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1984/03/07 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第三分科会 第1号
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1984/03/07 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会第三分科会 第1号

#1
第102回国会 予算委員会第三分科会 第1号
本分科会は昭和六十年二月二十六日(火曜日)委
員会において、設置することに決した。
二月二十六日
 本分科員は委員長の指名で、次のとおり選任さ
 れた。
      大西 正男君    葉梨 信行君
      船田  元君    大出  俊君
      池田 克也君
二月二十六日
 葉梨信行君が委員長の指名で、主査に選任され
 た。
    ―――――――――――――
昭和六十年三月七日(木曜日)
    午前九時開議
出席分科員
  主 査 葉梨 信行君
      大西 正男君    船田  元君
      大出  俊君    清水  勇君
      鈴木  強君    池田 克也君
      小川新一郎君    斎藤  実君
      宮崎 角治君
   兼務 上原 康助君 兼務 奥野 一雄君
   兼務 新村 勝雄君 兼務 辻  一彦君
   兼務 永井 孝信君 兼務 松沢 俊昭君
   兼務 村山 喜一君 兼務 近江巳記夫君
   兼務 沼川 洋一君 兼務 福岡 康夫君
   兼務 水谷  弘君 兼務 田中 慶秋君
   兼務 滝沢 幸助君 兼務 中野 寛成君
   兼務 経塚 幸夫君 兼務 中林 佳子君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松永  光君
 出席政府委員
        人事院総裁   内海  倫君
        人事院事務総局
        職員局長    叶野 七郎君
        文部政務次官  鳩山 邦夫君
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部大臣官房審
        議官      菱村 幸彦君
        文部大臣官房会
        計課長     坂元 弘直君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省高等教育
        局長      宮地 貫一君
        文部省高等教育
        局私学部長   國分 正明君
        文部省学術国際
        局長      大崎  仁君
        文部省社会教育
        局長      齊藤 尚夫君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        文化庁次長   加戸 守行君
 分科員外の出席者
        沖縄開発庁振興
        局振興第四課長 荒賀 泰太君
        大蔵大臣官房企
        画官      溝口善兵衛君
        大蔵省主計局主
        計官      武藤 敏郎君
        厚生省児童家庭
        局障害福祉課長 伊達 卓三君
        農林水産省経済
        局金融課長   眞鍋 武紀君
        郵政大臣官房人
        事部給与課長  高木 繁俊君
        郵政省貯金局電
        子計算計画課長 佐谷戸正夫君
        郵政省放送行政
        局企画課長   村瀬 龍児君
        労働省労働基準
        局賃金福祉部企
        画課長     松原 東樹君
        労働省職業安定
        局雇用政策課長 齋藤 邦彦君
        自治省行政局行
        政課長     片山虎之助君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団副理事長)  園山 重道君
    ―――――――――――――
分科員の異動
三月六日
 辞任         補欠選任
  船田  元君     武藤 嘉文君
同日
 辞任         補欠選任
  武藤 嘉文君     船田  元君
同月七日
 辞任         補欠選任
  大出  俊君     岩垂寿喜男君
  池田 克也君     小川新一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  岩垂寿喜男君     清水  勇君
  小川新一郎君     斎藤  実君
同日
 辞任         補欠選任
  清水  勇君     鈴木  強君
  斎藤  実君    平石磨作太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  鈴木  強君     大出  俊君
 平石磨作太郎君     宮崎 角治君
同日
 辞任         補欠選任
  宮崎 角治君     池田 克也君
同日
 第一分科員上原康助君、沼川洋一君、福岡康夫
 君、第二分科員新村勝雄君、第五分科員永井孝
 信君、村山喜一君、水谷弘君、中野寛成君、第
 六分科員辻一彦君、松沢俊昭君、経塚幸夫君、
 中林佳子君、第七分科員奥野一雄君、近江巳記
 夫君、第八分科員田中慶秋君及び滝沢幸助君が
 本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
 (文部省所管)
     ――――◇―――――
#2
○葉梨主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 私が本分科会の主査を務めることになりました。よろしくお願いいたします。
 本分科会は、文部省及び自治省所管について審査を行うことになっております。
 なお、各省所管事項の説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算及び昭和六十年度政府関係機関予算中文部省所管について、政府から説明を聴取いたします。松永文部大臣。
#3
○松永国務大臣 昭和六十年度文部省所管予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 昭和六十年度の文部省所管予算につきましては、現下の深刻な財政事情のもとではありますが、文教は国政の基本であるとの認識に立ち、教育、学術、文化の諸施策について、我が国の文教施策の着実な推進を図るため、所要の予算の確保に努めたところであります。
 文部省所管の一般会計予算額は、四兆五千七百四十一億二百万円、国立学校特別会計予算額は、一兆六千六十三億三千七百万円でありまして、その純計額は五兆千百七十七億七千九百万円となっております。
 この純計額を昭和五十九年度の当初予算額と比較いたしますと、百五十六億千五百万円の増額となり、その増加率は〇・三%となっております。また、文部省所管の一般会計予算額は〇・〇五%の増加、国立学校特別会計予算額は〇・三%の増加となっております。
 何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、時間の関係もございますので、お手元に配付してあります印刷物を、主査におかれまして、会議録に掲載せられますよう御配慮をお願い申し上げます。
#4
○葉梨主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま文部大臣から申し出がありました文部省所管関係予算の概要につきましては、その詳細な説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○葉梨主査 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
  〔松永国務大臣の説明を省略した部分〕
    ―――――――――――――
 以下、昭和六十年度予算における主要な事項について、御説明申し上げます。
 第一は、初等中等教育の充実に関する経費であります。
 まず、義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の改善計画につきましては、児童減少市町村内のすべての小学校について、いわゆる四十人学級を実施することとしたほか、教職員配置についてほぼ前年度同様の改善を行うこととしております。なお、義務教育費国庫負担金等のうち、教職員旅費及び教材費については、一般財源措置に移行することといたしております。
 次に、教職員の資質の向上を図るため、新規採用教員等研修、新任教務主任研修、免許外教科担任教員研修、教員の海外派遣、教育研究グループ補助、教育研究団体への助成など、各種研修を実施することといたしております。また、近年の情報化、高度技術化等に対応する教育方法開発のための特別設備について新たに助成する等の措置を講ずることといたしております。
 次に、児童生徒の問題行動を未然に防止し、その健全な育成を切望している国民の期待にこたえるため、生徒指導の充実強化方策として、新たに家庭や地域との連携強化等学校内外にわたる総合的な生徒指導の実践研究を行う生徒指導総合推進校の指定、自然や社会環境の異なる地域にある学校の相互交流を促進するふるさと交流学習促進事業を実施するほか、自然教室推進事業の拡充を図ることといたしております。また、これに関連して新たに廃校となった校舎等を自然教室等受け入れ施設として転用するため、その施設整備に必要な経費の一部を補助することといたしております。このほか、中学校生徒指導推進会議等の開催、生徒指導担当教員の研修、教育相談活動推進事業の実施等の事業を行うことといたしております。
 義務教育教科書の無償給与につきましては、これを継続することとし、所要の経費を計上いたしております。
 幼稚園教育につきましては、保護者の経済的な負担の軽減を図るための幼稚園就園奨励費補助を行うほか、幼稚園施設の整備を図るとともに、新たに幼稚園と家庭の連携の在り方についての研究委託を行うことといたしております。
 特殊教育につきましては、特殊教育就学奨励費の充実を図るとともに、心身障害児の理解認識の推進等を行うことといたしております。
 教育内容・方法につきましては、その改善を図るため新たに個人差に応じた学習指導に関する特別研究、高等学校における教育課程の実施状況調査を行うことといたしております。
 また、海外子女教育につきましては、日本人学校の増設、児童生徒数の増加に対応し、派遣教員の増員を行うとともに、帰国子女教育研究協力校の指定、帰国子女教育受け入れ推進地域の拡充を行うなど、帰国子女受け入れ体制の整備を図ることといたしております。
 さらに、児童生徒等の健康の保持増進に係る事業の推進に努めるとともに、学校給食につきましても、豊かで魅力ある学校給食を目指して、学校給食施設・設備の整備を図ることといたしております。
 次に、公立学校施設の整備につきましては、校舎等建物の新増改築事業について、所要の事業量を確保するとともに、義務教育諸学校大規模改修費補助の地域制限の撤廃、小・中学校屋内運動場の基準面積の改定等の制度改善を行うこととし、これらに要する経費として、三千六百二十四億円を計上いたしております。
 なお、新たに産業教育に係る調査研究を行うこととしたほか、定時制及び通信教育の振興、理科教育及び産業教育の振興、道徳教育の充実、英語教育の充実、地域改善対策としての教育の振興など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第二は、私学助成に関する経費であります。
 まず、私立の大学等に対する経常費補助につきましては、昭和五十九年度と同額の二千四百三十八億五千万円を計上いたしております。このほか、私立大学等の研究装置等整備費の補助についても五十六億円を計上し、教育研究の推進に配慮いたしております。
 また、私立の高等学校から幼稚園までの経常費助成を行う都道府県に対する補助につきましても、大学等と同様昭和五十九年度と同額の七百十六億円を計上いたしております。
 日本私学振興財団の貸付事業につきましては、政府出資金四億円及び財政投融資資金からの借入金三百七十六億円を計上し、自己調達資金と合わせて昭和五十九年度と同額の八百五億円の貸付額を予定いたしております。
 また、専修学校につきましては、教員研修事業等に対する補助、大型教育装置に対する補助、生徒に対する奨学金の貸与、国費外国人留学生の受け入れの拡充等を図るほか、新たに専修学校教育の運営改善に関する調査指導を行うための経費を計上するなど、専修学校教育の一層の振興を図ることといたしております。
 第三は、高等教育の整備充実に関する経費であります。
 まず、国立大学の整備につきましては、鹿児島大学に医療技術短期大学部を併設することとしたほか、地方における国立大学を中心に、教育研究上緊急なものについて、学科等の整備充実を図ることといたしております。
 大学院につきましては、東京農工大学及び愛媛大学に、いわゆる連合大学院方式による連合農学研究科を設置するなど、研究科、専攻の新設等を行うことといたしております。
 附属病院につきましては、新設医科大学の附属病院を年次計画に基づき整備するほか、既設の附属病院についても救急部の増設など、その充実を図ることといたしております。
 なお、国立大学の入学科・検定料につきましては、諸般の情勢を総合的に勘案し、昭和六十一年度入学者から、これを改定することといたしております。
 次に、放送大学につきましては、すでに予告放送を実施中でありますが、昭和六十年四月から本放送を開始し、学生を受け入れることといたしております。
 また、育英奨学事業につきましては、昭和五十九年度に行った制度改正を学年進行により計画的に実施することとし、政府貸付金七百八十七億円、財政投融資資金百五十一億円と返還金とを合わせて、千二百七十九億円の学資貸与事業を行うことといたしております。
 このほか、公立大学につきましては、医科大学、看護大学等の経常費補助等について所要の助成を図ることといたしております。
 第四は、学術の振興に関する経費であります。
 まず、科学研究費補助金につきましては、独創的先端的な研究を推進し、わが国の学術研究を格段に発展させるため引き続き充実を図ることとし、昭和五十九年度に対して十五億円増の四百二十億円を計上いたしております。
 次に、重要基礎研究につきましては、エネルギー関理科学、加速器科学及び宇宙・地球環境の解明についても一層の進展を期するとともに、「対がん十カ年総合戦略」に関連する研究の推進を図ることとし、これら重要基礎研究に要する経費として四百六十三億円を計上いたしております。
 なお、学術研究体制の整備につきましても、文部省所轄研究所である統計数理研究所を国立大学共同利用機関に改組、転換するとともに、すぐれた若手研究者の養成に資するための特別研究員制度を創設するなど各般の施策を進めることといたしております。
 第五は、社会教育の振興に関する経費であります。
 まず、地域における社会教育活動の拠点となる公立社会教育施設につきましては、引き続きその整備を図ることとし、これらの施策に要する経費として百十二億円を計上いたしております。
 また、社会教育活動の振興を図るため、社会教育主事、社会教育指導員等の社会教育指導者層の充実に努めるとともに、青少年のボランティア活動を一層推進するほか、青少年、成人、婦人、高齢者など各層に対する学習機会を提供、地域連帯意識を醸成するための地域活動の促進、新たなメディアの活用など、社会教育の幅広い展開を図ることとして所要の経費を計上いたしております。
 さらに、青少年の健全育成に資するため、家庭教育の充実に努めるほか、大型のキャンプ場を南蔵王山麓に新たに設置することとし、その工事に着手するとともに、計画的な設置を進めております国立少年自然の家につきまして、鹿児島県鹿屋市に第十番目の少年自然の家の設立準備費など、所要の経費を計上いたしております。
 第六は、体育・スポーツの振興に関する経費であります。
 国民の体力づくりとスポーツの普及振興につきましては、広く体育・スポーツ施設の整備を進めるため、社会体育施設、学校体育施設について、その整備に要する経費として百六十八億円を計上いたしております。
 また、学校体育につきましては、学校体育実技指導者の資質向上に努め、格技指導推進校の充実を図るとともに、学校体育大会の補助についても所要の経費を計上いたしております。
 さらに、生涯スポーツ推進事業について一層の拡充を図るなど、家庭、学校、地域における体力つくり事業の充実を図り、たくましい青少年の育成と明るく活力ある地域社会の形成に資することといたしております。
 なお、日本体育協会の行う選手強化事業や国際交流事業等に対して補助を行うとともに、国民体育大会の助成など各般の施策につきましても所要の経費を計上いたしております。
 第七は、芸術文化の振興と文化財保護の充実に関する経費であります。
 まず、地域社会における文化の振興につきましては、こども芸術劇場、青少年芸術劇場、中学校芸術鑑賞教室、移動芸術祭等を実施するための経費を計上いたしております。
 また、芸術文化創造の援助等につきましては、芸術関係団体の創作活動に対する補助、芸術家研修、芸術祭について所要の経費を計上するとともに、中国引揚者に対する日本語教材等を作成するための経費を計上いたしております。
 次に文化財保護につきましては、国民の貴重な文化遺産の保存、活用を図るため、国宝・重要文化財等の保存整備、埋蔵文化財の発掘調査、史跡の整備・公有化を進め、また、天然記念物の保護及び食害対策を進めるとともに、国立劇場の事業を充実するなど、伝統芸能等の保存伝承を図ることといたしております。
 また、文化施設の整備につきましては、地域社会における文化振興の拠点となる文化会館、歴史民俗資料館等の地方文化施設の整備を図るとともに、国立文化施設については、かねてより準備を進めてまいりました第二国立劇場について建設に必要な建築設計競技、基本設計準備調査等を行うこととし、そのための経費を計上いたしております。
 第八は、教育、学術、文化の国際交流・協力の推進に関する経費であります。
 まず、発展途上国への協力等の観点から、国費留学生の新規受け入れを拡充するとともに、大学等における留学生受け入れ体制の整備、日本語教育の充実など、二十一世紀を目指して、留学生に関する事業を積極的に推進することとし、そのために要する経費として百億円を計上いたしております。
 さらに、ユネスコを通じた教育協力、国連大学への協力等についてもその推進を図ることといたしております。
 また、学術の国際交流・協力を推進するため、二国間・多国間にわたる各種の国際共同研究を進めるとともに、拠点大学方式によるASEAN諸国との学術交流事業、先進諸国等との研究者交流の促進を図ることといたしております。
 以上、昭和六十年度の文部省所管の予算につきまして、その概要を御説明申し上げた次第であります。何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○葉梨主査 以上をもちまして、文部省所管についての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○葉梨主査 この際、分科員各位に申し上げます。
 質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜りますようお願い申し上げます。
 なお、政府当局におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松沢俊昭君。
#8
○松沢分科員 私は、学校給食問題につきまして若干御質問いたしたいと思います。
 学校給食法という法律ができましたのが昭和二十九年、その前からずっと日本では学校給食というものが実施されておりました地域はございましたけれども、終戦直後大変な食糧難に入りまして、少なくとも子供にだけは何とが食べさせなければならない、そういう趣旨で法制化されたと思っております。そのときにおきましては、当然それが最もいい方法であったと思います。しかし、今日の段階におきましては、飽食の時代、こういうことが言われておりまして、日本の農業生産も大分変わってきているわけなんであります。こういう中で、従来の給食の考え方と現在の給食の考え方、やはり変わった立場で考えていかなきゃならない、こんなぐあいに考えておりますけれども、その点大臣の方はどうお考えになっているか、まず最初にお伺いいたしたいと思います。
#9
○松永国務大臣 先生御指摘のとおり、学校給食が法制化された時代は大変日本が貧しい時代でございまして、そこで子供にだけは十分食べさせてあげたい、栄養が足りるようにしてあげたい、こういったことから学校給食は始まったものと思います。その後、関係者の大変な努力で学校給食というものが我が国に定着をしてまいりまして、今では小学校の九九%、中学校の八二%が学校給食を受けておるわけであります。現在では、貧しい時代から豊かな時代へ、先ほど先生の話にありましたように飽食の時代となってきたわけでありますから、もう学校給食は要らぬじゃないか、むしろ弁当ぐらいは母親がつくってあげた方が、母親と子供との間の心のつながりがより密度が濃くなって子供の教育上よろしいのではないかという意見もあることも事実であります。しかし、ここまで学校給食が定着してまいりますと、いろいろな面での教育的な効果も出てきておるということも私どもとしては重視をしておるわけであります。今先生のおっしゃいました飽食の時代ではありますが、そのことがかえってバランスのとれた食事になっていないのではないかという指摘がございます。そこで、子供の体の健全な発達のためには、栄養のバランスのとれた給食を通じて子供の発育を図っていきたい、そのために学校給食が大変効果を発揮しておる、これが一つございます。
 もう一つは、給食の時間に先生と子供が一緒に食事をして、そして先生と教師との間の心のつながりというものが濃くなっていく、密接になっていくという教育的な効果もございます。
 さらにまた三番目としては、学校給食は生徒が食事を運んできて、そして並べる、それからまた後片づけも生徒がする、そういったことで、学校給食を通じてそういう働きをする、仕事をするということがこれまた子供の発達にとって教育上極めて有意義である。
 こういった学校給食が学校教育の中で果たしておる役割は非常に大きなものがあるという点に着目をいたしまして、豊かな飽食の時代になりましたけれども、やはり学校給食は大切であるという考え方で今後とも私どもとしては学校給食を維持し発展をさせていきたい、こう考えておるわけであります。
#10
○松沢分科員 今大臣の方から、確かに時代は変わったけれども、飽食の時代になったことによってまた逆に子供の栄養のバランスの面等において問題が出てきておる、そういうために大きな役割を果たしておるというのが学校給食である、その他、教師と児童との食事を通じての対話の問題、あるいはまた生徒の自主的な食事の準備やあるいは後片づけ等によって、それなりのしつけというものをちゃんと教育をしていくというような点においてというお話でございましたが、私は、むしろ栄養のバランスがとれてきているのであるかどうか、そこに一つの疑問を持っておるわけでございます。これはもちろん学校給食そのものから来る問題であるかどうかということは別でございますけれども、子供の健康の状況というものが必ずしもいい方向には行っていない。
 私、ある国立大学の医学部の附属病院に行っていろいろお話を聞きましたところが、子供でインシュリン注射をやらなければならない、そういういわゆる糖尿病児童というものが非常にはやっておるということを聞いております。あるいはまた歯のお医者さんなんかに聞きますと、歯が非常に弱くなっている、それからあごが非常に弱くなっている、こういうことで、総体的に考えてみますと、確かに子供の体そのものは大きくなったけれども、体力といいますか体質といいますか、そういうものはむしろ低下しているのではないか、こういうことが指摘されているわけでございまして、それに果たして今の学校給食が対応しているのであるかどうか、私は甚だ疑問に思っておるわけであります。
 それから、もう一つの問題といたしましては、大臣、教師と生徒児童との対話の時間というのがあっていい、こういうお話でございますけれども、対話の時間なんというのはほとんどないのじゃないか。これは大臣から聞くよりも文部省の担当官から聞いた方がいいと思いますけれども、今一番問題になっているのは、食事の時間というのはなるべく縮めようとしているわけなんであります。だから、ゆっくり食べている子供等はいろいろ注意をされる、こういう状況でございまして、大臣の御答弁とはまるっきりあべこべの方向にいっているというのが現状なのじゃないか、こういうふうに私は見ております。そういう意味で、食事時間というのが大体どのぐらいになっているかということも、この際文部省の方から明らかにしてもらいたい、かように思います。
 それから、生徒に生活のマナーといいますか、そういうものを教え込むにいいというお話でございますけれども、学校給食がずっと進んでまいりまして、今では食事の姿勢というのが極めて悪くなってきている、家庭では右手を全然使わないで食べる、そういうことで、父兄の連中はこれは一体どういうことなんだろうという状況にまで来ているわけなんであります。そういう点からいたしますと、これもまた大臣の答弁とは全然別な方向に進んでいるじゃないか。こういう点を考えますと、学校給食につきましては、むしろもう一回総括をして新たな立場に立って考え直していく必要が起きているのじゃないか、かように私は考えております。そういう点につきまして、もう一回大臣の方から御答弁を賜りたい、かように思っております。
 それからもう一つの問題は、学校給食会、いろいろ経過をたどりますと、今度は日本学校健康会というようなものになってきているわけでありまするが、これが取り扱っているところの指定物資だとかそういうもので、総トータルで約四百億円ぐらいですかの売り上げがあるわけでございます。しかし、私たちから見ますと、学校健康会はペーパーマージンの稼ぎだけをやっておって、これがあるから有効に機能するというものではないじゃないか。それからもう一つは、この学校給食のそういう団体のルートを通じて物資が流されるということは、逆に言うならば、子供を利用したところの大きな利潤を追求するマーケットになっている、そんな感じもいたします。今我々がやらなければならないことは、まずもって子供の健康、これをどうするかというところに重点をかけた学校給食の見直し、ここにあると私は思いますが、そういう点からしますと、今のこういう日本学校健康会等のあり方には一つの問題があるじゃないか、こんなぐあいに考えております。
 それからもう一つの問題は、地域農業という問題と学校との関係。地域農業などというのは、生徒児童、そういうものはほとんど知っていないじゃないか。そういうことも知らしめるということもやはり学校教育の一環としての給食ということになるのじゃないか、こんなぐあいに実は考えるわけなんでありますが、この辺どうお考えになっておるか、まずもってお答えをいただきたい、かように考えます。
#11
○松永国務大臣 御質問が多岐にわたりましたので、総論的な部分を私が御答弁申し上げ、あとは政府委員から答弁をさせます。
 まず栄養のバランスの問題でございますが、どうも日本人、最近は先生御指摘のように歯が弱くなったとかあるいはデブデブ太ってきたとか、そういったバランスの問題がよく言われます。考えてみますと、先生も私もそうだと思いますが、比較的貧しい環境で育ったつもりでありますが、その当時は魚といえば目刺し、それから煮干しその他の小魚、それを丸ごと食べておったものですね。カルシウムという意識なしに、実はカルシウムが十分とれたわけであります。また、野菜なども、実は葉っぱだ、ホウレンソウだ、ニンジン、大根、ゴボウだというものをたくさんいや応なしに食べておったわけでありまして、それを食べることによって腹が膨れるものですが、最近は豊かになってきたがために、魚にいたしましても骨のないものを普通家庭では食べているというのが現状であります。
 学校給食のよさは、先生御承知のとおり栄養士さんがいらっしゃいますから、今申したような、家庭でややともすれば不足がちのカルシウムとかビタミンとか、そういったものがとれるようにバランスのとれた献立あるいはカロリー計算等をしていただいて、その上での給食になっておりますから、その意味で、家庭におけるややともすれば栄養バランスの乱れがちな食事を是正して、昼食の学校給食の時間を通じて子供たちに栄養のバランスがよりよくとれるような努力がなされておると承知しておるわけでありまして、先生にもその点に学校給食のよさがあるんだということで御理解を願いたいわけでございます。
 次は給食の時間でございますが、晩飯じゃございませんから一時間も二時間もかけるわけにはいかぬでしょう。しかし、早ければいいというものではございませんから、短からず長からずが望ましいと思うのでありますが、常識的に考えれば、三十分ないし四十分ぐらいが昼食の時間としては普通ではなかろうか。その程度の時間があれば、教師と生徒、あるいは生徒同士との間にある程度の心の触れ合いというものが少しずつ深まってくるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけであります。学校によっては四十五分ないし五十分のところが多いようでありますが、短いところは二十五分ないし三十分などというところもあるそうでありますけれども、大体四十分前後というところが日本人の昼食の時間としてはまあまあ普通のところではなかろうか。余り昼食に時間をかけるようなことが習慣づけられますと、社会に出た場合に、必ずしも社会の常識的な時間帯と合わない昼食の時間をとる癖がついてしまうということもいかがなものか、こう思いますので、やはり三十分から四十分、あるいは四十五分ぐらいのところが常識的に言って妥当な時間ではなかろうかと思うわけでございます。
 次は、先生御指摘の、右手を使わないで食事をする癖という問題でございますが、これはいわゆるマナーの問題でありしつけの問題であると思うのであります。学校給食は、私の知っているところではフォークを使うところが多いのじゃなかろうか、こう思うわけでありますけれども、日本の普通の食事の場合は、洋食の場合は別として、御飯とおかずの場合にははしで、そして左手で茶わんなりおわんなりを持って、そしてはしを右手に持って食事をするというのが日本人の伝統的な食事方法でありますし、また伝統的なマナーであると思うのでありますけれども、どういうわけかフォークが多いようであります。しかし、はしで食べる方が適当とする料理等の場合には、できればはしを使うことがよろしいのじゃなかろうか。フォークを使う場合においても正しいフォークの使い方を先生が生徒に実際に指導していくことが大事ではなかろうか、こう思うわけであります。
 しかし、そういう食事のマナーというのは学校だけではなくして家庭におけるしつけの問題もあるわけでありまして、学校と家庭とが連絡をしながら子供の食事時間におけるマナーがよくなるように努力していくことが望ましいと思うわけであります。
#12
○古村政府委員 日本学校健康会の業務につきましての質問でございますが、日本学校健康会は給食用物資のあっせんを行っておりますけれども、一つは米、小麦粉を初めといたします指定物資、基幹物資を一元的に扱う。学校給食用の米は割引でございますので、そういった機能を有するところが必要だということで扱っております。
 御指摘の一般物資でございます。一般物資は、普通民間に流通しているものをなぜ健康会が扱うかということでございますが、一つは、大量に買うことによって給食の単価を下げるという効果を持っているわけでございます。そして大量に買いますから安定的な供給ができるということもありますが、これにつきましてはいろいろと御意見がございます。したがいまして、現在の皆さん方のいろいろな御意見を聞きながら、この一般物資の扱いについては今後も検討していきたいと考えておりますが、そういった意味を持っているということを御理解いただければと思っております。
 なお、農場等のお話でございますが、学校給食を通じまして地域産業、地域農業というものを子供に知らせることは非常に有意義なことである。したがいまして、郷土食というようなものも進めているわけでございまして、そういった点での努力をなお進めたいと思っております。
#13
○松沢分科員 いろいろ御答弁賜りましたが、私の言わんとすることは、発足当初とは状況が変わってきている。脱脂粉乳はほとんどなくなりまして、国内産の牛乳を使うことになりました。しかし、田んぼの真ん中の学校が小麦粉のパン、これは外国のパンでありますが、それを食べて御飯を食べる回数が不足だという、これは私非常に矛盾しておると思っているわけであります。それから牛乳にいたしましても、単価の面からいたしましても五円の補助をやってもらっておりますけれども、工場から出る牛乳を使わなくとも、酪農家から直接学校へ持っていって沸かせて飲ませれば非常に安くつくわけなのでありまして、それがまた新鮮であって栄養も豊富ということになってまいります。あるいはまた野菜だとか卵だとかいうものも、その地域、その村にあるということになればそれを利用していく。こういうことで地域と密着した学校給食にしなければならない。そしてまた、食事をつくる場合におきましても、自校方式という言葉がありますけれども、やはり学校単位でちゃんと給食施設をつくってやっていくことで子供と食事との関係が深くなっていくのじゃないか、こう思っているわけであります。
 しかし、今はそういうことが行われていない。それどころか逆に、今回何か通達が出ましたね。これはもう既に議論されているそうでありますから重複は避けますけれども、一月二十一日の体育局長のこの通達は、三十五年の通達、それから四十六年の通達を全面的に否定して、子供の立場で学校給食を考えることはないのであって、財政の立場で学校給食を考える、これは極めて野蛮な学校給食のやり方だと私は言わざるを得ないわけであります。そういう点で、見直しは見直しであっても見直しの方法が全然違っておるじゃないか、時代が変わって学校給食を見直していく場合においては、地域社会と密着し、そして子供そのものが丈夫になるような学校給食に変えていかなければならぬ、そういうことをやるのが文部省のあり方なんじゃないかと私は考え、きょう質問に立ったわけでございます。
 そういう点につきまして大臣からも御所見をいただきまして、また、この通達を出すことによって及ぼすところの影響が非常に大きいわけでありますから、この点についての御見解もあわせて承りたい。同時に、日本型食生活ということが今よく言われるわけでありますが、この日本型食生活と文部省の方でやっておられる学校給食に隔たりはないのかあるのか、この点も明らかにしてもらいたいと思います。
#14
○松永国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、学校給食は子供の健全な育成のために極めて有意義な事業であるということで、今後とも学校給食という仕組みを推持し発展させていきたいということは繰り返し申しておるところであります。
 ただ、それを実施するに当たりましては、材料代について父兄の負担がありますけれども、その他の経費は結局は国民の負担になるわけでありますので、各自治体においてその実施に当たっては合理化を図って、そして経費のむだを省くようにする、これはどなたも異論のないところだと思います。一月二十一日の通知は、そういう趣旨での合理化について研究し実施してもらうようにという指導をしたわけでございまして、決して子供の立場を考えないわけではないのでありまして、子供の立場を考えて学校給食は今後とも維持し発展させていく、しかしその経費については結局は国民の負担、父兄の負担になることであるからその実施に当たっては合理化を進めるように、こういう通知をしたところでございます。
 それから、先ほど局長からも答弁がございましたが、野菜にしろその他の材料にしろ、地域の実情に応じてその地域から調達するということは望ましいことなんでありまして、それもまた指導しているところでございます。
 それから米とパンの問題でございますが、日本人の常識的な食習慣として米が日本人の食事の中心なんでありますから、その意味では、米食についてはこれまた推進に努めておるところでございます。
#15
○松沢分科員 なかなか議論がかみ合わないわけでございますけれども、問題は、確かに学校給食は続けていくのだという大臣のお気持ちはわかります。しかし、続けるにしてもとにかく子供の立場に立ってということになりますと、例えば民間委託という問題になりますと、これはよく中毒事件が起きます。ああいうことが起きたら大変だということで四十六年通達が出ているのじゃないかと思っているのです。確かに民間委託をやった方が安上がりになるかもしれませんけれども、そのことで子供にもしものことがあってはならないということの十分な配慮からの四十六年通達だと私は思っております。あるいは三十五年の通達にいたしましても、それなりにきちっとした職員を配置してやっていかないと、これまた子供のために重大な悪影響が出てくるおそれがある。全部子供を配慮してのものだと私は思っているわけであります。
 それが今度、民間委託、職員はパート化せい、そして自校方式は共同調理場方式に変えていった方がいいじゃないか、こういう話でありまして、共同調理場は私の地元の町でもやっておりますけれども、十二時に食べるのに十時半ごろから配って歩くわけでありますから、子供が食べるころは冷たくなっているわけなんであります。こんなものが一体食事と言えるか、これはえさじゃないかということを我々は言っているわけなんであります。そういうことがあってはならぬじゃないか、そういう点ではもっと十分な配慮があっていいじゃないか。同時にまた、時代が変わっているわけだから、地域農業と密着した日本型食生活というのが言われている今日でありますから、それを育てていくような中で学校給食をやって、そして児童の健康というものを向上させるという立場に立ってやってもらわなければならない、そういう時代なんじゃないか、こういう意味で御質問を申し上げたわけなんであります。その点、もう一回御答弁があったらお聞かせ願いたい。
#16
○松永国務大臣 先ほどから申し上げているとおりでございまして、学校給食というのは、育ち盛りの子供に対して昼食を給食することによって体位の向上を図る、あるいは教育的な効果を図っていく、そういう目的があるわけであります。その目的の趣旨を十分踏まえていただいた上で、地域の実情に応じて合理化についてのいろいろな工夫をして、そして経費のむだを省いていただきたい、こういう通知なんでございます。その通知に基づいて、地域の実情に応じてそれぞれ創意工夫をして経費の節減合理化に努めていただきたい、こういうことでございますので、我々の意図するところも御理解願えるのじゃなかろうか、こういうふうに思う次第でございます。
#17
○松沢分科員 時間が参りましたので、またいずれかの機会にお話を承りたいと思います。これで終わります。
#18
○葉梨主査 これにて松沢俊昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、近江巳記夫君。
#19
○近江分科員 きょうは非常に限られた時間でございますので、何点かお伺いしたいと思っております。
 まず第一点は、ユネスコ問題についてお伺いしたいと思っております。
 私も予算委員会におきまして中曽根総理に、加川大使からのああした脱退も辞せずという発言がございまして、その真意をただしたわけでございます。そのときに、中曽根総理の答弁は、ユネスコの内部において今非常に問題が多い、この改革を迫っていきたい、それが入れられないときには異常な決意で臨まなければならない、こういう表明をされました。私たち公明党といたしましては、この国連の機能というものを大変重視いたしております。したがいまして、一挙にその改革ということは非常に難しいけれども、そういう悲劇的な状況というものを避けてもらいたい、その改革を迫るという強い決意、これは我々も十分に理解するわけでございます。そういうことで、その点を重ねて総理にも要望した次第でございまするが、何といいましてもこのユネスコの問題は文部省が一番の責任の省でございます。
 そこでお伺いしたいのは、文部当局といたしまして、またユネスコ国内委員会といたしまして、このユネスコの問題についてどういう気持ちで今それを受けとめていらっしゃるか、またどういう考えで今後行動しようとされておられるのか、お伺いをしたいと思います。
#20
○大崎政府委員 ユネスコの問題につきましては、米国が脱退通告をいたしました時点から非常に重要な問題であるという認識に立ちまして、日本ユネスコ国内委員会におきまして、この問題に対応いたしますあり方についての御検討を重ねていただいてぎたところでございます。御検討の成果につきましては、その都度政府へのお申し入れあるいは政府を通じてのユネスコヘの申し入れという形で反映をするように努めてまいっておるところでございますが、最も最近の動きといたしましては、去る一月二十八日に開催をされました日本ユネスコ国内委員会の総会におきまして、この問題につきましての基本的な見解が取りまとめられておるところでございます。
 その基本的見解の趣旨といたしますところは、ユネスコが教育、科学、文化の領域における唯一の世界的な国際機関といたしまして、これまで国際的な学術協力事業あるいは文化遺跡の保存事業、教育その他の地域的な協力事業等に大きな貢献をしてきたということを評価しながら、しかし一方、改革、改善を要する点が現在非常に多い。またそういう改革、改善を要する点につきましてこの際真剣に取り組まないと、米国のユネスコ脱退が現実化し、あるいはイギリス、シンガポールが通告を行っているというような危機的な事態に対応できないのではないか。この際各国で政治的立場等から意見が分かれる、あるいは合意が得られにくい事業でございますとか、あるいは他の国連諸機関との重複と認められるような事業でございますとかいうものを中止、抑制をするとか、あるいは機構の管理運営の合理化、効率化という点に真剣に取り組むべきではないかという趣旨の見解が取りまとめられまして、文部、外務両省にもその点についての申し入れがあったわけでございます。それで文部省といたしましては、日本ユネスコ国内委員会の見解あるいは審議の内容というものを踏まえまして、これを外務省と連携を図りながら政府の方針に反映させ、さらにはユネスコの改善、改革に反映させていくということを基本的な立場といたしておるところでございます。
#21
○近江分科員 中曽根総理の発言で非常に私が懸念いたしておりますのは、改革が進まない場合は脱退もあり得るという答弁をされているのですね。先ほども申し上げましたように、改革ということが一挙に――少なくともこれは戦後四十年設立以来活動を続けておるわけでございまして、そういう中には幾多の弊害も出てくると思うのです。そういうことを一挙に改革していくということはなかなか難しいことだと思いますし、そういう点で総理が非常に強い決意で臨んでいらっしゃる、改革の決意、熱意というものは非常にわかるわけでございますが、もう何回も申し上げますが、脱退というような悲劇的なことは避けなければならない、このように思うのです。その点非常に心配しておるわけでございまして、大臣はいわゆる中曽根総理と同じそういうお考えをお持ちかどうか、お伺いしたいと思います。
#22
○松永国務大臣 先般の予算委員会で、近江先生の御質問に対する総理の答弁の趣旨は、日本としては決して去りたいとは思っていませんが、しかし何としてでも改革をやり遂げたい、やり遂げさせてもらいたい。改革ができないということは非常に残念なことでありますから、どうしても改革をしてもらいたい。その改革への熱意を実は表明したわけでありまして、さらにまた総理は、近江委員の質問に対して、今あなたがおっしゃったようにユネスコというものを大事にしたい、日本としては去りたくない、そういう気持ちでいっぱいでおるのであります、実はこういう趣旨の答弁もあるわけであります。結局改革に対して強い熱意を示すが、しかしユネスコは大事だから日本は去りませんよというようなことを表面に出しては、本当の改革の意欲のあらわれになりません。非常に強い意思で改革に向けて一生懸命努力するんだ、そういう意欲の表明が総理からあったものと私は理解いたしております。
 改革がなされませんとアメリカが脱退をすることになり、それに英国そしてシンガポールですか、これがまた実際に脱退という事態になりますとユネスコにとりましては大変な打撃でありますし、せっかくのユネスコの機能というものが十分には機能しなくなるおそれもあるわけでありまして、米国や英国、シンガポールがそういう態度をとるようになったのは、ユネスコ自身の運営その他の面に大きな問題があることも事実であるわけでありますから、日本としてはどうしてもユネスコの運営その他の問題点について速やかな改革をぜひともやってもらいたい、そういう強い意思の表明を総理がなさったものと私は受けとめております。しかもそれは日本ユネスコ国内委員会の意を受けての総理の決意表明であると思うのでありまして、私も総理と同じように、ぜひとも改革をしてもらいたいという強い意思を持っておるわけであります。
 同時にまた、ユネスコが学術、文化の面における国際的な委員会として大変大きな役割を果たしておるという事実は近江先生同様私も認識をいたしておりますので、その意味でユネスコはあくまでも大事にして、しかし同時に改革というものはぜひともしてもらいたい、この二つの強い意思を持っておるということを申し上げておきたいと思います。
#23
○近江分科員 そうしますと、大臣もその改革をぜひともやってもらいたいという強い決意、しかしそれは一挙にはいかないということは現実の問題だと思いますし、大臣としてはあくまでもこのユネスコを大事にしていきたい、そういう悲劇的なことは避けたい、こういうお気持ちですね、どうですか。もう一度その点を確かめておきたいと思います。
#24
○松永国務大臣 近江先生のお言葉をかりて使わせていただければ、悲劇的なことにならないようにぜひとも改革をやってもらいたい、こういうふうに思っておるわけであります。
#25
○近江分科員 ひとつ国連機関というものを本当に大事にしていただきたいし、そのための粘り強い、また強い熱意を持って改革を目指して頑張っていただくということは当然のことでございますし、今後ひとつ努力をお願いしたいと思います。
 次に、予算審議も八日間の空転をもって一応きのうから動き出したわけでございます。その与野党書記長・幹事長会談におきまして、政策減税を中心といたしましてお互いに合意がなされました。御承知のとおりであります。そういう中に教育減税あるいは単身者のいわゆる減税の問題、寝たきり老人の問題、今年中にこれを実施する、こういう与野党最高の、いわゆる党のかなめである書記長・幹事長会談で合意をいたしました。
 教育費というものは今日国民生活に非常に大きな負担となってきておることは御承知のとおりです。きょうお見えの政府のそれぞれ役職をお持ちの皆さんもお子様の教育に頭を痛めていらっしゃる。これは切実な問題だと私は思うのです。そういう中で教育減税ということがお互いに合意になったということはまことに喜ばしいことである、このように思います。
 教育の一切の責任を持たれる文部省とされてこれは非常に喜ばしいことではないか、このように思うわけでございまして、この教育減税に関しましてこのように合意をしておるわけですから、そしてそうなってきますと、文部省としてこういうことをぜひやってもらいたい、ただ項目としての教育減税でなく中身なんですね。それは我々としては大いにバックアップをしてこれが実現できるように頑張りたいと思います。その推進力になるのは文部省でございまして、この教育減税に対してこれだけの国会の大きな援軍がここに固まったわけでございますから、この際大いに考え方をここで開陳していただきまして我々もバックアップをしたい、このように考えておる次第でございます。
#26
○西崎政府委員 近江先生御指摘のとおり、父兄の教育費負担を軽減するということは教育上非常に大きな問題でございます。教育費に関する減税の問題につきましては、私どもも昭和四十年代いろいろと検討した経緯がございますが、昭和五十二年以降につきましては、減税問題として教育費をとらえるには税制上いろいろな問題があるというふうなこともございまして、主として歳出面について、例えば私学助成でありますとか育英事業費についての増額とか、そういう面での努力を文部省としては重ねてきたというふうな経緯があるわけでございます。
 この際、先生御指摘のとおり幹事長・書記長会談におきまするいろいろな合意事項というものがあることは私どもも承知しておりますし、自民党幹事長発言があったということも承知しておるわけでございます。今後の問題といたしまして教育費に係る減税等の問題、いろいろ与野党で折衝あるいは検討が重ねられるというふうになると思うわけでございまして、私どもは与野党間の検討の結果を踏まえまして財政当局を中心とした検討がなされるわけでございます。その点におきましては私どもも適切に対処してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#27
○近江分科員 それは与野党折衝に任すというのではなくして、そういう合意がなされたわけでございますから、文部当局として教育減税を合意した以上は、少なくともこのくらいのことはやってもらいたい。今まではいわゆる対大蔵省、財政の問題が大きなかせになっておるわけでございまして、遠慮をしつつ、歳出面で今までそういう私学助成であるとか努力してきた、そのとおりだと思うのですね。しかしこういうきちっとした合意がなされた以上、今までいろいろと考えておられた、言いたいけれども大蔵省が頑と控えておる、ここまでは言えないだろうというものがあったわけでございます。そういう点、我々が控えておるわけですから、こういう点を教育減税としてぜひともやってほしいということをひとつ表明していただきたい、このように思うわけです。
#28
○西崎政府委員 先生も御承知のとおり、税制につきましては大変技術的、テクニカルな面があるわけでございまして、この点につきましては政府の税制調査会等におきましてもいろいろな検討が過去なされてきた経緯があるわけでございます。そういう点につきましては財政当局が中心ではございますが、私どもとしてもいろいろと困難な点があることを承知いたしまして歳出面での努力を重ねてきたわけでございます。しかし、先生御指摘のように、この際このような合意事項が行われたというふうなこともあるわけでございまして、私どもといたしましても先ほど申し上げたことではございますが、与野党間におけるいろいろな折衝におきまして技術的な面も含めての御相談があると思うわけでございます。その際には、政府側におきましても財政当局と私どもの間でのいろいろな相談事項もあると思うわけでございますので、この点につきましては、私どもとしても適切に対処してまいりたい、こういうふうに考える次第でございます。
#29
○近江分科員 大臣も子供さんの教育問題、出費については頭を痛めていらっしゃると思うのです。そういう点、今回の合意は大臣にとってもまことに喜ばしいことだと私は思うわけでございます。一番喜んでおられるのが大臣だと思うのです。そういう点で、この教育減税に関して大臣としてどのように受けとめていらっしゃるか、また今後はどういう態度でいかれるか、その辺をひとつお伺いしたいと思います。
#30
○松永国務大臣 先ほどから官房長がお答えいたしておりますように、教育についての父母の負担が過大になりますと、結果的には教育の機会均等の理念が損なわれることにもなりかねない。そこで文部省としては、教育費について父兄の負担が過大にならないよう、しかもそういう施策が文教行政上極めて重要であるという認識のもとに今日まで努力をしてきたところであります。
 その努力の内容についてでございますが、先ほども話がございましたように、昭和四十年代におきましては歳出面の努力と、それから歳入面についていわゆる教育費減税というものができないかということの両方の努力をしてきましたが、歳出面の育英奨学事業の拡充あるいは私学に対する助成、こういったものは着実に伸びてまいりました。しかし、教育費に関係した減税につきましては、税理論等からいって、例えば税金を納めてない人には何らの恩恵もない、あるいは大学等の場合につきましては、高校を出て働いている人が税金を納めて、その税金で今度は学校に行っている恵まれている人が助かるというのは不公平ではないかなどという議論等もございまして、結局教育費減税というものは今までは実現をしていないわけであります。
 それで、昭和五十年代になりましてから、二兎を追う者一兎を得ずではございませんけれども、教育費の方は理論上さように難しいのか、できないのかということであるならば、二兎は追わずに専ら歳出面で父兄負担の軽減に努めようということで、御承知のとおり育英奨学事業の充実、そして私学助成に力を入れてきたわけでありまして、六十年度の予算案におきましても、補助金等一割カットなどというのが一方にあるわけでありますけれども、私学に対する経常費助成につきましては、財政極めて厳しい折でありますけれども前年同額の予算の計上がなされたわけでありますし、また育英奨学事業につきましては、五十九年度に比べて八%増の事業費の確保ができた、こういうことでありまして、歳出面についての努力は着実に実ってきておると考えておるところであります。
 今回、与党及び野党四党との幹事長の会議で、いわゆる政策減税等について教育費の問題を含めて今後検討するという合意がなされたことは承知いたしておるわけでありますが、しからばどういう中身の政策減税になるのか、これはまさしくこれからの公党間の詰めがなされるだろう、こういうふうに思っておりまして、その詰めがなされた後、政府部内においてもその話し合いを尊重して具体的な手続に入らなければならぬ、こういうように思うわけであります。我々としても公党間の細かい詰めを見守りながら、そしてそれがなされた後に、それを受けて所要の措置をしてまいりたい、検討してまいりたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#31
○近江分科員 その中身というのは非常に難しいと思うのですね。難しいだけに、これがまないたに上がった以上、教育減税というのは少なくともこういうことをぜひやるべきではないかということを文部当局から、少なくとも我々はこういう希望をしますという何らかの基準といいますか、そういうものをひとつ表明していただきたいと思うのですよ。
 例えば公平の点からいけば、義務教育というのは皆受けさせなければいかぬわけですね、大学というのは三〇%か、働いている人の方が多いわけですから、それは今おっしゃるような点もあるかもしれません。義務教育ということになれば、お子さんをお持ちの人であれば全部受けさせなければならぬわけです。だから、例えば一例ですけれども、そこに絞ってこういう減税の仕方があるじゃないかというような、今まで本当に長い間文部省は苦しんでこられたわけですから、そういう考え方は相当持っていらっしゃると思うのですね。これから確かにおっしゃるように与野党がお互いに検討するわけですからそれは何とも言えませんけれども、こういうことがありますよということを、メニューといいますか、こういう考え方があるのですということをひとつ表明していただきたいと思います。
#32
○西崎政府委員 大変難しい問題でございますが、父兄負担の問題としては、高等学校にかかわる父兄負担あるいは高等教育にかかわる父兄負担というものが大きいわけでございます。しかもその父兄負担にかかわる経費につきましては、例えば高等学校については入学料あるいは授業料その他いろいろな種目があるわけでありまして、それぞれの段階における父兄負担の経費をどのように押さえるか、あるいはその段階における経費の種目をどのように押さえていくか、またその扱いを税制上どのように考えてまいるか、大変難しい問題がございます。これらの選択の問題についてはまさに与野党、先生方が中心となっていろいろと御相談があると思うわけでございまして、選択の問題についてのプライオリティーというものが若干これからの検討課題になるわけであります。
 先ほど大臣からお答え申し上げましたとおり、いろいろ各党間の御相談でその間における詰めが行われます際に、私ども政府の一員といたしまして十分適切な対処をしてまいりたい、現段階で申し上げられる点は以上のとおりでございます。
#33
○近江分科員 文部省が昨年の十二月二十六日に教育費について調査をやっていますね。そうすると、小学生で年間十六万五千二百円もかかっている。高校とか大学は非常にかかるのだとおっしゃるけれども、小学校でもこんなにかかっておるわけです。だから、今おっしゃったそれはちょっと違うと思うのです。義務教育だってもう本当に、おけいこごと、塾等を含めると、学校外だけでも一人八万五千円平均かかっておる、これが実情なんです。
 そういうことで、もう時間も余りありませんのでなんですが、この教育減税もいよいよまないたにのってきたわけですから、文部省としてはそれに十分対応できる準備をしていただきたいと思います。大臣も非常に喜んでおられるわけでありますから、ひとつ力を入れていただきたいと思います。その点大臣、よろしくお願いいたします。
#34
○松永国務大臣 私は文部大臣であると同時に政治家でありますから、税の問題は常に公平公正を考えなければならぬと思うわけであります。先ほど義務教育についても父兄負担がかかっているという御指摘でございましたが、それはそうだと思います。しかし、決して大蔵省の肩を持つわけではありませんが、扶養控除というのですか、子供一人につき幾ら控除という制度が既にあるわけでありまして、結局その控除の仕方が少ないということであれば、これはこれとして税制上の問題として議論がなされるであろうと思うわけであります。
 高等学校につきましても、八四%が高等学校に行っているようでありますが、残りの一六%は高等学校に行っていない。そうすると、その父兄については減税の恩典はないという問題も実はあるわけでありまして、公平公正ということを考えながら、そして世間の納得する教育費の父母負担の軽減ということができるならば私は結構なことである、うれしいことであると思っておりまして、そういう立場で今後とも努力をしていきたいと思っておるわけであります。
#35
○近江分科員 もう時間がありませんからあと一点だけちょっとお伺いしておきたいと思います。
 大規模改修費補助の問題でございますが、今まで補助対象地域というのは離島であるとか、豪雪地帯、台風常襲地帯、地震防災対策強化地域、このようになっておりましたが、来年度からこれは全国適用ということになりますね。これはかねて我々も陳情を受けておりまして文部当局に強くそれを要求してきたわけでありまして、非常に喜ばしいと思うのです。喜ばしいのだけれども、これを見ていきますと、去年の予算というのが五十七億四千三百万、今年度は九十九億六千百万円、ところが、御承知のように九十九億円というこの金額、確かに拡大していただいたことは非常にいいのですけれども、大阪府でも緊急にやらなければならないのが六十六校あるのですね。それだけでも三十一億かかる。その三分の一もらったとしても十億でしょう。全国で九十九億ですから、実際にそれはこなせるかということなんです。ですから、そういう点で確かに拡大していただいたのは結構なんですが、それは財政難であると言えばそれまでのことでございますけれども、そういう非常に緊急に改善を要するという校舎が随分と全国にあるわけでございます。その点、これではとても間に合わないわけですから、これは補正予算におきましても当然計上しなければならぬ問題であると思います。そういう点で、最後にひとつこの点をお伺いして、質問を終わります。
#36
○阿部政府委員 大規模改修費でございますけれども、先生からただいまお話がございましたように、当初五十八年度から離島とか豪雪地帯とかいう限られた地域について実施をしたわけでございますけれども、六十年度からは全国に地域制限を撤廃してこれを広げたいということにいたしたわけでございます。
 予算額についての御心配でございますが、今年度計上いたしました予算につきましては、昨年の段階で各市町村の計画等をとりまして、その計画に対応する金額をある程度見込みながら計上したわけでございますけれども、実際に計上されました後で、それができたのならぜひやりたいという希望がその後ふえてきているというような状況にあることは事実でございます。
 そういう意味で、全体に完全に対応するということはなかなか難しいかと思いますけれども、しかしながら、こういう御要望もあることでもございますので、予算全体の運用の中でできるだけその御要望にはこたえるように努力したいと思っております。そういうことで、特にことしは地域制限の撤廃ということに全力を注いでまいりましたという事情もひとつ御了解をいただきたいと思うわけでございますが、運用上できるだけの努力はいたしたい、かように考えております。
#37
○近江分科員 終わります。
#38
○葉梨主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、奥野一雄君。
#39
○奥野(一)分科員 お尋ねをしてまいりますが、今日まで国立大学の新設ということについては、財政などの理由だと思うのでありますけれども、見送られてきているわけであります。昨年の六月に大学設置審議会の大学設置計画分科会というところで、昭和六十一年度から七十五年度までの十五年間の整備の計画について報告を出しているわけでありますが、これと関連いたしまして文部省の方としては、新設の国立大学については来年度から実施をするというのですか、そういうような考え方があるのかどうか、まずその辺からひとつお尋ねをしておきたいと思います。
#40
○宮地政府委員 先生御指摘のとおり、昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備につきましては、かねて大学設置審議会の大学設置計画分科会で御議論をいただいておりまして、中間報告を出し、その後関係方面の御意見等をいただきながら、昨年六月に取りまとめをしていただいたわけでございます。
 初めにごく簡単に報告の概要を申し上げますけれども、いわば質的な問題、量的な問題、それぞれあるわけでございますが、全体的には昭和七十五年度までの十五年間の展望に立ちまして、当面六十一年度から六十七年度までの七年間についての高等教育の計画的な整備の方向と内容というものを示したものでございます。特に、その整備に当たっての視点といたしましては三点ほど挙げております。第一は、開かれた高等教育機関ということが大事であるということ、第二点は、高等教育機関の国際化の問題、それから第三点としては、特色ある高等教育機関、それぞれの高等教育機関が特色を持って存在をするというような点を視点として述べております。そういうことで、高等教育の質の向上ということが非常に大事であるということを述べておるのでございます。
 量的な問題は、先生御案内のとおり、十八歳人口がこれから六十七年度をピークにいたしましてふえていくわけでございます。その際、頂点になります昭和六十七年度におきましても、現状程度の進学率を維持することができますようにということで、収容規模を確保するということで、収容規模全体としては恒常的な定員増、期間を定めた定員増、両方合わせまして八万六千人程度を今後整備を図る必要があるということを示しているわけでございます。
 具体的にこれらの整備をこれからどう進めていくかということについての問題で、特に先生お尋ねの点は、国立大学の整備についてどう考えるのかというお尋ねでございますが、この計画の中では、それらのシェアをどういう分担で整備するかということについては直接には触れていないわけでございますけれども、従来大学の設置形態別に見ますと、国立のシェアというのがほぼ二割というのが今日の状況でございます。過去の大学の整備の趨勢でございますとか国公私立の現在の形態等を勘案いたしまして、おおむねそういう割合というものを頭に置きながら私どもも今後整備をしていかなければならない、かように考えているわけでございます。
 なお、具体的に六十年度予算で対応している点で申し上げますと、国立大学の場合に期間を限った定員増についてどう対応するかという問題についてでございますが、私どもとしては、各国立大学が現在の施設を前提にしてどの程度期間を限った定員増を収容することができるかというような実態等についても調査をし、さらに具体的には、六十年度予算では、東京工業大学とか、長岡、豊橋の技術科学大学等で期間を限った定員増を具体的にやる際の教官組織のあり方ということなどの検討も必要でございますので、これは六十一年度。以降どう対応するかということが必要なわけでございますので、具体的なそういう予算措置等についても対応しているわけでございます。私ども、期間を限った定員増について、国立大学においても今後六十一年度以降相当の対応をしなければならないというぐあいには考えているわけでございます。
 ただ、その際、新たに大学をつくるというようなことでどうするかというような問題、これはいわば恒常的な定員増の対応の仕方でございまして、これらの点は、現在の財政状況からすれば、新たな国立大学をつくることは大変困難な状況にあるということは御案内のとおりでございまして、これらの点は、今後各大学の具体的な計画等を勘案いたしながら慎重に対応してまいらなければならない課題、かように考えているわけでございます。
#41
○奥野(一)分科員 もちろん大学を一つつくるには相当な金がかかるわけでありますから、そう簡単にということにはならないと思うのでありますが、この計画によりますと、北海道の場合には二千五百人ですか、そういう数字が載っているわけでありまして、二千五百人という数を、いわゆる期間を限った定員増ですか、こういう中だけで消化をするのは非常に難しいのじゃないかという感じがしているわけであります。特に北海道の場合は、御案内のとおり三校の申請を毎年続けていると思っております。札幌は芸術大学ですか、それから函館は一応複合大学という名称を使っているようでありますが、釧路の医科大学、これら三校の申請をずっと続けているわけであります。
 私は出身が函館でありますから、函館に対する国立大学の設置ということに大変従来から関心を持ってきたわけでありまして、私が函館の市議会議員に出ましたのはちょうど昭和三十年ですから、そのころから函館に国立大学の設置ということの運動をずっと進めてきておるわけです。もう三十年近くそういう運動を続けてきているのだけれども、一向にこういう面についてはらちが明かない。北海道全体ということを考えてみますと、確かにいろいろな単科大学もございます。総合大学は北海道大学一つでありますけれども、単科大学は七つぐらいあるのですか、数はそういうふうにありますけれども、しかし、本州とかあるいは四国、九州、こういうところと比較をしてみますと、県庁所在地にはほとんど国立のいわゆる総合大学というものが存置をされているわけであります。北海道だけどうしてそういうような状況下に置かれるのか。確かに行政単位とすれば一つの行政単位でありますけれども、地域の広大性ということから考えてみますと、学問という面から見て、法のもとに平等だという点から考えてみますと、非常に不平等な状況に北海道の場合は置かれているのじゃないかというふうに思われてしようがないわけでありまして、そういう面では、北海道というのは学問的に見ますと相当な差別を受けているのじゃないか、こういう印象が非常に強いわけであります。
 今北海道の中でも、北海道をこの際分県しよう
じゃないかという動きが現実に起きているわけであります。なぜそういうことになるのかというと、やはりこういう大学などの設置の問題についても、北海道ということで一つなら一つ設置されればそれで済む、そういうようなことが、新たな大学などの設置をする場合に立ちおくれをしているのじゃないか、こう思われてならないわけであります。今全国でテクノポリス地域というのが十四指定になっているわけでありますが、この十四のテクノポリスの地域を眺めてみまして、国立のそういう大学がないのは、残念ながらこの函館地域だけでございます。テクノポリスの指定に当たりましても、政府の方からは学術研究機関というものがおくれている、こういうような指摘を受けているくらいでありまして、そういう面では、地域の人方もやはり北海道にそういう国立の大学をふやしていただきたいという希望が非常に強いわけでありますけれども、そういう面からこれを見て、六十一年度からの大学設置計画という点と兼ね合わせて、北海道の場合には、二千五百人というものを消化をしていくために新たな大学設置ということについては全く考えられないのかどうか、その点についてもう一度お伺いしておきたいと思います。
    〔主査退席、船田主査代理着席〕
#42
○宮地政府委員 北海道全体で申しますと、北海道大学以下、国立大学についても七国立大学があるわけでございますけれども、先生御指摘のように、北海道それぞれの市町村から国立大学の設置の要望というものは十数カ所出ているということを私どもも承知をしております。北海道全体で十数カ所から、いろいろそういう大学誘致のことについて私どものところにもお話があるわけでございますが、先生も御指摘のように、北海道庁においても、それは道内全体としてその点を整理されて絞って対応しなければいけないということで、絞って、その中に函館にというお話があることも承知をいたしているところでございます。函館が北海道の中でも市としても大変古くから発展したところであるということを私どもも承知をしておりまして、先生御指摘のように、昭和三十年以来それらの運動が続けられているという事情も十分伺っているわけでございます。
 ただ、地域的な点で、先ほどの全国の六十一年以降の計画の中で、臨時的な定員増を含めまして北海道地区全体で二千五百名程度の増員規模ということで計画をまとめてございますけれども、従来の傾向で申し上げますと、全体的に大都市の大学の設置を抑制いたしまして、地方に大学を整備するというような施策は過去から私ども進めてきておりまして、ちなみに数字で申しますと、十八歳人口に対する収容力指数で申しますと、例えば北海道地区は、昭和五十年度は二二・六%でございましたものが二五・四%というぐあいに率としては伸びてきておる。逆に、例えば関東甲信越は、昭和五十年度では五九・三%でございましたものが四六二一%ということで、指数からいえば落ちておる。これは大都市への大学の集中を極力抑制をして、地方に重点を置いて整備を進めるという全体的な施策を進めてきた結果、今日そういう数字になっておるわけでございます。
 そして、今後の整備の数として北海道地区で二千五百という数字は掲げておりますが、これは北海道全体の十八歳人口の比率からすれば、さらに進学率等も今後相当局まるということを期待するというような数字を含めまして、地方に重点的に対応するという形を踏まえて、現実の数字よりも相当上回った目標として私どもとしては設定をしておる数字というぐあいに考えておるわけでございます。それら全体を勘案しながら、北海道地域が全国的な観点の中で均衡のとれた発展をするように高等教育機関の整備を図っていくということは、私どもとしても考えていかなければならない課題というぐあいに考えておるわけでございますけれども、現実に具体的にどういう形でそれを進めていくかということになりますと、これは、私立大学の整備等がどういう方向で動くか、また、国立ということで考えるならば、どういう分野についてどういう形で進めていくか、なお検討を要する課題が多々あるわけでございまして、地元の御要望等も十分勘案しながら、私どもとしてはそれらの点は慎重に対応をしてまいりたい、かように考えております。
#43
○奥野(一)分科員 今お答えありましたように、北海道全体では収容率が高まっておる、こういうお話でございます。確かに全体を見るとそういうふうな状況になっている。これは短大も含んでのわけですか。
#44
○宮地政府委員 そのとおりでございます。
#45
○奥野(一)分科員 これは、例えば函館地区というのは、函館市内あるいは渡島管内とか檜山管内とかというものも含めているわけでございますけれども、この状況を見ますと、函館地区の場合には、収容率というものは私の計算では一三%ちょっとくらいの状況でございます。函館地区の子供さんたちは、市内にとどまれるのは一三・七%、それから道内あるいは道外、道外の方には五一・六五%出ているという現実になっているわけなんです。先ほども同僚議員が教育費の問題についてお触れになりましたけれども、五一%以上という方が全部道外に出ているわけですから、そういう面ではなかなか大変な苦労をしているということだと思うのですね。
 そういう面で見ますと、北海道というのは、私が先ほど言いましたように、全体の中で例えば七校あるのだ、こういうふうに見られましても、私どもの住んでいる道南地域を見ていただきますと何にもないということなんですね。単独の大学というのは一つもないということなんです。教育大学も分校であるし、あるいは水産学部というのは北大の水産学部があるというだけでありまして、人口三十二万、管内人口を合わせますと六十万ですから、六十万の人口のあるところにそういう国立の大学が一つもないということは、まさに学問に対する機会均等がそこで大変失われているだろうというふうに思わざるを得ないわけなんです。
 今度の「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」という中を見ましても、いろいろなことが書かれているわけでありますが、例えば地域に開かれた学校にしなければならないとか、あるいはまた地域の職業人とか社会人などに開放しなければならないといっても、学校そのものがないのに、そんな施策なんてやろうといったってこれはできっこないということになるわけでありまして、そういう面では、二千五百人を北海道の中で何とかしなければならないというときに、例えば七校に仮に分散して収容するということになったって、そう簡単にいくというふうには考えられないわけですね。北海道の場合は、本州の少なくとも十県以上に該当するわけですから、九州、四国を足したよりもまだ広いということになるわけであります。九州、四国ならこれは何県になるのですか、十県か十一県ぐらいになるのだろうと思うのですが、この地域には国立のいわゆる総合大学と称せられるものは少なくとも十一校ぐらいあるということになるわけです。北海道の場合、たった一つしかないということになるわけですね。
 そういう面からいきますと、これからの北海道でいろいろな人材を養成していくとか、そういう面ではこれは一層立ちおくれをするだろうと思っているわけなんです。この報告の中にだって地域的な関係なんかについても触れられているわけでありますけれども、そういう面から見て、二千五百人というものを消化していくために、やはり踏み切った政策をこの際おとりになっていただく必要があるのじゃないか、こう思いますので、再度その点についてお尋ねしたいと思います。
#46
○宮地政府委員 先生からるるお話のあります北海道地域、特に先生御指摘の函館の問題については、地域の方々の大変強い熱望といいますか、そういう気持ちのある点は私どもかねがね地元の方々からお話はいろいろと承っているところでございます。御指摘のように、現実に函館には北海道教育大学の教育学部、それから北海道大学の水産学部がございまして、それぞれ国立大学の学部としてはその地域で存立をしているわけでございます。要は、独立の国立大学をという希望が強いという御指摘の点でございますけれども、それらの点については、先ほど来御答弁申し上げているように、新たな大学を一つつくるということになりますと、それは相当慎重な検討が必要であるということを申し上げているわけでございます。
 確かに北海道の地域の特殊性といいますかそういう事情についても、私どもも今後検討をしていく際には十分考えなければならない要素というぐあいには考えております。それらの点も今後全体の整備を進める中で、北海道の地域性といいますか、そういうようなものについても十分配慮をした形で検討をしなければならないというぐあいには考えておりますが、ただ現実問題、それでは新設の国立大学の態様をどうするかという問題になると、これは大変慎重にならざるを得ないというのが現実でございます。
#47
○奥野(一)分科員 それはなかなか簡単にはいと言うわけにはいかぬということは、私も今まで長い間運動もしてまいりましたから、その点は十分承知はしているつもりでございます。しかし、先ほどから言っておりますように、この「昭和六十一年度以降の高等教育の計画的整備について」というもの、これは、こういうような形で実施をしていかないと、六十七年度のピークに対して対応できないということからこういう計画というのができているのではないのかな、私はこう理解をしているわけですね、違うのであればそういう心配はないんだというふうにお答えいただければいいと思うのでありますけれども。
 そうしますと、先ほど申し上げましたように、北海道の場合、二千五百人というものを計画的にやらなければだめだ、そうなっている場合に、既設の学部の収容定員を例えばふやすとかなんとかということだけではとても消化できるというふうには思われない。それは単科の大学が多いわけでありますから、そちらの方に希望者があるかないかということにも当然つながっていくというふうに思うわけですね。そういう面から考えてみた場合に、これは今できる、できないということは別にしても、やはり新設の国立大学というものを北海道の場合には考えなければならないのではないか、これを見ると私はそう感ずるわけなんですよ。だから、この計画に載っている地域的な整備ですか、「各地域ごとの整備の目途」、こういうふうにある中で、北海道のこの二千五百人というのは、いわゆる既設の学部の定員をふやすということだけで賄い得る、そういう原則的な立場に立っておられるのか、あるいはそれは金の問題も絡んできますけれども、いずれはやはり新しい学校というものはつくらなければならないんだ、そういうことで対応をしていかれようとしておるのか、その辺のところはどうなんでしょうか。
#48
○宮地政府委員 一つの地域ごとの整備の目安としては、先ほど高等教育計画の内容について御説明した点で、目安としてそういうものを持っているわけでございまして、六十七年度のピークにおける進学率を現状程度に維持するためには、その程度の整備が必要であるということを前提にいたしております。
 具体的にどういう形でその整備が行われるかということになれば、それはもちろん国立大学における学科の整備でございますとかいうこともございましょうし、そのほか、私立大学が従来の学部のほかに新しい学部を設けますとかあるいは学科を増設するとか、例えば短期大学、これは現実に北見などにおいて北海学園が新しい短期大学をつくるということで対応しておるわけでございます。
 そういう際に、特にこの新しい高等教育計画の整備でも強調している点でもございますが、現実に北見の場合もそうでございますけれども、私立大学が整備をする際に、それぞれの地域の地方公共団体が積極的に協力をいたしまして、いわゆる第三セクターと申しますか、地域の市町村が校地なりあるいは施設等についても積極的に協力をして、学校法人がそれぞれ短期大学なりあるいは私学を設置するについて立地しやすいような形で協力し合う方式といいますか、そういう形も今後の高等教育機関の整備に当たっては進めていかなければならない課題というぐあいに考えておりまして、現実に各地においてそういう動きが相当積極的に出ているということも事実でございます。こういう時期でございまして、国立大学でそのことを処理するということは大変困難な状況でございますので、いわば地域の要請と学校法人とが協力し合う形というのは、一つの新しい行き方としてそういう方向も考えられているというのが現実でございます。
 いずれにいたしましても、全体の整備の中で対応していく課題でございますが、先生御指摘の点も私どもとしては十分念頭には置いて今後の計画の策定に当たってまいりたい、かように考えております。
#49
○奥野(一)分科員 全体の計画、これは北海道とかなんとかを抜きにして全体で八万六千人、この計画というものを仮に実行していくという場合、再度お尋ねしておきたいのですが、もちろん今言われたようなこともわかりますけれども、文部省としては国立の新しい大学というものは全く考えていないのかどうかということですね。あるいはそれも含めてこの計画というものは実行していくのか、そういう点はお考えはどうなっているのですか。
#50
○宮地政府委員 国立についての対応、先ほど申し上げたような従来の国公私立の整備の趨勢といいますか、そういうものを前提に置きながら対応していかなければならないだろうということで、全体の大枠ではそのように考えているわけでございます。特に期間を限った定員増との対応では国立大学も応分の対応で積極的に対応していかなければならないと考えております。
 なお、新たな定員といいますか、新規の整備といたしましては、過去数年来、例えば新しい国立の整備に当たってはいろいろ具体的なプロジェクトが組まれておりまして、身体障害者のための高等教育機関をどう整備するかというようなことについて、これは具体的には筑波大学でそのための創設準備調査といいますか、そういう経費を組んでどういう整備をするかということについて既に準備を進めているようなもの、ほかには情報工学系の学部の増設というようなことで、どういう内容を盛り込んでどうするかということについて具体的に調査費を計上して対応しているもの等、国立大学の新規の整備に当たって既にそういう形での対応をしているものが幾つかあるわけでございます。私どもとしては、それらの具体的に調査費等の計上されたものについてそれをまずこなすことが前段階として必要ではないかと思っておりますし、そういうようなものが実際の数としてどれだけの数になるかということを、あらかじめ国立の新規の整備の数をこの中で幾らというぐあいに想定しているものではございませんけれども、そういう具体の取り組みをしておりますものがこれらの数の中に入ってくることは当然のことではないか、かように考えております。
#51
○奥野(一)分科員 時間が参りましたので、最後にちょっと御要請を申し上げておきたいと思うのです。
 国としていろいろな政策、施策というものが行われていくわけでありますけれども、これは国として何か出した場合、お互いに協力し合っていくということが一つは必要ではないかと思っているわけであります。例えば地域の産業を発展させるという国の方策が出た場合に、各省が関連する部分についてはお互いに協力し合う、これは大変必要なことではないかと思っているのです。
 それで、これからまたそれぞれの地域からいろいろな要請やなんかが出てくると思うのですが、例えば函館の方では複合大学ということで、教育学部あるいは社会学部、経済学部という要請で上がっていると思うのですが、そのほかに、先ほど申し上げましたように函館の場合にはテクノポリスということで地域指定になって、その主体は海洋関連の先端技術、こういうようなことが地域の中で取り上げられているわけですね。そういう場合に、例えば国立の大学の場合にそういう学科をそれではどういうふうにふやしていくのか、例えばどうしても新しい大学ができないという場合だったら、それでは北大の学部の中にそういう学部をふやして地元のそういう活動の中に生かしていく、こういうようなことなども必要になるのじゃないかなと私は思っているわけです。
 それから、高等教育機関の地域的な再配置ということについては大変難しい問題だと思いますけれども、これはやはり検討すべきではないのか。工業再配置やなんかだったらいろいろな特典があるわけですが、学校の場合にはなかなかそういう制度はないと思いますけれども、そういう面でも努力してもらわないと、せっかくこういう高等教育の計画的な整備ということで出されましても、先ほども申し上げましたように、開かれた高等教育機関としてそれぞれの地域の職業人あるいは社会人に開放しようといったって学校がないのは開放できっこないわけでありますから、そういう面でぜひこれからの御努力もお願いをしたいと思っておるわけでございます。
 時間でありますので終わらせていただきます。ありがとうございました。
#52
○船田主査代理 これにて奥野一雄君の質疑は終了いたしました。
 次に、中野寛成君。
#53
○中野(寛)分科員 まず最初に外国人の教員任用についてお伺いいたしますが、長野県の韓国人教師梁弘子さんのことについて、その後の経緯をお聞かせいただきたいと思います。
#54
○阿部政府委員 前回予算委員会におきまして中野先生から御指摘がございました。何らかの安定した形で任用するという余地はないだろうかという御指摘もいただきました。大臣から、そのような任用は可能かどうか検討させたいという御答弁を申し上げたわけでございまして、大臣から御指示がございまして、私ども現在内閣法制局等と少し法理的な面を含めまして法律的な議論としてこの問題の詰めにかかっているところでございますけれども、まだ御報告申し上げるだけの結論に達しておらないわけでございます。
#55
○中野(寛)分科員 余りくどくどとしたことは申し上げませんけれども、少なくとも彼女につきましては、既に昭和五十四年から臨時教員として具体的に子供たちの教育に当たってきた実績を持っているわけであります。しかし、臨時教員という極めて不安定な身分のままに今日に推移してきているわけです。そのほか、例えば私の選挙区というよりも大阪市内の方では、学校の生徒の過半数を韓国人子弟で占められているという学校さえもあるわけです。そういうふうなところでは、韓国の国籍を持った教師がいることはその子供たちにとっても将来の励みになります。韓国人の皆さんにとっては、子弟にいかにして将来の希望を持たせるかということが最大の関心事であります。就職する窓口もなく、将来に不安を持ちながら子供たちがついつい自暴自棄になってしまうというふうなこともあるわけですし、将来に希望を持たせたい、そのためにはまず国や地方自治体の機関に何とかして採用してもらえないだろうか、そしてそれが一つの引き金となって、民間企業への就職の窓口もだんだん広がっていくということが彼らの最大の願いであると言っても過言ではないと思います。言うならば、その中の象徴的な形で今回のこの問題を私自身も取り上げておるつもりですし、また大きな話題にもなっているというふうに申し上げたいわけであります。
 当面は、正式の教諭としての任用はどうしても法理上難しいというふうな見解はたびたび承っているわけでありますが、その他講師という立場や助教諭という立場やいろいろな種類もあるようです。とりあえずは安定した身分に置くということが、彼女にとってもまたこの問題を注目して見ている方々にとっても、現実的な対応策として望まれているところであろうというふうに思うわけでありまして、その後の基本的な問題はこれからまた時間をかけてじっくりと協議をしていきたい、また要望もしていきたい、こう思っております。
 そういう面で今、法制局との協議の詰めがされていると思いますが、文部省としてはどういう方向づけで、そしていつごろまでに結論を出したいと思っておられるのか。もういわゆる新年度が始まろうとしておるわけですから、今月、それこそもう一週間や二週間ぐらいのところでは結論を出さなければいけないと思いますが、その辺のことについて、文部省の今目指している方向づけを含めまして御答弁いただきたいと思います。
#56
○松永国務大臣 予算委員会の総括質問あるいは一般質問でもしばしばこの問題についての御質問をいただいたわけでありますが、その際申し上げましたように、日本の公務員採用に関する基本的な法理として、個人的ないろいろなことはあるにいたしましても、あるいはまた同情すべき点があるにいたしましても、基本的な法理を曲げるわけにはまいりません、したがって教諭としての採用は無理でございます、できませんということは繰り返し申し上げてきたところでございます。
    〔船田主査代理退席、主査着席〕
 ただ、その法理に抵触しないような形で何らかの方向で、大変立派な方のようでありますのでできないかという問題でございますが一先ほど局長が御答弁申し上げましたように、法制局とも詰めをしておるようでありますので、できるだけ早い機会に法理に触れない形での採用、そしてしかもそれが安定した形で働いていただけるような状態になるように、さらに一層努力をし、かつ、今先生御指摘のとおり時間的な問題もあるわけでありますから、急がせてその問題は処理をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#57
○中野(寛)分科員 局長からで結構ですが、具体的にどういう立場で、そしてまたいつまでにタイムリミットを置いて今御協議中ですか。
#58
○阿部政府委員 この件は、最終的には任命権者である長野県の教育委員会がどういうふうに扱いたいかということともかかわってくるわけでございまして、県の教育委員会自体でも四月の人事を控えまして検討を急いでおるところであろうと思います。いずれ近いうちに県の方からのお話も、こうしたいというような希望も出てくることだろうと思っておるわけでございますが、私どもの方といたしましても、それを待たずにとにかく法律的な詰めをしておいて、どういう程度のことなら可能かということを考えたいと思っておるわけでございます。
 学校の教員の職種はいろいろあるわけでございますが、教諭としてだめだということだけは、かねて政府の見解として申し上げているわけでございますので、それ以外の職としてなら可能性があるかどうかという部分を法制局と詰めているということでございまして、時期的にはもちろん、四月の異動という採用、人事異動の時期がございますので、三月中に話を決めなければいけないことだということは十分念頭に置いて検討を続けたいと思っております。
#59
○中野(寛)分科員 現在の文部省からのお答えとしては今の御答弁が限界かなという感じもいたします。しかし、目指しております方向については私どもとしても期待をしたいと思いますので、ぜひとも前向きの御検討と結果を期待をいたします。
 なお、この新しい時代を迎えて、とりわけ国際化が大きく叫ばれている今日、外国人教員の任用についての新たな方向づけというものは、現在の法理を、これは憲法云々という問題ではなくて、いわゆる法律マターの問題であろうと思いますから、これからも文部省としてひとつ前向きに御検討いただきたいと思いますし、我々もこれから論議を重ねていきたいというふうに思いますが、単に現実論としては、現在の法律では無理であるとしても、今後そういうことを含めての抜本的な考え方の検討について大臣の政治的な判断のもとにおける御見解を、この問題について最後にお聞きをしたいと思います。
#60
○松永国務大臣 今おっしゃった問題は、実は教育公務員だけではなくして、一般の国家公務員あるいは地方公務員にも関係をしてくる問題でありますが、国際化が進む、他国との間の友好協力関係を推進していかなければならぬという問題は、それはまさしく私どもも先生と同じ考え方であります。
 その場合に、日本の進むべき方向といいましょうか、どういう形にすることが真の国際友好になるんだろうか。御承知のとおり、それぞれの国には主権があってこそ国になるわけでありますが、お互いに相手国の主権を尊重しいそしてまた相手国の行う行政権の行使を認め合っていくというところから国同士の友好関係は進んでいくのじゃなかろうか。現在の段階で、直ちに国境とか国籍とかそういったことを念頭に置かないで交際していくことが本当に国家間の協力になるのだろうか、それとも、お互いの国の主権及び主権に基づく統治権の行使を相互に尊重し合う、認め合う、そういう形で交流をしていくことが長期にわたる友好になるのだろうか、いろいろ基本的な問題があろうかと思います。
 ただ、先生も既に御承知のとおり、世界的な共通事項である高度の学術、そういった分野ではお互いに協力し合おうという立場から、高等教育機関については、教員の任用については特例をつくったという経緯がございます。しかし、その反対解釈として、それぞれの国の言うなれば国民教育とも言うべき普通教育については、やはりその国の国民が当たるのだという基本的な考え方というものは、まだ当分変わらぬのじゃなかろうかというふうな見方も実はあるわけでありまして、極めて難しい問題だと思いますが、いずれにせよ、教員のみならず国家公務員、地方公務員、他の公務員につきましても十分研究はしなければならぬというふうに考えておるわけでありますが、大変難しい問題だなと思っておるところでございます。
#61
○中野(寛)分科員 他の問題も含めて、国際社会に開かれた日本の国の立場をどう形成していくかということから、我々としてもこれからまた論議を重ねていきたいと思います。
 ただ、教育的見地から考えますと、大臣お答えのような見解があることも承知をいたしておりますけれども、やはり広く国際社会の一員として幅広い考えを持った子供たちを育てていくためには、一つの枠の中で外国人教員というものの存在というのは、私はむしろあってしかるべきではないかという気持ちも強く持ちますので、これからの論議にまちたいと思います。
 次に、大阪大学医学部の移転の問題についてお尋ねをいたします。
 昨年は阪大事件と称して、事務局の、文部省も巻き込んでの一連の事件がございました。私、大変残念に思いました。もちろん会計担当者のことでございましたから、いろいろと事務的にもそごがあったかもしれません。そのことはそのこととして、大いにこれからも是正をしていただかなければなりませんし、私どもも注目をしたいところであります。
 しかし、その問題とは別に、この大阪大学医学部の基礎学舎、昭和二年に建築をされたものでありますが、私もたびたびそのそばを通るわけであります。外見だけ見ますと、まだ使われているのかという意外感を持つほど大変に老朽化をいたしております。こういう言い方は文部省にも阪大にも失礼かもしれませんが、何かいかにもお化け屋敷的な感じがするわけでありまして、こういう中で仕事をしていると、ときには気持ちの方もゆがんでくるんじゃないかと心配もいたしたりいたします。むしろ中身の問題と同時に、やはり外の方も大事に考えていかなければいけないのではないかと思うのであります。まして、現在の場所で改築をしようといたしましても、もう既に場所も狭隘ですし、新しい施設をつくるにはそぐわないということはだれしもが認めるところではないだろうかと思います。幸いに吹田キャンパスの方にはそれを受け入れるだけの土地を確保できるわけでありますから、このことは緊急に取り組んでいいのではないかというふうに思います。大学の方としての検討もまたその途中にあるようですけれども、現在文部省及び大学においてどのような方向と時間的な目標を持って作業が進められておりますか、お尋ねをしたいと思います。
#62
○宮地政府委員 大阪大学医学部の問題でございますけれども、将来吹田地区へ移転することにつきましては、昨年四月に開催されました大阪大学の評議会において了承されたと私どもは承っております。
 先生御指摘のように、医学部は大変敷地が狭い上に、校舎も昭和二年に建築されたというもので大変老朽化をいたしておりまして、これを機会に移転、改築する必要性も十分理解できる点でございます。現在、大学におきまして将来の医学教育研究のあり方について検討中であるというぐあいに私ども承っておりまして、大学としてのその構想がまとまりまして大学から具体的な概算要求がございますれば、その内容を検討の上、文部省としても適切に対応するということにいたしたい、かように考えているところでございます。したがって、現時点では医学部の移転については評議会としてはそれを既に了承されており、大学の中で将来構想について検討中という段階でございまして、それがまとまれば、そしてまとまりまして大学から要求が具体的に出されてまいりますれば、その内容を検討いたしまして文部省としても適切に対応するというのが現時点での対応でございます。
#63
○中野(寛)分科員 大学の関係者のお話でも、何とか早急にまとめてことし夏の概算要求には間に合わせたい、そして何とか六十一年度予算にはのせたいという希望を持って一生懸命作業を進めておられるようでありますけれども、その場合、文部省もそのことは既に御存じだと思いますが、そういう作業がその時間帯で仕上がってきた場合に、文部省の心づもりとしては、それを受けて六十一年度予算への概算要求に対応しようという御準備といいますか、お気持ちはございますか。
#64
○宮地政府委員 六十一年度のお話でございますので、各大学から要求が出ました段階で全体を慎重に検討させていただかなければならない課題だ、かように考えております。
#65
○中野(寛)分科員 いずれにいたしましても、局長はそういうふうにお答えせざるを得ないのでしょう、今六十年度予算の審議でございますから。しかし、最初の御答弁も踏まえて私なりに受けとめさせていただきたいと思いますが、現在の余りにも老朽化している状態等を見聞いたしますと少々情けない。関西における医学の殿堂でもございますし、私どもとしても最大の関心を持って見ているわけでございますから、ぜひとも前向きに早急の結論と対応をお願い申し上げておきたいと思います。
 さて、昨年十二月二十二日に学術国際局長名で「奨学寄附金等外部資金の受入れについて(通知)」が各国立大学長等あてに出されました。現場のといいますか、各大学の先生等大変喜んでおられて、一面よかったなというふうにも思います。同時にその中で、これはいわゆる産学協同の問題にもつながってくるわけでありますけれども、去年の七月に東京工業大学で、関連研究財団が企業から集めた委託研究資金を教授らに直接流していたという事件がありましたし、京都大学、名古屋大学、大阪大学などでも外部からの研究費を不明朗な形で導入していたということが指摘をされました。大変残念なことであります。私どもがよく巷間聞きますのは、この財団が実にうまく利用されているというか、見ようによっては悪用されている。本来、国庫にそれが振り込まれて、そしてきちっとした事務手続のもとに利用されていかなければならないものが、今日この通達が出るまでは、ややもするとそれが余りにも煩雑である、時間がかかり過ぎるということから現実には間に合わないということで、そういう財団を活用して賄っていくというふうなことがあったようでもあります。それが一つの言いわけに使われていたことも事実だと思います。
 それがだんだんエスカレートしていって、この財団に寄附されたものが実はプライベートなことに流用される。例えば、医学実験でマウスを何匹買ったという領収証がある。結局そのネズミは一体どこにいったのかよくわからぬ。マウスはどこにいったのかわからぬ。結局どうも夜のちまたのネオンサインの下で頭の黒いネズミがそれを利用しておった、まあこういううわさはよく聞かれるわけであります。そういう意味で、私としてはこの通知と同時にやはり財団運営のあり方、それからまた民間企業等からの奨学寄附金等、恐らくこれは特定の研究室や教授を指名して出されることが多いと思います。しかし、大変大切な分野をこつこつと地道に研究をしておられる特に基礎的な学問の分野については、なかなかそういうことがないということもあるであろうと思います。
 現実に文部省の予算だけでは、今回のこの通知にも認められておりますけれども、例えば研究発表のための学会が行われた、そのために、一緒に勉強してきた学生や教授以外の皆さん、助教授、助手、講師等の皆さんも一緒にその発表に参加をし、むしろ実際的な研究はその人たちがやった、その人たちに発表させようとしても、教授には幾らという交通費はあるけれども、それもせいぜい、例えば大阪からですと東京へ一、二回往復しますともうそれで実際上お金はなくなってしまう。教授以外の人たちを連れていくような予算の幅は文部省からの予算にはない。もちろん助教授等々若干のものはあるのですけれども、実態にそぐわないということはたびたび言われてきたところであります。そういうものを捻出するために実はいろいろな不明朗なお金をプールして、それでそういう交通費やその他のもの、宿泊費等に充てるということが出てきて、ますますその不明朗さをエスカレートさせていくという実態が起こってきたと言えると思います。
 今日私自身、医学部の問題、医師養成の問題等を含めてこの不明朗な部分について指摘をし、そしてその是正を求めてまいりましたけれども、その不明朗さは、現場における体質の腐敗の問題と同時に、文部省施策の不十分さがそれを生んできた。そして、それがエスカレートしていろいろな問題を起こすことになってきたということも考えるわけであります。今回のこの通知に関連をいたしまして、もっともっと抜本的な是正が求められていると思いますけれども、どのようにお考えでしょうか。
#66
○大崎政府委員 先生御指摘のように、昨年国立大学の研究活動と外部の研究資金とのかかわりにつきまして種々御指摘をいただいたわけでございますが、その御指摘の趣旨を体しまして、省内関係局課集いまして検討を重ねまして、昨年の十二月二十二日に「奨学寄附金等外部資金の受入れについて」という通知を各大学等に出したところでございます。
 趣旨としましては、既に先生御指摘のとおりでございますが、大学の研究者がいわば職務として行う教育研究の一環と考えられるものについての資金の受け入れということについては、それぞれ性格に従いまして奨学寄附金あるいは受託研究ということではっきりと正規の手続をとって受け取っていただく、それから片や外部の活動に本務に支障のない限りで協力をするということであれば、はっきり兼業手続をとって筋を通していただくということを重ねてお願いをいたします一方で、ただその外部資金の受け入れということが、受け入れ手続あるいはその使途等につきましていわば煩瑣過ぎる、あるいは制約がきつ過ぎるのではないかという点につきましてはできるだけ改善を図りまして、お金を生かして研究のために使えるようにという両面にわたって御通知を申し上げたわけでございます。
 ただ、お話しのように、外部からの資金とのかかわりがある研究者というのは比較的応用分野に偏るわけでございまして、学術研究の全般ということを考えますと、お話しのように基準的な教育研究費というものの確保、それから私どもといたしましては、その上に立ちましてすぐれた研究計画につきまして科学研究費補助金というものを確保いたしまして、これをすぐれた研究計画のいわば研究費として交付をするということを非常に大事に考えているわけでございますので、その増額を図っておるわけでございます。そういう形で、全体としての研究活動がさらに発展をするように今後とも努力をいたしてまいりたいと思っておるところでございます。
#67
○中野(寛)分科員 この問題は、文部省としてもいろいろな検討のための会議等を設けて論議もされてこられたようにお聞きをしているわけでありますけれども、日本にとってこういう学術研究、技術開発というのは大変大切な問題だと思います。まさにこれが日本の命運を、経済的なことも含めて支えていると言っても過言ではないと思います。しかしながら、そういう資金がいろいろな制約、手続の煩雑さ等々によって、むしろ外国へ研究者も行った方が便利、お金も外国へ出した方が便利というようなことで、結局せっかくの頭脳と資金が外国へ流出してしまうという傾向は今日まで随分長い間続いてきたし、そしてそのことを憂慮する声は今までずっと続いてきているわけであります。
 文部省としては、この産学協同についてのもちろん批判もありますけれども、それにおそれて何もしない、手をこまねいているということでは、いよいよ日本の国にとっても社会にとっても大変なことになると思います。大いに明確なけじめをつけながら、このせっかくの資金というものがうまく活用されるように積極的な施策と基準が設けられる必要があると思います。このことについて大臣からも、十分に御留意いただいて前向きの御検討が早急になされるように御指導をいただきたいと思います。大臣に一言お聞きをして、終わりたいと思います。
#68
○松永国務大臣 先生の御指摘大いに参考にさせていただきまして、一生懸命努力をしていきたい、こういうふうに考えます。
#69
○中野(寛)分科員 終わります。
#70
○葉梨主査 これにて中野寛成君の質疑は終了いたしました。
 次に、清水勇君。
#71
○清水分科員 私は、きょう外国籍の教員にかかわる問題に絞ってお尋ねをいたしたいと思います。難しく申し上げるつもりはちっともありませんから、ソフトなタッチで文部省側も対応をしていただくようにまず最初に希望を申し上げたいと思います。
 ヤン・ホンジャさん、つまり梁弘子さん、この方の件については既によく御承知だと思います。したがってくどくどと申し上げることはいたしませんが、日本に生まれ、日本の小中高を終え、信州大学教育学部を出て教員試験に合格をする、しかし、五十四年の時点では外国籍ゆえに臨時教員という形で出発せざるを得ない、約五年、六つの学校を転々とする、しかし、体当たりで当たるというか子供にも好かれ、父母の信頼も非常に厚い、やっと子供にも懐かれ学校にもなれたというような時分にまた転校ということでまことに不安定である、教育効果という点からいっても不安定である、こういうことから、御承知のとおり昨年改めて受験をし、二次試験にもパスをして採用の内定を受ける、しかし、これが取り消される結果になり、御承知のような大きな社会問題にも発展しつつある、こういう状況であります。
 率直に言って、教育県長野というようなことが昔から言われるわけですけれども、私も長野県人の一人として何か胸に刺さるせつない思いを禁じ得ない。また県下の教育に関係する者のみならず心ある者が一様に、ヤンさんの心情を思うにつけ、またかたく閉ざされている門戸を思うにつけ、何とかならないのか、こういうことで事態の解決を求めているというのが今日的な状況だと思うのです。
 そこで、これまでの文部省と県教委との間のやりとりなどというようなことについては先刻御承知だから私は一切割愛いたしますが、学期末を迎え新年度も近づいてきている、こういう時期でもこれあり、私はこの際文部省に求めたいことは、このヤンさんをしてより安定した身分で任用し、教壇に立てるようにすべきではないのか、こういうことを基本的に考えるわけでありますが、担当局長としてどういうお考えをお持ちか、まずお聞かせいただきたい。
#72
○阿部政府委員 先生からるるお話がございましたような経緯があるわけでございまして、私どもも、事柄としては十分理解をしておるつもりでございます。
 ただ、かねて申し上げておりますような公務員に関する法理というものがあり、教諭として任用することにつきましては、その法理に抵触すると言わざるを得ないわけでございます。したがいまして、長野県の教育委員会におきましても、教諭として任用することはできないという判断を御本人にお伝えしたと聞いておるわけでございますが、その後引き続き教育委員会自体として、それでは御本人についてどういう取り扱いをすべきか、適切な方法があるかどうかということを検討されているやに聞いておるわけでございまして、教育委員会の方からこういうふうにしたいがどうだというような御連絡はまだいただいておりませんけれども、いずれそんなような御連絡も来るのではないかと思っておるわけでございます。
 私どもの方も、法理に抵触するものは困るけれども、抵触しない部分についてはそれは差し支えないわけでございますので、どこまでが法理に抵触しないのかというあたりを、先生のお話にもございましたように、安定的な雇用ということも考え、御本人のことも考え、しかも法理に抵触しないというようなやり方が法律解釈上あり得るかどうかというような点で、現在内閣法制局にも御相談をかけまして、その関係の問題点の詰めを行っている、こういう状況でございます。
#73
○清水分科員 事柄が、予算の総括質問の中でも出たという経過もあり、あれこれと尾を引いていることでもありますから、ある程度慎重な発言をせざるを得ないという心境はわかりますけれども、冒頭に私が申し上げたように、五年間に六つの学校も転々とせざるを得ない、こういう現実一つを見ても、これは教育効果という点からいっても問題があるわけでありますし、御本人にしてみればなお不安この上ないことですね。だから、法理その他のことはさておいて、それはそれとしてしんしゃくをするにしても、まず基本的に、この梁さんを従来のような形ではなしに、より安定した身分で任用して、そして教壇に立って教育効果というようなものも期待をする、あるいは彼女自身の安定感も支えていく、こういうことがどうしても妥当な方向ではないのか、こういうふうに考えるわけですが、少なくともそういう方向に沿って、あるいはそういう趣旨に立って、この点については前向きに検討をしていただく、こういうことを求めたいわけですが、いかがでしょう。
#74
○阿部政府委員 かねて申し上げておりますように、片や法理というものがあるわけでございますので、それに抵触するということは困るわけでございますけれども、しかしながら、先生のお話にもございますように、従来の経緯等も踏まえますと、何らかの形で安定的な雇用ができれば望ましいことであろうかと思っておるわけでございまして、そういう意味では、その可能性を探る努力はしたいと思っておりますし、今しつつあるところ、こういうふうに申し上げたいと思います。
#75
○清水分科員 これから県教委の方からいろいろ相談もありましょう。私も、県教委の立場を推測をしてみると、これまでにも県教委自身が、梁さんは教員としての適格性がある、これまでのような臨時というような立場でなしに、何とか恒久的な立場で教壇に立たせる方策がないものか、こういうような立場で多分模策をしているのではないか、こういうふうに推測をするのです。ですから、いずれにしても妥当な解決を図る。妥当な解決というのは、さっき私が申し上げたような方向なんでありますが、いずれ最近のうちに県教委も一定の最終的な判断なり態度なりを決めるのだろうと思います。
 私はその際に特に文部省に要望をしておきたいことは、いろいろありましょうけれども、例えば梁さんの取り扱いについては長野県教委に、げたを預けると言うと俗な言い方になりますけれども、そういうことなどをも含めながら、この際、特例というか特別な配慮のもとで対応をしながら、慎重にしてかつ円満な解決を図る、こういうような方策というものを文部省自身としても研究、検討をすべきではないのか、こんなふうに思うのですが、これはいかがでしょう。
#76
○阿部政府委員 各都道府県で教育委員会が教育に関するいろいろな業務を行っておるわけでございますが、文部省は、その業務が適切に行われるようにということで指導助言をするという立場にあるわけでございます。それが文部省の権限でもあり責務でもあるわけでございますので、そういう意味で文部省としては、これまで今回の件につきましても長野県の教育委員会に対して指導を行ってきたわけでございます。しかし、事柄として、小学校の教員の任命権というのは都道府県の教育委員会が持っておるわけでございまして、最終的には各教育委員会がその判断と責任において処理をしていくという性格のものでございます。私どもはいろいろ指導してまいりますけれども、最終的には都道府県の判断というのが法律上の制度になっておるわけでございます。
#77
○清水分科員 今局長が結びに言われた点に含蓄があると私は思うわけでありますからこれ以上のことは申し上げませんけれども、いずれにしても文部省との、非公式があるいは公式がわかりませんが、これから話し合いが行われる中で最終的に県教委が独自性を持って判断をする、これについてはその立場を尊重するといいましょうかそんたくをするといいましょうか、そういう立場で対応をしていくべきではないか、こういうふうに思いますが、その点、蛇足のようですけれども、いかがでしょう。
#78
○阿部政府委員 繰り返しになりますけれども、文部省としては必要な指導助言をするという立場にあるわけでございますので、これはやっていかなければならないわけでございますけれども、最終的に県の教育委員会が自分の責任で判断をする、法理等についての考え方についてはかねて説明をしておるわけでございますので、教育委員会がそれに触れないような形で適切な処理を最終的に図っていただくということを期待しておるわけでございます。
#79
○清水分科員 それでは、梁さんの件については一応以上で終わりたいと思います。
 次に、この件に関連をして、予算委員会の本舞台で少し論議がありましたけれども、さきに明らかにされましたように、三十一人の外国籍教師が任用をされておる。これについて各教委に見直しを求めるという方向の発言があったやに私も耳にしているわけでありますが、この点についてちょっとただしておきたいと思うのです。
 この三十一人の方々、この中には韓国籍、北朝鮮籍を有する先生が合わせて二十六人でありましたか、大部分なんですね。つまりそういう外国籍の先生を採用せざるを得ないといった背景といいましょうか、例えば大阪なら大阪というところで、御案内のように、ある区では二〇%以上が韓国ないし北朝鮮籍の住民である、ある学校はそういうことを反映して六〇ないし七〇%の生徒が韓国ないし北朝鮮籍の子供たちである、こういったような背景も含めて、いわゆる外国籍を持つ教師をあえて任用している、こういうような背景が一つある。あるいはもう既に何年か教壇に立って先生としての生活をやってきている。これは生活上の問題もある。あるいはそういう先生を含めて学校運営をしてきているという実態が現実にある、こういうことを総合的に考えてみると、例えば見直しと称してこれらの先生たちをはじき出すというようなことは、単に社会的にそごを来すということではなしに、教育現場の実態にもそぐわなくなると言わざるを得ない。ですから、実態を実態として素直に受けとめられながら、前向きな立場でこれらの先生方の存在というものを温かく見守っていく、こういう配慮があってしかるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#80
○阿部政府委員 御指摘にもございましたように、若干の県あるいは府等におきまして、過去に日本国籍を有しない方々が三十一名採用されておるという実態があるわけであります。どういう事情でということを個別に調べたわけではございませんけれども、当時文部省の指導が十分行き届いていなかったというような経緯もあったかと思うわけでございますが、そういう実態が既にでき上がっておるわけでございます。
 このこと自体につきましては、法律的な解釈といたしましてはやはり法理に抵触すると言わざるを得ないわけでございますけれども、ただいま先生のお話にもございましたように、現実に学校の運営等の問題もありますし、個人個人の方々の生活の問題とかを考えますと、端的に申しまして、私どもも取り扱いに大変悩む問題でございます。したがいまして、現在の私どもの立場としては、現実の学校運営の問題とか個人個人の生活条件の問題とかいろいろなことに留意しながら、各都道府県、各任命権者の側において適切な対応を期待したい、こういう言葉でとどめさせていただきたいと思うわけでございます。
#81
○清水分科員 各県教委も適切な対応をされるに違いないと思いますが、文部省もそれ以上拘束をするなどということにならないようにこの点は留意をしていただきたい、希望を申し上げておきます。
 さて、今の三十一人というのにも無関係ではないのですが、五十七年に特措法で大学の教官については門戸を開放する、こういう特例の道をあけたわけですね。これは何となくあけたというのではなしに、一面では時代の趨勢とも言うべき国際化にどう対応するか、こういう側面が非常に大きかったと思うのです。
 そこで、これは何も大学だけではなしに、小学校でも中学校でも高等学校でも国際化の波というものを無視してかかるわけにはいかない。また、現実に私どものように山国と言われている長野県でも、県の調べによりますと、昨年九月の調査で六千四百十三人の外国人が居住しているということが明らかになった。韓国、北朝鮮籍の方が四千七百四十九人、中国が六百六十四人、アメリカが二百四十一人、フィリピンが二百九人、その他が五百五十人。ですから、いわゆる太平洋ベルト地帯であるとか工業化をされておるような地域ではもっとその比率は高い。これが一つの国際化というものを投影しているのではないかと私は考えるわけです。例えば長野県で外国籍の児童生徒数がどのくらいいるのか、これも県の統計によると五百五十一人いる。こういう趨勢にだんだんなってきているわけですね。
 せっかく大学には門戸が開放された。国民教育という観点からいうと、どうしても日本国籍の先生に教育をさせなければそごを来す、こういう基本的な認識が文部省にあると思います。しかしこれは公立学校だけに限定しているのであって、私立の場合にはそういう制約はない。自由に外国籍の先生が採用されている。私立の小学校、中学校、あるいは高等学校といえども、文部省の認識で言えば基礎的な国民教育の場であることに間違いはない。だから、そういう整合を欠くという側面からいっても、例えば日本語がよくでき、日本のことをよく知っておる、そういう立場の外国人教師に教育を受けるということは、国際化時代における第二の国民といいましょうか、次代を背負う子供たちの教育という観点からいっても、ぼつぼつ――ぼつぼつでは遅過ぎるのですけれども、この際検討をしてみる必要があるのではないか。見識を有する松永文部大臣にその辺の所見をぜひ聞いてみたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#82
○松永国務大臣 先生おっしゃるように、昭和五十七年に国立及び公立の大学において外国人教員の任用の道を開いたわけでありますが、これは、真理の探求というのはある意味では国際共通の問題でありますし、あるいは人類共通の問題であるかもしれませんが、それとあわせて学術の国際交流、こういった考え方で、国立及び公立の学校教育の場においては外国人は任用できないという大原則の例外措置をいたしたわけであります。しかし、例外措置がなされたのは、今申したように学術の国際交流あるいは真理の探求、こういった国境を越えた問題を担当する教員でありますから例外措置を開いた、こういうことでございます。しかし、小中高等学校等、いわゆる初等中等教育というものはあくまでも国民教育、我が国の将来を担う国民を教育する普通教育でありますから、おのずから大学とは異なるものがある、こういう私の認識であります。
 ただ、ますます日本という国が国際社会で活躍する人材を養成しなければなりませんし、あるいは国際化が進むということも事実でございましょう。その場合に日本として新たな考え方はないものかという先生の御指摘だと思いますけれども、普通教育の場においては国立、公立の教員についてその国の国民をもってその任に充てるというのは、日本も韓国もアメリカもドイツもフランスもそうなっているようでございまして、国境がなくなって世界連邦などもできた場合なら別といたしまして、きちっと国境があり、それぞれの国が主権を持って政治、行政をやっておるという現段階において、直ちに国籍の問題を全く考えないということは無理じゃなかろうか。そしてもう一つは相互主義というものもあろうかと思います。そういった点を考えて慎重に対処しなければならぬ問題だ。
 同時にまた、これはいわゆる教育公務員だけじゃなくて、他の公権力の行使あるいは公の意思の形成にかかわる公務員全般の問題でもあるわけでありますから、慎重に研究をしていかなければならぬ問題だなというふうに考えておるわけであります。
#83
○清水分科員 時間もあと五分ということになりましたから多くをただすことができないわけですが、今大臣の触れた言葉の中で、欧米諸国もことごとくではないが外国籍を有する者は云々というようなことを言っているようですが、これはちょっと認識が違うので、一部の国ではそういう国籍条項的なものがあるかもしれませんが、門戸を外国人に開放しているのがむしろ最近の一般的な傾向になっている。これはまたひとつ調べてみてください。
 それから、現に徳川三百年の鎖国ということもございましたが、どうしても四面海に囲まれているというようなことを含めて、俗に言う島国根性といったようなものがなお問われているのが残念ながら我が国の実態なんですね。だからそういうことを推しはかってみると、この際余り国民教育の場だからということに拘泥をして国際化の趨勢というものを見誤るということのないように検討されてしかるべき事柄ではないかと思うのです。
 それから、先ほど来法理ということも言われている。大臣は法曹界の出身で専門家だから釈迦に説法になるのかもしれないが、しかし例えば学力テストをめぐって御承知のように一連の闘争がございました。これをめぐる北海道の学テ闘争の判例で、小学校、中学校の教諭に、いわゆる国家意思を形成する立場があるからこれはノーと言わざるを得ない、こういうようなことも現にあるわけでありますし、これとはまた別に、法律で資格を持たないとされている国民年金、これに現実には役所が過って加入をさせ掛け金を払わせていた、これが裁判ざたになりまして、おまえは資格がないんだよと言った行政の側が、つまり受給を期待をして七年間も掛け金を払っていた者にこの際受給資格を付与すべきである、こういった資格をめぐる東京高裁の判例もある。
 あるいは最近の趨勢をずっと見てみますと、外国人に対して国民健康保険の加入資格を付与する、あるいはずっと問題になっておりました住宅金融公庫であるとか公営住宅の入居資格について国籍条項を取っ払う、私はそちらが専門家だからあえて申し上げませんが、日本育英会でも国籍条項というものを撤廃する、あるいは韓国人弁護士が誕生する等々のことを考えてみますと、流れは遅々としているけれども、全体としてそういう国際化に対応するような一つの流れというものが今生まれてきている。これは事実なんです。
 だから、次代を背負う国民の教育、子供たちの教育により慎重を期することは、これは重要なことで結構でありますが、この隠そうした時代の趨勢に見合う、あるいはニーズにこたえる発想でぼつぼつこの問題について少し研究を深め、検討を重ね、頭を切りかえていくといったような方向を持つべきではないか、最後になりましたが、この点について一言伺って、終わりにしたいと思います。
#84
○松永国務大臣 先生の御指摘になった事例は、主として国または公の方から受益をするという例におきまして、国籍とかかわりなく受益がなされるというふうな御指摘だったような感じがいたします。先生の御指摘の教育の関係で申し上げますと、教育活動そのものはいわゆる権力の行使でないでしょう。しかし教諭というものは個々の生徒を教えると同時に、校長と一緒になって入退学の処置をするとか懲戒をするとか、あるいは国立、公立の小中学校等の教育課程を決めるとか、そういった公の意思の形成に参画をするという立場があるわけでありまして、その意味で公的なものであることには間違いないし、権力の行使ではありませんけれども、公の意思形成という極めて重要な仕事に参画するという立場が実はあるわけでありまして、先生の御指摘の例とは必ずしも同一には論じられないなという感じがいたします。しかし、いずれにせよ熱心に論じていらっしゃるわけでありますから、私もさらに一層勉強していきたい、こういうふうに考えております。
#85
○清水分科員 終わります。
#86
○葉梨主査 これにて清水勇君の質疑は終了いたしました。
 次に、小川新一郎君。
#87
○小川(新)分科員 私は質問に先立ち、埼玉県一区の選出代議士の一人として、文部大臣とは公私にわたりいろいろな面でおつき合いもさせていただき、また選挙戦では厳しい選挙を戦う仲ではございますが、きょうはそういう立場を超えて、この国会、私ども埼玉県の代表大臣として御健闘くださっておることに心からまず敬意を表する次第でありますので、質問も簡単明瞭、私の言うことをよく了解いたして、短い三十分の質問の中でひとつ御答弁をお願いしたいと思います。
 まず、日の丸、君が代問題についてお尋ねいたします。
 日の丸、君が代問題については多く議論をされてくるところでございますが、日本の象徴として日の丸、国歌として君が代が伝統的にあることはこれまた事実であります。大相撲の千秋楽、またNHKの一日の最終の番組の締めくくりにも日の丸と君が代が伴奏されておりますし、オリンピックにおいてもしかり、またそのような中において二つの問題があると思うのでございます。
 一つは、この日の丸と君が代の国歌について、日本人の感情においてどう対処したらいいかという問題と、これを教育の場にどのようにしていくかということが今大きな問題になっておりますが、日教組においては、この日の丸、君が代問題についてパンフレットを配ってそれなりの批判をいたしております。私は今その問題をつくのではございませんけれども、教育基本法第十条においては「教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。」また二番に「教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。」とあります。その関連において日の丸及び君が代を学校教育でどのように教育するのがよいのか、新文部大臣の御所見をまず承りたいのであります。
#88
○松永国務大臣 将来の日本を背負う子供たちが、国際社会で尊敬をされ信頼される日本人として成長してもらわなければならぬわけであります。そのためには、日本人自身が諸外国の国旗や国歌に敬意を払うということが大切なんでありまして、それと同時に自分の国を愛する、自分の国の国歌や国旗を大切にするという態度も身につけていかなければならぬというふうに思っております。先生御承知のとおり、そのために教育指導要領等にも書いてあるわけでありますが、国旗や国歌についても適切な指導をするように実はしておるところでございまして、これからもそういう指導がなされるように期待をしておるところでございます。
#89
○小川(新)分科員 大臣は埼玉県選出の大臣でございますので、そのようなことが埼玉県一県を見ても正当にかつ適切に行われていると思われますか。
#90
○松永国務大臣 昨年でございましたか、埼玉県の県議会でこの問題についてきちっとやるようにということで議論がなされて、国旗の問題でございましたか、大変遅くまでもめたという記事を私は新聞で読んだことがございましたが、そのことから見ても必ずしも十分になされてない点があるのではなかろうかという感じは持っておるわけであります。しかし、埼玉県の教育委員会、関係者等立派な人がそろっていると私は思っておりますので、不十分な点があればおいおい立派な指導がなされるようになるものと期待をしております。
#91
○小川(新)分科員 そのように期待をするものでございますけれども、現実はなかなかそうはいかないところに問題があるわけでございます。時間がありませんので、私はきょうは大臣の御所見と方針を承りまして、議論はいたしません。
 次に、放送大学並びに放送衛星についてお尋ねをいたします。
 ことしの四月一日から放送大学が関東地区、東京、埼玉、千葉、神奈川、群馬の一部で開校されることになりましたが、これは当初放送衛星を利用して実施することになったと聞いておりますが、BS2a、ゆり二号aの不都合により、衛星を通じての授業は不可能となりました。東京タワーからの電波によるところの放送に切りかえたと聞いております。放送大学の全国的規模拡大はいつからどのようにして行われるのでしょうか、これが第一点。
 二点目は、次に全国的な規模拡大をするときは新しい放送衛星を利用して計画するものと思われますが、新しい衛星及び実用衛星はどのような衛星が上げられるのか。不都合を起こさないように外国の技術もよく研究し、また国内、国外を問わずよいものであればその機械を信頼して高いものを開発し、全国的に放送大学が規模拡大できるようにすべきであると思いますが、外国製品一辺倒でないようまずお尋ねをしておきたいと思います。
 三番目に、放送衛星BS3号、ゆり三号の打ち上げ時期及び開発計画についてお尋ねをいたします。
#92
○宮地政府委員 放送大学についてのお尋ねでございますが、教育の機会均等の趣旨から放送大学の全国的な整備を行うという問題については大変重要な問題と考えておりますが、放送大学が我が国で初めての試みでもございますし、全体計画としては大変大きなプロジェクトになるわけでございます。したがって、段階的にかつ慎重に進めていく必要があるというぐあいに考えておるわけでございます。当面は第一期計画の完成に全力を挙げるということで私ども対応しているわけでございまして、今後の拡大計画については、関東地域での実施状況等諸般の事情を勘案しながら検討を進めてまいる課題というぐあいに考えております。
 なお、全国的な整備に伴います放送衛星の利用につきましても、今後の拡大計画の検討とあわせて諸般の事情を勘案しながら、また関係省庁とも十分協議をしていかなければならない問題であるというぐあいに考えております。
 なお、放送大学の昭和六十三年度打ち上げ予定の放送衛星BS3本機の利用の問題については、当面放送大学としては第一期計画の完成に全力を注ぐというようなこと、また放送衛星を利用する場合には負担金として百四十億余りという相当大きい金額の負担金を要するというようなこと、また学習センターを全面的に整備する際に多額の経費を要するというようなことなどもございまして、現在その点は見送りとしているところでございます。
#93
○小川(新)分科員 そうしますと、ゆり三号、BS3の打ち上げはここでは不明なんですか。
#94
○村瀬説明員 お答え申し上げます。
 放送衛星三号は三チャンネルを搭載するということになっておりまして、その際放送大学が使うかということにつきましていろいろ文部省、放送大学学園とも御相談をしてまいったわけでございますが、今文部省の方から御答弁がございましたように、当面BS3の利用は困難ということがございましたので、BS3はNHKが二チャンネル、一般放送事業者が一チャンネルの計三チャンネルの放送を行うということで現在計画を進めておるところでございます。
#95
○小川(新)分科員 次に、大臣にお尋ねいたします。
 放送大学と他の大学との単位の交換が認められているやに聞いておりますが、他の大学の教養課程の単位をそっくり代替する考えがあるのかどうか。これは大臣が非常に御熱意を持って進められているところでございます。いかがですか。
#96
○松永国務大臣 四月一日から開校される放送大学の単位を取って、それが他の大学の単位と互換できるかというふうな趣旨の御質問と思いますが、それは可能であります。ただし、放送大学で教養課程を全部取ったから、それが他の大学の教養課程に全部できるかどうかについてはいま少し検討の余地がありますが、将来的に考えますと、放送大学の教育内容は極めて充実をしておりますし、レベルも高いものと思われます。そうなりますと、これから新しくできる私立大学とこの放送大学で取得する単位を活用することの方が、あるいは新しくできる私立大学にとっても大変プラスになる場合も考えられるかと思うのでありまして、そういうことも含めまして、今後放送大学における単位を他の大学の単位と互換できるという制度はまああるわけでありますけれども、そのことがさらに進むよう私どもは努力をしていきたいと考えておるところでございます。
#97
○小川(新)分科員 非常に明快な御趣旨でございます。
 私どもは一流の各大学のえりすぐった教授先生方が放送大学で講義をなさる、また講演をする、それを大学に行けない多くの方々が勉強をする、そしてそこで得た単位と他の一流校と全く同格の単位の交換がもし可能であるならば、これは教育における大刷新でありますし、全国的規模でこのことを進めてまいることに大賛成でございます。いろいろな問題はございますでしょうけれども、大臣のただいまの力強い発言を前向きに受けとめてよろしいですか。
#98
○松永国務大臣 受けとめていただいて結構でありますが、単位の互換というのは放送大学と他の大学との間が協議をして決めることでありますから、その意味で、他の大学もそういった点について前向きな考え方を持って、より充実した教育をお互いに協力しながら施していくんだという考え方で対処してもらうことが大切ではなかろうか、こういうふうに思うわけであります。
#99
○小川(新)分科員 一県の問題でまことに恐縮でございますが、文部大臣は一月三日の埼玉新聞紙上で「埼玉県を日本一の教育県にしたい」と述べております。これはどのような基準で日本一とするようにするのか。その実現についてのプロセス、大学への進学率日本一を目指すのか、それともどのような方法で教育日本一に持っていくのかということであります。大臣は対談の中で、我が埼玉県は大学進学率は全国最低と述べておられますが、実際は四十七都道府県で三十七位、余り立派な成績ではございません。それは事実でございます。いい大学を数校誘致したい、そして所沢に進出が決まっております早稲田大学を含め、大学を埼玉県のどこの場所に何枚誘致をし、進学率を高め、さらに日本一を目指すための方法としては、高校入試制度の改善も述べられております。
 文部大臣は、地元の埼玉新聞紙上に、新年の抱負の中で「高校の入試制度の改善などを思い切って図っていきたい」と語り、また「偏差値の偏重はやめさせる。塾に通わなくても、塾漬けにならなくても、堂々と高校に入れるという入試制度に改善したい」と述べております。堂々と入学ができる入試制度に改善を図る入試制度とはどういうものなのか、この高校入試制度の改善を具体的に図られるプロセスを教えていただきたいと思います。
 また、転勤者の子弟の公立高校への転入制度は大きな社会問題になっておりますが、これも大臣は述べておられますが、それをひとつお願いをしたいと思うのでございます。
 埼玉県を日本一の教育県にするというのは、大学の進学率だけが日本一になって、他のものがないがしろになれば、それは全く学歴偏重社会というものを埼玉県が見本を示すようなことになりはしないかという心配もあるのでございますが、その辺の点を含めて四点お尋ねいたしました。どうぞお願いします。
#100
○松永国務大臣 私の言う教育県という意味は、単に大学、短大等の進学率をもってはかるべきものではございません。学習を続けていきたい、高い学習をして、そしてみずからの教養あるいは技術を高めていきたい、そういう人が大変多い県にしたい、そして全体的に埼玉県の知識の水準、教養の水準、そういったものを高めていきたい、そしてできることならば日本一、そういう教養の面あるいは学問の面あるいは学力の面、そういった教育に関するもろもろの問題について総合的に日本一レベルの高い県にしたい、こういうことを申し上げたわけであります。
 その中で、大学、短大等の入学率の問題でございますが、入学率が高いからといって直ちにその県の教育水準が高いとは言い切れません。しかし、その県の教育水準を一応見るための一つの資料であることは間違いないと思います。そういう点からいえば、私は埼玉県は日本最低と言ったことはございませんが、最低に近いことは事実なのでありまして、大学、短大等の進学率、これは昭和五十九年度で、全国平均は三五・五%であります。全国平均三五・五%が大学、短大への進学率、こういった場合における埼玉県の進学率は幾らかと言えば二七・七%でありまして、全国で上から数えて四十番目、下から数えて八番目、こう申したわけであります。そしてそれは、関東地区内では、実は残念ながら最低なのであります。これにつきましてはいろいろな理由がありましょう。埼玉県内に魅力のある大学が少ないという問題もありましょう。あるいは、埼玉県内に有力な高等学校が少ない等のこともありまして、そこで東京の高等学校に行く。そうなってくれば、東京の高等学校を卒業して進学した人は東京にカウントされるものですから、その点も埼玉県の進学率が低くなっている原因の一つであるかもしれません。
 しかしそうなりますと、埼玉県と同じような条件下にある神奈川県はどうだ、千葉県はどうだ、こうなってくるわけでありますが、実は神奈川県の進学率は大変高うございまして三九・八%、全国で九番目、千葉県はどうだ、実は三三・七%で全国で二十三番目、こうなってくるわけでありまして、したがって東京に隣接しているから埼玉県の進学率が低いということは実は理由にはならぬわけなのでありまして、全般的に埼玉県の高等学校あるいはその前の中学校の水準を高めるということも必要ではなかろうか、こう思っておるわけであります。この点につきましては、県の教育委員会でもわかっていただきまして、中学校、その下の小学校、そして高等学校等の水準を高めるように努力しようという体制を徐々におつくりいただいておるというふうに聞いておるわけであります。
 それからさらに、今話のありました放送大学につきましても、実は埼玉県の入学者は二千百九十二人、千葉県の入学者は三千五百八十二人でございまして、千葉県よりも埼玉県が少ない。人口比率でいけば大体千葉県の半分しか埼玉県の人は今度の放送大学に入学しない、こういう数値が出ておるわけでありまして、これは学習をしたいという人がまだそれほど多くないということでもあろうかと思うのでありまして、これは県民挙げて、とにかく新しい時代を迎えるに当たってはそれぞれの人がそれぞれの立場で、やはり生涯学習という立場で学習をしていくことが必要なんだ、こういうムードを県内においてつくる必要があるというふうに私は考えるわけであります。
 次は高校入試の問題でございますが、御承知のように、最近ではややともすれば偏差値を過度に重視して、言うならば偏差値偏重の進路指導がなされておるという弊害が実はあるわけであります。この弊害は取り除かなければなりません。したがって、二つの面での改善が必要であるわけでして、一つは、高校が入試をする場合に、ペーパーテストの点数だけで合否を決めるのじゃなくて、それ以外にその他の部門も考慮して総合的な判定をする、そういう入試制度に高校はしてもらいたいと思っておるわけであります。
 それともう一つは、高等学校の受験機会が公立の場合一遍しかありませんものですから、そのために、中学浪人を出すわけにいかぬということで、進路指導に当たる先生がどうしても偏差値を重視して、それに基づく進路指導をするということにもなっておるわけであります。したがって、昨年文部省が各都道府県教育委員会にあてて、高等学校の入試制度につきまして、受験の機会の複数化を考えてもらいたい、選抜方法の多様化を考えてもらいたい、選抜尺度の多元化を考えてもらいたいなどという通知を実は出したわけであります。これに基づきまして、この春の受験には間に合いませんでしたが、来年度以降は今申したような趣旨に基づいた改善がなされるよう各都道府県が検討会議をつくりまして、そして改善の努力をしていらっしゃるようでありますので、六十一年度以降改善がなされるものと期待をしておるわけでありますが、今後ともそういう措置がなされるよう指導をし、努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
 大学につきましては、埼玉県の場合に二つ特色があります。一つは、各都道府県に大学がありますが、埼玉県と千葉県とを比べた場合、千葉県の場合は教育学部のほかに医学部もあるし理工学部もあるし、いわば総合大学化しておるわけですね。しかし埼玉県の埼玉大学の場合には教員養成学部が大部分で、その他の学部は少ない。したがって、教員養成学部を除いた埼玉大学の入学定員と千葉大学の入学定員を比べますと、千葉大学の方がはるかに多い。人口比にすればこれは二倍以上の千葉大学の大きさであり、充実ぶりである、こういうふうに思うのでありますが、こうした問題が一つあります。
 もう一つは、私立大学につきましても、今御指摘のように早稲田大学が所沢に来てくれるわけでありますが、ことしはそのほかに、私立大学としては草加に上野学園短期大学の学科増設、それから浦和の明の星女子短大の定員増、秋草学園短期大学の学科増設等をいたしましたが、六十一年度以降につきましては、既にほぼ決まっておるのが大東文化大学の東松山、東京家政大学の狭山市等々がございますが、そのほか文部省に相談に来ているのが浦和、川口、所沢、そして飯能、上尾、こういったところに数校の大学が、昭和六十七年の十八歳人口のピーク時に備えて大学として埼玉県内に設置をしたいという相談が来ておるわけでありまして、これらを適切に指導して、そして埼玉県の大学不足を解消していきたい、こう考えておるわけでございます。
#101
○小川(新)分科員 大変きめ細かく場所、それから大学の打診の問題について御答弁をいただきました。私ども非常に気強く思っているわけでございます。さらに文部大臣は、伊奈町の伊奈学園総合高校の視察に当たり非常な評価をなされております。こういった他県に比して優秀な学校をどんどんつくっていただくよう、また努力もしていただかなければなりません。
 最後に、私は教育の現場の問題についてお尋ねしますが、この教育の問題については、二、三日前、一昨日ですか、田中日教組委員長も現場の先生に自省を求め、今大臣がおっしゃったような高校入学における偏差値一辺倒の輪切りの問題や、子供の心を理解できないような進学制度に対する指導、こういった問題に対する教育者の立場についての指導も行っております。今国を挙げて総合的な、臨時教育審議会、臨教審の答申がなされようとしているとき、昨年、一昨年とは全く比べものにならないほど教育問題が大きくクローズアップされているときに、新しい大臣として当然日教組委員長と会談をし、そして日教組も前向きにそういった問題で自省をし、みずからの体質改善のために反省をしていることであるならば、この際、大臣はさらに一歩進んでこの田中委員長と会談をし、国の立場また子供たちの立場のために頑張っていただかなければならぬということをまずひとつ要請をしておきたいのでございます。
 ただ、大臣は、違法ストにおける処分がまだ済んでいない、いろいろな懸案事項が解決されていないから会わないんだということは、これはあくまでも政治的な問題であって、そういった政治的な問題もさることながら、今なさねばならないのは子供たちの教育の問題でございますから、日教組に求めるものは求める、反省すべきものは反省させる、また文部省として当然なさねばならないものはなさねばならないだろう。お互いの意見の交換をするのは当然であります。その問題についてはいつお会いになるのかをまず明確にしていただきたいのでございます。
 その次に、埼玉県の問題で、狭山市のある中学校では日教組の過激派と言われる組合員が多く、校長が一年しか続いておりません。これはノイローゼになって、嫌気がさしてやめる状態、または組合員が非組合員の先生の教え方を聞き、みんなの前で総括をする、政党や自衛隊についてどのように教えているかというテーマについて大騒ぎしております。また、社会科のテストで、戦後四十年最も反国民的組織は何かという問題で、答えは自衛隊という。生徒は心得ておってこれにマルをするということも言われておりますが、このような事実は一体あるのかどうか。私どもの調査とは別に、大臣はどのようにこの埼玉県の教育の一部のあり方について、あるのか、こういった問題を踏まえて日教組の委員長と親しくひざを交えて心置きなく話し合ってこそ国の将来を、また教育の将来をいかように改善するかという立場が浮かんでくるという問題について、三点今お尋ねいたしましたので、よろしくお願いします。
#102
○松永国務大臣 私は、文部大臣として文教施策を進めていく上で建設的な意見を幅広くお聞きをして、そして参考にさせていただくという基本的なスタンスをとっております。したがいまして、日教組さんであろうがだれとかさんであろうが、私は建設的な意見をお持ちの方でありますならば、そしてまた私の方の体の都合がつくならば、日程が合うならば、お会いして御意見を聞くということは積極的にしていきたい、こう考えておるわけでございます。
 しかし、就任当時は、先生御承知のとおり私が正式に就任したのは五十九年十一月一日でございまして、その一週間前にストがなされたという事態もございましたので、その当時はお申し出があってもお会いする気持ちはありませんでした。しかし、私が就任以来、まだ実はお会いしたいという御連絡を私は受けていないわけであります。これからお会いしたい、建設的な意見を申し述べたいからというお申し出がありますならば、過去の経緯もありますけれども、それも考えながら慎重に対処をしていきたい、こう考えておるわけであります。したがいまして、日教組の委員長といつ会うのかという端的な御指摘でございましたが、申し出がないものですから、いつ会うということは返事することはできません。
 二番目の、狭山市の小学校か中学校かで、義務教育の学校で御指摘のような偏向教育といいましょうか、いかがわしい問題があるという御指摘でございますが、これは早速関係者を通じて真相を知りたい、そうした上で適切な指導をしていきた
い、こういうふうに考えておるわけであります。
#103
○小川(新)分科員 時間が参りましたのでこれでやめさせていただきますが、私とは同じ選挙区で相争う仲ではございますが、どうかただいま御質問をいたしましたことについては選挙の恨みを捨てて、大きな心を持つ松永光文部大臣でございますから、小川新一郎の意見もひとつお聞き取りくださいまして、国民のため、県民のために、こんなに立派な大臣であったのか、また小川の質問はこんなによかったのかという成果が出るよう御配慮を賜りますことを心からお願いをいたしまして、私の質問とさせていただきます。ありがとうございました。
#104
○葉梨主査 これにて小川新一郎君の質疑は終了いたしました。
 次に、鈴木強君。
#105
○鈴木(強)分科員 松永大臣御就任以来大変御苦労さまでございます。
 若干の質疑をさせていただきますが、今小川委員から対日教組との問題についてお話がございました。実は、私も今まで国会におきましても――教育というのは本当にその国の盛衰、興亡にかかわるものだと私は思います。したがって、その国の教育がいいか悪いかということが基本になるのでありますから、その教育については、私どもも党派を乗り越えて、いかにしたら立派な教育ができるかということでお互いに苦労してきたわけでございます。しかし、残念ながら、教育の荒廃が唱えられております。学校で先生が殴られるとか、生徒同士で暴力ざたがあるとか、たばこを吸う未成年者の生徒がいるとか、いろいろな問題が起きております。ですから、こういう問題に対して、やはり、日教組という労働組合がございますね、ほかにもあると思います、ですから、そういう皆さんとひざを交えでいろいろな意見を交換するということは非常に大事だと思うのでございます。
 したがって、私も何年か前から同じような質問を実はしておるのでございます、歴代文部大臣にも。御就任になった当時、一回か二回かありますが、その後はしり切れトンボということになるわけでありますが、それではいけないと思うわけです。ですから、お話を聞いておりますと、会いたいと言ってこないのだからそういう機会がないんだ、こう大臣おっしゃいました。確かに理屈はそうだと思いますけれども、むしろ大臣の方から、こういう問題について端的に話し合って、この荒廃をなくするためにはどうしたらいいか虚心坦懐に話したいというぐらいの配慮があってもいいのではないか、こういうふうに私は考えるわけですね。
 きのう田中委員長が中央委員会で演説をされた記事を新聞で私は拝見いたしました。その中を見ますと、冒頭のあいさつで「教育荒廃の状況を一日も早くなんとかしてほしいというのが、父母、国民が切実に願い、期待していること」と述べ、そして「教職員集団として自ら反省することが私たちの教育改革運動の出発点」、こういうふうに非常に謙虚に反省をされておるわけであります。ですから、これを折に、大臣からひとつ進んで接触をし、どうしたらいいかという、その現場の先生方の意見を聞くということが必要ではないか、こう思うのです。ですから、一歩積極的に打って出るということはできないものでありましょうか。私はあえて教育を憂える立場から、大臣に所信を伺いたいと思います。
#106
○松永国務大臣 今御指摘の日教組の委員長のあいさつは新聞で読みました。評価をするものでございますが、具体的に私の方から日教組の委員長に会いたいからというふうに今直ちに申し出るという予定はありませんけれども、先ほど来申し上げておりますように、教育に関連する事柄につきましていろいろな人たちの意見を聞いて、それを参考にさせていただいて、建設的な意見は取り上げて、そして文教施策を進めていくのが私の務めであるというふうに考えております。
 今は御承知のとおり、予算委員会その他、国会が大変なときでありますから、主として議員の先生方の御意見を聞いているというのが大部分なんでありますが、国会が終わった時点等、時間がありましたならば今先生の御指摘のような点もひとつ考慮していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#107
○鈴木(強)分科員 大変行き届いた御答弁をいただきまして、ぜひそのようにしていただきたいと心から願う次第でございます。
 それから第二番目に、山梨県におきまして昭和六十一年に国体が開催されることになっております。第四十一回国民体育大会でございます。「かいじ国体」というテーマで「ふれあいの輪をひろげよう」、これをスローガンにいたしまして、冬季が六十一年の一月二十八日から三十一日まで、夏季が九月七日から十日まで、秋季が十月十二日から十七日まで、こういう予定で開催されることになっておりまして、我が山梨県は望月知事を先頭にいたしまして、本体育大会が立派に成功するように全力を尽くして頑張っておるのでございます。文部省当局も主催者の中に入られるわけでございますから、今日まで何かと御配慮をいただいております点につきましては感謝を申し上げますが、ぜひこの大会が成功いたしますようにこの上とも格段のお力添えをいただきたいということをお願いしておきたいのでございます。
 そこで、私はこの件につきまして昭和五十六年十一月二十五日に早々と、行革その他の問題も考えられておったときでありますから、当時の福田一衆議院議長を経由して、当時の鈴木善幸内閣総理大臣に対して文書によって質問をいたしておるのでございます。その内容は、簡単に申しますと、この大会開催のための施設費それから運営費等に対する国の補助金を確保していただきたい、こういうものでございます。当時、文部大臣は小川平二先生、建設大臣は始関伊平先生でございまして、この二人の大臣が閣議に報告をし、了承されて、回答が私のところに参っておるわけでございますが、その回答を見ますと、国民体育大会の重要性にかんがみ「体育施設の補助制度の中で、設置者からの要望を受けて、できる限り優先して打ってきているところであり、今後とも、設置者からの具体的な計画の提出を待って対応してまいりたい。」というように、施設費と運営費についても御回答をいただいておるのでございます。
 いよいよ来年になりましたので、現段階で明確になっております文部省関係の国の補助金をひとつ明らかにしていただきたい。
#108
○古村政府委員 来年の山梨国体に対します施設の整備の状況をまず申し上げますと、要します施設は、八十六施設が全体で要るわけでございますが、そのうち、既にある施設、活用できる施設が十六施設ございます。また、既にある施設の中で改修をすれば使えるというものが十九施設、あと新設が五十一施設ということに相なるわけでございます。したがって、新設、改修というところで県なり市町村では金が要るわけでございますが、その七十施設につきましては、大体五十九年度末までに五十七施設が施設整備が完了いたしております。あと十三施設が残っておりますが、これにつきましても、来年の国体でございますので最優先的な財政援助をしたいというふうに思っております。
 なお運営費でございますが、主たる運営費は来年度の予算に計上されるわけでございますが、運営費補助につきましても、従来五十六年、五十七年度ぐらいまではある程度ふやしてまいりました。しかし、この財政状況でございますのでほかの補助金はある程度減額をせざるを得ない状況でございましたけれども、国民体育大会に対します運営費の補助については前年と同額で据え置いてきたという事情がございます。したがって、来年度の山梨国体につきましても最大の努力をしたいというふうに思っております。
#109
○鈴木(強)分科員 もう少し明細にお答えをいただきたいのでございますが、施設の整備については県、市町村に分かれますね。補助の対象になったものが県は幾つで、市町村が幾つか。それから、額はわかりませんか。あれは六十一年度の予算に
組むのかな。
#110
○古村政府委員 県立につきましては新設施設が十四施設あるわけでございますが、そのうち国庫補助の対象といたします施設は、六十年度までの予定も含めて申し上げますと十一施設でございます。それに対します国庫補助金、六十年度の国庫補助金の予定はこれからの話でございますが、県と文部省、あるいは建設省もかなり補助金が出ておりますが、それらの見込みを入れまして大体八十一億ぐらいの国庫補助がなされつつあるというのが現状でございます。
 それから市町村立につきましては三十六施設が新設でございますが、そのうち三十一施設を補助対象にいたしたい。これも六十年度の事業も含めてでございますが、金額として国庫補助金が大体二十二億円くらいという予定でおります。
#111
○鈴木(強)分科員 そこはわかりました。
 それで運営費の方でございますが、一月に冬季の大会が開かれるわけでございます。一月二十八日から三十一日までですね。この運営費については、六十年度の予算の中に盛られておってその中から出していただける、こういうふうになると思うのですが、その額は大体どのくらいになりますか。
#112
○古村政府委員 冬季大会につきましては、おっしゃるとおり六十年度の予算に計上されておるわけでございますが、スキー競技というのは別の県でやりますので、こちらで行われますのはスケート、アイスホッケーという競技でございます。スケート、アイスホッケーに幾らの金を分配するかということはこれからの話だと思いますが、ことしの例で言えば、ことしのスキー、スケートをやりましたのは青森県の八戸でございますが、八戸には大体千三百五十万円くらいの運営費の補助をいたしたということでございますので、そういったものを基準にして考えるということになろうかと思います。
#113
○鈴木(強)分科員 選手の強化のためにはかなり金がかかるわけですが、現在のところ、選手強化費に対する補助はないわけですね。今までずっとやってきておりますから、これからやる県にだけ特別な措置をするということはできないと思いますが、一回り回って今後二回り目ぐらいのところから、二回り目やるかどうかそれもわかりませんけれども、やるという前提に立つならば、この運営費も選手強化費というものもある程度考えてやった方がいいのじゃないかというふうに、現実に主催県になりまして今までやってきている中で感ずるわけですけれども、そのような御考慮はできないものですかな。これは大臣かな。
#114
○古村政府委員 選手強化費は、これは開催県だけに限らず全国の各県が国体に向けて選手強化をやるわけでございますので、そこに向かって選手強化費を計上していくというのは非常に困難だろうというふうに今の時点で私は思っております。
#115
○鈴木(強)分科員 しかしそうはいっても、もちろん全国でやるのですけれども、主催県が天皇、皇后杯を受けるというようなことは、これはやはりやるからには勝とうという根性があるわけですから、したがって、主催県につきましては他の県以上に熱の入れ方が違いますよ。ですから、そういう意味を含めて若干の考慮をして――やはり国民体育大会ですからこれは意義のあるものですから、そういうようなこともひとつ配慮したらどうかという点を私は申し上げておるわけなんです。ですから、これはどちらでもいいですよ。
#116
○古村政府委員 選手強化費というのをどういうふうにして考えるかということに相なりますが、片方は、選手の競技力を過熱して競争させるということも若干いろいろな批判がございます。したがって、そういったところから見ますと、選手強化というのはいろいろな県もやっていますし、あるいは民間の会社に所属している人らも選手強化をやっているわけでございまして、そういった点からいいますと、なかなかそういったところでの国の補助という考え方が打ち出しにくい場面があるというふうに思うわけでございます。
#117
○鈴木(強)分科員 ではひとつ、これはなお検討課題にしておいていただきたいと思いますが、お話のように施設に対する補助金につきましても、目下財政が非常に困難な中にもかかわりませず横ばいでずっと来ているということは、やはり皆さんの御苦労のおかげだと思います。しかし、これでも主催県はかなりの荷をしょい込まされておるわけでありますから、この補助金につきましてはふやすようにさらに検討していただくように強く要望しておきます。
 それではこれは終わりまして、宮地さんどうも、またおまえそういうことを言うのかと言われるかもしれませんが、また私は申し上げたいのであります。
 実は、山梨大学は御承知のように教養学部と工学部だけでございまして、それからまた医科大学も大変な御配慮で設置をしていただきました。今着々と準備が進んでおりまして、後ほどまた若干質疑をしたいと思いますが、そこで、山梨大学にぜひ経済社会学科を内容とする社会科学部を設置していただきたい、これが一つ。それから、工学部の中に材料、情報関係の新学科を新設していただきたい。
 山梨県も中央自動車道が開通をし、電話はどこへでもダイヤルで通じる。国鉄ももう複線になりまして、今や山梨県というのはテクノポリス地帯になりまして、本当に先端企業がどんどんと発達しているところでございます。したがって、さっきもちょっと大学の問題についてお話がございましたが、いろいろ事情がありまして、今の財政の中で困難であることはよくわかりますが、しかし、その時代時代に適合した教育をやることが将来の日本にとって大事なことでございますので、何と言われようと、金がかかると言われようとも、やはり私は教育には金をつぎ込むべきである、そして立派な、これからのそれぞれのすぐれた専門的な人たちが育ってもらわなければならない、こう強く思っておるわけでありまして、毎年毎年同じようなことをやっておりますが、どうでございましょうか、何とか工学部に材料、情報関係の新学科をつくっていただけないか。それからもう一つのあれをやってもらえないか、こういうことでございますが、いかがでございますか。
#118
○宮地政府委員 先生から予算委員会の際に山梨大学の充実ということについて御指摘をいただいている点は、私どもかねがね承っている点でございます。整備全体のことは、他の委員からも御指摘もありましたような高等教育の計画的整備という観点から、全体的に地域の収容力格差でございますとか専門分野構成を考えながら、地方における大学を中心とした整備ということを考えなければならないというぐあいには私ども具体的に考えております。山梨大学の場合には、五十三年度以来調査経費を配慮して検討はいただいているわけでございますけれども、具体的な学部の新設という問題については、現時点では非常に難しい問題が多々あるということは先生も御存じのとおりかと思います。
 具体的な整備といたしましては、例えばほかの大学でございますけれども、学部の新設ということではなくて、さらに既設学部の学科の充実というようなことで対応をしているケースもほかの大学にはあるわけでございまして、いろいろな角度から、それらの点については私ども山梨大学においてもより広い観点から御検討は願わなければならない課題ではないかというぐあいに考えております。
 それから第二点の、工学部の学科についてより充実するような方策をどうかというお尋ねでございますが、私どもも実は山梨大学の工学部については、従来、学科の増設の要求というものは具体的に伺っていなかったわけでございますが、先生御指摘のように、先端技術の問題でございますとかいろいろな新しい分野の要請というものはもちろんあるわけでございまして、それらについては具体的に山梨大学においても検討をいただいた上で、山梨大学から具体的な事項として上がってまいりました際に、私どもとしても全国的な観点を十分見ながら検討させていただく課題ではないか、かように考えております。
#119
○鈴木(強)分科員 これは何にも話がないというふうにおっしゃったんだと思うのですけれども、そうではなくて、山梨県側からもう、文部省に対してそのことは文書で強く要請をしておると私は思いますよ。その辺のコミュニケーションがちょっとどこかで詰まっているのかもしれません。したがって、工学部に材料、情報関係の新学科を新設をするという、これは改組、新設というので若干そこにさっきおっしゃったような含みがあるかもしれません。いずれにいたしましても、最近の山梨県の実情からしてそういうことをやってほしいという願いは出ておるわけでございますから、去年もたしか私はこのことを取り上げたと思います。したがって、そういう点の御認識もどうぞ持っていただいて御配慮いただきたいと思います。
 それから、難しいことは難しいと思いますが、それをやるのが政治だと思いますよ。ですから、大臣、これは山梨県だけでなくて、もちろん全国からもいろいろなものが出ていると思いますけれども、私は教育というものは非常に大事だと思っておりますし、それは大臣も釈迦に説法、全くそのことでやっていただいておるわけですから、ぜひひとつこういう問題は真剣に取り上げていただいて、金はかかると思いますよ、かかっても、やらなければならぬものは優先的にやっていくというかたい信念でぜひ大臣も頑張っていただきたいと思いますが、ちょっと御所見を伺いたいのです。
#120
○松永国務大臣 経済、社会も変化しますし、時代も発展してまいりますから、その意味では国民のニーズに合った国立大学を整備していくということは大事なことであると思っております。また、国立大学が整備されればそれが日本全体の学術、文化の向上の引き金にもなるわけでありますから、非常に大切なことであると考えております。
 ただ大変厳しい財政状況でありますので、今局長が申し上げましたように、例えば工学部の中の学科等につきましては、場合によっては時代に合わなくなった古い学科等もあるかもしれませんが、そういう場合にはそれを改編するという形で、財政の効率的な運用という形になるような形で時代に合ったようなものに改編していくことがより現実的ではないか、こういうように考えますけれども、いずれにせよ国立大学の充実、そしてより一層レベルの高いものにしていく努力を今後とも続けていきたい、こう考えております。
#121
○鈴木(強)分科員 わかりました。ぜひ御検討をお願いいたします。
 それからもう一つ、入学定員が現在工学部、教育学部、どうなっているかわかりませんが、この定員を少しふやしてもらえないかという意見が強くあるのです。これは、山梨県の場合でも全高校卒業生のうちで四割近くが大学へ進学をしているという関係がございまして、当然のことですが、できるならば地元でという意見が強うございますので、その入学定員をふやすことについてはいかがでございましょうか。
#122
○宮地政府委員 具体的に工学部の入学定員をふやす問題についてどうかというお尋ねでございますが、六十一年度以降の高等教育の整備に当たりまして、特に期間を限った定員増ということで、いわゆる臨時定員といいますか、そういうようなもので六十七年度の十八歳人口の増に対応するための施策を具体的にやっていかなければならないということに私どもも直面をしておるわけでございます。そういう意味におきまして、特に社会的なニーズの大きいような分野について、例えば工学部等について入学定員の増を考えるという具体的なことについては、私どもの方としても各大学に積極的に取り組んでいただきたいと思っております課題でございまして、それらについては具体の提案を待ってもちろん検討しなければならない課題でございますが、そういう面については私どもも積極的に対応しなければならない課題であろう、かように考えております。
#123
○鈴木(強)分科員 わかりました。ぜひ御協力をお願いします。
 それから、時間がなくなっておりますので例の山梨医大の問題ですが、これは変則的なスタートをしておりますものですから、附属病院の病床等についてどういうふうになっておりますか。その辺の進捗状況をちょっと伺いたい。
#124
○宮地政府委員 山梨医科大学の全体の整備の問題でございますが、附属病院につきましては、これまで創設いたしました新設医大病院と同様の計画で整備を進めております。昭和六十年度予算案におきましても百六十床の増を行いまして、それに伴う教職員定員百十六人の増員を行う等の措置を講じております。これによりまして、附属病院は、診療科数十七科、病床数六百床、教職員定員五百十八人ということになるわけでございまして、教職員定員について残り若干ございますが、それらの整備についても今後努めるつもりでございます。それは既定の計画どおり私どもとしては進めてまいるというぐあいに考えております。
#125
○鈴木(強)分科員 大変御配慮をいただいておりましてありがとうございます。
 それから、最後に放送大学のことでちょっと伺っておきたいのですが、これも長い間、宮地さんといろいろやり合ってきて、四月一日からいよいよスタートするわけでございます。思い起こすと三十二、三年ごろからでしたか、本当に長い年月でございましたが、いよいよスタートする。ただ、あのときも申し上げておったようにエリアが非常に狭うございますから、せっかくの放送大学というものが一部の人にしか勉強してもらえないという難点があるわけであります。やがて放送衛星も打ち上がるでございましょう。したがって、できるだけ早い機会に全国普及ができますようにいろいろな角度から御配慮をいただきたいと思っておりますが、四月一日スタートするについての準備状況といいますか、もう時間がないから簡潔でよろしゅうございますから、ちょっと説明をしていただきたいのです。
#126
○宮地政府委員 具体的に本年四月から放送大学の授業を開始することになっておるわけでございまして、そのための番組の教材の整備充実等、これは既定予算に即して準備を進めてきております。
 学生につきましては、六十年度の第一学期の合格者として全体で一万八千六百名余りを決定いたしておるわけでございます。この状況は、当初予定をいたしておりました約一万名をはるかにオーバーしておるわけでございまして、特に全科履修生等については四千名のところが八千名を超えるというような状況でございます。私どもは最大限の努力をしてそういう方々の受け入れに努力を払っておるわけでございまして、全体の準備状況としては、既定予算に即して学年進行で整備を進めていくことになるわけでございますが、さらに全国的な規模の拡大のことなどについては、先生今御指摘のありましたような観点ももちろんございます。それらの点については今後の課題ということで、私どもも慎重に対応してまいらなければならない課題だと考えております。しかし、新しい形の大学として、これが期待にこたえられるようなものとして、私どもとしてもその対応については十分期待にこたえられるだけのものを果たすように努力をいたしたいと考えております。
#127
○鈴木(強)分科員 時間が参りますのでこれで終わりますが、本当に長い年月をかけて苦しみの中から誕生した大学ですから、ぜひ所期の目的が達成できますように大臣以下今後とも大いに頑張っていただきますようお願いをいたしまして、ちょうど時間ですから、これで終わります。ありがとうございました。
#128
○葉梨主査 これにて鈴木強君の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#129
○大西主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 文部省所管について質疑を続行いたします。斎藤実君。
#130
○斎藤(実)分科員 松永文部大臣にお尋ねいたしますが、専修学校制度が発足いたしましてから九年経過をいたしております。この間、学校数、生徒数とも順調な伸びを見せておりまして、高等学校教育修了後の進学機関としても大学や短大に肩を並べるまでに成長しているわけでございまして、専修学校ブームを巻き起こしているわけでございます。
 そこで、これらの専修学校はますます重要さを増してくるという認識を持っているわけでございますが、大臣は、文教政策の中における専修学校の基本的なあり方をどのようにお考えになっているのか、お尋ねをいたしたいと思います。
#131
○松永国務大臣 先生御指摘のように、専修学校は制度発足以来順調以上の発展を遂げてきておるわけでありまして、そしてまた、社会のニーズによくこたえて、教育的な成果を着々と上げてきておられるというふうに認識いたしております。特に、これからの日本の社会を考える場合に、社会の変化が以前よりもはるかに急でございますし、また社会の教育に対するニーズも相当のスピードで変化してまいりますから、例えばかつては洋裁に対するニーズが非常に多うございましたが、今ではそれはやや下火になっておる。それにかわって手芸などというもののニーズが高まってくるとか、あるいは商業、経営の関係でも、かつては珠算その他のニーズが非常に多かったと思いますが、今でもニーズはありますけれども、新たに電算機の操作技術、コンピューターの操作技術、こういったものが高まってくるというふうに、世の中の変化が急でございますから、教育ニーズも非常に変化をしてまいります。その変化に的確に対応して教育をしていただき、教育効果を上げていただいているのが専修学校であると私は受けとめております。その意味で、これからも非常に大事な教育機関であると私は思っておりますので、今後とも専修学校の充実に一層力を入れてまいりたい、こう考えているわけであります。
#132
○斎藤(実)分科員 次に、政府委員の方にお尋ねしますが、専修学校の発足当時と比較をして、現在の学校数と生徒数をお答えいただきたい。
#133
○國分政府委員 専修学校の数字的な実態でございますが、先ほど先生からお話がございましたように、専修学校は昭和五十一年に発足しているわけでございます。その当時の専修学校数が八百九十三校でございます。これは初年度でございますが、翌五十二年度には千九百四十二校というふうになっております。それが五十九年度になりますと二千九百三十五校、約三千校弱という状況になっております。
 それから、生徒数でございますが、生徒数につきましては、制度発足の五十一年度に十三万一千五百程度、それが五十二年度に三十五万七千二百五十程度、それが五十九年度になりますと五十三万六千四百五十七人ということで、学校数あるいは生徒数とも飛躍的にふえているという状況でございます。
 特に、先ほどの生徒数のうち、専修学校につきましては、御案内のとおり、高等課程、これは中学校卒業程度を対象といたします。それから専門課程、俗に専門学校と呼んでおりますが、高卒者を対象にいたすのがございます。それから一般課程ということで特に入学資格を問題にしない課程がございますが、特に多いのが専門課程、専門学校でございまして、生徒数の約七五%を占めているという状況でございます。
#134
○斎藤(実)分科員 文部大臣から、この専修学校の重要性とかあるいは育成強化をしていく、国民のニーズにこたえる意味で極めて重要な制度だというふうにお答えがございましたが、私も同感なんです。しかし、現状の専修学校に対しまして現場の教師からは、どこの専修学校が信頼できるのかよくわからない、それからPR、情報はんらんの中で適切な指導が行えない、こういう声があるわけです。それから、定員過剰で授業もろくに聞けないとかあるいは看板どおりに就職できないとか、こういった生徒や親からの投書も私のところに今来ているわけです。
 しかも、この専修学校の運営に関しましては行政管理庁からも昭和五十六年に指摘をされておりまして、昨年の十二月にも中国四国行監局から監察結果を報告されておるわけですが、この改善事項を見てみますと、無資格教員を採用しているとか、教員数が不足をしているとか、入学資格のない者を入学させている、認可教育と認可外教育を混合して授業をしている、不適切な入学案内を作成している、健康診断も実施していない。これは一つ一つ見てみますと、全く初歩的な、専修学校の設立認可の基準にかかわる事項ばかりなんですね。こういうふうに指摘をされておりますが、発足して十年になるわけですが、いまだにこういった不平不満を指摘されていることについては教育上まことに遺憾だと私は思うわけでございます。こういった行管庁から文部省に対して指導の徹底を促されてきているわけですが、文部省はこれに対してどう対処してきたのか、お答えいただきたいと思います。
#135
○國分政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、量的にも非常に拡充してきており、社会の多様なニーズにこたえるということで、全体として専修学校に対する理解あるいは評価というものが高まっているわけでございますが、中には多様なゆえにと申しますか、いろいろな学校が現実問題としてあるわけでございます。
 先生から御指摘いただきました昭和五十六年の行政管理庁の報告あるいは昨年の中国四国管区の監察結果というものを私ども拝見しております。この五十六年の行管庁の指摘につきましては、私ども文書で当時の管理局長名で各都道府県知事に通知をし、また、会議等におきましてもその内容の徹底ということを図ったわけでございます。それからまた、御案内かと存じますが、全国団体もございます。これらと相談いたしまして、指摘を受けた事項についての改善というものの指導に努めているわけでございます。
 それから広島での問題でございますが、県といたしましても管下の全専修学校にその指摘を受けた内容を連絡し、全体的に改善に当たってもらうようにという指導とともに、特に指摘を受けました十六校については個別に指導をいたしまして近く全体として改善される方向になっている、かように承知しているところでございます。
#136
○斎藤(実)分科員 今御説明がございましたように、専修学校の生徒が五十三万六千人を超える、短大生を上回るほどの進学率を示しておるわけでございまして、生徒や高校側あるいは親たちが非常に不満を持っていることは事実でございますし、各校ごとに適切な指導をされたというふうに今御答弁がございましたが、これはもうぜひひとつこういうことがないようにお願いをしたいと思うのです。
 特に私が申し上げたいのは、千葉県高校教育研究会進路指導部会が昨年実施しました専修学校、各種学校等入学アンケートによりますと、専修学校を選ぶに当たりましてどうして知ったかというアンケートなんですが、カタログで七一%、親兄弟、先輩、同級生が七%から一〇%、進路指導の教師、クラス担任の出番はわずか六%、こういう結果が出ておりまして、いかに学校側としても専修学校に対してわからないといいますか認識がないかという結果が出ているわけでございますので、この点も踏まえてぜひひとつ適切な指導というものを私は御要望申し上げたい。
 それで、これは御提案になりますが、学校の教師から見ますならば、学校のPR情報を正当に評価できる能力や経験が乏しいわけでございまして、調査する時間的な余裕もない、したがって適切な進路指導をすることもなかなか困難だという現状に置かれているわけでございます。したがいまして、高校の先生が適切な進路指導を行えるようにするためには第三者機関、例えば教育委員会も入るとか、あるいは文部省の外郭団体も入るとか、何かこういう第三者機関が信頼でき得る正確な情報を提供できるようなシステムにすればこういった問題は随分緩和されるし、正確な情報が出てくるのではないか。例えば、各学校の統一的な基準様式で客観的に公正な資料を作成する等を検討する必要があるのではないかと私は思うのですが、この点いかがでしょうか。
#137
○國分政府委員 第三者機関をつくるということになりますと、私どもだけでどうこうできる問題ではないわけでございまして、専修学校の全国団体等もございますので、そういうところでいろいろお考えいただければと思うわけでございますが、私どもサイドで申し上げますと、先ほども申し上げましたように、確かに量的に拡大はいたしましたが、これからの専修学校の課題は教育内容の向上とか、それからもう一つはただいま御指摘がございました生徒の進路指導に関します的確な情報を提供するというような点にあろうかと思うわけでございます。この点についてもかねて指導しておりますが、その結果と申しますか、例えば東京都内の専門学校と関東近県の高校の先生とで専門学校進学指導研究会というようなのが設けられまして、そこでいろいろな研究協議あるいは進学に関します情報交換をやっているというような例もございます。あるいはまた、専修学校関係者で構成しております財団法人専修学校教育振興会と全国高等学校の進路指導協議会との間で専門学校進学に関します情報委員会を設けるというような動きもあるわけでございまして、徐々に専修学校に対する関心も高まり、そしてまた御指摘のような問題点も出てくるというようなことで、先生御指摘の方向でいろいろなものが動いているのではないだろうか、かように考えております。
#138
○斎藤(実)分科員 専修学校の募集あるいはPRにつきまして非常に問題だと思うのは、専修学校の入学案内または仲介業者の分厚い豪華な進学ガイドブック、私も手元にあるのですけれども、これは大変なものなんですね。専修学校も商売でございますから、学生が集まらなければ経営ができない。総収入の二割ないし三割、あるいは四割も広告費を出すというところもあるわけでございまして、年間一千億円の広告市場と言われているような現状でございまして、都合のよいことが随分書かれているわけでございまして、実際の内容と違った施設設備だとか指導教育陣だとか、あるいは資格取得だとか就職率の成果だとか、誇大広告をしているわけでございます。中にはこういうのもありまして、専修学校と掲載しながら小さな字で認可申請中と書かれているわけです。さらに、主な就職先ということで大企業の名前がずっと並んでおるのです。調べてみましたら、数年間に一人入ったというケースもあるわけでございまして、この辺も監督官庁の文部省としても、こういうことによって進路を誤ったりあるいは飛びつくようなことがあっては、せっかくの専修学校の設立の趣旨から外れるんではないか、私はこう心配するわけでございます。
 そこで、募集定員の五倍から十倍の水増し入学を行っているということについては、専修学校教育が社会的に無視のできない数の中退者を生み出すのではないかというような指摘もあるわけでございます。こうした校舎や授業内容に合わない水増し入学といった事態を防ぐため、あるいは中退者を未然に防止するためにも入学者、中退者、卒業者の正確な数を公表すべきではないかと思うわけでございます。また、生徒の募集に対して水増し入学の実態をよく調査をして、この抜本的な対策を検討すべきではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#139
○國分政府委員 御指摘ございましたように、募集に当たりましてちょっと実態と違うような、俗に言えば誇大広告的な募集を行うとか、あるいはまた相当程度の水増し入学をするとかというような問題が、全部とは思いませんけれども、一部にあるということは私どもも耳にするわけでございます。
 それで、今後の私どもの専修学校振興に対しますいわば力点は、先ほど申し上げましたようにやはり教育条件の整備あるいは質的な向上ということと、それから生徒募集等の適正化というようなのが大きなウエートになっていくかと思うわけでございます。こういう観点から、六十年度予算におきまして私どもも約八百万程度でございますが、調査研究費を計上させていただきました。これはまた私ども行政サイドあるいは各県の担当者あるいは団体関係者、さらにはまた高等学校関係の進路指導の方々等々集まっていただきまして、調査研究する、そして専修学校の質的向上あるいは公共性の向上といったようなこと、あるいは進路指導についてどういう情報提供ができるか等々を十分御検討いただこうということで、本年度予算に新規でございますが計上しておるわけでございます。それがどういう成果を生むかはこれからの問題でございますが、何とかそういう面で私どもも努力してまいりたい、かように考えております。
#140
○斎藤(実)分科員 労働省来てますか。――専修学校の最大のポイントは就職あっせんなわけです。職業安定法三十三条によりまして労働大臣の無料職業紹介事業の許可を受けていない専修学校は就職あっせんはできないことになっているわけですね。しかしながら、就職先をあっせんできるよう万全を期しますとかあるいは確実な就職あっせんや会社の紹介がなされますとか、全く法律を無視して堂々と入学案内にうたっているところもあるわけです。また現実に職業紹介行為を行っているものもあるわけでございますが、こうした職安法違反に対して労働省はどういう考えを持っているのか、また許可基準と現在労働大臣の認可を受けている学校はどれくらいあるのか、この二つについてお尋ねをしたい。
#141
○齋藤説明員 お答えいたします。
 現在専修学校で無料職業紹介事業の大臣の許可を得ている学校は百九十校ございます。
 それから次に許可基準でございますが、いろいろと細かい基準を設けておりまして恐縮でございますが、設立後一年以上を経過しているということが一つございます。それから専修学校の設立目的等から見まして必要かつ適当であると認められるような職業に従事する者について職業紹介を行うということがひとつございます。それから職業紹介の実施が労働力需給の円滑化に資するというような条件も必要でございます。それからもう一つは、職業紹介事業をその組織の拡大ですとかあるいは宣伝、そういうようなほかの目的のために利用するものではないという条件が一つ必要になっております。そのほかにこれは一般論になると思いますが、代表者ですとか紹介責任者の方の徳性に問題がないこととか、あるいは安定法上一定の兼業禁止規定がございますので、その兼業禁止規定に違反してないこととか、あるいは財政的な裏づけがあるとか、そういうような事情を総合的に勘案いたしまして許可をするということにいたしております。
 それから最後でございますが、今先生御指摘の無許可でやっておるところがあるのではないかということでございますが、私どもとしては無許可の職業紹介は安定法で禁止しておるところでございますし、そういうようなことのないよう、できるだけ都道府県あるいは安定所を通じて指導をしておるということでございます。
#142
○斎藤(実)分科員 今の許可制ですけれども、今度は届け出制度になるのではないかというように伺っておるのですが、いかがですか。
#143
○齋藤説明員 実は民間の需給システムと申しますか、こういう有料職業紹介あるいは無料職業紹介についてのあり方の全般的な見直しを昨年中央職業安定審議会で御検討をいただいてまいりました。その中の一つに専修学校、現在許可制でございますが、それを届け出制にして職業紹介をもう少し積極的にやっていただいた方がいいのではないかという御意見を私どもいただいたわけでございます。
 それは、一つは、専修学校の卒業生の方と申しますのは、そこを出られると基幹労働力として就職されることが目的になっておるのではないか。それからまた、学校自体も学校教育法上の学校として位置づけられておりますし、ほかの高校、大学と同じような扱いをしてもいいのではないか。そういう卒業生の適性ですとか能力というのは学校の方が一番よく御存じではないか。したがって、届け出制という簡便な手続をすることによってもう少し職業紹介をやっていただいてもいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。現在実は労働者派遣に関します法案を今国会にお出しをしようと思って立法作業をしておりますが、その中の一つの項目といたしましてその辺の職業安定法の改正をお願いしたいと思っておりまして、現在関係各省と御相談をしている最中であるということであります。
#144
○斎藤(実)分科員 文部省にまたお尋ねいたします。
 先般臨教審の第三部会や第四部会、さらには理科産業教育審議会の答申などで三年制以上の高等専修学校の卒業者に大学入学資格を与えてはどうかとかあるいは高校卒業資格を与えてはどうか、こういう意見が出ていると伺っておるわけですが、こういう臨教審や理科産業教育審の意見、答申を文部省としてはどのようにお考えになっているか、お答えいただきたい。
#145
○國分政府委員 御指摘の中学校卒業程度を入学資格といたします専修学校で、いわば高等学校と同程度の修業年が三年以上のものが現在三百三十八校ございます。そこで学んでいる生徒が約三万人という状況でございまして、特に専修学校関係者からこれらの生徒に大学入学への道を開いてくれという声がかねてから出ておりました。先生御指摘の、先般の理科教育及び産業教育審議会の答申におきましてもそれについて積極的に検討すべきであるという御提言もございますし、臨時教育審議会におきましても検討されておるやに聞いておるわけでございます。私どもといたしましては、この問題につきましては大学入学資格全体の弾力化というものの一環として教育改革全体の中で積極的に取り組んでいく課題ではないだろうか、かように認識いたしております。
#146
○斎藤(実)分科員 時間も参りましたから、最後にお尋ねをいたします。
 大臣からも専修学校制度については非常に前向きな、積極的な御答弁もございましたし、専修学校が社会の要請にこたえて職業やあるいは実際生活に必要な各種の知識や技術を育成する等高等教育機関としての重要な役割を担っておるわけでございます。したがって、臨教審の提案等にも適切に対処するためには一条校並みに私学振興助成法による国の補助を専修学校にまで拡大をして質的な向上を図る必要があるのではないかと言われておるのですが、この点について大臣からお答えをいただきたい。
#147
○松永国務大臣 専修学校につきましては、五十七年の八月に私立学校振興助成法の改正をいたしまして、専修学校を設置する準学校法人に対して助成規定を設け、それに準拠いたしまして五十八年度から大型教育装置に対する国庫助成を開始したわけであります。今の先生の御指摘は大学あるいは短大、その他一条校並みの経常費助成を支払えということであります。先ほど先生も御指摘ありましたように、専修学校は非常に種々雑多ではらっきがございまして、十分整備されているとは限りませんので、こういう状況下で経常費助成ということはなかなか難しいし、まだまだそこまでなじんでこないのじゃないだろうかというふうに思われますので、当面今申したような大型研究装置等を装置して、そして質の高い教育をやっていこうというところに助成をする、そういうのがいっぱいできてきまして、そしてある意味では先生御指摘になったような、学校が淘汰されてみんながよくなったという状況になれば、これまた検討されるだろうと思いますけれども、まだまだそこまで来てないという状況でありますので、今申し上げましたように、いい装置をして、いい教育をしようというところに助成をする、そういう形で助成をしていくというのが実際的であるというふうに考えております。そういう方向でこれからも努力をしていきたい、こう考えているわけであります。
#148
○斎藤(実)分科員 以上で終わります。
#149
○大西主査代理 これにて斎藤実君の質疑は終了いたしました。
 次に、永井孝信君。
#150
○永井分科員 文部大臣に冒頭お伺いいたしますけれども、最近、小中高大学を問わず、学校におけるいわゆる部落差別事件というものが非常に頻発をいたしています。これについて、現在文部省としてどの程度把握をされ、どのように学校における同和教育を進めようとしておられるのか、御見解を承りたいと思います。
#151
○松永国務大臣 新憲法ができて四十年近くなって、なおかつ今先生御指摘のような事件が頻発しているとするならば甚だ遺憾なことでありますし、残念なことであります。実は私、大変申しわけありませんけれども、当然のことながら憲法の人権尊重、自由と平等、こういったものが定着しておるという考え方でございますので、そんなのが頻発するはずがない、こういうふうに思っておったわけであります。
 しかし、御指摘のようなこともございますので、今までも学校教育及び社会教育を通じて基本的人権尊重の精神を高めることに努力をしてきたところでありますが、また学校教育の場でも人権尊重、自由と平等、人間は平等である、差別をしてはならぬということを教育するよう指導してきたところでありますけれども、先生の御指摘のことがあるとすればまだまだそれが十分でないということでありましょう。したがいまして、今後とも一層の努力をしてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#152
○永井分科員 最初の私の質問の中で、学校教育現場でどの程度差別事象が起きているか、それをどのように把握されておるのか、それをお伺いしたいと思います。
#153
○宮地政府委員 大学の場合でございますけれども、五十九年度で国立大学で落書きその他の件で五件、公立大学で一件、私立大学で七件、合計で十三件、これは大学から報告のありましたものの数字でございます。
#154
○永井分科員 大臣、同和対策事業特別措置法が延長期間を含めて十三年ありましたね。今の地域改善対策特別措置法ができまして三年たちました。合計して十六年が経過をしておるわけでありますが、この法律が必ずしも差別をなくするための基本になる法律となり切っていないところに問題があるわけですが、こういう法律があって行政が努力をしてきて、しかもなお差別事象というものが後を絶たない。そこで、この部落差別をなくするために懸命の努力をしている民主団体が部落解放同盟を中心にしてあるのですが、この民主団体は部落解放のための基本法の制定をせよと要求しているんですね。基本的に、文部大臣は文部行政を進める立場から、これについてどういう見解をお持ちですか。
#155
○松永国務大臣 私は、部落差別の問題をこの日本からなくする、そして憲法の定める人権尊重、自由と平等、この考え方が全部の国民に周知徹底をされる、もう新憲法ができて四十年近くたったわけでありますから、大体もう大丈夫だというふうにならなければうそだと思っているくらいなんでありますが、今まで法律等に基づきまして両面からなされてきたと思うのです。
 一つは関係者の環境改善、いろいろな施設の整備、もう一つは教育等を通じて人権思想、自由、平等の精神の徹底をやってきたわけでありますが、先ほど先生の御指摘のあったようなこと等を考えますと、あるいは局長が申したこと等を考えますと、まだまだ不十分であるというふうに思います。要は、各人の心の問題だと思うのでありまして、もう私どもの承知している周囲にはそういう人に対して差別感を持っているような人は全くいないわけでありますけれども、今後とも文部省としては学校教育、社会教育等を通じて差別などをするような人がいなくなるように、そして人権尊重、自由、平等の精神、こういったものが周知徹底され、それに基づいて行動する国民になるように、より一層今後とも努力をしていかなければならぬ、こういうふうに考えているところでございます。
#156
○永井分科員 その中で、教育は百年の大計と言いますけれども、日常的に、社会的にいろいろな差別をなくする努力は当然のことで進めていかなくてはいけない。それは大臣が言われるように、人間の心の問題もあるでしょう。日常の行政の指導の問題もあるでしょう。施策の問題もあるでしょう。しかし、何はさておいても公の教育の場で、これは国立、私立、公立を問わず、教育の場でどこまでその憲法に基づいてそういう事象をなくするための教育が徹底できるかというところに非常に重要なウエートがかかっていると私は思うのですが、大臣は、それは一言でどうお考えですか。
#157
○松永国務大臣 教育の場には学校教育と社会教育があるわけであります。また家庭教育もあるわけでありますけれども、社会のすべての教育機能が、今申したように人権思想と自由、平等の精神、そして差別はしない、みんな平等であるという教育を徹底して、みんながそういう心を持てるような状態にすることが大事だというふうに思います。そういう努力を今後とも続けていきたい、こう考えておるわけでございます。
#158
○永井分科員 そこで具体的な例でお聞きしたいと思うわけでありますが、私の地元に国立兵庫教育大学というのがございます。これは、他の国立大学と違いまして、現場で実際に教鞭をとっている教師の再教育を中心にした教育大学なんですね。いわば一定の大学の課程を終えてそれを社会的に機能させているという、その現役の人たちが改めて難関を突破して入ってくるという大変な大学だと思うのです。この教育大学で、昨年の十二月十二日に差別落書き事件が起こりました。このことについては、文部省はその起きた事実を承知されていらっしゃいますか。
#159
○宮地政府委員 そのことについては承知をしております。
#160
○永井分科員 承知をしていらっしゃるということでありますから、具体的な中身についてお聞きをしてみたいと思うわけであります。
 この十二月十二日の落書き事件は、学内のある人が発見されて直ちに連絡がありまして、そうして大学の当局者がそれを確認をし、写真に撮り、そして抹消したわけです。このことがいち早く民主団体の側にもわかりまして、実は大学当局と何回か交渉を持っているわけです。その交渉のあり方、対応の仕方にも不十分さがあったと思うのでありますが、いまだにこの落書き事件の問題について、大学当局として、教育の場にそれを生かしていくとか、あるいはそういう教育大学という場所における落書き事件の発生したような原因を除去するとかいうことが、まだ具体的に整理がされていない、対応されていないと聞いているのですが、これについて文部省はどのように指導されていらっしゃるのか、お尋ねいたします。
#161
○宮地政府委員 御指摘のとおりの事実が確認をされまして、直ちに「全学の皆さんへ」ということで学長の告示を出し、五十九年十二月十九日には同和教育に対する講演会が持たれたわけでございます。この講演会そのものは、年度当初から予定をされておったものでございます。さらにそれ以外に、十二月二十一日に新たに、十九日の講演会に参加できなかった者のために特別に講演会を設定をしたというぐあいに私ども報告を聞いております。なお、この三月十五日にも同和教育に関する講演会を新たに設定をするということで実施をするというぐあいに私ども報告を聞いているわけでございます。
 なお、同大学では従来から同和教育の科目を設定をいたしておりまして、同和教育T、同和教育Uということでそれぞれ二単位実施をしておりますし、また新入生に対するオリエンテーションにおいて、同和教育に関する講演会を実施をいたしておるところでございます。このように、大学としても従来からも同和教育について実施をし、さらにこの事態が起こった後、新たな対応もそれぞれいたしておるわけでございますけれども、今後の取り組みといたしましては、同和教育に関する講演会の充実という観点から、毎学年二回ずつ受けられるようにするという対応をするということ。それから、同和教育科目の充実については、第三年次の学生全員の履修を促すということで対応をいたしております。なお、同和教育のUについては、クラス編制を少人数教育でより徹底をする形で実施をするという対応をいたしております。そのために、新たに非常勤講師の増員等も図るということで対応いたしておるわけでございます。そのほか、同和教育推進委員会の設置を六十年三月から実施をするとか、あるいはそのための資料の作成等、具体的に兵庫教育大学においては以上のようなことで必要な同和教育の徹底を図っているところでございます。
 問題は、このようにそれぞれの大学で取り組みをお願いをせねばならぬ課題でございますが、しかしながら、大学におきます教育と研究に関する事項は基本的には大学の自治という立場からいたしますと、各大学が自主的に決定し、大学の責任において実施をされるべきものというぐあいに私ども考えております。
#162
○永井分科員 この事件が起きてから、今言われたように同和のための講演会が開かれたとかあるいは同和教育を履修するように指導しているとかという御答弁がありました。問題は、それは形をとることも必要ですよ。形をとるということも必要でありますが、要は、文部行政の中で本当に同和教育というものをどこまで深化させようとしているのかということが問題なんですね。
 この事件が起きましてから、部落解放同盟及びその部落解放同盟と一緒に運動を進めている共闘会議というものが現地にもございますけれども、この共闘会議などが大学当局に対して申し入れをしているわけです。その中に五つの大きな項目があります。まず一つは同和教育の必修化を図れ。必修科目にしろ。二つ目には、今後差別事件が起きた場合民主団体にもその事実を調査できるようなことを許可しろ。三つ目には、大学に同和教育の専門委員会を設置してもらいたい。四つ目には、学生、教職員に対し、同和問題での実態調査を大学みずからの手でやってもらいたい。五つ目には、今回の事件についてそれを全体的に総括をして大学の見解を公表してもらいたい。こういう五つの要望が民主団体から実は出されているわけであります。これに対して大学当局の回答は、今言われたように「地域改善対策としての教育について」ということで講演会を開き、そこに参加できなかった者はもう一回受けられるような場所を設定する。二つ目には、「同和教育に関して「学園だより」を充実させていくよう関係機関で審議されるであろう。」これは、されるであろうですね。そして「学生委員会の性格から考慮してもらって、大学の管理・運営に関する問題を含むので、本学においては主体的に今後検討していくことになろう。」ということで、そういう態度表明が実はなされているわけであります。
 これはたまたま国立の教育大学という場所で起きた事件でありますが、根っこはもっと深いのではないか。そこに入っている学生というのは、大学の課程を終えて現場で教師の体験を持つ、しかもその中から選抜をされてきた優秀な教師の集団である。その優秀な教師の集団が学習をする場において、憲法に照らしてあってはならない差別を当然のことのように落書きであらわすという、そこに根の深さを私たちは感じているわけであります。だから、単に教育大学だけの問題ではなくて、文部行政全体として、こういう教育の現場における同和対策ということについて、本当に形式的に陥らずに真剣な取り組みがされているだろうか、真剣な取り組みをするような指導がされているだろうか。そういう面においては、今大臣がいみじくも言われましたように戦後四十年もたっているわけでありますから、戦後四十年たってなおかつこういう状態を考えるときに、三百年の歴史を持つこの不当差別から、それを排除して全く差別のない状況をつくり上げるためには、教育のあり方というものを基本的にもう一回考え直さなくてはいけないのではないか。今臨時教育審議会でいろいろなことが議論されているようでありますが、そこでどんな議論がされておるか私たちが知る曲もありません。
    〔大西主査代理退席、主査着席〕
新聞報道しかありませんけれども、しかし、今の教育基本法に基づいて、あるいは憲法に基づいて、こういうあってはならない差別をなくするようなことを、何も臨教審の結論を待たずとも、文部行政のあり方としてもっと積極的に対応できるはずだ。そこのところを文部当局としてどのように考えていらっしゃるのか、ここをしっかりとひとつお聞かせいただきたいと思います。
#163
○宮地政府委員 大学における対応につきましては、先ほど来御説明しているとおりでございまして、ただいま先生御指摘の点は、特に兵庫教育大学、いわば大学院の修士課程で、現場の教職の経験者を優先的に受け入れている大学であります。そういう点で、そういう大学において起きた事態というものを重視をして、その点を十分踏まえた指導をすべきではないかという御指摘については、私どももその点は同感に思います。そういう点を踏まえまして、今後の行政の面でそういうことを具体的に生かすように私どもとしても努力をしてまいりたい、かように考えております。
#164
○永井分科員 もうくどく同じことを繰り返しはいたしませんけれども、教員の再養成という大学で起きた事件でありますだけに、こういう現実を見るときに、教育に対する私どもの不信感というものは増幅されるばかりなんですね。これで果たして本当に同和行政というものが進められるのだろうかという心配を私たちはするわけです。これは当然なことだと思うのですね。したがって、大学だけではなくて、義務教育にかかわる分野においても、こういう憲法の精神を生かして差別をなくするようなそういうものが、もちろん家庭教育、社会におけるいろいろな行動、教育、企業における努力、いろいろなものがありますけれども、それの基本に教育の現場における同和行政というものの浸透を図っていくための御努力をさらにお願いをしておきたいと思います。
 そうして次に、大臣が冒頭に私に対して御答弁いただいたわけでありますが、その中に、例えば施設の整備という問題も重要な側面だということにお触れになったわけであります。同和地区においていろいろな同和行政を推進するための施設の必要性が高まってきているわけでありますが、今この同和地区においては、社会教育施設としては教育集会所だけしか認められていないと言われているのですが、そのとおりでございますか。
#165
○齊藤(尚)政府委員 御指摘のとおり、同和地区におきます社会教育施設の整備につきましては、地域改善対策特別措置法に基づきまして社会教育のための集会所、これが同和対策事業として掲げられているわけでございます。
#166
○永井分科員 地域改善特借法でそうなっているのでありましょうが、現実に、例えばスポーツのためのテニスコートが欲しいとかプールが欲しいとか、いろいろな要望がありますね。これは同和地区に対する同和行政という狭い範囲に限定することなく、関係各省庁と横の連携をとりながら、そういう必要なものが備わっていくようにしていくべきだと思うのですね。
 私の地元でもそういう問題があります。土地はその地区が提供する、だからせめてテニスコートだけでもつくってもらいたい、こういう要望があるのですね。ところが、それを県の方へ持っていっても、いろいろな制約事項があってなかなかうまくいかない。例えば農業振興地域においては、そういうものを施設することについては国の補助が出せないとか、あるいは同和行政でいくと今言ったように教育集会所に限定されてくる、ということになりますと、結果的に地域の実態に合ったような行政になっていかないと思うのですね。そういう面については、文部省としても、地域改善特措法だけではなくて幅広い分野からこれを検討して、そういう要望が実現できるように努力をする余地はないのか、努力をしてもらえるのか、お答えいただきたいと思います。
#167
○齊藤(尚)政府委員 ただいま先生から御指摘ございましたように、同和地区に体育施設であるとかあるいは図書館であるとか、そういうものの施設を整備することも当然考えられるわけでございます。関係の市町村から具体の御要望がございますれば、最優先の課題としてこれに対応するというのが文部省の態度でございます。
#168
○永井分科員 地方自治体からそういう改善の要望があったら最優先でということでありますから、私の地域においても幾つかそういう要求を県当局に出しておりますが、ひとつ積極的な対応をしてもらいたい。それは、同和地区における青少年の健全な育成のために、そしてそのことが差別をなくする土壌をより広げていくという面に役立つように、特に文部当局の御努力をお願いをしておきたいと思います。
 あと時間がありませんので、深く掘り下げることができませんで申しわけないのでありますが、もう一つだけ御要望を申し上げておきたいと思います。
 文化庁見えておりますか。――私の地元にもたくさん文化財があります。全国には文化財が随分ありまして、しかも、最近は地域の開発に伴って埋蔵文化財の発掘というものが随分毎日のように新聞紙上をにぎわしております。我々の祖先の大切な文化財を後世に残していくというのは非常に大切なことでありまして、これは情操教育の面からいっても必要不可欠な問題だと思うのですね。ところが、この文化財に対する保存のための措置というのは非常に難しい面があろうと思うのです。しかし、文化財は一たん、例えば火災に遭ったりいたしますと灰になってしまう、何にもならぬわけですね。つくってもとに戻すわけにはいかぬわけですね。復元してみたとしても、それは今の文化財のような価値が認められないということになってまいりますから、そういう面では、文化財に対する防災措置は極めて大切だと思うのですが、時間がありませんので、私の方から一方的に申し上げます。
 私の地元でも、かつて数年前に国宝の鶴林寺というお寺の三重の塔が、これは放火でありましたけれども、焼失をしてしまいました。これは非常に残念でならぬわけですね、もう取り戻しがきかないわけでありますから。国宝姫路城も私の近くにあるのですが、これも大変なお金をかけていただいて修復をいたしました。そういう文化財の防災措置について、今文化庁にもお願いをして大変な御努力をいただいているわけであります。私の地元に一乗寺という国宝がございます。この一乗寺の防災設備がたまたまどういう原因がわかりませんけれども損壊をして、地元では大変な問題になりました。いわゆる防火のための送水管が破裂をしてしまったのですね。だから気がづいたときにはタンクに一滴の水も残っていない。もしも火事が起きたら、山の上ですから消火のしようがないという状態だったわけですね。直ちに文化庁の方からわざわざ地元まで御足労願いまして調査もしていただいて、地元はあるいは私も含めて大変感謝をいたしておるわけであります。しかし、このことから私はお願いをしたいと思うのでありますが、随分とそのほかにも文化財があります。この一乗寺の問題は単なる氷山の一角でございまして、たまたま資材の不足した石油ショック時代の工事でありましたから材質も悪かったのかもしれません。しかし、そういう問題については、そういうことが起きないように事前に策を講ずることが最善の道でありまして、そのためにそういう防災施設をつくる場合でも、いわば念には念を入れて、途中で機能が失うことがないような対策を立ててもらいたいし、そういう問題が起きたときは間髪を入れずに防災措置の復旧というものをやってもらわなくてはいけない、こう思うのですが、この文化財の防災対策ということについて、文化庁からお答えをいただきたいと思います。
#169
○加戸政府委員 先生今御指摘ございました文化財の防災対策につきましては、文化庁も、文化財保存の重点課題として取り組んでいるところでございまして、具体的には、国宝、重要文化財に対します防災措置といたしまして、自動火災報知設備あるいは防火設備、避雷設備等の措置を講ずるという考え方を持ちまして、各事業者が行います事業に対しまして国庫補助金を支出いたしまして万全の体制をしくべく努力をしているわけでございまして、現時点におきましても、私どもも国宝、重要文化財として千二百件余のものを抱えておりますが、そういったものについて、例えば自動火災報知機でございますと八五%を超す形での実施が行われ、消火設備につきましても六五%の普及ということで、なお万全を期すべく努力を続けたいという形で、予算上におきましても、これらに要します経費を昭和五十九年度におきましては八億円の経費をして対処しているということでございます。
 なお、先ほど先生具体的に御指摘のございましたケースは、その事実発生後連絡を受けまして、文化庁担当者を現地に派遣して調査をし、その対応策を現地とも協議しながら進めているという段階でございます。
#170
○永井分科員 最後に御要望だけ申し上げておきますが、文化財を守っていくということについては地域の住民の協力が不可決なんですね。私は一乗寺も見に行きましたけれども、タンクに緊急に水を揚げるために地元の消防団が日曜日を返上して、何台も何台も消防車をつないで山頂のタンクまで水を運んでいる、そのために消防車二台のエンジンがとうとう壊われてしまったということもあったのですけれども、そういう地域の文化財を守ろうという認識を深めることと、そしてそのために協力してもらうことと一体的なものなんですね。だから、文化庁あるいは文部省においても、そういう文化財を保護していくために地域の住民に最大限の協力が得られるように日常ひとつ十分な対応もしていただきたいということを強く要望いたしまして、ちょうど時間になりましたので終わりたいと思います。ありがとうございました。
#171
○葉梨主査 これにて永井孝信君の質疑は終了いたしました。
 次に、新村勝雄君。
#172
○新村(勝)分科員 私は、これは前にも文部当局に善処を要望しておったわけでありますけれども、北海道に東日本学園という大学がございます。ここは認可の段階からいろいろと問題のあった大学でありまして、そもそも認可の条件である寄附金の性格をめぐって論議があり、訴訟まであったわけであります。その寄附金のうちで五十四億円が一回は認可の条件として寄附という形で出されたわけでありますけれども、それが裏で寄附者に還流してしまったという事態がありました。これは無利子の貸付金、そしてまた寄附者の借入金の肩がわりというような形で還流した、こういう問題がありまして、この問題については文部省から当事者に警告が発せられた、一方関係者からは訴訟が提起された、こういうことがあるわけであります。そして、この金については訴訟に関係をして検察当局がいろいろ調査をしたわけでありますけれども、寄附金とは断定しがたいという検察の判断があったわけですね。そして不起訴になった。仮にこの金が寄附金と断定されたならば、文部省としても大変お困りだろうと思いますし、当然これは背任、横領という形になるわけでありますけれども、検察の判断は寄附金とは断定できないということになりますと、貸付金であるのかということになるわけであります。
 そういうことで、起訴にはならなかったわけでありますけれども、起訴にはならないということになると、これは認可の問題が当然起こってくる。寄附金が認可の条件になるはずでありますから、それが寄附金でないということになると、そこにまた問題があるわけです。この問題についても私は前に当局の見解をただしたわけでありますけれども、どうもはっきりしなかったわけであります。そして、その後の大学当局の運営の問題についてもいろいろ問題があるわけであります。そこで、この問題についてのその後の経過、それからこの問題についての文部省の認識はどうであるのか、伺いたいと思います。
#173
○國分政府委員 ただいま御指摘の東日本学園の問題でございますが、先生御案内のとおり、昭和五十四年度の私立大学審議会のいわば設置後のアフターケア、実地調査におきまして、設置経費との絡みもございまして大学と関係のある会社の負債の肩がわり弁済を、約二十八億でございますが、したこと、それからまた大学に関係のある個人に対しまして、約二十六億でございますが、無利息で資金を貸していたこと、それから大学の運用財産である土地を著しく低廉と思われる価格で売却したという事実が判明したわけでございます。これにつきまして、私立大学審議会としては、非常に不適正なことであるということで、学校法人に重大な損害を与えることであるので速やかに是正の措置をとるようにという指導をしたわけでございます。
 その後、最初に申し上げました肩がわり弁済約二十八億、それから無利息での資金の貸与二十六億につきましては、それぞれ大学が個人あるいは会社から回収いたしまして、是正の措置がとられたわけでございますが、三番目の土地売却の問題につきましては、相手方のあることでございますので、早急な解決は困難な状況にありまして、現在それだけは残っておりますが、前の二つにつきましては一応の解決を見た、かような状況にあるわけでございます。私ども、最後の土地の問題につきましても、なかなか時間はかかるかと思いますが、問題解決について学校として努力するよう引き続き指導してまいりたい、かように考えております。
#174
○新村(勝)分科員 そもそも最初の金の性格について問題があるわけです。これについて関係者から背任、横領ということで告発をされたわけでありますけれども、検察当局は、寄附金とは断定しがたいということで、背任、横領の問題については不起訴ということになったわけであります。そうすると、文部当局はそこに認可の条件となる金が実際はなかった、寄附金がなかったにもかかわらず認可したということになりはしませんか。
#175
○國分政府委員 この東日本学園の創設経費は寄附金で賄われたわけでございますが、私ども、個人及び会社からの寄附金につきましては寄附申込書、預貯金の証明書あるいは入金の伝票、役員会の決議録等で当然確認をいたしました。その寄附の実行を確かめたわけでございます。したがって、それにつきましては真正な寄附金であるということで、認可したわけでございます。寄附金でございますから、先ほど申し上げましたように、それが関係のある個人あるいは会社等の債務の肩がわり弁済、あるいは無利息での資金貸与ということにつきまして極めて不適正であるという判断をし、指導をし、回収をした、こういうことでございます。
#176
○新村(勝)分科員 検察の判断は、これは寄附金ではない、したがって背任、横領罪は成立しないということでありますから、そうなると文部省の御見解とはまるっきり違うわけでありまして、文部省はだまされたということになるわけであります。これはそれで納得はできませんけれども、次の問題として、この大学の設置に当たって二カ所に分かれて申請が行われたわけでありますが、この二カ所に分かれたということについては、この申請の認可との関係でどういう意味がありますか。
#177
○國分政府委員 この東日本大学につきましては、現在薬学部と歯学部を持っているわけでございますが、専門教育につきましては当別町というところで実施し、そして一般教育につきまして音別町という別のところで実施しているわけでございます。当初の計画によりますと、それぞれの地方の進展にも資するという考え方で、また離れておることによります教育上の弊害等も除去する、回避する努力も払って今日まで来た、かように考えております。
#178
○新村(勝)分科員 それで、地元では非常にあらゆる便宜を与えているわけでありますが、こういうことが認可の有力な条件になっているはずだと思います。ところが、その後、大学は地元の非常に協力をした町に全く無断でここから撤退をしようとしておるわけであります。町は大学の設置に当たって五百九十一ヘクタールを三・三平方メートル当たり十円という非常に安い値段で払い下げたわけでありますけれども、学校はこれを他に転売をした、これが一つの問題になっておるわけですが、その後始末が全くついていないわけです。そして、こういう状況の中で石狩郡当別町に新しい校舎を建設しようということで建築の確認申請が今出されているわけですけれども、こういう事情を御存じですか。
#179
○國分政府委員 東日本大学からの説明によりますと、先ほどお答え申し上げました当初計画で大学教育を実施してきたわけでございますけれども、実施していまして教育効果がより上がるようにあるいはまた教育水準を維持するために、それから最近歯学部等に対します志願者が減ってきているというような経営上の観点等もございまして、当初設置いたしておりました音別町から、現在専門課程がございます当別町の方へ移転するということを音別町当局に伝えておるということは承知いたしております。
#180
○新村(勝)分科員 ところが、町当局としては、最初非常な協力もし、広大な町有財産を非常に安くただ同然で払い下げをして、町の振興のために尽くしてもらいたいということでやったわけですけれども、その土地を原価というか買ったときの値段の何十倍の値段でほかに転売をした、それからまたいろいろそのほかにも経営上の問題を起こしておる、あげくの果てに地元と約束をした学園設置計画を全くほごにした、こういうことは全く地元としては許されないというふうに思っていると思いますし、また大学としてもこういう背信的な行為を絶対にすべきではないと思うのですが、文部省はどういうふうに指導をなさっておりますか。
#181
○國分政府委員 大学の設置に関しまして、ただいま御指摘にございましたように、町の土地を相当安く大学当局にお譲りして、いわば地元の多くの協力を得てこの大学ができたという経緯があるわけでございます。このようなことから、大学の一般教養課程を移転するかどうかということは、私学でございますから、私学自身がいろんな観点から考え、あるいはまた教育方針にのっとって最終的には判断すべきことかと思いますが、そういう協力の経緯ということも考えまして、私どもは大学と地元が十分話し合いをして円満に解決するように、そして了解点に達するようにということを大学当局には指導しているところでございます。
 なお、当初本年の四月に移転するという予定であったやに聞いておりますが、町当局との話し合いの過程におきまして、現段階では本年の九月移転というふうになっているというように聞いております。
#182
○新村(勝)分科員 今の状況ではなかなか地元との円満な話し合いはできないというふうに聞いておるわけですけれども、これは移転の条件というか移転を認める条件としては、その前に地元との争いを完全に解決をして、話し合いの上で移転をするならば移転をするということでなければいけないと思うのです。その点の強力な指導をぜひしてもらいたいと思いますけれども、いかがですか。
#183
○國分政府委員 移転につきまして制度的な条件というものがあるわけではございません。
 また、文部省との関係におきましては、例えば寄附行為の変更とか学則の変更とかいうものを伴うわけではございませんで、あくまで指導上の問題になるわけでございます。先ほども申しましたように、最終的には大学自身が決定すべきことかと思いますが、設置の経緯、また協力の経緯等から見まして極力話し合いをしていただきまして、円満な解決が図れるよう期待し、またそういう方向で指導してまいりたい、かように考えております。
#184
○新村(勝)分科員 権限の上から、あるいは法的に、あるいは制度的にこれをどうすることはできないということはそうだと思いますけれども、文部省はそもそもの初めに認可をしておるわけですよね、認可権があるわけですから。したがって、強力な指導も当然そこに伴ってこなければいけない。これは学問の自由に対する関与とは違いまして、これは地元の協力に対する大学の背信というようなことですから、これは絶対に完全に解決した上でなければ移転はすべきでないと思うのです。
 それで、今大学と地元はどんなふうに話し合いをし、それがどういうふうに動いておりますか。
#185
○國分政府委員 私どもが承知しております範囲で申し上げますと、昨年の七月に大学当局が地元に移転の御相談をいたしまして、以後七回ほど地元との話し合いが持たれておるということでございます。私どもといたしましては現在話し合いがどこまで進んでいるかつまびらかにしておりませんけれども、話し合いを一層重ねることによって円満解決になるよう期待しておるところでございます。
#186
○新村(勝)分科員 大臣にお伺いいたしますが、これは大臣は詳しくは御存じないかどうかわかりませんけれども、東日本学園大学の設置、それからその後の経過というものは極めて不明朗なものがありまして、これは運営の面、特に財政的な運営の面で不明朗な面があるわけです。これは大学があたかもほかの営利企業であるかのような運営がされておるというふうに我々見ておるわけです。その結果、教育界にもいろいろと悪い影響を与えておりますし、世上大変好ましからざるうわさもされておるわけであります。こういう事態について、これは私学であるからということで、私学であるから権力的な指導はできないということで文部省は逃げておるわけですけれども、そういう問題の前に、やはりこれは教育機関でありますから、いやしくも世間から指弾をされるような行為は絶対に許されないと思うわけですけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#187
○松永国務大臣 今先生のお話及び私学部長の答弁を聞いておりまして、学校側では学生数が減少していること等があって学校の経営の安定のためということで他の場所に移転する。ところが、現在あるところは設置に当たってその地域の町から相当な応援を受けて設置されたという経過があるようにお聞きをいたしました。それを、応援をした町側には了解を求めずに数十倍の価格でそれを他に売ってしまったなどということがあったような御指摘でございますが、もしそういうことが事実であるとするならば、ある意味では教育に携わる者についての一般社会の信頼を傷つけるものでありまして、甚だ好ましくないことであるというふうに思います。学校の経営はあくまでも安定した経営がなされるようにしなければならぬわけでありますけれども、しかしその前に、教育に携わる者は町に対してはもちろん、関係者に対して信頼を受け、尊敬を受けるようなそういう行動をしていかなければならぬわけでありまして、そういう行動をしない人がふえてくればそれによって私学そのものが世間から信頼を失う、こういうことになってくるわけでありまして、先生の御指摘が事実とするならば甚だ遺憾なことであると思います。文部省の持っておる法律上の権限というものは認可した後は甚だ小さい、弱いものになってくるわけでありますが、権限は権限として、関係者の良心に訴えて適切な対処を強く要請するとともに、法律に定められた指導の権限を活用して、そして善処がなされるように今後とも努力をしていかなければならぬ、こういうふうに思っているわけでございます。
#188
○新村(勝)分科員 ぜひそうお願いしたいと思うのですが、これは先ほど申し上げたように、認可のときの寄附金を陰でもとへ戻してしまったというような問題、あるいは広大な土地を地元からただ同様に買っておきながらそれを何十倍の価格で転売をしてしまった、こういう背信的な行為があるわけでありまして、ぜひ大臣の今の御決意でこれを正していただきたいと思うのですけれども、そしてこの大学は今まで三年ぐらいですか、補助金をもらえないわけですけれども、今の状況の中で六十年度の補助金はどうですか、これで交付できますか。
#189
○國分政府委員 いわゆる経常費補助につきましては、昭和五十四年度以降当該大学から申請がないわけでございまして、今日まで経常費は支出していないわけでございます。仮に六十年度申請があったらどうかというお尋ねかと思いますが、御案内のようにこの経常費補助金の執行は私学振興財団が行っているわけでございます。その私学振興財団におきまして厳正な審査の上判断されるであろう、また、その際私どもに協議があれば私どもなりに適正な助言等も申していきたい、かように考えております。
#190
○新村(勝)分科員 補助金交付の仕組みは知っておりますけれども、出すのはやはり大臣がお出しになるわけですからね。だから、十分その経過を検討されて間違いのないようにお願いします。
 時間がありませんので、あとの問題は簡単にいたします。
 最近ボクシングで、これはプロでありますけれども、死亡はしませんけれども大変な重傷を負った事件がございます。ボクシングの場合には、プロあるいはアマを問わず今まで相当数の犠牲者を出しておるわけですね。死亡者を出しておる。それからまた、一番危険なのはボクシングだと思いますけれども、そのほかの他のスポーツにも学校教育の中で死亡事故ということが間々あるわけであります。こういう体力を鍛え、健康を増進すべきスポーツの中で不幸な事故が起こるということ、これは非常に不幸なわけでありますが、こういうことについて、大臣は学校スポーツを所管されておるわけでありますけれども、プロについては文部省ではないと思いますけれども、学校スポーツにおける災害の防止、不慮の事故を防止するという点についてぜひ今後厳重な指導と監視をお願いしたいと思いますけれども、この点についてお伺いいたします。
#191
○古村政府委員 運動なりスポーツをやりますときに、往々にしてそういった災害といいますか事故が起きることがございます。これにつきましては、私たちも安全教育の徹底ということから、学校においてはそういうことがないように指導者側の指導のあり方あるいは施設管理という面にわたっての指導を強めておるところでございますが、今後とも努力してまいりたいというように思っております。
#192
○新村(勝)分科員 時間がありませんから簡単に申し上げます。
 もう一つ、それは、最近国語の乱れが非常に目につきますね。というのは外国語、特に英語ですけれども、これが怒濤のように日本の社会あるいは文化の中に入り込んできております。そのこと自体がいい、悪いということは別問題として論じなければいけませんけれども、言葉が非常な勢いで入ってきておるということ、横文字、片仮名が非常にふえておるということ、このため国語がかなり乱れておるわけですね。こういった点について文部省は一体どうお考えであるのか。
 それから、これは自民党さんですけれども、この前の選挙で「アイ ラブ ジャパン」というポスターがございましたね。これは日本字じゃなくて、向こうの言葉でアルファベットで書いてあるわけです。まさに向こうの言葉そのものです。こういう言葉というものは文化の象徴ですから、日本文化が集約されたその形が日本語だと思いますよ。ところが、その日本語が非常に乱れておるということについて大臣はどうお考えであるのか。
 それから、文部省が教科書の検定をなさっておると思いますけれども、思想の統制ということとは別に、やはり純粋な国語を守るという観点からの教材の指導、検定はいけませんけれども、教材の指導ということはなされているのかどうか。
 それからまた、言葉についてはマスコミが大きな役割を果たしますけれども、マスコミに対して、これが指導はいけないと思いますけれども、どういうかかわり合いを持っておるのか、これについてまず伺いたい。
#193
○松永国務大臣 国語の乱れというよりは最近は一部の日本の人たち、日本人が言葉遣いを大変間違った使い方をしておるのじゃなかろうかという問題が私には目についてならぬわけであります。先ほどの「アイ ラブ ジャパン」ですか、これは国語の乱れというよりは政党関係者が日本語を使うべきところを英語を使ったということじゃなかろうかと思うのでありまして、英語を使った方が訴えるのが強いから英語を使ったのかもしれませんが、その問題は別として、国語の使い方の乱れ、これは私も大変耳に入りまして愉快でない気持ちであります。もちろん国語というものは時代によって変わっていくものではありますけれども、先生御指摘のとおり、日本の国語は言うなれば日本の過去の文化の継承でありまして、よりよいもの、より美しい日本の国語として次の時代の国民に引き継いでいくというのが我々の務めだというふうに考えております。そしてまた、世が乱れるから国語が乱れるのか、私はそうなっているような感じがするわけでありますが、先ほどマスコミの話がありましたけれども、テレビその他を通じてどうもおかしな用語がはやっておる。これは私どもの方で指導したりなどすることはなかなか難しい問題でありますけれども、やはりお互い良識人ならば、あるいは健全な家庭生活や社会生活を営もうとするならば、おかしな新造語あるいは品のよくない新しい言葉などというものは使うべきじゃない。もし使っている子供があれば、親があるいは関係者が指導して、それは美しい言葉じゃありませんぞということで、それぞれの家庭で、あるいは地域社会で、あるいは学校でもそうだろうと思いますけれども、美しい日本語をお互いに使っていく、そして日本語そのものを美しいものとして次の世代に引き継いでいかなきゃならぬ、そういうふうに私は思っておりますが、国語の問題はそういう考え方で今後とも美しい国語になるように努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
#194
○新村(勝)分科員 時間が参りましたので、あと一言だけ。
 そういうことで、「アイ ラブ ジャパン」というのはまさにもう日本語の放棄ですよね。ですから、そういう点でひとつ十分今後日本語教育にも御留意いただきたい。
 それから日本語は、大言海ですか何かによりますと、語彙が三十数万、まあ四十万近くあるということですから、外国語に相当する日本語がないということはないわけですよ、数十万の話彙を持っている日本語ですから。だから、みだりにそういう日本語を乱すような風潮、これをひとつ正す運動といいますか、そういう運動をひとつ大臣にとっていただきたい。また、外国語を勉強するというその次元は別ですからね、これは。英語は一生懸命勉強していいわけです。そういう点で、ひとつ御努力をいただきたいことをお願いいたします。
 終わります。
#195
○葉梨主査 これにて新村勝雄君の質疑は終了しました。
 次に、田中慶秋君。
#196
○田中(慶)分科員 私は、現在行われております臨教審の問題やらあるいは教育改革等々を含めながら、今一番必要な教育問題、特にこれから二十一世紀を迎えるに当たって教育は大変重要である、こういうことをそれぞれ政府もあるいは国民もすべてが今認識をしていると思います。
 そういう中で、臨教審では、御案内のように、教員の資質の向上やあるいはまた個性化の問題、ゆとりある教育の問題等々が論議をされております。いみじくも、この三月になってまいりますと、高校進学、大学の進学、こういう一連の問題を含めながら教育の重要性やあるいは問題点が指摘をされているわけであります。中でも進学の問題については偏差値の問題やら輪切りの問題等々、これを重点的に考える余りに、本当に子供たちの個性化や、あるいは子供たちを真の教育としてどこに伸ばしていいか、こんなことを考えたときに、昨日も日教組の関係で、中央委員会の席上で田中委員長が教育改革の論議を云々されている中で、入試問題について偏差値輪切り等々について没頭している事実がある、子供たちへの管理主義、この教育問題について教員は深く反省をしなければいけない、こんな形で自戒をされていたわけでもありますし、まさしく今教育論議がされている臨教審、こういう一連の関係の中で文部大臣として冒頭にこれらに対する考え方をお述べいただきたいと存じます。
#197
○松永国務大臣 教育が国政の中で最も重要な事柄であるということは先生と全く同感であります。今高校あるいは大学の入学時期でありますが、私はこの入学の問題について三つ考えておかなければならぬ点があると思います。
 その一つは、入学試験のあり方がペーパーテストの結果あるいはペーパーテストの点数だけで合否を決めるという問題。このことのために、本当の学習よりはいかにしていい点をとるかというテスト技術の習得に走るという欠点が一つ出てきておるというふうに思われる点がございます。
 もう一つは、公立高校あるいは国公立大学等の受験の機会が一度しかありませんから、そのために、進路指導に当たる教員は浪人をさせるわけにはまいりませんので、結局偏差値、その子供の現在到達しておる学習の到達度を点数にあらわしたものが偏差値と思われるわけでありますけれども、それのみによって進路指導をする、こういう問題もあろうかと思います。
 三番目は、ペーパーテストの受験術の習得に走ることはいかがかと思うわけでありますけれども、しかし自分の進みたい高等学校、自分の進みたい大学に入ろうとするならばそれなりの勉強だけはきちっとしておかなければいかぬわけであります。みずからがきちっとした勉強をしないでおいて、そして自分の進みたい高等学校あるいは進みたい大学に入れないからといって、世の中が悪いなどというふうに考えるのもこれまた一つの問題だろう、こういうふうに私は思うわけであります。
 そこで、教育を所管する文部省としては、まず第一の進路指導、それから今御指摘のあった輪切り等々の問題というものは、結局入学試験の仕組み等を改善することによってある程度の改善はできるのではなかろうか、こういうことで、高等学校の入学試験につきましては昨年夏、文部省から都道府県の教育委員会に対して入学試験の方法について改善をするよう通達を出したところであります。各都道府県の教育委員会では、それを受けまして改善のための検討会議を開いて、そしてことしは間に合いませんでしたけれども、来年度以降改善がなされるものと私どもは期待をしておるわけであります。
 文部省の方で通達をした内容は二、三点ありまして、一つは複数の受験機会が与えられるように方法を工夫してもらいたいということ、もう一つはペーパーテストの点数だけで合否を決めるのではなくして、それ以外の分野も合否の判断の材料にできるだけするようにということ、あるいは当初から定員を一部留保しておいて、そして複数の機会が与えられるようにするというようなこと、あるいは推薦入学という仕組みをもっと活用するようにしてもらいたいというような事柄、これを通知をしたわけでありますが、この通知の趣旨にのっとって各都道府県教育委員会では検討していただいている、こういうことであります。
 大学の入試の改善につきましては、新聞で出ておりますように国大協あるいは臨教審でいろいろ検討していただいているようでございます。そういったことで改善措置をしていくということが一つであります。
 もう一つは、生徒につきまして、努力して初めて目的が達成されるのだという教育もしなければならぬと思うわけでありまして、生徒に迎合して、教育せぬでも、勉強せぬでも学校に入れるようになるからなどというようなことが定着してはよろしくない、やはり努力はする必要がある、こういうふうに思うわけでありますが、しかし、その努力というものも、先ほど来申し上げておりましたように、受験技術の習得だけじゃなくて、与えられた教育課程をきちっと修得するように、そういう努力を勧めていくということも大切であろう、こういうふうに思うわけであります。
 いずれにせよ、教育の目的は知育、徳育、体育、この三つが大事なのでありまして、調和のとれた、知識も持っている、それから徳性も相当なものがある、体力もある、その三つのバランスのとれた人間形成、これがなされるような学校教育を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えているわけであります。
#198
○田中(慶)分科員 今大臣からそれぞれの問題点あるいはまた文部省としての取り組みについて答弁をいただきましたが、その中で要するにペーパーテストを中心とした問題、こういう中で、実は去る二月の十六日に横浜市の金沢区並木小学校で起きた事件があるわけであります。杉本治君という子が自殺をされました。それはまず、僕の気持ちを先生はわかってくれない、こういう訴え、抗議をしているわけであります。子供たちが本当にペーパーテストをこんな形の中で、この子供の小学校四年生のときの詩に「テスト戦争」、こんな詩を書いているわけであります。
  紙がくばられた
 みんな、シーンとなった
 テスト戦争の始まりだ、
 ミサイルのかわりにえん筆を持ち
 機関じゅうのかわりにケシゴムを持つ
 そして目の前のテストを敵として戦う
 自分の苦労と努力をその中にきざみこむのだ
 テストが終わると戦争も終わる
 テストに勝てはよろこび
 負ければきずのかわりに不安になる
 テスト戦争は人生をかえる、
 苦しい戦争
こんな形で小学校四年の治君が詩を書いているわけであります。
 この一連の中で、今度の問題について、少なくともこの子供ともっと教師が触れ合いがあったならば、あるいはまた子供の個性化を大切にするならば、治君を死に追いやらなくても済んだと私は思います。一連の報道でもそれは明らかなように、事件が十六日に起きて、そして現実にその担任の先生がマージャン屋にいたということが後ほど判明いたしました。初めは親戚の家におりました、そして五時間後に治君のところに行った、そしてまた大体十何日かして最終的にマージャン屋にいたということが判明する。
 こういう形で、臨教審でも教員の資質向上がうたわれているときに、現場では現実にこういう問題があるということは文部大臣、どう考えられるのか。
#199
○松永国務大臣 私も自殺をした子供の「テスト戦争」という詩を読みました。どうしてこういう詩を書くような子供ができるのだろうかな、詩自身のよくできているかどうかという問題は別として、私の承知している限りでは、私自身も経験がありますが、これは出題によるでしょうけれども、テストというものは自分が学習をした、勉強したその結果が客観的に出てくるわけでありますから、よくできた場合には、ああよかった、努力した結果が出た喜びがあります。いい点がとれなかった場合には、ああ努力が足りなかった、おれはサボったからなということで反省をし、さらに勉強する、そういうふうなものが本来テストだろうと思うのであります。ただしかし、そういうテストも、出題の仕方あるいはテストの回数等々によりまして、やり方によっては大変な負担だけを子供に与えるようなことがあるかもしれません。したがって、テストのやり方については相当考えてやらなければいかぬと思うわけであります。
 いま一つの教師の質の問題にかかわることでありますが、新聞を見まして、この先生も、この子供がよくなればということで注意もしあるいは作文も書かせたのだと私は思います。思いますが、ちょっとぐじゅぐじゅ長ったらしく指導されたんだなという感じもしないではありません、新聞の記事だけから見るわけでありますから真相はよくわかりませんが。
 それはそれとして、私がちょっと嫌な感じを持ちましたのは、教師でありますから、問題が起こった後でありますから、なおさらのこと、うそがあってはいかぬな、みずからの行動について当初の間はうそをついておられた、それがどうも私は非常に嫌な感じを持つわけでありまして、人間、自分の都合が悪くなった場合にはややともすればうそをついたりすることがないとは言い切れませんけれども、事、自分の教え子が自殺をした、その前後の自分の行動に関することでありますから、これはうそをつくなどということはあってはならぬ。恐らく教師は子供に対して平素からうそをついてはいけない、こういうふうに教えておるはずでございますから、その教師がうそをついたなということが私は非常に嫌な感じがしてならないわけであります。
#200
○田中(慶)分科員 大臣の見解はこの詩の問題についても感想を述べられましたけれども、私は詩の中身にあるような気がいたします。
 詩の中身で、戦争、要するに入試という問題と、それをテーマにして「ミサイルのかわりにえん筆を持ち」とか、そういう一つの用語をとったときに、私は一抹の不安を感じるような、あるいはまたこの中でそれぞれ内容の問題を含めて寒気のするような思いをしているわけであります。
 先般も私は予算委員会で大臣に、触れ合い教育をもっと大切にしなければいけない、子供たちの個性を伸ばすのにこれが基本じゃないか、こういうことを含めて質問をさせていただき、同感であるということでそれぞれのお話を聞かしていただきましたけれども、いずれにしても、子供たちが入試に失敗した、そのとき、必ず詩とか非行とか、いろいろな形でそういう問題が日常茶飯事のような形で起きているわけであります。そのことは、この問題を単に一人の自殺ということだけではなくして、やはり教育改革ということを含めてもっと真剣に受けとめながら考えなければいけない問題ではないかと思うのですけれども、その辺はいかがなんでしょう。
#201
○松永国務大臣 私がちょっとわかりにくい点は、この子供は小学校五年生でしょう。目の前に入試があるわけじゃないのでしょう。小学校五年生でどうして入試を前提にしたテストが、なされているかどうか知りませんよ、知りませんが、小学校五年生などというものは私どもの経験では最も楽しかったときです。私は、自分の関係者等を見ますと伸び伸びと楽しくやっています。したがって、学校の問題も、もし小学校五年生から入試を前提にしたテスト、テストをやっておるとすればこれは甚だ問題だというふうに思います。それから入試に失敗したから自殺する、入試に失敗したから非行に走るというのも甚だ遺憾なことなのでありまして、やはりそうなったについてはいろいろな原因があろうかと思います。例えばこの子の場合も、これはたら、たらと仮定の話を今からしてもしようがありませんけれども、先ほど先生もおっしゃいましたように、担当教師がこの子供との間の触れ合いをもう少し密にしていただいておったらということになるわけであります。またこの子の場合、しかって作文を書かせて、そして職員室に来いということを言いつけてそのままにしておられたわけでありますが、そうじゃなくして、作文についていまひとつ問題があったならば、また本人と会って懇切に指導をしておったならばこういう事故は起こらなかったかもしれません。あるいはまた、この子は学校からうちに帰ったわけでありますけれども、通常であれば、小学校五年生でありますからお母さんがそこにおったらあるいは自殺という問題は起こらなかったかもしれません。
 いずれにせよ、さようなわけでいろいろな不幸な事態が重なってこうした不幸な事態になったのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでありまして、ただ単に指導の問題だけとしてとらえることも不十分であるかもしれません。あるいは入試の問題としてとらえるのは小学校五年生の場合にいかがなものであろうか。入試の問題としてとらえなければならぬような教育が小学校五年生のときになされておるとするならばこれは大変な問題なんでありまして、そういう点につきましては現場をよく調査いたしまして、そういった事態がないように対処をしなければならぬというふうに思います。
#202
○田中(慶)分科員 文部大臣、あなたは小学校の現状をもう少し御認識された方がいいと思います。もう既に小学校の時点から入試の問題を前提としていろいろなことがやられている教育現場があるのです、はっきり申し上げて。ですから、それぞれの家庭環境もそうであろうかと思いますし、あるいは学校においてもそういう志向があるということが現実にあるわけです。私はそういう点で、この試験地獄というものが中学校からだんだん低年齢化されてきているという実態というものを受けとめて、きょうの問題を提起させていただきたいと思っているわけです。ですから、高校の受験のため、優秀な学校に行くためにあるいは私学を受けるためにもう既に小学校の時点から入試戦争というものは始まっているということを認識して、これからの文部あるいは教育の問題にぜひ取り組んでいただきたい、こんなふうに思いますけれども、いかがでしょう。
#203
○松永国務大臣 私は、先生の御指摘は一般的じゃないと思うのです。そういう学校、そういう父兄、そういう教師もおるでしょう。しかし私は、大部分はそうじゃないと思っておるのです。むしろいろいろな報道等で小学校のときから入試のための競争勉強をやっているんだなどということがなされるというと、そうでない人もああそうかなというわけで入試戦争に走るということだろうと思うのであります。先生も子供さんをお持ちであったかもしれませんが、私自身も、小学校、中学校を終わり今大学に入っておるのも実はおるわけでありまして、自分の経験からいいましても、小学校のときあるいは中学校のときに入試戦争などに子供を駆り立たせたことはありませんし、私の子供が行った学校はそういうことはありませんでした。
 また、もう一つ申し上げますと、そういう問題は学校の問題であると同時に、いま一つはやはり親の問題もあろうかと思うのです。何も有名中学、有名高校、有名大学に入るのがその子の幸せではないのでありまして、その子供の特性、能力、それを見ながら適切な学校に入学させる、それがその子の能力を発揮させ、その子を幸せにするものだ、そういう考え方で親も対処しなければならぬ問題でなかろうか、そういうふうに思うわけであります。
#204
○田中(慶)分科員 大臣は一般論として言っていると思います。端的に申し上げて、私も小学校六年の子供がいるのです。いいですか、はっきり申し上げて、都市化の中で小学校高学年と言われている五年、六年、ほとんど全部塾へ行っていますよ。アンケートとってごらんなさい。むしろ今塾へ行っていない方が逆に肩身の狭い思いをするぐらい、これが実態なんです。ですから、私はそれをいいと言っているわけではありません、またそういうことであってはいけない。
 それから、あなたがおっしゃられるように、それぞれの学校という問題についていま少し個性があってほしいということも私この前申し上げました。しかし、社会全体が、今端的に申し上げて学歴偏重の社会が現実にあるわけですから、そういう点ではこれらの問題を含めていま少しこの問題を解決していかなければ、社会全体の仕組みが解決していかなければこの問題の解決にはならぬと思います。そういう点で、私は、今臨教審を初めとして教育改革が大いに論議をされている時期ですから、こういう問題を含めて教育行政という問題を原点から見詰めていただきたいし、それらの問題について考えていただきたい、こんなふうに思う次第であります。その辺についてひとつ考え方にちょっとすれ違いがあるのですけれども、現実にそういう点について認識を新たにしていただきたい、これは要望としておいても結構です。
#205
○松永国務大臣 私は一般論を申しておるわけでありますが、小学校の段階で全員が塾に通って有名中学に入ろうなどという競争をしている人が少なくとも大部分だなどということは私には思えないのですよ。私も実は町の真ん中に住んでおり、町の真ん中の学校を私も出ましたし、私の子供や関係者も出ておるわけでありますけれども、少なくとも入学試験というものを意識して多少の勉強をするようになったのは中学の二年以降なんでありまして、一般的には小学校の段階ではまだそこまで、塾通いをして小学校の段階から有名中学、有名高校をねらっている人が大多数と私には思いにくいわけであります。しかし、中にはそういうのもいらっしゃるでしょう。しかし、それは学校の問題と、もう一つは親が有名学校を過度に崇拝するということもあるのかもしれませんが、私はいろいろなことでだんだん学歴社会から――この間ある国会議員の先生がおっしゃっておりましたけれども、高学歴社会から高学習社会という言葉でございましたか、とにかく学歴じゃない、しかし学力は必要、その意味ではだんだん実力社会になってきつつあるというふうに思うわけであります。既に上級職試験に合格してことし文部省にお入りになる人も、実は東大が四名で、早稲田が三名で、その他幾つかの大学から入っていただいておるというふうになっておるわけでありまして、そのように学歴ではなくて実力時代になりつつある、そういう傾向をますます私は広めていきたい、こう考えておるわけであります。
#206
○田中(慶)分科員 いずれにしても、いま少し実態ということも後学のためにそれぞれ御調査いただいた方が、これからの教育行政に携わるあるいは処分官庁としての一番の責任者である大臣としてあらゆる機会にその辺も含めて御努力をいただきたい、こんなふうに思う次第であります。
 時間も余りありませんので、私は先般も教育施設の整備が予算的にも大変カットされておりますし、これらについて十二分に配慮していただきたい、こんな要望をさせていただいたわけでありますが、きょうも前段で余り時間をとりましたものですから、これからもぜひ、それこそ触れ合い教育というか、今本当に子供たちが親の言うことも聞かない、教師の言うことも聞かない、こんな子であっても、あるいはスポーツの責任者、ボランティアの人たちの言うことを、本当に汗と汗、体と体でつき合わせている子供たちはそういう形でその指導者の言うことを聞くような子供もたくさんいるわけでありますから、もう少し伸び伸びとした施設づくりをしながら子供たちのこれからのよき教育環境の整備あるいは施設の整備を努力していただきたい。画一的に予算をカットするだけではなくして、ぜひ、これは私はこれからも何回となく要望として続けていきたい、こんなふうに思う次第であります。
 実は大臣、三月一日、高校卒業が大体この近辺で公立高校ですと一斉に行われたわけであります。私も高校の卒業式に出さしていただいたのですけれども、何か残念なことに日の丸の国旗の掲揚がされていない。そして、後でそれぞれ調査をさしていただいたら、九割以上が卒業式に国旗掲揚がされていない、こういう実態が明らかになったわけですけれども、やはりいま少しこの辺も含めて何らかの考え方や、あるいはまた、日本国民として生まれた以上これらの問題にいま少し前向きな姿勢で文部省は取り組んでもいいんではないかと思うのですが、この辺についていかがでございましょう。
#207
○松永国務大臣 中学、高校等の卒業式に国旗が掲げられている学校あるいは国歌の斉唱で始まる学校、いろいろ統計等を見ますというと、私立の中学校、私立の高等学校はほとんど例外なしに国旗を掲げてあり、国歌が歌われた上で始まるというふうに私は承知をしております。現に、私が招待を受けて出席する私立の学校は全部そうなっております。公立の方は、先生御指摘のようにそういう学校が少ない――少ないのか、地域によって相当ばらつきがあると思いますが、埼玉県の場合は、国旗を掲げ国歌が歌われた上での学校が多いようでありますけれども、地域によってはその比率は逆になっているところもあるでしょう。しかし、卒業式などという学校にとって大事な行事の場合には、日本の国家の象徴である国旗を掲げ、そして国歌を斉唱するというのは、私は次代を担う子供たちに自国の国旗や国歌を大切にするということを習慣づける意味でも、極めて大切なことであると思いますので、今までもそういう指導をしてきたところでありますけれども、先生の御指摘のように、より一層指導をひとつ強めてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
#208
○田中(慶)分科員 最後になりますけれども、今、文部大臣が私学の例をとられて、大変私学がそれなりに教育に対する影響や、あるいはまた教育の個性化等々を含めて建学の精神があるわけでありまして、そういう点では、この私学が教育界における役割というのは大変大きいと思います。
 そういう点で、教育関係予算、例えばそれぞれの府県でもこんな例があるわけでありますけれども、高校は一人当たり年間十四万六千円、中学が十二万六千円、小学校が十二万六千円、こういう形でそれぞれ昨年の負担割合が出ておりました、補助割合でありますけれども。しかし、これらの形で私学を見てまいりますと、私学の父母負担というのが非常に大きいわけでございまして、私はそれなりに、財政がこれから厳しければ厳しいほどこの補助金のカットやいろいろなことが心配されるわけでありますので、これからも私学が教育にあるいは役割を果たした問題や、あるいはまた重要性というものにかんがみながら、今後とも私学の父兄父母の補助金その他の問題を含めて、それぞれ地方自治体は財政が苦しくなればこの辺もカットしてまいりますので、文部省としても何らかの処置や、あるいはまたこれからも父兄父母の軽減というものの前提として今世の中の傾向があるものですから、こういう問題についても対処していっていただきたい。この辺についての御答弁をいただきたいと思います。
#209
○松永国務大臣 私学が我が国の学校教育の中で果たしている役割は極めて大きいわけでありまして、しかし、私学でありますがゆえに、公費による助成がなされなければ父兄の負担が大変重いものになる。そういった事態をなくすために、従来から私立の高等学校から幼稚園に至るまでの経常費助成の予算を確保しておるわけでありますが、同時にまた、高等学校以下につきましては交付税による措置もなされておるわけでありまして、交付税による措置も、また文部省の予算に計上される私学の経常費助成の予算も、今後とも、厳しい財政状況ではありますが、減額されないように最大限の努力をしていきたい、こう考えております。
 なお、交付税に算入されておる高等学校以下の私学助成のための金額につきましては、交付税の性質上、ひもつきではありませんけれども算入された根拠というものはあるわけでありますから、その算入された金額だけは各私立学校の経常費の助成に支出されるよう各県に要望していきたい、こう考えておるわけであります。
#210
○田中(慶)分科員 時間が参りましたので、一応以上で私の質疑は終わらしていただきますが、いずれにしても、今教育というのが大変重要な時期であり、これからも重要視されると思います。大臣におかれましても、あるいはまたそれぞれ主務官庁におかれましては、いろいろな社会のニーズにぜひこたえて頑張っていただきたい、こういうことを要望して終わらしていただきます。ありがとうございました。
#211
○葉梨主査 これにて田中慶秋君の質疑は終了いたしました。
 次に、経塚幸夫君。
#212
○経塚分科員 私は、埋蔵文化財の保護についてお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、現状についてお聞きしますが、包蔵地件数、これはどれくらいあるのか、それから発掘調査件数でありますが、昭和五十三年度、それから一番新しい数字ですね、五十八年になりますか五十九年になりますか、それからその中で学術調査件数がどれくらいになるのか、最後に史跡指定、これがどれくらいの件数になっておるのか、ちょっとお知らせ願いたいと思います。
    〔主査退席、船田主査代理着席〕
#213
○加戸政府委員 埋蔵文化財の包蔵地といたしましては、全国で約三十万カ所あるというぐあいに見込まれております。
 それから、五十三年度の件数でございますが、発掘に関します届け出の件数が全体で七千八十三件でございまして、そのうち事前発掘調査の件数が二千三百三十一件、学術目的の発掘調査は百五件となっております。
 五十九年度に関します数字は、まだ年度内でございまして、ございませんが、前年度の昭和五十八年度につきましては、ただいまの発掘に関する届け出の件数が全体で一万四千五百四十件、そのうち、発掘調査に関します届け出件数が、事前発掘調査といたしまして四千九百六十八件、それから学術目的の発掘調査は百三十七件となっております。
 なお、国指定の史跡の件数につきましては、昭和五十九年五月一日現在で千二百三件、国指定の史跡の件数でございます。
#214
○経塚分科員 今お聞きをいたしますと、包蔵地件数が三十万、この発掘調査件数が、五十三年と比べてみますと、五年間で約倍近くふえておるわけですね。ただ、学術調査がこんなに少ないのはどういうことなのか、〇・九%ですね。史跡指定も、全体から見ますと、率が大変低い。
 そこで、大臣に最初にお尋ねをしておきたいのでありますが、最近は、カラスの鳴かぬ日があっても発掘調査のない日はないと言われるくらいどんどん発掘調査が進んでおります。それで、御答弁がございましたようにほとんど発掘調査なんですね。こういう現状が続けられると、これは保護よりも開発が優先していくんじゃないかという危惧を私も大変抱くものであります。
 これは現に大阪であったことなんですけれども、岸和田に畑遺跡、これは弥生中期としましては我が国最大の規模なんです。ところが、保護に当たるべき市が圃場整備事業で破壊してしまって、文化庁の方へたしか市長が始末書を入れたはずです。それから、同じく柏原市でありますが、これは高井田の横穴群であります。これも国の史跡指定になっているというのですね。都市計画課と教育委員会が協議中であったにもかかわらず、河川改修工事でつぶしてしまったのです。これも文化庁の方へは報告があったことと思いますが、この保護の任に当たらなければならない行政の側がむしろ開発で破壊をやっておるというような事実も起きておるわけであります。
 私は大臣にお尋ねしたい点は、これは我々現代の人間としては、こういう先祖の歴史的な文化遺産は当然子々孫々に守り伝えなければならぬ責任があると思うのですね。何よりも、埋蔵文化財というのは一たん掘り返すとなかなかもとへ戻せないわけです。中には部分調査をやればそれで事足りるじゃないかというような意見もありますが、私は、これは根本的には現状のまま保存をするというのが大原則だと思います。
 それから二つ目の問題でありますが、よくセンターなど財団法人をつくりますと、結局その費用は原因者の負担の費用で賄わなければならぬ。そうすると、開発者の意図だけが通ってしまうということで保護の行政責任があいまいにされがちだ。この点、やはり改めて保護の観点に立った行政の責任を明確に確立するということが必要ではないか。
 それから三つ目の問題は、何か開発行為と保護とが相対立するかのようにとられがちでありますが、私は、自然環境を残したこういう保護と、その環境とつり合いのとれた住宅など開発行為とは両立するものだ、むしろ両立する中でこそ文化財保護と住みよい環境が両々相まって確立される、かように考えているわけですが、基本的に埋蔵文化財の保護について大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#215
○松永国務大臣 私の考え方も先生と同じだと思うのでありますが、埋蔵文化財というのは我々の祖先がこの日本列島に残してきた貴重な痕跡でありまして、日本という国、日本列島の成り立ちと発展を考察する上で不可欠の資料となるものでありまして、我々はこれをできる限り保護していかなければならないと考えております。
 一方、先ほど先生のお話にもありましたけれども、現在住んでいる人たちの生活の充実のために道路を建設するということも出てくれば、あるいは河川の改修等の公共事業の必要性も出てくるわけでありまして、そうした開発に関する事業が始まりますと埋蔵文化財の存在地点とぶつかるわけであります。そしてそのときに発掘調査をして、埋蔵文化財の中にも、学問的に大変な価値のあるものと、あるいは一応調査をして、そしていろいろな資料として残しておく程度でいいものとあるんじゃなかろうかと思うのでありますが、特に学問的に大事なものは先生御指摘のようにそこに自然に保存をして、そして道路が通るならば迂回してもらうという措置がなされなければならぬと思いますし、それほどでないものであるならば調査をした上でその調査の結果を残しておくということで済まされる例もあろうかと思うのでありますが、先ほど先生もおっしゃいましたように、そういうことで埋蔵文化財の保存と住宅建設などとの調和が図られるような形で対処しなければならぬものがあるわけだろうと思います。しかし、調和じゃなくしてあくまでもそのまま保存しなきゃならぬという価値のあるものも実はあるわけでありまして、それはそのまま保存しておく。それほどでないものは、生活環境の整備と埋蔵文化財の保護というのを調和させながら進めていく、こういうふうにしなきゃならぬというふうに私は考えております。
#216
○経塚分科員 部分発掘だけで全体を想像するということは、埋蔵――これは文字どおり埋まっているわけですから、非常に難しいのですよ。だから、それが価値あるものか、価値がそんなに高くないものなのかは、全体を見た上でないと判断できないわけです。ところが、最近は部分的に発掘して全体を推しはかって、それで調査終われりということで事済まされる傾向がある。それは結局開発を急ぐ余りこういうことになるのでありますが、その点を私は憂える余り申し上げたわけであります。
 次に、これも大阪の問題でありますが、南河内郡の太子町というところに一須賀古墳というのがございます。これは六世紀後半から七世紀前半にかけてつくられたものでありますが、古墳の数も二百数十基に及ぶわけです。太子というのは御承知のとおり聖徳太子の太子をとった町の名前でありますが、聖徳太子とか推古天皇の墓と非常に近いために、これら二百数十基の古墳は蘇我一族と関係のある墓ではないかというふうに言われております。京都府立大学の門脇先生が、「一須賀古墳群は、蘇我氏の本家の系統の墓が多く、六世紀末から七世紀の日本の政治過程や文化を探る上できわめて貴重な遺跡。出土品からみて、朝鮮とのかかわりがうかがえ、規模も大きい」「まとめて保存し、開発から守るべきであり、群として保存しなければ価値は半減する」と言われているほどのものであります。
 ところが、この一須賀古墳が、昭和四十四年に石橋興産の宅地開発によりまして三十基破壊された。そこで大阪府は急速四十八年に六十ヘクタールを買収しまして、百二基は風土記の丘として保存をしたわけでありますが、最近五十八年、五十九年に至りまして丸紅が開発計画を立てた。これには百十一基含まれておるわけです。さらに五十九年には森山建設がゴルフ場として開発をしたい、こういう要請を町に行いましたために、今地元では大変な騒ぎになっておるわけなんです。先ほど申し上げましたように、一たん開発されてしまいますと取り返しがつきませんので、日本学術会議の第一部会から文化庁に対して保存するように要望が出ておるはずであります。それから、五十九年二月十四日には日本考古学協会、史学会などが同じく声明を発表して保存を要望いたしております。昨年九月の大阪府議会におきます本会議場では、大阪府の教育長はこう言っているのです。国の史跡指定について要望してまいりたいと答弁をされておるわけであります。これは申し上げますと、河内飛鳥と言われておりますけれども、大和飛鳥よりもなお古いわけであります。いわば大和飛鳥の起源であります。したがいまして、大和飛鳥が国の直接責任で保存されております以上は、当然この一須賀古墳につきましても、河内飛鳥につきましても国でしかるべき保存対策が講じられなければならぬ、こういう観点から教育長も国に要望してまいりたいという答弁をされておるわけでありますが、この点どうされますか。
#217
○加戸政府委員 一須賀古墳につきましては、ただいま先生がおっしゃいましたような事情のもとにありまして、ただいま大阪府の方におきまして、その地域のうちの重要な部分について公園緑地や文化財として保存したいという意向がございまして、現時点では地元の太子町におきまして、その地域の取り扱いについての総合的な検討が始められている段階と承知いたしております。
 文化庁といたしましては、大阪府の教育委員会と十分連絡をとりまして、地元太子町の意向、あるいは大阪府がこれから立てられます保存計画との関係を考慮し、あるいは土地所有者の意向等もよく聞きました上で、適切な対処をしたいと考えている段階にございます。
#218
○経塚分科員 大阪府の要望も踏まえてということでございますが、大阪府の要望は公式の場、本会議の質問に対する御答弁で国の史跡指定として要望してまいりたい、これが公式の見解でございます。それですから、国の方としてその要望にこたえる、こう受け取ってよろしいですか。
#219
○加戸政府委員 先ほど申し上げましたように、基本的には大阪府の意向というのがあるわけでございますが、もちろん、それのみならず、地元太子町の意向もございましょうし、それから具体的に立てられます。その計画あるいは関係権利者といいますか土地所有者の意向等も勘案しながら、基本的な方向は府と緊密な連携をとりながら対応したいという考え方でございます。
#220
○経塚分科員 地元権利者それから地元町、もちろん重要なんですね。しかし、今重要なことは、大阪府の態度はもう公式に表明された、国の史跡指定にされたい。そこで国がどう対応してくれるのか、これで地元権利者の意向も町の意向も固まるものは固まっていくわけなんですね。大阪府の意向は表明されておりますが、これは先に買い取りました、そして風土記の丘として史跡指定をしまして、本年四月からオープンをいたします部分についても大変な費用負担がかかっているわけですね。したがいまして、国の確固たる姿勢がなければ話は進まないわけなんですね、一大阪府の力だけでは。ここが非常に重要なところでありますから、ひとつぜひ、大阪府の要望の線に沿って国の史跡指定として保護されるように強く希望しておきたいと思います。
 それから、これも同じく大阪の問題でございますが、御承知のように関西新空港がいよいよ着工の段階に参りました。ところが、これまた大変なんですね。いわゆるアクセスそれから土取り、予定地域を含めますと、面積で約百八十三ヘクタール、この中に現在判明をしておりますだけでも三百六十七遺跡あるのですね。近畿自動車道の和歌山線、これは松原―阪南間でありますが、四十五キロの間に黒姫山古墳など既に国の指定をされておる分を含めまして、ちょうど道路にくしを刺したような形で二十四カ所、重要な遺跡古墳群があるわけなんですね。全体でこれ三百六十七遺跡と言われておりますが、問題はどういうところにあるかといいますと、この関西新空港の開港は六十七年度、しかもできるだけ早い時期に、こう言われております。
 それで、このアクセス、土取り地域が約八十ヘクタールありますが、これは二年以内に調査を終わらないことには六十七年空港開港には間に合わないという、期間が限られておるわけなんですね。そこで、大阪府の方は臨戦体制をとろうということで財団法人をつくりまして、市町村に派遣をしております調査員も引き揚げる、近隣からも応援を求める、もちろん大阪府が持っております調査員は全部ここに投入をする、それで間に合わせようということになったわけでありますが、俄然、地元や関係者を含めまして、もしそんなことをやられたらこれはえらいこっちゃ、本当に開発に振り回されてしまう、保存というものは跡形もなくなってしまう。御承知のように、発掘をして、そして史料を記録にとどめて、出てきた物件は保存をして、最終には調査の結果こういう遺跡でありましたと公開をする、発掘から公開まででいわば一つの完了なんですね。二年以内に八十ヘクタール全部やれというようなことになったら、掘って掘って掘りまくって、それであとは史料の記録もあるいは物件の保存もそれから関係者に公開もなされないまま事が進められていってしまうということで、これは大変異論が出ておるわけであります。特に、これ財団法人になりますと、開発者が費用を負担するというようなことにもなるわけであります。そうすると、工期に合わせるように調査をやらなければならぬ、これは私は大変なことになると思うのです。
 最初に申し上げましたように、一たん掘り返してしまいますと、取り返しがつかぬわけですね。大阪というところは商人の町で、遺跡はそんなにないかのように思われておりますが、そうじゃございません。もう至るところに遺跡があるわけなんですね。したがいまして、行政の責任を明確に確立をして、しかも保護を優先させる立場から、十分時間をかけて調査をやるならやる、そういう体制をとらせるべきだと私は思うのですが、国の方は指導する必要があると思いますが、どうですか。
#221
○加戸政府委員 埋蔵文化財の調査体制やその取り扱いに関します行政的な判断とかあるいはその責任はあくまでも大阪府教育委員会に属するものでありまして、いわゆる原因者負担によります発掘調査についても、そういう考え方になるわけであります。
 ところで、ただいま御指摘の関西新空港建設に伴います発掘調査体制でございますけれども、先生御指摘のように、百八十三ヘクタールという関係する埋蔵文化財包蔵地があるわけでございますので、極めて大規模なプロジェクトでございますし、そのためには、おっしゃいましたような臨戦体制をしかなければ対応できないという問題がございまして、現在、大阪府の方におきましては、同空港関連の発掘調査を専門に担当する新たな財団法人を設けて対応するという考え方であるように承知しているわけでございまして、その意味におきます今回の対応は、一応基本的には大阪府がそういった観点に立ちましての対応の問題でございますので、文化庁といたしましては、文化財保護との関連、適切な発掘調査の実施ということを指導する立場にあるわけでございますので、十分内容等も拝聴しながら協力を申し上げたいと考えておる次第でございます。
#222
○経塚分科員 基本的にはそれは大阪府の方でやられることでありますが、今申し上げましたように、大阪府の立てております計画というものが、保護を優先した立場での万全の体制をとっておるなら、私は申し上げません。あえてここで申し上げておりますのは、大変危惧される状況にあると、したがって、そういう事態は、やはり最終的には文化財保護の指導責任は国にあるわけでありますから、しかも、こんな大規模な開発調査というのは、全国的にも恐らくかつて例を見ないものだろうと思うのですよ、三百数十基も遺跡が開発の対象になるというようなことは。したがって、やはり取り返しのつかないことにならないように、今国の方で先んじて適宜、適切な指導、その焦点は、開発優先か保護優先かの分かれ道は、調査に当たっては行政の責任において事を進める、そういう役割と位置づけ、体制、これをとるべきだろうと思うのですね。改めてひとつ早急に指導していただきたいと思うのですが、いかがなものでしょう。
#223
○加戸政府委員 先生おっしゃいますように、極めて大規模のプロジェクトでもございますし、貴重な埋蔵文化財保護との関連もございます。文化庁としても大きな関心を持っているわけでございまして、大阪府とは緊密な連絡をとりながら、この問題についての指導を行ってまいりたいと思います。
#224
○経塚分科員 あとお聞きしたい点は、国の補助金の関係の問題でありますが、まず専門職員の人件費ですね、これは全国昭和五十年八百九十八人ですか、これは五十八年に二千六百人、開発が進むに従って調査員も随分ふえておるわけでありますが、大阪の例を見ますと、昭和五十年十三人だったのですね、五十九年には五十四人とふえておるのですね。ところが、交付税で措置しておるとはいうものの、交付税で見ておりますのは、たった八人なんですね。このために大変な負担になっております。これが行政の責任で調査を進める上での一つの重要な障害になっておるわけですね。
 それから、この人件費助成だけでなく、発掘調査費もそうであります。これも大阪の例を申し上げてなんでありますが、五十九年度を見ますと、これは一億九千五百万円予算を組んでおりますが、このうち国庫が三千七百万、約一九%ですね。これも国庫の負担割合が大変低いわけであります。それから史跡買い上げ、これが保存する上での決定的な問題になると思いますが、国の予算の関係を見ますと、五十六年は七十四億九百七十万ですか、六十年度は七十億七千九百万ですか、果たしてこれで必要事業量が確保できるのかどうか大変疑問に思わざるを得ません。それから、国会の附帯決議にもなっておりましたが、教育、啓蒙という予算、これも大阪の例でありますが、保護啓発費、五十九年わずか百八十三万で、国庫補助がついておらないわけですね。
 以上幾つかの点を申し上げましたが、臨調行革の中で、大変厳しい予算のやりくりで文化庁もよく努力はされておるとは思いますけれども、今進められつつある開発優先という状況の中では、これは地方も対応し切れないという状況がありますので、この点今後どういうふうに対応されるのか、承りたいと思います。
#225
○加戸政府委員 国も地方自治体も厳しい財政状況の中にあるわけでございますが、埋蔵文化財関係係の経費につきましては、文化庁としても毎年努力をいたしておるところでございます。
 先生おっしゃいましたような関係のうちの埋蔵文化財の発掘調査経費につきましては、厳しい財政状況の中にありまして特に確保に努めてきたわけでございますし、ただいま提案させていただいております、御審議願っております昭和六十年度予算案におきましては、ささやかではございますが、一応対前年度比六千万円の増額計上をお願いしているということでございます。
 それから、史跡買い上げの補助金につきましては前年度よりも若干の減額となっておりますけれども、補助率八〇%という高率補助を維持して、地方公共団体の要望にこたえるべく努力をしているということでございまして、この厳しい財政状況の中にありまして、特に史跡関係、埋蔵文化財関係の経費につきましては格段の意を払っているということを御理解いただければ幸いでございます。
 なお、今後とも各自治体等の要望にこたえるべく、現状の開発が進む中にありましても万全の体制がしける努力は続けてまいりたいと考えております。
#226
○経塚分科員 努力は認めますけれども、しかし調査員の人件費補助にいたしましても、あるいは調査費にいたしましても、あるいは公有化の買い上げの予算にいたしましても、最初に御報告いただきましたが、現状から見ますとこれは十分とは言えないところか、かなり距離がある、かように考えております。ぜひひとつ、関係者はもとより、関係地方公共団体等々含めまして、開発の波に押し流されずに確固としてこういう歴史的文化遺産は十分守れるという予算措置を講ずるように御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
#227
○船田主査代理 これにて経塚幸夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、大出俊君。
#228
○大出分科員 内海総裁には忙しいところを、内閣委員会の議論もありますところを割いていただきまして、大変恐縮でございます。
 実は、少し私に執念めいたものがございまして、週休二日制の問題でございますけれども、人事院がこれを手がけた歴史の中で、一番最初に調査費がないというので、田中内閣のときでございますが、二階堂さんが官房長官でございましたが、再三お願いをしまして、最初の調査に当たっていただくことにした。それから二回の試行、実験期間を経ましてようやく――大平総理には大分私御迷惑かけましたが、審議がとまったりしまして、伊東正義さんが、私は同期でございますが、官房長官で一生懸命に、総理府内の時短の懇談会がございまして、全面閉庁という前提でございましたけれども、やっとまとめていただいて、公務員の四週五休に踏み切ったわけであります。尾崎さんには随分その間お骨折りをいただいた経緯がございますが、このときに実は金融機関の側が、大蔵省が所管でございますが、銀行局長さん初め非常に慎重でございまして、随分苦労した時代がこれまたあるわけであります。
 さて今日、逆に、金融の自由化などという問題もございまして、ILOの調査なんかによりましても余りといえば日本の休暇が少ない。百二十八カ国ばかり調べている中で、一番下はフィリピンでございますが、その上だというわけでございますから、百二十何番目という極端に休暇の少ない日本でございます。そういう意味でこの際、せっかく今度は金融機関が前に出ている。国際的に眺めてみて、OECD加盟国の中で完全週休二日をやってない金融機関というのは日本を含めて二カ国しかないのでありますから、国際競争という意味もございます、ある意味の合理化につながりますから。そういう意味で、土曜完休を旗印にして都市銀行その他中心に前に進もうとしているのです。大蔵省も今回は非常に積極的に対応なさっているように見える。
 ところが、ここで私が一番困っておりますのは人事院の皆さんでございまして、ことしの勧告に何とか四週六休をと私考えているのですけれども、その点が非常に消極的に見える。勧告をしたのだがたなざらしては困ると言うのですね。だがこれは過去の例がありまして、たなざらしにしないようにみんなが苦労したわけですから。そういう意味で、どうしてもこれは人事院に御再考願わにゃならぬ、こう思っておる。
 そこで、人事院が踏み切れない、前に出かねる大きなネックが、実は、松永光文部大臣おいでになるが、教職にある皆さんの土曜休日という問題なんですね。そこできょうは、総裁と文部大臣おいでになるところで関係省庁の方にお出かけいただいて、そこのところをしかと承っておきたい、こう思って実はお出かけいただいた、こういうわけであります。
 そこで、人事院に幾つかお聞きしたいのでありますが、公務員共闘等公務員の団体の皆さんと職員局長さんとやりとりをやっておられますが、その記録を見ますと、職員局長さんは「できるだけ早期に四週六休をという気持は持っている。ただ、色々問題があって、」それならば「色々問題」って何だ、これが第一点であります。「色々問題があって、一気にというわけにはいかない。一度勧告してそれがつぶれてしまえば、かえって」やりにくくなる。「ある程度の見通しをつけてからやりたい。」「ある程度の見通し」とはしからば何だ、これは二番目でございます。それから「四週六休を勧告する前にひとつの段階があると考えて」いる。その「ひとつの段階」とはしからば何だ、これは三つ目であります。
 さてそこで、四分の二ローテーションに変える通達などをお出しになったわけですね。この問題をずっと詰めていきますと、問題意識は同じなんだけれども、銀行は経営者が前向きで今度はやろうとしている。土休拡大をやろうとしている。だが、人事院の側としては、同時並行的にはできない、こう言う。では、そのできないネックというのは一体何だ、こうなっていきましたら、文部省の問題が出てくるんですね。教育職場もしくは変形で実施している職場の問題については、基本形で実施せよということで文部省と折衝しているけれども、また指導もしてきたが、文部省は現実的にそれに対応することは困難だという姿勢を変えない、こう言うんですね。随分これもおくれているものだと私はあきれ返っているのですけれども、つまり、全体として、文部省を中心にして進展がない。こういう答え方を職員局長はされておりますね。そこで総裁に、なぜ前に出られないのか、そこのところを改めてひとつきちっと聞いておきたいのですが、いかがでございましょう。
#229
○内海政府委員 休日の問題でございますけれども、今、大出先生おっしゃいましたように、過去長い歴史を持って、大変御尽力をいただきまして、推進をしていただいておるわけでございまして、その推進に乗って私どももいろいろ今まで努力をしてまいっておるわけであります。四週五休をまず実現した、そこで問題は四週六休、いわゆる土曜閉庁というふうな問題がありまして、これを実現するのに、先ほどお話がありましたように、職員局長と全共闘の方の間でもいろいろ論議を重ねておるようでございます。
 そこで、大変手前勝手でございますが、その辺の事務的な難しさは職員局長からもう一遍説明させますので、それをお聞きくださいまして、後ほどまた私の御意見も聞いていただけましたら、こう思います。
#230
○叶野政府委員 先生から質問のありました三件について、簡単に申し述べたいと思います。
 一つ問題でございますけれども、役所の場合には、要するに、週休二日制をつくりますれば、各役所、各職種を問わず、すべて一斉にということになるわけでございます。その点につきまして、各民間企業が個々に労働協約等々でやるというものとは若干様相が異なっている、ここに基本があるわけでございます。そのために、我々が週休二日制をやる場合には、ある程度と申しましょうか、かなりの程度、各役所の方で週休二日制というものが一律にできるかどうかということを探求しなければいかぬ。これは四週五休制が始まる際に先生に御苦労願った点で、御了解願えると思います。
 そこで、段階とは何かということになりますけれども、現在、四週五休、いわゆる四分の三出勤、四分の一休みという方式をとっております。四週六休になりますると、四分の二ずっということになるわけであります。四分の二の職員で土曜の職務を、完全とは言わぬまでも国民に迷惑をかけない程度にこなせるかどうか、そこに問題があるわけでございます。したがって、四分の二という段階が果たして可能かどうかというものを探求しなければいかぬ、現在我々が新しい方式として検討しているのはその点でございます。
 以上、簡単でございますが……。
#231
○大出分科員 同じことをまた聞く感じがするのですが、人事院が四週五休に踏み切るときに、全く同じ答弁をずっと続けていたんですよ。それで、どこだということになって、一つは法務省の行政監区、監獄ですよ。一つは警察ですよ、警察庁。一つは厚生省の病院ですよ。大きなネックになっておった。私は、当時、人事院の皆さんと相談しまして、警察庁の厚生課長、橋本さんといいましたかね、後で滋賀県警本部長になりましたが、彼のところに行って直接話した。そうしたら、大出先生、警察には労働組合もないと言うわけだ。そこまでお話を聞けば、これはやりましょうと言って、一生懸命内部で御努力をいただいて、試験実験に乗ってくれたですよ。法務省の行政監区もそうですよ。私は直接行ってさんざ話しまして、乗りましょうということになったのです。病院などは――さっき別なところで、橋本龍太郎君が後ろから、労働大臣に私が質問しているときにいろいろおっしゃっていたけれども、彼は、大出さん、これは厚生省がとしきりに私に話しておったのですが、結果的に踏み切ってもらったわけですよ。つまり、努力をしなければ前に進まないのは世の中の常でございましてね。そこで、これはもう経験済みのことだからまた話をせにゃいかぬのですけれども、文部大臣、これは法律、規則、手続的には、給与法がございますね、あけてみなくても、私はもう知り過ぎ、皆さんも知り過ぎているから言う必要もないが、つまり勤務を要しない日というものを、附則をこしらえて、日曜日はそうなんだけれども、土曜日の何時間というのは勤務を要しない時間ということにした。そして規則を出した。それで、教職の皆さんについてはというので、ここにございますけれども、それなりにやれるようにということで、これは、人事院は随分頭をひねったわけでございましょうけれども、文部省職員の勤務を要しない時間の指定に関する規程なんというものもこしらえておやりになったわけですけれども、結局しわが寄っているのはどこへ寄るかというと、夏とか冬に休みがある、そこにひっつけようということですね、簡単に言ってしまえば。これじゃ困るんですよ。
 そこで、文部大臣に、人事院が指導もしていれば接触もして話もしているというわけですな。正規の形でやってくれと言っている、しかし進展を見ない、こう言うんですね、職員局長さんは。大臣、ここのところをどうお考えでございますか。外国の例もないわけじゃない。
#232
○松永国務大臣 私の立場から申し上げますと、初等中等教育、育ち盛り、伸び盛りの子供に知育、徳育、体育を施して、我々の次の時代を担う人間づくりをしていかなければならぬわけでありまして、その観点からすれば、その伸び盛りのときにきちっとした教育を施していく、そして教育水準を下げないようにしていく必要がある。となれば、望ましい教育課程を一定の期間内にきちっと教えていくということが大切になってくるわけであります。また、父兄である多くの国民もそれを期待していただいているというふうに思うものですから、そうなりますと、初等中等教育につきましては、この休暇の問題は、今先生がおっしゃいましたけれども、夏休み、冬休みの間にまとめて休暇をとっていただくという仕組みが現実的であって、かつ多くの国民の期待にこたえることのできるやり方ではなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございます。
    〔船田主査代理退席、主査着席〕
#233
○大出分科員 松永さんほどの方ですから、そこを一つ申し上げればおわかりいただけると思うのですが、御研究いただきたいんですがね。土曜日を休みにしたからといって、別に教育レベルが低下するんじゃないんですよ。さっきも田中慶秋君が質問しておりましたが、今は乱塾時代でしょう。町の中というのは遊んでいる子がいないんですよ。おまえ、何だ、塾に行っていないのか、こうなるんですよ。今、そういう時代ですよ。田中慶秋君の言うとおりですよ、そこのところは。全くの乱塾時代ですよ、大都市横浜なんといったら。彼は戸塚ですが、私と同じ選挙区だけれども、大変なものですよ。学校を土曜休んだからとか休まぬからとかは関係ないんですよ。終われば、遊んでいる子がいないんだから、片っ端から塾です。そういう意味で、今の教育は変形していますよ。幾ら一生懸命勉強したからといって、自殺する子供がなくなるわけでもなければ、校内暴力がなくなるわけでもない。減らしたからといって逆になるわけでもない。
 そこで、かつて、西ドイツの労働総同盟の大会がございまして、ハノーバーでございましたが、私は総評のバイスチェアマンの時代、副議長の時代でございますが、時の総同盟会長ウイリー・リヒターさんに個人招待をいただきましたので、初めて戦後、私があいさつに行ったのですけれども、労働省の労政局長などをおやりになった適正君がまだボンでアタッシェをやっている時代であります。それで、今の四週五休問題ですね、完全土曜休日問題、いろいろな議論をいたしましたが、彼ははっきり言うんですね。西ドイツの場合も、土曜を休みにすることに一番抵抗したのは先生なんだが、実はPTAなんだというわけです。それで、とうとう先生だけ残っちゃって、ほかはみんな四週五休にしちゃった。四週五休、六休、七休とふやして完全週休二日制にしちゃった。そうしたらどうなったかというと、土曜、日曜休みだから二親はどこかへ行きたいのだけれども、子供を学校にやるために家にいないわけにいかないというのです。子供が学校に行った、行くと今度は帰ってくるまで待ってなければいかぬというわけです。その余暇二日の休みをどう使うかというと、一日、子供を朝学校にやって帰ってくるまで家にいるということにならざるを得ぬというわけだ。全部がそうなったら、今度は逆にPTAの側からも先生の側からも、どうもぐあいが悪い、これはやはり土曜は休みにしなければまずいということになって、おくれて参入の形で、先生の方も土曜完休に賛成をするというところへ来た。だから、どんどん進めなさいというのが総同盟の会長の当時の説明でございました。
 松永さん、私は今一番心配しているのは、一つの機運ができている。どこの国もそうだけれども、国際的に調べてみました、長い年月。私の党内で時間短縮週休二日制特別委員会をつくってかれこれ十年になるのですが、そのうち私は七年、責任者をやっているのですから。そうすると、銀行というのが、金融機関が週休二日制にずっと進みますと、急速に進むのですよ、ほかも。今一番のポイントは、冒頭に申し上げたように金融機関がこの際、金融の自由化等もございまして、ここに資料がございますけれども、国際的に見てOECD加盟国の中で二つの国しか土曜完休をやってない国はないということですから、この際拡大に向かおう。金融機関は一昨年の八月にやったのですから、来年の八月で三年になるのだから、九月にCD稼働をやろうというときには、週休拡大で先の見通しを立ててCD稼働に入ろう、このときには来年の八月なら八月、四月なら四月――四月、八月、二つの意見がありますが、ここで拡大に向かうんだということで、九月に、農協も賛成してもらって、そろって信金、信組まで入れて動こう、こういうわけです。郵政省も流れに従うというわけですね。そのときに人事院が前へ出てくれぬと、郵政省という金融機関は、一つの側面は公務員でございますから、ここだけ動けないとなると手形法や小切手法の改正ができてもバランス上動きがとれなくなるのです。そうすると、ここで踏み切れないとすれば、人事院や文部省が――せっかく世界の大勢に従って、金融の自由化問題もあって金融機関が前へ出る、それによって日本の週休二日制が進む、べらぼうな長時間労働をやっている日本ですから。休暇の問題でつかまえたって、ILOの調査に基づいてみれば、私自身が長年やってみてあきれ返るような状況なのですから、実労働時間もそうですから、そうすると、大きな大勢の足を引くのは人事院だ、しかもそのネックだというなら文部省だ、こうなるのですよ。皆さんに重大な責任があると私は思うのですよ。だから、これを踏み越えなければ国際的な今の状況に合わないですよ。そうでしょう。銀行というのは、都市銀行なんか特にそうなんだが、完全土曜休日にしたいのですよ、ここに書類もございますけれども。
 そこで、僕は皆さんの方の関係のいろいろな団体に、少ししっかりしてくれや、諸君の方も。文部省何やってんだ。新大臣、松永光大臣になったから、私は知り過ぎているけれども、ねじ巻けよと言っているのです。つい三、四日前に会議を開いたら、ようやく皆さんの方も、ほかの省もそうなんだけれども、特に文部省に対して関係のいろいろな方々が、ひとつ積極的なやりとりを文部省としようというようなことで集まりをつくってきましたが、そこに来ているのだから、もう一遍ここで考え方をひとつ改めていただけないかという気がするのです。御検討願えぬかと思うのです。人事院がせっかく文部省にいろいろ話をされている。ここにあるんだから、答弁の中に。ネックだと言っているのだから、人事院と本当に話し合う、人事院の側もそこのところを何とか説得するという気になる、こういうふうにしていただけませんか。その結果できないものはしようがないけれども、これだけの機運にあるのに努力しないという、そんな無責任な話は僕は許されぬと思うので、もう一遍大臣の御答弁をいただきます。
#234
○松永国務大臣 初等中等教育は、外国の初等中等教育と比べて、学力の水準では日本の方が今のところ劣っていない。私は、それは日本の初等中等教育の誇るべき点の一つだというふうに思います。そうした初等中等教育というものは、日曜日以外の休みは暑中休暇が四十日で、春が十四日で、冬が十四日、合計七十日ぐらい休みをとって、そして残りは学校に行くという前提で学習指導要領が大体でき上がっておる。それで、夏休みあるいは冬休み等に学校の先生に休暇をとっていただくのじゃなくして四週五休あるいは行き着くところは週休二日ということになってきますと、現在の望ましい小中学校等の学力水準を維持するための教育をどういうふうにしていくかという問題にかかわってくるだろうというふうに思うわけであります。
 もちろん、実際問題としては、先ほど先生御指摘ありましたように、親が休んでおる、しかし子供は学校に行っておる、帰ってくるまでどこかに行けないという不便はあろうかと思いますが、実は私の立場からすれば、親の楽しみよりも、まずその子供が立派な人間として育っていくための、その子供の将来のための現在の教育をきちっとやるという立場に私はあるわけでありますので、先ほど申し上げたようにやはり考えなければならぬかな、こう思っております。
#235
○大出分科員 松永さんにもう一言言っておきますがね。私が手がけ始めて長いのだけれども、さっきから申し上げているとおりで、随分、監督署その他へ行きまして中小企業の皆さんとも話したのですよ。特に東京の大田区なんかはそうなんですがね。中小企業がいっぱいありますからね。こういう意見が出てくるのですよ。経営者の方々が集まって、その中で、おれのところは中小企業で苦しいのだから土曜日を休まれちゃ困るのだと言う人が片方でいる。こっちの人は、おまえ、それは違うと言うのですよ。おれのところなどはいち早く土曜日を休みにした、普通の日はまさに精力的に仕事をする、そのかわり土曜、日曜日は休む、それに踏み切ったら逆に生産効率は大変に上がっていいんだと言うのですね。これは私は監督署の諸君に一遍聞いてみたのですが、同じことなんですよ。
 世の中の大勢が土曜完休で行こうというふうに向いているんだから、先生だけ別枠じゃないのです、社会の中にいるんだから。だから、土曜に一体何時間勉強するか知らぬけれども、これをやめたからといってそのほかの日にからっと教育すればいいんですよ。早い話が、それは松永さんだって僕らだって、学生時代に学校で勉強していただけで試験が受かったわけではないでしょう。夜の夜中に皆さん勉強をしたでしょう。私は貧乏していましたがね。貧乏苦労している中で早稲田の英文科に入るのに、やはり夜の夜中、勉強した。入って、じきやめたけれども。それで職場にまた勤めてから、また逓信官吏練習所に行ったのだけれども。僕の兄貴は、同じ貧乏苦労しながら、東北大学医学部だけれども、塾へ行ったわけでも何でもない。学校の時間内の勉強だけで受かったわけでもないですよ。山形高等学校に行ったけれども。
 そうでしょう。そういうものじゃないですか。だから、今のお話は形式に過ぎるのですよ。そうじゃなくて、世の中の大勢がこうなっているんだから、国際的に見て。それは二千百三十六時間も実労働時間を持っている日本でしょう。西ドイツと四百五十時間以上も違うのでしょう。そうでしょう。それなら、どこから入っていくかといったら、週休二日で金融機関がやろうというなら、それに合わせていかなければいかぬじゃないですか。郵政省だけ、では特例をつくってやらせることができますか。
 もう一遍人事院でひとつそこのところを答えてくださいよ。のんきなこと、そんなことを言っている場合じゃないですよ。天下の人事院、そんなことを言ったら、本当に無用論が起こる。賃金は凍結ばかりされてくる。完全実施はしない。週休二日制についても、去年の勧告みたいに説明だけしておいて、そんなことで済む時代じゃないですよ、総裁。いかがですか。真剣にやってくださいよ。
#236
○内海政府委員 たびたび申しましたように、この週休二日制の問題に関しましては私も、そしてまた人事院も積極的なんです。ただ、積極的にこれを実施していくためにはやはり一つ一つつぶしていかにゃいかぬ小さい石や大きな岩がありまして、それをつぶすとともに、そうは言いながらも、これは公務員の仕事でございますから、今度はやはり民間へのサービス度はどうであろうか。土曜日に休んでしまったりどうこうしたならば国民から、何だあのやろうどもはと、こういう非難を受けることなきや、この辺もつぶさなければいけない。したがって、それは国民の大きな理解を得なければならぬ問題である。今の文部大臣のお話でも、仮にそういう面からも問題があり得る、そうしますと、私どもはこれからもっと精力的に、まさしく精力的にどんどんそうした事柄にぶつかっていきたいと思っております。先生は恐らくこの夏の勧告に何とかしろ、こうおっしゃるだろうと思いますから、前もって答えを言いますと、一歩前進するようなことは何とか考えなければいけないけれども、しかしおっしゃるような、まことにこれは立派なリコメンドができたというところまでの答えを出し得るかどうか、これはひとつ難しい問題であるということをまず申し上げておかなければいけません。
#237
○大出分科員 残り少ないけれども、松永さん、今総裁は小さな石や大きな岩をつぶしていかなければいかぬ。大きな岩というのは松永さんのところですよ。小さな石というのは警察庁とか厚生省とかいろいろあるのですよ。これはみんな経験済みなんだ。前回のときに同じ答弁を何遍もされたんだ。されたんだがそれをつぶしていったんだ。僕らも一生懸命になって人事院とタイアップしながらやっていったんだ。何とかかんとか世間の風当たりも、当時はさんざん考えた、考えたが、やっと今の公務員の四週五休制という制度は定着しているでしょう。いろいろな問題があったって旧来のようなことはないでしょう。世界の大勢が一方にあるからですよ。国内の大勢も進んでいるからですよ。お二人なんだから、勧告権を持っているのは総裁であって、大きな岩は松永さんなんだから、岩と勧告権とでそこで少し話してくださいよ。大きな岩を何とか小さくすれば、後は小さな石なんだから。そうでしょう。
 そこで、ちょっと大蔵省の皆さんに聞きたいのですが、金融機関、この際土休を拡大して前に出ようという気持ちは皆さんおありなんでしょう。この間郵政省がCDを動かしたときにいろいろな騒ぎが起こったけれども、何遍も聞いて悪いけれども、私の性格だから勘弁してください。郵政省だって流れに逆らう気はない。汗をかきましょうと組合に言っている。汗をかくけれども、片方は、身分が公務員ですから人事院はことしの勧告で何と言ってくれるのですか、そこが最大のポイントであると郵政省は言っている、貯金部門を持っているから。そうでしょう。農協さんなんか後ろの方にいるけれども、信金、信組まで含めて大蔵省が進むのなら、お互いに金融機関なんだからおくれちゃ困るんだから、多少の無理はしたってということなんだから、そういう意味で、大蔵省さん、とにかく一言答えてください、あと二、三分しかないけれども。
#238
○溝口説明員 金融機関の週休二日制の拡大につきましては、先生御指摘のように、全銀協の案というのがございます。五十八年の八月に土休制開始しまして、三周年迎えます六十一年八月ごろを目途に現行の月一回を月二回に拡大したいという案を持っているわけでございます。しかしこれにつきましては、中小金融機関でありますとか農協等につきましては早過ぎるのじゃないかというような感じもあるわけでございまして、他方、労働組合の方からはもう少し早くやるべきじゃないかというようなお考えもあろうかと思います。いずれにしましても、いろいろな意見があるわけでございますから、機械が稼働することになりますことしの九月ごろを目途に民間の中で検討するのを私ども期待しておりますし、こういう検討につきましては私どもとしても積極的に支援してまいりたい。さらに、政府部内におきましても農水省、郵政省、労働省、関係するところがございますから、こうした関係省ともよく相談してまいりたい、こういうふうに考えております。
#239
○大出分科員 労働省も今度、逆瀬川さんおかわりになったようだけれども、随分一生懸命、それは郵政省の担当者やなんかもあきれるほど前に進めようというので、中にはしまいには、あんまり労働省が一生懸命なものだから、郵政省は労働省なんていうのは大蔵省と同じことを言うなんて言って、貯金戦争じゃないけれども少しこうなった場面まであるぐらい積極的なんですね。そういう時期なんで、松永さん、きょうは労働省、郵政省、農水の皆さんに一々聞きたいのだけれども、さっき別な委員会で一言ずつをいただいたから、大蔵省の方に代表していただきましたが、これは人事院からすれば大きな君なんだから、その岩ひとつ検討してくださいよ。大臣、せっかく、歴史に残る大臣になってもらわなきゃ困るんだから。人事院の方は積極的に一生懸命やってみると、結果が一〇〇になるかならぬかわからぬけれどもやってみると言っておるんだから、大臣の方もどうすれば週休拡大に向かっていけるかという、今のあなたの持論はわかったけれども、今の方式、ここに一つあるんだけれども、そこらもいろいろ踏まえてどうすれば大勢に乗って進められるかという点を御検討願えませんか、せっかくこういう雰囲気になっているんだから。
#240
○松永国務大臣 望ましい初等中等教育の教育課程を編成、実施するために現在の休暇の状態になっておるわけでありますが、さて、四週五休あるいは四週六休になりました場合にこのままで実施できるかどうかという問題がありまして、その場合には、では夏休みを少し短くするかあるいは冬休みも少し短くするか、春休みを少し短くするか、こういった形で望ましい教育課程の実施ができるかというふうなことが勉強しなければならぬ問題だと思いますので、勉強していきたい、こう考えます。
#241
○大出分科員 いろいろな方法があると思うのですが、ぜひひとつ、これは大勢でございますから、そして、金融機関、公務員が週休拡大に向かうということが日本の社会全体を国際的な水準に向けて多少なりとも実労働時間を減らしていくということにもなるので、ぜひひとつ御努力をいただきますよう、そのことを最後に申し上げまして、終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#242
○葉梨主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。
 次に、宮崎角治君。
#243
○宮崎(角)分科員 第百二国会での分科会にお時間をいただきまして、若干の当面する問題について松永文部大臣の、また文部省当局の御解明を願いたいと思うわけでございます。
 現在の国公立大学の入試、いわゆる共通一次の問題でございます。これが導入されましてはや六年が経過しました。今岐路に立った共通一次、こう言われておる昨今でございますが、国民は非常に関心が高く、この共通一次をめぐる諸問題が大きく巷間話題となっておるところでございます。そこで、臨教審もさることながら、現在の共通一次に対する創設時からの経過、歩みをひもといてみれば、やはり一次は基礎学力の問題であったのじゃないか、それをテストする大きいポイントであったはずです。二次は、それぞれの専門分野における適性度を見る、こういった方向ではなかったかと思うわけでありますが、この辺について、文部大臣から共通一次入試の問題に対する経過並びに歩みをお聞かせ願いたいと思うわけであります。
#244
○宮地政府委員 先生御指摘のように、共通一次の考え方の基本というのは、ただいま御指摘のございましたように、共通一次では高等学校における学習の基礎的、基本的な到達度を見る、二次でそれぞれの専門分野に対する適正を見るというような考え方が基本で実施をされたものでございます。
 御案内のとおり、五十四年度の入学者選抜から行われてきたわけでございまして、全体的には、かつて共通一次以前ではいわゆる難問奇問が大変多かったと言われておりましたものが解消し、高等学校の教育の実態が尊重されるようになり、共通一次を前提にした二次試験についての各大学での工夫、改善ということが進んできたということが言われておるわけでございます。他方、この試験方法については、共通一次試験の教科、科目数が受験生にとって負担過重になっているという問題、また共通一次の結果だけを重視した進路指導が行われ、いわゆる大学のランクづけが行われる傾向が出てきた、それからさらに、国立大学を受験する機会が一回に減少しておるというような問題点も指摘されているというのが、今日までの共通一次実施についての、いわば評価されている点、問題点とされているという点ということで挙げられておるわけでございます。そういうような点を受けまして、現在臨教審でも議論をされ、また共通一次の実施主体でもございます国立大学協会自体におきましても、入試改善の特別委員会を設けまして、改善方策について検討しているというのが現状でございます。
#245
○宮崎(角)分科員 そういったいろいろなプロセスと、そしてまた最初の目標というものは、受験戦争というのを鎮静化させていこうという一面もまたあったのじゃないかと思うのです。しかし、今日国公立の共通一次試験離れといいますか、これが特にことしは非常に顕著に出たような感じがするわけでございますが、この辺についての遠因、近因というものが那辺にあったのか、その辺についてひとつ解明を願いたいと思います。
#246
○宮地政府委員 いわゆる国公立大学離れと言われている点についてどう考えるのかというお尋ねでございますが、合格しながら入学手続をとらないまま辞退する者が多い現象を称して言っておるかと思うのでございますが、過去の推移で見ますと、共通一次が実施されました五十四年度が八千五百二十五人、辞退率といたしましては八・四%、五十五年度が一万四百八十六人で九・九%、五十六年度が一万一千五百四十人で一〇・七%、五十七年度は一万二千二百五十三人で一一・二%と、若干数がふえる傾向にあることは事実でございます。五十八年度は一万一千百二十六人、一〇・一%とやや減少いたしまして、五十九年度は一万二千二百二十五人、一一・一%というような、やや微増した姿ということになっております。
 原因がどういう点にあるかということは、それを明確にすることは困難でございますけれども、推測いたしますに、受験生の大学に対する価値観が大変多様化をし、私立大学の質的な充実が進んできておりますことと相まちまして、国公立大学一辺倒というような考え方が変わってきたのではないか、また授業料その他の学費負担で国公立大学と私立大学の格差が少なくなってきておる、さらに就職等について言えば、そういう面で有利な大都市所在の大学を志望する傾向が出てきておる、それから、いわゆる入りたい大学から入りやすい大学へ志望を変更して、合格した者が結局その大学を辞退するというようなことなどが考えられるわけでございますけれども、この入学辞退の点は国公立大学だけの点ではございませんので、相当著名な私立大学においても、定着率そのものから見れば例年五〇%ないし六〇%というのが実態でございまして、それぞれ著名な、と言われております私立大学においても、やはり合格者がその大学に行かないでいる姿というものは、実際上は存在はしておるわけでございます。これらの点から見まして、私ども、今申し上げましたような数字そのものから見ましても、直ちに国公立大学離れと判断することは難しいのではないかと考えておるわけでございまして、要は、今後も国公立大学そのものが内容が充実をしまして、学生の期待にこたえるだけのものになるということが肝要ではないか、かように考えております。
#247
○宮崎(角)分科員 有吉佐和子の「複合汚染」じゃありませんけれども、複合的ないろいろな要素から来ているのじゃないかと思いますが、六十二年度をめどにして国大協の方もこういった改善策というものを打ち出されているようでありますが、十分またこの点についての御審査その他をひとつよろしく願いたいと思います。
 次の問題は、私は今ここにおられる文部大臣の隣町でありますが、大臣の幼きころ通われた長崎県南高来郡南串山小学校は、これはまた非常に不思議に、小学校四キロ以上、中学校六キロ以上の遠距離通学児童生徒に対するこの該当、つまり基準財政需要額の算定の項目に入っております遠距離通学児童生徒が大臣のかつての出身地にいないということは不思議なことでございますが、この辺について全国的に調査をされたことがあるのかどうなのか、あるいはこの義務教育の児童生徒の遠距離通学についてのデータがあればひとつお示し願いたい。
 もう一つは、基準財政需要額の算定のなにに入るわけでありますから、一人当たりの金額が小学校の場合に三万一千何ぼか、あるいは中学校の場合は一人当たり六万三千幾ら、この辺の数字が間違っておれば皆さん方の方で御訂正願いたいと思いますが、その算定になる要素の金額及び全国的なデータ並びにこの動向について、わかっておればお示し願いたい。
#248
○阿部政府委員 遠距離通学費についてのお尋ねでございますが、ただいまの先生のお話にもございましたように、遠距離通学費に関しましては、地方交付税の中で、通学費相当分について児童生徒の数に応じて割増しをするという制度がとられておるわけでございまして、その金額は、昭和五十九年度の数値で申しますと、ただいま先生のお話に出ました、小学校の場合三万一千九百円、中学校の場合が六万三千三百円ということで、小学校の場合は四キロ以上、中学校の場合は六キロ以上というものに該当する生徒数について対応しているということでございます。もちろん離島等の、島の場合には、距離に関係なく島から通っている子供たちについてはその分の上積みをするという措置があるわけでございます。さらに、文部省といたしましては、この交付税措置のほかに、学校統合等によりまして遠距離通学を余儀なくされるというようなケースにつきましては国庫補助を別途行っておりますし、それからまた、一般的に経済的に非常に就学困難だという児童生徒に対する援助措置というようなことでも同じように国庫補助を行っておるわけでございまして、私どもが持っております実態で申しますと、全国で、現在各市町村の通学費補助の恩恵と申しますか、給付を受けております児童生徒数が、小学校で約六万、中学校で約七万、合わせまして計十三万人がこの対象として援助を受けているということになるわけでございます。金額で申しますと、小学校が二十億、中学校が四十三億、計六十三億、一人頭で申しますと、小学校が三万四千円、中学校が六万二千円というような程度のものが補助されているという状況でございます。
#249
○宮崎(角)分科員 今、全国的なデータが十三万人、六十三億と出たわけでありますけれども、各県においては、該当の児童になかなかそのまま支弁という恩典がいっていないところがおるのじゃないか。私の長崎県でも、今の例からいきますと、大体七十九市町村があるわけでございますが、その中で八六%ぐらいの市町村がこのいわゆる支弁、補助ということになっておるわけであります。全国的に三千三百自治体がある中で、一体どの辺まで該当児童がおってそういう支弁、補助対象にしておられるのかという自治体を聞いておるのですけれども、その辺についての掌握はどうなんでしょうか。
#250
○阿部政府委員 三千三百市町村の中でどことどこが、現実にどれだけの数そういう対象の子供がいてやっているかやっていないかというところまでの数値をただいま持っておりません。
#251
○宮崎(角)分科員 これは、義務教育の児童生徒に対してのいろいろな調査をぜひひとつ省としておやりになっていただきたい、私は強く要望するわけでございます。
 そういうことで、実態がまだわかっていない。どの自治体がどうなのかという、そういった内容についてはまだ不明瞭なようでございますが、実は、自治省としても、もしこれが子供の方に支弁、還元、補助ということがなかった場合は、その交付税は没収されるという一つの罰則があるのです。しかし、いまだかつてその罰則は適用されておりませんけれども、そういうこともございますので、父兄負担の軽減という立場から、この点についての全国のデータの収集とかあるいはまた文部省から各県教委、地教委に対しての通達とか、こういったものについて、どうかひとつ鋭意積極的な対応策をしていただきたい、このように思いますけれども、文部大臣の御意見をひとつ承りたい。
#252
○阿部政府委員 各市町村がこの問題に対応いたします際に、通学費の援助という格好で個人に支給するケースもございますし、場合によってはスクールバス等をその経費で措置をして子供を運ぶような方式もあろうかと思います。いろいろな方式があり得るわけでございますが、いずれにしろ、個別の実態につきましてはできるだけ機会をとらえて把握するように努めたいと存じますし、それからまた、各市町村が実態に応じて適切な措置をとるようにということにつきましては、機会をとらえて市町村の教育委員会あるいは県の教育委員会等を通じまして指導等は行ってまいりたいと存じます。
#253
○宮崎(角)分科員 その点、楽しみに、ぜひひとつそのデータをお願いしたいと思っております。
 次に、私は先般長崎でそろばん祭りという祭りに参加いたしました。この日本的な文化遺産であるそろばんというものが、川上珠算会三十周年記念というのに出させていただいたわけでありますが、非常に感銘身にしみてほほ笑ましい場面に直面いたしました。ところが、そろばんについての小学校、中学校、高等学校商業科、この指導要領からいきますと、極めてうら寂しい、そろばんの指導法についてたった一行もない、半行もない、三分の一もない。望ましい、やった方がいいのじゃないか、こういう計算もあるのじゃないか、あるいは五十二年に既に小学校の三年生あたりでは、加減乗除という、足し算、引き算、掛け算、割り算のその乗除をカットされて足し算、引き算、「そろばんによる数の表し方を知り、そろばんを用いて簡単な加法及び減法の計算ができるようにする。」これくらいですね。また中学校では、「そろばん、計算尺や計算機を使用させて、学習の効果を高めるように配慮するものとする。」高等学校の指導要領ではこれは、その技術を修得してアップさせるという商業科の内容でございます。
 私は、この中で小学生が、あるいはまた中学生が、高等学校生が、珠算の永世名人松村諭美子さん、二十五歳とか珠算の世界一、五代珠算名人西田三智子さん、この世界一の名人の芸を見たときに、六けたと三けたを〇・九四秒でやるとか、まことにすばらしい、超能力じゃないけれども、訓練をし、トレーニングをしてやったというそのすばらしい場面を見たわけでありますが、現在はこのそろばんがアメリカやヨーロッパに輸出されている。そして向こうでは、日本のそろばんは極めて合理化された教材であると言って絶賛されている。特にハーバード大学の、我が日本が生んだ、数学でノーベル賞とも言われておりますフィールズ賞をもらわれた広中平祐先生あたりは、極めてこれを絶賛している。日本人の最も長所というのは、舶来品が非常にチャーミングで魅せられて、外国の品物を非常に吸収しようということになるから、外国の方にこの日本の伝統的な文化的遺産をうんとPRして、外国からまた日本に逆輸入させてくれるような、こういった方法にならぬとも限らぬ。まことに恥ずかしいような話でございますが、この辺についての文部省のプロセスやあるいはまた今後の方策について、ぜひひとつ明快な御見解を聞かせていただきたいと思うわけであります。
#254
○高石政府委員 御指摘のような傾向はありますが、実は明治以来そろばんの問題は揺れ動いておりまして、明治五年に学制を発布したときに、実はそろばんによらなくして筆算ということが算数教育の基礎として採用されております。そして大正になりまして、これを学校教育の中に取り入れるというような時期がまた訪れたわけでございます。そして戦前までの昭和十七年までは、そろばんというのが教材としてかなり活用されていたわけです。戦後、二十二年以降三十三年までは、特にそろばんを教えるということも学習指導上なくなった。昭和三十三年に小学校の学習指導要領の基準を改訂いたしまして、先ほど御指摘のような形の方式が今とられているという状況でございます。
 したがいまして、このそろばんに対して非常に高い評価を与えられる方々が、一様に先生と同じような御指摘になるわけでございます。また、確かにそういう面の高い利用価値というか非常に有効な利用方法ということは、教育関係者の中でも認められているわけでございます。ただ、現在、しからば、いろいろな計算をするための手段としてのそろばん以外に機械も導入されてくる、そういう機械の導入というのどのバランスで一体算数教育をどうするかということも考えていかなければならないということで、これらの問題については、次の学習指導要領の改善の際にはコンピューターの問題もあるし、いろいろな問題がありますので、こういうことを含めて新しく対応をどう考えていったらいいかということを検討していかなければならないと思っております。そして、学校の現在の教育の場でこれ以上の時間をふやしていくのは非常に困難でございますので、そろばん塾に頼るのはどうかと思いますけれども、そういういい意味でのおけいこごととして学習塾によって補完をしていただきたいという状況でございます。
#255
○宮崎(角)分科員 浮きつ沈みつ、そしてまた今、ゆとりある学習ということが言われておるわけでございます。臨教審の場合でも、例えば文化的遺産という問題が出てきた場合にもう少し専門的な分野でまた慎重審議されていくと思いますけれども、その場合に、相当浮いてきて、また来て、こう来たというその変遷きわまりないそろばんの歴史があるわけであります。これは乗除がカットされて加減が残った、あるいは今言われるようにコンピューターが入って、そのバランスの中でマセマテティクスの指導がなされていくということになれば、これはぜひそろばんを日本の文化的な遺産としてでも残していかねばならぬのじゃなかろうか。指先を動かさないとだんだん硬直していくでしょう。ある医学博士が指先を動かしておる人は老人性痴呆、あほうにならぬ、ぼけない、こう言われておる。それからいたしましても、このそろばんは、ある文部省の役人の方が、うちの子供には自分で教えているというけなげな話を聞いたときに、だんだん指先がおろそかになりがちな私たちの世代じゃないかと思うのであります。
 最後に、今の共通一次の問題、また六十二年度の改善の問題、あるいはまた遠距離通学の児童生徒に対するホットな行政の問題、そして文化的遺産のそろばんの存続、あるいは学校教育の今ある中にカットじゃなくてぜひ存続していけるような方向をお考えになった大臣の御決意なり御所見なりを伺っておきたいのであります。
#256
○松永国務大臣 共通一次の問題でございますが、先生御承知のとおり昭和四十五年ごろから十八歳人口が急増いたしまして、大学の入学定員は私立も国立もそれほどふえていなかった、そういう事態が起こりまして大変な受験競争、その結果として難問奇問等が出されて受験者が大変な難儀をした、それを解決する方法として共通一次が実施されたものと私は記憶いたしております。その実施をした結果、いわゆる難問奇問がなくなり、あるいは共通一次の試験問題は大体において高等学校の教科に従った出題がなされ、かつまじめに高等学校で勉強してきておれば相当の点数がとれるという程度だという人もあれば、大変難しい人もあるわけでありますが、少なくとも難問奇問がなくなったということは事実でありまして、一つのメリットであったと思うわけであります。しかし一方、共通一次の点数が出まして自分で計算をいたしまして、それで国立大学の入学試験の機会が一回なものですから、そこで自分が確実に合格するだろうというところを受けに行くということの結果、国立大学の間にはっきりした格差があらわれてきた、こういった弊害も出てきておるわけであります。そしてまた、一部じゃなくて相当部分に受験生に過重な負担を与えておる。しかも、同じ勉強であっても、マークシート方式でありますからどちらかというと暗記物が中心であって、時間が足りないということもありましてじっくりと考えて解答を出すなどということではないようである。そういった弊害の指摘もあるわけであります。そういうところから国大協でも臨時教育審議会でもこの共通一次についての改善策が検討されておるわけでありますが、国大協及び臨時教育審議会からの改善策が抜本的な改善策であれば、それが一番望ましいと私は思うわけでありますが、その御意見をいただいて、そして対処していきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 次は、遠距離通学の問題でありますが、私が小学校五年まで通学したのは一里以上あったような気がするわけなんでありますけれども、大して苦でなく、そのおかげで足腰が達者になったかなというふうな気持ちでおりましたら、最近はなかなかそうではなくして、遠いところは大変だという話が多いようでありまして、特に離島等の場合は大変な問題でありますから、そこで遠距離通学に対する通学助成ということが始まったのだろうと思います。せっかくその経費が交付税として交付されておるのに適切な使い方がなされてないとするならば、それは問題であろうかと思いますので、先ほど助成局長が答弁いたしましたように、機会をとらえて調査をいたしまして適切な措置をしていきたい、こういうように考えるわけであります。
 次に、そろばんの問題でありますが、大体において私も宮崎先生と同意見であります。そろばんというものはいや応なしに頭を使うわけでありまして、頭を使って数の計算をする。結局手を使いますけれども、その前には九九をやりますし、したがってそろばんをやることによって計算が速くなる。暗算も速くなる。それから筆算も速くなるわけでありまして、頭の訓練に非常によろしい。簡単な計算でもすぐ電算機を使うなどというのは余りよくないと私は考えております。その意味でそろばんの教育というものが充実するように努力をしていきたい、私はそう考えておるわけであります。
#257
○宮崎(角)分科員 大変要約をされて大臣の最後の所見を伺ったわけでありますが、非常に胸を痛める大きい問題が今教育現場に非常に行き来している。本当にこの辺で松永文部大臣を中心とされた日本の文教行政が、現場の教職員が喜々としてすばらしい二十一世紀の人材の輩出のために大きな活躍ができるようなそういう日本の文教行政の御発展と、また御指導、そしてまた地域との見事なパイプを通しての教育行政の発展を心から願って、本日の私の質問といたします。ありがとうございました。
#258
○葉梨主査 これにて宮崎角治君の質疑は終了いたしました。
 次に、辻一彦君。
#259
○辻(一)分科員 私、学校給食の問題と中国の留学生や日本語教師派遣の問題等について、限られた時間ですが質問したいと思います。
 まず第一に、学校給食の問題でありますが、これは大臣にひとつお尋ねしたいのです。
 学校給食の歴史を見ると、戦前は貧困とか欠食児童を救済していくというようなところからこの給食が出発したと思うのです。そして戦後は食糧不足という中でアメリカの農産物、小麦等が入って、パンがそういう意味でずっと普及しましたね。それからだんだんと状況が整備をされて、これは文部省もいろいろ法令的にも努力をいただいて、そしてようやく学校で給食をするようになる、調理をして生徒に食べさすことになる。そういう意味でだんだんと定着してきたと思うのです。そこに給食は教育の一環であるということが今、定着をしているのではないかと思います。
 そこで、そういう歴史の中で今、経費をなるべく安く上げるという効率中心の面から学校給食を考える傾向が非常に強くなってきた。これは今度の通達等によっても明らかにされておりますが、なるべくパートを使い、民間委託をする、それから共同で大型の調理場でやるというようにして、せっかく教育の一環として定着した給食の形がまた変わっていくのじゃないか、こういうことが懸念されますが、給食は教育の一環であるという観点から、大臣は学校給食に対してどういうように考えていらっしゃるか、こういう動きを見ていらっしゃるか、このことについて伺いたいと思います。
#260
○松永国務大臣 戦後の我が国の小中学校における学校給食というものが普及してきたというのは、終戦直後日本は非常に貧しゅうございまして、食べる物についても不足する状態がある程度続いたわけでありますが、その当時育ち盛りの子供たちにはきちっとした昼食を食べさせよう、そして子供の生育を図っていきたい、こういうことで学校給食というものが普及、充実してきた、こういう歴史だと思います。ただ、私は経験を申し上げますと、戦前に東京の中学校におったわけでありますが、東京のど真ん中でございまして、比較的豊かな人の子弟が行っている中学校でございましたが、この中学校、旧制中学でありますが、全校学校給食でございました。これは教育的な見地からその中学校は学校給食をしておったわけであります。戦後の小学校、中学校の学校給食は、さようなわけで貧しくとも子供だけは昼食をということでスタートし、発展してきたものと思いますけれども、今日に至りますと、御承知のとおり小学校で九九%、中学校で八二%学校給食が普及いたしております。豊かになってきましたから、一部ではもう子供の昼食は母親がみずから弁当をつくってやって持たせてやる方が親と子の間の心のつながりがより密接になって子供の健全な育成のためにはよろしいのだという意見もありますけれども、今申したとおり大変な普及をし、かつ教育的な効果も大きく果たしておるというふうに私は思います。
 特に、豊かになったと申しますけれども、豊かさの余りかえって栄養のバランスがとれてないという面があるのじゃなかろうか。飽食の時代という言葉はそこから来ているのだと思うのでありまして、栄養のバランスを考えずにただ食べたいものを食べる結果、例えばカルシウムが不足するとかビタミンが不足するということが出てきているのじゃなかろうか。昔は魚を食べる場合でも目刺しとか小魚等があったわけでありまして、骨までかじって食べておりましたから自然と十分なるカルシウムが吸収されておったわけであります。しかし、今では豊かになってきて骨のない魚を食べるものですから、栄養のバランスを考えないと人間の体にとって、特に子供の生育にとって大事なカルシウムが不足するなどという状態も起こっているわけであります。学校給食では専門の栄養士さんが献立をつくってくれますから、そういう栄養のバランスに欠けることがないように、どちらかというと家庭の中で不足しがちなものを重点的に子供には食べさせるというような配慮もしながら献立がつくられておるということでありますので子供の生育のためには、飽食の時代とは言われますけれども、学校給食があることによってバランスのとれた昼食を子供が食べることができるという大きなプラスの面が一つあると思います。
 それから、給食の時間に先生と子供そして子供同士の触れ合いがなされるわけでありまして、これも教育的に大変大きな意義がある。
 三番目には、学校給食は、子供たちが自分で配膳等をするわけでありまして、食べた後は後片づけもするということである意味の勤労体験もするわけでありまして、そういう意味で大変教育的な効果がある。であるから、豊かになってきましたけれども、学校給食は維持していきたいというのが私の考え方であります。
 ただ、学校給食を維持していくわけでありますけれども、人件費等むだを省くことができる分野があればそのむだは省いていかなければならぬ。そういうことから、むだを省くということで経費の合理化を考えるべしという立場から文部省では通達を出した、こういうことであるわけでございます。
#261
○辻(一)分科員 大臣の体験から来る給食論を伺ったのですが、私も昭和二十二年から二十五年まで足かけ四年高校と中学の教職にあって、それは全く戦後でありますから、バケツのような容器にみそ汁を入れてそれを配って飲んだり、それからもちろんパンの時代ですからそれを生徒児童と一緒に食べたりして、騒がしかったけれども結構楽しい時間であったと思うのですが、それは人の触れ合い、教師と児童生徒の触れ合い、それからささやかでも当時心のこもった食べ物、こういうものを媒介にして生徒と教師というものが教育的な効果を上げたのではないかと私は思うのです。
 時代はあれから三十数年、四十年近くたって今のように全般的に豊かになって様子が変わってまいりました。しかし、そういう中で今ようやく学校ごとに調理をして心のこもったものを出して、そして先生が一緒に食べる、こういう形がかなりあるわけなのです。今、人件費やむだを省くという点から合理化をやらなければいかぬ、こう言われたわけでありますが、それは裏返しをして言えばまた心のこもった、バラエティーに富む、そういう食事というものがやや弱くなっているということを意味するのではないかと私は思うのです。これは先ほど申し上げましたが、文部省は最近の通達で一つは人件費、人間の面ではパート化、それから共同調理の拡大、民間委託等々によって、ある点では安上がり、効率がよいと言えば効率がいいということになりますが、そういう方向に切りかわっていく。ということは、給食がずっと戦前から戦後長い歴史を経て教育の一つとしてここまで発展してきた点からいうと後退の感じは免れないと私は思いますが、この点については御見解はいかがでしょう。
#262
○松永国務大臣 学校栄養士さんがいらっしゃいますね。六十年度の予算編成に当たっても学校栄養士の国庫負担の問題が一応出たわけでありますけれども、そこに担当主計官がいらっしゃいますけれども、理解を示していただいて、学校給食が大事だということで栄養士につきましては二分の一国庫負担という現在の制度をきちっと認めていただいてその予算措置がなされておるわけであります。その栄養士さんが学校給食の献立をつくる、一週間を通じてのメニューを考えていただいておるということで、内容につきましては納得のいく昼食を子供たちに食べさせられる、こういうことになっておるかと思うのであります。問題は、そういう調理その他の、あるいは運搬もありましょうが、人件費等につきましては、合理化する余地があるならばできるだけ合理化をして経費のむだは省いてもらいたい、こういうことであるわけです。その経費というのは結局は市民、国民の負担でありますから、市民、国民の負担が過大にならないように、税金のむだ遣いはしないというのは大切なことであろうと思いますので、そういう趣旨での通達であったわけでして、中身を粗末にするとか、あるいは教育上のプラスの面を少なくするとかそういう気持ちはさらさらないわけであります。内容はきちっと充実する、しかしむだは省く、こういう考え方でこれからの学校給食は進めてもらいたい、こう考えておるわけでございます。
#263
○辻(一)分科員 私は、福井県の学校の給食調理員の皆さんがこんなメモを書いて出しているのを見たのですが、非常に心打たれたので、簡単ですから読み上げてみますが、「おいしかったよ。ほんとうに。――心をむすぶあったかい給食――」「……子供と私……」というので、
  学校にいく時あるいは廊下で子供たちにあうと「オバチャン、今日はナーニ」と問われます。
 「シチュー」「カレーライス」「おすし」「コロッケ」「タマゴ焼き」「ハンバーグ」こたえるたびに子供のハシャイで喜ぶ姿、ちょっとしょげるしぐさ「大丈夫おいしいのをつくるよ…」とはげます。「ホント…」と元気に走っていくうしろ姿を見ていると、知らず知らずの内に元気が出て仕事のやりがいを感じます。「オバチャン、おいしかったよ、アリガトウ」とおほめの言葉「あゝよかった」とつかれも忘れます。
 これからもこの可愛いい子供たちのために、安全でおいしい給食をつくり、すくすく育ってほしいと思います。私は単独校の給食の仕事ができて本当によかった。
という給食調理員さんの手記なので、私、これを見て非常に心がほのぼのするのですが、給食は教育であるというその中身は、教師と子供の触れ合いと同時に、また日本人の食事を心を込めてつくってそれを食べさそうとする、そしてそれをつくってくれる人に対する感謝、こういう心のつながりという、温かさというものが、本当に教育的な効果というものを上げるのではないかと思うのです。
 こういう点で、単独校でやれば確かに経営費が、集団で共同でやるとか民間委託よりもかかるでしょうが、教育的な効果からいえば、こういうのが望ましいのではないかと思いますが、その点このメモを聞いていただいて、感じはいかがでしょうか。
#264
○松永国務大臣 子供たちが食事をつくってくれた人に対する感謝の気持ちを持つということは、大変すばらしいことであると思います。家庭においては朝御飯、夕御飯、恐らくお母さんがつくってくれるのだろうと思いますが、それを食べる子供たちはやはり親に対する感謝の気持ちを持つだろうと思いますし、持っていただきたいものだ、こういうふうに思います。
 昼食について、今言った炊事担当の人がつくってくれたその学校給食がおいしかった、つくってくれた人に対する感謝の気持ちを持つということは、すばらしいことであると思います。ただ、給食担当の人が、職員が仮にパートであったとしても、やはり心を込めてつくってくださるのでしょうから、同じように感謝の気持ちは持っていただけるのじゃなかろうか、こういうふうに思うわけでありまして、常勤の職員がつくったものであろうと、あるいはパートの人がつくったものであろうと、子供が感謝の気持ちを持つ面においては変わりはないのじゃなかろうか、こういうふうに思います。
 いずれにせよ、実情に合わせてむだの省ける点があったら省いてもらいたい、こういうことなのでありまして、学校給食の持っておる本来の意味というものを縮減してまでやれという意味ではないわけでありまして、実情に応じて各市町村で、経費の節減合理化を図りながら、学校給食の持っておる教育的な意義を立派に果たすような学校給食を進めてもらいたい、こういうふうに希望しておる次第でございます。
    〔主査退席、船田主査代理着席〕
#265
○辻(一)分科員 これを突っ込むだけの時間が余りないようなんですが、もう一つ私は、今パンのお話が出ましたが、給食の米飯という観点からちょっと考えてみたいと思うのです。
 というのは、パンよりも米飯をつくる方が少し複雑である。したがって、簡単にということになれば、どうしてもパンになる。そうすると、民間委託や共同の調理場ということになると、どうしても、簡便でありますからパンの方に傾いていくのではないか。価格も事実として安くなりますから、そういう傾向が強くなるだろう。そこで、日本の民族というものが二千年近くずっと長い歴史を経てきましたが、米食民族としてやはり非常に発展してきたと思うのです。一時は、戦後米がないときにパンがはやって、今度は米を食べると頭が悪くなるとか、それから体力がないとかいうようなことを言われた時代もあったのですが、そういうことはないわけであって、今文部省も米飯給食というのをやはり一歩、半歩進めておるわけですね。私は結構だと思うのですが、恐らく、民間委託や共同センター方式になれば、米飯よりもパンへという方向になってくるのじゃないか。そのときに、次を担うところの次代の国民である幼い子供たちは、胃袋の中に米飯を一遍入れて育ってもらうということが日本の民族として、日本人として大変大事ではないか、一升飯をたくさん食べるということではなしに、大事ではないかと思うのです。そういう意味で、米飯からだんだんと離れていく傾向がこれからの給食の中に出はしないかということを懸念しますが、この点についてはいかがでしょうか。
#266
○松永国務大臣 私は今、日本人が御飯を食べる回数が少なくて、そしてパンを食べる回数がふえてきておる、若い人に、学校給食で小中学校時代を送った人に多いような感じがいたします。私自身は、先生と同じ年代かもしれませんけれども、実は御飯を食べないというと飯を食った気がしないわけであります。したがって、外国旅行は余り好きじゃないわけです。今は宿舎に泊まっていますが、家におるときも、子供や女房はしばしば朝からパンなんでありますが、私だけは御飯とみそ汁とおしんこ、これがなければ何のために生きているのかという気持ちでありますから、女房と子供の朝御飯と私の朝御飯は別になっておる。一年三百六十五日、朝は御飯とみそ汁とおしんこ、昼もできるだけ御飯、夜はもちろん御飯、こういう行き方で私もおるわけでありまして、やはり日本人の伝統的な食べ物は、少なくとも食事は米飯である、こういうふうに考えております。したがって、今までも文部省は米飯給食の推進を図ってきておるわけでありますが、今後とも図ってまいりたい、こういうふうに考えております。
 なお、共同調理とかそうなってきますと米飯が減りはせぬかという御心配でありますが、最近は、米の炊き方も大量に炊ける新しいものもはやっておりますから、仮に共同調理方式になりましても、私は米飯は減らさずにいけるものだというふうに考えておるわけでありまして、今後とも経費の節減、むだの省きということはやってもらわなければなりませんけれども、米飯の推進というものは進めてもらいたいというふうに考えておるわけであります。
#267
○辻(一)分科員 パンの方が安くてつくりやすい、簡単だということで、調理の面から、簡便性からいうとパンが楽なので、大量になればパンへ行く可能性が非常に強いということを私は懸念しますが、そういうことのないようにもう一度やってもらえれば一番いいことだと思います。
 それから、最近、給食で調理をしている人、調理員の人が、重い食器を持つというか、いろいろなことで指が曲がってくる、そういう症状が出てきているということがこの間の新聞にもかなり出ておったわけですね。これは、ある全国の組織が調理員をずっと相当数にわたって調査をした結果、一三%の人に指が曲がっている状況が出ている、それから女性の場合には一五%である、こういうような状況が出て、原因を探ってみると、まだ詳しくはわからないが、一つは、指先に力を入れて重い物を持つ、あるいは冷たい水の中でいろいろ洗い物をする、そういうことが重なっていくのじゃないか、こういうように言われておる、これが一つ。それから、私は前に教師をしておりまして、学校の教員室に寄った後、調理室へちょっと寄って給食の皆さんの顔を見るのですが、時間によっては非常に忙しくて、我々が行っても顔だけ向けて、やあという程度で、非常に忙しいときがございます。それから職業的に指が曲がるというような状況が出るほど重い物を持ったり、努力している。これを見ると、給食の皆さんが時間的に非常に余裕があって、むだな時間があるというようにも思えないのです。休憩する時間があっても、非常に多忙な時間があれば一定のそれに応ずる休養の時間が必要であるし、こういう点から考えて、給食に常勤で携わる人が時間的に非常にむだがあるというような見解が臨調や行管等々の報告で出ておるのですが、必ずしも当たらないのじゃないかと私は思いますが、この点はいかがでしょう。
#268
○古村政府委員 学校給食の実施されている日というのは一年間に、学校ですから夏休みもありますし、冬休みもありますし、春休みもある、そのほかに土曜日は学校給食はやりませんから、月曜から金曜、といいますと百八十日から百九十日なのですね。そうしますと、普通の地方公務員は働いているのが大体二百九十日ぐらい、その間はどういうことになるのだということで結局学校給食の実労働時間全体として何時間だということでとらえたわけでございます。したがって、そういった点から人件費の節約ができるのではないかというのが臨調からの指摘の内容でございます。
#269
○辻(一)分科員 もう時間が来てしまったので深く触れられませんが、私が実感するのではそんな時間があるわけではない。確かに学校は夏休みがありますから、その夏休みの間は学校の子供の給食というのがないのでそういう時間がありますが、全般をずっと見たときに結構忙しくやって、しかもこれは職業病と言っていいのかどうかわかりませんが、そういう新しい障害も出ているというところを見れば、働いている実態をなおよく見直していく必要があるのじゃないかということと、それから指が曲がっているという状況というのは、そういうことを調べたりするのは労働省等の仕事になると思いますが、どんな実態であるかということを役所の方も一遍把握してほしいと思うのです。
 それから、最後に一言だけお願いしたいのですが、私は、戦後、いろいろな縁があって中国に十数回行っておりまして、昭和三十一年ごろに中国の青年団との交流を始めた縁でしばしば行っておりましたが、四十七、八年ごろ、まだ国交回復の前後ですね、一時里帰りということが非常に難しかった時期がありますが、そんなのをいろいろお世話して、うちの県に二十三家族ほど昭和四十八年から五十二年ぐらいに一時里帰りで帰ってもらったことがある。そのときに痛感したのですが、そのときはまだ日本語を話せる年配の人がいました。ところが、今十五年とかたちますと、大体赤ん坊で一、二歳で中国の養父母に預けられたという人が多くて日本語が話せなくなってきている。そこで、今政府の方も非常に努力してやっておりますが、なかなか時間がかかる。帰国のおくれる残留孤児は日本語が話せないものだから非常にいら立って焦っている面がある。
 そこで、中国の現地で日本語を習いたいという希望が相当あるんです。ボランティアで行っている福島の方のお話を聞きましたが、なかなか大変で、現地では授業料が四百元、四万円。月給が五十元から七十元までと見ると、その授業料は一年間相当大きいので、残留孤児が希望しても簡単にはいかない。この点を考えると、政府の方から日本語の教師を派遣してそういう残留孤児の期待にこたえるべきじゃないかというように思いますが、この点を伺って、終わりたいと思います。
#270
○大崎政府委員 先生御指摘のように、現在中国では日本語の学習熱が非常に高まっておるというふうに承知をいたしておりまして、外務省の資料で見ますと、現在いろいろな形で学習をしている者が二万一千人ほどにも上っているということでございます。私どもといたしましては、一つは、中国から受け入れる中国政府の派遣留学生につきまして現地で予備教育をやっていただく、その予備教育をやっていただく際に、こちらから日本語の教員あるいはその他の基礎的な専門科目の教員を国際交流基金の御協力で派遣をいたしまして、現地での日本語教育の実施をいたす、あるいは中国人の方で向こうで日本語を教えておられるあるいは教えようとされる方を留学生としてこちらにお招きするというような努力を現在いたしておるわけでございます。また、国際交流基金でも中国人の日本語教師の方の養成、研修という観点から教員派遣もやっておられますので、私どもといたしましても教員の選考その他お手伝いをいたしておるという状況にございますが、今後とも、せっかく日本語学習の意欲が高まっているところでもございますので、関係機関と協力をしながら努力をしてまいりたいと思う次第でございます。
#271
○辻(一)分科員 これで終わりますが、ぜひひとつ問題提起として受けとめていただいて、日本語教師の派遣についてはなおひとつ考えていただきたいと思います。
 終わります。
#272
○船田主査代理 これにて辻一彦君の質疑は終了いたしました。
 次に、村山喜一君。
#273
○村山(喜)分科員 大臣、昭和四十八年の三月七日、ちょうどきょうの日なんですが、私は学校の統廃合の問題で当時奥野文部大臣にいろいろ質問をいたしました。そのときに安嶋初中局長の方から三十一年の十一月に事務次官通達で、昭和三十二年に「学校統合実施の手引」というのを出しておるというような話がございまして、当時の説明でも学校の統合というのは地元の住民にとっては非常に大きな関心事であるし、影響するところが大きいので十分に住民の納得を得て実施するようにということでございました。その後、これらの国会の論議を踏まえて、今度は四十八年の十月に初中局長名で各都道府県の教育長等に通達をお出しになったというふうに承っておるわけでございます。その後、この学校統廃合に関しましての通達が出ているかどうか。この点は、四十八年十月の通達は私も内容的にはここに持っているわけでございますが、その事実関係をひとつ担当の局長の方から御説明をまずいただきたいと思います。
#274
○阿部政府委員 ただいま先生からお話がございましたとおり、昭和三十一年に当時の中教審の答申を受けまして、学校統合をできるだけ円滑に、なおかつ推進をしていきたいという通達がございました。以後、統合の実態等を見まして昭和四十八年九月に、統合を進めるに当たって特に無理に統合するとかそういうことのないように、あるいは地域住民と十分話し合って納得ずくでやるようにというようなたぐいを注意する趣旨の通達をいたしたわけでございますが、その後は特別の通達をいたしておりませんので、これが文部省の方針として生きており、各県でそれに基づいて措置が行われていると思うわけでございます。
#275
○村山(喜)分科員 実はこれは私の地元で起こっている問題でございますから、国会の中で取り上げるのもどうであろうかというふうに考えながらも、なおこの新学期を目の前にいたしまして、また登校拒否というような不祥な事態が生まれる可能性が現実に出かかっているというようなせっぱ詰まった状況の中で統廃合の問題が出ておりますので、この中で明確にしてまいりたいと考えるわけでございます。
 そこで、いろいろな統廃合についての経過がございましたが、五十八年の議会で改選期を前にして統廃合をするということが決定をされて、それから今日まで何回かの話し合いはありましたけれども、昨年の暮れにはその地域住民が長い間愛着を持っている校区の人たちが子供たちの登校拒否まで含めた形で学校を守りたいという強い意思表示が行われました。その後町長を交えての何回かの教育委員会等の話し合いの中で、ことしに入りましてから二月二十一日の日に、そこには教育長それから教育委員長それにあと二人の教育委員が出てまいりまして、今までの教育委員会の対応は地元PTAや地域住民に対して申しわけなく思っておる、また地域の皆さん方の意向に沿えることを約束するということを言われて、教育委員長が東中と霧中の統合を取り消す建議を町長に提出をするという約束をした。そして、このPTAの会長の協力をいただきたいという話をいたした。そしてまた、町長も教育委員会の方からそういう建議があった場合には直ちに答申をして議会に諮りたいということを約束をしておるわけでございますが、そういう前向きの答弁がなされたということで、いろいろプラカードや立て看板なんかを立てていたのを全部撤去しまして、PTAや住民の人たちもこれでよかったということで一安心をしましてなにしたところが、二十三日になりましたら、四月の統合は変更はしませんということで町当局や教育委員会、議会が決定をした。住民は裏切られたといって校区民の人たちは大変憤慨をする、こういうような状態が出てきている中で、町の教育委員会は東中の廃校の申請を県の教育委員会に出す、もう人事異動の原案をつくりつつあるし、町の方もスクールバスを買うことに方針を決めておるので今さら変更するわけにはまいらない、こういうような理由のもとにそういうことになったわけでございますが、このような事態は明らかに、四十八年十月に出されました文部省初中局長の通達を読んでみましても、「小中学校の学校統合については教育的見地から充分検討し慎重に行なうよう」ということで、「学校規模を重視する余り、無理な学校統合を行ない、地域住民等との間に紛争を生じたり、通学上著しい困難を招いたりすることは、避けなければならない。」というようなことが言われているわけでございます。そして「学校統合を計画する場合には、学校のもつ地域的意義をも考えて、充分に地域住民の理解と協力を得て、行なうよう努めること。」というのが現実には守られていないところから問題が発生いたしているように私は見受けるわけでございまして、PTAの幹部の皆さんとも先週帰りましたときにお会いをしましたが、こもごもそれらについて何とかならぬのかという強い陳情を受けました。
 そこで、今日現在の時点において問題の解決をどうしたらいいかということで私もいろいろ考えてみたわけでございますが、これらの事情について鹿児島県の教育委員会を通じて把握をしておいでになるのかならないのかをまずお聞きしたい。
    〔船田主査代理退席、主査着席〕
#276
○阿部政府委員 いわゆる学校統合の場合には、通常はその統合地に新しい学校施設を建てるということがあるのが普通でございまして、したがいまして、文部省の国庫補助金と絡んでくるということから、一般の場合にはかなり前から、統合の計画があると、その状況がこうなりつつあるというようなことを文部省に御連絡があるのが普通でございまして、いろいろ紛争と申しますかもめごとになったケースはございますけれども、大概の場合にはかなり前から状況を聞きながら文部省としてもいろいろ助言等もするわけでございますけれども、今回の鹿児島県の先生御指摘のケースは片っ方の中学校へ片っ方が行くというだけで施設の整備等が全く必要でないということでございますので、これは各市町村の教育委員会が統合を決め、それを県の教育委員会に届け出ればいいということで、県、市町村の段階で完結してしまう事柄でございます。恐らくそういうことであろうかと思いますけれども、私どもの方に十分な御連絡は今までなかったわけでございまして、本日この御質問があるということで今先方に若干問い合わせ等をしている最中でございまして、ただいま先生がお話しになった最近の状況も今初めて耳にしたようなことでございます。そういう意味で、十分実態を把握しておるという状況にないということをお答えさせていただきます。
#277
○村山(喜)分科員 どうもこの姿を見ておりますと、初めに統合ありきで、しかもそれは吸収統合という格好でございます。ところがこの学校は、地域の住民たちが奉仕作業で校庭を開き、そして山から木を切り出して労力奉仕をやってつくった学校なんですよ。それだけに愛着を持っておる。そして、通学距離も、統合されますと大分長く十キロ以上になる生徒も出てくるようでございます。スクールバスを走らせるから大丈夫だと言っておりますが、それだけに簡単に割り切れないものがございます。
 そこで、この際そういう登校拒否、そして新学期からはトラブルが発生をするというような事態は避けなければならないと私は思うのです。
 そこで、解決の方法は二つしかないじゃないかと思います。
 まず第一は、もう議会でも議決し、県の方にも廃校の届け出を出して、そして着々として行政的には進んでいる。この場合に、住民が幾ら反対をしようが何しようが押し切っていく。しかも、これは学校区をそれぞれ定めていますが、現在十九名が学校の校区を定めた規則に違反をして潜り入学をしているわけですね。そういうような事態を解決してもらいたいという要請があったのだけれども、それも解決をしないで今日に至ってこういう状態になった。このことを考えますと、そういうことで行政の意思として、議会の意思として押しまくっていくという解決の方法が一つあろうと思います。
 もう一つは、そういう準備もし議決もされたけれども、十分に話し合いがまだなされていない。だから、納得をした上で統合をすべきであるということで一年間の猶予ぐらいを考えた上でやっていく、そういうような指導の方法もあるであろうと思うのであります。ですから、そこら辺を教育的な配慮というものを中心に置きながら、私は、適切な指導をすべきであると考えるわけでございますが、大臣、これについての御所見はいかがでございましょうか。大臣が答えにくければ担当の局長の方からお答えいただきたいと思います。
#278
○阿部政府委員 先ほど来先生が御引用になっております通達にもございますように、文部省といたしましては、従来から学校の統廃合につきましては、特に地域住民の理解と協力を得て行うようにということを、基本的な指導方針として対応してまいったつもりでございます。今回の件につきましては、私どもの乏しい資料で見ましても、かなり長い間、既に十年、二十年という長い経緯もあるようでございますし、その間に具体にどんな話し合いでどういうことが行われてきたかという実態をつかんでおりませんので、にわかにこの段階でどういう方向ならばということを申し上げるだけの用意がないわけでございますが、いずれにいたしましても、できるだけ早い時期に県を通じまして状況等を十分聞きまして、また内容いかんによって私どもが助言等が行えるようであれば、必要な助言を行うということはやってみたい、こう考えるわけでございますが、いずれにいたしましても、事情把握のための時間をちょうだいいたしたいと思うわけでございます。
#279
○村山(喜)分科員 この問題はこれでおきますが、教育を受ける子供たちが、まともな教育が受けられるような、そして子供たちの希望が十分にかなえられるようにぜひ御努力をお願いをしておきたいと思います。
 大臣、もう一つの問題は、学校のプール建設をめぐる問題でございます。
 これは、一つは新聞にも大きく報道されまして、五十九年五月三十日の高裁判決でございますが、東京高裁の判決として一億三千百万円を市は払いなさいという、いわゆるプールの指導が不十分であったということを理由に、学校災害が発生をしたことに対する補償が、判決が出ております。それから、ことしの二月二十日に「小学校プール、八十センチでは浅い」「文部省基準は時代遅れ」だという意味の、これは表示でございますが、これによりまして児童への賠償を命ずるという大分地裁の判決が出ております。
 そこで、お尋ねをいたすわけでございますが、文部省が基準をつくった、四十一年の四月に作成をいたしました「水泳指導の手引き」書の中で、「八十センチ以上」と書いてある。これは私もいろいろお聞きをしてみますと、それは目安であって一つの例示にすぎないと、基準といってもそういう拘束力のあるものではないというような話を聞きました。しかしながら、学校プールをつくる場合には、文部省の方から補助金も出ているわけでございますし、それに対して地方の方も財政負担をそれに裏打ちをいたしまして、プールをつくるわけでございます。したがいまして、やはりそこには建設単価が決まり、大体の規模の広さが決まっていくならば、水深はどれだけだということで、水深が深くなればなるほど建設費も余計要るわけでございますから、それの平米当たりの補助単価を決める場合には、勢いそこに基準というものを設定をしてやるべきものではなかろうかと私は考えるわけでございます。
 そういう中で、これは具体的な事例として、プールをつくるに当たっては、学校現場の子供たちのことを考えて本当にプールをつくっているのだろうかという内容の分析をした資料がございます。
 それを見てみますと、例えばプールの四隅に水を入れる、そのパイプが鉄でできている、子供が遊泳をしまして、そして頭をひょっと持ち上げたときに、鉄でつくっているパイプですから、それに頭をぶつけたらどうするのだというような、それをなぜビニールに、けがしないような配慮をしてくれないのか。それから、浄化装置を取りつけたときに、満水にしなければ働かないような浄化装置であった場合には、それに逆流防止装置が必要だ、そういうような装置は全然ないじゃないか。それから水質保全の問題等もあるじゃないか。さらにまた、コースロープというものは単に仕切りをするだけのものじゃないのですよ、それは波消しの機能というものを備えているのだから、それにふさわしいものでなければいけないじゃありませんかとかというような問題が、具体的に学校の現場の方から上がってきても、これを建設するのは、市の場合であればそれぞれの機能を持っておりますが、町村の場合には町村が、行政当局がそれをやるわけでございますから、それだけの対応の仕方が、もう何を言うかと、おれたちがやるのをありがたく受けろ、こういうようなことになって、学校で実際、教育の重要な器材として、施設として使われるべきものが教育的な配慮がないままになされているということが指摘をされている。
 それとかてて加えて、八十センチでは浅くて、損害賠償を受ける場合には、支払いをするのは教育委員会じゃなくて、今度は地方自治体が支払いをしなければならない、こういうことになってまいりますると、二十年前につくったその基準であるかあるいは例示であるか目安であるかわかりませんが、現実にこういうような問題が出ている場合は、やはりそれなりに児童生徒の体位が向上しまして、それにふさわしいような基準というものをひとつお考えになるのが本当ではなかろうか、こう考えるわけでございますが、いかがでございましょう。
#280
○古村政府委員 市町村が水泳プールをおつくりになるときに、そのプールが教育的に有効に働くということを基本に考えてつくらなければならぬということに相なろうかと思いますが、従来から、昭和四十一年に文部省でプールの施設の手引を出すまではそういったものがなくて、市町村である程度いろいろな経験からつくった。そのときに、地方公共団体の方で、もう少し何か目安的なものをつくってくれというお話がありまして、水泳の関係者、教育行政の関係者あるいは日本水泳連盟の人というふうな有識者の方々に集まってもらってつくったのが、現在の御指摘の基準でございます。
 そこで、八十センチの問題が、裁判では八十センチメートルが浅いのではないかという疑問符を打った指摘でございました。現在その手引に書いてありますのは、小学校のプールは八十センチから百十センチ、そういった手引の参考基準を出しているわけでございますが、これは小学校一年生から六年生まで使うプールでございます。したがって、一番浅いところが小学校一年生として安全であるかという基準、そこを考えなければならぬ。そしてそのときに、飛び込みで事故が起きたわけでございますが、これはまさに、それでは飛び込みの指導に万全な備えがあったのかどうかということを考えなければならぬのだというふうに思います。したがって、先ほど御指摘いただきました二つの判決におきます事例におきましても、横浜の事件の場合は、これは走りながら飛び込ませたという事件でございます。それからこっち側の方は、非常に大きい子供に浅い飛び込みを本当は指導すべきであるのにそこのところが十分ではないというふうなことも伺っておりますが、プールの構造そのものからきた過失、そういったものではなくて、やはり綿密な指導というものが必要であろうというふうに思うわけでございまして、「水泳指導の手引き」というものを大分前につくったのが大分古くなりましたので、現在、有識者を入れた会議で鋭意検討しておりまして、大体成案ができましたので、近いうちに出しますが、そこでも、そういった点では安全に十分配慮をする上での指導ということに重点を置いているわけでございます。
#281
○村山(喜)分科員 時間がなくなりましたので、最後に大臣からお答えをいただきたいと思います。きょうは自治省もその関係で来ていただいたのですけれども、学校の教育指導の結果そういうような問題が出てきた、構造物には問題はないんだというようなお考えがあるようでございますが、しかしその結果そういう災害が発生をして、補償をするのは市町村なり自治体でございます。そのことを考えますと、単に指導がどうのこうのということじゃなくて、この際、構造物自体の問題、特に飛び込みの場合には飛び込み台の高さの問題と水深の問題、これとは関連性があるわけでございますから、そういうような問題もあわせ考えながら、さっき私は非常に小さな、給水管の鉄鋼製の問題にまで触れましたが、そういうような細かい配慮というものを、学校現場の方からも出てくれば、それはやはり教育的な配慮として聞き逃さないで、それをとらえながらプール建設を指導するとかいうような問題はやっていただかなければいけない問題じゃなかろうかと思います。
 そこで、教育をめぐる問題は山ほどあるわけでございますが、大臣、今私が統廃合の問題とプールの問題に限って文部省の考え方をただしましたが、これらの子供たちの教育に対する安全を守るという立場からどういう御所見をお持ちでありましょうか。それについての具体的な判決が出ている段階でございますので、もちろん横浜市の場合は控訴をしているようでございますが、結論は、最高裁に行っても負けるであろうと伝えられておる状況の中でございますので、大臣の御所見を承って、私の質問を終わります。
#282
○松永国務大臣 まず、学校統合の問題でございますが、これは先ほど局長がお答えをいたしましたように、長い歴史があるようでありますし、詳細の経過が必ずしも明らかでありませんので、明確な御答弁ができないわけでありますけれども、実情をよく調査して、教育の現場に混乱が起こらないような指導をしてまいりたい、こういうふうに考えます。
 それからプールの問題でありますが、先ほど局長がお答えいたしましたように、小学校一年生から六年生まで使うプールでありまして、余り深くすると小さい子供は泳げない場合にはおぼれてしまって、かえって問題が起こるということにもなりかねません。問題は、飛び込みをやらしたようでありますが、これは、常識的に言って、浅いところで飛び込みをやらせること自体が問題ではなかろうかと私は思います。判決文をちょっと見ましても、「飛び込みを教えるには安全性に問題があるのではないかとの疑いを否定しない。」こうなっているようでありまして、飛び込みなんというものは、やはり深いところで、安全なところを確認してからやらせるあるいは指導するというのが当たり前のことだというふうに、見ただけで私は感じたわけでありますが、いずれにせよ、水泳という子供の発育上大変有意義なスポーツでありますので、これからも水泳を通じての子供の発育を図っていく、あるいは体育を通じて体力を増進していくということは大事なことでありますが、問題は、その指導に当たる人の注意でございます。こうした事故の起こらぬように、先ほど局長も言いましたけれども、指導者の指導面につきまして、十分な安全がとられるように指導してまいりたいと考えますし、また施設につきましては、これは常々のことでありますけれども、安全性に留意した施設になるように考えていかなければならぬというように考えているわけであります。
#283
○村山(喜)分科員 終わります。
#284
○葉梨主査 これにて村山喜一君の質疑は終了いたしました。
 次に、水谷弘君。
#285
○水谷分科員 公明党の水谷弘でございます。
 かねがね我が党は創造性のあふれた人間教育を目指して取り組んでまいっているところでございます。今までの日本の目標というのは、欧米に追いつけ、追い越せ、これは教育だけではなく、日本の社会全体が一つのそういう大きな目標に向かって前進してきたことは間違いないわけでありますが、いよいよ日本のあらゆる分野がいわゆるもうお手本がいない、我が国があらゆる分野において創造性を持って今後国際社会の中で貢献をしていかなければならない、そういう時代を迎えてきていると思うわけであります。
 今回の百二国会の中曽根内閣総理大臣の施政方針演説の中にも総理は触れられております。「二十一世紀の新たな発展を目指して前進していくためには、創造的な科学技術を創出していくことが重要な課題であり、また、国際的な科学技術協力の一層の展開により、世界経済の活性化、さらには人類の発展に寄与することが求められております。今後、民間活力が最大限に発揮されるよう基盤を整備し、また、産学官の連携を図りながら、科学技術の振興に、一段と力を尽くしてまいります。」このようにおっしゃっております。ここでは、各般の問題の中で科学技術を重点的に取り上げておられます。
 そこで、大臣にお尋ねいたしたいわけでありますが、大臣も所信の中で学術研究ということに触れられて、「大学を中心とする学術研究の発展は、科学技術を初め、国家社会のあらゆる分野の発展の基盤を形成するものであります。」こういうふうに科学技術研究を非常に重要視されておられるわけであります。私は、その中で大学教育、そしてその大学教育の中における教育と研究、さらにはもっと進んだ学術研究、こういう視点から何点かにわたって大臣の御所見をお伺いしたいわけであります。
 まず、冒頭、所信に述べられております科学研究、それから学術研究に対する基本的な大臣のお考えをお伺いしておきたいと思います。
#286
○松永国務大臣 我が国が今日世界有数の工業国家として発展を遂げ、また日本の経済が自由世界第二位という大きな経済となり豊かな国になり得たその原動力をなすものは、日本における科学技術の発展であり、またその科学技術を有効に活用してきたからであると思っております。
 ところで、今日までの日本で活用されておる科学や技術というものは、どちらかというと、その多くが他の諸国が研究し開発した科学や技術を日本が導入して、それにいろいろな改良を加えた科学や技術が大部分であったと思うわけです、しかし、これから先を考えますと、日本が独自の科学の分野で研究開発をしていく、あるいは日本独自の技術を発展させていくということが大事になってくるわけであります。そして、世界、人類に貢献するようなすばらしい科学あるいは技術の開発というものが日本がある意味では国際社会において信頼を得、尊敬を得るために大切であると考えます。そういう考え方で大学における科学技術に関する教育あるいは研究機関における科学技術に関連した研究の推進に取り組んでおるわけでありますが、大学教育におきましては、一面においては基礎的な幅広い能力を身につけた人材を養成する、そして創造的な能力を備えた技術者や研究者の養成を図っていく、こういうことに力を入れていく必要があるわけであります。同時にまた、いろいろな研究機関で研究をしていただいておる研究者がより一層新たな研究が進められていくように研究者の研究に対する助成もしていかなければならぬ。こういったことを通じて日本の科学や技術をより一層発展させるということがこれからの我が国の教育に関連する施策として、また技術の発展のための施策として重要であると考えまして、今までもいろいろな配慮をしながら予算措置等をしてまいりましたけれども、今後ともさらに一層その面の充実を図ってまいりたいと考えておるわけであります。
#287
○水谷分科員 大臣のお考えはよくわかりました。
 私ども今ちょうど党の教育改革のいろいろな議論をしておる中で、大学教育を中心にしながらも、日本の科学技術教育ということについて取り組んでいるところでございます。
 そういう中でいろいろ議論が出てまいりますのは、やはり大学における研究と教育というものの位置づけを明確にしていくべきではないか。もう一歩踏み込んで申し上げれば、大学がもっと教育に力を入れていかなければならない。また、科学技術という観点から見ますと、我が国がいろいろな分野で指摘をされておりますのは、いわゆる基礎科学、基礎的な部分における諸外国のレベルから非常に劣っている、こういう点であります。いわゆる結果を焦るといいますか、積み上げていくしっかりとした科学教育を基盤にした上で、そこから技術開発が行われていく、こういう大学教育における教育と研究というものの位置づけをしっかりしていかなければならないのではないか、今こういう議論をしているところでございます。
 もう一つは、研究の部門におきましても、どうしても、現在科技庁を中心にして文部省、科技庁力を合わせられていわゆる先導的な研究分野に対しては重点的に研究費も割り当てられまして相当進めておいでになります。しかし、これからの国際社会に貢献できる創造性を持った豊かな科学技術の振興を図るという場合には、余りにも効率化、それからまた間口を狭めたそういう重点的な研究開発というものに傾斜しすぎますと、総合的な我が国の科学技術の前進とか、また幅広いすそ野の中から優秀な研究者が生まれてくるという部分において非常に心配が予測されるわけであります。むだがあっていいのではないか。そういう中から立派な研究者が生まれてくるんじゃないか。徹底した研究の中からのみ立派な研究が果たして生まれるのだろうか、こういうものがあるわけでありますが、そういうことについての大臣の御所見で結構ですから、お伺いをしたいと思います。
 もう一つ、今我が国から頭脳流出というようなことが再三言われているわけであります。ノーベル賞を受賞されました江崎先生とかいろいろな方々が、本来ならばもう我が国にお帰りになって日本の教育研究に大きく貢献をしていただきたい、しかしながら国内の受け入れ体制がないのだ、こういうようなことも言われております。私見を交えて今質問をしているわけでありますが、御所見をお伺いしたいと思います。
#288
○松永国務大臣 現在における我が国の科学や技術についての大学における教育あるいは研究機関における研究、まあ決して慢心するわけにはまいりませんけれども、しかし相当程度に達していることは事実であります。例えばこの一月八日の午前四時何否かに打ち上げられたハレーすい星探査のためのさきがけ一号、あれは九八%日本の技術で日本の技術者が製造したロケットによって打ち上げられたわけでありますが、固体燃料で打ち上げられた惑星なのでありますけれども、諸外国の人が来まして、これはすばらしい日本の技術であると舌を巻いて驚いておるような状況でありまして、それほどの技術の力あるいは科学の力を日本は持っておる、こういうことも実はあるわけであります。その前身は東大の宇宙科学研究所でありますか、今では文部省の共同研究利用機関でそれをやったわけでありますけれども、そういうようなことで着実に成功をおさめ、発展をしつつある分野もあるわけであります。我々としては、そうした成功を踏まえて、今後とも大学における幅広い能力を身につけた、基礎的な科学あるいは技術の分野で活躍できるような人材の養成、そして研究機関における研究者の研究、こういったものを大いにひとつ推進していくように今後とも努力をしていきたいというふうに考えているわけであります。
#289
○水谷分科員 大臣のおっしゃることはまことにそのとおりだと思いますが、より一層の進展を期待しながら、次に移らせていただきます。
 五十九年、昨年の十二月十九日、家庭科教育に関する検討会議の報告が出されております。婦人に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約、この批准のための国内法制等の諸条件の整備を進める、その中で、家庭科の履修のあり方、これが検討を要請されて、今回こういう報告が出たわけでありますが、種々議論がなされているところであります。今後の臨教審の方向、またいろいろな議論を尽くされてその方向が決まるわけですけれども、その結論的な報告の中に、(1)と(2)と二つ出てきているわけでありますが、いわゆる「男女とも、「家庭一般」を含めた特定の科目の中から、いずれかの科目を必ず履修させることが適当と考える。」というのが一つで、もう一つは「「家庭一般」と他教科の科目を組合せ、その中からいずれかの科目を選択必修させる方法。」こう二つ、大別して出てきているわけでありますが、私は、現在の社会のいろいろなひずみやら、家庭内の問題、そういうものを考えたときに、従来の「家庭一般」がそのまま男子に当てはまるかという議論はもちろんありますけれども、男女ともやはり「家庭一般」のほか、衣食住、保育、こういう内容を重点にした新しい家庭科の教育というものはどうしても必要であろう、こういうふうに考えているわけでありまして、今、いろいろなことで父親の存在というものが家庭の中から影が薄れ、そこが少年非行の問題やら、いろいろな原因になっているのではないか、こういうのが大きな議論になっているわけですが、私が高等学校、中学校で育ってきた過程の中で、やはり我々の時代にもこういうふうな家庭科教育は望ましかったなというふうに今感じております。そういうことで、これから種々議論をされ、これが実施に移されるまでには数年の経過が必要なのでありますが、ぜひこの(1)の方向で文部省の今後の取り組みを進めていかれるべきではないか、このように考えておりますが、お考えをお伺いをしたいと思います。
#290
○高石政府委員 今御指摘がございましたように、検討会議は二つの内容を示唆しているわけでございます。そのいずれの方法を採用するかは、高等学校の教育課程の全体のあり方の中で考える必要があるということで、今後教育課程審議会での審議にゆだねたい、こういうような結論になっているわけでございます。したがいまして、今の時点で(1)、(2)のうちのどちらをとるかというようなことについては、まだ文部省としても方針を持っているわけではございませんし、教育課程審議会にその結論を出していただきたいと思っております。
 しかし、要は、男女とも立派な家庭人としての役割が十分に果たせるような形での教育をやっていきたいというふうに思っているわけでございます。
#291
○水谷分科員 大臣のお考えはいかがでございますか。
#292
○松永国務大臣 ただいま初中局長が申したのと同じ考えでございます。
#293
○水谷分科員 この段階でそれ以上は申されないとは思います。しかし、これは家庭だけではなくて社会、また人生という、非常に人間教育の基幹にかかわる問題でございますので、いろいろな審議会の経過を踏まえながらも、どうかひとつ文部省は全力的にお取り組みをいただきたい、このように考えます。
 それから、次の質問に移りますが、昨年の百一国会のこの分科会でも私が要望いたしました。その前に、昨年、私の地元の小山工業高等専門学校、このことを取り上げまして、小山工業高等専門学校に情報工学科の設置をぜひ図っていただきたい、こういうことで強く要請をしたわけです。この六十年度の予算の措置の中で、小山工業高等専門学校の中に電子工学科が新たに組み込まれてまいりました。このことについては、文部省のお取り組みに対して感謝を申し上げたい、こういうふうに思っております。大変厳しい状況の中でこのような措置を講じられたことに対して敬意を表するものであります。それが、順調にその専門学校の中で発足をして、大きな成果を上げられますように、これからもひとつ文部省のバックアップをお願いをしておきたいと思います。
 同時に、そのときにお願いをしましたのは、宇都宮大学の人文社会学部の増設、人文系統の学部をぜひ宇都宮大学に設置を進めていっていただきたい、こういうことで御要請をしたわけです。残念ながら、六十年度の予算措置の中にはこれは入っておりません。我が県といたしまして、県の最重点政策の一つとして宇都宮大学の整備拡充をぜひ図っていただきたい、こういうことで国に対しても県を挙げてお願いをしているところであります。宇都宮大学には、現在教育学部と工学部、農学部の三学部がございます。そして、地元の大学の状況を考えますと、どうしても新たに人文社会学部を持った大学を宇都宮を中心とした地域に、どういう形であれ、なかなか難しく、宇都宮市においては、私大の誘致の大変な御努力がありましたが、残念ながら種々の要因がございましてこれが実現いたしませんでした。そういうことを考えたり、また、特に六十年度のいわゆる卒業者の中で、大学進学希望者が五千二百三十八名、三二・三%、そのうち、人文社会科学部に希望している数が二千八十六、これが栃木県のデータでございますが、全体の三九・八%、こういう非常に高い率になっているわけで、ぜひ地元の大学でと、お嬢さんをお持ちの御父兄なんかは特に強い要請があるわけです。ぜひその方向に向かって文部省のお取り組みをお願いしたい。また、どうしても今、いわゆる工業、科学技術、そういう方向に重点的に力が入っておりますけれども、栃木県の現状をいろいろ考えてみますと、この人文社会科系の学部が地域社会にとっても大変必要になってきている、こういうふうに考えているわけでございますが、文部省のお取り組みをお願いする、質問というよりもお願いをするような形でございますが、御所見をお伺いいたしたいと思います。
#294
○宮地政府委員 先生から昨年もそのことについてお尋ねがありまして、その際も、現下の情勢その他御説明を申し上げたわけでございます。
 先ほど御指摘のとおり、小山高専については、電子制御工学科ということで一学科新設することで、大変厳しい状況でございましたけれども、対応してきたわけでございます。
 人文系の学部についてどういう整備をするかという基本的な問題があるわけでございまして、確かに御指摘のように宇都宮大学自身の学部構成から見て、宇都宮大学側で人文系の学部をという希望があることも、私ども承知しているわけでございます。ただ、地域のそういう非常に強い御要請を受けて整備をする場合に、国立大学の学部として整備をするということだけで物事を考えていくべきかどうか、そこもやはり一つの課題ではないかと私ども考えておるわけでございます。
 先般の際にも、いわゆる第三セクター方式といいますか、そういうような形で地域の御要請を受けた形で、私立大学がそれぞれ県なり市町村なりの協力を得て、大学なり短期大学なり必要な高等教育機関を整備していく具体例は、これは相当数現実問題として、そういう形で現実の解決を図っていくという方向がいろいろ見られているのもまた現状でございます。確かに、お話しの宇都宮での私立大学の誘致の動きその他のこともあることは、私ども事柄としては伺っておるわけでございますが、今のところ、その点が必ずしも十分でないというような話も伺っております。
 いずれにいたしましても、そういう高等教育機関の整備をどう進めていくかということの全体の中でこの問題については取り組まなければならない課題ではないかというぐあいに考えておるわけでございまして、かねて大変強い御要望があることは十分承知をしておるわけでございますけれども、そういう以上のような点を踏まえて、宇都宮大学のいわゆる新しい人文系の学部の創設の問題についてはなお検討を要する課題が多々あるということが現状ではないか、かように考えております。
#295
○水谷分科員 いろいろ検討を要する課題がおありになると思いますけれども、ぜひひとつ実現ができますように最後にお願いをして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
    〔主査退席、船田主査代理着席〕
#296
○船田主査代理 これにて水谷弘君の質疑は終了いたしました。
 次に、上原康助君。
#297
○上原分科員 大臣ちょっと席を外していますが、始めておきたいと思います、限られた時間ですので。
 いわゆる過密校というのが、全国的に小、中、高どのくらいあるのか、まず御説明をいただきたいと思います。
#298
○阿部政府委員 先生おっしゃいましたのは、私どもいわゆる過大規模校と言っておりますものであろうかと思いますけれども、全国的な数字といたしまして、ただいまうろ覚えで申し上げますが、約二千校。三十一学級以上のものということで、小中学校で約二千校であったかと思います。
#299
○上原分科員 今のは小中学校ですね。
#300
○阿部政府委員 はい。
#301
○上原分科員 高校の方はどうですか、高等学校は。
#302
○阿部政府委員 小中学校につきましては、学校教育法その他の法令によりまして学校の標準規模というのが決まっておりますので、それとの対比におきましてこれは過大規模校であるというような判断をするわけでございますけれども、高等学校につきましては、この学校の規模をいかにするかという問題は設置者に任されておりますので、これが過大であるとか過大でないとか、標準そのものが定められてないわけでございます。そういう意味で、そういう形での大規模校ということがにわかに申し上げにくいわけでございます。
#303
○上原分科員 突っ込んだ議論をするつもりはないのですが、しかし高校の場合だって人員の適正規模というのがあるのじゃないですか。
#304
○阿部政府委員 小中学校の場合には、学校教育法の施行規則によりまして十二学級ないし十八学級というところが望ましい規模であるという規定がございますし、さらに公立学校の施設費の国庫負担法におきまして、学校統合の場合には二十四学級までという規定がございます。したがいまして、全体として十二学級から二十四学級といった程度のところが標準的な規模である、望ましい規模である、こう考えておるわけでございます。
 高等学校につきましては、義務教育でもないということもございますし、それからまた、生徒の年齢も相当の年齢に達しているということから、ある地域に学区等を限ってそれをやっていくというふうには必ずしもなっておらないわけでございますので、そういう意味で、ただいま小中学校について申し上げましたような標準という考え方がないわけでございます。
#305
○上原分科員 それでは、この大規模校というか全国で約二千校ぐらいある、これの解消というか解決策というのはどのようにお考えですか。
#306
○阿部政府委員 大規模校の問題につきましては、もちろんこれが適正な規模になっていくということが望ましいわけでございますので、かねてからその解消には努力してまいりました。私どもの方で、義務教育諸学校の小中学校の校舎の新増築については補助対象としているわけでございますけれども、大規模校を標準規模に近づけていくという形の申請につきましては、これを優先的に採択をするというようなことで対応してまいりました。特に、最近数年あるいは十年ぐらいの間は、毎年二百校ないし三百校の学校の新設を行っておるわけでございます。しかしながら、大規模校そのものは、一つには児童生徒の急増期にぶつかっていたということもございますので、解消しても解消してもまたできてくるというのが一方でございます。また、実際に解消いたします場合に、例えば一つの学校を、三十六学級のものを二つに分けて十八学級のものを二つにするというふうに具体にはいかないわけでございまして、五、六校の中学校等がある中に、真ん中に一つつくってそれぞれから数学級ずつ減らしてくるというような形で対応いたします関係上、毎年三百校を新設したから三百校過大規模校がなくなるというわけにはいかないというようなこと等がございまして、必ずしも十分成果を上げたというふうには数字の上ではなってこないわけでございます。しかしながら、児童生徒の急増期をほぼ通過をするという時期にもなってまいりまして、最近の状況で申しますと、先ほどの数字を若干訂正させていただきたいと思いますが、昭和五十九年度現在で千八百三十八校、五十八年度が二千百三十校でございましたので、この間に三百校余りが減少するということで来ておりまして、また今後ともこういう方向でこの大規模校解消の問題には努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
#307
○上原分科員 確かにこれは人口動向というか、児童生徒数の変化、変動にもいろいろ影響を受けると思います。
 余談ですが、昨晩のニュースでしたか、神奈川県下では学級が余って、保護というか、それをいろいろ工面する面があるというニュースもあったので、今おっしゃるようないろいろなばらつきというのはあると思うのです。しかし、この大規模校の解消問題は各都道府県にとって、あるいは人口急増地域にとっては大変な問題でして、限られた時間ですから、沖縄の場合はどうなっているのですか、小中校の場合。
#308
○阿部政府委員 沖縄の場合、一つは数の問題でございますけれども、日本全国の一般的な数字に比べますと、大規模校の数がかなり多いというのが実態としてあるわけでございます。
 全国の数値で申しますと、先ほど申し上げましたように、三十一学級のものが千八百三十八校でございまして、これは学校全体の数の五・二%という数字でございますが、沖縄の場合には三十一学級のものが四十三校ございます。これは沖縄の小中学校総数の一〇・五%ということでかなり比率が高いという状況にあるわけでございます。
#309
○上原分科員 大臣、今お聞きのように、小中校の場合本土の倍ですね。ここ二、三年の教育振興費というのが大分落ち込んできているわけですね。その理由は、もちろん文部省当局初め沖縄開発庁、政府全体での復帰後の教育振興に予算措置あるいはいろいろな政策的配慮を相当してこられたからではあるわけですが、いわゆる施設整備が本土水準に達してこういうふうに需要が減ったんだというのが説明になっているわけですね。その面は全面的に否定はいたしませんが、しかし同時に、今も御答弁ありましたように、沖縄本島中南部に沖縄県人口の約八〇%が集中している、その結果児童生徒の急増市町村における教室不足あるいは大規模校の存在というものが問題になってきているわけですね。今大規模校の数は多い、四十三校で一〇・五%に相当するということでしたが、これとの関連で、沖縄県下における小中学校の教室の不足数あるいは校舎不足面積はどうなっているのか、もしおわかりでしたらお答えいただきたいと思います。
#310
○阿部政府委員 ただいまちょっとすぐに資料が出ないわけでございますが、関連をして県で御説明をさせていただきたいと思います。
 沖縄の場合に校舎の整備率でございますが、本土と比べてどうかということでちょっと申し上げさしていただきたいと思いますが、復帰の時点ではかなりおくれておりまして、本土に対しまして小中学校の校舎の場合七七%、それから屋体の場合は一八%しか本土に比べてないという状況であったわけでございます。その後、この整備に相努めてまいりました結果、五十九年度現在におきましては、小中学校の校舎につきましては本土と全く同じ、一〇〇%という水準まで参っております。屋体の方が若干おくれておりますが、それでも九六・九%、約九七%まで本土の水準に追いついたというような状況にあるわけでございます。
 私どもといたしましては、こういうことで量的にはここの水準まで参ったわけでございますけれども、先ほど来先生から御指摘いただいておりますように、量的にはここまで来たけれども、なお沖縄の特別な状況といたしまして、一つは過大規模校というような問題が本土の各地に比べまして倍ほどの比率であるという問題がございます。もう一つは、比較的早期に建てられた、三十年代あるいはそのすぐ後ぐらいのところの校舎につきましては材質等にいろいろ問題があるような面もあるようでございまして、危険改築と申しますか、建てかえをやっていかなければならない。建てかえもかなり進んできておるわけでございますけれども、そういう問題があるわけでございまして、私どもそれの対応に努めてきておるわけでございます。
 もちろんこれは沖縄の各市町村にこういうことをやりたいという希望を出していただきまして、その希望を受けながら必要な予算を計上していただいて、これは沖縄開発庁の方で計上されるわけでございますけれども、具体の執行は文部省が当たるということでタッグマッチで振興に努めておるわけでございます。そういうことで、最近減っておりますのは、量的な整備がある水準まで達したということから、沖縄の市町村の計画量がそもそも減ってきているということによるわけでございますけれども、今後とも沖縄開発庁とも協力をいたしまして、さらに充実のための努力を、先ほど申し上げましたような残されている課題のための努力を引き続きやってまいりたい、かように考えておるところでございます。
#311
○上原分科員 確かにお答えありますように私も否定はしない、今の局長が答弁していることについては。量的な面でいくと相当よくなったということは当たり前のことです。しかし問題は、ここまで、量的に一定の水準まで来たけれども、大規模校の解消をどうするかという問題なんですよ。これが難題なんです。私がなぜこのことを強調して申し上げるかといいますと、少なくとも義務教育であるということと、沖縄振興開発特別措置法があって二次振計が今継続中であるということからしますと、この過大規模校については早急に期間内に方向づけて解消する必要があると思うわけですよ。しかも、御承知のように沖縄は土地が非常に狭いということ、しかも軍用地にとられている面も多い。県財政だけではこれらの用地の取得とか過大規模校解消というものがなかなか容易でない。だから、従来のようにおいそれと計画を立てて過大校解消ということに各該当市町村もできないで今悩んでおられる面があると思うのですね。これについてはもちろん市町村なり県からの要望というものが一応の前提ではあるでしょうが、国としてもこの過大規模校の解消についてはもっと積極的に努力をしていただく必要があると思うのです。この点について、これは大臣にお答えいただきましょうか。
#312
○松永国務大臣 今局長が御答弁申し上げましたように、量的にはほぼ本土並みに追いついてきた。しかし、今の質問、答弁のやりとりの中で明らかになりましたように、本土の方では過大規模校は五・二%、沖縄県の場合は一〇・五%、比率が倍あるわけでありまして、これはこれからの最も大きな課題だ、それに今局長からの答弁もありました改築の必要な学校が多いという面もあるようでありますので、この二つの点は速やかに解決をしなければならぬ課題として私ども認識をいたしましてこれから取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#313
○上原分科員 それはぜひ早急に解決、解消できるような方向で御努力をいただきたいと思うのです。
 これとの関連もあるわけですが、いわゆる学校の敷地というのはほとんど提供施設代替借用校地というものが多いわけですね。ですから、これの用地取得というものが大変難しいがゆえに、特に過大規模の小学校なり中学校というものを分校とか新校にする場合に支障を来しているわけですよ。この関係の予算を見ましても、これは沖縄開発庁に計上されている予算に、だんだんこれも減ってきているわけで、むしろ増加をしてもらいたいと我々は思うのですが、これを軽減してきた理由はどういうことによるのか。少なくともこの借地については二次振計期間中にむしろ全部取得をするという方向で予算措置なり努力をすべきだと思うのですが、もちろんこれは文部省だけのあれではない、開発庁ともいろいろ協議をしなければ、相談をしなければいかない点もあると思うのですが、この点はどのようにお考えですか、措置していかれようとするのか。
#314
○荒賀説明員 ただいまお尋ねの提供施設代替借用校地の問題でございますが、先生御承知のように戦後の沖縄におきまして米軍用地として提供されました学校敷地の代替といたしまして市町村が借用している学校用地の買い上げ費用につきましては、復帰に際しまして特別の補助制度を設けまして現在までやってきておるわけでございます。現在までの購入面積は全体の約七割程度の十五万一千平米の用地が取得されてございますが、残りの三割分の購入につきましては民間の地主でございますので、地主さんが売却の意思がなければなかなか購入ができないという面などがございまして、今後とも市町村の購入計画を見ながら文部省とも連絡をとりつつ支障のないように措置してまいりたいというふうに考えております。
#315
○上原分科員 これはあとどのくらいで完了というか、全部取得できるのですか。もちろん今おっしゃいますように民間で借地でなければいけないという方も中にはいるかもわかりませんけれどもね。
#316
○荒賀説明員 この点につきましては、県を通じて市町村の購入計画など、毎年度ヒアリングなどをいたしまして計画を立てておるわけでございますが、はっきり何年度までに全部終了するというめどはございません。私どもは予算上はできるだけ措置をしてまいりまして、売却の意思のある土地につきましては最大限措置をしてまいりたいというふうに考えております。
#317
○上原分科員 ぜひ文部省もその点は御留意いただいて進めていただきたいと思います。
 それと、さっき局長は高等学校については義務教育でないのでとちょっとそらした御答弁でしたが、今の用地取得の問題、困難性の面から一例挙げますと、例えば昭和五十九年四月開校の首里東高校というのがありますね。これは昭和五十六年から建設が計画されたが、本校舎が開校に間に合わずに仮設のプレハブで一年間授業が行われて、ことしの四月からやっと本校舎へ移転するという計画になっているようなんです。六十年度以降の二次振計期間中にあと六校高等学校を新設しなければいけない、そのうちの二校は那覇市と浦添市にそれぞれ一校ずつ充てるという計画のようなんです。これらの高校も首里東高校と同じような経過になってはいかぬと私は思うのです。ですから、校地取得の困難性という面で提供施設代替借用校地購入費補助金の活用をこの際沖縄の教育振興あるいは人づくりという面から文部省としても積極的に、教育予算が落ち込んでいるというような一般的な見方もあるわけですから、こういう面でまだなすべきことがあるということを御理解いただいて解決すべきだと私は思うのですが、この点いかがですか。
#318
○阿部政府委員 高等学校の児童生徒数の増加等に伴いまして、これは本土、沖縄を問わず高校の増設は行われているわけでございます。これにつきましては高校急増対策ということで、特別時限的な措置ではございますけれども補助制度を設けて対応しているわけでございます。本土の場合には三分の一補助でございますが、沖縄の場合には三分の二補助にかさ上げをして対応しているというようなことでございまして、今後とも沖縄県の計画等をにらみながらそれに対応するような努力をしてまいりたいと思います。
#319
○上原分科員 今の件、開発庁はどう対応したのですか。
#320
○荒賀説明員 ただいま文部省から御答弁ございましたように、高等学校の整備につきましては、校舎、屋内運動場等の事業につきまして特別のかさ上げ措置が沖縄についてはございます。こういった措置を通じて今後とも整備を推進してまいりたいと考えております。
#321
○上原分科員 ですから、このかさ上げ措置がある間にやるべきものはきちっとやっておいていただきたい。またこれはもちろん、絶えず申し上げていることなんですが、県なり市町村の対応の問題もあると思うのだが、ややもすると行革絡みで補助金カットとかいろいろな制約条件が次第に沖縄の方にも手が伸びているわけですから、そのことを私は強く指摘しておきたいと思うのです。これはぜひ文部大臣も御留意をいただいて、今申し上げたことを解決するように特段の御努力を賜りたいと思います。
 それで、あと時間がありませんから県立芸術大学の敷地問題についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 六十四年四月開校を予定にして今県段階で県立芸大の設置をいろいろ進めているわけですが、この敷地確保が非常に問題になっているわけです。せんだって嶺井副知事が文部省の官房長にお会いをしていろいろ御相談をなさったようですが、要するに県の要望としては首里の琉大跡地を利用して芸大を開校したい方針のようであります。このことについて県側とどういう話し合いになっているのか、また文部省としてはどういうふうにお考えであるのか、御見解を聞かせていただきたいと思います。
#322
○坂元政府委員 琉球大学が移転統合いたしました首里地区の跡地につきましては、地元沖縄県で県立芸術大学を設置したい、それから、首里城正殿等戦災文化財の復元と遺跡の保存、整備それから歴史的総合公園の整備のための用地として跡地を取得したいという希望を持っておるということは私ども承知しておりますし、さらに跡地を中心に首里城公園基本計画を県として作成しておるということも、私ども承知いたしております。この計画の全体計画につきましては、私どもとして特に異存はございませんが、ただ跡地の価格を含む跡地の処分方法等につきましては、琉球大学と県当局と事務的には現在詰めてきておりますが、まだ具体的な合意を得ていないという段階でございます。
 ただ、今先生も御指摘のように、県立芸術大学につきましては、来年度から設置したいということで相当急がなければならない事柄であろうかと思います。したがいまして、県立芸術大学に必要な処分面積、価格等を含む処分方法につきましては、県の御要請に応じまして私どもとしても、早急に話し合いをして、そして具体的な合意を得るように努力していきたいというふうに考えております。
#323
○上原分科員 そこで、文部大臣、ここはぜひ御理解いただきたいと思うのですが、琉球大学は、御承知のように、復帰時点で国立大学になったということで、あの敷地全部国有地になってしまったのですね。これはおかしな話、今考えると本当に損したなと思う、全く。みんな召し取られてしまった、あれは沖縄の首里城で本来は県有地なんだよ。大学が国立大学になったからといって敷地もろとも全部召し取ってしまった、悪い言い方かもしれませんが。そういう面からすると、これは県民感情としては大変抵抗がありますよ。しかし、事のいきさつは、そうはいっても、今国有地として管理されているので、したがって、この県立芸大の立地につきましては、琉大跡地が、今おっしゃったように、西原町にキャンパスが移っているわけで、そこは遊休化しているわけですから、いろいろの御計画があるようですが、少なくともこの県立芸大の創設に支障の来さないような配慮を、文部省として積極的に大蔵省とも話し合ってやっていただきたいと私は思うのです。まさかそれまでやらぬということにはならないと思うのですが、これは行政当局よりも若干の政治判断も要るし、大臣の御見解で政府部内でぜひ話し合っていただいて、支障のないようにやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
#324
○松永国務大臣 御冗談でしょうからいいのですが、召し上げたとおっしゃいますが、結局県立大学を国が責任を持って立派な大学にしていこうというわけで、全体として移管を受けていい大学にしようというわけで国立大学にしたものだというふうに私は理解をいたします。
 今お話しの県立芸術大学でございますかその用地の問題につきましては、県側の御意見、御要望をお聞きいたしまして、実際問題として、大学の開設に支障の来さないように努力をしていきたいというふうに考えます。
#325
○上原分科員 そこで、県側は無償譲渡を要望しているわけですね。これは気持ちの上でも当然だと思うのです。また一方、沖振法の第九条では国有財産の譲与等についてのこの適用規定があるわけですね。ここいらも含めてお考えになると、今大臣が御答弁あったような方向で、支障のないように敷地の確保の問題、また無償譲渡にするのか、あるいは沖振法の九条を適用するのか、そこいらで改めてこの点についてはぜひ確たる方向づけをやっていただきたいと思うのですが、大変重ねてのお尋ねで失礼ですが、大臣の見解をもう一度確かめておきたいと思います。
#326
○松永国務大臣 先ほど申し上げましたように、県当局の意向を聞きまして、事務当局をして十分検討させて対処してまいりたい、こういうふうに考えます。
#327
○上原分科員 時間ですからこれで終えますが、きょうは教科書問題についても少し議論してみようかと思ったのですが、わずかの時間で、この問題はなかなか文部大臣と余りかみ合いそうな議論でもなかったので、いずれまたお尋ねすることにいたします。
 終わります。
#328
○船田主査代理 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。
 次に、福岡康夫君。
#329
○福岡分科員 私の選挙区であります広島市は御承知のとおり、東京や大阪などの大都市にある企業の支店や、国の出先機関が数多くあるところでございます。私、本日、この分科会で、転勤に伴う転居者の子弟に対する高等学校の受け入れ措置についての文部行政のあり方について、いろいろお聞きしてみたいと思うのであります。
 私がこのような問題に関心を持つに至ったのは、次の理由からでございます。
 昨年の四月、東京に本社のある会社の課長さんが広島支店に転勤になったのであります。この課長さんには、高校二年の一学期を迎えた神奈川県立高校在学の子弟がおるわけでございますが、私の方の事務所に、この子弟についての広島市内の公立高校への受け入れがうまくいかず、私のところへ相談に参られたわけでございます。私、相談がありましたので、いろいろ努力いたしましたけれども、広島市内の公立高校への受け入れはできなかったわけでございます。私自体、奥様が涙を流しながら何とか、転勤で、業務命令で広島に行かなければいかぬ、早く高等学校を決めてほしい、そこで、私、地元の事務所の秘書に、どこかまだ試験が済んでいない私立高校がないかどうかいろいろ調べさせたわけでございます。やっと編入試験が済んでいない私立高校が一つだけ見つかったわけでございます。その旨を御父兄に御連絡させ、早急に編入試験を受ける手続をとらしたわけでございます。幸いにしまして、この編入試験に合格し、本人は広島市内の某私立高校に現在、在学しておるわけでございますが、公立高校に比べて高い入学金と授業料を払った上での、家庭内のいろいろのトラブルがあっての入学でございました。
 そこで、初めに文部大臣にお伺いしたいわけでございますが、近年、社会経済活動の広域化による、会社などに勤務するサラリーマンの転勤に伴う子弟の転入学がスムーズにいかず、特に働き盛りの四十代のサラリーマンがお困りになっていると、行政管理庁が行ったアンケート調査結果にはっきり出ておるわけでございますが、今後ますます増加すると思われるこの問題につきまして、学校教育法施行規則の一部を改正する省令による応急措置ではなくて、もっとぴしっとした抜本的転入学対策の樹立を急ぐ必要性があると私は思うのでございますが、文部大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#330
○松永国務大臣 転勤に伴ういろいろな問題でございますが、学校の関係で単身赴任というのも相当あるようでありまして、御主人が単身赴任をいたしますというと、言うなれば母親と子供だけの家庭になるわけでありまして、やはり望ましい状態は、一軒のうちにはお父さんとお母さんがいる、そして子供がいる。お父さんが欠けているという状態は、教育上決していいこととは思われません。のみならず、その家庭の生活費にも、実は二重生活になるような形でありまして、影響するわけであります。したがいまして、子供の学校への転入学、特に高等学校がその大部分であろうと思いますが、転入学がスムーズにいかないことによって単身赴任がふえるということは何としてでも避けたいというのが私たちの考え方であります。
 そのために、この高等学校の転入学問題、これはスムーズにいくように対処をしなければならぬわけでありますが、県立高校の場合には、転入学を認めるかどうか、これは学校長の権限でありますし、そのもととなるものは、それぞれの都道府県教育委員会の規則等があると思うのであります。
 そこで、文部省といたしましては、かねがね、転入学がスムーズにいくようにいろいろな指導をしてきたわけであります。その一つは、都道府県教育委員会等に対して、転入学試験の実施回数をできるだけふやしてもらいたい、そうすることによって、一年のうちに必ずしも三月なら三月の転勤とは限りませんから、そこで回数をふやすことによって転入学の機会がふえ、スムーズにいくであろう、そういう通知をし、そしてまた転入者が多いような県につきましては、特別に定員枠を設けておいてもらいたい、そうしてその枠の中でできるだけスムーズに転入学を認めるような措置をしてもらいたいというふうな通知をしたところであります。去年の七月には、今先生御指摘のように、学校教育法施行規則の改正も行いました。これは、今までの規則では「欠員のある場合には、転学を許可することができる。」こういう定めてございましたから、この省令の定めによって、欠員がない場合には転入学は認められない、こういう仕組みであったわけであります。それを新しい省令によりまして、欠員がなくとも「教育上支障がない場合には、転学を許可することができる。」こういうことで、転入学ができる限りスムーズにいくような省令の改正もしたわけであります。
#331
○福岡分科員 高石文部省初等中等教育局長は御出席でございますか。ちょっと私、文部省の初等中等教育局長の高石邦男名で各都道府県知事に「保護者の転勤に伴う高等学校生徒の転入学の許可等の取り扱いについて」という通知の写しを持っておりますので、局長に提出したいと思います。――持ってきておられますか。それでは結構でございます。
 ちょっと局長、これを見ていただきたいのでございますが、五十九年三月一日付の文部省の初等中等教育局長通知を読みまして私感じたわけでございますが、個々の事項について何々することが望ましいことといった調子がやたらと目につきます。強い指導的通知とはなっていないのであります。権威のない依頼通知スタイルになっておるので、五十九年二月六日付の行政管理庁の事務次官通知を受けて素早く対応を示した文部省ではありますけれども、このような局長通知では、果たして行政管理庁の事務次官の指摘した改善意見が実効を上げているのかどうか、私、疑問を持たざるを得ませんが、どの程度この局長通知が生かされ、実効を上げているのか、数字で御説明をお願いしたいと思います。
#332
○松永国務大臣 まず、総論を申し上げますが、御承知と思いますけれども、地方教育行政の組織及び運営に関する法律によりまして、文部省あるいは文部大臣は都道府県教育委員会に対する命令権が実はないわけであります。したがいまして、先生御希望と思いますけれども、入学を許可すべし、こうすべしという実は命令権がないわけです。したがいまして、これこれしてもらいたい、これこれすることが望ましいからよろしくお願いしたいという指導助言という形に通知はなってしまう、こういうことなのであります。しかしながら、その意味するところは都道府県の教育委員会の人に理解をしていただいておるわけでありまして、本来、先ほども申したとおり、入学を許可するかどうかというのは都道府県教育委員会のもとにある学校長の権限でありますから、その学校長がその趣旨を理解して適切な対処をしてくれることを我々は期待しておるわけであります。そのための指導助言ということでありますので、文言等につきまして厳しさが足らぬじゃないか、もう少し命令してぱしっとやってしまえ、こうおっしゃる気持ちはわかりますけれども、制度、仕組みがそうなっておりますので、今お読みになったような文言になっておるということを御理解願いたいわけであります。
#333
○福岡分科員 そうお答えになると思いましたので、次の御質問を考えております。
 このような局長通知は、確かに今文部大臣がおっしゃったように、現行の法律上の教育行政の仕組みや地方自治に基づく地方教育行政の独立性からくるとすれば、文部省の三月一日付局長通知にある転勤に伴う転入学の円滑化を樹立するためには、転入学措置を内容とする法律を思い切って制定し、予算上の裏づけをするなど、早急に検討する必要があると考えるわけでございますが、文部大臣、いかがでございましょうか。
#334
○高石政府委員 具体的に都道府県立高等学校を都道府県がつくって管理運営するわけでございまして、そういう学校に国が一方的な法律で管理内容に及ぶような法律立法ができるかどうか、まず一つは基本的な問題があるわけでございます。そして、要は実際上の転入学がスムースにいけるような対応を積極的に各府県がとってくれるというのが現在の制度では最大に効果を上げる方法でございますので、現在の地方自治制度の仕掛けの中で国が法律をつくって、県立学校にこうしろああしろというような設置運営への具体的な介入になるようなことが法制上つくれるかどうかという問題がありますので、こういうような指導助言を強化して、より一層の成果を上げていきたいと思っております。
#335
○福岡分科員 私、今の局長の御答弁にどうも納得いかない面があるわけでございます。では、行政管理庁の改善意見の結果、どういうように文部省が是正されたかという具体的な事例についてあとお尋ねしたいのでございます。
 行政管理庁の改善意見を受けて文部省は局長通知をお出しになっておられますけれども、改善意見と問題点を総合的に酌み取って措置されたにしては十分ではないと思っておるわけでございますが、文部省当局としては、自己採点してみて、行政管理庁の改善意見がこの局長通知で十分満たされていると考えておられるのかどうか、局長にお伺いしたいと思います。
#336
○高石政府委員 まず、具体的な改善の内容の概況を申し上げますと、実施回数をふやした県というのは、転入学の機会を例えば一学期だけじゃなくて二学期も三学期もやるあるいは一年、二年ないしは三年もやる、こういうように実施回数をふやした県が九県ございます。それから四月、例えば新一年生が東京の都立の一年生に受かった、その者を今度は広島の県立の一年生に入れるというのは本当は試験を受けなければ入れないわけですが、そういう四月当初の転入学を認めるようになった県が七県、それから出願の簡素化を図ったのが四県、弾力化を図ったのが八県ということで、ことしこの通知を受けた成果が具体的にはこういう形であらわれ始めているわけでございます。そして、転入学の多い府県というのは大都市圏のところが多いわけでございますので、そういうところが素早く対応して成果を上げてもらいたいということで、まだ一年足らずの状況でございますので十分であるとは思っておりませんが、なお一層指導を強化してスムーズな転学ができるように努力してまいりたいと思っております。
#337
○福岡分科員 私の方にも文部省から提出されたいろいろな取り扱いについての資料がありますが、四月当初も認めるものが五つしかない。それから回数をふやすのが五つ。それから出願期限の弾力化等が九つ。手続の簡略化等が五つ。定員枠が十。全国の都道府県中本当に一割から二割前後のものしかことしの入学試験におきましては用を足していないわけでございます。私は、これで十分というよりも、大部分がそういう形で放置されておるのじゃないかと考えておるわけでございます。文部省当局のこれに対する御努力について、ひとつ決意表明していただきたいと思います。
#338
○高石政府委員 例えば宮崎であるとか長崎とか、それから青森とか秋田だとか、そういうところではこういう転入学の問題、受け入れの問題については余り問題にならないわけですね。むしろ札幌であるとか仙台、それから福岡とか関西地区、東京地区、そういう大都市圏の府県がどう対応してくれたかがこの成果のポイントだと思うわけでございます。したがいまして、東京を中心とした大都市圏、関西、そういうところでそういう素早い対応をまず進めていくことが必要であります。
 それからもう一つは、これは親たちの気持ちで、例えば東京からどこかの府県に転出する際に、仮にエリート校に入っていますと、本当は連れていってもらえばいいけれどもそのまま置いていかれる。そうすると、本来ならば親子ともども転勤されれば穴があくところがそこがなかなか詰まってしまう、入るときにはどんどん入れてもらいたい、こういうような問題も非常にありますので、一概に数字の上できれいな形にするということは非常に難しい点がございますけれども、鋭意努力してまいりたいと思います。
#339
○福岡分科員 ただいま局長も交通体系の問題について、田舎と都市ということで区別されて御答弁されておりますけれども、やはり東京、大阪、名古屋というような大都市は新幹線です。ところが、今おっしゃった秋田県とか島根県、鳥取県になると、同じ市町村内における転勤においても家族同伴という形の問題が起こっておるわけでございます。ただいまの答弁といたしまして、確かに大都市間の転勤者は多いでしょう。しかし、やはり田舎であっても、そういう鳥取県、島根県、秋田県等においても、確かに少ししか離れていない、距離的なものはありますが、交通事情が悪いので家族同伴というものが非常に多いので、そういう点も十分認識されまして、特に地方の関係についても鋭意努力されて、ひとつ中途半端に置かないように、できるだけ早い機会に、来年、再来年と一年でも急ぐ問題です。緊急性がある問題でございますから、拘束的な問題があるという問題は地方自治法の建前から私も十分認識しておりますが、どうも現在の立場としては納得できない面がありますので、ひとつこれの迅速化をしてほしい思いますが、いかがでございましょうか。
#340
○高石政府委員 御趣旨の線に沿って最大の努力をしてまいりたいと思います。
#341
○福岡分科員 行政管理庁のこの当時のアンケート調査を見てみますと、私立校、公立校を問わず、別居して転居前の高校にとどまる子弟が高校生に多いと指摘されておりますけれども、子弟の監督面、別居からくる二重世帯の経済的負担等、問題が提起されておりますけれども、この問題を解決する一つの方法として、学生寮の設置を考えてはどうかと私は思うわけでございますが、文部省当局の御見解をお伺いしたいと思うわけでございます。
#342
○阿部政府委員 転勤をして出ていって残った子弟のための寮をというお考えは一つのお考えであるというふうに伺うわけでございますけれども、ただ、具体にその設置というようなことを考えました場合に、各地域それぞれ事情が異なると思いますし、子供の散らばりぐあい等も違っておるだろうと思います。また設置の仕方、管理運営の仕方をどのようにやっていくか、なかなか問題が多いようにも思うわけでございます。
 一つ具体の例といたしまして、御承知のことかと思いますけれども、東京都立の秋川高校というのがございまして、これは外国へ行かれた方々の子弟あるいは国内で転勤された方々の子弟を受け入れようというのを主たる目的といたしまして設置をしました高校でございまして、全寮制でございます。全部寮で受け入れるという格好で既に発足以来、昭和四十年設置でございますから、二十年余りの経緯があるわけでございますけれども、現実の入学をしておる状況等を見ますと、七百名ぐらいの入学総定員のところに実際に入学しておりますのが五百数十名でございます。そのうちで海外に転勤された方の子弟というのは十三名、それから国内で移動された方の子弟というのは四十一名ということで、実はなかなか当初のねらいどおりそういう方々の子弟が入ってこないというような状況もあるわけでございます。これの場合には恐らく都内であっても学校を転校しなくちゃならないという事情等もいろいろあるのかと思いますけれども、やはり子供を寮に置いて出ていくのも問題だというような親御さんのお気持ちもあるいはあるのかもしれません。
 いずれにいたしましても、なかなか難しい問題であろうかと思いますので、また今後とも秋川高校の実態などはもう少しよく私ども勉強してみたいと思っておりますが、ひとつ今後の勉強の宿題としてちょうだいをしておきたいと思うわけでございます。
#343
○福岡分科員 ただいまの御答弁でございますが、秋川高校の場合、ちょっと特殊事情があるかのように私聞いておるわけでございます。
 実は、行政管理庁の「転勤に伴う転居者の子弟の高等学校転入学等に関するアンケート調査結果」が公表されておるわけでございますが、この中に、「子弟との別居による支障や心配ごと」はどうかというアンケート調査に、経費が増大七七・四%。これは複数回答もありますので御了承願いたいと思います。
    〔船田主査代理退席、主査着席〕
それから子弟の監督問題がある。これが七〇・一%。子弟の勉学の問題というのは四六・一%しかございません。
 こういう形で経費増大と子弟の監督という問題を考えるならば、寮の問題が一番適正な措置ではないかと私考えるわけでございますが、文部大臣、いかがでございましょうか。
#344
○松永国務大臣 昔の旧制高校の場合には寮が多かったわけでありますが、最近の高校生というのは肉体的には相当成熟しておるわけでありますけれども、生活習慣とか精神的な面等におきまして親または親戚以外の者が果たして十分監督できるかなという心配もなきにしもあらずであります。それに、さて寮をつくったといたしまして、その寮の設置の責任者あるいは経費の負担者あるいは管理監督の人たちの責任と負担はだれがするのかという問題も実はあるわけでありまして、これはなかなか研究を要する問題かなというふうに思います。しかし、一番最初にも申し上げましたように、できることならば転入学がスムーズに行われて、高校生ぐらいまでは親子一緒に住まう、これが望ましいのじゃなかろうかというふうに思うわけでありまして、そっちの方の推進により一層力を入れていきたい、こういうふうに考えるわけであります。
#345
○福岡分科員 これは私、ちょっと納得いたしかねるので、「子弟の別居形態及び別居の理由等」、この行政監察局のアンケート調査の結果、相当分析されておりますので、続けていろいろ御質問いたしたいわけでございますが、時間が三十分と制限されておりますので、次の問題に移らせていただきます。
 次にお尋ねしたいのは、国際化の時代を迎えて、海外勤務者が急増しておりますけれども、これらの勤務者が帰国したときの子弟の受け入れは、言葉の問題や学力の面で必ずしもスムーズにはいかないと聞いております。広島県や広島市、また関係者から、国立広島大学の附属高等学校へ帰国子女を受け入れていただく所要の措置を講じてほしいとの要望があり、私といたしましても、広島地区の該当者数や居住地、関係学区の高等学校進学状況等を総合的に見ましたところ、この要望の実現は緊急性を持っておると思うものでございますが、何らかの速やかなる措置をぜひお願いしたいと存じますが、文部省当局の御見解をお伺いしたいと思います。
#346
○阿部政府委員 帰国子女の高等学校への受け入れでございますけれども、全国的なことといたしまして、研究協力校を指定するとかいろいろな形で、あるいは昨年には公立の高等学校に対しまして、帰国子女について特別枠を設けるというようなことで対応する、あるいは選抜の時期、選抜の方法、学力検査等の内容等について、可能な限り弾力的な取り扱いを行ってほしいというようなことを、これは初中局長の方から各都道府県に通知をいたしたところでございまして、私立学校等の御協力等もございまして、現在、全国的に見ますと、帰国子女に対する特別な受け入れ枠を持つ学校は、国公私合わせまして三十三校、入学定員について八百五十六名と、かなりの規模に達しつつあるわけでございます。
 御指摘の広島地区につきましては、まだ研究協力校として指定をされているような学校もできていないわけでございますので、御要望のお気持ちはわかるわけでございますが、いずれにいたしましても、まず県が、自分のところへ戻ってくる子弟の教育の問題でございますので、県としてどういうふうに受け入れていくか、そしてそういった中で、例えば広島大学の附属にどれだけ協力をしてもらうかというようなことについて、総合的な御計画も御検討になった上で対応を考えてほしいものだ、こういうふうに思っておるわけでございまして、また、広島大学の方におきましても、その問題について、大学としては、県全体の中でどういう取り組みが可能か、大学としての可能性を探るという努力はしようとしているところのようでございますので、そういった県、大学の状況等も承りながら、また文部省で協力をできる面があれば、その方向を承った上で対応を考えてまいりたい、かように考えているところでございます。
#347
○福岡分科員 ただいまの答弁で、ちょっと私、えらい細かなことまで聞いて恐縮でございますが、現在文部省当局といたしましてはこれに対する準備段階に入っているのかどうか、全く検討していないのかどうか、いわゆる予備調査的なものをやっておるのかどうか、その点の御見解をちょっとお聞きしたいのでございます。
#348
○阿部政府委員 広島県あるいは広島市と申しますか、その地区におきまして、どういうふうに受け入れていくかということの問題については、まずは県が御検討いただき、あるいは大学も御検討いただくということが必要だと思うわけでございまして、大学の方の状況を聞きますと、大学の方でも検討を始めたということでございますが、いずれにいたしましても、文部省といたしましては、県なり大学なりのお考えというものを承った上で対応を検討するということにさせていただきたいと思っているわけでございます。
#349
○福岡分科員 学校当局は今御検討されておるという御発言でございましたが、県からないと……。御承知のように広島市は政令都市でございますけれども、広島市から昭和五十九年の十二月、「広島大学附属高等学校への帰国子女の受入れについて」という要望書が文部省側に出ておると思いますが、いかがでございましょうか。
#350
○阿部政府委員 市の方からの御要望はちょうだいをいたしております。その際、申し上げましたのですけれども、市と申しますか県と申しますか、いずれでもいいわけでございますが、まずは、市なり県なりとしてどういうふうに受け取っていくのか、この問題は大学にやってもらえばいいやということではなく、県なり市なり全体としてこの帰国子女をどう受け取っていくか、それは大学の附属の近くに全部子供がまとまってくるわけでもないであろうかと思いますし、また、大学側は大学の自主的な判断でどうするかということは、まさに大学の自治で判断をしていくことでもございますので、そういう意味で県なり市なりの段階で、自分たちはどうするのかということも考えてほしい、そして大学に頼むべき部分があれば大学とも相談してもらいたい、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#351
○福岡分科員 最後に、ひとつ御答弁をお願いしたいのですが、今御発言がありましたように、広島市も広島大学も、この設置については積極的に文部省の方に陳情してほしいという要望が私のところに参っておりますので、今後とも文部省当局の前向きの姿勢の御検討をひとつよろしくお願いいたしますが、その点の御決意を文部大臣、ひとつお願いしたいのでございます。
#352
○松永国務大臣 先ほどから局長がお答えいたしておりますように、恐らく高等学校の帰国子女の話だと思うのでありますけれども、高等学校の設置者は県それから学校法人、これがほとんどであるわけでありまして、そこで県ないし市がどういう対応をするのかというのがまず前提にあるわけであります。
 そしてもう一つは、広島大学附属高校にいたしましても、これは要するに広島大学の管轄するところでありまして、高校だからといって文部省の方で指揮命令を直ちにするというわけにもいかぬ問題もあるわけでありますから、今局長が言いましたように、県、市の対応の仕方、そして広島大学の対応の仕方等々があるわけでありますが、今先生の御希望に沿いまして、前向きにこれが進むように努力をしていきたい、こういうふうに考えるわけであります。
#353
○福岡分科員 文部大臣、実は東京学芸大学の附属高等学校大泉校舎、東京学芸大学附属高等学校竹早校舎、これはそういう特別枠が、学年別に定員が六十名、十五名というような形で受け入れ実施に入っておるわけでございます。それから、福岡、名古屋等も検討されておるかのように聞いておりますので、ひとつ広島大学につきましても鋭意前向きにお願いしたいと思うわけでございます。ちょっと大臣の方では事務の詳細はおわかりにならないと思いますので、事務当局の方でその点の経過について決意表明をひとつお願いしたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#354
○阿部政府委員 国立大学の附属学校で、先生がおっしゃったような形で現実に二校ほど受け入れ枠をつくっているところがあるわけでございますが、国立大学の附属学校というのは、一般的なそういう目的のものではなくて、実験研究校でございますので、そういう意味でこの帰国子女問題がまだ十分な解決の方策が立たなかった時期に特別のクラスをつくってやってみたらどうか、あるいは一般のクラスに入れ込んでやってみたらどうかというようなことをモデル的に実施したという経緯のものでございますので、各地に帰ってきます帰国子女をすべてその地域の国立の附属で受け入れるというのは、附属の本来の使命からいっても、なかなか無理な点があるわけでございます。しかしながら、もちろん余裕があってぜひやってみたいというようなところが出てまいりました場合に、それについてノーという態度で臨むというふうに決めているわけではございませんので、それぞれの実態等を十分聞きながら、それに応じて必要な対応をまた検討したいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、先ほど来申し上げましたように、大学側からの御希望、それから県、市の側におきましても、みずからどういう対応をするのかということについてのお気持ちというようなことが一貫したものとして伺った上での対応にさせていただきたい、かように思うわけでございます。
#355
○福岡分科員 最後に質問させていただくわけですが、昔から、御承知のように東京高師、広島高師、いろいろの教育関係の歴史と伝統のあるのが東京と広島でございます。東京にもこういう設置がされておりますので、広島も鋭意その点について、ひとつ文部省当局としましては前向きに御検討をお願いしたいと思います。
#356
○葉梨主査 これにて福岡康夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、中林佳子君。
#357
○中林分科員 まず最初に、障害児教育の問題でお伺いいたします。
 障害児教育の義務化が昭和五十四年から始まって丸六年経るわけですけれども、残念ながら、まだまだ行政的には対応のおくれている分野がたくさんあるというふうに思います。中でも施設整備がおくれているのは非常に遺憾だというふうに思うわけですね。そのおくれによる子供たちへの効果的な発達の保障、これに大きな影響が出ていると思います。
 例えば、一般の小中学校の屋内運動場の設置はほとんどあるわけなんですけれども、養護学校では七一%という状況ですし、プールに至りましては一般の小中の設置率が七割くらいだとおっしゃっているわけですが、養護学校の場合は三割、こういう非常に低い状況なんですね。文部省としては、この状況についてどういうお考えを持っていらっしゃるのか、今後ほどのように対処していくおつもりなのか、お伺いします。
#358
○古村政府委員 プールの設置の問題についてお答えいたしますが、御指摘のように、養護学校におきますプールの設置状況は、小中高等学校に比べまして大分劣っているというのは御指摘のとおりでございます。しかしながら、五十五年度からずっと見てみますと、五十五年度が養護学校のプールの設置率が一八%であったのが、五十九年度には二九%、まあ三〇%弱というふうに伸びております。養護学校の子供にとりましてプールというのは、その障害の程度あるいは障害の状況にもよりますが、肢体不自由の子供にとりましてはプール指導というのはかなり効果があるというふうに思っております。したがって、プール指導によりまして子供の障害が若干でも軽くなっていくというふうなことがあるわけですが、何しろ学校の施設をどういうふうにつくっていくかというのは、設置者であります都道府県の判断にまつわけでございまして、私たちの方といたしましては、都道府県がプールを設置するという意思を持ちましてそれに対しての国庫補助を要請されたときには最大限の配分をいたしたいというふうに考えております。
#359
○中林分科員 努力はしているんだというお話でございますし、設置者が自治体になっているので、都道府県になっているのでという、なかなか進まない一つの理由に挙げられていると思うわけですけれども、しかし答弁でもおっしゃいましたように、プールというものが非常に子供たちに大きな効果を上げていることはお認めになっているようです。多少軽くなるというようなことじゃないのですね。文部省がお出しになっております小学校指導書、これは残念ながら障害児用のがないのでこれに準ずるというふうに聞いているわけですけれども、これを見ましても、一年生から六年生まで全部プールということがあるわけですから、文部省の中でもプールということの指導書になっているわけですね。
 それから国際的にも、ここに「障害児のための水泳教室」という本があるわけですけれども、これは国際水泳連盟の年間水泳指導者賞というのを受賞した人が書いて、どんなに効果があるか、これは主に身体的な障害の場合の事例を挙げたり、指導書になっているわけですが、その中でも、軽いちょっとした治しようじゃないのですね。末尾に、それぞれの子供たちがどのように回復していったかというすばらしい事例が出ているわけですけれども、全く下半身麻痺だった子供が歩けるようになったというところまで機能回復がなされるというような事例がこの中にも書かれております。
 それから、これは身体障害のものだけではなくして、精薄の子供――ここに「精薄児の体育指導」という本があるわけですけれども、この中にも、まさにこういう運動というものが知覚、認識、思考、判断、想像、意欲、情操の基礎になっている、こういうふうに書かれておりますし、その事例も幾つかは紹介されているわけなんですね。
 ですから、プール指導の効果というものは非常に大きいということで、まだわずか三割しかプール設置がないという状況を放置してはならないと私は思うわけです。中でも、残念ながらプール設置率がゼロという県が五県あるわけなんです。これは残念ながら私の地元である島根も入っておりますし、富山県、秋田県、茨城県、三重県、こういうふうになっているわけですね。
 ゼロの県がどういう状況になっているかということを、私の地元であります島根県の例を挙げてみたいと思うのです。これは松江市の清心養護学校の場合ですけれども、先生方はどうしてもプールを使用させてやりたい、こういう願いの中で、元気な子供は歩いて十五分ぐらいの高専のプールを借りている。これは学校の子供たちの数の約四分の一に当たるということなんですね。だけど、高専のプールですから、かなり高年齢の子供を対象にしたプールを使うということになるわけです。ほかの子供はどうするかというと、重心の子は、庭でよく一般家庭でもビニールでプールをやりますね、そういうのを使わせている。それから、さらにもう少しいい子供は、これは施設と併用になっております、その施設に防火用水があるわけです、これを使わせているということなんですね。高専の利用の場合も、一夏に三回ぐらいがせいぜいだというようなことをおっしゃっておりました。それでもまだ、近隣の学校を使わせていただく学校はよろしゅうございますけれども、島根県のこういう障害児学校は、一校もありませんから、全く一夏も泳がないで済ませる、そういうひどい状況のところもあるわけです。これに対して、県の裁量だというふうにおっしゃるわけですけれども、ここに島根県の十二月の県議会の会議録がありまして、この問題を追及したところ、県は計画を全く持っていない、こういう非常に冷たい答弁をしているわけなんです。
 ですから、先ほどから私、プールによる学習が障害児にとってどんなに教育的な効果を上げているかということが国際的にも認められ、そして国内ではもういろいろな事例が出ている中で、こういうゼロの県に対しては指導をぜひ強めていただいて、何とかプール設置をせよということをやるべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#360
○古村政府委員 プール、ゼロの県にはそれぞれの事情があろうかと思いますが、まあ推測いたしますのに、養護学校の義務制が今できましてそれを進めているという段階で、プールを先にするかあるいはほかの施設を先にするかというふうな施設整備の中途の段階ではないか、そういったところからプールの設置がおくれているのではないかというふうに思います。先ほど申し上げましたように、これは都道府県がある計画を持って、その持ったことについて国が補助するという姿勢ではございますが、プール指導というものは教育的に効果があるということで、私たちもそう思っておりますので、ひとつ、この点については県と十分御相談してまいりたいというふうに思っています。
#361
○中林分科員 プールが先か、ほかの施設が先か、それが非常にというふうにおっしゃっている。じゃ、ほかの施設が進んでいるかと言えば、決してそうじゃないのですね。それならば私も納得しますけれども、そうではないので、ぜひ指導を強めていただきたいということを重ねて要望しますが、ほかの施設についても実は問題点を挙げてみたいと思うのです。
 先ほど紹介しました松江市の清心養護学校の場合で申しわけないのですが、大臣もぜひ見ていただきたい。ここにその清心養護学校の学校要覧がございます。ここに学校の配置図が書いてあるわけなんですけれども、ちょっと見ていただけますか。――実はこの学校では体育の授業をこの一階の廊下でやるわけなんです。雨の日はもちろん雪のときもですし、それから夏の炎天下のときも。とても外でできない、そういう障害を持った子供でございます。ごらんになっていただければ、周りには特別教室あるいは普通クラスの学級もあるわけですね。こういうところで体育をすれば周りの教室はとてもやかましい。体育をする方も遠慮するけれども、周りで授業をやっている子供たちも大変迷惑をしているという、教育にとっては非常に好ましくない状況が現実にあるわけです。運動会だとか入学式、卒業式、こういうときにはここに併設されております施設の訓練室を借りてやる、こういう大変な状況になっております。これは松江の例です。それから浜田市というところに浜田養護学校というのがあるわけですけれども、ここも実は屋内運動場がないばかりにお隣りの聾学校の体育館のあいているときを借りてやるというので非常に肩身の狭い思いをしてやっているわけなんですね。ですから、こういう状況をごらんになって、大臣、これで本当にまともな教育というものが行われるとお考えでしょうか。ぜひ感想をお伺いしたいと思います。
#362
○松永国務大臣 学校の教育施設、教育環境はよいにこしたことはないわけでございますが、先ほどから体育局長も御説明申し上げておりましたように、どういう施設をどういう手順でつくるかというのは本来設置者である県の計画が先行するわけでありまして、その意味では県の方とよく相談をいたしまして、県の方で計画を立てて対応するというのでありますならば、それに応じて国の方でも助成するように努力をしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第であります。
#363
○中林分科員 それをごらんになった感想ですよ、そういうところで体育の授業をやっている感想。
#364
○松永国務大臣 今のが私の考えです。
#365
○中林分科員 私は、とても子供たちがかわいそうでなりません。今島根の例を挙げたわけですけれども、全国的に見ましても病院だとか、ここも福祉施設に併設した学校になっておりますけれども、こういう併設されている学校の施設整備が非常におくれているわけなんです。屋内運動場の設置率が養護学校全体では七割と先ほども言いましたけれども、併設校では五四%しか実はないという一つのあらわれがここに出ております。それからプールの方も養護学校全体では三割ですけれども、併設校の場合は一四%という、先ほどは徐々に上がっているのだとお話しになるのですけれども、こういうところの方が非常に悪い。特に病院だとかこういう福祉施設に併設している養護学校の方が、どちらかと言えば機能回復だとか病弱の問題だとか肢体不自由の問題、そういう場合に屋内運動場だとかプールだとかいうものが必要だというふうに思うのです。プールの問題では、先ほどもお答えがありましたように、県から要望があればというお話がありましたけれども、屋内運動場のことも県から要請があれば優先的に許可をされるのかどうか、お答えいただきたいと思います。
#366
○阿部政府委員 特殊教育諸学校の体育館でございますけれども、先ほどプールにつきまして体育局長からお答えいたしたと同じように、体育の授業とかクラブ活動に使うというばかりでなくて、障害を持つ児童生徒の運動機能回復訓練でございますとか遊戯療法でございますとかいろいろな面で役に立つという意味で大変重要な施設であると思っているわけでございまして、養護学校の体育館の整備については、そういう見地から一般の義務教育諸学校の場合にこういう校舎、体育館の建築は二分の一補助でございますけれども、補助率も三分の二補助にかさ上げをするというようなことで養護学校の体育館の問題には対応してきたつもりでございまして、五十九年度現在で七六%という保有率になっておるわけでございまして、これは各県からの御要望につきましてはすべてそれにおこたえするという対応で私どもやっておるわけでございます。
#367
○中林分科員 施設だとか病院に併設の学校は設置率がその中では非常に悪いので、特段にこういうところの要望にはこたえていただきたいと思います。
 次に、養護学校の義務化でどんなに障害が重くても学齢時になればだれでも学校に行ける、こういう道が開かれたわけですけれども、しかし勉強がしたいとか学校に行きたいとか思っても、実はまだ生まれてこの方一度も教育を受けたことがないという人たちが残されているわけなんです。これは五十四年の義務化がスタートしたときにもう学齢を過ぎたという人たちが実は切り捨てられてしまった状況になっております。こういう未就学の過年齢児が全国でどのくらいいるのか文部省はつかんでいらっしゃるのか、そしてこの方々の教育権はどのようにお考えなのか、あわせてお答えいただきたいと思います。
#368
○高石政府委員 学齢を過ぎた教育を受けていない人がどれくらいいるかという調査をやったことはありませんので、数字はわかりません。
#369
○中林分科員 教育権についてはどのように。
#370
○高石政府委員 義務教育というのは、満十五歳になるまでを義務教育として保護者に義務を課し、その子女を就学させるというわけでございます。したがいまして、十五歳を超えた人たちは義務という概念のものがないわけでございます。したがいまして、義務の終了した年齢の子供たちをどうするか。例えば病気で一、二年おくれて再度中学校に行きたいというような子供もいるわけですね。そういう場合は、個々の事情を十分勘案してできるだけ受け入れる、こういう措置を講じているわけでございます。
#371
○中林分科員 これは憲法でも教育基本法でも、すべての国民は教育を受ける権利を有するというふうになっていることからしても当然のことだというふうに思うわけです。そういうことを考えてだと思うのですけれども、厚生省は昭和五十四年四月二日に「精神薄弱児施設等入所児童の処遇と就学機会の確保について」という通達を出していらっしゃるわけです。
 これによりますと、「種々の理由により、学校教育を受ける機会がなく、義務教育年齢を超えている者であっても、可能なかぎり就学の機会が与えられるよう、施設長は教育委員会と十分協議してその実現に努めること。」こういうふうにしているわけですけれども、厚生省の方来ていらっしゃると思いますけれども、この通達の後にこのことがどのように進んでいるのか、把握されているのか、今後ほどのようにされるおつもりなのか、お答えいただきたいと思います。
#372
○伊達説明員 昭和五十四年度から養護学校義務制が施行されまして、その際、私ども、児童福祉施設それから国立療養所等に在所しております心身障害児につきましてもできるだけ教育の機会が与えられるように施設といたしましても十分協力体制をとれるようにということで、今先生おっしゃいましたような通達を出したわけでございまして、具体的に言いまして、地域の養護学校等々の状況を踏まえましてできる限り近くの学校に無理のない方法で通学していただきたいというふうに指導をしておるわけでございます。義務教育年齢を超えている方々でありましてもなるべく就学あるいは教育の機会が与えられるということが望ましいわけでございまして、施設長が教育委員会と十分話し合いをしていただきまして進めていただきたい、こういうふうにしておるわけでございます。
 それから、五十四年度以降どういうふうに指導しているかということでございますけれども、私どもはこの義務制というのがかなり着実に定着しておるというふうな感触を得ておりまして、地方公共団体それから関係施設等の会議等におきましてもいろいろ指導しておりますけれども、私の知る限りにおきましては大きい問題があるというふうには聞いていないわけでございます。以上でございます。
#373
○中林分科員 着実に進んでいるとおっしゃるわけですけれども、文部省の方もその数はつかんでいらっしゃらないということではなかなか判断がしにくいのではないかと思うのですね。
 そこで、本当にそういう超過年齢児の調査というものが文部省もやっていらっしゃらないということで、ここに日教組が昨年一月現在で全国調査をされた資料があるわけですけれども、二十四都道府県の回答しか来ていないわけですけれども、この中で条例化しているのは一県しかありません。愛知県だけです。あとややよいというのも本当にわずかでして、大臣のおひざ元のところはまあほかの全く何にも対応していないところよりは多少よいようにここでは報告されておりますけれども、二十四都道府県中十七県七割以上の学校が全く超過年齢児の保障に対応していない、こういう日教組の調査がございます。
 そこで、島根県の国立松江病院ここで重度心身障害児が入院者八十人のうち併設の緑が丘養護学校に通っているのは四分の一の二十人でございます。十五人が中卒者になっておりまして、何と生まれてこの方全く教育を受けたことのない未就学過年齢児の人が四十一人、半分を超えるわけですね。こういう人がおります。この人たちの問題をここにパンフレットがつくられておりまして、「なぜ学校に行けないの」ということになっているわけです。ここを見ますと、トシちゃんという過年齢児の子どもが「センセイ……ガッコウヘイキタイワ、ワタシナンデガッコウヘイケナイノ……」と、こういうふうに問いかけております。その子だけではございません。実は、学校に行けないわけですので、併設校の緑が丘養護学校の先生がお昼の時間、まさに犠牲的精神を払って三十分余りではありますけれども、この学校に行けない未就学過年齢者の子供たちといっても二十代、三十代の人たちがいるわけですけれども、そういう人たちに三十分ぐらいではありますけれども教育をしているわけなんです。そうしますと、実にいろんな反応が出ているわけです。これは二十四歳の男の方ですが、「早くラブレターを書けるようになりたい。」とか、それから三十八歳の女の方が「学校へ行けたら行きたい。行ってあそびたい。べんきょうしたい。本を読みたい。」それから「学校というところは何度か行ったけど、本当の学校の生徒になってみたい。」こういう声だとか、「早く漢字の勉強がしたい。」「わたしも早くひらがなの宿題が上手になりたい。」とか、学ぶ意欲がありありと出ているのですね。これがいわば放置されたままになっております。文部省も、調査していないけれども、なるべく受け入れるようにしているんだということをおっしゃいました。
 確かに、特殊教育執務ハンドブックの中に、「満一五歳に達した日の属する学年が終われば法的には就学の義務はない。しかし、義務教育を修了していない者の将来の進路を考慮すると、当然中学校または中学部の課程を終わるまで引き続き就学したいと保護者も本人も希望する場合が多いであろう。この場合は、当該学校を設置している地方公共団体の教育委員会が認めれば就学を続けることができる。」こういう応答集の答えが出ているわけです。ですから、本人あるいは教育委員会、学校が同意すればこういう未就学の過年齢児は受け入れるのだということだと思いますけれども、間違いございませんか。
#374
○高石政府委員 島根県の事例で御説明いただきましたが、島根県は五十四年度の義務制実施の際に十八歳までの子供は全部受け入れるという措置を講じたようでございます。したがいまして、義務教育として一定の年齢の子供を対象にして教育する学校施設でございますので、例えば五十になっている人とか三十になっている人を義務教育の学校に受け入れることについてのその後の学校の運営の問題とか教育の問題とかを考えて設置者はそういう判断をしたと思います。したがいまして、多くの府県で義務制に移行する際の経過措置としてはそういう対応を十分に配慮してとったのではないかと思います。そして、今後は就学年齢に達した子供たちはひとしく就学の義務を保障するという形で義務制をしいたわけでございますので、その後の運用は順調にいって、現に学齢をオーバーしている子供の数も五十九年度は五十四年当時よりも半分になっているという状況に推移しているわけでございます。したがいまして、年齢オーバーの子供たちを一体どういう形で受け入れるかというのはそれぞれの設置者の判断、学校の判断にゆだねるわけでございまして、学校がいろいろなことを総合的に考えた上で受け入れる決心をすればそれは教育が受けられるようになるし、学校がどうも五十になった人を受け入れるのはやはりいろいろ問題があると考えたら受け入れられない、こういうことで一律的な基準判断で文部省が指導をするわけにいかないと思っております。
#375
○中林分科員 私は文部省としては極めて冷たいといいますか、責任逃れだと思うのです。先ほど示しましたこのパンフレットに、学びたいという子供たち、子供たちといっても二十八歳だとか三十を超える方もいらっしゃるわけですけれども、その人たちがボランティアの手で何とか字が書けるようになったとかそういう喜びを味わって、これが学校に行けるようになったらもっと人間らしくなるだろうということを本当に心の底から叫んでいるわけです。ですから、学校のもろもろの事情はあるでしょうけれども、教育を受けたいという人たちの願い、これは憲法でも教育基本法でも国民は「ひとしく教育を受ける権利を有する。」わけですから、そういう観点に立ては私は文部省としても、もちろん学校の事情それぞれおありだと思いますけれども、学校が同意をし、あるいは県などの教育委員会もいいと言い、本人もいいと言った場合はやるべきだという指導を徹底すべきだ、文部省としては数はつかんでいないとおっしゃりながら進んでいると判断される理由がよくわかりませんけれども、日教組の調査でも各自治体に任せていたのではそういう過年齢児の保障については非常にあいまいでありまして、全くやられてない方が多いわけです。そういう意味では、この過年齢児の教育権の保障という観点をぜひ考えていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#376
○高石政府委員 義務教育としての養護学校でそういう教育を保障しなければならない、そういう教育権の保障があるというふうには実は考えていないわけでございます。ただ一般的に義務教育を終了した、こういう状況のもとに置かれている非常に不幸な人たち、また一般の成人でもそうでございますけれども、勉強したいという人たちに対する教育の保障は、生涯教育という観点でこれからいろいろな形で考えられていかなければならない課題でございまして、小中学校の子供のレベルの人たちを受け入れる義務教育諸学校でそれを受け入れるということに指導するというのがいいのか、もっと広い生涯教育の観点でそういう教育の機会が可能であれば保障してやるというふうにしたらいいかということは、それは考え方に若干の差があると思うのですが、私は、生涯教育の観点での教育の可能性、保障の方法で処理していった方が妥当ではないかと思います。
#377
○中林分科員 質問時間が終わるわけですけれども、もう一遍確認させていただきたいのは、学校がよろしいと言った場合はいいわけですね。
#378
○高石政府委員 設置者である教育委員会並びに学校長の許可を受けて受け入れは当然可能でございます。
#379
○中林分科員 障害児教育の問題だけに絞ってお伺いしたわけですけれども、大臣、まだまだおくれている分野なんですよ。ですから、今後も特段の配慮をしていただきたいということを要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#380
○葉梨主査 これにて中林佳子君の質疑は終了いたしました。
 次に、沼川洋一君。
#381
○沼川分科員 大変お疲れのところ恐縮でございますが、もうしばらくでございますので、おつき合いいただきたいと思います。
 私は、旅回り劇団の関係者の子供の転校手続の簡素化の問題についてちょっとぜひお伺い申し上げたいと思います。
 この旅回り劇団と申しますと、よく御承知と思いますが、旅役者でございまして、一定のところで一年間続けて興行をする、そういう劇団でございませんで、各地を転々といわば渡り歩くグループでございまして、大抵の場合家族ぐるみで転々といたしております。そういう中にいわば義務教育を受けなければならぬ子供さんがたくさんいらっしゃるわけですが、私がざっと調べたところによりますと、現在旅回りの劇団が全国で約百団体あるということでございまして、その中で子役を演ずる小中学生が約二百人、実際もっと数が多いかもしれませんが、そのように言われております。そのうち、これは私の出身の九州だけでも二十三劇団ございまして、子役を演ずるそういった小中学校の生徒が約五十人いるわけでございます。要するに、各地の温泉センターなどを中心にしまして、大体短くて一カ月、長くて二カ月か三カ月ずっと公演をしておるわけでございます。特にこの中で、今申し上げたように、家族の中に義務教育を受けなければならぬ子供がたくさんいるということで、一番の悩みが子供としては一つの決まった学校に行けない。調べたところ大体平均して年間六回ぐらい転校いたしております。そしてもう一つの悩みが、これは親も子もともどもの大きな悩みでございますが、例えばA地点からB地点へ移動する際に、転校手続というのがどうしても必要でございますので、これをやらなければなりません。この転校手続が、書類等が非常に煩雑な面もございまして、親にとっても子供にとってもこれは大きな悩みとなっているわけでございます。御案内のように現在転校手続につきましては、学齢児童生徒の転出転入学の手続が法令規則に基づいてなされております。今申し上げましたようにかなり面倒であるわけです。
 したがいまして、この転校手続のために、結果的には、こうした子供さんたちが約一週間ぐらい学校を休んでしまう、これが実際の現状でございます。年間通しますと、大体四十日から八十日くらい、こういう長期欠席する子供がふえておりまして、親としましてはこれが大変大きな悩みになっておるわけでございます。特にそういう面で手続を踏まなければならないということになりますと、現場でそういう落ちこぼれが出てくるわけでございますが、この問題について何らかの解決策をひとつお考え願いたいと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#382
○高石政府委員 そういう非常に困難な状況下にある子供たちの転学問題は、御指摘のように、いろいろな問題を含んでいるわけでございます。しかし、一方において、就学義務を負う義務教育の履行という観点で、やはり手続的には一応のきちっとした整備をしておくということが必要でございまして、例えば学級編制基準にいたしましても、一人の子供が五月一日現在にいるかいないかによって、学級が二つに分けられるとか分けられないというような問題まで生み出すわけでございます。したがいまして、そういう意味での法令上の規定、手続というのは完備していかないと、そこからまた他の面のいろいろな問題点が惹起することになるわけでございます。教科書無償にいたしましても、該当児童生徒に対して出すわけでございますけれども、そういう場合の執行という点でも、法令上の規定、手続は守っていかざるを得ないと思うのです。
 ただ御指摘のように、そこの具体的なところに行って、一週間も子供はいても学校に行けない、そういう事態をどう解消するかということであろうと思います。したがいまして、少なくとも親と子供が直ちに就学したい学校ないしは就学を管轄している教育委員会に行って、こういうような事情でこうだということの意思表示をまずもって最初にするということをしていただければ、その次の段階としては若干、指導要録の送付が前の学校からおくれてくるとか、出席簿の作成が実は間に合わぬけれども学校に入れて教育するとか、そういう意味の対応は考えていけると思うのです。ところが、子供だけ学校にふっとやってきた、親も全然顔を出さぬというようなこともあるようでございますので、少なくともまず親子ともども学校ないし教育委員会に行って、そういうことをはっきりすれば、それはまだ手続は来てないから入れませんとか、そういうことのないような指導はしていかなければならないというふうに思っております。
#383
○沼川分科員 おっしゃる法令上の手続によるいわば就学義務の履行はよくわかるわけでございますけれども、私もこういった劇団の方と話して、世間にはいろいろな生活をなさっていらっしゃる方がいるものだなということを、いろいろお話を伺ってしみじみ実感してまいりました。実際問題、こういった方々の親と子供がそろって学校に行けるケースというのが実は大変なんです。ああいう劇団の内輪について御存じかどうか知りませんけれども、こういった旅回りの劇団というのは場所から場所へ移りますが、こういった方が使われる言葉に乗り込み、打ち上げという言葉がよく使われるのです。ある土地から全く新しい土地に乗り込んでいく、いわば行ったときが一番忙しいわけですね。親は準備のためにもう朝から晩までてんてこ舞いというような状況が最初続きます。それから、今度打ち上げというのは、そこをいよいよ引き揚げて移るときがまた大変なんですが、一番早く転校手続を踏まなければならぬ時期というのがちょうどそういう時期になるわけです。しかも、この親たちというのが、またお話を聞いて私もびっくりしたのですが、劇団の中には、旅回りの中には字が読めない、字が書けないという方が意外に多うございます。ですから、子供の転校手続の書類一つつくるにしましても、ここに、どういう書類が要るか、ちょっと私も、実際転校するときどうしたらいいかということで、市の教育委員会からもらってきた手続がございますが、一般の人から見れば何でもない書類かもしれませんが、こういった特別忙しい、そして教育も十分受けていないような方が多い、人に頼んで書いてもらわなければならぬという方々にとりまして、これを書いて、役所に持っていったり、学校に持っていったりするだけでも大変な負担であるということを、現場に行きましてお話を伺いながら私も痛切に感じたわけでございます。(松永国務大臣「ちょっと見せてください」と呼ぶ)そのほかにもあるわけですが。
 確かに就学義務の履行ということをおっしゃいました。法令上、手続的にはきちんとした方がいい。言ってみれば、それが子供の教育権を守るという意味で、文部省としては御心配なさっていると思いますけれども、この正規の手続をずっと見ていきますと、住民票が要り、在学証明が要り、教科書給与証明書が要る。ですから、親がどういうケースで転校の手続をしなければならぬかということをずっと見ていきますと、まず転出する市町村に行って転出届を出して転出証明をもらわなければなりませんが、この転出届のときに、氏名、転出先、転出の予定月日を記載しなければならぬという、親にとっては面倒なものがここに一つございます。それから、転出証明をもらって、今度は転出校に行くわけですが、ここでまた転学届け出を出して、在学証明、教科書給与証明書をもらう。これだけの手続が済むと次の土地に移れるわけですが、転入したら、まずやはり転入の市町村に行って転入届を出す。これはちゃんと法令で決まっておりまして、転入をした日から十四日以内に出さなければならぬということで、氏名、住所、転入をした年月日、従前の住所、世帯主、世帯主との続柄、こういったことを記載して届け出をするわけです。さらに、今度は市町村教育委員会から就学の通知書をもらって転入校に行って転入届を出す。これだけの手続を、さっきおっしゃるようにきちっとした法令に基づいて行うとなれば親がやらなければなりません。先ほど申し上げましたように、この旅役者一団というのは渡り歩くわけですから、大変な忙しい中で、親と子がそろって行けるというケースがなかなかできないところに大きな悩みがあるわけでございます。
 もともと、文部省でおっしゃるこういった転校手続というのは、考えてみますと、普通一般の例えば公務員の方とかあるいはサラリーマンの方がいわば転勤をされる、この場合、当然子供さんが転校されるわけですから、そういうケースを想定してこれはつくってあるのであって、今私がここで申し上げる、こういう全く特異な、年間六回も転校を余儀なくされる、こういう子供のためには、これは全くでき上がっていないことだけは事実だと思うのです。ですから、一面では、子供の教育権を守る、権利を守るためにこれをきちっとやった方がいい。これは教科書の配付という問題にも当然つながりますし、子供をどこでカウントするかという問題を文部省ではむしろ心配されているのではないかと思うのです。この子供の数によっては学級編制も違うでしょうし、また教師の数もいろいろと違ってくるでしょう。ですから、子供の教育権を一生懸命守ってあげたい、きちっとしていかなければならぬという考え方が、こういう子供さんにとっては結果的には落ちこぼれになっているし、結局は、年間四十日から八十日も長期欠席する、こういうことが親としては大きな一つの悩みでございまして、再三にわたって、こういう問題を何とか解決できないものだろうか、これは市町村やら県に盛んに陳情してきたわけでございますが、やはりこの問題は法令がある以上非常に難しいわけでございますけれども、大臣、いかがなものでございますか。こういう実態が現にあるわけです。特に、今日教育の論議が盛んになっておりますときに、わずかな数でございますのでややもすると見落とされるところの分野かと思いますが、いろいろ調べていきますと、こういうケースは、今私は旅回り劇団だけを具体的に取り上げて申し上げておるわけですが、ほかに例えばサーカスの一団がございます。それから全国的にハチみつを追っかけていく家族がございます。それから船上の生活者もいるそうです。このほか、祭りから祭りに渡り歩いていく露店商、こういった子供さんもあるわけです。その辺までずっと調べていきますと、まだまだ相当の方がいらっしゃるんじゃないか。
 特に私がここでこれを問題にしたのは、九州の座長さんがいらっしゃいまして、この方が熊本に住んでおりまして、そういったいろいろな家庭の面倒やら何やら見ている方でもございますが、心配されているのが、今、一方ではこういう田舎回りの旅回りの、いわば地方文化を見直すという意味で地方演劇の振興ということでこういう文化の掘り起こしが非常になされている反面、こういう方々が情熱をかけてやっていらっしゃるわけですが、中には子供の問題でもう参ってしまって、やはり子供にきちっと教育をさせたいということで去っていかれる方もあるわけですね。その座長さんがおっしゃるには、そういう方を見るときが一番残念だ、だからこれの何とかいい解決の方法はないでしょうかということで、実は私、いろいろと陳情いただいたわけでございます。
 これは私の個人の考えでございますが、例えばパスポートみたいなものでもっと簡単に転校できるような、そういう何か便法というか、法の運用上でも結構です、法律改正ということになりますとこれは大きな問題でしょうが、パスポートか何か、ちょっと簡単なそういうもので転校できるという方法がないものだろうか。この座長さんにいろいろお聞きしますと、たしか昭和三十七年か昭和三十八年ぐらいまでは大学ノート一つで転校できたということをおっしゃるわけです。学校の校長の判こ一つで転校ができた。だから、そういうことが前にできていたのだから、こういう特別なケースとして文部省の方でとらえていただいて、その旅回り一座が移動したときに子供がその日から学校に行ける、そういうようなことを何とかひとつ御検討いただけないだろうかと思うわけでございますが、大臣、いかがなものでございましょうか。
#384
○松永国務大臣 先生からお話を聞きまして、いろいろな仕事をしておる人がおり、その関係で、今先生御指摘のように一年間に六回も転校しなければならぬという立場の子供もおるということがよくわかりました。
 問題は幾つかあるような感じがするわけでありまして、一つは、自分の子供でありますが、その子供につきましてはできる限り教育の機会が与えられるように親としても配慮することが親の務めではなかろうか、一つはそういう面があろうかと思います。もう一つは、恐らくないと思いますけれども、小学校、中学校、いわゆる義務教育年齢の子供を役者としてずっと使っているという事態がありはせぬかなという感じもいたします。サーカスの場合もそうであるかもしれません。そうすると、それはまた別の問題があるような感じもするわけでありますが、親としても子供には教育を受けさせたい、だから転入学の手続が簡素になるようにというふうに希望していらっしゃると思うのでありまして、それは親として当然のこととは言いながら立派なものであると思います。
 そこで、各都道府県の教育委員会では、例の学級編制あるいは教員定数等の関係で、きちっとした書類で把握しないというと秩序正しい教育行政ができないというふうなことから先生先ほどお示しのようないろいろな書類が要るという仕組みになったのだろうと思います。自分の子供に教育を受けさせたい、しかし手続が大変だということもあって、実際は学校に行けるのに行けない期間があるなどということは大変残念なことでありますので、しかし、とは言いながら、都道府県教育委員会の立場もこれまたもっともな点もあるわけでありますから、どういう方法があり得るか、関係都道府県の教育委員会とも相談をして、そして簡素化あるいは合理化等々する余地があるかどうかこれは検討したい、勉強してまいりたい、こういうふうに思います。
#385
○沼川分科員 非常に前向きの御理解ある御答弁いただいて大変うれしく思うわけでございますが、さらにちょっと今後の参考までにつけ加えて何点か申し上げてみたいと思います。
 これは九州の場合の例ですが、恐らく全国的にもこういうケースでたどっているのではないかと思っておるわけでございますが、九州の場合は九州地区だけを一年間回るわけです。たまには海外遠征するような時代です。こういった旅回り劇団がブラジルに行ったり、特にブラジルなんか日系の方が多うございまして、非常にお年寄りの方あたりから感激をされたり感謝状をもらったといういわれのある劇団でもございます。ふだんは大体九州地区を回ります。年間のスケジュールとして日程をもらって、いろいろ説明を聞きまして私なりに思ったのが、こういうことなんですね。九州のケースの場合は毎年同じコースを行くのです。だから全く新しいところに飛び込むということがほとんどございません。ですから、例えば熊本から出発して大分の別府に行ったら、別府だったらどこどこ温泉の会場で、小学校ならどこの学校、中学校はどこの学校。今度大牟田に行けば、大牟田だったらどこどこ温泉センターで、中学校はどこ。これは定期的に決まったコースを行くわけでございます。ですから、子供たちは「やあ来たか」というようなことで、案外友達がいるんですね。でも私も、この前NHKだったかテレビニュースを見てしみじみ思ったのですが、こういうところの子供も同じ小学生、同じ中学生でありながら大変な悩みを抱えているんだなと思ったのです。アナウンサーが「どう、友達はできた」という質問をしていました。すると「友達はつくらない」と言うのですね。「どうしてか」と言ったら、「別れるときに寂しいから」と。何でもないようだけれども、こういった本当に子供の心を見るような思いでじいんとして私もあのテレビを見たことがあります。
 子役で一生懸命やっておる子供がおります。今おっしゃったように、親が強制しているというケースは、昔はともかく今は余りないのじゃないか。小さいときから芝居熱心の本当に好きな子供もいるのです。ですから、将来はそういう子供がこういう大衆演劇を守り立てていく、そういう子供もそういう中から出るのじゃなかろうか。ですから、親もその辺に非常に判断に難しいところがあるかと思います。また、先ほど親の務めともおっしゃいましたが、私も言ったわけです。親としては、自分たちが旅役者としてそっちばかり突っ走ってきて余り教育の方を一生懸命やってこないような方々がむしろ多かっただけに、そういう反省も確かにございます。ですから、できる限り子供たちだけには自分たちのようなことをさせたくない、教育はしっかりさせたい、そう思いながらも、実際問題は忙しさの中でどうしても子供の学校をおくらしてしまう。ですから、大変虫のいい話ですけれども、パスポートみたいなものができれば一番いいのじゃないか。大体どういうケースが多いかといいますと、これは私の知っておるあるケースですが、きょうだいがおって、弟を上級生のお姉ちゃんが学校に連れていくわけです。親は芝居の準備を一生懸命やっているわけです。学校の方はもう顔を知っていますから「やあ来たか」ということですが、そういうときに子供がパスポートを持っていって「先生、来ました」というような、そういう形の転校ができたら親も安心して芝居に打ち込めるでしょうし、親も望んでおることですし、やはり子供の教育という問題もうまくいくんじゃなかろうかなと思うわけです。
 それにつけても、学校はみんなよくわかっているわけですから――これをちょっとごらんになってください。これは九州の場合のコースですが、学校の場合、全部学校名も決まっておりまして、大体上演する会場もそういう会場をずっと行くわけでございます。ですから、もう向こうもその辺心得ております。ですから、転校の場合、実際問題どういうケースで行っているかといいますと、親が住民票を移動させるということは私の聞いている限り全然ございません。ひどいときは在学証明書も教科書給与証明書ももらわないまま行ってしまいまして、学校の方から問い合わせがあって、いろいろそういう確認した上でやっと転校が認められる、そういういろいろなケースがございます。ですから、やはりこの問題の解決は、先ほどおっしゃいました法令とか規則とかにこだわる限りはちょっと解決は難しいのじゃなかろうか。結果的にはかえって子供が落ちこぼれていくことになっていく、この点を心配するものですから、あえてお尋ねを申し上げたわけでございます。
 そういう点で、いかがなものでしょうか、学校も会場もぴしっと決まっている中で、実はこれは九州地区の熊本で、座長さんがたまたま熊本におるものですから、熊本の教育長がこれを問題にしまして、九州全体の教育関係者の集まりの折にこの問題の提起をいたしました。そういうことから、お互い学校でできる限りの便宜を図ろうという申し合わせをしていただいたことがあるのです。しばらく非常にうまくいったときがありました。五年前の話です。だんだん時間がたってきますと、担当者がかわられたり、その辺の連絡がとれなくなって、また非常に難しい問題が出てくる。するともう親は面倒くさいものだから、おっぽって帰ってくる。一時的にちょっとうまくいった時期もございました。ですから、例えば文部省から通達みたいな形あるいは行政指導、この辺どうなのかわかりませんけれども、こういう特別な子供についてひとつ格段の御配慮を賜りまして、何とかひとつこの人たちが子供の教育に心配せずに劇団に打ち込めるような、そういう方途をぜひ大臣に考えていただきたいと思うのです。
 それで、私もいろいろと申し上げたわけでございますが、これは大臣、大変失礼でございますけれども、私この前大臣の御経歴をちょっと拝見しておりまして、その中に大臣の信条が述べてございまして「庶民とともに喜び、苦労を分かち合う政治が私の信条である」そうおっしゃっておった記事を読みまして、きょうは私非常に意を強くして出てまいったわけでございます。非常に難しい問題もあろうかと思いますが、ぜひひとつその問題の解決策に御努力いただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
#386
○松永国務大臣 今先生の話をお聞きいたしておりまして、九州の中で行く地区は毎年決まっておるということでございました。そうすると、それぞれの地区の教育委員会も大体承知していることだというふうに考えられるわけでありますが、そうだとすれば後で資料をちょうだいいたしまして、それぞれの教育委員会の方々と相談をいたしまして、可能かどうか検討していかなければならぬ、こういうふうに思うわけであります。
 ただ、余りルーズにやりまして、それが広がってルーズな状態になるということもこれは大変な問題になりはせぬかなと思われる点もありますので、今先生のお示しになったような、九州で、そしてもう行くところが決まっておるというような場合を中心にして勉強してみたい。県の教育委員会の人たちから意見を聞き、実情をお聞きいたしまして相談をしてみたい、こういうふうに思うわけであります。
#387
○沼川分科員 どうも、大変前向きの御答弁ありがとうございました。ぜひひとつ御努力方をお願い申し上げます。
 以上で終わります。
#388
○葉梨主査 これにて沼川洋一君の質疑は終了いたしました。
 次に、滝沢幸助君。
#389
○滝沢分科員 大臣、皆さん、どうも御苦労さまです。
 初めに、大臣、二十五日の予算委員会におきまして私が質問申し上げましたことにつきまして大臣のお答えの中に、日本は中国等を侵略したと思いますかというふうに問いましたところ、速記録をまだ見ておりませんので的確には表現できませんが、趣意は、そのときの戦争の衝に当たった人々の意図は別として、結果的には侵略と言われても仕方がない状況があったのではないかというふうにおっしゃったと記憶しておりますけれども、これに間違いありませんか。そしてまた、その後、大臣のお考えが多少なりとも修正されている、ないしはあのときの言葉に舌足らずの点があったというようなことがありましたならば、この機会に修正されることも結構でございます。いずれにしましても、もう一度お考えを確認させていただきます。
#390
○松永国務大臣 当時の関係者の主観的な意図あるいは責任者の目的、これはいろいろあったと思いますけれども、その意図や目的は別といたしまして、客観的に見れば、特に被害を受けた立場の方から見れば、日本の行為の一部に侵略と見られても仕方のないようなものがあったと思わざるを得ない、こういうふうに申し上げたわけでありますが、現在もそういうふうに思っております。
#391
○滝沢分科員 そうならば、大臣は侵略という言葉はどのような意義を持つものだとお考えなんでしょう。ちなみに御参考までに広辞苑によらさせていただきますれば、このように書いてございます。侵略ということは、他国に無理に押し入って領土や財物を奪い取ることとなっております。そのようなことで、あの戦争は結果として領土も財物も奪い取ってはいない、ですからこれは侵入だと文部省は教科書の著者に変えてほしいとかつて要請をした経過もある。しかし、御存じのように昭和五十七年十一月二十四日に検定要領に(15)を加える、つまり近隣諸国との関係を考慮するという章が加えられたことによって、これがあまねく侵略に書き変えられたという経過があるのですけれども、この点についてはいかがお考えですか。
#392
○高石政府委員 当時問題になりました文部省の意見は、他の国々が中国に入ったことを進出と書いて日本だけを侵略というのはバランス上おかしいということで意見を述べたわけでございます。したがいまして、問題になる以前の教科書の中にも、日本の行為を侵略と、それから列強の中国への行為も侵略というような記述の教科書があったわけでございます。したがいまして、バランス論でそれを申し上げていたわけでございまして、あの事件を契機にして言葉を全部侵略にしなければ検定を通さない、こういうふうに言っているわけじゃないのです。したがって、現にある検定されている教科書も、今でも中国への進出というふうに書いてある教科書もございます。それから、中国への侵略というふうに書いてある教科書もあるわけでございます。そういうことでございまして、言葉遣いを全部統一的にそういうふうにしなければ検定を通さないというような態度でないわけでございます。
#393
○滝沢分科員 大臣は、日本のしたことが結果的には向こう様から見れば侵略と言われても仕方がない面があるとおっしゃったのでありますが、そうならば、日本みずからが使う教科書に日本みずからが、我が国は中国を侵略したというふうに書くことは好ましいことと思いますか。
#394
○松永国務大臣 教科書というものは客観的な事実に合致しているということ、公正であるということ、そういったことが当然のことであると思います。しかし、日本という国がかつて他国を侵略し、悪事の限りを尽くしたなどという印象を与えるような教科書は、将来の日本を担う青少年を健全に育成する上においては望ましいことではないというふうに私は思っております。そういうことでありますので、積極的にといいましょうか、教科書の中に侵略という言葉を使っていくということは私は好ましいとは思っておりません。
#395
○滝沢分科員 大臣より大変適切な力強いお答えをいただきまして、意を強うしておるところであります。どうぞひとつそのような精神でこれから教科書を検定していただきたいと思うわけであります。
 ところで局長、さっきおっしゃっていただきましたバランス論でございますけれども、しかし、いずれにしましても日本が侵略したということの出発点は東京裁判でございましょう。違いますか。
#396
○高石政府委員 いろいろな考え方があると思います。一九七四年の国連総会において採択された侵略の定義、決議、そういうこともありますし、それからいろいろなその後の歴史学者の学説、そういういろいろな説があって、中国への行為を侵略とする学説が多いというようなこともございますし、文部省は検定をする際に、この事実が唯一正しい一つの結論である、そういう物差しで検定をしていないわけでございます。あくまで当時の学界における通説であるとか公的な機関で発表されたことが客観的な事実として明らかである、そういうものをもとにして記述されているという場合において、検定としては改善意見であるとか修正意見を述べないというような形に対応しているわけでございます。したがいまして、文部省の価値観で一つ一つの事象、これはこうであるああであるという物差しで、特に歴史教科書を検定するに当たってはやっていない。一般的な学説として言われている通説、それから公的機関で発表された形のもの、それがそのとおり正しく記述されておれば検定をパスする、こういうような仕掛けになっておるわけでございます。
#397
○滝沢分科員 いや、私は、侵略という言葉が殊さらに日本に冠せられたものは、したがって教科書等がそのような表現を継承しているのは、その起点は東京裁判であるか、こうお尋ねしたわけで、そうであるかないかだけちょっとおっしゃってください。
#398
○高石政府委員 東京裁判で日本を侵略と書いたから侵略にしているだろうということではなくして、その後の日本の一連の歴史的行為に対するいろいろな評価、それから歴史的な見方として一般的な学界として日本の行為を侵略とする説が通説というか多い説になってきておる。その言葉を使ってそういうふうに説明しているということかと思います。
#399
○滝沢分科員 それはそれにしまして、先ほどバランスというふうにおっしゃいましたが、中国に日本が攻めていったものは侵略、よその国のものは侵略でないのはおかしいからそのバランスをとるとおっしゃいました。ないしは、日本に対して例えばソビエトがあの二十年の八月、九月に北方領土等に入ってきたこともこのバランスに入るでありましょう。そのような意味で、今の教科書の多くはいわゆるバランスが適切にとれていると見ておりますか。
#400
○高石政府委員 一連の事件が発生して、近隣諸国との友好関係をも十分に配慮して行うというように検定基準を改訂したわけでございます。その際に具体的な対応として、日本の行為を進出、侵略、侵入、いろいろな表現が行われるであろう、しかしこれについては特に修正意見を述べないというような態度で対応して、近隣諸国との友好関係を配慮した措置にしていこうというようなことにしているわけでございます。したがいまして、現在行っている検定に当たりましては侵略、進出、侵入、そういういろいろな言葉を使うことについては特に意見を述べないということになっておりますので、著者の書いてくる表現をそのまま認めるということになっておるわけでございます。
#401
○滝沢分科員 全然先ほどからお答えがずれておるのですが、お答えはどうかひとつ簡単に。バランスがとれていると思っているか、とれていないと思っているかとお尋ねしているわけです。
#402
○高石政府委員 教科書においては当然バランスをとって記述をしてもらいたいというふうに思っております。
#403
○滝沢分科員 思っていることはわかるけれども、とれているかいないかを聞いているのです。あなたが思ったとおりに書いてあるならばそれはいいでしょう。バランスはとれていますか。
#404
○高石政府委員 全部の教科書に当たっているわけではございませんが、先ほど見た教科書では、例えば日本の場合も進出、それから外国のものも進出というような教科書もございます。それから、両方とも侵略というような教科書もございます。
#405
○滝沢分科員 それでは、全部でなくてもバランスのとれない教科書もありますね。簡単にイエスかノーかだけおっしゃってください。
#406
○高石政府委員 全部の教科書を見ていませんので、ここで私がバランスがとれている、とれていないということを申し上げるのは非常に軽率かと思いますので、よく調べた上で返事をさせていただきたいと思います。
#407
○滝沢分科員 それでは、今の答えを後からちょうだいするようにひとつ御配慮を願います。
 話はここまで来ましたけれども、文部大臣、教科書を、特に小中高校の歴史の分野の教科書をお読みになっておりますか。
#408
○松永国務大臣 たくさんは読んでませんし、詳細にも読んでおりませんけれども、一、二読んだことはあります。
#409
○滝沢分科員 お読みになったときに、今議論しておりますようなことにつきましていかにお考えでございましたか。
#410
○松永国務大臣 私の感じでありますが、日本の一部の教科書には、必要以上に日本が侵略その地悪いことをしてきた国であるということを子供に印象づけるような感じの教科書があるということを承知いたしております。
#411
○滝沢分科員 私は、臨教審等が教育のことを議論しているこのいわば大事なときに松永大臣を迎えたことを大変心強く思っております。どうぞひとつ今ほどのお答えのように勇気を持って真実を語り、そして日本の百年のためにこの混迷の教育を打開していただきますように要望し、一つは激励を申し上げさせていただきます。
 ところで、臨教審の議論は、途中でよそがとやかく言うことはおかしいんだけれども、ただ、見ておりますと、臨教審の各部会で例えば自由化論ないしは大学入学試験云々というようなことが議論されているわけです。世上家永裁判あり、また最近は逆の裁判があったりして、いろいろと議論が展開されております教科書検定をめぐることにつきましては臨教審において議論されたという新聞、ニュース等を余り見ないのでありますけれども、これらのことについていかなる議論が展開されてきたものか、触れ得る限りにおいて承らせていただきたいと思います。
#412
○高石政府委員 第三部会で教科書についても審議の対象にする事項として掲げられているわけでございます。私の承知している範囲内では、まだ第三部会は教科書問題についての論議をするに至っていないという状況かと思います。
#413
○滝沢分科員 たしか臨教審を設置していただくときにおっしゃっていただいたことは、三年間で議論をする、しかし必要に応じて途中でもいろいろと中間の答申や意見をもらう、そして必要なものから実行できるようにというふうにおっしゃったと思うのです。教科書は毎年検定作業をなさり、また毎年改訂版が出てくることでありますから、三年後にまとめてお出しになるであろうところの提言は、来年使う教科書に間に合うようにという意味で、御意見を賜ることもよろしいかなと私は思うのでありますが、そのことはどうですか。
#414
○高石政府委員 教科書の検定に当たりましては、教科書が公正、客観的なもので子供の発達段階に応じた適切な教材になるということを常に念頭に置きながら検定を進めているわけでございます。したがいまして、答申をいただく、いただかないにかかわらず、基本的な文部省の態度としては、そういう姿勢で検定を進めていきたいと思っております。
#415
○滝沢分科員 教科書検定のことについても臨教審に早く議論をしていただきなさいというようなことを、ちょっと遠慮っぽくさっき申し上げたのでありますが、ひとつこれを要望しておきます。
 そこで、先ほど大臣は大変適切な、力強い表現をなさったけれども、私は思うのですよ、日本の国の子供に読ませる歴史の教科書は日本の国の名誉をとうとび、我々の祖先、先人を尊敬し、父母を敬愛する、そういう視点に立って物を書くべきであって、第三者が評論的に書くようなものであってもいけない。今日の歴史教科書の欠点は歴史そのものを美術史とか民俗史、芸能史ないしは考古学史というような視点から物を見ているものですから、近松門左衛門の浄瑠璃は一ページを費やしても、大化の改新はささっといっちゃったりしているわけです。そういう点に大変な誤謬があろうと私は思っているわけであります。
 そこで、私は教育ということについて五つの問いをここに用意してきたのであります。これは、だれが、いかなる国民をつくろうとして、何によって、何を、どこで教えるか、この五つの問いに対して我々は答えを用意しなくてはならないのではないか、こう思うのです。これは私の教育論でありますけれども、だれがといったら、これは教師でしょう。いかなる国民をつくるかというところに私が先ほど申し上げました祖国を敬愛し、祖先、父母をたっとぶというようなものが出てこなくちゃならぬと思うのであります。つまりはこのときに教育基本法の問題が出てくるわけでありましょうけれども、そう思うのです。何によってといったら、これはやはり教科書じゃありませんか。そして、何をといったら、これは人道、倫理そして一般的な知識でありましょう。どこでするかといったら、これは学校でするわけです。そのような意味で私は教科書というものを非常に重んじたいのでありますけれども、この件につきまして、大臣、お考えをちょっと漏らしていただけますか。
#416
○松永国務大臣 教科書というものが教育の上で大変重要なものであるということは私も深く認識いたしております。そして、特に歴史の教科書等につきましては、故意に必要以上に日本の過去の歴史を美化する必要はありませんけれども、さればといって意図的に日本の過去の歴史が過ちに満ちたものであるということを故意に子供に教え込むなどということはいいこととは思っておりませんが、過去は過去として反省し、そして我々の先祖、先輩がなしてきたすばらしいことはきちっと我々の子供に教え込むべきものであるというふうに思います。その意味で、先ほど先生のお話しになりました聖徳太子の話、大化の改新の話、あるいは日本の伝統的な文化の話、こういったものもきちっと今の子供に教え込むということが大事なことであろうというふうに思うわけてあります。
#417
○滝沢分科員 そのように教科書は大切なものなんだけれども、その教科書に過ちの記述が発見されたならば、それは局長、いろいろと去年から私と議論しているところなんだけれども、もう少し積極的に文部省から訂正を求める道が講ぜられていいんじゃないでしょうかね。例えば私は、北方領土の記事について、南京大虐殺事件の記事について、これはやはり修正を求めてもいいものが多々あると思いますよ。いかがですか。
#418
○高石政府委員 先生からは何回も御質問を受けて、同じことをお答えするようなことになるかもしれませんが、北方領土の問題につきましては、地理的分野、歴史的分野といろいろ分野がございまして、少なくともその全体の中でちゃんと、北方領土は日本の固有の領土であり、不当に占拠されている、そして返還を求めているというようなことがわかるように記述されているわけでございまして、したがって、少なくとも今使われている教科書で、北方領土の問題についてはそこまでの具体的な記述がなされているというふうに思っております。
 それから、南京大虐殺につきましては、そのこと自体を取り上げるべきでないという意見もございますし、取り上げる場合に、殺害された人数が非常にまちまちじゃおかしいというような意見もございますので、そういう人数の点になりますと、明確なデータを基礎にして書いてほしい、または、不明確であれば落としてほしいというような指導をしているわけでございます。精いっぱい努力をしているつもりでございますけれども、何さま検定の限界というのがございますので、これをこういうふうに書き直せとか、そういうことがなかなか言えないわけでございまして、間違っているのは間違っている、それから表現が、そういう意味の表現であればこういう表現にした方がいいじゃないかという改善意見、そういうことを積み重ねて、より立派な教科書になるように努力をしているつもりでございますけれども、先生からまだ十分していないというおしかりを受けるわけでございます。
#419
○滝沢分科員 大臣も局長も、私が言いにくいことを言うのも、これは皆さんも一緒でありますけれども、教育を思い、国の将来を憂うるからでありまして、その点はひとつ了承をちょうだいしたいと思います。
 そこで、この南京虐殺事件の有無もこれは問われておりまするけれども、仮にあったにしても、昨年から申し上げておりまするとおり、三万、四万というものから四十万まであるわけです。これじゃやはり、お兄さんが読んだ教科書と妹が読んだのは随分と、十倍も違ったのではこれはおかしい、そういう意味では、ここら辺はひとつ訂正を積極的にお願いしていいと思うのだけれども、どうでしょうね。
#420
○高石政府委員 客観的な事実に対して、これが一つの真実であり、事実であるということがわからないわけでありまして、いろいろな筋の発表によっての数字が違うわけでございます。したがいまして、少なくともそういう推計の数字を出す場合には出典を明らかにしてほしいということで指導しているわけでございます。出典もなくて断定的に十万とか二十万と書かれるのは正しい記述でない、そういう意味の修正は求めております。
#421
○滝沢分科員 そこで、これはちょっと余計な話か知りませんけれども、御参考までに、局長、今度四月から使われる高等学校の教科書の中に東郷平八郎、乃木希典、明治天皇というものはどの程度出てくるものか。出てくると思いますか、全然出てこないと思いますか。
#422
○高石政府委員 ちょっと調べてみないとわかりませんので……。
#423
○滝沢分科員 これらのものが全然出てこないとするならばどうだろう。これは日本近代史を書く上ではちょっと筆不足じゃないかなと思うのですが、どうでしょう、これらの三人とも全然出てこないような教科書が仮にあったら。
#424
○高石政府委員 どういう記述の仕方をするか、昔の教科書と違って最近の歴史教科書は、割合人物を書かなくて、そういう事件だとかそういうことを中心に記述するような傾向が一般的にあるわけでございます。したがいまして、そういう人物が出てこないで違った人物ばかり出てくるというふうになっているのか、なっていないのか、そこはやはり少し教科書を具体的に読んでからでないと、私の方は、今の時点で論評は差し控えたいと思います。
#425
○滝沢分科員 今度はみんなでひとつ歴史教科書を読む会でも開きましょう。
 ちなみに、種明かしをしますれば、東郷平八郎、乃木希典は、日本で今度使われるすべての高校教科書にどっちも全然出できません。そして、その二つは申すまでもありませんけれども、加えて明治天皇も全然出てこないのが六冊ございます。つまり、この三人の大人物とも一切出てこないのが六冊。乃木、東郷に至っては一冊も出てこない。これが教科書であります。しかし、人物でなくて事件を中心にして書くとおっしゃいましたけれども、私たちの歴史におきまするポイントは、いつ、だれとだれが、どこで何をしてどうなったというふうに教わったのだけれども、その方程式は今はいけないのですか、どうですか。
#426
○高石政府委員 歴史教科書を書く著者の考え方に左右されるわけでございまして、文部省が教科書を書くわけでございませんので、その書かれてきた歴史教科書が客観的な事実に合っているかどうかという形で検定をしますので、我々が戦前に学んだ歴史教科書と今は随分違っているなあという感じを私も率直に持っております。
#427
○滝沢分科員 時間が参りましたからあれでありますが、つまり今日、我が国の教育は非常に揺らいでいる。しかも、左右両方からのいろいろの告発や批判を浴びてあらしの中にあると言っても過言ではない。このときに、私たちのこの国を、そしてこの家庭を、この町を受け継ぐ青少年が、このあらしの中の教育に立たされているわけです。それらのことを思いまして、大臣、お互いに勇気を持って教育を正すことに頑張ろうじゃありませんか。どうかひとつ頑張ってください。私も頑張ります。
 まことにありがとうございました。
#428
○葉梨主査 これにて滝沢幸助君の質疑は終了いたしました。
 次回は、明八日午前九時から開会し、文部省所管及び自治省所管について審査を行うこととし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時四十分散会
ソース: 国立国会図書館
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