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1984/06/20 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 科学技術委員会 第10号
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1984/06/20 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 科学技術委員会 第10号

#1
第102回国会 科学技術委員会 第10号
昭和六十年六月二十日(木曜日)
    午前十時十九分開議
出席委員
  委員長 鳥居 一雄君
  理事 小宮山重四郎君 理事 笹山 登生君
   理事 塚原 俊平君 理事 平沼 赳夫君
   理事 大原  亨君 理事 渡部 行雄君
   理事 矢追 秀彦君 理事 小川  泰君
      有馬 元治君    櫻内 義雄君
      田中 秀征君    若林 正俊君
      上野 建一君    小澤 克介君
      関  晴正君    辻  一彦君
      小川新一郎君    津川 武一君
      山原健二郎君
 出席国務大臣
        国 務 大 臣
        (科学技術庁長
        官)      竹内 黎一君
 出席政府委員
        科学技術庁長官
        官房長     宇賀 道郎君
        科学技術庁長官
        官房会計課長  窪田  富君
        科学技術庁計画
        局長      堀内 昭雄君
        科学技術庁研究
        調整局長    内田 勇夫君
        科学技術庁振興
        局長      本郷 英一君
        科学技術庁原子
        力局長     中村 守孝君
        科学技術庁原子
        力安全局長   辻  栄一君
 委員外の出席者
        防衛庁装備局管
        理課長     沼倉 吉彦君
        防衛庁装備局通
        信課長     大越 康弘君
        外務省北米局安
        全保障課長   沼田 貞昭君
        水産庁振興部沿
        岸課長     窪田  武君
        通商産業省貿易
        局輸出課長   白川  進君
        通商産業省機械
        情報産業局航空
        機武器課長   伊佐山建志君
        資源エネルギー
        庁長官官房省エ
        ネルギー石油代
        替エネルギー対
        策課長     落合 俊雄君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電課長  上村 雅一君
        資源エネルギー
        庁公益事業部原
        子力発電安全審
        査課長     神戸 史雄君
        郵政省電気通信
        局電気通信事業
        部業務課長   品川 萬里君
        労働省労働基準
        局安全衛生部計
        画課長     角野 敬明君
        参  考  人
        (動力炉・核燃
        料開発事業団理
        事)      福原 元一君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団副理事長)  園山 重道君
        参  考  人
        (宇宙開発事業
        団理事)    寄水 義雄君
        参  考  人
        (理化学研究所
        副理事長)   中根 良平君
        参  考  人
        (日本電信電話
        株式会社取締
        役)      岩崎 昇三君
        科学技術委員会
        調査室長    曽根原幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月二十日
 辞任         補欠選任
  村山 喜一君     上野 建一君
  遠藤 和良君     小川新一郎君
  山原健二郎君     津川 武一君
同日
 辞任         補欠選任
  上野 建一君     村山 喜一君
  小川新一郎君     遠藤 和良君
  津川 武一君     山原健二郎君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 科学技術振興の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○鳥居委員長 これより会議を開きます。
 科学技術振興の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として動力炉・核燃料開発事業団理事福原元一君、宇宙開発事業団副理事長園山重道君、同理事寄水義雄君、理化学研究所副理事長中根良平君及び日本電信電話株式会社取締役岩崎昇三君の出席を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○鳥居委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#4
○鳥居委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小澤克介君。
#5
○小澤(克)委員 本年の四月十八日に原子燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定書というのが関係当事者間で結ばれた、このように新聞等で報道されております。これについては科学技術庁としては、あるいはこれは通産省にもなるのでしょうか、当然報告を受けているのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#6
○中村(守)政府委員 御指摘の件につきましては報告を受けております。
#7
○小澤(克)委員 それでは、この内容について若干お尋ねします。
 まず、この協定書は甲、乙、丙、丁の当事者に立会人として戊という五者が名を連ねているようでございますが、甲が青森県といいますか青森県知事、乙が六ケ所村村長、丙が日本原燃サービス株式会社の代表取締役、丁が日本原燃産業株式会社の代表取締役、そして立会人の戊が電事連会長、こうなっているわけでございます。
 そこで、まず電気事業連合会が立会人として関与していることがやや奇異な感じを受けるわけですが、そもそもこの電気事業連合会というのはどういった性格の団体なんでしょうか。
#8
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 電気事業連合会は日本の九つの電力会社の連合した団体でございまして、そこで電力事業として共通に抱える問題についてどう対処していくかという、いわば協議体でもございますし、連合して、共同してやるときのいわば中心母体として活躍している団体でございます。
#9
○小澤(克)委員 今、協議体であるというお話がありましたが、これは法人格は取得しているんでしょうか。
#10
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 法的には、いわゆる公益法人とかそういうものじゃございませんで、任憲法人でございます。
#11
○小澤(克)委員 法人格はあるのですか。
#12
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 失礼いたしました。任意団体でございます。
#13
○小澤(克)委員 ということは、法人格はないのですか。
#14
○中村(守)政府委員 法人格はございません。
#15
○小澤(克)委員 そうしますと、法人格もない任意団体ということですが、このようなものが立会人となっているのはどういった理由からなんでしょうか。
#16
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 先ほども申し上げましたように、電気事業連合会は任意団体ではございますが、九つの電力会社が共同していろいろ問題を解決するときの中心母体として実質的に活動しているものでございまして、今回のいわゆる三点セットを下北に立地するということにつきましては、当初電気事業連合会の会長から青森県に申し入れたという実態がございますし、それから実際にこの三点セットを建設していきます原燃産業、原燃サービス、この会社はいずれも九つの電力会社を中心にして設立された会社でございまして、それの運営等につきましては九電力も非常に重大な関心を持ってこれに対処するわけでございますので、そういう意味からいっても、実際の実行を確保するという意味からは電気事業連合会の果たす役割は大きいかと思います。そういうことで、地元の方からも電気事業連合会に立会人としてこういったものに参加するのを求められたものであると考えております。
#17
○小澤(克)委員 法人格もない任意団体であり、九電力の連合した団体で協議体であるということですから、これは文字どおり協議をなし得るあるいは情報交換等をなし得る、そういった団体にすぎないのじゃないか。九電力との間に何か上下関係といいますか、指揮命令系統のようなものが存在するはずはないと思うのです。そのような団体が今おっしゃったような立場に立ち得るというのは私、大変不可解なんですが、果たしてそうなんでしょうか。
#18
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 電気事業連合会は、先ほど来申し上げておりますように、九つの電力会社が共同していろいろな問題を解決するときに、もちろん協議体でございますし、その協議しました結果というものが実行上非常に大きな意味を持つわけでございまして、原燃サービスという会社を設立するあるいは原燃産業という会社を設立するということにつきましても、そもそも電気事業連合会の中での検討の結果、そういうものをつくろうという決定を受けてそういう具体的な会社の設立ということが始まったということでもございまして、電気事業連合会は実行上の非常に大きな影響力といいますか、実行上の役割を持っておる団体でございます。そういう意味で、乙ういうところに立会人として参加するということはそれなりに大きな意味があろうかと思います。
#19
○小澤(克)委員 単なる協議体がそのような実行力を持っているなどということは、法的にはあり得ないと思いますよ。果たしてその責任をとり得る立場にあるのですかね。
 そこでお尋ねするのですが、そもそも戊として、立会人として電気事業連合会会長小林庄一郎となっておりますが、これはどういう立場なんですか、小林さん個人なんでしょうか。あるいは法人格のない団体のようですから、たとえ立会人とはいえどういう立場でこの協定書に関与しているのか、もう少し明らかにしていただきたいと思います。
#20
○中村(守)政府委員 立会人としての小林会長は、これは電気事業連合会の会長としての立場で参加している、個人的に参加しているということではないと理解いたしております。
#21
○小澤(克)委員 この協定書の第十条には「立会人」という項目がわざわざございまして、「丙及び丁の指導、助言に当たるものとする。」こういう記載があるのですけれども、単なる協議体が、あるいは連合体とも先ほどおっしゃいましたが、一体何を指導助言するのでしょうか。また、そもそも法人格のないものがこのように協定書に関与するというのは、一体どういう法的効果を持つのでしょうか。
#22
○中村(守)政府委員 原燃産業あるいは原燃サービスの株主といいますか、その中には九つの電力会社が当然大きな割合を占めておるわけでございまして、二つの会社のいろいろな行動については、株主である電力会社の意見といったものが当然反映されていくことになるわけでございまして、そのときにもつの電力会社がばらばらに株主としての立場でそういった会社の指導に関与していくということではなくて、電力事業全体の立場からこの問題に対応していく。そういうことになりますれば、電気事業連合会という場で九つの電力会社が協議して、そこで方針を固めて、そのもとに進めていくということが当然のこととして一番適切な方法ではないかと思いますし、電気事業連合会としてもそういう形で指導助言をしていくということになろうかと思います。
#23
○小澤(克)委員 念のためお尋ねしますが、この丙及び丁、すなわち日本原燃サービスと日本原燃産業株式会社、これは電事連を構成する構成員ではない、こういうことになりますか。結論だけで結構です。
#24
○中村(守)政府委員 構成員ではございません。
#25
○小澤(克)委員 今のお答えは、事実上指導助言に当たり得るのだ、株主を構成員とする連合体であるからということだったと思うのですが、先ほどお尋ねしたのは、この協定書の法的な効果があるか、こういうふうに聞いたわけです。この戊はいかなる法的な責任を負い得るのか、これを先ほどからお尋ねしているのです。
#26
○中村(守)政府委員 この協定の持つ法律的意味についてはいろいろ考え方があるのかと思いますが、これは少なくとも当事者間においてお互いの信頼に基づいて今後の事業を進めるに当たってのお約束事でございまして、法律上の意味でこれに違反したらどうなるこうなるとか、罰則が適用されるとかなんとかいうような性格のものではないと考えております。
#27
○小澤(克)委員 これに違反したらどうこうなるという性格のものではないということになりますと、紳士協定といいますか、悪く言えば気休め程度ということになるのじゃないかと思います。
 そこで、今当事者という言葉が出ましたので、もう一つ大変疑問なんですけれども、この協定書の前文は、青森県(甲)と六ケ所村(乙)、それから日本原燃サービス(丙)、それから日本原燃産業(丁)は「次のとおり協定を締結する。」こうなっているわけですね。そうすると、そもそもこの戊の電事連は当事者でもない、こういうことになりますか。
#28
○中村(守)政府委員 電気事業連合会は、協定にもございますように立会人として参画しているわけでございます。
#29
○小澤(克)委員 そもそもが気休め程度の協定で、しかも立会人、さらに聞いてみれば法人格もない単なる連合体であり協議体である。他方は、青森県あるいは六ケ所村という自治体が当事者となっているわけですけれども、このようなものによって果たして住民が期待するような安全確保あるいは地域開発等が確保できるのかどうか、全く何の保証もないのじゃないかと思いますが、いかがでしょう。
#30
○中村(守)政府委員 この種の協定は、例えば原子力発電所を設置するに当たりまして、地元と安全協定等いろいろ結んでおるわけでございまして、従来からもそういった協定は電気事業者の立場におきましてきちっと守ってきております。この協定が単なる気休めなどというそんなものとは私ども理解しておりませんで、電気事業者が立会人になって、しかも電気事業者の影響力のある当事者がきちっとお約束したことでございますので、この協定は当事者間でしっかりと守られるものだろうと思いますし、私ども政府関係者としても、こういったものが守られていってこそ地元の理解と協力が得られ、事業が円滑に推進されるものでございますので、そういった点について特に危惧してはおりません。
#31
○小澤(克)委員 今のお答えで電気事業者が立会人になっているとおっしゃいましたが、これは明らかな間違いですので、指摘しておきます。
 それから、内容についてもう少し伺いたいのですが、第一条の二項によりますと、丙及び丁は、サイクル三施設と略称しているようですが、その安全確保を第一義に、同施設の建設及び管理運営に当たっては、甲及び乙の意向を尊重する。枝葉を落とすとこういう趣旨の条文になっているわけですけれども、これは丙及び丁が各施設の建設及び管理運営を行うということが前提になっているように読めますが、そのとおりでしょうか。
#32
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 これらの施設についての建設、管理運営の主体はこの二社でございます。
#33
○小澤(克)委員 そこでお尋ねするのですが、低レベル放射性廃棄物の集中保管廃棄施設、これは計画によれば日本原燃産業が設置するように聞いておりますが、これについても日本原燃産業が建設及び管理運営を行う、こういう認識でしょうか、念のために確認させていただきます。
#34
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 この放射性廃棄物の貯蔵施設につきましては、それの実態的な施設の建設の主体であり、さらに運営管理の主体として原燃産業が当たることになります。
#35
○小澤(克)委員 そうしますと、さらに第四条「安全対策」として、丙及び丁は、これら施設の安全を確保するために設計、建設及び管理運営に万全を期する、こうなっておりますが、日本原燃産業は低レベル廃棄物の集中保管廃棄施設についても、その安全確保について管理運営に当たる、こういう前提になっているのでしょうか。
#36
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 規制法上のいわば許可対象者とかそういう形に直接なるわけではございませんが、実行上の建設並びに運営管理、これについては原燃産業が当たるということでございます。
#37
○小澤(克)委員 お尋ねしたのは、安全確保についての観点からも管理運営に当たるのかどうかということを聞いたのです。
#38
○中村(守)政府委員 実行上、原燃産業がその点についても行うことになります。
#39
○小澤(克)委員 今、実行上とおっしゃいましたが、ことしの三月二十六日の当委員会において私が確認しているわけです。放射性廃棄物の保管廃棄に関してはこれを発生させた事業者が責任を負う、これが現行原子炉等規制法の体系である、このようにお聞きしておりますが、さらにそのときの辻政府委員のお答えによりますと、「原子炉規制法におきましては、廃棄物の敷地外貯蔵は廃棄としてとらえられますために、廃棄物の発生者たる原子力事業者の責任において行う、諸般の規制も原子力事業者に対する規制ということになるわけでございます。」中間を省略いたしまして、「日本原燃産業は、低レベル放射性廃棄物の敷地外貯蔵を原子力事業者等から受託して行う予定であるというふうに聞いておるわけでございます。直接この日本原燃産業に対して法の規制が及ぶというわけではございません。」こういうふうにはっきりおっしゃっているわけですが、今のお答えですと、安全確保についても実行上はこの原燃産業が行う、しかし責任を負う主体は各電気事業者である、こういうことになりますが、それでよろしいでしょうか。
#40
○中村(守)政府委員 今、御指摘しましたように、実行上この原燃産業が行います廃棄物の貯蔵施設の運営管理はどういう形で行われるかということにつきましては、現行法上は原子力事業者等からの委託を受けて行うという形になる、そのように承知しておるわけでございます。そのような意味で実行上この会社が当たる、こう申し上げたわけでございます。
#41
○小澤(克)委員 したがって、廃棄物の安全性について責任を負い、また監督官庁から規制を受けるのは原子力事業者、実用発電炉については電気事業者、こう理解していいわけですね。
#42
○中村(守)政府委員 現行法上の責任者は、それぞれの原子力発電の設置者でございます。
#43
○小澤(克)委員 私は、民事上の責任であれば、現実に行為を行う者とその責任を負う者とが分離するということは、これは論理的にもあり得ることだろうと思いますが、安全規制という行政上の法規制上は、その安全についての責任を負い法規制の対象になる主体と、実際に管理を行う主体が分離するということはあってはならないことだと思いますが、そうではないのでしょうか。
#44
○辻政府委員 現行法は、あくまで原子力事業者たる原子力発電所が法律上の責任をとるということになるわけでございますから、電気事業者がこれを原燃産業に委託してやるという場合には、役所からの諸般の監督、命令等は、電気事業者を通じて原燃産業にこれが委託されて行われるという形態になるのではないかというふうに考えております。
#45
○小澤(克)委員 実用原子炉を設置する場合に、許可申請をしてその許可が与えられるわけですが、その許可を与える際の基準として、原子炉等規制法二十四条の三号には、その申請する者が「原子炉を設置するために必要な技術的能力及び経理的基礎があり、かつ、原子炉の運転を適確に遂行するに足りる技術的能力があること。」こういう要件があるわけです。ここで言う「技術的能力」というのは、すべてまさにその申請をするところの事業者に関するものではないかと思いますが、そうでしょうか。
#46
○辻政府委員 原子炉を建設しようとする電力会社が、それを建設し運転管理を行う技術的能力を持っているということであろうかと思います。
 ただ、そういった技術的能力を背景として実際に原子炉施設を建設し運転しようとする場合には、そのメーカーであるところの例えば三菱重工であるとか日立製作所とか、そういうところが実際に建設に当たるわけでありますから、それは電気事業者の委託を受けてこれに従事するということでございます。したがいまして、電気事業者の技術的能力というのは、そういう者を十分に監督し管理する能力があるということをもって判断の基準として考えているわけでございます。
#47
○小澤(克)委員 今おっしゃったのは原子炉をつくるときの話でしょう。「原子炉の運転」と書いてありますよ。廃棄物の管理なども、これは原子炉の運転から必然的に生ずるものじゃないでしょうト。
 フ
#48
○辻政府委員 原子炉設置者の運転上の技術を判断の基準としているところでございますが、この中において廃棄物の管理の問題というのは、これまた問題にはなってまいりますけれども、これらのものについてもすべて直接自分がやらなければならないということでは必ずしもなかろう、部分的にはこれをしかるべき者に委託して行うということも含めて考えられ得るのではないかというふうに現行法上では考えられ、運用して差し支えないというふうに思っております。
#49
○小澤(克)委員 委託という言葉の内容が甚だ不明確なんですけれども、請負のような形ではやはり責任を負い得ないのではないか。少なくともこの廃棄物の保管管理について指揮命令が及ぶということでないと、この法の趣旨が生かされないのではないかと考えるわけです。下請というような形で委託するということは、この法の趣旨からして反するのではないかというふうに考えるわけです。
 いずれにしましても、低レベル放射性廃棄物の集中保管廃棄施設については、最終的な法的な責任を負うのは電気事業者であり、日本原燃産業はそこから委託を受けるいわば下請にすぎない、こういうことになるわけでしょうか。
#50
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 実際の実行に当たりましては、例えば保安規定というものを原子炉規制法上つくって、それに基づいてやるわけですが、そういうものも電気事業者が届け出て措置される。それを実行するときに確実に担保させるわけでございまして、そういう意味で電気事業者が法的責任を持つということにおいて、それの実行は必ずこの会社に行わしめるという関係で、会社と電気事業者との間では安全が確保できるように担保するわけでございます。
 委託の意味でございますが、そういう意味では独立独歩で当該事業者がすべて自己の判断で何でもかんでもできる、勝手に施設を改造したりということではございませんで、ちゃんと安全規制上に基づいた電気事業者の責任の範囲内で、その承諾を得た上で実行するという形になろうかと思います。それを請負というぐあいに呼ぶのであれば、またそういう意味では請負ということになろうかと思いますが、一応委託というようなことで我々今言っておりますので、先ほど来、委託ということで申し上げておるわけでございます。
#51
○小澤(克)委員 そうしますと、委託という言葉の内容はともかくとして、今おっしゃったように、電気事業者の責任の範囲内において日本原燃産業は保管廃棄について実行するということになるわけですけれども、そうしますと、このような電気事業者の責任の範囲内で、そのもとにおいて実行するにすぎない者が、この協定の当事者として何ゆえに登場するのか。果たして当事者としての能力があるのかどうか大変疑問なんですけれども、いかがでしょうか。
#52
○中村(守)政府委員 原燃産業は現場において実際に事に対応するわけでございますから、地元の関係者との間は非常に密接な関係にもあるわけでございますし、いろいろな問題について地元の方とのお約束、その他これを実行する上でその会社が地元とのいろいろなお話し合いに応ずるとか、そういった立場にあることが実行上非常に有効でございますし、しかもこの会社がきちっとそうした形でお約束を結び、しかも先ほど来ございますように電気事業連合会が立会人として参画している協定でございまして、当事者としての原燃産業は地元に対するお約束の実行ということについて責任を持つわけで、その責任を果たすためには電力事業者との間の折衝、実行を果たすための行為は確実に行うということであろうかと思います。
#53
○小澤(克)委員 それが矛盾しておるのですよ。電気事業者の責任の範囲内で行うにすぎないという御答弁だったでしょう。独立して責任を負い得ない者がどうして当事者たり得るのか。しかも第五条によりますと、サイクル三施設周辺の安全を確保するために必要な協定を締結する、協定締結も丙及び丁が行う、こうなっておるのですよ。本来の責任の主体である電気事業者は全然登場しない。これは全くの空協定になりませんか。
#54
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 そういった協定を結ぶにつきましては、当然九電力会社とも話し合いまして、その実行が担保できるものとしてお約束するわけでございまして、御懸念のようなことはないかと思いますし、原燃産業が現在その協定の当事者としておりますのは私法上の契約ということで、安全の確保の責任を負うということを地元に対してはお約束しておるわけでございます。いわゆる公法の規制の対象になるものとの関係においては、法律的には一応別な問題ではないか、そういうぐあいに考えておるわけでございます。
#55
○小澤(克)委員 今、電気事業者が担保するとおっしゃいましたが、どこにそんな根拠があるのですか。この協定書に全然出てこないでしょう。電事連が立会人になっておるといっても、これは単なる連合体であり協議体にすぎない。そんな担保も何もないことを空でおっしゃってもだめですよ。
 それから、この七条によると、「丙及び丁は、万一原子力損害が発生した場合は、原子力損害の賠償に関する法律等に基づき厳正適切に対処する」となっておるのです。これは先ほど指摘した三月二十六日の当委員会における答弁でも、低レベル廃棄物集中処理施設については、原賠法上の責任主体は、これを排出した各電気事業者であると明確にお答えになっておるわけです。矛盾すると思いますが、いかがでしょう。
#56
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 この協定の締結に当たりましては、先ほど来お話ございますように、電気事業連合会の会長が電気事業連合会の代表として参画しておりまして、こういうことを結ぶについては九電力の合意の上で行っておるわけでございまして、一切のいろいろな派生してきます地元との関係における責任問題については原燃産業が窓口となりまして、その実行については九電力全体で担保する、こういうことで実行が図られるわけでございますので、御懸念のようなことはないかと思います。
#57
○小澤(克)委員 第七条は「原子力損害の賠償に関する法律等に基づき厳正適切に対処する」となっておりますよ。単に窓口になるなんて、どうしてこれがそう読めるのでしょうか。
#58
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 ちょっと先生の意味がつかみかねますが、いずれにいたしましても法律を守るというのは当然のことでございまして、それに基づいて厳正に処置するというのは、当事者としての立場からすれば。当然のことではないかと思います。
#59
○小澤(克)委員 ですから、丁というのは原燃産業です。これは「万一原子力損害が発生した場合は、原子力損害の賠償に関する法律等に基づき厳正適切に対処する」、これはできないことを言っておるのじゃないかと指摘しておるわけですよ。原賠法上の責任主体でないわけでしょう、少なくとも低レベル放射性廃棄物の集中処理施設については。
#60
○中村(守)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、この協定を結ぶに当たりましては電気事業連合会、すなわち九電力の合議体の代表たる会長が立会人となっておりまして、この協定を結ぶにつきましては、電気事業者との間でも当然のことながら合意を得た上で結んでおるわけでございまして、その実行は十分担保できると思っております。
#61
○小澤(克)委員 答えになってないのですよ。この第七条は「丙及び丁は、」となっておるのです。主体がはっきり書いてあるのですよ。だめですよ、そんないいかげんな答えじゃ。要するにこの協定審は、少なくとも低レベル廃棄物に関しては当事者たり得ない者が責任を負うような形になっておる。しかも本来の責任主体である電気事業者それ自体は、九電力は全然登場しない。これであたかも安全が確保できるかのように錯覚を起こさせる、そういうものであるとすれば、これは大変な問題を含むものだと思います。このようなものによってまやかしの協定にならないように今後とも厳重な監督が必要だろう、こういうふうに考えます。
 時間が足りませんので、他の点に移ります。
 現在プルサーマル計画、これがかなりの進展を見せていると聞いておりますが、現状どの程度の進捗状況でしょうか。
#62
○上村説明員 我が国のプルサーマル計画の進捗状況でございますが、我が国の原子力開発の基本路線は、軽水炉の使用済み燃料を再処理して得られましたプルトニウムを長期的には高速増殖炉で使用していくという基本方針を踏まえまして、高速増殖炉の実用化までの間に蓄積されますプルトニウムにつきましては、プルトニウム専焼炉でありますATR新型転換炉及び軽水炉でプルトニウムを濃縮ウランのかわりにまぜまして使用していくいわゆるプルサーマル利用の両方で使っていくという方針が明確にされておるわけでございます。
 このプルサーマル計画の具体的計画につきましては、通産省の総合エネルギー調査会原子力部会の五十七年九月の報告におきまして、今後プルサーマル計画を進めることによって、軽水炉によるプルトニウム利用の本格化が時宜を失せず可能となるように開発を進めていくとされておりまして、この方向に沿いまして少数体規模でのプルサーマル計画及び実用規模でのプルサーマル計画を進めることといたしております。
 少数体規模でのプルサーマル計画につきましては、PWRでは関西電力の美浜発電所一号炉、BWRでは日本原子力発電の敦賀発電所一号炉で実施するということで、現在美浜発電所につきましては既に発電所にMOX燃料四体が搬入されておりますが、炉の運転の確認をいたしました後、地元の御理解を得て炉に挿入する予定でございますし、敦賀一号炉につきましては現在動燃事業団でMOX燃料二体を製造中でございます。この燃料の成形加工が終わりました後、来年の春、五月から七月ごろになると思いますが、その定期検査の時点で敦賀一号炉にMOX燃料二体を挿入する予定となっております。
#63
○小澤(克)委員 この計画全体なんですが、総合エネルギー調査会原子力部会が作成した図面によりますと、少数体照射計画と実用規模実証計画、そして三段目に本格利用、この三段階に分けて計画が実施される、そういう図面ができているわけですけれども、この三段階はどういった性格を持つものなんでしょうか。研究試験、それから実証試験、さらに商業利用といった段階があろうかと思いますが、どれがどこに対応するものなんでしょうか。
#64
○上村説明員 プルサーマル計画の推進、具体的にはMOX燃料を軽水炉で使用するということにつきましては、一九六〇年代から海外で多くの実績がございます。したがいまして、開発要素が大きいとか技術的に難しいという問題ではございません。しかし一方、燃料の加工体制の問題がございます。現在日本では、MOX燃料を加工できる施設を持っておりますのは動燃事業団だけでございます。このような動燃事業団の加工施設を使わしてもらうということで、このMOX燃料の使用、プルサーマル計画を推進するに当たりましてはおのずからその規模に限界があるわけでございまして、したがいまして、第一段階といたしましては、先ほど申し上げました少数体燃料の使用ということで、美浜で四体、敦賀で二体というような少数体使用計画が第一段階とされているものでございます。
 その次の段階の実用規模での使用計画につきましても、これはMOX燃料の加工能力におのずから限度があるわけでございまして、その辺を踏まえながら現在検討を始めようとしているところでございます。
#65
○小澤(克)委員 ですから答えになってないんですよ。どの段階なのかと聞いているのです。試験研究段階なのか、実証試験段階なのか、商業利用段階なのか、どれにそれぞれが照応するのかです。
#66
○上村説明員 現在の段階は少数体MOX燃料の使用の段階でございまして、この燃料が設計どおりちゃんと燃えるかというような確認が主体となってまいります。
#67
○小澤(克)委員 ちょっと重要なので、もう一遍確認しますが、ちゃんと燃えるかどうかということを試験しているのですか。
#68
○上村説明員 軽水炉燃料の開発でもそうでございますが、内外の実績に基づきまして設計をいたしまして、どの程度の燃焼度で燃えるかということを段階的に確認しながら燃料の開発が行われるわけでございまして、したがいまして、この二体あるいは四体という第一段階におきましては、設計どおりに燃料がきちんと燃えたか、そのデータを設計なり加工にフィードバックするという意味で重要な第一ステップと考えております。
#69
○小澤(克)委員 大変重要な発言だと思いますけれども、ちゃんと燃えるかどうか、その資料を収集して、これを加工にフィードバックする、これはまさに新たな知見を得る段階、すなわち試験研究の段階であるといったに等しいと思うわけです。現に先ほど紹介した総合エネルギー調査会原子力部会などでは、少数体照射計画というような言葉で、試験という言葉を巧妙に避けているわけですが、かつて昭和四十七年五月に関電の美浜一号炉プルサーマルのための原子炉設置変更許可申請書には、「プルトニウム料実証試験計画の一環として」と「試験」という文字がちゃんと入っているわけです。
 そこでお尋ねするのですが、二年後ですか、実際に行う予定となっている敦賀一号炉、それから現在既に装荷はされているけれども中止されている美浜一号炉、これらはそれぞれ実用発電炉であることは間違いないですね。どうでしょうか、これは通産省。
#70
○神戸説明員 お答えいたします。
 実用発電炉でありますこと、間違いございません。
#71
○小澤(克)委員 そうなると、実用発電炉を用いて試験研究をやっていいなどということが原子炉等規制法のどこに書いてあるのですか、教えてください。
#72
○神戸説明員 お答えいたします。
 今のMOX燃料の状況につきましては、上村課長からお話を申し上げたとおりでございまして、海外で多くの実績がありまして、技術的には確立をしている段階に入ってきております。ただ、本格的な実用規模への利用に先立ってあらかじめ少数のMOX燃料を装荷して、そして照射中の諸データを得るとともに、照射後の試験を実施いたしましてMOX燃料の健全性を実証したいというのは上村課長御説明したとおりでございまして、こういう実証計画につきましては、実用発電用原子炉の使用目的とか法律上の原子炉の区分を必ずしも左右するものではなくて、法律上問題ないというふうに考えております。
#73
○小澤(克)委員 法律上問題があると思いますよ。どうして問題がないんでしょう。先ほどのお答えからあるように、ちゃんと燃えるかどうか諸データをとって、それを今後のMOX燃料加工等にフィードバックする、そのためにわずか二本とか四本とかの少数を入れて燃やしてみるというか試験をやっている。このことは既にこれまでの質疑で明らかにされたわけです。原子炉等規制法は、試験研究用の原子炉と実用原子炉とをはっきり概念的に区別しまして、試験研究用原子炉については科学技術庁の所管、実用発電炉については通産省の所管、こういうふうになっているわけですね。そうすると、このようなことは法律上あり得ないのじゃないでしょうかね。どうなんでしょうか。
#74
○神戸説明員 原子炉等規制法の解釈の問題かと存じますけれども、原子炉を使用目的等によりまして実用発電炉用の原子炉、それから試験研究の用に供する原子炉等に区分しまして、その主務大臣を定めまして、設置許可から設計とか工事計画の認可、検査等規制を一貫して行うというのが規制法の法体系かと理解をいたしております。
 個別の原子炉がこれらの区分のうちのいずれに該当するかにつきましては、当該の原子炉が主として何の目的で使用されるかといったようなことに照らしまして実態的に判断をしていくものと考えておりまして、その点でもって、少数体を照射しますとはいえ、実用発電炉であります美浜炉、敦賀炉が試験研究用の炉とは判断できないと考えております。
#75
○小澤(克)委員 だから試験研究用の炉であるなどとは言ってないので、実用発電炉なんでしょう。そこで試験研究を行うということが原子炉等規制法違反ではないかというふうに指摘しているわけです。今のお答えでは全く納得できないです。今後これについてもなお追及したいと思いますが、時間がございませんので次に移ります。
 きょうは理化学研究所の方においでいただいているのでお尋ねいたしますが、理化学研究所は特殊法人ですけれども、理化学研究所法第一条は、「科学技術に関する試験研究を総合的に行ない、」括弧して「人文科学のみに係るものを除く。」こういうふうになっておりますので、基礎研究を含む開発研究と同時に純粋の学術研究も行う総合的な研究所である、こう認識しておりますが、間違いでしょうか。
#76
○中根参考人 お答えいたします。
 間違いございません。
#77
○小澤(克)委員 それから、この理化学研究所法ができたときの、これは昭和三十三年だと思いますが、当院の当委員会、当時は科学技術対策特別委員会と言っておりましたが、そこで、理研は「大学、その他の研究機関との連絡、提携協力に万遺憾なきを期すると共に、優秀な人材を吸収し得るよう人的組織及び待遇その他運用に十分な考慮を払うこと。」こういう附帯決議がなされているわけですが、このことは御認識でしょうか。
#78
○中根参考人 存じております。
#79
○小澤(克)委員 そこで、これは名前を挙げても差し支えないかと思いますが、理化学研究所において槌田敦さんという研究員が資源物理学という極めてユニークな新たな学問体系について研究を進めておりまして、これは例えば岩波の「科学」という雑誌に論文が一九七八年に出たのですが、その後NHKブックスに概説書といいますか「資源物理学入門」という本が出版されるなどしているということを聞いておりますが、これはこのとおりでしょうか。
#80
○中根参考人 そのとおりでございます。
#81
○小澤(克)委員 この資源物理学という研究内容、私は門外漢ですので余りつまびらかではないのですけれども、汚染の問題あるいは資源ではなくむしろ汚染の捨て場といいますか、そういう事柄に関し非常にユニークといいますか、考えようによってはパラダイムの転換にもつながるような極めて重要な側面を持ち、最近では国際的にも評価され、カナダで国際的な学会が開かれるなどしているというふうに聞いているのです。この槌田氏に対していろいろな大学から講師としての派遣要請が来ているのを全部理研で断っておられる、こう聞いておりますが、事実でしょうか。
#82
○中根参考人 事実でございます。
#83
○小澤(克)委員 理由はなぜでしょうか。
#84
○中根参考人 理化学研究所では研究所の成果の普及ということをやっておりますけれども、この槌田研究員は資源物理ということを称しておりますが、理化学研究所では、これは理化学研究所の成果とは考えておりません。結局、我々といたしましては、研究をやりました成果は学術雑誌に論文を発表する、先ほど先生がおっしゃいました「科学」とかそういうものに発表いたしますときには、それは評論活動であると考えておりまして、ですから理化学研究所の成果であるとは考えておりません。したがいまして、講師派遣の場合には、成果の普及という目的にのっとりまして派遣いたしておりますけれども、そういう目的が理化学研究所の目的に合致しておりませんので派遣を認めておらない、そういう事情でございます。
#85
○小澤(克)委員 槌田研究員に特別研究室というものを与え、特別研究員としての待遇をして資源物理学について研究を最初行わせた、こういう歴史的な経過があるのではありませんか。
#86
○中根参考人 その点につきましてもし御説明しようと思いますと、理化学研究所の組織、研究のやり方、仕組みについて御説明しなければいけなくなるのですが、よろしゅうございましょうか。
#87
○小澤(克)委員 簡単に……。
#88
○中根参考人 理化学研究所では戦前の財団法人、大正六年に設置されましたときから主任研究員制度というのをとっております。これは日本の学界におきましてトップレベルの人たちを選びまして、主任研究員にしまして研究室をつくらせる、そしてその研究室の研究の運営につきましては、主任研究員に大幅に自由度を与えるということをやっております。そういう制度が主任研究員でございまして、その研究室には研究員、副主任研究員という者が所属しております。研究員は主任研究員の命を受けまして、その指導のもとに研究を行っておるわけでございまして、そういうシステムがあるのでございますけれども、運用上一時特別研究室という、これは主任研究員の中の申し合わせでやりまして、所としては正式の組織ではございません。ですから、要覧等にはそういう特別研究室という名前は全然出てまいりません。その段階におきまして、ある主任研究員が認めるある一定の範囲内で自由度を与えて研究をさせる。しかしこれはあくまでも主任研究員が認めておる範囲でございます。その範囲内で研究をやっておった。数年間やっておりましたけれども、これは主任研究員会議の自主的な運用の問題でございますけれども、会議で検討いたしまして、その間にやっておった研究は理化学研究所の研究目的に合わないと判断いたしまして、特別研究室というものを一応廃止した、そういうことでございます。ですから、これはあくまでも所の正式の機関じゃございません。
#89
○小澤(克)委員 時間が来たのですけれども、今特別研究室を廃止したとおっしゃいましたが、いつ廃止したのかを最後にお答えいただきたいと思います。
 そこで、ほかにもたくさん伺う予定だったのですが、ちょっと時間の配分を誤りまして時間が足りなくなったのですが、例えば京都大学工学部精密工学教室から理化学研究所理事長官島龍興殿ということで、
 拝啓 時下益々御清祥の段お慶び申し上げます。
 さて、十一月七日貴研究所研究員槌田敦殿には御多用のところ御来学いただき、私共にとっては新しい領域「資源物理学とエントロピー」なる特別講演を賜わりました。講義室が満員の盛況で、講演内容も誠に興味深く、貴研究所の最近の研究業績の一端にふれさせていただき、多くの教官・大学院生・学生が深い感銘を受け、非常に感謝致しております。ここに厚く御礼申し上げます。
こういう文章が昨年の十一月十二日付で来ているようですし、さらに槌田敦個人にも同趣旨の礼状が来ているようです。それからほかにも、これは一例でございますが、東京大学、埼玉大学、それから大阪市立大学等からの講師派遣の要請がある。これをすべて断っている。依頼されたテーマは理研で公的に認められていませんので業務出張にはできませんというようなことで、やむを得ず欠勤扱いで行っている、こういう状況が続いておるわけです。最近は東京大学から正式に講師として任命をいたしますという辞令も本人のところに届いているようですが、相変わらずこれを理研からの派遣とは認められないということで、欠勤扱いになって賃金カットを受けている。
 さらに、もう時間がありませんので全部お尋ねいたします。
 これは当時の主任の了解を得てあるシンポジウムを行ったわけですけれども、そのシンポジウムの成果を印刷する費用の支出について承認を得ていなかったとかいうような極めてささいな理由で、これも事実関係からいたしますと実際は承認は得ていたわけですけれども、そういうことをとらえて懲戒を行う。あるいは理化学研究所の公式の出版物であります研究年報から彼の研究についての報告文を全部削除する。最初は表題のみを残しておったようですが、最近は表題も削ってしまう。それから、例えば北海道議会に参考人として呼ばれた際にも、出張扱いを拒否して結局欠勤扱いになった、そのようなことを聞いております。さらに、休暇をとって私人としての活動をすることについてまで一々警告する、政治的な活動をしてはならないという理由になっておるようですが。
 それからさらに、労働組合から安全衛生委員として推薦を受けているにもかかわらず、これを任命していないという事実もあるようでございます。時間が来ましたので、安全衛生委員について任命をしていないのかどうか、その事実関係と、仮に推薦にもかかわらず任命をしていなければ法的にどうなるのか、これは労働省の方に来ていただいていると思いますので、最後にお尋ねいたします。
#90
○中根参考人 何をどの程度お答えしたらよろしゅうございましょうか。
 安全衛生委員は現在、労働組合から推薦されました四名、それから所から推薦した者四名、それから委員長を入れて九名で運営して既にやっております。(小澤(克)委員「五名推薦されておるでしょう」と呼ぶ)五名推薦されておりますけれども、当時一名につきましては懲戒を受けた直後でございますし、それから研究室に所属しましても主任研究員の命に服従しないということで、そういう人物を委員にするのは所の規定に反するということで、一応それを認めなかったわけでございます。そのために四名にいたしまして、それから対します所側も四名にして八名で運営をするということで、現在まで安全委員会を数回開いております。
#91
○角野説明員 お答え申し上げます。
 安全衛生法では、安全衛生委員会等の委員の選任につきましては、当該事業場において労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者の推薦に基づいて、議長となる委員以外の委員の半数について事業者が指名しなければならない、こういうふうに規定しているところでございます。
 具体的な事案につきましては、私ども詳細承知しておりませんので正確には申し上げられませんが、この規定の解釈といたしましては、労働組合等の推薦のあった方すべてを指名する義務は事業主にはないというふうには理解いたしております。しかし、少なくとも法律が予定しております議長以外の委員の半数の委員については、その数に達するまで労働組合等の推薦のあった方を事業主は指名しなければならない、そういう趣旨であると理解いたしております。
#92
○小澤(克)委員 時間が過ぎて恐縮なんですけれども、先ほど説明があった処分を受けたからだめだ、こういう理由は通るのかどうか、労働省の見解を言ってください。
#93
○角野説明員 お答え申し上げます。
 安全衛生委員会等の設置の趣旨は、労使が協力し合って事業場における安全衛生問題を調査審議していただくということでございまして、それぞれ委員として選任していただく方については、安全衛生問題について知識なり能力をお持ちの方、こういうことが主要なポイントかと思います。
 懲戒処分を受けた方等につきましては、私どもそういう方についての取り扱い、実情がどうであるかという点、少し事実関係を聞かしていただいた上でないとその適否について申し上げるだけの状況にならないのではないか、こう思っておりまして、必要な場合、関係事業者等から少し実情を伺わしていただくということも考えていきたいと思っております。
#94
○小澤(克)委員 終わります。
#95
○鳥居委員長 上野建一君。
#96
○上野委員 まず最初に、かねて国会でも論議をいたしました、さくら二号が国会の決議に反して防衛庁が使うことになった、こういうことでありましたが、その後いよいよ使われておるわけです。これは参考人にお願いしてありますNTTにまずお伺いしますが、このさくら二号の使用に関して、硫黄島その他の設備は費用として幾らかかったのか。
 それから防衛庁にお伺いしますが、四月以降使われていると聞いていますが、この料金は幾ら払っているのか。それから、設備費といいますか分担金というのか、そういうものは幾ら納入されたか、まず明らかにしていただきたいと思います。
#97
○岩崎参考人 お答えいたします。
 工事費でございますけれども、大まかな数字でございますが硫黄島側に二・四億、本土側に二・八億、合わせて五億二千万円ということになっております。
 以上でございます。
#98
○大越説明員 お答えいたします。
 防衛庁は硫黄島との通信のために、現在NTTから十四回線の専用回線を借りております。この専用につきましては月々NTTの方から請求を受けるわけでございますけれども、現在年間に直しまして約六千七百万円の専用料を払うことになるというふうに思っております。
#99
○上野委員 年間じゃなくて、あれは防衛庁の職員なり兵隊さんが使うわけですね。四月は幾ら回線の利用があって、その料金というのは幾らか、それを聞いているのです。
#100
○大越説明員 お答えします。
 月間で五百五十万程度でございます。
#101
○上野委員 そうすると、そんなに多くの金を使っているということは、これは硫黄島にいる自衛隊の関係者が使っているだけじゃなくて、やはり防衛庁が軍事的な目的に使っているということの証明じゃないですか。そんなに金を納めて何に使っているのですか。
#102
○大越説明員 硫黄島との通信回線は、自衛隊の運営のための一般的な管理業務とかあるいは航空機の管制業務、それから航空救難あるいは気象データの送受信、そういうことに使っております。(「家族は何ぼ使っている」と呼ぶ者あり)
#103
○上野委員 だから、家族としていわゆる福利厚生上使っているのは幾らで、料金は幾ら納まっておるのか。四月は幾ら、五月は幾ら、六月は幾らだったですか。
#104
○大越説明員 お答えします。
 硫黄島には現在公衆電話が三台設置されております。したがいまして、一般隊員は家族との連絡のために公衆電話を使っておると思いますけれども、それをどの程度使っておるかは私ども承知しておりません。
#105
○上野委員 そんなばかなことがありますか。しかもこれは金を払うのは個人でしょう。個人の金と防衛庁の金とは別でしょう。どうしてそういうことがわからないのですか。そうすると、防衛庁は個人の分まで電話料を払っているのですか。
#106
○大越説明員 お答えします。
 これは普通の公衆電話でございますので、当然隊員が自分の負担で払っているわけでございまして、それがどのくらいの度数があったかというようなことは、むしろNTTの方にお聞きになった方がわかるかと思います。
#107
○岩崎参考人 お答えいたします。
 今先生の御質問は、公衆電話が三台ございますが、それの利用についてのお話じゃないかと思いますが、三月十八日に開通いたしまして、三月の実績が約三十二万円から三万円程度ございました。実はそれから推定しているわけでございますけれども、三台合わせて大体一カ月に七十万から八十万円くらいになるのではないだろうかというふうに推定しております。
 以上でございます。
#108
○上野委員 そういうことで数字でもはっきりしているのですけれども、当初は自衛隊の福利厚生のために使うのだという話でしたが、使ってみると実際はやはり自衛隊の日常の仕事、いわゆる防衛のために使っている、これはもうはっきりしているわけですね。防衛庁はその点は認めるでしょう。内容的には家族との通信に使うということを言っておったわけですけれども、事実上は自衛隊、防衛庁の仕事のために使っている、こう言ってもいいですね。その点は認めますね。
#109
○大越説明員 お答えします。
 先ほども申し上げましたように、公衆電話は家族との連絡等に使っておりますけれども、それ以外の理用回線につきましては、自衛隊の運営のために必要な業務のために使っております。
#110
○上野委員 その点は明らかになった。したがって、国会においてはいわゆる福利厚生とか家族との通信のために使うんだ、こういうことであったのが、それはうそであるということがわかりました。それを理由にしてこの通信衛星を使うことにした、こういうことであります。しかも、前にも既に指摘されておりますようにSSMA方式、これは純然たる軍事的な方式なんで、これを特別に注文してやったということからもその点がはっきりしているのですね。
 そこで大臣にお伺いしますが、最初の衆議院の決議とそのほかのいろんな経過も踏まえて、通信衛星は軍事目的には使わない、あくまでも平和的に使うんだ、こういうことであったわけですけれども、こういうことに対して変更になっているということについては大臣はどうお考えでしょうか。この責任はだれがとるのですか。
#111
○竹内国務大臣 お答えいたします。
 国会決議の解釈については、当然国会に有権解釈があるということを前提に申し上げるわけでございますが、先生ただいまお取り上げの問題につきましては、これまた既に御承知かと思いますけれども、昭和六十年二月六日に政府見解というものを出しております。これは一般的に衛星利用について政府見解を申し上げているわけでありますが、さらにその際に政府側の方から、硫黄島の関係につきましては公衆電気通信法においても排除すべき理由がないというぐあいに答弁しておると私は記憶しておりまして、私もその立場に立っております。
#112
○上野委員 大臣、四十四年に宇宙開発事業団の法律が決まる場合に、「平和の目的に限り、」という字句を第一条にお入れになりまして、さらに衆議院の本会議における宇宙の開発利用の基本に関する決議によりまして、これはあくまでも平和利用に限るという合意ができておるのでありまして、それが防衛庁に使われることはない、こういうことを当時の木内国務大臣が参議院で答弁をされております。この答弁とだんだん食い違ってきているのですね。
 その次の問題としてお聞きしますが、宇宙事業団がさくら三号を打ち上げるという予定があるそうですけれども、これを防衛庁が全面的に利用するということなんだそうですが、この点はどうですか。もし否定なさるなら、さくら三号通信衛星については、これは防衛庁には使わせないということを断言できますか。
#113
○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 通信衛星三号は、通信衛星二号による通信サービスを引き継ぎまして、増大する通信需要に対処するとともに、通信衛星に関する技術の開発を進めることを目的としまして、昭和六十二年度及び昭和六十三年度に静止軌道に打ち上げるべく現在宇宙開発事業団において開発を進めておるわけでございます。このCS3の利用計画につきましては通信・放送衛星機構において決定されるというふうに理解しておりますが、現在のところまだ具体的な割り当ては決まっていないというふうに聞いております。
 なお、当庁として、防衛庁において現在CS3を利用する具体的計画を有しておるというお話は伺っておりません。
#114
○上野委員 それじゃ、防衛庁からそういう申し入れがあったら使わせる気なんですか。使わせる用意があるのか、それとも使わせないということを断言できるのか。それから、防衛庁は五九中業でそのことを方針としてだんだん固めている段階だと聞いている。そういう報道もされている。それに対して、このさくら三号は使わせないということは言えますか。もう内々話は進んでいるのじゃないですか。
#115
○内田(勇)政府委員 私どもまだそういう話は伺っておりませんが、もしそういうお話がありまして、具体的な計画の御相談があった場合には、従来の私どもの政府としての立場を踏まえまして慎重に検討をしていきたいというふうに考えております。
#116
○上野委員 それはおかしいでしょう、あなた。事業団の法律はどうするのですか。法律に違反してもやるのですか。さくら二号については福利厚生だと称して何とか通した。しかし事実は違う。これはだんだん明らかになっている。それに加えてさくら三号まで使わせる気ですか。法律をどうするのですか、あなた。あなた方は法律に基づいてやっているんじゃないのですか。はっきりしてください。
#117
○内田(勇)政府委員 「平和の目的」の解釈につきましては、予算委員会におきまして政府の統一見解を申し上げたわけでございますが、この趣旨につきましては、自衛隊が衛星を直接殺傷力、破壊力として利用することは認めないことは言うまでもないといたしまして、その利用が一般化しない段階における自衛隊による衛星の利用を制約する趣旨のものと考えておるわけでございます。したがいまして、政府といたしましては、自衛隊の衛星利用につきましては、国会決議の趣旨あるいは法律の趣旨を十分体しまして、個別具体的に事例に即して慎重に判断していきたいというふうに考えておるわけでございます。
#118
○上野委員 これはやはり大臣に答弁してもらわないと困りますよ。おかしいでしょう。さっき言った解釈は、幾ら拡大解釈しても、自衛隊の福利厚生その他ということならまだ理屈としては成り立つ可能性もありますよ。現に今さくら二号は、度数にして大した度数じゃないです、何十万という単位でしょう。しかし自衛隊は月に五百万円以上も納めている。また年間に六千何百万のお金を納めている。現に軍事目的に使っているわけですよ。直接殺傷するとかなんとかということは何で判断しますか。あそこを爆撃しろと命令を下したとしたら、その通信を使ってやったとしたら、これは具体的に殺傷の道具に使われているわけでしょう。そんな区別できませんよ。自衛隊が使うものは全部軍事風的です。平和目的じゃないですよ。ですから、そういう意味ではこのさくら三号を使うことは、宇宙開発事業団法との関連においても、これは間違いでしょう。だから、いろいろ解釈はあるにしてもはっきりしています。「平和の目的」ということは宇宙開発事業団法にはっきりしているんだから。それから、二号を使う場合の議論の中でもそこまでは言っていませんよ。大臣、その点を明確にしてくれませんか。
#119
○竹内国務大臣 お答えいたします。
 先ほど局長からも答弁いたしましたように、CS3につきまして自衛隊の方においてそういう利用の計画あるいは構想があるということは、少なくとも私どもは承知をしておりません。したがいまして、そういうお話がもし仮にあったとすれば、そのときに従来の国会の論議等々も慎重に考慮しながら私は慎重な判断をいたしたいと思います。
#120
○上野委員 わけのわからぬお話で、これ以上続けると時間がありませんので先を急ぎますが、いずれにいたしましても余り拡大解釈をしてやるということは許されないことだと思うのです。それから宇宙開発事業団についても、法律に従って運用をしてもらうように要請をしておきたいと思います。
 そこで、第二電電がいよいよ許可される段階でいろいろなことが起こっているようですが、その中で、二つの通信衛星を持つ会社の設立が求められておるようであります。その内容その他は答弁は要りませんけれども、答弁をいただきたいのは、日本通信衛星株式会社、それから宇宙通信株式会社、これらが申請をして、それぞれ通信衛星を持って業務をやる、こういうことなんです。その中で、日本通信衛星の会社としてはヒューズという会社から衛星を買う、こういうふうになっています。ところがこのヒューズというのは、アメリカのSDI計画の調査団の団長として副社長か何かが来ているのですね。ですから、この会社自体が軍事的ないろいろなことに組み込まれている。特にアメリカの場合は日本と多少違いまして、産業の軍事化、軍部と産業の癒着、結合というのは、これは言われているとおり物すごいものがある。そういうところから衛星を買ってやる会社ですから、どうも今のこととも関連しまして心配になるのは、郵政省は許可する際に、この二つの会社の持つ通信衛星が軍事目的に使用されようと何しようと、それは業務として認めようとするのか、あるいはチェックして平和的にやりなさいよということで許可をされようとするのか、そこのところはどうなっているでしょうか、お伺いします。
#121
○品川説明員 お答え申し上げます。
 この衛星を使ってのサービスを提供する会社につきましては、これは電気通信事業法上、第一種電気通信事業の提供というジャンルに入るわけでございます。この衛星会社につきましての許可条件ということにつきましては、許可の基準ということで電気通信事業法第十条で定めておりまして、これに該当するものについては許可するということでございます。
#122
○上野委員 そこで次の問題に移ります。
 アメリカが武器技術供与の問題で大変積極的に最近動き出しておるわけですけれども、まず最初にお伺いしたいのは、この武器技術供与、それに対して日本は交換公文を出して進めておるわけなんですが、アメリカの国防総省から調査団が何回か来ているようです。どのような調査団が来ているか、明らかにしていただきたい。
#123
○沼倉説明員 日本に参りました調査団についてのお尋ねでございます。国防総省から参りました調査団というのは一つだけでございまして、技術調査団が参っておりますが、昨年の七月、それからことしの四月と二回にわたって来日しております。この調査団は、ミリ波と光電子工学についての日本の技術動向、開発状況等を勉強に来たということでございます。
 なお、一昨年になりますが、十月に国防技術審議会というところのタスクフオースチームが来日しておりまして、このときの団長が先ほどお話しになったカリーというヒューズ・エアクラフトの副社長でございますが、これはあくまでも民間の方々によって構成されている審議会の一部として来日しているものであります。
#124
○上野委員 今お話の中になかったと思うのですけれども、SDIの関係で、アメリカ国防総省SDI局の次長代行ヨーナスという人を団長とするのが、団員は何人がわかりませんが四月に来ていますね。四月に来たときに外務、通産、科技、防衛の四省に対してSDI計画について説明をした、こうなっておるようでありますが、どのような説明があったのか、科学技術庁長官にお伺いしたいと思います。
#125
○沼田説明員 ただいまお尋ねのありましたSDI計画につきましてのアメリカ側のブリーフィングチームが参りましたときに、私ども外務省の方が中心となりまして、防衛庁、通産省、それから科技庁の関係の方々も含めまして話を聞いた次第でございますので、私どもの方からお答えさせていただきます。
 このブリーフィングチームは、今先生から御指摘のありました国防省のSDIOと申しますか、SDI局のヨーナス次長代行を団長といたしまして、そのほかに国防省の国際安全保障政策局並びにSDI局の担当宵、国務省の政治軍事局のゴードンという次長代行、それからもう一人国防省の情報分析関係の人という編成で参ったわけでございます。四月二十三、二十四の両日、外務省において先ほど申し上げましたような各省の関係者も含めて説明を聴取したわけでございます。
 それから、その説明の内容でございますが、大きく分けましてSDIの構想に関しまする技術的な側面、SDIの構想に関しまする政治的あるいは戦略的な側面、それからもう一つは、ソ連において戦略防衛というような分野においていかなる活動が行われているかということを中心にして、二日間にわたって説明を聴取したわけでございます。
#126
○上野委員 その際、日本の武器技術についてはどういうものが協力の対象になるのか、そういう説明はあったのですか。あったなら内容を明らかにしてもらいたい。
#127
○沼田説明員 結論から申し上げますと、日本に対していかなる技術の分野における協力を期待しているかということは、先方から言及はございませんでした。
 本件につきまして米国政府がとっております立場は、SDIの構想の中身がいかなるものであるか、アメリカがどういうことを考えているかということを日本を初めとする関係各国に説明し、その関係各国において説明の内容を分析し評価した上で、それぞれの国がいかなる分野で協力し得るかということをそれぞれの国みずからの判断によって決めた上で、どういう分野で協力し得るかというような話を進めていきたい、アメリカの方からこういう分野について協力してくれということを押しつけることはしないという基本的な立場をとっております。
#128
○上野委員 そうすると、最近の日本の技術の提供、特にアメリカが日本の武器技術について関心を持っておる八社三十八分野ですか、そのことと全然関係ないと考えていいんですか。それとも関係はあるのだけれども今は言えないということでしょうか。その点はどうでしょう。
#129
○沼田説明員 ただいま申し上げましたように、SDIの研究計画についての参加問題との関連におきましては、アメリカの方は基本的に相手国の判断によっていかなる分野で協力し得るかを考えてほしいという立場をとっておりますので、今先生の言われたような八社云々というような話と直接に結びつけることは難しいのではないかと考えております。
#130
○上野委員 それじゃもうちょっと具体的に。八社三十八分野、この内容の中で特に防衛庁の関係では、現在持っておるものとしてはミサイルの追尾の技術が特に第一段階としてアメリカから要求をされた、こういうことのようです。いろいろあるようですけれども、そのほかに特にこの八社の中で重視をされておる技術というのはどういう中身でしょうか、具体的にお聞かせいただけますか。
#131
○伊佐山説明員 申し上げます。
 先ほど外務省の方からもお答えがございましたように、あるいは防衛庁の方から事実関係が御披瀝されましたように、去年の七月と本年の四月に国防総省の方から技術調査団が参りまして、五月に先生御指摘のような調査報告書というものを取りまとめ、公表されたことがございます。そのときに日本の八企業を訪れまして、日本の技術の状況について調査したことはそのとおりでございます。
 その中で三十八技術というふうに言われている点と申しますのは、ミリ波・マイクロ波技術及び光電子工学技術を中心とした十四分野について各企業別に関心項目を取りまとめまして、その結果が三十八項目になったということでございまして、必ずしも三十八技術分野ということではございませんが、その十四分野といいますのは、例えばミリ波・マイクロ波にありましてはガリウム砒素素材、素子部品といったような五分野が挙げられております。それから光電子工学につきましては、レーザーでありますとか光処理といったような九つの分野について関心を表明されております。
#132
○上野委員 そうしますと、その中の一つ、これはガリウム砒素素材との関連のようですけれども、ミサイル追尾の設備が第一段階として要求されて、防衛庁はこれにこたえるという姿勢を示したと聞いているのです。しかし、これはいずれも民間会社がつくっているもので、そこで八社という言葉が出てくるわけですが、武器技術の協力も民間の技術なんです。ところが民間の技術がアメリカに行きますと、民間も軍部が一緒になっている産業の中に組み込まれるわけですね。そうすると日本の先端技術、こういう武器技術といっても、武器輸出のための三原則がありましたが、あれには当てはまらないものばかりですね、今度の場合には。特に汎用技術なんかでは当てはまらないわけです。そうしますと、どう考えましてもアメリカの産業が要求するそういう日本の先端技術がアメリカの技術の中に組み込まれてしまう。そして利用されるということになりかねない。最初は軍事目的で向こうは秘密を守るということになるのでしょうけれども、しかし向こうの軍備と産業の関係は先ほど申し上げたとおり密着していますから、アメリカの民間の会社に日本の先端技術が皆行ってしまう。その行ったものがさらに第三国に流れていくということは当然考えられる。それらのことをすべて考えますと、この技術の関係は日本の民間の技術がアメリカの下請の形になりはしないかという心配もあるのですが、そこら辺のことはどういうふうにこれからなさるつもりなんでしょうか。
#133
○沼田説明員 ただいま先生の提起されました問題点、幾つかにわたりますが、そのうち二つ、三つについてまず御答弁したいと思います。
 まず第一に、先生の御質問の中で最初に言ってきた技術というようなお言葉がございました。これは恐らく対米武器技術供与の最初の要請として言ってきたものが今先生の言われたような技術ではないかという御趣旨かと思いますが、これにつきましては昨日の衆議院外務委員会の審議におきまして私どもの北米局長からも答弁いたしましたように、米政府から外交経路を通じて対米武器技術供与の具体的要請が来ていることは事実でございます。しかしながら、この要請につきましては、今後対米武器技術供与の取り決めに定める手続に従いましてこれから検討していくことでございますし、またその要請の内容が何であるかということ等につきましては、米国という相手側があることでもございます。また、米国はこの具体的な内容を明らかにしてほしくないということもございますので、その内容を明らかにすることは差し控えたいと考えております。
 それから、先ほど来御質問のありましたような、米国が調査に来ていたようないろいろな分野と今回の要請があった分野との関連ということにつきましては、この二つは直接関連するものではないということを申し上げておきたいと思います。
 それから第三点といたしまして、民間企業の持っている技術がアメリカに出ていって、アメリカの軍事的なものに組み込まれるのではないかというような御趣旨の御質問かと思いますが、これにつきましては、まず武器技術というものと汎用技術というものとで区別して考える必要があるかと思います。
 武器技術につきましては、おととしの十一月にアメリカとの間で結びました取り決め、交換公文に定めておりますことは、別に防衛分野における技術の対米移転を促進ないし奨励することについて新たな義務を定めるものではございませんで、これはあくまでも関係当事者の発意及び相互間の同意による防衛分野における技術の対米供与を歓迎するということを言っているわけでございまして、いずれにせよ、本件の取り決めのもとで技術を保有する民間企業の意に反して当該技術を供与するというようなことは考えられていないわけでございます。
 それから、民間の持っております技術が汎用技術でございます場合には、これは従来から国会等の場でお答えしておりますとおり、それをアメリカに供与することは原則的に自由であるという状況になっております。
#134
○上野委員 あなたもそうおっしゃいますが、この八社三十八分野に関するものを防衛庁としてはかなり買っているわけでしょう。利用しているわけですね。そういうこともあるし、それから今、これは後でちょっと数字を聞きたいのですけれども、防衛庁の主要武器の中における先端技術の関係、そういうものの分野はどういう比率になっているのか。いわゆるエンジンとかボディーとかいうものの比率と、この先端技術との比率、こういうものは一体どういうふうになっているのか。そして一つだけ具体的に聞きたいのは、F15の値段の中で先端技術部分というのはお幾らになるのですか、これをお聞きします。
 そういうことで、いわば日本の防衛産業というのも大変な額になってきている。そういう会社が、日本の政府それから防衛庁が仲立ちになってアメリカとの技術供与の問題が出てくる。そしてアメリカから具体的に要求がある。明らかになったのはまだたった一つですけれども、第二弾、第三弾が既に出されているというふうに私どもは聞いているのです。防衛庁は明らかにしていませんが、外務省も明らかにしていない。しかし、そういう形で出されてきた場合に果たして日本とアメリカの関係、それから政府、防衛庁が介入しているという状態の中で民間企業が断り切れるかどうか、これは大変疑問なんです。そういう意味で、そこら辺のことば自信を持って言えるのかどうか答弁をいただきます。
#135
○白川説明員 民間企業の保有する技術の問題については通産省の所管でございますので、私の方から御答弁させていただきます。
 民間企業が持っております技術を対外的に供与するかどうか、これは商業的な取引関係であると私ども思っておりまして、その技術を保有する企業の商業的判断で決定されるものであるし、これが尊重されるべきであると考えております。したがいまして、私どもといたしましては民間の意思に反してこういうことを進める気持ちはございません。
#136
○沼倉説明員 先ほどの八社でございますが、防衛庁が直接生産を委託したり、あるいは装備物品を購入するという対象になっております企業も含まれておりますけれども、これは全部がそうであるというわけではございません。
 次に、先端技術あるいは電子機器というものの全体に占めます割合という御質問でございましたが、何をもって先端技術と言うか、電子機器はどこまでかという範囲が非常に難しゅうございまして、なかなか一概には決めかねる。それから、一定の仮定を立てまして試算をしたのですが、やってみても物によりまして二割とか三割とかいうようなところから、もっと高いのもございます。先ほど御質問がございましたF15でございますけれども、この場合には機体とエンジン、これを別にした残りを一応電子機器等のものだというふうに仮定をいたしますと、一二%がお尋ねの技術関係ということでございます。
#137
○上野委員 時間が参りましたので最後に一点だけお伺いしておきます。
 通産省はそう明確におっしゃいますが、この交換公文によるとアメリカ合衆国に対する武器供与、これは促進するんだ、そういうことを約束をしているわけですね。そしてこの約束に従って続々と調査団が来ている。それから具体的に八社三十八分野というようなことで限定してきていますね。そういうふうにやってくると、事実上日本の先端技術でも最も日本が得意とするような分野がほとんど含まれています。ここに一覧表がありますが、時間がないから読み上げるわけにいきませんが、ほとんど含まれている。そうしますと、今後の勢いとしては、政府がこれは進めると約束しているわけですから、そう言うなら通産省が今みたいな答弁で踏ん張ってみても、事実上はもう日本はアメリカの軍事産業の下請化される、こう言っても言い過ぎではないと思うのですけれども、その点について一体どう考えたらいいのか、大臣に最後にお伺いしたいと思います。
 特に日本のこの技術は、民間が平和利用あるいは生活の向上のためとか国民のためにつくられてきたものが、できてみたら軍備に使われる、これからそういう形になるわけですね。大体今出されておる八社三十八分野の技術というのは、平和目的で日本で開発したものなんです。軍事目的じゃないのです。それがだんだんこういう形で軍事に使われる。こういうことに対して科学技術庁という役所としては、そしてその長である大臣は、一体そのまま見過ごして、ああいいや、いいやということでしょうか。この点お伺いしたいと思います。
#138
○竹内国務大臣 大変難しい質問を受けたと思うのであります。しかしながら、汎用技術ということになれば、よほど特殊の理由がない限り、それを移転してはいかぬということは非常に難しいのかなというぐあいに感じます。
#139
○上野委員 終わります。
#140
○鳥居委員長 次に、辻一彦君。
#141
○辻(一)委員 きょう私は、主としてウラン濃縮のアメリカの政策決定、それに伴う我が国の対応、この点について二、三お尋ねしたいと思います。
 その前に、私は前長官のときにも、たばこを吸うきせる、きせる論ということを言ったことがあるのですが、水力以外のエネルギー源を外国にほとんど頼っている我が国は、石油、石炭、原子力等々バランスのあるエネルギー源を求めていくということが大事であると思います。
 最近、原子力発電の分野が電力関係では非常に大きくなって、ウエートが増しつつありますが、廃棄物の将来等々展望すると、余りにも原子力に重きを置き過ぎるということもまた避けなくてはならない、こう思っております。それらを前提にしながら、しかし現実にこの閥、福井県の高浜の四号炉が稼働に入る。二十八基二千万キロワットを幾らか超える発電所が動いておるという事実があります。したがって、濃縮ウランを原料にするところの核燃料が毎日消費されている、それからまた使用済み燃料が毎日ふえていく、さらに廃棄物がふえていくというこの事実もまた存在するということも考えなくてはいけない。そうすれば、これらに十分根を張った原子力政策が必要だと思うのです。ところが、今までたばこを吸うきせるのように胴体の発電所だけを膨らませて、そしてがん首であるいわゆるウラン濃縮、それから吸い口に当たる再処理等々が外国に依存のままに過ぎているという点で、胴体をこれほど膨らませた以上はいや応なしにその対策が必要になってくるというふうに感じますが、その点が今まで非常に欠けておったといいますか、おくれておったということが問題である、私はそれを原発のきせる開発諭、こう言っておるのです。
 それで、今こういう中で濃縮ウランの問題が科技庁、通産、動燃を通して、非常に長い時間と努力をかけて遠心分離法を中心にする日本の開発が積み上げられてまいった。私も人形峠、それから動燃の東海の研究所等も何回か行って様子も見てまいったのでありますが、いろいろな長い努力をされておるということについては敬意を表したいと思います。しかし、今我が国がちょうど実験のプラントからパイロットプラント、原型プラントを経て実証プラントを展開しようとする計画が進められている中で、遠心分離法という方法が進んでいる中で、アメリカはかねてから予想されていたとはいえレーザー法の選択に踏み切った。これはこれから我が国のこの面にはいろいろな影響を与えるのじゃないか、こう思われます。
 まず第一に伺いたいのは、二十六億ドルというと二百五十円として邦貨で六千六百五十億、膨大な金額ですが、この遠心分離法による工場を放棄するといいますか打ち切って、レーザー法に転換をしたというか選択をしたアメリカのこの濃縮ウランにまつわる背景は一体どういうものであるかということであります。
#142
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 米国が今回、将来のウラン濃縮技術としてレーザー濃縮の技術開発一本に絞っていくということに踏み切ったわけでございますが、その背景につきましてはいろいろな推測もあるわけでございます。推測というよりか、客観的に見れば米側のDOE、エネルギー省が発表した中でどのように言っているかということを御紹介した方がよろしいかと思いますが、米国のウラン濃縮事業というものは、実は今経営の危機といいますかそういう状態になっておりまして、自由世界市場で従来一九七四年ごろには一〇〇%世界のシェアを持っておったのが、最近ではヨーロッパからの濃縮ウランの供給ということもありまして、シェアが五〇%という状況になっておるわけでございます。既にある工場、拡散法による工場が三つございますが、米国の推計では二〇〇〇年までの間、この三つの工場のうち二つあれば十分賄える、こういう状況にあるわけでございまして、米国としては当面短期的な資金コストの切り下げということが非常に大きな問題であるわけでございます。
 長期的に展望した場合、現状のままでは欧州諸国等に立ちおくれるということも考え合わせますと、長期的に最良の技術を開発しておかなければならない、そういった面もあるわけでございまして、アメリカとしてはこのレーザー法の濃縮技術というのはいわば二十一世紀の技術だ。したがって、近い将来にすぐ実用化するということではないわけでございまして、当面は既に先ほど申しましたような拡散工場が非常に供給過剰な状態にありますので、それの経費を軽減するということで欧州からの供給とかそういうものに対抗していく。そのためには遠心分離法による技術、これはもう既に欧州等では実用化されておるわけでございますし、米国でも技術開発をしてまいったわけでございますが、米国の遠心分離法の技術開発については、私どもこれはかなり機微な情報に属するので詳細わからないわけでございますが、アメリカではこの遠心分離法によって大幅に今の事態を改善するためには、今後も相当な研究開発投資とか建設投資を必要とする、現状のままで遠心分離法の工場を拡散法の工場につけ加えて建設するということではとてもいい結果が出ないだろうというようなこともございまして、当面は拡散法による工場で、既に設備があるわけでございますので、そういった面で経済性の向上を図り、コストの切り下げを図り、できるだけ出費を抑える形でコストを切り下げていって、むしろ二十一世紀をにらんで長期的な技術開発を進めた方が有利である、このように判断をされた結果、原子法のレーザー濃縮技術の開発という方に踏み切ったのではないか、そのように考えておる次第でございます。
#143
○辻(一)委員 アメリカ側は二十一世紀の技術として採択したということですが、それは私もわかりますが、アメリカのエネルギー省が発表した内容等を見ると、一九八八年ですか、だからもう二、三年後には実証規模千トン程度の設備に取り組むと言われておるのです。だから二十一世紀というような長い先のことでなしに、かなり迫ってきているという感じが一つする。なお、アメリカのエネルギー省の次官補のロングネッカー氏が一九九〇年で新技術による工場建設の見通しがあるというように述べている報道も聞いておりますが、かなり速いテンポで進めようとしているのじゃないかということ。それから、フランスにおいてもレーザー法のパイロットプラントは九〇年に運開をやって、実証プラン下は九四年から建設にかかるが、急ぐ場合は九〇年から始める、そして二千トンのレーザー法による実証プラントは早い場合は九五年にも可能であると言っておるのですが、いずれもかなり速度を上げてきつつあるのではないかという感じがします。そうなりますと、我が国の遠心分離法の実証プラント等の建設の予定と時間的にいって余り違いがなくなってくると思うのですが、世界の大勢、趨勢がレーザー法に動こうとする中で、積み上げたものをもとにして、大事でありますが、遠心分離法を展開していくときに世界的な趨勢におくれる懸念はないのかどうか、この点を伺いたい。
#144
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 アメリカでの決定におきましても、今回の決定というのはレーザー濃縮をいわば将来の商業技術として採用するということを決定したのではなくて、長期的に技術開発をこれに集中していくということの決定であるということをDOEの発表でも述べております。その間に規模的にはいわゆるデモンストレーション的な施設をつくって工学的な機能の確認を行っていかなければなりませんので、かなり大規模な実証的な工場の建設ということも考えられようかと思います。ただ、米国の発表の中でもございますように、レーザー法を大きくしていくについては、これから技術的に解決していかなければならない課題も多々あるわけでございまして、単純に真っすぐ走っていってゴールに到達するというような見通しも必ずしもあるわけではございません。
 フランスにおきましても、先生御指摘のように、先般日本に参りましてレーザー濃縮についてのセミナーをやられたわけでございまして、なぜ日本にまで来てわざわざそういうセミナーをやられたかという意図がよくつかめませんけれども、フランスにおきましても、一九八六年ごろにレーザー濃縮についての取り組みをどうするかということについて本格的に検討したいと言っておるようでございます。現在フランスもいわゆる遠心分離法による工場は持っておりませんで、拡散法による濃縮工場だけを持っておるところでございまして、どちらかというと、拡散法をもって現に工場でウランを供給しているところでは、その施設を当面は活用しながら、長期をねらってレーザー法に集約して研究していくというような流れがあるのではないかと思うわけでございます。
 日本におきましても、レーザー濃縮の有利性、これは原理的に見れば確かに単純でございまして、うまくいきそうに見えるわけでございます。そういうことで識者の間でも有望であるという意見が非常にあるわけでございますので、前から研究もいろいろ進めておりまして、原子力研究所におきましては既に原理的にはこういうものはできるという実証試験も済んでおりまして、これから工学的ないろいろな面についての技術の勉強をしようということで取り組んでおるわけでございます。世界の趨勢から見ましても、レーザー濃縮については二十一世紀をにらんで積極的に取り組んでまいらなければならないわけでございまして、少なくとも早い時期にいろいろな技術的評価ができるようなデータの取得に努めたい。何分にもレーザー濃縮というのは極めて機微な情報が多いものでございまして、原理的なことはわかっておりますけれども詳細な情報はわかりませんので、そういった意味でも今後データの把握、いろいろな実験の積み重ねといったものをできるだけ急いでやりまして、将来に向けての濃縮技術についての取り組みを明確な形としていきたい、その意味の検討ができるような資料をできるだけ早く確保したいと考えておる次第でございます。
#145
○辻(一)委員 動燃の方から六月六日付で「米国のウラン濃縮技術選択について」という説明資料が出されておりますね。米国が開発の重点をレーザー濃縮法に置くことに決定した背景として、今局長が答えられたが、この1の(3)に、遠心分離機には非常に精密な技術が必要だが、日本の場合はそれに耐え得る内容がある、アメリカの場合にはまだその点が必ずしも得意ではない、こういう点が一つの根拠に挙げられて、我が国の遠心分離法がかなり内容的にレベルに自信があるということが、表現は別としてうたわれておるのです。その点についてどういう状況であるか、動燃の方からお伺いしたい。
#146
○福原参考人 お答えいたします。
 先生ただいまおっしゃいました私どもが出しました資料の中の第三番目、遠心法によりますウラン濃縮につきまして、日本人といいますか日本といいますかに非常に向いた技術の方向である、むしろアメリカに向かなかったのではないかという感想を私ども申し述べたわけでございますが、ただいま局長申し上げましたように、遠心分離機を中心といたします遠心法のウラン濃縮というものは非常に精緻な技術を必要とするものでございまして、私ども過去二十年以上にわたりまして研究開発を続けてまいったわけでございますが、そういう非常に精密な機械をつくるということは、まあエレクトロニクスあるいは自動車等々にも見られますように、むしろ日本の技術、日本の技術屋が非常に得意とする分野ではないだろうか。特にまた品質管理等々の面におきましても、私どもアメリカに対しまして劣るところはないという確信を持っておるわけでございます。
 それと、アメリカが従来遠心分離法として研究してまいりました遠心分離機と私どもがやってまいりました遠心分離機と、これも詳細は相手方のことはよくわからないわけでございますが、やり方において方向において非常に大きく違っておる。アメリカの遠心分離機というのは非常に大型の分離機をつくりまして、これで一台当たりの能力を上げよう、日本の場合は、どちらかといえば非常に小型な分離機を精緻に組み上げて能力を上げていこうという方向で進んできたわけでございます。しかも私どもの場合は、そうなりますと小型ではあるけれども非常にたくさんの台数を必要とする。アメリカは大きなもので少数の台数で賄うという方向で進んできたわけでございますが、私どもの場合はそういう非常にたくさんの遠心分離機を必要といたしますが、そのかわり非常に故障率を少なくする。仮に故障が起きても、それはそのまま修理しないで、私どもこれをメンテナンスフリーと言っておりますが、そのまま工場が稼働できる、こういうシステムをとってきたわけです。アメリカの場合はそういう大きなものをやっておりますと、これは一台故障したからそのままほっといてというわけにはいかないわけでございます。必ず修理をしなければならない。そうしますと、トータルの工場の稼働において私ども決してアメリカが研究しておりました遠心分離法に負けない、いやむしろすぐれるところもあるという確信を持ってやってまいったわけでございます。そういう点を考慮いたしまして、むしろアメリカよりも日本の方が遠心分離機あるいは遠心分離法の濃縮については向いていたのではないか、そういうふうに申し上げたわけでございます。
#147
○辻(一)委員 動燃の集合型遠心分離機という、これを指されておると思いますが、アメリカと比較してそうであるならば、欧州三国も遠心分離法でやっておるわけですね。それと比較してどう考えておられますか。劣らないという程度では、向こうでもどんどん進んでいるんだから、私も今まで人形峠や東海で聞いたのでは相当確信をお持ちのようであったけれども、劣らない程度ではない、もう少し自信があるならひとつそれを聞かしていただきたいと思います。
#148
○福原参考人 ヨーロッパにおきましても現在遠心分離法によりましてウラン濃縮を行っておるわけでございますが、再々申し上げますように、濃縮に関します技術情報というものは極めて機微にわたりまして、各国とも厳重な情報管理を行っておりまして、私どもも詳細を知ることはございませんし、私どももその国へ参りましても、その工場、実物は見せてもらえないわけでございまして、そのまま向こうの技術屋、技術者と話をする節々にそれとなく察知するということで、相手方のことはその程度しかわからないわけでございます。私どもの方もそういうことで一切そういう情報を外へ出さないという建前で進んできておりますが、性能あるいはコストの比較と申しますのは、そのプラントの設計の状態あるいはその能力等々によりまして非常に大きく変わります。その前提がまず非常に相互にあやふやな形で、腹の中で比較しておるわけでございまして、正確には数字で申し上げられないわけでございます。私どももわからないわけでございますが、そういう話の節々あるいはたまに公開されます情報等によりまして見るところにおいては、まあ負けないというのが不十分であれば、まさるところもあるというふうに私は申し上げてよろしいか、このように考えております。
#149
○辻(一)委員 それから、遠心分離機に特殊鋼を使っているのを炭素繊維強化プラスチックに切りかえていけば、さらに能率を上げられるといういろいろな資料が出ておりますが、これによって今後開発の向上する可能性というものはどんなように見ておられるのか。
#150
○福原参考人 現在私どもの開発しております遠心分離機につきましては、先生御指摘のような素材が用いられておるわけでございますが、御承知のように遠心分離機の性能を上げるということは、一にかかりまして大部分が遠心機の回転速度によるわけでございまして、その回転速度を上げる、上げれば能力が上がるということでございますので、そういう意味におきまして、新素材を用いた遠心分離機というものは、従来の素材を用いました遠心分離機よりもさらに格段の能力アップが期待できるということで、私どもただいま鋭意研究を進めておるところでございます。
#151
○辻(一)委員 格段のというのはどれぐらいか、なかなか難しい問題ですが、差し支えなければちょっと聞かしていただきたいのと、それから今言った集合型の遠心分離機、それから回転速度を高める特殊な炭素繊維強化プラスチック等々を使ってやっていった場合に、これらを総合してコストの面で、いわゆるレーザー法が目指す将来のコストは一キロ五十から六十ドル、こう言っておるわけですね。それに対して、一覧表でおよその数字は聞いてはおりますが、そういう技術がぐっと高められたときにどれぐらい接近できる可能性があるのか聞かしていただきたい。
#152
○福原参考人 新素材によります遠心機の能力の増加度合いという御質問でございます。これも大変恐縮でございますが、極めて機微にわたることでございますので、具体的な数字の御説明は省略させていただきたいと思いますが、申し上げましたように遠心機の能力と申しますのは回転速度の四乗に比例するわけでございますので、回転数が二倍に上がればその四乗倍になるということでございます。もちろんそれだけで能力が決まるわけではございませんが、一番大きな要素としてはそういうことになるわけでございます。
 それからコストの面についてのお話でございました。これも申し上げましたように前提条件いかんによりまして非常に大きく変わりますが、私どもといたしましては遠心分離法によります濃縮コストというもの、当然今度の日本原燃産業さんがおつくりになります民間商業プラントに御使用願うということで研究を進めておるわけでございますが、民間といたしましては当然国際競争力のあるということを御注文になるわけでございますので、私どもも十分それに対抗できるということで研究を進めております。もちろんその前提いかんによりますし、相手の言っておりますコストの前提も私ども詳細わからないわけでございますが、どういう前提でそういう数字を言っておるのかわかりませんけれども、こちらもこちらなりの前提ということであれすれば拮抗できるというふうに考えております。
#153
○辻(一)委員 これは各国とも軍事機密に等しいものですからなかなか漏れてはこないし、我が国もそういう点の配慮があろうと思います。これは軍事機密というんじゃなしに、最高の機密として一つの分野であろうと思いますので、ここでそれ以上聞くのも多少無理だと思いますから、また別の機会にしたいと思います。
 そこで、けさの新聞を見ると、電事連の会長さんは、第二期の場合にはレーザー法を導入しなくてはいけないということを表明されたということが記事で出ておりますね。まだ初めの実験プラントから原型へ入るかどうかという段階で先の方向を変えるような発言は、十分論議されたのかどうか、私もその点疑問に思いますが、それは別の機会にまたただすとして、私の伺いたいのは、レーザー法も遠心分離法と同じように、あるいはより以上に機密に関するもので、この情報はなかなか漏れてこないし、まして技術導入を図るといっても入ってくるものではないと思うのです。そうすれば将来、二十一世紀はこのレーザー法であるとすれば、二十一世紀だって先のように思うけれども、十五年たてば二十一世紀ですから、長い目盛りで見ればすぐ来るわけです。このレーザー法も来るべき時期に対応するためにかなり独自の開発に本格的に取り組まないといけないと思うのですが、そういう体制は今どのくらいできて、これからどういう見通しか、これは大臣からも一遍決意のほどを伺いたいと思うのです。
#154
○竹内国務大臣 先ほど局長からも御答弁申し上げましたが、長期的に見た場合のレーザー法の有望性というのは私どもも十分着目しております。既に日本原子力研究所あるいは理化学研究所でその技術開発に着手しておるわけでありますが、先生御指摘のようにこれがあるいは世界の大勢になるやもしれず、こういうことでございますので、私として今念頭に置いていますことは、昭和六十一年度の予算においてこの関係の予算をできるだけ大きくして研究の促進を図りたい、こう考えている次第でございます。
#155
○中村(守)政府委員 レーザー濃縮についての開発体制についての御質問でございますので、若干補足させていただきます。
 我が国ではまだ原子法でいくか分子法でいくかということも含めまして検討課題になっておるわけでございまして、原子法につきましては既に原理的な実証を原子力研究所の方でやっておりまして、非常にわずかな量でございますが、濃縮したウランを回収しているということがあるわけでございます。分子法の方はこれからいわば原現実証するということでございます。そういうことで、分子法につきましては理化学研究所におきまして約三年度の計画でこのウラン濃縮の原現実証をしようということで取り組んでおります。
 一方、原子法につきましては、既にアメリカが採用というか一本に集中しましたのも原子法でございますし、フランスがやろうとしているのも、フランスもまだどちらとも決めておりませんけれども、恐らく原子法でいくのではないかという見通してございますが、そういう意味で原子法が少し進んだ形になっております。このことにつきましてできるだけ早くやりたいということでございます。ただ、これをいきなりお金を出して、人をたくさん集めてといってもそう簡単にいくわけでもございませんで、まず基礎的な工学的データを得るということで、工学的なシステムをひとつまとめてみよう、こういうことで今原研で大体五年計画ぐらいで、エンジニアリングの問題も含めまして、将来についての見通しを討議できるような資料を収集するようなことでやりたいと思っておるわけでございます。ただ、この技術はレーザーの技術と、それからいわば分離チャンバーと言っておりますが、ウランを蒸発させてそれにレーザーを当てるわけです。その蒸発させる装置とか蒸発したものをまた回収する装置とか、そういったいわばチャンバーシステム、こういったものと大きく分ければ二つになるわけでございますが、レーザーの方はこれからメーカーの技術もいろいろ発達して、メーカーの技術の活用ということでかなりやれる点でもございます。
 そういうことで基礎的な研究はやっておりまして、こういうことで助走をしていきまして、我が国の産業界の協力も得ながらこういったことをやっていきますうちに、産業界の方でも大型のレーザー開発について力がついてくると思いますし、それからチャンバーの方につきましては、今のところまだ日本のメーカーの方でこれに取り組んでいるというところがございませんので、こういったものは原研の研究取りまとめの中でまとめておきまして、大型化の段階になりますれば民間、産業界の力を大いに活用していくということで考えるわけでございます。現在、そういうことで今後レーザー法によるウラン濃縮を日本で進めていくとしたらどういうことがやり得るのかなというようなことで、専門家にもいろいろ御意見をいただいておるという段階でございます。
#156
○辻(一)委員 この問題は時間が参りましたからこれで切り上げたいと思いますが、最後に、四月中旬の本委員会でスリーマイル島の原子炉溶融事故について資料要求をしておいたのですが、その後その資料はどういう状況になっているか、お伺いしたいのです。
#157
○宇賀政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の資料につきましては、その後大使館に公電をもって照会しておりますが、先方からそれに該当する資料はないというお話でございまして、なお調査中でございます。現時点ではそういう状況になっているというふうに承知しております。
#158
○辻(一)委員 それに該当する資料はないというのは、あれだけ詳しい報告がなされて、それは資料があって報告されておるのであって、何もないということはあり得ないのであって、入手できるかできぬかという問題です。これは理事会においても論議をして、その資料は早急に提出をするように伝えてあるはずでありますから、ありませんのでというわけにはいかない。もう一回伺いたいと思います。
#159
○宇賀政府委員 御指摘の点につきましては、在外公館に指示していろいろ資料の入手に努めておりますが、現時点ではそういう回答を得ているということでございまして、引き続き十分督促をしたいと考えております。
#160
○辻(一)委員 これは一遍理事会で検討してもらって、前に理事会で御検討いただいたはずですから、二カ月たって何にもないというのでは、本当にどれくらいの努力をされているかどうか疑問に思います。外国相手ですからなかなか簡単ではないことはわかりますが、さらにひとつぜひ検討して、科技庁の方も努力をいただきたいと思います。
 では、これで終わります。
#161
○鳥居委員長 辻一彦君の質疑は終わりました。
 午後一時三十分から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時四十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十一分開議
#162
○鳥居委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。渡部行雄君。
#163
○渡部(行)委員 まず第一に、日本の科学技術政策が今日のようなあり方でいいのだろうか、こういう点について大臣にお伺いいたします。
 今までとかく問題になっていたのは、科学技術面での組織が非常にばらばらで、有機的な連携もなく、そういう点での総合的な体系化というものが欠如しておった、こういうふうに言って差し支えないと思います。
 しかし考えてみると、今世界の中における日本の科学技術の役割というのはもはや大変な注目を浴びているばかりでなく、日本の国が将来立っていく上でも欠かすことのできない立国の一方の柱と言ってもいいのではないか、私はそういう位置づけをして、まず平和と貿易と科学技術というこの三つは三本柱として国の大もとに据えるべきではないか。そういう点で考えますと、科学技術庁というのは名目ばかりで中身が非常に薄いのじゃないか。むしろ通産省や文部省にどんどん科学技術の分野が侵食されているような感じがしないわけではないのです。そういう点で日本の科学技術政策を今後どのように総合的に体系化を図っていくのか、この点についてお伺いいたします。
#164
○竹内国務大臣 お答えをいたします。
 まず、科学技術が立国の一方の柱ではないかという先生の御意見に私も全く同感でございます。
 また、日本の科学技術が十分に体系化されているかというお尋ねでございますけれども、とても一〇〇%胸を張ってそう言える状況ではないということは私もまた感ずるところがございます。しかしながら、先生も御案内のように、私ども科学技術庁というものは、大学の研究は別にいたしましても、一応国全体の科学技術の振興を総合的に調整、推進するという役割を担っているわけでございます。一方、我が国の科学技術振興につきましては、先生御案内のように科学技術会議というものが存在し、その科学技術会議が時代の要請に応じまして、これは大学の研究も含めて科学技術政策の基本を示しておりまして、先般も十一号答申というものを御提示いただいているわけであります。
 さらに分野別に見てまいりますと、原子力、宇宙、海洋、ライフサイエンス等、重要研究開発分野につきましてはそれぞれ基本計画というものが一応は策定されております。このように科学技術政策の体系化には私どもも一応取り組んでおるわけでありますし、また具体的な施策になりますと、私ども科学技術庁におきまして関係予算の見積もり、調整等々を行っているような仕組みに相なっておるわけであります。
 そうは申しながらも、現状は決して十分とは私は思いませんし、また今御紹介いたしました科学技術会議の方でも十一号答申の中におきまして、各省庁が研究開発を実施しておる、科学技術の効率的、効果的な推進が図られておる、こう指摘しながらも、例えば科学技術会議というのをもっと強力に考えるべきではないか、こういうようなみずからの御提言もございますので、ひとつまた各方面のいろいろな御意見あるいは御叱責をちょうだいしながらも、私ども科学技術庁が本来の責務であるところの調整機能についてもっと力をつけていきたい。そういう意味で、また先生方の御指導もよろしくお願いしたいと思います。
#165
○渡部(行)委員 一応組織の上といいますか、機関の仕組みの中では科学技術会議というものが最高に位置づけられて、しかもその議長に内閣総理大臣がなっておるわけです。そのほか大蔵、文部、経済企画庁、科学技術庁、こういう大臣クラスが入って、さらに日本学術会議の会長、その他財界やあるいは専門家も若干入って組織されておるようでありますが、これは一般に私は政治会議じゃないかと思うのです。本当の意味で科学技術全般にわたって日本が今当面しておる問題は何か、そういうものをえぐり出すほどの会議にはなっていないのじゃないか。むしろこれは非常に形式的で、内閣総理大臣が科学技術会議の議長に諮問する、その議長がまた内閣総理大臣に答申する、その人間は同じ人間で、本人が本人に聞いたり、本人が本人に答えたりしておるような格好をつくっているわけです。そんなことをやるなら、もっと科学者を中心とした会議をつくって、そこに内閣総理大臣が諮問をする、そして答申はそこから受けて、そこで初めて閣僚会議とかそういうところで政治的にやっていくとか、議会を入れてまた政治的な判断をしていく、そういうふうにした方がいいと思うのですよ。アメリカでは五年に一回議会に対してアカデミーから報告を受けることになっているそうですが、そういうシステムは全然日本にはないわけですね。今、長官は諮問第十一号によって総合的な基本方針を立てておると言われましたが、私もこれを読んで非常に落胆したのです。というのは中身がないのですよ。飾りばかりで、デコレーションばかり多くて中身がないのです。
 ところが、それと引きかえに米国科学アカデミー編「これからの科学・技術 十年後をめざす米国の戦略」という訳本を読んで、私は本当に感服したのです。というのは学問のとらえる視点が違う。日本の全く表面的なものばかり、今業界をにぎわしているようなものばかりをとって、さあ、それ先端技術、セラミックスだとかなんとかと言っているけれども、アメリカの場合の科学技術のとらえ方というのは、非常に基礎的な、基本的な問題から物を見でおる。例えば、こういうのは日本の学界では聞いたことがない。「表面科学とその応用」とか「流体の乱流」とか、こういう問題と取り組みながら、しかも流体の乱流などというものを一つの統計上の定式化をして、そこから経済現象にまで類推適用しようじゃないかという動きさえ出ておると言われております。そういうふうなもっと根本的な物のとらえ方というものをしないで、日本の場合は本当にこれだけですよ、日本の諮問十一号というのは。こんな大きな字でこればかりの薄いもので、それで日本の科学技術の大綱が示されたような考え方では、私は本当に情けないと思うのです。
 そして、そのとらえ方も「科学技術の推進」というところで、物質・材料系科学技術、情報・電子系科学技術、ライフサイエンス、ソフト系科学技術、宇宙科学技術、海洋科学技術、地球科学技術、こんなふうなとらえ方しかされていないのです。全く学問のレベルが違っているんじゃないか。しかもこれには、今日本の水準はどのくらいであって、今後何が問題になっているのか、そういう問題に触れられていないのですよ。アメリカのは全部それがきちっと書かれておる。そして、今のレベルはこういうレベルで、がんはこれから五年後にどのくらい制圧されるだろうとか、いろいろな問題がここで総括されているのです。そして、その未来についての展望を明らかにしておる。こういうものでなければ読んでも役に立たないと思うのです。私、これを読んだって何が何だかさっぱり頭に入らないのですよ。まるで中身のない、絵にかいたようなものじゃないかというふうにしか受け取れないのです。ですから、こういう根本的なところからメスを入れて考えてもらわなくちゃならぬと思うのです。
 これは科学技術庁長官も今まで見ていると大体一年くらいでやめてしまうから問題が出ているんだと思いますけれども、そういう点ではこれを根本的に改めて、そして科学技術陣容というものを強化拡大しなきゃならぬのじゃないか。そのためには、もう庁などという名前をやめて、今度は省に格上げしたらどうですか。一々長官だの大臣だのって紛らわしい言葉を重ねて言う必要はないから、省に格上げする、そしてもっと科学技術体制を強化拡大する、そういう点でひとつ大臣のお考えをお聞かせください。
#166
○竹内国務大臣 科学技術会議の十一号答申について大変厳しい御叱責をちょうだいして、恐縮しております。
 先生、こういうことを申し上げてはなんですけれども、この十一号答申には、我が国の各方面の学者が実は百名前後の方が御参加をいただいて、いわばその討議の結果というものを一つのそういう文書にまとめたものでございまして、私はこの十一号答申というのは、少なくとも従来に比べてかなり画期的な答申であり、今後の科学技術政策を進めていく上の大きなよりどころにしてしかるべきものだと評価をしております。
 また、先生御引用のアメリカ関係の本、私も拝見をいたしました。確かに先生の御比較のような点はあろうかと思うのでありますけれども、私どもといたしましては、科学技術会議のいわば大きな三つの柱、これを具体化していくのは私ども科学技術庁を中心にした各省庁の責任であり、義務であろう、こう考えておるわけでございまして、その中に具体論を余り述べていないからといって、先生、ひとつもう少しその辺は余裕のある御判断をお願いいたしたいわけでございます。
 さて、科学技術庁じゃとてもこれからのそういう時代の要請にこたえられないのじゃないか、省にしてはいかがかというお話、これは大変私どもにとって力強い激励でございまして、心から感謝を申し上げますが、省か庁か、どちらがどうかという議論はさておきましても、私どもは実際やる仕事において時代の要請に的確にこたえていくということをこれからも第一の念頭に置いていかなければならぬのじゃなかろうか、こう考えておりますので、いろいろとまた御指摘をよろしくお願いいたします。
#167
○渡部(行)委員 まあこれはこのくらいでやめますが、こればかりじゃないのですね。「科学と技術これからの五年」というのが、全米研究会議編としてこのくらい厚いのが出ているのですね。これなんか読むと、もっと感激しますよ。ですから、これは百人集まろうが二百人集まろうが、これをまとめたのは専門家でない事務官じゃないでしょうか、まとめた方は。私はそんな感じがしてならないのですよ。だから、その中身がどういうものか、討議内容でも別冊で出してくれるなら私はありがたいと思うけれども、やはりそういうものをつくって、もっと科学技術というものの理解を国民的な層に深めて、その厚みを増していくことが私は一番政策として大事じゃないかと思うのです。そういう点が一つ。
 それから、これは一朝一夕にすぐに省にしろといったからなるものじゃないとは思いますけれども、やはりそれだけこの科学技術政策は重要であるということをあらゆる機会に私は声を大にして叫ぶ必要がある、こういうふうに思うのですが、その点ひとつ簡単で結構ですから……。
#168
○堀内政府委員 先ほどの十一号答申作成段階におきまして、いろいろ討議が行われましたが、その中の議論におきまして我々のベースとして活用しているレポートが非常にたくさんございます。それは科学技術振興調整費という科学技術会議の方針に基づきまして使用しておる調整費でございますけれども、いろんなソフト調査というのをやっております。例えば今後の技術開発の展開の核となる技術シーズの調査でありますとか、あるいは科学技術水準及び研究開発ポテンシャルの総合的調査分析、それから創造的な研究開発を推進するための条件調査、こういったようなレポートを幾つがこの数年間出してきておりますので、こういうものをベースにいたしまして皆さん方の議論の種といたしまして進めてきたわけでございます。そのレポートは非常に分厚なものでございまして、先ほどお話のございましたアメリカのNSFですか、あのレポートよりももっと厚い資料をベースにしてやってきております。(渡部(行)委員「ちょうだいよ、持ってきて」と呼ぶ)後ほどお見せいたします。
 それから、我々の十一号答申のPRという意味におきまして、少しでも皆さん方に理解をいただくということで「二十一世紀の道標」という、こういった書類も出しておりまして、できるだけ皆さん方の参考に資するというような努力もしているところでございます。御参考までに。
#169
○渡部(行)委員 そういう厚い立派なのがあるなら、そういうのをまず最初に出してPRしてもらいたいと思います。
 それから次に申し上げたいのは、放射性廃棄物の処理方法についての考え方を整理する必要があるんじゃないか、非常に国民は迷っているわけです。原子力発電所に行くと、このようにして科学的に管理しております、電子計算機で皆その数字を出しながら、安全です、こういうふうに異口同音に答えるわけです。ところが、いろんな本を読むと、特に廃棄物についての疑問が非常に国民の中にもあるし、学者間にもあるわけです。
 そこで、私は昨年の十二月二十五日付のエコノミストを読んで感じたのは、ここで国際学術連合、別名ICSUの議長さんのカナダのハリソン博士について質問した一項があるのです。それをちょっと読んでみます。
  ハリソン先生、高レベル放射性廃棄物の管理に二〇万年もの期間を要するというのは、半減期の長い超ウラン元素が混在しているためですから、群分離の手法で超ウラン元素をうまく除いてしまえば、一〇〇〇年ぐらいの管理で良いのですから、是非そうすべきではないでしょうか。この質問に対してハリソン博士は、「二〇万年も一〇〇〇年も、私にとってはどちらも永遠です」こう答えているのです。非常に名答弁だと私は聞いておるわけです。こういうふうに放射性廃棄物に対する学者の慎重な態度、こういうものが一方にあるわけです。
 ところが、他方では、放射性廃棄物、特に低レベルのものは全然無害である、むしろがんの人にはいいんだというような議論も出ているのですね。それはちょっと今、印をつけておかなかったもので、後から見つけてまたあれしますが、とにかく何段階かにその低レベルの放射線量をはかって、それにがんのネズミを入れて実験した結果、大体二十ラドぐらいのところにいたネズミが一番長生きした、そういうデータも出されておるようです。そうなると、何か低レベル廃棄物の上にホテルでもつくって、がん患者をそこに収容した方がいいのじゃないかというような感じも出ないわけではないのですが、そういうデータが皆まちまちなんですよ。そして一方では、人工放射線というのは体内に蓄積されるので、どんな少ない線量でも悪い、こういうふうに言う学者もおるわけです。
 だから、その辺の全く相対立する意見あるいはそういう論文を見て、そしてそこに答えを与えてやるのは政府の責任じゃないか。そうでないと、この両方の中で振り子のように国民は動揺して、賛成派に行ったり反対派に行ったり、どうしていいかわからないということになってしまうわけです。その辺については一体どういうふうにお考えですか。
#170
○中村(守)政府委員 先生のお話が長かったのであれでございますが、最後のところの御質問についてお答えさせていただきます。
 要するに放射能の影響について、いい面もあるということを言うのがいるかと思うと、片一方で非常に害がある、微量な放射線までも害がある、こういうようないろいろな話があるかどうか、そういったものに対する政府の取り組みはどうか、こういうお話かと思いますが、その点につきましては、放射線が非常に高いレベルのものでございますれば、これは人体にとって非常に有害なものであるということはもう明白でございます。
 ただ、微量な放射線の影響がどういう形をとってあらわれるかということにつきましては、いろいろな学者が研究をしているところでございまして、ある一つの面をとらえれば、例えば最近でも何か新聞に出ておりましたけれども、放射線を当てたら非常に香りのいい花ができたとか、そういうようないいものも利用する面から言えばあるわけでございますが、そういうことがもし事実だとすれば、それはやはり放射線の影響があったということでございます。
 そういう意味からしますと、我々は放射線が人体に与える影響という点からいろいろな安全上の規制等をやっていく、そういう考え方に立ちますと、やはり放射線の影響というものは微量といえどもあるんだ、そういう前提に立っていろいろな安全対策を講じておく、安全側に立ってやっておく、こういう態度で安全の問題には取り組んでおるわけでございます。微量な放射線が人間にとって有用な面も、これからの研究開発においていろいろな結果が出てくるということも考えられるわけでございますが、安全上の立場に立つ、政府の立場からしますとやはり国民をそういう危険から守るという立場でございますので、そういう安全側のサイドに立った考え方でこの問題に取り組んでおるわけでございます。
#171
○渡部(行)委員 そこで、最近、放射線のいろいろな医学的な利用とかそういうものも一面はあるわけですが、問題は高レベルの廃棄物を今後どういうふうに処理処分していったらいいのかというのが私は今一番重要じゃないかと思う。低レベルの問題もまだ整理はついていないと思います。そういう点の一つの整理をやはり政府の力でやる必要がある。
 そこで、高レベルの廃棄物についても、その処理処分の方法というものがいろいろ試みられておるようでございます。それで私がここで申し上げたいのは、いわゆるマントルに廃棄物を廃棄すれば、それは長い間にその放射性廃棄物というのは全く質的に変わったものになってしまうだろう、こういう学説もあるわけです。
  海洋中の地殻プレートが大陸下にもぐりこむ、いわゆるサブダクション・ゾーンにうまく廃棄物を入れられるなら、廃棄物はマントルや地球内部物質に転換し、恐らく数百万年以後に、他の元素の組み合わせとなって再び出現するであろう。この方法は、放射性廃棄物のみならず、他の有毒廃棄物の処分に役立つであろう。深海底のサブダクション・ゾーンに関する研究の最近の進展と、今後五〜一〇年中に計画されている研究が進めば、この方法が有望であると評価されている。こういうふうなことがこれに出ているのですが、これについては日本はどのように関与し、あるいはもしその研究があるとすればその内容を明らかにしてほしいと思います。
#172
○中村(守)政府委員 先生御指摘のエコノミスト誌の記事は、国際学術連合会議に設置されました高レベル廃棄物の処分の研究開発に関する検討委員会が一九八二年に取りまとめた報告書を紹介しているものだと承知しておりますが、この検討委員会は、その座長を務めました方がハリソンさんでございまして、その名前をおとりしましてハリソン委員会と略称されておるようでございますが、このハリソン委員会の報告書の勧告におきましては、マントル中の処分の可能性につきましても今後非常に注意深い分析を行うべきであるということを言っておられますが、この処分の方法というのが海洋底の下に処分する、いわゆる海洋底下処分というものの一つの形態と考えられるわけでございます。先生御指摘のようなことは、いわゆるプレートテクトニクス理論ということで言われている現象でございますが、プレートテクトニクス論自身が一つの仮説でございまして、これはその後いろいろな知見から非常に現実味を帯びたものとして各方面で引用され、その理論で地震等の解明もなされておるということでございますので、かなり確実性の高いものであることになりつつありますけれども、これらの知見につきましては、地球の大きさ等の点からいいましても極めてわずかでございまして、こういったものの知見を将来の現実問題としての廃棄物の処分に適用するということにつきましては、今後非常に多くの知見が必要であろうかと思われるわけでございまして、現在のところ、私どもいわゆる実務家レベル、原子力研究所の研究者とかそういったレベルでの段階でいろいろ各国との情報交換等の過程におきましては、こういうマントル中への高レベル放射性廃棄物の処分を目的として具体的な研究開発が行われるということは聞いておりませんで、まだ基礎的にこういったことに関心を持たれる学者の方々が調べておられるというぐあいに理解しております。
 いわゆる海洋底下処分の方法といたしましては、もう少し現実的な方法がございます。これは深い海の底には長年にわたる安定した堆積層がございます。この堆積層は相当な厚みでございまして、かつ、いろいろな物質を吸着する作用を有しておるわけでございまして、海洋底に長年にわたって堆積されましたこの層の中に高レベル廃棄物を打ち込む、そういうことによって長期間にわたり人類から隔離する、万一そういった打ち込んだ放射性廃棄物の容器から漏れたとしても、周辺にある堆積物は非常な厚さで、しかも核種を吸着する性能を持っておりますので、十分長い間にわたって海の中に漏えいすることもないというようなことで、現実的な方法ではないかと考えられているわけでございまして、この方法による海底処分につきましてはアメリカやフランス等においても研究が進められておりますし、OECDのNEAの方とも情報交換等が行われておりまして、我が国も原子力研究所の職員がこういった方に参加しております。原子力研究所でもこの方法については基礎的な研究を進めておる、こういうことでございます。
#173
○渡部(行)委員 時間がありませんので、先ほど言ったのは「プロメテウス」のナンバー四十三の中にありました。これは放射線医学総合研究所の生物研究部長松平寛通さんによる研究だそうで、放射線を十ラド、二十ラド、五十ラド、百ラド、こういう段階にして実験したそうですが、二十ラドのグループのがん細胞の発育が一番弱くて小さかった、こういう報告であります。
 そこで、次に、それでも廃棄物というのは、大陸プレートと太平洋プレートの衝突する地帯である火山列島の日本にはどう見ても学術的に問題があるじゃないか、そういう一つの提起があるので、この辺もやはりもっと慎重に解明する必要があると思います。
 次に、原子力発電が今大体実際的には主力をなしていると言っても過言でないくらいで、そういう中で、これはどう見ても危険が伴うわけで、決して好ましいエネルギー源ではないわけですが、そこで私は、今すぐにこれをやめてしまえ、壊してしまえ、そういう乱暴な発言をするつもりは毛頭ありません。ただ問題は、どうすればもっとクリーンなエネルギーで賄えるようになるか、その可能性というものが全然ないならいざ知らず、最近は燃料電池とかあるいは太陽エネルギーの活用というようなものが考えられてきておるわけでございます。そういう点で燃料電池は将来、大体二十年後を見通して三千五百万キロワットぐらいのものができるだろうと言われておるようでございますが、こういう一つの可能性をもっと力を入れて開発すべきではないか。そして、燃料電池というと普通の電池と対比して考えるからちょっと錯覚を起こしやすいのですが、これは水素と酸素の頭文字をとって水酸化学発電機とで直言い直した方がいいじゃないか、そうすればだれが聞いてもわかるし、何かそんな感じがするのです。その辺から今俗に言われておる燃料電池というものの開発なり今後の発展をどういうふうにやっていくおつもりか、お伺いいたします。
#174
○落合説明員 お答え申し上げます。
 エネルギー問題でございますが、先生御承知のとおり、私ども従来から石油依存度を引き下げるという観点から石炭、LNGの導入、それから原子力発電も入りますが、それ以外に新エネルギーの開発、石油代替エネルギーの開発導入というものを積極的に進めてきたわけでございます。これらのうちで、先生今御指摘のとおり燃料電池でございますとか太陽光発電というような新しいエネルギー源というものにつきましては、工業技術院の方のサンシャイン計画、それからムーンライト計画というようなものにのっとりまして整然と今まで技術開発を進めてきておりまして、ほぼ所期の目的を達するような段階に来ているかなということでございます。
 特にその中で、先生お話しございました燃料電池、それから太陽光発電、その他五年ないし十年ぐらいのタームで実用化段階まで行けるかなと思われるようなものを取り上げまして、現在資源エネルギー庁の中に新エネルギー導入ビジョン研究会というのを設けて勉強をいろいろやっておりまして、近々その結果というのは公表できるかとは思いますけれども、これを踏まえまして今後とも新しいエネルギーの開発導入というものに積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
#175
○渡部(行)委員 時間が参りましたので、最後に、海洋開発も大きな一つの柱になっておるようですが、しかし予算を見ると、海洋開発は、ただ開発しますというだけくらいの全く問題にならない予算であるわけです。これは我々の本当に手の届く近いところにあるところの開発です。ただ、水圧とかそういういろいろな環境上、非常に厳しいものはありますけれども、しかしこれも「しんかい二〇〇〇」ができて、今度は「六〇〇〇」をつくると言われております。何かいつもいつも外国の後追いばかりしておるような感じですが、「しんかい六〇〇〇」ができれば、六五〇〇も七〇〇〇も技術的にはできると私は思うのです。問題は予算だろうと思います。海洋開発にもっと予算をつけないと、アメリカの戦闘機一機分も予算がない。七十億ということでは半分くらいしかないですよ。問題にならない。飛行機なんか、今戦争をやっているわけでも何でもないんだから二機、三機運買いしたってどうってことないと思うんだ。日本の科学の将来というものをどうやっていくか、そういうところに焦点を絞って、もっと海洋開発に熱を入れ、予算も本気になって取って拡大して、そのかわり人殺しの軍備はどんどんと削れるだけ削る、そういう姿勢で今後やっていただきたいと思います。二言それをつけ加えて、あとSDIの問題にちょっと触れたかったのですが、時間がありませんから、これは次回に譲ります。お答えをお願いいたします。
#176
○竹内国務大臣 海洋には膨大な資源やエネルギーが存在しており、また空間としての利用の可能性も大きく、いわば残された最後のフロンティアということで、海洋開発の重要性については私どもも十分に認識しておるつもりでございます。その認識の割合には予算は少ないじゃないかというおしかりを今ちょうだいしたわけでございまして、確かに私どもも今の予算額で決して十分だと思っておりません。御案内のように財政は非常に厳しい環境でございますけれども、六十一年度の予算におきましては、海洋についてもぜひひとつ大きな飛躍の予算を何とかして取りたいものだということで努力をいたしたいと思っております。
#177
○渡部(行)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#178
○鳥居委員長 次に、小川新一郎君。
#179
○小川(新)委員 まず最初に、日ごろ竹内国務大臣においては、科学技術の振興に御健闘いただいておりますことに敬意を表する次第でございます。
 前回、私も当委員会の理事として、委員としていろいろと勉強させていただきましたし、現在は鳥居委員長のもとで委員会がスムーズにいっていることは慶賀にたえませんが、きょうは宇宙開発問題一点に絞ってお話しさせていただきたいし、また質問させていただきたいと思っております。
 宇宙開発は、単に長年の宇宙への夢とロマンを実現する手段としてのみではなく、既に気象衛星、通信衛星あるいは放送衛星として、好むと好まざるとによらず我々の生活の中に深いかかわりを持ってきていることは事実であります。また最近では、レーガン米国大統領の呼びかけによる国際協力による宇宙基地の建設が計画され、一方ではSDIのような形で宇宙を軍用の場として考える時代にも入ってきております。さらにまた日米貿易摩擦の解消を図ることから、米国の通信衛星の購入や国内通信の民営化等の事柄が複雑に絡み合っております。これらを踏まえ、我が国の宇宙開発のあり方について、幾つかの重要な問題点に絞って質問させていただきますが、まず第一に実用放送衛星ゆり三号、BS3についてでございます。
 昭和六十三年度、昭和六十四年初めに打ち上げが予定されております放送衛星ゆり三号、BS3は予定どおり打ち上げるのか、それとも延期するのか、どうなんでありますか。
#180
○園山参考人 お答え申し上げます。
 BS3につきましては、ただいま御指摘ございましたように、宇宙開発委員会の計画におきましては昭和六十三年度、暦で申しますと六十四年早々に3aを打ち上げるという計画でございました。しかし、御承知のように昨年打ち上げました放送衛星の二号aが軌道上で故障を起こしまして、これに対する原因究明、それからこの次に上げる予定でございます2bに対する対策といったようなものをいろいろ検討いたしてきたわけでございます。2bの方につきましては、宇宙開発委員会に設けられた特別委員会におかれまして、私どもが考えております対策について大体いいだろうということで、これもことしの八、九月の予定でございましたが、来年一、二月に上げるべく私ども準備をいたしているところでございます。
 こういった2の反省から、私ども基本的には、3を打ち上げます場合には十分技術的な手だてを尽くして開発、試験等を入念に行って打ち上げなければならない、技術的な認識といたしまして開発期間が相当必要であるということを一つ考えております。また、具体的に2aのトラブル、それから2bの対策その他でいろいろ考えなければならないこと、手だてすべきことが多うございましたので、BS3に取りかかること自体が相当おくれを来しております。このようなことで、私どもといたしましては残念ながら、申しわけないことでございますが、委員会計画でお決めになりました六十三年度末にBS3を上げることは困難である、これは延期せざるを得ないのではないかという感じになっておるところでございます。
 ただ、これは関係するところ、影響するところが非常に大きな問題でございますので、私どもが技術的な観点だけで決めていくことができる問題でもございませんし、また宇宙開発委員会の計画でお示しいただいていることでございますので、今私どものこういった技術的な面、それから作業の進捗の面という両方から非常に困難である、延期せざるを得ないという考え方を監督官庁を初めユーザーさん等の関係方面に御説明申し上げまして、御検討をお願いいたしておるところでございます。したがいまして、最終的には宇宙開発委員会で御審議、御決定になることでございますが、私どもとしては、まことに申しわけないことながら当初の予定には間に合いそうもないということで、今その実情を各方面に申し上げているところでございます。
#181
○小川(新)委員 BS3は昭和六十三年度、六十四年には打ち上げないと間に合っていかない、いろいろなニーズにこたえられないということでございます。今2aが上がっております。2aが上がって、それが故障したから2bの補助機を上げなければいかぬ。それから逆算していくとあと六年後に3を上げなければいかぬ。こういうふうにおくれていきますと、日本の宇宙開発の大綱というものの長期見通しが大幅に狂うわけですね。しかも、NHKとかそういったこれを使う側も、昭和六十三年度をめどに早く上げてもらわないとどうにもならない。伝え聞くところによると、損害についてペナルティーを課して保険のシステムを代行させるような問題。例えば宇宙衛星を上げた、上げたけれども故障してしまった。これは飛んでいって、はしごをかけて直すわけにいかない。上げっ放しである。一機二百億も三百億もかかるようなものをそのままにしておくわけにいかない。また、それに当然かかる費用については需要者側だけが負担することは納得がいかない。こういう負担の問題や、また今言った、どこが故障したのか、その故障の原因等が明確になってないからおくれるということを宇宙開発事業団が早々と打ち上げる。今あなたがいみじくもおっしゃったように、大臣が長となっている宇宙開発委員会が決定すべき事項を事業団が新聞記者その他のマスコミに流すこと自体いかがなものかという考えを私は持っておりますが、宇宙開発委員会の委員長としての大臣の御見解はいかがですか。
#182
○竹内国務大臣 お答えいたします。
 BS3をめぐる情勢につきましては、ただいま事業団の方からお話し申し上げたとおりでございまして、在来予定した時期を延ばさざるを得ないかなと私も考えておりますが、先生御指摘のようにこれは宇宙開発委員会において検討すべきものでございますので、私といたしましては、概算要求の時期におきましてひとつまたそういうプランというものを整理しなければなりません。その概算要求決定と並んで、BS3の打ち上げ時期の延期はやむを得ないかと私は思っておりますが、ではいつということについては、その時点において決定いたしたいと考えております。
#183
○小川(新)委員 これは大臣、大事なことなんですが、そう簡単に延期をするということをここで言明してよろしいのですか。この問題については大変な国策的な、政策的な決定の中から開発委員会が決定した。どういう問題でこれだけおくれていくのか。しかも、そういった審議の模様も報告なしに、この委員会の席上で大臣がおくれることもやむを得ないというような見解をなされること自体、私は承服しがたいのでございますが、これは開発事業団としては何が原因なんですか。そしていつまで検討するのですか。
#184
○園山参考人 先ほど先生、事業団が勝手に決めてプレスの人たちにというお話がございましたけれども、それは現実に新聞にそういうことが出ておりますので私どもは大変申しわけないと思っておりますが、決して私どもが勝手に決めまして新聞の方々にこうしますということを申し上げたわけではございません。私どもはこれから、先週あたりでございますけれども、先ほど申し上げましたように関係官庁、ユーザーさん方に御説明を始めた段階でございまして、私どもはそういった関係の御方面の御意見によりまして、我々がさらに努力しなければならないところというものがございますれば、これは十分検討しなければいけませんし、最終的には宇宙開発委員会での御決定ということになるものと思っております。これは御決定いかんにかかっているということでございます。
#185
○小川(新)委員 そうすると、大臣もまたその委員会を開いたわけでもないし、審議をしたわけでもない。そうすると、これはまだ全くの白紙ですね。
#186
○竹内国務大臣 先ほど申し上げたことは私のいわば個人的な推測と、こういうことで受け取って結構でございます。
#187
○小川(新)委員 そこでお尋ねしますが、BS3については、これは外国製品を使わないのですか、国産でやるのですか。それと、これは実用衛星なのか実験衛星なのかの区別はどこでつけるのですか。
#188
○園山参考人 この衛星がまず実用衛星か実験衛星かということでございますけれども、これにつきましては宇宙開発委員会でお決めになりました開発計画の中で、このBS3の目的といたしまして、やはり実用とそれから衛星技術の確立という両面をお示しになっておられますので、私どもはその両面の中身があるかというふうに承っておるところでございます。
 また、国産か外国がというお話でございますが、この辺のところは私どもまだ最終的な決定をする段階に至っておりませんで、昨年十一月でございましたか、二つの会社からそのプロポーザルを出してもらいまして、そのプロポーザルの内容につきまして検討をいたしておるところでございます。
#189
○小川(新)委員 二つの会社という名前はどこですか。
#190
○園山参考人 東芝と日本電気でございます。
#191
○小川(新)委員 今、日本の宇宙開発問題について我々が議論をするに当たっては、日本のこういったメーカーの中では一番先発し、また信頼の置けるメーカーとしては幾つぐらいの名前をあなたは挙げられるのですか。
#192
○園山参考人 宇宙関係、大きく分けますとロケットと衛星がございますけれども、今まで私どもの仕事でいわゆるシステムメーカーと申します一つの取りまとめ的な役割をしてこられましたところは、衛星に関しましては先ほど申し上げました日電、東芝、それに通信衛星等をやっている三菱電機、この三社がいわゆるシステムメーカーとして今までの実績を持っておるところかと思っております。
#193
○小川(新)委員 そこでお尋ねいたしますけれども、現在の宇宙開発政策大綱及び宇宙開発長期ビジョンは、現実との乖離が次第に大きくなってきていると私は思っているのですが、その一つとして予算の裏づけがない。本当に国産技術の育成を考えているとも思えない。また宇宙開発長期ビジョンによると、約十五年間、昭和七十五年までに約五十個の衛星を打ち上げることになっておりますが、現在までに三十一個、うち実際活動しているのは二十九個しか上がっていない。これを実現するためには年々約一〇%以上の予算の増額が必要ですが、ここ数年は約一千億で横ばいで、頭打ちであります。これらを見直す考えがあるのかないのかということをお尋ねしたいのでございますが、これは具体的に見直しをどのように進めるのかということであります。これが第一点であります。
 第二点、宇宙開発のようにプロジェクトが長期にわたるものについては、おおむね十五年の長期ビジョンと毎年の単年度の実行計画のほかに、五年間程度の中期計画の策定がぜひとも必要であると思います。例えば公共事業の分野では、住宅、河川、道路等、むしろ五カ年計画がある方が普通であります。また、中曽根内閣が力を入れている防衛庁の五カ年の中期業務見積もりの事例もございます。宇宙開発の中期計画がないということは、政府が宇宙開発に本気に取り組んでいるのかどうかという疑問点さえ私どもは持っているわけでございます。したがって、長期ビジョンと単年度の実行計画との整合性はどうなっているかという二点についてお尋ねします。
#194
○内田(勇)政府委員 お答え申し上げます。
 まず第一の予算と政策大綱との関係の問題でございますが、先生御指摘のように、我が国の宇宙開発は、宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱に沿って、通信衛星、放送衛星、気象観測等の衛星の開発及びこれらの打ち上げ用ロケツトの開発等を進めているところでございます。
 本年度予算におきましても、新たに宇宙基地計画予備設計への参加、二トン級静止衛星打ち上げ能力を有するHUロケットの研究等の経費を計上いたしまして、大綱で示された開発プログラムの実現に向けて着実に推進しておるというふうに考えておるわけでございます。もちろん政策大綱につきましては、研究開発の進展に伴い、あるいは内外の情勢等の変化に伴いまして、的確な評価と不断の見直しというものが必要だと考えておりますが、現在直ちにこれを改定すべき時期にあるというふうには考えておらないわけでございます。
 それから中期計画の点でございますが、宇宙開発政策大綱は我が国の宇宙開発の進め方につきまして長期的な指針を示しているものでございまして、具体的な開発プログラムにつきましては宇宙開発計画を定めておるわけでございます。この宇宙開発計画は技術の進展状況、社会的必要性等を踏まえまして毎年度見直しを行っておりますが、現在定められております宇宙開発計画におきましては、昭和六十五年度までの人工衛星及びロケットの打ち上げ等の具体的な開発スケジュールを定めておるわけでございまして、先生御指摘の趣旨に沿ったものではないかというふうに考えております。
#195
○小川(新)委員 そこで、そういう計画の中に、例えば衛星には三種類がございますが、放送衛星とか気象衛星とか通信衛星とかございます。これは本当に技術が最高のものを使わない限り故障が起きる。故障が起きると、今度そのニーズに従って需要者が発注をする、また利用する、そしてその利用する立場の者が負担をするというようなことが問題になってきて、先ほどの私の話の中での問題が出てきて、開発計画にのっとったプログラムが訂正されなければならない、一部打ち上げが延期されなければならない。それは宇宙計画の総合的な立場から変更を余儀なくされるような問題が現実に起きてきたということですね。こういう負担の費用、またその損害を与える側、与えられる側、こういう問題が外国の製品を使った場合と国内の製品を使った場合でおのずとまた違ってくる場合もあり得ると思うのです。
 そこで私はまたお尋ねしたいのですが、先ほどの問題点を明確に言っていただくならば、こういう損害をこうむったときには保険に頼るのか、それともメーカー側にその負担の義務を押しつけるのか、そのことによって過大なペナルティーを課せられた場合には開発に対する意欲もなくなり、またそれに対する危険、リスクを伴うために非常に憶病になって発展がおくれるのではないかという気持ちもいたします。その辺のところはいかがでございますか。
#196
○園山参考人 この打ち上げがうまくいかなかった、あるいは軌道上で故障を起こしたというときに、先ほどの御指摘もございましたように、今の段階で避けられないと申しますのは修理ができないということでございます。このために、当然技術的には冗長型とかリダンダンシーとか言っておりますが、要するに二重の構造にして、一方の機械が壊れたら片方が働くというようなこともいたしますけれども、故障のいかんによりましては機能を失ってしまう、また打ち上げ自体が失敗してしまうということもございますので、これに対しまして一般的には、外国の例を見ましても保険で損失をてん補するということが広く行われております。一方、ペナルティーというお話しございましたけれども、特に開発段階のものにつきましては、アメリカあたりで当初からいわゆるインセンティブ契約と称する、うまくいったらボーナスを出すというような契約方式がとられておりました。これは主として開発段階でございます。これが実用段階に入りますと、いわゆるボーナスとペナルティーというものを組み合わせたような、うまくいけば多少プラスになるけれども、うまくいかないとペナルティーが課せられるという契約も出てきておるようでございます。
 先生御指摘のように、メーカー側、製造者側に余りに厳しいペナルティーを課しますと、何と申しましてもこういう宇宙開発というような先端的な新しい分野におけるチャレンジの精神を相当圧迫するということもございますので、やはりその適用につきましては慎重な考慮が必要だろうと思っております。特に全くの開発段階で、いろんなチャレンジをしなければならないというものにつきましてこういった考え方を広く適用するということは適当ではないのではないか、こう思っておりますけれども、冒頭に御質問ありまして私も御説明いたしましたような、相当程度実用段階、しかもユーザーの方々が実用への期待を非常に強く持っているという段階で、それぞれこれに参両した、特に製造者側におきましても何らペナルティー的なものがないということは、なかなかユーザーさんの感覚としては受け入れにくいということもございますので、その辺をどう適用していくべきかということにつきましては、これは製造メーカーに対しましても私どもいろいろ意見を求めておりまして、今後慎重にその辺取り扱っていきたいと思っているところでございます。
#197
○小川(新)委員 確かにそれは慎重にやらなければならない一つの理由といたしまして、アメリカやその他の国々は、放送衛星、通信衛星の予備機は軌道予備が一機と地上予備があるわけです。それで本体と三つで一−組、ワンセットになっている。気象衛星の予備機は、軌道予備はなくて地上予備機が一機ある。外国の例を取り上げるには、外国の例を取り上げるような仕組みというものが我が国になければならない。本体だけ上がってその予備機が上がっていない場合、地上にだけあってそれをテストしたり故障の箇所を見たりするような保険的システム、そういう防衛的システムというものが完璧に欧米のようにできているならば、そういうペナルティーとかボーナス制度というものもある程度参考になるのだと思うのですが、そういう問題の方はさっぱり進まなくて、ただたまたま壊れたから、これは二七%も三〇%もかかった金を返せ、そのかわりうまくいって七年間無事に過ごしたら五%か六%のボーナスを差し上げますよ。その間全くお互いに不安の目でもって大空を眺めているような状態、これが今問題になっていると思うのですが、この予備機の問題、これを踏まえてきちっとしたものにさせるのですか。
#198
○園山参考人 先生御指摘のように、完全な実用を目指す場合に、軌道上に予備機があり、さらに両方うまくいかなくなったときに、地上の予備機があって打ち上げに備えられるということは大変理想的なことであろうかと思っております。またそういう場合に、保険というものをいわゆる損害のてん補に充てるのか、再打ち上げの費用に使うのかという保険の使い方も、いろいろ多様な使い方があるかと思っております。
 我が国の場合にも、その点は先ほど申し上げましたような軌道上の予備機と地上の予備機とをそろえることが理想的でございますけれども、私どももお国の財政の厳しさはひしひしと感じておりますので、理想を追求するばかりで余りぜいたくを言ってもいけないだろうということで、予備機一機ということであるならば、それで十分目的を達せられるように私どもが技術的に最大の努力をしなければならぬことか、このように思っておるところでございます。
#199
○小川(新)委員 これはまことにいじらしい御答弁ですね、大臣。私どもは科学のこういう分野に金を使い、人類平和のためと文化の向上、そして国民生活の向上のために金を使うということがどれほどいろいろな価値があり、また軍事力、先ほどもお話があったように一機の戦闘機に使う金とか、そういう比較はされたとしても、こういういじらしい事業団の答弁というものを聞いていただきたい、どうしても必要なものはそろえなければならぬ。必要であるから欧米でもやっているのだろうと思うのです。私ども素人だからその辺のところはよくわかりませんが、ひとつ御検討をいただきたいと思う。
 そこで、具体的な問題で恐れ入りますが、再三同じようなことを言うので悪いのですが、我が国の宇宙開発においては、基本的には自主技術の確立を目指すのか、それとも外国、欧米等の技術の導入を目指すのか、どちらなのか。宇宙開発委員会が定めた宇宙開発政策大綱では自主国産路線が基本になっているのではないかと思いますが、この辺いいものならば他国のも取り入れる、そして故障のない安全なものを打ち上げるということなのか。それとも、日本はおくれておったこの宇宙開発の問題について追いつかなければならぬし、追い起さなければならない立場に立ては、自主路線というものの研究を十分させて国産製品をさらに高めていかなければならないのではないかと思うわけでございます。ロケット、衛星、ともに不退転の我が国の宇宙開発の基本方針を今こそ確立すべきではないかと思いますが、これは大臣の御答弁だと思います。
#200
○竹内国務大臣 簡単に結論を申し上げますと、先生今強調されたように、私どもは宇宙開発は自主技術開発、自主路線でこれからもやってまいりたい、こう思います。これは単に今先生御指摘のように追いつくという目標達成のみならず、宇宙開発技術というものが他の分野に波及する効果も大であるというところを考え合わせますと、何としても国産、自前でやりたいと強く念じております。
#201
○小川(新)委員 ところが、そうばかり言っていられないところに世の中の難しさ、政治の厳しさがあるわけでございます。例えば日米貿易摩擦が出てきた。安倍外務大臣はアメリカへ行って、おまえのところで衛星一つ買えや、何とかしろや、ロケットも使えやと言われてくると、これは同じ中曽根内閣、自民党の中でも、竹内大臣のように科学技術の面については、宇宙開発の問題については我が国が自主で開発しなければいかぬと力説なさっておっても、外務大臣の強烈な国策的な外交政策によってあるいは曲げられるかもしらないということが出ているわけです。
 それを歴史的に見ますと、昭和四十四年に発足した宇宙開発事業団は、最初のうちは、昭和五十年に打ち上げた技術試験衛星ETS一号きく及び昭和五十一年に打ち上げた電離層観測衛星ISSうめ、これは自主国産路線でスタートしました。しかしその後、通信衛星CSさくら、放送衛星BSゆり、気象衛星GMSひまわり等では、米国よりほぼ輸入に近い外国技術導入路線を採用した。その次には、これではまずいということで、昭和五十三年に政府・宇宙開発委員会は宇宙開発の基本方針となる宇宙開発政策大綱を定め、再度自主国産路線への方向転換を国として決意いたしました。しかしながら、今回の日米貿易摩擦問題などとの絡みの中で、米国の通信衛星輸入への門戸をあけようとしております。このように外国の圧力によって我が国の宇宙開発の方針が二転、三転し、これでは我が国の宇宙開発の基本方針が確立したとは言えないのではないかと思うのでございます。
 そこでお尋ねいたします。自主技術の確立の必要な理由は何ですか。
#202
○内田(勇)政府委員 お答えいたします。
 自主技術の必要な理由は宇宙開発委員会の政策大綱に示されておるわけでございますが、宇宙開発は通信衛星、放送衛星、気象衛星に見られるように国民生活の向上に大きく貢献しており、今後その役割はますます増大していくことと考えられるわけで。ざいます。こうした宇宙開発の重要性を考えたときに、今後我が国がみずから必要性に応じて多様な宇宙開発活動を自在に展開していくための技術能力を確保し、これにより宇宙から得られる利益を十分享受し、社会経済の発展を図っていくとともに、国際協力に貢献していくことが極めて重要である。宇宙開発によって得られる技術は、単に宇宙のみならず、基礎的、先行的な技術を生み出し、他の広範な分野へ応用され、大きな波及効果をもたらすものであるということでございまして、今後とも我が国の宇宙開発は、宇宙開発政策大綱に従いまして積極的に自主技術を進めていくという考え方でございます。
#203
○小川(新)委員 それでは、先ほどの副理事長の首言葉で、BS3は国産によるのか外国製品によるのかと私が聞いたら、その辺のところは明確になっておらない、検討中だというのですね。実際の問題になってくると、どっちをとるのか開発事業団でも明確ではない。それはなぜかというと、その中のトランスポンダーとか主要な機能が外国製品のものがいいのか、我が国の製品の方がすぐれているのか、またそういうものを包み込む本体はどうなのか。もっと大きく言えば、後で私触れようと思ったロケットの問題が出てくるわけです。三百五十キログラムの衛星を打ち上げるロケットが完成した。今度五百五十キロの衛星を打ち上げるためにHTをやっているわけだ。ところが、いよいよ多角的なもっと大きな範囲のニーズにこたえるためには一トン、二トンの衛星も打ち上げなければならない。では一トン、二トンの衛星を打ち上げるためのロケットは一体どうなっているのだということになってきますね。だから、こういう問題を議論するときには、運搬手段であるロケット、それに載せる本体の問題というものはワンセットになって、例えば気象だとか放送だとか通信だとかという分野に分かれて、それぞれの機能を発揮するための打ち上げを行うわけでございます。
 重ねてお尋ねいたしますが、BS3は今度打ち上げようとして日延べになるのでしょうけれども、これは国産ではやらないのですか。
#204
○園山参考人 先ほどの私の御答弁が余り適当ではなかったのかもしれませんけれども、私どもは先ほど研究調整局長が言われましたように、基本線としましては自主技術でやっていくということでございます。ただ、先生も御指摘ございましたように、私どもの宇宙開発事業団が設立されましてことしで十六年になりますけれども、当初全く基盤がないというゼロに近い状態から始まりましたので、大幅にアメリカの技術を導入し、あるいは物を輸入するという格好でやってまいりました。その中で、いわゆる国産という国内でまさに生産するというものと、物として外国から買ってくるもの、向こうに技術を教わるものというようなことがいろいろまざって行われてきたわけでございます。これは委員会で示されております自主技術ということもその趣旨と思っておりますけれども、私ども今一番大事なことは、例えば部品、サブシステム等につきましてこれを全部国産にするということよりも、そのシステム全体をみずから設計し、これをつくり上げ、試験をし、運用していくという技術能力、これが自主技術、特に自在性を発揮するための基本だと思っておるわけでございます。
 私が先ほどBS3につきまして、先生の御質問に対しましていずれも決めてないということを申し上げましたのは、それぞれの先ほど申し上げました提案書、プロポーザルを出しておりますものの中に、今申し上げましたような部品とかサブシステムというものについては部分的には向こうのものを使うという提案もいろいろございますので、その辺をどこまで自前の国産のものを使うか、あるいは外国品をどこまで使っていいかというようなことにつきましてこれから詳細に決めていかなければならぬところでございますので、そういう意味も含めて申し上げたわけでございまして、基本的な姿勢としては、まさに自主技術でやっていくという基本線を絶対に失わないようにしたいというところでございます。
#205
○小川(新)委員 例えば先ほど申しました東京芝浦電気また日本電気ですか日電、これは優秀な技術を持っておりますが、アメリカやヨーロッパの製品にまさっているものというか、今評価しているものは何ですか。
#206
○園山参考人 難しい御質問でございまして、一々詳細にどの技術がまさっているということを私ここで申し上げる能力はございませんけれども、一般的に申し上げますならば、基本的な技術としてはそう劣るところはもうなくなってきているのではないか。しかし、経験の数が非常に少ないということが言えるかと思います。また個々の部品その他サブシステムといったものにつきましては、御承知のような国際機構でございますインテルサット等の衛星に対しましても、日本の各メーカーさんが外国メーカーと一緒にコンソーシアムを組みまして、その中で日本が担当してつくっているというところもたくさんあると聞いております。したがいまして、総合的にどうかということはなかなか難しいのでございますが、個々の技術におきましてはアメリカに対しましてもどんどん追いついてきておる。ただし、全体としてまとめて打ち上げた数の差と申しますか、その経験の度合いが足りないということで、そこにまだ差があるところが非常に大きいということは否めないことかと思っております。
#207
○小川(新)委員 このことはロケット開発にも言えるのですか。
#208
○園山参考人 ロケット開発につきましても、先ほど先生御指摘もございました最初のNロケット段階というところは、一段、三段というのはほとんどノックダウンあるいはライセンス生産、初期のときは輸入という格好のものもとられておりました。このNTからNU、現在これが主力機として今のBS2なども打っておるわけでございますが、静止軌道に三百五十キログラム打ち上げる能力、これはNIを基本的には改良、増力したというものでございます。来年から打ち上げを目指しておりますHTロケットと申しますものは、静止軌道に五百五十キログラムの静止衛星を打ち上げる能力を持っておりますけれども、これは一段目は今のNUロケットと同じでございますので、まだアメリカの技術が基本になっております。しかし二段目から上につきましては、完全にこれは自主開発したものでございまして、この二段目は特に液体水素を燃料にいたしまして液体酸素を酸化剤にするということでございまして、この段階になりますともはやアメリカも技術は一切出しません。したがいまして、これは全部自主開発をしてきたものでございます。しかし先ほど申し上げましたように、一段目につきましてはまだいわゆるライセンス生産的なものを使っておる。これはなぜそのようなことをしておるかと申しますと、日本で打ち上げます場合には安全ということを最大限考慮しなければいけません。失敗は特に一段目は許されないということで、十分に実績のあるものを使うということでここまで来たわけでございます。しかし、先ほど申し上げましたHTロケットの二段目というものは液体酸素、液体水素ということで完全な自主開発を進めておりまして、これは来年テストを打ち上げますけれども、非常に順調に開発が進んでおります。
 そこで、私どもも自信ができてまいりまして、そうしてただいま新たに開発に着手しようといたしておりますのはHUロケットと申しまして、これは一段から完全な自主技術で、液体酸素、液体水素のロケットにいたしまして、多少それは安いもので自由に買ってこれる外国の部品とかそういうものは使うことはありますけれども、基本的には完全な自主技術でHUロケットという静止軌道に二トンクラスの静止衛星が上げられるものを六十六年度ごろを目標に、つまり一九九〇年代の主力機として開発をし、これを活用していきたいということにいたしておりますので、こういった規模のHUロケットが成功いたしますれば、性能の上でもまたコストの上でも、国際的にも十分この種のロケットとしては肩を並べられるものになり得るという見通しを持っておるわけでございます。
 ただ、国際的な比較の中で、御承知のような今アメリカが飛ばしておりますスペースシャトルでありますとかこういったものになりますと、残念ながらこれはまだ相当な技術の開きはあるわけでございまして、私のところが今すぐシャトルと同じものを日本で、自分で開発できるかというと、これはちょっと困難でございますが、今のHUロケットというものが成功いたしますれば、そこで蓄積されます技術、経験というものでさらに将来の発展というものは可能になってくるものと思っておる次第でございます。
#209
○小川(新)委員 そこで、今勉強さしていただきましたHUロケットは、一トン以上の物体を上げるわけですね。この段階になると完全な国産の大型ロケットで、昭和六十六年に試験機の打ち上げが予定されておりますが、まずそのとおりなのかどうか。昭和六十年度の予算では幾らの予算が計上されているのか。また昭和六十六年度の試験機の打ち上げまでにはどのぐらいこのHUロケットに研究開発費が必要なのか。
#210
○園山参考人 ただいま先生御指摘のように、私ども六十六年度に最初のテスト機を打ち上げるということを目標に、これは正式な位置づけとしましてはまだ開発研究と申しますか、そういう段階でございますが、本格的な開発に来年度からは入りたいと思っておるわけでございます。
 予算につきましては、五十九年度歳出では十三億円、六十年度では七十四億円ということでございまして、全体の開発といたしましては、私どもはできるだけこの開発コストの低減も図りまして、試験機の二号機程度までのところで二千億円という台におさめたい、二千億円以内におさめたいということで努力をいたしておるところでございます。
#211
○小川(新)委員 このHUロケットの研究開発の目的は一体伺なのかということでございます。これは通信衛星の購入問題との絡みでどのように位置づけるかということが出てまいりますが、大臣、通信衛星はアメリカからの要請があっても国産で賄っていくのですか。これがまず大臣にお聞きしたいことです。
 そこで、九〇年代に大型衛星、二トン級の静止衛星を打ち上げるためにも必要ではないかというのが皆様のお考えでございますが、また将来の宇宙基地への運搬手段を確保するためにもこれは必要であるという考え方も述べられておる。そこでHUロケットは、どんなことがあっても、これこそ当初のニーズに関係なく国策として自主開発でやり抜くのかどうか、これは副理事長にお尋ねします。
#212
○園山参考人 これは、自主開発は完全に自主開発と思っております。先ほど申し上げましたように、多少の部品等で、こちらで開発するよりも外国でいいものがあって安くいつでも買ってこれるし、買ってきたことによって特段の条件がついたりしないというものは買うことも考えられますけれども、基本的には完全な自主開発ということを考えておるものでございます。
#213
○内田(勇)政府委員 お答えいたします。
 このHUによってどのような衛星を打ち上げる計画になっておるかという御質問かと思いますが、まず私ども、このHUロケットによりまして最初に打ち上げる衛星はETSlWという技術試験衛星、これを打ち上げる。大体六十年代の後半、六十七年ごろを予定しておりますが、これを打ち上げようということを考えております。これは一トンないし二トン級の大型通信衛星等の大型静止衛星技術の確立を目的といたした衛星でございまして、宇宙開発事業団におきまして、五十八年度から大型三軸衛星バス技術等の要素技術の研究に着手しておるところでございます。これらの研究の進捗状況を踏まえまして、現在関係機関の間でETS−Yに採用すべき推進系あるいは電源系等の要素技術やシステム技術についての検討を行っておるところでございますが、私どもといたしましては開発研究へ移行することが適当であろうというふうに考えておりまして、六十一年度の予算におきましてはこれを開発研究に移行し、宇宙開発計画に盛り込みたいというふうに考えておるところでございます。
#214
○小川(新)委員 大臣の御答弁をもう一遍改めて私から求めますが、外国の通信衛星、まあ混同しないようにしていただきたいのは、放送衛星とかまた気象衛星等でなくして、今問題になっております通信衛星ですね、これを外国から購入するようなことはあり得ないのか、絶対にこれは国産で開発させて、このロケットの準備ができ次第大型の通信衛星を打ち上げるという確約がとれるかどうかということでございます。
#215
○竹内国務大臣 先生御承知のように、いわゆる日米間の経済摩擦の論議の中で、アメリカの通信衛星を購入してはどうかという声が上がっているのは確かでございますけれども、政府としてはまだこれを購入するという決定をしたわけではございません。第一、これは先生御承知のように、新電電の発足に伴いまして、いわば民間企業にその分野が開けたわけでございまして、民間企業がいわば商業的な判断において外国の通信衛星を購入する場合もそれは差し支えないという道は一応開けておるわけでございますけれども、ただ私ども政府が関係する、特に宇宙開発事業団が関係いたします通信衛星に関しましては、先ほど申し上げましたように自主路線、国産技術、こういう観点から、外国の通信衛星を購入する考えは私には今のところございません。
#216
○小川(新)委員 そうすると、もう一週確認いたしておきますが、副理事長、今の一トン級を上げる大型ロケット、これはあくまでも国産、自主開発をしていく、この方針には間違いないですね。
#217
○園山参考人 HUロケットは御指摘のようにフルサイズと申しますか、一番大きいものは二トンクラスのものを上げられますし、それから複数打ち上げということで一トンクラスのものを二つというような組み合わせもできるように考えております。私どもは、この開発は完全な自主開発でやりたいと思っております。
#218
○小川(新)委員 それから、今のアメリカからの日米貿易摩擦に伴う外交案件としての問題はまだ決まったわけではない、こう確認してよろしいですね。大臣の御答弁で結構です。
#219
○竹内国務大臣 私の承知しておる限りにおきましては、その衛星の購入が決まったということはまだないはずでございます。
#220
○小川(新)委員 そこで、その一トン衛星には三十台から三十五台のトランスポンダー、中継器が積み込めることになっております。これに対し経団連の情報・通信委員会のフィージビリティースタディーによると、回線使用数全体に占める衛星通信の占める割合が、昭和六十一一年度では五%の場合十三トランスポンダー、昭和六十八年度で五%の場合は十六、昭和六十八年度で一〇%の場合は三十一トランスポンダーで十分賄えると言っております。
 そこで今、民間では既に衛星通信を行う会社が二社、認可申請されておると聞いております。もう一社も近々に受理される模様であります。ロケットの開発がおくれる、通信衛星が自分たちのニーズにこたえられないという場合は、民間ベースにおいて外国の、例えばアメリカの貿易摩擦を民間が解消するという皮肉な場面が生じてこないかということであります。国産に頼っていたのではいつまでたってもできない。しかも、昭和六十三年には通信衛星の利用というものは非常に要求されている段階にあって、じゃおれたちは勝手にアメリカのロケットを使って打ち上げてもらって、それにこたえる通信衛星を打ち上げて仕事をしたい、もしもそういうことになった場合は――現在でも二社、私の方で調べたところによりますと宇宙通信株式会社、日本通信衛星株式会社、もう一社はサテライト・ジャパンという会社が申請中と聞いておりますが、こういう場合はどういうふうに判断したらよろしいでしょう。昭和六十八年度までに今私が申し上げましたような三十一トランスポンダーで十分賄えることになりますと、供給過剰になって逆に衛星を打ち上げなくてもいいのではないか、こういう問題さえ出てくることを素人考えで心配しているわけです。この辺はどうなんですか。
#221
○内田(勇)政府委員 お答えいたします。
 ただいま御質問のございました衛星の需要の問題でございますけれども、先生御指摘ございましたように、二つの民間企業が外国製の通信衛星を購入して電気通信事業を行いたいということで、郵政省に事業の認可申請をいたしておるというふうに承知しております。これにつきましては、当然電気通信事業法に基づきましてその事業計画の内容等を郵政省において審査をされまして、その需給等も十分評価の上、認可をされるというふうに理解をいたしております。
 私ども、これは純粋の民間会社が商業的に事業を行うというものであると考えておりまして、私どもの方はNTT、事業団と協力いたしまして、先生御承知のようにCS3、通信衛星三号を打ち上げるということにいたしておりまして、先ほど先生お話がございましたが、CS3に引き続きまして、CS3の寿命の尽きる六十年代の末ごろにCS4を打ち上げたいということで考えておるわけでございます。まだ先のことでございますので、CS4について具体的な計画というものはでき上がってはおりませんが、先ほど申し上げましたようにETS−Yの成果等を踏まえて、その具体的な計画等をつくっていくということにいたしておる次第でございます。
#222
○小川(新)委員 先ほど私が宇宙計画の見直し、さっきのBS2の問題を議論したのは、こういうふうに宇宙の問題が豆腐を切るようにきちっと定められてきておるわけですね。それが「ひまわり」の故障の問題について、一つの問題についてもそうやっておくれてくる。その問題は、人工衛星全体のメーカーに対するいろいろな問題点が集約された一例として取り上げられておるわけです。先ほどの議論は「ひまわり」の例でありましたが、これは気象衛星にも通信衛星にも、国内メーカーはそういった自分たちの要求という問題と政府側または事業団側から言われている問題との折り合いがつかない場合には、衛星の打ち上げさえもおくれてくる。その問題が解決されない間はおくれてくるということは、一つの例を取り上げても、大綱、計画というものの見直し、そのために中期計画だとか単年度の見直しの問題だとか、そういった宇宙政策大綱の問題についての洗い直しをここでやらなければならないではないかという当初の私の議論がそこにあったわけでございます。
 それはそれといたしまして、時間が来ましたから残念なんでございますが、この宇宙開発委員会のあり方が私はちょっと不明朗ではないかと思っておる次第でございます。
 その一つは「通信衛星2号の利用による公衆電気通信役務の防衛庁への提供について」、科学技術庁、防衛庁、郵政省の三省庁で合意した昭和五十九年の口頭説明メモがありますが、これについては国会でも議論されてきました。これを宇宙開発委員会は審議したのですか。してないんじゃないですか。審議をしなければ、内閣総理大臣に対して意見を述べられない。述べられないものは、内閣総理大臣はその意見を尊重はできない。この問題、まことに大事な問題でございますので、今の政策大綱とあわせて私の疑問を解明していただきたいと思います。
#223
○内田(勇)政府委員 ただいまのCS2の自衛隊利用に関して宇宙開発委員会で審議をいたしたかという点につきましてお答え申し上げますが、本件は電電公社、現在は日本電信電話株式会社に変わっておりますが、これがCS2を利用して公衆電気通信役務を一般の者と同様に防衛庁に提供するという問題でございまして、宇宙開発委員会は、電電公社が具体的にどのような通信役務の提供を行うかということにつきましては審議をいたしておりません。
#224
○小川(新)委員 これは大臣、しなければいけないんじゃないですか。
#225
○内田(勇)政府委員 宇宙開発委員会は、宇宙開発に関します政府の施策の総合調整ということを任務といたしておりまして、利用のみにかかわる問題というのは宇宙開発委員会の業務ではないわけでございます。本件はもちろん開発をいたしたものの利用でございますので、そういう意味で関係はございますが、これは電電公社という機関が電気通信業務を行うために利用者として共同して上げる衛星ということで上げたわけでございまして、その公衆電気通信役務の中で具体的にどのようにするかということにつきましては、これは昭電公社がお決めになる問題だというふうに理解しております。
#226
○小川(新)委員 これは大臣、防衛庁が平和利用で軍事には使わないという衛星の問題ですが、通信衛星の中で、硫黄島とかそういうところにいる自衛隊の方々のふだんの通信、電話のためにお使いになるとかならないとかという議論で口頭メモが出されたと思うのです。この問題をこういう開発委員会で取り上げないということは、これは国会で非常に大きな議論になった問題点ですから、その問題を委員会で審議をなさらない、また御意見も述べない、またそれに対して総理大臣に御報告もしない、意見も求めないということは、私はこれはちょっとおかしな問題だと思います。
 そこで、さらにもう一つ出てくるのは、民間企業による外国の通信衛星の購入問題。こういう購入問題についても宇宙開発委員会は審議したのかどうか。先ほどから言っているように、自主開発だ、自主開発が基本的だといっても、購入問題が出てきた場合には、これは当然委員会で審議をし、そういった日米貿易摩擦という高度な外交的な問題を含むこの衛星問題や宇宙開発委員会で当然いろいろ意見を出さねばならぬ問題は素通りはできないということで内閣総理大臣に対し意見を述べたのか、また内閣総理大臣はその意見を尊重したのかということも、これは大切な問題でございますので、時間が来たのできょうはここでやめますが、私はこの二点明確にしていただきたいと思うのでございます。
#227
○竹内国務大臣 まず、外国製通信衛星の件についてお話を申し上げますと、正確な日取りはちょっと失念いたしましたが、いろいろとそういう議論が出ておるという状況なものでございますので、私から宇宙開発委員会におきまして口頭でいわば情勢の説明を申し上げました。そしてその際に、私の所信として、外国製通信衛星の購入が私どもが考えておる国産技術、自前の衛星というものの計画の進行に影響のないように私どもも十分注意してまいりたい、こう申し上げまして、各委員の方からも、そこは慎重に、また丹念に注意してほしい、こういう御意見をちょうだいしております。
 それから、自衛隊の通信の関係につきましては、ただいま局長から申し上げたとおりでございます。
#228
○小川(新)委員 甚だ残念なんですが、時間が来ましたし、取り決めてございますのでこれでやめさせていただきますが、副理事長、御健闘を祈ります。御苦労さまでした。
#229
○鳥居委員長 次に、津川武一君。
#230
○津川委員 下北半島六ケ所村に電気事業連合会が立地しようとしている核燃料サイクル施設とはどんなものでございましょうか。原燃のこういうパンフレットを見ますと、ウラン濃縮施設、低レベル放射性廃棄物貯蔵施設は原燃産業がつくる、使用済み燃料再処理施設は原燃サービスがつくる、こんなふうに出ています。県も三点セットだというふうに言っているし、県民もとうとうその気になって、三点セットと思っているわけでございます。
 ところが、昨年十一月の青森県専門家会議の報告の中には、このほか、将来建設予定の転換それから再転換の二つの施設用地が既に確保されていると述べております。このほか、再処理施設をつくるとすれば、当然それに伴って高レベル廃液の固化施設とかその貯蔵施設、使用済み燃料の貯蔵施設が必要となるのではないかと思います。こうなりますと、三点セットどころか七点セット、八点セットというふうになってくるのじゃないでしょうか。県、事業団はどうしてこんなことを三点セットと言いくるめて、説明しないのでしょうか。
 そこで、今度つくられるものの規模、そのつくられる施設がいつどんな形でできるか、全体のプログラムを明らかにしてほしいのです。
#231
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 電気事業連合会では、核燃料サイクルの確立に向けまして、再処理施設、ウラン濃縮施設及び低レベル放射性廃棄物貯蔵施設を青森県六ケ所村に立地することにつきまして計画して、立地に対する協力を地元に申し入れたわけでございまして、地元青森県知事からこの受け入れについての御受諾をいただきまして、現在、計画の具体化に向かって準備を進めておるわけでございますが、この計画では、再処理施設は処理能力を当面年間約八百トン、それから使用済み燃料の受け入れ貯蔵施設は当初約三千トンの規模を考えておりまして、将来、電力需要の動向との関連で、規模は未定でございますが、施設の増設ということは見込んでおるわけでございます。いわゆる操業開始は昭和七十年ごろと予定をしております。
 それからウラン濃縮施設は、これは濃縮の作業量の単位でございますSWUという単位で申し上げまして生産量は年間百五十トンSWUでございますが、この規模でスタートいたしまして逐次増設をし、年間千五百トンSWU程度の施設を目標としておりまして、操業開始は昭和六十六年ごろを予定しております。
 さらに低レベル放射性廃棄物貯蔵施設は、低レベル放射性廃棄物を逐次受け入れまして、当面約二十万立方メーター、ドラム缶で約百万本相当でございますが、これを最終の貯蔵ということを目標に当面の事業計画を進めるということで、貯蔵開始は昭和六十六年ごろを予定しておるわけでございます。
 先生ただいま御指摘の、三点セットでなくてほかにもあるということにつきましては、再処理に関連してウラン転換施設、プルトニウム転換施設、それからウラン濃縮施設に関連いたしまして再転換施設等があるわけでございますが、これらにつきましては既に電気事業連合会が昨年の七月、青森県及び六ケ所村に立地協力要請を行った際に地元に対して説明を行っておりまして、将来こういった施設を建設し得る、そういう形でのレイアウトとして考えているということを説明をしておると承知いたしておりますし、そのようなパンフレットも私、拝見をしておる次第でございます。
#232
○津川委員 答弁で何々ができるかよくわかったのですが、県はそう説明していないのですよ。三点セットと言っているのです。事業団も簡単に三点セットと言っているので、もう一回事業団と県を改めて指導して、持っていく施設の全貌を県民に明らかにしていただかないと、県民の意思統一ができない。この点を重ねて要求しておきます。
 その次に、再処理するとすれば、当然高レベル廃液の固化施設が必要になると思いますが、これについて、将来にわたって六ケ所に建設されることになるのですか、どうです。
#233
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 高レベル廃棄物のガラス固化施設と申しますのは、再処理施設に附属するものでございまして、当然そこから高レベルの廃棄物が出てくるわけでございます。それを液体のままで貯蔵するか、あるいはガラス固化にして貯蔵するかという問題でございまして、これはガラス固化にして貯蔵することがその後の廃棄物の取り扱い上有効なことでございますので、ガラス固化施設をつくるものと私どもは理解いたしております。
#234
○津川委員 はっきり答えてくださいね。質問していることは、六ケ所につくるかと聞いているんです。
#235
○中村(守)政府委員 ちょっとお答えが不明だったかもしれませんが、再処理工場の附属施設として当然その廃棄物の処理に関する施設はつくるわけでございまして、これは六ケ所村の再処理工場に附属した施設としてつくるというぐあいに私どもは理解いたしております。
#236
○津川委員 技術の問題に少し入ってみますが、核燃料サイクルの中心をなすものが使用済み核燃料の再処理だと思います。この技術は確立していると言えるのでございましょうか。動燃事業団が茨城県東海村で実験を行ってきたが、事故がかなり起きておるし、実験段階でとても安全性が確立したなどとは言えない状態でございます。ましてや商業用再処理になりますので、まだまだ安全性は確立されていないと思いますが、この点はいかがでございますか。
#237
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 再処理技術が確立しているかという御質問がと思います。技術が確立しているかということの評価については、一〇〇%完璧を期すといいますか、もう改善の余地なしということをもって確立というところからちょっと幅のある話でございますので、確立という言葉をどういう意味でとらえるかということかと思いますが、私どもは、商業用のプラントとして実用にたえるという意味での確立ということであれば、既にでき上がっているものだという理解でございます。
 その再処理技術につきましては、世界的にピューレックス法というものが採用されておりまして、既にイギリス及びフランスで二十年以上の実績があるわけでございます。この二十年という中には、いわゆる今の軽水炉の燃料だけではなくて、天然ウランを使うガス炉の燃料の処理も含めてでございますので、軽水炉燃料だけに限ってみましても、フランスのラアーグにありますUP2という工場が商業用工場として安定した運転を続けておりまして、本年は既に累計しまして一千トンの再処理を達成していると承知しております。
 こういった経験をもとにいたしまして、これは単に技術が確立している、実用にたえるということを私どもが勝手に申し上げているわけじゃございませんで、現在フランスにおきましても、軽水炉燃料の再処理量で年間八百トン規模のUP3という工場の建設に着手してどんどん進めております。さらにイギリスにおきましても、軽水炉燃料の再処理工場として一年間千二百トンという工場、これはソープ工場と言っておりますが、そういう工場を建設中でございまして、フランスやイギリスにおきましても商業用にたえるということでこういう大きな工場の建設に既に着手しているということからも、私どもはこの技術は確立していると言えるのではないかと思っております。もちろん技術でございますので、今後一層経済的に効率よくできるように、技術の改善というものは一層進めなければいけない、従業員の被曝の低減とかそういった面での改善というものは、今後とも続けなければならないと思っております。
#238
○津川委員 なかなかいい説明でよくわかるようですが、これは最初に言ったように、商業用の再処理でどうなっているか。問題は安全の立場から、安全性からの問題になるわけですが、皆さん商業用のことは随分勉強されている。これはいいでしょう。しかし、安全の問題で専門家の意見をどの程度聞いているか。
 名古屋大学工学部の内藤教授は、「化学と工業」三十六巻九号(一九八三年)の中で、再処理と廃棄物処理処分の技術は「世界的にまだ確立されていない。再処理は極めて強い放射線の下での化学プロセスであり、環境への影響を考慮して極めて高い分離効率が要求される一方、臨界爆発に対する配慮を必要とするなど、最高度の化学技術が要求される。」こう言い切っております。内藤先生は原子力委員会の再処理の安全審査の専門部会長でもございます。いわばこの問題での我が国での最高の責任者が、技術は確立していない、それは環境への影響を考慮してという安全の問題、こう言っているのです。あなたはこの本を、かなり有名な人の本だが読まれているかどうか、この席でうちの工藤委員が聞いたら、読んでないという。その後読んだかどうか。そこいらもひっくるめて、一体こういう内藤先生の貴重な御意見、学問的な見解をどう受けとめているか、お答え願います。
#239
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 内藤先生は化学の分野でいろいろ学識の深い立派な先生でございまして、もちろん先生の言われているように、この再処理技術というものは最高度の科学技術が要求されるというか、一般の科学技術のプロセスとしてだけでなくて、原子力特有のいろいろな問題もあるわけですから、そういった意味で化学者がより以上協力して、この技術の一層の向上を図ることにしたいという趣旨でこの全体の文章は流れておるようでございます。化学者及び化学技術者に向けてのお話のようでございます。
 それで、今先生が取り上げられました世界的にこの技術はまだ確立されていないというくだりでございますが、これは私、直接内藤先生に確認しているわけでもございませんので、断定的なあるいは推測的なことを申し上げるのは控えたいと思いますが、先ほども申しましたように、確立という言葉をどういう観点から言われたのか、この点が問題だろうかと思います。商業的な実用性としてはとても使いものにならない程度ほど技術が未熟なのか、それとも一応は実用できて商業プラントとしてもできるけれども、なお改善の余地があって、今後ますます化学者みんな力を合わせて一層いい技術にしていこうじゃないかという意味で確立されていないと言ったのか、そこら辺はいろいろ解釈の幅があろうかと思います。直接先生には確認しておりません。私どもとしては、この安全審査にも関係されておりまして、直接内藤先生から化学再処理工場は危ないからもうあれをやめろというようなお話は聞いたことはございませんし、ここは一般的な意味で言われたものというぐあいに理解をいたしております。
#240
○津川委員 大丈夫がい、局長。問題は極めてはっきりと、安全面から確立していないと言っている。こういうことをあなたたちの責任者が言っているのを、あなたは直接見てないという。何を見なければならないかとすれば、まず内藤先生のものを見なければならぬ。それをやらないで、そういう人たちが確立してないと言うものを事業団が六ケ所の村民に、青森県民に押しつけることを皆さんが容認していることになる。確立というのは何かというときには、あなたの弁は企業の立場に立った言葉で、国民の安全ということはそこにない。そこで、内藤先生の本を読んで、内藤先生からじっくりお話を伺ってやってみる必要があると思いますが、この点、念のためにもう一回お尋ねしておきます。
#241
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 政府はあくまでも国民の安全、危害から国民を守るという立場に立って、従来から原子力発電所にしろ東海村の再処理工場にしろ、厳密な安全審査を行いやってまいったわけでございまして、内藤先生も安全審査のこういう委員として参加されておられることでもございますし、そういう意味では全くそういう技術に対して中立な方々がいろいろ厳重な審査をしていただくわけでございまして、今後この再処理工場につきましても、そういう厳重な安全審査を経て、さらに検査とかそういったことで安全性を確かめながらやっていくわけでございます。そういう意味で私どもは、いたずらに安全でないものを安全であるという強弁をして地元の方をどうこう、そういうようなことは全く考えておりません。
#242
○津川委員 内藤先生のものを読む気があるのですか、読む気がないのですか。専門部会長の話を聞いてみるつもりですか、そのつもりはないのですか。
#243
○辻政府委員 この前、工藤先生の御質問のときに、その時点では読んでないと申し上げましたのは私でございますが、その後直ちに読まさせていただきました。「原子力と化学−現状と将来」と題します「時評」という、本の巻頭言のようなところに書いてある非常に短い随想でございまして、書いてあること自身は非常に的確なことをお書きになっております。内藤先生御自身に私もお伺いしたところでございますけれども、自分の考えているところを書いた、しかし私はこれをもって現在の技術水準が東海村の再処理工場を建設するに足るところまで到達していないという意味で書いたつもりはさらさらない、いろいろな検討すべき問題があることはまた事実であるけれども、それが商業用の再処理工場としてできないという認識を持っているわけではないというお話をお伺いしてきたわけでございます。
 そこで、御指摘のように内藤先生は原子力安全委員会の核燃料の安全審査委員のメンバーでございます。先ほど原子力局長も申しましたように、技術が確立している、確立していないというのは世の中にそう明確な定義があるわけではございません。一つのある一定のレベルにつきましても、こちらの人が見れば確立していると言うし、あちらの人が見れば確立していないと言う、そういうような問題であろうかと思います。したがいまして、その技術の水準についていろいろ御意見がおありになるのは千差万別であろうと思うのですけれども、安全審査をやります場合には、そういった明確な定義のないことについて確立しているしていないという議論をやるわけではございませんで、実際に放射能の閉じ込めなり、そういうものがきちっとできるかどうかというところでございます。そのために必要な材料の性質であるとかそのほかの諸般の技術について、一体どういうところまで今の科学技術でわかっているか、どこから先がまだよくわかっていないかというような点は、専門の技術屋の間でディスカッションする間に恐らく共通の理解が出てくる、こういうプロセスでございます。したがいまして、そういう科学技術の現状の水準を踏まえて、具体的に安全審査が出てきたときに、これを設置許可をしてよろしいかどうか、こういうことを判断するわけでございます。そういうようなことでございますので、安全審査委員の中にいろいろな技術認識についての御意見があってもそれはそれで結構なことではないか、私どもそのように考えておるわけでございます。
#244
○津川委員 大変な話を伺いました。やはり来てよかったと思います。問題は、確立しているかしていないか、甲の意見と乙の意見、安全だという意見、安全でないという意見がある、人間の生命にこれから影響する事業なのです。あの地域における動植物の遺伝にも影響してくることなのです。あの地域における農作物や海水、漁業にも影響してくることを、安全でないという意見がある、安全だという意見がある。そのときに、皆さんは安全だというのをとろうというんだな。困った話だよ、これは。安全でやるためには、安全でないと言われればそっちを検討しなければならない、そこのところを重点に置かなければならないのに、どうもこの間から現地で見ていると事業団側だなと思っていたのが、こんな形で、はしなくも暴露されてきました。では、もう少し続けてみます。
 再処理をすれば当然高レベルの廃液が発生する。むつ小川原地域で大量に発生する高レベルの廃液をどのように処分するのか。処分したものを貯蔵するのはどうするのか。動燃が北海道の幌延町に試験的な貯蔵施設の建設を考えているようだが、そこに移すと考えているのか、それとも六ケ所に貯蔵するのか。先ほど聞いたからいいけれども、こういう点で六ケ所に貯蔵するということを、本当だかどうだか、もう一回答えていただきます。
#245
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 下北に建設いたします第二再処理工場につきましては、そこから出る高レベルの廃棄物につきましては、そこからどこかほかへ持っていくにいたしましても、液体のままで移動させるということよりはガラス固化して、固めて移動した方が非常に安全なわけでございまして、そういう意味からも、この再処理工場にガラス固化施設をつくって、ガラスに固化した状態においてここに貯蔵をする、こういうことでございます。ただ、それを下北に最終的に地層処分するのか。高レベル廃棄物というのはいずれ数百メートル下の地下に埋め込む、こういうことが最終的に考えられておるわけでございますが、そういうことを下北でやるのかということにつきましては、現在それを考えているわけではございませんで、その最終処分地につきましては、これから全国幾つかの地点について候補地点といたしまして、いろいろな調査をした上で処分地は決める、そういう段取りになっております。
#246
○津川委員 そうすると、六ケ所には何年ほど置くのか。この高レベルの廃棄物が拡散して効力を失っていく。そうすると、最終的に処分するまでに何年くらいかかるのか。また、フランスから返還される廃棄物はドラム缶で六万本分あります。その一割は高レベル廃棄物だと聞かされておりますが、これらもすべて六ケ所で処分することになるのでしょうか。この点をお答え願います。
#247
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 高レベルの放射性廃棄物につきましては、当初の間は比較的たくさんの熱が出ますので、これを地中に埋めても周辺の地層に影響を与えないような熱になるまで冷やさなければいけないわけでございまして、そういう冷やすことを考えますと三十年ないし五十年ぐらいは一時貯蔵をしておいた方がよろしいだろうというのが今の一般的な考え方でございます。そのようなことで貯蔵が行われるかと思います。
 それから、フランスからの返還廃棄物の取り扱いでございますが、これにつきましても、フランスからはガラス固化された状態で高レベル廃棄物は戻ってまいります。これは下北の再処理工場の附属施設としてつくられますがラス固化体の貯蔵施設の中に納めることになろうかと思っております。
#248
○津川委員 まだ指摘しなければならないのは、もう一回内藤先生の論文です。この高レベルの廃棄物の処理処分についても、内藤先生は次のように言っています。「高い放射線下のプロセスであると共に、極めて長い期間の安全性の確保が要求され、従来の工学では経験しなかった問題に当面している。」こう厳しく指摘しております。それだけではありません。「数千年のスケールで安全性について科学者は答えを求められたことはない。最終処分技術が未確立な現状では、子孫のために性急な処分より待機を選ぶ方がよいかも知れない」、これが内藤先生。今度、下北に高レベルのもので数千年置くとすれば、下北の人たちは足元から、地下から核燃料にいつも脅かされることになります。結局、六ケ所はこんな廃棄物のこみためにされていくんじゃないかと思いますが、この点での内藤先生の後段の論文に対して御意見を伺います。
#249
○中村(守)政府委員 お答えいたします。
 今御指摘ございました技術的問題については、内藤先生、専門家として御指摘なさっていることでございまして、私どもはこれが難しい技術であるということを承知しているがゆえに地道な研究開発を続けてまいっておるわけでございまして、ガラス固化技術につきましては、フランスで既に実用化されておりますが、我が国でもかなり前からガラス固化体につきまして、実際の放射能は入っておりませんが、そういったもので化学的には全く同じ成分のもので工学的な研究をやりまして、これもエンジニアリング的に十分やれる技術を確立しておりますし、一方、放射能の入った実廃液につきましても、現在、動燃事業団のCPFという大きなホットラボの中で実際の廃液を使いまして、ガラス固化技術が放射能を使わないときと同じようにできるんだということの確認をいたしております。
 それから、先生おっしゃった千年、二千年という問題につきましても、その中に含まれる放射性物質が放射線を出すわけでございますので、それがガラスに対してどういう影響を与えるかというようなことにつきましても、原子力研究所におきまして加速試験といいまして、おさまる放射能よりもはるかに大きいものを入れて、短い時間で長い時間を推測するという方法でございますが、そういう方法でガラスに対してどういう影響を与えるかということについての研究もしておるわけでございます。
 そういう研究実績それから外国におけるいろいろなデータ、そういったものを加味した上でガラス固化というものを現実に行うわけでございますし、それから地層処分につきましても、まさに先生いろいろ御指摘のような長年にわたる地質上の問題、そこから漏れ出た放射能が周辺にどのように流れていくかということにつきましても、地質学的に非常に長いスケールでの話でございます。そこら辺は、また地質の専門家の方々を糾合しまして、十分に検討した上で処分地を決めるという慎重な態度を当然のことながらとっておるわけでございます。
 そういうことで、これは私どもが勝手に申し上げておるわけでもございませんで、この問題をどうするかということにつきましては、国際的にも大きな問題でございますので、国際的に専門家が集まっていろいろこういう問題を討議し、評価しております。先般OECD・NEAで取りまとめました放射性廃棄物の分野の現状に関する技術的評価という文書におきましても、こういった世界各国から集まった専門家の御意見として十分先行きの見通しが得られ、安全に処分できるという自信を持っているという見解も示されているところでございます。
 地層処分につきましては、なお時間的余裕もあることでございますし、じっくり研究をして、安全の上にも安全をということで地層処分の候補地を決めていきたい、そのように考えておるわけでございます。
#250
○津川委員 少し技術論で時間を食ってしまったのですが、ガラス固化はまだフランスで四年か五年しか経験がない、この後どうなるかわからない、そのことをもう少しこれから論じようと思ったけれども、時間がないので、その点を少し指摘しておいて、フランスのガラス固化が絶対だというふうなものでないということを肝に銘じて事に処していただきたいと思うのです。
 そこで、安全性の問題で、もう一つは再処理の煙突、あそこからクリプトン85、それからトリチウムが出ます。これを捕捉できるか、除去できるかということを聞こうと思ったのだけれども、時間がないので、実はまだ捕捉技術ができてない。だからあれは出っ放し、たれっ放しなんだ。こういう公害物質、放射性物質が出る。しかも、やませがある。あれは出たら内陸の方に入ってくる。ちょうど今もやませがある、こういう状況のもとにある。これに対して専門家会議の報告は、人体、農作物、海産物等に影響すると考えられないと言っているんだが、政府は専門家会議のこうした実際を無視した、クリプトンはつかまえることのできない必ず外に出ていく物質であるということに対して、認識はいかがでございます。
#251
○中村(守)政府委員 先生御指摘のトリチウム、クリプトンの放出の件でございますが、これらについての放出低減化技術、いわゆる外に出す量を減らす技術でございますが、こういったものも動燃事業団において各種の方法について研究開発を進めております。
 そういう技術を採用するかどうかということは、設計を固めていく段階におきまして、そこから出るトリチウム、クリプトンがどのくらいの量で、下北という地域の気象条件の中で、あるいは特定の地形の状況の中でどのように拡散していくか、そういったことのいろいろな詰めをいたしまして、最終的には農作物あるいは人体にどの程度の被曝を与えるかということを安全サイドに立って評価をいたしまして、その結果として十分安全なように放出量を制限するための低減化をやるなり、あるいは煙突その他の位置、高さ、そういったものを設計するわけでございますので、そういう意味で一般的に県の調査段階ではそういうことが十分達成できるであろうということで御報告されておるわけでございますし、実際にやる場合には、そこで地域の周辺に与える影響がないように設計上のいろんな配慮をいたしまして、それを厳重に国としては安全審査をして影響を与えない放出量となるようにする、こういうことでございます。
#252
○津川委員 大臣、聞かれましたか。トリチウムが出るんだ。これが公害物質、放射能物質だというのは世間の常識なんだ。この再処理を七十年にやるんだ。その間どうするか。国がこれから研究するという。こういう形で下北の人たちは事業を押しつけられ、この点は後で大臣にまとめて今のこの人たちの考え方について答えていただきます。
 もう一つの問題は、その施設のある周りの放射能。専門家会議のところでは五百ミリレム、これが法定の限度だと言っている。ところが、アメリカや日本の原発では五ミリレムなんです。アメリカの核燃料サイクルでさえ二十五ミリレム。日本は五百ミリレムを限度の上限に据えている。これではたまったものでないのでございます。この点はせめて五ミリまで落とす必要があると思いますが、いかがでございます。
#253
○辻政府委員 原子力施設周辺の住民の被曝線量につきましては、御指摘のようにICRPの勧告によりまして年間五百ミリレム以下というのが法令の基準になっておるわけでございます。しかしながら、五百ミリというのが実際に再処理施設の上限の基準としては用いられるわけでございますけれども、放射線の放出線量目標値としてこの数字が用いられるわけではございません。(津川委員「二十五ミリにするの、五ミリにするの」と呼ぶ)その辺につきましては、これは放射線防護委員会も放射線被曝は合理的に達成できる限り低くするよう勧告しているということで、第二番目の基準があるわけで、それをALARAの原則と言っているわけでございますが、これに基づきまして再処理施設より放出される放射能を合理的に達成できる限りできるだけ低く下げる、どの程度下げるかというのがまさに安全審査のときの審査の基準になっておるということでございます。五ミリレムというのは、原子力発電所についてはそういうふうに決めましたけれども、再処理についてこれを頭から決めてしまうというものではないというふうに考えているわけでございます。
#254
○津川委員 大臣、この点も、まだ未確定のものを下北の六ケ所に持ってくるというところに相当な問題があるわけです。
 そこで、六ケ所の人たちは、煙突から出るクリプトン85、この周りから出てくる五百ミリレム、これは二十五ミリになるかもしれないが、これでやられる。下の方からは、エネルギー不滅の法則で必ず高レベルの放射能が出てくる。これはどうすればいいのです、下から上から周りから。ここのところにこういう解説、説明をされていくならばよろしいわけなんです。こういうことをしないで事業を急いでいる。この間、下北に行きまして漁協の組合長に会いましたら、この人は村会議員をしているのですが、村の議会で受け入れは決めていない、全員協議会での話なんだ。漁民は非常に心配している。県内の農業後継者、農協青年部も、青森県の農産物に重大な影響を与えるとして、今全県的に運動を起こしている。学者や文化人もこの問題で三日か四日に一日、県民の中に引っ張られて心配を聞かされている、こういう状況なんです。そこへ今度は三沢の基地だ、F16の配備だ。もう一つ、最近は核物質の貯蔵庫までつくられるのじゃないか。チリ地震なんかあると津波が来る。活断層があって、地震の心配もある。
 こういう問題に目をつぶって、しゃにむに建設だけを急いでいる。大臣、あなたも私も青森県。特にあなたは、青森県民の意思をまず尊重すること、この人たちの健康を守ること、そして事業団が商業用に持ってくるものは第三か四に考えてよろしい。こういう点であなたの端的な意見をひとつ聞かせていただきたいと思います。
#255
○竹内国務大臣 津川先生、何かしゃにむに建設を急いでいる、こういう御批評でございますけれども、私はそういうつもりはございません。
 御承知のように、これらの施設の設置許可の前には厳格な安全審査という関門があるわけでございまして、私が今考えておりますことは、通例、他の原子力施設なら一年程度の審査期間であれば十分なのかもしれませんけれども、私はこの六ケ所村のケースの安全審査についてはもっともっと時間をかけてやるべきだ、こう考えておりまして、何か既定方針をばく進しているようなことはございません。また、先ほど内藤先生とかいろいろな方の御意見も御紹介いただきましたが、私どももそういう声にも謙虚に耳を傾ける態度は続けていくつもりでございます。
#256
○津川委員 最後に、水産庁来ていますか。漁業補償の問題。
 六ケ所にむつ小川原開発で石油コンビナートをつくるときに、漁業補償をもらって漁業権を放棄していますが、今度は別な状況なんです。このように煙突から底から、あちこちから放射性物質が出てくるという状況になったので、もう一回この点で漁業補償の権利があると思いますが、この点どんなものでございます。
#257
○窪田説明員 お答えいたします。
 青森県からの報告によりますと、むつ小川原港港湾整備事業に伴う漁業補償につきましては、既に青森県知事と泊漁業協同組合員との間で補償契約が締結されまして、補償も終わっているというふうに聞いております。
 新たな事業の実施に伴う漁業補償につきましては、その事業の事業主体とそれから関係漁業者との間の民事上の問題でございますので、当事者間の話し合いによって処理されるものというふうに考えておるところでございます。
#258
○津川委員 終わります。
#259
○鳥居委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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