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1984/02/20 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第3号
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1984/02/20 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第3号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第3号
昭和六十年二月二十日(水曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 今井  勇君
   理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君
   理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君
   理事 日野 市朗君 理事 武田 一夫君
   理事 神田  厚君
      大石 千八君    太田 誠一君
      鍵田忠三郎君    佐藤  隆君
      鈴木 宗男君    田邉 國男君
      野呂田芳成君    羽田  孜君
      保利 耕輔君    松田 九郎君
      三池  信君    山崎平八郎君
      若林 正俊君    渡辺 省一君
      上西 和郎君    島田 琢郎君
      新村 源雄君    細谷 昭雄君
      松沢 俊昭君    駒谷  明君
      斎藤  実君    水谷  弘君
      吉浦 忠治君    稲富 稜人君
      菅原喜重郎君    中川利三郎君
      中林 佳子君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  佐藤 守良君
 出席政府委員
        農林水産政務次
        官       近藤 元次君
        農林水産大臣官
        房長      田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房予算課長   鶴岡 俊彦君
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        農林水産省構造
        改善局長    井上 喜一君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産省畜産
        局長      野明 宏至君
        農林水産省食品
        流通局長    塚田  実君
        農林水産技術会
        議事務局長   櫛渕 欽也君
        食糧庁長官   石川  弘君
        林野庁長官   田中 恒寿君
        水産庁長官   佐野 宏哉君
 委員外の出席者
        警察庁警備局公
        安第二課長   菅沼 清高君
        大蔵省主計局主
        計官      涌井 洋治君
        大蔵省主税局税
        制第三課長   津野  修君
        労働省労働基準
        局補償課長   佐藤 正人君
        自治省行政局選
        挙部選挙課長  浅野大三郎君
        農林水産委員会
        調査室長    矢崎 市朗君
    ―――――――――――――
委員の異動
二月二十日
 辞任         補欠選任
  津川 武一君     中川利三郎君
同日
 理事日野市朗君同日理事辞任につき、その補欠
 として田中恒利君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
二月十四日
 菌糸価格安定法及び蚕糸砂糖類価格安定事業団
 法の一部を改正する法律案(内閣提出第三〇号
 )
同月十九日
 農業改良資金助成法及び自作農創設特別措置特
 別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第
 三九号)
昭和五十九年十二月二十五日
 木材産業の不況対策に関する請願(畑英次郎君
 紹介)(第四五四号)
昭和六十年一月三十一日
 東京営林局存置に関する請願(赤城宗徳君紹介
 )(第一四六二号)
二月一日
 まき網漁業の操業禁止区域の拡大等に関する請
 願(志賀節君紹介)(第一五七二号)
同月十九日
 農林水産関係予算増額等に関する請願(中林佳
 子君紹介)(第一七〇三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
昭和五十九年十二月十九日
 農業振興対策の充実強化に関する陳情書外一件
 (宮崎県町村議会議長会会長岩下好外一名)(
 第四八号)
 食料の安定供給及び米穀政策の確立等に関する
 陳情書外九件(鹿児島市議会議長上入来幸吉外
 九名)(第四九号)
 林業振興対策の強化に関する陳情書(宮崎県町
 村議会議長会会長岩下好)(第五〇号)
 営林署統廃合反対に関する陳情書(函館市議会
 議長出町国義)(第五一号)
 名古屋営林局の存置に関する陳情書(愛知県議
 会議長岡本辰巳)(第五二号)
 民間林業労働者の雇用安定及び労働条件等の改
 善に関する陳情書外一件(黒石市議会議長佐藤
 治郎外一名)(第五三号)
 毒性含有除草剤埋立処分地周辺の環境影響調査
 の実施等に関する陳情書(愛知県議会議長岡本
 辰巳)(策八七号)
昭和六十年一月三十日
 農林漁業振興対策の拡充強化に関する陳情書
 (愛知県町村会会長松崎明外三名)(第一六一
 号)
 米の自給体制の確立と需給安定に関する陳情書
 外六件(和歌山県議会議長松本計一外二十名)
 (第一六二号)
 水田利用再編対策の推進に関する陳情書外三件
 (東北市議会議長会会長青森市議会議長落合長
 栄外二十九名)(第一六三号)
 農林漁業金融公庫資金等の融資拡充に関する陳
 情書(京都市上京区西洞院通下立売上ル広野義
 雄)(第一六四号)
 果樹共済災害収入共済方式に関する陳情書(愛
 媛県知事白石春樹)(第一六五号)
 大洲喜多地区国営総合農地開発事業の促進に関
 する陳情書(愛媛県知事白石春樹)(策一六六
 号)
 農業基盤整備事業の促進に関する陳情書外三件
 (九州各県議会議長会会長鹿児島県議会議長原
 田健二郎外三名)(第一六七号)
 広域営農団地農道整備事業の促進に関する陳情
 書(静岡県町村議会議長会会長村松庫一郎)(
 第一六八号)
 南予地区国営土地改良事業の促進に関する陳情
 書(愛媛県知事白石春樹)(第一六九号)
 肉用牛振興対策の充実強化に関する陳情書(九
 州各県議会議長会会長鹿児島県議会議長原田健
 二郎)(第一七〇号)
 蚕糸業振興に関する陳情書外一件(徳島県議会
 議長糸林寛行外一名)(第一七一号)
 松くい虫防除対策に関する陳情書(東北市議会
 議長会会長青森市議会議長落合長栄外二十六
 名)(第一七二号)
 四国西南山地大規模林業圏開発事業の促進に関
 する陳情書(愛媛県知事白石春樹)(第一七三
 号)
 植樹植林事業に対する財政措置の拡充に関する
 陳情書(十都道府県議会議長会代表東京都議会
 議長田辺哲夫外九名)(第一七四号)
 韓国漁船の操業対策に関する陳情書(東海北陸
 七県議会議長会代表静岡県議会議長市川重雄外
 六名)(第一七五号)
 外国漁船による侵犯操業の取り締まり強化に関
 する陳情書(九州各県議会議長会会長鹿児島県
 議会議長原田健二郎)(第一七六号)
 地域沿岸漁場開発総合調査に関する陳情書(愛
 媛県知事白石春樹)(第一七七号)
 宇和島市戸島地区養殖場造成事業の促進に関す
 る陳情書(愛媛県知事白石春樹)(第一七八号
 )
 近海カツオ・マグロ漁業経営安定対策の推進に
 関する陳情書(九州各県議会議長会会長鹿児島
 県議会議長原田健二郎)(第一七九号)
 サバ漁業者の救済に関する陳情書(十都道府県
 議会議長会代表東京都議会議長田辺哲夫外九
 名)(第一八〇号)
 漁港の整備促進に関する陳情書(愛媛県知事白
 石春樹)(第一八一号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の辞任及び補欠選任
 農林水産業の振興に関する件(農林水産業の基
 本施策)
     ――――◇―――――
#2
○今井委員長 これより会議を開きます。
 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。
 理事日野市朗君から、理事を辞任いたしたい旨の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次に、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○今井委員長 御異議なしと認めます。
 それでは、理事に田中恒利君を指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○今井委員長 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 この際、佐藤農林水産大臣から、農林水産業の基本施策について発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#6
○佐藤国務大臣 農林水産委員会の開催に当たりまして、私の所信の一端を申し上げます。
 我が国の農林水産業は、国民生活にとって最も基礎的な物資である食料の安定供給を初め、活力ある健全な地域社会の形成、国土・自然環境の保全など我が国経済社会の発展や国民生活の安定のため重要な役割を果たしております。
 農林水産業を取り巻く経済情勢について見ますと、先進国を中心とする世界経済が緩やかな景気回復に向かう中で、我が国経済は、次第に景気拡大過程に入ってきておりますが、財政は依然として不均衡の状態にあります。また、対外的には大幅な貿易収支の黒字等により経済摩擦が生じているなどの諸問題を抱えております。
 このような情勢の中で、我が国農林水産業は、食料消費の伸び悩み、農林水産物の価格の低迷、経営規模拡大の停滞、労働力の高齢化などの諸問題に直面しております。また、行財政改革の一層の推進が求められるとともに、諸外国からの市場開放要求が依然絶えないなど極めて厳しい状況にあります。
 このような状況のもとで、一億二千万人に及ぶ国民に食料を安定的に供給するためには、国会の食糧自給力強化に関する決議等の趣旨を踏まえ、国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針のもとに、農業生産の担い手の育成、農地や水資源の確保、技術の向上を含めた総合的な食料自給力の維持強化を図ることが肝要であると考えております。
 この場合、我が国農林水産業の体質強化を図るとともに、農山漁村社会の活性化を進めることが重要でありますが、私は、特に次の三点に力点を置き、施策を進めてまいりたいと考えております。
 すなわち、第一には、生産性の高い、土台のしっかりした農林水産業を実現していくことであります。
 第二には、二十一世紀に向けて、バイオテクノロジー、ニューメディアなどの先端技術の開発・普及による魅力ある農林水産業を築くことであります。
 第三には、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持てるような「活力ある村づくり」を進めることであります。
 特に昭和六十年は、二十一世紀まであと十五年という節目の年でもあり、新たな決意を持って農林水産行政に取り組んでいきたいと存じます。
 以下、昭和六十年度における主要な農林水産施策について申し上げます。
 まず、農業の振興についてであります。
 第一は、土地利用型農業の体質強化を中心として、経営規模の拡大、生産基盤の整備、技術の開発普及等を通じて生産性の向上を一層推進することであります。
 このため、農地等の有効利用や担い手の育成と土地基盤の整備等を地域の実情に即して一体として行う地域農業整備総合対策を実施することとしております。
 また、農業者の自主的な創意工夫に基づき、経営基盤の強化を図るため、農業改良資金制度を再編拡充して、畜産、果樹等の生産方式の改善を図るための資金及び借地による経営規模の拡大に必要な資金を設けることとしております。
 生産基盤の整備につきましても、事業の着実かつ効率的な推進を図る所存であります。
 国民の期待の高まっているバイオテクノロジー、ニューメディア等先端技術につきましては、産・官・学の連携強化による総合的なバイオテクノロジー等先端技術の開発普及を強力に推進するとともに、その発展の基盤となる農林水産ジーンバンクの整備を進める考えであります。また、ニューメディア等の情報化対策につきましては、農林水産業等の各分野における情報システム化のための調査・設計、ソフトウエア開発等を総合的に推進してまいる所存であります。
 第二は、需要の動向に応じた農業生産の展開を地域の実態に即して図ることであります。
 まず、水田利用再編対策につきましては、今後の農業生産の基本方向に即し、米の生産を計画的に調整するとともに需要の動向に安定的に対応し得る農業生産構造の確立を期するため、水田利用再編第三期対策を引き続き実施することとし、地域の実態に即した転作の定着化の一層の促進を図ってまいります。
 国民の主食である米につきましては、国内において自給する方針を堅持し、水田利用再編第三期対策の枠組みのもとでゆとりある米管理の確保と三度の過剰発生防止の両面に留意しつつ、その生産及び供給の確保に努め、計画的な在庫積み増しを図ることとし、需給の安定に万全を期してまいる所存であります。さらに、他用途利用米の円滑な生産流通の定着を図ることとしております。
 また、地域の主要農産物について総合的な生産対策を実施することとしております。特に、果樹につきましては、最近の情勢を踏まえ、需給の安定を図ること等を旨として、所要の制度改正を行うこととし、また、畜産につきましては、酪農及び肉用牛生産の振興を中心とした畜産対策の総合的な推進を図り、国際競争力も念頭に置いた体質強化に努めることとしております。
 さらに、現下の蚕糸業をめぐる情勢にかんがみ、菌及び生糸の価格安定措置等に関し、所要の改善を図ることとしております。
 第三は、多様化している食料需要に適切に対応しつつ、国民の健康的で豊かな食生活を保障することであります。
 このため、我が国の風土に適した日本型食生活の定着促進を図り、各般の消費者・食生活対策を推進するとともに、農水産物の消費拡大と価格の安定に努めることとしております。
 また、食品産業におきましても、地域食品の振興や技術水準の向上を図るとともに、情報システム化等を通じた食品流通の効率化を推進することとしております。
 第四は、農林水産業に携わる人々が意欲と生きがいを持ち、農林水産業の振興が一層図られるよう、農山漁村社会の活性化を進めることであります。
 このため、農山漁村社会の高齢化、混住化等に対処しつつ、農林水産業の振興と生活環境の整備を一体的に行うほか、地場産業の育成、都市と農山漁村の交流の促進等により、活力ある村づくりを進めてまいる考えであります。
 以上申し上げました各般の施策のほか、世界の食料需給の安定に貢献するため、長期的観点に立って、開発途上地域における農業開発への協力を一層推進することとしております。特に、近年食料問題が深刻化しているアフリカ諸国につきましては、その自助努力により食料増産等が図られるよう支援してまいる所存であります。
 また、国土資源に制約のある我が国として輸入に依存せざるを得ないものについては、その安定的輸入の確保を図るとともに、輸入障害等の事態に備えて、備蓄の確保を図ることとしております。
 農林漁業制度金融につきましては、農業改良資金制度の再編拡充のほか、農林漁業金融公庫資金につき、総合施設資金の拡充、新規用途事業資金の充実等制度の改正を行うとともに、農業近代化資金及び漁業近代化資金につき、貸付限度額の引き上げ等を行うこととしております。
 また、農業者年金制度につきましても、国民年金等の改正案を踏まえ、給付と負担の適正化、農業構造の改善を促進するための措置等を講ずることとしております。
 さらに、農業災害補償制度につきましても、農家の保険需要の実情等に対応して、制度改正を行うこととしております。
 林業につきましては、木材需要の減退、経営諸経費の増高、担い手の高齢化等極めて厳しい情勢にありますが、近年、木材等の生産のみならず、国土の保全、水資源の涵養など森林の有する公益的機能の高度発揮に対する国民の要請は一段と高まってきております。
 また、戦後営々と造成されてきた森林の大半は、現在間伐期を迎えており、二十一世紀に到来が予想される国産材時代に向けて、林業生産活動の活性化とこれによる適切な森林の整備を図ることが重要な課題となっております。
 特に、本年は「国際森林年」とされていることから、これを契機として我が国のみならず世界の森林資源の保全・涵養に積極的に取り組んでまいる所存であります。
 このような状況を踏まえ、外材にも対抗し得るよう、広域の林業主産地における国産材の大量安定供給体制の整備、担い手の育成確保を図るとともに、間伐対策の拡充、新製品、新技術の開発等による木材の需要拡大対策の強化、流通対策の充実強化等を図ってまいる所存であります。
 さらに、造林・林道事業等生産基盤の整備と治山事業、水源林の整備等を図るとともに、農林業の一体的振興等により活力ある山村の形成に努めてまいる所存であります。
 また、国有林野事業につきましては、新たな改善計画に基づく経営改善の一層の推進を図ってまいることとしております。
 水産業につきましては、二百海里体制の定着化、漁業用燃油価格の高水準での推移による経営の圧迫、水産物需要の伸び悩みなど厳しい情勢にありますが、動物性たんぱく質の安定供給という重要な役割にかんがみ、その振興を図ることが肝要であります。
 このため、漁港等生産基盤の整備を進めるとともに、我が国周辺水域の漁業を振興するため、栽培漁業の振興、沿岸漁場の整備開発等により「つくり育てる漁業」を推進することとしております。
 また、沿岸漁業における適正な漁場利用を推進しつつ、活力ある漁村の形成を図ることとしております。
 さらに、厳しい漁業経営の現状にかんがみ、漁業生産構造の再編整備や漁協信用事業の整備強化を図るとともに、国民の健康栄養面で注目されている水産物の消費拡大対策や流通加工対策等を推進することとしております。
 なお、遠洋漁業につきましても、粘り強い漁業外交を通じてその存続に努めてまいる所存であります。
 これら農林水産施策を推進するため、厳しい財政事情のもとで、農林水産予算につきましては、各種施策について優先順位の厳しい選択を行いつつ、我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていけるよう、必要な予算の確保を図ったところであります。
 また、施策の展開に伴い必要となる法制の整備につきましては、今後、当委員会の場におきまして、よろしく御審議のほどをお願い申し上げます。
 最後に、農林水産物の市場開放問題につきまして申し上げます。
 経済の相互依存関係が深まる中で、我が国農林水産業が国際化の要請に対応し得るよう生産性を向上し、体質を強化して、その健全な発展が図られることが重要であります。
 このため、今後とも市場開放問題に当たっては、国内農林水産業との調和を図りつつ、諸外国に対してこれまで行ってきた市場開放措置の経緯や我が国の農林水産業を取り巻く厳しい実情について十分説明し、理解を得ながら、慎重に対処してまいる考えであります。
 以上、所信の一端を申し上げましたが、私は、農林水産業に携わる方々に明るい希望を持っていただけるよう、我が国農林水産業の発展のため全力を傾けてまいる覚悟であります。
 委員各位におかれましては、農林水産行政推進のため、今後とも一層の御支援、御協力を賜りますよう、切にお願い申し上げる次第であります。(拍手)
#7
○今井委員長 次に、昭和六十年度農林水産関係予算について説明を聴取いたします。近藤農林水産政務次官。
#8
○近藤(元)政府委員 昭和六十年度農林水産関係予算について、その概要を御説明申し上げます。
 昭和六十年度一般会計における農林水産関係予算の総額は、総理府など他省庁所管分を含めて三兆三千八億円で、対前年当初予算比四・六%、千五百八十九億円の減額となっております。
 本予算におきましては、厳しい財政事情のもとで、財政及び行政の改革の推進方向に即し、限られた財源の中で、各種施策について徹底した節減合理化に努めつつ、予算の重点的かつ効率的な配分により質的充実を図り、農林水産行政を着実かつ的確に展開するよう努めたところであります。
 以下、予算の重点事項について御説明いたします。
 第一に、国土資源を有効に利用し、生産性の高い農業を実現するため、構造政策を推進することであります。
 今日、土地利用型農業の規模拡大と生産性向上を実現し、その体質強化を図ることが緊急の課題となっております。
 このため、地域の実情に応じて農地等の有効利用と担い手の育成等を助長し、これと密接に関連させて土地基盤、農業近代化施設の整備等を行う地域農業整備総合対策を発足させることとしております。
 また、補助から融資へとの観点を踏まえ、農業者の自主的な創意工夫に基づく合理的な生産方式の導入、経営規模の拡大等を促進し、農業経営基盤の一層の強化を図るため、農業改良資金制度を再編拡充するとともに、自作農創設特別措置特別会計を農業経営基盤強化措置特別会計に改組して、農業改良資金の管理及び農地保有の合理化を促進するための事業に対する助成を行うこととしております。
 このほか、土地利用型農業の生産性の向上に重点を置いた新農業構造改善事業後期対策等関連施策を推進することとしております。
 第二に、需要の動向に応じた農業生産の再編成と生産性の高い農業生産体制の整備を図ることであります。
 まず、五十九年度に発足しました水田利用再編第三期対策につきましては、六十年度の転作等目標面積を五十七万四千ヘクタールとして引き続き推進することとし、地域の実態に即した転作の一層の定着化と他用途利用米制度の円滑省推進を図ることとしております。
 次に、耕種部門の統合・メニュー事業である新地域農業生産総合振興対策につきましては、新たに地域特産果樹の産地整備対策等を事業種目に加え、その推進を図ります。
 また、畜産関係の統合・メニュー事業である畜産総合対策につきましては、交雑種の雌牛を活用した低コスト肉用牛生産のパイロット的実施等肉用牛生産の振興に重点を置き、その推進を図ることとしております。
 第三に、農業生産の基礎的条件である農業生産基盤の整備につきましては、食料自給力の強化、生産性の向上及び農業生産の再編成に資する事業等に重点を置いて推進することとし、八千七百八十九億円を計上しております。
 第四に、農林水産業・食品産業等の生産性の飛躍的向上等に資するため、産・官・学の連携強化による総合的なバイオテクノロジー先端技術の開発を推進するとともに、その発展の基盤となる遺伝資源の総合的確保を図る等農林水産技術の開発・普及を推進することとしております。
 また、最近の情報処理技術等の目覚ましい発達に対処して、農林水産情報システムの開発・整備を推進することとしております。
 第五に、農林水産業にいそしむ人々が、意欲と生きがいを持てるような活力ある村づくりを推進するため、農村、山村、漁村のそれぞれにおいて、農林漁業に基盤を置いた農山漁村の建設を進めることとしております。
 また、農業・農村整備計画の策定、生産基盤と生活基盤の一体的な整備、山村等における定住条件の整備等を推進することとしております。
 第六に、農林漁業制度金融につきましては、総合施設資金の貸付対象者の追加、新規用途事業資金の充実等新たな資金需要に対応した融資内容の充実を図るとともに、貸付条件の改定等を行うこととしております。
 第七に、健康的で豊かな食生活の確保を図るため、農産物の需給と価格の安定に努めるとともに、日本型食生活を中心とする望ましい食生活の定着促進を図ることとしております。
 また、地域食品の振興や食品産業の技術水準の向上を図るとともに、食品流通の合理化を進めてまいります。
 以上申し上げましたほか、国際協力、備蓄対策を推進するとともに、農業者年金制度の適切な運営。災害補償制度の円滑な運営、繭糸価格安定制度の健全な運営等に努めることとしております。
 第八に、森林・林業施策に関する予算について申し上げます。
 来るべき国産材時代に備えて、国産材の大量安定供給体制の整備と森林の適切な管理を図るため、流域を単位とする広域の林業主産地における生産基盤、流通加工・展示販売施設の総合的整備と林業担い手の育成確保を図るとともに、間伐対策を拡充することとしております。
 また、国土保全対策の充実と林業生産基盤の整備を図る観点から、治山、林道、造林の林野関係一般公共事業について二千八百十九億円を計上しております。
 さらに、木材の需要拡大対策と流通対策の充実強化を図るほか、新林業構造改善事業、水源林等の整備対策、松くい虫対策等を推進することとしております。
 第九に、水産業の振興に関する予算について申し上げます。
 二百海里時代の定着に即応した水産業の振興と水産物の安定的供給の確保を図るため、漁港等の漁業生産基盤の整備を計画的に進めることとし、千九百五十一億円を計上しております。
 また、我が国周辺水域の漁業の振興を図るため、沿岸漁場の整備開発、栽培漁業、新沿岸漁業構造改善事業等を推進するとともに、沿岸域における計画営為の推進、沿岸地域活性化緊急対策の展開等により活力ある漁村の形成を図ることとしております。
 さらに、海洋水産資源の開発、海外漁場の確保対策を進めることとしております。
 このほか、漁業経営をめぐる厳しい状況にかんがみ、漁業生産構造の再編整備、中小漁業融資保証機能の確保、漁協信用事業の整備強化を図るほか、水産物の消費拡大対策、流通加工対策等を進めることとしております。
 次に、特別会計予算について御説明いたします。
 まず、食糧管理特別会計につきましては、米の政府売り渡し価格の引き上げ、管理経費の節減等食糧管理制度の運営の改善合理化に努めることにより、一般会計から調整勘定への繰入額を三千四百七十億円にすることとしております。
 また、過剰米の処分に伴う損失を計画的に補てんするため、一般会計から国内米管理勘定へ千九十億円を繰り入れることとしております。
 国有林野事業特別会計につきましては、国有林野事業の経営改善を引き続き推進することとし、事業運営の改善合理化等の一層の自主的努力とあわせて、国有林野における造林及び林道事業並びに職員の退職手当に要する財源について資金運用部資金の借り入れを行うほか、一般会計から所要の繰り入れを行うこととしております。
 また、現行の自作農創設特別措置特別会計につきましては、前に述べましたように農業経営基盤強化措置特別会計に改組しますほか、農業共済再保険等の各特別会計につきましても、それぞれ所要の予算を計上しております。
 最後に、財政投融資計画につきましては、農林漁業金融公庫等による総額八千五百十億円の資金運用部資金等の借り入れを予定しております。
 これをもちまして、昭和六十年度農林水産関係予算の概要の説明を終わらせていただきます。よろしくお願いいたします。(拍手)
#9
○今井委員長 以上で説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#10
○今井委員長 農林水産業の基本施策について質疑の申し出がありますので、順次これを許します。田名部匡省君。
#11
○田名部委員 ただいまの大臣の所信に対しまして、若干の質疑を行いたいと思います。
 最初に、基本姿勢でありますけれども、農林水産物価格の低迷あるいは行財政改革の推進、そして諸外国からの市場開放要求など、農林水産業を取り巻く情勢は大変厳しいわけでありますが、大臣は今後どのように農林水産行政をお進めになるか、特に今御説明がありましたように、今後バイオテクノロジーあるいはニューメディアなど先端技術の果たす役割というものは非常に大きいものがあると考えられるわけであります。これらについてどのように対応をいたしてまいりますか、お伺いをしたいと思います。
#12
○佐藤国務大臣 田名部先生にお答えいたします。
 農林水産業をめぐる情勢は、内外ともに大変厳しいものがございますことは先生御指摘のとおりでございますが、そういう形の中に、農林水産行政の推進に当たっては、総合的な食糧自給力の維持強化遠基本として、生産性の向上を図りつつ農業生産再編成を進めるなど各般の施策を進めてまいりたい、こう考えております。
 そんなことで、特に先生から御指摘ございましたバイオテクノロジー、ニューメディア等の先端技術は、生産性の飛躍的向上を図り、二十一世紀に向けて魅力ある農林水産業を実現していく上で非常に期待の持てる分野でございます。
 そういうことで、六十年度予算においては三つの点を中心にお願いしております。
 その一つは、バイオテクノロジーについては産官学の連携強化による総合的な研究開発、それから遺伝資源の総合的な確保を図るための農林水産ジーンバンクの整備、それからニューメディア等の問題につきましては、農業分野における情報システム化の推進あるいは食品産業等における流通販売情報システムの整備、それから人工衛星利用による漁況海況情報の提供システムの開発等の施策を展開してまいりたいと考えております。
#13
○田名部委員 産官学の連携強化によってバイオテクノロジーの開発を進めるということで、この分野については日本は相当の技術も力も持っていると思うのでありますが、この基本となります遺伝子資源の保有数を見ますと、アメリカが三十四万、ソ連が三十二万、日本は九万九千、非常に少ないわけですね。ジーンバンクのお話もありましたが、この点についてのお考え方をひとつお話しいただきたいと思います。
#14
○櫛渕政府委員 ただいま先生の御指摘がありましたように、私ども農林水産省の現在持っております生物遺伝資源につきましては、植物の関係ですと、昨年十二月現在時点で約十万点の保存状況でございます。さらに、微生物の関係ですと約五千点の保存であります。なお、動物関係あるいは水産生物等につきましては、現在研究用ということで保存されているのが実態でございます。
 こういった生物遺伝資源の収集の状況につきまして諸外国と比べてみますと、ただいま先生のお話がありましたように、植物関係ではアメリカあるいはソ連、ここらが大変長い収集の歴史がありまして、現在時点で三十万点を超えた保存状況にある。中国でも三十万点に達したという情報もあります。これに比べますと、我が国の現在の保存状況はとても十分な水準にあるとは言えないわけでございまして、こういうことから、私ども農林水産省としては、大臣の所信表明の中にもありましたように、今後このバイオテクノロジーの開発の基盤であります生物遺伝資源の確保に最大限の力を尽くし、その拡充整備に努めてまいりたいと考えております。
#15
○田名部委員 今お話しのように、この種のものの体制というものは大変なおくれです。ひとつ今後とも、別の面では世界の最先端を行くわけでありますが、基本となるものがしっかりしておらぬと幾ら別の分野が進んでもいかぬと思いますので、しっかりおやりいただきたい、こう思います。
 次に、自給力の関係で、食糧自給率が低下傾向にあるわけであります。食糧安全保障という観点からも自給力を維持強化するということは大変大事なことでありますが、この強化策についてお伺いをしたいと思います。
#16
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 今先生の御指摘のとおり、大変大切な問題でございまして、食糧の安定供給と安全保障を確保することが国政の基本であるのは御指摘のとおりでございますが、そんなことで、農政の展開に当たっては総合的な食糧自給度の維持強化に努める。そのためには、国土を有効利用し、生産性の向上を図りつつ、国内で生産可能なものは極力国内生産で賄う、そんなことで進めたいと思っております。
 その具体策としては、四点主な柱がございます。その一つは、需要の動向に応じた農業生産の再編成、二つ目は、中核農家の育成、確保を図る、それから三番目には、優良農用地の確保と農業生産基盤の計画的整備、四番目には、農業技術の開発普及、こんな施策を進めながら図ってまいりたいと存じております。
#17
○田名部委員 総合自給率は現在大体七割以上を維持しているわけでありますが、最も低いのは豆類あるいは小麦、飼料穀物、これは極端に低いわけです。それ以外の肉類とか乳製品でありますとか果実、野菜、米は一〇〇%、あとのものは大体八〇%以上でありますけれども、自給率を高めるという内容でありますが、一体何を高めるのか。例えば八〇%以上いっているものを一〇〇%にするのか、低い分野を高めようとするのか、そのことをひとつお伺いしたいと思います。
#18
○田中(宏尚)政府委員 昭和六十五年の需要と生産の長期見通しを立てておりまして、そこでは、今先生も御指摘ありましたように、米は現在全量自給しているわけでございますので、少なくとも米については完全自給をする。それから野菜につきましてはほぼ完全自給を図る。それから果物でございますとか畜産物、こういうものにつきましては現状程度の相当高い自給率というものを何とか確保したい。
 それから、問題は麦でありますとか大豆、こういう輸入に対する依存度の高い品目でございますけれども、こういうものにつきましては、小麦は残念ながら、日本のめん用のもの、こういうものにつきましては全量自給したいと思っておりますけれども、えさになりますものでありますとか、こういうものにつきましては、何といいましても土地が狭いということで生産性なり価格の問題もございますので、今後とも相当部分は外国から持ってこざるを得ない。それから大豆につきましては、豆腐でございますとか、こういう伝統的な日本の食物に適するもの、こういうものにつきましてはその六割程度を国内で自給したい。
 というようなことで、可能な限りそれぞれの品目につきまして自給力というものを上げてまいりたいということで、六十五年を目指して、先ほど大臣からお答えしましたようないろいろな対策というものを総合的にやっているわけでございます。
#19
○田名部委員 飼料穀物についてはなかなか難しいということはわかりました。
 そこで、大豆あるいは小麦を今お話しのように高めるとして、一体農地はそれだけ高めるために十分なものがある、こういうようにお考えですか。
#20
○田中(宏尚)政府委員 御承知のとおり、現在の水田利用再編対策で過剰な米から他の戦略作目への転換ということをやっているわけでございますけれども、そういう水田からの転換という中で、大豆でありますとか小麦でありますとか、こういうものの生産の定着というものを何とか図っていきたいと思っておりますし、それから農用地全体といたしましても、五百五十万ヘクタールの確保ということを通じましてそういう作目の生産の定着ということを何とか念願したいというふうに考えておるわけでございます。
#21
○田名部委員 食糧問題は、これは我が国だけでの問題ではないわけでありまして、国際需給の見通しということになりますと、世界の人口は二〇〇〇年に六十二億ということが想定されておるわけでありますが、そうした場合に、中長期的に見て決して楽観を許さない状態であろうと思うのであります。世界の人口は増加をしていく、我が国の人口の動向を見ますと、高齢化社会にどんどん移行して、生まれてくる子供たちは非常に少ないということを考えてまいりますと、これを食糧問題と合わせた場合、一体どういうことが想定されますか、お答えをいただきたい。
#22
○田中(宏尚)政府委員 一つは、世界的な問題といたしましては、今先生御指摘のとおり人口がふえていく、一方で新しい生産戦線に加わってくる土地の開発というものが限られてくるということで、世界的には、長期的に見ると食糧需給というものが決して楽観を許されないわけでございます。
 そういう国際的な中で国内の自給力というものをどうやって守っていくか、あるいは輸入ソースというものをどうやって安定的に確保していくかという国際的な問題が一つありますのと、それから、これから生まれてくる人たちの農業への従事ということは、ここのところ新規学卒者の農業への従事人口というものは非常に減ってきておりますので、そういう点で、これから五百五十万ヘクタールございますとか、こういうものを確保してまいりますための優良な後継者というものをどうやって全体で確保しておくかという面でも、人口問題というものは問題になってこようかと思っております。
 後継者につきましては、いろいろと活力ある村づくりでございますとか、こういうことで後継者にとって魅力のある農村というものをつくりまして、やる気のある後継者をとどめて、国民に必要な食糧の供給というものに万遺漏なきを期してまいりたいというふうに考えております。
#23
○田名部委員 農業の就業人口は昭和三十五年に千四百五十四万人、これが六十五年試算で五百二十二万人、これはそれなりに機械化も進んでおるからそういうことになるのでありましょうが、六十歳以上の農家の人口を見ますと、昭和三十五年が一七・五%、これが六十五年試算で五〇%という、相当農家の方も高齢化社会に入っていく。
 今、担い手の話がありましたが、特にこの後に質問もいたしますけれども、林業とかあるいは畜産、手のかかる農業というのがまだまだ多いわけです。漁業もそうでありますが、そうなりますと、なかなか担い手の確保ということは、人口が減ってまいりますと余り生産性の上がらぬ分野にはなおさら厳しい環境になっていくんじゃないだろうか、私はそんな想定をするわけです。
 担い手のことで先般も私ども農業団体等に党代表で来いと言われて青森県でやりましたけれども、後継者の育成を一体どうするのかということで随分おしかりをいただきましたが、一体皆さん方は後継者に給料をきちっと払っておりますか、ただで使って後継者が育たないということでは、後継者がもう無給みたいな状態でわずかのお小遣いを親からもらいながらということでは、これも基本的に難しい問題、国としての問題もありますけれども、皆さん方としての問題も、毎月決まったきちっとした二十万なら二十万という給料を払う、米がとれたときに農協に返すというくらいの経営をやってもらわぬとという話をいたしましたが、いずれにしても、これは非常に厳しい環境にあるということをよく御理解いただいて今後に対応をしていただきたい、こう思います。
 次に、農業生産の実態を見た場合に、需要の動向に応じた農業生産の再編成を進めることが重要な課題、先ほど大臣のお話のとおりでありますが、特に転作の定着を図ることはこの意味においても大事なことであると考えておりますが、この点について再度お話を承りたいと思います。
#24
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 今おっしゃるようなことで、需要の動向に安定的に対処し得るよう農業生産を確立してまいることは極めて重要な課題だと存じております。そんなことで、昭和五十九年度から実施しております水田利用再編第三期対策におきましては、地域の創意と工夫を生かしつつ、地域の実態に即した転作の定着を促進し、農業生産の再編成を進めることを基本的課題としております。
 ただ、我が国の農業の生産構造を転換することは容易でございません。大変努力を要するものが多いわけでございますが、今後とも転作作物の生産性の向上等、その定着を推進してまいりたいために各般の施策を行いたい、こう考えております。
#25
○田名部委員 それと同時に、昨年も委員会で大変議論になりました、主食である米について備蓄の問題が随分議論されたわけでありますが、おかげさまで昨年は大変な豊作であった。しかし、四年も連続で凶作でありまして、一年の豊作で農家の人たちは四年分のものを取り返したかというと、これはまだまだ問題があると思うのでありますが、しかし、豊作で大変よかったわけでありますが、この備蓄体制というものがこれによってどういうふうになっておるか、お答えをいただきたいと思います。
#26
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 米の需給は、先生が先ほどちょっとおっしゃったように、昨年は作況一〇八ということで予想外の収穫でございまして、ある程度のゆとりが出てきた、こう思っておりますが、米は国民の主要食糧でございまして、不作その他不測の事態に備えて、その安定供給を図っていくためにある程度の水準の備蓄が大切だ、こう考えております。
 このために、先生御存じのことでございますが、水田利用再編第三期対策のもとで、ゆとりある米管理の確保と三度の過剰の発生防止の両面に留意しつつ、原則として毎年約四十五万トンの在庫積み増しを図る、こういうことで進めております。また、この在庫の管理に当たりましては、安全性の確保等に十分配慮して、低温倉庫の活用を図ることにより、良質な米の供給を図ってまいりたいと考えております。
#27
○田名部委員 次に、米と並んで農業生産上重要な畜産と果樹について、今後どのような生産振興を進めていかれるおつもりか、お伺いをいたしたいと思います。
#28
○野明政府委員 まず畜産につきましては、御案内のように我が国の畜産はこれまで順調な発展を遂げてまいりまして、現在、農業総産出額の約三割を占めるに至っております。需要はかつてのような伸びは示さないものの、今後も安定的な増加が見込まれておるわけであります。
 そういう意味におきまして、これからの畜産振興につきましては、国民への食糧の安定供給ということと、それから畜産経営の健全な発展ということを基本に置きまして、それぞれの部門に応じてその振興を図ってまいりたいわけであります。
 特に、酪農及び肉用牛生産、こういった大家畜生産につきましては、我が国の土地利用型農業の基軸として位置づけまして、「酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針」というのを策定いたしております。これに基づきまして、酪農につきましては、需要に見合った計画的生産のもとで、飼料の自給度の向上とか、あるいは酪農経営の中におきましても、哺育育成過程を取り入れるといったことでの乳肉複合経営を育成する、それからまた、肉用牛生産につきましては、需要の安定的な拡大に対応いたしまして、安定的な飼養規模の拡大を図りながら経済的な飼養形態の普及とかあるいは地域内の一貫生産の推進、さらには飼料の自給度の向上ということで、体質の強化と生産性の向上を図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
 また、土地条件の制約が比較的小さい養豚とか養鶏、こういったものにつきましては、ややもすれば供給過剰に陥りやすい生産構造になっておるわけでございますので、需要に見合った計画的な生産の推進あるいはその体質の強化、さらには飼料費が非常に大きなウエートを占めておりますので、配合飼料価格の安定というふうなことによってその振興に努めてまいりたいというふうに考えております。
#29
○関谷政府委員 果樹関係につきまして申し上げます。
 果樹につきましては、御承知のように永年作物でもございますので、従来から果樹農業振興基本方針を策定しまして、長期的な観点に立って、需要の動向に即して計画的、安定的な生産を進める、こういう基本的な考え方に立ちまして対策を進めているわけでございます。
 特に六十年度関係で申し上げますと、生産対策につきましては、従来から実施しておりました産地の総合整備事業あるいは高度生産モデル団地の設置、こういうような生産対策を進めているわけでございますが、新しい事業としましては、果実消費が非常に多様化してまいりましたので、特産果樹産地育成事業、こういうようなものを新規に仕組みまして、これから需要の伸びる特産果樹について産地育成を進めてまいりたい、これが第一点でございます。
 次に、昨年の日米かんきつ交渉合意後、オレンジ、同果汁の枠拡大、こういうような問題もございまして、輸入果実の影響等で国内果樹農業への不測の事態に対応する必要がある、また需要の拡大を図らなければいけない、こういうことで果樹対策の特別基金をつくる、四十五億円の造成を二年間でやるということで、六十年度予算につきましてはこの果樹緊急特別対策基金造成事業に十億円を計上しておるような次第でございます。
 それから第三点としましては、特に健全な果樹農業の展開ということになりますと、他の果樹への転換とか生産の合理化、こういうようなことで無利子資金の活用が必要になってまいろうということで、今国会で御審議を願うことになっております農業改良資金制度の改善の中で、新たに果断栽培合理化資金、こういうものを設定いたしまして、無利子資金の活用によりまして生産対策を進めてまいりたいということでございます。
 さらに、最初に申し上げましたこれからの長期的な果樹対策の動向を踏まえますと、従来果樹農業振興特別措置法で実施しておりました果樹の対策につきまして、かなり基本的な改善あるいは強化を図る必要があろうということで、今国会で御審議いただくため、このいわゆる果振法の改正につきまして現在改正案を鋭意検討中でございまして、近く国会に提出をして御審議をいただく、こういう予定にいたしております。
#30
○田名部委員 次に、林業についてお伺いをしたいと思うのでありますが、ことしは国際森林年に当たって、国家百年の大計のもとに国民の共有財産である森林を守るあるいは育成していくことが必要と考えるわけでありますが、今後、林業の振興を図るためどのような施策を講じていくおつもりか、お答えをいただきたいと思います。
#31
○佐藤国務大臣 田名部先生にお答えいたします。
 森林には二つの大きな役割があると思います。その一つは木材供給ということでございます。それからもう一つは、多面的な公益的機能で、国土の保全とか水資源の涵養、あるいはつい最近言われておりますような森林浴の供給等の自然環境の保全形成等に大変大きな役割を持っておるわけですが、これらの役割をどのように発揮するかということを含めて――実はことしは国際森林年の年でもあり、そして一番大きな問題は、木材のよさというものを実は誤解されておる。つい最近、日本木材センターから五つの木材の誤解というものが出ております。例えば、木材は非常に地震に弱いとか、火事に弱いとか、居住性が悪いとか、コストが高いとか、もちが悪いとか出ておりますが、そういう誤解を解きながら、木材のよさをPRしながら、私は、五つの点を大きな柱に今後の森林政策を進めたい、こう考えております。
 その一つは、造林、林道等の林業生産基盤の整備と林業地域の活性化を図ることでございます。二番目には、国産材主産地の形成と林業の担い手の確保でございます。三番目には、間伐の計画的な実施から間伐材の流通加工、利用開発に至る総合的な間伐対策の実施ということでございます。四番目には、保安林の機能強化、治山事業の推進等国土保全対策の充実、五番目には木材産業の体制整備、こんなことを中心に積極的に推進し、我が国林産業の振興を図ってまいりたいと考えております。
#32
○田名部委員 我が国の国土の三分の二を森林が占めている、これは世界でも有数の林野率の高い国でありますが、国民一人当たりの森林面積で見ますと、諸外国に比べて非常に小さい。加えて、先ほども申し上げましたが、担い手の問題がある。日本の森林の約四割は人工林、その大部分は第二次大戦後造林された三十五年生以下のものが多いわけです。先ほど大臣のお話にもありましたように、間伐の時期あるいは保育等の手入れが必要なときに来ているわけでありますが、何といっても木材価格が低迷しておるものですから、間伐をしたいあるいは保育をしたいと思っても、採算性が悪いわけですから余りやらぬわけです。これがまた後々に問題を起こしていくということになる。将来森林の荒廃を招いて木材生産を損ねるばかりではなくて、例えば災害等ありますと、先般も山火事が起きまして大変な財産を失うということにもなるわけであります。
 私は、そうしたことをよく踏まえた上で、採算性の悪い林業経営にどうやって担い手を確保して山の手入れをするか、これは大変難しい問題だと思うのです。しかしまた、国土の保全とか水資源の涵養など森林の持っている公益的な機能というもの、これを高度に発揮しなければならぬ、社会的要請が非常に高まっているわけでありますが、これに対してどのように対応して。いくおつもりか、これをひとつお聞かせをいただきたいと思います。
#33
○田中(恒)政府委員 先生御指摘がございましたように、今の日本の森林で最も急務とされておりますのは間伐の実行であろうと思います。そしてまたお話にございましたように、なかなか新規参入もございませんで労働力の老齢化が進んでおるわけでございますが、林政の方向といたしましては、やはり農政との協調のもとに、地域で人々が暮らしていける、その中での重要産業として林業を位置づける。
 大臣もお話し申し上げましたように、まずは需要の拡大、特に間伐材が外材などと対抗し得ない不利な条件がございますので、間伐材の需要拡大につきましては、新製品の開発促進などにつきましても、本年度新しい予算もつけてございますし、二、三いろいろ効果も上げておるところでございます。ともかくもそういう需要拡大、開発促進に重点を置きまして、地域の林業を活性化していく。さらには主産地形成事業等も入れまして全体としての地域を活性化する中で、山村地域の住民が暮らしていける、その重要な一翼を林業が担うように最大限努力をしてまいりたいというふうに考えております。
#34
○佐藤国務大臣 今の点でお答えしますが、今、林野庁長官が言ったことで基本的には――実はこの間私、林野が大変不況だということでいろいろ調べてみましたら、投資した場合、金利は大体二%くらいのようですね。二%いけばいいそうです。今、定期預金が四分から五分、長期国債ファンドが五分四厘、こういう姿の中で二%ではだれも投資しませんわ。そんなことで、今森林業をやっておる人は、長年親子代々森林経営しておる人がやむなくやっておることで、新規投資はございません。
 そんなことで、私は、少なくとも森林の果たすべき役割を考えた場合、個人的投資は最低七、八%は回る形の投資効果を上げる。そういう形の中に、やはり森林の果たすべき公益的機能、水資源の涵養とかいろいろございます。そのためには国がもう少し負担すべきじゃないか、そういう形じゃないとこれから森林業の発展は図れぬ、こう考えております。
#35
○田名部委員 次に、水産業についてお尋ねをしたいと思うのであります。
 今度の日ソ漁業交渉に当たりましては、情勢が極めて厳しい中にありまして、大臣がみずからあるいは佐野長官と訪ソをされて交渉に挑まれた。私も、ずっと出発までの党の部会でいろいろと御苦労をされたその経緯については十分承知をいたして、まことに御苦労さまでありました。
 今後、二百海里体制の定着化に伴って、日ソ間あるいは日米間、この漁業交渉にも一段と厳しさが増してくる、こう考えるわけであります。大臣の粘り強い外交交渉を大いに期待しておるわけでございますが、今後の対応方針について伺っておきたいと思います。
#36
○佐藤国務大臣 先生にお答えしますが、今度の日ソ漁業交渉が妥結したのは、与野党の御理解、皆さんの御理解と、それから中曽根総理の相手の人に渡す親書、安倍外務大臣の御尽力、そういう形の中にうちの佐野水産庁長官が粘り強く頑張りまして、それから現地の大使も協力した、まあこんなことで実はうまく妥結した、このように考え、皆さん方に心からお礼を申し上げる次第でございます。
 今、先生のおっしゃったことにつきましては、我が国漁船の各国二百海里水域内での操業問題につきましては、今度のソ連の場合でも、実は昭和五十二年から二百海里水域が暫定的に決まったわけですが、昨年の二月二十八日に最高会議幹部会令というのがございました。そこで経済水域二百海里を恒久化した。そこに大きな一つの問題があった。すなわち、経済水域二百海里内は沿岸国が主権を持って自分の思うようにできるんだ、これを恒久化したところに実は一つの問題があった。それは、資源ナショナリズム等を背景として今度の漁業交渉の難しさがあった、こういうことでございます。
 そんなことで、私としましては、粘り強く関係国との交渉を行うとともに、海外漁業協力の推進等を通じて我が国遠洋漁業の存続に最善の努力をしてまいりたい、こう考えております。
#37
○田名部委員 そこで、今日までの日ソ、日米間の動きをずっと見ておりますと、いよいよ厳しくなっていく。アメリカでも最終的には外国船に魚をとらせないという考え方に立って進んできておる。ソ連側も、等量主義といいますか同じ量をとり合おうという姿勢。従来の実績なんというものは余り重要視しなくなってきた、認めない。
 私の八戸でも北転船の減船を今回行いまして、その従業員を一体どうするかということで頭を痛めているわけです。長い間漁業に従事してきた、おかに上げたって、何かやれ、こう言ってもそう簡単にやれない。しかし、そういう厳しい中でも、このままではいかぬということで大変な決断をしたわけであります。
 そんなことを思うと、将来を展望した場合には、一体今までのような交渉はしょっちゅうやっていけるだろうかなという心配を実は私はいたしておりまして、そろそろ将来はこういう方向でということをしっかり持った上でこれからの交渉に当たるということでなければ、突然そういうようになっていくと、漁業経営する方々も心構えというのができておらぬわけでありますから、そんなことを感じているわけであります。
 そこで、そういう厳しい環境になりますと、沿岸海域を中心にした漁業が重要となってくるわけであります。これは何といったって、海に囲まれている我が国は沿岸漁業の振興をしっかりするということが大変大事であります。
 私が申し上げるまでもなく、昭和五十八年で、たんぱく資源が水産でとるのが四四%、これはかつて大体半々ぐらいだったのですが、逐次肉の方に嗜好というものが変わったということもありますけれども、長期的に見ますと、半々というのは日本にとっては絶対確保していかなければならぬ。特に、日本型食生活というのを最近いろいろなところで聞きますけれども、恐らく日本型の食生活というのは米を食べて魚を食べてということであろうと思うのでありますが、そういうことからいきますと、周辺水域の漁業振興というものに一体どうこれから取り組んでいくか、この点についてお伺いをしたいと思います。
#38
○佐野政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生から御指摘がございましたように、同じ二百海里体制と申しましても、最近の二百海里体制下における沿岸国の主張は、かつてのような資源の最適利用とか伝統的な入漁国の漁獲実績を尊重するとか、そういう巧言令色は今や全くぬぐい去られておりまして、非常に赤裸々な形で沿岸国の国益をベースにした主張を展開してきておる実情でございます。
 そういう実情を見るにつけましても、頑強な態度で漁業外交を展開していく必要はもちろんでございますが、同時に、翻って我が国の主権下にある水域の漁業資源を高度に利用していくということの必要性が従来にも増して高まってくるのは当然のことでございまして、沿岸漁業を中心とした周辺水域における漁業の振興が重要な政策課題になっているというふうに認識をいたしております。
 農林水産省といたしましては、このため、従来から我が国周辺水域における漁業の振興に関しましては、沿岸漁場の整備開発あるいは栽培漁業の振興等つくり育てる漁業の推進、あるいは漁港等漁業生産基盤の整備、沿岸漁業構造改善の推進等、各種の対策を講じてきているところでございますが、さらに昭和六十年度におきましては、従来からの諸施策に加えて、新たに営為計画づくりの推進、地域活性化対策事業等を実施して、地域漁業の振興により活力ある漁村の形成を図ろうということでやっているところでございます。
#39
○田名部委員 所信表明の中に、村づくりを重点的にお進めになる、こういうことでありますが、今後の農林水産業を考える場合、その体質強化とあわせて、これに携わる人々が魅力を感じるということが大変大事だと思うのですが、農山漁村社会の活性化を図ることが重要であると私は考えております。
 その理由は幾つかあるわけでありますが、食糧生産の場であり、あるいは生活、就業の場であり、そして伝統的な文化の保存、こういう役割を農村が果たしてきた。しかし、一方では過疎化が、特に山村集落では総戸数が減少して過疎化が進行しているというのが実態であろうと思うのです。そういうところに若い人たちが魅力を感じない、そして皆外へ外へと出ていく。もちろん働く農地にも限りがありますので、そこに全部が住める、そして農業を経営するというだけの農地もない。こういうこともありますけれども、いずれにしてもそういう問題があって、加えて、先ほど来私高齢化の問題を提起いたしておりますが、農村では人口の高齢化が非常に進んでおりまして、六十五歳以上の人口割合で見ますと、五十五年で、全世帯の九%というものに対して農家の世帯では一六%になっている。
 そういうことを考えますと村づくりということは大変大事なことだと私は思いますので、重ねてこの問題についてお伺いをしたいと思います。
#40
○佐藤国務大臣 田名部先生にお答えいたします。
 非常に難しい問題を御提起されたわけでございます。私は、何とか将来いわゆる生きがいのある農村づくりをやりたい、そのためには環境整備が大事、そんなことでまず村づくりを提唱いたしたわけですが、一番基本は、例えば今農家所得が平均六百四十万ぐらいだと思います。そのうち農業所得が大体百万前後ですか、お米が三十万前後、この中身をどう変えていくかという問題が基本的にあると思うのです。しかもそのほとんどが兼業ということ。そんなことで、専業農家の方に例えば言葉で簡単に経営規模の拡大とか優良なる中核農家育成と言っても、実はこれが大変なことなんだ。そんなことで、専業農家の方々が安心して飯が食えるようにする形にどう持っていくかということが実は一番大きな村づくりの基本だ。
 そんなことで今私が考えておりますのは、先生に最初にちょっと申し上げましたバイオテクノロジーとかニューメディア、こんなものを駆使した村づくりをやってみたい、そして、本当に後継者の方が夢の持てる農業ができるような形に持っていきたいというのが私の村づくりの基本ということでございます。
 したがって、ことしをスタートにしてあと十年ぐらい、大分かかると思いますけれども、特に農業というのは一朝一夕にできるものではございませんので、皆さんと一緒になりまして、十年かかっても十五年かかってもそんな村づくりをしてみたい、こういうことでございます。
#41
○田名部委員 次に、食糧政策についてお伺いをしたいと思うのであります。
 私どもの食生活の変化に伴って、食糧需要の多様化に適切に対応して、国民の健康に留意した食糧供給の安定を図ることが大変重要なことだ、私はこう思うわけであります。
 このような観点から、消費者対策あるいは食品産業対策を一層充実していく必要がある、こう考えるわけでありますが、大臣の所見をお伺いしたいと思います。
#42
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 農林水産省はとかく生産者の味方で消費者の味方でないという感じに受け取られておるわけですが、実際はそうでないわけで、食品流通局などは消費者中心にやっておる。そういうことで、このたび初めての企画ですが、農林水産省に消費者の部屋をつくったということでございまして、多いときには一日五百人ぐらいお見えになります。少ないときで四、五十人。つい最近は、日曜日も要望があるので、土曜日は少ないので、できれば日曜日中心にやったらどうか、日曜日も加えてやったらどうか、こんな話も局長としておるということはございます。
 食糧の安定供給を確保しつつ、豊かで健康的な食生活の実現を図ることが非常に重要です。
 そんなことで、今先生が御指摘になりました日本型食生活を中心にした望ましい食生活の定着促進を図る見地から、実は五つの点を留意してやりたいと思っています。その一つは、食料品などの品質の向上及び表示の適正化、二番目が食料品の安全性の確保、三番目が消費者啓発の推進、四番目が消費者の意向の把握及び苦情処理体制の整備、それから五番目が今の消費者の部屋の設置、こんなことで消費者とか食生活対策を総合的に推進しているところでございます。
 また、食品産業というのは、結局、食糧の安定的な供給という機能において農水産業と並ぶ車の両輪でもございますので、そういう基本的認識のもとに、技術水準の向上とか、あるいは地域農水産物の加工、利用の増進等の食品産業対策を展開しているところでございまして、今後ともこれらの施策の充実に努めたい、こう考えております。
#43
○田名部委員 今のお話の中で私は、大事なことは食品の安全の確保ということだろうと思うのです。デパートなんかへ行きますといろいろな製品が並んでおりますけれども、消費者の立場からするとどれが体によくてどれが体に悪いかなんということの判断基準というものは全くないわけでして、そういう意味では、いろいろな添加物等も使用されておる、そうした基準というものもまた明確にしておくということ等も大事なことだ、こう思いますので、この点についてもひとつしっかりとおやりいただきたい。
 最後になりますけれども、一般的に技術開発とかあるいは普及ということには農林水産省挙げて一生懸命取り組んでおられる。農林水産省が事業を経営しているのかなと思うほど最大の努力をしていると思うのです。私はいつも思うのでありますが、技術開発とか普及、いろいろなことを農家の経営の安定につながるということで、これは一生懸命おやりになっている。
 もう一つは、農家側の問題として、経営感覚といいますか、もっと、自分が経営者で会社の社長になったような気分といってもなかなかそうなり切れぬと思うのですが、やっぱりそんな気持ちというものがなければ、自助努力という部分でしょうか、そういうものがしっかりしておらぬと――私の親戚はほとんど農家でありますからいつも言うのでありますけれども、何でもおんぶにだっこじゃだめだ。やっぱり自分も経営者だという感覚で、記帳義務も指導ということになりましたが、農業をやって一体幾らもうかって幾ら損したかという実態をきちっとつかむ、その中で、もうからぬものはここが悪かったというのが出てくればその部分を改善していくという努力がなければ、なかなかどうも、私の親戚もそうでありますけれども、そこまでやっている農家というのはいないです、率直に申し上げて。
 ですから私は、青森県にりんご試験場がありましていろいろな品種改良をやるわけでありますが、あれを聞いて、逆に、やるなと言っているわけです。あれはびっくりすることは教えてくれるけれども、もうかることは教えぬから、そこは自分で考えてやらなければいかぬ、こういうことを言うのですが、どうも、だれでもそうでしょうが、やってくれるだろうという依頼心というものがわいてきますとそこに発展がなくなってくる。
 そういう意味で、技術開発や普及も大事でありますが、経営の指導ということにもっと力を入れて、国と農家が一体となってやる仕組みをひとつつくり上げていく必要があるんじゃないだろうか。これからの若い人は教育を受けておりますから、そういう意味では経営という感覚をしっかり持たせる、そして、どうしてもこれは自然相手でなかなか難しい問題を抱えておりますから、その点は国がきちっと応援体制をとる、そんな感じを私は受けておるのですが、ひとつ大臣の御所見でもありましたらお伺いして最後にしたいと思います。
#44
○佐藤国務大臣 田名部先生にお答えしますが、一番大切な重要な問題を御提起願ったわけで、またこれは一番難しい問題だと思います。
 これは一つは、基本的には日本の農業についての農林政策、行政指導の仕方というところに問題があった。そういう形の中で農家の皆さん方に、いろいろな意味において農業の特異性、特にまた先生は自然条件に左右されると言われましたが、特異性に甘えが生じている、こんなことがございます。それからもう一つは、お米なども、実は一番安いものはお米である、物価の環境、こんなこともございましてなかなか難しい問題を持っておる、私はこう思うわけです。
 そんなことで、私は、特に大臣になりまして足腰の強い生産性の高い農業をつくるというのは、その経済性を実は言っているわけです。一番望ましい姿は、本当を言いますと、補助、助成を少なくしまして低利融資、長期でできる農業、こんな農業が本当だと思います。
 そんなことで、難しい問題でございますが、将来はそんな方向に進まないと日本の農業もますます厳しい状況を迎える、こう考えておりますが、そんな方向で努力したいと考えておりまして、これからも御指導をよろしくお願いしたいと思うわけでございます。
#45
○田名部委員 農産物の自由化でありますとかいろいろな問題がこれから出てくる、特に日本がいろいろな外国とのおつき合いの中で貿易問題を考えるときに、日本がいろいろと貿易をしている相手国というのは農産物が多いわけです。科学技術面では世界の先端を行っているわけでして、その分野で日本が外国から何か買い求めようという分野はますます少なくなっていくということになりますと、相手側の国はある物を買ってくれということになると農産物以外に余りない。そういうところで非常な摩擦が出てきておる。それらを解消していくためにも、日本自体もバイオテクノロジーでありますとかいろいろなことを駆使しながら農業というものに取り組んでいかなければならぬ、そう考えております。
 大変いろいろと御所見を賜りまして、心から感謝申し上げて終わりたいと思います。ありがとうございました。
#46
○今井委員長 次は、島田琢郎君。
#47
○島田委員 大臣の御所信を伺っておりまして、今後の農政をお進めいただく上で十分御関心とお力添えをいただく、そういう部面が幾つかございますことに私なりに気づきましたので、その点を大臣ときょうはさしでお話しさせていただきます。役人の皆さん方は、きょうはできるだけ答弁に立たぬでいただきたい、こう思っております。
 まず、昨年の十二月十八日に私初めてこの席から大臣とお話しさせていただきました。佐藤農政の目玉ということで、村づくり、村興しのお話がございました。私はこの点は大変同感でございますし、ぜひ強力におやりいただきたい。
 ついては、予算の面でこの点が大臣のお考えのどれくらい盛り込まれた予算になるだろうかと関心を持っておりました。確かに、農業関係でいいますれば五十億、林業で二十億、漁業水産で十億、合わせて八十億が佐藤農林大臣の目玉の予算として新たに芽を吹いたわけでありまして、私はこの多寡をきょうは申し上げるつもりはございません。後ほどこの村づくり運動の大事なポイントとなるべき点について私なりの考えを述べてまいりたいと思いますが、ただ、六十年度の五十二兆五千億の予算に占めます農林水産関係の予算、結論を言いますと、私はまことに残念でなりません。大臣の意気込みも、あるいは中曽根総理が代表質問あるいは予算委員会等で答えておりますものとは裏腹に、予算を見ますとまことに貧弱そのもの、しかも前年度を大幅に割り込むという状態でございまして、これはどうも佐藤大臣おっしゃったようなことに予算の上ではなっておらぬ。これはおっしゃっておることとやろうとすることが全く違うのではないかという深い疑念を私は持ちました。
 特に大変国民の皆さんが御心配になっておりますのは、こんな調子で防衛費がどんどん伸びていきますと、来年はもう確実に大事な国民の命を守る農林水産予算と逆転してしまうのではないか。言うまでもございませんが、六十年度予算は三兆三千八億でございますね。ところが前年度は三兆四千五百九十七億でございますから、ざっと一千六百億一年で落ちたということになる。これは今までにない落ちようでございまして、これではどうも大臣が幾ら意気込んでおられても、農は国のもとである、こう言い切っておられますが、本当にそうはなってないのではないか。私は大変不満でございます。
 したがって、まず予算面から大臣の改めての御決意を伺いたいのでございますが、しかし、私が改めて申し上げるまでもありませんが、残念なのは、三年連続のマイナス予算というのは削減率も削減額も過去最大なんですね。そして不幸にもこの最大のときに佐藤守良さんという方が農林大臣におなりになった。私は御同情は申し上げるのでありますが、しかしこれはどうもいただけないのではないでしょうか。
 今の調子でまいりますと、先ほど申し上げましたように、ことしのようないわゆる農林予算の落ち込みと防衛予算の伸びを推測いたしますと、確実に来年は農林予算が三兆一千五百億になる、それから防衛予算は三兆三千四百億と、ちょうどことしの農林予算と防衛予算の状態になっちゃうのです。これは我が国の歴史の上でも、戦後考えてみる中では初めての出来事になっていくのではないか。これは私は一%問題とともに重大な問題だととらえざるを得ないと思う。
 あと細かな数字のことなどは時間の関係で申し上げることは割愛さしていただきますが、改めて大臣の、今申し上げました点に重点を置いた御決意のほどを伺ってから質問に入りたい、こう思います。
#48
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。
 農林関係予算というのは国民生活に対しては最も基礎的な物資である食糧の安定供給にかかわる重要な予算という認識のもとに予算折衝に当たったわけですが、御指摘のとおり残念ながら減額となっておりまして、私としてはやむを得ないものと考えております。
 特に、実は内容面におきましては、農業をめぐる諸情勢に対処して、生産性が高く土台のしっかりした農業の実現とか活力ある村づくり等を図るため、限られた財源の中でございますけれども、予算の重点的かつ効率的な配分により、各種の施策は質的充実を図っていけると考えております。
#49
○島田委員 大変弱々しく聞こえるのでありまして、やはり政策なり行政のバロメーターというのはお金ですね、予算が一番端的に姿勢を知り得るポイントでないか、こう思うものですから、こういう状態というのは大変残念なことだ。しかし、乏しい財源をいかに使って有効ならしめるかというのは行政の手腕でございますから、そこに期待をかけざるを得ないのであります。
 しかし私は、大臣がおっしゃっております。その基本の置き方という点については、それは幾つかスタンダードの持ち方があると思うのでありますが、現在の農家経済の状態というものを正確に把握する、ここから始めないといけないと思うのです。幸い。ごく最近農林中央金庫が発表いたしました「農家経済の動向」というのがございます。それによりますと、まさに私が今心配をしておりますような農家経済の状況に相なっている。昭和四十五年から五十年ぐらいのところは、農業所得そのものも、落ち込んだりとはいえ約三分の一強の伸び率を維持しておりました。しかし、もう三十年代の後半から農業所得、つまり農業だけで飯を食える状態というのはなくなってまいりまして、農外に所得を求めて農家経済を維持するという方向になってきたわけです。それがどんどん進んでまいりまして、農外所得が全体の二割を占めるという状態になってまいりました。
 そういう状況は、これは日本の農業のある意味では宿命的な側面を示すものとして一つ考えざるを得ない面があるのかもしれませんが、しかしこれもまた、全体の農家経済が果たして現状の中で十分豊かで明るい、それこそ大臣がおっしゃっている、村を中心にして農業がしっかりと根づいているかどうかを推しはかっていく上での大事な基礎になる面でございますから、この伸びがとまるということになりますと、何らかの方法でこの村の活気といいますか活性化を呼び戻してやる手だてを講じなければなりません。
 そういう必要性が今まさにあるのではないかという数字が、五十五年度から五十八年度の伸び率で見てまいりますと、かつて二〇%、あるいは四十年代の後半から五十年の間は三分の一、三四、五%の伸び率で農業所得が位置しておりましたのが、現在はわずか一・一%の伸びでしかないのですね。一・一%です。まさに昔日の感があるわけです。しかも五十年から五十五年といいますと、第二次オイルショックの時代です。この余波を受けまして農家経済は極度に窮迫いたしました。十二月に私が申し上げました交易条件が大変悪化をした時期でございます。これはマイナス三・四%と農業所得ががくんと落ち込んでしまったのです。やや回復したりとはいえ、今一・一%という水準でございます。
 それでは、それをフォローアップする農外所得はどういう伸びになっておるか。八〇%の水準でずっと来ているのかといえば、そんなに来てないのですね。非常に落ち込んでまいりまして、これも四・八%の伸びにとどまっておる。これは四十年代の後半から五十年代の後半に至るまでの間では最も低い伸び率になっております。この先を予測する場合でも、これをもとの三〇%台に伸ばすなんということはとてもじゃないが難しい。だとすると、やはり財政的な援助を加えるか、あるいはまた農業の所得を大幅に引き上げるための価格政策を実行するか、これしかないと私は思うのです。
 ところが、政府のといいますか大臣の御所信を伺っておりますと、構造政策を中心にして進めていく、村づくり運動も構造のところにスポットを当てておやりになろうというお考えのようでございます。果たしてそれが落ち込みつつある農家経済を立て直す、あるいは農村社会に活性化を求めていく、そういう手だてとして最大、最高の適切なる手段なのかどうかとなりますと、私は大変疑問がわきました。やはり構造政策一本やりではいけないのではないかという結論を私は持っているのですが、大臣のお考えはいかがですか。
#50
○佐藤国務大臣 今の先生にお答えしますと、価格政策と構造政策がございますが、価格政策はもう限度に来ている、こう思います。例えばお米につきましては、やはりいろいろな諸情勢からかなり限度に来ておる。また、価格政策は、御存じのことですが需要と供給の関係で価格が決まっていく、そういうこともございまして、そういう形の中で農家の皆さん方の経営的な御努力、合理化等によりましてかなりうまく生産された、こんなこともございまして、率直に言いますと価格政策は限度に来ておるのではないか、こんな感じがし、そういう形でやはり構造政策を中心にやらざるを得ないのじゃないか、このような考えを持っております。
 その第一番は、やはり何といっても経営規模の拡大です。日本農業の一番宿命的な問題は経営規模が小さいということでございます。そんなことで、国と農家の皆さんと協力し合って何とか経営規模の拡大をしたい、こういう形のもとに私は三つの点を中心に進めてみたい。
 それは、第一番に各種作目を効率よく組み合わした複合経営の確立、第二番目には消費者のニーズに対応した特産物の生産振興、この点につきまして、実は私の郷里でもキウイなどを生産しまして非常に高額所得を得ているということで、特産物の生産振興、例えば各県で一村一品運動がございますが、こんなものにひとつ活力を求めてみたい。第三番目には付加価値を高めるための農村加工業の育成、こんなことを中心にきめ細かい指導や支援を行って何とか切り抜けていきたい、このように考えております。
#51
○島田委員 三つの課題でこれに取り組みたいというお考えでございますが、さてその場合、大臣としては農家の所得水準をどの辺に置こうとお考えですか。
#52
○佐藤国務大臣 これは実は大変難しい問題の一つでございます。また各地域、北海道や東北など、地方によって違ってくると思います。
 今農家の平均所得は大体六百四十万前後、そのうち農業所得は農家全体からいけば実は百万円、こんな状況で、約一割五分前後ということでございます。それから専業農家の所得などは六割から七割ということだと思いますが、所得水準におきまして、でき得れば少なくともそのうちの七割前後は農業所得を持っていけるようにしてみたい、このように考えております。
#53
○島田委員 時間の関係できょうはスケジュールどおり進めさせていただきますので、足りない部分はまたこの農林水産委員会で十分な論議をすることにさせていただきます。
 次に、日米農産物の問題でございますが、また日米摩擦が起こるのではないか、こういうふうに一般では受けとめていかなければならぬ問題がアメリカの方で起こりました。
 レーガン政権が去る四日に予算教書を発表いたしましたのを見ますと、八六年度農業予算を三七%も前年度予算から削る、大変な大なたを振るうという情報が伝わってまいりました。さきに中曽根総理がレーガン大統領とお正月会談をされましたときにも、貿易摩擦解消の問題についてさらに強い自由化を迫ってきたのが大変大きな問題でございました。それに追い打ちをかけるように、アメリカの農業政策の変更が我が国に向けても少なからざる、いや大変甚大な影響をもたらしかねない、こういう予算教書、農業予算に大なたを振るったという状況のもとで、私たちはやはり身構えざるを得ない、こういう感じに私はなっておるのでございます。この点大臣はどういうように受けとめていらっしゃるか。
 さらにまた、これに対して早くも対策を立てなければいけないのではないかと私は思っておりますが、その対策についてこの際具体的にお示しをいただきたい、こう思います。
#54
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 先生の御指摘のとおりでございます。ことしの大統領予算教書によると、一九八六年度の農業予算については、支持価格水準、目標価格、ローンレートの引き下げ、農業融資の削減を中心に、前年度予算に比較しまして約三七%の減額予算を計上しております。このうち農業融資については、政府による直接融資から民間融資に対する債務保証に切りかえることとしているので、農家に対する影響は比較的少ないものと見られておりますが、農産物の支持価格水準の引き下げについては、当面、農産物の需給が緩和の状態で推移するとすれば、農家経済に少なからず影響を及ぼすものと見ております。
 現在、米国農業は、先生御存じのことでございますが、高金利、ドル高に加え、需給実勢に対し比較的高い支持価格水準により農産物輸出の不振を招き、厳しい不況下にあること、また、今回の農業予算は、単に農業支出の削減にとどまらず、支持価格の引き下げにより市場の実勢を重視した農業政策を推進しようとする意図があることからすれば、諸外国に対する農産物輸出の拡大に一層力を入れてくる可能性があると思います。
 ただし、米国の価格支持対象品目の主体は穀物などが中心でございまして、これらについては現在日米間でほとんど問題が生じていないこと、また、牛肉、かんきつ等、主要な関心品目については昨年四月に決着を見、現在四年ないし二年の休戦にあること等から、今回の予算の削減が直ちにこれら品目の市場開放要請に結びついてくるとは考えておりません。
#55
○島田委員 それでは御認識が甘いんではないでしょうか。例えばブロック代表がやってまいりました中でも、これを実行するという大統領の決意がかたい、そしてそれは、日本ばかりではございませんが、世界各国に及ぼす影響についてもこれは全くないとは考えていない、大変大きくかかわるのではないかということを示唆しておるのであります。
 そうしますと、ECの問題は後ほど触れますけれども、確かにECの厳しい農業情勢がございます。そうすると、我が国が容易にターゲットにされるということは十分予測しておかなくてはならない。やってまいりましたときにあわてふためくようでは、これは大臣、手腕が問われようというものであります。そういうお考えでアメリカのレーガン大統領の予算教書をお読みになっているとすれば、これは大変ないわゆる不認識と言わざるを得ませんので、やはり認識を十分持っておいていただくということが必要だし、そしてまた、その認識をもとにして早速その対策に取りかかるということだって必要ではないでしょうか。
 過去の日米貿易問題の摩擦解消のためにどれだけ苦しんできたかはもう自明でございまして、今さら言うまでもないことでございます。日本農業を守るためには、やはりいち早く敏感に対応していただくということが私は必要だと思います。重ねて大臣のお考えをお聞きいたしておきたいと思います。
#56
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたしますが、日米農産物交渉については、今までも厳しかったし、これからも厳しいという認識は依然持っております。
 そういう形の中に、実は我が国は農産物については、既に世界じゅうから百七十一億ドル輸入している大輸入国でございます。輸出は大体二十億ドル前後ということで、差し引き百五十億ドルぐらい輸入超過をしております。そういう形の中に、アメリカにつきましては、約百億ドルの輸入をし、約六億ドルぐらい輸出しておりますから、差し引き九十四、五億ドルの輸入超過、しかも穀物が中心、こんな情勢でございます。
 そんなことで、今後の諸外国との協議におきましては、このような事情とか、及びこれまでの市場開放の措置等を十分説明し、特にアメリカに対しましては、そういう説明をしながらいろいろな対策を講じてまいりたい、こう考えております。
#57
○島田委員 ところで、対EC対策でありますが、ECも大変厳しい農業情勢のもとに置かれていて、その解決のために、ECの農家、農業にとってはかつてない試練に立たされようとしているのも御承知のとおりであろうと思います。特に改革のポイントになっておりますのは、生産調整、価格引き上げの抑制、それから各種補助金、奨励金の廃止または減額、それからEC内におきます消費促進のために輸入を抑制する等々、これは諸外国にも大変大きな影響をもたらしかねない措置が打たれようといたしております。
 特に我が国のようなEC市場に工業製品をたくさん売り込んでいる、こういう国の立場や、それからもう一つは、我が国の今目標にしておりますのがEC水準の農業実現でございましょう。それに追いつけ、追い越せという合い言葉のもとに進められているわけでございます。そういたしますと、政策の大幅な変化といいますか変更というものは、即ECを一つの手本にしようとしている我が国の農政にももろに影響しかねない。物まねの上手な日本でございますから、政府もその一つでございますから、早速そのてんに従ってなどと、そうでなくても、既に生産抑制、価格抑制、こういう状態は日本の農業政策をめぐる最も大きな問題として今出されているわけでありますから、これをさらに加速させ強化させるという方に向かったら、これは困る。この辺のお考えはいかがなのですか。
#58
○後藤(康)政府委員 外国の農政に関連するお話でございますので、例外として私からちょっとお答えをさせていただきたいと思います。
 島田先生御指摘のとおり、ことしに入りまして、つい最近でございますが、EC委員会が農産物価格のかなり大きな引き下げの意図を持っておるということが明らかになりまして、今ECの域内で農業団体初めいろいろな動きが始まっておるやに私どもも聞いております。
 先ほど島田先生からお話がございましたような農業予算の削減、これは実はアメリカの大恐慌時代に基礎がつくられました農政のかなり大きな路線の変更と申しますか、その一番大きなものは価格支持水準を引き下げて対外的な競争力を強める、こういう方向を打ち出してまいったわけでございまして、世界の農産物輸出市場におきまして、アメリカとECとが輸出の面で競り合っておる。アメリカはECの輸出補助金を非常に非難をしているわけでございますが、そういった状況の中でアメリカが支持価格水準を引き下げるということになりますと、ガット等で行われております輸出補助金規制についての議論がまたさらに白熱をしてくるだろうということのほかに、これ以上国際市場価格が下がりますと、ECの農業財政の負担としてもなかなか耐えられないというような状況が出てまいるということで、ECの共通農業政策もますます難しいところに差しかかってくる可能性が出ているわけでございます。
 アメリカの農政の路線変更というのも、これから議会でいろいろ議論がございますので、いろいろな方の御意見を聞きますと、とてもそのまますんなりは通らないのではないかということは言われておりますけれども、こういったことでアメリカ、ヨーロッパ、いわば二大先進国の農政の動きということにつきまして、これから私どもも十分気をつけてフォローをしてまいらなければいけないというふうに思っております。
 ただ、ECと日本との間では、貿易関係では若干の、検疫問題等マイナーの問題はございますけれども、今直接大きな問題はございませんので、直ちに貿易問題にそれがはね返ってくるという状況はすぐにはないというふうに思っております。
#59
○島田委員 事態の認識については私の考えと大分差があるようでございますが、ぜひひとつ憂いなぎ対策をしっかりとお立ていただいて対処していただきたい。
 次に、カネミ油症問題についてお尋ねをいたします。
 長々申し上げる必要はございませんが、実に十七年という長い歳月のもとで、この事件に巻き込まれた人たちは大変な苦しみを味わい、またとうとい人命にまで影響を及ぼしてまいりました。まことに憂慮する事態にございます。
 過般、これに対しまして裁判が行われて判決が出ました。国側の責任が問われ、今そういう事件の全貌、被害の実態、これが明らかにされてまいりました中で、早期にこれを解決するということが大変国民的な課題にもなるのではないかと私は思っております。この判決に対して、大臣、どのように受け取っていらっしゃるのか、お考えをまず冒頭にお聞きいたしたいと思います。
#60
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。
 カネミ油症事件の被害者の皆さんの御苦労に対しましては、心から御同情を申し上げる次第でございます。
 今おっしゃった判決に対する今後の対応につきましては、その内容を検討し、関係大臣と会談を開く等関係各省と協議を行った上、速やかに決定をしたい、このように考えております。
#61
○島田委員 ということは、早期解決に踏み切るというお考えはない、こういうふうに受け取っていいのですか。
#62
○佐藤国務大臣 これは先生御存じのとおりでございますが、関係各省あるものでございますから、今のところ二十二日に関係大臣会議を開く予定にしております。そういうことで、皆さんと相談の上、速やかに決定したい。
 そういう形の中に、被害者の方々に対しましては、裁判上の問題とは別に、現在厚生省において行政としての立場から取り得る措置が講ぜられておりますが、我が省としても、原因となりました食用油製造企業、カネミ倉庫に対しましては、その事業活動の維持継続を通じて被害者の方々に対する治療費等の支払いが進められるよう所要の措置を行っておりますが、それ以外に、今後とも我が省を含めて行政上取り得る措置についてさらに検討し、十分指導に努めてまいりたいと考えております。
#63
○島田委員 控訴をされるという前提に立ってお話をされていると私は受けとめているのですが、大臣、この事件はそんなに複雑な事件じゃないのですね。まことに明快なる経路を経てこの大事件が起こったのであります。ですから、未然にこれを防止することだって十分可能だったという点が今度の裁判で問われ、判決もそこのところを厳しく糾弾しているのだと受けとめていただかないとこの問題は解決しないと私は思うのです。メンツだとかあるいは役所のしきたりだとかいったものにこだわってこれを先送りし、長期化させるということであるとすれば、それこそヒューマニストをもって任ずる佐藤守良大臣のメンツがないのではないかと私は思います。
 ちょっと申し上げます。私は時間を節約する意味で、この事件の起こってきた経路を絵にかいて持ってまいりました。
 ぬかから油が取られ、苛性ソーダを加えてここで加熱したり洗ったりして、それをまた冷却したり、ろ過したりして脱臭のぬかができ上がる。それにPCBを加えて、商品名はカネクロールというのでありますが、これでスカム油ができまして、これを混合してダーク油ができて、それをぬかなどとまぜて配合飼料にして鶏に食わせた。そのために鶏が何万羽も死んだわけですね。
 ですから、今度問われているのは――これは農林省のサイドの責任であります。こっち、これは厚生省そのほかの責任でございます、あるいはカネミその他業者の責任になるわけであります。ここのところでこういう状態が起こって鶏が大量に死んだというこの事実に接しながら、このことに対して危険であるということを関係者に通報しなかったという行政上の怠慢が問われている。結論を言えば、ここでちゃんと農林省が行政上の責任を果たしていればあんなにたくさんの被害者が出るような大事件にはならなかったということが十分予測される。
 これだけはっきりしているのだったら、控訴しても、最高裁に持っていこうがどこに持っていこうが、大臣、恐らくこれは勝てないと思いますよ。結論ははっきりしているのではないかと思う。人道的立場に立ってあっさり早期解決をする、そういう解決の仕方を私はこの際望んでやまないのです。
 重ねて、そうした姿勢に立っていただきたいことを念じながら、また厚生省や法務省との話の――二十二日におやりになるそうでございますが、農林省として、いわゆる農林大臣佐藤守良という大変物わかりのいい大臣が先導を務められて、この事件を早期におさめ、救済をするのだ、こういう立場に立って解決されることを私は強く望みます。いかがですか。
#64
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。
 カネミ油症事件の被害者については本当に心から同情しておりまして、十七年たちまして現在まだあの事件の治療対策ができていないということで、早くこれをやるべきであるということを今督促している状況であります。
 ただ問題は、今先生おっしゃった原因等につきましては若干我が省でも意見があるようでございます。そんなことを踏まえまして十分配慮してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#65
○島田委員 それじゃ、まだ控訴と決めたわけではないととっていいのでしょうか。
#66
○佐藤国務大臣 今の点につきましては、そういう点を踏まえて三大臣協議の上決めたい、こういうことでございます。
#67
○島田委員 私が申し上げたのは、どなたがお聞きになっていても極めて簡潔明瞭な話ではないでしょうか。これをごちゃごちゃとねじ曲がったように考えるということ自体が問題を複雑化させ、そしてまた国民が期待するのと全く逆な方向に向かう姿勢であるということになるということをここで重ねて私の意見として申し上げ、十分御反省をいただきたい、御考慮をいただきたいということを強くお願い申し上げておきたいと思います。
 さて、林業問題に移りたいと思います。
 申し上げるまでもありませんが、木材の需要の減退あるいは木材価格の低迷、また担い手たる林業労働者を含めた労働力は年々高齢化を続け、また、山からおのやのこをかついでおりていく、今日のこの事態はまさにゆゆしき事態にあるのではないかという認識を持ちます。私は決して事大主義者ではございません、冷静に物を見ているつもりでありますが、冷静な私の目から見てもこの山の荒れる状態というのは大変心配される。二十世紀において解決しなければならない人類に与えられた最大の課題の一つだと言ってもいいのではないか、こう考えますと、ここに手抜きをしたり怠慢をするということが許されないのは言うまでもないことでございます。
 私は、それあるがゆえに大臣は新たに二十億の村づくり運動の予算を突っ込んで活性化を巻き起こしていこうとお考えになっているのだろうと思いますが、そういう意味では二十億というのはみみっちい予算でございまして、一体何に使うのだろうかな、こう思っているぐらいであります。
 こうした状態を打ち破っていき、林業の生産活動を活性化させ、そしてまた外材依存ばかり続けていくのではなくて、今から国内の林業の生産活動をかき立てていく、こういう政策が急がれると私は思うのですが、まず、基本的な森林・林業をめぐります状況をどのようにお踏まえになり、どういう具体策をここにやろうとお考えになっているか、改めてお聞きをいたしたい、こう思います。
#68
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。
 我が国の林業の現状は先生御指摘のとおりでございます。第一に木材需要の低迷、昭和五十五年に比べまして約二割需要が下がっておる。また、木材価格の下落、これは五十五年を中心に約三割下落しておる。そういう形の中に、林業諸経費、例えば造林費とか伐採費等の人件費は三割から五割上がっておる。しかも、倒産件数は毎年千件ちょっとで、倒産被害金額は二千億前後、そんな状況が続いておるのが現状でございます。そういう形で、森林の有する公益的機能、国土保全とか水資源の涵養等の諸機能の発揮に対する国民の期待というのが一段と高まっておるというのが現状でございます。
 そんなことで、このような状況に対処するとともに、二十一世紀に到来が予想される国産材時代に備えてまず一番大切なことは、木材が売れるということです。売るということ。そのためには木材のよさというのを十分普及する必要がある。
 実は、私はいつも言っているのですが、木材に五つの誤解がある。木材は地震に弱い、火事に弱い、居住性が悪い、もちが悪い、建築費が高い、こんなことをまず改めて理解してもらう必要がある。また、そういう誤解のもとに実は行政がつくられておる。例えば高い建物に木材を使ってはいかぬ、これは間違っておるわけです。
 そんなことで、まず木材のよさの普及啓発を中心にやりながら、五つの点について政策をやりたいと思っています。
 その一つは、造林、林道等の林業生産基盤の整備と林業地域の活性化、第二番目には、国産材主産地の形成と林業担い手の確保、三番目には、間伐の計画的な実施から間伐材の流通加工、利用開発に至る総合的な間伐対策の実施、四番目には、保安林の機能強化、治山事業の推進等国土保全対策の充実、五番目には木材産業の体制整備、こんな施策を中心に我が国の林業の振興を図ってまいりたいと考えております。
#69
○島田委員 たまたま昨年は林業国会とも言われ、本委員会では集中的に山の問題を取り上げて論議が行われましたが、その際林野三法が提出され、この法案の成立に対しまして院としての附帯決議がつけられましたのは御承知いただいておるとおりだと思います。こういう中で、今五つほどお挙げになりました。いずれも急がなければならない仕事であるというふうに思います。
 ただ、材価の低迷というのを一つ考えてみましても、これは容易なことではないのですね。昨年の一年間の推移を見ますともう絶望的な感じさえしたわけであります。しかし、昨年の秋遅くからことしにかけましてはやや一〇〇のところへ戻してまいりまして、製材、丸太など含めて少し低迷状態から脱するかなあという感じの状況にまで戻ってまいりました。あわよくばここを契機にしてぜひ材価が一定の水準に上がっていくことを期待したい、その気持ちは私もいっぱいでございます。
 しかし、これは腕をこまねいて言っているだけでそうなるかどうか、私はその辺に一つの心配を持つのでございますが、特に附帯決議の中で、いわゆる公益的な機能というものを持ちながら、もう一つは不採算外分とかあるいは非経済林分とかと言われておりますようなところをどうやって森林活性化のときに区分けをしていくかというのは大変技術を要する点でございます。
 この辺について言いますれば、一つは、しっかりと国産材の自給率を上げていくというところに視点を置きながら、そして効率的な予算とか財政の投入を行っていくということが大変大事だと私は思うのであります。もちろん今日的な国有林の財政事情というものを早期に解決しなければならぬというのは私は大前提だと思うのですが、しかしそういう点でいいますと、例えば間伐ということをお話しになりましたけれども、間伐材の有効利用という面ではもっともっと工夫があってもいいのではないかと私は思うのです。
 例えば私の北海道で申し上げますと、今間伐を急がれる外分というのは大変ふえてまいっておりますが、その主流をなすものがトドマツであり、そしてまたカラマツでございます。カラマツなんかについては、間伐材としての利活用という面で言えば今の考え方をもっと幅広くしていく必要があるのではないだろうか。
 例えば、これは私の提言でございますが、普通にこういうテーブルをつくったり家財道具をつくったりするだけではとても間伐材を一〇〇%消化し切れるものではございません。大量に消化をするとすれば、今畑作地帯で堆肥が欲しいという期待がございます。ここにバーク堆肥の原材料として送り込むということを真剣にお考えになったらどうだろうか。これなら何万トン単位で消化できる。もったいないということをお考えになるのではなくて、やがては土に返して土壌の改良に役立つとすれば、思い切ってそういう間伐材の利用の仕方もあるのではないでしょうか。ただ、府県等でいいますれば、杉、ヒノキのやや高級材でございますから、まさか畑へ持っていって捨てることは、その受け皿も北海道ほどたくさんあるわけではございませんから、これは無理でしょう。
 しかし幸いにも、中国あたりから小径木の引き合いが大変多いと聞いております。値段等のネックはあるにせよ、そういう問題に取り組まれることも必要ですし、何よりも、鉄やコンクリートで子供の遊び道具をつくるのではなくて、三年たったら腐るということはあるけれども、それはこっちのつけ目でございますから、三年たったらまた新しくしていけば間伐材は幾らでも使えるわけでございますから、そういうものに思い切って変えていく。木造住宅ばかりではなくて、公共施設についても木材の建築については思い切った助成措置を講じてこれを促進をしていく、こういう前向きの姿勢がないと材価低迷から脱するということさえも不可能ではないか。ですから私は、ある意味では財政主導型の林業政策をおとりになることをお勧めしたいと思うのです。いかがでしょうか。
#70
○佐藤国務大臣 お答えします。
 三つの点の御質問だと思うのですが、第一番に、昨年の国有林野事業改善特別措置法のときの附帯決議ですが、十一項目、私も承知しております。そんなことで大いに先生の趣旨に沿うようにして頑張っているわけです。
 間伐材につきましては、先生御承知のごとく、今まではくい丸太とかあるいは足場丸太とかに使われておったわけですが、最近そのような需要は大幅に減っております。そこで、最近は子供の遊具道具とかあるいは集成材等、新規用途、新製品の開発等にも努めているところであります。例えば木材をポップコーンをつくるときのような手法で粉砕して飼料に入れて使う、そのような用途も開発されてきております。大体実験的には二割ぐらい入れると非常に効果があるようですね。そんなことで今研究し、これを実体化したいと思います。また、そういう形のものを固形燃料に入れる、そうすると燃料の効率が非常によくなる、こういう新しい方向に持っていきたい、こう思っております。
 それからもう一つ私考えておりますのは、森林というのは先ほどから言っております公益的機能が大変強いのです。水資源涵養とか国土保全とか、あるいは最近教育問題でも森林浴が言われております。例えば森林浴に行った子供は非行少年にならぬとか言われている。そんなことで公益的機能が大変強い。そこで、私はもっと国のお金を入れたい、そういう形でないとなかなか二十一世紀の森林事業は難しい、こんな考えを持っておるわけでございます。財政状況がなかなか厳しい状況でございますが、私は、公益的機能についてはあえて国の負担をお願いする、そういう形の中で森林事業の将来の発展を期したい、こんな考えを持っておるわけでございます。
#71
○島田委員 厳しい財政事情のもとで一般会計の繰り入れがようやく百億を超す、御努力に対して敬意を表します。しかし今大臣がおっしゃったように、やはり財政主導型、いささかそういう方向に持っていきませんととても暗やみから脱することはできない。
 特に間伐問題というのは急がれると思うのです。ですから、間伐予算五十億でありますけれども、昨年の比較で二億ついたきりですね。私は大臣のところにお願いに行ったときにも、せめて二十二、三億積み増しして、十年かかるところを五、六年で百九十万ヘクタールの緊急間伐林をまず整理しようじゃないですか。その後にまだ二百七十万ヘクタールくらいの間伐林がどんどん後ろから追っかけてきているわけでありますから、これは一日も休むことはできないわけであります。これはぜひ補正を組んでも間伐の促進をやってもらいたいと私は思っているのであります。
 それから、今教育の問題がございました。これも我が党は、六十年度予算編成に当たりまして、自民党の藤尾政調会長、我が党の嶋崎政審会長の会談の中でもあるいは党首会談でも緑の問題を重要視するという立場でお願いをいたしましたし、また、今申し上げました政調・政審会長会談の中でも、私は二重丸をくっつけて、教育森林というのを実行しようではないですか。これはさしあたってはそんなに何億の金なんか要りません。我が党は五千億を今度の組み替え予算でも考えておるわけでございます。私は率直に申し上げまして、これが芽を吹くのであれば、大臣にも申し上げましたが、五千億と言わないで三千億でも、厳しければいい、芽を出してくれ、芽を出せばみんな国民の皆さんで水をやって、肥料をやって育てましょうよ、こういうお話もいたしました。
 教育森林構想をなぜ持ち出すかといいますと、かつて亀岡農林大臣の時代に、教育、いわゆる教科書の中から林業・森林が落ちているではないか、こんなことでどうして出づくりができましょうかと言ったら、これはもうここにいらっしゃる皆さんが全く同じ考えでございまして、そのとおりだ、しっかりとカリキュラムの中にまでこの森林・林業を位置づける、そういう教育をやはりやらなければいけない。林野庁もまたそれを受けまして、副読本というものをつくって、今度また予算を幾ばくか盛っておられるようでございます。
 私はこの際、この副読本のことについてちょっと触れておきたいと思うのですが、大臣、私は学校を回って、この副読本がどのように活用されているかについて先生方に聞いてみましたら、一校に一冊当たるか当たらぬかです。先生方の中でも一冊あるかないかです。これでは、日常的にいわゆる教科の中で子供たちに教えるというのには余りにも貧弱過ぎて、また先生方も一冊もらって戸惑っているという様子でございました。確かにつくられた本は立派ですよ。これはもう一日見てもわかるように、実によくつくられております。私はこのことも評価をいたします。ただ、つくっただけで額縁に入れて飾っておくような副読本では、これはどうしようもないですね。子供たちが、それこそすり切れるくらいこの本を勉強できるようにしてやれるところまで踏み込まないと、仏つくって魂入れずで、非難されるということになるのではないでしょうか。ぜひひとつこれをそこまで持っていっていただきたい。
 しかし、それにつけても、本で教える、言葉で耳から教育をするだけでは、私は今日の山の問題の教育とは言えないと思うのです。体験をさせましょう、文部省でさえここに踏み込んでまいりました。ふるさとの森とか触れ合いの里とか、これは林野当局もこのことはおやりになっておりますから、そのことはぜひ進めていただきたいが、もう一歩、やはり山の教育は文部省にだけ任しておけないという気持ちになって、全国に五十カ所くらい、将来、教育森林をやはり国有林、民有林、公有林を問わずおつくりになったらどうでしょうか。
 六十年度の北海道の横路予算の中には、北海道の森というのを構想しておられます。これは教育にも一般市民にも開放して、北海道の森というものをみんなで手を添えて育てていこうという発想が原点にございます。こういう芽は各地にあるのであります。例えば日光なんか、日光の市長さんは教育森林、大変熱心でございます。国有林で一部適当な箇所があるということに目をつけられて、ぜひそこを開放してもらいたいものだということも、雑談の中でありますけれどもおっしゃっておられるくらいであります。そういう芽は各所にあるし、期待もあります。
 ぜひその期待にこたえるという前向きの行政をお進めいただきたいと思うのですが、このお考えはいかがでしょうか。
#72
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えしますが、大賛成でございます。
 ただ、先ほど私も実は教科書の話を聞きまして、一人に一冊やったのかと思ったら、一校に一冊くらいというので、それではという話で、今度はビデオでやるというようなことで計画を考えておるわけでございます。
 そんなことで、今先生のおっしゃったことにつきましては、実は我が省とすれば、二十一世紀の森造成整備事業とか、あるいは触れ合いの森林整備事業とか、あるいは国有林野における森林のレクリエーション的利用とか、あるいは学校林の造成、国有林野を利用した記念植樹の体験林業、こんなことを中心に施策を進めてまいりたいと思っております。
#73
○島田委員 ちょっと先を急がせていただきます。
 次に、国有林財政は言うまでもない状況のもとにあって、出先の営林署のところではそれは骨身を削って血を流すような努力をされておりまして、涙ぐましき限りでございます。こんなことをいつまでも続けていくと士気に影響するとさえ思われるような現場の事情にございます。鉛筆一本、紙一枚の節約まで一生懸命やっておられます。この上と言ったら本当にこれは大変だなと思うくらいでございます。
 そういう点で、こうした点に林野庁としては正確に、農林省としては正確にやはり対応していかなければならない。観測あるいは将来の見通しを誤るということになりますと、これは大変なことになるということを私は考えます。事業費等、これはなかなか大変でございますが、それらの取り組みについてお考えをこの際お聞かせいただきたい、こう思います。
#74
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたします。
 林野事業というものは大変な赤字で、借入金は一兆円と言われているわけで、恐らく国産材の時代を迎え、昭和七十年までにはこれは二兆円になるだろう、こんなことを言われているわけであります。
 ただ、私はやはり林野というのは基本的に、例えば杉は五十年、ヒノキは六十年ということを見ますと、果たして単年度会計はどうかというようなことがございます。私は、林野というものはむしろ長期的視野に立って財政を考えるという形でないと本当の正しい姿が保てない。
 そういう前提のもとに、実は大変厳しい、そんなことでございますが、私は今後の問題につきましては、価格の低迷をどうするかという問題、それとともに、やはり資源的制約から伐採量に限界が将未来るのじゃないか、それから事業全般にわたって合理化を進める、そんな形のもとにこれから林野事業を進めてみたい、こう考えております。
#75
○島田委員 事業費の大幅切り込みで二五%も切り込まれるのじゃないだろうかというふうな心配もございまして、それではとても山は成り立ちませんね。ですから、こういう点については十分ひとつ現場の状況を把握されて、正確なる計画をお立ていただくようにお願いしたい。何かございますか、林野庁長官手を挙げておられるから……。
#76
○田中(恒)政府委員 先生の二五%云々ということでございますけれども、確かに六十年度のいろいろの材価見通しなどをやはり余り楽観的に見ることはできないということも考えられまして、予算の執行に当たりましては、非常に厳しい見方も一面し、まずはそういう厳しい構えからスタートをいたしませんと、年度途中でもし情勢がいろいろ急変いたしました際に問題も生ずる。しかしまた、途中途中におきますいろいろな我々の販売努力、各般の努力を積み重ねてまいりまして、その先々を見ながらまだ緩急よろしきを得た予算執行をする。まずは最も厳しい状態を想定した場合の心構えといいますか、そういうことから内部的にはいろいろな作業をしたわけでございますが、それをもって固めまして最後まで突っ走るということを現在決めているわけではございません。
#77
○島田委員 ところで、先ほどちょっと触れましたアメリカから要求されております四つの関税引き下げの品目の中に木材製品が入っております。大臣、この点についてお考えを聞かせてください。
#78
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えしますが、先生のおっしゃるとおりでございまして、一月の日米、中曽根・レーガン会談でもこの問題は出たようでございます。ただ、木材関係に関しましては大変ありがたいことに、与野党の皆さん方の御理解を十分得ております。また、実は政府部内におきましては、中曽根総理、河本長官、安倍外務大臣、竹下大蔵大臣等主要閣僚全部理解しておりますし、関税の引き下げにつきましては十分対抗し得ると考えております。
#79
○島田委員 しつこいようですが、大臣、中曽根総理はあなたに、この問題については官僚の言うことを聞かないで、あなたの毅然たる姿勢でやれなどと言ったと、私はちらっと小耳に挟んだのでございますが、そういうことはないのですね。
#80
○佐藤国務大臣 中曽根総理は私を信頼して閣僚に使ったかと思います。したがって、農林水産大臣は佐藤守良でございます。若干の意見はありましても、私が納得しないことはしたくないと思っています。
 そんなことで、先般話がありましたのは、合板事業につきましていろいろな意見があったものですから、私は実情をお話ししたということでございます。
#81
○島田委員 ところで、一つだけ問題提起をしておきます。
 一月十九日の新聞でございますが、「酸性雨禍世界の森林が危ない」という見出しで、酸性の雨が心配される記事が載っておりました。この対策は、森において大変大きな被害を受けるということが予測されますので、抜かりなく対応していただきますようお願いをしておきます。これはお答えは要りません。
 そこで、最後に漁業の問題でございますが、日ソ漁業協定、大変御苦労をおかけいたしまして、その御苦労に対して敬意を表します。ただ、まだ実際面になりますと、これは問題がすかっと解決したわけではない。寄港地問題も随分大臣は苦しんでおられるようでございます。
 それから、私のところのお話をして恐縮でございますが、この日ソ漁業協定の重要ないわゆる話し合いの対象になっておりますのに、カニとツブがございます。それからエビもございます。これは大変なんです。ですから、少しばかりの金なら払ってもいいから解決してほしいというぐらいに差し迫った心境に今漁師の皆さんは追い込まれております。そればかりではありません。それを加工する水産業の人たちがごまんとあの海岸ぶちにいるのであります。この人たちがみんなあごが干上がってしまう。そこに何千人と働いているのであります、たった一つの町、紋別市を例えてみただけで。まさにおかに上がったかっぱどころの話ではない、深刻ないわゆる社会問題にさえなりかねない。町を挙げて大会を開き、この解決を政府に迫っているのも御存じいただいているとおりでございます。この見通しはどうでしょうか。
#82
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えします。
 実は、寄港の問題につきましては、全く私が決断いたしまして、大変いろいろな経緯があったのですが、昨年小名浜港で、ことしは塩釜でお願いしたわけです。これも、実は北洋漁業従事者約六万人、それから関係業者は七万人、合わせて十四、五万人、家族で百万人近い人のためということでひたすらお願いしておるわけでございまして、何分の御協力を心からお願いをする次第でございます。
 また、交渉の途中で、カニ、ツブ、エビの問題でございます。昨年は一万トン、約四十三億円の水揚げだったと思いますが、そんなことで何とか政府間交渉にしたいと佐野長官を中心に頑張ったのですが、向こうがどうしても民間交渉ということで、現在大日本水産会を通じましてソ連の漁業公団と交渉しているわけでございます。大変厳しい状況でございますが、我が省挙げて何とか早く解決できるように最善の努力をしている状況でございます。
#83
○島田委員 日米漁業問題もこれまた一つ大変な仕事でございます。特に、考えてみたら日ソ以上にどうも始末に負えぬというところもあります。というのは、単なる漁業問題で済まなくて、ここに鯨が絡まっているからです。これも困ったものでございまして、私はやや情勢を分析をしてみますと、こんなことが言えるのではないでしょうか。
 昨年の十一月ですが、アメリカで行われました日米捕鯨協議におきまして、マッコウクジラ捕獲に対する合意がなされました。御承知のとおりでございます。この漁獲割り当て、これはPM法の発動によるものでございまして、はしよって言いましたが、パックウッド・マグナソン修正法というのが国会に出されました。これを盾にしましてかなり強圧的な外交姿勢に終始しているのがアメリカの今日の姿勢でございます。
 我が国は商業捕鯨モラトリアムに関するIWC決議への異議を申し立てておりまして、これも御承知ですね、期限つきで撤回するよう求めておる、こういう状況にございます。
 科学的な根拠のないこんな考えを我が国が受け入れるわけにはいかないのは当然でございますが、ただ、長い歴史と文化と伝統のある我が国食糧産業として、この捕鯨、つまり捕鯨業あるいは鯨の肉等のすべてについてその存続が大変最近は危うしとされている現況のもとにございますので、これを単なる向こう側の言いがかりだと言ってだけ済まされない問題がここに介在している、内包しているというふうに言えると思うのですね。特に、ここに働いている労働者の皆さん方も、長い歴史と伝統に支えられて鯨一筋に生きておられる方もおられるわけです。
 こういうふうに考えますと、これはまた社会問題にもなりかねない。鯨の問題となると常にこういう問題をはらんで今日来ているわけでございます。しかし私は、それを鯨なら鯨で解決するというのならいいのですよ。ところが今度は魚の方に絡めてきているというのは、やり方としては私はひきょうだなという気がするのです。ですから、こんな卑劣な手段でという思いがこっちにもありますと、これはなかなかうまくいかないわけです。あるいは卑劣だと思っているのは私個人だけなのかもしれないが、しかし、それにしても背景にそういうものがあるとするならば、佐野長官だってこの問題の解決はなかなかやりづらい。
 佐野さんは西に東に、つまり東奔西走で外国を相手にして、なかなかにして物わかりの悪い国はかり相手にして頑張っておるのだから、私はその頑張り方に拍手を送りたいのでありますが、それだけに御苦労の多いことも承知するのですけれども、こんなやり方をいつまでもさせておくという手は私はないと思う。ここは何か解決策といいますか、我が方の考え方がおありなんでしょうか、きょうはそこのところをひとつお示しいただけないだろうかと思います。
#84
○佐藤国務大臣 島田先生にお答えいたしますが、結局島田先生が今おっしゃった認識の点では私も全く一致しております。ただ問題は、鯨に対する考え方が基本的に違うというようなことから、実は異議申し立てに基づき捕鯨を行うことは国際捕鯨取締条約上締約国の正当な権利として認められておりますが、かかる権利の行使に対して米国が、自国二百海里内の漁獲割り当てまたは水産物の貿易につき制裁を科すという法律を持っていることはまことに遺憾なことでございます。
 そんなことで、政府としてはアメリカ政府に対しまして、このような米国国内法の発動により我が国を制裁することの不当性を主張するとともに、我が国における捕鯨の重要性につき理解を求めることにより、我が国の捕鯨を何らかの形で存続し得るように今最善の努力をしているわけでございます。
#85
○島田委員 大臣、中座されて結構です、用事があるようでございますから。あと長官と私、話をさせていただきます。
 今、大臣からお考えをお聞きいたしましたけれども、私はどうも長官、これは納得できないのです。相手があることですからこっちの思うとおりにいかないことはわかるのですが、しかしこの件に関して、例えばアメリカの漁業政策というのは最近は特に排他色が強まっているのではないだろうか、こういう感じがするのです。ですから、アメリカの漁業政策を見る見方はいろいろあるのでありましょうが、私のような見方をして取っかかった方がよいのではないかと思っておるのです、長官、どうですか。
#86
○佐野政府委員 現在アメリカが二百海里内で行っております漁業資源の管理のやり方は、資源の最適利用とか伝統的な入漁国の漁獲実績の尊重とか、そういう二百海里時代が始まった当時言われておりました美辞麗句はすっかりかなぐり捨てておりまして、アメリカが使いたいと思ういかなる目的のために使ってもいい、捕鯨禁止であろうと、そういう考え方がアメリカ側の考え方のベースになっておりまして、殊にアメリカの立法府は、今先生が言及しておられるような法律を現に制定をしておるわけでございますから、私どももそういう現実を直視して対処すべきものであると考えております。
#87
○島田委員 それに長官、漁業と鯨を絡ませるということになりますと、我が国の漁業者にとっては迷惑至極ですね。ですから、こういう状態が長引いていくと、今度は国内的に、国内において漁業者と鯨との間が険悪な空気になりかねない、そこのところを私は大変心配するのです。ですから、向こうはだんごにして出してきた。国内では、だんごにして対応するとしても、足並みをいつまでもそろえることができるかどうかという問題が一つあって、途中で苦しくなってくれば、漁業者の皆さん方にしてみれば鯨の問題と絡められたのではかなわないといったような話になってきますと、これはいわゆるアメリカの考えているところにはまっていきかねない、こういう心配がございますので、何よりも水産業界と捕鯨業界の足並みを一致させながら、こうしたアメリカからの言いがかりをはねのけていくというバックアップ体制は最後まで崩していくべきではない、私はそう思っているのであります。
 そこで、私は三点ほど鯨に対する要請をいたしていきたいと思うのでありますが、今期南氷洋ミンク操業は既に半ばに差しかかっている、こういう事情がございます。その捕獲頭数は三千二十七頭を超えない、こういうことになっているようでありますが、しかし、具体的頭数の決定まではまだ至っていないわけでございます。どれぐらいとられて、どれぐらいになっていくか、そうした具体的捕獲頭数の決定に当たりましては、母船式捕鯨事業の維持存続のために、最低限二千五百頭の捕獲枠が必要だという点については認識を一致させていかなければならぬと思うのです。それを最低にしまして一頭でも多く枠を確保するという方向で話は進めてもらわなければなりません。
 また二番目としては、第十一回の日米捕鯨協議におきましてアメリカ側から最後通牒を突きつけられた、こう言われていますが、我が国は商業捕鯨の存続について一九八五年四月一日までに何らかの結論を出すというふうに言われておりまして、アメリカ提案を仮に受け入れた場合は、我が国食糧産業として長い歴史と文化と伝統のある捕鯨産業の灯が消えてしまうという危機感がここにありますだけに、こうした事態を未然に防ぐように、また、そこで働く人たちや家族が生活の基盤を失ってしまうということになりますとこれは取り返しがつきませんので、これは労働省との対策が必要でございますけれども、商業捕鯨モラトリアムに対する異議申し立てというのは絶えず行っていく、こういう方針がもう一つ必要だ、こう思います。
 それから三番目には、現在の日米捕鯨協議を見た場合に、アメリカ側はさっき申し上げましたようなPM法、パックウッド・マグナソン修正法、舌をかむような法律でございますが、これを国内法の武器として交渉に持ち出してきているという事態がございますので、これらに対して無手勝流ではちょっと通じないのではないか、我が国の国内法の整備が一つ要るのではないだろうか、もしも向こうがそのPM法をあくまでも盾にしてやってくるということになりますれば。この検討などはいかがですか。私はそういう対抗手段も国内的にはフォローしておく必要があるのではないか、こんなふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#88
○佐野政府委員 お答えいたします。
 私どもは、元来、異議申し立てのもとで捕鯨を行うことは国際捕鯨取締条約に基づく締約国の当然の権利であるというふうに認識をいたしておりますから、アメリカがいかに大きな国とはいえ、ある特定の締約国の国内法に基づいて他の締約国が正当な権利を行使することに対して制裁を科するということは許されるべきことではないと考えております。それで、現在我が国の日本捕鯨協会及び大日本水産会は、このような考え方に基づきましてアメリカの環境保護団体とアメリカ連邦政府との間の訴訟に介入をいたしておるわけであります。私どもとしてもそういう今申し上げましたような見地に立ちまして、関係者のこの訴訟への介入に対してできるだけ応援をしているところであります。そういう考え方で私どもの立場を貫徹してまいりたいと思っておるわけであります。
 それから次に、アメリカのパックウッド・マグナソン修正法に対する対抗措置の問題でございますが、大体この種の対抗措置に関する立法というのは、言うなればけんかをするための法律でございますから、えてして現在存在する国際的な秩序とは矛盾撞着することを内容とするものである場合が多いわけですね。これはパックウッド・マグナソン修正法自体がそうでございます。したがいまして、この種の法律というのは政府提案になじまないのが普通でございまして、大体行政府の制止を振り切って立法府が制定をなさって、それを今度は行政府が武器にして交渉上使う、そういう仕掛けであるのが通則でございますので、対抗措置立法という問題は私どもにとりましても大変興味のある問題ではございますけれども、政府委員に答弁をせよとおっしゃるのはいささか事の性質として適当ではないのではないかというふうに存じております。
#89
○島田委員 もう最後になって時間が来たのですが、大臣に一言と思ったら大臣がおられないから長官に。
 ことし僕のところの海で、第五回の豊かな海づくりが皇太子夫妻を招いて行われます。まさに私の庭でございましてね。ところがこれにどうして水産庁としては一銭も予算をつけないのですか、あんな大事業に。七千人も来るのに、うちにごみだけ落とされて、何が豊かな海づくりですか。ちょっとは国が面倒を見るぐらいのことを考えてもいいのではないでしょうか。乏しい地方財源をはたいて、今四苦八苦しながら知恵を振り絞って日程やプログラムが立てられているのですよ。第五回豊かな海づくりなんて麗々しく掲げてくれたのは水産庁でしょう。やることはみんな一つも面倒を見ないで全部地元だと言われたら、小さな町なんかつぶれちゃうんですね。それでもおまえらがよこせと言ったじゃないかと言われれば身もふたもないのでありますけれども、気は心、少しは考えたらどうですか。
 そのことを要請いたしまして、私の質問を終わります。
#90
○今井委員長 午後一時三十分から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十一分開議
#91
○今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。新村源雄君。
#92
○新村(源)委員 最初に、大臣の所信表明についてお伺いをいたしますが、日本農業の現状をとらえて、いろいろな政策的に大変気配りをなさった所信表明であると思うわけでございます。
 これは当初に農業のいわゆる重要性、さらにその次には農業を取り巻く情勢、引き続いて農業の現状、役割、こういうことでずっと進められておるわけでございます。とりわけこの中で、農業を取り巻く情勢の中で第一点として非常に大きな問題は、貿易収支の黒字による経済摩擦、さらにまた、海外からの市場開放要求、こういうことが今の日本の姿を非常に正しくとらえているわけでございます。
 そこで、ずっと読んでいきまして、やはり今、米は一応全量を自給するということになっておりますが、そのほかの主要農産物というのはどうしても外国から入ってくる、いわゆる輸入される量によって日本の農業の枠組みが決まってくる、こういうことがいろいろな作目の間に出てきておるわけですね。そこで、やはりこういう情勢でございますから、私はこの輸入との関係、後で具体的な例を引いて御質問申し上げたいと思いますが、そういうものについてやはり大臣としてどう考えていくかということを触れてほしかった、こういうように思うのですが、どうでございましょう。
#93
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたします。
 今の農林水産物の自由化につきましては、所信表明の最後のところで、
  経済の相互依存関係が深まる中で、我が国農林水産業が国際化の要請に対応し得るよう生産性を向上し、体質を強化して、その健全な発展が図られることが重要であります。
 このため、今後とも市場開放問題に当たっては、国内農林水産業との調和を図りつつ、諸外国に対してこれまで行ってきた市場開放措置の経緯や我が国の農林水産業を取り巻く厳しい実情について十分説明し、理解を得ながら、慎重に対処してまいる考えであります。
これに尽きるわけでございます。
#94
○新村(源)委員 そういたしますと、ここで申しておられるように、外国の農畜産物については、国内の農業を守るという、そういう厳しい姿勢で臨んでいかれる、こういうことでございますね。
 そこで、この内容で、我が国の農業の現状の中で、食糧消費の伸び悩み、あるいは農林水産物の価格の低迷、経営規模の拡大の停滞、労働力の高齢化、こういう問題に触れておられるわけですが、特に二番目の農畜産物の価格の低迷というのは、これは主要な農産物というのはほとんど政府が管掌しておられるわけですね。政府が決定をするかあるいは管掌をする、そういうことでございますから、この低迷の一番基本をつくっているのは政府でないか、こういうように思うのですが。
#95
○田中(宏尚)政府委員 農産物の大どころにつきましては、御指摘のとおり政府で価格支持等いろいろな政策を講じているわけでございますけれども、最近の需給のアンバランスでございますとかいろいろなことからいいまして、価格政策に多くを依存していくということには残念ながら限界があるのじゃないかというふうに考えておるわけでございまして、価格政策以外の構造政策でございますとか、こういう若干息の長い政策で農業をどうやって守っていくかということに力を入れていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。
#96
○新村(源)委員 今官房長おっしゃったのは、現在とっている政策面でそういうことでございますね。しかし、今日の農家経済が非常に厳しい、そして専業化率がどんどん低下をしていく、こういう中では、先ほど島田委員もおっしゃっていましたように、私はやはりある程度生産量に見合うそういう価格政策というものをどうしても取り入れていかなければ、農業経営あるいは農家経済というものは維持できない状態に来ているのじゃないか。先ほど島田委員は別な角度から申し上げておりましたが、僕もそういうことがある。そして政府みずからがこういうことを明らかにおっしゃっているのですが、この点について、より構造政策を進める一方、価格政策にも配慮をする、こういうことでなければ、こういう状態というものは依然として続いていくと思うのですが、どうですか。
#97
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたします。
 先生のおっしゃる点は理解できるわけでございますが、ただ問題は、価格政策というのは、また需給によりまして決まるわけでございます。そんなことで、仮にそのバランスを崩した場合、国がどのような助成をするかということになるかと思います。
 そんなことで、やはりこれからの農政の進め方とすれば、先ほど先生がちょっとおっしゃられた経営の立場に重点を置きながら、どうしたら本当に経営の成り立つ農業に持っていくか、そんなことのために構造改善政策を進めていくというのが本筋じゃないか、このように考えておるわけでございます。
#98
○新村(源)委員 構造政策というのは、これは農業形態をいわゆる近代化していく上において、あるいはまた生産性を高めていくという上においてぜひとも必要だと思います。
 しかし、価格政策というのは、その年度その年度の農家経済というものを支配していくわけですね。ですから、最近、北海道等では、立派な道路ができる、橋ができる。これはもう我々が使うのではなくて、かえって離農していくのに使えるような道路になるのじゃないかというようなことを、いわゆる構造政策はいろいろな面で進められてくるけれども、農家経済がそれに伴っていかないために、これは離農するために便利になってくるだけだという、そういう声すらもあるので、構造政策の重要性は私はわかりますが、もう一方やはり価格政策というものに力点を置いてもらわなければ、日本の農業の現状から脱出していくことができないのじゃないか、こう思うのですが、再度……。
#99
○佐藤国務大臣 新村先生おっしゃられるのはわかるのですが、私は実は農産物を見ておりまして、やはり流通市場の問題が一つあると思います。そんなことで、ニューメディアを活用する。そういう形の中に、例えばAという地域においては生産過剰で価格が安い。ところがBという地域においては価格が高くて少ない。そういう場合に、今おっしゃった道路交通網が整備されたら非常にいいわけです。そういう形でニューメディアを駆使して、そういうむしろ高いところに持っていく、こんな形のものをつくった方がいいのじゃないかということでございます。そんなことで、もちろん価格政策が大切であるのは間違いございません。ただ、これは需給のバランスというのがございまして、なかなかその辺は非常に難しい点があるか、このように考えております。
 それからもう一つは、今先生の御質問の中で、例えば農家経済が一戸当たりの所得が六百四十万前後、そうしますと、農業所得が百万前後、お米が大体そのうちの三割というのが一応定説になっておるわけですが、それが一体どのぐらいまで農業所得が上げられるか。先ほど島田委員からも設問がございました。私は七割ぐらいと言いましたが、将来一〇〇%が望ましいわけですが、とりあえずは七割前後に持っていきたい。そんなことで、私は価格政策というのは、物というのは流通で、需要と供給のバランスで決まる。そういう形の中に、じゃ国でどのような助成をするかということにつきましては、なかなか今の財政事情、厳しい点があるというようなことで、特にそういう点に配慮しながらこれから農産物の価格政策を推進してまいりたい、こう考えておるわけでございます。
#100
○新村(源)委員 需給のバランスで価格形成がなされるということは、これは市場の原理として当然なんですね。ところが、それは国内だけで考えれば、多くを生産されれば、これは国内の農民が多く生産したのだったら少しぐらい安くてもいいわけですね、たくさん売るわけですから。ところが、そうではなくて、今はむしろ生産が規制されている中で、しかも価格というのは輸入との関連で形成されていくという実態が非常に多いわけですね。そうしますと、いわゆる国内の需給のバランスだけで価格が形成されてない、そういうところが私は問題をより深刻なものにしていっていると思うのですが、どうですか。
#101
○佐藤国務大臣 今の価格問題で、海外のものにつきましては、実は我が国で生産できるものとできないものがございます。生産できないものについては安定的に輸入することを考えておるということでございますが、特に価格につきましては、したがって、例えばお米などにつきましては通常的には日本のお米は三倍ほど高いという話もあるわけですが、こういう点につきましては、主食でございますゆえ、やはり国内のお米を保護していく、そういう形の中に安定的に供給するという役割を持ってやっておるわけです。そういうことでございますゆえ、その点は十分配慮しながら、いかにして市場開放摩擦を避けるかという観点で、農は国の基本であるという立場に立ってこういう問題を進めてみたい、このように考えているわけでございます。
#102
○新村(源)委員 価格問題は、これから原料乳を初めとするいろんな機会がございますから、さらにそういう機会をとらえて政府に強く、価格政策をもう一回見直す、こういうことを要請をしていきたいと思います。
 次に、これも先ほど島田委員の方から取り上げられた問題で、重複して恐縮でございますが、しかし、これはやはりどうしても言いたいという気持ちに駆られるわけですね。
 政府は六十年度のGNPを三百十四兆、こういうように見ておるわけですね。そうして、予算委員会で問題になっておりますのはいわゆる防衛費、防衛費が既に三兆一千三百七十一億円ということで、もう天井まで幾らもない、こういうことで、これは国の将来をどういうふうに方向づけするかという極めて重大な問題である。
 これは、防衛費の問題の重要性についてはさておくといたしまして、島田委員も先ほど指摘されましたように、農業予算が三兆三千八億、これは前年度に比較いたしますと四・六%の減、そして五十八年度、五十九年度対比では四・一%減、そして最近一番農業予算の高かった直近の年度は昭和五十六年です。昭和五十六年には三兆八千二百四十億円。そういたしますと、わずか両年を含めて五カ年間のうちに実に五千二百三十二億円という、こういう膨大な額が農業予算から消えていっているわけです、もう来年は、このままの状態でもしいくとすれば、防衛予算と農業予算が完全に逆転をしてしまう、こういうことになるわけですね。
 そこで、防衛予算というのは、今政府の言っているのでは、いわゆる軍備を持つことによって戦争の抑止力になるんだ、こう言っていますね。しかし、我々はそうではなくて、いわゆる平和外交を推進することによって、全方位外交を推進することによって戦争の危機をもう遠ざけていく、こういう外交姿勢をとるべきだという、主張のいわゆる食い違いがあるわけですね。
 そこで、今行っておる軍備というのは万一の場合を考えて、もし戦争が起こりなば、こういうことでどんどん軍備をやっておるわけですね。ところが、それよりももっともっと国民生活にとっては一日たりとも欠かすことのできない食糧も、もし万一の場合ということを考えたならば、現在の三二%で、これでいいのかどうか。
#103
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 実は、我が省の農林水産関係の予算というのは、御指摘のとおり残念ながら減額となりまして、大臣としてはまことにやむを得ない措置だと考えております。
 ただ問題は、内容面におきまして付、私が所信表明で申し上げたようなことで、生産性が高く土台がしっかりしている農業の実現とか、あるいは生産力の飛躍的向上を図るためのバイオテクノロジー等先端技術の開発を図るということを、限られた財源の中で予算を重点的に配分し、今先生がおっしゃいました国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の安定供給は確保されておると考えております。
#104
○新村(源)委員 それでは大臣、日本の農業というのは、特に、農業といいますか食糧農業ですね、これはもうアメリカと非常にかかわりが深いわけですね。
 そこで、五十八年の一月に、これは日米賢人会議と最初言ったと思うのですが、日米諮問委員会というものが組織されておりますね。そして、これは日本側から有力経済人そして知識人、アメリカ側からはレーガン大統領周辺の知識人、こういうことになっておるわけです。そして、これがたびたび会合を開いておりまして、特にアメリカは、先ほど島田委員も触れておられましたように、世界の穀倉を任じていたアメリカが今輸出不振になっている。その原因は、中国やインドが食糧の自給をほぼ達成してきた。あるいは、いわゆるソ連のアフガン侵攻によって食糧輸出で制裁措置をとったことによって、ソビエトはこういう不安定ないわゆる輸入経路では安心できないということで、別なルートをやる。そのことが今アメリカの輸出不振の最大の原因だとされておるわけであります。
 そこで、先ほど言いました日米諮問委員会でいろいろ検討して、そして昨年の九月にこういうことを言っておるわけですね。「日本国総理大臣およびアメリカ合衆国大統領への提言」こういうことで報告の内容を発表したわけですが、そこで「日本農業の構造調整」こういう項目が織り込まれているわけですが、この点についてどのように理解されていますか。
#105
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 今先生がおっしゃった日米諮問委員会の提言については私も聞いております。ただ問題は、現在の食糧安全保障政策については自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私としては、我が国の自然、社会、経済的要因を総合的に勘案し、また食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処するという考えでございます。そんなことで、あれについては非常に見解を異にするいろいろな問題がある、このように考えております。
#106
○新村(源)委員 この内容を端的に申し上げますと、米とか小麦とか大豆、トウモロコシあるいは牛の放牧、こういうものは、いわゆる工業の所得に匹敵するためには大規模な農場によってやるべきであって、日本の農業というのは、そういうことからいったらこれに当てはまらないわけですね。だから、日本というのは小規模農地で効率的に生産し得る農作物への構造政策の転換を目指せ、こういうように言っているわけですね。そうすれば、日本の農業を根底から揺るかして、まさに国際分業論、そして日本はオランダ等のいわゆる花卉、花とかそういうものをつくるような、あるいは野菜をつくるような、こういう農業に転換をしろ、いわゆる国際分業論というものを強く押しつけようとしておるわけです。
 しかも、これは二月十一日の朝日新聞ですが、中曽根総理は閣議で提言の実行を関係閣僚に念押しをした、そして中曽根総理がアメリカにレーガン大統領を訪問したときに日米共同声明でもこの提言をうたいとげている、こういうように言っているわけですね。これについてはどうでございますか。
#107
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 昨年であったと思いますが、私が農林水産大臣に任命されてから、実は閣議とか経済閣僚会議等でその発言ございましたが、私は日本の農林水産業が抱えている厳しい状況、特に合板の問題について話があったと思いますが、実は合板会社は現在百四十社ございますが一社も黒字の会社はございません。そんなことをお話しして御理解を願ったわけでございます。
#108
○新村(源)委員 そうしますと大臣、中曽根総理は、経済閣僚会議でこのことを実行せい、こういうように提言したことは間違いないわけですね、念押しをしたことは。
#109
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 実行しろという提言をしたんじゃなくして、何とか考えることができないだろうかというお話をされたのは事実でございます。それについては私今言ったようなことで、農林水産物だけにしわ寄せをするんじゃない、例えば具体的に、そういう話をしなかったのですが、日米関係におきましても、アメリカから日本は百億ドル近い穀物等を輸入しております。日本は約六億ドルくらい輸出している。そんなことで輸入超過九十四億ドルだ。そういう形の中でなぜ農林水産物だけしわ寄せがくるんだろうか。そんなことでぜひ総合的施策をお願いいたしたい、こんな思いを込めて、私は実はそういう総合的施策のお願いをいたしたということでございます。
 そんなことで、現段階におきましては中曽根総理を含めて、特に森林の果たす役割それから木材産業につきましては御理解を賜っておる、このように考えております。
#110
○新村(源)委員 そうすれば、閣議といいますか、経済閣僚会議で中曽根総理はこの問題について、やれということではなくて、できないだろうかという相談をかけたことは事実ですね。
#111
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 率直に申しまして、所管大臣は佐藤守良でございます。私は中曽根さんの信頼を受けて大臣になったと思っておりますし、私の意見を無視しては総理大臣はやらないという自信を持っておるということでございます。
#112
○新村(源)委員 いや、そうではなくて、中曽根総理はこの提言の実行の可能性についてあなた方に要請したということだけは事実なんでしょう、こう聞いておるのですよ。
#113
○佐藤国務大臣 要請という意味がどうかという点ございますが、日米経済摩擦を考えた場合に何とか考えられぬだろうかという話をされたと僕は軽く考えておるわけでございます。
#114
○新村(源)委員 大臣、そのときに、経済閣僚会議ですからあなたお一人ではないわけですね。通産大臣その他いらしたと思うのです。そうすれば、日本の経済というのは膨大な怒濤のような輸出をするから経済摩擦が起きてくる、そしてそのために、水産もそうですが、農林水産の第一次産業の物がどんどん入ってきて今日の農林水産業の実態をなしておるわけですね。残念ながら今の日本の経済政策というのは輸出重点の経済政策をとっているわけですよ。そうしますと、農林大臣がいかにそういうふうに踏ん張っておっても、全体の世論といいますか、全体の要求によって農林大臣がやむを得ずそういうことをしなければならなくなってくるというようなことがあるんじゃないですか。それで去年の牛肉、オレンジの輸入枠、さらにこれに引き続いて雑豆の十二万トン、五千五百万ドルというような、こういう不当なものが押しつけられてきておるわけですね。
 ですから、あなたは農林大臣として、そういうものはこれから一歩でも前進させない、もう総理大臣あるいは通産大臣、大蔵大臣等の要請があっても絶対にそういうものは受け入れない、こういうように断固としてはねのけることができますか。
#115
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 今の問題で、日本の置かれた立場というのをまずお互いに理解しなくてはいかぬと思います。日本というのは、終戦後ああいうことになりまして、資源のない国が一億の人口を抱え、どうして飯を食うかということの中に、やはり、外国から資源を輸入する、それを付加価値の高いものにして輸出する、そういう形で今日の日本ができたということで、輸出はある程度頼らざるを得ないというのは御理解のとおりだと思います。
 そういう形の中で、実は日本人は食生活が変わってきました。というのは、我々の小さいころはお米中心でございましたけれども、終戦後は肉その他に行った。特に今の若い人というのはお米は食べなくて、むしろ肉とか副食をたくさん食べる。そういう形の中に飼料穀物等を大量に輸入せざるを得なくなってきたという、これも事実。そういう形で農林水産物の自由化をどう考えるかという問題があったと思います。
 そういう形の中で、実は私は、日本の農林水産物も、農は国の基本である、そういう中にいかに経済事情を加味するか、いかに市場開放性を加味するかということは当然考えなければいかぬ。ただし、現段階におきましては経済事情を加味しながら市場開放性は考えちゃいけないというのが基本的な私の立場でございます。
 実は経済閣僚会議でいろいろな人の発言がございました、高い次元から話もございましたし。けれども、基本的には全部の閣僚、もちろん自民党の役員も入っていましたけれども、農林水産への温かい理解を示していただいた、こんなことでございます。しかも私はいろんな実情、例えば合板の実情、骨なし鶏肉の実情をお話ししましたら、みんなよく理解していただいたということでございます。
 ただ私は、農林水産物の自由化に全く反対でそれに甘えるんじゃなくして、そういう形の中に業界の体質強化をどうして図るか、でき得れば、自由化されても太刀打ちできるような体質を強化したい、こんなことでこういう政策を考えておるわけでございます。
#116
○新村(源)委員 私は日本の輸出政策、こういうものも否定するものではありません。しかし、日本の農民がどんどん追い込まれていって、もう九二%は兼業でしょう。そして一品目一品目自由化の荒波にさらされるわけですね。そして一つずつへこんでいくわけです。後でまたそれに関連してほかの問題で申し上げたいと思いますが。そういうことで、もうちょっとこういうことが高まってきたら、今大臣のおっしゃるように経営規模を大きくして国際化に対応できるなどという農業なんというのはとても日本では残り得ないですよ。まさに夢物語になると思うのです。
 ですから、今こそこういうアメリカの理不尽な、漁業問題でもそうですけれども、自分の国さえよければ相手がつぶれていってもいいというような、そういう考え方による提言というものは――私は根本的にこの日米諮問委員会などというのは何を勝手なことを言っているのだ、こう言いたいわけですよ。しかも、これが総理大臣やレーガン大統領にいわゆる提言をする、こういうことになっているわけですね。ですから、日米諮問委員会の性格というものをやはり日本の政府の中できちっと位置づけをして、そうしないとひとり歩きしておるわけでしょう。ひとり歩きして勝手なことを言ってくるわけです。そして、少なくとも総理大臣がそのことに向けて閣僚に実行することができないかなどと言う、そこまで来ておるわけでしょう。もうこういう提言が手の届くところまで来てしまっているわけです。ちょっとでもこちらにすきがあれば提言が、例えば昨年の四月に決まった牛肉やオレンジ、あるいは雑豆、こういうものの影響というのは日本の農民がもろにかぶってくる。ちょっとでも緩めたらそこへもろにかぶってきて取り返しのつかぬことになっている、こういうことでございますから、私は農林大臣がただいま御答弁なさったようなお気持ちであるとするならば、この日米諮問委員会の存在価値、こういうものについて閣議の中で明確に位置づけをしておいてもらいたい、こう思いますが、どうですか。
#117
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えしますが、実は先ほど最初申し上げたようなことでございますが、日米諮問委員会の提言だと思っております。提言です。結論でございません。ただ、提言をどうするかということについては、まだ国内で皆さんの御意見を聞きながら検討したいということでございます。そんなことで、提言でございます。したがって、この提言については、私とすれば非常ないろいろな見解の異なった問題を抱えておる、こう理解して、その考えで進みたい、こう思っております。
#118
○新村(源)委員 それでは、これに関連をしていくわけですが、北海道では昭和六十年度の畑作作物の作付指標面積、こういうものを策定いたしまして、北海道の畑作農民は、これは一体どうなるのだ、畑作農業をこれからやっていけるのかどういうのかという、そういう不安におののいておるわけです。
 というのは、これは大豆を除きまして豆類で四千四百ヘクタール、バレイショで五千百ヘクタール、てん菜三千二百ヘクタール、これ、多少足したり引いたりするなにはありますが、端的に減反をする面積を申し上げて、最終的にはこれらの三品目を中心として一万ヘクタールの自主調整をしよう、こういう計画が今出ておるわけです。これは農民にとっては大変な状態で、米のいわゆる転作、酪農の生産規制、そして畑作の生産規制がいよいよ来たな、こういうように考えているのですが、農林水産省としてはこの現状をどういうように理解をされ、北法道からどのような御相談があったかということを……。
#119
○関谷政府委員 ただいまお尋ねのございました六十年産の畑作物の作付指標面積、これは御承知のように北海道農協中央会がいわば農業団体として来年度の作付指標面積についてまとめられたものでございまして、従来から見ますと、こういう畑作物全体についての来年度の指標面積をこうやって策定されたのは初めてでございます。そういう意味で私ども、そのまとめる努力、その内容につきましても大変評価をしているわけでございますが、ただ、性格としましては、あくまでも農業団体の方で自主的に来年の見通しをお立てになって、それで農業団体として自主的な指導にのせる、こういうことでございますので、いわゆる行政上の正式の相談あるいは私どもが意見を申し述べる、こういうようなことではなかったわけでございますが、ただ全体として見ますと、作目別に見まして需給上はもう少し指標面積としては落とすことができないかというようなものもございますけれども、全体として見ますとかなり妥当な線になっている。
 それから、今御質問の中で御指摘のございました全体で面積の一万ヘクタールの減があるのではないか、これをどう考えるかというお話でございますが、これも畑作面積全体につきましては、五十九年産の中に作付実績に入っております麦の廃耕面積でございますとか多用途利用米の未達成分とか、その他いろいろ、全体として見ますと来年度の畑作物の作付面積が、トータルで一万ヘクタールくらいというところは全体としては一応つじつまが合っていると申しますか、そういうような状態になっているわけでございまして、そういう意味ではこの総体面積について、いわゆる作付転換あるいは作付を圧縮する、こういうようなことが盛り込まれているわけではない、こういうふうに承知いたしております。
#120
○新村(源)委員 豆類、バレイショ、てん菜というのは、これにもう一つ麦が加わって畑作のいわゆる輪作体系の中核をなしているものなんです。ですから、実質的に一万ヘクタールの減反ではないとおっしゃるが、しかし、少なくともこの中核的な作目が約一万ヘクタール減反をさせられる、こういう実態は間違いのないところでございます。
 そこで、今局長さん、これは北海道の自主的な形でやられた、こうおっしゃっていますが、これはそうではなくて、昭和五十九年の四月の二十三日に農蚕園芸局長、食品流通局長さんが連名で北海道知事に通達を出しておられるんですね。さらにまた、去年の六月五日、九月七日、この二回にわたって開かれた甘味資源審議会、ここで農林大臣に答申をされた、この内容が下敷きになっているんですね。端的にそういうように減反せいという表現ではないですが、いわゆる間接的に減反をしなさいということを迫っている。
 さらに、豆類については、これは先ほど私が申し上げたように、昨年の四月に、IQ制度であった豆類を十二万トンもしくは五千五百万ドルという一定の最低の枠決めをやった。そのために、昭和五十八年は大凶作で、もうしわが寄ってくず物のような豆、ところが去年は大豊作で、まさに小豆でも、昔は赤いダイヤと言われたんですが、ダイヤにしてもいいようなぴかぴかのそういう豆の値段と同じなんですよ。商品価値のないようなものと一級品と同じ値段です、今。そのために、農家経済の打撃は大きい。あるいはまた、今市場にそういうものがだぶついておるために、やむを得ずそういう措置をとらなければならなくなってきたわけですね。大臣、こういう点についてどのようにお考えになります。
#121
○関谷政府委員 御質問の中にございました二、三の点につきまして、私からお答え申し上げますと、第一は、昨年四月の通達関係でございますが、これは、北海道知事に対しまして、両局長の名前によりまして、計画的な生産について十分努力してもらいたい、こういうようなことを指導したわけでございまして、その結果でございますが、北海道からは昨年八月でございましたか、目標面積としまして七万二千ヘクタールにする、こういうような目標、これはあくまでもそういう指導を知事が行うという意味での報告がございました。実績は先生御承知のように七万五千ヘクタール余りになったわけでございます。
 それから、甘味資源審議会の答申につきましては、二度の答申の中で、てん菜について計画的、安定的な生産に一層努めるように、こういうような審議会からのいわば意見が出たわけでございまして、これはもちろん審議会としての行政庁に対するいわば建議という形をとっているわけでございますので、私どもそれに即しまして、直接、今、先生の御引用になりました来年度の指標面積を決めるに際しまして、道ないし道の団体を指導する、こういうようなことは一切いたしておりません。
 それから最後に、雑豆の関係の輸入につきましては、御承知のような五千五百万ドルまたは十二万トン、こういうことでございまして、従来若干需給事情によりまして価格の変動、需給関係の変動があったわけでございます。それで、五十九年につきましては、上期は五十八年産雑豆の生産が不作でありましたので、平年を若干上回る輸入割り当てを行ったわけでございますが、下期におきましては、五十九年産の雑豆がかなり豊作であるということが判明しまして、国内生産の多い小豆については割り当てを見送る、それからインゲンについても前年下期を約二〇%下回る割り当てとする、こういうようなことによりまして、大体量的にはこの十二万トンというラインに達したわけでございますが、その内容的な面については、今申し上げましたような配慮を十分いたしまして、国内生産の状況を勘案しながら、価格の変動を来さないように十分留意しながら実施をしたということでございます。
#122
○新村(源)委員 価格の問題については後ほどまた申し上げますが、今いわゆる作付指標面積についてさらに質問を続けていきたいと思います。
 北海道は畑作面積が四十一万四千九百ヘクタールあります。しかし、そのほかに牧草地が四十七万三千百ヘクタールあります。この牧草地はこれはもちろん酪農、畜産を行うための草地です。しかし酪農が非常に厳しい、酪農の経済状態が非常に厳しいということから、草地の一部に豆をつくる、できるだけ手間のかからぬ豆をつくるあるいはてん菜をつくるということで収入を補てんをする。そのことがいわゆる地力増進の意味からいっても、輪作の体系の意味からいっても、もともと有畜農業という、畑作農業にとって一番望ましいのは有畜農業でございますから、そういう傾向がここ二、三年前から高まってきておるわけですね。さらに北海道には十万ヘクタールの水田の転作面積があるわけですね。ですから、どんなに系統農協でこれを努力して、この部門だけで調整をとっていこうとしても、畑作面積に匹敵をする草地があるあるいは十万ヘクタールの水田休耕地がある、こういうことがちょっと動いただけで、こういう計画というのは、これは先ほど局長さんのおっしゃったように価格を安定していくなどというようなことにはならないわけですよ。
 こういう点で、この畑作、いわゆる草地の循環、あるいは水田転作面積の十万ヘクタール、こういうものについて、それが一体いわゆるこの作付指標面積に対してどういう動きをするかということを検討されておりますか。
#123
○関谷政府委員 ただいま先生のお挙げになりました二つの点でございますが、第一点のいわゆる牧草地と普通畑としてつかまえておりますいわゆる耕地との間の問題でございます。
 これにつきましては、もちろんそのこと自身をコントロールすることは今の行政措置では難しいわけでございますが、先ほど先生の御引用になりました来年度の指標面積の中で三十二万二千六百ヘクタールと見込んでおります中に、前年に対しまして千五百ヘクタールの増加耕地を見込んでおります。これは主として牧草地等から今先生のお話しになりましたような形で普通畑にかわるというか普通作物が植えつけられるもの、こういうものを見込んでおるわけでございます。ただ、これ自身はもちろん自由ではございますけれども、先生の御引用になりましたように、酪農という本来の草地利用の状況によりますと、こういうことが非常にふえたりする、それが普通作物、畑作物の作付面積の増として非常に影響する、こういう点、私ども十分留意すべきことであろうというふうに考えております。
 またもう一つの、十万ヘクタールの水田転作につきましては、これもただいまの三十二万二千六百ヘクタールを見込む際に、来年度につきましては、五十九年から見ました水田転作の緩和面積等で二千八百ヘクタールぐらいというものを見込んでおります。
 こんなようなことで、もちろん北海道の場合には水田と州との間の転換ということが大変重要な問題でございますので、私ども畑作物全体の需給なりまた作付動向を指導いたします場合には、今の牧草地からの転換また水田転作、この二つの点は常に十分念頭に置きながら、作付動向について配慮してまいらなければいけない、こう考えております。
#124
○新村(源)委員 今局長さんのおっしゃったことは、当面の対策として当然考えられることでございますが、しかし、こういうような基本的な条件を持っているということは、大臣、これは何といっても北海道は約八〇%近い専業、第一種兼業ですから、やはり酪農は酪農、水田は水田、あるいは畜産は畜産というようにそれぞれの耕種に応じて安定をしていくという総合対策がなければ、いつでも苦しいからどっちでも動く、みずからを守るために動かなければならぬということになるわけですね。そういう総合的な各作目ごとの経営安定対策というものが早急に望まれる、そういうことが私は根本対策だと思うのですが、大臣、どうでございますか。
#125
○関谷政府委員 まさに個別作物ごとの対策でございますと、ただいま御論議のありましたような、あるいは牧草地との間の問題、水田との間の問題、また畑作の中での相互の割り振りの問題、こういうことが出るわけでございますので、全体の作目を見ました農業生産のいわば再編成、需要の動向あるいは地域の実態に即しました農業生産の再編成を図るということは大変大事であるというように考えております。
 全国的な問題としましては「農産物の需要と生産の長期見通し」もございますし、また農政審議会の農政の推進の方向に即しました「地域農業・農村の展望」、こういうことについても地方農政局あるいは北海道庁と相談をしながら、地域における実態に即した農業生産の展開ということに配慮いたしておるわけでございまして、いずれにしましても個別作物ごとの対策では、地域として見た総合的な土地利用、最も有効な土地利用、また需要に即した生産の展開、こういう面では不十分であることは言うまでもないことでございますので、御指摘のございましたような総合的な農業生産の誘導、展開、こういう点については十分今後とも留意してまいりたいというふうに考えております。
#126
○新村(源)委員 これはなかなかここで簡単に結論が出せないだろうと思うのですが、これは農政の基本的な問題でございますので、今後も引き続いて論議を深めていきたい、こういうように思います。
 そこで、当面の問題として、先ほどちょっと触れたわけですが、先ほど申し上げましたように、牛肉、オレンジの交渉が成立をした。そのとき十三品目についても決着を図るべく事務レベルで集中的な審議が行われた。その結果として雑豆が十二万トン、ドルにしまして五千五百万ドル、こういうように決まったわけです。事実上、今国内での雑豆の消費量は約四百万俵でございますから、十二万トンは約二百万俵になるわけですね。そうすると、半分が外国から入ってくるわけです。ですから、その上で日本でちょっとでも増産がされると、これは先ほど言ったように、適正な在庫量よりちょっとでも余るということになると、今の流通状態から見れば、もう価格が半分、三分の一にも下がっていくわけですね。
 そこで、当時の山村農林大臣の談話として、こういうように言っているわけです。いろいろおっしゃっていましたが、「しかし、万一、不測の事態が発生するような場合には、直ちに必要な措置を講ずる方針であるので、生産者各位におかれては、動揺することなく、生産活動に努力していただきたい。」こういう農林大臣の談話が発表されているわけです。
 そこで、この問題については、ちょうどこの問題が提起されましたときには全国的な豊作気構えでございましたから、大臣、もし不測の事態が生じた場合にはどのように対応なさいますか、こういうように私がお伺いをいたしました。議事録がありますが、大臣の答弁は、不測の事態が生じた場合にはあらゆる措置をとってこれにこたえていくということでございまして、私としては我が国農業を守る立場もございますので、私にできる点ではあらゆる措置をとっていきたい、こういうようにおっしゃっておるわけです。
 この結果についてどういう措置をとられましたか。
#127
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えしますが、山村前大臣が言ったとおり私も最善の措置をとりたい、こう考えております。
#128
○新村(源)委員 いや、これは佐藤大臣が就任された前後の、いろいろ両方にまたがると思うのですが、どのような具体的な措置をおとりになったかということを聞いております。
#129
○関谷政府委員 当面、先ほどの輸入割り当ての経緯についてお答え申し上げましたようなことで、今年度確かに小豆等は国内価格が現状でも大変低いわけでございますが、輸入割り当て面につきましては十分な配慮をいたしまして、下期には小豆の割り当てをしない、こういうようなことも含めまして、全体にこの輸入割り当て措置によりここに申し上げておりますような不測の事態が発生することのないような慎重な運用をしたということでございまして、我々としましては、現在、当時憂慮されましたような大変異常な事態が生ずる、こういうふうになったというふうには考えておらないわけでございます。
#130
○新村(源)委員 米価でも牛乳でも、幾ら上げるかということは何百円単位、何%単位ですね。ところが、こういうことによって豆の価格が五〇%も下がったということは、この事態を何と見ます。
#131
○関谷政府委員 これは確かに五十九年産の雑豆の生産が豊作である、こういう非常な原因がございまして、特に小豆については価格の低落があったわけでございます。ただ、現実の需給関係におきましては、輸入された小豆が相当相場に影響いたすことが大きいものですから、これについては先ほど来申し上げておりますように下期については割り当てを見送る、こういうような形で、当時、この割り当て発表時から含めまして小豆の価格については大変な悪化はこれによって避けられた、こういうふうに考えておる次第でございます。
#132
○新村(源)委員 私の言っているのは、そのことによってこういうような影響を受けたのだ。だから今実際に農家が、先ほど言いましたように経済的にはもうにっちもさっちも動かないという農家が五〇%以上になっているわけです、予定よりも半分に価格が下がっているわけですから。こういう不測の事態に対して具体的にどういう措置をおとりになるかということを聞いているのです。
#133
○関谷政府委員 現在の小豆、特に小豆の需給関係から見ますと、いわゆる輸入物によるいわば価格の低落、こういう事態は先ほどの割り当ての運用によりまして避けられたというふうに考えておりまして、こういう意味では、かねてから申し上げておりますような輸入の運用によるあるいは輸入割り当てによる不測の事態、こういうことが生ずるような事態ではないというふうに私ども考えておる次第でございます。
#134
○新村(源)委員 影響がないといったって出ているんでしょう。今言っているような事態が出ているわけですからね。現実に出ているものをないなどという架空の答弁をしてもらいたくないですね。
#135
○関谷政府委員 これは、何度も申し上げるようで恐縮でございますが、小豆の価格のこの推移が、五十八年産につきましては不作で、国産品が四万円ぐらいに上がりまして、輸入品は三万円前後であったわけでございますが、五十九年産については作柄の大豊作、こういうことで、現在国産品二万三千円程度、こういうようなことでございまして、これはやはり現在の需給関係で申しますと、国産品を使うといういわば需要が固定しておりますので、どうも国産品の増大、豊作による価格低落、こういう事態は避けられないわけでございまして、私どもの判断としまして、いわゆる輸入により国産品の価格がこういうふうに下がった、こういう事態ではないというふうに考えておる次第でございます。
#136
○新村(源)委員 そういうことはまさに詭弁というのですね。もうおわかりだと思いますけれども、従来でも、いわゆるドルの発券が幾らされたかということによって、相場は自由ですから、微妙に動いてきているわけですよ。そういう状態の中で十二万トンということが決められた、このことだけで重大な価格的な影響を受けるわけですね。それに幸いであったか不幸であったか、どちらを言っていいのかわかりませんけれども、豊作だった、こういうことが重なってこうなってきているわけだから、政治的に半分の責任はありますよ。だから、これを農林大臣のおっしゃっているように、不測の事態ができた場合には私としてはできるだけの措置をとると大臣はおっしゃっているんですが、この点について農林大臣、ひとつお答えいただきたい、どう思いますか。
#137
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えいたしますが、今の不測の事態というのは輸入自由化による不測の事態というふうに私も理解しておって、恐らく山村前大臣はそういう意味でお答えしたと思うのですが、今国内産が昨年大豊作で生産が倍になった、そんなことで価格が下がったということで、一体これをどうしたらいいかという問題だと思います。そんなことですが、今お聞きしまして、局長が答弁しておりますが、率直に言いますと、価格政策については何らの補助政策がないというのが現状のようでございます。また、北海道の中央会中心に支援的にそういう形をとられたというようなことがございますが、一応検討してみたいと私は思います。今それしか答えられません。
#138
○新村(源)委員 そうすれば、この問題について前向きに検討されるということですね。
#139
○佐藤国務大臣 実は私、まだ北海道へ一遍も行ったことがなくてよくわからないのですが、一応実情を聞きまして、一遍局長と相談してみたい、こう私は思っております。
#140
○新村(源)委員 時間がほとんどなくなってきたのですが、この問題についてはやはり決着がつくまで――大臣の答弁があるわけですから、答弁しておいて、そのことをのらりくらりと時間稼ぎのようにして、そういうことで葬られていくということであったら、一体何のための委員会審議ですか、何のための答弁ですか。
#141
○佐藤国務大臣 新村先生にお答えします。
 私はのらりくらりいたしません。できるかできないか、明確に、例えば次の委員会にでも答弁いたします。
#142
○新村(源)委員 それでは、この問題は推移を見ながら、改めてまた大臣に具体的な方策について御質問していきたいと思います。
 あとわずかな時間になりまして、日ソ、日米漁業交渉の経過で、大臣わざわざモスクワまで行かれて大変御苦労なさって、前年よりも枠が十万トンも減ったということで不満はありましたけれども、現地では一応安堵の色を濃くしております。私はずっと交渉の流れを見ておりまして、いろいろ問題ありますけれども、端的に一点だけに絞って申し上げます。
 交渉の流れで、日本側がソビエトの要求の日本漁港に対する寄港の問題で非常に拒否をしておられた。これがどうも腑に落ちないわけですね。しかし最終的には塩釜に寄港することになった。日本の船はサハリンのネベリスクですか、ここに寄港するように、相互になった。一体この問題は、なぜああいうようにかたくなに寄港を日本側が――我々どう考えてみてもおかしいなという感じがするのですよ。なぜ寄港にそんな拒否反応を示さなければならぬのか。こういうことでお伺いしましたら、昨年小名浜へ寄港した際に、まあどういう団体かは知らないけれども、まさにもうその町の中でガーガーがなりたてて、そして上陸すらもできないというような状態であり、買い物をしようとすれば、そういう店に嫌がらせをする、こういうようなことが昨年の実態としてあったというのです。
 それで、塩釜では一体北洋漁業との関係がないのかということを聞いてみましたら、北転船七隻あるそうですね。そうすれば塩釜市としては緊密な関係を持っている。今後は円滑な北方漁業を確保するということであれば、むしろこういうことを機会にして日ソ友好親善を広げていった方が、さらに今後いろいろな意味でいいと思うのですね。そう我々は考えるのですが、塩釜の市長さんは反対をなさっている。こういう点でどうもちぐはぐなんですが、現実はどうなんですか。
#143
○佐野政府委員 お答えいたします。
 まず、一昨年の暮れの交渉の際、ソ連漁船の小名浜への寄港を認めましたのは、小名浜ペソ連漁船の寄港を認めることによりまして我が国の二百海里水域におけるソ連漁船のクォータの消化率が向上することによって、ソ連側の主張する日ソ間の利益のバランスという状態に接近をするということが日ソの漁業の分野での関係を安定化することに寄与するであろう、そういう期待のもとに認めたわけでございます。しかるところ、昨年一年間の経験を振り返りまして、小名浜港への寄港を認めたにもかかわらずソ連漁船の漁獲実績は向上いたしませんで、まあそういう意味で、所期の目的を達成しないのであればお断りした方がいいというふうに判断をいたしました。もちろん御指摘のとおり、その際、福島県知事あるいはいわき市長、いわき市議会から寄港を返上というお話がございました点も私どもの考慮に入っております。
 それから塩釜港につきましては、今回の協議、いろいろ曲折を経た上、塩釜港に寄港を認めることにいたしましたが、塩釜の市長は絶対反対であるということを私のところへ言ってこられております。
#144
○新村(源)委員 時間がなくなりましたので、最後に一点だけ。
 反対される、そういう根拠には、まあ非常にある団体が来て、町じゅうもう騒然としてしまう、こういうようなことが最大の原因であるということをお伺いしておるわけです。そこで、きょうは警察庁からも御出席をいただいておりますが、こういうものに対して適正な取り締まりはできないのですか。
#145
○菅沼説明員 お答えいたします。
 ソ連漁船の小名浜の寄港に対しましては、これに反対する一部の右翼が現地で寄港反対の街頭宣伝活動やあるいは関係向きに対する抗議、要請等の活動を行ったわけでありまして、その間に、買い物をしているソ連の漁船員やその店に接近をする、こういうような動きもございましたけれども、いずれも警告、制止等の措置を講じておりまして、具体的な被害の発生はいずれも未然に防止しておるわけでございます。警察といたしましては、今後とも違法行為は絶対に看過しないという基本方針のもとに、的確、厳正に対処して、住民の安全の確保のために努めてまいりたい、そういうふうに考えております。
#146
○新村(源)委員 終わります。
#147
○今井委員長 次に、駒谷明君。
#148
○駒谷委員 きょうの佐藤農林水産大臣の所信表明に対しまして若干の質問をいたします。
 我が国の農業につきましては、高度成長期を中心とする経済の急速な拡大過程において多くの農地が壊廃され、麦、大豆等の自給率の低下、農業労働者の高齢化、第二種兼業農家の著しい増加などに見られるように、食糧の生産基盤の脆弱と経営規模の拡大による経営構造の体質強化が大変に立ちおくれ、また農村地域におきましては、社会的機能の低下や貴重な緑資源の減少など、種々問題が顕在化しているのであります。
 一方、国外においては、日米貿易摩擦に見られるごとく、農業生産物に対する市場開放のうねりがますます大きくなってきておるように予想されます。
 昭和六十年度の農林水産予算におきましては、三兆三千八億円、前年度対比マイナス四・六%と、毎年じり貧の状態をたどり、苦しいやりくり算段、農政の混迷は一段と深くなってきているような状況に思うわけであります。
 そこで、まず最初に日米経済摩擦についてお尋ねをしたいと思います。
 この問題は、日米首脳会談、本年初頭に行われたわけでありますけれども、その合意を受けて新たな市場開放交渉となり、去る一月二十九日、日米双方の次官級協議が終わった結果、今後農業問題については木材製品を初めとして四つの分野に分かれて個別に実務者レベルの協議を継続し、大体三月の末ごろをめどに具体策をまとめる、そういう形で中曽根総理大臣から指示があったと報道がなされておるわけであります。
 今回の日米経済摩擦の土台になっているのは、先ほども問題になりました日米諮問委員会の報告が大きな関係があると私も思うわけでございます。ここに私、手元に「日米諮問委員会報告」というこの資料をこちらの方でちょうだいをいたしておるわけでありますけれども、「よりよき協調を求めて――日米関係の課題と可能性」「日本国総理大臣およびアメリカ合衆国大統領への提言」、日本側、米国側双方の代表によって、一九八四年の九月に日米諮問委員会においてまとめられ、報告が出されておるわけであります。大臣よく御存じであると思います。
 そこで、この問題でありますけれども、「よりよき協調を求めて――日米関係の課題と可能性」と題する報告で、日米両首脳への提言となっておるのでありますが、この報告書について、日米貿易の関係の上からどのように大臣は位置づけをなさっていらっしゃるのか、その点についてまずお伺いいたします。
#149
○佐藤国務大臣 駒谷先生にお答えいたします。
 先生が今おっしゃったようなことなんですが、この日米諸問委員会の報告につきましては、私はこれは提言と考えておりまして、見解を非常に異にします。
 その一、二を申し上げてみますと、例えば現在の食糧安全保障政策については、自給自足のみに焦点を当てた政策であるとの指摘がありますが、私としては、我が国の自然、社会、経済的要因を総合的に勘案し、また食糧自給力強化に関する国会決議の趣旨を踏まえて対処していきたい、こう思っています。
 また、農林業につきましては、国際的比較優位と特化に基づいて農林産物の貿易を拡大すべしとしてありますが、日本の農林業は特に自然に大きく影響を受ける産業であり、単に経済ベースではいけない多くの側面を持っております。したがって、工業とは異なった扱いをする必要があるというふうな認識に立っています。
 そんなことで、先生先ほど日本農業について御指摘ありましたが、経営規模の零細性、主要作物についての過剰基調など、我が国農林業は困難な状況にありますが、その生産性の向上を図ることは重要な政策課題でありますけれども、構造改善等の推進を通じまして、今後さらに一層の努力をしたい、こう考えておるわけでございます。
#150
○駒谷委員 大臣のお話を今お伺いしたわけですけれども、今度の年頭におきます日米首脳会談におきまして、報道によりますと、この日米諮問委員会の報告について、総理大臣、向こうの大統領と双方が、この内容については大変検討に値するということで意見の合意を見た。そして先ほども出てまいりました対外経済問題の関係閣僚会議、そこにおきましても、これは報道でございますけれども、十分に検討せよというような形で総理大臣から指示があったというふうに思うわけでございます。
 そこで大臣、この問題の中身でありますけれども、米の問題について相当具体的に日本の現状等について書かれておるわけであります。したがって、今後の日米の市場自由化の問題には、米の問題までいろいろと言及なされてくるんではないか、そういうふうなことも大変心配をするわけでございます。その点について、先ほどこれは提言であるということで、それにとらわれないという御意見のようでありますけれども、そのような形で日本政府が押し通せるのかどうか、その点についての御所信を承りたいと思います。
#151
○佐藤国務大臣 詳しい内容につきましては、また後藤経済局長からお答えさせたいと思いますが、実は今おっしゃった点につきまして私の理解を申し上げたいと思います。
 一月二日の日米首脳会談、中曽根・レーガン会談におきまして、私の聞いておるのは、レーガン大統領から日米諮問委員会の提言のうち、四項目についての提言があった、こう聞いております。四項目についての提言で、木材等につきましては、むしろ逆に中曽根総理は、これは日本の森林が大変不況なんだ、森林というのは木材の供給ばかりではなくして、ほかに大変公益的機能を持っておる、そんなことの中で大変木材は難しくて厳しいという話をしたと聞いております。その後予算委員会等におきまする答弁を見ておりましても、中曽根総理は依然同じような、木材は非常に不況で厳しいという答弁をしているのを聞いております。
 それからもう一つ、今先生がおっしゃったお米の問題でございますが、私は基本的に、お米は日本の主食でございましてこれは当然国内で生産すべきである、こういう考え方で今後ともお米の問題に取り組みたい、こう考えております。詳しい内容は局長から答弁いたします。
#152
○後藤(康)政府委員 この諮問委員会報告はかなり長いものでございまして、この中で先生御指摘のとおり米についても言及をいたしておりますが、米につきましては、一つは米の内外価格差を縮小することが極めて重要だということを指摘をいたしております。内外価格差と申しますと国内価格と国際価格の差でございます。国際価格の方は私どもいかんともしがたいものでございます。国内価格につきましては、国民的な理解を得ますために生産性の向上等を進め、また現下の米の需給事情といったようなものも勘案しながら毎年価格決定をしているわけでございまして、結果的には内外価格差の拡大が抑制をされているという形になっているというふうに私どもの方は理解をいたしております。いずれにいたしましても、国土条件とか農業構造等条件が違いますので、外国の米の価格との格差をどうするというようなことを一概に言うことはできないというふうに考えております。
 なお、この報告書の中にはこういうことも書いてございまして、御参考までに申し上げたいと思います。「米国は政治的に非現実的な譲歩を日本に要求すべきでない。完全自由化のスケジュール明示の要求は、日本政府の譲歩に反対する政治的圧力を増大させるだけである。米国は、日本にとっての米作の重要性をも認識すべきである。」というふうなことをこの諮問委員会の中でも言っておることをつけ加えさせていただきます。
#153
○駒谷委員 この報告書を私も拝見をして、これは大変重要な問題だと思いますので、きょう直ちにこの問題について全部質疑をするというわけにはいかないと思います。内容については、前文、日本農業の構造調整、衛生・検疫の規則の問題、その他の農産物貿易、農産物貿易とガットの問題、そして林産物、この各項目に分かれて農産物の問題に触れておるわけであります。これは大変重要な問題だと思いますので、大臣言われましたけれども、日本の農業者を守る立場で厳然とした態度で今後も頑張っていただきたい、そのように私はお願いをする以外にないのではないかと思うわけであります。
 今回問題になっております木材製品の市場開放要求、関税の引き下げという問題でありますけれども、日米の実務者レベル協議における日米双方の主張、日本側の取り組む姿勢についてお伺いをしたいと思います。
#154
○田中(恒)政府委員 米国からはかねて合板、単板それからパーティクルボードにつきまして関税引き下げの要求があったわけでございますが、これに対しまして我が国といたしましても、五十四年の東京ラウンドにおきまして一定の譲許をするなどできる限りの対応を行ってきたところでございます。また、日米間には林産物委員会というものがございまして、これは五十四年に設置をしたわけでございますが、既に六回の定期的な協議、討議をいたしております。そういうふうな場で相互に情報交換等はやってまいったわけでございますが、このたびの一月二日の例の日米首脳会談におきまして、米国から四分野につきまして一層の市場開放が求められたわけでございます。これを受けまして一月二十八、二十九日に東京におきまして次官レベルの会合が開かれたわけでございますが、この中でこの四分野につきましては幅広い情報交換、討議を行うというふうになったわけでございます。
 木材製品の分野につきましては今月下旬に第一回の話し合いを行う予定でありますけれども、この場におきましては、日米の林業、林産業の状況につきまして幅広く情報交換、討議を行うことといたしておりまして、日本側といたしましては、この日本の置かれております林業、林産業の厳しい状況につきましてアメリカ側の理解を求めていくとともに、私どもとしましても米国側の林業、林産業の事情について説明を求めてまいりたいというふうな考えでございます。
#155
○駒谷委員 現在この木材業界、国内需要の三分の二が輸入になっておるわけであります。住宅建設の低迷から大変今苦しい状況である、もうそれは御承知のとおりであります。その上合板業界においても、インドネシアからの、途上国からの追い上げ等がありますし、最近では倒産が出始めている、このようなことも言われておる構造不況業種である、このように思うわけであります。この問題は大変重要な問題でありますので、日米交渉、この日米諮問委員会の提言の中にも大変厳しい日本に対する注文があるわけでありますけれども、絶対に譲らない、ひとつそういう気持ちで頑張っていただきたい、そのように特にお願いをいたしておきます。
 この問題はこの程度にいたしまして、次に六十米穀年度の需給の見通しとポスト第三期水田利用再編対策についてお伺いをいたします。
 五十九米穀年度の米需要におきましては、当初計画に比べまして五十八年産米の集荷の減少、一方需要量につきましては当初計画より多少増加の傾向となり、端境期には需給が逼迫をして五十九年産米のいわゆる早場米を九十五万トン早食いをし、操作をした、その上五十二年産米の臭素問題から加工用原料米が不足になりまして、昨年韓国米の緊急輸入ということで対応しなければならない、そういうような問題を引き起こし、大変厳しい現況であったわけであります。ところが、幸いに五十九年産米が作況指数一〇八という予想以上の大豊作ということで、まさに天の恵みといいましょうか、この大きな危機を乗り切れたという以外にないと思うわけであります。そこで、まず六十米穀年度の需給の見通しはどのように見込んでおられるのか、お伺いをいたします。
 さらに第三期対策、ことしは二年目に入るわけでありますけれども、昭和六十年度の転作面積につきましては当初の転作目標面積から二万六千ヘクタールを調整しまして五十七万四千ヘクタールに減少をさせた、これについては私も一応評価をするところでありますけれども、この第三期対策、来年すなわち六十一年度で終了するわけでありますから、ポスト第三期対策をどのようにしていくのか。ちなみに昭和六十五年度長期見通しては、この調整数量、これは三百九十万トン、約七十六万ヘクタール程度の減反が必要だというふうに試算として出てきておる。最近の米消費量の増加傾向、昨年のごとき作況指数が豊作という保証もない、連続不作ということも過去にあったわけでありますし、今後の備蓄体制の強化、そういう問題等を考えますと、この昭和六十五年度長期見通しの再検討をする必要があるのではないか。また昭和七十年に向かっての再編のあり方。早急にこれを検討する必要があると思いますけれども、この点もあわせてお伺いをしたいと思います。
#156
○石川政府委員 六十米穀年度の需給見通しについて私からお答えをさせていただきます。
 御指摘のように一〇八という大変な豊作でございまして、六十米穀年度の米需給につきましては、昨年に比べましてゆとりのある操作が可能だと思っております。具体的な数字につきましては、やはり最近の需給動向等を通じましてさらに検討する必要があると思いますが、現時点で私どもが把握しております数字は、今から申し上げるようなことでございます。
 昨五十九年産米で千百八十八万トンございます。この中で約二十万トンは他用途、いわば加工原料用に回しますので、主食に使います米は全体として千百六十八万トンと把握をいたしております。ただ、これは先生も今御指摘になりましたように、五十九米穀年度のうちにいわば通常の早食いと称しますものを上回りまして、総量で申しますと九十八万トン程度の早食いをいたしておりますので、それを通常のペースに落としますためには約五十万トン前後のものが既に使われていると考えるべきかと思います。また、この数量自身は通常ベースが何十万トンがいいのかという議論がまだあるわけでございますけれども、それくらいのものを戻すことになろうかと思います。そうなりますと、六十米穀年度に実質的に供給しておりますものは千百六十八万トンから五十万トン前後のものを落としたものと考えますので、千百十八万トンあるいは千百二十万トン前後のものになろうかと思います。
 最近の需要動向は、御承知のように比較的安定しておるわけでございますが、これはなかなか当てにくいことではございますが、千五十万トンを真ん中に置きまして、それより若干少ないとかあるいはそれより若干多いというようなものを想定いたしますと、米の全体需給としましては六十ないし七十ぐらいの米が端境期に持てる、しかもこれは新米のいわば早食いを戻した上でございますので、今先生御指摘のような、昨年に比べまして奥行きのある形でやれるかと思います、このことはことしの持ち越しだけで申し上げたわけでございますが、何と申しましても八月以降はもう一つ六十年産米が出てくるわけでございますので、この米の出方というようなことにも大いに関連すると思いますので、以上のような総体の需給の中で、御心配をかけることのないような操作をしていきたいと思っております。
#157
○田中(宏尚)政府委員 現在の水田利用再編対策は昭和五十三年からスタートしましておおむね十年ということで御承知のとおりやっておるわけでございます。この十年経過した後にどうなるかにつきましては、その時点におきます米の需給事情なりあるいは転作物の定着化の状況、こういうものを見きわめながら決めていくことになろうかと思いますけれども、先生御指摘のとおり「農産物の需要と生産の長期見通し」では六十五年度で七十六万ヘクタールの需給ギャップがあるという見通しを立てているわけでございます。
 この需給ギャップは、生産がどうなるか、消費がどうなるかという両国で決まってくるわけでございますけれども、まず米の生産力につきましては、この四年間不幸なことに連続不作であったというようなこともございまして、水稲の平年単収の伸びが若干鈍化はしておりますけれども、一方長期見通しで見込んでおりました水田の壊廃面積も見通しよりも若干少な目になってきているというようなことで、潜在生産力という点で見ますとおおむね長期見通しで見通した線を歩いている感じがしているわけでございます。
 それから一方で、米の需要につきましては、ここ数年間経済成長が停滞したとかあるいは夏が涼しかったとか、こういうようなことで減りぐあいが若干減った感じはいたしますけれども、今後とも食生活の多様化というようなことの進展も見込まれますので、これまた長期見通しで見通している線に沿って、若干ずつ消費が減っていくということは言われておるわけでございます。
 したがいまして、生産、消費、両方から見ますと、今後とも米の潜在的な需給ギャップというものは拡大していく感じでございまして、六十五年に七十六万ヘクタールの需給ギャップを見通しております現在の長期見通しというものは、おおむね妥当じゃないかというふうに考えているわけでございます。
#158
○駒谷委員 時間がありませんので、次に参ります。
 第三次土地改良長期計画についてまずお伺いをいたします。この長期計画につきましては、昭和五十八年度を初年度といたしまして十年間、昭和六十七年までの事業実施計画でありますけれども、事業量は調整費を含めまして三十二兆八千億円となっております。五十九年度の事業費を基準額といたしまして総事業費を年度別に割り出し、試算をいたしますと、この事業費の伸びというのは前年対比で平均大体一二%くらい伸びていかなければ、このいわゆる第三次長期改良計画、この事業というのは進まないのではないか、そのような試算が、私、出たわけでございます。今後事業費の拡大、公共事業大変厳しい状況でありますけれども、二の実情相当厳しいものであるだけに、特に農業にとっては大変重要な農用地の基盤整備、効率的利用あるいは農村地域の環境の整備等で、農業の活性化にとっては大変重要でございます。今後の事業の促進が望まれるわけでございますけれども、大臣の御所信をお伺いしたいと思います。
#159
○井上(喜)政府委員 お答えいたします。
 第三次土地改良長期計画につきましては、御指摘のとおりの期間に御指摘の金額を予定しているわけでございますけれども、昨今の財政事情非常に厳しいものがございまして、標準的なテンポでは事業が進捗してないのは事実として認めざるを得ないわけでございます。来年度予算の編成につきましても同様でございまして、私どもといたしましては必要額の確保に十分努めたわけでございますけれども、予定しておりましたようなテンポに戻るのには相当懸隔があるわけでございます。
 ただ、従来公共事業費の中に占めます農業基盤整備費は一四・一%余りでございましたが、これをやや、ややでございますけれども、このシェアを高めるということはできたわけでございます。
 それにいたしましても発足三年で、仮に昭和六十年度政府原案どおりということで計算いたしましても全体の進捗率が一六%程度ということになるわけでございまして、今後さらに一層の努力をしていく必要があろうかと思います。
 ただ、あわせまして、事業の推進方法につきましてもなるべく事業効果を早期に発現させるような工夫でございますとか、極力工事費を抑制する、そういうようなことも配慮して事業を推進をしていく必要があろうかと思います。
#160
○駒谷委員 大臣、この問題、財政状況等で大変厳しいわけでありますけれども、この国営の土地改良事業の実施状況、私の手元にちょうだいをしたわけです。全国地域に三百十六カ所、国営のかんがい排水事業等を含めた事業があるわけですが、この進捗状況を見ますと、今構造改善局長から御答弁のあったとおり工期予定の内容から全般に大変おくれているわけです。大臣、これは一遍きちんと観点検をしていただいて、これは相当力こぶを入れて土地改良事業を進めていただかないと、各地域の農業者、希望者は大変心待ちにしておるわけであります。そういう問題等も踏まえて、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 それに関係しまして、東播用水農業水利事業についてあわせてお尋ねをしたいと思います。
 この事業は、播磨平野の東部、北神戸地域の田畑七千八百ヘクタールの用水不足ということを解消するために、また山林の五百四十ヘクタールの開墾と畑地のかんがい用水の確保、東播磨台地の点在するところの非効率な皿池、百五カ所あるわけでありますけれども、それの埋め立て及び平野部におきます水田の三千六百ヘクタールの大規模な圃場整備事業を実施をする、野菜づくり及び果樹づくり等による選択的拡大と大型機械導入による水稲作業労働の大幅な節減を図り、いわゆる都市近郊型農業の経営を期待する高生産性の耕地基盤整備が大きな目的になっておる総合事業であります。
 また一方、加古川支流の三つの川にダムを建設をいたしまして、導水路で直結をし、農業用水、そして飲料水両方を供給し、都市生活とそして農業生産の調和を図る水資源の再開発の事業でもあるわけであります。総事業費が四百九十六億、工期につきましては四十五年からかかっておるわけでありますけれども、六十二年一応完成のめどということになっております。
 現地を私たびたび見ておるわけでございますけれども、これもやはり工事が相当おくれているように思うわけでありますが、まだ六十二年の工期でございますから、それまでは来てないということであります。五十八年度末の進捗率、これは八一・八%、こういうふうに伺っておるわけですけれども、そこまでいっているのかなという感じがいたすわけでございますが、現状においてはどのような状況になっておりますか。今後の見通しについてお伺いをいたしたいと思います。
#161
○佐藤国務大臣 御答弁します。
 東播用水地区は先生お話しされたとおりでございますが、昭和四十五年に着手しまして、昭和五十一年度に特別会計に振りかえ、事業を推進しておりまして、五十九年度までの進捗率は約七〇%となっております。そんなことで、本地区の予算については、昭和六十年度予算原案においても公共事業予算、農業基盤整備予算ともマイナスの伸びでございますが、本地区については、特に五十二億七千万円と、前年に比べ一億四千万円余計予算をつけ、国営事業の中でも最大額の予算を計上するなどして、事業の促進を図っております。
 本地区の今後の見通してございますが、呑吐ダムは昭和六十一年四月から試験貯水を予定しておりますし、また六十二年四月には受益地区全体の三〇%に当たる約二千三百ヘクタールと、上水の一七%に当たる日量二万トンについて通水可能となる見込みでございます。
 事業全体につきましては、予算状況等からはっきり確定的には言えませんが、大体、現在の状況からいけば六十三年ごろには完工ができると考えております。
 いずれにいたしましても、事業の早期完了に向けて、予算の確保、事業実施の効率化等について今後とも努力していきたいと思っております。
#162
○駒谷委員 六十二年度の工期で一年おくれるような状況でありますが、確かに今の財政状況から、大変厳しい状況であることもよく承知をいたしておりますのでやむを得ませんけれども、大臣が言われました昭和六十三年、これにはひとつ完全にすべてが終わりますように御努力をお願い申し上げたいと思います。この点については以上で終わります。
 次に、農林水産業、食糧産業等の生産性の飛躍的向上、新しい生産行程の開発等に資するために、今度の予算関係でバイオテクノロジー先端技術の開発に関する問題についてお伺いをいたしたいと思います。時間がございませんので、二つお尋ねする予定であったわけですけれども、一点だけにいたしたいと思います。
 一つはバイオテクノロジーを使った稲の品種改良に関する官民共同研究の問題であります。これは同省の農業生物資源研究所と三菱グループの株式会社植物工学研究所とが共同して稲の品種改良の研究に入るということで合意をし、昨年の十二月に農林水産大臣の研究実施の承認を得ておるわけであります。このバイオテク開発での民間活力の導入、これにつきましては、今回これが初めてであるというふうに伺っておるわけであります。
 そこで、この植物工学研究所と共同研究をするに至った経緯、民間との研究のメリット、研究費の負担のあり方、研究の成否、実用化のめど等について御説明をいただきたいと思います。
 また、細胞融合によるところの新品種の開発がなされますと、種苗法に基づいての品種登録がなされると思うわけであります。その権利の帰属はどのような形になるのか、法的根拠、実用化された場合に育成された新品種の取り扱い、この対価に対してはどのように措置をされるのか、その点あわせてお伺いをいたします。
#163
○櫛渕政府委員 お答え申し上げます。
 先ほどの御質問の株式会社植物工学研究所と農林水産省の農業生物資源研究所の稲の細胞融合に関します共同研究でございますけれども、これは昨年の八月に品種改良の領域についても共同研究を行うという規程を設けてから初めてでございます。
 この共同研究の内容でございますけれども、これは通常の品種をつくる段階ではなくて、先ほど申し上げましたようなバイオテクノロジーと申しますか、その新品種をつくるハイテク手法であります細胞融合の関係の共同研究でございまして、先ほど申し上げました国の生物研究所の研究でかなり世界的にも注目されるような成果が上がりつつあります。しかしながら稲の細胞融合を実際に完結するにはまだまだ大変な難問がございまして、なかなかそのプロトプラストという裸の細胞を、これをカルスに持ってきまして、そのカルスから植物体をつくり上げるところが今全く解決を見ていないわけでございまして、この点に関して、植物工学研究所では生物研究所と別なアプローチでかなりの成果をおさめております。
 こういう状況でありますので、今国際的に非常に競争の厳しい状況の中で、その植物工学研究所の持っている材料並びにノーハウと、私どもの方の材料並びにノーハウを共同で出し合いまして、それで二年間の契約で何とか物にできないか、そういう趣旨で共同研究を始めたわけでございまして、この研究の資金、予算につきましては、共同研究規程によりまして双方が双方の研究費の中で賄う、そういうことでございますので、この共同研究は稲の新しい品種をつくる、そういう領域といいますか、目的ではございませんで、基礎的な細胞融合手法を開発する、そういうことがこの共同研究の目的、ねらいで始まったものでございます。したがいまして、ここで新品種が生まれることはないわけでございます。でありますけれども、この研究の中には細胞融合の手法開発という面で特許出願というような事態が生ずることは考えられるわけでございまして、こういった場合には、通常の特許出願の要件といいますか、共同研究の場合には、その持ち分、条件等につきましては出願の段階で双方の協議で適正な決め方をするということになっておりまして、そういうことに相なると考えております。
#164
○駒谷委員 終わります。
#165
○今井委員長 次に、武田一夫君。
#166
○武田委員 農林水産大臣の所信表明について若干お尋ねいたします。特に六十年度の農業予算をずっと眺めまして、その中にある幾つかの問題点をとらえながらお尋ねをいたします。
 まず、優良農地、いわゆる農地ですね、食糧の安全保障のためには欠かせない農地という問題を取り上げてみたいと思います。
 我が国の国土というのは非常に狭い。特に国民一人当たりの農地面積は、先進国の中では類例のないほど狭い、小さい面積しか持っていない。しかしながら、こういう状況の中で減少率が質の面、量の面ともに非常に大きいということが指摘されています。先進諸国の農用地面積、放牧用草地と牧草地は二分の一に換算した試算によりますと、農用地面積の減少率を比較しますと、非常に日本が突出して減少している。先進諸国の平均が一・四%、年率で〇・二%の減少であるのに対しまして、日本の減少は一〇・四%、年率一・五%だということです。ということは、一年間の減少率が、先進国のこれまで減少してきたものが一年で減るくらいの率を示している。大変な減り方であるという一つのデータがあるわけです。私は、これは非常に重要な問題だし、日本の農業にとってはゆゆしき大事だと思うのです。ですから、日本は土地が狭い、それだけに大事に、しかもいい土地に、優良農地にしていくという努力を絶えずしなくてはいけない。しかしながら、こういう実態を見ますと、これで一体安心して農業ができるのか、日本が果たしてこのまま行ったら農業というのはいいのかという心配の一番大きな問題になってくる。これはもう、言うなれば、こういうような実態が出てきたということは、農業に対する国の全体の政策、施策の農業軽視というものの一つの証拠でもないかというふうに思わざるを得ないわけです。
 大臣は所信表明の中で「一億二千万人に及ぶ国民に食料を安定的に供給するためには、国会の「食糧自給力強化に関する決議」等の趣旨を踏まえ、国内で生産可能な農産物は極力国内生産で賄うという方針のもとに、農業生産の担い手の育成、農地や水資源の確保、技術の向上を含めた総合的な食料自給力の維持強化を図ることが肝要である」と述べておるのです。その中の一つとして農地、水資源の確保は重要な問題として取り上げているわけです。ですから、食糧の安定確保に重要な農地が今後ともしかと確保できるように努力をしなくてはいけない。
 こういう点について、かつて農政審議会が食糧安全保障の最低ラインとして、農地は五百五十万ヘクタールは確保しなければならない、こういうことを提言していることを思い出すわけでありますが、この点について大臣は、これは間違いなく今後の農業をしっかりと守るためにこのくらいのことはちゃんとやらなければならない、またやれる、そういうお考えはお持ちかどうか、まずお聞きしたいと思うのです。
#167
○佐藤国務大臣 私は所信表明で三つの点を申し上げました。一つは、生産性の高い、足腰の強い農業をつくること。また二十一世紀を踏まえまして、バイオテクノロジーとかニューメディアを駆使した、先端技術を駆使した農業をやる。その次に、村づくりということを言ったわけです。基本的にはやはり農家経営の中心をなす優良なる農地を確保するとともに経営規模の拡大をどうして図るかということの中に、優良な農家を確保するということでございます。
 そんなことで、今度の予算につきましては、実は各先生に申し上げましたけれども、財政状態が大変厳しい中で私としてはまことにやむを得ない予算と考えているわけですが、そういう形の中に、今先生御指摘の点は質的に十分効率的に配慮して、そういう方向に参りたい、このように考えているわけでございます。
#168
○武田委員 農用地の減少と遊休地の増大、ちょっとデータを見ますと、昭和三十五年に農用地面積は六百七万ヘクタールだった。今、昭和五十九年の一番新しいのでは五百三十九万。三十五年から五十九年の間に六十六万ヘクタール減少している、こういうデータがあります。それから不作付地と耕作放棄の状況を見てみますと、一年以上の不作付面積が五十五年のデータでは何と十万五千二百六十四ヘクタール、そして耕作放棄地が九万一千七百四十五ヘクタール、この耕作放棄地九万の中の何と二万四千五百四十四ヘクタールが水田です。
 それから鉱工業用地にかかわる農地の転用状況、これを見ますと、昭和五十三年から五十七年まで、田んぼだけで見ると九千六百二十三ヘクタールがいわゆる工場用地につぶされている。それから、これから通産省が工場適地として選定されている土地、これは東北の場合だけ申し上げますと、東北六県の場合、これから造成して、そしてそこに工場を誘致すべきとして対象にしているものの農地は、田んぼだけで二千百六十ヘクタールある。これから工場誘致するときに、こういうものをつぶして工場誘致すべきだといって選定工場適地として通産省が指定しているものです。
 それで、五十七年度の都道府県別の地目別製造業用の用地取得面積、要するに用地としてもう既に買って工場を建てたりしているところが全国で二千百九十ヘクタール。そのうち田畑が、田と畑の内訳はわかりませんが、五十七年度だけでも二百二十五ヘクタールということで、放棄したり工場用地になっている。今私が申し上げたのは、このほかの宅地とかは入ってないのです。こういうところを見ただけでも随分田畑が、特に私が心配なのは田んぼなんですが、つぶされているということです。
 そこで、随分昔のことですが、三十六年六月二十八日に農林省の農地局長通達で「工場立地の調査等に関する法律の運営に関する覚書の取扱いについて」というのが出ているわけです。それはどういうことかというと、「土地改良事業又は開拓事業の施行地域及びその後施策がはかられるべき地域についてはっとめて避ける」という規定をしている。これは、要するに基盤整備をしたような優良農地は工場用地として指定してはならない、こういうことは極力避けるべきだ、努めているわけですね。これはその後変わってないようです。「つとめて避ける」などということは、裏から読みますと絶対に転用してはいけないということではないのです。ですから、土地を安易に転用するとかそちらに向けるということにもう一度歯どめをかけるために、一つ一つ細かいチェックをしてみるべきではないか。そういう通達が出ていても毎年のように結構土地が造成されている。売れないとそれをそのまま放置しておいてまたやっているんです。
 私はあと二十二日にこの問題を予算委員会の一般質問でちょっとやろうと思っているのですが、余っていながらその土地を処分せずにまた別の農地をつぶして転用させようとしている。それでまた余っているということで農地つぶしがどんどん進んでいる。こういうことは総点検しまして、恐らく転用するときには農地法の四条とか五条とかでチェックするんでしょうけれども、もう一度そういう農地の転用について、あるいはまた荒廃とかいろいろなつぶされている実態をよくつかまえて、最低五百五十万という一つの目標があるわけです。それを一つの日本の重要な安全保障、しかも農業の潜在的生産力を向上するということをうたっているわけですから、その大事な要素としてきちっとした歯どめをかけて守るようなことをしてほしいと思うのですが、大臣いかがですか。
#169
○井上(喜)政府委員 お答えいたします。
 我が国は非常に国土が狭い、また農地面積も少ないということでございます。食糧の総合的な自給力を維持強化するためには優良な農地の確保が必要でございますが、同時に日本のような高密度社会におきましては、農地を工場でありますとか住宅用地に出していく、そういう需要にも今対応しなければいけない状況にございます。
 そういうことで、私どもといたしましては、農地利用と都市的利用との調整をするわけでございますが、あくまで優良農用地の保全を図る、こういう観点に立ちまして、農振法、都市計画法によります合理的な土地の利用調整を行っていくこと、あるいは農地法によりまして転用規制を適正に運用をするということ、こういうことに留意いたしますとともに、また他面、需要の動向に即しまして農用地の開発を積極的に推進していく必要もあろうかと思います。
 また、先生御指摘のように休耕地なりあるいは耕作放棄地等がございますが、これにつきましても、それぞれの地域の農業集団を中心にいたしまして土地の利用調整活動を行いまして、これらの土地が極力中核農家に集積されまして、これが有効的に利用されるように努力をしてまいりたい、このように考えております。
#170
○武田委員 そこで、そういうものにストップをかけると同時に、やはり大臣も言っているように、構造政策の中でいろいろな重要な土地に関する対応をやりますね。ところがその中身が大変問題だと私は思うのです。
 実は、私ずっと東北六県を回りまして、今度の予算についていろいろとお考えになっていることを率直に聞かしてくれと言って歩いて、聞いてきたものをまとめました。これは県や市で農業に第一線で従事している方々の声ですからまず聞いてもらいたいと思うのです。
 今回の農業関係予算の削減による県、市町村への影響について、一つは、事業のおくれによる農業の生産性及び近代化の停滞が心配される。二番目、土地基盤整備及び農村集落環境整備の立ちおくれと公共事業の落ち込みによる地域経済への影響が非常に心配である。三番目、地方自治体に対する財政負担の過重がひしひしと感じられる。農業というのは、きめ細かな、地域によった特色のあるものを出さなければならないと農林省が言われている、一生懸命やってきたけれどもそういうところの対応がまことにきつい。例えて言えば、ちょうどカレーライスの御飯とカレーはある、食べてみたら味もそっけもない。こしょうも入ってない、カレーもない、塩も入ってないようなのが出てくる。だから、農林省から見ればカレーライスがおいしくできた、表面から見るとちゃんと事業が進んでいるようだけれども、肝心の味つけもよくない。ましてそばにおしんこやラッキョウやいわゆる漬物がつかない、そういうものを食わせることになる、そういうことで非常に心配である。そしてそれが結局は日本の農政に対する不信となってその不信を助長していく、こういうような話が出てまいりました。
 大臣、これについてどうお思いですか。こうした不信や心配を全部払拭できるだけの自信がありますか。ひとつお答えいただきたいと思います。
#171
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えします。
 今の点につきましては、先生が東北各地をお回りになりまして貴重な御意見を聞かせていただいたわけです。生産性、近代化がおくれるということ。また、公共事業その他の予算が少ないと地域経済への影響がある。また、そういうことによりまして、国の予算が厳しいということで地方自治体の過重が問題。こんなことで大変貴重な御意見でございます。
 ただ私は、最初に申し上げたようなことでございますが、現下の財政事情のもとではやむを得ない予算ではないか。そういう形の中にやはり知恵と工夫をし、そして質的に拡充を図り効率的に運営を図りたい、このように考えておるわけでございます。
#172
○武田委員 構造政策というのは、大臣の所信表明でも一番の目玉なんです。その目玉がめためたに突き刺されて、切られ与三みたいな予算ではないかというのです。
 その証拠に、二、三挙げてみますと、農業基本法以来農業構造改善促進の中心的施策であった農業構造改善事業、これは五十八年度以降新農構後期対策に入ってから非常に旗色が悪くなっているのですが、五十五年当時が八百億を超えていた促進対策費、これが五十九年度には五百八十四億、六十年度には五百億そこそこへと減額されている。しかも、各地区では、事業の終了期間は、これまで地区再編事業で当初三年が四年に、それから農村地域事業では当初五年が八年と引き延ばされてきている。それが六十年、さらに五%分を先に延ばす追い打ちがかけられ、採択地区も一〇%減、こういうことで、せっかくの計画を樹立しても事業に着手できない地域が出ている。これは現実の問題です。
 それから担い字面での、要するにやる気のある担い手への農用地の集積が眼目とされて、昭和五十四年以来農用地高度利用促進事業が実施されました。そして五十五年からは農用地利用増進法も制度化されまして、これによって利用権の集積の現在高というのは非常に進んで着実に成果を上げてきた。五十四年が二万四千、五十七年が十万、五十九年が十六万。この事業は構造政策が具体的に成果を上げている事例の一つですね。これが何と今度は、農用地高度利用促進事業は五十九年度においては前年比三億八千万円の減額、そして六十年にはさらに一億三千万も減らされている。これにみんな期待をかけているのです。それで、我々の仕事としてこんなに割に合わないことはないといって、頑張ってやってきたのがぱさっぱさっと切られて、現場で働く人たちの苦労というのは、これは大変。
 こういう予算の締めつけというのを農林水産省がしたとは私は思わぬ。それは、行革絡みあるいは財政再建ということで、ほかから言われるといとも簡単に素直に受け取るというのは農林省のいいところでもあるのでしょうけれども、農家の皆さんにとっては、こういう事業を進めている方にとっては耐えがたい。せっかく調子よく上がってきてこれからというときに、肝心の予算がこんなにばさばさ切られていいものかという、そういうまことなる皆さん方の御意見。
 それから地域農業集団による集団的な農地の調整、管理について農林省は、五十八年度から三年間で全国の農用地区域の半分程度の六万集落で三万五千の集団を育成するとして発足して、五十八年に十七億、五十九年に三十億の助成がなされた。それで六十年度を最終年度として三十億程度の助成がなされるはずだったが、何か突然ばっさりとこれも打ち切られてしまった。これなどもその仕事に携わっている方々にとってはもうまことに迷惑千万、活動を推進する方々にとっては農政不信これ以上のものはない。何でこんなにも切られることを黙って引き受けて、それで構造改善が農政の中心的な目玉と言えるか、そんな目玉は取ってしまえ、目の見えない目玉じゃないか、こう言っているのですが、間違いがはっきり物が見える目玉ですか、これで。どうでしょうか、大臣。
    〔委員長退席、玉沢委員長代理着席〕
#173
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えいたします。
 今おっしゃる点につきましては、一々御指摘はもっともであるかと思いますが、現下の厳しい財政事情というのも御高配願いますとともに、実は今まで予算というのは一律につけられていましたが、やはり私は、選択の順位をつけ、そしてその地域におけるいろいろな実情等を勘案しながら順位をつけ、そして予算の配分についても効率的に考える必要があるのじゃないか、そういう形の中にひとつ頑張りたい。
 また、大変現地の皆さん方に御苦労をかけたと思いますが、現下の厳しい状況を御理解の上、なお一層の御努力、御精進をお願いしたいと思うわけでございます。
#174
○武田委員 これは時間がないので、防衛は物すごく議論がありまして六%の伸びをしながら、肝心のそれを国の中で支える防衛以上に重要な農業がこんなに切り込まれて黙っているということに対しては、私は、大臣も含め農林水産省の皆さん方、本当にどっちが大事かといったら、内の食糧、一億二千万の食糧をつくることが数段重要だということの認識の中に予算の一つの答えが出てくるというのは、これは当然だと思う。これは二十二日もまだ大蔵大臣を呼んで聞きます、そのことを入れてパートツーでやりますので、きょうは問題がもう一つありますのでほかに移らしてもらいます。
 もう一つの問題は、これは水産問題です。先ほど、日ソ漁業交渉に絡んで塩釜に漁船を寄港させるという問題が出ましたね。私の選挙の一番の中心のところでございまして、いたく市長を初め知人も、何で突然こんなところに来たんだ、そういう疑問の連続ですね。いわき市が一年限りというふうに決まって、いわきが、小名浜ですね、だめだということがわかっていたとすれば、これはつい最近わかったわけでもあるまいし、何でもっと事前にこれが話がないのか。これは当たり前ですね。だから私にもわからぬ。だから、何で突然塩釜に決まったのか。決めたのかというのをひとつ簡単に説明してもらいたい。
#175
○佐野政府委員 お答えいたします。
 塩釜港にソ連漁船の寄港を認めるということに至りました経過におきまして、地元への御連絡なりそういう手順が不行き届きのところがございました点につきましては、外交上のこととは申せ、私どもも大変遺憾に存じておりまして、幾重にもおわびをしたいと存じております。
 ただ、御高承のとおり、日ソ漁業委員会の臨時会議が一たん休憩をして、私が協議のために帰国をいたしますまでの間は、ソ連漁船の寄港は認めないという対処方針でソ連側と対応をいたしておりましたので、最後にどうしても協議の難しい局面を打開するためにやむを得ずぎりぎりの決断として寄港を認めるということにした、そういう経緯がございますので、その点をまず最初に釈明をさせておいていただきたいと存じます。
 それで、しからばその中でどうして塩釜ということかということでございますが、これはソ連漁船の操業水域に面した港湾であるということ、それから外国漁船の寄港が可能であること、その他一定の要件を満たす港湾の中から、去年寄港地になっていただきました小名浜を避けるということで、諸般の事情を総合して塩釜ということに決定をしたわけでございます。
#176
○武田委員 これは外務省は、最初横浜と北海道を寄港地に求めてきた、それぞれ好ましくないというので、恐らくこれを拒否したのでしょう。だけれども、このことを決めるについては外務省や警察、運輸、法務、防衛庁とか、また農林水産省、いろいろ関係の方々がいるわけでしょう。
 例えば警備なんか大変でしょう。塩釜という地形を御存じだかどうかわからぬけれども、町と港がすぐ目の先。しかもその隣というのは松島という最大の観光地。これから春先に入ってくるようなことを聞いていますが、そこにあの元気のいい皆さん方がおいでになったら、まあいわき、小名浜の比でございません。わずか五、六万の小さな町の、道路の狭い、商店街がごちゃごちゃあって、しかも観光でお客さんがたくさん来るところで、そのときには、警察の方おいでだと思うのですが、これは絶対こういう方に迷惑をかけずに警備をしていただけるという保証というのは、今反対しているわけですから、拒否しているのですから、万々が一、もし塩釜も県も、やむを得ない、国家的見地に立ってということになった場合に、いわき市などよりは数段の警備というか、何か保安の維持といいますか、そういうものをしてもらわなかったらどえらい混乱が起こるということを私はしょっちゅうその辺を歩いている一人としてわかるのですが、そういう点について。これは警察ですか。
#177
○菅沼説明員 お答えいたします。
 警察といたしましては、昨年のソ連船の小名浜の寄港の際におきましても、ソ連船の入港の際はもちろんでありますけれども、事前段階から諸情勢に応じまして所要の警備態勢をとって、住民及び漁船員の安全の確保のために万全を期してきたわけでありますけれども、塩釜港につきましても小名浜同様、安全の確保のために万全を期してまいりたい、このように考えております。
#178
○武田委員 時間が来たのですが、これはもっと本質的な問題はまた二十二日に各省庁、外務省等呼んでもう少し決めておかぬと、それじゃこの次どうなんだ、今後どうなんだと一つの方向性というものをきちっとしないと、その地域はいつのときでも混乱が起こるのです。迷惑するのは地元、市町村。これじゃやはり国の政治をとる者としては非常にまずいのではないか。人心に不安を与えるようなことはしてはならぬという点から、これはまた後ほどしかとお聞きすることにして、私は、時間が来ましたから質問を終わります。
#179
○玉沢委員長代理 菅原喜重郎君。
#180
○菅原委員 二十一世紀まであと十五年という節目の昭和六十年度を特に意識されて、農林水産行政の諸問題の解決に新しい決意で取り組む姿勢を表明しました大臣に一応の敬意を表しながら、質問を進めていきたいと思います。
 私は、前回大臣に私なりの日本農業への展望と確信するところを申し上げ、答弁をいただいているわけでありますが、今回の所信表明を見ましても、我が国農林業を取り巻く諸情勢の把握はすべて難問の中にあることを知らされます。
 私は、この中で、何といっても激しい圧力をかけられている米国を中心とする諸外国からの自由化の要求と、それの対策が一番緊急事でないかと思っております。つきましては、まず大臣に、自由化にも対応できる国際力ある日本農業の育成強化についての所信を伺いたいと思います。
#181
○佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。
 先生御指摘で御存じのことでございますが、我が国農業は諸外国からの市場開放要求が絶えないほど極めて厳しい状況にございます。また、我が国農業が国際化の要請に対応し得るよう、生産性の向上を図り、体制を強化し、その健全な発展を図れるようには努力しているわけでございますが、ただ問題は、先生御存じのことでありますが、日本農業が内外ともに非常に厳しい。内におきましては、実は経営規模の拡大、消費の低迷等いろいろあるわけでございます。
 そんなことで、一応今後は構造政策に重点を置いて、農地の流動化と有効利用を通じた中核農家の規模拡大あるいは高能率な生産組織の育成、農業生産基盤の計画と整備あるいは技術の開発普及、これは二十一世紀をにらんでバイオテクノロジー等を駆使した技術の開発と普及等の施策を総合的に推進してまいりたいと考えております。
#182
○菅原委員 足腰の強い日本農業、国際競争にも負けない農業の確立のためには生産性の向上がまず挙げられますが、私は幾度となくこの生産性向上の基礎となる基盤整備促進の問題を提起してきたところであります。
 今、農家は後継者難から戸主の老齢化が、それも五十歳以上が急増しております。表で見ますと、戦後約四十万もの学卒者が毎年就農しました。昭和二十八年の都市流入で激減したときでも二十八万人ありました。しかし、最近は一万人を割っているわけでございます。全産業人口に対する農業人口の比率も、昭和二十四年が五四%、これが昭和五十八年に九・八%となっておりますので、この趨勢ですと、六%前後まで近いうちに落ちることも予測されるのであります。こうなりますと、ここ十年以内に農地の耕作の移動は爆発的に上昇する可能性があります。
    〔玉沢委員長代理退席、委員長着席〕
 しかし、その際、基盤整備が進んでおりませんと生産性の不良農地として耕地の放棄あるいは耕地の荒廃ということも考えられるわけでございます。ですから、私は、この基盤整備に対しては国権で全責任を負いながらこれを完遂、遂行することに突進すべきだということも主張してきたわけでありますが、これらを含めて、生産性の向上対策をお伺いいたすわけでございます。
#183
○田中(宏尚)政府委員 生産性を向上するためには、今先生御指摘のとおり何と申しましても基盤整備を進めるということが肝要でございまして、前年よりことしの基盤整備関係の予算は若干減っておりますけれども、国全体の公共事業に占める基盤整備費のシェアというものは若干上げ得たという形になっているわけでございます。今後とも、基盤整備関係の予算につきましてはより一層の充実に努めてまいりたいというふうに考えております。
 こういう基盤整備に加えまして、何といいましても農地の流動化、規模拡大というものを図っていかなければならないわけでございまして、農林水産省といたしましても、農用地の有効利用でございますとかあるいは担い手の育成と土地基盤の整備等を地域の実情に即しまして一体的に行える地域農業総合整備対策というようなものも実施を始めましたし、それから農業改良資金制度の拡充でございますとかいろいろと新しい技術の開発、こういうものを総合的に実施いたしまして、何とか経営基盤の強化、規模の拡大というものを実現してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#184
○菅原委員 基盤整備は農民負担の軽減を図りませんとなかなか進まない現状になっておりますので、この点への配慮も要望するわけなんですが、また同時に、私は、日本の農業も先進国型産業の農業としてこれを育成しなければならぬということを常に念頭に置いているわけでございます。
 そのためには、再三これも質問してきたところでございますが、やはり輸出農産物への対応を抜きにしては知識頭脳型産業としての農業の育成も困難なわけでございます。つきましては、この輸出農産物の現状がどうなっているのか、またこれに対する今後の政府の方針というものをお伺いいたしたいと思います。
#185
○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。
 我が国の農産物輸出は、総輸出額に占める割合にいたしまして昭和五十八年現在で〇・六%ということで、輸出の中で占める割合は非常に低い状態でございます。金額にしまして八億五千万ドル程度でございます。
 主な相手国としましては、米国が一億四千万ドル、香港が一億三千万ドル、サウジアラビアが一億ドル、台湾が七千万ドル等々でございます。
 主な輸出品といたしましては、果汁飲料でありますとか温州ミカン、ナシ等の果実、それから野菜の種とか果実の種、こういったものでございます。
 御指摘のとおり、農産物につきましては、輸入の問題が非常に言われております反面、輸出について語られることが比較的少なかったわけでございますけれども、最近国内の農産物需要が伸び悩みます中で、やはり総需要拡大の見地から輸出の重要性が高まっていることは事実でございます。
 他方、海外におきましても、近年欧米諸国で健康志向というようなことから日本食が見直されるという状況がございますし、またその中で日本のすぐれた農産物、例えばテレビオレンジ、ミカンのことを、オレンジでございますとナイフを使わなければ食べられませんけれども、テレビを見ながら食べられるということでテレビオレンジ、あるいは諸外国にないみずみずしい二十世紀ナシ、こういったものの受け入れ環境が醸成されつつある面もございます。
 こういった環境のもとで、生産者団体も最近輸出張冥に力を入れ始めてまいってきておりまして、例えば最近では、昨年の十月にアメリカのブルーミングデールという百貨店でジャパンフェアというのがあったのですが、このときに二十世紀ナシの即売を行って好評を得たというような実績も上げてきておるわけでございます。
 私ども農林水産省といたしましては、以上のような状況の中で、六十年度から農産物等の海外市場を開発し、またその需要拡大を図るという見地から、輸出産品の市場の可能性の調査なりあるいは海外市場の開発検討を行い、また関係団体の輸出マインドといいますか、そういうものを醸成するための予算措置も若干でございますが講ずることにいたしておるような次第でございます。
#186
○菅原委員 さらに、この前私は、新しい農業の方向といたしまして、食わないものをつくる農業の分野の大切なことを内容をも挙げまして質問してまいったわけでございます。すなわち、でん粉生産形態からたんぱくやミネラル生産形態、花卉園芸、造園の農業、また自然環境保護、さらに国土保全、こういうことまで農業の分野に含んで、農業後継者に将来への夢を持たせなければ、若い者ほど農業離れが激しい、その歯どめをかけることはできないんじゃないかということを話しているわけでございます。
 このようにグローバルな点にまで広げられる食わないものをつくる農業の分野に対して、このような多面的機能を評価しての政策を今後進めていただきたい、私はこう思うわけでございますが、このことに対するところの政府の今後の所信というものを伺っておきたいと思います。
#187
○佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたしますが、今先生御指摘のとおり、農業というのは食糧の安定供給ばかりではなくて、大変な公益的機能を持っております。例えば大気とか水の浄化あるいは水資源の涵養、あるいは土壌の侵食防止とか快適な自然環境の提供等たくさんな公益的機能を持っております。
 そんなことで、我が国の限られた国土資源や固有の自然条件のもとで、このような農業の持つ多面的な機能を十分に発揮できるよう、農業の健全な発展のための数々の施策を積極的に講じてまいりたい、こう考えております。
#188
○菅原委員 次に、このことも要望しておいた事項でございますが、減反政策の一環として、表作の米収入にかわる裏作の研究を促進すべきだということをもこの前質問しておりますので、ひとつこの点は要望いたしまして、食糧庁の方に質問を移したいと思います。
 政府は昨年、韓国米の輸入で、減反を強要している農民から大変な怒りを買ったわけでありますが、反面、私は米の消費に対して今大変な危惧を持っているわけでございます。日本民族にとって食糧の安全保障は米を除いて設計できないと信じている私でございますので、米そのものが今や主食の座からこのままでは転落するのではないかという消費減を見ていることに心配を持つものでございます。
 二十年前、日本人の年間一人当たりの消費量が約百五十キロでありましたが、現在はその半分の七十五キロ程度になっているわけでございます。そうして、この消費者の米離れが今後どこまで続くのか、不安要因がたくさんございます。それは食生活の多様化もありましょうし、長年の直接統制の食管制度に安住した供給団体の商業努力への不足ということもあるでしょうが、しかし、このようなときに消費者米価が三・七%上がるということは、一層この米離れの傾向に拍車をかけるものではないかと思うのであります。ひとつこのことに対する政府の所信をまず食糧庁長官の方からお伺いをしたいと思います。
#189
○石川政府委員 御指摘のように、米の消費の全体量は過去の最高のピークのときから減っておりますけれども、最近は比較的その減り方が少なくなっておりまして、主食として今七十五、六キロというようなところで比較的安定的になってきたと思っております。私ども、何と申しましても国民の主食でございますし、国内で供給可能なものということから、米の現在程度あるいはこの水準における消費が定着するようにということで、いろいろ考えておるわけでございます。
 こういう機会に消費者米価を上げることは、そういう方向に対してマイナスに働くのではないかという御指摘であろうと思います。
 米価につきましては、御承知のように、水準もさることながら、逆ざやと申しますか、政府の買っております価格と売りの価格の間に差がございまして、これについては極力解消を図りたいというのが私どもの考え方でございますが、その解消を図る際にも、やはり消費の停滞を招くような改定の仕方ではまずいということで、極力家計に及ぼす影響の小さな範囲内でこれができるようにということで、実は昨年暮れの米価審議会におきまして三・七%のアップということで御了解を得たわけでございます。現在の水準で申しますと、消費者物価全体に及ぼす影響が〇・一%程度ということでございまして、私どもそのことが直ちに消費の減退をもたらすものではないと思いますが、何と申しましてもやはり消費者の方々の御理解を得ながらやらなければいかぬことだと思っております。
 幸い、本年産米、五十九年産米は大変品質のいいお米でございますし、御承知のように、昨年来の需給状態の中で去年の新米穀年度以降の米はすべて新しいお米で供給をいたしておるというような事情もございまして、消費の面におきまして私どもそう大きな不安は持っておりませんが、御指摘のこともございますし、いろいろと小売、卸、その他の商業活動を通じてよいお米が消費者の方々に渡るように努力をしていきたいと思っております。
#190
○菅原委員 私は、今の答弁を聞きましても、実はこの米離れはやはり価格に今後左右されるのじゃないかという不安を払拭することはできないわけでございますが、同時に、米離れは食管法そのものの機能が適応しなくなってきた結果でもないかと思われるのでございます。
 農林省は、場当たり農政と言われても仕方ないような、六十キロ一俵一万円程度の他用途利用米制度や加工米制度をつくったわけでございますが、反面、米づくりの中に競争原理を働かせるという機能は、こういう制度の中からは出てこないわけでございます。この結果、一番困るのは米づくりに真剣に取り組んでいる専業農家でありまして、既に一農家十町から十五町程度の米づくりの優良経営ができる能力を持っている方々がたくさん出てきている、しかし、その能力が、こういう競争原理というものに反して、米そのものの消費に対するところの良質低廉な供給ができないという、そういう結果もあるわけでございます。
 こういう観点から、政府は食管法の機能に対するところの何らかの配慮を今後しようとする考えを持っているのかどうか、それとも今のままでこの機能は十分だと思っているのか、この点をお伺いしたいと思うわけでございます。
#191
○石川政府委員 今の御指摘は、米生産あるいは米流通、消費についてのいわば競争原理導入という御指摘かと思いますが、まず生産面でいいますと、御承知のように、自主流通米制度につきましては、良質な米を生産をいたしまして、それによりまして政府が買い入れる価格よりも高い価格で物が販売できるという制度があるわけでございます。
 それからもう一つは、同じ価格水準でございますれば、どちらかといいますと生産性の高い方がつくりやすい。生産性、いわば反別の大きい方も小さな方も同じ価格水準で買うということは、それだけ反別の大きい方にはつくりやすいという形になっておりますので、私ども、国が管理をしているという中でも、生産サイドにおいてはその意味の競争が働き得る形になっているのではなかろうかと思っております。
 もう一つ、流通サイドでございますが、御承知のように、卸売なり小売というものにつきましては食管法の中で許可制をとっております。許可制をとりましたことがいわば競争原理を抑えているのではな中かという御指摘かと思いますが、これは御承知のように、三年前の改正の際にやはり競争的な形になるべく持っていこうということをやったわけでございまして、小売につきまして、ブランチと称しますような店舗の増設とかそれから販売拠点の数もふやすというようなこともやったわけでございます。卸売につきましても、それにどういう形で競争性を持たせるかということはかねがね論議のあるところでございます。複数知等の論議もあったわけでございますが、直ちにそれを導入するというような姿をいたしておりませんが、私は、卸につきましても何らかの意味で競争条件が入るような方向を考えるべきではなかろうかと思って、今回の改定の機会に、いろいろとどういう形が最も適しているかという方で検討いたしております。
 いずれにしましても、販売面における競争問題につきましては、残念ながらここ数年間不作でございまして、その間供給量が比較的減退してきていわば売りやすい環境であったわけでございますので、いろいろないわば販売面での競争原理の導入という面ではマイナスに働いてきたかと思っておりますが、幸い五十九年産の豊作というような事態もございます。こういうものを踏まえまして、極力安定的な供給と、それから今おっしゃったような意味で競争が働き得るような環境をつくっていきたいと考えております。
#192
○菅原委員 卸、小売許可の更新がこの六月に行われるようでございますが、ぜひ私の要望しておりますところの競争原理の導入がなされるような、また将来は複数抑制度についても御配慮をいただきたい、こう思うわけでございます。
 また、政府の管理経費の節減についても、人件費、金利、保管料と、食管会計の中で占める比率がまだまだ高いわけでございますので、これの努力を切に要望いたしまして、次に、大蔵省の方に質問を移していきたいと思います。
 六十年度の税制改正は若干の前進が予測されていると聞いておりますが、今日の森林事業の状況からいたしますならば、真に山づくりに携われる状況ではないわけでございまして、林業税制は抜本的に考え直す時期に来ていると思います。
 特に山林相続税については、施業計画の樹立、計画事項の遵守を条件とした上で撤廃して、伐採後の山林所得税一本とするとか、幼齢林の非課税等思い切った税制改革を図ること等によって、現在難局に立ってきた山林所有者の山林経営の経営意欲を喚起すべきではないかと思うわけでございます。山村振興、過疎化防止につながるこういう施策に対しまして、大蔵省でどのように考えているか、見解をお聞きいたします。
#193
○津野説明員 お答えいたします。
 最初にちょっと余り当然のことをお話しして恐縮でございますけれども、山林所得に対します所得税と申しますのは、山林の伐採とか譲渡によりまして実現した所得を課税標準といたしまして課税するいわゆる所得課税でございます。これに対しまして相続税と申しますのは、相続を契機といたしまして移転いたします財産の価額というものを課税標準といたしまして課税するもので、これはいわゆる財産課税という体系に属するものでございます。
 したがいまして、相続税の機能といたしましては、富の集中を抑制してその再配分を図る機能を有するというようなことが一般的に言われているわけでございますが、これらの両税につきましては、今申しましたように、課税標準等から見まして別個の課税体系をなしておりまして、主要諸外国におきましても、所得税と相続税というものは別個の体系となっているわけでございます。したがいまして、相続税を廃して所得税に一本化するといったような御提案につきましては、税制のあり方といたしましては適当ではないのではないかというふうに考えるわけでございます。
 また、幼齢林の非課税につきましては、幼齢林の場合といえども財産価値があるわけでございますから、それに即応してそれなりの評価をした上で当然に相続税の課税対象とするべきであるというふうに我々は考えておりまして、特段の非課税とする理由はないのではないかというのが税制の立場からの考えでございます。
 それから、若干敷衍いたしますと、山林に対する相続税につきましては、現行制度上、評価の一五%減額という特別な措置が相続税法で定められておりますし、また長期かつ低利、これは長期の場合は十五年が現在では最長でございますけれども、その場合と、それから低利は五・四%ですが、五・四ないし四・八%のケースもございますが、そういった延納制度を設けているわけでございまして、山林の特殊性に応じまして円滑な納税ができるような配慮をしているというように考えております。
 また、昭和六十年度の税制改正におきましても、林業の厳しい環境を考慮いたしまして、計画的な森林の施業の推進に資する趣旨から、厳しい財政事情のもとでございますけれども、若干の改正措置を講じたところでございます。
 一つは、計画伐採に係る相続税の延納等の特例につきまして、従来の、先ほど言いました現行長期最長十五年のものを、一定の要件のもとにおきまして、延納期間を最長二十年ということに五年間延長させていただいております。
 それから、山林所得の概算経費控除制度につきまして、従来の控除率三〇%でございましたが、それを三五%に引き上げるというような特段の配慮をしたところでございます。
#194
○菅原委員 次に、大蔵省にまた質問するわけでございますが、国有林野事業特別会計の六十年度予算案は総額五千四百六十七億円となっておりますが、歳入の大綱を占める業務収入は四四%、二千三百八十八億円、財投資金からの長期借入金が四一%で二千三百二十億円となっているわけでございます。
 材価の低迷に歯どめがかからず、木材需要の伸びも期待できない現状において、予算編成そのものが大変困難な事態になっているのじゃないか、またいくのじゃないかと考えているわけでございますが、財務当局といたしまして、今日のこの林業不振の現状というもの、これは深刻でございますので、このことに刮目してくださいまして、単に組織の統廃合や人員の削減といった面だけではなく、経営合理化なり自助努力等を条件とした上で、必ずこのことを条件とした上で特別財源の充当を図ることができないか、こういう緊急措置がとれないのか、お伺いしたいわけでございます。
#195
○涌井説明員 お答えいたします。
 国有林野事業につきましては、本来的には独立採算の原則に基づいて企業的に経営すべきものと考えておりますけれども御承知のような国有林野事業の状況にかんがみまして、五十三年からは造林、林道に対する事業施設に対して一般会計から繰り入れを行うこととしたほか、五十八年度からは林道の災害復旧に関する経費を一般会計から繰り入れをする、あるいは国有林野内の治山事業につきましても、これはすべて一般会計の負担により行うこととしておるわけでございます。
 さらに五十九年度からは、御承知のとおり急増する職員の退職手当の財源の借り入れと、それからその利子相当額につきまして一般会計からの繰り入れを行うこととしておりまして、六十年度予算におきましても、マイナスシーリングという非常に厳しい予算編成の中で、この退職手当の利子補給金につきましては大幅な増加措置を講じておるようなわけでございまして、一般会計非常に苦しいわけでございますけれども、その中でいろいろな努力をしてきておるわけでございます。
#196
○菅原委員 いずれにいたしましても、林野事業の内容は全く苦しいわけでございますので、大蔵当局といたしましても特段の配慮というものを今後とも検討していっていただきたい、こう思うわけでございます。
 次に、林野庁の方に質問をいたしたいと思います。
 大臣の所信表明の中にも、国有林野事業に関して、新たな改善計画に基づく経営改善の一層の推進を図るということをうたっているわけでございますが、昭和五十三年以降、第一次改善計画に基づいて鋭意林野庁は経営改善を行っているわけでございます。また、林政審の答申に基づきまして、実質六十年度から、改善より改革というスローガンでこれに当たっていることも承知しているわけでございます。
 しかし、現場の態勢は本当にこれに対応しているのか、またその要請は経営者の姿勢確立にもつながってくる問題であり、このことは現場末端まで十分に浸透しないと、この新たな改善計画の実現ということは期し得ないものじゃないか、こう思っているわけでございます。今まで私は多くの事例を挙げてこの問題についても質問したわけでございますが、やはり当局といたしましては、国鉄もそうでございますが、このままではもう大変な内容でございますので、この計画に協力する管理者もいるようでございます。また監査機構ということも十分に充実しなければならないんじゃないかとも思っております。やはり法の秩序を守るためには信賞必罰ということも必要でございますので、不退転の勢いでひとつこれに当たっていただきたい、こう思うわけでございます。
 つきましては、この推進に対しての今後の見通し、またこの覚悟というものをひとつお聞かせいただきたい、こう思います。
#197
○田中(恒)政府委員 お話ございましたように、国有林の経営の改善は、林業をめぐる情勢が大変厳しい中にありまして、ともすればいろいろと市況の悪化等で努力がのみ込まれまして、士気が阻喪することもないとはいえないと思いますけれども、やはり長期的に見た改善の推進のために全国の局署の職員が一丸となって奮闘をしているところでございます。
 先生二、三の例をお聞き及びかと思いますけれども、やはり私どもの職場は管理監督の行き届かない山でございますので、それぞれの職員がしっかりした自覚を持ってやらなければいけないのですけれども、さらにそれは職員の上であるほど責任は重いわけでございまして、管理監督の衝に当たる職員につきましては、厳しく、部下の統率、士気の高揚、業務の指揮につきまして十分やるように常々言っておるところでございます。
 今後とも、現下の厳しい情勢を認識いたしまして、そういうしっかりした職場規律のもとに国有林の改善の歩みを進めたいと思っております。
#198
○菅原委員 この新たな改善計画は林野庁の浮沈にかかわる問題でもあると思いますので、今の所信を強く貫くように要望する次第でございます。
 次に、近年森林に対する国民の関心が高まり、森林を憩いの場、レクリエーションの場として活用する人もふえているわけでございますが、しかしながら、今日のこの森林・林業の危機についての理解を得るまでには至っていないのではないかと思います。
 総理及び大臣の所信表明にもありましたように、本年は国際森林年であります。これを契機として、森林・林業の役割、特に、公益的機能はもとより、我が国の森林・林業の危機的状況について国民各層への啓蒙に政府が一層積極的に取り組むべきではないかと考えるわけでございますので、このことについての所信をお伺い申し上げます。
#199
○田中(恒)政府委員 本年は特に国際森林年の年であるということが言われておりますが、最近都市的な生活が多くなりまして、若い人方のそういう関心も薄らいだということも考えられますので、これをやはり絶対の好機といたしましてこの問題について対処してまいりたい。
 御案内のように、我が国林業の現状は大変な需要の停滞、価格の下落等によりまして厳しい状況にございます。また反面、公益的機能に関しましては、水源の涵養でありますとか自然環境の保全等につきまして非常に国民の要請も高まっておるという状態にございます。したがいまして、森林・林業施策といたしましては、このような大事な森林を守り育てていくために、長期的な視点に立って各般の施策を推進してまいりたい。
 まず、やはり一番大切なことは、木材に関しましてはいろいろ誤解もございまして、火災に弱いとか居住性が悪いとかございますが、木材のよさを本当に普及啓発し、PRし、木材の需要を拡大することを基本といたしましてさらにいろいろな政策を展開してまいりたい。
 まず、基盤整備でございますけれども、造林、林道等の林業生産基盤の整備、林業地域を活性化することがまず第一でございます。
 また、二番目としまして、本年は国産材主産地の形成と林業担い手の確保、これを考えでございます。
 三番目としましては、重要な事案でございます間伐についてでありますが、間伐を計画的に実施する。特に箇所が分散しておりますので、これを集団的に行うところの総合的な間伐対策を実施する。あるいは国土保安上、保安林の機能強化、治山事業の推進等を充実をしてまいりたい。もちろん、消費を担う木材産業の体制整備も重点でございます。
 このような各般の施策を積極的に推進いたしまして、我が国林業、林産業の振興を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#200
○菅原委員 戦後の拡大造林地が要間伐期を迎えているにもかかわらず、多くの森林が手つかずで放置されているのが現状でございます。五十五年、六年に発生した雪害もこうした育林の手入れ不足によるもの、さらには近年顕在化している杉、ヒノキのせん孔性の害虫の被害もこういうものにも依拠しているんじゃないかとも考えられるわけでございますが、いずれにいたしましても、現在の日本の林業は全く木価の低迷で危機に立っているわけでございまして、適切な管理ができない状態であります。これは、水資源の涵養、国土保全、森林の持つ公益的機能性等から見まして大変憂慮されるところの状態でございます。
 私は今まで既に幾度か質問もしているわけでございますが、森林の公益性から、林業経営者のみにその責任を負わせるのではなくして、国を含めて公益的機能の受益者からも何らかの負担を取れるような制度、またその財源づくりができないものかということを質問してきたわけでございます。この点に関してどのように考えているのか、またお伺いする次第でございます。
#201
○田中(恒)政府委員 前段にお話のございました間伐につきましては、森林の保育では最大の急務と言えるところでございまして、私どもも、五十六年来その推進に努力いたしておりまして、だんだんに実施面積がふえておりますが、必要といたします面積に比べれば大体六〇%前後というふうに、まだ不十分でございます。山の健全性の確保にはこれが一番でございますので、これはなお力を入れてまいりたいと思っております。
 後段のお話にございましたいろいろ公益的機能に対する経費の分担のことでございますが、確かにこの森林の公益的機能に対しましての各方面の理解が最近は高まってきておると思われます。このような公益的機能を十分に発揮するためには、やはり国、地方公共団体、森林所有者、直接下流の受益者などが一体となって積極的に森林の整備を進めることが大切だと考えるわけでございます。このために、これまでも分収育林の制度化などの方策も講じたところでございます。
 全国的に、局所的には基金の造成とか公社によりまして小さい単位ではいろいろな例が見られるところでございますけれども、六十年度はさらに広く関係者の理解を得まして、水源林の整備などのための費用調達はどうあるべきかというようなことなどを検討していきたいということで、そのための所要予算なども計上をいたしておるところでございます。
#202
○菅原委員 緑の資源を守る、この応益負担の制度化ということについては大臣にもひとつ検討していただきたいことを要望いたしまして、次に、水産庁の方に質問を移したいと思います。
 最近、北洋漁業、遠洋漁業も減船や不振で、日本の漁業は、大臣の所信表明にもありまするように、栽培漁業、沿岸漁業の方向に重点を置かざるを得なくなってきているのが実態でございます。すなわち、つくり育てる漁業の推進でございます。
 岩手県でも、五十九年を初年度に六十五年までの七カ年計画、総事業費千二百十一億円で、生産拡大、生産基盤の整備などを図っているわけでございます。この中には、栽培漁業センター、人工採苗によるウニ増殖、サクラマス増殖、先端技術で稚魚を全部雌化するところの事業、あるいはマツモ養殖、ホッキ、ホタテの地まき放流、あるいは加工原魚の確保、あるいはサケの高次加工促進その他いろいろな計画を持っているわけでございますが、このつくり育てる漁業についての政府の今後取り組む内容についてひとつお知らせいただきたい、こう思うわけでございます。
#203
○佐野政府委員 今後のつくり育てる漁業の振興方策といたしましては、栽培漁業の長期計画に当たります基本方針あるいは都道府県レベルでつくっております基本計画、これらの方向に従いまして、今後国、県の栽培漁業センターの施設の整備拡充あるいは技術の開発の促進、漁業者への栽培漁業の普及、定着化の促進等を図ることとしておりまして、あわせてその生産の場となる沿岸漁場の整備開発を推進していくということを考えているところでございます。
#204
○菅原委員 このことへの一層の推進方を要請いたしまして、質問を終わります。
#205
○今井委員長 次に、中林佳子君。
#206
○中林委員 先ほど佐藤農水大臣の方から所信を聞かせていただいたわけなんですけれども、農政を預かる大臣として、立派な所信の表明の前に、まずみずからの政治姿勢についてきれいでなければならないということはもう言うまでもないことだ、このように思います。特に大臣のもとで農政を遂行する行政官の範とならなければならないということは言うまでもないことです。そういうわけでみずから大臣も資産公開をなさったというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#207
○佐藤国務大臣 そのとおりでございます。
#208
○中林委員 大臣がきれいな政治姿勢で、清潔な政治姿勢で臨みたいというお気持ちを持っていらっしゃるというふうには私は思うのですけれども、しかし、私どもが調査をしたところでは、どうもその気持ちとは裏腹なことが実際はやられている、こういう事実が判明いたしました。つまり、違法な献金を建設業者から受け取ったのではないか、こういう疑いが浮き出てきたわけなんです。
 そこでまず自治省の方にお伺いしますが、公職選挙法第百九十九条、第二百条をあわせて解釈すると、簡単に言えば、国政選挙に立候補した者がその選挙期間中に国または公共企業体と請負契約関係にある業者からその選挙に関し寄附を受けてはならない、こういうことではないかと思いますけれども、その点はいかがかということと、もしこの条項に違反した場合どういう措置をとるのか、この点、二点お答えいただきたいと思います。
#209
○浅野説明員 お尋ねの点でございますが、公職選挙法の百九十九条、これは国の選挙に関しては国または三公社と、それから地方選挙に関しては地方公共団体と、「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者である者は、当該選挙に関し、寄附をしてはならない。」としております。それからまた二百条は、その一方で、何人も、選挙に関し、これらの者から寄附を受けてはならないといたしております。
 これに違反した場合にはどうかということでございますが、これは公職選挙法の二百四十八条によりまして「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」寄附を受けた方は、これは二百四十九条の規定がございまして、やはりここでは「三年以下の禁錮又は二十万円以下の罰金に処する。」こういうふうになっております。
#210
○中林委員 その罰則規定からもうかがえるように、これに違反した場合はかなりそういう罰も加えられるということになっているわけです。
 私が調べたところでは、実はこの違法寄附に当たるのではないかというケースが、佐藤農水大臣がさきの衆議院選挙に際して県の選管へ出されました収支報告書に出ているわけなんです。
 その収支報告書によれば、昭和五十八年十二月六日に佐藤守良候補が広島建設工業株式会社という広島市中区にある建設業者から五十万円の寄附を受けていると書かれてあります。この報告書は誓約書までつけて提出するものでありますから、これは間違いないと思いますし、県の公報の中にもきちっと出ているということです。
 ところが、この広島建設工業は、当時、正確には昭和五十八年七月四日から十二月八日までの間に電電公社発注の広島市外松江同軸ケーブル方式工事、これは島根県内の工事ですけれども、これを一億九百十万円で請け負って施工しているわけです。これも私、電電公社で確かめましたので事実でございます。
 自治省に重ねてお伺いするわけですけれども、このことが事実であるとすれば、これは明らかに佐藤農相が違法な寄附を受けていたことになるのではないでしょうか。
#211
○浅野説明員 公職選挙法の百九十九条第一項あるいは二百条の第二項、この違反になるかどうかということにつきましては、先ほど規定も申し上げたわけでございますが、「請負その他特別の利益を伴う契約の当事者」であるかどうかということが一つと、それからもう一つ、選挙に関し寄附をしたか、あるいは寄附を受けたかどうかということがポイントになろうかと思います。
 要は、御指摘の件につきましては、その事実関係がどうであるか、ただいまお示しございましたけれども、私どもとしても十分な事実関係を承知しておりませんものですから、その件が公選法違反かどうかという判断を申し上げることは困難であるわけでございます。要は、具体的な事実がただいま申し上げましたような要件に該当するかどうかということによって決まってくるものではないかと考えております。
#212
○中林委員 これは五十八年の衆議院選挙に際する収支報告書でございますから、もちろんその選挙に寄附をした、もらったというものであるということは間違いないと思いますので、自治省の方が、これが事実であるならば、そういう要件に合えば違法だということになると思うのですね。
 大臣、候補者が一々出納の中身までチェックするというようなことはなかなかできないので、こういうことがあったかどうかということは多分初耳だというふうに私も思います。しかし、こうした違法献金の問題は、今回が初めてではなくして、これまで国会でも再三取り上げられて、一定の是正もされてきたというふうに思うわけですね。ですから、大臣たる人が違法な献金を受けて、そのまま放置していたのでは、やはり範が示されない、こういうふうに思うわけです。
 しかも、さらに私どもが調べてみますと、この広島建設工業は最近上場会社になった会社で、いわゆる電電ファミリー会社と言われる会社で上位十位にランクされているわけなんですね。電電公社からの天下りも多数役員におさまっておられます。一方、大臣はというと、御存じのように郵政相の秘書官も歴任されて、かつては逓信委員長もおやりになった方ですから、電電公社とも関係が浅からぬ、そういう関係だと思うんです。
 ですから、大臣に御要望したいわけですが、事実をよく確かめて、その結果、指摘のとおりならば、今後どういう責任をおとりになるのか、その点お伺いしたいと思います。
#213
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 今の問題ですが、私全く初耳でございまして、私の経理責任者は十六年、私、当選六回でございますが、昭和四十四年当選以来やっておる人で、十数年来尊敬しておる方でございまして、今まで一回も間違いがなかった方です。そんなことがございますのは今初耳でございまして、一回調査してみたいと思います。
#214
○中林委員 勉強させていただくというのではなくして、私どももこれだけの問題を取り上げるならば、事実関係をきちっと調べて、ちゃんと届け出のあるもの、そして電電公社の方にも事実を確かめ、法律も確かめた上で、実は大臣にお伺いしているわけなんですよ。ですから、その事実を大臣みずからお確かめになって、それが事実であるならば、どういう責任をおとりになるのか、その点についてもう一度お答えをお願いします。
#215
○佐藤国務大臣 今私が申し上げましたのは、十分調査してと、こう言っているわけで、調査しました結果、仮にそれが事実であるとすれば出納責任者に厳重に注意したい、そしてしかるべき手続をとりたい、こう思っております。
#216
○中林委員 出納責任者の責任はもちろんあると思いますけれども、この場合、選挙にかかわる収支報告書ですので、出納責任者も責任がありますけれども、当然候補者自身の名前で出す報告書なわけですね。ですから、連座責任はやはり問われると思いますので、ぜひその点を明らかにしていただきたいと思うわけですが、大臣も調べるとおっしゃいましたので、よろしくお願いします。
 そして、委員長に御要望したいんですけれども、この当委員会としましても、大臣のこうした違法献金の疑いがあるという問題でございますから、ぜひ大臣からの御報告を受けていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#217
○今井委員長 理事会でよく相談をいたします。
#218
○中林委員 それでは、大臣の先ほどの所信の中身について御質問に入りたいというふうに思います。
 先ほどの所信の中で、「我が国農林水産業の体質強化を図るとともに、農山漁村社会の活性化を進めることが重要」であると、昭和六十年度の農政の基本方向を述べ、さらにそれの裏打ちとなる来年度予算については、「我が国農林水産業に新たな展望を切り開いていけるよう必要な予算の確保を図った」このように評価をされました。
 また大臣は、昨年末政府予算案が決定された際に、農水省分庁舎内で開かれたいわゆる予算獲得運動の打ち上げ集会の席上でも、「六十年度の農林予算は生産性の高い農業、足腰の強い農業をつくるものとなった。多事多難の一年だったが、農林水産業の推進となる予算で幕を閉じることができた」このようにあいさつされたと報道されているわけです。
 いかにも農水関係予算が、この大臣の評価を聞きますと、大幅にふえたかのような発言に聞こえるわけですが、六十年度の農水予算が非常に削られているということはもう歴然としていることですね。ですから、この六十年度の予算案をどのように分析すると大臣のおっしゃるような評価が出てくるのか、お答えいただきたいと思います。
#219
○佐藤国務大臣 農林水産予算につきましては、先生御指摘のとおりでございます。そんなことで、現下の厳しい財政事情からまことにやむを得ないと存じておりますが、私は所信表明、三つの点を申し上げました。足腰のしっかりした、土台のしっかりした、生産性の高い農林水産業を築く、あるいはバイオテクノロジー、ニューメディア等の先端技術を駆使した農林水産業をつくるとか、あるいは豊かな村づくり、そういう意味におきましては、厳しい予算でございますけれども、そういう予算につきましては重点的にかつ効率的な配分をしているつもりでございます。また、農林水産省の役目でございます食糧の安定供給につきましても、十分これで配慮できる、このように考えております。
#220
○中林委員 私が今さら指摘するまでもなく、来年度の農水関係予算がいかにひどいものであるかということは大臣もう御承知だと思うのです。
 日本農業新聞では、この農水予算の特徴を七項目にまとめているわけですが、その真っ先に「省庁最大のダウン」と指摘をしております。前年度予算に比べて農水予算が四・六%もダウンして、国の一般歳出に占める農林水産の割合は、昭和四十五年度がピークで一五・三%、それから今度の六十年度は一〇・一%にまで落ち込んでいるわけですね。先ほどからも言われておりますけれども、皮肉なことには、異常突出として予算の中で問題になっている軍事費と比べると、初めて農水省所管の予算がそれを下回ってきている。ですから、兵糧を減らして武器だけをふやす、こういう予算配分になっていると私は思うのですが、大臣はどういう認識をお持ちでしょうか。
#221
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 先ほどちょっと申したようなことでございますが、我が農林水産予算につきまして一番大切なことは、国民生活にとりまして最も基礎的な物資である食糧の安定供給というようなことがございます。そんなことで、大変今、先生御指摘のとおり、前年に比べて減額となりましたことは残念でございますけれども、最善を尽くし、そういう点につきましては十分配慮した予算である、このように考えております。
#222
○中林委員 私は、大臣が十分配慮してつくった予算だとおっしゃるのですけれども、こういう予算になったら困るということで、昨年十二月十八日のこの委員会でも、予算案がまだ決定される前ですから、ぜひ大臣に農林予算の十分な確保をお願いいたしましたし、その後も大臣に要求をしてまいりました。その都度大臣も、概算要求を何とか確保したい、最善の努力をしたい、こういう決意を表明されたわけですけれども、前年度予算よりも大幅に削り込んで、出した概算要求そのものが削り込んであったにもかかわらず、さらに九百億円も減らされた、こういう結果で、農水予算は日本の食糧を確保する、日本人の私たちの命を守るという、いわば国の根幹にかかわる予算であるわけですね、ですから、委員会でも力強い決意を述べていらっしゃりながら、農林水産の推進になる予算だと大臣おっしゃるわけですけれども、とてもそうは思えないわけですが、これだけ削り込まれた責任は感じていらっしゃいませんか。
#223
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 私は、現下の厳しい財政事情のもとで最善を尽くしたわけでございまして、やむを得ない予算であると、このように考えております。
#224
○中林委員 本当に農業、農林漁業を大切にしようと思えば、予算面で確保していかなければ、幾らその中身を大切にしているとおっしゃっても、非常にむなしく聞こえてなりません。特に減らされた農水関係予算の中でも私が問題にしたいのは、いわゆる農村婦人の家の事業を中心とする農山漁村婦人等活動促進対策事業費、この予算が前年比で四分の三に削られている点ですね。
 大臣、ことしはどういう年だということをお知りでしょうか。――大臣が知っていらっしゃらなかったらいいです。要するに、国連婦人の十年の最終年に当たる年だ、これは御存じだと思うのですね。ですから、そういう年で、総理府のモニターアンケートの調査でも、婦人の職場進出について、農水大臣のポストに女性がつくことを大いに歓迎するというのが、適当でないの二倍近い五四%にも達しているわけなんですね。いわば、そのくらい婦人が農林水産の面で地位向上を望んでいるという声が非常に高いということなんです。
 この十年間かけて婦人対策のいろいろな事業が進められてまいりました。しかし、ことしがその仕上げの年に当たっているわけなんです。農水省だけではなくして、当然労働省だとか文部省だとか厚生省などとか、婦人関係のいろいろなところでそれはやるのですが、今回、こういう各省にまたがって、行政施策上の予算は行革のかけ声の中で大きく減らされているのが現実です。ある新聞ではこうした現状に「「女の時代」も掛け声倒れ」、このように酷評しておりますけれども、まさに、先ほどお話ししました農村婦人の家も四分の三に削られたことに象徴されますように、この酷評されているとおりだと私も思います。臨調答申で施設、箱ものですね、この関係の補助予算は縮小すべきだ、こういうことが言われておりまして、農水省としては婦人年最終年に当たる折だけに、せめてこの農村婦人の家の予算は前年度並み以上確保すべきではなかったのか、こういうふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#225
○関谷政府委員 お尋ねの農村婦人の家関係の予算でございますが、四分の三というお話もございましたが、農村婦人の家設置自体については対前年九一・五%でございまして、一割弱の削減になっております。
 この関係につきましては、一つはたまたまこの六十年度が最終年度に当たりましたこと、あるいはこういう俗に言う箱ものと申しますか、施設関係の予算に、これは各省横並び、通じまして行政監察の面で相当強い見直しがあった、こういう関係があったわけでございます。これは国連婦人の十年の最終年度としましては非常にたまたま時期がよろしくなかったわけでございますが、お尋ねのございました来年度以降の問題については、またこれは婦人対策全体の中でさらに慎重に検討してまいりたい、かように考えております。
#226
○中林委員 お言葉を返すようで申しわけございませんけれども、よろしくなかったなどという、いわば最終年と、それからそういうことを削れと言われているときとが重なったのでよろしくなかったという発言は、私は甚だ、婦人の願いからすれば大きくかけ離れた遺憾な発言だと指摘をいたします。
 私、聞きましたら、総務庁からは昨年の秋にこういう通知が出されていると聞いたわけなんですね。農村婦人の家事業について、国連婦人の十年が終わった後は事業の継続を見直すよう農水省事務次官あての通知が出されているというふうに聞いているわけですね。まだまだ農村婦人の地位や生活向上は立ちおくれているのが実態だということを皆さん御存じだと思いますが、むしろこの十年の取り組みを契機にして、一層の拡充が求められていると思います。
 私の島根県下でも、この間に農村婦人の家が三カ所つくられました。しかし、まだまだ身近なところでつくってほしいという要求はたくさん出ているわけなんです。総理府のアンケート調査でも、国連婦人の十年の目標に沿った活動は昭和六十年以降も引き続き必要がある、こういう声が実に八六%も占めているわけですね。私どもは六十年ですべてが達成できるとは思いませんし、婦人に対する特別な施策というものは当然必要だと思いますけれども、少なくともことし削られて、さらに来年は、こういう総務庁の通知もある中で、あるいは農村婦人の家も後退させられるのではないかという心配がいろいろなところから出ているわけなんです。
 ですから、そういう意味で、今六十年度の予算の審議の途中でございますから、その次の分までお話しするというのは非常に難しいとは思いますけれども、農水省の姿勢として、その次も農村婦人の家は継続していくお考えがあるのかどうか、その点を再度確認したいと思います。
#227
○関谷政府委員 婦人の家につきましては、五十九年秋の総務庁の監察が、補助金の整理合理化という全体の中で施設設置費的なものについてかなり厳しかった、こういうことで出てまいっております。私どもは、もちろん当然のことでございますけれども、こういう婦人対策のかなめをなす予算につきましては施設設置費補助という形もございますし、従来から実施しております環境整備あるいは健康対策、いろいろな面も含めました農村の婦人活動の強化ということの一環としまして六十一年度以降についても慎重に検討し、また婦人対策の強化につきましては十分努力してまいる、そういう考え方でございます。
#228
○中林委員 今るる触れてまいっているわけですけれども、ことしは国連婦人の十年目に入りました。総理府の国政モニターアンケート調査によれば「「国際婦人年」(昭和五十年)以来、日本の婦人の地位は向上したと思うか」こういう問いに対して約八割の人がそう思う、こういう非常に高い回答をしているわけです。さらに、そのうちの八割の人が「「国際婦人年」や「国連婦人の十年」は、日本の婦人の地位向上に影響を与えたと思うか」という問いに対して、そう思っているというふうに答えているわけです。しかし、私がこの十年間地元の県内を歩く中で、農山漁村の婦人の地位向上というのは非常におくれているということを痛切に感じているわけなんです。
 国連婦人の十年の一翼を担った農水省は、この十年間の、いわば婦人の地位の向上を含める農山漁村の婦人の問題をどのように分析なさっているのか、お答えください。
#229
○関谷政府委員 国連婦人の十年国内行動計画の関係で、私どもとしましては、いわゆる協同農業普及事業の中で婦人関係施策の推進、婦人問題連絡会の開催、その他婦人の社会参加の助長等も含めまして大いに努力してまいったつもりでございますが、ただいま先生御質問の中には引用がございましたが、私どもの方で実施をいたしました五十七年、五十八年の農村婦人の地位に関する調査についてという結果を見ますと、率直に申し上げまして、まず、婦人自身の社会参加への意思とかあるいは周囲がそういうものを認める気持ちというか、そういうものがまだ非常に欠けておる、こういう事態であろうかと思います。また全体的に農家、農村生活においても婦人に対する評価が必ずしも高くないということで、現実には、御承知のように、農作業の面でも農業経営の面でもあるいは農村の地域社会の活動の面でも大変重要な役割を担っておられる婦人の方々に対する認識が非常に低いという実態でございますので、十年計画はこれで一応最終年でございますけれども、私どもとしては、農山漁村婦人のいわば地位の確立と申しますか、役割の発揮ということにさらに努力すべきであるというふうに考えておりまして、今後とも、六十年度におきましても農村婦人役割開発促進事業を新たに仕組む、こういうようなことも考えまして、さらに農村婦人の福祉あるいは地位、役割の向上に努力してまいりたいというふうに考えております。
#230
○中林委員 農水省としてもやるべきことがまだまだあるというふうにおっしゃいましたけれども、その前半を聞いていると、農村婦人の意識の問題や周りの人たちの意識の問題にどうも責任が転嫁されているようでなりません。
 国連婦人の十年の折り返し年であった昭和五十五年に政府の婦人問題企画推進本部、本部長は内閣総理大臣ですけれども、これが策定いたしました「婦人に関する施策の推進のための「国内行動計画」後期重点目標」でも、ちゃんと農水省の所管すべき項目が入っております。これは「農山漁村婦人の福祉と地位の向上」という項目で、農山漁村においては婦人が農業従事者の六割を占めており、農林漁業生産や経営に大きな役割を果たし、また地域住民としても社会生活の維持に重要な責務を担っています、これらの婦人たちが誇りと生きがいのある健康な生活が確保できるよう施策を効果的に推進します、こういうことが掲げられているわけですね。この五年間に農水省は、少なくとも農山漁村婦人たちが誇りと生きがいのある健康な生活が確保できるような施策を推進してきたはずですね。そのことがこの最終年に当たってどういう到達度を見ているとお考えでしょうか。
#231
○関谷政府委員 五十二年二月一日閣議報告の国内行動計画におきましては、ただいま御指摘のありましたような問題も含めまして、農村婦人の農業生産、農家、農村生活の面における役割の重要性にかんがみまして、婦人の福祉と地位の向上を図るための条件整備に努める、こういうことを掲げているわけでございます。
 私ども農林水産省としましては、特に農村婦人のこういう面での施策の責任を持っているというふうに承知をしておりまして、まず第一には、国連婦人の十年国内行動計画、それから女子差別撤廃条約の批准、こういうものを踏まえまして、生活改善普及事業等を中心としまして婦人施策の啓発、推進に努めてまいっております。また、婦人に対しまして、特に今重要な役割を務めておられます農林漁業の技術、経営面での指導、情報の提供、さらに婦人の労働の合理化、健康生活管理、健全な家庭運営あるいは身近な生活環境の改善、こういう地域社会面での指導、情報の提供に努めております。さらに、婦人の活動の促進、社会的役割の向上を図るということで、婦人の家にあらわれますような共同学習施設の設置、それから婦人対策連絡会の開催、それから生活改善グループ等に見られますような婦人の自主的学習集団の育成等を実施してきたところでございます。
 今、到達度というお話がございましたが、先ほどの私どもの実施しました調査等の結果に見られますように、まだまだこういう面での努力としてなすべきことが非常に多い、こういうふうに考えておりますので、今後ともさらに婦人の地位、役割の向上、またその福祉に資するため、農林水産省としても積極的に施策を充実推進してまいりたいと考えております。
#232
○中林委員 最初に紹介をいたしましたように、今おっしゃいましたけれども、来年度の予算で国連婦人の十年の最終年を飾るにふさわしいものだということはとても言えないわけですね。みずからが策定した目標にも大きく立ちおくれている、こういう見方が正しい見方だというふうに思います。私も時間があればすべてにわたっていわばこの十年間の総括もやりたいところですが、昨年もこの委員会で地位の問題やそれから政策策定に当たっての社会参加の問題なども明らかにしてまいり、とてもじゃないけれども目標には達しないということもわかりましたので、改めて総括はいたしませんけれども、きょうは、特に今非常に深刻な問題になっております農村婦人の健康破壊の状況について取り上げたいというふうに思います。
 日本農村医学会が全国の五つの地区で実施した農村婦人の疲労の自覚症状調査の結果によりますと、「農村主婦の疲労状況は工場労働者の重労働者とほぼ同じであり、少なくとも精神的疲労においては工場労働者をはるかに超えている」と指摘をして、「農業婦人の大半が「農夫症」症候群を訴えている」と、大変な様子が明らかになっております。農水省として農村の健康問題についての調査をおやりになったことがありますでしょうか。特に問題になっている婦人だけでも結構なんですけれども、あるでしょうか。
#233
○関谷政府委員 御指摘の中にもございましたが、農村の健康問題、特に婦人の健康問題について私ども大変関心を持ち、先ほどちょっと申し上げましたように、生活改善普及事業の中で、農業労働の特質、経営形態等に起因する健康上の諸問題、これを発見しまして、その改善指導、地域ぐるみの自主的な健康管理を行う、こういう体制づくりに努めているわけでございます。
 ただ、農村の健康調査それ自体ということになりますと、厚生省が国民健康調査におきまして職業別等に調査を行っておりますので、私ども大変関心を持っておるわけでございますが、その調査結果等から農村の健康問題関連の指標を見る、こういうようなことにいたしております。
 なお、その中では、例えば五十七年でございますと、これは農林漁業従事者全般でございますが、高血圧性疾患による有病率が全国民平均は千人中二十九・八人であるところ、農林漁業従事者は四十九・二人である。腰の痛い腰痛症でございますが、これは全国民平均二・七人であるところ、農林漁業従事者の場合四・七人、こういうような結果も出ておりまして、こういう農業労働の特質なり経営形態に起因するような健康上の問題点が大変多い、こういう事態については承知をいたしております。
#234
○中林委員 今の農業の担い手が六割が婦人であるということは、この委員会でも再三指摘をしてまいりましたし、私だけじゃなくて、ずっと続いているこの委員会での一つの問題になっていると思うのですね、健康問題は。ですからその健康問題、関心は持っているけれども、みずからが調査をしないということは、私は農水省としての責務が果たされていないということで、非常に残念に思えて仕方がありません。ぜひ調査をやっていただきたいということを一点要望しておきます。
 健康破壊の原因は、いろいろな要素が考えられるわけですが、何といっても労働時間が長いこと、それから過重労働になっていることが大きな原因として挙げられております。
 関東弁護士会が昭和五十八年十月に発表いたしました農業婦人のアンケート調査によると、農繁期には一日十時間以上農業労働をする婦人が五五%、半分以上になっております。八時間以上になると八三%にも達するわけです。婦人はこの農業労働だけではないわけですね。家事がそのほかに含まれてまいりますから、平均十三時間、十四時間というのが一日の労働時間になるのではないかとも言われております。
 昭和五十八年の茨城県の農林水産部改良普及課が調査したデータでも、婦人農業者が考える若い人が農業を嫌う理由として、一番初めにくるのが労働がつらい、これが三四・一%あります。それから二番目に労働時間が長い、これが二三・二%、三番目に休みがはっさりしない、一四・五%、こういうふうになっているわけですね。
 大臣にぜひ聞いていただきたいのですけれども、農業婦人の七割の方が長時間であり、過重労働である、本当に身にこたえているという結果が出ているわけなんです。私の地元の島根でも、農家の婦人の人たちと何度かいろいろ懇談をしていく中で、非常に過重で長時間の労働の実態というのが浮かび上がっております。
 一例を挙げますけれども、朝暗いうちから軽トラックのエンジンをかけて市場に向かい、帰ると家族の朝食、子供らを学校へ送り出し、またハウスへ一目散、日が沈むまでの野良仕事、耕運機いっぱいに積まれた野菜の選別と箱詰めで夜の十時、十一時まで働く、こういう一例も話されました。こういう過重労働が至るところであるわけです。ですから、二十代の専業農家の主婦の人が、私はこのままいけば三十代になれば腰が曲がるのではないかと思えてならない、こういう不安も訴えられました。農夫症の「フ」は夫という字を書くのですけれども、最近は婦人の婦を書く、こう言えるほどになっているわけです。
 私は再三そういう婦人の人たちから状況を聞いているのですけれども、特にことしは国連婦人の十年の最終年でもありますし、その所管の一環を担っていらっしゃる農水省の大臣として、ぜひ婦人のこうした生の声を聞く機会を持っていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#235
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたします。
 農村婦人の果たすべき役割につきましては局長が話したとおりでございまして、農業生産や農家生活の運営に大きな役割を果たしておるということはよく承知しております。そんなことで、婦人の役割が大変評価され、婦人の社会活動への参加が今後一層促進されることは、農業とか農村の発展のために欠くことができないものと考えております。そんなことで、今後できるだけ多くの機会をとらえまして農村婦人の方々の声を聞くことにより、その意見を十分政策に反映いたしたい、このように考えております。
#236
○中林委員 大臣もいろいろな集会だとか大会だとかいう機会には婦人の声も聞いてこられたと思うのです。ただ、大臣が主催とか、そういう一応このために開く会というものを、どうも農水省にお聞きすると、今まで歴代の大臣もそういう機会は特別には持ってこられなかったようにお聞きしますので、ぜひそういう場を設けていただきたいというふうに思います。
 健康破壊の中には、農家の生活全般からくる過重労働だけではなくて、近年は大型農機の普及に伴って機械にふなれな婦人が農業を担っていかなければならないという現状があるわけです。いわゆる農機などによる事故が多発することによる傷害、災害も非常に多くなってきております。毎年農作業中の事故で約四百人前後の人が亡くなっているという悲しい実態があります。農業就業人口が約五百万と言われていることから考えますと、この死者数というのは大変なウエートを占めていることになります、しかも、この死亡者のうち四人に一人が女性なんです。死者がこんなにいるということは、傷害者をも含めますと莫大な数になると思います。農水省では農作業に関係する年間の死傷者数の実態を調査していらっしゃるのか。いるなら、その平均的な数を明らかにしていただきたいと思います。
#237
○関谷政府委員 御指摘のございました農作業事故の問題は大変大事でございまして、これを的確に把握しまして防止対策を講じる必要があるわけでございます。
 このため、昭和四十九年からでございますが農作業事故調査を毎年実施しまして、その実態の把握に努めているところでございますが、その中のまず死亡関係につきましては、全国の各保健所にあります人口動態調査の個票でございます人口動態調査死亡小票というのがございまして、その閲覧によって死亡事故を調査しておるわけでございます。一番最近の数字でございますが、五十七年が大体年間三百七十一人ということで、その前の年も大体三百五、六十人から三百八、九十人くらいの方が農作業事故により死亡しておられるわけでございます。
 この事故の内容でございますが、農業機械あるいは施設作業による事故が三百七十一人中二百七十七人、約四分の三でございまして、機械、施設以外の作業による事故が九十四人でございます。男女別には男性が二百九十六人、七九・八%でございまして、女性が七十五人、二〇・二%ということで、この男女比の傾向も大体年次的にはこのくらいの数字でございますので、死亡事故という面では相当大きいということが見られるわけでございます。
 農作業の事故による受傷者、負傷の関係につきましては、これは調べ方がなかなかむずかしいものですから、標本集落調査によっておりまして、六百十集落、戸数で二万九千三百十一戸でございまして、五十七年暦年で見ますと、二万九千三百十一戸のうちで傷害事故件数が二百十二、大体一%弱というようなところでございます。その内訳の農業機械、施設作業による傷害の事故が百三十九人でございまして、それ以外の事故が七十三人、男女別には男性百四十七人、女性六十五人で、この場合の女性の比率が三〇・七%でございますので、かなり比率としては高い、こういうような状況を把握しております。
#238
○中林委員 死亡者の方の数はつかんでいらっしゃるんですが、負傷者の総数が把握されてないということが非常に残念に思うわけですね。今全国から抜き出した六百十集落の話をなさいましたけれども、私の手元には五十六年の調査しかありませんので、六百八集落の傷害事故の件数でちょっと計算してみたんですが、最低八日間以上休業せざるを得なかった事例が百四十七件で、これを計算しますと千人に対して一・四件、こういう数字になると思います。農業就業人口が五百万人とすると、平均的にしてみますと何と年間七千人もの人が八日以上の負傷をしている、こういう数字になってまいります。さらに全国農協中央会のアンケート調査では、農業機械による年間受傷率が男性五・六%、女性三・六%というデータもあるわけですね。
 農業婦人の典型的な農機具事故例について私がこれまで見聞きした例をちょっと紹介したいと思います。ぜひ大臣にも聞いていただきたいと思うわけです。
 これは婦人の話です。「私がテーラーを運転中、バックギアに入れたところ、急にバックしてハンドルが持ち上がったため、ハンドル部分で胸部を打ち、肋骨にひびが入った。」二番目ですが、三十五歳の婦人の方です。この方が、御主人が通年臨時工で出てしまっているので、秋の農作業のときコンバインを運転しておりました。そのとき子供が泣いたので、それに気をとられた瞬間に手をロータリーにとられて指三本をもいでしまったのです。ところが、三年ほど前のことで保険制度も全くなく、労災にも入っていなかったので、何の保障もないわけです。しかも指三本ですから障害者手帳はもらいますが、五級ですので、障害者の年金ももらえないわけです。中指がないというのは臨時工としても差別され、まともな賃金労働はできないのです。ということで、子供が泣いたのでそれに気をとられてというのは、まさに婦人でなければ起き得ないような事故なわけですね。
 それから、大変悲惨な例なんですけれども、私の地元で最近起きた例です。これは死亡したときが四十二歳で、死亡事故という大変な事故になったんです。午前十時ごろ一人で農作業をやっていた。なぜ一人でやっていたかというと、御主人は夜勤があった。帰って寝ていて午後から一緒に作業しようと思っていた。稲の脱穀を行う準備のためにハーベスターを運転し、稲はでまで機械をバックで歩行中、稲はでと機械に挟まれて窒息、一人でやっていたために発見されたときは既に死亡して機械だけが動いていた。こういうことで、水田が一・五ヘクタール、山林が十ヘクタール、乳牛四頭、肥育十一頭、この畜産の方はこの婦人の方が一人でかかりきりでやっていて、近所では働き者ということで評判だったそうです。しかし、この方も労災加入をしていない、農協の生命共済にわずか加入していただけだ。こういうことで、この婦人の亡くなった後は畜産はやめてしまった、水田も大部分を委託に出してしまった、御主人は日雇いに出ている、こういうことで、こうした農作業の事故が農業放棄にまでつながってきているというとても大変な事例があるわけです。
 大臣、こういった事例をお聞きになってどういう御感想をお持ちでしょうか。御感想だけで結構です。
#239
○佐藤国務大臣 今のお話を聞きまして、大変お気の毒なことだと思いますが、万全な調査をいたしてみたいと思っております。
#240
○中林委員 本当に大変なことになっているわけです。
 それで、いずれもこれは最新式の機械によって負傷したケースであるわけですね。こうした事態を考えていたのかどうかはわからないわけでありますけれども、先ほど紹介いたしました国連婦人の十年の行動計画にも、実は次のような項目が入っているわけです。婦人が近年の農業技術の高度化、装置化や経営の多角化等に対処できる知識、技術を十分発揮できるよう普及、指導の充実を図りますと。農水省はこの五年間、こうした機械を使用する婦人の知識、技術の高揚に向けてどういうことをやってこられたのか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#241
○関谷政府委員 農作業の安全ということで、これは大変大事な部面でございます。これにつきまして、私ども従来から市町村農作業安全推進事業というのを実施しておりまして、六十年度予算で大体二億一千百万くらいの金額でございます。その中で、これは全体的に農作業安全推進会議を開き、安全巡回指導をする、安全点検をする、農作業の環境を整備する、こういうようなことを重点的に実施しておるわけでございますが、特に老人、婦人の方のような大変安全面に配慮する必要がある方々につきましては講習会も開催する、こういうようなことを含めて安全推進をしまして、事故防止に努めているところでございます。
 なお、別途安全推進の啓蒙事業ということで、委託によりましてテレビスポットを利用しまして安全意識の高揚、安全対策の普及に努めておる次第でございます。
#242
○中林委員 それなりにやってきたとおっしゃるのですけれども、しかし農家の婦人に聞きますと、そうした政府の行政指導によってこの技術を習得したとか、そういう答えは非常にわずかになっているわけですね。先ほどもお話ししました関東弁護士会連合会がまとめました農業婦人の問題でのこのアンケートの結果を見ますと、こういう技術習得はどこから知識を得たかという問いに、家族や近所の人から学ぶというのが六五%にも達しております。先ほどおっしゃった巡回で学ぶ、つまり改良普及所員から学ぶというのが三五%です。ですから、そういう意味ではまだまだこれは徹底されていないというのが受けとめ側の状況なわけです。
 それで、こうした農業機械による事故についていろいろ調べているうちに、その機械の安全装置が不十分なところから来る事故も結構多いということに気がつきました。農業婦人の事故による診断を数多くやっていらっしゃるあるお医者さんからは、少なくとも今日の農業機械はまだ女性用にはつくられていないという指摘が出るほどです。農機具メーカーは売らんかなの姿勢で、見た目ばかりに力を入れているという実態で、政府機関で農機具の安全性確保の研究なり指導をしているところがあるのかどうかということを調べておりましたら、あったわけです。農業機械化研究所という政府特殊機関が昭和三十七年に設立されておって、現在九十一人の職員と年間十一億円を超える予算で運営され、そのうち約七億円は政府の補助金となっているわけですね。この研究所の業務には、農機が農民にとって安全かつ便利に使えるような研究なり開発業務及び検査業務が入っているのでしょうか。入っているかどうかだけお答えください。
#243
○関谷政府委員 機械化研究所の業務、大きく分けまして一つは研究でございます。これにつきましては、危険防止の措置あるいは座席振動の軽減法の開発、騒音の低減、こういうような研究がされております。
 次に、型式検査におきましても、機械の性能、耐女性のほかに安全性、操作の難易度、こういう問題についても検査を実施しているわけでございます。
 さらに三番目としまして、特に安全鑑定ということをやっております。安全防護措置などの装備状況のチェック、こういうことを主要な農業機械二十八機種を対象に実施しておる状況でございます。
#244
○中林委員 しかし、先ほどから紹介しております事故例のように、ちょっとした油断のうちに大けがになってしまう機械があるというのも現実なんですよ。私もいろいろ話を聞いておりますと、トラクターの機械を買うにしても、もうちょっと政府がこの機関で注意を払ってもらえれば非常に助かるなということも指摘を受けている事例があるわけです。
 今、乗用トラクターによる死亡事故が非常にふえておりまして、昭和五十五年の調査では全事故数の四九%がトラクターによる事故になっているわけです。婦人の方がおっしゃっていたわけですけれども、メーカーから来る機械を見ると、背もたれがついてないということです。背もたれがつくかつかないかで事故が未然に妨げるかどうか非常に大きい。しかし、それをつければそれだけの価格は上がりますよということで、お金を出さなければつけてもらえないという状況なんです。こういう機関もあり、当然安全性もちゃんと確保することが業務の中身になっておりますから、ぜひこういう――ちょっと考えればわかるようなところが、いわば義務づけになっていない。先ほども言ったようにメーカーの売らんかな、こういうのをつければどんどん農業機械の価格が引き上がっていくという実態が現実に起こっております。
 この研究所は、ほかの特殊法人と同様に六人の役員全員が農水省の天下り役員でありますし、それから資本金のうちの約二億円と、三億円を超える寄附金が民間から入っているということですね。さらに、事業収入として毎年二億五千万円ほどがやはり民間から入っている。研究所の研究員や一般の職員の方々は安全研究に精を出していらっしゃると思うのですけれども、役員だとか資本がこういう高級官僚や民間からの出資では、本当に末端の農民や婦人の人たちの声を聞いて使いやすい機械の開発に生かされていないのではないか、こういうふうに疑わざるを得ないわけなんです。ですから、農機事故を少なくするという立場から、この研究所の一層の体制整備をぜひお願いしたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。
#245
○関谷政府委員 機械化研究所につきましては、ただいま申し上げましたような安全面で、例えば防護カバー類の装備とか、あるいは既にできましたもののフレームがいろいろな衝撃あるいは倒伏等に耐えるかどうか、こういうような検査等も実施しております。
 御指摘にはいろいろございましたけれども、こういう安全面というのは現在の農業機械の製作、開発、またその利用面で大変大事なことでございます。これにつきましては今後とも十分力を入れるように同研究所に対し指導してまいる考えでございます。
#246
○中林委員 農機具の事故に関してもう一つ重要なことは、現行の労災制度が不十分であるということなんです。一九六五年から労災保険に農民が特別加入する道が開かれましたけれども、加入対象者が、一定の人数を雇って農業をやっている人かあるいは指定農機の使用者でないと入れなかったり、農作業中の事故以外は労災適用がされないとか、農薬事故では対象外だとかいろいろな制限が多過ぎるわけです。さらに、加入組合の結成、これが要件に入っているために加入手続が非常に難しい。そのために、農業就業人口五百万のうち労災加入数は約十三万人と非常に少ないわけですね。ですから、もっと加入率を高めるための手続の簡素化、これを進めるべきだと思うわけです。
 そこで、労働省にお聞きするわけですけれども、この簡素化の問題で、加入組合の結成の要件、これを外すということにはならないのでしょうか。
#247
○佐藤説明員 お答えいたします。
 現在の加入要件を申し上げますと、大体、中小事業主は三百人以下の零細事業主が対象になっておりまして、そういう意味では、労災保険事務処理に大変ふなれな面があるということもございまして、私ども、中小事業主の事務処理面の負担を軽減するために、事務組合を経由して加入するように指導しているところでございます。さらには、私ども行政サイドで申し上げますと、労働災害防止の指導面の分野もあるわけでございますけれども、そういった面も労働保険事務組合を通じて指導することによって、より効率的な指導ができるのではないかというふうに考えております。
 そういう意味合いをもちまして、これらの加入要件というのは制度運用上の必要最小限のものではないだろうかというふうに考えておりまして、特に加入手続を煩雑にするものではないというふうに考えておりますので、御理解をいただきたいと思います。
#248
○中林委員 加入手続はそんなに複雑ではないとおっしゃるんですけれども、現実に加入数はふえていないと思いますね。
 国営労災が、今指摘したような制限や手続が難しい、こういうことから、最近では各自治体や農業共済組合単位の独自の労災事業が広まっております。
 島根県の津和野町の例ですけれども、これは町単独で農業労働者災害共済、この制度を昭和五十四年度から発足させております。現在農家が八百戸、そのうち七百五十戸が加入しております。加入者は、農作業中の負傷については、健保や国保でカバーできない医療費は全額この共済で負担される、それから休業補償も通院について一日幾らというふうにこれも補償されるわけです。しかも、この制度は家族全員が対象となっておって、農薬による被害も含まれているわけです。これだけ完備しているのに、年間の予算は、まあ小さい町ですからあれですけれども、わずか百三十四万円の予算があれば済む、こういうふうにおっしゃっているわけですね。ですから、自治体が単独でやっているんですから、国はもっと積極的に取り組まれるよう要望したいと思います。
 特に、どうしても改善してほしい点を労働省の方に要求したいんですが、農家の場合、世帯主である夫が労災に加入しても、実際には先ほどいろいろお話ししましたように、農機具を動かして事故に遭う率が高いのはやはり妻の場合の方が多いわけです。標本集落調査結果、昭和五十五年のを見ましても、一番働き手である三十代から四十九歳までの働き盛りでは女性の方が四五%、男性の方が三六%と、受傷割合は女性の方が上回っているわけなんですね。ですから、そういう事情を考慮していただいて、家族で加入できるようなシステム、これを前向きに検討していただくわけにはいかないのでしょうか。
#249
○佐藤説明員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の点でございますが、現在私ども労働者災害補償保険審議会の中に公労使三者構成でやっております労災基本問題懇談会というのを創設いたし、各制度の問題点等について検討いたしているところでございます。したがいまして、先生の御指摘の点等につきましては、特別加入制度全般のあり方について検討しておりますので、その結果を見守りながら今後の対応をしてまいりたい、このように考えております。
#250
○中林委員 ちょっと農薬の問題も取り上げたかったのですけれども、あと林業問題を取り上げたいと思いますので、労災の問題は以上で終わらせていただきます。労働省の方ありがとうございました。
 それでは次に、林業問題で御質問させていただきたいというふうに思います。
 ことしは国際森林年で、中曽根総理も施政方針演説で積極的に取り組んでいきたい、こういうふうにおっしゃいましたし、大臣も先ほどの所信でも積極的に取り組んでいく、こういうふうに述べられているわけですけれども、具体的には大臣どのように取り組んでいくお考えなのでしょうか、なるべく具体的にお話ししていただければと思いますが。
#251
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 国際森林年の記念事業については森林・林業に関する国民の理解を深めるために三つの点を中心に施策を進めたいと思っております。
 その一つは、国際森林年記念の森の造成、二番目には、国際的な記念シンポジウムや森林・林業展等の行事を総合的に実施する。三番目には、次代を担う中学生を対象として森林・林業の役割を解説したビデオ、副読本等を作成、配布するということを中心に考え、現在関係各省庁、関係団体と検討を進めております。
 また国際的には、現在設立の準備を進めております国際熱帯木材機関に拠出し、熱帯における森林造成等に関する事前調査を行うこととしておるほか、国際協力事業団を通じまして造林や森林保全等の林業分野における経済協力を一層推進してまいりたいと考えております。
#252
○中林委員 私はそういう行事的な問題だけに終わるのではなくして、本当に国際森林年にふさわしい対策をぜひとっていただきたいということで、以下いろいろお伺いしたいと思うのですが、アメリカの政府がまとめた「西暦二〇〇〇年の地球」という本によりますと、世界的な森林枯渇化ということが、特に東南アジア地域などの熱帯林で年々二万ヘクタールもの森林が砂漠化すると指摘しているわけです。日本の大企業がインドネシアだとかフィリピンだとかマレーシアなどの東南アジアで南洋材を大量に買い付けていることが、これらの一つの大きな原因になっております。ですから、そちらの方の国々から日本は森食い虫だ、こういう批判を受けているわけですけれども、外材依存の政策を改めて国産材の供給を優先する、つまり木材の自給率を大幅に高める、こういうことがFAOの決議に照らしても国際森林年にふさわしい対策ではないかと思いますけれども、大臣いかがでしょうか。
#253
○田中(恒)政府委員 日本の国は有数の林業技術を持っておる国でもありますし、かつては大方木材を自給をした国でもあります。三十年以降の高度経済成長で大量の外材を輸入せざるを得ない状態にはございますけれども、現在の日本の人工造林地は生々と発育をしておりまして、年々その生産性も高まっておる。したがいまして、これを二十一世紀には国産材の時代に至らしめなければならぬ、それが日本の林業、山村のためにもなる、そういうことで進めてまいりたい。
 しかし、日本は木材を相当大量に消費いたしますので、現在の国際貿易環境下におきましては、相当量の外材もまた入らざるを得ない、入れなければまた日本の経済の発展もないというような状況にあると思っております。
#254
○中林委員 もう輸入するということが大前提になっているように思えて、非常に遺憾だと思うわけです。特に日米諮問委員会の報告の中で、農林水産物全体についてお伺いしたいと思いますけれども、林産物についてだけちょっとお伺いしますが、「日本の市場は米国の林産物、特に加工品に対して十分開放されていない。」「日本は加工林産物に対する障壁の軽減を進め、最終的には他の工業諸国と同等の関税水準の達成を目指すべきである。」こういう提言をして、関税引き下げを要求しているわけですね。もしこの引き下げが行われれば、日本の木材関連会社、あるいはひいては林業全体に大きな悪影響を及ぼすということは火を見るよりも明らかだと思います。ですから、こういう日米諮問委員会の報告で、中曽根総理は、農産物を含めたそういう貿易摩擦をしないように、三月末までにはやりなさいということを各省庁に指令を出したとお伺いしているわけですけれども、林産物についての関税引き下げの要求について大臣はどのようにお考えでしょうか。
#255
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 実は農林水産物の問題につきましては、一月二日に中曽根・レーガン会談におきましてレーガン大統領から四項目の話が出たわけでございますが、中曽根総理は現在日本の森林業の現実をよく理解しておりまして、極めて難しいことを言われたわけでございます。また、こちらへお帰りになりまして、四項目につきましていろんな提案がございますけれども、中曽根総理は、御存じのようなことでございますが、予算委員会等におきましても、木材産業につきましては大変厳しいということを答弁されております。
#256
○中林委員 いや、大臣のお考え、中曽根総理のお考えではなくて、大臣のお考え。
#257
○佐藤国務大臣 私も同じです。
#258
○中林委員 厳しいということは、受けるということにとっていいわけですか。引き下げはしないという言明はいただけないのですか、引き下げには応じないと。
#259
○佐藤国務大臣 一番問題は合板事業等でございます。御存じと思いますが、現在百四十社ございますが、一社も黒字の会社はございません。そんな状況でございますし、一切応じないつもりでございます。
#260
○中林委員 大臣の決意はわかりましたけれども、アメリカ側の要求は非常に強いということを私どもは改めて今感じているわけです。レーガン大統領が、大統領選挙で自分の地元であるところのいわば森林メジャーと言われるところに、日本の関税引き下げは断行していくんだということを公約に掲げてやられたというようなことも背景にしながら、実はアメリカの林産物協会が日本のいろいろな関係筋に、こういうものでいろいろ見られたと思うのですけれども、非常にまこと勝手好きほうだいなことが書かれていると思って、私は本当にびっくりしたのですけれども、日本に対する最大の供給者だとか、今がチャンスだとか、非常に影響が少ないとか、大変なことが書かれているわけですね。自動車産業だとかそういうところとは同盟関係にあるとまでここには書いてあるわけですね。ですから、そういう犠牲が、農業者にも及んでまいりましたけれども、今度はそういう合板会社を含めた林産業全体に及ぼうという非常に大がかりな動きだと思いますので、こういう圧力に屈しないで、ぜひ頑張っていただきたいということを再度御要望いたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#261
○今井委員長 次回は、明二十一日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時五十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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