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1984/03/27 第102回国会 参議院 参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第9号
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1984/03/27 第102回国会 参議院

参議院会議録情報 第102回国会 本会議 第9号

#1
第102回国会 本会議 第9号
昭和六十年三月二十七日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第九号
  昭和六十年三月二十七日
   午前十時開議
 第一 市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、国務大臣の報告に関する件(昭和六十年度地方財政計画について)並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(木村睦男君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 昭和六十年度地方財政計画についての国務大臣の報告並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案についての趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(木村睦男君) 御異議ないと認めます。古屋自治大臣。
   〔国務大臣古屋亨君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(古屋亨君) 昭和六十年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 昭和六十年度の地方財政は、累積した巨額の借入金を抱え引き続き厳しい状況にあることにかんがみ、おおむね国と同一の基調により、歳入面においては、地方債依存度の抑制に努めるとともに、地方税負担の公平適正化を推進しつつ、地方税源の充実と地方交付税の所要額の確保を図り、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を図るとともに、限られた財源の重点的配分と経費支出の効率化に徹し、節度ある行財政運営を行うことを基本としております。
 昭和六十年度の地方財政計画は、このような考え方を基本として策定しておりますが、以下、その策定方針について御説明申し上げます。
 第一に、地方税負担の現状と地方財政の実情にかんがみ、その負担の公平適正化を図るため、個人住民税均等割の税率の見直し、事業税における新聞業等七事業に係る非課税措置の廃止など非課税等特別措置の整理合理化等を行うとともに、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人事業税の事業主控除額の引き上げ、不動産取得税の新築住宅に係る課税標準の特例控除額の引き上げ、固定資産税及び都市計画税の土地の評価がえに伴う負担の調整等の措置を講ずるほか、自動車取得税及び軽油引取税の税率等の特例措置の適用期限を延長することとしております。
 第二に、現下の厳しい財政環境のもとで、昭和六十年度に限り暫定的に実施されることとなりました国庫補助負担率の引き下げに伴う地方負担の増加額五千八百億円に相当する額について、所要の財源措置が必要となりましたので、地方交付税の増額と地方債の増発により完全に補てんすることとし、地方財政の運営に支障が生ずることのないようにしております。
 第三に、抑制的基調のもとにおいても、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、その特性を生かした地域社会の形成を進めますとともに、生活関連施設の整備を図る等住民生活に直結する諸施策を実施することとしております。このため、住民生活に身近な社会資本の計画的な整備と町づくり特別対策事業の充実に努めるとともに、福祉施策及び教育、文化振興対策等の推進を図ることとし、これに必要な財源を確保し、また、過疎地域等に対する財政措置を引き続き講ずることとしております。
 第四に、地方行財政運営の合理化と財政秩序の確立を図るため、定員管理の合理化及び一般行政経費の抑制を行うとともに、国庫補助負担金について一般財源化及び補助単価の適正化等その改善合理化を進め、さらに年度途中における事情の変化に弾力的に対応できるよう必要な措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに昭和六十年度の地方財政計画を策定いたしました結果、歳入歳出の規模は五十兆五千二百七十一億円となり、前年度に対し二兆二千三百七十九億円、四・六%の増加となっております。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 昭和六十年度の地方税制の改正に当たりましては、最近における地方税負担の状況及び地方財政の実情にかんがみ、税負担の公平適正化の推進に努めるとともに、住民負担の軽減及び合理化にも配慮しながら、地方税源の充実を図ることをその基本としております。
 以下、その概要について御説明申し上げます。
 第一に、地方税法の改正であります。
 まず、地方税負担の公平適正化を図るため、昭和五十五年度以来据え置かれてきた個人住民税均等割の税率について、その後の物価水準の推移等を勘案し、その見直しを行うとともに、事業税における新聞業等七事業に係る非課税措置について、創設以来長期間を経て社会経済情勢が著しく変化していること等にかんがみ、これらを廃止する等地方税における非課税等特別措置の整理合理化等を行うこととしております。
 また、住民負担の軽減及び合理化を図るため、個人事業税の事業主控除額の引き上げ、不動産取得税の新築住宅に係る課税標準の特例控除額の引き上げ等を行うとともに、固定資産税及び都市計画税について評価がえに伴う税負担の調整を図るための措置を講ずることとしております。
 さらに、地方道路目的財源の充実確保を図るため、自動車取得税及び軽油引取税の税率等の特例措置の適用期限を延長することとしております。
 第二に、国有資産等所在市町村交付金及び納付金に関する法律の改正でありますが、日本国有鉄道の市町村納付金の算定標準額の特例措置の適用期限を延長する等の改正を行うこととしております。
 そのほか、所要の規定の整備を図ることとしております。
 これらの改正により、昭和六十年度におきましては、三百二十七億円の増収となる見込みであります。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、昭和六十年度分の地方交付税の総額については、同年度における国庫補助負担率の引き下げに伴う地方の財源不足を補てんするため、総額の特例措置として一千億円を加算することとした結果、その総額は九兆四千四百九十九億円となり、前年度当初に対し九千二百七十二億円、一〇・
九%の増となっております。
 また、地方財政対策において、後年度の地方交付税の総額に加算することとした千三百五十五億円については、既に減額することが法定されている三百億円を控除して、昭和六十六年度から昭和六十八年度までの各年度分の地方交付税の総額に加算することとしております。
 さらに、昭和六十年度の普通交付税の算定については、経常経費に係る国庫補助負担率の引き下げ等に伴い増加する経費に対し所要の財源を措置し、あわせて生活保護基準の引き上げ等に要する経費の財源を措置することとするほか、地方債による措置の縮減に伴い必要となる投資的経費を基準財政需要額に算入する等のため単位費用を改定することとしております。
 第二に、当せん金つき証票の収益金の使途の弾力化、最高賞金の倍率制限の緩和等を行うとともに、公営競技を施行する地方団体の公営企業金融公庫に対する納付金制度の延長、拡充等の改正を行うこととしております。
 以上が昭和六十年度の地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(木村睦男君) ただいまの報告及び趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。上野雄文君。
   〔上野雄文君登壇、拍手〕
#7
○上野雄文君 私は、日本社会党を代表して質問を行いますが、その前に、去る二十四日発生しました横浜の三菱銀行襲撃事件について触れたいと存じます。
 この事件が元警察官によるものであり、しかも在職当時の制服を利用してやったというその異常さに国民の皆さんは大変なショックを受けているのではないかと思います。グリコ・森永事件や暴力団の抗争事件が解決していないさなかのことでありますだけに、国民の皆さんの警察に対する不信の念を募らせる一方ではないかと思いますので、この際、総理からその所信のほどを伺いたいと存じます。
 さて、本題に入ります。
 ただいま議題となりました昭和六十年度地方財政計画及び地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法等の一部を改正する法律案について、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 私は、まず総理の地方自治に関する基本的な認識についてお尋ねをいたします。
 総理が戦後政治の総決算を口にいたしましてから、確かに防衛問題を初め教育、地方自治に関する見直しが進められております。しかし、総理の言葉から何かしら戦後の諸制度がすべて悪いからという印象が与えられ、総理の姿勢からも極めて清算主義的なニュアンスを受けるのでありますが、果たしてそうでありましょうか。
 例えば、戦後、地方自治は、憲法に一章が設けられ、憲法によって保障されておりますが、その背景には、悲惨な戦争を二度と繰り返してはならないし、そのためにはファッショ的独裁や中央集権体制がとられることのないように政治的、経済的諸制度の民主化を図るとともに、あらゆる決定の場に国民の意思を反映させようとする配慮が働いたからにほかなりません。今や我が国においては、政府ですら地方の時代、地方の自立と言うがごとく、地方自治を語らずして政治を語ることができないほど地方自治の重要性が確立されております。
 しかるに、総理が地方自治に言及するときは、何かしら地方に犠牲を求めるときに限られていると言わざるを得ません。例えば六十年度予算における高率補助金の一括削減がそうであり、行革特例法の延長もしかりであります。私は、総理は就任以来、国と地方の信頼を深める何らの施策も行わず、国と地方の相互協力を破壊する行為しかやっていないように見受けられてなりません。そして、そのような総理の姿勢は、防衛費問題と同様に、地方自治の発展ではなく中央集権化を目指し、戦後民主主義を総決算し、再び暗い戦前政治へと逆戻りを策しているように感じられるのでありますが、総理は戦後の地方自治及びその今日における国民の意識への定着をどう認識されておられますか。また、国と地方の信頼関係についてどのようにお考えになっておられるのか、その所見をお伺いいたしたいと存じます。
 第二に、私は地方行革大綱についてお伺いいたします。
 総理や行革審は、地方が国に先駆けて行政改革に非常な努力をしているということを御存じなのでありましょうか。昨日の参議院地方行政委員会において、古屋自治大臣はそのことを十分認識しておられ、それを評価されてから、なお、自治体の自主的な行革努力を要請したいとされました。しかし、地方自治体側が指摘するように、地方行革の推進を阻害をしているのは実は国の行財政制度にあるのであります。今さら指摘をしなくても、機関委任事務や膨大な補助金行政、脆弱な地方自主財源など国が地方に強要している行財政制度によって、地方においては住民が要求する行政の効率化を進め得ないのが実態なのであります。行政機構の肥大化が言われておりますが、これも中央の施策に基づくものが多いことをしっかり認識されたいのであります。
 私は、この際、総理と大蔵大臣が自治大臣と同じく地方の努力、地方の苦労を認識された上で地方行革あるいは地方への財政負担の転嫁を言われているのかどうか、お伺いしたいと思います。同時に、自治大臣は、地方行革の推進についてはあくまでも地方の自主性を尊重し、国と地方の信頼関係を重視すると表明しておりますけれども、政府の長として総理もこの自治大臣の表明を支持し、その約束を守るよう努力していただきたいと考えますが、いかがでありますか。
 次に、私は地方財政計画と補助金カットの関係についてお伺いいたします。
 六十年度予算案の決定に際して、社会保障関係の補助金については六十年度中に関係省庁で協議をし結論を出す、そのことを前提として六十年度限りの措置とされておりますが、私どもや、地方六団体はもとより、一千以上の自治体が反対の決議を行っているにもかかわらず、政府は一顧だにしなかった点について非常に心配をし、このような政府の姿勢が続くとすれば国と地方の信頼関係はまさに根底から覆されると、危惧の念を抱かざるを得ません。
 私は、関係省庁、政府部内での協議を始める前に、この問題につきましては、自治大臣、大蔵大臣、厚生大臣だけでなく、特に地方の生の声を聞き、その考えを土台にして政府内の協議を行うべきは当然のことと考えますが、それぞれ三大臣の御所見を伺いたいのであります。
 また、私は、六十年度において地方財政が収支均衡と言われつつ、地方財政計画と決算の乖離、地方単独事業の落ち込み、あるいは五十四兆円を超える累積借入金を見れば、地方財政は火の車というのが実体であると言わざるを得ません。そうした中で一方的に五千八百億円の補助金を削減し、かつ、六十年度においては一千億円しか交付税の特例加算をしない、不交付団体に対しては経常経費について何らの手当てをしないというのは、自治の破壊を目指す施策であると考えます。
 私は、この際、自治大臣に対しては、わずか一千億円の加算で本当に地方の行政需要を賄え、かつ、後年度の財政に支障を来すことがないのか。また、厚生大臣に対しては、わずか二百億円の生活保護費の上積みでその行政に支障を来すことがないのか、三千三百の自治体で円滑に仕事を進めることになるのかどうか、明確な答弁をいただきたいのであります。
 私は、地方交付税の問題につきまして、自治大臣に一点だけお伺いいたします。
 補助金カットに関連いたしまして、国が後年度
において補てんすると約束されている金額につきまして、実はその利子分が六十年度においては計上されておりません。私はそういう点が地方に不信を抱かせる原因だと考えます。利子の計上で地方が納得するものではありませんが、交付税において六十年度分の利子をきちんと手当てをしておくことは、国がとるべき最低の義務であろうと思います。それなのに、それすらないところに自治省の不誠実さを感じてならないのであります。この点について大臣から納得のいく答弁をいただきたいと存じます。
 第四に、私は地方税について伺います。
 地方税収は国税に比べて極めて不安定な状態であり、そのため自治体は安定的行財政計画をつくることができない実情にあります。私は、今日の地方税収を見ましても、制度的に何ら前進の見られない、むしろ地方税のみについて見ますと単年度減収となり、国税のはね返りによって辛うじて増収になっているという地方税軽視の実態を指摘せざるを得ません。社会保険診療報酬課税、利子所得等に対する課税については、不公平税制是正はもとより、国税に対してすら立ちおくれていることは御案内のとおりであります。事業税における外形課税についても、地方団体から極めて強い要求が出されていますが、いまだに実現されておりません。マスコミ関係に対する課税の適正化についてはそれなりの評価はいたしますけれども、他の不公平税制になぜ手がつけられないのかという批判を買っています。
 私は、この際、国と地方の税配分の改定を含め、国税から地方税への移譲を検討し、地方税源の安定化を図るべきと考えますが、自治大臣の見解を承りたいと存じます。
 また、六十年度税制改正において、政府税調の検討課題となった不公平税制是正の課題について、六十一年度に手をつける勇気がおありか否か、中曽根総理の所信をお伺いいたしたく存じます。
 最後に、大蔵大臣にお尋ねいたします。
 六十年度の地方財政をめぐる合意事項についての衆議院の答弁では納得いたしかねます。交付税に一千億円の上積みをし、地方財源への振りかえ一千六百億円、建設地方債三千二百億円の増発で五千八百億円の穴を埋めたから財源不足額は補てんされたとしていますが、交付税特例加算の一千億円を除いて、実際は地方財源に大穴をあけたことにほかなりません。これにより、地方財政計画はますます複雑になり、地方の財政構造はますます不安定となりました。
 先日の地方制度調査会のある委員は、「本当にわかりませんねえ」と首をかしげ、自治省はこれに対して、「それは私どもより大蔵が答弁すべきでありますが」と前置きして経過報告をする始末であります。私は、改めて、なぜこんなことをおやりになったのか、あなたは地方財源に責任を持てるのか、まさに行革に逆行し、会計を複雑化し、国民にわかりにくい予算をつくるのか、大蔵大臣の本音をお伺いいたしたいと思います。
 以上で私の質問を終わりますが、政府の誠意ある答弁を期待しまして私の質問といたします。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(中曽根康弘君) 上野議員にお答えをいたします。
 まず、横浜におきまして、元警察官が制服着用のまま恥ずべき犯罪行為を行いましたことにつきましては、まことに申しわけなく、国民及び国会の皆様方に遺憾の意を表する次第でございます。
 警察官は、名誉を重んじ、廉恥を旨として、国民の皆様方に敬愛される存在でなければならないと思っております。その警察官が、仮に元警察官であるとはいえ、制服を着用してこのような犯罪に及んだということは、監督、教育上の大きな不行き届きがあったと考えざるを得ません。
 政府といたしましては、これを大いに反省いたしまして、警察官の教養、教育につきまして、さらに万全を期するように努力いたしたいと思う次第でございます。
 第二に、地方自治に対する認識に関する御質問でございます。
 憲法にも「地方自治の本旨に基いて、」という言葉がございますように、地方自治は民主政治の基盤であり、内政の要点であると思っております。戦後の新しい地方自治制度が発足して以来四十年近くになりますが、国民の御協力等によりまして地方自治に対する考え方はおおむね定着してきていると思います。しかし、社会経済情勢の変化に有効に対応し、かつ、民主主義をさらに発展させるためには、地方自治の充実、改革が必要であると考えております。国と地方公共団体とのあり方につきましては、国民福祉の向上という共通の目標に向かいまして、それぞれの機能を分担し、相互に協力し合う関係が必要であると思います。今後とも、国と地方の信頼関係の確保が基盤であると思いますので、その面に向かって努力いたしたいと思います。
 次に、地方行政改革に対する国の姿勢に関する御質問でございます。
 地方公共団体によりましては、国に先駆けて行革に心がけて成果を上げているものも多々あると認識しております。しかし、現下の厳しい行財政環境におきまして、活力ある地域社会づくり、あるいは住民福祉の増進を図るためには、さらに積極的に地方行革を進める必要があると考えます。
 もとより行政改革は、民主政治の基盤である地方自治を充実強化する方向で行わるべきであります。政府においても、地方に対する国の関与、必置規制等の整理合理化に続き、機関委任事務の見直し、地方への許認可等の権限移譲等を今後とも推進する予定でございます。また、地方税の充実と地方交付税所要額の確保等、地方一般財源の充実強化につきましても努力してまいりたいと思います。
 次に、地方行革の推進と地方自治との関係でございますが、地方行革を推進するに当たりましては、地方自治の尊重及び国と地方の信頼関係の確保が肝要であり、この観点から国と地方の関係を調整するということも必要であると思います。
 このためには、まず基本的考えとして、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体において処理できるように、国と地方の役割分担及び財源配分を見直すことが必要であると考えます。地方公共団体におきましても、現下の厳しい行財政事情のもとで行政改革の積極的な推進が叫ばれているところでありまして、この期待にこたえていただきたいと思います。地方行革大綱は、地方公共団体の自主的、総合的な努力を政府として要請したものであると御理解願いたいと思うのでございます。
 次に、六十一年度の税制改正の問題でございますが、六十一年度税制改正は、今後、経済財政状況等を踏まえて検討すべき問題であり、まだ具体的なことを申し上げられる段階にはございません。しかし、シャウプ税制以来、長い間日本の税体系というものが国民の間にさまざまな議論を起こし始めていることは事実であり、重税感、不公平感というものに対する政府も対応を行わなければならぬと思います。公平、公正、簡素、選択並びに活力という基本的な視点に立って、税制全般にわたって幅広い視点から検討を行う必要があると思い、特に国民の強い要望である減税に対しましておこたえする必要があると思っております。
 いずれにせよ、これらの問題は、今後の課題として政府は受けとめて処理してまいりたいと思っておる次第でございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣古屋亨君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(古屋亨君) 国庫補助負担率に関する政府部内の協議の問題についてお答えいたしますが、社会保障に係る昭和六十一年度以降における補助負担率のあり方につきましては、三大臣覚書に基づきまして、自治、厚生、大蔵省三省の政府部
内において早急に検討を開始すべく、現在その具体的な進め方を協議しているところであります。この検討に際しましては、御指摘のように、地方団体の意見を十分に反映できるよう考えてまいる所存でございます。
 次に、国庫補助負担率の引き下げとこれに伴う財源補てん措置についてお答えいたします。
 今回の国庫補助負担率の引き下げに伴う地方負担の増加額五千八百億円につきましては、一つは地方交付税の増額一千億円、二番目は建設地方債の増発四千八百億円等により完全に補てんしたところであります。このうち、建設地方債の増発分四千八百億円につきましては、その元利償還に要する経費について所要の地方交付税措置を講ずることといたしております。
 このように、今回の国庫補助負担率の引き下げによる地方負担の増加に対しましては、昭和六十年度において地方交付税の増額と建設地方債の増発により、地方団体の財政運営上支障が生じないように対処したところであります。また、増発される地方債の元利償還など後年度の地方財政負担に対しましても、国として必要な財政措置を講じ、適切に対処することとしており、万全の措置を講じたと考えております。
 次に、いわゆる臨時財政特例債の元利償還の取り扱いについてお答えいたします。
 投資的経費に係る国庫補助負担率の引き下げによる国費減額相当額につきましては、臨時財政特例債による地方債措置を講じ、これに係る元利償還等に要する経費について地方交付税措置を行うこととしております。国はその元利償還に要する額の二分の一に相当する額を交付税特別会計に繰り入れることとしておりますが、この繰り入れは昭和六十一年度以降に行われることになると思いますので、御了解いただきたいと思います。
 第四に、国と地方の税源配分、地方税源の安定化の問題についてお答えします。
 昭和六十年度の地方税制改正につきましては、税制調査会の答申等を踏まえまして、地方税負担の現状及び地方財政の実情にかんがみ、税負担の公平適正化の推進に努めますとともに、住民負担の軽減、合理化にも配意しながら、地方税源の充実を図るとの方針のもとに行うこととしたところであります。今後、高齢化社会への移行等社会経済の進展する中で、地方団体の役割はますます高まるものと予想され、地方財政の健全化の回復を図りながら、自主性、自律性をもって多様な行政需要に適切に対処するためには、引き続き税負担の公平適正化を検討し、安定的な地方税源の充実確保を図ることが肝要と考えております。
 国と地方の税源配分は、国、地方を通ずる事務配分等地方行財政制度全般のあり方と関連する問題であり、今後とも税制調査会、地方制度調査会等の御審議を煩わしつつ、安定的な地方税源の充実確保の観点から努めてまいりたいと思います。
 お話しの社会保険診療報酬課税あるいは事業税の外形標準課税等につきましても、今後十分検討いたしまして措置を講じたいと思っております。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(竹下登君) 私に対するまず第一番目の質問は、古屋自治大臣が地方の努力を十分認識した上で、その評価の上に立って自主的な行革努力を要請したいと述べられた点に対する私の所見であります。
 地方自治体の行政改革に対する努力、御苦労については、私も古屋自治大臣とその評価を等しくいたしております。現下の厳しい財政事情のもとでは、それぞれが行財政改革を強力に推進して、国、地方を通じて行財政の減量化、効率化を図っていくことが喫緊の課題であります。また、国と地方は、いつも申しますように、車の両輪であって、共通の行政目的の実現を分担し、その責任を分かち合うという関係にあるという考えのもとに、国と地方との間の機能分担及び費用負担のあり方、これらは幅広い見地から見直しを行うことが必要であると考えます。
 このような観点に立ちまして、政府においても地方に対する国の関与、必置規制等の整理合理化等を推進しているところでありますが、地方公共団体におかれましても、地方行財政運営の適正化、合理化、これが一層推進されることを期待しておるところであります。
 次は、社会保障関係の六十一年度以降に係ります補助率のあり方であります。
 この問題は、基本的には「国と地方の間の役割分担・費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得るものとする。」ということにしておるわけでありますが、その具体的な検討の方法等は現在関係省庁間で鋭意検討中であります。ただいまの御提言は貴重な提案として承らせていただきます。
 次が、いわゆる地方に対する財源措置、それから地方財政に対する責任が持てるか、そしてまた地方制度調査会の委員の先生方の発言、あるいは大蔵が答弁すべきであるという前置きをもって答弁したというような事実を踏まえ、御意見を交えての御質問であります。
 これに対しましては、自治大臣からお答えがございましたように、六十年度の地方財政は、これによります影響額を織り込んだ上で措置を講じたわけであります。これは後年度、いわゆる元利償還等に対する交付税措置等も含まれたものであります。したがいまして、地方財政の姿を見てみますと、六十年度は建設地方債の増発額が減少してまいっております。そして公債依存度も低下する。そして自主財源比率も向上する。そういう面から見ますならば、改善された姿になりつつあるということを基本的に御理解いただきたいと思うところであります。
 今後の問題をも含めまして、これからはいわゆる幅広く地方負担のあり方、その役割分担等を検討いたしますと同時に、地方財政計画において所要の地方財政対策を講じていくということは、ことしとりましたと同じように、絶えず念頭に置いておかなければならない課題であるという問題意識を持っております。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(増岡博之君) 高率補助金の補助率のあり方の問題についてのお尋ねでございます。
 六十一年度以降の問題につきましては、今後、検討の方法等を含めまして関係者の間で十分に相談して適切に対処してまいる所存であります。
 次に、生活保護についての御質問にお答えいたします。
 今回の補助率の引き下げに伴う地方公共団体の負担については、地方財政計画において総体として所要の財源措置が講ぜられておりますが、生活保護については、地域によって保護率等に大きな差異があること等を考慮いたしまして、急激な財政負担増を緩和するため、生活保護臨時財政調整補助金を計上したところであります。これらの措置によりまして、生活保護の円滑、適正な運営を確保してまいる所存であります。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(木村睦男君) 中野明君。
   〔中野明君登壇、拍手〕
#13
○中野明君 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま趣旨説明のありました昭和六十年度地方財政計画、地方交付税法等の一部を改正する法律案並びに地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 総理は施政方針の中で、心の触れ合う地域社会、安全で快適な生活環境づくり、文化の花を咲かせた魅力ある町づくり等々を標榜されておられますが、その舞台はすべて住民に直結した地方公共団体であります。ところが、地方の時代とは名ばかりで、今や地方財政は五十六兆円にも上る巨額の借入金を抱えており、受難の時代と言わざるを得ないほど、地方の現況はとても大変な状況であります。
 ごく一部の特異な例をとらえて意識的に国が地方財政余裕論を唱えているようですが、三千三百余の個々の地方公共団体の現状は、交付税特別会計借入金に係る借入金残高の五兆六千九百億円について償還を六十六年度以降に繰り延べたように、財政の硬直化が進んでおり、容易ならざるものがあります。この際、地方自治のあるべき姿と地方財政の現状認識について、総理、大蔵大臣の見解を求めます。
 次に、地方交付税に関してであります。
 さて、六十年度政府予算は、所得税、住民税の減税を見送り、福祉施策を後退させ、生活関連公共投資を抑制するなどによって、国民生活直撃型、内需冷え込ませ型の国民の期待に反したものであり、増税なき財政再建を放棄したものと言わざるを得ません。その上に、地方自治体に対する福祉、医療、教育費等の高率補助金の一律削減を盛り込んだ問題でありますが、これは明らかに地方への負担転嫁を強要したものであります。
 まずお伺いしたいのは、国庫補助負担率の地方転嫁は許されないという点であります。
 地方財政法では、「地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行ってはならない。」と規定されております。今回の措置は、この地方財政法の趣旨に反するものであります。
 昨年末、地方制度調査会第六次総会で自治大臣は、「補助金の一律カット問題については、国の財政需要のみを考え、国の財政負担を地方に転嫁するにすぎないものであり、行政改革の基本理念にももとるものであります。今日まで営々として築かれてきた国・地方の財政秩序と信頼関係を崩壊しかねないものと考えております。」とあいさつされているではありませんか。国がこのようなことをやっていたのでは、地方公共団体が住民にその負担を転嫁してはならないと地方財政法に明記されている規定を地方自治体に守れとは言えなくなるではありませんか、いかがですか。
 また、同法には、地方公共団体の負担を伴う法令案にあっては「自治大臣の意見を求めなければならない。」とありますが、地方制度調査会であいさつされた自治大臣、お答えをいただきたい。
 さらに地財法には、国と地方公共団体とが経費を負担すべき割合は、「法律又は政令で定めなければならない。」とされており、これは、安易に法令を改定すれば簡単に負担割合を変更できるというのではなく、負担割合の変更に慎重であれとの法の趣旨であり、その意味において法律等にかからしめたものであります。この点いかがですか、自治大臣、見解を求めます。
 このように地方に負担転嫁するのは、これまでの国、地方間の負担割合の見直しを行おうという考えが根底にあるのではないですか。本当に六十年度限りなのですか。今後何らかの形で地方に負担を求めるようなことはないのか。来年度の確たる見通しを持っておられるのか、総理、大蔵大臣の見解を求めます。
 このような安易な国の財政の帳じり合わせは、直ちに撤回すべきではありませんか、どうですか。
 昨年九月、総理は、補助負担率の地方転嫁と引きかえに、自治省に権限移譲の法案提出に向けて作業を開始するよう指示されました。しかし、補助金削減法案が提出された今はすっかり忘れてしまったのではないですか。自治大臣は、まず国と地方との機能分担を見直すのが基本であり、国庫補助の負担率の引き下げは順序が逆になったと言っているではありませんか。この点、総理並びに大蔵大臣、お答えください。
 昨年十二月の地方制度調査会の「地方行財政に関する当面の措置についての答申」で、具体的に示された権限移譲の推進や機関委任事務の見直し等の事項についてはどう考えておられるのか。調査会の答申というものをどう受けとめておられるのか、総理、自治大臣の答弁を求めます。
 次に、地方行革についてであります。
 地方自治体は、国以上にみずからの手による地方行革の推進を強力に実行しております。しかしながら、このような地方自治体みずからの行革の結果として生じた余裕財源が、その地方の住民に還元されることなく、国の負担転嫁の財源に充てられたのでは、何のための行革かわからないではないですか。これでは行政改革ではなく、結果的には地方が国の財政再建に無理やり協力させられただけであり、地方は行革への意欲を失うばかりではありませんか。総理、いかがですか。
 次に、地方財政計画についてお尋ねします。
 六十年度の地方財政計画は、借金返済のために公債費が急増し、財政支出の一一・二%を占め、また経常経費が四〇%を占めるなど、地方財政は極めて硬直化しているのであります。このため、地方公共団体が自主的に事業を実施することは非常に困難であり、厳しい締めつけ財政のもとでは地方財政の主体性は望めません。三千に余る大小の自治体が実態に即した住民サービスを実施できるような財政運営を推進するためには、どうしても交付税率の引き上げによる一般財源の安定的確保が必要であります。総理並びに自治大臣の答弁を求めます。
 次に、地方税についてであります。
 まず、住民税でありますが、昭和五十四年度以来、課税最低限が生活保護基準を下回ったため、昭和五十六年度から住民税の非課税限度措置を設けてきたわけであります。この措置により、生活保護世帯と同じ収入層に対しては課税されないことになりました。しかし、反面この事実は、税の負担が重くなっているというのが現在の住民税の姿であります。したがいまして、このような税負担の不公平を解決するためには、非課税措置というようなその場しのぎの措置ではなく、課税最低限の引き上げにより是正すべきであります。総理並びに自治大臣どうですか、お答えいただきたい。
 また、電気税の非課税措置についてでありますが、政府もその改善を約束し、逐次整理合理化を実行してきたところでありますが、今回の地方税制改正では何ら手がつけられていないのであります。今後どうするのですか、伺います。
 以上のように、今日の地方税制度を見てみますと、電気税、事業税等を初めとして各種の非課税措置がとられており、地方財政の自主的運営を損ねる結果となっております。総理は現行のこれら不公平税制の是正にどのように取り組まれるつもりなのか、答弁を求めます。
 次にお尋ねしたい点は、昨年十月に発足した退職者医療制度の問題であります。
 四カ月を経た今日、加入者数が厚生省の見込んだ四百六万人を大幅に下回り、二百五十万人にすぎない現状となっております。しかも、厚生省ではこの制度の改革に伴う国保保険料の負担増はないと言明されてきましたが、国庫補助の過剰削減と退職者加入の見込み違いの二大要因により、国保の財政状況は極めて厳しい現実に直面しているのであります。特に、過疎地の町村は退職者加入が皆無に等しく、大問題となっております。このような制度改革に当たっての見込み違いと財政的ひずみに対して政府は正しく認識され、新たな財政措置等を検討すべきであると思いますが、厚生大臣、自治大臣の確たる答弁を求めます。
 以上、地方行財政等に関する緊急かつ重要課題について要点を絞り質問いたしましたが、総理並びに関係大臣の率直な答弁を期待し、最後に、書記長・幹事長会談でも合意を見ている一連の減税については、誠意を持って速やかに措置されることを強く要望し、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣中曽根康弘君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(中曽根康弘君) 中野議員にお答えをいたします。
 第一問は、地方自治のあるべき姿、特に魅力ある町づくりの問題でございます。
 地方自治は民主政治の基盤であり、内政のかなめであります。特に、人口の高齢化あるいは安定経済成長、あるいは高度情報社会時代、こういう
ものを迎えまして、地域の特性や創意を尊重した地域づくりが重視されておりますから、地方公共団体の未来に向かって果たすべき役割は非常に重要になってきたと思います。我が国の民主国家としての発展のためにも、また国民福祉の増進や各地域の独自の創意工夫による町づくりの推進のためにも、住民に身近な行政はできるだけ住民に身近な地方公共団体で自主的、自律的に行うという建前からも、町づくりは大事であると思います。
 最近は、マイタウンであるとか、あるいはふるさと日本列島であるとか、そういう標語が出てまいりまして、町づくりについて非常に熱意が上がってきたことを政府は歓迎し、これに対しては協力してまいりたいと思う次第でございます。
 次に、地方財政余裕論と地方財政の体質改善の問題でございます。
 現下の地方財政は、五十六兆円にも及ぶ巨額な借入金残高を抱えておりまして、地方財政も苦しい状況にあると政府は認識しております。このために、地方財政は国と歩調を合わせまして行財政改革を積極的に推進し、経費全般にわたり節減合理化を図る一方、地方一般財源の充実強化に努力してまいりたいと思います。
 補助率引き下げの問題でございますが、今回の高率補助率の引き下げは、六十年度における措置として実施いたしたものでございます。六十一年度以降の取り扱いにつきましては、今後所要の検討を行い、適切に対処してまいりたいと思います。
 次に、高率補助の一律カットの問題でございます。
 六十年度予算は、厳しい環境のもとに、臨調答申の指摘を踏まえまして、補助金等の徹底した整理合理化に積極的に取り組んだところでございます。これに伴う地方負担の増加に対しては、交付税の特例措置及び建設地方債の増発等で補てんするなど万全の措置を講じて、地方公共団体の財政運営に支障が生じないように対処しております。
 地方公共団体への権限移譲に関する御質問でございますが、昨年九月、関係省庁に地方公共団体に対する権限移譲の検討を私は指示いたしました。この問題は、国、地方を通ずる行財政の簡素効率化及び地方分権の推進の観点から幅広く検討すべき問題であります。この意味での権限移譲問題のうち、国の地方公共団体に対する関与及び必置規制については、今回一括法案を提出したところでございます。また、機関委任事務の見直し及び国の許認可権限等の地方への移譲につきましては、現在、六月末を目途として臨時行政改革推進審議会において審議しているところであり、その結果を踏まえて推進してまいりたいと思います。
 高率補助金の一割カットの問題、地方、中央の調整が先ではないかという御質問でございます。
 六十年度予算は、厳しい環境のもとに、臨調答申を踏まえまして、補助金の合理化に徹底的に取り組んだところでございます。このような合理化の一環として、社会経済情勢の推移等を踏まえまして、高率のものにつき引き下げを行う必要があるとの指摘がある一方、片方では、補助金の見直しについては国と地方の役割分担及び費用負担のあり方とあわせて検討する必要があるという中野議員の御指摘のような御意見もございました。
 昭和六十年度の予算編成に当たりましては、以上の考え方及び現下の厳しい財政状況を踏まえまして、六十年度における暫定措置として補助率の引き下げを行うこととし、六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の役割分担や費用負担の見直し等とともに検討してまいりたいと思う次第でございます。
 次に、権限移譲の推進と地方制度調査会の答申との関係でございます。
 行政改革を推進するに当たっては、国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方分権の推進の観点から、住民に身近な事務は住民に身近な地方公共団体において処理できる、そのようなことが望ましいと思います。このため、政府は国の関与及び必置規制の整理に続き、機関委任事務の見直し及び許認可権限等の地方への移譲を推進してまいりたいと思います。これらの改革については、御指摘のとおり、地方制度調査会の答申を十分に尊重してまいりたいと思います。
 次に、地方行革に関して、余裕財源は住民に還元すべきであるという御質問でございます。
 昭和六十年度の地方財政対策として、地方団体の財政運営に支障を生ずることのないように万全の措置を講じたところでございますが、行革の推進は国、地方を通ずる国民的課題でありまして、また、国と地方との関係の調整のみならず、地方公共団体の間の均衡や公平ということも考えていただきたいと思うのでございます。そういう意味におきまして、これらの課題にこたえるという意味におきまして今後とも我々は検討し、推進してまいりたいと思う次第でございます。
 交付税率の引き上げの問題でございますが、地方財源の充実確保のためには、地方税源の充実とあわせて、地方交付税の所要額を安定的に確保していく必要があると思います。今後とも、地方財政をめぐる情勢の推移に即応して、具体的な方策について十分検討してまいるつもりであります。
 住民税の課税最低限の問題でございますが、住民税の所得割の非課税措置は、現下の地方財政では課税最低限の引き上げが困難である中で、低所得者層の税負担に配慮する趣旨から、五十六年度以降講じてきたところでございます。住民税の課税最低限については、五十九年度税制改正において大幅な引き上げによる本格減税を行ったところであります。政府税調の答申でも、本年度は所得税、住民税の減税を行う余地はないと言っておるので、御理解願いたいと思うのであります。
 なお、先般の予算審議の際なされました与野党幹事長・書記長会談の内容については、その手続の結果を踏まえまして、政府としても尊重してまいるつもりであります。
 電気税、事業税等の不公平税制の是正の問題でございますが、税制の基本が公平、公正の確保にあることは申すまでもございません。地方税の非課税等特別措置については、税負担の公平確保の観点から、社会経済情勢の推移に応じ、必要な見直しを行ってきております。六十年度の地方税制改正においても、事業税の非課税措置の廃止等特別措置の整理合理化を実施いたしました。今後とも、社会経済情勢の変化に対応して必要な見直しを行っていく必要があると思います。
 重ねて申し上げますが、幹事長・書記長会談で合意されました一連の措置につきましては、それらの手続の結果を踏まえまして、尊重してまいるつもりでございます。
 残余の答弁は関係大臣からいたします。(拍手)
   〔国務大臣古屋亨君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(古屋亨君) お答えいたしますが、第一は、地方財政法の趣旨と国庫補助負担率の引き下げ措置についてお答えいたします。
 昭和六十年度予算におきます国庫補助率の引き下げに伴う地方負担の増加につきましては、交付税の特例措置、建設地方債の増発で補てんするなど万全の措置を講じまして、地方公共団体の財政運営に支障が生じないように対処したところでありまして、地方財政法に反するような措置がなされたとは考えておりません。
 国、地方を通ずる厳しい財政環境のもとではありますが、国も地方公共団体も、地方財政法の趣旨に基づき適正な財政秩序を維持し、地方財政の健全化に努めるべきものであると考えております。
 次に、地方財政法に基づく自治大臣の意見についてお答えいたします。
 今回の補助率の引き下げに当たりましては、概算要求に先立ちまして、七月、各省及び大蔵省に対しまして、補助金等の整理合理化を行うに際しては地方公共団体に財政負担を転嫁することのないよう要請したところであります。また、予算編成前、十一月におきましても、生活保護費補助金等に係る補助負担割合を国と地方公共団体との機能分担のあり方を見直すことなく一律に引き下げることは一切行わないよう、強く申し入れたところであります。さらに、補助金一括法案の協議におきましては、地方公共団体に対する財政金融上の措置を明記するよう申し入れたところでございます。
 次に、地方財政法と国庫負担割合の変更についてお答えいたします。
 地方財政法におきましては、国庫負担金の負担割合は「法律又は政令で定めなければならない。」とされておりますが、これは、国庫負担金について法令によらずして図の負担対象や負担すべき割合が変更され、地方財政の基礎が不安定になることのないようにする趣旨で定められたものであります。
 国庫負担制度につきましては、今後とも国と地方との間の適正な関係を維持しながら、安定的に運営されるよう努めてまいりたいと考えております。
 次に、地方制度調査会の答申に示された権限移譲の推進や機関委任事務の見直しについてお答えいたします。
 総理からもお答えございましたように、昭和五十九年十二月四日の地方制度調査会の答申には、「住民に身近な行政はできる限り住民に身近な地方公共団体において自主的に処理できるように権限の移譲を進めるとともに、地方行革を阻害し、地方行財政の膨張をもたらしている国の制度・施策について速やかに是正を図る必要がある。」として、当面、権限移譲の推進、機関委任事務の見直し、必置規制の整理合理化等の改善措置を講ずべきであるとされております。このうち、国の関与及び必置規制の整理合理化につきましては、所要の法案が今国会に提出されたところであります。また、許認可権限等の地方公共団体への移譲及び機関委任事務の見直しにつきましては、現在、臨時行政改革推進審議会において調査審議が行われております。
 自治省といたしましては、地方制度調査会の答申の趣旨を踏まえ、これらに適切に対処するとともに、今後その一層の推進を図ってまいりたいと考えております。
 次に、昭和六十年度の地方財政計画についてお答えいたします。
 総理からも御答弁があったのでありますが、地方財政は巨額の借入金を抱え、非常に厳しい状況にありますが、このような財政環境のもとでも、地方団体が地域社会が求める財政需要に対応し、国民生活に直結する内政の担い手としてその役割を果たしていくために、昭和六十年度の地方財政計画におきましては所要の措置を講じたところであります。
 今後とも、地方団体が地域のニーズに即応した施策を講ずるため、地方税源の充実強化とあわせ、地方交付税の所要額を安定的に確保していく必要がありますので、地方財政をめぐる諸情勢の推移に即応しながら、地方制度調査会の御意見を承りながら、地方財源の充実確保を図ってまいりたいと思っております。
 次に、住民税の課税最低限についてお答えいたします。
 住民税所得割の非課税措置は、現下の地方財政におきましては課税最低限の引き上げが困難である中で、低所得層の税負担に配意する必要があるという趣旨に基づきまして、五十六年度以降講じられた措置でございます。
 この非課税措置につきましては、税制調査会の五十八年十一月の中期答申におきましても「地方財政の状況、課税最低限の水準等を総合的に勘案しつつ、必要に応じ、存続させることとすべきである。」とされております。現下の地方財政の状況にかんがみまして、昭和六十年度におきましても、生活保護基準を上回る課税最低限の引き上げは困難でありますので、所得割の非課税措置を存続させることとしておるところで、御了解をいただきたいと思っております。
 次に、電気税の問題でございますが、御承知のように産業用電気につきましては、原料課税を排除するという見地から、重要基幹産業あるいは新規重要産業に係る製品で製造コスト中に占める電気料金の比率がおおむね五%以上のものを非課税としているところであります。昭和六十年度の税制改正に当たりましては、引き続き非課税措置の見直しを行ったところでありますが、現行非課税基準のもとで残された品目につきましては、構造的不況業種に係るものが多く、最近における産業活動の実態等の状況から見て、電気税を課税することによる国民経済への影響を考慮する必要があるという事情がありまして、昭和六十年度においては非課税措置の縮減を行わなかったものであります。
 税制調査会の中期答申におきましては、「社会経済情勢の変化に即応して、整理合理化を行うべきであるとの意見があるが、これを行う場合には物価など国民経済に及ぼす影響等についても配慮すべきであるとの考え方もあるので、これらを踏まえながら必要な見直しを行うことが適当である。」とされているところでありまして、電気税に係る非課税措置の整理合理化につきましては今後引き続き検討してまいりたいと考えておるところでございます。
 退職者医療制度の創設に伴う国保財政の問題に
ついてお答えいたします。
 このたびの医療保険制度の改革に当たりましては、市町村国保全体として保険料の負担水準の上昇はもたらさないとされたところであります。退職者医療制度の適用者数が当初見込んだ数に達していないということは御指摘のとおりでございまていないということは御指摘のとおりでございます。国保財政が健全かつ安定的に運営されることは市町村にとって重大な問題でありますので、所管省において、実態を踏まえ、適切な措置が講ぜられるよう十分連絡をとってまいる所存であります。(拍手)
   〔国務大臣竹下登君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(竹下登君) まず、私に対する第一の質問は地方財政の現状認識、この問題であります。
 現在、国と地方はともに収支不均衡状態でありまして、厳しい財政状況にあるわけでございますが、六十年度の地方財政は財源不足が大幅に縮小しております。そしてその結果、建設地方債の増発額も減少いたしました、公債依存度も低下する、そういうふうに国と比べては改善された姿を示しておるということが言えると思うわけであります。
 次の質問は、いわゆる六十一年度以降の補助率のあり方の問題であります。
 既に総理からもお答えがございましたが、国、地方の役割分担、費用負担の見直し、これらとともに十分検討を進めて結論を得まして、そしてそれを踏まえた措置をやっていこう、こういうことにいたしておるところであります。
 三番目は、高率補助金の一律カットの問題について御意見を交えての御質問でありました。
 行財政改革推進の見地から、一般歳出の約四割を占める補助金等の整理合理化を積極的に進めることが、まずは不可欠の状況にあります。今回の高率補助率の引き下げも、このような補助金等整理合理化の一環として、臨調答申等の指摘を踏まえ行うものでありまして、ただ国の財政の帳じり合わせということではないということを御理解いただきたいわけであります。そして、これまたお答えがございましたが、引き下げによって生ずる地方財政への影響につきましては、地方財政が円滑な運営をしていけるように、支障を来さないよう措置をそれぞれ講じたところであります。
 次が、機能分担を見直すのがまず基本であって、国庫補助の負担率の作業を先に行うのは順序が逆ではないかという御意見を交えての御質問であります。
 行財政改革を推進する見地から、一般歳出の約四割を占めますところの補助金の整理合理化、これを進めていくことが不可欠の問題であるという認識の上に立ちまして、補助率についても、そういうような整理合理化の 一環として、臨調答申等の趣旨に沿った見直しを行う必要がありますが、とりわけ二分の一超の高率補助率については、そのあり方についての問題点の指摘もございますことから、現下の容易ならざる国の財政状況にかんがみ、引き下げることとして御理解をいただこうとするものであります。
 しかし一方、補助率の見直しにつきましては、国と地方との役割分担及び費用負担のあり方、これはあわせて検討する必要があるとの意見もございます。この問題につきましては今後とも引き続きさらに検討することといたしまして、今回の措置は、当面六十年度における暫定措置としたものであります。
 なお、国、地方の間の機能分担の見直し、また地方に対する国の関与、必置規制等の整理合理化、これらを推進しているところでございます。
 以上で私のお答えを終わります。(拍手)
   〔国務大臣増岡博之君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(増岡博之君) 退職者医療制度についての御質問にお答え申し上げます。
 昨年十月制度発足以来日が浅いため、加入者が当初見込み四百六万人を下回っておりますことは御指摘のとおりでございます。本年一月末日現在、加入者は二百六十二万人にとどまっておりますが、四月以降六十年度において加入があった場合にも五十九年度にさかのぼって退職者として扱い、市町村国民健康保険の財源調整もあわせて行うこととしております。このため、現在、市町村において積極的に加入を促進するための方策を講じ、特に、本年度以降新たに年金を受給することとなる人を中心に加入の徹底を期しておるところであります。
 しかし、いずれにしましても、今後、市町村国保の実態を十分に把握し、これを踏まえて、市町村国保の安定的な運営に支障が生じないような方策を検討してまいる所存でございます。(拍手)
#18
○議長(木村睦男君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#19
○議長(木村睦男君) 日程第一市町村の合併の特例に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。地方行政委員長金丸三郎君。
   〔金丸三郎君登壇、拍手〕
#20
○金丸三郎君 ただいま議題となりました法律案は、市町村の合併の特例に関する法律の有効期限を昭和七十年三月三十一日まで延長すること、同法の適用対象に指定都市を加え、合併市町村の建設に資するため地方債について配慮規定を置くことなどを主な内容とするものであります。
 委員会におきましては、政府より趣旨説明を聴取した後、合併の際の自主性の尊重、長期にわたる特例措置のあり方、市町村の適正規模等の問題について熱心な質疑を行いました。
 質疑を終局し、討論の後、採決を行いましたところ、本法律案は賛成多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対し、合併に当たっては市町村の自主性を十分尊重することなどを内容とする附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#21
○議長(木村睦男君) これより採決をいたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔賛成者起立〕
#22
○議長(木村睦男君) 過半数と認めます。
 よって、本案は可決されました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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