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1984/02/26 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第19号
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1984/02/26 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 予算委員会 第19号

#1
第102回国会 予算委員会 第19号
昭和六十年二月二十六日(火曜日)委員長の指名
で、次のとおり分科員及び主査を選任した。
 第一分科会〔皇室費、国会、裁判所、会計検査
 院、内閣及び総理府所管(経済企画庁、環境庁
 、
 国土庁を除く)並びに他の分科会の所管以外の
 事項〕
   主査 伊藤宗一郎君
      天野 光晴君    上村千一郎君
      太田 誠一君    稲葉 誠一君
      上田  哲君    二見 伸明君
      大内 啓伍君
 第二分科会(法務省、外務省及び大蔵省所管)
   主査 相沢 英之君
      熊川 次男君    小泉純一郎君
      村山 達雄君    井上 一成君
      神崎 武法君    瀬崎 博義君
 第三分科会(文部省及び自治省所管)
   主査 葉梨 信行君
      大西 正男君    船田  元君
      大出  俊君    池田 克也君
 第四分科会(厚生省及び労働省所管)
   主査 山下 元利君
      小杉  隆君    橋本龍太郎君
      井上 普方君    川俣健二郎君
      吉田 之久君    東中 光雄君
 第五分科会〔総理府(環境庁)及び農林水産省
 所管〕
   主査 大村 襄治君
      奥野 誠亮君    田名部匡省君
      矢山 有作君    武田 一夫君
      小平  忠君
 第六分科会〔総理府(経済企画庁)及び通商産
 業省所管〕
  主査 小此木彦三郎君
      工藤  巖君    田中 龍夫君
      岡田 利春君    堀  昌雄君
      竹内 勝彦君    梅田  勝君
 第七分科会(運輸省及び郵政省所管)
   主査 小渕 恵三君
      中島  衛君    原田昇左右君
      松浦 利尚君    近江巳記夫君
 第八分科会〔総理府(国土庁)及び建設省所管
      〕
   主査 住  栄作君
      谷垣 禎一君    三原 朝雄君
      佐藤 観樹君    木下敬之助君
―――――――――――――――――――――
昭和六十年二月二十六日(火曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 天野 光晴君
   理事 大西 正男君 理事 小泉純一郎君
   理事 橋本龍太郎君 理事 原田昇左右君
   理事 三原 朝雄君 理事 稲葉 誠一君
   理事 岡田 利春君 理事 二見 伸明君
   理事 吉田 之久君
      相沢 英之君    石原健太郎君
      石原慎太郎君    宇野 宗佑君
      上村千一郎君   小此木彦三郎君
      小渕 恵三君    尾身 幸次君
      大村 襄治君    奥野 誠亮君
      加藤 卓二君    海部 俊樹君
      鍵田忠三郎君    倉成  正君
      小杉  隆君    自見庄三郎君
      砂田 重民君    住  栄作君
      田中 龍夫君    葉梨 信行君
      原田  憲君    町村 信孝君
      武藤 嘉文君    村山 達雄君
      山下 元利君    井上 一成君
      井上 普方君    上田  哲君
      大出  俊君    金子 みつ君
      川俣健二郎君    佐藤 観樹君
      関  晴正君    竹村 泰子君
      堀  昌雄君    松浦 利尚君
      矢山 有作君    池田 克也君
      近江巳記夫君    神崎 武法君
      伏屋 修治君    吉井 光照君
      大内 啓伍君    木下敬之助君
      田中 慶秋君    永江 一仁君
      瀬崎 博義君    中川利三郎君
      中林 佳子君    松本 善明君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 松永  光君
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
        農林水産大臣  佐藤 守良君
        通商産業大臣  村田敬次郎君
        運 輸 大 臣 山下 徳夫君
        郵 政 大 臣 左藤  恵君
        労 働 大 臣 山口 敏夫君
        建 設 大 臣 木部 佳昭君
        自 治 大 臣
        国家公安委員会
        委員長     古屋  亨君
        国 務 大 臣
        (内閣官房長官)藤波 孝生君
        国 務 大 臣
        (総務庁長官) 後藤田正晴君
        国 務 大 臣
        (北海道開発庁
        長官)
        (国土庁長官) 河本嘉久蔵君
        国 務 大 臣
        (防衛庁長官) 加藤 紘一君
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長 
        官)      竹内 黎一君
        国 務 大 臣
        (環境庁長官) 石本  茂君
 出席政府委員
        内閣官房内閣審
        議室長
        兼内閣総理大臣
        官房審議室長  吉居 時哉君
        人事院総裁   内海  倫君
        人事院事務総局
        職員局長    叶野 七郎君
        内閣総理大臣官
        房審議官    田中 宏樹君
        公正取引委員会
        事務局審査部長 佐藤徳太郎君
        警察庁交通局長 太田 壽郎君
        総務庁長官官房
        交通安全対策室
        長       波多 秀夫君
        総務庁行政管理
        局長      古橋源六郎君
        総務庁行政監察
        局長      竹村  晟君
        防衛庁教育訓練
        局長      大高 時男君
        防衛施設庁長官 佐々 淳行君
        防衛施設庁総務
        部長      梅岡  弘君
        防衛施設庁施設
        部長      宇都 信義君
        科学技術庁原子
        力局長     中村 守孝君
        科学技術庁原子
        力安全局長   辻  栄一君
        環境庁企画調整
        局長      山崎  圭君
        環境庁水質保全
        局長      佐竹 五六君
        国土庁計画・調
        整局長     小谷善四郎君
        国土庁地方振興
        局長      田中  暁君
        法務省入国管理
        局長      小林 俊二君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省北米局長 栗山 尚一君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   三宅 和助君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      山田 中正君
        大蔵大臣官房審
        議官      角谷 正彦君
        大蔵省主計局長 吉野 良彦君
        大蔵省理財局次
        長       中田 一男君
        大蔵省証券局長 岸田 俊輔君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省学術国際
        局長      大崎  仁君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        厚生大臣官房総
        務審議官    長門 保明君
        厚生大臣官房会
        計課長     黒木 武弘君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省保健医療
        局老人保健部長 水田  努君
        厚生省生活衛生
        局長      竹中 浩治君
        厚生省児童家庭
        局長      小島 弘仲君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        農林水産大臣官
        房長      田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房審議官    吉國  隆君
        農林水産大臣官
        房予算課長   鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        農林水産省構造
        改善局長    井上 喜一君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産省農蚕
        園芸局次長   畑中 孝晴君
        農林水産省畜産
        局長      野明 宏至君
        林野庁長官   田中 恒寿君
        林野庁次長   甕   滋君
        水産庁長官   佐野 宏哉君
        水産庁次長   斉藤 達夫君
        通商産業省産業
        政策局長    福川 伸次君
        通商産業省立地
        公害局長    平河喜美男君
        通商産業省機械
        情報産業局次長 棚橋 祐治君
        通商産業省生活
        産業局長    篠島 義明君
        工業技術院長  等々力 達君
        工業技術院総務
        部長      荒尾 保一君
        資源エネルギー
        庁長官     柴田 益男君
        資源エネルギー
        庁長官官房審議
        官       松田  泰君
        資源エネルギー
        庁公益事業部長 山本 幸助君
        中小企業庁次長 黒田 明雄君
        運輸大臣官房国
        有鉄道再建総括
        審議官     棚橋  泰君
        運輸省航空局長 西村 康雄君
        郵政省通信政策
        局長      奥山 雄材君
        郵政省電気通信
        局長      澤田 茂生君
        労働大臣官房審
        議官      野見山眞之君
        労働省労働基準
        局長      寺園 成章君
        労働省婦人局長 赤松 良子君
        労働省職業安定
        局長      加藤  孝君
        建設大臣官房会
        計課長     望月 薫雄君
        建設省建設経済
        局長      高橋  進君
        建設省都市局長 梶原  拓君
        建設省河川局長 井上 章平君
        建設省道路局長 田中淳七郎君
        建設省住宅局長 吉沢 奎介君
        自治大臣官房審
        議官      石山  努君
        自治大臣官房審
        議官      土田 栄作君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
 委員外の出席者
        会計検査院事務
        総局第四局長  磯田  晋君
        日本国有鉄道総
        裁       仁杉  巖君
        日本国有鉄道常
        務理事     太田 知行君
        日本国有鉄道常
        務理事     岩崎 雄一君
        参  考  人
        (日本原子力船
        研究開発事業団
        理事長)    井上啓次郎君
        予算委員会調査
        室長      大内  宏君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十六日
 辞任         補欠選任
  伊藤宗一郎君     加藤 卓二君
  石原慎太郎君     谷垣 禎一君
  宇野 宗佑君     熊川 次男君
  海部 俊樹君     工藤  巌君
  倉成  正君     町村 信孝君
  小杉  隆君     石原健太郎君
  砂田 重民君     鍵田忠三郎君
  田中 龍夫君     尾身 幸次君
  葉梨 信行君     自見庄三郎君
  原田  憲君     中島  衛君
  武藤 嘉文君     船田  元君
  井上 普方君     金子 みつ君
  佐藤 観樹君     竹村 泰子君
  堀  昌雄君     関  晴正君
  正木 良明君     吉井 光照君
  矢野 絢也君     伏屋 修治君
  大内 啓伍君     田中 慶秋君
  小平  忠君     永江 一仁君
  梅田  勝君     中林 佳子君
  松本 善明君     中川利三郎君
同日
 辞任         補欠選任
  石原健太郎君     小杉  隆君
  尾身 幸次君     田中 龍夫君
  加藤 卓二君     伊藤宗一郎君
  鍵田忠三郎君     太田 誠一君
  自見庄三郎君     葉梨 信行君
  町村 信孝君     田名部匡省君
  金子 みつ君     井上 普方君
  関  晴正君     堀  昌雄君
  竹村 泰子君     佐藤 観樹君
  伏屋 修治君     武田 一夫君
  吉井 光照君     竹内 勝彦君
  田中 慶秋君     大内 啓伍君
  永江 一仁君     小平  忠君
  中川利三郎君     梅田  勝君
  中林 佳子君     東中 光雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 分科会設置に関する件
 昭和六十年度一般会計予算
 昭和六十年度特別会計予算
 昭和六十年度政府関係機関予算
     ――――◇―――――
#2
○天野委員長 これより会議を開きます。
 昭和六十年度一般会計予算、昭和六十年度特別会計予算、昭和六十年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行います。
 理事会の協議により、井上君の残余の質疑は後に譲ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。関晴正君。
#3
○関委員 私は、核燃料サイクル基地の建設の問題についてお尋ねをいたしたい、こう思います。
    〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
 まず第一に、大蔵大臣にお尋ねをしたいわけでありますが、青森県のむつ小川原開発というのは、閣議の決定に基づいてこれを進めるという一つの大きな線がございました。これは昭和四十七年九月十四日の閣議決定、そうしてまた、昭和五十二年八月三十日のこれまた閣議決定、正式には決定というよりも口頭了解、決定も了解も同じものだと承知をいたしております。
 ところが、このむつ小川原開発というのは、今日、この仕事が始まりまして十五年たっておるのですが、全くその立てた柱というものが立っておりません。第一の柱は石油精製であり、第二の柱は石油化学であり、第三の柱は火力発電であります。これらの大コンビナートを設置するということで、あの地域における土地およそ五千二百八十ヘクタール、そのうちの三千二百ヘクタールをむつ小川原開発株式会社という会社が取得いたしました。
 ところが、土地は買ったけれども、この土地の利用者があらわれてこない。しょった借金が背負い切れない。しょいもしょったり、今日一千五百億になんなんといたしております。一企業において、わずか三十億の資本金の会社が千五百億になんなんとする借金を抱えているということは、一体どこに原因があるのでありましょうか。これは北東公庫という我が国の政策金融公庫なんですが、この北東公庫が無制限に金を貸し出してきた、これが最大の原因だと私は思うわけであります。
 貸した金の元金も取ることができない、まして貸した金の利子も取ることができない、取ることのできない利子を貸してあげるというような、金融機関の基本姿勢にかかわるようなことを平気でやっておる。国土庁がこれまたさような指導をして北東公庫はやってきたのでございますからという答弁であります。この金融機関は、破産を免れないようなところまで共同の責任を持ってなぜ融資をしなければならないのか。もうここでそうした融資を続けるわけにはいかないであろう。
 また、そのことが大きく原因して核燃料サイクル基地の適地と青森県がされているわけでもあります。何の科学的な適地条件も持たないまま、借金で転ぼうとしておるむつ小川原開発会社を助けるために、ここが適地だと言わんばかりの状態なのであります。そういうところを考えてみまして、一体大蔵大臣はこの北東公庫というものをどう監督し、どう指導してきているんだろうか。
 この後また核燃料サイクル基地の事業が電事連において進められていこうとする場合には、この北東公庫をもまた活用するのだ、こう言われております。電事連といいますと、我が国日本一の金持ちの会社でありましょう。その集合体でありましょう。そういうところに北東公庫は金を貸すようにはできていないはずであります。でも、この仕事を合法化する意味においても、そういう公共の金融公庫なる機関が貸すということが、反面仕事の適正を示すようにもまた映ってくるわけであります。
 この際、大蔵大臣たる者が、国の金融機関においてのあるべき方針、しかも定款、またこの法律、それらに照らし合わせて、今日やっているところの姿勢というものは逸脱しているものだ、私はこう思うのであります。その点についての大臣の強い指導、強い監督、強い精神、そういうことがなければならないと思うのでありますけれども、どうでございましょうか。
#4
○竹下国務大臣 関さんの御指摘の点、私も感覚的にはもっともなところもあると思います。が、この核燃料サイクル事業というのは、一つには今後の電力供給の中核的役割を果たしますところの原子力発電の安定的な整備を図るための重要プロジェクトであるという一面と、いま一つは、いろいろ経過がございましたが、これら事業そのものがいわゆるむつ小川原地区に立地されるということになれば、同地域の地域開発を大きく促進することになるという二つの局面があると思うのであります。
 この核燃料サイクル施設の建設というのは膨大な巨額な資金を必要としますし、かつ建設期間も大変長いわけであります。したがって、言ってみれば先行投資負担という形になりますから、どうしても長期間を要する。だから長期低利の資金投入が必要となるということから、民間金融のみでその対応が困難なために、政府関係金融機関たる日本開発銀行と北東公庫が融資を行うということを予定しておるわけです。
 なお、日本開発銀行は総合的政策金融機関として全国一元のエネルギー政策の観点から施設の本体等を融資対象として、北東公庫の場合は地域開発金融機関としての観点から融資対象を選定しておる、こういうことに相なるわけであります。
 しかし、今もおっしゃいましたが、確かにいわゆる第一次石油ショックが四十八年の暮れからでございますから、たび重なるオイルショックによりますところの経済社会環境の大変化というようなものから、事業の進みぐあいは全くおくれております。そうして、御指摘ありましたように、用地の取得、造成及び分譲を目的としておりますむつ小川原開発株式会社も、用地費と公共施設負担金等多額の先行負担を余儀なくされて、財務内容は悪化してきておることも事実であります。しかし、この事業そのものはいわばナショナルプロジェクトとして長期的観点から進めていく必要があると考えられますし、北東公庫は地域開発の専門機関として、事業の進展のため民間金融機関とのいわば協調をしてこれに対して支援を行う、こういう立場にあります。
 大蔵省としてはこういう状況を十分認識をして、北東公庫に対しては、同社を初め関係機関にまずは企業誘致に全力を挙げさせますとともに、経営の合理化に努めるように、私どもの監督官庁としての立場からはそのような指導をして今日に至っておるということになるわけであります。確かに、予期せざる第一次、第二次石油ショック等からして、いわば敷地はできたが企業は来ない、こういう状態になっておることに対して我々も憂慮しながら、したがって、関係機関挙げての企業誘致ということを今慫慂しておるというのが実情であります。
#5
○関委員 借金していながら、また融資をしていながら――融資をする以上は返済の確実なる見通しに立つことというのが融資条件にあるはずです。ところが、自分の貸した金を払ってもらえないばかりか、利子も払ってくれない。そういう会社になお融資を続けるということは適正ですか、大臣。
#6
○竹下国務大臣 これはいわゆるナショナルプロジェクトと申しましたが、国家的事業ということで位置づけられておるものでございますので、単なる金融メカニズムだけでこれを律することはできない問題もあろうというふうな事実認識をいたしております。
#7
○関委員 大臣、今ナショナルプロジェクトだと言いますけれども、過日の委員会において私はこれはナショナルプロジェクトかと聞いたら、ナショナルプロジェクトではない、これは地方の知事が企てたプランにすぎない、こう言われました。私どもが県議会にありましたときはナショナルプロジェクトだと言い、国会に来て聞けば地域開発だとおっしゃいます。都合のいいときにはナショナルプロジェクトだと言い、都合の悪いときは地方開発だ、こう言って逃げているのであります。
 率直に言って、金融機関には原則があるでしょう。どこの金融機関に、利子も払ってくれないのにまたその利子分を貸し付けるという金融機関がありますか。長期的展望に立てはだとか、あるいはナショナルプロジェクトだとかとおっしゃいますが、方便にすぎないじゃありませんか。そうして、立てた柱が何一つ進まないじゃありませんか。金融機関が進めようったって進まない。死んだ馬と同じようなものに注射するようなものじゃありませんか。それを監督して、もうここで引き揚げる、ギブアップするというのが方針としてとられるべきものではないのか、私はこう思います。この点については大臣、何か間違って考えているんじゃないだろうか、こう思います。
 もう一つ、核燃料サイクル施設というのは民間が行う。しかも、貧乏な民間が行うのじゃありません。もうけるにいいだけもうけてきている電力会社、この電力会社の連合体の電事連が中心になって事を運ぼうというのであります。その地域が滅亡しようが、その地域の産業が何一つ興らぬでも、電力関係の仕事さえ進めばいい、こういうことなんでしょう。そういうものに国の機関が金を貸すということは、私は妥当ではない、適当ではない、こう思っております。でもこのことをさらに続けても時間がありませんが、大蔵大臣、やがて総理になる人でしょうから、ああせいそうせいと言わなくてもわかるように指導しておかなくてはならないだろう、私はこう思うのです。
 そういう意味においては、この問題についてはさらにこの後も私はお尋ねをしたいと思いますが、とにかくあの地域におる六ケ所の人たちというものが、今に工場が成り立ち、今に煙が立つであろうから、子供たちの教育費は全部土地の売上金で賄って学校を卒業させなさい、こういってもらった金、土地を売った金すべてを子供にかけ、また未来にかけてきたが、全部御破算です。これらの諸君の家庭全部今生活保護世帯です。それでも今に会社が来るであろうから、もうこんな無責任な話はおよしになったらいいんじゃないでしょうか。ナショナルプロジェクトだと言うならば、だれがこの責任をとって方針を転換するのですか。だれが責任をとってこれらの嘆き悲しんでいる住民に対応するのですか。この点でお答えすることがあるならば、ひとつ大蔵大臣、答えてください。
#8
○竹下国務大臣 昭和四十七年あるいはそれまでは日本経済の高度成長期の爛熟期ではなかったか。そこで四十八年暮れからの第一次石油ショック、したがって政府自身の財政から見ましても、それまでなかったいわゆる特例公債、赤字公債を五十年から発行せざるを得なくなった。しかも、その赤字公債からの脱却期間というのを昭和五十九年に定めながらも、第一次、第二次石油ショックからしてそれをギブアップいたしまして、昭和六十五年ということで国会等において問答をしていただいておるさなかであります。
 したがって、あの第一次石油ショック、第二次石油ショックというのは、まさに予測せざりし世界同時不況というものが経済社会環境を完全に変えてしまった。しかしながら、私どもとしてやはり核燃料サイクルというこのプロジェクトと、いま一つはあの地域の今おっしゃいましたいわゆる地域開発に対する夢とでも申しましょうか、その芽を摘んではならぬという政策的配慮、これは単なる金融機関指導というだけでなく、政策的配慮もまた放棄すべきものではない。だから、長期間かかろうとも忍耐強くこれに対応して、地域の皆さん方の一つの夢とでも申しますか、そういう大きな期待感を持たれたわけでありますから、それの実現のために時間をかけても進めなきゃいかぬ問題ではなかろうかな、こんな感じがしております。
 電力会社というのは九電力、いわゆる地域独占でございます。そして、企業内容も幾らかの波はあったといたしましても、決して大変悪いというものではない。しかしながら、それらが一緒になって、いわば我が国の今後の電力事情というものの基幹となるもののまさにサイクルとして位置づけするということは、採算性という点からいいますとやはり問題がありますから、そういうときにこそ、そうしたプロジェクトにいわば政府関係機関の開発銀行が、そして地域開発を主眼とする東北公庫がそこに稼働していくということに対しても一応の論理は通るのではないか。ただ、関委員の御指摘なさいますように、いわば待ちの時間が余りにも長いじゃないか、これに対しては我々も世界経済同時不況から逐次脱却しつつある今日、やはりこれは大蔵省のみでなく関係方面が一致協力して、もとより地方自治体をも含め、これに対しての継続した努力はしていかなきゃならぬだろう、こんな感じでおるところでございます。
#9
○関委員 まだ大蔵大臣は問題の把握がきちんとされておらないようであります。
 むつ小川原開発というのは国の責任であります。この国の責任は、先ほど申し上げた三本の柱なんです。核燃料サイクル基地なんというのは、全然柱の中にはない。ないところか、当初これは除かれておるものなんです。除かれているものを、わざわざ今度はこれが主人公にかわろうとしてきているわけです。そういう意味からいきますと、この問題は単に地域開発だなんということでお茶を濁すべきものでもありません。独占企業のなす仕事です。独占企業のなす仕事に国の金を貸してやる、これは私は適当ではないと思います。そういう意味においてはよほど吟味をしておかなければなるまい、こう思いますから、この点についての論はここでおきたいと思いますが、十二分にひとつ検討をしておくものとして位置づけてほしい、こう思います。
 第二は、国土庁長官は、むつ小川原開発という既定の大計画があり、これがもう御破算になっておる、御破算になっておるので新しい一つのものを第四全総に持っていかなければならないということでお考えになっていると思うのですが、この四全総の中に核燃料のサイクル基地を入れるなどということを考えているとすればとんでもない考えだ、私はこう思うわけであります。
 もう既に青森県の知事は受けてもいいような話をきのう記者発表したようであります。地元においてそういう記者発表したとしても、国土庁としては地元がよければいいんだということであるとするならば、国土庁としての主体性、責任性を果たしているものとは言いかねると思うわけであります。そういう意味において、あの土地にそうしたものをつくることが国土庁としては適切なものだと考えておられるのかどうか。考えておるがゆえに四全総のプロジェクトの中にはそれを入れていくんだ、こういうおつもりなのか、それとも今やっているのは電事連が勝手にやっていることであって、我が国土庁長官のあずかり知らぬところである、この上吟味の上で方針を決するつもりである、こうお考えになっておるのか、どちらであるかをお答えください。
#10
○河本(嘉)国務大臣 むつ小川原開発につきましては、国土庁といたしまして地域開発ということを重点に考えておることでございまして、核燃料サイクルがどう、石油コンビナートがどうという問題は、大体私は従的に考えておるわけでございます。今回の核燃料サイクル誘致ということは、当初の石油コンビナートから方向転換をしたことになっておりますが、石油コンビナートにつきましても、非常に広大な土地があることでございますから、粘り強くこれを進めていきたいという確信を持っておるわけであります。
 昨日、青森県知事が電事連からの要求に対して、もう応ずべき時期に来ているんではないかというようなデリケートな発言をしておられますが、これは県議会及び県の全員協議会なんかの認可を、承認を得なければならぬことでございますし、情勢の推移を見守りたいと思っております。
 四全総につきまして、これを設置するかどうか、書き込むかどうかということにつきましては、東北地方の開発特別委員会の方々がおられますし、よく御意見を拝聴して決定していきたいというふうに考えております。
#11
○関委員 科学技術庁長官にお尋ねをしたいと思います。
 科学技術庁長官は、我が青森県出身の長官でありまして、念願ようやくかなって大臣の地位を得た方であります。私は、党派は異なるけれども、我が青森県から長官の生まれたことを、これは歓迎する次第であります。しかしながら、国の総理たるものが皮肉にも青森県の核燃料サイクル基地の推進のために竹内長官を任命したのかなと思いますと、まことに非情なものだなというものをまた反面感ずるわけであります。
 そこで、私は長官にお尋ねしたいんですが、この核燃料サイクル基地、とにかく千二百トンの再処理をするという再処理工場でありましたが、にわかに四百トン減じまして八百トンといたしました。八百トンにいたしましたけれども、今日、東海の再処理工場の四倍であります。世界の進んだ国々においては、もう再処理工場はやめております。一番進んでいるところはアメリカだと言っていいでありましょう。アメリカは、言うなれば商業ベースの再処理工場は断念。イギリスもその方向、ドイツもしかり。ひとりフランスはやっておりますけれども、これはフランスの国策というものでありましょう。国営のものでありましょう。商業的なものだとは言いかねるかと思います。
 しかし、この三点セットの適地条件というものを考えてみますときに、青森県のあの地域というものは最も不適地な条件を具備し過ぎると言ってもいいんじゃないだろうかと思うんです。
 空を見ますと、爆撃機が毎日のように飛ぶ、訓練をする、特別のこれは航空管制の区域であります。地上を見ますというと、これはやわらかい地盤であります。資料によりますというと、地盤のかたさがN値が四十もある、五十もあるなんというのは真っ赤なうそ。十か十二、場所によっては一もない、そういうようなN値の低いところであります。さればこそ、あの備蓄タンクをつくるときに不等沈下が随所に起きたじゃありませんか。また、使えないタンクまでできたじゃありませんか。つくればいい、つくる側に収入になればいい、こうした程度でやっているからであります。
 さらに、あの地域は活断層が走っております。活断層が随所に走る、地震の巣だと言ってもいいでありましょう。陸上を地下を走っているだけじゃなくて、下北半島太平洋沿岸三キロの沖合には百キロに近い活断層、これまた走っております。東京、東北両電力会社は活断層殺しをしてしまいまして、湊正雄という御用学者に自分たちの資料を見せたままで、活断層はないと強弁してまいりました。私は、歴代科学技術庁長官に、今は亡き中川長官を初めとして、安田、岩動それぞれの長官に、電力会社の資料に基づいてあそこには活断層は走っていないとおっしゃいますが、その電力会社の資料をお見せください。国は、借りてきたものだから見せるわけにはいかない、こう言って逃げる一方であります。言うなれば、核行政における、原子力行政における自主、民主、公開、これが閉じ込められたままの運営にしておいて事を進めようなんということは許されないことではないだろうか。湊正雄という方は、昨年、天罰てきめんと言えば言葉が悪いかもしれませんが、屋根の雪の下敷きになって死んでしまいました。私はつくづく、うそ言っちゃならないものだなということをこのとき感じました。天を欺き地をだまし、そうして海をばかにしたままで事を進めようといったって、これは許されないと思うのです。
 そうしてもう一つ、海。これは我が国固有の、特に三陸沿岸は漁業の宝庫です。今、日ソ漁業あるいは日米漁業、いずれも二百海里問題で締め出しを受け、いずこに漁業の基地を求めようかというて日本は困っております。そういうときに再処理工場八百トン、これのもたらす影響というものは、あの地域における漁業をも滅ぼしてしまうでありましょう。
 そうしてやってくるものは、日本国内の電力会社でつくり上げるところの使用済みの核燃料、国内における全原発の使用済みの核燃料をわんさと青森県の上北・六ケ所村に持ってこようと。三千トンであります。三千トンで終わるものじゃありません。三千トンから六千トンになり、九千トンになり一万トンを超え、大体二〇〇五年には二万一千五百トンぐらいになるであろう、こう計算されております。そうなりますというと、あの六ケ所の土地というものは、地域開発などというものではなくて、すべて使用済み核燃料の置き場にされてしまう。低レベルのドラム缶の置き場にされてしまう。言うなれば、放射能のごみ捨て場に青森県が今されようとしておると言ってもいいでありましょう。
 どこの県も断っているものを、青森県の知事がどこがよくてこれにほれたものか、引き受けようというのであります。地元では、働く場所が欲しい、金が落ちればいい、こう言っております。しかし、金が落ちるかもしれませんが、今も落ちるような問題について、落ちてから考えたのでは遅過ぎる。そういう意味において、空からも陸からも海からも何一ついい条件がない。いい条件があるとするならば、先ほど申し上げたむつ小川原開発株式会社が三千ヘクタールになんなんとする土地を余して、これの下敷きになって今倒産しようとしておる、その倒産を救済する、それだけがねらいのようである。
 もう一つ、青森県の知事は言っております。これが言うことを聞けば新幹線が来るであろう、新幹線が来なければこれが言うことをまた聞きませんよ、こう言って、全く次元の異なる問題を聞きやすい話として県民に言っているわけであります。いずこにも真実と誠実がない。まして科学的な根拠は一つもない。
 私は、竹内科学技術庁長官がこの設置の許可権者であることを承知するときに、青森県から出ている長官であるだけに軽率なことをさせたくない、またしてはならない、こう思うわけであります。そういう意味において、ここを適地とする根拠があるならばこの際聞かせてほしい、こう思います。
#12
○竹内国務大臣 お答え申し上げます。
 先生御承知のように、この種の施設の立地選定に当たりましては、まず当該の事業者が行うわけでありまして、今回の核燃料サイクル施設の立地申し入れに当たりましては、再処理工場の建設運営主体である日本原燃サービスが長期間にわたり全国的な調査を行った結果に基づき、電気事業連合会が当初、青森県下北半島の太平洋側ということで県に対して申し入れを行い、その後さらに検討の結果、今お話の出ております、むつ小川原開発計画のもとに用地が確保され、港湾が整備されているなどの条件を有する六ケ所村における立地を申し入れるに至ったものと私は承知をいたしております。国といたしましても、このような立地選定の経緯から見まして、電気事業連合会が六ケ所村に施設の立地を申し入れた事情は理解ができるところでございます。
 なお、先生いろいろと御指摘の、例えば活断層であるとか等々の件につきましては、私どもがもしそれ立地の許可申請が出てきた場合には、周辺の状況も十分に勘案して安全審査を行うわけでありまして、御指摘の活断層の問題につきましても、その段階において場合によっては調査を行うことになるかもしれません。
#13
○関委員 私が活断層の調査の問題についてどのくらいの金がかかるのかと言ったときに約五、六億と言われていました。大した金ではないと思います。しかし、この問題を取り上げてからもう四、五年になる。にもかかわらず、科技庁としてはこの調査をしようとしない。この際幸いにして必要があればやってみる、こう言っておりますが、必要なんですからぜひ私はその点は踏み込んでいただきたい。
 その次には、あの地域は先ほど申し上げたように、爆撃機の訓練場、戦闘機の訓練場、射撃場あり射爆場ありであります。そうして三沢の基地であります。これは防衛庁長官にお尋ねするのですが、防衛庁長官の方としては、その空の下に原子力の施設ができるということになりますと、必然的にあなたの方はその空の上を飛ぶわけにはいかなくなります。そうなりますと、別なところを飛ぶとすればどこを飛ぶつもりになりますか。あなた方の方として航空管制区域というものを定めておる。設置許可をする場合にはこれを変更しなければならなくなるだろうと思う。そういう意味において変更の御意思がありますか。
#14
○加藤国務大臣 青森県の関委員に私から申し上げるのもなんですけれども、三沢の飛行場からは三十キロ、それから天ケ森の射場からは北に十キロ、それから六ケ所対空射場からは南に十キロ、大体そういう距離だと承知いたしております。したがって通常の場合、その付近はいわゆる航行訓練で飛行いたしておりませんので、その点につきましては私たち大丈夫だと思っております。いずれにいたしましても、安全性の問題につきましては各省とよく協議をしてまいりたいと思っております。
#15
○関委員 大変な発言ですね。飛行していないんですか。飛行していないものをなぜ管制区域にするんです。じゃ管制区域をとったらどうです。とんでもない話だよ。
#16
○加藤国務大臣 管制区域の問題につきましては、政府委員よりお答えさせていただきます。
#17
○佐々政府委員 お答えいたします。
 管制区域は御承知のように、三沢の特別管制区につきまして、米軍の航空機と一般の航空機の航空交通の安全のために昭和三十八年に運輸省の告示によって設置をされたものでございます。この管制区域があるということと天ケ森、三沢射爆場における訓練のための飛行コース、これとは別の問題でございまして、御指摘の建設予定地の上空は現時点、訓練のためにも、対地射爆撃のための訓練にもあるいは御承知のR129、この空対空訓練区域に行くコースででもこの区域は飛んでおりません。
 しかしながら、航空安全上の必要から一定の区域を管制をしておるということでございまして、この安全性確保のためには飛行コース、高度、これらが決められておりまして、現在の航空管制区域を撤去する必要はないし、また拡大をする必要もないであろう。しかしながら、御指摘のように青森県知事が受け入れをお決めになったという報道もございますので、この安全性の問題につきましては、私ども関係十四省庁と十分協議をさせていただきまして、安全の上にも安全を確認した上でこの訓練をいたしたい、かように考えております。
#18
○関委員 とんでもないことを言うものですね。飛行機が飛んでいないならば、なぜ管制区域をつくるのです。航空管制区域というのは、飛行機が必要として他の飛行機がそこに入ってはならない、そういう意味でこれをつくるのでしょう。何も自衛隊の航空管制区域ばかりではありません。一般的に原子力施設の上は飛行機は飛んではならない、こうなっております。
 そういう意味において、運輸大臣にお尋ねしておきたいのですが、運輸大臣はこの核燃料サイクル施設の上空を飛行機が飛ぶような場合に、自衛隊の飛行機ならば飛んでもいい、他の飛行機ならば飛んではならない、こういうことで差別をして特別当たるお考えでございますか、お尋ねしておきます。
#19
○山下国務大臣 原子力施設の上空を飛行することにつきましてはかねがね、なるたけそれを避けるように指導いたしておるところでございますけれども、運輸省から航空路誌というものを発行いたしております。平均すると月に一回ぐらいでございますけれども、またこれは必要の都度発行いたしておりますが、それにはこれらの問題を明示いたしまして、防衛庁も含めてすべて航空関係者にこの周知徹底を図っているところでございます。
#20
○関委員 ただいまお聞きのように、こういうような核燃料サイクル基地の上は飛行機は飛べない。しかし、その上は自由に飛行機が飛ぶようになっておる。訓練場があり飛行場があり、先ほど防衛庁長官は飛ばないと言っておりますが、とんでもない話。何ほど飛んで何ほど被害を受けているかわからないのです、この地域は。特にタッチ・アンド・ゴーなどといって、やかましい限りの訓練が行われております。それらの飛行機がみんな飛んでおります。今後そういうことが、飛べなくなる、それでいいなら私はそれで結構だと思いますよ。そういう点についてもこれは十分検討しておかなければならない問題だ、こう思います。
 そこで再処理工場というのが八百トン、こういう性能の再処理工場をつくると言っておるのですが、この再処理工場の言うなれば廃液の放流管、放流管がどのくらい海の先へ出るのかということが示されておりません。この放流管は、少なくとも我々の計算では五キロぐらいは出るであろう、こう見ておるのですが、どの辺まで延びると思っておられますかということと、この地域にそうした放射能の物質が排せつされていく、空にも陸にも海にも。そういう場合に、さきにむつ小川原開発の環境アセスをやっておったから今度はやらぬでもいい、こういうようなことを大臣が考えておるとするならば、これはとんでもないことではないだろうか。そういう点からいきますと当然、環境アセスの問題も進めていくべき問題だ、こう思いますので、この点については環境庁長官から、先の方は科学技術庁長官からそれぞれお答えをいただきたいと思います。
#21
○石本国務大臣 ただいま先生申されましたように、核燃料サイクル施設など個別の事業の具体化に際しましては、さらにそれぞれの熟度に応じた環境影響調査など、環境保全上の検討を行う必要があると考えております。
#22
○竹内国務大臣 先生お尋ねの放流管につきましては、ただいまの段階ではどれぐらいの沖合に出すかということはまだ具体的に決まっておりませんが、私どもとしては、放流に当たっては蒸発処理やる過処理などによって、できるだけ放射性物質を除去することをまず第一にしっかりと事業者に要請したい、こう思っています。
#23
○関委員 大体、放流管の長さもどのくらいかということもないままに、そして地域住民については、お尋ねがあってもそれは答えられない、こう言って返事だけを求めているわけであります。今現地におきましては、こうした核燃料の基地を引き受けるということは大問題だから、県民の投票で決めたらどうかということが出てまいりまして、その条例制定の署名運動が今月いっぱい行われる予定になっております。こういうようなことがなされているときに、青森県の知事は、これに水をぶっかけるように受け入れの方向を今示そうとしております。これは地方自治法の定めからいっても、当然見守るべきものではないだろうか、こういう点について自治大臣にひとつお考えをいただきたい。
 もう一つは、我が国のエネルギー政策。今はすべてエネルギーは原発によるのだという考え方でおられるようですが、私は原子エネルギーの時代はもう幾らもない、こう見ておるわけです。そういう意味からいきますと、通産省において、それぞれの火力発電、水力発電、そしてまたこの原子力発電の一キロワットアワーにおけるコストがどのくらいになっておるのか。だんだんと原子力の方も石炭の方に近づいてきて、今や絶対に安いというようなものは神話に成り下がった、こうまた見ているわけでありますので、その点の最も近いものを根拠に基づいてひとつ御発表いただきたいと思います。
#24
○古屋国務大臣 今の核燃料基地の問題でございます。それと、今条例請求を条例に基づいて請求をしているときに、こういうことをすることは地方自治法上どうかということでございますが、私も今お話を伺いまして、現地の問題は余り詳細ではありませんが、一般的に申し上げますと、基本的には知事が地元において適切に対処していただきたいということが結論でございます。
#25
○村田国務大臣 関委員にお答えを申し上げます。
 原子力発電は、経済性、供給安定性等で非常にすぐれた特性を有しておるところから、今後とも電力供給の中核的役割を担うものとして、安全性の確保に万全を期しながら利用推進を図っていきたい、こういう所存でありまして、五十八年十一月に策定された長期エネルギー需給見通しによりますと、原子力発電は今後着実な伸びを示して、昭和七十年度には、発電設備規模で四千八百万キロワット、電力の供給量では、総発電電力量の三五%に達する。これは昭和五十八年度の二〇%、二千万キロワットアワー弱に比べますと、はるかに大きな数値でございます。
 また、関委員御指摘になられました単価でありますが、五十九年度運開ベースでまいりますと、原子力はキロワット当たり十三円程度でありまして、一般水力の二十一円程度あるいは石油火力の十七円程度に比べて、はるかに経済的であるという数値が出ておるところでございます。
#26
○関委員 ただいまの答弁は大変な間違いを言っておると思います。さきに発表されたものと全然違うことをあなたは今答えておる。これもひどい答弁です。この問題についてはまだ追及しますが、間違った発表だけはしてほしくないと思います。今のは前の発表と違うじゃありませんか。直してください。いつの間にそうなりましたか。
#27
○村田国務大臣 今申し上げました数値は、五十九年運開ベースの電源別発電原価というもので、キロワットアワー当たりの送電端発電原価を申し上げたものでございます。
#28
○関委員 これは時間がないからおきますけれども、さきに発表されたものの差は一円あるかないかであったはずですよ。今の発表だと三円も四円もあるんじゃないですか。そういう点からいきますと、どうでもうまく答えればいいということはやめてください。何ということですか、それは。
#29
○村田国務大臣 一円の差と申しますのは、石炭火力が十四円程度でございますから、それに比べますと、まさに一円の差ということでございます。(関委員「そうでしょう。あなたは十四円と言わないでしょう、十七円と育ったでしょう」と呼ぶ)私が申し上げたのは、一般水力、石油火力を申し上げました。石炭火力は十四円程度でございます。
#30
○関委員 ただいま聞いたとおりです。安いものをわざと言わないんですよ。十分注意してください。
 終わります。
#31
○大西委員長代理 これにて関君の質疑は終了いたしました。
 次に、伏屋修治君。
#32
○伏屋委員 私は、最初に教育の問題からお尋ねをしてまいりたいと思います。
 二十一世紀まで残された年月もあと十五年でございます。その二十一世紀に確かなる後継者を育成するためにも、何としましても、今現実の教育の荒廃を改革してまいらなければならない、このように私どもも深刻に認識をいたしておるわけでございます。そういう観点から、私ども党内に教育改革推進本部というものを設けまして、昨年の一月から発足をいたしまして、鋭意審議を重ねておるわけでございます。
 そこの中で、何よりも大切なことは、過去の文教行政がどちらかといえば上から下へ流れる発想でございます。そういうことを何としても打破をして、現実の現場の、親の、その声を聞いて、それを教育の中に生かしていかなければならない、そういうような考えを私どもは持ちまして、その教育改革推進本部の中で昨年一年で親と教育を考える会を十一回開催してまいりましたし、また、今年も十三県におきまして親と教育を考える会を実施する予定にいたしております。そういう流れの中で、臨教審も鋭意審議を進めておられるようでございますが、それに並行しながら、私どもも現場の声を大事にしながら、どこから教育改革の手をつけていくのが一番妥当なのか、こういうような審議を進めておるわけでございます。
 昨年、文部省の方で、個人差教育ということについて一つの指導書をまとめられまして、全国の教育委員会にそれを配付して、今年以降、その個人差教育を推進するための初市局長の委嘱による学識経験者によるところの調査研究会を設置し、また東京周辺に実験校を十二校決めて個人差教育に取り組む、こういうようなことが明らかにされておりますけれども、文部省はその取りかかりをいつから行われるのか、これがまず一点でございます。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
 それから、調査研究会の構成でございますが、臨教審の構成メンバーもやや中曽根総理寄りの委員が多過ぎるのではないか、こういうような批判が起こっておるわけでございまして、それだけにこの調査研究会の構成メンバーがどのようになっておるのか、この面も具体的にお答えを願いたいと思います。
 また、東京周辺の実験校十二校を決められましたけれども、それはどういう基準をもって決められたのか、その点を具体的にお答えを願いたいと思います。
#33
○高石政府委員 御指摘の個人差教育についての調査研究は、来年度の予算でお願いをしているところでございます。したがいまして、発足は四月過ぎまして、予算の成立を待って早急にその発足を図りたいというふうに思っております。
 それから、委員の構成でございますが、これもまた発足しておりませんので、これから人選をするわけでございます。したがいまして、その人選に当たりましては、こういう内容に精通しております大学の教官や研究機関等の研究者等の参加をお願いしたいと思っております。
 それから、十二校の学校の指定でございますが、これもまた決めておりませんで、各都道府県の教育委員会の推薦を得て最終的な決定をしたいと思っているところでございます。
#34
○伏屋委員 今御答弁いただきましたけれども、重複するかもしれませんが、やはり現場の声が生かせられるようなそういう委員を調査研究会の構成に加えていただきたい、このことを強く要望するものであります。
 それから、まだ十二校というものは決定しておらない、こういうような状況でございますが、一律に決めるのではなくて、やはり大型団地の中の学校とか、あるいは都市の中でも過疎化しつつあるような学校とか、そういうものに深く配慮をいたしながら実験校を決定していただきたい、このように考えるわけでございます。その辺の御認識をもう一度お答えいただきたい。
#35
○高石政府委員 具体的学校の指定に当たりましては、今御指摘のような点も十分勘案しながら、最終的な決定を行いたいと思っております。
#36
○伏屋委員 文部省が個人差教育というものに視点を向けられまして、これを重視されるということについて、私もそれを認めることにやぶさかではございませんが、個人差教育が実効ある推進をするためには、やはりいろいろな条件、諸環境というものを整備していかなければならないと思います。文部省がこれを出すまでもなく、やはり教育の原点というものは一人一人の子供の個性、能力というものをより以上に大事にしながら、それをいかに伸ばしていくか、これが教育の原点であると思います。
 今、学校における学習形態というのは、一斉授業という形態をとられておりますけれども、現場の先生方はその一斉授業という形態の中で、必死になってその一人一人の子供の個性、能力をいかにして伸ばそうかと苦労しておられるわけでございます。そのためには、黒板に一字一句を書く板書にすら細心の注意を払っておられるようでございますし、また、子供に対する発問等につきましても、本当に子供が理解しやすいような発問をいかに砕いてするか、こういうように非常に神経を配っておるわけでございます。そしてまた、その個人の個性、能力を伸ばすためには、一斉指導だけではなくてグループ学習を通じながらやるとか、あるいはそれ以外のいろいろなノートを点検する中で、ノートに丹念に一つ一つ朱筆を加えながら、その子供に応じたそういう指導をやっておられるわけでございます。そういうような先生方の努力、現場の努力というものを、やはり文部当局というものもよく視察し、理解し、そしてそのための諸環境、諸条件を整備する、そういう努力を一層お願いしておきたい、こういうふうに思います。
 また、個人差教育が今日焦点化されてきたというその陰には、やはり落ちこぼれという現象があったことは私は否定いたしませんけれども、その落ちこぼれがどこから起こってきたのかという諸要因というものをつぶさに検討してまいらなければなりません。先ほど、先生方の御努力ということを申し上げましたけれども、そういう一つの諸要件の中にも、教育というものに対する厚い使命感を持った先生、そういう先生が現場の中にどんどんふえてこなければならない。そういうことを考えたときには、やはり教員養成の問題もそこに絡んでくるでしょうし、また、教員の採用の問題もそこに絡んでくることは必定でございます。
 それ以外に、今申し上げました落ちこぼれ、この落ちこぼれの要因というのは、やはり先生の指導力不足というものもこれは深く反省しなければならないと思いますし、また、現在のような偏差値偏向的な、あるいはテスト教育的な傾向性、これも否定できません。しかしそれに加えて、現在の学習指導要領に示されておるところのカリキュラム、それから教科書といったもののかかわりというものも非常に深いと考えざるを得ないわけでございまして、思い切ってそういうような学習指導要領を改訂する中で、多くある単元を精選し、そして今までのように広く浅くから狭く深く、それが実践できるような学習指導要領の改訂、そういうものは文部省では考えておられるのかどうなのか、その辺をお聞かせいただきたいと思います。
#37
○松永国務大臣 先生がただいま御指摘になりましたように、より充実したより効果のある教育をしていく上では、その子供の個性、特色に応じた指導をしていくということが何よりも大事であると思います。同時にまた、教育に当たる先生の指導力あるいは熱意、文字どおり先生のおっしゃるとおりでございまして、教育は人にありと言われますが、立派な教師が、指導力のある教師が、そしてまた教育愛と教育熱に燃えて子供を教えていただくことによって初めて教育の効果は上がる、先生の御指摘のとおりであると思います。
 学習指導要領の問題でございますが、これは先生よく御承知のとおり、小学校、中学校の場合には、全国的に一定の水準の学習を修得させなければならぬということでありまして、その基準を示すものでございます。その基準に基づいてどういう手順で、あるいはどういうスピードで、またどういうやり方で実際の教えをしていくかということは、個々の先生がそれぞれ創意工夫を凝らしてやっていただく、こういうことになっておるわけでございまして、それこそまさに先生の熱と工夫とそして努力でしっかりした教育をやっていただきたい、こう思っておるわけでありまして、個人差教育を進める関係で学習指導要領を改訂するという考えは持っておりません。
#38
○伏屋委員 個人差教育を推進する上で学習指導要領の改訂は考えておらないということでございますが、やはり今申し上げたような、まあ個人差教育を除きましても、教科内容が余りにも子供一人一人の負担を大きくしておる、こういうことは事実だと私は考えるわけでございまして、学習指導要領の基準が教科書に盛り込まれて、先生が現場においてそれが精選できるという柔軟性というか、そういうものがあるわけでございますけれども、それにしてもなお、まだやはりかなりの量が消化されなければならない、そういうような一面があると思いますので、重ねて、この個人兼教育を除きましても、近い将来においての文部省の学習指導要領改訂の計画があるのかないのかを、もう一度お答えいただきたいと思います。
#39
○松永国務大臣 個人差教育というのは先生よく御承知のとおり、六十年度の予算が成立してその後に正式にはスタートするわけでありまして、そうした研究の成果というものは当然、今後教育内容等について検討する場合の参考になるものと考えております。
#40
○伏屋委員 今の御答弁では、別に学習指導要領の改訂は近い将来において計画をしておられないような御答弁ですが、それでよろしいですか。
#41
○松永国務大臣 学習指導要領の改訂を現在考えてはおりません。しかし、これから個人差教育を、検討会をつくり、あるいは指定校をつくってやっていくわけですね。やっていって、その研究の成果というものは、将来教育内容について検討する場合の貴重な資料になるものと考えておるわけでございます。
#42
○伏屋委員 了解です。個人差教育のそういう実験校のいろいろな実践を踏まえて、そして改訂へ進めていきたい、こういう面で御答弁をいただいたわけでございますが、今私が申し上げたようなことも十分に文部当局も承知をしていただきたいと思います。文部省の机上のプランだけでは、現場はなかなかそのようには進んでいかないという一面があるわけでございまして、その面をよく考慮していただきたいと思います。そういう先ほど申し上げました、その実を上げるための諸条件、諸環境を整備していくということはとても大事なことであります。そういう意味からも、私ども野党が四十人学級というものをここ数年ずっと叫び続けてまいりました。これもそういう個人差教育の実を上げるための一つの大きな私どもの要求であったわけでございますが、これも個人差教育の実を上げるための大きな環境整備だ、このように考えておるわけでございますが、この四十人学級の実情をお答えいただきたい。
#43
○阿部政府委員 お答えいたします。
 四十人学級でございますけれども、先生御案内のように、昭和五十五年度から昭和六十六年度までの十二カ年計画で達成をしたいということで、既にそのための必要な法的な改正の整備等は行われておりまして、毎年度それに向けまして政令で必要な前進措置を図っているというところでございます。
 昭和六十年度におきましては、児童減少市町村のうち、これまで学年進行で実施をしてきました学校の完成を図る、同時に、同じ減少市町村内でまだ手のついておらなかった未実施校全体について、これは一年から六年まですべて同時実施ということで、その実現を図ることといたしておりまして、千八百三十五人教職員定数増を行っておるわけでございます。今後六十一年度以降につきましては各年度における諸般の状況を検討いたしながら、達成年度、昭和六十六年度までに円滑に実現するように努力をいたしたい、かように考えているところでございます。
#44
○伏屋委員 四十人学級の現状を私もいろいろ調べてみましたけれども、現在、児童の減少市町村が一〇〇%実施されておる、こういうふうに文部当局は言っておるわけでございますが、これは全国の公立小学校の二三%にすぎないわけでありまして、むしろ問題はそういう児童減少した過疎化の学校よりもむしろ過密化した学校にこそ問題が多いのであって、そういう過密化した学校にこそ四十人学級編制というものを手当てをしていかなければならない、このように考えておるわけでございまして、児童数が減少して自然になったところ、それに加えて一〇〇%にしたんだというようなことで事足れりと考えておるならば、これはいささか問題ではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、そのあたりはどうなんですか。
#45
○阿部政府委員 お答えいたします。
 先生のただいまの御質問にもございましたように、全国で小学校の数が二万四千余りあるわけでございますが、その中で児童減少市町村の方に区分けされておりますのが約六千校、残りがその他の市町村ということになっているわけでございます。先ほど来お話に出ておりますように、児童減少市町村につきましては、すべてその六千校については昭和六十年度には四十人学級ができるという状態になったわけでございますが、その他の市町村に残っております、約一万九千校ございますけれども、そのうちの一万三千校ほどは、これは自然に四十人学級がもう既に完成をいたしておりますので、したがいまして、あと宿題として残っておりますのが全国で五千七百校分の四十人学級を実施するということでございまして、先生から御指摘がございましたように、これがそれぞれ過密な状況等をいろいろ抱えておるわけでございますので、六十一年度以降の計画を、この問題を解消することに力を注ぎながら対応してまいりたい、かように考えておるところでございます。
#46
○伏屋委員 やはりその過密校の問題のところの学校が残されておりますので、六十六年度を目途にそれを進めていくというような御答弁がございましたけれども、積極的にそういう問題校こそ四十人学級の編制を急いでいただきたい、このことを強く要望をするところでございます。
 次に、そういう個人差教育の問題というものをもっと実を上げるためには、何といいましても先生の熱意というものが非常にその背景になければこれは不可能でございます。そういう先生の熱意が生かされるような、そういう環境が現在の教育体制、現場の教育体制の中にはないのではないか、このように私は危惧をするわけでございます。文部省から出しましたこの「小学校教育課程一般指導資料」の「個人差に応じる学習指導事例集」の中にもございますけれども、「個人差に応じる学習指導を支える児童や学級の条件」の中で四点挙げられております。その四点目の「教師と児童の人間関係」という項目、これが私は一番教育の根底になるのではないかと思います。教育というのは教師と子供の信頼関係の中にこそ成立することを考えたときに、そういう教師と児童間の信頼関係を助長するような、そういう環境を育てなければならないけれども、残念ながら現在の教育現場の環境というものは管理体制が余りにも強化され過ぎて、先生方が自由な思考を深めるというような、そういうゆとりが余りにもなさ過ぎる。私が現場におったときもそうでございますけれども、一週間のうちに一日だけぐらいしか子供と教室でともにすることができない、こういうような現状がありました。その後、ゆとりある教育とかいろいろな改革はされましたけれども、さらになおやはりいろいろなPTAの会合とか、あるいは郡の教育委員会の研究テーマを討議する日とか、あるいは県の教育委員会の指定された問題を討議する職員会とか、あるいはそれ以外の職員会、そういうような形で会議、会議の連続で、子供と接触する日が週に一日あるかないか、こういうような体制の中で、さらにまたこのような個人差に応じる事例集を全国の教育委員会に配り、これがまた現場におりていくということになると、さらに硬直化した、あるいは画一化した教育の現状をその面で助長していくのではないか、このように私は心配をしておるわけでございますが、そのあたりはどのようなお考えを持っておられますか。
#47
○高石政府委員 文部省が出しました指導の資料はあくまで参考資料でありまして、そういういろいろな資料を使いながら先生方の創意工夫を生かして一人一人の子供の能力、適性を伸ばしていただきたい、こういうことでございます。したがいまして、このほかに各種のデータになる資料をいろいろな、文部省だけではなくして民間でつくられたもの、各学校で研究発表されたもの、そういうものが利用されながら、先生がそれをこなしながらやっていただくということでございますので、文部省の指導資料はあくまで一参考資料であるというふうに御理解いただきたいと思います。
#48
○伏屋委員 局長答弁はそうであろうと私は思いますが、現実は違うわけでございまして、現場の先生方の創意からこういう研究実験校というものが本当に生まれてくるというような経過を、今まで私の経験した年数の中からは言えないと思います。いわゆる学校長が教育委員会からいろいろな教育のテーマを与えられ、その中から校長が選択することによって、それが教育の現場におりてくるというのが現実でございます。そういう中から、やらされておる研究テーマ、こういう感じが非常に現場では強うございますので、そういうような流れの中からは個人差教育の実を上げるという本当に白熱した、先生方の口角泡を飛ばして個人差教育の実を上げるための、そういう論議というものは期待することはできないのではないか、このように私は考えるわけでございまして、そういう今までの流れというものをもっともっと変えていかなければ、そういうところにこそやはり教育改革の大きな焦点を持ってこなければならないと私は思います。
 そういう面からも、いわゆる戦前から今日までそういうような上から与えられた研究校あるいは研究テーマでなくて、地道に一人一人の子供を大切にし、一人一人の子供の能力を伸ばそうとしてやってこられましたいわゆる民間の教育運動というものの実践例というものはもう枚挙にいとまがないくらいたくさんあると思います。だからむしろ、今文部省がこういう事例集を上からこう出すのではなくて、そういう民間で積み上げてきたいわゆる草の根教育実践、そういうものをもう少し掘り起こしながら、それを現場の先生方にお渡しするという形の方がむしろ教育改革の一つの突破口になってくるのではないか、こういうふうに考えるわけですが、大臣の御見解、また政府委員の方のお考えがあれば御答弁を願いたいと思います。
#49
○松永国務大臣 個人の適性、能力に応じた行き届いた教育をするためには、現場の先生方の創意工夫、これは極めて大事なことでありますし、今先生御指摘のように自発的に先生方が工夫をし、あるいはやり方についての新しい万法を考え出し、それに基づいて教育をやっていただくということが非常に大事なことだと思います。
 先ほど先生御指摘になりました個人差指導の事例集、これもその多くは、そういう熱意のある人が実際に個人差指導をおやりになって成功した、そういったものを参考にして、そして集めて事例集として現場の参考にしていただくために配付した、こういうことなんでございます。
 先生の御指摘のように、それぞれの学校でこれ以外にも熱心に研究をして、工夫をしてやっていただいている例もたくさんあると思います。そういう例でよくいった例があれば、これまた全国的に集めて、そして新たな参考例とすることも私は必要であるというふうに思います。いずれにせよ、現場の先生の熱と創意工夫、これが極めて大事なものであるというふうに思っております。
#50
○伏屋委員 いずれにしましても、もう少し先生方が自由な思考を深める、そういうような諸環境というものに思いを強く持っていただきたい、そして先生石が、子供が帰りました教室に残り、一人一人の顔を、子供の顔を思い浮かべながらあすの教材研究ができる、そういうようなゆとりというものをぜひつくっていただくことが個人差教育の実を上げることではないか、このように考えますので、そういう諸条件、諸環境の整備を強力に推進していただくことをお願いしてこの問題は終わりたいと思います。
 次に、外務大臣がお見えになっておりますので、次の教育の問題は留学生問題に入りたいと思いますけれども、この指紋押捺は留学生問題と深いかかわり合いがありますので、指紋押捺の問題について二、三点お尋ねをしたいと思います。
 最初に、法務大臣の出席が今ないので政府委員で結構です。この指紋押捺の問題は非常に現在、焦点化しておる問題でございまして、三月一日には韓国居留民団が大型の集会を持ってこの指紋押捺問題に対処しよう、そういう動きもあると聞いております。またこの夏には、三十七万人もの大量登録の更新が予定されておるとも聞いております。そういう面からもこの問題は非常に焦点化しておるわけですが、先日、川崎市で、韓国居留民の人が指紋押捺を拒否した場合、川崎市ではこれを告発しない、こういう方針を決めたと聞いておりますが、法務省としてのお考えはどうなのか、それを最初にお尋ねしたいと思います。
#51
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。
 川崎市の動きにつきましては、私どもとしては現在のところ新聞で承知しておるにとどまっておる次第でございまして、その実態につきまして神奈川県を通じて報告を求めておる、説明を求めておるという現況でございます。
 私どもといたしましてはこの事実についての確認をしたいというところでございまして、もし、これが事実であるならば、その理由につき承知したい。その理由につき私どもとして承知した上で、この理由の中でもし誤解があるならばその誤解について是正をしていきたいと思っております。この問題につきましては最近さまざまの新聞報道が行われておりますので、川崎市のそうした物の考え方につきましても誤解があるのではないかという考えを、あるいは危惧の念を持っておるわけでございます。
#52
○伏屋委員 法務省としての基本的な指紋押捺に対する見解はどのような見解を持っておられますか。
#53
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。
 当予算委員会におきまして法務大臣から二月六日でございましたか、御答弁申し上げましたとおり、指紋問題につきましては政府部内におきまして種々検討を進めておるところでございます。この検討が現在なお進行中でございまして、この検討そのものは法改正の問題あるいは実際面における方式の問題その他を含めて幅広く進めておるところでございまして、この検討を通じて何らか妥当な結論が生まれることを私どもとしては期待しておるところでございます。
#54
○伏屋委員 指紋押捺をする立場の人からすれば、早く何とかしてくれというのが叫びにも似た師ではないかと思います。
 そこで、外務大臣にお尋ねしたいと思いますが、昨年秋に韓国の全斗煥大統領が来日されたときも総理との共同声明の中でも、在日韓国人の法的地位やあるいは待遇について引き続き検討する約束がされておるわけでございます。そこで、韓国政府とのその約束、また今後日本が開かれた国際国家としての立場あるいは人権問題などから考えて、この現在の指紋押捺制度廃止も含めて大幅な改善が必要であると私は思っておるわけでございます。そういう面での外務大臣の御認識をお伺いしたいと思います。
#55
○安倍国務大臣 指紋押捺等の具体的な義務につきましては外務省は直接主管する立場にないわけでありますが、お尋ねの指紋問題を含む在留外国人の法的地位及び待遇についてどのような制度が最も適切妥当であるかということについては、国内的な諸事情のほか、国際的な諸事情も勘案をしまして、幅広くかつ慎重な研究、検討を加えることが必要であると考えております。
 お尋ねの点につきましては、外国人登録法は昭和五十七年に改正されたばかりであるとの事情があるわけでございますが、他方、御指摘のような御意見があることも十分承知もしておりますし、さらに、昨年の日韓共同声明の趣旨をも踏まえ、あるいはまた全斗煥大統領と中曽根総理との会談の内容等も踏まえまして、制度上及び運用上の各般の問題点について関係省庁において鋭意検討を重ねているところでありまして、今法務省からお答えがありましたように、今関係各省庁でいろいろとその点について鋭意検討が進められておる、こういう段階でございます。
#56
○伏屋委員 後ほどお尋ねいたしますが、留学生の問題につきましても、二十一世紀を目指して、今非常に貧困な日本の留学生受け入れ体制を改善して十万人の留学生を受け入れるという構想を持っておられます。そういうことから考えれば、その一つのネックになっておるのがこの指紋押捺問題にある、こういうふうに考えたときに、そうすると、その問題をこそ早く解決しなければ結局は二十一世紀の十万人留学生受け入れというのは絵にかいたもちに終わってしまうのではないか。
 そういう面から今外務大臣の御答弁がございましたが、外務省はこの問題について極めて積極的に取り組もう、こういう姿勢がうかがえるわけでございます。それだけにまた管理する方の法務省あるいは警察関係の方は改善は非常に難しい、こういうような考えを持っておられるようでございますので、そこでぜひ積極的にそれを改善しようという意欲を持っておられる外務省の一番の長である大臣が各省庁との連絡協議を積極的に進められまして、二十一世紀目指してのいわゆる十万人留学生受け入れの体制のためにもこれを早期に問題改善の方向で御努力をお願いしたいと思います。重ねて御答弁をお願いしたい。
#57
○安倍国務大臣 この指紋押捺問題は主として国内の治安その他外国人取り扱い、いろいろな問題でもあります。また、もちろん外交にも絡んでおるわけでございますが、これはやはり法務省であるとか、あるいはまた警察当局とか関係各省と十分話し合いをして、そして結論を出さなければならない課題ではないか。いずれにしても、これは現在、外国人登録法というのが現状としてあるわけでございますから、ある以上はこの制度を守ってもらわなければなりませんが、しかし、先ほどから申し上げましたように、日韓間でも韓国人の法的地位について改善を図っていこう、こういう合意もなされておりますから、そういう中でいろいろな状況を踏まえながら政府全体としてこの問題に取り組んでいかなければならぬ、こういうことで、今関係各省庁で鋭意検討を進めておる、こういうことでまだ結論は出ていないわけでございますが、努力を重ねておる、こういう段階でございます。
#58
○伏屋委員 さらにその面は御努力を重ねていただくことでこの指紋押捺は終わりたいと思います。
 次に、留学生の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 留学生の現状、大学、短期大学などを含めまして、現状をまずお答えいただきたいと思います。
#59
○大崎政府委員 お答え申し上げます。
 我が国の大学その他の高等教育機関に在学をしております外国人留学生の数でございますけれども、昭和五十九年の五月現在で一万二千四百十人になっております。
#60
○伏屋委員 現状を今言っていただいたわけでございますが、この現状と諸外国の留学生の受け入れとを比較したときに非常に差が大きいわけでございまして、極端に言いますと、欧米諸国と比較して日本はそういう面では非常に門戸をかたく閉ざしていると言っても決して過言でないというのが現状ではないかと私は思うわけでございます。
 そこで、今お答えいただきました大学、短期大学含めての外国人留学生一万二千四百十人ですか、それは国費、私費含めての数でございますね。それを国別に見ていきますと、その大半は、約八〇・六%というのがアジア諸国、それから北米が七・五%、欧州、ヨーロッパが四・一%、先進国の受け入れというのは非常に少ないわけでございます。
 そういう面からこの留学生の問題を考えるときに、受け入れる国費、私費含めての総数というものも諸外国に比べて非常に貧困、ということは日本人留学生が諸外国に出ている、いわゆる超過の形をとっているわけでございます。今の実情の地域的な分布というものから言いましても、やや偏りがあるという現実でございますが、これはどこら辺にそういうような要因があるのか、その辺お答えをいただきたいと思います。
#61
○松永国務大臣 日本の留学生受け入れ数が、現在のところ他の先進国に比べて少ないというのは先生御指摘のとおりであります。したがいまして、日本もこれだけ経済の面であるいは学術の面で大きくなりかつ伸びてきたわけでありますから、この力を活用して発展途上国の人づくりに協力することを通じて国づくりに協力していくというのが、ある意味では日本の国際的な責任の一つであろうという考え方に立ちまして、二十一世紀に向けて現在の一万二千四百十名という留学生を十万人にまでふやすという構想のもとに留学生拡充計画を立ててその実行に六十年度から入っていきたい、こういうことでございます。
 なお、日本に来る留学生の国別の数の問題でございますが、先生御指摘のようにアジアが圧倒的に多いわけであります。我が国としてはアジアに限らず世界各国からの受け入れを考えておりますけれども、日本がアジアに所在するという日本の置かれておる地理的な条件から言って、やはり近隣のアジア諸国の方にやや重点を置くというのはこれまた妥当なことではなかろうかというふうに考えておるわけでありまして、他の地域からの受け入れを制限するなどという気持ちは全くありませんけれども、まず日本の近隣諸国であるアジアの発展途上国に力を注いでいきたい、こういうことでありますし、また日本に来る留学生の人たちも近場の日本あるいは近親感を持っておる日本に行きたいという希望もあるようでございますので、それに対応して現在のような八〇%がアジア諸国、こうなっておるわけでございます。
#62
○伏屋委員 過日、中曽根総理がASEANを訪問されました。その機会に、日本に留学された経験のある方々との懇談会を持ったと聞いておるわけでございます。その懇談会の席上で種々話が出たようでございますが、共通して日本に対しての留学体験で余り好感を持っていない、そういう意見が出たように聞いておりますが、その辺の事実をお聞かせいただきたいと思います。
#63
○大崎政府委員 総理がASEAN諸国御訪問の際に、先生お話しのように、日本への留学生経験者と御懇談になられたときに、その留学生経験者のお子さんを日本に留学をさせたいかどうかというような話題が出まして、その際に、必ずしも全員が日本に留学させたいというような御希望ではなかったという話は承っております。
#64
○伏屋委員 その辺に問題があると思います。そういうような問題を一つ一つ解決していかないと、先ほど文部大臣の答弁にありました二十一世紀を目指して十万人を国内に留学生として受け入れるという壮大な計画を立てておられるわけでございますが、そういう問題、そういう印象の残っておる現実の中でこれが本当に実現できるのかどうか。こういうことを考えたときに、これは言うだけで終わってしまうのではないか。今までのそういうような政府の立てた壮大な計画、いろいろと聞いておりますけれども、すべてその最終年度になったときに、実現ができなかったので新たにまた計画を立て直します、こういうことが余りにも多過ぎるので、本当にこれが実現できるのかなという懸念を私は持っておるわけでございます。
 そこで、二十一世紀目指して十万人を受け入れるということで当局は前期と後期に分けて考えておられるようでございますが、その辺をもう少し具体的にお答えをいただきたいと思います。
#65
○大崎政府委員 留学生の受け入れを欧米先進諸国並みにいわば二十一世紀初頭には受け入れたいということを目標といたしまして、一つの見通しを立てて必要な施策を展開をしておくという見地から、学識経験者等の御協力もいただきまして、昭和七十五年に至るまでの見通しを立てさせていただいておるわけでございます。
 簡単に申しますと、日本におきます十八歳人口がピークに達します昭和六十七年までを前期とし、西暦二〇〇〇年でございます昭和七十五年を期間の完了時点と考えまして、前期には受け入れ体制基盤の整備ということに重点を置きながら着実に留学生の増加を図っていくということで四万人、これは一九八三年、五十八年には一万人強でございますが、これを四万人まで受け入れる。それから最終的には、後期で拡充をいたしまして十万人という考え方に立っておるわけでございます。
 それで、この数をごく単純に平均計算をいたしますと、年間約一四%程度の増加ということが続きますとこの数になるわけでございますが、最近非常に日本に対する関心が高まってまいっておりまして、私費留学生はもちろんでございますが、留学生数全体の伸びが、例えば五十八年から五十九年で申しますと一万四百二十八人から一万二千四百十人ということで、一年間に二千人の増を示しておるわけでございます。私どもといたしましては、こういう日本に対する留学の機運、関心の高まりというものがございますので、この高まりの中で日本に留学をしてきた学生が日本に失望しないように、充実した学生生活を送れるように各般の受け入れ体制その他の施策の充実に努力をしてまいれば、十万人という数字は決して達成ができないものではないというふうに考えているわけでございます。
#66
○伏屋委員 中曽根総理のASEAN訪問のときの印象というものも余りよい印象がなかったという面、その具体的な一つ一つの問題点をこれからお尋ねをしていきたい、こういうふうに思うわけでございます。
 十万人受け入れというような壮大な目標を持っておられるわけでございますが、指紋押捺の問題もその一つのネックになってくるということからも先ほどお尋ねをしたわけでございます。が、具体的な問題点としましては、まず第一に、一つの大きな壁というのは、何といいましても日本語にあるのではないか。この日本語の壁というものを、どうやってそれを低くし越えることができるような環境をつくっていくか、このことが十万人受け入れの大きな課題ではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、そういう面での日本語教育機関の充実と、それから日本語教員の質的な向上、養成、これが緊急課題ではないかと私は考えるわけでございます。
 現在、国内の日本語教員というのは約二千三百人と聞いておるわけでございますが、この増員計画あるいは海外各国への日本人教員の派遣、それからまた日本語教員の社会的な地位の確保のための資格認定制度、こういうようなものの計画があるのか、今計画中なのか、この辺を具体的にお答えいただきたいと思います。
#67
○大崎政府委員 留学生の増加に伴います日本語教員の増加の見通しにつきましては、一応の試算をいたしておるわけでございますが、日本語教育は留学生のみならず、最近は、例えば商社その他の一般の外国の社会人の要望等もございまして、留学生の数以上の対応を迫られているというふうに基本的には考えておるわけでございます。
 それで、試算といたしましては非常に大量の教員数が今後必要となるということになっておるわけでございますが、私どもといたしましては、一つは、当面留学生の必要にこたえるために、明年度予算に、東北大学を含めまして四つの国立大学に日本語教育のための研修のコースを新たに設けるということにいたしておりますほか、各国立大学には日本語の教員の配置を順次進めておりまして、明年度五大学に配置をするという予定にいたしております。
 さらに基本的には、その日本語のいわば教員養成の制度が現時点で必ずしも十分ではございませんので、日本語の教員養成のための中核的な機関といたしまして、やはり明年度筑波大学に日本語・日本文化学類というような学類を設けまして、そこで日本語教員の養成のいわば核になるように育成を図ってまいりたいというようなことも努力もいたしておるわけでございます。
 それからさらに、先生御指摘のとおり、外国人に対します日本語教育というものが必ずしも専門職として確立をしていないということが、人材を引きつける上でいわばマイナスの要因になっておりますので、この社会的地位の向上あるいは専門性の確立という観点から、何らかの形でその資格認定の制度を導入してはどうかという考えに立ちまして、明年度そのための準備調査なども行おうという計画を立てておる段階でございます。
#68
○伏屋委員 次の問題は、入学の選抜、それから学位取得が日本へ留学した場合には非常に困難である、こういう問題点があるわけでございます。とりわけ学位取得などは、理科系は八〇%の学位取得という経緯をたどっておりますが、文科系に至っては二〇%と余りにも格差が大き過ぎるわけでございまして、そういう留学生の方々は文科系の学位取得は日本では不可能だということで非常に不評を買っておる。日本に留学して、さらにまた自国へ帰り学位を取得するという努力をしなければ、自国での社会的な地位あるいは職業にすらなかなかつけない、そういう問題があって日本というものが敬遠されておるということも聞いておるわけでございます。
 そういう面について、文科系の学位取得になぜこのような難点があるのか。これを解決しないと、やはり留学生を結果的には裏切るようなことになり、国際的にも留学生受け入れが通用しなくなってくる。こういうものについての改善策はもう積極的に講じていかなければならないと思っております。その点が一点。
 それから、入学選考に当たっては、国費留学生の場合はいわゆる特別選考という形で各大学に振り当てられて入学ということが許されておるわけでございますが、私費による留学生の場合は、日本国際教育協会の実施する私費留学生統一試験、こういうもの、それと、また国立大学へ行きたいと思う者はさらに共通一次試験を受けなければならぬ、今日本で実施されている共通一次を受けてしか入れない、こういうような実情でございます。そういう面からも非常に不評を買っておるわけでございますので、海外から来られる留学生というものが、日本語の壁があり、しかもまだ、日本の高校の学習達成度を見るためのいわゆる共通一次試験を受けなければならないというところに大きな抵抗があると思います。諸外国はそれぞれ教科書も違う、教育内容も違う、教育課程も全部違うわけでございまして、日本の物差しでのみそれをやっていくということに、考えていくと十万人構想がなかなか実現が難しいのではないか。そういう面からも、共通一次の海外版ともいうべき、いわゆる留学生が受けやすい、そういうような特別選考というようなものは考えておられるかどうか、この二点についてお答えいただきたいと思います。
#69
○松永国務大臣 先生御指摘のように、国立大学の場合に、公立大学もそうでございますが、私費留学生について共通一次試験を課しておる大学もあるわけでありますが、文部省としては、先ほど先生の御指摘にありました日本国際教育協会が私費留学生統一試験を行っておりまして、その試験の結果と外国人日本語能力試験の結果とを合わせて、これを選考に活用するように今後とも指導してまいりたい、こういうふうに考えております。
 次に、博士の問題でありますが、先生御指摘のとおり、博士課程を終わった留学生の中で理科系は七九%が博士を取る。二一%しか文科系の人は取れないというふうな結果になっていることは御指摘のとおりです。この問題は、実は日本人そのものが、日本の学生そのものが、博士課程を終わりましても、文科系の博士はなかなか取ってないあるいは取れないという傾向が実はあるわけですね。これは先生御承知のとおりでございます。しかし、日本の大学院に留学をして、そして帰るときに日本の博士号を持って帰るということが、その人が本国に帰ってからの社会的な地位に非常に大きな影響を及ぼすわけなんでありまして、これは日本人だって取れないんだからなどということでは済まされない面があるというふうに思いますので、この点につきましては、外国語による論文作成を認めるなど、いろいろな配慮を講じるように各大学に促してまいりたい、こういうふうに考えておるわけであります。
#70
○伏屋委員 今のように博士学位の取得が外国人にもしやすいという――日本人が難しいから外国人は与えられないというようなことではなくて、外国人にも本当に学位取得ができやすい、そして日本に大きな期待が持てるような、そういう改善方を極力進めていただきたいと思います。
 それから、私費留学生の統一試験というものについてえらい簡単にお答えになりましたけれども、これをもう少し具体的に進めていかないと、国費留学生を誘い水にしての私費留学生受け入れということが不可能になるのではないか、そういう面からも、私費留学生の受け入れに当たっても、渡日する前に向こうでいわゆる海外版共通一次のような形、日本語の壁というものをよく考慮に入れたそういう試験というようなものを実施してこちらに来れるような体制を具体的に考えてもらいたい、このことを積極的に推進していただきたい。これは御答弁要りません。
 その次に、受け入れる宿舎の問題があると思います。
 現在の宿舎の受け入れは、約三〇%弱ぐらいしか受け入れ施設がない。いわゆる留学生の宿舎とかあるいは学生寮とかあるいは民間団体のアパートとか、それらを合わせましても三〇%弱、このように言われておるわけでございまして、これが十万人の受け入れということになって年度ごとにふえてくるわけでございますが、今でも三〇%弱であるというのに、それを年度別に増員していくというときに、ここに大きな問題が出てくると思います。そういう面での受け入れ施設、そういうものについてはどういうようなお考えを持ってみえますか。
#71
○松永国務大臣 御指摘のとおり、留学生問題につきましては宿舎が非常に大きな問題になってきておるわけであります。そこで、六十年度の予算では日本国際教育協会の新しい留学生会館をつくることにいたしまして、これは三百五十人収容の計画でございますが、六十年度の予算で基本設計費が計上されておるわけであります。そのほか大阪大学、神戸大学、長岡技術科学大学、岐阜大学に留学生宿舎をつくるための予算を計上しておるわけでありまして、こういったことを通じてこれからも留学生宿舎の建設に努力をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
 なお、民間の方々の積極的な協力が必要なんでございまして、今までも留学生に対する奨学援助を目的とする公益法人に対する寄附金の免税措置、それからそういう公益法人が設置する留学生宿舎に対する固定資産税の非課税措置等がなされておりますが、六十年度の税制改正で、新たに公益法人による留学生宿舎建設に係る不動産取得税について免税措置がなされるように地方税法の改正を図るための法案が提出されておるわけでありまして、こういったことを通じて民間の方々の積極的な協力も得て、留学生の宿舎問題については解決を図るべく一層努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
#72
○伏屋委員 今、法人によるところのそういう受け入れ施設の建設に当たっては税制においても考慮しておる、こういうことでございますが、それにしても増員する受け入れ体制の中で受け入れる宿舎は非常に貧困であると言わざるを得ないと思います。そういう面からも、その過渡的な措置としては、勢い民間の個人の住宅にホームステーという形で受け入れるという措置がとられると思いますが、そういうホームステー、個人のおうちに留学生を受け入れるということにおいては、それが積極的に推進されるためには、やはりその方々の留学生受け入れのための意識というものの啓発、これが積極的に推進されないとそれも不可能だと思います。そういうホームステーに対する意識啓発、あるいはまた先ほど申し上げました法人に対しては税制を考慮しておるけれども、そういうホームステーの段階から、今度は民間人が、よし、私が個人的にアパートを建設して留学生を積極的に受け入れるぞという、個人の方がそういうような施設の建設計画を立てたときに、そういう面に対してのいわゆる法人に対すると同じような税制的なあるいは融資的な面での措置が留学生受け入れの意識の啓発につながっていくのではないか、このように考えますが、その辺の御見解はどうですか。
#73
○大崎政府委員 宿舎につきましては、御指摘のように留学生受け入れにつきましての非常に基本的な問題でございますので、多面的にいろいろと工夫をしていかなければならない問題であると私どもも考えておるわけでございます。その中で、御指摘のように民間が積極的に留学生を受け入れていただけるということが留学生のいわば日本理解、日本における生活の充実という点でも好ましいことでございますので、私どもといたしましては関係団体等機会あるごとにお願いを申し上げ、またそのような試みがあります場合には連携を密にしておるところでございます。
 これまで、例えばロータリークラブでございますとかあるいは日本青年会議所等で、これは短期でございますが、ホームステーの実施の運動あるいは交歓会の開催というようなことで、関係大学と一緒に留学生のためのそういう試みをしておられることが民間での留学生受け入れの機運を醸成していただいておりますし、また最近注目する動きといたしましては、日本国際教育協会で、在日留学生のための下宿の提供やホームステー等につきまして一般家庭等からの協力を得ますために、昨年じゅう、公共広告機構という社団法人がございますが、ここの御協力をいただきまして、一年間にわたりまして新聞、テレビ等でキャンペーンをいたしました。その結果全国各地からかなりの数の善意の申し出がございまして、そのお申し出につきましては国際教育協会から各大学に連絡をいたしまして、各大学でまたその御家庭等と連携をとっておるというような事例も昨年ございました。私どもといたしましても、こういう多彩な動きがさらに広がりますように大学、関係団体等と連携を図ってまいりたいと思っております。
 税制の件につきましては、現在がなりいろいろな措置が講じられておるわけでございますが、さらにどのようなことが可能であるかどうかということにつきましては関係の方面とまた十分研究をさしていただきたいと思います。
#74
○伏屋委員 そういう留学生受け入れの国民の意識の啓発という意味からも、個人のそういうアパート建設に対するさらなる税制、融資における優遇的な取り扱いというものを積極的に推進していただきたいと思います。
 時間がちょっと遣ってまいりましたので、取り急いで最終的に、先ほど御答弁要らないと言ったのですが、やはり海外版の共通一次というものはぜひともこれをやらないと、これがないと、これが関門でございますので、この関門を通ってこないと私費留学生は日本に来れないということでございますから、海外版共通一次というような、私費留学生が日本に来れやすい、そういう入試制度についていま一度答弁いただきたいと思います。
#75
○大崎政府委員 御指摘のように、私費留学生統一試験をそれぞれ母国で受けることができますと、来日前にある程度入学する大学のめどがつくという利点がございますので、私どもとしては検討をしなければならない課題だと存じます。ただ、実際、実施ということになりますと、実施体制の問題あるいは相手国の問題等いろいろ事前に十分慎重な検討を要するかと存じますが、非常に重要な課題だということで積極的な検討を今後さしていただきたいと思います。
#76
○伏屋委員 これは積極的に進めてもらいたいし、ぜひ実現さしていただきたい、このことを強く要望するものであります。
 留学生の最後に、諸外国においては、留学生受け入れについて非常に一貫性があり、一元化された機関というものがつくられておるわけでございますが、日本というものは所轄官庁が非常に細部に分かれておりまして、文部省、文化庁、外務省、法務省、それから各省の外郭団体、ばらばらの留学生行政であります。そういう面からも、長期展望に立って留学生の政策に本気で取り組むならば、こういう簡素化、しかも一元化、一貫性のある機関というものをつくるべきだ、こういうふうに私は思うわけでございますが、その辺の認識はどうですか。
#77
○松永国務大臣 留学生問題をさらに積極的に進めていく上では、文部省だけの力では足りないわけでありまして、民間の団体、公益法人等の積極的な活動、協力というものが大事であろう、こういうふうに思います。ロータリークラブとかあるいは企業でも留学生の奨学援助等の事業を始めたいというところも幾つか出てきておるようでありますので、そういったところの積極的な応援を受けながらぜひ留学生の拡充施策を進めてまいりたい、こう考えておるわけであります。
#78
○伏屋委員 ぜひよろしくお願いを申し上げます。
 以上で教育問題を終わりたいと思います。
 あと時間が限られてまいりますが、通産省の方へお尋ねをいたします。
 都市ガスとLPガスの整合性についてお尋ねをしたいと思います。
 現行のLPガス法によりますと、いわゆる消費設備とか供給設備、これを点検するのが二年に一回以上、こういうことになっておるわけでございます。一方、ガス事業法の適用を受けておる都市ガスにおいては、こういう消費設備、供給設備の点検は三年に一回以上、こういうふうになっておるわけでございます。しかもなお、LPガスを取り扱う業者が七十戸以上の集団供給をする場合は、これはガス事業法が適用されるわけでございます。そうなりますと、七十戸以上の集団供給の場合は三年に一回以上という点検になります。しかし、同じ集団供給の形をとっても、六十九戸の場合は二年に一回という点検にとどまるわけでございます。そういう面からも、住民の方々の生命、財産を守る意味からも、同じようなガス体燃料を取り扱っておるわけでございますから、その辺の検査期間の整合性をぜひとも実現してまいらなければならない。そういう面が一点でございますのでその面と、それからLPガス法によりますと、いわゆる二年に一回以上の点検のうち、満期日を超えた場合には、満期日を一日たりとも超えたらこれは始末書を取られる、こういう状況になっております。しかし一方では、都市ガスにおいては三年に一回以上の点検日である。しかも、満期日を超えても一カ月以内に点検した場合にはそれは満期日とみなす、こういうような不整合が生じておるわけでございます。その面もひとつお答えをいただきたいと思います。
 それからもう一点は、LPガス法では、静岡の地下街における都市ガスの爆発事故を契機にして、いわゆる共同住宅、料理飲食店、地下街等の警報器の設置が義務づけられておるわけでございますが、都市ガスにおいてはこれが地下街だけになっておるというような面。
 それから、もうずっと申し上げていきますので、お答えをまとめていただきたいと思いますが、建築基準法との整合性もございます。これは建設省もお答えいただきたいと思いますが、建築基準法では、三階以上の共同住宅というものに対しては、ヒューズコックかあるいは可とう性配管か、警報器か、この三者のうちの一つを義務づけておるわけでございます。しかし、LPガス法では、その三者択一に加えてさらに警報器をつけなければならないというような法律になっておるわけでございまして、これは消費者にとっては非常に二重負担につながっていくのではないか。こういうことを考えますと、その辺の整合性はどう取り扱うのか、なぜこういうふうな法的格差が生まれてきたのかというようなことをお答えいただきたいと思います。
 それから建設省の方にお尋ねしたいのは、建築基準法においては、その三者択一という形で建築確認までは厳しいチェックがあるわけでございますが、その建築が完成した後のチェックそれから証明、こういうものは全然なされておらない、そういうような片手落ちな面がありますので、その辺もお答えいただきたいと思います。
 大体以上の面で個々についてお答えいただきたいと思います。
#79
○村田国務大臣 全般的な問題につきましてまず私からお答えを申し上げまして、細部につきまして政府委員から答弁を申し上げたいと思います。
 ガス事業法と液化石油ガス法に基づく保安規制につきましては、事業の特性それから事故の実態等を踏まえながら、従来から可能な限り整合をとるよう努めてきたところでございますが、保安確保の観点を十分踏まえながら今後とも整合ある保安規制となるよう努めてまいる所存でございます。
 法定点検は、ガスに関する技術、知識の乏しい消費者のためにガス販売事業者がこれにかわって消費設備の点検を行う制度でございまして、消費者保安を確保する上で重要な役割を果たしております。法定点検の周期がガス事業法と液化石油ガス法において異なっております。これは委員御指摘のとおりでありますが、都市ガスによる消費段階における事故が年間百五十件程度で推移しているのに対しまして、LPガスによる事故は年間五百件以上発生しているというような現状にかんがみますれば、消費者保安を確保するという観点から、両法の規制態様が異なることもやむを得ない点もあるわけでございますが、なお、御指摘になりました細部につきまして資源エネルギー庁長官からお答え申し上げます。
#80
○柴田(益)政府委員 ガス事業法関係は資源エネルギー庁でございまして、LPガスの方は立地公害局でございますので、分けて答弁させていただきます。
 先生御指摘の、警報器等の義務づけをLPガス並みにガス事業も行うべきではないかという御指摘でございますけれども、我々、つま恋事故に勘案いたしまして、行政指導によってガス警報器の設置をできるだけするように今指導しているところでございまして、できるだけLPガスとの整合性をとってまいりたい、そのように考えておるところでございます。
#81
○平河政府委員 法定点検の、ガス事業法三年に一回、LPガス法二年に一回の件についてお答えいたします。
 LPガスに関しまして都市ガスと同様の措置を講ずるということにつきましては、現在LPガス販売事業者の二年に一回の点検義務という法律の遵守状況についてまだ問題がございますので、今後慎重に検討してまいりたいと思っております。
 それからガス漏れ警報器、建築基準法で設置を義務づけている点とLPガス法で設置を義務づけている点でございますけれども、建築基準法におきましては、建設省から御説明あるかと思いますけれども、建築物の構造、設備等につきまして一定の基準を確保するという観点から、共同住宅についてガス漏れ警報器等の設置を義務づけております。一方、私ども液化ガス法におきましては、液化ガスの消費者保安を確保するという観点から、LPガスの消費形態に即しまして各種の義務づけを行っておるところでございますが、これに基づきまして共同住宅以外にも、例えば料理飲食店あるいは地下街といったような人が集まったり危険度の多い地点におきまして、ガス漏れ警報器の設置を義務づけているところでございます。このように、法目的が異なっているところから、両法の規制対象、細部については多少異なっているところもございますけれども、具体的な基準の定め方等につきましては、両省で十分検討しながら整合性を保つように連絡調整をしているところでございます。
#82
○吉沢政府委員 お答え申し上げます。
 両法の整合性の問題につきましては、ただいま通産省からお答えあったことでおおむねそのとおりだと思います。
 御指摘の点検の問題でございますけれども、建築基準法では、特定行政庁が指定する用途、規模の建築物につきまして、その建築物の所有者が定期的に資格者に調査させてその結果を特定行政庁に報告するという制度がございます。御指摘のガス関係の規制につきましては、これは昭和五十六年の告示で実施いたしまして、またこれを調査対象にしているという行政庁が全部ではございません。まだ日が浅いものでございますから、今後、できるだけ調査の対象に加えるように指導し、推進してまいりたいというふうに考えております。
#83
○伏屋委員 先ほど申し上げましたように、LPガスの集団供給の場合、七十戸の場合はいわゆるガス事業法適用、六十九戸の場合はLPガス適用という形になりまして、非常に矛盾があるわけでございます。住民の財産、生命というものの安全を確保するという意味からならば、この期間はやはり短くした方がいいのではないかと私は思います。先ほど事故数の問題をお答えになりましたけれども、確かにLPガスの爆発事故というのは非常に多発しております。しかし、都市ガスにおける爆発というのは、LPガスと比較しますと、規模、死者数それから負傷者数といいましても圧倒的に都市ガスの爆発事故の方が大規模になります。そういうことを勘案すればこの整合性というものを、住民の財産、生命を守るという観点からするならば、いわゆる三年に一回以上というのではなくて、やはりLPガスの二年に一回以上というところに焦点を合わせて整合性を保つ、それの方が住民の生命、財産を守ることになるのではないか、そういうように私は考えるわけですが、その辺はどういう御見解を持ってみえますか。
#84
○柴田(益)政府委員 先生御指摘のとおり、プロパンガス事業につきましては、七十戸以上だと簡易ガス事業としてガス事業法の対象になりますし、六十九戸以下だとLPガスというようなことで、一戸の差で規制態様が違ってくるという問題がございますが、簡易ガス事業を入れましてガス事業全体について見ますと、事故件数は年々減ってまいりました。五十六年で見ますと二百六十三件あったわけでございますが、五十七年は二百二十六件、五十八年は二百二件、そういうことで年々減ってきておりますので、点検回数、今ガス事業法では三年に一回でございますけれども、こういう趨勢もございますので、この三年に一回という方向でもう少し続けてみたい、そういうふうに考えておる次第でございます。
#85
○伏屋委員 今申し上げた観点からもそういう整合性を積極的に推進していただかないと、とかくLP業界と都市ガス業界の一つの大きな問題が各地において起こっておるわけでございます。そういうものはすべてこういうような法的な措置の格差というところにあると思いますので、その整合性を保つことによってそういう多発する紛争というものもおさまり、それがとりもなおさずまた住民の生命安全の確保につながっていく、そういう面での整合性を積極的に進めていただきたいと思います。とりわけ、三年に一回の方を二年に一回の方に、両方二年に一回に整合性を保つということが不可能であるとするならば、せめてLPガスの検査一日を超えた場合に始末書をとるというような罰則ですね、片一方、都市ガスの方は三年に一回のやつを一カ月越えておったって満期日とみなすというような、そういうような不整合は取り除いてもらっていかないとやはり紛争の火種になっていくんではないか、こういうふうに懸念いたしますが、その辺、もう一度御答弁いただきたいと思います。
#86
○村田国務大臣 事故の問題は大変重要でございまして、委員の御指摘の点はよく理解できるわけでございます。先ほども申し上げましたが、もう一度申し上げますと、ガス事業法と液化石油ガス法に基づく保安規制について、事業の特性それから事故の実態などを踏まえながら従来から可能な限りの整合をとるよう努めてきたところでございますが、保安確保の観点ということは幾ら注意し過ぎてもし過ぎることはないのでございまして、この点を十分踏まえながら今後とも整合ある保安規制となるよう努めてまいる所存でございます。
#87
○伏屋委員 以上、今の問題については終わりたいと思います。
 外交問題もちょっと触れたいと思ったのですけれども、時間がないようでございますので、外務省の方、来てみえますか、ちょっと問題に触れられませんので、あしからずお許しください。
 最後に、私の選挙区の問題で恐縮でございますけれども、公正取引の方、お見えですか、公正取引の問題に関連してちょっとお尋ねをしたいと思います。
 私の岐阜県のスバル各務原というサブディーラーがございますが、このサブディーラーがいわゆる県の中心ディーラーである岐阜スバルとの間に、最初は担保を必要としないという形で借り受けた融資金に対して、担保として土地あるいは株式を提供しなさい、こういうようなことが強要された。また、スバル各務原が支払いを簡易決済するために全額白紙の為替手形にスバル各務原の会社の署名捺印を求めてきた。こういうことに対してスバル各務原の社長が、そういうことはできないと拒否をした。そうしたところ、五十九年一月から岐阜スバルからの納品がとめられた、そしてその新しい社屋に展示してあったそういう車まで引き揚げてしまった。そして、その前の五十八年十二月には岐阜スバルとスバル各務原との間で継続的な供給契約というものを締結しておる、それを解約するという合意がないままに一方的にそういうような車を納品しない、展示車も引き揚げるというような形になりまして、事実上そのスバル各務原は営業が不可能な状態で、財政的にも非常に逼迫して倒産寸前に追い込まれておる、こういうような状態であるわけでございます。
 このような事実の背後には大きなメーカーがどうも示唆、指導したというような可能性すらうかがえるというようなことを考えるときに、やはり企業倫理にもとることではないか。このように急速に自動車が普及したその陰には、このような小さいディーラーが本当に日夜その拡販に努力した、その結果今のように自動車が普及したのだ。そういうことを考えたときには、やはりそういう中小ディーラーというものを保護していく、それこそメーカーあるいは中心ディーラーのやるべきことであるが、それをいわゆる中小ディーラーいじめのような形、また、あわよくば中小ディーラーのその会社を自分の直系にしてしまうというような形をとろうとする、そういうような資本の論理というものは、私は、弱者いじめ、こういうようなことからも許せない、こういうふうに思っておるわけでございますが、そういう事実を公取の方は承知しておるかどうか、まず第一点お尋ねしたいと思います。
#88
○佐藤(徳)政府委員 ただいま先生がお話しになりましたような内容の申告が、私どもの名古屋地方事務所になされておりますのは事実でございますが、その内容等につきましては、個別、具体的なケースに関することでもございますし、また、関係者から裁判所に調停の申し立てがなされているというような案件でもございますので、意見を申し述べることは差し控えさせていただきたい、こういうふうに考えております。
#89
○伏屋委員 数年前にもやはりこの予算委員会におきまして、私どもの同僚の近江代議士がこの問題を取り上げたことを私は記憶しておるわけでございますが、今のようなケース、これに類似したようなケースが、過去に公取で取り扱われたことがあるか、そして、それはどういう結果に終わったのか、そのあたりもちょっとお聞かせいただきたいと思います。
#90
○佐藤(徳)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの御質問にございましたように、自動車メーカーとディーラーとの取引の関係につきましては従来から委員会で御議論がございましたところでございまして、私どもとしても調査等行って正常な取引秩序を保つように努めておるところでございます。
 なお、過去に例がございましたかということでございますが、過去十年ほどの間に一件だけ、不当な割り当て販売を強いたのではないか、あるいは株式の提供を担保として強要したのではないかというような疑いで私どもの方に申告があった事案がございましたのですが、これはそのような不当な取引制限に当たるということはないということで、途中で両者も和解がございまして取り下げられて、私どもとして審決を下すとかそういうことはございませんでした。
#91
○伏屋委員 そういうような資本の論理で弱者をいじめるというような紛争は承知していない、公取で調査をされておるようでございますから、また、それが逐次調査をされ、そして両者を呼んでいろいろな問題解決のために努力を積極的に進めていただきたい、こういうふうに思います。
 もう時間がありませんので、もう少しこの問題について詳しく触れたかったわけでございますが、また次の分科会の機会を許されるならばその分科会の機会に、また商工委員会の機会を許されるならばそういう機会ででもこの問題を取り上げていくことといたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#92
○天野委員長 これにて伏屋君の質疑は終了いたしました。
 午後零時四十分より再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時四十二分開議
#93
○天野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松浦利尚君。
#94
○松浦委員 それでは、厚生大臣が非常にお急ぎになるそうですから、厚生大臣にまずお尋ねをしたいと思うのでありますが、実は人工透析をしておられる透析患者の問題なんです。
 御案内のとおりに、いろいろ政府の手だて、助成策等が講ぜられまして、負担等も大幅に軽減をされてきておるわけでありますが、ただ問題は、この透析患者の人たちが透析を受ける時間帯の問題です。これは事務当局でも結構ですが、人工透析を昼間受けておる人と夜間受けておる人とのパーセンテージですね、これがわかっておりましたらお知らせいただきたいのと、それからもう一つは、透析時間というのが、私が知っておる限りでは一日五時間、しかも週二日、こういうふうになっておるようにお聞きしておるわけですが、その点事務当局から聞かせてください。
#95
○大池政府委員 お答え申し上げます。
 慢性の透析患者数といたしましては、五十八年末現在で約五万三千人おられる。そうして、その中で夜間透析を受けておられる方が約一万四千人、二六%ほどに相当するというような資料を承知しております。それから時間の件は、先生の御指摘のような五時間あるいは週二回というようなケースが一番多いように承っております。
#96
○松浦委員 さらに厚生省にお尋ねをいたします。これも事務当局で結構ですが、この透析を担当する医療機関に対してそれぞれ今まで厚生省として手だてをしてきておられますが、新たに六十年度からこうした問題についてどのような手だてがされようとしておるのか、その点をひとつお聞かせください。
#97
○大池政府委員 それぞれの公的あるいは私立の医療機関におきまして、地域の実情に応じてそれぞれ人工透析装置等を設けまして、通院ベースでの人工透析に応じているわけでございますが、現在台数といたしましては約二万五千台ほど全国的に分布しておるわけでございます。それで厚生省の方におきましても、この地域的な分布を見まして、例えば広域市町村圏単位に見て、全国の平均から見て不足であろうかというようなところに対する若干の助成措置も講じているところでございます。それからまた、医療費の面で、診療報酬の点で、夜間透析を行った場合には、五時以降五時間程度かけてやるわけでございますが、そういったものに対する加算ということを昭和五十三年度から着手して、その促進を図っているところでございます。またこれは・・(松浦委員「五時からは、四時からになるのじゃないですか。四時からしたものも、なるのじゃないですか」と呼ぶ)今、私聞いておりますのは五時からと・・(松浦委員「それは四時からやっても夜間にするというのじゃないですか」と呼ぶ)その辺はちょっと今、調べた上でお答えをいたします。――追加をお答え申し上げます。現時点でも、五時以降ということで運用しておるところでございます。
#98
○松浦委員 厚生大臣を早く向こうに移そうと思って事務当局と打ち合わせしたのですよ。そのときには、五時以降だけれども一応四時からやっても幅を持たせてやろうというようなことを考えておりますという御返事があったのです。それじゃ、そういうことはやるのですかやらぬのですか。厚生大臣が行くのは長くなるよ。
#99
○大池政府委員 どうもお待たせして申しわけございません。その件は今検討中ということでございまして、現在は五時の運用でございます。
#100
○松浦委員 厚生大臣、きのうと大分ニュアンスが違うのですけれども、これはオープンの場だからでしょう。検討中ということですが、四時以降に仮に透析に来た場合、たった一時間ですから、診療側に対して夜間診療扱いにぜひするように前向きに御検討いただきたいということについて、どうですか。
#101
○増岡国務大臣 人工透析を受けられる方々は社会生活を営んでおられ、働いておられる人もおるわけでございますから、御趣旨のような方向で前向きで検討させていただきます。
#102
○松浦委員 それから、御承知のように非常に医学が発達をいたしまして、医療機器が発達をいたしまして、人工透析による患者の皆さん方の社会復帰というものが出てきておるわけでありますが、ただ問題は、昼間透析ということになりますと、週二日五時間丸々もう休みということになるのです。大企業では協約等で保障されておりますが、中小零細企業等については賃金カットを受けるのですね、その五時間の二日というのは。しかし自分の命ですから、どうしてもしなければならぬ。片一方では賃金カットを受けるという。そういった意味で、単なる延命効果としての透析ではなくて社会復帰の手段、方法としての透析にもう転換をすべきじゃないか。そのことについて労働大臣、どう思われますか。
#103
○山口国務大臣 患者の方のお立場、大変お気の毒だと思うわけですけれども、労働省としては、そうした給与の問題等はやはり労使の雇用契約の中で処置してもらわなければならない。今先生御指摘の人工透析の問題は、比較的労災的な認定の病気ではなくて通常の健常な人がかかられる、こういう経過もありますので、労働省としましては、心身障害者を雇い入れる雇用保険の適用事業主に対する三分の一補助という中で、人工透析は重度障害者等の枠に入っているのですけれども、そういう施策は講じているのですけれども、実際通院している方の賃金の問題に対してはやはり労使の協約の中で決めていただきたい、こういうことでございます。
#104
○松浦委員 大臣、事務当局は何をあなたにレクチャーしたのかわかりませんけれども、私が言うのは、要するに賃金カットされて、中小企業の人たちは組合もないわけだし、就業規則だけで動いておるわけですよ。ですから、そういうのを救済する方法は、たった一つなんです。それは夜間透析に変えていくということなんです。あなたは何か勘違いしている、労使関係というのが頭にあるものだから。大企業はいいですよ、さっきから言うように。中小零細企業に働く人たちで透析を受ける人たちのことを労働省がどう考えるかということを抜きにしては……(山口国務大臣「夜間透析」と呼ぶ)そうなんですよ。だから、私が言いたいのは、生命を延命するという効果ではなくて、社会復帰させるということになれば、透析はどうしても受けなければならぬのだから、夜間透析に切りかえていく。二六%が夜間透析でしょう、そうすると昼間透析が七四%ですから、だからこれを逆転していけば、夜間透析をふやしていけば、賃金カットされなくて済むんですよ。だから労働省としては夜間透析に変えるように厚生省に対して医療機関の充実その他を図ってくださいという要望をあなたはすべきなんです。そこまで言ったらわかるでしょう。
#105
○山口国務大臣 よくわかりました。今、増岡大臣おられますが、厚生省と労働省でも、両省間協議を定期的に進めておりますので、今、松浦先生御指摘の問題につきましても、その場所でひとつ検討をしていただくべく御提案を申し上げたいというふうに思います。
#106
○松浦委員 ありがとうございました。
 厚生大臣、あなたにお願いをしておきますが、医療機関の問題ですね。お医者さんの関係、看護婦さんの関係、診療する側では、いろいろな意味で夜間透析というのは非常に難しい面もあるんです。しかし、難しいからといって放置しておくわけにはいかない。今、労働大臣が言われたようなことですから、ぜひ夜間透析に転換できるように、今すぐではありませんが徐々に昼から夜間というふうに人工透析を転換する政策をとってもらいたい、これが一つであります。
 それからもう一つは、これは私は素人ですから具体的にはわかりませんけれども、要するに携帯用の、個人で行う人工透析器というのですかCAPD、そういったものが開発をされて、一千五百人ぐらいは既に携帯をして、職場の中で、あるいは家庭で個人で自由に透析できるというシステムができておるそうであります。ただ問題は、それをつけたり外したりするのに相当技術的なもの、無菌状態をつくり出すための患者自身の勉強、こういったものがあるために、なかなかそれが浸透できにくいという面もあるんだそうです。しかし、いずれにしても五万三千とも六万とも言われておる透析患者を社会復帰させる道としては、このCAPDという携帯用の個人が透析することができる医療機器、こういったものについての指導あるいは拡大、こういったことについて厚生省の努力、姿勢をぜひ発展させていただきたい。そういう意味で、厚生大臣の御見解を承って、お引き取りいただきたいと思います。
#107
○増岡国務大臣 夜間透析につきましては、先生御指摘のような社会的要請があろうかと思います。したがいまして、昭和五十三年から報酬点数の加算を行ってきたわけでございますので、これからも御趣旨に沿って検討してまいりたいと思います。
 CAPDにつきましては、この普及にしかるべく促進策を考えなければならないわけでありますけれども、そのまず第一は、健康保険に導入した後の額の引き上げをことしの三月からやってまいりたいと思います。そのほかに、指定医というような制度がございます。一定のお医者さんの指導を受けながらやるわけでございますから、その指定医そのものを数をふやしておくということが必要ではないかと思うわけでございます。そのような普及につきましては、今後いろいろな機会を通じて普及に努めてまいりたいというふうに考えております。
#108
○松浦委員 まだほかにも関連をして厚生大臣にお聞きすることがありましたけれども、ほかの委員会が開かれているそうですから、どうぞお引き取りください。
 それでは続いて、通産大臣が間もなくおいでになると思うのですが、実は最近非常に問題になっておりますVDT、ディスプレー端末機、この問題について労働大臣、それから通産省から局長おいでですね、お尋ねをさせていただきたいと思うのです。
 御承知のように、最近どこに行ってもコンピューターあるいはパソコン、こういった話を聞かない日はないわけでありますが、いずれにいたしましても、急激に新しい技術が各職場なりあるいはいろいろな場面に登場してきつつあるわけであります。
 まず通産省にお尋ねをしておきたいのは、現在VDTの設置が全国的にどれくらいの数字になっておるのか。聞くところによりますと、しっかりした公式統計はないんだそうでございますけれども、どれくらいのものが我が国の市場に出回っておるのか、そういう点についてひとつ知っておればお聞かせいただきたいと思うのです。
#109
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のようにVDT、ビジュアル・ディスプレー・ターミナル、いわゆるディスプレーの統計につきましては、必ずしも正確な数字を把握いたしておりませんけれども、これらは主体がパソコンでございまして、それに一部ワードプロセッサーあるいは端末機が含まれますが、現在パソコンだけでも国内で三百万台が設置されていると思われますので、それにそれらを加えましておおよそ三百五十万台を超える数字になろうかと思います。
 なお、おわび申し上げますが、先生からの資料要求でお渡しいたしました数字は、単体として、つまり部品として部品メーカーがワードプロセッサーやパソコンを組み立てる企業にお渡しする数字をお渡し申し上げましたので、訂正をさせていただきます。三百五十万台を超える数字が設置台数と推定されます。
#110
○松浦委員 今御指摘のように、三百五十万台近くのものが市場に既に出回っておるわけです。実は、私がなぜこれを取り上げたかと言いますと、OLの方がこういう端末機器の操作作業をずっとしておられる。ところが、採用時には健眼でありまして、健常な目でありまして一・○だった、そしたら二年たったら〇・二に視力が落ちた、そういう申告がありまして、実はこの関係を調査をいたしました。きのうも昼からOLの皆さんとお話をさしていただいたりしたわけですが、ほとんど次のようなことを実は訴えておるわけです。連続操作をいたしますと目がぼやっとするというのですね。それから画面の中に室内の映像が映りまして、そしてちらちらする、そういった訴え。それから首筋、腕、手指の疲れ、こういったものがあるというふうに実は訴えられたのです。
 そこでいろいろ調査をしてみたわけですが、労働省で「VDT作業における労働衛生管理のあり方」として当面ガイドラインをつくっておられる。ところが、このガイドラインによりますと、一時間に十五分の休憩を与えなさい、あるいはコンピューターと目の視距離が四十センチないし六十センチでなければならぬ、あるいは照明、そういったあらゆることを実はガイドラインとして既に労働省としては当面決めておられるわけですね。ところが、OLの皆さん方に聞いたら全然これが実行されておらないのです。大体コンピューターを操作するときに四十センチから六十センチ離れて操作できないというのです。こうしてやらんといかぬのだから。それと、一時間に十五分の休憩などというのは全くもらっておらない、そういう状況なんです。ですから、せっかくつくっておられるこのガイドライン、これは一体どういう効果を持っておるのか、どういう形でそういった三百五十万台も導入しておるユーザーに対して労働衛生管理のあり方として指導してきておられるのか、その点についてひとつお聞かせください。
#111
○山口国務大臣 技術革新の時代の中におけるオフィスオートメーションの中で、今松浦先生が御指摘のような新たな、労働災害というところの問題まで発生しているわけでもございませんが、目でありますとか、労働に伴ういろいろな病状が大変出ておる、こういうことでございますから、今御指摘のようなガイドラインを提示しておるわけでございますけれども、こうした集団指導でございますとか、職場におけるこれらの問題に対する適用の実施等につきまして労働基準監督署を通じてさらにそのガイドラインの徹底を図っていきたいということを申し上げたいと思います。
 それから一方においては、労災病院等を通じまして、そうしたマイクロエレクトロニクスの問題に伴ういろいろな新たな労働災害の予防措置の問題も真剣に研究検討しておかなければならないというふうに思いますし、アメリカやヨーロッパなんかにおきましてはそういった精神障害的な症状も出ておる、こういう指摘も出されておるわけでございますので、これは早急にこうした問題に対する予防措置を図っていく必要があるというふうに考えます。
#112
○松浦委員 大臣、新しい技術で急激に膨張しまして、三百五十万台でしょう。そうすると、大臣もこういう作業に従事しておる人たちとお話しになってみていただきたいと思うのですが、みんなそういう身体の障害を訴えておられる。大体二年連続作業をしますと、今言ったように視力がばっと落ち込むわけです。ですから、そういう人たちがそういう状態になった後、さあ大変だということで手だてをしても遅いのですね。それを防ぐ意味でこのガイドラインというのを労働省がせっかくおつくりになったと思うのですよ。ところが全然これが効果を発揮しておらない。効果を発揮しておらぬうちにどんどん進むわけですから、今言ったような大臣の発想では、基準監督署を通じてとかなんとかやっておったら本当はぴしっとなっておるはずだけれども、労働行政が技術革新に追いつかないという典型的なあらわれでしょう。ですから、今言われたことは非常に筋が通っておるような答弁だけれども、常識的に私が考えてみても非常に難しい。やはりこの問題についてもう少し真剣に、当面いかにガイドラインを徹底させるか、そして新たなものをつくり上げていけばいいのですから、これをいかにして三百五十万のユーザーに対して徹底さしていくかという労働行政ですから、従来の監督署とかなんとかということじゃなくて、別個に対応するものを労働省で考えてみてください。そうしなければ、視力の落ちる患者というのはどんどん出てくるわけですから。
 後で通産大臣が来られてからも議論いたしますが、「レファレンス」の一九八二年の五月、三百七十六ですが、この中に「コンピュータ端末装置の健康に及ぼす影響」「欧米諸国を中心として」というのがずっと出ておるのです。アメリカ自身でも既に米国国立労働安全衛生研究所において作業の勧告を行っておるのです。ところが、アメリカの方は極めて厳しくこの勧告が行われておるのだそうです。この勧告に対応できるのが、このガイドライン。こっちは厳しくしておるが、こっちはそうなっておらない。ですから、そういった問題について別個に労働省で、新しい技術分野としての労働行政をどうすればいいかということの委員会なりあるいは研究機関を発足さして早急に手をつけるというようなことはできないのですか。
#113
○山口国務大臣 通常の家庭のテレビでも毎日画面の真ん前に顔をくっつけて一時間もテレビを見ていれば目に影響してくるのは当然でして、ましてそういうパソコンなんかで細かい仕事を画面に顔をくっつけてやっていれば当然いろいろな問題、障害が発生する危険性というものもあるわけですから、私が先ほど御答弁申し上げたのは、このガイドラインに沿って、それぞれの事業所でありますとか作業場、またオフィス等におきましても、基準監督署を通じまして行政指導の徹底を通じてそうした予防措置を十分行いたいというふうに考えることが一点と、それからもう一つは、産業医科大学の中で産業医学総合研究所を通じて、今松浦先生の御指摘のような問題を一昨年から既に研究を始めまして、六十年をめどに三年計画でその研究の結果をまとめる、そうした中に今先生御指摘のような研究会等もつくりまして、こうした問題が新たな労働災害のような形にならないように事前の予防措置のために、それからまたこういう時代の中でますます広がっていくこうした分野における健康管理というものを確保していきたいというふうに考えます。
#114
○松浦委員 厚生大臣がどうしても委員会の関係で出て行かれましたので、今子供がパソコンになれまして、我々は操作も余りわからぬのですが、それからゲームセンターに寄って暗がりで一生懸命子供がやっていますね。そうすると、そういう子供さんたちが、逆に言うと、これは厚生大臣に聞く範疇ですけれども、労働大臣からよく厚生大臣に話してもらいたいと思うのですが、子供のときから視力が低下するのですよ、近くでこうしますからね。ですから、そういった意味からいうと、子供がパソコンゲームに熱中する、子供の時代から先端技術に触れるという意味では非常にいいことだけれども、しかし、そのことが逆に言うと心身の発展を妨げる、特に目等を。だから、そういうものについても早急に政府として対応しておかないと、技術だけがだあっと先行して、そして後から何か新しい技術に伴う弊害というものが、心身障害というものが併発してくる。さあ大変だというときには遅いわけですから、そういう問題についてもひとつ厚生省に労働大臣から篤と意見を述べて対応していただきたい。
 これは労働大臣の範疇じゃありませんけれども、お答えいただきたいと思うのです。
#115
○山口国務大臣 私も労働大臣に就任して四カ月なんですけれども、その就任早々、今松浦先生のような問題を省内で指示した経過もございますし、視覚から来る一つの障害が単なる目の疲れだけじゃなくて、いろんな視神経等の精神的な障害等を派生する危険性というものもやはり事前に防止しませんことには、何のための技術革新か、こういうことにもなるわけでございますから、そうした問題の研究班を早急につくる。また一面においては、何かシャドーマスクみたいなああいう一つの製品の何らかの義務づけみたいな、これはあるいは通産省の仕事かもわかりませんが、そういう意味で、通産省でありますとか厚生省、労働省等が縦割りじゃなくて、こういう問題に対する総合的な共同部な作業の中で国民の健康管理のためにひとつ十分対応を講じていく必要があるというふうに考えておりますので、またいろいろ御指摘をいただきたいというふうにお願い申し上げる次第でございます。
#116
○松浦委員 ありがとうございました。厚生大臣に言うべきことですが、ぜひそのように閣議あるいは厚生大臣にお話しいただきたいというふうに思います。
 それから次の問題としては、技術基準の問題なんですね。この「レファレンス」によりますと、アメリカの国立労働安全衛生研究所が放射能についてチェックをしておるわけでありますが、端末装置またはその近辺で作業をしている従業員に対して、VDTは放射線障害を起こしてはいない、こう一応国立労働安全衛生研究所では述べておるわけですけれども、しかし、また一方では、低レベルのマイクロウエーブ放射線の影響に関する問題については解決されておらない。ニューヨーク大学のベルビュ医学センターの眼科教授M・M・ザレット氏は、この放射線は目に有害な影響を与えることがある。そしてまた、白内障の原因になる。また、連邦保健・人的サービス省食品・薬品局の生物研究官R・L・カーペンター氏もマイクロウエーブの放射線というのは累積的影響を与えることがあるというふうに「レファレンス」で報告されておるわけです。アメリカの例を見ますと、妊婦が流産をする、因果関係はまだ明らかにされておりませんが、いずれにしても妊産婦が流産をしたケースとか、そういったことまで現実にあったということがアメリカ等では報告をされておるわけですね。
 ですから、こういったディスプレーの端末機に対する技術基準というのは極めて重要なものを含んでおると私は思う。ところが、今は技術基準というのがないのですね、率直に言って。ですから、やりっ放し。やりっ放しと言っちゃ言葉は悪いですが、どんどんどんどん技術だけが先に進んでいく。ですから、こういった問題に対応してある一定の技術基準というのをつくられるべきだというふうに私は思うのですが、通産当局の御見解を承っておきたいと思います。
#117
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
 先生御指摘のようにVDTが大変急激に伸びてまいりましたので、いろいろその安全対策、公害対策で重要な問題を包含しているという観点から、私ども既に昭和五十八年九月ごろから通産省の私的諮問機関ではございますが機械安全化無公害化委員会というものがございますが、そこにVDT分科会を設置いたしまして、有識者の参加を得て鋭意検討を重ねてまいっているところでございます。
 検討の視点といたしましては、先生御指摘のような問題をいろいろ対象にいたしておりまして、まず、VDT労働の安全性に関連する要因の分析をいろいろ行いまして、あるいはアンケート調査によりまして使用者から実態の把握、どういう問題が生じておるかということを極力把握することにいたしておりまして、かつまた、今御指摘のアメリカの報告書等内外の報告、研究やガイドラインを比較検討いたしておりまして、望ましいVDT機器がいかなるものであるかという点についての観点から検討を重ねてまいっているところでございます。恐らく来月、三月にはこの分科会からの御報告をいただくことになろうかと思いまして、報告書をいただきました暁にはできるだけ早急に厚生省、労働省等関係各省と緊密な連携を保ちまして、必要な基準を要すれば策定し、あるいはそのうちのある部分についてはJISの制定等も含めて検討をしてまいりたい、このように考えております。
#118
○松浦委員 JIS規格というのは、どうですか、規制がかかりますか。JIS規格で全体的に規制がかかりますか。
#119
○棚橋(祐)政府委員 リコメンデーションでございますので、規制はかかりません。
#120
○松浦委員 どうでしょうか、先ほど言いましたように、先ほど労働大臣もいろんな労働環境の問題についての御答弁があったわけですが、技術の面でやはりある一定の技術基準というのをつくっておく必要があるんじゃないか。そういう問題については、きょうは通産大臣おられぬのですが、どのようにお考えになりますか。ちょっと労働大臣も急いでおられますから、簡潔にひとつ答えてください。
#121
○棚橋(祐)政府委員 お答えいたします。
 ただいま申し上げましたように、各界の有識者から成るVDT分科会の報告書をちょうだいいたしましたら厚生省、労働省等と早急に協議をいたしまして、できるだけ必要な基準を盛り込んだものを制定をし、必要に応じてJIS規格も検討してまいりたい、このように考えておりますが、検討の視点といたしましては、機器の例えば輝きの度合いとか、あるいはゆがみの限度とか、あるいは目線との位置とか、そういう機器の細かい点についての検討を重ねてまいる所存でございます。
#122
○松浦委員 あとはちょっと通産大臣が来られてから今と関連をして質問させていただきますが、労働大臣がお急ぎのようですから。
 これも大変労働大臣に恐縮ですが、五十九年の四月の二十五日、雇用問題政策会議からMEに関する雇用問題についての答申が労働大臣の手元に出されておるわけでありますが、この中に、今こうした先端技術が職場内に浸透してまいりますと、例えばタイピストがワープロにかわる。そうすると、タイピストという職場はなくなるわけですからこれが失業するという意味で、新しい機器の導入というのは非常に不安、失業という問題と絡んでくる。あるいは高齢者といいますか、高齢労働者、こういった労働者とそういったものに対する職場の不適応性といいますか、そういった問題等がいろいろな意味でやはり職場の中に不安として出てきておるのですね、企業の中に。ですから、そういうものに対して一つの方向づけとしてこの審議会の答申が出されておると思うのです。これもやはり急激に近代化されていっておるわけですから、そういった意味では私は示唆に富んだ答申だというふうに思っております。ぜひひとつこの問題についても徹底させるように。少なくとも近代化によって失業が生まれる。現に中曽根内閣の失業率目標は六十五年度で二%ですが、現在は二・七%なんです。大蔵大臣もおいでですが、中曽根内閣になって失業率はふえたのですよ。二%の目標が今二・七%なんですね。
 労働大臣はこの前総括質問で、二%は完全雇用なんだ、こういうようなことを言っておられたけれども、それはここで議論することじゃありませんが、そういう問題に関連をして、この際労働大臣から的確にお答えをいただきたいと思うのです。
#123
○野見山政府委員 ただいま御指摘の雇用問題政策会議の御提言につきましては、雇用問題に明るい学識経験者あるいはトップレベルの労使の方々が全会一致で今後のマイクロエレクトロニクス化に対応する方向につきまして五つの原則を提示されたところでございまして、ただいま先生御指摘のように、失業者を出さないこと、労働者の不適応をもたらさないこと、労働災害の発生や労働条件の低下をもたらさないこと、労使間の意思疎通を促進すること、国際経済社会の発展に寄与することの五つの原則と、それに基づく具体的対応につきまして御提言いただいたところでございまして、ただいまも先生御指摘のように、今後のME化がもたらす雇用への影響につきましても引き続き調査研究を進めてまいりますとともに、労働者の能力の開発向上のための対策あるいは高齢者あるいは身体障害者の職場適応ができるようなME機器の開発等につきまして、労働省としても所要の対策を講じてまいりたいというふうに思っております。
#124
○松浦委員 労働大臣が急がれるそうですから、あと中小企業対策に絡みましてちょっと質問したいことがありますので、どうぞ今行ってきてください。そして、また帰ってきてくださいよ。
 それから次に、建設大臣が早くから来ておられましたから、建設大臣を中心にして、大蔵大臣も含めてお尋ねをさせていただきたいと思うのです。
 第一点は、この前もちょっと大蔵大臣と言い合いましたけれども、昭和五十八年度の経済白書にも書いてありますように、財政の自動安定機能というものですね、これが五十六年以来全く働いておらない。むしろ足を引っ張っておるという感じなんですね。それともう一つは、中曽根内閣になって盛んに民間活力を導入するということを言っておられるのですけれども、民間活力を導入するための誘い水としてやはり公共投資というものが必要だ。ですから、そういった意味で民間活力を引っ張るためにも公共投資というものが、公共事業というものがある程度必要になってきておる。ここでまた長々と財政問題を議論するつもりはありませんが、御承知のように貯蓄超過、その貯蓄超過の中から仮に建設国債で吸い上げて、それを公共事業に出す。それで、公共事業をやることによって民間活力が生まれてくるという、そういう財政の自動安定機能というものをこの際思い切って働かせる方法を考えるべきじゃないか、そのことがむしろ民間活力を生み出す力になるのじゃないか、私はそう思うのです。
 借金といったって、貯蓄超過の分をどんどんアメリカに資本流出してそういうふうに使うものだから、アメリカの景気を高めているのですね。ある人に言わせると、日本の貯蓄超過をアメリカに貸してアメリカの景気がよくなって輸出が伸びるんだからいいじゃないかと言う人もおる。それも一理あると思いますよ。しかし、実際問題としてそういった政策というのがとられてしかるべきではないか。今だからこそ民間活力を生かしたいがゆえに、そういう政策はとるべきじゃないか、こう思うのですが、大臣どう思われますか。
#125
○竹下国務大臣 今おっしゃいました五十六年以来、言ってみれば財政が経済全体に対してあえてマイナスとは言わなくても、中立とでも申しますか、そういう感じで推移しておるということは、私もそれを否定するものではございません。そこで出てきたものが、いわば公経済によって景気を引っ張るのは大変だから、民間活力というものを、これだけ賢い国民でもあるし、そこに活を求めたらどうだ、こういうことから民活議論というのは大変高まってきておるわけであります。
 しかし、民活と申しましても、代表的なものが今西戸山の公務員住宅の問題でありますとか、あるいは関西国際空港とかいうようなものがございますが、これをただ中央だけでやることなく、地方にも分散した民活というようなものがいろいろ考えられないか。こういうようなことから、例えば都市再開発、そういう予算はそれなりにふやしておりますし、また公共事業全般で見ますと、補助率を引き下げていただくことを御審議いただいておるわけでありますが、しかし、事業量はとにかくプラスする方向で確保した、こういうことになるわけです。
 それから先が松浦経済理論になるわけでこざいますが、確かに貯蓄超過という見方とそれから投資不足という見方と、いろいろな見方がございますが、私は貯蓄の方から見ますと、実際問題としてよく議論として行われますのが、ISバランス論というのがございますね。貯蓄と投資のバランスで、いわば民間がそれだけの資金を必要としないときは、むしろ政府がそれを借りることによってその貯蓄超過分を吸収して、それで公共事業等を行って、そして経済を活性化した方がいいじゃないか。要するにISバランスを、金を貸す先というのは個人か企業か国か地方か外国か、これしかないわけでございますから、それを今公経済の方へ借りて、ISバランス論という論理は確かにございます。
 そこで、その問題につきまして、少し長くなりますが、仮に一兆円投資しますと、大体三年くらいで、これも目の子算用でございますけれども、四千億程度の増収効果が上げられていくんじゃないか。しかしながら、その四千億というのは、そのままいわば公債減額に充てられるんじゃなくて、それはそれとして依然としてその一兆は、六十年間にわたって三兆七千億の負担を後世に押しつけるというところに非常なちゅうちょする問題が一つ出てまいります。
 それからもう一つは、その貯蓄超過論に対しましては、私どもは、今アメリカの経済の議論がございました。アメリカが景気がよくなることによって日本の輸出が伸びているという議論もございましたが、私はアメリカのみならず、アメリカを通じあるいは直接に、言ってみれば中進国の資本提供国としての役割を果たしておるんじゃないか。それでその資本提供を受けた中進国等に需要が創出した場合に、また日本の景気を引っ張っていく傾向がそこに出てくるんじゃないか。そして今アメリカは高金利だ高金利だと言っていますが、仮に日本の資本流出がなかったとしたら、あるいはもっと高金利じゃなかったか。だから、日本の資本が流出したことによって、高とまりとでも申しましょうか、一応この辺でおさまって、開発途上国を含む四十八億の地球上の人口に対して何らかの貢献を及ぼしているというふうにやはり貯蓄問題は位置づけを、確定的な問題じゃありませんが、一つの位置づけをする時期ではないかなと考えておりましたら、去年の貿易白書か何かに初めて資本提供国論みたいなものが出まして、若干我が意を得たりという感じでございました。
 正確な答弁にはなりませんが、恐らく松浦さんが考えていらっしゃるISバランス論から来る考え方、これは私法して否定するものじゃございませんが、もう一つISバランス論の問題がございますのは、一遍ふやしますと、民間に資金需要ができたから今度は例えば公共事業費を減そう。それは現実問題として、国会議員一人一人にとってみましても、みんながそれぞれの選挙区のいろんなニーズを背負って出ますと、今度は減すというのはなかなか大変でございますので、その辺の兼ね合いで、松浦さんと私が議論をしておりますとちょうどいいところが出てくるんじゃないかな、こんな感じでございます。
#126
○松浦委員 そういうことは本論でありませんから、また議論さしていただくとしまして、建設大臣、あなたと議論することは非常に難しくなったわけですが、実は、御承知のように、ことしは異常渇水等の問題で琵琶湖の水位が下がる。御承知のように堀委員からも上水道の関係でいろいろと御質問がありましたけれども、私も、我が国における水資源、特に世界的に今水不足の状況ですから、そういった意味では、水資源をいかにして守り、確保するかというのは非常に重要な意味を持つと思うのです。
 そこで、建設大臣にも簡単に御質問しますから、簡単にお答えいただきたいと思うのですが、現在の河川の整備率がどうなっておるのか、それから五十九年度の渇水状況はどうなっておるのか、この点についてひとつお答えいただきたいと思います。
#127
○井上(章)政府委員 まず河川の整備率でございますが、昭和五十九年度末におきます河川の整備状況で申し上げますと、利根川、木曽川などの大河川につきましては、当面の整備目標であります戦後最大洪水に対して大体六〇%でございます。それから、その他の中小河川につきましては、時間雨量五十ミリに対しまして二〇%程度の整備率となっております。
 それから次に、五十九年度におきます全国の渇水状況でございますが、御承知のように、五十九年は台風が一度も本土に上陸しないという事態でございまして、しかも、秋雨前線も目立った活動がなかったために、九月以降、東北、北陸地方を除きましてはぼ全国的に渇水状況となったわけでございます。特に関西以西の太平洋側の地域では、平年の五〇%から七〇%の雨しか降らなかったという事態が発生したわけでございます。このために、河川流量の減少、ダム貯水量の減少等によりまして各地に渇水が生じまして、一千六百万人を超える人々に厳しい影響を与えたまま年を越したわけでございます。
 特に二月上旬におきましては、淀川水系、豊川あるいは吉野川水系といったところにおきまして、取水制限が上水道で一三%から二二%、工業用水で二二%から五〇%という厳しい制限が行われたのを初めといたしまして、全国で一級水系十五地域、二級水系十七地域におきまして渇水の影響が広まりました。上水の給水人口で言いますと、二千二百万人を超える人々が自主節水あるいは取水制限等の影響を受けたところでございます。
#128
○松浦委員 お聞きのとおりだと思うのですが、大蔵大臣はどこへ行った。――ちょっと大蔵大臣にお確かめをいたしますが、今、大臣聞いておられなかったですけれども、要するに五十九年度の異常渇水に伴う渇水状況の説明が建設省からありました。ですから、こういう事態がいつ起こってくるかわからないのですね。これは、水はまさに国民の命をつなぎとめる生命線でもあるのですね。
 そこで、昨年自民党の内部で実は水資源利用税というものが検討されたのですね。要するにこの水資源利用税というものを取って河川改修とか上水道の整備とかに使おうじゃないかという動きが出たけれども、実際的には水資源利用税というのは日の目を見なかった。大臣、この水資源利用税などということについて、これは政府ではなくて自民党で考えられておる案で、つぶれておるわけですが、こういうことは将来の構想として頭の中に描いておられるのですか。目的税みたいなものですね、これは。
#129
○竹下国務大臣 目的税でございましてね。そこで、大蔵省見解ということになりますならば、要するに、そもそも税金はこれは御案内のとおり色のつかない税金ほど一番資源配分に対して硬直化しないで配分できる、こういうことがありますから、間々目的税というのはそれなりに大変な役に立った問題がございます。天野委員長のおつくりになった自動車重量税とかそういうのは大変役に立っておりますけれども、元来そういう財政硬直化を招く傾向を持つことも確かでありますので、その妥当性は常に吟味をしていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。
 ただ、いわゆる水の利用税の問題につきましては、本当はまだ大蔵省側から言えば語を聞いたこともない、こういうことになるわけであります。ただ、私も天野委員長のもとで建設関係、元建設大臣をしておりましたので、いろいろやっておるときにそういう議論が出たら、いや、それこそ目的無税国債を充てたらどうだとかいろいろな議論が出たことを耳にしたことはございますけれども、今まだ全く考えていないところであります。
#130
○松浦委員 今、大臣から全然考えておらないということですから結構ですが、一面、利用税というのは、目的税というのは、消費者に負担が転嫁されますからね。そういった意味では、ぜひひとつ慎重に検討を加えて、慎重というよりもこういった問題については、こそこそとやるんじゃなくて、事前にオープンにして、我々に議論をさせる機会をぜひ与えていただきたいということを要望として申し上げておきます。
 ただ、問題は、実は従来建設省で新河川法ができるときにいろいろ問題がありまして、総理大臣裁定にまで持ち込まれた内容があるのです。それは河川にかかわる使用料とでもいいますか、それが率直に言って北海道の一部を除いて全部地方自治体の収入に今のところされておるのです。ところが、その地方自治体がどういう形で使っておるかというのを調べてみますと、これは一般会計としてあらゆるところに使われる、適当に。確かに地方自治体ごとに見ますと、金額的には小さい金額ですから、河川改修にするとかなんとかいうのはこれは無理です。しかし、道路から上がってくる税金というのは、天野委員長がここにおられますが、そういったいろいろなガソリン、石油関係税から道路がよくなっていく。河川は渇水状態が生まれてくるという条件がありながら全然そういうものがないのですね。ですから、河川の改修状況というのは遅々として進まない。もう数字は時間がありませんから申し上げません。それはもう皆さんがよく知っておられる。しかもその中で、新河川法ができたときの総理大臣裁定で、河川にかかわる収入は北海道の一部を除いて全部地方自治体に任されて、一般会計に使われる。全部集めてみますと三百億ぐらいになるんですね。そうすると、その三百億という金が一点集中主義でどこかに使われていくと河川改修というのは進むわけですね。ですからこれは、地方自治体との財政の関係もあるでしょうが、やはり三十八年の総理大臣裁定による配分ですから、私は、地方自治体にも言い分はあるし、地方自治体の財政も非常に厳しいということもよくわかります。しかし、片一方では河川改修そして渇水という問題が出てきておるわけですから、全国で三百億のお金ではありますけれども、その利用いかんによっては非常に有効に使えるのではないか。しかも、使用料は各県ばらばら、まちまち、そういう状況ですが、これに対して建設大臣どう思われるかという建設大臣の所見を承って、その後、総理がおいでになりませんから官房長官にお答えをいただいて、長官どうぞお引き取りいただきたいと思います。
#131
○木部国務大臣 今松浦先生から占用料の御提言だろうと思うのです。先ほど来いろいろ御指摘がございましたように、大体ごとしあたりの治水、河川の関係では一兆三千億ぐらいの予算を計上させていただいているわけです。そのうちで地方の自治体というのは約四千億ぐらいの負担をいただいているわけですが、今先生が御指摘のように、占用料の三百億というものをいろいろ私ども聞いてみますと大体地方の河川の改修に使われておるというようなのが、多少先生とも意見が違うかもしれませんが、そういうことでございます。
 そこで、私も多少記憶いたしておりますが、昭和三十八年に新河川法のあれが論議をされまして、占用料の問題や何かで大変大きな論議が、都道府県と建設省の対立があったわけです。そこで当時の、たしか池田総理大臣だと思いますが、池田総理が裁定して、各都道府県に占用料の使用料というものは一切納める、こういうことになったわけですね。そういうような経過をいろいろ考えてまいりますと、私どもは一般財源に頼って治水の確保が大変難しいという御指摘のとおり、ことしはしかし、先ほど先生から民活の問題も提起されましたけれども、ダムなんかでも民活で業界に一時立てかえてもらって、あと二、三年ぐらいでダムが完成するような、そういうところについてはそういうものを活用する、導入してもらうというようなことを認められておるわけであります。そういう点でまた建設国債の増発など一つの方法でしょうが、いずれにいたしましても、治水の確保、予算の確保というのは大変難しい大事な問題ですから、占用料につきましては総理大臣が裁定した経緯等もありますから、今私が軽々に申し上げる段階でない、研究はしてみたい、そうは考えておるわけでございます。
#132
○藤波国務大臣 お答えをいたします。
 建設大臣からお答えをしたところでございますが、大体治水事業の中身を見てみますと、今もお話がありましたように、地方費として約四千五百億、そのほかに地方の単独で千五百億ぐらい事業がございます。そのことから考えますと、二百六十九億の河川占用料というものは一般財源でございますから、これは治水事業に充てられておると思いますと言い切れないところもございますけれども、大体そういうことに役割としてはなっておるのではないかというような感じがいたします。政府としても治水事業の重要性を十分認識をいたしておりまして、事業費としても対前年増加ということを頭に置いて取り組んできておるところでございますので、先生の御趣旨を踏まえて、今後とも治水事業によく努力をしていくように、政府全体の認識として取り組んでまいりたいと考える次第でございます。
#133
○松浦委員 では、よろしくぜひお願いをいたします。
 それから、通産大臣が今おいでになりましたが、要するに日米経済摩擦に関連をして、先ほどVDTの端末機器の技術基準の問題についてお話をして、早急に制定をするという政府事務局のお話がありました。簡単で結構です。アメリカは実は技術基準がないんですね。ですから、これまた新たな技術基準をつくるときに障害になるのじゃないかという問題もあるのですが、仮にそういう問題があったとしても、技術基準というのは従事する労働者の体を守るという意味で絶対に必要な分野ですから、その点について通産大臣の御意見を承っておきたいと思うのです。簡単にお願いします。
#134
○村田国務大臣 今松浦委員御指摘になりました通信機器貿易をめぐる問題について、いろいろな日米摩擦があるわけでございますが、技術基準問題につきましては、通産省としてはこれは対応してまいっておるところでございます。
#135
○松浦委員 大臣、ちょっと後でまた聞きますから、よく打ち合わせしておいてください。
 もう時間がなくなりましたから、駆け足で大変恐縮ですが、実は中小企業が非常に倒産をしておる。東京商工リサーチ等で見ますと、五十九年の企業倒産が二万件を既に超えておる。二万八百四十一件、金額にして三兆六千四百四十一億五百万円というふうになっておるのですが、要するにもう危機ラインを突破しておるわけですね。ところが、一般会計で百三十億、財投で二千三十九億中小企業の一般経費は削減されておるのです。全体の産業に占める中小企業のウエートは五七%あるわけですね。これは大変な問題で、何か通産は中小企業を切り捨てておるのじゃないかという感覚すらするのです。これは、通産大臣どうしますか。しかも下請遅延防止法という法律があるにかかわらず、デパートとかあるいは電子機器メーカーなどは支払い額を値引きし、あるいは返品を強要するし、いろいろな意味で公取からも指摘されておる、こういう問題について通産大臣から簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#136
○村田国務大臣 中小企業の倒産の問題でございますが、御指摘のとおり、五十九年度は過去最高を更新しておりまして、二万八百四十一件、そのうち中小企業は二万七百七十三件というのでございますからまさに大部分でございます。それから金額にして三兆六千四百四十一億円の倒産関係金額のうち三兆二百四十五億円が中小企業倒産、こういうふうになっておりまして、まさに中小企業の問題というのは極めて重要でございます。そして予算的に見てみますと、松浦委員が御指摘になりましたように、予算規模自体は必ずしも大きくないというところでございますけれども、しかし、受注機会の増大でございますとか、あるいはことしは中小企業の予算規模全体は五十九年度に比べて実質的には同等以上を確保しておるという確信があるわけでございますが、通産省としては倒産防止対策ということで四本柱を立てております。それは金融、信用保証、共済貸し付け、相談指導、こういう四本でございますが、中小企業の倒産が現実に見てみますと、まさに二年、三年の経験年数の浅いものが倒産するという実態だけでなく、経験が十年以上もたったような、相当の経験を持った中小企業が倒産をしておる。これはまさに技術革新でございますとか、あるいは情報化、そういった新しい企業の動向に対応できない面から中小企業の倒産が出ておるということがわかるわけでございまして、こういった問題につきましては、今申し上げた金融、信用保証、共済貸し付け、相談指導等の四本柱できめ細かく対応をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#137
○松浦委員 労働大臣おいでになりましたから。本会議で我が党の渡辺三郎議員の質問に対しまして、中退法の五年ごとの見直しがことしになっておるわけですが、この見直しについて六十一年度をめどに法改正したいというふうに総理大臣御答弁になったのですが、その中退法の改正について労働省の見解を簡単にお聞きしたいと思います。
 それから二番目には、その改正に当たって、ここに膨大な要望書等が中小企業関係の労働者等から来ております。これは、事務当局の方にもお渡しをしておるわけですが、こうした問題等も考慮した上で、誠意を持って本当に中小企業に働く従業員に対して温かい改正というものをぜひ行っていただきたいというふうに思うのですが、そのことについても簡潔にひとつ御答弁いただきたいと思います。
#138
○山口国務大臣 中小企業の退職共済法の問題は大体五年ごとに見直しておるわけでございますので、労働省としては、昨年に引き続き中小企業退職金共済審議会で、今先生の御指摘の問題等の御提案も含めて幅広く御審議をいただいて、特に、高齢化時代の問題とかあるいは退職金の実質的な額の改正等も含めまして実態に沿うような結論を出して、六十一年に法改正を国会で御審議をお願いしたいというふうに考えております。
#139
○松浦委員 大臣、その場合、各労働団体がありますね。そういう労働団体の意見もひとつぜひ聞いてください。そのための話し合いを持っていただきたいということも要望として申し上げたいのですが、どうでしょう。
#140
○山口国務大臣 労働団体ももちろんでございますし、事は中小企業の問題ですから、そうした未組織の中小企業に働く労働者の方々の御意見等も含めまして、それが実情に沿うような改正に努めたいというふうに考えておりますので、よろしくお願いします。
#141
○松浦委員 長い間国鉄、郵政、農林の皆さんにお待たせしたのですが、その前に一つだけ農林大臣にお尋ねしておくのですが、実は、御承知のように山林、国有林に散布いたしました2・4・5Tという薬品ですね。安全だ安全だと言って、実際はアメリカの方で催奇性の問題が出てまいりまして、使用禁止ということで土の中に埋め込みましたね。ところが、依然としてケーピンとか、クズを枯殺するものでケーピンとか、それから難しい言葉でクズを枯殺するほかにクズ何とか剤というのか、枯殺剤というのがあるのですが、これも実はベトナム戦争で使われたんですね。これも2・4・5Tと全く同じなんです。簡単に答えていただきたいのですが、安全だ安全だとこう言うのですけれども、水源を確保する山奥にケーピンを打ち込むんですね。そのために、上流の水を簡易水道で飲料にしておる住民が九州で非常に問題を起こしまして、各営林署にもうやめてください。2・4・5T薬のときもあった、ところが、営林署は安全だ安全だと言うけれども、事故が起こったらそれでは林野庁なり農水省で責任を持ってくれますかと言うと、返事がない。これは実際に安全ですか。もし事故が起こったときはどうしますか。簡単に答えてください。
#142
○佐藤国務大臣 松浦先生にお答えをいたします。
 林地除草剤については二つの点が大事だと思います。一つは農薬の安全性を確認することと、それからその使用に当たっての配慮が必要ということでございますが、農薬の登録検査を通じて安全性が確認されておることでございます。それからもう一つ、その使用に当たっては、飲料水の直接摂取場所及びその周辺では使用しないことなど生活環境保全等に十分留意の上適切に使用しているので、御指摘のようなことはないと思いますが、万が一御指摘のような問題が発生した場合には、原因等調査の上、責任を持って適切に対処したいと思います。
#143
○松浦委員 責任を持って処理するということですから私はそれ以上申し上げませんが、いずれにしても2・4・5Tを使用したときにも安全だと農林省は言って、住民が反対したけれども強行したわけです。そして実際には創業で使用を禁止したわけです。今度はケーピンも安全だ安全だと言うけれども、ベトナムで使われた枯れ葉剤であることだけは事実なんですよ。同系統の薬品なんです。
 厚生大臣もおいでいただきましたが、もう時間がありませんからお聞きをいただいて、厚生大臣という立場からも、事故が起こって飲料水が汚染されたのでは問題がありますから、そうでないように、悪かったらぜひもうやめてください。そういう点も含めて要望として申し上げておきたいと思いますが、よろしいですね。――うなずいておられますからそれでいいと思います。
 次に、国鉄の問題について二つ質問いたします。
 その一つは、大変申しわけないのですが、私のところの宮崎県で起こった例です。国鉄の人はよく知っていますね。日豊線という本線がありまして、宮崎から十三・二キロ上りに佐土原という町がありますが、その佐土原から妻線という線が出ておったのです。これは第一次廃止対象路線になりまして、住民も同意してバス路線に転換をした。ところが私のところに投書が来まして、これならこの際もう妻までまだ汽車を走らせてくれと言うのです。
 よくよく調べてみたら、宮崎発の廃止されたはずの妻方面へ行くダイヤが上り、下りそのまま日豊線を走っておるのです。日豊本線からローカル線に入る妻線が廃止されて、バスに代替しました。バスに乗っておる人はみんな真っすぐ宮崎へ行くのです。通勤、通学者バスで行く。佐土原でおりて汽車に乗り継ぐ人はだれもおらない。下るときも汽車で下る人はおらない。にもかかわらず、従来妻線が存在していたときと全く同じ状態で宮崎−佐土原間十三・二キロに六往復汽車が走っているのですよ。乗っておる人はおらない、ほとんど空に近い。今レールもあるわけだから、まだはいでおらぬわけだから、コストから考えてみれば妻に走らそうが佐土原まで走らそうが大体一緒、それならもうこんなローカル線廃止やめてくれ、もとのとおり走らせてくれという陳情なんです。どうしますか。これが一つ。
 それからもう一つは、きのうの夜井上普方委員から質疑のありました就業規則の問題、一時帰休とか、あるいは職場転換とかという問題。これは御承知のように、五十九年十二月十八日の労働基準監督課長の処理についての文書が出されておる。きのう労働省は我々に向かって違反です、就業規則が改められておらなければ違反ですということをはっきり我々の前で言っておる。これは超党派で、ただ単なる国鉄の問題で見るのじゃなくて、労使紛争として見るのじゃなくて、法律を審議するこの舞台で、有権解釈をする政府の労働省が、それは違反でございます、こう言っておるのですから、我々がそれを、そうでございますかという形で、はいはいと言って済ますわけにはいかないのです、これは。我々は法律をつくるところだから。しかも法律違反であるということを労働省が認めておるわけだから。この問題についてきのう問題が提起されて、きょう恐らくいろいろ検討されたと思う。国鉄当局からその点についての見解を答弁していただきたい。
 この二つ、お答えいただきたいと思います。
#144
○棚橋(泰)政府委員 妻線の問題につきましては、先生お話のございましたように、既に廃止転換をした線でございますので、私からちょっとお答え申し上げます。
 先生御指摘のように、妻線からの列車は従来真っすぐ宮崎まで直通で入っておりました。それを、妻線を廃止をいたしますときに地元との協議会が何回も重ねられたわけでございますが、バス転換に合意はいたしましたけれども、バスで佐土原まで来て、それから先の列車は従来どおりぜひ残してほしい、こういう強い御要請がございましたので、国鉄当局におきまして、今先生おっしゃったように、従来の妻線を廃止いたしましたが、佐土原−宮崎間の列車だけは残しておる、こういうことでございます。
 そこで、そういう列車を走らせているのなら、むしろその方が赤字が少ないんじゃないか、こういうことでございますけれども、ただいまのところ、まだ廃止したばかりでございますので、正確な数字が手元にございませんけれども、ごく大ざっぱな試算をいたしますと、従来妻線が運行していたときに妻線に乗っていた方が全員宮崎まで仮にお乗りになったというふうに仮定をいたしまして計算をいたしましても、その収入は年間にいたしましてせいぜい四千万か五千万でございます。それに対して妻線の赤字は二億七千七百万ということでございますので、そういう意味では、妻線を復活しても赤字が減るということではなく、妻線を転換させていただいたことによるメリットの方が高いというふうに判断をいたしております。
#145
○太田説明員 就業規則の手続の問題につきましては、相当長期間、三十年余にわたりまして届け出の不備があったというのは、これは事実でございます。先般、十二月に労働省からも御指導をいただいたところでございますが、相当長時間にわたりまして、かつまた膨大な分量でございますので、それを是正するのに長時間要しておるところでございますが、一月三十一日にその辺の作業の進捗状況を御報告いたしまして、三月三十一日までの間にその手続の不備を是正するという旨を申し上げた次第でございます。
 それからなお、当面の今御指摘ございました問題でありますところの派遣、いわゆる出向でございますとかあるいは休職の問題につきましては、ただいま複数組合のうち三組合については妥結をしておるのでございますが、二つの組合とは妥結しておりません。大変ふぞろいな状態になっておりますので、早急にその妥結を図るべくただいま誠心誠意努力をしているところでございますが、二次案について二組合との妥結を待って、この問題に対する是正措置の背景条件も整備していきたい、かように思っている次第でございます。
#146
○松浦委員 委員長、聞いてください。ここで私たちは、法律をつくるところですよ。そうでしょう。そして、その法律に対して政府が、それは明らかに違法であるということを我々の目の前で答弁したわけでしょう。そしてその状況を、それじゃ我々が、いいです、いいですと言って見逃すわけにいかぬでしょう。違法であるなら、違法が解除されるまでは現在行っておることは停止しなければならぬ。違法行為は停止しなければいかぬ。その答弁は全然しない。違法しておることが正しいような言い方をする。そんなことをしておったら、法治国家というのは成りたたないんだよ、法治国家というのは。たまたま労使問題だった。たまたまこれが労使問題で、就業規則ということだったからということでは済まされない極めて基本的な問題、これは委員長、わかってもらえると思う。今の答弁じゃ納得しません。直ちにやめてください。
#147
○天野委員長 寺園労働基準局長。その点の経過について説明しなさい。(発言する者あり)静粛に願います。――静粛に願います。
#148
○寺園政府委員 国鉄の就業規則問題につきましては、昨年国労から労働大臣に対しまして、就業規則変更に関する行政指導の要請がございました。調査をいたしました結果、基準法所定の手続がとられておらないという事実が判明をいたしましたので、その改善について国鉄当局に要請をいたしたところでございます。
 それにつきまして国鉄当局からは、作業量が非常に膨大であるので、三月三十一日までに完了をいたしたいということでございます。
 私どもといたしましては、基準法所定の手続がとられるためにも、労使間で十分話し合いがなされて、所定の手続がとられるように期待をいたしておるところでございます。
 なお、基準法の就業規則の手続について基準法上の違反があることと、それから就業規則の効力の問題があるいは問題になろうかと思いますけれども、私どもの解釈といたしましては、基準法上の監督署への届け出の手続がなされていないことのゆえをもって就業規則が無効になるというものではないというふうに考えておりますし、また、そのような考え方は学説、判例とも認められておるところでございます。
#149
○天野委員長 国鉄仁杉総裁。
#150
○松浦委員 ちょっと待ってください。ちょっと答弁内容を聞いてください、どういう答弁をするのか。理事さん、ちょっと聞いてください。確認してください。答弁を確認してください。
#151
○天野委員長 答弁は聞いてからでなければわからない。事前に内容を聞いて答弁させるわけにはいかない。答弁を聞いてからにしなさい。
#152
○仁杉説明員 ただいま松浦先生から御指摘のございました就業規則の届け出義務というのが、長いことでございますが、昭和二十四年からなされていなかったということでございまして、そういう点につきまして、労働省の御指導もございますので、早急にこれを是正するよう努力を傾注してまいります。
#153
○松浦委員 十二月の通達を撤回したらどうだ。
#154
○山下国務大臣 ただいま国鉄総裁からも御答弁申し上げましたように、手続上の問題について違法行為があったことは、私ども監督官庁としてもまことに遺憾に存じておる次第でございます。
 総裁も申し上げましたように、これが是正のためには、私ども監督的な立場から、国鉄に厳重に私の方からもまた指導をいたしますとともに、その方針でまいりたいと思っております。
#155
○松浦委員 もう一遍言います。
 それでは、今言われたことであるなら、十二月の通達は撤回してください。
#156
○仁杉説明員 先ほど労働省の監督局長から御答弁がありましたが、手続上の欠陥はございますが、内容については有効であるということでございますので、これを維持してまいりたいというふうに考えます。
#157
○天野委員長 本件については、速やかに理事会で協議することとし、松浦港の質疑は後に譲ります。
 次に、中川利三郎君。
#158
○中川(利)委員 私は、日米諮問委員会の報告と農業関連の諸問題でお聞きするわけでありますが、まず、農水大臣いらっしゃいますね。
 先ごろ、アメリカのレーガンさんと中曽根総理の間で意見一致を見ました日米諮問委員会報告、わけても農業関連についての提言は、今後の日本農業について取り返しのつかない大変危険なものを持っていると思うのです。その中でもとりわけきわめつけは、土地基盤の非常に小さい日本では、米づくりだとかあるいは肉牛生産などのそういう高望みはやめまして、せいぜい集約的な養豚、養鶏あるいは草花など、その程度のものをやっていればいいんだ、その方向へ日本農業の体質を構造的に転換して調整すべきであるとしていますね。私は、米づくり農業を県経済の柱とする秋田県の一区の出身でありますが、これは米づくり農家にとってみますならば、皆殺しにするぞ、そういう脅迫にも聞こえるわけであります。これまでもアメリカとの間にいろいろな提言がございましたが、米まで含めて日本の条件には適さないんだ、合わないのだ、こう断じたのはまさに初めてのことだと思うのです。
 御案内のとおり、米は日本文化そのものでありまして、また日本農業の大黒柱でございますが、それを米も肉牛生産も全部やめて草花農業ですね、その程度の農業にすれば結構だ、あとはアメリカに任せなさい、こういうようなことでは、日本農業の実態を無視しただけでなくて、むしろ軽べつしたものであって、まさしく真剣な検討などにたえる代物ではないと私は思うわけでありますが、農水大臣、このような提言についてあなたはどのようにお考えですか。
#159
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えいたします。
 日米諮問委員会報告書は、先生よく御存じのごとく、貿易、為替、投資、産業政策、外交、防衛等、広範な事項について提言を行っておりますが、農業とか林産物貿易に関する提言については、見解を異にする面が非常に多いと考えております。例えば、現在の食糧安全保障政策についても、自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私としては、我が国の自然、社会経済的要因を総合的に勘案し、また、食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処していく考えでございます。
 また、農林業につきましても、国際的比較優位と特化に基づいて農林産物の貿易を拡大すべしとしてありますが、農林業は先生御存じのことでございますが、自然に大きく影響を受ける産業であり、単に経済ベースで割り切れない多くの側面がございます。工業とは異なった扱いをする必要があると考えております。
#160
○中川(利)委員 そうしますと、日米諮問委員会の合意になりましたこの提言の趣旨と農水大臣の趣旨とは大きく違うわけでありますが、あなたは昨年の十二月十一日の参議院の答弁でも、こういう問題の質問を受けまして確かに今のようなこともおっしゃいました。しかし、その中で、中曽根総理も日本農業を守ると言っているんだ、私もその立場で云々ということを言っていますが、総理自身がああいう諮問委員会の提言を合意しているわけですね。あなたと違うものを合意する、その立場で日本農業を守るというのはどういう立場なのか。私は矛盾していると思うのですね。どうですか。
#161
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えしますが、実は日米諮問委員会の報告書を受けまして、日米首脳会談後の両首脳のプレスリマークスで中曽根総理は、日米諮問委員会の報告書は貴重な貢献であり、双方による真剣な検討に値するものだという意見を発表しておられます。そんなことでございますゆえ、私は中曽根内閣の農林水産大臣としまして農林水産業につきましては絶えず総理と話しておりますが、私の場合にはその認識とちっとも変わっておらぬことを申し添えておきます。
#162
○中川(利)委員 何も貴重な貢献じゃないじゃないですか。今、例えば秋田県の農民に、米づくりをやめてもう草花農業程度にしなさいと言ったら、自民党は吹っ飛びますよ、次の日から。それぐらい全国の農民に影響のあることなんですね。そういうことをそういう意向を無視してやられるような合意というのは極めて遺憾だということは、遺憾の部分はあなたも同じだということを言うんですね。しかし何かはっきりしない、そういうあいまいさがあるわけであります。
 それではお伺いいたします。諮問委員会提言ではさらに日本の食糧安全保障政策につきまして、これを見直せと言っているんですね。先ほどあなたも何か言ったようでありますが、日本国内で食糧の自給自足、こういう問題を中心に考えることは本当の食糧安全保障政策にはならないんだと言っているんですね。つまり自給自足の名前で、その実、自給自足を考えてはいけないというのが提言の趣旨なんですよ。したがって、先ほどお話がありましたように、国際的優位だとか特化だとか、分業に基づいてアメリカに任せる部分を大きくせいと言っているんですよ。あなたはこの提言の趣旨に、今個々に何か言ったようでありますけれども、もう一回重ねて聞くけれども、賛成ですか、反対ですか。
#163
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えします。
 最初ちょっと申し上げたとおりですが、日米諮問委員会報告書には農業・林産物貿易だけではございません。実は貿易、為替、投資、産業政策、外交、防衛等、広範な事項について提言を行っているということでございます。
 それから、農業と林産物貿易につきましては先ほど言ったようなことでございますが、見解を異にする面が多い、このように答えたわけでございます。見解を異にする面が非常に多い、このように考えております。
#164
○中川(利)委員 確かにお教えをいただくまでもなくて、諮問委員会の提言は必ずしも農業ばかりじゃなくて、日本のそれぞれの分野の運命、根幹にかかわる問題を決めておるんですね、その方向を。その中で農業が第三章に出てくるわけであります。ですから、見解を異にする、そういう問題が堂々と盛り込まれていることについて、ほかの方の問題もあわせて含まれているからこれは構わないんだ、つまり、それに対して、ただ異にするというだけでそれで問題解決しますか。少なくともこの提言の方向というのは、日米合意によって、首脳会談の合意によって貴重な貢献だと言い、あるいは両国の進路を示す出発点だ、これほどまで高く言っているわけであります。そういう事態、一連の流れをとらえてみれば、私聞いたことは賛成か反対かということ、あなたの見解はどうだということ、もっと簡単に言えば、見解を異にするということは反対だということでよろしいですね。
#165
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えいたしますが、先ほど先生がおっしゃった食糧の安全保障政策につきましても、この報告書では自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私は、我が国の自然、社会経済的要因を総合的に勘案し、また食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処していく考えでございます、こういうことを申し上げたわけでございます。
#166
○中川(利)委員 だから、そこら辺が国民は納得できないんですよ。何だかわからない。
 じゃ、またお聞きしましょうか。提言では、日本が自給自足を考える、こういうことはとんでもない思い違いだと言っているんですよ。日本の穀物の自給率は、御案内のように、五十八年度でまたもや一%下がって三二%になりましたね。そこで関連して聞くのでありますが、あなたは所信表明の中でアフリカの飢餓問題に触れまして、特に近年食糧問題が深刻化しているアフリカ諸国については、その自助努力により食糧増産等が図られるよう支援してまいる所存だ、こうおっしゃっているのですね。それで私がお伺いしたいことは、確かにあなたは見解を異にすると言いますが、新聞やテレビで毎日のように報道されておりますところのアフリカの飢餓問題、その中でもとりわけ深刻さを伝えられておりますところのエチオピアですね。このエチオピアの国民一人当たり生産量と日本の一人当たり生産量がどうなっているのか、その点をお答えいただきたいと思うのです。
#167
○佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、国民一人当たりの穀物生産量については、国によって可耕地面積とか人口等の差により大きな相違があります。また食生活の差異、日本では主食は米でございます。そんなことで、経済、社会上にその持つ意味が異なっております。したがって、これによって日本とエチオピアの生産力を単純に比較することは必ずしも適当でないと考えております。
 食糧の安定供給を確保することは我が国の国政の基本ともいうべき重要な課題でありますので、今後とも農政の展開に当たっては、総合的な食糧自給力の維持強化に努めてまいる考えでございます。
#168
○中川(利)委員 私が聞いたのは、エチオピアの国民一人当たりの生産量と日本の比較の数字を示してくださいということを聞いたのです。それを答えてください。いろんな条件があることは私、わかっていますよ。
#169
○田中(宏尚)政府委員 お答えいたします。
 一九八二年で、穀物生産量でございますけれども、エチオピアの場合は一人当たり穀物生産量が百七十三キログラム、それから日本の場合には百十八キロ、生産量だけを単純に比較いたしますとこういうことになります。
#170
○中川(利)委員 今おっしゃったように五十七年で、FAOの統計によりますと、エチオピアは一人当たり百七十三キロだというのだな。日本は百十八キロですよ。農林省からこの資料を取り寄せたときに私のところに持ってきたお役人さん、名前は申しませんが、私自身びっくりしたと言っているんですね。エチオピアのあの毎日世界のテレビに出てくるあれよりもまだ国民一人当たりの生産量が少ない。いろんな条件があるとあれこれのことを申しました。しかし、国民の一人当たりの分け前としてあずかる分量がエチオピアより少ないことは事実じゃないですか。
#171
○田中(宏尚)政府委員 生産量という点では先生御指摘のとおりでございますけれども、先ほど先生からも御指摘がありましたように、五十八年度で言いますと穀物の自給率が三二%ということでございますので、実質日本人が一日に食べておる量というものはこれの三倍という形に相なっておるわけでございます。
#172
○中川(利)委員 そんなことを聞いているんじゃないですよ。輸入すれば何ぼでも米は買えますからね。国民一人当たりの生産量がそうだということは、何のかのいろんな理由を並べても、これは国民一人当たりとして穀物の生産量の分け前はこれしかないんですよ、日本の力が。それだけに深刻なものだという事実を踏まえていただかなければならないと思うのです。だから、やれ穀物が日本では最近余計食うとか、その割にどうだとか、いろんな言い分ありますよね。あるいは農業就業人口がエチオピアはほとんど農民で、日本はそうでもないなんというようなこともあります。工業力の問題もありましょう。それならアメリカはどうなんだ、イギリスはどうなんだと言えば、これはどこの国に比べても日本は大変な、エチオピア以下だという事実ははっきり認識しなければならない、この点については農水大臣認めますか。
#173
○佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、今官房長の答えたとおりでございます。
#174
○中川(利)委員 委員長、参考までに今資料をちょっと配らせたいと思いますので、よろしくお願いします。
#175
○天野委員長 はい、どうぞ。
#176
○中川(利)委員 そこで、私が今話しました数字、これは国民の主食である穀物生産に関する限りで言えば、その実態が、飢餓に苦しむアフリカ、エチオピアよりも、アフリカ全体の総合から見ても日本の方が低いのですね。驚くほど下回っているという事実があるわけであります。それで日本は声を大にしてアフリカに対して、おまえさんたち食糧自給率を向上しなければなりませんよ、自助努力をしなければなりませんよ、そのためにはこれぐらいのことをやってあげますよと言っていますが、それ自体結構です。しかし、よく足元を考えたらそう言う資格は一体おありなんでしょうか、どうでしょう。どう考えますか、農水大臣。
#177
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 実は、日本が終戦後今日このような姿になったのは、日本国民が勤勉で、大変努力家で優秀だということもございますが、与野党ともの政治家大半の人が非常に立派な政治家であったということで、いい方向づけをしたということが今日の日本を築いた、このように実は考えておるわけでございます。そんなことでございまして、私は自由主義社会の先進国の一員として、資格は別としまして、当然困った人は助ける。したがって、アフリカ等におきましては、まず当面食糧を援助する、これは外務大臣所管でいろいろお願いしております。また大蔵大臣も財政的負担をしておりますが、そういうことの中で、実は将来中長期的な問題としては、自助努力による農業振興に協力するというのはこれは当然の責務と考えております。
#178
○中川(利)委員 私は、だから自助努力を他国に求めることも大事ですが、日本としてその資格があると思うかという聞き方をしたわけですが、資格の件は別といたしましてこれこれの援助をしなければならないと考えている、それも全部わかりますよ。資格を別としてというようなことは、まあ直接はお認めになった。援助はもちろん恐らくだれも否定していませんよ。
 そこで外務大臣、しばらくぶりでお会いするわけでありますが、あなたは昨年アフリカのエチオピアヘ出かけられましたね。直接アフリカ難民の深刻な状況を見てまいりましたね。それで、まさに想像を超えた惨状で心が痛むと仰せられました。そういう中で緊急な食糧援助とあわせて農業再建の援助を強める、こうおっしゃっているわけであります。そういうことは、先ほども言いましたように大変必要なことでありますし、我が党も独自にそういう点では積極的に取り組んできておるところでございますが、同時に、国民一人当たりの生産量を見ましても、今言ったとおりエチオピア以下であるわけであります。金の力で食糧、穀物を世界じゅうから買いまくって飽食しておる、こういう日本の現状について外務大臣はどうお考えですか。
#179
○安倍国務大臣 確かに日本の一人当たりの――国民の一人当たりの生産量と農民の一人当たりの生産量と私違うのではないかと思いますね。エチオピアはほとんど農民だと言えば農民、日本の場合は農民の占める割合というのは非常に低いわけですから。しかし、それにしても自給率が非常に低いことは事実でありますし、日本が世界一の食糧の輸入国であることもはっきりしておるわけでありますが、そういう中で今エチオピアは食糧の生産もどんどん減っておる、低下しておるというのが現状でありまして、これはやはり一つは天災といいますか、サハラ砂漠がずっと広がって、砂漠化が猛烈な勢いで進んでおる。一面においては、農政といいますか、革命だとかあるいは戦争だとかいうものがありまして、結局農政がなくなってしまって、農民が自分の力で生きていく以外にないというふうなことで農地がどんどん荒廃をしておる、あるいは森林が荒廃をしておる、こういうことで食糧が行き詰まって結局飢餓。その飢餓はエチオピアの三千数百万の人口の中で、エチオピアの責任者が認めておりますように、恐らく五百万人ぐらいが飢餓状況になっておるというのが実態でございまして、私はそのほんの一部を見まして大変ショックを受けたわけであります。
#180
○中川(利)委員 今外務大臣は、国民一人当たりの生産量と農民一人当たりの生産量が違うなんというようなことを言いました。どっちにしても大事なことは、国民の分け前としてあずかる量は、生産性の問題じゃなくて生産量、国民一人一人の分け前として分配する量はそれだけ減っているということで、これは事実です。生産性がどうだということはまたおのずから別の問題で、それにすりかえてはいけないと私は思うのですよ。そういう点は特に私、御注意申し上げると言うと失礼でありますが、私のより専門分野になることでありますが、時間の関係でそれはやめます。
 同時に私が申し上げたいのは、先ほど農水大臣も申しましたように、そういう状況の中で、日本がこれ以上自給を考えるなんということはとんでもないことなんだという提言なんですね。日米諮問委員会の報告、提言はそうなっています。これはやはり日本にとっても世界にとっても大変問題のある発言だと私は思うのですが、さらにこの提言では、日本農業の構造調整がうまく進んでいない。構造調整なんという言葉は大体日本にはなかったのです。アメリカが勝手につくった、造語したとは私は言いませんけれども、わざわざおせっかいにも構造調整というような言葉まで持ち出してきているわけでありますが、そのうまく進んでない一番の障害の原因は何かというと、高い生産者米価にあると言っているんですね、そこが原因だと。だから米価の国際価格並みの水準、つまり三分の一ぐらい引き下げるとか、あるいは日米経済摩擦の最大の問題は、農産物貿易の牛肉、オレンジの自由化を含めまして日本側が渋ってなかなか言うことを聞いてくれないからだとか、今でもアメリカより低い林産物の関税をもっと下げろとか、さらには、厳密に分ければ八項目ばかり農業に対する提言がいろいろございますが、言いたいほうだいのことを押しつけているわけであります。
 そこで、私は農水大臣にお聞きしたいのでありますが、日本農業に関する日米諮問委員会提言の中で、大臣としてこれはすばらしい、これは早速飛びつきたい、これは実行しなければならないというものが一つでもあったら教えてください。
#181
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 この農産物、林産物貿易の章につきましては、大臣からお答えを申し上げましたようにいろいろ問題の多い点が含まれておるわけでございますが、反面、例えばこの提言の中で「米国は、日本にとっての米作の重要性をも認識すべきである。」あるいはまた「米国は政治的に非現実的な譲歩を日本に要求すべきでない。完全自由化のスケジュール明示の要求は、日本政府の譲歩に反対する政治的圧力を増大させる」というふうなそういう提言もまた含まれておるわけでございます。
#182
○中川(利)委員 つまり、先ほど私が言いましたように、米作の重要性を認識すべきであると言っていながら米をつくってはいけないと言っているんですよ。前は何というか格好づけなんですね、格好をつけるだけの。本質はそうじゃないでしょう。あなた、項目としてちゃんと整理してごらんなさい。厳密に言えば八つあります。その中で評価できる項目はどれかと聞いているのに、あなたはほかのことを答えていらっしゃるのだ。その中の言葉、文章でうまい文章もあるし、そういう点はいい文章だなんというような意味のことを言ったって、本質からまさに離れた修飾語のところであなたはしゃべっていらっしゃる。大臣はお答えにならない。お答えになりますか。あなた、何かありますか。伺いや、大臣に聞いているのですよ。あなたの答弁なんか要りません。まあ、わかりました。では次へ進みます。
 厚生大臣、きょう来ていらっしゃるから、大変失礼ですがお聞きするわけですが、この提言では、農産物の貿易、輸入の際の我が国の衛生検査だとか、つまり食品検査、これが厳し過ぎると言うんだな。余り日本のやり方が厳し過ぎるのは、これは輸入を抑えるという魂胆が底の方に、腹の中に隠して持っているんだ、こう言わんばかりの言いがかりをつけていますね。だから、もっと規制を緩めるとか、そんなに輸入検査だとか衛生検査に力を入れてはいけないと言っているのですよ。国民の生命や安全にかかわる法に基づくこうした規則や検査に手心を加えるようなことはまさに内政干渉にも等しいことであり、私はそういう手心を加えることがあってはならないと思うのですが、あなたの御見解、いかがでしょう。
#183
○増岡国務大臣 食品の輸入につきましては、従来から衛生上、安全上の観点から検査を実施しておるわけでありますけれども、日米間でいろいろ言われておりますのは、その辺のことはやはり科学的な根拠に基づいてやらなければならぬということでありまして、私どもといたしましても、今後も適切な検査の実施をいたしてまいりたいというふうに思いますけれども、手続に関することにつきましては、ただいまの安全確保に配慮しながらも手続そのものの簡素化、迅速化には努めてまいらなければならないという考え方でございます。
#184
○中川(利)委員 藤波さんお見えになっていますから申しますが、大体あの諮問委員会の報告の農業関連だけ見ましても、まあ正直のところ農林省は疫病神を背負い込んだというのか抱え込んでしまったというのか、それが実際の腹の中の思いだろうと私は思うのですよ。今お聞きのとおりでありますね。ところで私がお聞きをしたいことは、今のような見解を異にする、実質は反対だということを皆さんが言ってきたのは日米諮問委員会の報告があったすぐ後から。それだけではなくて、日本の農業団体も挙げて反対の声を上げていましたな。ところが、そういうものを知りながら日米首脳会談、ことしの一月ですね、そこでは御承知のとおり、アメリカのレーガンさんは我々の関係の今後の進路を示す出発点だ、中曽根さんは、この報告が貴重な貢献であって双方による真剣な検討に値すると言いまして、意見一致を見たのですよ。どっちも意見一致をしておりますね。私はここが非常に大事なところだと思うのですね。これは一月で、農業団体やら農水省が見解を異にして反対だとだあっと声を上げている、これは賛成することが一つもないのですから。そういうものを十分熟知しておりながら、まあそれは農業だけではない総合的なものだと言うかもわかりませんが、こういうふうにあられもないというか、むき出しの評価をお互いに下しているということですね。とするならば、これだけの反対意見をどう受けとめてああいう評価につながったのか、この点はやはりはっきりしていただかなきゃいかぬね。
#185
○藤波国務大臣 日米諮問委員会の報告につきましては、これは御存じのとおり、日本側は亡くなりました牛場さん、それからアメリカ側はパッカード氏を代表者にいたしまして、日米それぞれメンバーが出まして、いわゆる日米諮問委員会の独自の作業として進めてきたものを報告として両国の政府に手渡された、こういう性格のものでございます。
 日米首脳会談の際には、日米諮問委員会でまとめられましたこの報告を評価する、こういうふうに先ほど来農林水産大臣からもお答えがございましたように、総理もその問題に触れ、レーガン大統領もこの問題に触れてきておるところでございますが、この諮問委員会の報告は日米両国にとりまして日米関係に大きな前進をもたらすもの、こういうふうに評価をしたところでございます。
 問題は、その一つ一つの中身でございまして、今も御指摘がございましたように、その報告では、一つ一つの項目をどう考えていくのかということにつきましては、今報告を受けてそれぞれの立場で個別の問題についてはこれを研究、検討をしておる、こういう段階になっておりまして、全部をそのままうのみにするということではなくて、よく研究、検討をいたしまして、そして広い大きな立場で日米関係を前進をさせるというふうに評価をしておりますこの線に沿いまして、個別の問題をそれではどのように進めていくかということを検討しておる、こういうふうに御理解をいただきたいと思うのでございまして、そこのところはぜひ、二段構えのようでございますけれども、全体の評価とそれから個別の問題の検討というふうにお受け取りをいただくと大変御理解を深めていただくことができるのではないか、このように考える次第でございます。
#186
○中川(利)委員 両者が意見一致してそれぞれ国の今後の方向、いわば構造的な全体の方向といいますか、そういうもので意見一致しているわけですね。それは非常に範囲が広いから、その中の個々についてはこれからの検討も要する、そういう部分はあるかもわかりません。だからその中であなたは、できるもの、できないもの、これから子細の分析に入るんだ、こうおっしゃりたいわけでありますね。御承知だと思いますが、あの諮問委員会の報告が出た直後、中曽根さんはこう言っているのですよね、新聞では。もうこれは普通の日米間の今までの提言や報告とは違うんだ、大変な重みを持っているんだと言って、すぐ各省庁に具体化を指示したというようなことが新聞に出ていますね、御承知だと思いますが。ところがそのやさきに、農業団体の関係だけで言えば皆ああいう声が上がっているわけでありますね。そういう重大な問題を十分熟知することができ得る立場、時間的経過がありながら、それを含めて全部「貴重な貢献」にくくってあとは個々に検討するんだということは、これは私は全体をくくってそういう方向へぶち込んでいくということにならざるを得ないと思うのですね。これはそういう答弁で、二段構えですからなんというようなことで私は到底我慢できるものじゃないと思うのです。
 しかし、私の時間の関係もありますので、じゃもう一つの問題を藤波さんにお聞きしますが、アメリカはことしの十月で今までの農業法の期限が切れるのですよ。新農業法が今度提案されることになるわけでありますが、その特徴は何だかというと、全部今までの農業保護政策というものをばっさり切ってしまうということが最大のねらいだということをあなたは御承知だと思うのですね。そうなりますと、そのしわ寄せがどこへ行くかといいますと、まさに日本向けの市場開放ですね、これをまさに熾烈に迫ってくるということは当然予想されることですね。そういう状況の中で、できるものはできる、できないものはできないなんて程度で、そういう主体性のなさで果たして日本農業なら農業を守り切れる、そういう立場で闘う姿勢だと言えるのでしょうか。ちょっとお伺いします。
#187
○藤波国務大臣 先ほどの御質問、御意見に対しましてお答えをしておきたいと思いますが、日米諮問委員会の報告を総理が高く評価をする、そのことはそのとおりでございますが、それを各省に具体化を指示した、こういうふうに先生今お話しになられましたが、具体化を指示したというよりも、この報告を評価をして、そうしてこの報告に盛られておる個別の問題について各省でよく研究、検討するように指示した、こういうふうに申し上げるのが正しいかと思いますので、事実関係でございますので、そのことをお答えを申し上げておきたいと思うのでございます。
 また、アメリカの方で新しい農業法につきましていろいろ御検討いただいておるところでございますが、これはなお国会の中にもいろんな意見があるように聞いておりますので、少しその論議の成り行きを見守ることにいたしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#188
○中川(利)委員 まあ外務大臣もしばしば、できないものはできない、できるものはできる、これからの検討だなんて言っておりますが、そのくせあなたは総括の中でも答申は尊重していくとおっしゃっているわけですね。だから、くくってそっちの方向へ持っていくことは間違いないということは、両者が意見一致して高くだとか今後の進路の出発点だとか言っているわけですから、国際公約という部分がこれはあるだろうと私思うのですね。個々の調整はあるかもわかりませんが、全体としてそういう方向に持っていくということですね。そして、先ほどの農水大臣の答弁にありますように、いろいろ意見を異にすると言いながらも、しかし何だかんだというようなことでまた評価するような言い方をしますね。これは国民を非常に誤解と不安にさらすだけの効果しかないと思うのですね。同時に、アメリカの今後の対日要求に対して、市場開放要求に対して、この報告のお互いの評価はそういうものを迫る根拠を与える有力な武器になると私は思うのですね。
 だから、私が最後に藤波さんにお聞きしたいことは、こういうようなあやふやな、しかも全体から見れば日本の主体的な利益が守られることができない、やはり農業関係について言いますならば、その項目のどの一つも評価できないということははっきりしておるわけでありますから、そういう点だけでもさしあたっては撤回するとか拒否するというようなことでなければ今後の情勢に対応できない、こう私は思うわけでありますが、これに対する御見解をいただきたいと思うのです。一言で結構です。
#189
○藤波国務大臣 外務大臣からお答えすべきことかと思いますが、この日米諮問委員会というものを日米両国が大事に考えまして、その諮問に対していろいろな作業をお願いをしてきたところでございます。その委員会から報告が出たわけでございますので、全体としては日米関係を前進させるもの、このように高く評価をいたしまして、繰り返すようでございますが、個別の問題につきましてはいろいろ研究、検討を進めていく、こういう態度で臨んでまいりたいと存じております。
#190
○中川(利)委員 時間の関係がございますので、次へ移らせていただきます。
 今の問題についても大体問題の本質が浮かび上がったと思うのですけれども、これからもそういう点は追及していくことは当然だと思うのです。同時に、農業関連の問題で、農林金融問題についてお伺いしたいと思います。
 最近農協の信用事業、こういう問題をめぐりまして、いろいろな事件が起こっています。例えば、兵庫県の丹波農協というのですかね、一年間で千四百億円不正融資をしたとか、あるいは「横領村長農協も食い物無担保で一億円余」とか、あるいは和歌山県の例の下津町ですね。あれでも総額三十一億円のうち農協の資金が十億円、一番焦げつきが多いというような状況になっていますね。その他あれこれしょっちゅうそういう問題が出てきておりますが、こういう点について農水省は全国的な状況をどのように把握しておるか、その内容について、どう対処するかを含めてひとつお知らせいただければありがたいと思います。
#191
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 信用事業を含みます農協の諸事業につきましては、各都道府県の農協検査官によります検査がおおむね二、三年に一回の頻度で行われておりまして、焦げつき、返済遅延あるいは不正貸し付け等が発見された場合にはその都度是正指導を行っております。焦げつき等の実態についての全国的な把握は行っておりませんけれども、今先生御指摘のいわゆる不正事件と申しますか、刑事事件となったものにつきましては、都道府県を通じまして概要を把握をしております。
 最近の動向を見ますと、発生件数はおおむね毎年四十件程度、そのうち信用事業で約二十五件程度の横ばい傾向でございます。被害金額は年々かなりの変動が見られますが、最近三年間の平均、これは五十五年度から五十七年度でございますが、四十九億円というふうになっております。不正の種類を五十七年度について見てみますと、業務上横領が六一・八%、背任八・八%というようなところが大きな項目になっております。
 これに対する対策ということでございますが、先生御指摘のとおりこの不正事件の防止というのは、私どもこれからますます大事になっていくのじゃないかと思っております。なぜかと申しますと、農協をめぐる情勢は、経済状況も非常に厳しゅうございますし、それから金融自由化も進んでいくというふうなことになりますと、ちょっとしたこういった問題が農協の経営基盤を揺るがしかねないというふうなこともございますので、内部監査の問題、あるいはまた審査機能の強化の問題等々、一層指導に努力をしていきたいというふうに思っております。
#192
○中川(利)委員 こういう問題は今全国的に起こっておりますが、農林水産省のおひざ元の農林中金の周辺でも起こっておるわけであります。例えば、中金の子会社に協同住宅ローンという、子会社といってもそうした中金を含めた系統の一〇〇%出資会社でありますが、この会社が、東京都町田市野津田町の宅造プロジェクトに絡んで、焦げつき融資を抱えているという問題を聞いております。農水大臣はこの事実をどのように承知をしておりますか。
#193
○佐藤国務大臣 先生にお答えをいたします。
 協同住宅ローンによる融資が焦げついている問題は私も承知しておりますが、頭を痛めているところでございます。農林水産省として把握している事実については事務当局から説明させたいと思います。
#194
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 この協同住宅ローンと申しますのは、昭和五十四年に農林中央金庫それから信連等が出資をいたしまして、中金の出資比率四九%というようなことで住宅金融を目的業務にいたしまして設立をされました株式会社でございます。
 農林中央金庫からの聞き取りによりますと、この協同住宅ローンが五十七年の八月から五十八年の四月の間にわたりまして、都市企画設計という不動産業者に対しまして、町田市におきます分譲用宅地造成資金として合計四十九億一千万円の貸し付けを行ったところでございますが、五十九年の七月、この都市企画設計が資金繰りに悪化を生じまして、協同住宅ローンに対しまして利子の支払い延滞を発生をさせ、さらに同年、昨年の十月に事実上倒産をいたしたということでございます。
 協同住宅ローンとしましては、この事業が優良企業を含む共同事業であることを前提にして、その優良企業の信用力を背景として貸し付けを行ったというふうに聞いておりまして、現在、協同住宅ローンは貸し付け先の関係企業に対しまして貸付金の償還を強く求めている、こういう状況であるというふうに承知をいたしております。
#195
○中川(利)委員 この都市企画設計が買収して、協同住宅ローンが抵当権設定している土地というものは、八四年九月時点で二万四千二百十四平方メートルございます。この付近の坪単価評価額は大体九万から十一万と言われているのでありますが、そうすると融資金額は、ただいま四十九億とおっしゃいましたが、実際は五十四億であります。これは取得面積に対する全体の評価額は七億、八億程度、そういう関係になるのですね。ですから、ちょっとそこら辺も疑問に思います。
 また、この土地を地目別に見ますと、田んぼが千三百何平方メートル、畑が八千六百何平方メートル、山林が一万三千何平方メートル、原野が一千百何平方メートルという格好で、詳しいことを言えばいいわけですが、そういう格好になっている。つまり農地なんです。農地というのは、御承知のとおり農業委員会の許可がなければ転用できないのです。農地をつぶして宅地にするために、農民から集めたお金を資金に運用するという図柄にならざるを得ないのですね。これは甚だ疑問に思うわけでありますが、しかもこのような不正常な融資の背景も先ほど説明がありましたが、その点についてやり方のずさんさだと思います。このような融資の背景に、先ほども相手方云々ということがありましたが、責任ある部署の、恐らくそれは住友商事ですね、住友商事の社員が都市企画設計と一緒に協同住宅ローンに融資の話を持ち込んでいる。協同住宅ローンは住友商事の信用保証のもとで融資したと私も聞いておるわけでありますが、ところが、この直接融資をした都市企画設計が八四年十月に倒産し、このプロジェクトに加わっていたはずの住友商事が、この融資は社員が勝手にやったことだ、こう言って責任を回避している今実態だとも聞いているのです。このような状況の中で協同住宅ローンが融資をした多額の金が回収できる見通しがおありなのかどうか、その点、農水大臣の見通しその他を含めて明らかにしていただきたいと思います。
#196
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 基本的には関係企業間で解決していただくべき性格の問題であると考えております。現に、協同住宅ローンが融資先の関連企業に対し回収のための要請を行って努力していると承知しております。そんなことで、我が省としては本件の円満な解決に関心を持っており、農林中央金庫に対して、同金庫も後ろ盾となりながら回収に全力を挙げるよう十分指導してまいりたいと考えております。
#197
○中川(利)委員 ところで、こういう問題が一体なぜ起こるかということですね。中金を含めまして、系統金融機関の未熟さがもちろんありますね。管理のずさんさも否定できないと思うのですね。その点ではやはり十分な反省なり関係者の努力も必要だし、国の責任も、監督指導の責任があるわけでありますから免れないと私は思うわけであります。しかしもっと根本的には、今の政府の農業つぶしの政策といいますか、大変失礼でありますが、そういう農業政策の現状のもとに、今農村内部で、農業内部で資金を使おうとしてもそれだけの需要がないのですよ。本当に農村は貧乏しているのです。それだけの需要がないからお金が余っちゃうという状態が一つあるわけですね。だから、農業外、農外にどんどん使われていく月それがたまたま不動産業者にひっかかってみたりいろいろなことになっていく原因にもなるわけであります。
 ですから、そういうことを総括して言いますと、農業分野への系統資金の活用の場がどんどん狭められてきているという問題があると思うのです。その点で、やはり農民が意欲を持って農業生産への投資ができるようにすることがこれは非常に大事なことだと思うのですね。でなければ、こういう問題は絶対なくならないと私は思うのです。同時に、系統資金の農業分野での運用の場をもっともっと拡大していくということですね。そういう環境を政府がつくることが非常に大事だと考えているわけでありますが、この点については大臣の御見解をお伺いしたいと思うのです。
#198
○後藤(康)政府委員 中川先生から二点御指摘がございました。
 系統信用事業のあり方ということがまず第一でございますが、金融自由化の進展等によりまして競争の激化もございます。系統組織としても業務の適正執行あるいは管理体制の強化、研修の充実といった面については一層努力を行ってまいらなければいけませんし、私どもも農協検査等を通じ、また日ごろの指導を通じてそれに取り組んでまいりたいというふうに思っております。
 それから、農業金融の拡大の問題でございます。これは農林漁業の振興を図ることそのものがまず重要なわけでございまして、農林水産省としましては、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現すべく基盤整備、構造政策、生産対策、価格流通対策を総合的に進めていく考えでございますが、そういった中で、特に系統資金を農業あるいは漁業により還元できるように、従来から、例えば農業近代化資金というような制度をつくりまして、利子補給あるいは債務保証というようなものをつけましてできるだけ農家あるいは漁家に還元できますような努力をしてまいっておるわけでございますが、今後総合的な農政の中の一環としてできるだけこういった面につきましても充実強化を図っていきたいというふうに思っております。
#199
○中川(利)委員 竹下さんにお伺いします。
 今の金融自由化の問題ですね。農協の幹部に会いますと、だれも金融自由化の波、これが農協にどんな形で押し寄せてくるのかということで不安がいっぱいだとおっしゃっているわけですね。御承知のように、農協というのは普通の独占の大銀行だとかそういうものと違いまして、非常に基盤が薄弱でありますね。今もありましたように、今までも融資先が狭くて、さきに述べましたような協同住宅ローンの例に見るように、極めてずさんなやり方で運用先を獲得しようとして非常に冒険しようとしてみたり、その結果悪徳業者につけ込まれるなんという事態も引き起こしているわけですね。金融自由化で金融機関の間の競争が激しくならざるを得ませんし、農協系統金融のような弱いところは一層これから不良貸し付けなどに巻き込まれていくのではないか、こういう懸念もあるわけであります。
 で、竹下さんにお聞きしたいことは、金融自由化はまあ政府の方針というかあなた方の方針のようでありますが、農協金融ですね、この農協金融にも無条件に適用するとするならば余りにも私は先が見えていると思うのですね。この点に特別の手だてなり配慮を考えているのかどうか。これは非常に皆さん関心を持っていらっしゃることでありますし、大事なことだと思っているわけでありまして、あえてお聞きするわけでありますが、いかがでしょうか。
#200
○竹下国務大臣 いわゆる金融自由化、これは我が国の金融の一暦の効率化ということから考えますと、資源の適正配分の立場からいいましても、国民経済的な観点から基本的にはこれは望ましいものだという基本認識にまず立っております。したがって、金融の自由化については今後とも、いつも使います言葉ですが、前向きにそして主体的にやっていこう、こういう考えてあります。しかし一方、農業金融ももとよりでございますが、自由化の急激な進展は、これは信用秩序に混乱をもたらしますとか、またひいては経済全体にそうなれば悪影響を及ぼすとか、そういうおそれもないわけじゃございません。で、今おっしゃいましたように、金融の自由化に伴う競争の激化ということになりますと、弱い強いは別としまして、まだいろいろ金融指導の面等もなさなければならぬ面もあろうかと思います。それによって農林漁業金融等の円滑な疎通が阻害されるというようなことがあってはならぬ。したがって、金融自由化というのは、我が国金融制度、金融慣行等の有する長い歴史があって今日の農協さんの信用部があるわけでございますから、そういう土壌を十分見きわめてこれは漸進的にまたやっていかなければならぬ。だから、言葉で申しますと前向き、主体的、漸進的と、こうなるわけです。その漸進的なところの範疇に入るのがまさに農林漁業金融、こういうことでございますので、いわゆる金利の自由化ということになりますと、今大口からやってきておりますが、これについては十分に留意して、それによるところの混乱が起こらないように、せっかく農政全般も補助から融資へというような転換の時期でもありますので、十分な指導と同時に、そして自由化の進展に対しては大変な注意を払って、漸進的にそういう体質がなれてくることもともに指導しながらやっていきたいというのが基本的な考え方であります。
#201
○中川(利)委員 前向き、主体的、何とかといろいろおっしゃいましたが、問題は、「真理は具体的である」という言葉がございますが、大変な注意を払ってと、それ以上詳しいことをおっしゃられることはなかなか難しいかもわかりませんが、私がお聞きしたことは農協金融ですね、信用金庫も余り基盤の強い方じゃありませんが。この農協金融という問題について、金融自由化の波をもろにぶっかぶるということになりますとこれは大変な影響もございますので、この点について無条件に――注意を払うということの中にそういうことも含まれているとは思いますけれども、もう少し色よいというか、はっきりした御返事をいただかないとちょっと私は引き下がれないような感じがするのでありますので、お願いいたします。
#202
○竹下国務大臣 要するに、今いみじくもいろいろな心配、いわば、率直に言って、どういうことが起こるかわからぬということからくる心配でございますね。それを極めて漸進的に指導しながら対処していけば、農協の金融というものも徐々に成熟しておるわけでございますから、御心配のないようなことで、一緒にやりましょう。
#203
○中川(利)委員 竹下さんと一緒にやるかどうかは保証の限りでありませんが、私は、農民の零細な資金を預かっている農協金融と都市銀行との自由な競争というのは、農協信用事業を一層ゆがめる道でしかないと思うのですね。加えまして、政府が臨調の指摘を受けまして実施しようとしておる農林中金の民営化の問題が今出ておりますわね。これは農協の信用事業を農業生産から遠ざけるものになると指摘せざるを得ないわけであります。これは見解もあるでしょうけれども。農林中金や農協の信用事業は、日本農業の発展と結びついてこそその本来的役割が果たせるものだ、こう思うのでございます。同時に、そういう役割が十分発揮できるようにすることが政府の責任であると私は思うのでありますが、最後の結びに農林水産大臣から所見を伺って終わりにしたいと思います。
#204
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えいたします。
 先ほど金融の自由化について大蔵大臣から答弁がございましたが、漸進的に進められるということに大変配慮がある、こういうふうに考えております。そんなことでございまして、我が省としては、農協等系統信用事業が金融の自由化に円滑に対応することによりその健全な事業の発展を図れるよう、系統団体とも連絡を密にして対応を検討してまいりたい、こう考えております。
#205
○中川(利)委員 終わります。
#206
○天野委員長 この際、中林佳子君より関連質疑の申し出があります。
 中川君の持ち時間の範囲内でこれを許します。中林佳子君。
#207
○中林委員 まず初めに、質問の前に資料のお配りをお願いいたします。
 私は、今農林水産省が進めております島根、鳥取両県にまたがります中海・宍道湖、そしてその周辺で行われております中海干拓事業について質問したいと思います。
 この問題を質問いたしますのは、今この事業が日本の農政の根幹にかかわる非常に重要な問題になっているからです。この事業は昭和三十八年から始まり昭和四十三年から着工されて、これまで国費が五百七十七億円つぎ込まれております。さらに完成までにはあと三百億円から四百億円はかかるであろう、このように言われており、一千億円という非常に巨大なプロジェクト、こういうふうに言われると思います。
 御承知のように、この事業は、当初は米づくりということで始まりました。しかしすぐに減反政策が出ましたから米づくりはできない。その後酪農をやるんだ、こういうお話もあったのですが、これもまた生産調整だということで、今や土地の価格も大変上がりまして、営農全体として何をつくれば採算がとれるかということが実際にはまだ示されていないという状況です。
 農業の面でそうであるだけではなくして、実は環境にも大変大きな影響を及ぼすということが、この二十年の間に研究者や科学者の間からもどんどん指摘をされてまいりました。中海・宍道湖は御承知のように日本海とつながっておりまして、塩水が入っている汽水湖なわけです。これを日本海と遮断してしまって真水にしていく、淡水化するという事業がこれに伴っているわけでございますから、そういうふうに遮断すればため池同然になってしまって汚濁が進む、こういう状況が研究者やあるいは科学者の間からどんどん指摘をされてまいりました。
 そして、漁業者の方はどうかと言えば、この事業が始まるときには確かに農水省の補償に応じております。しかし、そのとき農水省から言われたことは、米づくりだ、国策だ、だからこれは食糧増産という大変国民的な観点から承諾をしてくれ、こういうことで、いわば泣く泣く判こをついたといういきさつがあるわけです。当時、農水省の説明では、これがもしも淡水湖になったとしても、漁業にとっては採算のとれる淡水魚介類が生息するようになるからという説明もあったわけなんです。ところが、先般農水省がお出しになりました中間報告書では、淡水になった場合はヤマトシジミは全滅する、そのほか宍道湖で言えば七珍味とも言われていた魚介類の多くは死滅する。採算がとれるような淡水魚介類は生息しないという報告になっているわけなんです。ですから漁民の方々は、あの当時補償には確かに応じたけれども、自分たちは補償金を返してでも反対したい、それが宍道湖や中海を守ることであり、孫子の代に悔いを残さないことだということで、宍道湖漁協のシジミ組合の方々がお金をかき集め、お金を借りて、二億四千万円農水省に持っていかれた、ただし農水省はお受け取りになりませんでしたけれども。こういう地元の状況がございます。
 そういう中で、こういう自然は、環境は断じて残さなければならない、ましてや日本の味を守るという観点からヤマトシジミも守らなければならないなど、周辺住民の淡水化に対する反対運動というのは非常に強いものがあります。実は昨年十二月にその周辺五市七町、これは鳥取、島根にまたがるわけですけれども、総人口で四十四万六千五百六十八人いるわけです。その総人口の過半数を超える、二十八万人を超える反対の署名がわずか二カ月足らずの間に集められたわけです。
 こういう状況であるときに、実は私不思議でならないのは、来年度予算案では、この事業に、農水省が概算要求をなさいました四十二億円、これを上回って四十五億円という内示が行われているわけなんです。
 そこで大蔵大臣にお伺いするわけですけれども、今私がるる説明してきましたように、地元の多くの住民はノーだと言っている事業、そして魚介類も死滅するという科学者たちのいろいろな指摘がある、また、大蔵大臣も施政方針演説などでおっしゃっているように、非常に財政事情が悪い、地方自治体への補助金の一割カットもせざるを得ないんだ、また農水省全体の予算も実は削り込んである、こういう中で、概算要求を上回る予算が大蔵内示の段階でついた、これはなぜなのかということの御説明をお願いしたいと思います。
#208
○竹下国務大臣 久しく選挙区へ帰っておりませんので、事情をいろいろ御説明いただきましてありがとうございました。
 おっしゃいますことは、恐らく五十九年度予算に対して一四%増のことかなと思ってお聞きしましたが、これは御案内のとおり、今までずっとやってきて、六十年度においてはこれまでの事業の進みぐあい等を勘案して、干拓地区内の圃場整備等を進めるために、所要の事業費として、今おっしゃいましたとおり四十五億円、対五十九年度一一四%を計上されたわけでございます。土地改良関係、構造改善局、全体のいわゆる農業基盤整備費というのがありまして、中には卒業生も出てまいりますし、だから進みぐあいによって予算がふえていくというのは、これはまたあり得ることでございます。
#209
○中林委員 次に、農水大臣にお伺いするわけですけれども、大臣は昨年十二月十八日の農林水産委員会で私の質問にお答えになりまして、宍道湖・中海の水質汚濁を進めたくないという住民の意向については十分に理解をしており、このような住民の意向を十分考慮し、また関係の意見を聞いて慎重に処置したい、こういうふうにおっしゃったわけですけれども、その立場は今もお変わりございませんか。
#210
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたしますが、昨年の十二月十八日の農林水産委員会で答弁した考え方は現在も変わっておりません。
#211
○中林委員 大蔵大臣、今お聞きになりましたように、農水大臣は慎重に対応していきたいということで、概算要求のときには四十二億円という要求を出したのに、それを上回る――それはいろいろ事業の進みぐあいの中で、大蔵大臣がおっしゃったように伸び率が違うというのはあろうと思うのです。でも、今、全体に進められている圃場整備などはもう非常におくれている。既存のところでもおくれているんで伸ばしてほしい、伸ばしてほしいというのは全国各地から私どもは聞いている。そういう中で、地元の人口の過半数を超える人たちが反対だ、あるいは科学者たちも反対、そして懸念を表明している、あるいは営農計画の見通しも立っていない、こういう中でありますし、また財政事情がいいならばいいですけれども、おっしゃっているように大変悪い、こういう中で概算要求を上回る、いわば大蔵省の段階でこうふえていくというのはどうしても異例の例としか思えないわけですけれども、いかがでしょうか。――大蔵大臣。いえ、大蔵大臣。
#212
○天野委員長 まあ農林大臣、答弁しなさい。
#213
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えしますが、実は大蔵大臣は私が答弁しておることを御存じないと思うので、一遍、答弁のそのとおり読んでみますから、大蔵大臣よく聞いてください。
  先ほどから構造改善局長が申しておるとおりでございまして、中海干拓事業の淡水化試行を実施するに当たりましては、関係機関との協議調整を行うこととしております。既に、鳥取、島根両県及び関係十二市町へは、中間報告の内客を説明し、協議を進め、また関係機関との打ち合わせを行っていると聞いております。
 宍道湖・中海の水質汚濁を進めたくないという住民意向については十分に理解しており、淡水化の試行に当たっては、このような住民の意向を十分考慮し、また関係機関の意見を聞いて慎重に対応したいと考えております。
ということでございます。(中林委員「聞いてないこと言わないで」と呼ぶ)
#214
○天野委員長 余計つけたのは何してつけたのか、教えてやりなさい。大蔵大臣。
#215
○竹下国務大臣 予算のつけ方、これはちょっと後から主計局長から説明をさせますが、別に私がつけたものでもございません。ちゃんといわゆる国費ベースでは減って事業費がふえておる、こういうことになります。それは、概算要求の仕方と、それから今一四%増とおっしゃったのは五十九年度に対しということで、概算要求の問題とはちょっと別だと思いますが……(中林委員「それは三億」と呼ぶ)私よりも詳しいようでございますから主計局長から答弁をさすわけでございます、この技術的な予算の組み方につきましては。
 そこで今おっしゃっている問題は、私も恐らくこの基盤整備そのものというよりも淡水化の問題を念頭に置いて御質問なさっておるんじゃなかろうかと推察をさせていただいておるわけでございますが、その問題どこの予算との問題は余りかかわりがないように私は承知いたしております。
#216
○中林委員 主計局長の答弁は結構でございます。(竹下国務大臣「わかっていないから」と呼ぶ)いえいえ、結構です。――結構です。私が言っているんですから結構でございます。(竹下国務大臣「しかし、説明させてくださいませと言っている」と呼ぶ)いえいえ、結構でございます。
 それで、淡水化事業を念頭に置いて、それには予算は関係ないとおっしゃいますけれども、確かに今直接その樋門を締め切るとかそういう作業には入っておりません。しかしそれを進めていくために今日までいろいろな予算がついてきているわけですね。ですから、干拓の事業と淡水化の事業合わせもって五百七十七億円というのが五十九年度末までにつく、こういうペースになっているわけですから、それは大蔵大臣、淡水化の方にはついてないなどというのはおかしいんじゃないかと思います。その点を指摘して、次の質問に移りたいと思います。
 先ほどお配りしました資料、これをぜひ見ていただきたいんですけれども、だれが考えてみましても、地元の大半の人たちが反対している、汚れる懸念もある、そして漁業も大変だ、営農計画の見通しもない、こういう中で、なぜこういうふうに予算もふえながら進められていくのかというのは非常に疑問があるわけですよ。
 そこで、それならばこういう仕事をすることによってだれか利益を受けるところがあるのではないか、まあこういうことで、実はこれまでの事業で一億円以上の工事の発注状況を調べてみましてその上位十社、これを抜き出したものを実はお配りしているわけです。これを見ていただきますと一目瞭然だと思いますけれども、この上位十社に入っているのはいずれも大企業か大資本系列の会社になっているわけですね。しかも、農水省の仕事でございますから天下りを見ましたら、かなりしっかりと天下りの実態が明らかになっております。
 それからもう一つ大切なことは、この受注を受けた企業の政治献金、これは自民党に渡っている最近五年分の政治献金ですけれども、まあ相当額ある。そのうち一億円を超えるものが十社中まさに四社もある。その割合を見ていただきますと、これまで受注した金額の大体一割程度が政治献金に値する、こういう状況になっているわけなんですね。政治献金そのものの届け出は大体三割ぐらいしか届けられてないと一般に言われている状況の中でこれぐらいですから、これは大変なものだということがおわかりいただけると思います。
 農水省の仕事でございますから佐藤農相との関係がないかということでこれまたちょっと調べてみたんですが、佐藤農相は五洋建設の株を十万三千株お持ちでございますね。これは資産公開に出ておりましたので見さしていただいたんですけれども、その五洋建設は昭和四十九年から五十六年に七件、十億円以上の受注を受けているということなんですね。これはいずれも大臣におなりになる前のことでございますから一応法などには触れないものですけれども、やはり今後の問題として、自分がたくさん株を持っているところに多く仕事をやるなどというようなことは、だれが見ても公平だとは思えないと思うんですね。この表をごらんになって、佐藤農水大臣、天下りの実態だとか政治献金の問題だとか、どのような御感想をお持ちなのか、一言お伺いしたいと思います。
#217
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 指名競争における業者選定というのは、先生御存じと思いますが、会計法令に基づき指名参加資格を有する業者の中から、指名基準に従って信用度及び技術的適性等を総合勘案して当該工事に適した業者を選定しているというように聞いております。そんなことで、この事業については規模が大きく内容的に高度な技術を要する工事が多いためこういうふうに選ばれたというように解釈している。また、実は我が省から各企業にいろいろな方が、まあ天下っているという今言い方をされましたが、私は実は適正な順序に従って出るならば、逆に我が省の有能な人材が第二の人生を送っておる、そして日本の国土再建に役に立っておるということで大変幸せなことだと考えております。
#218
○中林委員 私が問題にしたいのは、政治献金の問題だとか天下りの問題はあと少しお話をさせていただきますけれども、そういう実態じゃないのですよ、実は。大変利権につながるような状況というのがあるからお示ししたわけです。それから、いわば技術的だとかあるいは大変大きな仕事なので、そういう適正な企業に発注した、こういうふうにおっしゃるわけですけれども、私もそう言われるんじゃないかと思いまして、実は県庁に行きまして県内の企業が一体この事業でどういう仕事を受けているかということも調べてみました。一億円を超える仕事で県内の企業が実は一社だけ入っておりました。そのほかは、例えば五千万円ずつ切った仕事にしましてもほとんど地元の業者は入っていないということなんですね。ですから、本来の公共事業のあり方からすれば、地元にも景気がよくなりますよというようなお話が一般的にはありましたけれども、地元の企業でもできるような業務内容であってもそれがされてないという実態なんですよ。ですから、これを見ていただければすべて県外の大手の建設会社でありますし、天下りもしっかりとっていらっしゃる、政治献金もしていらっしゃるということ、何よりもこの工事でだれが利益を受けているかということを物語った資料だ、私はこのように思います。
 そこで、会計検査院の方にお伺いするわけですけれども、この中海干拓事業そのものが、先ほどるる説明しましたように大変な国費のむだ遣いになっているんではないか、こういうふうに思うわけです。ですから、ぜひこの事業そのもの全体を調べていただきたいのと、あわせて実は先ほどのお話に、農水大臣が適正に、しかもそういう仕事を受けるに値できるところが受けているんだとおっしゃったのですが、その中で実はちょっと大変だなと思う業務が見つかったわけですね。
 これは商船三井海事、この会社なわけですけれども、ここが実は昭和五十二年から毎年三億数千万円ずつ受注しております。業務の中身といいますと、中補閘門操作業務、つまり日本海と中海をつなぐ閘門が今できておりますけれども、その開閉作業だけだ、こういうことになっているわけですね。もう少し詳しくお話ししますと、勝鬨橋みたいに実は閘門があいたり閉まったりするわけですよ。それで大型な船が通るときには橋の下を通りませんから、上げる。この場合、自力で通る船は中央管理塔でコンピューター操作だけで上げていく。ただし、もう少し大型の貨物船などになりますと、両側にレールがありまして、そこにロープをつないでそしてタグボートで、補助船でもって大体閘門内百五十メートルを誘導していく、こういう安全に通過するという業務の中身になっているわけですね。
 この業務についていろいろと調べてみましたら、中央管理塔には大体通常数人いればできる、これはコンピューター操作です。それから補助が要る、ロープをつないだりする場合は、地元の事務所では二十数人が必要だ、こういうふうにおっしゃるのですが、私もたびたびそこを通りますし、実際に見ますと十人以下で十分だという状況なんですよ。夜は、現に今でも七、八人でこの業務をやっていらっしゃる。しかも補助が要る、いわばタグボートなどが必要なこの業務というのは、一日わずか四回か五回にすぎないわけですね。一回の必要時間というのが大体十分から二十分です。そうしますと、一日大体一時間内外のいわば業務になっているわけですね。そこに毎年三億数千万円ずつお金が出ている、これは私はどう考えてみても適正じゃないなと思うのです。そうしてそこの従業員の人たちは、じゃ本当に業務が大変なのかということを聞きましたらば、ほとんどが地元の人を雇っているわけです。この地元の従業員の方々は、本社の社員とは随分差別もされて、一年契約でやっているわけですから、賃金は非常に低いことになっております。非常に問題だと思いますのは、干拓事務所の方の説明では、特別の技術が必要なんだ、だから大阪商船三井船舶の一〇〇%出資会社であるこの三井海事に一社指名入札で毎年やっているんだ、こういうお話なわけなんですね。こういうことを考えると、まさに文字どおり、こういう一例ではありますけれども、大資本に吸い上げられるためにお金が出されているのではないかという疑いが持たれるわけです。
 ですから、会計検査院に、この中海干拓淡水化事業そのものが当初の予定の工期よりも随分、十年以上も延びるとか、あるいは当初の工事予算よりも数倍にも膨れ上がっているという状況から考えてみまして、ぜひ調査をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#219
○磯田会計検査院説明員 中海干拓事業につきましては、五十六年四月に実地検査を行いまして、他の干拓事業とあわせまして五十五年度の検査報告におきまして、特に掲記を要すると認めた事項を掲記してございます。その後は、検査スケジュールの都合で現在まで検査を行っておりませんが、ただいま御指摘の点も含めまして、なるべく早い機会に検査を行いたいと考えております。
#220
○中林委員 次に、天下りの問題でお伺いしたいと思うのですけれども、人事院総裁にお伺いします。
 この天下りの資料の中に、農水省にいたから、天下ったところで後々農水省の仕事がとりやすくなったという事例が実はあるわけですね。これは昭和四十八年から四十九年にかけて中海干拓事務所次長を経て、昭和五十三年七月に関東農政局建設部長を最後に梅林建設に天下った宮本国雄氏の場合は、中海干拓で直接仕事をした人であるわけですね。天下ると一年後に、大林組とのJVで十億八千万もの中海干拓工事をとっているわけです。人事院の報告では、官職に在職中に同社と契約関係がなかったということでこの天下りは承認されているわけです。
 ただ法に触れないからということでこれは見逃せないと思いますし、実はもう少し調べてみますと、実に法に触れる状況もこの中に出てまいりました。
 この例は、昭和五十三年四月に九州農政局建設部付を最後に退職いたしました、五洋建設福岡支店技術顧問として天下った柴田源一氏。これは、離職後二年間は無断で職務を変えてはならないはずなのに、天下ったその夏に、福岡支店及び南九州支店次長付営業部長になり、さらに一年後の夏には、福岡支店及び南九州支店の営業部部長になっているわけです。この柴田氏の場合、退職前の五年間の経歴を見ますと、九州農政局管内一円の農業水利の事業所長だとかあるいは熊本施工調査事務所長など、こういうところを歴任しているわけですね。ですから、もとの機関に働きかければ非常に仕事がとりやすいという状況になって、しかも二年間は変えてはならないという規則にも違反する事例だと思うわけです。
 ですから、人事院総裁、この異例についてはどのように対処なさるのか、そして、もとの職を利用して利権が及ぶようなそういう天下りの状況についてはどのようにお考えなのか、お答えいただきたいと思います。
#221
○内海政府委員 ただいま御指摘のありました事柄は、報告によりますと実はあったようでございますが、人事院としましては、一たん承認をいたしました場合でも、その後二年以内におきましてその行きました先の地位を変更する場合には、改めて人事院の承認を必要とするわけでございます。その場合の承認の必要ということは、例えば上級の地位に進むとかいうふうなことがあるわけでございますが、現実の場合に、全くの横滑りのような地位に移るとかいうのであれば別でございましょうが、そういうふうな異動がある場合におきましては、一応人事院に対してその承認を求める。もし、そういうことが法に触れる状態であります場合は、その者に対して、あるいはもとの官庁に対しましても、もとの地位に戻る、要するに異動する前の地位に戻る、あるいは出世にならない地位に戻る、配置がえする、そういうふうな措置をとらせるとともに、本人からは始末書をとる、あるいはもとの官庁に対しましてはその事実を調査して報告してもらう、こういうふうな措置をとっておるわけでございます。
 今お話しのありましたように、人事院のいわゆる天下りということに対する規制というものは、在職した官庁におきまして、それが就職しました会社との関係で、いわば公務の秩序を乱し、あるいは産官癒着というふうな状態が生じないようにするためにこういう措置がとられておるわけでございますから、そういう趣旨に合うように、私どもとしても厳しく承認の際に実情を調べまして適切な措置を、今までもとっておりますが、今後においてもとっていきたい、こういうふうに思います。
#222
○中林委員 先ほど申し上げました柴田氏については、違法があるということをはっきりお認めになって、時効でございますので直接の処分は行わないのだと思いますけれども、たびたびこの委員会でも取り上げられた問題ですから、総裁おっしゃいましたように、厳重に今後とも対処していただきたいと重ねて申し上げておきたいと思います。
 最後に、環境庁長官と総務庁長官、時間がございませんのであわせて御説明させていただいて、それぞれから御答弁いただきたいと思うのですけれども、今までに述べてきましたように、地元ではこの中海干拓・淡水化事業というものについて大変な反対があるわけなんですね。一つは環境の問題ですね。これは本当に孫子の代にまで影響を及ぼしますし、孫子というよりもずっと地球が続く限り、これは大変な影響を及ぼすものになっていくわけなんですね。歴代の環境庁長官は、この事業については、記者会見だとかあるいは国会の論戦の中で非常に懸念を表明されております。鯨岡長官のときも、水門を閉めるためには閉めるための準備が要る、下水など完備して、周りの汚いものが入ってこないようにしてから閉めるべきだというようなことをおっしゃっておりますし、また原長官の時代にも記者会見をなさって、汚濁しないことがはっきりするまで淡水化は実施すべきでない、こういうふうにおっしゃっているわけなんです。
 ですから、世界湖沼会議も開かれましたし、湖沼法もできましたし、そういう観点からいきますと、ぜひこれは中止すべきだという強い態度を石本長官にはとっていただきたいし、それからやはり現地を何としても見ていただきたい。宍道湖は、小泉八雲もこよなく愛した非常に景色の美しいところなわけです。ですから、これはできるだけ早急に行って見ていただきたいということを環境庁長官の方にはぜひお願いしたいと思います。
 そして総務庁長官の方には、私は、いわばこういう事業をやってこられて、地元の大半がいろいろ懸念を表明していることに大切な国費をつぎ込むよりは、本当に行政改革を進めていらっしゃる立場から考えでいけば、当然こういうところを行政改革の対象にして、今農林水産予算なんか随分削られている状況でございますから、真に農民だとか漁民が望む分野に振り向けるべきだというふうに思うわけですよ。
 これは私が指摘をするまでもなく、実はここに一九八一年十月十日の新聞のコピーがあるわけですけれども、それを見ますと、当時の行管庁長官、これは中曽根さんなわけですけれども、この方が閣議終了後に鯨岡長官と話し合われた記事が出ているのです。鯨岡長官がおっしゃっているには、「二十年前に決めた計画を、その後の社会情勢の変化にもかかわらず、そのまま続けるのはおかしい」、こういう「時代遅れの干拓などこそ行政改革の対象にすべきではないか」とおっしゃると、中曽根行管庁長官はそのとき「まったくその通りだ」、こういうことをおっしゃっているわけですね。ですから、本当に真の行政改革を進めるという立場からはぜひこれを行革の対象にしていただきたいということを、あわせてお聞きして申しわけございませんけれども、両大臣の方からぜひお答えいただきたいと思います。
#223
○石本国務大臣 宍道湖及び中海の淡水化につきましては、環境庁としては非常に従来から重大な関心を持ってきております。両湖沼の水質汚濁につきましては十分な検討がなされるようにということを考えておりまして、このような観点から、鳥取、島根両県と連絡を密にして、農林水産省から提示されました中間報告などについて慎重に検討してほしいということを申し入れしております。
 それからなお、私自身、宍道湖とか中海の現地視察につきましては、まだ考えておらなかったところでございますけれども、諸般の情勢を勘案いたしまして、機会がありましたら行かせていただきたいと思っております。ありがとうございました。
#224
○後藤田国務大臣 この工事、最初は御案内のような地元の熱心なあれで着手したわけですね、ところが客観情勢が変わりまして、干拓事業なりあるいはシジミですか、そういったようなことで地元に反対運動があることは仄聞はしておりますけれども、現時点では農水省が中間報告も出し、関係省庁あるいは地元の関係団体といろいろ協議をなさっていらっしゃる段階でございますから、現時点で私の方から行政監察をやるという考え方は持っておりません。と申しますのは、私の方の役所は全体としての行政効率を問題にするわけですから、個々具体的な問題についてはまず原則としてやらない。そして、行政全体、例えばこういった干拓事業がたくさんありますね、それ全体を監察するというようなことはやっておりますけれども、具体的な問題は今日まで余りやらないということですから、しばらく見守らせていただきたい、かように思います。
#225
○中林委員 先例地ではすべて失敗しておりますので、二度と誤りを繰り返さないよう強く要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#226
○天野委員長 これにて中川君、中林君の質疑は終了いたしました。
 次に、永江一仁君。
#227
○永江委員 ちょっと質問の冒頭に委員長にお尋ねしたいのですが、労働大臣と大蔵大臣は何時ごろお見えになりますでしょうか。ちょっと質問の時間、順番の都合等がございますので、教えてください。
#228
○天野委員長 労働大臣はすぐ来るそうです。
#229
○永江委員 それでは、せっかく佐藤農水大臣もお見えでございますから、農水大臣に関する質問からさせていただきます、後の御都合もあるようでございますから。
 いわゆる日米捕鯨協議につきまして、一、二点お尋ねいたしたいと思います。
 この問題についてはもう十分御承知のとおりかとは思いますが、昨年十一月十三日、水産庁のこの協議についての報告書によりますと、「日本側が商業捕鯨モラトリアムに関する異議申立ての撤回を一九八八年四月一日までに行うことを明年四月一日」ということは、ことしの四月一日「までに表明する場合には、次の各捕鯨について、パックウッド・マグナソン修正法及びペリー修正法による制裁を行わない。」こういう報告が来ておるわけでございます。しかしこれは、裏返して言えば、この四月一日までに異議申し立てを撤回しなければ、いわゆるアメリカの二百海里沿岸漁業に制裁を加えてくる、まことにこれは一種の恐喝といってもいいような実情で、既に一カ月そこそこのうちに決断をしなければならない、こういう問題を抱えておるわけでございまして、これは捕鯨に関係しておる乗組員その他の大変大きな重要問題になっておるわけでございますが、このことに対して農水省としてはどう対処されようといたしておるのか、お尋ねいたします。
#230
○佐藤国務大臣 永江先生にお答えさせていただきます。
 実はもう今先生の御指摘のとおりでございまして、極めて厳しい困った問題と思っております。そんなことで、我が省としては、このような情勢を踏まえ、米国を初めとした主要関係各国との協議を通じ、我が国の捕鯨が何らかの形で存続し得るよう、現在最善の努力を尽くしておるところでございます。
#231
○永江委員 これは、最善の努力はぜひ費やしていただかなければならないわけでございますけれども、何せ相手がアメリカ、しかもこの問題については日本の食文化、さらには、若干捕鯨禁止というやり方が非科学的な感情論――確かに日米にも、自動車の問題その他いろいろな摩擦もございます。しかし、それは一応お互いに理屈が若干ある問題での対立てございますけれども、事この捕鯨に関しましては若干非科学的な、非常に感情論の中から日本が苦境に立たされておるということを感ずるわけでございます。そういう意味で、この四月一日までの異議申し立てはやはり異議として、正しいものは主張していくという姿勢はぜひ貫いていただきたい。
 あわせまして第二の問題といたしまして、既に今日、我が国の南氷洋の捕鯨船団があちらで今仕事の真っ最中ということでございます。ところが、この南氷洋の唯一の捕鯨種のミンク鯨の捕獲枠がまだ未決定というか、片一方では操業をしておるわけですけれども、この異議申し立てその他の関連の中でIWCは千九百四十一頭ということを言ってきておるわけでございますが、我が国はそれは認めないということで、しかしながら船団は南氷洋でもう既に操業をしておる、こういうことも、これまたここ一カ月そこそこの間に一つの見通しを立てなければならないというところに来ておるわけでございますね。これに対して政府は、いつごろ、ことしの捕獲枠の何頭ということをどのようにして決定していくのか、お尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、大西委員長代理着席〕
#232
○佐野政府委員 お答えいたします。
 先生御高承のとおり、南氷洋のミンク鯨の捕獲枠につきましては、日本は異議申し立てを行っておりますから、昨年のブエノスアイレス会議の決定に拘束されずに独自に捕獲頭数を決め得る立場にございます。
 先生のお尋ねの御趣旨は、そういうことではなくて、パックウッド・マグナソン修正法の発動をされる危険なしにとれる頭数は何頭であるかというお尋ねであろうかと拝察いたしますが、そういう意味で申しますれば、アメリカ側は千九百四十一頭を超えれば直ちにパックウッド・マグナソン修正法を発動すると申しております。私どもといたしましては、こういう大変厳しい状態でございますが、アメリカの出方を見きわめながら、関係業界とも十分協議をした上で対応に遺憾なきを期してまいりたいと考えております。
#233
○永江委員 いや、今のお答えは、若干私の質問には答えていないのでございます。その千九百四十一頭なら、もうそれでいいのですね。それに対して、政府としては異議申し立てを行っておるというこの経緯の中で、どういうふうに対処されるのか。千九百四十一頭以内ということであれば、私何もこのことで質問する必要ないのです。それじゃ、千九百四十一頭というこの要求に屈して決定するのか、そうでないのか、お答えいただきたいと思います。
#234
○佐野政府委員 私どもは異議申し立てを既に行っておりますから、ブエノスアイレス会議の決定に拘束されずに独自に捕獲頭数枠を決め得る立場にございます。一方アメリカ側は、千九百四十一頭を超えればパックウッド・マグナソン修正法を発動するというふうに申しておりますので、そういう厳しい状況の中で慎重に検討をして、遺憾のないように対処をしてまいりたいと申し上げたわけでございます。
#235
○永江委員 若干しつこいようでございますけれども、既に南氷洋に日本の船団は行って今捕獲しておるわけでしょう。慎重にということだけでは、なかなかその当事者にとっては安心できないわけでございます。いつごろ決定するのか、それだけでもまずお答えいただけませんでしょうか。
#236
○佐野政府委員 お答えいたします。
 安心させるという御趣旨は、パックウッド・マグナソン修正法が発動されないという安心をさせるという御趣旨であるというふうに拝察をいたしまして、そういう意味でなら、要するにパックウッド・マグナソン修正法を発動するかしないかということは、アメリカの国内法でございますので、アメリカ政府との関係において、私どもが慎重にアメリカ側と対処をしていくというふうにお答えをせざるを得ないということでございます。
#237
○永江委員 水産庁長官の立場からいえば、漁業、漁民全体の立場でのお答えだということはわかるのです。ただ、私が質問しておるのは、きょうは捕鯨船団を組んで行っておる者の立場に立っての質問でありますから――わかるんですよ。このことでパックウッド・マグナソン修正法が発動されることによって捕鯨以外の漁業が打撃をこうむるという、その心配の視点もあることはわかるのですけれども、現に捕鯨船団が南氷洋に行っておる、しかも捕獲しておるけれども、一体何頭捕獲していいかわからないということ、これに対してもう早急に答えを出さなければならないじゃないかということをお尋ねしておるのでございますけれども、いかがでしょうか。これは手のうちを見せられないということはわかるのですけれども、大体ある程度の見通しについてお答えいただきたいのです。
#238
○佐藤国務大臣 永江先生にお答えします。
 永江先生も大変難しいなと思いながら御質問されていると思うのですが、実は大変、水産庁長官も答弁申しましたが、はっきりしない答弁であるいは不満足かもわかりませんけれども、とにかく最善の努力を尽くしたいと言うしか今言えないわけでございます。
#239
○永江委員 時間の関係もございますから、先ほど申しましたように、この捕鯨に関しましてはいささか非科学的、まことに感情的な推移の中で、捕鯨に携わっておる者が一方的なしわ寄せを受けておる、この実情をぜひともよく御勘案いただいて、最善の努力をしていただきたいということをお願いいたしまして、どうぞ大臣、結構でございます。
 それでは次に、労働大臣お越しいただいておりますので、労働時間の短縮の問題につきましてお尋ねいたしたいと思います。
 これはもう今さら言うまでもございませんが、我が国は自由世界第二位の経済大国になっておるわけでございます。しかしながら、この労働時間ということに関しては世界の潮流におくれておる。本年一月二十五日に同盟が行いました労働時間短縮に関する国際シンポジウムにおきましても、大変厳しい批判が各国の労働組合の指導者から浴びせられておるわけでございます。現に、これはもう労働大臣はよく御承知だと思いますが、大体、年間総労働時間量、日本は二千百三十六時間と、二千時間をオーバーしておる。しかし、大体の先進国が二千時間以内であるということは、アメリカが千八百五十一時間とか西ドイツの千六百八十二時間というように、非常に大きな開きがある。これが貿易摩擦の問題の中にもやはり出てまいりますし、我が国がこれからの時代を生き抜いていくために、中曽根総理はいつもおっしゃるように、まさに国際化の中で生きていかなければいかぬ。国際化、老齢化社会、そして技術革新、このことをどう乗り切っていくかということが我が国の政治に課せられておる最大の課題であるということは、大体これは意思統一ができるわけでございます。そういう意味で、国際化という中で労働時間について日本だけが飛び抜けて働くということ、この長時間労働というものはまことに国際化という波から見てゆゆしき問題である。このことについて、まず労働大臣の御見解をお聞きしたいと思います。
#240
○山口国務大臣 確かに、日本は長時間労働で失業を輸出している、こういう諸外国からの厳しい批判も出てきていることも事実でございますし、経済摩擦と同じように労働摩擦という問題が新たな視点から論議を呼んでおるということも、私ども率直に受けとめざるを得ないというふうに考えております。そこへ持ってまいりまして、今永江先生の御指摘のように、これは人生八十年時代、大変喜ぶべき傾向であると同時に、この八十年時代の新たな問題として、高齢者の雇用の問題というのが非常に重大かつ深刻な問題になっておる。また一方においては、技術革新でロボットだ、オフィスオートメーションだということで非常に機械が人間の職場にかわる、こういう状況も予測されておる。さらには女性が、今まで家庭におられた方も含めて、女性の職場進出、こういう問題もございます。それやこれや考えますと、二十一世紀を待たずに日本の労働人口は、現在六千万でございますが、六千五、六百万人に増加するんではないか、こういうふうに私ども推計しているわけですね。
 そうすると、一口に五百万、六百万というと、これは大変な員数でございますから、私は、今までよく働いた日本人はそろそろ休もうじゃないか、お互い休養も必要じゃないか、こういう視点であると同時に、きょうからあすの問題、あるいは二十一世紀の国民生活のことを考えますと、どうしても幾つかの政策、例えば産業政策や何かで仕事をふやしていくというための努力と同じように労働時間の問題、いわゆるワークシェアリング的な政策というものを、今からお互いが真剣に考えていく必要があるんじゃないかというふうに私ども認識しているわけでございまして、そういう点を含めて、ことし基準局における労働基準法研究会等のいろいろな論議を踏まえて、それが大体七月ごろ一つの結論といいますか方向が出ますので、そういう点の論議を踏まえて、これからの労働時間問題についてどうこれを取りまとめるかということについて一つの考えをまとめていきたいと、具体的に検討を考えておるところでございます。
#241
○永江委員 ぜひ労働大臣、具体的にやっていただきたい。
 そこで、具体的な問題の一つといたしまして、労働基準法の改正ということまで踏み込んでいくのかどうか。実は、私もいろいろ調べてみたのでございますが、ILO四十七号条約というのがあるのでございますが、これは週四十時間制、何と一九三五年に条約ができておる。私、最初、これは印刷ミスじゃないか、一九四五年の間違いじゃないかと実は思ったぐらいでございます。一九三五年というと私が生まれるより一年前で、労働大臣はまだ私よりお若いわけでございますから、我々が生まれる前に週四十時間というILO四十七号条約は、非常に先進的な――日本においてはその当時、これは一九三五年といえば戦前でございますから、まだ労基法もなければ、労働者は一日十何時間働かされておったという時代の中から、我々の先輩の努力の結果、昭和二十二年には労基法ができまして週四十八時間と制定されたわけでございますけれども、それ以来でも今日までもう三十数年という月日がたっておるわけでございます。
 そういう意味で、今労働大臣のお答えの中で、そういったいろいろな意見を集約した中で具体的にやりたいというお答えでございましたが、その具体的な中にこの労基法の労働時間に関する改定が入るのかどうか。入れていくと、そしてまあ我々としては思い切って週四十時間ぐらいに改正すべきであると思うわけでございますが、この点いかがでございますか。
#242
○山口国務大臣 日本は労働基準法で週四十八時間を規定しておりますので、したがってILOの条約の批准をしていないわけでございますけれども、四十時間、先生の御指摘のように、一つの労働条件の改善、労働福祉の立場からも非常に大切な御指摘だと思いますが、日本の企業の場合は大企業、中小企業、零細企業、また地域別格差その他、やることは、法律でございますから国会等で決めることもそれは不可能ではないと思いますけれども、まずやはり生きた経済の活力をそぐことがあってはならない。そういうことが新たな雇用の不安を呼ぶということでも、これまたいけない。その辺の理想と現実の接点をどこに求めるか。こういうことで、我々としては今労働基準法研究会でこの夏までに一つの考えを取りまとめて、それを労働時間の問題としてどう法整備していくかということの具体的作業は、夏以降に国会等の御論議もいただきながらひとつ最終的な取りまとめ作業に入りたい、こういうことで考えておりますので、ひとつよろしく御理解のほどをお願い申し上げたいと思います。
#243
○永江委員 いろいろ経済的な状況も見てということはわかるのですけれども、このILO四十七号条約の週四十時間制、これはしかしながら現実にアメリカ、イギリス、スウェーデン、フランス、カナダ、オーストラリアでは、既に週四十時間制を法制化しておるわけですね。そういうことからすれば、決して日本が進み過ぎているとは言えないのですよ。私は昨年、ここにいらっしゃる倉成先生を団長にしてEC諸国を見てまいりましたが、ドイツ労働金属同盟あたりも三十八・五時間、オランダ労働党なんて週二十五時間労働、ちょっとあそこまでいくと我々も若干抵抗を感じるのです。
 ただ、私もヨーロッパに行きまして感じましたことは、一体、働き過ぎの日本人が悪いのか、働かなくなった彼らが悪いのか、これは非常に、一人一人の人生観にまでかかわってくる問題ではあるのです。そう思いました。それで、私はあちらのドイツ、ジュッセルドルフ駐在の日本の商工会議所の幹部に会ったときにも聞いたのですけれども、皆さん頭を抱えるわけです。日本人は働いておるぞ、彼ら働かなくなったと、こう非難するけれども、一方、その彼らがやはり夏には一カ月も二カ月も休んで豊かにゆとりのある生活をしておる、実にうらやましい、こういう話でございます。
 ですから、先ほどの国際化という問題の中で、我々も確かに、この間新聞を読むと、労働大臣のところの秘書さんは毎朝七時、六時から働いてえらいこき使っておられるそうでございます。働くことは一種の美徳でありますから、私はある程度の問題意識はありますけれども、しかし、そういう国際化の中で、そろそろ一遍労基法改正、週四十時間ぐらいのことを思い切ってやるという時代に来ておるのじゃないか。ここにいらっしゃる方はないと思いますが、労働大臣も自民党の中の頑迷固陋な方々に取り囲まれて大変御苦労しておると、この間もNHKのニュースでやっていたのを見ましたけれども、これはやはりひとつここらあたりで日本としても内なる改革をやっていく。日本の歴史を見たときに、あの黒船が来たときあるいは戦争に負けたとき、外圧によって初めて脱皮していっておるということは、そろそろ我々も考えなければいけない。思い切った脱皮というものを政治の先見性においてやるべきであると私は強く思っておるのです。
 そういう意味で、労働大臣、ぜひ力を入れて、せめて労働団体が強く主張しておるところのこの太陽と緑の週としての連休を法制化していく、そういった、週四十時間というのは無理であれば、せめてこの法制化ということを勇気を持ってこの国会に提案するおつもりございませんでしょうか。
#244
○山口国務大臣 週四十時間の前には四十五時間という問題もあるわけでございますが、いずれにしましても、私は、労働時間の短縮の問題は、中小企業とか零細企業、流通業との兼ね合いというものは常に考えなければならないというふうに思います。しかし、今先生が御指摘のように、労働時間をめぐる労働条件の改善は、三年後、五年後の中小企業やそういった零細企業の流通業の生きる道は、ある意味においてはそこにしかない、そういう雇用の安定からくる経済的な安定というものは、これは一番大事な問題だというふうに私は考えてもおります。
 そこで、先ほど来から申し上げておりますように、この夏をめどとして、基準研究会の一つの結論を待って、国会等でも御論議をいただきながら、この労働基準法の改正、法整備を含めてひとつ御提案、御相談をさせていただきたいというふうに考えております。
 ゴールデンウイークの連続休暇の法制化が労働団体から強く要望されておりますが、これは我々は行政指導で今進めておるところでございますけれども、本来は週休二日制の問題、それからやはりもう既に権利として確保されておる年次有給休暇を、私、労働団体の皆さんに申し上げるのですが、もう権利として保全している有給休暇を完全消化するという、まずそこの意識革命が必要なのじゃないかということを申し上げておるわけでございますが、しかし、この連続休暇の持つ労働問題あるいは経済問題というのは非常に大事でございますから、そういう意味で、政府提案という段階にございませんけれども、五月三日、四日の間の問題については政党間でいろいろ御協議いただいておるようでもございますので、その点などを中心として、一つのゴールデンウイークの問題、正月の問題等も進めていくという作業が大事じゃないかというふうに私は考えております。
#245
○永江委員 現時点で労働大臣としてそれ以上のお答えができにくいのかもわかりませんが、ぜひひとつ、政治はやはり先見性を求められておるのでありまして、私は、実は二十年以上前にドイツへ行きましたら、ドイツ労働総同盟の本部に行ったときに非常にびっくりしたことは、当時ちょうどドイツでは週休二日制が労働運動の一番の中心でございました。壁にかかっているポスターを見たら、かわいい男の子が写っておって、小さな字が何て書いてあるのかと聞くと、「土曜もパパは僕のもの」、これが週休二日制要求の労働総同盟のポスターだったのです。私は別に労働組合出身じゃございませんが、感覚としては、日本ではこぶしでも振り上げたいかついポスターで週休二日制をかち取ろうという発想しかないときに、私は非常に感銘深くして帰ってきて、いろいろなところでその話をしたのを覚えておるのですけれども、そういうことからいくと、今日、日本の労働運動、労働団体が太陽と緑の週なんていう標語をつくって、非常に進歩しているのですね。それに対して政治の方が何となくおくれぎみだ。私は、本当にそういう意味で、ぜひとも大臣の決意と同時に、やはり意欲というものを特に強く要求しておきたいと思うのでございます。
 時間の関係その他大臣の御都合もあるようでございますから、最後に一点お尋ねいたしますが、労働時間を短縮すると同時に、その短縮した時間をやはり有効に使ってもらわなければいかぬという次の問題が確かに出てくるわけでございます。労働時間を短縮したけれども、家でごろごろテレビ見でおるとかパチンコしておるのじゃ、これは余り文化的な生活とは言えない。そういうことで、その余暇利用という問題。
 あわせまして、この間我が党の塚本書記長が代表質問いたしました例の年金の船、これも年金のあれで船をつくって、そして一カ月でも二週間でもゆっくり旅行する、こういうことも非常に意味があると私は思っておるわけでございまして、先般のこの予算委員会の代表質問でも、総理以下、これは積極的に受けとめて考えようというお答えをいただいておるのでございますけれども、労働大臣としても、ぜひともこの点についても積極的に取り組んでいただきたい。御決意をお聞きして、終わりたいと思います。
#246
○山口国務大臣 諸外国の中には、国務大臣余暇担当相と、国民の余暇時間を研究するというような部署もあるぐらいでございますが、日本でそういうポジションをつくると、幸か不幸か六割以上の人が批判するような、勤勉を誇る部分もございますが、やはりこれからの時代の中で、永江先生の御指摘のようなトータルとしてのライフサイクル、あるいは高齢化時代というのは、寝たきりであったりぼけ社会ということでは意味がないわけでありまして、健康な高齢化社会というものをつくるのがやはり政治の責任だ、政府の大きな責任だということを考えますと、そうしたライフサイクルの中に余暇活動をどう政府も国民とともに考えていくかということは、私は労働行政の中の非常に大きな仕事だというふうに考えております。
 年金の船は、厚生省の所管の年金積立基金でございますし、これは将来の給付のために積み立てているということもございますので、労働大臣が、こうしたらいいじゃないか、ああしたらいいじゃないかと言うことも僭越でございますが、私自身も明治百年の商工青年婦人の船の団長で、八百名ばかりの若い人たちや御婦人の方々と船で一カ月ほど旅したこともございますが、集団生活の訓練のない若い人たちにも非常に効果的な研修であった。自民党なども党としてそういう研修船を出してやっておるようでございますし、私は、こういう問題は、政党間の問題、あるいは厚生省のみならず、労働省でございますとか総理府でございますとか、いろいろな各関係省庁が集まって、できるできないの結論は別として、もう少しやれるんじゃないか、こういう立場から議論をする必要があるんじゃないかというふうに思います。
 ただ、維持の問題とか、なかなか船というのは、先生も御承知のとおり経費とか運航してないときの維持その他も、いわゆる年金の給付金でございますから、その辺の経済的な運営……(「言いわけはしない方がいいよ」と呼ぶ者あり)いやいや、それも出しませんとこれはやはりなかなか結論が出ないということもございますので、私は関係省庁にもこういう問題は相談をする必要があるというふうに考えております。
#247
○永江委員 労働大臣の一般論、観念論としての意欲はわかるのでございますが、どうも具体的なお答えが一つもいただけなかったのはまことに残念でございますけれども、時間もありませんし、これからひとつ夏に向かって具体的な労基法の改正その他、取り組むということを見守らせていただきたいと思います。よろしくお願いいたしたいと思います。
 それでは、次に、大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 電電民営化の株売却につきましては、当委員会その他でも、大蔵大臣としてはまたこの質問がとお思いになるぐらい出ておるかと思います。私は、私ごとでございますが、逓信委員会に所属いたしまして、去年一年間このことに真剣に取り組ませていただいた。我が党といたしましては、基本的に行政改革賛成という観点等々から、この電電民営化三法には賛成をして成立をさせたわけでございます。その後いろいろ聞いてみますと、このこと自体は国民から大体評価を受けるといいますか、それなりに前向きに受けとめていただいておる、私たちは我が党のこの決定というものは正しかったという理解をしておるわけでございますが、ただ一点、電電が民営化された、その株売却の中にダーティーな部分があるんじゃないか、このことがどうしてもなかなかぬぐい去れないわけでございまして、一年間逓信委員会等でもいろいろ御質問いたしましたけれども、なかなかお答えいただけない。大蔵大臣に御質問する機会がございませんでしたので、きょうは二、三の点についてお尋ねしたいと思うのでございます。
 冒頭に、資本金のこと一つについてもなかなかはっきりしなかった。一兆円ぐらいだということで一年間推移したわけでございますが、去る二十日に真藤総裁が資本金は一兆円じゃなくて七千八百億円だというふうに言っておられるのでございますが、これは間違いない、こういうふうになったわけでございますか。
#248
○竹下国務大臣 今主計局長を呼んで――私も不思議だなと思っておりましたが、これは御案内のとおり、設立委員会において定款をおつくりになる一環として決定されるものでございますので、まだ決まっていないというのが恐らく正確なお答えではないかと思います。
#249
○永江委員 このことで押し問題するつもりもありませんので、次に進ませていただきますが、昭和五十六年の商法改正によりまして、その百六十六条によりますと、新しい会社の株価、一株金額五万円ということになっておるわけでございます。こうなりますと、この膨大な資本金の電電の民営株といえども株数が非常に少なくなる、それが大衆投資家の手にはなかなか渡らないということになるのじゃないかという心配があるわけでございますが、このことについては何らかの特例を認めるおつもりはあるかどうか、このことをお尋ねいたしたいと思います。
#250
○竹下国務大臣 永江先生、これもやはり公式な答弁にならざるを得ないわけでございますが、これは、定款の記載事項、商法では五万円以上となっておりまして、この条件のもとで具体的には設立委員会において定められる定款の記載事項となっておるわけでございますので、設立委員会で定款等が今検討されているところでございますから、意見を私の方から申し上げる立場にはちょっとないような気がいたします。
#251
○永江委員 なかなか大蔵大臣のお答えは、先般の参議院の議事録を見ましても、大体よく似たお答えなんでございますけれども、しかし、もう既にこの四月一日から株式会社として発足するという期限的に、私はこれはくどいようですが、去年からずっと一年間、逓信委員会でいつも同じお答えなんですね。それで年も明けた。そろそろある程度の輪郭がわかるのじゃないか、それがまたやはりいろいろな疑惑を招かずに済むというふうな気がするのでございます。
 次の質問も、そういう点からいたしますとお答えがなかなか難しいかもわかりませんが、一番の問題の株の売却の方法でございます。これは随契あるいは国債のような引き受けシンジケート団を組むというようなことがあるわけでございますけれども、これの見通しについて、いかがでございますか。
#252
○竹下国務大臣 これも永江さんには気に入らぬお答えになると思います。
 一番大事なことは、実際問題としまして、この金で、御主張なすっておりますように特定の者に集中することのないよう、また国民に疑惑を抱かせることのないよう、これが一番大事なことでございます。
 それにつきまして、私どもも、先般法律を審議していただく段階にいろいろな、せめて従来のものはこうでございましたとかいうようなことでも誠意を示そうかと思ってみましたが、何分大きな額でございますから、従来のものにこういう例がございますと言っても余り参考にもならぬじゃないか、そうすると、結局学識経験者の方々の意見を十分聞いてからこれは決めなければいかぬ問題だな、こんな感じがしておるのが率直な現在の心境でございます。
#253
○永江委員 それで、実は先般もお尋ねしたのですが、大臣にはお尋ねできなかったのでございますけれども、予算決算及び会計令という、予決令の臨時というものの第五条の八に、念のためもう一度読み上げさせていただきますと、「国の所有に係る有価証券の売払いにつき一般競争に付することとすれば、当該有価証券を発行した法人の経営の安定を阻害するおそれがある場合において、その有価証券を当該法人の株主、役員及び従業員その他当該法人と特別の縁故関係がある者に売り払うとき」に随意契約ができるという、これをこの間も実はお尋ねして、まさかこれを使って随契という形で特定の方、縁故関係のある者にこの株を売り払うという根拠にはしないのでしょうねという御質問をいたしました。課長はまことに、その場の雰囲気では、そういうことはしない、公平公正にというお答えのようだったのでございますが、後で議事録を読んでみると必ずしもそうじゃないのですね。上手にお答えになっておる。これを根拠にしてそういう随契も可能であるというような感がするのでございますが、少なくともこういった特定の随契という形でこの株の売却だけはしないというお答えは、いかがなものですか、できませんでしょうか。
#254
○竹下国務大臣 これも毎度慎重に慎重にお答えしておるところでございますが、先ほど永江さんもおっしゃいましたように、競争入札によりますのか、例えばシンジケート団をつくりますのか、あるいはその他の方法によりますのか、実際問題として非常に難しい問題でございます。
 それから、時々、とてつもなく直ちに売れるような議論もございますけれども、実際問題として、日本の株式市場全体を見ましても、年間のキャパシティーというのはおよそ限界もございますし、そう余計一遍に売れるものでもございませんが、そんなようなことを、各般の問題を考えますと、今の予決令のことになりましても、いかなる法令等に基づいて売却を行うか、確たることを申し述べる状況にないということを、ここには御理解願いたいと書いてありますが、謹んで御理解を願いたいと言うのが精いっぱいでございます。
#255
○永江委員 この間も「一株千金」というような何かドキュメンタリーをテレビでやっていましたけれども、本当に我々が知らないような会社でも、上場するときには、そこの会社といわゆる幹事会社になった証券会社との、何といいますか駆け引きの中で最初の値段が決まっていく、こういう状況を見聞きするにつけましても、これは大変なことだ、それだけにいろいろなことが勘ぐられるのもやむを得ない面があるということをつくづく思うのでございます。
 そういう意味で、国会では常にこの問題を監視しておるという姿勢、これは非常に重要なことだと私は考えまして、あえて二度、三度とお尋ねしておるわけでございますが、それじゃ、せめて、大臣、いつごろこれは決まるのですか。そしてまた、いわゆるシンジケート団を組むかどうかもわからぬというお話ですけれども、幹事会社というのは一説によると野村証券に決まったというようなことまで言われるのですけれども、そういうことはありませんですか。
#256
○竹下国務大臣 これは、まだシンジケート団を組むということも決まっておりません前に○○証券ということが決まろうはずもございませんし、本当にこれだけ国民注視の中でございますから、これは国会において十分な監視の眼も必要でございますし、私自身はたまたま大蔵大臣でございますけれども、これの問題に当たっては、本当にこれは慎重にやらなきゃならぬし、一方、今度御審議いただいておる中にもございますように、三分の二の保有の売却は国際整理基金に直入させていただくということをお願いしておるわけでございますから、国民の資産を国民の借金の返済の原資に充てるということになれば、それこそ時には、大変な商売気を出してでも高く売れるようにとでも申しますか、有利な状態の中で売れるように、時期とか規模とか大変考えていかなきゃいけない問題だなという問題意識だけを持っておりますから、言葉だけ長くてお心にとまるような答えはできなかったと自分でも思っておりますが、御理解をいただきたいと思います。
#257
○永江委員 時間の関係もございますので、これ以上の質問は一応省略いたしますけれども、これは本当に大臣、国民全体から見ましても、私たちは民営化に賛成しただけに特にこれはやはり気がかりなんです。そして、その民営化の結果として、私はこの前も逓信委員会でも言ったのですが、ここでもうかった金が、郵政省が使うか大蔵省が使うかそれはどっちでもいいと言うとなんですけれども、国民全体の、国家財政の破産を少しでも救っていくということであれば、それはそれで私は了としておるものでございます。そういう意味で、最後の御答弁の中で、より国家的利益といいますか国民的利益に沿った決定をひとつしていただきたいし、また、我々もこれからも国会として監視を続けていきだいということを最後に申し添えさせていただきたいと思います。
 それじゃ、せっかく建設大臣お見えでございますので、もう時間が来ておるのでございますが、ちょっと簡単に……。
 一つは、公営住宅の入居基準の改定という問題につきましてお尋ねしたいのですが、これは地方にそれぞれ行きますと、市営住宅、県営住宅入居基準、収入によって一定の枠切りをされておるわけでございますが、大体今普通の会社の都市勤労者、二十五歳から二十八歳で結婚するころになりますと、大体この収入基準をオーバーしてなかなか市営住宅、県営住宅に入れない。しかしながら、公団とか民間は高いという中で依然としてこの住宅問題は深刻でございます。そういうことで、今日の入居基準が昭和五十七年の八月に決定されて以来もう既に三年たとうとしているわけでございますが、この公営住宅の入居基準の改定を行う予定、見通しについて、それともう一点は、明石、鳴門架橋の凍結というもの、今これを凍結しておるわけでございますけれども、これの解除につきましての見通しについて、この二点についてお答えいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#258
○吉沢政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生お話ございましたように、公営住宅の入居基準は五十七年八月に改定しまして、一年おきないし二年おきに今まで改定しておりますので、ことしあたりは改正の時期だということになるわけでございます。基準の改定につきましては今後検討していくわけでございますが、所得の伸びが非常に鈍化しております。それで、どの程度のアップが期待されるかちょっと不明確でございまして、五十九年の所得に関する調査結果など、動きを見た上で判断してまいりたいというふうに考えております。
#259
○木部国務大臣 臨調の答申で一応凍結をされておることは先生も御承知のとおりなんです。しかし、凍結されているからといって全く関心を持っていないわけではありませんで、いろいろな技術的な問題その他についてできる限りの研究は建設省の方でもいたしておるわけでございます。で、特に六月の大体半ばぐらいまでには大鳴門の方が開通すると言われておるわけであります。でありますから、地元のいろいろな明石架橋についての要望とかそういうのが強いことは私も承知をいたしております。
#260
○大西委員長代理 この際、田中慶秋君より関連質疑の申し出があります。永江君の持ち時間の範囲内でこれを許します。田中慶秋君。
#261
○田中(慶)委員 五十九年度の景気問題は、御案内のように、景気の回復ということでGNPも上方修正をいたしましたけれども、それは輸出の伸びであって、反面内需の関係では大変困っている業界もあるわけであります。特に倒産件数は二万八百四十一件、負債総額は三兆六千億、こんな形で昨年対比件数で八・八あるいはまた負債総額で四一%の増、こういう形でいるわけでありますけれども、特に中小企業の倒産が多いわけであります。中小企業のこれらに対する対策等がございましたら御説明いただきたいと存じます。
#262
○村田国務大臣 田中委員にお答え申し上げます。
 今御指摘になりましたように、倒産件数、昭和五十九年は過去最高でありまして、二万八百四十一件、そのうちの二万七百七十三件が中小企業関係であり、負債総額は全体で三兆六千四百四十一億円のうち、三兆二百四十五億円が中小企業関係の負債でございます。非常な倒産件数でありまして、過去最高を記録しておるわけでございます。
 我が国の経済全般としては、景気動向になおばらつきを残しておりますけれども、全体として拡大を続けておる。その中で企業倒産は依然として高水準で推移をしておる。このことは業種ごとの景況の差によるとともに、技術革新の急速な進展とかそういうことに見られる生産構造の変化、あるいは国民ニーズの多様化などに見られる需要構造の変化など、経済構造の変化に対して中小企業がついていけない。したがって、そういったことが大きな要因として考えられるわけでございます。したがって、倒産の実態を見てみますると、二年、三年の経験年数の浅い中小企業でなく、十年以上の中小企業が倒産をしておるというわけでございまして、それだけ時代の進展というものが非常な勢いで進んでおるということが察せられるわけでございます。
 したがって、政府といたしましては、昭和六十年度において、現在も審議していただいておりますが、中小企業倒産防止共済制度の拡充を図る、それから倒産防止特別相談室の増設などを行うなど倒産防止対策の拡充強化を図っておるわけでありまして、いわゆる四本柱ということを言っておりまして、金融、信用保証、共済貸し付け、相談指導など各般にわたる施策を講じておるところでございますし、具体的には技術革新への対応、それから情報化の進展、国民ニーズの多様化などの経済構造の変化にどうやって対応していけるかということを具体的に検討いたしまして、技術力の向上対策であるとか情報化対策であるとか人材養成対策などの施策をきめ細かくしていきたい、こういうふうに意欲を持って進めております。
#263
○田中(慶)委員 中小企業というと、特に技術革新の波をもろにかぶり、かつまたなかなかそれに対応できないというのが実態だと思うのです。そういう中で、今回の倒産件数の中でも特に住宅産業及び建設業が多い、こういうことを指摘をされているわけであります。私たちはそういう中で調査をした結果、その中でも業種別の中で建設アルミというものが大変俎上に上っております。半値、八掛けというような形で現実に取引をされている、こういう実態があるわけでありますので、それらに対する取り組み、あるいはまた従来においては、例えば四十八年のオイルショック以降、建設業界においてそれぞれ中小企業の対策の一環として分離発注をされました。例えば電気であるとか空調であるとか衛生であるとか、そういう問題も含めてアルミも当然そうあるべきではないか、私はこういう見解を持っておりますけれども、いかがでしょう。
#264
○村田国務大臣 先ほど申し上げました倒産件数の中で、確かに建設業が多いんですね。六千三百五十五件で三〇%強を占めておる。そしてアルミサッシ業界については、近年住宅着工の低迷だとかあるいは過当競争の激化などを背景といたしまして、経営状況は極めて厳しい状況にございます。五十九年度は大手二十社のうち十二社が赤字、そしてとりわけビル用サッシ部門では約百二十三億円の赤字を大手二十社で出しておるという景況でございまして、このためにサッシメーカーの事業活動は縮小を余儀なくされております。かつ、このような状況は当分の間回復をする見通しが非常に難しい、こういうふうに思われますので、本年一月からアルミサッシ製造業を雇用調整助成金の支給対象といたしました。また、このような業界の置かれた状況が取引方法に悪影響を及ぼし、受注契約価格が見積価格を大幅に下回る価格で取引が行われるといったいわゆる掛け率販売が横行しておりますので、昨年の八月末に生活産業局長から改善方の通達を出したところでございます。これを受けて業界では、本年一月より是正の努力をしております。今後、関係業界の理解と協力を得ながら、取引慣行の改善が実効あるものとなるよう必要に応じ業界を適切に指導してまいる方針でございます。
#265
○高橋(進)政府委員 今通産大臣からお答えになりましたように通産省から通達が出されました。これに基づいてサッシ業界におきまして一月に建て値を適正な原価計算に基づいた価格にしたと聞いておるわけでございまして、これにつきまして既に建設省から元請の建設業者団体に対しまして説明を行うとともに、今回の措置に対する理解と協力を要請したところでございます。
 なお、分離発注の件につきましては、アルミサッシは建築物本体と一体としての性能を要求されますので、さらに円滑かつ効率的な施工を図るという見地から、建築工事の一部として一括発注することが適当であると考えておるところでございます。
#266
○田中(慶)委員 昔は、電気も空調も、さらにはまた衛生も一括発注だったわけです。それを分離発注とされた。それは不況業種であり、中小企業の育成ということでやったわけですから、そういうことを含めて、やる気があればできますから、これから、通産の局長がそれぞれの業種に対する取り扱いをしているように、建設省は受け皿としてそれにこたえてもらいたいし、ぜひやっていただきたい。時間の関係でそれだけ要望しておきます。あと委員会で詰めます。
 次、教育問題に移らしていただきたいと思います。特に教育問題で私は数点触れてみたいと思っております。
 まず一つには最近の教育、ちょうど今入学シーズンでありますけれども、同時に同じような形の中で、毎日の新聞紙上の中で非行とか自殺とか教育環境の憂いというものが報道されているわけであります。それにはやはり教育本来の問題があるのではないか、こんなふうに思う次第であります。
 特にその中で、今臨教審で自由化とかあるいはまた個性化の問題が論議をされておりますけれども、例えば高校進学の場合、いま少しそれぞれの対策があっていいのじゃないか。例えば文系の子供あるいは理数系の子供、それ以外の体育系の子供、それぞれの子供たちが希望を持って進学のできるようなことがあるならば、非行にも走らぬでしょうし、あるいはまた少なくとも自殺に追いやることもなくて済むのじゃないか。そういうことを含めて文部大臣にこれらについての考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#267
○松永国務大臣 先生の御意見はもっともであると私は思います。高等学校の場合には先生御承知のように進学率が九四%にもなりましたから、したがって高校生の能力や特性は種々さまざまであります。そうした子供の能力や種々さまざまな特性に応じた高等学校教育がなされるようにやっていくことが大切であるというふうに考えております。
 先般、高等学校の学習指導要上領についての改訂がなされたわけでありますが、それぞれの県で学習指導要領を基本としながらも、実情に応じて、生徒の能力、特性に応じた教育がなされるようにということで学習指導、要領の改訂をしたわけでありまして、今それぞれの県で地域の実情等に応じてそうした教育がなされるよういろいろな計画もされておるわけでありますが、文部省としては特性に応じた教育がなされるように今後とも努めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#268
○田中(慶)委員 これからだんだん生徒数も少なくなってきますので、それらについて文部省として積極的に各都道府県の県教委に対する指導をお願い申し上げたいと思います。
 続きまして、触れ合い教育という形で、個性化教育と関連があるわけでありますけれども、総理もこの触れ合い教育をいろいろな形で施政方針の中でも述べております。自然との触れ合いとかいろいろなことを言われておりますけれども、人と人との触れ合い、あるいは教師と生徒の触れ合い、親子の触れ合い、あるいは隣人との触れ合いということを考えたときに、私は少なくとも今触れ合いというのが欠けているような気がします。物を中心とした時代、そして今まさしく教育が憂えられているときに、この触れ合い教育をいかにしていくかということが、これからの文部行政に大切なことだと思います。
 そんなことを含めて、自殺の件数やいろいろなことを最近報道されておりますけれども、そのときにもっと触れ合いがあったならばこの子供たちを自殺から救うことができたのじゃないか、あるいはまたそれぞれの報道の中でいろいろな意見が寄せられております。他人事ではない我が子を、こんな形の中で私たちは今改めて政治の中で教育に対し触れ合い教育ということを求めなければいけない時期ではないか、こんなふうに思うのです。
 そこで、文部大臣におきましては、これをいかにしてこれから取り組んでいくか、お答えをいただきたいと思います。
#269
○松永国務大臣 子供を心身ともに健全に育てる上で、特に思いやり、いたわり、こういった豊かな心を育てる上で、親と子の触れ合い、教師と生徒の触れ合い、これが極めて大事であるということは、先生と私、全く同感であります。
 人間がこの世に生まれてきて、最初に教えてくれる、教育をしてくれる者はだれかと言えば、それは母親であると言われております。そして次に父親。家庭において母親、父親、これがみずからの子供をきちんと育て上げていく。また、社会において生活する上で必要な、難しい言葉で言えば規範となるのでしょうが、そういったものをきちんと教え込んでいく、きちっとしつけをしていく、これが豊かな人間形成の上で最も大事なことだというふうに思いますし、そうしてさらには、学校に行ったならば教師と子供との信頼関係、教師と教え子との触れ合い、これが健全な青少年を育てる上で極めて大事なことであるというふうに思っております。
 御承知のとおり、六十年度の予算でも自然教室事業、こういったものをやっていくわけでありますが、それはただ単に自然環境の中で生活をともにするということだけではなくして、その場を通じて教師と生徒の間の触れ合いを豊かに育てていくということに大きな意義があるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけでありまして、そういった事業等を通じて、教師と生徒との触れ合いがより誰かに、かつ健全に行われ、それを通じて子供が心身ともにたくましく、かつ心豊かに育ってくるように今後とも努力をしていきたい、こう考えておるわけであります。
#270
○田中(慶)委員 文部大臣の考え方はよくわかりますけれども、学校現場はいかがでしょう。家庭はいかがでしょう。現時点に、この触れ合い教育がされているかどうか。やはりいろいろな非行や、きょうも新聞にも明らかになっているように、荒廃されている現状というものが、卒業式が近くになればなるほどそういう現場が出てくるわけであります。ここ一週間見ていただければわかるように、毎日報道されております。あるいは家庭環境の中でも、サラリーマンの住宅ローンを初め、あるいはまた共働き、いろいろな形で環境全体が触れ合いを少なくしている。こういう問題について、実態を認識をしながら、それらに対する対策はどのように考えられているか、大臣としての考え方、述べられることはよくわかりました。しかし、現実にこれからどうしていくかという問題が、私は必要なんだろうと思います。二十一世紀は教育だと言われているのですから、そういうことを含めて明確にお答えをいただきたいと思います。
#271
○松永国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、青少年の健全育成の上で、家庭における親子の触れ合い、学校における教師と生徒との触れ合い、極めて大事であるという認識のもとに、それを前提にして、先ほども申し上げましたけれども、自然教室事業あるいは学校と家庭との連携強化事業等々を通じて、先ほど先生も指摘されましたけれども、家庭の中で親と子の触れ合いが必ずしも十分なされていないという家庭もあることでありますから、そういった点を認識いたしまして、家庭と学校との連携強化事業あるいは生徒と先生、教師との触れ合いをより深めていくための自然教室事業、こういったものを通じて今の学校、今の家庭において不足しているものを補っていく、こういうことで六十年度の予算も実はできておる、こういうことでございます。
#272
○田中(慶)委員 ぜひこれからも教育というものの重大さを認識して、この触れ合い教育というものをより推進をしていただきたい。スローガンだけではなく、実効のあることをぜひお願い申し上げたいと思います。
 それでは関連しながら、例えば社会体育、すなわちスポーツ振興等の問題についてお伺いしたいと思います。
 例えばオリンピック、四年ごとにオリンピックは国を挙げて大変スポーツという問題に関心を持たれております。あるいはまたスポーツというものを一つとっても、平和外交やむしろ核の廃絶とかいろいろなことをスローガンとされるよりは、スポーツ振興がされて世界平和に大きな寄与をされるものだ、こんなふうに私は反面理解をしながらも、さらに非行の防止や青少年健全育成にスポーツ振興というのは私は大きく役立っていると思います。しかし、現実にはスポーツの施設を見たときに、例えば北陸地区を初め雪国は、屋内体育は現況ではなかなか難しい、そういう施設の状態であります。都市においては、子供たちがいかに遊ぼうとしても遊ぶ場所がない。学校開放といったところで、二時間以上貸してくれない。それもくじ引きである。こういう実態で、これらに対する表面的な取り組みとか振興とか、それらに対する考え方はわかります。しかし、現実に予算書を見ても、それらに対する施設の問題は全部ダウンしているのです、はっきり申し上げて。こんなことを考えて、スポーツ振興とその裏づけというものはどこにあるのか、それを明確にお答えをいただきたいと思います。
#273
○松永国務大臣 スポーツ振興というのは、国際競技で優勝するようなそういう選手を育てることも大事なことであると思いますが、いま一つ大事なことは、ある意味ではもっと大事であると思いますが、青少年あるいは社会人になった人も含めまして、スポーツを通じて心身を錬磨していく、あるいは仕事で疲れた体をほぐしていく、そういうスポーツというものが私は非常に大事であるというふうに考えております。
 実は私自身もそういう事業を三つも四つもやっておるわけでありますが、その場合一番困る問題は、先生御指摘のとおり運動施設の不足という問題であります。文部省は厳しい財政状況のもとでありますが、年々努力をしてきましたけれども、財政状況を反映して体育館等の建設がややダウンしているということは事実なのでありますけれども、六十年度におきましても八十億円を計上して、そうして今申したような青少年のためのあるいは一般社会人のための運動施設の整備に意を注いでおるというところでございます。
    〔大西委員長代理退席、委員長着席〕
 それとまたもう一つは、生涯スポーツ推進事業、これは市町村の行う青少年及び社会人等を対象にしたスポーツの推進事業について国の方で補助をしていく。そして市町村の行う、これは子供から老人に至るまででありますけれども、スポーツの振興について国の方でも補助金を出して、そうして推進していくという事業でありますが、こういった予算も計上いたしておりまして、スポーツの振興、特に青少年、それからお年寄りも含めた社会人のスポーツに親しむ場がふえるように努力をしているところでございます。
#274
○田中(慶)委員 努力をしているということはよくわかりますけれども、例えば今大臣からの答弁のように、スポーツ振興なりあるいは社会教育なり、ボランティアを通じて地域のスポーツ振興ということをするといっても、あなたも理解しているように、場所がないということが実態なんです。そして、場所がないにもかかわらず、財政が厳しいからということで予算が切られている、これも実態なんです。この予算書を見ていただけばわかるでしょう。五十九年度と比較して、体育館もプールも運動場も全部予算を切られているのですよ。そんなことを考えて、言葉ではスポーツ振興、現実に予算ではカットする、この真意がよくわからぬわけです。そういう点で、ボランティアの人たちが一生懸命やろうとしたって、場所がなくてできないのです。私もあなたと同じように幾つかのスポーツ団体を抱えている。場所がなくていつも困っている。抽せんで何日も並んで、こんなことが実態なんです。本当に子供たちを大切にするなら、もっとお金を使ってそういう施設をつくることが、子供たちや青少年の育成にも、非行化の防止にも、真の教育にも役立つ、こんなふうに思うのです。あなたの最後の答弁をお願いいたします。
#275
○松永国務大臣 お答えいたします。
 今後とも一生懸命努力をしていきます。
#276
○田中(慶)委員 突然で大蔵大臣、悪いのですけれども、今のような話、聞いたと思うのです。ことしつけろと言っても、あなた、無理かもわかりませんけれども、そういう点で予算が削られていること自体、本当にスポーツ振興と言っていても削られてしまっているのだから、そういうことを含めて、これからの問題としてひとつ大蔵大臣、御答弁を、急に申し上げて恐縮ですけれども、考え方だけどうぞ。
#277
○竹下国務大臣 わかりました。社会体育施設の問題でございましょう。従来からも、あるいは労働省の雇用促進事業団なり、いろいろな知恵を絞ってそれぞれの地域で工夫しておやりになっておるわけでありますが、文部省プロパーの問題につきましては御案内のとおりの予算結果になっておりますが、その必要性を忘れておるわけではございません。
#278
○田中(慶)委員 時間の関係でそれ以上は詰められませんので、それぞれまた関係委員会で続けさせていただきたいと思います。
 続いて私は、行政改革の問題について、それぞれの考え方についてお聞かせをいただきたいと思います。
 行革というのは、国民の声として今それぞれ進められておりますし、また、高齢化社会や将来の負担のことを考えますと、当然やらなければいけない。しかし、これから地方の行革ということを言われておるわけですけれども、現実に地方自治体も一生懸命努力をしております。もっとやらなければいけないのは、真の行革、地方自治体に対する権限移譲もしなければいけない、二重行政、ダブり行政も見直しをしなければいけない、こんなふうに私は思うのですけれども、長官、これらについてどう思いますか。
#279
○後藤田国務大臣 おっしゃるように、行政改革をやる場合に地方にいろいろな権限移譲をする、あるいはまた民間に自由な活動を保障するという意味においていろいろな民間との関係における許認可の整理、こういったものは全力を挙げてやらなければならぬと私は思います。
 そこで従来は、今日まででも、まず一つは機関委任事務の整理合理化、二番目は許認可の整理合理化、こういったことは過去やったわけでございます。国の関与とか必置規制の整理合理化、これについては今国会で法律案を御審議をお願いする予定にいたしておりますが、これで十分とは思っておりません。今おっしゃるような許認可権限の国、地方を通ずるそれのあり方、あるいは機関委任事務の抜本的な見直し、こういったことについて改めて行革審に今御審議を願いまして、それで恐らく本年の半ばごろには御答申がちょうだいできると思いますから、それを受けまして精力的に取り組みたい、かように考えているわけでございます。
#280
○田中(慶)委員 地方の行革ということを含めてやられるならば、今申し上げた、長官からもおっしゃられたようなことを含めて、ぜひ積極的な取り組みをしていただきたいと思います。
 例えば長官、あなたの身の回りにもこんな問題があるわけです。それぞれ指名参加願いとかいろいろなことがありますね。ところが、それが物品一つ買うにも、その資格を得るために総務庁であるとかいろいろな出入りのところにみんなばらばらに出しております。例えば建設省にも出せば総務庁にも出す、郵政省にも同じ書類を出していかなければ現在出入りができない。事務が繁雑だと思うのです。ですから、例えばそれを総務庁なら総務庁に一回受け付けをすれば、その写しを持っていけばどこでも指名参加ができるような、こういう制度があってもいいのじゃないかと私は思う。その辺の考え方はいかがでしょう。
#281
○後藤田国務大臣 理屈はまさにおっしゃるとおりなんですね。ところが、今日それぞれの役所はそれぞれの所管を分担をして仕事をやっているわけですね。みんな大変熱心なわけですよ。そこで、これは縦割り行政の弊害ということで今日大きな論議の的になっているわけですから、こういった点については行政改革の過程において、大変難しい厄介な問題です、しかしながら今後精力的に取り組んでいく大きな課題であろう、かように考えております。
#282
○田中(慶)委員 長官、そういうことを含めて、あなたがメスを入れなければこの問題はできないと思いますので、ぜひやっていただきたい、そんなふうに思います。
 そこで、続きまして実は財政問題について大蔵大臣に若干質問したいと思います。
 大蔵大臣は、御案内のように、予算編成に当たってそれぞれ地方自治体に二分の一以上の国庫支出をされているものに対し一割予算のカットをされたわけでありますけれども、現実にこのことに対して地方自治体は大変心配をしております。これからの、将来の仕事に対する影響――大蔵大臣もそれぞれあなたの考え方で日本列島ふるさとづくりなんというようなことを、大きく町づくりをやろうとしておりますけれども、各地方自治体も、例えば横浜であればみなとみらい21、神奈川県であれば新神奈川計画、こういう計画があるわけですね。ところがそういう計画について、今度の一割カットというのは大変心配をされておるし、六十年度単年度だと言っておりますけれども、やはり六十一年以降も同じようなことが繰り返されるのじゃないか。それはやはり財政危機という名のもとにそういうことが来たわけですから、そういう点の心配というものは既に出てきているわけであります。横浜だけでも大体六十七億円程度がこれの対象になるわけでありますし、神奈川県でも約五十億程度がそういうことになる。それぞれの心配というものが出てきているわけですけれども、その辺の不安解消のために大蔵大臣の考え方を聞かしていただきたいと思います。
#283
○竹下国務大臣 今までございましたとおり、各種、臨調、行革審、それから財政審等々いろいろな答申なり御意見をちょうだいしましたが、一方、今御指摘がありましたように、国庫負担率引き下げによる地方負担転嫁反対に関する決議というのも、知事会、議長会、市長会、同議長会、町村会、同議長会というようなところからもちょうだいいたしたことは事実でございます。したがいまして、私どもといたしましては、補助率について、いわゆる整理合理化の一環として社会経済情勢の推移等を踏まえ見直しを行う、そういう答申に基づきましてやることにしたわけであります。とりわけ二分の一超の高率補助率につきましては、そのあり方について問題点の指摘もあること等を踏まえまして引き下げることとしたものでありまして、いわば基本的に申しますと、まさに地方と国との役割分担、負担の調整というようなことで、そのような決断をするに至ったわけであります。
 したがいまして、いわば今年度はそれなりの財政的措置は行っておるわけでございますが、来年度の問題はどうなるか、こういうことになりますと、これはそれこそ私どもといたしましてとにかく可能な限り一年の間に本当のあるべき負担のあり方ということについて検討を鋭意進めなければならぬ課題である。したがって、六十一年度の措置をどうするかということについては、これから検討する課題でございますので、にわかにお答えするわけにはまいりませんが、いわゆる地方財政計画というものの中においては、それに支障を来さないような措置は行わなければならぬというふうに考えております。
 今御指摘のございましたローカル、いわゆるみなとみらいの問題等も私どもも予算の際にいろいろ聞かせていただいておりますが、地方それぞれがそれぞれの計画を持っております。これは国のもろもろの計画も計画どおりに進んでいないわけでありますが、地方も厳しい財政事情というものの御認識はいただくにしても、可能な限りそういうことに迷惑をかけないような措置だけは最低限行って進まなきゃいかぬ課題だという問題意識だけはしておるつもりでございます。
#284
○田中(慶)委員 大蔵大臣の問題意識なりあるいはまた地方に対する考え方はよく理解いたしましたけれども、現実に地方自治体とすれば、身近な問題が地域からの要望としてあるわけですし、それが一応少なくても将来計画の中に反映をされる、こんな形の中で取り組んでいるわけです。それが今度のような一割カットという形で大幅に後退をされる心配すら出てきているわけです。そういう点ではそういう不安のないように、今財政問題はいろいろ大変困っていることはわかりますけれども、少なくても地財計画を初めそれぞれの問題について支障を来さないように、より一層大蔵大臣としてこれらについての取り組みをしていただきたい。最後にもう一度その辺に対する決意を聞かせていただきたいと思います。
#285
○竹下国務大臣 ことしの場合は、交付税の特例措置及び建設地方債の増発によって完全補てんをしたわけでありますが、いずれにいたしましても、今田中さんおっしゃいましたように、地方財政運営に支障を生じないような措置をするという考え方は持ち続けていきたいと思っております。
#286
○田中(慶)委員 ぜひこれからもひとつ努力をしていただきたいと思います。
 そこで、実は私は次の問題、人の命は大切にということで、どなたかが一人の人間の命は地球よりも重いなんという言葉を使われたわけでありますけれども、例えば今交通安全対策一つとっても、五十九年度九千二百六十二人亡くなっておるのです。そして三年連続九千人以上亡くなっております。そんな結果で、自賠償保険の見直したということで料率も高くなっているわけです。こういう実態はわかると思うのです。しかし、これらの問題について対策等を見たときに、果たして十分な対策か、大変不安なことがあるわけであります。
 予算書を見ても御案内のように、交通安全対策普及費、一番重視しなければいけない、皆さんにモラルだとかいろいろなことを含めて呼びかけをしなければいけない普及費すら、画一的に予算が厳しい、臨調の答申だとかあるいは一割カットだとか、そういうことの中でこれも削られています。片方においては事故が多いからといって、国民負担の少なくても強制保険の問題については料率を上げる、片方においてはこんな形で予算をカットする、真の交通安全対策というのはどこにあるのでしょうか。私はこれらの問題について総務庁にも、少なくても予算――交通安全対策の説明を聞いたのは総務庁関係の予算であります。警察庁両方にそれらに対する対策の問題について、その姿勢のほどをお聞かせをいただきたいと思います。
#287
○古屋国務大臣 お話しのように三年間死者がずっと九千人を突破しておることは、お話しのとおりでございます。まことに遺憾でございます。それから予算の話につきましても、交通関係が一割カットの影響を受けまして、交通施設の補助金等も減っておることは事実でございます。
 私どもといたしましては、交通安全施設につきましては、第一次から第三次までの五カ年計画によりまして整備を推進したところでございます。ただ、厳しい財政状況でございますが、交通安全施設というものは交通安全対策の基盤をなしておるものでありまして、緊急に交通安全を確保する必要な場所に適切な事業量を重点的に配分するということで、私は予算が減ったことは、まことに厳しいといいましても残念でございますが、重点的な配分ということによりましてこれに対処をしているというのが現在の実情でございまして、特に交通事故の増加傾向あるいはまた自動車台数も大変ふえておる、あるいはまた運転免許人口が相当ふえておる、道路の新設、改良に伴う交通の流れが変化しておる、こういうことに対処しまして、重点的に交通の規制あるいは交通の措置を行うというのが今の状況でございまして、私どもは決してこの数字に満足しているわけではございません。いろいろの現実の事情から見ますと、交通関係、人の命ということでますますこれに重点を置いていきたいと考えております。
#288
○後藤田国務大臣 交通事故の現状は大変心配な状況にあることは事案でございます。私どもとしても第三次の交通安全基本計画、これはことし最終年度でございまして、ことしじゅうに来年度の第四次の基本計画をつくるという段階でございますので、事故の実態をよく分析しまして間違いのない計画を立てていきたい。
 御質問の私の方の補助金、これは補助金の削減で千八百万円減っているのです。これは大変申しわけないと思いますけれども、しかし相談業務の関係の運営の補助金なんですね。これは市町村に同化しておるといったようなことでこれだけの削減があったわけですが、今度は府県のセンターを通じて、少なくとも相談事務に支障を来すといったようなことがあってはならぬことでございますから、そういった点は十分配慮しまして、御心配のないように全力を挙げてやっていきたい、かように考えておりまするので、御理解を賜りたいと思います。
#289
○田中(慶)委員 心配ないように、心配ないようにと言ったって交通事故はふえているのですよ、はっきり申し上げて。現実にもう九千人以上、三年間連続。それで今あなたがおっしゃっているように、いいですか、三次計画でしょう、ことし予算一〇〇%ついてもその整備は六九%しかできないのです。こんなことで交通事故は絶対なくならぬと思う。そういう点では、本当に人の命を大切にするのだったら、やはりこういうことをちゃんとしなければいかぬ。
 例えば今交通事故の問題で交通事故死、広域犯にまたがるような暴走族あるいはひき逃げの捜査についたって国費はほとんどついてない。みんな地方につけて県単でやっているわけです。私はそんなことを含めて、国費も当然これはつけてやらなければいかぬ、全体のそういうことを含めて交通事故対策というものはやらなければいかぬと思う。そういう点を含めて、まことに残念ですけれども、今の予算状態や、今施行令で決められているから、例えば交通のひき逃げとかあるいは暴走族の取り締まりとか、参府県にわたっていてもなかなか予算がつけられないということであれば、変えればいいじゃないですか。現実に毎年三年間も、そして片方においては強制保険まで見直ししているのですから、私はそういう点の姿勢があってもいいと思うのです。その辺を聞かしてください。
#290
○後藤田国務大臣 私の方は、これは各省にまたがりますから、基本計画を各省と協議して立てるわけですね。それの実施を各省にお願いをする。それで御質問のような点は、それぞれの役所に予算がついておるわけでございますから、私の方のはそれの取りまとめの関係だけのわずかな予算でございます。この点はまず御理解をちょうだいをしたい、かように思うわけでございますが、いずれにしても、これは各省に真剣に取り組んでいただかぬと、対前年度は減っているのですよ。しかし、今九千二百何ぼの死者、それから負傷者は六十四万ですからね、これは大変な被害ですから、これは田中さんのおっしゃることはよくわかっているのです。しかし、そういう点も十分腹に置いて真剣にこの問題には取り組んでいこう、こういう決意でございますから……。
#291
○田中(慶)委員 長官が答弁漏れ、自治大臣も答弁漏れがありますけれども、すなわち私が申し上げたのは、交通取り締まりの関係で、ひき逃げをされる、あるいはまた暴走族は同じ県でやっているわけじゃないわけですよ、下手をすると三県ぐらいにまたがって暴走行為をやっているわけです。そういうものの取り締まりについても、捜査という予算になると本当に、ほかの例えば凶悪犯とかいろいろなことの予算と比較しても、そちらの方はちゃんとつくのですけれども、こういう問題はほとんどついていない。県単に等しい、こういう問題。あるいは、暴走族が来るからといって徹夜で捜査をしていますね、あの人たちは、食糧費というのはわずかカップヌードル一つですよ。恐らくここにいらっしゃる人は、徹夜やればカツどんか何か食べておると思うのですけれども、現実にそういう問題なんです、本当に。そして無線の傍受、無線機が警察無線というのは非常におくれているわけです。そのためにそれが全部傍受されて、向こうで一生懸命張っていてもほかに逃げられてしまう。ですから、グリコ、森永だって全く同じですよ。そういう点で、やはり予算というものをちゃんとしなければ交通安全対策も人の命を守れない、私はそう思います。
 ですから、最後に自治大臣を含めて、そういう点について、時間も参りましたので、その辺の決意のほどを総務庁長官も含めて、あなたも、これは長期計画がちょうどあるものですから、もう一度聞かしてください。自治大臣、両方。
#292
○古屋国務大臣 お話しの暴走族の実情につきましては、田中委員御承知のとおり、土曜の夜から日曜の未明にかけての暴走は、ほとんど土曜日が六〇%を占めておる状況でございます。また、ひき逃げ事件につきましても、五十九年中には夜間における発生が大体六〇%というような数字でございまして、第一線の警察官は非常に苦労して取り締まりに当たっております。
 御指摘のように、非常にそういう方の食費とか、そういうものが少ない、確かに私はお話しの点はよくわかりました。これらの経費につきましては、警察法三十七条の規定によりまして、事件が数府県にまたがる場合を除きまして、原則として当該都道府県が支弁することになっております。ただ、夜食等につきましては、都道府県によってやってくれておるところもありますが、そうでないところもあるのであります。今後、第一線の警察官の実情を踏まえまして、超勤の確保を含めて積極的に関係機関に働きかけを行いまして、予算の確保に努めていきたいと思っております。
#293
○後藤田国務大臣 交通事故の対策は、スリーE政策といいまして、エンフォースメント、エクイプメント、それからエデュケーションと、この三つがそろわなければなりませんから、そこらを頭に置いて警察庁初め、エクイプメントになるとこれは建設省の問題、ガードレールなんかいろいろありますから、そこらを総合的な政策でやっていかなければならぬ。私どもはそれの調整をやっていこう、こういうつもりでおりますから、いずれにせよ、これは大変難しい問題でございます。これは放置できない重要な問題だと認識をいたしておるわけでございます。
#294
○田中(慶)委員 時間が参りましたので終わりますけれども、いずれにしても、先ほど申し上げたように、お金と人の命というのはかえられない。同時に、お金を出さなければ本当に現場の人たちが一生懸命働けない、そういう実態もあるわけですから、あるいはまた、装備をちゃんとしなければ現実にいろいろな問題が出てくる、そういう問題を含めて、積極的に取り組みをお願い申し上げて、私は終わらせていただきます。ありがとうございました。
#295
○天野委員長 これにて永江君、田中君の質疑は終了いたしました。
 次に、金子みつ君。
#296
○金子(み)委員 御案内のように、ことしは国連婦人の十年の最終年に当たります。それで、七月にはケニアのナイロビで、十年の最終の国際婦人会議が開かれることになっておりますのは、御承知のとおりだと思います。そこで、私はきょうは婦人の問題に絞ってお尋ねをしたいというふうに考えております。
 御案内のように、ナイロビの会議には、十年前に世界行動計画を採択いたしました関係各国、幾つもございますが、その国だちが、目的とするところの男女平等の問題を実現させるためにそれぞれの国の中で努力を続けてまいりました。日本も、申し上げるまでもございませんけれども、経済成長では世界一だとかあるいは寿命は世界一であるとか、そういうところに世界一で先進国を誇っておりますが、婦人問題に関しては後進国という汚名を持っております。御存じでいらっしゃいましょうか。婦人問題については大変に立ちおくれております。そこで、この十年の間にどれだけこの婦人問題を解決できたかということを一つ一つ調べますと問題だと思いますけれども、それをきょうここで取り上げるつもりはございませんけれども、少なくとも婦人に対する差別のない政策を打ち出すための予算はどのように進められてきたのかということは、大変に大きな問題だと思います。
 政策だけつくっても、予算がつかなかったならばこれの実現はできない。ということは結局できないことになるわけでございますので、そういう意味もございまして、大蔵大臣にまずお尋ねしたいと思いますのは、過去十年間、少なくとも過去十年間ですが、この十年間の間に婦人に対する政策の予算がどれほど重点的に占められたかというようなことにつきまして、私は眺めてみました、予算をいただきまして。しかし目立つものはございませんでした、大変残念ながら。そこで、一番近い最近の、五十九年度と今審議中の六十年度の予算だけを比べてみてもいいと思います。その予算を比べてみただけでも問題がいろいろございますが、大蔵大臣は、十年の最終年の六十年度の予算を編成なさる場合に、どのような配慮をお加えになったかどうか、特に加えなかったのか、正直におっしゃっていただきたいのですが、どうでございましたでしょう。まずそれから……。
#297
○竹下国務大臣 私も、国連婦人の十年の最終年であるという認識は持っておりました。で、予算面でも私なりに記憶いたしております。今一番強烈に記憶しておりましたのは、国連婦人の十年一九八五年世界会議関係経費及び国連婦人の十年記念諸作成等経費、これは四千万円でございますけれども、何か意識的に自分の心に刻み込んでおったような感じがいたしております。その他の問題につきましては、労働省関係、厚生省関係等々がございますが、よく私もわかりませんでしたけれども、分娩給付の改善が、十五万が二十万というのが率としてはかなり大きな率であったなということと、それから年金給付の改善三・四%、これは公務員給与等にスライドすれば当然だと言われればそれまででございますが、そういうのが印象に残っておるところであります。
#298
○金子(み)委員 私は、ここで大蔵大臣に細かい数字のことでいろいろ申し上げるつもりはございません。私はむしろそれよりも、考え方として聞かせていただきたいというふうに思うわけでございます。
 今伸びたものがあったというお話がございましたけれども、それをおっしゃるのだったら、マイナスになったものもあるわけなんです。それを一つ一つ申し上げるつもりはございません。それは関係省庁のところでお尋ねをしたいと思っておりますので申し上げないつもりでおります。しかし、大臣に御認識いただきたいのは、今いいところだけをお挙げになりましたけれども、そうでないものがあるということをやはり認識していただきたい。婦人関係予算で見ますと、幾つかの施策の上で、縮小されたり廃止になったり、そういうものがあるわけです。そういうものについて、それは制度が変わったのだから仕方がないとおっしゃるのかどうか、もしその制度を改める場合にはその予算がつけられるのかどうか、そういう場合の縮小された予算の改善をする意図がおありになるかどうかということをまず伺ってみたいと思います。
#299
○竹下国務大臣 確かに私が先ほど申し述べましたのは、いわゆる国連婦人の十年ということが頭にありましたので、一九八五年世界会議関係経費というようなことが頭にあったから申し上げたわけでありまして、いいところばかりと言えば、悪いところは言わなかったかもしれませんが、そのことが非常に印象にありました。
 今金子先生がお考えになっているこの論議の背景というのを私なりにいろいろ予想をして見てみましたが、確かに制度改正に伴うものでこの三角の立ったものはこれはございます。それは、制度改正ということを前提にお願いしておる予算でございますので、そのように御理解をいただければ幸いであるというふうに考えております。
#300
○金子(み)委員 そういたしますと、いいところもあった、そうでない悪いところもあった、いろいろあると思いますけれども、総体的にごらんになって六十年度予算は婦人に対する政策の予算として満足すベきものであるかどうか、大臣はどうお考えになりますか。
#301
○竹下国務大臣 これは人によって評価の異なるところでございますが、現下の財政状態の中においてぎりぎり、先ほど来申しました十年という意識が念頭にありましただけに配慮をしたという問題意識は持っております。
#302
○金子(み)委員 配慮をしたという考えのもとにおつくりになったというふうに私は今大臣から承りましたが、満足すべきものであったというふうにはおっしゃいませんでしたね。
#303
○竹下国務大臣 満足というのは、やはりその人の主観によって違ってまいりますので、(金子(み)委員「大臣のことを聞かしてください」と呼ぶ)私は、私個人としてこれで満足だろうというほどおこがましくはございません。
#304
○金子(み)委員 大臣の御発言は非常に謙遜してといいますか、謙譲の美徳を発揮された御発言だったかと思って、それを信用していいかなというふうに、私は人が悪いですから、いいように解釈しないで、本当にそれを信用していいかなというふうに今考えているところでございます。
 そこで、お急ぎでいらっしゃるようでございますので終わりたいと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、日本は婦人問題に対しては後進国であるという定評があるわけですから、その定評を吹っ切らなければいけないわけです。これを何としてでも解消しなければなりませんから、その意味におきましても、これからの政策、各界、関係各省にまたがりますけれども、政策そしてそれに対する予算等につきましては、将来はぜひその汚名が消されるような対策を立てていただきたい、そのような御方針でやっていただきたいと思いますが、決意はございますでしょうか。
#305
○竹下国務大臣 これからも尊敬する金子先生の意見等に耳を傾けていかなければならぬと思っております。
#306
○金子(み)委員 それじゃ、ぜひよろしくお願いをしたいと思いますし、私も強くそのことを要望いたしまして、ただ、申し添えますが、国連の婦人の十年はことしなんですけれども、十年が済んだらそれでおしまいじゃ困るのです。そうじゃないのです。十年を一つの区切りとして今まで努力をしてきたのであって、この十年が終わったらまた次の十年、必ずこれは延びていくと思いますので、ぜひ大臣、そのことをお忘れなく、将来よい予算をつけてくださるように強く御要望申し上げて終わりたいと思います。大臣、ありがとうございました。
 外務大臣が外交予定がおありになるそうでして、お急ぎになっていらっしゃいますので、ちょっと順序が乱れて話がつながりませんけれども、外務大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 この問題は、もう決して新しい問題ではございません。大臣もよく御存じだと思います。それはILOの百二号条約です。社会保障の最低基準を決めた条約ですが、これは日本は五十一年二月一日ですか、批准をいたしました。今から九年前ですね、約十年近い。批准をいたしましたけれども、そのときに批准されるべき九つの部門がありました。そのうち、日本はどの部門を批准をし、どの部門を批准しなかったのかということを確認させていただきたい。
#307
○安倍国務大臣 四件批准をいたしまして、五件ほど批准にまだ至っておりません。
#308
○金子(み)委員 どの分を批准をし、どの分を批准しなかったかと九つの中で申し上げたので、数を伺ったのじゃないです。数は知っています。
#309
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の受諾いたしました部分は、傷病給付、失業給付、老齢給付、業務災害給付の四部でございます。受諾いたしませんでしたのは、医療給付、家族給付、母性給付、廃疾給付及び遺族給付でございます。
#310
○金子(み)委員 今確認させていただきました。私は、九つの部門のうち残された五つ、母性、遺族、家族、医療、廃疾、これは本当に大事な部門だったと思います。
 そこで、一つ一つやる時間がございませんので、きょうは一つだけ取り上げます。大臣、お答えいただきたい。この五つの中の、特に母性です。母性部門、母性給付の問題ですが、どうしてこれが批准できなかったのですか、その理由を教えてください。
#311
○山田(中)政府委員 母性給付につきましては、妊娠、分娩についての給付が我が国の現行法令では、条約が要請いたしております給付水準に達しておりません。そのゆえにその義務を受諾できなかったものでございます。
#312
○金子(み)委員 ちょっとお答えが抽象的なんですが、水準に達しておりませんとおっしゃいましたが、どこがどのように達してなかったのですか。
#313
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 条約第八部の母性給付を規定いたしておりますところでは、妊娠、分娩及びこれらが結果についての母性医療給付及び勤労所得の停止に対する定期金の給付を行うことが要請されておるわけでございますが、勤労所得の保障に関しましては水準に達しておるわけでございますが、妊娠、分娩等に対する医療給付の点につきまして、我が国の現行法ではそのような定めがすべての場合についてなく、分娩の一部を自己負担にする場合があり得るために、条約が要請しております水準に達しないわけでございます。
#314
○金子(み)委員 ありがとうございました。
 その問題は外務省だけの問題でなくて、関連は厚生省と思います。後ほど厚生大臣にお尋ねをさせていただくことにいたしますので、ここでこの問題を打ち切りますが、さて、お急ぎの外務大臣に、最後のお尋ねをさせていただきます。
 今残った問題ですね、母性を初めとする五つの問題ですが、これらの問題について、もう十年になろうとしているのですけれども、それまでの間どうしていらっしゃったのでしょうか。何にもする気がなくて、大変消極的で、そして無関心でほったらかしと、こういう形になっているわけなんですけれども、ですから、私は条約を批准するときに非常に心配するんですよ。今、御承知のように参議院に回っていっております男女の雇用均等法案もございますね。これも条約ですね。婦人に対するあらゆる差別撤廃条約を批准したいという考えがあるわけですけれども、これがきちっと完全批准になりませんと、またこのようになるんですよ。この轍を踏みたくないと思うから、今審議中の問題については非常に厳しく、やかましくみんなが検討を加えているところだと私は理解いたしております。
 そこで、この百二号条約を批准するときに外された問題について、当時の外務大臣、宮澤大臣ですが、こういうふうに国会で発言していらっしゃるのです。私が今申し上げたようなことをやはりそのときも申し上げているんです、非常に心配だということを。後続けてすぐ批准するのかしないのかという御質問をしましたらそれにお答えになりまして、「御心配のような事態になりませんように、今後他の部門での努力をさらに促進をし、強化いたしますようにお伝えをし、努力をいたすつもりでございます。」これは関係の省庁に言ってやらせるようにいたしますという御答弁だったんですが、どうなってしまったんでしょう。九年たったんでございますけれどもね。大臣、どうなさいますか。
#315
○安倍国務大臣 確かに医療、家族給付、母性給付、廃疾給付及び遺族給付の五部門につきましては、当時、国内の給付水準が条約の決める水準に達してないという問題がございまして、義務を受諾するに至らなかったわけですが、これらの五部門につきましては、その後関係各省庁も給付額の引き上げ等については努力した面もあるわけで、改善を加えられてきたところでございますが、しかし、まだ十分でないことはお話しのとおりでございまして、今後国内法制との整合性等も確保した上で、義務を受諾するべく関係省庁の一層の協力を得て、ひとつ検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#316
○金子(み)委員 大臣、また十年でしょうか。私はもうとてもそんなに待ち切れないんですけれども。
 大臣、まだ提案されてきでおりません、今に政府がお出しになるでしょう、差別撤廃条約ですね、これが先決問題であるということもわかりますから、それはそれとして一生懸命やるということにして、その後すぐにこの百二号条約の残された部分を直すように積極的になさっていただくということをお約束していただけませんか。
#317
○安倍国務大臣 女子差別撤廃条約もことし批准を目指して国内法制の整備に外務省が中心になって努力し、各省の協力を得て大体そういうふうな法制の整備が整ったわけでありますし、今申し上げましたようなILOの残された問題につきましてもまた、各省庁の問題ですが、外務省が取りまとめをしなければならぬ責任があるわけでございますから、今後とも懸命に努力をいたしまして、何とか早く義務を履行できるようにひとつ誠意を持って頑張っていきたい、こういうふうに思います。
#318
○金子(み)委員 その問題は、今大臣がそのように御答弁くださいましたからそれを信用するといたしましても、できるだけ早い機会にというのはなかなかはっきりしなくて困るんですけれども、とにかく促進方を一生懸命に努力をしていただくように、また十年先なんということになりませんように、どうか安倍外務大臣のときに百二号条約は完全批准になったんだぞというふうになりたいものだと思いますので、御努力をしていただけるように強く要請して質問を終わりたいと思います。
 大臣、ありがとうございました。
 それでは、次の問題に入りたいと思います。
 これはやはり六十年度予算で婦人に対する関連予算でございますが、政策とのつながりがございますので、その面について少しお話をさせていただいて御当局の御答弁がいただきたいと思います。
 まず最初に取り上げたいと思いますのは、今度の予算の中で、どうして母子家庭をいじめるんですか。何かそういうふうに感じるんですね。母子家庭に対する予算は、大変に残念ながら減少されています。私は、母子家庭に対する政策予算が削減されたということは差別じゃないかなとすら思うぐらいに感じています。
 一つは、労働省関係でございます。それは何かと申しましたらば、母子家庭の母の雇用に関する促進、それに対する予算が、五十九年度は五十八億四千九百七十一万円だったのが、六十年度になりましたら四十七億八千九百四十八万円、十億円以上も削られちゃったのです。どうしてこんなに減ったんでございましょう。私は、そのところをひとつ聞かせていただきたい。なぜこんなに減額されたのか。二割以上減額されたということは大きな問題だと思うのです。母子家庭と言えば経済基盤が大変に弱いんですよ。それで、もういっぱいいっぱいで生活している人たちなんですよ。それが、就職しようと思って、そのことの援助をしてくださるための予算なんですが、削られたということは、母子家庭の母はもうこれ以上仕事につかなくてもいいというお考えなんでしょうか。その辺がどうも理解ができないのです。なぜ削られたのか、その理由を教えてください。
#319
○野見山政府委員 母子家庭の母等を雇い入れる事業主に対しまして、賃金の四分の一、中小企業の場合は三分の一を助成する特定求職者雇用開発助成金制度がございますが、この助成金制度の額を五十九年度に比べて六十年度減額をさせていただいたということになるわけでございます。
 この理由につきましては、これまでの支給実績が年々向上してふえてきておりますけれども、その予算額が支給実績との間に乖離を生じてきております。したがって、今回、これまでの支給実績をもとに助成金の支給対象者を見直しをいたしました結果、減額をしたという結果になるわけでございます。現実に支給実績は、五十六年度からスタートいたしておりますけれども、五十六年度約五百五十人に対して五十七年度は決定数が六千二百人、五十八年度は八千二百人、五十九年度は四月から十一月まででございますが六千六百人でございまして、これを年間に直しますと約一万人程度の利用実績が出ると期待いたしております。したがいまして、六十年度におきましては、支給実績との関連で見直しをいたしておりますけれども、六十年度は五十九年度の利用実績を倍増いたしましても、これに支給の十分可能な財源として計上いたしているわけでございます。そのほか、開発助成金以外の寡婦等の職業相談員ですとかあるいは訓練手当等につきましては、改善等をいたしているところでございます。
#320
○金子(み)委員 私が伺ったのとちょっと違うのですね。実績により削減をしているのです。支給実績のもとに助成金の支給対象者の推計の見直し、今あなたがおっしゃった見直しをした結果、支給対象者を減らしたのですよ。支給対象者を減少させたことによる予算の減なのです。あなたは今対象者は減らぬとおっしゃった、おかしいじゃないかと思うのですけれどもね。それではどこで減ったのですか。
#321
○野見山政府委員 この予算を計上するに当たりまして、就職者に対して、この助成金制度の対象となって支給を受ける人の割合のこれまでの推計につきまして約五割と見ておりましたけれども、これまでの支給実績から見まして約四割程度の方がこの助成金制度の対象になっている、その対象になる比率がこれまでの傾向と違っておりますので、これを修正をさせていただいたということでございまして、支給実績の利用者がふえてきているということには変わりございませんし、それに対応できるような予算を計上させていただいているというふうに考えております。
#322
○金子(み)委員 私、頭が悪いんでしょうね、よくわからないのですよ。数もふえた、それから利用もふえた、だけれども五割と踏んでいるのを四割に落とした。これも意図的に落としたわけでしょう。それだから減ったのですね。人数は落とさなかった、利用者も落ちていない、だけれども金額を落としたというのは――私はおかしいと思うのですよ。さきにお尋ねをいたしましたら、利用されなかったからこういうことになったんだという答弁をいただいているのです。それから、人数は見直して減らしましたというふうに伺っているのですが、今局長のおっしゃるのは、それと全然逆なんですね。どう信じていいか、わからないのですけれどもね。
#323
○野見山政府委員 簡単に申しますと、予算で予定した程度の伸びがなかったということのために、現実には伸びておりますけれども、予算の伸びに比べて利用実績が伸びなかったということでございます。
#324
○金子(み)委員 今の答弁でわかりましたが、それならば利用されなかったのはなぜかということになるわけですよ。利用されなかったのはなぜかというのが問題だと思うのです月それは何ですか。目算立てたところまでいかなかったのですよ。なぜですか、それは。
#325
○野見山政府委員 実際に就職した人の中で、職業安定機関における紹介実績、この面が必ずしも十分でなかったこと、あるいは制度に対する周知、PR等が十分でなかったことは、私どもとしても認めざるを得ないところでございます。
 今後、相談員等の活用によりまして、できるだけの実績が上がるように、私どもとしても努力をしてまいりたいと考えております。
#326
○金子(み)委員 やっと答弁してくれました。それが聞きたかったのですよ。十分でなかった、徹底的に指導していなかった、それが原因ですね。
 だから、大臣にお尋ねします。この問題は、もっときちっと丁寧に指導すればもっとこの成績は上がるはずなんです。だから、母子家庭の母の就業のためには、もっと積極的に熱心に促進していただけるようにお願いしたいのですが、いかがですか。
#327
○山口国務大臣 母子家庭の皆さんの就業の問題は非常に大きな社会的な問題でございますので、今金子先生と事務当局のやりとりの中では改善の余地もあるというふうに私も受けとめましたので、ひとつしかるべき指示を出したいというふうにお答え申し上げておきたいと思います。
#328
○金子(み)委員 その次は、厚生大臣です。お待たせいたしました。
 厚生省の関係なんですけれども、これまた母子家庭のお母さんをいじめる問題なんですね。児童扶養手当制度、今社会労働委員会で審議中でございますが、この児童扶養手当というのは、もう皆さん御存じですから説明しませんけれども、母子家庭ですね、一口で言えば。この児童扶養手当の削減と切り捨て、これの理由を聞かせていただきたいのですよ。これまた削減と切り捨てができてしまった。大変問題だと思います。
 例えば、御承知のように女性の賃金は男性に比べたらはるかに低い。約五〇%台です。五三とか五五とかという数字しか出てまいりません。ですから、非常に経済基盤は弱いんです。その中で特に条件の不利な母子家庭、いろいろな面で社会的に不利です、母子家庭というのは、時間がありませんから申し上げませんけれども。そこへ支給される手当というのは、大変大きな力があります。これはもう命の綱だと言ってもいいくらい非常に重要な問題です。ところが、それを削減したりあるいは切り捨てられてしまったりしたら、たちまち生活は困ります。病気でもしたらどうしようということになるわけですから、これは絶対に改めていただかなければならないというふうに思います。
 社会労働委員会で詳しく制度の中身については審議すると思いますので、ここでは余り深く入りたく思いませんけれども、例えば収入の上限を制限して厳しくしてしまうとか、あるいは子供に対する扶養手当の額を毎月減らしてしまうとか、あるいは支給期間を今までは十八歳までだったのを七年間と短縮してしまうとかいうようなことが次々に出てまいります、制度の改悪で。それに伴って予算も落ちてくるわけです。
 そこで、それらの問題をここで討議しておりますと時間がありませんから、私は委員会にそれを譲りたいと思いますが、どうしてもここで言っておかなければならないことが一つあります。
 それは、もう一つの理由として、未婚の母の家庭には対象として給付しない。すなわち、未婚の母の家庭は対象として切り捨ててしまう。何と冷たい政策をお出しになったかと思ってびっくりしているのですが、これはどういう理由なんですか。未婚の母の家庭というのはもっと苦しいところなんですけれども、なぜここを落とされたのですか、落とされた理由を説明してください。
#329
○小島政府委員 児童扶養手当につきましては、離婚による生活の激変ということに着目いたしまして、そこにお手当を支給する。また、立ち直りの期間、再起できるまでの期間の援助をする制度に改めようというふうに考えているわけですが、未婚の母につきましては、家庭を形成したという実態がないものですから、それは父親によって生計を支えられているという実態がないということに着目いたしまして、離婚による生活の変化というものが起こってないという理由で、そこを整備したものでございます。
#330
○金子(み)委員 家庭におろす補助金じゃないですよ。これは児童扶養手当なんですよ。子供に対する手当なんですよ。ですから、子供は、お父さんがいようといまいと、どんなふうな状態であろうと、母と子と二人の生活には変わりはないのです、どういう場合でも。だから、子供に関係ないのにどうして未婚の母子家庭だけは対象にしないか。すなわち、未婚の母の子供に出さないのか、ここがどういうことだったのですか。
#331
○小島政府委員 繰り返しになりますが、これは生活の、例えば年金ですと、父親の死亡ということに、生活の激変に対応しまして経済的な減収というようなものをカバーする制度として考えているわけでございます。児童扶養手当につきましても、これは生別の母子家庭でございますが、主として、そういうような離婚による家庭の父親となる夫からの生活の援助がなく、期待できないということに着目した制度として考えておりますので、未婚の母という分野の方々につきましては、初めから夫によって生計を支えられたという実態がないという理由でそこを区分してあります。
#332
○金子(み)委員 夫によって生計を営んでいないということになれば、必ずしも未婚の家庭だけでなくて、離別した家庭も同じことですよ。夫から仕送りが来ているなんというのはまれなんです。本当にまれなんです。だから、それは言いわけにならないのですよ。別の理由があるんじゃないですか。
 それじゃ大臣、ちょっとおっしゃっていただく前に、例えば年金法というのを局長がおっしゃいましたが、年金では夫の死亡が病死であろうと自殺死であろうと手当は出るのですよ、扶養手当は、年金法でいけば。夫の死亡が病死であろうと自殺であろうと遺族年金はちゃんと出るのですよ。それから、健康保険法だって婚姻届があるなしに関係ないのですよ。ちゃんと医療給付は出るのですよ。なぜこの児童扶養手当だけがそんな厳しい冷たい体制をおとりになるのですか。大臣、ちょっとおっしゃってください。
#333
○増岡国務大臣 ただいま政府委員から説明いたしましたような法律自体の中身の大きな制度改革でございまして、論理的に申しますと、政府委員の説明も一応の理由、理屈は立つと思うわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、既に法案提出をいたしておるわけでございますので、今後、社労委員会の御審議にゆだねたいというふうに思っております。(発言する者あり)
#334
○天野委員長 金子君、もっとわかるように質問しなさい。
#335
○金子(み)委員 大臣の御答弁は私はちょっと納得できないのですけれどもね。私の質問に真っすぐ答えていらっしゃらない。だから、真っすぐ答えていただきたい。言いにくいことがおありになるのかもしれないけれども、そこを、言いにくいところをちゃんと言っていただかないと私どもも理解ができないのです。
#336
○小島政府委員 事実婚の場合は、これは離婚として考えておりますが、事実婚でも、夫によって家計が過去に支えられたというような母子家庭については対象にいたしております。
 ただ、これにつきましては、一般的に申しまして低所得階層、支給対象となっておる方よりももっと収入の少ない家庭、夫がいる場合でありますと当然出ないわけでございますが、経済援助ということにつきましては、やはり福祉の目的ということから一応もう一回考え方を整理した結果、いわゆる未婚の母につきましては家庭形成という実態がないものでございますから、その夫が……(「母と子と二人、家庭形成しているんだろうが」と呼ぶ者あり)いやいや、夫を中心とする家庭形成がなかったということでございますので、そういう形で実態上の変化はないということでございます。
#337
○金子(み)委員 私、局長随分無理しておっしゃっていると思うのですよ、本当にお気の毒だと思うのですけれどもね。それはこじつけですよ。母子家庭ですよ、母と子の家庭ですよ。父親がそこに存在していないのですよね。だから、どういう形で父親がいないかというのは不問なんですよ、母と子ということは変わりがないのですから。そうでしょう。こんなの、よその国にはありませんよ、どこの国にも。日本だけの非常に、何と言ったらいいでしょうか、封建的な差別ですよ。私はもう本当にこれは許せないと思うのです。
 私はほかのところで、ここではちょっとはばかって言いたくないのですけれども、政府職員の方が、実はこういう人たちがおりますからとおっしゃったのがあったのですが、それはちょっとここでは言いにくいのですよ。だけれども、そういう考え方で見ていらしたのかなと思った途端に、これは厚生省の行政は改めなければならないと思いました、とんでもないことだと思いました。正式に結婚していないからということが何の理由になるのですか。この子供は全く関係ないです。同じですよ、母と子は。そんなことを理由にして差別をして、手当を出さないなどというようなことをお決めになるなんという政府の考えは、私全く理解できません。
 大臣、いかがですか、それでも押し通していらっしゃいますか。制度改悪になりそうになっているのですよ。
#338
○増岡国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、私どもといたしましては国会に御提案を申し上げておる立場でございます。これから社労委員会で御審議をいただくわけでございますので、その御審議の結果にゆだねたいということで御理解をいただきたいと思います。
#339
○金子(み)委員 いや、私は大臣にそういうことを御答弁いただくようにお願いしたんじゃないのです。大臣がどうしてこういうふうにこういう政策をお出しになったのかを伺ったわけでして、社労委員会はまた別ですよ。社労は社労でやります。社労は社労でやりますけれども、私がどうしてもここで持ち出したかったのは、そのことをきちっとしたかったからなんです。大臣、いかがですか。大臣の今の御答弁では納得できない。なぜこの家庭だけを差別したかという理由なんです。
#340
○小島政府委員 これは一応母子福祉年金の補完的な制度という従来の制度を改めまして、離婚による母子家庭の立ち直りまでの間の援助措置という形に整理したものですから……(「その整理の仕方がおかしいんじゃないか」と呼ぶ者あり)いや、ですから、先ほどの家庭を形成していないというのは誤解があったと思いますけれども、夫を中心とするような生活の実態がない。だから、夫によって支えられている家庭であって、その夫と離別したためにさしあたり生計の手段がないという家庭を対象といたしまして、その家庭が自立できるようなことを援助しようと。いう趣旨で成立いたしたものですから……(「夫がなければ家庭ではないのか」と呼ぶ者あり)いやいや、それは違います。従来……(発言する者あり)
#341
○天野委員長 質問に答弁すればいい、質問に。
#342
○小島政府委員 従来夫の収入によって支えられた家庭というものが、夫と別れたことによって母子だけが取り残された、そういう生活の激変が起こった場合に、その母子家庭が自立できるまでの期間援助をしようという制度の趣旨に改めたものでございます。
#343
○金子(み)委員 私は何遍伺ってもそれは理解できないのですよね。夫がいない、父親がいない家庭ということの限りにおいては全く同じなんですから。過去に一緒に生活していたか、今一緒にしていないか、その問題じゃないのですよね。だから私は、厚生省がこのような考え方をお出しになった裏には別の理由があるだろうとすら考えているわけなんです。今の御説明では、何も未婚の母だけを対象にすることはないのですね。ほかにも同じような母子家庭があるわけですから、何も未婚と限らないのですよ。未婚も既婚も同じじゃないですか。父親がいないのは、父親が失踪したか蒸発したかどうしたかわかりません。今、全然父親の収入で支えてもらっているわけじゃないという家庭は幾つもありますよ。それと未婚の母のいる家庭とどう差別なさるのですか。差別する必要ないじゃないですか。同じじゃないですか。その考え方をはっきりとさせてもらわないと困る。大臣はそれは別だと思いますか。同じじゃないですか。
#344
○小島政府委員 実態、現在母子家庭になった姿、形としては同じだと思います。全く同じだと思います。ただ、児童扶養手当制度を今度福祉の制度に切りかえるに当たりまして、家庭生活の激変ということに着目した制度として整理いたしましたので、事実婚の家庭は当然対象になります。しかし、従前夫によって生活を支えられていたという実態のない家庭については、離婚による生活の激変ということがないわけでございますので、それはこの制度の対象として取り上げなかったということでございます。
#345
○金子(み)委員 今のところ、おかしいですよ。夫によって経済的な支えが過去にあった人たちが、夫がいなくなったからなくなって、母子だけになったからそれを助けるというふうに考えたとおっしゃるのですけれども、それだったらば今は何もないのですから、過去にそうだったからといって、現在の問題なんですよ、これは。過去に大変お金持ちだったかもしれないけれども、今は何もなくなったという人もあるわけでしょう。もともと何もない人もあるわけでしょう。現在の時点で物を考えてもらいたいのですよ。過去どうだったかということを聞いてないのです。それを聞く必要はないのですね。大体、社会福祉です、この問題は。社会保障、社会福祉事業です。それだったらば、こういう区別をつけ、差別をつけるというのは、私はゆゆしい問題だと思う。これは理解できませんね。(発言する者あり)
#346
○天野委員長 明快な答弁できないのかな。
#347
○小島政府委員 繰り返しになりますが、母子家庭である現在の姿は変わりないと思います、そこは。ただ、この制度の趣旨が離婚による生活態様の激変緩和という形で整理いたしましたので、対象になっていないということでございます。(発言する者あり)
#348
○天野委員長 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#349
○天野委員長 速記を始めて。
 厚生大臣。
#350
○増岡国務大臣 ただいまのお尋ねが今回提案しております法律案の中身に限られたような判断で申し上げておったわけでありますけれども、御指摘のような御趣旨につきましてはごもっともなことでございますから、今後の施策の上には十分反映をさせていただきたい、そういうふうに考えております。ただ、今の法律案を提案いたしております関係から、法律案そのものの中身に関します言及は差し控えたいと思います。
#351
○金子(み)委員 今の問題は、大臣が御答弁なさった点で一応理解はいたしましたけれども、ここだけで終わらないで、これはさらに関係委員会で論議が進められることだろうと思います。
 それでは、その次にお尋ねしたいことがございます。幾つもありますが、時間が大変に切迫しましたので、ひとつ労働省関係。これは予算の上では目玉みたいに突出したのです。六十年度の予算としては、労働省の中で婦人関係予算としては珍しく突出した予算で大変増額になっているわけですが、それは育児休業制度の普及促進の問題です。予算的には大変促進したので、一日見れば、これはよくやったな、こういうふうにも思うかもしれません。しかし、中身を見せていただきましたならば、育児休業制度がなかなか利用されてなくて、そのための奨励金というのを企業に出していらっしゃる。そうですね。そのお金がばあんと大きくなったのですよ。しかも、今までは単年度の奨励金だったのを今度二年間続けて出そうという、それを今から約束しているわけです。しかも、昨年度と比べますと今年度は、数字もありますが読み上げると時間がかかりますから言いませんが、御存じだと思いますから申し上げませんけれども、倍以上ですよ。例えば去年三十八万円だった中小企業に対するものは、今度は何と百万円になるのですよ。大変にふえる。このことはどういう理由でこうなさったのでしょうか。ただ単に育児休業奨励金だけではないみたいなにおいがしますが、これはどういうことなんでしょうか。大企業に対しても同じように大変に増額されておりますが、これで育児休業制度が実施できるかということなんですが、それはどういう目算でこういうふうにお出しになったのでしょうか。
#352
○赤松政府委員 お答え申し上げます。
 育児休業につきましては、その制度の普及を私どもとしては一生懸命やっているつもりでございますが、これまでのところまだ普及が余りはかばかしくございませんでした。その理由はいろいろあると思いますが、この奨励金の額もずっと最初よりはふえてきておりますものの、その誘引の額としては十分でないという認識をしたわけでございます。
 そこで、もともと奨励金でございますので、給料のかわりとかそういうことではなくて、育児休業制度を導入するために、それをしなければ必要でないような人間も必要だ、制度を研究したり、いろいろ就業規則を改定したり、そういうようなことをするために人事係か、あるいはそれに類するような方を必要とすると思いますので、そういう方に人件費も要るでしょうということで、それの一部を補助するというような基本的な考え方がございまして奨励金という形で出していたのが中小企業に対する三十八万円、大企業に対する三十三万円という奨励金でございました。ところがそれが十分な誘引とならないということでもございますし、また一年だけではその育児休業制度の定着ということが見届けられないということも考えられますので、二年にわたって支給した方がその制度の運用についても目が届く、つまりフォローアップもよくできるのではないかということで、最初の年は六十万、二年目が四十万ということで二年に分けて額も増額をした、このような次第でございます。
#353
○金子(み)委員 今の御答弁を伺いましたら、二年にわたった方が効果があるだろうと思って今度はやったとおっしゃるのですが、それならなぜ最初からなさらなかったのですか。なぜ今ごろになって改めて二年分をということをお考えになったのですか。私はそれを聞きたいのですが、それを伺っておると、また長い答弁があったりすると時間がなくなりますので、大臣にお尋ねしたいのは、なぜ今ごろになって急に二年分しなければならなくなったのかわかりませんけれども、その御答弁と一緒に、どう考えてもこれは企業に対する協力費としか見えないのです。すごく企業に対して協力しているというふうに読めるわけです。その点をひとつ大臣から御答弁いただいてこの問題は終わりたいと思います。大臣、御答弁ください。
#354
○天野委員長 簡単に答弁してください。赤松婦人局長。
#355
○赤松政府委員 奨励金でございますので企業に対して支払うという形をとりますが、それを受け取られた企業がどのような形でそれを活用されるかということはその後の問題でございます。受け取られる方は確かに企業であることには違いございませんが、奨励金という形をとる以上そのようになろうというふうに存じます。
#356
○金子(み)委員 大臣、お願いします。私が大臣にお尋ねしたいのは、最後に疑いを持つということを申し上げましたその点です。企業に対する協力がすごいじゃないか、それを申し上げているのですよ。去年に比べてどういうことなの。それを御答弁いただけばそれでいいのです。
#357
○山口国務大臣 育児の休業を進めるという意味で婦人局の方でそうした予算を考えたわけですけれども、今金子先生の御指摘のように企業に対する優遇ということよりも、局長から答弁がありましたようにあくまで育児休業の促進を進める、こういう観点からの施策ということでひとつ御理解をいただきたいと思います。
#358
○金子(み)委員 余り、うんと言えないのですけれども、やむを得ません。もう少しそのことを今度はよく検討しておいていただきたいと思います。
 一つだけ、どうしてもやりたいことがありますのでやらせていただきます。厚生省です。厚生大臣、この問題は古い話ですから、あるいは大臣御存じないかもしれません。というのは、昭和四十三年の話です。今から十七年も前の話ですが、十七年も前につくられた考え方が亡霊みたいに今日でもまださまよっておりまして、働いている妻を非常に悩ませたりいじめたりしているわけです。何かと申しましたら、夫婦で共働きをしている場合に子供が生まれた、その子供の扶養をだれがするかという問題なんです。だれがその子供の扶養をするかということを認定するに当たっての厚生省から出た通達があるのです。無条件に夫が扶養することになっているのです。どうして妻にさせてはいけないのですか。妻にさせる場合には夫よりも三割以上の収入がなければだめだというのです。そんなことをどうして決めたのですか、おかしな話だと思うのですが。しかし、実態としては、妻の方が収入が多いのにもかかわらず夫に扶養させることを企業側からは強いられる。なぜかといえば厚生省からそういう通達が来ているから、こういうわけです。そうすると、夫よりも妻の方が収入が多いにもかかわらず、夫に扶養させるということを言われて、しようがなくて、命令されてそっちに扶養させているということだとすれば、これは経済的な側面から考えたのじゃなくて、妻に対する差別だと思うのですが、どうですか。これは本当におかしいですよ。
 それに第一、だれが子供の扶養をするかなんということは夫婦の間で決めることでしょう。二人の間で考えて決定すればいいことなんであって、何で国が介入する必要があるのですか。私は、こんなところに国が介入するのは非常に行き過ぎだと思うのですよ。おかしいとお思いになりませんか。これはだれが扶養するかということを申請してきた者に、それは夫であろうと妻であろうと申請してきた者に扶養権限を与える、扶養家族にするというのが当然じゃないでしょうか。そういうふうにしなかったらおかしいですよ。もう十七年も前の古い考え方を今なお生かしておる。その当時はそうだったのかもしれませんけれども、今はそんな社会情勢じゃありません。この通達は廃棄してください。あるいは廃棄ができなければ中身を直してください。そうして新しく、夫であろうと妻であろうと申請した方に扶養家族としての権限を認定をさせるというふうにしていただきたいのです。これも大変な差別ですよ。
#359
○増岡国務大臣 御質問の御趣旨のとおりだと思います。十七年も前の社会情勢と今とはうんと違うと思いますので、改正について前向きに検討させていただきたいと思います。
#360
○金子(み)委員 ありがとうございました。
#361
○天野委員長 この際、竹村泰子君より関連質疑の申し出があります。金子君の持ち時間の範囲内でこれを許します。竹村泰子君。
#362
○竹村委員 関連で、女性に関する質問をさせていただきます。
 まず、労働省に伺いますけれども、多岐にわたり数々の問題がありますが、私は、きょうの時間の都合もありますので、幾つかのことをお尋ねしたいと思っております。一般的には余り知られていないと思いますが、特に大臣に御理解をいただき、お考えいただきたいことであります。山林の女性労働者の問題について質問をさせていただきたいと思います。
 今、山村から労働力が都会へと移っていき、また年々高齢化しつつあるわけです。また同時に女性労働化と言っては言い過ぎかもしれませんけれども、以前から苗畑などはほとんどが女性によって支えられてきたわけでございます。森林を育てる最初の出発点としての仕事をずっと女性が支えてきているわけであります。我が国の緑を守るためにこれは今後ますます重要になってくると思いますけれども、山村林業における労働力政策は女性労働力を抜きにしては考えられないと言えるんじゃないかと思います。どんどん高齢化して働き手がなくなってきている今後の山林労働の担い手をどうされるのでしょうか、対応を、展望をお伺いしたいと思います。
#363
○田中(恒)政府委員 先生お話がございましたように、大変山村におきます林業労働者の高齢化あるいは新規参入がないということでの問題点はあるわけでございます。苗畑等はまさに女性林業労働者の方々によりまして支えられているわけでございますけれども、林業全般の経営活動が停滞化をいたしておりますために、いろいろ基盤がだんだん弱くなってくるというようなことで、就労状態等も非常に厳しい条件も生まれておるわけでございます。そういう中にありまして、林業の担い手を確保するということは、これからだんだんに日本の山も成熟度を高めてまいりますので、そのときに林業生産を担う労働者、事業体を確保することは非常に大切なことでございます。したがいまして男性、女性を含めまして、林業労働者の対策につきましては包括的な施策を講じておるところでございます。
 まずは林業生産の基盤を整備すること、あるいは林業地帯の就業機会を確保する、生活環境条件を向上させる、やはり林業をあるいは山村を魅力のあるものとしなければならない、そのための就業条件、労働条件の改善のためにはいろいろな施策を講じ、努力をしておるところでございます。
 多少具体的に述べさせていただきますと、山村におきましてそのような林業の担い手、これは男性、女性も含めるわけでございますけれども、それを確保するために必要な計画をつくる、あるいは就労条件の改善を具体的に指導できる人を養成する事業なども重点を置いてわるわけでございますが、また地域におきます。そういう熱心な林業後継者の方々のグループ活動などを活性化する、そのための事業なども新たに実施することとしておるわけでございます。万般の施策を講じまして、全体として林業を活性化をいたしまして、その中で女性林業労働者もやはり働きがいのある、条件にも恵まれた状態となるように努力をいたしたいと考えております。
#364
○竹村委員 ぜひしっかりお願いしたいと思いますけれども、労働大臣いかがでございますか。
#365
○山口国務大臣 十一万人の林業雇用者の中で一六・八%が女性の御貢献の中で成り立っていることでございますし、今林野庁長官からの御答弁がございましたように、林野庁の林業振興対策と相まって、労働省といたしましても、労働条件、雇用条件の改善等に努めながら、特に通年の雇用奨励金等を含めまして、林業労働者の雇用の安定のために努力しなければならない、かように考えております。
#366
○竹村委員 期待しております。女性の労働力が山村林業の中で重要な位置を持っていることを認識して、しっかり対応していただきたいと思います。特に民間の林業労働者は、雇用契約もない短期日雇い、六カ月雇用がほとんどですが、低賃金、社会保障も満足ではない、こういう状態で働いているわけであります。国有林の場合は八カ月雇用ですけれども、男性は大体常用雇用なんですね。これはなぜ女性労働者は八カ月雇用になるのですか。低賃金ということからいっても大変な男女差別ではないでしょうか。
#367
○田中(恒)政府委員 国有林におきましては男性、女性を問わず、雇用の安定のためには通年的雇用が望ましいということで、季節的条件あるいは業務量を総合勘案いたしまして、そういう雇用の長期化、安定に努力をいたしてきたわけでございますけれども、現在、女子職員につきましてそのような八カ月でとどまっておるということにつきましては、これは、その先の冬季間の仕事が、大体冬は積雪等によりまして生産関係の業務しかないというのが常態でございまして、そうなりますと、いろいろ労働安全の関係、あるいはほとんどが家庭の主婦でございますのでなかなか移動できない、そういうことが大変大きな原因になりまして、それ以上の雇用の延長がまずは不可能であるというようなことがございまして、八カ月あるいは六、七カ月というふうな雇用期間にとどまっているというのが現実でございます。季節的条件と、御本人のそういういろいろ家庭的事情等も関連いたしまして、現在の雇用形態となっているわけでございます。
#368
○竹村委員 冬場には仕事がない、女の働く仕事がないとおっしゃるのがいつもの言い分のようですけれども、私の住んでおります北海道などでも、冬場にも山へ入っているのですね。実際には男女が全く同じ仕事をしている場合もあるわけです。しかし、こういう差別が明らかに行われているということは、雇用平等法絡みで、労働大臣、いかがですか。どうお考えになりますか。
#369
○赤松政府委員 先ほどのお話のように、冬場の労働というのは大変限られた労働だというふうに聞いております。そこでは、例えば伐木のような仕事はあるけれども、もう少し軽易な仕事は積雪のためになくなるということで、伐木には、先生御存じのようにチェーンソーを使って仕事をしなければならない。ところが、チェーンソーの仕事につきましては、危険有害業務ということで労働基準法の就業禁止がかかっている。就業禁止でございますから雇用するわけにいかない、そのために女性の就業の機会がより少なくなる、このような因果関係があるのではないかというふうに考えております。
#370
○竹村委員 チェーンソーの関係が出ましたけれども、その辺はよくわかっておりますが、同じ仕事をした場合に、雇用延長についてもぜひ真剣に労働省は対応してほしいと思います。する気がありますでしょうか、どうでしょうか。大臣、いかがですか。
#371
○山口国務大臣 その辺がなかなか、男女均等法の中でいろいろ御議論いただいたり、おしかりいただいたりする部分もあるのですけれども、女性保護の部分で優先をいたしますと、雇用の部分でいろいろ制約がある。また、今、チェーンソーというのですか、電動のこぎりでありますとか、いろいろな作業については女性の就業については制約があるというようなことになりますと、今度は雇用の問題でハンディを受ける、こういうこともあるわけでございますが、いずれにいたしましても、女子労働者の方々の就業の確保ということにつきましては、やはり男女雇用機会均等法の一つの大きな考え方、精神もそこにあるわけでございますので、行政的な立場からも一層努力しなければならないというふうに考えております。
#372
○竹村委員 若い新進気鋭の大臣に期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 次の質問をさせていただきます。
 今、チェーンソーのことが出ましたけれども、国有林の人事院規制など、危険有害業務についての就業というものがあります。また、労基法六十三条にも「危険有害業務の就業制限」というのがありますね。
 それから、きょうは時間がありませんので私の方で出しますけれども、女子年少者労働基準規則というのもございます。この女子年少者労働基準規則の中の三十九というところに「さく岩機、びよう打機等の使用によって身体に著しい振動を受ける業務」というふうに書いてあります。
 それで、ちょっとお伺いしたいのですが、今チェーンソーのお話が出ましたが、チェーンソーも一般的にはこれに該当すると確認してよろしゅうございますか。労働省、いかがでしょうか。
#373
○赤松政府委員 労働基準法の決めましたものを具体的にした女年則でございますが、その三十九の先生御指摘の表現は、チェーンソーという表現はございませんが、解釈といたしまして、「さく岩機、びよう打機等の使用によって身体に著しい振動を受ける業務」の中には、チェーンソーの使用も含まれているというふうに解釈しております。
#374
○竹村委員 ありがとうございました。それじゃ、チェーンソーも労働省では、「身体に著しい振動を受ける業務」として女子及び年少者の就業が禁止されると解釈してよろしゅうございますね。
 それではその次に行きますけれども、刈り払い機というのがあります。下草などを刈る機械ですけれども、これの就業制限をしない理由を伺いたいです。なぜなんでしょうか。これはチェーンソーとそんなに違わない振動を体に受ける機械でありますけれども、これは、刈り払い機を危険有害業務の就業制限としていないのですが、いかがですか。
#375
○赤松政府委員 先生仰せのとおり、刈り払い機の方は危険有害業務として就業禁止になっておりません。チェーンソーの方は電動のこぎりでございまして、大変振動が激しい。刈り払い機の方は草などを回して切るということで、それほどの振動がないというふうに聞いております。
#376
○竹村委員 私、きょうは時間の関係で余り深く入れないのですけれども、チェーンソーと刈り払い機の体への影響の違いを労働省ではどう見ておられるのか。実際には、民間林業の女子の労働者はチェーンソーも刈り払い機も使用しているわけなんですね、現実の問題としては。その辺をぜひ母性保護の観点からも、振動、それと重量の問題もありますね、腰につけて刈るわけですから。労働省はぜひ女性労働者の振動機械使用について今後十分に検討を重ねていただきたいと思います。いかがでしょうか。よろしいですか。
#377
○赤松政府委員 チェーンソーと比較いたしまして、刈り払い機の方は構造あるいは使用の態様がいろいろあって、一概に禁止するほどのものではないのではないかというのが今までの解釈でございます。今後、ただいま参議院で継続審査をお願いいたしております雇用機会均等法の中では、基準法の有害業務制限の考え方といたしましては、母性保護という観点、つまり妊娠、出産後の女性を保護するという観点から、有害であれば、チェーンソーも刈り払い機もその観点から見直しを行いたい。そういう観点から有害でなければ、就業禁止というものは女性の就業機会を奪うという効果もあるわけでございますから、そういう観点では就業を禁止することはいかがか、そういう観点から見直しを新しい改正法のもとで行いたいというふうに考えております。
#378
○竹村委員 私が持っております「民間林業における年度別振動病認定者数及び療養継続者数」という資料によりますと、私の住んでおります北海道では、この数字が、一九八三年度千七百十七人中百七十八人が女性でございます。これはチェーンソーではないとすると、刈り払い機の振動病と見られるものと思うわけでございます。今赤松婦人局長おっしゃいました今回の見直し、女性の振動病についてもぜひよい御配慮をお願いしたいと思います。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 林野庁長官及び厚生大臣にお伺いいたしますけれども、山村林業における薬剤の使用につきまして、昨年、私も北海道夕張、恵庭の国有林へ視察に入ってまいりました。夕張では、ダイオキシンを含む2・4・5Tのずさんな処分が私たちの指摘によって発見されたわけです。しかも、新たに枯殺剤を散布するに当たりまして、住民の十五日間にわたる反対座り込みにもかかわらず、強硬に百キロ迂回をして散布をしているわけです。しかも、そのすぐそばを流れる川は、下流の住民千五百人が飲料水として使っているという恐るべきところなんですね。子供たちが炊事遠足のためにもこの川を使用いたします。
 また恵庭では、枯殺剤をまいたところ、雑草ではなくて植林した松を枯らしてしまっているのです。わざわざ植えた松を枯殺剤によって枯らしてしまっている。それを祭日を選びまして管理職の方たちがひそかに抜き取って処分をしたという、そういう現場を見てまいりましたけれども、本当にこれは、きょうは私はこのことで深く追えませんが、いずれ社労でじっくりと追及させていただきます。
 それで、薬剤散布の効果なんですが、一ヘクタール当たりの経費についても、人力を使った方がずっと安く上がる計算になっております。薬剤の費用及び散布の費用などを入れますと、人力を使った方がずっと安いのです。なぜそうまでして薬剤を使いたいのですか。それをちょっと林野庁、お答えください。
#379
○田中(恒)政府委員 林業関係の地ごしらえでありますとか下刈りに薬剤を使っておるわけでありますけれども、林業関係の業務は季節的にピークになるときがございます。やはり雇用を安定させるためには、その業務量を適期に消化する、その省力性、効率性というものもまた大事なわけでございます。その点は、薬剤が非常に効果的な場合があるわけでございます。
 なお、人力との比較についてでございますけれども、薬剤の残存効果と申しますのは、毎年その後数年間にわたって効用が持続する。と申しますのは、先生がおっしゃった中にはササがあると思いますけれども、ササを処理するということは、人力では大変容易でないことでございます。国有林で使っております塩素酸系の、塩系の除草剤はこのササに非常に効果的である。北海道のように天然林の施業を大切にするところにおきましては、ササを処理してその後に種が落ちて発芽する、それを待つのが非常に大切なことでありまして、これは人力ではなかなかそれにかわるやり方は難しい。やはり薬剤を効果的に使うということは、林業の技術体系の中で欠くべからざるところでございます。
#380
○竹村委員 それによって散布に当たる労働被害、吐き気、食欲減退、皮膚のただれなどなど、若年の女性労働者がいれば被害はもっと違った方面にあらわれることも考えられるわけです。生態系の破壊になるかもしれないことが起きてくるかもしれません。
 そういう中で、民間の林業労働者については健康診断を全くやっていない。これはどういうことなんでしょうね。林野庁は、十三年前の2・4・5Tを散布した当時の労働者の健康調査を去年やっと始められたとお聞きしております。肝臓機能が多いと聞いておりますけれども、この民間の林業労働者の健康診断、これはどう考えられますか。
#381
○田中(恒)政府委員 民間の林業労働者というお尋ねでございますので、民間の雇用事業主がその労働者に対して行っていることでお答えしたいと思いますが、除草剤その他薬剤一般につきましては適法な使い方がそれぞれ決まっておるわけでございまして、それによりまして使っております限りにおいてはよろしいのではないかと思っております。
 もし国有林関係についての取り扱いでございますれば、多少異なった点がありますので、その点は御説明を申し上げたいと思います。
#382
○竹村委員 よろしいんじゃないかと思われては困るのでして、ダイオキシンを含む2・4・5Tの場合も、よろしいんじゃないかと思っておられたから使われたのですよね。後でこういうダイオキシンが、枯れ草剤が入っていたなどということが出てくるわけですから、健康管理、健康診断をするようにぜひ図っていただきたい。しっかりとこれをお願いしたいと思いますが、どうですか。短くお答えいただきたい。
#383
○山口国務大臣 そうした問題は、労働基準局の安全衛生の分野でそれはもう義務づけられておりますので、事情もまたよく承りまして、ひとつしかるべき指示を出したいというふうに考えております。
#384
○竹村委員 それができていないのでお願いしているわけでございますから、よろしくお願いいたします。
 今、主として女性労働者が従事しております薬剤散布、塩素酸系の薬剤ですけれども、シマジンとか、これは雑草の芽が出ないように土に膜をつくってしまう薬だそうですが、また臭化メチル、ネキリムシを殺すために土に注射をする、そういうふうな薬剤散布が女性労働者によって行われているわけですけれども、この薬剤散布のときに滴が落ちたり、皮膚に直接触れたりしてやけどになる、そういう例も非常に多い。安全確認をすべきではないですか。林野庁あるいは労働省でやったことがありますか。塩素酸系といえども、これはぜひやっていただきたいと思いますが、いかがですか。
#385
○田中(恒)政府委員 国有林野事業におきましては防護衣、防護具等を着用して使用するように指導を徹底いたしております。(「民間は」と呼ぶ者あり)
#386
○竹村委員 国有林でも民間でも、薬剤散布に従事するのは同じことですからね。国有林なら守って民間ならほっておいていいというわけではないわけですから、同じ人間なのですから、ぜひこれはきちんとやっていただきたい。そして、後で2・4・5Tの場合のように大変な薬だったなんて言われてももう遅いわけですから、しっかりお願いしたいと思います。
 余り時間がありませんので、最後に厚生大臣に、きょうは私は主に女性の林業労働者の実態についてお尋ねしてまいりました。こういった事実を御存じでしたでしょうか、厚生大臣。
#387
○増岡国務大臣 多少は存じておりました。
#388
○竹村委員 多少では困りますので、厚生省というのは、あるいは厚生大臣というのはこういった事実に対してほかの省庁や出先機関に対して十分なチェック、指導をしていただかなければ国民としては大変に困るわけでございます。
 もう終わりますけれども、どうぞ最後にお願いを申し上げたいと思います。ぜひ厚生大臣の指導をよろしく十分に、強力にしていただきたいと思います。これで質問を終わらせていただきます。御答弁をお願いいたします。
#389
○増岡国務大臣 厚生省の立場から、いろいろな場面ごとに注意深く健康その他に被害のないような措置を各省と連絡をしながら講じてまいりたいと思います。
#390
○竹村委員 お約束していただけますね。――よろしくお願いいたします。終わります。
#391
○天野委員長 これにて金子君、竹村君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井光照君。
#392
○吉井委員 大変時間も遅くなりましたが、本日最後の質問でございますので、何とぞよろしくお願いしたいと思います。
 まず最初に官房長官にお尋ねをいたしますが、戦後処理問題でございます。
 昨年の十二月二十一日に戦後処理問題懇談会の最終報告が提出されたわけでございます。それによりますと、恩給欠格者の救済、それからシベリア強制抑留と在外財産の補償のいずれにつきましても個人補償はこれ以上国で措置すべきものはない、このように見送られているわけですが、この見送られた点につきまして長官はどのようにお考えになるのか、まずその点からお尋ねをしたいと思います。
#393
○藤波国務大臣 今先生から御指摘がございましたように、シベリア抑留者の補償の問題、さらに恩給欠格者の救済の問題、そして在外資産の補償の問題、これらが非常に大きな政治課題になりまして、その問題をどう扱うかということで懇談会が出発をいたしまして随分回数を束ねていろいろ御意見が交換をされました結果、これ以上国として措置すべきものはない、しかし関係者の方々のいろいろなお気持ちを考えるときにまことに同情すべきものがあり、このお気持ちに対しては基金を創設し、これを活用することによってこたえていかなければならぬ、こういう報告が出されたところでございます。それを受けまして、昭和六十年度予算におきまして一億五千七百万予算を計上いたしまして、検討並びに調査を進めるということにしておるところでございます。
 報告がそのような内容で来ておりますので、政府といたしましては、長い間の懇談会の御論議を続けていただいておまとめをいただいたことに深い敬意を表してこれを受けとめさせていただいておるところでございますが、どのように基金を動かしていくかというようなことにつきましては予算が成立をいたしました後検討していくようにいたしたい、こういう方針でおる次第でございます。今の段階で私からそのことについてどう考えるかということをお答えをするよりも、そういった経緯で来ておりまして、予算案に計上したというこの事実に基づきまして今後検討していくようにいたしたい、こういうふうに存じておりますので、検討の中で各界各方面のいろいろな御意見もまた伺いながらその検討を深めていくようにしたい、こういうふうに考えておりますことだけを申し上げたいと存ずる次第でございます。
#394
○吉井委員 今長官からこの基金の一億五千七百万ですかの調査費のお答えがあったわけでございますが、この金額一億五千七百万、この調査費は一体どういう基準ではじき出されたものか、ある程度のいろいろな積算基準があって出されたのか、その点はいかがでしょうか。
#395
○吉居政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまも官房長官からお答え申し上げたところでございますけれども、この特別基金の検討調査費全体で一億五千七百万でございますが、これには人件費それから事務経費等も含んでおります。調査費といたしましては一億円を考えているわけでございますけれども、これは先ほども御答弁いたしましたように、戦後処理問題がいわゆるシベリア抑留者問題あるいは恩給欠格者問題あるいは在外財産問題と多岐にわたるものでございますので、これにかんがみまして、一億円の予算枠が適当ではないかということを考えたものでございます。このように戦後処理問題が広範多岐にわたる問題でありますので、六十年度の予算が成立いたしました際にこの具体的な内容、調査の方法等を詰めてまいりたい、かように考えている次第でございます。
#396
○吉井委員 先ほど官房長官からは具体的な調査計画、そういったものもまだ定まってない、このようなお話でございましたが、恩給欠格者等と同じような境遇にあると言われております進駐軍の被害者、遺族、この方たちもこの基金の対象にはできないのか、その点いかがですか。
#397
○佐々政府委員 お答えいたします。
 ただいまお尋ねの占領軍の不法行為に伴う方々への補償の問題でございますが、先生既に御承知かと存じますけれども、昭和二十七年四月二十九日、平和条約が発効いたしまして日本国政府はこの占領時代の問題についての請求権を放棄をいたしたわけでございます。しかしながら、非常に多くの不法行為によるところの犠牲者がおられまして、これは余りに気の毒で何とかしなければいかぬ、こういうことから何回も閣議決定、閣議了解がございまして見舞金等の支給をいたしてまいりましたが、昭和二十年九月二日から昭和二十七年四月二十八日まで、講和条約発効までの占領の期間に占領軍等の不法行為によりまして損害を受けた万々に対しましては、昭和三十六年の連合国占領軍等の行為等による被害者等に対する給付金の支給に関する法律、昭和三十六年法律二百十五号でございますが、これによりまして救済措置を図った。しかしながら、その後また金額が不十分であるというようなことから四十二年に同法律の一部改正法律案が上程されまして、昭和四十二年法律第二号によりまして、被害の程度に応じて遺族給付金、療養給付金、障害給付金等が追加給付されたわけでございます。その措置により、例えば死亡された方につきましては、遺族給付金、葬祭給付金、特別遺族給付金、被害者の妻に対する給付金、合計で四十一万円、こういう額が支払われておりまして、この占領軍等による被害は、当時の物価あるいは給与水準等で計算をいたしまして、このような処理がなされておるところでございます。
 ただいまお尋ねの一億五千七百万の戦争の損害に伴う処理の問題につきましては、実情調査費でございますけれども、これは先ほど官房長官から御答弁がございましたように、恩給欠格者、シベリア抑留者問題あるいは在外資産の問題、こういうことを中心に直接間接戦闘による被害を受けられた方々に対する補償の再検討の調査費ということで今回御審議をいただいておるところでございまして、私どもは独立後、地位協定の十八条によりまして、今度駐留軍と変わりましてからの米軍の関係の不法行為損害補償は防衛施設庁が担当をいたしておりますけれども、この占領期間の問題につきましては今申し上げました二回による措置によって処置済み、こういう扱いを受けておりまして、施設庁の立場といたしましては今回は御意見を申し上げる立場にない、まことにお気の毒だとは存じますけれども、そういう実情にあることを御理解いただきたいと存じます。
#398
○吉井委員 いずれにいたしましても、恩給欠格者またシベリア強制抑留、それから在外財産の補償、こうした問題等につきまして非常に深刻な問題も抱えておりますので、どうかひとつ格段の御配慮をお願いをする次第でございます。
 官房長官、どうもありがとうございました。
 では次に、行政改革と六十年度予算に関連をいたしまして、まず総務庁長官にお尋ねをいたします。
 政府は、ここ数年強力に行政改革を推進をされまして、制度それから施策の見直しを行ってきたわけでございますが、今国会でも行政改革のための論法案の提出が予定をされております。六十年度の政府予算もこのような行政改革を前提にいたしまして編成されたもの、このように言われておりますが、この際、行政改革の基本的な課題ないし考え方、これをまず冒頭にお聞きをしておきたいと思います。
#399
○後藤田国務大臣 行政改革については、この内閣としては内政の最重要課題として取り組んで、第二臨調の御答申、さらに行革審のその後の御意見、これらを踏まえながら累次にわたってその都度閣議決定をして強力に推進をしておるつもりでございますが、その基本的な物の考え方は、平たく申し上げれば、やはり今日時代がどんどん変化をしていく、この変化への対応力をつける必要がある。その対応力をつける際に、高度成長時代と違って、やはり既存の制度、運営を見直して、そして新しい需要に充てていくということでないと到底対応し切れない、こういうことが基本にあるわけでございますが、私どもとしては、要は一口に言えば国民の皆さんからちょうだいをしておる税金を値打ちのあるような使い方のできる、変化へも対応しながら、そういうような考え方で対応できるような税金の使い方をやっていく、これが私は基本の考え方だろうと思います。
 それについては、今日日本全体の統治機構というものを考えた場合に、国と地方というものはまさに車の両輪、唇歯輔車の関係にあって行政が推進せられておりますから、国の行政改革と同時に地方もあわせてやっていく、こういう考え方で進んでおるつもりでございます。
#400
○吉井委員 今基本的な考え方をお伺いしたわけでございますが、今も長官からお答えをいただきましたように、一口に言えば国と地方を通ずるところの肥大化した行政の簡素化、それから効率化、さらに国と地方の関係で言うならば国の行政の責任領域を見直して、その事務、権限、財源を地方へ移譲していく、そして地方分権を図って、国の行政の簡素化を図ることである。これは臨調の基本答申でもそう述べられているわけでございますが、つまり行革とは仕事減らしから出発をして、人減らし、金減らしをすることではないか、このように思うわけでございますが、長官の御意見をもう一度お伺いしたいと思います。
#401
○後藤田国務大臣 今別の角度からの御質疑の中にございましたが、そのように国の仕事あるいは地方の仕事の守備範囲の見直しということをやって、できる限りこういう時期は民間に任せるべきものは民間に任せていくということであろうと思います。その上に立って組織、機構を簡素化する、そして同時に人減らしをやる、その結果としてそれが経費の節減につながる、こういった段取りで進めていくのが行政改革の道であろう、かように考えます。
#402
○吉井委員 そこで、六十年度予算の大きな柱は思い切った補助金等の整理合理化、このように言われております。これはもう総理の施政方針演説や、また大蔵大臣の財政演説等からも明らかなことでございますが、この補助金の整理合理化は各省庁の既得権といいますか、こうしたものが絡んでいるために大変な苦労が伴うわけでございます。しかし、先ほどの行政改革の観点からはこれをどのように進めていけばいいか、この点についてどのように長官は考えていらっしゃるか、お答えを願いたいと思います。
#403
○後藤田国務大臣 補助金は現在三十二兆ばかりのうち十四兆強ですから、大変なシェアを占めておるわけですね。そこで、行財政改革ということになれば当然補助金についてメスを入れざるを得ない。その際の基本は、やはり国と地方の機能分担といいますか、できる限り身近な行政は地方に任せる、こういう観点でやはりこれはお互いの守備範囲の見直しをやって、その上に立って補助金の整理をやる、これが基本だろうと思いますが、その際に、補助金問題が大きく叫ばれるようになってから、どうも補助金というのは性悪ではないのかといったような考え方が一部にあるが、これは私は大変な間違いだと思う。今日の仕組みの中では補助金というのは重要な政策手段でございますから、これはやはりその基本の認識の上に立って、それじゃ今日の補助金のどこに欠点があるのだろうかといえば、これは御案内のようにもう既に補助目的を達成したものが依然として続いておるし、あるいは零細補助金で効力のないものまでが残っておる。何といいますか、既得権益化して補助金としての役割を果たしていないもの、こういうものをまず私は一番最初に整理をすべきものであろう、かように考えるわけですね。しかし、同時に、今回国会にお願いしておるような問題もございます。
 補助金の整理というのはそういう基本の考え方でやるべきだけれども、国と地方の両方が財政負担をしておるわけですから、やはりそこらで片方の肩の荷が重過ぎれば片方の肩の軽い方に多少は負担してもらってもいいのではないかといったような議論もありますから、そこらを踏まえて補助金というものは整理をすべき筋合いのものであろう、かように私は考えるわけです。
#404
○吉井委員 この補助金の整理合理化を言う場合には、どうしても八割を占めていると言われるところの地方団体に対する補助金、これはもうとりわけ重視せざるを得ないわけであります。
 地方団体に対する補助金につきましては、かねてから種々の弊害が指摘をされております。第一には、地方団体の行政運営の自主性を阻害するとか、また、資金の効率的使用を阻害するとか、また、行政責任を不明確にするとか、また、交付事務等の事務手続が複雑で時間、人のロスが非常に大きい等の問題が言われております。特に、自治体職員の日常業務のうち、府県で六割、市町村で四割が国庫補助金関連事務にとられている、このような調査結果もあるわけですね。補助金決定は箇所別、細目別に細分化されているため、したがって、一つのわずかな補助金をもらうために十回以上も多額の旅費をかけて上京しなければならない、こういう実態までも言われているわけでございます。
 いずれにしろ、交付事務等の事務手続が複雑で、そして時間、それから人のロスが非常に大きい等の弊害、このことにつきましては、先日総務庁がまとめられた六十年度の行政監察計画、この中の一つの大きい柱として補助金事務手続の簡素化がうたわれているところからも明らかであると思います。したがって、行政改革の観点から補助金の整理合理化を取り上げるならば、このような弊害をなくす方向でなされなければならない、このように思うわけでございます。すなわち、補助金そのものを廃止して、仕事減らし、人減らしが実現するような方向で整理合理化するのが本筋ではないか、こういう非常に強い意見も多く聞くわけでございますが、もう一度長官の御意見をお伺いしたいと思います。
#405
○後藤田国務大臣 今日補助金をめぐるいろいろな問題点をすべて今御指摘になったと思います。やはり補助金をめぐっていろいろな問題があることは事実です。だから、補助金の合理化ということについては、地方団体自身もその使い方あるいは補助の受け方、こういう点について改革していただかなければなりませんが、同時に、中央、政府の側で補助金を通じての過剰介入が行われますし、あるいはまた手続がいかにも煩瑣であるとか、あるいはまた必ずしも地方が望んでないような面についてまで補助金が出るという場合もあり得るわけでございますから、いろいろな補助金をめぐる問題点がございます。こういう点については、漸次、私はまず中央省庁にそういう点についての改革、これをやっていただかなければならない、こう考えているわけでございます。
#406
○吉井委員 大蔵大臣、お見えになりましたか。
#407
○天野委員長 今来ますから……。
#408
○吉井委員 では、行政改革と高率補助率の引き下げについてお尋ねをしたいと思います。
 まず、六十年度の政府予算におけるところの補助金の整理合理化の中心は、やはり高率補助率の一律引き下げ、これにあったと思います。これは大蔵大臣も財政演説の中で触れられておりますが、どうしてこのような高率補助率の一律引き下げを行われたのか、まず大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#409
○竹下国務大臣 基本的にいろいろ議論したわけでございますが、いわゆる各方面からこの高率補助率の引き下げ問題というのは御答申なり御意見なりをちょうだいしておるところであります。六十年度予算は極めて厳しい環境にあります。歳出削減を実現するためには、どうしても一般歳出の約四割を占めます補助金等の徹底した整理合理化を図っていかなければならぬ。ところが、これはおよそ十四兆ございますが、その中で法律補助が大体八割、それから地方自治体を通して補助するものが八割、それから文教、公共事業、社会保障、それがまた八割でございますから、全部八割ずつくくってまいりますと、すき間は非常に少なくなります。そういうものに対しては、一割の毎年毎年いわゆる金額の削減をお願いしておりまして、今度は、全体的に補助率で地方と国との役割分担といわば負担の調整ということでお願いをし、なかんずく臨調、行革審意見等々によりましてこれの引き下げを行ったということであります。
#410
○吉井委員 もう一度大蔵大臣と、厚生大臣にもお尋ねをしたいのですが、この高率補助率の一律引き下げによって地方団体が新たに負担することになる金額が、経常的経費で二千六百億、それから投資的経費で三千二百億、計五千八百億、このようになっております。このような高率補助率の引き下げは、さきに挙げた補助金の弊害を何ら解消するものではなくして、それらの弊害はそのまま残っているわけですね。つまり、今回の高率補助率の引き下げは、先ほども総務庁長官がおっしゃったわけですが、行政改革の基本的な方向に沿うものではなくして、理屈抜きで国の財政窮迫を救済するための単なる地方に対する負担転嫁でしかない、このように思うわけですが、特に生活保護費を抱えていらっしゃる厚生省、こういった面から見て、大臣はどのようなお考えを持っていらっしゃるのか、もう一度お尋ねをしたいと思います。
#411
○増岡国務大臣 先ほどから総務庁長官、大蔵大臣のお話にもございますように、補助金の整理合理化の推進は政府全体の方針でありますし、国と地方との負担区分の変更でありますけれども、私どもは、その間、社会保障の実質的な水準の低下を招かないように、また、地方自治体に対する手当てというものができるかどうかということをあわせ考えまして今回の措置をとるに至ったわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#412
○吉井委員 もう一度お尋ねいたしますが、総理のいろいろな御答弁を聞きましても、今回の財源補てん、これはもう完全に行われているのだ、このように言われておりますが、そのうち四千八百億は建設地方債、これはあくまでも地方団体の借金であります。また臨調答申云々、こういったことも言われておりますが、臨調の最終答申を見ましても、補助金の「整理合理化の一般的方策」、これにおいて、「各種事業に対する補助率は、補助金創設の経緯等から区々に定められている。」しかしながら、「各種補助率間の整合性確保等のため、全額補助や著しく高率の補助の引下げ、特例的補助率かさ上げの見直しを含め、補助率の総合的見直しを行う。」と、このようになっております。そうした意味からは、この高率補助率の引き下げ、これは確かに臨調は指摘をいたしておりますが、今回の引き下げにおいては、総合的見直し、つまり国とそして地方間の役割の見直しや費用分担のあり方の検討は全くされていないのじゃないか。仮に臨調答申を認めるとしても、これに従ったものとは到底言えない、このように思うわけでございます。
 また、臨調はこれは政府の附属機関にすぎないわけで、その答申は、これは憲法でも法律でも何でもないわけでございます。政府がその答申に従うことは自由であるとはいうものの、国会がそれに拘束されることは、これは全くないわけでございまして、このことにつきましては行革審の意見も同様であろうと思いますが、この点について、もう一度大蔵大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#413
○竹下国務大臣 これは要するに補助金問題というのは長い間議論されてまいりました。一番整理されておりますのが、財政審報告、去年の十二月の二十一日にちょうだいしたものでございますが、「個々の補助率は、それぞれの補助金等が創設された際、あるいはその後の様々な事情によって、相互のバランスを踏まえつつ区々に定められてきているが、高度成長期の財政状況のゆとりをも背景としつつ、相互に競い合い、次第に高められたこともあって、一般的に補助率が高めに維持される傾向があった。ある程度以上高い補助率は、財政資金を効率的に使用しようとする意欲を減殺したり、いたずらに事業量を拡大しようとする傾向を助長する」、いわゆるそうした面における弊害も出てきた、こういうことから始まりまして、「補助率については、社会経済情勢の推移及び当該補助事業に係る政策の緊要性等を踏まえ、適時、適切にその見直しを行うことが必要である。」こういうことは、臨調にも、行革審意見にも、「補助率の総合的見直しの必要性がくり返し指摘されているところである。」なかんずく高率補助については、「以下のような問題点があることから、補助金等の整理合理化の一環として補助率の引下げを図ることが必要である。」ということでありました。そこで、「国と地方の財政事情、地方公共団体の行政能力等を総合的に勘案して決定されているものであるが、これらの点で個々の補助金等の補助率の設定時と現在とでは大きく事情が変化している。」こういう趣旨の文が一番最後に出た。これは財政審の意見でございます。
 したがって、これに基づきまして議論をいたしまして、やはり吉井さんおっしゃっていますように、二つの側面があるのかな。一つはいわゆる公共事業でございます。これになりますと、補助率が下がって、地方負担がふえて、国費は若干の減を見たが事業量は確保したという、ある意味においてメリットがあったかもしれません。これは短期的メリットでございましょうけれども、そういうこともございましたが、公共事業はそのときどきの財政事情によって多少とも歴史的に見ても変化をしております。ところが、やはり私ども最も議論いたしましたのはいわゆる社会保障関係でございます。特に生活保護の議論は、本院の予算委員の一人であります奥野さんがまだ自治省で若い課長をしていらっしゃる時代のお話を聞きまして、それから背の文献を読んで、昭和二十一年のときの議論から二十二年の議論、二十六年の議論、ずっと議論がございましたが、一貫して八割、二割というのは、その前は、二十一年前でございますが、五割、五割のときがございますけれども、ずっと続いてきたわけであります。したがって、この議論は大変な議論をした集積であるから、こういうことになりまして、私どもも部内で、また政府間で、三大臣でいろいろ議論をいたしました。その結果といたしまして、それではこの問題はなお一年かけて基本的な議論を続けようということになって、妥結いたしましたのが一割削減というよりは八〇を七〇ということでございますが、そういう結果になったわけであります。あとの公共事業関係は、三分の二のものが場合によっては六〇になり、三分の二というと六七%ですか、それが六〇になり、四分の三が七割になる。まあ八割のものが七割になる。あるいは比較的わかりやすい数字の中で一割、若干のでこぼこはございましたけれども、そういうことで整理をさせていただいたということでございます。
#414
○吉井委員 では、自治相にお尋ねしますが、この地方負担転嫁五千八百億で捻出された財源、これは一体国において何に使われるのですか。六十年度予算で見ますと、対前年度比で増加額が大きいのは、国債償還費の一兆六百九十億、それから社会保障費の二千五百億、防衛費の二千億等でございます。また、六十年度予算は、補助金の高率補助率の引き下げのほか、一般財源化等もなされて、しかも一方では、各省庁で補助金の新設も行われているわけでございます。つまり地方への負担転嫁で生み出された国の財源が、国において国債償還費やまた防衛費の膨張に回されたり、また、抑制すべき補助金の新設に使われたりしておる。もし地方への負担転嫁がなかったならば、住民はもっといろいろな地方団体のサービスを受けることができたでありましょう。しかるに、このようなサービスが受けられないだけではなくして、その金が国でもって国債償還費や防衛費に使われているのを見ている地方自治体や住民が果たして本当に納得するのかどうか、自治大臣のお考えはいかがですか。
#415
○古屋国務大臣 補助金カットの経緯につきましては、今吉井委員からお話しになったとおりであります。
 自治省としては、補助金の見直しは必要であるという立場に立っております。というのは国と地方との仕事の分担ということから考えて補助金の見直しは行わなければならない。ただ、国の非常に厳しい財政下におきまして、この一割カットによりまして、今お話しになりました五千八百億は国で全部補てんをする、これは一年限りの暫定的なものである、特に社会保障関係については三省でこれを話し合うということで、私どもといたしましては予算編成直前まで問題になった点でございますが、厳しい財政下にあるということから、今言いました三つの条件によりまして、補助金の一割カットに応ずるようになった次第でございます。
 五千八百億の補てんにつきましては、今吉井委員のお話しになったとおりでございまして、私どもはこの一割カットがなければ、ことしは地方団体の収支が大体均衡するであろうという見通しでおったわけでございますが、一割カットということによりまして地方団体にそういうような御迷惑をかけ、そのために金銭上の負担その他の問題を暫定的にもやらざるを得なかったというような次第でございます。
#416
○吉井委員 では、もう一度総務庁にお尋ねをしますが、総理は、昨年の十月、このような高率補助率の引き下げによるところの地方への負担転嫁の見返りとして、地方団体に対する国の干渉を排除したり、また、国の許認可権限を地方へ移譲することを自治省に対して指示した、このように報ぜられたわけでございます。その結果として、また、臨調答申の具体化として、今国会に国の関与について四十九事項及び必置規制について三十六事項の一括整理法案が提出予定、このように言われております。
 しかし、これら八十五事項は、よく見ますというと地方団体の自主的行革をやりやすくするというほどのものではありません。ないよりはましだという程度のものにすぎない。かねてから地方団体が強く要望しておりましたところの事項、これは大体二百項目からあったと思いますが、こういった本当に地方団体が強く要望している事項については、全くと言っていいほど取り上げられていない、このように言われているわけでございます。例えば、都市計画事業の決定、変更についての建設大臣の認可廃止、これは一部分が認められたにすぎません。このように、地方団体の要望がほとんど実現をしていないのではないかと思うわけですが、長官、いかがですか。
#417
○後藤田国務大臣 仰せのように、補助金カットの際に総理がああいった御発言をなさったことは事実でございますが、もともと補助金カットと許可認可の権限移譲とは別の問題でございます。私どもとしましては、しかし総理の御意思もございますから、今回の必置規制、国の関与の見直しの中に国と地方との関係においてのそういった問題は若干入っております。
 しかし、いずれにしましても、従来から許認可の整理といったような問題は何回かやっておるのですが、私はこれで仰せのように十分と思っておりません。そういう関係がありますから、改めて行革審に対して、許可認可とかそういった問題について御審議を願う、同時に、機関委任事務、これについても御審議を願うということで、年半ばに御答申がいただける、それを見た上で、政府としての最終のこういった問題についての取り組みを決めていきたい、かように考えておるわけでございます。
#418
○吉井委員 今回の一括整理法案では四十九事項の国の関与の是正が取り上げられているわけですが、現在、国の関与といわれるものは一体全体で何件ぐらいあるのですか。
#419
○竹村政府委員 関与の数を何件というふうにはっきり申し上げることは今の段階でできませんけれども、国はいろいろな必要がありまして関与の規定を置いておるわけであります。それで、我々がこの法案をまとめる前の段階で、行革審に対していろいろ調査のデータを提供しておりますけれども、そのときにまとめる対象にしました、つまり地方団体から関与として改善要望のあるもの、この事項で申しますと百三十七事項でございます。この改善意見が出ましてから、いろいろな改善措置がとられておりますので、我々が今の段階で把握しますと、意見のあるものは百件程度ということになろうかと思います。
#420
○吉井委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、この程度では地方団体の要望には非常にほど遠い。各省庁と話し合って、何とかできそうだというものだけを細かいものまで取り上げて、そしてやっと四十九事項としたのだ、このように言わざるを得ないわけでございます。
 そこで、総理が昨年十月に言われた高率補助率の引き下げの見返り、このように総理が言われたこの見返りとこれで果たして言えるとお思いですか。これは総務庁長官と自治大臣にお尋ねしたいと思います。
#421
○後藤田国務大臣 先ほどお答えしましたように、大体補助率の引き下げと許認可権限の移譲というのはたちまち結びつくものではございません。しかし総理は、政治的な御判断で、やはり地方の長い間の念願ですから、この地方への権限移譲とでもいいますか、そういったものをもう少し検討したらどうだ、こういう御意思だと思いますから、私どもはその政治的な御判断を尊重してやっていこうという考え方でおりますが、これは先ほども申し上げたように、いずれにせよこれで十分と思っておりませんから、行革審の意見が出次第、さらに強力に取り組んでいきたい。
 ただ、別段どうこう言うわけではありませんけれども、許認可権限の移譲とか、あるいは民間への許可認可をもうやめるとか、あるいは地方への権限移譲、これはまさに役人の生命線にひっかかる問題でございますから、なかなか非常に抵抗の強い問題だと考えておりますが、今の委員の御質問等も、これは私どもに対する援軍だと心得まして、精いっぱい努力するつもりでおります。
#422
○古屋国務大臣 御質問の点は、今総務長官がお話ししましたのと結論は大体同じでございますが、私ども、地方行革を推進するに当たりましては、やはり国、地方を通ずる行政の簡素効率化及び地方分権の推進ということから、住民に身近な事項は地方公共団体において処理できるという、そういうような点を中心にして事務の再配分を図ることが必要だと考えております。こういう意味からいたしまして、国庫補助金の整理合理化に当たりましては、国と地方との間の機能分担というもののあり方を見直すべきものであると私は考えております。
 ただ、今回の補助率の引き下げ問題につきましては、国の立場と地方の立場が大変違っておりましたことは御承知のとおりでございます。先ほど申しましたように極めて厳しい財政下にあるということで、三つの条件のもとに協力することにしたのでございまして、今後の国の補助負担率のあり方につきましては、社会保障関係については先ほど厚生大臣が言いましたように自治、厚生、大蔵において早急に結論を出す、一年以内に結論を出すという約束になっておるわけであります。
 先生のお話の国の関与と必置規制の整理合理化につきましては、法案がいずれ出ると思いますが、今お話しのようにたくさんあるうちの大体各省で了解できたものだけについての解決でございます。また、許認可とかそういう公共団体への移譲とか機関委任事務というものがなければ、こういうものは恐らくこの六月ごろに答申が出ると思いますが、完全に地方の行革というものはこういうものが出なければ、本当の推進というのはそれに伴ってやらなければできないということを考えております。
#423
○吉井委員 去る一月二十二日に自治省から地方行革大綱を地方団体に示しました。地方団体は、十年前の財政収支不均衡の発生当時から、既にこれに先駆けて精力的に行革を実施しているところが随分あるわけでございますが、今回改めてこういうものを示したねらいは一体何なのか、お尋ねをしたいと思います。
#424
○古屋国務大臣 地方行革につきまして一月二十二日に地方行革大綱というものを示した、この根本の考え方についてお尋ねでございますが、私どもは、今委員のお話しのとおり、この二年間、もう五十七年ごろから随分地方では部課室だとかあるいは出先機関の整理もやっております。また人数につきましても、見方によりましては一万九千人ぐらいの削減を自発的にやっておるのでありますが、しかし一部の地方団体においてはまだそういうことについて大変消極的であるようなことも残念でございますがありますので、私の方は、国の行革と相並びまして地方の行革を足並みそろえて推進していこうということで地方行革大綱を決めたのでありまして、その内容はあくまでも定員の問題とかあるいは機構の問題とかいろいろございますが、これは基準でございまして、そういうものを地方独特の個性を生かしながらやっていただきたいというのを示したのが一月二十二日の行革大綱でございます。
#425
○吉井委員 今大臣がおっしゃいましたように、地方団体の足並みをそろえなければならない、こういう意味もあると思いますが、先ほど申し上げましたように、もう既に行革が非常に進んでいるところ、よく岡山県の例が出されるわけでございますが、岡山県ではもう四十九年ごろからこの行革に着手をしておるわけでございます。したがって、今回のこの行革大綱については、行革の非常に進んでいない、やっていない団体だけに指示すべきではなかったんだろうか、このような気もいたしますし、この地方行革は、地方団体が地域の特殊性に応じて自主的にやるべきものではないかというような気もいたします。すべての地方団体に同じことをやらす、そういう両一的な指導というものは適当ではないんじゃないか、このようにも思うわけですが、大臣、いかがですか。
#426
○古屋国務大臣 吉井委員の画一的でないかということでございますが、先ほど言いましたように、私どもは一応のポイントといいますか、例えば定員の問題とか機構の問題とかあるいは民間委託の問題とか、それぞれ地方の地域の特性を生かしてやっていただきたいということを中心にして申し上げたのでございまして、ただ、統一的というのは、例えばどういう機構をつくったらいいだろう、どういうように報告してもらいたいというようなことは確かに御指摘のような統一でございますが、あとは全部地域の特性を生かしてやっていく。それで、特に先生御承知のように、一部の地方団体におきまして、給与におきましてもその他におきましても私どもと大分考えが違っているような動きもあることは事実でございますので、この際地方行革大綱を出しまして、足並みをそろえると言うと語弊があるかもしれませんが、そういう気持ちで地方公共団体も国と並んで行革に前進をしようという立場でお示しをしたものでございます。
#427
○吉井委員 大変よくわかりましたが、今度の行革大綱につきまして、自治省の指示に従わないところがもしあったとしたら、地方団体に対してどのような措置をとられるのか。場合によれば起債発行制限などもやられるのではないか、その点いかがですか。
#428
○古屋国務大臣 これは、今まで一般的指導と個別的な特定のところの指導ということを自治省としてはやっておるのでございます。一般的に言いますと、今お話しのような起債を制限するということもあります。あるいは特別交付税の交付に当たりましていろいろの条件を考えるということもありますが、これでどうしても聞かれないところは、今後は特別の指導を強化いたしまして、ぜひ話し合いをいたしまして、私どもはそういう地方の特定の地域団体が非常な、何といいますか、住民の期待に反するような状況である場合には、個別的な指導ということに重点を置いて、今言ったような線において措置をいたしていきたいと思っております。
#429
○吉井委員 行革審では、先ほどちょっとおっしゃいましたように、この七月ごろ機関委任事務とそれから許認可移譲の具体案をまとめる予定、このようにされておりますが、しかしながら、関与の是正等がこんな程度では、機関委任事務の廃止や許認可事務の移譲について地方団体が望んでいるようなことは期待できないのではないか。自治大臣や総務長官は地方行革推進のためもっと強い姿勢で各省に当たるべきではないか、このように思うわけですが、いかがですか。
#430
○後藤田国務大臣 先ほど申しましたように、これは大変な抵抗を受けるだろうということは当然予測をせられておるわけでございますが、それを乗り切らなければできないわけですから、したがって、行革それ自身は内閣の内政上の最重要課題でございますから、そういった意味合いで取り組んでいくつもりでございますが、各省庁もそういう意気込みで必ず御協力が願えるもの、かように考えるわけでございます。
#431
○古屋国務大臣 今の権限移譲とかそういう問題の見通してございます。今話し合いを報告したりいろいろやっているところでございますが、根本は、今のお話のようにそれを聞いてもらえなきゃどうにもならぬわけでありまして、私どもは各省に粘り強く話し合いを続けまして、できるだけ地方に権限を移譲するように努力をしてまいる姿勢を続けてまいりたいと思っております。
#432
○吉井委員 甚だくどいようでございますけれども、今度のような国の関与や必置規制の是正の程度では、地方団体の自主的な行革の推進に大きなプラスになるとは思われないわけです。にもかかわらず、その一方では、自主的な行革を強力に行わせるために自治省が地方団体に対して行革大綱を示した。これは、地方団体に対して行革を従来以上に強力に実施をさせて、そして、悪く言えば地方団体に新しい財源を生み出させようとするのではないか、そしてその財源を地方団体に自由に使わせることなく、国の負担を転嫁して、実質的にその財源を国に吸い上げようとしているのではないか、こういうこともささやかれるわけでございます。つまり、六十年度予算では、今まで地方団体が大変な努力で行ってきた行革によって生み出した財源、この五千八百億を国の一方的な負担転嫁で国に吸い上げられるということではないかということなんですけれども、もう一度答弁をお願いしたいと思います。
#433
○古屋国務大臣 今五千八百億の話がございました。一割カットがなければ地方団体は収支が償うというような見通しであったところが、一割カットによって五千八百億の穴があいたからそれを国において補充してもらう、交付税と起債でございますが、そういう措置を私はとったのでございまして、地方におきましてはせっかく今までやってきたものを国にとられた、私は必ずしもそういうふうには考えておりませんが、やはり地方の自律的な、また自主的な地方団体の施策といたしましては、地域の住民に密接する仕事はどうしても地方でやらなければいかぬ。こういうものの財源は、ぜひ地方交付税その他本来の税で収入を確保していかなければならぬというふうに考えております。
#434
○吉井委員 ちょっと大蔵大臣にこの際お聞きしておきますが、今とちょっと同じ話ですが、本年度から地方行革大綱等で地方団体の行政を一層切り詰めて、歳出を抑制して財源を搾り出し、そして六十一年度以降も補助率引き下げの延長ないし強化によってこれを国に吸い上げて国の施策に使おうとするという構図が描けるように思うわけですが、大臣のお考えはいかがですか。
#435
○竹下国務大臣 先ほども申しましたように二つの側面がありますが、一つの面は公共事業、これはそれに見合うべきものが建設地方横、こういうことになるわけであります。それで、いわゆる社会保障、生活保護の問題等がございます。したがって、やはり暫定措置でございますからことし一年ということになるわけです、暫定という文字がつく限りにおいては。したがって、この一年の間にいろいろまたお互いが相談させていただかなければいかぬ。そこでよりよき結論を出して六十一年の補助率問題、こういうことになるわけでございます。
 そうなったときには、ことしもとりましたように、いわゆる地方財政に影響を及ぼしてはならぬということを基本にいたしまして措置しなければならぬ。ことしの措置の中でも、いわゆる地財計画の中で将来にわたって吸収されるような措置もあるわけでございますけれども、地財計画の実施に支障を来すようなことがあってはならぬという基本的な考え方の上に立って協議し、措置をしていく、こういうことになろうかと思われるわけであります。
#436
○吉井委員 ちょっと自治大臣にお尋ねをしておきたいのですが、六十一年度以降も国に比べで地方の財政は好転基調にあると言われておりますが、大臣のお考えはいかがですか。
#437
○古屋国務大臣 国との比較と申されますと、ちょっとなかなか答弁しにくいところでございますが、地方財政計画、今年は大体五十兆余でございますが、今までの地方債の借金、お返ししなければならぬもの、それから交付税等で借りたものを合わせますと大体五十六兆以上に及んでおる、数字がなっておるわけでございます。そういうことで公債の負担率等も、地方の財源に対しまして借り入れしている率、それが二〇%以上のものが八百二十団体もあるという状況でありまして、地方も極めて厳しい財政状況にあるのでございます。私は、そういうことで、特に地方が楽とかそういうことはあり得ないというふうに考えております。
#438
○吉井委員 もう一度大蔵大臣に念を押しておきますが、この補助金カットは一年限りである、このように言われておりますが、そのとおり間違いございませんか。
#439
○竹下国務大臣 これは暫定法で出す限りにおいては一年限りということでございます。ただ、六十一年度以降どうするかという御質問があると前提に置いてお答えいたしますならば、六十一年予算編成までにそのあるべき姿についてこれから検討を加えていこう、だからそのときに定めるということであります。
#440
○吉井委員 ところで、この高率補助率の一律引き下げは、今申しましたように六十年度限り、このように言われておりますが、しかし国の中期財政展望によっても六十一年度は四兆円に近い赤字が見込まれているわけでございます。したがって、相当強力な対案を考えないと、このままでは六十一年度に補助率が復元するとはとても考えられないわけです。どのような方策によって復元をさせるつもりなのか。
 これは関係閣僚会議での当面の大きな課題であろうと思いますが、せんだっての新聞報道によりますと、自治省は、保育所制度の改革によって、現在保育所に出されているところの国の補助金年間二千五百億前後を補助率復元のために使用する方針を固めて近く厚生、大蔵両省との調整に入る、このように言われておるわけでございます。しかし、保育所ないし保育所補助金の廃止、これは保育児を抱える父兄にとっては大変な負担増になるのではないか。したがって、このようなことは保育の見地からも一挙に実施されるべきものではない、このように考えるわけですが、この問題について自治大臣、そして厚生大臣の御見解を承りたいと思います。
#441
○古屋国務大臣 保育所の問題につきましてのこの前のある新聞の記事でございますが、自治省としてはそういうように保育所の役割は終わったというような認識は全然持っておりません。だから、あの記事は間違いであるというふうに考えております。
 もう少し詳しく申し上げますと、六十一年以降の社会保障に関する国庫補助負担率のあり方につきましては、国と地方との役割分担、費用負担の見直しとともに、政府部内において、今後一年以内に結論を得ることにつきまして自治、大蔵、厚生の大臣で合意したところでありまして、現在、早急に検討を開始すべく具体的な進め方について協議しているところであります。したがいまして、保育所における国庫補助負担率につきましては、そういう中で検討するべき問題と考えておるのでありまして、役割は終わった、そういう新聞に出ておる記事は間違いであるということをはっきり申し上げたい。
#442
○増岡国務大臣 厚生省といたしましても、報道されましたことにつきまして何ら関知をいたしておりません。むしろこれから女性の就労の機会の増加や核家族化の進行などにより、より質的な向上をさらに図っていかなければならない、そういう必要があるように考えております。
#443
○吉井委員 では話題を変えまして宝くじ法の改正についてお尋ねをするんですが、今回当せん金附証票法、いわゆる宝くじ法の改正案が出されようとしておりますが、現在、銀行に常時滞留しているお金は一体どのくらいあるんですか。自治大臣、おわかりですか。
#444
○花岡政府委員 三百五十億円程度でございます。
#445
○吉井委員 従来から我が党の議員の質問では、運用を認める方向で改正するべきだ、このように言っておりますが、どのように改正をされるおつもりなんですか。
#446
○花岡政府委員 御承知のように、これまでは、この滞留資金につきましては、いわゆる通常の銀行の経理と別途に管理しておけというふうなことになっておりました。しかし、この金額につきましてこのまま置いておくのもやはり問題があるのではないかというふうな御指摘もございますし、やはりこれは地方団体の財源として還付すべきであるというふうな考え方に立ちまして、今回、経理は相変わらず銀行の通常の業務とは別にいたしますけれども、これを有利かつ確実な運用をすることによりまして、その浮いたと申しますか、その財源も地方団体に還付するというふうな考え方で今回の改正法を提出した次第でございます。
#447
○吉井委員 では、その運用が認められるとなりますと、その運用利益ですね、これは幾らくらい見込まれるのですか。
#448
○花岡政府委員 これをどのような金利で運用するかということにつきましては、もともとこの金額につきましてはいろいろな形態の資金が入っております。極めて流動的な部分、例えば賞金の支払いとかいうふうな部分もあればいわゆる滞留している部分もあるとか、いろいろ資金の中身が違っております。これをどの程度の運用ができるかというふうなことにつきましては、現在の金利体系で考えていくこともまだ困難でございますけれども、法律の施行が十月一日というふうに考えておりますので、それまでに十分検討いたしまして適切な措置をとりたいと考えております。
#449
○吉井委員 地方公共団体の発行する宝くじは、以前は適当な機会においてなるべく早く全廃する、こういう抑制策が従来の政府方針であったわけですが、今月の十二日の閣議で、引き続き国民世論の動向等に配慮しつつ健全な運営を進めていく、このように言っておりますが、これは推進なのか。どういう方向なんですか、これは。また、このように変えたとするならば、どのような考え方によって変えられたのか明らかにしていただきたいと思います。
#450
○花岡政府委員 二月十二日の閣議で前回の閣議の決定を一部改正をしたというふうな感じになっておりますけれども、これは当時の、二十九年二月でございましたか、この閣議決定によりますと、当分の間この地方宝くじの発売というのは地方財政の現状その他の状況にかんがみてこれを継続するけれども、将来適当な機会においてなるべく早く全廃することを目途として運営すべきものであるというふうになっておったわけでございます。しかし、現在の状況から見ますと、これを直ちに廃止する、できるだけ速やかに廃止するという地方財政の状況でもございませんし、また国民世論の動向から見ましても、これはなかなか廃止という方にいくのも難しい、むしろ引き続き国民世論の動向等に配慮しながらこの宝くじの健全な運営に資してまいりたいというふうな考え方で、従前の閣議決定の中身、内容の一部を改正していただいた、宝くじの発売について前回のままの状況でございますと、この法律案の提出する趣旨が非常に難しくなるということもございまして、閣議の内容を変えていただいたということでございます。
#451
○吉井委員 後は外務省関係の質問でございますので、関係の方どうもありがとうございました。
 では、アフリカ難民の救済活動の状況について外務大臣にお尋ねをしたいと思います。
 今アフリカでは二十七カ国一億五千万人が危機に直面していることは、連日の報道等で国民的関心事であることはもとより、今や世界的な問題となっております。昨年外相自身もエチオピアに視察に行かれたわけですが、確かに民間レベルでの支援活動というものは非常に活発なものがありますが、しかしながら、政府としての対応については諸外国と比較しても少しおくれているのではないか、こういう声が聞かれるわけでございます。この点、視察後の政府の救援活動はどういう状況になっているのか、まずお尋ねをしたいと思います。
#452
○安倍国務大臣 今アフリカはお話しのように惨たんたる状況で、一億五千万人が栄養失調あるいは飢餓に近い、こういうふうに言われております。私もエチオピア等を視察いたしまして、その目を覆うような惨状で大変なショックを受けたわけでありまして、政府としてもこうした諸国の人たちに対してやはり全力を挙げて支援をすべきである、こういうふうに思いまして、昨年の十二月までに一億一千五百万ドルの食糧援助を含めた援助を行ったわけでございます。さらにその際五千万ドルを救援するということで、今年度中に一億一千五百万ドルにさらに加えて五千万ドルの食糧援助その他の救援を行っておるわけでありまして、アメリカ等はさらに膨大な援助を行っておるわけでございますが、日本は日本なりにこれまでにない積極的な支援活動を展開しているということでございます。
#453
○吉井委員 これはエチオピアを例にとるわけですが、いろいろ、食糧難、これもさることながら、最も深刻な問題はやはり医者、それから看護婦、医薬品、この欠乏ではないかと思うわけです。一つの難民キャンプでお医者さんが一人いればいい方だ、このようにも言われておりますし、ある資料によりますと、フランスの二倍の国土を持つこのエチオピアにはもともと百二十五人の医師しかいない。人口四千万の国で百二十五人という数は、これはもう全くゼロに等しいわけです。したがって、これからの頼りになるといえば、やはり外国からの援助ということになりますが、フランスからは十八人、アイルランドから十七人の医師を派遣されておりますし、ソ連やキューバ、アメリカ、その他のヨーロッパ諸国からも医師や看護婦が物資とともにやってきておる、こういうことも報道をされておりますが、日本からの派遣はどうなっているのですか。
#454
○安倍国務大臣 私も昨年エチオピアを訪問した際に医師団を三人ばかり一緒についていってもらったわけでございますが、現状を見まして医療救援活動というのがいかに緊急であるかということを痛感をいたしまして、その後四次にわたりまして現地に医療団を派遣をいたしております。幸いにして外務省も昭和五十七年から国際緊急医療体制を発足させておりまして、世界の災害発生地帯に対して医師団を派遣する。その場合にこれに応じていただくチームをつくっておりますので、おかげさまでそうした皆さんの協力を得まして、現在もエチオピア初め医療団が活躍をしておりますが、まだまだこれはもちろん十分ではないわけで、これからも力を尽くしていかなければならぬ。これは医師団だけじゃなくて医療品等も非常に大事でありまして、これも政府だけじゃなくて民間の協力も得ながら救援を行っておる、こういうことでございますが、さらにこれはひとつ大事な問題だ、そういうふうに私も痛感しております。
#455
○吉井委員 このアフリカ難民に対する問題は、今我が国でも大きな救援の輪が広まりつつありますし、政府としても、ぜひともほかの先進国にも負けないような立派な対応を示していただきたいと思います。
 次に、北朝鮮の日本人妻里帰り問題ですが、この問題につきましても、本予算委員会でたびたび議論をされているわけでございます。
 ここに一通の手紙がございますが、この手紙の内容を読んでみますと非常に哀れです。一カ月に給料が三十円から三十五円、それから米五升がいわゆるやみ米で五十円、このように訴えられておりますし、日本の古着でもここではもう新品同様だ。また、みんなの捨てるようなものでも何でもひとつ送ってください。ナイロンのスカーフが一番金になる。衣類を送ってほしい。それから、味の素、すしのもと、こういったものも非常に金になる。このような内容で、もうぜひとも早く会って、そして自分の真情を訴えたい、このような切々たる手紙でございます。この母子の関係ですが、お母さんが八十歳を超してその子供でも六十歳を超すという高齢でございます。こうした点を考えますと、中国残留孤児以上にやはり時間的に余裕のない、急を要する問題ではないかと思うのです。人道的な見地からも、ぜひ早急に何らかの希望の持てる対応を講じなければならない、このようにも思うわけでございます。
 ことし一月にラングーン事件の制裁措置が解除になりまして、日朝関係が以前のように民間レベルの交流に立ち戻ったわけですが、先日からの予算委員会でいろいろ安倍外務大臣から御答弁がありました。また総理からも、今後も国際関係を使って努力したい、このような答弁もあったわけでございます。またさらに、我が党の竹入委員長の朝鮮半島の緊張緩和の問題につきましても、中曽根総理は、緩和のための環境醸成について努力していきたい、このような非常に前向きの答弁もされているわけでございます。
 そこで、これらの趣旨を踏まえてお聞きしたいわけですが、昨年三月外務大臣それから総理とも訪中された際、中国の胡耀邦総書記に、日本人妻の里帰りについて日朝間の仲介役を申し出られたわけですが、その後胡耀邦総書記が五月訪朝で確かに話を伝えた、このような外務省筋の話が新聞報道されているわけです。その後中国側から何らかの知らせが入っているのではないかと思うわけですが、この点についてお尋ねをしたいと思いますし、また、一部報道によりますと、北朝鮮の金日成主席も、家族の訪朝、日本人妻の訪日、これについては非常に歓迎する、このようなことが報道されておりますが、これについてお尋ねをしたいと思います。
#456
○安倍国務大臣 御存じのように、我が国と北朝鮮は残念ながら国交がございませんので、北朝鮮に在住しておられる日本人妻の実情が正確に把握できないわけでございますし、したがって、家族の皆さんも大変心配をされておることはよく承知をいたしているわけです。したがって政府としましては、政府自身ができないという立場で、日本赤十字社を通じまして、こうした日本人妻の安否等につきまして調査をお願いいたしておるわけでございます。この結果、北朝鮮側より日本赤十字社を通じまして、過去二回にわたりまして日本人妻の安否について連絡がありました。また、その際の北朝鮮側よりの連絡によりますると、今後も日本赤十字社を通じるこの種の安否調査には、通信連絡を容易にする等によりできるだけ協力するとのことでございます。北朝鮮側もこの問題に関し前向きの姿勢を示しつつあるというふうに察知しておるわけでございまして、いずれにしましても政府としては、こうした北朝鮮側の姿勢をも踏まえまして、今後とも日本赤十字社等を通じまして努力を続けてまいりたいと思います。
 なお、中国等のいわゆる第三国を通じてのいろいろと御協力をお願いしている点につきましては、これは相手の立場もあるわけでございますし、いろいろと御努力はお願いをしており、また事実努力もしていただいておると思うわけでございますが、その間の事情につきましては、これは第三国といいますか相手、お願いしている国の問題でございますから、今ここでいろいろとそれらの内容について申し上げることは差し控えたいと思います。
 今後ともいろいろなルートを通じて、日本としてはできるだけそうした北朝鮮における日本人妻の安否が明らかになり、そして連絡がとれ、いろいろと協力ができるような形に持っていきたい、そういうふうな情勢も徐々に熟しつつあるんじゃないだろうか、こういうふうに思っております。これからも日本赤十字社等を通じまして、その他のルート等も通じまして、政府としてもできるだけの努力をこれから続けてまいりたい、こういうふうに思っております。
#457
○吉井委員 今外務大臣からいろいろ御答弁をお聞きしましたけれども、中国との関係、また日本赤十字社を通じての関係、そうしたものから考えまして、長い間閉ざされておったこの問題が、どうにかひとつ明るい兆しが見え始めたような気持ちもいたしますし、そういった面から、ひとつ外務大臣また政府当局も、この問題に対するところの積極的な取り組みを心から念願するわけでございます。このことが結局総理のおっしゃる、また外務大臣のおっしゃる環境づくりという具体的な問題になってあらわれてぐるのではないか、このような気もいたしますので、何とぞこの点につきましてよろしくお願いをしたいと思います。
 以上で質問を終わります。
#458
○天野委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#459
○天野委員長 この際、分科会設置の件についてお諮りいたします。
 昭和六十年度総予算審査のため、八個の分科会を設置することとし、分科会の区分は
 第一分科会は、皇室費、国会、裁判所、会計検査院、内閣、総理府(ただし経済企画庁、環境庁及び国土庁を除く)並びに他の分科会の所管以外の事項
 第二分科会は、法務省、外務省、大蔵省所管
 第三分科会は、文部省、自治省所管
 第四分科会は、厚生省、労働省所管
 第五分科会は、総理府(環境庁)、農林水産省所管
 第六分科会は、総理府(経済企画庁)、通商産業省所管
 第七分科会は、運輸省、郵政省所管
 第八分科会は、総理府(国土庁)、建設省所管
以上のとおりにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#460
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、分科会の分科員の配置及び主査の選任、また、委員の異動に伴う分科員の補欠選任並びに主査の辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#461
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次いで、お諮りいたします。
 分科会審査の際、最高裁判所当局から出席発言の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#462
○天野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、明二十七日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時四十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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