、ここ数年、ゼロシーリングやマイナスシーリングにより、見かけ上は歳出を抑制、国債の発行額も減少させてきてはおります。しかし、その実態は、後年度に負担を先送りしたり、地方財政に負担を転嫁したりするなど、いわばその場しのぎの財政運営であり、そのことは、財政が本来果たすべき資源配分の調整、所得の再分配、景気の調整という三機能が全くといっていいほど機能していないことからも明らかであります。総理は、この場に及んでもなお増税なき財政再建が可能と考えているのでしょうか、また財政が果たすべき機能は既に放棄したと認識しているのかどうか、伺いたいのであります。
 さらに、大蔵大臣は、租税負担の公平、適正化の観点からの税制見直しは臨調答申にも述べられているので、検討の結果、租税負担率が上昇しても財政再建に反しないとの意見を述べているようでありますが、もしそれが真意なら、今日までの増税なき財政再建、すなわち国民に増税せずと言いつつ一方で税負担の増があってよいと言うのでは国民は納得しないと思います。この点を明らかにしていただきたい。
 次は、税制改革についてであります。
 総理は、戦後税制の抜本改革というキャッチフレーズを掲げ、その方向としては公平、公正、簡素、選択に加えて活力という原則を挙げていますが、具体的に総理の主張する税制改革のねらいがどこにあり、どこをどう改革しようとされるのか、必ずしも明確になってはおりません。私も予算委員会で主張いたしましたように、今なすべきことは、勤労所得者とその他の事業所得者との間に存在する所得把握度の是正、資産性所得を含めた総合累進課税を推し進めることであり、このことが実現されない限り、たとえ直接税のウエートが現
行の七三から六〇に下がったといっても、税制のひずみは解消したことにはならないのであります。この点の総理の認識及び公平確保の具体的方策を明らかにしていただきたいのであります。
 また、純粋に税体系として、現行の直接税偏重が好ましいことではなく、間接税へのウエートを高めることが望ましいというのなら、増税すなわち大型間接税の導入という概念がそこに出てくることはむしろおかしなことであり、政府の今日までの答弁から大型間接税導入の意図が見える以上、総理、大蔵大臣が金が足りないために税制改革をするのではないとどんなに弁明してみても、全く説得力はないのであります。本当の税制改革のねらいは増収措置にあるのではないかと推察するのでありますが、一体どうなのか、見解を明らかにしていただきたいと思います。
 さらに、国会審議の中で、大型間接税の定義なり態様等について政府の考え方がカメレオンのごとくくるくる変わるのはどういうことなのでしょうか。我が党の矢野書記長の質問に対する「多段階、包括的、網羅的、普遍的で大規模な消費税を投網をかけるようなやり方は中曽根内閣としてはとりたくない」との答弁は、EC型付加価値税や五十四年の国会決議に基づいて導入が国民によって否定された一般消費税を含めた大型間接税のすべてを中曽根内閣では導入しないと受け取ることが当然であり、言葉の遊びでいたずらに国民を惑わすことは決して許されるべきではないと思います。総理、大蔵大臣の明快な答弁を求めるものであります。
 法人税率については、昨年、二年間の措置として普通法人は一・三%、公益法人等は一%の臨時税率の引き上げを行い、本年さらに公益法人等や協同組合等の税率を二%引き上げようとしています。そこには法人税が基本的に抱える諸問題を何ら解決しようとする姿は見受けられず、単に財源対策としての税率引き上げでしかありません。貸倒引当金の法定繰入率の引き下げも一部は予定しているようでありますが、その貸し倒れ実績率から見ればまだまだ不十分であり、それ以外の引当金、準備金の見直しもほとんどなされてはおりません。さらに受取配当益金不算入、配当軽課税率のあり方等解決すべき点を放置したまま公益法人等に税率の引き上げを求めることば納得できません。総理、大蔵大臣の見解を伺いたい。
 続いて、利子配当課税についてであります。
 今次税制改正案では、この十二月末に三年間の凍結期限が到来するグリーンカード制を廃止し、それにかわる措置として非課税貯蓄の限度管理のための本人確認を行うこととし、あわせて現行の源泉分離選択課税制度など、三大不公平税制の一つと言われてきた特例制度を維持するのみならず、特例制度の期限の廃止までをうたっているのであります。このことは、特例措置を恒久化することを意味し、利子配当所得に対して貫かるべき総合累進課税をみずから放棄する以外の何ものでもありません。さらに非課税貯蓄の限度管理も、単なる金融機関等の窓口での本人確認だけではその実効性に疑問を持たざるを得ず、基本的に求められている課税の公平性が失われようとしていることは明らかであります。
 本来、利子配当所得は、給与所得等の勤労性所得に比べ不労所得としての性格が強いものであり、今次改正によって特例制度を維持、恒久化する結果、総合累進課税を受けるのは勤労所得だけという極めてアンバランスな姿になってしまうことは決して容認できるものではありません。政府は、もはや利子配当課税の特例制度は不公平税制の一つではないというように方針を転換されたのでしょうか。さらには、総合課税化は断念されたのでしょうか、お伺いしたいのであります。
 我々は、今回のような不公平を助長するような措置は決して認めることはできませんし、非課税貯蓄の限度額管理も十分その効果を上げ得るとは到底考えられないのでありますが、利子配当課税の特例制度の廃止を含めて利子配当課税を見直す意思があるのかどうか、総理並びに大蔵大臣に伺いたいのであります。
 最後は、税務執行についてであります。
 毎日のように新聞紙上に脱税や所得の課税漏れの記事が載るたびに、一〇〇%所得を把握されているサラリーマンを初めとする善良な国民の怒りは増すばかりであります。総理は昨年、国内の視察に何回か出かけたようでありますが、果たして税に対する国民の声を聞いたことがあったでしょうか。例えば、納税者割合は給与所得者が約十割であるのに対し、自営業者は五割、農業所得者は三割であります。また、この十年間の所得税収の伸びは、申告所得者による分が二・〇五倍に対して給与所得者は三・四四倍にも伸びているのであります。
 総理が真に公平な税制を求めるなら、その具体案をここに提示すべきであります。限られた人員で税務行政に携わっている職員の努力はそれなりに認めますが、現在の職員数では、法人では十年に一回、個人事業者では二十五年に一回という実地調査しかできず、その不公平感は解消されません。そのためには、国税と地方税別々に行われている徴税行政の一元化なり、より一層の協力体制を進めるとともに、国税職員の増員も必要であると思います。大蔵大臣並びに自治大臣の前向きな答弁をお伺いしたい。
 さらに、経済の国際化に対応して、我が国企業の外国税額控除の乱用や現行税制の不備に乗じた租税回避行動等もとみに増加してきておりますが、これらの不公正な行動に対して今後どのように対処していかれるのか伺っておきたい。
 今やらねばならないのは、税制改革に名をかりた大型間接税の導入ではなく、不公平税制の抜本的改革でなければならないことを強く申し上げて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(中曽根康弘君) 桑名議員にお答えをいたします。
 まず、増税なき財政再建はスローガンではないかという御質問でございます。
 我が国を取り巻く財政事情は極めて厳しいものがある上に、国際化時代あるいは高齢化社会時代等を迎えまして、今後とも財政改革を強力に推進して、その対応力を図っていく必要があります。その意味におきまして、歳出面におきましても、政府と民間の役割分担並びに国と地方の機能分担、費用負担を見直すなど、連年努力をしておりますし、さらに今後も節減合理化に取り組む所存でございます。
 また、歳入面におきましても、税外収入あるいは経済政策の弾力的運営等を行って歳入増をもたらすとともに、将来、公平、公正、簡素、選択、活力という観点に立った税制の根本的な改革を行おうとしております。これはしかし、増収を目的とするというよりも、むしろシャウプ税制以来の長年にわたるひずみ、ゆがみを是正して、国民の充足感を回復しようという考えに立って行わんとするものであります。
 財政の機能は、今日のような厳しい情勢におきましては、景気に対しては中立的性格であると思いますが、社会福祉や、あるいは所得の分配や、あるいは国際的対応等におきましても十分役立っていると考えております。
 次に、所得の捕捉の是正の問題でございます。
 所得の捕捉につきましては、巷間言われているほどの格差はないと認識しておりますが、課税の公平確保は重要な課題であり、今後税務調査の充実等各般の対策を推進してまいるつもりであります。
 次に、総合累進課税の推進の問題でございます。
 現行所得税制におきましては、各種所得の性格に即し、あるいは政策的要請を踏まえて各種所得に応じた課税方式がとられております。今後の所得税制のあり方については、御指摘のような御議論も含めまして、税制全般にわたる見直しの中で幅広い視野から検討していただぎたいと思っております。
 次に、税制改革のねらいは増収ではないかとい
う御質問でございますが、我が国の税制につきましては、シャウプ税制以来大きな変化がありまして、国民各層における不満感もかなりあると考えておるわけでございます。したがいまして、公平、公正、簡素、選択並びに活力という諸原則に基づきまして税制の抜本的改革を行おうと、そう考えておるものであり、むしろ所得税や法人税については減税したいと考えておるものなのでございます。
 次に、いわゆる大型間接税導入反対を明らかにせよという御質問でございます。
 租税体系全体のあり方は、今後税制調査会を中心として、国民各層、各方面の広範な論議を踏まえて幅広く検討していただきたいと思っております。
 私は、前からいわゆる一般消費税(仮称)あるいは取引高税、あるいはEC型付加価値税におきましても、いわゆる多段階、網羅的あるいは投網型と申しますか、こういうようなものはやる考えはないと申し上げておるのでございまして、こういう留保をつけております。税制の改正につきましては白紙で臨んでおりますが、今後税調の御意見等を承ってみたいと思うのでございます。
 次に、公益法人の税率の引き上げの問題でございます。
 今回の公益法人等の税率の引き上げは、公益法人等の軽減税率と基本税率との格差が大きいこと、それから公益法人等の営む事業が一般法人の営む事業と競合している場合がかなり多い、こういうことを考慮して基本税率との格差を縮小するという観点から行ったものであります。
 引当金制度については、常に実態に即してまた見直しておるところでございます。
 準備金等租税特別措置についても、相当程度整理合理化をしてまいっております。
 受取配当益金不算入、配当軽課制度等につきましては、税制調査会の答申でも現行の仕組みを維持することが適当であるとされておるところであります。
 御指摘のような不公平税制の是正という理念には我々も賛成でございまして、今後とも特別措置等については検討を続けてまいりたいと思っております。
 次に、利子配当総合課税をあきらめたのかと、グリーンカード制との関係で御質問がございました。
 源泉分離選択課税制度については、各種の議論を踏まえて、六十年度答申におきまして「源泉分離選択課税制度を併置することは、利子・配当所得の特異性等を考慮すれば、実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ない」と指摘されており、この趣旨を踏まえて存置することとしたものでございます。
 グリーンカード制度については、諸般の事情から今回廃止することといたしております。
 今後の利子配当課税のあり方等については、今回の改正の実効を見きわめつつ、利子配当所得の持つ特異性、金融の国際化、自由化の進展といった新たなる状況を踏まえまして、所得税制の見直しとの関連でさらに検討していただきたいと思っております。
 また、利子配当課税の見直しに関しましていろいろ御指摘をしていただきましたが、これらの御質問、御所論の内容は、我々も今後とも参考にさせていただきたいと思っております。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
 臨調答申は、御案内のように増税なき財政再建については、「「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率(対国民所得比)の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない、ということを意味している。」このように定義づけられておるわけであります。増税は税制上の新たなる措置であり、税の自然増収は含まれないことから、税の自然増収によります租税負担率の上昇、これは経済、景気等に影響されたものでございますので、増税なき財政再建には反しない。それからいま一つは、税負担の公平化、適正化を推進する観点から税制の見直しを行う、これはよく比喩的にでこぼこ調整と申しておりますが、これによって租税負担率が上昇しても、これまた増税なき財政再建に反しないというのが基本的な考え方でございます。
 今後とも増税なき財政再建という基本理念のもとにおきまして、私どもは、また臨調答申で長期的には租税負担と社会保障負担の合計の負担率、すなわち国民負担率は現状よりは上昇することにならざるを得ないが、しかしヨーロッパのそれよりもかなり低いところにとどめるべきだ、こういうことがあるということも十分踏まえておかなければならないと思っております。
 それから税制改革の真のねらいは、これは総理からもお答えがございましたが、いわゆる社会経済情勢の変化に即応する税のあり方を国民的課題として取り上げていこうということでございます。
 それから、いわゆる一般消費税を含めた大型間接税のすべてを導入しないと明確に答弁しろと、こういうことでございます。
 総理からもお答えがございましたが、今私どもの立場から言えば、税体系のあり方について予断を与えるような発言は慎んでおりますが、少なくともいわゆる一般消費税(仮称)につきましては、五十四年十二月の国会決議で、国民の理解を得るに至っていないということで、これを財政再建の手法として使うべきでないという決議がございますことは十分承知いたしておるところであります。
 それから公益法人の税率の問題でございます。
 これも総理からお答えがございましたが、この軽減税率というのは、税制調査会からちょうだいいたしました答申の「公益法人等及び協同組合等に対する課税」というところで、「格差を縮小する観点から相当程度引き上げることが適当である。」という御答申に基づきまして判断をしたということでございます。
 租税特別措置の問題につきましては、これはまさに経済社会の変化に応じまして絶えず見直しすべき課題であるということでございます。
 それから利子配当課税の問題でございますが、今「実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ない」、こういう答申をちょうだいいたしておるところであります。グリーンカード制度は、これは「各層の理解と受入れ体制が十分に整っているとは必ずしも言い難い。また、法的安定性等の見地からすれば、その実施を再び延期することは適当でないと判断せざるを得ない。」、こういう答申に基づきまして、今回廃止することとしたものでございます。
 今後やはり大事なことは、今回の改正の実効を見きわめながら、特に最近、金融の国際化、自由化の進展といった大変新しい状態が一方にあるわけでございますので、所得税制の見直しとの関連の中に今後ともさらに検討すべき課題であるという考え方でございます。この利子配当は、したがいまして、まさに今後引き続き検討されるべき課題であるという事実認識の上に立っておるわけであります。
 それから税務職員の問題でございます。
 毎度御支援をいただいて大変感謝をいたしておるところでございます。とかく財政当局でございますので、まず隗より始めよと、こういう環境の中でございますが、おかげさまの御支援によりまして、とにかく、二けたといっても低い二けたでございますけれども、実質上の増員が図られておる。今後ともの御支援を心からお願いするところであります。
 また、国、地方を通じた税務行政の効率化、この問題につきましては、今後とも一層協力関係を拡充していかなければならぬというふうに考えて
おるところでございます。
 確かに、言葉としてお使いになりましたトーゴーサンとかいう言葉が存在しておること、私どもも絶えず意識していなければならない課題であります。したがって、その一環としての海外取引にかかわる課税の問題等についても御意見を交えての御質問がございました。
 確かに、主要先進国共通の関心事でございますので、我が国としても真剣に取り組む必要があると考えております。したがって、重点的な調査を実施しておるというのが現状でございますが、外国税額控除制度というのは、国際的な二重課税排除措置としては国際的に確立された制度であります。しかしながら、さらに整備すべき点があるか否か、これは引き続き検討していかなければならない問題であるという意識は十分に持っておるところでございます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣古屋亨君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(古屋亨君) 徴税の一元化及び国税、地方税の協力体制の推進につきましてお答えいたします。
 地方団体が独立税としましての地方税をみずから賦課徴収することができるというところに地方自治の原点もありますし、個人住民税のような主要税目について徴税を一元化することは、地方自治の本質から見て問題がございます。
 また、国税と地方税の徴収一元化をしたといたしましても、徴収義務者たる企業などに新たな事務が加わり、また、一括徴収機関の側におきましても地方団体ごとに税額を区分するような事務が生ずるなど、国民経済全体とすれば必ずしも効率化の目的を果たすことにはならないという問題もございます。
 いずれにいたしましても、この問題は地方自治制度の根幹にかかわる問題でありまして、慎重に対処してまいりたいと思います。
 次に、国税、地方税の協力体制でございますが、国と地方団体の税務行政運営上の協力につきましては、従来からも各般にわたりその円滑な実施を図っておるところでありますが、最近の税務行政の進展に伴いまして、国、地方を通ずる税務行政の効率化と適正な税務執行の確保を図るために、さらに一層の国と地方団体との協力関係を推進することが自治省と国税庁との間に了解されているところでございます。今後とも、国税当局ともさらに緊密に協議をしながら、その協力体制を強化してまいりたいと思います。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#25
○議長(木村睦男君) 近藤忠孝君。
   〔近藤忠孝君登壇、拍手〕
#26
○近藤忠孝君 私は、日本共産党を代表いたしまして、ただいま議題となった各法律案について、総理並びに大蔵大臣に質問いたします。
 総理は、しばしば戦後税制の抜本的見直しを口にしておりますが、そのねらいは何か、また、その具体的内容は何かが問題なのであります。
 そもそも、戦後日本の税制の骨格をつくったシャウプ税制は、日本経済の高度成長を保障する資本蓄積促進の基盤づくりの性格を持つものであった反面、個人レベルでは総合課税主義がとられ、超過累進税率の適用と富裕税などが提案され、この面では公正な課税原則を目標に掲げていたのであります。ところが、歴代自民党政府は、このシャウプ税制のうち、大企業優遇、資本蓄積促進の側面は各種特権的減免税の相次ぐ創設によってさらに拡大する一方、所得税の面でも、利子配当課税などの総合課税見送りや株式売買益に対する課税を放棄するなどして資産家優遇を強め、課税の公正原則を踏みにじってきたのであります。
 その結果、日本の大企業は、資本蓄積の面でも国際競争力の面でも強大な力を蓄えるに至ったのでありますが、他方、日本経済の二極構造のもとで国民の所得は抑えられ、中小企業の倒産や農業経営の破綻が進んだのであります。
 総理が、戦後税制の抜本的見直しとして、ひずみの是正や公平、公正の原則を目的とするというのであるならば、その税制改革の根本は、まさにこれまで大企業に与えられてきた優遇措置を抜本的に是正して、これに応分の負担を求むべきであります。同時に、勤労者に対する大幅減税、利子配当所得の総合課税化、株式譲渡益に対する課税などを取り入れ、真に公正な税制を実現する以外にないはずであります。
 そこで総理、総理の言う戦後税制の見直しとは一体どういう内容なのか、具体的にお答えいただきたいのであります。
 この税制見直しに関連して、総理は予算委員会などで、流通の各段階に投網をかけるような間接税は導入しないと言いながら、大型間接税の導入をきっぱりと否定しません。そして租税負担率の引き上げにも含みを残す答弁に終始しておりますが、それは結局「増税なき財政再建」の看板をかなぐり捨てて大型間接税を導入する、それがねらいなのではありませんか。そうでないというなら、戦後税制の見直しの中に大型間接税は含まないと断言すべきではありませんか。
 次に、財政再建についてでありますが、昨年末で百二十二兆円に上った国債残高は今後もふえ続けます。政府の仮定計算によっても、昭和六十五年に百六十六兆円、七十三年には百九十二兆円に達します。一体国債残高の増加を食いとめることは可能なのか、政府はこのピークはいつと考えているのか、答弁されたいのであります。
 このような国家財政の破綻の主要な原因の一つは、二度にわたる石油ショックの際に、財界の要求に応じて国債を大増発し、大型公共事業、大企業への補助金などにつぎ込んだ結果であります。これによって、我が国の生産は急速な伸びを示しましたが、その利益が大企業に集中して帰属したことはだれの目にも明らかであります。したがって、財政危機の解決策の基本的考え方として、この借金財政の原因をつくり、かつ、それによって利益を得た大企業に対して必要な負担を求めることが筋であります。政府はそのための方策を真剣に検討すべきではありませんか。
 しかるに本法案では、いわゆる民間活力論を税制に取り入れ、大企業向けに新たな優遇税制をつくっております。ハイテク減税のほか、テレトピア減税、都市開発減税などがそれでありますが、いずれも高収益が保証された分野における大企業の事業に新たな減税の恩典を与えるものであります。このような措置は、さきに指摘した税制の不公正を一層進め、政府みずから言明してきた租税特別措置の整理合理化の方針に全く反する結果となるではありませんか。
 また、年々増大してきた国債費は、六十年度予算ではついに社会保障費を上回り、その利払いは今後引き続き年々十兆円規模の支出となりますが、その大半が大銀行、大法人、大資産家に支払われるのであります。これは財政の重要な役割である所得再分配機能を麻痺させるだけではなく、逆作用をもたらすことは明らかであります。この事態に政府はどう対処するのか、答弁を求めます。
 次に、利子配当課税についてであります。
 政府は、その総合課税化を最終的に見送りました。戦後税制のゆがみを正すというなら、シャウプ勧告以来の懸案であった利子配当の総合課税化こそまず第一になすべきだったのではありませんか。不公平税制として政府自身もその是正を口にせざるを得なかったにもかかわらず、なぜ見送ったのか、その理由を明確にしていただきたいのであります。
 また、これまでも過酷な増税が押しつけられてきた勤労所得に比べ、資産所得の方が税負担能力があることは明らかだと思います。それにもかかわらず、政府は現在の源泉分離選択制度を改め、分離課税に一本化し、その税率を引き下げることを検討していると伝えられておりますが、これは
事実ですか。そうなれば一層資産家優遇となることは明らかであります。答弁を求めます。
 他方、切実な国民の減税要求に対し、政府がゼロ回答していることは厳しく批判されなければなりません。我が党は、軍事費の大幅削減、一兆円規模の所得減税などを含む昭和六十年度予算の抜本的組み替え案を提起いたしましたが、これに対する衆議院段階での自民党の回答なるものは、所得減税、政策減税についていずれも検討というだけのものであります。実施の可否、時期、内容について何ら明らかになっておりません。我が党は、このようなあいまいな回答を到底認めるわけにはまいりません。
 今、国民の中に、今年度も検討したが財源がないという口実で期待を裏切った過去の繰り返しになるのではないか、あるいは涙ほどの見せかけ減税と引きかえに大型間接税を導入するのではないかという疑念が強まっているのは当然であります。そういう結果にならないと断言できますか。明確な答弁を求めます。
 最後に、増税なき財政再建の破綻は今やだれの目にも明らかであります。このまま推移するならば、国民生活と国家財政の深刻な同時破綻は必至であります。それを避ける唯一の道は、軍事費の大幅削減、大企業、大資産家優遇税制是正など、我が党の予算組み替え案が示した方策の採用以外にありません。現在審議中の予算についても、我が党が主張する抜本的組み替えがなされるよう努力し、大幅減税実現のためにも努力することをこの際あわせて表明し、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(中曽根康弘君) 近藤議員にお答えをいたします。
 まず第一は、税制の見直し及び大型間接税に関する御質問でございます。
 税制の見直しにつきましては、先般来申し上げておりますように、公平、公正、簡素、選択、活力という観点から国民各層における広範な論議を踏まえてこれを行わんとしておるものなのでございます。政府といたしましては、現段階では税体系の具体的なあり方については全く白紙でおります。いわゆる一般消費税(仮称)あるいは取引高税、あるいはEC型付加価値税でありましても、多段階、網羅的あるいは投網をかけるようなことをやる考えはないと前から申し上げているとおりでございます。
 次に、財政再建に対して大企業にもっと負担させよという御質問でございます。
 政府といたしましては、財政を改革し、その対応力の回復を図ることは、我が国の将来の発展と安定のために避けることのできないことであり、法人税の負担のあり方については、経済動向や財政事情等を考慮して税制全般にわたる見直し作業の中で検討さるべき問題であると考えます。
 なお、企業関係租税特別措置については従来から厳しい見直しを行っており、今後も行っていくつもりでございます。
 ハイテク減税等と租税特別措置の整理の問題でございます。
 厳しい財政事情のもとに新規の政策税制は厳に抑制すべきであり、真にやむを得ないものにつきましても政策目的の緊要性等について吟味すべきことは当然でございます。六十年度改正における基盤技術の研究開発、電気通信の高度化、都市再開発の促進等のための措置はいずれも緊急の課題であり、これらの措置に要する財源も他の政策税制の整理合理化による増収額によって賄うことにいたしておりまして、これらは国民経済発展のための必要な措置である、こう考えておる次第でございます。
 次に、利子配当の総合課税に関する御質問でございます。
 源泉分離選択課税制度につきましては、各種の議論を踏まえて、六十年度答申において、先ほど申し上げましたように「源泉分離選択課税制度を併置することは、利子・配当所得の特異性等を考慮すれば、実質的な公平を確保する見地から十分評価されてよい、あるいはやむを得ない」、このように答申をいただきまして存置することにしたものでございます。今後における利子配当課税のあり方につきましては、今回の改正の実効を見きわめつつ、利子配当所得の持つ特異性、金融の国際化、自由化の進展といった新たな状況も踏まえまして見直しを行ってまいりたいと思っておる次第でございます。
 次に、自民党幹事長の回答の問題でございますが、これにつきましては各党のお話の結果等を踏まえまして十分尊重してまいるつもりでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(竹下登君) お答えいたします。
 国債残高問題についての御質問がございました。
 五十年度以来、連年にわたります多額の公債発行の結果、我が国の公債残高は急テンポに増大いたしまして、六十年度末には約百三十三兆、その対GNP比は四二%に達すると見込まれるわけであります。一般会計に占めます国債費の割合も急増しまして、六十年度予算においては予算の一九%強を占めるに至った。御指摘のとおり大きな圧迫要因となっております。
 このことについては、ほかの点はいろいろな比較がございますが、国際的に見ましても極めて高い水準でありますし、それ自体大きな問題でございますが、これらの水準の急速な上昇テンポにはさらに注意を要すると思われます。毎年度着実に新規債の発行を縮減していくことによって公債残高の増加を抑制し、国債費の膨張圧力を弱めていかなければならぬということでございます。
 国債残高が今後どのようになるかにつきましては、長期的な財政運営にかかわる問題でございますので何とも申し上げられませんが、いずれにしても、御指摘のありましたように、対GNP比、これを極力低くとどめることが肝要であります。
 先日提出しました国債整理基金の資金繰り状況の仮定計算では、七十三年度まで国債残高が次第に増加していくことになっております。それから特例公債及びその残高につきましては、六十四年度をピークに下降、以後は減少に転ずるということになっております。そうして、特例公債の発行を減少させていく結果、総公債残高のGNPに対する比率は、六十一年度をピークに六十二年度以降次第に低下していく姿となっておるわけであります。これはあくまでも仮定計算に基づく数字でございます。
 それから、いわゆる財政危機解決のための大企業に負担を求めることが適切であるという御意見に対しては、総理からもお答えがございました。法人税負担のあり方、これはこの税制全般にわたる見直し作業の中で検討さるべき問題でございます。企業関係のそれぞれの租税特別措置につきましては、五十一年度以降連年にわたり見直しを行っております。
 したがって、ことしございましたハイテクあるいはテレトピアというような問題につきましても、これらの措置が単なる好況企業に対する恩典という理解の仕方ではいけません。したがって、やはりこれは所要の措置を講ずることによって、いわば喫緊の課題であるという事実認識の上に立って御理解を賜りたいと思います。
 それから、今回の改正でシャウプ勧告以来の懸案であった利子配当がどうなるか、こういうことでございます。
 源泉分離選択課税の併置は、今も総理からお答えがございました。今後は、いわゆる新たなる状況ということは金融の国際化、自由化、その中で、所得税制の見直しの中で私は検討さるべき課題であろうというふうに考えておるところでございます。
 それから、いわゆる資産を対象にするものと所得を対象にするものと、担税力の見方ということ
でございます。
 これは、個人の労働に依存します勤労所得は資産所得に比べ担税力が弱いとする見方があります一方で、資産所得、例えば利子配当所得等につきましては、その特異性を考慮すれば必ずしも他の所得に比べ担税力が強いという見方は当たらない、こういう意見も一方にございます。現行所得税制において、各種所得の性格に即し、各種所得に応じた課税方式がとられておりますので、御指摘のような一義的な断定の仕方ということには問題があろうかというふうに考えております。
 分離課税を一本化して税率を引き下げるというようなことを検討しておるか、こういう御質問でございましたが、利子配当課税のあり方につきましては、今回の改正の実効をまず見きわめよう、そして金融の国際化、自由化、そういう点からさらに検討さるべき課題であるという認識であります。
 予算修正問題については総理からお答えがございましたので、私からはお答えを省略させていただきます。
 以上でお答えを終わります。(拍手)
    ─────────────
#29
○議長(木村睦男君) 山田勇君。
   〔山田勇君登壇、拍手〕
#30
○山田勇君 私は、民社党・国民連合を代表し、ただいま議題となっております税法改正案について、総理並びに関係各大臣にお尋ねをいたします。
 総理はことしの年頭記者会見において、現在の我が国の税制は「シャウプ勧告以来いろいろなゆがみ、よじれが生じ、国民の不満も大きい。もっと公平、公正、簡素で国民が負担を選択できるよう抜本的に見直すべきだ」と言われ、また、さきの施政方針演説におきましても、「幅広い視野に立った税制全般にわたる改革」の必要性を強調されております。
 そこで、まずお伺いいたしますが、総理の言われる現行税制のゆがみ、それとよじれとは具体的には何を指しておられるのか、また、国民の不満は何に起因しているのか、総理の目指される税制改革とはいかなる内容のものなのか、明快な御答弁を求めます。
 私は、今国会の予算審議における政府答弁から判断しますと、総理の言われる税制改革とは、臨調答申が求めた直間比率の見直しを口実にした大型間接税の導入を指すものと考えざるを得ません。臨調答申は「増税なき財政再建」について、「全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらないこと」と定義しています。中曽根内閣はその最大限の尊重を国民に約束し、しかも増税なき財政再建は現内閣の生命線と言明されてきたのであります。
 しかるに、今日に及んで政府は、所得税、法人税などの減税との抱き合わせであれば、EC型付加価値税などの大型間接税を導入し、その結果、租税負担率が上昇しても増税なき財政再建には反しないと強弁し、あくまで増税路線を突っ走ろうとしております。このような政府の論理は、まさに国民を欺く詭弁と言わざるを得ません。
 政府は国民に増税を求める以前に、政府としてなすべき政策努力、すなわち行財政改革による歳出の削減、経済政策の転換による大幅な税の自然増収の確保、現行税制の不公正の是正に努力すべきであります。そのいずれも不十分な現時点で大型間接税を導入することは、到底国民の理解と納得は得られません。総理はこの点いかがお考えでしょうか。
 昭和二十四年のシャウプ勧告以来の税体系を総点検し、所得税や法人税などの直接税と物品税などの間接税との比率、いわゆる直間比率が直接税に偏重しているのを改め、中長期的な観点から現行の税体系を見直すというようなことも言われています。この点について金子経済企画庁長官は、直間比率を現行の七対三から六対四、五対五、さらに逆転へと直していかなければならないと発言されておりますので、長官のお考えを詳しく述べていただきたいと思います。
 また、間接税を重視する論拠として、直接税、特に所得税の捕捉面における公正が期しがたいため、次善の策として間接税を導入するという考えがあるように思われます。しかし、総理が公平、公正のための税制改革を唱えられる限り、あくまでも最善策は所得の捕捉の徹底であり、このことが公平、公正そのものであると考えますが、総理並びに大蔵大臣の御所見をお聞かせ願いたいと思います。
 続いて、政府の国会答弁に関連して、第一に、今後新たな税目を起こすということはあるのかないのか。この点について、総理は起こさない、大蔵大臣はすべてがだめではないという意見の食い違いもあるようですが、はっきりとしていただきたいと思います。
 第二点、EC型付加価値税にもいろいろな態様があると言われておりますが、その態様とは具体的に何を指すのか。
 第三点、大型間接税は我が国経済社会に対し、いかなる長所と短所をもたらすのか。
 第四点、福祉などのための目的税の創設、さらには福祉目的のための大型間接税の導入についてどう考えておられますか。
 第五点、間接税導入の見返りに実施するという所得税、法人税の減税は、いかなる哲学に基づいたいかなる内容のものであるのか。
 第六点、税制全般にわたる改革はいつから実施をするのか、それぞれについての総理並びに大蔵大臣、経済企画庁長官の具体的で明快な国民にわかりやすい御答弁をいただきたいと思います。
 次に、法人税法改正に関連してお尋ねをいたします。
 我が国の法人課税は、最近の政府による増税によって表面的な実効税率が五二・九二%と、国際比較で見てもかなり高水準に達しております。一方、我が国を除く先進各国においては、企業の活力こそ経済活性化の基本であるとの認識のもとに、設備投資、技術開発には大胆な企業減税を行っております。その結果、いわゆる実質税負担率で見た場合、我が国の法人の税負担は欧米諸国に比べて極めて高くなっているということを指摘されております。さきに総理は、今後の税制改正の目的について、これまでの公平、公正、簡素、選択の四原則に加えて活力という観点からも見直すと述べられましたが、私も活力の観点は不可欠だと思います。そのためには法人税の税率を引き下げるか、または大幅な投資減税などを行うかのいずれかにより活力を引き出し、景気回復に拍車をかけるべきだと考えますが、総理並びに通産大
臣のお考えを示していただきたいと思います。
 また、現行の法人税率は二年間の臨時措置として一・三%引き上げられた状態になっておりますが、時限が来た後は当然従前に戻すべきだと考えますが、いかがでしょうか。
 さらに、中小企業振興、先端技術開発促進などのための投資減税、産業基盤強化のための法定耐用年数の短縮、また中小企業の事業承継税制の確立など急務だと思いますが、総理並びに大蔵大臣、通産大臣の御所見を伺います。
 次に、所得税法改正に関連してお尋ねをいたします。
 今回、政府は非課税貯蓄制度の改革を図っていますが、これについては名寄せが困難で限度額管理の徹底が期しがたいという批判があり、グリーンカードは無理としても、いわゆるマル優カードぐらいは導入すべきだとの強い主張もなされておりますが、政府はこの点どうお考えになっておられますか。
 また、政府は、将来非課税貯蓄制度について存続、縮小、廃止、いずれの方向で対処されるのかお聞きいたします。
 次に、政府は年金受給者に対する税負担を強めるために、受給者に適用している給与所得控除の縮小、老年者年金特別控除の見直しなどを行う考えだと伝えられておりますが、この問題について大蔵大臣並びに厚生大臣の御所見を求めます。
 最後に、これは与野党間で協議され、自民党が野党側に約束した単身赴任減税などの政策減税の実施、所得減税の検討については、政府としても前向き、積極的に対処されるよう強く求めます。
 民社党・国民連合は、積極的経済政策と行財政改革、拡大均衡型予算を主張し、増税なき財政再建を目指してきましたが、政府の一連の縮小均衡型財政運営では早晩大増税が余儀なくされることを危惧し、政府の猛省を促して私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#31
○国務大臣(中曽根康弘君) 山田議員から広範な御質問をいただきましたが、逐次お答えいたします。
 まず、現行税制のゆがみとは何ぞやという御質問でございます。
 税調答申でも指摘されておりますのは、例えば所得課税の所得再分配機能のあり方、あるいは所得の捕捉の方法、課税ベースの浸食、間接税の課税ベースや税率構造等々が指摘されておるところであり、世上言われておりますところは、何といっても課税の重圧感あるいは不公平感という、そういう感じが国民の皆様方にあることは厳然たることでございまして、こういう問題について政治が避けて通るわけにはいかない、そう考えておるものなのでございます。
 次に、税制改革の目的は何ぞやという御質問でございますが、今までいろいろ申し上げましたが、シャウプ税制以来のゆがみやひずみを直そう、そして不公平感や重圧感を解消しよう、むしろ減税を行いたい、所得税、法人税への減税を考えたい、そういう志を持っておるものであります。しかし、具体的な内容等については今白紙であると前から申し上げておるところでございます。
 次に、財政の現状認識の問題でございますが、我が国を取り巻く財政環境は極めて厳しい、特にこれから高齢化社会あるいは国際社会の進展に応じまして財政負担もかなり出てくると見込まれておるところでございます。したがいまして、中央、地方との関係の調整、お互いに節減合理化を行っていく、あるいは歳入歳出の基本的な見直し、臨調答申の指摘されました線を素直に受け入れまして、今後とも継続的に努力してまいりたい。そうして、六十五年赤字国債依存体質からの脱却をいわゆる増税なき財政再建の理念を堅持して実現していきたいと考えておるところでございます。
 所得税捕捉の充実につきましては同感でございまして、税務調査の充実と各般の対策を推進したいと思います。
 大型間接税について御質問をいただきましたが、この点につきましても、さきに申し上げましたとおり、政府としては税体系の具体的なあり方については白紙でございます。
 なお、目的税について御質問がございましたが、これは財政の一般論として、資源の適正な配分をゆがめ、財政の硬直化を招く傾向を持つことは好ましくないという議論があることにも留意する必要があると思います。しかし、福祉目的税という考え方につきましては、今後税制全般にわたる見直しの中で幅広い角度から検討と論議が行われるべき問題であると考えております。
 次に、税制改革の実施時期の御質問でございますが、今回の国会でいろいろ御論議をいただきました野党の皆さん方の御所見は税制調査会に対しましてこれを忠実に伝えて、審議の参考にしていただきたいと思っております。
 なお、根本的改革につきましては将来のことでございまして、まだいつどうするかということは未定でございますが、国民のお気持ち等も考えまして適切な時期に税調に諮問したい、こう考えておるところでございます。
 法人税負担を下げよという御質問につきましては、これは今後の税制全般にわたる見直し作業の中で検討いたすべき問題であると思います。
 大幅な投資減税につきましては、今の景気の動向から見れば大幅な投資減税を行う必要はないと考えますが、六十年度におきましては、試験研究促進のための投資減税を実行しておるところでございます。
 一・三%の法人税率の暫定税率の期限はいつか、いつ廃止するかという御質問でございます。
 今後どうするかは、六十一年度以降の経済動向や財政事情等を考慮して、税制全般にわたる見直し作業の中で検討さるべき課題であると考えております。
 次に、投資減税、耐用年数の短縮等の御質問でございます。
 投資減税については御質問にお答えいたしましたが、耐用年数の問題につきましては、減価償却資産の法定耐用年数は、資産の物理的寿命に経済的陳腐化を加味して客観的に定められているものであり、したがって政策的観点からの見直しは適当ではないと考えております。しかし、今後とも資産の使用実態に応じて見直しを行うことは必要であると考えます。
 次に、中小企業者のいわゆる相続承継税制の問題でございます。
 五十八年度の税制改正で、税制調査会の答申の趣旨に沿って円滑な事業承継に配意をいたしてお
ります。中小企業の事業用資産は農地とは事情が違うので、同じような取り扱いは不可能でありますが、五十八年度の改正におきましても、取引相場のない株式の評価の改善合理化、個人事業者の事業用宅地等の課税の特例の新設等を行ったところでございます。
 次に、与野党間で約束をした今回の政策的合意につきましては、書記長・幹事長会談の結果について、今後の合意の形成等を十分踏まえまして尊重してまいりたいと思っておるところでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#32
○国務大臣(竹下登君) 山田さんにお答えいたします。
 クロヨンに象徴されるような不公平感等があることも事実でございますが、所得捕捉というものについては、もとより公平、正確であらなければならない問題でございます。したがって、今後とも税務調査の充実、執行面の環境の整備でございますとか、あるいは地方税当局や税理士会、また民間関係団体との協力関係、そして内部体制の整備、これらについて引き続き努力を重ねてまいる課題だというふうに思っております。
 それから、国会の答弁において私と総理がお答えしておるのが違うじゃないかと、こういうお尋ねでございます。
 この問題につきましてはいつも議論のあるところでありますが、いわゆる租税負担率を大きく上げるような新しい税制上の措置はとらない、こういうことを言っておるわけでございますので、その新しい措置という言葉そのものからくれば、新しい税目というものも入るということは当然のことでございます。
 それから目的税の問題は、これは総理からお答えがございました。いわゆる財政の一般論としては好ましくないという議論がございます。一方また、福祉目的税というような考え方を主張される向きもございます。これらに対しましては、これは税制全般にわたる見直しの中で議論さるべき課題だというふうに考えておるわけであります。
 それからEC型付加価値税の具体的態様でございますが、今回の税制改正は、まずはEC型付加価値税を検討してくださいという性格のものではもとよりございません。したがって、一般論で申しますならば、インボイス制度をとりますEC型付加価値税というものは、国によって税率、課税範囲、免税点、それぞれ異なっておるところでございますので、理論的に言えばさまざまな態様があるということでございましょう。
 それから、いわゆる間接税の持つ長所と短所、これも一般論でございますが、消費の多様化への対応や関連産業に対する中立性などにおいてはすぐれた点がある。また一方、短所としていわゆる税負担の逆進性とか、一時的とはいえ物価の上昇の問題があるとかという議論はいつもある大きな議論でございます。
 税制改正はいつやるかと、こういうことでございますが、この諮問というものは、国会の議論等を踏まえまして最も適切な時期にお願いしなければならぬというふうに考えております。
 それから法人税負担水準のあり方、これはまさに税制全般にわたる見直し作業の中で検討さるべき問題でございますが、よく言われます投資減税、これは最近の経済情勢からいわば国内民間需要を中心に順調な拡大を続けておるということ、一方また財政は引き続き厳しい状態にある。それからいつもいわゆる投資減税という議論をいたします際には、費用対効果という観点から、正確にどこまでがいわば投資減税によって行われた措置であるのか、どこまでが経営者自体の判断で行われた投資であるのか、なかなか見分けがたいという難しい問題もあることは御案内のとおりでございます。
 それから暫定税率、この問題は所得税減税、そして財政をこれ以上悪化させないということから行ったものでございます。これもまた六十一年度以降の経済情勢、財政情勢、そして一方いわば税制の全体見直し、その中で結論を得ていく課題であろうというふうに考えております。
 中小企業対策あるいは先端技術開発の投資減税、これはいわば一般的な投資減税というものとは別に、試験研究、基盤技術研究開発、中小企業の技術基盤強化、こういう点について精いっぱいの配慮をしたつもりでございます。
 それから法定耐用年数というのは、これもいつもの議論でございますけれども、いわば政策的判断で法定耐用年数を考えることはなじまない。今回のアメリカの税制改正の提案を見ましても、それらのある意味における反省をも含めた提案がなされておるというように私は見詰めておるところであります。
 いわゆる中小企業の承継税制、これは総理からお答えのあったところでございます。当面五十八年度改正の状況を見守っておるというところでございます。
 それから非課税カードの御提案がございました。この議論があることは私も承知しておりますが、一つにはコストベネフィットの観点から問題があること、二番目には民間貯蓄と郵便貯金とでカードの二元化というような問題が議論されました、こういうことから導入を見送りしたものでございます。
 今後の非課税制度をどう取り扱うか。まずは今回改正の実効を見守ろう、そして、重ねて申しますようにいわゆる新たな状況である金融の国際化、自由化の急激な進展、そういう環境の中で所得税制の見直しとの関連でこれは見直すべきものである。
 それから、今後高齢化社会を迎え、いわば年金、公的年金及び私的年金を通じて整合性のとれた税制の整備を行うということが将来の検討課題だという事実認識をいたしております。(拍手)
   〔国務大臣金子一平君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(金子一平君) 山田さんの質問の第一点は、直間比率の見通しについてどう考えておるかという点でございますが、我が国では戦後、シャウプ税制の導入以来、税負担の重圧が直接税にかかり、特に所得税の累進税率の刻みがきつくなっておりますので、今後の税制改正に当たりましては、所得税の減税に重点を置いて、その減税分を間接税に切りかえる方向で検討すべきだと考えておるということを申し上げておるわけでございます。
 第二点の大型間接税導入の長所と短所はどうかという点でございますが、先ほどもお答えいたしましたように、まだ大型間接税と言われるものの中身は全然決まっておるわけではございません。
課税対象をどうするのか、非課税物品や免税点をどうするのか、どの段階で課税するのか、それはこれからの議論の経過で決まることでございまするので、今、一義的に大型間接税の長所と短所はどうかということを申し上げるわけにはいかないと思うのでございます。
 ただ、一般的に課税ベースの広い間接税の長所といたしましては、所得課税と相並んで消費の面から担税力を捕捉するという意味におきまして、課税の公平、公正が図られるという点がございますと何時に、それがまた国民経済にむしろ大きな活力を与える長所があろうかと考えておるのでございます。同時にまた短所といたしましては、一過性ではございまするけれども、物価上昇などの問題があると思われます。
 いずれにいたしましても、税制のあり方につきましては、税制調査会を中心に、究極的には国民の合意と選択によって決められるべき問題でありまして、政府といたしましては今後の論議を見守ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣村田敬次郎君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(村田敬次郎君) 山田議員の御質問は、投資減税、法定耐用年数、中小企業事業承継税制等の点であったかと思います。総理、そしてまた大蔵大臣から考え方の基本についての御答弁がございましたので、私からは細部を補足して答弁させていただきたいと思います。
 まず、通産省といたしましては、民間活力が最大限に発揮されるような環境を整備する、こういうことが重要であるというふうに考えておりまして、六十年度の税制改正において、中小企業の技術開発力の抜本的底上げを図るための中小企業技術基盤強化税制及び我が国の経済発展の牽引力となる技術分野の研究開発を促進するための基盤技術研究開発促進税制等を創設する方針でございまして、私どもは技術開発は一丁目一番地である、これからの新しい時代に通産行政は対応していかなければならないという考え方のもとに、こうした税制改正によって中小企業振興、基盤技術開発のための設備投資が促進されるものと期待をいたしております。
 また、法定耐用年数につきましては、先ほど総理からお話のございましたように、現実の設備の使用の実態に基づいて客観的に設定すべきものと考えておるわけでございますが、日本の法定耐用年数の算定は、減価償却制度という考え方が基礎になっております。アメリカが一九八一年に導入いたしました早期投下資本回収制度とは考え方の基本が異なるわけでございますが、減価償却制度の考え方に基づいて、新年度は印刷設備、それから製本設備、あるいは写真製版業用の設備等につきまして耐用年数の短縮を図ったところでございます。
 それから中小企業の事業承継税制についてでございますが、先ほどお話がありましたように、五十八年度に改正を行いました。そして評価方法の改善をしたのでありまして、従来は同族会社の規模によりまして純資産価額を基本に算定しておりました株式評価等を、類似業種の比準価額によってあわせて評価をしていくという改正の考え方であります。この改正によって、地価の高騰等によって相続税評価額が高騰し、相続税が過大なものとなっているようなケースにつきましては事業承継の円滑化にかなりの効果があるものと期待をしておりまして、本税制改正の効果等を見守って今後対処してまいりたいと存じております。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(増岡博之君) 年金受給者への課税の問題に関するお尋ねでございますが、現在、老齢年金受給者に対しましては現役勤労者と同様の給与所得控除が適用され、さらに六十五歳以上の人については七十八万円の老年者年金特別控除が認められておるわけでございます。この老年者年金特別控除は、老人対策の一環として昭和四十八年に設けられたものでございまして、今日におきましても大きな役割を果たしているところであります。なお、この特別控除は、現在御審議中の租税特別措置法の改正案において昭和六十二年末まで二年延長することとされております。
 このような現在の年金税制は、今日年金受給者の間に定着していると思われますが、今後の年金税制の検討に当たりましては、これらの方々に大きな不安を与えることのないように対処すべきであると考えております。(拍手)
#36
○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#37
○議長(木村睦男君) 日程第一 道路運送法の一部を改正する法律案(梶原清君外二名発議)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。運輸委員長鶴岡洋君。
   〔鶴岡洋君登壇、拍手〕
#38
○鶴岡洋君 ただいま議題となりました道路運送法の一部を改正する法律案につきまして、運輸委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における軽自動車を使用する軽車両等運送事業者による運送の実態等にかんがみ、自動車による貨物運送を業務とする者による有償旅客運送行為を禁止するとともに、軽車両等運送事業者に対し監督を強化すること等により、道路運送事業の適正な運営及び道路運送に関する秩序を確立しようとするものでありまして、その主な内容は、第一に、貨物の運送に係る自動車運送事業者は、災害のため緊急を要するとき等の場合を除き、有償で旅客の運送をしてはならないこととすること。
 第二に、軽自動車を使用して貨物を運送する軽車両等運送事業者に対し、同様の禁止措置を講ずるとともに、運輸大臣は、当該事業者がこの法律またはこの法律に基づく命令等に違反したときは事業の停止等を命ずることができることとすること。
 第三に、第一及び第二の禁止措置に違反した者を新たに処罰の対象とすること。
 第四に、この法律は、公布の日から起算して一カ月を経過した日から施行すること。ただし、有旅客運送行為の禁止に係る罰則規定は、公布の
日から起算して一年を経過した日から施行すること等であります。
 委員会における質疑の詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終了し、討論もなく、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、瀬谷理事より、各会派共同提案に係る軽貨物自動車による違法行為の排除に最大限の努力をすること等三項目を内容とする附帯決議案が提出され、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#39
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#40
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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