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1984/06/14 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 商工委員会 第20号
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1984/06/14 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 商工委員会 第20号

#1
第102回国会 商工委員会 第20号
昭和六十年六月十四日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 粕谷  茂君
   理事 浦野 烋興君 理事 田原  隆君
   理事 森   清君 理事 渡辺 秀央君
   理事 後藤  茂君 理事 城地 豊司君
   理事 長田 武士君 理事 宮田 早苗君
      甘利  明君    奥田 幹生君
      加藤 卓二君    梶山 静六君
      高村 正彦君    佐藤 信二君
      椎名 素夫君    仲村 正治君
      野田  毅君    林  大幹君
      原田昇左右君    松野 幸泰君
      奥野 一雄君    上坂  昇君
      浜西 鉄雄君    横江 金夫君
      和田 貞夫君    木内 良明君
      西中  清君    福岡 康夫君
      横手 文雄君    工藤  晃君
      簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        通商産業大臣  村田敬次郎君
        国 務 大 臣
        (経済企画庁長
        官)      金子 一平君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局審議官    宮本 邦男君
        経済企画庁国民
        生活局長    横溝 雅夫君
        経済企画庁調査
        局長      丸茂 明則君
        通商産業大臣官
        房審議官    矢橋 有彦君
        通商産業省通商
        政策局次長   鈴木 直道君
        通商産業省貿易
        局長      村岡 茂生君
        通商産業省生活
        産業局長    篠島 義明君
        資源エネルギー
        庁長官     柴田 益男君
        資源エネルギー
        庁石油部長   畠山  襄君
        中小企業庁長官 石井 賢吾君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  清島 伝生君
        大蔵大臣官房企
        画官      北村 歳治君
        大蔵省主計局主
        計官      兵藤 廣治君
        大蔵省銀行局銀
        行課長     松野 允彦君
        厚生省社会局保
        護課長     清水 康之君
        農林水産省食品
        流通局企画課長 武田  昭君
        建設大臣官房地
        方厚生課長   近藤 茂夫君
        自治省行政局行
        政課長     柳  克樹君
        商工委員会調査
        室長      朴木  正君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月十二日
 辞任         補欠選任
  浜西 鉄雄君     渋沢 利久君
  渡辺 嘉藏君     木島喜兵衛君
同日
 辞任         補欠選任
  木島喜兵衛君     渡辺 嘉藏君
  渋沢 利久君     浜西 鉄雄君
同月十四日
 辞任         補欠選任
  野間 友一君     簑輪 幸代君
同日
 辞任         補欠選任
  簑輪 幸代君     野間 友一君
    ―――――――――――――
六月十四日
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調
 整に関する法律の一部を改正する法律案(後藤
 茂君外八名提出、第百一回国会衆法第四三号)
は委員会の許可を得て撤回された。
    ―――――――――――――
六月十四日
 中核工業団地の企業立地促進対策強化に関する
 陳情書(東海北陸七県議会議長会代表愛知県議
 会議長岡本辰巳外六名)(第四七七号)
 中小企業総合行政の強化に関する陳情書(東海
 北陸七県議会議長会代表愛知県議会議長岡本辰
 巳外六名)(第四七八号)
 新宮川水系発電ダムの濁水対策等に関する陳情
 書(和歌山県議会議長松本計一)(第四七九
 号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 大規模小売店舗における小売業の事業活動の調
 整に関する法律の一部を改正する法律案(後藤
 茂君外八名提出、第百一回国会衆法第四三号)
 の撤回許可に関する件
 通商産業の基本施策に関する件
 経済の計画及び総合調整に関する件
 私的独占の禁止及び公正取引に関する件
     ――――◇―――――
#2
○粕谷委員長 これより会議を開きます。
 この際、法律案撤回についてお諮りいたします。
 第百一回国会、後藤茂君外八名提出、大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律の一部を改正する法律案について、後藤茂君外八名の提出者全員から撤回の申し出があります。
 これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○粕谷委員長 御異議なしと認めます。よって、撤回を許可することに決しました。
     ――――◇―――――
#4
○粕谷委員長 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
#5
○和田(貞)委員 前の委員会で我が党の上坂委員が質問をいたしました中で、金現物まがいの取引で消費者の皆さんに非常に被害を与えております豊田商事の中で、ゴルフの会員権の問題にまで広げていっておるわけでございますが、上坂委員も指摘をいたしましたように、腰の曲がった、ゴルフもわからない、もちろんプレーもできない、そういうようなお年寄りに会員権を売りつける、そういうこともまことにけしからぬ話でございます。しかし問題は、この会員権を取引の材料に使っておるわけでございますが、株式会社豊田ゴルフという、その会社は確かに現存しておるわけでございますけれども、この豊田ゴルフの経営しているゴルフ場というのは一体あるのかないのか、その点どのように把握されておりますか。
#6
○矢橋政府委員 豊田ゴルフクラブの広告におきまして現在、豊田ゴルフクラブのゴルフ会員権によりまして会員としてのプレーが可能であるとされておりますゴルフ場は九つございます。
#7
○和田(貞)委員 確かに同クラブの、全国にもつのゴルフ場があるということになっておるわけでございますが、この中で現実の問題としてプレーが完全にできるゴルフ場というのは幾つですか。
#8
○矢橋政府委員 その点につきましていろいろなうわさが言われております。そこで私ども、昨晩でございますが、担当課の方からそれぞれ九つのゴルフ場につきまして直接電話で問い合わせをいたしました。その結果でございますけれども、そのコースにおいてプレーが可能と答えたところが六コースございました。不可能であると答えたところが二コースございました。それから連絡がつきません、連絡不能なところが一コースございました。なお、その一コースにつきまして村役場に状況を聞いたわけでございますが、現在再造成中ということでございまして、どうも今はそこのゴルフ場ではプレーができないようでございます。
 聞いた内容でございますが、そのゴルフ場で豊田ゴルフクラブのゴルフ会員権により会員としてプレーができるかできないかということを問い合わせをしたわけでございます。これはとりあえずの電話での連絡でございますので、一〇〇%正確かどうかという点については、正直申しまして若干自信のないところもございます。必要に応じてさらに確実な状況を把握したい、かように考えております。
#9
○和田(貞)委員 電話で連絡というのは実証性が少ないのであります。ゴルフ場の「ゴルフガイドブック」というのがございますが、このゴルフ場のガイドブックに掲載されておる、今御答弁がございました九つのゴルフ場の中で、旭川白樺と富士御殿場、この二カ所だけなんですね。今の御答弁の中では、プレーができるコースが六コースということを言われましたけれども、この二カ所以外の四カ所についてもこれはプレーが確実にできるという実証はあるのですか。
#10
○矢橋政府委員 先ほども申し上げましたように、ゆうべ急いで電話で問い合わせたというわけでございます。
    〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
そこでの答えをそのまま申し上げているわけでございますが、今お尋ねでございますので、具体的に申し上げます。
 豊田ゴルフクラブの会員権により会員としてのプレーが可能であると答えたコース、六コースございます。旭川白樺コース、旭川ひばりケ丘コース、札幌栗山コース、洞爺湖レイクサイドコース、岡山湯の郷コース、福岡イーグルコース。次に不可能であると答えたコース、二コース、ニセコ蘭越コース、仙台グリーンコース。連絡不能であったコース、一コース、山形蔵王コース。なお村役場に問い合わせましたところ、ブルドーザー等を入れて現在再造成を行っている模様との連絡を受けております。
 以上でございます。
#11
○和田(貞)委員 今電話で連絡をしてそして確認をされた中でも、プレーが不可能なコースの会員権を取引材料に使う、あるいは今造成中であるという、全くプレーがまだできておらないというようなゴルフ場もある。そういうようなものを対象にいたしまして、申し上げましたように、全くプレーが不可能な腰の曲がったじいさん、ばあさん、あるいは寝たきりの年寄りを対象に売りつけるというのはまことに言語道断であると同時に、それ以上にゴルフが、プレーできないようなゴルフ場の会員を押しつけるということは全く詐欺同然である。
 今御答弁いただきましたように、昨晩電話で確認をされたわけでございますが、これをさらに実態を把握していただきまして、こういう詐欺まがいの商行為というものを、この面からも厳に食いとめるということにぜひともひとつ通産省努力をしてもらいたい、こういうように思うわけでございますが、この点についてひとつ大臣の方からお答え願いたいと思います。
#12
○矢橋政府委員 さらに事実の確認に努力をいたしまして、その結果に基づきまして必要な努力をしたいと思っております。
#13
○村田国務大臣 ただいま政府委員から御答弁申し上げたとおりでございますが、事実をさらに確認いたしまして必要な努力をいたしたいと思います。
#14
○和田(貞)委員 経企庁の方にお答えいただきたいと思いますが、今、豊田商事の問題について被害者が極めてたくさん出てまいりまして、事件にまで広がっていっておるわけであります。極めて行政側が遅きに失した、こういうように思うわけでございますが、これについてひとつ十分被害者救済の意味で経企庁の方も努力してもらいたいと思います。
 さらに、都市銀行を中心とした銀行取引について、今まで消費者の皆さんから被害やあるいは苦情というものを聞いておるかおらないか、その把握しておる実態についてひとつお答え願いたいと思います。
#15
○横溝政府委員 お答え申し上げます。
 経済企画庁で所管しております国民生活センターに寄せられました銀行業にかかわる相談件数でございますが、昭和五十七年度十二件、五十八年度九件、五十九年度十三件ということでございまして、ほかの案件に比べれば数はそう多くございませんけれども、今申し上げたような数の相談が参っております。
#16
○和田(貞)委員 その重立った被害、苦情状況というのを、内容を簡単にひとつお知らせ願いたいと思います。
#17
○横溝政府委員 例えば、銀行から融資を受けまして二十年間で返済するというようなケースの場合に、その返済のボーナス月が、借りてから最初のボーナス月を含めるか半年先かで返済金額が大分変わってくる、この返済金額の変わり方が妥当かどうかというような相談とか、あるいは、ある金融機関で、第二土曜日が休みになっているわけでありますけれども、送金指定日が第二土曜日にぶつかって入金がおくれた場合に、延滞損害金を請求するけれどもそれは納得できないとか、そういうような案件のようでございます。
#18
○和田(貞)委員 銀行の方も御多分に漏れずこれからもなお進んでまいると思いますけれども、いわゆるコンピューター化、機械化が進むことによりまして、銀行の内部におけるミス等も含めて消費者に苦情が出てくるということがこれからも生じてくることであろうと思うのであります。
 ここで一例を取り上げますと、住友銀行鳳支店といいまして、大阪にある、ここに、女の方でございますが、四十九年の十二月十四日に二十万円の定期をされておる。そこで、家を新築されまして住宅ローンを組んでおりましたので、その住宅ローンの一括返済のために、この二十万円の定期預金を含めまして七つの定期預金の解約をして、そしてローンの一括払いをしよう、こういうことで銀行の窓口に行った。ところが、六つまでの定期預金の解約ができたわけでございますが、この二十万円の定期預金が、本人はもちろんその通帳を持っておるわけでございますけれども、その名義の定期の口座がない、こう言うのであります。
 そこでやむなくこの一つの定期の解約はできないで、手続はしたものの、あとの六つの解約をしてローンの振り当てをした。翌日この銀行の方から参りまして、御本人に対しまして、全く銀行のミスであった、これは、五十一年の十二月十四日に電算機をこの支店にも導入したために、それが間違って他人の名義になっておったんだと。四十九年の十二月十四日に定期を契約をして、そして五十五年の一月二十九日まで他人の名義になっておった、こういう問題が起きておるわけであります。銀行側としては、平身低頭、銀行の全くのミスであったということで、預金者に対しまして謝罪をしておるわけです。ここで一件落着しておったと思っておった。まあまあミスもあるんだろうということで、書きかえて新しい証書をもらっておるわけですから、これで本人は安心しておった。
 ところが、ことしになりまして、今度は、子供さんが入学の時期になりましたので、その入学の費用が必要であるというので、再び、ミスによって再発行されました新しい証書を持って銀行の窓口に行った。そうすると銀行いわく、これはもう既に五十五年の三月二十七日に古い通帳によって引き出されておる、こういうように言うわけです。では引き出されておるか引き出されておらないかということは、その時期はちょうど、その銀行は三月二十七日に本人が古い通帳で出したと言うのですが、翌日の三月二十八日には百万円を新しくまた定期で預託をしておるのです。百万円の預託をする時期に、一つは、不思議なことには二十万円の定期を解約するというようなことがあり得るかどうかということなんです。
 もう一つ、古い定期が解約されておるというのですが、本人は銀行のミスによって新しい証書をもらっておる。冒頭申し上げましたように、七口の定期の解約をするときに、これは銀行の窓口で解約手続として、それぞれの定期の証書の裏に全部判を押しておるわけですね。そのときに押した判なんです。ところが銀行いわく、古い定期預金の裏にちゃんと判が押されている。もう銀行がミスだということが確認をされた、そのときに押した判なんです。それで、支払っておるということでなかなか言うことを聞かない、こういうことで、消費者の方が私の方に訴えてこられたわけでございます。
 私は、この具体的な内容につきまして大蔵の方にも言っておるわけですが、大蔵省、この内容について調べてもらったのですか、お答え願いたいと思います。
#19
○松野説明員 今御指摘の案件につきまして銀行の方にいろいろ事情を聞いているところでございますが、確かに御指摘のように、銀行の方に幾つかの極めて初歩的な事務上のミスがあったようでございます。預金者の方と銀行の方で十分よく話し合いをするように我々は銀行の方に現在指導しておりますし、そのような事務処理のミスをするということ自体が金融機関にとって我々としても非常に遺憾なことであるというふうに考えておりまして、もちろん、この案件につきまして十分預金者の理解を得るということも必要でございますが、このような初歩的な事務処理のミスをしないように今後とも十分指導してまいりたいと思っております。
#20
○和田(貞)委員 時間の関係がありますので、まだ例があるのですが、もう一つの銀行のことについては申しません。
 私の方に今来ておるものを見てみましても、これは、一つは機械化が進んでいく中で全くの銀行内部のミスであります。それが消費者が何かをやったときに初めてわかったということになるのですが、先ほど申し上げましたようなこと、これがもっとずっと時間をかけていくに従って、他人名義になったものが、それを引き出して使っておったということにもなりかねないわけなんです。
 また、銀行というのはやはり社会的な信用というのが非常に必要であるわけですから、これはひとつ厳に当該銀行に行政指導をしてもらいたい。他人名義になっておって本人の名義に変えたというところの解決はしておりますけれども、二十万円を払った、払っておらないという問題はまだ解決しておらないのです。そういうミスをするような銀行ですから、自分のミスを預託者に押しつけるというようなことがあってはこれはまことにけしからぬ話でございます。これはサラ金どころの騒ぎじゃない、天下の住友銀行、こういうような威信にかけても、ぜひともひとつこの問題の早期解決のために大蔵省としても努力をしてもらいたいということを、この機会に申し添えておきたいと思います。
 また、通産省の方にもお願いをしておきますが、機械化が進むに従って、銀行だけではなくて、消費者と販売店との間、あるいは企業との間にこういう問題が起こりかねないわけであります。機械化が進むに当たりまして、やはりぜひとも消費者被害が出てこないような配慮もその中に組み入れた方策というものを考えてもらいたいことをつけ加えておきたいと思います。
 それでは、この前の委員会におきまして質問した、いわゆる官公需の中小企業への枠拡大という点について、再質問をしたいと思います。
 前の委員会におきまして種々御質問させていただいたわけでございますが、大蔵当局との関係、自治省との関係、建設省との関係、これがまだ煮詰めておらない問題がございますので、ひとつお答え願いたいと思います。
 まず大蔵省関係であります。この前も申し上げたわけでございますが、事業協同組合に対する随意契約の活用について工事、役務まで通産の方は拡大する、すなわち、当初物件のみの組合でございましたが、四十五年には役務を追加し、四十八年には建設にまで範囲を拡大されたわけでございますが、この前大蔵省は工事、役務にまで拡大することについて極めて消極的にならざるを得ないという答弁でございました。片方通産の方は、できるだけ小規模企業の皆さんに対する官公需の枠を拡大しようということで政策を立てておられるわけでございますが、これがどういたしましても、いわゆる大蔵省の方の態度というものがこれに挫折をされておる、それがために建設関係の方にも及ばないというようなことになっておるわけであります。この前も通産の方からお答えがございましたように、建設関係の組合が今の適格組合の中に占める割合が約六割、役務の組合が約二割、合わせて八割を占めておるわけであります。したがいまして、どうしても予決令の改正がなされぬ限りにおきましては、適格組合がいわゆる随契によってこれを受注することができない、こういうことになっておるわけでございますが、もう一度大蔵の方から予決令の改正を含めてお答え願いたいと思います。
    〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
#21
○兵藤説明員 重ねてのお尋ねでございますけれども、閣議決定で、五十九年度国の契約方針におきまして、中小企業者の受注機会の増大のため講ずべき諸種の措置を掲げておりますが、そのうち国の契約方式に係るものといたしまして、御指摘の事業協同組合につきましては、法令の規定に基づく随意契約制度の活用等によりまして組合等に対する受注機会の増大を図るといたしております。
 そのほか、指名競争を行うに当たりましては極力同一資格等級区分内の者による競争を確保するなどして、中小企業者の受注機会の増大を図るといたしております。また、一般競争の場合についてもこれと同様の配慮を払うといたしまして、さらに、少額の契約案件であって随契を行う場合には、中小企業者の受注機会の増大を図るように努めるといたしております。
 このような措置はあくまでも現行法令を前提といたしまして制度の活用を図るとされているものでございまして、御指摘の事業協同組合等についての随意契約につきましても、法令の規定に基づく随意契約制度の活用とされているわけでございます。現行法令上の制度の運用の問題として位置づけられているものと考えております。
 先般も中小企業庁長官の方から御答弁がございましたように、官公需適格組合制度の変遷拡充は、四十二年に組合をつくりまして、四十五年に役務、四十八年に建設業というふうに拡大してまいったことは御答弁されたとおりでございますけれども、今のような法令の規定に基づく随契の活用といった閣議決定の契約方針の文言になりましたのも四十八年からでございます。四十八年からこういう文言が入って今日まで参っておるわけでございまして、現行法令をできるだけ活用して中小企業者の受注機会の増大を図っていくということで、各省庁契約担当官が努力をしてまいっておるわけでございます。
 先般も御説明申し上げましたところでございますけれども、国の契約方式につきましては、公正性それから経済性の確保をするという観点から広く競争を行いまして、国にとって最も経済的に有利な相手方を選定していく一般競争方式を基本といたしております。全く競争が行われない随意契約方式は一番例外性の強いところに位置しておりますので、特定の場合に限って認められておるものでございます。
 御指摘の予決令九十九条十八号は、同じ規定の十六号の農協等と分離して、号が分かれて設定されたわけでございますが、物件の買い入れを行う場合といたしておりまして、その均衡を考慮して置かれておるわけでございます。十八号の対象を拡大いたしまして例外性の強い随契を広げることにつきましては、先般も御説明申し上げましたとおり、九十九条の他の規定、それから国の契約する全体の均衡上の観点から問題があると考える次第でございます。
#22
○和田(貞)委員 今九十九条の十八号を言われたわけでございますけれども、九十九条の七号「工事又は製造の請負、」「その予定価格が百万円を超えないもの」というように改定されたのがたしか昭和四十九年、もう十一年たっておるのです。この間には物価が約二倍上がっておるわけでございますけれども――いや、間違えました。九十九条の七じゃなくて九十九条の二ですね。「予定価格が二百五十万円を超えない工事又は製造をさせる」場合、あるいは先ほど申し上げた七の場合も同じことですが、この二百五十万円、百万円という金額を改定したのは昭和四十九年ですから、物価が二倍、既に十一年も経過しているのです。そのこともなお含めて現行の法令内でというふうに言われるのか、改定するという考え方があるのか、再度お答え願います。
#23
○兵藤説明員 少額随契の問題でございますが、会計法二十九条の三の第五項を根拠にいたしまして、「契約に係る予定価格が少額である場合」等々、「政令の定めるところにより、」「随意契約によることができる。」これを根拠にいたしまして予決令九十九条で、御指摘の二号から七号までにわたりまして契約の種類別に、いわゆる随契にできる少額の範囲といいますか限度額が定められております。これは契約金額が少額でありますために、競争の手続等々契約事務の簡素化により得られる利点に着目して決めておるわけでございますが、その限度額は国の契約全般の実態なり先ほどの物価の動向等を検討の上だだいまの姿になっておるわけでございます。したがいまして、御指摘の九十九条の二号を改定するということになります場合におきましては、均衡上当然他の三号から七号も改定する必要が、つながっておりますし出てまいります。さらに。随意契約ばかりではなくて、予決令の九十四条に指名競争にできる金額についても随契と横並びでつり合いをとって定められておりますので、これらにつきましても見直す必要が出てまいります。いずれにしましても、これらの金額の改定ということになりますと、すべてその金額以下の契約につきまして随意契約の対象が広がるということになります。中小企業以外にもすべての契約に及びますので、その影響するところは大きいわけでございますが、実は現在におきましても随意契約に係るものが非常に多いという批判を受けております。これを今拡大することは適当ではないというふうに考えておりまして、この範囲内でなるべく配慮を加えていくという考え方でいかざるを得ないと思います。
 若干説明が長くなって恐縮でございますけれども、第二臨調でも国の契約制度の基本的な考え方について随分御議論がございまして、公共契約の改善につきましては、随契については特別な技術や、あるいは競争ができない、そういう場合に極力限定していくべきで、その他についてはなるべく一般競争契約に移行していく、可能な範囲で一般競争契約がやりやすいように考えていく、そういう方向で競争していけというような指摘がございますし、総務庁のかつて行いました行政事務運営の公正確保に係る体制と手続の調査結果報告におきましても、公正性、経済性の確保の観点から一般競争契約による契約方針の拡大を検討する必要があるという指摘をいただいております。
 さらに、ただいまの環境といたしまして、我が国の政府調達が米国やEC等諸外国から随契が多過ぎる、競争が少ないという批判があるところでございます。政府といたしまして、現在対外経済摩擦の打開を図るためにアクションプログラムの作成を鋭意検討中でございますけれども、その策定の成否並びにその実効いかんが国際的信用にかかってまいるような状況にあるわけでございまして、そのアクションプログラムの策定におきましても、政府調達についてはむしろ逆に随契の縮小を図る方向で見直さざるを得ないということでございます。したがいまして、ただいまそういう環境下にあることもあり、随契の対象の拡大は適当ではないと言わざるを得ないものと考えている次第でございます。
#24
○和田(貞)委員 大蔵省、そんなことを言っておったら官公需法というのは要らぬじゃないですか。大蔵省、ちょっと待ってください。官公需法というのは、御案内のとおり中小企業者の受注量をふやすために官公需法という法律ができておるのでしょう。しかも小規模企業は大企業と競争入札によってはなかなか受注できない。だから小規模企業は集まりなさい、協同組合あるいは商工組合をつくりなさい、そしてそれを一定の基準の中で審査をして、適格組合というのを通産省が指導してつくらせて証明を出している。これを閣議で決めて、できるだけ中小企業に国等の事業をひとつ出してやってほしいということで、各省庁に通達しておる。それを大蔵省がそんなことを言っておったら、これは閣議決定違反じゃないですか。
 今の金額にいたしましても、二百五十万円というものは十一年前に決めた。物価が二倍になっておるのですよ。建設省、一体「国等の」というこの文字どおり、国が直接に二百五十万円の随意契約をするような工事量がありますか。
#25
○近藤説明員 二百五十万円以下の発注工事量、具体的にはちょっととらえておりませんけれども、維持工事関係を中心にして相当程度あるというふうに考えております。
#26
○和田(貞)委員 相当程度、ようそんなことを言うな。相当程度あったら、それを全部出せよ、一つも発注しておらぬじゃないか。
#27
○近藤説明員 具体的な数字はちょっとつかんでおりませんけれども、相当程度といいますのは、維持工事関係の中では比較的あるんではないかというふうに考えております。トータルの件数の中では、非常に数は少ないというふうに思っております。
#28
○和田(貞)委員 相当数あるということであれば、これは全部随意契約できるんだから。一件ももらっておらぬじゃないか。一件も発注しておらぬじゃないか。適格組合は一件も受注しておらぬじゃないか。あるにもかかわらず、何で出さぬのだということになるよ。
 はっきり言えば、これは現実にないんだ。きょうび二百五十万円で何ができるか。そういうような現実に沿わぬような金額になっておるんだから、私は一億も二億も随意契約させいということをどこに言っておる。少なくとも二百五十万円というような金額は今の時点でそぐわないから、実態に合うように変える必要があるんじゃないかと言っておるのに、一般的な臨調を引っ張り出してきて閣議決定に違反をするような、そういう内容の答弁は全く容認できない、大蔵省。
#29
○兵藤説明員 先ほども御説明申し上げましたとおり、閣議決定は、法令の規定に基づく契約制度を活用するなどということの文言で入れられておりまして、四十八年以来、そういうことでやってまいっております。
 それで、実際の官公需適格組合受注実績の状況を見ましても、物件よりは工事、役務の方が受注実績の件数も多いわけでございます。
 現行法令の範囲内でやっていただくということでございますが、「官公需契約の手引」中小企業庁作成の解説によりますと、次のようなことが書かれております。もとより、予算の執行は適正かつ効率的なものを求められるものであり、良質、廉価のものを購入する原則を揺るがすものではありません。随意契約の特例措置により契約する場合においても、これを逸脱できるものではありません。発注に際して、いかなる契約の方式によるかは、会計法令の許容内で検討し、随意契約による場合が、国にとって有利、かつ、中小企業者等の組合等を活用できるときは、これを積極的に活用することで受注機会の増大を図ろうとするものです。と記述されております。
 現行法令を前提とし、その範囲内で適切に対応していく、各省庁の契約担当官もそういうことで、御指摘の官公需適格組合の随契にできるだけ努力しまして、契約件数を上げているというふうに理解をしておるわけでございます。
#30
○和田(貞)委員 あなたの言うことは、この閣議決定事項の中のどこを見ても出てこぬわ。これはひとつ、そういうふうなことを言っておっても時間がなくなるわけでございますので、ぜひとも中小企業庁と相談をして、実態に沿うようなこの金額の改定等を含めて、あるいは通産の方が物件から役務、建設まで証明を出しておるんだから、その証明を出して、できるだけ中小企業に仕事をやってくれ、あるいは少額については適格組合という証明を持ったところに随契で仕事を与えてやってくれ、こういうように閣議決定に基づいて通達も出ているのに、大蔵省がそんな石部金吉的な頭じゃどうにもこうにもならぬ。あなたのような考え方では、大蔵省がこの通産の適格組合の育成あるいは中小企業に官公需の量をふやしていくということについて阻害をしておる、閣議決定に反しておるというように言わざるを得ないわけでございます。
 もちろん今言われておるように、これは官公需法でも三条で「予算の適正な使用に留意しつつ、」ということはちゃんと入っておる。私はそのことを無視せいということを言わない。予算の適正な使用に留意しつつも、なお小規模企業の皆さん方に官公需の受注が受けられるようにというのがこの適格組合の性格なんです。だから通産と十分打ち合わせをしながら、この予決令の改正をするように強く求めておきたいと思うのであります。
 自治省の方は、これまたこの間の答弁は、まことに人ごとのような極めて不誠意な答弁であります。官公需については政策官庁の中小企業庁がやるべきことで、自治省は何も考えておらぬ、これもまたけしからぬ話でございまして、これもちゃんと閣議決定で「国は、地方公共団体に対し、国等の方針を参考として中小企業者の受注機会の増大のための措置を講ずるよう要請する。」こういうように閣議で決めておる。
 それに基づいて中小企業庁が、各都道府県知事あてに通達を出しておる。その通達の中におきましても、わざわざ(注1)(注2)を掲げておるのです。(注1)としては「地方自治法施行令第百六十七条の二第一項第二号における「その他の契約でその性質又は目的が競争入札に適しないものをするとき」には、国の予算決算及び会計令第九十九条第十八号に規定される事業協同組合等に対する随意契約が含まれると解することとなっている。従って、地方公共団体が事業協同組合等から直接に物件を買い入れるときには、金額の制限なく随意契約によることが可能である。
 (往2)ここでいう「事業協同組合等」とは、事業協同組合、事業協同小組合若しくは協同組合連合会又は商工組合若しくは商工組合連合会である。」ということが付記されて、その中で通産省が適格組合としての証明を出しておるわけであります。
 自治省は、これは通産省の仕事であり、中小企業庁のやっていることであって、おれのところはあずかり知らぬというようなことは許せない。こういうことを知った上で、この間の委員会における答弁になったのかどうか、もう一度お答え願いたい。
#31
○柳説明員 ただいま先生が御指摘になりましたことは、私どもも承知いたしております。
 中小企業の保護、育成という観点で、地方自治法の施行令の随意契約の項目の中で読めるかどうか、そういう観点で私どもも検討いたしておりまして、それにつきましては、契約の基本でございます公正かつ良質で廉価なものを購入する、そういう基本を見ながら、そういう観点で政令の該当部分が読めるというふうに考えておりまして、その点については別に私どもが努力してないということではないのでございますけれども、先般申し上げましたのは、この中小企業関係の事業協同組合の保護あるいは育成という観点でできました閣議決定、またそれに基づく地方公共団体への要請については、ただいま先生御指摘のとおり中小企業庁の方から既に地方公共団体の方に要請が行っております。その要請がございますものですから、そういうことで、私どもとしてはそういう仕組みについては検討いたしておりますけれども、その要請をさらに再度私どもとして地方公共団体の方に伝えるという必要はないのではないかというふうに考えて御返答いたしたわけでございます。
#32
○和田(貞)委員 自治体が、私の知っている範囲で一、二の県では、これは建設関係の発注に当たって、こういう適格組合について優先して発注するというようなことは自治体には適用しない、こういうように言っている県があるのですよ。そういうような実態が一つにあり、しかも中小企業庁の方から確かに都道府県知事の方には通達は来ておるけれども、やはり自治体としては自治省の方から通達が欲しいのだ、こういうように我々が行けば言っておる。
 この二つの面からいっても、自治省はこれは通達を出す必要がないということを言わないで、できるならば通産省と自治省が共同通達を出す。あるいは特に適格組合や事業協同組合の自治体にかけておる期待というものは非常に大きい。特に建設関係、先ほど建設省の方から言われましたように、これは相当数、二百五十万以下の随意契約に値するようなものがあると言うけれども、あるのは自治体にあるわけです。国等が直接に発注するような工事の金額には少ない。自治体にあるのだから、この適格組合の皆さん方も自治体に期待をかけておる。
 そうすると、自治体の任務というものは、この官公需の法律によって、官公需をふやしていくということに非常に重要な役割を自治体としては果たしてもらわなくてはならないわけでございますから、先ほどの大蔵省のような、そういう態度に自治省はなるのじゃなくて、ひとつ中小企業庁と相談をしてもらって、できるならばもう一度再通達を自治体に対して出すというようなことを検討してもらいたいと思うのですが、どうですか。
#33
○柳説明員 先ほど申し上げましたように、自治省は地方自治法関係ということで関係をいたしておるわけでございます。あくまでも中小企業の保護育成ということにつきましては、所管官庁であります通産省において御指導いただくというのがよろしいのではないかと思いますが、ただいま先生の御指摘のような点につきましては、私どもの方に照会がありますれば、それは当然自治法の解釈の問題でございますので回答をするつもりでございますし、また、これまでも回答いたしてきておるわけでございます。
#34
○和田(貞)委員 時間がありませんので、建設省、先ほど言われた認識というものを持っておられるわけで、これはできるだけ二百五十万以下の随契約に――現行の予決令によっても随意契約できるのが相当数あるということです。しかし、相当数あるにもかかわらず、いまだに一件も受注をしておらないのです。だから、どんどん出してもらいたいと思います。
 なお、私は、この建設省のいわゆる指名競争入札の資格を得る条件、あるいは具体に発注するあなた方の方からいかに適格組合だという証明を受けても、これを発注する側としては仕事にランクがあるということも百も承知の上で私は言っておるのです。したがって、確かに、今の証明を出しておる事業協同組合が即、そのままこの指名競争入札に参加をする対象として一〇〇%そのことが受け入れられるか受け入れられないかということもあろうと思いますし、あるいはこの発注に当たってランクというのがあるわけでございます。それにいたしましても、この事業協同組合に係る総合点数の算定方法等に関する特例要領というのをわざわざあなたの方がつくられて、個々の業者よりも点数が上がるように努力もしてもらっておることであるわけです。
 そういうようなことを含めまして、さらに、あなた方の方だけじゃなくて、これまた先ほど申し上げたように、自治体には極めて工事額の少ない、随意契約ができるような仕事が、末端におりればおりるほど多いわけでございますので、これまた自治省に言ったと同じように、建設省としても自治省を通して自治体にそのようなことが徹底できるように努力をしてもらいたいと思うわけでございます。
 最後に、時間がないわけでございますので、せっかく通産大臣おられるわけでございますが、大蔵省がああいうかたいことを言っておったら、これは仕事にならぬですよ。もう一度、ことしの閣議で同じようなことが決定されると思うわけでございますが、この予決令の改正を含め、さらに、この適格組合が十分に行政指導されておるわけでございますので、その効果をもたらすように、官公需の発注に当たって小さな事業者が適格組合を通して受注できるような手当てを通産大臣としてできるだけ責任を持って考えてもらいたいと思います。
 さらにつけ加えて言うならば、これはきょうは時間がありませんので申し上げることができませんが、中小企業の今の基本法自体を、小規模企業基本法というような精神を持った法律をつくっていくということも必要であろうと思いますが、そのようなことを含めて、これからもなお適格組合の育成のために、通産大臣として最後にひとつ、決意を込めて御答弁をいただきたいと思います。
#35
○村田国務大臣 通産省といたしましては、中小企業者の官公需受注機会を増大させるために、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律に基づいて各般の措置を講じてきたところでございます。
 中小企業が単独では受注の困難な場合には組合による共同受注が可能となるよう、同法は、国等が中小企業者の受注機会の増大を図る際には組合の活用に配慮すべきことを定めております。
 官公需適格組合制度は、この規定の趣旨を踏まえて昭和四十二年に創設されたものでございまして、以来組合数も逐年増加してきているところでございますが、今後ともこの制度の周知徹底を図るとともに、必要に応じ、その改善を図っていくことにより、適格組合が活用されるよう努める所存でございまして、和田委員が先ほど来御指摘になっておられます気持ちはよくわかりますので、中小企業者の受注機会を増大させますようにいろいろな機会を通じて検討をし、努力をすることを申し上げます。
#36
○和田(貞)委員 終わります。
#37
○粕谷委員長 以上をもちまして和田貞夫君の質疑は終わりました。
 引き続いて、横江金夫君の質疑に入ります。横江君。
#38
○横江委員 金の現物まがい商法、豊田商事の被害者は全国的に広がっており、その救済を求めて全国の消費者センターや法律相談所へ殺到していると今言われているわけであります。
 名古屋弁護士会は、前々から名古屋先物取引被害研究会を設けておりまして、この研究会が豊田商事の被害の多いことに驚き、昭和五十八年一月から昭和六十年三月までに弁護士が関与した全国の豊田商事被害者の実態調査を実施いたしました。この集計がまとまりましたのがここ少し前でございまして、それをこれから指摘をして御答弁を賜ってまいりたいと考えるわけであります。
 今申し上げましたように、その調査対象は五十八年一月から六十年三月までの弁護士が関与したものでありまして、都道府県の県別の回答数は青森、宮城、富山、東京、愛知、大阪等、すべて、来てないところもありますが、来てないというのは被害がまだ埋もれておって来ていないところでありまして、実際に三百二十一件の係争、そして弁護士が関与した数字が全国的に出てきているわけであります。そして、その被害者の性別、年齢別の被害状況の数を見てまいりますと、二十代が男が三人、女が十三人、三十代が男が四人、女が二十二人、四十代が男が六人、女が十二人、五十代が男が一人、女が二十八人、六十代が男が二十九人、女が五十四人、七十代が男が二十八人、女が七十三人、八十代が男が十一人、女が十八人、そして九十代が男が二人、トータルでまいりますと、三百十八人のうちの二百十三人が実は六十代から七十代、八十代の皆さん方の被害状況であるわけであります。
 この二百十三人の六十歳以上の皆さん方の中で独居老人と老人世帯の数を見てまいりますと、独居老人は男二十九人、女九十二人、老人世帯は男二十二人、女十四人、トータルで百五十七人、全体からまいりまして約五割近い数字が実は老人であるわけであります。この百五十七人の被害者の分析をまたされておりますので、これまた私は指摘をしてまいりたいと思いますが、六十歳以上の独居老人及び老人世帯のケースの内容の分析でありますけれども、今申し上げましたように、独居老人、老人世帯含めて百五十七人、約四九・四%、この皆さん方の実際の被害額というのは、三百万円未満が四十八人、三百万円以上五百万円までが二十三人、五百万から一千万が四十人、一千万から二千万が二十八人、二千万から三千万が三人、三千万以上が二人、こういう額の被害を実は受けてみえるわけであります。
 そして、この百五十七人のうちの、まさに私は驚くべきことだと思いますが、被害者の判断力に影響を及ぼすと考えられる老人の障害例が出ておりまして、百五十七人のうち十六人が老人性痴呆症なんです。また、判断力の低下をしている人が九人、精神分裂症の人が一人入っているのです。うつ病の人が一人、目の見えない視力障害の方が一人、聴力障害の方が一人、その他の身体障害が一人、脳梗塞一人、脳卒中二人。百五十七人の独居老人、老人世帯のうちの四十人がまさにこのような障害者で、しかも自分の判断ができない人が実は被害にかかっているわけであります。
 今、社会全体では二五%が老人世帯だと言われます。この老人世帯、その老人を相手にする商売、シルバーマーケットが今この豊田商事だ。収奪をしている、老人を相手にして収奪をしているというのがこのありありとした実態でわかると私は思うのです。
 その中で、時間がございませんから一つだけ、老人性痴呆症、これは名古屋市南区の関係の人でございますが、事例を申し上げてまいりたいと思います。
 この方は七十歳だそうでございますが、仏壇職人でございまして、三年前に奥さんを亡くしました。奥さんが亡くなりましてからぼけ始めて、そのぼけ始めたところをねらって電話で確認をして、そして余りはっきりしない、管理能力がないという点を確認した上で、そこをねらって豊田商事の女を含めて三人ぐらいで入れかわり立ちかわりして、そして結果的に一千七百万円取っていってしまったのです。一千七百万円取り上げた上で、しかし、すかんぴんにしてしまったらその方は食うわけにいきませんから百万円は残しているのです、百万円残して、この方は老齢年金をもらっていますが、通帳を見ても老齢年金が幾ら入っているか、生活費が幾ら出ていっているか、百万円から出ていっていることもわからない。記憶がとぎれとぎれなんです。
 こういうような、実際まさに自分で判断できないような人を相手にして契約している。この実態について、名古屋弁護士会が努力されてつくったこの統計調査について、今申し上げました事実について大臣はどのような感想をお持ちなのか、まず、私が今読み上げましたこの点についてひとつお聞かせいただきたいと思うのです。
    〔委員長退席、浦野委員長代理着席〕
#39
○村田国務大臣 横江委員にお答え申し上げます。
 豊田商事の金現物まがい商法その他いみいろな商法につきまして、いろいろ社会的な問題が発生をしておりますことは御承知のとおりでございまして、今御指摘になられました弁護士会のデータ等につきまして、それによって特にお年寄りであるとか、いろいろな方々が大変な迷惑を受けるというようなことになれば、非常に大きな社会的な問題であると私どもは承知をいたしております。
 したがいまして、消費者法という立場で言えば経済企画庁でございまして、金子大臣、御出席になっておられます。私の方は訪問販売法等関連でございますが、こういったいわゆる社会的に指摘をされるような事項が起こらないように、関係官庁とよく連絡をとりながら対応し得る全力を尽くしていきたい、このような認識を持っておるところでございます。
#40
○金子国務大臣 ただいま村田通産大臣からもお話がございましたように、これは大変な社会問題でございます。しかも、被害者の大半が七十歳以上だというような状況でございますので、先般も関係各省庁の対策会議を開きまして、早急に必要な手を打つような手配をいたしたばかりでございます。
 私どもの方といたしましては、国民生活センターを持ち、また各地に消費者センターがございますので、消費者センターに対して必要な予算の特配をいたしまして、今、消費者保護に、御相談をいろいろいただきながら必要な手を打つようなことをやっておりますし、また、私の方は消費者に対する呼びかけをやっておりますけれども、通産大臣に厚生省の方へもお話しいただきまして、厚生大臣の方からまた関係者を通じて老人保護に万全を期するような手配をしていただいている、こういう状況でございます。法の許します限りにおきまして必要な措置を講じたいと考えておることを申し上げておきたいと思います。
#41
○横江委員 私は、これはまさに氷山の一角にすぎないと思うのです。しかも、この三百二十一人という数字は全体の数字の〇・三%くらいじゃないかと言われている。一説には二十万人の被害者があると言われているのです。ほんの一例なんです。しかも、老人は、そんなことを言って自分が被害者だとなったら老後の生活大変でございますから、余りかかわっていきたくない。自分がそうだとなると、それこそお先真っ暗でございますから、いかないのです。いかなくてこれだけの数字があるということです。今、通産大臣そして長官から、鋭意しっかり努力するということでございますが、どれだけ努力をしていただいてもこれは多いことはない。
 そして、私はいま一つここで申し上げておきたいのは、ぜひ実態を把握していただきたいのです。実態把握というのはこの前の決算委員会とかいろいろなところで出ておりますが、実態の把握をしてこういう事実を、NHKは発表しました。しかし、通産省も、経済企画庁も、警察も、どこも発表していないのですよ。ただ聞いているだけなんです。この際数字をはっきりとまず示してもらいたい。なければないと言ってください。いつまでに発表するか。
#42
○矢橋政府委員 私ども通産省におきまして被害の実態を直接把握する窓口は、本省と各地方の通産局に設置をしておりますところの消費者相談室でございます。実はその相談室にも昭和五十九年度におきまして千三百七十八件の国内の金取引にかかわる相談が持ち込まれておるわけでございまして、一人平均四百万円の被害という状況になっております。ただこれは、窓口も少のうございますし、先生御指摘のように必ずしも全体をあらわしておるわけではないと思います、氷山の一角であると思っております。そこで、私どもといたしましては全貌を掌握するように最大の努力をするつもりでございます。
#43
○横江委員 時間もございませんので、このようなまさに強引な、しかも老人を相手にして血を抜くようなやり方をする豊田商事、この実質的な指導者というのはもうつかんでみえると思うのです。その指導者、実質的な責任者はどんな人なのか、どういう経歴の持ち主なのか、これをひとつ明確にしていただきたいと思うのです。
#44
○矢橋政府委員 会長は永野一男氏と承知しております。経歴につきましては詳しくは存じませんけれども、かつて商品取引の企業に勤めた経験があるということは承知しております。
#45
○横江委員 指導者の明確な経歴もつかめなくて全体を早急に掌握したいということでは、私はある意味では熱意と矛盾を感じます。
 いま一つ、新聞社のインタビューで、今お話がありました会長は、商売なんていうものには道徳は不要である、違法性がないのだから今回のこの商法はどんな指弾をされても手を引く気はない、なんということを言っているのです。老人や皆さん方が泣いてみえる中でこんな発言をされている。この思い上がった発言について直接の関係者の皆さん方はどう思われますか。
#46
○矢橋政府委員 あの発言につきましては私どもはなはだ遺憾でございます。
#47
○横江委員 被害者の皆さん方に言う答弁が、遺憾でございますだけでは済まないですよ。本人が違法性がないと言って突っぱねているのですよ。
 通産大臣に伺いますが、新規勧誘停止の指導を打ち出したわけでありますけれども、違法性がないなんて言っている、これについて果たして行政指導で勧誘停止ができますでしょうか。
#48
○村田国務大臣 この問題につきましては、今横江委員が御指摘されましたように、先般衆議院の決算委員会において、新規勧誘を停止させる、そういう勧告を行うことも含めて強い措置を検討しておるということをお答え申し上げました。そしてまた、金子経済企画庁長官もこの問題について非常に強い決意を有しておられるわけでございますし、法務省、厚生省等その他関係各省多いわけでございますが、関係省庁連絡会議もいたしております。実はきょう閣議後に金子長官とも二人で相談をいたしまして、非常に強い態度で臨もうではないかという決意を確認し合ったところでございまして、先ほど来横江委員の御質問になっておられる御趣旨もよくわかっておりますから、私は多くを述べませんが、強い決意で臨むという言葉によって今後の対応をいたしてまいりたいと思います。
#49
○横江委員 警察庁の方においでいただいていますが、私は、このような突っ張った発言をいつまでも許しておってはならないと思うのです。違法性がないから本人から事情を聞けないのかどうか知りませんけれども、もうそろそろ本人から事情聴取されてもいいんじゃないでしょうか。今非常にお忙しいことは、森永とかグリコの話は私はわかります。ある方が言いました。グリコ・森永は今最終段階に来ている、だからこれが片づいたらなんだという順番方式をとってみえるのだという話も伺っていますが、もうそろそろどうなんでしょう。これだけの被害者が出ていますから、いかがでしょうか。警察庁の方から御答弁を、一言で結構です。
#50
○清島説明員 グリコ・森永事件とは無関係に積極的に実態を把握し、違法行為があればすぐにでも緊急着手したいと考えております。
#51
○横江委員 彼は違法性がないと言っているのです。あなた、違法行為があればと言っていますね。まだそんな段階でしょうかね。
 この人の経歴書をいただきました。この人というのはグリコじゃありません、今の永野一男でございますけれども、昭和五十六年十一月十八日に宅建免許申請書を大阪府に出しております。虚偽の記載の可能性が非常に強いのです。まさに不良会社に当てはまるかもわかりません。悪徳商法の指導者であるかもしれませんが、私は愛知県出身でございますが、愛知大学という有名校がありまして、この愛知大学を昭和五十年三月に卒業をしたと言っているのです。全く事実無根なんです。全くうそなんです。あなた方このことも知らなくて全貌をつかむとか、彼は違法性がないと言っている、違法性があるならばすぐ着手する、そんななまぬるいことで、事実、出ているのですよ。虚偽の記載なんです。私が経歴を知っていますか、経歴を教えてくださいと言ったら、この事実があることが当然出てきていいんじゃないですか。そんな不熱意なことでこの豊田問題の解決をつける――今、大臣は非常な熱意をもって、そしてきょうは二人の大臣が決意をお互いに語り合った、し合ったという話でございますけれども、私は今の話からいきまして、この事実からいってもその熱意がない。老人は泣いているのですよ。この実態からいきまして、私はこの事実も含めて答弁をいただきたいと思うのです。経歴書ぐらい持っているでしょう。
#52
○矢橋政府委員 会社の発表しております永野一男氏の経歴書は持っております。
 それによりますと、昭和二十七年八月一日生まれ、昭和五十年三月に愛知大学経済学部を卒業、同四月家業を承継、これが豊田商店という貴金属店でございます。五十一年四月に同所に貴金属輸入販売店豊田商事を併設する、そして五十三年七月に豊田商事株式会社を設立、常務取締役に就任する、そして五十五年八月に同社の代表取締役に就任という経歴になっております。
#53
○横江委員 愛知大学のことはお調べになりましたか。
#54
○矢橋政府委員 調べておりません。
#55
○横江委員 私は時間がございませんから、法曹関係の皆さん方が、この種の悪徳商法については既存の刑法上の詐欺罪、背任罪にぴったりと当てはまる立証をすることが難しい、だから出資法の取り締まりが一番だというような話で、その見解が述べられているのです。また先ほど金子長官から御答弁がございましたが、六月十日のあの関係会議におきましても、出資法の関係等でという話が随分新聞では出ております。この出資法の関係等でこの事件について的確に取り調べができる、そのような法曹関係の皆さん方の意見についてはどうなんでしょうか。出資法の関係です。
    〔浦野委員長代理退席、委員長着席〕
#56
○北村説明員 御指摘の出資法の関連でお答え申し上げますと、出資法の第二条は、法律により預かり金をすることが認められている者以外の者が預かり金をすることを禁止しているわけでございます。この預かり金とは、預金と同様の経済的性質を有するものというふうにされているわけでございます。
 御指摘のような現物の裏づけのない金取引につきましては、預金と同様の経済的性質を有するものであるかどうか、会社の勧誘行為の実態及び資金拠出者の認識等につきまして慎重に判断する必要があるというふうに考えているわけでございます。
#57
○横江委員 しからばこの豊田商事の兄弟会社でございます豊田ゴルフクラブ、いわゆる鹿島商事、レジャー、先ほど先輩議員から御指摘がございましたが、ゴルフ会員権の売却、この詐欺まがいの商法、この場合、今二条の御説明がございましたが、出資法第八条一項二号に当たる脱法行為に当然私は当てはまるというふうに思うのです。レジャーの会員権、ゴルフ会員権の売却、その詐欺まがいな行為、脱法行為、私は当然この八条一項二号に該当すると思いますが、いかがですか。端的にお答えください。
#58
○北村説明員 八条の適用の解釈の問題と思いますが、この八条につきましては脱法行為を防止する規定ではございますけれども、あくまでも禁止決定の実質的範囲を超えて処罰の範囲を拡張するものではないというような意見もございますので、先ほど私がお答え申し上げました会社の勧誘行為の実態及び資金拠出者の認識等につきまして慎重に判断して対処しなければならないものであるというふうに理解しております。
#59
○横江委員 脱法行為を禁止する規定だということは今言われているとおりなんですよ。であるならば、先ほどの話ではありませんけれども、会員権にしてもゴルフ場も何にも使えないようなところ、また実際ゴルフの会員権を売却してそれを預かる、ここに書いてあるでしょう。「何らの名義をもってするを問わず、また、いかなる方法をもってするを問わず、第一条、第二条第一項」「の規定に係る禁止を免かれる行為をした者」ということで、これは明確じゃないですか。今の話だとちょっとあいまいなんですけれども、ここらあたりで明確にこれに基づいて、金の問題はまず別にしましても、レジャーとかあるいはその他のゴルフ会員権の詐欺まがいの行為についてこの法律をはっきりと適用して、そして今のこの問題の救済に当たるということは私は絶対必要だと思うのです。いかがでしょう。
#60
○北村説明員 私どもといたしましては、この八条が先生の御指摘になるような脱法行為を防止する規定であるということは確かに理解いたしますけれども、その第二条に言っております禁止規定の実質的範囲を超えて処罰の範囲を拡張するものではないというふうな議論もございますので、その点十分踏まえまして会社の勧誘行為の実態及び資金拠出者の認識等につきまして慎重に判断する必要があるのではなかろうかというふうに考えているわけでございます。
#61
○横江委員 慎重は結構ですが、いつまでも慎重ではだめだと思います。金子経済企画庁長官が地元の記者会見で、豊田商事のまがい商法について、お年寄りなど社会的弱者をねらった悪徳商法がまかり通るようなことでは政治は失格だ、そのとおりなんです。今後必要があるならば法改正を関係省庁に働きかけたい。今の話を聞いていますと、はっきりした答弁でないのじゃないですか。必要があるならば法の改正を関係省庁に働きかけたい、長官ははっきり言ってみえるのですよ。今の答弁を聞いていますと、はっきりした答弁でないのじゃないですか。ある意味では大衆投資家の皆さん方を救済するための詐欺防止法、新法を設置するか、あるいはあなたの言われるような法改正のその時期に今来ていると思うのです。政治の失格なんですよ。しかし、あいまいな答弁ばかりなんです。具体的な、事実こうするのだという一歩踏み込んだ答弁が一つもないのですよ。どうなんでしょう。法改正も含めて大臣に聞いています。私は長官の話を言っているのですよ。
#62
○金子国務大臣 今の御指摘、全く私もそう考えておるのでございまして、ただいまの段階におきましては、現行法の適用が率直にそのまま、端的にできるかどうか詰めている段階でございますし、また警察当局といたしましては、詐欺罪が具体的な各事例において適用ができるかという詰めをやっている段階とお考えいただきたいと思うのでありまして、それができないようならば必要な法改正はやもなければいくまい、いつまでもこんな状況を放置するわけにはいかないというかたい決意を私は持っております。
#63
○横江委員 ぜひお願いいたしたいと思います。
 私は、時間が来まして最後でございますが、このようなお年寄り、しかも非常に膨大な数です。この方々は独居老人とか老人世帯、何が頼りかというと金なんですね。その金を根こそぎ取られちゃっています。根こそぎ取られちゃっているそのことは今まだわからない人も多いのですが、最終的にこの会社が倒産するということも、今までの例からいけば私はあると思います。倒産をしたときに一番困るのは根こそぎ取られた老人の皆さん方だと私は思います。あすの生活も生きる力も暮らしも本当になくなっちゃうと思います。その意味からいきまして、今から緊急措置、その救済の手だてを考えていかなくてはいけないと思います。
 東京都は、生活保護の関係等も含めて、基準に合うか合わないか知りませんが、この人のための救済措置を考えたと伺っています。私はこの際、厚生省もお見えになりますが、ぜひ大臣として、最悪の場合、老人の皆さん方を自殺に追いやらないように、多いのは皆さんお年寄りばかりですから何か救済、緊急な措置をおとりになることを強く切望して、御答弁いただいて終わっておきたいと思います。
#64
○村田国務大臣 横江委員から先ほど来いわゆる悪徳商法の今出ておるケースについての非常に熱心な御質疑をいただきました。正義感から出発しておる、社会正義を実現しなければならぬ、またお年寄りのような非常に社会的にお困りになるケースというものを考えられて質問をされる趣旨は全く理解できるところでございます。
 いわゆる悪徳商法につきましては、金の現物まがい取引にいたしましても、あるいはゴルフの会員権にいたしましても、その態様も多種多様であることから、一律に悪徳商法とくくった上でこれを規制することがなかなか法的に困難であるという事情がございます。
 民主主義というのは、逆の立場から言えば自由人の人格を保障する、行動の自由を保障するということがあるわけでございまして、こういった社会的な悪徳と考えられるものに対して対応が遅いではないかという指摘はよくわかるのでありますが、しかし関係省庁、この問題についてはいろいろと協議をいたしております。
 先ほど来金子大臣からも申されましたように、必要とあらば法の改正も検討すべきであるという強い御意思を表明されたとおりでありまして、通産省としても、先ほど来多くは申しませんけれども、こういった現実的な対応については新規の加入を断念させる、いろいろなことを含めてのことを考えておるところでございまして、厚生省、法務省等々関係省庁と協議をしながら今後しっかりと対応してまいりたい、このように考えておるところであります。
#65
○横江委員 終わります。
#66
○粕谷委員長 以上をもちまして横江金夫君の質疑は終わりました。
 引き続いて、長田武士君の質疑に入ります。長田君。
#67
○長田委員 豊田商事の問題について、冒頭に警察当局にお尋ねをいたします。
 調査報告書が私の手元にございますけれども、これは帝国データバンクがある法律事務所に提出をいたしました報告書でございます。その内容を見てまいりますと、特に貸借対照表それから損益計算書、これによりますと、私は元銀行員でございますから、どうも不思議な数字が出てきますから、きょうは指摘をしたいと思います。
 まず第一番目に五十九年三月期決算であります。貸借対照表を見てまいりますと、これは五十九年三月期だから五十八年度会計ですね。棚卸資産は十六億八千九百九十万円、内訳といたしまして、棚卸し商品というのは十六億四千百十一万円、貯蔵品が四千八百八十二万円、こういう少ない金額であります。流動負債を見てまいりますと五百六十三億五千三百五十万円、内訳はゴールドファミリーの受入金五百二十億七千三百二十三万円、プラチナファミリーの受入額が十五億六千七百十三万円、その他と実はなっております。
 貸付金といたしまして固定資産の中に入っておりますのは百六十五億九千九百八十二万円、これの内訳は、マルチ商法などといろんな非難がありますベルギーダイヤモンド、これには貸し付けしておる。さらには、ゴルフ会員権ではございますけれども、鹿島商事等に貸付金が今申し上げましたとおり百六十五億円、それから什器備品、この固定資産でありますけれども五十一億七千四百五十万円あります。常識的には考えられない。
 そういうようなことで、損益計算表に目を移してみますと、売上総利益が百四十四億一千四百八十九万円、販売費及び一般管理費といたしまして百四十四億九千五百六十九万円、売上総利益よりも販売費及び一般管理費の方が多いのです。おもしろい会社ですね。さらに、これで差し引き営業損失は八千七十九万円という形になっております。それから営業外収益がございまして一億六千十万円、営業外費用といたしまして二千四百一万円、当期純利益金が五千五百二十九万円ということにこの決算ではなっておるようであります。
 ところが、この間五月二十二日でありますけれども、大阪地裁の刑事十三部におきまして検事の冒頭陳述がございました。そこで豊田商事は、五十八年度は欠損が三百七十四億円となっており、同年度までの累積欠損というのは四百十七億円に達しておる、このように指摘をされておるわけであります。
 そこで質問でありますけれども、このようないわゆる財務諸表をつくるということは完璧に粉飾決算の疑いが十分あると私は実は見ております。粉飾決算ということになりますれば商法違反で罰せられることは当然でございまして、そういうことで警察はもっとこの点をはっきりすれば事情聴取もできるし、態度が明確になるのじゃないでしょうか。
#68
○清島説明員 お尋ねの前提といたしまして、具体的に刑罰法令に触れるかどうか、これは個々具体的なケースに応じて判断すべきものと考えております。
#69
○長田委員 これは数字の上では相当具体的ですよ。これは余り具体的じゃないですか。もう一度。
#70
○清島説明員 数字はもちろんでありますが、その他いろいろな条件というものがございますので、それぞれ収集せられた具体的なケースといいますか、これに応じて判断すべきものと考えております。
#71
○長田委員 それでは具体的な数字を調査されて、捜査する決意ありますか。
#72
○清島説明員 御指摘の会社並びにその関連会社について実態を解明中ということでありますので、いろいろな場合を想定して実態をつかむことが必要であろうかと思いますので、そのつもりでやっていきたいと考えております。
#73
○長田委員 次は、大蔵省にお尋ねをいたします。
 豊田商事の商法は、金を売ったといっても実際に金は見せないのですね。金を買ってくださいという商法をやるのですけれども、金は見せない。ファミリー証券という預かり証、つまり紙切れ一枚しか置いていかないということであります。金は豊田商事がお客さんから借りるという形をとっているわけでありますけれども、借りたものであればその金の所有権というのはお客さんに留保されていなければいけないですね。この決算書等を見ますと資産なんか全然ない。金は持ってないということですよ。そうなりますと、これは実は賃貸借の形はとっておりますけれども、実態は預かり金です。そうなると出資法の第二条の違反になります。また、出資法第八条第一項第二号は、第二条に「係る禁止を免かれる行為をした者」、つまり脱法行為をして「三年以下の懲投」となっておる、こういう法律ですね、これは適用できませんか。
#74
○北村説明員 お答え申し上げます。
 御指摘のように、出資法第二条は預かり金をすることが法律によって認められている者以外の者が預かり金をすることを禁止しているわけでございます。この預かり金とは預金と同様の経済的性質を有するものというふうに解されるわけでございます。御指摘のような現物の裏づけのない金取引につきましては、預金と同様の経済的な性質を有するものであるかどうか、先生が御指摘になりましたような売買契約、賃貸契約等を含めまして会社の勧誘行為、取引行為の実態及び購入者であります資金拠出者の認識等につきまして慎重に判断する必要があろうかと思われます。
 第八条の関連でございますが、第八条は御指摘のとおり脱法行為を防止する規定ではありますけれども、あくまで第二条に言っております禁止規定の実質的範囲を超えて処罰の範囲を拡張するものではないというふうな議論もございますので、今お答え申し上げました会社の勧誘行為、取引行為の実態及び資金拠出者の認識等について慎重に判断する必要があると思うわけでございます。
#75
○長田委員 通産大臣にお尋ねしたいのですけれども、この委員会で訪販法の審議も随分やりました。今回の豊田商事の場合は訪問販売をいたしましていろいろな形で商品を売り込む、商品でなくて金とか、もうかるというようなことで誘惑をするわけであります。そうして、豊田商事の本社といいますか東京の店頭に一たん連れてきまして、金とかそういうものを見せるのですね。そうなりますと、どうも訪問販売法は適用されないという、こういう網がありますけれども、こういう点について訪問販売法も改正する余地が十分あるなという感じがするのですが、通産大臣、どうですか。
#76
○村田国務大臣 お答え申し上げます。
 訪問販売法は政令で指定された商品にかかる取引に対して適用されますが、例えば金は政令指定されておりません。したがって、現在の法律では訪問販売法の適用はないわけでございます。
 なお、政令指定の要件については同法二条三項で「主として日常生活の用に供される物品」とされておりまして、金のような投機的商品についてはこの要件に該当しないために政令指定は困難であるという事情があるわけでございます。こういった悪徳商法と言われるものの対象になりますものは、そういった法律の谷間と申しますか、非常に適用の微妙なところをねらっておると申しますか、そういった事情がございまして、法的な規制がなかなか困難であるという点はあるのでございます。
#77
○長田委員 それでは、次の質問に移りたいと思います。
 まず初めに、金子経企庁長官にお尋ねをいたします。
 去る五月十日でありますけれども、アメリカの上院で、二十三日には下院で八六年度のアメリカの予算における五百六十億ドル程度の財政赤字削減案が可決されたわけであります。そしてまた引き続いて五月二十日には公定歩合が〇・五%下がりまして、金利は七・五%になりました。またアメリカの景気の方は、本年一−三月期でありますけれども、GNP統計によると、実質〇・七%に下方修正が明らかになったわけであります。
 ところで、世界経済は一九八三年以来アメリカの劇的な景気の回復に引っ張られまして回復基調をたどりました。そうして八四年には世界の貿易数量は前年比八・八%増と急速に拡大したことがIMFからも発表されておるわけでありますけれども、その半分以上がアメリカの輸入によって占められておるということもガットの推計によって明らかにされておるわけであります。アメリカの内需拡大は八四年においては朝鮮戦争以来最大のものであったと言われておりますけれども、この内需が昨年の上期の実質八・六%という高いGNP成長をもたらしたわけですね、アメリカは。その結果、一千億ドルを超える財政赤字であるとか、あるいは一千億ドルを超える経常収支の赤字であるとか、あるいはドル高であるとか、あるいは高金利であるとか、そういう問題が惹起してまいりました。
 こうした中で多くの国は輸出の増加という形で景気を回復させたわけでありますけれども、我が国はその代表の国であるというようなことも非難の中心であろうかと考えております。もちろんアメリカの財政赤字は各国に高金利を押しつけ、資本のアメリカへの流出を通じましてドル高をもたらして、各国の金融政策を制約すると同時に、途上国の債務負担を大きくしたということもまた事実であります。また、こうしたことが貿易摩擦を激化させた原因にもなっておろうかと考えておるわけであります。しかし、やがてドル高のためにアメリカの産業は競争力を失いまして、輸出は伸びず、輸入が激化する、そういうようなことで千二百三十億ドルという貿易赤字をもたらしたわけであります。
 そこで、去る五月初めに行われましたボン・サミットでも、インフレなき成長と雇用の拡大のために先進各国はいろいろな役割分担を決めました。そうしてアメリカでは財政赤字の削減や貯蓄、投資を促すための税制改革を進めていこうということを宣言いたしました。また、日本においては投資促進のための市場機能の強化や、あるいは金融市場の規制緩和、それに市場開放などの役割分担というものを日本としても明確にしたわけであります。
 今回のアメリカの五百六十億ドルにも及びます財政赤字の縮減案は、世界経済が均衡を取り戻し、円滑に成長を続けるためには不可欠な要因であろうと私は歓迎するものであります。しかし、現在のように大幅な不均衡がアメリカ一国だけの努力で解決できるかどうかということになりますと、私はいささか疑問を持っております。
    〔委員長退席、渡辺(秀)委員長代理着席〕
 去る四月九日の対外経済対策によりますアクションプログラムの策定は、新聞によりますと大変どうもおくれているのではないかというような非難が実は出ております。中曽根総理もその点については大変いらいらしているということも報道されているわけであります。また閣議で、強力に推進するように発言があったそうでありますけれども、既にアメリカは財政赤字の問題にいたしましても、あるいは税制の問題にいたしましても具体的に行動を実は起こしております。我が国における市場開放の問題にいたしましても、内需の拡大にいたしましても、あるいは税制の問題にいたしましても依然としてどうも緒につかないという現状ではなかろうかと考えております。ここへ来て、どうも日本が行動が鈍いというようなことが非難されるようであっては断じてならぬと私は思っております。
 そこで、アクションプログラムの進捗状況、これに対する、通産大臣もひとつお答えいただきたいのですけれども、経企庁長官と通産大臣に率直なる御意見をお聞かせ願いたいと思っております。
#78
○金子国務大臣 アメリカの経済の状況につきましては、御指摘のとおり一−三月期が予想以上に落ち込んでおりまするけれども、これは輸出入の差が少し大きくなり過ぎた関係が一番大きく響いておると言われておりまして、消費の状況等につきましてはなかなか堅調を示しておりますので、一遍にそう大きく世界経済並びに日本経済に影響を及ぼすことはまずなかろうというのが大方の見方でございます。しかし、私どもといたしましては、去年のような大きな経済の伸びをアメリカ経済が示すとは考えられませんので、今後の推移を注意深く見詰めてまいりたいと考えておる段階でございます。
 それから、第二点の御質問のアクションプログラムの進行状況でございますが、御承知のとおり今月の二十五日を目途にいたしましてアクションプログラムの骨格を決めたいということで、実はきょうも中間報告を関係大臣集まって打ち合わせをしたような状況でございますが、その骨格は七月の末には決めなければならぬわけでございまして、市場開放、市場アクセスのアクションプログラムにつきましては、例えば関税の問題をどうするかとか、円、ドルと申しますか資本市場の開放をどうするか、サービスをどうするか、政府調達をどうするかというような六部門についてそれぞれ、目下各省の事務次官を中心とする各省別の作業委員会ができておりまして、そこで鋭意詰めておる段階でございます。
 ただ何と申しましても、このできぐあい自体を今世界各国が、これは発展途上国と先進国とを問わずその成果を見守っておる最中でございまして、OECDなりボン・サミットで日本に対する黒字の非難が表面化しなかったのは、四月九日の、委員御指摘の市場開放策の結果を見守ってやろうじゃないかという、いわば執行猶予つきの状況にございますために大きな非難等が出なかったと我々は心得ておるわけでございまして、これは一種の世界に対する公約でございますから、市場開放については思い切った措置を講じなければならぬと我々はかたく決意をいたしておる次第でございます。特にこのできふできが、今日本が中心となって推進をいたしておりますニューラウンドの成否にすぐ結びつくわけでございますだけに、我々としても一層熱意を強くせざるを得ないと考えておる段階でございます。
 ただいま中身を一々申し上げる段階にはまだ至っておりませんけれども、私どもとしましては、七月末といっても日数がないものですから、しかも片づけなければいかぬ問題がたくさんございますだけに、非常に作業を急いでやらなければいかぬなという気持ちでいっぱいでございます。
 以上、簡単でございますが、概要を申し上げました。
#79
○村田国務大臣 長田委員にお答えを申し上げます。
 今、金子大臣から、全般にわたって非常にきめの細かい御答弁をなされたところでございますが、私は、先般ボン・サミットに出ましたときの印象をまず申し上げたいと思うのです。
 四月九日の対外経済対策の決定というものは、アメリカあるいはEC、ドイツ等々、関係各国の代表と個々にいろいろ話し合ってみましたが、一様に四月九日の中曽根総理の決定を高く評価しておることは共通をしておりました。ただ問題は、それによってどういう結果が出てくるかということであって、我々はそれを見詰めているんだということについても大体共通の心証が得られたわけでございます。
 したがって、今金子大臣からお話がございましたように、アクションプログラムの作成ということが当面の急務であり、けさはその問題をめぐって対外経済対策推進本部の拡大副本部長会議をいたしまして、関係の代表者の方々から非常に真剣な意見の発表があり、それに続いて閣議が催されたわけでございますが、中曽根総理は、現在の状況を非常に一般情勢としても深刻に眺めておられて、それについての具体的な施策を我々関係閣僚に指摘されたところでございます。私どもは、この段階へ来て日本の市場開放をしっかりと進めなければならぬということで四月来進めておるところでございますし、また、アクションプログラムの作成、関税その他具体的な個々の問題について真剣な、そして関係各国が認めるような対応をしなければならないという非常にかたい決意をいたしておるところでございます。
#80
○長田委員 今お話がありましたとおり、今回の我が国のアクションプログラムは全世界が注目をしていると言っても言い過ぎではないと思います。ボン・サミットは無事に切り抜けることができたわけでありますけれども、アメリカ議会では、日本の出方によっては、さらに対日報復のための法律案あるいは決議案が山積しておるということも私たちは聞いております。そういう意味で、我が国がこの期に及んでなおかつ経済大国の責任を果たさないということになりますれば、日本はだんだん四面楚歌に追い込まれるということを私は懸念をいたしております。どうですか、大体七月末が期限でありますけれども、作業はでき上がりそうですか。
#81
○金子国務大臣 これはもう日本としては七月末までにはぜひ片づけなければいかぬ。国際公約違反になりましたら大変なことでございますから、そういう決意を持って政府を挙げて努力をしておる最中であることを申し上げておきます。
#82
○長田委員 そうなりますと勢い日本の立場といたしましては内需拡大の振興ということが私は大きな柱になるように考えております。一部財界では反対をされている方もいらっしゃるように伺いますが、政府あるいは自民党の中にも、内需拡大振興策という点については、非常に前向きにやろうという方が大勢いらっしゃるというふうに聞いております。
 ところで、最近の経済論議を聞いておりますと、個人消費や設備投資の伸びが順調ということで、ここで一気に内需拡大の施策というものは必要ないのではないかという声もまた一部にあるようであります。そこで、この問題について政府はどういうふうに考えておるのか。現在景気が拡大方向に進んでおる、自律的なそういう方向だけでよしとするのか。あるいはもう一歩突っ込んで内需拡大振興策というものを具体的に施策しなければいけないのではないかと私は考えるわけであります。そういう点についてはどうお考えでしょうか。
#83
○金子国務大臣 現在の景気の動向は、今御指摘のとおり民間消費の方は、まあタイムラグで大分ずれがございましたけれども、昨年の暮れから少しずつ盛り上がりを見せてまいりましたし、また春闘の結果もああいう状況で、去年のような心配はないと考えておる次第でございます。また設備投資の方も、輸出関連のものが少し落ち込み出しましたけれども、内需中心のハイテク産業中心のものが大変力強い拡大を見せておりますから、大体今のところは、民間の意向をいろいろ聴取いたしてみましても、政府の予想どおりの結果が出るのではなかろうかと考えております。
 ただ、御指摘の内需拡大の方策につきましては、御承知のとおり民間諮問委員会で、例えば基準・認証の問題やら民間活力の導入の問題やら、それから税制改正の問題等につきまして取り上げられております。私どもといたしましては、これを忠実に実行したいということでその具体案を目下練っておる最中でございます。基準・認証の問題につきましては既にアクションプログラムの中に取り入れておりますし、デレギュレーションの問題、民間活力の導入の問題あるいは休日の増加の問題等につきましても、それぞれ担当の省庁で目下最大限の努力を払っておる最中であることを申し上げておきたいと思います。内需拡大をおろそかにするつもりは毛頭ございません。
#84
○長田委員 経済摩擦の大きな原因となっておりますのはドル高・円安であろうと私は考えます。そのドル高の原因が財政赤字にありまして、この財政赤字がアメリカの高金利をもたらしました、それによって外貨がアメリカに流入してドル高になっておるというのが従来の説明であったわけであります。しかし最近アメリカは、金利はかなり下がってきたように考えられます。そして財政赤字の削減も、この予算書を見ていただければ御案内のとおり、日程に上ってまいりました。こうした中でドルは、一時やや軟化をしたわけでありますけれども、依然として二百五十円前後に推移をいたしておるわけであります。我が国などからの資本がアメリカに移動という問題も関係があるとは思いますが、ドルを中心とする為替レートの関係は今後どういうふうに推移していくのか、そこらは私たちは非常に危惧を抱く点でございます。円は今後アメリカの金利低下や財政赤字の削減によって円高の方向へ向かっていくのかどうか、そこらは長官はどうお考えでしょうか。
#85
○金子国務大臣 御指摘のとおり、財政赤字、高金利がドル高を招来しておることはそのとおりだと私ども考えまして、機会あるごとにアメリカに対しては財政赤字の圧縮あるいは高金利の是正を主張してまいりました。これは、日本だけじゃなくて、ヨーロッパ各国も同じような主張を国際会議の場においてはやっておりました。その結果もある程度効いたと思うのでございますが、アメリカの歳出削減も実現しそうでございますし、また公定歩合の引き下げも行われましたので、これは日本の円相場には相当いい影響を及ぼすはずだと我々は考えておったのでございますが、一時円は強含みに推移いたしましたけれども、途端にまた逆戻りした、なかなか理論どおりいかないなという気持ちを率直に持っております。これは、一つはやはりアメリカの経済に対する国民の自信のあらわれ、それからアメリカの経済、政治、軍事、そういった総合的な力に対する各国の信認というものがやはりドルの強さに反映しておるのではなかろうかと考えておる次第でございます。ただ、委員御指摘のとおり、赤字の削減なり公定歩合、金利の引き下げというものがだんだんと為替交換レートにいい影響を及ぼして世界の貿易の正常化に役立ってくる、こういうことを我々は今期待しておる最中でございます。
#86
○長田委員 去る六月十一日の日本経済新聞に、国際決済銀行、BISの年次報告書が発表になっております。BISといえば、世界の中央銀行が集まった団体でございます。このBISの年次報告書では次のようなことが言われております。世界経済を引っ張る役目を果たして過熱ぎみとなっていたアメリカの経済が軟着陸するためには、アメリカ以外の国の国内需要をふやしてアメリカからの輸入をふやしてやらなければならないが、変動相場制による貿易の流れの変化が政府や輸入障壁によって妨げられていてはどうにもならない、「率直に言えば、日本の経常黒字が日本の輸入増によって削減されない限り、米国の経常収支を自然な均衡に持っていくことはできない。また単に円に対するドルの価値の下落によってこれが成し遂げられるとも考えられない」と、我が国を名指しで輸入をふやせということを言っております。
 つまり、これまではアメリカが機関車になって世界の景気を回復してきたわけでありますが、今後ともインフレなき持続的成長を図るためには、アメリカに財政赤字の削減を求めながら、一方では特に日本に対して、内需の拡大による輸入をふやしてアメリカの肩がわりをせよと言っているわけであります。この点についてOECDでも同じようなことを実は言っておりまして、去る五月三十一日に発表されましたOECDの経済見通しによりますと、一九八五年のOECD加盟国全体の経常収支は七百二十億ドルの赤字であります。その赤字の半分以上の三百九十二億ドルは我が国が黒字としていただいておるわけであります。また、これが一九八六年、来年になりますと、OECD全体の赤字が七百四十六億ドルに対しまして我が国の黒字は四百八十億ドルとなりまして、OECDの赤字の大半を我が国が黒字として持つという結果になります。ところが、OECDの言う一九八五年における我が国の黒字でありますけれども、三百九十二億ドルは控え目であって四百三十億ドルに達するだろうという意見が多いということを聞いております。
 もしそういうことになりますと、一つの国の年間黒字額としては、一九八〇年サウジアラビアが記録いたしました史上最高の四百十四億ドルを上回る新記録となりまして、本年はさらに記録を更新することになるわけであります。アメリカの財政赤字がいけないとかドル高を直せとか高金利を下げろとか、今まで随分論議をしてまいりました。しかし、日本の貯蓄超過や投資不足あるいは資本の流出を促し、また内需が十分ではない、そして輸入が結果的には伸びない、こういうことを考えてみますと、このOECDの指摘の事実というものも的外れではないと私は考えるわけであります。
 我が国が経済大国と言われましてGNP世界第二位、こう言われまして、貿易大国とも言われ、あるいは黒字大国とも言われておりますけれども、今また債権国世界第一位になろうとしておりますが、こうした大国意識は、国民の生活の実感からしますとどうもぴんとこないのですね。国民にそのような実感がわかないというのは、私たちはウサギ小屋に住んでおるとか言われておりまして、あるいは公園、あるいは道路、下水道、空港整備などを先進国と比べてみますと、その落ち込みというものは明らかであります。そういう意味では現在の我が国の経済は、GNPが四、五%、物価は二%前後、失業率も二、三%前後ということで、多少の跛行性はありますけれども、財政赤字の問題があったりはしますけれども、経済の現状は良好であろうと私は考えます。ですから、無策の策でもいいんだという論議もあろうとは思いますけれども、これは島国根性というものでありまして、無責任な論議であろうかと思います。
 そこで、BISやOECDの指摘について金子長官はどうお考えでしょうか。
#87
○金子国務大臣 今お話のございましたBISやOECDの主張していることは十分私も理解できるわけでございまして、今までは関税、非関税障壁、特に非関税障壁についてアンフェアな不透明な点が多いから早くこれを解消してくれよ、それでその努力をして各国の輸入を無差別に認めるようなことにしてくれれば、その努力だけでも多とするのだという言い方を主張しておったのでございますが、最近は今お話しの黒字の問題をどうしてくれるのだ、これが現実の問題として片づかぬ以上は日本の誠意が認められぬじゃないかというような議論にまで発展してまいりましただけに、私どもは、今回のアクションプログラムの策定につきまして、本当に黒字が減るような実効のある、それこそトラスチックな手段を講じなければいかぬと考えておるわけでございまして、今通産大臣退席をいたしましたけれども、例えば各商社に製品輸入を要請するなんということはいまだかつてないことでございましたが、これは民間だけの問題じゃなくて、政府調達についても思い切った手を講じなければいかぬし、また政府だけじゃなくて関係機関、公団、事業団についても同様の手段を講じなければいかぬというようなところまで今話が詰まってきておる最中でございまして、私どもは、先ほども申し上げましたように、諮問委員会で取り上げておりますいろいろな問題を忠実に履行することによって、内需の拡大を今後積極的に進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
    〔渡辺(秀)委員長代理退席、田原委員長
    代理着席〕
#88
○長田委員 日米貿易摩擦に関連して、既にアメリカにおいては輸入課徴金の問題が論じられておるわけであります。また、我が国においてはこれを裏返しいたしました輸出課徴金が論じ始められておるわけであります。アメリカの輸入課徴金の論議は、それを実施することによりまして増加する歳入を財政赤字の解消に使えるということで大変魅力を持っているようであります。我が国における輸出課徴金の論議の発端は、現在の黒字がドル高のために到底早急には解消できず、また市場開放策が実施されたとしても、それほど大きな効果は上がらないということから出ているようであります。
    〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
また、加えて我が国にとっても財政赤字の縮減に役立つという一面もあるということでもあります。その上輸出輸入のいずれにいたしましても、課徴金が課せられるにせよ、ドル高・円安の調整効果があるというわけでありますけれども、しかし、この論議に対して私は多くの疑問を実は持っております。
 一つは、変動相場制で、しかも資金の移動について何ら規制もない中で、果たして為替レートの調整役が果たせるかどうかという点。第二番目には、あるアメリカのエコノミストが言っておりますけれども、課徴金をかけるとアメリカの貿易赤字が縮小し、かえってドル高を促進するので、貿易収支への影響はわずかだということであります。以上の意見も聞かれますけれども、それよりも保護貿易主義を高める結果にはならないだろうかということを、私は非常に心配をいたしております。世界各国がそれぞれ輸入課徴金だとか輸出課徴金だとか、これを始めますと、保護貿易主義を際限なく高めていく傾向がどうしても強くなるだろう、このように考えております。
 私は、課徴金の問題については以上のように考えておりますけれども、金子長官、通産大臣、お答えをいただきたいと思います。
#89
○金子国務大臣 輸出課徴金でやはり一番我々注意して考えなければいかぬのは、今お話しの保護貿易主義を助長するということでございます。日本のような経済構造、産業構造の国にとりましては、自由貿易主義を維持して国を養う以外に手はないのでございますから、保護貿易主義の台頭に対する巻き返し政策だけは常時頭に描いていかなければいかぬと思うわけでございまして、仮に一時的な輸出課徴金による効果がございましても、大きな目で見たらこれは大変なマイナスであろうと思いますし、今お話のございましたような変動相場制のもとでどれだけの効果があるか、あるいは駆け込み輸出に対してどういう措置が講ぜられるか、またアメリカその他が輸入課徴金を講じたら一体どうするのだという問題がございますから、こういった動きに対しましては、政府としては絶対に反対してまいりたいと考えておる次第でございます。
#90
○村田国務大臣 長田委員のお考えにおおむね同感でございます。
 今金子大臣からもお話がございましたように、米国における輸入課徴金という考え方、もし日本が輸出課徴金をとれば、米国における輸入課徴金という考え方を誘導する恐れがある。それからまた、保護貿易という観点、これを裏返せば自由貿易体制でございますが、日本でもアメリカでも自由貿易体制を発展させていく、そして新ラウンドを推進していくという考え方が、現在の貿易あるいは経済に対する基本的に正しい方向であろうと思います。
 変動相場制のこともお触れになりました。皆同感でございますし、さらにもう一つつけ加えさせていただきますと、我が国の中小企業に対して大きな影響を与えるという観点もございます。そういったいろいろな観点から、輸出課徴金というような考え方は導入をすべきではない、こういう意見で金子大臣と全く一致をいたしております。
#91
○長田委員 ところで、レーガン大統領がこのたび思い切った税制改革を発表いたしました。所得税率の区分を一五%、二五%それから三五%、三段階といたしました。それから法人税率も四六%から一気に三三%に引き下げたわけであります。あと各種の控除等も廃止したりいたしまして、縮減をいたしたわけであります。ただ、税収全体では増収にも減収にもつながらないということで、金額はやや拮抗しているようであります。所得税では七%の減税、法人税では九%の増税となるようであります。
 また西ドイツにおいてもコール首相が提案いたしました総額百九十四億マルク、これは邦貨に直して一兆六千億円でありますけれども、この大型所得税減税案が五月二十四日、連邦議会を通過いたしました。これは平均世帯では八%の減税になるように聞いております。
 イギリスでも既に一九八四年度に法人税の大幅減税が行われました。イギリスの有力新聞ザ・タイムズによりますと、所得税については一九八六年から三年間で約百億ポンド、邦貨に直しまして大体三兆円規模の減税を実施する意向だということであります。
 こうした減税問題については、OECDでも去る五月三十一日の経済見通しの中で、日本と西ドイツは減税して内需を拡大してアメリカの財政赤字、経常収支の赤字減らしの支援をせよという異例の注文を実はつけております。我が国においても去る四月九日の対外経済政策の決定のときに、民間の活力の活用だけでは不十分だから税制改革もやろうということが決められたわけであります。中曽根総理もぜひ減税をやりたい、この意向のようであります。
 そこで、お伺いしたいのでありますけれども、アクションプログラムにはどのような形で税制改革が盛り込まれておるのか、その点について金子長官にお尋ねをいたします。
#92
○金子国務大臣 ただいま策定中のアクションプログラムには、減税問題は取り上げてございませんけれども、これは総理も常時委員会等において発言しておりますように、明年度の税制改正に当たってはシャウプ税制以来の今日の所得税をひとつ根本的に見直したい、所得税の軽減を図りたい、御承知のとおり、累進税率が非常に高くなって、生活費あるいは教育費、住宅ローン等の負担の一番大きい層に対する課税が過重になっておりますので、そういう点も含めて見直しをやりたいという発言をされておることは御承知のとおりでございます。
 ただ、この問題は、政府税調において取り上げられることになっておるものですから、中身について今発言する段階ではございませんが、私どもといたしましては、思い切った見直しをやって内需拡大に役立たせたい。問題は、裏づけの財源をどうするかという問題でございますけれども、そういう点を含めて今政府税調で取り上げられる予定になっておることを申し上げておきたいと思います。
#93
○長田委員 去る六月六日の新聞によりますと、対外経済諮問委員会の座長を務めました大来佐武郎さんがロンドンで記者会見をされました。黒字減らしの思い切った政策をとらないと、今秋以降、アメリカとヨーロッパが共同して対日批判を強める可能性があるといたしまして、アメリカの対日批判がヨーロッパに伝わってきたようである、七月の市場開放には印象的なものでなければヨーロッパは納得しないだろう、七月の開放策には税制を活用した内需拡大策が必要であると語ったということであります。
 私は、所得税減税は中高年を中心として思い切った減税政策をとってもらいたい、このように考えておりますけれども、昨年の国民生活白書や労働白書を見てまいりますと、中高年の世帯では教育費や住宅ローン等で非常に苦しい生活を強いられておるという報告書が実は出ております。
 それから、住宅減税が重要だと私は考えております。住宅は、公共事業費が五十五年以降抑えられてきておりますので、民間の活力を引き出すための有効な手段であろうと私は考えております。特に、住宅の投資は波及効率が二倍以上と言われておりますように効率がいい部門なんですね。最近の住宅建設は、戸数では五十九年度では百二十万戸を達成したようでありますけれども、三十平米以下の住宅が非常に多いということでありますから、良質で生涯ずっと住めるような住宅ではないようにも思います。住宅ローンの金利をせめてアメリカ並みに全額所得控除をするとか、西ドイツ並みに減価償却控除を認めるとか先進国並みの税制にして、住宅を早く先進国並みにして諸外国からの批判の対象にならないようにすべきである、私はこのように考えておりますけれども、経企庁長官、どうでしょうか。
#94
○金子国務大臣 アメリカだけでなしに、EC各国におきましても、日本に対する黒字の批判の声が高まりつつあることは新聞等で私も読んでおります。承知いたしております。
 それで、今度のアクションプログラムの策定に当たりましては、先ほども触れましたように、相当思い切った、効果のある、各国が望んでおるような策もある程度打ち出すことが必要であろうと考えておりまして、目下そういう見地から各省が取り組んでおる最中でございます。
 それで、税制改正はこれと別ではございまするけれども、いろいろお話のございました、アメリカや西ドイツその他の税制改正の構想は、我々としては大変参考になるのじゃなかろうかと考えておるわけでございまして、今長田委員は中高年層の問題をお取り上げになりましたが、そういう点も含めて十分の措置を講じたいものと、今関係方面もいろいろ検討を重ねておる最中でございます。
 それから住宅の問題につきましては、数こそ世帯数を満たしたわけでございまするけれども、現実の姿として質的には大変劣っておる。こういった点にこれから重点を置いていきますならば、やはり大きく内需振興、これは経済効果が大きいことは御指摘のとおりでございますので、大きなプラスになります。ただ、具体的にどういう点にメスを入れるか、これまた関係省庁において今私どもも加わって検討をしておる段階であることを申し上げておきます。
#95
○長田委員 どうかその点、長官、力を入れていただきたいと思っております。
 ところで、政府は、貿易摩擦解消の一環といたしまして、中曽根総理が先頭に立ちまして一人百ドルの外国製品を買いましょうということで運動を起こしていらっしゃいます。通産大臣が主要六十社に輸入促進をお願いいたしましたり、あるいは二十から三十億ドルの緊急輸入を計画するなど、いろいろな苦労をされていらっしゃることは私も大変敬意を表しております。しかし、この六十社への要請は五十億ドル増ということが報道されておりますけれども、もともとこうした緊急輸入というものはどうも一時的でありまして、トータルすると結果的にプラス・マイナス・ゼロであるというような結果が実は過去に何回かございました。過去三回ぐらいありましたね。そういう点で、果たして一時しのぎ的な、そういうような結果に陥るのじゃないかと私は心配をいたしております。そういう意味で、こういう対策も必要ではありますけれども、もっともっと構造的に対策をやらないと本旨から外れてしまうという意味で私は内需拡大ということを申し上げておるわけであります。
 先ほど住宅問題についても、最近、ローンがどうも返済できない状況で住宅を売り出すというケースが随分多いのですね。そういう意味で私は、住宅問題等について今減税をすべきであるということを申し上げました。内需の拡大というのは、住宅産業等が非常に低迷しておりまして、公共事業も非常に減額されておるということも御案内のとおりであります。そういう意味で私は、減税政策ももちろんやっていただきたいのでありますけれども、同時に、公共事業の中でもすそ野の広い、波及効果の非常に強い住宅産業なら住宅、公営住宅を思い切って建設をするとか、そういう内需の振興策がどうしても必要だと私は考えております。この点については通産大臣、どうでしょう。
#96
○村田国務大臣 最初、長田委員のおっしゃった輸出入見通しの問題をちょっと触れてみたいと思います。
 六十年一月の政府経済見通しては、IMFベースでございますが、輸出が千七百八十億ドルで輸入が千三百四十億ドル、四百四十億ドル程度黒字になるだろう。その後の通産省がいろいろ調査をしております見通しては、ほっておけばこの黒字がもっと拡大をするというので、四月二十二日以降の製品輸入対策というもので強力に輸入を推し進めておるところでございます。
 今御指摘になられました内需の拡大の問題でございますが、金子大臣からもお答えになられましたように、まさに内需拡大が非常に急務である。特に住宅産業というのは、長田委員御指摘のとおり、非常にすそ野の広い、そしてまた内需喚起には重要なモメントでございまして、例えばスウェーデンなどを見ますと、ニュータウンの建設について住宅の新規着工あるいは改造といったようなものを国策としてずっと推進をしておるわけでございます。
 これは御指摘のように住宅産業というのが非常に広がりがあるという観点からの着眼でありましょうし、また、日本の場合は衣食住と申しますが、衣食は非常に充足をされてきつつあるわけでございまして、住が確かにおくれておる。したがいまして、今後の内需の拡大では、御指摘のような公共事業の増額、そして住宅産業の伸展、また民間設備投資の増大というようなことが重大なモメントとなるであろうと思うのでございまして、私ども通産省としては、住宅についていわゆる関連の部品その他で直接関連を持っておりますが、御指摘のように内需拡大の一つの大きな決め手である。そして最近は、百十何万戸という数字で新増築が推移をしておるわけでございますが、幸いなことに五十九年、六十年は若干増加傾向にあるわけでございまして、改築を含めて住宅産業、そしてまた住宅の質の充実ということが非常に重要であろうということにおいて委員の見方と全く同じ考え方をいたしております。
#97
○長田委員 アメリカからの輸入の促進に関連いたしまして、私は当委員会で従来から数回にわたりましてアラスカ原油の輸入問題を取り上げてまいりました。
 そこで、ことしの三月にアラスカ州知事のシェフィールドさんが来日されまして、通産大臣もお会いになったようであります。原油の輸入の問題についても当然話が出たと思いますけれども、この輸入問題については早いところ解決をしていただいて、貿易摩擦の解消の一翼をぜひ担わせていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
 輸入の可能となる時期あるいは数量、金額、これについて具体的に決まっておれば教えていただきたいと思っております。
#98
○村田国務大臣 まだ数量等については実は決まっておらないのでございます。しかし、委員御指摘のように、この問題はことしもうずっと話題になっておりまして、中曽根総理とレーガン大統領との間でも話が出ておる。私とブロックさんとの間でも話が出ておる。また、今回ボン・サミットに行きましたときに、アンカレジで実は中曽根総理とお会いしたわけでございますが、そのとき、お示しのシェフィールド知事がちょうど総理を訪ねてきておられたのです。ひとつぜひこの話を具体的に進めてくださいよという話を総理そして私からシェフィールド知事に申し上げました。そのときの回答は、アラスカパイプラインを通過していないクックインレットの原油については対日輸出実現のために連邦政府の許可取りつけに努力したいという意向がかねてからございまして、これは早期に実現する見通しがあると思うのでございます。
 それから、ボン・サミットのときに日米首脳会談が開かれまして、レーガン大統領そして中曽根総理との間で具体的な話が出ました。私もその場に同席しておったのでございますが、レーガン大統領はこのことについて努力をしていきたいということをはっきりと言われたわけでございまして、これは中東原油に対する依存度を下げる、それから日米貿易摩擦についてもアメリカからの輸入をふやす、それからまた輸送経費がアラスカからの方が中東よりも安いといったような一石二鳥、三鳥の効果がございまして、私どもは数量に関係なくこのことには熱心でございますが、まずはクックインレットの原油を輸入する、そして将来はアメリカ議会の承認を得て、アラスカ原油全般についてこれが及ぶことができればいいがという強い願望を持って推進をしているところでございます。
#99
○長田委員 続いて通産大臣にお尋ねしますけれども、アメリカの通商代表部から、非公式かもしれませんけれども、ガソリンなど石油製品輸入の要請が来ているように私聞いておりますけれども、あったのでしょうか。
#100
○柴田(益)政府委員 アメリカからは我が国に対する石油製品の輸入要請はございません。
#101
○長田委員 EC委員会からも、サウジアラビア等から、中東から石油製品を輸入してもらいたいという話は来ておりませんか。
#102
○柴田(益)政府委員 EC委員会の方からは先般オードランド・エネルギー総局長が通産省にも参りまして、中東から輸出される石油製品につきましてEC、米国、日本が均衡のとれた形でこれを取り扱うべきであるというような趣旨の発言はございました。
#103
○長田委員 方向といたしまして、私は国内でも製品輸入の解禁の方向であるように考えております。
 また、こうした石油製品輸入の要求は、アメリカからはまだ来てないそうですけれども、EC等から参っておりまして、市場開放の対象として例外ではないことを示しておると私は考えております。
 こうした中で、通産省は来る七月九日にパリで開かれますIEAの閣僚理事会で、我が国としてもガソリンなど中東の石油製品を公平に引き取るという方針を明らかにすることを決めだということが実は新聞に出ておりました。これは事実上製品輸入を認めるということになると思いますけれども、この点についてはどういうふうになっておるのか、通産大臣に伺いたい。
#104
○村田国務大臣 御指摘の七月九日のIEA閣僚理事会には私出席するつもりでございます。
 御指摘のように、製品輸入の拡大というような話題ももちろん出ると思いますが、我が国は石油の安定供給を確保するために、消費地精製方式を基本としながら、それを補完するために、欧米と遜色のない水準で重油、ナフサなどの石油製品の輸入を現在も行っております。
 五十八年の輸入比率が大体一八%、これは欧米に比べて遜色のない数字だと思っておりますが、今後の石油製品輸入問題につきましては、現在、石油審議会石油部会の小委員会で、六十年代石油産業政策のあり方の検討を行う一環といたしまして、消費地精製方式の漸進的国際化についても検討を進めておるところでございます。したがいまして、来月に予定をされておるIEAの閣僚理事会におきましては、こうした我が国の状況を説明して各国の理解を求めてまいる所存でございます。
#105
○長田委員 石油製品の輸入を認める場合、私は重要なことが三つあるのではないかと考えます。
 一つは、その輸入権を精製元売会社だけに絞って認めるということではないかというふうに考えます。輸入をだれにでも認めるということになりますと、非常に安いときだけ特定の注文をし輸入をする、いいとこ食いだけで業者が競争する、そういうことになりますと安定供給を阻害するという結果になりかねません。今、日石など、会社が製品輸入に強く反対しておるのは、どうもそこいらに理由があるのではないかというふうに考えます。
 二つ目は、エネルギー安全保障の観点から、輸入は漸進的でなければならないと思います。全面的に自由化して、何かの関係で輸入がストップするようなことがもしかあれば大変なことでございますから、それは注意しなくちゃなりません。それに、我が国は既に民間分も含めまして百数十日分の備蓄もあり、精製設備を廃止することは事実上できないわけであります。
 三つ目は、製品輸入が自由化されてまいりますと、現在ガソリンだけが石油会社の収益源となっておる価格体系を変えざるを得ない、そういう状況になると思います。安いガソリンが外国から入ってくれば国内のガソリンも競争上どうしても価格を引き下げる、こういうことにならざるを得ません。そうなりますと、ガソリンによる収益の減少、灯油や軽油に転化するという方向にどうも進むであろう、このように考えております。
 我が国の灯油や軽油は、国民生活上重要な物資といたしまして石油製品より実は安く抑えております。これが急激に値上がりして国民生活に重大な影響を及ぼすようなことがあってはならないと思っております。灯油などの価格については、政府が現在配慮している政策はぜひ守っていただきたいというふうに私は考えております。
 以上、石油製品の自由化が進められる場合に重要な点を三つ挙げましたけれども、これは私なりの考えてありますから、通産大臣のお考えを聞かしていただきまして、私の質問を終わります。
#106
○柴田(益)政府委員 ただいま先生が御指摘になりました三つのポイントは大変重要な問題点だろうというふうに我々も認識しております。
 ただ、その中で輸入権の問題は、これはまた石油審議会小委員会の中で、そういうものを含めていろいろ議論されていくだろうと思いまして、その結論を待ちたいと思います。
 二番目の、安全保障というような観点から漸進的な拡大を進めるべきだというのも基本的に我々も認識しているところでございますし、それから、特に石油が連産品だということで、例えばガソリンが入ってまいりますと灯油あるいは軽油価格に影響するというのももっともな御指摘でございます。そういうようないろいろな問題がございますので、そういう点を含めまして今小委員会でいろいろ御議論いただいているところでございまして、それを待ちまして我々も対応してまいりたい、そう考えておるところでございます。
#107
○村田国務大臣 長田委員の御高見、拝聴いたしました。今柴田長官からお答えしたとおりでございますが、石油精製、石油の安定需給ということは重要な国策でございます。したがいまして、消費地精製方式、連産品といったような現行の体系を維持しながら、そして長期的な見通しに立って今後の動向を決めていきたい。これは今石油審議会にお諮りをしておるところでございまして、恐らく基本的な考え方は長田委員のお考え方と全く共通しておるのではないかと思っておりますが、安定供給、そしてまた業界の安定、いろいろな意味におきまして正確な対応をしてまいりたい、このように考えております。
#108
○長田委員 終わります。
#109
○粕谷委員長 長田武士君の質疑は終わりました。
 引き続いて、横手文雄君の質疑に入ります。横手君。
#110
○横手委員 わずかな時間でございますから、私は、ポリエステルの長繊維問題について時間まで質問をさせていただきたいと存じます。
 本問題につきましては、私も何遍か本委員会において取り上げてまいりましたし、あるいは大臣に対しましても党として申し入れを行ってきたところでございます。さらにまた通産省当局としても、局長初め何遍も現地に足を運んでいただきまして、地元の業界の皆さん方とあらゆる対策を講じていただいたところでございますけれども、残念ながら今日なおその回復の歩みがないという状態の中にあります。
 今日まで行われてまいりました不況対策の主なものは、織物製品の在庫買い上げによる凍結問題、これはまだなお続いておるわけでございますし、あるいは設備の共同廃棄、今始まったところであります。今日までの不況を見ておりますと、これらの外科的な対策がとられると必ず市況にそれが反映をされてきたという事実がございますけれども、今回はそれがないという状態。したがいまして、さらに業界の皆さん方の自主的な、あるいはメーカー等とも十分に話し合いをしながら操短が行われておるようでありますが、しかし、なおまた現実的な効果が上がっていないという状態の中にございます。
 今後、業界としては、これらの問題について中小企業団体法に基づく一斉操短、こういったことについても今話し合いが進められておるようでございますし、ウオータージェットの設備廃棄の問題についても通産省に対して踏み込んでもらいたい、このような要請が出ておるところでございますけれども、これら一連の対策に対する通産省の考え方、さらにこの業界における今後の見通し等についてお聞かせをいただきたいと存じます。
#111
○篠島政府委員 先生御指摘のように、在庫凍結、買い上げ、あるいは合繊メーカーあるいは織布業者のタフタ等を中心とした減産体制の強化、そういったものがありながら不況色から抜け出すところまでまだ行ってないのは非常に残念でございますが、今御指摘がございましたように、産地でもさらに一段と対策を強化するということで不況カルテルを新たに結成する、あるいはウオータージェットの買い上げが具体的に進むように単価の設定その他を考えてもらいたいという話、それからさらに、ウオータージェットの流入をある程度抑制する意味におきまして、いわゆる県外からの登録織機の流入を事実上抑えるような認定制度の導入、そういったものをいろいろ検討しておることも事実でございます。
 まず、不況カルテルという形での生産調整については、議論はあるようでございますが、休機補償だとか一律に制限することについての問題等がいろいろございまして、業界としてまとまるところまで行ってないというふうに受けとめております。
 それからウオータージェットの買い上げにつきましては、具体的に業界から出てくる場合には日絹連から出てくることになっておりますが、まだ正式な要請がございません。要請が出てきた段階で、しかるべき買い上げ単価の設定等については検討したいというふうに考えております。
 それから認定制度につきましては、これは北陸三県、やろうということで足並みがそろっておるようでございますが、まだ正式に我々のところへ申請が参っておりませんけれども、自主調整でもございますし、現状の構造的ないろいろな問題を含めた状況等も考え合わせまして、出てまいりますれば団体法の要件に照らし合わせながら前向きに検討していきたいというふうに考えております。
#112
○横手委員 そのような具体的な対策がとられて一日も早く回復をするように祈るものでございますけれども、今局長の答弁の中にございましたように、認定制度の問題、県外からの織機の導入を抑えよう、こういう動きがありますし、通産省としても、これが具体的に作業が進んでくれば前向きに検討するという御答弁をいただいたわけであります。今日まで、ウオータージェットが増設をされる、それに対してスクラップ・アンド・ビルドによって何台か廃棄される。ところがその織機は県外のものであって、それは今日まで綿を織っていたとか、あるいはその他のものを織っていたのであって、合繊そのものを織っていたものではない。したがって、ウオータージェットがふえただけ生産量が上がってくる。先月の県の統計によりましても、前月比生産量そのものは上がっているわけであります。したがって、こういう状態に対してどう歯どめをしていかなければならないかというのが今日の大きな課題であろうと思います。
 そこで、今まではウオータージェットを新設する場合に、スクラップする分については県外からのものが入ってきていた。これではもうざるに水を入れるようなものだ、しりが全然くくられていないということでこの認定制度というものが出てきた。この認定制度が確立をすれば、合繊を織っていた普通織機が廃棄されてウオータージェットが入ってくるということで、確実にスクラップ・アンド・ビルドが実際に行われるという姿が確立をされてくると期待をいたしております。
 そこで問題は、常日ごろから議論のあるところでございますけれども、換算率を見直す。認定制度をつくった、したがって県外からの織機の導入はない、これから破砕される織機、スクラップされる織機は確実に合繊織物の織機である、こういうことが約束をされたら次は換算率の見直しというものが現実の問題として持ち上がってくる。それをやらなければ、ウオータージェットがどんどん入ってくるわけでございますから生産調整にならないと思っておりますけれども、その点についてどうでございましょうか。それを行うことによって今後業界がどのように立ち直っていくという見通しを持っておられるのか、このことについて御質問を申し上げます。
#113
○篠島政府委員 業界の一部にこの際換算率を見直して強化すべきであるという意見がかなり強くあることは承知しておりますが、換算率を強化するということになりますと、これまで既にスクラップ・アンド・ビルドの終わっておる業者と、これから入れる業者との間のバランスの問題等が出てまいりまして、これについて業界の中で意見の調整が必ずしも十分できてないという実態があることと、それから登録制の運用問題ということで、これは一昨年のビジョンをまとめました際に、いろいろな経緯がございまして登録制は廃止の方向で検討する、そういう方向で議論を今後さらに浸透させていくということになっております。そういうこととの関係から言いますと、アウトサイダー命令のかかっておる換算率の見直しということになりますと、より慎重に判断すべきであるというふうに考えます。
 現状のウオータージェットの構造的な過剰問題をどう短期的に乗り切っていくかということも非常に重要でございますが、中長期的にこの問題にどう対応するかが北陸産地の将来というようなことから考えました場合に一層重要でありまして、その意味において、ウォータージェットを今後入れることについての責任がだれに、どういう状況であるかというあたりについてきちんとした認識を産地側、合繊メーカー、県外商社等でこの際十分調整あるいはそろえる必要があるのではないか、そういった議論等も考え合わせながらこの問題については慎重に検討していくということであろうというふうに考えております。
#114
○横手委員 途中になりましたけれども、既に本会議のベルが鳴っておりますので、これで終わります。
#115
○粕谷委員長 午後一時三十分に委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十四分開議
#116
○粕谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。横手文雄君。
#117
○横手委員 私は、石油製品輸入の問題について、大臣初め関係者に若干の御質問を申し上げます。
 現在、我が国の石油産業は、国民の生活必需品である灯油の低廉安定供給確保を図るため、必要量を大きく超えた在庫を保有し、このコストをガソリンの販売によって回収しているという事実があります。つまり、我が国は石油の石油を輸入して、そして連産品であります石油精製各製品、とりわけ国民生活に重要な問題を持っております灯油等については備蓄の義務を負わせ、あるいはまた低廉でなければならない、こういった行政の指導が行われており、あるいは輸入業者については備蓄の義務も負わせているのであります。しかし、このところ石油製品に対する輸入の問題が大きくクローズアップされてまいりました。こういった形の中で、石油精製業界が最も目玉にしているそういった問題について、今度は外国から品物が入ってくるということになると業界にとって大変な問題があるし、あるいはそのことがむしろ国民生活に大きな不安を招くような要素になりはしないか、こんなことが考えられるわけでございますけれども、この点について、大臣いかがでございますか。
#118
○村田国務大臣 現在の我が国の石油製品価格体系は、生活必需物資たる灯油の価格が相対的に低位となっておりまして、その分をガソリン価格で回収するという構図が一般化しております。したがいまして、安価なガソリンの輸入によるガソリン価格の低落ということが起こりますと、結果として灯油価格の高騰を招くおそれがあり、また、ガソリンの輸入の増大による国内のガソリン生産量の減少は、石油製品が連産品であるために灯油等の他の油種の生産の減少を招く可能性もあるわけでございます。したがって、消費者行政の強力な推進という観点から、石油供給計画において灯油の需要期九月前の在庫水準を六百七十万キロリットル、約二カ月分に設定いたしまして、冬季の消費需要に備えて供給不足のないよう指導を行っておるわけでございまして、無秩序にガソリン輸入が行われますと、こうした消費者の要請に基づく指導も困難になる、こういうおそれがありまして、現在の石油についての政府の対応となっておるわけでございます。
#119
○横手委員 特に石油の問題につきましては、例えばアメリカのアラスカ原油の輸出規制あるいはフランスの輸入許可制あるいは産油国においてもOPEC等に見られるような、それぞれの規制が行われ、まさに政治的要素が大変大きなものがありますし、我が国は石油代替エネルギーの開発が進んでいるとはいえ、まだエネルギーの六割をこの石油に依存をしておるものであります。こういった意味で、石油製品というものは一般の消費物資であるテレビだとか自動車だとか、そういった一般商品とは異なったものだ、こう認識をいたしておりますが、大臣、いかがでございますか。
#120
○村田国務大臣 お答えを申し上げます。
 石油は、我が国一次エネルギー供給の六割以上を占めておる。そして国民生活はもとより、国家安全保障に密接な関連を有する基礎的な物資であるという認識をしております。我が国はこのように重要物資である石油のほぼ全量、九九・何%かを海外に依存せざるを得ない状況にありまして、こうした状況のもとで我が国の需要構造に適した石油製品の安定供給を確保するために、石油を輸入して国内で精製する方式、委員御指摘の消費地精製方式を基本としておりまして、今後ともこの方針を堅持していくという考え方が基本になっております。
#121
○横手委員 今大臣の答弁の中にございましたように、いわゆる連産品である、したがって、ある品物だけが輸入をされるということになると、その全体に与える影響というものは大変大きなものに相なってまいります。特に石油精製に従事する四万人の雇用、こういった問題にも重大な影響を与え、あるいは地域経済に対してもまたその大きな問題を提起するわけであります。さらにまた、そういうことが行われ、石油精製業の脆弱化が結果として供給の不安を招来してまいります。
 したがって、石油製品の輸入拡大は極めて慎重に行うべきである、このように考えておりますが、大臣の所見はいかがでございますか。
#122
○村田国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。
 ことしの三月三十日に設置いたしました石油審議会石油部会小委員会におきまして、六十年代の石油産業政策のあり方の検討の一環として、石油製品輸入を中心とする国際化問題、国内石油産業体制の合理化問題について検討を進めておるところでございます。
 石油製品輸入の拡大は、国内石油精製関係労務者、働いていらっしゃる方々の雇用、製油所周辺の地域経済等に重大な影響を及ぼす場合もあり得るわけでございまして、石油審議会石油部会小委員会の検討においては、委員御指摘の観点をも踏まえて慎重に対処してまいる所存でございます。
#123
○横手委員 大臣のそういった答弁を踏まえて、最後にもう一問御質問をさせていただきますが、大臣は来月開かれるIEAの閣僚会議に御出席とお聞きをいたしております。大変御苦労さんでございますが、そのときに当然のこととして石油製品輸入問題が重要な議題になることが予想されます。特にECあるいはアメリカからも圧力がかかることが予想されるわけでございますが、大臣、今述べられましたようなそういった決意の上に立って、あるいは我が国の経済上の利益を見失うことなく長期的な観点に立った消費者利益を十分念頭に置き、安易なコミットはすべきでないと思いますが、大臣の決意はいかがでございますか。
#124
○村田国務大臣 横手委員の御指摘のとおりでございまして、IEAの閣僚会議には私自身が出席を心組みしております。
 実はポン・サミットに参りましたときに、西独のバンゲマン経済大臣からこの問題についての私の対応について質問がございました。そのときもこれからお答えすることを申し上げたわけでございますが、日本の場合は、石油の安定供給を確保するために消費地精製方式を基本としておる、そしてこれを補完するために欧米と遜色のない水準で重油、ナフサなどの石油製品の輸入を行っておる。大体一八%ぐらいでございます。
 今後の石油製品輸入問題については、先ほども申し上げましたように、現在石油審議会石油部会の小委員会におきまして、六十年代の石油産業政策のあり方の検討を行う一環として、消費地精製方式の漸進的国際化、徐々に国際化していくということについて検討を進めてもらう、こういう方針でおるわけでございまして、来月予定されておるIEAの閣僚理事会におきましては、このような我が国のエネルギーの状況を説明し、我が国の置かれておる石油供給の問題等の状況をよく説明いたしまして、各国の理解を求めてまいりたい、こういう考え方でございます。委員御指摘の点は十分心得ておるつもりでございます。
#125
○横手委員 ひとつ御努力をお願い申し上げたいと存じます。
 次に、私は、繊維製品の輸入問題について御質問を申し上げます。
 昨今の綿糸、綿布、ニット等の輸入急増によって我が国の繊維産業は極めて厳しい状態の中に置かれております。このままこの現状を放置するならば、産地が壊滅的な打撃を受けることが予想をされるのであります。
 このため、我が党は、MFAの早期発動を政府に対して要求をしているところでございますけれども、政府の対処の方針はいかがでございますか、まず大臣にお伺いいたします。
#126
○村田国務大臣 綿糸、綿織物、ニット、セーターなどの輸入急増に関係する業界の大きな影響という点につきましては、委員御指摘のとおりでございまして、私どももその深刻さをよく存じておるつもりでございます。
 ところで、MFAの発動についてでございますが、関係業界から要望がなされていることは承知をいたしております。しかし、我が国の置かれた国際的立場、さらにはMFA発動の際の各種の配慮要因などを考慮いたしますと、その安易な発動については慎重であるべきものと思料しております。
 しかしながら、輸入急増に伴う混乱を緩和するためには、事態に即して機動的に対応することが必要である、このこともよくわかっておるつもりでございます。このために、通産省としては、国内関係業界と緊密な連絡をとりながら、輸入の動向、国内需給等を十分注視していくとともに、適宜政府、民間レベルの話し合いなどによって秩序ある輸入の確保に努めてまいりたい、こういう考え方でございます。
#127
○横手委員 それでは、念押しを含めていま一度御質問申し上げますけれども、我が国の置かれている実情にかんがみ、このMFAの発動については慎重でなければならないという大臣の御説明でございますが、具体的に言うとどういうことですか。
#128
○篠島政府委員 基本的には、これまでの繊維工業審議会におきます関係者による繊維のビジョンというのがございますが、これとの関係で、輸入に対する基本的な対応といたしましては、いたずらに保護主義的な輸入規制によって繊維産業の活力あるいは創造力を殺すようなことは慎むべきである、前向きな構造改善を中心として国際競争力のある繊維産業を確立すべきであるというのが基本的な立場でございまして、その場合、MFAを安易に適用するということは問題があるという認識が一つございます。
 ただ、MFAを一切適用しないということではございません。輸入の急増等により業界に対して重大な被害が生じているというような場合にはMFAを適用すべきであるということでもございます。
 それからなお、MFAそのものにつきましては、まず、市場撹乱の要件といたしまして生産だとか輸入あるいは雇用、生産性あるいは投資等々の一つあるいは二つの要因のみならず、幾つもの要因を考えて総合的に市場撹乱の認定をしなければならないということになっておりまして、さらに、これを発動するにつきましては、相手輸出国の利益、例えばLDCであるとか、その国の繊維の、全体の経済におけるウエートだとか、あるいは輸出国との貿易バランスの問題等々、そういった点を配慮して考えなければならない、こういうことになっております。
 それからさらに、日本の場合には、対象になります相手輸入国がしばしば、政治的にもあるいは歴史的にもいろいろな経緯のある国であるというようなこともございまして、そういった配慮からもMFAの適用については慎重に対応すべきである、こういうふうに考えておるわけでございます。
#129
○横手委員 つまり、我が国は貿易立国である、これは私は否定をいたしません。したがって、保護主義的貿易関係についてはできるだけ排除していかなければならない、そういった観点に立ってMFAの発動について慎重を期さなければならないということになれば、このMFAは保護貿易的なものであるという認定に立っておられるのであろうか、こんな疑問さえ出てくるのであります。私は、決してそうではない、これはガットに許された中において、先ほど言われたように秩序ある輸入体制を確立するために国際的に許された制度であって、それは自由貿易体制を混乱せしめないために、むしろそれを守っていくために一定の秩序としてつくられたものだと認識をいたしておりますが、いかがでございますか。
#130
○篠島政府委員 おっしゃるように、MFAの基本的な精神は、ガットの原則に対しては保護主義的な性格を持っておりますけれども、その背後にある考え方といたしましては、世界の繊維貿易の漸進的な自由化あるいは秩序ある安定的な拡大というものを現実に確保するために結ばれた協定であるというふうに考えております。
#131
○横手委員 ならば、私は、自由貿易を守る、これを発展をさせていく、そのために一定の秩序というものを持たせるものであるとするならば、これは我が国にとって、これを発動したからといって直ちに保護貿易に移るということには断じてならないし、そういう見解はむしろ間違いであると言わなければならないと思うのであります。
 そこで、御承知のとおりに、先ほど申し上げました綿糸、綿布、ニット、セーター等における輸入というものはこのところ大きな伸びを示しておりますし、これが我が国のこれら業界に対して著しい打撃を与えていると判断をいたしておりますし、また、業界の皆様方もまさに悲鳴に似た声を上げておられるわけでございますが、このことについて、輸入急増による被害実態に対して政府はどう判断をしておられますか。
#132
○篠島政府委員 三品種それぞれに昨年輸入の急増を見ておりますが、ここ数年間にわたって輸入が徐々に増加し、あるいは生産が徐々に減少してまいりました。そういう事態での昨年の輸入の急増でございます。そういう意味では、国際競争力のあるものを生かしていく、おくれをとるものについてはある程度転廃業者が出ることもやむを得ないという基本的な立場に立ってこういった構造的な問題を考えてはおりますけれども、先ほど申し上げましたような中長期的に構造的にいろいろ厳しい状況の中で昨年のような輸入の急増があったということは、業界の皆さんに対しては将来に対して非常な不安感あるいは危機感を生じておるということはそのとおりだと思います。
 MFA発動要件としての市場撹乱の実態を生じているかということについては、深刻な事態はよく認識しておりますが、今直ちにそういう要件を満たしておるということを行政当局として申し上げるにはまだ十分ではないというふうに理解しております。
#133
○横手委員 私は、通産省の業界に対する基本的な指導というものは、この市況ができるだけ一定の水準で続いていく、そして企業が存続をしていくに足る利益を生みながらそういったものを続けていく、これが通産省としての業界に対する指導の基本であろうと思うのであります。ところが、業界にあっては、私もかつて紡績で働いてまいりましたけれども、操短をやります、ことしの消費量はどの程度であろうかという見通しを示す、これに対して輸入でどの程度カバーする、国内生産でどの程度カバーする、したがって、国内生産が多過ぎるということで操短が行われ、あるいは合理化が行われ、そこには雇用の不安を乗り切って、まさに労使で血と汗を流しながらその努力が行われてまいります。そして一定の市況が回復をいたしますと、今まで考えていた以上の輸入がどっと入ってまいります。たちまち市況は崩れてしまいます。現場におりますと、何のために血を流したのか、何のためにあれだけの苦労をしたのであろうか、一体政府は我々にどうしろというのだ、こういう声が起こってまいりますし、私もかつて経験をしてまいりました。
 通産省でも御承知のとおりでございますけれども、綿の相場の問題とこの輸入の問題、このグラフをかきますと、全く並行的なグラフの傾向の中にあります。一定の市況が保たれている、そこへ輸入がふえてくる、そうしたら間もなく確実にその市況は落ち込んでしまうということは過去の歴史が教えているところであります。ならば、これ以上輸入増があったならば、今の市況はたちまちにして崩れてしまうということは予測ができるわけであります。そのときに何かの手を打つべし、そして国内産業も守っていくべしだと思いますけれども、通産省、そう思われませんか。
#134
○篠島政府委員 一般的に輸入の増大というのは、国内の需要がふえておる、あるいは生産が落ちておる、というのは例えば設備廃棄等でですね、という場合に国内供給力が不足するためにふえるというようなことでございます。したがって、輸入がふえたから直ちに市況が悪化するということでは必ずしもないと思います。
 ただ、昨今の綿糸の輸入増加が相場に対してある程度の悪影響を及ぼしておるということもあるわけでございまして、そういった場合にどう対応するかということでございますが、我々といたしましては、関係輸出国に対しまして民間あるいは政府ベースで、相手の国によってそのやり方あるいは対応が違いますけれども、できるだけ輸入急増による市場撹乱が起きないようにということで、事前のいろいろな話し合いのルートを開き、あるいは話をするように努めております。
 それから、国内におきましては生産業者あるいは輸入業者等を集めまして、綿を含めた短繊維の需給協議会というのを四半期ごとに開いておりまして、ここで期近の三カ月間の生産、需要あるいは輸入の見通し、そういったものを議論をし、あるであろう姿を定量的に定めております。それからまた、ことしからは最近期近の三カ月のみならず、その次の三カ月につきましてもあわせて数字を議論する、その後の推移で実績と見通しの数字が違った場合にはそれをチェックしながら、需要見通しができるだけ需給の安定化に寄与するように運用しようということで対応をさらに強化しているところでございます。その際輸入の数字をどう見るかということについては、関係業界でいろいろ十分な話し合いをし、必要に応じて、特に輸入商社等にもその趣旨に沿った需給の安定化のための協力をしてもらうというようなことについていろいろお願いをしておるところでございます。
#135
○横手委員 先ほどお示しいたしましたように、市況のグラフと輸入のグラフは全く並行しておるわけでございます。これは、市況が崩れる前には必ず輸入が大きな山をつくっておるという事実であります。私も、輸入そのものがすべてであるとは言いませんけれども、少なくとも並行というこのグラフが示している事実、これは政府としても強く認識をしていただかなければならない問題だと思うのであります。
 さらに、今、局長の答弁の中に、民間ベースにおいても政府ベースにおいてもそれぞれ話し合いを行っておる、あるいはまた輸入業者ともそれぞれ話し合いを行っておる、そういうことにならないようにやっておるということを述べられました。その御努力は多といたしますけれども、要は結果であります。結果に見るべきものがなければ、通産省がせっかく誠意を持って行っていることが業界から見れば何もしていないというぐあいに見えてしまう。これは通産省として残念なことではありませんか。さすれば、業界の皆さん方に対して、よく通産省もやっていただいておる、こういうことが現場にも響いてくるというのが行政であろうと私は思います。
 先ほど来申し上げておりますように、相手国と話をしてもどうにもならない。一昨年ですか、紡績協会が韓国に対して、ダンピングである、パキスタンに対しては、相殺関税を行う、こういったことで申し入れをされた事実があった。したがって、韓国としてはダンピング税をかけられる前にみずからが自主規制をしましょうということで今行われ、来年まで続くわけでございますけれども、パキスタンにおいては相殺関税に関するようなことについては政府はこれを直ちにやめた。したがって、これは手の打ちようがない。しかし輸入はどんどん伸びてきておる。政府間の話し合いが行われている。それが効果があるかといっても、私が仄聞しているところでは、パキスタンについては、いろいろあるけれども対日綿糸輸出をさらに増加させ、そのシェアを守りたい、またいかなる輸出規制も行わない、こういうことが発表されていると聞いております。
 こちらは誠意を持ってやっておるつもりでも向こうでは何にもこたえていない。事実としてどんどん輸入はふえてきておる。こういう事実の中にあるわけでございますから、ならば国としてとるべきすべ、それはMFAの発動以外にどうしようもないのではないかという気がするわけであります。こういった状態を放置していけば、韓国も、今は自主規制をしておる、したがって、日本における韓国のシェアはだんだん狭まってくる、これでは正直者がばかを見るということになれば、これは韓国としても開き直らざるを得ません、こういうことが確実に出てくるであろうということが予想をされるわけであります。そして我が国においてはそれに対して何ら決定的なことが行われないということは、業界の皆さん方から見るとまことに歯がゆいことであるし、国の行政政策としても間違いである、私はこう断ぜざるを得ないのであります。
 そういった意味で一九八四年五月四日のガット繊維スタディーでは、スイスと日本はMFAに基づくいかなる規制も今まで行使しなかった、こういうことが明らかにされておりますし、違法、合法も定かではないすれすれの処置を用いて繊維の貿易を規制している、こういう指摘をしておるわけでございます。何かそういう灰色がかったようなものを日本はやっておるのではないか、こういう指摘を受けるぐらいなら、国際的ルールであるMFAをきちっと発動させるということが今、政府がとるべき姿勢だと思いますが、いかがでございますか。
#136
○篠島政府委員 先ほどお答えいたしましたMFAについて慎重であるゆえんでございますが、あのようないろいろな背景のもとにおきまして、しかし一方、輸入の急増による業界に対する重大な被害が生じておって、先ほど申し上げましたMFA発動以外のいろいろな努力をもってしても事態の混乱を阻止し得ない場合には、MFAの発動を考えることは必要であると考えております。
 今おっしゃいましたガットの委員会における指摘でございますが、日本のやっております自主的な話し合いに基づく輸入の秩序化についての具体的な方法が事実として幾つか書き並べられております。ただ、これについてはガットの委員会として特にそれを非常に好ましくないというような決めつけをしておるわけではございませんで、我々といたしましては、MFA、これはこれなりに相手国に対して非常にきつい対応になるわけでありまして、そこへいきなり行く前にできるだけ事前の、実質的に輸入秩序確保のための努力を続けることは今後も基本的な姿勢として維持していきたいと考えております。
    〔委員長退席、田原委員長代理着席〕
#137
○横手委員 今の局長の答弁は、我が国としてもMFAの発動を放棄しておるわけではない、場合によってはこれは発動するのだという答弁だと受けとめましたが、それで間違いございませんか。
#138
○篠島政府委員 そういうことでございます。
#139
○横手委員 そうすれば、いついかなるときに発動するかといったような基準、かくのごとき状態である、MFAはその国において重大な影響を及ぼすおそれがある、こういうことも発動の前提の一つになっているわけでございますが、この基準づくりというのは私はなかなか難しいと思うのであります。だから、ただ単に行政がそれを判断するのか、あるいは第三者機関、アメリカ等にもそういった機関があるようでございますけれども、それではそういったものを日本の国もつくるのか。あるいは輸入そのものがパキスタンの綿のように、あるいはニット、セーター類のように前年度化五〇%を超してきておるとか、どんなときにこれを発動するというような基準づくりというものが行われてしかるべきではないかと思いますが、その準備はどの程度進んでおりますか。
#140
○篠島政府委員 おととしの十二月に米国が、今先生が御指摘になりましたような意味でのMFA発動要件ありやなしやを議論する最初の手がかりとして、市場撹乱推定基準というようなものを定めて発表いたしました。これは関係各国、輸出国の方から、アメリカがこれをベースにして非常に保護主義的な色彩の強い運用をするのではないかということで、いろいろ厳しい批判がございまして、アメリカ側も、この基準を満たした場合でも自動的に市場撹乱ありとの推定がなされ、協議要請を行うものではなく、実際に市場撹乱があるかどうか、さらに詳細な検討が別途なされることになるという弁明をしておるわけでございます。
 先ほどもおっしゃいましたように、MFAの発動につきましては、単純な生産だとかあるいは輸入等の数字だけではございませんで、売上高、市場占拠率、利潤、輸出実績、雇用、撹乱的輸入量及び他の輸入量、生産量、操業度、生産性、投資等、できるだけ多くの経済的諸要因を総合的に判断することを要請しておるわけでありまして、これらの要因のうち一個または数個の要因のみで決定的な判断の基準としてはならないということになっておりますために、明快な数量的な基準をつくるということは非常に難しいというふうに考えております。
#141
○横手委員 今お話がございましたアメリカのそれが保護貿易過ぎるではないか、こういう非難があって、アメリカとしてもこれを直ちに発動するものではない、さらに慎重な調査の上にということでアメリカとしても答弁を行っておる、こういう御説明でございました。そのアメリカの基準というのは対前年度比輸入増どの程度の物差しを持っておりますか。
#142
○篠島政府委員 前年度の、最近年における総輸入の増加率が三〇%を超えていることということになっております。
#143
○横手委員 我が国の場合はその製品によっては五〇%を超えているという事実があるわけであります。局長おっしゃるように非常に難しい問題だと私は思いますけれども、ただ先ほども申し上げましたように、このMFAに加盟をしておる、これを批准をしておる国にあってガットの繊維スタディーはスイスと日本だけがやっていない、こういうことでございまして、これに加盟をしておる国はほとんどのところがそういった基準をつくりながら相手国と交渉をしておるわけでございます。日本だけ、なかなか難しいのでございます、これができないのでございますという話がいつまででも続くということになれば、先ほど局長が、場合によってはMFAを発動するんだと言われるけれども、あれは言うだけで日本はやる気はない、こういうことで政府間交渉においても、あるいは民間交渉においても、これがだらだら行ってしまうおそれがありはしないか、現実にそういうことが起こっているのではないか、こういう気がするわけであります。
 あるいはまた、国内の商社についても通産省として十分に指導していくと言われておりますけれども、例えばこのニット業界等におきましては、輸入インサイダーは百七社、取り扱い量は三六%、アウトサイダーが二千二社、六四%の取り扱い、こういうことになっておるわけでございまして、このすべてを網羅してこれを指導していくということはほぼ不可能なことではありますまいか、こういう気がするわけであります。したがって、こういう場合には国際的に許されたMFAの発動というもの、あるいは直ちに発動ができない、もっと調査をしなければならないということであれば、その輸入増の相手国に対してこのままでは発動せざるを得ませんよという通告ぐらいはしていく、あるいは我が国にもそういった基準づくりぐらいの作業は始める、こんなことがあってもいいのじゃありませんか。
#144
○篠島政府委員 相手国との交渉あるいは話し合いというのは雰囲気等を含めまして非常に微妙なものがございますのでケース・バイ・ケースでございますが、必要に応じて話し合いの場で、万やむを得ない場合にはMFAの発動ということをやらざるを得ない事態も生じ得る、そういうことを含めて慎重に対処してもらいたいというようなことは、輸入秩序化の必要性の度合いに応じて、相手国の態度に応じて適宜伝える、申し渡すことも現実にやっておるところでございます。
#145
○横手委員 それでは重ねてお聞きをいたしますが、私が今申し上げたように、政府間交渉あるいは民間交渉の場にあってもなかなか話が見えてこない、むしろ、要らぬことを言ってくれるな、我が国は日本の市場における輸出のシェアをもっと広げていかなければならないのだ、こういったような国があるとするならば、その国に対しては、ならば我が国はMFAの発動をあなたの国にせざるを得ません、こういうことを通告もしてまいりますというぐあいにとってよろしゅうございますか。
#146
○篠島政府委員 そういう場合の相手方の対応というのは、MFAの発動に対しては、これまた先ほど申し上げましたような輸出国の利益の観点から強力な反対を表明するわけでありまして、そういうことが想定されますだけに、国内における輸入の急増状態、それから業界の受ける被害の状況、そういったものを見ながらMFAの問題について相手方に発動する場合もあり得るということについての言い方も非常に慎重に、十分後の影響等も考えた上で、実態を踏まえて行っていかなければならないというふうに考えております。
#147
○横手委員 聞いておりましても、なかなかどういうぐあいに理解していいのかわからないような答弁なんでございますけれども、つまり、今日まで我が国はMFAの発動の前に政府間同士で、あるいは民間同士で話し合いをしてきた、これからもしていく、こういうことは意味としてわかるわけでございますけれども、しかし、現実にかくのごとき状態になっているという事実にかんがみ、我が国の輸入量が一定以上上がってきたら相手国と強く交渉していく、今までより以上に交渉していく、それでも聞かなかったならば、それは我が国としてもMFAの発動の予告はしていく、こういう決意だと理解してよろしゅうございますか。
#148
○篠島政府委員 業界が非常に深刻な状況にある場合には、そういうこともあり得るというふうに考えます。
#149
○横手委員 もう時間が参りましたけれども、申し上げてまいりましたように、本問題については業界の皆さん方からも強く申し入れが行われておるところでございまして、聞くところによりますと、与党の委員会においてもこれらの決議がなされたとお聞きをいたしております。それはとりもなおさず、ただ単に委員会で決議がなされたということではなくて、これは業界の申し出によって行われ、しかも、ただ業界の皆さんが言ってきたからやったということではなくして、その事実があるという上に立ってこのようなことがなされたことでございましょうし、先ほど私どもは大臣に対して民社党として申し入れをさしていただきました。
 それもただ単に民社党として思いつきでやったのではございません。それは業界の皆さん方の話も繰り返し聞いてまいりました。現場にも行ってまいりました。これでは大変だ、今こそ政府は立つときである、それてなければ日本の繊維産業に対して重大な禍根を残してしまう、つぶれてしまってからでは遅い、そういった気持ちの発露であります。その辺のことについては十分御理解を賜りたいと思いますし、その線に沿ってこれからも行政の中で通産省としてこの問題に対してやはり毅然たる態度、相手国に対しても、余りむちゃをしたら日本は元も子も失ってしまう、こういうことになるようなことも含めて強い形で交渉をしていくべきだと思いますが、最後に大臣、決意はいかがでございますか。
#150
○村田国務大臣 MFAの発動につきましては先ほど私から横手委員にお答え申し上げたとおりでございます。その後で篠島局長からそれに対応する姿勢についてるる申し上げたところでございまして、業界を守らなければならないというのがもちろん一番真っ先の私どもの考える意識でございますから、そういった点は十分に配慮をしながらMFA発動につきましては慎重を期していかなければならない、こういうことを申し上げたのでございまして、今後業界の動向、そしてまた自助努力さらに経済的な客観情勢を見ながら対応してまいりたいと思っております。
#151
○横手委員 大臣に重ねてお願いを申し上げておきますが、このMFAは決して保護貿易主義ではないと私は思っております。自由にしていったときに、これが野方図に行われたときに必ず自由貿易体制が崩れてしまう、そのためには一定のルールを持たなければならない、こういった前提に立った国際ルールであろうと思いますし、そういった観点に立って我が国もこれに加盟をしておるわけでございます。
 したがって、それがその国の産業を壊滅的に追い込んでいく、こういうことのおそれがあるというときにはちゅうちょなくこれを発動していくというのがむしろ自由貿易を守る道ではありますまいか、こう思うのであります。
 どうか大臣の今後の強力な取り組みを御期待を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
#152
○田原委員長代理 蓑輪幸代君。
#153
○簑輪委員 最初に大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、きのうの新聞報道によりますと、アメリカ政府は来週東京で行う両政府間の貿易委員会で、大型スーパーなどの出店を規制している大規模小売店舗法が外国製品を日本市場から締め出す働きをしているとして日本側に改善措置を要請する方針であるというような報道がされております。このような事実はあるのでしょうか。
#154
○矢橋政府委員 事実関係について申し上げます。
 ただいま現在までのところ、米国政府からそのような指摘を受けた事実はございません。
 なお、米側が、来週六月十九日から東京で開催される予定になっております日米貿易委員会での協議などに向けまして、幅広い分野にわたって日本側への要請について検討を行っている模様でございますが、その具体的な中身はまだ明らかになっておりません。
#155
○簑輪委員 来週の十九日から貿易委員会が始まるということですけれども、きょうの段階でまだその議題が明らかになっていないということはちょっと理解できないのですが、その中で正式な通告はともかくといたしまして、大体このようなことが議題になるのではないかというのは、当然通産省としても十分準備をし、勉強を重ね、対応を考えなければならないと思うのです。この問題についての米側からの要請があるというふうに見ておられるのでしょうか、それともそんなことはまるっきりないというふうに見ておられるのでしょうか、今日の段階でのお見込みを伺いたいと思います。
#156
○矢橋政府委員 今日までに、先ほども申し上げましたように、はっきりと向こうから言ってきてはいないわけでございます。ただ、これも先ほど申し上げましたように、非常に幅広い分野での問題について検討するということでございますので、可能性としてはあり得ると思っております。
#157
○簑輪委員 大規模小売店舗法というのは、これまで我が国の経済の実情をかんがみるときに、小売業者、零細業者、さまざまな問題の中で、こういう大規模小売店舗が地域の小売店の営業を脅かすことのないようにということで設けられている趣旨もございますし、この問題がアメリカの都合によって一方的にこれを見直せとか、いろいろな働きを無視してこれをアメリカの都合で改善をしろ、あるいは規制を緩和しろというふうにされてくるというのは到底納得できないところだろうと私は思うのです。
 そもそもこの大規模小売店舗法がつくられた立法趣旨、目的というのをもう一度確認しておきたいと思いますので、御答弁をお願いします。
#158
○矢橋政府委員 大店法の立法趣旨あるいは目的は、ただいま先生がお述べになりましたようなことだと思います。
 具体的に申し上げますと、これは第一条に目的が明定されているわけでございますが、すなわち「消費者の利益の保護に配慮しつつ、大規模小売店舗における小売業の事業活動を調整することにより、その周辺の中小小売業の事業活動の機会を適正に確保し、小売業の正常な発達を図り、もって国民経済の健全な進展に資することを目的とする。」ということでございます。
#159
○簑輪委員 そこで大臣にお伺いするわけですけれども、アメリカの方としては、大規模小売店舗法がアメリカ製品を売るに当たって非常に支障となってぐあいが悪いという考えでもってこの規制緩和を要求してきているようなんですが、日本政府といたしましては、こうした法律の立法趣旨あるいは小売店の現状等を考えてみますと、このままさようでございますかということは到底言えないだろうと思うのです。
 そこで大臣の立場として、アメリカ側からこの要求が出てくる場合に、私は断固拒否するという姿勢に立っていただかなければならないと思うのですけれども、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
#160
○村田国務大臣 先ほど矢橋審議官からお答え申し上げましたように、新聞で報道されましたような米国の指摘は今までのところまだ受けていないわけでございます。これは仮の問題でございますが、米国がそのような考えを持っていることがもし事実であるとすれば、先方の問題意識というものも十分踏まえた上で大店法の本来の趣旨並びに運用実態について理解を得られるような努力をしてまいらなければならない、こういうふうに考えております。
 いずれにいたしましても、大型店出店調整問題につきましては、消費者利益の保護に配慮しながら周辺の中小小売商店の事業活動の機会を適正に確保していくことが肝要でございまして、こうした観点を踏まえながら今後適正に対処してまいりたい、私といたしましてはこのように考えております。
#161
○簑輪委員 アメリカの方は何としても自分たちの商品を売り込みたいということで、都合の悪いものは一切取り除けという非常に手前勝手な要求が次々出てきていると私は受けとめているわけでございますが、この報道によりましても、アメリカの方は実際スーパーの出店規制がアメリカ製品の販売に支障となっているという認識があるようなんですが、通産省の方にお聞きしますと、必ずしも実態はそうではなくて、アメリカ製品あるいは外国製品の売れ行きがはかばかしくないのはそれと直接に結びつくものではないというふうな御見解もあるように伺っているのです。通産省当局としては、このスーパーの出店規制がアメリカ商品あるいは外国商品の販売に支障となっているという事実認識をお持ちかどうか、この際通産省当局のお考えも伺っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#162
○矢橋政府委員 大規模店舗法が輸入促進の障害になっているか否かということの認識についてのお尋ねでございます。これを言いかえますと、大規模店と中小小売店とどちらが輸入を促進するかということになるわけでございますが、そのところのはっきりとしたデータは持ち合わせておりません。
#163
○簑輪委員 アメリカの要求に対応していく場合、実情をつぶさに把握して、向こう側からの要求が不当であるならば事実をもって反論して、機敏に適切に対応していかなければならないと思うのです。だから、そこら辺のところがどうなっているか、事実がわからないというようなことでは通産省の対応としては極めて弱いものにならざるを得ないと私は思うわけです。したがって、その点につきましてもそういったことではなくて、アメリカの要求がまさに筋違いであるということで明確に論破していただくような、きちんとした対応を私は重ねて要求しておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#164
○矢橋政府委員 アメリカの要求を論破するためと申しますよりも、それ以前に日本の流通機構の現状及び場合によったら問題点をも含めまして、日本の流通機構の真実の姿というものについてよく把握をいたしまして、必要に応じ、向こうにも十分な説明をしたいと考えております。
#165
○簑輪委員 経済企画庁がレポートを出しておりまして、情報化時代における流通構造、その委託調査で「流通構造・商取引慣行等に関する国際比較調査報告書」というのがありまして、これによりますと、流通効率化の阻害要因として、非近代的経営、すなわち生業的な小規模零細小売業者の存在というのが挙げられております。これに対する公共政策として大型店規制の見直したとか、許可、免許制度だとか税制の問題だとかということが挙げられているわけです。こういう経企庁のレポートに対しまして、所管省としての通産省がこれをどのように受けとめておられるのか、お尋ねしたいと思います。
#166
○矢橋政府委員 私ども商業、特に小売業のあり方を考えてまいります場合、いわゆる経済的な合理性ということと並んで、社会的有効性といった観点も非常に大事なものだと考えているわけでございます。それは個々の小売店が地域に密着した存在である、住民と一緒になってコミュニティーを形成している、それから消費者から見て非常に身近で便利な、小回りのきく、サービスのいい小売店を求める、そういうニーズもあるわけでございます。そういったことから私ども、経済合理性のほかに、今申し上げました意味での社会的有効性、両方を調和して考えてまいらなければならないと思うわけでございます。もし前者のみの立場を推せば割と簡単と申しますか、すっきりした答えも出るかもしれませんが、その両方を考えなければならないところに非常に難しさがあると考えているわけでございます。
#167
○簑輪委員 通産省として、小売店の存在は日本の経済の中で重要な役割を果たしているという認識はお持ちだろうと思うのです。また、そう認識していただかないことには通産行政は成り立たないと思うのです。そうした中でアメリカの方は本当にさまざまな要求を出してきておりまして、日本とアメリカのいろいろな経済の実情の違いの中から誤解の面もあるでしょうから、それを完全に解く必要もありますが、事実と違う問題がたくさんありまして、例えば日本の流通システムが非常に複雑で非効率的であるとか、日本の流通機構は多段階で多くの中間業者が存在する、したがって、流通コストも高くなるというような指摘もされているというふうに、これも経企庁の関連の流通問題研究会等で指摘されているところなんです。
 流通コストが高くなるというふうに言っているのは、日本人のビジネスマンとアメリカのビジネスマンが両方ともそうだというふうに合意している、同意している項目ということで指摘されておりますけれども、果たしてそうなのかという点をつぶさに実情を調べてみなければならないと思うわけです。決してそうではなくて、この流通コストの面でも、日本とアメリカを比較したときに、それほどの違いがあるわけでなく、特に問題視されるものではないと私は思いますけれども、数字を明らかにした方がいいと思いますので、例えば生鮮食料品等に関連して、まず最初に、農水省の方おいでいただいていますでしょうか、流通コストの点でどのような違いがあるのか、数字を明らかにしていただきたいと思います。
    〔田原委員長代理退席、委員長着席〕
#168
○武田説明員 お答えいたします。
 生鮮食料品の流通マージン、これは品目が非常に多うございますから、その違いあるいは豊凶変動の影響を受けまして、年により時期により異なるわけでございますけれども、我が国においては生鮮食料品総じて見ますと、最終消費者価格のほぼ三割ないし五割となっております。アメリカにおきましても、同様に総じて見ますと、やはり最終消費者価格のほぼ三割ないし五割ということでございまして、アメリカと比べて我が方が特に高いということではないと考えております。
#169
○簑輪委員 大臣、お時間だそうですけれども、最後に一点だけ伺っておきたいと思います。
 今農水省の方からお答えをいただきましたけれども、このような流通マージンについては日米それほど変わりがないということです。農水関係でなく通産省の関係でもほぼ同様な数字をいただいておるわけですけれども、こうした中で、実際問題として、日本とアメリカを比較した場合、日本はさまざまな問題があると言われていながら実はそうではないのだということがたくさんあるわけでございます。
 今、中小業者が非常に苦境に陥っているときだけに、この点でアメリカの圧力のもとで小売店がダメージを受けて廃業を余儀なくされる事態が大変心配されております。大型店の進出問題、これは何としても地域の小売店にとっては死活問題でございますので、この問題についての大臣の御決意を最後にもう一言だけお聞かせ願って御退席いただきたいと思います。
#170
○村田国務大臣 大型店の出店問題につきましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、現実に地域の消費者に及ぼす影響、そしてまた地域で従来やっておられました中小小売業の動向等を判断いたしまして、そしてよく御相談をして調整すべき問題だと考えておりまして、これは例えばアメリカの最近伝えられるような動向のことを前提といたしましても変わらない考え方、信念でございます。
#171
○簑輪委員 ぜひそういう小売店の立場に立って毅然として対応をしていただきたいと思います。結構でございます。それから、農水省、御答弁をいただきましてありがとうございました。結構です。
 あと通産省の方に、この流通マージンの点で確認をしておきたいと思います。生活品あるいは機械、原材料等さまざまな商品について、運賃コストも加えての流通コスト比較、日本とアメリカの流通コスト比較、数字をお答えいただきたいと思います。
#172
○矢橋政府委員 結論的に申し上げますと、日米の流通コストには大きな差はないように思っております。
 具体的に申し上げますと、総体としての流通コスト、すなわち商業マージンプラス運賃の合計でございますが、この比率につきまして昭和五十六年九月に経済企画庁において産業連関表をもとに行った分析結果がございます。それによりますと日本が三二・八%、アメリカが三九・五%となっているわけでございます。アメリカが若干高くなっている、そういう結果が当時の試算として出ているわけでございます。なお、これは食料品、紙パルプ、電気機械、繊維、農林水産等十四産業分類について行った結果でございます。
#173
○簑輪委員 もし商業マージンとそれから運賃と、数字がわかりましたら同時にお答えいただけますか。
#174
○矢橋政府委員 日本の場合には商業マージン比率が三一・二%、運賃比率が一・六%、合わせまして三二・八%でございます。アメリカが商業マージンが三七・三%、運賃比率が二・二%、合わせて三九・五%でございます。
#175
○簑輪委員 御報告いただきましたように、流通コストの点で日米が大きな開きがあるとか日本が特に流通コストが高いとかいうことがないことが明らかになったと思います。これを踏まえてぜひ対応していただきたいということをお願いします。
 続いてですけれども、今、商品取引をめぐって大変さまざまな問題があります。現物まがい商法については、豊田商事など今大きな社会問題になっているわけでございます。この問題についてもぜひお尋ねしたいと思いますけれども、時間がございませんので、きょうはちょっと絞って、国内私設市場の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 国内私設市場の問題は、商品取引所法第八条で規定されている問題点ですけれども、これが昭和五十五年四月に解釈が変わりまして、その結果大変な影響が出てきてさまざまな被害が広がっているという事態がございます。これは従来は八条でもってすべての商品市場類似施設開設が禁止されているというふうにされておりましたけれども、五十五年四月以降、そうではなくて政令で指定した商品だけだというふうに変わってきているわけでございます。その結果、金の私設市場が大変問題になれば金を指定する、次にプラチナが出てきて、これがまた大きな社会問題になればプラチナを指定するというようなことがされてまいりました。今日、プラチナにかわってパラジウムというのが大きな被害をもたらしてきているという状況です。こういうふうにして次々と問題が変わって、そして被害が拡大していくというのは、商品取引所法の解釈が一方的に変わったというところから大きな問題が出てきているというふうに思うのです。
 まず今日の実態として、このパラジウム取引についての被害が拡大しているというのを明らかにしたいと思いますけれども、通産省の方で把握しておられる国内私設先物取引パラジウムの被害実態を御報告いただきたいと思います。
#176
○矢橋政府委員 パラジウムの国内私設先物取引にかかわる私どもに寄せられております苦情相談でございますが、これは昭和五十八年の十月ごろから発生をしております。そして五十八年度は件数で八十九件、支払い金額の合計は一億四千六百二十万円。そして一件当たりの平均支払い金額が百六十四万円でございました。
 五十九年になりまして、これが二百八十七件、支払い金額の合計が五億九千二百三十七万円、一件当たりの平均支払い金額が約二百六万円ということになっております。五十九年度に入りましてふえておるところでございます。
#177
○簑輪委員 今御報告をいただきましたように、五十八年十月から被害が出ているということは、それまではプラチナの被害が出ていて、それが指定されたために今度はパラジウムの被害にかわってきたということだと思うのです。そして御報告いただきましたように、一件当たりの被害が、五十八年度は百六十四万、それが五十九年度は二百六万とふえてきているということです。もちろん平均をいたしますとこういう数字になりましょうけれども、一件当たりの金額で何千万という多額な被害を受けているというケースもあるわけです。
 既にこの問題で裁判等も始まっておりまして、私のところにも訴状があるわけですけれども、これを見ますと、六十歳の退職地方公務員の方が取引に無知であることを利用されて、結局二千万円被害を受けてしまったということで訴訟になっているわけです。こういうことは、このまま放置しておきますとますます被害が拡大するばかり。豊田商事と同様、あるいはそれ以上にさまざまな問題点が出てくるというふうに私は思います。
 そこで何としても、イタチごっこといいますかモグラたたきといいますか、次々起こってくる被害、それが大きな金額になったらそれを指定するというようなやり方ではなく、この際根本的に、こうした問題の発生を防ぐためにも、第八条の解釈を従前の解釈に戻すということが必要ではないかと思うのです。大体このような新しい法解釈が突然行われるということは理解しがたいわけですけれども、一体どのような事情でこういう法解釈に変わったのか、その辺の事情がもしわかりましたら一言お聞かせいただきたいと思います。
#178
○矢橋政府委員 八条の解釈の問題でございますが、実は昭和二十六年以来積極に解してきたわけでございます。他方昭和五十五年の二月になりまして、同条の解釈につきまして質問主意書が提出されました。これをきっかけといたしまして検討した結果、従前の解釈を改めまして、商品取引所法第八条第一項の規定は政令指定商品以外の先物取引をする市場の開設を禁止していないという見解をとるに至ったわけでございます。
 これがてんまつでございますが、理由につきましては、一つは法第一条の目的規定及び法八条の規定の文理について再検討を行った結果であるということでございます。法一条の目的としているものは、政令指定商品の公正な価格の形成及び生産、流通の円滑化等であって、この意味で、八条一項の文理解釈上商品市場は政令指定商品に関する市場に限定する。逆に申しますと、商品取引所を設置をしてそこでいろいろの規制を行い、市場を開設していくという手法によって、商品の公正な価格の形成及び生産、流通の円滑化等を図るというものは、政令の指定品目に限定をする趣旨である、こういう若干文理の面に着目をした解釈が行われたわけでございます。
 いずれにいたしましても、この解釈は内閣法制局におきまして十分検討した末の政府としての見解であるわけでございます。
#179
○簑輪委員 内閣法制局が検討し、政府としてそのような解釈をとられたといういきさつはわかりましたけれども、実態を踏まえたものではなく、かなり形式的な文理的な解釈であるというふうに受けとめざるを得ないわけですね。
 実際問題として、この種の被害が多発する中でさまざまな裁判が行われてきました。金の問題につきましても、既に各裁判所で判決も出されておりまして、これまで出されました地方裁判所、高等裁判所の判決はいずれも、この第八条の解釈につきましては、法制局見解が間違っていて従来の解釈こそが正しい解釈であると、裁判所がこのように明確に判示しているわけでございます。
 したがって、こういう被害が多発しており、裁判所も実態を踏まえた上での判決が、新解釈といいますか、この法制局解釈が間違っているというふうに言っている今日、これを通産省としては黙って見ておって、例えば最高裁判所の判決が出るまで待とうじゃないかというようなことでは、これは次々発生する被害を食いとめることはできないと私は思うのですね。
 したがって、解釈の面でどうしてもそれを左右することができないということであるならば、この際ぜひ疑問の余地のないような立法を講じてこの被害を食いとめる、こうした私設先物取引の市場を自由に開設するということが許されないということが明確にわかるような立法を行うべきではないかというふうに考えますが、その辺の御検討はされていらっしゃらないのでしょうか。
#180
○矢橋政府委員 現在の解釈の上に立った場合、商品取引所法による指定商品について場外市場が禁止されているということになるわけでございますが、そのことによっていわゆる悪徳商法が防止されるということは、いわば反射的な効果でないだろうかと思うわけでございます。悪徳商法を退治するために商品取引所に上場をするということはちょっと不自然ではないだろうか、上場の場合には、そういった経済的実体があって上場にふさわしい状況になったときの問題ではないだろうか、まずその点はそのように考えているわけでございます。
 そこで、それとは別に、立法によってすべての商品について、つまり商品取引所に上場されている商品以外の商品をも含めてすべての商品について先物取引を禁止するということのお尋ねであろうと思うわけでございますが、これは実際、いわゆる仲間取引というものが正常に行われているケースが多いわけでございます。したがいまして、そのようなことをいたしますと、そういった正常な取引までも一緒に禁止をしてしまうということになりまして、甚だ不都合な事態になる可能性がございます。そこで、上場品目以外を含めて全部の私設市場を禁止をするということは、いわば過剰規制の問題をも生ずる可能性がありまして、非常に問題が多いやり方ではないかと現状では考えております。
#181
○簑輪委員 今答弁を剛いておりまして、私は、本当に通産省が消費者の立場に立ってこうした被害を食いとめるという姿勢があるのだろうかと大変不安に思うわけです。
 といいますのは、今日、豊田商事の問題を見ましても、悪徳商法あるいは悪質な取引というものは、もちろんどんな法律がありましても、次々に知恵を働かせて法の網をくぐって悪巧みをするということでございますけれども、そういうものがまかり通ることを極力限定していくというのが法律の役割でもございますし、また行政の任務でもあろうかというふうに思うのですね。したがって、被害が取り返しのつかないようなところまでいってしまってから、にっちもさっちもいかなくなってしまってから、世論に押されて渋々腰を上げるというようなことでは、私は、まことに無責任きわまりないというように言わざるを得ないと思うのです。
 したがって、今日既にこういう問題が起こっておりますときだけに、通産省といたしましては、過剰規制云々ということで事をすり抜けていくのではなくて、適切な規制措置を講じろということで私どもは要求しているわけですし、従来の解釈にのっとった立法をということでお願いしているわけでございますので、その辺での御決意を伺って終わりたいと思います。
#182
○矢橋政府委員 法律上の技術的な問題を超えて、悪徳商法を撲滅する方向に向かっての真剣な対応が必要だ、こういう御指摘でございますが、その点につきましては、私どもも同じ気持ちで真剣に取り組んでまいりたいと思います。
 それから、いずれにいたしましても、消費者に対する啓蒙普及というものも大変大切であると考えているわけでございまして、このため、今まで政府広報あるいはパンフレット、テレビ番組等々で相当精力的にPRをしてまいったつもりでございますけれども、ごく最近、注意喚起のチラシを十万枚作成いたしまして、配布先につきましても、より効果を持たせるために、老人クラブとかあるいは民生委員、福祉事務所、そういったところにも御協力を願いまして配布を予定するというようなことで、現在、PRにつきましては一生懸命やっているところでございます。
#183
○簑輪委員 終わります。
#184
○粕谷委員長 以上をもちまして蓑輪幸代君の質疑は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会をいたします。
    午後二時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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