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1984/03/07 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第六分科会 第1号
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1984/03/07 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第六分科会 第1号

#1
第102回国会 予算委員会第六分科会 第1号
本分科会は昭和六十年二月二十六日(火曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
     小此木彦三郎君    工藤  巖君
      田中 龍夫君    岡田 利春君
      堀  昌雄君    竹内 勝彦君
      梅田  勝君
二月二十六日
 小此木彦三郎君が委員長の指名で、主査に選任
 された。
―――――――――――――――――――――
昭和六十年三月七日(木曜日)
    午前九時一分開議
出席分科員
 主 査 小此木彦三郎君
      工藤  巖君    田中 龍夫君
      五十嵐広三君    岡田 利春君
      堀  昌雄君    松沢 俊昭君
      松前  仰君    山中 末治君
      有島 重武君    遠藤 和良君
      草川 昭三君    竹内 勝彦君
      梅田  勝君    辻  第一君
   兼務 井上 普方君 兼務 関  晴正君
   兼務 松浦 利尚君 兼務 近江巳記夫君
   兼務 柴田  弘君 兼務 小川  泰君
   兼務 塩田  晋君 兼務 米沢  隆君
   兼務 柴田 睦夫君 兼務 正森 成二君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  村田敬次郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      金子 一平君
 出席政府委員
        経済企画庁長官
        官房長     窪田  弘君
        経済企画庁長官
        官房会計課長  長沢 哲夫君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        経済企画庁国民
        生活局長    及川 昭伍君
        経済企画庁物価
        局長      斎藤 成雄君
        経済企画庁総合
        計画局長    大竹 宏繁君
        経済企画庁調査
        局長      横溝 雅夫君
        科学技術庁原子
        力安全局次長  藤咲 浩二君
        通商産業大臣官
        房長      杉山  弘君
        通商産業大臣官
        房審議官    矢橋 有彦君
        通商産業大臣官
        房会計課長   緒方謙二郎君
        通商産業省通商
        政策局長    黒田  真君
        通商産業省貿易
        局長      村岡 茂生君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
        通商産業省立地
        公害局長    平河喜美男君
        通商産業省基礎
        産業局長    野々内 隆君
        通商産業省機械
        情報産業局長  木下 博生君
        通商産業省生活
        産業局長    篠島 義明君
        工業技術院長  等々力 達君
        工業技術院総務
        部長      荒尾 保一君
        資源エネルギー
        庁長官     柴田 益男君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       松田  泰君
        資源エネルギー 畠山  襄君
        庁石油部長
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 山本 幸助君
        特許庁長官   志賀  学君
        特許庁総務部長 小川 邦夫君
        中小企業庁長官 石井 賢吾君
        中小企業庁計画
        部長      末木凰太郎君
        中小企業庁小規
        模企業部長   井上  正君
 分科員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局取引部取
        引課長     地頭所五男君
        公正取引委員会
        事務局取引部景
        品表示指導課長 黒田  武君
        警察庁刑事局捜
        査第二課長   上野 浩靖君
        経済企画庁国民
        生活局国民生活
        調査課長    川名 英子君
        科学技術庁研究
        調整局調整課長 須田 忠義君
        法務省刑事局刑
        事課長     東條伸一郎君
        法務省人権擁護
        局調査課長   永井 敬一君
        大蔵省主計局主
        計官      吉本 修二君
        大蔵省主計局主
        計官      秋山 昌廣君
        大蔵省主税局税
        制第二課長   小川  是君
        大蔵省銀行局特
        別金融課長   藤原 和人君
        国税庁直税部法
        人税課長    加藤 泰彦君
        国税庁間税部消
        費税課長    宮内  毅君
        文部大臣官房調
        査統計課長   藤田不二男君
        農林水産省食品
        流通局市場課長 米田 博正君
        水産庁漁政部企
        画課長     東   諄君
        水産庁漁政部水
        産流通課長   高木 勇樹君
        運輸省運輸政策
        局海洋・海事課
        長       高橋 伸和君
        労働省労働基準
        局監督課長   菊地 好司君
        労働省労働基準
        局安全衛生部環
        境改善室長   冨田 達夫君
        自治省財政局準
        公営企業室長  石田  淳君
        参  考  人
        (日本道路公団
        理事)     加瀬 正蔵君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  工藤  巖君     海部 俊樹君
  堀  昌雄君     大原  亨君
同日
 辞任         補欠選任
  海部 俊樹君     工藤  巖君
  大原  亨君     堀  昌雄君
同月七日
 辞任         補欠選任
  岡田 利春君     松沢 俊昭君
  堀  昌雄君     竹内  猛君
  竹内 勝彦君     長田 武士君
  梅田  勝君     野間 友一君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     堀  昌雄君
  松沢 俊昭君     水田  稔君
  長田 武士君     西中  清君
  野間 友一君     小沢 和秋君
同日
 辞任         補欠選任
  堀  昌雄君     辻  一彦君
  水田  稔君     松沢 俊昭君
  西中  清君     有島 重武君
  小沢 和秋君     田中美智子君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     五十嵐広三君
  松沢 俊昭君     山中 末治君
  有島 重武君     森田 景一君
  田中美智子君     経塚 幸夫君
同日
 辞任         補欠選任
  五十嵐広三君     辻  一彦君
  山中 末治君     岡田 利春君
  森田 景一君     竹内 勝彦君
  経塚 幸夫君     辻  第一君
同日
 辞任         補欠選任
  辻  一彦君     松前  仰君
  竹内 勝彦君     遠藤 和良君
  辻  第一君     佐藤 祐弘君
同日
 辞任         補欠選任
  松前  仰君     竹内  猛君
  遠藤 和良君     草川 昭三君
  佐藤 祐弘君     中林 佳子君
同日
 辞任         補欠選任
  竹内  猛君     堀  昌雄君
  草川 昭三君     吉浦 忠治君
  中林 佳子君     梅田  勝君
同日
 辞任         補欠選任
  吉浦 忠治君     竹内 勝彦君
同日
 第四分科員井上普方君、米沢隆君、柴田睦夫君
 、正森成二君、第五分科員小川泰君、第七分科
 員松浦利尚君、近江巳記夫君、柴田弘君、第八
 分科員関晴正君及び塩田晋君が本分科兼務とな
 った。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
 〔総理府(経済企画庁)及び通商産業省所管〕
     ――――◇―――――
#2
○小此木主査 これより予算委員会第六分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりましたので、御協力のほどよろしくお願い申し上げます。
 本分科会は、総理府所管中経済企画庁並びに通商産業省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省庁所管事項の説明は、各省庁審査の冒頭に聴取をいたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算中総理府所管経済企画庁について審査を進めます。
 政府から説明を聴取いたします。金子経済企画庁長官。
#3
○金子国務大臣 昭和六十年度の経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁の予算額は、三百九十九億九千六百万円となっており、これは前年度予算額に比べて八十億八百万円の増額であります。
 また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金に係る分として、四千二百十七億円を予定しております。
 以下、重点事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 第一に、経済協力の積極的展開を図るために必要な経費として、二百九十六億六百万円を計上しております。
 この内訳の主なものは、海外経済協力基金交付金二百九十五億一千四百万円であります。海外経済協力基金につきましては、経済協力の中期目標のもとで行っている政府開発援助の計画的拡充に努めるため、事業規模として、七千二百億円を予定しております。この資金としては、前述の交付金のほか、一般会計からの出資金が一千六百九十億円、資金運用部資金からの借入金が三千九百五十七億円、政府保証債が二百六十億円、自己資金等が九百九十八億円となっております。このうち一般会計からの出資金は大蔵省に計上しております。
 第二に、物価政策の推進に必要な経費として、二十三億二千五百万円を計上しております。
 この内訳の主なものは、生活関連物資の需給、価格動向の調査監視、その他各省庁の所管する物価対策を機動的に実施するための経費二十一億五千万円等であります。
 第三に、国民生活政策の推進に必要な経費として、二十四億五千万円を計上しております。
 この内訳の主なものは、国民生活センターの運営に要する経費十九億円等であります。
 これらのほか、経済動向の調査分析、内外経済対策の推進、「一九八〇年代経済社会の展望と指針」に基づく諸政策の推進等に必要な経費として、十五億七千九百万円を計上しております。
 以上、六十年度における経済企画庁関係の予算及び財政投融資計画について、その概要を御説明申し上げました。
 何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。
#4
○小此木主査 以上をもちまして経済企画庁についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○小此木主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上普方君。
#6
○井上(普)分科員 「八〇年代経済社会の展望と指針」を読ませていただきましたが、虫眼鏡で見なければならぬぐらいの小さい字で実は恐れ入ったのでございますが、この「経済社会の展望と指針」を拝見しまして、幾多の問題点が指摘されると思います。
 その一つは、第一項目の「八〇年代の変化の基本方向、国際環境の変化の方向」というところにおきまして、まことに楽観的な見方をしておられる。しかしながら、この国際社会の経済社会におきましては、何を言いましても一番大きな問題は債務国問題ではなかろうかと思うのであります。これらに対する記述がない。この点についてどのようにお考えになっておられるのか、金子大臣のお考え方をまず承りたいと思います。
#7
○金子国務大臣 御指摘のとおり、発展途上国の累積債務、世界経済として片づけていかなければならぬ、積極的に取り組んでいかなければならない非常に大きなこれからの問題だと考えておる次第でございます。御承知のとおり、今各先進国の間でどうやってこれに取り組んでいくかという点についての話し合いをしておりますが、特に市場開放等をやって、債務国の生活向上、国力の回復を図ってやるというようなことに重点を置いてやっておる次第でございます。
#8
○井上(普)分科員 実はこれに記述がないのです。私は、これらの問題について抜けているなという感を深くいたしておるのであります。しかし、これはともかく時間がございませんので、この問題につきまして、ひとつ次に国民生活に及ぼす影響についてお伺いいたしたい。
 御存じのとおり、私が申し上げるまでもなく、これから国民の租税負担率は非常に上がってくる。さらにはまた社会保険の負担率も上がってくる。先般も我が党の松浦君が指摘いたしました、この展望をつくる資料によりますと、両者合計した国民の負担率は所得の大体四〇%近くなるのであろうと私には思われるのでありますが、経済企画庁の見方としましては、ここ五年ぐらいの間どのように推移していくとお考えになるのかお示し願いたいと思うのであります。
#9
○金子国務大臣 現在のところは、租税負担率、社会保障の負担率合わせて三五・七%程度で推移しておりまして、イギリスやドイツ、フランス等に比べますと比較的低位に抑えられておる状況でございますけれども、これからの老人社会を迎えるに当たってどの程度社会保障を充実していくか、特に財政再建を考えて負担の見直しを行って、どの程度の税を国民に負担していただくか、そこら辺の方針がまだ決まっておりませんから、そういったものがだんだんと政府・与党の間で話し合いが煮詰まってくると、これは変わってこようかと思うのでありまするけれども、我々の気持ちといたしましては、やはり現在の各国の負担の程度よりはある程度低いところで抑えたい、特にスウェーデン、ノルウェー、デンマークのような北欧諸国のような高い負担率に持っていったのでは、これはもう完全に窒息しそうになりますから、そういうことのないように極力軽いところで抑えたい。しかし、ある程度上がっていくことは、これはやむを得ないのじゃなかろうかというふうに考えておるところでございます。
#10
○井上(普)分科員 低いところで抑えたい、しかし上がっていくのはやむを得ない、こうおっしゃられるのでありますが、それはどの程度にまで、ここ十年あるいは十四、五年の間に推移する見通しであるのですか。それであなたは今、政府・自民党の間でそういうような長期的な考え方はないと仰せられますけれども、今の国の財政状況からいたしましてどういうように推移していくものか、お示しを願いたいと思います。
#11
○金子国務大臣 長期の問題としてこれをどういうふうに考えていくかということは、先ほども申し上げましたとおり、これからの議論を詰めないと出てこない問題でございますが、従来からの議論の過程においては、現在先進国が五割だとか六割とかいっておることに対しては、今の三割五分をいつまでも守るわけにはいかないけれども、せいぜい四割とか四割少々超えたところで抑えるだけの努力はしなければいかぬ、極力その努力はする、そういう意味においての行財政改革と申しますか、思い切ったぜい肉落としをしっかりやって、国民の負担は軽く持っていけるような努力を今一生懸命にやっておる最中でございまして、その上での税負担、社会保障の負担を一体どうするかということになってこようかと思うのです。
#12
○井上(普)分科員 どうも国の財政に中心がいって、頭がいって、国民生活それ自体について従の考え方だというお考えのように思われてなりません。しかし、今も言われましたが、四〇%を超えるであろうということが私は予想せられるのであります。しかしながら、今も指摘されましたスウェーデンあるいはまたデンマークの諸国との状況を比較いたしますと、北欧諸国あるいはまた西欧諸国においては、社会的資産と申しますかあるいはまた国民的資産、個人的資産というものの蓄積がかなりある。我が国よりもはるかにあるのであります。
 そこで考えてみますと、そういうようなことでございますから、我が国がこれから個人蓄積あるいは社会蓄積というものを考えますときに、非常に大きくこれからもやらなければなりませんので、非常に大きな負担が国民にのしかかってくるように思われてなりません。その上へ持ってまいりまして、我が国におきましては防衛費というものが非常に抑えられておる。各国におきましては防衛費が高い。その防衛費の差をとってみますと、四〇%を超えた場合、西欧諸国よりもむしろ我が国民の負担率というものは高くなってくるのじゃないかという気がしてならないのであります。その点については、金子大臣はお調べになったことはありますか。
#13
○金子国務大臣 防衛費の負担の問題を考えますと、もっと日本の負担率は下げてしかるべきじゃないかという御意見があることは、これは私も承知いたしておりますけれども、しかし先ほど御指摘のございましたように、社会環境の整備、それは日本は非常におくれているのです。そういう方面へ従来から相当投資をしてきましたし、またこれもやっていかなければいかぬ問題ですから、個人の蓄積と同時にやはりおくれた公共投資に対する投資を続けて、そうして全体として国民に対するサービスを強化していくという方向へこれからしっかり持っていかなければいかぬという意味においての負担の増というものがある程度考えられてしかるべきじゃないか、そういう気持ちは私ども持っております。それは決して民間生活を無視した増額ではないというふうに考えておるわけであります。
#14
○井上(普)分科員 この問題、これから高齢化社会が来る、しかも一方におきまして個人の蓄積というものは諸外国、先進諸国と比べますと非常に少ない。その上に立ちましてこれを考えていきますと、一体将来四〇%以上の租税負担あるいはまた社会保険の負担をやらして大丈夫だろうか。世代間の戦争が起こってくるのじゃないだろうか、争いが起こってくるのじゃないだろうかと私は心配するのです。
 その一つの例といたしまして、若い世代におきましては住宅費というものが非常に大きいウエートを占めてきています。建設省あるいはまた住宅金融公庫なんかの試算を見ますと、近ごろでは所得の三〇%あるいは三五%ぐらいの住宅費を負担しておる世帯が非常に多くなってきている。
 考えてみますと、お年寄り、我々の世代以上の者は大体自分の住宅というものは持っている。ところが、これから核家族がどんどん進んでいく、別居世帯が進んでいく中におきまして、若い世代が、平均でございますけれども四〇%の負担の上に所得の二〇%、三〇%の住宅の負担を持つということになりましたならば、一体若い世代の諸君はどうやって生活するのだろうかという気がしてならないのであります。一方、年寄りの方は年金生活ができる。しかしながら、これらの人たちは大体ほぼ住宅費というものは非常に少なくなってきている、こういう現象が起こってくると思うのでございますが、これについての試算が経済企画庁でありますか。
#15
○大竹政府委員 計数的な試算は行ったことはございませんが、そういう世代間の問題については、私どもも問題意識として持っておるわけでございます。
#16
○金子国務大臣 今井上先生から御指摘のございました住宅の問題、これは大変大事な問題でございまして、先ほど私が公共投資と言っているその中にも、今の公的な住宅投資を含めての話を申し上げておるわけでございます。特に日本では住宅環境の整備がおくれておりますから、私は、やはりこれからの若い人には相当思い切った公的な投資を住宅関係においてもやっていかなければいかぬ、そういう気持ちでいろいろやっていることだけは申し上げておきたいと思います。
#17
○井上(普)分科員 今も住宅に投資すると言われますが、今の政策で果たしてその若い人たちが満足のいくような住宅政策が行われると思いますか。もう既に私はやらなければならぬと思っているのです。もう既に若い諸君の間に、こんなに保険料が高くてたまるか、税金が高くてたまるかというような気持ちがあることは御存じのとおり。だから失業保険は掛けないぞなんという諸君もおる。不満も大分出てきておる。しかし住宅問題につきまして、これは住宅問題が非常に大きくなったのは昭和五十二年からなんですね。この指標を見ましても、特に住宅建設について一項目設け出したのが宮澤さんが経済企画庁長官の時代、五十二年からともかく一項目入れ出した。
 しかし、見てみますと、あなた方の、自民党の政策というものは個人住宅の建設ということに中心を置いてきた、これは四十七、八年から大きな変化であります。ために、今も金子大臣が言われましたが、公的住宅というものの数がどんどん減ってきている。その結果、個人住宅はかなりできてきましたけれども、核家族が進行する中で若い世代の諸君に対する住宅を満たすには、これは十分なものではないように思われる。とするならば、ここにおいて政府の住宅政策というものは大きな転換をしなければならないにもかかわらず、すなわち、公的住宅に中心を置いた若い労働者向けの住宅をどんどんと準備しなければならない時代に入っておるにもかかわらず、個人住宅に中心を置いておるのが現状であります。間違いじゃございませんか。私は、この際こそ次の若い労働者のために、安い、広い、そして便利な公的住宅の建設にこそ方向を向けるべきだと思うのでございますが、大臣、いかがでございますか。
#18
○金子国務大臣 井上先生のおっしゃるとおりに、私はこれはまさに当を得ている議論だと思うのでございます。公的住宅と言えば、ともかく不便な場所に、しかも狭い環境の中で不便を忍びながらやっていくというのが公的住宅の一般的な概念でございましたけれども、もうそろそろはっきりと切りかえていくように政府の住宅政策を持っていく必要がある。今のところは、お話のように私的な住宅づくりに重点が置かれておるように考えられますけれども、私は将来のことを考えると、やはり今言ったような公的住宅を相当思い切って拡充していく必要がある。その前に、これはあわせて土地問題が絡んできますから、今のような不便な地域でだれも入る人のいないところにうちをつくってみてもしようがないので、そこら辺はこれから思い切った発想の転換をやっていく必要があると考えております。
#19
○井上(普)分科員 もちろんそのとおりでございますけれども、公団住宅は御存じのように毎年毎年建設戸数が減っているのです。しかも、市営あるいはまた自治体の公営住宅も減りつつあります。そしてまた、一つの考え方ではありましょうが、自治体のつくっております公営住宅というのが福祉住宅に変わりつつあることも、これまた事実であります、内容は別としまして。しかし、働く者の住宅としましたらやはり公団住宅というものを中心に考えざるを得ない。しかし、公団住宅の今の現状を見てみますと、若い、三十半ばの人たちが入れるだけの住宅じゃない。例えて言いますならば所得制限があります。頭の制限がある、下の制限があるのですよ、公団住宅では。下の制限、すなわち所得が二十万円、二十五万円以上でなければ入れないのです。ところが若い諸君の賃金というものは、二十万円、二十四、五万円、所得制限の関係から公団住宅にも入れないのです。そういう住宅が今公団住宅の実態なんです。金子さんと政治家同士の話として私は申し上げておる。今の公的住宅を拡張しなければならない、大量に建てなければならないという点においては一致します。しかし、今の政策が持ち家政策に全部おぶさっております関係上、自分の家を持つことができない若い世代の諸君は大きな住宅費を抱えざるを得ないのが現状であります。私はこの点を心配するのです。
 年金生活をやっておる年寄りは住宅を持っているじゃないか、そして生活実態を見ますと、お年寄りの方がむしろ豊かな生活をやっておる、我々たまるかという考え方が若い世代の諸君の中に起こらないとも限らないのであります。したがって、国としては、これはせめて公的住宅を拡張し、勤労者向けの、若い世代向けの住宅に中心を置いた住宅政策をやることこそ二十一世紀に向けての政策であろうと私は思うのです。ここのところで自民党の政策、政府の政策、住宅政策の大きな過ちがあると思うのでございますが、金子大臣の御所見を承りたい。
#20
○金子国務大臣 従来からいろいろな批判があることも承知いたしております。住宅政策については、私ども今日の生活では、衣が足り食が走って、足りないのは住なんですから、その解決をしてやらぬことには若い人の将来に対する希望というものがなくなりますから、最重点を置いてやっていかなければいかぬという気持ちでは井上先生と全く同感でございまして、長い積み上げの上に出てきておる今日の公的住宅でございますから、一遍の切りかえは難しいかもしれませんが、私はそういう方向でぜひしたいと考えておりますし、幸いにまた、各企業が持ち家について個人として足らざる部分を応援しようという空気になってきておりますから、両々相まってやっていかなければいかぬけれども、基本は何といっても公的住宅を住みいい環境に持っていって、安心して住の確保が得られるんだという気持ちを持っていただけるようにいくことが政治として一番大事なことであろうと考えております。
#21
○井上(普)分科員 どうも議論が逆立ちしておる、あなたの考え方は。企業がそういうような持ち家制度を考えておるからそれに乗っかったらいいという考え方は大きな間違いだと私は思うのです。やはり国が若い勤労者向けの、若い世代向けの住宅を中心に物事を考えていくという姿勢でなければならないと思うのです。あなた方はすぐに民間活力の活用なんということを言いますけれども、それよりもまず国が住宅について考えていくということでなければ、世代間の争いというものが出てくることは必至だと私は思うのです。もう既に御存じのとおり、スウェーデン、デンマークあるいは北欧諸国あるいは西欧諸国においては世代間の争いというものが起こっておる。これを日本に持ってくる場合、日本には、先ほども申しましたように防衛費の負担が比較的低いから、これでまた租税と社会保険の負担率は四〇%そこそこで抑えられるけれども、一方、個人的な、すなわち可処分所得を考えてみると、可処分所得の中に住宅費が含まれるんですから、今の若い諸君の、ここらにおられる若い諸君はみんな公務員住宅に入っていますから比較的安いでございましょうが、民間の勤労者の諸君から見ますと、所得の二五%、三五%払っておるのが実情であります。しかも政府のやり方というのは、これは民間持ち家政策というが、むしろこのごろでございますと、民間のアパートづくりに力をかしておる、重点を置いておるように思われるのであります。民間のアパートというのはこれは高い。今若い世代の諸君は恐らく月収の二五%ないし三〇%の家賃を負担しておるんです。これが実情です。こういう点を考えなければ、二十一世紀への政策と言えないと思う。
 経済企画庁というのは、これは長い視野に立ってやらなきゃならない役所であります、計画を立てなきゃならない役所なので、あえて金子大臣にこの点をお伺いいたしておるのであります。
#22
○金子国務大臣 議論が逆立ちとおっしゃいましたけれども、そうじゃなくて、中心になるのはやはり公的住宅だと思うのです。それが間に合わぬから企業がいろいろ今やってくれておるという話を申し上げただけでございまして、私の考え方は公的住宅をもっと拡充していくべきであるし、そのための公共の住宅投資はしっかりやっていこう、こういうことでございますので、誤解のないようにひとつ申し上げておきます。
#23
○及川政府委員 住宅費の可処分所得に占める割合は、全世帯平均では八・八%になっておりますが、お説のとおり若い世代、二十歳台では一一%程度、六十五歳以上では五・八%程度というふうに、若い世代において比率が高いのは御指摘のとおりであります。そして、特に人生八十年代が目の前に来ておるわけでありますから、年金制度なりあるいは雇用制度なり住宅制度なり教育制度なり等々含めた全体の世代間の公平を考えた新しい制度をつくらなければならないということも、お説のとおりだと思っております。現在、国民生活審議会におきまして、人生八十年代における新しい社会システムのあり方について審議をしておりまして、近く結論が部分的にまとまるかと思っておりますが、経済企画庁としては、お説のような点に配慮しながら鋭意検討を進めているところでございます。
#24
○井上(普)分科員 今平均的なお話がございましたが、やはり若い世代には住宅費が大きくのしかかってくることはおわかりのとおりであると思います。しかし、大臣もいつも土地問題が難しいんだと言って、土地問題に全部逃げ込むんです、住宅問題と言えば。しかし、大きな国の将来ということを考えるならば、世代間の争いをなくするため、そしてまた我々も若い世代の負担に将来おぶさらなきゃならないのです。二十一世紀をと言って、いつも中曽根さんは二十一世紀を展望してなんということばかりおっしゃいますが、住宅問題はまさに二十一世紀に向けての重要な課題であります。経済企画庁の今までの指標を見てみますと、住宅問題がおろそかになっているように思われてなりません。したがって、私も眺めてみましたけれども余り書いてない。これに重点を置いた政策展開をせられんことを強く要望いたしまして、質問を終わります。
#25
○小此木主査 これにて井上普方君の質疑は終了いたしました。
 次に、松浦利尚君。
#26
○松浦分科員 まず最初に長官に、これは陳情じゃありませんけれども、お願いを申し上げたいと思うのですが、御承知のように予算総括のときにもいろいろと議論をいたしましたが、我が国の景気浮揚を見ました場合、確かに今景気回復過程で極めて順調に推移していることは事実ですが、ただ、全国的に見ますと非常にばらつきが多いわけですね。光と陰の部分が露骨に出てきておりまして、特に、経済白書その他等を見させていただきましても、北海道とかあるいは南九州の景気浮揚というのは極めて遅いし、むしろ全国的な景気の足を引っ張っておるという状況なんですね。
 その最大の理由というのは、いいか悪いかは別にいたしまして、民活といっても、民活そのものを利用する基盤というものがない。結果的に公共投資というものに依存する度合いが非常に強いわけですね。その公共投資が御承知のように年々いろいろ御苦労なさって、昨年のペースは保ってもらえるような予算措置にはなっておりますけれども、しかし、いずれにしても、私の宮崎県等を含めまして公共投資に依存する度合いというのは非常に強いわけですね。特に、倒産件数等を見ましても、これもいいか悪いかは別にいたしまして、土建業界等が犠牲になっておる。
 ですから、昨年も経企庁との間でいろいろ議論されたことですが、しかし具体的には実施されなかったのでありますけれども、やはり公共投資の傾斜配分といいますか、景気浮揚を期待をしておる、要するに民活を利用できないようなところに優先的に公共事業というものを投資していく、そういったことがあっていいのじゃないか。また、六十年度の予算についても執行を、なるたけ発注度合いをそういう北海道とか南九州といったようなところは早くする、そういった手当てというのがあっていいのじゃないか。何か行政一般的なものとして公共事業というのを見るのじゃなくて、全国的に景気を浮揚させていくバランスというものを考えるという意味で、そういったまだ不況にあえいでおる、要するに景気の陰の部分に当たっておるところに経済企画庁として政府をリードしていただけないだろうか、そのように思うのです。ぜひ長官のお考え方をお聞かせいただきたいと思うのです。
#27
○金子国務大臣 国内の景気動向、御指摘のとおりばらつきがあちこちに見られますので、私どもも今後の予算の執行について十分配慮してまいりたいと思うのですが、特にお話のございましたような公共投資に依存しておる地域あるいは好況業種がない地域等のおくれが目立っておりますので、去年も、これは五十九年四月に上期の公共事業の施行についての閣議決定をやっておりますが、まだ予算が通る前ですから、今これはすぐ決めるわけにまいりませんけれども、予算が通過いたしました暁におきましては、傾斜配分と申しますか、重点的な配分をやれるように措置したいと考えておりますが、一律に前倒しということじゃなくて、松浦先生おっしゃるような不況の地域に対する重点的な配分ということは、これはぜひやっていかなきゃいかぬ問題だと私も全く同感に考えておるわけでございます。
 宮崎県、いろいろ御指摘ございましたけれども、テクノポリスもやっと持ってまいりましたし、地域の盛り上げにつきましては政府としてもできるだけの努力はいたしておる次第でございますが、なおそういった問題も絡めて、経企庁では全国の地域的な景況調査も先般やったばかりでございます。必要があればいつでもまた細かく説明させますけれども、そういう点に我々としても非常な関心を持っておることだけ申し上げておきたいと思います。
#28
○松浦分科員 今長官の言われたとおりで結構でございますが、ぜひお願いをいたしたいと思います。
 それから次に、これは一般の問題でありますが、実は物価問題等特別委員会で再三にわたって議論されております市場の問題ですね。きょう水産庁関係の流通課長もおいでいただいておりますが、実はかつてこの特別委員会で冷凍庫のストックポイントの調査に行ったり、あるいはマグロの一般買いあるいはペーパーチェックによる転がし、そういったことを委員会で議論をいたしまして、そして、一時農水省あるいは経済企画庁等の御指導でうまく回転をしてきたわけでございますけれども、またぞろ最近になりましておかしな傾向が実は生まれてきておるわけであります。ここに非常に問題になりますのは、やはり何といっても、四面海に囲まれておる我が国のたんぱく源としては、水産物というのが安くてしかも非常に安易に手に入れることができた、たやすく手に入れることができたということで非常に魚に嗜好が向いておったのですけれども、あの転がしが表面化いたしましてから国民の魚離れが起こりまして、そして消費量というのがむしろ、もちろん肉の需要というもの、消費というものも拡大をしてきたことと無関係だとは申し上げませんけれども、年々一人当たりの消費量というのが減ってきておるのですね。
 これは農林省の食料需給表の資料をいただいたのですが、五十年が一人年当たり三十五・八キロ、一日当たり九十八グラムだったのがずっと低下をしてまいりまして、もちろんばらつきがありますが、低下をしてきて、五十七年には九十二・四グラム、一年当たり三十三・七キログラムにまで低下をしたのが、五十八年にずっと今上がってきておるのですね。順調に回復してきておる。五十八年には九十四・四グラム、年当たり三十四・五キログラム、こうふえてきておるのです。ところが、後から具体的に新聞報道等を通じての指摘を申し上げますが、この農林水産省統計情報部の消費地水産物流通統計というのが毎月出されておるのです。五十九年の十一月分、一番新しいのが五十九年十一月のしか入手できなかったのですが、これを見ますと、六大都市中央卸売市場に出された数量はふえておるにかかわらず価格が上がるのですよ。前よりも市場に出てきた数量がぐっとふえておる。ふえておるから需要が拡大をしたといえばそれまでですけれども、しかし、この数字で見る限りは、数量がふえてきたにかかわらず価格が上昇する。少ないときよりも価格が上がるという理由はないので、どうも卸売市場の市場機能というのが統計上からは何かゆがめられておるような感じがする。ですから、この点について水産庁の流通課長から前もってお話を承っておりますが、いろいろ御検討いただいたと思いますので、検討した結果をひとつお聞かせいただきたい。
#29
○高木説明員 お答えいたします。
 ただいま先生が御指摘になりました資料は統計情報部の資料でございます。先生御指摘になっておられますまず一つは、数量がふえている、入荷量がふえているということでございますが、これは五十九年の一月から十一月までの累積でございます。この中身をちょっと分析いたしましたところ、実は五十七年、五十八年、五十九年のサケの価格を見ますと、五十七年は非常に高かったわけでございます。それから五十八年が安くなりまして、五十九年がその中間あたりという感じでございます。入荷量の動きでございますが、五十八年が非常に安かったということもございまして、かなり消費が一遍落ち込んでいたものがまた回復をいたしまして、実は五十九年の一月、二月に、前年の一月、二月に比べますと倍以上入荷数量がふえているということがございます。したがいまして、そういうことも、一月−十一月の累積になりますと、前年との対比でございますから、その一、二月に二倍以上入ったということも反映をしているのではないかと思います。
 その後の価格の動向でございますが、一時期安かったものが、実は消費が進んできたこと、それからもう一つ、価格の動向を見るには在庫の動向を見る必要がございますが、在庫水準が五十九年に入りまして非常に低い水準になったということがございます。それで、御承知のとおりサケは七月以降が漁の最盛期でございますし、また輸入量も大体その以降ふえる傾向にございます。そこで、在庫の取り崩しによってかなり消費に対応していたものが、七月以降新しいものが入ることを期待していたわけでございますけれども、一つはソ連海域での非常に厳しい二百海里規制下における漁業規制がございまして、思ったほどとれなかった。結果的には、ベニザケが中心でございますけれども、普通の年よりも三割くらい減少をしたということが一つございます。それから、日本近海に来遊をいたしますサケ、これはアキサケでございますが、これのうち高級ないわゆる銀毛と言われるものの来遊が非常に少なかった、また小型であった。ただ、ブナ毛と言われるものも含めますとかなり来遊をしたわけでございますが、高級なものが少なかったというようなことがございまして、そういうことによりまして、五十九年の後半から在庫の取り崩しによって対応してきたわけでございますが、在庫水準がかなり低迷をしたということもございまして価格が若干強含みになった。ただ、先ほど申し上げましたように、五十七年の水準までには、平均的に見ますといっていないわけでございます。そういう状況でございます。
#30
○松浦分科員 水産物の市場入荷量及び市場平均価格、サケ類を見ましても、五十九年の一月からの統計がずっとあるのですよ。それを数量を見ていきますと、どうも課長さんの言われたこととちょっとやはり、もう時間がありませんが、言葉で感じとしてならわかりますけれども、ここにある数字で見ますとなかなか理解しにくいのですよ。特に冷凍物が値上がりするのですよ。ですから、言われたように、在庫しておった、冷凍しておったものが、出荷がたくさん出たにかかわらず値段が上がる。ですから、逆にまた悪い見方をしますと、価格動向を見て、価格が上昇するというふうに見たときにはストックポイント、冷凍庫からパックを市場に出す、下がったときには引っ込めるという操作が行われているという数字にもなるのですよ、冷凍物ですから。ですから、長官にもぜひお聞きいただきたいと思うのですが、政府が補助金を出して生産地、消費地にストックポイント、冷凍庫をずっとつくったのですね。営業倉庫というのは、御承知のように運輸省が法律によって在庫をチェックすることができるのですね。ところが、漁協とか一漁協がそんなことをしておるとは思いませんが、いろいろな商社とか会社が冷凍庫をつくる。補助金をもらってつくったが、それには政府のチェック機能が法律的に働かないのですね。ですから、またどうも転がしというのが起こってきておるのではないかというのが疑問視されておるのです。
 そこで具体的に、これは毎日新聞がキャンペーンをずっとされたのですけれども、これが事実だと思うのです。農林省の談話等もここに出ておりますから本当だと思うのですが、この新聞の報ずるところをそのまま申し上げますと、日本共同貿易というものとそれから中央卸売市場の荷受け会社である大水というものとが提携をいたしまして、その間に一部上場商社とか化学品商社とか建設会社、全く食品流通に無関係な、魚とは無関係な人たちが中に入って、各一%の手数料をもらっておる。しかも、これは法に触れないのですね。なぜ法に触れないかというと、今の市場法というのは、荷受け会社が市場に出したときから法律の規制を受けるわけでありまして、そこに持ってくる前の、場外で取引するのは法律的な規制がないのですね。ですから、場外取引という形でどんどん転がされる。
 前の狂乱物価のときに、物持で冷凍倉庫をずっと調査してまいりましたが、あそこの冷凍庫の中に荷札がかかっておりまして、何月何日入荷と書いてあるのですね。持ち主がだれと書いてある。それが何月何日だれ、何月何日だれ、何月何日だれというふうにペーパーで持ち主が変わっていって、冷凍庫に入っておる品物はそこに入ったままで全然動かないのですよ。そういうことが現実に行われておった。私たちは現地で確認をしたのですね。そこまでは毎日新聞は書いておりませんけれども、大きなものをぐうっと回すだけでも運送費がかかるのですから、恐らく場外でペーパータッチでたったったっと持ち主が変わっていきながら一%の手数料を取ったことは間違いないのです。ですから、こういう冷凍物が、政府が補助金を出した冷凍庫を使ってこういうふうなことが行われる、魚転がしが行われる、そういうことが一体物価対策上あっていいことかどうかですね。その点について、ひとつ物価担当大臣としての長官のお考えをお聞きしたい。
#31
○金子国務大臣 今御指摘のような問題がありますことは農水省も認めておりますし、今調査の最中だと言っておりますので、政府の補助を得てつくった冷凍庫がこういうものに利用されることのおいように、物価監督官庁としては十分緊密な連絡を農水省ともとりながら、今後も厳重な取り締まりと申しますか対策を講ずるように持ってまいりたいと考えております。
#32
○松浦分科員 農水省にお尋ねいたしますが、例のかずのこ事件がありましたね。あれは産地冷凍庫を使っての価格操作でしたけれども、その後改善措置をされて、そういうことが産地ではなくなったというふうにお聞かせいただいておるのですが、その点についてちょっと御報告いただけるでしょうか。
#33
○高木説明員 ただいま先生御指摘になった事件がかつてあったわけでございますが、それ以降通達を発しまして、都道府県に対しまして在庫の状況とか員外利用の状況とか毎月報告をする。その報告したものを半年ごとにまとめて年に二回国に報告する、こういうことになっておりまして、それによりましてまず一義的には都道府県がその報告を受けて、在庫の状況それから員外利用の状況等をチェックして、指導すべきときは指導していく。また私どもは、半年ごとに見まして、それに加えて新しく都道府県を通じて指導を行う、そういうことを現在やっております。
#34
○松浦分科員 農水省にさらにお尋ねしておきますが、こういう場外で取引される、ある意味では流通の平準化というか、そういったものを図るために場外取引が、やってはいけないことだけれども、まあ大目に見てきておる。具体的にはそういうことが盛んに行われることによってある程度流通が容易になる、そういう使易さがあるという意味で、黙認ではありませんが、そういうことが行われてきたと思います。しかし、そういう場外取引そのものが価格を引き上げる、価格操作に使われるようなものに対して、農水省としては何らかの法律あるいは歯どめ措置を考える余地というのは現在あるのですか。
#35
○米田説明員 市場外流通一般についてはまだ別の問題といたしまして、私ども市場行政を担当しておる立場から申し上げさせていただきたいと思います。
 卸売市場が水産物流通の中で現在でも八五%ということで大きなウエートを占めておりますので、私ども、卸売市場がその機能を円滑に発揮するようにいろいろ指導をいたしております。その中で卸売業者は、当然本来的な業務といたしましては、集荷したものを、集荷は委託なり買い付けでやってまいりますが、それを卸売市場内の仲卸なり買参に売る、あるいは一定の場合には場外の第三者に売るというようなことを卸売業務としてやっておりますけれども、それ以外に、特に冷凍水産物等につきましては、流通も広域化しているというようなこともございまして、兼業業務として卸売業者が開設区域外において販売するということも届け出をすればやれることになっております。
 そうはいいましても、私どもの立場といたしましては、やはり卸売業者の使命といたしましては、その所属しておる卸売市場の機能を発揮するように最大限の努力をしていただく必要がありますので、兼業業務の行われ方につきましても、本来の卸売業務との関連を十分踏まえてそれに支障のないように――支障といいますのは、業務面、財務面ありますけれども、そういう面で支障のないようにやってもらうように、これは指導ということになりますが、特に五十五年のああいう事件がありまして以降、私ども、きめ細かく基準も示して指導をいたしておりまして、今後ともそういうことでさらに指導はしてまいりたいというふうに思っております。
#36
○松浦分科員 市場に対する消費者の信頼を失うようなことになってはいかぬと思うのです。だから、そういった意味では農林省ももう少し厳しく対応していただきたいということを要望として申し上げておきたいのです。
 そこで、一罰百戒という意味ではありませんけれども、市場に参りますと、こういう例はほかにもあるんだということを盛んに言う人がおるのですよね。毎日新聞が報道された大水という荷受け会社、大阪の名門ですね。しかし、ほかにもあるんだという話をよく耳にしておるわけです。毎日新聞が、事実かどうかはわかりませんけれども、こういうことと言っておられるのですね。「荷受け会社としては魚をタテに流通させるのが本来の姿では。」こういう問いに対して、「業者間で回しても法規には触れない。商売のスジにも真っすぐ通るスジもあれば、スレスレのものもある。スレスレで通っている。魚なんて一回の取引に十数社がつながっていることはザラにある。それが実態だ。」「今後も続けるのか。」「こんな問題が出たら続ける訳にはいかんでしょう。やめや。手数料は価格の〇・七五%だから百億やったら七千五百万円。こんなにたやすく金の入る商売はないんだが。」こういうふうに言っておられるのですね。
 これが事実なら、まさしく場外流通を利用してもうける。しかも、法に触れないと掌々と言っておるのですね。ぬれ手でアワだということも言っておるのです。こういうことが仮にこれからもほかの業者も――この人だけじゃなくて、ほかも恐らくやっておると思うのです、こんなにもうかるうまいもうけはないのだから。そういううわさはたくさんある。しかし、こういう事実を許しておったらまた魚離れが起こる。結果的に市場が、安定した供給、安定した価格というものを外れて、逆に価格操作によってつり上げられる。結果的に高いものを食わされる消費者は魚離れを起こす。しかも、二百海里の制限とか入漁料が引き上げられるとか、そういった意味で輸入してくる魚介類というものが非常に減ってくる。入荷する冷凍物が減れば減るほど、価格操作というのはやりやすくなってくる。そういう状況を踏まえてもう少しどうにかせぬと、もっと覚悟を決めた行政をしておかないと、また大変な問題が出てきて、さあ大変だと言っても、もうそのときは手おくれという状況になるのですから、その点について物価担当大臣の金子長官の御意見を承り、農水省の決意を承らせていただいて、質問を終わりたいと思います。
#37
○金子国務大臣 御指摘のようなことが事実行われているといたしますと、これはゆゆしき問題だと思います。十分農水省とも連絡をして、今後こういった問題のないように全力を挙げて努力をするようにいたします。
#38
○米田説明員 報道されていること自体につきましては今調査中でございますので、今の段階で申し上げることはできませんが、一般論といたしまして、法令に従うのはもちろんでございますけれども、卸売業者の使命というものがありますので、そういう使命にのっとって常日ごろ業務をやるように今までも指導しておりますが、さらに一段とそういう面での指導も強めてやってまいりたいというふうに思っております。
#39
○松浦分科員 ありがとうございました。終わります。
#40
○小此木主査 これにて松浦利尚君の質疑は終了いたしました。
 次に、米沢隆君。
#41
○米沢分科員 私は、我が国の経済を取り巻く基本問題について、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 御案内のとおり、我が国を含めて世界各国の今年度の景気動向は、昨年同様にやはりアメリカ経済次第であるという状況にあると言ってもいいと思います。昨年の世界経済は、地域によってばらつきは見られましたけれども、全体としては米国経済の高度成長に引っ張られて好転したと言っても過言ではありません。欧州諸国では、雇用情勢の改善におくれがあったり、あるいはまた新たな技術革新時代への対応につまずいたりいたしておるとは言っておりますが、回復基調が持続をしておりまして、昨年OECD全体の実質経済成長率は四・七五%となったと聞いておりますし、累積債務問題で大騒ぎをいたしました中南米諸国では緊縮政策がとられましたが、対米輸出の大きな伸びを背景に微弱ながら景気は上向きました。アジア諸国は対米輸出急増に引っ張られて、多くの国が五%を上回る経済成長を達成いたしました。我が国もその例外ではありません。その意味では、ことしもやはり最大の関心事はアメリカの経済の動きであります。
 この米国の景気は、昨年秋以降にわかに鈍って一時景気後退懸念が云々されましたが、このところ再び好調が伝えられておりまして、昨今では持続的な安定成長へ移行した、こう言われておりますが、不安材料がないわけではありません。いわゆるアメリカ自体の財政の巨額な赤字と、同じく巨額に上る貿易の経常収支赤字であります。また、そうした中でアメリカの資本輸入がふえ続けており、本年中にアメリカは純債務国に転じる見通しであると言われ、それが国際通貨不安の原因、将来のドル暴落ないしは為替市場波乱の引き金になりかねないと心配する向きもありますが、この際、このような実態を踏まえた上で、まず第一に、アメリカの経済動向が今後どのように展開していくと考えたらいいのか。第二に、ドル高・円安の状況は今後も構造的に続いていくのか、それとも、先ほど申し上げましたような事情があって、ある程度是正されるような方向にあるのか。第三に、アメリカの昨年の貿易赤字は千二百億ドル前後に達したと言われておりますが、ことしはさらに千四百億ドルとか千五百億ドルとかに赤字幅が拡大しかねないとも言われております。つまり、アメリカは貿易収支赤字分だけ対米輸入を通して世界経済を引っ張ったとも言えるわけで、このような状況が続きますと、既に顕在化しつつありますようにアメリカ内の保護貿易主義がますます拡大して、ついには抑えが全くきかない状態になるのではないかと危惧されますが、経済官庁としてはどのような見通しを持っておられますか。
 以上三点について、いろいろな方がいろいろな角度から議論をされておりますが、経済官庁として権威のある御答弁をいただきたいものだと思っております。
#42
○金子国務大臣 米沢先生御指摘の第一点のアメリカ経済の新年度の見通してございまするけれども、お話のございましたように、設備投資、個人消費を中心に景気は拡大傾向を続けておりますので、一般に言われておるように三・九%程度、これは政府が発表いたしておりまするが、四%に近いところで景気は緩やかな拡大を続けていくのじゃなかろうかと考えております。一部にはもちろんジャボン玉のようにアメリカ経済はしぼんでしまうよという考え方もありまするけれども、やはりアメリカ経済は非常に活気を呈しておる。四十九年度のような状況ではございませんけれども、ソフトランディングと一般に言われておるような状況でこれから推移するのではなかろうか。したがって、世界経済にすぐ大きな影響を与えることはなかろうかと考えておるわけでございます。
 それから第二点のドル高の問題でございますが、これが日本経済に大きな影響を及ぼすのみならず、世界経済全体を撹乱する要素になっております。事あるごとに、機会あるたびに、日本はもちろんでございますが、先進各国がドル高の是正について申し入れをしておることも御承知のとおりでございますし、また来るべき五月のボン・サミットにおきましても、大きな政治課題の一つとしてこの問題が取り上げられることになろうかと考えておる次第でございます。
 ただ、アメリカ経済が予想外に強い。しかも、それはアメリカ経済に対する世界各国の信任と、もう一つ政治的にも軍事的にも強いドルにかわる基軸通貨がないというような気持ちが各国にあるのではなかろうかということがドルを支えている一つの大きな柱かと考えているところでございます。しかし、そういう状況が続きますと、これはやはり世界各国が撹乱される要素になりますから、我々としては、一日も早くこれを落ちついたところに持っていきたいと考えておりますし、アメリカ自体も、最近の大統領教書を見ますと、五百億ドル予算をカットして、少しでも経済の正常化を図っていきたいというふうな努力目標を掲げておることは事実でございます。ただ、これは対議会の関係がありますから、簡単に実現するかどうか私どもわかりませんけれども、少なくとも政府当局がそういう目標を掲げておって是正の意欲があることは事実でございますので、私どもは一日も早くそういう状況に持っていけるように希望をいたしておる次第でございます。
 それから、今のような状況が続きましてドルが高いと輸入がどんどんふえまして、アメリカの市場を席巻いたしますし、また世界各国の金がアメリカに流れ込むわけでございますので、アメリカの保護主義の動きがとかぐうわさされていることは御承知のとおりでございます。そういう意味におきましても、これは自由貿易でやっていかなければ私どもの日本の国は成り立たないのですから、世界各国も大体同様の気持ちを持っておるわけでございますので、そういう意味において、これからもドル高是正には最大の努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、経済企画庁の経済研究所で昨年の暮れに、今後の世界経済がどういうふうな動きをするかという一つのモデル計算をやったことがございまするが、やはりアメリカが金利を下げて財政赤字を圧縮しないと、そして日本を初め世界の先進国がある程度金融緩和をしないと、まあことしはもつかもしれぬけれども、世界経済全体が後一年、だんだんと経済が下がってくるだろうというような予測をいたしておりますし、OECDでも大体同じような考え方を持っているというふうに私どもは見ております。
 以上でございます。
#43
○米沢分科員 次に、第一次石油ショック、第二次石油ショックを経験した資源小国であります我が国にとりまして、経済を展望しましたときにやはり気になるのは、今後の石油事情が一体どうなるんだろうかという問題であります。
 一九八三年二月の石油価格一バレルあたり五ドル値下げと、その後の軟化基調というものを見ておりますと、これはOPEC結成以来のことでありまして、オイルショック再来の懸念が遠のいたことを示しておると思っておりますが、のどもと過ぎれば熱さ忘れるのことわざのごとくに、このごろ石油事情を話題にさえしなくなっております。また、原油の値下がりが、またこれから二ドルぐらい下がるのではないかという話さえあるのでございますが、このような状態は、現段階での予測からして、かなり中長期的に続くものであるのかどうか、そのあたりを経済企画庁としてどういうふうにとらえられておりますか。念のため聞かせてもらいたいと思います。
#44
○金子国務大臣 最近の原油情勢、まさしくお話のとおりでございまして、石油が緩和基調に推移いたしておりますし、スポット物を中心に価格も下落をしておる。先般OPECの総会でいろいろな話し合いをやったようでございますけれども、話がまとまらないということは事実でございます。したがいまして、今後の見通しとしましては、第二・四半期には季節的に原油の需要が減少いたしましたり、イギリスの炭鉱ストが中止になったり、OPECで今のお話の価格引き下げ、これもなかなか話が詰まらないというような状況でございますので、急に今石油事情が逼迫するとか価格が上がるとかいうことはなかろうというふうに考えておるのでございまして、今後とも原油の情勢につきましては十分注意してまいりたいと考えておるのでございますが、ただ中期的に申しますと、省エネの努力が世界各国でもだんだんと徹底してまいりましたし、それからやはり原子力発電がふえてまいっておりますから、そういうようなところから、そう大きな変化は考えなくてもいいのではなかろうかというふうに私どもは見ておる次第でございます。
#45
○米沢分科員 次に、我が国の経済の現状を見ておりますと、このところいろいろと不思議というか不分明なところが多い。現在の日本経済は一種の方向性を失いつつあるのではないか、そんな感じを持っておりますが、この際、経企庁の御判断を聞かしてほしいと思います。
 まずその第一は、景気が回復過程に入って既に二年になろうというのに、なぜか企業倒産は高水準を続けておるということであります。むしろ企業倒産件数は不況期よりもふえているのは一体どういう理由があるのか、この点どういうような分析をなさっておられるのかという点についてお聞かせいただきたい。いろいろと理由はあるかもしれませんけれども、基本的には内需の弱さというものに帰着するんじゃないかな、こう思っておりますが、いかがでしょうか。
#46
○金子国務大臣 最近ちょっと倒産件数も減ってまいったのでございますけれども、企業倒産件数が五十九年におきましては最高の数字を示した、私どもも大変残念に思っておるのでございますが、六十年の一月には五十九年の一月に比べますと若干減っておるというふうに、これから落ちついていくことを期待しておる次第でございます。
 それで、企業の倒産件数がふえて高い水準にありましたのは、第一次石油ショックの後の景気停滞が長引いたということのほかに、やはり産業構造、需要構造の変化に対応できない企業が相当ありまして、倒産に追い込まれたケースも相当あったのではないかと私どもは考えておる次第でございます。しかし、全体としての景気拡大の中でだんだんとこういったケースが減ってくることを期待しておる次第でございます。
#47
○米沢分科員 次に、完全失業率が大変高水準であることは一体どういう理由が、こういうことでございます。
 五十五年に二・一%、五十六年に二・二%、五十七年に二・五%でありました完全失業率が、景気が回復過程に入った五十八年二月以降もふえ続けておりまして、五十九年六月には季節調整値で、この統計始まって以来の二・八一%という高率を示したとか、昨年平均二・七%、これは二十八年以来の最悪の状況だと書いてありますが、こういう状況になっておりまして、その後次第に減ってきてはおりますけれども、高率の水準には変わりはない。これはどういう理由なのか。これから先どういうふうに見ておられるのか。以上の点についてお聞かせいただきたい。
#48
○金子国務大臣 完全失業率は御指摘の数字のとおりでございますが、幸いと最近は、特に五十九年十月以降はだんだんと低下しておることを申し上げておきたいと思うのでございます。雇用情勢が景気拡大を反映して緩やかに改善されているということだろうと思うのでございますが、今お話しの完全失業率が上がってきておる、ふえてきておる背景は、高齢化の進展あるいは女子の職場進出がふえておりますから、完全失業率を計算する場合の分子が大きくなっておるわけでございまして、自然、失業率を計算する場合に、例えば女子のパートが打ち切りになった場合には完全失業率がふえてくる、そういう問題があろうかと思うのでございます。
 それからもう一つ、これは研究せなければいかぬのですけれども、五十八年度の完全失業率がふえたのは、五十七年の十月から五十八年の一月にかけて行われた労働力調査の新サンプルへの移行がある程度響いているのではないかと私ども考えておるわけでございまして、これはもう少し慎重に研究してみたいと考えております。
#49
○米沢分科員 三つ目の問題は、長期資本収支の流出超過が極めて大きくなったという点であります。
 長期資本収支の純流出規模は、五十六年、五十七年度平均月当たり十億ドル前後でありましたが、五十八年度以降大変急増いたしておりまして、五十九年度になりますと八十億ドルを超える力もあらわれております。五十九年の暦年トータルでは実に四百九十八億ドル、約五百億ドルに達しておりまして、経常収支の黒字三百五十一億ドルを百五十億ドル近くも上回って基礎収支の赤字となって円安の原因をつくっております。最大の要因は日米の金利差にある、こういうふうなことも言われておりますが、このような長期資本収支が一挙に流出が激しくなり始めておるというこの背景には何があるのかというのが第一点。第二点に、長期的にこういう傾向は続いていくのかという点。第三に、その場合円安の要因となって、言いかえればドル高是正につながらない、これは我が国経済にとりましても経済摩擦の激化など影響が大きく出てくるのではないかと危惧されますが、この点をどういうふうに見ておられて、特にこのような状態を是正する方がいいという立場なのか、それとも現在のところこれは自由経済の原則で仕方がないものだというふうに見ておられるのかという問題が一つ。それから、長期資本収支の流出超過も五十九年度がピークで六十年度は基礎収支の赤字が縮小して円安テンポが緩やかになって、場合によっては円高もあり得るというような見方もありますが、政府はどういうような見通しをされておるのか。
 以上、五つの点について簡単に御説明いただきたいと思います。
#50
○金子国務大臣 基本的には、長期資本の流出が続いておりますのは、御指摘のとおりやはり四%前後の金利差があるということだろうと思うのでございますけれども、最近、特にこの一月に入りましてから資本の流出はだんだんと減ってきておるような状況でございます。私どもは、日本経済のパフォーマンスが悪いわけじゃないのでございますから、円ドルの換算レートは今日は二百六十何円なんということになっておりますけれども、こういう状況がそういつまでも続くとは考えていないわけでございます。今まではアメリカ自身も協調介入に余り熱心でなかったわけでございますが、先般の先進国五カ国の大蔵大臣会議におきまして、これはしっかり協調介入をやらぬと大変なことになるぞという話し合いがありました、その途端にある程度回復したというようなことでございまして、ニューヨーク市場はもちろんでございますが、ヨーロッパの主要中央銀行も協力してこういったドルの乱高下を抑えるような方向にいっておりますので、漸次これは平静化してくるものと考えておる次第でございますけれども、私どもといたしましては、今のような状況がずっと今後も続くものとは考えておりませんし、またそういうことも期待していないわけでございます。
 長期資本の流出は五十九年度が最高と私どもは考えておるわけでございまして、だんだんと落ちつきますと、これはそういつまでも五十九年度の状況が続くものとは考えておりませんし、また円の値下がりも、ポンドはドルに対して円の三倍も値下がりしておる、マルクが二倍も値下がりしておるというような状況で、円自体がそれほど悪いわけじゃないのです。ドルが異常の独歩高だというところに問題があるわけでございまして、今後もこの問題の解決につきましては、これは一日本の中央銀行だけで片づけられる問題じゃございませんので、あらゆる政治の場を通じて安定のための努力をしてまいりたいと考えておる次第でございます。
#51
○米沢分科員 第四の問題として、景気の回復が伝えられて、最近相次いで発表される地方の景気動向を示す調査結果は、すべてほとんどが各地方とも順調な回復ぶりというような書き方がしてあるわけでありますが、実感としてどうも実態とかなりかけ離れたものとしか受け取れない。私自身もそうだし、同時にまた地方の経営者等の話を聞きましても、決して現在の景気の回復の恩恵に浴しておるという話はほとんどございません。依然として地域間格差というものは歴然としてあるのではないか。我々は、そういう意味ではその対策が望まれておるという気持ちでおるのでございますが、経企庁は現状どういうふうにこのような状態を見ておられるのか。何か地方の景気を示す景気指標に問題があるのじゃないかと私どもは考えておりますが、この点どういうふうにお考えですか。
 同時にまた、そういうことだと思いますが、御案内のとおり大蔵省あたりは、六十年度は公共事業発注も自然体で対応する、したがって前倒しはしないというような立場に立っておられるやに聞いておりますが、経企庁も同じような姿勢でございましょうか。
#52
○金子国務大臣 御指摘の点、大変私どもも心配をしておるわけでございまして、特に公共支出の依存度の高い地域、北海道なんかその代表的な例でございますが、あるいは電気機械などの好況業種の立地が少ない地域等に景気のおくれが目立って、全体としての景気のばらつきが認められる点を一日も早く解消したいものと考えておるわけでございまして、対策として今の御指摘のございましたような公共事業費の前倒しなんかも、やはりその地域差を見ながら重点的に傾斜的に配分することが必要だと思うのでございます。五十九年度もある程度重点的な配分をやっておりますけれども、これはまだ予算の通る前でございますし、今からこうするぞと表向き言うわけにもまいりませんけれども、私は気持ちとして、予算が仮に成立いたしました場合には、一刻も早く必要な地域には重点的に配分できるような措置を、大蔵省、建設省その他各省とも連絡をとりながらやってまいりたいと考えておる次第でございます。
 それから、もう一つ御指摘のございました、経企庁として地方の景気、不景気をどうやって把握しておるのか、何か表がないかというようなお話でございますが、専門家を各地に派遣いたしまして聞き取り調査をやりましたりして、地域地域の好不況につきましては十分な把握をしておる。また、必要な官庁との連絡も十分とっておるつもりでございますので、必要であれば、いつでもこういった表は差し上げたいと考えております。
#53
○米沢分科員 時間がありませんので、最後に大臣の御見解をお聞きしたいと思うのでありますが、先ほどから話をしておりますように、昨年一年間だけでも五百億ドルぐらいの資本流出がありました。日本円に換算いたしますと、大体十三兆円前後の大きなお金になります。これは五十九年度の国債発行額の十二兆六千八百億円とほぼ同額でございます。すなわち、現在の我が国は、このような財政赤字を賄い、海外資本流出をし、そして国内民間投資もやっていくという、三者を十分に賄うだけの個人貯蓄を持っておる、そういう状況になった。その余ったお金がアメリカの方を助けて、アメリカ経済を拡大させていった、そういうことが言えるのじゃないかと思います。しかし、アメリカが先ほど申しましたように純債務国に転ずるであろうということしの後半以降、いろいろと難しい中でアメリカがどういうような格好でこの対応策に出てくるのか、あるいはまた、アメリカの景気上昇も三年目を迎えておりますから、果たしてそれが持続をしていくのかどうか、そのあたりも気になるところでありますし、同時に、先ほど大臣からお答えいただきましたように、アメリカ自身が財政赤字の圧縮と金利低下が必要になって、ドルの若干の低下と輸出力の確保、経常収支の赤字縮小も中期的な大きな問題としてとらえられていくだろう。そうなったときに、果たして今の世界経済全体、アメリカだけが機関車的な役割を果たして経済を引っ張ってきたような状況でありますが、そういう状況がいつまで続くのだろうという懸念もございます。
 そうした中で、やはり日本がこれから内需を軸にして五%以上の成長をしていくことが国際的に見ても大変必要であり、同時にまた潜在成長力を持っておるのじゃないか、そんな気がしてなりません。そういう意味で、そういうことをすることがまた現在の財政再建をうまく処理していく大きな基盤にもなっていくのじゃないか、そういう考え方を我々持っておりまして、今後経済企画庁としても、そのような形での日本の経済成長を図っていく予算の編成なりあるいは経済運営みたいなものをやっていただきたいと思うのでありますが、最後に大臣の見解を聞かしてもらいたいと思います。
#54
○金子国務大臣 日本は今とにかく貯蓄が世界各国に比べて大きゅうございますし、一方において貿易で稼いだ金がどんどんアメリカに還流しておるというような状況でございますので、これが国内でもっと有効に活用されることになりますると、相当日本経済も違った姿になろうかと思うのであります。何といっても今のところは、まだやっと外需に全面的に依存している姿から少し内需の方に向いてきたところでございますが、そういった稼いできたドルも民間のものでございますから、それを日本の国内で活用してもらうためには、やはりそういった金を活用できるような環境整備をしっかりやる必要があろうかと思うのでありまして、いろいろなデレギュレーションと申しますか、行政上、法律上の規制を緩和して、もっともりもりと民間活力を伸ばして使っていただけるような方向に今一生懸命に、これは極めて地味な仕事でございますけれども、着実に一つずつ片づけていかなければいけませんので、その努力を政府全体としてやっておる最中でございます。
 それじゃ一遍に金をばらまいて日本経済をよくしようかというと、やはりそれをやりますとそれなりのまたリアクションも出てまいりまして、物価が上昇する、その他の問題があります。今、日本経済が落ちついているのは、価格景気じゃなくて数量景気、物の値段が上がってないところで、一面においては景気は余りよくないという印象を与えておりますけれども、しかし、それが日本経済を安定したものにしておるわけでございますので、物価を極力抑えながら経済をいかにして拡大するか、拡大経済に持っていくか、そういう点に重点を置いて今一生懸命にやっておる。日本の潜在経済力をうんと伸ばさなければいかぬという気持ちにおきましては、米沢先生と全く同感でございます。
#55
○米沢分科員 どうもありがとうございました。
#56
○小此木主査 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして総理府所管経済企画庁についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#57
○小此木主査 次に、通商産業省所管について審査を進めます。
 政府から説明を聴取いたします。村田通商産業大臣。
#58
○村田国務大臣 昭和六十年度通商産業省関係予算案等の予算委員会分科会における御審議に先立って、一言ごあいさつを申し上げます。
 我が国経済社会においては、現在、その基本的構造に変革をもたらすような広範かつ多様な変化が生じつつあります。技術革新と情報化の飛躍的な進展、国民の価値観の変化、人口の高齢化を初めとする社会の成熟化等がそれであります。今後二十一世紀に向けて、我が国の経済社会の発展基盤を確保するためには、この変化を先取りし、さまざまの政策分野において、迅速かつ積極的な対応を図っていくことが不可欠であります。
 私は、当面の経済運営におきまして、内需を中心とした景気の着実な拡大を図り、持続的な経済成長の達成を図っていくために、引き続き、適切かつ機動的な経済運営に努める所存であります。と同時に、私は、この大きな変革の流れの中で、中長期的、戦略的観点に立脚し、自立的な産業経済のダイナミズムを維持拡大し、一方で、豊かな国民生活の形成を図り、他方で、現在の国際政治経済システムを維持強化すべく、国際経済の抱える諸課題の克服に能動的に貢献することこそ、現下の通商産業政策の基本課題であると考えます。
 このような認識のもとに、私は、次の七点を中心に全力を挙げて通商産業政策を展開してまいる所存であります。
 第一に、技術開発基盤の構築を図ることであります。第二は、高度情報化社会実現に向けての総合的政策を推進することであります。第三は、国際国家日本の対外経済政策を展開することであります。第四は、資源エネルギーの安定供給の確保を基本とし、経済性の観点にも配慮した総合的資源エネルギー政策を推進することであります。第五は、変革期に対応した中小企業政策を展開することであります。第六として、新たな時代の産業立地政策の展開、第七として、多様で質の高い国民生活基盤の充実を図ることであります。
 なお、当然のことながら、これらの重点施策の遂行に当たっては、行政の効率化、合理化に十分留意してまいる所存であります。
 昭和六十年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画の作成に当たっては、このような基本的方向に沿って諸施策の具体化を図ることとした次第であります。
 この結果、一般会計は、七千九百四十一億七千四百万円を計上しております。特別会計につきましては、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計五千九百八十二億五千六百万円、電源開発促進対策特別会計二千四百八十億二千三百万円、特許特別会計四百一億四千万円等、当省所管の五つの特別会計にそれぞれ所要の予算額を計上しているところであります。
 また、財政投融資計画につきましては、五兆四千百九十一億円を計上しております。
 通商産業省関係予算案等の内容については、お手元に資料がお配りしてありますが、委員各位のお許しをいただきまして説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
#59
○小此木主査 この際、お諮りをいたします。
 ただいま村田通商産業大臣から申し出がありました通商産業省関係の予算の重点事項の説明につきましては、これを省略して、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#60
○小此木主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔参照〕
   昭和六十年度通商産業省予算案等について
 昭和六十年度の通商産業省関係予算及び財政投融資計画について御説明申し上げます。
 まず、昭和六十年度における通商産業省の一般会計予定経費要求額は、七千九百四十一億七千四百万円でありまして、前年度当初予算額八千十五億三百万円に対し、〇・九%の減となっております。
 また、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計予定経費要求額は、五千九百八十二億五千六百万円で、前年度当初予算額五千七百七十一億九千二百万円に対し、三・六%の増、電源開発促進対策特別会計予定経費要求額は、二千四百八十億二千三百万円で、前年度当初予算額二千百八十三億千九百万円に対し、十三・六%の増となっております。
 さらに、特許特別会計については、前年度が九ケ月分を計上して二百五十一億三千四百万円であったのに対して、通年分を計上して四百一億四千万円となっております。
 財政投融資計画は、五兆四千百九十一億円でありまして、前年度当初計画額五兆八千六百八十六億円に対し、七・七%の減となっております。なお、この中には、技術開発、情報化対策、中小企業対策を中心に産業投資特別会計からの出資二百二十四億円、同融資二十億円を計上しております。
 次に、重点事項別に、予算案及び財政投融資計画の概要につき御説明申し上げます。
 第一は、技術開発基盤の構築であります。
 まず、基礎研究、応用研究を中心とした国における技術開発を強力に進めるため、次世代産業基盤技術の研究開発に六十四億四千五百万円、大型プロジェクト、サンシャイン計画及びムーンライト計画に、一般会計、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計及び電源開発促進対策特別会計の合計でそれぞれ百四十一億三千五百万円、三百九十八億千三百万円、百十億九千百万円を計上しております。
 なお、次世代産業基盤技術研究開発におきましては、光反応材料の研究開発、大型プロジェクトにおきましては、水総合再生利用システム(アクアルネッサンス側)及び電子計算機相互運用データベース・システム(インターオペラブル・データベース・システム)の研究開発に、それぞれ新たに着手することにしております。
 次に民間の技術開発を促進するため、民間活力を最大限発揮させる環境条件の整備を図ることとし、基盤技術研究促進センター(仮称)を設立し、ここで行う出融資事業等に対し、産業投資特別会計からの出融資百億円及び日本開発銀行からの出資三十億円を確保しております。
 また、航空機分野における国際共同開発を行うため、民間輸送機開発(YXX)に十三億七千百万円、民間航空機用ジェットエンジン開発(V2500)に三十八億二千九百万円を計上し、引き続きその推進を図っていくこととしております。
 第二は、高度情報化社会実現に向けての総合的政策の推進であります。
 まず、急速な情報化の進展に伴うソフトウェア需給ギャップの拡大への対応を図るため、情報処理振興事業協会において、新たにソフトウェア生産工業化システムの構築に着手することとしており、これに対して産業投資特別会計からの出資二十億円及び日本開発銀行からの非設備資金融資等五億円を確保しております。
 また、第五世代コンピュータ開発に対し四十七億七千九百万円を計上する等情報関連技術開発の積極的推進を図るとともに、地域情報化基盤の整備を図るため引き続きニューメディア・コミュニティ構想の一層の推進を図ることとし、七千四百万円を計上しております。
 第三は、「国際国家日本」の対外経済政策の展開であります。
 まず、経済協力につきましては、海外開発計画調査事業の推進等合計百六十五億五千万円を計上し、施策の充実を図っております。
 日本貿易振興会の事業運営には、総合的輸入促進事業及び産業協力推進事業を拡充する等合計百三十億二千六百万円を計上しております。
 また、日本開発銀行及び日本輸出入銀行においても、輸入促進、産業協力の推進等所要の貸付規模を確保しております。
 第四は、安全保障と経済性確保のための資源エネルギー政策の推進であります。
 まず、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計については、エネルギー対策を計画的かつ着実に推進するための財源として四千五百五十億円を一般会計から繰り入れることとしております。その結果本特別会計の総額としては他省分を含めまして五千九百八十二億五千六百万円となったところであります。
 本特別会計の石炭勘定については、保安対策に配慮した石炭鉱業合理化安定対策を引き続き推進するとともに、鉱害対策及び産炭地域振興対策の推進等を図るため、千二百五十八億五千万円を計上しております。
 また、石油及び石油代替エネルギー勘定については、四千七百二十四億六百万円を計上しております。
 なお、同勘定のうち、石油対策としては、石油探鉱投融資事業をはじめとする石油開発のための経費千三百二十一億三千四百万円、国家備蓄の推進、九十日民間備蓄の維持等の石油備蓄のための経費二千六百三十三億二千万円、重質油対策等の技術開発、流通対策等のための経費二百二億七千六百万円の合計四千百五十七億三千万円を計上しております。
 他方、石油代替エネルギー対策としては、地方都市ガス事業の天然ガス化の促進、代替エネルギー利用促進融資のための日本開発銀行貸付金等の導入促進対策のための経費百四十六億千七百万円、石炭液化技術開発、共通基盤型石油代替エネルギー技術開発等の技術開発のための経費三百六十四億千五百万円等の合計五百六十六億七千六百万円を計上しております。
 電源開発促進対策特別会計につきましては、他省庁分を含めまして、二千四百八十億二千三百万円を計上しております。
 本特別会計の電源立地勘定につきましては、電源立地を引き続き推進するため、電源立地促進対策交付金五百四億三千九百万円、電源立地特別交付金百十八億八千四百万円等合計で八百九十二億三千八百万円を計上しております。
 電源多様化勘定につきましては、水力、地熱エネルギーの開発を図る供給確保対策のための経資百五十四億千四百万円、石炭火力建設費補助等のための導入促進対策の経費百二十四億九千万円、石炭、太陽、地熱エネルギー等に係る技術開発のための経費二百六十七億二千九百万円、新型転換炉実証建設費補助等の原子力開発利用対策のための経費二百二十七億四千百万円を計上しており、科学技術庁分を加えますと総額で千五百八十七億八千五百万円を計上しております。
 その他、総合的資源エネルギー政策の着実な推進のため、日本開発銀行において、資源エネルギー枠四千六百二十億円の貸付規模を確保しております。
 以上のほか、一般会計においては、備蓄を始めとするレアメタル総合対策を推進するために十六億二千百万円を計上しております。
 また、資源の安定確保を図るため、内外探鉱開発の推進等に三十七億三千四百万円を計上しております。
 第五は、変革期に対応した中小企業政策の展開であります。
 中小企業対策費につきましては、一般会計では政府全体で二千百六十二億円を計上し、うち千五百九億四千五百万円を当省で計上しております。
 また、財政投融資計画につきましては、商工組合中央金庫出資及び中小企業金融公庫出資として合わせて百二十億円を産業投資特別会計において計上するほか、中小企業者に対する金融の円滑化を図るため、政府系中小企業金融機関につき所要の貸付規模を確保するとともに、貸付限度額の引き上げ等に質的改善を図ることとしております。
 具体的内容といたしましては、まず、中小企業の技術革新・情報化への対応であります。技術力向上対策として、組合の行う技術高度化事業に対する補助金を新たに三億二千万円計上するとともに、技術改善費補助金を拡充して十三億九千七百万円を計上しております。このほか、地域中小企業の技術力向上のため、地域システム技術開発事業の創設等を行うこととしています。
 また、情報化への対応を支援するため、中小企業向け汎用プログラム開発等の推進に九億六千五百万円を計上する等コンピュータ利用の促進と情報提供体制の整備に努めます。
 また、中小企業の人材養成の強化を図るため、中小企業大学校については、中国ブロック、東海ブロックにおいて新たに地方校を建設する等、地方校整備費として十七億千五百万円を計上し、その拡充整備を図ります。
 次に、中小企業の経営基盤の安定であります。金融対策として、商工組合中央金庫及び中小企業金融公庫へそれぞれ百億円及び二十億円を産業投資特別会計から出資金として計上していることに加え、一般会計では、中小企業金融公庫補給金百四十五億六千二百万円、信用保証協会基金補助三十億円を計上する等中小企業金融の一層の充実を推進することとしています。
 また、倒産防止対策については、中小企業倒産防止共済事業出資として制度改善を図るため八十億円を計上しているほか、倒産防止特別相談室を増設する等その一層の充実を図ります。
 さらに、下請中小企業対策として九億五千九百万円を、また、組織化対策として四十二億八千五百万円を計上しており、これら施策の一層の充実を図ります。
 中小商業・サービス業対策といたしましては、地域社会のニーズに根ざした新しい商店街づくり(コミュニティ・マート構想)を推進するため、モデル事業の対象地域数を十三地域に拡充するなど、六億千三百万円を計上し、その拡充強化に努めます。
 地域と共に歩む中小企業の育成を図るため、新たに地場産業推進モデル事業を推進するなど、地場産業振興対策等の充実強化に努めます。
 小規模企業対策といたしましては、経営指導員の増員、むらおこし事業の拡充、人づくり推進事業の創設等を行うこととし、四百九億六千二百万円を計上するとともに、小企業等経営改善資金融資制度について、運転資金の貸付限度額の引き上げ等を行います。
 第六は、新たな時代の産業立地政策の展開であります。
 工業再配置促進対策につきましては、工業再配置促進費補助金に四十五億八千百万円、工業団地造成利子補給金に四十九億百万円をそれぞれ計上しております。
 また、工業用水道事業につきましては、近年の企業立地の内陸化傾向を踏まえた小規模工業用水道事業に着手する等九十四億四千七百万円、他省庁計上分をも含めると百六十四億五百万円を計上しております。
 さらに、日本開発銀行及び北東公庫の地域技術振興融資につき対象地域を拡大する等の充実を図ることとしております。
 最後に、多様で質の高い国民生活基盤の充実であります。
 まず、住生活の質的向上の観点から集合住宅用新材料・機器システム開発を本格的に開始するため二億千七百万円を計上しております。
 また、絹製品新需要開発の促進対策の拡充等繊維工業構造改善事業に一億三千七百万円を計上しております。
 さらに、産業公害対策の充実と産業保安の確保のため、休廃止鉱山鉱害防止工事に三十一億四千九百万円を計上する等既存施策の充実を図っていくこととしております。
 以上の一般会計、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計、電源開発促進対策特別会計、特許特別会計のほか、輸出保険特別会計につきましては、予定経費要求額三千百九億千七百万円を計上し、アルコール専売事業特別会計につきましては、予定経費要求額歳入三百九十四億二千八百万円、歳出三百三十八億三千七百万円を計上しております。
 以上、昭和六十年度通商産業省関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要を御説明いたしました。
    ―――――――――――――
#61
○小此木主査 以上をもちまして通商産業省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#62
○小此木主査 質疑に入るに先立ちまして、分科員各位にお願いを申し上げます。質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力をお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げます。質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。堀昌雄君。
#63
○堀分科員 通商産業省の問題についてきょうは質疑をいたしますが、私はかつて、ちょうど富士、八幡の合併が行われました当時商工委員会におりまして理事をして、この問題についての処理をしてまいった経緯がございまして、当時椎名通産大臣、大平通産大臣、こういう時代でございました。きょう久しぶりにこの分科会で通産省の問題は触れるわけでございますが、私は大蔵委員会でも、この間予算委員会でもやっております。政府のいろんなことを追及するのも大変大切だと思うのでありますけれども、しかし、私ども政治家として、西欧の言葉に、すべては疑い得るという大変すばらしい言葉があります。私は政治生活をしております中で、すべては疑い得る、現在の状態というのはこのままでいいのかどうかということを疑ってみるところからやはり一つの物の考え方が浮かんでくるというふうに考えておりまして、それが一つの考えでございます。
 もう一つは、実は私はあの第二次大戦に駆逐艦に乗って戦争に参加をいたしまして、特に最も激しいガダルカナル輸送作戦というのを昭和十七年の八月から十二月まで参加をいたしました。ガダルカナル輸送作戦というのをやってきた経験がありまして、その中での一つの人生的な体験というのは、常に最悪の事態に備えるということを、私はそれ以来一つの処世の基本と申しますか、最悪の事態に備えていて、それがむだであっても大変それは幸せなことだ、こういう考え方でいろんなことに取り組んでおるわけであります。
 そこできようは、私どもの党でこの一月に、党の執行部としては現在稼働しておる原子力発電についてはこれを容認しようという方向で問題を提起したわけでありますけれども、党内の環境派といいますか、原子力発電に反対をする皆さんの意見が大変強く、十分に中央本部と皆さんとの間の意思疎通を欠いておりましたために、連動方針の方は一年ごとの提案でありますから、この方は私どもの提案を取り下げる形で、しかし中期経済政策においては基本的な考え方を残していくというような対応をしたわけでありますが、そういう問題の経過を経て、きょうはひとつ原子力発電の問題について日ごろ私の考えております考えを申し上げながら、通産省特に村田通産大臣の政治家としてのお考えを少し承りたい。あわせて、きょうは科学技術庁にも入ってもらっておりますので、科学技術庁としての判断というか認識も伺っておきたい、こう思うわけであります。
 そこで、最初に、原子力発電というものは、政府のこれまでの発表というのは安全であるというような形ですべてのものが進んでおるようでありますが、原子力発電というものは基本的には危険なものであるというのが私の基本認識であります。ただ、その危険なものをそれでは発電所として使うということのためには、現在の日本にありますところの科学技術を十分に活用して、その危険の度をどこまで制御できるか、こういう相対的な問題として認識をするのが正しいというのが実は私の基本的考えてあります。
 調べていただいたのですけれども資料がちょっと見つからないのですが、確かに森山科学技術庁長官のときだったと記憶をしているのでありますけれども、例の原子力船「むつ」問題の本会議における発言の中に、この船は絶対に放射能は漏れません、こういう御発言があったわけです。私は医者として自然科学を勉強してきておりましたので、周囲にいる同僚に、自然科学では絶対ということはあり得ない、だから、ああいうことを言ってもし多少でも漏れたら、これは致命的な問題になるよということを話をいたしておりました。ですから、要するにあれは放射能といいますか、中性子が出てきたわけですから放射線の漏れでございましょうが、それも冷静に考えると必ずしもあの量が非常に重大なほどの量であったかどうかというのは、今日振り返ってみると問題があるかもわかりませんが、しかし、漏れないと、こういう断定をして漏れれば、漏れたではないかということになるのは避けられないわけでありまして、そういう意味で、こういうまだ研究過程といいますか、さらにさらに研究を進めて危険の度を減らし故障を減らすという、そういう一つの発電形態についてはやはり基本的に、それは潜在的ということになるかもわかりませんが、危険はある、こういう基本認識というものを置いて、しかし過去の運転の経緯その他から見て今日ここまで我々は危険についての制御ができるようになりました、こういう物の考え方が基本にあることが日本の原子力発電政策を今後進める上にとって一番大切なことではないか、こう私は思っておりますが、まず最初に通産大臣のお考えを承りたいと思います。
#64
○村田国務大臣 堀委員にお答え申し上げます。
 今質問の冒頭に堀委員がおっしゃいましたように、すべては疑い得る、また常に最悪の事態に備えるということは、私は政治家として非常に大切な心がけであろうかと思いますし、また、人間としてもそのことは基本的に非常に重要なことであると思います。原子力発電所の危険性の認識につきましても堀委員の御指摘はよく理解できるのでございまして、そういった立場に立ってまず疑ってかかる、そして最悪の事態がもし起きたらどうするかという前提でこれに対応することは極めて重要であるという認識をいたしております。
 原子力発電の危険性につきましては資源エネルギー庁長官の方からお答え申し上げたいと思います。
#65
○柴田(益)政府委員 ただいま大臣から基本的な考え方について述べたとおりでございまして、あえて補足させていただきますれば、先生のお話にもございましたように、放射性物質の有する潜在的危険性をいかにして顕在化させないかというところに対策の眼目があろうかと思います。そのために原子力発電所におきましては多重防護のシステムをとっておりまして、審査とか検査とかあるいは運転管理、監督等の方法によりまして、安全確保に万全を期している次第でございます。
#66
○堀分科員 同じ問題で科学技術庁の方ではどういう認識をしているのか、お答えをいただきたいと思います。
#67
○藤咲政府委員 私どもといたしましても、原子力発電所あるいは原子力の開発利用が持つ潜在的な危険性を顕在化させないということ、つまり安全性の確保ということが必要不可欠、一番重要なことだという基本的認識でございまして、そのために原子力施設については、御承知のように設計から建設あるいは運転と、一連の段階にそれぞれ厳しい安全規制を行っているということでございます。特に私どもが事務局をさせていただいております安全委員会というところで、各界の最高レベルの専門家が行政庁の今申し上げた各種の規制を、特に安全審査をする際にはダブルチェックをするというような。ことをやってきておりまして、そういう形で安全を確保する努力をしておるわけでございます。それからまた、こういった安全確保の努力の中では、過去の事故等の教訓をできるだけ生かしまして、新しいその安全確保策に取り入れていくという努力をしているところでございます。
#68
○堀分科員 皆さんも潜在的な危険性ということは認めるという前提のようでありますから、私とそんなに差はない、こう思っているわけです。
 そこで、国民一般に一番わかりやすいと思うのは、東京都にはどうして原子力発電所がないのかということですね。東京電力の火力発電所は飛行場に行くときに見るので、幾らの出力か私もわかりませんが、かなりな出力のものがあるように思います。東京都には、東京都だけではありませんが、象徴的に東京都には原子力発電所がない。これは大臣なぜでしょうか。――いや、これは政治家の話だから、私が要求しない限りは大臣の答弁です。
#69
○村田国務大臣 私は非常に堀先生の御発想が理解できます。ただ、このお答えは堀先生の期待したようなお答えにあるいはならないかもしれません。というのは、これは産業立地政策の問題でございまして、原子力発電所の立地適地については、まず第一に大量の冷却水が得やすいということ、それから第二に強固な岩盤を有するということ、そして第三に十分な敷地が確保できるという条件を満たすことが必要でございます。
 我が国の場合に大都市近郊、今東京都の御指摘がございましたが、東京都近郊に原子力発電所が建設されないのは、これらの地域においては今申し上げたような三つの立地条件が満たされない、そして適地を見出すことが事実上困難であるという理由によるものでございまして、事実、企業立地がだんだん大都市周辺を離れて地価の安い、そして比較的広大な敷地を持ったところに分散しつつあるというのが最近の企業立地の動向でございますが、そういったものと共通する基礎に立つものであろうかと考えております。
#70
○堀分科員 理屈の話を言うと、確かに東京というのは大変な震災の起こるところですから、震災の起こるところに原子力発電所をつくるというのは常識的でない。これは一番国民によくわかると思うのですね。水は、東京湾がありますから、海水を使えばいいのですから大して問題はない。面積はしっかり埋め立てをすればこれまた何でもないのですが、問題は今の強固な地盤といいますか、ここが非常に大きな問題点だろう、こう思います。
 ただ、常識的に言いますと、今原子力発電所というのは福井県と福島県に集中しているのですね。事務方の方で、福井県には一体幾ら原子力発電所があって、その出力は幾らなのか、福島県は一体幾ら原子力発電所があって、出力は幾らか。その他、大体一カ所やったらそこでは一号、二号、三号というふうに大抵そこへ集中するというのがこれまでの現状ですが、ちょっとそれを答えていただきたいと思います。
    〔主査退席、工藤(巖)主査代理着席〕
#71
○柴田(益)政府委員 御指摘の福井県と福島県の原子力発電所の設置状況でございますが、まず福島県について見ますと、福島第一原子力、第二原子力、合わせまして八基ございます。それから関西電力さんの福井県でございますけれども、福井県はこれも美浜、高浜、大飯合わせまして八基の原子力発電所がございます。
#72
○堀分科員 どちらにしても大変ここへ集中しておりますし、あと新潟もこれから集中するのではないかという感じで見ておるのですね。それは今大臣のお答えになったような条件を満たしておるということが一つの条件でもありましょうが、もう一つ大きいのは、一遍そこへつくって、反対の問題というのが一応納得してもらっている、次もやるのにやりやすい、こういう問題がそこへ集中するもう一つの理由ではないのか、私はこう思っているわけです。しかし、考えてみますと、大量消費をする大都市と、ほとんど消費をしない僻地に発電所がある。それも現状で原子力発電に対する世論調査を見ますと、原子力発電は不安だ、心配だという方が大体半分を超えているのですね。常に大体半分を超えているというような世論調査があるわけであります。ですから、そういう意味では私は、この原子力発電の受け入れの自治体というものに既に現在いろんな施策が講ぜられてはおりますけれども、これは自治体に対する処理なんですね。
 時間を節約するために私の方から言いますが、皆さんの出しておられる日本の長期エネルギー需給見通しというのを見ると、昭和五十七年が一千七百三十万キロワット、六十五年に三千四百万キロワット、七十年四千八百万キロワット、七十五年六千二百万キロワットという長期エネルギー需給見通しを原子力発電については持っておられますね。ですから、少なくともこれから約十年間には、果たしてできるかどうかは別だけれども、倍以上のものを動かさなきゃならぬというのが皆さんの見通しですね。
 こう考えると、私はこの間関係者に来てもらってちょっと話をしてみたら、電力料金というのは一つのルールがあって、こういうことでやってますということなんです。私は、それは一つのルールとして当然だと思うのですけれども、原子力発電については、もう少しそこの当該自治体の住民個々にフェーバーがあってもいいんじゃないかな、こういうふうに思うのですね。それはやはり、だれも好まない原子力発電がそこへ来る。ない方がいいというのがすべての国民だろうと私は思いますよ。あった方がいいですか、ない方がいいですかと聞いたら、いやあった方がいいですという答えをする人はほとんどないでしょう。ですから、これはちょうど東京都で杉並の清掃工場で随分もめて、結果的にはあそこへできたわけですけれども、清掃工場だとかそれから火葬場とか、こんなのは、ああ来たらうれしいですという国民がないと同じように、私は今の段階では、まだ原子力発電所は来ない方がいいというのが国民一般の感じだろう、こう思います。そして、そういう人たちにとって、既にあるからもう一つ次もいいじゃないかという話は、今後の問題としては検討を要する問題になるのではないか。それはもうこの程度でやめておくという話ならいいですよ。さらにさらに必要だ。
 そこで、そういうさらにさらに必要だという点についての私なりの認識を少し申し上げておきますと、実はフランス社会党は、私どもと同じようにかつては必ずしも政権がとれる大変有力な政党ではなかったのですけれども、一九七一年にエピネーというところで新生社会党をつくるための大会を行って、そしてミッテラン氏を書記長にしてスタートをした。私も新生社会党とはいろいろと接触を持ってきておりましたが、その政策の中には、フランスは御承知のように、それまでも原子力発電の推進については大変熱心な国だったのですが、社会党は原子力発電の推進には反対をしていた。ところが、一九八一年の五月にミッテラン大統領が勝ち、下院で圧倒的過半数を占めるようになって方針を転換した。八二年の四月にミッテラン大統領が日本に来る前ですが、二月ごろでしたか、当時の科学技術産業大臣シュベーヌマン、彼はフランス社会党の中ではCERESという一番左派のリーダーですが、彼が日本へ参りまして、私にちょっと会いたいということでフランス大使館で会いました。そのときに私が彼に、フランス社会党はこれまで原子力政策に反対だったのだが今度は賛成に回りましたね、それについてのあなたの考え方を聞きたい、こういうふうに尋ねたところが、彼がこう答えたのです。堀さん、ともかく国の独立を確実に確保するということを考えると、エネルギーの自立というのは避けられません、そこで我々も政権をとって、党内で論議をして、フランスの独立のためにエネルギーの自立を目指そうということで方針の転換をしました。私は、これは転換の理由としてはそれなりの大変意味のある理由だ、こういうふうな認識をしたわけです。
 そして、その次にエネルギー担当大臣が来まして、同じことを聞いてみましたら彼はこう答えたわけです。堀さん、ともかく今の世界では、我々先進国とLDC、低開発国とがありますが、低開発国で電力を必要とする、エネルギーを必要とするときに、原子力発電をやれなんということは実は無理です、やはり先進国が原子力発電にウエートをかけて、そして世界の一定の量が予想される化石燃料はできるだけLDCに回すということによってLDCの開発に協力をすることが先進国としての任務だと我々は今認識しております。これも大変説得力のある考え方だと私は思いました。
 私は、よく党内の人たちにそのことを言って、今私どもニュー社会党ということで政権担当を目指しておる以上、彼らが政権をとったときにこういう考えで転換をしたんだということは我々も十分参考にすべきだろう、こう考えているわけであります。ただ、そうは言っても、やはり日本はフランスとはいろいろな条件がちょっと違うのですね。その条件の違うのは、日本が被爆国であるということによるところの核、原子力に対する不安というもの、これはフランスと同じにはいかない、こう私は考えているわけであります。
 そうすると、前段の方でいきますと、日本のエネルギー自給率というものが一体どういうふうになっているのかという点が一つの重要な問題ではないか、こう私どもは思うのでありますが、エネルギーの自給率についてお答えをいただきたいと思います。日、仏、西独、イタリア、アメリカというようなところで。イギリスは今度一〇〇%になりましたから。
#73
○村田国務大臣 お答えを申し上げます。
 今、堀委員がフランスの例を引かれて、原子力あるいはエネルギーに対する対応についての非常に含蓄の深いお話を聞かしていただきました。私も、ミッテラン政権が誕生いたしまして、ベルサイユに赤いバラが咲いたという時期にちょうど渡仏をいたしまして、あちらの事情をいろいろ聞いたわけでございまして、その一環として非常に参考になるお話として承りました。
 エネルギーの自給率は、実は日本は非常に低いのでございます。一八%、それからアメリカが八七%、西独が四九%、今お話のありましたフランスが三七%でありますから、これらの先進諸国に比べて、一割国家と言われる日本のエネルギー自給率は非常に低い。しかも石油依存度が極めて高いということから、どうしてもこれからは原子力の比重が相対的に高くなるということが政策として考えられるわけでございます。
#74
○堀分科員 私も今の自給率を見まして西独が四九・七というのは、油は大してありませんが石炭をしっかり持っていますから、これが大変力がありますけれども、日本の場合には石炭も必ずしも十分でありませんから、今の一八%程度ということでありましょう。
 それから、特にまた今の状態では余り効率的でないと私は思うのですね。ともかく使用済み燃料の再処理は外国へ持っていかなければできないとか、濃縮ウランはアメリカから買わなければ手に入らないとか、今のままでは余り原子力発電をふやしてみても自立にならないと私は思っているのですがね。ただしかし、今後再処理の問題がうまく処理がされるようになる、あるいは高速増殖炉から新しい転換炉へということでプルトニウムを効率的に使えるようになる、そうなれば燃料サイクルというものが確立をできるわけですから、それから先は一定のウランを購入しておけば自立性というものが非常に高くなるという意味では、日本の将来の戦略的なエネルギー対策としてはやはりこの問題を避けて通れない。しかし、避けて通れないけれども、最初に申し上げたようにやはり核アレルギーのある日本国民に納得をしてもらってでなければ、民主主義の社会でありますから、一つの戦略目標があるから何が何でもついてこいというわけには、これは大臣もおわかりのように困難です。
 そういう意味で、私は、この際消費地の電力使用者がごくわずかの負担をすれば――当該自治体には今いろいろな例の電源立地の資金が行っているわけですが、これはおおむねそこの社会資本の充実のために行っているわけであって、住民にストレートに行っているわけじゃないのですね。だから、これからますますそういうものの利用度がふえるのなら、その電源立地の当該市町村、周辺もあるでしょうが、そこまで広げるのは二の次として、当該市町村の住民の一定の標準的な電力使用については、その地域の皆さんにはある意味での心配料というものがあると思うので、それは大都市の大量消費地の者が少し負担をすればそのものの処理はできるのではないか。だから問題は金の話じゃないのですよ。要するに、その地域に住む人たちに対する配慮ですね。そういう意味から、私はそういう問題をきょうは提起して、きょうここでやりますという答弁をいただく気はありませんが、少なくとも十分な手当てをすることによってでなければ、先ほど申し上げたような大量の原子力発電がある地域に集中しやすいという問題について考えておく必要があるのではないだろうかと思いますが、大臣、いかがでしょうか。
#75
○村田国務大臣 堀委員の御指摘は、公平の観念に基づいた考え方として私は理解ができるのであります。ただ、施行者の方の政府としての立場を申し上げますと、電気料金は原価主義と公平の原則に基づいて設定をされているものであって、原子力発電立地地域等特定地域の利用家に対して電気料金を割引くとかあるいは無料にすることは、需要家間の負担の公平という観点から適当でないと考えておるわけでございます。しかし、電源地域に対して何らかの還元をしなければならないという発想は非常に私は正しいと思います。したがって、電源立地の促進の観点から、従来より電源三法の諸制度の活用など財政面等において配慮してきておるところでございます。さらに五十六年度からは電源立地特別交付金制度を創設いたしまして、電源地域の実質的な料金負担の軽減を図っておるわけでございまして、堀委員の御指摘のように、直ちに還元ということとはこれはやや違うではないかという御疑念があるかもしれませんが、政府としては、そういった対応の仕方で対応をしておるところでございます。
#76
○堀分科員 これは民間の電力会社がやっていることですからあれですが、率直に言いますと、関西電力は一番早く原子力発電をスタートしているものですから、電力料金は各社に比べて一番安いのですよ。一番安いのだけれども、関西電力が主要な供給基盤としておる近畿地帯というところには原子力発電所はないのです、これは全部福井県ですから。東京電力の場合は、福島は東北電力の枠内でしょう。同じようによその電力エリアに原子力発電所をつくって、そこでしっかり原子力発電をこれからも発電して、そしてこっちへ供給するというのは、確かに私の感じではフェアではない感じがするのです。それは、今電源三法で処理されていることはわかっています。しかし社会資本なんというのは、一定量できてしまいますとそれ以上にそう必要ないのです。だからそういう意味では、ストレートにそういうものがあることは今後の立地の問題について、それは地域の民主的な意見によって決まることですから、決まるときにそういうものがあるとないとでは大変違いがあるのではないか、私はこう思います。
 今の公平の原則というのを私に言わせたら逆だと思っているのです。要するに、公平の原則はどういう公平があるかといったら、供給エリアでないところで発電しておいて、供給エリアの者にはそういう不安や何かを一切持たせないで供給しているというのが公平のベースになるなんというのだったら大変問題が起こる、私はこう思います。説明を聞いたのですけれども、一般論としてはそうだと言うのです、ほかの要素でなければ。原子力発電というのは、先ほどもお話ししたように、これからまだ高速増殖炉をつくるとか再処理工場をつくるとか、これに関係するところはいろいろと難しい問題がどんどん出てくるわけです。だから、より具体的に地域住民が、ある意味での負担を大量消費者の方がして我々のためにも配慮があるなということを感じるか感じないかは、今後の政策上に非常に重要な問題ではないかと思います。
 そこで、少し事故の関係のことを伺いたいと思うのです。一九八二年九月二日の日本経済新聞なんですけれども、「原発、予想外に危険 米の重大事故十一年間に百六十九件も」という新聞報道があるのです。これは「スリーマイルアイランド原子力発電所事件のように、炉心の損傷につながる恐れのある重大な原発事故が、米国では一九六九年から十一年間に百六十九件も発生していたことが、原子力規制委員会(NRC)の依頼でまとめた報告の中で明らかになった。」この内容は、一九六九年から七九年の状況報告と題されたNRCの報告でありますが、「二分冊全文計千二十五ページから成り、七五年に出された「原発の安全性に関するラスムッセン報告」を再検討する形で作成された。」こうなっているのでありますけれども、中身が非常に複雑な表現でありますからちょっと省略をいたしますが、「危険だったスリーマイルアイランド事故(一九七九年三月二十八日)、火災を起こしたブラウンズフェリー事故(七五年三月二十二日)のように、炉心が溶融するような深刻な事態が起こる確率を「千七百炉年」から「四千五百炉年」に一回と算出している。「ラスムッセン報告」では、重大事故の発生確率を「二万炉年に一回」と算出していた。」こうなっていますから、二万から少なくとも千七百ということは、その危険の確率が十倍ぐらいに過去の例から見るとふえますよということをこの報告は言っている、こういうことなんでありますね。それで、結局原子力発電というものがラスムッセン報告で言われておるよりは相当危険なものだということを原子力規制委員会が発表した、こうなっているんですね。
 私、ちょっと時間がありませんから、皆さんの方の今の運転の状態の資料を見てみますと、稼働率は大変よくなっていますね。稼働率がよくなったということはそれだけ故障や事故が少ないということですから、裏返せば安全というものの程度が高くなった、こう認識をしていいんだろうと思うのであります。しかし、「事故・故障等の報告件数一覧」というので拝見してみますと、平均事故数、基数当たり件数で五十八年が一・○、それから五十七年が一・一、五十六年が一・五、五十五年が一・一というようなことで大体一の前後にあるのですけれども、それなりにやはり依然として事故や故障はある。ただ、その事故や故障の問題がどうやら最近の状況は、定期検査や何かの際に発見されるものも運転中のものだけではなくなってきているということは、私はそれなりにまだ同じ件数があっても内容的にはいいなと思っているのですが、これらの傾向について、これはエネルギー庁長官の方でいいですから答えてください。
#77
○柴田(益)政府委員 先生御指摘のとおり、日本の原子力発電所の故障等は非常に減ってまいりました。そういうことで設備利用率がずっと上がってまいりまして、最近数年の推移を見ますと、設備利用率といたしましては五十六年度が六一・七%、五十七年度が六七・六%、五十八年度が七一・五%、五十九年に入りましては、最近月の十−十二月では七九・三%というような非常に高い設備利用率を示しているところでございます。
#78
○堀分科員 ですから、そういう意味で、かつては大変事故が多かったけれども、これはアメリカのノーハウを入れて、故障しても日本の技術者では手がつけられないという時期があったようですが、聞くところによると、最近はおおむね国産技術に頼るようになったということで安定的な運転が可能になった、こういうことだろうと私は思うのであります。しかし、これはさっき私がちょっとお話をしたように、常に最悪の事態に備えておかなければならないわけで、大体において原子力発電の人為的なというか人間の判断の誤りというものによって起こっておる事故、故障というものはどのくらいでしょうかね。機械や機器の質によって起こるものと両方あるだろうと思うのですが、点検をして定期検査や何かで発見されているものはおおむね人為的なミスじゃないのではないかという感じがするのですけれども、そこらについての傾向はどうですか。
#79
○松田政府委員 ただいまの先生の御質問について、手元にちょっと詳細なデータを持ち合わせておりませんので、大体の傾向を申し上げますが、現在、先生がおっしゃいました平均原子炉当たり一・何件というものの大部分は、日本の場合にはほとんど人為的ミスではございませんで、特に、最近は原子炉というよりは、二次系と言っておりますが、いろいろな蒸気とか水とかの給水配管についておりますポンプでありますとかバルブでありますとか、そういうものがある程度経年的に劣化しておるとか、あるいは製作の場合に設計がややまずかったということが後になってわかる、そのために一部故障してしまっているということが検査のときに見つかる、そういうようなものが大部分でございます。
 先生おっしゃいましたように、世界的に見ますと人為的なミスというものも、数字的には申し上げられませんが、もちろんございます。有名なスリーマイルアイランドの場合も人為的な部分がかなりございまして、今後は基数がふえ、しかも運転になれてまいりまして事故がふえてない状況下では、人間の教育を相当しっかりしないと危ないという認識を持っておりまして、そのための訓練を鋭意やっているところでございます。
#80
○堀分科員 そこでもう一つの問題は、今日本で処理できないこの使用済み燃料それから高レベル廃棄物、低レベル廃棄物の処理、こういうものの処理ができないままにどんどん原子力発電所をつくるということは、これは道理にかなわないことなんですね。この使用済み燃料なり高レベル、低レベルの廃棄物の処理については大体今後どういう対応をするのか、ちょっと伺わせていただきたい。
#81
○村田国務大臣 使用済み燃料の処理の問題でございますが、原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物は、現在、発電所敷地内の貯蔵庫に安全に保管をされておるわけでございます。このような低レベル放射性廃棄物の処分については、我が国は、陸地処分と海洋処分をあわせ行う方針が原子力委員会の長期計画等により明らかにされておるところでございます。このうち陸地処分につきましては、原子力発電所の敷地外において長期的な管理が可能な施設で集中的に貯蔵するという方針のもとに、現在、電力業界が中心となって貯蔵施設の建設計画を御承知のように推進中でございます。
 なお、海洋処分につきましては、関係国の懸念を無視しては強行しないという方針のもとに、ロンドン条約に基づく国際的な科学的検討の結果等を踏まえて慎重に対処するという所存でありまして、これについては、先般オーストラリアを訪問されましたあの旅行の際に中曽根総理からも、関係国に非常に慎重な取り扱いをするという発言をされておるのは御承知のとおりでございます。
#82
○堀分科員 今後の使用済み燃料の再処理の問題をちょっと。
#83
○松田政府委員 再処理につきましては、現在、動力炉・核燃料開発事業団におきまして、御存じのように東海に小規模のものを運転しておりますが、商業用のプラントにつきましては、これを電力会社の方でつくるべく原燃サービスという会社を既につくっておりまして、先生御存じのように、電気事業連合会の方から青森県にその立地を要請しておるという段階でございます。もしこれが県の方で今後地元の意見を参酌されまして了解されました暁には、商業用のプラント、その規模については一応年八百トンを処理するというふうに言われておりますが、その商業用プラントをつくることになると思います。ただし、これによって全量の使用済み燃料を直ちに賄えるという規模ではございませんので、その商業用プラントとそれから海外委託と並行しながら、技術を確立して、将来はすべて日本で賄っていきたいというふうな考えでおるわけでございます。
#84
○堀分科員 今の再処理のプログラムと高速増殖炉の関係というのは、将来的にはどういう方向で考えるのですか。これはいずれもちょっと違うわけですね。ここのところをどういうふうにするのかを伺いたい。
#85
○松田政府委員 高速増殖炉の開発につきましても、現在、動燃事業団で「もんじゅ」を中心に原型炉の建設を進めておるところでございます。この高速増殖炉がどのようなテンポで商業化されるかという見通しと、それから再処理工場の開発のテンポという問題は、数字的に申し上げますとちょっと時間がございませんので簡単に申し上げますが、一時期、プルトニウムが再処理工場から出ましたものを直ちに高速増殖炉では使えない時期があるかと思います。その場合には、このプルトニウムを例えば軽水炉で燃やすとかすることによってウランを節約するといったような方法が考えられるわけでございまして、それについては今各方面で検討が行われているということでございます。
#86
○堀分科員 いずれにしても、プルトニウムのような危険なものを扱うわけですから、これらについては私が最初にちょっと申し上げたような、すべては疑い得る、さらには最悪の事態に備えて国民の不安がないような対応をひとつ十分に考えていただきたい、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、実は私どもの側では、今は電力需給が大変緩くなっているので、現在稼働している原子力発電をとめたって大したことはないじゃないかという意見があるわけです。ここには、昨年十二月に発表になった文書ですが、「八月九日の記録的な猛暑日でさえも、発電のピークは九電力で一億六七〇万KWであり、一億四〇七〇万KWの設備のうちの三四〇〇万KWは余っている。つまり最大必要設備一億六七〇万KWに対して三二%の余裕である。抜本的な対策がとられるまで、二〇〇〇万KW弱の原発を全部休止することは、少しも非現実的ではない。」こういう意見があるわけですね。これについて、皆さんの立場ではどういうことになっているのかをちょっと答えていただきたい。
#87
○柴田(益)政府委員 電力の供給予備率につきましては、先生のお話のように月によっては大分余裕があるというのが実態でございます。ただ、一番ピークが出ます八月を例にとりますと、五十九年の八月の供給予備率は一〇・九%でございました。全体の供給力は一億四千万キロワットあるわけでございますけれども、御案内のように、渇水だとかあるいは点検補修とかあるいは発電所内で消費されるとかいうようなものがございまして、一億四千万キロワットの設備能力のうち、実際に供給に入ってまいりますのは一億一千万キロワット台でございます。八月でも実際の供給予備率は一〇%でございまして、これは数字に直しますとざっと一千万キロワット、片方そのときに動いておる原子力発電所は一千四百万キロワットでございますので、原子力発電所の一千四百万キロワットを全部とめますと四百万キロワット足りないということでございまして、原子力発電所はぜひ必要だということに相なろうかと思います。
#88
○堀分科員 そこで、結局これが今ちょっとお話しになった修理点検の関係、これは実は消費が別のところにあるというわけなのですが、やはり一番のピークの七、八、九のところを、それは原子力発電だから一定のところで点検修理を行わなきゃいかぬでしょうが、そのところをできるだけ避けるような全体の配慮をやれば、要するに今の一〇%ぐらいの予備力があればいいのでしょうから、将来的な展望としてより調整は可能になるのではないか。だからとめる話は別として、要するにより効率的な運用といいますか、一番要るときに幾つも修理しているのではこれは非効率ですね。そのときにうまく原子力発電が動いていれば、言うなれば火力はとめられるということもあるのでしょうから、そういう意味では、今のその地域で使っているものとか発電所内部の消費の問題とかいうのはもう避けられない問題ですけれども、修理、定期検査の関係はより効率的な処理ということが可能ではないかと思うのですが、そこらはどうですか。少し検討を進める余地があるように私は思います。
#89
○松田政府委員 補修点検のための停止の問題につきましては、基本的には先生のおっしゃいましたのが全く私どもも同感でございまして、たくさんあります火力、原子力設備を年間どのように補修するかという計画は、まず第一番目に、それぞれ各月の必要な予備力はいつも満たされていなくてはいけない、その次には、最も経済的でかつ効率的に組まれなければいけないということで考えておるわけでございます。かつて水力が多かった時代には、その火力を水力の豊水期と渇水期の谷間で十分消化できたわけでございますが、現在水力のウエートが非常に少なくなっております。したがいまして、いかに夏のピークといえども何台かは必ずとめなくては年間消化し切れないという状況になっておりますので、そういう前提なので、夏にもとまるものはあるわけでございます。しかし、全体の配分につきましては、これは最も効率的にやりたいということで鋭意検討を行っております。
#90
○堀分科員 そこで、原子力発電の問題は一応ここまでにしまして、最近テレビを見ておりましたら、私は前からそのことは承知しておりましたけれども、東北大学工学部の西沢教授が昭和三十七年ごろですか、要するに光通信についての特許を特許庁に申請をした。ところが特許庁はこれを全然受け付けなくて、その後アメリカの方のコーニング社が同じものを特許をとった。今やこれからの情報通信の主流になる光通信の問題について、日本でせっかく世界で最初にその構想が特許庁に申請されたにもかかわらず特許を認めなくて、それではその後に特許を認めるかというとそうでもなくて、ついに二十年たったら特許申請無効になるということで昨年の十二月にこれは無効になった。日本では、どちらかというと、こういう基礎技術開発という問題について必ずしも十分でない国なのですから、そういうところで非常に意味のある研究が行われて、それが特許庁に提案されたにもかかわらず特許庁が無視したということは、私は、科学技術特に基礎科学技術をこれから非常に重要視しなきゃならぬ時期に国民に与えたショックというのは大変大きいのじゃないか、こう思っております。
 あわせて、そのテレビを見ていると、名前は覚えてないのですけれども、今度送電についてのロスを減らす何かの新しい開発をやった、しかし、どうもこれは日本では受け入れられないといってアメリカへ行って、三菱商事と一緒にアメリカで何か検討してもらっているというのです。私は、皆さん方は全くどうしているんだろうかという気がして仕方がない。経団連へ行って、土光さんたち皆さんに話をしておられるところがテレビで放送されているわけです。
 私は、基礎技術研究というのが今日本では予算的にも費用的にもアメリカに比べて著しく少ないなということをこの前産構審の資料等で拝見をしておるわけですが、ちょっと先に今のこの西沢さんの光通信の特許というものが出て、それは当初問題があったかしらないけれども、ここまでちゃんとなっているにかかわらずほったらかして二十年で消滅するような処置をとったというのは、特許庁としては大変日本の基礎技術開発に対してブレーキをかけておる、心外でならないというのが今の私の感じですが、どうですか、特許庁。
#91
○志賀政府委員 お答えする前に、ちょっと私の気持ちを率直に述べさせていただきたいわけですけれども、私は西沢先生と何回かお目にかかっております。私は、西沢先生というのは大変独創性のある、立派な方であるというふうに思っております。そういうことで、今先生からお話がございました光ファイバーの問題につきましても、西沢先生と何度もお話をしたわけでありますが、あの問題というのは、ちょっと後でまた申し上げますけれども、特許制度というのは一つの手続でできておりまして、それに関連して幾つかの不幸な出来事が重なった結果の非常に残念なことであるというふうに私は思っております。
 若干いきさつを申し上げますと、三十九年に西沢先生の方から光ファイバーについての出願があったわけであります。これにつきまして特許庁として審査をいたしまして、四十六年に、大体特許庁としては特許を与えてもいいのではないかという判断をいたしまして、出願公告をしたわけであります。この出願公告に対しまして異議の申し立てが行われまして、その異議の申し立てに従ってまた審査をいたしまして、その結果として四十七年に、拒絶せざるを得ないということで拒絶査定ということになったわけであります。その間、西沢先生の方からこの出願の分割申請、非常に手続的な話になりますけれども、分割申請を出してこられました。これは、本来の最初の出願というのが透明固体材料ということで出願をされてこられたわけですけれども、それについて、透明ガラスということで分割したいという出願をされたわけであります。これについていろいろまたやりとりがあったようでありますけれども、特許庁としては、この最初の出願に透明ガラスということについて何らコメントがないというようなことから、どうも分割出願というのは適法にはできないのではないか、こういう判断をして、そこでまたいろいろ西沢先生の方とやりとりがあったようでございます。ただ、結論として、これは結局裁判まで行ったわけでありますけれども、裁判所の判断として、要するに、特許庁が透明ガラスの分割出願は不適法であるというふうに判断するのは間違いという判決が出たわけであります。
 そこで当方としては、その判決に従ってじゃどういうふうにするかということであれしたわけでありますけれども、一つ問題がございまして、本来分割出願という場合には、最初の出願を変更して最初の出願は減らします、減らした分をこちらで出願します、それが分割出願であるわけですけれども、最初の分割出願ということで手続をおとりになったわけでありますけれども、そこの手当てがしてなかったわけです。特許法というのはある意味で非常に技術的な、手続的な制度でありまして、これは公平にやっていかなければいけないという形になっておるわけでありますけれども、原出願が変更されてないということで特許法の運用としてはいかんともしがたい、こういうような事情がございました。そこで、先生の方にもいろいろ事情をお話し申し上げた上でございますけれども、残念ながら拒絶査定ということにならざるを得なかったというのが事情であります。いずれにしても非常に残念に私は思っております。
#92
○堀分科員 大臣、確かに特許というのは手続でしょう。しかし手続が大事なのか新しいアイデアを特許にするのが大事か、私は判断基準の問題だと思うのですよね。だから要するに、特許庁側が先生の方にこういう手続にお願いできませんかと――それは手続の問題というのは学者がそう詳しいわけじゃありませんししますから、ぜひそういうところはもう少し基本的な姿勢ですね。新しい基礎的研究というものがああいう格好で実らないというのでは、それはテレビを見ていた国民の多くは、あんなのなら特許庁なんというのは要するに開発の邪魔しているんじゃないかという認識を持ったと私は思いますよ。もっとも二十年あるんですから、二十年間には何らかの処理がされていいと思うし、裁判ではそういうように、特許庁が言ったことはだめだ、こうなっているわけでしょう。だから、裁判でそうなるようなことをやる特許庁にも責任があるし、これは非常に重要な問題だと思うので、ひとつ通産行政として今後二度とこういうことのないような対応をぜひしていただきたいということと、あわせて今の送電線。僻遠の地に原子力発電所をつくるわけだから、どうしたって大量消費地まで電線を引っ張ってきて送電をしなきゃならぬ。その送電のロスが減るような新しい開発をアメリカへ持っていって話をしてでなければ日本では使われないなんという話は、私はあのテレビを見ていて、一体日本というのはどうなっているんだろうか、こういう気がしますので、通産大臣もお忙しくてあのテレビは見ていらっしゃらないかもしれないですが、四、五日前にNHKでドキュメントで放送しましたので、ぜひ一回これはごらんになってそういう対応を積極的にするように、日本で技術開発されたものが日本で先に利用されないなんていうことは大変残念なことだと思うので、その点をひとつ御答弁をいただいて、私の質問を終わります。
#93
○村田国務大臣 堀先生、哲学を持った非常に高次元の御質問でございまして、大変私傾聴させていただきました。
 西沢東北大教授の光ファイバー特許につきましては、志賀特許庁長官からお答えしたような経緯でございますが、確かに特許権行政は手続を非常に難しく定めておるわけでございます。これは、要は個人の利益保護という建前から出てくるわけでございますが、ニューラウンドの開始につきまして先般京都の四極会議で話し合いました際も、知的所有権という広範な範囲でこの問題を国際的に考えてみる必要があるのではないかというようなことをアメリカのブロック通商代表等が言い出されまして、私は非常にこの観点は大事だと思ったのであります。個々に見てみますと、今の光ファイバー特許のような大変理解しがたい事態もきっとあちこちにあるのではないかと思いまして、先生の御指摘になったような高い次元からこの問題は国際的にもよく見直してみなければならぬなと、これは政治家として考えておるところでございます。
 なお、現在の特許庁行政は、私は、非常にまじめによく行われておるということはお認めいただきたいと存じます。
#94
○堀分科員 終わります。
#95
○工藤(巖)主査代理 これにて堀昌雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、柴田弘君。
#96
○柴田(弘)分科員 通産大臣、同じ愛知県選出の国会議員としまして、このたび大臣に就任になりまして心から敬意を表し、お祝いを申し上げたいと思います。おめでとうございました。
 そこで、私は愛知県でございますので、地元の問題を中心にしていろいろと御質問させていただきたい、こう思っておりますが、まず最初に、日米貿易摩擦の問題に関連をいたしまして、対米輸出自主規制の撤廃の問題につきましてお尋ねをしたいと思います。
 御承知のように、アメリカのレーガン大統領が、四月以降の規制の延長というのは求めない、こういうふうに発言をいたしました。御案内のように、この自主規制というのは昭和五十六年から三年間続けられた。そしてまた、その間に一年間延長をされた。これは、いわゆるオイルショックによってアメリカの自動車業界が大変だ、こういうことで、何とかそれを救済をしようということで始められたわけであります。しかし、最近のアメリカの自動車業界、まあビッグスリーの赤字も当初は四十億あったわけでありますが、逆にここ百億ドル黒字になった。あるいはレイオフも、二十七万人のレイオフがあったわけでありますが、五万人に減った。現時点で考えてまいりますと、こういった規制の問題はもう継続をする理由が見当たらない、こういうふうに私は思っております。しかも、この自主規制の間に、一九八二年から八四年の間、日本車の価格というのは二六・六%も上がった。これに伴ってアメリカの小型車も一九・一%上昇をしている。国際貿易委員会の資料によりましても、過去四年間、アメリカの消費者は百五十七億ドルもの負担を逆に強いられておった、こういうことで、言いかえれば、アメリカの消費者の犠牲の上において自動車業界が繁栄をしてきた、こういうことが現実に指摘をされているわけでありまして、この規制の問題、私はもう撤廃をすべきだ、こういうふうに考えております。
 後で質問しますが、日本の自動車業界についてのいろんな対応策も通産省としてあろうと思いますが、まずこの規制の撤廃という問題について、基本的なお考えを通産大臣からお聞きをしていきたいと思います。
#97
○村田国務大臣 柴田委員にお答え申し上げたいと思います。
 この対米乗用車自主規制問題というのは、今、日米貿易問題でも最もクローズアップされている問題の一つであろうかと思います。私は昨年の十一月一日に通産大臣に就任をしたわけでございますが、実は十一月に自動車業界の代表者の方々と会見をいたしまして、いろいろ御意見を伺ったところでございます。そのときに自動車業界としての取りまとめの意見として、対米乗用車自主規制問題はひとつ一九八五年三月にはぜひ撤廃をしてほしい、それを強く業界の代表として要望するという御要望がございました。私はそれに対して、業界のこの御意見は十分理解することができる、そしてこの自動車の自主規制問題は極めて重要な問題であると認識をしておる、ただ、まだ三月までには相当の時間があるので、自動車自主規制問題については慎重に対応をしよう、こういうふうにお答えをしたわけでございますが、その後、ことしに入りましてからも、この問題につきましては各方面からたびたびお問い合わせや、そしていろいろな意見の表明があったわけでございます。そして去る三月一日にレーガン大統領が、自由かつ公正な貿易の原則の重要性等を指摘しつつ、対米自動車輸出自主規制を延長することを日本に対し要求しないとの決定を表明されたわけであります。これに対しまして、私はすぐに三月二日、中曽根総理の御指示をいただいて、大臣の談話を発表いたしました。
 これは非常に大事でございますから、要点だけ申し上げますが、レーガン大統領の自主貿易の堅持を基本として今回の決定に至ったことを歓迎をする、そして日米自動車業界がともに繁栄することへの期待を表明いたしました。そして通産省としては、今回の決定も踏まえ、諸般の情勢を十分見きわめて対応を固めていく所存である。それから、ここが中心になろうかと思いますが、いわゆる集中豪雨的輸出が好ましくないことは明らかであり、日米両国の自動車企業それぞれの良識のもとに節度ある自動車輸出が行われることが重要である、こういう意見を表明いたしました。この心は、私は中曽根総理とももちろん緊密に連絡をとり合っておりますが、三月末までにこの自動車自主規制問題について慎重に検討して結論を出す、そして節度ある自動車輸出を今後も行うことが必要であるという考え方が基本でございます。
#98
○柴田(弘)分科員 そこで、問題は四月以降の輸出ですね。これは今大臣からも節度ある輸出、こういう御答弁をいただいたわけでありますが、まさしくそのとおりでありまして、やはりこれは集中豪雨的なものではなくて、アメリカの側の反発を招かない秩序ある輸出が必要であろう。ところが、いろいろとお聞きをしておりますと、過去四年間、アメリカでのシェアが低く抑えられてきた自動車メーカーの中でも下位のメーカー、これは対米輸出の意欲が非常に強いというふうに聞いておりますし、また上位メーカーも規制期間中に減少した在庫積み増しをする意向である、こういうふうに言われております。
 でありますから、お聞きしたいのは、この節度ある輸出というのは、今までは百八十五万台でございますか、それに抑えられておったわけでありますが、大体どのくらいのことを言うのか、今までどおりの百八十五万台から二百万台見当のことを言うのか。その辺、通産省は一体何台ぐらいが節度ある輸出の台数であるというふうにお考えになっておるかどうかということが一つですね。
 それから、もしこのように輸出急増というものが避けられない、節度ある輸出というふうに通産省は考えておっても、やはりそういった状況で輸出の急増というのが避けられないとすれば、政府として、通産省として、新たないわゆる輸出の自主策というのですか自制策というのか、そういうものを立てる必要が出てくる、こういうふうに私は思うわけであります。いろいろ取りざたされておりますね、天気予報方式とか輸出カルテル方式、こう言われておるわけでありますが、業界に対してただ口先だけで節度ある輸出を求めると言っても、なかなかそう簡単にはいかないと思います。でありますから、業界に対しては一体どのような対応を具体的にとろうとしているのかということが一つと、それから節度ある輸出というのは一体何万台ぐらいが適正なものであるのか、この二点をお伺いしたいと思います。
#99
○木下政府委員 今大臣からの御答弁にもありましたように、この対米自動車輸出問題というのは極めて重要な問題でございます。それで、レーガン大統領の発表がありました後、大臣談話を先ほど大臣からお話がありましたような形で大臣の方から出していただいたわけでございますが、その後、この問題は極めて重要な問題だということで、諸般の情勢を十分見きわめて慎重な対応策を考えるようにという指示を大臣からいただいておりまして、その方向で現在事務当局の中で検討をし、また私どもとしては、業界との間でも非公式にいろいろと相談はしております。
 ただ、今御質問にありましたように、節度ある輸出というのはどのくらいの水準か、またその節度ある輸出を業界に対して求めたときにどういうようなやり方でやったらいいかというようなことにつきましても、まだ事態が極めて流動的でございますので、現在部内で検討をしておる段階でございまして、今のところ、まだはっきりしたことを申し上げられる段階には至っておりません。
#100
○柴田(弘)分科員 ここのところが大臣、まさしく一番肝心で、それはアメリカ側の反応もこれあり、自動車業界の反応もこれあり、私はなかなか難しいと思うのですよ。だが、それは今月いっぱいでやればいいというものの一番肝心なところでございまして、節度ある輸出、秩序ある輸出を求めるためには、今はここでこうこうこういうふうにやりますという具体的なものでなくても、やはりその辺の方向性くらいは一つの考え方として私はあると思うのだ。それが最高機関である国会で、質問に対して何も答えられぬというのじゃ、これはちょっといかがなものかと思いますよ。大臣どうですか。委員長、その辺もう少しお願いしたいですね。
#101
○村田国務大臣 実は柴田委員の御質問は、私が百数十日間各方面から問いかけられておる疑問でございまして、またそれに対する答えは、慎重に検討しておるということを申し上げておるわけでございます。これは柴田委員が御指摘になりましたようないろいろな事情もあると思います。これはむしろ柴田委員よく御高承のとおりでございます。現在の段階におきましては、ただいま木下局長からお答えを申し上げたのが状況であろうかと思います。
#102
○柴田(弘)分科員 それじゃ、それはいつまでにきちっとされるのですか。
 では、このところはどうですか。節度ある輸出をするためにどうするかということが肝心なんですが、通産省として自動車業界に対して何もしなくとも、業界の自主判断によってそれはできると考えていらっしゃるのか。できないとすれば、それは今月末だと思いますが、いつまでにきちっとした対応策を立てられるのか。この辺は答弁できるでしょう。
#103
○村田国務大臣 今時期をお聞きになられたわけでございますが、実は自動車産業というのは、今日本とアメリカとが世界一を競っておる産業であります。そしてまた、対米輸出が非常に黒字になっておるその主たる原因の一つになっておる産業でもあるわけであります。そして同時に、御承知のように中曽根総理・レーガン大統領の年当初の首脳会談におきまして、いわゆる四品目が指定をされておるわけであります。そしてまた、そのほかにも鉄鋼の自主輸出規制問題等もございまして、現在日米関係が非常に重要な段階に来ておりますことは柴田委員御承知のとおりでございます。
 したがって、私は一昨日中曽根総理にもいろいろな状況を御報告し、御指示を仰いだところでございますが、自動車の問題については先ほど申し上げた声明で対応していく、そしてまた同時に、引き続き市場開放の努力を行っていくという全体的な新ラウンドに向けての基調というものも、日本政府の姿勢というものは確認をされておるわけでございます。したがって、自動車輸出の問題は、レーガン大統領の指摘されますように一応三月末が期限でございますから、このことを頭に入れながら現在業界の、まあ自動車業界は非常に立派な業界でありまして、よく話し合いもしていただいたりしておると思いますが、しかし何分にもこれは自由主義経済体制でありますから、したがって競争の原理というものも当然あるわけでありまして、そういった業界全体を見ながら、また日米の貿易摩擦というものが増大しない、これをひとつ和らげていくという原点も尊重しながら検討していかなければならない。時期については今申し上げたようなことでひとつ御了承いただきたいと思います。
#104
○柴田(弘)分科員 この辺についてはそれ以上大臣としても言いにくかろう、こう思いますよ。もしそんなところを発言しちゃったらえらい大変なことになっちゃってね。ようわかって質問しておるわけなんでありますけれども、では質問の観点を変えます。
 そこで、結論づけてこの問題は、日米貿易摩擦問題という大きな問題で、とにかくアメリカ側の対日赤字は膨大なものである。この一月の貿易収支も、アメリカ側から見れば九億ドルの赤字増になりまして、三十六億六千九百万ドル、こういうふうになって、赤字全体の三五・九%を占めておる。昨年が三百六十八億ドルの対日貿易赤字でありました。恐らくことしは昨年を上回る可能性があるであろう、こういうことでありますね。
 そこで、今大臣もおっしゃいましたいわゆる四品目の市場開放という問題が当然この自動車問題と関連をつけてリンクをしてくるだろう、私はこう思っております。いかに日本側が、いやそれは別個に取り扱っていくんだと言っても、向こうはそういうふうに考えていない。だから私は、より一層市場開放を進めていくという立場に立たなければ今おっしゃったような自由貿易体制というものは維持をされない、こういうふうに考えております。この辺が一つですね。
 それからもう一つは、アメリカ側にも私は問題があろうと思う。アメリカの財政赤字の問題、それから高金利、ドル高の問題、こういった問題をきちっとアメリカ側にも是正をしていただかなければいけないだろう、こういうふうに思いますね。日本としては一生懸命市場開放に取り組む、アメリカ側としてもそういった諸問題の解決をしっかりとやっていただく。
 それからもう一つ、日本側の立場からすれば、内需拡大に向けたいわゆる積極的な政策展開を行っていかなければならない。ことし、昭和六十年度の政府経済見通しも実質四・六%である。名目六・一。この四・六の中で四・一が内需である、〇・五が外需であるということなんですが、果たしてこの四・一が政府のとっている今の経済政策で達成されるかどうか、私は非常に疑問であると思います。外需依存の経済成長であった今日までの体験に照らして、今の政策展開、減税の問題もありましょうし、あるいはまた中小企業を中心とした投資減税の問題もありましょうし、あるいはまた公共投資の拡充の問題等もありますが、少なくとも内需拡大の政策展開をしていくからには五%台の経済成長というものも達していくような、そういった方向への努力というものもしていかなければならない、私はこういうふうに思いますが、この三点、ちょっと時間がありませんので簡単で結構でございますが、閣僚の一人としての大臣の御所見をお伺いしておきたい。
#105
○村田国務大臣 柴田委員の御質問は政府の基本政策に触れておいでになるわけでございまして、大変重要だと思います。基本的には、中曽根・レーガン会談の基調もそうでございますが、新ラウンドを推進する、そして自由貿易体制を拡大していく、そして各国にともすれば台頭する保護貿易主義の動きというものをしっかりロールバックいたしまして封じる、そのために市場開放努力をあらゆる分野にわたってしていくというのが中曽根内閣の基本方針だと私は了解をしております。また、総理からも私は具体的にそういった指示をいただいております。したがって、四品目あるいは先ほど申し上げました自動車、鉄鋼等を含めてそういう大原則に立って進めるわけでございますが、同時に、秩序ある貿易関係というものを考えていくわけであります。
 そして、今柴田委員御指摘になられました来年度の、昭和六十年度の経済見通しについていわゆる内需の拡大ということをどういうふうに考えるか、これも基本問題でありますが、御承知のように、内需の拡大については一番大きな要因というのが三つぐらい考えられる。一つは民間設備投資の拡大、一つは公共事業の拡大、もう一つは住宅建設等の増大である。この三つぐらいが私は一番大きな要因であろうと思います。公共事業については、今審議をいただいている六十年度予算では政府は極めて誠実な対応をし、実質的にはある程度の公共事業はふえるということを考えております。それから、幸いに民間設備投資は昭和五十九年度大変好調に推移をいたしました。そして現在、調べていってみますと、私が申し上げた住宅産業等についての景気も非常に順調に推移をしておると思っておるのでございます。したがって、政府が発表しておる四・一%という内需の拡大によるGNPの増大等は十分期待できる、こういうふうに思っておるのでございまして、なお今後そういった建前で経済政策に対応いたしまして、柴田委員の御指摘になられたような点についてひとつ国民の希望に沿っていきたい、こういうことであろうかと存じております。
#106
○柴田(弘)分科員 あともう時間も少なくなりましたので、ちょっと地元の問題をやらせていただきたいと思いますが、中部圏の活性化の問題、今地元で言われておりまして大臣もよく御承知かと思います。中部圏というのは内陸部も日本海と太平洋という二つの大きな海に挟まれまして緑と水も多い、産業の集積度もまあまあでありまして、要するに自然と産業の調和のとれた発展が大いに期待をされるところであると思います。ところが東京、大阪のはざまにありまして、最近は地盤沈下が取りざたされておりまして、私どもといたしましても何とかしなければいかぬということで、大臣も一生懸命お骨折りいただきましてオリンピックの誘致もやったのだけれども、結局失敗してしまった。
 それで、今中部圏がそれぞれ経済文化一体的に動くように、道路網の整備を中心とした環状二号線だとかあるいは東海環状道路とか東海北陸自動車道等々の整備をきちっと一体的なものにしていくためにやりなさい、鉄道の整備もやりなさい、あるいは産業文化面の促進も大事である。名古屋市を中心として愛知県に先端技術産業をどんどん誘致していく。そして研究開発機能だとか高度な文化機能、研究学園都市としての情報機能など中枢機能というものを高めていくことも必要であろう、こういうことです。あるいは、あしたまた議員連盟が発足するわけでありますけれども、中部新国際空港を新設して中部の国際化、活性化に頑張れ、こういうふうにいろいろ言われておりますが、簡単で結構ですから、大臣どうでしょうか、これは通産大臣として聞くよりも同じ愛知県選出の国会議員として、大臣の中部活性化についての御所見をひとつ最初にお聞きしておきたいと思います。
#107
○村田国務大臣 柴田委員御指摘のような立場に立ってお答えをしたいと思うのです。
 私は、中部圏というものについては今までも一生懸命柴田委員やほかの国会議員の先生方とともに勉強してまいりました。大きく言いますと、中部圏というのはいわゆる日本海岸をも含めた中部九県、これはいわゆる中部圏全体でありまして、首都圏、近畿圏の間に挟まれて一番面積が広い、しかし人口は一番少ない。言うなれば、日本列島開発についてのフロンティアであると思っております。その開発の推進は南と北にはしごをかける、これは高速道路であるとかいろいろあると思いますが、交通網の整備等によってはしごをかけまして、そして日本列島を逆さにして見るような、南と北をひっくり返して見るような観点で見るのが基本であろう、私はこう考えております。そのための関係交通網の整備その他が必要であることは申すまでもありません。
 それからもう一つは、柴田委員も私も愛知県の出身でございますが、愛知県の南の地域を考えてみますと、いわゆる環伊勢湾構想、愛知、岐阜、三重、静岡等の環伊勢湾構想でございますが、これになりますと二十三大中小の港があります。もちろん言うまでもなく中心は名古屋港でございましょうが、例えば四日市港だとか衣浦港だとか三河港とかいろいろな港がありまして、港、水、それから土地、エネルギーの供給、こういったいわゆる開発についての基本的な条件がそろっておるわけであります。したがって私は、港の方でいえばユーロポートに対応するような日本ポートというようなものをつくったらどうか、そしてこれからは臨海だけでなく臨空ということが必要であるので、小牧空港等の整備と同時に今御指摘になった中部国際空港というような新しい考え方を第五次空港計画の中に導入していくのはどうであろうかというような、いろいろな開発の可能性というものを追求しておるわけでございます。
 また地場の問題につきましては、例えばファインセラミックスセンターのような新しい産業の発展のための施設あるいはことし春行われますワールド・インポート・フェアといったような具体的なフェスティバルの開催とかいろいろなものを組み合わせてまいりまして、首都圏、近畿圏に比べて今谷間にあると言われておる中部圏の活性化、そして環伊勢湾構想の推進というのが日本全体のためにプラスであるような措置を進めなければならない、こういう前提でございます。
#108
○柴田(弘)分科員 本当に全く同感であります。
 そこで、今大臣のお話がありましたようにファインセラミックスセンターの建設も、昨年私はこの質問をやはり当予算委員会でいたしまして、大臣初め通産省の皆さんに非常に御理解をいただいたわけでありますが、これはやっと土地も名古屋の熱田区の神宮東というところに決まりまして建設されるわけであります。協議会も既に設立をされまして、これはやはり今度四月末までにこのファインセラミックスセンターの試験研究法人としての財団法人とする申請を提出される予定である。それから、六十年度には早々に着工して六十一年度に業務開始を目指しての開設準備が今進められている。これに対して通産省はどう対応され、果たして計画どおりいくのかどうかという問題、この辺をお聞かせいただきたいし、それから用地だけでなくて、このFCCの設立には建物、機械器具類など五十億円が見込まれている。八十億円かかるのではないかという御意見もあるわけです。地方自治体ですとかあるいは国の補助というものも何とかというお話もあるわけでありますが、こういった点を含めての、今後こういったセンターに対しての国の助成のお考え方、これをぜひひとつお願いしたいと思っております。
 最後にもう一つ、ワールド・インポート・フェア、これは何とか成功させていただきたいと思っておるのですが、三月二十一日から四月十四日まで名古屋市の金城埠頭を中心として行われるわけであります。これは非常に前人気もいいわけでありますが、これは貿易摩擦を解消し輸入を拡大したいという要望を込めた、我が国の国策に沿ったイベントであると思っております。愛知県も名古屋市も五十九年度には二億円の負担金をそれぞれ出して今日まで準備を進めてまいったわけであります。これに対してのより一層の通産省の御支援をお願いしたいと同時に、今地元では、これは成功したら毎年開いたらどうかという声も実はあるわけでありまして、こういったものは毎年開いて行事化していってもいいのではないかと考えますが、時間がありませんので、済みませんがこれだけの答弁を聞いて質問を終わりたいと思います。
#109
○篠島政府委員 ファインセラミックスセンター構想でございますが、材料試験評価を中核として研究開発、研修、コンサルティング、啓蒙普及等を行うわけでございますが、極めて時宜を得た構想であると我々は認識しております。
 近く財団法人としての認可申請が提出されると考えておりますが、以上の趣旨にかんがみまして、事業計画あるいは資金計画等所要の要件を満たしておる場合には、前向きに速やかに設立を認めていきたいと考えております。設立以降の展開につきましては財団自体の問題であり、民間主体でやるということになっておりますが、地元の地方自治体も非常に積極的に協力しておりますし、地元の経済界も極めて力を結集して進めておりますので、今後順調に推移していくというふうに期待しております。それから国の助成でございますが、従来調査費につきまして、これは三件ばかり関係してまいると思いますが、このセンターの構想具体化につきまして五十九年度に調査費を計上しております。
 なお来年度につきましては、ファインセラミックスセンターに委託する予定といたしまして、ファインセラミックスのデータ・ベース・システム形成のための基礎調査費、これを予算計上を要求しておるところでございます。これは、このセンターの将来の材料データサービスの実施に大いに寄与するというふうに考えております。それから、これは既に予算化されておりますファインセラミックスの標準化に関する調査委託研究というのがございますが、従来ファインセラミックス協会に委託してきておりますけれども、今後このセンターが体制整備ができ次第、同センターに事業の一部を実施させていきたいというふうに考えております。それからまた、これは調査ではなくて研究開発になるわけでございますが、条件が整えばこのセンターの機能を活用いたしまして、新素材を活用する国のお金を投じた研究開発事業に参加させるということも検討しております。また、御承知のとおり試験研究設備、かなりの額になると思われますが、その一部につきまして国としても購入費補助、何らかの形で支援できないかということで、目下検討しております。
#110
○村岡政府委員 インポート・フェアにつきましては、柴田委員御指摘のとおり、現下の最大政策課題の一つである輸入促進、とりわけ製品輸入促進ということに大変寄与をいたしますので、私どもも全力を挙げてジェトロ等の活用を含めて支援をしてまいってまいりました。とりわけこの三月二十一日から実施されますワールド・インポート・フェア・ナゴヤ85につきましては、財政的な面はともかくといたしまして、ジェトロ等の在外施設を通じますところの出展勧誘であるとかあるいはきめの細かい情報活動とか、そういう面につきまして懸命な努力をしてまいったつもりでおります。このフェアには、現時点では村田通産大臣も御出席賜るように私ども計画を進めているところでございます。また、これを来年やったらどうかということでございますが、私どもも、先ほど申しました意義にかんがみまして、具体的な計画を踏まえて来年もおやりになるということであれば御支援申し上げてまいりたい、かように存じております。
#111
○村田国務大臣 今両局長から詳細に御答弁申し上げたとおりでございます。
 ワールド・インポート・フェアについては、そういったことでぜひひとつ成功させたい。
 それからファインセラミックスセンターについて申し上げますが、御承知のように五十九年四月にファインセラミックスセンター設立準備協議会が設立されまして、そしてことしの四月二十二日に財団法人ファインセラミックスセンター設立発起人会が開催される予定と聞いております。したがって、財団設立の申請が四月末に出てまいりますれば、私どもとしては通産大臣の設立許可をできるだけ早く、できれば五月中にも行いたい、こういうふうに思っているところでございます。
#112
○柴田(弘)分科員 では、どうもありがとうございました。
#113
○工藤(巖)主査代理 これにて柴田弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、塩田晋君。
#114
○塩田分科員 兵庫三区選出の塩田晋でございます。
 村田敬次郎通産大臣、御就任以来鋭利な洞察力とエネルギッシュな行動力をもって通商貿易また国内の産業経済の発展のために大変御奮闘賜っておりますことに対しまして、敬意を表し感謝を申し上げる次第でございます。また、新しい産業経済の動向に対応いたしまして、昭和六十年度の予算を拝見いたしましても、かなり新しいアイデアで新しい政策も見受けられるわけでございまして、これらにつきまして全般的にお聞きをしたいところでございますけれども、きょうは数点に絞りまして、特に細かい問題に入れますけれども、地元の問題につきまして中心にお話し申し上げ、また大臣からの御所見を賜りたいと思います。
 まず最初に綿織物の関係でございます。私の選挙区には西脇という先染め綿布の一大産地を抱えているわけでございます。他の繊維業界、全般的に見まして非常に不況の状況になりつつあるのではないか。また現に長繊維等は大変な不況状態にあるということでございます。西脇の播州織につきましては、今までは比較的良好に推移してきたと言っていいわけでございますが、このところその基調が大きく変わりつつあると言われておりまして、特に三月以降の受注減が大幅であるということが展望され、またその後のことし後半から来年にかけまして、かなりの不況になるのじゃないかということが言われておるわけでございまして、非常に不安でございます。
 まず、西脇の問題に入ります前に、綿織りにつきましては、中国との関係、これは西脇は輸出が主でございますから、輸入の関係は影響は特にないのですけれども、他の綿布、繊維につきましては、中国の影響がかなり今現に出つつあるのじゃないか。昨年からことしにかけましても、大変な、何倍、何十倍というような生産増のもとに輸出がどしゃ降り的に日本にも影響を与えておるという、この中国の繊維の輸出の問題につきましてどのように考えておられるか、また、これにどう対処しようと考えておられるか、お伺いいたします。
#115
○篠島政府委員 先生御指摘のように、中国の綿織物は昨年以降急速に量的にふえてきております。ただ、これにつきましては、日本の綿織物に対する内需もかなり大幅にふえておるという実態がございまして、その需給状況あるいは相場の推移等いろいろ注視してまいりましたが、最近の中国の綿織物の輸入の増加はやや警戒ぎみに見ていいのかなというような感じもしております。
 ただ、中国からの綿織物の輸入につきましては、従来から政府ベースでも民間ベースと同時にいろいろ話し合いをしておりまして、昨年十月私が中国へ参りましたときに、向こう側の政府当局の責任者に、綿織物の中国からの輸入が日本の綿織物業者の構造改善に支障を来さないよう、あるいは産地性のある綿織物業界に対して混乱を起こさせないよう理解、協力を求めましたところ、極めてはっきりと協力するということを約束してくれたわけでございます。中国の輸出につきましては、中国紡織品進出口総公司というところが取り仕切って主として日本に輸出しておりますが、その責任者である朱さんという総経理、これは三月の十二日に向こうへ参りまして、二十六日に私も会うことにしておりますが、綿織物業界の実態それから綿製品の需給状況等、今関係業界とも十分調整しつつ、中国の理解あるせっかくの協力姿勢に対して、この際十分話し合いをした上で向こう側に適切に対処してもらうということを求めていきたいと思っております。
#116
○塩田分科員 これは業界でも集中豪雨的な輸入増加だ、しかも昨年の十一月までの累計で見ましても、対前年同期比で一・七倍というような状況になっており、また全体の八三・四%も占めておるということでございます。中国自体が経済が非常に活性化し、農業、中小企業等発展を続け、その中でも特に軽工業の繊維を中心にして何十倍の生産増があることは非常に結構なことでありますが、結構なことと言いながら、その輸入によって我が国の産業、企業が影響を大きく受けないように、その間十分に話し合って理解を求め、クッションを置いてこれが影響が出るように、ひとつ十分にこの問題について対策をしていただきたいと思います。
 中国は、私もかなりいろいろなルートを通じて話をしたり折衝はありますけれども、こう言っちゃ悪いですけれども、なかなかしたたかな商売をやるところでもありますし、我が国の自由経済制度と違って、国営、国策でいろいろなことができる状況でございますから、この辺はよほど構えてやらないといかぬ。単に約束をしたからといって、それでなかなかいかない面もなきにしもあらず、そういうことがないことを望むわけですけれども、この問題はよほど腹を据えて対処していただきたいということを要望いたします。
 そこで、先ほど申し上げました西脇市の先染め綿布のいわゆる播州織の問題でございます。これは現時点におきまして、この六カ月間で二〇%生産が増加したということも聞いておるわけであります。そしてそこから受注が低迷をし、生産過剰ぎみになっておるということも聞いておりますが、通産省としてはどう把握をされ、またどう対処しようとしておるのか。海外の状況を見ましても、輸出に七、八割頼っておるわけでございますが、アメリカ経済の回復によって世界経済の回復が順調であるとはいえ、いわゆるオイルダラー、産油国にかなり輸出が出ておりました。これが余り購買力がないような状況になって、その影響もあると言われておりますけれども、また片や生産過剰の原因として、これは生産性向上のために必要ではございますが、エアジェットが導入されて、これは相当な威力を発揮しておる。業界全体としてのマクロの把握はいいとしましても、業界内部を見ますと、やはり大手と中小の競争の激烈な中で弱肉強食的な傾向はどこでも出るわけでございますが、そういった面についてどのように把握し、対処しようとしておられるか、お伺いいたします。
#117
○篠島政府委員 西脇の主力産品はギンガムでございまして、その面につきまして、綿織物であるギンガムについては、半分程度が輸出に向けられておるいわゆる輸出先染め織物でございます。
 昨年のギンガムの生産量を見ますと、綿織物、合繊織物それぞれに月によって多少の入れかわりがありますが、おおむね前年横ばいという状況でございますが、輸出につきまして昨年の秋口からやや減少傾向が出てきておりまして、ことしの一−三月の成約もやや落ち込みが目立ち、業界の中でも産地の中でも心配する声が出てきたようでありますが、四月以降の成約につきまして、最近の傾向を見ますとやや持ち直した、こういう状況のようでございます。ただ、趨勢的に今後も順調にいくかどうか、海外特にアメリカを中心とした市場動向の推移が注目されるわけでありますが、今後も需給の実態については慎重に考えていく必要があるというふうに思っております。おっしゃいましたように、綿織物全体が今や大きな構造変化の中で、生き残って積極的に対処していく音あるいは残念ながらやめていかざるを得ない者、この見きわめをやらなければならない時期に来ておるというのが、一昨年十月の織工審答申にも明確に出されているわけでございまして、やめていかれる業者に対しましてはできるだけの措置をということで、最近設備の廃棄の買い上げの単価も決定いたしまして、今業界でいろいろ準備を進めておるところでございます。
 それから、前向きに対処していくという面につきましては、西脇は前々から非常に進んでおる積極的な産地でございまして、構造改善の実を上げておるところでございますが、五十一年からずっと続けておりますけれども、今回の構造改善の臨時措置法の延長に伴いまして、現在、業界、産地の方から構造改善計画の承認申請が出ております。これは近く認めることにしております。これによりまして、さらにこれまでの成果を踏まえて実のある構造改善を進めてもらいたいと期待しておるわけでございます。
#118
○塩田分科員 西脇の播州織につきましては、今局長から御答弁がございましたように、関係の業界団体が非常にしっかりしておるということだと思うのです。もちろん組合の方も、同盟が主体で労使話し合い路線で雇用の安定と賃金の適正な決定、これに参画しておるわけでございますが、この産元あるいは織物協同組合等の団体の指導、これは構造改善において非常に実を上げてきたということは今御指摘のとおりだと思います。その関係が海外の情勢変化で不安が出ているということでございますが、今お話ありましたように、ごく最近やや持ち直しているということでありますね。
#119
○篠島政府委員 四月以降やや持ち直しております。
#120
○塩田分科員 ことしいっぱいにつきましても、そう見てよろしいということですか。
#121
○篠島政府委員 そうであることを期待したいのでありますが、必ずしも断言するわけにもいかないかと思います。
#122
○塩田分科員 染色関係についてはどう見ておられますか。
#123
○篠島政府委員 西脇の産地は染色業も構造改善グループの中に取り込まれておりまして、共同の染色整理場を持ちまして、これは構造改善の成果を非常にうまく活用していると思っております。そういう形でございますので、ギンガムの織物業と全く一心同体に動いておるというふうに理解しております。
#124
○塩田分科員 先ほど登録制と共同廃棄の問題について若干御説明がございましたですが、これは西脇の方はそんなに具体化してないんでしょう。今ちょっと触れられましたですが。
#125
○篠島政府委員 綿織物につきましては既に先月の初めに買い上げの単価を決定いたしまして、綿織物の織機についても決めてございますので、現在綿工連で各産地を中心に廃棄の業者あるいは廃棄台数等調査しておるわけでございまして、西脇についても当然目下調査中だと思います。
#126
○塩田分科員 エアジェットですけれども、これは国際競争力を上げるために導入は必要だと思いますが、この導入の仕方ですね、この次第では大変な混乱が、特に優勝劣敗という形が起こりますので、これについて、現在二・五台に一台になっておりますか、これをもっと三・五台とか四台に一台というような換算率にしてはどうかという意見もありますが、こういったことについてはどうお考えですか。
#127
○篠島政府委員 いわゆる設備登録制とも絡むわけでございますが、登録制がしかれております中で能力換算率を決めて、エアジェットのような従来の織機に対して能力の増加の大きいものについては処理しておるわけでございますが、確かに従来から本当の換算率はもっと高いのではないかということは言われております。我々も承知しております。ただ、登録制につきまして、従来の経緯から見まして、これはできるだけ早期に廃止すべきではないかという意見も非常に強いわけでございまして、そういった点を踏まえて、登録制と絡むこういった革新織機の導入状況、その影響等も見ながら換算率については慎重に考えていく必要があるというふうに思っております。
#128
○塩田分科員 西脇の綿織りとの関連で、志方というところに靴下の一つの大きな産地がございます。奈良と並びます産地になっておりますが、この靴下産業は西脇よりももっと状況は悪いと思います。かつて韓国からの大幅輸入に悩んだところでございます。今落ちついているとしましても長期的には非常に低迷しておる業界だと思います。これにつきまして、今の設備登録制、共同廃棄事業につきましてどのように構想し進めようとしておられるか、お伺いいたします。
#129
○篠島政府委員 昨年九月に日本靴下工業組合連合会が「新しい時代の靴下産業ビジョン」というものをまとめて発表しております。その中で、設備共同廃棄事業につきましては転廃業対策としてその適切な実施が必要であるということをはっきりうたい込んでございます。それから登録制の問題でございますが、これについては強制的な届け出制ということへの移行、そういう意味では従来の登録制を廃止することもやむを得ないという結論を、同じくこのビジョンでまとめておるというふうに承知しております。
#130
○塩田分科員 共同廃棄事業について、具体的にどのような仕組みで、どういう機関を通じて、その資金あるいは買い上げ等をどういうふうにやっていくかということを少しわかりやすく説明していただきたいと思います。
#131
○篠島政府委員 これは各業界ごとに組合が設備廃棄に参加する事業者数等を調査いたしまして計画を策定するわけでございますが、その対象といたしましては、繊維につきましては、絹の場合を例外的にいたしまして、それ以外の業種については一部廃棄というものを認めない、完全転廃業の業者の設備について買い上げを行う、こういうことになっております。そうした参加事業者数につきまして実態が明らかになり計画が策定された段階で、関係機関でその数が全体でどうなっておるか、いわゆる過剰性等の要件について適切であるかどうかということを審査し指導を行うわけでございます。この審査、指導を行いまして計画が妥当だと認められます場合には、中小企業事業団から組合に対して融資を行います。その融資条件は無利子、融資率は九〇%以内、償還期限は十六年以内というような条件になっております。この資金を借り受けました組合は、その資金の一部を留保、運用して償還に充てます。それから残りの資金につきましては、計画に参加しておる個別参加事業者の廃棄する設備を買い上げる代金に充てるということにしておりまして、その買い上げ代金については、綿織物業者については先ほど申し上げましたように先月の初めに中小企業庁と相談いたしまして決定して、既に通知しております。したがって、今後はその代金単価を前提にしてさらに計画を具体的に固めた上で破砕をして廃棄事業を完了する、こういうことになるわけでございます。
#132
○塩田分科員 次に、伝統的工芸品につきましてお伺いいたします。
 これの指定要件がどうなっておるかということと、西脇を中心にいたしまして釣り針の中でも針と言われるものの申請が参っておると思いますが、これについて現在どのように検討をしていただいておるか、現在の状況を御説明いただきたいと思います。
#133
○篠島政府委員 まず、指定の要件でございますが、伝統的工芸品産業の振興に関する法律第二条第一項に要件として六つ書いてございます。第一が工芸品であること、第二が「主として日常生活の用に供されるものであること。」第三が「その製造過程の主要部分が手工業的であること。」第四が「伝統的な技術又は技法により製造されるものであること。」第五が「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるものであること。」第六が「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行ない、又はその製造に従事しているものであること。」という六つの要件が規定されてございます。
 御指摘の西脇のも針につきましては、地元の組合が指定について非常に強い希望を持っております。ただいま申し上げました要件を満たしておるかどうかということをいろいろ検討しておりますが、さらに地元からもいろいろ実態について調査をする必要ありという状況でございまして、かなり調査は進んでおりますが、さらに地元と十分連絡をとりながら先ほど申し上げました六つの要件を満たしているかどうかということを検討し、結論を出したいと考えております。
#134
○塩田分科員 よろしく御検討お願い申し上げます。
 最後に、大型スーパー、百貨店の進出に伴う中小地方都市における中小商店街の対策についてお伺いいたします。
 消費者の立場からいいまして、スーパー、百貨店の進出、そしてまた従来の中小商店が共存共栄で発展することを我々は期待しておるわけでございます。しかしながら、今の状況を見ますと、特に中小都市におきましては、中小商店街が二割、三割の売り上げ減ということで大変苦境に陥っておるという状況があちこちにございます。いろいろ陳情を受けるわけでございますが、これに対しまして通産省はどのように認識をし対策をしようとしておられるのか、なかなか決め手がないということかもわかりませんけれども、在来の数多くの商店が本当に困っておる。商店街におきましても、共同でアーケードをつくったりあるいはカラーの歩道を自費で出し合ってつくっておるというように、いろいろ工夫して努力はしておりますけれども、なかなか回生の妙策がないということで困っておる状況がございます。これにつきまして、コミュニティーマートというような構想も新しく予算にも出ておりますが、どのようにこの問題に対処しようとしておられるか、お伺いいたしまして終わります。
#135
○村田国務大臣 塩田委員にお答え申し上げます。
 スーパー、百貨店等の進出に対しましては、大規模小売店舗法、小売商業調整特別措置法等によりまして、中小小売商業者とスーパー、百貨店等との間の事業活動の調整を行いまして、中小小売業者の事業活動の機会の適正な確保に努めておるところであります。他方で通産省としては、今塩田委員が御指摘になられましたように、コミュニティーマート構想の推進でございますとか中小小売商業者の情報化への対応への支援、商店街活動の推進等の各般の施策を講ずることによって、中小小売商業の振興に努めておるところでございます。このように、中小小売商業の振興のためには一方で大規模小売店舗法等により適切な調整を行いますとともに、他方で中小小売商業の振興を図ることによって中小小売業と大企業との、委員御指摘になられましたような共存共栄に努めることが肝要と考えておりまして、今後とも、これは全国的な問題でございますが、これらの施策の万全な運用に努めてまいる所存でございます。
#136
○塩田分科員 ありがとうございました。
#137
○工藤(巖)主査代理 これにて塩田晋君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際休憩いたします。
    午後零時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四分開議
#138
○小此木主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 通商産業省所管について質疑を続行いたします。有島重武君。
#139
○有島分科員 私は、伝統工芸の問題と、それからもう一つは教育産業と言われているもの、この二つについてきょうは質問をしたいと思いますが、初めに伝統工芸を先にさせていただきます。
 村田大臣の地元でも、有名な筆であるとかあるいは赤津焼とか桐のたんすですとか、いろいろ伝統工芸というものが盛んであります。これの最近の伸びといいますか、増勢についてはどんなふうであるのか。私は東京でございますけれども、東京の中でも下町でございまして、江戸以来のいろいろな伝統工芸があるわけですね。そのことについて三年ほど前にやはり分科会の席で質問をさせていただきました。そのときは今の外務大臣の安倍晋太郎さんが通産大臣でいらっしゃったわけですけれども、それで従来、伝統工芸の振興に関する法律というのがございまして、その枠組みでやってきた。ところが、どうもその枠組みになじまないような問題が私どもの東京の中にはある。と申しますのは、東京は御承知のように全国からエッセンスが集まっているところでございまして、それは江戸時代からそういうことである。ですから、同種類のものがたくさんあるというふうにはいかないことがあるのですね。だからこの法律内の運用をひとつお考えいただけないか、こういうようなことを申し上げたわけなんです。大臣からはそのときに、今後ともこれは大変大切な問題であるから関係各省庁とも連絡をとりながら総合的に進めましょう、勉強しましょう、こういうような話がございました。
 最初に大臣から、これからの日本、特に現時点でまた日本の国も大きく変わろうとしているのじゃないかというような認識もあるわけでございますから、そういう中での伝統工芸の重要さについて御所見を承っておきたい。お願いいたします。
#140
○村田国務大臣 有島委員にお答え申し上げます。
 伝統工芸に対する御質問でございまして、今委員御指摘の昭和五十七年三月八日の有島議員の御質問も勉強させていただいております。我が国には我が国の風土と歴史の中ではぐくまれてきた数多くの御指摘の筆などがあるわけでございますが、これらの伝統的な工芸品は国民の消費生活に豊かさと潤いを与えるものであって、日本民族の宝とも言うべきものであると認識をいたしております。
 一方、近年の社会経済情勢の変化に伴いまして、これらの伝統的工芸品産業は後継者の確保難でございますとか原材料の入手難でございますとか、困難な問題に直面をしておることも事実でございます。したがって通産省としては、今委員御指摘になられました昭和四十九年に制定された伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づいて伝統的工芸品産業の振興に努力をしているところでございます。
 委員御指摘の江戸、東京でございますが、まさに江戸は八百八町、もう既に江戸幕府のころに百万の人口を突破したと言われておりますが、これは産業的に見ましても工場制手工業、いわゆるマニュファクチャーの形でございまして、したがって名人気質がたくさんあり、そしてその中で伝統的な名品というものがいろいろ出てきた地域であろうかと思います。特に有島先生の御出身地は、そういった江戸の伝統を色濃く残しておる地域であろうかと思いますが、具体的にどうやってこれを保護育成していくかということについては、個々に検討をいたしましてよく御相談を申し上げなければならない点がたくさんあるのじゃないかと思います。ひとつぜひ有島議員の御指摘の精神を酌みまして今後よく御相談をしていきたい、また関係各省庁とも必要があればいつでも御相談をしてまいりたい、こういうような基本的な姿勢でございます。
#141
○有島分科員 そこで問題の核心に入りますが、地域的な伝統工芸の保存会というものがございます。これはどうも協同組合とはちょっと違うわけなんです。協同組合は指定品目という品目別にやっていくわけですね。それで品目別にいたしますと、東京といっても応うございますし、例えば東京友禅というのがございます。これは組合になっているんですね。その実態は、東京友禅加入の方々のお仕事を見ていて、これは京都の友禅の下請業をやっていらっしゃる方々の組合というようなことになっているわけです。江戸友禅というのは、隅田川に沿って昔からあったそうなんですね。これは隅田川がだんだんきれいになってきたものですから、そこでもって流したりして本当に、何といいますか伝統を守って、それは軒数というと協同組合をつくるにはとても至らないわけです。ところが、そういった方々を中心として、羽子板である、げたである、それからかごである、あるいは銅細工である、銀細工である、まき絵である、こういうような方々が保存会をつくって、それで学校等に行ってそういったものをいろいろ生徒さん方と接触の機会をつくったり、あるいは展示会をやって、これは墨田、台東あるいは荒川、江東なんかにもあるわけでございますけれども、そういうようなことをやっているわけです。それで、今の大臣が特に御指摘になった後継者がいないというような問題にやはり非常に苦慮をいたしております。そういうようなことからいくと、そういった地域的な保存会を協同組合的に扱うことができないものだろうか、これが問題の焦点になろうかと考えるわけでございます。この点をひとつ御研究をいただきたいのですけれども、いかがでしょうか。
#142
○篠島政府委員 地域保存会のようなものを事業協同組合のような法律に基づく組織として設立てきないかという趣旨だと思いますが、中小企業等協同組合法というのがございますが、あそこに書いてある要件を満たせば事業協同組合、御指摘のようなケースについて法律的に全く不可能ということではないと思います。事業協同組合は最近は異業種の協同組合も具体的に出てきておりますし、むしろ協同組合を設立して何をやるかという事業内容との絡みで、今のところ保存会という形にとどまっておるのではないかというふうに理解いたします。
#143
○有島分科員 今局長から大変いいお答えをいただたように私は思うのでございますけれども、さっき大臣がおっしゃったように、この法の目的そのものが、とにかく国民の生活に豊かさと潤いを与えましょう、地域経済の発展に寄与しましょう、こういったところにあるわけでございます。
 それで、それについて品目の指定ということがあるわけですね。その品目の指定が、友禅なら友禅というふうに今は限られておるわけです。げたならげた、羽子板なら羽子板と、違うわけですね。それを例えばげた、羽子板等とかそういうふうにでもしていただくと、随分違ってくると思うのです。ところが、現在はそのことはガードがかたいといいますか、これも東京都庁の方にたびたびそういったことができないかというようなことを陳情もしたらしいのですけれども、これは通産の方からの御指導もあることで、そのような余り幅を広げたことはできぬというようなことだったということでございます。
 大体通産行政の大きな流れというのが、やはり昔からいくと、単品を大量生産して、それで国益に寄与しよう、こういうところにあったかと思うのです。ところが、この伝統的工芸はなかなか文化的な目的でございまして、名人芸を保存しようというようなことですから、むしろ多種品目少量生産ですね。法律の運用の仕方が、従来の大量生産的な物の考えで運用していくのじゃちょっとまずいのじゃないだろうか。さっき大臣のおっしゃった趣旨に従ってこれを運用するように、この前のときには文化庁とそれから文部省とも御連絡をいただきながらというようなことでもって質問をいたしましたけれども、今度は都道府県のそれぞれの事情があると思うのです。そういったような御検討をひとつやって御報告をいただければありがたい。どうしても法改正をしなければならぬというところまでいけば、私たちこれまた考えなければならぬ、そのように思っているわけでございますけれども、いかでございましょうか。
#144
○篠島政府委員 今先生おっしゃいましたように、現在の法律によりますと、第二条の一項五号というのがございまして、「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行ない、又はその製造に従事しているものであること。」という、いわゆる産地性を伝統的工芸品の指定の要件にしているわけでございます。これと関連いたしまして、さらに二条の二項によりまして、具体的に書いてございますが、伝統的工芸品を指定をする場合には、「当該伝統的工芸品の製造に係る伝統的な技術又は技法及び伝統的に使用されてきた原材料並びに当該伝統的工芸品の製造される地域を定めて、行なう」ということで、法律上明文がございますので、おっしゃるような保存会については、この法律に基づいて残念ながら指定できないというのが実態でございます。
 ただ、大臣からも御答弁申し上げましたように、保存会のような一芸に大変秀でたすばらしい方たちに対してできるだけの助成をできればというふうに考えておるわけですが、基本的に我々が今やっております伝統地産業の振興については、地方自治体と十分協力しながら、お互いに情報、意見交換をし、それから金の拠出についても調整をしながら一緒にやるということでございまして、そういう意味で、東京都の方ででも保存会に対する助成措置、これは東京都の単独の事業としてもできるわけでございますが、そういったようなことを取り上げておやりになり、ほかの都道府県等でもそういうような実態が出てきた場合には、国のレベルとしても取り上げることは検討できるというふうに思っておりますので、東京都の方にも、少し向こうの考え方を前向きにできないかどうか等うちの方からアプローチしてみたいと思います。将来の方向としてはそういうふうに考えております。
#145
○有島分科員 今の第二条一項五号というところですが、局長のおっしゃった「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行ない、又はその製造に従事しているものである」ここに「その製造」「その製造」とある。その製造の広さ狭さの問題でございますね。これが筆なら筆というふうに通産の今までの御指導によれば大体そういった指定の仕方であったと思うのですが、特に今私が提案しておりますのは、江戸の特殊性といいますか、羽子板と、げたと、あるいは厚紙でつくっている引き出しのようなもの、非常に近いものがあるわけですけれども、そういうものをくくって、あるいはきれを扱うもの、染めるもの、それは一つにくくって、もう少し広い扱いを、これは地方自治体の要請があれば考慮をするような話し合いをひとつ進めさせていただきたい。大臣からお言葉を最後にいただきたい。
#146
○村田国務大臣 今篠島局長からもお答えを申し上げたわけでございますが、伝統的工芸品産業指定品目数というのは現在までに百四十八ございますね。そして、例えば伝統的工芸品産業振興融資制度ということでいろいろまた、例えば秋田県の樺細工であるとか福井県の越前和紙だとか石川県の輪島漆器などについては、五十九年度の中小公庫で融資を申し上げておるというようないろいろなことをしておるわけでございますが、実際に具体的な品目の指定をし、そのための助成をするということになれば、有島先生御指摘のように地方公共団体レベルで実施し得るものもありましょうし、そういった点をいろいろと相談をしていくことが必要でありまして、東京都また関係の地方自治体とも十分に連絡をとりながら、きめの細かい配慮をしていくべきであろうと思います。有島先生御指摘の趣旨に沿って努力をいたしたいと存じます。
#147
○有島分科員 ありがとうございました。それでは、次の問題に触れていきます。
 我が国が経済的に発展をしてきた。そして国民生活も随分向上してきた。いわゆるエンゲル係数というのですか、食うということの比重よりもむしろ文化、教育の費用のパーセンテージが大きくなってくる。これはそういったところから言えば非常に喜ぶべきことであると思います。ただ、教育費が家計を圧迫するというような現象も事実出ているわけですね。それで、今度は裏から申しますと、教育をめぐっていろいろな産業がある。ある場合には、産業が膨張していくということに教育の方が何か巻き込まれている傾向もなきにしもあらずじゃないのか、そういうような意見があるようです。そこで、教育をめぐってどのくらいのお金が動いているのかというようなことは、これはどこかで捕捉をしているんじゃないだろうか。私の手元に「教育産業白書」という、これはやや古い一九八二年版なんですけれども、民間のある経済研究所でございます。それによりますと、昭和五十六年で二十二兆円だというのですね。きょうは文部省来ていらっしゃいますね。こういったことについては把握をしていらっしゃいますか。
#148
○藤田説明員 お答えいたします。
 私ども文部省の調査統計課におきましては、先生の御質問に直接お答えになるかどうかわかりませんけれども、昭和五十一年度に、今後におきます学校教育のあり方を考えるための基礎資料を収集整備するということで、児童生徒の学校外の学習活動に関する実態調査を行ったところでございます。この中では、小中学生の学習塾への通塾状況などのほかに、学習塾におきます学習指導の実態をとらえるために学習塾の調査を実施いたしたわけでございます。これはただいま申し上げましたとおり、学習塾そのものの数とかあるいは全体の量的な規模、そういったようなものを把握するためのものではございませんけれども、約二千の学習塾に対しまして学習指導の実態をとらえるために行ったといったものがございます。
#149
○有島分科員 二十二兆円という数字を僕は挙げたわけだけれども、そういうことについて何か把握していらっしゃいますか、いらっしゃいませんか、どうですか。
#150
○矢橋政府委員 教育産業につきましては、その範囲が非常に不明確な点もあるということあるいは公的な統計が不十分ということもございまして、率直に申しまして現時点において私ども通産省の方では直接は把握をしておりません。ただ、ただいま先生がお挙げになりました民間の調査機関の二十二兆円という報告自体は私どもも承知をしておりまして、内容を見ております。
#151
○有島分科員 通産省から助け舟が出ましたが、文部省の方は把握をしていらっしゃらない。
 それから経済企画庁に伺いますが、国民生活の中で教育は家計に直ちにかかわってくる問題でございますね。それをめぐりまして、大体二十二兆円と申しましても、これは五十六年で二十二兆円。五十二年のときは十六兆四千億円。毎年大体七%ぐらいの伸び率なんですね。これが今どのくらいになっているのか僕は知りたいわけなんです。今臨時教育審議会というようなところでもって教育のことを審議しておられる。これはいろいろ審議なさるのもいいけれども、現実問題としては、教育産業からのプレッシャーの中で今や教育があるわけですから、その動きについて経済企画庁は何か捕捉していらっしゃるんじゃないだろうか。そう期待したいわけだが、今のところは、しているかいないか、これは将来すべきじゃないだろうかと御提案したいのですけれども、お答えいただけますか。
#152
○川名説明員 経済企画庁といたしましては、教育産業の規模自体は把握しておりません。ただ、家計調査で出ました昭和五十九年の全国全世帯の平均教育費、これは授業料だとか教科書、学習参考書、それから補習教育というものの支出なんですけれども、それは十二万八千二十四円になっておりまして、五十八年度が十一万六千六百四十二円ですので、名目で九・八%の伸びとなっているわけです。この教育費が消費支出に占める割合は今五十九年で四・〇%になっております。
#153
○有島分科員 私が伺ったのは、今後少しトーダルに把握してもらいたい。二十二兆円という数字についてはどうお考えですか。
#154
○川名説明員 企画庁自体は把握しておりませんけれども、その数字が民間企業で出されているということは承知しております。
#155
○有島分科員 大臣、いろいろな産業があるわけでございますけれども、これから新しいロボットだとかコンピューターのコレスポンテンスだとか、そういうものがどんどん入ってくる。今の二十二兆円にはそこが入っていないのです。この数字は見逃しできないことであろうと思うのです。その動向、それからそれが教官に貢献していく面も非常にあると思うのです。あると思うのだけれども、やはりもうかった方がいいということで、これは教育の方をゆがめるという可能性も大いにあるわけですね。大臣の地元にもいわゆる進学塾御三家がおありになるようだけれども、そういったことで大学受験をあおっているのではないかというような向きの質問を去年の予算の総括質問のときに我が党の矢野書記長がいたしました。非常に短い時間であったわけですけれども、これをひとつ御研究いただきたいと思うのです。いかがですか。
#156
○村田国務大臣 有島委員の御指摘の数字、ある民間研究所の「教育産業白書」で二十二兆円という数字を出している。それからまた今経済企画庁の政府委員からお答えを申し上げた。有島委員はエンゲル係数の例をお挙げになりましたが、五十九年度の一世帯当たりの消費支出と教育費、言うならば教育係数でしょうかね、これは総理府統計局の調査でありますから相当正確なものだと思いますが、五十九年度が四%、それから五十八年度が三・八四%ということになっております。私は、まさにこの数字は教育と産業の問題のかかわり合いを示す一番基本的なものであろうと思います。例えば、今のような学歴社会において教育に家計がどのくらいの金を投入しておるのか、そしてまた、それによってどういった教育のひずみが起こっておるのかというような基本的な問題に入ってまいりますと、これは文部省、通産省あるいはその他の省庁も関係をしてくる問題だと思いますが、委員の御提起になった問題は極めて基本的な重要な問題であると思いますので、ひとつ私どもも真剣に勉強させていただきたいと思います。
#157
○有島分科員 これで終わりますけれども、今大臣がおっしゃったように、確かに家計の上でどのくらいというパーセンテージ、こういうものは文部省の中でも一生懸命やっている。ただ全体にどういうふうに動いていくかということ。例えば教材なんか工作でも非常にいい教材がどんどんできてくる。それによってせっかくの創造力あるいは工夫、そういったものがどんどん損なわれてしまうというようなことさえ起こっておるとか、それから運動靴を何足持っていなければならないというようなことにもつながってきているわけです。ひとつ捕捉してくださるということですから、また今度御報告をいただきたい。
 以上で終わります。ありがとうございました。
#158
○小此木主査 これにて有島重武君の質疑は終了いたしました。
 次に、松沢俊昭君。
#159
○松沢分科員 昨年の十二月三日、インドのボパールというところで、アメリカ系の会社でありま。すけれどもユニオン・カーバイド社が殺虫剤をつくっておるところの工場から毒ガスを出しまして、一晩にして二千五百人以上の人が死亡し、そして数十万の人に重大な悪影響を与えた。この毒ガスというのはイソシアン酸メチル、こう発表されておるわけでありまして、同時にホスゲンというものも漏れている、こういうふうに報道はなされているわけでございます。
 そこで、まず最初に私がお聞きしたいことは、ホスゲンあるいはイソシアン酸メチルの毒性というのは大体どんな状態のものであるのか、これからまず聞きたいと思います。
#160
○野々内政府委員 イソシアン酸メチルと申しますのは農薬の原料として使われておるわけでございますが、毒性は皮膚とか粘膜に刺激性がございまして、催涙性があると言われております。通常は刺激臭のある液体という形で存在をいたしておりまして、沸点は約三十八度Cでございます。
 それからホスゲンでございますが、これは通常は刺激臭のある気体という形で存在いたしておりまして、沸点は約八度でございますが、毒性といたしましては、この気体ガスを吸入いたしますと吐き気あるいはひどいときには窒息、肺炎省とを起こすというふうに言われております。
#161
○松沢分科員 このイソシアン酸メチル並びにホスゲンというものは大変猛毒である。また猛毒であったからああいう世界的に大変センセーションを巻き起こすような惨事を起こしたわけでございます。
 そこで、私たちの日本では、これは今農薬に使われているということでありますけれども、農薬だけではないと思いますので、一体どういう用途に使われているか、それをお聞かせ願いたいと思います。
#162
○野々内政府委員 イソシアン酸メチルは農薬の原料として使われております。それからホスゲンにつきましては、ウレタンの原料あるいはエンジニアリングプラスチックと言われておりますがポリカーボネート樹脂とか、一部に農薬の原料として使われております。
#163
○松沢分科員 今御答弁がございましたように、ホスゲンは大変広範な分野で使われておるわけでございます。またイソシアン酸メチルは、この前二月二十日政府の方からお話を聞きましたところが、日本では三菱化成の黒崎工場一社で製造されているだけだ、こういう説明がございましたが、これは本当にその一社なのか。ちょっとこっちの方で、住友化学工業もやっておるのじゃないかと言いましたところが、そこにもあるようなことをちらっと聞きましたが、その辺は一体本当のところは、どこでどういうふうな生産がなされているか明らかにしてもらいたいと思います。
#164
○野々内政府委員 イソシアン酸メチルは、先ほど申し上げましたように農薬の原料として使われるわけでございまして、工場の中の農薬製造ブラントの中で一時的に生産――生産と申しましょうか、化学反応の過程で生成されるというものでございまして、通常はそれを外販をするということはないわけでございます。私どもが知っております範囲では、三菱化成の黒崎工場で農薬をつくる製造工程の中で一時的にイソシアン酸メチルが生成されるというふうに聞いておりまして、そのほかでは使われているという話は聞いておりません。
#165
○松沢分科員 イソシアン酸メチルを農薬にするわけですね。農林省の方で編集いたしましたところの農薬要覧というのがありますが、農薬要覧には、それを原料にしながら幾つかの会社で農薬をつくっているわけです。そうすると、黒崎工場でできたものをやはりその工場まで運ばなければならないということになるのじゃないですか。そういう点はどうでしょうか。
#166
○野々内政府委員 これは化学プラントの通常の性質でございますが、原料を投入いたしまして次々と化学反応が起こって最終製品ができ上がるわけですが、この農薬の場合もその化学反応の一工程としてイソシアン酸メチルができるということでございまして、それをそのプラントからはがして別の場所へ持っていってさらに反応を起こさせるということではございません。したがいまして、その工場からよそに運び出すということではなしに、ある密閉された建屋の中にそういうプラントがございまして、そのプラントの中を、パイプを走るというような過程の一つの反応の過程としてイソシアン酸メチルという化合物が存在する、こういうことでございまして、そこから外に外販をされ、ほかのプラントでさらに先の反応を起こさせるということではございません。
#167
○松沢分科員 例えばNACというのはイソシアン酸メチル系統の農薬じゃないですか。
#168
○野々内政府委員 農薬そのものが実は農林省の所管のものですから、私もそこまで知識がございませんが、私どもの知っております範囲では、イソシアン酸メチルが中間段階において化学反応として存在をするプロセスとして最終的な農薬が生産されているのは三菱化成の黒崎工場のみであるというふうに伺っております。あるいは農林省でほかの情報があるかもしれませんが、少なくとも私どもの知っておる限りでは、ほかにはないのじゃないかと思います。
#169
○松沢分科員 いや、私聞いているのは、NACという略称ですけれども、それは今言ったそれを材料にしながらつくったところの農薬じゃないですか。
#170
○野々内政府委員 ちょっと私どもではそういう資料はございませんのでお答えいたしかねますが、もし必要であれば後ほど調査いたしまして、あるいは農林省に問い合わせます。
#171
○松沢分科員 それでは、それは後からひとつ調査してお聞かせを願いたいと思います。
 それから、二月二十日私たちいろいろお話を聞いたわけでありますが、それによりますと、黒崎工場では四立方メーターのイソシアン酸メチルの貯蔵タンクが二つある、一つには常に一立方ぐらいのイソシアン酸メチルが入っている。この安全対策はどういうふうにやられているのか。私たちの計算からしますと、これだけの量ということになりますと、要するに相当の危険物、もしもこれが漏れたということになるとやはり相当な被害が出る、こういうふうに理解しておりますので、その安全対策というのはどういうふうにしてなされているか、このことを聞きたいと思います。
 それから、黒崎工場というのは過去に何回か事故がありましたですね。これは御存じですかどうですか。もし御存じであるならば、どういう事故であったか、詳細にお聞かせを願いたい、こう思うわけです。
#172
○野々内政府委員 このイソシアン酸メチルは、消防法及び労働安全衛生法によりまして規制を受けておりますので、現場の消防署あるいは労働基準監督署によって安全問題のチェックを受けているというふうに伺っております。
 それから過去において事故があったかどうか、ちょっと私資料を持っておりませんので、今現在承知いたしておりません。
#173
○松沢分科員 労働省、見えていますか。
#174
○冨田説明員 第一点の貯蔵タンクの件でございますけれども、農薬製造連続反応工程におきまして、中間体として一時的に生成するイソシアン酸メチルが生じますので、それを滞留させるタンクが一つある、そのタンクは密閉された建屋内で設置されておりまして、フランジとか継ぎ手とかいうところの点検とか安全装置の機能の確認が行われておるわけでございます。また、万一イソシアン酸メチルがタンクから漏えいした場合でも、これを中和して除毒するに十分な能力を有する除害塔などの安全装置が設けられているというふうに確認しております。
 それから第二点目の過去の事故でございますけれども、昭和四十六年九月にホスゲンによる中毒で労働者七名が被災した事例がございます。その後同工場におけるイソシアン酸メチルまたはホスゲンによる労働災害の発生は把握しておりません。
#175
○松沢分科員 この新聞、これは四十八年十一月七日の新聞なんであります。朝日ですが、ガス漏れなど五年で五回もやっているというふうに書かれているわけでありまして、下請の従業員などがそれによって被害を受けている、こういうことであります。今労働省の方では一回しかないようなことを言っておられますけれども、一回ではないんじゃないですか。
#176
○冨田説明員 今の私のお答えはホスゲンによる中毒事例でございまして、その他のガスについては現在手元に資料を持ってきておりません。
#177
○松沢分科員 それじゃ、現在までにホスゲンによるところの事故というものは日本でどのくらい起きているのですか。
#178
○冨田説明員 ホスゲンにつきましては、人体への影響として許容濃度〇・一ppmという非常に毒性の強いものでございますけれども、これによる漏えい事故等につきましては、三菱化成工業黒崎工場以外でも何件か出ておることは承知しておるところでございます。具体的な数字はただいま持ち合わせておりません。
#179
○松沢分科員 それはやはり過去相当たくさん、私たちの調べからしますると事故が起きているわけでありますので、労働安全というところの立場からこれは調査をして、ひとつ後から資料で出してもらいたい、こう思います。いいですか。
#180
○冨田説明員 ホスゲンにつきましては、労働安全衛生法に基づきまして制定されております特定化学物質等障害予防規則というのがありまして、その特定化学物質等障害予防規則の規制によりまして、製造、取り扱い、設備の腐敗防止とかあるいは接合部の漏えい防止措置とかあるいは警報装置の設置などの措置がなされておりまして、さらに作業規程を作成して、その作業規程に基づいて作業主任者が作業方法の指定を行わせているというのが実態でございます。このような有害物については日ごろから監督指導を行って中毒の防止を図っておるところでございますが、今後ともその努力を続けてまいりたいと思います。
#181
○松沢分科員 これは通産省に聞きますけれども、ホスゲンというものは大変猛毒なんですね。こういうものを使ってイソシアン酸メチルをつくり、そしてそれから農薬をつくる。ホスゲンからイソシアン酸メチルをつくって、そしてその他のものにまた使っていく、こういうふうに非常に広範な分野で使われているというものですから、要するに、そのもとであるところのホスゲンの製造の状況というのは日本ではどうなっているか、どのくらい使われているのか、これくらいは通産省では把握をしておられるんじゃないか、こう思いますが、どうですか。
#182
○野々内政府委員 イソシアン酸メチルとホスゲンというのは直接の結びつきはございませんで、イソシアン酸メチルは農薬の原料として使われておりますが、ホスゲンは全く別でございまして、ホスゲンからはウレタンの原料あるいはポリカーボネート樹脂の原料がつくられております。一部農薬にも使われておりますが、主としてウレタン原料であるTDIとかMDIあるいはポリカーボネート樹脂の製造に使われているわけでございます。それで、これは今申し上げましたように製造工程の一部として存在するということでございまして、ホスゲンは一酸化炭素と塩素、COCl2が反応してでき上がりまして、それがプラントの中で次の工程に進むという状態でございます。したがいまして、私どもとしては、最終製品でありますTDIあるいはMDIあるいはポリカーボネート樹脂、こういうものにつきましては生産統計をとっておりますが、プラントの中で一次的に生成されるものにつきましては、そういう生産統計というものはとっておりません。
 それから、現在ホスゲンが生産工程の中で生成されるようなプロセスを持っている会社としましては、先ほどの三菱化成工業その他合計八社がございます。
#183
○松沢分科員 私もこういうことについては専門家ではありませんけれども、しかし、ホスゲンにメチルアミンというものを合わせ、そしてイソシアン酸メチルというものをつくって、それが農薬原体ということになっていくわけでしょう。だから、これは全然直接関連がないというものじゃないわけでありまして、関連はあるわけです。ただ問題は、あなたの方で言われましたように、そのほかにホスゲンからTDI、MDI、そういうものをまたつくる、こういうことでしょう。要するに、ホスゲンからとれるところのTDI、MDIというものが大体どのくらい製造されているかということはわかる、こういうことなんですか。
#184
○野々内政府委員 御指摘のとおり、そのプラントの最終目的物でありますTDI、MDIは当方として統計をとっております。
#185
○松沢分科員 それはいずれ資料として出していただけますか。
#186
○野々内政府委員 御提出いたします。
#187
○松沢分科員 それから、プラント輸出や合弁企業などで海外に進出しているところの日本企業の工場の安全対策、これは一体どうなっているか、どういう法律で規制されているか、これもひとつお聞かせ願いたいと思います。
#188
○木下政府委員 農薬製造プラントが輸出される場合はあり得るかと思います。私どもで調べましたところ、昨年中プラント輸出という形での農薬製造プラントの輸出実績はございませんが、将来輸出する可能性はあり得るかと思います。一般的に申し上げまして、貨物の輸出につきましては最小限度の規制のもとに許容されておりまして、したがって、基本的には民間企業が自由にかつ民間企業の責任のもとに輸出できるものでございます。ただ、プラント輸出の場合には支払い条件というような見地からの承認の規制がございますが、安全性の観点からの規制は特にこういう農薬プラントについては行っておりません。
#189
○松沢分科員 大臣にお聞きしますけれども、インドのユニオン・カーバイド工場ですね、これはアメリカ系でありましたから、日本でなかったので、その点では救いがあったわけでありますけれども、しかし、日本の国内にもユニオン・カーバイドの店はあるんですね。いろいろ調べてみましたのですが、やはり日本の企業も農薬を海外でつくっていると思うのです。要するに、日本の企業活動が万が一にもこういうような問題を起こしたということになりますと、これは日本の信用にかかわる問題だと思うのでありますが、何らかの方法で日本の名誉のためにもこれは対策を立てて、そしてそのような事故の起きないような予防措置が必要なんじゃないか、こんなぐあいに考えますが、どうでしょうか。
#190
○福川政府委員 御指摘のとおりに、海外の事業活動のためには、現地の社会との協調、融和ということが大変重要でございます。昭和四十八年六月に、経済関係五団体が受け入れ国の環境保全に努めることということを内容といたしました行動ビヘービア、投資行動指針を作成をいたしておるわけでございます。我が国の企業が海外で事業活動を行います場合に、今先生の御指摘のとおりに、十分現地の環境保全という点に留意していかなければならないわけでございまして、そのためにこの行動指針というのを定めておるわけでありますが、私どもとしても、この点を踏まえまして今後とも十分指導してまいりたいと思います。
#191
○松沢分科員 経済五団体にお任せしておられるというお話でありますけれども、経済五団体というのは、要するにこういう農薬を製造する業界の皆さんだとかその他の業界の皆さん、それを全部集めてできているところの組織だと私は思うわけであります。それはそれで結構でございますけれども、政府は政府として、やはり任せるだけでなしに、ちゃんと心配のない対策というものを指導するなり、何らかの方法というのはあってしかるべきなんじゃないか、こう思いますが、どうですか、大臣。
#192
○福川政府委員 今、もちろん各国もそれぞれ環境の保全には意を用いているわけでございまして、一義的には現地政府によります規制にゆだねられるべき問題であろうと思いますが、私どもとしても、もちろん関係省庁とも相談をし、また投資を行っております我が企業の親企業を通じまして、現地におきましてそのような規制に合致するあるいはそういった不適当なことが行われないように十分指導をしてまいりたいと思います。
#193
○松沢分科員 時間がありませんから終わりますけれども、大臣に最後にひとつ御答弁願いたいと思います。
 こういう化学薬品というものは、これは使いようによっては非常に我々のためになりますけれども、まかり間違うと大変な結果が出てくるわけでございまして、取り扱いは十分に慎重に注意をしてやっていかなきゃならない。しかし、これは通産省だけではございませんけれども、この前関係の省庁から出てもらいまして、この事件に絡んで国内においてはどういう管理がなされるか、そしてまた、どこでどういうふうにして製造をされているのかというようなことを聞きましたけれども、なかなかはっきりした答えは出てきておらぬわけでございます。そんなことで私きょう質問に立ったわけなんでありますが、この種の問題というのは人間の生命にかかわるところの問題であります。でありますから、つくるのは工場でつくるわけでありますから、これは通産省が把握しておいてもらわなければ困る。それから、できたものを災害にならぬようにやるには、これは労働省の方あるいは消防庁の方でやはりきちっと対策を立ててもらわぬと困る。仮に農薬であるなら農薬は農林省ですから、その使い方とか管理だとか、こういうものはきちっと農林省の方でやってもらわなければならない、こういうことに私はなると思うのです。
 一番大事なのは、通産の方でまずホスゲンならホスゲンというのはどこでどういうふうにして製造されて、どの程度使われているのかというような問題をきちっと掌握をして、そして、私は海外の話をしましたけれども、国の中においてもこの管理はまだずさんなんじゃないか。さっきも労働省の方に聞きましたところが、一件だけはあったように報告されておりますけれども、ホスゲンの事故というのは過去十何回か出ているわけなんであります。これは把握されているのかされていないのか、今はっきりしておらぬわけなんでありますが、こういう点を考えますと、インドのボパールでの事件というのは対岸の火ではないのじゃないか。国内においてもまだずさんな状態になっているような気がしますので、その点、通産大臣として今後どのように対策を立てられるのか、その一点だけお聞きをいたしたいと思います。
#194
○村田国務大臣 松沢委員の先ほど来の御質問承っておりました。ホスゲンそれからイソシアン酸メチル、こういった非常に危険なものについての管理、それからまた、例としてお挙げになりましたが、それの海外合弁企業の環境安全対策といったようなものについて御指摘になったのは、まことに私は好機を得たものだと思います。
 高圧ガス状態のホスゲンについては、御指摘がありましたように、高圧ガス取締法により厳重な保安規制を行っておって、従来から安全対策に万全を期しておるところでございます。また、御指摘になった先般のインドでの事故発生にかんがみまして、さらに安全対策の徹底を図ってまいる所存でありますし、事は人命にかかわる問題でございますから、幾ら慎重に考え大事に考えても考え過ぎることはない。委員御指摘の線に沿って今後も努力をしてまいります。
#195
○松沢分科員 終わります。
#196
○小此木主査 これにて松沢俊昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、柴田睦夫君。
#197
○柴田(睦)分科員 中古自動車販売業界が、販売中古車に車検の残存期間があるということで、これを案分して自動車重量税という名目で金をユーザーから徴収しているという問題がありまして、この問題は、今各地で不当利得返還請求や売買契約の解除あるいは刑事告訴、いろいろなトラブルが起きております。日本自動車ユーザーユニオンがユーザーからの申し出を受けまして解決したトラブルは、十年間でとってみますと、この間に数百件にも上っているということであります。
 そこで、まず前提として大蔵省の方にお尋ねしますが、自動車重量税というのは、車検時に一たん納付すると廃車しても還付されない、車検の有効期間中に名義を変更しても新しい持ち主は再度徴収されることはない、いわば払い金の税金と承知しておりますが、いかがでしょうか。
#198
○小川説明員 自動車重量税の性格につきましては、ただいま先生がお話しになったとおりでございます。
#199
○柴田(睦)分科員 業者が車検残存期間を案分した重量税名目の金銭を、ユーザーから法定費用だとかあるいは税だとか、こういう名目を称していわば強制的に徴収する、つまり、中古車購入者が車検残存期間に相当する重量税を二重に納付しなければならないとする法的根拠は、私の調べた範囲ではないと思うのですが、万一そういうような法的根拠があるというのであれば、その根拠法と該当条文をお示しいただきたいと思います。
#200
○木下政府委員 車検残のある自動車は、その期間、重量税あるいは車検料等を負担しなくても運行できるという効用があるわけでございますから、結果として、その分だけ車の取引値段がその価値を有するということで高く取引されたとしても、必ずしも不合理なものとは言えないと考えております。それにつきましての取引の形態について、それを車両価格と別掲した形にするかどうかというようなことだけでその取引が非常に不当だということを判断することは必ずしもできないんじゃないかというふうに考えております。
 それで、今御質問のありました、それを規制するような法律があるかという御質問については、特別の法律はないと考えております。
#201
○柴田(睦)分科員 最後の方はいいのですけれども、最初の方の答えは私の質問からちょっとはみ出した答えですが、これは大蔵省に聞こうと思ったのです。
 そうすると、その最後の答弁をとらえてみますと、これは大蔵省に聞きますが、結局、業者が車検残を案分した重量税名目で徴収した金銭、これは常識的に考えて国庫に納付されるようなことはあり得ないわけです。仮に国庫に納付されるようなことがあったとしても、現行の会計法の第三条は「歳入は、法令の定めるところにより、これを徴収」しなければならない、こうなっているわけで、この三条の規定からして、国にはこれを徴収し、収納する法的根拠はないわけですから、徴収、収納することはできない、こういうことになると思いますけれども、大蔵省、いかがですか。
#202
○宮内説明員 お答えいたします。
 おっしゃるとおりでございまして、仮に納税者の方からそういう税金を税務署の方に持っていらしても、税務署の方ではそれを受け取ることはございません。
#203
○柴田(睦)分科員 そこで大蔵省の方に、確認的な答弁になるかと思いますが、結局、今までの答弁を聞いておりますと、業者が徴収している車検残を案分した重量税名目の金は、これは法定費用というものじゃない、それから自動車重量税でもない、したがって国庫に納付されるような税金その他のものではあり得ない、こういうことになると思いますが、重ねてこの点を、そのとおりであるかどうか確認しておきたいと思います。
#204
○小川説明員 自動車重量税の性格は、先ほどお話のございましたとおり、自動車が車検または届け出によって道路を走行できるということに着目して課税されている税でございまして、かつ車検のとき、あるいは届け出のときに限って納付を求められるものでございますから、それ以外のときに、車の持ち主がかわるというようなことがありましても重量税の納税義務は発生していない、したがって、それに基づいて国に対して納付が行われるということはないということでございます。
    〔主査退席、工藤(巖)主査代理着席〕
#205
○柴田(睦)分科員 ところが現実には、法定費用でないものを法定費用というような言葉を使って、半ば強制的になるわけですが、金銭を徴収する。税金でないものを自動車重量税、こう言って金を徴収しているわけです。これは見方によっては詐欺だというように私は考えます。
 この問題をめぐって、不当利得返還請求や売買契約解除を求める訴訟も起きております。一つの事例ですが、東京地方裁判所の昭和五十七年同第八九八五号という民事事件があるわけです。これは昭和五十八年二月二日に和解で解決しておりますが、この記録を見ておりますと、この自動車会社の方の訴訟代理人の弁護士さんが準備書面の中で「売買時の諸費用は次のとおりである。」として、その中に「重量税 一五ケ月分 二五、七五〇円」こういうふうに書いてあります。そういう意味では、まさにここで二万五千七百五十円取っている。
 この二重取りの問題は、場合によっては刑事告訴事件にまで発展しているものもあるわけです。昨年の十一月十日に座間市のユーザーの方が、中古車販売業界の最大手のケイユー商事を町田警察署に刑事告訴したという件があるのですけれども、本件のその後の捜査状況を警察庁の方から説明してほしいと思います。
#206
○上野説明員 お答えいたします。
 御指摘の件につきましては、昨年十一月の十日に警視庁町田警察署におきまして告訴を受理いたしまして、本年一月九日に東京地方検察庁へ送付をしているところでございます。告訴の要旨でございますが、被告訴人は、昭和五十八年九月十五日ごろ、告訴人に対しまして中古自動車一台を販売するに当たりまして、当該中古自動車の重量税の残存期間といたしまして自動車重量税十一カ月分一万千百五十円を納入してくれなどと申し向けまして、同金額を支払わせたというものでございました。
#207
○柴田(睦)分科員 その告訴も結局重量税の二重取りを示していると思うのですが、今日送検されている。
 そこで、法務省に伺いますが、これは一番最初に言いましたように、長年にわたって反復継続されてきた業界ぐるみの組織的犯罪の疑いがあるわけです。これによりますユーザーの被害は、年間五百億円前後になっていると推定されます。というのは、中古車の販売台数が年間四百万台ある、一件当たり一万円から一万五千円という金額を考えますと五百億円近くになるわけです。そこで、既に送検されている今のケイユー商事の刑事告訴事件は、この業界のいわば組織的犯罪を根絶する上で重大な意義を持っているというように考えております。本件についてはあいまいにすることなく、その背景までちゃんと調べて厳正に対処すべきであると考えておりますが、見解を明確に伺っておきたいと思います。
#208
○東條説明員 今警察庁の方からお答えがございましたが、送致を受けました被疑事実は先ほど警察庁からお答えになったとおりでございます。本年の一月九日に受理をいたしまして、現在東京地検の八王子支部で捜査中でございます。捜査の過程といいますか、捜査がこれからどのように行われるかにつきましては私どもで申し上げる立場ではございませんが、検察当局といたしましては、その背景の商慣習といいますか、そういうものまで含めまして十分に調べて適正に処理するものと考えております。
#209
○柴田(睦)分科員 それでは通産省に伺いますけれども、中古車販売業界では「重量税月割表」というものをつくって、長年にわたって組織的に二重取りを行っているわけです。悪質な業者は、アウトサイダーからいわゆる中販連、自販連の系列まで及んでおります。これらの業者はこの二重取りが不当利得であることを知っておりますから、ユーザーが返還請求をしますと、そのほとんどがこれに応じて返してくれているわけです。通産省に対して重量税の二重取りの具体例を七件示して、トラブルの実態とその結果を調査するように要請しておきましたけれども、その結果を報告していただきたいと思います。
#210
○木下政府委員 ただいま御指摘の七件の具体例につきましては、昨夕その資料を私どもいただきまして、調査しろという御指摘でございましたので、現在当省においてディーラーに照会中でございまして、回答が得られました段階で別途御報告申し上げたいと思います。
#211
○柴田(睦)分科員 それは七件をこの時間までに調べてこいと言う方が無理かもしれませんけれども、一番最初の一件ぐらいは、千葉の人ですし、調べようと思えば調べることができるものだというふうに思います。
 後の質問とも関連いたしますけれども、重量税を二重取りしている業者を問い詰めますと、車検残に相当する重量税分は本来車両代に含めるべきであるけれども、それをやると車両代が高くなって同業他社との競争に負けてしまう、他社も同じように法定費用というような名目でこれを徴収している、だからうちも同じようにやっているのだ、こういう説明が返ってくるわけです。こうした表示のやり方というのは私は詐欺だと思いますし、一方では、不当景品類及び不当表示防止法第四条が禁じております不当表示に該当することも明らかだと思いますけれども、公取委として、この業界のこういう悪徳商法を根絶するために、不当表示防止法第六条に基づく排除命令を発することも検討しなければならない問題だと思うのですが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。
#212
○黒田説明員 お答えいたします。
 ただいま中古車販売業界につきましては、景表法に基づきまして公正競争規約制度というものができておりまして、業界団体がみずから表示の適正化を図るという規約ができております。その中で、確かに車両本体価格を表示し、かつ、それに保険料とか税金、登録等に伴う経費が含まれていない例を併記しろと書いておるわけです。
 確かに、ただいまいろいろ御指摘のような重量税と本体価格との関係については、必ずしも業界内でも解釈について一致しないところがありましたものですから、これにつきましては、今中古車の公正取引協議会にこの関係を明らかにするように、そうでないと、ただいま先生御指摘のように景表法上の問題が生ずるということで、関係団体にその適正化を指導しております。それで、ただいま先生御指摘のように、この規約の協議会に対しては今後とも違反が再発しないように厳重な措置をとること、また、そのことについて私どもも十分監督していきたいと思っております。
#213
○柴田(睦)分科員 排除命令も考えなくてはならぬような事案である、深く調査されればそういうことになっていくというふうに思います。
 通産省はこ唯一月の十一日、運輸省と連名で通達を出しております。それによりますと、このような表示の仕方を是正するように関係業界をこの通達で指導しているようであります。ところが、業者の方が不当に二重取りした重量税名目の金をユーザーに返せ、こういう指導はしていないわけです。この通達が出ますと、業界の方では何と言っているかといいますと、この通達は法律にひっかからぬように表示方法をうまくやれという指導にすぎないんだ、ユーザーに返せとは言っていないんだ、こういうことを言っているわけです。不法、不当に二重取りした重量税という名目の金銭は当然ユーザーに返却すべきであると思います。業者はユーザーに返却する義務がないということにはならないと思うのです。返却せよ、すべきであるということまで指導すべきではないかと思いますが、通産省、いかがですか。
#214
○木下政府委員 ことしの一月に運輸省と通産省連名で出しました通達は、いまおっしゃいましたように「このような表示方法は、顧客に対し現実に自動車重量税の支払いを要するかのような印象を与え、無用の混乱を生ぜしめるおそれがあると考えられます。」ついては、販売においてそのような例があったら、その表示方法が今後行われないよう指導するようにということでの通達を出して、これを関係各社に周知せしめるようにしたわけでございます。
 今御指摘のございました、そのようなケースがあった場合の返還指導ということでございますが、具体的にその章の価格の中に重量税相当が入っていて、しかもまだ、そのような形で表示をしたことによって重量税分を取ったかどうかというような点は、個別のケースに応じて判断せざるを得ない問題だと考えます。そういうことでございますので、詐欺に該当するような取引があってはならないことはもちろんでございますけれども、そういう問題は役所の行政指導以前の問題だと考えております。
#215
○柴田(睦)分科員 どうもはっきりしない、納得できないような答弁を聞いているわけですが、そのために先ほど裁判所に出された事例を言いました。現実に重量税として金額をその会社の方が認めておる、重量税という名前を使っている、それから重量税の案分表、こうしたものまで業界が出している、こういう前提で私は聞いているわけですが、そういう答弁ですから、ちょっと角度を変えて聞きます。
 ユーザーが、二重取りされた重量税を返却するように業者を指導してほしい、こういう苦情を通産省に持ち込んできた場合は一体どうなるのか。消費者保護というのは、これは消費者保護基本法第二条が、国の責務である、こう明記しているわけです。この場合には当然業者に対して返却するよう指導すべきであると考えますが、こういう場合はちゃんと返すように指導なさいますか。
#216
○木下政府委員 通産省の中にも消費者行政担当の部署がございますので、ユーザーの方からそのようなお話があった場合には十分お話を伺うことは当然でございます。その結果、具体的なケースに基づいて判断するわけでございますが、今お話のあったようなことを、だからといって返せということを役所が言うかどうかということは、その具体的な事例によって決めるべき性質のものではないかというふうに思います。
#217
○柴田(睦)分科員 具体的な事例として、今裁判所のものを言いました。「重量税 一五ケ月分二五、七五〇円」これはちゃんと会社の方で認めているわけです。こういう場合、これでも返せという指導を――さっきも言いましたように「重量税月割表」というのがある。これは今重量税だけで言っておりますけれども、まだいろいろな問題があるわけです。中古車販売会社問題とか強制保険料の問題、自動車税の問題、いろいろ問題がある。私これから逐次やっていきますけれども、きょうはもう時間がないですからやりませんが、たくさんあるわけです。そういう問題について調べて、すべきものがあればやるということではなくて、やはり実態をつかんで、さっきのあの通達の趣旨に基づいて、こういうものは間違っているケース、これは返せ、返すべきだという指導をちゃんとしなければいけないと思うわけです。
 そこで通産大臣、問題点がおわかりになってきたと思いますので、最後にお伺いしますが、ユーザー泣かせのこのような不法というものを野放しにしてはならないと思うのです。これは絶対に許してはいけないことだと思うのです。そこで通産省としては、ユーザーが苦情や相談を申し立ててくるのを待っているというのではなくて、消費者保護という行政の見地から、こうした不法はやめなければいけない、二重取りなどしてはいかぬ、したものは返せ、こういう方向で関係業界を厳しく指導すべきであるというように思いますが、通産大臣の所見と決意を伺っておきたいと思います。
#218
○村田国務大臣 先ほど来柴田委員の御質問、そして政府委員からの答弁を伺っておりまして、問題の所在として、近年、中古車市場は新車市場を上回る規模で推移しておりまして、国民の足として中古車が重要な役割を担っていることは十分認識をしておるところでございます。通産省といたしましては、このように国民生活と密着している中古車の取引における消費者保護を確保するために、従来から所要の対応を図ってきておるところでございますが、今後も問題に応じ、適切な対応を行ってまいりたいと思っております。
#219
○柴田(睦)分科員 時間がちょっと残っておりますが、私、次の質問がありますので終わりますけれども、これは非常に根の深い問題ですから、通り一遍に見ないで深く調査していただきたい、そして対応していただきたい。ほかの問題もこれから逐次出してまいりますから、ひとつよろしく御指導願います。
#220
○工藤(巖)主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、山中末治君。
#221
○山中(末)分科員 私は、時間をいただきまして、中小企業向け官公需の発注に関しまして御質問を申し上げたい、このように存じます。
 まず、最近、中小企業の方々からいろいろ話を伺いますと、国等の中小企業向け官公需を受注することは社会的信用を増し、その後の受注機会も増大するなどその効果が大きい、こういう業者の声がございます。これについて、本当は時間がもう少しあれば詳しく申し上げたいと思うのですが、大臣のお考え方をまず聞かしていただきたい、このように思います。
#222
○村田国務大臣 山中委員の御質問にお答えいたします。
 通産省といたしましては、中小企業者が供給する物品等の需要の増進を図るという観点から、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づいて、中小企業者の受注の機会を増させるための各般の措置を講じてきたところでございます。現実に官公需を受注できた中小企業者が、その副次的効果として信用力を高めるケースは種々あるようでございまして、結構なことであると考えております。今後とも、中小企業者の受注機会の増大に最大限の努力を払ってまいりたいと思います。
#223
○山中(末)分科員 今大臣のおっしゃったように、効果は出てきている、私もこのように受けとめております。業者の方も、非常に大きい期待を持ってそういうふうに受けとめていると思います。今後も一層進めでいただきたい、このように思うわけです。
 そういう大臣の御所感を聞きまして、今おっしゃったように、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律の四条に従いまして、中小企業者に関する国等の契約の方針に沿って、既に昭和五十九年度分につきましては、その方針が七月二十四日に閣議決定されているところであります。そういう大事な仕事でございまして、これで効果も出てきていると認めるわけでございますけれども、昭和五十九年度が始まって、七月二十四日といいますと四カ月後に閣議決定をされている。私は非常に残念に思うのです。もう少し閣議決定が早くならないだろうかと思うのです。その点につきまして、事務技術的な問題もあるでしょうが、ちょっとお伺いをいたしてみたい、このように思います。私自身としては遅いのではないか、こう思います。
#224
○末木政府委員 御指摘のとおり、いわゆる官公需法に基づきまして、毎年「中小企業者に関する国等の契約の方針」を閣議決定しております。五十九年度につきましては、先生おっしゃいました五十九年七月二十四日でございました。確かに四カ月近く入っております。これにつきましては、実は新しい目標を定めますにつきましては、前年度の実績をどうしても踏まえる必要がございます。これを集計いたしますのに、現在のところでは遺憾ながら二カ月程度かかっているのが実態でございます。件数にしまして、これは中小企業だけで一千万件ということでございます。
 さらにその後、関係各省庁三十ぐらいあるわけでございますけれども、ここと通産省の中小企業庁が相談をいたします。私どもとしましては、できるだけ高い数字を出したいわけでございます。各省庁がそれをいわば怠けて、いいかげんに低い数字にするということを申し上げる趣旨は全くございませんけれども、私どもは、各省庁がお考えになっている以上にさらに少しでも高くという立場でございます。実は昨年の六月も、担当官ベースだけで終わらせませんで、私自身、大口の官庁に出向きまして直接上の責任者の方と折衝いたしまして、少しでもふえないかということでやったわけでございまして、そういうことをやっていると少し時間がかかってしまう。時間がかかるから時日が進んでしまうのではないかという御指摘かと思います。ここはある意味ではジレンマでございますが、その両方を踏まえまして、今後ともできるだけ中身も立派で、かつできるだけ早くということで努力をしてまいりたいと思っております。
#225
○山中(末)分科員 ありがとうございました。できるだけ早く閣議決定していただいて、待っている人に早い情報をお与えいただきたい、このように思います。これは要望をいたしておきます。
 次に、五十九年度の契約の方針に決められております「中小企業向け契約目標」、これは三兆七千億円ということで、国が一兆九千七百十億円、公社公団等については一兆七千二百九十億円、こういうことが目標とされているわけです。まだ年度途中で結論は出ていないとは思いますけれども、この年度の目標に対する達成見込みについて、パーセントにしてどれくらい年度末にはいけるだろうかという見通しがございましたらお聞かせいただきたいのと、もう一つは、先ほど前年度の実績を踏まえてとおっしゃいましたけれども、六十年度について、努力目標的なものを所管の方として持っておられましたらお聞かせいただきたい、このように思います。
#226
○末木政府委員 五十九年度の目標値は、御指摘のとおり、官公需総額が九兆九千億でございますうち、中小企業向けに三兆七千億を確保したいということでございます。この場合の比率は三七・四%になります。五十八年度の実績は実は三六・四%でございました。したがいまして、これは一%向上させるという目標を掲げたわけでございまして、決して容易なものだとは思っておりませんが、努力で実現可能な数字として掲げてございます。私どもといたしましては、現時点では中間的な数値は統計的には把握できないわけでございますけれども、要するに、全力を挙げてこの目標達成に努めるという姿勢でございまして、目標を定めて数カ月たって各省も気が緩んではいけないということで、七月の決定の後九月に、ぜひ各省庁これの実現に特別の努力を払っていただきたい旨の要請を長官名でいたしております。さらに、本年初めには今度は実務者ベースで、実際に実務をやっている方々にお集まりいただきまして重ねてお願いをしている次第でございまして、今の時点で数字的に申し上げることは困難でございますけれども、全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 それから六十年度についてのお尋ねでございますが、これは先ほど申し上げましたような手順を踏んでまいりますので、今の時点で具体的なことのお答えは差し控えさせていただきますけれども、中小企業業界に少しでもこの比率を高くという声があることはよく承知しておりますので、できるだけ努力した数字をつくるように、今の段階から勉強を重ねてまいりたいという姿勢でおります。
#227
○山中(末)分科員 それに関連しまして、私も過去の数字を拾ってみたのです。確かに今おっしゃるように努力の跡が一・何%ということで、これは総額が大きいですから非常な努力だと思います。そういうものは資料で見せてもらいましたけれども、たまたま五十八年度の表でそれがもう少し明細にされて、公社公団等の額と率も発表なさっていますね。それでいきますと公社公団等の発注の率は低い。それを合わせて今おっしゃった三十何%というのが出ていますが、各省庁の方は四〇%台で、非常に御尽力されたものが積み重なってきているとは思うのです。ところが、公社公団で足を引っ張られたような格好になって今の率に下がってきている。私は、これは五〇%ぐらいまでの努力目標を決めて当面上がっていただくのが筋じゃないかというふうに思います。
 それから考えていくとちょっと心配なことができてきましたのは、各省庁の予算というのは割合伸びが低いですね。公社公団等は、いわゆる民間活力の導入等を踏まえて予算の伸びが大きい。それは必ずしも中小企業向けのものばかりではないですけれども、予算総額がふえてくると、五十九年度まだわかりませんが、今のままでは六十年度もまた公社公団は下がってくるのじゃないか。そうすると、今おっしゃったように五十九年では少し上がるかなという期待を持ちますけれども、六十年では逆にダウンしていくのじゃないか。そこで、公社公団の率が低いという理由もひとつ聞かしてほしいのですが、その上で率を上げていこうという努力をすると、今度は各省庁の一層の努力が必要になってくる。そうしませんと、全体の率、年間率が下がってくるということがありますので、公社公団等の比率の低い原因は一体何だろうかということと、今おっしゃったようにそれでもなおかつ何とか努力しなければいかぬという場合に、どの辺に問題点があるのかということをあわせでお聞かせいただきたいと思います。
#228
○末木政府委員 確かに公社公団等は、国に比べまして低い比率になっております。これはある程度はやむを得ない事情があるかと思います。それは、公社公団等は大型のプロジェクトの占めるウエートが国に対比して相対的に高こうございます。極端な例かもしれませんが、例えばロケットとか原子炉とかいうタイプのもので、非常に中小企業になじみにくいもののウエートが高いわけでございます。そういう事情で低くなっているというふうに認識しておりますが、さらにそのほかに、先生もちょっとお触れになりましたように、ここ数年の問題といたしましては、例えば五十八年度などにあらわれた現象でございますけれども、年度途中で庁費の一律削減などが行われましたが、この辺も比較的小口の経費が多いわけでございまして、そういう点も比率には不利に働いたような要素がございます。
 実は、そういう全体の比率の足を引っ張るのではなかろうかと懸念されるような幾つかのエレメントがあることは事実でございますけれども、今の時点におきましては、私どもとしましては早々とそういう口実に逃げ込む姿勢はとっておりませんので、そういうことはございますけれども、それにもかかわらず趨勢的にじりじりと上がってきているトレンドを維持して上げていきたいというふうに思っております。
#229
○山中(末)分科員 やはりちょっと心配がありますので、さらに頑張っていきたいという仰せですが、大臣、申しわけありませんが、ここでひとつ大臣の意向も聞きたいのです。
 これは非常な努力が要ると思います。方法としましては、閣議決定の中にも触れておられるようですけれども、本省本庁だけでなしに局とか出先等がございますね。そういうところにも十分に徹底していただいて、そして出先の中でそういう官公需の中小企業向けの発注を督励をしていただきたい、このように思うのですけれども、そういう方法はさらに一層とっていただけるでしょうか。
#230
○村田国務大臣 先ほど来、山中委員の御質問をつぶさに承っておりました。官公需の中の中小企業向けの発注比率をいかにして高めるかというのは、実は私も今まで建設政務次官でございますとかあるいは衆議院の建設委員長でございますとか、そういう公共事業担当のいろいろの仕事をさせていただいておりまして、これは毎年の非常に重要な問題だという認識を初めから持っておるわけでございます。
 政府委員が御答弁申し上げましたように、五十九年度の場合は三兆七千億円で、全体の三七・四%という目標を持っておる。これは委員も御指摘になりましたが、四十一年ごろからずっと逐年で見てみますと、例えば四十一年の実績は二五・九%しかない。それが五十年には三二・六%になり、五十九年度では三七・四ということでありますから、長い目で見れば十数%も上がっておるわけでございます。
 そして実際にこれはなぜかと申しますと、官公需の中には、大規模工事やそれから高性能技術を要する物品といったようなもので、中小企業向けの発注がなじまないものがあるわけでございます。そういった点がございまして、中小企業向けの発注比率を一挙に引き上げるということについてなかなか困難な問題があることは、委員も御承知のとおりでございます。しかし、これは工夫によって高めていくことはもちろん可能なのでございまして、今公社公団の低い理由等をお引きになりましたが、これについては政府委員から御答弁を申し上げたとおりでございますが、公社公団等の経費については財政投融資の資金が主体になっております関係で、いろいろそういった発注の事情の変化がございます。例えば、場合によっては目標といたしておりました土地が購入できないとかいろいろな事情があったこと、私自身も覚えておりますが、そういった理由も一々子細に検討いたしまして、国、国の機関、それから今御指摘になりました出先、そういうものを含めて官公需比率を高めなければなりませんし、それからまた地方公共団体等の場合につきましても、事情はやはりいろいろあると私は思いますが、それを高めていくことも必要だと思います。私は、県で水道部長でございますとか建築部長でございますとか、そういう公共事業の発注の仕事をさせていただいておりましたので、そういう実態もよく心得ておりますが、山中委員の御指摘を体して中小企業向けの発注比率をできるだけ高めていくように、辛抱強く、しかも着実な努力をしていくべきであると認識をしております。
#231
○山中(末)分科員 ありがとうございました。また六十年度で案をおつくりになって閣議決定されますので、内容も私つぶさに読ましていただきましたけれども、今大臣から御答弁いただきましたようにさらに一層の努力をお願いをいたしたい、このように思います。
 そこで、次はちょっと細かいことになりますけれども、五十九年度の官公需の特定品目の発注情報等の提供の件でございます。これは閣議決定の中では、中小企業団体中央会等を通じて速やかに情報を中小企業者に伝達をして即応できるようにしていかなければならない、こう書かれているわけで、五十九年度もそう書かれていますが、うまくスムーズにそのとおりの運営というものがされているかどうか、私はされてないのじゃないかという感じがしますので、ちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#232
○末木政府委員 今年度の閣議決定を経ました契約の方針の中で、特定品目につきましては、受注機会の増大のために効果的な措置として、適切な方法により、中小企業者の参考に資するよう、中小企業団体中央会等を通じて中小企業者に情報を提供するということになっております。
 それで、今日現在の運用といたしましては、全国組織の中小企業団体中央会にまず情報を流しまして、そこからいわばピラミッド型と申しますか、各地に情報が流れるような体制でやってきております。これにつきまして、最近も別の系統のある団体から、これもまた全国的な規模の団体でございますが、そういう迂回路を経ないで直接自分の方のルートでも流すことにしてもらってはいかがかというようなお話も実は伺ったことは事実でございます。過去にいわばピラミッド型をとってまいりましたのは、別にどこか一つを通さなければならないという固定的な考えがあるわけではございませんけれども、組織の実態を踏まえまして、そういう形の流れが最も効率的なのではなかろうかという見方でやってきたわけでございます。ですから、これについて問題の提起がございましたので、私どもといたしましてももう少し考えてみまして、必ずしもそういう形でなくて多少の変形をして、その方がより効率的に流れるということであれば、そういうことも考えられるだろうと思います。早速検討してみたいと思います。
#233
○山中(末)分科員 ぜひともひとつ検討して、スムーズに流れればいいわけですから、スムーズに流れるように御尽力を賜りたい、このように思います。
 それと、次には中小企業向けの特定品目の問題なんですけれども、これは過去何年か前から改正をされて枠を広げられた経過はございますか。
#234
○末木政府委員 特定品目につきましては、当初この制度を設けました四十二年度に七品目指定いたしましたが、その後追加をいたしまして、五十年度、五十六年度、五十八年度と追加をいたしました結果、十品目に増大しております。十と申し上げましたのは大きなくくりで十でございまして、細分類で数えますと約二百品目に達しております。
#235
○山中(末)分科員 ここから先は私の意見になりますが、先ほど申し上げたような公社公団の問題もありますし、それから大臣から御答弁いただいたように出先等についても何とか努力していきたいということなんですが、私は少しは向上してきたと思いますけれども、品目が限られているために中小企業に対する発注の総額が少ないんじゃないか、こういうふうに実は思っております。それで、先ほど申し上げた率を足を引っ張られないように少しでも上げてもらうということになれば、この品目で枠をもう少し広げられるだけ広げて、そして受注の実績を目減りのしないようにしていくというのも一つの方法じゃないかと思いますが、ちょっとお考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#236
○末木政府委員 特定品目の指定につきましては、予算の枠というようなものがあるわけでもございませんので、できるだけこれを絞っていくということはないわけでございます。この制度を設けました趣旨に適合して有効にワークすることが期待されるような品目があれば、前向きに追加をしていくというのが私どもの基本的な考え方でございまして、今後とも個別品目について具体的に検討した上で、また発注先である関係各省庁の意見も伺って、前向きに取り組んでまいりたいと思います。
#237
○山中(末)分科員 御努力をお願いいたします。中小企業は官公需だけを受けてよしとするわけではないと思います。しかし、一番初めに申し上げましたように、官公需を受注することによって社会的な信用もつき、それからいわゆる民需の中へも入っていくことができる、いわば一つの登竜門のような、ちょっと言葉がいいか悪いかわかりませんが、そういうような感じが私はしているのです。ですから、官公需一本に頼らないで民需の方でも大いに中小企業の方々に活躍してもらう、卒業してもらうということになりますか、そういうふうに早く育て上げていくのが通産省の仕事であり、中小企業庁の仕事でなかろうかという側面を持っておるようにも私は思うのです。そういうことから考えていきまして、ひとつ特定品目についてできるだけお考えいただいて、そして早くその発注を受けて立派な企業として成長していくように一段の御尽力をお願い申し上げたい、このように思うわけであります。
 それで、最後になりましたけれども、大企業と中小企業との割り振りは、先ほど私も申し上げましたように、五〇%、五〇%というところまで一応の目標を決めてやっておいきになるのではないか、現在ではその辺に目標を決めておやりいただきたいなと思いますが、その五〇%の中小企業の中で、今度は卒業していく企業とは逆にこれから入って成長していかなければならないという、いわば零細企業というものもございますので、その零細企業についての枠と言えばちょっと語弊があるかもわからない、適当でないかもわかりませんが、それに重点を置いて発注をしていただくということも大事なことでないかと思いますので、この点については強く要望をしておきたい、このように思うわけでございます。
 先ほどから申し上げましたように、率は少しずつ上がってきていますけれども、この上がっていっているのを、理由のいかんにかかわらず、下がってしまったということだけはないように御尽力賜りたい。一・何%ずつ上がってきたのが、運用の仕方といいますか、ほかの理由等も含めて、下がったということがないようにひとつ懸命の御尽力をお願いを申し上げたい、このように思うわけです。
 時間がもう少しありますけれども、私の質問はこれで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#238
○工藤(巖)主査代理 これにて山中末治君の質疑は終了いたしました。
 次に、遠藤和良君。
#239
○遠藤分科員 私は、通産省が行っております工業再配置施策についてお伺いをいたします。
 まず初めに、全国的に見ましたいわゆる未分譲工業団地の実態でございますが、造成はされましたものの売れ残っている工業団地の数と面積というのは一体いかほどございますか、数字でお答えいただきたいと思います。
#240
○平河政府委員 工業団地の分譲状況について御説明いたします。
 当省が把握しておりますところでは、未分譲用地を抱えております工業団地の数が五百八十八団地、未分譲工業用地の面積が二万二千七百三十七ヘクタール、いずれも昭和五十七年九月三十日現在の数字でございます。
#241
○遠藤分科員 二万二千七百三十七ヘクタールと申しますと、大体東京二十三区の四割くらいの面積になります。後楽園球場に換算をいたしますと四千五百個分、大変莫大な面積でございます。そのうち大体三分の二くらいが臨海部である。これはつまり、後楽園球場の三千個分に相当する面積である。これはいろいろな売れ残った理由というものが考えられるわけでございますが、通産省として、最大の理由というものはどの辺に分析しておりますか。
#242
○平河政府委員 工業団地の売れ残りが多い理由といたしましては、まず第一は、石油ショック後に工場立地の水準が件数、面積ともに大幅に低下したことでございます。また、臨海部におきまして特に未分譲用地が残っております理由といたしましては、従来臨海部へ立地をしておりました基礎素材型産業の方が立地が停滞しておるということにあると認識しております。そのほか個別の団地の中でいろいろ地価その他理由もございましょうけれども、以上二つが大きな理由ではなかろうかと思っております。
#243
○遠藤分科員 いわゆる外的要因と申しますか、石油ショックという予期できない事態があった、これが大きな理由の一つであるというお考えのようでございますが、通産省としましては、これは五十二年の新聞で大変古いものでございますが、六十年度には工業用地は四万ヘクタールが不足するであろう、だから工業団地の計画を急がなければならない、こういった形で各地方自治体に督促をしておるという事情がありまして、地方自治体はそれにならって多額の投資をいたしまして計画を進めてきたわけでございます。
 これはちょっと自治省にお伺いしたいのですが、売れ残った工業団地によりまして地方自治体は大変財政の逼迫を招いておる、つまり財政が硬直化した大きな原因になっている、こう推測されるわけでございますが、これはどういうふうな状態になっておりますか。
#244
○石田説明員 自治省の準公営企業室長の石田でございます。
 今おっしゃいました工業団地のうち経営状況が非常に悪化している臨海土地造成事業について申しますと、昭和五十九年五月現在でございますが、例えば十ヘクタール以上の未売却面積を有する事業の資金不足類、これは赤字額でございますが、これを見ますと都道府県では六百三十四億、市町村では百三十八億、合計七百七十二億となっておるところでございます。こうした状況に対処するために、自治省としましては、昨年の四月学識経験者による港湾整備等研究会というものを設けまして、昨年その中間答申を出していただきまして、用地売却が可能となるまでの間の当面の資金繰り対策として、これは昭和六十年度からでございますが、新たに元金起債の、いわゆる起債の新しい制度を設けることとしているわけでございます。また、この研究会でさらに企業誘致対策とかそのほかのいろいろ資金対策について三月までに最終答申を得まして、今後我々、地方団体の臨海土地造成事業の経営指導をしてまいりたい、かように思っているわけでございます。
#245
○遠藤分科員 特に臨海部が売れないわけですね。産業構造が随分変化いたしました。確かに重厚長大型産業から軽薄短小型産業へという構造変化がありまして、売れない打撃というものが臨海部に集中しておる、こういうようなのはある程度正鵠を得ていると思います。
 徳島県におきましても、阿南市の辰巳地区というのがありまして、これは臨海部でございますが、県がこれに対しまして大体百二億円のお金を出しているわけです。県の財政が一般会計で大体三千三十億円でございますから、県全体の約三%ぐらいのお金がここにつき込まれておる。しかも売れる見込みが今のところ全く立っておらないということでございまして、その利子補給等を考えますと、徳島県にとっては大変大きな財政硬直化の因になっているわけでございます。臨海部の土地利用の仕方というものをやはり時代に合って抜本的に考え直す必要があるのではないか、こういうふうに考えるわけでございます。
 そこで具体的にお伺いしたいわけでございますが、徳島県の阿南市の辰巳地区に対しまして、昨年の十一月でございますが、通産省の御指導を得まして工業開発指導員の方々に現地調査をしていただきました。その結果の答申も私いただいているわけでございますが、その答申を踏まえまして、通産省としては、どういうふうな形でこの地域における工業誘致を指導していくおつもりなのか、基本的な考え方をお伺いしておきたいと思います。
#246
○平河政府委員 臨海工業地帯の今後の企業誘致につきましては、私どももいろいろな公有地の施策を活用しながら地方公共団体と協力してやっていきたいと思っております。御指摘の辰巳の工業団地につきましては、民間の有識者を集めました工業開発指導員によります工業開発指導を昨年十一月やったところでございます。
 その結果について一、二ちょっと御説明いたしますと、辰巳工業団地は御存じのように河川に囲まれた臨海の地域でございまして、そういう意味では周辺環境との調整等については非常に大きなメリットを持っておりますけれども、例えば徳島市との間の道路交通条件等々についてはまだまだ不十分な点がある、こういうものを今後もう少し整備していきますと誘致がしやすいんじゃなかろうか。誘致すべき企業の業種等につきましても、例えば一般機械でございますとか食品加工でございますとか、いろいろなアイデアが先生方からも出ております。こういう具体的な御指摘等も踏まえまして、地元の県等と協力しながら我々も指導してまいりたいと思っております。
#247
○遠藤分科員 主業再編事業でございますが、追い出し地域ですね、いわゆる大都市でございますが、そこの地方自治体の方々は、こういう低成長の時代ですからできるだけ行かないようにということで、特別な優遇税制をもってできるだけ行かないようにしておるというふうな状況もありまして、これはほっておいたのではなかなか地方に工業が分散しない、そういうふうな力が働いているのではないか、こう思うわけです。通産省もいろいろ考えていらっしゃると思いますが、例えば工業用地のリース制度であるとかあるいはいわゆる外資系の企業の情報を地方にも詳しく教えていくべきであるとか、あるいはハイテクの誘致はもちろんでございますが、ハイテクばかりではなくて地方の第一次産業に結びつきました食品産業のようなものを考えていくとか、こういったはっきりしたメニューといいますか、こういったものを通産省等はお考えになって地方とよく御相談をして地方の計画に沿って協力していく、私はこういう体制をぜひともつくり上げていただきたいと思うわけでございますが、いかがですか。
#248
○平河政府委員 御指摘のように、いろいろな施策を総合してやっていく以外ないわけでございますが、例えばリース制度につきましては、ただいま私どもの方で専門の先生方あるいは地方公共団体の関連の方々、企業の方々を集めまして、この制度をいかにしたらうまくいくかというのを勉強しているところでございます。
 それから海外企業の誘致につきましては、海外の企業に積極的な情報を提供する、具体的には各地方からその地域の企業の方、地方公共団体の方、学者の方、こういうのを募りまして海外調査団も出しておりますし、また海外からの情報につきましては、私どもの方から地方の方へも常時情報をお流しするというような努力をいたしております。また地元の一次産業等と関係しましたような一・五次産業的なもの、こういうものの開発発展というのも地域によって必要なことだと思いますが、私どもが別途進めております地域開発の手法としましてのテクノポリス等の開発につきましても、そういう地域の実情を生かした、地域の企業をなるべく活用できるように、そういう産業開発の努力もいたしておるところで。ございます。
#249
○遠藤分科員 これは、今後の企業誘致の根本にかかわる問題でございますから大臣にお伺いしたいのですが、例えば、ただいまお話しになりました外資系企業が大体どの都道府県に集中しておるかを考えますと、やはり関東方面それから中部、大都市に外資系企業の進出が盛んである。四国は今のところは二社でございますか。国内の企業誘致が地方分散が大変難しい状況であれば、そういった意味で外資系の企業にどんどん積極的に地方に来ていただく、こういった形での通産省の行政指導、これもぜひお考えになっていただきたいと思うわけでございますが、いかがですか。
#250
○村田国務大臣 今遠藤委員御指摘の外資系の企業の立地動向でございますが、関東そしてまた東北、中部地域等に多くて四国が少ない、これは御指摘のとおりだと思います。企業がいかなる地域に立地するかは基本的には各企業の経営判断にゆだねられるものでございますが、地域の実情に即して立地環境を整備し、適切な産業の誘導を図ることは極めて重要であると思っております。このため通産省では、従来から企業の立地動向等に関する情報提供を行うとともに、工業再配置施策等を通じ工業の地方分散に努めておるわけでございまして、外資系の企業につきましては、特にまたそういったいろいろな必要な状況を調べ、誘導に努めなければならないところだと思います。通産省といたしましては、今後とも、これらの施策の活用を通じて地方自治体等の企業誘致努力を支援してまいりたいと思います。
 私も、実はかつて県で企業立地の問題を長年担当しておったことがございます。ただ確かに、私がそういったことを扱っておりましたのは昭和三十年代から四十年代にかけてでございますから、先ほど委員御指摘のような、高度成長期の企業立地と今のような低成長期の企業立地では非常に動向が変わっておることは事実であります。それからまた、いわゆる水、港、土地、エネルギーといった要素から大規模な企業が臨海に立地をするという時代とやや状況が変わってまいりまして、このごろは臨海地域にかわって臨空地域という言葉もはやってきたわけでございまして、ハイテク産業であるとか、これから成長する産業に向けて企業立地もいろいろ検討をなさなければならないと思います。そういった時代の動向また地域のあり方等も踏まえて、委員の御指摘の点もこれから適切に対応していきたいと考えております。
#251
○遠藤分科員 今の基本的な態度は御了解いたしました。
 具体的に聞きたいのですが、昨年でございますが、徳島市に沖電気を誘致しようという話がありました。会社との調印をする段取りになっておったわけです。ところが二日ほど前でございますか、通産省から行政指導があって取りやめになった、こういうことを当時の市長さんが議会で発言をいたしまして、大変に問題になったことがございます。仄聞するところでは、この発言の裏には国会議員の圧力が通産省に対してあったのではないかとか、いろいろ観測が入り乱れまして、企業誘致が生命線である地方にとりまして、この問題がいわゆる行政指導に対する一つの不信感につながっている感じがするわけでございます。また、私ども国会議員にとりましてもこれははなはだ不愉快なことでございまして、こういったことは通産省としては当然おとりにはならないはずだと思いますけれども、こういった公の場ではっきりさせておくことが私は大変大事だと思いますので、この問題について通産省はどういう介入の仕方をしたのか、はっきりしたお答えを承っておきたいと思います。
#252
○木下政府委員 昨年秋、徳島市の沖電気誘致問題に関しまして、徳島の県内でいろいろと議会等で問題になったということは私どもも承知しておりますが、その関連で、通産省が沖電気の徳島市への進出について行政指導してとめたのではないかというような声も徳島の方で聞かれたそうでございます。そういうこともありまして、私どもとしては、企業の立地について具体的にこうしろああしろ、こうすべきではないということを言う立場にはございませんし、全くそういう行政指導は行っていなかったわけでございますが、そのようなことがあったということでございまして、県の方からそれについての御照会もありましたので、私どもとしては文書を県知事さんにお出ししまして、御照会のあった上記の件については通産省としては指導を行った事実は一切ないというような御回答を差し上げているわけでございます。
#253
○遠藤分科員 当時の市長さんの話でございまして、今勇退されましたからなんでございますが、大変自信を持って、行政指導があった、こういうふうな感じの答弁を議会でやっておりまして、でき得れば国会の場で明らかにしたいというふうな発言まで飛び出す次第でございます。あるいはテープに録音してあるんだとか、こういうふうな話まで出てまいりまして、これは大変政治の根幹にかかわる不信感という形になっておりますので、再度大臣から、ないものはないとはっきり御答弁をいただきたいと思います。
#254
○村田国務大臣 再度の遠藤委員の御質問でございますが、実は今御質問のことにつきまして当時の資料等を徴して調べておりますが、木下局長からお答え申し上げたとおりでございます。
#255
○遠藤分科員 全くないということですね。
#256
○村田国務大臣 そのとおりでございます。
#257
○遠藤分科員 私も実際おかしいと思ったのですよ。通産省は工業の再編を進める側でございますから、工場誘致に行きなさいという行政指導はあっても、行くなという行政指導は考えられないということでございまして、今の御答弁で大変はっきりいたしまして、県民の皆さんも、そういう通産省の態度であれば積極的に不信感を払拭し、また今後とも御支援を願っていく、こういうふうな理解をされるのではないかと思います。
 それで、観点を変えまして、今中小企業庁が行っておりますいわゆる村おこし政策でございますね。これは大分県の一村一品運動等、村おこしというのが地域の活性化にとりましては大変重大なことである、こういうことで取り組まれておりまして、五十九年度からでございますか、この事業がスタートいたしたと聞いております。そして全国百カ所でやっておる、こういうふうに聞いておりますが、五十九年度からスタートしまして現在に至る状況はいかがでございましょうか。
#258
○井上(正)政府委員 今先生から御指摘がございました村おこし事業でございますけれども、これは過疎地域の商工会が中心になりましてその地域の特産物あるいは未利用資源、観光資源といったようなものを活用いたしまして内発的な産業興こしをする、それによりまして地域の小規模事業者の新たな事業機会をつくって活性化を図るという目的でございまして、五十九年度からスタートしたものでございます。
 五十九年度は初年度でございまして、各地域からの御要望を出していただきまして、計画熟度等も見まして、全国百カ所で現在この事業を推進していただいているわけでございます。今年度は何せ初年度ということもございますので、各地域におきます進捗状況にはある程度のばらつきがあるというふうに思っておりますけれども、これは一応単年度事業ということでございますので、今年度、事業が終了いたしました段階で成果等につきまして御報告いただきまして、来年度以降への事業にまたつなげていきたい、そう思っておる次第でございます。
#259
○遠藤分科員 現地の声としては、ほかの地域の情報をどんどん知りたいという情報不足に対する声が、要望といいますか多いわけでございます。それで、これは提案でございますけれども、例えば成功例をダイジェストいたしまして村おこし便りのような活字媒体をつくりまして、それを各商工会に配布をしていくとか、こういったことをお考えになった方がいいのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#260
○井上(正)政府委員 先生の御指摘、まことに適切な御指摘だと思います。村おこし事業によりまして特産品を開発いたしましても、特産品を開発するだけでは意味がないわけでございまして、それをPRしていくということも確かに必要でございますし、さらに、ほかの事例を十分勉強してこの村おこし事業を進めていくということが非常に重要でございます。
 それで、現在は実は全国商工会連合会の機関誌といたしまして「商工会」という機関誌を出しておりますけれども、こういったものにこの村おこし事業の事例を掲げたり、あるいは各県の商工会連合会で会報を出しておりますが、こういったものにもそういった事例を載せるといったようなことで他の成功事例を紹介しているわけでございますけれども、特に来年度から、実はこの村おこし事業の中で新たに村おこし物産展というものをやってまいりたいと思っておるわけでございます。これは全国各地域ブロックごとに開発されました特産品を展示いたしまして、それの販売ルートを開拓していくというのが一つの観点でございますけれども、もう一つは、その物産展を機にいたしまして、そこでシンポジウム等を開きまして、他の地域の事業の勉強をいたしまして、成功事例を自分のところの事業の進め方に反映させていくという観点でございます。今後につきましては、先生御指摘のような点も含めまして、成功事例の紹介といったようなことを考えていきたいと思っております。
#261
○遠藤分科員 ぜひとも考えていただきないことが二点ばかりあるわけでございます。
 一つは、特産品が偏ってしまうという傾向があるわけですね。例えばシイタケならシイタケばかりつくるということになりますと、その地域では特産品なんですけれども、日本全国で見ると特産品でも何でもない、こういうことがございまして、そういった兼ね合いといいますか、その辺の指導ですね。
 もう一点は、販売ルートの開発でございますが、聞きましたところ、何か、大分合同新聞社がございまして、大分の農協さんとタイアップをして、キャプテンシステムによって直接都内のお客様に宅急便でカボスなどを送っておる、こういうふうな成功例もあるようでございますので、そういったいわゆるニューメディアですね、キャプテンシステム等も絡めた販売ルートの開拓というものをぜひこの際お考えになったらどうか、こういうふうに思いますが、どうでしょうか。
#262
○井上(正)政府委員 まず第一の特産品の偏りの点でございますけれども、私先ほど申し上げましたように、この村おこし事業は、その地域地域にございます資源を活用していくということでございますので、それぞれその特色のある事業の推進が期待されておるわけでございます。したがいまして、いずれにいたしましても、この事業はまだスタートしたばかりでございますから、今のところ直ちに、先生がおっしゃったような各地域で同じようなものが出てくるといいますか、競合が生じているということではないわけでございますけれども、今後ともそういった面につきましては十分注意をしていきたい、そういうふうに思います。
 それから、販売ルートの開発に関連いたしまして、キャプテンシステムのようなものを使っていったらどうかという御提案でございますけれども、先ほど申し上げましたように、開発されました特産品を今後どういうふうに販売ルートに乗せていくかというのは、来年度、六十年度から新たにスタートいたします物産展、こういったようなものを中心に今後考えてまいりたいと思っておるわけでございまして、その一環といたしまして、先生御提案のようなものも一つの案としてはあり得るのかなというふうに考える次第でございます。
 現在中小企業庁では、この村おこし事業とは直接関係はございませんけれども、中小企業の情報化対策というのを、中小企業の近代化促進のための審議会がございますが、この中で寄り寄り勉強もしておりまして、その中で中小企業のキャプテンシステムといったようなニューメディアの活用の方法といいますか、こういった問題につきましても勉強しておりますので、そういったようなものの成果も十分この中に反映していきたい、そういうふうに思っております。
#263
○遠藤分科員 最後に大臣に要望いたしますが、この事業は時代を先取りした大変大事な、本当にすばらしい事業ではないか、私はこういうように思うわけでございます。ことしは全国百八十カ所でございます。あるいは、先ほど話のありました物産展も全国三カ所で行うというような計画と承知しております。四国の開発、中でも我が徳島県もこういった事業に対して積極的に取り組みたいと決意をいたしておりますので、ぜひとも大臣、御助力をよろしくお願いをしたい、こう思います。
#264
○村田国務大臣 遠藤委員の先ほど来の地域開発についての御高見を拝聴いたしておりまして、特に今御指摘になっております村おこし運動というのは、昭和六十年度は全国百八十カ所で商工会を中心に村おこし事業を行いたいということを予定をしておりますし、また御指摘になったように、全国三ブロックで新たに村おこし物産展を実施することを予定をしておるわけでございます。これらの事業の実施については、予算が成立し次第、関係者の意見を十分聴取して具体案を検討してまいりたいと思っております。
 地域の活性化ということは、国全体が興る大きな基礎であると私は思いますし、また遠藤委員が御指摘になりました四国、この四国は人口あるいは面積その他を見てみますれば非常に独立をしておりまして、言うなればヨーロッパのスウェーデンであるとかスイスであるとか、そういった一国に匹敵するような実力を持ち得る地域であります。したがって私は、そういった地域開発計画というものが新しい時代に対応をして、本四架橋その他いろんなプロジェクトが進んでおるわけでございますから、その中でひとつ前向きにいろいろ検討をしていけば、四国の活性化そしてまた今後の発展というものは期して待つべきものがあるというふうに了解をしております。ともにひとつ努力をしてまいりたいということを申し上げます。
#265
○遠藤分科員 大変ありがとうございました。以上で私の質問を終わります。
#266
○工藤(巖)主査代理 これにて遠藤和良君の質疑は終了いたしました。
 次に、五十嵐広三君。
#267
○五十嵐分科員 先にちょっと確認をしておきたいと思うのでありますが、下北で今三点セットの計画が進んでいるわけでありますが、この場合の廃棄物の関連をちょっとお伺いしておきたいと思うのです。
 イギリスやフランスに今再処理委託をしているわけでありますが、それが、この間もプルトニウムが一部返ってきたり、やがて廃棄物も戻ってくるということになるわけでありますけれども、この種の委託再処理をしている海外からの廃棄物は六ケ所村における貯蔵施設等に貯蔵になるということなのか。あるいは廃炉の解体が、まだではありますが、しかしここ十年ぐらいで見ればぽつぽつかかっていかなければだめなことになるわけであります。その廃炉の解体物、これはかなりレベルの高いものも一部含みながら、レベルの低いものも多いと思いますが、これらの貯蔵ないし処分というものなども下北で含めると考えていいのか。もちろん第二再処理工場から出る高レベル廃棄物等の貯蔵なんかは当初からサイト内で貯蔵するということになっているようでありますから、それはそこで処理、貯蔵されるのであろうというふうにも思いますが、今言いましたような点で、そうでない部分がありましたらちょっとお伺いをしたい、こういうぐあいに思います。
#268
○松田政府委員 ただいま先生のおっしゃいましたのは、ほぼ私どもが考えておるものと合っているというふうにお答えできると思いますが、一つだけ補足させていただきたいと思いますのは、廃炉措置に伴います廃棄物は、先生御存じのとおり放射性物質でないものも非常にあるわけでございますが、現在いわゆる放射性物質として扱わないその最下限値の放射線レベルというものが決まっておりません。したがいまして、その決まった暁には、どれだけのものが放射性物質であり、どれだけのものがそうでないかということがはっきりしてくるわけでございますが、それがはっきりしました場合、いわゆる一般廃棄物と同じように考えるものにつきましては、また違った廃棄処分の方法が考えられるということがあるという点だけ補足させていただきたいと思います。
#269
○五十嵐分科員 つまり、極低レベルのもののすそ切りについては必ずしもそういうことでないかもしれぬ、これはもちろん検討中であろうと思いますが、それ以外につきましては、いずれも下北で予定されているところ以外に持っていく、貯蔵するという計画はないわけですね。
#270
○松田政府委員 現在、発電所から発生すると思われる低レベル廃棄物につきましては、下北の貯蔵所で敷地外の貯蔵を行うというふうに計画しておりまして、それ以外のサイトについては現在のところ何の計画もございません。
#271
○五十嵐分科員 その場合貯蔵というのは、高レベルの場合は三十ないし五十年くらいと言われているのが一時貯蔵ということであろう、そういうことですね。
#272
○松田政府委員 高レベル廃棄物につきましては、先生おっしゃいましたように数十年間の貯蔵を行う、それは多分第二再処理工場等で行われるであろうというふうに聞いておりまして、それ以後ほかへ持っていくということ等につきましてはまだ何にも決まっておりません。
#273
○五十嵐分科員 多少資料もいただいておったところでありますが、最近の電力コスト等を見てみますと、どうも今まで常識とされていた原発は安いという状況が必ずしもそうでなくなってきているようだというふうにも見受けられるものでありますから、その点について少し御質問を申し上げ、御見解を伺いたいと思うのであります。
 最近の、余り細かいことはよろしゅうございますが、概括的に原子力発電の場合とそれから通常の火力発電の場合とのコストの比較のようなものを、詳しいことは要りませんので、平均的なものでよろしゅうございます。
#274
○柴田(益)政府委員 五十九年度に運転開始するモデルケースで試算いたしますと、石油火力、LNG火力はキロワット・アワー当たり十七円程度でございますし、原子力発電はキロワット・アワー当たり十三円程度でございます。なお、石炭火力は十四円程度ということでございます。
#275
○五十嵐分科員 いただいた資料ではそういうことになっておりまして、これは五十九年におけるモデル的な施設のコストということのようであります。しかし、今のモデルの表の建設単価というのは、これは原発の場合ですが、大体一キロワット当たり三十一万という計算に基づいてお話しのような十三円というのが出ているわけでありますが、ところが最近の状況を見てみますと、原子力発電所の建設費が非常に高騰している。ここ十年くらいで見ると大変な高騰ぶりである。最近はそういう中でかなり抑制の努力がようやく若干なされているようでありますが、例えば五十九年開運の女川二号、これは出力五十二万キロワットでありますが、それの建設単価は一キロワット当たり四十五万円、これはおたくの方からいただいた資料によるものでありますが、そういうことをお聞きしております。あるいは六十年の十月に運転開始予定の東電の柏崎・刈羽原発一号、これは百十万キロワットでありますが、建設費が四千七百七十億。そうしますと、一キロワット当たり四十三万円を超すということになるわけであります。それから六十九年、これは一号でありますから、六十九年までに一号、二号、三号、四号、五号というぐあいに建設が続くわけですが、その五号機までの平均で見ても、一号機の場合は港湾の一部設備等があって少し割高になっているということのようでありますから、五号機までの平均で見ましても、総建設費二兆七十億円を五つで五百五十万キロワット、これで割った建設単価でやはり三十六万くらいにはなる。あるいは六十三年に運転開始予定の北電の泊一号機で四十七万六千円。これはさっきいただいている表のつまり十三円という発電単価の建設単価、この場合の三十一万円というものから見ると、これは今申し上げましたように実は大分高いわけなんであります。かつて、昭和四十六年に運転を始めた東電の福島一号が八万八千円ということを聞いていますから、五倍くらいになってしまったということになるわけでありますが、原発の場合で大体我々聞いているので、コストのうち施設費の占める割合というのは七五%くらいといいますから、この建設費が非常に高くなるということのコストに占める割合は大変ストレートに大きく響くということになろうと思うわけですね。
 どうもそういう点から見ますと、三十一万円に比べてこういうような四十万前後ということで見ると、実は十三円よりかなり、数円上回ることになるんじゃないかなという感じを一つ一つ見ると感ずるのですが、いかがですか。
#276
○柴田(益)政府委員 ただいま先生が御指摘なされました数字でございますが、ほぼそういう数字の試算がございます。先生、三十一万円程度の建設単価ということをおっしゃっておられるわけでございますけれども、これは五十九年度のモデルプラントの試算でございまして、ちなみに最近運開しました原子力発電所の建設単価を見ますと、福島第二の二号機が一キロワット当たり二十五万一千円あるいは九州の川内一号機が三十一万六千円とか高浜三号が三十二万三千円、大体三十一万円前後ではございます。先生のお話の中の女川でございますけれども、これはやや特殊なケースでございまして、我々のモデルプラントは百万キロワット単位でやっておりますけれども、女川は御案内のように約半分の五十二万四千キロワットということで能力が小そうございますし、それからまた一号機ということで、先生のお話にもありましたように港湾設備等のインフラストラクチャーの経費が算入されているということで、実はこの女川は四十万円以上ということで高くなっております。
 そのほか、先生のおっしゃられた柏崎・刈羽の今後の予定価格とか、あるいは北電の泊のお話がございましたけれども、それは将来の運開での予想価格ということだろうと思います。その点につきまして、将来原子力発電所の建設単価がほかの発電所に比べてどうなるか、そこはまだ試算してございませんので、今のところ、それは割高であるかどうか、なかなか言い得ないところでございます。
 いずれにしましても、原子力発電所の場合は資本費が七五%ということで非常に高こうございますので、これをどう低減していくかということが我々の一つの課題でございまして、今各方面にわたって検討研究を重ねておるところであります。
#277
○五十嵐分科員 最近建設中のもの、つまり運開が予定されている一番新しい施設等を幾つか僕は挙げたわけでありますが、挙げている単価は別に間違ったことを言っているわけではないわけで、それはお認めいただいているようでありますが、これはそういう傾向にあるのであります。以前から見ると非常に高くなってきている。今度十三円の試算の根拠である一キロワット当たり三十一万円というのは、なかなかそういうことにおさまり切らぬ状況に次第になってきているということは言えるのではないかと思うのです。
 しかも、それだけではないわけですね。第一には、さっきもちょっとお話が出ましたが、例えば廃炉の問題がある。これはコストの中に入っておらないわけであります。いろいろ言われているところでは、幾らぐらいになる、幾らぐらいになるというさまざまな見方があるようでありますが、しかし、これとて相当なものになるだろうというふうに考えざるを得ない。
 あるいは第二に、一番問題の廃棄物等があるわけですね。これについても、低レベルもさることながら高レベルの処分も、何といってもこれは極めて長期にわたって処分していかなきゃだめなことになりますから、貯蔵も含めて一体どのくらいの金になるのか、ちょっと見当もつかない。大体それの技術そのものが今開発中のものでありますから、実際にそれをコストとしてどう見るということはなかなか困難だろうと思いますが、まあしかし相当なものになるだろう。
 このうち再処理の費用だけは、一応電力会社では一キロワット時当たりですか一円積み立てているということでありますから、これはコストに入っている。恐らく十三円にも入っているということであろうと思いますものの、これも一体一円でおさまるのかということになりますと、お聞きしますと、今英仏に再処理委託でやっているのは大体一トン当たり一億八千万ぐらいかかっているということのようでありますし、第二再処理工場も一体どのくらいのコストになるのか、まあ東海の場合にはコスト計算はとてもできるようなものではないわけでありますから、これは仮に別といたしましても、相当なことになるということでありまして、こういうような要素をずっと積み重ねて実際に原発のコストの上にちゃんと入れてみますと、これは相当なことになるのではないか。おたくの方の説明でも、一円五十銭か二円か、そのくらい上がるのかというお話は多少聞かれますが、それだけ上げたって、お示しになっている石炭から見ると逆に原発は高いということに現状でもなるということになるわけであって、これを実際にそれぞれを評価してやるということになると、僕は実はかなり高いことになるのでないかなと思うのです。
 これは、いや、そんなことはない、何とかということだけでなくて、やはり実際に経済性から見てどうなのかなということを冷静に長期的に展望するということは必要なことなのであって、平均で一キロワット時当たり一円発電コストが違うと、全国で一年間に四千五百億円以上も総発電コストが変わるということになるんだそうですね。これは大変なものですね。ですから、二円か二円ちょっとというと一兆円ですよ。こういうことは国民全体の負担に結局はかかっていくことでありますから、そういうコストをどういうぐあいに考えていくかということは非常に重大だと思うのです。
 一方で石炭というのはかなり安くなってきているわけでしょう。これは、この間どこかの新聞なんかに出てましたけれども、石炭火発の場合にはコストの五割ぐらいになるわけですね、石炭価格の占める割合が。これが下落しているものですから、つまり、中東を初め石油価格が下がってくる、それに引っ張られて石炭も下がっていくということでありますから、五十七年度のトン当たりの石炭は一万六千円程度、五十八年には一万三千円ぐらいに下がっている。約二割下がっている。五十九年の平均ペースでどうかということ、これはおたくの方にお聞きしたのでありますが、一万二千六百八十円だそうであります。石炭の方は非常に安くなってきているわけです。
 それで、電源開発の松島、竹原、規模は大きいわけでありますが、あの石炭火発の五十七年度の発電コストで十一円台の電気をつくっているそうですね。これは公式にも発表になり我々も資料をいただいておるわけです。五十七年でそうでありますから、五十八年度というと石炭がトン当たり二割ぐらい安くなっているのです。一方で原発の方は上がっている。これは正確に比較したら大分違うと言わなければならぬことになるのではないかと私は思うわけです。
 こういうことを考えますと、別に原発がどうだとかこうだとかで議論ということではなくて、それはおいて、経済性の問題で国民負担ということ等から考えて、冷静にそういうエネルギー全体の将来展望をした場合に、やはり考えるべきものはあるのではないかと思いますが、いかがですか。
#278
○柴田(益)政府委員 今先生から大変貴重な御意見をお伺いしたわけでございますが、まず、原子力発電所の発電コストについて考えてみますと、お話にもございましたように資本費のウエートは非常に高い。それ以外には燃料費の問題あるいは稼働率の問題、こういうものが合成されていわゆる発電単価になってくるわけでございまして、必ずしも資本費だけの問題ではないわけでございますが、これにつきまして、できるだけコストを安くするという方向で今努力しているわけでございます。
 例えば、一番ウエートを占めます資本費につきましても、現在プラントの大容量化を進めております。現在の通常の原子力発電所は百十万キロワットでございますけれども、将来これを百三十万キロワットにするという方向での大容量化あるいはスペックの標準化ということをやっております。あるいは設計の合理化というようなことで建設コストを少なくとも一割程度下げるという方向で今やっております。そのほか、御案内のように発電コストの中では原子力の稼働率が非常に大きなウエートを占めてくるわけでございますけれども、これが最近上がってまいりまして、昨年度あたりは七〇%をオーバーしておりますが、将来この稼働率を八〇%、八五%に上げてまいりたいというふうに思っております。また燃料費の点でも、濃縮の関係のコストが今下がってきております。アメリカも下げております。DOEも下げておりますし、フランスのCOGEMAも下げております。そういうことで、全般的に原子力のコストは将来とも低減さしていくという方向で努力しておりますし、それもある程度めどがついてきておるという状態でございます。
 ただ、他方、石炭火力の例でございますけれども、こういう化石燃料につきましては、中長期的に見ますとやはり石油に引っ張られて上昇していくと言わざるを得ないと思うわけでございます。こういう化石燃料の基盤になりますのは石油の価格でございまして、IEAの見通しを見ましても、一九九〇年あるいは一九九五年には石油の価格が上昇するということでございまして、当面、今石炭価格は低迷しておりますけれども、五年後、十年後は石炭、LNG、石油というのは上がらざるを得ないだろう、そういうふうに見ておるわけでございます。石炭火力の場合も燃料費のウエートが四割でございましたか、石油の場合だと七割程度が燃料費のウエートでございまして、そういうことからいきますと、中長期的にエネルギー政策を見ていく場合には、やはり原子力の競争性というものは十分あり得るし、我々としましては、そういういろいろな電源のベストミックスによってできるだけ低廉なコストのもとに供給していきたいというふうに考えておるところでございます。
#279
○五十嵐分科員 これは皆さんが通常読んでいるやや専門的な雑誌です。その中で、これは皆さんも知っているお方なんですが、アメリカに行ってお帰りになって、そのときの話ですよ。帰国前に商務省の石炭担当の人と話をしたときに、アメリカ側から五百万キロワット級の石炭火力発電所を日本に建設するよう提案する、必要なら米国からも金を出す用意がある、そしてその石炭火力の燃料の石炭はアメリカが供給したい、こういう具体的なプロジェクトを提案しているんだけれども、なかなか返事が来ないということを言っているのです。しかし、向こうの石炭もちょっと高いのがありますから、そうそう簡単に乗るわけにいくものではないと思うけれども、今のアメリカあたりとのいろいろな貿易摩擦あるいは黒字減らしをどうするかとか、さまざまなことを考えると、こういうようなことだって検討の一つの対象としては浮上しないものでもないなという感じがするわけです。
 そこで、いろいろ申し上げましたけれども、もう時間がないようでありますから、ぜひここは考える側がいずれも余り頭をかたくしない柔軟さをお互いに持って、そして一体どうかということを考えていく上では、今のようなコストの正しい把握の仕方や展望をお考えいただいて、余り原子力に偏ることも僕はいかがなものかと実は感ずるわけです。きょうは時間がありませんから需給関係について申し上げるわけにはいきませんが、そういう面からいっても、うっかりすると、このままの調子でいくと、原子力発電が第二の国鉄にならぬとも限らぬという見方だって僕はあるんじゃないかと思います。その辺のところを踏まえて、きょうはこの質問だけで終わりますが、大臣、どうかこの辺慎重に御配慮いただきますようお願いし、所感の一端をお伺いできればありがたいと思います。
#280
○村田国務大臣 先ほど来の五十嵐委員の御高見を拝聴いたしておりまして、御趣旨のほどはよくわかるわけでございますが、ただ、日本のエネルギー供給構造から申しますと、原子力というのはこれから非常に有望な電源でございまして、私どもとしては、いろいろな工夫を凝らしてこれからのエネルギー供給に万全を期していきたいと思いますので、今後ともよろしくお願い申し上げます。
#281
○五十嵐分科員 ちょっとお答えにならぬような気がするのですが、今のでは。もうちょっと。
#282
○村田国務大臣 コスト重視の問題は非常に当然でございます。私どもでは、先ほど政府委員から御答弁申し上げましたように、原子力は十三円程度、石炭火力は十四円程度というようないろいろな試算をいたしておりますが、これらのコストの工夫は極めて重要でございますから、今後ともコストを引き下げるように、また安全性を十分確保するように努力をしてまいりたいと思います。
#283
○五十嵐分科員 どうもありがとうございました。
#284
○工藤(巖)主査代理 これにて五十嵐広三君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻第一君。
#285
○辻(第)分科員 私は、中小企業の問題で質問をいたします。
 我が国の中小企業の数は約六百二十万、全体の企業数の九九・四%、従業者数、民営事業従事者全体の八一・四%、約三千七百万人、中小製造業の出荷額は全体の五〇%を超え、従事者四十九人以下の中小小売業の販売額は約八〇%であります。まさに中小企業は日本の産業、経済を支え、国民生活を支える主役であります。
 さて、中小企業の現状はどうか。景気の二極化という状況のもとで、一握りの大企業が戦後最高のもうけをしていますが、中小企業は厳しい不況のもと昨年は倒産が二万件を超えました。その大多数が中小企業であります。失業者も百四十五万人であります。極めて深刻であります。ところが、政府・自民党は、臨調行革路線のもと、この四年間で軍事費は三〇・七%増の大突出、一方中小企業予算はマイナス一三・四%という大幅な削減であります。この四年間は毎年前年度を下回る削減であります。しかも一般会計に占める割合はわずか〇・四一二%、二千百九十八億であります。これでどうして日本経済を支える中小企業の皆さんの営業や生活を守ることができるのか。政府の責任は重大であります。
 奈良県の中小企業も、長い厳しい不況のもとで高い企業倒産に示されるように経営危機で苦しんでおります。企業倒産は昭和五十四年が五十六件、五十五年が七十九件、五十六年になりますと一挙に百四十二件になりました。五十七年は百九十七件、五十八年は百五十二件、五十九年は百七十四件という状況であります。私の知り合いの方も何件か倒産をされました。また、転廃業した方もたくさんあります。その苦悩は口や筆であらわすことのできない大変な事態であります。奈良県の中小企業景況調査によりますと、この一月から三月期の見通しについて、いずれも業績の悪化の予想が出されています。直面している経営上の問題としては、まず第一に需要の停滞が挙げられております。特に建設業では官公需の拡大の要望が大半を占めているということであります。
 さて、通産大臣に官公需の中小企業発注拡大ということについてお尋ねをいたします。
 大臣も御存じのように、我が党は、いわゆる官公需法に基づいて、一刻も早く中小企業への官公需五〇%を目標に、当面一〇%アップを繰り返し繰り返し要求してまいりました。今国会の予算委員会でも、松本国対委員長が要求したところであります。国の官公需は約十兆円、その一〇%を中小企業にふやすということになりますと、一兆円という大きな仕事が中小企業に回るわけであります。ところが最近の実績は、五十六年が三七・一%、五十七年が三七・〇%、五十八年が三六・四%と年々減少をいたしております。大臣、これでは中小企業の危機を打開するどころか、逆に足を引っ張っているのではないかと言わざるを得ないわけであります。中小企業の皆さんの切実な願いにこたえて、五〇%を目標にして、一〇%程度の大幅な引き上げを行って中小企業の危機を打開していただきたい、このように強く要望するわけでありますが、大臣の御見解、決意のほどを伺いたいと思います。
#286
○村田国務大臣 辻委員の御質問にお答えいたします。
 中小企業の実態をお述べいただきましたが、御指摘のとおりの数字でございまして、まさに中小企業は国民の活力の源泉でありますし、そして国民生活の最も基盤を支えるものであるという認識でございます。官公需の中小企業向け発注比率の上昇ということは、これは非常に重要な問題でございまして、官公需については、従来から中小企業者の受注機会の増大に最大限の努力をしなければならないということで努力をしておりまして、先ほども辻委員、数字を御指摘いただきましたが、私どもの方でも、やや長期的にとってみますと、昭和四十一年の実績が二五・九%、そして昭和五十年が三二・六%でありまして、昭和五十九年の見込みが三七%強でありますから、約二十年の間の期間を見てみますと一一、二%上昇をしてきておる。そして今辻委員の御指摘になりましたのはあと一一、二%、一二、三%ということでございましょうから、これは努力目標としてよく了解のできるところでございます。昭和五十九年度の国等の契約の方針において、中小企業向けの契約目標は、委員御承知のとおり、金額で三兆七千億円そして比率で三七・四%といたしまして、その確実な達成に努力をしておるところでございます。
 私は、今までも衆議院の建設委員長やあるいは建設政務次官等をしておりますし、また国会議員になります前は県で水道部長とか建築部長とかそういったいろいろ官公需に関連のある仕事をしておりまして、よく実態を承知しておるつもりでございますが、官公需の中には、大規模の工事であるとかあるいは高性能技術を要する物品等であるとか、中小企業に対する発注が難しいものも相当含まれておりますので、なかなか一挙にこの比率を上げるということが難しい。しかし、これはどうしても高めていかなければならないという努力目標は今後も続けてまいる予定でありまして、国そして国の出先機関あるいは公社公団、さらに都道府県、市町村等の公共団体を含め、できるだけ地場産業を育成する、また官公需の中の中小企業向けの発注比率を高めるということで努力をいたしたいと思っております。
#287
○辻(第)分科員 今御答弁がありましたけれども、現状はこの三年逆に減っているわけですね。しかも深刻な経営危機が続いているという状況でありますから、大臣は特にそういうことに御造詣が深い、御経験も深いということでありますので、本当に英断を持って御奮聞いただきたい、強く要望して、次に移りたいと思います。
 私は、奈良県の小さな建設関係業者約百人の方についてお尋ねをいたしました。官公需の指名願いを出している人がそのうち五十人、ほとんどが県や市町村の分で、国関係で出している人はわずか五人でした。最近まで十五人ほどの人が国関係に出していたのですが、書類の作成を行政書士さんに頼みますと一回二万円から四万円ほどかかるんですね。それを三、四年も続けて出してきたのに、いつまで待っても声もかからない、当然仕事が回ってこないというようなことで、もうあきらめて申請を出す人が三分の一にも減ってしまったというのが実態でありました。
 五十七年九月の行管庁の「官公需についての中小企業者の受注の機会の確保に関する行政監察」結果、このような報告書、その中の「受注機会の拡大及び公正の確保」という勧告がありますね。この中に「指名競争入札における業者の指名に当たっては、契約実績の有無等選定のための制限を最小限にとどめ、可能な限り門戸を開放すること。」という指摘があります。本当に小さな業者にも国の仕事が受注できるような、受注機会を拡大するような適切な措置や指導をぜひやっていただきたいと強く要望するものでありますが、御答弁をいただきたいと思います。
#288
○末木政府委員 申し上げるまでもなく、中小企業者の官公需の受注機会の確保ということは、私ども中小企業施策の非常に重要な柱の一つだと考えております。その中におきまして、先生御指摘のように、小規模の事業者について特に手厚く受注機会を確保すべきだという声が強いこともよく承知しております。その意を踏まえまして、今年度の閣議決定をしました国等の契約の方針におきましては、例えば指名競争を行うような場合、御承知のようにランクづけを行いますが、強い人と弱い人を一緒にすることをできるだけ避けて、A、B、C、Dとあれば、下のクラスは下のクラスの中で競争するようにする、そういうのをできるだけ確保するとか、あるいは分割発注をできるだけ推進するとか、銘柄指定を廃止するとか等々の措置を、従来もやっておりますが、引き続きできるだけ推進するというようなことで、比較的小さいところの機会を確保すべく努力をしておるところでございます。
#289
○辻(第)分科員 ぜひ小さい業者にも仕事が受注できるような努力をしていただきたいという要望をいたします。
 私は、通産省、建設省、文部省、住宅公団そして奈良県の建設工事の建設工事入札参加資格申請書、いろいろ持っておるわけでありますが、それぞれ異なった様式であります。小さい業者にとっては内容も大変複雑なものと思います。奈良県の小さな建設関係業者は、申請書類の作成は骨の折れる仕事だ、このように考えております。もっと簡素化や様式の統一をしてほしいというのが強い要望であります。通産省としても、ぜひ書類や手続の簡素化や様式の統一をもっともっと進めていただいて、手続がしやすいようにしていただきたい、このように考えますが、いかがですか。
#290
○末木政府委員 様式等の統一及び簡素化につきましては、旧行政管理庁が行政簡素化の一環といたしまして音頭をとりまして、各省庁の間に簡素化についての申し合わせが実はございます。それは極力推進していくべきだと思っておりますが、もちろん官公需の発注につきましては、内容あるいは規模等について多様なものがございますから、完全にというのは、それは難しかろうと思いますけれども、極力この線に沿って統一を図ることによって中小企業者の負担を軽減すべきであると思います。この線に沿いまして、今後関係の省庁と協調して進めてまいりたいと思っております。
#291
○辻(第)分科員 本当に小さい業者の方から見れば複雑ですね。いろいろ御事情はあろうと思いますけれども、やはり各省庁が一本化していただくということになりますと非常に手続が楽になりますし、業者にとっては一通に二万も四万もかかるわけですから、そういう点ぜひもっともっと積極的に努力をしていただきたいというふうに強く要望をします。
 さきに申しました行管庁の報告書に「契約目標の設定及び進行管理等」という勧告がございますね。その中にもいろいろと指摘をされているわけでありますが、そのような内容、ほぼ一致しておると思うのですが、前に厚生省で病院の白衣や下着類、これを中央で発注をしておった、それを地方医務局単位で発注するということに変えました。発注の体制を変えたんですね。そうしたところが、わずか三・四%だったものが何と九二%になった、こういう例もあるわけであります。
 私は、中央の発注をできるだけ地方支分部局の発注にする、また地方支分部局の発注の枠を広げていくというのですか、そういうことをもっともっとやっていただければ、中小企業への仕事が回ってくる、小さい業者へも仕事が回ってくる、こういうふうに考えております。ぜひ地方支分部局での中小企業への受注機会を増大させる、この問題について通産省が積極的に取り組んでいただきたい、このように思いますが、いかがですか。
#292
○末木政府委員 御指摘の点につきましては、本年度の契約の方針の中にも大きな項目の一つとして掲げてございまして、御指摘の線に沿って地元の各地の中小企業者の受注機会の増大を図ろうとしておりまして、幸いこの件につきましては関係省庁の御理解も進んできてまいりまして、御指摘のように厚生省の白衣が非常に成果を上げたわけでございますが、たまたま今手元にございます資料は、そのほかの例といたしまして、例えば郵政省では事務用品を本省から郵便局に権限を委譲するとか、あるいは農水省で作業衣を本省から地方の営林局等におろすとか、そのほか幾つも例がございますが、こういう動きが出てきておりますので、引き続きこの線を推進してまいりたい、かように思っております。
#293
○辻(第)分科員 私どもは、毎年繰り返し繰り返しこのことについて皆さん方に要求をしてきた、指摘をしてきたのでありますが、実態は、繰り返し言いますが、先ほど申しましたように、この三年間は皆さん方のお出しになった目標すら達成しないで、逆に三年間下がってきているということであります。これは今御答弁では、努力します、やりますというお話でありますが、最近の実態がそういうことでありますから、今の中小企業の苦しみというものを皆さん方の胸にずっしりと持っていただいて、本当に一生懸命に取り組んでいただくということではないかと思うのですね。先ほど来言っておりますこの昭和五十七年九月の行管庁の監察結果報告書、このことをやっていただくだけでも相当な効果が上がってくるというふうに私は思うのです。そういう点で、先ほど来大臣の御答弁もあったわけでありますが、村田通産大臣は名古屋出身でしたな、名古屋は中小企業が多いんじゃないでしょうか、さすがに本当に中小企業を守る大臣だったと言われるように、ひとつ英断を持って御努力をいただきたい、こういうふうに重ねて強く要望をして次に移りたい、こういうように思います。
 次に、国民金融公庫の融資についてお尋ねをいたします。
 民間信用調査機関や中小企業関係者は、それぞれ年度末にかけて倒産がふえるのは必至だ、弱体企業に対する選別融資姿勢が一段と強まる、しかし金融機関の対応によっては相当程度の倒産が防止できるはずだ、このように言っているわけであります。
 ところで国民金融公庫は、金融的に恵まれない方を対象としております。国民金融公庫は、現在の深刻な不況や経営危機に苦しむ中小企業、小さい業者、零細業者の金融にとって本当に大きな役割を果たしてきましたし、今も果たしていると思います。職員の方も、少ない人員でこの大切な重大な仕事や役割を果たすために大変な御努力をいただいているというふうにも思います。御苦労をいただいていると思います。
 しかし、最近の国民金融公庫の融資の姿勢というのは、何回も申しますが、小さい業者の経営危機が本当に深まってきている、このような状況の中で、一般的な金融機関と同じように選別融資の姿勢が強まっているのではないかという声をいろいろと聞くわけであります。きょうは具体的には述べませんけれども、私も直接そういう話をたくさん聞いているわけであります。零細な業者の方、小さい業者の方は、本当に国金が最後の頼りなんですね。本当に頼りにしている国金が、選別融資の姿勢が強まっていると言われるような融資姿勢です。こういう状態にならないように、本当に今苦しんでいる中小業者、この人たちの経営を守る、そしてそのことが日本の経済を支え、国民生活を支えるんだ、このような大きな視点に立って、先ほど申しましたような選別融資の姿勢と言われないような融資をやっていただきたい、そのように大蔵省は本当にきっちりとした適切な指導をやっていただきたい、このように考えますが、いかがですか。
#294
○藤原説明員 ただいま、国民金融公庫の融資姿勢が最近厳しくなってきているのではないかというお話でございますが、昨今の厳しい経済情勢を反映をいたしまして、国民公庫の融資先の中には欠損企業でございますとか債務超過の企業の割合がふえてきているということで、融資判断といたしましてもなかなか難しくなってきているというようなことはあるのだろうというふうに考えております。
 しかしながら、国民公庫といたしましては、融資に当たって、個々の企業の継続性でございますとか将来性ですとか資金使途の妥当性とか総合的に判断をいたしまして、できるだけ借入申込者の要望に沿うように努力をしているということでございまして、一見経営内容が悪い企業でございましても、あくまで企業維持の可能性とか返済の見込みでございますとか債権保全等について検討を尽くした上で融資の可否を決定しているというふうに私ども承知をしておりまして、おっしゃるように、最近になって融資態度が厳しくなったといったようなことはないのではないかと私ども考えているわけでございます。申込件数と貸付件数との比率、融資比率で申しましても、五十九年の四月から十二月までで九〇・六%、つまり、申し込みをされた方のうち貸し付けをされた方が九〇・六%、五十八年度も八九・九%、五十七年度は九一・四%ということで、若干年によって振れはございますけれども、大体九割ぐらいのところになっているというふうに考えておるわけでございます。
 私どもの指導のやり方でございますけれども、国民公庫につきましては、原資の大部分が御承知のように郵便貯金などの零細な貯金ということでございますから、国民公庫といたしましても、これは大切に運用しなければいけないということはあるわけでございます。したがいまして、客観的に見て返済の見込みがなかなか立たないというようなときには、やはり公庫といえども、金融機関の常識といいましょうか、そういうようなことで融資に踏み切るのはなかなか難しいというようなことがあることは御理解いただけると思うわけでございますが、私ども今後とも、国民公庫が公庫法の精神にのっとりまして、できるだけ借入申込者の要望に沿うべく努力するよう引き続き努力してまいりたい、こういうふうに考えております。
#295
○辻(第)分科員 ぜひ国民金融公庫の立脚している精神に基づいて、中小企業者の要望にこたえるような融資をやっていただきたい、要望をいたします。
 そしてもう一つは、やはり今の大蔵省の姿勢にも問題があると私は思うのです。それは、この五十八年以来、五十八年、五十九年、六十年、今の状況では三年間政府出資をしない。していないし、しないという、こういう状況ですね。今のような中小業者が本当に大変な状況の時期に、政府が積極的に政府出資を大幅にふやしていく。そして今郵便貯金云々なんというお話がありましたけれども、そういうものも何なんですが、政府の出資をもっともっと大幅に増加をさせて、そして国民金融公庫の経営基盤を強化するということが何よりも大切ではないか。いわゆる輸銀だとか開銀だというところに政府は膨大な出資をしているわけであります。ですから、日本の国の経済や産業を支えている、国民生活を支えている中小企業の融資を預かる国民金融公庫にも、もっと政府出資を大幅に増加をし、そして低利長期の借りやすい融資に改善できるようにやっていただきたい、このように考えるのですが、大蔵省の御見解を伺いたいと思います。
#296
○秋山説明員 お答えいたします。
 今御指摘がございましたように、国民公庫に対しまして五十七年度まで三年間ほど出資が二十億ほどございました。ところが、一九七九年のオイルショックによる景気の停滞ですとかあるいは自由化とか国際化に対応した金融環境の大きな変化、そういったものの影響で、国民金融公庫の経理とかあるいは財源の影響が非常に出てきたわけでございまして、収支差損が発生いたしてまいりまして、それが最近になってかなり急速に拡大してきた。収支差損をある程度処置しませんと国民金融公庫の円滑な業務が図れないということでございますので、五十八年度からその収支差損を補てんするための補給金というものを計上したわけでございます。五十八年度に七十五億円、五十九年度当初九十億で、補正で四十五億追加いたしまして、六十年度は百八十四億円というかなり大きな予算を計上せざるを得ない。そういう補給金を計上することによりまして、国民公庫の業務の円滑化を図り、六十年度におきましても貸し出し条件の緩和等を行っておるわけでございまして、当両国民公庫の出資金対策というものが予算上は大きな問題である。一方、当初投資と比較いたしますと、六十年度は倍以上の予算措置をしているわけでございますので、その点は十分御理解をいただきたいと思います。
#297
○辻(第)分科員 今補給金のお話がありましたが、国民金融公庫が赤字を出す、それを補給金で埋めていくというのは、これは後ろ向きの対策だと思うのですね。やはり積極的に政府の出資を大幅に増額をしていただくということを私は重ねて強く申し入れたいと思います。
 最後に、通産大臣、私はいろいろと今御要望をしてまいりました。ぜひ積極的に今苦しんでいる中小企業者の声にこたえていただきたい。予算の問題それから官公需の問題それから金融の問題、本当に積極的に御努力をいただきたい、こういうように思いますが、簡単に最後の御所見をいただきたいと思います。
#298
○村田国務大臣 締めくくり的に申し上げますが、中小企業は我が国経済の活力の源泉である、我が国社会の安定の基盤である。そして私どもが毎日歩いておる町、これは中小企業の町である。私どもが毎日接している人、それは中小企業または農民の方である。まさに私どもは中小企業の生活にすっぽりと包まれて毎日の生活をしておるわけでございます。これは国民として中小企業を愛し、中小企業を発展させないところに国の発展はあり得ないわけでございますから、そういった基本的認識に立って、予算、官公需発注、また金融等の問題につきましても全力を尽くしてまいりたいと存じます。
#299
○辻(第)分科員 終わります。
#300
○工藤(巖)主査代理 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。
 次に、草川昭三君。
#301
○草川分科員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。きょう私は、ガソリンスタンドというのですか、小売店の経営危機という問題を中心にお伺いをしたい、こういうふうに思うわけでございます。
 石油製品市況とりわけガソリンの末端市況の下落ぶりというのは狂乱としか言いようがないわけでございまして、私どももそれぞれ地元で、まず車に乗って目につくのはスタンドであるわけでありますし、後援会の中にもたくさんのスタンド経営者がおみえになるわけでございますが、皆さん異口同音に半ばやけくそ状況になっておるわけでございまして、一体これが高度工業国家の日本のエネルギーを一番末端で供給するスタンドの実態であるかどうか疑問に思うぐらいにさまざまな問題がございます。現在の狂乱的な市況というのは、過去何回かあったと思うのでございますけれども、史上最悪の状況ではないだろうか。まあこれは元売の方々も含めていろいろと御心配になっておると思うのでありますが、現実は裏腹に値崩れが続けられています。市況の修復機運というのも若干あるようでございますけれども、なかなかこれも安定経営というところまではいっていないようでございまして、特に資源エネルギー庁が既に業界に公正競争ルールというのを提案をいたしておりますけれども、これは余り役に立っていないのが現状だと思うわけであります。特に事後調整の廃止にしても、何らかの形で細々ではございますが救済が行われているやに聞くわけでございまして、非常に問題だと思っております。
 そこでまず最初に、ガソリンスタンドは全国で五万九千軒だと言われておりますけれども、赤字給油所の動向というのを調査をなされておると思いますが、とりあえずこの五十四年度と五十八年度の全給油所に対する割合の度合いがどのようにふえているのか、お伺いをしたいと思います。
#302
○畠山政府委員 赤字給油所の全給油所に対する割合の変化のお尋ねでございますけれども、五十四年度で二一・八%であったわけでございますが、これが五十八年度は四九・六%というふうにふえております。
#303
○草川分科員 今おっしゃられましたように、全給油所の二割程度の赤字経営が、五十八年には半数近くの四九・六まで上がってきておるというわけであります。これはさまざまな原因があるわけでございまして、それを今からお伺いをするわけでございますが、私ども車に乗っておりましても、私の地元は愛知県でございますけれども、百三十マル円というような表示があったり、東京の方では百四十五円とか百五十円とかいうように、各地においてさまざまな値段の開きがあるわけでございますが、最近の末端ガソリンの市況の動向というのはどのようになっておるのか、お伺いをします。
#304
○畠山政府委員 末端のガソリンの市況でございますけれども、昨年九月に円安などを理由に元売仕切り価格の引き上げが行われましたことから、一たんは若干の上昇をいたしたのでございますが、昨年の十一月以降、業界の過当競争等を背景にいたしまして軟化傾向になりまして、特に昨年末以降大幅に下落をしておるというところでございます。それで、このような市況混乱によりまして、揮発油販売業の経営状況が極めて悪化している状況でございますので、そうしたことを背景に二月の中旬ごろが底であったのではないかと思うのですが、ここへきて若干の上昇が見られるという状況であろうかと思います。
#305
○草川分科員 ガソリンスタンドの経営者の経費が一体幾らぐらいなのか、私どももよく経営者の方々とお話をいたしますと、最低でも十五円要するという方もいますしあるいは十円要るという方もいますし、あるいは二十円に乗せていただかないと公務員の給料の値上げ分は払うことができないとか、いろいろなことを言う方々がおみえになりますし、あるいは業界の新聞等を見ておりましても、下限というのですか上限というのですか、採算価格というのは一体百五十円なのか百四十八円なのかわかりませんけれども、公平な見方として一体どれぐらいが本当に必要なのかということをお伺いしたいと思うのですが、どうでしょうか。
#306
○畠山政府委員 ガソリンの末端の価格自体が幾らであるべきか、ということにつきましては、ガソリンの価格が市場メカニズムで決まるということになっておるものですから、ちょっと通産省としてその数字が幾らであるべきだということを申し上げるのは控えさせていただきたいと思いますけれども、今御指摘のスタンドの利益の動向でございますが、それは五十四年の三月で調べますると、例えば一リットル当たり十三円であり、それから五十五年の三月は十八円強であったわけでございます。それが五十九年の三月には十円、十・一円ということに落ちてきておるという状況でございます。
#307
○草川分科員 消費者としてガソリンを購入する場合に一円でも安い方がいいということは常識であります。しかし私どもは、それはそうだけれども、適正な経営ということがその前提にはなければなりませんし、公正競争ということもやはり前提でなければなりません。
 ちょっと話は飛びますけれども、私は過日、他の委員会ではございますが、牛乳の問題で、牛乳の小売店がだあっと全国的につぶれていくという実例を挙げました。小売店がつぶれた原因は、スーパーで牛乳を安売りをするものですから、それに市場を奪われるということになりますけれども、小売店がつぶれますと、結局、日本全体の牛乳の消費量というのは下がるわけです。牛乳の消費量が下がり、今度は購入者の価格が硬直化するということになるわけであります。ガソリンスタンドがつぶれていくということになりますと、ガソリンは必要ですからどこかで購入するとしても、価格は硬直化することが当然予想されます。同時に、現在のガソリンの小売店というのはほとんど個人経営の方々が多いわけでございますが、この方々がもう自分の子供に店を譲るという意欲がなくなってしまった、思い切って、これならこれで私一代で廃業したいとか、元売にメーカー系列に経営を取られてしまうのですけれども、それはそれで月給取りになった方が気が楽だというような状況になります。あるいは計理士が今度の確定申告で来て、社長さん、本当にこんなに利益がないんですかと言って顧問の計理士が驚くような現状ではないだろうか、いわゆる採算割れの状況ではないかということで、その原因はさまざまなものがあるのでございますけれども、元売企業のいたずらな拡販姿勢に対する不満も高まってきていることは事実であります。あるいはまた農協だとか商社などの進出問題もございます。特に商社の場合は、行き詰まってしまった、不渡りを食ってどうにもならない、あるいは後継者がいないというようなことから商社に任せてしまう、経営権を奪われてしまうというのも中にはあるわけでございますけれども、こういうようにスタンド業界が混乱をしている原因をつくっているのは一体何か、通産省の見解をお伺いしたいと思います。
#308
○畠山政府委員 給油所が現在のような苦境に陥っております理由でございますが、そもそも揮発油というものが、これは草川委員お詳しいわけでございますけれども、品質面で差別性がない、したがってどうしても価格面での競争に走りがちだということが一つでございます。それから、近年需要が高度成長期の時代と違いまして非常に安定的にしか伸びないといいますか、停滞していると申しますか、そういう状況になってまいりまして、給油所当たりの揮発油販売量はほぼ横ばいで推移してきておるということも挙げられるかと思うのであります。それから、今ちょっとお触れになったかと思いますが、広域ディーラー等の進出でございますね。それによって流通経路が多元化しているということもありまして、これらが重なりまして過当競争に陥りやすい状況になっている。そこへ揮発油販売業者自身の側でも、拡販で経営の安定を図っていきたいという販売姿勢が見られるものがございますし、それから御指摘の元売企業の側でも、販売量拡大、拡販を販売戦略にしておられるというところもある。そして事後調整というような不合理な取引慣行というものがありまして、この両方の揮発油販売業と元売との拡販姿勢が増幅されて過当競争になっているというようなことがこの原因であろうかと思っております。
#309
○草川分科員 今部長の方からさまざまな問題点が出ておりますけれども、そういうものが結局複合して価格を引き下げておるということになるのでしょうね。ところが、今申し上げましたように、スタンドの経営者というのは経営者個人の収入も確保しなければなりませんが、何はともあれ従業員がどこでも数名はいます。従業員の方々の賃金というのも少なくとも世間並みに保障をしなければなりませんし、結局食い込んでいくわけですね。それで隣りの店で安売りがあったとかという話になれば、じゃ、うちもやはり量を確保しなければいけないからというので同じように安売りをするということになります。あるいは元売のセールスが来て、何はともあれとにかく量だけは確保してくれよ、元売は元売のシェア確保というのがありますから、とにかく泣き事を言うな、こういうことですね。今おっしゃいましたように質の差がございませんから、この質の差についてはもう一つ後でちょっと意見があるのですが、結局いろんな意味でのサービスをする。サービスについては組合なんかで夏には氷水を出すなんということはやめようとか、コーラを出すのはやめようとか、あるいはどこかでミカンなんか、私の地元なんかはミカンがたくさんあるものですから、ミカンを持っていけとか、そんなことはやめようとか、いろいろな決めはございますけれども、結局どういう行き方をするかというと、元売が後でめんどう見るからとか、後でめんどう見てくださいよというので事後調整というのですか、仕切り値段がわからぬまま商売をする、これは私は非常に大きな問題だと思うのです。
 それで、私どもお話をしますと、とにかくうちの商売は幾らで仕入れたかわからぬものを売るんだから何とかと、こういうことですね。流通問題たくさんございますけれども、さまざまな流通を調べても、仕入れ価格を不明のまま後で何とかというような、そんな商売というのは私めったにないと思うのでございます。この事後調整というのは通産省としても非常に大きな指導はしておみえになると思うのでございますが、本当に守られていると思っておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
#310
○畠山政府委員 事後調整の廃止の指導、要請が守られておるかということでございますが、今御指摘のように、かねてから石油審議会その他国会等の場におきましても、元売仕切り価格の事後調整の廃止ということが強い御要請としてございまして私ども指導を行ってきておりますし、昨年の十一月にも、石油審議会の了承も得まして、仕切り価格の事後調整の廃止を一層徹底するということを内容とする合理的な取引慣行の確立のための指針というものも発表いたしまして、そして元売企業それから揮発油の販売事業の方々に対して自覚を促しているところでございます。合理的な取引慣行というのは石油元売企業等がみずから育てていきませんと定着しないわけでございますけれども、先ほど来申し上げておりますような過当競争の激化の中で、御指摘のように本指導が必ずしも十分定着しているというぐあいではございませんものですから、やはり揮発油販売事業の側にも事後調整への期待と申しますか、そういったものがまだ十分色濃く残っておるというような実態でございますので、引き続き合理的な取引慣行の確立について指導の徹底を図ってまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#311
○草川分科員 ぜひ経営の安定ということを基本に一段と強力な指導というのが必要ではないだろうか、こう思います。
 そこで、今度は公正取引委員会にお伺いをしたいと思うのでございますけれども、公正取引という公正取引委員会の基本的な立場は私どもも十分理解しておるわけでございますし、またいろいろと注文を申し上げておるところでございますけれども、いわゆる独禁法には不当廉売を禁止する規定があるわけです。今申し上げましたように、石油スタンドというのは非常に零細な中小企業の代表的な存在だと思うのでございまして、こういう方々が、今のままでいきますと仕切り値段もわからないまま販売をこなさざるを得ないような状況に置かれているわけでありますし、それから仕入れコストを無視したということになるかならないのかというところが非常に問題だと思うのでございますけれども、もう少し不合理な取引慣行を是正するということに協力をされたいということを私は少し立場を変えて申し上げたいわけでございますので、公正取引委員会としてどのようなお考えを持っておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#312
○地頭所説明員 お答えいたします。
 不当廉売につきましては、不公正な取引方法の一つとして独占禁止法上禁止されておるわけでございまして、現在主として小売業の分野で問題が多発しておるわけでございます。ガソリンスタンドの業界に限ったものではございませんが、小売業一般を対象といたしましてどのような安売りが独禁法上問題となるかということにつきまして、できるだけわかりやすく解説したものをということで「不当廉売に関する独占禁止法上の考え方」というのを昨年十一月に作成して公表しております。これは、産業界等におきまして不当廉売の規制の目的なり内容なりについて正しく理解、認識をしていただきまして未然に違反の防止を図りたい、そういうねらいで公表したものでございますので、私どもといたしましても、今後石油業界を含めましてこの周知浸透を図ってまいりたいというふうに考えております。
#313
○草川分科員 これは、実はことしの二月二十二日に公明党の長田委員が商工委員会で同様の質問をしておるわけです。
 それで、そのときに公正取引委員会の高橋政府委員の方からは、「昭和三十八年から四十九年に中団法に基づく安定事業を行った例がある、あるけれども、十一年間やった当時の事例を思い起こしてみると、この安定事業というものに端を発してカルテル多発の弊害が著しくあったということがある」、確かにその当時はそういう背景があったと思うのです。ところが今の段階というのは、この当時の状況とはかなり、いささかというよりかなり周辺の事情というのは異なってきておるわけでございますし、ギブアップという言葉がございますが、本当にお手上げの状況にあるわけでございますから、格段の配慮というのですか理解を示していただきたいということを私非常に強く御要望申し上げておきたいと思うわけでございます。また、それが今日的な動向ではないだろうかと思うのでございます。この点について通産省の方はどのようにお考えになられますか。まだ申請は出ていませんけれども、出たという仮定というよりも、この件についての見解を聞いておきたいと思います。
#314
○畠山政府委員 御指摘のように、まだ中小企業団体法に基づきます揮発油販売業界におきます調整規程については申請が出ていないわけでございますけれども、昨年の石油審議会の報告では、中小企業団体法等の関連法規の活用を図りつつ自主的な努力を払い、適正な取引慣行の形成を図ることが求められるという御指摘をいただいております。したがいまして通産省といたしましては、正式な申請が行われますれば、そういう石油審議会の指摘の趣旨も踏まえまして、法律上の要件が満たされているかどうか検討してまいりたいと思っているところでございます。
#315
○草川分科員 またそういう段階が来るかもわかりませんが、ひとつそういう立場での努力を要望しておきたいと思うわけであります。
 そこで次に、実は各地域によって値段が違うということを一番最初に申し上げました。例えば東京なら東京、愛知県だとか埼玉県だとか非常に問題があるわけですね。それは必ずしも高いから利益があるという意味ではなくて、そこには仕切り値段が高く入っておる。地域によって仕切り値段に差があるというのは一体どのように理解したらいいのか、あるいは取引の数量にかかわらず差があることはどのように思われるのか、この一問だけ公取に聞いておきたいと思います。
#316
○地頭所説明員 地域または相手方によって経済上の合理性のない価格の差別を設けている場合に、その行われている事情、背景あるいは程度のいかんにもよりますが、公正な競争を阻害する場合があるわけでございます。そのような場合には独禁法上の問題となるであろうというふうに考えております。
#317
○草川分科員 わかりました。
 ではもう一つ、今度は道路公団に来ていただいておると思いますので、お伺いをしたいと思います。
 いわゆる高速度道路上のガソリン価格というのがそれぞれのサービスエリアであるわけですけれども、この高速度道路のガソリン価格というのが非常に大きな影響を与えるわけであります。それで私どもも何回か申し上げておりますけれども、もちろん少しでも安ければそれにこしたことはございません。けれども、その前提というものがあるということを繰り返し申し上げておるわけでございます。そういう立場からお伺いをしたいわけでございますけれども、高速度道路のガソリン価格というものは一体どういう形で決定をされているのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#318
○加瀬参考人 御承知のように高速道路は機能上出入制限されておりまして、相当長距離の交通をほかの道路に自由に出入りできるという形ではなくて御利用いただいておるわけでございます。したがいまして、高速道路上での給油というものをある程度余儀なくされる。そこで、安全かつ円滑な交通を確保しましてから利用者の利便を保っていく、こういうためには適正な価格で給油が行われる必要があるわけでございます。そこで私どもといたしましては、市況になるべく合うように、市況に比べて著しく高くならぬように価格を調整する必要がある。そこで毎月一回以上、全国的な規模で市況の調査をしております。この調査に当たりましては、先ほどから御指摘のように販売価格は地域によって高いところも安いところもあるわけでございますので、なるべく偏らないように配慮しながら買い取り調査、聞き取り調査という形での調査を行いまして、その結果を参考にして上限価格を決めまして、それに基づいて元売従事者の方々と道路施設協会というところで相談をしながら価格を決めておるという状況でございます。
#319
○草川分科員 現在業者の方もぎりぎりのところまで来ておるものですから、お互いにアウトサイダーというのですか足の引っ張り合いにならないように努力をしておるわけです。そこへ全くそういう条件にかかわりなく高速度道路の価格が決まりますと、それがまた一つの契機になって乱売が急速になる。早く言えば首くくりの足を引っ張る役目にならないようにだけは、私も実は物価問題特別委員会の理事をやっておりますから本来ならば少し違う意見を言うのですが、実際小売店の現状を聞いてみると、私が今から申し上げなければならないような現状であることは間違いない。本当に大げさな話ですけれども首くくりの足を引っ張るようなことにならないように、そういうような位置づけに実は現在あるのではないだろうか、こう思いますので、特にこの高速度道路の価格改定につきましては慎重に、さまざまな要件をお考えになっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 それから今度はまた前へ戻りまして、過当競争の要国として先ほども指摘をしたわけでございますけれども、元売企業の拡販姿勢によるガソリンの需給緩和ということもあるわけでございますし、業界の方からもいろいろな要望を出しておりまして、前倒し生産をするなあるいはまた安値の原因になる業転物の横行をさすなというようなさまざまな要望が出ておりますが、それに対する通産省の決意をお伺いして、ちょうど時間になると思うので終わりたいと思いますから、お願いをしたいと思います。
#320
○畠山政府委員 御指摘のようにガソリンの需給動向自体でございますけれども、昨年の四月からことしの一月までの生産と需要とを比べてみますと、生産が前年同期比一・八%増に対しまして需要は〇・九%しか伸びてないということでございまして、生産が需要を若干上回って推移しておるという状況でございます。そこで、そういった生産につきましては、中小企業が大半を占めております揮発油販売事業者への影響ということも十分考慮しながら、私どもとして生産計画に対する指導を行っていくということが必要であると考えておりまして、石油精製各社が実需に見合った生産に努めていくことが望ましいというふうに考えているところでございます。
#321
○草川分科員 最後に、この石油製品の安定供給ということを担う通産省の役割は大きいと思うのでございますが、ぜひ大臣の見解を聞いて終わりたい、こういうふうに思います。
#322
○村田国務大臣 草川委員の御見解よく承りました。
 揮発油販売業は国民生活にとって必要不可欠な揮発油の安定的供給を使命としておりまして、通産省としては揮発油販売業法の適正な運用等によってその健全な発達を図り、揮発油の安定供給に努めてきておるところでございます。近年における揮発油需要の伸びの停滞等の中で揮発油販売業の安定と発展を図っていくためには、構造改善を積極的に推進していくことが必要であります。通産省としては、昭和五十八年に中小企業近代化促進法の特定業種に指定したところでございますが、今後とも揮発油販売業の構造改善に対し積極的な支援を行ってまいる所存であります。
 また、過当競争による取引慣行の混乱にかんがみまして、昨年十一月に、石油審議会の了承も得て揮発油販売業における合理的な取引慣行の確立のための指針を策定、公表したところでございまして、引き続き、元売企業も含め、その定着を図ってまいる所存でございます。
#323
○草川分科員 以上で終わります。
#324
○工藤(巖)主査代理 これにて草川昭三君の質疑は終了いたしました。
 次に、小川泰君。
#325
○小川(泰)分科員 私は、神奈川というところに住んでいるものですから、先端技術産業にかかわり合いの人としょっちゅう接触をしております。そういう観点で、今度通産あるいは郵政当局が相そろって基盤技術研究に関係して法案の提出もされておるという観点に立ちまして、ひとつそれにかかわる問題を御質問させていただきたいと思います。
 その一つは、産構審の答申あるいは中間報告などを見ましても、昨今、科学技術というものが大変大事である、それを進めるためには産学官というものの連携強化がとりわけ必要である、こういうお話が次々と実は出てまいるわけでございます。その中でもとりわけ、昨年の八月でしたか、中間報告でも指摘されておりますように、この連携をさらに進めなさいという意味合いを込めた内容を拝見させていただいております。そこで、その観点からの質問を一、二させていただきます。
 その一つは、国立の試験研究機関の研究員などの民間出向という問題について。共同研究を進めることは大変結構なのでありますけれども、この研究員の皆さんの出向にかかわる公務員法等の関係のある程度の規制といいますか、そういうものがどうもうまく進みにくいような一つの条件になっておることも感じられますので、とりわけこの連携強化のためにはそういう規制をできるだけ排除いたすとか、あるいは出かけていった者の身分保障、給与や退職金に至るまで後ろからぐっと支えてやる、こういう姿勢がありませんと、せっかくの技術やノーハウが持ちぐされになって総合的に発揮されない、こんな感じがいたしますので、そこら辺に対する当局のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#326
○福川政府委員 委員御指摘のとおりに、産官学の連携は私どもも非常に重要な課題だと認識をいたしております。国立試験研究所の研究機関の中には大変優秀な人があり、また民間からも評価の高い方がいらっしゃいます。そんなことで私どもとしても、欧米にも大変先進的な産官学連携で成功しております事例がございますことにもかんがみまして、これをうまく進めていくことも、今回お出ししております基盤技術研究円滑化法の一つの視点になっております。
 御指摘の身分の問題でございますが、やはり国家公務員という制約がございますために、民間に出向した場合にいかにしてその身分上のつながりをつけていくかという点は、公務員法全体につながる問題でございます。したがいまして、これについては、関係当局においてさらに公務員の制度のあり方ということから検討していかなければならない、非常にすそ野の広い、奥行きの深い問題であると思っております。それにはかなり時間もかかると思いますので、私どもといたしましては、今度工業技術院の中の制度といたしまして、産官学の連携を強化いたします視点から、官民連帯共同研究制度というものを設けた次第でございます。
 これにつきましては、基盤技術研究促進センターの場を利用いたしましてそういった共同研究を進めていくわけでございまして、そこにおきましては民間企業からの研究者の出向も受け、また民間からの委託も受けて試験研究を行うということを考えておりまして、今度つくります基盤技術研究促進センターは特別認可法人ということでございますので、ここへ国の試験所のすぐれた研究員に出向していただく。そこにつきましては、従来の例にかんがみますと、退職金等については通算できるような前例もありますので、これはそのような方向で身分のつながりをつけまして、この基盤技術研究促進センターの場を利用しながら、官民連帯共同研究をやっていくということで現実的な解決を図りたい。先生の御指摘のさらに大きな身分上の問題は国家公務員法上の大きな問題でございますので、これはさらに引き続いて関係当局と協議をしてまいりたい、問題点を探りたい、かように考えております。
#327
○小川(泰)分科員 次の質問に移る前に今の点確認しますが、大きなすそ野の広い問題だから当面センターというものの場づくりをして、その中からひとつ従来の連携を強化する手段に持っていこう、こういう発想でよろしゅうございますね。
#328
○福川政府委員 そのとおりでございます。
#329
○小川(泰)分科員 それでは二番目につきまして、とりわけ基盤技術といいますか基礎技術とか、そういうものを開発する場合に幾つかの方法が実はあろうかと思います。問題は、いろいろな仕組みで研究を続けていく、そのことによって成果が出てきたというものに対して、これをさらに開発意欲といいますか、やる気を起こさせるといいますか、そういうところにいかに誘導せしめるかというのが、大変科学技術の進行の速いこの次元においては大事な一つの踏まえ方ではないかと考えますので、その観点から、そこに生まれてきた特許権の帰属問題であるとかあるいは特許の共有の制度であるとか、さらには特定の民間の機関あるいは民間の人に対して委託したような場合の実施権の付与のあり方、こういったものがどうも従来偏っているように思えてなりませんので、これは開発意欲の高揚のためにということで帰属性をできるだけ明確にしていかなければならぬと思います。
    〔工藤(巖)主査代理退席、主査着席〕
 そういう観点に立ちますと、今用意されておる今回の法案の中で、とりわけ国際的な研究協力については、国際的なやり方と同じような考え方でそれが無償で与えられたり、あるいは大変安いことでいこうやとかいうふうな一つの発想が出ておりますね。せっかくそこまで出ておりますので、そういう考え方が国内における受委託研究者に対しましても適用できるようにすることが当然かなと思いますので、それに対するお考えをひとつお聞かせいただきたいと思います。
#330
○福川政府委員 特許権の帰属に関連して幾つかの重要な問題点の御指摘がございました。まず、基盤技術研究促進センターで出資または条件つき無利子融資の助成制度がございますが、これにつきましては、成功いたしまして特許権を取得いたしました場合には、これは出資または融資を受けた人に、民間に特許権は帰属するというのが今回の助成制度でございます。
 また、今国際研究協力を政府ペースで行いました場合について、その特許権の帰属が一定の条件の場合に、その特許権を廉価であるいは有利な条件で民間に帰属するという制度を行っておるところでございます。これについては欧米のいろいろな先進的な事例を参考にいたした次第でございますが、欧米などの例では、国際研究協力を政府ベースで行いました場合には、それが成功をいたしましたときに民間が特許権の実施権を取得するという道が開かれているケースがございます。そういうことになりますと、例えば日本の企業でも、外国の政府にそれを申請していけばその特許の実施権が付与される、こういう条件になるものですから、そのようなケースに関しましては、日本におきましても、日本の政府がその実施権を民間企業に付与するということで、国際的に整合性をとった制度にするという意味で今回そのような道を開いた次第でございまして、それによりまして国際研究協力の成果が民間によってより結実して経済的な効果を生んでまいる、こういうふうになっていく道がある、かように考えておるところでございます。
 なお、それに関連いたしまして、それじゃ、そういう国際研究協力でなくて、一般に委託をした場合に特許権の帰属はいかがすべきか、こういう御指摘がございますが、一般的に民間企業に委託をするということになりますと、そのリスクはすべて金を出した財政、国の側で負担をするということになるわけでございます。補助金でございますれば、これは補助制度ということでございますので帰属は民間に参りますが、委託開発の場合はそのリスクはすべて国の負担ということでございまして、したがいまして、国が取得いたしましたいわゆる国有財産ということになるわけでございます。このような場合には、すべて国のリスク負担でやったものを直ちに民間にその利益を帰属するというのは、財政法あるいは国有財産法上の建前から、それをすぐ認めるということは難しいということでございます。
 しかし、そうして帰属いたしました特許権が、ある非常に緊要な場合には――一般に国有財産になりますと、これはいわゆる競争入札ということで民間に提供していく、こういうことになってまいりますが、しかし、ある一定の場合には、これはその対価は別、一般の条件といたしましても、ある緊要な場合には、場合によってはこれを随意契約というような格好でするような道を開くケースがあるかもしれない、こういうケースが考えられます。したがいまして、今ここではまだ財政当局との間で成案を得ておりませんけれども、何らかの格好でそういう道を開くということは今後検討してまいりたいと思っております。全体といたしまして、委託開発でいたしたという場合にはリスクはすべて国が負担するものですから、それはどうしても国有財産になるという、いわゆる財政法、国有財産法の建前がございますので、今ここでそこを変えるわけにはいきませんが、現実的にそれを民間の開発意欲ということに結びつけていく方途を何らかの格好で見出すべく、今後さらに検討してみたいと思います。
#331
○小川(泰)分科員 そこが一番大事なところでありまして、確かに財政法その他から見ればそういう建前はよくわかりますが、時代はどんどん変わっておりますし、いかに日本国民が持っておる優秀なそういうノーハウをぐんぐん引き出していくかというところにこそ問題があるので、仮にそのリスクを国がしょったといたしましても、そのことがせっかく高揚しようとする意欲に対して歯どめになったのではこれは逆手になりますので、私は、そこをもっと大事にしろ、こう言っておるわけです。さらにこの法案が進んでいく段階で御研究もなさろうし、突っ込んだ論議もされると思いますので、きょうはそれ以上つきましてもいかがかと思いますが、その点は強く前に開けるような格好でいかなければいけないと思うのです。たしか、ことしのアメリカ大統領の演説の中にも、この種の問題に触れまして、法案までいっているかどうかわかりませんが、相当前広の格好で進もうという意欲が出ておりますので、とりわけ何もない日本なんかはそういうものをどんどん誘導、高揚させるような立場でひとつ研究をし、いい成果を得るように御期待を申し上げておきたいと思います。
#332
○福川政府委員 産官学の連携の強化あるいは科学技術特に基礎技術、基盤技術の研究開発意欲をさらに守り立てていくという点は重要な政策課題でございます。ただいまの御指摘の点、大変財政法あるいは国有財産法の制約がございますが、大きな気持ちとして、私どもとしても民間における開発意欲を守り立てていくという方向がございます。いろいろ制度上制約はございますけれども、今後さらに将来の問題として検討させていただきたいと思います。
#333
○小川(泰)分科員 それではせっかくの機会でございますので、基盤技術研究促進センターということが今お答えの中でしばしば出てまいっておりますので、これの運営というものがうまくいきませんと、せっかくいい場所をつくりましても目的がしぼんでしまってはいけないというので、これにかかわる立場で二、三質問をまとめてさせていただきたいと思います。
 その一つは、用意された要綱などの範囲内でまだ中身はよくわかりませんが、一つの問題は、この基盤技術というものの定義、これは具体的にどんなものだろうということを、できれば一、二例示していただくとよろしいかなということが二つです。
 それから二番目には、センターを進めようとする場合に、予算的な措置としてのやり方がありますね。通産、郵政共同母体みたいなことでこれは進めるのでしょうが、ややもすると、こういう場合には縦割り行政のまずい面というものが出やすいものだと思うのです。したがいまして、目的に向かってきちっと進めるためには優良なプロジェクトとでもいいますか、そういうものの優先配分を目途にしたプロジェクト主義というようなことで貫いていくことが大事ではないかなと思いますが、いかがかという点が第二であります。
 それから三番目には、事業の運営に当たって民間の自主運営を十分尊重する、こうなっております。確かにこれは文言のとおりでありますが、尊重のみならずそれを有効に活用する、そこまで一歩、二歩踏み込んでいただかなければいけないというふうに思います。そのために、要綱を読んでまいりますと、運営の一つの手だてとして評議員会というものが設けられるようでございます。この中で幾つか運営の内容を吟味する、こういう仕組みになっております。大変結構だと思います。本来ですと、私などの考えでは、この基盤技術研究促進センターというものがどれだけの大きな受け皿かはわかりませんが、この範囲内においてということになると思いますが、本当はもっと大きなものでいくべきだろうと思います。しかし、ここまで問題が出てきたということは大変私は賛意を表する一人なんで、せっかく出てまいりましたので、この中身をさらにきちっとするためにこの評議員会の構成といいますか、こういうものが大変大事だなというふうに思うのです。
 とりわけ、私は神奈川に住んでいるとさっき申し上げたとおりで、昨今のマイクロエレクトロニクスあたりの技術は、開発がどんどん進んでまいりました場合に、成果がそれぞれの産業の職場の中に入り込んでいくということになります。そうなりますと、これは勢い産業のありさまや、とりわけ雇用にかかわってどう消化していくかということが昨今大変重要な課題にもなってまいるというふうな傾向も承知をいたしておりますので、どういうメンバーがその構成メンバーに加えられるのかは定かでございませんが、私の意見としては、そういうものに対応できるようないわば労働界の代表なども入れて、きちっとその中にある一定のウエートを持って実効が上がるような運営をされたらいいのではないかと思いますが、考え方はいかがか。三点まとめてひとつ。
#334
○福川政府委員 まず第一点の基盤技術の定義を一、二挙げてみるようにという御指摘でございました。
 私どもとして、この基盤技術と申しますのは、一つは業種横断的な技術、各産業に広く使われる、非常に基礎となる、基盤となるよう唐技術ということを考えております。さらにまた、特定の業種におきましても、大変革新的な技術というものが本法で言う基盤技術ということになると思いますので、そういう意味で言えば、これらの技術の波及性とか産業界に及ぼす影響度とかいうものを判断して、この基盤技術の内容が固まっていくものと考えております。具体的に申しますと、例えば新素材の技術とかマイクロエレクトロニクスの技術とかいうようなものは、業種横断的に大変また波及性あるいは影響度も大きい技術でございますので、私どもとしては、当面こういうものが対象となっていくのではなかろうか。一、二の例を申しますとそういうことであろうと思いますが、そのほかにも今と類似のような技術、これは取り上げていけることになるかというふうに思っております。
 二番目に、センターの縦割りの弊があってはならぬぞ、こういう御指摘でございまして、まことにごもっともでございます。私どもとしては、この基盤技術というものが今申しましたような定義で申しますならば、大体特許権等で見ましてもかなりの範囲のものが私どもの所管あるいは郵政省の所管の中でカバーできると思っておりますが、それがまた確かに御指摘のように、通産省のものあるいは郵政省のものといったようなことで縦割りになって相互に弾力性を欠くということになりますれば、これはまた基盤技術の開発がおくれるということになるわけでございます。そういう意味で、私どもとしては、基本的には長期の問題といたしましてはできるだけセンターの自主性を尊重いたしまして、重要度の高い、熟度の高いプロジェクトを優先して取り上げていく、こういうことが長期的には重要な問題であろう、かように考えております。
 三番目に、民間の自主的な運営ということの中で、さらに民間が使いやすくする弾力的な運用を考えるべきではないかということでございます。私どもとしても、この条文の中にも、一つ民間の自主性の尊重という規定があることから御理解いただけると思いますが、できる限り民間が使いやすい制度にいたしたい、かように考えて、この事務処理の手続も今後つくってまいりたいと考えております。
 御指摘の中で、評議員会は二十人以内で構成するということになっておりますが、この評議員はどのように構成するのかということでございます。私どもとしては、基盤技術に関する学識経験を有する方を選んで、この運営が公平にできるようにというふうに考えております。もちろん、まだ法案を提出いたした段階でございますので、その後どういう構成にするかというところまでまだ考えておりませんけれども、私どもとしては、労働組合の人であると否とを問いませんで、特に基盤技術について学識経験を有する立派な方に入っていただいてこの運用の公平、公正を期したい、また効率的な運営ができるような形で御意見を賜るような方にお願いいたしたい、かように考えております。
#335
○小川(泰)分科員 最後のお答えの中に労働組合の云々というくだりがありましたが、私ども、戦後ずっと日本の経済発展を見た場合に、何といっても諸外国に類例を見ない労使関係の安定というものの中で相当な役割をずっと日本のために果たしてきたというふうに見ているのです。そういう観点に立って、労働側といいますか労働界の代表というものが本当に体で体験をし、お互いに労使の中で苦労しながら今日を支えてきたという立場から見るならば、これはぜひ大きなウエートの一つとして認識をしていただいて実行に移していただきたいと思いますが、いかがですか。
#336
○福川政府委員 先ほど申しましたように、基盤技術についての学識経験の豊かな方をお願いするわけでございます。もちろん、日本が安定した労使関係のもとで産業活動が伸びてきたという点は、私も全く認識はそのとおりであろうと思っておるわけでございます。この評議員会をつくりますときに、今ここで労働組合の代表の方がどうかということになりますと、まだこれから法律の御審議を煩わす段階でございますので、今ここで必ず労働組合の代表の方に御参加いただくということを申し上げる時期ではまだないと思っておりますけれども、いずれにいたしましても、基盤技術について学識経験を有する方ということで、今御指摘の点も、私どもとしてももちろん一つの国会の御論議として十分認識させていただいておりますが、基盤技術について学識経験を有するという判断の中で今後の人選等を考えてまいりたいと思っております。
#337
○小川(泰)分科員 もう時間がございませんので、では最後に、大臣からお答えいただいた方が適切かどうかわからないのですが、今私が指摘したように、科学技術というものに対して通産、郵政の御苦労でここまでこの国会に具体的なものが進んできた。大変結構なことだと思いますが、もう少し大きな立場を踏まえまして一、二点伺っておきたいと思うのです。
 その一つは、こういうものが一つ出てまいりますと、どうしてもその裏づけになる資金というものがどのように支えてくれるかということが大変大きなウエートを持ってくると思います。ただし、この基礎とか基盤とかという問題については、一つの目的に向かって研究しなさい、成果が出る、そしてさらにそれを実用化するというふうにすっとダイレクトにいきにくい部分が、むしろ日本の場合には大変おくれているということが国際比較等においても明らかでございますね。科学技術庁あたりの昨年の資料を見ましても、アメリカやその他に比べますと研究開発費というものが大変少ない。ただし、それはまた逆に裏返してみますと、実用化の段階に向かっての意欲というものは大変なもので、民間の投資や何かはぐんと出ていく、こういう格好は、私はむべなるかなという点もあるかもしらぬが、もうそれは許されない段階ではないか、もっと大きな資金というものを基礎や基盤の中に有効に打ち込んで、みずから創造をしていく、こういう時代に来ているんだろう、こう思っております。
 そのために、これは一つの考え方でございますが、どこに場所を置いていいかわかりませんが、基金的なものを構想してみたらどうだろう。今回せっかくこういうセンターで一つの誘導的なものをつくろうとなさっておりますから、それを一つの試験台としても結構ですが、そういう格好で資金の裏づけをしてみたらいかがか。その中の一つの例として、寄附金というようなものが諸外国の場合には大変多くの場所に使われていっていますね。その場合に、これは大蔵当局になるのかどうかわかりませんが、説とか一つの規制が日本の場合にはその意欲をそいでおるという状態が大変目についておるのです。そうじゃなくて、思い切って減免税措置というものを根元から見直してもらって、ばんと入れるということで重要な基礎あるいは基盤開発のためには有効にやってみろ、リスクはこの中でしょってやるぞというぐらいの態勢をとっていきませんと世界の趨勢におくれるのではないかな、こういう気持ちがありますので、例えばでございますが、そういう発想は大臣としていかがにお受けとめいただけるのかということが一つでございます。
 それから、そういうふうになってまいりますと、それを管理運用するものも、新しい立場からそういうものをしていかなければならぬということも当然についてくると思いますので、そんなものを構想しながら、せっかくセンター発足に当たって、ここに限らないで、もっと大きな意味合いで物をお進めいただくような考えをお持ちかどうかということをちょっとお伺い申し上げたい点が一点。
 最後に、もう時間がありませんが、これをよく読んでみますと、科学技術庁所管の問題とも直接間接に延ばしていきますと関係ありますので、そこら辺のかかわり合いをどの程度お持ちか、二つだけちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#338
○村田国務大臣 御高見拝聴いたしました。今問いかけられました資金の問題あるいは管理運用、また科学技術庁との関連等についてお答えを申し上げたいと思います。
 技術開発というのは通産省では一丁目一番地と言っておりまして、新しい時代に対応する一番大事なことだ、これと情報化への対応が一番大事だということを私はかねがね申しておりまして、そういった点を小川委員は基本に置きながらいろいろな御質問をいただいたと思うのでございます。
 資金でございますが、昭和六十年度では産業投資特別会計からの出融資百億円、日本開発銀行からの出資三十億円、民間からの出資三十億円を予定しておるわけでございまして、このほか、センターの目的に合致した寄附が寄せられるならば積極的に受け入れていくという方針でございます。寄附についての税制上の措置につきましては、これは大変重要な問題でございまして今後慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
 そして、このセンターの管理運用は民間活力の活用ということを十分考えまして、例えばアメリカなどでは、マサチューセッツ工科大学などで非常にいい例を挙げておられるということもいろいろ聞いておりますし、日本は産官学と申しますが、まだ民間の活用が足らないためにこういった問題についての発展がおくれておるということも言われておるところでございますので、対応をしてまいりたい。
 そして、科学技術庁のお話をお話しになりましたが、科技庁、通産省、郵政省というのはこれからの基盤技術問題それからまた情報化問題等について最も協力をし合わなければならない官庁ではないかと私は思っておるのでございます。先ほど来の御質問にありましたような縦割りの弊害を出さないように十二分に協力をし合って実績を上げていきたい、このような基本的な考え方で対処をするつもりでございます。
#339
○小川(泰)分科員 ありがとうございました。終わります。
#340
○小此木主査 これにて小川泰君の質疑は終了いたしました。
 次に、関晴正君。
#341
○関分科員 通産大臣にお尋ねをしたいと思います。
 それは、さきの予算委員会においても質問したのでありますけれども、実は核燃料サイクル基地を、どこでも嫌われているものを私どもの青森県に何とか引き受けてくれぬかというお話を電事連がしきりにしているわけです。しかし、こうした立地の要請だけを電事連がおやりになるということは、これは先走っていることではないだろうか。むしろあの地域におけるそういう諸条件、適地条件をとにかく調べたい、そういうようなことで事を始めるというならばわからないわけでもない。いきなり立地が先にあって、その後調査をする、こうしたことは、私は思考過程が倒錯しているんじゃないだろうかと思うのです。まず調査ありということが事を進める第一歩ではないのだろうか、こう思うわけです。
 そういうことから、通産大臣は私どもの青森県の知事に対して、先般知事が照会された文書について、貴職の意見のとおりでございますといとも鮮やかに簡単に片づけてお答えをされたようであります。そういう観点からも、この問題について地元の知事とどのようなお話をなされておられるものだろうかということについて、またそういう文書回答をする際にどこまで事を理解した上で進められたものだろうかということについて、この際、詳しくは要りません、若干で結構でありますから、大臣としてのお考え、またその経緯をお答えいただければと思います。
#342
○村田国務大臣 関委員の御高見につきましては予算委員会でも拝聴いたしておりまして、今の御質問も、その趣旨を私了解をできるところでございます。
 核燃料サイクル施設の立地地点につきましては、原子力発電所の立地の場合と同様に、事業者が地元の理解と協力を得て決定すべきもの、こういうふうに認識をいたしております。電気事業連合会は、立地申し入れに先立って、入手し得る資料に基づいて全国的な規模で候補地点の調査を行っておりまして、むつ小川原工業開発地区に関しても、既応の文献等の調査結果から気象、海象、地質等につき検討を行った後、核燃料サイクル三施設の立地申し入れを行ったものと聞いております。さらに、電気事業連合会から青森県に対する立地申し入れが受け入れられれば、その後事業者による詳細な現地調査が行われることとなっておりまして、国としても、これら調査結果を踏まえて厳正な安全審査などを実施をする所存でございます。
 御指摘の文書照会につきましては、国の基本的な考え方をお示しすることが地元の検討に資するものと考えて回答いたしたものでございます。青森の知事から通産大臣つまり私、それから科学技術庁長官に、核燃料サイクル事業に係る国の対応措置に関して文書照会がなされました。これはことしの二月二十五日付で、知事の受けとめ方が正しいかどうかということについての照会であったわけでございます。文書照会の具体的な項目は、核燃料サイクル事業に係る国の政策上の位置づけ、それから核燃料サイクル事業に係る安全の確保、電源三法交付金の核燃料サイクル三施設への適用、高レベル放射性廃棄物の最終的処分の四項目でございました。照会された内容につきましては、これまで国の対応措置として当省が明らかにしてきたとおりでございましたので、青森県知事の理解されているとおりである旨を三月二日付で回答いたした、こういうことでございますので、御了解をいただきたいと思います。
#343
○関分科員 大臣として、先に立地あり、後に調査あり、このしつらえ方というのは適当だとお考えですか。私は、先に調査あり、やがて立地あり、こういくべきじゃないかと思うのです。電事連の方はまず立地あり、後に調査ありで、このやり方というのは私は適当ではないと思うのですが、どうですか。
#344
○村田国務大臣 先ほどお答え申し上げましたように、この問題については事業者と地元の了解というものが基本であります。したがって、地元でこれを了解いたしませんならば立地は不可能だということになるわけでございまして、まず事業者であります電事連が地元に申し入れを行い、そしてその上で調査がついていくという形は、私は今までの電源立地の手法として了解するところでございます。
#345
○関分科員 例えば原発の場合、そういう経緯があったにしても、それでもある程度実態調査が必要だろうということでそれがなされて、その上でひとつどうだ、こうきているわけですよ。今のような場合にも、特に再処理工場なんというのは、世界においてもきちんと安全性確立というところまでいっていない。また我が国においても、東海村における再処理工場もとまることしばしばで、今最後の手を打ち出しまして、二月の十九日からある程度動いておるようでありますが、これもどこまで動いてくれるかはまだ疑問であるわけであります。そういうことからいきまして、特にあの地域における地域的条件、あなた方はあそこに備蓄タンクをつくったわけですよ。むつ小川原開発株式会社が大変に貧乏して破産寸前だから空地を使ってあげようか、まず同情が先にある。適、不適は二の次、三の次にされた。その結果としてつくられたタンクが不等沈下を起こした。その土地震でも起こって摩擦でも生じようものなら大変な火災を招くのではないかという心配があるわけです。
 なぜそんなことになったのかというと、あの地域における調査がでたらめであったからなんです。全くでたらめで、言うなれば、地盤のかたさを示すN値が四十も五十もあるなんというデータのもとに強引に進められておる。あの地域のN値なんというものは十か十一、二、場所によっては一以下なんというのもあるのですから、それほどあそこは地盤の弱いところです。やわらかいところです。その上に活断層がある。活断層は海ばかりじゃない、陸にもある。そういうことをよく承知していながらも、やむなくとにかくあそこに強引につくった。
 それで、今あの場所に再処理工場をつくるということになるならば――私は本当につくるとは思っていませんよ。恐らくこれはやめるであろう、やめざるを得ないところに至るであろう、こう思っているわけです。あなた方の方は絶対つくるんだ、こう言っておりますし、つくらなければならないんだという事情だけは私どももわからないわけじゃありません。それで、大臣が一番知っているわけですが、あの場所の土地は花崗岩なわけでもないし、岩塩なわけでもないし、ヨーロッパと違いまして何一つかたい地盤がない。そしてまた地震があるところです。ヨーロッパには地震がない。そうなりますと、あの場所を適地とする条件というものは少なくとも考えられない。こう見ますと、大臣、あと何があの場所につくることが適地だとお考えになられますか。つくらなければならないという必要性、これはわかりますよ、トイレがないのですから。具体的に言えば、トイレなきマンションと言われるのが原発のはしりなんだ。トイレをつくる、そのトイレを喜んで受けてくれるところはどこもない、どこもないものだから青森に持っていけ、こういうことなんです。青森に来ればやがて新幹線もまた通してくれるんじゃないかという淡い期待を持って、全く次元の異なるものを引き受けようかなんて言っている向きもあるわけです。ところが今漁民たちは、あの土地を売るときには石油コンビナートであったじゃないか、石油コンビナートであったればこそ我々も土地を売ったのだ、また海も売ったのだ、今度は全く違うものじゃないか、こんなものが来られた日には困る、こういうことで、六ケ所村の泊という漁業協同組合がありますが、これは村長の出ているところです。この泊において二月二十四日、四百人を超える漁民が集まって、御免だ、こういう行動に出ました。この行動を締めつけるのに権力は大変なものです。公民館は貸すな、日曜だけれども、今までやっている商売は開いて会議には出ないようにしろ、それはそれは封建制の限りを尽くすような行動が村長側からまた出たわけであります。
 そういうことを今知っていただいて私は大臣に申し上げたいことは、軽々にここにそれを定めてはならない、この認識はひとつ持ってもらいたいと思うわけです。あなた方の方でエネルギー政策だからといってじゃんじゃんやられた日にはかなわぬ。そういう点について、適地論に耳を傾けるような一つの御意見があるならばお聞かせいただきたいと思います。
#346
○柴田(益)政府委員 先ほど村田大臣からも御答弁したところでございますけれども、電気事業連合会が昨年の七月に現地に立地の申し入れをいたしました。そのときには事前に全国的な調査をいたしまして、その時点で入手し得る資料に基づいて適地と判断して現地に申し入れたものと我々聞いております。今地元でいろいろ議論が行われているということでございまして、青森県が現地での意見を今集約中というふうに理解しております。近く国に対する何らかの意思表示があろうかと思っておりますけれども、仮に現地青森県が受け入れた場合には、今度は国が法律に基づきまして、適正、厳重に御指摘のような地盤問題を含めて審査をするということになるわけでございまして、先生御心配のような点につきましても、法律に基づきまして厳正に審査してまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
#347
○関分科員 申請が上がってくれば国は考える、これは手続からいけばそうだと思うのです。しかし、予想されるいろいろな悪条件があるわけですよね。空には爆撃機が毎日のように訓練で飛んでいる場所です。地面は、これがまた今のようなやわい地盤であるのです。そうして海においては、これまた漁業としての好漁場なんです。そうして今、オイルインのためにむつ小川原というところが使われましたよね、あなた方の備蓄タンクのために。一昨年の九月一日に初めてオイルインした。ところが、この五百八十万キロリットルのタンクにオイルインする際に第一線がどれだけ苦労したかわからない。九月一日にオイルインしようといって一カ月もかかっているわけです。いかにあの浜が不適な浜であるかということです。いかにあのシーバースというものが無理なものであったかということを示して余りあるものです。これなんかも石油公団の始末の悪さを示していると私は思うのです。一日延びればチャーター料幾らかかるのです。三十日もかかってやっと入れたという船、この船賃だけでも大変な金でしょう。むだもいいところです。そうして今ここにはわずか二千トンクラスの作業船、タンカーが来たときに作業する船の船だまりみたいなものがあるだけです。この場所にまた大きく持ってくるとしても、この航行も非常に悪条件です。霧が深い。うねりが太平洋の特別なうねりです。風も強い。そうしてやませが吹く。海象からいっても気象からいっても潮流からいっても、何一つここにいい条件はないのです。それでも推し進めよう、こう言っているわけです。
 ですから、要請が来ればお答えするじゃなくて、悪条件がもういっぱいあるのです。たった一つ条件のいいものがあるとすれば広がっている空地でしょう。むつ小川原開発株式会社というものが抱えている空地、これは三千ヘクタールほどありますよ。そのかわり抱えている借金、これまた千五百億ですよ。これを助けるためにとにかくそこにしようかということが出発点になっている。そういう意味からいうと、極めて科学的じゃないし、極めてこの地域に即応したものではない、こういうものだと思うのです。だから長官、来たら考えるじゃなくて、来る前にいろいろ吟味して、そして電事連のやっておることについて注意しておく必要があるんじゃないだろうか。もう電事連と組んであなた方が進めることに決めたのであるとすれば別ですが、電事連にも注意して、これは無理じゃないだろうか、こういうようなお話を先にしたらどうでしょうか。
#348
○柴田(益)政府委員 先生お話しの再処理工場を含むこの核燃料サイクル事業は、民営主導でいくということが基本的に決まっておりまして、そういう意味で、電事連は原燃サービス株式会社あるいは原燃産業株式会社をつくりまして、そこを中心に今進めているわけでございます。その辺の先生の御心配の点は、こういう電事連中心の諸会社が中心になってやっておるわけでございまして、地元とのその辺を含めての話し合いというものについても国として十分見守ってまいりたい、そういうふうに考えておるところでございます。
#349
○関分科員 私は、日本に適地がどこがあるかわからぬけれども、少なくともあのむつ小川原開発の予定地域は全く悪条件だらけだということをひとつ知っておいてください。そういう意味においては、電事連に対しても、相談の際には事前の協議等もいろいろあるでしょうから、本当にこれでいいのかということの吟味をしていただいて、やれやれというような促進の役割を演ずるのではなくて、吟味の役割を通産の方ではしていただきたい、こういうことを私は第一に要望しておきたいと思います。
 その次は、時間がなくなってしまったのですが、先般のお話の中で、もう既に原子力の発電の費用というのは昨年の運開ベースで一キロワットアワー十二円、石炭の方は十四円。この十三円の中に廃棄物の処理費だとかあるいは廃炉の費用だとかいうようなものを含めると、とてもじゃないけれども十三円なんというものじゃなくて、相当な金額にこれは計算されるであろう、こう思うのですが、そういう計算をされたときはどのくらいまでいくと見ておられますか。
#350
○柴田(益)政府委員 五十九年度のモデルプラントでの運転原価につきましては、原子力の場合には約十三円ということで計算しておりますが、この中には、先生今御指摘のような廃棄物の処分の費用とかあるいは廃炉の費用は入ってございません。仮にこれを入れた場合にはどうなるだろうかという御質問でございますが、この十三円がおおむね一割程度アップする、そういうように我々は予想しております。
#351
○関分科員 私どもの方では二割ぐらいは間違いないだろう、こう聞いております。一割であれ二割であれ、十三円より高くなることだけは間違いありませんし、一割であれ二割であれ超えた場合は、石炭より高くなることはこれまた間違いありません。ですから、原子力が安いんだというような宣伝の時代は、私はもう終わったと思うのです。
 それで、この問題については、私はやはり新しいエネルギーを創造していくしかない。そうなりますと、新しくしてきれいなエネルギーというのはないのか。放射能のごみをどこに持っていったらいいか、青森県ならいいだろうなんということで物を考えるよりは、青森県にも迷惑はかけられない、新しくしてクリーンなエネルギーというものを創造しなきゃならない。その最も適切なものとして、燃料電池とか太陽光発電だとかいうものを考えていいんじゃないだろうか、原子力に金をかけるよりはこちらに金をかけた方がはるかに我が国の国民のためになるものだ、こう私は思うのです。その点については、エネルギー庁あるいは通産省はエネルギー政策の中でどの辺まで考えておられるのでしょうか。
#352
○柴田(益)政府委員 エネルギーの中で石油依存度をできるだけ下げるということで、代替エネルギーについての推進を今図っておるわけでございますが、当面はやはり原子力が中心になりますし、あるいはLNGあるいは石炭火力というものが中心になっておるわけでございますけれども、将来を見ますと、こういう既存のエネルギーだけではなくて、先生おっしゃるようなクリーンエネルギー、新エネルギーの開発を進める必要があるわけでございます。長期需給見通しによりますと、この新エネルギーのシェアは五十七年度でわずか〇・二%程度でございますが、六十五年度におきましてはこれが一・七%になり、七十年度には四%になるということで、この新エネルギーに対する期待も大きく持っているわけでございまして、現在風力発電とか太陽光発電あるいは先生おっしゃった燃料電池、こういうものにつきまして、新エネルギー総合開発機構、NEDOを中心にして技術開発、実用化について鋭意努力しているところであります。
#353
○関分科員 とにかく、原子力発電によるところの力の入れ方よりは、今言ったような太陽光発電あるいは燃料電池あるいは風力発電、そういうソフトエネルギーに本当に取り組まなければならないときだ、こう私は思っておりますので、この点については特別に強く申し上げておきたいと思います。
 あと、中小企業事業団について、青森県における流通団地造成の問題についてお尋ねをしておきたいと思います。
 大変な金額にかかわる流通団地の造成で事を進めたわけでありますけれども、この流通団地の事業というものに大変な汚職が起きました。大変な不正事件が起きた。おかげで青森県においては助役も逮捕される、竹中前代議士の後援会事務所まで洗われる、そういうような事態になり、ついに青森の市長もやめました。市長の選挙もここで生じたわけであります。どうして流通団地の造成においてこうした不正なことが起きたのか、何でこうした事件が惹起したのか、その一番の原因は何であると考えておるのか。私は、これはむやみやたらに急いで事をはかった、やたらに政治家の言うがままに聞き過ぎて事を進めた、それが原因の大きなものになっているんじゃないだろうか、そうして金の貸し方も土地の売買の実態も何ら調査をする、チェックする、そうしたこともなく人任せに事を進めたところに大きな原因があるんじゃないだろうか、こう思っておるわけです。
 そして、青森県が昨年の四月になりまして、約二億近い金を先立って返還するということがありました。この原因は一体何であったのか、その対象者はどのくらいあったのか、幾ら聞いても教えてくれません。これは国民の税金と同じようなものです、高度化資金の原資というものは。それを私の金であるからというならば別であります。どうしてそういうような不正なことが起こったのか、被害者はだれだれなのか、具体的に示してください。特に二億近い金を県が特別に行き過ぎたというので徴収して、そうして事業団の方に返還しているわけです。私はこの際、その事情と理由とそうしてその内容、これをお示しいただければ、こう思います。
#354
○末木政府委員 青森総合流通団地の件でございますが、御指摘のとおり、青森県が貸し付けました金額につきまして、申請が事実に反するという点がございました。その結果、おっしゃるようにこの四月でございますけれども、一部の繰り上げ償還を県が命じました。この件につきましては、直接の貸し付けの当事者は青森県でございます。中小企業事業団のお金はもちろん入っておりますが、事業団は、県が貸し付ける場合にその一部を県に貸し付けるという仕組みになっております。
 先生は、圧力があって特別急いで、ろくな審査もしないでやったというようなことではないのかという御指摘でございますが、そういうことは全くございません。定められた手続をきちんと踏んで行われております。ただ、結果といたしましてこのように不正が行われて逮捕者も出ていることは事実でございまして、このような事実を未然に防ぐことができなかったという点は遺憾に存じております。
 不正の疑いが持たれております土地にかかわる地権者の数でございますが、これは流通団地全体の地権者はもともと四十三名でございますが、そのうちの七名の方にかかわる土地が問題の土地でございます。
#355
○関分科員 今のようなお答えでは、とてもこの問題についての反省が足りません。県が悪いからこうなったのだというようなことです。自分たちの方の事業団は何も悪くないのだ、これでは問題の解決にいかないと私は思うのです。自分たちの方にも手落ちがあったじゃないか。言うなれば監督の不行き届きがあったじゃないか。これを認めないという手はないと思う。
 私は、この問題についていろいろ聞きました。いろいろ聞いたけれども、内容については事業団は知らないのだ。事業団は金を貸しさえすればあと何のこともわからない。戻された金についても、どの程度吟味しているかということの説明もできない。では何件対象件数があったのかという、そのことも答えられない。まあまあ、よくできているものです。そして、全部仕事は地方任せ、地方に責任をかけたっきりであります。これで走ってきて、どうであったとかこうであったとかということについての労力とかそういう構えだとかというものは本当に希薄であったと私は思います。とにかくこの問題については、先ほど申し上げたように極めて政治的なものであった。逮捕された者も、そういう竹中後援会の最も働きのあるメンバーの市会議員。これは全部そういう政治家ともに食い物にされたような格好です。そういう意味からいけば、厳正公正にやったなどと答えだけはいいけれども、やはりそこには反省がなければならないし、この次こうしたことを起こさないようにどうするかということも、またなければならないと思う。
 そういう意味では、私は、まだまだこの問題のお答えはなっておりませんけれども、時間も過ぎましたからこれで終わりますけれども、これは十二分に監督の責めというものは果たしてもらわなければならない、こう思います。
#356
○末木政府委員 一言申し上げます。
 手続上圧力を受けて筋を曲げたとか手続をサボったとか、そういうことはございませんけれども、こういうことが再発してはなりませんので、心を引き締めて事業団を指導してまいりますし、私どももその心構えでやってまいります。
#357
○小此木主査 これにて関晴正君の質疑は終了いたしました。
 次に、近江巳記夫君。
#358
○近江分科員 私も四十二年一月国会に出していただきまして、委員長席に前大臣がお座りになっておる、そして後任の大臣、こういう場面は非常に珍しいのじゃないか。私の経験でもなかったのじゃないか、このように思います。そういうことで私は、限られた三十分という時間でございますが、特に苦しんでおります中小企業の問題を中心として御質問をさせていただいきたい、このように思うわけでございます。
 委員長席にお座りの小此木前大臣、また村田現大臣、これは非常にそれぞれ責任を中小企業と申し上げただけで感じておられると思うわけでございます。御承知のように、景気が昨年から若干上向きにあるといいながらも、中小企業の状況というものは極めて厳しい状況でございます。御承知のように、昨年二万八百四十一件の倒産件数であります。これも戦後最高の記録でございまして、負債総額も三兆六千四百四十一億円、三兆円の大台を突破いたしまして、これも戦後最悪の記録でございます。こういうような中小企業をめぐる厳しい状況、なぜこういう戦後最悪の記録を出したか、政府はどう反省をしておられるか、どのように分析をされておるか、まずお伺いしたいと思います。
#359
○石井政府委員 御指摘のような件数の中で中小企業の倒産が圧倒的でございます。その意味では、今回の景気拡大の中でやはり輸出及び設備投資主導型の側面が強かった、いわば景気循環の立ち上がり機能、そういう意味で中小企業の事業活動の依存が非常に高い個人消費及び個人住宅投資、こういったものがおくれておった関係から、ある意味で中小企業の体質が業種的にばらつきが出た。そのばらつきを反映するところが非常に多いのではないかというふうに思います。
 ただ、今回の五十九年の倒産件数の中で、民間信用調査機関によります分析では、約六〇%強が不況型倒産と言われておみわけでございますが、当該企業の売り上げ不振、それからその企業の属する業界全体の売り上げ不振、それから累積債務の重圧、こういったような不況型要因によりまして倒産のやむなきに至ったものが六〇%余というふうに見られております。ただこの中にも、今申し上げました業界全体の売れ行き不振というものの中に、ある意味で市場の成熟化に伴いました需要構造の変化というような局面が多数見られるようでございまして、ある意味におきまして景気循環的な要因による倒産、景気さえ立ち直れば問題はないのかといえば、必ずしもそうではない構造的な側面があるように見受けられます。
 これを裏返して見てみますと、例えば五十三、四年の倒産が非常に多かった時期がございますが、この時期におきます創業からの期間十年を超えている企業のウエートは二〇%台でございましたが、五十九年の場合には、これが四三%とほぼ倍に近いようなウエートを占めるに至っております。本来ならば、業歴十年を超えます企業というのは足腰の強い、経営基盤の強い企業であるはずのところ、こういうものの倒産のウエートがふえているという実態を見ますと、先ほど申し上げましたような単に景気循環的な側面の反映というだけではなしに、構造的な側面というものを十分意識しなくちゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。
 そういう意味では、今後の倒産防止対策といいますものも、単に倒産防止関連の諸事業を進めるだけではなくて、そういった市場構造の変化あるいは生産技術構造の変化、こういったものに対応できるような構造体質とあわせ実施していかなければ、十分な施策がとれないのではないかというふうに考えております。
#360
○近江分科員 中小企業というのは関係各省またがっておりますし、そういう点ではよくわかるわけでございますが、中小企業庁を抱えておる通産省としては、第一義的に一番責任を感じてもらわなければならぬ、このように思います。このように前任者、両大臣がそろって本当に反省しておられると思うわけでございますが、この戦後最悪の記録を更新したということについて、率直な大臣の感想をひとつお聞きしたいと思います。
#361
○村田国務大臣 先ほど来近江委員の御指摘のように、昭和五十九年度、戦後最大の倒産件数を記録した。しかもその大部分が中小企業であるということでございますが、この問題につきましては、言うなれば非常に時代が進み、そしてまた経済社会情勢が変わっておる、そしてそういった新しい情勢の中でそれに対応し切れなかった企業が倒産をしたという実態があるわけでありまして、このことは非常に重要でございます。
 御指摘のように、中小企業の繁栄のないところに国民生活の安定はないわけでありまして、私どもはこういった新しい事態に対応して、技術力の向上、情報化への対応、また人材養成の強化といったようなきめの細かい施策を時代に対応して講じていかなきゃならぬ。また、いわゆる中小企業の経営基盤の安定のためには、中小企業金融の充実でありますとか倒産防止対策の充実でありますとかあるいは下請中小企業対策、官公需対策を含めて、総合的に本当に真剣に取り組まなければならないと認識をいたしております。
#362
○近江分科員 深い反省に立って今おっしゃったような対策を今後進めるとおっしゃっておられるわけでございます。しかし、何といいましても、そうした対策を進めるにつきましても先立つものは予算でございます。ところが御承知のように、六十年度の予算は二千二百八十二億、前年度に比べますと十億円マイナスになっておりますね。一般会計の五十二兆四千九百九十六億円の〇・四一%、こういう微々たる額でございます。しかも、これは、昨年よりも減っておるというだけではなく、このデータを見てまいりますると、五十八年度は対前年比二・八%、五十九年度五・五%、いずれもマイナスですね。六十年度〇・五%マイナスであります。三年続きでこういうように毎年カットされてきておる。こういう戦後最悪の記録を更新して、深い反省に立って今後はこのようにしますとおっしゃっておられても、予算の裏づけ自体がこういう三年連続の減少で、本当ですかと言いたくなるわけですね。
 数の上におきましても、御承知のように九九%の中小零細企業があるわけでございますし、今さら私が申し上げるまでもなく、七千八百万人の従事者、我が国の人口の六七%を占めておる。したがって、中小企業を振興することがどれほど大事なことであるかということは十分おわかりのはずなんです。ただ、予算についてはこういう微々たる額である。政府全体の取り組みの姿勢がここに如実に出ておるわけであります。その中でも、財布を握っておる大蔵省のガードはかたいとか、いろいろなことがあろうかとは思います。しかし、中小企業者の立場に立ってあらゆる壁を突破して、結果としてきちっとしたそういう姿がここに出てくる、その責任はやはり何といいましても通産大臣の責任にかかってくる、このように思うわけです。毎年のこういう減少傾向に対してはどう思われますか。
#363
○村田国務大臣 近江委員の御指摘承りました。数字的にはまさにおっしゃるとおりでありまして、六十年度予算は一般会計の中では二千百六十二億円でございます。これは予算的にずっと累年を見てみますると近江委員御指摘のとおりでございますが、実は五十八、五十九の減少と六十年度予算の間では実質的には差がございまして、例えば産投会計における出資等についていろいろ勘案いたしてみますと、六十年度予算は五十九年度に比べて実質的には減っていない。そしてまた、こういった行財政改革、財政赤字の突破という非常に厳しい情勢の中では、私はできる限りの予算を組んだということも言えようかと思うのでございます。そのほかにも、時代の推移に伴って変わってまいります中小企業高度化資金等の出資金などは、これがピーク時に比べますと最近は累積額があります関係で、実質的には非常に大きく作用し得るといったような事情もございます。
 いずれにいたしましても、中小企業の現状というものの厳しさを把握する点におきましては、まさに近江委員御指摘のとおりでございまして、私どもは、時代の進展に対応し得る、先ほど申し上げました技術力の向上でございますとか情報化への対応でございますとか実際に中小企業を経営していく人材養成の強化でございますとか、そういったものに重点的にきめ細かな行政をいたしまして、国民生活の中心になっております中小企業が振興するように最大限の努力をしていかなければならない。これは歴代通産大臣の最も心しておるところでございますが、私もそういった覚悟の上に立って中小企業行政を最重点的に推進してまいりたい、このように思っております。
#364
○近江分科員 こうした予算、財政の厳しさはわかるわけでございます。しかし、この中小企業の背景というものはそれだけの層の厚みがあるわけです。したがって、それは事情説明ということでは、一応のお話ということでお聞きはいたしておきますが、それであってはやはり通らないと思います。そういうことで、こういう現状がはっきりしておるわけでございますから、また秋の補正予算におきましても、しっかりと中小企業予算対策を組むように強く要望いたしておきたい、このように思います。
 そしてまた、いろいろと中小企業のやっていかなければならないことは山積いたしておりますが、政府の責任として一つの大きな柱があります。それは官公需ですね。この官公需の問題は、私も毎年やかましく言っておるわけでございますが、一向に横ばい傾向を脱することができない、こういうことでございます。中小業者のそうした期待が非常に高まっているわけでございますが、毎年の実績が大体三兆七千億円、官公需総予算額の三七%程度、こういうことでございます。官公需法が制定されましたときの政府の答弁を見ますと、中小企業者の生産、輸出のシェアは五〇%程度なので、官公需の当面の目標として五〇%程度に持っていきたい、このようにはっきりとおっしゃっているわけでございます。
 この法制定以前、例えば昭和三十八年、中小企業向けの官公需が四三・八%あったのですね。ところが、その後これだけの年数がたっておりながら減少してきておる、こういう状況なんです。各省のそうしたデータも私いただいておるわけでございますが、各省見てまいりましても、五十八年度省庁別官公需実績、三公社、今度は新しく民営化されるわけでございますけれども、そうした公社、公団を入れまして三六・四%、こういうような率でございます。取りまとめは通産省、中小企業庁が責任を持ってやっておるわけでございまして、毎年毎年こういうことを申し上げて一向に成績が出ない。各大臣は答弁のたびに、今後一生懸命頑張りますということだけでオウムの繰り返しのようなことが続いておるわけでございます。
 そういうことで、こういう状況でいいのかどうか、まず感想をお聞きいたしまして、今後どういうように政府目標の五〇%まで持ってぐるのか、その対策につきましてお伺いしたいと思います。
#365
○村田国務大臣 官公需要対策の問題、これは中小企業振興のための非常なポイントだと思います。私は、従来公共事業関係をいろいろ担当いたしておった関係で、中小企業の官公需比率を高めなければならぬということについては、近江委員と全く同感でございます。
 御指摘がありましたように、昭和五十九年度に例をとりますと、全体が九兆九千億円のうちの三兆七千億円でございますから、約三七%強という目標を設けて、その確実な達成に努力をしておるわけでございますが、ただ委員もよく御承知のように、官公需の中には大規模工事や、高性能技術を要する物品などがございまして、中小企業に対する発注が難しいものもあるわけでございます。したがって、中小企業向けの発注比率を一挙に大幅に引き上げていくことは困難な点が確かにございます。しかし累年的に見てみますと、これは政府の努力も実っておるわけでございまして、昭和四十一年の実績は中小企業の官公需受注比率二五・九%、そして昭和五十年度が三二・六%でありまして、昭和五十九年が三七%強でありますから、この約二十年間弱の間に一一、二%比率が受注比率としては上がっておるわけであります。そして現実に、これは国の発注それから公社、公団の発注、さらに都道府県、市町村等を含めて、できるだけ地元中心に持ってくる、そして中小企業にたくさんやってもらうというねらいのもとに、ひとつぜひ今後意欲的に推進をしていきたい、このように考えておるところでございます。
#366
○近江分科員 私が申し上げましたように、法制定当時は四十数%、それからまた下降線をたどり、そこの線から今また大臣はそのようにおっしゃっているんですね。そういう法制定当時のことから踏まえましたときに、何らそこには前進がない、これは私は非常に大問題であると思うんですね。したがいまして、このように大臣、また前大臣が委員長席にお座りでございますし、自民党内の実力者がお二人、このようにそろっていらっしゃるわけですから、これは今後与党におきましても、もう本当に声を上げていただいて、各大臣に閣議におきましてもそのことを大いに訴えてもらいたい、このように思うんですね。
 例えば官公需適格組合制度につきまして、昭和五十八年度末で、適格組合数四百八十一組合でその受注額が六百四十九億円、中小企業向け実績の一七%程度しかなっていないんですね。適格組合に対して官公需の発注がふえない原因はどのように考えておられるかということが一つです。
 もう一つは、今後、官公需施策につきまして検討委員会等を設けて、そしてさらにそれを閣議にも反映させ大いに督促をしていく、こういうプロジェクトチームといいますか、そういうものをぜひつくるべきだと思うんです。
 この二点につきまして、お伺いしたいと思います。
#367
○石井政府委員 確かに適格組合の受注額としましてはそう大きな額ではございませんが、全体でまだ四百八十一、かつ、この適格組合制度についても、地方の実情をいろいろ見てみますと、まだ末端の発注官庁で十分その実態を把握してないというような事態もございました。その意味もございまして、今年度の閣議決定におきまして、適格組合につきましての末端までの周知徹底を各省庁にお願いをいたし、かつ、官公需にかかわります地方推進協議会におきまして、その徹底を期しておるところでございます。その意味で、今後の適格組合の一層の活動を期待いたすわけですが、発注官庁サイドにおきましても、この制度を十分周知した上で、その趣旨にのっとって今後発注を行うように我々は期待いしたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、官公需につきまして、御指摘のように発足以来ほぼ二十年たちました。いろいろおしかりをいただいておるわけでございますが、毎年毎年いろいろな新しい施策を生み出してはおるわけでございますが、ある意味でマンネリという御指摘もございます。
 そういう意味で、二十年の反省を含めまして、昨年秋から官公需施策改善検討委員会という勉強会を発足させまして、できればことしの六月ぐらいまでに一つの方向が出せぬかということで、今研究をしていただいております。特に、これは実態に即して物事の解決を進めていかなければ前進が期待できませんので、主な発注官庁のOBの方、そういう方々に全く私的な立場で入っていただきまして、いろいろお知恵をかりておるところでございます。また検討委員会で、各大口発注官庁の窓口の方に来ていただきまして、いろいろヒアリング等を進めて今後の改善策の検討を進めておりますが、この検討委員会の研究成果を得まして、さらに必要な対応策を今後検討してまいりたいというふうに思っております。
#368
○近江分科員 今財政が厳しいということで増税論議というものが非常に盛んになってきておりまして、ちらちらと衣の下にそういうよろいが見えまして、国民も非常に心配しております。またそういう中で中小企業が、先ほどもここで倒産件数また負債額も明らかになったように非常に苦しんでおるわけでございまして、こういうような増税というものが中小企業をさらに圧迫するということにならないように、特別なそういう配慮をこれはもうしなければならぬと思うのです。大臣も考えておると思うのでございますが、中小企業を守るという意味におきまして、そういう新税の導入であるとか、こういうことは極力というか絶対避けなければならぬ、そういうことで、この増税に対する大臣の決意をお伺いしたいと思います。それが一点。
 それから、技術革新によりまして設備の陳腐化というものが非常に進行しておるわけでございます。そういうことでこの更新を図らなければならないわけですが、そうなってきますと、耐用年数の抜本的な見直しということが非常に大事になってきますし、実態に即するようにその短縮を図らなければならない、このように思います。かねて私どもが強く要望いたしてまいりました印刷機械は一年間短縮になったわけでございまして、これは非常に結構であると思いますが、もっと短縮してもらいたかった、今後検討課題にしていただきたいと思いますが、印刷機械だけではなくて、その他の設備、これも同じように考えなければならぬと思うのです。今後この短縮につきまして基本的にどのように考えておるか、また具体的に次はこれを短縮したい、そういう目標といいますか、それをきちっと立てておられるかどうか、この二点につきましてお伺いしたいと思います。
#369
○福川政府委員 御指摘のとおり、今後の税制のあり方ということにつきましてはいろいろ議論がなされておるわけでございます。私どもといたしましては、今法人税の税負担というのが諸外国に比べましてかなり高いというようなことで、この税制のあり方が企業の活力を損ねるということがあってはならないというふうに思っておる次第でございまして、今後その税負担の増加ということが仮に将来議論されます場合には、今申しましたように特に中小企業を念頭に置くことはもとよりでございますけれども、企業全体の活力を損ねることのないように慎重に対応しなければならないと思っております。
 また、耐用年数の点についてお尋ねがございました。この耐用年数は、わが国の場合、その資産の物理的寿命とこれに経済的陳腐化を加味いたしまして決めるという建前になっておるわけでございまして、今後この現実の設備の使用の実態に基づきまして客観的に設定をしてまいりまして、今後ともその方針で対応をするのが至当ではなかろうかと考えております。印刷機械につきましては、先ほど委員からも御指摘がございましたように、今回一年間短縮という措置を講ずることで税務当局とお話し合いをさせていただいた次第でございますが、今後もその設備の使用の実態に即しましてこの耐用年数というのは決めてまいるわけでございまして、いろいろ物理的な寿命と経済的な陳腐化、こういった使用実態に即しまして、今後とも設備の実態に即して検討して適切な対応をしてまいりたい、かように考えております。
#370
○近江分科員 それは実態調査をよくされまして、この印刷機械のように次々と時代におくれないように対応してあげる、こういうことが非常に大事だと思うのです。その点を特に強く要望いたします。大臣から重ねてその点について御答弁いただきたいと思います。
#371
○村田国務大臣 設備の法定耐用年数の問題は、今福川政府委員からお答え申し上げたとおりでございます。
 例えばアメリカと日本を比較してみますと、アメリカの場合は早期投下資本回収制度ということが減価償却制度にかえて一九八一年に導入された制度であります。日本は減価償却制度でありますから建前がやや基本的に違うわけでありますが、自動車などについては日本は三年または四年、アメリカは三年、試験研究用機械については日本が四年でアメリカが三年、大体似通った点が多いわけでございます。一般の製造用設備については、先ほど福川政府委員から御説明申し上げましたように、日本の場合は非常に幅が広くて三年ないし十六年、アメリカの場合は五年ということで非常に異なっておる態様があるわけでございまして、税法上の資産償却については委員御指摘のとおり業界の要望が強いわけでございますから、今後とも真剣に検討いたしてまいりたいと思っております。
#372
○近江分科員 大分時間も残り少なくなってきましたので、あと一、二問聞きたいと思います。
 中小企業の事業継承者の問題でございますけれども、御承知のように戦後四十年たっておるわけですね。そうしますと、創設者の三分の一以上は六十代に入っておる。そこで生前の贈与、継承ということになってきますと、贈与税ということになってきますね。そういうことで非常に難しい。それを猶予して相続時点で相続課税をする、こういう要望が今非常に強いのです。これにつきまして一体どのように対応されるのかお伺いしたいと思います。
#373
○石井政府委員 御承知のように、五十八年度に承継税制につきましての改正が一部行われたわけでございます。これによりまして、地価の高騰等に伴いまして不当に過当な相続税の額が上昇するということは相当程度防ぎ得たのではなかろうかと思っておりまして、この五十八年度の税制の効果を見きわめながら今後検討させていただきたいと思っております。
#374
○近江分科員 時間が来ましたので終わりますが、小此木主査もよく聞いていただいたと思いますし、これは主査に聞くわけにいきませんけれども、十分村田さんとタイアップいたしまして強く政府部内に反映していただきますことをお願いいたしまして、終わりたいと思います。
#375
○小此木主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、松前仰君。
#376
○松前分科員 私は水産関係のことについてお伺いしたいわけでございますが、水産と言っても水産そのものではございません。それに伴う電気関係の話でございますから、通産省の管轄であるということでございます。
 水産業というものは、御承知のようにお米と同じように非常に重要な日本のたんぱく質資源でございますけれども、今石油の値上がりとか二百海里問題で大変な不況の状況に陥ってきてしまって、それで漁業関係者はどうしたらいいか頭を悩ませておもというような状況でございます。そこで、いろいろと知恵を絞って転換をしてきているわけでございます。養殖というような方向もそり中であらわれ始めておる。増殖というのも別にございますけれども、養殖というような方向に転換をしようとしてかなりいいアイデアを出しながらやってきておる。そういう中で今度は何が問題になってくるかというと、電気を使うということで電気料金についての素朴な疑問がたくさん出てきておる。その辺をきょうはお伺いしたいと思うわけでございます。
 私が例に出すのは静岡の話でございますが、ヒラメの養殖、これはもう日本じゅうから非常に注目されておりまして、非常にうまい方法をやっております。ヒラメというのは温度が非常に高くなりますと大変まずいわけで、死んでしまうわけであります。それで温度をいつも一定にするために地下の塩水をくみ上げてやるということにしますと温度は常に一定になっておる、こういううまい方法がありまして、石油だの何だの全然使わなくて済むわけでございます。そういうことでやっていこうとしているわけでございますが、そうすると、今度は地下水をくみ上げる電気が必要になってくるというわけでございます。そこでいろいろやってきておりますと、この人は一万千五百匹ぐらい飼ってやっておるわけでありますが、ほかにも三重県でも同じようなことをやっております。浜岡の方でもやっております。こういうものを育てていかなければいかぬという観点からやっておるわけですが、そこで問題は何かというと、まず、施設を二つ持っておりますと、古い施設の方で同じことをやっておるのと新しいのとありまして、その料金が違うのです。これは一体どういうことかということで素朴な質問が出てまいりました。この辺についてちょっと御説明をいただきたいと思います。
#377
○柴田(益)政府委員 今先生のお話の中で、二つ施設があって、古い施設と新しい施設を持っておられて、古い施設と新しい施設はそれぞれ電気料金が違う、なぜかということでございますが、実は、これは昭和四十八年の石油ショックを受けまして電気料金制度を四十九年度に抜本的に改正いたしました。そのときに、電力需要につきまして新しい電源開発コストの逓増傾向を反映した特別料金制度というものを電気を利用する新増設につきまして適用するということにいたしました。新しい需要に対しましては二五%ないし最高三五%の割り増しの料金を取るようにいたしたわけでございます。そういうことでエネルギーの節約、資源の節約を図るということにいたしました。そのために、四十九年の電気料金改定を境にいたしましてその前の設備は割安、その後の設備は割高、こういうことになっているわけでございます。
#378
○松前分科員 それはどうもそういうことらしいのでありますが、五つばかり私は質問させていただきます。
 二番目は季節の差です。夏と冬について非常に差があるわけでございますが、これについての基本的考え方をお聞かせいただきたい。
#379
○山本(幸)政府委員 普通の電気料金につきましてはいわゆる季節の差はなくて、先生ももちろん御存じのように、普通の家庭用電気とかあるいは一般は使っている業務用電力というのは季節の差はございません。季節の差がありますのは、電力需要が非常に大きな場合を主としておりますけれども、七月−九月、夏季につきましては電力料金を他の季節よりも一〇%高ということで設定いたしております。
#380
○松前分科員 そのよって来る根拠、大きな電力についてなぜそういうふうに差をつけなければいかぬか。
#381
○山本(幸)政府委員 御承知のように、一昔前は電力のピークは冬にございました。最近は一番のピークというのはクーラーの入る夏ということであります。電力設備につきましては、最も需要の高いとこるに合わせて設備をつくるわけでございますので、そういう意味では、その最も電力のピークになるところの電力を使う場合には、それ相応に必要な設備がかかったということで、その分の電気料金が高い。逆に言いますと、その分の七−九月という一番のピーク時にはなるべく電気を使うのを節約できる方向で制度をつくっていくということでございます。
#382
○松前分科員 一昔前、水力を使っていたときにはどうだったんですか。
#383
○山本(幸)政府委員 一昔前と申しましたのは、実は今のようにクーラーが発達する前は、むしろ電力の一番の需要というのは冬、暖房を含めましてあるいは電灯の料金も含めまして冬にピークがございました。しかし最近では、クーラーが非常に発達しまして、夏にピークが来るということを申し上げたわけでございます。
#384
○松前分科員 その次に、これはさっきのお答えの中のかもしれませんが、一般と特別と料金が分かれておるのでありますが、私が地元に言う場合にここのところはどういうふうに説明したらいいのか、その辺をお願いします。
#385
○山本(幸)政府委員 これにつきましては、先ほど柴田長官から御説明申し上げましたように、石油ショックを境といたしまして電力の電源の開発につきましてコストが非常に高くなったということでございます。したがいまして、新しく電力を必要とするような需要が出た場合には、それは新しい電源に見合ったお金を払ってもらうということでございまして、先ほど言いましたようにそれを特別料金と称しておりますが、一般の料金のほかに特別料金につきましては二五%ないし三五%割り増してもらう、例えば新しい工場をつくったりあるいは新しい業務用の電力が必要になったという場合につきましては、それについては二五ないし三五高くなるという制度になっております。
#386
○松前分科員 もう一つ、今までいろいろ差がつけられているということでございましたけれども、今度は昼と夜、これについては電力消費量は夜の方が少ないわけですね。当然これはさっきの論理からいきますと安くしていい、そういうふうに思うのでございますが、この養殖の場合においては昼夜の料金は全く同じなんですね。これはどうしてなんでしょう。
#387
○山本(幸)政府委員 昼夜につきましては、御承知のように現在、一般の家庭用につきましても、夜につきましては安くするという制度をとっております。これは夜だけしか使わないという、例えば夜に蓄熱をして水を温めておくというような場合につきましては安くするという制度がございます。それからいわゆる電力、業務用とか大口につきましても夜間については安くするという制度がございます。
 先ほどのお尋ねの件でございますが、夜の安い分とそれから昼の分とが込み込みになって請求されるので差がついていないというふうに感じられるのでございます。
#388
○松前分科員 これは、夜と星との両方全部使うということを前提にして、それでここだけは平均化してしまっているのですか。
#389
○山本(幸)政府委員 ただいまちょっと間違えまして恐縮でございました。
 この場合につきましては、今先生のおっしゃった電力、すなわち多分業務用電力になると思いますけれども、これにつきましては昼と夜の差はございません。
#390
○松前分科員 ですから、この差のないのは、昼と夜連続して使うことを前提にして平均化してしまっているということなんですか。
#391
○山本(幸)政府委員 そのとおりでございます。
#392
○松前分科員 どうしてここのところだけそういうような細工をするのです。ほかのところは昼と夜と差をちゃんとつけておる。夜間の方を有効に使ってくださいとか、そういうことで料金は下がっておるわけですけれども、ここのところだけどうしてこういうぐあいになっておるのでしょうか。
#393
○山本(幸)政府委員 先生の御指摘の御疑問は非常にそのとおりでございまして、家庭用の場合には深夜がある、それから大口の場合特にいわゆる非常に電力使用が大きな場合についてはあるわけでございますけれども、その間の小口といいますか、小口の電力料金につきましてはございません。これにつきましては、現在の制度としては昼と夜を区別して電力料金を取るという制度をやっておりませんが、この点につきましては従来からいろいろ問題が提起されておりまして、特に昼と夜それから夏と冬あるいは秋、春、そういうところで電気料金を変えるべきじゃないか、ある程度、季節別、時間別料金と言っておりますけれども、そういう料金制度をとることにつきまして、現在種々検討いたしているような段階でございます。
#394
○松前分科員 今いろいろお答えいただいたのですが、昼と夜とならしてやるということになりますと、使い方として夜だけ使うということになると半額近く、半額にはいかないけれども、かなり安い料金が設定できるのですね、十時間ぐらいにしますと。そうすると、昼の方を使う方は物すごい高いことになってしまう。それはちょっと変じゃないかな、お答えは間違ってないかなと思うのでございますけれども。
#395
○山本(幸)政府委員 答えは間違っておらないわけでございますが、先ほど申し上げました家庭用につきまして、いわゆる深夜電力というのがございます。主として今家庭用で使われておりますけれども、これは一部工業用にももちろん使えるわけでございまして、この制度が利用できないか。
 それで、先生の御指摘になられた養殖の場合でございますけれども、これにつきましても深夜電力の制度がうまく適用できるかどうかということにつきましては、どのような電力の需要になっているか、あるいはどういうふうに途中とめることができるか等々の問題がございますので、その点も含めて今後検討したいというふうに考えております。
#396
○松前分科員 このように電気料金はどうも複雑怪奇で、それぞれについていろいろ説明を受けると、それぞれにいろいろな理由があるという形になっておりまして、これはなかなか住民の方が、住民といいますか養殖をやっている方が納得しないところが多いのですよ。だから、こういう点はもうちょっとすっきりさせて、しかも先ほどおっしゃいました夜間十時間だけ取るような電気を使えばいいじゃないかという話もあるのですけれども、そうしますと、昼間の方は別の電気を使えばいいじゃないか、こうなると設備を二つやらなければいけないのですね。一本で昼と夜と別の料金にした方が、ずっとこれは設備的にはいいわけです。設備が多くなるからという理論にはならなくなってしまうのですね。そういう点もあるので、この辺をやはりやっている人の理解が十分得られるような形に将来考えていただきたい、そういうふうに思うのです。
 それで、今度通産大臣の方にちょっと一つ。どなたか先にお答えになるかもしらぬけれども、電気税というのがありまして、五%の電気税、どうもこれが養殖とかそういうのを一生懸命やっている人に対しては重過ぎるのですね。この辺を少し減らすというような方向を御検討いただけないだろうか、そういうふうに思うのですが、いかがでございますか。
#397
○柴田(益)政府委員 現在、電気税五%、これは地方税として一般に課せられておりまして、ただ三千六百円以下の使用料につきましては免税になっているわけでございます。一般的には三千六百円以下の電気料金の場合にはこれは免税になっておる。ただ、重要産業につきまして業種別に免税とかあるいは減税を指定しているわけでございます。これは専ら当該業種と自治省との間で話が決まっていくわけでございまして、当該業種につきまして自治省とその辺はよくお話しいただければ大変ありがたい、そういうふうに考えております。
#398
○松前分科員 そういう自治省との話ということでげたを預けたような格好になるわけでございますけれども、やはりこれはその目的というものを考えていかなければならぬだろうと思うのです。電気の方から見れば全然目的はわからぬけれども、しかしそっちの産業の方から見れば目的なんですから、使う方から見れば目的の方が中心になってくる。だからそういう意味で、この五%というような税について、通産大臣、今後いろいろお考えいただきたい、そういうふうに思うわけですが、簡単に一言お話しいただければと思います。
#399
○村田国務大臣 松前委員のおっしゃることはよくわかります。ただ、これは政府部内の対応の問題でございまして、今資源エネルギー庁長官も申し上げましたような事情がございますので、慎重に検討いたしたいと思います。
#400
○松前分科員 水産業、農業というものはこれからの非常に重要な分野になってくるのは当然でございますので、ぜひともそれを支えるような電気の関係についても、いろいろと使う方の納得いくような説明ができるように、そしてまた、できるだけ負担がかからないような形でやっていけるようにお考えいただければと思うわけでございます。これは将来の検討課題だと思いますので、要望ということできょうはここでこの問題については終わらせていただきます。
 次に、水産庁、運輸庁、科学技術庁の方がいらっしゃると思うのですが、今海洋開発につきましていろいろな案があちらこちらで出てきております。農水省の方はマリノベーション構想というようなことを言われておるわけで、運輸省の方は人工島の問題ですね。通産省はマリンポリスでしたか、それから科学技術庁はアクアマリンですか、国土庁もあるそうであります。環境庁はなかったのですけれども、そのほかもう一つくらいたしかあったと思いますが、いろいろたくさん出ておりまして、大体似たようなことをみんなやっているような感じなんでございますけれども、それぞれについて今ここにお呼びした三つのところだけ、ほかはちょっとネグったという意味じゃなくて、私の地元の方でそういうものが新聞に出たということで、その三つだけについて、それぞれのところから簡単にその内容なりどういう状況なのか、現状ですね、それを一分ぐらいでお話しいただければと思います。
#401
○柴田(益)政府委員 通産省の場合はマリン・コミュニティー・ポリス構想ということで今いろいろ調査をしているわけでございます。
 基本的には、このマリン・コミュニティー・ポリス構想は三つの利点がある。一つは海洋技術開発の推進に役立つ、二番目に地域社会への貢献が大きい、三番目に海洋空間の適切な利用等ができるというメリットからこれを進めているわけでございまして、その場合には沿岸地帯との一体となった開発が必要だという観点から進めているわけでございます。いろいろな関係団体の調査費を活用いたしまして、今将来構想に向けて検討を進めている段階でございます。
#402
○東説明員 先生先ほど御指摘なさいましたように、二百海里体制の定着に伴いまして、我が国周辺水域の漁場としての重要性がますます重要になっております。そこで、二十一世紀に向けまして、長期的な展望に立ちまして水産業のあるべき姿を描きつつ、その中でその周辺水域の、特に水産資源の積極的活用を図る、そのための方策を研究いたしております。したがいまして、その総合的な視点からの水産業を核とした沿岸域、沖合水域の整備開発構想でございます。
#403
○高橋説明員 運輸省といたしましても、海洋の開発利用といった問題につきまして非常に重要な問題だとかねてから考えておるわけでございまして、私ども、港湾、航路あるいは海上空港、こういったものの整備、それから海洋環境の保全、海洋開発を支援いたします技術開発、気象、海象、こういった海洋情報の収集、こういったことにつきまして従来から施策を進めてきておるところでございますが、今後さらにこれら各種の行政施策の経験を踏まえまして、また五十五年度から沖合人工島構想という調査を行っておりますが、これらの調査の結果を踏まえまして、さらに海域を多目的に利用できる新海洋都市構想というものをこれから検討してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#404
○須田説明員 科学技術庁といたしまして、沿岸海域の総合的な開発の基礎となります海域総合利用技術の開発というのを、具体的に六十年度から各地域の特性に応じて技術課題の抽出をお願いいたしまして、その技術課題をもとに関係各省庁と一緒になってこれを進めていく。場合によっては研究調整費の支出、また海洋技術センター等で技研課題が具体的なテーマになりましたら、そういうことを頭に描きながら進めていきたいという計回を持っております。
#405
○松前分科員 いろんな構想があっちこっちで出てきておるわけでございますけれども、これらはややもすれば各省庁の力を示すような形ですね。そういうような形で出てきたように見受けられがらなんでございます。というのは、これが本格的になればものすごい大変なお金がかかってくる。ですから、私はこれを思うに、こういうすごいプロジェクトになった場合に、本当にいいものをつくっていくということになれば、単に一つの省庁だけでもって案をつくって、それをどこの地域に指定するとかそういうようなやり方をしたのでは、将来の我が国の国土開発に非常に問題があるんじゃないだろうか。現時点は私は、各省庁がそれぞれのところのノーハウというものを持って、それぞれの分野でもって特性を生かして案をつくっておられる、そういうふうに判断をいたしておるわけでございます。
 そこでひとつ代表的に、申しわけないけれども運輸省の方にお聞きしますが、運輸省の方は、農水関係のことがその中に出てきたら、それは十分に運輸省だけで取り扱うことができるでしょうか。もしそれが出てきたらどういうふうにいたしますでしょうか。
#406
○高橋説明員 先ほどちょっと申し上げましたように、私ども運輸省は海に関しまして、港湾、海上保安、海運、気象、こういった行政を持っておるわけでございまして、現在のところ、そういった行政経験というものを踏まえて、さらに新たな海洋への発展というものを考えている段階でございます。これが具体的にプロジェクトとして出てまいるような段階になりましたら、関係する各省と十分調整をいたしまして具体化を図っていくということは当然だと考えております。
#407
○松前分科員 関係各省と調整をしてということになると、運輸省が中心になって、ほかのところを従えて、こういう感じになってしまうのですね。ところが、この問題はあらゆる省にまたがって、恐らく環境庁だってこれに入ってこなければいかぬでしょう。これは大変な環境問題にもかかわってきますからね。だから将来は、こういうそれぞれのところで専門知識を持って出てきた案というものを一つのプロジェクトという格好にして、それでこの地域にはこの特性を生かしたものを持ってくる、この地域はこの特性、この地域はこの特性を生かしたもの、こういう形に持っていくのが新しい国土をつくる上において一番いいことではないだろうか、私はそういうふうに思うわけでありまして、そういう意味では、ちょっと申しわけないけれども、今皆さんのお話を伺った中で科学技術庁は一番横断的に考えておられる、だけれども全体は考えていない、こういうことで、自分の範囲というものでみんなのところを援助してやろうという感じでおりますので、まあこれは将来の格好の一つであろう、そういう感じがするわけでございます。そういう意味で、ここで本当は通産大臣に御意見をお伺いしたいのだけれども、そうすると通産省に主導権が握られてしまうからこれはやめることにいたしまして、今たくさん各政府委員の方がいらっしゃいますので、それを各大臣にお伝えをいただきたい、そういうことでございます。
 時間もあと数分残っておりますが、そういうことで私はやめさせていただきます。ありがとうございました。
#408
○小此木主査 これにて松前仰君の質疑は終了いたしました。
 次に、正森成二君。
#409
○正森分科員 本日は、委員長初め皆様朝早くから御苦労さまでございます。私の一こまで最後のようでございますので、よろしくお願いいたしたいと思います。私は、これから定められた時間の範囲内で、中部電力で起こりました思想差別にかかわる問題について、若干の質問をさせていただきたいと思います。
 電力というものが、我が国の国民の生活にとりましても、また産業の正常な運営についても非常に重要な地位を占めておるということは何人にとっても疑い得ないところであります。それだけに、電力企業としてはその責任を自覚して、国民から理解され、その事業活動が支持されるような、そういう企業運営をしなければならないというように思うわけでございますが、まず通産大臣のこの点についての御見解を承りたいと思います。
#410
○村田国務大臣 電力の重要性についての正森委員の御指摘は同感でございます。
#411
○正森分科員 そこで、資源エネルギー庁長官に伺いたいと思いますが、そういう趣旨から、私は平生は大蔵委員をしておりますが、電源開発促進税というようなものがたしか昭和四十九年にできまして、水力発電、火力発電あるいは原発等の設置につきまして、地元との関係が円満にいくように電源の立地勘定というようなものがつくられまして、その後多様化勘定というように目的が広げられましたが、そういうことで、電力会社が電力の供給において支障を来さないように国としても配慮しているところであるというように思います。
 そこで、資料もいただきましたが、例えば電源立地促進対策交付金というものがございますが、昭和四十九年から、まだ五十九年はできておらないかもわかりませんが、五十八年度までの累計で全国で幾らの金額が交付されたか、そのうち中部電力には幾ら交付されたかをお答え願いたいと思います。
#412
○柴田(益)政府委員 電源立地促進対策交付金と電源立地特別交付金合わせまして、全国では二千四十一億円でございまして、そのうち、中部電力管内には百九十八億円が交付されております。
#413
○正森分科員 つまり、直接には電力会社から支出されますが、それは結局電力料金に転嫁されるわけですから、国民の税金で電源の立地等について支障を来さないように国が配慮しているわけであります。したがって、そういう配慮を受ける企業は一層国民の理解と支持を得なければなりませんが、私の私見で申しますと、国民の理解と支持を得るためには、その企業が憲法を頂点とする我が国の憲法体系といいますかあるいは法律を遵守して、いやしくも指弾されるようなことのないようにするということが最低限の条件であるというように私としては思っております。
 ところが、法務省お見えになっておりますか、大分古い話でありますが、昭和四十四年三月に、律法務局人権擁護委員会四日市支局に、中部電力の社員等七名が人権侵害問題で提訴をしたということがあったはずであります。その内容は、結局、会社の社長が七名の者の親御さんのところに会社の便せん等を使用して手紙を出しまして、その中で、例えばこういうような内容を親御さんに言った。これは技術課長の中川龍之助というのが鹿児島県の知覧町に住む山下光雄というお父さんに送った手紙でありますが、こう書いております。「最近の社会情勢からもおわかりと存じますが、革命によって社会主義国家をつくることを目的とする共産党員に対しては、会社として重大な決意で対処する考えでおります。したがって、前途ある輝昭君のためにも、御両親から直接説得の機会をもっていただくことが最良の方法であり、また御両親の説得によって転向の契機となった例もありますので、御連絡いたしたわけでございます」云々というような手紙を出したわけであります。
 これに対しまして、人権擁護局では当時お調べをいただきまして、また国会の法務委員会でも、我が党の松本善明議員が昭和四十四年六月二十七日に質問をいたしております。それに対して当時の西郷法務大臣は、「例の件は、会社も途中で気がついて取り消したというお話でございますが、憲法の規定もございますし、なすべきことではないことはもう言うまでもないと思います。」という答弁をされております。
 それで、法務局としては、私の知るところでは、昭和四十五年一月十二日付で津地方法務局人権擁護課長が一定の処理をいたしておるはずでありますが、その中でどういうような結論になっておるか、お答え願いたいと思います。
#414
○永井説明員 お答えいたします。
 十数年以前のことであり、御質問のものと若干符合しないものがあると思われますが、該当すると思われるものは、昭和四十四年十二月、津地方法務局で説示という処置をとりました人権侵犯事件がございます。その内容は、中部電力株式会社四日市火力発電所の課長二名が同課の職員の家族に対して、その職員が共産党員として活躍しているらしいとして思想転向を勧奨する趣旨等を記載した書簡を送付したものでありますが、これは、憲法十三条の基本的自由権と十九条の思想の自由を侵したものであるから、送付をした者に対しまして、憲法が国民に保障する自由と権利をより一層理解し、今後再びこのようなことのないよう十分な理解を求める旨の説示という処置をいたしました。
#415
○正森分科員 お聞きのとおりであります。そして、そういう人権擁護局の措置を受けまして質問をいたしました我が党の松本代護士のところに当時の中部電力の中川副社長が参りまして、思想、信条による差別があるならばやらないよう全社に徹底させるということを申したわけであります。これはある意味では当然のことであるというように私どもは思っております。ところが、その後明らかになり、現在依然として差別を受けておるということで、約九十名の社員が差別の是正と、そのために現在受けております賃金差別を是正せよ、これはさまざまなもの、慰謝料等を入れまして約十億円に上る裁判のようでありますが、これを名古屋の地方裁判所に提訴しております。
 そこで、すべて法廷にあらわれた証拠によって私は申し上げるわけですが、例えば昭和四十五年十一月二十六日に静岡支店の労務会議がございまして、そこの報告書というものが出されたようであります。その出された資料の中に「灯は消えた」と題される資料がございます。これは、中部電力の名古屋火力発電所等におきましてこういう人権擁護局に提訴されるような事件がございまして、そして人権擁護局から会社側が御注意を受けて、憲法十三条や十九条に反するからそういうことはしないと言っておりましたまさに同じ時期に、共産党あるいは民主青年同盟、それの同調者と目される人に対して猛烈な思想弾圧を行いまして、転向を求めまして、そして転向させたということを誇らかに記載した報告書なんです。これは、当時その地域で弾圧を受けた人が、弾圧にも屈せず頑張り抜いたということで「灯は消えず」という報告書を出したのです。そうしますと、それの向こうを張りまして、とんでもない、ともしびは消えたんだということで、会社側がこんなにやっつけてやったんだということを報告している書類であります。それが出てまいったわけですね。
 今時間がございませんので、そのことについては詳しくは報告をいたしませんが、同じころ、さらに知多の火力発電所等から「左翼思想に対する対策について」という書類が出てまいりまして、これが裁判の過程で甲百六十二号証として裁判所に提出されております。それを読みますとこう書いてあるのです。「当所における左翼思想勢力の現状」ということで、「昨年二月に基本方針が策定され、その一連の施策のなかで調査活動を強化し、左翼思想関係者の動向と実態はあくにつとめた結果」「三名の左翼思想関係者があかるみにでたが、これらの組織活動は最近とくに非公然化し、」云々ということで、何人かの人間をA、B、C、Dというように色分けをしているわけでありますが、その中で「方針」というところに、「左翼思想団体の目的を考えるとき、基幹産業である電力事業内においてその組織を壊滅し、同調者の離脱をはかることは、経営上の命題であり、社会的使命である。直接電力供給源をあずかる当所としては、その使命達成のため不退転の決意をもって次の諸対策を打ち出したので、全所員が一丸となって企業を破壊活動から守るために、今や精根を傾けて対処しなければならない。」こう書いているんですね。
 その内容を見てみますと、これは随分膨大なものでありますが、いかに共産党員その他をマークして、そして対策を立てなければならないかということが書いてあります。全部は読みませんが、一部を読んでみますと、「リストアップ者対策」とございまして、それにはア、イ、ウ、エ、オということにずっとなっておりますが、部分的に読みますと、「ア 少しでも疑わしいと思われる者がいたときは、義理人情にとらわれずすみやかに労務課に報告し、協議してその処置を決める。ウ 転向可能なものについては、間髪を入れず追及を厳しくし、情報提供をさせ、その更生をはかる。」我々は更生を図らなければいかぬ悪い人間のようになっているわけですね。「エ 追及に際しては、身元保証人、家族を利用してその効果をあげる。」まさに、これで人権擁護局から摘発されたように御両親に手紙を出しておったわけですね。「オ リストアップ者はそれぞれのランクを考慮して大幅な昇給、昇格、賞与の格差をもうける。」つまり、昇給や昇格や格差を設けなければならぬ、こう書いてあるのです。「キ B’以上のリストアップ者については日常の服務管理を厳重にし、遅刻、外出はもちろんのこと、離席、私用電話などについても逐一注意を与え、服務規律違反、勤務成績不良の実績を積みあげ、記録する。
 なお、机の配置は課長または係長の前におき、監視を容易にする。」こういうぐあいに書いているのですね。
 あるいは「コ」のところでは、「各種行事からリストアップ者を排除する。このため個体名の非公然的な方法による流布、当該クラブ補助費の削減、打切りなど、強硬策によりこれらを一掃する。」つまり、会社に各種クラブがあるわけですが、リストアップ者がおる場合にはこういう者を排除するためにしっかりやれということを書いておるのですね。これはまことに言語道断なやり方だと思わなければならないのです。
 それで、労働省にまず伺いたいと思いますが、こういうことは憲法十三条、十四条、十九条あるいは労働基準法三条の信条による差別といいますか、あるいは思想の自由を保障した憲法体系から見ても断じて許されないことであるというように思いますが、いかがですか。
#416
○菊地説明員 基準法第三条では均等待遇の条項をうたっておりまして、「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」罰則をもって強行的に定めてございます。したがいまして、これらの理由で労働条件について差別的取り扱いをするということであれば、労働基準法違反になるというふうに考えております。
#417
○正森分科員 これらの理由により差別的取り扱いをするとすればという立場でございますが、この証拠から見て、昇給、昇格について差別するとか、そういう者についてはちょっと席を離れても、私用電話をかけてもリストアップしなければならないと言っているところを見ますと、後で申しますが、現実に賃金差別も出ておりますように、ゆゆしいことであると思うわけであります。
 これは、同時にまた甲八十五号証とか百四十九号証として裁判に出されたものでありますが、「労務管理講座」というのを中部電力会社が名前入りでやっているわけですね。その中に、民主青年同盟に対してはどういうぐあいにやるかというようなことが書かれておりまして、「公益事業における従業員のあり方」という項目があります。その中でどう言っているかといいますと、大臣、聞いてください。「日本の憲法は思想、信条の自由を保証しており、日本共産党は国会議席をもった政党である。労働基準法も思想や信条による差別待遇を禁止している。」よく知っているんですね、会社も。ところが、「たしかに、法律の問題だけに限って考えればその通りであろう。しかしながら公益事業の従業員として果してそれだけの考えにとどまってよいものであろうか。」つまり、憲法なんかにとどまっておったらあかんと、こういうわけです。「公益事業として社会の構成員全体に対し責任を有する会社においては、特定な政党とか政治意識によって職場が乱されることによって、公益事業としての責任を全うしえないようなことは断じて許されない。
 したがって、好むと好まざるとにかかわらず、職場の共産党や民青同などの革命勢力から企業を防衛しなければならないことを従業員が自ら認識することが必要である。そのために、公益事業に働く産業人として十分な良識と職業人としての意識と誇りをもち、また部下を納得させることができるだけの勉強も必要である。」ということを対策の中で書いておるのです。これは証拠に出まして、そして法廷で追及されましたら、こういう「労務管理講座」を行ったのは事実でございますが、実際の講義のときにはこのページだけ外して講義をいたしませんでした。さすがに気がとがめるんですね。これを講義したとあっては裁判に負けることは必至でありますし、気がとがめてこれだけは外した、こう言っているのです。ところが証人が出てきて、私は確かにこれによって会社側の講義を受けましたという人が法廷に出てきているんですね。
 ですから、私は大臣に伺いたいと思うわけですが、私どもは、公益事業として電力会社が国民生活を守るためにも、あるいは産業基盤のエネルギー源を確立するためにも頑張ってもらわなければならないと思いますし、そしてそのためには、電源開発促進税というようなものも国会で認めておる。あるいは電力料金を決めるに当たっても、たしか電気事業法で、有益と思われる資産は八%の経費がかかるものということで電力料金が算定されておるというように、二重、三重の手厚い扱いがされておるはずであります。そうだとすれば、そういうことで国民全体から納めてもらった税で立地条件をよくする、あるいは十分に設備投資もできるように電力料金を決めるということであるならば、そういう電力料金の負担あるいは電源開発促進税等の負担をあまねく負担している国民全体の理解が得られないようなことでは、これは公益事業としての使命を果たすことができないと思うのですね。共産党員はそれじゃ電源開発促進税を払ってないのか、払っておるのですね。我々は余り大きな党ではございませんが、大体選挙では六百万人前後の御支持を得る。そういう人に対して、そういう連中は企業から排除するんだというようなことでどうやって公益事業と言えますか。仮に立場を変えまして、遠い将来でございましょうが、十年、二十年、三十年たちまして我々が政府をあずかる民主連合政府ができ、万々が一にも我々が通産大臣その他の職につき、そのときに自由民主党の党員や同調者に対してはここに書いてあるような労務管理を行い、排除し、賃金差別を行うということがあって、それが現憲法体系で許されるでありましょうか。同じことなんですね。
 ですから、こういうことは断じて行われてはならないということで労働省や法務省の人権擁護局がそういう態度をとられるのは当然として、通産省や資源エネルギー庁としても、こういうことがもし事実とすれば決して好ましくないということで、一定の助言あるいは御指導を賜りたいというのが私の切なる願いであります。通商産業大臣の御感想あるいは御所見を承りたいと思います。
#418
○村田国務大臣 正森委員にお答え申し上げます。
 本件のような労使間の問題や人権擁護の問題につきましては、第一義的には法務省、労働省において判断されるべきものと理解をいたしております。また、本件の中部電力株式会社の職員の待遇問題につきましては、昭和五十年から司法上の係争事件になり、現在まで係属しているものと承知をいたしております。したがって、当省としては、当面、労働省等関係機関によって示される判断や訴訟の推移を見守ってまいる所存でございます。
#419
○正森分科員 そういうことをお聞きしているのではない。私のところへもきのう課長補佐クラスの下僚が参りましていろいろ事情を聞いて、答弁の要領などを私どもに言っておりましたが、それは課長クラスあるいは課長補佐クラスがお答えになることで、政治家としての村田通産大臣はどういうように憲法感覚としてお考えになるかということをお伺いしておるわけであります。私は従前この種の問題を郵政大臣あるいは法務大臣等に伺いましたが、郵政大臣のように直接法務省や労働省と関係のないところの大臣でも、憲法体系から見ては事実としては好ましくないとか、そういう一定の政治的な判断をお答えになっております。私は、あえて一言、村田通産大臣の政治家としての御所見を承りたいと思います。
#420
○村田国務大臣 通産省といたしましては、従来から電力の適切かつ安定的供給の確保等の観点から、業務、経理等の面について所要の規制、指導を行ってきたところでございまして、今後とも通産省としては万全を期してまいる所存でございます。
#421
○正森分科員 ちょっと聞こえなかった。何について万全を期していきたいと思っておられるのですか。電力供給について万全を期すなんてのは通産省として当然のことで、企業の中で今申しましたように憲法体系に反するような労務管理あるいは人権擁護局や場合によったら労働省のお世話にならなければならないというようなことが行われている場合には、通産省としてもやはり一定の関心をお持ちになるのが当然だと思うのです。私は大蔵委員でございますが、大蔵省の管轄の金融機関で不当労働行為がございまして、五名ぐらいの者が首を切られて、十数年にわたって紛争が継続しておるという件について渡辺大蔵大臣の当時に質問をしたことがございますけれども、それは本来労働行政の問題ではありますけれども、労使関係が安定していないということは金融行政の上でも一定の影響があるということで、助言その他の措置をとりたいという答弁をいただいた経験があります。通産省も、公益事業で電源開発促進税というようなものまで出して一定の立地について配慮している。ところが、その公益の目的から反するような、憲法体系を真っ向からじゅうりんするようなことが行われているとすれば、それに対して通産大臣が一言あってしかるべきであります。
#422
○村田国務大臣 先ほど申し上げましたように、これは行政機関の問題としては、労働省、法務省で判断されるべきものと考えます。また、昭和五十年から司法上の係争事件となって係属されておるものでございますから、そのことを申し上げた次第でございます。
#423
○正森分科員 私は村田通産大臣がもう少し血の通った答弁をしていただけると思っておりますが、現在までのところ余り血潮が感じられませんけれども、そのうちお考えがお変わりになるかもしれないということで質問を続けさせていただきます。
 今まで私が挙げました証拠は昭和四十年来でございましたが、最近、また昭和五十五年七月に「大垣制御所長殿」という副所長が執筆した報告書が証拠に出てまいりまして、「共産党員の現状について」ということでの報告書であります。それを見ると、一番下の職制が主任なんですね。普通が社員で、主任になりまして係長、課長と上がっていくわけですが、その主任にさえも、メッコを入れた共産党員もしくはその同調者、特の上にマルを書いてマル特というのです、それはしないのですが、その「主任級に対する対応」についてこう書いております。「主任は順役付職で、役付職の予備軍と云う事で主任にさせない考えで進んでいる。」つまり、こういうマル特の諸君は主任にしないんだということをはっきり書いておりまして、その(4)のところでは「日常業務においてオチョンボ記録をとっておき、理由項目とする。」何かチョンボをしたらすぐその項目をとっておく。あるいは11のところでは「日常業務において失敗をメモしておき、いやな事ではあるが、現場−総務課佐藤氏−労務課林副長へ」ということで、それを順次上げていくということを言っておるのですね。
 労働省おりますか。労働省は、こういう証拠が出てまいりましたことに基づきまして、ついこの間のことでありますが、思想による差別を明確に示したようなものである、これに対して差別是正で早急に調査をするようにということで、愛知と岐阜大垣の労働基準局や労働基準監督署というところへ申し入れをなされたはずであります。そのうち、愛知の労働基準局はこれに対して、会社側に対して十分注意せよという指導をしたとも聞いておりますが、こういう問題について御答弁を願います。新聞にも出てますよ。
#424
○菊地説明員 昨年の十二月中下旬だったと記憶しておりますが、要望書をいただきまして、関係の局において経営側等から事情を聴取しておりまして、そのようなことのないようにというような指導をしたということは承知してございます。
#425
○正森分科員 時間でございますが、法務省刑事局来ておりますか。たしか昭和五十三年の二月ごろだったと思いますが、中部電力の津支店の立地環境担当部長と課長が贈賄事件を起こしたということが新聞に出ておりますが、その事案の簡単な概要と処理状況について御報告を願います。
#426
○東條説明員 ただいまお尋ねの事案、確かに先生御指摘のように、二月十日、中部電力の津支店の二名の職員を贈賄罪により津簡易裁判所に略式起訴いたしまして、十七日に罰金刑の言い渡しがございました。
 その事案の内容を簡単に申し上げますと、五十一年七月十三日ごろ、中部電力が紀勢町声浜地区に予定しております原子力発電所の建設計画の推進を、同町の町長が重要施策として取り上げて推進活動をしてくれたことに対する謝礼というような意味合いにおきまして、現金三十万円を贈与したということでございます。
#427
○正森分科員 この事案について、一月の二十五日の朝日新聞に載っておりますが、中部電力の加藤社長が当時の河本通産大臣のところを訪れまして、電力行政と直接何にも関係ないのですが、こういう贈賄事件を起こしたことについて河本通産大臣に、政府が挙げて電源立地推進に取り組んでいる際、法に触れるような疑惑を招きまことに申しわけない、こう言って謝っているのです。河本通産相はそれに対して、電源立地には地元の理解と協力が必要不可欠なので、信頼を損なうような行動は厳に慎んでほしい、こう述べて注意をしているのですね。だから刑事事件が起こった場合でも、これはやはり電力会社の経営そのものに一定の関係があると思った場合には、通産大臣は意見を言い、注意を与えているのですね。ですから私も、今述べましたような従業員との関係で憲法体系に触れ、労働省や法務省も一定の注意を行わざるを得ないような事案については、やはり通産大臣が一定の注意の喚起とかあるいは助言を行われてもいいのではないかということであえて申し上げているわけであります。
 私は、村田通産大臣は九段の宿舎でも一緒でございまして、食堂でお見受けする限りは常々いいお人柄であると思っておりますが、しかしこういうようにきちんとした場所では、どうも今見ておりますと、そこに置いてある下僚の書きました答弁事項を読み上げられるだけのようで、私は時間がございませんから読み上げませんでしたが、この記録を見ますと日常でも非常に差別をされておるということで、もう涙なくしては読めないようなこともあるんですね。時間が参りましたので、委員長、やめさしていただきますが、一言これについての御所見、御感想をお述べいただきたいということを申し上げたいと思います。
#428
○村田国務大臣 お述べになりましたように正森委員と宿舎も同じでございまして、その意味では極めて私どもは親近感を持ち合っていると思いますが、この問題につきましては、先ほど申し上げましたように、政府としては労働省、法務省で判断をされるべきものであると考えており、また昭和五十年から司法上の係争事件になり、現在まだ係属しておるわけでありまして、現在の段階で、当面、労働省等関係機関によって示される判断や訴訟の推移を見守ってまいる、こういう考え方でございます。
#429
○正森分科員 今のような答弁が続きますので、これでもう終わりますが、最後に、差別を受けております九十名の一人の、でぎみつるという方が裁判に踏み切りましたときに詩を書いておられます。この詩は、私は読んで涙なくしては読めないような詩であります。長い詩ですが、その一部を読ましていただきます。
 思想差別をテコにした会社の
 思いのままの低賃金政策。
 「文句云えばアカと云われる
 くやしいが俺はこわいで……」と
 口びる噛む友よ、
 真向に立ちふさがる黒岩に
 最初のクサビはまず俺が打ちこもう
 小さな力でも
 次々と打ち続ける力が雷鳴となって
 不正をくだいて とどろく日まで。
 友よ正義の力を出し合おう。
 くやしさを 生涯にのこすまい
 まず一撃に心をこめるのだ
こう書いてあります。
 私は、通産省がそういう御姿勢ならば、法務省や労働省は、いろいろ訴えを受けた場合には厳正な態度で、どんな大企業といえどもこういう憲法体系を無視することは許さないという立場で対処していただくことを切にお願いいたしまして、時間を超過いたしましたので終わらせていただきます。ありがとうございました。
#430
○小此木主査 これにて正森成二君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明八日午前九時から開会し、引き続き通商産業省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後七時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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