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1984/02/15 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第10号
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1984/02/15 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第10号

#1
第102回国会 予算委員会 第10号
昭和六十年二月十五日(金曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 天野 光晴君
   理事 大西 正男君 理事 小泉純一郎君
   理事 橋本龍太郎君 理事 原田昇左右君
   理事 三原 朝雄君 理事 稲葉 誠一君
   理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君
   理事 吉田 之久君
      相沢 英之君    伊藤 公介君
      伊藤宗一郎君    石原慎太郎君
      宇野 宗佑君    上村千一郎君
     小此木彦三郎君    小渕 恵三君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      海部 俊樹君    倉成  正君
      小杉  隆君    砂田 重民君
      住  栄作君    田中 龍夫君
      葉梨 信行君    原田  憲君
      平沼 赳夫君    平林 鴻三君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      山下 元利君    井上 一成君
      井上 普方君    上田  哲君
      大出  俊君    川俣健二郎君
      佐藤 観樹君    堀  昌雄君
      松浦 利尚君    矢山 有作君
      池田 克也君    近江巳記夫君
      神崎 武法君    大内 啓伍君
      木下敬之助君    小平  忠君
      工藤  晃君    瀬崎 博義君
      松本 善明君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 松永  光君
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
        農林水産大臣  佐藤 守良君
        通商産業大臣  村田敬次郎君
        運 輸 大 臣 山下 徳夫君
        郵 政 大 臣 左藤  恵君
        労 働 大 臣 山口 敏夫君
        建 設 大 臣 木部 佳昭君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     古屋  亨君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)藤波 孝生君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)     河本嘉久蔵君
        (国土庁長官)
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 加藤 紘一君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      金子 一平君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      竹内 黎一君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石本  茂君
        国 務 大 臣
        (沖縄開発庁長
        官)      河本 敏夫君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  吉居 時哉君
        内閣審議官   海野 恒男君
        内閣法制局長官 茂串  俊君
        内閣法制局第一
        部長      前田 正道君
        警察庁長官官房
        長       鈴木 良一君
        総務庁長官官房
        長       門田 英郎君
        総務庁人事局長 藤井 良二君
        防衛庁参事官  古川  清君
        防衛庁参事官  古川 武温君
        防衛庁参事官  池田 久克君
        防衛庁参事官  筒井 良三君
        防衛庁長官官房
        長       西廣 整輝君
        防衛庁防衛局長 矢崎 新二君
        防衛庁教育訓練
        局長      大高 時男君
        防衛庁人事局長 友藤 一隆君
        防衛庁経理局長 宍倉 宗夫君
        防衛庁装備局長 山田 勝久君
        防衛施設庁長官 佐々 淳行君
        防衛施設庁総務
        部長      梅岡  弘君
        防衛施設庁施設
        部長      宇都 信義君
        防衛施設庁建設
        部長      大原 舜世君
        防衛施設庁労務
        部長      大内 雄二君
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        科学技術庁研究
        調整局長    内田 勇夫君
        国土庁長官官房
        長       永田 良雄君
        国土庁長官官房
        会計課長    北島 照仁君
        外務大臣官房領
        事移住部長   谷田 正躬君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省北米局長 栗山 尚一君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      山田 中正君
        外務省情報調査
        局長      渡辺 幸治君
        大蔵大臣官房審
        議官      小田原 定君
        大蔵省主計局長 吉野 良彦君
        大蔵省関税局長 矢澤富太郎君
        大蔵省証券局長 岸田 俊輔君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        厚生大臣官房総
        務審議官    長門 保明君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        農林水産大臣官
        房長      田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房予算課長   鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        林野庁長官   田中 恒寿君
        通商産業省通商
        政策局長    黒田  真君
        通商産業省基礎
        産業局長    野々内 隆君
        通商産業省機械
        情報産業局長  木下 博生君
        中小企業庁長官 石井 賢吾君
        運輸大臣官房国
        有鉄道再建総括
        審議官     棚橋  泰君
        運輸省国際運
        輸・観光局長  仲田豊一郎君
        運輸省地域交通
        局長      服部 経治君
        運輸省航空局長 西村 康雄君
        海上保安庁次長 岡田 専治君
        郵政省通信政策
        局長      奥山 雄材君
        労働省労政局長 谷口 隆志君
        建設大臣官房長 豊蔵  一君
        建設大臣官房総
        務審議官    松原 青美君
        建設大臣官房会
        計課長     望月 薫雄君
        建設省道路局長 田中淳七郎君
        自治省行政局選
        挙部長     小笠原臣也君
 委員外の出席者
        運輸省航空局管
        制保安部長   平井磨磋夫君
        日本国有鉄道総
        裁       仁杉  巖君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動二月十五日
 辞任         補欠選任
  石原慎太郎君     平沼 赳夫君
  大村 襄治君     平林 鴻三君
  小杉  隆君     伊藤 公介君
  小沢 和秋君     工藤  晃君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤 公介君     小杉  隆君
  平沼 赳夫君     石原慎太郎君
  平林 鴻三君     大村 襄治君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、総括質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江巳記夫君。
#3
○近江委員 この防衛費のGNP一%問題についてまずお伺いしたいと思うのですが、総理は、中曽根内閣といたしまして、GNP一%を超えないように努力をするということを明言されております。矢野書記長がこの問題を指摘したわけでございますが、このときに、「政府はGNP一%を超えないことをめどとする方針を今後も守りたいと考えているので、現時点ではたとえ仮定の問題としても一%を超えた状況でいかなる措置をとるか決めていない。仮にそのような状況になった場合には、その時点において矢野委員御指摘の考え方等国会における各般の御論議や過去の政府の答弁等を踏まえて、慎重に対処いたしたいと存じます。」こういう答弁をされていらっしゃるわけでございます。
 しかし、昨日の本委員会におきまして、総理の御答弁というものは、このGNP一%を守る努力というものにつきましては何ら示しておられない、このように思うわけです。超えたら新しい歯どめを考えるということが適当である、このようにおっしゃっておるわけでございますが、これは既にGNP一%を守る努力を放棄して、突破することを前提としたものじゃないか、この点は非常に私は問題であると思います。我が党に対する答弁と昨日の答弁は余りにも隔たりがあり過ぎる、このように思うわけでございます。
 こういうことで、最初にこれをお聞きするわけでございますが、これは非常に重大な問題でございまして、理事の二見君からもこの問題については議事進行上、発言をぜひ関連でさしてもらいたいということがございます。したがいまして、委員長にお願いしたいことは、二見理事の発言をお許しいただきたいと思います。
#4
○天野委員長 そのいきさつにつきましては、総理大臣より答弁をいたさせます。内閣総理大臣。
#5
○中曽根内閣総理大臣 きのう大内委員に対する御答弁、私は矢野先生に対する答弁と何ら変わっておりません。それは矢野先生に対して御答弁したとおりでありますということをまず前提にして申し上げております。しかるところ、大内委員から、自分の御意見の開陳がいろいろあったわけです。それにつきましては、政府としてはそれはひとつ研究させていただきます、そういうことを申し上げたので、民社党の政審会長ともあろう方がそういう一つの考え方をお示しになったのですから、にべもなくそれを拒否するというのは大変失礼でもありますし、ともかく国会でいろいろ出る御議論というものについては、政府は矢野先生のそれに対する御答弁というものを堅持しておりますけれども、まあひとつ研究させていただきましょう、そういうふうに申し上げたのが真意であります。
#6
○天野委員長 この際、二見伸明君から関連質疑の申し出がありますので、近江君の持ち時間の範囲内でこれを許します。二見伸明君。
#7
○二見委員 GNP比一%問題は今国会の最大の焦点でございまして、したがいまして、一月三十一日の田邊書記長も、そして矢野書記長もこの問題を最重要課題として取り上げたわけであります。そして田邊書記長に対しても、守りたい所存であるという答弁があり、矢野書記長に対しても、先ほど近江委員が読み上げたような総理からの答弁があったわけであります。
 総理は、きのうの本委員会における答弁と矢野書記長に対する答弁とは変わりはないと言うけれども、私は大違いだと思う。今大事なことは、一%をどうやって守るか、それに最大の努力を払うのが総理の立場である。仮にも、仮定とはいいながら新しい歯どめに言及する、これは到底我々としては承服ができない。こういう姿勢がある以上は、我々はきょうはさわやかな気持ちでもって近江委員の質問に入ることはできない。したがって、きょうは我々としては、予算委員会の審議には応じられない、このことを申し上げたいと思います。
#8
○中曽根内閣総理大臣 これはきのうの速記録をお読みいただけば明確におわかりいただけると思うのであります。私は矢野書記長に対する答弁を、堅持しておりますという趣旨のことをまず申し上げておるのです。それへ民社党の政審会長から、自分の御意見の御開陳があったわけです。それに対しまして、それを勉強の参考にもしないというのは大変失礼でありますから、それは一つの御意見としてひとつ研究させていただきましょう、そういうふうに応対をしたのであります。これはやはり政党の礼儀ではないか、私はそう思って申し上げたわけであります。(発言する者あり)
#9
○二見委員 田邊さんは社会党の書記長であります。矢野は我が党の書記長であります。政党への礼儀を言うならば、社会党に対しても公明党に対してもそれなりのことがあっていいはずです。いずれにしても、この問題について総理から、一%を守る、元の答弁に戻るまで、我々としてはきょうは審議には応じられない、応じる意思はないと申し上げておきたいと思います。
#10
○天野委員長 内閣総理大臣。一応、総理大臣答弁してください。(発言する者あり)ちょっとお静かに願います。
#11
○中曽根内閣総理大臣 防衛費につきましては、矢野書記長に御答弁申し上げましたとおり、参議院の段階におきましても同じような答弁をずっとしてきておるのです。私は今日におきましても、「防衛費につきましては、今日まで対GNP比一%を超えないことをめどとするとの三木内閣の閣議決定の方針を守ってきました。六十年度も、当初予算においても、その方針を守ったところであります。今後とも、その方針を守りたいと存じます。」なお、一%を超えた場合の措置については、「政府はGNP一%を超えないことをめどとする方針を今後も守りたいと考えておりますので、現時点では、たとえ仮定の問題としても一%を超えた状況でいかなる措置をとるかは決めておりません。仮にそのような状況になった場合には、その時点において」「国会における各般の御論議や過去の政府の答弁等を踏まえて慎重に対処いたしたいと存じます。」この矢野書記長に対する答弁でありますということを明確に申し上げます。(発言する者あり)
#12
○天野委員長 十一時再開することにいたしまして、暫時休憩いたします。
    午前十時十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十七分開議
#13
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、中曽根内閣総理大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中曽根内閣総理大臣。
#14
○中曽根内閣総理大臣 防衛費はGNP一%を超えないことを目途とする方針は、田邊委員、矢野委員の御質問にお答えしたとおりであります。その方針は変わっておりません。今後とも守りたいと考えております。今後とも守りたいと考えておりますので、現時点においては、たとえ仮定の問題としても、一%を超えた時点で、いかなる措置をとるか決めておりません。仮にそのような状況になった場合には、その時点において、矢野委員御指摘の考え方等国会における各般の御論議や過去の政府の答弁等を踏まえ、慎重に対処いたしたいと存じます。
#15
○天野委員長 質疑を続行いたします。二見君。
#16
○二見委員 GNP比一%問題は、我々は非常に重要視いたしております。したがいまして、この問題に関しては、さらに同僚委員あるいは集中審議でもって我々も十二分に審議をしたいと考えています。
 なお、私は、我々がGNP比一%枠を守ることを非常に重要視しているということをこの際改めて総理に骨の髄まで御理解をいただきたい、このことを要望いたしまして、私の質問は終わりたいと思います。
#17
○天野委員長 近江巳記夫君。
#18
○近江委員 この一%問題につきまして、今、二見君から表明があったわけでございまして、どうかひとつ総理も一%の枠というものを徹底して守っていただきたい、強く要望いたしておきます。
 それでは、質問に入っていきたいと思います。
 国連は、総理も御承知のように創立満四十周年を迎えるわけでございます。ところが、この国連の問題というのは、必ずしもその機能を発揮していないんじゃないか、こういう心配もあるわけでございます。
 特にユネスコの問題につきましては、加川大使の方から、改革が進まなければ脱退も辞さずというような表明もあったということも伝えられておるわけでございます。御承知のようにアメリカは撤退をした。そしてまた六十年の末には、シンガポールを初め何カ国か、そういう撤退を表明しておる。まことにゆゆしき事態に立ち至っておると思います。
 そこで、総理にお伺いしたいことは、この国連の機能、国連の存在というものを総理はどのように御認識になっていらっしゃるか。そしてまた、ユネスコの脱退表明、代表される大使のそういう脱退と受けとめられかねない示唆があったということで、非常に心配しておるわけでございますが、この二点につきましてお伺いをしたいと思います。
#19
○中曽根内閣総理大臣 国際連合は第二次世界大戦末期に設立され、自来四十年にわたりまして、世界の平和あるいは経済繁栄、文化、福祉、教育、そういうあらゆる面において大きな功績を上げてきたと思っております。
 最近、国連の機能その他について若干の批判がありますけれども、国連の存在自体が、世界の平和と安定に存在すること自体が大きな貢献をまずやっておる、機能すればさらにその貢献が強まる、そういうていの存在であるだろうと思うのであります。
 そういう意味におきまして、我が国は国連中心主義外交ということを今までやってまいりましたが、今後もそういう考えには変わりはございませんし、国連の機能がますます活発化し、その使命を果たすように我々も協力してまいりたいと考えております。
 それから、ユネスコの問題につきましては、もう久しい間、まず、ユネスコの運営自体が余りにもちょっと政治的偏向があり過ぎる。元来、あれは教育文化機関であるはずであります。それが政治的偏向があり過ぎる。あるいは経費の使い方がややもすれば構成国の意に沿わない、どっちかというと節約をやらないで、多少幹部が適当に使い過ぎている要素があるというような批判がありました。そういうようなところで、人員においてもあるいは使い方においてももっと合理化を行って、拠出している国の期待に添うような経費の使い方なり、会の運用の方法というものを考えてもらいたいという厳しい批判が長年ありまして、その改革が上がらないので、脱退を通告する国が出てきたりしておる現状です。
 日本も、そのユネスコを改革しなければならぬという考えにおいては全く同じであります。しかし、我々の方は、改革に重点を置きまして、ともかく我々の強い関心、要求というものを先方に伝えて、その成果を見守っていきたい、そう思っておるところでございます。
#20
○近江委員 そうすると、内部の改革ということで強く要請をする、その改革が進まないときは日本も脱退があり得る、こういうことなんですか。
#21
○中曽根内閣総理大臣 ともかく、あれだけ強いことを各国も言っているわけですから、首脳部等あるいは一部のそういう偏向した考え方で運営したいと思っている人がいたら、それは相当反省もするでしょうし、ともかくその成果を見守っていきたい。しかし、我々の方がかなり強い意思を持ってそういうことを言っているということは厳然たる事実であります。
#22
○近江委員 総理は、国連中心主義、国連の存在というもの、また機能というものを、これは非常に重視されていらっしゃるわけです。先ほどの答弁にもあったとおりでございます。私たちもいろいろと、戦後四十年たつわけでございますし、一つの運営という点でいろいろな弊害も出てくるでしょう。しかし、国連を大事にしていくというその中心点が狂わない限りは、この内部の改革に努力をしていく、だめだから去るという、これは私は非常にまずい、このように思うのです。この改革を迫るという一つの強い意思表明という形でそれは進められたのかもしれませんけれども、私は総理の本心をお聞きしたいと思うのですよ。一挙にそういう改革というものはなかなか進まないと思います。だから、この国連大使が言っているように、そういう脱退もあり得るのですか、いかがなんですか。
#23
○中曽根内閣総理大臣 ともかく、積年にわたるそういう改革論がユネスコ内部にはありまして、それを実行しないものですから、一部の国はしびれを切らして、そして、今運営している人たちに対する反省を求むるという意味においてああいう行為をやったと思います。我々もそういうやり方については心情としてわからないわけではないけれども、我々の方は踏みとどまっていてともかく改革を思い切ってやらせよう、そういう意思で今も努力しておるところなのでございます。
 国際機関を去るというようなことはそう軽々にやるべき問題ではない、我々の欲するところではありません。しかし、強い意思を持ってそういうことをやらないと、今まで何回やってもやれない、直らぬという状況を見ますというと、我々の方もやっぱり、いざというときには異常な決意を持ってこれは強くやらなければいかぬ、そういう事態にまで至っておる、そういうふうに考えておるのであります。
#24
○近江委員 改革への非常に強い意思を持って迫った、しかし、こうした国連機関、国際機関というものは本当に大事にしていきたい、こういう気持ちは総理自身、もう一度重ねてお聞きしますが、これは間違いないわけですね。そういう去るというような気持ちは本心ではないということでございますね。
#25
○中曽根内閣総理大臣 国連等の国際機関を大事にし、これが健全に育つように誠心誠意協力していくというのは、我が国の基本的な方針でございます。その方針は変わっておりません。
 しかし、今申し上げたような事情で改革が行われない、そういう場合には、これは我々は決して去りたいとは思っておりませんが、しかし、その状況や推移によっては我々としても異常な決意をしなければならぬ、そういうことがないとは断言できない。ともかく今改革に向かって全力を傾注する、そういう段階であると思います。
#26
○近江委員 そういう去るというような悲劇的な状態は絶対に避けていただきたいと思います。そして、改革を迫ることはこれは大いにやっていただいていいと思うのです。その点、特に総理に強く要望したいと思います。総理の本心は本当に国際機関、国連というものを大事にしていきたい、去りたくないという気持ちですね。もう一遍確認します。
#27
○中曽根内閣総理大臣 今あなたがおっしゃったように、大事にしたい、去りたくない、そういう気持ちでいっぱいでおるのではあります。
#28
○近江委員 国連のこうした平和維持機能の強化、この問題は非常に長年の懸案の問題でございます。一九八二年に、デクエヤル国連事務総長が年次報告の中で、事務総長の権限強化、紛争の起こりそうな地域での事実調査の強化、国連平和維持軍の軍事能力と権限の強化、これらの問題討議のための首脳レベルによる安保理事会の開催などを提案したことは、総理も御承知のとおりでございます。これは一つの見識であろうかと思うわけでございますが、この国連を再活性化させる、機能を強化させる、これは創立四十周年を迎えた国連の一つの大きな問題ではないか、このように私は思うわけでございます。
 総理にお聞きしたい第一点は、このデクエヤル事務総長の提言をどのように理解され、評価されるかという点です。
 それから、第二点といたしまして、我が国として、国連の再活性化のために総理は真剣なお考えを持っていらっしゃると思うのでございますが、政府としてその再活性化のための具体的な提案をするべきではないか、このように思うわけですが、以上二点についてお伺いしたいと思います。
#29
○中曽根内閣総理大臣 国連の機能強化あるいは再活性化に協力するということは、私ももとより賛成でございますが、具体的なやり方については政府委員より答弁させます。
#30
○安倍国務大臣 我々は、デクエヤル事務総長の一九八二年の提案を高く評価をいたしております。それにこたえまして国連演説で、外務大臣、当時櫻内外務大臣でありましたか、この平和維持機能の強化につきまして演説をいたしました。私も引き続いて演説を繰り返しております。同時に、日本としましても、デクエヤル事務総長の提案を踏まえて、日本の学識経験者等の提言、国連のいわゆる平和維持機能の強化についての提言を行っておるところであります。
#31
○近江委員 この再活性化のための我が国としてのすばらしい提案を、今後ひとつどんどんお願いしたい、このように思っております。
 それから、これまで日本の総理が国連総会に出席されましたのは、御承知のように佐藤総理、これが一九七〇年、創立二十五周年のときです。それから第二回目の軍縮特別総会の際、これは一九八二年だったと思いますが、鈴木総理が行かれておるわけでございます。二度行かれていらっしゃるわけでございますが、今回の総会というのは満四十年、四十周年でございます。そういうことで、ぜひ総理としてこの総会には出席されるべきじゃないかと思うのですけれども、総理はどういうお考えでいらっしゃるでしょうか。
#32
○中曽根内閣総理大臣 四十周年の国連の総会がどういう総会になるか、そういうような面についてもう少しいろいろ検討してみたいと思います。
#33
○近江委員 検討は結構でございますが、特に来年は軍縮総会も予定されておるわけでございまして、こういうことで、四十周年というこの意義ある年でございますし、ぜひとも総理が出席をされるべきじゃないか、このように思うわけですが、重ねてひとつ総理の意思を確かめたいと思います。
#34
○中曽根内閣総理大臣 四十周年を機にどういうような国連総会が開かれるのか、軍縮の問題にせよあるいは各国首脳の会議にせよ、ともかくそういうような内容がまだ確定しておりませんものですから、その様子も見る必要がありますし、また日本の内部の政情やら国会の都合というものもまた見なければいけません。したがいまして、これからも検討させていただきたいと思っております。
#35
○近江委員 総理としては、でき得れば出席したい、こういうお気持ちは強いわけですか。
#36
○中曽根内閣総理大臣 まだ判断する条件が出てきておりませんから、白紙の状態ということであります。
#37
○近江委員 この第三回の軍縮特別総会というのは、いわゆることしの総会で決める予定になっている、このように聞いているのですが、その点はどうなんですか。
#38
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、ことしの総会におきまして、第三回の特別総会の時期及びその準備のための委員会を設置する運びになっております。
#39
○近江委員 今お聞きのとおりなんです。そういうことで、四十周年の総会というのは極めて重要な総会であるわけでございます。総理もそうした国連中心の強い決意を持っていらっしゃるわけでございますし、ぜひとも、この意義あるこういう総会というものは総理みずから出席されて、我が国の平和にかけたそうした決意、意思というものを表明される絶好の機会ではないか、このように思うわけでございます。そういうことで、重ねて恐縮でございますが、総理のそういう気持ちが非常に強いかどうか、もう一度お聞きしたいと思います。
#40
○中曽根内閣総理大臣 とにかく、秋の国連総会が軍縮及びそのほかの問題等でどういう総会になるのかよく見きわめないうちは、軽々に行くとか行かないとかいうことは、総理大臣としては表明できないのであります。そういう意味において、今後よく慎重に研究させていただきます。
#41
○近江委員 なかなか前へ進まないわけですが、そういうお気持ちをお持ちかどうかということを聞いておるわけなんですけれども、見きわめるということはこれはもちろんのことでございますが、でき得れば行きたいという気持ちは強いわけですか。
#42
○中曽根内閣総理大臣 ともかく、総理大臣の海外出張という問題は経費もかかることですし、またどういう機能とどういう意義を持つかという、よくその効果も考え、影響も考えてやりませんと、軽々に国会で発言すべき問題ではない、そう思っておるのです。したがって、内心ではいろいろ考えておることはありますが、公の場所で、進退について、外国に関する問題については、そう申し上げられないのを遺憾といたします。
#43
○近江委員 我が国のそうした立場は、言うまでもなく総理もよく御存じのとおりでございます。特に平和という大きなそういうテーマにもなるわけでございますし、ぜひとも被爆国として我が国の総理がやはり出席されるべきである、強くこれは要望しておきたい、このように思います。
 それから一%の問題につきましては、先ほど総理からああした答弁があったわけでありますが、私は、この一%の問題と対米問題、これについて若干お聞きしたいと思うわけでございます。
 日本の防衛予算というものは非常に拡大してきておるわけでございます。総理は、昨年の十二月二十九日の記者会見におきまして、六十年度予算について防衛費突出は考えてない、こうしたことをお述べになっていらっしゃるわけでございます。ところが、年頭のロサンゼルスでのレーガン大統領との会談におきましては、他の経費を厳しく抑えた中で防衛費と政府開発援助には最大限の努力をした、NATO諸国よりはるかに努力している、このように述べたと伝えられておるわけでございます。これは突出の肯定ではないか、このように思うわけでございます。そうなってまいりますと、防衛費につきまして国内向けと大統領向け、まあアメリカ向けですね、まるで正反対じゃないかと思うわけでございますが、こうした使い分けといいますか、こういう態度は国民に対する不信というものを非常に高めると思うのです。ですから、どちらが総理の正しい認識であるのか、ひとつ再確認しておきたいと思います。
#44
○中曽根内閣総理大臣 私は、アメリカにおきまする会談において、防衛について努力したということも言ったことは事実です、六・九%、それからODAについては一〇%やった、そういうことを言いましたけれども、突出したというようなことは言いません。しかし、防衛について努力するということは、我が国のアメリカに対する鈴木総理大臣の、鈴木・レーガン・コミュニケでも約束していることでもありまして、私はそれを引き続いて継承してやると言っていることですから、そのとおりやっていることであります。
#45
○近江委員 往々にしてよく、国会でもしばしばこうしたことが問題になっておったわけでございますが、やはりそういう総理の発言というのは非常に重いわけでございますし、国民が不信感を持たないそういう発言を今後ひとつしていただきたい、このように思うわけでございます。
 それから、一月三十一日の米上院外交委員会、ここでレーガン政権の外交について全般的な再検討を加えるための公聴会を開いたわけでございますが、その中でシュルツ国務長官、ワインバーガー国防長官は、日本の防衛努力を認めながらも、日本はもっと防衛のために寄与すべきである、こういうように述べているわけでございます。今後とも、この第二期のレーガン政権は我が国にこうした防衛努力というものを迫ってくる、こういうことが明らかになっておるわけでございますが、こういうアメリカのそうした姿勢、要求というものに対して、総理はどういうように認識されているか。米政府は日本の防衛力につきまして非常に性急かつ過大な要求をしてきているのじゃないか、どこまで日本に一体要求してくるのか、こういう心配が非常に高まってきておるわけでございます。そういう点で、まず総理の認識をひとつお伺いしたいと思います。
#46
○中曽根内閣総理大臣 私は、内閣総理大臣に就任以来、いかなるアメリカ人からも、防衛力増強について迫られてきたということは一回もありません。
#47
○近江委員 これは、先ほど私が申し上げましたように、この公聴会のところで、日本はもっと防衛のために寄与すべきであるとか、私が申し上げたようなそういう発言が行われておるわけなんです。こういうことに対してどう思われますか。
#48
○中曽根内閣総理大臣 そのことが私に対して迫ってきたということとはまるっきり違うと私は思います。アメリカ側は世界戦略とかあるいは世界に対する防衛上の諸般の問題を抱えている国でありますから、アメリカはアメリカの見解をアメリカの国会やアメリカ国民に言うということはあるでしょう。日米安全保障条約あるいはNATO、あるいはANZUS等の諸条約を結んで相当の経費を対外防衛にも使っておるわけでありますから、アメリカの税金を払っておる国民に対していろいろ報告をするという場合に、それらに対する関心あるいはアメリカの要望、こうやっているというようなことをアメリカの税金を払っている人たちに報告するということは、民主主義国家としてはあり得るし、自分たちもこういう要請を行っているということもあるいはあり得るかもしれません。しかし、私は、そういうことを直接迫っているというようなことで聞いたことはないのであります。
#49
○近江委員 それは、総理が日本を代表し内閣を組閣されていらっしゃるわけでございますから、したがいまして、そうした対日要求というものについては総理はどう思われますか、こういうことでありまして、直接的に総理に、例えばレーガン大統領との会談でそういう話があったのかどうか知りません、またあるいは、そうした閣僚クラスが総理に直接おっしゃったことがあるかもないかもそれは知りません。しかし、日本に対する要求ということは、総理が代表されるわけでございますから、そういう意味でお聞きしておるわけでございます。そういうことで、アメリカのそうした要求というものは非常に強いわけでございます。
 また、アメリカの国防報告の中で、ワインバーガー国防長官が、「日本がシーレーン一千マイル防衛を含めた任務を十分遂行できる能力を八〇年代中に達成するよう求める」、こういうように述べているのですね。こういう向こうの期待といいますか要求があるわけでございますが、この点につきましてどういうようにお考えになっていらっしゃいますか。
#50
○中曽根内閣総理大臣 政府委員から答弁させます。
#51
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 我が国は、「防衛計画の大綱」の早期達成という基本方針に従いまして、我が国の国土あるいは海上交通の安全の確保を図るために防衛力の整備を自主的にやっておるわけでございまして、その中にシーレーン防衛の能力を向上するということももちろん含まれているわけでございます。これは我が国自衛のために必要最小限度の防衛力を整備するという方針に従ってやっていることでありまして、アメリカ側はこういった日本の政策を十分に理解しているわけでございまして、その上に立って、先ほど総理からも申し上げましたように、日本が自主的な努力をすることを期待しているということでございます。これはアメリカが、日本が有事の場合に安全保障条約に基づきまして日本の防衛に共同で当たるという立場にあります以上、そういった期待を持つことは自然なことであるというふうに考えておるわけでございます。しかしながら、我が国の防衛力整備はあくまでも日本が自主的に行っているということを御理解いただきたいと思います。
#52
○近江委員 もう一度あなたにちょっとお伺いしますが、よろしいですか。
 アメリカはそうした要求がある。今後我が国としまして、政府として、一千海里のシーレーンの防衛能力、これは大体いつごろまでに達成したいと政府は考えているのですか。
#53
○矢崎政府委員 現在の政府としての防衛力整備の基本的な考え方は、「防衛計画の大綱」に定める水準をできるだけ早く達成したいということでございます。ただいま防衛庁といたしましては、六十一年度から六十五年度までを対象期間といたします中期の業務見積もり、いわゆる五九中業というものの作業に取りかかっておりますけれども、その五九中業におきましては、今申し上げました大綱水準の達成を期するということで努力をしていきたいということで現在作業を進めておるところでございます。
#54
○近江委員 米国のそうした対日要求、防衛に対する要求というものが非常に目立つわけでございます。また、この国防報告によりますと、一九八四年に核装備の巡航ミサイル・トマホークの開発が完了して、選ばれた海軍艦艇に配備が開始された、このようにしておるわけでございます。現在、このトマホークは複数の戦艦と多くの潜水艦に配備されつつあることが述べられておるわけでございます。
 そこでお伺いしたいと思うわけでございますが、昨年日本へ寄港がうわさされました米海軍の戦艦ニュージャージー、これが核つきトマホークを装備する可能性というのは極めて高いと思うわけでございます。また、もう既にされておる可能性があるのじゃないか、このように思うわけでございます。昨年、米国防総省の高官が日本のマスコミとのインタビューにおきまして、ニュージャージーは国防力強化へのアメリカのかたい意思を示すシンボルであり、アメリカの太平洋防衛の決意を示すものである、このようにいたしまして、太平洋重視の一環であり、日本への寄港も大きな意味のある旨を述べておるわけでございます。そうなってまいりますと、当然アメリカは日本への寄港を希望しておると思いますし、ことしはそうした日本寄港も日程に上るのじゃないか、こういう予想がされるわけでございますが、こうした核つきトマホークの疑惑の強いニュージャージーの日本寄港は原則として認めるべきではないと思うわけでございますが、政府の基本的な態度をお伺いしたいと思います。
#55
○安倍国務大臣 ニュージャージーが日本に来るとか来ないとかいう話がありますけれども、またそうした日本に入ってくるという内報その他一切受けておりません。また、ニュージャージーにトマホークが積載されるということも聞いておりますが、しかし、トマホークは核、非核、両様あるわけであります。同時にまた、日本にニュージャージーが入ってくる場合においても、いわゆる日米安保条約に基づく、あるいはその関連規定に基づいて入ってくるわけでございますし、核を持ち込めばいわゆる事前協議の対象になるわけでございます。日本は核の持ち込みに対してノーと言う立場は明確にいたしております。したがって、アメリカの艦船が核を持って日本に入るということはあり得ないというのが我々のはっきりした態度であります。
#56
○近江委員 ニュージーランドの問題でございますが、これはANZUS条約の演習がこれによって中止されるという国際的に非常に大きな波紋を描いておるわけでございますが、これは非核三原則を国是とする我が国といたしましてもなかなか無関心ではあり得ない大きな問題である、このように思うわけでございます。総理は大洋州諸国を歴訪されたわけでございますが、今度のこの政権の対応につきましてどういう感想をお持ちでございますか。
#57
○中曽根内閣総理大臣 ニュージーランドでは、労働党が野党中、核に関する独特の公約をしまして政権を取ったというときに、その公約を実行するということでロンギ首相は新聞に伝えるような政策をとっておるのだろうと思います。私は、ニュージーランドはニュージーランド、日本は日本、おのおの独自の防衛、安全保障政策を堅持して結構である、そう思っています。
#58
○近江委員 先ほどのニュージャージーの問題もそうでございますが、ニュージーランド政府が寄港を拒否いたしました駆逐艦ブキャナンの日本人港ということもこれは当然考えられるわけでございますが、もしもこうした要請があった場合はどう対応されますか。
#59
○安倍国務大臣 いわゆる駆逐艦ブキャナンが日本に入ってくるという内報等も一切受けておりませんが、日本の場合は、アメリカの艦船が日本の港に入る、これは安保条約関連規定によってその権利を持っておるわけでございます。したがって、我々としては安保条約、その関連規定に従って対処していきますが、核持ち込みの場合は、先ほどから申し上げるように事前協議の対象になるわけですから、したがって日本の非核三原則の立場は堅持できると我々は確信をいたしておるわけです。
#60
○近江委員 こういう点、やはり国民としては、ニュージーランドが拒否して日本は受け入れる、そういう点は何となく釈然としない、やはり国民が納得しないんじゃないか、このように思います。慎重にこれは対応すべきであると思います。
 次に、SDI計画の問題でございますが、総理はこれに理解を示されたわけでございますが、御承知のように米国内におきましてもマクナマラ、ブラウン元国防長官も反対しておりますし、ロサンゼルス・タイムズ紙の世論調査の結果では、米国民の五五%が研究開発に反対しておるということが伝えられております。そういう中で、総理がいち早く理解を示されたわけでございまして、なぜそんなに早く理解を示さなければならなかったのか、その点は理解に苦しむわけでございますが、この辺の理由を総理から率直に承りたいと思います。
#61
○中曽根内閣総理大臣 SDIというものについてアメリカ大統領から公式の説明を受けまして、私は、これが長期の研究計画であって、非核であり、防御兵器であり、核兵器廃絶を目的とするものである、そういう点においては理解を示した。しかし、情報の提供とかあるいは随時協議を要請して先方も承知した、そういうことでございます。
#62
○近江委員 何かSDIに留保をつけているということをちょっと聞いておるわけでございますが、何を留保しておられるのか、少しその点をお聞きしたいと思います。
#63
○中曽根内閣総理大臣 私は会談した際にも、日本には独特の憲法があり、あるいは非核三原則その他の国是、国策がある、したがってその線の上に立って我々は今後も政策を行う、そういうことをまず言っておる。それは大きな一つの留保でしょうね。
 それから、これはまだ研究である、そういうことでありまして、これが開発され実戦展開される、そういうような場合につきましては、もちろん我々の態度は改めて検討する、そういうことでもあります。また、いろいろな段階におきましても情報の提供を求め、我々がその段階、段階においてさらに研究し、検討できるような余裕もまた持っておくということもしておるわけであります。
#64
○近江委員 留保しておられることにつきまして、場合によりましては、そうしますと理解を取り消して、支持できない、反対するという場合も当然ありますね、これは。それはどうですか。
#65
○中曽根内閣総理大臣 いろいろその後研究の結果出てきたこと等について、今申し上げたことと反するような場合にはもちろん賛成しないということもあり得ます。
#66
○近江委員 今年の一月に来日いたしましたアーミテージ米国防次官補は、このSDIにつきまして、研究段階を終えて開発に値する兵器システムであることが証明された場合には、当然開発のため日本にも援助を求めることになろう、このように述べておるわけでございます。この日本に援助協力を求めるということが米国の既定の方針になっているように私感じるわけでございますが、総理は今このように理解を示していらっしゃるわけでございますが、こういう点からいきますると、向こうが日本に援助を求めると言ってきた場合、断り切れなくなるんじゃないかと思うわけでございます。米国は、いわゆる技術のほかにこういう資金的な援助も求めてくることがあるんじゃないか、このように思うわけでございますが、その点については総理はどのように受けとめていらっしゃいますか。
#67
○中曽根内閣総理大臣 これは先日もお答えしましたとおり、我々にとっては従来の武器に関する、武器技術の供与に対する政策に基づいて行う、我々は日米の取り組みの枠組みの範囲内で行う、そういうことで申し上げているとおりであります。
#68
○近江委員 これはしばしば我が党の委員もその点を指摘いたしておりますが、この技術協力という点におきましても、これは宇宙の平和利用に関します国会決議の精神に反するということをしばしば指摘をいたしておるわけでございます。その点をもう一度総理からお伺いしておきたいと思います。
#69
○中曽根内閣総理大臣 私、先ほど申し上げましたように、我々が今まで国会でも言明し従来とってきた政策、具体的に言えば、それは武器技術供与に関する国会決議並びに政府見解、それから政府がアメリカでやった取り組み、こういうものの範囲内においてそれらは実行さるべきであると申し上げる次第であります。
#70
○近江委員 ワインバーガー国防長官は記者会見で、この戦略防衛構想は大がかりな事業である、西側諸国との共同研究、共同開発を進めたい、この旨の希望を表明いたしておるわけでございます。我が国といたしまして、宇宙政策の基本に影響してくるこういう宇宙軍事化のための共同研究、共同開発、これはもう絶対に私は参画してはならぬと思うわけでございますが、この際明確にしていただきたいと思います。
#71
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げているとおりでございます。
#72
○近江委員 カナダはこれには参加をしない。オーストラリアも、この構想に基づく実験の施設供与など、協力を拒否いたしておるわけでございます。こうしたアメリカの戦略防衛構想というものにつきまして、西側諸国も非常に不安を強めておる、これはもう総理も御承知のとおりでございます。こういう点で、ほかにもミッテラン大統領が反対しておるということを言われております。このように、必ずしも西側諸国では一致しておらないということでございます。
 そういう点、ことしのサミットにおきましてはこれは焦点の一つになるんじゃないかと思うわけでございますが、総理は西側の一致した認識が必要である、このようにお考えでございますか。
#73
○中曽根内閣総理大臣 サミットに対してはまだ時間もかなりありまして、どういうことが議題になるか、日本がどういう態度をとるか、これはもう少しサミットの日程、議事日程等が明らかになったころからだんだん検討を深めていきたいと思って、今のところはまだ深く研究しておりません。
#74
○近江委員 このSDIの問題につきましては、しばしば指摘もしておりますように宇宙の平和利用の決議もございますし、非常にそういう点で私どもは大きな危惧をいたしておるところでございます。総理は軍縮あるいは核の削減、そうした方向に進んでいくということをおっしゃっているわけでございますが、この技術の点もいろいろと見てまいりますると、結局はむしろいわゆる核の増強といいますか、結局いろいろな兵器の種類といいますか、それに転化をして、お互いに核の大変な増強といいますかそういう方向に走るんじゃないか、こういう非常に強い懸念があるわけでございます。そういう点で、総理が理解を示していらっしゃるわけでございますが、留保の意味についておっしゃったわけでございます。そういう点で、今後総理のそうした行き方につきまして私たちも十分よく検討しつつ対処していきたい、このように考えております。したがいまして、総理も慎重にやっていただきたい、このことを申し上げておきます。
 それから次に、定数是正の問題でございますが、これは司法当局におきましても違憲の判決が出ておるということは総理も御承知のとおりでございます。この是正措置をとらなければ立法府としての責任をみずから放棄したことになる、こういうように指摘もされておるわけでございます。そういう点で我々国会に課せられた責務というものは重大である、このように思うわけでございます。総理は施政方針の中で、今国会で定数是正が実現するよう最大限の努力をする、このように述べていらっしゃるわけでございますが、今国会でこの定数是正を実現するのは総理の不退転の決意であり公約である、このように受けとめてよいのかどうか、お伺いしたいと思います。
#75
○中曽根内閣総理大臣 これは累次申し上げておりますように、今国会へ提出し、その成立を期して全力を尽くすつもりでおります。
#76
○近江委員 それは先ほど申し上げましたように、不退転の総理の決意であり公約でございますか、受けとめてよろしゅうございますか。
#77
○中曽根内閣総理大臣 全力を尽くして果たすべき目標であります。
#78
○近江委員 東京高裁におきましては、違憲の選挙制度での内閣の解散権というものにつきましては、事実上制約があるということを示しておるわけでございますが、まず法制局長官にお伺いしたいと思うのです。どういう見解をお持ちでございますか。
#79
○茂串政府委員 お答えいたします。
 御指摘のように、昨年十月十九日の東京高裁の判決の中には、いわゆる議員定数配分規定が憲法に違反するものである場合における衆議院解散権の行使について触れた部分がございます。そこでは「内閣の解散権が事実上制約されることが起こりうるとしても、」というふうに「事実上」という文言が用いられていることからいたしまして、この当該部分は、議員定数配分規定が憲法に違反する場合には、内閣の衆議院解散権の行使が法律上制約されることになるというような見解を示したものではないと考えております。
#80
○近江委員 高裁の見解とは大分違うように思うのですね。しかし、望ましい姿としましては、こういう定数の不均衡をそのままにして解散は行うべきでないというのは、これは常識のことだと思うのですね。現在のそうした定数の不均衡を放置したままでの選挙権の行使というものは、これはもう私自身も絶対に望ましいものではないし、また適当な措置ではないと思いますが、総理はこの点についてどのようにお考えでございますか。
#81
○中曽根内閣総理大臣 解散権ですか。
#82
○近江委員 そうです。
#83
○中曽根内閣総理大臣 今選挙権とおっしゃった。
#84
○近江委員 解散権です。
#85
○中曽根内閣総理大臣 解散権は行使できると思っております。これは前から申し上げているとおりでありまして、解散権は内閣に与えられた憲法上の重大な機能である、これを制約すべき文章はほかに憲法上も見当たらないと考えておるものであります。
#86
○近江委員 いや、私は望ましいか望ましくないかということをお聞きしているのです。ひとつ率直な御意見を。
#87
○中曽根内閣総理大臣 高裁判決あるいは最高裁判決という、ああいうものが出ております環境はよく熟知しつつ行うべきものであると考えます。
#88
○近江委員 これだけ国民の批判のある定数是正の問題なんですね。総理はそれは理解しつつも辞さないとおっしゃっていらっしゃるわけですね。これはやはり国民としては理解しがたい感じが私はするわけでございます。
 この定数不均衡の是正問題は問題点も相当出てきておるわけでございますが、我が党といたしましてもこれは具体的に提案もしていることは総理も御承知のとおりでございます。後各党とも合意をする、こういうことになるわけでございますが、聞くところによりますと、与党内部でもなかなかまとまらぬということでございまして、総理が不退転の決意で公約、そういう決意かと私が申し上げたら、強い意思でありますとおっしゃっておりましたが、現状はこういうことなんですね。
 そこで、自民党総裁として、また総理大臣としてのリーダーシップというのはやはり問われるわけでございますが、その点はいかがでございますか。
#89
○中曽根内閣総理大臣 今幹事長とも打ち合わせして、一生懸命努力している最中であります。
#90
○近江委員 きょうは公選法の委員会ではありませんから、細かく入っていきますと非常に時間も、後予定もいたしておりますので、細かい案には触れませんけれども、伝えられるところの六・六案というようなことになってきますと、これはまた二名区ができるというようなことになります。これはいわゆる小選挙区制に道を開くという一つの、非常にその点は国民が危惧しておるわけでございまして、非常に重大なときを迎えておると私は思うのです。
 そこで、総理に念のためにお聞きしておきますが、中曽根内閣は絶対に小選挙区制などはお考えになっていらっしゃいませんね。ちょっと確認しておきます。
#91
○中曽根内閣総理大臣 絶対という言葉は、政治では余り望ましくないのです。政界というのはいつも相対的なものであります。民主主義自体がまた相対的なものであります。私は、しかし考えておりません。
#92
○近江委員 総理は考えていないということをおっしゃったわけでございます。我が党といたしましても提案いたしておりますが、二倍以内の是正、中選挙区制の維持、総定数の枠内で行う、こうしたことを骨子に提案もいたしておるわけでございますが、既に五十五年の国調におきますああしたデータから来ておるわけでございまして、現実にはもう今年の十月には国調もあるわけでございまして、状況も既に変わってきております。したがいまして、またすぐに是正をしなければならぬ、こういうようなことになるわけでございまして、私が今申し上げました基本的な、二倍以内、さらにまた中選挙区制、総定数の枠内、これを強く提案したいと思うのですが、総理はどのように受け取っていらっしゃいますか。
#93
○中曽根内閣総理大臣 近江さんの言わっしゃることは我々の方もうなずけるところではありますが、問題は、ではどういう区割りができますか。各選挙区の出入りの区割り表を出していただいたら大いにひとつ勉強してみたいと思います。そういうものが出てこないと、抽象的には何でも言えるのですね。だけれども、どの選挙区がどういうふうに変わるのかという区割りが出てこなければ、政治としては現実性がないのであります。
#94
○近江委員 我が党はもう既にそれは用意をいたしておりまして、いつでもまた総理にお示しできると思います。ひとつそういうことで、すぐまた是正をしなければならぬというようなことは全くぶざまなことでございます。したがいまして、総理がひとつ不退転の決意で、国民が納得するそうした是正を、リーダーシップをとって強く進められることを要望いたしておきます。
 それから政治倫理の問題でございますが、国民の不信というものは、何といいましても政治倫理のこういうところが非常に大きな問題だと思うのです。余りこうした同僚議員のことは言いたくはないわけでございますが、最近も一つのそうした事件があったわけでございます。藏内議員でございますね。これにつきましてどのように総理が感想をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#95
○中曽根内閣総理大臣 新聞に報道されているとおりであるとすれば甚だ遺憾な事件であると思って、自民党の党員でありますから、申しわけないと思います。
#96
○近江委員 総理が政権を担当されましてあの直後、特に総選挙の後、総裁声明もお出しになりました。そこで、その後どれだけ実効が上がったかということなんです。この点、なるほどなというような、そういう実感がないわけなんですね。総理は実効は上がっておるとお考えでございますか。
#97
○中曽根内閣総理大臣 制度としても、各党の御協力によりまして政治倫理協議会ができ、行為規範もでき、綱領もでき、今審査会に取りかかっている、こういうことでかなり前進してきていると思います。
#98
○近江委員 前進はしてきていると言われましても、結局その中身の問題でなかなか与野党折り合いがつかないということでございます。これはやはり国民が非常に注目をいたしておるわけでございます。そこで、またこれも定数是正と同様に、自民党の総裁である中曽根総理のリーダーシップが非常に問われておる問題です。いよいよもう大詰めに来ているわけですね。これについての感想と、またその取り組みに対する総理の決意をお伺いしたいと思います。
#99
○中曽根内閣総理大臣 各党各派の申し合わせの線に沿いまして、今後とも大いに努力するつもりでおります。
#100
○近江委員 こういう政治不信というのは非常に重苦しい空気をつくり出すわけでございますが、田中派の中で創政会が生まれた背景というのは、私もいろいろな方々と話しているのですけれども、やはりその重苦しい空気を払拭して清新な政治をやろうという気持ちのあらわれじゃないか、このように見ている人もたくさんあるのですね。総理はどのようにお考えでございますか。
#101
○中曽根内閣総理大臣 当事者が後ろにおりますから、いずれ御本人にお聞きなされば一番はっきりすると思いますが、研究グループや勉強グループができるということは、政界内においては各所各派にもあるところでありまして、別に目新しい現象ではない、なぜあんなに驚くのかと私は思っております。
#102
○竹下国務大臣 これは私自身に関する問題でございますから、私からもお答えをしなければならないと思います。
 創政会という勉強会でございますので、私はそれがマスコミ等にいろいろ喧伝されるということを全く予期していなかったわけであります。なかんずく予算審議というまさに主管大臣の私でございますので、それだけにそういうことにいささかも影響を与えてはならぬということでこれからも自粛自戒していこう、このように考えております。
#103
○近江委員 総理、行為規範の問題であるとか、今、政治論理協議会でやっておりますが、いよいよ大詰めに来ております。ひとつその点、重ねて恐縮ですが、国民も非常に注目いたしておりますので、リーダーシップを発揮してきちっと国民の負託にこたえるものをまとめるように強く努力していただきたいと重ねて申し上げておきます。
 それから、きょうは非常にいろいろな問題を出しておるわけでございますが、時間の関係もございますので、国鉄問題に入りたいと思います。
 この国鉄問題につきましては、今、改革案が監理委員会でいろいろとされておるわけでございます。そこで、私がきょうお聞きしたいのは、とにかくこれだけの膨大な赤字がある、そういう中で再建を背負って国鉄を今後どうしていくかということで、いわゆる分割・民営の案であるとかいろいろと真剣な討議がされておるわけでございますが、そういう中で非常に大事な問題が放置されておるということを私は指摘したいと思うのです。
 それは幾つかの問題がございますが、一つは大都市圏、首都圏におきます、大阪等のそうした大都市圏もございますが、ラッシュアワー対策ですね。総理、これは本当に三〇〇%に近いまさに殺人ラッシュですよ。国鉄の投資というのは今もう本当にそういう貧乏世帯であるということでほとんど手がついていないわけですね。このままこういう問題を放置していけば一体どうなるかという問題なんです。
 また、二つ目の問題は、いわゆる安全輸送の問題でございまして、後でまた総理にお見せしますが、明治や大正時代につくった橋梁であり、トンネルであり、あるいはまた線路ですよ。もうこれなんかは最低五千億なければ、それでも――当時の高木総裁などは、だましだましやっていかなければ追いつかない。それがはるかに下がっておるわけでしょう。そういう安全施設の投資も一体どうなるかという問題なんです。後でちょっと詳しく申し上げますけれども、そういう具体例として私は指摘しておきたいと思うのです。
 そこで、私は特に首都圏の問題を出したいと思いますが、この首都圏の中で一番のラッシュ率というのは常磐線なんです。これはラッシュ率二七七%です。これだって、どちらかというと低目に国鉄は出してきておると思うのですね。実感は三〇〇%以上ですよ。大変な問題です。こういう状況を放置しておいていいかということなんです。各線、聞きたいと思うのですが、時間の配分もありますから、具体的にお伺いしたいわけですが、この日本一のラッシュ率である常磐線につきまして、今後このままでいいのかという問題です。まず一遍、運輸大臣、お聞きしたいと思います。
#104
○山下国務大臣 大都市における鉄道交通の混雑は御指摘のとおりでございまして、常磐線も御指摘のとおり。指数には私どもの手持ちのものと若干違いがございますけれども、大体同じでございます。
 そこで、これを放置しているわけじゃございません。ただいま運輸政策審議会に御指摘の第二常磐線も含めて速やかなる御答申をいただくように諮問をいたしておりますので、その答申を待って政府としては速やかなる善処をいたしたい、かように考えておる次第でございます。
#105
○近江委員 この審議会というのはいつ答申が出るのですか。
#106
○山下国務大臣 一応六月ごろを予定しておりますけれども、運政審の審議の状況をつまびらかに私も聞いておりませんので、若干おくれるかもしれぬが、予定としてはそういうことでございます。
#107
○近江委員 この第二常磐線の、これは日本一の殺人ラッシュの線でございますが、この整備についでどのように取り組むのか、抽象論ではなくして、もう少し具体的にきちっと答えていただきたいと思います。
#108
○山下国務大臣 先ほど申し上げましたとおりでございますけれども、さらに詳しく答えろということでございまして、先ほど申し上げましたように首都圏の交通、特に鉄道交通が非常に混雑いたしておりまして、先ほど三〇〇近いとおっしゃいましたけれども、若干の指数の違いは先ほど申し上げましたようにあろうかと思いますが、私の方の手元でも二六〇近くなっております。したがいまして、緊急的に例えば十五両編成を十七両編成にするとか電車編成を長くします、それにはプラットホームを長くしなければなりませんが、そういう緊急措置を講じましても昭和七十年には大体今と同じぐらいの指数になってしまいます。したがいまして、これはとにかく喫緊の要務でございまして、一日も早くやらなければならぬということはこの現状からしても私どもは十分考えておる次第でございます。
 なお、それでは国鉄自体がやるかという御質問が恐らくあるかと思うのでございますが、あわせてお答えいたしておきますけれども、こういう状況でございますから、仮にこれがどのような形で経営されるにいたしましても十分経営的には成り立つということでございますから、第三セクターでやるのか、民鉄でやるのかあるいは国鉄でやるのか、答申をいただきましたならば政府としても速やかに決定しなければなりませんが、ただ国鉄としてやる場合には、現在監理委員会でいろいろと国鉄の経営形態について御審議をいただいておりますので、その御決定との関連がありますので直ちにというわけにまいりませんけれども、あわせてそこらあたりもなるたけ早い機会に決定するように進めてまいりたい、かように思っておる次第でございます。
#109
○近江委員 運輸省としてはこういう日本一のラッシュ率のところにつきまして、その審議会にかける点につきまして、とれは本当に第一優先できちっとなさっているのですか。その辺のところをもう少し詳しく聞きたいのですよ。きちっと答えなさい。抽象論じゃだめだ。具体的なことを聞いているんじゃないか。
#110
○山下国務大臣 先ほどから申し上げておりますように、常磐の混雑の度合いというのは最も厳しい、指数によってわかっておりますようにそういう状態でございますので、指数の度合いからいたしましてでも、私どもは運政審に対する諮問につきましても第二常磐を最優先的にひとつお取り上げいただきたいという趣旨で諮問をいたしております。
#111
○近江委員 運輸省は、日本一のそういう線であるということを頭に置かれて、これは責任も持って第一優先でお願いしておるという答弁が今あったわけですが、その点は自信があるのですね。大臣、もう一度お聞きします。
#112
○山下国務大臣 第一優先であることは間違いございません。
 とにかく御参考までに申し上げておきますけれども、あなたは三〇〇とおっしゃいましたが、十分御承知の上だと思いますが、一〇〇という指数は必ずしも座席の数じゃございません。これはつり車もございますし、柱もございますし、大体触れ合う程度、週刊誌が読めるかどうかということ、痴漢が出没する、まだそんな込み方ではございませんけれども、ですから、これは二五〇、三〇〇といったら風紀上にもえらいよくないことは当然でございますから、何をおいてもやらなければならぬということは、こういった一つの基準が示しておりますので、この点で御了解いただきたいと思います。
#113
○近江委員 これは第二常磐線をつくるということを運輸省は今おっしゃったわけでございますが、それは一年や二年でできないわけでしょう。今おっしゃったように、七十年あるいは七十五年となるわけですが、それまで一体どうするかということですよ。こんな混雑の中をそのまま放置していいかということなんです。
 きょうは国鉄総裁も来られておりますから、総裁、ひとつどういうふうにやるのか、具体的に私は聞いているのですからきちっと答えてくださ
#114
○仁杉説明員 お答えいたします。
 先生御承知かと思いますが、常磐線につきましては既に我孫子−取手間の複々線、それからごく最近柏駅のターミナル設備の改善というようなことをいたしております。それで、今も先生御指摘のように、二六〇ないしは通勤の列車によっては三〇〇近くになる場合もあるかと思いますが、そういうように非常に込みますので、ことしの三月のダイヤ改正時に土浦の電留基地を増設するというようなこと、それから沿線のホームの延伸を行うというようなことにいたしておりまして、これは万博にも絡んでおりますが、中距離電車、これは土浦より先から来る電車でございますが、これの十二両を十五両化にするということ、それから、わずかではございますが、緩行の各駅停車の電車、これは千代田線に直結しておりますが、これをラッシュ時に一時間当たり十九本から二十本にするというようなことを行っております。これらの改善施策をいたしますことによりまして、輸送量がことしの三月以降二六〇ぐらいが二〇〇ちょっとぐらいの混雑度になるだろうというふうに考えております。
 しかし、これでも今先生御指摘のように常磐線沿線の増加が非常に強いということはよく承知いたしておりまして、引き続き輸送力の増強の方策といたしまして快速電車の十五両化を検討しております。これは車両基地をつくり、あるいは厄介なのは三河島、それから南千住、天王台というようななかなかホーム延伸をすることが難しいところでございますが、これらを何とかなるべく早く処理をいたしまして輸送力を増強してまいりたい。それ以上になりますと、今の第二常磐というようなことになるかと思っております。
#115
○近江委員 第二常磐はつくるという強い意思の表明があったわけでございますが、そうしますと、ほかの首都圏の各線における、今常磐線のそれまでの対策を、増車であるとかいろいろなことをおっしゃったわけですが、ほかの線も混雑率は、常磐線はこうだと言ったって、大なり小なりほとんど変わらないぐらいの混雑なんですよ。ほかもきちっと増発を初めそういう緊急対策をとるのですね、総裁。
#116
○仁杉説明員 東京付近におきまして非常に込んでおるところに池袋−新宿間の山手線がございます。これにつきましては、ことしの十月に大宮の方から通勤新線が赤羽に入ってまいりますが、その線をなるべく早く新宿の方に直通させるというような方策を講じましてこの緩和を図りたいと思っております。
 また、東京付近では、今出ましたが、通勤新線を川越、大宮の方から赤羽に入れ、さらに池袋に入れるというような計画も実施に移しておりますし、また京葉線につきましては、今一応蘇我の方から船橋に乗り入れることを六十年度末に行いたいと思っておりますが、六十二年度末にはそれを東京駅の南側に乗り入れるということを完成させるように鋭意努力いたしております。この点につきましてはいろいろ用地関係もございますので多少おくれるかとも思いますが、今の計画ではそんなことを東京付近では考えております。
 そのほかといたしまして、東北線、高崎線、武蔵野線、横浜線、根岸線という東京付近では今度のダイヤ改正におきまして増発、増結というようなことを行いますし、東海道線で申しますと、湖東線、京都・大阪地区、山陽線でいいますと、明石・加古川・姫路地区、片町線というようなところにもやはり増発、増結というようなことを行うことによりまして輸送力を増してまいり、混雑度を下げる努力をいたしてまいるつもりでおります。
#117
○近江委員 大臣、この第二常磐線が整備された場合、どの程度混雑が緩和されるのですか、もう一遍ちょっと言ってください。
#118
○山下国務大臣 先ほど申し上げました指数から申し上げまして、大体二〇〇前後ぐらいじゃないと想定されております。
#119
○近江委員 大臣、もう一遍お聞きしますよ。第二常磐線のルートにつきましては関係地方公共団体から具体的な要望が出されておるわけでございます。そうしますと、これは茨城県、千葉県、埼玉県を経由して遠く都内に入ります。都内の通過区は、足立区、荒川区、台東区、千代田区。四つの区の区長がそろって大臣のところにも陳情に来られておる。県知事も来られておる。北千住、南千住、浅草、秋葉原、具体的にそういう希望も出ておるわけでございますが、こういう首都圏の混雑を避けるという点からいけば、政府委員にも聞いておりますが、当然そういう線にならざるを得ないだろうということを言っているわけです。これは、常識的にいいましてもほぼ合理的な方向ではないか、このように思うわけでございます。大臣は、やはりこういう地方自治体の皆様方の声というものを本当に尊重しなければいかぬと思うのですが、十分そういう点、審議会とともに運輸省のそういう意向というものを反映すべきじゃないかと思うのです。その点いかがでございますか。
#120
○山下国務大臣 第二常磐線のルートにつきましては、私のところにもいろいろと御陳情が参っておりまして、中には、やや我田引水的なものもございます。しかしながら、今先生がおっしゃっておるルートは、理段階におきまして有力な案と私も存じておりますし、運政審におきましても、これを有力な、一つの最もいい案として御審議いただいておるものと存じております。
#121
○近江委員 だれが見てもほぼそうだなと言われる案がそういうふうに提起されておるわけでございますから、そういう点を十分尊重されて、一日も早くこうした新線を敷かれるべきである。また同時に、こういう首都圏、大都市圏におけるラッシュ対策について真剣な取り組みをしていただきたい、このように思うわけでございます。
 それから、先ほど私は、取りかえ投資等が予算の点で非常に削減されてきておるということを申し上げておるわけでございます。ここで総理に、この資料をちょっと差し上げたいと思います。
 総理、ごらんになっておわかりのように、例えば橋梁につきましても、明治時代が上部六千、下部工が二万三千、大正が上部工が一万二千、下部工が二万二千、あとは、昭和が上部が六万三千、下部が八万六千、このように、明治、大正だけでもこれだけあるのですね。トンネルにいたしましても、明治時代百キロ、大正時代二百キロ、昭和に入って千百キロ、こういうような状況でございます。御承知のように、とにかく早く改修をしなければならない。次のページ、この二枚目にございますが、実に橋梁だけでも緊急にやらなければならないのが上部工が五千、下部工が六千、トンネル九十キロ、こういうようになっております。そういうように非常に投資の問題は重要な問題でございます。
 そこで私がお聞きしたいのは、これは昭和五十五年三月七日衆議院の運輸委員会でございますが、当時、高木総裁は、いわゆる整備費につきまして、年間五千億円でも十分でない、残念ながら六十年までの期間だましだまし修繕をしながらやっていく、トンネル、橋とかでは徐行運転をしていかなければならぬ、このようにおっしゃっていますね。また、再建計画の方からいきまして、投資枠が抑えられると、毎年当面非常に危険なところを直していくのに追われている感じだ、このようにもおっしゃっているわけです。これは仁杉さんが総裁になられても同じことじゃないかと私は思うのです。きょうは時間がありませんから私が一方的にずっと言っていきますけれども、そして当時高木総裁は、東北新幹線工事で毎年四千億金が要る、投資が要る、その終了を待って全力を挙げて取りかえ投資に力を入れたいというふうにもおっしゃっておるわけですね。
 ところが、この投資額というものは急減してきております。総裁も御承知のように、五十六年度では工事費が一兆円、維持更新費が三千三百億、五十七年一兆円、三千九百六十億、五十八年七千六十億、三千三百億、五十九年五千六百六十四億、二千七百四十億、六十年四千三百二十九億、二千九百二十億、これは間違っていますか。総裁、どうですか。
#122
○仁杉説明員 先生のお示しになった数字はそのとおりでございます。
#123
○近江委員 高木総裁も、だましだまししながらやっていかなければならぬ、五千億の金でもそのように嘆いているのですよ。どうですか、仁杉さん、高木総裁と同じ感想でしょう。
#124
○仁杉説明員 昭和五十五年に高木前総裁が御説明したその当時の記録は、そのとおりでございます。その後、先生さっきお示しになりましたように、国鉄経営が苦しいということで、工事費の総額がだんだん減ってきたという事実もございます。その間に、こういう事情を踏まえまして、五十年当時からいろいろと調査あるいは工事の工夫というようなことをいたしたのでございますが、今の取りかえという中には、宿舎であるとか駅であるとか、事務所関係、あるいは機械、荷役機械でございますが、そういうようなものも含まれておりますが、こういうものを極力延伸、また機械等については廃止したものもございます。
 こういうようなことをいたしておりまして、この取りかえの中での重点といたしましては、今先生から御指摘のありました橋梁、トンネル、あるいは車両というようなものの取りかえに重点を置いたということが一つございます。もう一つ、調査を進めまして、今までは取りかえなければいかぬかというのも、いろいろ技術的な進歩もございまして、大修繕をすることによって取りかえを延ばしていくというような方策もございました。また、貨物列車の減によりまして、通過数量並びに重量が減るというようなこともございまして、現在では、私どもといたしましては大体三千億から三千五百億、三千億ではちょっと少ないかなと思いますが、そのくらいでやっていこうかというふうにやや計画を変えております。これも今先生御指摘のように決して十分ではございませんので、これを裏づけるためには、検査あるいは実態調査というようなものを十分にやるということ、それから相当修繕費を入れるというようなことも必要でございます。こういうようなことをいたしまして、今度の基本方策におきましても取りかえを大体三千五百億くらいというふうな見当にしてあるわけでございます。
 また、この取りかえの予算の中に入っておりませんが、これも現在は非常に少なべなっておりますが、線増というような仕事がございます。この機会に線増の費用で取りかえをしておるというのもございます。例えば篠ノ井線であるとか京都口の山陰線であるとかいうところは古いトンネルを放棄といいますか、新しいトンネルをつくりまして、古いトンネルをもう一度すっかりやり直すというような工事もいたしまして、こういう金もかなり入れておるというようなことでございます。
 今先生御指摘のように、構造物の老朽取りかえということは安全上非常に大切なことでございますので、我々といたしまして、苦しい予算の中でも今後も御指摘のような点に十分配慮いたしまして、安全確保のために努力をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
#125
○近江委員 総理、先ほどから聞いておられて、この首都圏を初め、そうしたラッシュに対する対策だとか施設の取りかえ、こういうことについての投資が減ってきておるとか、やはり国鉄改革という大きなまないたにかけながら、そういう現実の問題がどうしても手薄になっていくという現状があるわけでございます。これは現実にそれだけの大変な迷惑を、また不安を国民に与えておるわけでございます。したがいまして、これは運輸省としても国鉄当局としても、先ほどから御答弁があったわけでございますが、総理としても、こういう現実の問題の解決という点に十分ひとつ目を据えて、腹を据えてかかっていただきたいと思うわけでございます。御答弁お願いします。
#126
○中曽根内閣総理大臣 行革の方針を守りながら、監理委員会がどういう方針を出すかよく見守ってまいりたいと思いますが、一面においては、国鉄の労使双方における自主的な経営改善努力、規律の保持、労使関係の改善強化、こういうことがやはり基本的に大事で、そういうものなくして国民の支持は得られないであろう、そう思いますが、一面においてまた、AB線の整理とかそういうような問題につきましては、できるだけ既定方針に基づきまして、地方の御理解、御協力を得るように努力すべきであると思っております。幸いにバス路線に転換したところで、案外よかったじゃないかという声もありますし、あるいは第三セクターで動き出したところもあります。さまざまな工夫と改良を加えながら、事態を一歩一歩大改革に向けて前進させていくべきであると思います。
#127
○近江委員 私が聞いておりますのはちょっと違うんですよ。今、監理委員会でいろいろと検討しておられるわけです。そういう中で、非常に大事な問題が先送りになる可能性が強い。それは例えば首都圏におけるラッシュ、そういうような問題、あるいは国鉄の安全投資に対する問題、こういうことが今改革途上であるということで予算ががんがん抑えられてくる、そういうことで非常に困っているわけですよ。だから、改革は改革でやっていかなければいけませんが、同時にその現実の問題に総理も政府もうんと目を注いでやってもらいたい。さらに総理の御決意を聞いているわけなんです。
#128
○中曽根内閣総理大臣 安全管理は非常に大事な問題でありますから、いかなるときといえども最大の努力を果たすべきであろうと思います。
 それからお客さんに対するサービスの向上等も、苦しい予算その他の中で困難なことであるとは思いますけれども、これは従業員の精神の問題でもありますから、サービスの改善についても努力していくべきであると思います。
#129
○近江委員 非常に時間も迫ってきましたので、あと何点かお聞きしたいと思いますが、一つは、高度情報化に対応した体制といいますか法整備といいますか、こういうものが総理も御承知のように非常におくれているわけです。例えば、家庭における情報化に関連する法律をちょっと見てみますと、例えばホームショッピング、これには訪問販売法、商法、消費者保護基本法、また在宅診療につきましては医師法、医療法、薬事法、こういうふうにいろいろと関連もしてくるわけでございます。あるいはCATV、これはもうどんどんやりかけておりますが、この一つの問題を見ましても、例えば電力会社との電柱の共架問題、あるいはまた地下ケーブル化の問題、あるいはこれに対する道路の占用許可に関してこうした非常に複雑な手続、そういう中で実際にそれが進捗するかどうか。これは結局そういう民間活力を阻害するというようなことにもなってまいりますし、ニューメディアの振興と防災対策、こういうようなことも入ってくるでしょう。あるいはコンピューター犯罪、権利の保護、プライバシーの保護等の問題、いろいろなことを関係各省で今提案なさっておるのですね、総理、御承知のように。ところが、関係各省で陣取り合戦といいますか、悪く言えば縄張り争いといいますか、何回もそういうことが没になってしまうんですね。
 例えばVANをめぐりまして、通産省と郵政省の間で調整が難航してきた。プログラム権法に関しては、文化庁と通産省の調整ができない。あるいはまた基盤整備法案としまして、通産、郵政の両省はそれぞれ別個に提出しようとしておる。そこでまた非常に角を突き合わせて、何らの整合性もない。ところが、こういう高度情報化のそういうような実際の進展というものは、予想以上に早いスピードで進んでいるわけなんです。これを受ける法体制というものが何ら具体的に、ほとんどできていないと言っても過言ではないと思うんです。これは大変なことだと思うんですね、政府の重大な責任だと私は思うんですよ。私が今月を突き合わせていると言う省がありましたね。総理にお答えいただく前に、率直な感想をひとつ簡単にお聞かせいただいて、後総理に承ります。
#130
○村田国務大臣 近江委員にお答え申し上げます。
 情報化社会というのは、二十一世紀に向けての大きな変革の一つでしょう。これと技術開発問題が一番重要だと思っております。これは通産省の一丁目一番地だということで督励をしておるわけでございますが、今御指摘になりましたように情報化の進展は、産業社会の活力を維持する、それから活性化に貢献する、また国民生活の充実向上をもたらすものである、そういった意味で豊かなあすを築く上で高度情報化社会の実現は不可欠の課題であります。このために通産省といたしましては、高度情報化社会の実現のために産業面からアプローチをいたしまして、ソフトウェア危機への対応、それからコンピューターの安全対策の推進、産業分野の情報化の推進等の情報化関連施策の積極的な展開を図る所存でございます。
 今御指摘になりました各省間の調整でございますが、例えば基盤技術促進センターにいたしましても、これは郵政省との間で話し合いをいたしまして、円満に話し合いが解決をして国会に提出の運びになりました。また情報処理振興事業協会の充実の問題につきましても、今関係各省といろいろな話し合いをしているわけでございまして、まさに情報化というようないわゆる横糸の問題、これは関係各省のいろいろな協議が必要であるということは、先生御指摘のとおりだと認識しております。
#131
○近江委員 これは、関係各省を聞いていますと時間が終わりますので、要するに総理、いわゆる各省の調整がうまくいってないのです。これは現実なんです。したがいまして、政府といたしまして高度情報化に対応するいわゆる法整備といいますか、これにつきましてはやはり関係各省がきちっと、政府で対策本部でもつくるとか、何らかのきちっとしたまとめをやっていかないと、ずるずるとこういう状態が推移すると思うのです。その点、取りまとめといいますか、それにつきまして総理として今後どういうように対処されていくか、お伺いしたいと思います。
#132
○中曽根内閣総理大臣 御趣旨の線に沿いまして、早晩内閣において縄張り争いは調整して、最終的な決定をしたいと思います。
#133
○近江委員 そのために何か、例えば閣僚会議であるとか対策本部をつくるとか、そういうお考えはあるわけですか。非常に各省にまたがっている。
#134
○中曽根内閣総理大臣 そんな大げさなことをしなくも、官房長官あるいは総務庁長官等々のあっせん、あるいは話し合い等によりまして、関係各省の間で調整できると思います。
#135
○近江委員 調整できてないから、私はそういうように申し上げているわけでありまして、それは現実なんです。ですから、とにかく閣僚の皆さん全部ここにいらっしゃるわけでございますから、ひとつ角を突き合わせることなく、本当に国民の立場になって、関係各省がお互いに力を合わせて、ニーズに合ったそういう法体系というものをきちっと速やかに基盤を整備されるように強く要望いたしておきます。
 それから、あともう数分しかありませんので、あと一点だけお聞きしておきたいと思います。
 それは、日本としましては非常に貿易黒字、経常収支も大変な黒。特にアメリカ等からも、非常に強い批判というものが起きておるわけでございます。そういう中で、六次にわたって政府は対外対策というものを発表してきているわけです。私はこの予算委員会に臨むに当たりまして、特に経企庁を中心として各省に聞きましたですよ。それは、発表されたこういう経済対策というものを後どれだけフォローしているかという問題なんです。それは確かに制度の問題であり、非常に把握しにくい問題もありますよ。それならそれで、大体どのぐらいのそれは効果としてありますということも報告できるはずなんです。ところが、ほとんど各省、具体的なそういうような報告をいただくことができないのです、資料も要求していますが。ですから、幾ら対策を打ち出したといえども、この三月にまた恐らく経済対策を出すだろうと言われておりますが、従来は経企庁でやっていたというけれども河本さんのところでやっていると、ボールの投げ合いみたいなことを言っているわけですよ。だから、幾ら対策を打ち出してもどれだけの効果があったということを絶えずこれをフォローして、またプッシュをすべきはプッシュをする。そうでなければ日本は何だゼスチャーだけじゃないか、こういうことになりかねないのです。この点、政府としてきちっと今後対策を打ち出して、きちっとフォローをしていただきたい、これを強く要望したいのです。経企庁長官、河本さん、二人答弁してください。
#136
○金子国務大臣 お答えいたします。
 従来の対外経済対策は各省にまたがることが非常に多いものですから、経済企画庁が取りまとめまして経済閣僚会議で決定して、必要に応じその実施状況のフォローアップを行ってまいったのでございますが、事の重要性にかんがみまして、昨年十二月に対外経済問題閣僚会議のもとに対外経済問題諮問委員会が置かれることになりました。ここでは中期的視点から検討を行う前提として、従来の対外経済対策の評価を行うことにしておりまして、今内閣官房特命事項担当室を中心にいたしまして、過去六次にわたる対外経済対策の実施状況の総合的なフォローアップをやっている最中でございます。そういうことをお答え申し上げておきます。
    〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
#137
○河本(敏)国務大臣 今企画庁の長官がお述べになりましたように、特に昨年の十二月から、フォローアップの作業が非常に大事ではないか、こういうことになりまして、今回発足いたしました対外経済問題閣僚会議の諮問委員会で主としてこの作業を中心に、中期的な展望に立って今フォローアップをやってもらっております。来月中には答申をいただけると思いますので、それを見た上で善処したい、こう思います。
#138
○近江委員 今、政府は、これは十二月からやったと言っていますが、結局私が経企庁を初め河本さんのところだとか関係各省にやいやい言って、資料が出ない、一体どうなっているんだということで、私が非常に強くそれを申し入れたわけです。それまでは何にもやってなかったのですよ。それでやっと、今お話があったように、政府部内でフォローアップをしようということになったわけです。それはそれでやっていただいて非常に結構なんです。ですから、今後はそのように打ち出した以上は、きちっと責任を持ってひとつフォローしていただいて、そしてまた次への対策を考える。それはいいことでございますから、きちっと今後はやっていただきたい。今までの非は非でお認めになって――そうですね、まあ、うんとうなずいておられますから結構ですけれども、今後きちっとフォローしていただきたい。
 それを指摘して、そして最後に総理に、そういう現実でございました、フォローもしてないという。ですから、今後は改めるということでそういう対策をお講じになられたわけでございまして、非常にそれは結構だと思います。今後政府として、立派なそういう対策と同時にフォローしていただくということを強く要望したいと思いますので、総理から最後に一言お聞きして終わります。
#139
○中曽根内閣総理大臣 今までの対外経済政策決定等は、私はかなり実行してきていると思います。実効性も上がっていると思いますが、そのフォローアップ等の報告等については必ずしも十分でなかったと思います。その点は改良いたします。
#140
○近江委員 じゃ、終わります。
#141
○大西委員長代理 これにて近江君の質疑は終了いたしました。
 次に、大出俊君。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
#142
○大出委員 総理に、一つ最初にちょっと承っておきたいことがあります。それは、新聞に二回にわたって非常に大きな記事が書かれておりまして、時期は一九八四年の八月十五日の午後四時ごろというのでありますが、ウラジオストクからウスリースクにあててソビエトの軍の電報が打たれました。ウスリースクというのは、これはスペツナズの御存じの旅団司令部がありますが、中身は大変ショッキングでございまして、「これより米軍と戦闘状態に入る」、こういう内容なんですね。これを緊急に連絡をするということで、総理の秘書官でおいでになる依田智治さんでございますか、この方を通じて防衛庁に首相指示を求めるというので渡された。
 これは大変大きな記事で、これは前の記事であります、これは後の記事でございますが、「権力の素顔第一部」という一番冒頭に出てくるわけでありまして、いみじくも、その数日前にレーガンさんがアメリカでテレビのモニターで、「米国民諸君、私はソ連を永久に消滅させる法案にきょうサインしてきました。今から五分以内に攻撃を開始します」とやりまして、まあ日本の新聞にもこれは書かれたのでありますが、似たようなことなんですけれども、この辺は一体――ここには総理がある人に語った中身までありまして、私これは後で調べてみましたが、どうもやはりそうのようでございます。中曽根総理がある席でこんな感想を漏らしたということでございますが、これは一体何だったのか。まあ、こういうことがたまにはあるのかもしれませんが、ちょっとお答えいただきたいのです。
#143
○中曽根内閣総理大臣 そのような種類のさまざまな情報類というものは、我々のところにも時たま入ってきますが、そういうものは私ら自分で責任を持ってよく判定をいたしまして、まあこれは大したことはないんだろう、一応念のために調べておけよと、そういうようなことで最終的に大事なものは私のところで判断をしております。
#144
○大出委員 中身をくどく聞く気はないのですけれども、総理がお認めになって、そういうものが出てくるということをおっしゃっておりますからいいのですが、ウスリースクといいますと、今のお話の中身というのは稚内で傍受しているんですね、稚内に傍受施設がございますから。そうしますと、この稚内の傍受施設というのは、ウスリースクというのは八百キロ以上ありまして、約八百キロですね、八百キロ先の、これは暗号電報なんですね。暗号電報をまさにリアルタイムで解読をして、直ちに総理の手元に渡る。これは日本の、つまり情報機能というものも大変に、まさに驚嘆すべき状況にあるということになるわけでありまして、そこらをひとつちょっと聞いておきたかったので、こういうことであります。
 それで、この間、総理がほかの方の質問にお答えになっておりまして、これは国民の大変な関心事である、だからその意味で御提起いただいて感謝をするというお話もございましたが、私は、実は大韓機事件でございますけれども、一昨年の九月十九日に、この事件は九月一日でございますが、この席で質問をいたしましたが、以来一年余にわたりまして、私もそれなりに、相当長い質問をいたしておりますので調べてまいりました。いまだにたくさんの方がたくさんのものをお書きになっておりますけれども、計器ミスであるとかインプットミスであるとか、あるいはジャイロが動いたとかあるいは人為ミスであるとかというのがほとんど消えてまいりまして、意図説、何らかの意図があって侵入をしたのだという説が最近はもうほとんどであります。たくさんのものを私はここに持っておりますが、しかも、いずれも専門家でございます。
 そこで、実は真相の解明がこの国会の一つの至上命題になっている、なぜならば国会決議がございますから。多くを申し上げませんが、「あらゆる方途により、大韓航空機が領空侵犯をするに至った原因を含め事件の真相究明に努め、可及的速やかに事件の全貌を明らかにすること。」予算委員長天野さんも御賛成で、総理も御賛成、皆さん御賛成で、本会議満場一致で決議をしました。「あらゆる方途により、」「可及的速やかに事件の全貌を明らかにすること。」何で大韓機が領空侵犯をしたかということを含めて明らかにすること、こういうことであります。
 そこで、総理にちょっと申し上げたいのでありますが、私は、この一年何カ月になりまして、遺族の皆さんのことを考えると胸が痛みます。後から時間があれば申し上げますが、「大韓機事故遺族会文集」というのが二冊ございまして、お送りいただきました。どうも、私もおやじが群馬県の太田でございまして、おふくろは群馬県の伊勢崎でございますから、私は横浜生まれですけれども、やはり群馬の任依の血が騒ぐ、そういう感じがいたしましてね。この席には群馬県人は余りいないようでございますけれども。したがいまして、私は、政党政派だ云々だでなくて、この問題を明らかにしたい。
 そこで、きょうは論点が二つありまして、この二つの論点をここで解明をすることができるとすれば、大韓機の事故という問題、国会決議にありますように、なぜ入ったのかということを含めて、おおむねの解明が軌道に乗るだろうと実は私は思っております。二点ございます。
 そこで申し上げますが、総理は、九月十九日の私の質問に対しまして、遺族の皆さんに対して物を言っておられます。真相究明についてのけじめみたいなことをおっしゃっております。一年数カ月たちまして、いまだに原因の解明もできず、賠償の交渉も進まず、民事訴訟に入っているという今日の事情を実はどういうふうにお考えか、承りたいのです。
#145
○中曽根内閣総理大臣 御遺族の皆様方に対しましては、心からお見舞いとお悔やみを申し上げたいと思います。不意のああいう事故によりまして、肉親を喪失されたりあるいは一家の支柱を失われたりした方々のことを思いますと、今でも胸が痛む思いをいたします。
#146
○大出委員 胸が痛むとおっしゃるわけでございますが、私は、一番大事なことは、北の海に――私は、実はどへ行ってもすぐ顔がわかりますから、少し苦労しながら昨年の九月に行ってまいりましたが、総理がおいでになったということも聞かず、防衛庁のしかるべき人がおいでになったということも聞かないわけでありますけれども、何よりも遺体も上がらない皆さんに対するはなむけと申しますか、それは真相の解明だろう。また、そうしませんと賠償問題も前進をしない。七年前のムルマンスク事件も、亡くなられた菅野さんのところ、いまだに裁判を続けていて全く解決をしない。この二の舞を、あのときは生存者がたくさんおりますからまだ立証はできるが、全くいない。民事裁判をやれと、こう突き放してみたって、政府は、民事裁判だからと、こうおっしゃる。立証しようにも、皆さんかどう集めようにも、資料の集めようもないという状況、その裁判をやっておられる。放任できないですね。そういう意味で、私は、一番よくこの真相を知っているのは、日本とアメリカとソビエト三国の総理を中心とする首脳、軍の責任者を中心とする首脳、この方々はいずれも明確に知っていると私は思う。総理と当時の後藤田さん、真相をここで述べていただけますか、いかがでございましょうか。――無理のようだな。御無理なようですから、質問いたしましょう。真相をと言っても、なかなか言えないんだろうと私は思うのであります。
 そこで承りたいのでありますけれども、私は昨年九月十九日に質問いたしましたが、このときに防衛庁が、運輸省からKAL〇〇七が行方不明だというのを四時五十六分に聞いた、こうおっしゃっておりますけれども、そういうことですか、防衛庁。
#147
○矢崎政府委員 運輸省の航空管制当局から異常の通報ということで、防衛庁の方へ入間の航空自衛隊のRCCに異常の通報がございましたのが午前四時五十六分である、それ以降レーダー航跡等の調査を始めたという事情がございます。
#148
○大出委員 これは一時間サバを読んでいるんじゃないですか。うそを言っているんじゃないですか、これは。一時間というのは非常に大きい。これは四時五十六分じゃないんじゃないですか、三時五十六分じゃないんですか。時間がありませんから言いますが、ICAOにはあなた方は資料協力をしたとほかの委員の質問に答えていますよ、参議院で。ICAOに一体何と書いてある、そんなことを言うなら。「ICAO最終報告」と称するものの日本訳三十八ページにちゃんとある。これは運輸省がつくっているんだ。運輸省でしょうな、書いてないが。ここに明確に、「十八時五十六分」、これは日本時間にすれば三時五十六分。三時五十六分に、「東京ACCは直通電話回線で数ケ所のATS機関及び軍機関に対し、KE〇〇七との無線連絡設定が出来なくなったことを」つまり行方不明になったことを「通知するとともにこれらの機関に通信捜索の実施を依頼した。これらの機関には、札幌ACC、防衛庁、成田管制塔及び横田進入管制所が含まれる。」入間に聞いているでしょう、入間に申し入れているでしょう三時五十六分、何で一時間違うんですか。一時間は大変なことだ。何でそんなに情報をおくらすんですか。
#149
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御指摘ございました点は、ICAOの報告書に記載をされていることでございますが、この内容は、東京ACCから航空自衛隊の入間のAMIS、これは航空移動情報業務機関でございますが、等の諸機関に対しまして、通信のコンタクトを行ってほしいという依頼があったことを踏まえて記述をされておるわけでございます。こういった通信コンタクトの依頼というものは、平素から民間航空機の運航がおくれるような場合にはたびたびなされているものでございまして、この時点におきまして防衛庁として同機の異常を認識していたわけではございません。先ほども申し上げましたように、防衛庁が大韓航空機に関連しましてレーダー航跡等の調査を始めましたのは、九月一日午前四時五十六分に航空管制当局から入間のRCC、中央救難調整所に異常の通報があったということから始まったわけでございまして、それ以前におきましては、私どもとしては異常の認識は持っていなかったわけでございます。
#150
○大出委員 違いますね。時間はかけたくないんだけれども、谷川さんの答弁、防衛庁長官かわったけれども、これは責任継承の原則がございますよ、念を押しておきますが。
 九月一日午前四時五十六分でございまして、いいですか、「○谷川国務大臣 所沢にございます東京航空交通管制部、これは運輸省の機関でございますが、それからわが方の入間の航空自衛隊の中央救難調整所に異常の照会がございましたのは、九月一日の午前四時五十六分でございまして、」五十六分にあっているじゃないですか。あったことは間違いないじゃないですか。そこから先防衛庁の内部でどうしたか、それは別だ。こう答えているじゃないか。同じことが載っているんだが、同じことのICAOの報告は三時五十六分じゃないですか。通報があったのが四時五十六分というのでしょう。通報があったのは三時五十六分と書いてある、ICAOの方には。内部処理は別だ。何で違うんだと言うんだ。
#151
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 先ほども申し上げましたが、三時五十六分というのは、その通信のコンタクトの依頼というものがあったわけでございまして、それは東京のACCから航空自衛隊の入間の航空移動情報業務機関、AMISといいますが、そこへあったわけでございます。これは単なる先ほど申し上げましたように通信コンタクトの依頼でございまして、平素からしばしば行われているものでございます。(大出委員「長い答弁は要らないよ」と呼ぶ)異常の通報がございましたのは午前四時五十六分でございまして、それは谷川長官もそのようにお答えをしているわけでございます。
#152
○大出委員 時間がありませんから中心に入りますが、このときの谷川答弁を読みますと、照会があった、だからすぐレーダーを調べてみた、そうしたら航跡が見つかった、これは大韓機らしい、こうなった、こういう順序なんです。ところが、その後の状況をずっと調べてみるというと、防衛庁はこれを見ていた、大韓機を見ていた。どうなったかというと「事件発生当時稚内レーダーサイトは敵味方識別装置」、IFFでございますが、「スイッチを入れて航空管制圏外を二万四千フィート」、これは約七千二百メートルぐらいでしょうけれども、「飛行中の大型機を見ていた。これが大韓航空機であることはレーダースコープ上の白い点からはわからず、ソ連の民間機がサハリン上空を飛んでいると思った。」こうなっている。見ていたじゃないか、その次どうなったか。スクランブルがかかってくる。これもあなた方見ている。ところが、もう時間がないから一々読み上げませんが、「スクランブルがかかってきたら演習だと思った」、そんなばかな話がありますか。見ていて皆さん撃墜されて亡くなったんだから、これを称して見殺しという。そんなばかなことがありますか。バッジは何のためにある、そんなことを言えば。あなた方が出しておられる「防衛アンテナ」「スクランブル一万回の軌跡」の中に、「全レーダーサイトの探知範囲を飛行する航空機の状況を、複数の中枢部で同時に監視できる自動警戒管制組織(バッジシステム)によって迅速に適切な行動がとれるようになっている。」と書いてある。レーダーに映ったのじゃないですか。映ったことを認めているじゃないですか。「迅速に適切な行動」をとらなければいかぬじゃないですか。それが皆さんの任務でしょう。なぜ何にもしなかったのですか。一言でいいから聞いておきたい。
#153
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 IFF応答信号というものがございまして、これは、レーダーサイトが発しますIFF、敵味方識別装置の質問波に対しまして応答波を出すという機械を航空機が備えておるということでございます。後でわかりました大韓航空機の方からもそういった応答波が入っていたわけでございまして、それは事後的にそれが解明いたしますと、一三〇〇という応答波があったわけでございます。この一三〇〇という意味は、ICAOの定めるところによりますと、管制圏外を二万四千フィート以上の計器飛行で飛行をしているということを示す符号にすぎないわけでございます。したがいまして、自衛隊といたしましては、その時点でこれがいかなるものであるかということは何ら認識をし得ない時点でございまして、その時点でサハリン上空をそのような航空機が飛んでいたからといって、自衛隊がこれを大韓航空機が迷い込んだということを知っていたことにはならないわけでございます。
#154
○大出委員 言いわけをしなさんな。前回私が聞いたときには、慌てて探してレーダー航跡でわかったと言っている。その後、記者がいろいろ夜回りやってついて回るものだから、いや、見ていたんだと言わざるを得なくなっちゃった。なぜそういうことをしますか。遺族の皆さんの気持ちになってごらんなさい。私は政党政派で言っているんじゃないのだ、二十八名も亡くなっているのですから。きょう、皆さん傍聴にお見えになっているけれども、どうしてもほろっとしてしまいますよ、お話を聞いていると。そんな不人情な話がありますか。それなら何のためのバッジだ。バッジが入ってくるときに一番最初に質問したのは私だ。増田甲子七さんが防衛庁長官で、大騒ぎになったじゃないですか。山口空将補が亡くなったじゃないですか。川崎一空佐が逮捕されたじゃないですか。アビオトロニクスというのは私の足元にある会社だ。そんなことは百も知っている。
 また、今の一三〇〇にもうそがある。コード一三〇〇。認識番号です、今お話しのコード一三〇〇というのは。大韓機というのは、アンカレジの管制を出るときに管制がコードナンバーを指定する、ほかの飛行機でもそうですが。六〇七二、四けた、指定している。それが飛んできて、東京管制に入ってくる中間は二〇〇〇にする。そこからこっちは東京管制が指定するナンバーにする。その波長の電波を出しますから、SSR、皆さん持っているじゃないですか、二次レーダー。一遍でさっとつかまえられる。ところが、一三〇〇というのは一体どういうコードだ。今も間違っている。「管制方式基準」というのが運輸省航空局にある。こんな本になっている。これは書店が出版して町で売っていますよ。この別表の2というところに一三〇〇というコードは一つしかない。どういうコードか。進入してこっちに入ってくるコードじゃない。こっち側の管制からハワイに抜けていく、ハワイ管制に行く、アンカレジ管制に行く。二万四千フイート。高さも限られている。これにしか一三〇〇はない。こんなことは、自衛隊の管制の人はみんな知っているじゃないですか、
 IFFというのは民間機にはついていない。ATCトランスポンダーという。そんなことはきのうきょうやっているんじゃないじゃないですか。IFFというのは敵味方識別装置。敵味方識別装置といったら、限られた、圧縮をされている。山と言ったら川と言う、簡単に言えば。何を言ったって答えちゃったんじゃ、敵味方識別装置にならぬじゃないか。そうでしょう。ATCトランスポンダーから出てきているコード一三〇〇がキャッチできていて、異常に気がつかぬとは何ですか。この一三〇〇は、アンカレジの方に行く、ハワイの方に行く、これしかない。運輸省、そうでしょう。運輸省、答えてください。
#155
○平井説明員 お答え申し上げます。
 民間航空機が洋上飛行いたしておりますときには、一三〇〇のコードの符牒を出して飛んでおるはずでございます。(大出委員「別表2は」と呼ぶ)ちょっと御質問が聞き取りにくかったものでございますから、失礼いたしました。
#156
○大出委員 答弁にならぬじゃないか。別表2を聞いているのに、そんないいかげんなこと言ったって困る。
 時間がありませんから指摘だけにしていきますが、だれがどう考えても――私は、日航のパイロットの会の皆さんとも話してみた、整備をしている方の会とも話してみた、軍事専門家、たくさんの方とも一緒になって話してみた。私の指摘に間違いはない。だれもが一三〇〇というコードを見たら、指定がないんだから二〇〇〇でなければならぬと。そんなものが一三〇〇出している、そんなことない、それだけでわかると。だから、私はさっき見殺したと言ったのです。見ていて、バッジがあってすぐ打てる手を打たないから。識別できるものをしていないとすれば、明らかにこれは私はお気の毒なことになったという気がいたします。その点だけ、時間がありませんから指摘いたしておきます。
 さて、次に、お手元に差し上げております図面を見ていただきたいのでありますが、時間がありませんから問題の指摘をして、それからひとつ物を申し上げたいのです。
 毎日新聞のお載せになっておるのを私拝借をいたしました。したがいまして、それはひとつ、タス通信だとかいろいろありますけれども、私はソ連に縁がありませんので、行ったこともございませんし、したがって余り気が向きませんから……。
 この「スクランブルに対応か」というのがございます。「右急旋回した大韓航空機」、これがあります。これをごらんいただきたいのであります。毎日の皆さんのものを拝借いたしました。この真ん中で点々とコースがございまして、サハリンの手前で急角度で右にカーブを切っておりますのが、オガルコフ参謀総長がソビエト側のレーダーで撮った航跡と言って出したものであります。約九十度近く右に曲がっている、旋回をしているということであります。これは何を意味するかということが、この記事に書かれています。
 ポイントを申し上げますが、この種の大変な九十度近い旋回をしようとすれば、INSでは断じてできないという。機長が操縦桿を握って急激に右に回る。でなければ、もう一つございますけれども自動操縦装置の方位転換、つまり人間が握らなければだめ。急激に回す、そういう意図的操作をしなければINSでは曲がれない。これはもうパイロットに聞いても、どなたに聞いても、みんなおっしゃる、そんなことは先生できませんよと。
 このことが解明されますと、まず第一の問題点。念を押しておきますが、このオガルコフさんの出したコースについては、いまだにアメリカからも何の反論もない。日本からもない。残念ながら現段階、一年何カ月たって、ない。そうすると、右に曲がったと考えざるを得ない。
 そういたしますと、今まであった、いろいろなインプットミスだ、計器ミスだ、まさに安全性という意味の航空学あるいは軍事科学の粋を集めた今のいろいろな情報システム、こんなものを全部否定しなければ、これは皆さん、飛行機に乗った方は元気に仕事をしているんですからね。そんなことがあっては困るわけです。ジャンボ機の安全性を全く科学的に否定しなければならぬことになる。そんなことは全くないということで、今まであった計器ミスだ、インプットミスだ、ジャイロを押したからだ、いろんなものはみんな消えちゃう。意図がなければ操縦桿を持って右に曲がれない。はっきりしている。オガルコフさんは、彼はどういう意図で言ったか知りませんけれども、ソビエトのミサイル陣地を避けておると。これが一つ。
 次に、お手元に差し上げておりますが、防衛庁の「防衛アンテナ」にお出しになった今回の大韓機、このコース、これでございます。右側にございますのは、これまた「防衛アンテナ」でございますが、面倒だから日にちは言いませんが、レーダーの覆域であります。私はレーダー問題にも非常に詳しいつもりでございますが、計算方式なんというものは、私の質問に皆さん答えて、私が念を押して、私の議事録に残っている。高さがどのくらいあって、地球の半径がどのくらいあってというところから計算していくと出るようになっている。この覆域を計算すると、これは四百キロです。いいかげんなものを出したんじゃない。この原本は防衛白書に載っかっている。右側、四百キロ。稚内レーダーの覆域四百キロ。左の方はどうかというと、三時十二分からKと書いてありますが、Kというのは大韓機KALであります。これがここから映っているということであります。その右にBと書いてありますのはスクランブル機のB、ソビエトの戦闘機であります。
 不思議なことがございます。レーダーが四百キロの覆域を持っているのに、K、三時十二分、ここまでの稚内レーダーからの距離は三百四・八キロしかありません。何でそこから先が映らなかったのですか。レーダーをとめていたんですか。「防衛アンテナ」を見ていると、「二十四時間全面稼働で一瞬の休みもなし」と書いてあります。とまることはないでしょう。それじゃ、ここだけ欠けていましたか。
 しかも、これは高度一万。そうなるとソ連機のBの方はどうか。タイムラグはありますよ。ありますが、稚内からどれだけ映っているか。これは何と三百二十八キロ、Kは三百四キロ。どんなに間違ったって三百二十八キロ映らなければおかしいじゃないですか。私に言わせれば四百キロ映る。実は、専門家の皆さんが、私もよく知っている計算方式で計算をすると四百七十キロぐらい映るんですよ。あなた方、情報が漏れるとかなんとか言うけれども、そんなことは国際的周知の事実だ。ちっとも秘密でも何でもない。稚内レーダーの覆域、青木日出雄さんは四百七十キロと計算しています。藤井治夫さんは、私が持っている計算方式で計算をして数字を出しています。その数字によると四百六十六・九九キロ、そういうことになる。この計算方式というのはルートを二つ使って出すんですけれども、これは皆さんがよく知っているからあえて申し上げる気もないが、わかっている。私の議事録にちゃんとあなた方答えて載っかっている。それだけとりあえず申し上げて……。
 さて、またいろいろな答弁をなさるといかぬから申し上げておきますが、ルート2RHプラスルート2Rh1、これがレーダーの覆域の計算。中身はどうなっているかといいますと、地球の半径をRとする、電源の高さをHとする、目標の高さはh、これで計算をすれば出てくることになっている。
 そこで、稚内レーダーの標高は二百十メーターある、飛行機は一万メーター、これは当然です、専門家が書いているのだから当たり前。何で一体これは三百四キロしか映らないんですか。欠けてましたか、レーダーが。答えてください。
#157
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 防衛庁のレーダーの能力につきましては、明細にお答えすることは事柄の性質上差し控えたいところでございますが、一般的には、高高度の場合おおむね二百マイル程度ということで御理解をいただいているわけでございます。
 それで、レーダーの覆域と申しますのは、目標の高度とか地形その他天候状況等によりまして影響がされるということもございまして、一概に、そのときどきのキャッチの状況が確定できないというようなことがございます。
 今回、先般の大韓航空機事件のときに我が方のレーダーサイトがキャッチをしておりました範囲は、我々がもう既に公表をした範囲であるということを申し上げておきたいと思います。
#158
○大出委員 種明かしをしなければいかぬのですが、私も防衛問題を始めて二十二年目なんですよ。三沢のCC、DCなんかも、半地下式のところに入ってスクリーンを長らく見ていたこともある。説明を聞いたこともある。現場の人は自衛官の方ですから正直なんですよ。こっちが知識を持っていればちゃんと説明してくれますよ。アンノーン機というのは、赤いのはどういうふうになるのか、みんな説明してくれていますよ。そんないいかけんなことを矢崎さん、きのうきょう防衛局長になったみたいに言っちゃいけませんよ。
 実はほかに理由がある。この航跡が四百キロのレーダーの最初から映っていたということにするというと、オガルコフ氏が出しているこの航跡と一緒になる。ならなければおかしい。なぜか。防衛庁の出している航跡が正しい限りは、いかなる線の引き方もここに接続されなければ解明はできない。筋が通らない。当たり前でしょう。どういうコースをとるにせよ、サハリンに入ってきて撃ち落とされるまでのコースというのは防衛庁のこのコースに乗る。
 さて、不思議な問題がある。オガルコフ氏が言っているこの右に九十度曲がったというのは、日本時間にして三時二分でございます。ここに差し上げました交信記録、日本文のものをあけていただくとわかりますが、三時二分のところ、ここから三分三秒空白であります。これもおかしな話でございます。三分三秒空白。なぜ空白が。何かあっては困る。この差し上げた交信記録の第一ページ、三時二分十一秒、ここから三時五分十四秒までない。三分三秒何にも交信がない。いいですか、三時五分十四秒の後、見てごらんなさい。五分五十三秒、五分五十六秒、六分、六分七秒、六分二十二秒、六分三十秒、六分三十三秒、六分四十五秒、しゃべったら切りがない。秒単位だ。ここだけ何で三分三秒ないの。ここがあるとわかってしまう。
 もう一つ言いましょう。一枚あけていただいて、三時九分、805という飛行機です。ここは「そうだ、目標は方向を変えた。……目標は当方の左方八十(度)。」これが書いてある。これを片手落ちという。右に九十度近く曲がったものは、左にまた八十度か九十度近く曲がらなければもとのコースには戻れない。物理的に当然でしょう。九十度曲がったままで行ったら、どこかへ行ってしまいますよ。九十度曲がったものを逆にまた左に曲がったからもとのコースに乗った。そのところが出ていたのでは困る、この航跡は。
 ここで、一つ申し上げます。これは共同通信の皆さんの社内報に載ったものでございます。これは公になっているのですからひとつ使わしていただきたい。ここで記者の方が言っております。
 防衛庁が航跡を出された。オガルコフ氏が出された。そのときは気にしなかった、どうせ違うのだろうといって。ところが、オガルコフ氏が「三時二分、侵入機が急速にコースを変更してわが地対空ミサイル部隊配備地をかわし、サハリン南部の重要軍事施設上空を通過したことは極めて特徴的である」と言ったときに、はっと気がついた。慌ててこの二つの図面を合わせてみた。「大慌てで二つの図と交信記録を見返し、読み返した。そして、二つの図が矛盾していないことに気がついた。ソ連の示した図によると、大韓機はまず大きく右旋回、次いでやや緩いが似たような角度で左旋回し、間もなくサハリン上空に差しかかっている。自衛隊の図は三時十二分のそこからだ。タイム・ラグがあった。気がついて、交信記録を分析し直したときは、朝刊の締め切り時間帯をとっくに過ぎていた。」気がついたら遅かったというわけです。こうお書きになっているのですね。そしてこの方は、その次のところで、「大げさにいえば催眠術から覚めたような気がした。」こうおっしゃっておりまして、コースずれの原因について慣性航法装置のインプットミス、整備不良などによる機器類の故障、居眠りなどによる操作ミス、みずからの燃料節約、他からの電子妨害、ハイジャック、機長の発狂、スパイ偵察、諸説が入り乱れているけれども、このコース変更というのが確定をすると、完全ではないかもしれないけれども、ほとんどの項目が消えてなくなる。そうでしょう。なぜならば、パイロットがコンピューターではなく手動で機械を正常に動かして、意識して遠回り操縦していたということになるからだというわけですよ、簡単に言えば。
 そして、このうち三時三十二分からスタートしている、今の自衛隊がお出しになった、つまり防衛庁がお出しになった航跡図、これは三時十二分から大韓機は始まっていますが、二つあるうちのB、三時三十二分からスクランブルBが航跡を残しておりますが、「このうち三時三十二分からスタートしている航跡に注目していただきたい。その航跡は、三時十二分に始まる大韓機の航跡より、経度にして一度近くも東側から始まっている。スタート地点の緯度が大韓機の始まりよりやや南側という事情はある。それを差し引いても、自衛隊のレーダー航跡図は、大韓機の航跡がもっと東側から、少くともソ連のスクランブル機と同等の経度からレーダーに映っていたことを示唆している。三時十二分という偶数分で始まる大韓機の航跡は東側、図でいうと右側がちょん切られているに違いない。そして、隠された部分には、大韓機のコース変更の形跡が残っていたのではないだろうか。私はそう確信している。」これからこの二人の記者は、レーダーの覆域というものを懸命に調べ始めるのですが、そして紛れもなく映っていたという結論です。私も、実はとれるだけの口頭の裏はとってみました。あなた方はかくてこれを出せない。
 せっかく私がしゃべりましたから、一言だけお答えをいただきます。後からあくまでもこれは出していただきたいと申し上げますが。
#159
○矢崎政府委員 お答え申し上げます。
 御指摘の交信記録につきましては、あの当時、私も今思い出しておるわけでございますが、これは非常に重大な事件であるということにかんがみまして、全力を挙げて最善を尽くしてこの内容の解明に当たったわけでございまして、私どもが発表いたしましたこの記録と申しますのは、ここの中に、今申し上げましたような三時二分十一秒から三時五分十四秒の間に何か別のものがあったのではないかという御疑問であるとすれば、そういうことは全くないということをお答えをしたいと思います。
#160
○大出委員 つまり、パイロットの交信記録の中にも、三時二分の曲がったところというのは三分三秒空白である。その下の方を見れば、みんな秒単位で交信が行われている。不思議なことであります。しかも、今度は航跡図の方を見れば、両方とも防衛庁がお出しになった。これは食い違っては困るのですよね、皆さんの方は。食い違っては困る。符節を合わしたごとく三時十二分しか載っていない。しかも、四百キロ以上レーダーの覆域範囲があるにもかかわらず、スクランブル機Bというのは三百二十八キロを超えるところから映っている。大韓機は三百四キロしか出ていない。物理的に納得のしようがありません。この点だけは今の段階で明確に申し上げておきます。物理的に納得のしようがない。取材記者の方が懸命に飛び歩いて調べた方の結論も、恐らく私と同じ結論だったのだと思います。これだけはっきり申し上げておきます。
 次に、この差し上げました交信記録、日本語訳のもの、それから一緒に差し上げました英語の訳のもの、二つございます。英語の訳のものは国連の安保理事会に、アメリカでございますが、カークパトリックさんが国連代表で――なぜ私がアビエーション・ウイークを使ったか。ここにそうでない原文もございます。ございますが、アビエーション・ウイークの方を使ったのは、原文と照らし合わせてみまして中身が一緒だからであります。そして、こちらの方には前書きがついております。アイデンティファイという言葉が三カ所出てくる。これは皆さんおわかりのとおり、英語においては非常に強い言葉でございます。アイデンティファイ。特定をするという言葉でございます。カークパトリックさんの話を聞いてここにまとめた、中身は全く同じでありますが、まとめたこの有名なアビエーション・ウイークの方の感覚は明らかに特定をしている。三つありますが、805はこうであるとか、みんな特定している。こういうニュアンスでございますが、こちらを使わせていただくことにしたのであります。
 そこで、見ていただきたいのでありますが、私が丸をつけている英文の一番右の方を見ていただきたいのですが、丸をつけているのは何につけているかといいますと、121という飛行機の番号、731という飛行機の番号、認識ナンバーでございます。731機、121機、これは日本文の交信記録にも当然でございますが、英文の交信記録、多少のニュアンスの違いはあるのですが、どちらにもこの飛行機のナンバーは皆無であります。一度も出てまいりません。一度も出てこないものを何で一体特定できるか。この交信は剛、そんなもの書いてない。交信記録にない。何で特定できるか。121という飛行機の番号、ない。交信記録、ない。ないのに、この交信は121と何で特定できるか。こんなことはできない。
 さて、問題は基地。基地は何時何分と、これは向こうの時間ですから、十八時三十五分というのは三時三十五分、日本に直せばそうなんですが、この今の飛行機のナンバーと時間との間に書いてある括弧してDEP、ディエプタートというソビエトの地上管制基地であります。TRI、トリコタージというソビエトの地上管制基地であります。それからKAR、カルテヴァールという基地であります。この通信を幾ら子細に読んでみても、この通信はどこの基地にしているかということはわからない。専門家に頼んでもわからない。何でわかったか。いみじくも、地上基地からの交信がなければわからないのです。はっきりしている。だから、ここで申し上げておくのは、地上基地からの交信録をお出しいただきたい。
 そこで、この問題をちょっと中断をして後藤田さんに承りたいのでありますが、後藤田さん、この記者発表をなさいましたが、いろいろなことをおっしゃっておいでになるわけですけれども、後藤田さんは、まず最初から順番に聞きたいのですが、時間も心配しておりますから、承ります。
 まず、四人の会議というのがある。柳田邦男さんがお書きになっている。四人の会議。つまり、ここでは「二時間半にわたる交信記録を前にして四人の方が相談されて日本の方針を決めた。」とこう言う。四人の会議。「午後一時二十分、官邸の首相執務室に、呼び出しを受けた鎌倉内閣調査室室長が書類を抱えて入った。十分ほどおくれて後藤田官房長官が入り、さらに十数分おくれて外務省の中島敏次郎審議官が着いた。この中曽根、後藤山、中島、鎌倉の四人による会議は、情報を整理して、状況を的確に把握するためのものであったが、実質的に日本政府の対ソ戦略シナリオのいわば原型をつくった重要なものとなる。この会議では、まず鎌倉内調室長が「ミサイル発射」「撃墜」など、ソ連機二時間半に及ぶ交信記録の全文を日本語に訳したもののコピーを示し、その内容について詳しく説明した。」こうなっている。この二時間半のをお出しをいただきたい。後藤川さんにあわせてお答えをいただきたい、時間がありませんから。後藤田さんは、記者発表なさいましたときに、地上基地からの交信録、指示の記録、指示があった記録、記者団の質問に答えて、当然あるとあなたはお答えになった。後で防衛庁から抗議が来て、慌てて、これはそういった意味じゃないのだと一生懸命今度は釈明をされて、まあまあということにした。これはあなた、一遍言ってしまったんだから後には戻りませんよ。地上からの記録がおありになるんでしょう。
 二つお答えください。
#161
○後藤田国務大臣 最初の、会議はどうだったか、こういう話ですが、これは確かに午後の一時ごろ総理官邸で、今お挙げになった四人だったと思います、これはもう一年数カ月前のことですから、きょう突然の御質問ですからはっきりしませんが、それまでにわかっておるいろいろな情報について、事務当局から報告を聞きました。対ソ戦略なんて大それたことは、そこでは議論を私はした記憶は全然ございません。
 それから、新聞記者……(大出委員「二時間半のテープ、二時間半の記録」と呼ぶ)二時間半の記録というのは私は記憶にないですな、それは。ありません。
 それから、もう一点の地上の交信があるだろう……(大出委員「ごまかしなさんな」と呼ぶ)いや、ごまかすんじゃないのですよ。本当に私は記憶をたどってお答えしている。それは飛行機からあれだけ物を言っているわけでしょう。それはこっちはわかっているわけね。そうすれば、地上からの何かがなければおかしいわけですからね。だから、それは交信はあったと思う。しかし、我が方の資料には飛行機から下へ行くやつしか、当時の私の記憶では何か通信の性能とかなんとかという話、これははっきりしませんけれども、そういうことでしたね。だから、その地上交信の内容はわかりません。
#162
○大出委員 答弁がとんちんかんですから、改めてまた後で聞きますが、重ねて申しましょう。
 ここに浅田信雄さんという方が書いておりまして、この方は元記者の方でございますが、一問一答を書いているのですよ。これは取材記者の方のメモによってあなたのしゃべったのを書いている。記者の方というのは、皆さんおいでになりますけれども、そんなに甘いものじゃないのですよ。それはさんざん御経験でしょう。笑っておられるけれども、しようがないんだからこれは。とぼけなさんな。「九月六日、後藤田官房長官は記者会見で発表文を読み上げた後、記者団の質問に答えている。発表されたもの以外に交信録はあるのか。後藤田長官、あるかないかは言えない。」まずこういうお答えですね。もっともでしょう。ここで発表しているのは、今のも同じ、「基地と戦闘機の間のソ連語による生の連絡である。ほかにあるかないかは今回は申し上げない。地上局からの指示の記録もあるのか。地上の方からの発信は当然ある。」と言い切っている。「それを明らかにしない理由は何か。理由はない。これだけで諸君十分ではないか。」それでおしまい。そういうふうにぼんと言っておしまい。どうですか、お答えになる気が出ましたか。
#163
○後藤田国務大臣 それはどれかはわかりませんけれども、そういうやりとりがあった記憶はありますよ。(大出委員「いや、結構」と呼ぶ)いや、結構じゃないんだ。これからちょっと言わせてもらわぬといかぬ。それはさっき言ったように、あれだけ飛行機の方から発信しているんでしょう、ならば、地上からの何らかのやりとりがあるのは当たり前じゃないか、そういうことを含んで私は申し上げているのです。
#164
○大出委員 後藤田さんが地上から何かあるのが当たり前だとおっしゃるんだから、シュルツ国務長官が間違えるのもこれはまた無理もないですね。シュルツさんが口を滑らせた一件がありまして、これも裏をとってみましたが、そのとおりでございました。「サハリンの地上管制局の電波も日本側が受信できることをまずうっかり明らかにしたのはシュルツ米国務長官である。一日夜の記者会見で、ソ連の管制官が墜落現場へ向かうよう救難機に指示した。」こういうふうに、例の油が流れているところから始まったんです。そう言った。そこにいたホワイトハウスのスピークス報道官「何しろロシア語から日本語、そして英語と翻訳したので発表がおくれた。」こう言っている。記者の方は、あったよ。さあ、油が流れて大騒ぎになったから、地上のソビエトの管制基地から救難機に対して命令が行った、指示が行った。救難機、すぐ向かえと指示した。それをしゃべった。それを日本語から英語に直して、ロシア語から日本語、英語だから、こういうふうにスピークスさんが言った。あなた方、いろいろこうおっしゃるけれども、なければおかしいのです。
 この際申し上げておきますが、私は九月の十九日に質問するときに、懸命に夜回りをやっておられた記者の皆さん、仲のいい方は、私、長い年月防衛などもやっておりますからたくさんおられます。私のところへ来まして、大出さん、質問するんだな、大出さん、やはりあったよ。何があったと言ったら、地上からの交信記録はある、だけれどもアメリカが出してはいけないと言うのだから出せないんだ、うっかりこんなことを言うと首になるからと冗談話が出て、書かぬでくれよ。どうする。どうするといって、私、その問題を取り上げるとあの十九日の質問がちょん切れてしまいますから、やめましたがね。私はその後二、三の方に会って聞いてみた、当時の方に同じことを。それは後藤田さんが、あるのは当然だと言う。これはあなたも今ここで認めておられるのですね。上からこうあるのだから、地上のもある、だからそう言ったというだけなんだ。これはひとつ出していただきたいわけであります。
 さて、時間の関係がございますから、次に移らしていただきたいのであります。この資料をお配りいただきたいのですが……。資料を配っていただいている間に一問だけ質問いたしますが、録音テープを公開願いたいのですよ。理由を申し上げます。九月の十七日に、ホワイトハウスで行われた大統領と議会指導者の協議の席上公開されたテープ、つまり日本から行ったテープ、これもここで一遍口にしておかなければいけませんが、ウクサ協定という協定がありまして、秘密協定。ただ単に、防衛庁の制服の方は、情報がひとり歩きしたとおっしゃっている、アメリカが勝手に発表したと言っているけれども、勝手にひとり歩きしたのじゃない。秘密協定がある。皆さん、御存じでしょう。パズルパレスという有名な、最近やたら触れている、まあ私がきょうの表題に書いてあるような国際的な情報システムがあります。そういうアメリカの内幕等を細かに書いておいでになる、この中に出てくる。そのことを解説している方もおいでになります。つまり、主権は日本にある。日本のものなんです、これは。何で黙って向こうへ行っちゃって、向こうが勝手に発表するのですか。我々何も聞いていない。そんなばかな話はないでしょう。
 だから言いたいのだが、ホワイトハウスで議会指導者協議の席上公開された日本のテープ、ソ連パイロットが少なくとも二回「RC135」と呼んでいたことを、ジム・ライト下院議員さん、下院民主党院内総務の方が記者団に話した。さあ、記者はスピークス報道官のところへ飛んでいった。スピークスさん、副報道官。そうしたらスピークスさん、それを否定した。ところが、記者団の鋭い追及に明確に答えられず、かわって、そこでNSA、国家安全保障局、NSAのシムズ補佐官がRC135が近くを飛行していたことを認めた。ソ連がKAL機をRC135と誤認した可能性があることを示唆した。これが、その後で大統領も認めざるを得なくなった。指摘したのはオガルコフさんが最初であります。この録音テープ、聞かしてくださいよ。大体、日本がとった――日本国民が払って防衛庁があるのですよ。そうでしょう。それをこっちは知らないのに、向こうで勝手にホワイトハウスで発表する。これは幾ら選挙を考えた大統領か知らぬけれども、東部のゴールデンアワーの時間に、国民に見せる一般のテレビで字幕をつけて放映をする。ここで大統領は演説をする。国民が聞いている。今度は国連の安保理事会で発表する。これもソビエト語、英語の字幕。そこまでやっていて、何で、日本の国会議員がひとつこのテープをと言ったら、あなた方拒否するのですか。そんなばかなことはないでしょう。納得のしようがないですよ、これは。いいですか。だから、どうせあなた方は満足な答弁なさらぬだろうけれども、念を押しておきます。出していただきたい。
 さて、今差し上げたこの資料をごらんをいただきたいのであります。
 今差し上げました資料でございますけれども、この横文字のごとく書かれておるのがございます。これはソビエトのローマ字タイプ、ローマ字表記のものでございます。ロシア語じゃない、ローマ字表記のもの。やかましく原文出せと言ったら、柳田さんは原文があると書いているのだけれども、そうしたらこれを持ってきたのですね。これを持ってこられた。ところが、実は私も困りまして、大学でソビエト語を講義をなさっておいでになる学者グループに御相談をしたら、これはロシア語じゃないよと言う。ローマ字表記だ。それから、ロシア語を日常使っておいでになるグループに相談をいろいろな方がされた。そうしたら、そちらの方も、これはローマ字表記だ、ロシア語じゃない、こう言う。さあ困りまして、こんなものをぽんと出されたって解析のしようがありませんから、大学でソビエト語を専門に講じておいでになる有名な方々、また日常ソビエト語をお使いにならざるを得ない御職業の方々にお願いして、申し上げずにそれぞれ解析をしていただいた。それが、もう一組差し上げているこれでございます。御説明をいたします。
 これは、私の能力でこれをもう一遍組み直して、皆さんにこれ以上おわかりやすいようにと思ったのですけれども、残念ながらそれだけの能力がございません。したがって、二つのグループでお出しいただいたもの、参考になるものは二つ並べて書いてありますが、ほとんど両方の方の解析の結果は間違っておりません。ほとんど一緒でございます。確信を持っておる次第でございます。
 そこで第一ページ。時間がもったいのうございますから、第一ページは右の一番上に注がございます。赤い線が引っぱって「注」、ここのところだけ申し上げておきます。二時間五十六分五十八秒の交信の最大の問題点は、二時三十八分ごろサハリンのソ連レーダーが捕捉をした、そして二時四十五分にスクランブルがかかった。さて、その直後――二時四十二分です。二時三十八分ごろ、サハリンのソ連レーダーがとらえたのですね、そして二時四十二分にスクランブルをした。この交信録と、今いただいている防衛庁から出ているのとは、ここに上がったところからと見て、十五分間カットされていますね。なぜカットしたのですか。実はここでは申し上げませんが、非常に大きな問題がございます。これはどうしてもお出しをいただきたいという意味でここに書いたわけであります。ほかのことはいろいろありますが、時間がありませんから御説明いたしません。それだけは御説明いたしておきます。
 二枚目、下にCという、四ページになっておりますもの、これを申し上げます。805と左側に大きい字で書いてあります。これは飛行機のナンバーであります。この805がKALを撃ち落とした飛行機でございます。「ア ポーニャル アナー スミガールコイ イジョート ス ミガールコイ イジョート」こうなっているのですが、これは一体どういうことかといいますと、ここに書いてありますが、単語の訳をつけまして、下に「それは閃光式信号灯をつけて進んでいる、閃光式信号灯をつけて」、こう訳す。防衛庁さんはこれを航法灯とお訳しになった。
 ところが、さてこの原語を解析していただきましたら、下に大きい字で解説をしておりますが、上の@のところの、これは彼とか、受け方でございますからいいのでありますが、Aのところ、「日本政府訳中の「航法灯」(名詞)と「点滅して」(動詞)が原文にはない。」ないのです。航法灯というのを航空灯というふうにお書きになっている新聞も当時たくさんございます。ところが、ここに大きな問題が実はある。航空灯という、左舷灯、右舷灯とずっとあるのですが、それを点滅するというのは、国際民間航空協定で恭順の意をあらわすことになっている。恭順の意をあらわしているのに何で撃ち落としたのかと、こういうふうになる誤解を大変に与える。根本的な間違い。自白という後ろの航空灯がございます。前の方に二つずつ、赤赤、赤とグリーンが二つ、こうあります。実は学者さんに調べていただきましたら、この言葉の中には、航法灯ということは全くない、ストロボライトである、こうなんです。ストロボライトはこうなっていますから、きらきらしているのは当たり前だ。そうすると、恭順の意思を示して、航空灯を点滅さして、スクランブル機の意に従いますよと言っていると解釈できかねない防衛庁訳というのは、明らかに意図的である。
 なぜならば、原語にその意味が全くない。点滅しているという意味もない。何のことはない。これも実は取材記者の方は白けということで書いておられます、白けた。航法灯と言うから、それは何だと言ったら、メーカーや何かが最初答えぬで、メーカーや何かがこういうのを使っているんだと言うので、日本航空だのなんだのに聞いてみたら、そんなものはうちは使っていないと言うので、外信部に頼んでその原語をやっと聞いて、もとの言葉は何ですかと聞いて、それを分析してくれと頼んだら、何のことはない、ストロボライトのことだ。点滅という意味は全くない。これと同じなんだ。こういうことをなさるんじゃ、本当にソ連パイロットがそう言ったかどうかを含めて、これは録音テープの検証が必要なんです。ストロボライトというのは衝突防止灯ですよ。これをつけたって消したって恭順の意にはならない。はっきりしているじゃないですか。ICAOで決まっている。これが次の問題でございます。
 次にEというページに参ります。六ページ、805が出てまいります。一番上の方に805と大きく書いてありますが、これも大変な問題でございまして、私は憤慨をしておるところでございますが、六ページ、Eというページを見ていただきたいのでございますが。805という数字が左の上にございます。ここに「参考」という字がありまして、二つのグループのものがここに書いてあるのでございますが、「アー ツェーリ ナ ザプロス ニェ アトベチャーエト」、この「ザプロス」という言葉が中心的な言葉でございますが、何とこれは、防衛庁はIFFに応答しない、こういうふうに訳しておられる。IFFに応答しない。敵味方識別装置に応答しない、こう訳しておられる。ところが、全くべらぼうな違いでございますけれども、この解説の1にございますように、「ザプロスはバプロス(質問)に対して「公的な質問」の意味で、「IFF(敵味方識別装置、システムイ・アパズナバーニャ)」の意味は全くない。バプロスは普通使用される「質問」。」これに対して、公的質問がザプロス。
 そこで、さて、この「ザプロス」という言葉をICAOの報告は何と訳しているかというのを念のために見ましたら、「ザ・コール」、右の上の方に注を下につけて書いてありますように、「ザ・コール」であります。これは一般的に何か調べてみましたが、百二十一・五メガヘルツの国際航空協定に基づく緊急周波数でございます。これはソビエト側は百二十一・五メガヘルツで呼びかけたと言っている。防衛庁はIFFに応答しないとこう言った。IFFはさっき申し上げたように局限されている。山と言ったら川と答えるようにできている。ところが「ザ・コール」、百二十一・五メガヘルツの呼びかけというのは、民間機でICAOに加盟している飛行機ならば、全部応答ができるようになっているわけです。もしそれに。応答しないというのなら、ここに問題が一つ残ります。
 だが、しかし、いずれにしても先ほどの「スミガールコイ」衝突防止灯、ストロボライトであっても、これは私は、地上からの通信もテープも、それからまたロシア語原文も出していただきたい。理由は、オガルコフさんがうそを言っているからですよ。なぜならば、サハリン上空もカムチャッカの上空も無灯火で飛んでいるという。
衝突防止灯がついておったって、これは無灯火じゃない、断じてない。出していただいて黒白はつけなければ、亡くなった皆さんにこれは相済まぬという気が私はする。出していただきたいのであります。
 次に参ります。八ページの三時十七分三十四秒、上から三番目であります。飛行機ナンバー163であります。ディェプタート、これはソ連の地上基地名であります。「ディェプタートが問いかけている、目標は認められるか否かと」、こういう訳になります。単語の意味は下に一つずつ書いてあります。「ディェプタートが問いかけている、目標は認められるか否かと」。
 さて、ディェプタートに関する通信をアメリカで――これは日米共同なんですよ。日本に半分責任がありますよ。アメリカで公表したものにはカルナヴァールに対する通信だと書いてある。特定している、基地を。「ディェプタートが問いかけている、目標は認められるか否かと」、これしかない。何でこの通信がカルナヴァールに対する通信だとわかるのですか。わかりようがないでしょう、地上からの交信がなければ。ディェプタートという基地の名前が出ているけれども、ディエプタートが問いかけてきている、目標は認められるか否かと言ったら、この通信は、先はディェプタートでなくてカルナヴァールである。こんなことはわかりませんですよ。
 もう一つ、その下に163機で三時十八分九秒がございますが、ここで「カルナヴァールには認められない」というのがございます。ここでカルナヴァールが出てまいりますが、この基地の特定は、アメリカ軍の特定はどうなっているかというと、ディェプタートなんです。カルナヴァールと話しているのじゃないのです。これは。カルナヴァールに認められないと言っているやつの発信先が、交信も何もないのに何でディェプタートとわかるのです。こんな不思議な魔術みたいなことはない。つまり地上からの交信があるからであります。
 次に参ります。九ページ。これは大変重大な問題でございます。
 途中で、アメリカ側も日本側もそうでございましょうが、訂正をした。下に訂正文がございます。「充分時間はある。」下に片仮名で書いてありますが、「ア ヴレーミャ ニェ ヴイジョート」、これがここに書いてある露文でございますけれども、これが間違っていたから「アニー メニャーニェ ビージャト」、こういうふうに訂正をする。訂正するとどういう日本文になるかというと、「充分時間はある。」こうなっているのを、「彼らは当方を見ていない。」と修正する、こう言う。不思議な話であります。
 このときに、同時修正したのがオガルコフ氏の言った曳光弾を含む機関砲、警告発射は百二十発、四回にわたってやった、こういうことなんです。これに対して合わしている。警告発射というけれども、彼らは当方を見ていないのだから警告したに当たらないと防衛庁は言って、公的見解は取り消さないとこう言う。うまくできていますよ。さっきの取材記者の方は、防衛庁さん、お見事とあきれている。
 ところが、専門家のお話を聞きますと、ソビエト語で言うと、この「ヴ」という発言、「ヴレーミャ」の「ヴ」という発言、これは非常に強い発言だ。そして「アニー メニャー」これは非常に低い発言だ。素人でもない限り、こんなにべらぼうに、強い発言とこんなに小さい出足の発言と聞き違えるなんということは金輪際ない、明らかに作為があるとおっしゃる。しかも、この注に、一番下に書いてありますように、日の出前のほとんど真っ暗やみの場面、レーガンさんは、月がこうこうと照っていて気がつかずに悠々と飛んでいるのを撃ち落とした、こう言うけれども、満月の十二分の一だった。夜明け前になって月はない。真っ暗だ。当方を見るも見ないもないでしょう。作為がございます。
 次に参ります。十ページ。ここで機関砲を連射した。これは非常に問題がございます。
 もう時間の関係がありますから多くは言いませんが、「聴取不能」というところに、機関砲を連射したというのを入れると言う。私は防衛庁に、「聴取不能」というのはどうなっていたんだと聞いたら、説明にお見えになって、当方はあくまでも聴取不能ですと言う。さっきの十分時間があるというのを、相手は当方を見ていない、これはどうなんだと言ったら、いや、そんなことは全然ありませんと言う。私が印刷して差し上げている上に、私が当時防衛庁から聞いた答えが書いてあります。見ていただけばわかります。防衛庁とは見解が違うとおっしゃっている。しかし、ここで大きな問題になると私が申し上げましたのは、この訂正文について、「聴取不能」という時間帯で申し上げますと、「聴取不能」というのは三時二十分四十九秒の通信でございます。三時二十分四十九秒の方を日本文の方で見ていただくとよくわかります。三時二十分四十九秒というのは、湖機の通信は明確に聞き取れて書いてあります。「聴取不能」というのは、163機の通信が聴取不能なんです。この163機の聴取不能だったから「機関砲を連射する。」を入れた。どうなったか。後ろの方をおくれて追っかけていった163が、撃ち落とした805を追い抜いちゃって、後ろの方から警告発射した、そんなことは考えられないでしょう、考えられない。163機が発射したことになる、間違いなく。聴取不能はそれしかないのだから。そうするとどういうことになるか。
 ソビエトでパイロットの方が記者会見しています。この記者会見の中に、もっと早くわかれば救えた、申しわけない、私が機関砲を四回、百二十発連射した。805のパイロットだ。805です。163じゃない。全くつじつまが合わない。こんなばかけた話は考えようもないでしょう。だから、805とソ連地上局の交信に出てくる問題、地上からの交信、指示、この後に「攻撃態勢を解除した」というのもあれば「減速した」というのもある。これは大変に問題がある。「充分時間はある。」というのをそのままであるとすれば、十分に、時間があるから、ロックオンを倒して、解除して、警告射撃をしたということになる。ぐあいが悪い。だから「当方を見ていない。」に変える。機関砲を発射した、だけれども当方を見ていないのだから警告しないと一緒だったと言って、公的発表は変えないと防衛庁はおっしゃる。こういうでき過ぎはいけません。
 さて次の問題、その次に参ります。十一ページ。
 ここで申し上げたいのは、時間がありませんから多くは申し上げませんけれども、ここで申し上げたいのは、どうしても出していただきたい。つまり、無灯火ではなかったということがはっきりしているからであります。オガルコフ氏はサハリン、カムチャッカともに無灯火で航行したと言うが、そんなことはない。ないから、出していただいて明確にしていただきたい。改めて申し上げます。
 きょうは遺族の皆さんも傍聴されておるわけでございますけれども、我慢がならぬといういたたまれぬ気持ちでお見えになったのだと思いますけれども、実は、ここに一つこういう文集がある。さっき私が申し上げましたが、何と書いてあるかといいますと、「帰らぬ娘を待ちながら」から始まって、涙なしには読めないものがたくさんございます。
 ここで、大黒柱の大阪徳之さんという方を亡くした奥様の智子さん、この方の文章の中に強い言葉が一つあります。
  もうすぐ二十一世紀を迎えようとしている。人間の文明も文化も、ソ連、アメリカという二大国のばかばかしいほどの相互不信とエゴイズムの結果、原始的なまでに凶暴性をあらわにさせられ、私たち親、兄弟、夫、妻、子供はその犠牲にさせられてしまいました。それはまさにいけにえでしかありません。そうした状況をつくり出したこの二大国と、それを知りつつ危険を冒したKAL、放置した日本政府の人命無視的な政治家たちの思い上がり、
これは私はおもしろくないのですがね。
  はっきりと不信の念を表現したいのです。それは、日本において与野党を問わずすべての政治家に対する不信である、
こうなっているので、私はここは賛成いたしかねるのですけれども、この方の次の項、
 夜、娘二人を置いて仕事に出るときは御主人が亡くなりましたから夜仕事にお出になる。
 夜、娘二人を置いて仕事に出るときは後ろ髪を引かれる思いで出かけます。娘たちはそれなりに母親がなぜ働きに出るのかをわかっているようないないような毎日です。でも、二人で食事をし、後片づけをし、布団を敷いて寝ます。仕事の合間を見ておやすみの電話をかけますが、忙しくしているとつい忘れるときがたびたびあります。家に帰ると手紙が置いてあり、お母さん疲れたでしょう、早く寝てくださいと書いてあります。そして、この子供の寝顔を見ながら私も寝ます。夜どんなに遅く帰っても、朝は必ず御飯を食べさせて学校へ送り出します。それからもう一度私は寝ます。毎日これの繰り返しです。
こう結んでおいでになるのです。
 私は、さっき、どうも私も群馬県の血を引いているのか任侠の血が騒ぐと申しましたが、どうしても、これは国会決議が明確にあって、「国際機関等による事故調査団の派遣などあらゆる方途により、大韓航空機が領空侵犯をするに至った原因を含め事件の真相究明に努め、可及的速やかに事件の全貌を明らかにすること。」ここにおいでになる皆さんが御賛成なんでございますから、今私が申し上げた最大のポイント二点、出していただいて、解明したら、私の推理が違っているかもしれないが、それでも結構です。結構だが、地上からの交信、一遍後藤田さんは当然あると言ったのだから、それからアメリカでは見せちゃっているのだから、見せたものは秘密ではない。出していただきたい。ロシア語の原文、柳田さんは持っていると言うのだから出していただきたい。
 三つ。そして大韓機の航跡というものも、四百キロ以上あるレーダーにあれしか映らぬ、物理的に成り立ちません。お出しをいただきたいと申し上げて、これは皆さんも国会決議のあることでございますから、亡くなられた皆さんに私はかわって申し上げている気持ちでございますから、御賛同をぜひ賜りたい、こうお願いを申し上げます。
 これ以上のことは私はもう言う気はない。
#165
○矢崎政府委員 ただいま三点御指摘があったわけでございますが、一点目の地上からの通信につきましては、先ほど後藤田長官からもお話をしたようなことでございまして、要するに電波の直進性という問題があるものですから、我が方ではそういうものはとれていないということを当時も申し上げたことでございます。
 それから、この交信記録の内容でございますが、これは私どもも、当時日夜兼行で分析に当たりまして、最善の努力をして解析をした記憶がございます。そういう意味で、言葉の使い方等も、専門的な知識をできる限り活用いたしまして翻訳をして出したつもりでございます。
 なお、ただいま御指摘のロシア語の文章、それは私どもが聞き取りましたロシア語の文章というものはもちろんございますので、その点は検討させていただきたいと思います。
 それから、三番目の大韓機の航跡につきましては、これは先ほども申し上げましたように、私どもが把握をしておりますのは既に発表をしていたものでございまして、あれ以上のものはございませんので、これは御要請に応じかねるということでございます。
#166
○大出委員 一つだけ申し上げておきます。
 私も二十二年にわたって防衛問題をやっておりまして、恐らく、ここにおいでになる皆さんよりも、私が一番自衛隊の皆さんの基地を歩いていると思うのですよ。レーダーサイトも、稚内にも行ったこともございますよ、三沢にも行ったことがございますよ。それで、私はいろいろ聞いております。よくわかっておりますが、どうやって地上の基地でとっているかといいますと、だからさっき冒頭に中曽根さんに質問したのだけれども、ウラジオストクの向こうのウスリースクのやつを暗号電報でリアルタイム――リアルタイムというのは即座にということです。八百二十キロあるのですよ、稚内からあそこまで。とっているじゃないですか。地上、地上の電報です。
 どうやってやるかというと、VHFですから直進性がある。私には何と言ったかというと、資料を持ってこられた方に聞いたら、直進性が非常に強い電波でございますから、地上基地ではどうもとれないようでございます、こう言った。ところがこれは、直進性の強いVHFは空中のちりにも散乱をする、山腹に当たっても散乱をする、微弱電波になります。その微弱電波を集める方法が開発されて現にある。それをとりまして、増幅をして、回路をつくって、雑音をのけてコンピューターで解析をしますとちゃんと出てくるようになっている。明確なんです。だからアマチュアの無線家でも、東京−大阪五百六十キロあるのですよ、この間をVHFでちゃんと通じている例も出ている。なぜならば、そこまで科学技術は進歩したからであります。そこだけ申し上げておきます。とにかく出してください。
#167
○矢崎政府委員 繰り返しになりまして恐縮でございますが、先ほども申し上げましたような理由で、実際にそういう地上からの交信というものをとっておりませんので、この点はお許しをいただきたいと思います。(発言する者あり)
#168
○天野委員長 矢崎防衛局長。明快に答弁しなさいよ。
#169
○矢崎政府委員 それでは、もう一度整理をして申し上げたいと思います。
 第一点の、地上局からの発信というものがあるのではないかということでございますが、それは先ほど後藤田長官からもお話がありましたように、それは交信はおるのでしょうが、我が方はそれをキャッチをしていない、それは理由は電波の直進性という制約によるものでございます、ということを申し上げているわけでございます。
 それから、第二点の交信記録の内容につきましては、私どもは、ソ連機による撃墜の事実というものを解明するために最大限の協力をするという意味で、御承知のような方法によりまして、最終的には九月の七日に、日本時間でございますが、国連の安保理事会でこの内容を公表をしたという経緯がございます。それと同様のものを、内容を、日本におきましても防衛庁におきまして発表をしたという経緯がございまして、その内容は既に御承知のとおりだと思います。
 こういったことで、ソ連が九月の九日に至りまして撃墜の事実を認めるに至ったということで、私どももそういう意味で貢献できたというふうに思っておりますが、私どもといたしましては、このテープ自体を公表するということになりますと、私どもの情報能力というものを公表することにつながるという問題もございまして、私どもの業務の性格上、それはお許しをいただきたい。
 ただし、その内容につきましては、既に日本文でも発表しておりますし、それから、ロシア文で聞き取ったものをお示しするということは考えていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 第三点のレーダーの航跡につきましては、先ほども申し上げましたように、私どもが把握をしておりますレーダー情報は、既に発表したものに尽きるわけでございまして、それ以上のものはお出しするものがないということをお断りさせていただきたいと思います。(発言する者あり)
#170
○天野委員長 このままの状態にしておきまして、理事会を開きます。このままの状態で待っていてください。
    〔委員長退席、小泉委員長代理着席〕
    〔小泉委員長代理退席、大西委員長代理
    着席〕
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
#171
○天野委員長 速記を始めて。
 長らくお待たせいたしました。
 まことに遺憾に存じますが、各党理事間の協議に基づき、大出君の残余の質疑を保留することにいたしました。
 次回は、明十六日午前十時より閉会いたします。
 本日は、これにて散会いたします。
    午後七時四十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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