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1984/03/07 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第四分科会 第1号
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1984/03/07 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第四分科会 第1号

#1
第102回国会 予算委員会第四分科会 第1号
本分科会は昭和六十年二月二十六日(火曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      小杉  隆君    橋本龍太郎君
      山下 元利君    井上 普方君
      川俣健二郎君    吉田 之久君
      東中 光雄君
二月二十六日
 山下元利君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
―――――――――――――――――――――
昭和六十年三月七日(木曜日)
    午前九時開議
出席分科員
  主 査 山下 元利君
      小杉  隆君    橋本龍太郎君
      網岡  雄君    川俣健二郎君
      田中 恒利君    田並 胤明君
      浜西 鉄雄君    細谷 昭雄君
      和田 貞夫君    吉田 之久君
      米沢  隆君    中島 武敏君
      東中 光雄君
   兼務 井上 一成君 兼務 大出  俊君
   兼務 佐藤  誼君 兼務 沢田  広君
   兼務 竹内  猛君 兼務 辻  一彦君
   兼務 岡本 富夫君 兼務 駒谷  明君
  兼務 春田 重昭君 兼務 平石磨作太郎君
   兼務 青山  丘君 兼務 滝沢 幸助君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
        労 働 大 臣 山口 敏夫君
 出席政府委員
        厚生大臣官房会
        計課長     黒木 武弘君
        厚生省健康政策
        局長      吉崎 正義君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省生活衛生
        局長      竹中 浩治君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        厚生省社会局長 正木  馨君
        厚生省児童家庭
        局長      小島 弘仲君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        厚生省援護局長 入江  慧君
        労働政務次官  浜野  剛君
        労働大臣官房長 小粥 義朗君
        労働大臣官房会
        計課長     若林 之矩君
        労働大臣官房審
        議官      中村  正君
        労働大臣官房審
        議官      白井晋太郎君
        労働大臣官房審
        議官      野見山眞之君
        労働省労政局長 谷口 隆志君
        労働省労働基準
        局長      寺園 成章君
        労働省婦人局長 赤松 良子君
        労働省職業安定
        局長      加藤  孝君
        労働省職業安定
        局高齢者対策部
        長       小野 進一君
        労働省職業能力
        開発局長    宮川 知雄君
 分科員外の出席者
        総務庁行政監察
        局監察官    長野 文昭君
        大蔵大臣官房企
        画官      溝口善兵衛君
        大蔵省主計局主
        計官      小村  武君
        文部省初等中等
        教育局小学校課
        長       熱海 則夫君
        文部省初等中等
        教育局幼稚園課
        長       大谷 利治君
        農林水産大臣官
        房企画室長   近長 武治君
        農林水産省経済
        局金融課長   眞鍋 武紀君
        郵政大臣官房人
        事部給与課長  高木 繁俊君
        郵政省貯金局電
        子計算計画局長 佐谷戸正夫君
        労働大臣官房政
        策調査部長   岡部 晃三君
        労働省労働基準
        局補償課長   佐藤 正人君
        労働省労働基準
        局安全衛生部長 小田切博文君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部長 高橋 伸治君
        建設大臣官房地
        方厚生課長   近藤 茂夫君
        建設省建設経済
        局労働資材対策
        室長      林  雄作君
        日本専売公社総
        務理事     岡島 和男君
        日本国有鉄道旅
        客営業課長   斎藤  蓊君
        日本電信電話公
        社厚生局長   中原 道朗君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     清水  勇君
  東中 光雄君     簔輪 幸代君
同日
 辞任         補欠選任
  清水  勇君     井上 普方君
  簔輪 幸代君     東中 光雄君
同月七日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     田並 胤明君
  川俣健二郎君     網岡  雄君
  吉田 之久君     米沢  隆君
  東中 光雄君     岡崎万寿秀君
同日
 辞任         補欠選任
  網岡  雄君     山花 貞夫君
  田並 胤明君     細谷 昭雄君
  米沢  隆君     吉田 之久君
  岡崎万寿秀君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  細谷 昭雄君     田中 恒利君
  山花 貞夫君     上野 建一君
  東中 光雄君     柴田 睦夫君
同日
 辞任         補欠選任
  上野 建一君     馬場  昇君
  田中 恒利君     渡辺 嘉藏君
  柴田 睦夫君     林  百郎君
同日
 辞任         補欠選任
  馬場  昇君     和田 貞夫君
  渡辺 嘉藏君     細谷 昭雄君
  林  百郎君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  細谷 昭雄君     井上 普方君
  和田 貞夫君     浜西 鉄雄君
  山原健二郎君     正森 成二君
同日
 辞任         補欠選任
  浜西 鉄雄君     川俣健二郎君
  正森 成二君     中島 武敏君
同日
 辞任         補欠選任
  中島 武敏君     東中 光雄君
同日
 第一分科員沢田広君、青山丘君、第二分科員井
 上一成君、岡本富夫君、駒谷明君、春田重昭君
 、第三分科員大出俊君、平石磨作太郎君、第六
 分科員竹内猛君、辻一彦君、第八分科員佐藤誼
 君及び滝沢幸助君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
 (厚生省及び労働省所管)
     ――――◇―――――
#2
○山下主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。何とぞよろしくお願いいたします。
 本分科会は、厚生省及び労働省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算中労働省所管について、政府から説明を聴取いたします。山口労働大臣。
#3
○山口国務大臣 第百二国会予算委員会第四分科会における昭和六十年度労働省所管一般会計及び特別会計予算の御説明を申し上げます。
 労働省の一般会計の歳出予算額は四千八百九十二億二千四百万円で、これを前年度当初予算額四千九百三億二千三百万円と比較いたしますと、十億九千九百万円の減額となっております。
 次に、労働保険特別会計について御説明申し上げます。
 この会計は、労災勘定、雇用勘定、徴収勘定に区分されておりますので、勘定ごとに歳入歳出予算額を申し上げます。
 労災勘定は、歳入歳出予算額とも一兆六千五百三十七億九千四百万円で、これを前年度予算額一兆六千二百七十九億六千百万円と比較いたしますと、二百五十八億三千三百万円の増加となっております。
 雇用勘定は、歳入歳出予算額とも一兆九千八百九十三億九千六百万円で、これを前年度予算額一兆九千五百六十億六百万円と比較いたしますと、三百三十三億九千万円の増加となっております。
 徴収勘定は、歳入歳出予算額とも二兆五千七十八億八百万円で、これを前年度予算額二兆四千二百十六億五千九百万円と比較いたしますと、八百六十一億四千九百万円の増加となっております。
 最後に、石炭並びに石油及び石油代替エネルギー対策特別会計の石炭勘定のうち当省所管分としては、炭鉱離職者の援護対策等に必要な経費として百七十九億三千五百万円を計上しておりますが、この額は、前年度予算額百八十一億六千九百万円と比較いたしますと、二億三千四百万円の減額となっております。
 昭和六十年度の予算につきましては、限られた財源の中で各種施策について優先順位の厳しい選択を行い、財源の重点配分を行うことにより、新たな行政需要に積極的に対応し得るよう、きめ細かく、かつ、効率的な労働施策の実現を図ることといたしております。
 以下、主要な事項につきまして、その概要を御説明申し上げるべきでございますが、委員各位のお手元に資料を配付してございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたいと存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
#4
○山下主査 この際、お諮りいたします。
 労働省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○山下主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔山口国務大臣の説明を省略した部分〕
 次に、その主要な内容について概略御説明申し上げます。
 第一は、ME化等産業構造、就業構造の変化に対応した労働対策に必要な経費であります。
 技術革新への円滑な適応を図るため、職業訓練大学校に情報工学科を新設する等のME機器の普及に対応した能力開発対策、VDT作業に関する指導指針の策定を初めとする技術革新下の安全衛生対策を進めるとともに、人間と技術の共存を図る観点から、高年齢者等の職域拡大を図るためのME機器の研究開発を計画的に推進してまいります。
 また、ME化への対応のあり方について、マイクロエレクトロニクスと労働に関する国際シンポジウムを開催すること等により、労使を初めとした広範なコンセンサスの形成を促進していくこととしております。
 このほか、著しく増大しているパートタイム労働者の雇用の安定を図るための、パートバンクを中心とした職業紹介体制の充実、雇用調整の実態に即応した雇用調整助成金制度の拡充、改正雇用保険制度の適正な運営、地域雇用開発推進事業の拡充などにより、雇用失業情勢の変化に即応した機動的な雇用対策を展開することとしております。
 これらに必要な経費として、一兆三千七百四十八億八千九百万円を計上いたしております。
 第二は、高齢化社会の進展に対応した労働対策に必要な経費であります。
 昭和六十年度は、六十歳定年の一般化の最終目標年度であることにかんがみ、その実現をより確実なものとするため、定年延長指導の強化、高年齢者職場改善資金融資制度の充実、定年延長奨励金の活用等各種指導援助措置の拡充強化により、定年延長の推進に一層努力してまいります。
 また、今後大幅な増加が見込まれる六十歳台前半層については、高年齢者雇用確保助成金の普及活用等により、短時間勤務を含む雇用の延長を推進するとともに、シルバー人材センターの拡充を図る等により、この年齢層の多様な就業ニーズに対応した雇用就業対策の推進を図ることとしております。
 さらに、特定求職者雇用開発助成金の活用等による高年齢者の再就職援助対策の促進、公共職業訓練施設における高年齢者向け訓練科の増設による職業能力の開発向上など、高年齢者の雇用就業対策の総合的な推進に努めてまいります。
 これらに必要な経費として、九百五十七億二千七百万円を計上いたしております。
 第三は、経済社会の変化に対応した能力開発対策に必要な経費であります。
 事業主の行う自主的な職業能力開発の一層の推進を図るため、生涯能力開発給付金制度の適用対象となる年齢を拡大するとともに、職業能力開発推進者制度の創設、職業能力開発サービスセンターの新設などの措置を講じることといたしております。
 また、公共部門における職業能力開発についても、都道府県に対する助成を補助金方式から交付金方式に改正する等により、地域ごとのニーズに応じた職業訓練施設の自主的、弾力的運営を図るための体制を整備することといたしております。
 さらに、地域職業訓練センターの増設等により、企業における職業訓練に対する援助を進めるとともに、国際職業訓練競技大会を開催する等、技能尊重機運を醸成してまいります。
 これらに必要な経費として、七百五十四億九千八百万円を計上いたしております。
 第四は、労働者の安全、健康の確保対策に必要な経費であります。
 六十年度においては、安全衛生技術センターの増設、自動機械の安全システムに関する研究開発の実施等による機械等の安全確保対策、建設業等の屋外型産業や中小企業における労働災害防止のための施策を推進するとともに、じん肺、振動障害等についての総合的な職業性疾病対策を進め、労働災害の着実な減少を図ることとしております。
 なお、不幸にして労働災害をこうむった方々やその遺族に対しましては、適正迅速な労災給付を行うとともに、労災被災者の社会復帰の促進を図ることとしております。
 これらに必要な経費として、九千五百十八億二千六百万円を計上いたしております。
 第五は、労働条件の向上と勤労者生活対策に必要な経費であります。
 労働時間短縮については、各界の有識者で構成される労働時間問題懇談会を開催し、国民的合意の形成を図るなどにより、強力に推進してまいります。
 また、勤労者の心身両面にわたる健康対策、特に、メンタルヘルス面での対策を講ずることとし、このため、企業における健康相談のための指導者の養成を図ることとしております。
 さらに、本年が国連で定めた国際青年年であることにかんがみ、勤労青少年スポーツの振興等、勤労青少年の福祉を増進するための対策を実施するとともに、職業ガイダンスの充実等、若年者に対する雇用対策を展開することとしております。
 このほか、最低賃金制度の推進、未払い賃金立てかえ払い事業の充実、中小企業退職金共済制度の普及促進、勤労者財産形成促進制度の普及促進、勤労者のための各種福祉施設の整備等を行うこととしております。
 これらに必要な経費として、五百十九億九百万円を計上いたしております。
 第六は、雇用における男女の均等な機会及び待遇の確保対策に必要な経費であります。
 「国連婦人の十年」の最終年である本年、国連の女子差別撤廃条約を批准するため、雇用における男女の機会の均等と待遇の平等を確保するための法制の整備を期しているところであります。
 また、育児休業制度の普及を促進するため、育児休業奨励制度の大幅な拡充を図るほか、女子の就業パターンの多様化等に応じた各種施策を推進することとしております。
 これらに必要な経費として、十九億千七百万円を計上いたしております。
 第七は、特別の配慮を必要とする人々の職業生活援助対策に必要な経費であります。
 心身障害者対策については、身体障害者雇用率達成指導を引き続き強力に推進するほか、心身障害者職業センターにおける精神薄弱者を対象とした職業準備事業の試行的実施など、重度障害者や精神薄弱者に重点を置いた対策を講ずることとしております。
 また、身体障害者の社会復帰を促進するための、治療から社会復帰までを一貫して行う総合リハビリテーション施設の設置については、医療部門の建設に引き続き職業訓練部門等の建設に着手することとしております。
 このほか、農山村地域雇用開発推進事業の新設等により、出稼ぎ労働者等が多数居住する地域における雇用対策を推進するとともに、建設労働者、同和関係住民、炭鉱離職者等の雇用の安定を図るための対策を促進することとしております。
 なお、地方公共団体に対するいわゆる高率補助金については、臨調答申、行革審意見等を受け、六十年度における暫定措置として補助率の引き下げを行うこととしておりますが、失業対策事業費補助金等についても、その一環として、補助率の引き下げを行うこととしております。
 これらに必要な経費として、一千三百八十六億三千六百万円を計上いたしております。
 第八は、経済社会の変化のもとでの、労使関係安定対策に必要な経費であります。
 産業労働懇話会を初め、新たに実施する労使団体の実務者レベルとの政策問題に関する懇談の場を通じ、政労使間の相互理解と信頼関係を一層深めるなど、安定した労使関係の形成の一層の促進に努めることといたしております。
 これらに必要な経費として、四億四千八百万円を計上いたしております。
 第九は、変動する国際社会に即応する労働外交に必要な経費であります。
 我が国の労働事情に対する国際的理解の促進を図るため、従来から行ってきた諸外国の労働組合指導者の招聘事業に加え、欧米諸国に対する政労使三者構成ミッションを派遣する等の国際交流を積極的に展開することとしております。
 また、開発途上国に対しては、職業訓練を初めとして、労働の各分野におけるセミナーの実施、民間企業の行う海外職業訓練協力に対する援助等の広範な人づくり協力を進めてまいります。
 これらに必要な経費として、四十四億五千四百万円を計上いたしております。
 以上のほか、総合的な労働政策の樹立と労働行政体制の整備及び一般行政事務費等に必要な経費を計上いたしております。
 以上、昭和六十年度労働省所管一般会計及び特別会計の予算について概略御説明申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力をお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○山下主査 以上をもちまして労働省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○山下主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。網岡雄君。
#8
○網岡分科員 私は、中部技能開発センターの設置、それから愛知県女子総合職業サービスセンターの新設について、二つ労働省当局の御見解をただしたいというふうに思いますので、よろしくお願い申し上げます。主査の御指示がありましたように、私どももずばりそのままを申し上げますので、要点をまとめて御答弁をいただきたいというふうに思います。
 まず第一に、中部技能開発センターの設置についてでございますが、我が国の雇用情勢というのは、御案内のように、技術革新の進展、産業構造の転換など社会経済情勢の激しい変化に伴いまして、労働者の技能向上に対するニーズというものは非常に多種多様にわたってきておるわけでございます。したがいまして、職業生活の全期間を通じて、必要な時期に、しかも有効適切な職業訓練が受けられるような職業訓練の施設の整備並びに労働者の技能評価の制度としての技能検定の拡充というものは、今日の雇用情勢の中で重要な課題であるというふうに思っております。
 愛知県と地元業界では、これらの情勢を踏まえまして、中央または関西技能開発センター、こういう二つの技能開発センターが既に設置されているわけですが、これと同様規模程度の技能開発センターを愛知県小牧市内に設置してもらいたい、こういう要請が実はございます。愛知県、中部圏を含めます労働者の数及び技能検定の受検状況などを参考に示しながら、ひとつ労働省としての御見解をお聞きしたいわけでございます。
 全国では、農林水産を除きまして、全産業に従事している従事者は、端数を切りますが、五千百万程度でございます。中部圏全体でいきますと、中部九県では八百九十七万、これに対して愛知県単独では三百五万、こういうことでございまして、全国の産業従事者に対する中部圏の割合は一七・五%、そして中部圏の中に占めます愛知県の産業従事者、労働者は三四%と、いずれも中部圏、愛知県は全国的に見ましても、東京、大阪などに匹敵する非常に高い数値を示しておるわけでございます。
 さらに、技能検定の受検の数でございますが、全国では十五万七千ぐらいでございますけれども、中部圏全体では三万五千、愛知県では一万三千、こういうことになりまして、これまた全国の技能検定受検者の中に占めます中部圏の比率は二二・六%、そして中部圏の中に占めます愛知県の比率は三七・五%と、いずれも中部圏、愛知県の占めます技能検定受検者数の比率というものは、全国的な視野から見ましても非常に高いものでございます。
 したがいまして、愛知県地元産業界といたしましては、中部圏という広域的な観点から、中部圏の拠点である愛知県の小牧市内に技能開発センターを設置してもらいたい、こういう要請があるわけでございます。今度、来年度の予算の中で、労働省は一千万円の予算を計上されまして、この開発センターの基本設計をおやりになる、こういうふうに予算を組まれているわけでございますが、この点につきましては私は労働省を評価したいと思うわけでございます。
 この際、お聞きをしたいわけでございますが、開発センターは、設計が終わらないと細かい点は御説明ができないかと思いますけれども、この際、どういう基本的な機能を持ったものにしていくかという点について明らかにしていただきたいということを、まず第一にお伺いしたいと思います。
#9
○宮川政府委員 職業訓練法の昭和五十三年の改正におきまして、従来の総合高等職業訓練校を技能開発センターと職業訓練短期大学校に振り分け、新しい時代に対処しようということで今まで努力してまいりました。
 それで、先生御指摘の愛知のそれにつきましては、愛知総合高等職業訓練校というのがございます。これは、大体昭和二十年代に建物もできまして、大変古くなってまいりました。ちょうど建てかえの時期でもございますし、今申し上げましたような振り分けをやっていくそれの時期でもございます。そういうところで、愛知県から特別な御要望がございました。ご指摘のように、中部九県の中で愛知県の占めるそれというものが、労働者数その他から見ましても大体三割強でございます。それから技能検定につきましても三七%という御指摘がございました。そのとおりでございまして、県の強い御要望ももちろんございましたが、私どもといたしましても、首都圏、それから近畿圏に並ぶ中部圏のそれとしてやはり力のある、しっかりした設備が必要であろう、かように考えて、愛知県とも御相談を進めてきたところでございます。
 五十九年度におきましては、いわゆる調査費、それから今年度は一千万の基本設計料を計上したところでございますが、通常ではここまで丁寧な措置はとりません。これは、今先生種々御指摘がございましたように、いずれにしても中部九県の中核である愛知県につくるということからして、それ相応の設備が当然必要であろう。また、工場、事業場も多うございますし、特に先端産業的なものも多うございますので、向上訓練というような要望も大変強うございます。マイクロエレクトロニクス等を中心とする技術革新に対応できるようなそれでなければなりませんので、近隣の公共職業訓練施設のいわばリーダー格になれるような、そうしたものを私どもとしても十分考えていきたい、そういうことで基本設計料をお願いしているようなところでございます。いずれにいたしましても、中部九県の中核にあるということを十分念頭に置きまして、前向きに立派な施設をつくるように努めてまいりたい、かように考えております。
#10
○網岡分科員 県から労働省にも陳情がされていると思うのでございますが、その中に一応地元側が描いておる「中部技能開発センターの機能体系図」がございます。それによりますと、中部技能開発センターというものの機能の特色としては、従来中央や関西にありました向上訓練、それから能力開発訓練の実施、それから技能検定の試験場として施設を提供する、こういうことが特に主眼になっているようでございます。
 理由としては、中部技能開発センターとして中核的な役割を果たすものが必要だということで私はきょう御質問申し上げておるわけでございますが、私どもの職業訓練のあり方といたしましては、まず第一に公共訓練施設の整備というものが大事だ。しかも、その中に占める各県の公共訓練施設の整備というものは、今の状況の中では非常に重要だ。こういうことを私どもは、どうでもいいと言うつもりはございません。したがって、これはやはり地域における、県における一つの拠点として整備をしていただきたいわけでございます。しかし、今の公共訓練施設の各県の状況を見ますと、技能検定をやっていく場合に、その実技の施設というものは、職業訓練の各県段階の施設によりますと、十分要請にこたえられるようなものになっていないという状況がございます。これは国においても積極的に整備していただきたいと思うのでございますが、そういう状況を考えてみましたときに、こういう中部技能開発センターで技能競技やあるいは技能検定というものの実技のテストをやっていく場合に、便宜を図っていく場所提供というものが必要だと言われているわけで、その要請にこたえたいということを願っておみえになるわけでございます。
 それから、特にこの中部技能開発センターの特色としては、一つは、先端技術産業関連職種の訓練を他の公共施設の訓練と比較した場合に、高度なものを設備していきたい。そしてそのニーズにこたえるように訓練をやっていきたいというのがこの中部技能開発センターの特色だ、こういうことでやっていきたいという希望が、ございます。
 それからもう一つは、在職労働者の訓練を強化していくために、特に企業からの受託訓練の受け入れを積極的にやっていきたい、こういうことを一つの特色にしたいというふうに思っているということです。
 それから、他の技能開発センターと違っている点は、職業訓練のあり方が、技術革新のテンポに伴いまして、きのうの訓練技術はきょうは古い、こういうような日進月歩のテンポでございますから、そういうものに即応できるような技術訓練の開発、新しい訓練技法の資料提供、こういうことや、あるいは在職労働者に対する先端技術に関する知識の資料提供などを、他の技能開発センターとは違うものにしていきたい。特にこういうところに力点を置いたものにしていきたいということを願っておるようでございますが、これらの点につきましては、これらの要求が時代のニーズに合ったものであるというように私ども思っておるわけでございますけれども、労働省としては、基本設計の中でこれらをどう踏まえて対処されようとしているのかという点についてお答えいただきたいと思います。
#11
○宮川政府委員 先生もよく御存じのとおり、技能開発センターにせよ、職業訓練短期大学校にせよ、雇用促進事業団をして経営させております国の施設でありますが、何はともあれ、地域の公共団体、特に県あるいは市、こういうところと十分連絡をとり、またその御希望を十分入れていきませんと、生きた施設になりません。そうした意味で、愛知県の御要望等にも十分こたえられるよう、今よく相談をしているところでございますが、御指摘のありましたように、これだけ工場、事業場の特に集積した場所でございます。したがいまして、技能検定の受検者の数も大変多うございます。そうしたことからいきますと、現在、都道府県の職業能力開発協会が技能検定の実技試験の実施に当たっておりますが、その場所を探すのに大変苦労しておるというのが実情でございまして、当然、相当程度の施設をつくる以上は、技能検定の実技試験の会場その他として利用でき、都道府県の能力開発協会を十分支援できるようなものがまことに必要だろうと思います。そうした面も十分考えてまいりたいと思います。
 それから、特に先端的な工場が多うございますので、在職労働者に対する訓練を行います向上訓練の需要が多い、これも先生御指摘のとおりでございます。当然企業から受託いたしまして、短期間あるいは一定の期間向上訓練を先端的な技術につきまして行いまして、またそれぞれの事業場に帰ってもらうわけでございますが、そうしたニーズが特別に多い地域であるということも十分承知しております。
 それから、当然のことながら技術革新はもう日進月歩でございます。また、そういう特殊なといいましょうか、特別進んだ地域でもございますので、つくる以上はそうした企業、工場、事業場、さらには労働者のニーズに十分こたえられるものでなければならないと思いますので、新しい技法の開発、それからいろいろな情報の提供、指導、そうした面につきましても、周辺の公共職業訓練施設ではなかなかできないようなことまで含めまして、十分指導的な立場に立てるような施設を、県ともよく相談いたしまして考えていきたい、かように考えております。
#12
○網岡分科員 最後に、この中部技能開発センターはことし基本設計をやっていかれるわけでございますが、最終的に開設の運びになるのは、労働省としては今日時点で大体何年ごろを目標にしているかということについてお示しいただきたいと思います。
#13
○宮川政府委員 今まで申し上げてまいりましたように、かなりの施設でございます。したがいまして、簡単にはまいりません。そういうことで、基本設計というようなことに特別な経費をいただきたいとお願いしているところでございますが、六十年基本設計をいたしまして、六十一年着工いたしますと、一年、幾らかかりましても二年、そういう感じで開設の運びにしたい、かように考えておる次第でございます。
#14
○網岡分科員 確認でございますが、六十二年には完成の運び、こういうことで確認してよろしゅうございますか。
#15
○宮川政府委員 これはこれから予算をお願いするわけでございますから、私がそういうふうに申し上げるのはなかなか難しゅうございますが、そういう気持ちでやっております。
#16
○網岡分科員 時間も迫っておりますから、次に移りたいと思います。
 次は、愛知県女子総合職業サービスセンターの新設について御質問申し上げたいと思います。
 御案内のように、国会でも男女雇用機会均等法案が衆議院は通過し、参議院で今審議中、内容については与野党間においていろいろ議論のあるところでは、ございますが、一致しておりますことは、婦人の差別を撤廃する条約を批准するための、婦人の雇用の拡大と婦人の働く権利を保障する、こういう点では一致しておるわけでございまして、これに向けて今、国会でも審議をされている、こういう状況がございます。この状況によって象徴されておりますように、婦人の雇用における進出、社会的な進出というものは非常に目覚ましいものがあるわけでございます。
 こういう状況を踏まえまして、愛知県では、このたび二千七百万程度の基本設計費を昭和六十年度、来年度で予算案として計上しておるようでございますが、その設計に基づいて、愛知県といたしましては、従来あります女子職業訓練校と婦人労働サービスセンターを統合して女子総合職業サービスセンターというものを新設したい、こういうことを希望しているようでございます。
 機能といたしましては、女性の就業援助機能、それから職業訓練の機能、こういうものを二つ一体化しまして、具体的な業務の内容としては、就業相談、指導、講習会の開催、それから職業情報の提供、職業訓練、職業紹介などを行って、特に職業訓練といたしましては、最近のME化に対応できる女性の人材を養成するために、コンピューターの操作とかあるいはOA訓練というものを実施していきたい。そういう非常にユニークな特徴のある女性専門の総合職業サービスセンターを開設するべく、愛知県は準備に入っておるわけでございます。計画によりますと、ことし一年で基本設計を完了し、六十一年、六十二年には建設の運びにしたい、こういう目標を持って進んでいるようでございます。
 これは大臣にお尋ねをしたいと思うのでございますが、先ほど冒頭申し上げましたように、婦人の雇用にかかわる進出は非常に目覚ましいものでございますし、この種の計画は、全国的に見ましても非常に珍しいケースであると思います。したがいまして、婦人の雇用を拡大し、婦人の働く権利を保障するための一つのセンターとしてこれが発足しますると、全国的な婦人の雇用を拡大するためのレベルアップにもなりますし、それに対する全国的な波及効果は非常に大きいと思うのでございます。したがいまして、労働省におかれましても、これは婦人の雇用を拡大していく行政とはマッチするものであると思うわけでございまして、そういう意味では、愛知県が計画している女子総合職業サービスセンターというものについては、従来の労働省の援助の体制をさらに一段強化した形での、財政援助も含めました積極的な指導と援助が必要だというふうに思っておるわけでございますが、まず労働大臣としての所見を賜りたいと思います。
#17
○宮川政府委員 大臣の御答弁の前にちょっと申し上げます。
 現在、私ども職業訓練法の一部を改正する法律案をこの国会にお願いしてございますが、その一つの理由はやはり婦人の職場進出、そういうことでございます。そういうことでまいりますと、現在愛知県が婦人労働サービスセンターと女子職業訓練校の統合合築を考えておられるということでございますが、それがその地域として非常に効果のあるものでありますならば、私どもといたしましては、この法律の改正の中で考えております一つは、都道府県の自主性の尊重と地域の実情に応じた業務の展開、そういうことでございますので、就業の援助、職業相談から始まりまして、訓練、紹介、そこまで一連のものが機動的に行われ、しかも内容的にOA機器の操作等で先端的な事業所へどんどん入ってもらえる、そういうことであるならば大変効果的なことだと思われますので、合築も大変結構だと思います。
 そういうことで、県のお話もよく伺いまして、まだそれほど詳しくは伺っておりませんので、今御指摘の方向で、また私が今申し上げましたような形で事態を積極的に進めてまいりたい、かように考えております。
#18
○山口国務大臣 御承知のとおり、参議院で今男女雇用均等法の最終的な御審議をお願いしておるところでございますが、そうした法案を通じて女性の雇用の拡大また権利の公平化ということを進めておりますが、そうした問題だけでなく、今先生御指摘のような、愛知県等で進めておられる総合職業サービスセンター等の施策につきましては、女性の雇用のためにも大変有意義であるというふうに私ども確信をいたしますし、今、局長からも御答弁申し上げましたように、労働省としてもこれと十分連絡をとりまして、積極的に御協力申し上げられるものは申し上げて、そうした女性の雇用における機会均等の拡大ということをさらに積極的に進めたい、かように考えておる次第でございます。
#19
○網岡分科員 最後に、私は労働大臣に質問をさせていただきたいと思うのでございますが、この種の女子専門の総合職業サービスセンターというものをつくっていくというのは、やはり先進的にやっていく場合でございますから、愛知県といたしましてもこれは非常に財政負担がかかるものでございます。それをあえて覚悟の上でスタートを切るということは、いろいろな面で、財政負担も含めて非常に大変なものがあるというふうに思うわけでございます。
 一方、先ほども申しましたように、この種のものが先進的に開設されていくということは、波及的な効果を全国的に及ぼしていくということでございまして、本来ならば事の種の施設というものは、労働省が労働省独自の立場から設置をされていって波及効果をねらっていくというのが、国の一番やらなければならない労働行政であるというふうに私は思います。その部分を愛知県が先進的にやっていこう、こういうことを国家的な見地からもやっていこうということで進めているわけでございますから、これはやはり、そういう国の行政の部分も受けてやっているという愛知県のその行政の効果というものを、ぜひひとつ前向きに評価をいただきまして、既定の援助の体制よりももう一歩踏み込んだ、高い視野からの、財政的なものも含めまして、援助、指導というものをぜひひとつ新労働大臣の一つのあれとして進めていただきたいということを思うわけでございますが、この点について重ねて所信を伺いたいと思います。
#20
○山口国務大臣 先ほども御答弁申し上げましたように、愛知県でそうした女子の雇用の拡大のために、特別な予算計上の上で施策を講じていただけるということにつきましては、大変敬意を表すると同時に、意義あることだと思いますし、先生の御指摘のように、本来労働省が率先してこうしたものを進めていかなければならない、こういうことでもございますので、大いに協力をし合いながら、特に高齢化時代は国と地方とが連携をとりながら、意義ある施策についてはお互い連絡を密にしながら仕事を進めていくということは大事でございますので、大いに御協力申し上げると同時に、参考にさせていただきたい、かように考える次第でございます。
#21
○網岡分科員 もう最後ですが、今、労働大臣から積極的な御答弁をいただきましたので、ぜひひとつその御答弁のように、積極的な援助と御指導をいただきますようにお願いを申し上げまして、質問を終わります。
#22
○山下主査 これにて網岡雄君の質疑は終了いたしました。
 次に大出俊君。
#23
○大出分科員 時間短縮、週休二日制というのを私はいささか執念めいてやっておりますので、私の党に時短、週休二日制対策特別委員会というのをつくりまして十年になるのですが、私はおおむね七年その責任者をやっていますから、人事院勧告の四週五休も、大平さんを大分苦しめたのですけれども、その間にできたわけであります。
 そこで、休暇が非常に少ない日本でございますから、この間労働大臣に、太陽と緑の週間ということで四月二十九日から五月五日まで休みにすべきである、暫定立法でも何でもつくってやったらどうだという質問をしましたら、あなたは、それは法律になじまぬということを言っておられたのですけれども、後になって私のところにお見えになって、大臣は、これは非公式な話でありますけれども、一遍に四月二十九日から五月五日まで休みというのはちょっと無理だろう、だから、五月三日の憲法記念日、五日のこどもの日の真ん中の四日を休みにしたらどうか、これは金の問題でもないから、何とか与党も説得をしてそこに持っていきたいんだが、ひとつ御協力をという話もございましたので、私もこの特別委員会でいろいろな方を呼んで相談もしてみた。そこで幾つかの疑問がありまして――、大臣は、テレビ等を見ますと、方々で四日休みの話をしておられるので、いささかこれは公約めいているわけですからね。
 そこで、さて、これは行政指導で四日休めと言ったって、そんなわけにいかないので、大臣のお話は、何がしかの立法化が必要だという意味でしたから。そうすると、これはどういうふうに法律をつくれば四日が休みになるか、まず大臣の、ここのところの構想を聞きたいのです。
#24
○山口国務大臣 大出先生が労働時間短縮の問題に大変熱心にお取り組みいただいていることにつきましては、心から敬意を申し上げたいと思うわけでございますけれども、その中で、特に労働団体からも、有給休暇あるいは時短がなかなか進まない、そこで正月とかゴールデンウイークとか、連続休暇の制度をひとつ新たに検討しようではないかということで、当面、ゴールデンウイークの問題が各労働団体からも強く要望されているところでございます。しかし、実際問題としては、大企業でございますとか、そうした労働団体の方々が所属しているような企業につきましては、どちらかといいますと、率直に言って、もう連続休暇等もかなり推進をされておる。あとは中小企業でありますとか流通業、零細企業等が、なかなかそうした連続休暇の問題もおくれておるというところが大変問題でございます。そこで私も、思い切って一週間ぐらいの連続休暇はもうとってしかるべき時期に来ているのではないか、経営者側もそうした問題に一歩踏み込んで、理解とまた健全な労使関係、その他いろいろな展望に立ってやるべきじゃないかというふうに考えるのでございますけれども、なかなか実態は厳しいところもございますし、特に怠け者をつくるのかというような極端な意識の中で時短を進めるということの状況もございます。そういうことで、大出先生に申し上げたように、一日一日風穴をあげながら、休暇に対する認識を広めていくということは必要じゃないか。
 そこで、御質問の結論でございますけれども、これは政府提案として、何日を休暇にしようではないか、祝日あるいは休日法案を出そうじゃないかということになりましても、まず合意点をもっと広げていかなければならないという部分もございますし、やはり一面においては、先生御質問のように、労使双方で話し合うべきところに政府が介入してはいかぬというような部分の問題も、賃金等の問題もございますので、できますれば政党問での話し合いの中で、議員立法でそういう休日の問題を進めていただくということがよろしいのではないか。幸いといいますか、この政党間折衝で時間短縮と連続休暇の問題も、大出先生初め皆さんの御努力で与野党間の項目の一つに掲上されたという経過もございますので、何とかそれを実のあるものにしていただければ、労使双方ともに時短に対する意識がさらに広がっていくのではないかというふうに考えますので、よろしくお願いいたします。
#25
○大出分科員 それはわかっているのですが、私、今聞いたのは、例えば動管法という法律がありますね。動物の保護及び管理に関する法律、あれは私の議員立法で、私も議員立法を三つばかり通させていただいておりますが、これは本当に立法化してやろうとなると非常に難しい問題がつきまとう。一つの議員立法を通すのにこれだけ苦労するのかという、私は、足かけ六年苦労して例の動管法が成立したんですがね。
 実は今度の大臣の構想を立法化するとすると、それが議員立法であれ、政府提案であれ、今祝日というお話が一つ出ましたが、日曜日が祝日とぶつかったら振りかえるというとき、私は苦労しまして、私は内閣委員会長いですから、官庁の執務時間だ何だじゃない、週休制の方々はどうするかというので、当時の構想は週休制の方は入れないというわけですよ。これを入れるのに大変苦労したいきさつがある。自分で苦労してきておりますから気がついているのですが、国民の祝日に関する法律の第二条は、「「国民の祝日」を次のように定める。」となっていて、列挙式に「憲法記念日五月三日 日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する。」こう書いてあって、だから国民の祝日だ、こうなんですね。「こどもの日 五月五日 こどもの人格を重んじ、こどもの幸福をはかるとともに、母に感謝する。」というので国民の祝日、こうなんですよ。そうすると、簡単におっしゃるが、五月の三日と五月の五日の真ん中の五月四日を祝日にすると考えた場合に、何と書くんですか。三日は新憲法ができたんだから、ここに書いてあるとおりの理由が成り立つ。五日は、本来は節句ですよ。長い日本の伝統だから、「母に感謝する。」というのが成り立つ。四日というのは一体どういう理由をくっつけて、国民の祝日に関する法律の五月四日に何と書こうというのですか。答えてください。
#26
○山口国務大臣 私も、動物保護法のとき、先生と一緒にお手伝いしてやった因縁を思い出したわけですけれども、ゴールデンウイークを連続休暇にしようじゃないかという、労働団体を中心とした国民の要望の中には、やはり環境問題もありましょうし、それからまた平和の問題もありましょうし、また、何といっても四季折々の自然環境と恩恵に対する感謝という気持ちもありましょうし、いろんな意味で、そういう連続休暇にしようという提案の考え方のバックグラウンドはあると思うのですが、そういうものを象徴的な、例えば太陽と緑の週ということを労働団体は言っているわけですけれども、そういった趣旨の語源を各党各派において御相談いただく中で、一つの国民的に祝えるような定義というものを煮詰めていくということが大事なんじゃないか。ですから、政府提案ならば、ここで、こういうふうにしたいと思いますということを申し上げられるのですけれども……。
#27
○大出分科員 それは荒唐無稽と言うんだ。三日はこういう理由で国民の祝日だ、五日はこういう理由で国民の祝日だ、正当な理由がありますよ、国民の側から見て。だから休もう。合意も簡単にできますよ。ただ、真ん中の四日を国民の祝日に関する法律で休みにしようというのなら、三日の日、五日の日に見合うような理由がなければいかぬですよ。そうでないと入れようがないでしょう。四日の日は勤務の日になっている。三日が国民の祝日で五日が国民の祝日だから、真ん中の四日も面倒くさいからこれも祝日にしておこう、そんな理由は成り立たないでしょう。だから大臣、しきりに方々でしゃべるけれども、国民の祝日にするなら祝日にするだけの根拠、理由がなければしようがないでしょう。私が太陽と緑の週間と言ったら、あなたは、それは法律になじまないと言ったんだから、だとすると、四日はなじむという考えでなきゃあなたは法制化できないはずなんだから、どう考えているんだと聞いている。
#28
○山口国務大臣 だから、率直に申し上げれば花と太陽と緑の日ということで、例えば五月一日ならメーデーで、メーデーを祝日にしようということの意味がありますね。それと同じように五月四日を、太陽と緑の週ということと同じですから、週を日付にして、太陽と緑の日ということで、その心は地球の環境とその自然に感謝をする、大切にする、こういう願いを込めるということの意味を持って、私はゴールデンウイークにおける五月四日という日にちをあえて申し上げておる、啓蒙しておる、こういうことでございます。
#29
○大出分科員 それじゃ、四日というのが何で太陽と緑なんですか。四月二十九日から五月五日までというなら、これまた話は別だ。その場合に四日だけ取り出して、四日は太陽と緑の日だ。何が理由で太陽と緑の日なんですか。どういうことになるのですか。
#30
○山口国務大臣 大出先生は万々御承知の上で、その日にちの選択におけるいわば世論、新聞の投書欄にもそういう立場からの御指摘が随分あるわけです。祝日にしたり休日にすることの必然性が那辺にあるのか、こういう疑問や問題もありますし、内閣委員会でいろいろそういう問題に取り組んでこられて、いかに議員立法を進める上において難しいかということのお立場から御指摘いただいていることもよくわかるわけですが、私はそういう意味で、ゴールデンウイークというのは、国民の皆さん方が一年のうちでも一番家族ともども花と緑と太陽に親しみながら、自然に対する感謝と恩恵を感じながら大いに英気を養いたい、こういう気持ちで一週間を選定したわけですけれども、一週間の休日の法制化ということは、現実、各企業間の問題とか中小企業、零細企業の問題を考えますとなかなか大変である。そこで、まずその象徴的な一日を設定することによって、広く二十一世紀の勤労国民の生活や人生のあり方を考える、こういうまず第一段階にする必然性というものがあるのではないか。それなりの説得力は全くないということではなくて……。
#31
○大出分科員 山口さん、時間がむだだよ。そういういいかげんなことで、あなた、やたらテレビで宣伝して、国民の祝日に関する法律でとおっしゃるんだから、四日は一体いかなる理由で、そこらも何にもなくて、そこらで大臣が宣伝しただけでは世の中は過ぎていかぬのですよ。労働立法だというなら話は別なんだよ。国民の祝日に関する法律に基づいて四日を休みにするというのは、国民のだれもが考えても、歴史と伝統に基づいて、なるほど、国民の祝日だというのでなければ。メーデーというのはシカゴのマッコーミック農具場から始まって、大正の時代からやってきているのだから、これはその意味では祝日にできますよ。しかし、四日というのは、国民的な歴史的背景を考えてみても、そんなに簡単に成り立たないですよ。労働立法という側面で物を考えるのなら成り立つ。あなたはしきりに国民の祝日に関する法律で四日は祝日にする、中身はと言ったら中身はないのでは、あなたはただ単なるリップサービスをそこらで言ってきたと、大臣には任期があるんだからやめれば終わりだと、そんなのおれが四日と言ったんだといって終わりでは、あなたらしいところもあるけれども、それは感心しないって。
 だから、太陽と緑の週間と言っているのはどうなっているかというと、労働立法なんだ。四月二十九日から五月五日のこどもの日までの間の国民祝日でない日を休みにしようというのが、太陽と緑の週間と考えている根拠なんですよ。これは労働立法なんだ。ゴールデンウイークというのは、国民祝日その他がこうある。あるが、その間にある日は祝日にはならない、しようがないんだから。国民の祝日にはなりませんよ。しかし、日本というのは実労働時間が長過ぎる、休暇が少な過ぎる、だからこの間のあいている日というのは労働立法というサイドで、休暇が少な過ぎる日本だから休みにして、国民の祝日とつないで全部をひとつ休めるようにしようという考えなんです。そうでしょう。あなたのような極めて何というのですか、四日休みにすればいいというような思いつきみたいなことを言われても困る。
 これはILOの調査がございまして、こっちにもありますが、休暇なんというのは日本はいかにも少ないのですよ。百二十八カ国の休暇をILOが調べた。法定休暇というのはフィリピンが一番どんじりなんだ。その上が日本ですよ。だから世界で百二十七番目だ。そうでしょう。百二十七番目に休暇の少ない国なんだから、そうだとすると、四日を国民祝日、そんなのじゃなくて、労働立法としてとらえて、だから四月二十九日から五月五日のこどもの日の間の祝日でない日は労働立法という観点で休みにする。そうすると国民祝日と一緒になって、太陽と緑の週間と銘打ったらどうかということなんであって、やはりそこのところは、あなたもそこらに話を持ちかけたりテレビでやたらしゃべるについては、きちっとしたものがなければ、労働大臣務まらないじゃないですか。はっきりしてくださいよ。
#32
○山口国務大臣 考えていることは大出先生と全く同じなんですけれども、私も労働大臣になって四カ月そこそこですから、こういう答弁のやりとりがちょっと不勉強なところもあって、政党同士で議論する分なら幾らでもまたお話しできる部分もあるのですけれども、政府提案という立場にまだ環境が熟してないということが一つと、それから、私が四日と言うことは決して思いつきではなくて、社会党は連続休暇で非常に熱心に法制化しようということに対して、第一党の自民党には率直に言って今非常に抵抗がある。これについて、とても今の段階で考えられない。
 ところが、自民党の中で、五月四日を花と緑の日ということで休日にしようという党の公約があったわけです、五十八年度の選挙のときの公約が。それで、一週間というとなかなかできないかといって五月一日がいいのか、あるいは自民党でも選挙公報に載せている五月四日ということであるならば、与野党が歩み寄って、とりあえず連続休暇の第一弾の風穴をあけることもできるのではないかという考え方もございまして、そして、五月四日ということでどうでしょうかということを大出先生や皆さんにも非公式にも御相談をして、今回の与野党の予算折衝の中にもそれをたまたま先生方の御努力でのせていただいた、こういうことでございますので、私自身は決して思いつきとか、五月四日をたまたまやったということではないということは御了承願いたいと思います。
#33
○大出分科員 時間がないから、私も舌足らずだけれども、別にあなたと話して私が四日を否定しているのじゃないのですよ。今申し上げたように、ILOが百二十八カ国を調べて、一番どんじりがフィリピンでその上が日本なんだから、その国で私たちは政治をやっているのだから、国民に対する責任がありますよ。そうでしょう。だから、休暇を何とかふやそうということについては私も賛成なんだ。ただ、国民の祝日に関する法律を直してというあなたの論理だとすれば、四日はどういうことにするんだと、そこはぼんとあなたから、いや、それはこういうわけでと出てこなければ意味がないじゃないですか。そんなことはないと後ろの橋本龍太郎君が言っていたから、賛成してくれるのは大変ありがたい、休暇をふやしたいんだから。だから、そういう意味で賛成をしてもらえるとすれば、対国民という意味で、論理的に筋の通った話にしてくれなければ困る。だから、これからお考えいただくのならいただくのでもいい、私の今の論理にあなたが同調されたのだから。そこで私は、歴史に残る大臣になってくれと言ったんだ。石田博英さんのお弟子さんなんだから。博英さんと私は長いおつき合いだから、ILOの問題なんかで随分御厄介かけたし、新宿の厚生年金会館のときにも、私は総評副議長で頼みに行って、朝日新聞だの日銀だのに金を出すだけが能じゃないと言ったら、五十億ばかり何とかしようというので走り回ってやってくれた。ですから第一号ができたんです。
 だからそういう意味で、ひとつ大臣、四日を休みにしようというのなら本気で理由づけをされて、きちっと、労働立法という側面でやるのか、休日というものをもう少し、官僚の知恵もかりて、四日の日を国民だれが見てもごもっともじゃということに理由づけをして、議員立法でというんならいう方向で、決意のほどをはっきりしてくださいよ。どこまでやるつもりなのか。その決意があなたにしかとあるのなら、龍太郎君じゃないけれども賛成しているよ、与党の有力な我が同期が賛成しているのだから。そういう意味で、ひとつ決意のほどをはっきりしてくださいよ。
#34
○山口国務大臣 ですから昨日、大出先生初め皆さんの御活躍もあり、減税問題とあわせて労働時間の短縮とゴールデンウイークの連続休暇の問題についての検討をする、それで各党の政調会長会談ということと、それからこれを内閣委員会でやるか社労委員会でやるか、まさに先生の御指摘の労働立法でやるならば社労委員会、祝日でやるならば内閣委員会、こういうことでもございますが、これはあくまで議員立法という立場が現状ですけれども、私も、労働省としても、これは大変意義のある与野党合意でございますので、何とか一日だけでも風穴をあけるべく頑張りますので、よろしく御助力のほど、御鞭撻のほどをお願い申し上げたい。
#35
○大出分科員 わかりました。太陽と緑の週間ということを考えてまいりましたが、結果的にそれが四日なら四日にまとまることがあり得るとすれば、それも大きな目で見ますと一つの前進でございますし、大臣の決意のほどがはっきりするのなら、私どもそれは一生懸命やりたいと思っております。
 そこで最後に、週休二日制問題。今回の場合は金融機関を中心に非常に積極的でございまして、九日の第二土曜日に郵政省がCDを動かした。ATMと言った方がいいですかね、オートマチック・テラー・マシンですな、ATMの方がいいのかもしれませんが。その結果はどういうことになったのか。その後の状況を含めまして、きょうおいでいただいておりますのは、農協も何か動いたとか動かぬとか、ごく小部分のようですけれどもそういう話も耳にいたしておりますが、きょうは大蔵、農水、郵政、こうお見えいただいておりますので、郵政からひとつ、九日に大方の反対を押し切って動かしたわけでありますけれども、結果的にどういうことになったかというのを御報告がたがた承りたいのと、あわせて、大蔵省の側で九月という時期をどう考えるのか。CDを動かすとするならば、土曜休日を週休二日の拡大と。金融の自由化もございますし、国際的な趨勢もございますから、思い切って前へ出ていただきたいですね。別な委員会で人事院には少し物を言うつもりでおりますけれどもね。郵政というのは一面、公務員という側面がございますから、やはり人勧との絡みが出てまいりましょう。大蔵省側がもちろん直接的にというわけではございませんけれども、都銀初め信金、信組に至るまで監督権限をお持ちなので、何とか前へ出していただきたい、こう思っておりますが、そこらのところについてのお考えをお述べいただきたい。
 それから農水でございますけれども、農協を抱えておられて、なかなか苦しいいろいろな問題があるのは承知しておりますけれども、この間郵政が動かしたことに対する農協関係の状況等を含めまして、週休二日制に関しての御意見を賜っておきたい、こう思うのです。
#36
○佐谷戸説明員 お答えいたします。
 二月九日のお客様のCD、ATMの利用状況でございますけれども、全国、郵便局によってばらつきがございますけれども、おおむね平常の土曜日の七割程度の御利用がありました。当日は全国的に雨模様でございましたけれども、お客様にまずまずの御利用をいただいたのではないか、そのように考えております。
#37
○溝口説明員 御承知のように、全銀協が金融機関の週休二日制の拡大につきまして一つの案を発表しておるわけでございます。ことしの九月の三連休には機械を動かすことにしたい。それとあわせまして、週休二日制を現行の月一回を月二回に六十一年八月ごろを目途に拡大したいという案を発表しております。
 この時期につきましては、中小の金融機関でありますとかCD等の機械の設置が少ない金融機関につきましては、早過ぎるという意見もございます。他方、労働組合においては、時間短縮という要望があるわけでございますから、これじゃ遅過ぎるという意見もあろうかと思います。したがいまして、私どもといたしましては、九月の機械稼働ごろを目途に関係者の意見の調整を図ってまいりたい、できるだけ時代の流れに沿って円滑に週休二日制が拡大できるように努めてまいりたいと思いますけれども、一部の機関だけ先行できるかどうかにつきましては、諸手続の改正という問題がございますから、そこら辺をよく考えてみないと現状ではわからないということでございまして、いずれにいたしましても、私どもとしては九月ごろを目途に関係者間の意見の調整をできるだけ図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
#38
○眞鍋説明員 農協関係でございますが、二月の九日の三連休の際は、若干郵便局と競合するところで対抗上機械を動かすというふうな動きがございまして、我々も系統と一緒になりまして指導をやったわけでございます。その結果、各農協ともこれに従いまして、トラブルはなかった、こういうふうに承知しております。
 それから若干、今までの約束がございまして、それに反して機械を動かしたというふうなことでございますので、系統としては今のところ非常に遺憾であるというふうなことを言っておりまして、若干今後問題を残しておりますが、我々といたしましてはやはり全体の方向に沿って指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
#39
○大出分科員 最後に大臣、この週休二日制、苦心惨たんして――総理府に当時政府の懇談会もございまして、完全閉庁という方針を大平内閣のときですか決めておいでになったのですけれども、伊東正義さんが官房長官でございまして、大変一生懸命おやりいただいて、第一回の公務員の四週五休という、人事院の勧告に基づくこの問題をやっと処理して四週五休に踏み切った歴史があるのです。あのときは大蔵省、銀行局長などは一生懸命逃げたのですね。
 ところが今度はそうじゃなくて、金融自由化という問題がありまして、国際的な視野に立って物を考えた場合にこれまたOECD加盟国の中で日本は本当の一番どんじりで、OECDのほとんどで完全週休二日制を金融機関がとっている。歴史的に見ると、公務員と金融機関が前に出ませんと全体の週休二日制が進まない。諸外国の例を見るとそうなのです。だから所管の労働省のサイドから見て、週休二日制の拡大という意味でまたとないチャンスだという気がするのです。だから、遡瀬川さんたちが大分苦労してこられましたことは私もよく知っていますが、大臣、本当に本腰を入れて、私は人事院に何とか勧告を出させるようにと思っておりますけれども、大臣のサイドから、所管でございますから格段の御努力を願いたいのですが、いかがでございますか。
#40
○山口国務大臣 CDの稼働の経過の中で、農林省、大蔵省、郵政省等と協議をしながら、私どもも基本的には今先生の御指摘のように、週休二日制を拡大するためにはやはり金融機関の御協力がなければ実際にできないということで、幸か不幸か今回は足並みが乱れましたけれども、その経過として、九月に銀行の関係もCDを稼働すると同時にさらに週休二日制の枠を広げる、こういう方針を打ち出していただいた経過もありますので、さらに大蔵大臣等にも御協力をお願いしながら、私も先生方が今まで取り組んできていただいた週休二日制の問題をさらに在任中に前進をさせたいということで決意も持っておりますので、ぜひこれも先ほどのお休みと同じように、また人事院等を含めまして御助力もお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
#41
○大出分科員 くどいようですが、執念めいておりますから何遍でも同じことを聞こうと思っておりますので、別な分科会でも同じ問題を取り上げるつもりでおりますが、ひとつ我慢をしていただいて、よろしくお願いいたします。
#42
○山下主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。
 次に、沢田広君。
#43
○沢田分科員 今大出先生からもお話がありましたが、大臣、引き続いてで恐縮ですが、今は太陽と緑の日、一日の問題でありましたけれども、問題は、二千時間をどう割るかというのが今の課題だと思うのですね。だから政府としては、二千時間をどうやったら短縮できるか、その具体的な計画は、もし今用意ができなければ後でもいいですが、やはりスケジュールを明らかにするということが大切な要件だと思うのですね。欧米諸国その他に対しましても、こういう計画で二千時間を割ります、こう表明することが必要だと思いますが、いかがでしょうか。
#44
○寺園政府委員 労働時間短縮問題につきましては、五十五年の十二月に週休二日制等労働時間対策推進計画というものを策定いたしまして、六十年度を目途に進めてまいったわけでございますけれども、今後の労働時間対策につきましては、現在中央労働基準審議会におきまして御審議をお願いいたしておりまして、その審議を参考にしながら労働時間短縮の展望と指針といったものをことしの夏ごろまでにはつくってまいりたい、それに基づいて今後の労働時間対策を進めてまいりたいと考えておるところでございます。
#45
○沢田分科員 そんな手ぬるいことで今のこの貿易摩擦や現在の経済状況に対応できると思っておりますか。三百五十億ドルも外貨がたまってきているという状況の中で、そんなテンポの遅いやり方でいってECは了承すると思いますか。思うか思わないかだけ答えてください。
#46
○山口国務大臣 そういう意味で、日本の労使双方もこの問題に対して真剣に御協力いただきませんと、先生の御指摘のような労働時間短縮の問題が促進されない。そういう意味で、ことしアメリカとかヨーロッパ等にも、いわゆる政労使、労働団体の代表、使用者側、政府が率先してそういう労働条件改善の問題も含めて認識を改めてお取り組みいただくように、ミッションも派遣をいたしたいということでございます。
 沢田先生ですからもう一点だけ申し上げますと、もう既に決められている年次有給休暇も完全消化がなかなか実が上がっておらない。私、労働団体の方々からもっと休暇をふやせ、時短をやれと言われるたびに、政府としても一生懸命やる、やるけれども、まずあなた方も、有給休暇も完全消化しないのに政府だけにやれ、やれと言ったって、自分たちでそういうための努力もしていただかなければということもお願いするわけでありますけれども、我々も、今労働基準局長からの答弁もございましたように、労働時間短縮の問題はことしその路線をきちっとさらに前進すべく確立をしたいということで取り組んでおりますので、そういう点も含めて御理解いただければ大変ありがたい。
#47
○沢田分科員 今話が出たからですが、今の日本の労働者と雇用者との関係は、労働省の中もそうですけれども、下手に休暇をとっていたら自分の仕事をとられちまって、その次行ったときにはテーブルまでなくなっているとまでは言わないけれども、とにかくほかの者との競争が激しい。ですから休暇もとらない、母ちゃんが病気でもとれない、とにかく勤めてなかったら自分の職場がほかの者にとられちまうという熾烈な競争の中にあるから、だからとりたくてもとれないという事情を、これは大臣も承知しておいてもらいたい。それは、そういうことの前提で考えなければだめだということを申し上げておきます。
 基準監督署もそうなんですが、そこでこの就業規則の問題に若干触れますが、基準監督署は就業規則の届け出を何と受けとめているのであろうか、監督署はどういう役割を持っているのだろうか、簡単に答えてください。これは法律で決まっていることだから。
#48
○寺園政府委員 労働基準法に基づきまして就業規則の届け出義務を課しておりますけれども、これの趣旨は、届け出をさせることによりまして、就業規則につきまして国家的な監督を行おうという趣旨のものでございます。
#49
○沢田分科員 第一、監督なんて行われていると思いますか、あなた自身が。大体、出たものをチェックしてますか。しているかしていないかだけ答えてください。
#50
○寺園政府委員 チェックをいたしております。
#51
○沢田分科員 それはうそいいかげんで、この間の国鉄の例じゃないけれども、そんなものチェックなんかできてない。だから、どんどんこういう時勢が変わってきて仕事の中身が変わっていっても、それに対応した届け出なんというのはまともに行われてないでしょう。抽出でも何でも構わない、どこか抽出して点検してみなさいよ。
 この間もこういうのがあった。日給四千百円だった。これは皆勤手当というのが出ている。一日休暇とると、皆勤してないから皆勤手当一万円控除する。これだけだって、まず一つは日給の二分の一以上を超えているという問題がある。もう一つは、一月みたいに働く日数が少なかったら、月給で一万円というのは大体一割を超えるんだよ。これだってもう基準法違反じゃないですか。そうでしょう。日給の二分の一を超えてはならない、あるいは月給の十分の一を超えてはならない、そう法律で書いてあるでしょう。そういうのを占検してますか。してないでしょう。
#52
○寺園政府委員 仰せのとおり、制裁については基準法の規定がございますが、それを含めまして、監督署に就業規則が届け出られましたときに法令違反を発見いたしました場合には、指導によりましてそれの変更を指導いたしております。
 なお、基準法におきましては、監督署が変更命令を出すことができるようになっておりますけれども、現実にその変更命令を行使した例もございます。
#53
○沢田分科員 それで大臣、これを調べるのに基準監督署へ僕が聞いたが返事が来ない。答えられませんと言うのです。教えるわけにもいきませんと言うのです。国政調査権をどういうふうに解釈しているのか。就業規則なんというのは、公開というのじゃないけれども、事業所へ備えつけてみんなに閲覧できるようにしておくものでしょう、我々が知りたい、人を紹介するにしても何にしても。それで聞いてみたら、それは教えませんと言うのです。それは教えられませんと言うのです。だから、それは制裁なのか報奨なのか、就業規則の中でどの項目に入っていると聞いた。それも答えない。企業の秘密ですと、こう言うのです。こんなあほったらしい監督署、何のためにあるのか。我々がそういうことの材料を知りたいといっても教えない。
 本来、就業規則は情報公開の中に入れたっていいんだよ、職業安定所だって持っていなければ困るものなんだから。それを基準監督署が後生大事に、宝の箱じゃあるまいし、大事に抱えておいて、それは教えませんと言う。じゃ何をやっているんだ。教えもしなければ、自分でも点検しなければ、五年も三年も前の就業規則をそのまま後生大事に抱いているだけじゃないですか。だから労働省なんというのはだんだん斜陽産業で、人なんか余り過ぎているようになってしまうんだよ。大臣、これはよく聞いておいてよ。こういう基準監督署長を置いていたら労働省つぶれるだけ。労働者の保護どころじゃない。それは労働省自身が後退して、斜陽産業に落ち込んでしまう。だから、労働省がそんなことをやっていたんでは話にならない。
 そういうことで、労働省は少なくとも今言ったような程度のことは教えてくれるように、大臣、指導してください。いかがですか。(寺園政府委員「委員長」と呼ぶ)いや、あなたは要らないよ。いいよ、あなたの答弁を聞いていないんだから。
#54
○寺園政府委員 事前に説明をさせていただきたいと思いますが、就業規則につきましては当該事業所の労働者に周知をさせるということは当然のことでございますが、そのための指導は監督署としていたしておりますけれども、監督署の方に届け出られました就業規則につきましては、その趣旨が国家的な監督をするという趣旨のものでございますので、その監督署に届け出られた就業規則を第三者に開示するという性格のものではないというふうに思っております。
#55
○山口国務大臣 いずれにしましても、労働基準監督署は労働者の労働条件を守るための一つの機関でございますし、今先生の御指摘のように、やはり労働省にとりましても労働経済との一番接点でございますので、いろいろそういう支障のないように、局長からも答弁がございましたけれども、一つの枠がございますけれども、鋭意労働行政を通じてサービス機関としての徹底を図るように私からもよく申し上げておきたいというふうに考えます。
#56
○沢田分科員 これは今あなた言っておるけれども、実際に、現在の職員で地方の労働省の職員の身分移管の問題もいろいろ我々努力はしてきているよ。それにはそれなりの仕事をこれからはしていかなければならないんだよ。だから、摘発されてからのこのこ出ていくようでは本来の指導ではない。やはり常時歩きながら、これは間違っていますよ、時代が変わってこうですよ、そういう先導的な役割を果たすのがあなた方のところの仕事なんですよ。だから、その仕事の役割は私は逆転してほしいし、あなたの今の答弁は了承しない。しかし大臣がそう言ってくれたら、大臣の意を体して、ひとつそういうことのないように、また我々が知りたいと思ったときには――それは公務上知り得た秘密を漏らしてはならないという公務員法の項目がそこで適用するとは少なくとも私は思わない、公表できるものなんだから。それ以上の何かを見るならいざ知らず、就業規則はそういうものではないだろう、私はこういうふうに思いますから、念のために申し上げておきます。
 その次に、大臣に今度は骨折ってもらわなくちゃならぬことなんですが、退職給与引当金というものがそれぞれの企業にはあるわけでございます。これは、私は大蔵の方にずっとおりますから、退職給与引当金というのは企業の内部に留保をされる。職員が退職した場合にそのままほうり出されることのないように対応していきましょう、そういうのが退職給与引当金の趣旨だろうと思うのです。その趣旨については、そのとおりだとお考えですか。
#57
○寺園政府委員 退職給与引当金制度は企業会計上の措置あるいは税法上の措置ではございますけれども、当該全員を企業内に留保することによって企業活動がより活発になるという観点から退職金の支払いに役立っているものというふうに理解をいたしております。
#58
○沢田分科員 その答弁の言い回し方もちょっと逆じゃないですかね。企業の活発な運営のために内部留保することが目的ではなくて、退職者が出た場合の給与の引き当てを優先し、それを同時に内部留保として企業が動かすことを認めるというのが現状じゃないですか。委員長も大蔵出身だからこれはわかっているだろうと思うんだが、あなたのおっしゃるのは、企業の内部留保を優先して、そして退職の場合に支払う、そういう言い方じゃないんだろうと思うのですがね。言い回し方が逆になったのじゃないかと思うのですが、もう一回言ってください。
#59
○寺園政府委員 私の申し上げた趣旨は、今先生がお述べになった趣旨を述べたつもりでございました。
#60
○沢田分科員 それでは労働省としては、倒産した会社で退職給与引当金が支払われたか支払われなかったか、この二つに分けて、どういう比率になっていると思っておられますか。
#61
○寺園政府委員 そのような観点から調べたことはございませんので、実態については承知をいたしておりません。
#62
○沢田分科員 それで退職給与引当金を労働省が位置づけてこう解釈していますなんて、よく言えたものだと思うんだ。倒産した会社で退職給与引当金が確実に支払われたか、半分しか支払われなかったか、あるいはほとんど支払われなかったか、そのくらいの調査をするのは、引当金を置いてくれと労働省が大蔵省に言う以上、調査しなくたってわかりそうなものだと思うんだ。大臣、そうでしょう。恥ずかしいでしょう、職員がこういうことじゃ。倒産したらなくなっちゃっているのが現実ですね。現実は、倒産したらほとんどもらってないのですよ。ゼロなんだ。だから幾ら後ろを振り返ったって、ゼロだから答えようがないからみんな黙っているだけの話なんだ。もう一回答えてください。
#63
○寺園政府委員 退職金の不払いにつきましては、基準監督署におきましてそのような事案を把握いたしましたときに、不払いにならないような指導はいたしておりますし、また、賃金の立てかえ払いという制度に基づきまして、不払い賃金の立てかえ払いの事業を実施いたしております。
 ただ、そのような事業なり行政をいたします場合に、退職金が支払われておらないという事実に着目しながら進めておりますので、その背後にあります給与引当金の有無について特に調査をしたというものは統計的なものは持っておりません。
#64
○沢田分科員 これは現実には、確認というよりも、支払われていないのです。それは企業の中の内部留保の一つですからね。金には色はついてないんです。結果的には抵当権が設定され、そして裁判所に行けばそれはやはり債務の対象になって、結果的には労働者に行く前に第三者の手に渡ってしまうから、名前は内部留保にしておくけれども現実は残らないようになっている。
 そこで、あなたは長年労働省にいたんだから、これをちゃんと労働者の退職給与引当金として残るように仕組んでおいてやるということも労働省の仕事だと思うのですが、それはいかがですか。
#65
○寺園政府委員 退職給与引当金が退職金支払いに役立っているという趣旨のことは先ほど申し上げましたけれども、より直接的に退職金の支払いを確保するためにどのような措置が必要であるかということにつきましては、現在、労働基準法研究会におきまして研究をお願いをいたしております。ことしの夏ごろに最終報告をいただくことを予定いたしておりますが、その最終報告を受けまして所要の施策を進めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#66
○沢田分科員 大臣、今までの経過はこういうことなんです。私、三十六条協定もありますと言うのです。その金は退職の引当金なんですから、退職をした場合にもらえる金の分なんですね。それなら、三十六条協定と同じように、労働者なり職員の過半数を占める代表者の要すれば了承を得て運用するときは運用する、そのかわり、抵当権を設定するというときには、その労働者の了承を得て抵当権を設定することができる、しかし、もし危ないなと思ったときには、労働者が、それは抵当権に入れることはだめですよ、これはおれたちがだめな場合にもらわなくちゃならないのだからそれは留保します、そういう協定ができるようにしてやるのが労働省の仕事だと私は思うのです。
 ですから、わざわざ退職引当金としてとっておくのですから、危なくなったり不渡り手形が出そうな状況になれば、それは労働者の了承なしには引当金は他に流用してはならないというふうにこれは通達を出して、三十六条協定あるいは二十四条の賃金控除と同じように、ある程度の労働者の過半数を占める者との了解を得て運用するというふうにさせれば、万が一倒産になってもそれはちゃんとその分は残っているわけです。それを持ち逃げするかしないかは、今度はこ九は犯罪になってしまいますから、ですから大臣、その程度はひとつ労働省としての通達で確保してやるという措置が必要なのじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがですか。
#67
○山口国務大臣 そういう問題を未然に防止するために中小企業退職金共済制度に盛んに加入を促進させているわけでございますし、また額の問題、運用の問題等について、次期国会を目指して中退法の見直しを今検討しているわけですけれども、さっき寺園局長から答弁がありましたように、研究会で今議論をしておる最中でございます。
 今沢田先生の御指摘の部分、私全く同感ですし、やはりそういう保全の措置というものが今まででも一応曲がりなりにもとられてはいたものの、実態はそういう保全が必ずしも万全でないという危険な部分も確かにあると思うのですね。そういう点の対応の仕方を、これは労使というだけではなかなか解決し得ない、また組合といえどもやはりそういう会社としての連帯もございましょうから、その辺の問題も含めて、労働省が何らかの形でそういう保全に対する責任を、通達も含めていろいろどういう施策がいいか、先生の御指摘に合わせて検討する必要があるというふうに私は思いますので、私も正直まだ勉強不足の点もございますから、さらに沢田先生の御指摘の問題を私なりに勉強させていただいて、しかるべき検討を具体的にさせでいただきたいというふうに考えます。
#68
○沢田分科員 前向きなお答えをいただきました。大蔵でいきますと、退職給与引当金七兆円近いものがあるわけですよ、だから当然、これは内部留保金ですから課税対象にしてもいいという論理があるわけです。ところが、今言ったように、内部留保金でありますけれども、課税対象にはもちろんなってない。それは支出されたときに労働者の退職金として処理する。それ以外は、またそのまま内部留保である。
 だから私はある程度弾力的に物を言っているわけですね。内部留保にしても労働者が了解すればいいでしょう、そこへ何もためておくだけが能ではないだろう、しかし、それは、危なくなったときにはきちんと自分の手で押さえられる仕組みというものが必要だ。そんなことを労働省がよほど強く大蔵省に言わなければ、大蔵省は企業の側に立って内部留保が抑制されるような仕組みを進んでやりっこないのですよ。ですからそれは、今の基準局長のような姿勢だけでは、今の大蔵省がそれをある程度労働者の担保にということになる仕組みにはほど遠いと思うのです。だけれども大臣が大変前向きに答えたのですから、あなたが今度は労働省の方で、官庁の職員としてこれを積極的に進める意思があるかどうか。大蔵省へ言ったらじくじくと沈んでしまったのじゃしようがないから、大臣の意を体してきちんと大蔵省に言って労働者の保護のために全力を尽くしますと、あなたの答弁まで言ってあげたのだから、そのとおりひとつ言ってみてください。
#69
○寺園政府委員 退職金の保全の問題は大変重要な問題だと考えております。現在の法律におきましても制度を持っておるわけでございますけれども、その重要性にかんがみまして基準法研究会で研究をお願いいたしておるわけでございます。
 ただいま大臣から御答弁を申し上げましたように、また先生からの御発言をかみしめながら、今後の退職金の保全措置の確保につきまして努力してまいりたいと考えております。
#70
○沢田分科員 やっぱりどうも気になる言葉です。基準法のところで研究しているというのは、これは基準法の第何条に関係しますか。さっきから二回も見逃していますけれども、ないんだよ、この項目は基準法の項目の中に。それを基準法審議会で研究していると言うのは、うそもいいところなんだな。その関係は第何条にありますか。今はこれは注意だけにしておく、罪一等を減じて。審議会でなどと何でも審議会を逃げ場に使っているけれども、これはどの項目に該当しますか。ないですよ、労働基準法の中にはこの項目に該当するものが三十四条か三十六条が、それ以外とすればないのですよ、労働者が担保に使えるものを保障する道は。片っ方は給与控除の方法、片っ方は残業その他の協定でしょう。それ以外にないんですようそを言ってはいけないと思います。うそなんて言われるとまたいきり立つかもしれないが――いいですよ、あなたが恥かくだけの話だから。でも言ってみなさい。
#71
○寺園政府委員 賃金、退職金を含めまして支払いを確保するための法的なものといたしましては、賃金の支払の確保等に関する法律というものがございます。そのような法制度を含めまして研究会で調査研究をお願いしておるということを申し上げたわけでございます。
 研究会におきましては、昨年の夏に中間報告を出しまして、退職金の保全につきましてはさらに検討する必要があるということを述べております。その最終結論を本年の夏ごろに出すということも、同じく昨年の夏の中間報告の段階で言っておるところでございます。
#72
○沢田分科員 その保全という言葉と、今の法律の、労働者の権利を保有するということとは似て非なるものなんです。ですから、あなたがいつまで監督局長やっておるかわからぬが、公務員というのはそこは非常に都合がいいことで、前任者が言ったことを後任者が必ずしも引き継がないのですね。今度は大臣が言ったんだし、職員も聞いていたのだから、特に大蔵の山下さんがいるところなんだから話はきちっと通じて、割り切られるだろうということを期待いたします。
 もう一つは、人材派遣業がありますが、これは二つだけ要望して、大臣の善処をお願いいたします。
 パートとは、広辞苑その他の辞典ではどう書いてあるのか、もし労働省の各職員、知っておったらお答えください。パートとは広辞苑でどう書いてありますか。
#73
○赤松政府委員 今、広辞苑がございませんのでうろ覚えでございますが、広辞苑にはパートタイムの定義がなかったと記憶しております。
#74
○沢田分科員 一般の辞典にはあるのですが、このパートという言葉の定義は極めて重要な内容なんです。そういうことで、この定義づけについて検討してくださいということが一つです。この前一つの解説は出ましたけれども、あれはパートということではちょっと不十分なような気がするということで、パートに対する解釈では私は若干違った解釈を持っている者なんですが、その点でパートに対する検討を加えてほしい。
 それから人材派遣業のあり方について、これも再検討をしてほしい。人材派遣業の今の状態は、行った先と派遣したところの契約。相手の就業規則との関係。これは国鉄なんかの出向と同じですね。それから給与は派遣業者に支払われる。そうすると、片方が払ったものを派遣した人にどう払うかについては本人は何もわからない。ですから、派遣業というものの中身を労働省に一回洗ってもらいたいのです。
 いわゆる中間搾取のあり方というか適正な手数料というか、そういうものが正規なルートに乗ってちゃんとやられているかどうか。派遣された先で仕事が変わったりなんかする場合には、派遣業の方に物を言わなければ本人との契約にはならない。そのことが窓口を極めて狭くしてみたり、いろいろな紛争を起こす条件になっておる。職業紹介所は、その点はちゃんと、やればやった先の責任で処理するようになっているわけです。
 以上、私の意見を申し上げ、後はまた新しい質問者の方にバトンタッチしますが、大臣、ひとつ御検討をお願いします。
 終わります。
#75
○山下主査 これにて沢田広君の質疑は終了いたしました。
 次に、井上一成君。
#76
○井上(一)分科員 ことしは同和対策審議会の答申が出て二十年になるわけでありますけれども、同和地区の労働実態は今日なお大きな改善を見ていないというのが私の認識でございます。労働省は同和地区の就労の実態をどのように把握していらっしゃるのか、まずその点についてお聞きをしたいと思います。
#77
○加藤(孝)政府委員 この就業の実態につきましては、数字的な調査といたしましては、ちょっと古うございますが、昭和五十二年のものがございます。
 例えば、臨時、日雇いなどの割合が高くて一般常用雇用の割合が低い。雇用者がない自営業種あるいは内職者の割合が高い。あるいはまた単純労働者の割合が高い。例えば、一般の全国の状況で見ますと単純労働者は三・一%でございますが、同和地区においてはそれが一一・六%、こういう高い割合になっておる。あるいはまた就業の場所が不定、こういうものについても全国は一・八%であるのに対して、同和地区においては一三・二%。さらにまた勤務継続年数を見ますと、五年未満という方の割合が高い。
 こういうような状況があるわけでございまして、私ども、その後も安定所におきます巡回職業相談等を週一回程度続けておるわけでございます。そういう中で実態の把握に努めながら、その就職促進に努めておるわけでございますが、残念ながらこの状況にその後もそんなに大きな変化はないという現状にある、こんなふうに考えておるところでございます。
#78
○井上(一)分科員 今の御報告で、一般常用雇用の割合が非常に低い、単純労務が多い、さらには就業場所が非常に不安定である。これまでの同和対策事業がいわゆる同和地区の人たちの失業、半失業を含めて解消さすために余り効を奏してなかったということは、今のお答えで明らかになったわけであります。
 そういう意味から、新しい同和新法、地対法の制定のときにも就労の保障が強調された。私はできれば全国平均といわゆる同和地区の失業率を把握していらっしゃるならお答えをいただきたいわけでありますけれども、同和地区の人たちの失業あるいは不安定な就労が何に原因しているのか、またその解消のためにどのような施策を必要とするのか、むしろそういうことが明らかになるような総合的な実態調査をこの際行うべきではないだろうか、こういう考えを持っているのですが、労働省の見解を尋ねておきたいと思います。
#79
○加藤(孝)政府委員 先ほども申し上げましたように、私どもとしては安定所におきます巡回職業相談等を通じましてその実態把握に努めており、またそれに基づいての就職促進に努力をいたしておるところでございますが、御指摘のように必ずしもはかばかしくいっていないという認識にあるわけでございます。
 それが現在数字的にどんな状況になっているか、こういう点につきましては、昭和六十年度の予算において前回あるいは前々回等に行いました事項等についての実態把握を予定をいたしておるところでございます。(井上(一)分科員「失業率はわからないですか」と呼ぶ)
 失業率という形で具体的な地区ごとのそういう数値というのは非常に難しい問題でございまして、そういう数値は把握いたしておりませんが、例えば無業者のうちで就業を希望しており、かつ求職活動を行っておられるという方が全国平均でございますと三八%であるのに対して、同和地区の住民については五一%に達しておる、こういう数字があるわけでございまして、失業率もこういう状態から推定すれば、同和地区においては相当高くなっていると考えられるものと思っております。
#80
○井上(一)分科員 さらに、受け入れ側というのでしょうか、企業側ですね。企業内の同和問題研修推進員の意識状況等を把握して正しい認識を持ってもらうためにも、リーダーの養成が必要だとか企業啓発の重要性が強調されるのではないだろうか、私はこういうふうに思うのです。そういう観点について労働省はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#81
○加藤(孝)政府委員 まさに御指摘がございましたように、同和地区住民の就職促進という問題、そしてまた差別の根絶ということを考えます場合に、企業内においてお示しがございましたような同和対策研修員の養成というものが大変大事な仕事である、こう思っておるわけでございまして、実はきょう、あすにかけまして、労働省におきまして全国からその推進員を集めての経験交流会というものを今ちょうど実施しておるというような事情にもございます。今後またこういう雇用主の啓発促進のために、来年度予算におきましては一二%ばかりの予算の増を図りまして特にこの点について力点を置いて進めていきたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#82
○井上(一)分科員 大臣、今局長からお答えをいただいたわけです。これは国民的な課題だ、さらには差別をなくしていくという人間の尊厳という大きな立場に立ってでも、一日も早く差別の実態、実情を把握してその解消に全力を注いでいくべきだ、私はこう思うのです。大臣もお忙しいのでいつとは申し上げませんが、できるだけ速やかに同和地区の実情をその目で確かめられて、行動力のある山口労働大臣のことでございますから、速やかな施策を講じてほしい。ぜひ私も御一緒をさせていただきますので、ひとつ実情を見ていただく機会を持っていただきたいと思うのでございますが、大臣の所見、お考えをここで承っておきたい、こう思います。
#83
○山口国務大臣 井上先生が同和関係の問題、差別の問題等に対しまして予算委員会やあらゆる場所で大変御努力をいただいていることにつきまして、心から敬意を持っておるものでございます。
 労働省としても、先ほど来加藤局長からも答弁がございましたように、雇用主の意識の啓発等につきまして、三十六億一千三百万円ですか、そういう予算等も含めていろいろ取り組んでいるところでございますけれども、さらに労働大臣としてもそういう現場の実情もぜひ視察して勉強する必要があるというふうに考えております。ですから、予算委員会等終わりまして、時間もまた井上先生等にも御指導いただいて調整をさしていただいて、ぜひ在任中にそうした現場も拝見をさせていただいて、またそれを労働行政の諸施策の中にも私なりに存分反映させていただきたいと考えておりますので、よろしくお願いしたいと思います。
#84
○井上(一)分科員 労働大臣の非常に前向きなお答えをいただきましてありがとうございました。ひとつ全力で差別のない平和な社会をつくるために今後とも御努力をいただきたい、このように思います。
 次に、私は障害者の問題についてお尋ねをしてまいりたい、こういうふうに思うわけです。
 常々社会の中でいろいろな人たちが協力をし合って、よりよいみずからの生活向上あるいは社会の平和を築き上げていくわけでありますけれども、ややもするとハンディを持った人たちが何かはじき飛ばされていくというような遺憾な状況があるわけであります。障害者は障害ゆえにこれまた就労できない、仕事につけない。そういう中から自分たちで自立更生を求めての熱心な努力で取り組んでいる共同作業所というのですか、そういう障害者の仕事の場所があるわけでありますけれども、そういう共同作業所の実態等についても十分把握をしていらっしゃるのか。さらには、そういう就労の場を提供するために労働省はどういうように取り組んでいらっしゃるのか。あるいはそこに何らかの矛盾をお感じになって、是正をしたいという取り組みを今日なさっていらっしゃるのか。その点についてもお聞きをしておきたい、こういうふうに思います。
#85
○加藤(孝)政府委員 身体障害者の雇用の促進につきましては、私ども、職業安定行政の中の最重要課題の一つとして取り組まさせていただいておるところでございまして、国際障害者年を契機といたしまして相当の理解の進展を見ておるわけでございますが、率直に申しまして、やはりまだこの問題についてのいろいろな社会的な阻害要因も完全に解決しているわけではないわけでございます。
 そういう中で、今御指摘のこういう作業所の関係につきましても、私ども、その雇用関係にあると見られる作業所につきましてはいわゆる納付金によります各種の援助をいたしておりますが、そういう雇用関係にない作業所につきましては専らまだ厚生省の施策の中で行われておる、こういうような現状にございます。
 私ども基本的に、障害者の対策を進めるに当たりましては、いわゆるノーマライゼーション、身障者の方々が健常者と一緒になって、社会の一般の方々とまさに一緒になって生活をし、仕事をしていく、こういうような方向を目指しての施策を進めようということを基本にいたしておるわけでございます。そういう意味におきましては、現在そういう共同作業施設等におられる方につきましてもそういう理念に基づいてできる限り一般雇用の場へ結びつけていく、こういう努力を今後とも続けていかなければならないだろう、こんなふうに考えておるわけでございます。
#86
○井上(一)分科員 労働大臣に認識を尋ねて取り組みを聞きたいのですけれども、ややもすると、障害を持った人たちの問題になると厚生省だ、こういう認識がどうもあるわけなんですよ。行政というのは多元化の傾向があるわけでありますけれども、むしろしっかりと今生きていく、あるいは生きるんだという人たちには、行政はすべて一元化で受けとめていかなければいけない。特に働く意思、働きたい、働いている、そういう人たちに対しては、これはもう厚生省だとか労働省という枠を離れて、自分たちで何が――自分たちでというのは、厚生省あるいは労働省で何がお手伝いができるのだろうか、そういう意識、認識に立って取り組んでほしいと思うのです。
 具体的に、例えば小規模な共同作業所では法の運用が適用されないのだとか、あるいはいわゆる何人かの、十人以上だとか二十人以上でないといけないとか、こんなのだっておかしいわけなんです。一人であっても、今一生懸命生きようとして努力しているその姿に対して、あるいはその取り組みに対して、やはり労働省として十分な手伝いというのですか協力はしていかなければいけない。そういう意味では、今局長が健常者と同じような状況の中でということ、これも必要であります。だから、厚生省で言えば法の運用、制度の問題――私は、むしろ労働省あたりがその枠を取っ払うぐらいの先導役をしてほしいと思うのです。それであえてきょうここでお聞きをしたわけなんです。例え三人であろうが五人であろうが、あるいは一人であろうが、やはり同じように国はその人の努力を評価していくべきであり、手伝っていくべきである、こう思うのです。これは労働大臣がおっしゃったからといってすぐにそれがどうのこうのとなる問題ではないかもわかりませんが、労働大臣としてはどうお考えなんでしょうか。自力で、自分で生きていくというこのとうとい精神を、とうとい取り組みを評価していくべきではないだろうか、私はこう思うのです。
#87
○山口国務大臣 私は、労働時間の短縮の問題も、ある意味においては一つの勤労者の意識革命の中で大胆に進めていかなければならない、それに対する使用者側、特に社会の大きな理解と認識が伴わなければならないというふうに考えて、時短元年ということでやっておるわけですが、障害者の雇用の問題もある意味において全く同じことが言えるのではないか。特に障害を持ちながら健常人と同じように社会に参加する、勤労を通じて社会に参加するという意欲と決意のある人に公平なチャンスが与えられないということがあってはならないというふうに考えるわけでございまして、特に高齢者の問題を考えても、やはり働けるうちは仕事が提供されるということがぼけ対策あるいは寝たきり対策に対する一つの大きな健康への持続ということにもつながるわけでございます。まして、既に障害を背負っておる人たちにもっと社会が、行政がそういう場所を提供するために真摯な真剣な態度が必要である。特に労働省は、そういう意味においては厚生省以上にそうした障害者に対する施策についてはまじめに真剣に取り組まなければならないということを省内においても常々発言をしておるわけでございますし、そういう行政のサービス精神というのは、厚生省だ、労働省だという縦割の中で主権者たる国民へのサービスが遅滞してはならないというふうに考えております。
 そういうことで、点字用の名刺も、これがすべてを解決するということではございませんが、一事が万事、障害者雇用を預かっておる労働省としては、あらゆる機会また場所を通じてそういう健常者に対してあるいは使用者に対して、あるいは同じ働く仲間の方に対しても御理解と協力をいただくということの姿勢を持ち続けなければならないというふうに考えておりますので、その障害者雇用という問題を、合いい時期でございますから、そういう時短とか高齢化社会というものとあわせて、二百万に近い障害者の方々の雇用の開発についてともども三者一体となって進めていくという一番大事な時期であるというふうに私は考えておりますので、井上先生などからもいろいろ具体的な施策やいい提案がございましたら、ひとつどしどし御忠告いただくこともあわせてお願いを申し上げさしていただきたいというふうに思います。
#88
○井上(一)分科員 私は労働大臣が新しい政策をどんどんと提言されていくことは本当に立派だと思いますし、大変評価をしているんです。時短の問題も、社会全体として、社会の労働力がどういうふうに配分されていくんだろうか、それは障害者も含めて、あるいは先ほど指摘をしました同和地区の人たちも含めてどうはね返っていくんだろうか、どういうふうな効果をそこにもたらすのだろうか。今、障害者の人たちは休みなんという問題じゃないよと、夜通し紙袋ののりづけをしながら生きることに一生懸命努力しているというか、そういう実態を隅っこへ押しやったらいけない、社会の真ん中に置きなさい。そういう実態を社会の真ん中に置いて物事全体を見詰めるときに社会は平和であり、私たちのつくろうとする社会がそこに生まれてくるんだ、こう思うのです。
 だから、今ここで議論をしてすべてが解決するとは思いませんけれども、厚生省も一定の努力をして、それこそ真剣に取り組みをしていると私は思っているわけなんです。ただ、やはり厚生省の枠の中だけではどうもこの問題は解決ができないという私なりの認識なので、働きを生きがいにしていく、そういうことから考えれば、やはり生きがいの持てる社会と口で言ったって、言葉で並べたって、実情はどうなんだと言われたときに、まさに私たちは改めて深い反省と考えを、先ほど私が言ったように、だれを中心に置き、何を中心に置いて考えるべきか、こういうことになろうと思うのです。私は何回となくこういう問題を指摘してきているのですが、拍手を送れる前進にまだ遠いわけなんです。前進がなされないというわけです。
 それで、きょうは山口労働大臣、特に障害者、身体に障害を持つ者、精神に障害を持つ者、いろいろなハンディを背負った人たちが世の中の中心に位置づけられるような労働政策をとってほしい。大臣、ひとつこれはぜひ決意を聞かしてほしいと思うのです。多くを語りません。くどいようですが、それらの人たちに希望が持てるような政治を一。緒にやろうじゃありませんか。
#89
○山口国務大臣 私も、十年ほど前に厚生省の政務次官を務めたこともございますし、障害者の問題はそのころから大変大事な政治の課題であるというふうに認識をしておるわけでございますし、先ほど来から申し上げておりますように、やはり社会の第一線に出てきてもらう、それがまた障害者の方々にとって一番の生きがいであり、また喜びでもあるというふうに私は確信をしておるわけでございますし、先ほど加藤局長からも御答弁がございましたけれども、やはり健常者と一緒になって額に汗して働く、働いているということが一番大事なことでございますので、何とかそのシステムを行政の立場からも一歩踏み込んで進める努力をしたい。ということと同時に、社会的にもやはりそういう障害者の雇用が拡大できるような啓発の部分と、両面からこの問題をひとつ前進させることが大事なことではないかというふうに考えておりますので、私も一生懸命やりますが、井上先生のぜひまた御協力もお願いをさせていただきたいというふうに考えます。
#90
○井上(一)分科員 最後に、私は予算委員会でも再三、昨年もそうですし、ことしも指摘をし、特に労働大臣にはお願いをしておきました。点字に市民権を与えてほしい。今さっきの名刺、これは労働省はすべて点字を取り入れられていらっしゃる。これは、僕は率先されていることに本当に敬意を表するわけですけれども、点字に市民権を与えるというこのことを、中曽根総理も約束はしているのですけれども、私はむしろ労働大臣が中心になってやってほしい。今まで何回言ったってできなかったことなんですよ。山口労働大臣に期待するところ大であるだけに、必ずあなたの在任中に点字の市民権が得られるように、ひとつそのことも最後にお聞きをして私の質問を終えます。
#91
○山口国務大臣 点字の市民権というものを具体的にいいますと、やはりいろいろな社会的なシステムの中にそれを織り込んでいかなければならないということで、当面労働省としては人事院に対して点字で試験が受けられるように働きかけているわけでありますけれども、まずそこを突破口にしてその具体化をまず私は進めていきたい、そこから今井上先生御指摘のような、点字というものが社会の仕組みの中にいろいろ採用されるように広がっていくのではないかというふうに考えておりますので、さらに一段と努力したいというふうに考えます。
#92
○井上(一)分科員 そのことも結構であります。しかしむしろ、役所が点字でのあらゆる公式文書、申請文書、いろいろな申請があるわけですけれども、そういうのも点字で受理する、こういうことはすぐにできることなんですよ。例えば視覚障害のある人が何か申請をしたい、生活保護にしたって何にしたって、申請をしたい、あるいは上申書を出したい、しかし点字で出した場合には今受け付けをしないわけです。だれかがかわって書くわけです。僕は、これじゃよくないと思う。こんなことはすぐに閣議に諮って決められることなんですよ。役所がその気になれば、これは通達を出して。どうしてやらないのだろうか。点字でも受け付けてくれるけれども、必ずそれは漢字なりに訳してから正式な文書として受け付ける。こういうことも一つの、私のお願いとして、これひとつどうですか、早速やってくださいよ。
#93
○山口国務大臣 実務的にどういう措置ができるか、井上先生ちょっと時間をいただいて、私も検討という、いわゆる政治用語じゃなくて、いま一歩踏み込んだところで、具体化できるかどうか、取り組んでみたいと考えますので、少し時間をください。
#94
○井上(一)分科員 どうもありがとうございました。
#95
○山下主査 これにて井上一成君の質疑は終了いたしました。
 次に、米沢隆君。
#96
○米沢分科員 私は、退職給与引当金の保全措置の問題と、時間があれば中小企業退職金共済制度の拡充問題につき、若干の質問をさしていただきたいと思います。
 昨年七月、私は、六十年度税制改正に関連して、退職給与引当金の損金算入率の引き下げ問題が俎上に上っておりましたときに、大蔵省が毎年毎年この退職給与引当金の損金算入率の引き下げをねらう背景には、あるいはまた労働者自身も、この制度が会計法上の当然の措置であり、資金が内部に留保されることによって企業経営の安定を通じて退職金の支払いに資するものであるにもかかわりませず、時にこれを企業優遇税制みたいにとらえて、何か租税特別措置でこの引当金の損金算入が認められて自分たちには余り関係ないという感じで受け取られやすい、そういう背景には、この引き当てられた退職給与引当金が企業において万全の保全措置がとられず、いざというときに役立たない傾向が間々あることに原因があるのではないかと、そういう問題提起をいたしまして、労働省にこの退職給与引当金の保全措置の強化を検討すべきであるということを申し上げました際に、「今後、退職金の支払い確保を図る上で退職給与引当金制度をどのように位置づけていくべきについて、」「現在労働基準法研究会において御検討を願っている」という御答弁がございました。
 そこで、この際、まず総論的に労働省の御見解を承りたいと存じますが、まず第一に、会計法上の退職給与引当金制度というものは、実際の退職金の支払いの確保あるいは保全という観点からどのような効用を持ってきたと労働省自身は判断されておるのか、この点について御答弁いただきたい。
#97
○寺園政府委員 退職給与引当金制度は、退職金の支払い原資を社内で準備する場合、一定の範囲に限りまして退職給与引当金勘定への繰入額を当該年度の費用として損金に算入をするという、いわば企業会計上あるいは税法上の制度でございます。この退職給与引当金制度の採用により、いわば資金が内部留保されることで企業経営の安定を通じまして退職金の円滑な支払いに役立っているというふうに私どもは認識をいたしております。
#98
○米沢分科員 第二に、この退職給与引当金の保全については、賃金の支払の確保等に関する法律というものでその保全措置は社内預金の保全措置に準ずる、こういうことになっておるわけでありますが、「準ずる措置」というのは具体的にはどういう形になっておるのか。
 同時にまた、具体的にそのような「準ずる措置」がなされておる場合に、その実態はどういうものであるか。どうも実態については余りに問題が多いというふうに判断をいたしておりますが、その点について労働省のお手元にある資料等を御説明いただきたい。
#99
○高橋説明員 お答え申し上げます。
 保全措置といたしまして講ずる必要がある措置といたしましては、金融機関による保証、それから質権または抵当権の設定ということになっておりますが、保全の方式別の企業数の割合を見ました場合、保全措置を講じている企業のうち、金融機関による保証方式をとっているものは九二・三%でございますが、質権、抵当権の設定方式をとっているものが五・六%ということになっております。
#100
○米沢分科員 私が申し上げておるのは、その「準ずる措置」とは一体何かということと、そのような方法があるのだけれども、実際は積み立てといいましょうか、保全されておる実態が一体どうなっておるか。保全されている中身を何%がどの方式だということを聞いておるのじゃありません。全体としてそういう方式があるけれども、その方式に従ってどういうような保全がなされておるか、そのことを聞いておるのです。
#101
○寺園政府委員 法律によりまして保全措置を講ずる必要がある企業の中で保全措置を講じております企業の割合は、規模計で申し上げますと一二%でございます。
 その保全措置の内容につきましては、先ほど部長が申し上げたとおりでございます。
#102
○米沢分科員 問題は、法律で保全措置をしなければならないところのわずか一二%しか実際そのような措置をしていない、そのことが本当は問題なんですね。結局これは努力義務だけであって、しなければならないということになってないところにやはり問題があるんじゃないかな、そんな感じがするのでありまして、そういう問題認識を抱えて、労働省としては一体どういうふうにそういう実態を眺めておられるのか。問題ないということなのか、それとも仕方がないというのか、そのあたりの御見解はいかがですか。
#103
○寺園政府委員 ただいま先生がお述べになりましたように、現在の賃確法におきます退職手当の保全措置につきましては、事業主の努力義務として規定をされておるところでございます。
 このような制度をとりました考え方は、退職手当の支払いに充てるべき資金の確保をすべての企業につきまして画一的に強制をするということになりますと、企業サイドから見ますと、倒産という非常にまれな危険のために非常に高額な資金を固定させることになる。それだけ資金の流動性を損なうことになる結果として、企業によっては経営に支障を来したり、あるいはひいては退職金制度そのものを後退させるおそれがあるのではないかというような考え方に基づきまして、現在、努力義務として規定をしておるところでございます。
 しかし、退職金の支払い確保の問題は大変重要な問題でございます。冒頭先生がお述べになりましたように、労働基準法研究会におきまして、昨年の夏に中間報告をし、さらに現在検討を深めていただいておる段階でございます。
#104
○米沢分科員 努力規定にせざるを得ない実情等も、私、わからぬわけではありません。しかし、それをすべて是としますと、保全措置の仕方をちょっと厳格なものにしようという話が前進しませんよ。できれば、そのあたりは、実情はわかるにせよ、やはり実際倒産をし、退職金をもらおうというときに何もない、今まで損金算入でためたはずじゃないか、こんな議論では労働者の保護という観点から大変問題があるわけでありまして、できれば、その実情はわかるにしても、ある程度それを前進させるための姿勢みたいなものを労働省としてはぜひとってもらいたい、そんな感じがするわけであります。
 そこで、さきの話に返りますけれども、今お話がありましたように、労働基準法研究会で検討を今なさっていらっしゃるということでありますが、一体どういうような進捗状況であるのか。まだ結論が得られていないとするならば、実際、研究会の中でこの退職金の保全措置について具体的にはどんな議論がなされているか、こういう議論もあるけれどもこんな問題があるとかいうふうに、具体的に今検討なされておる内容について、もしお話しできれば具体的にお話しをしてもらいたい、こう思います。
#105
○寺園政府委員 労働基準法研究会におきましては、現在三つの部会を設けましてそれぞれ検討をお願いいたしておりますけれども、この退職金問題につきましては第三部会で研究が進められておるところでございます。この退職給与引当金制度を含めました社内準備型の退職金制度につきます支払い確保の問題におきましても、この第三部会において検討をいただいておるわけでございます。昨年の夏に中間報告を出し、現在、引き続き検討を深めていただいておるわけでございますけれども、予定といたしましては、本年の夏ごろに最終結論をまとめていただきたいというふうに思っております。
 この部会におきます検討の状況でございますけれども、一つといたしましては、支払いをより確実にするために社外積み立て型の退職手当制度の採用の問題あるいは退職手当保全委員会設置の問題、また退職手当の不払いを救済する制度といたしまして保証保険制度が導入できるかどうか、またその必要性があるだろうかというような問題につきまして幅広く御検討をお願いいたしておるという段階でございます。
#106
○米沢分科員 その検討結果は大体夏ごろに結論を得られるということでございますが、それは大丈夫でしょうね。と同時に、検討結果が出た場合、どういう手続でその具体化を図っていかれるのか。例えば、夏に結論が出た場合には次の通常国会に出すとか、あるいは通達とかそういう省令とか、そのあたりを変えるだけでもいいとか、いろいろバリエーションがあると思いますけれども、時期みたいなもの、具体化のための手続は一体どういう案があるのか、その点いかがですか。
#107
○寺園政府委員 先ほど申し上げましたように、労働基準法研究会におきましては三つの部会を設けまして、二十二年以来大きな部分につきまして改正をしておりません基準法全体についての見直しを御検討いただいておるわけでございます。各部会の担当の問題につきましてそれぞれ夏ごろに最終報告をいただくということで現在鋭意研究を進めていただいておるところでございます。私どもといたしましては、夏に最終報告が出まして、その報告を受けました段階で関係審議会の意見もお伺いしながら、要すれば法律改正を含めた所要の施策を検討してまいりたいというふうに考えております。
#108
○米沢分科員 このような退職給与引当金みたいな制度が外国にあるのかないのか不明にして私はわかりませんが、もしあったとしたら、その保全措置は一体どういうものになっておるのか、ないとした場合、どういう形で退職金の給与引き当てみたいなものを保全しておるのか、そのあたりをおわかりの範囲内でちょっと教えていただきたいと思うのです。
#109
○寺園政府委員 我が国におきますような退職給与引当金制度が諸外国でとられておるかどうか、現在手元に資料を持っておりませんが、退職金の保全措置といたしまして、現在研究会で研究の対象にいたしております支払い保証保険というような制度は外国にもございます。例えばスウェーデン、アメリカ、西ドイツにおきましては、企業内年金の受給権の保護の観点からこのような制度が設けられておるということを承知いたしております。
 ただ、それぞれの制度はそれぞれの国におきます社会経済的な背景というものをバックグラウンドとして成立いたしておりますので、その制度につきましてはそれぞれ異なった内容のものであるというふうに承知をいたしております。
#110
○米沢分科員 どうもありがとうございました。
 さて、今の問題と関連いたしまして、次は中小企業退職金共済制度の問題点について当局の見解を承っておきたいと思います。
 中小企業退職金共済法ができましてからかなりの年数がたちましたが、これに関するいろいろな調査資料等を読ませていただきますと、顕著におかしいなと思うのがあります。それは共済契約者の脱退が大変多いということですね。五十八年度は、加入が一万四千二百二十七人で脱退が一万五百五人。入るけれども大部分出ていく。こういう状況を続けていったときに、中小企業者にとって共済制度とは一体何だろうかという本源的な疑問にぶつかるわけでございます。これは一体どういう理由があるのか、制度自体に魅力がないのか、それとも入っている方々が負担にたえられないというような実情にあるのか、そのあたりをどういうふうに分析なさっておられますか。これが第一点。
 それから、退職金の額が民間に比べて相当の水準にあるのだろうかという問題がございます。五十八年度の一人平均の支払い金額を見ますと、わずか三十三万円ですね。これは掛金が平均四千六百円ぐらいでございますから、大体五年ぐらい掛けたものに等しいということになりますと、退職金の水準そのものがやはり魅力のないものになっているんじゃないか、そのあたりは労働省としてどういう御見解を持っておられるのか。これが第二点。
 第三点は、この資金の運用、いろいろな福祉制度みたいに使われるようになっておりますけれども、運用されている実績を見ますと、非常にわずかな状況でしかありません。そのあたりについて、果たしてその運用がスムーズにいくような素地になっているのかどうか。例えば施設別の福祉施設資金貸付状況。これは代理貸し付けなんかを見ましても、五十八年度ではわずか百七十件にしかすぎません。三十九年から五十七年のトータルでわずか二千五百八十一件という数字でございまして、このあたりも、共済制度に入って従業員の退職金の手当てをすると同時に、入ることによっていろいろと労働者福祉のためにこの金を使わしてもらおうという、その魅力もないのではないか、こういうふうに考えるのでございますが、そのあたりについて労働省の御見解をちょっと伺っておきたいと思います。
#111
○寺園政府委員 中小企業退職金共済事業団に加入をしてその後脱退をされる事業主の数は、大体一万前後ということでここ数年推移をいたしております。これを規模別に見てみますと、約半数は一―四人のところの非常に零細企業の方が多いわけでございます。
 その理由は、これらの零細企業におきましては、経営不振などによりまして掛金を長期に納めることができないということのためにやむを得ず脱退をせざるを得ないというような方が相当数ございます。そのほかの理由といたしましては、新たに社内に退職金制度を設けたことによって中退制度から脱退をする、あるいは適格企業年金制度等、他の制度に移行することによって脱退をするというような例が見受けられるところでございます。
 この制度の魅力の問題につきましてはかねがね御議論をいただいておるところでございますけれども、魅力づけのために掛金額のアップを法改正時に図ってきたわけでございます。現在の支給金額はお述べになりましたように相対的に見て決して高い金額ではございませんが、これらの方々の平均勤続年数は七年ということと、それから過去の低い掛金というものをいわば引きずりながらこの制度は運用されておりますので、そのために退職金額が低いという状況でございます。これらの制度を基本的に見直すべく審議会で現在御議論をお願いをいたしておるという段階でございます。
 また、資金の運用につきましても、一層の弾力化を図るべく私ども従来から努力をしてまいったわけでございますけれども、この問題につきましても中退制度運用の重要な問題の一つとして現在審議会で御検討をお願いいたしておる段階でございます。
#112
○米沢分科員 いろいろと現在の共済制度に問題があるということで、もう御案内のとおり昨年の八月ですか、例の中小企業退職金共済審議会の方から建議が労働大臣に対して行われております。その中身は御案内のとおりいろいろとありますけれども、今度の六十年度の予算編成過程においてこの建議そのものは何か一つぐらい実際に生かされたのでしょうか。
#113
○寺園政府委員 昨年の中退審議会の建議に基づきまして昭和六十年度の改正を行うべく私どもも作業を進めてまいったわけでございます。
    〔主査退席、小杉主査代理着席〕
その過程におきまして、現在の経済社会情勢あるいは大変厳しい財政状況等々を踏まえてさらに検討を深めることが適当であろうという判断に立ちまして、引き続きの検討を審議会にお願いをいたしておるわけでございます。したがいまして、昨年いただきました建議を踏まえての六十年度の改正は見送ったということでございますが、現在、審議会においての検討の結果を踏まえまして六十一年度の改正を目途に作業を進めてまいりたいというふうに考えております。
#114
○米沢分科員 今回は見送って、さらに審議会で審議を深めてもらう、こういうことのようでございますが、実際は現在の財政事情が厳しい折から、そこらにしわ寄せしないと実際は労働省としての予算のつじつまが合わなかった、そちらの方が本当は本音じゃないかな、こう思います。
 しかしながら、建議の中にありますように、例えば掛金月額の範囲の引き上げとか、掛金の遡及積み増し制度の創設だとか、年金的な機能の導入とか、考え方によったら簡単にできる、金さえあればできるものと、かなり検討を加えなければならぬものがあると私は思いますけれども、次の段階で、次の通常国会等にはこれらを含めてこの前建議なさったその中身のすべてが何らかの形で改善措置として出てくるというふうに御確約できるんでございましょうか、大臣。
#115
○山口国務大臣 先ほど来から米沢先生御指摘のように、やはり退職金共済制度そのものが魅力あるものということは、参加する勤労者の方々にとってより便宜が図られるということでなければいけないわけでございますから、先ほど局長からも答弁がございましたように、来年の国会にはこの見直しを含めて改正を図りたいというふうに考えております。
 それからまた、前段のいわゆる退職金の保全の問題につきましても、前の沢田さんのときにもその問題は御指摘があったわけでございますけれども、その保全のための措置につきましても労働省としては再度これを検討して取り組まなきゃならないという決意を私の立場からも申し上げさせていただきましたので、その点も付随して御答弁させていただきたいと思います。
#116
○米沢分科員 特に国庫補助金にお世話になっている制度でございますので、いろいろと財政事情等もあるかもしれませんけれども、調べてみますと、中小企業の事業主が最高の掛金額を三十年間積み立てても、退職に際しての国の援助はわずかに十五万千六百円にすぎませんね。これが現実には五年間据え置かれてきたわけでございまして、その建議にあるぐらいのもので計算をしますと、この場合は大体四万七千九百円引き上げるぐらいで終わる。したがって、これは最高の例でございますから、まだかなり小さな金額を上積みしてもらいさえすればかなりの前進につながるという中身でございまして、それぐらいのささやかな要求ぐらいはもっと腰を据えて大蔵省と折衝してもらって入れてもらわねばならなかった、私はそう思うので。ございます。
 同時に、従業員百人以下の企業の皆さんの大体三、四割はこの制度を利用していらっしゃる。そういう意味では、審議会の建議ぐらいは実行して中小企業の皆さんに配慮をすべきそのあたりがちょっと欠けておったんじゃないかなと思うのでありまして、再度労働大臣の所信をお伺いしたいと思う。
 と同時に、もう時間もありませんので最後にお伺いしますが、新聞報道でありますから、これはちょっとあるかないのかわかりませんが、「労働省は勤労者財産形成年金制度(財形年金)と、中小企業退職金共済制度(中退)を一本化し、新たな企業年金制度を創設する方針を固めた。これは両制度とも採用する企業が伸び悩みになっているなど抜本改正が必要な時期にきているため、高齢化社会に対応した新制度に衣替えさせようというもの。同省では今秋までに具体案を作成、六十一年度からの実施を目指している。」こういうような記事が出ました。これは一面ではガセネタだという話もありますけれども、しかし、将来の方向性としては、先ほどの建議の中にありました年金的な機能の導入と同時に、やはりこういうものぐらいは逆に検討されてしかるべき内容のものであって、いろいろ難しい問題はありましょうけれども、大臣としてはそのあたりの御検討を願うのか願わないのか、この方針はどうなっておるのか等についてお伺いしたいと思います。
#117
○山口国務大臣 中小企業の退職金共済制度の問題につきましては、率直に申し上げて、私は就任早々で、予算の骨格が既に固まっておったという経過もございますし、また基準局長から答弁を申し上げましたように、いま一つ詰めができなかったという経過もございまして来年まで見送ったということでございますけれども、中小企業と大企業の格差是正というものは大きな政治課題だ、政策的にもそこに真剣に取り組まなければいけない、私はこういう基本的な考え方に立っておりますので、今米沢先生の御指摘のような制度の見直しを含めた改正につきましては、国の補助もわずかである、こういう御指摘もございましたけれども、これは何としても本年度中にまとめて次期国会には提出できるようにひとつ努力したいというふうに思います。
 それから、いま一つの新聞報道の問題は、具体的にその構想が現在あるということではなく、勤労者財産形成の制度は財形審議会の基本問題懇談会で討議しているし、また中小企業の退職金共済制度の改正につきましては先ほど来申し上げている審議会で検討している、こういうことでございますが、御指摘のように、こうした構想をも含めて、いま一つ勤労者のための生活条件の整備のために労働省としてもこういった構想も具体的に検討するぐらいの意欲といいますか政策努力が必要だということにつきましては、先生と同じように考えておりますので、さらにそういう問題についても検討し、努力をしたいという考えを私は申し上げさせていただきたいと思います。
#118
○米沢分科員 終わります。
#119
○小杉主査代理 これにて米沢隆君の質疑は終了いたしました。
 次に、佐藤誼君。
#120
○佐藤(誼)分科員 時間も限られておりますから早速質問に入りたいと思いますが、出稼ぎ者対策の観点から以下質問をしていきたいと思います。時間の制約もありますから、まず三点をまとめて質問したいと思うのです。
 その第一点は、建設労働者の雇用管理について見ると、雇い入れ通知書の交付状況は、昭和五十三年度から五十七年度まで平均しますと、交付していないというのが五一・六%あるのです。五十七年度で五二・七%が交付されていない。こういうことでは、雇用管理はもちろんのこと、事故等が発生した場合の適切なる対応措置はできない状況にあるのではないか。したがって、雇い入れ通知書の交付についてどのように指導してきたのか、また今どう考えているのか。
 二番目の問題は、最近の状況、つまり五十七年から五十九年までの労災死亡事故を見ると、依然として二千六百人前後で余り変わっていない。これは人命にかかわる重要なことですから、これについてどのような対策を講じているのか。
 三番目は、今景気が上向きにあるというふうに言われておりますけれども、依然として賃金の不払い事件が多いし、また立てかえ払いも多い、こういう実態になっているわけであります。それに対してどのように対策を講じてこられたのか。
 以上三点、まずお尋ねいたします。
#121
○寺園政府委員 労働条件の明確化のために建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づく雇い入れ通知書の交付につきましては、従来からその励行に努めておるところでございますが、今後とも従来にも増した努力を傾注してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 それから、労働災害の問題でございますが、五十八年におきます全産業におきます死亡者は二千五百八十八人ということでございます。逐年減少はしてきておりますものの、二千六百人近い方々がとうとい命を落とされるということで、この死亡事故を含めまして労働災害防止につきましては私どもの行政の最大の柱として取り組んでおるところでございます。特に五十八年からは第六次の労働災害防止計画を策定いたしまして、その中でも災害の多い建設業を重点業種の一つといたしまして取り組みを強めておるところでございます。
 それから、賃金不払いの問題でございますが、五十七年、五十八年、季節労働者を含めまして把握をいたしましたのが、五十七年の、ちょっと数字を整理して申し上げます……
#122
○高橋説明員 出稼ぎ労働者が建設業を中心に多数就労をしておりますが、建設業のうち出稼ぎ労働者に対します賃金不払いの実態について、昭和五十八年度の一年間に労働基準監督機関が把握いたしました賃金不払い事案は件数で二百二十一件、対象労働者数で千七十二人、金額で約一億九千万円となっております。それから、それに対する立てかえ払いの状況……
#123
○佐藤(誼)分科員 時間がなくなりますからやりますよ。
 私が今質問したのは最も基本的なことですよ。つまり、雇い入れ通知書を出しているかどうかということ。これは、依然として雇い入れ通知書は五〇%以上出していないという。これでは管理どころか、事故が起こったとき把握のしようがないわけです。それから労災事故も、努力はしていると思うのですけれども、減っていない、特に死亡事故。それから、今申し上げたように、全体的に景気はいいと言われながらも賃金の不払い事故が多いし、また未解決事件も多いし、立てかえ払いも多い、こういうことですよ。ですから、これは努力はしていると思いますけれども、ぜひこの点は、基本的な出稼ぎ者に対する対策、建設業など特に重要な問題ですから、これはまずこれから一段とひとつ努力をしていただきたいということで次の質問に入ります。大臣、まずその点どうですか。
#124
○山口国務大臣 御指摘の問題は、まさに出稼ぎ関係の労働者の方々の条件整備、当然のことでございますので、労働省としても真剣にこれに取り組むということをお答え申し上げたいと思います。
#125
○佐藤(誼)分科員 それじゃ続きまして、建設業附属寄宿舎の監督実施状況がどうなっているかということについてお尋ねをいたします。
 私の手元にある資料によりますと、寄宿舎の監督を専門に実施をしたというのが昭和五十一年、五十二年、五十七年となっているようであります。そこで、五十八年以降実施したのかどうか、それから、五十七年の全国一斉監督実施の状況を見ると、実施寄宿舎が二千九百八十四件、違反寄宿舎が千六百三十七件、違反率が五四・九%、つまり過半数を超えている。特にその中で、寝室の違反、警報設備の不備、出入り口の不備、こういう人命にかかわるようなところの違反が割合に多いのですよ。しかも、毎日寝泊まりしておるところが過半数以上の違反だということでは、一たん火災なりなんなりがあったときにどうするのか、この辺に対する指導をどうやってこられたのか、あわせてひとつ御質問申し上げます。
#126
○寺園政府委員 建設業の附属寄宿舎につきましての一斉監督につきましては、五十七年に実施をしたところでございます。なお、この関係につきましては、建設工事の監督指導の際に、あわせまして従来からこの附属寄宿舎の問題につきましては、建設業附属寄宿舎規程に基づく法定基準の確保につきまして指導監督をいたしておるところでございます。
 また、五十七年の一斉監督の際の結果につきましては、先生が御引用になりましたとおりでございます。これらの違反の状況からして、万一事故が起きましたときには大変大きな事故に発展をするということも懸念されるところでございますので、例えば寄宿舎の火災等による災害の場合に労働者の危険の防止を図るという観点から、昨年の七月からは消防機関との通報制度を発足させ、私どもと消防機関との連携強化に努めておるということなどを実施しておるところでございます。
#127
○佐藤(誼)分科員 全国一斉というのが五十一年、五十二年、五十七年、その後やっていないようですが、ただ、定期監督実施の中で寄宿舎もあわせてやる、こういう趣旨の話ですが、ずっとそのデータを見ますと、定期監督の中で寄宿舎もあわせてやるといっても、その監督する件数が非常に少ないのですよ。先ほど申し上げたような全国一斉に寄宿舎についてやるとなれば、対象件数が多いですけれども、これは徹底します。ですから、やはり全国一斉の寄宿舎に対する監督を行う、このことを徹底するべきじゃないか。とりわけ、今申し上げたように過半数以上が違反状況にあるということになりますと、また火災等で亡くなった云々となってからこの問題を取り上げたって遅いわけですから、これをぜひひとつ私の方から強く要望しておきます。
 それから、これは私も取り上げたことがあるのですけれども、消防署との協力通報関係、これは今のお話によりますと、昨年の七月からやってきたということなんですが、これはやはりぜひ効果を上げるように努力をしていただきたいと思うのです。今、私は全国一斉に寄宿舎等についてやるべきだと言ったけれども、監督官が少ない状況の中で、年間三十名ぐらい増員しているそうですけれども、やはり実際問題としてなかなか手が回らぬと思うのです。ですから、消防署との協力というものは大変重要だと思いますので、ぜひその辺を強化しながら、その成果がどのように上がってきているのか、追跡調査もしながらデータをひとつ整備していただきたいということを私の方から特に申し上げておきたいと思います。どうですか、局長。
#128
○寺園政府委員 昨年の七月一日から消防機関との通報制度を実施をいたしておるわけでございますが、昨年の七月一日から十二月末までの仮の集計でございますが、監督いたしました寄宿舎数八百七十七のうち、所定の要件に合致をし通報いたしました件数が五十四件ございます。また、それに対しまして、消防機関が査察等を行ってその結果を回報してまいりましたのが十一件ございます。せっかく発足いたしました制度でございますので、この制度が有効に機能いたしますように今後とも運用に努めてまいりたいというふうに思っております。
#129
○佐藤(誼)分科員 今局長から答弁ありましたが、そういう意味で成果も上げつつありますから、特に消防署の場合は末端まで調査をする機能を持っているわけですから、労働省あるいは監督官だけでやるといってもなかなか手が回らないことがあると思いますから。今、大体現在の状況わかりました。ぜひ成果が上がるように努力をしていただきたいというふうに思っております。
 次に中退金制度について、これは先ほどの方も質問があったようですが、その中で特に建退共制度についてお尋ねをしたいと思うのです。
 今までの質問の方にも答弁されておったようでありますけれども、中退金制度は五年ごとに見直すことになっているわけですが、ことしは行うのかどうか、行わないとすればなぜ行わないのか、またこれからどう扱うつもりなのか、その辺、まずお尋ねしたいと思うのです。
#130
○寺園政府委員 中小企業退職金共済法に、この制度につきましては掛金の額、退職金の額等について少なくとも五年ごとに見直すものとするという規定がございます。前回の改正は五十五年でございましたので、この法律の規定に基づく検討といたしまして、六十年改正というものを念頭に置きながら中退審におきまして御検討いただき、昨年建議をちょうだいをし作業を進めたところでございますが、その過程におきまして、最近におきます社会経済情勢あるいは財政状況等々を考慮いたしまして、さらに検討を掘り下げて行うことが適当であろうという結論に達しましたので、六十年の改正は見送ることといたしまして、六十一年の改正を目途に現在中退審議会で審議をお願いをいたしておるところでございます。この審議の結果を踏まえまして、六十一年改正を目途といたしまして検討を進めてまいりたいというふうに考えております。
#131
○佐藤(誼)分科員 いろいろな事情があって、本来やるべき六十年度を見送った、こういうことだろうと思いますし、来年度、六十一年度はやりたいと、こういうことなんですが、私はちょっと不満なんですよ。大体、私は五年に一遍見直すということ自体問題があるのじゃないかというふうに思っているわけです。先ほどからの質問もありますように、この充実すべきというこの趣旨は皆さんも十分理解していると思いますけれども、特に五年間となりますとそれ相応の賃金が上がるわけです。しかし、その間ずっと眠っている状態ですからね、極論すれば。掛金の変動はあるかもしれませんけれども。そうなりますと、賃金が上がったって退職金そのものは五年間変わらないわけですよ。こういう問題が基本的にあるわけです。この経済状況の変動を考えたときに、果たして五年に一度というこの見直しが適切なのかどうか、これが基本的にあると思うのです。そういう点からいっても、五年のやつをさらに一年延ばしたということは、私はいろいろな事情があるにしてもやはり問題であるというふうに言わざるを得ないのですね。
 それからもう一つは、この五年間ということを考えたときに、ちょうど改定した年に退職されてもらう方はいいわけです、簡単に言うと、金額の多寡は別にしても、公平の観点から言うと。ところが、五年間たって改定直前にもらう方は、同じ退職金をもらったらその間の物価の上昇があれば大変不公平であるわけです、これは簡単に言いますとね。ですから、私はむしろ五年間の中間ごろに物価スライド的なものを加味して中間見直しのようなものがあってもいいのではないか。そうならないと非常に不公平であるし、今日の五年間、ごく最近は物価というものがある程度鎮静化しておりますけれども、これはいつどういうふうに動くかわからぬわけです。そういうことを考えますと、中間的にそういうことを考えることがむしろ積極的な意味で重要ではないかというふうに考えますので、その辺の見直しについて基本的にどう考えておられるのか。労働大臣、どうなんでしょうね。
#132
○寺園政府委員 法律におきましては、少なくとも五年ごとに見直しをするということでございますが、御承知のように現在の中退制度は最低掛金と最高掛金の間に十九段階の掛金額を定めております。その間に事業主としてより多くの退職金を従業員に支給するために掛金の増額をされる例もかなり見られるところでございます。そういう形で五年間は対応していただくという形に現実にはなるわけでございますが、中間年度で物価スライド的な問題を考慮できないかということでございますが、現在の中退制度は、掛金の運用とそれに対しての国庫補助ということで給付がなされておりますので、物価スライド的な原資をどこから持ってくるかというような大きな問題もあろうかと思います。いずれにいたしましても、そういうような問題を含めまして審議会で中退制度の基本的なあり方について現在御検討をお願いいたしておりますので、その結果を踏まえまして六十一年度改正に向けての作業を進めてまいりたいというふうに思っております。
#133
○山口国務大臣 私、先ほども答弁させていただいたわけですけれども、やはり大企業と中小企業の働く労働者の労働条件についてもいろいろな格差が出ているし、また企業間においてもいろいろ開きが出過ぎている、こういう問題を解決していくための総合的施策の中の一つとして、この中小企業の退職金共済制度というのは非常に大事な政策だと思うのですね。そういう意味で、先生の御指摘のように、五年でさえもいろいろ問題があるのにまた一年先送りというのはとんでもない話じゃないかという御指摘、全くそのとおりでございまして、そういう意味で来年をめどとして改正をするということが一つと、それから中間において物価スライドが適用できるかどうかということは、これは今局長から答弁ありましたように、大蔵当局、国庫補助の問題、いろいろございます。で、なかなかすぐには難しいと思いますが、そういう大企業と中小企業の問題を政策的に埋める大事な問題の一つだという認識で、いろいろ審議会もございますけれども、私、労働省においても今後この制度そのものの改正についてはひとつ意欲的に努力をしたいという考えを持っていることをお答えさせていただきたいと思います。
#134
○佐藤(誼)分科員 労働大臣の考え方と今後の取り組みの姿勢がわかりました。ひとつ十分に検討し、対応していただきたいと思うのです。
 ただ、現行の中退金、建退共、いろいろな問題を抱えておるわけです。私、五年前にこの問題を議論したことがありますけれども、一つは加入率が低いということがありましょうし、それから今の退職金の支給額が低いということや、あるいは二年未満は簡単に言えば掛け捨てみたいな制度になっていますから、そういうこととか、いろいろありますけれども、まず一つお尋ねしたいのは、現在加入率を簡単に言うとどのくらいというふうに押さえているのか、それから今申し上げたような二年未満は切り捨てるというこのことが果たして実情に合っているのかどうか、このことと、それから今申し上げたように金額が低いのではないか、この辺について端的にどうなんですかね。
#135
○寺園政府委員 加入率は、加入が可能な対象事業所の約四割というふうに把握をいたしております。
 それから、いわゆる掛け捨ての問題でございますけれども、この制度はいわば業界退職金としての共済制度でございますが、そういう共済制度という仕組みの中で、また一般の企業の退職金の事情というものも考慮しながら、現在の退職金のカーブというのを描いておるところでございます。過去には三年の掛け捨てというのを、たしか二年の掛け捨てに縮めた経緯もございます。こういうような問題を含めまして審議会で御検討いただきたいというふうに思いますが、この二年の掛け捨ての問題を解消するということは、とりもなおさず長期の方の給付をそちらの方に持っていくということになりますので、共済の仕組みとして、その辺をどのように考えるかということが検討課題になるのではないかというふうに思います。
#136
○佐藤(誼)分科員 加入率が高いか低いかの議論はあるでしょうけれども、やはり加入率が高くないと実効は上げられないと私は思うわけです。しかも、先ほど質問もありましたけれども、途中からやめる方もかなりいるわけですから、これをどういうふうに引き上げるかという課題が一つあります。
 それからもう一つは、二年未満はカットというこのことですが、二年間というと、日数に直しますと、簡単にいえば五百四日ですよね。この二年間五百四日を建設業として働いて証紙を添付してもらうというのは大変だと思うのです。これは雨の日もあれば風の日もあるわけですから。そして頑張っても、二年未満は掛け捨てだということになりますと、これは大変なことじゃないか。例えば今の加入率四〇%、仮にどのような分母をとってみても五〇%いかないわけですね。そうすると、極端なことを言えば、あるところに行ったら証紙をもらえるけれども、次のところへ行ったら証紙をもらえない。ですから、二つの企業にいて二分の一はもらえないということになりますから、そういう計算でいきますと、例えば、極論すれば二年のものが四年かかるということになってしまうわけですよ。さらに建設業は一カ見計算を二十一日にしたって、果たして二十一日働けるかどうか、この辺の問題もあります。特に出稼ぎのことなどを考えますと、今農家から出てきている出稼ぎ者の皆さんは、例えば一年間の稼働というのは大体百二十日くらいなのです。この百二十日というものを今度基礎にして二年間の五百四日を確保するとなりますと、それだけで四年近くかかってしまうわけですよ、極論だけどね。こういう問題がありますから、二年未満を全部カットするということは、それは机の上では考えられますけれども、実際の場面を想定すると、二年間分に相当する証紙を張ってもらうというのは、建設業の出稼ぎ者にとっては大変だ。このことを考えておく必要があるというふうに思いますので、これを申し上げておきたいと思います。
 それから次に、公共事業の発注に当たって、建退共加入を競争参加の資格条件にできないかということなのです。この意味、おわかりだと思うのです。ですから、これはどのように検討されているのか。今から五年前もこのことを私問題提起したことがありますので、時間もありませんから、端的にその点について検討の経過なり考え方を教えていただきたいと思います。
#137
○近藤説明員 建設省の直轄工事につきましては、発注の際、その都度、加入してない業者については指名の際考慮されるということを常々言っております関係上、実際上指名業者についてはほとんど加入業者ということになっております。一、二例外があるわけでございますが、先生御指摘の趣旨の方向で徹底してまいりたいと思っております。
#138
○佐藤(誼)分科員 そういうふうに努力されているのは大変結構だと思うのですが、私たちからいうと、さらにそれを一歩進めて、公共事業発注の、あるいは受ける方からいえば受注の方の条件にするところまで持っていくことによって、建退共の加入をふやしていくことが考えられると思うし、特に今の工事単価の中に、法定福利費というような形で一定の率が算定されているでしょう。ただ、その場合に問題になるのは、実際そういうことで、相当する証紙を買っても、本当にそれが下請、孫請を含めて被共済者に対して、つまり建退共の手帳に張られているのかどうか。これは追跡してみると張られていないのですよね。余り買ってもいないし、張られてもいない。ですから、この辺は、今言ったように、競争参加の条件、資格条件と同時に、末端までそういうものの添付を徹底させる。このことは極めて重要でございますので、ぜひひとつその点については今後指導を徹底してもらいたいというふうに思います。
 時間もありませんので、最後に、今問題になっている単身赴任者の税制上の優遇措置の問題ですね。これは単身赴任者全体については国会でも議論されておりますし、今六十年度予算でもそれの検討に入っていますから、これはこれでいいのです。
 ただ、出稼ぎ者の場合も単身赴任であることに変わりはないわけなんですよね。しかも、普通のサラリーマンの単身赴任の場合には、帰省旅費であるとかあるいはまた単身赴任手当であるとか、そういうものが支給されておって、そのものを税制上の優遇措置の対象にするという問題なんだけれども、出稼ぎ者の場合にはそういうものを支給されていない人が多いわけだ。全く自前持ちなんですよね。ですから、その部分について税制云々ということは問題にならぬわけです。その辺のところをどう考えていったらいいのか。自分のポケットから金を出してうちに帰ったり、自分の二重生活の中の処理をしているわけですからね。これはまたサラリーマンの単身赴任以上に、経済的に大きな負担だと私は思うのです。このことが一つ。
 それからもう一つの問題は、よくサラリーマンの方は単身赴任を余儀なくされている、こういうような形で労働省でもいろいろデータを挙げておりますけれども、これは出稼ぎ者だって同じなのですよ。確かに自分の意思というふうには見えるけれども、農家の皆さんは、三ヘクタール農家だって、半分以上は農外地にいなければならぬ羽目に陥っているわけですから、そうすると、やむを得ず出稼ぎをせざるを得ないことになっているわけだ。その中で、自分の身銭を切ってうちに帰ったり、かまどを二つにして働いているわけですから、このことを今後十分考えていただきたいと思います。
 そこで労働大臣、この点について御答弁いただきながら、総括的にひとつ所見をいただきたい。
#139
○山口国務大臣 佐藤先生御指摘の、単身赴任も出稼ぎの方も同じ条件にあるのだから当然税制的な手当てをすべきである、こういう趣旨はよくわかるのですけれども、そのお話を聞いておりますと、我々が大蔵省と話しているときに、そっくり佐藤先生と同じようないわば説明で、出稼ぎの人に対してどうするのだ何はどうするのだということで、単身赴任者に対する減税措置に対して大変厳しい御説明をいただいた、こういう経過もございまして、御承知のとおり、税制改正についてはさらに中長期的に検討する課題である、こういうことになったわけですけれども、この間の与野党折衝の中でもう一回浮上してきたという経過もございます。
 この推移を我々見守りながら勉強していきたいと思いますが、正直、税制当局は単身赴任者の問題のときに、当然次は出稼ぎの問題が出てくる、何が出てくるということで、だから出せないんだ、こういう答弁が非常にきつかったものですから、ここで労働大臣がまあ検討しましょうと言うわけにいかない非常に厳しい状況もあるということも御承知いただきまして、今後の勉強課題にさせていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
#140
○佐藤(誼)分科員 以上で終わります。
#141
○小杉主査代理 これにて佐藤誼君の質疑は終了いたしました。
 次に、春田重昭君。
#142
○春田分科員 大臣にお伺いしますけれども、五月のゴールデンウイークでございますが、太陽と緑の週にすべく、労働団体の皆さん方を初め民間の方々も運動を展開されているわけでございます。これに対しましては、四月二十九日から五月五日までを大型連休にするとか、それが無理だったら五月四日のみを休日にするとか、そんな案が出ております。また、法制化すべしとか、それが無理だったならば、要するに企業に対しては労働省が、また学校に対しては文部省等が行政指導をやったらどうかといういろいろな案が出ているわけでございますけれども、大臣の御見解をひとつお伺いしたいと思うわけでございます。
#143
○山口国務大臣 ゴールデンウイークの連続休暇の問題につきましては、先生御承知のとおり、労働時間短縮という問題が、どうしても高齢化社会における中長期的な雇用の問題にもつながっている、それからまたもちろん労働者の労働条件の改善、福祉の問題でもある、あるいは国際的に見て長時間労働が失業を輸出しているというようないろいろな問題の中で、週休二日制をさらに拡大をしていく、あるいは年次有給休暇の完全消化をさらに徹底する、こういうことが本来の趣旨でございますが、日本の長い間の労働条件、環境の中でなかなかそれが進まないということの中から、今先生御指摘のように、いろいろな団体とか労働団体、市民団体の皆さん方の中で、連続休暇という考え方で強く要望を出されているわけでございます。我々としても、そういう趣旨は基本的には全く同感でございますので、労働省としても当分は行政指導で連続休暇の拡大を図っていくということが妥当ではないかということで、既に六割近い企業がこれを実施しているわけですけれども、またこれを実施していない企業は、中小企業とか零細企業、また皆さんが休むときに休めない流通業等がございまして、そういう点もありますので、さらにこうした点を踏まえて行政指導で進めながらこの実施を拡大していく。
 ところが、今回与野党の政策協議の場におきまして減税の問題とあわせて労働時間短縮、連続休暇の問題についていろいろこれから協議するんだ、今国会中に結論を出すんだ、こういう合意がなされたわけでございますので、我々労働省としても、政党間協議の推移を見守りながら、その結論を期待したいというふうに考えておるわけでございます。
 五月四日の問題につきましては、最初から法制化で一週間連続休暇というと、経済は生き物ですから、いろいろな不承不承が起こって、かえって国民経済や勤労国民にも迷惑がかかる部分もあるのではないかということで、まずその突破口という意味で、五月四日というものを労働法的な立場で休日にするのか、あるいは内閣委員会のような場所での祝日法案にするのかというようなことも含めて、政党間でいろいろ御協議いただいた結論の推移をひとつ見守りたいというふうに考えておるところでございます。
#144
○春田分科員 文部省としては、五月四日を休日にするということにつきまして、行政指導する云々ということにつきましてはどんなお考えを持っておるのですか。
#145
○熱海説明員 お尋ねの件につきましては、昨年の十一月、労働省から内々の意向打診がございまして、文部省としていろいろ検討いたしたわけであります。
 もともと休業日というのは、どこにそれを定める権限があるのかと申しますと、日曜日、祝日以外は学校を所管する教育委員会が定める権限を持っているわけでありますから、文部省としては行政的な指導という立場に立つわけです。したがって、文部省が何の根拠もなしに一律にこの日を休みにしろというようなことは、立場上ちょっと難しい。しかし、何らかの目的を持って、この日を国民こぞって休業日にするというようなことが政府全体として意思決定なされるなら、これを根拠に指導することはやぶさかではない、こういう考え方でございます。
#146
○春田分科員 大臣もおっしゃったように、日本人の平均労働時間というのは、世界の平均労働時間に比べて大体三百ないし四百時間長いと言われるくらい非常に多いわけですね。その意味で、休日をふやしたり時短ということは、充実した家庭生活、自由時間を過ごせることに非常に大きな意義がある、私たちもこう思っているわけでございます。しかし一方では、中小企業や自営業の方々、日給月給の方々、そうした方々のことも配慮していく必要もあろうと思いますが、国として前向きに検討していただきたい、私はこういう要望をいたしまして、この問題につきましては終わりたいと思っているわけでございます。
 次に、我が国の高齢化現象というのは、欧米に比べて急速に進展していることは大臣も御存じのとおりでございます。五十五歳以上の高年齢者の割合は、昭和五十八年十月一日で全人口の一九・四%であったのが、二十年後には三一・三%、三十年後には三三%と予想されているわけです。実に三人に一人が五十五歳以上の高年齢者の方によって占められるわけですね。そうした高齢化社会に対応せねばならないことは、御案内のとおり福祉の問題、年金の問題であり、さらに医療の問題、雇用の問題であろうと思っているわけでございます。
 従来労働省の雇用対策というものは、まず定年延長を促進していく、二番目には六十歳の方々をさらに六十五歳まで雇用するように対策を練っていく、さらに高年齢者の再就職の問題、こういった対策等が主な課題だったと思うわけでございますけれども、果たしてこれで高齢者の労働力人口がふえていくのを吸収できるかという問題があろうと思うのです。従来とっていた対策も当然踏まえながら、そういった長期的といいますか抜本的に新たな対策というものが必要ではなかろうかと私は考えるわけでございますけれども、大臣、どう考えますか。
#147
○山口国務大臣 全く春田先生御指摘のとおりでございまして、人生八十年時代あるいは九十年時代ということが予測され、既に現実化し、さらにそれが伸びるという予測を考えましたときに、社会保障や年金も大事ですけれども、元気で働ける条件のかなううちは仕事が分配されるということが、ある意味においてはぼけ対策あるいは寝たきり老人等を含めまして、やはり健康な高齢化社会のためには不可欠な条件であるというふうに、私は基本的に考えるわけです。そういう意味で、労働省といたしましても、雇用審議会でございますとか中央職業安定審議会等を通じまして、今先生御指摘のように、六十歳までの定年の延長あるいは六十歳台前半の雇用の延長等を今審議していただきまして、これをどうするか、次の国会までにまとめたいということが一つございます。
 それと同時に、そういうことになりますと、ここ数年の間に大体四、五百万規模の労働人口の増加が新たに見込まれるわけですから、それを考えますと、経済企画庁等で試算をいたしますと大体七、八十兆円規模の経済投資が新たに出されませんと、それだけの労働人口を抱えることができないということでございます。そういう意味で、仕事をふやしていかなければならないということが一つ。
 いま一つは、春田先生から労働時間の短縮の問題を御指摘いただきましたけれども、いわゆるワークシェアリングといいますか、一人の労働時間を少しずつ短くすることによって仕事を分かち合う、こういう考え方も取り入れていかなければならない。今、春闘の時期ですから、労働大臣がそういうことを言うのは適当かどうかわかりませんが、賃上げの部分を多少抑制しても仕事を――これはことし、あすの春闘ということじゃなくて、これから何年か先の問題として、賃上げの部分をいかに仲間と仕事を分かち合う部分に振り向けるか、こういう三点を基本的に考えませんと、本当に高齢化時代における労働市場を安定させる、失業率を今と同じように二%以内、完全就業の状況に抑えていくことは不可能ではないかということで、労働省としては今からそういう問題をひとつ検討して、国民の皆さん方に迷惑をかけないという決意で今努力をさせていただいておる、こういうことでございます。
#148
○春田分科員 一部の報道でございますけれども、見出しで「「シルバーベンチャー企業」育成」という形で、そういう構想があるやに出されているわけでございますけれども、これについてはどうお考えになっているのですか。
#149
○加藤(孝)政府委員 そういう記事が出ましたが、私ども将来高齢者についていろいろ政府全体で、働く場の拡大というものに取り組んでいかなければならぬ。また、それに対してどう援助していくかというようなことは、必ずしも労働省だけでできる話ではなくて、関係省庁の意見等も聞かなければならぬ話でもございます。あの記事については、私どもは今ああいうものを具体化すべく、労働省でぎりぎり議論しておるというものでは必ずしもまだないわけでございます。
#150
○春田分科員 そこで、六十歳以上の定年延長の企業等が五十九年一月では五二・一%に上がってきまして、さらに決定なり予定している企業等が六五%ある、こういうことで定年の法制化の問題が浮かび上がると思うのですが、これに対しては大臣、どうお考えになっていますか。
#151
○山口国務大臣 先ほどもお答え申し上げましたように、雇用審議会でございますとかそういった審議会で定年の延長の問題を各界の代表の委員の先生方で御討議いただきまして、それが実はことしに入ってから委員会を再開する予定を昨年、繰り上げまして早目に開いていただきまして、非常に大事な問題でございますので、早急に結論を出すべく今審議をお願いしている。その結論を待ちまして、労働省としてもしかるべき法案として整備して、国会で御論議いただくというようなスケジュールを考えながら今作業を進めておる、こういうことでございます。
#152
○春田分科員 今雇用審議会でいろいろ検討されていると聞いているわけでございますが、大体めどというのはいつごろを想定されているのですか。
#153
○加藤(孝)政府委員 現時点ではまだ労使的な立場からのいろいろな論議が激しく対立しておる段階でございますので、今この段階でいつということを申し上げにぐいのでございますが、私どもはとにかくできるだけ早くということで申し上げておる、こういうことでございます。
#154
○春田分科員 さらに、六十歳の定年を六十五歳まで延ばした企業等については、国は奨励金や助成金を出しておりますね。ところで、その将励金は六十一年度から打ち切りということを聞いているわけでございますけれども、六十年度で終わりだ、こういうことで、各企業にはそういう形の一種のおどしみたいな形で徹底されているみたいでございますけれども、これはどういうお考えですか。
#155
○加藤(孝)政府委員 これについては、奨励金という形で、何とか六十歳定年制というものを目指して早くやるように努力していただきたい、こういう趣旨でこの制度があるわけでございます。そういう観点からいきますと、いよいよこの昭和六十年の目標年次というものを過ぎた段階では、むしろそれがある程度主流になったりあるいは一般化しておる。こういう状態の中では、そういう形の奨励金というものは、もはや今度は次の段階のものになっていかなければならぬだろう。こういうようなこともございまして、既に職安審議会でも、一応六十年でそれは終わる。そして、その後どういう奨励措置といいますか、どういう施策をとっていくかというのは、まさに今中央職業安定審議会でも、どう具体的にそれ以降はやっていくのか、また、具体的に雇用対策基本問題小委員会という場でずばりそういった問題も含めて今御審議を願っておる、こういうことでございまして、その審議の結果を待って、これをどうしていくかということでございます。一応本年度末で今のような形の奨励金は終わり、こう考えております。
#156
○春田分科員 別な面で活用するようなお考えをお持ちみたいですが、いずれにいたしましても、要するに実施状況を見ながら検討していくということで、なるたけ廃止ということはやめた方がいいのじゃなかろうかと意見を述べておきます。
 さらに、高年齢者の雇用率が六%となっております。この雇用率の未達成の企業が四七・四%ある。年々達成率は高くなっているみたいでございますが、いまだ半分近くの企業は達成していない。しかも、規模別に見た場合、大企業が非常に多いわけですね。これは一応努力義務となっているわけでございますけれども、まだまだそういう未達成企業が半分ぐらいある現況ではなかろうかと思っているわけでございますけれども、これを義務規定にしたらどうなのか。
 さらに、未達成企業につきましては、身障者の雇用と同じように、雇用納付金制度がありますね。ペナルティーを科しているわけでございますけれども、こんなことも考えてもいいのではなかろうかという私自身の考えを持っているわけでございます。先ほどおっしゃったように、数年後には五百万近くの高齢者の労働力人口がふえるという大臣のお答えもあったように、非常にふえていく。反面、先端企業等の発達等によりまして、ロボット等の導入等があれば、ますます高齢者の方たちが排除されていくという形になるわけですね。そういった面でも一考を要する案件ではなかろうかと思っているわけでございますが、大臣、どうお考えになりますか。
#157
○小野政府委員 高齢者の雇用率につきましては、全体といたしましては法定雇用率六%を上回って、五十九年六月一日現在で七・三%の達成状況になっておりますが、未達成事業所につきましては、先生御指摘のとおり、四七・四%ということで過半近く占めているところでございます。
 そこで、現在私どもといたしましては、雇用率達成のための計画作成命令などを命じておりまして、これで雇用者の就職促進を図っているわけでございますが、先生御指摘のように、これを義務化にしたりあるいは納付金制度を設けるという仕組みをつくることにつきましては、身体障害者と違いまして、高齢者の場合には我が国固有の賃金制度あるいは年功序列の体系と密接に絡んでおりますので、ただ雇用率の制度を強化したからこれで雇用促進が進むのかという点については問題があるのではないかと考えております。
 ただ、いずれにいたしましても、先ほど来大臣、局長が申し上げましたように、これからの高齢化社会に的確に対応してまいりますために、現在高齢者の雇用就業対策について全般的な見直しをしておりますので、その関係審議会の中でそのような問題も含めて議論を進めてまいりたい、こう思っております。
#158
○春田分科員 これについて、大臣から何か御所見ございませんか。
#159
○山口国務大臣 基本的には、高齢化時代に対する一つの社会的安定ということ、働く意欲と健康に恵まれている人が十分就業できる、こういう生活環境を整備することが政府の一番大事な仕事でございますから、先生の御指摘に沿って努力をしたい。
 ただ、これが急激に高齢化時代を迎えたという経過もあって、給与の問題とかポストの問題とか、あるいは業種別によっては若い感覚でなければ、例えばファッションとかいろいろな問題は、高齢者をいきなりそこへ雇えと言ってもいろいろ問題がある。そういうきめ細かい施策の中で高齢者の送り込みをいたしませんと、かえってこれが高齢者自身にとって、精神的にも肉体的にも大きな疲労やダメージになってしまってもいけない。こういうこともありまして、今、部長の説明のように、その辺を踏まえて審議会の議論を進めながら、我々としても高齢者対策というものの具体的な施策について、ともども研究、検討したい、かように考えておりますことを御理解いただきたいと思います。
#160
○春田分科員 時間がございませんので、最後にシルバー人材センターについてお伺いしたいと思うのですが、このシルバー人材センターにつきましては見直しがされたと伺っておりますけれども、今後どうなるのか。特に、従来五十五年から発足いたしました国の助成、補助金ですけれども、当面五年ごとに見直していくということで、今年度から切れる予定だったのですけれども、一応六十年度は予算化されて補助金がついているわけですが、今後どうなっていくのか、継続されていくのかという不安があるわけでございます。この点につきまして御所見をお伺いしたいと思うのです。
#161
○小野政府委員 シルバー人材センターの事業につきましては、制度発足以来五年を迎えましたので、いわゆる見直しの年に当たっておるところでございますが、六十年度におきましても、既設の二百三十五団体に加えまして、新たに二十五団体の増設を行うこととしたところでございます。助成につきましては、センターの運営努力を助長する、そういう意味合いから、事業実績に応じた補助方式に改めるとともに、また、複数の自治体による共同設置方式を取り入れたなど、改善を図っております。
 今後の問題でございますが、これも先ほど来申し上げておりますように、中央職業安定審議会等において、シルバー人材センターも含めまして、それは六十歳前半層の雇用就業対策の重要な柱でございますので、そういうものも含めまして、今後の高齢者の雇用就業対策の全般的な御検討をいただいておるところであります。私どもといたしましては、現在、シルバーが各地で関係者の御努力で大変好評を博しておりますし、また、今後の高齢化社会においてそれに適切に対応していくための重要な施策の一つであると認識しておりますので、今後とも育成強化を図ってまいりたい、かように考えておる次第でございます。
#162
○春田分科員 では、補助金につきましては大蔵省の考えをお伺いしたいと思います。
#163
○小村説明員 今年度の予算の内容につきましては、ただいま部長から御紹介のあったとおりでございます。私ども大蔵省といたしましても、今後の高齢化社会に向けての雇用対策あるいは生きがい対策ということについては、大変重要な課題だと認識をしております。
 ただ、こういった雇用対策につきまして、すべてが国の補助の支えによる対策では、やはり限界があろうか。民間の経済の活力の中で大部分は解決をしていただかなければいかぬわけでございますが、六十年におきまして、労働省においても、こういった広い見地から高齢化社会に向けての対策を検討されるということを聞いておりますので、十分相談してまいりたいと思っております。
#164
○春田分科員 今こういう補助対象になっているのが二百三十五で、六十年度が二十五団体ということでございますから、二百六十団体くらいになるのですね。会員数も約十一万だと聞いておるわけでございます。そういった意味で、国では一定の限界があるみたいな話がありましたけれども、これだけ相当各地方自治体でも力を入れて伸ばしてきたわけでございますから、これがもし国の助成がなくなってしまえば大変なことになってくるのですね、混乱状態になってくるわけです。そういった面で、この助成制度は今後とも継続すべきであると私は強く要望するわけでございますけれども、大臣、この点についてはどうですか。もう一回大臣の決意をお聞きしたいと思います。
#165
○山口国務大臣 先生から、大蔵当局に対しましてはその必要性を強く要請もいただいたわけでもございますし、私の方も、先ほど来申し上げておりますように、高齢者問題というのは、何といっても勤労が健康な高齢化時代の支えでございますから、社会保障費の部分になってから、どうしても国の予算を賄わなきゃならないという考え方だけじゃなくて、いわば健康な勤労老人の部分においてもしかるべき予算的措置、国としても力を入れていただいて、それがひいては国の財政にも国の運営にも必然的に大きな貢献ができるという考え方がぜひ必要である。こういう確信に立っておりますので、さらに労働省としてはこの施策を一層進めたいと考えておりますし、さらに、総理やなんかとも、このシルバー平和部隊というような、外務省などに対しても、これは人数は限定されますけれども、そういう高齢者の方々に大きな夢と新たな期待といいますかも、やはり高齢者の方の健康保持という点においても非常に大事なことでございますので、その点もあわせて実現できないものだろうかということで、いろいろ検討させていただいておるような状況でございます。
#166
○春田分科員 特に第五次の雇用対策協議会、そこでもシルバー人材センターの育成強化というのが出されているわけでございますから、この国の助成制度は断固守ってもらいたいし、守っていくべきである。労働大臣並びに大蔵省にも強く要望しておきます。
 最後になりますけれども、このシルバー人材センターの仕事の内容でございます。国の方針では短期的、補助的という形になっていますね。ところが、実際各企業から持ち込まれる仕事の内容は、特に都市部なんかにおきましては、パート労働者や学生アルバイトに似たような、雇用契約といいますか、長期的な仕事が持ち込まれるわけでございまして、そうした単にいわゆる請負契約で済まされないような問題が出てきておりますので、この辺のところを考えていこうと思ったら、やはり職業安定法等の見直しといいますか、改定が必要になってくるわけでございますが、大臣としてどうお考えになりますか。
#167
○小野政府委員 シルバー人材センターは、先生御指摘のとおり、その地域に密着した短期的、補助的な仕事で、一般の職業紹介関係になじまないもの、それを団体が把握して会員に提供する仕組みでございますので、職業安定法上の職業紹介、すなわち雇用をあっせんするものと違う仕組みの中で運営されております。センターに職業紹介機能を付与すべきではないかという御議論もあるのですけれども、発足のときの経緯等を考えまして、いろいろ議論がありますので、これも先ほど申し上げておりますように、今後の高齢者雇用対策全体を考える中で検討をさせていただきたい。その際の貴重な意見として伺わせていただきたい、こういうように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
#168
○春田分科員 時間が参ったようでございますので終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、人材センターにつきましては、従来の方式からもっと就労あっせん機能を拡充すべきことも考えながら進めていただきたいと特に要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
#169
○小杉主査代理 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
#170
○山下主査 休憩前に引き続き会議を開きます。
 労働省所管について質疑を続行いたします。田並胤明君。
#171
○田並分科員 それでは、労働省所管に係る幾つかの点について、これから質問を申し上げるわけでございますが、労働大臣は私と同県でございまして、そういう意味では、県民の一人としても大臣就任をお祝いをすると同時に、労働環境はますます厳しい変化が予想されます。景気がよくなったといっても、引き続いて倒産は続発をする。過般の総理府の統計局の発表によりますと、五十九年の完全失業率が昭和二十八年以来の最悪の事態だ、こういうような報道もされておりますし、いろいろな労働環境の質的な変化等もありますので、これからの労働行政というのは一段と労使からも大変期待をされると同時に、労働行政そのものが極めて厳しい環境に置かれるのではないかと思います。ぜひひとつそれらを乗り越えて、後世に名の残るような立派な労働行政をやっていただくように、まずお願いしておきたいと思います。
 そこで、質問の第一点でございますが、五十八年一月二十四日に中曽根総理大臣が国会で所信表明演説をされた際に、私は戦後政治の総決算をやるんだ、こういう意味の発言をされました。果たしてこの戦後政治の総決算というのは労働行政にとってどういう意味を持つのかということについて、一つは質問をするわけでございます。総理は就任以来今日まで、一つは財政再建を目指すということで、臨調答申をにしきの御旗にして、これまで行政改革、財政改革を進めてきたわけであります。今日、臨教審を舞台にした教育改革あるいは予算委員会等の質問を通しての大型間接税の導入、その他、防衛費の五年連続の突出であるとか、一つ一つやっていることというのが、私たちが考えてみて、戦後政治の総決算というのはどうも現在の憲法体制を否定をするような動きになっているのじゃないだろうか、こういう感じがするわけであります。
 それはともかくとして、一方では労働行政がどうなっているのか、あるいは労働者がどういう状態に置かれているのかということをつぶさに検討してまいりますと、行財政改革の一環として、特に公務員労働者に対して労働基本権を否定するがごとき人勧の凍結、あるいは今まで当然公務として位置づけられておった仕事を安易に民間に委託をする、それによって人員削減をもたらしてくる、あるいは定年制の導入というようなことが行われてきているような気がするわけであります。さらに、民間の労働者を含めて、年金の統合であるとかあるいは昨年の健康保険法の改正であるとか、どうも勤労者にとっては、労働基本権の侵害とも言われるべき人勧抑制を初めとする不利益な施策が次々にやられてきているような感じがするわけであります。
 しかも本年は、きのうの与野党の幹事長・書記長会談の中で、所得減税にしても政策減税にしても、実施をするようなあるいはしないような玉虫色の解決がされたわけでありますので、果たして勤労者の減税というのがことしあるのだろうかどうだろうか、こういう懸念もある今日ですし、しかも、労働時間の短縮については、労働大臣就任以来大変積極的に取り組みをされてはおるのですが、遅々としてはかばかしく進まない、こういう事情に今日勤労者は置かれているわけであります。こういうことが中曽根内閣の言う戦後政治の総決算としての労働者に対する仕打ちなのだろうか、こういうふうに私ども考えざるを得ないわけでありますが、こういうことが戦後政治の総決算の労働行政版であっては困る、私たちとしてはいただけない、こういう気がするわけであります。
 そうでなくて、日本の経済というのは御案内のように、西側諸国の中ではアメリカに次いでGNP世界第二位、世界でも誇るべき経済大国に発展をしたわけでありますし、国際競争力も十分に備わったと言っても過言でないくらい、最近の経済摩擦、国際貿易摩擦等を見れば、十二分にあり過ぎるくらい力がついてしまった、こういう気がするわけであります。したがって、このように日本の経済を支えてきた、発展をさせてきた一方の大きな柱である勤労者に対して、こういう支えをやってきた勤労者に対する仕打ちを、先ほど言ったようなことじゃなくて、逆に、賃金にしてもあるいは労働時間等の労働条件を少なくも国際的に見劣りがしないような、そういう水準に努力をするのが、戦後政治の総決算の一つの大きな労働行政でなくてはならない、こういう気が私はいたします。
 さらにもう一つは、我が国でまだ批准をしておらないILO条約各号があると思うのですね。これらをすべて批准をして、国内法の整備を図るなどをして、特に公務員労働者に対する労働基本権の回復であるとかあるいは今社労の方で審議をされております男女雇用均等法、これらを早期に、真にひとつ男女雇用の差別が撤廃されるようなこういう法律として成立をさせていただきたい。それこそまさに戦後政治の総決算にふさわしい労働行政のあり方になるのではないか、このように思いますので、労働大臣の所信をまずお伺いしておきたいと思うのです。
#172
○山口国務大臣 中曽根総理の、戦後政治の総決算ならぬ、中曽根内閣以後の、勤労国民を取り巻く諸問題に対するあらゆる生活的な課題を田並先生がお取り上げいただいたわけでありますが、私も、この厳しい財政事情の中で、勤労者の方々の福祉あるいは労働条件の後退につながってはならない、かような決意で取り組んではおるところでございますが、国の赤字財政脱却という形の中で、率直に言って労働省関係予算もマイナスシーリングを余儀なくされておる、こういう現状でございます。しかし、アメリカのように、いざとなれば、石油にしても鉄鉱石にしても、みずから資源を捻出できる国と違いまして、日本のようなお国柄でございますと、この赤字財政を大胆な政策転換によって一転脱却するという形ではなくて、お互いが辛抱しながらあるいはぜい肉を切り取る作業の中で逆に後世に負担を残さない、こういうことは結果的には次の世代の勤労国民のためにも必要な条件でございますので、我々も限られた予算の枠の中でございますけれども、勤労国民の福祉の後退につながらないように最善を尽くすということを一つの決意として取り組んでおるというところでもございます。
 ただ、人事院勧告の問題につきましては、予算委員会等で同僚の先生方からの御指摘もございます。それから、ILOを初め外国の国際機関からも、制度の根幹そのものを問われるような指摘もされておるわけでございますので、労働大臣といたしましては、財政当局等とも十分連絡をとりながら、人事院勧告が完全実施できるように最大の努力をしなければならない。また、総務庁長官や大蔵大臣も、もちろん総理もでございますが、予算委員会等において、そうした点についての前向きな答弁をいただいておるわけでございますので、労働大臣の責任としては、さらに政府部内において先頭に立って完全実施のための努力をしなければならない、かように考えておるわけでございます。
 春闘等につきましても、政府の経済政策も四・六%の内需を期待しておるわけでございますから、本来ならば賃上げの部分は高い方が低いよりは内需の喚起につながる、こういうことは当然でございますが、そこはやはり経済の持つ整合性といいますか、公正な分配の中で、ひとつ労使の見識の中で、国民経済を十分踏まえて一つの結論を出されることを非常に注目し、期待しているところでもございます。いずれにしましても、三井争議のころの国民総生産は大体十六兆円、今は三百二十兆円規模の国民総生産、国民経済の時代でございますから、イギリスの炭鉱ストではございませんが、ああいう労使の不信と対立というものがあっては、国民の生活に一転して非常に大きな混乱と御迷惑をかけてしまう。
 こういうことでもございますし、幸い諸外国からは評価をいただくような勤労者の方々の御協力や、社会における参加責任の中で完全就業に近い状況も続いておるわけでございますので、この関係をさらに維持発展をすべく、特に政府がとるべき諸施策についてはおくれをとらないために、労働省としての責任を果たしていかなければならないのではないか。かような決意のもとに、産業界からもいろいろ御批判といいますか抵抗もございます定年の延長の問題でございますとか、あるいは労働時間短縮の問題等も、今まで以上に労働政策の大きな柱として取り上げ、また、与野党の先生方の御理解や御鞭撻をちょうだいいたしておるというところでございますので、今後ともなお御協力のほどをよろしくお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#173
○田並分科員 今の労働大臣の御答弁で基本的な考え方はよくわかりました。先ほども申し上げましたように、労働環境も質的に大変変化をしてくるわけでありますので、これに対応して、国際的にも批判を受けないような、少なくも国際的に並みの水準を確保できるような労働行政を一層推進してもらうように、ぜひお願いをしておきたいと思います。
 次に、ちょっと時間がなくなってしまうのですが、今申し上げたように、最近の労働環境は質的に大変変化をしてきていると思うのですね。例えば技術革新の急速な進展で、職場にロボットが入ったりあるいはOA機器類が入ったり、そのことによって省力化が図られたり、あるいはOA機器を取り扱う労働者の方が目がおかしくなったとか耳がおかしくなったとか、あるいは抑うつ症にかかったり、いわゆる精神的な疲労というのでしょうか、これがかなり高まってきているという調査もあるわけです。さらに、人生八十年時代と言われる高齢化社会を迎えてきた。定年六十歳というのが今や目標ではなくて、逆にそれを超えていかなくてはならないような状態に来ているような気がするわけですし、さらに女子パートの労働者の増大ですね。全体でパート労働者が四百三十三万いるそうですが、その七割が女子パートだ。過日労働省の方としては、このパート労働の指導大綱みたいなものを出したようですが、あれだけでは今なかなかちょっと対応できないような状態にあるのではないだろうか。したがって、パート労働者の労働条件の規制も含めた法制化等もぜひ必要になってくるのではないだろうかというような、質的な変化に対応する今後の労働行政のあり方について、これは基本的な問題で結構ですから、関係の局長でも結構です、一応答弁をいただきたいと思うのです。
#174
○岡部説明員 非常に広範にわたる御質問でございますが、まず第一に挙げられました技術革新等にかかわる問題につきましては、労働省では従来から積極的に取り組んできたという経緯がございますが、今後ともこの問題につきましては、昨年出されましたME五原則、これは雇用問題政策会議から昨年の四月に提言されたものでございますが、これに基づきまして対策を進めてまいりたいと考えております。
 具体的に、昭和六十年度におきましては、職業訓練大学校における情報工学科の新設でございますとか、それから、先生御指摘のVDT作業に関する安全衛生上の指導指針の徹底、あるいはこの問題につきましてはコンセンサスが必要でございますので、MEと労働というものについての国際シンポジウムの開催等々の計画を立てているところでございます。さらにまた、MEというものが人間の顔をしたMEでなければならないということでございますので、例えば高年齢者の雇用拡大に資するようなMEロボットの開発、これは二十億円の金額をかけまして試作品の開発まで進めたい、このようにも具体的に計画を進めております。
 また、高齢化社会についてのお尋ねでございまするけれども、これは我が国労働問題の中では最大の問題と言っても過言ではないわけでございますが、特に今のところ六十歳定年の一般化を目指して指導援助を行っている段階でございます。さらにまた、この問題につきましては、六十歳台前半層の問題も含めまして対策を進めてまいる所存でございます。
 それから、女子パートタイマーにつきましての施策でございますが、これは先生御存じのパートタイム労働対策要綱に基づきまして進めているところでございます。これは昨年の十二月に発せられたばかりでございますので、せっかくこれにつきましての努力を尽くさせていただきたい、このように考えております。
#175
○田並分科員 それでは次に、労働時間短縮の問題についてお伺いをしたいわけですが、八五年春闘もいよいよ本格化をしてまいりました。ことしの春闘で各労働団体が掲げている大きな要求の柱というのは二つありますが、その一つが賃金であり、もう一つが時間短縮でございます。特に労働団体は、ことしを時短元年というふうに位置づけまして、この時短の目標を、一つは人間性の回復、雇用の創出あるいは労働の再生産、二つ目の目標は、国際的に比較をした場合に、余りにも日本の労働時間は長過ぎる、したがって欧米並みにとにかく近づけよう、こういう二つの目的を高く掲げて、いよいよこれから使用者側との交渉なり法制化を求めての政労交渉、これらが開始をされるだろうと思うのです。
 こういう動きに対して、政府の方は労働省を中心にして、特に労働大臣が就任をされて以来、使用者の方からは大変反発もあるようでございますが、例のゴールデンウィークの太陽と緑の週間の長期の大型連休の実施のための指導要綱を発出したり、あるいは労働基準審議会の労働時間部会を通して、六十五年ぐらいまでに一定の労働時間短縮についての中期計画というものをつくろうじゃないかという方向での話し合いが既に着手をされている。そのほか、山口労働大臣になってから幾つかの労働時間短縮に向けての施策が行われているということについては、私どもとしては高く評価をするわけでありますが、何としても労働時間の短縮というのは労働者にとっては大変強い要望でございますので、これを実現をするために、ぜひとも労働省としても先頭に立って努力をされたいということをまずお願いをしながら、以下質問を申し上げるわけであります。
 一つは、欧米先進工業国の中から、最近特に日本の長時間労働というのは他国に失業を輸出をしているじゃないかとか、あるいは国際経済の面から見て、貿易競争で不公正な競争をしている、例えばヨーロッパ諸国と比較をして年間の労働時間が大体二百時間ぐらい日本の場合には長い。もちろんこの中には休日が少ないということ、あるいは年次有給休暇の取得が少ないということ、これらを全部ひっくるめて二百時間長いという話になるのでしょうが、ILOの世界労働年報によりますと、昨年、五十九年には、既に週四十時間の労働時間というのは過去の遺物になってしまった、四十時間を超えてやっているのは日本ぐらいであって、あと先進工業国と言われている国々は、それぞれ週三十五時間から長くても三十九時間。この三十九時間のところも、間もなく三十四、五時間に短縮をするという労使間の協議まで始まっている。こういうようなことがこの世界労働年報によって明らかにされているわけでありますが、これを読みますと、日本が先進工業国の中では一番長い労働時間だということを暗に指摘をしているわけであります。今や労働時間の問題を論ずる場合には、国際経済関係を抜きにしては考えられないくらい、実はこの労働時間の問題については国際的な関心事になっているわけであります。
 したがって、このような先進、特に欧米先進工業国からの日本の長時間労働に対する厳しい批判、これにどのように労働省としては対応しようとするお考えなのかということと、もう一つは、国際比較から見た日本の労働時間の位置づけ、時間がないので簡単で結構ですから、ぜひ局長の方からお答えを願いたいと思います。
#176
○寺園政府委員 国際比較をいたします場合に、大変難しい制約条件がいろいろございますが、年間の一人当たりの総実労働時間で比較をいたしますと、先進国に比べまして日本は長目であるということは事実でございます。ただ、その背景といたしましては、それぞれの社会あるいは雇用慣行、国民の意識というような問題も背景にあって、そのような現状になっておるというふうに認識をいたしております。
#177
○田並分科員 今の局長の答弁ではなかなか納得できないのですが、要するに現在の貿易摩擦の解消の一つとしても、これは確かにそれぞれの国の置かれている事情によって、労働時間もあり、あるいは賃金もあり、それぞれの立場で決められてくるとは思うのですよ。ただ、日本みたいに、よく政府なんかも言うところの、二十一世紀というのは国際化であり情報化であり高齢化である、こういう時代が間もなく来るんだ。今でももう始まっているわけでありますから、国際化と言われる社会の中で、今日の状態の中で、果たして日本だけがということが通用できるのだろうかどうだろうか。貿易摩擦だってその一つだと思うのですね。相手の国を考えないで、こっちがどしゃ降りのように貿易をするから問題があるのであって、貿易をするにしても公正な、そこに働いている労働者の賃金、労働条件等を含めた労働コスト、あるいは品物のコストの中に含まれる労働条件というものはどういうふうに位置づけられてきているのだろうということだって、当然国際的には問題になるはずですよ。
 そういう意味で、もうちょっと視野を広げて、よく労働大臣言われるように、森の中に入って全体を見る目というものを失ってはいかぬ、こういう立場で、労働省の方も労働時間の問題について国際比較をする場合には、ぜひひとつそういう目で見てもらわなければ困ります、こういうことを私は言いたいわけであります。
#178
○山口国務大臣 日本は資源もない国でございますから、国民の勤勉性が今日の国際的評価を得ておるという企業側、使用者側の意見も非常にあるわけでございますが、一方においては韓国とか香港とか台湾に、長時間労働ゆえに、織物でありますとか、そういうかつての伝統産業が大分脅かされておる。こういう現実もあるわけでございまして、まさに日本の長時間労働が国際社会において失業を輸出しているという批判を受けるのは、日本と韓国、台湾等の関係を見れば、これはそういうことを言われるということは当然のことでございます。
 そういう意味でも、労働省としては今までの計画をさらに見直しまして、労働時間の問題に対しましても指針と展望という一つの考え方をまとめている最中である。そして、労働基準法研究会等の論議を踏まえて、日本を取り巻く労働時間の問題をどう位置づけるかということを、答申をまちまして我々の考えをひとつまとめて、それを労働基準法改正案として国会に提出して御論議いただくかどうか、そういう作業も含めましていろいろこれから総合的に決めていきたい。
 ただ、率直に申し上げて、これは経営者側だけの無理解ということよりも、働く側の皆さん方も、年次有給休暇の消化率は世界で一番日本が少ないわけですね。いろいろな条件はありますね。同僚との関係とか、病気のときのためにとっておくとかいろいろありますけれども、まず自分たちの権利を完全に消化して、なおかつ労働時間の問題という一つの世論啓発が大事だと思うわけでございますが、その辺も含めて、労働省としては年次有給休暇の完全消化というものをまずひとつ徹底させていただく。
 それから、週休二日制への努力という中で、そういう総合的な労働時間をめぐる労働福祉や国民福祉の立場から、新しい高齢化時代等の問題、技術時代の問題を踏まえて、その象徴的な問題としての労働時間の問題の中であらゆる御論議をいただいて、それを行政的に取りまとめていくということが我々のなすべき一つの仕事ではないかというふうに考えてやっておりますので、ひとつよろしく御理解のほどをお願い申し上げたい。
#179
○田並分科員 今の労働大臣の御答弁で一つだけちょっと気になるところがあるのです。それは、年次有給休暇の取得割合が非常に悪いというのは御案内のとおりです。これは労働者の権利として当然とるべきものなのかもしれませんが、ただ、とれない理由というのがどこかにあるからとれないと思うのですね。それぞれ中小企業に働いている人たちが取得をするのに、例えば皆勤手当が削減をされるとか――これは本当はいけないことなんですね。皆勤手当の対象にしたりあるいは一時金の支給のときの査定の対象にしたり、挙げれば切りがないのです。できれば、我々は我々の立場で働く人たちの啓蒙、啓発はしますが、ぜひ労働省としても、なぜそういう状態に置かれているのかという実態調査をしてもらって、それの改善方についても使用者側の指導をあわせてお願いしたい。これは要望ですが、お願いをしておきたいと思うのです。
 時間がもうないのでちょっと飛ばして、最後に、昨日、国会再開に向けての与野党幹事長会談が開かれまして、その中の一つとして「時間短縮ならびに連休等休日の増加の問題については、各会派責任者で予算成立までに協議機関を設置し、今国会中にその実現を図るよう努める。」こういう約束事ができたわけであります。これは当然各会派の責任者で協議機関を設置をしてということになりますが、所管の官庁は労働省になるだろうと思うのですね。そういう意味では、労働大臣の時間短縮に取り組む今までよりも一歩進んだ姿勢というものを評価をいたしておりますので、ぜひここに書いてあるとおり今国会中に各会派でいろいろ協議をして、前向きに実現できるようにやってもらいたいと思いますし、それがまた今後の労働時間短縮に向けての大きな一歩前進の形になるように、ぜひともこれを実のある内容で進めてもらうように努力をしてもらいたい、このように思うわけですので、最後に、中小企業とかサービス業だとか、もちろんいろいろ困難な事情があると思いますので、これらのところに対しても十分理解と納得が得られるような方策を行いながら、労働時間短縮の推進に向けての大臣の決意をひとつ聞かしてもらって、私の質問を終わりたいと思います。
#180
○山口国務大臣 昨日の与野党幹事長・書記長会談の中で、労働時間短縮の問題と連続休暇の問題があえて政策項目として取り上げられたということは大変画期的なことだと思うわけでございまして、これによって、労働団体はもちろんのこと、国民の皆さん方も、この問題の意味するところに大きな関心を持ったことであろうと思います。そういう意味で、この与野党の政党間折衝を十分見守ってその成果を期待したいというふうに思いますし、これは労働立法としていろいろ検討するのか、あるいは祝日法で内閣委員会にするのか、先ほど大出委員からもその点の御指摘もあったわけでございますが、私も今政府にいる立場でございますので、政党間協議というこの枠組みの中ではございますけれども、ぜひこの実行方をひとつ見守り、必要に応じてその推進方への努力をしなければならないというふうに思います。
 また、労働省といたしましては、時短元年という一つの意味を含めまして、先ほど来田並先生御指摘の年次有給休暇の完全消化の問題、週休二日制の問題、また連続休暇へ、これが昨年までは五割ぐらいだったものがことし七割ぐらいまでいろいろ行政指導やパンフレット、啓蒙の中で進んできておるということでございますので、さらにこれを広げるべく最善の努力をしなければならない、かように考えておりますので、よろしく御協力のほどもお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#181
○田並分科員 以上で終わります。
#182
○山下主査 これにて田並胤明君の質疑は終了しました。
 次に、東中光雄君。
#183
○東中分科員 私は、電電公社の電話交換手などの頸肩腕症候群の問題について聞きたいと思うのです。
 電電公社では、最高時は七千人も頸腕症候群の人がいた、最近は千人ぐらいになっておるというふうに言われておりますが、大変多発をしておるわけです。これについて電電公社の中原局長が前に国会へ来て、現状において公社における頸肩腕症候群の罹患者の発生の状況について、昭和五十六年度末における電電公社での罹患者は千四百六十一人、そのうち業務上と認定されたのは三百二十三名、その中で電話交換職の者は千二百四名の罹患者で、うち業務上の関係ありと認定されたのが二百五十三名だというふうなことを言っておるわけです。
 これで私思うのですけれども、そうすると、電電公社では頸肩腕症候群の罹患者は千四百人、交換手で千二百人おって、それが業務上だというのはわずか四分の一ないし五分の一、それから五分の四あるいは四分の三の人たちは、頸腕障害を持っておるけれどもそれは業務上でないのだ、こういう非常に奇妙な状態になっておると思うのです。しかも、業務外というふうに認定された人でも、公社としては、その人たちの医療費の一部を公社が負担するような特別措置を講ずるとか、あるいは交換作業から一般的な事務作業等へ担務がえをするとか、あるいは逓信病院などにおける罹患者受け入れの体制を充実強化するというふうな対策をとっておる。業務外だったら公社に関係ないということを言っておるわけですね。しかしそれでも、業務外でもそういう負担を公費で一部負担をする、そういう処置をとっておる。これはやはり業務に関係があるということを認めておるようにも見えるのです。
 そして、この頸肩腕症候群の罹患者の数が最近は非常に減ってきている、それは要するに、電話交換手の交換業務がだんだんさま変わりをしてきたから労務の形態が変わってきた、だから罹患者が減ってきているのだ、業務に関係しているということを認めておるようなものなんですね。しかし、現状は今言ったように五分の四までが「外」だとされておるというのが実情です。私は、こういう業務上の疾病にかかっておる人が業務外だということでほっておかれるというようなことは絶対にあってはならぬことだと思うのです。
 労働省は、八十五条の申請であろうと八十六条の申請であろうと、実際業務上のものであるのに業務外と認定されておるようなことは絶対にあってはならぬという角度から行政をやっていかなければいかぬものだと思うのですが、そういう点で業務上のものが間違っても業務外にならないように努力をするというのが労働行政の頸腕なんかに対する基本的な態度でなければいかぬと思うのですが、大臣、そういう点で非常に異常な数字が出ているだけに、基本的な立場を大臣としてひとつ答えてください。
#184
○寺園政府委員 電電公社の業務上の疾病につきましては、基準法上では、いわば電電公社の第一次決定と申しますか原決定に対しての不服を取り扱うということになっておるわけでございますが、その不服を審査するに当たりましては、各種の医証、資料等に基づきまして適正な決定に努めておるところでございます。
#185
○東中分科員 何を言っているのですか。適正にやっておって、それで業務上の疾病者が業務外になっておっても、それでもいいというのですか。疑わしきは罰せずという原則がありますけれども、業務上の人が業務外にされて長い間放置されるというふうなことは、まかり間違ってもあるべきじゃない。それが基本でなければおかしいじゃないですか。基準法上の救済機関でしょう、あなた方は。その点はどうなんですか。
#186
○寺園政府委員 適正に審査をし適正に決定をするという意味は、業務上のものは業務上と認定をするということでございます。
#187
○東中分科員 業務上のものをまかり間違っても業務外というふうに認定するようなことはあってはならない、そうじゃないのですか。
#188
○寺園政府委員 業務上のものを適正に業務上のものとして判断をするということでございますから、業務上のものを業務外というふうに認定するのは適正な認定ではないというふうに思います。
#189
○東中分科員 それで、適正かどうかというのがなかなか難しいわけなんだけれども、公社の中原厚生局長、来ていただいていますね。
 電電公社は、全電通労働組合との間にこういう労災の認定についても非常に詳細な労働協約をつくっていますね。この労働協約で、例えば、明らかに医学的見地からの他覚的所見が全くないという判断がされない限りは業務上認定の要件を満たすものだという協約がありますね。五一中記第二九号「医学的見地からの他覚的所見」というのは、「労使間で取り決めた総合病院などの専門医による精密検診の結果に基づく医学的判断を徴して最終的には明らかに他覚的所見なしと判断されたもの以外は、業務上認定に関する本要件を充すものとして取り扱っているところである」、こういうふうに労使間で調印をして確認していますね。これはずっと、認定についての基本的な基準としてですよ、五九通達の全電通における具体的な内容として生きているわけですね。
#190
○中原説明員 電電公社の業務災害の、特に頸肩腕の認定に当たっての基本的な態度あるいは協約というものにつきましては、基本協約がございまして、それから、具体的な事実が発生し、かつまたそのたびに認定の中身あるいは方法というものにつきましても相当今まで詰めた論議をしてきておりまして、相当程度の改善というものが認定に際してもなされてきておるという歴史的な事実はございます。
 それで現在は、先生御指摘のように、私ども基本的に労働省の通達、基発五九号を基本といたしまして業務上・外の認定をしてございますけれども、その間、先生御指摘のように労使間で協約等を締結いたしましてその業務上・外の判断をしておるわけでして、その際、当該職員の自覚症状のあるなしということに基本を置いておる病訴、それから作業従事期間の問題、それから業務量の問題などを勘案するほか、今設備が整いました専門スタッフ等を擁しておる当該地域の当該総合病院、これも労使間の話し合いで取り決めているものではございますけれども、そこで実はこの労働省通達という症状診断のための精密検診を依頼して実施しておるわけですが、詳細に把握されました今の他覚的所見があること、それが症状にあらわれてくるわけでありますけれども、それがあること、それから他に発症の原因が考えられないこと、こういうことも含めまして所見を求めております。
 そしてなお、その精密検診を依頼する際には、精密検診の実施の趣旨であるとか、それから当該職員の症状の経歴だとか……(東中分科員「私の聞いたことに答えなさいよ」と呼ぶ)こういうものを全部含めまして診断をいただくというような格好で、総合的に診断をしておるというのが実態でございます。
#191
○東中分科員 あなた、時間稼ぎみたいなことやめなさいよ。精密検診の結果明らかに他覚的所見なしと、そういう結論が出ない限りは本件の要件を満たしておるというふうに考える、そういうふうに扱ってきたし扱っていくという労使間の協約があるけれども、それは今も有効だし、そういうようにやっているんでしょうね、こう聞いているのです。どっちかを答えなさい。
#192
○中原説明員 基本的にそのように措置いたしております。
#193
○東中分科員 あなたはいたしておるつもりであっても、実際は現場でそれにそういうふうに即していないという事態が明らかになった、そして業務外というふうに認定されておった。しかし、そういうふうに扱っていないということが明らかになった場合には、「外」の認定はどうなるんでしょうか。
#194
○中原説明員 業務上・外の認定というのは、とりあえず私どものところでは通信局でもって判断をいたしておりますが、そこで不服があるときには、労使で持っております認定委員会でもって処置をしてございます。その認定委員会で措置をいたしましたものを当該者に通知申し上げるわけでございますけれども、それから先の問題といたしましては幾つかの方法がございますが、労働基準局の方にお世話いただいておるというのが実態であろうかと思います。
#195
○東中分科員 明らかに他覚的所見なしという判断が出た場合以外は、それは明らかになしということにならなかったら業務上だというふうに認定するんだ、この協約からいって。
 ところが、私今問題にしています大阪中電の十川ヒロ子さんあるいは柳井好子さんというのがあるのですが、それの判定を見ますと、公社の方が出したのはそうは書いてないんだけれども、基準局がやったのでは「病訴の割に他覚的所見に乏しく」と書いてあるんですよ。それで「外」にしているんですよ。他覚的所見がないというふうに判断された場合以外は業務上になるんだという協約からいって、「乏しく」ということで業務外にしている。乏しいということは、少しあるということでしょう。そういうことになっているんですよ。協約を結んで、協約の立場でやっていくと言っているんだったら、それはぐあいが悪いということになるんじゃないですか。
#196
○中原説明員 ちょっと具体的な資料の持ち合わせがございませんけれども、今の「明らかに」という部分にかかってくる問題ではなかろうかと思います。
#197
○東中分科員 「明らかに他覚的所見なしと判断されたもの以外」、こう協約には書いてある。こっちの判定は「病訴の割に他覚的所見に乏しく」と書いてある。
 基準局に聞くのですけれども、労働協約が電電公社の中である。それの基準からいって、こういう他覚的所見なしという場合でなかったら業務上になるのだ、それが有効だということは基準局も認めているはずなのですけれども、しかし、その基準局の判定は「他覚的所見に乏しく」ということで業務外にしてしまっている。こういうことになると非常な矛盾だと思うのですけれども、基準局はどうですか。
#198
○寺園政府委員 ただいま先生御指摘の問題は具体的な事案ではなかろうかというふうに思いますが、その問題につきましては、大阪天満署の決定に対しまして現在保険審査官のところで不服の申し立てがございまして、審理を行っておる段階でございます。私どもといたしましては、保険審査官が慎重に審理した結果結論を出すことになりますので、その動向を見守りたいというふうに思います。
#199
○東中分科員 天満基準監督署長が出した「外」の認定理由の中に「他覚的所見に乏しく」という言葉を使っているのですよ。そして通知文書が出されているのです。乏しくじゃ業務外にはならないのだというのが労働協約の立場なのだから、もういろいろなことを調べるまでもないのです。それだけでも極めてはっきりしているのじゃないかというふうに思うのです。
 もう一つ、「他に発症原因のあるもの」ということについては、これも労働協約の四九中記第一一一号、四十九年十一月十四日、これで、公社としては、「他に発症原因のあるもの」については「業務外として認定しているが、他に疾病がある場合は、さらにその疾病と頸肩腕症候群との関連について専門医に意見を求め判断のよりどころとしている。この場合、専門医が他の疾病が主たる原因であっても作業に従事していることも一部原因であると判断した場合は業務上として認定してきている。」こういうふうになっていますね。さらに五〇中記第一一五号によると、「「他に発症原因」のあるものの判断については、特別診断の結果、独立疾患として明確に専門医が診断したもの以外は、組合主張もふまえ認定対象となる頸肩腕症候群として取り扱っている。」こういうふうになっている。
 だから、専門医が特別に罹患者を診断して、そしてその結果独立の疾患として明確に診断がされた場合以外はもう認めていくのだ。ところが、今基準局長が言われた係争中の七人の人たちは全部、独立疾患としての明確な診断を受けたことは一回もないのですね。ところが頸腕の症状が出て、医師が頸肩腕症候群だという診断をして、それで頸肩腕の手当てをして、そして特別扱いを受けて、そういう形でやってきた人が、ほかのことの理由で次々に業務外にされてしまう。発生原因がほかにあるんだというふうにされている。これも診断も受けたこともない者がそういう形になっていく。これは協約との関係からいって許されぬことだと思うのですけれども、そういう点はどうでしょう。
#200
○中原説明員 先生御指摘の具体的な事実については少々差し控えるといいましょうか、手元に資料の持ち合わせがございませんけれども、現在まで行ってきております認定が、労使の協約に基づきまして、かつまた詳細な認定の要件というものを明らかにいたしまして実行してきておるというふうに私ども考えておりまして、違反した事実はないものだと理解はいたしております。
#201
○東中分科員 診断をしてないのだから、特別診断の結果そういう診断がされた場合と言うのだけれども、実際上はそういう診断を全然やってない。五人の医師が意見書を出したというふうなことは監督署で説明はあったけれども、しかしその意見書はだれがやったものか、いつやったものか、それからどういう内容なのか、患者の方は全然知らないですよ。それでそういうものをやったんだと言っているだけであって、そういう場合は患者に示さなければいかぬじゃないですか。だれがどういう特別診断をやって、どういう結論が出たのだということを示すべきだと思うのですよ。それが今まだ示されていないのですよ。それは、公社の立場からいってもあるいは基準局の立場からいっても示すべきだと私は思うのですが、この点はどうでしょう。
#202
○中原説明員 よく調べまして明確な態度を出したいと思います。
#203
○東中分科員 よく調べてって、そういうふうになっているのだから、その医証と言われているものは患者自身のことについてそういう診断をされているのですからね。されていると言っているわけだ。しかし、実際診察を受けたことがない、だれかも知らないというのだから、こういうものが出ているのです、いつつくられたものです、というものを示してみたら、それについてこっちは、これについてまるきり違いますということになるかもしれないし、ああそれならあのことか、しかしそれは誤解ですよということになるかもしれない。それを示さないで、結論だけ押しつけている。これじゃ納得いかぬということになりますね。今の協約の趣旨からいっても、当然罹患者自身に示すべきことでしょう。だからそれは示すようにするということをひとつぜひ、再審査委員会というか公社の審査委員会でやったそのときの結論、医証、そういうもの、特別の診断をやったその内容を示すということ、具体的にどうするかというのは別として、一般的に示すということは約束してください。
#204
○中原説明員 十分検討いたしまして確固たる回答をつくりたいと思いますが、先生御案内のように、四月から私どもの所管が多少変わってまいりますので、それを含めまして、この辺につきましての十分な制度検討を行うとお約束いたしたいと思います。
#205
○東中分科員 これは何年かかっていると思っているのですか。もともとの発症のときからいえばもう十年超しているのですよ。もう四月になったら変わるから、そんなものじゃないですよ。
 それから基準局ですが、基準局の審査官の方は、現地で公社の審査会からそれを取り寄せているらしいのです。それは当然示すべきだと思うのです。
    〔主査退席、川俣主査代理着席〕
そうでなければ、自分のことについて、例えばなで肩であるから頸腕のような症状が起こっているのだ、発生原因は別なんだ、なで肩であることが発生原因だ、こんなばかなのが出されているのですよね。なで肩などというのは生まれたときからですよ。それで一定の時期にそういう状況が発生して、頸腕と診断されて頸腕の治療をして治ってきた。その発生原因は別だ、なで肩だ、そんなばかなことが通用しますか。これが堂々と書いてある。そういうのはだれがそういう診断をしたのか、いつどういうことでそういう診断をしたのか、審理している相手方にその診断書を見せるべきじゃないですか、基準局としてそれを取り寄せて今審査しているのですから。だって、患者が自分のことについて言われているのですから、それを見せないというのはないですよ。基準局、どうですか。
#206
○佐藤説明員 お答え申し上げたいと思います。
 先ほど局長も申し上げましたとおり、審査官の段階で申立人側から提出されました意見あるいは医証等に基づいて現在審理が行われている段階でございます。その審理結果を待ちまして処分理由等についてお示し申し上げたい、このように考えております。
#207
○東中分科員 その審査の方法について言っているんじゃないか。これは、時間がなくなるのをいいことにしてそういうことを言っているんだったら私は承知できない。
 今問題になっている事件等で審査請求というか八十五条請求をやった、そのすぐ後に事務連絡第三七号が補償課長発で出されましたね。昭和五十三年九月十二日、あなたのところから出したでしょう。これによって審査をしてきたわけですね。ところが、大阪市外、それから大阪番号案内あるいは大阪中電の頸肩腕症候群の罹患者の人たちに対して公社が「外」の判定をして、再審査請求されても結論をなかなか出さない。とうとう八十五条で申請した。申請した途端に事務連絡が出て、それで事務連絡に基づいて審査がやられたことになっているのですが、この審査は二つの場合書いてありますね。公社の審査が終了した場合と終了していない場合と、審査の方法が違いますね。この場合はどっちの方法で審査したのですか。
#208
○佐藤説明員 公社の審査が終わった後に私どもの方の審査を行っております。
#209
○東中分科員 公社の審査が終わったのはいつですか。
#210
○佐藤説明員 公社の方は、昭和五十五年七月二日でございます。
#211
○東中分科員 二日に審査が終わって、それから審査を開始して三日に基準監督署が審査をした、こう言うのですね、あなた。そうですか。(佐藤説明員「はい」と呼ぶ)その一日の間に何の審査をしたのか。それから、本人に審問することになっていますね。審問していますか。してないでしょう。
#212
○佐藤説明員 お答えいたします。
 労働基準法八十五条に基づきます監督署長に対する審査の申し立ての時期と電電公社の業務災害補償審査委員会に対する再審査の申請時期がたまたまほぼ同時期に行われていたというようなこともございまして、監督署の審査も公社の審査と大体並行した形で審理を行ってきたわけでございます。そういう意味で、認定基準等は同一でございますけれども、結論に至るまでの審査のプロセスはおのおの自主的なもので行ってきたというふうに考えております。
#213
○東中分科員 もう時間がなくなるからやめますけれども、そんなばかなことがありますか。口頭で審査するかあるいは書面審査でやるか、重大な違いがあるとわざわざ連絡に書いてあるでしょう。そして口頭審査をやってきたんなら、七月二日より前からやってきた、それなら第二番目の方式じゃないですか。あなたは今、審査終了後の審査だと言う。公社の審査終了後といったら、一日しかないのにできるわけがないじゃないですか。そういういいかげんなことを言って、しかも当事者には必ず審問するということになっている。ところが、森田さんなんというのは一回の審問もしていないですね。一回の審問もしていないで業務外だという結論を出している。言語道断ですよ。基準監督署は一体何をやっているのだ。
 みずからわざわざ事務連絡でつくった規則さえ踏みにじって、審問さえしない、そして「外」の認定を出す。これは大臣、間違っても「内」のものを「外」にすることはないようにしようという観点だったら、審問をすることになっておって一回も審問しないで「外」の認定を出す、こんな姿勢は基準監督行政としてはなってない、私はそう思うのです。「口頭審理をする。」「本人を審問する。」と書いてあるのです。それで、審問もしないで今度は否定的な結論を出す、こういうことは改めなければいかぬと思うのですが、そういう点で最後に、もう時間がないからしようがないです、姿勢を正してほしいと思うのです。
#214
○山口国務大臣 私、東中先生のように現場の実情を承知しておりませんので、答弁の基本としては、今先生が御指摘のように「内」のものを「外」にするということが適当でないのは当然でございますし、また電電の方の局長もそうした視点で先ほど来のやりとりで検討するということでございましたので、我々としてはあくまで業務内のものは業務内、業務外のものは業務外という形の中で労働者の権利が守られなければならない、かように考えます。
#215
○東中分科員 審問をしなければいかぬことになっているのにしないままで「外」にしてしまう、申請者の言い分を聞くことになっているのに聞かぬままでそれを否定する結論を出すということは断じて許されぬ。それははっきりしなさいよ。
#216
○寺園政府委員 御指摘の具体的事案につきましてどのような手続がとられたか、詳細私存じませんが、そういうことを含めて多分審査官の方に不服の申し立てをしておられるのではないかと存じます。審査官に対する不服の申し立ての中で十分その不服の理由をお述べいただきたいというふうに存じます。
#217
○東中分科員 終わります。
#218
○川俣主査代理 これにて東中光雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、和田貞夫君。
#219
○和田(貞)分科員 労働大臣、極めて高度情報化社会が進む中で各産業分野における技術革新がどんどん進められるので、おのずから労働の態様も変化してまいりますし、またそれに伴う新しい職業病というのが発生することが考えられるわけでございますが、私、地域におりまして日ごろ労働基準監督署等との接触もこれあり、つくづく思いますのに、労働省というのはどうも新しい職業病の認定につきまして極めて消極的であり、積極性が乏しいのではないかというように私は思うわけなんです。
 具体的には、労働災害補償の申請を行って、その中で業務とのかかわりの中で認定されることになるのだということでございますが、私は、申し上げましたような技術革新によっての職場の労働条件というのは変化を来してくる、あるいは労働の分野というものは非常に変わりつつあるというところから、新しい職業病が出てくるというのは当然のことだという認識に立っていただいて、新しい職業病の認定にはちゅうちょなく積極的にこれを認定していく、こういう考え方であってしかるべきだ、こういうように思うのですが、そのことについてひとつお答え願いたいと思う。
#220
○寺園政府委員 業務上の疾病の範囲につきましては、労働基準法施行規則第三十五条に規定をされているところでございます。業務と疾病との因果関係が一般的に明らかにされているもの、いわばその定型化できるものにつきましては具体的に規定をいたしておるところでございますが、そのように定型化できないものにつきましても、個々の事例ごとに、業務に起因することが明らかにされた疾病につきましては業務上の疾病として補償し得るように規定をされているところでございます。
 御指摘の、新しい職業病と申しますか、新しい技術革新に起因する疾病につきましては、医学上未解明の部分があることが非常に多うございます。したがいまして、認定のために種々の調査を必要といたしますし、また専門家の意見を聞く必要もございます。そのようなことから、その判断に相当な期間を要しておるということは実情でございますが、いずれにいたしましても、そのような疾病につきまして業務上・外の認定を適正に行って、被災者の救済に当たってまいりたいというふうに考えております。
#221
○和田(貞)分科員 同一職種の中でかなり全国的に同じような疾病が生じてきておるということで問題になっておる、あるいは世間を騒がしておるというような場合は、むしろ個々の労災補償の申請を待つのでなくて、これはどうも職業病に値するなというようなことを十分認識をして、そして具体的に地域の労働基準局なりあるいは監督署にむしろ積極的に指導するという立場を労働本省としては貫いてほしい、こういうように私は思うのです。
 一月三十日付の各紙が報道したわけでありますが、一つの職業病だと私は認識するわけでありますが、小中学校のいわゆる給食調理員を、昨年の春に、職場を抱えておる自治労が全国的に調査を行ったわけですね。その結果、多くの人たちから手指が「く」の字型に曲がるということが訴えられておることが既に各紙に報道されて、御案内のとおりだと思うのであります。
 この一つの例をとってみまして、このことはこれからさらに調査も検討もしてもらわなくちゃならないと思いますが、これだけたくさんの指曲り症というのが全国津々浦々に出てきたというようなことについては、これは職業病的なものが非常に強いというようにお感じとっていただいておるのかどうか、お答え願いたい。
#222
○寺園政府委員 御指摘の指曲がり症につきましては、私どもも十分な関心を持っておるところでございまして、お述べになりましたように昨年の三月に新聞に報道されまして以来、関係の局に情報収集に当たらせております。関係の局からは情報が参っておりますが、具体的に指曲がり症状を持つ者があるという報告がございましたものは一件でございました。
 いずれにいたしましても、また本年に入りましてから報道がなされたところでございますが、具体的に労災の認定の申請は現時点ではないというふうに承知をいたしておりますけれども、もしこの問題につきまして請求がなされました場合には、作業の実態等につきまして十分調査をいたします。また、専門家の意見を聞き、その給食作業と指曲がり症との因果関係につきまして慎重に判断をして進めてまいりたいというふうに考えております。
#223
○和田(貞)分科員 これは既に御案内のとおり、五千人以上の症状を訴えている人が出てきているわけですね。しかもその中で、女性の調理員がほとんどですので、三万四百四十八人中に四千二十八人が症状を訴えておる。これは職場の実情というものを見ていただいたらわかるわけですが、最近は、よくはやりの臨調絡みで、なかなか新しい人を入れない。どうしてもパートを入れる。そうすると、パートには危険な作業ができないということで、限られた人員で食器洗いをする。食器は一枚一枚はそう重くはございませんが、洗浄器に一遍に入れるとかなり重い量になって、抱えるというところからやはり指に負担がかかるような作業もありますし、あるいは、御案内のとおり食器は水の中へ漬けますと一枚一枚がぺたっとひっつくわけですから、それを指先で一枚一枚はがすというところにやはり指に負担がきておるというようなことがあって指曲がり症の原因になっているということは明らかな事実であろう、こういうように思うわけでございますので、これはもう申請があれば当然今局長の答弁のように対処してもらわなくちゃならないと思いますが、その労働災害を補償するということだけが目的じゃないわけであります。今日の学校給食の職場における労働安全衛生法に基づく労働安全衛生委員会というのは、きちっと画一的にどの職場にも設置されているというような状況にないわけでありますし、その設置されておる状況というのは極めて悪い。また、現行の安全衛生管理要綱自体が古いわけでありますから、やはり問題点もあろうと思うわけでございますので、実態に即した改正を早急にやってもらって、そのような障害が起こらないように安全管理面についてもあわせてひとつ労働省として取り組んでもらいたい、こういうように思うのですが、どうですか。
#224
○小田切説明員 今先生御指摘のいわゆる指曲がり症につきましては、先ほど局長も御答弁申し上げましたように、私どもかなり関心を持っていろいろ見ているところでございますが、医学的な、疫学的な調査の結果、指曲がり症が学校給食調理員でございますかの業務に起因して起こったということが、今までのところまだ必ずしも明らかになっていない状況だというふうに私ども承知しております。指曲がりをもたらす疾患といたしましては、医学的には、慢性関節リューマチであるとか痛風であるとか糖尿病であるとか、また変形性関節症であるとかというような疾患が挙げられるようでございますが、これまでのところでは何が原因で指曲がりを来したかということが、疫学的、科学的な調査の結果必ずしも明らかになっているということではないようでございます。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のように職業性疾病を未然に防止することが大切であるというふうに私ども考えておりますので、これからもいろいろな医学的な情報等を収集いたしまして適切な手を打ってまいりたいというふうに考えております。
#225
○和田(貞)分科員 これは給食調理員に糖尿病患者ばかり集めて採用しているということはないわけで、先ほども申し上げましたように、やはり具体的な作業の中で指を使わざるを得ない実態というものを十分把握してもらって、ぜひとも積極的に取り組んでほしいということを申し上げたいと思います。
 その次に、私自身はゴルフはやりませんし、知りません。だから、ゴルフ場の様子というものは実際に私は歩いておらないわけでありますからわからないのですが、そこに働く人たちあるいはゴルフをやっておられる方々からお聞きして一応認識をしておるわけなんです。ゴルフ場というのは芝生で張りめぐらされて、そこでプレーするわけですが、ゴルフ場のキャディーの問題であります。
 少なくとも、今から十五、六年ぐらい前までは、これは私もよく映画で、バッグをキャディーさんが抱えてプレーなさる方々の後ろについて芝の上を歩いておられる姿ですね、拝見いたしております。しかし、四十四年、四十五年ごろからゴルフ場も変化を来して、電動カートが導入されるようになった。カートが導入されるということになりますと、芝生が傷むことを避けて、おのずから電動カートの専用の通路がつくられる。それはアスファルトであるかコンクリートであるかわからないわけですが、芝生の土よりもやはりかたい路面というのがつくられて、そこを歩行するというようにキャディーが変わってきているわけです。そういうところから、キャディーさんのひざ痛症というのがこれまた全国的にどのゴルフ場の中からも症状を訴えられておるという実情にあるわけです。
 ひざの内側が痛いという訴えをしておるわけですが、先ほどの給食調理員の問題と同じように、これも新しい労働の態様の中から出てまいった新しい職業病の一つじゃないか、こういうふうに私自身は思っておるわけなんですが、労働省として、その考え方についてお聞かせ願いたいのです。
#226
○寺園政府委員 ゴルフ場のキャディーさんの膝痛症というのでしょうか、ひざ痛の問題につきましては、昭和五十四年に膝関節炎につきまして業務上の疾病として認定された例がございます。
#227
○和田(貞)分科員 これは今非常にどのゴルフ場でもその訴えが多くなってきて。おるのです。財団法人労働科学研究所というのがございますが、この研究所の方で全国二十八のゴルフ場について調査に入っているわけです。もちろんキャディーさんのアンケート調査をやったり、あるいは具体的にキャディーさんの労働負担がどのようにかかっているかというような調査、あるいはキャディーさん個々の健康診断、あるいは体力測定等々をやられて、一九七六年の第四十九回日本産業衛生学会に発表されておる。キャディー労働における負担の特質あるいはキャディーさんの健康状態というのが報告されているわけです。また、翌年の一九七七年の第五十回の同学会におきましても、健康診断結果が報告されておる。翌年の七八年には、これまた下肢域の負担調査結果を中心にして労働科学研究所が報告、発表されているという事実があるわけです。
 その労働科学研究所のアンケート調査あるいは実態調査等を見てまいりますと、極めて労働と疾病とのかかわりということが明らかになっておると思うわけです。例えば歩行数がワンラウンドで一万五千百九十八歩とか、一ラウンド半で二万二千六百六十歩であるとかいう具体的な数字を大体平均して挙げておるわけです。また作業時間も、電動カートによってクラブを運搬する、その場合に大体一日平均どのくらいの時間労働しておるか、あるいは、路面の条件というのはこれは平坦じゃありませんで起伏が非常に激しいというところから、起伏の非常に多い路面を長時代にわたって運搬しているために肉体的に非常に強い作業量であるということとか、あるいは、単に歩く距離が長いというだけじゃなくて、歩いたりとまったりということを繰り返す断続的な歩行であるために、非常に腰あるいは下肢部に負担が多くかかっておる。こういう具体的な数字を挙げての調査をやっておられるのです。
 これから見ましても、申し上げたように、極めて労働と訴える症状とのかかわりというのは私は強いように思えて仕方がない。職業病として積極的に労働省としては認定をして、そして地方の労働基準局や基準監督署を指導すべきじゃないか、こういうふうに思うのですが、どうですか。
#228
○寺園政府委員 先生御引用の労働科学研究所の調査を初め、これに関する情報を十分収集いたしまして、今後とも研究をしてまいりたいと存じます。いずれにいたしましても、その疾病が業務上であれば当然のこととして迅速適正な補償をするということでございますので、その基本原則に立ちながら今後の行政を展開してまいりたいというふうに存じております。
#229
○和田(貞)分科員 私の地元に大阪ゴルフというのがあるのですが、ここにおきましてキャディーさんの運動器官の健康状態の訴えを集約したわけです。
 そうすると、ここでも、ひざの関節部分が同じ姿勢でおって痛い、あるいは動作をすることによって痛い、痛みを感じるという者をトータルいたしますと、一番多くて、三十九名を対象にいたしましたら十七名までがそれを訴えているわけです。その次に腰の痛みを訴えているのが十五名あるいは背中であるとか腕であるとかいうものを訴えている者が十五名、これは具体的にそれらの訴えに当たって今現在医療機関にかかっておるのか、あるいは過去にかかったことがあるのか、あるいははり、マッサージや指圧にかかっておるのか、薬局で薬を買ったことがあるのか、買っておるのかということをこれまた具体的に調べましたら、医者に現在がかっておるというのはその中で五名あるいは過去にかかったことがあるというのが十八名、はり、マッサージ、指圧にかかっているというのが八名、薬局で薬を買って飲んでおるというのが八名でございまして、医者にも全然かかっておらぬ、あるいは過去にかかったこともない、はり、マッサージもやったことがないというのが極めて少ないわけです。一つのゴルフ場をとってみましてもこういうことであるわけですから、先ほどおっしゃったように、ぜひとも積極的な取り組みをお願いしたいと思うわけであります。
 なお、茨城の労働基準監督署では、これは内容は別といたしまして、ゴルフ場関係労務管理改善指導要綱ですか、こういうものを出して、茨城県というの位ゴルフ場が多いわけです、だから、事業所に対してこういう指導をなさっている、こういう一面もあるわけですから、この茨城の労働基準監督署も職業病としてのにおいが非常に強いということで関心を持っておられる証拠だと思うわけですから、つけ加えて積極的によろしくお願いしたいと思うわけです。
 なお、これも単にひざ病症だけじゃなくて、ゴルフボールがプレー中に通ってきて頭を打ったとか、そういう面での傷害というのがまたあるわけなんですが、そういうことに対する防御措置、保安措置、そういうようなことも何か労働省、考えておられますか。
#230
○小田切説明員 今先生お挙げになりました茨城の局の指導要綱の中身、ちょっと私、存じ上げておりませんが、一般的に申し上げますと、最近、いわゆるサービス経済化に伴いまして三次産業的なところで労働災害のウエートがじりじり高まるような傾向にございまして、とりわけ清掃業であるとか、ビル管理業であるとか、今御指摘になりましたゴルフ場などでの労働災害が相対的に、全体の数では減ってきているわけでございますが、構成比としては高まるような動きがございまして、今お話しのゴルフ場の労働災害の場合には、ボールが当たるということだけではなしに、お客がクラブを抜くときにクラブの頭がキャディーの顔面に当たってけがをするという例も多いようでございまして、全国的に私どもサービス業の中で清掃業、ビル管理業などと並びまして、ゴルフ場の労働災害の問題も重要視して、いろいろな対策を講ずるように地方の局には指導しているところでございます。
#231
○和田(貞)分科員 時間が参りましたので、最後に労働大臣、先ほど二つの例を挙げましたけれども、給食調理員の指曲がり症あるいはゴルフ場のキャディーのひざ痛症、これらがこれからどんどんと労働災害の補償請求手続がとられてくるということが予測されるわけなんですが、その際には新しい職業病をつくり出すということを忌み嫌うというのじゃなくて、時代が変わってきておるわけですから、地方の労働基準局なりあるいは基準監督署をひとつ督励していただきまして、積極的に取り組んでもらいたいと思います。また、その他の安全管理等についてもひとつ積極的に取り組んでほしい、こういうように思うのですが、ひとつ労働大臣の決意のほどを述べてもらいたいと思います。
#232
○山口国務大臣 先ほど来から先生の御指摘の新しい時代、職場における労働災害の問題、例えば大きくは技術革新時代におけるマイクロエレクトロニクスの問題あるいは新技術の問題、新材料の問題、そういうところからくる職業病の問題につきましても、労働省といたしましても、産業医科大学等のチームを中心としてこうした労災の問題あるいはこれが精神的な分野における問題も含めまして、いろいろ真剣に取り組まなければならない問題だという認識のもとで今研究さしておるところでございます。また、給食に携わる方々の問題とか、あるいは第三次産業といいますかそういうキャディーさんなんかの職業病等におきましても、非常にポピュラリティーな問題でございますが、お一人お一人にとりましては極めて深刻な問題でございますので、基準局長から答弁ございましたように、これまた労働省としては、基準監督署でございますとかその他機関を通じまして、そうした労働者の生活が十分守られるように配慮しながら行政を進めていきたいと考えておりますので、よろしくまた御協力のほどもお願い申し上げたいと思う次第でございます。
#233
○和田(貞)分科員 終わります。
#234
○川俣主査代理 これにて和田貞夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、細谷昭雄君。
#235
○細谷(昭)分科員 昨年、百一国会の予算分科会でいわゆる私傷病報告につきまして労働省の対応について強く要望しましたところ、前の望月基準局長を初め、皆さんに大変御努力をなさっていただきまして、一定の前進を見ておるということにつきまして、その労を多としながら、しかも対象になる人力が季節出稼ぎ労働者を含む多くの底辺労働者の皆さんを対象にしておるという点で、私は非常にこの点はありがたく思っているわけでありますが、後から、もし時間があれば今後の取り組みにつきまして基準局長の決意のほどをお聞きしたい、こんなふうに思っております。
 まず最初に取り上げたい問題は季節労働者、いわゆる出稼ぎ労働者の有給休暇の問題でございます。
 昨年の本委員会におきましても、私はこの出稼ぎ労働者ないしは季節労働者の有給休暇問題について強く要望したわけでございますが、いろいろな観点で皆さん方、なかなか結論が出ないで現在に至っておるわけでありますが、まず第一点としまして、出稼ぎを含めます季節労働者の数はどのくらいおるのかという点で労働省は調査をされたことがあるかどうか、もしないとすれば、今後調査をする予定があるのかどうか、そのことについて最初お伺いしたいと思います。
#236
○寺園政府委員 調査はいたしております。概数二十五万人と承知をいたしております。
#237
○細谷(昭)分科員 やはり実数を把握するということから対策を進めなければならないというふうに思うわけであります。北海道だけでも季節労働者というのは七万から十万おるというふうに言われておりますし、農村からの出稼ぎを含めまして二十七万程度ではない、恐らく四十万というふうに我々見ておるわけであります。したがいまして、きちんとした対応をするための根拠になる季節労働を含む出稼ぎ労働者の実数について、これは調査をするという前向きの検討をお願いをしたい、このことが第一でございます。
 第二に、山口労働大臣は、就任以来極めて意欲的に労働行政に取り組もうという姿勢が見られるわけであります。例えば労働団体の要望に従いまして、時短、この観点から五月のゴールデンウィークの連休問題、こういったことに意欲的に取り組んでおられる。敬意を表する次第でございますし、山口労政が実りのあるものになっていくように期待を申し上げるわけでありますが、大臣、ここで十分考えていただきたいことが一つあるわけであります。
 それは、確かにいわゆるサラリーマンと呼ぶ大企業の皆さん方、公務員の皆さん方を含めましてこの方々は、有給休暇といいますか週休二日制になりましても、それから連休が休みになりましても、これは収入に響かないわけです。むしろ労働時間の短縮という点で大変喜ばしいわけでありますが、底辺労働者の季節労働者、日雇い労働者という皆さん方は、多くは未組織でありますし、零細企業に働く、建設労働に働くという方々でございますので、有給休暇制を併行しない限りは、これは休日がふえても収入についてむしろマイナスになるわけであります。したがって、私は決して大企業の皆さん方、公務員の皆さん方に休日をふやすなどは言いません、積極的にふやしていただきたい。同時に、それでは救われない底辺労働者がたくさんおられる、この点をきちっと手当てをしない限り極めて不平等が出るということに着目をお願いしたい。
 そこで大臣にお聞きしたいと思いますが、それらの問題、季節労働者を含めまして出稼ぎ労働の皆さん方に有給休暇制度というのが法制的にはないわけであります。昭和五十五年の国会以来私は毎回この点を取り上げておりますけれども、残念ながら現在の労働基準法に従いますと、一年以上勤務した者、雇用された者、通年雇用でなければこれは資格がない、こういう形で、いわゆる季節的労働者にはこれが付与されておらない。後から取り上げますけれども、パートの御婦人の皆さん方に対しましては、昨年十月に要綱が出されましてその道が開かれた。大変よかったと思うのですが、まだ残されておるのがこの季節労働者を含む出稼ぎの皆さん方に対してその恩恵がないということでございます。
 きょうは、この出稼ぎに来られております皆さん方が私の質問をぜひ聞きたい、自分たちの問題として聞きたいということで傍聴されております。この方々はもう既に同じ職場に二十年以上来られておる方であります。二十年。しかもその方々には有給休暇というのはございません。同じ会社ですよ。こういう実態からしましても、このことに大臣はひとつ注目をお願いしたいし、この点に取り組む姿勢というものをまず明らかにしていただきたい、こう思います。
#238
○寺園政府委員 出稼ぎ労働者の有給休暇の問題につきまして世、先生も大変御熱心に取り組んでおられるわけでございます。
 御承知のように、また今お述べになりましたように、労働基準法上の年次有給休暇の制度は一年間継続勤務した者に与えられることになっておるわけでございます。したがいまして、出稼ぎ労働者の場合には、通常この要件に該当しないということになろうかと思います。基準法上の要件に該当しないいわゆる短期雇用者について有給休暇制度を設けるべきではないかというお考え、あるいは御要求があることは私ども十分承知をいたしておりますけれども、これらの方々に年休制度というものを法定するということにつきましては、この制度はいわば法律で罰則つきで強制をするという制度でございますので、現段階で果たして適当かどうかということは大変大きな問題であろうかというふうに思っております。
 しからば基準法以外の制度として、別途出稼ぎ労働者につきまして特別の有給休暇制度を設けるべきかという議論もあろうかと存じます。この問題につきましては、出稼ぎ労働者が多く就労しておられます建設業における雇用改善という観点から、労働省といたしましてもこれまで検討してきた経緯がございますけれども、関係者の意見が一致しないというのが現状でございます。したがいまして、残された道といたしましては、短期雇用者の有給休暇の問題は労使のお話し合いによって決めていただくということになるのではないか。昨年の議事録を拝見させていただきまして、先生が御調査の結果、こういう例もあるという例を挙げておられましたけれども、それなんか大変いい例ではないかというふうに存じますが、いずれにいたしましても、この問題は、以上申し上げましたように非常に多くの問題、また関係者の意見が一致を見にくいという問題でございますので、関係の労使のお話し合いの中で進めていただく、私どもとしてはそのための機運醸成のお手伝いをしてまいりたいというふうに考えております。
#239
○細谷(昭)分科員 後で山口大臣から最後に決意を述べていただきますけれども、今局長から、基本的には労使の問題だというふうに言われましたが、私そう思わぬのです。それは、去年私は、日本金属株式会社、日南金属株式会社、そして山崎製パン、日本鋪道株式会社、この四つを挙げました。ことし大阪に行きまして、大阪の会社も一つありました。大阪にもありました。しかし、これはいずれもきちっとした企業なんです。労使という形で交渉したものじゃなくて、一般の皆さん方が働いておられる、その方々にはもちろん有給休暇がきちっと制度化されておる。それに比べて何年も来ておる方々に何もないというのは不平等じゃないかということで、会社が準じてやっているということが一つです。
 もう一つは、この点は皆さん方、行政の点で考えていただきたいと思いますのは、大阪府の労働部は、大阪の労働基準局、それから各県の、出稼ぎ者の供給県でございますね、この各県の出先があるわけでありますが、こういう関係者の方々を全部集めまして雇用対策協議会をつくっているわけであります。そして、雇用対策協議会で、大阪府として、法制ではありませんけれども、雇い入れる場合には出稼ぎ者に対しても一カ月一日の有給休暇をぜひとも与えていただきたいという指導を大阪府がしているわけであります。皆さん方の出先であります大阪の労働基準局の局長さんもその中に入っているわけであります。したがって、大阪は、割合に良心的な業者は、恩恵的ではありますけれども、行政の指導でやっているという場合があるわけです。
 ですから、今局長が言いましたように、労使が対等であればいいんですよ。出稼ぎ者、季節労働者、この方々が一体どうして使用者と対等に労使交渉できますか。そういう認識であるとすれば、大変な誤りだと私は思うんですよ。ですから、私は行政指導なり何なりで制度的にやらなければこれは前進しない、こういうことを言っているわけです。ですから、後からこの問題については、山口労働大臣のこれに取り組む姿勢、時間短縮という大きな目標がありますけれども、それに取り残されるこれらの方々の救済について決意をお願いしたい、こう思います。後からで結構です。
 第二の問題は、これもまた昨年のこの委員会で取り上げました建設業退職金共済制度、いわゆる建退共の問題でございます。
 この問題について、時間がございませんので、はしょって申し上げたいと思うのですが、まず昨年来のこの制度の実施窓口、監督の立場にあります労働省は、五十九年度にどんな施策をされ、どんな効果を上げられたのか、これについてまずお知らせ願いたいと思うわけであります。
 私の真意は、これも恐らく、労働大臣、細かな点でおわかりにならないと思うんですよ。建設業の皆さん方、これは中小企業の皆さん方に出しましたあの退職金制度です。これを昭和三十七年ですか、おくればせながら建設業関係、それから酒屋さん、酒造企業関係、そしてその後には林業関係、この方々に対して退職金制度を設けたわけであります。ところが、加入率はどんどん上がっているのです。しかしながら、実際は労働者にその証紙を交付しておらないということなんですよ。そのことを、監督の立場にあります労働省がどうやって実際の労働者に証紙を交付させるようなことをやっているのか、やってきたのか、私はそのことを今お聞きしているのでありますので、ひとつ御認識を願いたい、こういうふうに思います。
#240
○寺園政府委員 労働省といたしましては、建設業・清酒製造業・林業退職金共済組合あるいは建設省、各都道府県と連携を図りながら、従来からこの制度の普及、加入促進、証紙の貼付という問題について取り組んできたわけでございますが、具体的に昨年どのようなことをしたかということでございますが、まず一つといたしましては、これは毎年やっておりますが、十月を加入促進強化月間といたしまして、テレビ、ラジオ、新聞等による広報活動、それからポスターの掲示、事業主団体を対象とする説明会の開催、それからこの制度に貢献をされた方に対します労働大臣の表彰などを行っておるところでございます。これは加入促進月間ということで銘打っておりますけれども、内容といたしましては、証紙の貼付というものも含めましてその指導に当たっておるところでございます。
 また、そのほか加入促進、手帳の交付、証紙の貼付につきましては、全国会議におきまして口を酸っぱくして指示をいたしております。その趣旨は、地方局からまた監督署の方に浸透をいたしておるというふうに理解をいたしております。
 その結果といたしまして、六十年一月末現在で、建退制度に加入しております事業者数は、前年に比べまして約五千五百事業所増加いたしまして、全体として十一万五千事業所になっておりますし、被共済者につきましては五万六千人増加をいたしまして、百五十二万人余というものが被共済者になっておるということになっております。
#241
○細谷(昭)分科員 実際、加入したからといって、必ずしも労働者がその福祉を享受しているということでないので、私が問題にしているわけなんですよ。その点、認識が多少違うのじゃないかというふうに思うのです。
 次に、建設省の当局に私は問題提起をしたいと思うのですが、公共事業の発注者としまして、まず建設省の直轄する公共事業、これは御承知のとおり、もう既に積算基礎の中にこの百八十三円というのが含まれているわけですね。したがって、業者にとってはもう腹が痛まない、こういう性質のものでございますが、末端の労働者に完全にその恩典が行き渡るように、昭和五十三年十一月に制定しました建設業元請・下請関係合理化指導要綱について、元請が下請に一部工事をおろす場合には、必ず証紙を現物交付する、これを明記するということ、このことをやる改正という形、やる気がないのかどうか、この点をひとつ端的にお答え願いたいと思います。
#242
○林説明員 建退共の証紙の元請から下請への交付につきましては、通達で各発注機関とそれから建設業団体に対しまして、下請契約を結ぶ際に、下請代金の中に掛金相当分を算入すること、あるいは元請が証紙を下請に現物交付をすることを指導しております。
 また、これとあわせまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、元請・下請指導要綱で建設業共済組合に加入することなど、退職金制度を確立するよう努力することというふうなことを明記いたしまして指導をしておるところでございます。
 したがいまして、今後ともこの通達とそれからこの指導要綱を周知徹底しますことによりまして、下請の建退共への加入を促進していきたいというふうに考えております。
#243
○細谷(昭)分科員 大変前進した建設省の答弁だと思うんですよ。去年はまだそこまでいきませんでした。その点、その労を大変多とするわけでありますが、しかし、実態は、皆さん方そういう通達を出しておられても、指導要綱を改正されましても、依然として我々が見ておる範囲内では、一次下請、二次下請の労働者の皆さんには、元請からは証紙が行っておりません。これはもう事実なんですよ。
 したがって、私は、総務庁にお聞きしたいと思います。建退共の実際の実施面、これを行政監察をしながら、受益者の甚だしい不利益を回復するための行政勧告をする気がないのかどうか、この点を端的にお答え願いたいと思います。
#244
○長野説明員 お答え申し上げます。
 総務庁の行政監察局といたしましては、御指摘の事実につきまして関係省庁の対応状況を十分見守りました上で、今後の監察テーマに取り上げるかどうか、十分検討いたしたいと思います。
#245
○細谷(昭)分科員 ぜひひとつお願いしたいと思います。来年の分科会ではまたこの点をお聞きしたいというふうに思いますので、各関係省庁ともよろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、婦人労働の問題について、条件改善についてお願いしたいと思うわけでありますが、まず最近の私ども秋田県の農村部において広がっておる現象について多少申し上げて、これのいわゆる改善問題、これをどう考えるかということでございます。
 今、農村では家庭の主婦が根こそぎパートか、それから内職に精を出しておるわけでありますが、この内職の形態が大分変わってまいりました。それは弱電関係が多いわけでありますけれども、うちの方ではTDKという工場がございます。このTDKの本拠でありますので、TDKの関連の子会社がたくさんあるわけであります。その子会社がいわゆる発注をするわけですね、恐らく家内労働として。小さなコイル巻きとか、そういう弱電関係が非常に多いわけでありますが、これを内職として各個人の家ではなくて、その人力が集まりまして、どこかのうちの納屋でいわゆる工場形態でやっているというのが非常に広がっておるわけであります。私どもは、あれ、工場だと思って行ったら、使っている人が一人もおらないのですよ。みんな内職なんです。この形態というのが非常に広がっておる。
 そうして、能率の上で違いますから、各個人ばらばらなんですけれども、一カ月にどのくらいになるのと聞きますと、実質手取りが大体四万円から五万円程度、これが一般的なのです。なぜこんなふうな四万円、五万円でこんな難儀しているのかというふうに我々は思っても、実際はそうだという形なのです。こういうふうな現状がどんどん拡大しておる。この家内労働法というのが昭和四十五年に制定されたそうで、これが十五年たってもまだ定着しておらない、これは実態だと思うのです。
 そこで、労働省はいろいろ多様化しているこの問題を一度に全部解決するということは困難だとは思いますが、農村に広がっておりますこの家内労働、そういう弱電関係といいますか、先端産業と言われて日本の経済を引っ張っていっているこういう企業のもとにこういう婦人労働がたくさん広がっておるという実態なのです。このことについてどう切り込んでいくのか。家内労働法だけで一体救えるのか。この点について、まず第一点でございます。
 第二点は、パートの問題でございます。
 パートについては昨年十月に皆さん方がパートタイム労働対策要綱を制定された。これで労働基準法の適用が完全にひとつ定着するだろうというふうに期待はされるのですけれども、実際問題としてこの広がっておるパートタイマー、婦人労働の大半がパートタイマーという形で広がろうとするわけでありますが、問題はたくさんあるわけです。したがって、果たしてパートタイム労働対策要綱、これだけで行政指導で足りるのかどうか。別個の、いわば別の法律なり、そういうものが必要ではないのか。そうしない限りは、今、世界婦人年の最終年、しかも近くこの差別労働撤廃条約の批准を目前にしているわけでありますが、日本における特に農村ないしは家庭婦人の労働というのは、我々の予想できないような非常な速さでいわば劣悪な条件にさらされておる。こういう野放しの状態というのが果たしていいのかどうか、婦人局の立場といいますか、労働省の立場でこれに対してどう対処するのか、このお考えと、最後に大臣から今言った婦人労働、さらには今言った季節出稼ぎ労働者、この有給休暇を含めまして、今後の大臣の所見と決意をお伺いしまして、質問を終わりたいと思います。
#246
○赤松政府委員 お答え申し上げます。
 働く女性が年々増加していることは周知のことでございますが、その中の最も底辺というべき立場にありますのが、先生ただいま御指摘の二つの種類、家内労働とパートタイマーではないかというふうに私どもも考えております。
 家内労働につきましては、先ほど御指摘のような実態というのはまだまだ存在するということもよく承知をいたしております。十五年前に家内労働法ができましたことは、我が国の法制史の上ではやはり画期的なことではなかったかと思うわけでございますが、その間、家内労働旬間などでその周知には努めてまいってはおりますが、御指摘のように、まだ十分によく認識されているということもできないかとも思いますし、また最低工賃の設定につきましても努力してまいっているわけでございますが、もちろんすべての方たちにその恩典が行き渡っているとも申すことができないわけでございますので、今後とも家内労働法の適切な運用、その周知に努めたいというふうに考えます。
 パートタイムにつきましては、対策要綱が何分昨年の暮れでございまして、とにかくこれでやってみようということで対策要綱を制定したわけでございますので、いろいろ問題はあろうかと存じますが、少なくともしばらくはこの対策要綱でいろいろ総合的に労働省として取り組んでまいりたいというふうに考えている次第でございます。
#247
○山口国務大臣 労働時間の短縮の問題は、率直に言いまして労働者の福祉や労働条件の改善と同時に、中長期的な雇用の安定、いわゆるワークシェアリング的な立場からも私は提案申し上げているわけでございますが、そういう問題の中で、特に労働行政というよりも政府全体として、あるいは国会においても大いにお取り上げをいただかなければならない問題は、大企業と中小零細企業あるいはそういう組織労働者と出稼ぎの方々にも代表されるような未組織労働者の待遇をいかに改善していくかという問題だと思うのです。そういう意味で、先ほど細谷先生御指摘の建設労働者の退職金の共済制度の改善の問題でございますとか、あるいは出稼ぎの方々にも有給休暇をというような問題をこれから国会等で十分お取り上げをいただき、また我々も政府の立場でこれをどう位置づけていくか、形づくっていくか、こういうことだと思うのです。
 基本的には、先ほど局長が言いましたように、福祉対策の充実した事業所への出稼ぎ労働者の就職あっせんその他の問題がございますが、そういう問題と同時に、もっとトータルの問題として、そうした中小企業あるいは零細企業、さらには未組織労働者、出稼ぎの方々、そういった問題に関しましても、幸いさきの予算をめぐって与野党の政党間の責任者の方々の協議の中で労働時間問題も取り上げられるような、国会がそういう一つの対話と協調の中で国民の施策が進められるという慣行も生まれてきているわけですから、そういう点も踏まえて政府も一生懸命取り組むと同時に、そうしたきめ細かい問題につきましてもいろいろ今後とも御教示をいただきながら、ひとつそうした労働者の方々の労働条件の改善のためにも具体的に取り組んでいきたい、かように考える次第でございます。
#248
○細谷(昭)分科員 ありがとうございました。
#249
○川俣主査代理 これにて細谷昭雄君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして労働省所管についての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
    〔川俣主査代理退席、小杉主査代理着席〕
#250
○小杉主査代理 次に、厚生省所管について政府から説明を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#251
○増岡国務大臣 昭和六十年度厚生省所管一般会計及び特別会計予算の概要について御説明申し上げます。
 昭和六十年度厚生省所管一般会計予算の総額は九兆五千二十七億円余でありまして、これを昭和五十九年度当初予算額九兆二千四百九十一億円余と比較いたしますと、二千五百三十六億円余の増額、二・七%の増加率となっており、国の一般会計予算総額に対し、一八・一%の割合を占めております。
 我が国財政を取り巻く環境は従来にも増して極めて厳しいものがあり、引き続き財政改革の強力な推進、対応力の回復を図るため、昭和六十年度国の予算におきましては、既存の制度、施策について見直しを行うなど経費の徹底した節減合理化に努め、特に一般歳出については、全体として前年度同額以下に圧縮することを基本方針として編成されたものであります。
 厚生省予算につきましても、そのような政府の予算編成の基本姿勢のもとに歳出内容の徹底した見直しを行う一方、国民生活を守る社会保障の実質的水準を低下させることなく、かつ、今後の急速な高齢化の進行に対応して、今から準備しておくべき施策について重点的に配慮していくことを編成の基本方針としたものであります。
 このような方針のもとに各方面の御理解と御協力を得ながら、幸い、厳しい財政事情のもとであっても各種施策の推進に必要な予算措置を講ずることができました。
 この機会に各位の御支援に対し、衷心より感謝申し上げますとともに責任の重大さに思いを新たにして、国民の健康と福祉を守る厚生行政の進展に一層の努力を傾注する決意を表明する次第であります。
 以下、昭和六十年度予算に関連します主要な施策につきまして申し上げたいと存じます。
 第一に、国民の保健医療を確保するための健康対策について、重点的に充実強化を図ることといたしております。特に壮年期からの健康づくり対策として老人保健事業の計画的推進及び職域における健康管理事業の拡充を図るとともに、新たに精神衛生センターを窓口とする心の健康づくり対策を推進いたします。また、今後の高齢化の進行に対応した新健康政策として民間活力を活用した高齢化新社会システムの開発調査を行うほか、家庭医制度及びいわゆる中間施設の検討を進めることといたしております。また、対がん十カ年総合戦略の継続実施のほか、母子保健対策、難病対策、救急医療対策等の充実を図ることといたしております。
 第二に、寝たきり老人、障害者等社会的に弱い立場にある人々を支えるための福祉対策につきまして、きめ細かく配慮を加え、特に在宅福祉対策を重点に拡充強化を図ることといたしております。具体的には、家庭奉仕員の大幅な増員、精神薄弱者福祉工場制度の創設、障害者社会参加促進事業の充実、痴呆性老人対策の推進等各種の福祉対策の拡充強化を図るとともに、生活扶助基準の引き上げを行うことといたしております。また、社会福祉施設の運営の改善等を行うほか、新たに町ぐるみのボランティア活動の基盤づくりとしてのボラントピア計画を進めることとしております。
 第三に、年金の給付改善につきまして、拠出年金の年金額を特例的に実施時期を繰り上げて引き上げるとともに、福祉年金につきましても同趣旨の改善を図ることといたしております。
 以上のほか、新たに国際青年年記念事業を実施するとともに、生活環境施設の整備、原爆被爆者・戦争犠牲者のための対策、食品・医薬品の安全対策、環境衛生関係営業の振興、国際医療・福祉協力等につきましても引き続きその推進を図ることといたしております。
 なお、厳しい財政状況のもと、生活保護費等高率補助金の補助率引き下げ措置、厚生年金保険国庫負担一部繰り延べ措置の一年延長及び政府管掌健康保険国庫補助の繰り入れの特例措置を講じておりますが、いずれも給付水準には影響を及ぼさないものであります。
 以下、厚生省所管一般会計予算及び特別会計予算の概要を御説明申し上げるべきではございますが、委員各位のお手元に資料を配付いたしてございますので、お許しを得て、説明を省略させていただきたく存じます。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第でございます。
#252
○小杉主査代理 この際、お諮りいたします。
 厚生省所管関係予算の重点項目については、その説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#253
○小杉主査代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔増岡国務大臣の説明を省略した部分〕
 以下、主要な事項につきまして、予算の概要を御説明申し上げます。
 第一は、生活保護費であります。
 生活扶助基準につきまして、一般国民の消費水準の動向等を考慮し、昭和五十九年度に比し、二・九%引き上げることとしたほか、高齢者や傷病障害者等が大部分を占める少人数世帯の処遇改善、男女差の解消などの改善を行う一方、不正受給の一掃、医療扶助の適正化等制度の厳正な運営を推進することとしております。なお、生活保護費補助金について補助率の引き下げを行うとともに、生活保護臨時財政調整補助金を新たに設けることとしており、総額一兆八百十五億円余を計上いたしておりますが、これは昭和五十九年度に比し五百七十九億円余の減額となっております。
 第二は、社会福祉費であります。
 老人福祉につきまして、在宅の寝たきり老人等に対する福祉サービスを拡充強化するため、家庭奉仕員の増員を行うとともに、新たに主任家庭奉仕員制度を導入するほか、在宅老人短期保護事業及びデイ・サービス事業等の拡充を、また、痴呆性老人対策につきましても、一層の推進を図ることとしております。さらに、国民の老後における適切な医療の確保を図るための老人医療給付費等について所要の額を計上しております。
 心身障害者等の福祉につきまして、家庭や地域で生活しやすい条件を整備するため、障害者社会参加促進事業、在宅障害者デイ・サービス事業、補装具給付事業、日常生活用具給付事業、心身障害児通園事業等の拡充を図るとともに、新たに、精神薄弱者福祉工場の運営を補助対象事業とすることとしております。また、特別児童扶養手当及び福祉手当につきまして手当額を引き上げるなどの改善を図ることとしております。
 母子福祉及び児童の健全育成につきましては、母子寡婦福祉貸付金の貸付原資の追加等を行うとともに、児童館、母親クラブ等の拡充を図るほか、児童扶養手当につきまして本年八月から、母子世帯等における児童の健全育成を図るための福祉施策として位置づけ、給付額の二段階制、都道府県負担の導入等を新制度の下に実施することといたしております。また、児童手当につきましては、行革関連特例法による特例措置を継続することとしております。
 さらに、母子保健につきましては、先天性代謝異常等の検査の充実及び妊婦乳児健康診査をはじめ、一歳六カ月の幼児健康診査の推進を図るとともに、新たに妊婦乳児B型肝炎感染防止事業を実施することとしております。
 社会福祉施設につきましては、特別養護老人ホーム、精神薄弱者援護施設等需要の多い施設の整備、老朽施設の改築等を積極的に進めるとともに在宅老人短期保護事業のための居室整備及び精神薄弱者福祉工場の整備等を図ることといたしております。
 また、社会福祉施設の運営の改善につきましては、職員の勤務時間の短縮に必要な業務省力化等勤務条件改善費を計上するほか、入所者の処遇改善として一般生活費等を引き上げることといたしております。
 以上のほか、地域社会における民間福祉活動の推進を図るため福祉活動専門員を増員するほか、新たに福祉ボランティアの町づくり事業を進めるとともに、婦人保護事業及び地域改善対策の実施等につきましても、それぞれ所要の措置を講じております。
 なお、身体障害者保護費補助金等につきまして、補助率の引き下げを行うこととしております。
 以上申し上げました社会福祉費の総額は二兆四十二億円余でありまして、昭和五十九年度に比し五十億円余の増額となっております。
 第三は、社会保険費であります。
 まず、社会保険国庫負担金でありますが、政府管掌健康保険につきまして、昭和六十年四月から分娩費及び埋葬料の最低保障額を引き上げるとともに、新たに高額医療費貸付事業を実施することとしております。また、医療費支出の適正化を図るための対策を引き続き強力に進めるほか、国庫補助につきまして、健康保険法の規定により算定した額から九百三十九億円を控除して得た額を繰り入れる等の特別措置を講ずることとし、国庫補助金繰り入れ五千五百四十八億円余を、船員保険につきましては、特例的に昭和六十年四月から三・四%の年金額の改定を行うこととし、五百五十億円余の国庫補助繰り入れを、それぞれ計上しており、総額六千八百十七億円余を計上いたしております。
 次に、厚生年金保険国庫負担金につきましては、特例的に昭和六十年四月から三・四%の年金額の改定を行うこととしているほか、行革関連特例法による特例措置の継続により、昭和六十年度においても保険給付費国庫負担の一部を一時繰り延べすることといたしました結果九千百三十五億円余を計上いたしております。
 次に、国民年金国庫負担金でありますが、拠出制国民年金につきまして、特例的に昭和六十年五月から三・四%の年金額の改定を行うこととしております。なお、一般会計から国民年金特別会計への繰り入れの平準化を図るための特例措置が引き続き講じられております。また、福祉年金につきましては、昭和六十年六月から年金額の改定を行うこととしております。これらの結果、国民年金特別会計への繰り入れに必要な経費として一兆八千六百八十七億円余を計上いたしております。
 国民健康保険助成費につきまして、総額二兆百八十八億円余を計上いたしております。国民健康保険につきましては、医療費支出の適正化対策を一層推進するとともに、健康保険法等の一部を改正する法律に基づき改定された補助率の平年度化等を見込み、療養給付費等補助金一兆五千七百十億円余及び財政調整交付金三千五百六十四億円余を計上するほか、助産費補助金につきまして、昭和六十一年三月から補助基準額を引き上げることとしております。
 以上のほか、健康保険組合補助、厚生年金基金等助成、児童手当国庫負担当等に要する経費を含め、社会保険費の総額は五兆五千六百九十三億円余でありまして、昭和五十九年度に比し三千五十六億円余の増額となっております。
 第四は、保健衛生対策費であります。
 生涯を通じる健康づくりのための施策を引き続き推進することといたしておりますが、その一環として、特に本格的な高齢化社会の到来に対応し、長くなった人生を明るく活力あるものとすることができるよう、壮年期からの健康保持を図るため、疾病予防、機能訓練等の保健事業を総合的・計画的に実施することといたしております。同時に、この事業を円滑かつ適正に実施するために必要な保健所機能の強化、市町村保健センターの整備、市町村保健婦の増員等を図ることとしております。なお、市町村保健婦設置費につきましては、補助金から交付金へ移行することといたしております。
 また、地域における健康づくりを積極的に推進するため、新たに心の健康づくり推進事業、歯科保健対策事業に取り組むとともに、市町村栄養改善事業、婦人の健康づくり活動等を拡充することといたしております。
 救急・僻地医療等地域医療対策につきましては、地域医療計画推進経費を計上するとともに、救急医療体制の整備、僻地中核病院を中心とする僻地医療体制の計画的整備を推進することとしております。
 特定疾病対策につきまして、循環器病、がん、脳卒中等に関する専門医療機関の整備充実を図るとともに老年期痴呆疾患を含む神経疾患の研究を推進することといたしております。
 さらに、看護婦等医療従事者の養成確保につきましては、看護婦養成所の整備、夜間看護体制の強化に伴う処遇改善等を行うこととしております。
 精神保健対策につきまして、通院患者リハビリテーション事業を充実、精神病院におけるナイト・ケア部門を新たに実施することにより精神障害者の社会復帰の促進を図るとともに、精神病院入院患者の適正な医療を確保するため実地審査を充実することといたしております。
 原爆被爆者対策につきまして、医療特別手当等各種手当の引き上げ等を図ることとし、所要の経費を計上いたしております。
 以上のほか、公的病院の助成費、保健・医療施設等の整備費、重要医薬品及びアヘンの供給確保対策費など所要の経費を計上する一方、結核医療費補助金等について補助率の引き下げを行うこととした結果、保健衛生対策費は総額四千六百十二億円余でありまして、昭和五十九年度に比し三十七億円余の減額となっております。
 第五は、戦傷病者戦没者遺族等に対する援護費であります。
 戦傷病者戦没者遺族等に対する遺族年金等につきまして、恩給の改善に準じて額を引き上げるとともに、戦没者等の遺族に対する特別弔慰金の継続及び増額を図るほか、中国残留日本人孤児の訪日肉親調査対象人員を大幅に増員することといたしております。
 これら、遺族及び留守家族等援護費として総額一千四百八十四億円余を計上いたしておりますが、これは昭和五十九年度に比し三十九億円余の増額となっております。
 第六は、環境衛生施設整備費であります。
 水道施設整備費につきましては、簡易水道等及び水道水源開発等の整備等を引き続き推進することとして九百十七億円余を計上いたしております。
 廃棄物処理施設整備につきましては、第五次廃棄物処理施設整備計画に基づき整備を促進するとともに、引き続き広域廃棄物埋立処分場の整備を行うこととし六百三十億円余を計上いたしており、環境衛生施設整備費の総額は一千五百四十八億円余であり、これは昭和五十九年度に比し十六億円余の減額となっております。
 以上のほか、対がん十カ年総合戦略を引き続き推進することをはじめとして、心身障害研究、医療技術(機器)開発研究及び厚生科学研究等難病対策を含め各種研究開発事業の拡充並びに高齢化新社会システム開発調査、地域医療対策の一環としての家庭医制度調査検討及び中間施設整備検討等の新たな取り組み、国際青年年記念事業の実施、国際医療・福祉協力の充実、環境衛生関係営業の振興、食品等の安全対策の推進、医薬品等承認審査体制の充実整備、戦没者の遺骨収集・慰霊巡拝の実施等につきましても所要の経費を計上いたしております。
 以上、昭和六十年度厚生省所管一般会計予算の概要を御説明申し上げました。
 次に、昭和六十年度厚生省所管特別会計について申し上げます。
 第一に、厚生保険特別会計につきましては、政府管掌健康保険の国庫補助につきまして、昭和六十年度の財政運営に必要な財源の確保を図るための特別措置に関する法律に基づき健康保険法の規定により算定した額から九百三十九億円を控除して得た額等を、また、厚生年金国庫負担金につきまして、行革関連特例法による特例措置の継続により、現行法の規定により繰り入れるべき額の一部について引き続き一時減額した額を、それぞれ一般会計から繰り入れることとし、一般会計から一兆六千五十億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第二に、船員保険特別会計につきましては、一般会計から五百五十億円余の繰り入れを行い歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第三に、国立病院特別会計につきましては、一般会計から一千二百二十一億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 第四に、国民年金特別会計につきましては、国民年金特別会計への国庫負担金の繰入額の当面の推移等を勘案し、一般会計から国民年金特別会計への繰り入れの平準化を図るための特例措置が引き続き講じられておりますので、一般会計から一兆八千六百八十七億円余の繰り入れを行い、各勘定の歳入、歳出予算を計上いたしております。
 なお、あへん特別会計につきましては、昭和六十年四月一日をもってこれを廃止し、一般会計へ統合することといたしております。
 以上、昭和六十年度厚生省所管特別会計の予算について申し上げました。
 何とぞ、本予算の成立につきまして、格別の御協力を賜りますようお願い申し上げる次第であります。
    ―――――――――――――
#254
○小杉主査代理 以上をもちまして厚生省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#255
○小杉主査代理 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑時間はこれを厳守せられ、議事の進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田中恒利君。
#256
○田中(恒)分科員 大臣、今九兆五千億の厚生省予算の御説明がありましたが、二・七%、経済成長、若干の物価の上昇があるわけですから、この中で国民の医療、年金、福祉など大変きめ細かい施策を打ち立てられるわけでありますから、大変御苦労だと思います。特に、今第一にお挙げになりました健康体制というか、国民の健康、医療を守っていく、こういう視点に立って、去る二月一日、国立病院・療養所再編成問題懇談会が答申というか報告書を出したわけでありますが、私はこの件についてまず質問いたします。
 この懇談会の設置の目的、そして性格、これは一体どういうことですか。
#257
○大池政府委員 お答えいたします。
 国立病院、国立療養所につきましては、かねて臨時行政調査会の最終答申及びこれを受けました閣議決定におきまして、情勢の変化等に対応いたしまして再編成等を図ることが要請されておるところでございます。この問題につきましては、国民の医療という観点から、医療関係者はもとよりでございますが、幅広く関心が寄せられておるところでございます。
 そこで、私どもといたしましては、この再編成問題により適切的確に対応していくために、各界の学識経験者の御意見をよく承りながら取り組んでいく必要があろうと考えたわけでございまして、医療を供給する立場、医療を受ける立場等種々意見を承ることとしたわけでございます。
 このような趣旨に沿いまして学識経験者の方にお集まりいただきまして、国立病院、療養所の今後のあり方等につきまして自由な御意見交換をちょうだいいたしまして、私どもといたしましては、その意見を今後の再編成の基本方針の作成の参考といたすべく現在取り組んでいるところでございます。
#258
○田中(恒)分科員 この懇談会は局長の私的諮問機関ですか。何かきちんと厚生省の中で、手続に基づいてつくられた懇談会ですか。
#259
○大池政府委員 私的諮問機関という形よりは、むしろ実質的に御意見を拝聴するためのお集まりをいただいたということでございまして、その意見を拝聴する主体としては、担当の局でございます保健医療局の局長がお願い申し上げたところでございます。
#260
○田中(恒)分科員 厚生省の中には、いろいろ法律なり政令なり、規則、規定に基づいてつくられた正式の、例えば医療審議会があるし、社会保障制度審議会もそうですか、そんなものもありますね。そんなものの中にかけなくて特別にこういう懇談会でお話し合いをしていただいてその結論が出てきて、聞くと三月中に何か指針を出して、近く実際になくなるところ、合併するところ、国が持っておった病院を全国的に統合再編するというのだから、国民にとっては大問題でありますが、そういうものがいとも簡単に――どういう性格がよくわからぬが、これは局長の私的な諮問機関なのか、懇談会なのか。各省ありますよね。この国会の劈頭に私のところからも大分やかましくこれを出しておるわけですが、余りにもあり過ぎる。特に国民の医療、健康に関する重要な問題の審議が局長の判断でつくられていいのかどうか。その与える影響は極めて大きい、こういう心配や行政の手法のあり方についての世論があることは御承知のとおりです。その一角でしょう、この位置づけは、いい悪いは別にして。どうです。
#261
○大池政府委員 御承知のとおり国立病院、国立療養所といういわばかなり具体的、各論的な問題につきまして、その経営のあり方、運営のあり方、将来方向というようなことでございますし、私ども実務の立場といたしまして、具体的な御論議を自由にいただくというような趣旨から、国立病院、国立療養所の問題について最も関係の深い各方面の方々にお知恵の拝借をお願いしたところでございます。
#262
○田中(恒)分科員 この懇談会で示された内容は、これから厚生省の施策の中に相当大きな比重を持って進められる、こういうふうに理解してよろしいのですか。単なる意見として局長が承ったということですか。
#263
○大池政府委員 いろいろな角度からの御意見を私どもとして勉強させていただいたわけでございまして、私どもと同じ考え方の部分もございますし、私どもとしてはいろいろ新しく勉強させていただいた点もございます。いずれにしましても、総合いたしまして、この懇談会で承りました御意見は貴重な御意見として今後の作業に十分活用させていただきたいと考えております。
#264
○田中(恒)分科員 私もこの報告書を何度か読ましていただいて、それぞれ専門家の方でありますから、それぞれの立場で非常に貴重な御意見を出されておるし、確かに見方によっては重要な問題点の指摘がたくさんございます。
 ただ気にかかるのは、これまで厚生大臣は国会の議論などを通して、私は専門家じゃありませんが、川俣健二郎さんなんかは御専門ですけれども、我々が聞いた範囲ではやはり医療については国が責任を持っていく、そういう考え方がこれまでは中心であったように承っておる。しかし、今度の懇談会は、今局長言われたように、臨調の指摘に基づいてなされておる。臨調の指摘の出発点は言うまでもなく経営難、赤字問題である。千二百億の特別会計への一般財政支出、投資をどう縮めるかというところが出発になって行われておるわけでしょう。
 そういう意味から、どうもこれは国立療養所なり国立病院の切り捨てや縮小になっていく、こういう心配が正直言って関係地区では全国で共通の認識になっているわけです。どういうふうにして国立病院なり療養所を統廃合の方向へ持っていこうとしておるのか、これは大臣、ひとつあなたの御意見をお聞きしたい。
#265
○増岡国務大臣 たまたま臨調の御指摘もあったわけでありますけれども、私は、今の国立病院、療養所は、本当に国が責任を持ってやっておると言うほど整備されておるかどうかということは一つの問題があると思っております。今日の医学医術の進歩、並びにほかの医療機関の整備充実状況を見ておりますと、やはり国がある程度高度の機能を備えた病院を国民のために整備しなければならぬということになりますと、そういう意味合いからはやはり施設の再編成ということは不可避であろう、そういうふうに思っておるわけでございます。
 したがって、先ほど局長が言いました懇談会は、そういう観点から専門家がお集まりでございますので、私はいろいろ御議論をいただいたことであろうと思うわけでございます。そういう意味合いで私はこの問題に対処してまいりたいというふうに思っております。
#266
○田中(恒)分科員 それで大臣、私も懇談会の報告書を見たのだが、整っておりますが、どうも従来の考え方とは大分変わって、これを見ると、例えば医療機関は量的にはほぼ満席に来たのだ、そこでこれからは質の方向だ、したがってその質の方向に対応する国の医療機関としての機能分担は何か。大体、病院のような一般治療は町村や県がやるのが筋なんだ、国の方は政策医療なりあるいは研究、そんなものを中心にやっていくのだ、そういう方向でこれから統合再編していくべきだ、全体の流れはこういうことになっているように思うのです。そういうお考えで厚生大臣も臨まれるのか。
 今日まで、確かに施設も不十分でございますし、地域的な偏重もございましょう、いろいろございますが、事は医療に関する問題でありますから、現実に地域の関係住民が病院に通って治療を受けておる、そして、今日医療の荒廃とかいろいろ言われますが、しかし少なくとも国立病院というものに対する国民の期待や信頼感というものはある。だから、この問総理府が国民の生活調査をやってみたら、国に何をやってもらいたいかというと、やはり健康、医療を国の責任でやってくれというのが比率としては一番大きい、こう聞いておるし、この問題が現実の日程になって以降、私どもが知る範囲では、全国の市町村の七四%までが議会決議で縮小再編をやらしてもらっては困ります、こういう決議が現実に出てきておるわけです。
 こういう実態を踏まえた場合に、あなた方の方ではいわゆる臨調の指摘に基づいて、この答申の方向に沿って国立病院を持っていくのだということで大臣は強引に進めようとせられていくのか、あるいは、度合いは少し考えてやっていくのか、そういうところ、どうですか。
#267
○大池政府委員 医療の確保につきまして、地域におきます医療の体制、これは基本的、一般的に医療につきましては、一義的にはまず市町村が確保の責任を負う。地域の実情によりまして市町村で確保しがたいようなものについては、次は都道府県で確保する。そのような手順で、国におきましては、公的な医療機関ないし私的な医療機関で担うことが困難な、担うのに適しないより広域的な高度専門医療等につきまして、国が今後方こぶを入れていくというような役割分担を考えているわけでございます。この辺は、同懇談会におきましても、そのような意見がそれぞれの立場から強くございました。私どもも同じような考え方に立って、今後とも具体化を図ってまいりたいと考えております。
#268
○田中(恒)分科員 この懇談会の報告書ができて、局長、それをお手元にいただいていろいろ検討しているのでしょうが、いずれにせよ国立病院の統合再編成というものはもう日程に上がっておるわけでしょう。大体どういうスケジュールでこれから進めていくお考えですか。
#269
○大池政府委員 既にスケジュールにつきましては大筋が閣議決定も経ているわけでございますが、五十九年度におきまして再編成の基本的な指針を作成する、それによりまして国立病院なり療養所の果たすべき機能、役割を明確化するというのが五十九年度の作業でございます。そして、六十年度じゅうにはその指針に沿って具体的な作業をいたしまして、統合あるいは移譲等の可能な施設を選定していく、こういう手順でございます。そして、六十一年度以降おおむね十年ほどのめどで逐次これを実行に移していくというスケジュールでございます。
#270
○田中(恒)分科員 大体懇談会の報告書の中に盛られているような内容そのまま、したがって懇談会の示された道をほぼ忠実に政府は進めていくということのように私は理解をせざるを得ないわけでありますが、その場合に、懇談会の報告書の中には三百ベッドを下回る施設が統廃合の対象と考えられるとありますね。これを含めて、統廃合の基準なるものは一体どういうものなのか。指針を今年度中というのだから三月中でしょう。三月ですからほぼできているのだと思いますし、四月からは実際の箇所の選定に入っていくようですが、一体基準は何なのか、三百ベッドという考え方ついてはどうなのか、お示しをいただきたい。
#271
○大池政府委員 懇談会の御意見の中でも述べられているところでございますが、再編成の対象として検討するに当たりましては、一つには今後果たしていくべき機能の面でとらえる必要がありますし、また、経営効率というような面からのとらえ方も必要であろうと考えるわけでございます。その際の一つの目安といたしまして、三百床というような規模が示されたものと考えておるわけでございます。
 果たすべき機能という観点からいたしますと、先ほども御説明申し上げましたが、高度医療、先駆的医療を行っていくためには、専門的な機能と同時に総合的な機能を付与する必要がございまして、このためには相当程度の医療スタッフなり病床規模なりということがその裏打ちとして必要になってくるわけでございます。また、機能面におきまして、今後国立病院、療養所の重要な機能として考えられますのは、先ほど先生もお触れになりましたが、医療関係者に対する教育研修の場の確保という意味におきます国立病院、療養所でございます。この場合に、既に医師法の制度によります臨床研修の病院、あるいは医科大学におきます関連教育病院というような仕組みが現存しておりますが、そちらの方で採用しております基準は、いずれも三百床以上というのがその一つの要素として織り込まれている。これも今回の国立病院、療養所の再編成の検討に当たっての一つの目安になるのではないか、かように考えておるところでございます。
 また、経営効率という観点から眺めました場合に、その病院の受け持つ機能の種類によってもばらつきが出るわけでございますけれども、総じて申し上げますと、病床規模が小さい場合には非効率、逆に多過ぎてもかえって非効率ということで、ある一定規模の範囲というのが経営効率という観点から見ると至適のものであるということが一般的にも言われておるわけでございますが、また私どものひざ元の国立病院、療養所の実態からもそういうようなことがうかがわれているわけでございます。
 以上のようなことを考慮いたしまして、一つの目安ということで、三百床を下回るような規模の施設が挙げられているわけでございます。したがいまして、いろいろなほかの要因も、例えばどのような機能を付与するかというようなこと等、総合的に考えていくわけでございますので、単に三百床規模のみで機械的にどうこうということは、私どもとしては考えておりません。
 なお、基準につきましてはどのようにという御指摘でございますが、私どもの機能明確化ということについては、先ほどの貴重な御意見も踏まえながら、今局内において種々検討を詰めている最中でございます。
#272
○田中(恒)分科員 大臣、今局長は、三百ベッドというのは一つの基準とか抽象的なことをいろいろ言われたわけですが、これはどこをなくするか、どこを統合するのかという問題に入っていくわけですから、行政としては的確な判断基準というものが出てこなければいけないと私は思うのですけれども、その中心は病院であるという厳粛な事実です。この前提に立ては、その地域の人々の健康を預かっているわけでありますから、その地域の自治体あるいは関係のいろいろな団体の意見を、この問題の取り扱いについては最大限とっていくことが、国立病院としての問題の取り扱いにとっては非常に大切だと私は思う。この点が一つ。
 それから、懇談会の報告の中にいいことも書いてあるわけなんで、何もかも悪いとは言いませんが、いろいろなことを書いております。国立病院として持つべき機能は何かといったような問題をめぐって、政策医療とか、今言われた研修とか、いろいろ書いてあります。そういった問題については、三百とか二百五十といったことにこだわらずに考える。特に病院は、全国的には相当できたと言われておるけれども、私などのような農村の過疎へ行ったら、病院がなくて医者がいなくて困っているところがたくさんあるのです。そういうところに国立病院があって、地域医療のセンターとしての機能を果たしているわけです。三百ものベッドを持っておる病院というのは、我々のところでは大した病院なんです。そういうところが対象になるということで、みんながどうなんだと心配しておるわけです。我々は政治家だから、そういうみんなの意見は敏感に体に受けとめざるを得ない。こんなところまでやられたら大変なんです。そんなことはやらないと、ここで大臣の方からはっきりさせていただきたいのですが、どうですか。
#273
○増岡国務大臣 地元とのお話し合いで今後いろいろな問題が出てくるだろうと私は思いますけれども、その際に私が今心配しておりますのは、私どもが考えておる高度な機能を有するという観点で見る病院と、今まで病院があって便利だったから、そんなに上手なお医者さんでなくてもいいから、そのままでもいいからおってもらいたいという気持ち、こういうものをよくすり合わせをしなければならぬという難しさを私は感じておるわけでございます。
 したがいまして、何としても中心は高度な機能を持ってもらいたいわけでありますから、三百というなら、以上のは全部残すとか、二百九十九なら全部なくするということでなくても、本当の病院そのものの機能という観点から判断されるべき問題だというふうに私は思っております。
#274
○田中(恒)分科員 これは十分に検討して、もし基準が決まりましたら、私にも御連絡をいただきたいと思います。
 なお、いま一つお聞きをしておかなければいけないのは、この統廃合に当たってもし合併する場合に、例えば町の病院に移管するとか県の病院にどうするとか、そういう場合に、国有の土地なりあるいは施設なりを無償で譲渡するとか、それから赤字があれば一定期間それを特別の処置を講ずるとか、こういうことが報告書の中には載っておりますね。これは現在の国有財産法の建前からいえばちょっと法律的にはやれないことだと私は思うわけでありますが、こういう問題の取り扱いはどういうふうになるのですか。これは法律を変えればやれるから、国会に改正法を出すということになればあれですが、現行法上は、国有財産については、現在稼働しておるというか動いておるものを無償でやったり、赤字を何か特別あれするというようなことは簡単にはできないと思う。特に、財産の譲渡、これはどういうふうな考えですか。
#275
○大池政府委員 ただいまお話のございました懇談会の御意見の中で、国立病院、療養所を地方公共団体等に円滑に経営移譲するというような方策を促進させるためには、移譲後の経営の安定の基盤となる、例えば無償譲渡とか経営赤字の補てんとか、そういう特別措置を講ずる必要があるという御意見を承っております。確かに、現行法令においては、地方公共団体が病院の用に供する場合に国有財産を減額譲渡できる旨の規定はあるわけでございますが、ただいま意見の中で述べられました無償譲渡というような措置を講ずるためには、法令上の手当てが必要となるものと考えております。
 いずれにいたしましても、今後この再編を適切にかつ着実に実施していくためには、そのような問題も含めましてよく検討し、また、関係の省庁とも十分協議いたしまして、個別具体的な内容を決定し、必要が生ずれば、その節はまた法改正の点も御検討をお願い申し上げるということも、可能性としてはあり得るだろうという見通しの中で、今検討を進めつつございます。
#276
○田中(恒)分科員 私は、この統廃合の問題については基本的に賛成できない立場に立っておりますし、これは何か非常に心配な面が出てくるような気がしてなりません。しかし、恐らく政府は現実にそういう方向に向かって動くでしょう。そういう場合に、だれがどう見ても非常に合理的な、近くに二つあるとか、機能分担すればいいとか、そういう場合があっても、例えば国の土地なり施設なり、施設の場合は病院でなければ使えないわけですけれども、先ほど厚生大臣が予算の説明の中にも述べられておったように、これから二十一世紀に向けての国民の健康を守っていくという厚生省の姿勢に立って考えた場合に、新しくなさなければいけない需要はいろいろ形を変えた形であるわけです。看護の施設であるとか老人の問題であるとか、よく普通言われる病院に行くまでの中間の国民の健康管理をどうするか、こういったような問題がこれからはますます医療需要としてふえてくるはずであります。
 そういう問題に向けてこの国立病院なり療養所なりとの結びつきを考えて、むしろ前向きの施策をとるべきだ、こんなふうに我々は考えておるわけでありますけれども、これが何となく金を無償で、土地も出します、とってくれというようなことでやって、それは今は町だって――それは町が病院を経営するというのはいいかもしれませんけれども、今現実に町で病院をやれるような財政でありますか。やれぬから、県なり国なりでやってくれということになっているわけですから、そういう意味では国立病院をきちんと強化していく、足らぬところはむしろ充実していく、そういう方向に向かって努力をしてもらうことの方が、より国民に顔を向けた医療政策だ、我々はこういうふうに考えております。それだけに、この問題は非常に大きな問題だと思っておるわけでありますが、時間が参りましたから、またいつか機会を得たいと思います。
 大臣、この統廃合については、先ほど来大臣の御意見もお伺いいたしましたが、この懇談会に出されておるものの線だけでやるのじゃなくて、大臣の御見解もあろうし、局長さんあるいはそれぞれの担当の方なんかも長い間御苦労されてきたわけだから、そういう人々が見た現実の我が国の医療のあり方、国立病院の果たすべき機能、役割というのがあるはずですよ。そういうものに基づいて最も厳正に、しかも過ちのないような方向に向かって取り組んでいただきますように、特に強く要請をいたしておきたいと思います。最後になりましたから、大臣のこの問題についての御見解を承って、終わりたいと思います。
#277
○増岡国務大臣 私どもが考えております医療の充実、高度化ということにつきまして、地元との話し合いの中で簡単に御理解いただけるかどうかということは、私もいろいろ考えるべきところがあるように思います。しかし、何としても国立てあります以上は、よその病院から尊敬を受けるような病院でなければならぬということもございますので、その間の調整をうまく図りながら、何しろ十年間でやるわけでございますので、その先を見通した計画で十分に丹念に折衝を重ねなければならぬと思っております。
#278
○小杉主査代理 これにて田中恒利君の質疑は終了いたしました。
 次に、平石磨作太郎君。
#279
○平石分科員 私は、中国残留孤児の問題についてお尋ね申し上げたいわけでございます。
 日中国交回復がなされましてまさに十二年、年ごとに両国の交流が深まって、両国関係は非常に良好になっているわけでありまして、それとともに日本人の残留孤児の引き揚げも、厚生省を初め両国政府の努力によりましてだんだんと多くなってまいりました。したがって、これに伴ういろいろな問題が出てきておるわけでございます。
 そこで、前もって大臣にお尋ねをいたしますが、この前の大東亜戦争、太平洋戦争とも言われますが、これは日本の国家行為であったのかどうか。一言、簡単にお願いをいたします。
#280
○増岡国務大臣 現実の問題としては日本国が行った戦争だと思います。
#281
○平石分科員 日本の国が行った国家行為である戦争、したがってこの戦争の遂行のために食糧の確保あるいは増産、そういったことから旧満州への開拓移民ということで、その当時日本の大きな国策としてどんどん満州、中国への開拓団として進出をしていたわけであります。これはその当時、国の大きな国策であったのかどうか、これも一言お答えをいただきたい。
#282
○増岡国務大臣 私はその間の事情は余りよく知りませんけれども、国全体がそういうことを進める雰囲気にあったことは確かだと思います。
#283
○平石分科員 そこで、私がここに資料を持っております。昭和十八年「満州移民計画」、これでございますが、これは四十二年昔のいわば分村計画、当時の大東亜大臣からの指図に基づいて行われたわけでありますが、そういうことで大臣、ちょっとこれをごらんいただきたいと思うのです。
 大臣が見ていらっしゃる間、時間もございませんから、局長さんにお伺いをいたします。
 そこで、今の残留孤児の引き揚げが始まりましてから、だんだん多くなってまいりましたが、ひとつ今の概況を簡単にお示しをいただきたいと思っております。
#284
○入江政府委員 現在、私どもが肉親を捜してほしいという依頼を受けております残留孤児の数が千六百十五名でございまして、そのうち、これまでに身元が判明しました者が八百二十二名、したがいまして、差し引きました七百九十三名という者が、現在調査中ということになっておりますが、この七百九十三名の中には、既に訪日調査のために日本に参りまして、その結果「判明せず」で引き続き調査をしている者二百四名が含まれておりますので、まだ日本の祖国の土を踏んでない残留孤児の数と申しますのは五百八十九名ということになっております。
 なお、身元判明者のうち、本邦に永住帰国しておる者は、現在二百十七名ということになっております。
#285
○平石分科員 今お答えにございました、日本へ帰られて永住帰国された方が二百十七名、このように数がふえてきました。この経過を、過日厚生省からちょっと資料をいただきまして、今お答えをいただきましたことの概要がここにございます。これを見てみますと、第一回から第七回までの訪日調査によって身元が判明した者が、第一回のときは六二%判明をしておるようですね。それからずっと下がってきまして、この六十年二月から三月の第七回の訪日調査の場合は、身元判明が三七%に落ちてきている。
 このことは何を物語るかということを考えてみますと、非常に時間がたち、そういった記憶がだんだんと薄れていくというようなこともございましょうし、早く年を召されるお父さん、お母さん、そういったような親戚一同が年を召されるというようなことが手伝う関係もございましょう。あるいは資料の問題等がいろいろと不足な面もあろうと思うのですが、これをもっと高める必要がありはしないか。
 そうしますと、これからの判明率の向上といったことにつきましては、厚生省は全力を挙げて資料の収集を行っておると思うのでありますが、そういったことにこれからどう対処するのか。これから後も八、九、十と四百人程度の方がお見えのようでありますが、これらの判明について、どのように資料収集がなされて、努力をしていらっしゃるのか、今後の見通し等について簡単にお答えをいただきたい。
#286
○入江政府委員 今後の計画でございますが、先ほど申し上げましたように、現在までに日本に来ておりません孤児が、現在の段階で五百八十九名ということになっております。そのうち六十年度には、現在御審議いただいております予算では四百名の訪日調査をやるということにしておるわけでございます。それで、残る二百名弱の者及び今後調査依頼があるであろう孤児につきましては、六十一年度に訪日調査を行いまして、六十一年度で大体訪日調査は概了したいというふうに考えております。
 一方、ただいま御質問のありました資料の点でございますけれども、おっしゃいますとおり、時間がたつに従いまして当事者の記憶も薄れる、当事者が亡くなるということもございますが、それはそれとしまして、私どもとしましては資料の収集に全力を挙げておるわけでございます。それの一つといたしまして、例えば本年度におきましては戦時死亡宣告といいまして、当時帰ってこなかった人間について、法律に基づいて戦時死亡宣告をしたわけでございますけれども、それの中で、終戦当時十三歳未満に該当する者につきまして、それの親族あるいは知っている者について、当時の状況を改めて再調査するというような資料の再整備等も行っているわけでございます。
#287
○平石分科員 そういった御努力をこれからもひとつよろしくお願い申し上げたいわけであります。
 そこで、昨年でしたか、渡部厚生大臣そして入江局長ともに訪中をされて、そのときの記事を私は見たわけですが、これを見てみましても、渡部前大臣の、中国側の反応に、厚生省は中国に対し慎重過ぎた、こうなった以上国際信義からも急がねばならない、こういう発言がございます。それから黒竜江省の担当官が入江厚生省援護局長の手をとり、盛んに念を押しておった。「孤児は黒竜江省だけで千人いる。このままでは訪日調査だけで七、八年もかかる。急いで下さい。いいですね。」このように念押しがなされておるということが新聞記事に出ておるわけですね。そして呉学謙外相は、渡部前大臣との会談で、孤児数はまだ二千人と公表した、こういうようなことも出ておるわけです。
 したがって、先ほどお示しいただきました調査依頼のあった者の数、さらに呉学謙外相のおっしゃったこと、それから黒竜江省だけで一千人、こういったようなことを総合して判断いたしますと、厚生省としても大変なお仕事ですけれども、先ほどちらっと大臣に申し上げましたように、国策としてやって、そして日本の政府がいわば割り当てをして――大臣、ごらんいただいたと思います――町村長さんから、あなたもあなたもあなたも満州へ行ってください、こういった形で割り当てがなされておるわけです。そういうことから考えましたときに、私はひとつ厚生省の全機能を挙げてよろしくお願いをしたいと思うのですが、その決意のほどを一言お願いいたしたい。
#288
○増岡国務大臣 お話のように、私どもが全力を挙げて早期解決を図らなければならない問題だと思います。今お触れになりましたように、私どもが把握しているのが約千六百人でありますけれども、向こうの外務大臣が二千人おるとおっしゃっておられます。したがって、私どもは、昭和六十年度の予算編成をする際には、もし仮にその四百人の名簿がわかれば、その分も含めて六十一年度じゅうに訪日調査を終えよう、そういう決意のもとに、概算要求よりも予算編成の際、訪日調査の人員をふやしておいたわけでございまして、御趣旨に沿って頑張りたいと思います。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
#289
○平石分科員 そこで、もちろんこれも厚生省だけの努力でもできぬことでございますし、相手国の御協力も賜らねばならぬということになるわけでして、渡部大臣とともに訪中された際に、いろいろとこの問題については両国政府の間で、先方の育ててくれた養父母に対する手当、これもあわせ進捗をしていかなければ、これは孤児だけを呼び戻す、日本人だけの感覚でというわけにはまいらない仕事でありますから、そういう養父母に対してどのように考えておられ、現状はどうなのか。そして、今、二千五百円云々、貸付金云々ということも聞いておりますが、これはそういうことで進められるかどうか、さらに御努力をしておられるのか、一言簡単にお願いをしたい。
#290
○入江政府委員 御指摘のとおり、日本としましては、養父母に対しまして非常に感謝しなければならないわけでございまして、その点につきましては中曽根総理あるいは渡部大臣があちらに伺いましたときに、向こうの幹部の方に、日本政府、日本国民として養父母の方々に謝意を表するということを申し上げておるわけでございます。
 そのほか具体的な問題としましては、あちらに養父母を残して永住帰国した孤児の場合に、その孤児が本来扶養すべき立場にあるわけでございますから、その孤児が負担すべき扶養費につきまして、日本に帰国しましてもなかなかすぐには経済力がつきませんから、国とあと国民からの善意の寄附で二分の一ずつ負担して養父母の扶養費用をお払いするということを、昨年の三月に両国間で話し合いをしまして、その具体的な額あるいは支払い方法については両国間で協議するということになっておるわけでございまして、この一年間協議してまいったわけでございます。
 それで、去る二月に私どもの担当課長をあちらに派遣しまして協議したのですが、まだ生活費の考え方等につきまして若干隔たりがございますので、引き続き鋭意協議を進めまして、できるだけ早い機会に決着を図りたいというふうに考えております。
#291
○平石分科員 この問題は非常に感情的な問題あるいは年がいったということからの扶養の問題、いろいろと問題点は多々あろうと思うので、簡単に物事が進むとは考えられませんけれども、そういった昔の日本政府の行ったことが――テレビで私ども拝見をするときに、日本人として涙なくして見れないものが残っておる。まさにこのことを解決しなければ日本の戦後は終わらない、こういう感じを国民の一人一人が持っておることだと思うわけです。そういう意味から、力いっぱいのところをやっていただきたいと思うわけでございます。
 そこで、中国から引き揚げる際、日本国籍を持つ未帰還者が帰るという形の場合は公費の負担がある。高知県で、引き揚げをしてこられて、現在たくさんの方がおられるわけですが、これは十周年記念の、高知県の引揚者の中国残留孤児の記録であります。私も時々この方々と懇談をし、そしてともにレクリエーション等も行っておるわけでございまして、実情はいろいろなことを聞いております。この中にもあるのでございますが、いろいろな手記を見てみましても、生活の面、日本語の面、就職の面、仕事場におけるトラブルの問題、日本社会が本当に受け入れてくれておるのだろうか、私はもう中国へ帰りたい、こういうような手記もあるわけです。政府の努力と一緒に、やはり日本国民全体、社会全体が受け入れをしていただかなければ本当の解決にならない。こういうことがこの中からもうかがわれるわけです。
 この生活実態を見たときに、一応私これを集計してみました。高知県の例でありますから、全国的にこれがそのまま援用されるかどうかはわかりませんけれども、時間がございませんから私の方から申し上げますと、帰国者が百四十一人、それで働ける者が百五人、そういう中で働いておる人が男女合わせて四十三名、四一%です。就労の待機中が十四名、休職中が五名、それから不就労、高齢のために就労ができない、病気のために就労ができない、あるいは学校へ行っておるために就労ができない、家事のために就労してないといった者が合わせて三十名おります。こういう大体の状態です。それで、この生活の実態は、生活保護を受けておる者が五二%です。全国的に見た場合に、新聞紙上で、生活保護受給者は大体九〇%というのを見たことがあります。それから見ますと高知は五二%というのですから、比較的成績がいいわけですが、それはなぜ成績がいいか。非常に高知県は――そう言って自分のところの選挙区を褒めては悪いけれども、みんなで力を合わせるということでこんなものまでつくっておる。ある社長さんが、引揚者です。この人が非常な寄附を出して、そして県が二分の一、市町村が四分の一、他は寄附金という形で予算を取っていろいろなことをしている。指導員も特別に雇っている。国から示された指導員以上のものを持って、十八名の指導員でもってトラブルの解決やら指導に当たっておるというような実情にあるわけです。これが全国的にそのままというわけにはまいりませんが、生活保護を受けておる者、そして月の収入が大体どのくらいあるのか、全国的におわかりならお示しをいただきたい。
 そして、この人たちも将来年がだんだんといく。ここにこう書いてございます。「帰国者の中には年金をかけていない老人も少く有りません。老後をどの様に生きれるか、特に不安を感じるものです。」こういうことが書いてあるわけです。この人たちの手記を見たときに、老後の不安というのは、これはもう身内は死んでしまい、そして日本語はわからない、職業には余りつけない、職業の内容も、詳しく言えば付き添いさんだとか非常に低賃金の仕事についておるわけですが、そういったことから考えて、帰ってきた場合に、国民年金への加入は空期間として認めていただくことがこの前の国会でできましたが、これも何とか三十六年にさかのぼって負担をしてやる。わずか二百十七名の永住者ですから、そのようなことの取り計らいができないものかどうか。
 それからもう一つ、引き揚げの際に日本国籍を持ってないがために、親戚一同がお金を送って、そして日本へ引き揚げる。これはもう自費で引き揚げてきておるわけです。このこともちょっとここで私お聞きをしてみますと、未帰還者と認められた場合は、国が負担をしてくれまして、引揚証明書を発行され、帰還手当を成人の場合十三万二千円もらい、公営住宅に優先入居ができ、都道府県より生活指導員の派遣を受け、あるいはカセットテープ等、その他日本語の教育、あるいは所沢におけるところの四カ月間の教育が受けられる。ところが、自費で帰った人は一切これがない、こういうことですね。そうなりますと、これはこの中で計算をしますと、大体この人の家庭の場合に五十二万四千円ぐらいもらえるはずだ。借金して帰ってきておる。これはどうなのか。年金とその二つ、お答えをいただきたい。
#292
○入江政府委員 最初に、こちらへ帰っております孤児の生活実態でございますが、大体高知県の場合と似ているのじゃないかと思います。要するに、帰国当時はほとんど、九六%程度が生活保護を受けておりますが、これまでの実態の調査によりますと、三、四年たちますと約半数の者が生活保護世帯から脱却しておるというような状況でございます。
 それで、就労の状況でございますけれども、孤児本人について見ますと、孤児本人が男性の場合は七四%、女性の場合は四四%の方が就労しております。それで平均的な収入でございますが、これはやはりおっしゃいましたように、単純労働が多いというような関係がございまして低いわけでございして、二十万円以上の者が一七%、十万円から二十万円の者が五六%というような状況になっております。
 次に戸籍の問題でございますが、従来は、おっしゃいましたとおり、日本に戸籍がない場合には国費による帰国援助をやっておらなかったわけですが、今般中国側と話し合いがつきまして、要するに、こちらに肉親がいることが判明してない、いわゆる未判明孤児につきましても日本で受け入れることにいたしまして、その場合の帰国旅費あるいは帰還手当、今おっしゃいましたもろもろの援護を国費で行うということに改まりました。
#293
○吉原政府委員 日本に帰国をされました中国孤児の方の年金の問題でございますけれども、こういった方々も、これから一定期間国民年金等にお入りいただきますと年金が支給されるということになるわけでございます。ただ、既にもう一定年齢以上の高い年齢にある方につきましては、その資格期間というものがその年齢に応じて短縮をされるということになっておりますし、昭和三十六年以降の中国におられた期間も、その場合に資格期間の中に算入できるという道が、現在国会で御審議をお願いしております法案の中に含まれているわけでございます。こういったことで、金額の問題はともかくといたしまして、中国から帰られた方もできるだけ年金に結びつくような措置はとってるわけでございます。
 過去の分にさかのぼって、その保険料を国が負担してという御趣旨の御質問かと思いますけれども、私ども、今の年金制度の仕組みの上では、もう最大限できるぎりぎりのところまで、今度の法改正の中で配慮をしたつもりでございます。
#294
○平石分科員 そこで、もう時間がございませんので、労働省、お見えいただいておりましたね。労働省の場合、もうこれはお答えのお時間がないかと思いますが、申し上げたいことは、職業訓練校へ入って自動車の技術習得、その場合と、自動車の運転で自動車学校へ行く、この二者択一だ、こういうのですね。そうすると、技術を習得したい、運転技術も欲しいと思ったら、どっちかやめなければいかぬ。これは非常に困ります、両方何とかいかぬことでしょうかということが私たちの座談会の中で出ておりましたので、これは申し上げておきます、時間がございませんから。
 それから文部省の方にも……。日本語学校教育の通達がございますね。非常に温かい通達がここにあるわけでございますが、現実には非常に壁が厚い。そして、通学可能な地域内に少なくとも十名程度の邦人引き揚げ学齢児童がおる場合、言語不十分な者は一定期間特設学級を設けることが望ましい、こうなっておるようですが、そういう該当地域はないのですよ。通学可能な範囲で十名の比較的日本語ができない児童がおるというところはありません。これも空文に終わっておるおそれがありますので、ひとつ御検討いただきたい、こう思うわけです。これはもう答えは要りません、時間がございませんから。
 そこで、大臣に最後にお願いがあるわけです。
 今これをごらんいただいたように、大東亜大臣に届け出をする。「調査ニ基キ分村計画ヲ樹立実行スルコトニナルト町村長ハ開拓団編成計画承認申請書(五通)ヲ編成シ、大東亜大臣宛提出スルコト」、この様式は九月二十一日の官報に掲載してある。これからずっと後ろに二百名、いろいろと小さな数字が入っております、五円九十銭だとか十五円だとか、昔のお金ですから。そういう形で判をもらって満州へ渡っておるわけです。この方々のお子さんたちが今の孤児、こうなっておるわけですね。
 そういたしますと、私はこの前もちょっと申し上げたのですけれども、さっきの局長さんの答弁の中にあった引き揚げ手当だというのは、何から出ているか根拠法を知りませんけれども、未帰還者留守家族等援護法、これには「赤帰還者が置かれている特別の状態にかんがみ、国の責任において、その留守家族に対して手当を支給するとともに、未帰還者が帰還した場合において帰郷旅費の支給等を行い、もってこれらの者を援護することを目的とする。」と言う。三十八度線以北に残った一般邦人、国との特別権力関係にない方々、この人たちがまさにそうなんです。特別立法ができないかどうか。今言う年金に対してのこれもできません、空期間としては認めてあげますが、さかのぼってお金を出すことはできません、いろいろと障害があります、現行法の中では。そういう意味から考えたときに、国の行為で行われた今回のこういった事柄について、戦後処理の一環として特別立法をして、この家族に対して老後の援護等をするお考えがあるかどうか、一言お答えをいただいて終わりたいと思います。
#295
○増岡国務大臣 この問題につきまして特別の法律をつくってやってはという御意見でございますが、その可能性について十分研究をしてみたいと思います。
#296
○平石分科員 以上で終わります。ありがとうございました。
#297
○山下主査 これにて平石磨作太郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、浜西鉄雄君。
#298
○浜西分科員 前回の、前回と言ったらおかしいのですが、前国会の分科会で質問をし、問題を提起した続きといたしまして、本日、二つに絞って質問をいたします。大臣初め皆さん、お疲れでしょうが、しばらくおつき合いを願いたいと思います。
 問題は、老齢化社会、いろいろなところで言葉が使われておりますが、いよいよ私たちの周辺にはそのことをひしひしと感ずるような状態があちらこちらで見受けられるわけです。そこで、我が国の寝たきり老人、いろいろランクはあると思いますが、一口に言って自分自身ではどうしようもない、自由のきかない寝たきり老人、この数は、厚生省の発表ということなんですが、現在四十八万人ばかりと言われておりますけれども、この実数のつかみ方について、具体的にどのような把握の仕方をしておられるのか、一言聞いておきたい。
#299
○正木政府委員 厚生行政の企画運営に必要な基礎資料を得るために、毎年、厚生行政基礎調査をやっておるわけでございますが、昭和五十三年以降三年ごとに、この厚生行政基礎調査によりまして寝たきり老人の調査を行っております。これは県を通じて行っておるわけでございますが、具体的に申しますと、国勢調査区から千八百地区、一地区が五十世帯でございますから、つまり地区内の全世帯で申しますと約九万世帯、これを客体としまして、聞き取り調査で、その結果に基づいて全国推計を行っておるわけでございます。
#300
○浜西分科員 基礎調査で、恐らくその倍率その他での推計だろうと思うのですが、私の地元山口県で、下関なんですが、老人病院を現在経営と言ったらおかしいのですが、やっていらっしゃるお医者さんが、実態をつかむ必要があるということで、現在、コンピューターを入れまして、聞くところによると三億円か四億円はするそうですが、大学の学生にボランティア活動をやってもらって、二人一組で各家庭を回って実態調査をして、くまなく実数をつかむ努力をされておりますが、やはりこのような地についた数字の把握をしておかないと、その先生は、今国が発表している、厚生省が発表している数よりはるかに寝たきり老人は多いはずだ、こういうふうに断言をしながら今調査中でございます。いずれ調査の結果がまとまりましたら私の方に連絡するということですから、またいずれ把握の結果がわかると思います。
 そこで、把握の結果を待たなければいけませんが、現実に今病院その他である程度、公的な機関で収容して手厚い看護を受けておられる方はいいわけですが、全くそういうところに行くこともできない、経済的な問題もあるでしょうし、いろいろ家族の事情もあるでしょう。これは政府の発表ですが、特養ホームと申しましょうか、これは十一万人。病院に十万人。そうすると残りの二十七万人というものは、法の保護のもとに置かれないで、陰でひそかに苦しみながら老後の寝たきり生活をしておると思うのですが、この問題について実態を厚生省はどのように把握しておられるのか、わかればちょっと聞かせてもらいたいと思います。
#301
○正木政府委員 先生おっしゃいますように、この寝たきり老人でございますが、厚生行政基礎調査による定義でございますけれども、六十五歳以上で寝たきりの期間が六カ月以上の方々ということで、その数が総数三十六万六千ということでございます。先生おっしゃいますように、そのうち約十万、九万九千人の方は病院に入院されておる。在宅の方が二十六万七千人おられるわけでございます。それから、先生おっしゃいましたように、そのほかに特別養護老人ホームに入っておられる方が十一万二千人おられるわけでございます。
 問題は、先生御指摘のように二十六万七千人の方々でございますが、この方々につきましては、厚生行政基礎調査の今回のにもあるわけでございますけれども、御家族の介護によりまして、配偶者であるとかあるいはお嬢さんであるとか、お子さんのお嫁さんであるとかといったような方々によって介護がなされておるという実態にあるわけでございます。したがって、そういった方々の介護をバックアップするという意味で、現在私ども、いわゆる在宅福祉対策ということで、ホームヘルパーの派遣であるとかショートステー事業の実施であるとかということを進めておるということでございます。
#302
○浜西分科員 そこで、この問題と関連いたしますが、厚生省が今考えておるということでしたのですが、いわゆる健康福祉施設の構想ですね。中間的な新しいタイプの施設といいますか、介護施設というものをつくろうとされる構想なんですが、これは私は注目に値すると思うのです。したがって、これのねらいというものは、今私が申し上げましたように寝たきり老人の方とか、経済的にはいろいろアンバランスがありますから、なかなかそういった施設に持ってこれないお年寄りの方々などもあると思うのですが、そういう人たちを最大限介護施設に収容するという目的なのか、とりようによっては老人医療費の抑制がねらいのようにも見えるわけですが、これの構想について、わかりやすく、簡単でいいですが、説明してもらいたいと思います。
#303
○吉崎政府委員 ねらいは何か、こういうことでございますけれども、先ほど来のお話のように、お年寄りが大変ふえてくるわけでございます。そういたしますと、どうしても慢性病を持った方々がふえてくる。そうすると、介護と医療の両方が必要である。過去の施設の体系を考えてみますと、一方には病院の体系があるわけでございまして、もう一方には社会福祉施設の体系がある。今日及び今日以後のそういう需要の変化に的確にこたえるためには、やはり全体としてお年寄りをどういうふうにお世話するのが適切であるか、そこのところをひとつ根本から考えていこう、そこがねらいでございます。
#304
○浜西分科員 ねらいと申しますか、目的は大変結構なことですから、そういうことならばどんどん進めてもらいますが、私なりに気のついた点だけ一言申し上げておきますと、問題は、医療保険に切りかえられる仕組みになるわけですから、つまり、補助金でこうやる、公的な補助でやっておったものがそういうふうに変わるという理屈になるわけです。言ってみれば、老人保健法に基づくところの老人医療費の負担ということになって、結局は、それに関係する健康保険組合、それから政管だ、国保だ、共済だ、こういった健康保険を現在掛けておる現役の人たちの負担になるような心配がありますので、私はそういうことにならないように、そのことを一つつけ加えておきまして、この種の総合的な、合体したような新しいタイプの施設はどんどんふやすべきであるということをつけ加えておきます。
 そこで、なぜ私はそういうことを言うかといいますと、最近新聞にたくさん出てくるわけですが、一つ例を申しますと、ここにあるのは、「老人ホームで苦闘の母衰れ」という表題で、「こちら社会部」という、これは恐らく読売ではないかと思うのですが、ここにございます。そういった中でも、やはり老人ホームそのものの中にも問題があるわけですが、やはり七十歳のお母さんのことを言っておるのですけれども、老人ホームの中にもなかなか人に言われないあつれきというか苦しみというか、そういうものがあるようです。したがって、今さっき厚生省から説明のあった中間的な新しいタイプの施設、介護施設は結構ですが、そういう施設をハード面とするならば、むしろ中身の行き届いた細やかなソフト面というか運営方法というか、こういうものについて十分な配慮が必要だと思うわけです。
 そこで、お年寄りをとかく大事にし過ぎてしまって、私はゲートボールが悪いとは申しませんけれども、ただ、そういう隔離するというか、どこか山の中の施設に持っていってしまってとか、あるいはお年寄りはゲートボールばかりさせておけばいいんだというような考え方が何となく昨今目につくわけですが、むしろ私はこう思うのです。お年寄りも昔の経験を生かして地域社会の中でもっと動いてもらう、国家からある程度年金その他保障されるということがあればあるほど、むしろ地域の中で一定の役割を果たす。隣の国の中国の例ではありませんが、緑化委員会などのような組織をしながら町をきれいにする、花を植える、停留所の灰皿をきれいにするというような、そういう問題やら、あるいは女性のお年寄りであれば、漬物の漬け方が昔から非常にうまい人もおるわけです。若い嫁さんを集めてそういうのを教えるというようなことなどいろいろありますけれども、とにかく社会のために役立つような仕向け方、そういうシステム、施設というものを地域にふやしていくということも忘れてはならぬと思うのですが、そういう問題について、厚生省の考え方をちょっと聞いておきたいと思うのです。
#305
○正木政府委員 先生御指摘のとおりでありまして、去る一月二十四日の社会保障制度審議会からの建議の中でも「老人のための介護施設の整備を図るに当たっては、入所する老人が家族、友人、近隣からできる限り切り離されることのないよう配慮すべきである。」ということを言っておられます。また先生おっしゃいますように、老人の方々が本当に生きがいを持って、誇りを持って生活をされるような仕組みというものをこれからどんどん推し進めていかなければならないというふうに思うわけでございます。
 そこで、特別養護老人ホームの整備を現在進めておるわけでございますが、この特別養護老人ホームの立地条件につきましても、できるだけ老人の生活圏に近い場所でお世話できるように、そしてまた、特別養護老人ホームが在宅の老人の方々と有機的な連携を持って進んでいくような施設づくりをこれから大いに心がけていかなければならないと思っております。
#306
○浜西分科員 大変結構な考え方です。そういう立場でこれから積極的に取り組んでもらいたいと思います。
 そこで、前回私は、現在急がなくてはならない問題として、介護人と申しますか、国家的な規模で公的な身分の保障もある認知された公的な介護専門職、そういう弁護士の設置をふやしていくということを提起したつもりなんです。
 ここに神奈川県の湯河原駅で飛び込み自殺をした記事が朝日新聞に載っております。「看病に疲れました身障の老妻夫を残し飛び込み自殺」。つまり、お年寄り同士が人生の最後に本当にいたわり合って看病し合ってほとほと疲れるという状態が出てくるわけです。お年寄りでなくても、身障者の方とか交通事故とかという場合でも、家族の方は、手がかかると申しますか心労がふえるわけであります。したがって私が思うのに、そういう家庭に対しては介護人が派遣できるように、需要と供給のことを考えてこれをどんどんつくっていかないと一政府の予算だけを見ますと、ことしは本当にわずか増員増額があるようであります。これとても、金額的には少し増額されていますが、人数としては、私から見るとこれは大変数が少ないと思うのです。例えば家庭奉仕員数一万九千九百八人が二万一千六百十三人。金額的にはちょっとふえております。その他、主任家庭奉仕員(チーフヘルパー)、こういったものを新設するなど対策としては前向きの対策が進んでおるので、これにけちをつける気持ちはさらさらありません。問題は、そんな数ではとてもじゃないが不足するということなんです。もっとこれを公的に教育し、そういう資格を与えて各地に配置していく、看病に疲れて肉親同士が殺し合うとか自殺するというような哀れな結末を遂げないためにも、もっと公的な介護人をふやしていくべきだと考えますが、その点どうですか。
#307
○正木政府委員 昨年の三月十二日の本分科会で先生から老人の介護人制度についての御意見があったことは十分承知をいたしております。
 そこで、先生のお話にもございましたように、在宅福祉対策というものを考えます場合には、やはり老人家庭奉仕員の派遣事業、これが根幹をなすものだと思っております。この制度につきましては六十年度も千七百五人という増員を図ったわけでございますし、またチーフヘルパーという制度を新たに創設しましたのも、同じ家庭奉仕事業を行うにしましてもそれぞれのケースで違いがあるわけでございまして、やはり相当な経験を有した方々に取り仕切ってもらって、難しいケースについてはチーフヘルパーみずからが行っていろいろ指導なり助言をするといったシステムもつくっていきたいということで、この制度をつくったわけでございます。
 また、いろいろなケースがあるわけで、家庭奉仕員の資質の向上ということも非常に重要であるということで、これも先生御案内と思いますが、家庭奉仕員につきましては、これに就任するに当たりましては七十時間にわたる研修を受ける、さらに年に一回現任訓練を受ける。それからチーフヘルパーについては要件を今まだ検討中でございますが、私どもとしては少なくとも五年以上の経験を持って、さらに訓練を受けた方々をこういうものに配置していくようなことを考えていきたい。
 要は老人の多様なニーズにこたえ得るようなシステムづくりということで、この家庭奉仕員派遣事業におきましても一工夫も二工夫もしていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
#308
○浜西分科員 私も今後ともずっとこの問題について一生懸命取り組んで、追い求めていきたいと思いますので、さらに厚生省の取り組みを期待しておきます。
 時間がありませんから次へ移ります。
 これも昨年私が分科会で提起した問題ですが、尊厳死の問題であります。つまりリビング・ウイル・デスであります。時間の制約があって、私ちょこっと言っただけで十分な質疑になっておりません。そこで、昨年の委員会では、生命と倫理に関する懇談会というのを設置しておるので、その中で十分意見交換をしながら進めていくというような答弁になっておるわけですが、この懇談会の開催状況、またそれの進みぐあい、大臣はかわってもこれは続いておるのかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
#309
○吉崎政府委員 生命と倫理に関する懇談会でございますけれども、現在、これまで御論議をいただきました事柄について整理をしていただいておる段階でございます。そうして、問題点をきちんと整理いたしまして、世に問うて、この問題は行政府が云々するというよりも、広い意味での文化の問題でございますので、広く世間でもって意見の交換が行われて一定の納得に到達する、これがいい方法であると考えております。
#310
○浜西分科員 余り具体的に進んでいないように見受けられますが、これは急いでもらわなくてはならないと私は思っております。
 おととしになりますが、五十八年三月二十三日の参議院の質問で、当時の林厚生大臣は、尊厳死、安楽死も含め、人間の生命とは何であるかを科学技術、医学の進歩に対応して考えていかなければならない、こういうふうに答弁しているわけです。そしてさらに、この種の問題は政治家が主導性をとるべきで、広い分野の人たちに集まってもらって、国民的論議のたたき台を出していきたい、こういうふうに述べておられるわけであります。
 また、御承知と思いますけれども、アメリカ大統領委員会、これは正確に言うと、医学及び生物学行動科学における倫理問題検討のための来合衆国大統領委員会という長い名前の委員会ですが、この委員会が人間の生命と人格と医療の関係について論議し、検討を行っているということでございます。
 このようにアメリカでは大統領委員会ができるくらいでありますから、このリビングウイルが既に行政レベルまで達しておるというふうに私は受け取るわけであります。したがって、我が国においても、政府がこの問題について行政レベルで、つまり法制化ということを前提にしながら積極的に取り組みを進めるべきだと思うのですが、その点どうでしょうか。アメリカでは、私の知るところでは二十一州ぐらいで既に立法化されておると聞いておりますが、これとの関係、我が国の物の考え方をこの際聞いておきたいと思います。
#311
○吉崎政府委員 確かに御指摘のように自然死法、尊厳死と似たような意味であろうかと思いますが、アメリカの州におきまして立法化されておるところがございます。
 我が国はどうか、こういうことでありますが、死といかに対面するか、これは非常に厳粛な課題であるわけでございまして、先ほど先生が、かつて国民的論議のたたき台を提供するとさきの大臣が申されたということを紹介されましたが、私どもも一昨年の秋にその生命と倫理に関する懇談会の議事録をたたき台として提供いたしましてだんだん世の中の論議も深まっておると思うのでありますけれども、しかしながら、今直ちに我が国でアメリカの自然死法のようなものを考えるのが適当であるかどうか、もう少し死との対面の仕方というものについて国民の間で深く議論されることが必要ではないかと考えておるのでございます。
#312
○浜西分科員 私はなぜこれを急ぐかと申しますと、私どもの周辺にこうしたものに直面する機会が大変多いわけでありまして、ここに新聞でかなり大きな活字で報道されておるのです。
 これは九州の大牟田で起こった問題ですが、簡単にこれを紹介すると、奥さんが当時五十一歳、これが肺がんで脳にも転移、治る見込みはない、こういうふうに知らされた。これがまず冒頭に書いてありますね。そして大変な苦しみで、これ以上はどうしようもない。本人も、何とかしてくれ、早く楽にさせてくれ、ここに書いてあるとおりですが、涙をためて懇願し続けた。見かねた夫は病院に対して、これ以上の治療は苦しめるだけだ、命が縮んでもいいから、延命治療を中止して何とか楽にしてもらいたいと言ったが、聞いてもらえなかった。それはそうでしょう、日本に法律がないわけですから。したがって、十一万六百六十一円の支払い請求が来た。それを拒否した。これが問題になって裁判になったわけでありますが、このような例はあちこちたくさんあると思うのです。したがって、私はこの問題について、延命治療の基本問題についてこう考えるわけです。
 この新聞報道が物語っておるものは、三つぐらい問題点が潜んでおると思うのです。
 一つは、死ぬという権利の問題ですね。これはやはり、人間そのものは確かに生きる権利というものを絶えず追い求めていっておるわけですが、片や死ぬ権利もあるのではないかということを何となくこれが教えておるように思うのです。つまり、死に至るまでの生存権の対象というものはあると思うのです。したがってその時点までは、つまり死ぬまでは、憲法に言うところの幸福追求の権利と申しますか、人間として最大限幸福を追求していくという、そういう権利というものが死ぬ間際まであるはずだ。したがって、死というものに対して、苦しまない、言葉をかえれば快い死に方というものを自分で主張するというか、そのことを考える、それを求めることは人間としての基本的な権利ではなかろうかという問題が、この奥さんががんで死んだ中で一つ提起されておると私は思うのです。しかし、我が国の現在の法律のもとでは、病院側はそのことによう手を出し得なかったということですね。
 それから、延命治療の問題。これは医学の問題、つまり、発達によってかなり生かせることができるわけです。この場合は、この夫は見るに見かねて死ぬことを何とか病院側に頼んだわけですね。ところが、病院側とすれば治療を継続する以外に手はない。つまり、医療技術の進歩によって、患者を治すというよりか死なせない、死なないことが目的に既になっているのじゃないか、ここが一つ大きな問題として出ておると思うのです、
 さらに、医療費の問題。今さっき申しました十一万何がしの話でありますが、結局、希望しないのに治療して、その治療費が残った家族に請求される。そしてもちろん健康保険の方からも、国の負担としてのものもこの中にあるはずであります。
 したがって、そういう基本的な問題がこの中に潜んでおるような気がいたしますので、この種の問題については私はゆるがせにできないのではないかと思います。先進諸国ではこれがどんどん法制化されて、本当に人権というものがこの中で主張されておる、認められておるわけでありますから、我が国においてもそのようなことに早急に手がけるべきだと思いますが、厚生大臣の考え方をちょっと聞いておきたいと思います。
#313
○増岡国務大臣 この問題は、私は医学的には割と結論が出しやすい問題だと思います。しかし、生命ということでございますから、広く一般国民がそのことを理解することもまた必要であろうと思います。
 そういう意味合いから、生命と倫理に関する懇談会も御議論願っておることでありますし、着た、きょうこうやって先生から御意見をお出しいただくことも、さらに、そういう問題についての各党派にまたがる議員連盟もおつくりのようでございますから、そのことによって国民の理解が一段と進むことを期待いたしたいと思います。
#314
○浜西分科員 時間が来ましたから、では最後に一言、この問題について私なりの問題提起をして、また後日機会があればこの問題について厚生省とやりとりしてみたいと思いますが、今後の問題として私は次の点が必要だと思います。
 一つは、入退院、医療拒否を含むところの自由の権利というものを確立すること。二つ目は、人格の尊厳、プライバシーの権利というもの。三つ目が、病状を知らされる権利。四つ目が、適切な医療を受ける権利。最後五つ目が、苦しまない権利。こういった権利の問題について、患者と医師の権利義務の関係を規定をする立場で、これから先、リビングウイル方式の検討をお願いしたいと思うのです。
 つまり、人間が生きる権利があると全く同じように、死ぬという権利も人権として認められてしかるべきだ、こういうことを私は考えております。つまり、死の選択ではなくして死に方の問題だと思います。大臣だって私だって、いずれ年をとって死んでいくのです。死に方の問題だと思う。そのことは個人の基本的な権利として、その選択権というものはあってしかるべきだと思いますので、十分検討をしていただくことをお願いいたしまして、私の質問を終わります。
#315
○山下主査 これにて浜西鉄雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、滝沢幸助君。
#316
○滝沢分科員 委員長、大臣初め皆さん御苦労さまです。
 ところで、御質問の前に一つ御注文を申し上げておきたいと思います。それは実は、議員が議会で発言、質問等をする場合に、その内容についてのいわば打ち合わせをすることは、これは実際問題としては大変議会運営の、また行政の推進の便法でございまするけれども、しかしこれはあくまでも舞台裏のことでございます。これを踏まえまして直ちに議員の選挙区の市町村等に手配される、しかも、その手配が発言の趣旨と違ってとらえられているような場合には、これは政治家の身分にかかわるほどの事件となってくるわけであります。
 そのようなことで、軽率にそのような行為をなさらぬように、去年は農林省にそのようなことで御注文申し上げましたが、今回厚生省についてそういうことがございましたので、ひとつ厳重に御注意をしていただきたい。そして、これはちょっと私にとって今大事なことになっておりますので、本日のこれからの私の発言の速記録の写しのようなものを、私が指示する町村にお送りいただく等の措置をもって、私のそうした被害を回復していただきたいと思いますが、委員長……。
#317
○山下主査 その旨政府の方に十分申します。
#318
○滝沢分科員 そこで、お伺いの最初のことでございますが、これは伝染病予防法のことでございます。
 実はこの法律は明治三十年の四月一日に公布されたものでありまして、実は片仮名法律の一つであります。しかし、今日に至りまして、社会の状況は非常に違ってきております。そういう時点でこれを見ますると、現実にそぐわない点が多々ございます。もちろんその間にたびたびにわたり改正等をなさっておいででありますけれども、今なお及ばざるものがあると考えております。そこで、その二、三について、ひとつ改正といいますか、隆路を打開してほしいと思うわけであります。
 その十六条にこのように書いてあります。「市町村の行う予防措置」ということで、「市町村八都道府県知事ノ指示ニ従ヒ市町村内ノ清潔方法及消毒方法ヲ施行シ医師其ノ他予防上必要ナル人員ヲ雇入レ及器具、薬品其ノ他ノ物件ヲ設備スベシ」という義務がつけられております。これらのことは、人員を雇い入れるべし、こうなっているけれども、今非常にいわば衛生科学が発達している、そして衛生の知識も技術も発達しているわけですから、民間にこれを委託する道を開くように法改正を願いたいことであります。それが一つ。
 もう一つのことを続けて申し上げさせていただきます。
 同じ十六条ノ二に「鼠族・昆虫等の駆除」というようなことになっておりまして、十六条ノ二に「市町村八政令ノ定ムルトコロニ依リ鼠族、昆虫等ノ駆除ヲ行ヒ之ニ必要ナル人員ヲ置キ」、ここにも人員を義務づけられております。「及器具、薬品其ノ他ノ物件ヲ設備スベシ」こうなっている。これも同様なことで、実は今現実には、ここには書いてありませんけれども、シロアリの駆除、そしてこの鼠族の駆除等については、これは現実にはもう仕方がありませんので、民間に委託をしているというようなことにもなっているわけでありまして、どうかひとつこれらのことについて地元の、地元というか末端の市町村が、いわゆる地方行革と言われているときにこのようなことでその人員を、正規な人員もしくは臨時職員を充てなくたっていいようにひとつ措置されたいと思うのでありますが、いかがでございましょうか。
#319
○大池政府委員 伝染病予防法の点につきましては、御指摘のとおり明治年間のコレラ、痘瘡を初めとする伝染病の大変しょうけつした時代に制定された法律でございまして、その表現自体が古い文体であることは御指摘のとおりでございます。しかし、そこで示されております国、県、市町村が密接、有機的な連携をとって伝染病を効果的に防圧するという基本的な理念、考え方につきましては、現在もなお有効に働いているところでございます。
 基本的にはそのような考え方をとっておるわけでございますが、御指摘のとおり、現状に合わないような面につきましては、これまでにも逐次改正も行ってまいりましたし、今回も臨時行政改革推進審議会におきまして幾つかの点が指摘を受けておるわけでございます。この点につきましては、政府といたしましても、所要の改正を行う方向で今積極的に取り組んでいる最中でございます。
 具体的に御指摘のございました十六条の関係につきまして、当局の関係でございますのでお答え申し上げますが、これは基本的な仕組みを示している部分でございまして、常時雇い入れるということでは必ずしもございません。それから、やはり伝染病でございますので、どんな場所にでもいつ何時でも発生したときに困らないように、必要な消毒器材とか薬品とか、これは配置しておく必要があろうかと思う次第でございます。
 なお、十六条ノ二につきましては所管の局からお答え申し上げます。
#320
○竹中政府委員 十六条ノ二の関係でございます。
 「鼠族・昆虫等の駆除」の問題でございますが、私ども今のところ原則的にはやはり市町村が責任を持ってやっていただくということで考えておりますが、責任あるいは監督は市町村がきちんとやりまして、その上で一部民間の方を雇い上げてやるというようなことは一部の市町村でやっておるように聞いております。
#321
○滝沢分科員 今のお答えで尽きていると思いまするけれども、同じく十六条ノ二の二項につきまして、「都道府県ハ市町村二対シ市町村ガ前項ノ規定ニ依リ行フ鼠族、昆虫等ノ駆除ニ関シ計画ノ樹立、実地ノ指導其ノ他必要ナル措置ヲ講ジ及政令ノ定ムルトコロニ依リ之ニ必要ナル人員ヲ置クベシ」となっておりまして、これまた都道府県におきましてもいわゆる人員を置くことを義務づけているわけでありますが、総じて申し上げますると、この種のことは例えば広域の防疫対策等もあるわけでありまして、責任は国が持って、そして県や市町村がこれに協力をする。協力の仕方は必ずしも公務員でなくていい、いわゆる民間にこれを委託できるような道を開いていただきますように要望しながら、今後の対策をもう一度伺わさせていただきたい。
#322
○竹中政府委員 お話しの十六条ノ二の二項の都道府県の人員の問題でございます。
 従来から伝染病予防上鼠族、昆虫の駆除は非常に重要でございますので、市町村の事務を指導する、そのために都道府県あるいは政令市に一定の資格を有する職員を置いてもらう、設置を義務づけるということでやってまいっておるわけでございます。
 しかしながら、最近非常に伝染病も減ってまいっておりますので、それからまた保健所等のスタッフがだんだん充実もしてまいっておりますので、職員の設置を義務づけるという必要性は確かに最近減少してまいっております。また、昨年末の臨時行政改革推進審議会の御答申におきましても、その点が触れられておりますので、私ども十六条ノ二第二項の職員の必置規制を廃止する方向で現在検討しておるところでございます。
#323
○滝沢分科員 ありがとうございました。そういう方向で市町村、府県の要望にこたえていただきたいと思います。
 次に、幼稚園と保育所を絡めての話でありまして、文部省から幼稚園課長見えていただいておりまするけれども、私は昨年の予算委員会において、幼稚園と保育所の、俗に幼保一元化と言っておりまするけれども、私の思想はそうではなくて、臨教審がいろいろのことを今研究していただいておりまするけれども、私は、最近の子供は成育が非常に早いことにかんがみ義務教育年齢を一年ないし二年下げるべきだ、そうした中で現実に置かれている立場、すなわち小学校に入りますると教育機会均等ということで何人も同じ教育の機会を与えられるけれども、肝心かなめの幼児教育の段階で、幼稚園に通う子供、保育所に通う子供、どちらにも行かずにいる子供というこの三者三様にされていることは大変にいけないことだというのが私の思想でございます。でありまするから、私は、結果として幼保一元なのかどうかは知りませんけれども、幼稚園も保育所も、厚生省と文部省で相互いに所管するのではなくて、管理を一元化して、しかも義務教育年齢を下げる形の中でもしも幼稚園が存在する理由があるとするならば、小学校というか幼学校というか、正規の学校から下校してきた子供を夕方まで預かるというような責任を果たしていただくことの方が好ましいのではないか、これが私の思想でございます。
 その意味で、昨年の予算委員会における、また文教委員会における御答弁の中で、森前文部大臣には幼稚園と保育所の一元化のことについては大変に積極的な、前向きなお答えをちょうだいしたところでありますが、大臣もかわりましたけれども、この森前文部大臣のお答えを今も文部省の答えと理解してよろしいですか。
#324
○大谷説明員 お答え申し上げます。
 森前文部大臣がお答え申し上げました趣旨は、現在幼稚園、保育所合わせますと、例えば五歳児について申しますと九割以上がどちらかに行っておる。そういう準義務的と申しましょうか、そういう状況にまで達している。それで平均的に申しますと、全国平均で幼稚園が六割強、保育所が約三割というふうに聞いておりますが、トータルで九十数%というものが行っている。平均的にはそういう状況でございますが、これを各県ごとあるいは市町村という段階にブレークして眺めてみますと、ある県では九割近くが幼稚園である、ある県では七割近くが保育所に通っておる。これに至りますにはいろいろな歴史的な背景、地域の状況、いろいろなものが絡んでおると思いますけれども、ただ、幼児の立場、子供の立場というところから立ってみますと、どうもいま一つすっきりしないところがある、ここのところを何とかすっきリするということは、例えば臨時教育審議会などで広い立場から御検討いただくことは大変期待している、そういう趣旨でございまして、その点は現在も変わっていないというふうに、私の立場で申し上げていいのかわかりませんが、そういうふうに御理解いただいてよろしいかと存じております。
#325
○滝沢分科員 わかりました。どうぞお帰りいただいて結構でございます。
 お聞きのとおりであります。そういうことになりますれば、今臨教審が審議をしていらっしゃるその審議の対象としても、幼稚園は教育じゃないからそれに関係ないんだよということではもはや説明にならぬと私は思うのだけれども、さっき申し上げた保育所も教育機関じゃないということでは説明にならぬと思うのです。そこで、保育所の立場において、今課長からお答えいただきました精神、これは昨年は文部省は大変積極的で厚生省は非常に消極的と理解したものですから、重ねてお伺いするわけであります。いかがでしょうか。
#326
○小島政府委員 これはいろいろな見方があろうかと思います。教育という立場から見た場合に、文部省のような一つのお考え方もあろうかと思いますが、先生御承知のとおり、保育所というのは役割が単なる教育機関ではございませんで、要するに御両親あるいは家庭の方々が御自分では保護、養育できない子供をお預かりして、親にかわってそういう機能を営みながら、せっかくの機会でございますのでその間に幼児教育も行うということでございますので、趣旨、目的が違いますので、その辺のところをどう整理するかという問題があろうかと思います。
#327
○滝沢分科員 お答えいただいたとおりであります。しかし、それは法律の建前でございまして、実際問題としては同じようなことをやっておるわけです。ですから、これは教育でこれは保育でございますと言っても、なかなかこれは分けにくい。
 そこで、これは先ほど私が冒頭に申し上げました、資料をとって、ちょうだいした人が誤解をしていただきまして市町村にそういう手配をなさることにつながるわけでありまするけれども、現実に全国には、保育所はあるけれどもその町の中には全然幼稚園はないという町も相当ある。そういうところにおいては、私のところの子供は幼稚園に通わせたいといっても通うことができないわけですし、そのような意味では、保育所が今おっしゃったような建前論でありまして、実際問題として、お父さん、お母さんがいらっしゃろうがどうであろうが保育所に隣の子供がみんな通うならばうちの子供も通わせて、勉強か教育か遊びが知りませんけれども、同じようにさせてあげたいというのはこれは人情であります。実際論としてはこれは一元化しておるということでありまするから、臨教審がどのような結論を出すかは別としまして、どうかひとつもう一歩踏み込んだ実際的御判断をいただきたい。
 私は決して、保育所の設置要件を踏み外しておる市町村があるのでそれを規制しようなどと言っておるわけではない。ましてや、保育所に働いていらっしゃる保母さんを初め職員の方々が職場を失ってもいいと申し上げておるような次元で物を言っているわけではありません。高い次元で日本の教育、なかんずく幼児教育に対しての国全体の立場においていかにあるべきか、文部、厚生両省に分かれているとはいいながら、挙げて総理大臣中曽根康弘の名において日本の将来のために日本の次代の国民、青少年、幼児を教育するのでしょう、そのようならば、もっと高い次元で物をとらえて今後の判断をいただきたいと思うのですが、大臣、いかがですか。御決意のほどを承っておきたい。
#328
○増岡国務大臣 幼稚園と保育所、これは先ほど局長からお話し申し上げましたが、端的に言いますと、八時間保育する子と四時間の教育で終わる子と、現象的にはそのような違いがあり、したがって、教育あるいは保育に携わる人々の配置もそのような姿になっておるわけでございます。したがいまして、それだけの違いというものは、やはり保育所の立場からいいますと、婦人の就労の機会が多くなった、家で子供の世話ができないということにスタートして、その歴史と伝統が今まで続いておりますので、一気に問題を解決するわけにはいかないと思いますし、また、双方ともそれぞれの役割を持っておるわけでございます。ということでありますけれども、先生が途中でおっしゃいましたような、私どもお互い政治家でございますから、その間のことを許される範囲内ならお互いに協調していくべきだというふうに考えております。
#329
○滝沢分科員 役所にとっては一年は一年であり、我々の年配になりますればそれはそれでいいのだけれども、二度と再び人生において繰り返すことのできない幼児期を今生きているわけでありますから、それらの方々の将来の幸せを考えて、高い次元の判断を重ねてお願いする次第であります。
 次に、これはちょっと申し上げにくく、またお聞きいただきにくいことなんでありまするけれども、乱診乱療ということが言われております。そうした中に、これを監査する立場の方が本省にも地方にもおいでだと思うのです。そういう意味で、そのときこれを監査されるような立場の方、医療審議官というのでしょうか、こういう方々が特定の病院をかわいがり特定の病院をいじめることになれば、これは大変な事態であります。こういう事態はありますか。
#330
○幸田政府委員 御指摘のような、特定の病院をかわいがるあるいは特定の病院を問題視するということはあってはならないことでございますし、現にそういうことはないものと私は信じております。
#331
○滝沢分科員 あったらどのようなことになりますか。
#332
○幸田政府委員 そういうような事例が判明をいたしましたならば、私ども、役所の手続に従いまして適当な措置をとる考えでございます。
#333
○滝沢分科員 どれが適当かと申し上げているのだけれども、まあそれはいいです。
 ところが、これは本人の名誉にもかかわることでありますから、事実そういうことがなかったならば本人の名誉を回復してほしい、事実あるならばやはり厳正なる態度をとってほしいというのでありますけれども、ちょっとこれは具体的に言うのはどうかと思いますけれども、言わなければわからぬでありましょうからあれですが、福島県の金山町におきまして、歯医者さんが町の方々の要請に応じてくださいまして、二年間くらいならば行きましょうということで歯医者さんがおいでになってくださいました。この方は、故郷では大きな病院をお父さんが持っていらっしゃって、お父さんが早くうちへ来てほしいと言うのに、町の要望もだしがたく、二年間の契約でいてくださることになったわけです。ところが、その少し離れたところに既存の歯医者さんがありまして、世上伝えられるところによりますれば、その方からのいろいろのアドバイスというのですか、中傷というのでしょうか、によるものであろうと思いますけれども、この人は県庁に呼びつけられ、そしていろいろと責められる。しかも、あろうことか患者さんを役人さんはお回りになって、いろいろとああかこうかと聞いた。しかし具体的には何も出ないそうでありますけれども、このようなことで、実はここに大きなる住民運動が起きまして、一千百人――その地域は一千世帯ないところなんです。世帯が五百幾ら。ですから、有権者のほとんどすべてが署名をしまして、このお医者さんにもっといてほしい、おられない条件があるならばその条件を排除しようと、これは県にも国にも働きかけてその運動を推し進めようという住民運動が起きているんだけれども、まあ御存じはないと思うけれども、いかがなものであろうか。なお、本人の名誉のためにもこれは申し上げているわけです。この方は、今現に厚生省にお勤めだと聞いております。小川岩雄君。私は、これは大変な事態ではないのかな、このように思うわけであります。
 今、乱診乱療確かにありまして、いろいろな批判を受けております。しかし逆に言うならば、政治的な配慮ないしはその他の配慮によってある者がいじめられ、ある者が保護される、言うならばこれは大変なことであります。どうかひとつ、このことについての結果について責任ある今後の処置の方便等を承っておきたいと思います。
#334
○幸田政府委員 私、その具体的なお話は初耳でございますが、実情をよく調査をいたしました上で厳正に対処いたしたいと思います。
#335
○滝沢分科員 時間が参りましたからこれで終わらせていただきますが、いろいろと厳しいことを申し上げました。また建設的な提言もいたしました。どうぞひとつよろしく今後対処していただきますことを要望しまして、終わります。ありがとうございました。
#336
○山下主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。
 次に、川俣健二郎君。
#337
○川俣分科員 三十分時間をいただいたので、薬の問題だけを取り上げたいのですが、ちょっとその前に委員長、簡単な資料を、薬の名前、余り我々一般人は聞きなれない名前なので、関係者に、周りの人に……。
 配っている間にちょっと伺いますが、一体今、薬というのはどのくらい出回っているというか、何品目承認――これは数ははっきりしていると思うが、承認したが使っているか使っていないかわからないという状態はちょっと問題だと思うので、社労委員会でよくやったんですけれども、今現在どのくらい承認しているものですか、そしてどのくらい使用しているものですか。
#338
○小林(功)政府委員 現在、医薬品の承認品目は、五十九年末で言いますと九万八千七百五十五品目でございます。その中で現に市場に出回っているものという品目数は約四万でございますが、ただこれは、会社の都合で例えば製造承認を取っているけれどもしばらく製造を中止するとかあるいはやめるとかいう点はなかなかフォローができませんので、約四万、こういうことでございます。
#339
○川俣分科員 お聞きのとおり、承認が九万八千七百五十五、本当にふえたものです。私も一番先に質問したときは、まだ到底こんな数字じゃなかったのですが。
 ところが、承認は大変に厳しく審議、検討して承認するのだろうが、使われているのが約四万というところに皆さんも突っかかると思うのです。これを野放しにしてしまうのだろうかな、ありていに言うと承認しっ放しというか、生みっ放しというか、ちょっとこの辺が一般の国民から見れば気になるだろうと思います。しかし、何か事あると医療供給側がとがめられる。いわゆるお医者さんなり看護婦さんなり、そちら側がとがめられて、それでやっさもっさ裁判ざたなどにもなって、案外薬屋さんの方にはおとがめが少ない、こういうのが現状であるだけに、私はこの問題は時間がありませんから日を改めて、承認しっ放しじゃなく、生みっ放しじゃなくて、九万八千七百五十五も承認しているのだから、その追跡調査というわけじゃないが、どの程度使用されているかということは、要らなくなった、もう時代おくれのものになった、そういうことであれば、これは厚生省に頼るしかない国民としてはやはりしっかり管理するべきではないかなというような感じがしますが、大臣はどう思いますか。ありていのあれでいいですから、一般論だから、ちょっと大臣どうです。
#340
○増岡国務大臣 常識的に考えますと、必要なものと不要なものとの整理というものはなされるべきであろうかと思います。しかし薬によっては、いわば病気の容体あるいはお医者さんの研究の結果等でいろいろ変化もあろうかと思いますから、ちょっと使わないからといってすぐ捨てるというのも考え物だし、そうかといって今のようにたくさんあるということもまた常識的でもないような感じがいたします。何はともあれ、それは一つずつ学問的な調査研究の結果に従うべきであるというのが原則だろうと思います。
#341
○川俣分科員 この論議をしていたら時間がなくなるが、しかしちょっと驚くのは、薬の承認の基準が、薬と毒という言葉があるのだが、毒にならないというのがむしろ基準であって、薬にも毒にもならないというのが割合にこの九万八千に入っているわけですから、これは大臣、かなり時間をかけなければならぬから、この論議はやめます。時間がなくなってしまう。
    〔主査退席、小杉主査代理着席〕
 そこで、今皆さんのお手元に極めて簡単なメモですが、このウロキナーゼというのは、下の方に書いてあるようにいろいろの効用があります。時間がありませんから私の方から申し上げますので、違っておったら否定の発言をしてください。
 簡単に言えば血の循環をよくするというか、この下の方の斜線に書いてあるように尿由来ウロキナーゼ、いわば男性ですか、人間の尿からとる、そういうことを言われているのですが、このウロキナーゼが昭和四十年から二十年この方、下の方に書いてある一、二、右の方に一、二、三と書いてあるが、こういうのに非常に効くということでお医者さんに定着しておる。そのほか脳梗塞なんかにも非常に効くと私は聞いておるが、脳梗塞に効くとなれば、山下委員長はいなくなったが、何となく関心を持つ薬、今非常に、ここ一週間くらい毎日のように脳梗塞というのが新聞に出て活字になっておるちょうどいい時期なんですが、このウロキナーゼなるものが非常に定着した。これはもちろん薬事審議会で承認を得て六千単位。
 ところが事の発端は、薬ですから、「血栓症の治療にアボキナーゼ」という立派なパンフレットをつくって、この図の下の方は尿からとるウロキナーゼ、上の方は組織培養ウロキナーゼ、これを括弧書きでアボキナーゼとかカルトキナーゼと称するが、これは効くんだと。そして、D、E、Fという中間の線がもっと下にかかれるべきですが、六千単位のものが組織培養は六万単位で効くんだ、こういうことで医学界に入ってきて承認された、こういうことなんです。
 従来の尿由来のウロキナーゼは、大きく分けてもこの図の左の二つと右の三つ、心筋梗塞症まで効くと審議会の認可を得て使っておった。ところが組織培養ウロキナーゼというのは、六万単位ではあるが、左の脳血栓症とその下の抹消動静脈閉塞症、これにしか今のところは効かないということであるので、したがって、今まで右の方にも効くと言っておった尿由来のウロキナーゼが果たして薬の用を果たすか、いわゆる人間の病気に効用になるかどうかということを今審議会にかけておるわけですね。この辺はどうですか。そして、いつごろこの結論が出るのでしょうか。
#342
○小林(功)政府委員 今お話ございましたように、尿由来のウロキナーゼ注射薬につきましては、現在中央薬事審議会においていわゆる再評価中でございます。申請されました各適応症あるいは用法、用量等について鋭意熱心に行っております。再評価の結果につきましては、今のところことしの秋ごろをめどに公表できるようになるだろう、そういうことで推進をしていただいております。
#343
○川俣分科員 そうなると、先ほど話したように、細かい数字まで出ておるが九万八千七百五十五品という品目を承認しておるのだから、効かない薬だということになると承認取り消しということになるわけですか。
#344
○小林(功)政府委員 効かない薬というとちょっと語弊があると思いますけれども、要するに医学水準、薬学水準が上がってきておりますので、昔承認したものであってもその後の学問水準のレベルアップに従ってもう一度再評価をしよう、見直しをしようという制度がございます。
#345
○川俣分科員 そうすると、再評価の結論が出ない限りは使っていてもいいわけですね。
#346
○小林(功)政府委員 再評価の結論が出なければ使うことは可能であります。
#347
○川俣分科員 と思うのは当然、私もそれが社会通念だと思うが、ある医師会から、これは何ぼの医師会か知らぬが、医師会は県単位ですから、県の医師会の理事会で協議の結果、厚生大臣に強く抗議するという文書が出されましたね。これは御存じですか。
#348
○幸田政府委員 昨年の六月二十日付で、当時の厚生大臣あてに文書が来ているということは承知をいたしております。
#349
○川俣分科員 ところが、これはどういうものだろうか。医師会となれば、公の機関ではないが国民医療にとっては大事な各県単位のものでもあるし、ある一医師会がそのほかあるか知りませんが、今回の厚生大臣の処置に対して抗議を申し込む、これはどういうものかと思うのは当然であります。
 そうしますと、よく調べてみますと、業務局長が今おっしゃったようにもう一遍見直しておる、これはわかる。薬というのはそういうものだと思いますのでそれは素直にわかる。したがって、そういうような状況を連絡するというのならこれはだれにも理解できるが、業務局長がおっしゃったことから考えまして、薬事審議会が今検討していて、この秋あたりまでにできるだろう、いわゆる六十年の秋までにできるだろう、こういうときに、いわば組織培養ウロキナーゼ製の薬を、「本製剤は、組織培養由来のものであり、承認された用量は既収載の尿由来の製剤に比し使用期間も患者の発症後一定期間に限定されていること。」このように書いて、さらに申し上げますと、「尿由来ウロキナーゼ製剤についての保険診療上の取扱いについては、上記再評価等の結果により決定すべきものであるが、」ここまでは理解できる。「現在の臨床医学上の適用状況等にかんがみ、暫定的に今回収載した組織培養ウロキナーゼ製剤の用法及び用量並びに効能又は効果によるものとすること。なお、今回の取扱いへの移行に伴い、本年八月三十一日までの間は、なお従前の取扱いによることができるものであること。」
 この通達は、この図解に書いてあるように去年の五月三十日、これは前の局長のときですからあなたに言うのはどうかと思うが、五十九年五月三十日に、こういうようなウロキナーゼと医学界に定着しておったものを今度この新しいアボキナーゼ、いわゆる左の方の二つの病気にしか効かないという大宣伝です。これはその当時の保険局長が薬屋になったのかなと思うくらい不思議な通達を出された。なるほどこれは医師会としてはどういうものだ、業務局長からの途中経過等を伺うなら話がわかるが、簡単に言うと、つまりこういうことだ。左の方の薬には保険がきくが右の方の病気には大して効かないから、したがって保険もきかせない、八月三十一日までの三カ月間は猶予を与えるが、こういうことを保険局長という立場で出すというのはちょっと理解できないと思うのだが、私の言わんとするところは皆さんわかりますか。どうでしょうか。これは後任の局長で悪いけれども、あなたどう理解しますか。
#350
○幸田政府委員 今御指摘のありました尿由来のウロキナーゼ、それから組織培養のウロキナーゼでございますが、これは同じウロキナーゼでございまして、尿由来のものは御指摘のとおり人体の尿からとる、それから組織培養の方は腎臓、主として死体腎から培養していく、こういうものでございまして、製造方法は若干違いますけれども、いわばオリジン、起源は同じものでございます。したがいまして、薬理作用は同一である、こういうことでございます。
 片方の尿由来のウロキナーゼは、昭和四十年当時、この御指摘の資料のような効能、効果で、ただし用量は一日一回六千国際単位ということでございます。その後、五十九年に至りまして組織培養ウロキナーゼの新薬の承認申請、承認があったわけでございますけれども、実はその際に、この図にございます脳血栓症、それから抹消動・静脈閉塞症という一、二のほかに右の心筋梗塞症についても組織培養ウロキナーゼの効能、効果として認めてもらいたい、こういう申請があったのでございますけれども、薬事審議会で審議されました結果、ここに書いてございます六万単位でございますといったようなものでは心筋梗塞に対する適応症は認められないというごとで、申請者が自主的にその効能、効果は取り下げるということにいたしたわけでございます。
 かいつまんで申し上げますと、そういった事情がございますのと、それから国際的に見ましても、どの国でも心筋梗塞に対してウロキナーゼの適応症を認めてないわけでございまして、私ども最新の科学的な治験、学問的な基礎の上に立って物事を判断いたしました場合に、もちろん再評価によって最終的な結論が出るわけでございますが、それまでの間の措置としてお話しのような措置をとったということでございます。この間におきましては、この薬を主として用います循環器学会の代表の方々の御意見を徴し、その御意見に沿いまして、また日本医師会等の関係団体とも十分意見調整を行いましてこういった措置をとったものでございます。
 それで、私どもといたしましては、尿由来ウロキナーゼと組織培養ウロキナーゼが薬理作用が同一である以上、ウロキナーゼの種類によって効能、効果に差があるということになりますと、これは末端の医療現場でかえって混乱を生ずる、患者のためにもならない、こういうことで先ほど御指摘のような通知を出した次第でございます。
#351
○川俣分科員 そうなると、質疑応答がかみ合いますから、ちょっと核心に触れると、局長の話は、尿由来のウロキナーゼも組織培養のウロキナーゼもあれば同じだ。それは保険局長が説明するので、業務局長の説明、どっちもいいと思うが、しかし、組織培養ウロキナーゼという新薬を申請したら、片っ方は尿からとる、片っ方は人体からとる、人体からとる組織培養ウロキナーゼというのはまだ二つの病気にしか適用にならないんだ、これはわかる。ところが、従来使ってきた尿由来のウロキナーゼはここまで使えるんだよということでやってきたでしょう。したがって、組織培養ウロキナーゼがさらに右の方に効くのか、尿由来のウロキナーゼも効くかどうかということを今再評価で検討中に保険局長が五月の三十日で右の方はどうも効きそうでないから保険はきかないという通達を出したのはちょっと行き過ぎではないかというところに絞ろうじゃないですか。
#352
○幸田政府委員 先ほども御説明を申し上げましたように、現在の尿由来ウロキナーゼ、昨年通達を出しますまでの実際の状況を見ますと、用量では、ここに書いてございますように、一日一回六千単位ということになっておりますけれども、実際に用いられておりますものが医療機関によっていろいろまちまちでございますが、二十万単位あるいは三十万単位といったようなものが間々見受けられたわけでございます。私どもといたしましては、やはり四十年当時の治験よりは最新の治験、非常に科学的な立場に立った組織培養ウロキナーゼについての治験によるべきである、こういう考え方で、先ほど申し上げましたような数値を出したわけでございます。
#353
○川俣分科員 そういうように言うと、私はかみ合わないんだ。尿由来のウロキナーゼが効くといって今まで承認してきたが、専門の業務局長の方が右の方の病気には効くか効かないかというのを今再評価中と言っているのでしょう。それを検討中に、途中ではっちり、これは効きそうじゃないから保険はきかないという通達は行き過ぎではないかと言っているだけですよ。どうです、これは予算委員会の本物ならとまってしまうよ。
#354
○幸田政府委員 私ども、保険の扱いといたしましてそういう扱いをするということにいたしたわけでございます。
#355
○川俣分科員 しかし、それはどういうわけですか。今までずっと効くよと言ってきかして、右の方にも効くよと言ってきかして、五十九年五月三十日の通達ばっちりで薬も効かなくなった、保険もきかなくなった、こういう通達は、局長やはりちょっと行き過ぎじゃないかな。ちょっとこの辺どう処置しますか。抗議を申し込まれたままにしておきますか。それとも、医師会といろいろ相談したという記録をいただけますか。各県の医師会というのは医師会の下部組織の一つでしょう。どうです、私の言い方は無理かな。
#356
○幸田政府委員 必要がございますれば、その当時のやりとりの記録がございますから、それをごらんいただいても結構でございます。日本医師会とのやりとりの議事録がございますから、ごらんいただいても結構でございますけれども、私どもとしましては、昨年の五月三十日に薬価基準の改正をいたしまして、そのときに組織培養ウロキナーゼを新しく収載をいたしたわけでございます。それに伴いましてウロキナーゼ全体についての取り扱いを、先ほど来申し上げておりますように最新の科学的な治験に基づいて取り扱うように通知を出したということでございます。
#357
○川俣分科員 それは弁解にならないんだと思うよ、局長。やはりゆゆしき問題だと思いますよ。国民医療に適正な医薬品を提供するために定められた薬事法に基づく義務を意識的に否定したもの以外にないではないか。その結論が出ていないのに、去年は健保法の改正で医療費も上がって困った、健保の財政圧迫も大変だというその当時の保険局長の意識が先行したのはわかるが、これから右の方を使っていけないよと思うのはちょっと行き過ぎではないかというのと、さらにうがった見方では、何かこういうように新薬を出したという会社の、――これはアメリカの会社です。アメリカの方から金に糸目をつけないでこういう宣伝をしたものに、何となく日本の厚生省の局長がこの薬売りの上に乗ったような感じがしてしようがないんだよ。そうでしょう。笑い事でないでしょう。みんなそう思っているんだ。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
 ことしの秋までに結論が出るなら出て、ああやっぱりこれは右の方の病気には効かないんだなということを薬事審議会で確認して、そして厚生大臣に上げるべきなんだ。そうでしょう。そうじゃないかな。あなた、後任の保険局長だからって遠慮しないではっきり言いなさいよ。何おっしゃるのですか、みんなそう思うよ。
#358
○幸田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、心筋梗塞につきましてウロキナーゼの適用というのは諸外国でも全く認められていない。日本の場合、従前の例を申し上げますと二十万単位、三十万単位と、言葉はやや適切でないかもしれませんが、乱用されている状況にあったわけでございます。五月三十日付で組織培養ウロキナーゼという新しい薬の収載をするというときに、このウロキナーゼ全体についての取り扱いを改めたということでございまして、御指摘のような前の局長が製薬業界とどうのこうのということは全くないと私はこの席で否定をさせていただきたいと思います。
 同時に、現在循環器学会で心筋梗塞についてまだ治験をやっておる最中でございまして、効くのか効かないのかという問題がわからないという状況でございますので、私ども保険の取り扱いといたしまして、組織培養ウロキナーゼの収載を機会にこういった取り扱いにいたしたいということでございます。
#359
○川俣分科員 私はそれでは済まされないと思うのですよ。心筋梗塞に効くのは世界的にないんだというのは保険局長の発言じゃないんだよ、本当は。あなたオールマイティーじゃないんだから。業務局長というのがいるんだから。しかも、それは効かないということが意思決定されたんじゃないんだから、再評価を否定したんじゃないんだから、厚生省として、今評価をしつつあるんでしょう。その審議中に、保険の方はきかないということを先に出すというのは越権行為ではないかということなんですよ。これにはもう答弁しようがないでしょう。これはちょっと再検討した方がいいんじゃないですか。
 うちの方の医師会ではこういう疑義をはさんで、しかも厚生大臣に抗議を申し込んでおるということになると、国民医療から見れば、厚生省とうちの県――どこかのその県は余りしっくりしないで、これは別の医師会だと思わざるを得ない。そうでしょう。大臣、最後に何か物を言ってください。
#360
○増岡国務大臣 私も今初めて聞いた話でありますから、医師会とのやりとりその他のことを十分調査の上、先生まで御返答申し上げたいと思います。
#361
○川俣分科員 どうもありがとうございました。
#362
○山下主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、岡本富夫君。
#363
○岡本分科員 最初に増岡大臣にお聞きしたいと思うのです。
 あなたとはもう十数年来、商工委員会で一緒でございまして、非常に人格が高潔で思いやりのある立派な方だと思っております。今御承知のように、中国の残留孤児がこちらに参りまして肉親に会って非常に喜んでお帰りになる、中には会えなくて肩を落とす人もいますけれども。厚生省は並々ならぬ御苦労であると思うのです。私も実は今から三十九年前ですが、中国から戻ってきたわけでありますけれども、中国の残留孤児の皆さんの姿、肉親と会った人たちの姿を拝見して、私はちょいちょい涙を禁ずることができないわけです。増岡厚生大臣はどういうようなお気持ちかお聞きしたいと思います。
#364
○増岡国務大臣 私も残留孤児の訪日調査に調査団が来ますたびに一人一人と会ってよく話をしておりますけれども、先生御指摘のとおり、四十年という歳月を苦労してこられたわけでありますから、あの方々に対する私の気持ちは、人一倍何とかしなければならぬという気持ちでいっぱいでおります。
#365
○岡本分科員 こちらで迎えられる肉親の皆さんのことを伺いますと、御承知のようにあのときは、旧満州、東北地区ですが、あそこなどは急にソ連軍が入ってきて、相当な混乱であった。その中から九死に一生を得て帰ってきた人たち、あるいはまたシベリアに抑留された方、こういう方々が大部分であるわけですけれども、こういった日本におる肉親の皆さんのことを考えますと、やはりお気の毒だなというようにお感じになりませんでしょうか。これもひとつお聞きしておきたい。
#366
○増岡国務大臣 肉親の立場からいいますと非常に複雑な心境だと私は思います。孤児の方々は、肉親に対する恨みつらみというものは一切言われませんけれども、私どもが見ておりますと、そのようなことを思っておるのではあるまいかというような、これもまた言葉に出して言えることではございませんので、大変複雑な心境でおられると思います。
#367
○岡本分科員 まことに恐縮なんですけれども、余り嫌なことを言うのもと思いますけれども、私もちょうど一日のテレビを見ておりました。テレビ朝日でしたか、女性のレポーターが、増岡厚生大臣、あなたに残留孤児と肉親との決め手になる血液検査について質問をした。そのときに、肉親の方が六万円自己負担しておるということについて、そんなことは知らなかったな、そして、その後続いて、そんな負担は、子供を見捨てて帰ってきたのだからというような発言をちょっと聞いたのです。投書もございますけれども、これは大臣らしからぬお話ではなかろうかと思うのです。この発言についてはいかがでございましょうか。
#368
○増岡国務大臣 そのことにつきましては、テレビが全部を映しておりませんので、多少お話を申し上げさせていただきたいと思います。
 最初の出だしは、知っておったかということでありました。知らなかった。それじゃどうするんだと言うから、これから省内で相談をして、できるだけ期待に沿うようにしよう、そういう話を申しました。ところが、それで済まないで再三再四請求がございまして、私は対応しようと思っておりましたのは、いずれ役所のことでございますから、そのときに訪日されておった方々には間に合わない、が、しかし、やりましょう、こういう話をした。
 ところが、たびたび言われますので、そのときに訪日しておる孤児の問題だというふうに受け取りました。そうすると、役所の対応がそれに間に合わない、だとすると役所の対応を当てにされておって、それでずるずる日にちがたって――あと二、三日でございましたからね。その間に血液鑑定が行われない、そのまま孤児があやふやな気持ちで、血液鑑定が済みませんから右とも左ともわからない、そういう迷った気持ちで帰ってもらっては大変だ、したがって私どもが対応いたしますけれども、それまでの間は、親御さんも、これまでもいろいろ工面なさってやってきておられるわけでありますから、そういう意味で頑張ってくださいということを言いたかったわけでありますけれども、たまたまちょうど孤児のレセプションをやった日でありまして、その場で孤児の方々からいろいろ歌を聞いたり、ダンスをしたりされる姿を見て、これは何としてでも一日も早く見つけてあげなければならぬ。しかし、この二、三日の間にということであれば日本におられる縁者の方々によほど頑張ってもらわなければとても間に合わないなと思って、ついああいう言葉が出たのでございます。私はあの用語については大変不適切であったと思って、反省をいたしております。
#369
○岡本分科員 大変まじめな御答弁をいただいて恐縮ですけれども、それではテレビを見ておる人たち、あるいはまた向こうにいて帰ってきた人が随分いますけれども、何とかその肉親に対して六万円というものを厚生省で見てあげていただきたい、こういうように私は考えるわけなんです。プライバシーですから余り言わないですけれども、聞くところによりますと、お帰りになってくる皆さん方は三年から五年ぐらいの給料をためて日本に来る。来たときは少しでも何とかしてあげたいという身内の考えもありましょうから、この六万円はわずかなものでありますから厚生省で持ってあげる、こういうような手厚いやり方はしてもいいのじゃないか、こう思うのですが、これについて御検討いただけるかどうか、お聞きしたいと思います。
#370
○増岡国務大臣 私は、その話を聞きましたときから、経済的な負担能力がないということで孤児があいまいなまま帰るということは人間としてとてもたえられない、そういう気持ちでおったわけでございまして、しかし、今までそういう負担能力がないからということでそういう場面は――この間の場合に一回ございまして、病院で負担をしていただきました。
 しかし、これからにつきましては、先生の御指摘のような趣旨を踏まえまして厚生省の方で、あなた負担できますか、どうですかということを露骨に聞くのもまたプライバシーの関係もあろうかと思いますから、一定の基準を設けるということじゃなくして、個別に内々そのお気持ちをお察ししてあげて善処いたしたいそういうふうに考えております。
#371
○岡本分科員 大変慈愛の深い答えをいただいて喜んでおります。
 余り時間がありませんから、次に老人福祉問題についてお尋ねをいたしたい。
 御承知のように、高齢化時代を迎え、これからますます高齢化の時代がやってくる。したがいまして、特別養護老人ホーム、こういった施設に入れずに現在待機しておる人はどのくらいいるのか厚生省でつかんでいらっしゃいますか。
#372
○正木政府委員 特別養護老人ホームに入所を希望されておる方は約一万五千人と私ども把握いたしております。
#373
○岡本分科員 どこの老人ホームへ行きましても満杯ということで随分待機しておるようであります。そこで、寝たきり老人の問題は後で聞きますけれども、本年の整備方針を厚生省で決めておるらしいのですが、八カ所ぐらい建設を予定していらっしゃるのでしょうか。いかがですか。
#374
○正木政府委員 特別養護老人ホームにつきましては、現時点で千五百二十二カ所、入っておられる方が十一万二千人おられるわけでございますが、十年前を振り返ってみますと、昭和五十年度は五百三十九カ所、入っておられる方は四万一千人ばかりでございました。ということで、約三倍近くの増でございます。最近の五カ年間で申しますと百二十カ所程度、定員にしまして年間八千人程度の増設が図られてきております。
#375
○岡本分科員 私どもが厚生省に、政府に対して申し入れをいたしておりますのはもう五割アップ、もう五十カ所ぐらいを何とかしてもらえないだろうか、そして待機しておる人たちの救済に当たってもらえたら、こういうふうに思っておるのですが、その点についてはいかがでしょうか。
#376
○正木政府委員 特別養護老人ホーム、国庫補助の面で申しますと社会福祉施設整備費、これは保育所あるいは身体障害者の施設、いろいろな施設をひっくるめてこれで措置をしておるわけでございますが、特にこの社会福祉施設整備費の補助に当たりましては、特別養護老人ホームについてはかなり重点を志向してきております。また、民間資金、つまりモーターボート競走であるとか競輪の益金の配分といった問題につきましても、特別養護老人ホームの整備にかなり重点を置いていただいております。そういう意味でここ五年間平均しますと約百二十カ所ということで申し上げたわけでございますが、この特別養護老人ホームの整備についてはかなり重点を志向してこれからも踏ん張っていかなければならないと思っております。
#377
○岡本分科員 余り時間がありませんからあれですけれども、待機していらっしゃる方々をできるだけ救済していただくようにお願いします。
 そこで、ことしの一月二十四日に総理に対して社会保障制度審議会から答申が出ておりますけれども、この中で老人病院と特別養護ホームの長所を持ち寄った中間施設の制度化を望んでおるようであります。これに対して厚生省はどういうふうにお考えになっておるか、これも聞いておきたいと思います。
#378
○吉崎政府委員 申し上げるまでもなく、お年寄りは長期慢性疾患を持つ方が多いわけでございます。そうなりますと、この介護と医療両面のお世話が必要である。今日の病院の体系、福祉施設の体系では、そうした多様化してくる需要に的確にこたえられなくなってきておると思うのでございます。
 そこで、そういういろいろな需要に対応いたしまして、医療と福祉、それからまた医療機関と家庭、福祉施設と家庭、そういうところの中間的な機能を持った施設体系を考える必要がある、厚生省としてもそう考えておるのでございます。
#379
○岡本分科員 今度の予算委員会の一つの争点でありました老人の対策について、六十年度の政府の予算案を見ますと、ホームの入所者の福祉増進のために二千二百七十億円が充当をされておりますけれども、在宅老人福祉対策には百十二億という二十分の一、そういった予算でありまして、在宅の介護をする家族、この負担はもう大変なものだ。したがって、この見直しについて要望をいたしておるわけですけれども、厚生省としてはどういうような、これは大蔵あるいはあっちこっちとやらなければいかぬと思いますけれども、考え方を持っておるのか、その点をひとつ。
#380
○正木政府委員 老人の福祉対策を考えます場合に、やはり重介護の老人に対する対策を考えますときにも、まずやはり家族あるいは地域の顔見知りの方々の中での福祉増進が図られるということができれば一番幸いであるわけでございます。そういった意味で、在宅福祉対策の充実ということが非常に重要であるということで、老人家庭奉仕員の増員であるとか、ショートステーの充実等々の在宅福祉対策はこれまでも拡充を図ってまいったわけでございますが、六十年度におきましてもその面での拡充を図りたいというふうに考えております。
 ただ、先生おっしゃいますように、施設福祉対策と在宅福祉対策との間の整合性という点について、もうちょっと考えるべきじゃないかという御趣旨だと思います。そういう意味で、施設の福祉対策というものの充実も図らなければならないけれども、在宅福祉対策というものを施設福祉対策との連係プレーを講じながら両々相まった充実というものを整合性を持って図っていかなければならないという考え方を私ども基本的に持っておるわけでございます。
#381
○岡本分科員 在宅の介護の方については、非常に予算が少ない。私、この前武蔵野市へ行ってまいりましたのですが、そこでは公社をつくって何人か登録しておいて、せっせこ回しておる。非常に行き届いたやり方でやっておりましたけれども、わずか四百何人しかおりませんけれども、それにやはり年間千二百万円ですか、千二百万円くらい一般会計から入れなければならぬのだ、こういうことでございましたから、やはり私は地方自治体にこういったことをやってもらうためには、とても厚生省では痛いところに手は届きませんから、地方自治体の方でも随分やってもらわなければならぬと思うのですが、それに対する補助金の制度あるいはそれに対するところの財政負担、これらについてひとつ考えてやってもらいたいと思うわけですが、いかがでしょうか。
#382
○正木政府委員 これからの社会福祉というものを考えていきます場合に、老人福祉対策というものが非常に重要な問題である。老人福祉に限らず社会福祉全般につきまして、これまでの制度につきましてやはり国と地方の役割分担、費用負担のあり方、そういったものを全般的に検討すべき時期に来ているのではないかというふうに思っております。そういう中で、老人の施設福祉対策と在宅福祉対策の整合性の問題というものも一つの大きなテーマとして検討すべき課題であるというふうに考えております。
#383
○岡本分科員 先ほどホームヘルパーのことが出ましたけれども、私どもの調べでは全国に一万九千九百八人、六十年度の今度の予算で千七百五人、これだけふえてもやっと二万人ちょっと超えるぐらいの程度ですが、イギリスの状態を見ますと、人口十万人当たりに対して二百三十二人、ところが我が国では十万人に対して十八人、非常にホームヘルパーの人数が少ないわけですが、これをもっとふやしていただかなければならぬと思うのですが、いかがでしょうか。
#384
○正木政府委員 おっしゃいますように、老人家庭奉仕員の派遣事業というのは在宅福祉対策の根幹に当たるものだと思います。ということで、先生おっしゃいますように、六十年度におきましても、千七百五人の増員を図るということで、全体といたしますと二万一千六百十三人というところまで達したわけでございます。この老人家庭奉仕員の派遣も、従来は、数年前までは低所得者に限っておったわけですが、必要な費用はその負担能力に応じてちょうだいするということで、範囲を広げて充実を図ってきております。
 ただ、先生おっしゃいますように、特にイギリスの場合には非常に数が多いわけでございますが、その辺の国情の違いと申しますか、実は私ども非常に頭を痛めておりますのは、老人家庭奉仕員という制度を整備しておるわけですが、寝たきり等でいろいろ必要とされる御家庭でありながら、なかなか他人に入って介護してもらうということについての違和感と申しますか、差恥心と申しますか、そういったものがおありになる方もまたおられるわけで。ございます。
 そういった面で外国とのいろいろな違いというものもあるわけでございますが、やはりその辺はフランクにお互いに助け合うという気持ちで、こういった制度の充実を図っていかなければならないというふうに思っております。
#385
○岡本分科員 あなたの話を聞いていると、日本ではよそから入ってもらうのは困るからこのくらいでいいのだというような感じにも聞こえるわけですけれども、実際に私は見てきましたけれども、中にはそういう人もいますよ。中にはそういう人もいますけれども、やはりなかなか要求があって、武蔵野の方でずっと私は調べてきたのですが、僕らのところもそういうのが多いわけです。実際に来てもらって話し相手、あるいはまたいろいろなことをやってもらうというのは、待っている方が非常にいるわけです。ですから、もうこれで十分だというような考え方には私はくみしない。だから、その問題はそこまでにしておきます。
 あともう一問。さらに費用の負担額において施設や病院に入っておる寝たきりの老人と在宅の老人の格差は非常につけられておる。したがって在宅軽視と言われても仕方がないのじゃないか、こう思うのです。と申しますのは、老人病院に入っておる入院者は一日三百円二カ月負担して後は無料、特別養護ホームに入っておる人は毎月一万二千円の入所費のみで終わり。ところが、在宅者に対しては世帯主に七万円の所得控除があるだけである。こういうお粗末ぶりを見ますと、在宅寝たきり老人介護の控除というものをここでもう一度考えて大蔵省とも折衝し、この寝たきりあるいはぼけ老人といいますか、痴呆といいますか、身体的、精神的、経済的の負担をひとつ評価して、そういった控除を、私どもは少なくとも控除額百万円ぐらいを主張しておるわけですけれども、大臣、これはどういうようにお考えでしょうか。
#386
○増岡国務大臣 この問題につきましては、今御審議いただいております予算に関連いたしまして、各党間で検討をする旨の合意がなされておると承知いたしておるわけでございまして、私どもふだんから今後の厚生行政の中で老人福祉が大変大切だということを承知いたしておりますので、この成り行きを十分な関心を持って見守ってまいりたいと思います。
#387
○岡本分科員 これはやはり与野党で折衝することにもなっておりますけれども、やはりその中心である省が厚生省ですから、厚生省の方から若干声を上げてもらわなければならぬと私は思うのです。現在は総額七十三万円の控除になっておるわけですね。扶養控除三十三万円、特別障害者控除が三十三万円、それから同居の老親控除ですか、これが七万円、計七十三万円ですが、これも百万円ぐらいに、私は、お年寄りに対するところのこういった施策をするのがやはり厚生省ですから、こういった主張についてどういうようにお考えになるか、また今後大蔵省とも折衝していただけるのかどうか、ひとつお聞きしたい。
#388
○正木政府委員 先生おっしゃいますように、寝たきり老人に対します現在の所得税の控除制度は、一般の扶養控除のほかに特別障害者控除、寝たきり老人につきましては特別障害者控除を適用されるということで三十三万円さらにつけ加えられる。さらに、同居しておられる方をお世話している場合には七万円ということで、これは五十九年度に改定がなされたわけでございます。
 ということで、現在の税制におきましてもやはり寝たきり老人についてのニーズというものに着目した措置がなされておるわけでございますが、やはり寝たきり老人を抱える家庭の経済負担という面に着目いたしまして、大臣からもお話がございましたように、この前も各党間の折衝がなされたということで、私どもとしても非常な関心を持っておるわけでございます。
#389
○岡本分科員 大臣、ひとつこれは特別に旗を上げて頑張ってもらいたい。
 そこで、時間がありませんから、最後に養護老人ホーム、あれはこれからつくるといってもなかなか大変ですから、それだけではみんな収容し切れない。また、そういうことですから、民間の施設で有料老人ホームをつくろう、そういう人たちも随分いるわけですが、それの開設に当たっての資格あるいは基準あるいはまた国のそれに対するところの政策、この三つについてひとつ最後に承りたい。
#390
○正木政府委員 有料老人ホームは健康的にも経済的にも比較的恵まれた高齢者の方々がみずからの経済負担によりましてそこに入られるということで、現在有料老人ホームは全国で九十一カ所、定員にいたしまして約七千人程度となっております。この民間有料老人ホームにつきましては経営主体に関しても特別な制限はございません。社会福祉法人がやっておるものが十二カ所、公益法人がやっておるものが四十八カ所、株式会社等でやっているものもあるわけでございます。現在、この有料老人ホームは社会福祉施設ではございませんが、有料老人ホームを開設いたしますときは事業開始後一カ月以内に老人福祉法の規定によって届け出てもらう、そしてその有料老人ホームにつきましては知事が調査ができる、そして何か問題がありますれば勧告を行う、こういうことになっておるわけでございます。
 この施設はもちろん比較的余裕のある方々を対象にしておるということで、採算面にも考慮して経営がなされておりますので、現状におきまして特段の助成はなされておりません。
#391
○岡本分科員 これで終わりますけれども、この有料老人ホームもどんどん進めた方がいいと私は思うのです。負担できる人はそういうところに入ってもらう。そうすると、普通の養護ホームに入る人がそれだけ助かるわけですから。そういう人が入ってきたのじゃ、これは何にもならないわけですからね。その点についての推進を、例えば助成をする、助成できないということになれば、金融の面とかあるいは税制の面とか、そういった問題を検討いただくように要望いたしまして終わります。
 ありがとうございます。
#392
○山下主査 これにて岡本富夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻一彦君。
#393
○辻(一)分科員 私、幼保一元化の問題と、それから中国残留孤児の問題について二点お伺いしたいと思います。
 まず第一に、幼保一元化の問題がここ数年ずっと論議をされてきました。特に臨教審を設置するその初めの話が、厚生省は保育所、それから文部省は幼稚園、そういう問題を広く論議するんだというようなところから臨教審の論議が始まったようにも記憶しております。
 そこで、この問題は随分と国会でも論議をされてまいりましたが、現場へ行ってみますと、私も保育所に縁があって参ったり、それから保育所の研究大会あるいは保育所の保護者の大会等々に出てみますと、大部分は幼保一元化には賛成をしていないというように見ております。そういう中で、この保育関係の一番の行政庁の責任官庁であります厚生省としては、これに対してどういう御見解であるかということをまず聞きたいと思います。
#394
○小島政府委員 御指摘のように、幼保一元化問題と申しますか、幼保問題は繰り返し御議論があって、長い歴史があるように承知しております。臨教審設置の理由といたしまして、例えば学校教育だけではなくて、就学前教育、幼保の問題とかあるいは職業教育の問題も取り扱うので総理府の直轄機関としたという御説明がなされたという経緯は私も承知しております。ただ、いろいろございますが、就学前の教育という観点からだけ光を当てるのか、あるいは、それを一元的にやるということになれば義務教育の年齢の引き下げという問題にもなろうかと思いますが、そこは今は自由に任されている分野ではないか、例えば幼稚園につきましても、幼稚園に行っても行かなくても自由であるということでありますし、保育所は単なる教育機関でございませんで、主たる目的は、お母さんの御就労というふうなことで家庭でなかなか保育できないという方に家庭にかわってお預かりして一日じゅうお預かりする、その就労の時間中、長い時間にわたってお預かりをする。そこで必要なお世話をしたりすると同時に、あわせてその機会に幼児教育も行うという施設でございますので、これを単に教育機関として一元化するということは極めて困難であろう、このように考えております。
#395
○辻(一)分科員 それでは、私の体験からもちょっとこれについて意見を含めて質問したいのですが、三人の子供を乳児のときから共稼ぎでしたので保育所に預けてきたのですが、朝、私が運搬をして帰りは女房が連れて帰る、これを三人とも繰り返したので、かなり保育所の状況等々も理解をしておりますが、保育所は普通の場合に四時、それから少し長くやってくれるところで五時、大体四時に終わりますが、そうしますと、これは後、職場に働いている母親が連れて帰るには五時十五分くらいでないと幾ら近くても連れて帰れない。だから我々は居残りと言ったのですが、とにかく後に残って何人かでグループで遊んでいる。そういうふうにして後で連れて帰るということで、どうしても四時だけの保育ではだれかに頼まなくちゃいけない、保育所が預かってくれなければパートを頼んで二重保育をやらなければならぬ。これが共稼ぎの家庭の実態であったと思うのです。
 それから、時間にしても、幼稚園は大体半日ですが、今言ったように、朝八時から少なくとも四時あるいは場合によれば後に残って見てもらうとすれば五時半ごろまで見てもらう、時間が非常に違いますね、幼稚園と保育所は。そして土曜、日曜と盆と正月の休み以外には夏休みもほとんどないというのが実態であると思うのです。
 そういう意味で、幼児の教育という点から見れば、今は保育所の方もかなり幼児教育が進んでその差はだんだん縮まっておりますから、同一観点で見られる面もありますが、保育に欠ける子供を預かって育てていく保育所と、それから幼児教育を専門にする幼稚園というのは非常に違うので、これを一緒にするということは非常に無理が伴うと私も現場からいろんな経験から実感しておるのですが、そういう点で、この幼保一元化というものがこの幼児教育の格差を幼稚園、保育所でなくすという意味であるならば、それは大変結構である。しかし、今現実に起こっている一元化は子供さんの数が少ない中で経営をどうするかというような点から出てきている観点が非常に強いように思われる。これではこの保育に欠けた子供のための保育所と、それからもう一つは婦人が社会的に活動に参加する、仕事につけるというための条件を保障するというこの二つが保育所にあると思うのですが、それと非常にこの幼稚園とは状況が違う。私もそう思っておりますので、もう一度これをひとつ大臣からも、前、渡部厚相にも私会ってこういう話を聞いたことがあるのですが、大臣がかわられても余り考えは変わりがないとは思いますが、一応大臣からこの点についての見解をいま一度お伺いしたいと思います。
#396
○増岡国務大臣 お話しのとおり、保育所は本来保育に欠ける子供、すなわち御婦人の職場進出が進んでまいりまして、その子供さんを親御さんにかわって育ててあげるというところからスタートしている。今では教育もそこに付加されておると思います。そういう経緯から見ましても、幼稚園とは本来異なる性格を持っておると思いますし、さらに勤務の都合上もう少し長く預かってほしいとか夜間も預かってほしいとか、そういう御要望もあるわけでございますので、単純に子供を預かっておるだけだから同じだというようなことにはいかないと思いますし、先ほどお触れになりましたように、もし経営上の問題からそういうことが出ておるといえばこれは全く不純なものと言わざるを得ないというふうに思います。
#397
○辻(一)分科員 私も大体同じような意見であります。それで保育所はやはりその本来の特性をさらに生かして、乳児保育もかなり要望は強いから、これの拡充、あるいは長時間保育というのもいろいろ問題はありますが、実際として共稼ぎの家庭がある程度預かってもらわないとなかなかやっていけないという、こういう要望を満たすとか、さらに今小学校へ行った一年生の学童保育といいますか、これも大変問題がありますので、こういう面にひとつ特性を生かしながら、さらに保育に欠ける子供のために頑張っていただきたいと思います。
 それで、今お話しのように、幼稚園も経営が子供さんの数が少なくなっていろいろな難しさがあれば、やはり幼稚園は幼児教育の大事な場所でありますから、これはこれでまた一つのものとして政府の方が考えてもらって、立派な幼児教育がともに特性を生かしながら推進されるようにすべきであると思っております。そういう努力をひとつお願いしたい。
 そこで、時間が大変限られておりますから、残留孤児の問題に入りたいと思います。
 まず第一に、日本の方では細かい数字は別として残留孤児が千五百人幾ら、こう言われている。中国の方では二千幾らというように数字がいろいろ食い違っておりますが、それは一体どういうような事情にあるか、食い違っておるとすればどうするお考えか、この点をまずちょっと伺いたい。
#398
○入江政府委員 おっしゃるとおり、私どもの方に肉親を捜してほしいというふうに依頼のございます残留孤児の数は現在千六百十五名ということになっております。一方、昨年渡部大臣が訪中されましてあちらの幹部に会いましたときに、中国側としては残留孤児が約二千名いるというふうに考えておるということでございます。したがいまして、そのときに私どもの方から、事務的にその違いを究明したいので、その二千名の名簿をできるだけ早くこちら側に提供してほしいということをお願いしてまいったわけでございます。それから数カ月たったわけでございますが、まだ提供がございませんので、二月にこちらの担当者が向こうに協議のために行きましたもので催促しましたところ、ことしの七月をめどに名簿を日本側に渡せるように努力したいということでございますので、こちら側はその名簿を手に入れました段階で個々にこちらの持っておる名簿とチェックしまして、その実態がどういうふうに違うのかということを明らかにしていきたいというふうに考えております。
#399
○辻(一)分科員 これはひとつ一日も早くそういう名簿を手に入れて食い違いを点検をして、帰りたいという人がうちへ帰れるようにしていただきたいと思います。
 次に、私も中国にいろいろ縁がありまして、昭和三十一年に中国の青年団体が初めて戦後日本の青年を招いて、五十名の招請を受けて、当時旅券がなかなか難しくて出なかった。ために二十二名が昭和三十一年の九月から七十五日間、二万五千キロ、中国の戦後日本人がほとんど行かなかったところを回りました。それからそういう縁で中国へ何回か行っておりますが、昭和四十八年ごろに中国に行ったときに何人かの一時里帰りを希望する方に会いました。ところが当時なかなか難しい事情があって、当時廖承志さんが中日友好協会の会長をしておりましたが、そこらにもひとつ頼んで連絡をつけて、福井県だけで二十三家族ほど、昭和四十八年から五十年にかけて一時帰国の家族をお迎えしたことがあるのです。
 ところが、なかなか難しい問題があって、一つ考えたのは、当時は永久帰国は簡単じゃなかったのですが、こちらへ帰りたい、帰る場合にやはり残された、お世話になった養父母をどうするかという問題がありました。当然です。もう一つは、日本へ帰ったときに肉親がわからないのはやむを得ないが、いろいろな難しさで、わかったとしても受け入れてくれないというか、私なんかにしても、余り余分なことをしてくれるなということを逆に言われたこともある。というのは、やはり何十年たった後にぼんと帰ってくるとすると、家庭的になかなか難しさがある。
 そういう点で当時思ったのは、片方では養父母に対する対策と、片方では身寄りがわかってもなかなか帰れない人もある。そういう人たちをどういうように日本へ帰ってもらうようにしたらいいんだろうか、こんなことを当時随分と考えたことがあるのです。今見ると、帰りやすい条件の人はこちらへ帰ってこられて、だんだん肉親とか関係とつながりがつく。ところが、難しい関係の人はだんだん後に残っておる。そういう点で向こうの養父母の対策と、そして国内における対策が非常に大事になってきた、こう私は思っております。
 そこで、一つお尋ねしたいのは、厚生省は中国側と養父母の扶養費についていろいろ交渉をし出したのですが、一時のお話も、やはりいろいろな状況の中、さらに努力が続けられておると聞いておりますが、どこらでこの養父母の扶養費の問題は折り合いがつきそうなのか、一度聞かせていただきたいと思います。
#400
○入江政府委員 御承知のように昨年の三月に、養父母の扶養の問題につきまして、日中両国間で基本的な合意には達したわけでございます。その考え方といいますのは、肉親のわかった孤児が永住帰国、日本へ帰ってくることを希望した場合に、養父母が向こうに残留することを希望しますと、その孤児が扶養義務者の場合には扶養義務者がいなくなるわけですから、中国の法律に基づいて孤児が負担すべき扶養費を、孤児が日本に帰ってまいりましてもすぐ稼得能力がつくわけじゃございませんから、政府と民間の寄附金によって二分の一ずつ負担するという考え方で了解に達しまして、具体的にその扶養費の額をどうするかとか支払い方法をどうするかということは、引き続き事務的に協議をしようということになったわけでございます。
 それで、一年ほどかかって協議をしてきたわけでございますが、二月に入りまして一年近くなりましたので、先月、二月に私どもの担当課長を向こうに派遣しまして、向こうの外交部及び公安部の担当者と協議を重ねたわけでございますけれども、あちらの扶養費の額をどういうふうに考えるかという問題と、孤児がこちらに帰ってからの扶養期間をどう考えるかという問題につきまして両者間に若干考え方の隔たりがありまして、引き続き協議するということになったわけでございますが、問題が問題でございますので、できるだけ早く協議の結論に達するよう努力したいというふうに考えております。
#401
○辻(一)分科員 これはなるべく早く話をまとめてもらった方がいいだろうと思うのですが、なるべく早くというのは、めどとして大体いつごろになりますか。
#402
○入江政府委員 相手のあることでございますので、今ちょっとめどを申し上げることはできませんが、できるだけ早くということで御了解いただきたいと思います。
#403
○辻(一)分科員 相手のあることですから金額もなかなか難しいと思うのですが、生活ができるというようなのをおよそどのくらいに見ていらっしゃいますか。
#404
○入江政府委員 結局そこが一番問題でございまして、特に最近、中国の経済が流動的になっておるわけで、その辺をどう見るかということが一つの大きなポイントでございますけれども、具体的な額は交渉の具体的な内容に触れますので、ここで申し上げるのはちょっと勘弁させていただきたいと思います。
#405
○辻(一)分科員 それは相手のあることですから、今ここで聞くのも無理とは思いますが、大臣、今のとおりですので、赤ん坊のときに知らないのを預かってくれたとか、いろいろな形があるでしょう。そして、中国のああいう困難な経済の中で、子供に高等教育を受けさせてお医者さんにしてくれた、こういう親御たちもいらっしゃるので、私は戦後の処理等を考えると、日本政府として、ここはひとつできる限りの誠意を持って当たるべきである、こう思うのですが、これについて大臣の気持ちはいかがでしょうか。
#406
○増岡国務大臣 交渉の経過につきまして先ほど局長からお話を申し上げましたが、全体的な感じとして、私は金額的にはのめる話だろうと思います。しかし、それも相手国の立場というものを考えながら交渉しなければならないわけでございますので、いましばらくお待ちを願いたいと思います。
#407
○辻(一)分科員 待ってもいいし、それは政府が交渉することですからお任せでいいのですが、やはり大事なのは気持ちだと思うので、ぜひ精いっぱい努力をしてほしいと思います。
 そこで第二の点ですが、日本側の受け入れで肉親がどうしてもいないという場合に、いろいろな方法を考えてかなり前進していますね。しかし中には、日本に肉親があると思われても、いろいろな点で名のりが上げられないというか、こういう環境も、これだけ時間がたっていると、あれだけの数の中にはかなりあると私は思うのです。そういうのに対してほうっておけば確認ができない、こういう残留孤児の方たちに対して、どういう対策を立てる考えでしょうか。
#408
○入江政府委員 確かに、こちらに調査に参りました孤児に肉親と思われる方がおられるけれども名のり出ないという話は聞いております。しかし、その方を捜し出して対面をさせるということは、要するに私どもの範囲を超えることでございまして、私どもとしては、残念ながらめぐり会えなかったけれども、どうしても祖国に帰って生活したいという方がおられるわけでございますので、そういう方に対して帰国の道を開くという方向で努力してまいったわけでございます。
 いわゆる肉親の未判明の孤児の日本への永住帰国というわけでございますけれども、この点につきましても、先ほど申し上げた昨年の三月の口上書で基本的には了解に達しておりましたが、今回、その具体的な方法について中国側と協議が調いまして、この問題についましては現在、訪日調査をして肉親が見つからないで残念ながら向こうに帰った孤児の方に対して、皆さんも日本に帰る手だてができましたということをお知らせするとともに、帰る場合の手続なり心得等々につきまして、現在案内文を作成中でございますので、それを近い将来送りまして、そうしますと、その孤児の方が向こうの養父母の方と話し合いがつけば帰国できるわけで、帰国の手続を始めるということになろうかと思います。
#409
○辻(一)分科員 そういうふうにして前進をさせて、なかなか身寄りにめぐり会えない方が安心して帰ることができる条件づくりを、ひとつぜひ進めていただきたいと思います。
 ところが第三に、では日本に帰った場合に、やはり言葉が大変問題です。私らが四十七、八年ごろに行き会った方は、年齢的にいってまだ日本語を話す方がありましたが、あれからもう十数年たつと、そういう方はだんだん亡くなられるとか、あるいはもう帰るのは帰ってしまう。今残留孤児の多くは、日本語がわからない人がほとんどじゃないか。赤ん坊か二つ三つで離れたとすれば、もう四十過ぎて、日本語がわからないという方が多いと思うのです。
 そこで、日本へ帰られたときに、子供さんならすぐ言葉を覚えてしまうのだけれども、年配の人は、今まで例を見ても、言葉を覚えるにはなかなか時間がかかる。時間がかかりますと、簡単な日本語を覚えている程度では、職場へ行ったり仕事についたりしても、いろいろな難しさがあってうまくいかない。言葉をしっかり覚えてしまえば、日本の中ではいろいろな状況の中で一緒に暮らしてもらうことができると思うのです。そういう点で、今厚生省がいろいろ苦労していらっしゃるが、あの規模とあの程度の施設では、埼玉にありますが、非常に不十分ではないかと思うのですが、これに対してこれからどうなされる考えか、伺いたいと思います。
#410
○入江政府委員 御指摘のとおり、日本語がしゃべれないことが、日本に定着する場合の非常に大きなネックになっているわけでございます。したがいまして、厚生省としては、昨年の二月に所沢に定着促進センターというのをつくりまして、四カ月間、生活に即した日本語を、実際に生活しながら勉強するという試みをやっているわけでございます。
 その四カ月間が短いじゃないかという御指摘も確かにあるわけでございますけれども、現状では、帰ってこられる世帯が、要するに家族ぐるみであそこへお入りになりますと、学齢期の非常に覚えやすい階層の年齢層もおりますし、一方では四十から五十にかけてのいわゆる孤児とその配偶者、そしてその中間層ということで、対象が非常にバラエティーに富んでおる。しかも学齢児童につきましては、おっしゃったように、日常会話はすぐ覚えるわけですが、進学ということを考えますと読み書きの方を優先しなければならない。一方、就職する階層につきましても、就職先、どこに就職するかということによって、速成ということを考えますと、教育の方法というのもおのずから変えなければいけないということで、非常に難しいわけでございまして、私どもとしては、いろいろ御意見はございますけれども、当面は四カ月でとにかく社会に出て日常の用を弁ずる、というとちょっといろいろありますけれども、とにかく最小限の言葉を覚えていただいて、あとはそれぞれの年齢階層あるいは将来の目標に応じてどういうふうに教育をやっていくかという問題は、文部省とも御相談しながら、試行錯誤の段階でございますが、そういう方向でやっていきたいというふうに現在のところ考えております。
#411
○辻(一)分科員 これは文部省の所管でもあると思うのですが、最近中国ヘボランティアで日本語を教えに行っている方が中国からお帰りになって、いろいろな苦労話を聞かしてもらったのですが、残留孤児で日本語がわからない。そこで、今度帰らないとだんだん帰れなくなるのじゃないか、こういう心配と焦りがかなりある。そういう人たちは、せめて日本語を今習っておきたいという非常に切実な希望を持っている。ところが、例えばハルビンの大学あたりで大学の特別なコースといいますか、クラスですね、大学内じゃなしに施設を借りて日本語を教える場合に、授業料が一年に四百元、日本でいえば四万円ですが、四百元といえば、向こうの東北地方の賃金ならば五十元くらい、北京でも七十元というのが平均賃金であるとすれば、この四百元の授業料というのは非常に負担が多いので、なかなか気持ちがあっても難しい。そういう中で無理をしながら、それでも払って日本語を学んでいる人がかなりあるというのですね。
 政府の方で日本語のそういう教師を派遣をして、中国側と相談をして、残留孤児を含めた、もうちょっと幅を広げないと難しさはあると思いますが、そういう要請にこたえることができないのかどうか。これは文部省との関係もあると思うのですが、何かそういう方策が立たないかどうか。いかがでしょう。
#412
○入江政府委員 ただいまの問題は、文部省もでございますが、中国の中に日本の政府のお金で施設をつくって、主として残留孤児を対象に日本語教育をやるということだと、恐らく外務省の問題にも絡んでくるのじゃないかと思います。したがいまして、私今ここで御答弁できませんが、いろいろ検討すべき問題が多いのじゃないかと思います。
#413
○辻(一)分科員 これは厚生省にも縁があり、外務省にも文部省にも縁がありますから、ここらは大臣、どこの縄張りとかいうことじゃなしに、実際そういう要求というか要請が非常に強いわけですから、どうしたら前進できるか、そういう要請にこたえられるかということでひとつ考えていただきたいと思います。
 そこで最後に、実は私の友人が、もうちょっとで中国で孤児になるところだった、お母さんの背中に負われたままでようやく帰ってきた。それで国へ帰って仕事をしている。そこで、去年の夏でしたが、中国の孤児がお見えになったときに、自分も非常に身につまされた、せめて養父母のお土産にというので百万を寄附したい、こういう申し出がありまして、私は局長のところに連絡をして、そして大阪で中国の代表団長とその人が会ってお渡ししたということがあるのですが、民間にもそういう気持ちを持っておる人があるわけですので、政府はひとつ腰を据えて、ある程度の財政的な負担があるにしても、残留孤児問題にぜひ本格的に取り組んでいただきたい。戦後は終わったということは、この問題が処理されなければ言えないのじゃないかというように私は思いますので、それらを踏まえて、大臣に決意を一言聞いて終わりたいと思います。
#414
○増岡国務大臣 日本語の問題でございますけれども、私が就任いたしましてから百八十人の孤児と会いました。その中で、私と握手をするときに、日本語で物が言えるというのは一人しかおりませんでした。それだけ日本語を学ぶということが非常に困難なのだろうと思います。したがいまして、しかるべき機関といろいろ協議しながら研究をしてまいりたいと思います。
 それから、ただいまありがたいお話でございますが、今残留孤児の日本定着のための基金をつくっておりまして、その方で高等学校へ行く学費だとかいろいろやっておるわけでございますので、もし私どもがそういう面でのPRが足りない面がございましたら、何分よろしくお願い申し上げたいと思います。私どもも一生懸命頑張りたいと思います。
#415
○辻(一)分科員 どうもありがとうございました。
#416
○山下主査 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、駒谷明君。
#417
○駒谷分科員 それでは私の方から、大別して二点にわたって大臣並びに関係当局にお伺いをいたします。
 まず最初に、国立病院と療養所の再編成の問題であります。これにつきましては、去る二月一日、国立病院・療養所再編成問題等懇談会から厚生省に対して意見書が出されておるわけであります。この意見書の国立病院の今後の問題、これは、地域の医療という観点からいきますと大変重要な問題であります。そういう観点から、今回の懇談会の御意見に対して、その意見書を求められた背景といいますかその問題、それから、この内容等についての大臣の御所見をまずお伺いをいたしたいと思います。
#418
○大池政府委員 国立病院、国立療養所の再編成問題につきましては、かねて臨時行政調査会の最終答申にも要請をされておるところでございますし、それを受けまして、閣議決定におきましてそのスケジュールも既に定まっているところでございます。事柄が国立病院、療養所の再編成という大切な案件でございますし、医療関係者を初め広く国民の関心が寄せられているところでございます。したがいまして、私どもとしても、この案件につきましては的確に、適切に対応していかなければならないと考えまして、関係の各界の学識経験者の御意見をよくかみしめながら進めたいということで、昨年、関係の学識者にお集まりいただきまして、数次にわたり懇談会の形式で自由な御意見の開陳をいただきまして、このたび二月、その意見の総まとめをちょうだいいたしたところでございます。
 背景はそのようなことでございます。
#419
○駒谷分科員 大臣、この懇談会の意見書はもちろんごらんになっていらっしゃると思いますが、その内容等、私も十分拝見いたしましたけれども、内容等を踏まえて、大臣としてどういうふうにお感じになっていらっしゃいますか。
#420
○増岡国務大臣 私は、この国立病院、療養所の再編成を、いかにも行財政改革の一環としてのみとらえられるのは非常に残念だと思っております。やはり国立病院は、今の医学医術の進歩に率先をして、先頭を切るぐらいの高度な医療を行ってもらわなければならぬ。そういう観点から、私はこの再編問題に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#421
○駒谷分科員 この懇談会の意見を踏まえまして、五十九年十二月二十九日の閣議決定に基づく六十年の行革大綱では、これは五十九年の行革大綱を踏まえての内容でありますけれども、まず再編成の指針を厚生省でおつくりになる、こういうことになっておるわけでございます。先ほど大臣から内容等についてのお考えを伺ったわけですけれども、基本的にどういう姿勢を持ってこの指針の作成に当たるか。恐らくこの指針については、内容を読みますと五十九年度中ということになっておりますので、いよいよ三月末になるわけですから、ほぼでき上がってきているのではないかと思いますけれども、その点についてお伺いをいたします。
#422
○大池政府委員 御指摘のとおり、五十九年度に再編成を行っていく上での指針を作成するということで、そのことも考えましての懇談会での意見をちょうだいしたわけでございます。その間並行いたしまして、私どもの部内におきますところの検討も鋭意進めておるところでございまして、今回ちょうだいいたしました意見も参考といたしながら、現在作業の詰めを行っておるところでございます。
 懇談会の意見においても述べられておるところでございますけれども、私どもは、新しい時代における国民の医療に対する要請に効果的、効率的にこたえていくためには、国の医療機関としての役割を明確化し、かつ、単なる量の拡大という時代はもう過ぎたという認識に立ちまして、質の強化ということを今回の国立病院、療養所の再編成を通じて行ってまいりたい、その方向で現在指針の作成を進めておるところでございます。
#423
○駒谷分科員 この指針はいつごろ発表される予定になっておりますか。
#424
○大池政府委員 現在作業を急いでおるところでございますけれども、まだ作業続行中でございまして、できるだけ早い時期に固めたいと考えております。
#425
○駒谷分科員 この指針ができ上がりますと、六十年度中に再編成の具体策を厚生省でお立てになる、これがいわゆる再編成の計画ということだろうと思うわけであります。そして、この再編成計画の作成に当たりまして、「再編成の指標」というのが懇談会の意見書の中に明記されております。私は、これからの作成に当たって、あくまでも地域住民、国民の期待にこたえるような医療供給体制を確立していく、その観点からどうあるべきかということを考えていかなければならない、積極的に医療機関の質的強化に当たるんだということが再編計画の基本だろうと思っておるわけであります。病院が赤字であるから経営の合理化を図る、それだけが大きな視点になった形での再編、そんなことは恐らくないと思いますけれども、そこにウエートを置かれるような再編成の計画ができると、これは国民の期待に反する形になるのではないか、私はそのように思っておるわけでございます。この計画作成に向かってのスケジュール、まだ指針が決まっていない段階でありますし、六十年度中ということでありますけれども、どういうふうに進められるお考えなのか、お伺いいたします。
#426
○大池政府委員 御指摘のとおり、統合あるいは経営移譲等いろいろな可能性も含めて検討いたしまして、六十年度中に具体的な再編成計画の作業をいたしたいと考えております。そして、その実行につきましては、六十一年度以降おおむね十年というようなめどを設けまして実行に移していきたいと考えております。
#427
○駒谷分科員 実は懇談会の意見書の中の「再編成の推進方策」というところに、「地方公共団体等関係者との協議」あるいは「患者への配慮」というようなことで、これに向かっての推進方策についての意見が出ておるわけであります。厚生省として、それぞれの国立病院、療養所の所在地域の知事なり近隣の自治体あるいは関係医療団体等の意見を十分に聞きながらこの再編計画の作成に当たっていくべきではないか。物ができ上がって、それから協議ということでは、地域によって大変難しい問題が出ると私は思うわけであります。したがって、再編計画の作成の段階で十分に意見を聞いていただきたい、また協議をすべきだと思っておるわけでございますけれども、これに対する御意見をお聞きしたい。
#428
○大池政府委員 再編成の計画並びにその実行につきましては、地域との深いかかわりのあることでございますので、必要に応じて十分相談し、意見も交換しながら進めていきたいと思っております。
#429
○駒谷分科員 ひとつ現地に臨んでよく意見を聞いていただきたいと思うわけであります。
 次に、現在の国立病院あるいは療養所は、これからの高度医療や医療に対する地域住民の需要、それに対する供給という立場から考えましても、医療設備、医療機器等については大変不十分な状態である、このように意見書の中にも指摘があるわけであります。
 私、兵庫県でございますので、兵庫県の例をとって恐縮でありますけれども、兵庫県下は大変広いところでございますから、国立病院は六つ、そして療養所が一つ、それらの病院で地域住民は大変にお世話になっておるわけであります。また、基幹的な病院として存在しているところもあるわけでありますけれども、その設備の内容については、残念ながらこれでいいのかなというような状況のところがあるわけであります。例えば加古川病院、これは国立病院でありますが、また但馬にあります篠山病院は二百床でありますけれども、地域の中心的な病院になっておる。その医療機器についても、総合的な病院として十科目以上の科目の診療体制を整えて、今、地域の医療に向かって鋭意サービスに努めていらっしゃる。これについては大変評価するわけでありますけれども、この設備の関係について相当他の医療機関におくれておる、これは指摘せざるを得ません。
 そういうことで、今回こういう再編計画をお立てになるわけでありますけれども、国立病院、療養所等について、主要な医療機器、設備の整備という問題は、その再編の十年という期間の中で別に独自で考えていかなければならないのではないか。それでなければ時代のニーズに対応していけないのではないか。やはり国立病院として地域の信頼の高い病院でありますので、そういう点について特に考えていただきたいと思うわけであります。
 先ほど例に挙げました加古川病院、篠山病院についても、現在もうほとんどの主要な医療機関にありますCTスキャン、これは全然備わっていない。それからICU、集中強化治療室、この設備もない。また、新生児の集中治療処置室。これからますます医療の問題についてはふくそうしてくるわけでございますので、そういう点についての計画を進めていただかなければならないのではないか、そういう点についてお考えをお伺いしたいと思います。
#430
○増岡国務大臣 御指摘のとおり、医学、医療技術というものは日進月歩でございますから、こういう再編作業とは別に、常に心がけておかなければならない問題だと思っております。
#431
○駒谷分科員 私も兵庫県で地方議員を経験いたしておりますけれども、兵庫県、各府県においても県立病院というのを抱えております。そして、十カ年計画あるいは中期計画ということで、医療機器の整備については基本的計画を立てながら、予算の厳しい中ではありますけれども何とか地域の県民の医療におこたえをしていこう、こういう体制でいろいろと努力をしておるわけであります。そういう点で、全国的に相当数の病院でございますので、財政的には大変厳しい面があろうかと思いますけれども、そういう計画の中で着実に地域の医療、国民の期待におこたえしていただけるような医療体制の整備をお願いしておいて、この項については終わりたいと思います。
 次にもう一点は、新生児のマススクリーニングの問題であります。これに関係する問題は先天性副腎皮質過形成、この治療の問題に向かってマススクリーニングの点についてお伺いをいたしたいと思います。
 全国的に実施をされております新生児のマススクリーニングの検査、これはどのような疾患をさらに新しく追加をしていくか、組み入れていくかということについて、各分野で研究班を置いて、厚生省でも研究をなさっていらっしゃる。これについては大変敬意を表するわけであります。最近でありますけれども、この検討が進められた中において、新しい小児がんの一種であります神経芽細胞腫、これが早期発見、早期治療ということで、六十年度から、尿によるマススクリーニングの対象の一つとして全国的に実施されるということについては大変評価をいたしておるわけであります。病名、原因がわからないままで亡くなっていく、また治療がおくれたために一命を落としていく、そういう赤ちゃんがこの実施によって救われていく。少ない人数とは思いますけれども、一人の生命を大切にしていくという立場からいくならば、これは大変結構な内容であるし、今後もこの研究は続けていかなければならない問題だと私は思っておるわけであります。
 そこで、五十二年度から、先天性代謝異常等の早期発見のために、新生児に対してマススクリーニングの検査が実施されております。この内容等も踏まえて、このようにマススクリーニングの検査が適切である、あるいはそのような検査を実施する必要がある、そういう要件というものがあろうかと思います。例えば発生の頻度の問題あるいは治療法があるかないか、いろいろあろうかと思いますけれども、実施の内容についてどういう判断を下されるのか、その基本的なところをお伺いしたいと思います。
#432
○小島政府委員 特に新生児を中心に今やっておるわけでございますが、その中でお尋ねの要件といたしましては、第一に検査技術が確立していなければならぬ。これがあいまいではどうにもなりません。第二点としては、大量に扱うものですから、検査方法がある程度簡便である、受けられる方も簡単に受けられる形のものでなければならぬと思います。それから、せっかく発見いたしましても、その治療法がなければ、いたずらに不安をあおるだけであるという問題もありますので、治療法も確立しているという要件が第三にある。もう一つは、こういう手法によらなければ早期発見が困難である、重大な疾病を誘発するおそれがあるというようなものについてでございます。さらに第五には、検査を担当する者の技術研修がしっかり終わっている、それで初めて全国的な実施に移せる。この五つが中心になる要件であると考えております。
#433
○駒谷分科員 臨床的に大変専門的な内容でありますし、私全く素人でございまして、この問題を取り上げる発端になりましたのは、神戸でその問題にぶつかりまして、神戸の子供専門病院あるいはこういう問題に専門的に当たっていらっしゃる先生方といろいろお話をいたしました。そして、この研究班の班長さんでいらっしゃいます神奈川の諏訪先生にもお会いしていろいろ御意見を伺いました。札幌においても、そういう問題について福士先生からもお話を伺いました。これは大変重要だなど私、痛感をしたわけであります。
 そこで、これは札幌市内ですけれども、既にマススクリーニングをやっていらっしゃるわけですね。東京とか神奈川、静岡、こういうところでは試験的なマススクリーニングをやっていらっしゃる。しかし、行政レベルで完全にやっているのは札幌。この点についてどういうふうに御認識をされ、評価されていらっしゃるのか、厚生省のお考えをお伺いしたいと思います。
#434
○小島政府委員 今お話しいただきましたように、札幌市で昭和五十七年から昭和五十八年十二月までに出生じた新生児三万七千余名について研究的に実施いただいた。そこから二名の先天性副腎皮質過形成症の新生児を発見したという報告を受けております。国としては、この問題についても十分取り組んでまいらなければならぬと考えておったところでございますので、厚生省も五十八年からこの研究を始めております。札幌市の関係者にも、この研究班に参加を願っているということでございますので、評価できるものだと考えております。
#435
○駒谷分科員 私もこれは先生から伺った内容でございますけれども、この疾患の中で塩喪失型の疾患、これについてはもうほとんど幼児のときに面接で、対診では全然わからない。したがって、この病気については、少なくとも二週間以内にはいわゆるマススクリーニングといいますか、そういう検査で発見をする。そうして、それに対する治療を加えないと、お母さんもその病気の原因はわからない。あるいは子供さん自身はショックあるいはいろいろな障害であっという間に一命を落とす、そういうふうな問題があるというふうに伺っております。そして、数としては大変、一万人あるいは一万五千人に一人くらいの新生児だということでありますけれども、この問題については、やはり劣性遺伝という観点から、あるいはお母さん自身もこれは大変だなということも、私は思うわけであります。そういう点から、この問題について今研究班でどんどん研究をされておりますけれども、できるだけ早く早期発見、早期治療という立場から、これはもう第一にこの問題をマススクリーニングの実施の対象にしていただきたいなと私自身は思っておるわけでございます。
 聞くところによりますと、検査薬がまだはっきり決まっていないという御意見等もあるわけでございますけれども、それぞれの自治体においても、厚生省がその気になっていただければ、何とかやりたいという先生方が多いわけであります。そういう点につきまして、今後の考え方というもの、これについてひとつお考えをお伺いしたいと思います。
#436
○小島政府委員 五十八年度から検討をしておりまして、六十年度末には一応の結論が出ようか、こう考えております。ただ、今現在のところ、その検査方法の検討とか、それから確定診断法の確立とかあるいは疑陽性、疑いのある者についての処理方法等について、ちょっとまだ検討する余地があるということがございますが、こういう問題が解決次第、できるだけ早くこれに取り組んでまいりたい、こう思っております。
#437
○駒谷分科員 大臣、これはひとつ先天性副腎皮質過形成、私も今度初めて――この問題については、もう既に厚生省では先生方によって研究班ができているわけでありますけれども、ある先生の御意見では、やはり潜在的にわからないままになっているのがかなりある。したがって、スクリーニングをかけていくと、そういう人たちというか新生児がかなり出るのではないか。外国におきましては、アラスカなんかでは五百人に一人ぐらいだというようなことも言われておりますし、これは劣性遺伝の問題等もあるわけでございますけれども、やはり小児の特定疾患という問題から、研究班がいろいろと御苦労なさっていらっしゃるようでありますけれども、この小児の特定疾患問題についての研究体制というものをもう一遍厚生省の方で見直していただいて、ひとつ御努力をお願いしたい、そのように思っておるわけでございます。
 最後に大臣の御所見をお伺いいたして終わりたいと思います。
#438
○増岡国務大臣 これまでは問題ごとにチームを組んで研究をしておったようでございます。この問題につきましては昭和六十年に結論が出るということでございますので、その結果を踏まえて判断をしてまいりたいと思います。まだそのほかにいろいろな問題、研究すべきことがあるかもしれませんけれども、その点につきましても、今後とも厚生省におきまして十分目を光らせておくように注意をしてまいりたいと思います。
#439
○駒谷分科員 以上で終わります。
#440
○山下主査 これにて駒谷明君の質疑は終了いたしました。
 次に、竹内猛君。
#441
○竹内(猛)分科員 私は、医療問題、特に病院の開放の問題と、農村におけるところの病気、医療の問題について質問をいたします。
 まず最初に厚生大臣にお伺いしたいわけですが、きょうの新聞にも出ておりましたが、新聞紙上に、町のお医者さんあるいは病院が、治療費、入院費等を水増しして不正な所得を行い、その上に脱税をする、こういうことがしばしば載っている。これはまことにゆゆしい問題であると思うのです。この点について、まず大臣の所見をお伺いしたい。
#442
○増岡国務大臣 きょうの新聞にも出ておりましたけれども、私はほとんどのお医者さん、医療機関はまじめにやってくれておるものと思っておるわけでございます。しかしながら、そういう例があるということは、やはり自粛自戒をしていただくようなことに考えていただかなければならないというふうに思います。
#443
○竹内(猛)分科員 きょうの新聞が本当であるならば、開業医の九割が所得を隠したと言っている。これは大変なことですね。つまり、患者の信頼を失うことおびただしい。こういうような問題、特に大田区の萩中南病院の院長の行為などというものは許しがたい問題だ。こういう問題が本当であるならば、医師の免許証を取り上げて厳罰に処するというようなことをしなければ、世間に対しては信頼を取り戻すことはできないと思うけれども、どうですか。
#444
○増岡国務大臣 医療機関特に開業医さんの場合には、大部分が白色申告といいますか、いわゆる法定で定められたパーセンテージによって税金を払っていただく仕組みになっております。
 今御指摘の九割までというのは、恐らく別の青色申告という制度がございまして、それによって申告された人の中の九割という意味合いではなかろうかと思いますので、全開業医の九割とは違うと思いますけれども、それにしましてもかなりの数でございますから、これからも医師会その他を通じまして、いろいろ注意を喚起いたしまして、まじめにやっていただきますように――どうも失礼しました。先ほど申し上げました、申告がありましたお医者さんの中で、問題がありそうなものと思われる人を対象に調べたら九割ということでございますので、私が先ほど申し上げました数字より、全体としてはもっとパーセンテージが下がるものと思います。しかし、何にしましても、社会のお手本になっていただかなければならない先生方でございますので、その点の反省もしていただくようなことも配慮してみたいと思います。
#445
○竹内(猛)分科員 私も一患者として病院にお世話になっておりますが、やはり患者と病院、医師との関係は信頼関係だ、こう思うのですね。信頼関係というものがなければ、いい治療もできないし、非常に困難だと思う。医師の使命とは何かというと、ちょうど今、NHKは医師の問題、病院の問題、患者の問題、そういう問題をこの週は取り上げております。その中にやはりこの信頼という問題が強くあるわけでありまして、医師というものが本来どういう使命を持っているものかということについて、厚生大臣からもう一度御意見を聞きたい。
#446
○増岡国務大臣 お話のように、医療というものは科学技術であると同時に、患者と医師との信頼関係というものがなければならないというふうに思うわけでございまして、その点、お医者さんとしては、ある意味では社会的な大きな責任を持っておられるというふうに思います。
#447
○竹内(猛)分科員 電電公社と専売公社はいよいよ四月から民営に移っていきます。公共企業体から株式会社に移っていくわけだ。
 そこで、今現在品川区の五反田の駅前には関東逓信病院があります。それから、港区の赤羽橋には専売公社の病院があります。同じように代々木には国鉄の鉄道病院があるわけですが、昨年、五十九年十月十七日の参議院の決算委員会でありますが、我が党の目黒今朝次郎議員が渡部厚生大臣に、この鉄道病院の問題に関連をして、OBの方からも開放の要求がある、職域病院でありますから現職しかこれが使えない、利用できないということについて、非常に寂しい、何とか開放してもらいたい、こういう要求が出ているということに関連をして、厚生省の幸田保険局長等々から御意見があり、渡部厚生大臣は、過去のいきさつもいろいろあるけれども、現在政府委員が答弁をしたとおりでありまして、これをより理解を深めていくように努力を続けたいと思う、こういう御答弁をされております。
 そこで、今問題にしたいのは、今までは公社であったわけでありますけれども、電電公社の関東逓信病院、そしてまた専売公社の関係であった専売の病院に関連をして、これを開放して一般に活用できるようにするということについて、基本的にこれをどのようにお考えになるのか、まずお伺いをいたします。
#448
○増岡国務大臣 厚生省としては、一般論として、一般の患者さんに開放することが望ましいという方針で。ございます。
#449
○竹内(猛)分科員 過日の朝日新聞によりますと、関東逓信病院の一般開放に関連をして、厚生省もかなり厳しい姿勢を持っているとか、あるいは地元の医師会がこれに反対をしているというような記事がございました。私は、現在関東逓信病院にお世話になっておりますから、いろいろと調べてみたところが、なるほど関東逓信病院に関連をしては品川区の医師会、目黒区の医師会、あるいはまた専売に関連をしては港区の医師会等がそれぞれ厳しい姿勢を持っているようでございますけれども、最近は関東逓信病院に関連をして、公害の問題やあるいは医療相談などという形で、地域の皆さんも活用をするという形になっておるようでございます。
 私は、この関東逓信病院にしばらく入院しておりまして、いろいろ病院の中を見たところが、多くのあいている部屋がある。これはどうして使えないかと言ったところが、いろいろの理由があるのだというお話でございました。一般からは、この関東逓信病院をぜひ使わせてもらいたい、一般の健康保険で活用させてもらいたい、こういう強い声があります。全国的には、電電公社の病院も、東京の関東逓信病院を除いてはもう一般に開放されておる、あるいは専売の方も、赤羽橋の専売の病院を除いては開放されておるけれども、その地区だけが開放されておらないという状態でありますから、あれだけの立派な設備と技術を持っておるし、立派なドクターがいらっしゃるわけですから、これはやはり一般に開放するということは必要じゃないのか、こういうふうに話をしたところが、若干の隘路があるんだということになりましたが、この問題について、現在厚生省としてはどういうようにこの状況を把握されているか、ちょっとその辺を説明していただきたい。
#450
○幸田政府委員 私どもといたしましては、大臣がお答えを申しましたように、一般に開放することが基本的には望ましいと考えております。
 関東逓信病院の場合は東京所在でございまして、具体的には東京都知事が地方社会保険医療協議会に諮って保険医療機関の指定を行う、こういうことになるわけでございますので、私ども東京都知事に対しまして、できる限り早く御趣旨に沿うような格好になるよう、さらに指導をしてまいりたいと思っております。
 御指摘のとおり、現在一般開放されていないのは東京都所在の職域病院だけでございますので、さらに一層努力をいたしたいと考えております。
#451
○竹内(猛)分科員 過般の法律の改正によって三月一日から実施される医療費の改正の中身の問題の中で、「個人開業医を中心とする診療所がかかりつけの患者を病院に紹介したり、あるいは逆に、病院が退院患者のアフターケアのため入院中の検査データなどを添えて診療所を紹介した場合は、保険から「紹介料」を支払うことにした。病院は入院、診療所は日常の健康管理を含めた外来、という役割分担を明確にするとともに、両者の提携関係を密接にするのがねらいである。」こういうふうにある新聞は書いております。このように、地域医療と、それから職域の医療との関係の結合、あり方というものについては、それぞれの分担をしながら、同時に両立をしていくような努力をしていかなければならぬ。
 それで、問題はやはり病院なりお医者さんというものと患者さんとの関係は信頼関係である。信頼関係のないところにその繁栄はないわけでありますから、ぜひ、こういう地域分担をしながら、同時に、両方がやっていけるようにする。そして、御承知のとおりに、確かに病院から東京都に申請をして、知事はこれを一定の審議会にかけて、その中から答申を得て判断されると思いますけれども、一挙にこれをやれと言うわけにはいかないが、とにかく方向としてはやはり一般に開放していくことについての方向性を明らかにしながら、同時に段階的に開放の方向に向かっていくということについては問題はないだろう、こう思いますが、これはいかがですか。
#452
○増岡国務大臣 よく地方でも、従来から大病院と開業医とのトラブルは過去にございましたけれども、また、それぞれが今先生の御指摘のような観点から、話し合いをすることによって持ちつ持たれつの関係を保っておるのが私はほとんどだろうと思います。したがいまして、この問題につきましても関係者の間で本当に実情に即した話し合いをなされるよう、東京都に対してもまた一段と指導をしてまいりたいと思っております。
#453
○竹内(猛)分科員 今大臣が言われたように、一般開放ということを方向性として持ちながら、段階的には、それぞれの従来の経過もありますからそれを尊重しつつ、将来地域の医療機関との間では調整をしながらこれを進めていくようにぜひ進めてほしいと思います。そういうことがあの立派な技術とそれからドクターを有効に使うことであるし、それは社会のためにも世間のためにも大いになることだ、こう考えますから、ぜひその方向で進めていただきたい、こういうふうに思います。
 そこで、次は農林省の方にお尋ねしますが、日本の農業は今現在、国際的には貿易の自由化、国内では財界を中心とした行財政の改革という中で、食糧の自給率は非常に下がっている。しかも、それだけじゃなしに農地が少なくなっている。それから農村の労働力が老齢化して、六十歳以上の者が非常にふえた。それから女性の労働力というのが六割以上になっている。高校、中学を卒業した者が一〇%以上残らない。後継者も非常に少ない。こういうことになると、この農業はそれ自体が大きな病気にかかったような状態であって、まず農業の基本的な病気というものを治さなくちゃならない。そのために六十五年を展望した長期農業展望、八十年代の農政の方向というものをつくった。これは閣議決定をしてつくったが、あれは米の問題を除いては大方目測を誤っている、狂っている、これはやはり直してもらわなければ困ると思うのですね。まずこれについて、責任者としてどう考えられるのですか。
#454
○近長説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、農村の人口というのは、高度経済成長期に若い入から他産業に出ていったわけでございます。それからもう一つ、今私たちが抱えている大きな問題の一つとしては、農家の年齢が非常に高齢化してきているということでございまして、全体よりもむしろ十五年とか二十年くらい農村の方が高齢化しているのが実態でございます。したがいまして、これからこのような現実を踏まえながらどういうふうにして新しい展望を切り開いていくかということでございます。
 今御指摘の昭和六十五年を見通した長期見通しあるいは八〇年代の農政の基本方向でございます。当時、農政審議会を中心にしましていろんな方々の御意見を拝聴したわけでございまして、現実に農作物の状態で申し上げますと、ミカンでございますとか生糸のように需給関係が当時とはかなり違ったことがございますが、お米を中心としましておかげさまで大体全体としては長期見通しの線に沿っているわけでございます。それから、当時課題として掲げられたことにつきましてもかなり幅広い議論がございましたので、おおよそその中ではございますが、ただ御案内のように内外ともに大変厳しい状況でございますので、私たちとしては、毎年毎年予算編成の際にそういうような実態を踏まえながら一つ一つ課題を解決しなければいけない、かように考えております。
 なお、御指摘の全体の見直しの問題でございますが、今申し上げましたように一部の農作物を除きますとおおよそ当初の見込みと合致しているものでございますので、現時点でこれについて改定をするというようなことについては私たちとしては考えていない状況でございます。しかし、農政というものは常に現実を踏まえながら進んでいかなければいけないことでございますので、毎年毎年の新しい政策を進めるときには、先生御指摘のようなことも踏まえながら十分に対処していきたい、かように考えております。
#455
○竹内(猛)分科員 ここは農林水産委員会じゃないから余り農業のことをやるとぐあいが悪いのですけれども、しかしそういう答弁をするとやはりこれは言わなくてはならないのだな。
 例えば養蚕の問題、これは法案が出ているけれども、四十万俵というものを六十五年度に展望して、現在は二十七万俵もようやっとということ。それで十三万俵をどうにかこうにかしなくてはならない。在庫がたまって仕方がない。そこで法案を出して農家の手取りを抑えていかなければどうにもならないという状態になっている。十三万戸の農家というものをつくらなければならないというのに、現在それは十万戸を割ってしまっている、こういうようなものは狂ったと言うよりほかないのだよ。それから卵にしてもそうですね。米は確かに過剰になって抑え込んできているけれども、これ一つ一つとってみれば、どれ一つだって六十五年の展望に沿ったものはない。人口においてしかりなんだ。
 だから、こういうことになると、よく国会ではGNP一%という形で一週間くらい予算委員会を休業したけれども、しかしこれだって農政審議会の議を経て閣議の決定をしているんだよ。そういうことであって、農業も、食糧は重要な安全保障ですよ。その安全保障の農業について、自給率が落ちているということについてその基本的な見通しが大きく狂っているのに、まあそれはそのときそのとき考えるということでは困ったものだ。これはやはり大胆に見直しをする、そして現状に沿った形で出直しをする、そのくらいのことはやはり、あなたは農林省の責任者だからね、大臣じゃないけれども、やがて大臣になるかもしれないが、今のところは責任者だ。だからそれを率直に、厚生大臣はよく聞いてもらって、そしてやらなければこれはまずいですよ。どうです。
#456
○近長説明員 養蚕及びかんきつについては、竹内先生の御指摘のように、当初私たちが想定した以上に需要が減退してきております。したがいまして、特に養蚕につきまして、またかんきつについても同様でございますが、今回法案を国会の方に御提出いたしまして、十分御審議いただきながら一つ一つの作物の問題をどうやって解決していくかということが私たちとしても大変重要な問題でございますので、そういう国会の御審議を経ながら、特に今御指摘の養蚕とかかんきつの問題については万全な対策を図っていくように考えていきたいと思います。
#457
○竹内(猛)分科員 そこで、そういう日本農業が持っている根本的な病原というものについては、これは厚生省に頼んで治してもらうわけにいかないから、やはり全体として手入れをしなければならないことでありますが、農政審議会の議を経て、農業基本法の条項もあるわけだから、長期展望というのは農政審議会を開いて、そこで委員各位の意見を聞いてその中からやはりやり直しをする、それくらいのことはできないはずはない。
 そこで、きょうは農村の中の病気の問題について質問をしたいと思うのです。
 私のところの茨城県では、農協の病院が各地にあってそれぞれ対応をしておりますけれども、全国から見るとやはり過疎地帯があり無医村もある、そういうところに病気がまだあります。この病気はいろいろ調べてみると、過労、高血圧、低血圧、それから神経系統もあるし血液の系統もありますし、いろいろありますが、少なくとも三分の一は直ちに入院治療をしなければならないという状況であるし、もう三分の一くらいは通院を要する、本当に健康だという者は二二%くらいしかないということが私のところのある調査によって出てきている。全部がそうじゃないと思いますけれども、こういう事態というものは容易でならない状態だと私は思う。
 これについて、最初に農林省の方にどのように対応されるかということをお聞きしながら、同時に、病気の問題でありますから厚生省の方からもこれに対してお答えをいただきたい。
#458
○近長説明員 農村の現実の姿は労働力のかなりの部分が女子になっているというようなこともございまして、私たちとしては健康の問題というのは大変大事な問題だというふうに考えております。それからもう一つは、御案内のように農業というのは農家自身がみずから経営しているというようなこともございますので、特に農作業を通じての全体として季節ごとのいろいろな不規則な問題もございます。それから、農業の労働作業の点につきましても作業環境が一様でないというようなこともございますので、従来から特に農業生産との関連をいろいろなことを考えながら、実態調査をしながら、それぞれの問題が生じたときにはいろいろな機関にもお願いしながら対策を私たちなりに講じてきているところでございます。
#459
○大池政府委員 厚生省におきましても地域の健康づくりということで各種の施策を講じているところでございまして、その中でも農村の占める位置づけというものは重要な位置づけとなっているわけでございます。すなわち中高年層におきましては、老人保健法によりまして四十歳以上の者に対しましての健康相談、健康診査等を中軸にいたします総合的な保健事業を実施しておりますし、また、農村保健対策事業ということで四十歳未満の方々に対しましては健康診査を行いまして、農村特有の疾病に対する施策を講じているところでございます。また、農村におきます保健医療施設につきましては、農村検診センターの設置の助成あるいは健康管理指導者による各種の健康づくり活動に対する助成の推進を図ってきているところでございます。また、医療施設の整備につきましても、厚生連等の公的病院あるいは農村地域に所在する自治体病院等に対しまして、必要に応じて施設設備の整備についての助成を行ってきているところでございます。
#460
○竹内(猛)分科員 最後に、日本専売公社と電電公社からそれぞれ岡島さんと中原さんがお見えでありますから、一言、病院の開放問題についてお言葉をいただきたいと思います。
#461
○中原説明員 ただいまの関東逓信病院の一般開放の問題につきましては、それぞれ御説明賜りましたような状況であることは間違いのないところでございます。私ども、十四病院ありましたうち、十三病院を開放してきたということは、当然関東病院もこのようにやっていきたいということにつながる問題でございますが、何分にも非常に大きな病院がある地域にあるわけでございまして、それぞれ長い沿革を持って今日までまいりました。こういう関係を無視して物事を動かしていくということは不可能なことだと考えております。したがいまして、関係各方面の御理解を得るように鋭意努力をいたしますが、残念ながら今のところその工夫、努力がまだ足りなかったものであると自戒しておるところでございます。
 ただいま申し上げましたように、今後とも関係各方面と誠意を持って十分話し合いを持ちまして、円満な形で一般に御利用いただけるように持っていきたい、そのように懸命に努力しようと思っておるところであります。よろしく御指導賜りたいと思います。
#462
○岡島説明員 私どもの方は五十六年の二月に保険医療機関の指定申請を行いまして、それ以後、一般開放が円満に実現できますように医師会の方と話し合いを進めてまいりました。実は私どもは公社として誠心誠意熱意を示したつもりでございますけれども、地域医療というものに対する考え方につきまして、私どもも反省いたしておりますけれども、どうも十分な御納得が得られないということで今まで推移をしてきたわけでございます。昨年の春以降になりまして、東京都の御指導もありましたし、また都の医師会のあっせんもございまして、私どもの病院が地域医療におきましてどういうような役割を果たすかということでいろいろ話し合いを進めてまいりまして、地域の医師会もそれらの事柄につきまして話し合いのテーブルに着いていただけるのではないかという感触を得るに至りまして、私ども今、鋭意話し合いを進めているという段階でございます。
 先ほど先生御指摘のように、私どもはこの四月から民間会社にかわるわけでございます。この六十年の三月末というのは一つの節目でございまして、そこにすべての決着を求めるということではございませんけれども、指定を申請いたしましてから既に相当期間を経過しているということがございますので、できるだけこの間に何らかの展望を得るようにしたいということで、現在鋭意話し合いを進めているところでございます。これからもよろしく御指導のほどを賜りたい、このように存じております。
#463
○竹内(猛)分科員 以上のようなことですから、どうぞ厚生大臣、よろしくその御指導をいただきたい、こう思います。
 以上で終わります。
#464
○山下主査 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。
 次に、青山丘君。
#465
○青山分科員 大分お疲れのところを大変恐縮ですが、ひとついま少しおつき合いをお願いいたします。盛りだくさんの質問内容を持っておりますので急いでいきますから、ひとつよろしくお願いいたします。
 まず最初に、歯科医師の定員問題についてお尋ねをいたします。
 私は数年来この場において、歯科医師の定員問題についてこのまま放置しておいてはやがて大変な事態になる、そう言って厚生省の態度、方針を尋ねてまいりました。しかし、まだ具体的な措置がとられないまま今日に至っているのであります。
 昨年八月の健康保険法改正に際しましても、「適正な水準を確保すること。」こういう附帯決議がつけられておりますし、関係諸団体においても再三意見を発表してきているところでありますけれども、厚生省の腰はなかなか重いようであります。そういった意味で、昨年末に出されました将来の歯科医師需給に関する検討委員会の中間報告は、細部においてはまだ問題がありますけれども、一歩の前進であるというふうに私は受けとめております。
 報告の中に、歯科医師過剰がもたらす問題として四点指摘されておりますが、これらはすべて国民経済の視点からのものでありまして、一つだけ、歯科医院経営側の視点についてが欠落しているのではないかと私は思います。また、委員会の中では歯科医師淘汰論、こういうものが根強くあったと聞いておりますが、国が歯科医師をふやすだけふやしておいて、あとは医師がそれぞれに競争して、負けた者は去っていけ、こういう自然淘汰論が背景にはあるのかどうか、また、歯科医院経営側の視点についての御見解をどのように理解しておられるのか、まずお尋ねがいたしたい。
#466
○吉崎政府委員 まず後段の方からでございますが、確かに、医科、歯科ともにそうでございますけれども、一定の競争は必要である、こういう観点であると理解をいたしております。しかしながら、過当競争は結局国民のためにならないのである、こういうことで整理をされておると理解をいたしております。
 それからまた、歯科医院、医療機関の経営の安定ということは、適切なる歯科医療を確保するためにも大事な課題であり、この検討委員会におきましてもそういう議論もなされております。最終的な取りまとめは御指摘になりました四つの視点に集約されておりますけれども、そういう観点から議論されておることを御報告いたします。
#467
○青山分科員 そこで、大臣に総括的なお考えを聞かしていただきたいと思いますが、この中間報告によりますと、「歯科医師供給の将来推計」というものが、現在、人口十万人当たり五十五人の歯科医師数、これが十五年後の昭和七十五年には人口十万人当たり八十三人、さらに四十年先、昭和百年には百二十一人と、「将来の歯科医師過剰の影響は深刻なものがあり、現在の時点で早急に対策を講ずる必要がある」、こういうふうに中間報告では結論を出しております。今回、昭和七十年を目途に二割削減という具体的な提言がなされておりますが、これについての御見解を伺いたいと思います。これが第一点。
 それから、この報告では、過剰を生じた時点において対応しても直ちに効果が得られない、こういうふうに指摘しておりまして、さらに、早期にかなり思い切った措置を講じない限り、今後極めて長い間、我が国の歯科医師数は増加し続けるであろう、こういうふうに指摘して、将来の憂うる状況の到来を予測しております。しかし、この報告を待つまでもなく、数年前から今日の歯科医師過剰時代を指摘して行政の適切な措置を求め続けている歯科医師会などでは、今回の二割削減では少し無理であろう、問題が解決しない、実際は四割、五割くらいの削減をしていかなければならないという声があると聞いておりますが、どう受けとめられますか。
 次にもう一点、さきの中間報告の中で、歯科医師の新規参入二割削減の方法としては「入学定員の削減、卒業者数の削減、国家試験合格者数の削減等が考えられる。」とありますが、厚生省としてはこれら三点について具体的にどのように進めていかれる考えなのか、あわせてひとつ御見解を伺いたいと思います。
#468
○増岡国務大臣 御指摘のような歯科医師過剰問題で、最低限の目標として昭和七十年を目途に二〇%削減すべきであるという中間意見を御提案いただいておるわけでございます。これは、今申し上げましたような最小限の目標でございますので、今後、またいろいろな検討を重ねた結果においてさらに対応する必要があるかどうかということも考えなければならないと思っておるところでございます。ただ、四〇%、五〇%という数字が妥当であるかどうかということもあわせて検討をさせていただきたいというふうに思います。
 それから、削減する具体的な方法としては、入学定員の削減、卒業者の問題、国家試験合格者の削減がございますけれども、私どもといたしましては、やはり入学定員の削減を行う方がほかの方法よりもより摩擦が少なく、順当であろうというふうに考えておるわけでございます。なお、そのことにつきまして、文部省に対して検討をお願いして、文部省の方でもその後対応をいろいろやっておられるところでございます。
#469
○青山分科員 恐らく入学定員の削減というのが一番実効の上がる方法であろうと私も実は思っています。
 しかし、ここに一つ問題がありまして、厚生省なり文部省なりの方針が、国公立の大学でありますと比較的浸透するのですけれども、歯科の場合ですと私立大学が相当な部分を占めているのですね。入学定員三千三百八十名のうち、国立が八百六十名、公立が百二十名、私立二千四百名、こういうことになってきております。結局、私立の歯科大学が相当な影響を受けるわけでございまして、この点も、実は先般の予算委員会で民社党の塚本書記長が文部大臣に質問をいたしました。慎重に対応していく、こういう御答弁でありましたが、厚生省のお立場でこれらの問題をどのように考えておられますか。
#470
○吉崎政府委員 御指摘のとおり、歯科と医科との非常に大きな違いの一つがこの私立の占める割合でございます。確かに、当面の措置として二〇%削減をする、御指摘のように私立歯科大学が影響を受けることが考えられるわけでありますけれども、厚生省といたしましては、先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、文部省に対しまして削減についての検討をお願いしておるところでございますけれども、私どもといたしましては、文部省におかれて適切な措置がとられることを期待しているものであります。
#471
○青山分科員 定員問題は、これからも歯科医療問題では重要な政治課題になってきますので、折々に触れさせていただかなければならないと思います。私は、厚生省の一つの態度、方針を明確に打ち出して努力をしていただきたい、これからもまたお尋ねをしていきたいと思っております。
 事業税の非課税について、厚生省の御見解を伺っておきたいと思います。
 医療は、医療法第七条第四項の規定によって営利目的が否定されております。さらに、人命救助、救急医療、地域医療等の社会的公共性が極めて高く、他の業種と異なった性格を持っております。
 さて、今回事業税の非課税が存続となりましたが、本質的には、事業税は事業に対する課税でありまして、その課税標準は事業収益であります。肉体労働や技術的報酬に課税するということは不合理であると思います。また、一般の商工業者は容易に、個人事業を法人化することによって事業所得の大部分を給与所得に転化させることにより、これが課税を回避できるわけでありますが、歯科医師の大部分は医療法の規定によって法人化が禁止されている現状であります。今後の事業税の課税は極めて不公平になるのではないかと思いますが、どうでありましょうか。
 そこで確認させていただきたいのは、今まで原則的に事業税込みの診療報酬の点数になっておらない。事業税は含まれておらないが、さて、これから事業税を課税される考え方が相当強く出てくるのかどうか、厚生省としての見解を伺っておきたい。それから、もし事業税が課税されるということになれば当然診療報酬にも影響が出てくるのだが、この点についても御見解を伺いたい。
#472
○吉崎政府委員 そもそも医療は、人間の生命や健康にかかわる非常に公共性の高いものであることは御指摘のとおりであると存じます。とりわけ社会保険診療報酬に係る社会保険医療は、国民皆保険という国の施策に協力して社会保険診療報酬という公的な価格のもとに国民に必要な医療を提供するものでございますから、極めて高度の公益性を持っているものと考えております。
 そのような社会保険医療の性格を考えますと、従来の社会保険診療報酬についての税制上の取り扱いはそれなりの合理的な理由があると考えておるものでございます。
#473
○幸田政府委員 後段の診療報酬の問題でございますけれども、診療報酬につきましては、医業経営の安定を図りまして良質な医療を確保するという側面と、それからもう一つは、医療費適正化という観点から合理化を図っていくという側面とがございます。
 この三月から実施をいたす医療費改定も、こういった方針に沿いまして中医協で診療報酬の合理化について御意見のまとまったものを実施することにいたしたわけでございますが、今後とも私どもはこういった方針に沿いまして、すなわち良質な医療を提供するための医業経営の安定という観点も踏まえまして、適切にこの問題に対処してまいりたいと考えております。
#474
○青山分科員 歯冠修復、欠損補綴についてお尋ねをいたします。
 入れ歯についてこういう判例があります。入れ歯を外してテーブルの上に置いてありました。このとき争いとなって、その入れ歯がけ飛ばされて下に落ちて割れてしまいました。この場合は、その入れ歯は器物損壊になるのだそうです。つまり、茶わんやお皿が割れたのと同じ。ところが、実際に自分の口の中に入っていたときに争いになって、口の中で入れ歯が割れたときには身体傷害罪になるのだそうです。ですから、現在では外にある入れ歯は物という考えなのだそうです。
 しかし、歯冠修復、欠損補綴は、患者の口の中に入れば、これは機能回復のための人工臓器で人体の一部だと思います。物であって物でないという解釈がそこにあって技術評価は低いのではないか、診療報酬も諸外国に比べて日本は低いのではないか、こんな考え方があります。
 この点について私は一昨年もお尋ねをしておりますが、文台築造についてはどうか、また指導及びアフターケアの重視、これらについてはどうか等々も含めて、診療報酬の点でお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#475
○幸田政府委員 診療報酬の体系は国によって異なるわけでございまして、単純な比較は難しいのではないかと考えております。診療報酬を私どもが作成いたします際には、各診療行為のバランスあるいは全体としての医療機関の健全な経営ということを念頭に置きながら設定をいたしているわけでございます。
 ただいま御指摘のございました歯冠修復並びに欠損補綴の技術料の問題でございますけれども、それだけを取り上げますと、単純に比較いたしますと低いわけでございますが、今回の医療費の改定に当たりましては、特に技術料の評価をこの歯冠修復と欠損補綴については行ったところでございます。
 また、一昨年に先生から御指摘のございました支台築造のための支台築造料の新設、それから欠損補綴のアフターケアのための有床義歯指導料の新設、あるいは患者の指導、予防のための口腔衛生指導料の新設というようなことを今回新しく行ったわけでございまして、御趣旨に沿うように技術料の重視に焦点を合わせて今後とも逐次考えてまいりたいと思っております。
#476
○青山分科員 歯科材料価格基準についてお尋ねしたいと思います。
 歯科材料価格基準に収載されるものは口の中に残るものと限定されておりますが、歯科医療には自然治癒がありません。ほっておくと自然に治るという筋合いのものではありませんし、ハンドメイドであります。例えば入れ歯の型をとる印象材などは口の中に残らないので材料価格基準に入っておりませんが、しかし、近年これらの中間消耗材料が相当高騰して、出費が多くなってきております。技術料に食い込んできているというのが実情であります。
 そういう状況でありますので、材料価格基準というものを口の中に残るものと限らないで、中間材料もある程度評価していただく必要があるのではないか、中間材料もぜひひとつある程度評価していただきたい、そういう点でぜひ見直していただきたい、こういう声が非常に強くあります。いかがでしょうか。
#477
○幸田政府委員 印象材等の中間消耗材料について、それだけを評価しろという御意見があることは私どもも十分承知いたしておりますけれども、何分にも中間消耗材料の種類が非常に多いということ、それから、別に評価をいたしますと診療報酬請求事務の煩雑化を招くというような問題がございますので、私ども技術料に包括して評価するということでやってまいっております。今回の医療費改定におきましても、中間消耗材料の価格上昇をも勘案して技術料の引き上げ設定を行ったところでございます。
#478
○青山分科員 三月一日より医療費が引き上げられることになりましたが、これは公務員ベア三・四%、消費者米価三・七%を横目で見ながらはじき出された数字だと言ってもよいと思います。しかし、今回の三・三%の引き上げも、医療費ベースで薬価と材料価格の落ち込みを差し引いてまいりますと、実際に計算してみると一・二%にしかならないということであります。これは、公務員ベアや消費者米価に見合うだけの医療費の引き上げをするということになると、差し引き分を上乗せして五・五%ないし五・〇%ぐらいの引き上げにならなければおかしいのではないかと思います。
 また、初期の一点単価の改定のときを除きまして、昭和三十三年の甲乙表の設定以来昭和五十九年までの二十六年間に約十八回の医療費の改定がなされたということでありますが、そのたびごとに後追いの改定であった、そしてその内容の多くは中医協の場における力関係で決定されてきた、こう言っても過言ではないと思うのです。試みに昭和四十九年から五十八年までの最近十年間の賃金、物価の上昇率と医療費の改定率を比較してみますと、国家公務員の賃上げ率は五三%、消費者物価は五四%、その間に医療費の改定率は三〇%、ところが薬価の切り下げ分を医療費ベースで差し引きますと、実質は一八%の伸びであった。これは今回の一・二%よりも少しよい。十年間に一八%で一年で平均して一・八%。やはりこういうことでは良質な医療が保障されていくという方向にはならないと思うのです。どこかで生きる道を探さなければいけない、こういうところに一つの問題があると私は思う。
 そういう意味で、医療費の引き上げについてどのような方針で取り組んでいかれるのか、お尋ねをいたします。
#479
○幸田政府委員 診療報酬の問題につきましては、やはり良質な医療を確保するための医業経営の安定という観点と医療費の適正化を図るという観点、二つの観点が必要だと私ども考えております。中医協におきましては、一昨年以来そういった観点に立ちまして種々御論議をいただいておりまして、御論議がまとまったものを逐次実施をいたしております。
 昨年の場合には三月、また本年の場合にも三月から、中医協の合理化議論の結論がまとまった事項について改定を行っているわけでございまして、私ども先ほど申し上げました二つの視点に立ちまして、今後とも中医協の御論議に沿って医療費問題に取り組んでいきたい、かように考えておるわけでございます。
#480
○青山分科員 中医協に諮問をするのは厚生大臣で、厚生大臣にいろいろな苦情や陳情が殺到してようやく中医協に諮問されて、後追いで改定されてきているのに、厚生省が中医協の意向に沿ってというのでは、これは卵が先なのか鶏が先なのかという問題になってしまいます。医療行政は厚生省が先導的に進めていくという気構えを持って、後追い行政ではない医療費の改定をきちっとやって、技術料の評価もしてということで良質な医療を確保していくという方向がなければいけないと私は思うのです。
 最後に御所見を承って質問を終わります。
#481
○増岡国務大臣 私どもは常時適正な診療報酬をということを考えるべきだと思います。御指摘のようなことでありますけれども、ただ、診療報酬の中に占める人件費の割合等がございますので公務員給与と横並びというわけにはまいらなかったというのが昨年の状況であろうかと思うわけでありますけれども、ともかく良質な医療を確保し、またそれが再生産につながるような診療報酬というものは常に考えておかなければならないものであると思っております。
#482
○青山分科員 ぜひ努力をしていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
#483
○山下主査 これにて青山丘君の質疑は終了いたしました。
 次に、中島武敏君。
#484
○中島(武)分科員 私は国立病院、療養所の再編成問題についてお尋ねしたいと思います。
 臨調答申及び新行革大綱の具体化のために設けられたものと思いますけれども、国立病院・療養所再編成問題等懇談会が設置されまして、その意見書、「国立病院・療養所の再編成等について」が出されました。そのため、国立病院、療養所の医師、看護婦、職員等はもとより患者も大変な不安に突き落とされておるわけであります。きょうは時間の制約も厳しいので、具体的な問題を通じて再編成問題について伺いたいと思います。
 東京、北区に国立王子病院があります。この病院が地域医療に果たしている役割は極めて大きいものがあります。東京北区で唯一の総合病院です。北区には類似の機能を持つ相当規模の医療機関はほかにありません。救急医療センター、救急告示病院として果たしている役割もまた大きいものがあります。
 さらに、高度医療においても非常に重要な役割を果たしております。人工透析では小出先生がおられます。患者数も大変多く、国立病院の中でも有数なものと思うのです。近隣各区にはこれだけの人工透析患者を扱っているところはありません。患者が老齢化するために合併症が多くなっておりますけれども、それにもかかわらず透析患者の一年生存率は九〇%を超えて一〇〇%に近いわけであります。人工関節では西先生がおられます。西武人工関節を施療しておられます。肝臓病では、院長の井上十四郎先生、井上登先生がおられまして、劇症肝炎の治療におきましては独自の血漿交換療法を開発して、救命率五〇%、非常に大きな貢献をしているわけであります。
 そこでお伺いをしたいのですけれども、この王子病院の場合に、訓令定床は二百六十一床であります。懇談会の意見書を見ますと、統廃合の対象として挙げられておりますのは、「近隣に類似の機能を有する相当規模の医療機関がある場合で、」「三百床を下廻る程度の規模の施設が検討の対象となるであろう。ただし、三百床という目安は、担うべき政策医療の内容等によって弾力的に考えるべきである。」そういう国立医療機関とされております。
 それで、この国立王子病院の場合に、統廃合の対象となりますか、この点を伺いたいのです。
#485
○大池政府委員 懇談会からちょうだいしております意見書によりますれば、ただいま先生がおっしゃいましたようなことを考慮して検討の対象とすべきであるという御意見でございます。私どももこれを大変貴重な御意見として受けとめているわけでございますが、このような御意見を参考としながら国立病院の機能の明確化、具体的な指針作成というようなことを現在作業しているわけでございまして、その指針が作成された後六十年度じゅうをめどといたしまして、具体的な施設ごとにそれに照らし合わせまして再編成等の対象とすべきかどうかというようなことを行うわけでございます。
 したがいまして、先ほどかなり具体的に御指摘のありました特定の病院についてこれはどうかという点でございますが、まだそういう指針も策定されておりませんので、現段階では何とも申し上げかねるわけでございます。
#486
○中島(武)分科員 今、局長は再編成の指針をつくられるということを言われました。この指針をつくる場合に、懇談会の意見書をストレートに具体化をした指針をつくられるのか、それとも、懇談会の意見を参考にしながら厚生省の見解に立って独自の指針をつくられるのか、この点はいかがでしょうか。
#487
○大池政府委員 国立病院、療養所問題につきまして造詣の深い各界の専門家、学識経験者の御意見を拝聴したわけでございまして、その御意見でございますので、私どもとしましてもそれを十分反映させたようなものを考えたいと思っておりますけれども、具体的にどのような形の指針になるかというのは現在作業中でございまして、まだ明確な形にはなっておりません。
#488
○中島(武)分科員 この懇談会の意見書ですが、これは厚生省の方で正しい内容のものだというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、また、厚生省の見解とも一致するというふうにお考えになっておられるのかどうか、その点を伺いたいと思います。
#489
○大池政府委員 厚生省におきましてもかねてより国立病院、療養所の問題は私どもの責任において検討をしてきたものでございますが、それとは別個に関係の学識経験者の方々の自由な御意見を拝聴したということでございまして、それぞれ独立したものでございますけれども、考える基本的な方向としては一致しておるということでございます。
#490
○中島(武)分科員 この国立王子病院の場合ですが、板橋には日大病院があり、帝京大病院があり、また養育院の病院もあります。しかし、北区には総合病院はないのです。しかも、先ほど申し上げたように、国立王子病院の場合には内容としては高度医療を実施しておる。また、地域医療の中核病院としての役割も果たしている。確かに訓令定床からいえば三百床に満たないのですけれども、こういうところを対象にするというのは大変な問題だというふうに私は思うのです。まだこれから指針をつくって、その指針に基づいてどの病院をどうするということはこれからの問題だという先ほどの答弁なんですけれども、私は今局長の答弁を聞いていて、やはり国立王子病院なんかの場合にはこの対象から外すべきじゃないかということを重ねて思うのですけれども、どうですか。
#491
○大池政府委員 今回私どもが検討いたしております国立病院、療養所の再編成のねらい、目的でございますけれども、これはあくまでも新しい時代を見据えまして、国民の医療需要の変化に的確に対応し、かつ全国の医療の分担関係をこの際によく考えまして、国において担当することがふさわしい医療機能というものを明確化し、そういった分野におきます機能の充実、質的な強化を図るということが主要な眼目でございます。したがって、そのようなことを達成していくためには再編成というような方法でこれを達成していこうという趣旨のものでございますので、御指摘のような個別の病院の機能につきまして、そのどれをどのように組み合わせてより質的に強化を図るかというのは挙げて六十年度の作業で対処してまいりたいということでございますので、御理解を賜りたいと思います。
#492
○中島(武)分科員 もう一つ伺います。
 私先ほど申し上げたことなんですけれども、腎不全あるいは劇症肝炎あるいは関節治療というものにおいて国立王子病院が行っている医療というのは、高度医療ではないのですか。この点はどうですか。
#493
○大池政府委員 ただいま御指摘になりましたような例示、それぞれ高度医療の重要な要素となるべきものだと考えます。
#494
○中島(武)分科員 今医療が採算本位になりつつある、そのためにお金を持たなければ医療を受けられない、こういうところから医療に対する不信感が非常に増大をしてきていると私は思うのですね。国立病院の場合には不採算でも患者のニーズにこたえて大変喜ばれている、医療の水準も高い、ですから国立なら安心だという安心感がありますし、国立医療機関に対する期待というのも非常に大きいですね。だから、全国で三千三百二十五自治体がある中で二千四百七十九の地方議会、七四・六%に相当しますが、こうした地方議会で国立医療機関の存続、それから強化充実という決議がなされているのです。
 大臣、高度医療の名のもとに再編成あるいは移譲を強行するということになったら、国民の国立医療機関に対する期待を裏切ってしまうことになると思うのです。絶対そんなことをやってはいかぬと思うのですね。先ほどからの局長の答弁では、個々の問題についてはなるほどこれからという段階だということはわかりますけれども、今国民の国立病院、療養所に対する期待が非常に強いというときに、再編成とか移譲とかというようなことをやってはならぬと思うのです。この問題についての大臣の見解をぜひお聞きしたいと思うのです。
#495
○増岡国務大臣 医療機関は国立、公立、民間それぞれ果たすべき分担がある意味ではあろうかと思います。国立は、国立てあるからには高度な機能を持ったものでなければならない、それを充実させるためにも再編成を行なわなければならない。私は、今日本じゅうの国立病院あるいは療養所が全部高度な機能を持っているとは考えておりません。むしろ、国立という名前によって実力以上に――王子病院のことは知りませんよ、そういう意味ではありませんけれども、評価されておるという面があり得ると私は思うわけでございます。ですから、そういう観点を貫いていかなければならない。
 それでは、何をもって高度機能というかということになりますと、これは専門家の御判断にまたなければならぬと思いますけれども、このごろのことでございますから、むしろ民間の病院の方が進んだ医療機関を備えておられる場合もあるわけでございますので、そういう面からの見直しはやっていかなければならないというふうに思っております。
#496
○中島(武)分科員 国立病院、療養所あるいは公立の病院、民間の病院、それぞれ役割分担ということが全く必要でないなどということを私は申し上げるつもりはないのです。しかし、そういう役割分担とかあるいは高度な医療とかいう名前で再編成を強行するということになったら、これは重大な問題だというふうに思っているのです。
 ちょっと時間もあれですから、その次の問題について伺いたいのですけれども、国立王子病院の看護婦、助産婦の労働条件の問題です。
 この病院に対して患者も非常に大きな期待を持っておりますが、病院の機能を充実させるということは非常に大事なことです。同時に、職員の労働条件も改善しなければならないと思うのです。ところが、王子病院の看護婦、助産婦の平均夜勤日数は一カ月のうち十一・四日であります。十一日以上という人たちが五十八名に達しております。これは既に御存じのことですけれども、昭和四十年に、複数、万八日以内にせよといういわゆる二・八体制が人事院判定として出された。昭和四十五年には両三年をめどに人事院判定を実行することという国会決議が採択されております。それにもかかわらず、いまだに国立病院でありながらこういう状態にあるということは大変遺憾なことだと思うのです。ぜひ改善の努力を要請したいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#497
○大池政府委員 ただいま御指摘の点については、全体といたしまして国立病院、療養所の看護体制の増強を図るべく、逐年その増員措置につきましては強化を図ってきておるところでございます。
 しかし、御承知のとおりの極めて厳しい定員事情という中での対応でございます。国立王子病院につきましては、先ほど御指摘のありましたような実態があることも承知しておるわけでございまして、このようなことから、国立王子病院の夜間看護体制の要員という趣旨で五十八年度、五十九年度は看護婦の増員を各一名ずつ図っておるところでございます。今後ともそういったような観点からの努力は継続したいと思っております。
#498
○中島(武)分科員 努力をしていくということなんですけれども、これは実際、努力努力でもう随分日がたっているのですね。そういう点では、いついつまでに人事院判定に沿ってちゃんときちっとした体制をつくり上げるという目標を決めてやる必要があると思うのですけれども、どうなんでしょう。
#499
○大池政府委員 御指摘の点も含めまして、国立病院、療養所の実情にかんがみ、その質的な充実強化を図るという一環としても再編成という問題に真剣に取り組まなければならないと考えて、今対処しつつあるわけでございます。
#500
○中島(武)分科員 そのために再編成という答えが返ってくるとは思わなかったのですけれども、私はこれはいただけない。国民の要求、願いにこたえる、そして同時に働く人たちの労働条件改善のために、一層の明確な努力を要請したいと思うのです。
 次に、別の問題について質問をしたいのです。
 これは国鉄赤羽線十条駅の改善の問題です。
 東京北区王子キャンプ跡地に、都立て心身障害者総合施設がつくられます。障害者児の診療療育、スポーツレクリエーションの拠点となる施設であります。障害者診療施設のうち、診療部門は本年七月診療開始の予定でありまして、外来は一日に二百人が予定されております。また、スポーツレクリエーション施設は六十一年度の開設が予定されております。東京都の予想では、利用者はピーク時で障害者六百人、介護人四百人、合計一千人に上ると予想されております。これはB型施設でありますので国も補助金を出しますから、後で厚生省にも伺いたいと思うのですが、先に国鉄にお尋ねをいたしたいと思います。
 この施設を障害者やその介護者が利用するためには、この施設に最も近い駅、十条駅の改善が必要であります。私は、去る二月二十五日、障害者・児北区連絡会の方々の協力も得て十条駅の現地調査を行いました。その調査に基づいて六項目にわたる要望書を三月四日に提出いたしております。
 中身は、
 一、上り、下りのそれぞれのホームに車椅子で行けるようスロープ専用道路を設置すること(上りは赤羽寄り、下りは池袋寄りの国鉄用地を利用すれば可能です)
 二、身体障害者用トイレを設置すること
 三、車椅子で利用できる公衆電話を設置すること
 四、点字ブロックをホーム全体に延長すること
 五、下りホーム側の券売機の高さをお年寄りや子供が使いやすいように低くすること
 六、今後、障害者の利用が増大する王子駅、および障害者用バスの運行が考えられている池袋駅などについても必要な施設の改善、整備をおこなうこと
こういう内容なのです。
 既に国鉄当局でも検討されていると思うのですけれども、それぞれの項目についてどのように対処されるのか、御答弁をいただきたいと思うわけであります。
#501
○斎藤説明員 お答え申し上げます。
 身体障害者に対します駅設備の改善につきましては、御案内のように大変厳しい国鉄の財政事情のもとではございますけれども、全体の中で必要度などを十分勘案いたしながら、予算の許す範囲で逐次整備を進めてまいったわけでございます。
 ただいまお話のございました十条駅でございますが、先生御案内のように、この駅につきましては周りを道路あるいは民家、それから上下の両側を踏切りで囲まれるというふうなことで、駅本屋あるいはホームなども手狭なままにありまして、一日約六万人の乗降がございます。このような状況の中でございますし、また先ほど申し上げました予算上の事情も多々ございまして、抜本的な改善ということには極めて困難が伴うわけでございますけれども、今後、極めて限られた厳しい予算事情のもとではございますけれども、手のつけられるものから逐次整備をさせていただくというふうなことで、御利用の状況等を見きわめながら検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
 具体的に逐一申し上げますと大変細かくなって恐縮でございますが、かいつまんで申し上げますと、上り下りのホームの点につきましては、専用のスロープを両側からつくってはどうかという御指摘でございますが、一定の勾配をもちましてスロープをつくるためには距離が必要でございます。ごく大まかな検討の結果でございますが、下り側、上り側とも、信号の機器室であるとか、高圧ケーブルといったものが埋設されているというふうなこともございますし、あるいは道路敷の用地の調整等もございまして、先ほど申し上げましたように抜本的な改善になりますものですから、これは極めて困難ではないかというふうに思っております。
 トイレにつきましても、やはりアプローチとか車いすの回転スペース等が必要でございまして、先ほどの狭隘性あるいは予算事情でこれも困難というふうに申し上げざるを得ないわけでございます。
 公衆電話につきましては、これは構内営業ということでございまして、設置者の申請によりまして設置をしておりますが、駅の弘済会の売店に一台、それから駅前広場の方に電電公社の電話が三カ所で六台ばかりございます。駅の構内ということになりますと、ボックスをつくるわけにはまいりませんけれども、売店の利用状況等によりまして弘済会の方でこれは検討する内容だろうと思います。
 あと、点字ブロックでございますが、上下ホームに五十八年の十月に百五十メートルばかりに延長したわけでございますが、その両側につきましては、ホームが二メートルというふうに大変狭くなっておりまして、ここにブロックを設けますとかえって通行上混雑がありまして危険ではないかというふうにも考えておりまして、御利用の状況を十分調査をいたしながら対処してまいりたい、このように思っています。
 なお、券売機につきましては六台ばかりございますが、やや一般よりも高目になっていることは確かでございます。ただ、これは券売機の下の床面が少し高い構造でございまして、これを直すということは大変なことになります。ただ、別途、既にこの券売機の前の客だまりの部分を若干かさ上げするということの具体的な計画を進めておりまして、これにつきましては年度内に実施できるのではないかというふうに思ってございます。
 以上でございます。
#502
○中島(武)分科員 これは十条駅が一番近い訳なんです。それで、さっきも申し上げましたように障害者の総合施設が近々開設される、スポーツ施設も六十一年度には開設される。非常に差し迫っているんですね。そこで、今言われたようなことが全くわからないわけじゃないのですけれども、しかしこの駅が利用できないということになりますと、せっかく施設をつくりましても皆さんに安心して利用してもらうことができない、そういうおそれが非常に大きいのですね。そういう点から言いまして、上り、下りのそれぞれのホームに車いすで行けるスロープというのは、私も現地を見てきているのですけれども、もう一度よく検討していただきたいということです。
 それから、身体障害者用のトイレにつきましても、これもよく再検討していただきたいということ。
 それから、点字ブロックについては、確かに今答弁のあった範囲にはあるのです。あるのですけれども、次の訳なり目的の訳なりの乗りおりの都合上、確かにホーム幅が狭いということはあるのですけれども、延ばしてほしいというのが盲人の方の切なる要求であります。ですから、その点も考慮して、もう一度これは検討していただきたい。
 それから、お答えがありませんでしたけれども、巡回バスの運行というようなことになりましたときには、関係の駅についてもぜひひとつその要求が満たされるように国鉄としては努力をしていただきたいということであります。
 時間もありませんが、それについてお答えをいただくと同時に、厚生省の方にもお願いしたいのですけれども、せっかく施設をつくっても、もし今申し上げたようなことが実行できないということになりますと、これでは何のための施設かということにもなりかねませんので、ぜひひとつ厚生省の方からも国鉄の方に働きかけていただきたいということを要請したいと思うわけであります。
#503
○斎藤説明員 ただいまも申し上げたわけでございますが、東京都の施設等々ということでお話がございまして、今後地元の管理局におきまして、自治体等の関係箇所を通じるなどいたしまして、予算事情はますます実は厳しくなる一方でございますけれども、予算の許す範囲で逐次検討させていただきたいというふうに思っております。
#504
○正木政府委員 公共施設等の整備に当たりまして、障害者の利用を配慮することが望ましいことは申すまでもないところでございます。国鉄におかれましても、従来から誘導警告ブロックの敷設とか改札口の拡幅とかいうことを進めてきておられます。ただいまの点につきましても国鉄当局からるる御答弁がございましたが、いろいろ条件があると思いますが、先ほどの御答弁のようにできるだけの配慮がされるように、障害者の立場を私どもからも伝えてまいりたいというふうに思っております。
#505
○中島(武)分科員 終わります。
#506
○山下主査 これにて中島武敏君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明八日金曜日午前九時から開会し、引き続き厚生省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時四十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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