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1984/03/08 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第四分科会 第2号
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1984/03/08 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第四分科会 第2号

#1
第102回国会 予算委員会第四分科会 第2号
昭和六十年三月八日(金曜日)
    午前九時開議
出席分科員
  主 査 山下 元利君
      小杉  隆君    橋本龍太郎君
      伊藤 忠治君    上野 建一君
      川俣健二郎君    新村 勝雄君
      中西 績介君    松沢 俊昭君
      山中 末治君    田中 慶秋君
      塚田 延充君    横手 文雄君
      吉田 之久君    辻  第一君
      東中 光雄君    藤田 スミ君
   兼務 上田  哲君 兼務 中村  巖君
   兼務 春田 重昭君 兼務 福岡 康夫君
   兼務 宮崎 角治君 兼務 矢追 秀彦君
   兼務 薮仲 義彦君 兼務 渡部 一郎君
   兼務 安倍 基雄君 兼務 三浦  久君
 出席国務大臣
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
 出席政府委員
        社会保障制度審
        議会事務局長  藤田 恒雄君
        外務大臣官房外
        務参事官    渡辺  允君
        厚生大臣官房会
        計課長     黒木 武弘君
        厚生省健康政策
        局長      吉崎 正義君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 水田  努君
        厚生省生活衛生
        局長      竹中 浩治君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        厚生省社会局長 正木  馨君
        厚生省児童家庭
        局長      小島 弘仲君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        厚生省援護局長 入江  慧君
        社会保険庁年金
        保険部長
        兼内閣審議官  長尾 立子君
 分科員外の出席者
        内閣総理大臣官
        房参事官    中川 良一君
        外務大臣官房領
        事移住部領事第
        二課長     池田 勝也君
        外務省国際連合
        局国連政策課長 佐藤 俊一君
        大蔵省主計局主
        計官      小村  武君
        大蔵省主税局税
        制第一課長   濱本 英輔君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 佐藤 國雄君
        文部省体育局学
        校保健課長   下宮  進君
        厚生省健康政策
        局医事課長   横尾 和子君
        通商産業省立地
        公害局公害防止
        指導課長    廣瀬 定康君
        通商産業省機械
        情報産業局電気
        機器課長    広野 允士君
        日本電信電話公
        社営業局長   草加 英資君
        日本電信電話公
        社宅内サービス
        本部長     山本 千治君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月八日
 辞任         補欠選任
  井上 普方君     中西 績介君
  川俣健二郎君     松沢 俊昭君
  吉田 之久君     塚田 延充君
  東中 光雄君     山原健二郎君
同日
 辞任         補欠選任
  中西 績介君     伊藤 忠治君
  松沢 俊昭君     上野 建一君
  塚田 延充君     横手 文雄君
  山原健二郎君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 忠治君     新村 勝雄君
  上野 建一君     山中 末治君
  横手 文雄君     田中 慶秋君
  中川利三郎君     藤田 スミ君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 勝雄君     上西 和郎君
  山中 末治君     川俣健二郎君
  田中 慶秋君     中野 寛成君
  藤田 スミ君     工藤  晃君
同日
 辞任         補欠選任
  上西 和郎君     井上 普方君
  中野 寛成君     米沢  隆君
  工藤  晃君     浦井  洋君
同日
 辞任         補欠選任
  米沢  隆君     横手 文雄君
  浦井  洋君     藤田 スミ君
同日
 辞任         補欠選任
  横手 文雄君     中野 寛成君
  藤田 スミ君     辻  第一君
同日
 辞任         補欠選任
  中野 寛成君     田中 慶秋君
  辻  第一君     東中 光雄君
同日
 辞任         補欠選任
  田中 慶秋君     吉田 之久君
同日
 第一分科員上田哲君、宮崎角治君、矢追秀彦
 君、第二分科員中村巖君、渡部一郎君、三浦久
 君、第三分科員福岡康夫君、第五分科員春田重
 昭君、第六分科員薮仲義彦君及び第八分科員安
 倍基雄君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
 (厚生省所管)
     ――――◇―――――
#2
○山下主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算中厚生省所管について、前回に引き続き質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田哲君。
#3
○上田(哲)分科員 おはようございます。
 私は、年来のテーマであります小児医療を取り上げたいと思います。ひとつさわやかに大臣以下御答弁をお願いいたします。
 厚生省としては、戦後からの形態である国立病院の総合的な再編成を今図っておられるわけでありますけれども、こういう立場で五十九年度中にその指針を出し、六十年度中に再編成のマスタープランをつくり、六十一年度から十年間でそれを進めていく、このように承っております。ぜひ内容のある医療体系の充実に励んでいただきたいと思うのでありますが、特に私が取り上げたいのは小児医療でありまして、特にまたきょう中心的にお伺いしたいのは国立小児病院であります。
 私がこれを取り上げますのは、日本のおくれた小児医療に光を点じ、さまざまな努力がここに傾注されてきたことを評価するわけでありまして、最近は各地にそうした専門病院もできておりますけれども、いわばそういうもののメッカとして今後ともこの小児病院の充実に誇りを持って進めていかれる、このように受け取っているのですが、よろしゅうございますか。
#4
○増岡国務大臣 小児病院の問題はこれまでも厚生省といたしましてもできる限りのことをしてまいったつもりでございますが、今後も専門的な医療機能を十分発揮できるような配慮を加えてまいりたいというふうに考えております。
#5
○上田(哲)分科員 大変結構であります。ぜひその方向で頑張っていただきたいのであります。
 そこで、問題はセンター化なんであります。このごろのはやりの言葉で言えば何々センター、何何センターというのが多くできているわけでありまして、名前をつけるのは自由なんでありますが、本当の意味のセンター、名前だけといいましょうか、気持ちだけというものもあるわけです。例えば東京第一国立病院が国立病院医療センターという名前で呼ばれている。これも結構なことでありますが、しかし、区別しなければならないのは、法律に基づいて名づけられているセンターというものはまた別でありまして、今日本ではがんセンター、循環器病センターの二つを数えるのみであります。厚生省においては既に二十年来の懸案として国立小児病院を中心に国立小児医療センター、法律に基づくセンター化を進められているというふうに理解しております。その方向に御努力をいただきたいと思うのですが、よろしいでしょうか。
#6
○大池政府委員 国立小児病院のナショナルセンターへ向かっての構想ということについての御設問でございますが、御指摘のように、相当長年月にわたりましての経緯を踏まえまして、私どもとしてもこの問題には引き続き真剣に取り組んでいるところでございます。
 このナショナルセンターとしての小児医療センターの考え方としましては、我が国の小児医療対策の中枢機関といたしまして小児の難治性疾患を中心にいたしまして専門的高度な診療と、これに関連いたします臨床に密着する研究を行うとともに、医師等の関係医療技術者に対する研修を実施する、こういった中身を持ったセンターでございまして、御指摘のように、これは国立がんセンター、国立循環器病センターと匹敵する、相並ぶようなレベルの機構を持つというようなことを目指して検討、整備を続けているところでございます。
 具体的にはいろいろと中身がございますけれども、省略してよろしゅうございましょうか。
#7
○上田(哲)分科員 結構であります。
 これは長い間の懸案であり、夢であると言ってもいいわけであります。私は、その方針を財政その他の事情によらずぜひひとつ優先的に進めていただきたい、こういうふうに思っておりますので、ひとつ大臣からも御決意を承りたいと思います。
#8
○増岡国務大臣 先生の御指摘は名実ともにセンターにしようというお気持ちだと思います。私どもせっかく今日まで力を入れてきたわけでございますので、その御期待にこたえたいと思っております。
#9
○上田(哲)分科員 結構であります。
 特に強調しておきたいのは、子供の問題というのは子供に声が出ないということと子供の親は若くて金がないということでありまして、そのために後回しにされるというようなことがあってはならない。がんセンター、循環器病センターという二つの法律に基づくナショナルセンターに並ぶこの小児医療センターをつくるということの意味合いはその意味で大きいわけでありますが、仄聞するところでは、神経センターなどというものが出てまいりまして、これを否定するわけではありません、それも結構なことでありますが、神経センターというのは、田中元総理の御入院等々もありますが、やはり中高年から先でありますから、どうも功成り名遂げた方の病気の方に重点が置かれて、声のない子供の方が後回しになる。端的に言えば、予算の配分で言うと、先発の小児医療センターよりも後発の神経センターがもし予算を先取りして前へ行ってしまうみたいなことになってはやはり本末転倒になるだろう、こういう懸念を持っておるのでありますが、いかがでしょうか。
#10
○大池政府委員 国立武蔵療養所の神経センターにおきますナショナルセンター化の構想のことを御指摘だと思いますが、私どもは国立小児病院のナショナルセンター化の構想と武蔵の構想と、いずれも重要な構想と考えておるわけでございまして、ともども実現に向けて私どもの立場として努力を続けてまいりたいと思っております。
#11
○上田(哲)分科員 せっかく御努力をいただきたいと思います。
 そこで、その国立小児医療センターというものの青写真でありますけれども、大まかに言えば、医療治療機関、それから研究機関、さらに研修機関、こうした三位一体のものだというふうに言えると思うのでありますが、先般小児医療研究センターが小林登さんが所長となって十月に開所式を行いました。私も御招待を受けて大変感銘を深くしたわけでありますが、大変結構なことであります。不十分な点はいっぱいありますけれども、とにかくこれが一つ発足した。これもセンターという名前なんですが、これと現在の小児病院を治療機関としてさらに充実する、そして研修部門をつける、治療部門も配備する、こういうことになると思うのですが、ひとつその夢――この夢というのは白昼の夢ではなくて、本当に実現していく青写真としてどのような構想が込められているのか、御説明をいただきたいと思います。
#12
○大池政府委員 その構想といたしましては、既に昨年十月発足を見ました研究所、それから、これまで整備を続けてまいりました病院、それに運営部というような機構を持つことによってがんセンター、循環器病センターと同様な組織、機構が完成するわけでございます。病院につきましては、既に十五の診療科によりまして小児の難治性疾患を中軸にした診療を行っておるわけでございますが、その内容につきましては、時代の進歩、医学医術の進歩を十分的確に反映できるように今後とも引き続き質的な強化には配慮を配ってまいりたいと思っております。
 研究問題につきましては、まだ発足したばかりでございまして、現在病理病態研究部並びに内分泌代謝研究部、先天異常研究部、小児生態研究部という四部で構成されております。構想によりますと、さらに幾つかの部をまだ今後拡充をしていく必要があるという中身になっております。引き続き努力をいたしたいと思います。
#13
○上田(哲)分科員 もうちょっとできれば詳しく承りたいのでありますけれども、例えば、これが法律に基づくセンターということになりますと、医療体制としてはどれくらい力がつくか、あるいは研究部門としては、確かに発足早々でありますけれども、予算面、人員面でどういうふうな形がとられるか、さらに研修部門というのは、今旧病棟の五階で三十人くらいが住めるようなものを仮にやっている感じでありますね。そういうようなものが将来センター化されればどうなるのか。つまり、簡単に言えば、全国の国立病院のレベルではなくて、それを一歩乗り越えた人員、予算、設備、さまざまな発展が図られるものだ、こういうふうに考えるわけですが、その辺についてもう少し御説明をいただけますか。
#14
○大池政府委員 今後の内容の充実の問題につきましては、量的な問題というよりはむしろ質的な面がより重要になってこようかと思うわけでございますが、その意味におきましては、ただいま御指摘のように、他の国立病院群に対して技術的次意味でリーダーシップのとれるような高度の機能を持たせたいということでございます。
#15
○上田(哲)分科員 例えば、日本で最高の誇るべきとされている小児病院に今もICUがないですね。これじゃやはり自慢ができることにはならない。こういう面では、今、質的にというお話もありましたけれども、質的にも量的にもこのままではどうにもならぬわけです。ICU一つだけ言うわけじゃありませんけれども、当然ほかの病院では手に負えない子供たちがここで救われるということでなくてはならぬわけですから、重症管理室なんというのがないメッカというのは少しおかしいなどなど挙げると切りがないと思うのですけれども、そういう面でのやはり担当局長の踏み込んだ青写真というものがあるべきだと思うのです。
#16
○大池政府委員 院内のいろいろな部門の編成の組み方につきましては、病院としても引き続き検討し、さらに改善をしたいという努力は重ねられているところでございますが、確かに御指摘のようなICUのユニットということについては今後まだ検討の余地があろうかと思います。しかし、よく御承知のように、未熟児等もほかの病院では見られないくらいの難しいケースを小児病院として既に救命しておりますし、相当高度な小児医療は現在でも展開しつつあるというふうに私どもは承知しております。
#17
○上田(哲)分科員 ICUもぜひ必要だということをお認めいただいているのですから、それは努力をしていただくのだが、今お話しのように、ほかでは見られない高度な医療努力を展開している。これはそのとおりなんですね。そのとおりなんですが、これが実は足りない器材とか人員とか予算の中で悪戦苦闘しながら続けられているという実態は、これは将来展望だけじゃなくて、緊急的な処置としても考えられなければならない実態があると思うのですね。
 念のために伺いますけれども、今日の小児病院の医師、看護婦あるいはレジデントに及ぶ人員と設備としてのベッド数と開床数等々について概要を御説明いただきたいと思います。
#18
○大池政府委員 今手元にある資料でとりあえず御説明申し上げますが、患者数につきましては、五十五年から五十九年にかけまして二百二名から二百二十八名ということで逐次増加しつつございます。今のは入院患者でございますが、外来患者につきましては、五百名あるいは四百名というようなところを横ばいというような感じでございます。
 総定員が三百九名でございます。医師数については五十一名、看護婦数が百四十九名、研究職が十七名、その他が九十二名というような内訳になっております。
#19
○上田(哲)分科員 患者数についての把握がちょっとおかしいように思いますけれども、ひところもうとにかく門前市をなして、病院前民宿と言うとおかしいけれども、入院できない人たちが近所に住んで診療の門をたたいたというような状況と比べると随分さま変わりしているという実態があるのですね。その問題などをもう少しきちっと言えませんか。
#20
○大池政府委員 先ほど申し上げましたように、入院患者数につきましては年々わずかずつではございますけれども、増加を図ってきているという実態にございます。
 先生の御指摘の点は、入院定床に対して利用率という観点から見てまだ十分フル回転してないのではないかという御趣旨かと存ずるわけでございますが、その点については、院内でいろいろ工夫、努力をしてもらいまして、またこちらもできる限りの増員等の考慮もいたしまして、逐次その状態は改善されつつあるという現状にございます。
#21
○上田(哲)分科員 わかってないのだな。そこを深く追及するつもりはないのですけれどもね。例えば政府一般会計が年々ふえてはいる。しかし、一般会計の伸びが六%ぐらいである、あるいはほとんど抑制している。ふえてはいるけれどもその伸び率が非常に鈍化しているということは、これは大きくなっているんだという言い方になりませんね。そういうたぐいの問題として、かつての門前市をなしたというような状況に比べると、そういう状況は低下といったら言葉は違うけれども、変わってきているという点はしっかり把握をしていただきたいのです。そこを責めようと言っているのじゃないのだが、その原因をいろいろ探求すると問題はありましょうけれども、今お話しのように、ベッド数で言うならば三百床のベッド数であるのが今二百三十床の開床ですね。本当に全国から救いを求める眼が集中しているところで二百三十しか開床できないということの問題点はやはり根が深いと思うのです。
 今お話しになったような医師や看護婦、これは実は看護婦は希望者も多いから、むしろ定員オーバーなんですね。看護婦が足りないからという理由で開けないのではない、そういう実態があるのですよ。例えば、夜勤は大人の場合と違って子供の場合には三十人収容の病棟一つに三人必要になるわけですから、いわゆる二・八体制なんというものがいろいろありますね。そういうようなことであって看護婦さんが足りないからなんです。しかし、定員からするとオーバーしているのです。ここに問題があるのですね。だから、そういうことで言うと、国立病院というレベルであっては精いっぱい役所としても配置をしているから、そこが足りないということはない。しかし、国立病院の中でも小児医療のメッカであるという立場であれば、もう一越し高いレベルの配置がなければできないのだ。そこに問題点があるわけですね。その点の意見は、御同意できますか。
#22
○大池政府委員 確かに、国立小児病院で高度医療を担当する、小児の難治性疾患を中軸に診療を行っていくという上におきましては、いろいろと小児医療の特殊性というものが強く出てくるであろうことは私どもも理解しているとこみでございます。しかし、現実には、一方では先生も御案内のとおりの厳しい定員事情というような環境にございまして、その中で目いっぱい努力はしておるわけでございますが、引き続きそういった小児医療の特殊性ということに着目して今後とも努力を行ってまいりたいと考えております。
 現実には、その小児医療の特殊性というようなことで、一看護単位当たりの患者数というものを通常の標準よりは下げた形で運用しておるものでございますから、先ほど先生の御指摘のようなことでございまして、実際現在組んでおる体制では目いっぱい中の診療活動は行われておるということでございますが、標準からする計算上は、そのように確かにまだ動いてないのではないかというふうな見方もあろうかと思います。
#23
○上田(哲)分科員 見方じゃないんで、これは実態なのです。それなら念のために申し上げるけれども、例えば清瀬、神奈川、大阪、兵庫、福岡、群馬、埼玉、あちらこちらに専門の小児病院ができておりますが、そういう人員配置の問題でいえば、このレベルの方が高いのです。これは全部自治体なんですよ。自治体ならば高いのです。国ならば低いのです。これはまずいでしょう。大臣から一言御感想を伺いましょう。
#24
○増岡国務大臣 先生の御指摘は、意欲の割には実態が伴っていかないではないかという問題だろうと思います。今後その点の改善につきましては十分な努力をしてまいりたいと思います。
#25
○上田(哲)分科員 これは実態ですからね。私は国が努力してないと言っているのじゃないんです。国としては精いっぱいのことをやっているし、定員もオーバーしている。しかし自治体に比べるとそれだけの配置がないというのは、これは制度の問題になるのだから、ぜひ小児医療のメッカをつくろうということであれば、横並びの国立病院ではなくて、センター化がここにひとつ望まれるんだということははっきりしておるわけです。この点は大臣もうなずいておられるから御理解いただけるだろう。
 定数の問題でいえば、実にお医者さんの半数はレジデントなんですね。これは今日の医療制度の一つのパターンでありますから、小児病院だけを問題にするのではないし、またそういう俊秀が集まってくるならば結構だから、これはこれでいいわけです。しかし、そのレベル、パターンの中では解決できない問題がある。今、例えば夜勤の体制が一病棟に三人、これは準夜勤が八時間、深夜勤が八時間、結局六人いなければならないわけです。これを二・八という形でやろうじゃないかという話も出ておるわけです。これは局長御存じですか。あるいは御見解をお持ちですか。
#26
○大池政府委員 看護体制の組み方についていろいろ努力をしておる、工夫をしておるということは包括的に聞いております。
#27
○上田(哲)分科員 ひとつ努力をしていただくのですが、さまざまな苦労は人員や予算だけではないのですね。例えば問題のCT、これがこの小児病院に入ったのはわずかに二年前なんです。こんなものがないというのは大病院というだけでもおかしいわけで、いわんや国立小児病院としては大変おかしいわけです。頭蓋内とか腹部内等々の悪性腫瘍なんかの診断はこれがなくちゃできないわけですから。このCTは今入った。入ったんだけれども、例えばほかの機材器具、手術用のはさみとか鉗子とか、そういう問題を節約したやりくりの中でやっとCTを買ったのです。これが二年前なんです。全国の名のある病院の中で小児病院が二年前にやっとCTをそろえたなんというのは本当に残念なことですね。病院当局が苦労したんだということは認めるとしても、これはやはり胸の痛む話じゃないですか。
 だから、そういう面でいうと、どうしてもそういう問題、例えば大学病院などに比べてぐっとおくれているわけですから、文部省の方がよくて厚生省はだめかなという話になるのは、医療問題としては許しがたい話でありますからね。こういう実態というものを何とかしなければならぬというところに来ているということは事実だと思うのですが、御認識を伺いたい。
#28
○大池政府委員 御指摘のような、部門によっては他の病院との比較におきましてそういったハードウエアがまだ十分でないという点も私どもは承知しております。しかし、必ずしも全部がそうということではございませんで、部門によっては誇り得べき部門もありますし、逐次水準を高めるための整備を行ってきているということから、現断面におきましては御指摘のような部門もまだあろうかと思います。
#29
○上田(哲)分科員 そんなこと言ったらだめですよ。あなた何言っているのですか。そういう答弁をするのだったら私はここにもっといっぱいデータを出さなければなりませんよ。だから、例えば一つ二つに絞っておるわけでして、あなたがお医者さんで保健医療局長という大変な責任者であれば、例えば誇るべき小児病院にCTが二年前までなかったなんというのは残念だと思いませんか。そこのところはあるかもしれないが、ほかでは何とかやっているから、そんな、例は大変悪いけれども、外科ではうまくいかなかったが内科でうまくいったみたいなそんな言い方をしていては、我我は後押しがしにくいですよ。もう一遍そこのところは、例えばCTならCTについてあなたの胸は痛まぬのかという点についてしっかり答えてください。
#30
○大池政府委員 CTを例にとられますと、決して整備が早かったとは申しておらぬわけでして、その点はおくれております。
#31
○上田(哲)分科員 わかりました。全部取り上げていけないと言っているつもりはないから、そこのところは率直に認めてもらって、現場の苦労の上でその辺を賄っていくということではないようにお願いをしたい。
 したがって伺うのだけれども、治療部門、それから研究部門、将来の研修部門はこれからとしても、今回発足をした小児医療研究センターにも、それから病院にも、センター化されれば予算的な措置というのはぐっとふえるというふうに理解していいわけですね。
#32
○大池政府委員 センター化に伴いましての必要な人員なり施設設備の裏打ちということは、また当然伴うものと考えております。
#33
○上田(哲)分科員 そうしますと、その辺は大いに期待をして、まじめにやっているお医者さんたち、看護婦さんたち、従業員の皆さん――子供をやっている人はお医者さんも大変善良な人が多いのですよ。親が若いから金持ちはいないのだから、おじいさんに金持ちがいるかどうかぐらいしかないわけですから。悪徳医師が新聞なんかにいろいろ出ますけれども、そういう問題とはかかわりのない人が非常に多い。ほかのところが悪いと言っているのじゃ決してありませんけれども。だから、そういう部分には、声の低いところには努力をしないということではない意味で強調するわけですが、これがセンター化されますと、厚生省ではどういうふうな役所の仕組みになるのですか。例えば病院課から一歩上へ出るわけですね。この辺の仕組みについてはどうなんですか。
#34
○大池政府委員 国立病院、国立療養所、それからナショナルセンターというような分類からすれば、そのナショナルセンターに属するという意味で上がってまいりますが、役所といいますか行政の所管という意味では、引き続き病院課ということになると思います。
#35
○上田(哲)分科員 がんセンター、循環器病センターと同じ横並びの配置になるのですか。
#36
○大池政府委員 そのとおりでございます。
#37
○上田(哲)分科員 ぜひひとつそういう面で日本の小児医療が世界的にも評価されるような立派なものにしていただきたいと思います。
 じっくりお聞きいただいて、厚生大臣、その方向で御努力をいただくという御確認をいただきたいと思います。
#38
○増岡国務大臣 今のお話を承っておりましても、病院としての格付を上げなければならぬということのようでございますので、一段の努力をしてまいりたいと思います。
#39
○上田(哲)分科員 あわせて、先般の予算委員会でも厚生大臣から明確な御答弁をいただいて意を強うしているわけでありますが、母子保健法の六十年度内改正の法案提出の問題、きょう詳しくは述べませんけれども、昨年の資料もございますので、身近なところでさらに具体的な問題を進めていただくという点も御強調いただきたい。
#40
○増岡国務大臣 鋭意努力してまいります。
#41
○上田(哲)分科員 最後にもう一点。これは従来、歴代の厚生大臣の御確認もいただいているのでありますが、羽田空港が沖合に移転をいたします。東京では珍しい大きな跡地ができるわけでありますが、これを有効なものにしたいということでさまざま検討が進められております。政府の担当省は運輸省ということになるわけでありますが、運輸大臣、厚生大臣ともどもに御理解をいただいておりますのは、ぜひここに小児医療のメッカ、今お話しになりました国立小児医療センターなどと連動して、ただに病気の子供だけではなく、ひとつ健康な子供のための施設を得がたいこの跡地の上に実現をしたいということで御理解をいただいているわけであります。地元の意向も酌んでそうした面で努力をするという仕事が進んでいるわけでありますが、これについても厚生大臣からぜひ深い御理解をいただきたいと思います。
#42
○増岡国務大臣 そのような御要望があるとすれば、非常に適切な場所だと思いますので、運輸省、東京都とよく協議をしてまいりたいと思います。
#43
○上田(哲)分科員 終わります。
#44
○山下主査 これにて上田哲君の質疑は終了いたしました。
 次に、春田重昭君。
#45
○春田分科員 私は、過去何回かにわたって質問してまいりました水銀を使用している乾電池、その問題につきまして厚生並びに通産両省にお伺いしたいと思います。
 まず最初に、乾電池全体の生産動向につきまして通産省から簡潔に御説明いただきたいと思います。
#46
○広野説明員 お答えいたします。
 昭和五十九年の確認統計がまだまとまっておりませんので、五十八年の統計でお話しさせていただきたいと思います。
 乾電池は、御承知のように国民生活に非常に密着しておりますけれども、生産量は五十八年で二十八億五千万個、輸出を除きまして国内流通量と申しますが、十五億九千万個でございます。
#47
○春田分科員 私の手元にも資料がございますけれども、五十八年度は、五十七年度、前年度に比較しますと生産全体が約二億個ふえております。それが国内で消費されたものが約一億個ふえているわけでございまして、かなり増加の傾向にあるわけでございますが、五十九年度以降ということを考えてきた場合、こういう傾向が今後とも続くと考えられますか。
#48
○広野説明員 将来の予測につきましては、経済情勢ですとかあるいは所得の動向等がございますので、必ずしも予知できないわけでございますが、過去のトレンドを見ておりますと、国民生活と非常に密着した製品でございますので、徐々にではありますが伸びていくのではないかというふうに見通されます。
#49
○春田分科員 五十九年度の実績というのはこの三月くらいでないとわからないそうでございますが、速報によっても大体五十九年の五%ぐらい増加の傾向にあるという形で出ているわけでございまして、今後ともこの基調は続くのではなかろうかと思っているわけでございます。したがって、水銀の使用量も非常にふえてくるのではなかろうかと考えられるわけでございます。
 そこで、乾電池の中で水銀の使用量が最も多いと言われておりますボタン型電池につきましては、昨年の二月から業界全体で自主回収するということで鳴り物入りで非常にPRされてきたわけでございますが、その回収状況はどうなっているのか、御説明いただきたいと思います。
#50
○広野説明員 昨年、通産省、厚生省両方の要請に基づきまして業界に対しまして未然防止の観点から水銀電池と申しますか、乾電池に関します対策を要請したわけでございます。
 そのうち、水銀電池につきましては、先生御指摘のとおり回収ということになったわけでございます。自主的な回収ということで業界が行うということでございます。全国にございます家電店あるいはカメラ店、補聴器店等十一万店の小売店があるわけでございます。そこに回収箱というのを設けて水銀電池につきましては回収をするということでございます。
 昨年の一月から六月の国内出荷量に対しまして、流通段階におきます滞留期間等がございますから、二カ月おくれの三月、八月ということでどれくらい回収されているかというデータをとりましたところ、現在のところ、回収状況というのは比較的低くて、一五%前後というデータになっております。
#51
○春田分科員 昨年の一月から六月までの国内の流通量、それに対しまして三月から八月までの回収量、これが分母と分子になって回収率が一五%である、こういう御説明でございます。これは最終結果ではないわけでございますが、当初通産省なりに、また業界なりにはじいていたと思うのですが、この回収状況、中間発表でございますが、どう見ていますか、多いとか少ないとか。
#52
○広野説明員 業界が自主的に始めましたもので、まだ消費者への本運動の浸透が十分でなかったこと、また、先生御承知の、自治体が分別回収をしておりますので、そちらへ流れ込んでいるものもございます。また回収ルート、これは小売店に回収ボックスを設けまして、それを流通ルートを逆にたどって回収をするという方向でございますが、その回収ルートの整備というのがまだ完全な状況に至っていないというようなこともありまして、回収状況がまだ完全には至っていないというふうに考えております。極めて低い回収率だというふうに考えております。
 このため、通産省では、業界に回収率をさらに上げるように指導をしてきているところでございまして、電器店あるいはカメラ店等の小売店に対します協力方をさらに十分に徹底していくこと、及び乾電池を包んでおります製品パックと申しておりますが、それに回収対象物であるということを明示させまして、回収運動の周知徹底方に努めてまいりたいというふうに考えております。
 さらに、業界では、水銀電池の流通量を減らそうということで代替電池の技術開発にも努めているということでございますので、通産省としてはさらに業界を指導してまいりたいというふうに考えております。
#53
○春田分科員 当初、水銀使用の乾電池が大きな社会問題になったとき、通産省を初め業界等は、もうボタン型電池につきましては回収いたします、ほとんど一〇〇%回収できるみたいなPRをされたわけでございますけれども、現実はこういう形で、中間発表でございますけれども一五%という非常に低い状況になっている。この分母は、国内の流通量ですから、大体固定されている数だと思うのですね。分子の回収量というのは、昨年の三月から八月までといいますけれども、かなり以前に消費されたものが回収されていく、その数の中に入っているかもしれない。そういった点からすれば、分母の方は固定されているけれども、分子の方はもっとふえてもいいわけですよ。それがこういう一五%という非常に低い数であるということは最終結果も余り期待できないのじゃないかという感じを持っているわけでございます。いずれにいたしましても、このボタン型電池の回収というのは消費者の協力がなかったらできないわけでございまして、非常に厳しい状況じゃなかろうか、こう私は踏んでいるわけでございます。
 時間がございませんので、この問題につきましてはまた追って質問をしていきたいと思いますが、さらに筒型乾電池の水銀量の減量化が研究されておると聞いておりますが、この辺の目標はどうなっておるのでしょうか。
#54
○広野説明員 乾電池は、筒型のマンガン電池あるいはアルカリ電池、それからボタン型の電池と大別されるわけでございますが、そのうち水銀電池については回収をするということでございます。またアルカリ電池につきましては、先生御指摘のとおり、中に含まれております水銀を減量化させる、減らしていくというための研究開発を今進めているところでございまして、昨年業界では、業界ぐるみで技術研究組合というのを結成しまして研究開発を進めております。
 当初、通産省、厚生省に約束しておりました目標は三年間で三分の一に水銀を減らすということでございましたが、ことしの暮れごろまでにはその目標がほぼ達成できる見込みになってきております。さらにそれの二分の一に減らす、当初から申しますと六分の一に減量化させるということを六十二年の秋ごろまでに、二年後でございますが、達成させようということで研究開発を急ぐということでございます。
#55
○春田分科員 この筒型乾電池の水銀を減量化することによって性能とか価格への影響が非常に心配されておるわけでございますが、この点どうなのか。
 それからもう一点は、ボタン型水銀電池は水銀の減量化というのはできないのかどうか。この二点につきましてひとつ簡単に御説明いただきたいと思います。
#56
○広野説明員 まず最初の御質問でございますが、水銀自身は電池の耐女性を高めるために含められているわけでございますが、それを減量化させて同じ性能でやれないかというのが研究目的でございます。また、価格帯につきましても、同一性能で現在のものとそれほど変わらないものを目指して研究開発が行われているということでございます。
 第二の、水銀電池自身の水銀が減らせないかということでございますが、これは電池構造上電極に使われている関係から減らすことは極めて困難でございますが、抜本的に水銀を全く使わない代替電池と申しますか、新しい電池の開発、例えば空気亜鉛電池等の開発にも業界は取り組んでおるというふうに聞いております。
#57
○春田分科員 性能は変わらないとしても、やはり価格が上昇すれば――例えば補聴器等に水銀電池が使われているということで、かなり高齢者の方が使っているわけですね。そういった面で、最終的にはそういった方々にしわ寄せが来るわけでありますから、価格に影響がないような、据え置くように、ひとつ研究開発をしていただくよう要望しておきます。
 厚生省の方にお伺いいたします。
 筒型電池の水銀使用量が減るとしても、先ほど言ったように、ボタン型電池の生産量は全体的にふえる傾向にあるわけで、非常に自主回収も厳しいという結果が出ているわけですね。このことを考えれば、水銀公害というのは全く心配がなくなったということは言えない。今後とも使用済みの乾電池の処理体制が非常に重要になってくるのではなかろうかと私は思っておるわけです。
 そこで、先ほどもお話がございましたけれども、今地方自治体が行っておりますごみの分別収集ですね。この実態はどうなっているのか、全国の自治体でどれぐらいが実施しておるのか、わかればひとつ御説明いただきたいと思うのです。
#58
○竹中政府委員 市町村の使用済み乾電池の分別収集の状況でございますが、全市町村三千二百五十五のうち、昭和五十九年九月現在で分別収集を実施しております市町村が五〇%、分別収集を計画しておる市町村が一七%、合計いたしますと六七%が実施中または計画中ということでございます。
#59
○春田分科員 残りの実施していない市町村の中で、特に大都市の東京、大阪や神戸等、こういうところはまだ実施していないわけですよ。なぜならば、この分別収集の経費につきましては、これは事業者の責任であるし、その負担で行うべきである、こういう論議がまだ残っているわけです。そういう点、今専門委員会で検討されているやに聞いておるわけでございますが、厚生省はどう考えておりますか。
#60
○竹中政府委員 この問題につきましての関係者の役割分担なり費用についての分担なり、そういった問題が恐らく一番大きな問題であろうかと思うわけでございますが、今、先生お話しのように、生活環境審議会の適正処理専門委員会におきまして、この問題も含めまして現在鋭意検討中の段階でございます。
#61
○春田分科員 検討されて、この結果が出るのは大体いつごろなんですか。
#62
○竹中政府委員 専門委員会での御結論と申しますか、主な点についての中間的な取りまとめを本年の夏ごろにお願いしたいということで、大体そのスケジュールどおり現在進んでおります。
#63
○春田分科員 ところで、分別収集された乾電池は現在どういう状態になっておりますか。
#64
○竹中政府委員 現在分別収集をしております市町村のうちで、約九〇%の市町村が現在保管をしておる、五%の市町村が水銀回収工場に送りまして処理をしておる、残りの市町村はコンクリート固化等の処理を行っておるというのが現状でございます。
#65
○春田分科員 大半が保管されているわけでございますが、保管されている個数は全国でどれくらいか把握されておりますか。
#66
○竹中政府委員 個数につきましては、私ども今の段階で把握をいたしておりません。
#67
○春田分科員 保管された電池というのは、ある自治体では保管庫といいますか倉庫みたいなものをつくりまして、そこに収納しているみたいです。ところが、月々相当量が出てまいりますので、既存の保管庫では対応できないということで、新しい保管庫をつくるところも出ているわけですね。ところが、先ほど言ったように、分別収集については国の助成は全然なされていない。こういうことでございますから、自治体にとっては非常に大変な状況になっているわけです。そういった面で、今専門委員会で検討されてお力、大体夏には結論が出てくるということでございますけれども、国の助成というものを私は強く求めて、この問題については終わりたいと思います。
 さらに、収集したものの五%ぐらいが水銀回収工場へ行っているということでございますけれども、再利用するリサイクル技術というものについては検討されておりますか。
#68
○廣瀬説明員 使用済み乾電池にはいまだ有用な資源が含まれている。先生御指摘のように水銀もございますが、その他鉄等の物質が含まれております。これらをできるだけ再資源化していきたい、する必要があると考えておりますのが私どもの立場でございます。このために、国家補助により、私どもの所管財団でございますクリーン・ジャパン・センターが中核となりまして、いわゆる先端技術等も活用いたしました先導的な技術を用いまして、水銀含有廃棄物の再資源化を行う実証ブラントを建設し、その技術性、特に経済性を確立するための実証試験を行うこととしております。現在、実証プラントは使用済み乾電池等の水銀を含む廃棄物を選別、解体、そして最後に焙焼等の工程を経て水銀、鉄、亜鉛等を回収いたしまして、それをまたリサイクル、再利用に向けていくということになるかと思います。
 私どもが今やっておりますブラントは、北海道留辺蘂町に能力日産二十トンの規模で本年度末を目途に建設中でございまして、完成後約三年ほど実証実験を行うこととしております。
 以上でございます。
#69
○春田分科員 北海道で今、実証実験をやっている、こういうことでございます。しかし、北海道一カ所だけでは全国の乾電池のリサイクルの処理をする能力もないし、また輸送費等を考えればコスト等も非常に高くなってくるわけです。そういった面で、こういった処理工場というものを全国何カ所かブロックに分けまして、広域体制で考える必要があるのではなかろうか、こう思っておるわけでございますけれども、これは厚生省の方ですか。どう考えていますか。
#70
○竹中政府委員 今、生先のおっしゃいました全国的な体制をどう組んでいくかという、これが実施面で非常に重要な問題でございますので、先ほどの専門委員会の中でも、一体どれぐらいのものをどれぐらいのブロックに設置することが必要なのかということ、それから一方でまた家庭系特殊廃棄物の処理対策に関する調査ということで今の乾電池、その他蛍光灯などもございますが、そういったものを含めましてどういう実態になっておるのかというような調査も進めておりますので、その両者をあわせまして先生のお話しのような点を検討しておるということでございます。
#71
○春田分科員 いずれにいたしましても、北海道一カ所だけでは十分な体制ではないと思います。したがって、国が軸になりながら地方自治体の皆さん方にも協力を得て、第三セクターなりまたは既存の業界等の協力を得ながらそういう広域体制を早急につくっていくべきである、こう思います。
 それでは最後に、時間がございませんので、これも過去御質問いたしましたけれども、乾電池が分別収集される、または業界によって自主回収される、しかし、これも限度がございます。したがって、分別収集または自主回収されなかった電池というのは最終的にはごみの焼却場に持っていかれるわけですね。そこで処理される量はどれくらいかと言えば、今までの分別収集や自主回収の実態からいけば五〇%前後はごみの処理場に持ってこられるのではなかろうか、したがって、そこで混合焼却される、こういうことで、ごみの焼却施設が非常に重要になってまいります。ところが、水銀電池というのは、焼却された場合の排ガス中に水銀が含まれまして、それが大きな水銀公害になるということで非常に警告されているわけです。
 したがって、その排ガス中の水銀を除去する方法が非常に重要になってまいります。その方式には乾式の洗煙方式と湿式の洗煙方式がございます。水銀を初め有害物質の除去には乾式に比べて湿式法煙方式がはるかにいいということは従来からも環境庁、厚生省もお認めになっているところでございますが、こういった方式につきまして、国の環境基準がございますけれども、これをクリアすれば乾式でもいい、これは通らないと思う。やはり公害を未然に防ぐためにも湿式の洗煙方式を使用すべきである、厚生省なり環境庁はそう指導すべきである、こう主張してきたわけでございますけれども、現在こういう考え方に立って地方自治体を指導されているかどうか、厚生省の御見解をお伺いしたいと思います。
#72
○竹中政府委員 ごみ焼却場におきまして現在乾電池等が一緒に焼却されておるわけでございますが、ごみ焼却場からの排煙、排水等につきましていろいろ検査をいたしました結果、現在の時点では環境汚染等の問題はないと考えておるわけでございます。ただ、先生お話しのように、将来の使用量の増大、環境汚染をできるだけ未然に防止するといったような観点からこういった問題と現在取り組んでおるわけでございます。
 そこで、ごみ焼却場の排ガスの処理方式でございますが、私ども、厚生省が定めておりますごみ焼却場の設備の基準、構造の基準を満たしていただくということが基本でございまして、それに加えて各市町村におきまして条例による規制あるいはその地域の実情等々に応じまして施設の整備を現在行っておられるわけでございます。
 先生お話しの湿式の排ガス処理方式の問題でございますが、こういったものにつきましても、市町村がそれぞれ実情に応じまして適切な方式を採用していくということが適当ではなかろうかと考えておるわけでございます。
#73
○春田分科員 従来からも私は主張してまいりましたように、国の環境基準があります。しかし、この環境基準は諸外国に比べて非常に甘い。そういう面で、この基準さえクリアすればどういう焼却方式をとってもいいというような国の考え方は非常に甘いのではなかろうか、こういうことで、より公害が少ない、水銀を初め有害物質等を除去する湿式の洗煙方式を採用すべきであると主張してきたわけでございまして、この点につきましては、今後とも厚生省としてはこれを念頭に置きながら地方自治体に対してこの炉の選択を指導していただきたい、こう思っておるわけでございます。
 最後に、大臣に御見解をお伺いしたいと思います。
 厳しい言い方になるかもしれませんけれども、今日までの厚生省の行政を見ますと、すべて事件、事故が起こった後に対策を立てる、事後対策に追われているのではなかろうかというような感じがするわけでございます。例えば過去においては水俣病、イタイイタイ病や薬害によるいろいろな後遺症等があるわけであります。私は、少なくとも乾電池、特に水銀を含む乾電池における水銀公害だけは未然に防ぐべきである、こういった点から今言ったような主張をしてきたわけでございますので、これにつきましては、将来事件、事故が起こってから対策を立てるのじゃなくして、未然に防止する上においても今言ったような私の主張を取り上げていただいて、乾電池による公害を絶対なくしていく、未然に防いでいく、こういった強い決意が必要ではなかろうかと思っております。
 大臣の御見解をお伺いいたしまして、質問を終わります。
#74
○増岡国務大臣 御指摘のように、この公害その他の問題を未然に防ぐということが一番よろしいわけでございますから、先ほど政府委員から御説明いたしましたような専門委員会なり、あるいは広域的な調査の結果なり、あるいはまた技術的な進歩というものもあろうと思いますから、そういうことを踏まえまして、万全を期してまいりたいというふうに思います。
#75
○春田分科員 終わります。
#76
○山下主査 これにて春田重昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、塚田延充君。
    〔主査退席、小杉主査代理着席〕
#77
○塚田分科員 医療機関と医薬品業界の取引関係は、医薬品問屋の過当競争もございまして、医薬品業界が泣かされているような力関係にあるのじゃないかという気がいたします。薬価基準の改正が行われるたびに実際の取引価格が長期にわたってなかなか決まらない。また、実際納品してから代金支払いまでの期間が異常に長い。特に国立病院の支払いが遅いことにつきましては、五十九年の六月二十一日の社会労働委員会において、私の同僚議員でございます伊藤昌弘委員が具体例すなわち個別の国立病院の名前まで挙げ、それぞれの支払い期間を明示して、こんなにもひどいじゃないかということで改善の要求を強く出したわけでございます。これに対して政府は、そのときは薬価改正に基づく値決めの交渉が難航しているからじゃなかろうかというような理由を挙げまして、とにかく調査して改善方指導すると回答しておったわけでございます。
 そこでお伺いいたしますが、伊藤委員に指摘された具体例、そのうち二つほど挙げてみますが、国立医療センター及び国立第二病院につきまして、支払いが会計法規に照らして違反していた実態、ひいては、その理由がどんなものであったのか。そういうことについて、いつ調査し、どういう結果が判明し、それに基づいてどのような勧告なり指導なりを行ったのか、お聞かせいただきたいと思います。
#78
○大池政府委員 ただいま御指摘のございました国立病院の調査は、昨年御指摘を受けまして七月から調査に着手をしております。確かに御指摘のように幾つかのケースにおきまして相当な期間、支払いが遅延したというような実態が存することは、私どもも承知しておるわけでございますが、このような事態ははなはだ望ましくないと判断いたしまして、その改善方につきましては今後とも努力をしておる最中でございます。
#79
○塚田分科員 不名誉にも国会で名前を挙げられた国立医療機関について、今のお答えでは余り具体的な調査とか指導が行われてないのじゃないか、このように受けとめざるを得ないような御答弁の内容なのですけれども、それではまだまだ厚生省として指導が怠慢であるとか、または、あそこまではっきり指摘されたにもかかわらず、ほっておくということになると、それは国会での審議を軽視したと言わざるを得ないような感じもするわけでございます。御回答のとおり、傾向としては改善されつつあるし、また、そのように強力な指導をしているということなのですが、事実はまだまだそうじゃない、こういうふうに申し上げざるを得ないと思います。
 具体例を挙げてみますと、国立医療センターでは五十九年の六月及び七月に納品された医薬品の支払いは六十年一月三十一日だった。また国立第二病院では、五十九年九月納品のものが支払いは六十年二月二十八日といった例が報告されているわけでございます。この場合は薬価が決まっていなかったからとか、その交渉が難航していたからというような理由は当たらないわけでございまして、そんな理由がないのになぜこんなことになったのか。
 そもそも国立病院特別会計では、歳入の場合は歳入予算、支払い関係は歳出予算として独立してきちんと年度計画を立てているはずじゃないですか。すなわち一般企業の場合には、収入が思わしくないから払う方がままならない、待ってほしいとかいうことがありましょうし、がめつい例になると、お金はあっても金利上のメリットなど計算して払いのしぶとい、こんな個人とか企業もあり得ることはあるのです。しかしながら国立病院の場合は、支払い、歳出というものは国の金庫が保証しているわけです。にもかかわらず、このように支払いがおくれるのじゃなくて、おくらしているということは、厚生省が指導しております会計法規そのものが、一般の基準とは違って六カ月とか七カ月とかわざわざ長くなっておられるのか。いやいや、そんなことはない、会計基準はちゃんと一カ月なり何なりで支払いなさいとなっておるにもかかわらず、病院の側で責任者もしくは担当者が故意に、もしかすると、これは嫌がらせみたいなことで、意地悪のような形で支払いをおくらせているのか、このいずれかと考えざるを得ないわけでございますが、この件について見解をお伺いいたします。
#80
○大池政府委員 ただいま御指摘のございましたケースにつきましては、故意とか意地悪とか、そういうことではないものと承知しておりまして、御指摘のとおり、その当該施設におきますところの特別会計の歳入歳出の中におきまして、資金繰り等やりくりが大変苦しかったというような実情が実態であろうかと思います。特に、御案内のとおり年末をはさんでおりまして、その間、人件費等の支出がかさむものでございますから、つい支払いの方にそれが影響を及ぼして、関係筋に御心配、御迷惑をかけた。このようなことがあっては甚だ好ましくないわけでございまして、我々としても、その改善については目いっぱいもう既に努力に着手しておりますし、逐次改善されるという方向でめども立っているところでございます。
#81
○塚田分科員 某国立医療機関では、五十九年の十月以降納めておる医薬品がずっと未払いになったままなのですけれども、今ごろ卸屋さんに対して、年度末すなわち三月末に予算がとれたから三月末に支払いますよというような通告を行っておる。なぜ急に三月末にそういうふうに予算がついたのか、この辺私は不可解なんですけれども、まあこれはいいとしても、このようにいわゆるお役所用語というか隠れみのと申しましょうか、予算がないから払えないとか、または予算がとれたから払いますとかいうような、いわゆる一般の方にはわからないお役所の制度のそういう言いわけ関係、これをうまく悪用しているような形で支払いが延びておるようなケースが多いのじゃないかというような解釈を私はせざるを得ないわけでございます。そして、そういうふうに三月末に支払いますよというときでも納品はもう十月に終わっておる。そうすると、その納品の日付を変えてほしいというような要求が卸屋さんに対してあるとか、もしくは前々から請求書とかなにかの日付欄がブランクになっておる、これを指定した日に書き加えてほしいとかいうような事例が、これは前の伊藤委員の指摘のときもあったのですけれども、今なお行われておるということを耳にするわけでございますが、この件につきまして、厚生省の指導についての厳しい考え方について御見解を承りたいと思います。
#82
○大池政府委員 ただいま先生がおっしゃいましたようなことにつきましては必ずしも私つまびらかではございませんけれども、実務上、実態上もし、そのようなことが仮にもあるとすれば、これは甚だ遺憾なことでございまして、そのようなことが起こらないように基本的な手当ても努力をいたしますし、また実務上の処理においても、そのようなことが起こらないように指導したいと思います。
#83
○塚田分科員 国会における答弁におきましては、とにかく厳重に指導するというお答えをいただくのだけれども、私が冒頭申し上げましたように力関係みたいなものがございまして、どうしても納入業者の方はそういう困ったことがあっても泣きつく場所がない。下手に国立病院の方をその件で責めたりした場合、後でしっぺ返しみたいなことが起きては困る、そういう弱い立場にある。そこでひとつ提案してみたいのですけれども、厚生省の国立病院課の中か何かにいわば支払い関係の一一〇番みたいなものを設けて、そして弱い立場の業者が実はこういうことで困っておりますとなった場合、名前を明らかにせずに実態を調査して支払い関係の推進を図る、こんなシステムなり何なり考えてやらないと、幾ら指導していてもだんだん緩んでしまって、力関係で弱い者は苦しむ、この繰り返しになるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#84
○大池政府委員 一つの御着想として承りましたけれども、いわゆるそういう一一〇番などの要らないような実態を早く実現すべく努力を継続したいと思います。また、いろいろと御意見なり御要望等はオープンで私どもはいつでもお承りはしますし、また、いかような意見を承っても、別にそのために後の心配をなさることもないように我々としても対処していきたいと思っております。
#85
○塚田分科員 薬価基準の改正が行われた際、新取引価格が、市場実勢と申しましょうか、または力関係でもって決定されていく、その市場全般のプロセスとして一般的に言われていることは、事実そのとおりになっているのじゃないかと思いますけれども、国立大学病院でございます東京大学の附属病院の決定が、非常に大きなリーダーシップを市場において結果的に示すような形になって、それに右に倣えするような形で京都大学とか大阪大学とかが決まっていく、それでだんだんに私立大学の附属病院に及んでいく、そういう波及効果というものが、東京大学の決定が結構早いとしても、最後の私立大学に及ぶまでどうも一年ぐらいかかっちゃっているのじゃなかろうか。これについて何らかの指導と申しましょうか、改善をしなくてはいけないと思うわけでございますけれども、そのためには何といってもリーダーシップを持つことになってしまった東京大学の態度、あり方が重要でございます。そういうことで、東京大学としてはどのような形で新薬の実勢価格の取り決めが決定されておるのか、その辺についてお話を伺いたいと思います。
#86
○佐藤(國)説明員 国立大学の附属病院における物品の購入でございますけれども、医薬品も他の物品と同じように、やはり事前に購入価格につきましていろいろと市場の調査、情報交換、こういうものを広く行いまして、それによって国の方の予算を適正に執行していく、こういう立場にあるわけでございまして、東大の附属病院におきましてはやはり医薬品の納入の量というものが非常に多い、そういうことで、ほかの大学が東大の方はどういう動きをするかということを実際的には眺めているというか、そういう事実は確かにあるようでございますけれども、そのことによってほかの大学が契約ができないというようなことは全くございませんし、現に東大よりも早く契約を済ます大学もあるわけでございまして、納入をされておる方の方にも若干誤解があるのかもしれないという感じはしております。
#87
○塚田分科員 東京大学なりほかの国立大学附属病院が一生懸命やっておられることは私も聞いており、まあまあ文部省よくやっておるなという気はするのですが、同じ文部省の管轄に私立大学の附属病院も入るわけじゃないかと思うのですけれども、これまた評判が悪い。そして、この前の薬価改定これは五十九年の三月一日でございましたね。ところが、六十年の二月になってもまだその値決めが終了していないというようなケースが、私立大学附属病院全体にすると五〇%ぐらいあるのじゃないか、今の時点でですよ。こういうのが業界で言いふらされておる実情のようでございます。そして、六十年の三月一日にまた薬価改定があった。そうすると、前のものが決まっていないで、さらにまた改定になった。より複雑になってしまって医薬品業界の方では非常に泣きの涙で苦しんでおるような状態でございます。そういうわけでございまして、この辺、いわゆる値決めの状況が非常に難航しておる、これについて具体的にどういうような改善方法をとったらいいのか厚生省はきちんとお考えになったことがあるのかどうか。
 そして、それ以前にお聞きしたいことは、今私が申し上げたようなこと、すなわち今でもまだ私立大学病院段階では五割ぐらいしか決まっておりませんよというような実情は、私の指摘が誤っているのかどうか、この辺を厚生省として自信を持ってお答えできるのかどうか。いや、そんなことはありません、今はほとんど決まっておりますよというふうに答えられるのかどうか。そのような厚生省全体としての調査の実態、それから今後どうするかについてお答えいただきたいと思います。
#88
○増岡国務大臣 この問題につきましては、かねてから力関係、先生がおっしゃいましたように納入業者と購買先、いわばほかの部門の取引とは多少異常な面があるということはよく承知をいたしております。したがいまして今、厚生省内部でも、これは主として業務局の方の仕事でありますけれども、納入業者と購買者との間のいわゆる納入に関する契約の取り決め方について、ある程度一定の標準的なものをつくろうということで作業をいたしておるわけでございます。これは一般的なことでありますけれども、御指摘のような問題も現実にはあろうかと思いますので、よく調査をいたしますとともに、特にまた、国立病院におきましては、そのような事態を改善するための予算措置、制度的な問題に手をつけなければならないと思いますから、一段と努力をしてまいりたいと思います。
#89
○塚田分科員 今の大臣の答弁、ある程度納得いたします。要は今、御答弁の内容をいかにきちんと実行していくかということになるんじゃないかと思います。大臣の答弁は抽象的と申しましょうか、指針と申しましょうか、そういうことでございまして、局長の方から、ひとつ実際指導する原局の立場から、国立病院の取引薬価の決定とか、また支払い期間の問題であるとか、またそういう会計基準と照らし合わせて支払いの実績が本当に指導どおりにいっているのかどうかチェックするシステムをどうするのか、この辺について事務当局としての方針をお聞かせいただきたいと思います。
#90
○大池政府委員 国立病院という一つの限られた枠の中での薬品の購入であり、その際の価格形成の一翼は担っておるという意味におきまして、別途、所管の局において何らか検討する際には、私どもとしてもその作業には協力してまいりたいと考えております。
 御承知のように実態上の薬価形成はいろいろと複雑なメカニズムが働いているわけでございましょうが、先ほど先生のおっしゃったような大学から逐次決まっていくということも間接的には私どもも承知しております。私どもも薬価を定めて契約を結ぶに当たりましては、それが適正な価格に落ちつくように病院側としても努力をしているわけでございまして、その際には大学等値の医療機関での実勢価格の動きとか、それからみずからの医療機関あるいは近隣の医療機関の過去の実績とか、そういったものをよく見比べながら、適正な価格で落ちつくように業者とも折衝をやっているところでございます。
#91
○塚田分科員 実際取引薬価の決定につきまして、厚生省としては今後はきちんとやるという力強い決意をお聞きしたわけでございますが、それでは文部省の方、国立大学は私、先ほど褒めたような形なんですけれども、逆に私立大学の御評判が悪いのですが、この辺について今後どのように御指導されるか、決意のほどだけでも御答弁いただきたいと思います。
#92
○佐藤(國)説明員 私ども、私立大学は所管はしておりますけれども、そういったいわゆる商取引でございまして、政府機関であれば先生御承知のように請求書が出れば三十日以内にお支払いをする、こういうような取り決めがあるわけでございますけれども、民間の方にはなかなかそういうことがなく各大学それぞれでございまして、実際に私どもとしてどれほどのことができるか疑問でございますけれども、先生の御趣旨を体しまして、機会がありましたらそういうことを伝えてまいりたい、こう思っております。
#93
○塚田分科員 ちょっと質問の矛先を変えさせていただきますけれども、最近、抗がん剤のにせもの事件が起きたことは厚生省もよく御存じのはずでございますし、その際、一部の国立病院も巻き込まれておった、すなわち、にせものをつかまされておった、買っておったというケースがあったわけでございます。他の模範たるべき国立病院では絶対にこのようなことが起きないように注意すべきでございますけれども、なぜこんなことになったかというと、いわゆるブラックマーケットから医薬品を買ってしまったケースが国立病院でもあるということでございまして、ほかの私立病院などと違いましてやはり模範たるべき国家医療機関でございますので、俗に言われる第二市場と申しましょうか、ブラックマーケットからは医薬品などは購入しないようにきちんと御注意いただきたいと思うのですが、この抗がん剤の件を機に注意をされたのかどうか。それから注意されてないとすれば今これを機会に、そのような通達といいましょうか、もしくは行政指導、ブラックマーケットに手を出すなというようなことをやっていただけるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#94
○大池政府委員 ただいまの御指摘の抗がん剤のにせ薬事件のことは私どもも承知しており、他山の石として、そのようなことがあってはならぬということで戒めと受けとめておりますが、国立病院におきましては今回の抗がん剤の問題には関与しておりませんので、その点ちょっと御説明申し上げたいと思います。
 しかし、一般的にそういう問題に対処してどうかということにつきましては、国立病院におきましてもごく少ない割合ではございますけれどもいわゆる現金問屋というものとの取引もございます。この点につきましては御承知のとおり、薬事法の許可を得た業者であって会計法上の入札参加の資格を有する業者という、その中で特に現金問屋なるがゆえにということで一律に排除するということはなかなか困難なことも御理解いただいているところでございます。しかし、そのようなリスクがあってはなりませんので、実態上その資格の審査に当たりましては品質の管理について十分配慮されている業者であるかどうか、例えば製品番号が不ぞろいでないかどうかとか、納入についての安定した力を持っているかどうかとか、必要なチェックは厳重に行うように私どもとしても指導をしているところでございます。
#95
○塚田分科員 先ほど大臣からかなり誠意ある御答弁をいただいておりますが、私の質問の締めくくりといたしまして、繰り返しにはなりますけれども、歳出予算が保証されております国立病院が支払い遅延で取引業者を困らせるようなことを今後起こさない、その決意について再度お言葉をいただきたいと思います。
#96
○増岡国務大臣 先ほど政府委員から事態の改善についていろいろ努力をしておるという話でございます。私も先生御指摘の趣旨を十分に踏まえまして、今後引き続き指導の徹底を図ってまいりたいと思います。
#97
○塚田分科員 最後に、私といたしましても言いっ放しじゃなく、また厚生省としても聞きっ放しになってしまう、こんなことを避けるために、私がさきに指摘いたしました国立医療センターが六十年一月二十一日に支払った医薬品の納入時期が実際いつだったのか、また国立東京第二病院、私が指摘した事実について裏づけ調査を行っていただき、私のところに御報告いただけるようお願いしたいのですが、いかがでしょうか。
#98
○大池政府委員 御趣旨に沿うように調査を行ってみたいと思います。
#99
○塚田分科員 終わります。
#100
○小杉主査代理 これにて塚田延充君の質疑は終了いたしました。
 次に、渡部一郎君。
#101
○渡部(一)分科員 私は本日、国連に勤務されている日本人職員からの手紙に基づいて、国民年金参加問題を中心にしてお尋ねするものでございます。この手紙は、国連事務次長を務めている明石康氏が、邦人職員岩井氏の書いたメモについて言及された上、質問を寄せられたものでございますが、時間の関係上私が質問の形に取りまとめましてお尋ねをするものでございます。今回の年金法改正に関する審議の途中でございますが、従来の制度並びにこれから変わろうとしている制度、両面につきまして、これら在外の国際関係機関に勤務されている方々、また広くは在留邦人の方々の年金権の問題についてお尋ねをしょうとしているわけであります。
 まず、国連本部及びその専門機関等主要国際機関に勤務しておられる日本人職員は現在何名おられますか。また、そのうちにはOECDあるいは世銀の職員等も含んでおりますか。その辺をまず伺います。
#102
○佐藤(俊)説明員 現在約八百名が勤務しておられます。この八百名というのはOECD及び世界銀行に勤務しておられる数が含まれた数字でございます。
#103
○渡部(一)分科員 公務員の身分のまま出向しておられる方はどのくらいおられますか。また、民間企業から出向しておられる方は何人おられますか。また、これらの方々の年金制度への加入については現在どうなっておりますか、御説明いただきたい。
#104
○佐藤(俊)説明員 公務員の出向者は約百三十名、民間からの出向の方々は約六十名おられます。
 第二にお尋ねの点につきましては、国連におきましては独自の国連職員年金制度が適用されております。したがって、この国連職員年金制度と同時に、この期間にも我が国の国内制度のもとで公務員出向者の方々の場合には共済年金期間が引き続いております。また、民間企業からの出向者の方々の場合には厚生年金期間が引き続いております。
#105
○渡部(一)分科員 しかし、多くの国連の日本人職員は公務員あるいは民間企業を退職し国連職員になっているため、国連年金基金には加入できても日本の年金制度には現在加入できないのであります。これらの方々の切なる要望といたしまして、明石事務次長の手紙にもありますように、ぜひとも国民年金へ加入させてもらいたいという強い希望があるわけであります。
 現在、国会で審議中であります年金制度の抜本改革案の中におきまして、在外邦人の国民年金への任意加入を認め、任意加入をしなかった期間につきましても資格期間に算入する措置を新たに設け、昭和六十一年四月一日から適用される予定と聞いております。国際機関等で働いている皆さんに対しても、配偶者の方々にとりましても、その希望がかなえられることになり、一日も早くこれが実現の運びになることを期待しているものであります。
 そこでお伺いいたしたいことは、今まで国連に長い間勤めていた方々も多いことと思いますが、新法施行日以前の期間につきましても資格期間等として認めていただかないと年金を受給できない人も出てくると思いますが、これは当然認めることになっていると思いますが、いかがでございましょうか。
#106
○吉原政府委員 まず現行の制度がどうなっているかということを簡単に申し上げますと、現行の国民年金制度は、厚生年金保険等の被用者年金制度の被用者被保険者以外の方でありまして、二十歳以上六十歳未満の日本国内に住んでおられる方を対象にしておりまして、これらの方が国民年金制度に加入して二十五年という受給資格期間を満たした場合に、六十五歳から老齢年金が支給される、こういうことになっているわけでございます。
 今回、今国会で御審議をお願いしております年金制度の改正案におきましては、今申し上げました国民年金制度の対象を全国民に拡大をいたしまして、基礎年金を全国民に支給をするという制度に改めることにしておりまして、同時に、海外に居住しておられる日本人の方々につきましても新たに任意加入という道を開きまして、昭和六十一年、明年の四月一日からの実施を予定しているわけでございます。
 この場合に、改正案の施行日である明年の四月一日におきまして既に相当の年齢に達しておられる方につきましては、御質問の中にもございましたように六十歳までに二十五年という長い資格期間を満たし得ない方がある場合があることも想像できるわけでございまして、そういったことを考えまして、国民年金制度というものが発足したのが昭和三十六年でございますけれども、その昭和三十六年四月一日以降施行日までの期間であって、その方の二十歳以上の期間につきましては、最初に申し上げました二十五年という資格期間の中に算入をする、それで年金受給の道を開くというような措置を講ずることにしているわけでございます。
#107
○渡部(一)分科員 ただいまのお話は、要するに空期間を前に設定する、こういう意味でございますね。
 この場合、本人が受け取る年金額はどれくらいになるものか、海外の方がこの質疑のやりとりを聞くと思いますので、具体例によってお示しをいただきたいと存じます。
#108
○吉原政府委員 改正案におきましては、二十歳から六十歳までの四十年加入をされた場合に単身で月額五万円、御夫婦の場合には月額十万円の老齢基礎年金が支給されることになるわけでございます。この五万円あるいは十万円と申し上げましたのは現在の価格での五万円、十万円でございまして、今後、物価、賃金等の変動があった場合にはそれに見合った改定がされることになっております。
 それから改正案の施行日である明年の四月一日において既に二十歳を超えておられる方につきましては、二十歳に達したとき以降、施行日前までの期間で海外に在住しておられた期間は、先ほどの御質問にもございましたように資格期間を見る場合にはその中に算定をされるわけでございますが、年金額の計算に当たっては、実際にこれから加入された期間だけが年金額の基礎になる、こういうことになるわけでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば改正案の施行日において仮に三十歳であった方につきましては、二十歳から三十歳までの間海外に住んでおられたといたしますと、六十歳まで三十年間加入をしていただくということになるわけでございますが、その場合の年金額は五万円の四十分の三十に相当する額、具体的には月額三万七千五百円という年金額になるわけでございます。
 ただ改正案におきましては、六十歳から六十五歳までの間は任意加入できる道が別に開かれておりますので、その期間、任意加入をされました場合には、その加入された期間、その場合の納められた保険料に応じて今申し上げました金額よりも高い年金額が受けられる、こういうことになるわけでございます。
#109
○渡部(一)分科員 この改革案が成立した後の話でございますが、年金制度がこのように変わり加入できるようになりました等の本人への通知または加入手続はどのようなことを考えておられるのか、これがなかなか問題だと存じます。
#110
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 ただいまの現行制度におきましての国民年金の任意加入の取り扱いに準じて考えさせていただくということになるわけでございますが、現在の国民年金の任意加入の仕組みを申し上げますと、御自分の住所地の市町村長さんに加入をしたいという旨のお届けをしていただきまして、それからその市町村から御本人に対しまして、現在は三月に一回、保険料をまとめて納入していただきたいという御通知を差し上げまして御本人が納入をしていただくという形が原則になっておるわけでございます。
 それで今、先生からお話がございましたように国会で御審議をいただいております改正案に盛り込まれております在外邦人の方の国民年金の任意加入を今後どういったような手続でやっていくかということになるわけでございますが、現在、法律が御審議をいただいておるところでございますので、私どもといたしましては成立を待ちまして具体的な方向につきまして指示をいたしたいと思っておるわけでございますが、現在のところ考えておりますことは、海外赴任に先立ってあらかじめ手続をしていただくということ、または国内に住んでおられますほかの御家族の方、御親族の方に手続を依頼していただくというようなことを考えておるわけでございますが、いずれにいたしましても市町村がこういった国民年金の加入に関します窓口ということでございますので、この方針で考えていきたいと思っておるわけでございます。
 今、申し上げましたように具体的なものは今後さらに関係方面の御意見も聞きながら詰めていきたいと思うのでございますが、現在私どもの方では社会保険庁の国民年金課というところでこういった問題についての検討を進めておるわけでございます。先生がお話しの、こういった在外邦人への内容の周知徹底の問題でございますが、この点につきましては在外公館また各外国に置かれております日本人会等いろいろな団体を通じましてこの趣旨の徹底を図りたいと思っておるわけでございまして、関係各省とも御相談をさせていただきたいというふうに思っておるわけでございます。
#111
○渡部(一)分科員 ただいまおっしゃったことは、また詳しく決定されてから後お尋ねをさせていただいて教えていただきたいと思っておるわけでございますが、意外に、市町村の担当者に申告をするということが困難であると私は思います。というのは、戦前から日本から行かれて今日もなおかつ在外地におられる方々は、意外と自分の市町村名も危なくなっているケースが非常にある。それが煩雑に感じられるということで加入権を失うということもあるわけでございますから、日本語も確かでなくなり、そして故郷の名前も忘れてくるという人々に対する配慮というものも十分にお考えいただくように、この場で御要望をいたしておきたいと思います。
 次に、保険料の納付の方法等につきましてはどのようなことを考えておられますか、お尋ねいたします。
#112
○長尾政府委員 先ほど、現在の仕組みについての御説明を申し上げたわけでございますが、国民年金の保険料は従来、原則といたしまして住所地の市区町村に納付をしていただいているわけでございます。改正案が成立した場合の海外に居住しておられます被保険者の保険料の納付の方法でございますが、先ほどちょっと申しましたように、国内に御家族がおられますような場合は、その方方から保険料を納付していただくということも考えられるわけでございますけれども、今、先生の御指摘のありましたように、外国へ行かれましてから相当長い期間の方に、果たしてこういう方法がとれるかどうかという問題があろうかと思います。この点につきましては、外国におられます方の直接送金をどういう形でやっていくか。例えば現在、保険料は三月に一回というふうに申し上げましたけれども、改正案では毎月に納付していただくというふうに変わるわけでございますが、それを外国の方については前納していただく、一括一年分を前納していただくというような方法も考えていかなくてはいけないというふうに考えておるわけでございます。
 問題は、この次に、こういう保険料をお支払いいただきました後での年金の支払いの問題があるわけでございますが、年金の支払いをお受けになりますためには、まず年金権の裁定、つまり受給についての申請をしていただく必要があるわけでございます。現在、既に受給権を持たれてから海外に行かれた方につきましては私どもで海外送金をいたして支払いをいたしております。現在、大体千名ぐらいの方が海外に居住しておられて、送金をいたしておるわけでございますが、現在のところは、国内におられまして国内で会社にお勤めになりまして、国民年金の保険料または厚生年金としての保険料をお払いになりました後、外国へ行かれたというケースでございますので、それぞれの例えば厚生年金でございますと会社の所在地の社会保険事務所、国民年金でございますと最後の住所地の市町村がそういった申請の窓口になりますので、そこに手続をいたしまして、そこで申請をいただきまして、私どもの庁の方で裁定をいたしまして、御本人が申請されました外国の金融機関に私どもの方から送金をしておるというようなことをやらしていただいておるわけでございます。海外送金の具体的なやり方はもう既にこういう形でございますので、この点につきましては、この今までの方法でよろしいのではないかと思います。
 問題は、今の裁定のための申請でございますが、これが、ずっと外国におられた方々につきまして、さっき申し上げたように住所地が、先生お話しのように大変疎遠になっているというような場合に、どういうふうに考えていくかということであると思いますので、この点につきましては勉強させていただきたいと思っております。
#113
○渡部(一)分科員 非常に行き届いた御答弁で感謝しているわけでございますが、こうした問題につきまして今後とも問い合わせをしたい、日本政府のどこに聞けばわかるのかということが当然生じてくると存じるわけでございますが、この問題を一つ追加してお答えいただけるとありがたいわけでございます。
#114
○長尾政府委員 この問題について検討いたしておりますのは、具体的な手続面ということでございますと社会保険庁の国民年金課でございますが、直接本国の方にお問い合わせになるというのもいろいろな意味で煩瑣かと思いますし、ある程度内容が固まりました段階では、先ほど先生からお話がありました海外にございますいろいろな在外公館等を通じまして、なるべく広く皆さんに徹底できるようなことを考えさせていただきたいと思います。
#115
○渡部(一)分科員 それからまた付加年金への加入がどうなるでしょうか。また、付加年金に物価スライドをぜひとも実現させていただきたいと思っているわけでございますが、この点はいかがか、お答えいただきたいと存じます。
#116
○吉原政府委員 今の付加年金の御質問にお答えする前に、先ほどの私のお答えに不十分な点がございましたので一点だけ補足をさせていただきますが、四十年加入した場合に月額五万円の基礎年金ということになるわけでございますけれども、既に相当年齢の高い方につきましてはこの四十年という資格期間を満たし得ないということが考えられますので、四十年で五万円というのは昭和十六年、一九四一年四月二日以後に生まれた方について四十年という資格期間が必要となるということになっておりまして、それ以前に生まれた方につきましては、この四十年という期間が二十五年から三十九年まで、その方の年齢に応じて短縮をされております。その期間ずっと保険料を納めていただければ月額五万円の基礎年金が支給されるということになっておりますので、補足をさせていただきたいと思います。
 御質問の付加年金の問題でございますけれども、現在の国民年金制度におきましては、本体の保険料、昭和五十九年三月現在月額六千二百二十円でございますが、それ以外に、希望する方につきましては月額四百円の付加保険料を納めていただいて高い年金額が受けられるような仕組みが設けられております。その場合の年金額は、付加保険料の納付期間に応じて計算した額、例えば二十年付加保険料を納めていただいた場合には、一年につき二百円の二十倍で月額四千円の老齢年金の額が本来の年金の額に付加されて支給される、こういうことになるわけでございます。
 なお、国民年金本体の保険料は、今回の改正案におきましては昭和六十一年四月に現在の価格で月額六千八百円ということに予定をされておりまして、それ以後毎年、現在の価格で三百円ずつ引き上げられることになっているわけでございます。
 それから今回の改正案におきましては、海外に居住する日本人であって国民年金に任意加入している方につきましては、当然、付加年金にも加入できるということになっております。
 それから付加年金についての物価スライドの問題でございますけれども、付加年金につきましては、この制度が強制加入でございませんで、希望する方だけが高い保険料を払って高い年金を受けられるというような任意加入の仕組みをとっておりますし、そういった任意加入の仕組みを前提にいたしまして、財政的にも完全積立方式という財政方式で運営されているために、本来の年金額と同じような形で物価スライドというものを導入することは実際問題として難しいというように考えております。
#117
○渡部(一)分科員 我が国企業の海外進出というものは近年目覚ましいものがございますが、こういう企業で働いている方々の年金問題について伺いたいと存じます。
 海外に長期間滞在している日本人の滞在状況はどのようになっているか。また、そのうち日本企業の支店あるいは子会社に働いておる人数はどのくらいあるか。
#118
○池田説明員 御説明申し上げます。
 我が国の在外公館が毎年十月一日で海外におります邦人の数を調べております。その結果によりますと、五十八年十月一日現在でございますけれども、長期滞在者全部を合わせますと四十七万人でございます。そのうち日本の企業あるいはその支店、子会社に働いている日本人の数は、ぴったりした、そういったカテゴリーでの調査はちょっと手に入らないのですが、日本の民間企業関係者とその家族というカテゴリーで調べた結果、これも五十八年十月の数でございますけれども十五万八百八十二名という数がございます。
#119
○渡部(一)分科員 相当な数ですね。海外に長期滞在する日本人は、アメリカが圧倒的に多くて十三万人、西ドイツでは一万四千人ということでありますが、これらの方々の年金制度への加入はどうなっておるか。また、日本国内において厚生年金へ加入し、外国へ行けばそこでも強制加入となり、二重に年金制度に加入している場合があり、特に西欧諸国では保険料も高く、企業にとっても本人にとってもその負担は大きなものとなっているようでありますが、二重加入についてどういうふうに把握しておられるか。
 また、二重加入により日本でも年金がつき外国でも年金がつくという場合はともかくといたしまして、海外の子会社等に勤務し、その子会社から給料が支払われる場合、外国での年金も日本の年金も年金受給権に結びつかない、いわゆる無年金者となる場合が多いと考えられますが、その現状と対策についてどう考えられますか、お答えいただきたいと存じます。
#120
○吉原政府委員 まず、一般的に在外邦人の年金制度への加入が制度的にどうなっているかということをお答えいたしますと、在外邦人の方につきましては、その居住するそれぞれの国の年金制度がまず原則として適用されることになるわけでございまして、我が国の年金制度の適用はそこには及ばないということになるわけでございます。ただし、日本国内で厚生年金が適用される会社あるいは事業所に使用されている人が海外の事業所等へ派遣されている場合どうなるかといいますと、日本国内にある会社なり事業所との間になお一定の雇用関係が継続している場合には引き続き厚生年金が適用される、こういうことになるわけでございます。したがいまして、これらの厚生年金保険が引き続き適用される方については、現地におけるその国の年金制度と厚生年金保険というものが二重に適用されることになるわけでございます。
 在外邦人の年金制度の二重加入について、具体的にどういう状況かという御質問でございますが、すべての国について状況を的確に把握しているわけではございませんが、西ドイツについて申し上げますと、西ドイツにおきましては労働者年金と職員年金に分かれておりまして、被用者というのはこういった労働者年金、職員年金に強制加入されるという建前になっておりますが、一九七七年の年金法の改正によりまして、外国から派遣された方につきましては、まず第一に本社との間に雇用関係が存在をしていること、それから西ドイツでの勤務期間が一時的なものである、一時的な派遣であるということが事前に明らかであるという場合には適用除外されることになったわけでございます。従来は、日本から西ドイツに行きました場合には必ず二重適用ということになっていたわけでございますけれども、これによりまして、本社との雇用関係が継続し、かついずれ日本に戻る、西ドイツへの滞在は一時的なものであるという場合には西ドイツの年金法が適用されない、したがって二重適用にはならないということになったわけでございます。
 それから、アメリカがどうなっているかといいますと、アメリカにはOASDI、老齢・遺族・障害保険という制度がございまして、アメリカに行った日本人はそこに強制加入ということになるわけでございます。西ドイツで申し上げましたような一時派遣者は適用除外をするというような制度、措置がございませんので、我が国の会社あるいは事業所と一定の雇用関係を持ったままアメリカに行った場合には、我が国の厚生年金とアメリカの〇ASDIと二重に適用される、こういうことになるわけでございます。
 そして、年金に結びつかないケースがあるのじゃないかということでございますが、現在の我が国の厚生年金、国民年金制度におきましては、海外の現地法人等に勤務している者を適用対象にしておりませんために、場合によっては、二重に適用されながらいずれの資格期間も満たし得ない、したがって年金が受けられないというようなケースが現行の制度では十分考えられるわけでございます。そういったことを考えまして、最初に申し上げましたように今回の年金法の改正案におきましては、そういったことができるだけなくなるようにという考え方から、次のような特例措置を講じているわけでございます。
 まず第一に、在外邦人は国民年金に任意加入できる道を開く。仮に任意加入しなかった場合でも資格期間には算入をする。俗に空期間と言っておりますけれども、資格期間には算入をして年金の受給資格に結びつくようにするという措置をとることにしております。それから第二に、新制度の施行日前の海外在住期間、つまり過去の期間については、国民年金が発足をいたしました昭和三十六年四月以降の期間で二十歳から六十歳、つまり、本来国民年金の適用を受けるべき期間を資格期間に算入するということにしているわけでございます。
 それからもう一つは、在外邦人に対するこういった年金の二重適用の問題あるいは年金が受けられなくなるというような問題を根本的に解決するために、我が国と外国との間で年金の通算協定というものを締結して、外国における年金制度の加入期間と我が国の年金制度の加入期間を通算する。二重加入による保険料の二重払いの問題、二重適用の問題も同時に解決して年金の受給権に結びつくようにするということで、現在アメリカあるいは西ドイツと交渉しているところでございます。
#121
○渡部(一)分科員 ただいまの御答弁をいただきまして感謝しておりますが、大臣におかれましても、この二重加入の問題とか各期間通算の問題等について、関係諸国と十分御配慮の上、交渉を積極的に進められるように希望いたします。
#122
○吉原政府委員 大臣からお答えする前に、事務的に状況をちょっと御報告させていただきます。
 まず西ドイツとの交渉でございますが、西ドイツとは四十二年から、年金通算についての交渉を始めたわけでございます。五十二年ごろから、西ドイツにおける年金法の改正等の事情がございまして中断しておったわけでございますが、渡部前厚生大臣が昨年西ドイツを訪問されまして、西ドイツのブリューム労働社会大臣と会談をされまして、今後事務レベルの協議を再開しようということで合意されたわけでございます。こういった合意を受けて、現在担当者レベルの間で文書の交換等を通じて協議をしております。現在私ども国会にお願いしております年金法改正案が成立をしましたならば、なおさらに積極的にこの協議を進めて早く締結に持っていきたい、こういうふうに思っておりますし、アメリカとの間においても、四十年代から断続的に交渉を続けております。現在まだ合意、協定というところまで来ておりませんが、早くそこまで持っていくように、今後とも努力をしたいと思っております。
#123
○増岡国務大臣 ただいままでのお話のように、一部については今回の年金改正法案で解決するわけでありますけれども、なお根本的な解決を図るためには年金通算協定の締結が必要でございます。現在行われております西独とアメリカとの協定の締結につきまして、前向きに対処してまいりたいと思います。
#124
○渡部(一)分科員 ありがとうございました。
#125
○小杉主査代理 これにて渡部一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、川俣健二郎君。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
#126
○川俣分科員 三十分の時間でございますが、私は、はり、きゅう、あんま、マッサージ、柔道整復師等いわば東洋医学、こういうものの需給と西洋医学との調整を何とか願いたいものだ、こういう考え方で取り上げたいと思いますが、なかなか行政に乗らない。厚生省の御担当のおかげで大分進んではきましたが、まだかなりぎくしゃくしておるという状態でございます。
 その前に、大臣は、はり、きゅう、あんま、マッサージ等にお世話になったことがありますか。
#127
○増岡国務大臣 まことに残念でありますけれども、私は肩こりも腰痛も全くございませんので、皆さんが愛好されておることはよく承知いたしており、その効果についても認識を持っておりますけれども、自分自身ではお世話になったことはございません。
#128
○川俣分科員 その効果、非常に普及しているということの認識はお持ちのようでございます。
 私は、なぜこういうように毎年毎年しつこくやっているかといいますと、かかる人が非常に多くなってきた、それだけに供給もふえてきた。厚生省の指導もこれありだろうが文部省の例の明治鍼灸大学、四年制、これもやがて卒業生が来年あたりですか出ようとしておるわけですが、これは当然人体に触れる仕事ですから、衛生法上厚生省にかなり関係のある卒業生が出てくる。ところが、この取り扱いを見ると、同じ東洋医学といいましても、柔道整復師、はり、きゅう、マッサージ、あんま等の取り扱いが各分野で非常にぱらぱらである。このぱらぱらであることは担当も承知の上だろうと思うのですが、例えば保険の支払い方式、支給対象、医師の同意の取りつけ方、その支給期間、施術回数、こういうものも制限を加えておる施術もあるし、加えられない、治るまでというのもある。しかも、四十二年当時の行政通達なるものでやっているところに、やがて二十一世紀を迎えようとする今、中国からのはり、きゅう等の効用を認めながらも、なかなか行政機構に乗りにくいというところに何があるだろうかこういうことで今まで取り上げてきたわけでございます。
 これは私、個人的に取り上げるだけではなくて、わりかた関心がありまして、きょうのこの狭い委員会室ですが、後ろにおられる傍聴者も、党派を超えて紹介の皆さん方を煩わして、関心を持って来られているということを考えますと、これは何としてでも、四十二年、もうかれこれ二十年近くなったこの通達を見直す以外にないのではないかな、こういうように考えてきておるわけでございます。
 そこで、過去何回も学校の問題、学校をつくるときも医師会との関係でぎくしゃくありましたが、それを押して当局に設置してもらいまして、さっきお話ししたように、やがて卒業生を生む寸前だ。非常に需要も多い。大臣は、お目にとまったかもしれませんが、田中元首相が軽い脳卒中で倒れられた。これは一日本だけじゃなくて、世界的に非常にマスコミにも載ったわけですが、中国から公使が見えまして、最高のはり師をいつでも派遣する用意がある。それの応対に出たのが小沢先生で、非常に因縁浅からざる中国との関係のある田中元首相でございます。こういうように、今や国民医療の一環として、今までのような旧態依然たる考え方の取り扱いではできなくなった、こう私は思うのでございますが、その辺どうですか。局長でもいいのですが、どなたでもいいです。
#129
○吉崎政府委員 私も大臣と同じように、具体的にお世話にはなっておりませんけれども、心情的にはこの伝統医学の、いわばシンパでございます。ですけれども、西洋医学と東洋医学では基本的概念が相違をしておりまして、そこのところを近代科学でもって説明ができるようにする、これが何よりも大事なことであると考えております。たしか、前回にもお答えした記憶がございますが、中国の言葉で中西合作と申しておりますけれども、新しい体系ができることを期待しておるのでございます。
 さきに開設になりました中日友好病院、これは中国が西洋医学を導入する一つの拠点にしようという考えだと承知をいたしておりますが、その診療科目の中にもあんま、はり、きゅう科が設けられておりまして、そういうことがまた新しい体系、東洋医学の解明に大きな力を果たすのではないかと期待しているところでございます。
#130
○川俣分科員 メカニズムも違うしという論争もあるが、その論争は、局長は専門のお医者さんでしょうから。しかも西洋医学でお育ちになったのだと思うのですが、私がさっきから申し上げておるのは、きょうは労働省を呼んでおりませんが、それに携わる医療供給者側、はり師、マッサージ師、「師」というのがついている。代議士の「士」と違う、先生の師だ。この皆さん方がやがて十万人を数える。お医者さんは二十万人くらいにまだ達してない。約半分はばり、きゅう、あんま、マッサージ師という師である。片一方は医師である。こういう観点から、メカニズム云々という論争はさておきましても、やはりこれは保険局長もいるのだが、医療保険の取り扱いもこうなると、やがて国民医療費十五兆。労働問題としては片や二十万、片や十万、それじゃ二分の一はこっちの方に、こういう理屈も出てくるかもしらぬが、そういう暴論は言わないにしても、それじゃ一体この医療保険の取り扱いを聞きたいのだが、このはり、きゅうを受けた人力が保険から給付を受けるためには、どのような要件と手続が必要であるかということをちょっとみんなに聞いてみましょうや。
#131
○幸田政府委員 現在の医療保険では、はり、きゅうにつきましては、医師による適当な治療手段のない場合で、はり、きゅうの施術効果が期待できるものについて、医師の同意があった場合に認める、こういうことになっております。この考え方は、現在の健康保険ではやはり何と申しましても医師の医療行為が主体でございまして、いわば西洋医学が主体であり、例外的に東洋医学を認める、こういうことでございまして、西洋医学を学んだと申しますか、あるいは西洋医学の基礎を持った医師の医療行為が中心でございますので、こういった取り扱いをいたしているということでございます。
#132
○川俣分科員 その論議に入る前に、それじゃ事務当局でいいけれども、わかった年度でいいのですが、医療費の推計が出ていると思うが、柔道整復師でどのぐらい、はり、きゅうでどのぐらい、マッサージ師でどのぐらい、その他当然いわゆる西洋医学だと思うのですが、それの大体の数字がわかりますか。
#133
○幸田政府委員 五十七年度の推計でございますけれども、全体の国民医療費が十三兆八千七百億でございます。そのうち柔道整復関係が八百八十億、それからはり、きゅう関係が六十三億、あんま、マッサージが三十四億という数字でございますけれども、とれは健康保険として支払いをしている柔道整復なり、はり、きゅうあるいはあんま、マッサージの費用でございます。
#134
○川俣分科員 それでは五十七年度の保険給付費のトータルは何ぼですか。
#135
○幸田政府委員 保険給付費の総額は十兆三千八百億でございます。
#136
○川俣分科員 保険給付費のトータルが十兆、そのうちはり、きゅう、マッサージ等が約百億、〇・一%、そして〇・一%に携わる人は十万人、ほとんど九割九分が二十万人、この数字が出ておるのですが、そこで、この医師の同意書云々というのはいつの通達ですか。
#137
○幸田政府委員 四十二年九月の通達でございます。
#138
○川俣分科員 同じ柔道整復師の場合は同意書はどうなっていますか。
#139
○幸田政府委員 柔道整復師につきましては、実際に医師から施術について同意を得た旨がやはり必要でございまして、その旨をカルテに記載する、こういう取り扱いになっております。
#140
○川俣分科員 こういうようになっているが、医師が柔道整復師から、脱臼または骨折の患部に施術するにつき同意を求められた場合は、ゆえなくこれを拒否することはできない。これが柔道整復師法。それからはり、きゅう、あんま、マッサージ。十七条。保険医は患者の疾病または負傷が自己の専門外にわたるものであるという理由で、みだりに施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならない。はり、きゅう、あんま、マッサージに与えてはならない。こちらは拒否してはならない。不公平じゃないですか。
#141
○幸田政府委員 はり、きゅうの場合について申し上げますならば、私どもいつも問題になりますのが、やはり治療のためにやるものであるか、あるいは保健といいますか、ヘルスあるいは健康保持のためにやるものであるかということが、実際問題としてなかなか区別がつかない、こういうことがございます。保険の取り扱い上はり、きゅうについて特に厳しく医師の同意を求めておりますのは、そういった事情が背景にあるからでございます。
#142
○川俣分科員 それにしても、今までのずっとの経過、四十二年当時のこの規則、通達等、みだりに施術業者の施術を受けさせることに同意を与えてはならないと言っていながら、柔道整復師の場合はゆえなく断ってはいけない。これは、今のはり、きゅう、あんま、マッサージ、柔道整復師等、いわゆる東洋医学の範疇で行政指導をやっている皆さんにしては、余りにも不公平を感じませんか、どうでしょうか。
#143
○幸田政府委員 柔道整復の対象にいたしておりますものは骨折、税目、打撲あるいは捻挫、こういったものでございますが、それに対しまして、はり、きゅうの場合には、主として神経痛、リューマチなどというようないわゆる慢性病でございます。先ほどから申し上げておりますように、治療のためであるかあるいは保健、健康保持のためであるかという点について、より厳格な取り扱いが必要ではないかということを私ども考えているわけでございます。
#144
○川俣分科員 主査、ちょっとこれ、大した部数ないのですけれども、主査初め皆さんに……。
 これは当該委員会、もちろん社労委員会ですが、毎年毎年この種の請願がある。今の局長のような考え方はあろうが、毎年のように請願書が出ておる。昨年は、私の手元には、四月二十七日に受理いたしまして、紹介議員が民社党の塩田晋先生ですか、社労の理事さんですが、請願者は兵庫県姫路市の方で、千八百九十名。これは一つの請願ですが、これに対して、いろいろと請願採択は私も経験しましたので、理事会にかけて採択するかしないかでやるわけですが、この文書はちょっとどういう文書だろうか。私も手に入ってひょっと考えたのだが、「衆議院社労委に於ける「本会の請願に対する統一見解」有馬委員長」。委員長有馬元治と書くのがスタイルだが、「「統一見解」有馬委員長」と書いた文書が私の手に入った。どこから入ったかわからぬけれども、これは幻だろうかなと思うのだが、ちょっと読んでみます。
  はり、きゅうは、長年の伝統を有する東洋的医学で、ある種の慢性的な疾患に対して著しい治療効果があり、広く国民の間で利用されている。
ここまでは認める、大臣はかからないでいるけれども認めると思う。
 また、最近では、各自治体等で予防医学的見地からはり、きゅう治療等が実施されており、それが慢性的な疾患により苦しんでいる患者救済の一端としてその効果が期待されている。特に最近では食生活や生活環境の変化等によりきのうも頸肩腕とか、新しい職業病として認めたらどうかということで、給食婦でしたか、そういう論議も出てきました。
 病気の態様は多様化したといわれており、人口構造の高齢化に伴い慢性疾患といわれるものが著しく増加している状況にある。
 ついては、政府は、はり、きゅうに対する過去の認識にとらわれることなく、西洋医学と東洋医学の折衷による病気の治療を検討し、国民の健康を積極的に推進すべきである。
 こういう統一見解というのを我々見せられて、おやと思ったのだが、これは御承知ですか。担当だから、あなた方はわかるだろう。去年のことだから、局長か課長に。
#145
○吉崎政府委員 私はただいま初めて拝見をいたしました。
#146
○川俣分科員 それでは、大変恐縮ですけれども、私の手にせっかく入ったものですから、これはどういう経過で――これを見ると、やはり前の社労委員長の有馬先生の名誉にかけても――これは単なる幻でぱあっと飛んでおれのところに入ってきたのか。この趣旨は、私が今質問しようという流れと同じ流れなだけに、私は非常に関心を持っておるものですから、後でこの返事をもらいたいと思います。
 そこで、話を戻しますが、この医師の同意書については、実際にはり、きゅうを行っている人から聞くと、なかなか医師から交付してもらえない、ここに問題がある。ところが、片や多くの人力に普及しておる。そして、さっき言ったように柔道整復師とばり、きゅうとの違いでこれほど不公平に取り扱われておる。ここまでは皆さんに認識してもらったのですが、それでは一体はり、きゅうの適応疾患というのはどのように考えておりますか。
#147
○幸田政府委員 私どもで四十二年に取り扱いを決めておりますものは、「慢性病であって、医師による適当な治療手段のないものであり、主として神経痛、リウマチなどであって類症疾患については、これら疾病と同一範ちゅうと認められるもの」こういうことにいたしております。
#148
○川俣分科員 せっかくですから、なお書きもちょっと読んでみてくれませんか。
#149
○幸田政府委員 失礼しました。
 「なお、類症疾患とは、頸腕症候群、五十肩及び腰痛症等の病名であって、慢性的な疼痛を主症とする疾患をいう。」こういうことでございます。
#150
○川俣分科員 今局長に読み上げてもらっただけで五つあるわけですね。ところが、「腰痛症等」という「等」がありますね、これは。「等」があるというのはやはり意味があると思うのですが、その前に支給対象というものがあるわけですね。はり、きゅうは古くから行われている治療法で神経痛、リューマチ、腰痛、ぜんそく、ノイローゼ、高血圧、動脈硬化、更年期障害、食欲不振、肩凝り、こういったように並べているものを前書きにして、こちらの方を五つにするところに、やはり「等」というのをつけなければ合わないということで、なるほど役所の皆さんは頭がいいから、ちゃんと「等」で逃げておるが、そうなると、この五つしかないんだということではないと思っていいですな。
#151
○幸田政府委員 もちろん今御指摘のとおりでございます。
#152
○川俣分科員 御指摘というのは、五つ以外にあるということでいいですな。
#153
○幸田政府委員 もちろん通知に書いてございます五つ以外にもあるということでございます。
#154
○川俣分科員 ところが、その辺の交通整理が地元の方でぎくしゃくしておるので、何とかもう一遍ここでお願いしたいのだが、四十二年の通達であるだけに、これと同じ文章になるかどうかは別として、審議会なり何なりにかけていただいても結構でございますので、この二十年になんなんとする通達、しかもこれだけ重要になってきた通達、そして今や需要が非常にふえて、やがて世界的に名のある人の病気の治療に、中国の最高のはり師を派遣するという外交案件まで出てきたということの認識の上に立ては、これは何とか折を見て見直しする用意があるぐらいはお話し願ってもいいんじゃないだろうか。これは、大臣、どうですか。
#155
○増岡国務大臣 御指摘のように、長年を経過した通達でございます。しかし、保険の方はやはり西洋医学を中心にしておるわけでございますから、その間にあって、あんま、はり、きゅう、マッサージ等の適正な実施がどうやって図れるかということにつきまして検討してみたいと思います。
#156
○川俣分科員 ぜひ検討を願う時期であるし、願わなければならない大勢になってきたし、その辺大臣も検討してみるということであれば私もここで引き下がりますが、ぜひお願いしたいと思います。さらにこれは社労委員会等で続けたいと思うのです。
 この機会にちょっと、必ずしも結びつかない質問で恐縮ですが、さっき十万人従事しておる、片や医師の方は二十万人にならない、その仲には非常に目の不自由な方が比較的多い場合がある。そこで国会として、私も常日ごろ考えていたんだが、国会の議事録、会議録を点字で発行したことがありますか。総理府ですかね、来ていますか。
#157
○中川説明員 国会の会議録につきましては国会事務局の方の所管かと思いますが、私どもでは官報の方は所管いたしておりますが、議事録の方は所管いたしてございません。
#158
○川俣分科員 所管は所管で別といたしましても、あなたはそういう記憶がありますか。参事官なんだから……。
#159
○中川説明員 恐縮でございますが、ちょっと所管外でございますので、確かな記憶はございません。
#160
○川俣分科員 記憶はない……。せっかくだから、横尾さんあたり記憶はないですか。
#161
○横尾説明員 今までには承知しておりません。(川俣分科員「医事課長、もう一遍」と呼ぶ)私も、今までにそういうものがあったということは承知しておりません。
#162
○川俣分科員 ここに橋本専門屋がいますが、これはあるんですよ。点字で会議録が五十三年二月九日、点字ですからかなり膨大になるのですが、これだけのものになるので、ひとつ……。
 あれは来ていないの、議院の事務総長、国会関係は。――きょうは国会関係を呼んでいませんが、しかし、障害者年等でいろいろと論議もありましたが、やはり厚生省にかなりかかわる問題でありますので、この点もぼつぼつ考えなければならぬじゃないのかな。特にその目の不自由な方々の問題にかかわる審議事項だけでも議事録を発行するというような、厚生大臣はその方の障害者の全般もやっておりますので、その辺の気持ちをちょっと聞いて私の質問を終わります。
#163
○増岡国務大臣 国会のことでございますので、政府側からいろいろ意見がましいことを申し上げることは差し控えるべきかと思いますけれども、そういう前例がございますとするならば、また国会事務局においてお考えをいただけるものと期待をいたしております。
#164
○川俣分科員 どうもありがとうございました。
#165
○山下主査 これにて川俣健二郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、横手文雄君。
#166
○横手分科員 私は、企業年金に係る問題につきまして、大臣並びに関係者に御質問を申し上げます。
 私のところに一通のお手紙をいただきました。まず大臣の御所見をお伺いするわけでございますが、このように訴えられておるのであります。
  ご高承のとおり、今後、わが国は高齢化社会が急テンポで進みます。そして国民の老後の生活はどうあるべきかは重要なテーマであり、大きくは国民福祉の質、量の問題であります。
 これからの大方の国民はサラリーマン化し老後は年金生活に移るのですから、年金制度を健全なかたちにしていくことは大きな意義があると存じます。
 この意味で、わが国も先進欧米諸国が実施していますように、公的年金と私的年金とを併用し、公的年金の不充分さを私的年金である企業年金をもって補完せざるを得なくなります。今後、企業年金は、いよいよ重要な役割りを背負うことになりませう。
こういうことが述べられておりますが、まず大臣の御所見をお伺いいたします。
#167
○増岡国務大臣 今のお話のように、高齢化社会を迎える際には、公的年金を補足するものとして、私的年金の役割は今後ますます大きくなるものと考えております。
#168
○横手分科員 その中における企業年金の位置づけについては、大臣、いかがですか。
#169
○増岡国務大臣 公的年金を国家といたしますと、企業は働く人の集団でございますから、国、会社、個人という段階から考えまするならば、やはり企業年金も助成をいたさなければならないというように思います。
#170
○横手分科員 それでは、年金担当大臣としての厚生大臣の基本的なお考えは、公的年金も充実をしていかなければならないし、さらにそれを補完すべき企業年金も極めて重要な問題である、したがって、企業年金は今後さらに活性化していかなければならないし、そのためには、それら企業年金がさらに充実するような形で諸政策を考えていかなければならない、こういう基本的な見解だというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
#171
○増岡国務大臣 そのような見地から、そのための環境づくりに努めてまいったいと思います。
#172
○横手分科員 続いてお手紙はこういうことになっております。
  現在、企業年金制度の発展のために解決されなければならない問題がいくつか論議されていますが、とくに申し上げたいことは、企業年金が年金原資を積立てている段階で特別法人税なる不平等税を、中規模企業が採用する適格年金において徴収していることであります。
つまり中小企業に適用される適格年金に特別法人税なる不公平税が全面的に課税されていることは不適当であるということです。さらに続いて、
  しかも、その徴収の方法は、特別法人税の納付義務者は受託会社である生保会社が、信託銀行であって、積立金の運用収益をもって納付する取扱いとなっているので、事業主側は特別の経理処理が必要でないということです。
このことは非常に巧妙な徴収のやり方であると思います。
 運用収益は事業主に還元されるのが当然であって、これによって掛金を節約するか、従業員の年金を増額することができるのです。
 このように訴えておられますが、この点につきまして、適格年金の積立金に課税をしておられる理由を大蔵省にお伺いいたします。
#173
○濱本説明員 適格退職年金制度と申しますものは、ただいまお話がございましたように、企業が独自に信託会社でございますとか生命保険会社等と契約を締結いたしまして、その使用人を受益者とし、掛金を払い込みまして、信託会社等から当該使用人に退職年金が支払われるという契約でございまして、一定の要件を満たすものとして国税庁長官の承認を受けたものがこれに当たるとされております。類型的には私的年金に類別されるものでございます。
 本来事業主が従業員を受取人とする生命保険とかあるいは年金信託の掛金を支払いました場合に、その掛金相当額はいわば従業員に給与の追加払いが行われたものとして所得税の課税が行われるわけでございますけれども、適格退職年金につきましては、掛金の支払い時には給与所得としての課税を行いませんで、実際に年金として受給したときに給与所得として課税することといたしております。その間、所得税の課税が繰り延べられることになるわけでございまして、いわばその遅延利息分として、積立金に一%の法人税を代替的に課税しているというものでございます。
#174
○横手分科員 それでは、千名以上の大企業または一定の条件が満たされて設立された厚生年金の調整年金の加算部分には課税がされておりませんが、適格年金との間に課税の不公平が生ずる、こういう今の御指摘についてどうお答えになりますか。
#175
○濱本説明員 お話しの調整年金は、公的年金でございます厚生年金保険の報酬比例給付分を代行しておりまして、その年金給付額というのはこの公的年金の代行部分をいわば主とし、それに企業独自の任意の付加部分を上乗せしたものとなっております。調整年金はそういった性格でございますので、他の純粋な公的年金、例えば国家公務員共済や厚生年金保険の積立金に課税しないこととなっておりますこととのバランスを考慮いたしまして、国家公務員共済の給付水準に見合う積立金部分には課税をしない、そしてそれを超える積立金部分については、適格退職年金の一%課税とのバランスから同様の課税をする、こういう考え方になっておるわけであります。
#176
○横手分科員 年金の専門家の皆さん方にお聞きをいたしますと、今御指摘ございました企業が付加する部分と、それから先ほど来申し上げております、企業が独自で行っている適格年金との違いはという問いに対しまして、これは巨人、阪神の違いみたいなものだ、やっていることは同じである、ただ名前が違う、こういう指摘をしておられるわけでございます。
 そうすると、片方には課税をし、片方には課税をしないということはまことに不公平でございますが、ならばこの適格年金の分、その積立金は調整年金の付加分まではこれを非課税にするということが理屈に合うような気がいたします。そうすべきだと思いますが、どうですか。
#177
○濱本説明員 ただいま申し上げましたように、従来の論議は、調整年金につきまして公的年金の代行部分を主としているという性格、それから厚生年金基金、つまり調整年金の組み立てとそれから適格退職年金の組み立てとは、その他のいろいろな細かい側面におきましても、その制度の成り立ちが少しずつ違っております。そういったことから、ただいま申し上げましたようなバランスが適当ではないか、こういうふうに判断されて今日までまいっていると思います。
 ただいま、折しも各種年金が見直されようとしておりまして、恐らくそういうことになりました場合には、その反射としまして、税制上の受けとめ方についても検討をしてみるということは当然必要になってくるだろうと考えます。いろいろな論議を重ねることになると思いますけれども、従来の物事の考え方としましては、ただいま申し上げましたような経緯で御理解を賜りたいと存じます。
#178
○横手分科員 後段におっしゃった問題については、後ほどまた一遍議論をしてみたいと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、なるほどその生い立ちも違いますし、いろいろな仕組みも違うというところでございますけれども、現実はどうか、こういうことになってくると、調整年金の加算部分と適格年金の持ち出し分のこの間については、もう名前が違うだけだ、こういうことが一般論として言われているわけでございますし、片方には課税、片方は非課税というのは、その部分だけを見ても大変な矛盾だ、こういうことでございます。
 さらに、先ほど厚生大臣の答弁の中にもございましたように、今後公的年金を補完する意味合いにおいて、この企業年金の役割は大きくなります、これが導入をしやすいような環境づくりもつくってまいらなければならない、こういった所信が表明をされたわけですけれども、そういった観点に立っても、これはせめてその二・七倍ですか、分の適格年金に当たる部分とは同等に非課税に取り扱うということがどう見ても筋だと思いますが、そういう前提に立って検討を進める用意はございませんか。
#179
○濱本説明員 横手先生重ねての御指摘は、要するに適格退職年金は私的年金的色彩の強い、いわば私的年金に類別されるべき年金だと存じます。調整年金は公的要素を含んだ年金でございますけれども、いわばその私的側面、つまり上乗せ部分というものをもう少し適格年金並びで評価し直して考え直してみろというふうに伺うことができるわけでございますけれども、この全体のバランスにつきましては、今後いろいろな御意見が出てくるだろうと思います。ただいまの御意見も承らしていただき、またいろいろな立場からの御意見もあわせ考慮させていただきまして、今後検討させていただきたいと存じます。
#180
○横手分科員 その適格年金の受給の実態が、一時金でもらわれる率が非常に高い、こういうぐあいにお聞きをいたしておりますが、その実態はどうですか。
#181
○濱本説明員 そのように伺っております。
#182
○横手分科員 そうしますと、中小企業退職金法というのがございまして、通称中退金だとかあるいは中企退だとかいう略称で呼ばれておりますが、これはまさに中小企業、零細企業の退職金に充てるために企業が積み立てをしておる、そして政府の方からもこれにいろいろな形で援助をしていくという制度でございますが、これは非課税でございますね。この適格年金というのはどっちから見ても谷間にあるような気がしますが、そんな気がしませんか。
#183
○濱本説明員 年金制度がそれぞれの生い立ちを持ち、相当の時間をかけましていろいろな歴史を抱えながら発展してきたことは先生よく御存じのとおりでございまして、その過程において、それぞれの年金制度に対してどういう税制上の対応をするかということも、さまざまな歴史的な議論の積み重ねがあったと思うのでございます。
 ただいま御指摘がございましたような問題につきましても、いろいろな議論の結果、いろいろな政策判断の結果、現在のような制度設計がなされていると考えるわけでございますが、ここで年金全体が見直される折に、そういう今のような新しい問題意識を植えつけていただきまして、全体を検討し直していくということにつきましてはやぶさかではございません。ただ、そういった歴史が我々に教えてくれておりますもの、今までの経緯というものも、その際十分踏まえなければならないと考えております。
#184
○横手分科員 おっしゃるとおりの歴史があり、それぞれの生い立ちがあり、それなりにそれぞれの意味を持たしてつくったわけでございますから、政府としてもいろいろな優遇措置といいましょうか、そういうことも行われてきたことは十分承知をいたしております。そしてでき上がってきた。それが今後さらに充実をしなければならないという前提に立っておるわけでございますから、そういったいきさつがあって、今日、社会の中で定着してきた。そして、見たところかくのごとき不公平があるということについては、不公平を是正していくことは大変重要なことだと思いますので、これからそれらを含めて検討するということでございますから、趣旨に沿った形で検討が進められるものだと期待して、次の質問に入りたいと思います。
 先ほど少しお触れになりましたけれども、政府は、今国会に対して公務員共済年金の抜本改正を提出しようとしておられます。これは、公務員共済を厚生年金その他の公的年金と水準を合わせようとしているものであります。
 そこで問題が起こってまいります。先ほど議論してまいりましたように、調整年金の加算部分に対する課税問題でありますが、加算部分の非課税限度は給与の八・六%となっております。この水準は現行共済年金の水準に合わせたものでありました。したがって、共済年金の水準が下がれば、これにつれて非課税限度額も同時に下がるのではないかという心配や議論が行われておるところでありますが、それは私は間違いだ、こう思うのであります。きのうも衆議院の社労でいろいろこの問題について議論がなされ、大蔵省としては、まあ新聞記事ですから、議事録を見たわけではございませんけれども、ただこの見出しの感じでいけば、共済年金の水準が下がれば非課税限度額もそれにつれて下がっていきますよというような意味の発言をされて、あるいはそうでなかったのを新聞記者の方がそう解釈されたのかわかりませんが、先ほど申し上げましたように、こういった議論、つまり共済年金の水準が下がってくれば調整年金の限度額も一緒になって下がってくるという議論は、私は間違いだと思いますが、いかがですか。
#185
○濱本説明員 昨日も社労におきまして御質問を賜った事項に関連することでございますけれども、現在、厚生年金につきましては改正法案がまさに審議中でございますし、それから共済年金の方はまだ政府部内で検討中という段階でございます。したがいまして、私どもがこの段階で、ただいまのお尋ねに対して申し上げられることということになりますと、限られたことになろうかと存じますけれども、仮に、今後共済年金を含みます年金制度が改革をいたされました場合に、御指摘がございました調整年金の非課税限度をどうするかという問題につきましては、現行の取り扱いの考え方というのが確かに一つございますけれども、そういうものも踏まえつつ、公的年金制度の改正の内容、これがどうなるのか、それから企業年金制度の動向がどうなるのか、さらにもう少し広く社会経済情勢の推移に即応したそういう年金税制のあり方の問題全体の一環として検討を進めてまいりたいと考えております。
 このようにお答えをするのが、今の段階では我我としては精いっぱいのお答えかと存じます。
#186
○横手分科員 これは、この制度そのものの導入がイギリスの例に見習って行われた経緯があるということをお伺いをしておるわけでございます。ただ私は、そのときに、年金の充実強化のためにという前提に立って、企業が代行部分に対して加算をする場合に、これに即課税をするというのは甚だいかがなものであろうか、こういう議論があって、それでは上乗せをしようならばどこかにそういう例はないかということでイギリスにあった、その課税の限度額を公務員の共済年金と並べてあるということがイギリスにあったから、これをもらってこようということであのような法律になっておると思うのでございます。ですから、法律が改正をされると自動的に共済年金との見合いで変わってくることになるだろうと思いますが、それでは問題があるということを大蔵省としても認識をし、どうするかということも当然議論の対象になってくる。法律に書いてあるのだから、法律が変わったらどんどん下がっていくのは当たり前のことだ、これでは済まぬだろう。いろいろな議論があるだろう。
 そこで、加算部分の非課税部分をどうするかということについて、これから検討がなされるということでございますが、先ほど来申し上げておりますように、企業が公的年金を補完する意味で企業年金というものをやっていかなければならないし、厚生大臣もその部分に期待をするということでございますから、これは国策として強化していかなければならない。そのためには、いろいろの企業から誘導するような誘導策を国としてとるということは、けだし当然のことであろうというぐあいに思うものでございます。したがいまして、そういった法律の文言どおりではなくして、さらに我が国の年金制度を充実するためにこのようなことをやってきたんだ、その加算部分については、イギリスの例に倣って、この水準までは非課税部分にしてきたんだということを前提にして議論をすべきだと思いますが、どうでしょう。
#187
○濱本説明員 先ほど来重ねて申し上げてございますように、まさに今後いろいろな角度から検討し直すべき問題であるというふうに考えておりまして、今の段階でこういう方向から検討を加えようというあらかじめの予断を、特に私ども持っておるわけではございません。
 ただ、先ほど来の先生のお話でございますけれども、誘導策としての税制の活用ということに十分思いをいたせという御指摘かと存じますが、確かに、従来の年金制度に対します税制の取り組み方としましては、いろいろな特別措置がございました。そういうものの意味合いもかみしめてみなければいけないということが一つございますし、また、別に持っております税制自体の論理、つまり公平ですとか公正ですとか、そういったものとの調和をどこで図るのか、これも国民全体に問われる問題として考えてみなければならない問題だと思っております。
#188
○横手分科員 私は、加算部分を青天にせいとか、そういうことを言っておるのではございません。あるいはそんな意見があるかもわかりませんけれども、それは極端な議論でございますから。
 しかし、そのようなことでここまで来て、そしてどんどん今拡大の方向にあるわけですね。国の将来から考えると、私は大変喜ぶべきことだと思います。それはやはり国の政策としてさらに伸ばしていく、そしてこれの広がりを期待するという方向で国の政治が行われるということはけだし当然のことではなかろうかと思うのでございます。厚生大臣もそのように期待をしておられるというぐあいに感じました。多くのことを検討しますとおっしゃいました、どうぞぜひ検討していただきたいと思います。
 今私が申し上げましたお手紙の方が切々と訴えておられるようなことも、現場で大変苦労しておられる人だろうと思うのでございますが、そういった現場の人たちの苦労あるいは願い、こういったものもかなえていく方向で、この部分についても一つの大きな要素として具体的な検討の中に入れていただきたいという要望を申し上げますが、どうですか。
#189
○濱本説明員 税制をめぐります論議というのは、ただいまお話がございましたように、いろいろのお立場からいろいろの議論が常に行われてまいっておりまして、予断を持つことなく広く耳を傾けるということは当然のことであると思います。しかもその結果として、税の筋道がきちっと通っておるという制度を考えなければならない、論議を尽くさなければいけないというふうに考えております。
#190
○横手分科員 私は、今まであったものをなくしなさい、なかったものを新たにつくり上げていこうではないかということを申し上げておるのではないのですよ。現在こういう形で行われております、ただ、その法律に共済組合との水準ということが書いてあるから、これが変わると自動的にこれも引きずられていくという感じを非常に強く持つものですから、法改正のときに、それではこれだけは残して、この部分の法律改正についてはどうであろうか、こういう前提でひとつ検討していただけませんかということを申し上げておるわけですから、そうむちゃなことを言っておるつもりはございません。ぜひひとつ検討を進めていただきたいと思います。
 最後の問題になりますけれども、先般、年金税制の見直しの動きがあるということが報道されたところでございます。この問題については二年間ずつ延長されてきておりまして、今延長されたところでございますから余り先のことを云々するのはどうかと思いますけれども、ただ、「年金所得の控除制度を全面的に見直し、老齢者にも応分の税負担を求める」「個人年金保険料控除の拡充など、老後に備えて保険料、掛け金を払っている働き盛りの世代は逆に負担を軽くする」、こういったいろいろな観点から見直しが行われようとしておるという報道を見て、ちょっとぎくっとしたわけでございます。
 大臣、どうなんでしょう。人間長生きできるということは大変喜ばしいことであり、老後が豊かで幸せでありますようにというのはさらに大事なことだと思うのであります。老後の経済的よりどころは、より充実した年金制度が不可欠でございますが、さらに今回、このようなことが政府内部で検討が始まったと聞いております。大変残念なことだと思いますが、年金担当大臣として、いかがですか。
#191
○増岡国務大臣 私はそのような具体的な検討が行われておるとは聞いておりません。
 なお、今日まで長年にわたって年金に対する特別控除その他のことが定着しておるわけでございますから、年金受給者に大きな不安を与えることのないように、また、現在延長いたしますのは二年間でございますので、その後も年金受給者の立場に立って取り組んでまいりたいと思います。
#192
○横手分科員 まだ議論をしたい点がございますけれども、約束の時間が参りましたのでこれで終わります。
 ありがとうございました。
#193
○山下主査 これにて横手文雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、中西績介君。
#194
○中西(績)分科員 私は、先般の予算委員会の一般質問で、わずかの時間でしたけれども、カネミ油症事件問題で質問をさせていただきました。何せ大変な中身でありますけれども十分な時間がございませんでしたから、きょう重ねて厚生省関係の皆さんに質問を申し上げたいと思います。
 まず、この件につきましては、昨年の場合、福岡高裁の和解勧告、そして控訴審判決が出まして、それによって国の法的責任が認められたわけであります。そして今回、第三陣の地裁における判決が出まして、また同じようにその責任を認めることになりました。このようにして、二回にわたり国の責任を認めておるわけであります。
 かつて薬品公害だとか一般の公害などで、最高裁まで行かずとも和解をした例というのは、厚生省の場合には何回か経験しております。患者の皆さん、筆舌に尽くしがたい御苦労をされておるわけでありますから、裁判で決着をつけるという態度というのはぜひ改めていただきたいと思うのですけれども、なぜこのように控訴したのか、この点についてお聞かせください。
#195
○増岡国務大臣 今日まで十七年間、被害者の方方が大変御苦労なさっておりますことは本当に同情にたえないところでございますけれども、訴訟に関しましては、判決について各関係省庁慎重に検討いたしました結果、国自体の法的責任は見出しがたいという結論になりましたので、控訴をいたしたところでございます。
 厚生省といたしましては、裁判上の問題とは別個に、心情的には患者の方々に対しましてできる限りのことをしなければならぬということで、実証、治療研究、追跡検診等、あるいは世帯更生資金の特別貸し付け等については今後とも取り得る措置を講じてまいるわけでございます。
 訴訟に関しましては、ただいま申し上げましたとおりでございます。
#196
○中西(績)分科員 私は、先ほど農水大臣にもそのことを強く指摘したわけでありますけれども、今のお答えをお聞きし、この法務省から届けられました資料などを見てみますと、「事実認定において承服し難いとする点」とあわせて「法令解釈適用上承服し難いとする点」ということで示されておりますけれども、これを読めば読むほど私は内容的に大変怒りを感ずるわけですね。したがって、この点はまた後で触れますけれども、いずれにしても最高裁まで裁判で結着をつけるということでなくて、既に何回かそうした例があるわけでありますから、ぜひこの点は考えるべきだと私は思っております。
 特に、ことし長崎で出た例でありますけれども、十一歳の女の子ですけれども、二百名のうち四名患者認定されました。ところが、この女の子は十一歳ですよ。ですから、ああした事件があってから六年後に生まれた子だって依然として皮膚その他に障害のある子供が生まれてきているという、このこと自体は大変なものなんですね。ですから、これは一つの例でありますけれども、こういう状況の中で裁判で決着をつける、このことで国の責任が果たせるのかということになると、決してそうでない。したがって、法律論争を今やりますと時間を大変食いますからここでは一応おくといたしまして、この十七年間本当に苦労してきて――学校に行くと大変多くの友たちから疎外される、また恥ずかしいという気持ちが絶えずそこにはある。そして今度は結婚のときに、就職のときにも、挙げていくとあらゆる機会にこれが障害になっておるわけですね。そして、これはもう既に十七年間たっておるわけです。ですから、これでは本当に救うことはできないと思うのですね、裁判ということでずっと続けていきますと。
 したがって、今言うように、心情的にはいろいろあるので研究とかいろいろな問題で措置をしていきたいということを言っておるわけでありますけれども、それでは本当に厚生省が施策でもって被害者の救済をしておるだろうかということを私はもう一度問い直してみたいと思うのです。どういう内容になっておるか、今わかっている分で御説明いただければと思います。
#197
○竹中政府委員 カネミ油症の患者さん方が十七年という長い年月にわたって大変苦労されておることについては、心から御同情を申し上げる次第でございます。
 先生お話しのように、裁判の問題については、私どもとしては法的責任が問題になっておるわけでございますので、これについては三省で協議した結果、控訴するという決定をいたしたわけでございます。
 従来からもたびたび申し上げておりますように、裁判は裁判といたしまして、厚生省として患者さんに対してとり得る措置については従来もやってまいっておりますし、今後もできるだけ充実をしていきたい。
 具体的には治療法の研究等々でございまして、治療法の研究、それから患者さんのフォローアップ、健康診査というのが一つの柱でございます。従来もやっておったわけでございますが、今後は研究班の体制も十分拡充をいたしますと同時に、治療研究と健康診査、追跡検診、その両者を有機的につなげていきまして、より的確な例えば健康相談、生活指導、そういった面に活用できるような結果を生み出していきたいと考えておるわけでございます。また、治療研究につきましては、従来治療指針あるいは診断基準等々を定めておるわけでございますけれども、かなり年月の経過したものもございますので、それらを見直しまして、現時点で得られた治験による新しい診断基準、新しい治療指針を策定するということを考えておるわけでございます。
 なお、追跡検診につきましても、従来の皮膚症状あるいは血液関係以外に、患者さんの中にかなり年をとられた方もふえてまいりましたので、その他のもっと広い立場での健康診断、追跡検診を実施していくということを考えておる次第でございます。
 なお、社会局の関係でございますが、世帯更正資金の特例貸し付けにつきましても、今後引き続き行っていきたいということでございます。
#198
○中西(績)分科員 今言われた中身は「カネミ油症被害者に対する援助計画」などで検討されておる分であると解しておりますが、それでよろしいですね。
#199
○竹中政府委員 そのとおりでございます。
#200
○中西(績)分科員 援助計画を見ますと、スモンだとか今までありました薬害等に対する対策は極めて進んでおるわけでありますけれども、出てくる症状が季節によって違い、年齢によって違い、PCBの量によって違う。それぞれ千差万別ですね。この面が今まで大変おくれておったことは事実ですから、特に恒久的なものをぜひ確立していかなくてはならぬと思います。
 そこで聞きたいと思いますけれども、この中で「被害者の健康管理の充実を図る。」とあります。どういう意味なのか、特に日常的な指導を含めてどうなのかという点についてお答えください。
#201
○竹中政府委員 健康管理の充実ということでございますが、先ほど申し上げました追跡検診の拡充というのがその基礎になるわけでございまして、検診項目をもっと広げていく、循環器系あるいは肝疾患等々にも検診の領域を広げていく、それによってもっと詳細に、またより的確に患者さんの状態を把握していくということが一つでございます。
 それから、そういった追跡検診の結果を治療研究にフィードバックいたしまして、その結果、患者さんに対する健康指導なり生活指導、そういったものの基礎をつくり上げていく、それによって患者さんの生活指導の拡充を図っていくというようなことを考えておるわけでございます。
#202
○中西(績)分科員 今まで皆さんが一番不安に思っておったのは、例えば検診を受けたりするときに、人員がたくさんおったりするものですから、いろいろ主張したいあるいは訴えたいことがたくさんあるのだけれども、それを聞いてもらえない等々ございまして、大変な不安を絶えずみんな持ち続けておった、こうした状況があると私は思うのです。
 ですから、こうした健康診断、健康管理を充実するというその中身が、幅広い健康診断、今まで限定されておった部分をずっと広げるわけですから、特に年齢が高くなっておりますからそうしたことも含めまして、――先ほど言ったように多岐多様で非常に複雑ですから、例えば爪がそっくり返ったり皮膚の色が黒くなったりしておっても、気候が変わってくるとこれがまたなくなってしまうというような状況等もあるわけですから、こうした点をやはり十分知っておかなければならぬと思うのですね。そのための措置をしてほしいと思います。そのような健康診断をするに当たりましても、ぜひこれを強めていただくように、ひとつ指導をしておいてください。
 そこで、その次にございます、新しい診断基準あるいは治療指針を作成するということになっています。これはそう長く待てるものじゃありませんから、やはり今までのが古過ぎたわけですから、早急にこれをつくり上げる必要があると思うのですけれども、いつごろまでにこれができ上がるのですか。
 そしてその上に立って二つ目に、治療指針というのは、特に被害者、患者の生活指導を含めて、日常的に役立つようなものになり得るのかどうか、こうした点についてもひとつ触れてください。
#203
○竹中政府委員 まず、治療指針でございますが、現在、御承知の研究班の専門家に鋭意検討を進めていただいておりまして、治療指針につきましては数カ月後にはお示しできるのではないかと考えております。
 一方の診断基準の方でございますが、健康診査の結果を疫学的手法等を用いまして検討して作成するという手順でございますので、診断基準の方の作成は来年度以降というふうに考えておるわけでございます。
 なお、治療指針の作成の際に、先ほど申し上げました被害者の生活指導の一助となるような内容をぜひ盛り込んでいただきたいということを研究班の先生方に現在お願いをいたしておる段階でございます。
#204
○中西(績)分科員 そうしますと、診断基準は、確かに認定の際にこれはもうぜひ必要なのですからね、だからいち早くつくっていただかないと、先ほども私申し上げましたように一つの基準があるために、一般の正常者の場合の患者など、これに類似しておるということになるとこの中から落とされるという状況が出てくるわけです。ですから、この診断基準というものは大変重要な意味を持っておりますから、とにもかくにも来年度以降という基準となればやはり相当綿密なものを持たなくてはならぬと思いますから、相当期間はかかると思いますが、可能な限りこれは早くつくっていただくということが一つ。
 それから、今のお答えでは治療指針に生活指導なりが内容的に含まって、これから患者の指導をしていくということになるわけでありますけれども、そうなりますと、先ほど申し上げましたように本人が訴えたいあるいは主張したいというそうした問題等につきましても、こうした生活指導なりそれがある程度行き渡ると十分なコンセンサスができ上がってくると思いますから果たされると思うのですけれども、先ほど申し上げるように千差万別、そしてもうあらゆるところに出てくるという状況等があるために、確かにこの研究班などにとっては大変だろうと思います。ですから、この点をやはりどのように総合的にあるいは効果的にやるかということも含めて、ぜひ再検討なり、皆さんでチームなりをつくっていただいて早急につくり上げていただくことを特に要望しておきたいと思います。
 そこで、次にもう一つ私はお聞きしたいと思いますのは、検診をしてもらうときに、軽い人の場合にはさっき申し上げましたようにどうしても隠しておきたいという気持ちが働きます。だから検診を受けるという人は、相当重症の人で、何とかしてほしいという物すごい要求の強い人が出てくる、こういう繰り返しじゃないかと思っています。それから検診の時期に、例えば今さっきあったような、一カ月でそれが退潮してしまう、引いてしまうというような状況の人がおるわけですから、そういう人たちの場合には、そのときにそれがなければまた行かないというところもあるわけです。そういうことがずっと重なりまして、結果的には現在二百名程度の受診率にしかなっていない、こういうことが言われておるわけでありますけれども、何としてもやはり被害者の実態把握をすることが研究する上にもまたあるいは多くのそうした患者の例を知る上にも大変重要でありますし、受診率をひとつ上げることがこの対応のための施策の中で物すごく重要ではないかと思っています。したがって、今後どのようにしてこの受診率を上げようとするのか。それは私が先ほど申し上げましたように、お互いのコンセンサス、信頼感、そういうものがまず根底にないと、なかなかそのことが達成できないのじゃないか、引き上げられないのじゃないかという気がするわけですが、この点どうお考えですか。
#205
○竹中政府委員 先生お話しのように、現在実施しております追跡検診、健康診査の受診率は、五十八年度を例にとりますと認定患者のうち二一・四%ということでございまして、御指摘のように決して高くはない、まあ低いわけでございます。
 私ども、できるだけこの受診率を上げていきたい。今回の構想その他の時期に、患者さんの団体、患者さんの方々と何度もお話し合いをする機会がございまして、この点を私どもも取り上げまして、先ほど申し上げましたようなことで今後健康診断の内容も充実する、そして日常生活の指導という面にも、従来の治療、研究の中でそういうものを重視していく、したがって、そのためには健康診査、追跡検診が非常に重要であるということを繰り返し申し上げました。
 これについては、患者さんの代表の方々も全くそのとおりだと御賛成をいただきまして、今後ひとつ私どもは私どもなりに、関係の都道府県を通じまして健康診査の周知徹底を十分図っていく、あるいはできるだけ受診していただきやすいような方法も講じていく、一方でやはりこれは被害者の団体の方々も、団体自身として行う被害者の方方への健康診査の重要性、必要性、そういったものの御理解が深まって受診率が高まるようにぜひひとつ御協力いただきたい、わかった、こういうことになっておりますので、今後一定の受診率の向上が図れるのではないかと期待をしているわけでございます。
#206
○中西(績)分科員 先ほど申し上げるように、やはりお互いの信頼ですね。そうしたときに自分自身をそのように温かく包んでくれるという期待なりがあり、その結果今度は一定のいい方向に出ていけば、これはずっと高まってくるのではないか、こう思いますので、ぜひそうした方向に向けて指導をされるということが一つと、さらにまた、これの衝に当たっておる方は大変だと思いますけれども、そういう方々にぜひ気長にこうした面を強めていただくように、皆さんの方からもぜひ指導しておいていただきたいと思います。
 そこで、時間がだんだんなくなってきたわけですけれども、もう一つ治療費の問題についてカネミ倉庫が、私さっきも農水省、大臣にも要請をしてきたわけでありますけれども、被害者の話によると、治療費が停滞ぎみのところがあるということをときどき聞くわけですね。この点は厚生省側からも農水省側からもカネミに対して強く指導するということになっているわけですから、ぜひ積極的にこの点についてもひとつ取り上げていただきたいと思うのですが、どうでしょう。
#207
○竹中政府委員 油症患者さんの治療費の自己負担部分、これをカネミ倉庫が負担、支払っておるということでございます。最近、治療費の一環といたしまして、例えば医師の処方に基づかない一般の売薬、あるいはクロレラ、無臭ニンニクといった、医外のいわゆる健康食品の購入費、こういったものにつきましてカネミ倉庫が支払いの対象外にしておるわけでございますが、こういった点についていろいろトラブルがあったというふうに聞いております。
 私どもといたしましては、今後、治療に必要な費用が円滑に支払われますようにカネミ倉庫側、患者さん側双方の話し合いの進展を十分見守っていきますとともに、農水省とも連絡をとりながら可能な限り円滑にまいるようにカネミ倉庫を指導してまいりたい、かように考えておるわけでございます。
#208
○中西(績)分科員 今までずっと出てまいりました問題の中でも特に治療費問題については、農水省との関係が非常に深い問題でありますだけに、連絡をとっていただいて、特に我々の聞いている中では、カネミ倉庫の経営が思わしくない、ところがちゃんと子会社みたいな系列会社の方に収益分は回しているという話だって聞くわけですよ。こんなことでは大変なことですから、国がこうしていろいろな手だてを尽くそうとしておるときですから、当事者である者がやはりそうした責任を明確にしてこれを最後まで追及するという姿勢だけはひとつ最後まで貫くように指導していただきたいと思います。
 そこで最後に、援助計画の仲の最後にございます世帯更生資金の問題でありますけれども、三つほど簡単に申し上げたいと思いますからお答えいただきます。
 これは手続上大変厳しい審査等がありまして、市町村なんかでの格差があるのではないかということを聞いておるわけでありますけれども、これはもう患者であれば無条件であるべきだし、そうしたことを考えますと、この点について今後そうしたことがないように指導してほしいということが一つ。それからもう一つは、これを受給しておる人が死亡した場合、そうしますと後に債務が残るわけですね、これはどうなっていくのか。それから三つ目に、保証人は被害者でもよいのではないかと私は思うのですが、その点はどうなっていますか。
#209
○正木政府委員 世帯更生資金につきましては、先生御案内のように、一般の対象者につきましては生活資金というのは技能習得費あるいは療養資金をもらっているときに出す。ところがカネミ油症患者につきましては、その技能習得費とか療養資金の借り受けを受けていなくても生活資金を出す、しかも貸付期間も一般よりも延長しておるという措置を講じておるわけでございますが、この対象者は低所得世帯、身体障害者世帯ということで、市町村社協を通じてこれを行っておるわけでございます。
 この制度の趣旨にかんがみましてできるだけ活用していただくということで指導しておるわけでございますが、手続面等において格差があるということであれば、この点十分指導してまいりたいというふうに思っております。
 それから、お亡くなりになった場合の残った債務につきましては、これは相続人が償還義務を負うということになるわけでございますが、この場合でも相続人が償還困難な場合、例えば生活水準が返すことによって維持できなくなるというような場合には免除の取り扱いもあるわけでございますが、基本的には相続人から返還をしていただく。
 それから、保証人はカネミの被害者でももちろん結構でございますが、ただ、その保証人自身がまた別途借り受けをされておるということだと困るわけですが、そうでなければ被害者御自身であっても一向差し支えないわけでございます。
#210
○中西(績)分科員 先ほど申し上げたように、長期にわたっていますから就職問題等含みまして大変困難な中で生活しておるわけですから、この点についてもさらに問題があればこれからまた指摘していきたいと思いますので、十分御配慮をいただければと思います。
 最後に、大臣、私は冒頭の問題はここでは時間がないからと言って避けましたけれども、ただ、申し上げたいと思いますのは、第一陣と第三陣の人たちは仮執行によって仮払いが行われているわけですね。補償されているわけです。ところが、第二陣と未訴訟の皆さんの場合にはこれがまだされていないわけですね。勝訴していないわけですし、片一方は訴えていないわけです。それが約半数に近い数に上るわけですよ。こういう状況で、第一陣あるいは第三陣の方々と同じ被害者でありながら格差が出ていくという状況等があるわけです。したがって、今言われましたように最高裁までこの問題についてはあくまでもというしゃちほこばった考え方でなくて、やはりそうした判例が出ているわけですから、このことを受けて、厚生省ではかつて多くのそうした経験を持っておるだけに、やはり一括して和解するなりして早くこういう人たちの負担を軽減する、こういうことが今一番問われておると思います。そのほか食品公害の問題だとかあるいは被害者の恒久的対策の問題、まだいろいろたくさんございますけれども、その点だけひとつお答えください。
#211
○増岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、この法的責任の問題について裁判所において争っておる現段階におきましては、ただいま一括和解するということが申し上げられないと思うわけでございます。しかし、先ほどからお話しのようなそのほかの行政上とり得る問題につきましては、患者の方々の長年の御苦労というものに対しましてできる限りの措置をとってまいりたいというふうに思っております。
#212
○中西(績)分科員 どうもありがとうございました。
#213
○山下主査 これにて中西績介君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#214
○小杉主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 厚生省所管について質疑を続行いたします。三浦久君。
#215
○三浦(久)分科員 厚生大臣、まず生活保護の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。
 最近、現場からの報告によりますと、生活保護についての締めつけが非常に厳しくなっているということを私は感ぜざるを得ないわけであります。その中には、実施要領にも違反をしているというふうにも思われるものも多々見られるわけですね。言うまでもなく、生活保護制度というのは社会保障制度の土台であります。これは、言うまでもなく憲法第二十五条の「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」というあの規定を根拠にして、国民がだれでもこの要件に当たれば受給できる、そういう性格のものだと思います。
 そこで、お尋ねしたいのですが、市町村の財政事情のいかんによって保護の実施をゆがめるということはできないと私は思いますけれども、その点、いかがでございましょうか。
#216
○増岡国務大臣 そのようなことでこの制度がゆがめられることは許されないと思います。
#217
○三浦(久)分科員 ところが、実際に福祉事務所がやっているのを見ておりますと、いわゆる短期保護という言葉が定着しておりますように、おまえさん、一カ月だけ生活保護をあげましょう、二カ月だけやりましょう、そういうのが多いのですね。生活保護の決定、これは開始決定にしても廃止決定にしても、現在のその人の生活の状態がどうなのかということによって決定すべきだと私は思うのです。そういう意味からいうと、短期保護というのはやってはいけないことだと私は思うのですね。そういう意味で、現在の生活保護法上短期保護という制度があるのかないのか、それをちょっとお尋ねしたいと思います。
#218
○正木政府委員 先生がおっしゃいましたように、生活保護は申請に基づいて保護の要否を判断をして決定をする。廃止についてもそうでございます。したがって、短期保護というのは法律上ないことはおっしゃるとおりでございます。
#219
○三浦(久)分科員 これは札幌の例なんですけれども、きのう、厚生省の方にお伝えして、厚生省もお調べいただいたようでございます。
 これは札幌の福祉事務所の例ですが、五十九年の九月の二十一日に保護の申請が出されているのです。それで、いろいろ交渉をしたあげく細かいことは省略しますが、五十九年の十月九日付で、五十九年十月一日から保護の開始決定が出ました。そして、開始決定と同じ五十九年十月九日付ですね、同封されて送ってきたわけですが、五十九年の十一月一日から保護廃止、こういうわけですね。そうすると、五十九年の十月九日には保護の必要があると認めて、ちょっと九日ばかりさかのぼって一日からこの保護の決定をしております。ところが、同じ日付で、その一月後の十一月一日からは廃止という決定が出されているのですね。これは私はどうも腑に落ちないわけですね。これは、今の短期保護というものの典型的なやり方ではないか。
 もしこういうものが蔓延して、例えば保護の決定をする、一月ないしは二月後に廃止というようなものを同時に決定して送付するというようなことになりますと、これは先ほど局長が言われたように、その時点での生活の状態がどうなのかということを判断をして決める、そういう法の趣旨に違反をしているのじゃないかと私は思わざるを得ないのですね。この点についてどういうふうにお考えでございましょう。
#220
○正木政府委員 生活保護の決定に当たりまして、期限を切って保護をする、そういうものは法律上もちろんないわけでございます。
 ただ、何らかの事情によって生活保護を受ける場合に、生活保護法の目的というのは最低生活の保障と同時にやはり自立の助長ということでございます。したがって、病気が治ればまた生活水準に戻れる、こういった場合には、そういったことになったら生活保護の廃止になりますよ、おたくさんの自立の設計計画というものをきちっと出してください、そういったような自立指導といったものはあるわけでございます。しかし、その時点に達しましても何らかの事情でまだ保護が必要ということになれば、保護は継続するということは当然でございます。
#221
○三浦(久)分科員 ですから、例えば十月の収入が入るのは一般的に十月の二十五日ごろなんでしょう。十月の九日に保護の決定をしておいて十一月の一日から保護は廃止ですと、同じ日付でもって開始と廃止を同時に通告するというようなことは許されるのかどうか。
 今、局長のお話によれば、例えば十月の一日から保護を開始するということを十月九日に決定しておるわけでしょう。そうすれば、十月の末になって、本当に働いたのかどうか、収入があったのかどうか、そのことを見た上で、それで保護の要否を判定するというのが正しいと思うのですよ。今のは札幌の豊平という福祉事務所の例なんですが、この人は日雇い労務者なんですけれども、入院して、そして、結局は収入がないから生活保護の申請をしたわけですよ。それに対して十月九日付でもって十月一日から保護の決定をし、同時に十一月一日から廃止決定する、そういうことが許されるのですか。
#222
○正木政府委員 保護の決定と同時に廃止の決定をするというのは、もしそういうことが事実だとすれば手続的にいかがかと思います。ただ、先ほども申しましたように、生活保護の決定はするけれども、一カ月たてば子供さんが卒業して就職をされるということになれば、保護の廃止になりますよということをあらかじめ本人にもよく承知しておいてもらうということで、先生がおっしゃいますように、その時点になって保護の要否があるかどうかということを見て、廃止ということになれば廃止をする、手続的にはそういうふうにきちんとすべきものだというふうに思います。
#223
○三浦(久)分科員 ですから、こういうことがなされていれば遺憾だと思いますとおっしゃいましたけれども、なされていたのでしょう。だって、きのう私が担当の係官に連絡をして、いろいろ調査をしたらしいですよ。そういう事実はあったのじゃないですか。もしあれだったら、名前を言ってもいいのですけれども。
#224
○正木政府委員 先生のお話がありまして、札幌だったと思いますが、調べてみたわけでございますが、確かに手続的にいかがかという面はございました。しかし、十一月一日付で自動的に保護の廃止をして保護を打ち切ったという事実はないので、もちろんその時点で保護の要否を判定いたしまして、本ケースについても保護が継続されておるというふうに承知をいたしております。
#225
○三浦(久)分科員 だって、保護の廃止をしておって継続はないでしょう、廃止決定を出しておるのだから。あなた、確かめてないのですか。私、ちゃんとここにコピーを持っていますよ。保護の廃止決定をすれば継続はできないでしょう。新たに申請をして、そしてまたやらなければいけないのじゃないですか。そうでしょう。だから、新たな手続をとってもらって、そしてそのまままた十一月も保護を継続したということは言えるかもしれませんよ。しかし、同時にこれは廃止決定しちゃっているのだから、廃止決定しちゃうということはやはり違法じゃありませんか。どうでしょう。
#226
○正木政府委員 何度も申し上げますが、あらかじめ自立設計という意味で、自立の助長の意味で、こういう時期になれば保護の廃止になるだろうということで出すわけですが、自動的に廃止をされるというものではない。本ケースにつきましては、確かにおっしゃるように手続的にちょっといかがかという面がありまして、廃止の決定をしたわけでございますが、その十一月の時点で要否を判定いたしまして、廃止を取り消しまして保護を継続しているというふうに承知をしております。
#227
○三浦(久)分科員 だから、廃止を取り消しているわけでしょう。やはり手続上まずいということですね、あなたが違法と認めるかどうかは別としても。ですから、こういうことが頻繁に行われているのです。
 それから局長、実際に現場ではどういうことが行われているかといいますと、確かに、あなた、じゃ二カ月たったら働きなさいよ、だから二カ月間だけしますよと言って自立計画書を出させますね。それがもう約束になっちゃっているのです、これもおかしいのですけれども。そして二カ月たつと、もう辞退屈を出させちゃう。働いていなくても辞退届を出させて、そしてもう一回申請し直してそこで決定する、そういうことをやる。そうすると、継続しているのを、辞退屈を出してまた申請し直すのは本人にとってなかなかやりずらいことなんですね。一つの嫌がらせみたいなものですよ。
 そういうことで、正当に保護の受給権があるにもかかわらずその行使が妨げられている、そういう事態がたくさん出てきているのですよ。今の札幌の豊平福祉事務所の例などというのはその典型的なものですね。もう指導じゃなくて、廃止決定まで同時に出してしまっているわけですからね。こういうことのないように各福祉事務所に対してひとつ厳重な指導監督というものをお願いしたいと私は思うのですが、いかがでしょう。
#228
○正木政府委員 確かに、保護の決定と同時に廃止の決定までするというその手続的な問題についてはいかがかと思います。ただ、先ほど申しましたように、生活保護というのは自立助長というものを目的としているわけですから、できるだけ早期に自立できるようにということで自立設計を大いにやってもらう、早く保護から脱却して自立されるようにいろいろ指導するといってとについては、今後とも十分やっていかなければならないと思います。
#229
○三浦(久)分科員 それから、保護の申請をしたときに、保護開始決定に際しまして例えば生命保険を解約させるとか、貯金があるとそれを全部おろさせるとか、いろいろあるのですよ。一般的に、貯金を何十万持っておるとかそういうような場合でしたら、例えば一万円でも二万円でもいいですよ、普通の預金であれば収入認定といいますか、それは当然生活の資ですからおろさせて結構だと思うのですけれども、例えば小学生が千円とか二千円とか学校の貯金をしていますね。これは修学旅行に行くとかいうので楽しみにして積み立てているわけですよ。今、それまでもおろさせているのですよ。これはそういう指導がなされているわけですか。
#230
○正木政府委員 これも先生御案内のように、生活保護はその利用し得る資産能力その他あらゆるものを活用することが前提になっているということが一つと、それから保護の要否というものは世帯単位で判定をする、こういうことでございます。したがって、世帯の構成員の方々がいろいろな名目で貯金をなさっていたりいろいろなものがある、それを全体として総合的に判定して保護の要否を見るということでございますので、その家庭の構成員の方々がいろいろな貯金を持っておられれば、まずそれを活用していただくということで指導しておることは事実でございます。
#231
○三浦(久)分科員 大臣にちょっと聞いていただきたいのですけれども、私、かわいそうだと思うのですよ。小学校の生徒が学校に行って、千円なら千円ずつ毎月貯金している。それをおろさせるというのは物すごく酷なんですよ。一定の目的があるわけですね。年度末の旅行に行こうというので積み立てている。ですから、何にもするなとは言いませんよ。せめてその修学旅行に行くまで積み立てさせておいて、そして修学旅行に行くので学校から預金がおりますね。そのときに収入認定をするとか、何か余り子供に傷がつかないような方法を考えてやる必要があるのじゃないかと私は思うのですが、大臣、いかがでしょう。
#232
○正木政府委員 これは資産能力その他あらゆるものを活用する、それから世帯単位で保護の要否を判定するということで、やはりそういう原則は守っていかなければならないと思います。
 今、先生のおっしゃいました修学旅行のための貯金ということでございますが、これも利用し得る資産の一つになるわけでございます。そういった方々については、これも先生御案内のように修学奨励法で修学旅行の費用というものが見られるわけですから、そういった面を活用していただく、そして皆さんと一緒に行っていただくということだと思います。
#233
○三浦(久)分科員 押し問答になりますからやめますけれども、確かに今あなたのおっしゃったとおり、それは旅行には行けるでしょう。しかし、子供の心に傷をつけないということ、せっかく旅行という楽しい夢を見ながら積み立てているものまでおろせと言わなくたって、やり方はもっとあるのじゃないかということを私は申し上げているわけです。ぜひ実施要領を私は変えてほしいのです。収入認定をしないという例外事項というのは幾つもあるわけでしょう。実施要領の中に幾らでもあるわけですから、その中に一つ組み込んでやればいいことなんです。
 それから生命保険ですけれども、これは北九州の例なんですが、例えば貯蓄性の高いものは解約させるという方針のようですね。ところが北九州の八幡西区、東区両方なんですけれども、ここではすべて解約させるのです。解約金が戻っできますね。二万円か三万円ぐらいしか戻ってこないような、そういう少額な生命保険、これまで全部解約させておるのですよ。それから同じ北九州でも小倉がちょっとやり方が違いまして、ここは解約金がその世帯の一月の生活保護費を上回るというような場合にだけ解約させるのです。どうも実施要領を見るとそういうふうにはなっていないですね。解約金の額の大小によって解約させるかさせないかということにはなっていないようですね。ですから、その点とういうふうになっておるのか、ちょっとお尋ねしたいと思うのです。
#234
○正木政府委員 生命保険についても利用し得る資産になることは事実でございます。ただ、その生命保険の場合の解約返戻金というのは、普通の貯金をおろすのと違ってかなり不利でございます。そこで、いろいろな事情があるわけで、もう少しで満期になる、こういった場合には満期まで待って、そうして生命保険がおりたところですれば、御家庭の自立にもなるし、生活保護費の効率的な面からもいいだろうということがありますし、また解約返戻金というのが少額な場合、これもいかがかということで、おっしゃるように実施要領で一つの考え方を示しております。ただ、申し上げておかなければならないのは、この生命保険の解約する時期をいつにするのが得策がという合理的な判断に基づくものでございますので、利用し得る資産であることは間違いありませんから、これは先生御案内の生活保護法の六十三条で、おりたときに費用の返還義務が生ずるということははっきりさせた上で生命保険を継続するという取り扱いになるかと思います。
#235
○三浦(久)分科員 そうすると、生活保護の申請をしたときにもう一律に保険加入者に対しては保険を解約させるというようなことは、間違いだということですね。
#236
○正木政府委員 間違いだということではなく、やはり生命保険というのも利用し得る資産であることは間違いないわけでございますが、その解約する時期がいつが得策なのかという判断はやることが合理的であろう。ただ、解約時期が延びれば、おりたときに六十三条による費用返還義務が生じます。ですから、どんな状態にあっても生命保険があれば全部解約するというのは余り得策ではない。したがって、実施要領でもこういう形でやりなさいということをかなり詳しく書いてありますので一々申し上げませんが、やっておるわけでございます。
#237
○三浦(久)分科員 それじゃ、またそういう方向で北九州の例をちょっと調べていただいて御指導いただきたいと思います。
 それから就労指導をよくされますね。ところが、北九州の場合ですけれども、就労指導に従ってパートで働きに行くのですね、そんなに簡単に仕事ありませんから。仕事しろ、仕事しろと言われるから、母子家庭が主なんですが、パートに行きますね。そうすると、大体平均的には四、五時間ないし五、六時間ぐらいのパートに働きに行っているようであります。
 ところがパートで働いている場合には就労とは認めない。結局また就労指導に来るわけですね、一月に一遍は就労指導に来ますから。すると、まだパートで働いているのか、もっといいところに働け、いいところに働けと言って、しつこく責められるという状況があるのですね。それでよく聞くと、社会保険に入っているような職場で働け、こういうことなんですよね。ところが御承知のとおり、最初は臨時工から、それから本工にいくという例もありますね。パートであと一年働いたら本工になれるのだ、だからもうちょっとパートで働かしておってくれというような場合もあるのですよ。ところが、いやそれは認められないと言って、しゃにむにパートは認めないというので強力な就労指導が行われるのです。こういうものはもう少し柔軟にケースワーカーが対処すべきだというふうに私は思いますけれども、どういう御意見でしょうか。
#238
○正木政府委員 これもパートがいかぬというようなことはもちろんないわけで、できるだけ就労していただくということでありますが、パートよりもよりよい条件のところがあればそちらに就労していただくということが御本人の幸せにもつながるし、早く生活保護から脱却して自立されるということになるので、そういう面でいろいろな条件があると思います。ただ単に常労のところがないのにパートと、そんな指導はないと思います。できるだけ条件のいいところに就労をするようにということの指導は当然なされると思います。
#239
○三浦(久)分科員 実際に今の就職戦線がどうなっているのかということはよくわかっているはずなんですよね。ですから、やむを得ずパートで働いているわけです。それは福祉事務所の方でもっといい仕事をぱっと探してくれるのなら喜んで行くでしょう、賃金は高い方がいいのですから、同じ働いているわけですから。それてもやむを得ずパートで働いている人たちに対して、余りしつこくやりますと嫌がらせみたいに感ぜられるので、その点また御指導をお願いしたい。
 それから、病人に対する就職指導も非常に大きな問題になっているのです。もちろんこれは、福祉事務所が医療券を発行していますから、どういう病気になっているかというのはわかっているわけですね。そういう人たちに対しても就労指導をするのですね。それで職安に行きますよ。職安に行って、こういう病気を持っているのだということになると、丈夫な人でも今仕事がないのにあなたの来るところじゃないと言って追い返される。そういうような本当に嫌がらせとしか思えないような事実がたくさん出ているのです。これは当然、そういうことはしない方がいいというお答えだろうと思いますから、局長の見解は求めません。――それではちょっとお願いします。
#240
○正木政府委員 今先生お話しの、医療扶助を受けている者について医療券を出しているわけですが、そういう方に対して就労指導するのはいかがかとおっしゃるのですが、これも先生、病気の内容によりけりだと思います。医療扶助を受けておりましても就労可能な状態にある方もあるわけですし、その辺の合理的な判断に立ち、また場合によっては主治医の意見も聞きながら、病気に無理のない形で就労していただく、これはまた自立助長の面から当然のことではないかと思うわけでございます。
#241
○三浦(久)分科員 しかし、職安に行ったら追い返されるというような病状の人に対して就労指導するというのは、私は間違いだと思います。
 それから、細かい問題でちょっと恐縮なのですが、中学校の制服です。これは転校したときに転校先の学校、そこで校則でもって制服を着用するとなっていれば、制服の費用は支給されるようですね。ところが、転校先の校則に標準服というふうに書いてありますと支給されないというのですよ。ところが、標準服だと校則にはなっているけれども、実際にその転校先の生徒たちはみんな制服で、一色で同じものを着ておるという場合があるのですね。そうすると、一人だけ別のものを着ておるということになってどうもぐあいが悪い。こういうように校則に標準服という規定があっても、全部が制服を着ているというような場合にはやはりその制服の費用を支給してほしいという要求がかなり強いのですが、この点、いかがでしょうか。
#242
○正木政府委員 校則で制服がぴしっと決められておるといった場合には、やはり転校した学校の制服についての配慮をしなければならぬと思います。それから、先生おっしゃいますように標準服となっても、現実問題として皆さん全員が制服を着ておるといったような場合には、その点は配慮してもいいのではないかということで指導をしております。
#243
○三浦(久)分科員 それから、こういう例があるのです。主に単身の老人の場合だと思います。入院しますね。六カ月以上入院していると住宅扶助を打ち切られてしまうでしょう。これは気の毒なのですよ。だって、入院していて荷物をどうするのかという問題があるのです。
 きょうNHKの朝の報道でもやっていましたけれども、総務庁の発表によっても、病人、お年寄りがどこで死にたいか、家で死にたい、これが半分以上だそうです。ですから、帰りたいのですよ。局長も大臣も入院したことがあると思うのです。一週間か十日たったら家に帰りたくてしようがないのですね。
 そういう帰る家をなくしてしまう、住宅扶助を打ち切ってしまうわけですから。生活の本拠は病院だからと言って打ち切ってしまう。荷物はどうする。病院は預かってくれませんよ。それはひとり暮らしであろうと、一世帯持っていればたんすもあるし、トラック一台ぐらいのものにはなるわけですから、そういうものの持っていき場がない。それから帰る家がない。これはそういう入院しているお年寄りに対して健康で文化的な最低限度の生活を保障しているということになるのかどうか。福祉事務所の方で、じゃ、病気が治るまでどこかへその荷物を保管でもしておきましょう、家財道具を保管しておきましょうというのなら、それはそれでまた理由が成り立つかもしれませんけれども、何も手当てしないで、ただ住宅扶助をぱっと打ち切ってしまうというようなことは血も涙もないやり方じゃないかと思うので、この点御意見を……。
#244
○正木政府委員 老人の方が入院されても御家族が残っておれば住宅扶助は当然のことながらあるわけですが、先生のお話のようにひとり暮らしの老人が入院された、こういった場合に最低生活の保障という観点からどこまで考えるべきかという点だと思います。
 入院された、ひとり暮らしなのだからそこで打ち切りということになればごく短期に帰られる場合のことを考えると何らかの配慮をすべきじゃないかということで、現在、六カ月間は入院されてもあれしておきましょう、そしてさらに三カ月間は面倒見ましょうということで、最高九カ月間までできることになっておるわけです。それから、荷物につきましても、一年間だけは保管料という面を見ましょう、こういう措置をとっておるわけでございます。生活保護の最低保障という制度から見て、御老人のお気持ちもわからぬではないのですが、一体どこまで見るのかというと、現在の取り扱いが私どもとしては限度ではないかなと率直に思います。
#245
○三浦(久)分科員 大臣、よく考えてほしいのですけれども、それは国の税金ですからむだには出せませんね、社会通念上妥当な保護で落ちつかなければいかぬ、これは当然ですよ。けれども、例えば一年なら一年入院しておって、さあ、帰る家がない、そんな思いをさせていいのかどうか。病いは気からとも言いますから、おれは退院しても帰るところがないというような状況にしておくことが生活保護の最大限度なのだ、それ以上のことは見られないのだということじゃないと思うのです。もっと血の通った温かい配慮、特にこれは単身老人が多いですから、そういう人たちに対してはもうちょっと配慮してほしい。ですから、実施要領を見直すとか再検討するとか、ぜひしてほしいのです。
#246
○正木政府委員 入院してすぐ帰られる場合に住宅扶助を打ち切るということはいかがかと思いますが、ある程度の長期になれば、ひとり暮らしの方であれば、入院されて健康を回復されたときにその時点で公営住宅のお世話をするとかあっせんするとか、そういった形であるべきなので、入院されている間、一体どこまで主のおられないところに住宅扶助をやるのかというのはやはり限度があるのじゃないかと思います。
#247
○三浦(久)分科員 私は、これは限度なんて設けるべき問題じゃないと思うのですよ。例えば一年でも二年でも住宅扶助を続けて、帰ってきたら前の家に住ませてやる。新しい、どこへ行くかわからない、どこの公営住宅に入れるかわからないというような、そんな不安な状態にお年寄りの病人を、単身老人を置くべきではないですよ。私はそう思いますね。それは見解の違いかもしれませんけれども、私はぜひ実施要領を見直してほしいと思います。特にお年寄りというのは長い間、身の回りの物でも何でも愛着のあるものが多いのですよ。そういうものを――だってどうしようもないでしょう、処分しなければしようがないのですね。そんな惨めな状態に陥れてはだめだと思いますので、これは十分に御検討いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
#248
○正木政府委員 今のひとり暮らしの方が入院された場合、お帰りになるまで、一体どこまで住宅扶助を行うのか。繰り返すようでございますが、生活保護制度というものの性格から考えましてやはり限度があるのではないかと思います。
#249
○三浦(久)分科員 終わります。
#250
○小杉主査代理 これにて三浦久君の質疑は終了いたしました。
 次に、松沢俊昭君。
#251
○松沢分科員 私は弗素の安全性に関するところの質問主意書を昨年の十二月二十一日に出したわけでありますが、大きく分けまして八つの点にわたって質問したわけでございます。それが答弁書をいただきましたのは三月一日でございまして、非常に長くかかったわけでありますから、したがって、当然わかりやすく答弁されるものというふうに理解しておりましたところが、どうも答弁書を見ましても答弁になっていないじゃないか、そういう感じがいたすわけなのでございます。
 例えば問題はないから「設けていない」とか、「全く考えられない」とか、「微量であるので影響はないものと考える」とか、歯磨き剤の併用の安全性はあるとか、健康を害するおそれはないとか、腎障害のあるとき「問題はないものと考えている」とか、こういうぐあいにして、何かどこどこでどういうふうに実験をやった結果、歯質においてこうであるから、したがって、これは安全性があるとかというようなことはほとんどないわけでございます。
 そしてWHOが勧告をしているとか、あるいはまた歯科医師会があるいはまた口腔学会ですか、こういうものが安全だと言っているから安全だというようなことになっておりますので、これは一方の方で安全でないというところのそういう運動というのがなければこれで結構だと思いますが、そういう運動があるわけでありますし、また、そういう学問的立場において研究をしておられるところの人もいるわけなのでありまするから、やはりそれに対するところの答弁としての答弁書らしいものが出てしかるべきなのじゃないか、こんなぐあいに実は考えているわけでございますが、この点、一体どうお考えになっているのか、お伺いしたいと思います。
#252
○吉崎政府委員 弗素化合物の虫歯に対する予防効果、ただいま先生からWHO、日本歯科医師会、口腔衛生学会等だけでは不十分ではないか、このようなお話でございますが、さらに申し上げますと、我が国では国立予防衛生研究所の大西、東京歯科大学の竹内、神奈川歯科大学の飯塚、大阪府八尾保健所の安倍等、多くの研究者が、個別のことは挙げておりませんけれども、あるのでございます。一方また、無効かつ有害である、こういう報告は承知をしておらないのでございます。
 外国の例におきましても、米国のアスト、クヌトソンとか、オランダのハウインク等多くの有効性、安全性を示す報告がございます。
 また、国際歯科学会でも推奨しておるところでございまして、これを虫歯の予防に、一九八一年のFDAのデータによりますと、今六十七カ国で使っておりますが、まず問題はないと考えるのであります。
#253
○松沢分科員 いや、問題は、この分科会で昨年は私は臭素の問題について質問したことがあるのですよ。そのときにおいても問題がないという話であった。だから、問題があるとかないとかの前に、両論があった場合においては、厚生省みずからちゃんとテストをやってみたらどうだ、こういうことを要求いたしまして、臭素の検査をされたわけですね。結果といたしましては半分程度やはり五〇ppm以上、そういう含有量であるということで、これは米は食べ物にならぬということで抑えとめられた、そういう経過というものがあるわけですね。でありますから、例えば国際的に見ましても、スウェーデンだとかオランダだとかイギリスだとかいうところでは、この安全性の問題につきましては裁判まで行われているわけでしょう。そしてまた日本のこういう弗素の研究会なんというものができまして、その辺でもいろいろな学者がやはりそれなりの論文の発表をやっておるわけでしょう。あるいはまたこの質問主意書のところにも出しておきましたが、中華人民共和国の広州市の問題につきましても、これは水道に入れるというのは抑えるということで中止になっているわけですね。この問題につきましては、答弁書を見ますと、まだそのことははっきりしていない。わからぬ。はっきりしているとかいないとかの問題ではないのでありまして、こんな問題は調べればすぐわかるわけなのであります。ここにもちゃんと印刷物があるわけですから、だから、そういう安全であるという研究をされておる先生方の意見だとか学会の意見だけを聞いて、それは危険じゃないかという立場のものを何で無視してやらなければならぬのか、そういう疑問を私は持つのでありまして、そこで質問主意書を出したわけです。ところが、これではさっぱり要領を得ていないわけなのです。どうですか。
#254
○吉崎政府委員 大変膨大な質問主意書をいただきまして、それぞれの項目につきまして時間の許される範囲で精いっぱい調べたのでございます。
 今の反対があるというお話でございますが、弗化すずの場合において無効という報告を一例承知をいたしておりますけれども、有害であるという報告は承知をしておらないのでございます。
#255
○松沢分科員 ここで三十分の間で一々これを双方で議論をやっておっても、これは変わらぬと思います。でありますから、もう少し私は厚生省に要望したいことは、こっちの方でもそれなりにやはりいろいろな意見を聞きまして、そして質問をしているわけでありますから、これは本当は一週間以内ということになっておるわけでありますけれども、あなた方の方でも広範多岐にわたっているから時間をかしてくれということで、それで三月一日に答弁された、こういう経過になっているわけでありますから、その間においては十分時間があったわけであります。例えば中華人民共和国の問題等につきましては、これはそれなりに時間があるわけですから、在外公館も通して聞いてもらえばすぐ出てくるはずなのであります。ところが、それもまた把握はしていないということで終わっているわけでありますから、そういう点からいたしますと、極めて不親切なのではないか、もっとやはり親切に答弁をしてもらいたい、こういうことを希望をいたしまして、いずれこの問題はさらに時間をかけまして厚生省の見解をただしていきたいと思います。
 きょうは、虫歯問題で弗素の塗布をするということが厚生省のことしの事業として挙げられておりますが、対象とするところの市町村というのは五市町村ということになっておりますが、これは決まったら、大体どこのところを予定しておられるのか、そしてまた、その選定に当たっての基準等がございますならば、お聞かせを願いたいと思います。
#256
○吉崎政府委員 この事業は虫歯の予防を総合的に行おう、こういうことで、歯科の健康診断、それから正しい歯の磨き方の保健指導、それとあわせまして希望者に弗化物を歯の上に塗る、こういう総合的な事業をやることにしておるわけでございますけれども、実施地区の選定に当たりましては、こういう考え方をよく理解して、そして希望する市町村の中からいろいろな地域事情、実施体制等を勘案いたしまして適当であると考えるところを選定することにいたしておりまして、まだ予定しているところはございません。
#257
○松沢分科員 それから、予算は六百万円だと聞いておりますが、これは今ちょっと答弁の中にありましたが、どういうことをどのようにしてやるための金なのか、もっと詳しくお聞かせ願いたいと思います。
#258
○吉崎政府委員 ただいま申し上げましたような事業を行いますために歯科医師、歯科衛生士、事務職員の雇い上げ経費、それから消耗品、通信費等が補助対象費目でございまして、一カ所当たり四百十七万六千円、全国五カ所分で二千八十八万円でございます。これは対象事業費でございまして、厚生省の今御審議をお願いしております予算では、三分の一の補助でございますから、それに要する経費として六百九十六万円、こういうことでございます。
#259
○松沢分科員 弗化物の塗布をやる場合において、そのほかに経費はかかるわけですが、これは市町村が負担するのですか、父兄が負担するのですか、どちらですか。
#260
○吉崎政府委員 一定の計画に従いまして補助対象額としてはこういうふうに積算をしておるわけでありまして、この以内でやっていただければ一番よろしいわけでありますが、こういう計画でございますから、もし市町村がまたその他いろいろなことをおやりになれば、それは市町村の負担であろうと存じます。
#261
○松沢分科員 これをやる場合においては希望者に限ってやる、こういうお話なんでありますが、要するに、その希望者を募る場合どういう方法で募られるのですか。その五つの市町村に希望者があった場合においては、希望者にやってやる、希望者と希望者でないという区別はどういうふうにしてやるのですか。
#262
○吉崎政府委員 今日健康に対する需要が非常に高まっておりまして、熱意のある市町村はいろいろな事業をやっておられるわけでございます。そこで、それぞれ希望者をしっかり把握する方法、工夫があるところだと存じます。そういうこともきちんと事業が遂行できるだろうか、この実施体制等を勘案して選定すると申し上げましたのは、そういう意味でございます。
#263
○松沢分科員 私は新潟ですが、例えば新潟大学の先生方はこれは安全であるという立場に立って推進派ですね。しかし、それに対しまして開業医だとか、そういう中ではこれは反対であるという意見の対立があるわけです。ですから、新潟市でやるという場合におきましては、これは反対の考え方と賛成の考え方があるわけです。子供は同じ学校へ行っているわけであります。そういう場合どういうふうにして、これは希望者だし、これは希望者でないという色分けをされるのですか。それを具体的に聞いているのですよ。
#264
○吉崎政府委員 ただいまも申し上げましたように、希望者を選定されるに当たりましては、それぞれ地域の事情もございますから工夫のあるところだと存じますが、今のお話のように半分が反対で半分が賛成というようなところでは、恐らくやろうという希望をなさらないだろうと思いますが、しかし、いかなる場合におきましても賛成、反対はあり得るわけでございまして、これはやはり希望者にだけ実施をするのが適当であろうと思うわけであります。
#265
○松沢分科員 時間がありませんから……。それは希望者はいいですよ、希望者の選定というのはどうするんだということですよ。子供ですよ。
#266
○吉崎政府委員 これはやはり保護者になろうかと思います。
#267
○松沢分科員 それじゃ保護者の同意を得ておやりになる、こういうことですね。
#268
○吉崎政府委員 同意というか、希望をされる方にこういう総合対策を行う、こういうことでございます。
#269
○松沢分科員 これは水かけ論になりますから、時間がありませんからこれで終わりますけれども、ちょっとわかりにくいのです。
 それから、これは答弁書には薬品の名前を出しまして、そして、それについての答弁をしてもらったわけであります。資料によりますと、腎臓の悪いところの子供さんにはさせないでくれというところの注意書きが書かれているわけです。ところが、この答弁書では、差し支えないとして、そういう要旨の答弁がなされているわけです。これは一体どういうことなんでしょうか。
#270
○小林(功)政府委員 確かに今お話しのように、このメーカーの出しております添付文書にはそういう記載がございます。ところが、これは国がそういう指導をしておるわけではございませんし、審査の段階でそういうことを指定したものでもございません。企業の独自の判断で念のため書いた、こういうふうなことでございます。
#271
○松沢分科員 そうすると、ここにありましたが、「むし歯予防フッ素洗口剤 ミラノール」、要するに「次の注意をお守りください。」ということで、ずっと五つぐらい書かれているわけでございます。そして、「本剤は創業であります。」こうなっておるわけでありまして、これは別に政府の方で指導したわけじゃないんだ、薬品会社が勝手に書いているんだ、こういうお話ですね。それではこれは守らなくともいいわけですね。
#272
○小林(功)政府委員 少なくとも審査段階ではそういう規制をしておりませんし、国が指導したものでもございませんから、国のベースで言えばそれはそのとおりでございます。
#273
○松沢分科員 しかし、こういう薬物というものを学校に持ち込んで、そして子供に塗布してやる、こういう行為というのは、これは医療行為ですか、何ですか。
#274
○吉崎政府委員 塗布は医療行為でございます。
#275
○松沢分科員 そうすると、このミラノールなんというものはこれはやはり医薬品になっているわけですか。薬事審議会にかけて医薬品という認定をやっているわけですか。
#276
○小林(功)政府委員 医薬品でございます。
#277
○松沢分科員 なっているのですか。
#278
○小林(功)政府委員 はい。
#279
○松沢分科員 それから、学校でこういうことをやるということが認められるものでしょうかね。どうでしょうか。薬物、劇物を使用して医療行為をやるということは保健管理の限界を超えているんじゃないですか。
#280
○下宮説明員 お答えします。
 学校におきます虫歯の予防についての指導につきましては、私どもは、学校教育の一環でございますので、虫歯予防をするための習慣化につきましての知的な理解、実践をやるということで、うがい、歯磨き、間食の指導、そういったものをやることを基本といたしておりますが、歯科衛生の公衆衛生的な手だてとして弗化物を利用するということも有益であるということでございますので、文部省といたしましては、そういった場合には十分専門的な理解を持った上で適切な手順のもとで行うのが適当だろうというふうに考えているわけでございます。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
#281
○松沢分科員 学校教育の一環と言われますけれども、今お話を聞きますと、厚生省の方では医療行為だと言うのですよ。そういうものを持ち込んで行って万が一の場合があったらこれはどうなるのですか。だれが責任あるのですか。学校が責任あるのですが。
#282
○吉崎政府委員 塗布は医療行為だと申し上げたのでございますが……
#283
○松沢分科員 だから塗布はその範疇の中へ入るわけでしょう。
#284
○吉崎政府委員 学校は、今、うがいとおっしゃったと思います。
#285
○松沢分科員 塗布の場合はどうなるんですか。
#286
○下宮説明員 一般的には学校で弗素の塗布は行ってないというふうに承知いたしております。
#287
○松沢分科員 しかし、要するにこの答弁書からいたしますと、塗布が含まれているんじゃないですか。洗口だけじゃないでしょう。
#288
○吉崎政府委員 質問主意書でいただきましたことは非常に広範にわたっておりまして、塗布の場合につきましても、うがいの場合につきましても、それぞれの御質問にお答えしておると思うわけでございます。
#289
○松沢分科員 この答弁書にはこう答えているわけですよ。「この事業では、五市町村の五歳児を対象として歯科医師等の専門家により歯科健康診査、正しい歯磨き等の保健指導にあわせて、御指摘のフッ化物の歯面塗布も行うものである。」こうなっているわけでありますから、塗布は医療行為だ、医療行為を学校教育の一環として学校でやっていくのだと文部省は言っているわけだから、そんなことは保健管理の限界を超えたやり方なんじゃないかと私は言っているわけです。
#290
○吉崎政府委員 御指摘のございましたように、予算をお認めいただきましたならば昭和六十年度で五市町村について実施をしようとしておりますのは、お話しのとおりでございます。これは医療行為でございますから、塗布に当たるのは歯科医師とそれの指導のもとの歯科衛生士等が当たるわけでございますが、これは先ほどの学校で保健衛生教育の一環として行っておるうがいとは直接は関係がないと存じます。
#291
○松沢分科員 塗布、洗口、それから歯の磨き方、そういうものを全体的に総合してやるという事業がこの事業なんでしょう。だから、その中には医療行為であるという塗布というものが入っているわけです。これは別問題だということにはならぬですね。それを学校に持ち込む。学校の方の受けとめ方としては、文部省答えています。要するに、学校教育の一環としてこれを受け入れるんだ。そういうふうにして受け入れるということは子供の保健管理の限界を超えた行為なんじゃないか。というふうに、これはむしろあなたの方で答えるよりも文部省の方から答えてもらった方が早いかもしれません。
#292
○吉崎政府委員 先ほど来のお話しのように、総合的に虫歯の予防事業をモデル的に実施しよう、これは市町村が実施主体になるわけでございまして、特にこの五歳児、学校を相手にしておるのではないのでございます。特に学校保健とのかかわりでやっておるという意味ではないのでございます。地域の事業として行っておるわけでございます。
#293
○松沢分科員 それじゃ、これは学校の外でやるということですね。いいですか。
#294
○吉崎政府委員 先ほど来御説明申し上げておりますように、希望される方にその地域としてやるわけでございまして、五歳児でございますから、幼稚園、これは希望されればもちろん対象になります。
#295
○松沢分科員 現在学校の中でもやっているのじゃないですか、この補助事業とは別に。そういう塗布をやっているところもあるでしょう。そういうものは一体どういうふうにして受けとめられているのですか。私は弗素の安全性について政府の答弁を求めているわけです。だから、大変危険だという意見があるから、事生命にかかわる問題ですから取り上げてやっているわけですから、それを学校の中で医療行為と言われるものをやっているということは、保健管理の限界を超えているやり方なんであって、教育の一環ではないのじゃないか、こう思うのですが、文部省どうですか。
#296
○下宮説明員 先生がおっしゃっております弗素の塗布につきましては、学校の保健管理の一環ということでは実施してないというふうに私どもは承知いたしておりますが、弗化物の利用については塗布と弗化溶液のうがいの二種類があるわけでございまして、うがいにつきましては新潟県を中心にして全国でもかなりのところでやっているというふうに承知しているわけでございます。
 安全性の問題につきましては、先ほど厚生省から御答弁があったことを下敷きにしての話でございます。
#297
○松沢分科員 時間が参りましたので、詰めるわけにもいきませんでしたけれども、なお国民の健康に関するところの問題でありますので、厚生大臣の方でも私が質問いたしました質問要旨を尊重して、そして塗布の問題等についても十分な対処を願いたい、こういうことを希望いたしまして終わります。
#298
○山下主査 これにて松沢俊昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、薮仲義彦君。
#299
○薮仲分科員 私は本日、厚生大臣に歯科の問題に限って質問をさせていただきたいと思います。
 私も当選してから今日まで、歴代の大臣にずっと歯科の問題を質問してまいりました。きょうも大臣にお伺いをするわけでございますが、その前に大臣に一言伺っておきたいのは、昨日新聞で報道されたことは大臣としても非常に遺憾なことと思っていらっしゃる。我々国民の側からいたしますと、いわゆる医療に対する信頼をある意味では裏切る、そういう行為が、国民の信頼の中に行われていかなければならないのに不心得な一部の医師によって脱税がなされる、大事な医療費というものがそういうふうに不正に行使されるということについては非常に問題であろうと思います。
 私は、そういう意味で、私の周りには医科の先生にしても歯科の先生にしても国民の健康増進のために非常にまじめな先生を多く知っているし、現に私がきょう大臣に質問するのも、まじめな医師が国民の健康を真剣に考えている立場で質問するわけで、ああいう事態は私にとって非常に残念な事柄でございまして、この件に関して大臣が今どのようにお考えか、一言お答えいただいてから質問に入りたいと思います。
#300
○増岡国務大臣 きのうの新聞記事のことについてお尋ねがありましたときに申し上げましたように、私はほとんど大部分の先生は国民の生命と健康のために一生懸命頑張っておられるのでありまして、したがって、ああいう記事が出ましてもその根幹は揺るがないものと信じております。
#301
○薮仲分科員 国民の今の医療行政あるいは医師に対しての大事な信頼関係がなければ成り立ちませんので、この点はどうか十分今後行政の中で、下手に弱い者いじめするとか意地悪するということではなくて、健全な医療というものが育つような方向で指導をしていただきたいと願っておきます。
 きょうは歯科の問題でございますが、特に日本の国は高齢化へのテンポが非常に急速であることは大臣も御承知のとおりでございます。厚生省の人口問題研究所の日本の将来の推計人口、これによりましても昭和七十五年、十五歳以上の人口に占める五十五歳以上の人口の比率が三四・二%、六十五歳以上が千九百九十四万人、一八・九%、ざっと五人に一人のお年寄りということになるわけでございます。こういう高齢化社会を迎えまして、どうしても歯科診療の中でも高齢化に対する対策というのは非常に大事だと思うのです。
 その前にまず確認しておきたいことは、ただいまの問題もそうでございますけれども、国民に対して、歯科であるならばよりよい歯科診療、歯科医療というものを提供する、これは歯科医師の当然の使命であり、国民のひとしく願っているところであろうと思います。また、厚生省は、我々国民に対して、通常必要とする歯科診療というものは保険でできますよ、こういうようなスタンスにあると思うのでございますが、この点はいかがでございますか。
#302
○幸田政府委員 御指摘のとおりでございまして、通常必要とする歯科診療は保険診療として採用し、実施をしているところでございます。
#303
○薮仲分科員 中でも先年をとられてまいりますと、これは厚生省でも資料をお持ちのように、今度の点数改正の中でも――統計の中でも言われております残存歯数が、大体五十歳を境として五十五歳になってきますと非常に少なくなってまいります。そうなると、やがては総義歯という課題になってくるわけでございますが、お年をとられた方も、人生の中でどうしても入れ歯に頼らなければならないときが来ると思います。総義歯も保険で安心してつくれますよ、こう国民に言っていいことだと思うのでございますが、その辺の厚生省の見解は。
#304
○水田政府委員 御指摘のとおりでございまして、特に老人の残存歯数というのは非常に急激に減ってまいるわけで、義歯に依存する点が多くなってまいるわけでございます。特に老人保健法ができましたときの附帯決議で、老人の心身の特性に見合った診療報酬体系をつくるようにという御指摘もございまして、有床義歯指導料というものを特に老人の場合設けまして、いわゆる有床義歯がうまく歯に適合するような的確な指導ができるようにいたしているところでございます。
#305
○薮仲分科員 これは大臣によく御理解いただきたいのですが、我々人間にとって、人間の本能といえば食と性、食べるということは人生にとっては非常に大切なことであることは論をまちません。また衣食住という、食べるということは人間の生活の中で欠くことはできないのです。
 ここに幾つかの文書がありますので、ちょっと読んでみます。「長寿とは老いてもなお健康であることである。食物の摂取は生命保持に不可欠であり、老人にとって食事が最大の楽しみであるとするならば、歯科医の老人医療にはたす分野は大きく大切である。」こういう点がございます。また、こういうことも書かれています。あるお年寄りです。「噛んで痛くないところを探してそっと噛む。翌日はそこが痛くなるから別の場所を探して噛む。」これもお年寄りの生活の一部なんです。
 また、こういうことが書いてあります。「肉体的には何の欠陥もないのに、ただ食事ができない理由のみで家にこもりがちになり、性格も暗くなってしまう。それだけに、これらの人々が再び咀嚼機能を回復したときの喜びは大きく、青春が甦り、外貌の変化と共に人格まで変わる。中には、二十年以上も諦めの人生を送り、たまたま知り合った歯科医に調和のとれた機能のよい義歯を入れてもらい、七十歳にして念願のカトマンズに登山に出かけた人もいる。」また、あるお年寄りは「数軒の歯科医を訪れた末に完全な歯科医師不信に陥り、義歯は痛いもの噛めないものと決めつけ、あきらめている人々が意外に多い。」
 この総義歯は、やがて大臣もお年をとられればそういうお世話にならなければならないわけです。大臣が今しっかりやっておくことは決して人のためではなく、大臣もいずれは総義歯にお世話になるときに、あああのとき言われたことは本当だったなと思うときが来ると思います。
 そこで、私は今までのことを前提にして、これは大臣に聞くのは大変失礼であって、大臣がおわかりにならなければ担当の局長にお伺いしたい。
 歯科疾患の治療の総件数の中で何%くらい総義歯というのが保険の中で診療されているか、おわかりですか。
#306
○増岡国務大臣 そのことにつきましては前に何度か聞いたことがありましたけれども、今失念いたしておりますので、政府委員から答弁させていただきます。
#307
○幸田政府委員 正確な数字は今持ち合わせておりませんが、歯冠修復、欠損補綴含めまして大体四割程度と考えております。
#308
○薮仲分科員 私は総義歯と申し上げたのです。欠損補綴だとか鋳造冠とか、そういうことを言わなくていいのです。私はもう何回も厚生省とやり合っているのですから、この資料は厚生省のです。厚生省からいただいた資料ですから、診療総数をちょっと言ってください。時間がないですから、数をぱんぱんと言ってください。
#309
○幸田政府委員 大変申しわけございませんが、ただいま手元に資料を持ち合わせておりません。
#310
○薮仲分科員 厚生省のかわりに言いますから、数字が間違ったら言ってください。総数が四千六百十三万一千八百四十三回、間違いないでしょう、管理官からいただいた資料ですから、間違いない。その中で総義歯の数四万五百九十なのです。これはパーセントで出しますと〇・八%です。一%いってないのです。四千六百万回あって四万回しか保険請求の中に載ってきてないのです。
 冒頭に保険で総義歯ができるとおっしゃったのですけれども、現状においてはそれができないのですよ。では、総義歯の修理は一体どのくらいか。九千五百四十回、こういう回数なのです。これはパーセントでいきますと〇・〇二%なのです。入れ歯のぐあいが悪いな、歯医者さんに行こう。点数に換算されてない、点数に掲上してないということもあるかもしれません。私が今まで毎回総義歯の問題をいろいろ資料を集めてやると、いつも厚生省は納得しませんから、今度は厚生省からいただいた資料で、いかに歯科医師が〇・八%しか診療しないか、なぜこういう事態になったかをお話ししておきたいと思うのです。
 大臣、これは知っておいていただきたいのですよ。これは歴代の大臣に言っているのです。渡辺大臣にも言いましたし、亡くなられた園田大臣にも言いました。園田先生は歯科の出身ですからよくわかってくださった。でも、まだまだ改善されておらないのです。私は改善していかなければならないと思うから申し上げるのですが、厚生省の資料が大臣と局長には渡っているそうですから、局長、ちょっと答えてください。数だけで結構ですから。これは簡単に数字でやるものですから。金額だけ言いますと、個人の歯科診療所の年間の平均収入は大体幾らですか。
#311
○幸田政府委員 昭和五十六年十月の医療経済実態調査によりますと、個人立の歯科診療所の平均収入は四千九百八十五万円でございます。
#312
○薮仲分科員 あと、まとめて言いますが、間違っているか間違ってないかだけ言ってください。厚生省の資料おありでしょうからおわかりだと思います。
 経費率と申告所得を足しますと九四・一%、それから一年間の実働日数二百七十五日、これは間違いございませんね。
#313
○幸田政府委員 経費率と申告所得を足しまして九四・一%、それから年間の実働日数、いずれもそのとおりでございます。
#314
○薮仲分科員 上下の入れ歯に要する時間、これも医科歯科大学、日本歯科大学、東京歯科大学でやった平均時間が出ています。二百十五分。それから材料代、保険点数でできるのが四百八十六点、これも間違いがないと思いますので、時間がないので、厚生省資料がいっているから、これはこのままでよろしいと思いますので、やらしてください。
 この割り算も、大臣、そこに載っていると思います。今申し上げた四千九百八十五万という収入の中の経費率と申告所得の合算でいきますと九四・一になるわけです。それを掛けまして、お医者さんの収入がそれだけですよということですね。それを一年間、御指摘のように二百七十五日で割りますと、一日当たりの金額が出てくるわけです。一日八時間労働として八で割りますと、一時間当たりが出てきます。それを一分当たりに直すために六十で割ります。そうすると、一分当たり大体三百五十五円三十七銭、こうなりますけれども、この金額はよろしいですか、局長さん。
#315
○幸田政府委員 お話しのとおりでございます。
#316
○薮仲分科員 これに大臣、所要時間の二百十五分を掛けるわけです。そうすると、七万六千四百四円という金額が出るわけです。
 この点、局長、間違いございませんか。
#317
○幸田政府委員 先生の前提に立ちまして計算いたしますと、そのとおりでございます。
#318
○薮仲分科員 今、総義歯の保険で請求できます最高金額は幾らでしょう。最も難しいと言われるものは幾らになりますか。
#319
○幸田政府委員 四千七百十六点、一点十円でございますから、四万七千百六十円でございます。
#320
○薮仲分科員 今ざっと計算しますと、七万六千円、保険点数が四万七千何がしですね。ここだけでももう二万以上赤字になっているわけです。私の手元にある資料等でやりましても、大体保険診療というのは七万円、八万円、九万円とかかるわけです。
 アメリカ、西ドイツ等々における総義歯のいわゆる保険点数はどのくらいかかっているか、これはおわかりだと思いますけれども、局長は資料をお持ちですか。
#321
○幸田政府委員 アメリカで申し上げますと、日本円に直しまして片側だけで八万六千二百五十円でございますから、両方、二倍をいたしますと十七万円余になります。西ドイツの場合は片側で五万六千百八十五円、これの二倍ということになるわけでございます。
#322
○薮仲分科員 今、総義歯の海外の例とそれからいま一つの数式を出しますと、海外では十六万、十万。ざっと歯科医師がどれくらいかなという単純計算でいつでも七万六千円、八万近く入れ歯はかかるのに、実際の保険点数では四万七千円何がしかしかもらえない。こうなりますと、今現場の臨床の先生方が一番問題にしていらっしゃるのは、私の医院ではあの先生は総入れ歯がうまいですよと言われることについてはじくじたるものがございます、入れてあげたい、治してあげたい、でも大変な不採算になるので、どうしても保険ではできませんと言わざるを得ない部分がございます。今、保険でできる件数をお示ししましたように、総義歯のパーセントは〇・八%、それが今保険の現状でございます。私は、保険医全体の診療報酬の中で勘案すればいいことだということは十分承知の上で申し上げているわけでございますが、実際これから高齢化社会になっていって、このような状態で推移するということは非常に問題ではなかろうかと思うわけです。
 それと、大臣、この際ですからもう一点御指摘申し上げますと、大臣のお口の中にも鋳造冠といって冠がかぶっていると思います。全部鋳造冠というのがあるのですね。がしゃんと全部大臼歯なんかにかけるわけでございますけれども、これも今と同じような数値で計算をした資料が大臣のお手元にあろうかと思います。これで計算しましても、鋳造冠も同じように保険点数では赤字になります。今と同じようにこれを計算するとどうなるか。簡単に言いますと、分当たりの三百五十五円三十七銭掛ける全部鋳造冠は時間が百分でございますから、三万五千五百三十七円かかるということになっています。
 これは保険で請求できるのは幾らでしょう。大臼歯全部鋳造冠です。
#323
○幸田政府委員 およその数字でございますが、八千円程度でございます。
#324
○薮仲分科員 資料がなくてお困りでしょう。もうちょっと高いと思いますけれども、いずれにしても似たような金額でございまして、全部鋳造冠を歯にかぶせるということで金銀パラジウムを使った場合に、やはり歯科医師にとっては心の痛む問題で、不採算の大きな課題でございます。どうか大臣が厚生大臣であるときに歯科診療全体のあり方の中で総義歯、そして鋳造冠のあり方に心を置いて今後解決策を図っていただきたい、これはお願いいたしておきます。
 それから、時間がないので駆け足で行かざるを得ないのですが、今度の点数改正について私はある面では評価もし、ある面ではいろいろと申し上げたいこともございますが、きょうはそれをやめておきます。
 ただ、私はこの点は非常に大事だと思いますので申し上げておきますけれども、まじめな先生が今度の点数改正で一番困ったのは、二十六年間にわたって厚生省の指導の中で保険医療というものが確立してまいりまして、その中で、再診時基本診療料という項目を入れるために幾つかの項目が丸められるという形になりました。大臣も御承知のように、歯科治療の中で大きなものは四つ言われております。口唇、口腔粘膜疾患の処置、齲蝕疾患、いわゆる虫歯の治療があります。それから歯周疾患、歯茎の治療がございます。顎骨疾患、いわゆる骨の病気があります。これが四大疾患といいますか、処置、手術を要する場合もございますし、重要な処置でございます。この中で、今度再診時基本診療料というものがセットされることによって口唇、口腔粘膜疾患というものが丸められました。項目の削除ということで消えたわけでございますけれども、この件について私は希望しておきます。
 確かに再診時基本診療料を医科の中表に並べるようにするということでこの再診時基本診療料の考え方を置かれたことはわかりますけれども、大臣も御承知のWHO、世界保健機関の国際疾病分類、ここの中ではっきりこの口唇、口腔粘膜疾患というものが疾病として取り上げられております。また「歯科臨床概論」という本を見ましても、口唇、口腔粘膜疾患というのは一つの病気として挙げられております。歯科衛生士が衛生士としての勉強をする教本の中にも重要な項目として載っておるわけでございます。ですから、項目の削除になっておりますけれども、今後国民がこういう治療を受けられるためにもやはり重要な処置として、悪いことを言えば点数に入ってないからやらないよということは絶対許されない行為でございますが、我々国民の側、患者の側からいいますと、重要な処置は初診時も再診時もきちっとやっていただくというようなことをこの青本の改定のときには載せていただきたい、こう思いますが、局長、簡単にお答えください。
#325
○幸田政府委員 今回の再診時基本診療料の新設に伴いまして口腔単位の処置等は包括をするということで今御指摘のようなことをやったわけでございますが、お話しのありました点については今後十分に検討をいたしたいと思います。
#326
○薮仲分科員 どうか国民の歯科疾患を健全にするために誤りないようお願いいたしておきます。
 それから、今度の点数改正の中で歯周病を入れられた。これは私は非常に喜ばしいと思います。というのは、亡くなられた木下四郎先生、東京医科歯科大学の教授でございましたし、日本歯周病学会の専務理事でございましたが、私はこの先生からお手紙をいただきました。私が国会で質問したときの、こういう手紙です。
  私は東京医科歯科大学歯学部にて歯周病学を担当し、あわせて日本歯周病学会の専務理事を昭和五十五年来つとめております。
 かねがね、健康保険制度との関連のうえで、国民の健康の維持、口腔保健の増進および口腔の諸疾病の適正処置等につき、大学教授としてあるいは専門学会として種々考慮してまいりました。しかしながら医科・歯科のいずれの領域を問わず現実には、制度や財政にしぼられ、日進月歩の学問の進歩に実地医療が遅れがちでありますことは、先生におかれましてもすでに御承知のことと思います。
 昨年、日本歯周病学会の委員ともども「歯周疾患治療指針」をまとめましたことも、このような現実の姿に対する我々の焦慮の現われてもありますとともに、国民の誰もが他の物にはかえ難い自分自身の歯を生涯機能させて、健康な生活を維持できることを衷心より望むからであります。
これは教授の名誉のためにちょっと読ませていただきましたけれども、この木下先生の保険診療の中に歯周疾患を入れてほしいという念願がどうやら今度は採用されたようで、亡くなられた先生も非常に喜んでいらっしゃるんじゃないか、こう思うわけでございます。
 ところが、この中で、きょうは時間がないので確認の点だけちょっとお答えいただきたいのですが、この歯周疾患の治療の仕方に治療計画書をつくった場合と治療計画のない場合がございまして、特に治療計画のない場合の治療の中で、手術をするまでに三カ月間様子を見なさいという部分がございますが、三カ月間を経ないで手術することも今後出てくるんじゃないかということが考慮されます。また、この従来のやり方が、点数改正の中で逆に点数が少なくなって治療しにくいということがあってはいけないと思いますが、この点もごく簡単にお答えください。
#327
○幸田政府委員 ただいま御指摘のとおり、今回の医療費改定で歯周疾患につきまして新たに治療計画という考え方を導入いたしたわけでございますけれども、この治療計画書に基づく治療ということを重視するという考え方を今回初めて導入したばかりでございますので、この実績なり実情というものをもう少し見極めました上で先生御指摘の問題については対処してまいりたいと考えております。
#328
○薮仲分科員 今、総義歯と歯周病をやったのですが、大臣に一つだけお答えいただきたいのは、この総義歯の不採算です。やはり重要な課題だと思いますので、今後高齢化社会に向かって厚生省として対策を考えていただきたいと思いますけれども、大臣のお答えをここでお伺いしておきたい。
#329
○増岡国務大臣 先ほど先生がおっしゃいましたような、人間が健康を維持し、しかもその人生の喜びの大半を歯が持っておるわけでございますから、今度の診療報酬改定に当たりましてもできるだけ医療機関の健全な経営をもとにして良質な医療を確保するという観点から考えたわけでございます。
 個々の問題につきまして、採算性の非常に悪い部分があるという御指摘でございましたけれども、これは一応中医協において合意の形でなされたわけでございますので、今後とも技術料の適正評価等については検討してまいりたいと思います。
#330
○薮仲分科員 では最後に、歯科材料の安全性について質問しておきたいと思います。
 歯科材料の中で私は特にニッケルクロムを取り上げて、これがJIS規格の中での物性検査だけで歯科材料として導入されるようなことは危険である、やはり物性のほかに毒性等の専門家も交えて、JISの専門委員の中にもそういうグループをつくりなさいということを指摘しましたし、現在導入されておりますニッケルクロムの鋳造冠の品質基準というものは明確でございません。品質基準をきちんとしませんと、これは特にベリリウムによって発がん性の問題が指摘されておりますので、安全基準について厚生省はどういう結論を出されたか、それをお伺いしたい。
 それから、歯科材料全般にわたって安全性を確保する意味で、歯科材料研究所のようなものをつくったらどうかということを指摘しておきましたけれども、これにどう対応なさったか。
 それから、最近特に新素材が出てまいります。歯科材料としていわゆる人工歯根等が出てまいります。こういうものに対しての厚生省の考え方。また、医療の安全の確保のために、医療用具のモニター制度を確保してはどうかということもお話ししました。以上の点について、簡単で結構ですからお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#331
○小林(功)政府委員 既に、先生からたびたびこの問題について御指摘をいただいておるのは承知しております。
 まず、鋳造用ニッケルクロム合金の安全性の問題でございますが、既に薬事審議会に諮りまして、溶出試験法を初めとする承認基準の作成作業を進めております。これは近々結論が出る予定であります。
 それから、JISの関係でございますが、確かに安全性を一層高める必要がございますので、昨年新たに、歯科材料のJIS専門委員会のメンバーに安全性評価の専門家を加えましてJIS規格の充実を図ることにしております。
 それから研究機関につきましては、率直に申しまして、現在の財政事晴や行政簡素化の波ということで新しい機関をつくることは極めて困難でございます。ただ、そうはいいましても、この点につきましては大変重要な問題でございますので、私どもといたしましては国立衛生試験所の療品部と安全性生物試験研究センター毒性部がタイアップして研究を進めるということをやっておりますし、また、あわせまして厚生省所管の財団法人であります食品薬品安全センターというのがございますが、この協力を得て研究を進めることにしております。
 それからさらに、新しい材料の問題でございます。歯科の歯根のような新しい材料につきましては確かに問題がございますが、これは既に先生御指摘のようなことをやっております。安全性確保の観点から、動物試験と臨床データ等を添付しまして中央薬事審議会で慎重に審議しております。つまり医薬品の場合に準じて取り扱っているということでございます。
 それから、副作用のモニターでございますが、これは五十四年の薬事法改正で、製造業者等に重篤または未知の副作用情報があった場合には報告しろということを義務づけております。これは先生御承知のとおりでございます。さらに、昨年十一月から全国の大学附属病院それから国立病院をモニター施設とする医療用モニター制度を新たに発足させました。これによりまして歯科材料等に係る副作用情報の収集に努めて今後の対策に生かしたい、こういう考えでございます。
#332
○薮仲分科員 終わります。
#333
○山下主査 これにて薮仲義彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、安倍基雄君。
#334
○安倍(基)分科員 民社党の安倍でございます。
 実は、ちょうど去年の今ごろ私はこの分科会でいろいろ質問をさせていただきました。その際の質問の一つに有料老人ホームというものを取り上げたわけでございます。それは老齢化社会が進展していく過程におきまして老人ホームに対する需要が非常にふえてくる。そのときに、聞くところによりますとなかなかそれは建てられない、お金持ちしか入れない。なぜかと聞きますと、なかなか郊外のところには建てられないんだ、都市部しか建てられないということでございました。都市部に建てますとどうしても原価が高くなる。家賃も高くなれば敷金も高くなる。ところが老人の場合には、どちらかと申しますと都会の真ん中に住んでいる必要はない、むしろ健康的な郊外に住む方がいい。何で建てられないのだろうというような話をしたのでございますけれども、ちょっと参考までに現在、有料老人ホームというのは大体どのくらいあるものかどうか、何人くらいそれに収容されているかということを聞きたいと思います。
#335
○正木政府委員 有料老人ホームの施設数でございますが、九十一カ所ございます。定員数にしまして約七千人でございます。
#336
○安倍(基)分科員 それでは、いわゆる国とか自治体が経営する、これは特別養護老人ホームとか、そういったようなものだそうでございますが、それはどのくらいあるのか。そして有料老人ホームのいわば料金といったもの、それは場所によって違いましょうけれども、平均値はどのくらいのものかどうかということを聞きたいと思います。
#337
○正木政府委員 特別養護老人ホームは、心身に障害があって常時介護を要するような御老人を世話する、いわゆる寝たきり老人等を入所させてお世話しているわけですが、特別養護老人ホームの数は現在千五百余、約十一万人お世話をしております。一方、有料老人ホームは健康的にも経済的にも恵まれておる御老人がお入りになっておるホームでございます。
 先生お尋ねの料金面でどうかということですが、特別養護老人ホームにつきましては御案内のように措置費が出されておるわけでございまして、地域によって違いがありますが、大体都市部で一月二十万円程度でございます。ところで有料老人ホームの方はいろいろ形態があるわけでございますが、入るときに頭金として何千万か出される、そして管理費を月々出されるということで、平均的に申しますと入居時に二千万円か三千万円ぐらい、それから月々十万から十五万ぐらいというのが比較的標準的なものではないかというふうに思っております。
#338
○安倍(基)分科員 措置費と申しますものは本人が負担しないわけですな。これは国、公共団体でどういった分担をしておるのか。
#339
○正木政府委員 特別養護老人ホームの場合で申しますと福祉事務所が措置をするわけでございますが、その費用につきましては国が十分の八、地方公共団体が十分の二持っておるわけでございますが、先ほど申しましたように二十万の費用につきまして、入っておられる方の所得水準によりまして費用徴収を行うということで、現在で申しますと一番低所得の方はもちろん費用負担ゼロでございますが、全体といたしますと総費用のうちの費用徴収部分が大体六%程度、したがって残りの九四%を国が八割、地方が二割持つというような形になっております。
#340
○安倍(基)分科員 年額にして国及び地方の出しているトータルはどのくらいでございますか。
#341
○正木政府委員 措置費ですが、国、地方合わせまして約三千億円程度でございます。
#342
○安倍(基)分科員 実は私、この前この問題を取り上げて、結局今回、民社党が寝たきり老人控除というのを申し出ております。これは私、最初ある友人に会ったときに、おれの親を病院から引っ張り出してきたら、その日からべらぼうに金がかかる。病院側から気違いじゃないかと言われた。それはいろんな人間を雇っても一つも税金控除にならない。入れておけば全くただだ。要するに国が月二十万出してくれる。天国と地獄みたいな話でございまして、これはちょっとおかしいじゃないか。それは寝たきり老人を大切にするのは大切かもしれないけれども、親孝行でうちへ連れていったら一文も控除されない。これはおかしい。しかも、大体どのくらい入っておって、どのくらい在宅があるかというと、在宅の方が二、三倍、三十万くらいあるのですか、二十万でしたか、そういうような状況で、私どもひとつ控除をすべきだという話を持ち出したわけでございます。そのときに厚生省の方は逆に今度は養護老人ホームに入っている者からはもう少し徴収しようじゃないか。私は何もせっかくそういう人々に対して――選挙のためにはそういうことを言いますとかえって票が減るわけでございますけれども、しかし公平という面からいけば少し考えなければいかぬということで言ったわけなんでございますが、これとの関連で私が思い、考えたのは、今お伺いいたしますと有料老人ホームは七千人くらいしか入っていない。これは何と申しますか、それぞれ面倒を見てくれる家族がいたり家を持っていたりするのかもしれませんけれども、しかしその需要は、もっと安く入れれば、それに入っていく人ももっといるのじゃないかという気がいたします。特に、これから老齢化社会がどんどん進展するわけでございますから、その際に、そういう郊外に建てられないというのは非常におかしいということを私はお話ししたわけでございます。そのときに渡部大臣でしたか、ひとつ建設省と話してみようということを約束されたわけでございますけれども、その後、建設省とどのようなお話が進んでおられますか。
#343
○正木政府委員 確かに先生、昨年の三月十日の予算委員会本分科会でその点についての御質問があったこと承知しております。
 それで、そのときも御説明申したわけでございますが、老人福祉法で社会福祉施設としては先ほどお話しの特別養護老人ホームであるとか養護老人ホーム、軽費老人ホーム等があるわけでありますが、有料老人ホームは社会福祉施設ではないわけでございます。ただ、老人の方々がお集まりになっておる施設であるということで、いろいろ問題があってはいかぬということで、有料老人ホームを設置する場合には届け出るということになって老人福祉法上の規定があるわけでございます。したがって、老人の方々の施設であることには変わりはないので、市街化調整区域について福祉施設については適用除外になっておるわけでございますが、規制の緩和をしていただけないかということで建設省の方と協議をいたしております。ただ、建設省の方といたしましては、有料老人ホームについてその規制を緩和するということになると、では一般のマシション等とどう区別するのか、規制緩和をする場合に基準的に何か一つ考えなければいかぬのじゃないかということを言われまして、私どもの方もお願いをしておるわけですが、まだ事務的な折衝を重ねておるという段階でございます。
#344
○安倍(基)分科員 前大臣にお聞きしたことでございますけれども、大臣にもう一遍。
 今のお話によりますと、話はほとんど進捗していないというぐあいに理解されます。これから本当に高齢化社会の到来のときに、理屈は若干あるのじゃないか、福祉施設までいかないにしても、これから非常に需要があるし、高いために入れない、もう少し安ければ入れるという人が次々とあらわれるのじゃないか。となると、いわば厚生省の方の区分がそうであるから自由に建てられないというのであれば、厚生省は若干福祉の概念を広げて考えるか、それてなければ建設省の方で開発というか設置許可を緩やかにするとか、何らかの方法がとられるべきじゃないか。私は本当に、これからの大きな問題として取り上げてしかるべき問題かと思っておりますけれども、大臣の御見解を承りたいと思います。
#345
○増岡国務大臣 今、御指摘のようなことが今後残された解決策であろうと思うわけでございまして、建設省ともよく協議をいたしまして、調整区域内での規制の緩和が有料老人ホームについてなされるよう、今後も努めてまいりたいと思います。
#346
○安倍(基)分科員 今のお答えは、別にそれを準福祉施設と認めるということではないわけですね、その辺はいかがでございましょう。
#347
○増岡国務大臣 準福祉施設としてやるのか、あるいは別途調整区域内での規制の緩和措置がとられるのか、そのいずれかという意味でございます。
#348
○安倍(基)分科員 その次に、ちょっと仄聞するところによりますと、国立病院や療養所で経営状態の悪いものについて、これを自治体とかあるいは民間に経営を委託する、あるいは移譲するというような計画があるかと聞いておりますけれども、これはどういうぐあいになっておるのか。あるいは法として提出するのか、その辺の状況をちょっとお聞きしたいと思います。
#349
○大池政府委員 ただいま国立病院、療養所に関しましての経営状態等によります移譲という御設問でございますけれども、私どもが国立病院、療養所の質的な強化を図るねらいを持ちまして、また臨時行政調査会の答申を受けましての閣議決定に従って、国立病院、療養所の再編成を行う、その一環としての御設問であろうかと思います。
 国立病院、療養所の私どもの取り組んでおります再編成の趣旨は、あくまでも機能をより適切かつ合理的に発揮させるということが主眼でございまして、単なる財政負担の軽減だけを目的とするものではないと承知しているわけでございます。厚生省といたしましても、現下財政、定員事情等、非常に厳しい環境にあるわけでございますが、その中にあって今後将来に向かって国立病院、療養所が国立の医療機関としてふさわしい役割を果たしていくためには、その担うべき役割を明確化し、そのために統廃合すべきものはそれを行い、また他の経営主体に経営を任せることが適当なものについては移譲を図るといった再編成を行いまして、真に国民の御期待にこたえることのできる国立病院、療養所として質的強化を図る必要がある、こういう認識に立って取り組んでいるわけでございます。単なる赤字減らしという観点に立っての取り組みではございませんので、御理解を賜りたいと思います。
#350
○安倍(基)分科員 現在対象となっているのは何カ所くらいございますか。
#351
○大池政府委員 現在はまだ再編成を行っていく上の私どもの基本的な考え方、すなわち国立病院、療養所の機能は、また担うべき役割はいかなるものであるべきかというような点を明確化し、再編成に取り組む基本的な指針の作成の作業を行っておる段階でございます。したがいまして、具体的などのくらいの箇所数の施設をという問題は、六十年度へ向かって今後の、次のステップの作業ということに相なるわけでございます。
#352
○安倍(基)分科員 それは法案として提出する形になるのでありますか、それとも単なる行政措置として。
#353
○大池政府委員 これは統合を行うか移譲を行うかというような問題、さらには移譲を行う場合のいろいろな具体的なケースごとにおきます詰めの段階において明らかになってくるわけでございますが、事と次第によって法改正というようなことが必要になろうかと思っております。
#354
○安倍(基)分科員 本当に私いろいろ聞きますと病院の経営は、特に国あるいは自治体のやっているものはもうからないと言っては変だけれども、非常に赤字が出ているということで、これは一面において良心的にやっているんだよという説もあるのですけれども、また逆に親方日の丸という要素もあるかと思います。私ちょっとついでにお聞きしたことで、もう一遍去年と同じことを聞いてあれですけれども、なぜもうからないかといいますと、患者に対して医者が何名とか、それから看護婦が何名とか、そういうことが決めてある。それが昭和二十二、三年くらい、私の記憶によりますと昔、昔決めたのがずっとそのままだ、要するに未検討のままである。それによってお医者さんの数も縛られれば看護婦の数も縛られるということでは赤字になるのも当然だ。もっともっと集中管理ができている状況で、あるいは患者一人に対して何名という必要もないのではないかというような質問を去年いたしまして、それも何か検討するような答弁をいただいたのでございますけれども、その後検討していただいてあるものかどうか。検討を全くしていないとすれば、去年言ったことが食言になるわけでございますが、私自身この病院経営の実態というのを聞きますと、いろいろ新しい機械を入れると高くなるというような問題もありますけれども、こういった中における縛りというものが意外と問題になってきておる。これから医者の数をどうする、看護婦の数をどうするという厚生行政全体についての非常に関係のあるいわば縛りである。それがずっと何年間も放置されて、この前お聞きして何か検討しますかのごときお答えを承ったのでございますけれども、それがそのままになっているとするならば、何でそういうことになっているのか、その検討状況と、もし、してなければ、その理由をお聞かせ願いたい。
#355
○吉崎政府委員 昨年お話のございました医師、看護婦等に関する人員の配置基準、今日の医療の一つの課題であると認識しておるのでございます。
 お話の趣は、経営という観点から主としてお話がございましたけれども、経営もさることながら需要が非常に高度化し多角化してきておりますので、それに的確にこたえていくためには最低どれくらいが必要か、標準的にはどうか、これはやはり決めておく方がよろしいだろうと思っておるのでございます。急性病棟と慢性病棟でも違いますし、ただいまはそういう基礎的な多方面からの研究をしておるのが実情でございますけれども、これからの医療を考えますと地域、地域で地域の実情に応じて医療需要に的確にこたえていく、そして地域医療のシステム化をして効率化も当然図っていかなければならない。そのために今、医療法の一部改正案の御審議をお願いしておるところでありますけれども、人員配置基準あるいは病院と診療所のあり方等につきましては、具体化をするには、それに引き続いてひとつ具体化してまいりたいと考えておるのでございます。
#356
○安倍(基)分科員 ちょっとわかったようなわからないような答弁なんですけれども、やはり病気の種類によっても、あるいはいわば集中管理体制というのが随分進んでおりますから、その意味で、患者一人に対して何名というのは非常に機械的だ。しかも病気の種類にかかわらずそれが決められているということは本当におかしいと思います。今の御答弁は、はっきり検討しておられるのか、おられないのか、どうもはっきりしないのですけれども、その辺はいわば特別の委員会なり諮問機関なりをつくってある程度の前進をしておられるのでしょうか、いかがでございますか。
#357
○吉崎政府委員 非常に大きな課題でございますので、具体化をいたしますのは地域医療のシステム化等がまず先であろうと考えておりまして、ただいまは私どもの内部で基本的な多角的な研究をやっておるところでございまして、まだ審議会にお諮りする段階には立ち至っておりません。
#358
○安倍(基)分科員 それじゃ大臣にお聞きいたしますけれども、国立病院を民間もしくは自治体に渡すなり経営委託するなりという場合の基本的な方針というか、これはただでやるのかやらないのか。あるいは医療目的に使う場合はいいけれども、ほかの目的に使う場合にはちょっと問題もあるのではないか。ほかの目的といっても医療に関連するものならいいけれども、それが例えば渡した途端に不動産業者や何かの手に渡ったりしてもおかしな話でございますので、これはやはり慎重にやらなければいけないと同時に、今までの病院というのは割合といい場所にございますから、やはりそこに医療機関がきちっとあるということは非常にいいことだと思います。その意味で、民間の中でそこでやろうというのが出てくれば、それは大いに奨励してもいいのじゃないか。自治体でもいいわけでございますけれども、その場合にやはり医療関連ということを考えるべきじゃないかと思うのでございます。
 二番目のいわゆる患者と医師、看護婦についての内部規定でございますね。私はこれはやはり病院経営がこれだけいろいろな問題を抱えているときに、もう少し弾力的に考えるべきなのではないかなというぐあいに考えておりますけれども、その点についての御見解をお承りしたいと思います。
#359
○増岡国務大臣 国立病院、療養所の再編成につきまして、それに伴ってほかの経営主体に経営を任せることが適当であるものは、それはそれで移譲することにした方がよろしかろうとは思いますが、御指摘のように、その間にできるだけ医療関連のものにしてまいりたいという御趣旨はごもっともだというふうに思います。
 また、医師や看護婦の配置につきましてのお尋ねでございますが、これは現在のように医学、医術、医療機器その他の進歩が急速な時代におきましては、やはりそういうことはふだんから頭に置きながらいろいろな施策をなさなくてはならないものであろうというふうに思っておりますので、貴重な御意見として拝聴いたしております。
#360
○安倍(基)分科員 本当に最終的には将来、医者を何人養成せにゃいかぬかとか看護婦がどのくらい要るかという、いわば長期的な関係もある問題でございますので、これはやはり厚生省として本格的に取り組んでいただいた方がいいのじゃないか。これがまた一つは各地における病院経営のいわば改善になるのではないか。また、それである程度弾力的に扱うことによって経営努力――何も病院が余り経営努力をして患者を死なせてはいけませんけれども、しかし、そういった意味のことが可能ではないかと思うのでございます。最後に大臣に、もしそれで御同意であればお答えをいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#361
○増岡国務大臣 病院でございますから、やはり医療機関としての治療という任務を持っておるわけでございますから、それに支障のない範囲内であれば、社会常識としてそのようなことは許されるものと思います。
#362
○安倍(基)分科員 質問を終わります。
#363
○山下主査 これにて安倍基雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、上野建一君。
#364
○上野分科員 私は、国立病院あるいは療養所との関係で、国立病院の機能をもっと高めるべきだという観点から、まずお伺いしたいわけであります。
 今、国立病院に行きますと待たされるんですね。診察を受けようと思えばまず一日かかります。薬だけもらいに行っても半日は見なければならぬ、こういうことでありまして、これはある意味では国立病院が期待されているのであって結構なんですけれども、しかし問題は、地域住民の要望にこたえるという観点から考えますと、まだまだ国立病院の充実を考えなければならぬのじゃないだろうか。お医者さんの数、基準はいろいろあるでしょうけれども必ずしも基準どおりなってない。看護人などについても問題があるということのようですけれども、こういう国立病院の現状に照らして厚生省はこの改善をどのように考えておられるのか、最初にお伺いしておきます。
#365
○大池政府委員 国立病院の担っております機能は、御指摘のように大変国民から期待を寄せられているところでございますが、高齢化の進行に伴いまして疾病の種類も変わってきておりますし、また、それに対応すべき医学医術の進歩も目覚ましいものがございまして、医療を取り巻くそういった環境は著しく変化してきておるわけでございます。それに的確に対応していくために国立病院、療養所の質的な強化を図らなければならない、かように考えておるわけでございますが、いろいろと厳しい環境条件にもございます。そのようなことを勘案しまして、今回の再編成というものは質的強化ということに重点を置いて対処していきたいと考えております。
 具体的に待ち時間というようなことも御指摘がございましたが、これは診療部門あるいは病気の種類によりまして検査等にいろいろと手順があり、そのための時間を要する点もございます。また、午前中ある時間帯にたくさんの患者さんが殺到されるというような場合におきましては、薬局あるいはいろいろな会計事務等の面におきまして多少お待たせしているというような施設のあることも承知しております。その点につきましてはいろいろと機械化で効率を上げるような点も逐次整備をしておりますし、また人員の傾斜配置というようなことで対応するとか、あるいは予約制をできるだけ幅を広げて、お待たせしないような配慮をするとか、いろいろ工夫しながら、それぞれの施設で対応しておるところでございます。
#366
○上野分科員 その点、最近一部医療費を取られるようになりましたね。行ったとき一部医療費を払わなければならぬ、前は初診料だけで済んでおったのですけれども。そうしますと事務が多くなっているのですね。ところが事務職員はやはり配置されてない、増員されてないのですね。一方で直接お金をいただくというのに、その職員の数も足りない。それから看護人とかお医者さんもこれはどう考えても足りないのです。だから、その点は再編成とかの以前の問題として、まず国立病院が今日弱点になっている点を克服するのが先じゃないでしょうか。後で申し上げますけれども、再編成というのは、そういう意味ではその前にまずやることをやってからやりませんと、どうも順序が逆なような気がするのですけれども、その点はどうでしょうか。
 それから、それとも関連するんですけれども、僕は前からどうもおかしいと思っていますのは保健所の問題なんです。保健所は法律的な基準によると約十万人に一カ所という基準になっていますね。ところが、私は千葉県で長い間、県会議員をやらしてもらいましたけれども、その間、保健所が新しく建ったということは全然ないのです。例えば今、千葉市七十万を超えましたが、相変わらず一カ所の保健所、それから五十万の船橋市も一カ所、新しく市になったところは保健所なし、そういう状態が続いているのです。だから厚生省はいろいろなことを言うけれども、まずやるべきことが満たされてない。その上に立って今度は再編成だと言っても、これは国民が納得しないのじゃないでしょうか。いびつなものになるのじゃないでしょうか。その点、まずお伺いします。
#367
○大池政府委員 前段の御指摘についてお答え申し上げます。
 先生のおっしゃいますとおり再編成ということとは別個に、当面できることはどしどしやるべし、この点は全く私ども同感でございまして、日日の診療におきまして患者さん方にできるだけ効率よく診療を受けていただく工夫というものは、それぞれの施設の事情に応じて一層改善の努力をいたしたいと存じます。
#368
○吉崎政府委員 保健所の問題でございますが、御指摘のございましたように千葉県には現在十九の保健所がございますが、保健所一カ所当たりの管内人口は約二十五万人で全国平均よりかなり多くなっております。最初にちょっと数字を御披露させていただきたいのでございますが、一方、市町村保健センターの設置状況でございますが、設置率で見ますと全国は二〇・五%、千葉県は三二・五%でございまして、これは多くなっておる。一都三県の中では埼玉県がずば抜けて多うございまして四六・七%、東京都が九・八%、神奈川県が二一・六%でございます。それから、もう一つだけ済みませんが申し上げさせていただきますと、市町村保健婦の配置状況でございますが、千葉県では未設置が一町村ございますけれども、保健婦一人当たりの人口を見ますと全国平均が九千八百二十二人でございまして、千葉県が一万二千八百六十人、全国平均より多うございますけれども、一都三県の中では一番少ない。市町村保健婦は相対的に多い、こういうことになります。埼玉県が二万三千四百人、東京都は四万一千百人、神奈川県が二万三千百十、こうなっておるのでございます。
 そこで、これからの健康対策でございますけれども、全体で考えまして健康診査そういうふうな基礎的な事業は逐次市町村の事務となっていく、そして保健所はもっと高度な、広域的な業務を行なうことになっていくだろう。保健所の機能も今過渡的な状況にあると考えております。そこで、これから千葉県で全体としてどういうふうに健康対策を進めていくか。保健所の機能を強化するのがいいのか、あるいは新しく設置する必要があるか、第一義的にはまず県が判断すべきものであると考えております。
#369
○上野分科員 保健センターというのは、保健所が足りないから市でつくっているのですよ。保健所がちゃんとしていればセンターをつくらなくて済んだのですよ。ところが、いつになってもふやしてくれない。何十万という人口になったらとても一カ所の保健所ではどうにもならぬから、補うために市が自主的にやっている。がんセンターなんかも、待っていても国立てやってくれないからやはり県のがんセンターをつくる。ですから今、医療制度とか厚生省が直接やらなければならぬいろいろな仕事を、やむを得ず自治体でどんどんやっているのですね。自治体は財政的に苦しいけれどもやっている。その点は考えてくれないと、そういう形でできたから、あとはそれに頼れというような話では主客転倒していますよ。そこの点もうちょっと反省がないと、これは決して厚生省だけが悪いのではなくて政治全体が悪いからそういうことになっているのでしょうけれども、そういう意味ではそのことを忘れないでもらいたいと思うのです。そして、その上に立って物を考えてもらわないと、再編成そのものが地方自治体に大変負担をかける形になりかねないし、それから負担のかけられないところは今度は欠けてしまう、そういうことであろうと思うのです。
 そこで、この再編成の問題に入る前に一つだけ具体的な例で申し上げたいのは精神病院の関係です。
 精神病院の関係では大変人が足りない、職員の数が足りないということが言われております。それ以上に今問題になっておりますのは、社会復帰のための職業訓練の関係、それから、それとも関連をして相談員の職員の増大あるいは共同住宅など、精神医療の関係で社会復帰を果たそうとする場合の施設が大変欠けている。その点についてはどう考えられておるのか。私が指摘したようなことを改善する意思があるのかどうか、これをぜひお伺いしたいと思います。
#370
○大池政府委員 ただいま御指摘のございました精神医療面におきます社会復帰の促進の点でございますが、私どもの立場といたしましても、社会復帰対策というものは今後一層重視されなければならないと考えておる次第でございます。
 我が国におきます精神医療のこれまでの発展の過程をたどってまいりますと、どちらかと申しますと入院をさせて治療するというところに力点が置かれて進んできた感がありますが、昨今におきまして国内はもとより欧米諸国におきます医療実態等も見まして、できるだけ地域のケア、在宅におけるケアというようなこともあわせやっていかなければ精神医療が適正に実施されない、このような考え方が大変強くなってきておるわけでございます。そのような方向に沿いまして、国におきましても社会復帰関係の施設の設置促進を図るべく、近年助成にも着手しておるところでございますし、六十年度予算案におきましても、さらに新しい施策を織り込むというような努力も加えているところでございます。また、これに従事する職員の確保もあわせて必要なことは申すまでもございません。
#371
○上野分科員 この問題についてはひとつ本気になって考えていただきたい。特に大都市圏、首都圏の中では精神病患者がふえていますし、単にちょっと治ったぐらいで帰しますと、またもとのとおりになってしまうということになりますから、後の方がむしろ大切じゃないか。社会復帰のための問題の方が大事だ。これは厚生省、ぜひ特段の努力でやっていただきたいと思います。
 それから保健所の問題は、まだ過渡期でどうするか結論が出ていないというお話のようですね。そうすると保健所の数をふやすことは今のところはもう絶望的だということですか、それとも、その再編成と関連するということですか、ちょっとお伺いします。
#372
○吉崎政府委員 一義的には、県が自分の県の健康対策をどうやって進めていくか、まず県が判断すべきものであると申し上げたわけでございますが、市町村、県、中央政府、それぞれが協力し合って、健康需要が非常に高まっておる折でありますから保健所の機能も過渡的な状況にあると申し上げたわけでございますが、国立病院、療養所の再編成とは、これは直接の関係はなかろうかと思います。(上野分科員「それでふやすの、ふやさないの」と呼ぶ)ですから、まず県が判断すべきであると思います。
#373
○上野分科員 今まで県は要望を何回も出している。保健所をつくれという要望はあちこちから出ているはずです。問題は、十万人に一カ所という基準でやっているでしょう。それが二十万人になり、三十万人になり、七十万人になり、やがて百万人になる。それでも従来どおりの一カ所で済むのかどうかということです。百万の都市になって一カ所なんてなったら、これは事実上ないのと同じです。だから、その辺のところをどうするのかということをはっきりしてください。ふやすのか、ふやすことはもうあきらめているのか。そうすると、そういう基準みたいなものも含めて、今のいろいろな法律も変えなければいけませんね。どうですか。
#374
○吉崎政府委員 保健所法施行令第二条におきまして「人口おおむね十万を基準として設置する」ですけれども、交通事情とか公衆衛生の実態、人口分布の状況など「特別の事情があるときは、この限りでない。」となっているわけであります。千葉県の場合におきましても、例えば千葉市の中央保健所は七十四万六千四百三十人、これは確かに多過ぎると思います。しかし一方、四万一千百五十九人のものもございます。それはいろいろな事情でそうなっておるのであろうと思うわけでありまして、まず県がどう判断するか。先ほど、たびたび要望をしておるというお話があったやに記憶がありますが、今までそのような要望は受けておらないのであります。
#375
○上野分科員 いや、そんなことはないです。私は県会議員で何回も要望を出している。議会で決議もしています。今さら言っても、やる気がないのだから、それはいいです。
 そうすると、第一に県が考えるべきだというのは、保健所の機能はもう自治体に任せた、今あるものは仕方がないけれども、それ以外に人口がふえたところも後の補助的なことは県が全部やってくれ、こういうことですか。
#376
○吉崎政府委員 そう申し上げているわけではございませんで、県全体として保健所のネットをどう考えていくか。今あるのを強化する方法もございましょうし、あるいは必要なところにはふやす必要があるという判断もございましょうが、まず第一には県で考えてもらわなければいけないのじゃなかろうかということを申し上げておるのであります。
#377
○上野分科員 そういう後ろ向きの姿勢では困る。保健所を一体どうするのかを明確にしなければならぬ時期に来ているので、過渡的だとか県で考えろとかいろいろ言っていたのではしょうがない。
 それから皆さん、保健所の実態がどんなような状態になっているか、現地をぜひ見てください。中には実際問題として保健所の機能を失っているところもあります。そういうことも含めて、保健所について早急に考えていただきたいと思います。
 次に、国立病院・療養所再編成問題等懇談会から答申が出ています。その中に「国立病院・療養所の再編成」というのがございます。これを読みましても、どういう形でやるのかということが必ずしも明確じゃないのです。ただ再編成しなければならぬということで、これはどうも行政改革、第二臨調から出されてきているのであって、医療制度についても福祉の問題などを含めて利益を追求する、あるいは競争原理を持ち込むとか、そういうこととも関連があるのじゃないだろうか。だから採算のとれない病院は統廃合の廃の方に入るのじゃないか、こういう疑問が出ていますし、この問題が出てから地方自治体、住民を含めて不安の方が大変大きくなってきています、もちろん病院に勤務している人たちもそうなんですけれども。
 そういう観点から見ますと大変困った状態であるわけなんですが、私はやはり国立医療機関というのはその地域における医療の規範になるべきだ、こう思います。そういう観点からすると、どうもそうじゃなくて、なるべく今までの国立病院や医療機関を地方自治体に渡すなり統合して身軽にしよう、こういうのが強く出されているのじゃないだろうか。そういうことなんで一体これを再編成、統合するためにはどのような手続と方向でやろうとしているのか。そのためにはまず懇談会の答申について、厚生省はこのとおりやろうと考えているのか、基本的な考え方ですね。それとも、これはとてもやれないと考えている点がどの程度あるのか、そこの評価についてお伺いします。
    〔主査退席、小杉主査代理着席〕
#378
○大池政府委員 国立病院・療養所再編成問題等懇談会の御意見についてでございますが、国立病院、療養所問題につきまして造詣の深い学識経験者から大変幅広い御意見をいただきまして、その結果まとめ上げられたものでございます。そういう意味におきまして、この御意見の中に盛り込まれた内容を十分に参考といたしながら再編成を適切、的確に実行してまいりたい、かように考えております。
#379
○上野分科員 そういう答弁だけではちょっと困るのです、全然前に進まないので。参考というのはいろいろな点全部参考になるので、それじゃ大体基本的な考え方においては全部このとおりやろうというふうに受けとめていいのですか。
#380
○大池政府委員 スケジュールといたしましては五十九年度じゅうに、再編成を行っていく上での基本的な指針というものを策定いたしまして、六十年度に具体的な実行計画を練るというような手順は既に決まっているわけでございますが、その指針を作成するための重要な参考というふうに御理解を賜りたいと思います。
 それから内容的には、そこに織り込まれております基本的な考え方、すなわち新しい時代の国民の医療にこたえていくために国の果たすのにふさわしい機能、役割を受け持つそういう国立病院、療養所の質的強化を図各上で統廃合あるいは経営移譲等の手法を用いました再編成というものは不可欠である、こういう考え方を示しておりますが、その点におきましては私どもも全く同感でございます。
 あと具体的な細目につきましていろいろ各論的な御意見、御論議もございまして、意見書の中にも盛り込まれておるわけでございますが、これにつきましては政府の段階の指針策定におきまして採用できるものは採用し、また検討すべきものは検討するというようなことに相なろうかと思います。
#381
○上野分科員 現在、国立の医療機関二百五十三施設、九万床、それから一日の外来が約五万人あるというのですが、まず、この数字はどうでしょう。
#382
○大池政府委員 そのような実態にございます。
#383
○上野分科員 それじゃ、この懇談会の答申の六ページに「国立病院・療養所の再編成」という第四の項目がありますね。そこに「再編成の指標」というのが出ていまして、どういう病院は統廃合の対象だと書いてあるのですね。時間がないからそこを読んでいる暇がないのですけれども、この「再編成の指標」からいくと、この二百五十三施設というのはどの程度に数を減らそうとして再編成するのですか、この数からまず言ってください。
#384
○大池政府委員 お答えいたします。
 このような指標によるかどうかも含めて現在、基本的な指針を部内で検討中でございまして、またそのような数字的なめどは全く立っておりません。先ほど申し上げましたように具体的な計画の策定は六十年度あるいはそれ以降、こういうことになるわけでございます。
#385
○上野分科員 ちょっとおかしいじゃないですか。五十九年度というのはもう今月でしょう。今月中に基本的な方針は決めるというのでしょう。もう一カ月ないですよ。それなのに、まだこれから一歩も出てないというのはおかしいでしょう、これはもう既に前に来ているのですから。すると今月いっぱいで終わりなんですね。そうだとすると大体どの程度までは数を減らさなければならぬとか、そのくらいのことは出るのではないですか。私は具体的なことはまだ聞いてない。あなたの方は具体的には来年度ですよと言っているのだから具体的なことを聞いてないのだけれども、その基本的な考え方ぐらいはこの国会で明らかにしてくれなければ困るじゃないですか。それはどうでしょう。
#386
○大池政府委員 先ほどもお答え申し上げましたが、基本的な考え方はおおむねこの意見書に盛られているものが尊重されることになろうと考えているわけでございます。
#387
○上野分科員 だから、そうだとすれば二百五十三施設はこれに当てはめたらどうなるの。これにちゃんと項目が書いてある。これが基本的に大体いいというのなら、二百五十三施設はどの程度減らさなければならぬか、もう出ているでしょう。それも出てないというのは、厚生省、そのくらいのことは基本的な方向で明確にしてもらわなければそれはおかしいでしょう。
#388
○大池政府委員 二百五十三施設を、仮にここに書いてございますのが指針であるといたしましたにせよ、それを個別に二百五十三に当てはめるという作業そのものは来年度になるわけでございますので、その点は現段階では全く数字的には掌握できておりません。
#389
○上野分科員 役所というのは本当に困るのですよね。ぎりぎりに来ているのにそういうことを言っている。すると六十年度中にその具体的な方針までつくるのですか。そして、六十一年度に具体的に統廃合にかかるのですか、そのことをもうちょっとはっきりしてください。
#390
○大池政府委員 六十年度中に計画をまとめまして六十一年度から逐次実施に移していく、そしておおむね十年をめどとしてそれを実行する、こういうスケジュールで私どもとしては懸命に取り組んでいるところでございます。
#391
○上野分科員 いよいよ最後になってきましたから聞きますが、その場合に施設の統廃合は、ここに書いてありますが再編成なんですね。そうすると職員について、それからお医者さんの数、看護人は減らすのですかふやすのですか。充実ということになれば私はふやさなければおかしいと思うけれども、どうするのですか。これはふやすのですか減らすのですか。
#392
○大池政府委員 これは国立病院、療養所の質的機能強化というのが私どもの重要なねらいという観点に立ちまして、そのために最も適切な再配置ということで計画を組んでいくことになろうかと思うわけでございます。
#393
○上野分科員 どうもはっきりしたことを言ってくれないので、時間もありませんから最後に要望だけしておきます。
 まず、この中にもありますが、質的強化という名前のもとに、今までやってきた国立病院の仕事を他の私的病院とか公的病院に移管するということはあってはならぬと思うのです。やはり国立病院というのは、その地域の医療の規範として中心的、指導的な役割を果たすことを今期待されているわけですから、必ずしも高度のあれだとか、がんならがんだけやるとか、あるいはそういう決められたものだけやるというのは間違いだ、また、そんなことは国民は要望していない。
 それから二つ目は、そういう統廃合の場合でも、地方自治体に負担をかけるようなことがあってはならない。もう地方自治体も、実際問題、できません。今ですら、大きい市でも一つの病院を持っているのがやっとなんですから。赤字が出ている。そういう状態にありますから、その辺のところも十分考えるべきだ。それから、職員やお医者さんやそういうものを減らすことが質的な向上にはならない、むしろそういうものが十分に働けるような施設にしなければならぬじゃないか。
 それからもう一つは、最後ですけれども、当該の労働組合、職員組合とも十分話し合いをすべきだ。統廃合の問題について、具体的問題になったらなおさら話し合いをして進めるべきだと考えます。きょうはこれで終わりにしますが、そういう観点からひとつ厚生省は頑張ってもらいたい、こう思いますので、よろしくお願いします。
#394
○小杉主査代理 これにて上野建一君の質疑は終了いたしました。
 次に、宮崎角治君。
#395
○宮崎(角)分科員 大臣並びに局長に、厚生省関係に対する質問をさせていただきます、公明党の宮崎でございます。
 昨年は、中曽根総理、また軍縮委員の先生方、また局長に同行いたしまして、長崎の原爆三十九周年の慰霊祭に行かしていただいたわけでありますが、いよいよことしは四十周年でございます。四十年前を振り返るまでもありませんが、世界で二発目の原子爆弾は、一瞬にして長崎を被爆させました。七万三千八百八十四名を殺しました。七万四千九百九人を負傷させました。そして十二万八十人を罹災させました。そしてまた、一万八千四百九十三戸の家の中に、全壊が一万五千七百四十。まことに思うにつけても四十年前が今走馬灯のようにちらつくわけでありますが、今なお床につき、不安と生への執着と平和への悲願を込めて闘病生活をしている人も数多くあるのであります。私も十六歳で、千三百メートルで被爆いたしました。直接被爆者であります。
 その四十年目を迎えまして、当長崎市の本島市長を初めとして、議会筋その他各種団体、大変な、ことし四十年に向かっての努力と催し物を計画いたしているわけであります。ことしは世界の平和樹立のために、世界各国から多くの首長や高官が長崎にも来るというようなことでございますが、この辺でひとつ、国としてどのように四十周年記念に対応していかれようとしているのか。この辺で一区切りとして実態調査をしていくべきではないか。また、その実態調査をする広島、長崎に対してのバックアップの点はどうなのか。あるいは国家補償の精神に立っての各種の手当等の問題についてはどうなのか。去年は二%のみのアップでありましたが、そういったものをあわせまして、冒頭に増岡大臣に聞きたいと思うわけであります。
 なお、それについての再質問につきましては、社労委で、宮崎、また御質問をさせていただくことになっておりますので、それに譲ることにいたしまして、冒頭に、大臣のこれに対する対応と御決意と方途についてお尋ねしておきたいと思うわけでございます。
#396
○増岡国務大臣 被爆後四十年たったわけでございますけれども、被爆によって亡くなられました方々の御冥福をお祈りしなければならぬと思います。また、四十年たった今日でも、放射能の影響等で健康に障害を起こし、苦しんでおられる方々のお立場も十分理解しておるつもりでおるわけでございます。
 したがいまして、昭和六十年度の予算の中におきましては、財政事情が大変厳しい中でございましたけれども、いろいろ工夫をしなければならぬということで、各種手当の引き上げのほかに、広島、長崎での慰霊祭が行われるわけでございます。平和記念式典へできるだけ大勢の方々が御参加いただけるようにしようということで、御招待の遺族の増員も図ることにいたしております。また、御指摘のような実態調査、これもできるだけ、これまでの昭和四十年、五十年とは違った感覚で新しいものを組み込まなければならぬということで、現在その実態調査のやり方について検討委員会でお話し合いをしていただいておるわけでございまして、私どもはそういう意味から、今のような厳しい財政の中で、精神的なもの、亡くなった方あるいは苦しんでおられる方々に対する国としての気持ちを表明することが大切だというように思っておるわけでございまして、今後とも厚生省の重要施策の一つとして充実に努力してまいりたいと思っております。
#397
○宮崎(角)分科員 大変前向きな御答弁を受けまして、鋭意その方向でひとつまた私どもも心から願いたいと思っているわけでございます。
 次に、今非常に問題になっております中国の残留孤児の問題について質問いたしたいと思います。
 今日まで厚生省援護局の方では、大変皆さんには御努力といろいろな配慮と、そしてまた温かい、ホットな措置をしていただいたことにつきましては敬意を表するものでございます。我が国が国交回復をいたしまして、ことしの九月でちょうど十三年目を迎えようとしているのではないでしょうか。戦後四十年の歳月は、その中国に残っている孤児の人々に対しては、異郷の地で本当に肉親捜しの気持ちをひねもす持たせているのではないかと思っております。祖国に帰って肉親を捜したいという千秋の思いは同じだと思うわけでございます。今日までの七次におけるいろいろな皆様方のお力添え、それを振り返ってみて、数的にも中国側の言っている数字と、厚生省が世に発表している数字とのいろいろなギャップの問題もあろうかと思いますけれども、私は幾つかの問題をここに考えているわけでございますが、中国残留孤児の定義というのは何なのか、あるいは今までどれくらいいたのであろうか、そのうち何名の人が身元が判明をしたのであろうか、そして、五十六年以来の訪日調査で来ました孤児の総数は現在までどれくらいなのか、身元が判明した人のうち訪日調査で判明したのは幾ばくなのか、この辺について、定かにデータをもとにしてひとつ説明を求めたいのでございます。
#398
○入江政府委員 最初にお尋ねの中国残留孤児の定義でございますが、私どもが中国残留孤児と呼んでおりますのは、原則として次の四点に該当する方を言っております。それの第一点は、日本人を両親として出生じた方でございまして、この場合、戸籍に入っているかどうかということは問いません。第二点が、中国の東北地区等におきまして、昭和二十年八月九日以降の混乱によりまして保護者と別れてしまった者。この場合には死別、生別両方とも考えております。第三点が、当時の年齢がおおむね満十二歳以下の者。第四点が、本人が自分の身元、具体的にいいますと、例えば自分の日本名でありますとか本籍、家族の氏名等、そういう身元を知らない者。以上の四点を具備している者を、原則として中国残留孤児と呼んでいるわけでございます。
 お尋ねの第二点の残留孤児の現状でございますが、私どもの方に肉親を捜してほしいという依頼のあります孤児の数が、ことしの三月四日現在で千六百十五名、それのうち、これまでに身元が判明した方が八百二十二名おります。
 そして、次にお尋ねのありました、訪日調査によって日本に来た孤児の数及びその結果判明した数は、訪日調査はこれまで七回。七回で来られた方が四百四十二名、そのうち判明された方が二百三十八名ということになっております。
#399
○宮崎(角)分科員 中国側の調査で、これはいろいろな報道関係を通して私どもキャッチしているわけでありますが、例えば中国政府の方からですか、二千名という数字が出てきていますね。今おっしゃったように、我が方が千六百十五名ということで、この辺のギャップについてこれからどう埋めていかれるのか。結局取り残される孤児が出るのではないかという心配もするわけでございますが、今後の訪日調査の御計画とあわせまして、ひとつ二点お尋ねしたいと思います。
#400
○入江政府委員 お話のありましたように、中国側は現在二千名日本人の孤児がいるということを言っておるわけでございますが、実質その実体はわかりません。今申し上げた四点に該当する方が二千名いるのか、あるいはその四点のどこかで少しずつずれる方、例えば年齢が少し上である方とか、ずれる方を含んで二千名なのか、その辺がちょっとわかりませんので、昨年来二千名の名簿をいただきたいということを申し入れてきたわけでございますが、最近、ことしの七月をめどに名簿を日本に渡すように努力するということでございますので、名簿を受け取った段階で、私どもの把握しております孤児の数と突合しまして、その実体を明らかにしたいと思います。
 次にお尋ねの、今後の調査の計画でございますが、そういうことでございますので、当面私どもとしましては、現在把握しております千六百十五名というものを対象にしまして今度の調査計画を立てておるわけでございますが、先ほど申し上げた数の結果を差し引きますと、現在調査中の者が七百九十三名おるわけでございますが、その中で訪日調査の結果身元がわからないで帰った者二百四名を含んでおりますので、現在日本に来て調査をしていない者が五百八十九名ということになります。したがいまして、その者のうち四百名を六十年度に日本に呼びまして調査を行いますとともに、その残りの者及び中国の実体とすり合わせた結果新たに出る孤児の方については、六十一年度に調査を行って、六十一年度でおおむね調査を終了したいというふうに現在考えておるところでございます。
#401
○宮崎(角)分科員 まことにありがたいホットな御計画のようでございます。鋭意進めていただきたいと思います。このたび、身元が判明しない、未判明の孤児が永住帰国を希望する場合、中国籍のまま受け入れることになり、帰国旅費などを支給することになったことは大変な前進だと私どもは評価しているわけでありますが、ここで一つ問題になってきて、私が問題にしたいのは、養父母の扶養の点でございます。残留孤児の人たちが永住帰国する際に中国に残してくる養父母の方々への扶養費の支給については、現状どうなっているのか、その標準額とか支払いの期間とか方法などについて、ひとつ定かに答弁を求めたいのでございます。
#402
○入江政府委員 扶養費の支払いの問題につきましては、去る二月の中旬、私どもの担当課長を中国に派遣しまして、昨年の三月口上書で基本的な合意に達しました扶養費の支払い方法、支払い額についても協議を行ったわけでございますが、残念ながらその協議におきましては、中国の生活費の考え方でありますとか中国におきます生活費のとらえ方、それと、孤児が日本に帰国した後の扶養期間をどう見るかという点につきまして、両国で若干考え方の隔たりがございましたので、引き続き協議をするということで帰ってまいりまして、できるだけ早い機会に結論が出るように、鋭意努力をしてまいりたいと考えております。
#403
○宮崎(角)分科員 冒頭の原爆の四十周年の問題と呼応しまして、私は今回大臣が就任なされたということについて、大変な意味があるということを、今までの歩みの中から感じることが一つあります。例えば国交回復ができた四十七年九月から現在まで、九次にわたって内閣ができた。そして、六人の内閣総理大臣ができた。そして、厚生大臣は増岡大臣で十六名だ。臨時まで合わせますと二十六名。今回の四十周年という原爆の問題と、この辺でだんだんと判明率がダウンしてきている、この中において、ことしこそ大きな節目であろうかと思いますがゆえに、私は、いろいろな面で大臣の御英断というものがなされなければいけないと思うわけであります。
 そこで、いよいよこれから来年あるいは再来年をめどにした大きなプランが着々とプロジェクトでしていかれると思いますけれども、大量帰国という時代が目の前に来ている中で、私は先般、所沢に昨年できました、なかなか難しい長い名前のセンターがございますね、中国帰国孤児定着促進センター、まことに舌をかむような長い名前の二階建てのセンターがございます。行ってみました。これは国立てあります。私は長崎の県会議員時代に、国がやらないから長崎県独自で、中国帰国者のいわゆる長崎県版の一時生活訓練施設、民間アパートを借り受けまして、今こうして日本語の習得とか生活の問題とか、いろいろな問題をやっておるわけでございますけれども、先日所沢にあるセンターに参りまして視察してきたわけでありますが、柳所長を初めとして、日本語の教師の方々も大変な努力をされているわけでございます。
 ここの修了期間が、長崎県は六カ月なんですけれども、四カ月です。これは非常に短くて、朝の六時半から起床して大変なハードスケジュール。これは健康体でもどうもこうもならないような状態じゃないかと思うわけであります用語学を習得するだけでも大変であるのに、孤児の人たちにはさらにカルチャーショックの克服という大きな問題があるわけでありまして、生活習慣や社会の仕組みなど、これから日本に定着していくのに必要なさまざまな課題が山積しているわけでございます。ようやく日本語にも少しなれてきたというときに出なくてはいけない。これから永住帰国者もふえてくると思われますので、このセンターのあれだけの定員では、生活指導員とか通訳とか三名ぐらいいらっしゃるようでありますが、狭隘とハードと、これは大変な問題が横たわっているのじゃないかと思います。
 この施設の狭隘というのは、今後施設拡充というものが要求されるわけでありますけれども、その対策についてどう考えていらっしゃるのか、まずお尋ねしたいのでございます。
#404
○入江政府委員 孤児問題は、肉親を捜すということと同様、あるいはそれ以上に、日本社会への定着という問題が、今お話のありましたように重要な問題でありまして、それは、一つは言葉の問題もございますが、今お話のありましたカルチャーショック、両国間の体制の違いなどからきます価値観の相違というものが非常に大きいわけでございまして、この施設の名前のとおり、定着促進センターということで、要するに生活全般にわたって日本の社会に定着するための基礎訓練をここで行っておるわけでございます。
 それで、ハードスケジュールというお話がございました。確かに一日六時間の集中的な勉強をしておるわけでございますが、これは、国語研究所を中心としましての専門家の方々の研究の結果に基づいてやっておるわけでございまして、この集中勉強の結果がなり効果が上がっておるというふうに聞いております。
 それで、四カ月が短いのじゃないかという御指摘でございますけれども、今まで何回か卒業生を出しておりますが、確かに四カ月で十分日本語が話せるというところまではまいりませんけれども、とにかく多少の手助けがあれば自分で意思の伝達もできるし、相手の言うことが理解できるというところまでいっているというふうに聞いておりますし、日本の生活習慣も理解するというところまでいっているというふうに聞いておるわけでございます。一方、この施設が修了者の一部について行いました追跡調査によりますと、ここを出て実社会に出ますと、日本語の活用能力といいますか、運用能力が飛躍的に伸びるという結果も出ておるわけでございまして、やはり積極的に地域社会に溶け込んでいくということが、早く自立していく道ではないかというふうに私どもは考えておるわけでございます。
 それと、次にお尋ねのありました収容能力の問題でございますけれども、御存じのように、現在年間百世帯収容できる能力がございまして、ここ四、五年の実績を見ますと大体年間三十世帯ずつが帰ってきておりますので、現在のところは余裕があるわけでございますが、将来の問題になりますと、先ほど御指摘のあった未判明者の帰国という問題もございます。したがいまして、未判明者の帰国が将来どれぐらいふえるかということをどう見通すかという問題でございますけれども、ちょっと今のところ実績がないので難しいわけですが、ふえることは予想されるわけでございまして、そのときにセンターが満員のために帰れないということにならないように、動向を見定めながら適切に対処してまいりたいというふうに考えております。
#405
○宮崎(角)分科員 今追跡調査という問題がありましたが、これはぜひやらなくちゃいけないと思いますね。四カ月でもう物すごく頑張って出た。私は、定着促進においては、働くことが早道だと思うわけであります。長崎の花丘寮におりますちびっ子は随分言葉の習得が早い。大人はすぐ、日本語でやっていけばいいのに、向こうの言葉が早道だということで、なかなか日本語の習得が遅延する。就職あっせんの問題についても、政府が推進役になって公共団体とか民間企業に広くPRをしていくべきでありますけれども、この辺について、それぞれの所管がまたタイアップしていかれると思いますが、どうなっておるのか。
 そこで私は、これは局長にこの辺で少し発想の転換をしていただきたいと思いますが、例えば長崎は六カ月でやる。国は四カ月でやる。またもう一遍、各地に身元引受人等々ありまして、各地に帰る。どうしてもまたそこでもう一遍再勉強しなければいかぬというケースが出てくるのじゃないか。そこで、追跡調査とあわせまして、この国立てやる問題と、各県にそれぞれのユニークな、自発的な、能動的な、そういう訓練施設を持っている、そういうところへ委託事業といいますか、補助事業といいますか、そういうような形でお世話を援護局がやっても、私は永住帰国者に対する効果的なプレゼントじゃないかと、このように思うわけでございますけれども、いかがですか。
#406
○入江政府委員 確かに私どもとしましては四カ月間で最小限度の、定着をするための基礎的な能力を付与するための研修をやっておるわけでございます。要するに、帰国してくる孤児の方々は、年齢も学歴も違うし、やる気にも違いがあります。それと将来の生活目標というものもそれぞれ違うわけでございまして、国の施設として一カ所でやる研修には限度があるわけでございます。そういう意味では、四カ月終了後それぞれの地域社会にお帰りになって、それで肉親の方々あるいは地域社会の方々に助けられながら、実地に即したいろいろな御勉強をなさるということが、将来のために非常にいいというふうに考えておるわけでございます。
 長崎県は従来から引揚者援護の問題について非常に御熱心にやっていただいておるわけでございますが、そのほかにも日本語学校などを設けておられるところがございます。その場合のそういう引揚者の援護の問題について、中央と地方の機能分担、と言うと難しゅうございますけれども、それをどういうふうにするかということも、今後の定着対策を進める上の一つの課題でございますので、それはもう少し時間をかけて勉強さしていただきたいというふうに考えます。
#407
○宮崎(角)分科員 ひとつ鋭意御検討願いたいと思います。日本に来て、言葉のハンディのために、あるいは職場でのいろいろな人間的な関係のためにまた帰っちゃった、そういう非常に気の毒なケースもあるように私もキャッチしているのです。言葉が大変難しいと言っているのです。
 私はこれを文化庁とか厚生省にちょっと聞いたら、ないというのですね。大変な努力で厚生省の援護局でつくられた「やさしい日本語」、文化庁でつくられた「生活日本語」、ないというのです。出版社に聞いたら、これにテープとかいろいろなセットを合わせまして、高いですね、七千円もする。私はある県からこれを借りてきた。これがまた難しいですわ。助動詞、助詞、これは日本語の文法でいきますと厳しい。センターに行って聞いても、なかなか難しいと言う。そして、中のあれを見てみますと、白黒でございますから、果物屋がボール屋であってみたり、なかなかわからない。そこだけどんなにつかんでも、八百屋とか果物屋とかいろいろなお店が書いてありますけれども、白黒ですから、実際自分が町に行った場合でもなかなかわからない。これについてはどうなんですか、文化庁でつくって、厚生省が借り上げて、そしてそれは各県の需要によって無償で渡しているのですか、どうなんですか、その辺について。
#408
○入江政府委員 文部省の方は文部省として、日本語教材としてその本を帰国孤児に対して配付しておると聞いております。したがいまして、県にお帰りになる方は、恐らくそれを持って帰っておられるのだろうと思います。
#409
○宮崎(角)分科員 私が言うのは、これは文部省でつくった、幾ら欲しいのですかと各県に聞く、それではどうぞといって文部省はそのまま無償で何百部でも何でも需要に合うように出しているのですか。主管が知らぬというのはいかぬじゃないですか。
#410
○入江政府委員 文部省の方は、各県で日本語学校なんかをやっておられるところに、その日本語学校に必要な教材を配付しておると聞いております。
#411
○宮崎(角)分科員 もう少し定かに、後でひとつまた教えてください。
 それから、先ほどの、どこの県もそうなんですけれども、追跡調査。そんな施設を出て実生活に入ってこれから永住していこうというときに、その実態調査、追跡調査を、援護局として、各県とかあるいは所沢にしても、いつごろやられるのですか。
#412
○入江政府委員 厚生省としましては、帰国孤児、今までに帰りました百八十一名につきまして、昨年十月に実態調査をやっております。それと、センターの方はセンターの方で、修了生について追跡調査を徐々に始めておるわけでございます。何分、昨年二月に始まったばかりでございまして、卒業生がまだ余りおりませんので、先ほど申し上げたのはその中のごく一部の実態を申し上げたということでございまして、現在、試行錯誤を重ねながら教材なんかも考えておるわけでございますから、そのためには追跡調査というのは当然不可欠の要因であると考えております。
#413
○宮崎(角)分科員 最後に、私は、鋭意努力されておりをす皆様方のお仕事に対して大変敬意を表するわけでありますが、今の至上命令は何ですか。こういう中国引揚者、残留孤児の受け入れ体制に対して、今至上命令とすべきものは何なのかと自問自答したときに、これは紛れもなくスピードアップじゃないかと私は思うわけでございます。そのようなスピードアップの中で、皆様方が日夜、こういった問題に対する重大なプロジェクトをおつくりになって、そしてまた、省としても局としても、向こうの方にも職員を派遣して、交互の連環の中で、この孤児たちがより安心して来れるような、また、来てもすばらしい、日本への永住が快い生活にいけるようなその体制を強力につくっていただきますことを心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
#414
○小杉主査代理 これにて宮崎角治君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤田スミ君。
#415
○藤田(ス)分科員 私は、寝たきり老人対策の問題について、最初に大臣にお尋ねをしたいと思います。
 大臣は、一昨日の予算委員会で我が党の箕輪議員の質問に対しても、寝たきり老人対策は重要な施策として考えている、こういうふうに答えられました。まさに現状からして、そのようにおっしゃるのは当然であります。現実、我が国の寝たきり老人対策は、介護施設も在宅サービスも非常におくれている。諸外国と比べましたら、特に西欧諸国と比べましたら、とても比較になりません。また、寝たきり老人を抱える家族の負担というのは非常に深刻で、これが家庭の崩壊につながる、そういうような例も少なくありません。
 ところが、一昨年のあの老人保健法の施行以来、医療費や付添料、お世話料、こういうものが非常に急増いたしました。入院時の負担は急増しました。老人の入院の制限、つまり追い出し、締め出しも一層事態を深刻にしております。加えて、地方への国の補助金を一割削減するという来年度の予算案によって、既に老人ホームの自己負担増あるいは計画されていた特別養護老人ホームの建設のストップ、老人世帯に影響の大きい生活保護に対する締めつけなど、影響が出ております。また、大蔵大臣の発言によりますと、この一割削減の問題は、一年間厚生省、自治省、大蔵省と議論をした上で恒久化したい、こういうふうなことで政府部内の検討も既に決められているということです。
 こうなりますと、政府はもっぱら高齢化社会になって大変だ大変だと言いながら、実際には大変なのは国の財政の方を言っているのであって、高齢化社会になっていく国民の暮らしの方の大変さということが後回しにされて、医療費の抑制だとかあるいは財源対策だとか、こういうことで語られているというふうにしか思えてならないわけです。私は、そういう点では、これから向かう高齢化社会と国が言うその高齢化社会の齢は、年齢の齢ではなしに冷たい方の冷、「高冷化社会」に向かっていくというふうに考えざるを得ないわけですが、まず最初に大臣のお考えをお聞かせいただいて、質問に入りたいと思います。
#416
○増岡国務大臣 私どもが本年度高率補助の削減をいたしましたのは、これは国と地方との役割と負担の分担を見直そうという趣旨からであります。したがいまして、大蔵大臣がお話しになりましたのは、この一年間かけてその問題について取り組もう、その結論に従うとおっしゃったのでありまして、今のと同じことをやりますという意味合いではございません。
 そういう中で私どもが考えましたのは、社会福祉、特に老人の問題もそうでありますけれども、福祉の実態を下げてはならないということでございまして、なるほど地方自治体の負担が多くなったわけでありますけれども、その裏打ちは交付税、起債その他でなされておりますので、私は、今年度の予算でも、老人の福祉の後退ということはあり得ないと考えております。
#417
○藤田(ス)分科員 寝たきり老人を抱える世帯並びに老人世帯が非常に不安を持たされているということは現実であります。きょう、この問題で深入りをしておりますと、私の質問をしようという内容の方が時間がなくなってしまいますので、この問題は深入りいたしませんけれども、寝たきり老人対策が非常に大事だとおっしゃるなら、地方にその責任をかぶせたりあるいは受益者に負担をかぶせるということではなしに、文字どおり国が寝たきり老人対策を前進させるんだ、そういう国の責任を大いに感じて取り組んでいただきたいということを最初に申し上げておきます。
 それで最初にお伺いをしたいのは、医療機関による訪問看護指導についてであります。この訪問看護指導というのは、老人保健法の施行によりまして、退院の患者に対して継続的に看護指導を行っていく、こういうことで指導料というのが設けられました。しかし、これは一カ月以上入院した者であって、六十年度から改正されたと言いますけれども、初めの月は四回、後の月は二回ずつ、こういうふうなことで三カ月までという期限が切られております。そういうふうに三カ月まであるいは月何回と決められた根拠を聞かせていただきたいことと、この訪問看護指導料を設けたことによってどの程度それが実際に活用されているのか、その件数をお示しいただきたいと思います。
#418
○水田政府委員 先生大変お詳しいわけでございますが、この制度を設けましたゆえんは、長期に入院なさっておられる方、家庭で看護できる方はできるだけ家庭で看護をしていただいた方がよろしいと考えておるわけでございますが、家庭に戻った場合に、いろいろと療養上の不安があるわけでございますので、入院していた病院から看護婦を派遣して、家庭に帰って三カ月間十分家庭における看護の指導をするということで、老人保健制度ができたとき、五十八年二月からスタートしているわけでございます。
 私ども、診療報酬の改定のあります都度、この制度を充実普及させたいということで努めてまいっているところでございまして、特に今回、三月からの改定に際しましては、看護協会であるとか専門の先生方の御意見、特に退院した直後というものは、今まで月二回であったわけですが、特に重要であるので週一回、月に直しますと四回、その後二週間に一回ずつ三カ月ぐらい行くと、おおよその家庭における看護のやり方の見当がつくわけでございまして、その後は市町村に設置されています保健婦がバトンタッチを受けて巡回指導をする、こういう形を考えているわけでございます。特にこの制度の普及を図るために、本年の三月の診療報酬の改定に際しましては、単価アップと回数増を掛け合わせますと、従来に比べまして六割アップという大幅な改善を図っているので、私ども相当程度に普及が図れるものと考えております。
 それから、これの件数でございますが、推計で、現時点では一月千五百件から二千件の間ではないかと私ども考えております。
#419
○藤田(ス)分科員 三カ月たったら、あとは市町村の保健婦に任せる、これは非常に機械的なんですが、こんなことを市町村の保健婦が聞いたら吹き出しますよ。それは実態に合っていないわけです。
 それから、今活用されているのが一カ月に大体二千件ぐらい、入院中の老人の患者さんというのは九万九千人おるのです。そうでしょう。それから対比したら、この二千件というのは随分少ないじゃありませんか。私は、看護協会が実際に必要だと認めた老人患者に対して訪問看護をした、そういうアンケートをここに持っています。このアンケートによりますと、全体の五九%が一カ月以上入院したという条件に合致していないのです。それから七三%が、退院三カ月までという条件にも該当していないのです。人によったら一年以上も見ていかなければならない、こういう人が五九%、看護協会の訪問看護の中では出てきています。月一回から二回の訪問三五%、三回から四回というのが三〇・三%、そして五回以上というのが二八%にも上っているじゃありませんか。結局そういうことで、看護協会の調べでは、継続看護指導料を請求できたケースはわずかに全体の一二%にしかならない、こういうことなんです。
 私の地元の耳原鳳病院というところも、常時二十五名ぐらい、医師の判断によって訪問看護をやっています。しかしその中でも、入院一カ月以上ということにはなかなかならない。そして訪問の頻度も、結局月のうち八回あるいは四回、そういう訪問をしたところが四割以上に達している、こういうふうな調査結果も出ています。結局、この耳原鳳病院でも、二十五名常時訪問はしているけれども、保険請求できているのは二名にすぎない、こういうことなんです。これでは私は、入院一カ月以上三カ月まで若干訪問回数をふやしたとて、それで実態に見合ったものになっているというふうには考えられない。その点はいかがですか。
#420
○水田政府委員 この制度はあくまでも退院された患者が家庭に戻って、療養上、看護上の不安をなくすための制度でございます。いわゆる家庭における看護の代理をするという仕掛けでございませんで、あくまでも指導するという仕掛けでございます。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
御指摘のとおり件数が少ないので、まず私どもこの制度の普及を図り、その普及の状況を十分勘案しながら今後のあり方を検討してまいりたい、このように考えております。
#421
○藤田(ス)分科員 普及の状況を勘案しながらとおっしゃるその普及の状況というのは、広くみんなに活用されるようになったらという観点でしょう。私の言っているのは、今の実態に合わせて考え直すべきだということを言っているわけなんです。まして老人保健法の施行以来、医療的なケアを必要とする状態で退院をする人、したがって退院後に非常に大きな不安を持っている患者さん、家族がふえてきています。膀胱に留置カテーテルを導入したまま、あるいは胃に管を入れて栄養をとるという状態のまま退院許可が出る。退院許可と言ったらいいですよ。しかしそれは、実際には追い出されるわけです。そして家族の方は褥瘡の手当てだとか、薬によるコントロールだとか、食事療法だとか、あるいはまた血圧、尿、たん、そういうものの量の調査だとかそういうものまで必要とする患者さんも退院していく、こういうケースがふえているわけです。しかし、後を任された家族の方は本当に大変なんです。どうしていいかわからない、こういうような状態がふえています。
 本当に入院医療より在宅医療へ、そういうふうにおっしゃるなら、医療に依存度の高い老人に対する訪問看護は、その病態の変化に応じて訪問看護の頻度も決めていく、自由に変えることができる、それは当然のことじゃないでしょうか。三カ月まで、三カ月以降は市町村の保健婦なんということにはならないわけです。大臣、いかがですか、言っていることわかっていただいているでしょう。
#422
○水田政府委員 先生の御指摘がありますように、この制度を普及し、実際に退院をして家庭に戻ったときの不安をなくするようにという要望が強いために、今回、従来月二回であったものを週一回行って丁寧に指導ができる、こういう体制もとり、また、この制度の普及を図るために点数の増も大幅に図ったところでございまして、私ども今後この制度を十分育てていく方向で努力してまいりたい、このように考えております。
#423
○藤田(ス)分科員 大臣、在宅医療を長続きさせていくには、介護を家族だけの責任にしてはだめなんです。介護が本当に必要なそういう者に対しては、医療も福祉も後押しして応援をしていかなければ長続きできないのです。そういう点では、この施策というのは非常に大事になってきているわけです。ところが、そういう医療の実態に合わない非常にかたくなな姿勢で、なかなかその枠を取り外していこうとなさらない。今後なお前進させるために取り組んでいきたいということですが、その点は大臣、どうお考えですか。
#424
○増岡国務大臣 ただいま御指摘のように、老人の問題は福祉と医療と両面から考えていかなければならないだろうと思います。したがいまして、私どもも在宅の老人のために、ホームヘルパーでありますとかショートステーでありますとか、いろいろな対策を伸ばしておるわけでございまして、今回もその一環であろうと思いますけれども、今後の動向を見て漸次改善してまいりたいと思います。
#425
○藤田(ス)分科員 切りがありませんからやめますけれども、卵が先か鶏が先か、普及してないからなかなかということでは、普及しようにもできない。そういう状態の中に置いておいて、普及していかないからというようなお考えがゆめあってはならない。なぜ普及しないかということを真剣に考えていただきたいわけです。大体訪問看護指導というような考え方は大変お役所的なわけで、実際には訪問看護なんです、指導じゃないわけです。だから、この訪問看護は制度化して、そして看護内容によっては看護婦さんの技術料も一般診療報酬の中で正しく評価していく、そういうことであらねばならないと私は考えます。
 一方、保健婦さんの問題です。三カ月たったら市町村保健婦の方に任せるんだと、さっきえらく堂々とおっしゃいましたけれども、まだ市町村保健婦も配置されていない市町村が幾つかあるのでしょう。幾つですか。――暇がかかりますから、厚生省が私の方に答えてくださった、二百二十六でしょう。うなずかれましたので、そのとおりですね。これはどうするのですか。それが一点。
 それから、看護協会が行ったアンケートの中の声を紹介しますと、「厚生省は机上だけの青写真的事業計画を出し市町村におろされる。健康づくり政策が市町村におろされそろそろ軌道にのりはじめたところである。老人保健制度も市町村におりたら、市町村保健婦はうわべの仕事しか手がつけられない状態になると思う」こういうふうに言っておられるわけです。訪問看護指導をやり出すと、とても月一回や二回では追いつけない実際の問題が出てくる。これは保健婦さんの多くの声であります。家族の方はどうかというと、一定の頻度と具体的なメリットのある、頼りになる訪問を期待している。そんな、形式的に訪ねてきて「あんたとこのおばあちゃん、どないしてますか」というようなことで、何か自分の介護をチェックされるような印象になるのほかなわぬ、こういうことを言っているわけです。これにどうこたえられますか。
 そして三つ目は、結局医療機関による訪問看護も保健婦による訪問指導も、十分な体制があるとは言えないと私は考えますが、いかがでしょうか。
#426
○水田政府委員 まず、保健婦につきましては、五カ年計画を策定し、その要員の確保に努めているところであり、今後もその方向で努力してまいりたいと思います。
 二番目は、私どもいろいろ事例集もつくり、血の通った訪問指導ができるように、今後も研修その他を通じて適切に指導をしてまいりたいと考えております。それから、家庭看護におきます指導内容、体制については、老人保健法が制定されましてやっと二年経過したところでございますので、いましばらく時間をかしていただき、十分期待にこたえられるように整備充実を図ってまいりたいと思います。
#427
○藤田(ス)分科員 それでは次に、在宅福祉対策について若干お伺いします。
 国の在宅福祉施策に、老人日常用具の給付事業がございます。現在、この給付事業は非課税世帯に限るとされているわけなのです。これでは多くの人たちは、せっかくの日常生活用具の給付事業の活用はほとんどなされてこないわけであります。イギリスなんかを調べましたら、どんな所得の人にも、家庭看護に必要とされる用具を無料で提供しています。非課税世帯ではとてもこの事業が活用されないということで、例えば東京都なども、所得税年四万二千円までとするというふうに幅をつくっています。これは東京だけじゃありませんが、そういうことなのです。これで本当に活用されていると思われるのか。非課税世帯というこの所得制限は撤廃するべきじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#428
○正木政府委員 在宅福祉対策の一つとして、老人に対する日常生活用具の給付事業がございますが、先生今お話しのように、所得税非課税世帯いわゆる低所得者向けに行われておるわけでございます。これは無料で給付を行っておるわけでございますが、御指摘のように、対象を広げるべきではないかという御意見のあることも確かでございます。ただ、こういった福祉施策を考えていく場合に、これからは費用負担をどうするかといったものをあわせ考えていくのが筋道ではないか、そういった両面をあわせてこれからも検討していかなければならないと思います。
#429
○藤田(ス)分科員 実際にどの程度活用されているかということをお答えになれないわけでしょう。私はそのことも質問したのですよ。お答えになれますか。
#430
○正木政府委員 日常生活用具給付事業でございますが、六十年度の予算……(藤田(ス)分科員「予算じゃない、件数」と呼ぶ)じゃ、件数を申し上げます。
 五十八年度の数字でございますが、特殊寝台が二千六台、マットレスが三千四百九十七、その他浴槽、湯沸かし器、エアパット、便座、特殊尿器等々あるわけでございますが、重立ったものを今申し上げたわけでございます。
#431
○藤田(ス)分科員 私はここに、大阪府が出しました高齢化白書というのを見ています。この中で、大阪府の寝たきり老人は二万四千人おります。うち在宅が一万九千二百人です。家計調査によりますと、非課税世帯というのは対象が大体九%、老人在宅はもっとふえると思いますが、それから見たら千七百二十八人。この千七百二十八人の中でどれほどにこういう事業が活用されているのかというと、全部一点ずつを一戸ずつにばらまいたとして四百一件です。全体の一万九千二百人から比率を出しますと、わずか二%なのです。これじゃ余りにもお粗末じゃありませんか。そういう点では、この所得制限を見直すべきである、いたずらに受益者負担ということではなしに、もっとこの幅を見直して現実的なものにするべきであるということを申し上げるとともに、この給付品目というのは非常に少ないです。
 そこで、私は特に大阪府の泉北ニュータウンという団地に住んでおりますので、このごろふえてきております団地の老人にかわってお願いをしておきたいことがございます。ここには火災報知機というのがあります。しかし、団地で一番怖いのはガス漏れなんです。そのガス漏れは、その家の問題だけじゃなしに御近所にも大変迷惑をかける。しかし、団地では寝たきり老人が昼間一人でいるというようなケースもあります。地震があったとき、あるいは管が外れていたとき、そういうときのためにこのガス漏れ報知機、報知機じゃなしにガス漏れ遮断器というのが最近東京瓦斯、大阪瓦斯等々で開発をされ、そして非常にそのことが団地住まいの人間にとっては、これで安心、一つの安心が得られたということになっております。
 そこで、私は火災報知機を入れておられるというお考えと同じような立場から、ガス漏れの遮断器をぜひとも導入をしていただきたい。これは私の要求でございます。
#432
○正木政府委員 給付種目は現在十品日程度あるわけでございますが、この給付種目を取り入れる場合には、日常生活を容易にするもので緊急度がどうだろうかといった観点、それから、その用具が一般的に市場に普及して、一般の国民の生活水準から見て妥当なものかどうかという判断を加えておるわけでございます。
 今後とも給付種目については検討していかなければならないと思いますが、先ほども申しましたが、この日常用具の支給事業についても、今後、費用負担との関係をどうするのかということもあわせて考えていかなければならないというふうに思っております。
#433
○藤田(ス)分科員 大臣、火災報知機があっても、あの議員宿舎のような密閉型の団地の中では、ガス漏れがあったらボカンと爆発して火災報知機ところの騒ぎではなくなるわけです。だから、一般の国民のレベル云々の話ではないのです。これは、緊急の問題なんです。そういう観点でこういうものは早速に取り入れて、そうして寝たきり老人家庭に安心を与えていく、大臣、ひとつこれは大臣の実績にしてくださいな。一言で結構です。
#434
○増岡国務大臣 人命に関することでもございますので、研究をさせていただきたいと思います。
#435
○藤田(ス)分科員 日常生活用具給付事業というのは、なかなか先ほど言ったように制度的な問題があって広く活用されておりません。
 活用されていないというもう一つの問題は、この制度的な要因とあわせて、情報が皆目提供されていないというところにあると思うのです。消費者問題では、曲がりなりにも全国に消費生活センターというのがありまして、そこに行きましたらいろいろな情報だとか苦情相談だとか受けられます。したがって、いわば消費者の駆け込み寺のような役割も果たしているわけですが、一方、これだけ寝たきり老人が問題になっておりますのに、その情報が閉鎖的でなかなかオープンされていないというところが、私はこれからの寝たきり老人対策で広く国民の声を吸い上げていくという点からも一つの大きなネックになっているのじゃないかと思うわけです。
 ただ、全国でただ一つ東京都の社会福祉総合センターというのがございまして、ここでは給付事業の紹介だとか相談業務だとか情報の提供だとか、あるいはまたトイレおむつフェアというような介護用具の紹介だとかさまざまなことがやられていて、こういうのをもっと全国的にも広げていくべきじゃないのか。私はそういうことで諸外国はどうかなと思って見ましたが、諸外国では、西ドイツでは社会ステーションというのは一万五千人から五万人を対象にして一カ所ずつ、フランスなんかも在宅ケアセンターというのが二万カ所も設置されているわけです。そういう点ではぜひ、これはもっと寝たきり老人施策を国民のものにしていくために積極的に厚生省は取り組んでいただきたい。
 時間が参りましたので、せっかく総理府からお越しですので最後に申し上げますが、社会保障制度審議会委員の問題についてです。
 三十八人、委員がおられます。しかし、社会保障制度審議会のメンバーの中には一人も婦人がおられない。現実に寝たきり老人の介護はだれがやっていると思われますか。九割までが婦人が背負っているのです。しかも、老人ホームに行きましても、病院に行ったら看護婦さん、保健所に行ったら保健婦さん、市町村の保健婦さん、みんな携わっているのは婦人じゃありませんか。私はその点で、いかにも奇々怪々だとこの社会保障制度審議会のメンバーを見たときに思いました。これではとても寝たきり老人を抱えて苦労している国民の声がまともに入っていくはずがない、そういうふうに思ったわけです。この点では、国際婦人年十年ということし、まさに一番間近にあるこういう委員会でも婦人を採用されていないという点については、ぜひとも婦人の委員を採用していただきたい。
 この二つの問題をお答えいただいて、私、終わりたいと思います。
#436
○正木政府委員 先生お話しのように東京都の社会福祉総合センターで福祉機器の展示ホールを設けていろいろ情報提供をされている、おっしゃるとおりでございます。この福祉機器につきましては身体障害者も非常に利用されておるわけで、各県の身体障害者福祉センターでも日常生活用具の展示室を設けていろいろPRをしております。さらに老人福祉センターというものも各県にありますので、そういったものも活用しまして、これからも情報提供に取り組んでいかなければならないと思います。
#437
○藤田(恒)政府委員 審議会の委員の問題につきまして、先生おっしゃいますように現在一人もおりませんけれども、当審議会は過去には十数名婦人の委員もおられたわけでございまして、たまたま現在いないということでございます。
 いろいろ老人福祉の問題につきまして建議をいたしましたけれども、我々こういう問題をやります場合には、必ず現地に赴きましてたくさんの人からいろいろ御意見を伺っておるわけでございまして、今回の意見につきまして婦人の方々の御意見を聞かなかったということはないかと思います。
 ただ、いずれにいたしましても審議会の委員に婦人を登用するということは政府の方針でもございますので、ぜひ頑張っていきたいと思います。
#438
○藤田(ス)分科員 ありがとうございました。
#439
○山下主査 これにて藤田スミ君の質疑は終了いたしました。
 次に、伊藤忠治君。
#440
○伊藤(忠)分科員 私は、身障者の社会参加の促進を図るために、福祉電話対策、この問題についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 厚生省が所管庁でございますが、今日身障者の社会参加が社会的には非常に関心も高まっておりまして、身障者御本人たちの積極的な姿勢というのが非常に盛り上がってきていることは御承知のとおりでございます。もちろん政府も先導的にといいますかイニシアをとって身障者の社会参加を積極的に呼びかけてこられたというこの御努力が非常に功を奏しているわけでございまして、このような背景には、本人たちの意欲はもちろんでございますが、それを支えるといいますか、その背景で大きな働きがございますのがボランティア活動、こういうことを指摘することができると思います。そういう一つの社会的な運動といいますか機運、関心が社会的にも非常に高まってきているわけであります。
 こういう身障者の社会参加を可能にする要件、これは一体何だろうかということをつらつら考えてみるわけですが、その一つは、健常者とともに社会生活あるいは社会活動を営もうという本人の意欲、すなわち本人の主体性がまず大事だと思います。二点目は、その社会参加を可能ならしめる社会的な諸条件の確立、すなわち社会的な理解、これはソフトの面と呼んでいいと思いますが、それにさらに加えまして、ハンディキャップをフォローし得る物理的、これはハードと呼ぶのでしょうか、そういう物理的な条件づくりというのが二点目に大きな要件だろうと思います。三点目は、これら諸条件を確立するための積極的な行政施策の推進、この三つが両々相まって社会参加を促進していくものだ、私、つたない知識でございますが、今日の潮流を見ておりましてそう理解するわけでございますが、この考え方について、まず最初に大臣の御所見を賜りたい、きっと気合が合うのじゃないかと思いますが、どうでございましょうか。
#441
○増岡国務大臣 私もおおむね先生と同じ考え方でございます。
#442
○伊藤(忠)分科員 以上のことを前提にいたしまして厚生省にお伺いしたいと思います。
 福祉用電話がございますね。この福祉用電話、これは機器を含めて言うわけですが、身障者のハンディキャップをフォローする、あるいはそのことによって制度化がなされまして今日まで随分たっておりますし、その制度が社会参加に大きく貢献をしてきたと思います。この点、私たちは高く評価しているわけであります。
 この福祉用電話の制度の内容、寝たきり老人から始まりまして幾つかあると思うのですが、その制度の内容が一つ。二つ目が、料金面での減額措置というのがどのようにやられているのか。具体的には資料がございましたら資料提出を別途してもらってもいいのですが、手短に説明をいただきたいと思います。
#443
○正木政府委員 福祉電話は昭和五十年度から実施をされまして、対象者は、低所得世帯に属します身体障害者で難聴の方、外出困難な障害者でコミュニケーションのために緊急連絡等の手段を必要とする方、寝たきり老人に貸与するということでございます。
 身体障害者に対する貸与でございますが、補助額は、一台について取りつけ工事費八万八百円、これを国が二分の一、地方公共団体が二分の一負担をしておるわけでございます。基本料、度数料、付加使用料は御自分で負担をしていただくということでございます。難聴者用のもので申しますと、ランプがフラッシュして知らせる装置を持っておる電話とか、非常に声が大きくて明瞭に聞こえるもの、そういった障害者のハンディキャップを補う力を持った電話でございます。
#444
○伊藤(忠)分科員 公社に伺いますが、この福祉用電話機器について今までずっと説明ございましたけれども、細かく言えばいろいろ開発がされてきたと思うのですね。それは非常に清新なもので、私たちも評価をしているわけですが、そういう実績を踏まえまして、今後開発をされていくものはさらにあるのかどうか、そのあたりについて説明をいただきたい、こう思います。
#445
○山本説明員 お答えいたします。
 私ども公社は、いろいろ今お話のございましたとおり、社会福祉の増進に寄与するという観点から、これまでもひとり暮らしの老人や身障の方々に容易に御理解できますように、電話機器といたしましてシルバーホンという名前を冠しまして、「あんしん」という呼び名はひとり暮らしの老人用に、それから耳の御不自由な方々には「めいりょう」あるいは「ひびき」といったもの、また今話もございましたフラッシュベルでございますとかシルバーベルといったもの、また肢体の不自由な皆様方にはシルバーホン「ふれあい」といったものを提供してまいりました。さらに盲人用のダイヤル盤は、五十八年度末では七十万個ほど提供しているところでございます。そういったハードと申しますものと、さらにこの四月一日に私ども、全日本聾唖連盟と全国難聴者連絡協議会という団体の大変な御協力をいただきまして、ミニファックス番号簿というものを全国的な規模で発行することにしておりまして、この会員の皆様に御利用いただければこれにすぐるものはないと考えております。
 先生から今後の開発についてどうだということでございまして、私ども、今まで申し上げたものもそれぞれ改良いたしまして、一銭でも安くコストを下げていく、こういう努力を引き続きしてまいりたいと思います。例えば、ひとり暮らしの老人用の「あんしん」というものにつきましては、昨年十月その機構を改善すると同時に、無線のちょっとしたボタンで遠くからも、遠くといってもうちの中でございますけれども、うちの中のどこからでもその機械にアクセスできるようなことを考えましたし、また先ほどの、口と耳の御不自由な方に対しましてはシルバーホン「ひつだん」というものを開発いたしました。これは字でお互いに話ができるものだとかあるいはミニファックスとか、そういった方々に御利用いただけるような信号装置の開発というようなことをいたしたのですが、何分にもこの種のものは周辺技術を改善しなければいけない点もまだございまして、私たち、そういったものを含めてさらに一層努力してまいりたいと思っております。
#446
○伊藤(忠)分科員 厚生省に聞きますが、今言うたような「ひつだん」ですか、こういう新しい機器、四月一日から実施されるミニファックス、こういうものは、これまでやられてきたことと同じようにそれのフォロー策ですか。つまり、負担の軽減というのですか、そういうことはやられてきているわけですね。それは間違いありませんね。――それでいいですな。
 それで、私こう思うのです。高度情報化社会、電電さんもINSを提唱されてから、今科学万博がもう目前に迫っているわけですけれども、国民の関心を非常に呼んでいるわけです。ファックスを活用した福祉用電話機器の開発は今説明のとおりでございますが、例えば「あんしん」というのがありますね。寝たきり老人の場合、不安だから安心させようというので「あんしん」という名前をつけられたと思うのです。今テレビ電話が三鷹のINS実験センターでデビューしていますね。それからファックスの開発の機器でございますスケッチホンですか、これなんかもデビューしていますね。そうしますと、このテレビ電話がもし福祉用電話機器として開発をされていけば本当に安心すると私は思うのです。声を聞くんじゃなくて、顔も見て声も聞くというのは非常に安心なさる、これこそまさに安心だと思うのです。
 ですから、そういうふうな機器の開発について電電公社としては考えておられるのかどうか。それは考えているんだということになれば、実用化まで確かにディジタル回線のINSのネットワークが家庭にまでずっと張られていかないと、テレビ電話というのはメカの関係からいってもなかなかつかないのだろうと私も素人なりに思うものですから、開発していけばいつごろをめどに実用化が図れるのかどうか。このあたりについてひとつ電電公社に伺いたいと思います。
#447
○山本説明員 お答えをいたします。
 先ほど御説明申し上げました一つに「ひつだん」というのを申し上げたのでございますが、これにいたしましても、レンタル料で、私どもはこういった場合には普通の二分の一の料金を適用させていただいているのでございます。それでも月に千七百円程度という高額なものになってしまっている。今先生おっしゃるとおり、そういったものが一日も早くこの世の中に実現できるということを私も非常に強く望む一人でございますし、また三鷹のINSの会場におきましても、身障者の方にお出ましいただきまして、そういったことをやって大変喜ばれたシーンを強く印象づけて持っておりますけれども、何分にも周辺技術というものをもっと地味に一つ一つ開発しておきませんと、高価だということがまだまだ非常に大きな障壁になるのかなという気がいたします。
 引き続き私たちもそういったことを頭に置きおがら、そういう必要な技術のもっと低価格化というものを目指してまいりたいと思います。
#448
○伊藤(忠)分科員 コストの関係を言わなければ、技術的にはその開発、例えばテレビ電話を家庭に引くなんということは何年ぐらい先を展望すればできますか。おおよそで結構です。
#449
○山本説明員 大変難しい御質問で、コストを言わないということは、私たち企業として成り立たなくなりますのでなかなか難しい仮定でございますが、例えば、今キャプテンというサービスは、既に画像を送っていてもあれは静止画でございますが、それをもう一つ動画にするわけでございますので、さらにもう少し厳しくなってくるのじゃないか。INSも昭和六十五年以降というようなことにならなければという感じがいたします。
#450
○伊藤(忠)分科員 それでは厚生省にお聞きをいたしますが、今説明ございましたように、すぐにはテレビ電話というふうにはいかないと思うのですが、まさに高度情報化社会ですから、社会参加ということの言うならば条件づくりを福祉電話の面でやろうと思えば、そういう時代にこれから流れはどんどん進んでいくように思うのですね。
 既に御承知だろうと思いますが、身障者の場合は盲導犬というのがございますね。なかなか訓練が難しくて、盲導犬の養成なりそれを実際に購入しようと思いますと、これは御専門でございますが、相当苦労されております。私たちもボランティアでカンパなどよくやるのですが、これがこれからは盲導ロボットにかわりますね、ロボットが引き連れてくれまして、盲導犬にかわって道を不安なく歩けるというような時代が間もなくやってくる。これの開発が進んでおりまして、大衆化をすぐ図れるかどうかというのはもちろん時間がかかるでしょうが、技術的にはそこまできているわけですね。
 ですから、厚生省にとりわけ私がお願い申し上げたいのは、従来の寝たきり老人対策から始まって、福祉用電話というのがそのあたりから始まって今日まで大きな成果を上げられてきた、これは評価をいたしますが、これからは社会参加に対して、通信手段もどうハンディキャップのフォローをするかということの一環の施策でありますから、そういうところに目をつけていこうとするならば、そこまで我々の発想の転換なりそういうものを図らなければいけませんし、それを裏づけていくような制度化の努力を早々と手を打っていきませんとこれはまた後追いになるんじゃないか、こういう心配を強くするわけですが、その点について厚生省と気合いが合うのかどうか、お尋ねをいたします。
#451
○正木政府委員 障害者のハンディキャップを補うという面で福祉機器の開発がどんどん進んでいく、これは非常にうれしいことだと思います。そのことによって身体障害者の社会参加の促進も図られる、これも先生おっしゃるとおりだと思います。
 ただ、これを福祉施策の中でどういった段階で取り入れていくのかということになりますと、やはりその普及状況であるとか、一般の国民生活水準との対比であるとか、そういったようなバランスというものも考えていかなければならないというふうに思います。私どもも現在のものだけでこれで全部事足れりとは思いませんが、そういった開発、それからあわせて福祉施策としてどういったふうに取り入れていくのがいいのか、両面を検討していかなければならないというふうに思います。
#452
○伊藤(忠)分科員 言われる意味はわかります。私、次に話を進めますが、テレビ電話がなくても「あんしん」があればどうにか当座は過ごせるということも言えるわけでして、そういう意味で局長の言われたことも、やはり将来、一般化のこととも関連をしてということであろうと私も理解をいたしております。
 次にお話を申し上げたいのは、身障者が、これは病気からそうなられた方もお見えですし、偶発的な事故に遣われまして下半身が不自由だとか、重度身障者の場合は、今は車社会でございまして、改造車に乗って例えば職場に通うだとかあるいは社会参加の一端を担うだとか、そういうケースが非常にふえていると思います。全体から見れば、対象者は少ないでしょうけれども、ふえています。私の身辺にも、そういうケースに実は私もかかわっているわけでありますが、そういう方が例えば車に乗って移動するわけですね。そうすると、電電さんの方では車いす用の公衆電話はかなり開発されていますけれども、車からおりて公衆電話を利用することが不可能なんです。一々おりるということは難しいのですね。そういう方たちだけに、途中で通信を必要とするケースもまた多いのです。そうしますと、どうしても移動体通信、つまり自動車電話の必要性がそこから出てくるわけです。
 なぜ改造されている公衆電話が使えないのかというので、実地検証をやりましたら、それはそうです、車は右ハンドルなんですね、右ハンドルで左側通行で走るものですから、難しいのです。一たん停止して改造公衆電話に行こうと思いましても実際できないですね。Uターンしても一緒なんですよ。ですから、車内で電話できる方法はといいますと、現在では自動車電話しか見当たらないわけであります。ただ残念ながら、その自動車電話というのは料金が高いですね。料金の面で大衆化しない一つの原因にもなっているわけです。
 そこで、電電公社に私は尋ねたいのですが、一日も早く自動車電話の普及を大衆が望まれているだろうと思います。それを促進するためには料金の値下げを積極的にやる必要があるだろうと思うのですが、この点について電電公社は具体的に検討されているのかどうか。このあたりについて、ひとつ説明をいただきたいと思います。
#453
○草加説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、自動車電話が非常に幅広く、また身体障害者の方等が便利にお使いいただける機器であることは、私どもも十分に認識いたしております。自動車電話の料金が高いからもっと下げるという声は、私どももいろいろな方面からお聞きいたしておりまして、確かに現在、まだサービスを開始してから間もないためにコストが比較的に高いわけでございますが、現在の料金では普及が余り望めないというような気持ちは十分持っております。
 そこで、私どもといたしましては、一つは、自動車電話の機器を改良いたしましてコストを下げていくということ、もう一つは、コストを下げ料金を下げることによって需要が多くなり、需要が多くなることによって多く販売することによるコスト減ということも考えられるわけでございますので、この両面から現在の基本料三万円をなるべく早い機会に下げたい、こういうふうに思って検討しているところでございます。
#454
○伊藤(忠)分科員 続いて電電公社さんにお尋ねいたします。
 それで、今たまたまこの機器の改良、これはコストを下げるための機器の改良が言われたわけですが、例えば身障者が現行の自動車電話を使おうと思いますと、実際にやってみましてプッシュホンのボタンが小さいと思います。あれでは使いづらいのです。もっと大きくしなければいかぬだろう。それから、持って通話をする場合に、あれは声が大きくなるように明瞭装置はついておったでしょうか。ボリュームアップの装置はついていますか。ついてないですね。そういうことは、当面、現行の端末でもすぐ気がつくのですね。そうすると身障者の方も使いいいだろう、こういうふうに思うくらいですから。
 いずれにしましても、専門的な立場で、この自動車電話を福祉用機器としてこれから研究開発をされる考えが電電公社におありなのかどうかということをお尋ねしたい。
#455
○草加説明員 御指摘の点につきましては、現在標準型の電話機を下げることが第一と考えてやっておるわけでございますが、早速検討の対象にいたしまして、どのような形で取り入れていくか、進めていきたい、このように思います。
#456
○伊藤(忠)分科員 厚生省に伺いたいのですが、そのようにしてこれから社会参加を容易にする、促進をする、その条件づくりの一環として移動体通信、すなわち現在では自動車電話というところへいくわけですが、これも、福祉用電話機器の開発の検討姿勢が今も述べられたわけでありますけれども、そういうものとあわせて今の負担軽減の補助措置というのですか財政措置というのですか、こういうものの実施方について厚生省として検討をされる姿勢があるのかどうか。このあたりの考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
#457
○正木政府委員 先ほども申しましたが、福祉機器の開発が進むということが極めて望まれるわけでございますが、これを福祉施策として取り上げていくということになりますと、その普及状況であるとか一般の国民生活とのバランスといったようなことをどうしても考えていかなければならない。現状で自動車電話に限って言いますと、今日の時点でこれを福祉電話として取り上げるということは、率直に申しましてなかなか難しいというふうに私は思います。
#458
○伊藤(忠)分科員 そういうふうに答えられたら身もふたもないわけです。つまり社会参加ということなのでして、健常者が社会参加する場合だったらそれのフォローの措置は別に要らないわけですよ。実際に改造車に乗られて、職場を持たれてあるいはまた働こうあるいは自分も社会活動の一端を担おうというような社会参加のケースがふえてはきておりますけれども、対象者は非常に少ないと思うのですね。ですから、そういう方たちに言うならば福祉の手を差し伸べるということであれば、それはこの手段しかないと思うのですよ。そういう方たちにはこの手段しかないわけで、今一番それが強い要求として訴えられてきているわけです。ですから私は問題提起しているわけですが、一般論でもって答えてもらったのじゃ……。
 では、みんなが自動車電話を持つような時代にならなければこういうものは考えることができぬ、そういうことになるわけですね。局長さんがおっしゃられることを私悪く解釈してはいけないわけですが、そんなふうに聞こえるのですよ。そうじゃなくて、そういうケースの方には、社会参加を保証しようと思ったらこの手段からまずフォロー策をとるしか他に代替方法がないのですね。実際の話、公衆電話は使えませんよ。だから私は問題提起をしておるわけでございまして、そこのところをひとつ理解いただいて、今制度の面、機器開発の面では電電公社の方はこれから検討課題にのせて研究をしていこうと言われたのですから、そこのところに合わせてもらわなければ制度として実らぬわけですからね。局長、どうでしょう。
#459
○正木政府委員 私の表現が悪いかと思いますが、やはり障害者のハンディキャップをいかにして克服をしていくか、補っていくかという面は、これからも大いに考えていかなければならないと思います。
 ただ、私申しましたのは、福祉施策として取り上げて国なり公共団体が助成を行っていくということになると、やはり一般の方々とのバランス論というものも一方において考えていかなければならないのではないか。ただ、こういった福祉施策の範囲というものにつきましても、日進月歩の事情というものを十分考慮しながら考えていかなければならない、その点については、先生のおっしゃるとおりだと思います。
#460
○伊藤(忠)分科員 どうも、わかっていただいておりながらすれ違っている感じがするのですけれども、寝たきり老人の電話がありますな、「あんしん」ですか、それを一つ例にとりますが、これだったら、寝たきり老人の方がどんどんとふえた場合には、その電話を望まれる場合にはふやしていくということなんですね。こういうことと、車に乗って身障者が社会参加をする、そのハンディキャップを保証する施策として新たにつけ加えていこうということと、これは同じ次元で言ってもらうといかぬと思うのですよ。新たにスタートさせようというのですから、社会一般常識的などと言われたら、とてもじゃないけれども社会参加なんてどういうふうに保証するのかということになってくるわけでして、寝たきり老人がふえたり骨伝導の対象者がふえればそれはふやしていけばいいわけですよ、制度としてあるのですから。これから、そういう社会参加に対して新たなものを、移動体通信を福祉施策としてどう保証していくかというところを焦点にやっているのですから、そういう一般的な立場で言われたのではすれ違いが起こるわけです。
 だから、機器の開発については電電公社が、それは少し時間がかかるかわからぬけれども積極的に研究していこうと言われているのですから、おたくの方だって、財政措置のあり方について積極的に研究していこうと言われるのは当然だと思いますよ。でなければ、行革だからそれはだめだと言うのですか。身障者対策についてそこまで大なたを振るわれるとかそういう画一的なことでやられるのはよくないと思いますから、そういう考え方はお持ちでないと思いますが、そこのところの心というのですか真意を聞かしてくれないと堂々めぐりになりますよ。
#461
○正木政府委員 どうも繰り返しのようになりますが、やはり福祉施策として取り上げ、そして公的な助成を行っていくということになりますと、そのタイミングといいますか諸般の情勢を考慮しながらやっていかなければならないということは、先ほど来お答えしているとおりでございます。
#462
○伊藤(忠)分科員 すぐやってくれとか、そんなことでここで私が言質を求めてそうだそうだ、そんなことを言っているのじゃないのです。そういう機器の開発にしたって、正直、時間がかかります。しかしそういう時代がやってくるわけですよ。そのことがもうそこまで来ているものですから私は問題提起をしているわけでして、ですから、当然そういう財政的な補助の問題についても、新たな制度としてそれをこれからつくっていこうという前提なんですから、あなた、検討をしたいと言うことは当然でしょうに。すぐやりますなどと言ったら、それは財政が予算の関係で一体どうなるかという不安が残るでしょうけれども、私は検討してほしい、こういうふうに言っているのですから、それを否定されるということはないと思うのですが、どうですか。
#463
○正木政府委員 これも先ほどお答えいたしましたが、日進月歩の福祉機器の開発に即して、現状でこれですべて事足れりというような気持ちは持っておりません。そういった面についての福祉施策としての見直しもやっていかなければならない。
 ただその場合に、どういった普及状況にあるのか、一般国民生活との関係においてどうなのかといった点も考慮してやっていかなければならない。先生おっしゃいますように、今後の福祉機器の開発について、それに即した福祉政策というものもあわせて考えていかなければならないという気持ちは持っております。
#464
○伊藤(忠)分科員 わかりました。ですから、そういう中にこの問題も含めてひとつ研究、検討をしていくということでございますね。
#465
○正木政府委員 福祉機器の開発を望み、そして福祉機器の開発に即して身体障害者の福祉増進という面を図っていかなければならないという点については、私どももそういう気持ちを持っております。
#466
○伊藤(忠)分科員 どうもありがとうございました。
#467
○山下主査 これにて伊藤忠治君の質疑は終了いたしました。
 次に、矢追秀彦君。
#468
○矢追分科員 私は、最初に老人保健に絡みましての質問を申し上げたいと思います。
 老人保健法が成立をされますときに附帯決議がついておりますが、この附帯決議の中で歯科の問題につきまして言われております。まず、この附帯決議をその後今日までどのような形で実現してこられたか、お伺いしておきます。
#469
○水田政府委員 お答えを申し上げます。
 附帯決議には、一つは、老人の心身の特性を踏まえて診療報酬の改善を図りなさいということ、それからもう一つは、歯周疾患等に対するヘルスの導入に努めなさい、この二点があったわけでございます。
 まず、老人の心身の特性に見合った歯科診療報酬につきましては、附帯決議の趣旨にのっとりまして、老人の口腔の状態あるいは歯槽膿漏症等に関する指導の充実を図るために歯科口腔疾患指導料を創設いたしました。また、老人の場合は有床義歯を用いる場合が非常に多うございますので、着装後の指導の充実を図りますために有床義歯指導料もあわせて創設をいたしたところでございます。
 次に、歯科に対するヘルスの問題でございますが、歯槽膿漏を防ぐいわゆる歯周疾患の対策につきましては、健康教育あるいは健康相談の中で取り上げますほか、健診事業につきましては、その方法を確立しますために、調査事業として地方自治体が行います事業に対する助成を行っているところでございます。
#470
○矢追分科員 それでは余りにも漠然としておりますので具体的に伺います。
 これは五十七年八月九日、衆議院社会労働委員会における再送付後の附帯決議でございますが、ここでは「老人医療のうち、歯科における加齢による咬合障害を伴う欠損補綴の取扱いに対しては、特に改善を図るとともに」とありますが、これがどうなったか、今回の点数改正にどれだけ反映されてきたのか。私は、今回の点数改正は評価する面もございますが、不満な面もございますので、その点を率直にお答えをいただきたい。
 次に、「歯科保健事業の確立と歯周病等に対する歯科健診の導入に努めること。」について。
 歯周病についても、これは何も老人だけではなくて、もちろん若い人にもあるわけでございますが、この歯周病というものを一つは成人病という立場でとらえての施策といいますか、そういうことを考えますと、今回の点数改正において相当大幅な改正があってかなりの前進をしたことは評価をいたしますが、いわゆる旧来のやり方と新しいやり方のギャップといいますか、今までやってこられた先生たちの立場、特に開業医の立場から見ますと、これは病院とか大学の附属病院であればできるが、実際開業医によってはちょっと大変ではないか、こういうふうな意見もあるわけでございまして、その点を一つずつ具体的にお願いしたいと思います。
#471
○水田政府委員 附帯決議の中にございます欠損補綴の取り扱いにつきましては、有床義歯指導料ということでその取り扱いを図っているところでございまして、今回の診療報酬の改定に当たりましては、従来の有床義歯歯科指導料の内容について合理化、改善を図ったところでございます。
#472
○矢追分科員 どういうふうに合理化、改善を図ったのですか。
#473
○水田政府委員 着装後一カ月以内には簡単なものにつきましては七十点、困難なものについては二百点、それから、一カ月を経過した後につきましては五十点を付加するというようにいたしたわけでございます。
#474
○矢追分科員 簡単にはなりましたけれども、実際は点数の上から見たら減っている方が多いわけです。それから、二百点以上は変わっていませんが、簡単なものは七十点。今までは五つに分かれておったのを二つにまとめた。いいように見えますけれども、これは実際は下がったんじゃないかと言う方もいらっしゃるわけでして、その点はいかがですか。
#475
○水田政府委員 これは中医協で十分御審議いただきまして、従来の区分が余りにも複雑過ぎるということで、専門団体とも十分御協議を申し上げましてこういう措置をとらせていただいたということでございます。
#476
○矢追分科員 この問題は、私の意見として申し上げておきますが、どうも診療抑制ばかり考えているような気がしてならぬわけでございまして、その点はもう少し合理的な答弁をしてもらいたかったと私は思います。
 もう一つ、私の申し上げた後の方の歯周病、歯槽膿漏について。
 今度の保険の改正は、簡単に言いますとちょうど新幹線と在来線と両方走らしているようなものです。新しいやり方を導入して、これは非常に結構なことで私は評価をいたしますけれども、在来線を走っておった人たちの立場からいいますと、新幹線というところまではまだ専門的でない。もちろん今、歯周病専門の先生もだんだん若い人の中ではふえてきておりますが、開業医の場合にそれ専門となるとまだ大変でございますので、やはり大学病院とか大きなところになっているわけでありまして、そういう意味で、今まで開業医を一人でやっておられたような先生の立場から見ると、今回の改正というのはちょっと厳しいんじゃないか。特に最初の指導料というのが入りましたね、この辺はどうなのか。その点はいかがですか。
#477
○幸田政府委員 お尋ねの歯槽膿漏症の問題でございますけれども、今回は御案内のとおり、治療計画に基づく場合に行う診療行為について特に重点的な評価を行ったところでございます。治療計画に基づかない診療行為についても技術料の引き上げを行ったところでございまして、例えば、治療計画書に基づく場合について申し上げますと、従来歯周ポケット検査、歯間離開度検査合わせまして二百九十点でございましたものを、歯周組織検査を四百点に引き上げる、あるいは歯石除去につきましては三十六点でございましたものを九十点に引き上げる、それから治療計画書に基づかない場合につきましては、歯石除去の場合について三十六点を五十点に引き上げる、そういったような改善を図ったところでございますが、診療報酬の合理化、特に技術料の評価の問題につきましては、引き続き中医協の御審議を踏まえまして対処してまいりたいと考えております。
#478
○矢追分科員 だから、私の質問にはまだ答えてもらっていないですよね。その点はいかがですか。要するに今までの、どちらかというと新しい治療にはなじまないような先生から見ると、それは点数は上がっている面はあるかもしれませんけれども、特にこの口腔衛生指導料なんが入ってきて、ある程度期間を置いてそれからというようなことですから、その点はいかがですか。
#479
○幸田政府委員 各種の指導料につきましても、治療計画に基づく場合と治療計画に基づかない場合とに区別をいたしたわけでございますが、先生御指摘のとおり、新幹線と在来線を走らせているとおっしゃる比喩、まさにそのとおりだと存じますけれども、いずれの場合につきましてもできる限り技術料の適正評価を今後とも図っていきたいと考えているわけでございます。
#480
○矢追分科員 一度実情をぜひよく調べていただいて、そういう不満が現実にあるわけでございますから、善処方をお願いしたいと思います。
 それから次にお聞きしたいのは、いわゆる老人の医療費の動向、これは大体の細かい数字はいただいておりますが、傾向として今どうなっておるのか。その老人の中におけるいわゆる入院、それから入院外、それから歯科、いわゆる一般の医科と歯科との比率、そういった点も含めてお答えいただきたい。
#481
○水田政府委員 お答えを申し上げます。
 一番新しい五十九年十一月のデータで申し上げますと、老人の合計は二千九百十九億円でございますが、これを一〇〇としますと、入院は五六・五%のシェア、入院外が四〇・七%のシェア、歯科が二・八のシェアとなっています。これに対しまして全体は、いわゆる一般でございますが、一兆三百七十六億円でございまして、これを一〇〇といたしますと、入院が四二・三%、入院外が四六・〇%、歯科が一一・七%、こういうシェアになっております。
#482
○矢追分科員 一般では今言われたように歯科のシェアが一一・七あるにもかかわらず、老人になると激減をした二・八という数字になっておるのはどういうわけですか。
#483
○水田政府委員 老人医療費全体の中に占めますところの歯科医療費の割合が一般に比べて低くなっておりますのは、老人の場合の一般医科は、老人の心身の特性から申しまして、七十歳以上の者の有病率は全年齢平均の三・五倍でございますし、特に老人の疾患の中心をなします成人病の有病率は全年齢平均の約六倍になっておる、なかんずく入院につきましては全年齢の二倍近くとなっておる、ここらあたりが結局、一般医療のウエートが歯科に比べて高くなっているということではないかと考えております。
#484
○矢追分科員 入院は確かに多いことは事実ですから、これが大変な数字はわかりますが、これを外した場合、外来全体に占める歯科――歯科の入院というのはほとんどありませんから、口腔外科で一部ある程度でして、少ない。入院を外してやりますと大体どれくらいになりますか、大体五%ぐらいじゃないかと思うのですけれども。
#485
○水田政府委員 七%程度であろうかと思います。
#486
○矢追分科員 私も細かい計算をしておりませんが、私の前のデータでいきますと大体五ぐらいになるのですね。これは今五十九年十一月と言われましたが、いただいておりませんので、それでは計算しようがありませんでした。いずれにせよ非常に低いわけです。
 その理由は言われたようなことがあって、わからないでもありませんが、そういう意味から考えましても、これだけ附帯決議もついておるわけでございますから、いわゆる老人の歯科――義歯の問題だけではなくて、特に私がさっきちょっと申し上げた歯槽膿漏というのは成人病であると言ってもいいぐらいのものだと思っております。したがいまして、こういうことを含めまして、保険の点数を中心といたしましてもっと充実をしていってもらいたい、こう考えるのですが、そういったことはもう一切今の比率で結構です、こういうふうに言われるのか、その点はいかがですか。
#487
○水田政府委員 私ども老人医療における歯科疾患の重要性は十分認識いたしているつもりでございまして、私ども中医協で十分審議をしていただき、その意見を踏まえて診療報酬の改定をこれまでも行ってまいっているところでございますし、今後もそういう意味合いにおきまして中医協と十分御相談させていただきながら、適切な診療報酬のあり方というものを決めてまいりたいと思っております。
#488
○矢追分科員 これから高齢化社会でございますからますます重要になりますので、ぜひこれは大臣もひとつ特段の御関心をお持ちいただきまして、よろしくお願いしたいと思います。
 次に、同じく老人問題で、痴呆性老人についてでございますけれども、この問題は大変深刻で、予算委員会総括質問や一般質問でもしばしば取り上げられてきたわけでございますが、私は特に痴呆性老人の予防についてお伺いをしたいと思いますが、その前にまず痴呆性老人、いわゆる痴呆性というのは病気という判断をされておるのか、いわゆる自然の老化現象の一つであると判断をされておるのか、厚生省としてはどういう定義を持っておられるのか、まずそれからお伺いしたい。
#489
○水田政府委員 痴呆の原因はいろいろございまして、その中心をなしますのは脳血管性痴呆でございまして、いわゆる脳卒中の後遺から来るものが中心になっております。それから、そのほか原因不明のアルツハイマー、そのほかアルコール性痴呆等がございまして、私どもは病気であるというふうに考えております。
#490
○矢追分科員 特に脳溢血による場合でありますと、これは脳溢血を起こさないような施策をやる。そのために老人保健法でもいろいろなことをやっておられるわけでありますが、いわゆるそういうものでない、言うなればどっちかというと年老いてだんだんなってくる、今言われたむしろ後の方のこちらの方がこれからは非常にふえてくると私は思うわけです。また現に、非常に健康で別に脳溢血もない、ほかに身体には病気はないのにいわゆる痴呆性というのがだんだん進んできて、物忘れだけならいいのですけれども、これは精神的な面もあると思いますけれども、その辺の精神的な面との絡みがこれから非常に難しいと思うのです。といってこの人たちをすぐ精神病院へというのは家族としてはぐあいが悪い。
 それだけに、私がさっき言ったように予防といった面に力を入れていただきたいというわけですが、いわゆる後者の面についての取り組みはこれからどうされていくのか。今施行されておる老人保健ではまだまだその点はちょっと足りないのじゃないか。まずその辺、足りないという点はお認めになるのかどうか、それから今後どうされていく方向なのか、その点をお伺いしたいと思います。
#491
○水田政府委員 現在の老人保健法は医療とヘルスの面を分担いたしているわけでございまして、今先生の御指摘の面につきましては、現在の老人保健法のみで十分であるというふうには考えておりません。社会福祉の施策と十分有機的に連携をとりながら対応をしてまいらなければならぬ問題だと考えております。
#492
○矢追分科員 その点もう少し具体的に、一つはボランティアの問題もあると思いますし、それからいわゆる健診は受けられるわけですが、そこにそういった面の項目をふやすなり何かしていかなければいかぬと思うのですが、その点はいかがですか。
#493
○水田政府委員 私ども六十一年度に老人保健制度の見直しを考えているわけでございまして、先生の御指摘の点等も制度見直しの際に専門の審議会等で十分検討もしていただき、必要なものは施策の中に私どもの制度としても取り入れてまいるように.努力したいと思っております。
#494
○矢追分科員 最後になったらいつも審議会、審議会、こう言われるわけですが、やはり方針を持って審議会に諮問をしなければならぬわけでございますので、今六十一年度見直しということでございますから、大体そういったようなものをまとめ上げる、少なくとも来年度の予算の概算要求までにはまとめ上げなければならぬと思いますが、非常に幅の広い問題でもございますし、大臣、その点はいかがですか、ひとつ御所見をお伺いしたいと思います。
#495
○増岡国務大臣 御指摘のように、痴呆性老人にしましても、予防するということがやはり本来目指すべき作業であろうというふうに思っておるわけでございまして、それらの課題をいかに克服し、またそういう対策を行いましても、それをすべて解決するというわけにはまいらないかと思いますから、対策を講じた後やむを得ず寝たきりや痴呆性になられた老人に対しましても、今後の高齢化社会ということを考えますと、まず第一番に着手しなければならぬ大切な福祉政策であると考えておりますので、極力力を用いてまいりたいと思います。
#496
○矢追分科員 高齢化社会、特に痴呆性老人なんかを一つ取り上げますと、これは高齢者の問題よりもむしろちょうど私くらいの世代、私は今五十一歳ですから、大体五十代、四十代後半から五十代ぐらいにかけて、あるいは六十代になるかもわかりませんが、この辺が一番身につまされているところだと思いまして、そういう意味では何かお年寄りの問題であるというとらえ方ではなくて、自分の問題、今の世代の問題、今度はまだその次の世代の人たちの問題ということになりますので、余りのんびりしておれるような状況にない、こう思います。それで、来年の見直しが一つのチャンスとされるなら、今年中に専門家を集め徹底的に知識を結集してぜひお願いしたいと思います。
 最後に医療費の問題についてお伺いしたいんですが、医療費が伸びている、伸びているということで、医療費を抑えるというので一割負担が導入されて、この一割負担のおかげで患者さんは減った。いいのか悪いのか。乱診乱療が減ったというならいいのですけれども、早期発見、早期治療まで影響が出ておる。このことはもう現実ですし、もう一つお医者さんが今非常に困っておられるのは、つり銭の十円玉を余計用意しなければならぬ、そのためにはスーパーの入り口のような機械まで買わなければならぬ、女の子も一人は雇わなければならぬ。例えば二百点とかそういう細かいのが多いのは、歯科も多いですし、耳鼻咽喉科あるいは眼科、そういったちょっとした治療を続けなければならぬところは小銭が非常に必要になる。こんなことで混乱を招いておりますが、そういう一部負担導入に伴ういろいろな実態をちゃんと把握されておるのかどうか、またそれをどう改善しようとされておるのか、それが一点。
 医療の適正さを厚生省としてはどう考えておられるのか。いろいろな目安があると思うのです。国民所得の面から見ますと、まだヨーロッパよりは日本は低いのです。例えばアメリカは一〇・一五ですね、いわゆる国民所得分の医療費。それから西ドイツは九・九五、フランスが一〇・三八、イギリスは七・一八、日本は六・五五、こういう面から見ると、日本人はまだまだ医者にかかっていないと言えるわけです。これは健康だからかかっていないなら非常にいいんですが、そうではない。そういった意味では、確かに伸び率は高くなっているからある程度鈍化させなければならぬことは私も認めますが、だからといって何でも抑え込んでしまえばいいか、だから医療費の適正はどこら辺にあるのか、どういう見方をすればいいのか。防衛費はGNP一%なんて大議論をされておるわけですが、医療費の場合はGNP比あるいはこういった国民所得比ということは余り議論にならぬで、ただ伸び率はかり追いかけて十五兆になったからどうのこうの、そういうことばかり言われておる。その点は一つの目安というものもきちんと決めてかからなければいけないのではないか、こういうふうに思いますので、二点、一割負担導入後の現状把握、今後の指導、それから医療費の適正はどういうところにあるのか、その点をお伺いして終わりたいと思います。
#497
○幸田政府委員 第一点の健保法改正後の状況でございますが、現在、私ども昨年の十月から十二月までの三カ月間の状況を把握いたしておりますが、政府管掌健康保険で申し上げますと、一人当たりの医療費は、前年の同月に比べましてこの三カ月間平均で本人につきましてはマイナス一二・九%、それから家族につきましては一・三%の増加となっております。被用者保険その他国民健康保険、全体の医療保険にさらに老人保健を加えました医療費総額では、この三カ月間平均で対前年同月比一・九%の増加になっております。こういった本人のマイナス現象につきましては、私ども制度改正後における三カ月間のデータでございますので、もう少し模様を見ませんと長期的な影響については評価ができないのではないか、こういうことを考えているわけでございます。
 それから二番目の医療費負担の問題でございますが、医療費負担の問題は実は費用負担、保険料負担と裏腹の問題でございます。日本の場合には、諸外国と異なりまして、特に高齢化のスピードあるいは高齢化の割合が非常に高まるわけでございまして、年金の負担が非常にふえてまいりますから、そういった問題も考慮に入れなければならないというのがヨーロッパ諸国と若干違うところであろうかと思いますが、私ども、いずれにいたしましても、政策目標といたしまして医療費の問題につきましては、国民所得の伸び率程度に医療費の伸び率を維持していきたい。そうは申しましても、老齢化、高齢化がかなりのスピードで参りますから、若干の上昇があるかと思いますが、そういったところを政策目標にいたしているということでございます。
#498
○山下主査 これにて矢追秀彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、田中慶秋君。
    〔主査退席、小杉主査代理着席〕
#499
○田中(慶)分科員 私は、地域医療問題を含めながら、これからの国立病院のあり方等々を含めて質問をさせていただきたいと思います。
 御案内のように、今の医療のニーズというものは、それぞれ多くの国民から期待をされると同時に、多様化されていることは事実であります。こういう中で、救急医療体制というものが今大きく叫ばれておりますし、地域医療というものが重要視されているわけであります。そういう点につきまして、国立病院というものの存在価値、あり方というものは、少なくともこれらについて第二次応需、三次応需を含めながら十二分に地域との連携を含めて発揮しなければいけない問題だろうと私は思います。これらについてどのように認識をされているのか、最初にお答えをいただきたいと思います。
#500
○大池政府委員 国立病院は種々の機能を営んでいるわけでございますが、ただいま御指摘のございました救急医療につきましても非常に重要な役割を演ずべきものと考えておりまして、これまでにも地域の実情に応じまして、またその国立病院の持っております能力に応じまして積極的な対応に努めているところでございます。特に国立病院の場合、地域の医療機関の中で先導的、先駆的役割ということも期待をされるわけでございまして、私どもといたしましては、救命救急センター等を初めとする第三次救急医療というようなものも大いに力点を置いてこれまで整備に努めてきたところでございます。
#501
○田中(慶)分科員 今局長から救命救急センター、救命救急という形の中で二次、三次応需の問題を含めてそれぞれ整備をされてきた、こういう御答弁をいただいておりますけれども、まさしくこれらに対しての努力は認められますが、せっかく制度をつくっても現実にその制度が十二分に運用されていなければ仏つくって魂入れず、あるいはまた今行政改革を推進している中で、現実問題としてこれらの問題というのは大きな地域医療としての関心の的でありますけれども、国立病院の中にはせっかくそれだけの設備をしたりあるいは条件をつくっても、現実にはその機能が十二分に発揮されていないところがあるわけであります。その辺について認識されているかどうか。
#502
○大池政府委員 それぞれの国立病院の実情に応じて最大限の努力をしているものと考えております。
#503
○田中(慶)分科員 少なくとも局長という立場である以上、私はもっと国立病院の問題についてそれぞれのネットワークを張りながら関心を持っていただきたい。
 実は、横浜にあるある国立病院は、せっかく救命救急センターという御指定をいただきながら、地域のそれぞれの医療機関とのいろいろな問題を含めながらまさしくその機能が十二分に発揮されていない、こういう問題がございます。これらについて認識しているかどうか。
#504
○大池政府委員 ただいま御指摘のございました国立病院につきまして救命救急センターとして機能づけをいたしましたのは昭和五十五年度からでございますけれども、それからの実績等を見ますと、同病院としての役割は一生懸命果たしてきているというような実績を上げているというふうに見ております。
#505
○田中(慶)分科員 それは局長の立場で局長の傘下にある、こういうことを踏まえますとその辺の答えしか出てきてないわけでありますが、現実問題としてそれぞれ地元の医師会やあるいはまたそれぞれの形の中でお互いの信頼関係というものが失われているわけであります。少なくとも病院というのも組織で動いているわけでありますし、これらの問題を含めながら、私はもっと十二分に機能というものを発揮していただきたい。せっかく国立病院というものが設置をされ、長い間の伝統で培われてきました。しかし現実には、それぞれの重患やあるいはまたそれぞれの大きな合成人病と言われるような問題を含めて考えるならば、それぞれの患者がほかの病院に回される。いや、あそこへ行っても大変それぞれ将来不安であるから大学病院に回すとか、私大病院に回すとか、これが実態なんです。そういうことを踏まえて、私はその辺に対しての改善が必要であろうと思いますけれども、あなたの考え方でするならば、今現実にスムーズに運営をされているというようなニュアンスで話をされております。私は現状は違うと思いますけれども、その辺についていかがでしょう。
#506
○大池政府委員 言われましたように、地域におきます医療を確保する上で医療機関間の相互の連携、信頼関係は大変大切なことだということについては私どもも全くそのとおりだと思っております。それぞれの国立病院、その重要性をよく踏まえて対応しておるわけでございますけれども、個個の施設ごとに問題等がある場合にはそのようなことのないように指導はしていきたいと思っております。
#507
○田中(慶)分科員 実は国立病院の中で、昨年母子医療センターというものが設置されたところがございます。私は、この制度は今までの厚生省として長年の、それぞれの長い間の懸案として何年か年次ごとに追ってきましたから、それはそれなりに評価をいたします。しかし、もう現時点においては母子医療センターよりもむしろ老人あるいは成人病的な要素を含めた専門的な知識やそういう形の整備というものが必要ではないか、こんなことを昨年申し上げたわけでありますけれども、しかし、現実には何とかそれをという形で建てました。しかし、その機能が十二分に発揮されているならばともかくも、ほとんど発揮されておりません。そして地域のそれぞれの二次応需、三次応需に相当する子供たちは国立病院で診ていただけない、あるいはまた大変難しいものはという形の中で県立こども医療センターに全部それぞれ入院がされる、こういう現況を見たときに、大変むだなお金を使っているのじゃないか、私はこんなふうに思います。あるいはまた設備の中においても、例えば七千万も一億もするような顕微鏡をそろえても現実には十二分に発揮されてない、オープンセレモニーをわざわざテープカットまでやって、現実にそういう問題もございます。あるいはまた、中にはいろいろな問題が山積されているわけでありますけれども、地域医療あるいはまた医療というものがいろいろな形で叫ばれているときに、こういう問題をどのように受けとめていられるのか、私はまた今運営されているところに大変疑問を持っているわけですけれども、その辺についてどのように認識をされ、そしてまた改善があるならばどのように改善しようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#508
○大池政府委員 一般論として申し上げますと、ただいま御指摘のような母子医療センターでございますとか、あるいは特別の診療機器を整備するというような場合に、地域の医療との関連というものを十分踏まえまして必要な関係者との協議とかあるいは実態上同意をいただくとか、そういったような手順を踏んで対応しているのが国立病院の実態でございます。
 御質問の点が特定の国立病院のことを指して言っておられるやに承ったわけでございますが、その件について調査いたしましたところ、電子顕微鏡を購入いたしましたのは二月でございますし、母子医療センターの発足は一月ということで、まだ本年発足して間もないわけでございまして、今後の運営に当たりましては、御指摘のようなことを踏まえまして十二分に連携をとりながら進めていくようにいたしたいと思います。
#509
○田中(慶)分科員 母子医療センターは昨年できたんですよ、ことしの一月ではありません。もう一年経過しているわけです。そういう点ではやはりそれぞれの問題というのは的確に認識をしていただきたい、こういうふうに、思いますし、顕微鏡が入ったのもことしの二月じゃありません。そういうことを含めてやはりその辺は明確にちゃんと把握をしていただきたい。ですから、上の人たちは現場のことを余り知らない。はっきり申し上げて私はそのそばに住んでいるわけです。いろんな問題があって陳情も苦情もたくさん来ているわけです。ですから、地域医療としての役割を十二分に発揮していただきたい、私はこんなふうに思うのです。
 私は、病院を経営される、組織を経営されるというのははっきり申し上げて人だと思うのです。それぞれの連携あるいは医師会との連携とかいろんなことを含めてその辺は十二分にやられているかどうか、その辺の認識をお聞かせいただきたいと思います。
#510
○大池政府委員 一般的に申し上げますが、病院の地域におきます関係は、地域を離れての病院というのはありませんので、当然に地域の関係方面との連携ということはそれぞれの立場においてよく認識して対応する必要があるというようなことは同感でございます。
#511
○田中(慶)分科員 一般的な話をしているんじゃないのです。今、具体的なことをあなたに申し上げたでしょう。それぞれの設備の問題も、そしてまた組織というものはそういうことなんだから、もっとそういうことを含めてちゃんとしていただきたい、こういうふうに思うし、やはり一番問題なのは医師会なり地域との連携なりコミュニケーション、こういう形でやっていかなければいけない、私はそんなふうに思うのです。そしてまた、信賞必罰とか、いろいろなこともありますから、いろんな形の中で一私は人事権は持っていません。しかし人事権を持っているのは当局ですから、いろんなことを含めて、人事の刷新もあるでしょうし、いろいろなことの対応もあるでしょうし、むしろ医師会とより連携を密にして医療行政というものはやっていただかなければ地域医療というものが本当によくならないと思うし、こういう点で、今現実問題として起こっているそれぞれの問題を明確に認識をされてそれに対応していただきたい、私はこんなふうに思うのですけれども、その辺はいかがでしょう。
#512
○大池政府委員 地域の関係方面との連携を重視して取り組むということは私どもも全く同じ考え方をとっているわけでございまして、具体的な事柄に応じて、問題等がある場合には私どもとしてもそれに対する指導は積極的に行うということは考えております。
#513
○田中(慶)分科員 私は、余り個人的な中傷はしたくありません。しかし地元の医師会、横浜医師会、県医師会、それぞれのところでトラブルを起こしているという、こういう問題が現実に浮き彫りにされている、こういうことを考えたときに、それらの問題を含めながらもっともっと、医療行政というものがこれだけ叫ばれておりますし、あるいはまた重要視されているわけでありますので、そういう点で指導監督の長たる人たちがこれらの問題を――私は、一年かけてこの問題を訴え続けてきているわけです。
 そして、去年の時点でもこの問題を取り上げようと思いましたけれども、はっきり申し上げて何とかひとつ皆さんで少しでもよくやってもらいたい、こんな精神から私はそれぞれのところにその問題について訴えましたが、現実には一向に改善されてない、こういう問題を含めて、そして犠牲者が出ているということも、私は、医療行政というのは、人の命にかえられないわけですから、そういうことを含めて申し上げているわけでございますので、その辺を含めてお答えをいただきたいと思います。
#514
○増岡国務大臣 国立の機関がその持てる機能を最大限に発揮するということは、やはり地域の関係機関との十分な連係プレーがあってなされることであろうと思います。したがいまして、今お話しのようなことが往々にして各地にあり得ることだろうと思いますけれども、そういうことに対しましては必要に応じて厳重に指導するように私からも指示を下したいと思います。
#515
○田中(慶)分科員 大臣からせっかくそのような御答弁がありましたので、私はそれ以上申し上げません。いずれにしても地域に対して生命財産を守る、こんなふうに考えられますし、地域の医療というものを大切にしていただきたい、こんなことから申し上げました。私、すぐそばに住んでおりますから、どんなことでもそういう形できめ細かく訴えられているわけで、そういう点でぜひそんなことを善処しながら今後の御指導をこれからもしていただきたい、こんなふうに御要望させていただきたいと思います。
 次に、私は、今大きな社会問題になっております産業廃棄物等の問題について質問をさせていただきたい、こんなふうに考えております。
 今御案内のように、産業廃棄物の定義というものは大変難しくなってきているわけであります。認知を考えますと、サービス業になってみたり、こんな形で産業廃棄物処理業としてのあるいはまた収集運搬業としての社会的な認知というものがされていないために大きな問題が出ているわけであります。そういう点で、それらについて今どのような考え方を持たれているか、冒頭にお伺いをしたいと思います。
#516
○竹中政府委員 今我が国の産業廃棄物は、御承知のように量的にもまた内容の点につきましても非常に多種多様化しておる。一方でまた最終処分場の確保等が大変難しくなっておるというような実情でございまして、産業廃棄物の問題、またその処理に当たっておられる方々の問題、こういった事柄につきましては、衛生行政の上で大変重要な問題であると認識をしておるわけであります。
#517
○田中(慶)分科員 今担当局長として大変重要に認識をされているという言葉でありますけれども、私は、今定義されている廃棄物の定義そのものに大きな問題があるんではないかと思います。そういう点では、今現実には一般廃棄物、産業廃棄物、こういう形の中で処理をされているわけであります。それぞれの関係の中で生活系廃棄物あるいはまた事業系廃棄物、少なくともこんな形で位置づけされたらどうだろう、こんなことを含めて私のところに多くの陳情、要請がございますけれども、局長さんとしてその辺についての見解をお伺いしたいと思います。
#518
○竹中政府委員 ただいま先生がおっしゃいました廃棄物を事業系廃棄物と生活系廃棄物に分けて考えたらどうだというお話、一つの整理の方法としてそういうことも考えられるわけでございます。ただ、現在の廃棄物処理法で一般廃棄物、産業廃棄物と分けておりますのは、特に産業廃棄物につきましては、事業場等で発生をする、事業場から出されるものである、しかもそれが大量に発生するものである、そしてまた廃酸、廃アルカリ等々のように定型的な処理になじむといったようなことから、一般廃棄物のような市町村による処理にはなじみにくいもの、そういうものを取り出して産業廃棄物として分類をいたしておるわけでございまして、処理のシステム等から考えますと、現在の一般廃棄物、産業廃棄物の分け方、これもまた適当なものではなかろうかと思っております。
#519
○田中(慶)分科員 今、産業廃棄物を初め廃棄物というのは大きな社会問題になっていることは事実であります。行政もそれぞれに対応しようとしておりますけれども、しかしこの問題は非常に新しくて古いような形の中で論議されてまいりました。しかし、その枠は自然と拡大されているわけであります。例えば従来道路補装やあるいはまた建築、ビル廃材等については産業廃棄物の指定を受けなかったけれども、昨今はそういう形になってまいりました。そういう点では、私は、それぞれの問題をいま少し――例えば国みずから廃棄物を出しているわけですね。例えば建設省もそうであります。あるいは自治体みずからそういう形になっておりますけれども、それは請け負った業者の問題という形で処理されてしまう。そういう点で、例えば最終処分地の問題一つとっても大きな問題が出ているわけであります。今、最終処分地が首都圏においては昭和六十二年ごろで満杯だと言われているわけです。そして、それぞれの行政もこれに何とか対応しようとして努力をされておりますけれども、社会的なニーズの中で産業廃棄物処理業あるいは収集、運搬、あるいはまた最終的な処分地が必要だということはわかっておりますけれども、しかし、受け入れ態勢が現実に持てない。各市町村がいろいろな形の中で、都道府県が局長のところの任命権者ということで厚生省の委任事務をされておりますけれども、しかし現実問題として、各市町村のすばらしい用地がそこにある、それは市町村の同意をとれといった形でまとまらない、これが実態なわけであります。
 今、国もフェニックス計画とか、それぞれの自治体がフェニックス計画、あるいは公社制度どうだとか、いろいろなことが前々から言われております。しかし、現実にこの問題はまとまっておりません。したがって、これが現実に還元できる、あるいは現実に実現できるような施策がこの辺で具体的に検討されることが必要じゃないか。こんな形の中でなぜ地方自治体は拒否反応を起こしているか。それは、地元の利益還元システムか何かを取り入れることによって多少は考慮できるんだという行政指導や何らかの根拠があって初めてそういうものが実現できると思うのですけれども、その辺に対する取り組みや考え方をお聞かせいただきたいと思う。
#520
○竹中政府委員 産業廃棄物は大変量がふえてきておりますし、今先生お話しございましたように、特に最終処分地の選定につきましては非常に苦労が多い点でございます。
 現在の廃棄物処理法の立て方は、先生も御承知のように、産業廃棄物というのはそれを処理する第一の責任者はそれを発生した事業者である、つまり事業者責任というものの上に現在の産業廃棄物の処理が構築されておるわけでございます。ただし、国全体あるいは地域社会として非常に重要な問題でありますので、お話のような第三セクターあるいは公社組織、あるいはフェニックス計画等々でいろいろ苦労をいたしておるわけでございます。特に住民との関係におきまして、一方で住民との関係を十分調整した上でこういう最終処分場等の設置をお考えいただくと同時に、とにかくどこかで始末をしなければならぬ、どこかに設置をしなければ我々の生活ができ上がっていかないということでございますので、一面で住民の方々にもそういった産業廃棄物の最終処分場の必要性といったことにつきましても十分御認識、御理解をいただくように努めてまいりたいと思っているわけでございます。
#521
○田中(慶)分科員 今局長が考え方を述べられましたけれども、例えば事業者責任。極端なことを言えば国みずからオーダーします、都道府県、地方自治体それぞれオーダーしておりますけれども、ではその責任はどこにあるのか。最終的にそれを受けた人たちがやらなければいけないわけです。そんなことをしていたらどこへ行ってもこれは平行線だと私は思うのです。ですから、そういう点で厚生省なりそれぞれの府県がこれを担当しながらやっていかなければ、これからの日本の産業がいろいろな形で技術革新で大きく変わっても、最終的にはこれは出ると思うのです。そんなことをしたとき、その受け皿がなくてどういう形をとれるか、私は本当に真剣に考えていかなければならない問題だと思うのです。
 例えば神奈川で発生しても、今千葉や福島まで持っていっているのです。こういう問題が現実にあるわけです。しかし、それもやがて嫌われてくるし、満杯になってくると思います。これであってはいけないと思うのです。ですから、先取りしてこの辺をやっていただかなければならないと思います。この辺を再度答弁いただきたい。
 時間がありませんから続いてやりますけれども、例えば、その人たちが百歩譲って処理場を一生懸命に建設しようといたします。しかし、現実には、例えば最終処理場の人たちはサービス業という前提で、中小企業の枠の融資の中で制限があるわけです。普通、これは大体五億も十億もかかる事業ですけれども、現実には一億程度の融資を受けるのに精いっぱいであります。
 こんなことを考えたときに、このサービス業としての資金運用という問題について、今コンクリートされておりますので、先ほど通産省の関係でも、もっと分析しながらこの辺について幅広い運用やそれぞれの問題について検討する必要があるのではないかと私は申し上げてまいりましたけれども、現実問題としてこういう矛盾があるわけでございます。法の規制で悩み、住民で悩み、さらに資金運用で悩み、しかしそれは必要ではないかというと、世の中で今一番必要とされているわけであります。私は、政府もあるいはそれぞれの指導に当たる局長のところでも、この辺をもっと具体的に検討されたり指導されたり、あるいはその資金の枠の拡大について努力される必要があると思いますけれども、いかがでありましょう。
#522
○竹中政府委員 産業廃棄物は発生した事業者がかなりのものを委託して、実際は産業廃棄物処理業者がやっていただくそのウエートがかなり高いわけでございまして、そういった意味で産業廃棄物処理委託を受けた処理業者の重要性というものも私どもは十分認識いたしておるわけでございます。
 そういった面で、現在まで税制上の問題あるいは融資の問題、こういったいろいろなものについても、できるだけ関係機関に優遇できる面はぜひ優遇してもらいたいということでお願いいたしておるわけでございます。
 産業廃棄物処理業者はサービス業のカテゴリーに入っておるわけでございますが、そういった中でも例えば公害防止事業団等の融資については特にこの点を重視してもらう、ある程度の優遇をしてもらっておる状況でございまして、今後もこの点の優遇措置にさらに一層の努力をいたしたいと考えております。
#523
○田中(慶)分科員 現実問題として、それぞれの民間委託をされているのが私のデータでは八七%近いのです。それぞれの資金というか事業場のところでやっているのは一三%程度ですから、そういう点では、この辺も現況に合った形の中で、少なくともこういう問題についての法の見直しとか融資枠の拡大あるいは認知の問題とかは検討しなければならないと私は思うのです。
 大臣、これは現実に本当に長いこと叫ばれてきているのです。しかし、現実問題としてなかなか、だれしもがサービス業そのものが不自然だと思うのです。でも、時間やいろいろな問題が今あってサービス業に認知されているならば、しかしその枠の拡大、現況に合ったようなことで広げるべきだと私は思うのです。その辺について大臣の答弁を求めるのも大変酷かもわかりませんけれども、恐らくこの辺は大臣の長い間の経験で御理解いただけると私は思います。いかがでございましょう。
#524
○増岡国務大臣 法的には排出者に処理の責任があるということになっておりますけれども、最終処分場の確保その他のことで処理業者が苦労しておられることはよくわかります。
 したがいまして、現実的にはむしろ処理業者の方が法的な責任を肩がわりしておるというようなことでございますので、その役割は大変大きいと思いますから、健全な発展のために税制金融上の措置にこれからまた一段と努力をしてまいりたいと思います。
#525
○田中(慶)分科員 時間が参りましたので、この辺で終わりますけれども、今、大臣が御答弁をいただいたような趣旨に基づいて局長さんのところでこれは本当にやっていただかなければ、これからももっと重要な問題が出てくると思います。ぜひその辺を考慮に入れてやっていただきたい、こんなことを要望して、私の質問を終わらしていただきます。ありがとうございました。
#526
○小杉主査代理 これにて田中慶秋君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
#527
○新村(勝)分科員 私は、最初に、今厚生省がお考えになっておる国立病院の再編の問題、再編というか統合の問題ですね、この問題についてお伺いしたいと思います。
 そこで、まず最初に国立病院の使命でありますけれども、これは第三次の、高度の医療を担当するというのが第一義だと思いますが、それと同時に、地域的な医療ニーズにこたえるという面も見逃すことのできない使命だと思います。そういう点で、まず国立病院の使命の問題について伺いたいと思います。
#528
○大池政府委員 国立病院の使命についてでございますが、これまで果たしてまいりました国立病院の役割、これはその時代時代の医療需要の状況、地域の医療供給体制の状況に応じて逐次変遷を遂げてきておるところでございます。現時点におきまして私どもの考えでおります国立病院の機能といたしましては、先般この問題をめぐりまして、国立病院・療養所再編成問題等懇談会という形をかりまして御意見をいろいろ賜ったわけでございます。その論議の中におきましても浮き彫りにされておりますのは、一つには政策的な医療、例えばがん、循環器等々の政策的な医療がございます。もう一つには、臨床に密着する研究の推進がございます。また、地域の医療関係従事者、医療関係の専門家に対する研修の機会の提供というようなこともございます。その他、今後国際医療協力の問題等がございまして、国の医療機関として、国でなければ十分にその機能が発揮し得ないであろう、こういうような点に着目して今後の国立病院の機能として重視、期待されているところでございます。
 それに対しまして、地域におきますところの基本的、一般的な医療につきましては、原則的な考え方としては、あくまでも地域の住民福祉という観点からしまして地方自治体の方でその医療の確保というものは考えていく方向に持っていくべきであろう、そういう意味において、国と地方とにおきまして医療機能の役割分担というものを逐次今後の医療整備の中で実現していくという方向を私どもとしては現在考えているところでございます。
#529
○新村(勝)分科員 国立病院の使命が政策医療、研究、あるいは当然この研究の中には医師の再教育というようなことも含まれると思いますけれども、そういったことを考えた場合に、やはりこれは地域的な考慮も、それからまた地域に対する医療のニーズ、これも絶対に無視することのできない要因だと思うんですね。ところが、今政府の考えておる病院の再編というのは、いわゆる国立医療機関の整理合理化というところに重点が置かれているような気がするわけであります。そういう方向で、今、地域の国立病院が再編統合されようといたしておるわけでありますけれども、そういう点について、地域との関係、それから地域の医療に対するニーズの関係、これが絶対に無視をされてはいけないと思うのでありますけれども、その点についてはどういう御配慮がありますか。
#530
○大池政府委員 地域の医療ニーズというものが地域の医療確保の上で当然に重大な要素であることはもう御指摘をまつまでもございません。ただ、国の医療機関にふさわしい機能という観点からいたします地域、これは相当広域的な地域というようなとらえ方から考えていくものであるということでございます。それに対して、先ほど申し上げました基本的、一般的医療というのは、これはもうそれぞれの相当狭い地域というようなものを指して申し上げたわけでございます。
#531
○新村(勝)分科員 地域の広さということだけではなくて、そこの人口密度なり、要するに医療に対するニーズの高いところ、あるいは低いところ、それから現在の医療機関の人口に対する割合ですね、現在の施設が多くあるか、あるいは少ないか、こういう配慮も当然なされなければならないと思うわけです。しかも、この施設というのは、研究あるいは高度の医療をすると同時に、一定の病床も持ち、患者に対する治療、患者を収容して治療するという面があるわけでありますから、医療機関としての患者を収容して治療をするという機能も同時にあわせ持つはずであります。
 そういう点からしますと、例えば千葉県の北部あるいは埼玉県というように、全国的に見ても医療機関の数が非常に少ない。千葉県の場合には、県全体で考えてみても、医療機関の人口に対する比率は、ベッド数においても、あるいは医師数においても、全国で下から二番あるいは三番というところです。しかも、県全体でそうでありますけれども、千葉県の北部だけについて見れば、恐らく全国一医療機関が少ない。ベッド数においても医師数においても少ない、こういう地域であるわけであります。ところが、そういう地域の中における国立病院が今極端な整理統合をされよう、こういう事態に直面をしておるわけであります。こういう地域のニーズなりあるいは人口なり医療機関の数なり、こういったものも当然配慮に入れていただかなければならないと思いますけれども、その点はいかがでしょうか。
#532
○大池政府委員 御指摘の点は私もごもっともだと思うわけでございますが、地域におきます人口の状況あるいはその年齢構成の問題でございますとか、あるいはその地域に分布しております医療機関のそれぞれの持っている機能の実態とか、こういったことを、もちろん計画を具体的に個別に詰めていく段階では十分織り込んで検討することになるわけでございますけれども、先ほど来、一般論として申し上げておりますのは、そういった地域におきますいろいろな要素を含めて検討するに際して、国の受け持つ役割の重点は、これまでの量の拡大というような流れではなくて、むしろ質の強化という方にウエートをかけるというところに特色があるわけでございます。
 それで、もちろん全国、地域によりまして、人口との対比におきまして濃淡があるわけでございますけれども、そういった量的な観点からするきめ細かい地域の病床の確保というような問題につきましては、基本的、一般的医療というものにつきましては、やはり地域住民福祉という観点からする地方自治体がそれを主として確保の面で責任を負う。国はもう少し広域的な観点に立って、先ほど申し述べましたような政策的医療、研究、研修等の国らしい行動、機能を整備する、こういったような役割分担の方向に再編成を持っていくべきではなかろうか。この点は先ほど触れました再編問題の懇談会におきましても、皆さんのほぼ一致した御意見とも私どもは理解しておるところでございます。
#533
○新村(勝)分科員 第一次医療については主として民間、第二次医療については今おっしゃったように自治体が担当すべきだ、第三次についても一部は自治体が担当すべきだというようなお話でありますけれども、自治体にはそういう力が、今ないわけですよね。大都市、五十万あるいは六十万という大都市は別としても、一般の自治体に、都道府県は別にすると、第一線の自治体にはその力はない。また、中間団体である都道府県にも、例えば千葉県の場合では、全県下にわたって第二次医療あるいは第三次医療を担当する要員を配置することは極めて困難だ、新設をすることはほとんど不可能という状況であります。こういう中で、第一線の自治体、市等においては、みずから市民病院をつくることは、これは非常に難しいということで、一部の自治体においては私立の大学を誘致をして、そしてこれにかえよう、こういう動きも出ているわけです。そして相当額の助成を私立大学にしてまで私立大学を誘致しようということでありますけれども、これは必ずしも行政の方法としては適切ではないと思います。国費を民間の大学に出すということ自体、一つ問題でありますけれども、しかしそういう問題はさておいて、目前の窮状を何としても打開をしていかなければいけない、こういうことで民間の大学に依存しようということでありますけれども、第二次あるいは特に第三次医療、地域と密接に関係のある高度医療については、これはあくまで行政が担当すべきものであって、民間の大学に依存する、あるいは民間の大学でこれを代替するということは正しい方向ではないと思いますけれども、そういう点についてはいかがですか。
#534
○大池政府委員 これから国立病院、療養所の再編成を具体的に検討していく段階におきまして、いろいろと煮詰めていかなければならない問題を多々含んでおると思いますけれども、それぞれの地域におきます地域の医療計画、それからそれをめぐる関係者の御意見等々十分吸収しながら、その地域に最もふさわしい形で役割分担が行われるということが一番望ましい方法であると考えておるわけでございます。
 具体的には、再編成、統廃合というような形もありましょうし、先生の御指摘の経営主体の移譲問題もございましょう。その手法等も個別の地域事情、その対象とすべき国の医療機関の現状等々から、どのような形態で再編成を行うかということは挙げてこれからの検討にまつ部分でございます。
#535
○新村(勝)分科員 千葉県のことばかり出して申しわけないのですけれども、千葉県は昔、軍の施設がたくさんありまして、したがって陸軍病院があったわけであります。この陸軍病院が戦後国立病院として地域に大きな貢献をしてきたわけでありますけれども、この病院が今整理統合されるということになりますと、その地域に大きな穴があくわけであります。しかも軍の施設を継承しておりますから敷地も相当広い、これから十分増設もできる、こういうせっかく恵まれた条件のもとにある施設が廃止をされる、あるいは統合されるということになりますと、これは地域の住民としても大変残念なわけであります。
 例えば柏の陸軍病院の後を受け継いだ柏の国立病院、これは先般御当局の御努力によって大改築、拡充がされたところであります。ここに最新の医療機器を配備すれば十分に第三次医療を担当できる、そういう条件があるわけでありますけれども、そういう施設については特別の配慮が願えるかどうか、お願いします。
#536
○大池政府委員 ただいま先生の例示なさいました病院につきましても、今後の検討でいかようにより適切な形を考えるかということを具体化するわけでございまして、現段階で直ちにその具体的な病院についてこれはこう考えるということはまだ申し上げる段階にございません。しかし、その際、例えば先生の御指摘にございましたように、今まで果たしてきた役割がある日それが統合されることによって空白になるのではないかというような御指摘もございますが、これはそれぞれの地域にとって大変大切な問題であろうと思います。
 そういったことにつきましては、先ほど申し上げました地域の基本的、一般的医療問題として関係する地方自治体と十分協議をしながら、そういう医療の確保の面で支障が起こらないように、十分相談をしながら合理的な計画を組み立てていきたいと考えております。
#537
○新村(勝)分科員 貴重な医療施設であり、医療資源でございますから、ぜひひとつその方向で御検討いただきたいわけであります。この施設は小沢厚生大臣のときに大拡張いたしまして、十分高度の医療にもたえられる、また地域の患者を収容して地域の医療の担当機関としても十分たえ得る条件にあるわけでありますから、特に御検討をお願いいたしたいと思います。
 次は、臓器の移植の問題、それからそれに伴う死の判定、死の定義の問題でありますけれども、臓器の移植については非常な進歩を遂げまして、いろいろ心臓を初め腎臓等については多数の例があるわけでありますけれども、これと密接に関係のあるのが死の定義の問題でありまして、従来の死の判定の基準をもってしては対応できない事態があらわれているということが言えるわけであります。
 そういう中で、今、死の定義をめぐっていろいろの論議が行われておるわけでありますけれども、既に世界の先進国の中で三十カ国以上が、従来の死の判断の基準ではなくて、新しく脳死の概念を確立して、これを死の判定に採用しているという段階でありますけれども、日本においてはまだそこまでいっていないという状況でありますが、この点についてはどうお考えであるのか、またこれからどういうふうにこの問題に対処していかれるお考えであるかを伺いたいと思います。
#538
○吉崎政府委員 脳死をめぐります諸般の事情につきましてお話がございましたけれども、どう考えるか、こういうことでございますが、私個人としては、人間の死を考えます場合に、個体の死、臓器の死、細胞の死、そういう三つの相を考えることができますけれども、脳死は医学的にはもうもとへ戻らない状況でございますから、私自身はこれはやはり死であると思うのでございますけれども、しかし、まだ臓器の死には至っておらないわけでございます。そこで、伝統的な死と比較をいたしますと大ざっぱに言ってしまえば時間の問題でございますけれども、しかし、これはその社会の持っておりますところの文化、長い間の習慣、そういうものによっておりますので、脳死を死として受け入れるかどうか、これは国民、社会、そういうところが納得することが必要であると考えておるものでございます。
 そこでこれからどうするか、こういうお話もございましたが、そういうことでございますから脳死の判定基準につきましては、しかし、しっかりする必要がある。昭和四十九年の脳波学会の判定基準がございまして、これは間違っておるわけじゃない、これでよろしいのでありますけれども、その後、時間もたちまして、また、いろいろな検査機械等の進歩もございますので、今これをもう一度厚生省の特別研究班で見直しておるわけでございます。一方、広く有識者の意見を聞き、各方面で議論をしていただく必要があると考えておりまして、生命と倫理に関する懇談会におきまして意見の交換をお願いしております。一昨年、その議事録を公表いたしました。また夏ごろまでには問題点を整理して国民的論議の種を提供いたしたいと考えておるのでございます。最近は報道機関におかれましても従前よりか脳死を取り上げておられる、また、国会議員の有志におかれましても議員連盟が結成されておる、そういうことで、これはやはり行政府が決めるものではなかろう、広く国民的納得で決めるものであろうと考えておるのであります。
#539
○新村(勝)分科員 従来の死の判定は医者だけがやるわけですけれども、その条件としては、呼吸の停止、心拍の停止、それから瞳孔の散大と三つの条件をもとにして医師が判定をするということですね、現在もそうだと思いますが。ところが脳死をもって死の判定の基準にすべきであるという議論が起こってきておるわけであります。これは臓器の移植に関連をしてこういう議論が起こったと思いますけれども、これについては確かに人間の生死を判断する問題でありますから、最大の慎重さを持っていかなければいけないということは事実でありますけれども、日本がこの問題について慎重過ぎるために、せっかく日本の医学技術が世界の最高のレベルに達しておるにもかかわらず臓器移植が非常におくれているということが言われておるわけです。それで、死の判断について軽率であってはならないわけでありますけれども、これはあくまで科学的に冷静に判断をすべき問題であって、感情の問題あるいは宗教の問題という側面を強調すると、これはいつになってもそういう決断がつかないわけでありますから、あくまで冷静な科学的な判断、総合的な判断に立って決定していかなければならない問題だと思います。この問題に逡巡をする余り、ほかに助けることのできる患者が一命を失うということがあるわけでありますから、そういう点は慎重ではあっても前向きに検討していかなければならない問題ではないかと思いますけれども、どうでしょうか。
    〔小杉主査代理退席、主査着席〕
#540
○吉崎政府委員 お話のように脳死は臓器移植と深いかかわりはございますけれども、これは一義的には死といかに対面するか、こういう課題であろうかと思います。したがって、医学的には確かに個体の死と判断できると私も思いますけれども、しかし、それはそれだけではいけないのだと思うのであります。その国民の持っております習慣、文化、そういうものとも深いかかわりがありますので、科学的技術だけではいけないのではないかと考えております。そこで先ほど申し上げましたけれども、広く各方面で意見の交換が行われまして一定の結論に到達することを期待しております。
#541
○新村(勝)分科員 国民感情も、また国民の宗教的な情操、受け取り方そういうものも時代とともに変わるわけですから、また科学の進歩に伴ってそういうものも当然変わっていくわけでありますから、そういう感情の変化あるいは宗教的な対応、そういったものを考慮しながら、この問題によって医学の最高の技術が制約されるという事実もあるわけでありますから、その両方の兼ね合いを考えながら、できるだけ前向きに検討すべきではないかと思いますけれども、大臣はこの問題についていかがですか。
#542
○増岡国務大臣 お話のように死そのものに対する科学的な判定あるいは基準というものは間もなくできることであろうと思います。しかし一面、臓器移植ということを急ぐ余り、先ほどからお話が出ております死そのものに対しての物の考え方の整理を怠ってはならぬと思うわけであります。私が思っておりますのは、いまだ日本国民の間に、科学的な判定のみによって死を容認するという風潮は、私どもが考えておりますより以上に薄いと思っております。したがって、そういうことが一般に認識されるためには、きょうのような御議論をいただき、また、与野党を通じて議員連盟その他もできるようでありますから、そういう場で御議論いただくことが、先生おっしゃるような結論を早く見出す方法であろうと思いますので、この上ともよろしくお願いを申し上げます。
#543
○新村(勝)分科員 次に、日本はかなり大量に血液、血漿を輸入しているという事実があります。この問題について、病気予防の問題あるいはそれこそ人道の問題、倫理の問題、そういったことから考えて、大量の血液を外国に依存するという事実は大変遺憾な事実ではないかと思いますけれども、その点はいかがですか。
#544
○小林(功)政府委員 今お話がございました血液製剤でございますが、これは大きく分けまして三つございます。一つは全血製剤、二つ目は血液成分製剤、三つ目は血漿分画製剤、この三つあるわけでございますが、前二者、全血製剤と血液成分製剤につきましては、これはおかげさまで、そのすべてを国内の献血で賄っております。ただ問題は第三の血漿分画製剤でございまして、これについてはその多くを輸入に頼っているというのが現実でございます。
 私ども、これについては以前から問題意識を持っております。特に近年、血漿分画製剤などを中心といたしまして血液製剤全体の需要が大変伸びております。それなりに国民の医療の面で貢献はしているわけでございますが、ただいろいろな問題がございますので、私ども既に血液事業検討委員会というものを設けまして、専門家の皆さんにお集まりいただきまして、例えば四百ミリリットルの採血をやりますとか、あるいはプラスマフェレーシスというものの導入、あるいは今御指摘になっております輸入に依存している血漿分画製剤のあり方、さらには血液製剤の適正使用といった非常に重要な課題について熱心に御検討いただいている最中でございます。この検討委員会の結論を十分踏まえまして、先生おっしゃるように国内の需要はできる限り国内の献血で賄うという方向で努力をしてまいりたい、このように考えております。
#545
○新村(勝)分科員 時間でありますから終わりますけれども、今の問題についても、これは外国から入れるということになれば、その前の過程がどういう処理の過程を経てきているかもわからないし、どういう管理がされているかも全くわからない。場合によっては病気伝染の危険もあるというふうな指摘もありますから、この点についてもできる限り国内で賄うことができる体制をつくるべきである。それからまた、それまでの間は十分に前の処理の過程あるいは管理の過程を検討、調査をされて、病気感染等のおそれが絶対ないように御努力をいただきたいと思います。
 終わります。
#546
○山下主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、中村巖君。
#547
○中村(巖)分科員 高齢化社会ということを迎えまして、その中で寝たきり老人であるとか痴呆性老人であるとか、そういう方の数というものが非常にふえたということから、現在、特別養護老人ホームの問題というものが脚光を浴びているわけでございまして、東京都におきましても、特別区長会であるとか、あるいは東京都の社会福祉協議会であるとかというところから特別養護老人ホームの整備の緊急性というようなことが強く言われているわけでございます。
 そこで、そのことについてまずお伺いをいたしていきたいと思いますけれども、最初に、東京都においてどのくらいの数の特別養護老人ホームがあり、収容者がどのくらいいるかということを厚生省は御存じでございましょうか。
#548
○正木政府委員 東京都の特別養護老人ホーム、昨年十二月末現在でございますが、東京都におきましては八十一カ所、定員にいたしまして約七千九百人というふうに承知をいたしております。
#549
○中村(巖)分科員 これは、東京都の場合におきましても大変にまだ特養ホームが足りない、こういう状況であると思うわけでありますけれども、特別養護老人ホームに収容するためには収客の措置というものが必要であり、収容の措置を現実に必要としているという人間がどのくらいいるか。それは言ってみれば入所の待機者であるということも言えるわけでありますけれども、単に入所の待機者であるというだけではなくて、本来的には措置をしなければならない人間というものがかなりいるはずでありまして、この収容定員、今お話しの七千九百名では東京都の場合、到底賄い得ないというふうに思うわけでありますけれども、厚生省のお見込みでは、東京都において収容措置を本来しなければならない人間というのはどのくらいおるだろうか、そのことを教えていただきたいと思うわけです。
#550
○正木政府委員 いわゆる特別養護老人ホームの入所待機者がどの程度おられるか、各県ごとにいろいろ調査をされておるわけでございますが、お尋ねの東京都の場合でございますが、東京都の調査によりますと、これは五十九年、昨年の十一月末現在で、なお千八百五十人ばかりの方がお待ちになっておられるというふうに承知をいたしております。
#551
○中村(巖)分科員 とりあえず待機者として千八百五十人ぐらいいる、こういう御趣旨でございますね。そういうふうに今伺いました、しかし、なかなかそれは自治体においても収容定員が足りないのだということであるならば、措置そのものをしないという、そういうこともあり得るだろうというふうに思うわけでございます。それと同時に、現時点でそのような数の待機者がおるということであるならば、これから高齢化社会はどんどん進むわけでありますから、今後ますますふえてくるということが考えられるわけでございまして、現に収容されている者も含めて、今後、昭和六十五年ぐらいまでの間にどのくらいの人たちが特養ホームに収容するべき人員になるだろうか、こういうことの予測というものはできますでしょうか。
#552
○正木政府委員 これは先生御案内かと思いますが、東京都ではこれも五十九年、昨年の十月に東京都総合実施計画というのをつくられたと承知しております。この総合実施計画におきますと、特別養護老人ホームについて昭和六十五年度までの整備計画というものを東京都として盛り込んでおるわけでございますが、六十五年度までになお八十カ所程度の特別養護老人ホームを整備したいというのが東京都のお考えのように承知をいたしております。
#553
○中村(巖)分科員 この特別養護老人ホームというものをつくります上においては国の補助があるわけでございまして、少なくとも建設費についてはその二分の一が国の補助である、こういうことでございますけれども、今年度、国におきましては、この特養ホームの建設補助のための予算というものは全体としてどのくらい計上されておるのでございましょう。
#554
○正木政府委員 特別養護老人ホームの施設整備費でございますが、これは児童関係の施設、身体障害者関係の施設、全部ひっくるめまして社会福祉施設整備費予算ということで計上をいたしておるわけでございますが、ただいま御審議いただいておる六十年度予算案におきましては四百二十五億円というものを計上いたしております。
#555
○中村(巖)分科員 そうなりますと、それは社会福祉施設全体ということでございますので、そのうちどのくらいが特別養護老人ホームの施設整備費に充て得るのかということは、まだ厚生省としてはお考えになっておらないわけでございますか。
#556
○正木政府委員 六十年度については、各県から社会福祉施設の設置要望というものがどの程度あるかというのを、そろそろヒアリングに入る段階でございます。全体の御要望というものを見きわめました上で配分計画を決めるということでございますが、一般的に申しますと、社会福祉施設整備費の中でも特に特別養護老人ホームにつきましては、これまでかなり重点を置いて整備を図ってきておるということでございます。
#557
○中村(巖)分科員 国の補助、これは施設整備費の二分の一、こういうことになっているわけでありますけれども、実際、特別養護老人ホームをつくる上においてどういう費用が一番多いかということになりますれば、現今の土地の値上がりという状況の中で用地費というものが非常に多いということは言えるわけであります。ところが、国の補助基準、補助基準というか補助そのものの規定が、用地費は補助をしないんだ、こういうふうになっているわけでありまして、それでは現実的にその特別養護老人ホームを設置する設置者の方では非常に困ってしまうということだろうと思う。なぜ国が用地費の補助ができないのかということについてお伺いをいたします。
#558
○正木政府委員 確かに社会福祉施設整備費につきましては補助の対象を建設費というものに限定をしておるわけでございますが、これはいろいろな考え方がございますが、やはり土地の場合にはそれが補助事業者の永久資産になるということ、それからやはり社会福祉施設を整備するに当たりまして、まず土地を御用意いただいた上で全国的にできるだけ多く整備を図っていきたいということから、現在、建設費を対象にしておるわけでございます。ただ、用地費につきましても、社会福祉法人等につきまして低利融資の道というものを別途講じておることも御案内のとおりだと思います。
#559
○中村(巖)分科員 施設整備費の補助の予算のことについて先ほど聞きましたけれども、社会福祉施設全般ということでありますが、昭和五十九年度の実績においては、この中で特養ホームに対してどのくらいの補助が出ているか。それは金額でなくて件数としてどのくらいの補助が出ているかということがおわかりでございましょうか。
#560
○正木政府委員 特別養護老人ホームでございますが、現在、施設数にしまして千五百二十二ほど全国であるわけでございますが、五十九年度で申しますと、ちょっと正確な数字はあれでございますが、約百カ所程度整備をされたというふうに記憶をいたしております。
#561
○中村(巖)分科員 そういたしますと、百カ所整備された、そのうち東京都の場合にどのくらい五十九年度で補助がされておるのか。それは東京都全体で五十九年度に建設された件数というものを見ればわかるわけでありますけれども、その数自体からいろいろ問題が起こってくるわけでありますが、正確な数でなくて結構なんですけれども、東京で昨年度、五十九年度まだ続いているわけでありますけれども、大体どのくらい建設ということになりましたのか、おわかりでございましょうか。
#562
○正木政府委員 先生、まことに申しわけないのですが、今ちょっと県別の資料を持っておりませんので早速調べまして、後ほど回答させていただきたいと思います。
#563
○中村(巖)分科員 それでは結構でございます。
 東京の方の計画というものを先ほど局長お話しになられましたけれども、昭和六十五年度までに八十カ所ほどつくりたい、こういうことでございます。そういうことになりますと、年間に十何カ所をつくっていかなければ追いつかないというような状況でございまして、これに対して国の予算上の補助の措置というものが可能かどうかということをお伺いしたいと思います。
#564
○正木政府委員 特別養護老人ホームを含めまして社会福祉施設の整備につきましては、国庫補助と、それから先生御案内の公益資金、競輪の益金からの配分であるとかモーターボート競走からの益金の配分であるとか、そういった補助の道もあるわけでございます。ここ五年間の特別養護老人ホームの整備を申しますと、大体五年間平均しまして百二十カ所くらいということで、年間にしまして定員の数で大体八千人程度ずつを収容するような施設をつくっております。
 先ほど申し上げましたのは東京都の整備計画ということで、これは東京都に限らず各県におきましてもいろいろな整備計画を持っておられるわけでございますが、私どもとしては、そういった計画をできるだけ反映できるような形で、これからの緊急度合いというものを加味しつつ整備を進めてまいりたい、また助成を行ってまいりたいという気持ちを持っております。
#565
○中村(巖)分科員 それから、この国の補助というものは、措置費についても国が十分の八補助をする、こういうふうになっているわけでございます。しかしながら、先ほどの施設整備費にしても措置費にしても、その補助の算定基準というものがあるわけでございまして、この基準が余り現実的ではないのではなかろうか、こういうふうな考え方があるわけで、現に、例えば国基準による施設整備の場合の所要額というようなものと各都道府県、東京都なら東京都の場合にその東京都基準というものとの間に乖離があるのではないか、そのために東京都の方では大変な超過負担になっているのではないか、こういうことでありますけれども、このことについて厚生省はどうお考えでございましょうか。
#566
○正木政府委員 超過負担の問題でございますが、かってそういう御議論もいろいろあったわけでございますが、施設整備の建築補助単価について申しますと年々改善が図られておりまして、五十九年度で平米当たり十四万八千五百円ということで、ほぼ実験価格に見合ったものになっているのではないかというふうに考えております。
 それから措置費でございますが、施設の運営費につきましても、入所者及び職員の処遇向上を行う観点から計画的にその改善を図ってきておりまして、これも相応の水準に達しておるのではないかというふうに全般的には私ども考えております。
#567
○中村(巖)分科員 今の点につきまして、厚生省基準、国基準ですね。国基準というものと地方公共団体の基準というものに実際の上で乖離があるかどうか、実勢価額を反映しているかどうかというのはまた次の議論でございますけれども、そういう乖離があるということについては御認識をされているのかどうか、いかがでしょうか。
#568
○正木政府委員 やはり国の補助でございますので、必要にして十分な施設基準というものが基本にあるわけでございます。補助単価につきましても先ほど申しましたとおりでございますし、補助の基準面積でございますが、これも五十六年度以降、一人当たり二十六平米ということで、これも改善が図られてきております。国の補助はそういうことになっておりますが、地方公共団体で独自のお考えでさらによりよいものにする、そういうお考えをなさることはもちろん許されるわけでございまして、そういったものと国の補助基準を比較いたしますと、あるいは乖離があるというふうに考えられる場合もあると思いますが、全国的に平均的に見ますと、一応の水準に達しているのではないかというふうに私どもとしては考えておるわけでございます。
#569
○中村(巖)分科員 もう一つ別のことでありますけれども、特別養護老人ホームという施設についての国の補助の場合、当然その法令に基づいて規模が五十名以上のものでなければだめだ、こういうことになるということでありますけれども、五十名以上ということになりますと、東京都の特別区あたりでも特養ホームをつくろうといたしましても、そんな大きいものはできないんだ、予算の関係上いろいろな意味で自分らが負担をしなければならない部分があるのでなかなかできない、こういう声もあるわけでございまして、五十名以上になぜしなければならないのか、これをさらに規模の小さいものを認めていく、こういうお考えがないのかということをお伺いいたします。
#570
○正木政府委員 確かに特別養護老人ホームで申しますと施設の規模は五十名以上といたしておるわけでございます。これはどういう考え方かと申しますと、やはり特別養護老人ホームにおきましては、お医者さんあるいは看護婦さん、栄養士の方、寮母さん、生活指導員いろいろなチームを必要とするわけでございます。また入所されている方の特性からいいましても、二十四時間体制で介護をするという体制をとっていかなければならない。そうなりますと、そういった職員配置というものを考えますと、施設の安定経営というものから考えまして、やはり一定規模以上のものでないとなかなか成り立っていかない、そのぎりぎりが五十名ということで私ども考えておるわけでございます。
 ただ最近におきまして養護老人ホーム、これは寝たきりの方じゃなくて、そういう養護老人ホームに併設をして特別養護老人ホームをつくるといったような場合には、両方を兼ね合わせて職員の方ができるということで、弾力的な運用もできるということに立ちまして、そこに併設する場合には小規模の特養ということで三十人ないし四十人のものも認めていこうということでやっておるわけでございます。
#571
○中村(巖)分科員 今お話を伺っているのはどういうことかと申しますと、今日東京都二十三区の各区において、みずから特養ホームをつくらなければならないのじゃなかろうかという声が非常に強いわけでありまして、そういうふうに建設をするということになりますと、用地費の問題とか、超過負担の問題とかあるいは規模の問題というものが出てまいりますわけです。そういう制約のために非常につくりにくいという部分があるわけで、厚生省にもいろいろお考えいただきたいと思っているわけでございます。
 次に、最近ではいわゆる痴呆性老人が非常にふえているわけでございますけれども、痴呆性老人は本来的に特養ホームに収容されるべきものなのかどうかということについて伺いたいと思うわけであります。痴呆性老人で、常時臥床しているということであれば別でありますけれども、常時臥床していない場合においては、一定のこういう条件がある場合に収容措置ができるんだということになっているわけでありまして、必ずしも痴呆性老人だからといって、厚生省の方がお決めになっておられる基準に合致をしないということが出てくるのではなかろうかと思うわけです。しかしながら、痴呆性老人もまた特養ホームに収容することを促進しなければならないという側面があるだろうと思うのです。その辺についてどうお考えでしょうか。
#572
○正木政府委員 特別養護老人ホームは、身体上または精神上に著しい欠陥があるために常時の介護を必要とする、そして居宅においてこういった介護がなかなか難しいという方々を収容する施設でございます。まさに痴呆性老人と申しましても非常に程度の違いがあるわけでございますが、いろいろ問題行動がある方であるとか、常時介護を要する状態にある方々、こういった方々はもちろん特別養護老人ホームに入所してお世話すべきものだと考えております。また、現在特別養護老人ホームに入所しておられる老人の約三割程度が痴呆性老人であるという実態でございます。
#573
○中村(巖)分科員 痴呆性老人が最近問題になってきておりますけれども、やはり高齢化の結果という部分も相当多いのだろうと思います。今後痴呆性老人が出現する割合と申しますか、そういうものは将来の推移としてどういうふうになっていくと厚生省はお考えでございますか。
#574
○正木政府委員 現在、痴呆性老人は六十五歳以上の老人の方で大体四・六%程度という出現率だと言われております。そこで全国的に見ますと約五十万人ということでございますが、先生の先ほど来のお話もありますように、だんだん高齢化が進んでくる、六十五歳よりも後期高齢人口、七十五歳以上の人口がどんどんふえていくということになりますと、痴呆性老人の増加傾向というものもふえていくのではないか。そういった意味合いで、私どもとしてはできるだけ痴呆性老人になる前の、若いころからの予防手段というものを一方で考えていかなければならぬけれども、高齢化の中で痴呆性老人が現在以上にふえる傾向にあるということは、見逃すことができない現実だろうと思っております。
#575
○中村(巖)分科員 そういう痴呆性老人が非常にふえてくるということになりますと、こういう方方を家庭において介護するというのはなかなか難しい。いろいろ問題行動というようなものが出てくる、排回する、そのほかのいろいろな問題が出てくる。そうなりますと、やはり何らかの形で施設に収容するというようなやり方も必要になってくるのではなかろうかと思うわけでございます。その施設というものが、果たして特別養護老人ホームがいいのかどうかということは非常に問題であろうと思うわけで、特にそういうようなものを保護すべき保護施設というか、そういうようなものをお考えになっておられるのかどうか、それをお伺いいたします。
#576
○正木政府委員 同じ特別養護老人ホームでございましても、痴呆性老人、特に問題行動の多い老人の方々を収容する場合には、それなりの配慮が必要なことは先生おっしゃるとおりでございます。そこで、痴呆性老人というのは、重くなりますと家庭でなかなか介護できない、施設に入所してお世話することが必要だということで、特別養護老人ホームヘの入所を促進しておるわけでございます。
 そこで、先生のお話の、痴呆性老人だけのための施設をつくるのがどうかということでありますが、現に痴呆性老人を中心とした施設もあることはあります。しかし、これは学問的にまだいろいろ議論されておるわけです。老人をお世話する場合に、痴呆性老人だけをまとめてというと失礼ですが、まとまってお世話するのがいいのか、一般のほかの寝たきり老人やなんかと一緒にお世話した方がいいのか、学問的にも議論が分かれるところだと思います。私どもとしても、痴呆性老人だけの施設をつくるのがいいとはなかなか決断できない面がありますので、現在の特別養護老人ホームという機能の中でできるだけお世話をしていきたいという基本的な考えを持っております。
 なお、大変遅くなりましたが、先ほどの五十九年度の東京都の特別養護老人ホームの整備でございますが、五十九年度は創設が七カ所、増設が四カ所、創設が五百四十人、増設が百四十人という数字でございます。
#577
○中村(巖)分科員 最後に一点だけ伺っておきますけれども、痴呆性老人のための福祉対策として、一つには通ってくるという適所サービス、いわゆるデーサービスというようなもの、さらにはショートステーと言われている短期保護事業、こういうようなものが必要であろうというふうに思うわけでありますけれども、これについて今厚生省はどういう施策を講じようとしておるのか、その点だけを伺っておきます。
#578
○正木政府委員 痴呆性老人あるいは寝たきり老人につきまして施設整備を図るということが必要でありますが、できれば家庭におられて幸せな生活をされるということが望ましい。そのためには家庭における介護というものがなかなか大変であります。そういった意味でそれをバックアップしていくというのが在宅福祉対策だと思います。
 先生、今御指摘のございましたデーサービスであるとかショートステー、こういうものの拡充を年々図ってきております。明年度におきましても短期保護事業、ショートステーにつきましては、従来は介護者自身が病気になったとか冠婚葬祭とか、やむを得ざる場合に限っておったわけですが、介護疲れでちょっと一息入れたいといった場合にも老人をお預かりするという、対象範囲の拡大であるとか、あるいはショートステイのための専用居室の整備であるとかということを一方において進めております。また、先ほどのお話のデーサービスということで、入所サービス、訪問サービスという面につきましても、明年度におきましてもさらに拡充を図るということで、在宅福祉対策の一層の前進を図りたいと私ども努めておるわけでございます。
#579
○中村(巖)分科員 時間がなくなりましたのでこれで終わります。どうもありがとうございました。
#580
○山下主査 これにて中村巖君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻第一君。
#581
○辻(第)分科員 私は、難病問題について質問をいたします。
 本年一月、奈良県で、奈良県難病連絡協議会が結成をされました。これは、奈良県腎臓病患者連絡協議会や膠原病友の会、筋無力症友の会、ヘモフイリア友の会、奈良県腎炎ネフローゼ児を守る会、このような皆さんの呼びかけで結成をされたものでございます、私も、この結成総会にお招きを受けて出席をいたしました。
 この結成総会で宣言が明らかにされたわけでありますが、その中身は、
  私たちは、難病といわれる全ての病気の「原因の究明と治療法の確立」「完全な社会復帰」を一日も早く実現するため、ここに「奈良県難病連絡協議会」を結成したのである。
 「原因も削らず、治療法も判らない」「一生涯治療を続けなければ生命を維持することができない」こうした苦しみや悩み不安は患者本人は基より家族の苦労は言葉でいいあらわすことはできない。
 また社会的に内部疾患とりわけ難病者(児)を取りまく情勢は、ますます厳しくなってきている。
 しかし、情勢は厳しくとも患者、家族が団結し、お互い情報を交換し「奈良難連」の発展と、この苦しみを味う人々が少なくなるため、医療機関、行政関係をはじめとして社会的な理解を求めるため「奈良難連」の任務は重大であると確認し合った。
 私たちは、微力ではあるが、一人で苦しんでいる難病者(児)家族の方々に力強い勇気と希望を実現するため、あらゆる活動を展開することを誓い合った。
 苦しくとも、未来を信じつつ、ともに努力し闘わなければならない。
 右、宣言する。
このような宣言でありました。簡潔な文章でございますが、難病の患者さんや家族の気持ちが本当によくあらわれているものだと思いました。
 また、この難病連絡協議会の方々と懇談もさせていただきました。原因がわからない、治療法もわからない、そして非常に治りにくい。一生涯治療を続けなければ生命を維持することができない、このような苦しみや悩みや不安を持っていらっしゃる患者さんや家族のお姿、御苦労なお姿、そしてそれぞれの皆さんが勇気と希望を持って、未来を信じて病と闘い、苦しみと闘い、生きること、暮らしていくこと、働くことに力を尽くしておられる姿に、深い感動を覚えたものでございます。
 また、たくさんの御要望を聞かしていただきました。きょうは短い時間でございますので、その中の何点かに絞って質問をしてまいりたいと思います。
 難病というものには、特定疾患、小児慢性特定疾患、さらに慢性腎疾患など、多種多様なものが含まれておりますが、まず、原因の究明と治療法の確立、早期発見、早期治療の体制を確立することが極めて重要な問題であることは言うまでもありません。これまでもいろいろと御努力をいただきましたが、さらに強力な対策をとっていただきたい。強く要望をするものであります。
 次に、厚生大臣にお尋ねをいたしますが、先ほど申しました特定疾患、小児慢性疾患には、それぞれの制度や目的で公費負担がされております。また、慢性腎疾患で人工透析を受けておられる方などは更生医療で、また小児の病気では育成医療という公費負担の制度がございます。この公費負担の制度については、患者さんや家族の方は大変喜んでおられるというのが現状であります。しかし、大軍拡、福祉、教育切り捨ての臨調行革路線のもとで、老人保健法や、あるいは昨年の健康保険法の改悪で、御本人に一部の負担が導入をされる。このような状況の中で、難病の方々の公費負担が一部有料庭なるのではないかなどと、改悪の心配をされている方がたくさんおられるというのも現状であります。先ほど申しました公費負担制度はぜひ継続をしていただく、後退をさせない、この難病の方々の願いにぜひこたえていただきたい。大臣の御答弁をいただきたいと思います。
#582
○増岡国務大臣 御指摘のそれぞれの医療は、それぞれの政策目的に基づいて行われておるものでありまして、六十年度におきましても、ほぼ所要額を確保いたしたと思っておりますし、特に特定疾患治療研究事業については、一疾患の拡大を行ったところであります。厳しい財政事情ではございますけれども、社会的に弱い立場にあります人に対する思いやりを忘れないで、今後も制度の充実に努めてまいる所存でございます。
#583
○辻(第)分科員 今その中で、特定疾患など対象疾患を拡大をしているというお話がありましたけれども、さらに拡大もしていただきたい。強く要望しておきます。
 次に、奈良県で、国公立病院に難病の専門医を適正に配置してほしいという御要望もございましたが、一歩譲って、近畿とか東海とかのブロック単位で、専門の先生がそれぞれおられるというような配置をぜひとっていただきたいということであります。
 それから、どの地域のどの病院に、どの専門の先生がおられるのかということが非常にわかりにくいというのが実態だ、こういうふうに聞いております。県庁の衛生部へ行けばそのことがすぐわかるような、あるいはその他もろもろの、よくわかるような体制もとっていただきたいと思うわけでありますが、いかがでございますか。
#584
○大池政府委員 大学あるいは国立医療機欄等に配置されております専門的な医師につきまして、その配置に関して情報が得られるようにということは、患者さんにとっても非常に便利なものであろうと思います。これまでいろいろな形で資料等も作成されておりますけれども、都道府県の衛生部等におきまして、そういったような資料の蓄積というものを図りまして、そういう求めがあれば情報が提供できるというようなことが確保できるように指導してまいりたいと思います。
#585
○辻(第)分科員 最初に言いました、ブロック単位ごとぐらいにそれぞれの専門の先生を配置をしていただく、このような体制をぜひとっていただきたい、その点について……。
#586
○大池政府委員 特定疾患調査研究事業を行うに当たりましては、全国的な視野に立ちまして研究者を集めてお願いしているわけでございまして、そのような観点からいたしますと、ブロック単位ということでなく、全国的視野で、北から南にかけてそれぞれの疾病についての専門家というのは、現実にも随分分布しているように考えております。
#587
○辻(第)分科員 さらに十分な対応をしていただきたいというようにお願いをいたします。
 次に、予防の問題であります。
 予防の重要性ということにつきましては言うまでもないと思いますが、腎炎など予防できる疾患については、十分な予防の体制をとっていただきたいと思いますし、早期発見、早期治療ということも、これまた重要な問題であります。慢性腎疾患の患者さんが年々増加をするというような状況であります。ぜひ腎炎の予防、早期発見のための、例えば検尿の制度というようなものをさらに充実をしていただきたいと思いますが、当局の対応をお聞きをいたします。
#588
○小島政府委員 腎関係疾患の予防、それから治療等の研究につきましては、昭和四十七年度から実施してまいっております。近年では、大体各年度一千万程度の研究費で予防治療研究の実施をしておりますが、六十年度はこれを大型プロジェクトに組み直しまして、数倍あるいはもう少し多いくらいの研究費で、大型プロジェクトで研究の推進を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#589
○辻(第)分科員 先ほど言いました早期発見のための検尿制度、これについてはいかがですか。
#590
○小島政府委員 早期発見のための検尿制度につきましては、児童福祉関係の措置といたしましては乳児健診、それから一歳半児の健診、三歳児健診等の機会に尿の化学検査を実施しまして、早期発見に努めておりますし、また近年では、学校健診におきましても尿検診が相当普及しているというように伺っております。
#591
○辻(第)分科員 労働者の健康管理、健康診断、そういう面での検尿の制度も、どうか労働省あたりとも連絡をして、本当に十分にやっていける、やれているということで努力をいただきたい、このことも要望をしておきます。
 次に、小さい子供さんの腎炎やネフローゼなど、小児慢性特定疾患の子供さんにとっては、治療の問題も大切ですけれども。教育の問題が本当に大切な問題になってきております。教育をどう保障するのか、この点について厚生省も文部省と十分話し合って、教育の保障の推進のために努力をしていただきたい、このように思いますが、いかがですか。
#592
○小島政府委員 腎疾患関係の学齢児童につきましても、病院等に四学級設けたりというのが一部実施されておりますが、まだそういう機会に恵まれない児童も多数いるというふうに承知をしております。正確な数は把握しておりませんが、これらにつきましては、やはりどうしても病院側の体制と申しますか準備、あるい値ある程度一定の病院にお集まり願うというようなことになると、なかなか教育委員会等も対応できない分野もあろうかと思いますが、十分文部省とも話を進めながら、少しでもそういう機会に恵まれる児童の数をふやしてまいりたいと思っております。
#593
○辻(第)分科員 次に、慢性腎疾患の問題でお尋ねをいたします。
 今、全国で人工透析療法を受けておられる方が約五万三千人、五十八年末だそうでありますが。そして一年に約五千人が増加をし、昭和六十五年には七万人になろうと予測をされておる、このような認識をしております。このように患者さんがどんどん増加する状況では、それに応じた施設の増、要員の整備、偏在地域の是正、夜間透析の問題等々、当然のことでありますが、十分な対応をしていただく必要がある、このように思います。
 中でも、昭和五十六年、この透析療法の点数が減らされましたね。こういうことで非常に採算が厳しい。新しい人工透析の機械を入れて透析療法をするとすれば、もう採算がとれないという話を聞くわけであります。ところが患者さんがどんどんふえておる。当然新しい機械も入れなければならないというようなことになろうかと思いますが、人工透析の診療報酬の引き上げなど、患者さんの増加に対する万全の措置をとっていただきたい、このように私は思いますが、いかがですか。
#594
○幸田政府委員 人工透析につきましては、昭和四十二年に保険に導入されたわけでございまして、既に十八年の歴史がございます。したがいまして、現在では、当時の新しい医療技術、開発された医療技術でございますとかその普及を図るという見地はもう必要でなくなったわけでございまして、現在はむしろ定着を広くしているというふうに私どもは考えております。したがいまして、谷手術料の中におきますバランスとか難易度、そういうものを考慮いたしまして点数を設定しているわけでございます。この三月からの医療費改定におきましても、手術料を初めとする技術料の適正評価という観点から、透析の臨床実態を考慮いたしまして、従来と仕組みを改めて点数設定を行ったところでございます。
 なお、今回の点数設定に当たりましては、特に初期の人工透析導入期の問題につきまして加算を行う、こういうような配慮も行ったところでございます。
#595
○辻(第)分科員 診療報酬の引き上げなど、そういうことも含めて、患者さんの増加に対する万全の措置をとっていただきたい。重ねて要望をしておきます。
 それから、夜間透析の問題です。昼間お働きになっている方なんか、ことに夜間透析の問題は大変重要な問題だと思うのですが、現在、まずほとんどが私的な病院でやられているというのが現状であります。私は、先ほど申しましたような採算的に非常に厳しい状況のもとでは、やはり官公立の病院も積極的に夜間透析をやるべきだ、いろいろ問題があるのはわかるのですけれども、基本的に国公立がもっと責任を持ってやるべきだと思うのですが、いかがですか。
#596
○大池政府委員 現在、夜間透析は、人工透析の患者さんの数で全体的には四分の一程度の方に行われているというふうに承知しているわけでございますが、先般、診療報酬点数面でも加算が認められたというようなことがございますし、逐次、地域と実情に応じて普及していくものと考えておるわけでございます。
 ただ、国立病院等の場合におきましては、極めて厳しい定員事情という実態がございまして、夜間透析となりますと相当な人員配置の上積みを要するわけでございまして、施設によりましてはかな力困難な実情がございます。しかし、今後機会を得ることができますれば、そういった際に配慮を加えてまいりたいと考えております。
#597
○辻(第)分科員 その面でも積極的な対応をしていただきたいと思います。
 次に、腎移植の問題であります。
 私も最近、ある大学の専門の先生にお伺いしたのでございますが、腎移植は、拒絶反応等の問題はありますが、病状の改善の問題やあるいは社会復帰の問題など、大変すぐれた療法であるというに比べますと、我が国は非常に少ない。生体腎、死体腎合わせて年間せいぜい三百人から四百人ということだと聞いておるわけであります。国も、死体腎移植の推進を図っておられる、このように聞いております。腎移植センターや腎バンクもおいおい増加をしてまいりました。しかし、先ほど申しましたような三百人ないし四百人という状況でございます。奈良県も五十九年四月に腎バンクができました。立派な専門の先生もおられます。希望者も百四十八人おられるということでありますが、この五十九年四月以降も死体腎移植は一例もないというようなのが実態であります。
 私はいろいろな問題があろうと思いますが、その中の大きな問題は、やはり国民の理解や納得を得る点で、まだまだ不十分ではないのか、そのようなことが、死体腎提供登録者が非常に少ないということではないか、このように思うわけであります。今、死体腎提供登録者は何人ほどいらっしゃるのか、そして、昨年一年は何人ほどふえたのか、大体何人を目標とされておるのか、お尋ねをいたします。
#598
○大池政府委員 腎移植関係の対策におきまして、腎提供者の登録普及が大変大切なことは私どもも認識しておるところでございます。そこで、従来から腎臓移植普及会を通じまして、啓発活動に努めているところでございます。
 そのような組織を通じまして、私どもの承知しております登録数につきましては、五十九年末におきまして、約八万人ということでございます。正確には七万九千九百九十一でございます。前年の五十八年に菊きましては五万九千四名でございます。
#599
○辻(第)分科員 将来の目標ということをお尋ねしたんですが。
#600
○大池政府委員 現在の八万人、相当な数の方の御協力をいただいておるわけでございますけれども、組織適合性あるいは免疫抑制剤の技術開発等等、いろいろ流動的な要素が絡んでおります。しかし、現状におきましては、先ほど御指摘のように、たくさんの登録をいただくということが腎移植の普及のために必要でございますので、先ほど申し述べましたような啓発活動を引き続き私ども関係団体と一体となりまして促進させていく。また私どもも、都道府県の衛生部等を通じまして努力いただくわけでございまして、現状に対し一では、少なくとも一けた二けたというふうに逐次広げていくように努力をいたすわけでございます。
#601
○辻(第)分科員 目標というのが、決めたからすぐそれに到達をするような単純なものでないということもわかるのですけれども、目標もなしに逐次なんというようなことでは、私はその対応は非常に不十分だと言わざるを得ない。もっとはっきり大きな目標を掲げて、そのために本当に精いっぱい努力をしていただきたい、対策をとっていただきたい、強く要望をしてまいります。
 大臣、いかがですか。本当にもっともっと死体腎提供登録者をふやしていっていただくということが大事なことだと思うんですね。そのための啓蒙や宣伝をもっともっとやっていただかなければならないと思うのですが、いかがですか。
#602
○増岡国務大臣 担当局長としては責任のある数字というのはなかなか言いにくいと思いますけれども、私どもは政治家でございますので、実は就任当初、今の百倍にしろということを申しました。これは本当の気持ちをそこに持っていかせようというつもりでございました。とても百倍というのは実現できる数字じゃありませんけれども、先生のおっしゃるように、一応百万とか二百万とかという目標は掲げておるはずだと思うのですけれども、それを先生の前で言いますと、来年になったら何人になったかと言われるからということもあってちゅうちょしておるのではないかというふうに思います。
#603
○辻(第)分科員 本当に大変難しいということはよくわかるのです。だから、難しければ難しいほど本当に真剣な十分な対策をとっていただきたいということを強く要望しておきます。
 ちなみに腎移植普及会への補助は幾らでございますか。今わかりませんか。
#604
○大池政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんので、早速調べてお答え申し上げます。
#605
○辻(第)分科員 私が聞いたのでは、二百六十七万円というふうに聞いたのです。どうももう一つ私も確信がないのですが、もしそれがそうとすれば、本当にこれは少ない額ですね。こんなことで国民の皆さん方に理解を得、納得を得、そして死体腎の提供を登録していただくというようなことは、これではなかなかやれないと思うのです。患者の団体の方々も地方自治体やその他の協力を得て大変積極的なキャンペーン、PRもしておられる。私もそういうのも見ましたけれども、もっともっと国が本腰を入れてやっていただきたいというふうに思います。
 最後に、大臣にお尋ねをするわけでありますが、本当に難病の方というのは、口や筆であらわすことのできない苦しみ、悩みの中で精いっぱい希望を持って、勇気を出して頑張っておられるわけであります。この方々の願いや要望に本当に真剣にこたえていただきたい、このように思います。大臣の決意のほどを伺って、質問を終わりたいと思います。
#606
○増岡国務大臣 私も実は筋ジストロフィー患者、子供二人を抱えておる父親とじっこんでございまして、また人工透析の団体とも交流を密にいたしておりますので、そういう経験からも、また実際にそういう症状の方々を見ておりますので、先生の御趣旨に沿うように十分努力をしてまいりたいと思います。
#607
○辻(第)分科員 終わります。
#608
○山下主査 これにて辻第一君の質疑は終了いたしました。
 次に、山中末治君。
#609
○山中(末)分科員 私は、本日の分科会では同和地区の実態調査に関しまして御質問申し上げたい、このように考えております。
 御承知のように、時限立法、あと残り二年になってまいりました。同対審の答申から二十年、同対法満十六年という時期を迎えたわけでございますが、同対審の内容につきましては、もう大臣先刻御承知だと思いまして略させていただきますけれども、私は、同和対策事業を進めていく上で一番大事な基本的な問題というのは同和対策審議会の答申に盛り込まれている精神じゃないか、このように考えております。これからこの行政を進めておいきになります大臣として、まずこの同対審の答申の考え方、内容を基本としてお進めいただけるかどうか、ひとつ御質問申し上げます。
#610
○増岡国務大臣 同和問題につきましては、憲法で保障された基本的人権にかかわる大変重大な問題であると認識いたしておるわけでございます。
 厚生省としても地域改善対策特別措置法の趣旨を体しまして、関係諸施策を推進いたしまして福祉の増進に努力をしてまいりたいと思っております。
 また、昭和四十年の同和対策審議会の答申の「地区における社会福祉の問題は、単なる一般的な意味での社会福祉ではなく、差別と貧困がかたく結びついた同和問題としてとらえるべきで」ある、こういう認識でございまして、それに基づきまして地区住民の生活の安定及び福祉の向上を図ることにつきまして、今後とも関係施策の充実に十分な努力をしてまいりたいと思います。
#611
○山中(末)分科員 ありがとうございました。
 実は、私は昨年の分科会の質問で実態調査の実施を強く求めたわけでございましたが、そのときは、まだそういうことを考えていませんというような御答弁をいただきまして、非常に残念でございました。
 先ほど申し上げましたように、随分長い間、政府もあるいはまた地方も、また国民的な課題として国民も一生懸命に力を入れてきた。そういう結果、物的な環境の改善では大体六〇%から少し上回っているくらいは整備できてきたのじゃないか、物的なものですね。教育の改善についても、義務教育段階での不就学、これも基本的なところでは解決に向かってきているのじゃないか。高校進学も、全国平均と比べるとまだまだ差がありますけれども、大分狭まってきたのじゃないか。あるいはまた仕事についても、一定の前進、被雇用者の二〇%が全国の中で公務員になってもらっている。こういうことも上がってきた。また、部落をよくしていこうという部落解放運動の広がりというものも、初めは寝ている子供を起こすなというふうなことが言われていましたけれども、その中で部落解放をしていこうという運動が急速に大衆化してきた。非常に横が広くなり層が厚くなってきたということも言えます。
 こういう成果もあったわけでございますが、まだまだ残された課題と問題点というのは多くございます。先ほど申し上げましたように物的な改善の面も三〇%ないし四〇%ぐらいは残っているだろう。それから健康、生活、教育、雇用、産業、こういうものもかなり大きな課題が残っている。また高校進学についても、先ほど申し上げましたようにやはりもう一〇%ぐらいは努力していかなければならないのじゃないか。考えてみますと、非常にこれから力を入れてやらなければならない問題があるわけですが、昨年質問申し上げましたときに、いろいろな努力をして実態を調査していく、そしてその調査の結果を踏まえていろいろな行政施策を実施をしていくことが必要だということを申されたのですが、先ほど申し上げたように残念でございました。
 しかしながら、今度は大臣が非常にお力をお入れになったのだと思いますけれども、何か明るい兆しが実態調査というものの中で出てきたように仄聞をしているわけです。政府による実態調査の実施について、総務庁を中心とした検討委員会で内容検討が行われるように聞き及んでおりますけれども、現時点でどこまで進んでいるのか、また今後のスケジュール等概要はどうなのかということもあわせてひとつ説明をいただきたい、このように思います。
#612
○正木政府委員 同和地区内外におきます同和問題の現状を把握するために、先生おっしゃいましたように昭和六十年度におきまして同和関係者及び同和地区周辺居住者を対象とした地域啓発等の実態把握の実施をするということで、現在総務庁におきまして検討委員会の設置の準備が進められているところでございます。
 現在、総務庁におきまして検討をいたしておるわけでございますが、大体現時点で私ども把握しておりますものは、目的といたしましては地区内外におきます同和問題の現状を把握するために、意識面、それから生活実態面についての把握を行う。対象は全国の同和関係者、それから同和地区周辺居住者約一万五千世帯ということで、世帯の状況、世帯員の状況、その中にはもちろん教育、就労、福祉等の状況も入るわけですし、それから同和問題に関する意識。時期といたしましては六十年の十一月以降ということで、同和地区を有する府県三十六府県に委託をして実施をするということで現在学識者等によります検討委員会の設置準備を総務庁で進めておりますが、現在その実態把握を要する問題につきまして各省庁と総務庁とで協議をしておるということで、厚生省といたしましても、当該実態把握の遂行につきまして積極的に協力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#613
○山中(末)分科員 そういうことで、ことし十一月から実態調査をひとつ進めていこうじゃないか。ひとつ内容につきましても――私、実は自分のふるさとでこういう仕事を、行政担当をしばらくやっていまして、同和地域の人々の苦しみといいますか、そういうものもある程度はわかってきたような気がするわけですが、よそから見ますといろいろ、家が建ってみたり隣保館が建ってみたりしまして何だかいいようになったような感じを与えますが、生活実態というのは余り改善をされてきておらないというのが今の姿ではなかろうかという認識を持っております。したがいまして、厚生省が担当をしておられます福祉施策等につきましても、ただ単に貧困だけじゃなしに、差別と貧困とが結びついたような形の実態、それをこれからどう施策を進めていくかということでお考えをいただき、調査をいただきたいわけであります。
 私どもが今日まで、私自身は調査する人数もありませんが、多くの友人たちが全国的に五万世帯以上、五万軒以上の調査を実はいろいろやってくれました。そういう状況を見ましても、例えば年金の問題等でも、部落の公的年金の加入状況につきましては、まず強制加入対象者の未加入が一四・八%もまだある、こういうことがわかってまいりましたし、また三十五歳から三十九歳までの方の未加入が一六・二七%、四十歳から四十九歳までが一四・六%、五十歳から五十九歳までが一一・六%もの強制加入の対象者の中での未加入者がある。こういうことだけ考えましても、これらの人たちは現行の年金制度のもとでは行き先無年金者になっていくのじゃないかという心配が実はございます。こういうことについても何らかの手だて、救済方法をとらなければならないんじゃないか、私自身はそのように思っているわけであります。
 それから生活保護の受給率等につきましても、受給者は一一・八九%の高率を示しているわけでして、全国平均ですと一・二八%ですから、同和地区の方は九・何倍の生活保護を受給をしておられる実態にある。これを見ましても、先ほど申し上げましたように生活実態というのは、まだまだ国や地方、また国民みんなが自分たちの課題として力を入れていかなければならない問題ではなかろうか、まして国自体の施策というのはさらに強力なものが要るんじゃなかろうか、このように思っております。
 そして残念なことには、その受給者の中の受給期間を調べられたところが、十年以上引き続いて生活保護を受けておられる方というのは二五・六%も出ております。それから五年から十年間という方が、これも実は二五%ありますので、もう長期的に生活保護を受けていかなければならないような状態に置かれている。何らかのてこ入れが必要ではないかと、私自身はそのように思っております。その中には、やはり身体障害者の率も部落の人には非常に高こうございますので、その方々の年金の問題につきましても一般の統計とは相当大きなパーセントで受給率が低くなっているということが示されておりますし、六十五歳以上の老人を含んだ家庭でもそういう率が出てきております。
 それをずっと申し上げていきますと、やはり相当多くの問題を抱えているというふうに私は考えておるわけでありまして、こういう資料、余りぴちっとした、どこからつついても文句のないというような立派な資料ではないかもわかりませんけれども、昨年随分長い期間をかけて調査をした結果であります。もしもよければ、その人たちと相談をして資料として差し上げてもいい、このように思っておりますが、今二つほど申し上げましたけれども、生活実態は依然として変わってきておらないような状況があるということで御注目を賜って、これからの施策の上に反映をしていただきたい、このように思っておるわけであります。
 こういうことを考えできますと、生活実態の調査というのは相当力を入れてやっていただきたいと思うのですが、先ほど局長さんにお聞きしますと、部落内外の方々というふうな御発言もありました。簡単に考えてみますと、大きい市町村、小さい市町村を押しなべて考えますと、一つの市町村で十人ないし二十人ぐらいの調査件数になるんじゃないかと思いますので、ひとつよほど有効に調査できるように、実態がつかめるような調査に御尽力をいただきたいと思いますが、もう少し詳しい実態調査の御計画等がありましたらお聞かせをいただきたい。
#614
○正木政府委員 六十年に予定をしております実態調査の方向、骨組みにつきまして先ほど申し上げたわけでございます。総務庁と現在協議をしておるわけでございますが、先ほど申しましたように、厚生省としても大いに協力をして、またお願いをしていきたいということでございます。
 先ほど来、先生の同和地区の実態についてのお話がございました。十二府県を対象といたしました五十五年十二月から五十六年四月までの調査を見ましても、やはり先生のおっしゃいますように老人の方々、特に寝たきり老人やひとり暮らし老人が多いとか、あるいは保護率が高いとか身体障害者の方々が多いとか、あるいは年金の未加入者が多いといったような実態が出ておるわけでございます。
 そこで、今度の調査につきまして、具体的に私どもまだ協議中でございますが、あえて申し上げさせていただきますと、厚生省といたしましては、生活保護につきまして受給原因が一体どこにあるだろうか、受給期間はどうなっておるのだろうかといったようなこと、あるいは身体障害児者のおられる世帯については障害の種類と程度はどうなっておるのだろうか、介護の状況はどうだろうか、あるいはまた高齢者のおられる世帯については寝たきり老人の状況はどうだろうか、介護の状況はどうなっておるのだろうか、あるいは母子の世帯につきましては年齢別に見て子供さんが何人ぐらいおられて、そしてお母さんはどういう就労状況にあるのか、あるいは就学前の子供さんの保育状況はどうなっておるのだろうか、また公的年金の加入の状況はどうだろうか、傷病の状況はどうだろうか、こういったようなことも調査をお願いしたい。これは各省からいろいろなあれが参りますから、それをいろいろ寄り寄り協議をしながら、できるだけ実態をつかめるようにということで調査をしていきたい。先ほども申しましたように一万五千世帯を調査するということでございますので、統計的にもかなり十分な傾向がつかめるのじゃないかということで、私どもも期待をしておるわけでございます。
#615
○山中(末)分科員 ありがとうございました。
 大臣にちょっと御答弁をいただきたいのですが、今局長さんがおっしゃったような状況で実態調査を進めていただくわけです。一年ぶりで実行していただくということで、私は協力していかなければいかぬというふうに思っておりますが、反面、差別事件というのが各現場では増加している傾向にあるということです。
 私どもが直接遭いました差別的なことを一、二申し上げますと、しょっちゅう便所なんかに、部落民を殺せと鉛筆書きの落書きがあるのです。それから部落民を強制収容所に入れて毒ガスで殺せ、こういうのが報告されています。私は、これは投書とか落書きとかで済ませる問題じゃない。その人がどう思って書いているのか、だれが書いたかわかりませんので、それは推測するだけでも余りいいことじゃないと思っておりますけれども、そういう現象が出てきているということに一つ御注目を賜りたいと思いますし、御存じのように「地名総鑑」の問題等もまだぴたっと後を絶ったというようなことも聞いておりません。
 そういう状況の中で、ちょっと先ほど申し上げましたが、隣保館が建った、保育所が建った、そういうことを外から見られて、往々にして、これは部落の方が我々の一般的な方よりもよくなったというふうなことを、意識的か無意識的かわかりませんが、そういうことを言われることも、私自身はたびたび聞きました。遭いました。そういう中で実態調査をなさいますので、ひとつそういうこともあるということを十分お踏まえの上で実態調査を進めていただきたいのであります。
 そこで、増岡大臣にお聞きをいたしたいのですが、これから生活実態を調査をして真剣に施策を進めておいきになる大臣として、広島二区だそうでございまして、私もちょっとお聞きしたら、大臣の地元の広島にも同和地区があるということを聞きまして実は安心しておるのです。しかし、そういうことをよく御存じの上で同和対策を進めていただきたいと思うのですけれども、一つは、私今から十四、五年前にある町の町長をしているときに、ある省の次官をぜひともひとつ町へ来てくださいということでお呼びをして、あいにく雨の降った日でして、番傘を差されまして二時間ほど私と一緒に同和地区の中を歩いたことがあるのです。ちょっとこちらが気の毒でしたけれども。それまでは何回も本省の方へ来ましていろいろ同和の問題で陳情、要請をしておったのですが、実は余り強い関心を示されなかったのです。ところが、そのとき以来非常に強い関心を示されて、これは率先をして施策を立てていかなければならぬというふうにおっしゃいまして、今はもうその省を退職されましたけれども、いまだにその方とはつき合いをしているということがございます。
 それで、よく大臣御存じだと思いますけれども、ぜひともひとつ暇を見つけていただいて適当なところへ歩いていただきたい。本当は雨の降った日の方がいいんですけれども、しかし、大臣、気の毒ですから、いい天気の日でも結構です。広島県下だけでなしに、ほかも、関西には多うございますけれども、ぜひともひとつ見ていただいて、今後の施策の中でいい施策ができたなというふうに言われるような大臣になっていただきたいと強く期待しますので、それを含めて大臣の御所信をお聞かせいただきたい、このように思います。
#616
○増岡国務大臣 私の選挙区にも地区があるわけでございます。私も何度がお伺いしたことがございます。しかし、こういう立場になって参りますとまた別の感触を持って帰り、おっしゃったような御趣旨が実現するためのエネルギーにもなるかと思いますので、機会をつくってお伺いしたいと思います。
#617
○山中(末)分科員 ぜひともそうしていただきたいと思います。そのときにはまた傘を持って、傘を着せながら私もお供をして行きたい、こういう気持ちでございます。どうぞひとつ実現していただきますようにお願い申し上げまして、少し時間が残っておりますけれども、後の方に譲りたいと思います。
 ありがとうございました。
#618
○山下主査 これにて山中末治君の質疑は終了いたしました。
 次に、福岡康夫君。
#619
○福岡分科員 本日は、外務、厚生両省の共同所管になっております公益法人の財団法人放射線影響研究所の移転問題につきまして、厚生省当局及び外務省当局にいろいろお聞きしたいと存じます。
 毎年、八月六日の原爆忌になりますと、国の内外を問わずにたくさんの人が国際平和都市広島市を訪れます。その方々が最初に訪れますのは、過ちを二度と繰り返しませんという文字の刻まれた原爆慰霊碑と原爆ドームでございます。この前に立たれた方は、一様に戦争は御免だと、亡くなられた方々の冥福をお祈りするとともに、平和と核軍縮の必要性を強く感じ、敬けんな祈りの気持ちになるものでございます。
 ところが、この敬けんな気持ちで次のコースであります広島市内を一望できる比治山公園に登りますと、途端に眼前に浮かんできますのが老朽化した低いかまぼこ兵舎型の放影研の建物でございます。この建物を見た第一印象はと申しますと、私くらいの五十代の年配の方は口をそろえて、米軍、これを思い出すと言っております。戦争を知らない若い方も、広島市民のオアシスである公園にマッチしない異様な建物に、何とも言えない、余り芳しくない思いを抱くのであります。このような思いは日米両国政府にとっても、日米両国民にとりましても不幸なことと申さねばなりません。
 放影研の前身であるABCCの建物ができてから早くも三十五年を経過しようとしており、放影研の移転先についても、プランをお持ちの広島市長を先頭に全広島市民の念願であります放影研の移転は被爆四十周年の節目として大きな意義があると私は思うのでありますが、この放影研の移転問題についてまず厚生省事務当局の御見解をお伺いし、続いて厚生大臣に御所見をお伺いいたしたいと思います。
#620
○大池政府委員 ただいま先生のお話に出ましたように、放影研に関しまして地元の広島市等から移転の要望が出ておるということは私どもも承知しているところでございます。厚生省におきましては、放影研の運営につきまして、研究の関連する大学、研究所等それぞれの連携体制等、放影研の研究体制のあり方というものを現在検討をお願いしているわけでございますけれども、その一環の問題でもあろうということで包み込みまして現在検討を継続中というのが実情でございます。
#621
○増岡国務大臣 実は私も、この放影研がABCCから制度が変えられまして日本側も費用を出すことになりまして、そのときの当事者でもございますので、この建物のことは何回も出てきて、よく承知いたしております。また、市民の皆さんからそういう何となく暗いイメージということをたびたび聞いておるわけでございますけれども、私、大分前でございましたから今では大分様子が違うと思いますけれども、まだその当時は内部は大変立派な建物であったように印象は受けておるわけでございます。しかし、広島市におきましてはその放影研の移転を、比治山公園というのはある意味では広島市のシンボルでございますから、そういう強いお気持ちがあることをよく承知いたしておるわけでございます。したがいまして、先ほど局長から説明のありましたような、移転問題を含めまして研究体制全体のあり方について考えたいということでございます。私もその検討を鋭意進めてまいりたいと思っております。
#622
○福岡分科員 ところで、私ここに「原爆市長ヒロシマとともに二十年」と題する元の広島市長浜井信三氏がお書きになった本のコピーを持っておるわけでございます。朝日新聞社から昭和四十二年に発行されました本のコピーでございます。この本には、昭和二十三、四年当時の放影研の前身であるABCCの建物の敷地をめぐっての占領軍及び厚生省高官とのやりとりがいろいろ記されておるのでございます。一つ一つ読み上げると、時間が三十分と非常に制限されておりますので省略させていただきまして、当時の市長の反対を押し切って建てられたしこりがずっと残っており、放影研の関係者と地元との対話と相互理解がないまま過去三十五年間続いてきていたのであります。
 おくればせながら放影研の早期移転について、現在は現市長、地元連絡協議会及び広島市民とのコンセンサスができつつあると私は聞いておるものであります。このように地元とのコンセンサスができつつある今こそ、放影研の早期移転を積極的に促進すべきであると私は思うのであります。中曽根総理はかつて、一九八三年は戦後政治の総決算であると申されましたが、しかるに二年を経過した今日でも放影研の移転問題が決着しないというのは、一体どういうことでしょうか。
 そこで、厚生省当局にお伺いいたしますが、放影研は外務省との共管であり、その経費は日米両国政府の平等分担とし、日本は厚生省の補助金、米国はエネルギー省との契約に基づく米国学士院の補助金をもって充てていると聞いております。厚生省としては、外務省と連絡をとり合っていると承っておりますが、今後どのような段取りでどのように進めていかれるのか、御見解をお伺いいたします。
#623
○大池政府委員 放影研につきましては、全く御指摘のとおり日米両国におきまして費用を折半いたしまして、運営につきましても両国が密接に共同して対処しているところでございます。そのような関係上、外務省とも必要に応じまして十分話し合いをしてこれまでも進めてきておりますし、今後も必要に応じて御相談を申し上げるということでございます。
 さて、具体的な移転問題ということについてでございますけれども、この点につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在厚生省は厚生省の立場におきまして研究体制全体のあり方の一環としてその問題も含めて御検討いただいている最中である、その煮詰まりぐあいを踏まえて適切な対処をしてまいりたい、一方、広島市とも密接ないろいろ情報交換等も行いながら、事態の推移に適切に対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#624
○福岡分科員 次に、外務省当局にお尋ねいたしますが、放影研の市内適地への移転に要する経費が例えば三十億円必要であるといたしましたとき、外務省当局としては、日米親善平和外交を推し進める立場から、また一九七四年、昭和四十九年十二月二十七日、日本国外務大臣と日本国駐在アメリカ合衆国特命全権大使との間に取り交わされました放射線影響研究所設立に関する交換公文の二項、三項の条項のとおり経費平等分担の原則によって、どういう方法にしても十五億円なりを米国サイドに負担していただくように厚生省と共同して交渉する用意があるかどうか、また交渉する用意があるとすれば、どのような方法で推し進めていくのか、御説明をお願いいたしたいと思います。
#625
○渡辺(允)政府委員 お答え申し上げます。
 私ども外務省は放影研を厚生省と共管いたしておりますけれども、私どもの放影響に関します役割と申しますか、任務は、この運営管理等につきましてアメリカ側と調整を要する重要な問題がありました場合に、アメリカ側との協議、折衝の任に当たるということであろうかと存じております。
 放影研の移転問題そのものにつきましては、先ほど来厚生省から御答弁ございましたように、種種御検討中というふうに承っておりますので、私どもその結果を御相談を受けながら、必要に応じてアメリカ側とも話をすることについて検討をいたしていきたいと思っております。
#626
○福岡分科員 どうもありがとうございました。
 次に、ことしの三月の五、六、七日の三日間、放影研の評議員会が広島の地で開催されて、米国の関係者も来日しておる旨広島市内でテレビ放映されておりますが、その後、放影研の移転問題について厚生省及び外務省の関係者は米国の関係者と話し合う用意があるか否か、外務省及び厚生省当局にそれぞれお答えをお願いをしたいと思います。また、話し合う用意がある場合は、話し合いの内容を、できる範囲内で結構ですが、御説明をお願いしたいと思います。
#627
○大池政府委員 放影研の専門評議員会が開催されまして、アメリカ側の担当者が出席していることは私どもも承知しているところでございます。近くその担当官との面談の機会もあるわけでございます。私どもの予定しておりますのは、一般的な運営の問題についていろいろと意見を交換するということでございますが、そのような機会をとらえて国内の情勢を話し合い、感触を探ることもできればと考えておるところでございます。
#628
○渡辺(允)政府委員 外務省といたしましても、厚生省がその米国の専門評議員の方とお会いになる機会に御一緒させていただくということにしております。
#629
○福岡分科員 では、そういう形で近々中に御進展があるように私認識いたしましたので、次の問題に移らせていただきます。
 昭和五十六年四月に初めて厚生省予算に原爆放射線の影響に関する研究体制のあり方検討費がついてから六回検討会が開催されております。その結果、昭和五十七年の十一月に「原爆放射線の影響に関する研究体制のあり方について(総論)」報告書が提出されております。
 しかしながら、その後五十八年度も五十九年度も検討費の予算はついているにもかかわらず、検討会は一度も開かれておりません。総論の報告書が出た後、検討会は断絶しておりますが、各論についてはいつごろ検討会が開かれ、いつごろ各論の報告書が提出されることになるのか、厚生省事務当局の御説明をお願いしたいと思います。
#630
○大池政府委員 あり方検討会につきましては、ただいまお話のございましたような経緯で五十七年の十一月には総括的な報告、いわゆる中間報告をいただいているところでございます。その内容といたしましては、包括的に問題を整理し、その中身の一つとしては、実質的な研究機関間の連携強化でございますとか、あるいは立地計画等の将来構想を具体的に検討することが必要であるとか、非常に包括的な方向の御示唆をいただいたところでございます。
 このような包括的な問題整理を受けまして、個別、具体の問題につきましては、放影研等にその問題を持ち帰りまして、それぞれの立場において検討を継続しておるという状況にございます。先ほど来御指摘のような広島市をめぐりましてのいろいろな動きもございます。そのようなことも勘案しながら、個別の検討はそれぞれ放影研等で行われておるというふうに私どもは承知をしております。
#631
○福岡分科員 五十八年度、五十九年度と検討費の予算はついておりながら、この二年間全く実施されていない。これはやはり私、地元の議員といたしましてどうも納得いかないわけでございます。過去のことを追及してもしようがありません。なるべく速やかに検討会の促進をお願いしたいと思いますが、厚生省事務当局の御答弁をお願いします。
#632
○大池政府委員 諸条件の煮詰まりぐあいを見まして、可及的な早期に促進を図りたいと思っております。
#633
○福岡分科員 次にお尋ねいたしますことは、放影研の移転問題とは別の問題でございますが、私、地元の秘書に放影研に定期的に検診にお見えになった方の御意見を聞いてみるよう指示してみましたところ、次のような御要望がございました。
 現在、放影研が行っている成人健康調査の対象数は約二万人であり、二年に一回放影研を訪れて検診を受けることになっているとのことでございますが、これを一年に一回にしていただきたいとのことであります。被爆四十周年を迎えた今日、予算上の問題もあると思いますので、高齢者とか重度の被爆症状の方などに絞って一年に一回検診するなど早急に検討をしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#634
○大池政府委員 成人健康調査は、放射線の遅発性の影響と特定疾患の罹病率との関係を調査する等、大変重要な調査をずっと継続しているわけでございます。昭和三十三年以来、御指摘のとおり二年に一回ということで検診を行ってまいったわけでございます。この検診が被爆者の方々の健康管理の面からも有意義なものという側面も確かにあるわけでございまして、この面に着目して、お尋ねのような方法の変更が可能かどうか、これまで行ってまいりました学問的な立場に立つ調査の継続性との関連もございますが、放影研と相談し、放影研に検討させてみたいと考えております。
#635
○福岡分科員 現在、厚生省に原爆調査委員会が設置されておりますが、この調査は被爆者の実態解明も対象にするのかどうか、事務当局の御見解をお聞かせ願いたいと思います。
#636
○大池政府委員 御指摘の点につきましては、既に五十九年度から準備に着手しておるわけでございますが、先般二月に調査委員会を発足させまして、関係の学識者からお知恵を拝借して実態調査の計画着手をしておるところでございます。
#637
○福岡分科員 この実態調査の方法については、例えば全国調査の方法、資料分析の方法、その他いろいろの調査方法が考えられると思いますが、私といたしましては、せっかくのとうとい国民の血税を使っての実態調査をするのでありますから、単に資料分析といった形式的な調査に終わることなく、国の責任で死没者の調査をし、国家補償への道を開くための調査にしていただきたいと存じますが、この点について厚生大臣の御見解をお伺いいたします。
#638
○増岡国務大臣 実態調査におきまして死没者のことが話題に出ますと、大体どなたももう四十年もたっておるからなかなか難しい、こういう性格の調査はなかなか難しいということを言われるのでありますけれども、しかし、私はそういうことを言っておったのではいけないので、何とかそれを克服するように、またできる限りの手当ては尽くしてほしい、そういう意味合いのことを申しておるわけでございます。今度の調査委員会でも、そのような意味合いでお願いをして、現在検討していただいておるところでございます。
#639
○福岡分科員 時間が参りました。以上をもって打ち切りたいと思います。
#640
○山下主査 これにて福岡康夫君の質疑は終わりました。
 以上をもちまして厚生省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつ申し上げます。
 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後八時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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