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1984/04/24 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第16号
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1984/04/24 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第16号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第16号
昭和六十年四月二十四日(水曜日)
    午前九時三十一分開議
出席委員
  委員長 今井  勇君
   理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君
   理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君
   理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君
      大石 千八君    加藤 卓二君
      鍵田忠三郎君    瓦   力君
      菊池福治郎君    鈴木 宗男君
      田邉 國男君    月原 茂皓君
      中川 昭一君    仲村 正治君
      野呂田芳成君    羽田  孜君
      保利 耕輔君    松田 九郎君
      三池  信君    山崎平八郎君
      若林 正俊君    上西 和郎君
      串原 義直君    島田 琢郎君
      新村 源雄君    日野 市朗君
      細谷 昭雄君    松沢 俊昭君
      駒谷  明君    斎藤  実君
      水谷  弘君    吉浦 忠治君
      稲富 稜人君    菅原喜重郎君
      津川 武一君    中林 佳子君
 出席国務大臣
       農林水産大臣   佐藤 守良君
 出席政府委員
       農林水産大臣官
       房審議官     吉國  隆君
       農林水産省経済
       局長       後藤 康夫君
       農林水産省構造
       改善局長     井上 喜一君
       農林水産省農蚕
       園芸局長     関谷 俊作君
       食糧庁長官    石川  弘君
 委員外の出席者
       農林水産委員会
       調査室長     矢崎 市朗君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  太田 誠一君     瓦   力君
  佐藤  隆君     仲村 正治君
  月原 茂皓君     加藤 卓二君
  山崎平八郎君     中川 昭一君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤卓二君      月原 茂皓君
  瓦   力君     太田 誠一君
  中川 昭一君     山崎平八郎君
  仲村 正治君     佐藤  隆君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農業災害補償法の一部を改正する法律案(内閣
 提出第四八号)
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案(内
 閣提出第六一号)
     ――――◇―――――
#2
○今井委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、農業災害補償法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。日野市朗君。
#3
○日野委員 私が社会党の最後の質問者のようであります。それで、共済の問題についてはいろいろな観点からの質問がもう既になされておりますので、私はちょっと見方を変えた質問をさせていただきたいというふうに思っております。
 私はこの法案を勉強しておりまして、ふらっと二・二六事件が頭をかすめたんですよ。あのときの青年将校たちの大義名分の一つに、凶作に泣く東北の農民の貧困という一節があったわけでございまして、まさに私は東北の農民の末でございますから、そういう言葉を聞くと胸に響くものがございます。凶作というのは北海道が最近よく言われておりますが、東北も本当に凶作に泣かされてきた。冷害、干ばつ、水害、これは私の子供のころからの記憶をたどっただけでも一再ならずでございます。そういう思いを持ちながらこの農業災害補償制度を見ておりますと、いろいろな感慨がございました。そういう思いを持ちながら若干質問をさせていただきたいと思うのでございます。
 私はこの農業共済の制度は、非常にこれまでの日本の農村、農業を救ってきた、そして地域社会にも非常に好ましい影響を与えてきた制度であるというふうに考えております。私の考え方からいたしますと、これでもまだまだ不十分なのではなかろうかというふうにさえ思っていたところでございますが、今度の改正を見てみますと、また一歩国の方が農業から撤退かという思いを非常に強くしてなりません。そもそも農業共済というのは、国民の食糧を確保するという食糧政策としての一面に非常に強いモチーフを持っているわけであります。国民の食糧を確保するということは、日本の農業の生産力を確保していこうということになるわけでございまして、そういう点からすれば、日本の農業というものがこれからの生産力を確保していく、そのためにはもっと農業を守っていくという視点が必要ではないかというふうに私は思っているのであります。
 最近は、農業も十分に競争力を持ちなさい、ほかの国の農業に対してコンペティティブになりなさいという立論がなされております。それはよく存じております。しかし、私はそういう立論がありながらも、国がまずなすべきことは、国民を食わせる、国民の食糧というものの十分な補給が常にできるという政策、これが農政の基本になるのだというふうに思っているのですが、いかがでございましょう。私のこういう考え方と同時にいろいろな考え方があるのはわかりますが、基本的な農水省の考え方として、日本における食糧の生産力はどうしても確保していくのだ、自分たちの手で守るのだという考え方はございますでしょうか。
#4
○佐藤国務大臣 日野先生にお答えいたしますが、我が省は日本国約一億二千万の国民に食糧を安定供給するという大きな役目を持っている、農は国の基本であるということでございまして、どうしても守りたい、私はこんな気持ちを持ってやっております。
#5
○日野委員 日本の食糧の生産力ということになりますと、これは非常に漠然とした言い方になって恐縮でございますけれども、現に自給率を高めようということを言いながら、日本の食糧の自給率というのはまだ三〇%台にとどまっているであろう、これはいろいろな数字のとり方があるのでありますが、一般的にはそういうような理解であります。このようなときに当たって、国の農業生産力を高めていくという必要性は農水省も感じておいでになるところだろうというふうに思いますが、いかがでございましょう。
#6
○後藤(康)政府委員 御指摘のとおり、我が国におきまして国内生産で可能なものはできるだけ国内で生産をしてまいるということで、私どもの省といたしまして各種の施策をやっているわけでございますが、農業災害補償制度、これも、積極的に生産力をそのこと自身によって増進をするというものではございませんけれども、不慮の災害から農業経営を守ることによりまして、この生産力の発展を下支えするという意味で非常に重要な制度だと思っておりますし、先ほど大臣がお答えを申し上げましたような線に沿いまして、私ども共済制度を考える場合にもそういう姿勢でいくべきものと考えております。
#7
○日野委員 今局長がお話しになったことは私も賛成であります。まさにこれは生産力を下支えするような制度なのでありますが、農業の生産力ということを考えてみますと、いろいろな要素がございますけれども、農業を実際にやっていく個々の農家の経営の健全性というようなものも、十分に考えていかなければならない一つの要素であろうというふうに私は思っております。ということは、農家というのはまさにおてんとうさま相手の仕事でございますから、農業災害をこうむるという可能性というものは、これは常にそこに直面しながらやっているわけでございます。自分たちが一生懸命やってもどうにもならない天災が来る可能性があるということを農民は十分承知しながらも農業をやっていく。これは自分の生活のこともありましょうけれども、自分たちが日本人の食糧を支えるという気概といいましょうか、そういったものも非常に強く作用していると思うのです。そういうときに農民に対して、国もしかるべき措置を講ずる、あなたたちも頑張れというバックアップをするということが、精神的にも非常に大きな作用を持つと思います。いかがでございましょう。
#8
○後藤(康)政府委員 農業生産者の中にも、いわゆる中核的な担い手、あるいはまた反面、農業収入に依存するところの少ない、米で申せば飯米農家と言われるような方々まで、いろいろおられるわけでございますけれども、我が国の農業生産を支えている担い手の方々にそういうバックアップをするという、いろいろな面で制度的にバックアップをしていく必要があるということは御指摘のとおりだと思います。我が国の農業災害補償制度も、先ほど戦前の二・二六のお話がございましたけれども、戦後こういう農業災害補償法というような形で制度が整備をされましたことが、やはり何回か見舞われました大きな災害から農業を守りまして、経営の安定に果たしてきた役割というものは非常に大きなものがあるというふうに私は考えております。
#9
○日野委員 こうやって私と局長また大臣とお話をしていると、お互いに話も、大体問題の意識もそうずれはないというふうに思うのです。ところが、政策的な流れの現象面をずっと見てまいりますと、国のやり方と我々がここで話しているところとの間に大きなギャップが生じてきているような気がしてなりません。つい先ごろは金融三法の審議をいたしましたね。そこでもやはり金融面から国の方が手を抜いてきているという一つの現象を私は見ることができたように思いますし、今度は農業災害の面で、国の方の補助金でございますな、その補助金の引き下げというような姿勢が見えてくる。そういうところに中曽根さんあたりが、経済関係閣僚会議ですか、農業ももう聖域ではないということまで言い出す。国会なんかで一生懸命になって自給力を向上させるということを決議をしたり、農業団体も自給力を上げようという決議をしたりしているにもかかわらず、制度、政策の現象面をずっと見てまいりますと、残念ながら農業については国の方のしっかりした支えが、バックアップ体制がどんどん後退をするというような感じがしてならないところでございます。
 いかがでございましょう、大臣、あなたが現に大臣に就任されて、あなたがそれを意図しておられるかどうかは別として、現象面として今幾つか私は指摘をしたわけですが、こういう現象面が進んできている、政策的な現象がこういうふうにあらわれてきているということについての御感想はいかがでございましょう。
#10
○後藤(康)政府委員 私ども、例えば農業災害補償制度を例にとりましても、この制度、組織あるいは国の財政的な関与の仕方、そしてまた仕組み、私、本当にこれは世界に例を見ない、ある意味では世界に冠たる農業災害補償制度だと存じております。世界的に見ましても、例えば今度のアメリカの農業法案などを見ますと、作物保険に対します国庫補動も全部やめていくというような方向でございますけれども、御審議願っておりますように行財政改革の厳しい状況の中でございますが、やはり我が国農業の特性ということで、超過累進制という形での国庫負担をあくまでも残すということで私どもやってまいってきておるわけでございます。
 もとより、行財政全体につきまして効率的な執行を求められている、そういう中でいろいろ、政策をある程度重点的にめり張りをつけて実施をしていかなければいけないという面が出てきていることは事実でございますけれども、そのことによりまして私ども、農政の姿勢が崩れたとか後退したというふうには必ずしも考えておらないわけでございます。
#11
○日野委員 そこいらになると大分私と局長との間には、微妙ではない違いがあらわれてきているような感じがするのですが、要は農業というものに対する見方ですね。農業に対する国政の中での評価、位置づけというものを私は決して後退させてはならないと思うのですよ。
 何か昔は、農林水産省というと非常に有力なお役所でございまして、天下の秀才雲のごとくに集まったところであって、役所としての格式も高くあったところのようでありますが、どうも、最近見ていると非常に受け身の姿勢が目立つ。本当は農業共済についても、共済の重要性ということをもっともっと大蔵省あたりにも理解させる。理解させた結果がこうなんだという言い方をされると、御苦労のほども知らないわけではございませんから、私も舌の先も鈍ってくるわけでありますが、もっともっとやはり農業というものに対する評価を高めなければならないだろうというふうに思うのですね。
 何か中曽根さんが、農業ももう聖域ではないぞ、そんなことを言われる。一方では、佐藤農林大臣は、いや農業は特別だ、聖域である、こう断言してはばからない態度をお示しになったということは、私は非常に多とするところでありますが、どうでしょう、私は農業というのはやはり聖域であると思うのです。国民を食わせることが政治家の使命でございましょう。大蔵省が何ぼ金を積み上げていようが、国際企業が何ぼ数字を貸借対照表に並べようが、そんなものでは食って、生きていけないのです。最後はもう食い物ということになるのでしてね。やはり農業は聖域、このことはどうしても頑張らなければいけないだろうというふうに思っていますが、どうでしょう、大臣。
#12
○佐藤国務大臣 日野先生にお答えいたします。
 実は、総理の発言が少しオーバーに伝わっている感じがいたします。あの十九日の朝の政府と与党との対外政策連絡会議におきまして、私が発言いたしたときに、メーンの発言の中に、やはり農林水産物についてはトーンを下げまして、農業については諸外国とも特別の扱いをしているけれども、といって聖域じゃないので、見直しを一遍やってもらいたい、こういうようにトーンを下げて言いました。ところが、新聞等を見ますと、正確に伝えているのは一紙しかなかったですね。あとは全部、がんとやったように言っていますが、それを見て私は、中曽根総理大臣といろいろな農林水産問題の話をしておりますけれども、かなり理解を示していただいている、こういう感じがしているわけです。
 そんなことでございまして、今先生がおっしゃったとおりですが、農業というのは生命産業としまして、国民生活にとって最も基礎的な物資である食糧の供給を初め、国土、自然環境の保全等、極めて重要な役割を発揮しております。また、地域社会におきましては、これは就労の機会の提供などがございます。そんなことでございまして、私はやはり聖域であるという理解のもとに今後とも努力したい、こう考えております。
#13
○日野委員 日米欧三極会議のレポートが出されておりまして、ここなんかは完全に国際分業論でございますね、あのトーンを見ておりますと。逸見先生なんかもその起草者の中に入られておられるようですが、逸見先生、今まであんなふうに考えておられたのかどうかということになると、これはいろいろ推測で物を見るしかないのですが、大分ラジカルな考え方がそこに示されている。ああいうものが一つ出ると、国際圧力は強まってまいります。
 私、この間もアメリカに行ってみて、アメリカの新聞等、これは買って読みます。そうすると農民の苦労話でございますね。かつてはサクセスストーリーだったのが、今は苦労話、泣き言、それがずっと載っている状態でございましょう。ああいう状態、これは日本に必ず響かないはずはない。そこに三極会議のレポートのようなものが出る。それから中曽根さんの、農業すら聖域ではないという、こういう発言が出る。それ、一押し押せという動きが必ず出てくるでしょう。そういうときに日本は、まあバリアーを高くしろなんということを言うのじゃありませんけれども、日本は日本で農業を守るという体制を、これはもうきちんとつくっておかなければならないのだというふうに思います。これを十分につくる、日本の農業を守るために、そういう考え方、そういう思想、そういったものをきちんとつくっていく、そういうことをお約束いただけますか。
#14
○後藤(康)政府委員 私ども経済局で国際関係の仕事もやっておるわけでございますが、特に我が国の大幅な貿易黒字の存在というところから、今国際的に我が国は非常に厳しい批判のもとにさらされておる実情にございます。今お話のございましたように、我が国の農業の重要性、そしてまたもう相当な農産物あるいは農林水産物の大輸入国になっておるというようなことにつきましても、必ずしも国内あるいは諸外国に十分知られていない面があるということにつきましては、私どもも自覚をいたしております。我が国の農業の健全な発展を守るためのいろいろな手だて、あるいはまた各方面の理解を得るための努力、内外を問わず、これはやはり強化をしていく必要があるというふうに考えております。
#15
○日野委員 私は実は局長ほど日本の農業の持っている生産力に対する過信はないのですよ。私もしょっちゅう農村には入ります。そこで、農村でどのようなことを考えながら農民たちが農業に従事しているかということも知っています。そういった精神面での脆弱なところ、これは一つございますよ。非常に大きく作用しています。特に若い農民の間に、いつか機会があったら農業から逃げ出そうかという機運が働いていること、これは一つ指摘しなければいけませんね。
 それからもう一つは、やはり農地による制約というものがあるということでございますね。それと日本の経済機構の中で、産業構造の中で、農業というものが伸び得ない、自分の力で伸びる意欲を持った人も伸び得ない、頭を抑えられている、そういう状況というものがやはりありまして、そういった面から見れば、技術がよくなったではないか、農薬等がよくなったではないか、機械がよくなったではないかといったって、そんなハード面で華々しく見えるほどソフトの方は十分に備わっているかというと、私は必ずしもそうは思っていないのです。私は局長ほどの過信を持つことはできない。もっと農民は安心してやりなさいよ、これだけのことはやってあげますよ、そして農業を支えていくためのバックアップを前進させますよという姿勢が農政の担当者になければ、私はこれからの日本の農業の生産力を高めていくということはできないだろうと思う。
 私は、この現在の世界の平和的な安定というのは、今までの歴史から見れば異常なことのようにさえ思えるわけでして、やがていつかはこれは波風があるということを常に想定しながら国内における農業の問題も考えていかなければならない。そういうときに、そういうことを念頭に置きながら考えれば、日本の農業の生産力というのは、そんな今の程度では足らぬというふうに私は思っているのでございまして、特に臨調あたりが農業を目のかたきにして、自立自助の精神だということを言いますわね。自立自助なんて言うと、言葉そのものはきれいだけれども、おまえたち一人でやってごらん、こういうことでございましょう。大体、私が今まで考えてきてみて、農業という産業は花形であったためしがないのですね、これは。そういう中で自立自助でいけという、そして農業に対する国の政策的な配慮が後退をしていく、こういうことになると、私は日本の農業の生産力というのを大きく阻害していく、そんなふうに思えてしようがないのです。ひとつ、ここのところを御感想を伺っておきたい。
#16
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 先生にひとつ御認識を改めていただきたいと思うことが一つありますのは、我が農林水産省は、挙げて日本農業を支えるという決意をもって頑張っておりますから、ひとつそれの御理解をお願いしたいと思います。一歩も後退しておりません。私が入って半年ですが、よく頑張っておるということを特に御理解願いたいと思うわけです。
 そんなことで、実は臨調等の言っております自立自助という言葉、これはいろいろな見方があると思います。私は最初就任のときに申し上げましたけれども、農業は国の基本であるということで、約一億二千万の国民の食糧をいかに安定供給するかという大変重要な役目を持っておる。そういう形の中に、また食糧の安全保障的立場を持っておるというようなことを主張しておるわけです。ただ、問題は農業に経済性をどう加味するかという問題、そういう形の中に、できれば市場開放措置を加味したい、こういうことを申し上げました。ただ、そこには時間と資金を要します。そういうことで、その議論を一足飛びにする人がございますが、それは日本の農業を知らない方であります。それから日本の地理を知らない人、島国であることを知らない人であります。
 そんなことでございまして、私とすれば、今先生と同じような気持ちでございますが、そういう形で今後とも日本の農政を進めていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#17
○日野委員 私も、これは、農業にいろいろな努力をする、農民が努力をする、経営能力をつけていく、技術を高める、そんなことでいろいろ努力をすることによって伸びていく可能性はあるだろうと思う。しかし、ややもすればそういう努力というものは無限のものだという妄想に陥っている議論をされる方が多いのですね。私はそんなものじゃないと思います。やはり農業というものはいろいろな制約要因を持ってやっているのですから、どんなに人間が努力をし、全能力を傾けたって常に壁にぶち当たる、そういうのが農業だろうと思っておりますので、私はそういう中で生産力を高めていくための政策誘導、これはちゃんとやってもらいたいし、農業共済制度もそういった意味では非常に大きな役割を果たしているというふうに思いますので、これ以上の後退は決して許されることではないのだと思っています。きのう私も非常に胸打たれる思いで聞いたのですが、きのうの参考人の御意見を伺いましたら、実際やっておられる方が、ただただ困ったの一語だ、こう言っておられた。非常に胸に突き刺さるような言葉でございます。よくそこいらも玩味していただきたいというふうに思います。
 それで若干質問の論点を変えるわけでございますが、今度水稲共済の当然加入基準が引き上げになるわけでございますね。これは二十アール、都府県でございますが、二十アールというとかなり大きな農家でございます。大体現在の農家の平均の反別は十二アールかそこいらじゃないか。これは動いておりますから今私は正確なところを知りませんが、十二アールから十三アールの間が平均のところだと思うのですよ。平均のところは切り落としてしまうという思想がここにあるわけでございますね。これはどういうそもそもの考え方をとっているのかというと、私はこの辺も非常に危険な考え方ではないかなというふうに思うのです。現在二種兼農家や何かが非常に目のかたきにされておりますけれども、そういったところの生産力というものも、これは決してなめてはかかれない。かなりの量の生産力を上げているわけでございますね。しかも、これは米穀の需給の計画にはちゃんと乗っかっているわけでございますから、こういうところまで共済から切り落としてしまうということについて不安をお感じにならないでしょうか、どうでしょうか。
#18
○後藤(康)政府委員 今回、これは法律事項ではございませんが、政令事項で当然加入基準の引き上げを制度の見直しの一環としてやることを予定いたしておりますが、これは生産性の高い農業経営を育成するという農政の基本方向にもかんがみまして、二十アール未満と申しますと、農業収入に依存するところも少のうございますし、また米の生産という点で申しますと自家消費米の生産が主体の小規模農家ということになろうかと思いますが、そういった方々まで当然加入の対象とする政策上の意義は乏しくなっているものというふうに考えられましたことから、当然加入基準の緩和を図りまして、制度の合理的な運営を図ろうというものでございます。
 もちろん、当然加入基準を引き上げるということが即水稲の作付面積の小さい農家を切り捨てるということではないわけでございまして、また私どももそういうことを考えているわけではございません。任意加入の道は残されておるわけでございますし、任意加入いたします場合に、当然加入の農家と掛金の国庫負担の割合も全く同一の割合で国庫負担をするということになっておるわけでございます。したがいまして、今の共済制度のもとで、この共済制度は組織につきましてもそしてまた掛金の国庫負担につきましても、いろいろこれまでの政策的な積み上げによりまして非常に大きな仕組みができているわけでございますが、これの中で加入を強制をするという仕組みを、制度が発足以来漸次強制を緩和をしてまいりましたが、それの一つの延長線上で、今日の時点に立ってその強制の度合いについて見直しをしたというものでございます。
#19
○日野委員 そのお答えは今までも何度も伺っておるわけでございますが、問題は、日本の農業の生産の構造の中で二十アール以下の農家というものの担っている役割は非常に大きいと私は思います。それをどのようにごらんになるか、大きいと見られるか小さいと見られるか。それはこれからなくすべきだ、この二十アールという線の引き方はちょっと問題があるが、そういう小さな農家というのはこれからもう水稲はやめてもらうべきだと考えておられるのか、いやそうではない、そういう人たちの生産力をもきちんと評価してこれからの計画を立てていくのだ、こういうお考えなのか、問題を絞りましょう。
#20
○後藤(康)政府委員 内地二十アール、北海道六十アールの米の作付農家の重みというものをどういうふうに見ておるかということでございますが、実は全農家につきましての米の生産量、販売量に関します統計資料がございませんので、共済で引き受けております農家につきまして五十九年産で見てみますと、都府県におきまして引受面積が二十アール未満である農家の戸数割合は二一・二%、面積で申しますと四・九%、北海道におきまして引受面積が六十アール未満である農家の戸数割合は九・二%、引受面積の割合は一・〇%、こういったウエートでございます。当然のことながら、戸数に比べますと面積の割合の方が小さいという形になっておるわけでございます。
 こういった農家が生産をいたします水も、我が国の米の需給全体の中で一定の地位を占めておることは間違いないわけでございますが、今後の米の生産を政策的にどこへ志向をしてまいるかということを考えました場合には、やはり政策的な優先度というのは、米の生産を今後将来とも中核的に担っていただける農家層というものを重点を置いて考えていくべきではないか。米の生産の面積に占めます二十アールなり六十アール以下のウエートというものをどう見るかということにつきましても、その作付面積を減らしていいかどうかというような観点と、それからその面積は確保して生産を継続していくけれども、その生産が飯米的な農家で非常に大きな割合を担われていくのがよろしいか、それともやはり米の生産に今後とも真剣に取り組んでいこうという農家で担われた方がいいのかという判断になりますと、恐らくそれは後者ではないかというふうに思っているわけでございます。
#21
○日野委員 局長はどのようにお考えになるかわかりませんけれども、これも成功だったと見るのか、見通しが合っていたと見るのか違ったと見るのかちょっとわかりませんが、農地の集積の度合いというのを見ると、一つは農業基本法をつくろうとした当時の一つの見通しというものはあったわけですね。これは大きく崩れている。大きく崩れました。それから、八〇年代の農政の基本的な見通しですか、この見通しをつくったときも一つの見通しを持ったわけですね。現に見通しを持っているわけですが、その見通しそのものも崩れかけているのではないか。これは見通しができてからそう長い時間がたっているわけではありません。まだその結論を出すのは早いかもしれないけれども、傾向としてはどうです、いろいろな努力をしたにもかかわらず農地が集積されていかない、思ったほど進まないという現象を感じておられませんか。
#22
○後藤(康)政府委員 この問題は構造改善局長からお答えを申し上げるべき性格のお尋ねだと思いますけれども、御質問にございましたように、確かに基本法当時、もう既に亡くなられました東畑精一先生などが、基本問題調査会の答申を出す時点でこれだけの農地価格の急激な上昇が起きることを見抜けなかったところに自分の失敗があったというようなことを晩年言っておられましたけれども、その後規模拡大につきましての考え方も、先生御案内のとおり、いわゆる所有権の取得という形、そういった道も一方で制度金融等で推進をしながら、我が国の土地所有の実態から考えますと、利用権の集積というようなことに一つ政策のかなり大きなウエートがかかってまいりました。農地三法等を通じまして、そういった方向での農地の流動化につきましてはかなりの前進を近年見ておるのではないかというふうに、私、所管外でございますけれども、そういう印象を持っておるところでございます。
#23
○日野委員 どうもこの話、そういう評価の話になりますと、農水省はオフィシャルなものを持っておられるので議論がなかなかかみ合わなくなってくるのですけれども、私の感想を申し上げますと、私はそんなに農地の集積というのは行われていないと見ているのです。自然に、後継者がなくなった場合にこれを貸す、委託に回すというような形は見えますけれども、現実に自分で耕作をする能力を持っている人がこれを貸すということは余りないようです。
 それに私、今度のアメリカの農業危機と言われるものを見ておりまして、農地の賃貸借による規模の拡大を図ってきたアメリカの農業が一つの欠点を大きくさらけ出したのではないかというふうに思っているのです。
 それは、農業危機の最大の原因としては、アメリカの高金利、そして農地を取得する、それから借りるための投資の金利負担に耐えられなくなったというような見方も強く言われていますが、話を聞いてみますと、要するにだんだん小作料が値上がりをしていくわけですね。そして実に驚くべき小作料を払っています。地主というのはいい商売だなというふうに私が言ったら、農民たちは、まさにそのとおりだ、おれたちはこれだよ――これだよというのは首を絞めるまねをして、おれたちはこれだよ、こう言っておりましたけれども、日本だって貸し手はできるだけ高く貸したいという意向も働く。そして、地代が高くなればなるほど農業経営に対する圧迫要因になっていく。そういうこともありますし、それから日本の農民の農地に対する愛着というものもございましょうし、これからどのくらいそういったものが伸びていくか、借地なんかで規模拡大が進むかといえば、私はそれほど進まないのではないかという見通しを私なりに立てているわけです。
 世界的に見てもこれは言えるのです。兼業農家がふえていく、これはもう世界的な傾向でございます。ECであろうとアメリカであろうと違いはありません。しかも第二種兼業がふえていく。アメリカのようなあんなに土地を持っていてどうしてそんな傾向かと思うくらい第二種兼業がふえ続けている。
 こういう状態を見ると、私は一つ方向が誤っていはしないか、規模拡大をして、例えば農業共済であれば都府県は二十で切る、それから北海道であれば六十で切る、こういう方向に突き進んでいくことに少しは憶病になってもらわなければならないと私は思う。少しはと言うと、かなり憶病になっていますという答えが返ってきそうなんですが、こればかりを追求してそのほかの選択肢を追求しないということがあってはならないと思っているのです。私は、この水稲共済の当然加入基準の引き上げというのはまさにそういった線に乗っかった一つの施策であろうと思っているのですが、いかがでしょう。ほかの選択肢もちゃんと見ておくべきじゃないかというような考え方。どうも構造改善局長がおいでにならないので後藤局長にはお気の毒かもしれませんが、ひとつお考えを示していただきたい。
#24
○後藤(康)政府委員 他の選択肢ということにつきましてのお尋ねの趣意がちょっとよくつかみ切れないところがあるわけでございますが、水稲共済について申しますと、少なくとも五〇%、制度改正後におきましても五四%の掛金国庫負担を行う保険の制度でございます。これは保険の設計なり災害の発生態様というものが制度上予想されているようなものであります限りにおきましては、必ず農家のお得になる仕組みでございます。こういう五割以上の助成がついた制度がございまして、それに対しまして広く一般の小規模な農家の方々までお入りになる道が開かれている。そのうち、ある線以上の人々についてはそれを強制する。その強制をするには強制をいたしますだけの公益性なり政策的な強い要請というものが立証されなければ本来はいけないわけでございまして、そういう観点から、昭和二十二年に制度発足いたしましたときは組合員資格のある者は全部強制加入というところから、二度にわたってその強制を緩和してまいりましたのを、今回、現状に立ってもう一度見直したということでございます。
 私ども、このことによりまして農業共済制度から小規模な農家を切り捨てるという考えはさらさらございません。むしろ、そういった方々の加入促進の努力を通じまして、農家全体の方々にこの制度の意味なり意義というものが一層徹底されることを期待しているわけでございます。
#25
○日野委員 私の考えているところは、特に日本の農業の中では大規模な農家だけをイメージしたってだめだ、もっと小さいところもきちんとしかるべき評価を与えて生かしていくような方法でなければうまくないですよと私は言いたいわけです。
 それで、特に水稲共済なんかを見てみますと、局長今おっしゃったように、できるだけ入っていただいてと、それは気持ちとしてはわかるのです、こうなれば入っていただかなければ困ると。大体共済組合そのものは困ってまいりますわね。これらの人たちにも入ってもらって掛金もちゃんと支払ってもらわなくちゃ困るわけですし、共同防除なんかをやるときに、ヘリコプターを飛ばしてやって、そこから先は入ってないところなんだからそこでぐるっと回ってというわけにもなかなかいかない。そんなことで運営上もいろいろ困ってまいります。
 ところが、意外と共済制度そのものが農民の間で十分に人気があるとは言えないのですね。共済もうやめられないのかという声は、しょっちゅう耳にしますよ、我々会っている農民からは。ただ、その人たちも本気になってそれを言っているのじゃないのでしょう。何しろ農業共済組合の役員選挙でのいろいろな確執とかは至るところにありますし、人間というのはややもすれば、もらうときはよかったけれども金を出すときはつらいと思う、これは人情でありますから、そういうこともあって、心からやめたいと思っているのではないのでしょうけれども、余り人気があるとは言えない。そういう中で今度、あなたは今まで当然加入だったのですけれどもこれからは任意でございますが、どうぞ金を払ってお入りください、これがうまくいくかなという疑念が私の中にあるのです。きのうの参考人もこれは一生懸命努力いたしますという答えでございますが、果たしてどの程度加入してもらえるのか、私もこの点は非常に心配するところなんですが、どのようにお考えになっておられますか。
#26
○後藤(康)政府委員 これは、過去に当然加入基準を引き上げました組合の例なども私ども幾つか調べておりますが、やはりその地域の実情でございますとか、特にまた当該組合の対応というようなことによりまして、さまざまでございます。当然加入から任意加入に制度的には切りかわった方々がほとんど組合員として残っているような場合、それからまた十数%脱落をしたというようなケース、いろいろございます。
 ただ、私ども考えておりますのは、制度的な強制がとれたということではございますけれども、そのほかには全く変わった点はないわけでございますし、むしろそういった機会にこの災害補償制度の意義を十分にPRをしていただいて加入推進をしていただく。そしてまたそのことが、他のいろいろな、いわゆる農作物共済とか蚕繭共済のような古い伝統を持ちまた当然加入という制度を持っている種目以外の共済の推進にもつながっていく。そういう努力が行われれば、それほど大きな脱落というものは生じないのではないかと考えております。
#27
○日野委員 それにつけても気になるのは、これは地域的にいろいろばらつき、格差がありますが、今度は農民の負担が急にぐっと上がっちゃうところがあるわけですね。特に北海道、東北北部、これは負担がぐっと上がっちゃう。そうすると、農民の側にとってはかなりショックになりますね。特に当然加入でない部分なんかはかなりのショックを受けて、じゃあもうやめておこうということになってきやしないかというふうに思われるのですが、組合の内部としては農民をどう説得して加入をさせていくかという問題があるのでございましょうし、こういう急なショックを受けることによって農民の共済制度に対する見方が冷たくなっていくということも非常に懸念されるところなんで、何とかいろいろな工夫をしながら、急に負担が増嵩するというようなことにならないような知恵というものはひとつないものでしょうか、これは私なんか考えてみてもなかなか思い当たらないのですが。
#28
○後藤(康)政府委員 まず、当然加入基準の引き上げと、それから料率改定によって料率が上がるということが重なることが組合員農家に心理的にも大きな影響を与えるのではないかということでございますが、共済掛金の上昇という点で申しますと、今回の料率改定で一番上昇しますのは北海道でございますが、北海道につきましては当然加入基準の変更は考えておらないところでございます。実際問題として、当然加入基準の引き上げが現実の問題として起きますところは、どちらかといえば西日本の方に多いということでございます。
 それから、何とか農家の激変を緩和する措置が講じられないかということでございますけれども、掛金国庫負担の問題につきましては、この結論に至りますまでの間に、適地適産という農業政策との整合性でありますとか、あるいは他の各種の公的な保険制度と比較して著しく高いというようなところから、一律五〇%にすべきであるというような議論もあったところでございますが、それでは農家負担の激変を来す、そしてまた、農業災害の発生の特殊な態様ということにも対応できないということで、超過累進制を残しながらその超過累進の度合いを圧縮するという結論に落ちついたわけでございます。
 こういう経過でございますので、確かに一部の地域の農家に負担の増加をもたらすことになりますけれども、近年におきますいろいろな状況、事情ということにかんがみますと、今回の改正に関連をいたしまして、さらにこの上に特別に国の財政負担によりまして農家負担の激変を緩和する措置を講ずるということは、これはどうも難しいというふうに私ども考えております。掛金国庫負担についての超過累進制を残したということで、関係者のできるだけの御理解を得る努力を私どもとしてもまた組合としてもやってまいる必要があるというふうに考えているわけでございます。
#29
○日野委員 今のは農家の負担の方です。今までは農家が出す方です。こういうことになってきますと、これは、かなり共済の保険設計やら事業のあらゆる面に影響してくる。今までも無事戻しということをやっておりましたね。無事戻しにもかなりの影響が出てきやしないかという気がするのです。今までの無事戻しというのは、やはり農家が共済に自分も加入してやっているのだという一種の連帯感というようなものを確かめ合う一つの仕組みだったと私は思うのですね。その無事戻しが今度は後退してしまうということになったら困ると思うのですが、どうでしょうか、ここらについてのお考えは。
#30
○後藤(康)政府委員 当然加入基準なり国庫負担の仕方ということと無事戻しとは、私ども直接に関係がある問題だとは思っておりません。確かに掛金は払ったけれども共済金をもらう機会が非常に少ないという方々の公平感といいますか、そういうものに対応いたしますために、共済組合が事業運営の中から剰余金を出し得た場合に、それを一部、無事故が続いておる組合員農家に還元をするというのが無事戻してございますが、そのほかに、今回危険段階別の掛金率の設定というようなことで、剰余が出た場合のその処分の一つの形としての無事戻してはなくて、料率の設定におきましても、地域の実情に応じましてそういった公平感に対応できるような弾力的な仕組みもとれるようにするということも含めまして、その辺の組合員農家と共済組合との間の関係が十分密接に維持されるような工夫がやれる仕組みを今回御提案を申し上げているつもりでございます。
#31
○日野委員 では、今度は事務費のことについて一言だけ伺っておきますが、定額化ということになってまいりますと、今でも共済組合の職員の給与なんかは余りよくはないのですね。それでも一生懸命やっていますよ。そういう人たちが自分たちの勤労の意欲といいますか、働く意欲というものを急速に失っていって、事業運営にまで支障が出てくるというようなことをお考えになりませんでしょうか。
#32
○後藤(康)政府委員 六十年度から農業共済団体の事務費国庫負担につきましても定額化をいたしたわけでございますが、これは従来の、個別の経費を積み上げましてそれに国庫負担率、補助率を掛けるという形の積み上げの方式に比べますと、もちろん一面で、例えばその積算の単価に影響を及ぼします賃金とか物価の年々の上昇というものを積算に入れるというような仕組みでなくなるわけでございますから、その積算の仕方としまして、年々の経済変動というものをまめに積算の中に取り込んでいくということができなくなることは事実でございますけれども、反面、いういろ団体事務費の補助というようなものにつきましては、近年の非常に厳しい財政状況の中におきまして、一律五%でございますとか一割カット、そういったことが間々行われやすい非常に厳しい財政状況にあるわけでございます。
 現に、農業共済組合につきましても毎年、補助、国庫負担の対象になります職員の定員削減というようなものをどのくらいの人数やるかというようなことが予算折衝でいつも厳しい事情になっておったというような経過もございますし、また、広域合併等で効率化が図られました場合は、積み上げ方式でございますとその効率化のメリットは財政負担の減の方に響いてくるという形になるわけでございますが、この定額化ということによりまして、少なくとも五十九年度予算を若干でございますが上回る金額を六十年度に確保いたしまして、少なくともその金額は今後とも安定的に確保していけるという意味での、一つの安定した国庫負担のめどを得られるというメリットも反面においてあるわけでございます。
 そういうことでございまして、職員給与の改善等々の今後の共済組合の運営につきましても、こういった安定的な財源をひとつ念頭においていただきながら、事務運営の合理化、効率化というようなことで対応をしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
 未来永劫これを変えないのかというお話も当然あろうかと思いますけれども、これは、定額化ということにいたしました以上、年々の物価とか給与の水準というようなことで毎年当然に改定されるべき性質のものではございません。安定的にやっていくべきものでございますが、大幅な経済事情の変動が見られましたような場合には、事業運営に支障を来すことのないように、財政当局とも折衝し適切に対処していきたいというふうに思っております。
#33
○日野委員 時間が来たのですが、最後に一つだけ聞かせてください。
 農水省の方では、共済組合の合併を進める、そして広域化するという一つの方向を持っておられるようですが、我々が見ていて、広域化して必ずしもいいものではございません。これは南北戦争と東西戦争のようなことをしょっちゅうやっているところが非常に多いわけでございまして、そういう地域地域の特性を見て合併なんかは指導するように、ひとつ要望しておきたいと思いますが、いかがでしょう。
#34
○後藤(康)政府委員 合併につきましては、私どもやはり今後とも推進していかなければいけないと思っておりますし、一郡一組合というのを一応目安にしておりますけれども、これを画一的にやるということは考えておりませんので、ただいまの御指摘も十分頭に置きながら対応していきたいと思っております。
#35
○日野委員 終わります。
#36
○今井委員長 次に、斎藤実君。
#37
○斎藤(実)委員 今回、水稲、麦共済に係る共済掛金の国庫負担の別表改定が行われることになるわけでございますが、たまたま三年ごとの掛金率の改定期と重なりまして、さらに追い打ちをかけることになるわけでございまして、現実的には農家がかなり困る事態が生ずるというふうに予想されるわけでございます。しかも、水稲の生産調整あるいは四年連続の冷災害によりまして、農家の経営が逼迫している現状でございまして、この制度改正によります農家負担増大の影響をどのように考えられているのか、お伺いしたいと思います。
#38
○後藤(康)政府委員 水稲について申し上げますと、昭和六十年が料率改定の時期に該当いたします。そして、六十一年度に今回御提案申し上げておりますような国庫負担の方式の見直しをやるということでございます。全国平均的に申しますと、その際、水稲につきましては掛金率が若干下がりまして、そして国庫負担率の変更に伴いましてまた農家負担が増大をする、こういう形になるわけでございます。
 ただ、北海道、東北、特に東北の中では青森、岩手等でございますが、近年、冷害等の被害が大きく、多額の共済金が支払われたようなところにつきましては、料率改定で、これは過去二十年の被害率の平均をもとにするというルールになっております関係で、北海道につきましては一五%、青森につきましては一四%、岩手では二二%程度上昇をいたします。そして制度改正では、北海道で二二%、青森一八%、岩手一七%程度の上昇になるわけでございます。
#39
○斎藤(実)委員 本改正案提出に至った背景は、国の行財政改革を実施中だということもありまして、事務事業の見直しを行っている現状も私は理解できるわけでございますが、農業共済制度は、御承知のように冷災害時の農家経営の破綻を救済するという重要な使命を持っているわけでございますので、財政事情によって他の事務事業による合理化と同列に扱ってはならないと私は考えるわけでございます。したがいまして、今後は、農家負担掛金が上がっても、農家にとって魅力ある制度の確立が必要だというふうに考えるわけでございます。農家負担の増大、制度の健全運営という立場で、国の財政が悪化してもこれ以上制度の改悪をしないという歯どめの措置が必要だというふうに私は考えるわけですが、今後の決意はいかがでしょうか。
#40
○後藤(康)政府委員 今回の共済制度の改正につきましては、本制度が農業事情の変化等に必ずしも即応していない面があります一方、掛金の国庫負担につきましては、共済金額そのものが増大をしてまいりますのに伴いまして年々多額の財政負担を必要としてきているというようなことで、制度の一層の合理化、効率化を図ることが必要になっている、この二つの背景からこの見直しをやったわけでございまして、掛金国庫負担の問題以外にも、果樹共済、家畜共済あるいは園芸施設共済につきましてのいろいろな改善充実も含めて御提案を申し上げておるところでございます。
 掛金の国庫負担につきましても、確かに現在の厳しい財政状況というものが背景にあったことは事実でございます。同時にまた、大量の米の生産調整を進めながら、その中で適地適産の水田利用再編をやっていくという農業政策との整合性の問題、また今回御提案申し上げておりますような各種の共済事業の内容の改善充実を行う観点からも、ある程度既存の制度につきまして効率的な運用を図らなければいけないというようなこともございまして、全体として、今回の制度見直しの事項が相互に関連するものとして結論に達したものでございます。
 この改正案をまとめます過程で、かなり長い期間私ども各方面と議論を重ねたところでございます。したがいまして、今後これを、特に国庫負担の問題につきまして、今回の結論をまたさらに軽々に変えるというようなことはすべきではないというふうに現在私ども考えているところでございます。
#41
○斎藤(実)委員 ぜひそういう方向で取り組んでいただきたいと思うのです。
 次に、これまで水稲、麦共済に係る団体手持ちの掛金には標準偏差の四割の安全割り増しが含まれておりましたが、これは団体積立金の現状が、十年間災害が連続して発生してもたえられるほどの余裕があるとして、国庫負担掛金を節約するために安全割り増しが半減されたというふうに聞いておるわけですが、この余裕があるとした根拠ですね、どういう根拠で半減されたのか伺いたいと思います。
#42
○後藤(康)政府委員 農作物共済の通常基準共済掛金率の算定の際の安全割り増しにつきましては、組合ごとに過去の被害率を基礎といたしまして統計的理論に基づき算定をいたしておりまして、今までの料率算定におきましては、安全割り増しをいわゆる〇・四シグマをつけることによりまして、組合等における多額の不足金の発生なり、あるいは組合が持っております準備財産が共済の責任を全うするためには足りないということで共済金の削減払いが起きるというような事態を回避いたしますとともに、無事戻しなり損害防止事業の実施等の活力のある組合等の事業運営がなされるように配慮して、安全割り増しをつけてまいってきているわけでございます。
 しかしながら、最近におきます通常災害部分における被害の発生態様を見ますと、必ずしも安全割り増しを従来どおりに付加する必要性はないのではないか、そしてまた、団体におきます最近の積立金の状況を見ますと、大多数の組合等が累積収支が黒字になっておりまして、たとえ連続して異常災害が発生をいたしましたとしても十分対応できるだけの経営内容となっている状況でございますので、この際、農家負担の軽減、そしてまた掛金率が若干でも下がれば農家負担の軽減になりますと同時に、それに対応いたしまして国の掛金国庫負担も軽減されるわけでございますが、そういう観点から安全割り増しを見直しまして従来の半分に縮減をしたということでございます。
 なお、この団体の積立金の状況を見ますと、五十八年度末におきます団体の積立金は、組合等と県の連合会の法定積立金及び特別積立金を全国合わせますと千二百八十八億と五十八年度末に見込まれますが、これに対しまして、改定料率における異常災害が発生をした場合の最大の不足額というものは、米麦合わせて二百一億円程度と推計をされますので、約六年間異常災害が連続して発生いたしましても積立金を取り崩すことが可能であるというふうに試算をされております。
 なお、北海道についてこれを試算いたしますと、約四年間異常災害が連続をしても現在の積立金で対応が可能ということになるように計算をされるわけでございます。
#43
○斎藤(実)委員 局長、しかしこれは全国平均の指摘でございまして、北海道では過去の災害から水稲については四・一年、麦については四・五年にとどまる窮屈な状況下にあるわけでございまして、このことは手持ち掛金を少なくさせて、豊作年次の余剰金を少なく、異常災害年次の赤字を増大させることになるわけでございまして、非常に不安定な状況になっているわけでございます。
 団体の運営財源は国からの事務費が四〇%、それから賦課金三九%、受取利息一四%、その他七%でございまして、そうなりますと、安全割り増しの半減によって積立金が減少するということになる、受取利息の減少にもつながるわけでございまして、こうなってきますと団体運営は非常に困難になるのではないか、こういうふうに私は思うのですが、いかがですか。
#44
○後藤(康)政府委員 農作物共済の基準共済掛金率の安全割り増しは、先ほどもちょっと申し上げましたように、予測不可能な将来の災害発生に備えまして、共済金支払いの原資に対する一定の安全度を見込むというものでございます。これが半減をされましたからといって直ちに積立金なり受取利息の減少につながるというものでは必ずしもないと思いますし、またそれで団体の運営が困難になるというものでもないというふうに考えております。
 なお、現在の共済団体の積立金の状況からいたしますと、先ほど申しましたように、もちろん個々の組合というような点まで細かく見てまいりますと、収支の状況にかなりいろいろ組合ごとには差がございますけれども、全体的に申せば、現在の共済団体の積立金の状況からいたしますと、この安全割り増しの見直しによりまして共済団体の事業運営に支障を来すようなことにはならないというふうに考えております。
#45
○斎藤(実)委員 果樹共済についてお伺いします。
 御承知のように、果樹共済は特定危険方式について対象とする共済事故として凍霜害を追加しておるわけでございます。しかしながら、現行の特定危険方式のうち、北海道を主体として実施されております減収暴風雨方式の風速規定は、最大風速毎秒十三・九メートル以上の暴風雨または最大瞬間風速毎秒二十メートル以上の暴風雨による果実の減収による損害のみを共済の対象といたしておるわけでございまして、その損害割合が二割を超えた場合に共済金を支払う方式となっているわけでございます。
 しかし、現実には、この規定風速より下でも落果や枝ずれ果の被害も発生しておるわけでございまして、農家経営に及ぼす影響は極めて大きいわけでございます。したがいまして、規定風速の引き下げ、または気象台の発表する風雨の注意報以上を対象とするように改めるのが農家の経営安定のために必要ではないか、将来こういう方向に改めるべきではないかというように思うのですが、いかがですか。
#46
○後藤(康)政府委員 大変現実的な問題のお尋ねでございますが、この減収暴風雨方式等の共済事故選択方式は、農家の危険意識が高く、しかも不可避的な災害のみに限定して共済事故とするということによりまして、掛金の安い共済の仕組みをつくって加入の拡大を図ろうという趣旨のものでございます。
 現行のこの減収暴風雨方式は、共済事故を最大風速十三・九メートル毎秒以上または最大瞬間風速二十メートル毎秒以上の風害及び風水害というふうにいたしておりまして、したがって共済掛金も減収総合方式に比べますと、例えばリンゴにつきましては約三割程度というふうになっております。
 他方、リンゴ等の被害実態を見ますと、現行のこの風力基準以下でありましても確かに御指摘のようにこの収穫期におきましてはかなり被害が発生するというような場合もあるわけでございますが、ここで風力階級を下げるというようなことをいたします場合には、そのことによりましてまた今度掛金率の方もそれに見合って上昇してくるというようなことが考えられるわけでございまして、掛金率が相対的に低いこの特定危険方式の魅力が失われるおそれもあるということで、最終的にはこれは、特定危険方式の魅力でございます掛金率の水準というものと、それから風速をどの辺で線を引いた場合に農家の方々が一番御納得がいく、また喜ばれる仕組みになるかというバランスの問題にも関係をいたしてくる問題だと思っております。御指摘ございましたので、これはひとつ今後の検討課題ということで勉強させていただきたいというふうに思っております。
 なお、注意報のお話が出ましたが、注意報は災害発生のおそれがある場合に発令されるという性格のものでございまして、この注意報が出たという事実によりまして被害が必ず発生するというふうには言えませんし、現行の風力基準のように一定の実績に基づくものではございませんので、注意報が出たということを一つの基準にするということはなかなか難しいのではないか、こういうふうに考えております。
#47
○斎藤(実)委員 果樹共済につきましてはこれまで随分言われてきたのですが、この加入率が非常に低いということが問題になっておるわけでございます。この果樹栽培農家の加入が五十八年度実績で収穫共済が二六・三%それから樹体共済が五・五%と非常に伸びていないわけですね。しかも、昭和五十八年度収支は黒字となったものの、累計額では保険収支を四百四十七億円と大幅に悪化させているわけでございます。これがひいては共済掛金の上昇を引き起こす結果となるわけでございまして、加入率を一層低下させるという悪循環になっておりまして、今回の特定危険方式の補償水準の引き上げで、加入が十分でない専業的な栽培農家を含めて加入促進がどの程度期待できるのか伺いたいと思います。
#48
○後藤(康)政府委員 今回特定危険方式を拡充をいたしまして、それのセット方式というような方式も導入をいたし、補償水準も七割から八割に上げるというふうなことを考えました背景にございますのは、まさに先生御指摘のとおり、近年果樹共済の加入が非常に伸び悩んでいる、そしてこれは特に専業的な優良果樹農家が入らない、加入がなかなか進まない、そうしますと掛金率も、これは災害が比較的連年発生をしたということもございますけれども、掛金率が上がる、そうするとまた加入が伸びない、一種のそういった連鎖反応というような面も見られるわけでございます。
 今回特定危険方式の補償水準の引き上げ等の果樹共済の改善によりまして、減収総合方式に比べまして共済掛金率も低い、そしてまた栽培技術が高くてもどうしても防げない暴風雨あるいは凍霜害、ひょう害といったようなものを共済事故にするという仕組みを通じまして、こういった特定危険方式だけは近年でもずっと伸びを示しておりますので、これにまた補償水準の引き上げということで弾みをつけまして、凍霜害も新たに追加をするということで、専業的な果樹農家を中心にしまして加入がかなり増加するものと見込んでおりますし、今後これをてこにしまして、果樹農家の加入促進を国としても共済団体と一緒になりまして図ってまいりたいというふうに思っております。
 新しい制度を選択する組合等の料率が今の時点ではなかなか定まらないというようなこともございまして、どの程度の農家の反応が期待できるかということを数字の面で判断することはなかなか難しゅうございますので、数字的なお答えは控えさしていただきたいと思うわけでございます。
#49
○斎藤(実)委員 局長御存じのとおり、てん菜につきましては、北海道寒地農業の安定的作物として畑作輪作体系の中核的な作物でございますが、冷災害年においても、他の共済目的に比べて戸数の被害率は昭和五十八年の実質補てん率でてん菜二九・四%、大豆が六七・三%と極めて低位にあるわけでございますが、この畑作共済のてん菜の二割足切りを一割に改めるべきではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
#50
○後藤(康)政府委員 私ども北海道の畑作地帯からそのような御要望を時折お聞きをするわけでございますけれども、共済制度につきましては、一般論としまして、やはり軽微な被害につきましては農家がみずからの経営の中で対応していただくという考え方で、また農家の自助努力によりまして損害防止を図っていただく、努力をしていただくという観点からもある程度の足切りは必要だ、これは制度の建前として考えているわけでございます。
 そこで、畑作共済の支払い対象になります足切り割合の問題でございますが、これは畑作共済の作目別に被害率と生産費率を見ますと、バレイショ、大豆、てん菜及びサトウキビ、これは生産費率が相対的に高くて、被害率が相対的に低いグループを形成をいたしております。小豆及びインゲンは生産費率が相対的に低く、被害率が相対的に高いグループを形成しておるわけでございます。したがいまして、この前者のグループは後者のグループに比べまして、足切り割合を低くすることが適切であるということで、五カ年間の試験実施の実績なり関係者の御意見等も勘案いたしまして、現行の足切りの水準が適当であるとして定められたものでございます。仮にこの水準を引き下げます場合には、やはり現行制度と比べまして、共済金の支払い機会なり支払いがふえますと同時に、掛金率も上昇をいたしますので、また損害評価の労力もかなりふえてくる、こういう問題点もございます。
 確かに、麦は足切り割合が一割ではないかという問題がございますが、これは同じ農作物共済の対象作物でございます主食でございます米との均衡なり、当然加入制度がとられていること等も考慮いたしまして、全相殺の農単方式では足切りを一割にしている、こういうことでございます。
#51
○斎藤(実)委員 現行制度が妥当だというふうに答弁がございましたが、てん菜は生産量の全量を製糖工場に一元的に出荷させるわけですね。したがいまして、損害認定が容易であり、かつ正確なんですね。掛金率も低く、しかも足切り引き下げによって掛金増高の影響も少ないし、一割足切りに十分たえられるのではないかと私は思うのですが、これはひとつ御検討いただきたいと思うわけでございます。
 次に、昨年の農林省の農業共済制度の見直し検討項目の中には、種豚及び肉豚の掛金国庫負担割合の現行四〇%を五〇%に引き上げるというふうに予定されておるわけでございますが、養豚農家や農業共済団体では非常に期待していたわけでございます。しかし、今回の改正では取り上げられなかったわけでございますが、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
#52
○後藤(康)政府委員 種豚及び肉豚の掛金国庫負担割合につきましては、五十一年及び五十五年に引き上げが行われました結果、現在四〇%になっているわけでございます。この国庫負担割合をさらに引き上げて五割にしてほしいという要望があることは私ども承知をいたしておりますし、私どもなりに検討もいたしたわけでございます。しかし、今次の改正案につきましては、現下の非常に厳しい財政状況の中で、また昭和五十五年に引き上げてまだそれほど長期間経過をしていないというようなこともございましたし、他の改善要望事項との優先度、どちらを優先させるかというようなことも含めまして種々検討いたしました結果、見送らざるを得なかったというのが経過でございます。したがいまして、この問題につきましては、御要望があることは私どもも承知をいたしておりますので、将来への検討課題として承らしていただきたいというふうに考えております。
#53
○斎藤(実)委員 豚に関する共済は、昭和五十八年度の全国実績でも、加入農家数では種豚一万五千戸、加入率で二〇・六%になっているのです。肉豚では二千七百戸、加入率で一〇・八%。ともに共済加入率が低い現状であることからいたしまして、養豚農家の懸案事項として期待をいたしているわけでございますが、国庫負担割合を引き上げるべきではないかと私は思うのです。いかがでしょうか。
#54
○後藤(康)政府委員 ただいまお話しございましたように、豚の加入率は、五十八年度で種豚で二〇%強、肉豚で一〇%強、大家畜に比べてかなり低率になっていることは事実でございます。その要因は、掛金の国庫負担割合の問題もあろうかとは思われますが、そのほかに、豚の一頭当たりの資産価値が牛や馬に比べまして低い。それから農家の保険意識が大家畜ほど大きくない。また、技術の進んだ農家におきましては生産が比較的安定しているというようなこと。あるいはまた、豚の回転が速いためにある程度自家保険で対応可能な面もあるというような、いろいろな要因がやはり関係をしている結果というふうに私ども考えておるところであります。
    〔委員長退席、島村委員長代理着席〕
#55
○斎藤(実)委員 今回は肉牛の子牛共済が新設をされましたが、この牛の生産共済制度は昭和四十一年に利用率が低いということで廃止をされたわけでございますけれども、今回復活に至った経緯を明らかにしていただきたい。
#56
○後藤(康)政府委員 昭和二十二年の制度発足以来、この生産共済を実施をしてまいってきていたことは事実でございますが、当時の家畜共済制度が個別加入制度をとっておりまして、現在のような包括加入制度ではなかったということがございまして、いろいろ逆選択の問題、あるいはまた、いわゆるつけかえといったような問題がございましたことと、掛金率が高率であったこと等々から年々加入が減少、先細り、そして局地的になったというようなことから、四十一年に制度改正の際に生産共済を廃止した、こういう経過になっておるわけでございます。
 しかし、その後、食生活の多様化に伴います食肉需要の増加に伴いまして、肉畜の飼養頭数も年々増加をしてまいってきておりますし、肉畜生産の振興が農政上の重要な課題になってきている。特にその際、肥育部門とあわせまして、その基盤になります繁殖部門の生産の安定ということがやはり非常に重要だということで、政策的な重要性が改めてまた大きくクローズアップされてきたということが一つ背景としてございます。
 さらに、家畜共済につきましては、現在農家の飼養する家畜の種類、ことに一括をして引き受ける、そして共済関係を一括して結ぶ包括共済制度がとられておりますので、現行のこういった、かつてのような個別共済ではない包括共済制度のもとにおきまして、母牛と一体で包括的に引き受けるという方式をとれば、かつての生産共済、四十一年に廃止に至るような事態に立ち至った個別共済自体の問題は生じないというふうに考えられるところから、この際新しい仕組みのもとに生産共済を、いわば再生と申しますか、復活をさせたい、こういうことで御提案を申し上げているわけでございます。
#57
○斎藤(実)委員 肉牛の子牛ですね、これは生後六カ月未満並びに胎児、妊娠満八月以降を新たに制度の対象としたわけですが、出生後に限り引受対象とすべきであるという意見もあったと聞きますけれども、この胎児をも制度の対象とした意義はどこにあるのか。また、胎児・死産についても対象とすることは、妊娠鑑定や胎児の価額設定は母牛の価額によって異なり、非常に難しい面があると思われますが、今後どういうような運用をしていくのか、お聞かせいただきたいと思います。
#58
○後藤(康)政府委員 牛の胎児につきましては、満八カ月を経過をいたしますと正常に出産した子牛と同様の生存能力を有することが明らかにされておりますので、出生後の子牛を制度の対象といたします以上、このような胎児も当然に制度の対象とする必要があると考えまして、妊娠満八カ月を超える胎児をこの制度の対象にいたしたものでございます。出生後の死亡とそれから死産等を的確に判別することがなかなか困難であるというようなこともございますし、生まれた直後の子牛から対象にいたすとすれば、むしろ母牛の胎内で生存能力を獲得するに至った満八カ月以降からということで共済の対象にした方が、保険需要という面からも、また共済事業の運営の面からも適切ではないかという判断によるものでございます。
 この場合、加入時におきまして、その共済掛金期間中に妊娠満八カ月になる可能性のある牛の胎児をすべて母牛とともに共済の対象にいたしまして、しかも死亡した胎児の月齢は種つけ証明等により算出をいたしますために、個々の牛について妊娠鑑定を行うこととしないような仕組みを考えたいと思っているわけでございます。
 それから胎児の価額設定も、これは確かに市場価格というのがございませんのでなかなか難しいわけですが、今回制度化いたします肉牛の子牛の共済につきましては、胎児の価額を母牛の一定価額、具体的に申しますと二割相当額という水準に設定をいたすことを考えておるところでございます。
#59
○斎藤(実)委員 今回、肉用牛の胎児及び六カ月以下の子牛についてのみ共済加入が認められて、非常に残念なことは乳牛の子牛の共済が対象にならなかったわけでございますが、その理由は一体何なのか。特に北海道における枝肉生産の七〇%は乳用種でございまして、この乳用種の事故は生後二、三カ月の若い牛に非常に多くなっているわけでございますが、事故データの積み上げ調査を行っているのかどうか、伺いたいと思います。
#60
○後藤(康)政府委員 乳牛の子牛につきましては、子牛の事故に際しまして農家がこうむります損害の程度も、搾乳収入が得られるということもございまして肉牛の場合ほど決定的でないということなどから、従来乳牛の子牛に関します事故につきましては保険需要も比較的少なかったということで、制度化に必要な事故データ等の調査も行っておりませんで、今回の制度検討の対象とはしなかったわけでございます。
 なお、乳牛の子牛につきましての共済の制度化につきましては、乳牛の子牛が、出生後間もなく出荷をされるもの、それからそのまま一定の期間哺育育成されるもの等、飼養形態がさまざまでございまして、これを反映いたしまして被害率の格差もかなり大きいというようなことで、肉牛の子牛の場合と実態が大きく違っていることから、制度化をもし考えるとすれば、十分な検討なり、いろいろ難しい問題の解決が必要であろうと考えております。
 いずれにしましても、この問題、当委員会でも何回が御指摘があったところでございますが、乳牛の子牛の問題の制度化の是非につきましては、農家の保険需要なり被害の実態等を見きわめながら将来の勉強課題ということで判断をしていく必要があるものというふうに考えております。
#61
○斎藤(実)委員 大臣お見えでございますのでお尋ねをしたいのですが、大臣御就任以来、我が国の農業問題について極めて積極的に取り組んでおりますことについては、私ども、当委員会の委員として大変敬意を表しているわけでございます。
 実は、外国製品の日本市場参入についてお尋ねをいたしたいのですが、先般、十九日の政府・与党対外経済対策推進本部の会合で、外国製品の日本参入については聖域は設けず、農林水産物も例外としないという中曽根総理大臣からの発言があったというふうに新聞報道がされておるわけでございます。大臣は、農林水産物は食糧の安全保障や国土の保全の面で、国の基本として例外制限分野に該当するという極めて積極的な御発言をされたと私どもは伺っておるわけですが、極めて重要で、また日本農業を守る上から適切な御発言だというふうに私どもは承るわけでございます。この辺の経緯について、まず、新聞報道のような総理の御発言またそれに対しての農林水産大臣の御発言の真意のほどをお尋ねしたいと思うのです。
#62
○佐藤国務大臣 斎藤先生にお答えいたします。
 実は、斎藤先生の御指摘のとおりでございます。農林漁業というのは、今先生おっしゃったとおりでございまして、「原則自由、例外制限」の「例外」に該当するものとして今後ともその理解を求めていきたい、こう考えております。
 ただ一つは、新聞等を読んで見ましてやや何かトーンが違うと思いますのは、中曽根総理の発言でございますが、大変農林水産業に御理解いただいております。そんなことで、実はあのときも、たしか、世界各国とも農林水産物については特別な配慮をしているけれどもという話がございまして、しかもそれはトーンを下げておっしゃいましたね。下げて、そういう形の中だけれどもとにかく農林水産物を一遍再点検してもらいたい、こんな意味であったということでございまして、新聞に出ているようなあんな強い姿勢の言葉ではなかった、このように理解しておるわけでございます。
#63
○斎藤(実)委員 大臣、これは見直すことは結構なんですね。あれがもしそのままひとり歩きするようであれば、これはもう大変なことになる。もしそういうことになりますと、農産物の自由化となりますと、生産意欲を失ってしまいますし、生活の不安を訴える農漁民の立場を考えますと、大臣の御発言は大きな比重を占めているわけであります。農林水産物の運営の最高責任者である農林大臣が今後ともチェックされる、見直しは結構ですけれども、今までのIQ品目、これが自由化されるようになれば、これは大変なことになるわけでございますが、今の自由化の、外国製品の日本参入について、大臣、どういう基本的なお考えを持っていらっしゃるのか、お尋ねをしたいと思うのです。
#64
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 市場アクセス改善のためのアクションプログラム策定要領では、輸入制限品目について、国際的な動向を踏まえた輸入制限の見直しを行うとされておるのでございますが、農産物の輸入制限品目は、いずれも農業上基幹的なものあるいは地域振興に必要なものであり、見直しに当たっては、関係国との友好関係に留意しながら、我が国農業を生かし、その健全な発展を図ることを基本にして対処してまいる考えでございます。
#65
○斎藤(実)委員 大臣、御答弁ございましたように、農林水産物の基幹的なもの、地域振興上必要なもの、これはどこまでもひとつ守って、堅持をしていただきたいというふうに御要望申し上げるわけでございます。
 そこで、具体的な見直し作業の中で、現在ASEANから強い要求が出されております骨なし鶏、それからバナナ、パーム油、ヤシ油、合板などの関税引き下げについてどういう方針で臨まれるのか。また関税につきましては、我が国の農産品の実行税率は東京ラウンド後の平均で六・五%にする予定で、ECの一二・三%の半分の低い関税率としてきたわけでありますが、引き下げが実行されますと、これは農漁民にとっては大きな影響が出ると思われますが、いかがでしょうか。
#66
○後藤(康)政府委員 お尋ねございましたASEANからの要望品目のうち合板につきましては、先般四月九日に決定されました対外経済対策の中で、「森林・林業及び木材産業の活力を回復させるため、木材需要の拡大、木材産業の体質強化、間伐・保育等森林・林業の活性化等を中心に、財政、金融その他所要の措置を当面五か年にわたり特に講ずることとし、その進捗状況を見つつ、おおむね三年目から針葉樹及び広葉樹を通ずる合板等の関税の引下げを行うべく前向きに取り組む。」という方針を決定いたしているところでございます。その他の個別品目についてでございますが、これにつきましては、四月九日の対策では、「関税引下げに係る決定は、本年前半中に行う。」ということになっておりまして、本年六月の日・ASEAN経済閣僚会議などを念頭に置きながら、これは今後検討していくことにいたしておるところでございます。
#67
○斎藤(実)委員 次に、関税に関連いたしましてお尋ねいたしますが、政府は市場開放策の切り札として関税の引き下げの対象品目や実施時期、下げ幅等につきまして政令で決める権限を政府に与える関税弾力化法の制定を検討して、市場開放のための行動計画の策定要領を検討しているというふうに聞いておりますが、大臣はどういう御見解を持っておりますか。
#68
○後藤(康)政府委員 これは、四月九日に提出をされました対外経済問題諮問委員会の報告の中に、関税につきまして法律である一定の限度を決めておきまして、その枠内である程度弾力的に関税の変更が行えるような授権法を検討する必要があるということが提言をされております。政府に対しましてそういう提言が行われておりますので、これからいろいろ検討が行われるだろうと存じますが、政府内部、関係各省の間でも、この点につきましては報告書を読んだという状態でございまして、各省間での検討が始まっている段階ではまだございません。
 一方におきまして、年に一度関税率審議会にかけて毎年通常国会で法律を通過成立させないと、関税が年に一遍そういう形でしか動かせないということにつきまして非常に硬直的だという御意見があります反面、これは、やはり租税法定主義ということでございますから、関税についても法律できっちり決めておくのが筋ではないかという御意見も一方にあるわけでございまして、その辺もし授権法をどうするかというような議論があります場合にも、その授権の程度をどうするかというような範囲も含めて、法律的にも実体的にもいろいろ議論のあるところであろうというふうに私ども考えておる次第でございます。
#69
○斎藤(実)委員 大臣、先ほど御発言がございましたことで私どもは意を強くしておるわけです。農産物の自由化につきまして、これはどこまでも守るべきだ、日本農業を育成していくのだ、できるものとできないものとこれは明確にすべきだ。それがまた外国に対する態度であり、我が国農林水産業を守る基本的な考えだろうと私は思うのですが、その点ひとつ御決意のほどを伺いたいと思うのです。
#70
○佐藤国務大臣 農業については、その果たしている役割を非常に認識し、「原則自由、例外制限」の「例外」に該当するという認識のもとに、実は先ほど局長も言ったようなことでございますが、ただその場合、やはり我が国の農業の置かれている立場を認識しながら、そういう形の中に友好国との関係も配慮し、我が国農林水産業をいかに生かし、その健全な発展をどう図るかということの調和をどうするかというような立場で慎重に対処したいと考えております。
#71
○斎藤(実)委員 ぜひひとつ大臣、その御決意で対処をお願いしたいと思います。
 時間も参りましたので大臣にお尋ねいたしますが、この農業災害補償制度は災害対策の主要な柱でございまして、農業災害補償法に言っております「農業者が不慮の事故に因って受けることのある損失を補填して農業経営の安定を図り、農業生産力の発展に資する」という基本的な使命を持っているわけでございますが、大臣は四年連続の冷災害に対処した農業災害補償制度をどう評価をされているのか。
 また、今回の改正におきまして農作物共済の掛金国庫負担の見直しは、北海道の場合を試算いたしますと、農家負担率が水稲で現行三六・二%でありますが、五十九年産の全道平均の掛金率によって改定試算した場合四三・七五%と増加をする。したがいまして、増加率は一二〇・九%、農家の負担が増加をすることになるわけでございます。また、麦に至りましては、五十九年産で農家負担率が三一・六%であったのが今回の改定によりますと三九・三%と増加をするわけでございまして、これは制度の根幹にかかわる問題でございまして、制度の発足以来前例のない大幅な後退になると私は考えるわけですが、大臣から御見解を承りたいと思います。
#72
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 農業災害補償制度は、先生御指摘のとおりでございまして、農業の経営の安定を図るのに不可欠の制度ではないか、こういうように考えております。そんなことで、特に先生おっしゃいました近年の冷害等の異常災害の多発する中で、本制度は農業経営の安定に大きな役割を果たしてきた、このように考えております。
 そんなことで、先生からいろいろ御指摘ございましたが、今後ともこの制度については、その効率的かつ健全な運営に努めますとともに、制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいりたいと考えております。
#73
○斎藤(実)委員 以上で私の質問を終わります。
#74
○島村委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午前十一時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時十五分開議
#75
○島村委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。武田一夫君。
#76
○武田委員 農業災害補償制度の問題についてずっと審議をやってきました。私は、多くの皆さんの質疑、また参考人の皆さん方の御意見を聞きながら、三十分、特にお尋ねしたい問題について二、三お聞きしたいと思います。
 まず最初に、災害対策の重要な柱であるこの制度の内容充実のために昭和二十二年の発足以来いろいろと改善を重ねてきた、そうして農業経営の安定と農業生産力の発展に大きく寄与してきたという点は、我々も認めるし、十分とは言えないながらも、農家の皆さんにとっても非常に期待されて今日まで来たわけでございます。
 日本の農業を考えますとき、零細であるということが一つの大きな特徴であり、また地理的な気象状況、御承知のとおりアジアモンスーン地帯というところに位置しているということで、非常に災害の多い国でもある。そういう災害のたびにもろにやられるのが農林水産業であるということを考えると、この災害補償制度の重要性というのは申すまでもないわけでありますが、農家の方にとっては農業を営む上での非常に重要な制度として位置づけていかなくてはならない、こういうふうに思います。
 これまでの経過を考えますと、農家の皆さん方もそれなりの政府の対応に対しては好感を持って迎えてきたのでありますが、どうも、今回各地を歩いてみますと、正直に言いましてそれが非常にないのであります。参考人のお話にもございましたけれども、積極的に反対しない、しかしながら明らかにある部門については反対だという強い意見の陳述などがあるということもございます。私も地元を回りまして、これは相当厳しく農家の皆さん方は見ている、こういうふうに思います。特に、今回の改正の中の補助金引き下げの問題、当然加入の面積の引き上げの問題等々、非常にこの制度の根幹にかかわる問題があり、この間の参考人の方からは、今回のようなことが今後さらに進められるならば、一つは農業の崩壊にもつながる、農村社会の分断につながる、農業共済事業の運営は非常な危機の状況に陥るというような御意見もございました。
 そこで、私は政府に対しましては、こうした参考人の皆さん方の御意見に十分に御配慮いただきながら、よりベターな、できればベストの、農家の皆さん方の期待にこたえる農業災害補償制度にしていかなければならない、そういう一つの決意を持って対応していただきたいということをまず要望しておきたいと思うのであります。
 そこで、まず第一番目に、掛金の国庫負担方式の改変の問題であります。
 農業共済制度は、御承知のとおり災害対策の根幹であり、公的救済の側面を持つという観点からは決して高いものではないぞ、どこの農村の関係者、あるいはまた、農家の皆さん方でなくても農家の皆さん方とおつき合いをしている方々の話の中でも、公的に非常に機能の重要性を持っているのだからこの程度は当然だという声を私は聞いてまいりました。そういうことで、他の補助金の削減と同じ性格のものと考えては困るのだということば、私は当然のことだと思うのであります。
 特に、これは平均でありますが、水稲は五九%が五四%、麦の場合は六八%が六〇%、こういうふうになるわけでありますが、この数字が出てきた根拠はどこにあるか、まずその点を聞かせていただきたいと思うのであります。
#77
○後藤(康)政府委員 今回の国庫負担の合理化につきましては、適地適産の推進等、最近におきます農業事情等を考慮し、また、財政負担の効率化を図りながら制度の健全な運営を確保するという見地から、国庫負担の上限を水稲、陸稲、麦それぞれにつきまして一〇%ずつ引き下げまして、水稲六〇%、陸稲、麦は七〇%を上限にいたすことにしておりますが、これで掛金率の刻みごとの国庫負担率というものを前提にいたしまして国庫負担割合を総合して試算をいたしてみますと、水稲につきましては平均五四%程度、麦につきましては六〇%程度になるというふうに見込まれるわけでございます。なお、陸稲なり麦につきましては、畑作物共済の国庫負担が六〇%であるというようなこととの均衡等も考える必要があると考えたわけでございますが、このような試算の結果によりますと、麦と陸稲につきましては畑作物の国庫負担割合とほぼ同じ程度になることになるわけでございます。
#78
○武田委員 宿命的に災害の常襲地帯というのがありますね。この間の東北、北海道のようなケース、冷害で四年続く、こういう地域が日本には何カ所かあるわけです。また、あるいは台風でやられる、必ずその地域を通るというような地域をずっと見てみますと、これは五十六年−五十八年の平均で見ますと、北海道、青森、岩手、秋田、宮城、山形、福島、栃木、徳島、高知、佐賀、長崎というような県は、農家の負担額というのは平均よりもぐっと高い、これは一戸当たりも十アール当たりもそうですが、特にこの間の参考人の北海道芽室町の組合長さんの話などを聞けば、大体今回の国庫負担の削減によって相当の負担を強いられる、このままでは大変だということで、北海道などの場合も、青森、岩手なども同じような傾向でありますが、農家にとっては大変な経営の圧迫になりかねないと私は思うのであります。
 共済の関係者に言わせますと、今回の改正でそういう大きな災害の来るような地域においては正直言って対応し切れない、これは困ったものだと。特に無事戻しの場合の限度の二分の一ですか、これなどを考えてみますと、とてもこれに対応し切れないということをしきりに心配しています。そのわけを聞いたら、補助率の引き下げで団体の手持ちの掛金の安全割り増し二分の一カット、そのために、カットされた分は団体の方の持ち金で払わなくてはいけない。例えば、宮城県で具体的に言いますと、共済組合連合会で十一億の金が今まで残っていた。それで国には三百万納入した。ところが今度の改正の結果によりますと、組合には四億九千万入るけれども四億も納入しなくてはいけない、こういう計算になるのだそうです。これは宮城県の場合です。そうしますと、二分の一の無事戻しなどとても不可能になってしまう、こういう点をどうしてくれるんだといういわゆる現場の第一線でお仕事をなさる方々の大変な心配があるわけです。
 そういうことと、負担が大きくなったらそれだけのものが返ってくるかというと、どうもこれまで大きな規模の農家の人ほど共済のうまみがないというような話があるということで、非常に悩みが大きい。こういう問題を抱えているわけですが、こういう問題についてあちこちからいろいろ事情、意見を闘いで今回の改正に踏み切ったのだと思うのです。しかしながら、そういう問題がどこへ行っても出てくるということは放置しておけない。この点いかがでしょうか。
#79
○後藤(康)政府委員 農業災害補償制度は保険の手法をとっております関係で、農作物共済の共済掛金率は、現在は直近の一定年間、過去二十年間の被害実績を基礎にして算定をするということになっておりまして、これまで昭和三十六年から五十五年までの平均をとっておりましたところ、今回の三年に一度の見直しで三十九年から五十八年までの実績をとるということになりました関係で、最近被害が多発をし多額の共済金が支払われました北海道、それから一部の東北の諸県の組合等におきましては、被害実績を反映して掛金が上昇することになるわけでございますが、これは制度の仕組み上やむを得ないと考えておるわけでございます。もちろん豊作の年もあるわけでございまして、この次の見直しの場合には五十九年の大豊作の要因がその中に入ってくるというわけでございまして、これは一つの保険の手法としてのルールでございますので、制度上、関係の農家の方々にも御理解を願うように私どもなりにまた努力をしたいと思っております。
 確かに掛金も上がるわけでございますが、反面、掛金が上がりますところというのは、近年かなり共済金の支払いも行われているところでございます。例えば北海道のお話が出ましたが、北海道について申しますと、水稲で一戸当たり五十六年から五十八年の平均で約九万円の共済掛金を年平均支払っておりますが、この三年間の平均で、全引受農家平均で共済金が三十七万円ほど、被害農家に一戸当たりということで計算をしますと、六十九万五千円ほどの年平均の共済金の支払いが行われております。こういったことも制度全体の評価としてはカウントしていただきながら、御理解を得るように努力をしてまいりたいと思うわけでございます。
 それから、国庫負担率の問題につきましては、先ほどお答えをいたしましたような理由からこれを見直したわけでございます。国庫負担の超過累進制そのものは残すことにいたしておりますので、もちろん一定の圧縮はございますが、高被害地の組合等につきましては、他に比べて高い国庫負担が行われるという関係は変わらず維持をいたしたつもりでございます。
 それから、掛金の中で、国に上がる分と組合にとどまる部分というお話がございましたが、御案内のとおり共済事業の各段階の収支の状況を見ますと、国が政府特別会計の段階で千五百六十五億ほどの累計の赤字になっております。それに対しまして、組合等、連合会におきましては大幅な黒字が累積をしているという状況でございまして、これが財政当局等の方からは、保険の設計がおかしいのじゃないかという議論も大分突きつけられておるわけでございますが、私ども掛金の算定を長期の二十年間ということでとっておりますのに対しまして、近年、政府の特別会計の再保険に上がってくるような非常に深い災害の発生が多いという災害の発生態様からこれは起きた問題であって、保険の設計がおかしいということではないということで反論をしてまいってきております。
 こういった近年の災害の発生態様を基礎にいたしまして通常標準被害率というようなものを計算をいたしますと、近年におきます発生災害の態様からいたしましてどうしても政府の再保険料の方の金額がふえてまいる、これも一つの保険の手法のルールから出てまいる問題でございまして、決して組合と政府との間の掛金の分担割合と申しますか分割割合と申しますか、こういうものにつきまして恣意的にこれを変更するというようなことでは決してございませんので、この辺も含めて御理解をいただくように努力をしてまいりたいと思っております。
#80
○武田委員 時間の都合で次に移りますが、果樹共済についてであります。
 きのうの参考人のお話では、専業には全く魅力のない制度と言われている。残念ながら確かにそうです。ですから加入者が二六%程度で、非常に赤字ですね、毎年のように。そういうことで、これからの一番お荷物になりそうなのがこれじゃないかとみんな言っている。だから、三Kプラス一Kで四Kになるんじゃないか、果樹のKですな、こういうことを言う人もいるわけです。私もそういう心配をしているのですが、今後この共済の加入促進にどういうふうに対応していくかという問題がある。
 なぜ魅力がないか、加入しないかというと、きのうの話では掛金が高い。何か二、三十万かかる掛金の人もいるのだと私も地元に行って聞きました。それから制度の仕組みが非常にわかりにくい、難解だということも言っておりました。それから共済金の支払い額が少ない。それから基準収穫量の査定が低過ぎるという不満がある。肥培管理の熱心な農家は今回の改正を特に惰農奨励につながるのではないかということも言っております、というような意見を通して加入がなかなか思うようにいかないということを話されておりました。
 政府としては、これは今後の対応のいかんによっては非常に苦労する共済でございますので、この共済に対して加入促進という面からどういうふうな対応を考えていくつもりなのか、この点について御見解を聞かせていただきたい。
 それから、災害収入共済方式はいかがなものかという話がございました。これはある県では研究実験中であるということで、その成果を踏まえての対応も考えるべきだという話もありました。私もその点は必要なんじゃないかなという気がいたしますので、その点もあわせてお聞かせいただきたい、こう思います。
#81
○後藤(康)政府委員 お尋ねのとおり、果樹共済につきましては、農業災害補償制度の中でも仕組みも非常に複雑でありますと同時に、加入率が非常に低迷をしているというようなことで、共済制度の中で今後いろいろな問題を抱えている分野だという認識は私ども自身も持っておるところでございます。
 昭和五十五年の前回の制度改正におきましても、この果樹共済の問題が一番の中心問題であったわけでございますが、この改正以降におきまして優良農家加入促進強化のための事業を実施をいたしておりますし、それからまた、この制度改正とも関連をいたしまして、組合等の選択によります一定年間無事故の農家に対する掛金の割引でありますとか防災施設を設置している農家に対する掛金の割引制、あるいは特定危険方式を充実をしてまいる、それからまた共済掛金の納入期限の延期措置というような措置もとりまして、引き受け推進に努めているところでございます。
 しかし、どうしてもなかなか優良農家の加入が促進をされないという問題はずっと残っておるわけでございまして、今回の改正におきまして、特定危険方式について、これが優良農家の保険需要に一番マッチをしたやり方であるということを踏まえまして、凍霜害を追加をしセット方式の導入をして補償水準を引き上げる、それからまた、制度のわかりにくいということの中の一つの問題でございます共済責任期間につきまして短縮できる道を開き、また農家ごとの被害状況に応じました掛金の設定方式を導入するというようなことで、今後はこの特定危険方式というものを一つのてこにいたしまして加入促進、特に専業的な果樹農家の一層の加入促進を図ってまいりたいと考えておるわけでございます。
 それから、もう一つお尋ねの収入共済というようなお話でございますが、これはかねてから各方面からいろいろ御意見、御要望等もございまして、収入共済につきまして私どもも検討をやってきておりますけれども、経営安定という観点からは一つの有効な方式であろうと思いますけれども、災害による農家の損失の補てんを目的とします災害補償制度のもとでは、災害によらない一般的な価格低落による損失をも補償する方式というのはなかなかとりにくい、それから、保険技術的に見てもいろいろ難点があるということで、収入共済方式の趣旨を現行制度のもとでできるだけ生かすということで、災害により収穫量が減少しました農家について収入額の減少額に応じて共済金を支払うという災害収入共済方式を試験的に実施することにいたしたわけでございます。
 愛媛県におきまして、所得共済をこの国の制度のいわば上乗せというような形で結びつけて試験的に実施をしておられますけれども、これは五十六年度からということでございまして、私ども、この試験的な県単独でのやり方につきましての評価につきましては、もう少し今後の推移を見守りたいと考えておるところでございます。
#82
○武田委員 最後にもう一問お尋ねします。
 災害が来た、被害に遭った。しかしながら遣わないように被害を克服する努力をすることも必要、これは当然。ですから農家の災害克服のための努力、そのための技術の問題、いろいろございます。その問題で、土づくりを進めながら、あるいは品種の改良とかいろいろなそういう努力の結果によって、四年続きの冷害の中でも平年作があったというケースもあるわけでありまして、今後こういう農家の皆さん方の懸命な努力も高く評価しながら、そういう努力が実るような、一生懸命努力をすればしただけのものが返ってくるのだという農政であるべきだ、これは当然のことであります。
 そういう意味で、今農林水産省としましてもいろいろと技術の問題等々を含めた指導、これに努めてきておるようでありますが、今後こういう災害に強い農業、大臣の言う足腰の強い農業をつくるという中にこれも入ってくるのじゃないかと私は思うわけです。
 大臣にお聞きしたいのですが、災害の場合に、一つは、惰農、要するに怠け者をつくる、そういう感じの制度であってはいかぬと、この間話がありました。それは、どうせ災害に遭うんだからといって手抜きしながらぶん投げておいて、それで金をもらうなどというような人は余りいないのじゃないかと思うけれども、時々いるんだと。例えば私の地元では、転作のために大豆をやった。かなり大豆をやっているわけですよ。ところがなかなか条件が悪くて一俵、二俵しかとれないものですから、種は植えるけれどもそのままにしておく。それで災害が来ると、待ってました、金をちょうだい、最近こういう人があちこちで出てきているそうです。
 ですから、こういうようなことがあればこれは農村の中における精神的な荒廃につながりますので、やはりそういうことを放置しておいてはいかぬと思います。ですから、今後いろいろな作目別の指導体制をしかとやっていかなければならない、この体制について今後どういうふうに取り組んでいくか。
 それからもう一つは、一生懸命努力をして災害のときに免れて、平年並みあるいは平年以上とったという農家が出た場合に、そういう人たちの懸命な努力、成果を評価していただくための何らかの対応というものもあってしかるべきだ。そういう方々がどんどん出てくることによって、お互いに励ましながら農家の方々が全部そういうふうになっていくようになれば、災害があったとしてもびくともしない農業の一つの方向性も考えられるのではないか。農業というものは一生涯天候との闘いであるけれども、人間の英知と努力によって、一〇〇%とまでは言わなくても、克服できる部分があるというふうに私は思う。また、あってほしいという願いを込めて、そういう二面の対応を農林水産省としても十分に考えてもらいたいと思うのですが、これは大臣にひとつそういう点の取り組み、お考えを聞かせていただきたい、こう思うのであります。
#83
○佐藤国務大臣 武田先生にお答えいたします。
 農業災害補償制度というのは先生御指摘のとおりでございまして、農家の相互扶助を基礎としつつ、不慮の災害により農業者のこうむる経済上の損失を保険の手法により合理的に補てんしようとするものでございます。しかし、個々の農家ごとに立地条件等自然条件のほか技術水準等が異なることから、いわゆる被害率に格差が生じていることは御指摘のとおりでございます。特に近年、高水準の技術力を有する専業的経営が育成されつつある一方、農家の兼業化、担い手の高齢化する中で、また、近年相次いだ異常気象のもとで、栽培管理の優良な農家と片手間的な農家では被害の発生に大きな差異のある地域が生じているのは御指摘のとおりでございます。
 このような状況の中で、先生先ほどおっしゃいました無事故農家に対しては、共済掛金の一部に相当する金額の支払いをするいわゆる無事戻しを行ってきたところでございます。今回、さらに過去一定年間における被害率、または無事故年数といった危険標識により保険集団に属する農家を幾つかの危険段階に分け、それぞれの危険度に応じまして適用料率を設定する危険段階別の共済掛金率の設定方式を新たに導入することとしております。また、これらによりまして農家間の掛金負担の公平と被害の少ない農家の不満の解消を図っていきたいと考えでおるわけでございます。
#84
○武田委員 時間が来ましたので終わりますが、いずれにしましても、この制度につきましては非常に皆さん芳心配しているのは事実であります。ですから、この国庫補助率の引き下げの問題が今後一つの慣例的な方向になったらどうしようもない、ぎりぎりこの線でとどめておかなければならぬ、そういう声が強いし、当然加入の面積の問題にしましても、要するに任意加入がふえてきて、そして組合の運営が非常に危機に陥るというケースも出てくるのじゃないか、特に山間僻地等の地域あるいは西日本の方なども大変心配でございます。
 それから、国家予算が毎年削減される中に事務費があり、ことしも随分削減されたということで、きのうの北海道の話を聞きますと、一人で一日に最低でも三十点やっているような感じですね。事務をとる方々も非常に厄介な問題を抱えていることなど考えますと、財政再建あるいはまた行革の絡みでの切り込みとはいいながら、それをこのまま放置していくならば大変な心配を農家に与えるということを思うときに、ひとつここで私は大臣にもお願いしたいし関係省庁の皆さんにもお願いしたいのですが、この農業災害補償制度というのが、農業の経営の安定ということにかかわる重要な問題である、それから農業生産力の発展に大きく貢献するよすがになるのだというその根本的な性格を忘れないような、そういう法案の中身として私は取り組んでほしいということを要望しまして、時間が来ましたので、質問を終わります。
#85
○島村委員長代理 菅原喜重郎君。
#86
○菅原委員 今回の農業災害補償法の改正について、大臣にまずお伺いするわけでございます。
 私は、今回の農災法の制度の改正は、改善点もありますが、当然加入面積の引き上げ、国庫負担率の引き下げは、結局国の赤字財政の締めつけによる共済制度の後退ではないかと考えるわけでございます。農家負担の増加も当然化しております。こう私は考えているわけでございますが、大臣に改正の趣旨、局長にはこの農作物共済掛金国庫負担割合引き下げの理由をお伺いしたいと思います。
#87
○佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。
 今回の農業災害補償制度の改正は、二つの点によるものでございます。一つは農業事情、それともう一つは農家の保険需要が変化しておりますゆえに、これに即応した制度の改善が求められていること、それとともに、厳しい財政事情のもとでより効率的な制度とすることが必要となっていることによるものでございまして、今先生御指摘の財政負担の節減の見地のみから立案したということはございません。
#88
○後藤(康)政府委員 国庫負担割合の問題でございますが、御案内のとおり、これまで最低を五〇%、最高を水稲については七〇%、陸稲及び麦につきましては八〇%という超過累進方式をとってきているわけでございますが、この現在の方式につきましては、御案内のような大規模な米の生産調整を行い、水田利用再編を適地適産のもとに進めていくという農業政策との整合性ということを考えました場合に、被害率の極めて高い地域ほど国庫負担率が急傾斜で高くなるという現行方式が適当かどうかという、国庫負担としてむしろもう少し中立的であるべきではないかという議論がございましたし、また、他の公的な保険制度と比較いたしましても極めて高い水準にある。さらには、どうしても共済金額の上昇に伴いまして共済掛金の国庫負担の金額も当然増的に増加をしてまいるということで、一つは、共済制度の内部におきましてもいろいろ拡充改善を行う観点からも、反面におきます国庫負担の面での合理化ということが要請をされてくるということと同時に、農林水産省全体の施策の中で、この厳しい財政状況の中でどういうふうに財政資金を農林省の予算として配分をしていくか、こういったさまざまな観点から検討をいたしました結果、超過累進制を残しながら、最高の負担割合を水稲については六〇、陸稲及び麦については七〇ということで、それぞれ一〇%ずつ引き下げることにしたものでございます。
#89
○菅原委員 今度の改正によって予想される農家負担増は総額どれくらいになるか。一戸当たり、十アール当たり、一応全国ベースでひとつ試算がありましたらお知らせいただきたいと思います。
#90
○後藤(康)政府委員 農作物共済の共済掛金国庫負担の改正に伴います農家負担の増加額は、米麦合わせまして約五十七億円というふうに見込んでおります。なお、料率の改定が、水稲、陸稲につきましては六十年度から、麦につきましては六十一年度に行われることになっておりますが、全体としてはこの料率改定によりまして掛金率が低下をいたしますので、米麦合わせて二十三億円の農家負担の減が見込まれます。したがいまして、この掛金率の改定を勘案をいたしますと、農家の負担増はネット差し引きで約三十四億円というふうになると見ております。
 これを、水稲につきまして農家一戸当たり全国平均について試算をいたしてみますと、料率改定で五百三十円の低下となりますが、制度改正によりまして千二百五十円増加をするということに相なります。また、水稲の十アール当たりの全国平均では、料率改定で九十円の低下になりますが、制度改正によりまして二百円ほど増加をするということになるわけでございます。
#91
○菅原委員 当然加入基準引き上げの理由について、私は、むしろ現状のままでもよいのじゃないか、否、今一反歩の基準生産数量を五百キロと見ますと、一反歩以上の面積の米は当然供米されているわけでございますし、また村落の相互扶助の意識あるいは農業改良に村落挙げて一緒に当たるという今までの慣習制度、そういう点から見ましては、今後の基盤整備の促進とかいろいろな農業振興の科挙げての体制を組ましむという観点からは、むしろ面積を下げても全戸の耕作者を加入させていく方がよいのじゃないか、こう考えるわけなんでございますが、当然加入基準引き上げの理由についてお伺いするわけでございます。
#92
○後藤(康)政府委員 当然加入基準の引き上げということを考えました理由は、生産性の高い農業経営を育成するという農政の基本方向にかんがみまして、農業収入に依存するところが少なく、また自家消費米の生産が主体であるというような小規模農家についてまでも当然加入の対象とする政策上の意義は乏しくなっているものという考えに基づくものでございます。
 確かに、安定した保険集団を確保するためにはできるだけ多くの農家が加入することが望ましいということはあるわけでございますが、本来農業共済を保険の手法でやってまいります場合、基本はやはり保険でございますから、しかもこれだけの国庫負担をやっておるわけでございますから、共済の加入者にとりましても有利な制度に平均的に申せばなっているわけでございますので、任意での加入ということが本来であるわけでございますが、農作物共済の特殊性ということから一定の線を引いて、それ以上の農家について共済関係が当然成立をするという当然加入制度をしいておるということでございます。したがいまして、余りに零細な規模の農家を含む全農家についてまでこれを強制的に加入させるということは適当ではないという考え方から、見直しを行ったわけでございます。
#93
○菅原委員 この当然加入基準の引き上げにより、加入農家が減少し、損害防止事業等の実施に支障を生じないか。西日本の方では、二十アールから四十アールあたりの面積を持っている農家数が半数に達する組合もあると聞いているわけなんでございますが、この点に関してどのようにお考えなのか。
    〔島村委員長代理退席、委員長着席〕
#94
○後藤(康)政府委員 当然加入基準を引き上げるといたしましても、今回この引き上げに伴いまして当然加入から任意加入の方に制度的には変わる農家につきましても、当然加入農家と同じ国庫負担を掛金につきましてすることにいたしておりますし、組合等の加入促進の御努力がございますれば、加入農家がそれほど減少するというふうには私ども考えていないわけでございます。
 水稲の損害防止でございますが、共済団体を含みます地域の農協等含めまして、地域の防除組織が中心になって行われておりますので、農業共済の加入戸数の減少という事態が仮にあった場合におきましても、直接そのことによりまして水稲の損害防止事業に大きな影響を与えるということはないものと考えております。
#95
○菅原委員 実際に損防事業等に支障が生じないという御判断のようですが、実は、今後日本の農業の近代化を図る上にはどうしても土地基盤の整備ということが必須条件でございます。しかし、現在もそうなんですが、後継者を持たない農家あるいは小面積の農家は、土地基盤の整備等には、借金を残したくないという意識と相まって、だんだんと消極的になっているわけでございます。もしも共済事業に加入しなくてもいいんだという、そういう小さい農家の数がこれはもうスプロール的に存在しているわけでございますから、将来土地改良あるいは再整備しようとするとき大きな障害になってくるのじゃないか。
 こういう観点から見るならば、本来小面積でも加入させていく。また、今回は制度のこういう改正で基準は引き上げたとしても、基準以下の農家の加入促進には、これは各農協等も推進的な、いわゆる農業問題に対するところの相互扶助制と団結制とを維持させるためにも、制度は制度としてもこういう努力は必要であると思うわけでございます。また、当然、現実に各組合員は基準以下の農家の加入促進にも大変な努力を払っているわけでございますから、こういう努力に対して、それでは国で何らかの配慮が見られるのかどうか、こういう点、お聞きいたしたいと思います。
#96
○後藤(康)政府委員 今お話しのございましたように、いわゆる任意加入農家の加入促進という問題につきましては、これは現在、これまでの当然加入基準の線の引き方のもとにおきましても同じような問題はやはりあったわけでございます。今回の制度の見直しをまた契機にいたしまして、共済組合におかれて一層加入促進の努力をしていただく、そしてまた、そのことを通じまして共済制度全体、いわゆる当然加入制のあります共済事業のみならず、任意加入のいろいろ新しい共済の促進というようなことも含めまして、活発な加入の推進のための活動を展開していただきたいというふうに考えております。
 私どもといたしましても、こういった加入促進につきましての都道府県庁サイドでのいろいろな指導なり支援ということもお願いをし、またそのための予算なども用意をいたしまして、国としてもこういったことにつきましてできるだけのお力添えをしていきたいというふうに思ってけるわけでございます。
#97
○菅原委員 次に、危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入の理由について、一応お伺いしたいと思います。
#98
○後藤(康)政府委員 これは近年農業事情がかなり変化をしてまいりまして、一方で高水準の技術力を持ちます専業的な経営が育成されつつあります反面、兼業化でございますとか高齢化というものが進みます中で、特に近年、五十九年は大豊作でございましたけれども、その前数年間にわたりまして相次いで異常気象が発生をいたしましたが、地域によりましては、そういう気象的な条件が悪くなりました場合に、栽培管理の優良な農家とそうではない農家との間で被害の発生状況に非常に大きな差異が出てくるというような現象が生じてまいってきておるということが第一でございます。
 それから第二には、組合等の広域化によりまして、広い範囲の対象地域の組合等が増加をしてまいりますと、原則一律の掛金率には不満を持つ農業者もふえてくるということがございます。
 第三には、組合等におきまして、事務の機械化、コンピューターの導入というようなことによりまして大量の事務処理が可能になってきている、こういったことを背景にいたしまして、農家間の公平感の確保というような見地、あるいは農家間の負担の公平という見地から、危険段階別に今までの組合等一本の掛金率をいわばグループ分けをして、段階別に設定をする道を開こうということを御提案申し上げておるわけでございます。
#99
○菅原委員 災害常襲地帯の方では今回のこういう改正は容易かもしれませんが、低被害地の方では危険段階別の掛金率の設定よりも無事戻しの方がよいのではないかという声も聞くわけでございます。低被害地においては当然農家の経営努力、そういうものが大きく差をつけてくるわけでございます。そうなりますと、自分たちのいわゆる農業へ取り組んだところの報酬的なものの見返りとしてこういう無事戻しが来たのだとなると、かえってこの方がいいのではないか、こういう意味での声を聞くわけでございますが、この点に関して国はどのようにお考えですか。
#100
○後藤(康)政府委員 今回新たに設けようといたしております危険段階別の掛金率の設定方式は、過去一定年間におきます被害率あるいは無事故年数といった危険度によりまして農家を幾つかの危険段階に分ける、あるいはまた集落ないし地域単位に幾つかの危険段階に分けまして掛金率を定めて、掛金負担の公平を図ろうというものでございます。
 他方、無事戻しは、保険設計上の事故の発生見込みと実際の事故発生との差によりまして生じた剰余金の一部を無事故農家に還元することによりまして、掛金の掛け捨てから生ずる無事故農家の不満の解消を図る、それを通じて円滑な事業運営を確保しようというものでございます。
 このように、この両制度は異なる目的なり性格を持っておるものでございまして、制度の仕組みとしては別のものでございます。一方を実施すれば他方が不要になるというものではございませんので、私ども併存させていく考えでございます。
#101
○菅原委員 そうすると、掛金率と無事戻しとは一応今改正でも併存していく、そういうことでございますね。
 では、次の質問に移りたいと思いますが、危険段階別の掛金率を設定する場合、従来低被害地に耕作していた農家は低い掛金率が設定でき、高被害地に住居している方々は、低被害地に出作していってもいわゆる高い掛金率が適用される。これは私たちの地方では五段階にこういう地域設定なんかもしているわけでございますが、こういう点ほどのようになっていくわけでございますか。
#102
○後藤(康)政府委員 大変現実に即したお尋ねでございますが、料率の細分化につきましての趣旨なりやり方は先ほど申し上げたとおりでございますが、それを出作、入り作というようなことの関係ではどういう適用になるのかというお尋ねでございます。
 農業共済制度におきましては、その組合員資格を有する者はその組合の区域内に住所を有する者というふうにされておりまして、このことから、制度の運用に当たりましては住所地主義がとられております。したがいまして、農家ごとのグルーピングを行います場合は、他地域への出作があります場合においてもその農家の被害率等を対象とするので問題はございませんけれども、集落等の地域ごとのグルーピングとか区分を行います場合には、出作地の所在する地域の掛金率ではなくて、その農家の所在する地域の掛金率が適用されることになります。このようなことは、農業共済制度が地域農家の相互扶助を基礎にしております以上、また事務を行います場合にも、共済金の支払いなり掛金なりというものはやはり農家単位で、農業者単位で行われているということであります以上、やむを得ないものではないかというふうに考えております。言うまでもないことでございますが、現行の農作物共済の地域料率制度におきましても、同様な考え方で運用といいますか、処理をされているということであるわけでございます。
#103
○菅原委員 これは事務的な問題なのでございますが、住居方式、一応属人主義と呼ばさせていただきますが、属人主義でいきますと、今言いましたように掛金率の違う地帯に出作、入り作しますとどうも不合理が起きてくる、それだったら属地主義にした方がいいのじゃないかと思うわけですが、属地主義にしますと今言いましたように事務の煩瑣が出てくる。こういう点、コンピューターが今駆使できる時代でございますから、将来事務改善の方にも国で何か対応して、双方が合理的に組み合わさって掛金率が試算できるように、ひとつこれは要望しておきます。
 次に、肉牛の子牛共済を今回新たに設けていただくわけでございますが、この点に対しての政府の考え方をお聞かせいただきたいと思います。
#104
○後藤(康)政府委員 近年、食生活が多様化してまいりまして、食肉需要が増加をする、その中で肉畜の飼養頭数も年々増加傾向をたどっておりまして、肉畜生産の振興が農政上の重要な課題になってきております。
 このためには、肥育部門とあわせましてその基礎になります繁殖部門の生産の安定というものを図ることが特に重要でございますが、繁殖肉牛につきましては、飼養規模も零細で子牛生産以外に収益がない。子牛の死亡というものが繁殖農家の経営にとって極めて大きな打撃を与えるというような実態にございますので、肉牛につきましての生産子牛共済を今回新設をすることにいたしたものでございます。
#105
○菅原委員 その際、胎児の価額は省令に定めるところによるというわけでございますが、どのような試算で価額基準を算定していこうとするのか、一応お伺いしておきたいと思います。
#106
○後藤(康)政府委員 胎児の価額というのは市場価格がございませんので、母牛の価額の一定割合ということで考えていきたいというふうに現在のところ考えております。そのために、いろいろな子牛の例えば月齢別の価額でございますとか子牛の体重別の価額というようなもので回帰線を引きまして胎児の価額を推定をするといった方法等でいろいろ検討いたしてみますと、おおむね母牛の価額の二割程度というところに落ちつくというところがら、今申しましたような評価の仕方でこの制度を運営していったらどうかと思っているわけでございます。
#107
○菅原委員 次に、肥育牛のうち和牛の肉用種とホルス乳用種の雄の肥育では今同じ掛金率なんですが、被害率は差があるのに一本になっているというわけでございます。この実態はどうなのか。また、この掛金率の区別ということに対して国はどう考えているのか、お聞かせ願いたいと思います。
#108
○後藤(康)政府委員 家畜共済におきます共済掛金率は、共済事故の発生態様の類似性を勘案をいたしまして、主務大臣が定める共済目的の種類ごとに設定するということになっておりまして、肉用種肥育牛と乳用種肥育牛の共済掛金率は、現在は肥育牛ということで一本の共済掛金率が定められております。
 しかし、乳用種肥育牛は哺乳されずに出荷されることが多いこと等もございまして、肉用種の肥育牛に比べて一般的に被害率が高い傾向にあるということが言われておりますし、さらに、近年牛肉に対する需要の動向から乳用種の肥育牛が増加をいたしまして、肥育牛飼養頭数の約六割を占め、今後もこれがふえていくのではないかということが見込まれておりますことから、一部の地域からは共済目的の種類を乳用種と肉用種と、今の肥育牛を二つに分離するようにしたらどうかという要望が出ておることは私どもも承知をいたしております。
 この現在プール計算されておりますのを二つに分離しますことは、法改正は要しませんで、告示の改正で共済目的の種類を分離をすればよろしいわけでございますが、これにつきましては、事務処理の問題のほかに、分離をいたしますことが肉用種肥育牛、乳用種肥育牛のそれぞれの飼養農家にとって納得のいくものかどうか、地域の実態に即してなお検討してまいりたいと思っております。
 なお、今回の改正案の一つでございます危険段階別の共済掛金率の設定方式の導入でございますが、この方法を使いまして、結果的には肉用種肥育牛と乳用種肥育牛の被害率が掛金率に反映されるような手法をとることも可能ではないかと思っておりまして、この仕組みを使いまして共済目的の種類の分離と同様の効果を期待できるような措置が可能になるのではないかというふうにも考えているわけでございます。
#109
○菅原委員 この掛金率は危険率の低い黒毛和種の掛金率を下げる方向でひとつ検討していただきたいということを要望いたします。
 次に、豚の掛金国庫負担割合は現在四割となっているわけでございますが、将来、やはり家畜共済でございますから、小家畜といえども一応共済制度の恩恵にあずかれるような、そういう体制を強化していくべきだと私は思うわけでございます。こういう観点から、豚共済を育てるためにも、国庫負担割合を牛馬並みに、大家畜並みに上げてはどうか。
 同時に、国庫負担割合を上げますと当然これは国の負担が増大するわけでございます。そういたしますと、やはり加入を増大させないと、かえって国庫負担割合の引き上げが財政圧迫になるわけでございますので、ここが今一番難しいところじゃないかと考えるわけでございます。こういう豚共済を成熟させるまでの手段として、また、これを普及させるという立場から、この国庫負担割合を検討できないか、このことについて一応お伺いいたします。
#110
○後藤(康)政府委員 豚の加入率が大家畜に比べましてかなり低いというのは事実でございますが、その要因としては、掛金の国庫負担の問題もあろうかと思いますけれども、そのほかにも、一頭当たりの資産価値が牛馬に比べまして低い、また農家の経営資金も大家畜ほど大きくない、また技術の進んだ農家では生産が比較的安定しておりますし、豚の回転が早いためにある程度自家保険で対応可能な面がある、いろいろな要因がこれにかかわっておるというふうに私ども考えております。
 豚の国庫負担割合につきましては、五十一年及び五十五年に引き上げが行われまして現在四〇%になっておるところでございますが、これをさらに引き上げて五割にしてほしいという要望がありますことも私ども承知をいたしております。今次の制度見直しにおきましても、このことも一応当初の段階では検討の中に含めて検討いたしたわけでございますが、現在の非常に厳しい財政事情のもとでなかなか困難が大きい、また、他の改善要望事項との優先度につきましてもいろいろ議論をし検討いたしました結果、今回は見送りということにいたしたわけでございます。したがいまして、この問題につきましては、将来の検討課題として承らしていただきたいというふうに考えております。
#111
○菅原委員 この豚共済の問題は、現在大規模養豚家が豚の生産を維持して日本に豚肉供給しているわけでございますが、しかし、将来、日本のこの複合経営のあり方で日本農家を国際競争に対抗できるように守れる分野ということで、随分これはウエートを占めて出てくるところだ、こう私は思っております。
 複合経営の中で農家が豚の飼育をする場合、やはり何といっても共済制度というのはそういう農家にとっての重要な位置を担うわけでございますから、こういう点でぜひ今のうちから豚共済を育てるための対策を国に考えてもらいたい、そう思うわけでございます。こういう点に対して、国の考え方をお伺いしたいと思います。
#112
○後藤(康)政府委員 養豚経営の安定化なり食肉の安定供給を図るという見地から、確かに私どもも豚の加入推進を一層図っていく必要があるというふうに思っております。農協なり関係団体と連携をとりながら、未加入農家の飼養の実態を十分に把握しまして、適正な加入目標を立て、普及活動を通じて引き受け推進を行いますように団体等を指導してまいりたいというふうに考えております。
#113
○菅原委員 次に、農業共済の健全化、合理化を図るために広域合併の推進を指導しているわけでございますが、この合併を促進する場合、現実に組合営と市町村営との組合が現在二つあるわけでございます。そこで、市町村営の組合を合併する場合は、当然これはそこに職員の身分問題が問題となってくるわけでございます。きのう参考人にこのことを一応意見を聞いたわけでございましたが、その際はっきりした意見は聞きかねたんでございます。ただ、その参考人の意向としては、町村営の場合は一部事務組合をそのまま持ってきてもいいんじゃないかというような発言もあったわけでございます。
 しかし、将来、行政改革の見地から国がこういう問題を指導する場合、やはり一本の線で進めなければならぬじゃないか。そうなると、当然組合営だけの方向で合併を促進すべきであるし、またこれを推し進めていくべきだと思うわけなんですが、その際、市町村からの職員の身分を出向の立場で今後とも保障していくように私はぜひ国にも指導していただきたいというのが本心なんですが、こういう観点から、この問題に対して国の考えをお伺いしたいと思うわけでございます。
#114
○後藤(康)政府委員 御指摘のような問題が特に広域合併をやります場合にあることにつきまして、私どもも承知をいたしております。合併計画区域内が全都市町村営である場合及び組合営と市町村営が混在している場合、こういった場合に合併前の市町村におきます共済事業を一部事務組合または合併組合に円滑に移行する必要がありますことから、市町村においてこういう仕事をやっておりました職員を期限つきで出向させてその業務に従事させているケースが多いというふうに聞いております。
 これら職員の身分保障確保の問題につきましては、通常は合併時におきまして関係市町村長との自主的な話し合いによりまして、出向期限到来時にもとの市町村に復帰できるような方法等で実施をされているというふうに聞いております。大体二、三年というようなことで出向されている場合が多いようでございます。
 このような実態にございますので、現在広域合併の推進に当たりましては職員の身分保障をめぐって非常に大きな問題があるというふうには考えておりませんが、もし具体的に問題が生じた場合には、私どもも御相談に乗りまして、適切かつ円滑に行われますように協力なり指導はいたしてまいりたいというふうに思っております。地方公務員法上のいろいろな問題もこれに関連をしてまいろうかと思っておりまして、かなり多面的ないろいろな問題がやはりあるのではないかというふうに思っております。
#115
○菅原委員 もう一つ。合併促進の一つの指導方針なんですが、広域地帯全都市町村営であるならば、市町村の一部組合として存続させる方向での指導なのですか。それとも、一応合併した際は組合営にして、今の出向の身分保障は、出向の手続で将来職員は帰すけれども、組合自体は組合営にするという方針なのか。この点やはり大切なところだと思いますので、国の方針を聞きたいと思います。
#116
○後藤(康)政府委員 私ども、農業共済事業を行います担い手としては、やはり本来は共済組合というものを中心に考えたいというふうに思っておりますが、現実問題といたしまして共済の事務を市町村にやっていただいているところが相当数あるわけでございますので、広域合併ということを考えます場合に、それを広域組合という形でやるか、あるいは複数の市町村の事務組合でやるかという点につきましては、やはりまず第一には、地域の実情なり関係者の方々の合意というものを尊重してやっていく必要があるのではないか。余りその点を組合一本やり、あるいは今まで市町村で全部やっていたから一部事務組合に限るということを大原則としてまず先に打ち立ててしまうというのもどうかな、そんな気持ちでいるわけでございます。
#117
○菅原委員 この点は非常に地方自治体の権限とも絡むわけでございますが、やはり国として一つの指導方針は、どこまでも、組合だったら組合の経営ということで、これはもう一部事務組合であろうと市町村営という公営的な性格は排除するという方向ははっきりした方がいいんじゃないかと私は思うわけですが、一応これは要望だけにしておきます。
 次に、農協に供出する米の網目は一・九ミリなのに、農業共済の損害評価に使う網目は一・七ミリなのはどうなんだ、そういう声を聞いたわけでございます。平年作のとき一・九ミリでは大体八%ぐらいのくず米が出るけれども、不作の年になると二〇%のくず米が出るというわけでございます。このことについて実態はどうなっているのか。また、どういう考えを持っているのか、お聞きをしたいと思います。
#118
○後藤(康)政府委員 ふるいの網目の問題はいろいろな機会にお話が出る問題でございます。基本的に申しますと、特に産地間競争というようなことがだんだん強くなってまいりまして、現在、ライスセンターなりカントリーエレベーターなどで米の調製をやります場合に、一・八ミリ目を超えるふるいで選別をしまして良質な米をより有利に販売をしようという傾向が強くなっておることは承知をいたしております。
 農業共済におきます収量の基準は、統計情報部と同様に通常一・七ミリ目以上の厚みのある玄米ということにしておりますが、これは、この基準に達するものは一般的に一等米から三等米に該当することになるからでございます。損害評価のふるい目について、農業団体からその基準を一・八ミリ目、または一・九ミリ目とされたいという要望がありますけれども、もしこれを改めることにいたします場合には、損害評価の際の基準だけではなくて、農業共済事業としての整合性を保持する観点から申しますと、引き受けの際の基準収穫量も共済掛金率も当然損害評価の基準に合わせることが必要になるわけでございまして、損害評価の面だけを別のふるい目でやるというわけにはなかなかいかないわけでございます。
 なお、これは共済だけの問題ではございませんで、このふるい目の問題と申しますのは、食用米の需給の数字、それから玄米の国内産農産物規格、また統計情報部の公表収穫量等にも全部響いてくる問題でございます。そういう意味で全体的な問題でございますし、一・八ミリ目を超えるふるいを使っているとはいいますものの、産地間競争もありまして、いろいろなふるい目が使用されておりまして、まだ必ずしも安定的なものにはなっていないということがございますので、農林水産省といたしましても、過去省内の関係局が集まりまして検討会などもやった経緯はあるわけでございますけれども、当面これについて変えることはいたさないということにいたしておりまして、今後の課題として慎重に検討すべき問題であると考えております。
#119
○菅原委員 〇・一ミリの差でも、実際これを試算しますと本当に全分野に影響を及ぼす大変な問題でございますが、ひとつ御検討だけはお願いしたいと思うわけでございます。
 次に、水稲の基準単収や単位当たりの共済金額は都道府県によって違うわけでございます。一応国がこの基準をつくりまして、県から配分を受けているというのが実態でございます。しかし、例えば岩手県南と宮城県北の場合でございますが、この地帯では出作、入り作が双方から行われているわけでございます。岩手県においては水稲の基準単収が六十キロぐらい宮城県より低くなっておりますし、共済金額になりますと、岩手県の場合が三百一円、宮城県においては三百七円で、六円の差があるわけでございます。
 こういう地帯には、組合あるいは農家の選択によって双方の基準や単位当たりの掛金率が使えるようなダブった対応、制度ができないものかどうか。西日本の場合ですと問題ないのですが、北に行くほど天候差によって非常に影響があるわけでございます。ことに岩手県なんかは青森県境にも当然発生する問題だと思うわけですが、直線で百五、六十キロ北に行くわけでございますから、こういう点に対して国はどのように考えているのか、ひとつそのお考えをお聞かせいただきたい。私としては、弾力性を持たせることができないのかどうかという観点からお伺いするわけでございます。
#120
○後藤(康)政府委員 水稲の耕地ごとの基準収穫量は、詳細な御説明は避けたいと思いますが、大臣が指示をいたしました収穫量をもとに知事さんが組合等ごとに割り当てまして、これをまた組合等が引き受けとなった対象耕地ごとに、水稲収量等級なり前年産の耕地ごとの単位当たり基準収穫量というものを基礎にし、さらに耕地のいろいろな条件、肥培管理、過去の被害実績等を参酌して耕地ごとに設定をしていくということになっておりまして、この耕地ごとの基準収穫量の単位当たりの平均値が、知事さんが指示をした組合ごとの単位当たり収量におおむね一致するように定める、こういうことになっておるわけでございます。
 耕地ごとの基準収穫量は、大臣が指示をする収量なり知事が指示をします収量と連携はしておりますものの、基本的には耕地ごとの土地条件等に応じて設定されることになっておりますので、地域の実情に合った基準単収が設定をされておる、県単位で見ますと、例えば隣り合った県の中でもかなりの差があるということがございますでしょうけれども、隣接地域間の基準単収、出入り作が行われているような場合におきましても、比較的近距離のところでそれほど大きな差が生じることはないものと考えております。
 なお、単位当たりの共済金額につきましては、収穫物の単位当たり価格を限度としまして、二以上の複数の金額を告示することになっておりますが、水稲につきましては政府買い入れ価格が一−五類に区分されておりますので、都道府県別にその価格を限度として告示をいたしております。組合等は、原則としてこの告示されました単位当たり共済金額のうちから一つを選択しまして定款等で定めることにしておりますので、出入り作の場合におきましても、その所属する組合等の選択する共済金額によることにすることはやむを得ないというふうに考えております。
 今おっしゃいましたような弾力的な仕組みというのは、特に県の間などをまたがるというような問題になりますと、非常に事務的にも処理が難しくなるのではないかというふうに考えております。
#121
○菅原委員 次に、この一筆方式から国が農家単位方式を推進するために出してきていた農家単位共済実施費補助金を五十九年度限りで打ち切ったようでございますが、この理由はどのようなことでありますか、お聞きいたします。
#122
○後藤(康)政府委員 農家単位共済実施費補助金につきましては、昭和四十六年の法改正の際の附則十二項に基づきまして、半相殺農家単位方式の円滑な導入実施に資するために、この方式を実施いたします組合等に対しまして、当分の間の措置として交付をしてまいってきたものでございます。
 四十七年産水稲に係る交付以来十年以上経過をしておりまして、半相殺農単共済の実施率が五十九年産におきまして水稲二四%、麦一三%と、一応の定着を見ておりまして、この補助金を継続することによります普及促進効果というものも今後は余り大きくは見込めないと考えられるということで、当初、制度の普及のための推進費ということで出したという経過もございますので、五十九年度をもって廃止することにいたしたものでございます。
#123
○菅原委員 この補助金の打ち切りはやはり組合の運営にはね返る問題でございますので、できるだけ組合育成の体制は今後とも手を緩めるようなことのないようにお願いしたい、こう思うわけでございます。
 次に、家畜共済診療で一番大切なのはやはり獣医師の貢献度でございます。今後この獣医師に対する国の手厚い対応をお願いしたい、こう思うわけなんでございますが、このことに対してひとつ考えをお伺いしたい、こう思っております。
#124
○後藤(康)政府委員 獣医師の待遇改善につきましては、共済団体等の獣医師、それから嘱託及び指定獣医師で家畜共済の行います特定損害防止事業に従事をいたします場合の雇い上げ手当及び家畜共済地域対策事業に従事をします場合の指導費につきましては、毎年この引き上げを図っているところでございます。六十年度も、前年度の九千五百円を九千八百円に引き上げたところでございます。
 また、この共済団体等の家畜診療所の獣医師職員の給与につきましては、私ども従来から指導の中で、一般職員とは異なる獣医師の勤務の特殊性を勘案して適正な給与額となるように指導をしてまいってきております。
 家畜共済におきましては、円滑な診療体制を維持し強力な事故防止を進めまして事業の安定運営を確保してまいりますことが何といっても重要でございます。これを達成してまいります上で、獣医師の協力に負うところが極めて大きいものというふうに認識をいたしております。今後とも、基本的には適正な診療報酬の確保、雇い上げ手当の引き上げ等、待遇改善につきまして引き続いて努力してまいりたいというふうに考えております。
#125
○菅原委員 最後に、農業共済は日本農業の発展的基礎でもございますので、この制度の今後の充実発展を図るべきであると私は思うわけでございます。この点に対して大臣の所見をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#126
○佐藤国務大臣 菅原先生にお答えいたします。
 農業災害補償制度というのは、先生の御指摘のとおりでございまして、地理的条件や気象条件から自然災害の発生の多い我が国においては、農業経営の安定を図る上で不可欠の制度だと思っております。そんなことで、今後とも農業災害補償制度につきましてはその効率的かつ健全な運用に努めますとともに、制度の機能を十分に発揮することにより、農家の経営安定のための制度として真に定着するよう努めてまいりたいと考えております。
#127
○菅原委員 終わります。
#128
○今井委員長 次に、津川武一君。
#129
○津川委員 この委員会で社会党の串原さん、松沢さん、細谷さんなどの同僚議員が既に問題を提起しておりましたけれども、今、貿易の自由化の嵐が日本を吹き荒れております。これは批判を許さない、無条件に押しつけるという形で吹きまくっております。この間の閣僚と与党との会議の中で、うちの佐藤農水大臣が原則自由の例外が農業だというふうに言ったら、そこで総理大臣からぴしゃりと、そこには聖域はない、出席していた自民党のある幹部は、何か我が農水大臣の首を切るみたいなふうにもとられる言動をして、圧力がかかってきているわけであります。
 この圧力は、合板の関税引き下げとなり、穀物一千万トン輸入、さらにはオレンジ、牛肉の枠拡大、新しい協議四年後というものを、四年後を待たないで協議を始める、骨なし鶏肉の関税引き下げ、日米欧委員会では生産者米価引き下げ、このような形であらわれてきております。これでは日本がたまったものではありません。貿易の自由化というものは、国際的な協力というものは、圧力ではありません。お互いの国の事情を話し合って、お互いの国が了解し合ってやられる、したがって、私は国民的な批判で必ずこの不当な嵐は消えると思うわけであります。
 そこで大臣、あの会議の中で農業は原則自由の例外だというふうに言って孤塁を守っている形でありますが、やはり正しく守らなければならない、大臣の健闘、これひたすらに我々手を握って待っているわけであります。我々も頑張りますので、大臣はどうしてもこれに屈しないで頑張っていただきたい。その決意を表明していただくと同時に、差し迫った問題、もう少し煮詰まっていない骨なし鶏肉の関税の引き下げを許すのか、日米欧委員会の生産者米価引き下げを許すのか、具体的な問題二つと、佐藤大臣の決意を明らかにしていただきます。
#130
○佐藤国務大臣 津川先生にお答えいたします。
 農業は、先生御指摘のとおり、生命産業として、国民生活にとりまして最も基礎的な物資でございます食糧の供給を初め、国土、自然環境の保全等、極めて重要な役割を発揮しております。さらに、地域社会におきましては、就業機会の提供などの地域経済社会の健全な発展を図る上でも重要であります。このような農業の重要性について私としては各国の理解を得るよう今後とも努めてまいりたいと考えております。
 また、農産物に係る対外経済問題につきましては、関係国との友好関係にも留意しつつ、国内の需給動向等を踏まえ、我が国農業を生かすとの観点に立ち、その健全な発展との調和を図って対応していくことが大切だと考えております。
 あと、骨なし鶏肉等につきましては、局長から答弁させたいと思いますが、中曽根総理につきまして、ややオーバーに伝わっておると思います。私は、実は長いつき合いをしておりますが、中曽根総理は農林水産関係につきましては大変御理解ある態度を賜っておるので、非常に感謝しておるわけでございます。当日、四月十九日の発言につきましても、実は私も新聞等を見ておりまして、正確に情報を伝えておるところが割に少なかったと思います。私が発言した後に、もちろんかなり厳しい態度で話がありましたが、特に農林水産物につきましてはトーンダウンしまして、諸外国とも特に農林水産物につきましてはいろいろ保護する制度をとっておるけれども、日本においでもよくわかるけれども、一遍再点検してみてもらいたい、こんな話であった、これは当たり前の話、こんな受けとめ方をしておりまして、伝えられておるような厳しい感じではなかった、そのように私は理解しておるわけでございます。
#131
○後藤(康)政府委員 骨なし鶏肉等、諸外国から要請のあります個別品目の関税引き下げの問題につきましては、四月九日の経済対策を決定する過程でもいろいろ議論があったわけでございますが、本年前半中にこれについての決定を行うということが決定をされまして、今後その決定の内容をどうしていくかということにつきましては、六月の下旬に予定をされております日・ASEAN経済閣僚会議などもにらみながら今後検討をしてまいるという段取りになっておるわけでございます。
 それから、日米欧委員会の報告が米価について触れておりますことにつきましては、食糧庁長官お見えになっておりますので、長官からお答えいただいたらと思います。
#132
○石川政府委員 日米欧委員会での米価につきましての提言でございますが、米をつくります場合に極力生産性を上げていくということにつきましては、日本の農業もそういう努力をしてきておるわけでございます。日本には日本の、特に土地の広がりその他の制約がございますので、私どもそういう中で一生懸命生産性の向上を図っている、そのことが米価の水準というようなものについてもいろいろと反映をされておるわけでございまして、そういう日本の事情を踏まえました上で、食管法で定めております再生産の確保ということを旨として定めていくという考え方には変わりはございません。
#133
○津川委員 大臣、私は、中曽根総理は理由のない外国の圧力に屈して必ず国を誤らしめるんじゃないかという心配を非常に強く持っておるのです。それを褒めたたえる大臣にも多少不服がありますが、大臣が前段にしゃべった日本の農業を守る、あの決意はどこまでも続けていくことを要求して、質問を進めていきます。
 そこで、今度の農災法の改正に入りますが、関係者のところに相談してみましたら、中曽根内閣の軍事費優先、財界優先で、農業、中小企業の予算を切ることが共済の予算を六十年度予算で減らしている、とうとう農業災害補償法まで来たか、正直なところこれが農民の声でございます。
 そこでお伺いしますが、今度の農家負担の増加で、全国平均、北海道、青森、岩手などについて農家一戸当たりの掛金の負担がどうふえていくか、説明願います。
#134
○後藤(康)政府委員 まず、昭和六十年産から新たに適用いたします水稲の改定料率は、全国平均では旧料率に比べまして低下をすることになりまして四%から三・八%に下がりますので、そのことによりまして農家負担は総額で約十八億円の減になると見込んでおります。また、六十一年度から予定をいたしております、御提案申し上げております掛金国庫負担方式の改正では、全国的に影響を与えることになりますけれども、農家負担は総額で約四十二億円の増加ということになる見込みでございます。これを水稲の十アール当たりの全国平均で見ますと、料率改定で九十円の低下になりますが、制度改正によりまして二百円増加をする、こういうことになります。また、水稲の農家二戸当たりの全国平均では料率改定で五百三十円の低下になりますが、制度改正によりましてこの下がった水準から千二百五十円増加をするということに相なります。
 さらに、お話しのございました道なり県について見ますと、北海道は料率改定では十アール当たりで五百十円、一戸当たり一万七千五十円、制度改正では十アール当たりで八百七十円、一戸当たりで二万九千百十円、それぞれ増加をいたします。青森県につきましては、料率改定で十アール当たりで三百八十円、一戸当たりで三千三百四十円、制度改正では十アール当たりで五百八十円、一戸当たりで五千六十円増加をすることになります。岩手県の場合は料率改定で十アール当たりで四百四十円、一戸当たりで三千四百八十円、制度改正では十アール当たりで四百十円、一戸当たりで三千二百六十円いずれも増加することになるわけでございます。
 全国平均では、料率改定では負担が下がるわけでございますが、残念ながら北海道、それから一部の東北の諸県におきましては、近年の被害実績を反映いたしまして掛金が上昇をいたしますので、両方の影響が重なるという結果になるわけでございます。
#135
○津川委員 北海道で一戸で四万六千百六十円、青森県で八千四百円、これほど農民の負担金がふえていきます。そこで国庫負担ですが、引き上げ幅がこのように大きくなったということと、近年の冷害を反映して料率改定でもアップが高いということで、二重の意味で農家が苦しんでまいります。これは明らかに農業の振興を考えた農災法の精神に反するものである。私は、できることなら撤回して再提出を求めたいという気持ちでございます。
 今局長が、被害率が高くなったから仕方がないと言っていますけれども、考えてみると、農家の負担が大変でございます。農家の負担率を見てみますと、農業所得が余り上がらない昭和五十三年対昭和五十八年、農業所得は八二・七%上がっておる、税金は一八一%、年金や保険料金一八八%。そこで、こういうふうに苦しくなっているところに今度共済保険の値上がり、共済保険は五十三年に比べますと五十八年で一三五%になっております。局長は被害率の高い共済だから仕方がないと言っているけれども、これでは農業共済も何もあったものではない。農業共済の危機が、存続の危機が問われるというのは、きのうの参考人で全国農業共済協会の常務理事の須藤さんが、制度が壊れると言っているのです。やっぱりこの辺で何らかの対策が必要と思いますが、こういう過酷な状態に対して政府の考えを聞かしていただきます。
#136
○後藤(康)政府委員 確かに一部の道県におかれまして、特に近年、今回の料率改定で算定基礎に入ってまいります五十六、七、八という三年間の被害が非常に大きかった県につきまして、料率改定でも農家負担がふえるということになるわけでございますが、これは保険の手法によりまして、一定のルールで計算をし料率を決めてまいるということでございますので、この保険の手法をとってまいります上におきましてはこれはやむを得ないものというふうに私ども考えておるわけでございます。
 確かに負担も増加するわけでございますが、例えば今度新しく料率算定の基礎に入ってまいります五十六年から五十八年の北海道の一戸当たりの年平均の農家負担共済掛金というのは、平均しますと約九万円でございます。引受農家一戸当たりの共済金の支払い額は三十七万円。これを被害農家戸数で割りまして一戸当たりを出しますと、六十九万五千円ほど年平均で共済金の支払いがあるわけでございます。そういうことも含めてひとつ御理解をいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
 それから、掛金国庫負担の問題でございます。これはもちろん現下の厳しい財政状況というものと全く無縁のものということではございませんけれども、同時に、やはり今の適地適産のもとに生産調整を行いながら水田利用の再編を推進をしていっているという農業政策の方向との整合性の問題、それからまた、何と申しましても、私ども毎年予算の確保に努力をしておりますが、全体の枠には高度経済成長時代と比べまして一定の制約があらざるを得ないわけでございまして、そういう中で農林水産省の各種の施策にどういうふうな財政上の配分をやっていくかというような種々の見地からの検討を加えまして、最終結論といたしまして、超過累進制を堅持をするけれども、その超過累進の幅につきまして一定の圧縮をするという結論にいたしたわけでございます。
 農家の掛金負担がこれによって増加をいたしますけれども、十アール当たりの米の所得と対比いたしますと、先ほど申しました別表改正によります十アール当たりの負担の増加額が二百円でございますが、全国平均の十アール当たりの米の所得が六万八千円ほどでございます。率にしまして〇・三%ほどの負担の増加額になるわけでございます。北海道につきましては、これはちょっと多うございまして一・七%ということでございますが、この辺の負担の増につきまして、関係の農家の方々の御理解をいただきたいと思っておるわけでございます。
#137
○津川委員 農家の御理解をいただきたいと言っているけれども、そう簡単にはいかないのがきのうの全国農業共済協会の須藤さんという常務理事の意見でございます。農家の負担のアップ、それから加入基準面積の増加によって事業経営が困難になる、共済事業の存続にかかわる問題になってきた。私たち、共済事業はふやしていかなければならぬ。今言われたようなことではだんだん減るだけ。したがって、共済事業を守っていく根本対策をひとつ明らかにしていただきます。
#138
○後藤(康)政府委員 私ども、農業災害補償制度は、農業分野におきます災害対策の基幹だというふうに思っております。今回の全般的な制度見直しの中で、一面におきまして制度の内容の充実改善、またそれとあわせまして制度運営の効率化というものを図ったわけでございますが、今回の見直し、昨年以来各方面と、また農林水産省内でもかなりいろいろ議論を重ねまして得た結論でございます。
 この改正をまた一つの出発点にいたしまして、この制度が災害対策の基本的な制度として十分にその意義を果たし、また定着をしていくように、私ども一層努力をしたい、こういうふうに考えております。
#139
○津川委員 農業共済の危機は後で果樹共済のときにもう一回話をして、どうして守っていくかについてお伺いをするとして、進めていきます。
 次に、団体事務費の定額交付金についてでございます。
 共済組合の役員に話を聞くと、この点についての不安を必ず訴えできます。事務費の圧倒的部分は人件費、もう一つは評価員の手当などでございますが、これが定額交付金ということになると、結局、職員、評価員の待遇低下、ひいては農家賦課金のアップ、こういうことにつながっていって、いよいよ共済組合の運営が困難になってまいります。現に私の地元でも、広域合併組合では六十年度事務費を昨年度の九五%に、未合併組合では九二%の範囲内で組むように県の方から指導が入っております。そのために、今、現地の共済組合はこれでやっていけるのか、共済組合が残れるかどうか、てんやわんやになっております。この事務費に対しては、定額化でなく必要なものを出してやるべきだと思いますが、定額化をやめて必要な部分を出してやる方針をまず伺わしていただきます。
#140
○後藤(康)政府委員 農業共済団体の事務費国庫負担金につきましては、六十年度予算におきまして、共済団体等の安定的かつ円滑な運営を図ります見地から、今まで個別経費を積み上げて補助率なり国庫負担率を掛けて、積み上げによりまして計算をいたしておりましたものを定額の負担に改めたものでございます。したがって、給与とか委員手当等の個々の積算根拠はないわけでございますけれども、五十九年度予算計上額を一つの有力な指標としまして、勘案をして定額化を行っております。
 今までの積算方式の中におきましても、前にも申し上げましたが、補助対象職員の定員削減でございますとかあるいは合併によります効率化のメリットを国庫負担金の減の方向で働かせるというようないろいろな査定が行われてまいってきているわけでございまして、ともすれば、この種の経費というのは近年においては一律五%カットとか一割カットとかいうようなことになりかねないわけでございますが、その点は定額化ということでございますから、よほど大きなことがない限りは、少なくともこの金額は安定的に確保されるということになろうかと思っております。もちろん、御心配のように給与水準の上昇等、いろいろ今後の増加要因もあるわけでございますけれども、やはり今後極力事務運営の合理化なり効率化によりまして対応していくことが必要ではなかろうかと思っております。
 職員の給与改善につきましては、人材の確保という点から申しまして、やはりそれなりの配慮を私どもも共済組合も払っていかなければいけないと思っておりますし、損害評価員等の手当につきましては、従来から実行上の問題として地域の実態に応じた支給がなされますように指導してまいりましたけれども、今後ともその活動に支障が生じないようにしてまいりたいというふうに思っております。
#141
○津川委員 いろいろと報告いただいたけれども、現実に組合を活性化してよくしようとすれば、職員の待遇改善要求には応じなければなりません。青森県で九四%だとか九五%だとか九二%の範囲で事務費をやれという、そこへ春闘の要求が起きてくる、どうすればいいかというのが共済組合の執行部のあれなんですよ。今の局長の答えでは何にも解決しない。そんなもの聞いてもどうにもならない。現地の共済組合の幹部たちの声にどうこたえてくれますか。もう一回ひとつお願いします。
#142
○後藤(康)政府委員 私ども、六十年度の予算の内示をいたす前の段階でございますし、県が県下の組合に対しまして、事業計画をつくる場合に予算規模をどの程度にというふうなことでどういう御指導をなさっているか、県ごとに必ずしもつまびらかにしないわけでございます。それぞれの県ごとに、引受面積等の事業の見込みというものをもとにして事業計画をお立てになっておられるのだろうというふうに思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、安定的に確保されます国庫負担、国庫補助の範囲内で、そのほかの各種の共済団体の収入、運用益でございますとかあるいはまた賦課金の収入でございますとか、そういうものを総合的に勘案しながら、組合運営、事業運営の効率化、能率化を図りながら、処遇改善の問題も含めて団体運営の健全な発展をいただくようにいろいろ工夫をしていただきたいというふうに思っているわけでございます。
#143
○津川委員 議論してもしようがない。要求がどしどし来ると思いますから、ひとつ覚悟しておいてください。
 次に、果樹共済に移ります。
 実は、五十五年度の改正のときに私も賛成しているのです。今の改正では農民の負担がふえたり当然加入限度が上がったりして、私たち到底賛成できませんけれども、五十五年のときは、私これでよくなると思って、リンゴ共済へもっと入ることになると思って賛成したのです。ところが、五十五年度改正したら、その年をピークにして加入率が下がってきた。これには私もびっくりして、自分でもどうしてなのだろうなというふうに考えているわけですが、青森県だけでいいですから、加入率がどうなっているか、ひとつ年次ごとに少し説明してください。
#144
○後藤(康)政府委員 青森県の果樹共済の中のリンゴの引受実績で申しますと、五十六年が四四・二%、五十七年が四一・四%、五十八年が三一・五%、五十九年は見込みでございますが一七・四%、この辺の引受率の低下の見込みが事業予算の規模などにももしかすると考慮されているのかもしれないという気も今いたしているわけでございます。
#145
○津川委員 共済事業の存立を危うくするような加入率の低下でございます。私もリンゴづくり農家とじっくりひざを交えて話してみました。何であんたたちひところ入っていたのをやめたのか、なぜ入らないのかと言ったら、こうなのです。掛金が高い、これが第一。もらう機会が少ない、もらう金が少ない、これが二つ。もう一つには、いつももらう人がたくさんおって、なかなかもらえない人があって、恐ろしく不公平がある、これがそうです。それから、樹園地ごとの共済であればまだいいが、台風一本だけのものならまだいいが、こういういろいろな議論が出ているわけであります。私は、果樹共済、青森県のリンゴをこのままほっておくと壊滅するのじゃないかという心配を持っております。
 そこで、この果樹共済、リンゴ共済をどうして守っていくのか、どうして農家の加入率をふやしていくのか、やめるのをどうして阻止するのか、もう少し具体的に聞かしていただきます。
#146
○後藤(康)政府委員 まさに私どもも今先生が御指摘になりましたような問題を頭に置きながら、今回の改正におきまして特定危険方式、これが優良農家の危険意識に一番マッチをし、また掛金率も安いという方式でございますので、特定危険方式について補償水準を七割から八割に引き上げまして、凍霜害を災害に追加をしまして、凍霜害それから暴風雨、ひょう害のセット方式というようなものも導入をすることによりまして、掛金率が安く、また優良農家でも危険を感じているような災害を十分にカバーをするというような方式を御提案を申し上げているわけでございますし、また、農家ごとの被害状況に応じた共済掛金率のいわば危険段階別の設定方式の導入というようなことを通じまして、先ほどお話しのありました掛金が高い割に共済金の支払いが少ない、また、いつももらっている農家といわば掛け捨て的なことになっている農家との差が出ているというような問題に対応する形で今度の特定危険方式の改正等を考えまして、これによって専業的な果樹農家の一層の加入促進をできるだけ図っていきたいというふうに思っているわけでございます。
#147
○津川委員 リンゴづくり農家の悪口を言うつもりはありませんけれども、私の方で、台風が来る。両方来る。そうすると、岩木山ろくのリンゴづくり農家は八甲田山ろくのリンゴ畑にばっかり当たってくれればいいと言う。八甲田山ろくのリンゴづくり農家は岩木山ろくのリンゴ畑にだけ当たってくれればいいと言う。うちの方は、災害を逃れると値段が上がる。これが長野に当たってくれればいいと言う。こういうことになってしまうのです。つまり、これは資本主義の一つのかけ。ばくちとは言わない。こういう形で一回救われると、共済に頼る気がなくなる。ここのところをじっくり共済というのに密着させるには別の対応が必要だ。
 もう一つは、ことしの二月八日に青森県の共済組合連合会が単位共済組合に出した通達です。「貴組合から報告のあった五十九年産組合等当初評価高及び損害高検討表について、本会でとりまとめ、農水省と事前協議を行ったところ農水省認定量と相当な格差のあることが認められました。」から、支給率を一律九・四%に切れ、これが農水省の指導方針なんです。これをもらった単位共済組合の幹部が何と言っているか。共済をやめたと言っている。評価員を何十人と使って苦労して寝ないで調べたものを、どんな評価があろうが構わずに九・四%に切れという。この農民の声を無視した、農民から離れた、上からの圧力的な、これが共済組合をつぶしていく。したがって、共済組合に対する不満が物すごく出てくるわけです。
 どうしても果樹共済は維持していかなければならない。そこで、共済組合制度そのものをじっくりと農民とともに研究していく、こういう強圧を加えるような民主主義じゅうりんをやったら滅びますので、そこいらに政府の指導方針を求めてやまないわけであります。再答弁を求めます。
#148
○後藤(康)政府委員 五十九年産のリンゴの損害評価高につきましては、私ども一月に連合会から事前協議を受けたわけでございますが、その内容につきまして、私どもの統計情報部で五十九年産リンゴの生産、出荷予想等のいろいろなデータを持っておりますが、これに比較しましても少し大き過ぎるというふうに考えられました。
 県ごとに統計情報部の資料とのチェックをいたしまして、隣接県との比較におきまして統計情報部のデータ等と格差が余りに大きいという場合には、やはり再度連合会と各組合との間で調整をしていただくことが県の間のバランスという点からも必要だということで、そういう指導を申し上げたわけでございますが、この過程で私どもが一律にこういうふうな率にせいというふうなことを、具体的に率までとやかく申し上げたという事実はないと承知いたしております。
 青森県の連合会とされましては、その後、地域ごとの作柄概況も考慮しながら組合等と調整をいたしました結果、損害評価会にも諮りました上で被害額の認定をいたしまして、一部の組合等におきまして金額被害率がほぼ同じような水準になっているというような結果にはなっておりますけれども、これは連合会が組合等と調整をされた結果であると考えております。
 私ども、ちょうど組合単位の評価を県の連合会が一定のバランスを見まして調整をしますのと同じような観点で、県の間でのバランス、それからまた統計情報部の資料とのある程度の整合性といったようなものにつきまして連合会にいろいろ指導申し上げることはあるわけでございますが、組合ごとの評価額をこうせいというようなところまではやるべきものではないということは、乱そういうふうに考えております。
#149
○津川委員 これで終わりますが、実はリンゴ共済の加入率が低下してきた五十五年、五十六年にも同じ事件があるのです。それがリンゴ共済に入らなくなった一つのきっかけなのです。したがって、この点は改めてもう一回この場で議論しますから、調べておいていただきたいと思うのです。
 最後に、腐乱病のことで来ていただいているのですが、時間がなくなってしまいましたので、せっかく来ていただいたのに済みません。お許しいただいて、終わります。
#150
○今井委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#151
○今井委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。新村源雄君。
#152
○新村(源)委員 私は、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となっております農業災害補償法の一部を改正する法律案に対し、反対の立場から討論をいたします。
 本農業災害補償法は、制定以来数次の改正の中で、農業者の災害に対し補償の充実を求め、農業経済の安定と農業の振興を求めて今日に至りました。今回の政府提案の改正案は、一部には評価できる部分もありますが、本法の根幹である水稲共済の当然加入面積の引き上げ、農作物共済における国庫負担率の引き下げを行おうとするものであり、改善を求めてきた農家の要望にも逆行するばかりでなく、本制度の根幹を危うくする改悪であり、農民負担の増大を求めるなど、我々の到底容認しがたいところであります。
 我が国の農業は、工業製品輸出増大の見返りとして農畜産物の輸入が拡大される中で、米の生産調整、畜産物の生産抑制などを強要され、農業経営の圧迫による農家負債の増大など、農業及び農家経済が重大な危機を迎え、しかも我が国の食糧は穀物の自給率三〇%台という独立国としては異例の低さであります。
 今回の改正案は、こうした厳しい農業事情の実態を省みず、政府が志向している中核農家の育成、国の財政事情の厳しさを口実にし、小規模農家を切り捨てる政策を大胆に打ち出しているのであります。
 すなわち、その第一は、農作物共済において、当然加入基準を従来の十アールから三十アールを二十アールから四十アールに引き上げたことであります。これによって当然加入農家が七十四万戸減少することになり、その率は全加入戸数の二三・八%に達することが質疑を通じて明らかとなっております。これは本事業を担当する共済組合の経営を危機に陥れるばかりでなく、生産共同組織や地域の共同意識も破壊するもので、その及ぼす影響ははかり知れないものがあります。
 第二は、農作物共済の国庫負担の削減であります。これは本制度の果たしている役割の重要性を無視した暴挙と言うしかありません。
 このように、本法案は農家の負担を一層増加させ、国だけが得をする仕組みへの改悪であります。農民は農業の展望に希望を失い、営農意欲をますます減退させることとなり、これがひいては我が国の食糧自給率をさらに低下させることを懸念するものであります。
 さらに第三には、肉用牛に対しては受胎八カ月から共済目的に加えながら、乳用牛に対してはこれを認めず、また豚の国庫負担を五分の二に据え置くなど、首尾一貫しないものがあります。
 今回の法改定は国の厳しい財政事情を反映したものとされているが、本制度は公的な保険制度の位置づけを持つものであり、一般の補助金、助成金とは本質的に異なるものであります。国民食糧の供給基盤である農業と農家経済を守る極めて重大な役割を担うものであり、無秩序に政府の責任を農民に転嫁しようとする本法律案の改定に反対を表明して、討論を終わります。(拍手)
#153
○今井委員長 次に、中林佳子君。
#154
○中林委員 日本共産党・革新共同を代表し、農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。
 反対の第一の理由は、農作物共済の掛金国庫負担率を引き下げることです。
 政府は、国庫負担率引き下げの理由として、厳しい財政事情のもとで制度の一層の合理化を図る必要があることを挙げています。これは高率補助の引き下げという臨調行革路線をそのまま実行するもので、財政主導の制度改悪と言わなければなりません。
 国庫負担率引き下げによる農家負担増は総額で約五十四億円にもなります。しかも、災害常襲地帯等の掛金率の高い地域の農家負担を軽減するための超過累進制は残されたものの、水稲の国庫負担率を六〇%で頭打ちにするなど、超過累進制を大幅に後退させるものです。これでは被害率の高い地域ほど国庫負担率引き下げの打撃が大きくなり、超過累進制の名に値しないものです。
 このように、国庫負担率引き下げは、災害から農業経営を守るという農業災害補償制度の根幹にかかわる改悪と言わなければなりません。
 第二に、政令改正によって水稲共済の当然加入基準を引き上げることです。
 当然加入基準の引き上げは、直接的に小規模零細農家を共済制度から締め出そうとするものであり、小規模農家の比率の高い地域では共済制度の崩壊につながるものです。
 第三に、政府は、高い技術水準を持ち、被害の少ない専業農家などの共済掛金を低くできるとして、危険段階別の共済掛金率設定を導入することです。こうした農家のグループ分けは、当然加入基準の引き上げとも相まって、助け合いを基本とする共済精神を後退させ、兼業農家の共済からの離脱、集落組織の分断につながりかねないものです。
 今回の改正案は、肉用子牛共済の新設など、改善内容も含んではいますが、中心は、農作物共済の掛金国庫負担率を引き下げる制度改悪であり、災害から農家経営を守るという国の責任を大きく後退させ、農業共済制度そのものの崩壊につながりかねないことを指摘し、反対討論を終わります。(拍手)
#155
○今井委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#156
○今井委員長 これより採決に入ります。
 農業災害補償法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#157
○今井委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#158
○今井委員長 この際、本案に対し、玉沢徳一郎君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者から趣旨の説明を求めます。小川国彦君。
#159
○小川(国)委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同を代表して、農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    農業災害補償法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本制度が災害対策の基本として重要な役割を果たしていることにかんがみ、制度の円滑な運営が確保されるよう、左記事項に留意し、万全の措置を講ずべきである。
     記
 一 各種共済事業の今後の運営に当たっては、必要な国庫負担を確保しつつ、農家経済の実情に即した適切な措置について検討すること。
 二 危険段階別の共済掛金率の設定については、画一的指導及び強制はしないこと。
 三 水稲共済の当然加入基準の引上げについては、地域の実態をも十分考慮した基準が設定できるよう指導し、制度運営に支障をきたさないよう必要な措置を講ずること。
 四 肉牛の子牛共済の実施に当たっては、適正な共済価額を設定すること。
   また、引受、損害認定については、飼養の実態に即した運用を行うこと。
   なお、豚にかかる共済掛金国庫負担割合については、これを引き上げるよう検討すること。
 五 果樹共済については、加入促進等を図るため果樹農業を取り巻く今後の環境変化や農家の保険需要に即応した制度のあり方につき事務簡素化、事業責任分担方式等を含め検討すること。
   なお、果樹共済においで、危険段階別共済掛金制度を導入する場合には、無事故割引制度を包含し得る設定方法となるようにすること。
 六 園芸施設共済の健全かつ積極的実施が図られるよう加入促進に努めるとともに、事業責任分担方式について、事業の推移を踏まえつつ検討を行うこと。
 七 畑作物共済における基準収穫量の設定については、地域の生産の実態が反映するよう努めること。
   なお、新たに共済対象となる高級いんげんについては、掛金と補償水準との相関関係を考慮し、適切な引受が行われるよう指導を行うこと。
 八 各種共済事業について、引受、損害評価方法の簡素化に極力努める等効率的な事業運営を行い得るよう配慮すること。
 九 制度の円滑な実施に資するため、地域の実態に十分配慮しつつ共済団体の自主的な組織整備の強化を図るとともに、制度の多様化に対処し、共済制度の普及及び共済団体職員等の研修事業の一層の充実を図ること。
   右決議する。
以上でありますが、附帯決議案の趣旨につきましては、質疑の過程等を通じ、既に各位の御承知のところと存じますので、説明は省略させていただきます。
 何とぞ全員の御賛同を賜りますようお願い申し上げます。(拍手)
#160
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 玉沢徳一郎君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#161
○今井委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。
 この際、ただいまの附帯決議につきまして、農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。佐藤農林水産大臣。
#162
○佐藤国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、決議の御趣旨を尊重いたしまして、十分検討の上、善処するよう努力してまいりたいと存じます。
    ―――――――――――――
#163
○今井委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案の委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○今井委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#165
○今井委員長 次に、内閣提出、農業者年金基金法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 農業者年金基金法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#166
○佐藤国務大臣 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 農業者年金制度は、農業者の経営移譲及び老齢について必要な年金の給付を行うことにより、農業経営の近代化及び農地保有の合理化に寄与するとともに、国民年金の給付とあわせて農業者の老後の生活の安定と福祉の向上に資することを目的とするものであり、昭和四十六年一月に発足して以来、農業経営の若返り、農地保有の合理化等に寄与してまいりました。
 しかしながら、農村における人口構造の高齢化、兼業化の進展等により、農業者年金をめぐる状況は厳しいものとなってきております。
 政府といたしましては、このような状況に対処して、農業者年金制度について長期にわたる安定的な運営を確保するため、公的年金制度の改革の方向を踏まえ、本制度がその使命をよりよく達成できるよう、給付と負担の適正化を図るとともに、農業構造の改善を一層促進するための措置を講ずることとし、この法律案を提出した次第であります。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、年金の給付水準の改定であります。
 まず、経営移譲年金の給付水準につきましては、従来と同様、厚生年金程度の水準とすることとし、厚生年金の給付水準の適正化に即して昭和六十一年度以降二十年かけて段階的に改定することとしております。
 また、農業経営の近代化と農地保有の合理化を一層推進するため、経営移譲の相手方に応じて経営移譲年金の額について一定の差を設けることとしております。
 次に、農業者老齢年金の給付水準につきましては、従来と同様、経営移譲年金の額の四分の一とすることとしております。
 第二は、農業者年金の被保険者資格の改正であります。
 六十歳から六十五歳までの者についても、農業者年金の受給資格期間が不足するものについては、受給資格期間を満たすまでの間任意加入できることとするほか、国民年金制度の改革等を踏まえて、被保険者資格について所要の規定の整備を行うこととしております。
 第三は農業者老齢年金の支給要件の緩和であります。
 経営移譲年金の受給権者以外の者に対する農業者老齢年金の支給につきましては、これまで六十歳に達した日の前日において農業者年金の被保険者であることを要件としておりましたが、これを改め、同日まで農業を継続して行っていた者に支給することとしております。
 第四は、死亡一時金の支給対象の拡大等であります。
 経営移譲年金を受給した後に死亡した場合におきましても、支給を受けた経営移譲年金の総額が一定の金額に満たないときは、その差額を死亡一時金として遺族に支給することとしております。
 また、脱退一時金及び死亡一時金の額について四%の引き上げを行うこととしております。
 第五は、国庫補助の改定であります。
 国庫補助につきましては、経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額の国庫負担に加え、当分の間、当該費用の額の六分の一に相当する額を補助することとし、現行の拠出時補助は廃止することとしております。
 第六は、保険料の改定であります。
 保険料につきましては、財政再計算の結果等を踏まえて、昭和六十二年一月分から一月八千円とし、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ段階的に引き上げることとしております。
 以上が、この法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#167
○今井委員長 補足説明を聴取いたします。井上構造改善局長。
#168
○井上(喜)政府委員 農業者年金基金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 本法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容について若干補足させていただきます。
 第一に、年金の給付水準の改定であります。
 経営移譲年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から、六十五歳までは三千七百十円、六十五歳以降は三百七十一円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて、六十五歳までは二千二百三十三円、六十五歳以降は二百二十三円となるまで段階的に改定することとしております。
 また、農業者年金の被保険者その他の一定の要件を満たす者以外の者に経営移譲した者に支給する経営移譲年金の額については、差を設けることとしておりますが、その格差につきましては段階的に拡大することとし、五年で四分の一の差とすることとしております。
 次に、農業者老齢年金の額につきましては、保険料納付済み期間一月当たりの給付単価を昭和六十一年四月から九百二十八円とすることとし、昭和六十一年度以降二十年をかけて五百五十八円となるまで段階的に改定することとしております。
 なお、施行日の前日において年金給付に係る受給権を有していた者について、改正後の法律により算定した年金給付の額が従前の額より少ないときは、従前の額を保障することとしております。
 第二に、農業者年金の被保険者資格の改正であります。
 これまで、六十歳以上の者は農業者年金の被保険者となり得なかったところですが、六十歳から六十五歳までの者のうち農業者年金の受給資格期間が不足するものについては、受給資格期間を満たすまでの間任意加入することができることとしております。
 また、国民年金制度が基礎年金を支給する制度として位置づけられ、国民年金の適用対象が厚生年金の被保険者等にも拡大されることに伴い、農業者年金の被保険者資格の得喪に関する規定について所要の規定の整備を行うこととしております。
 第三に、農業者老齢年金の支給要件の緩和であります。
 農業者老齢年金は、これまで経営移譲年金に係る受給権者及び六十歳に達した日の前日において農業者年金の被保険者であった者に対して支給してまいりましたが、今回、経営移譲年金の受給権者以外の者についての支給要件を緩和し、六十歳に達した日の前日まで農業を継続して行っていた者には農業者老齢年金を支給することとしております。
 第四に、死亡一時金の支給対象の拡大であります。
 これまで既に経営移譲年金の支給を受けていた者が死亡した場合には死亡一時金は支給されないこととされておりましたが、これを改め、支給を受けた経営移譲年金の総額が保険料納付済み期間の区分に応じて定められる一定の金額に満たないときは、その差額を死亡一時金として支給することとしております。
 第五に、国庫補助の改定であります。
 農業者年金につきましては、経営移譲年金の給付に要する費用の額の三分の一に相当する額の国庫負担のほか、当分の間の措置として、保険料拠出時の補助を行ってまいりましたが、公的年金制度において拠出時と給付時の双方に国庫補助を行っている例はないこと等から拠出時補助は廃止することとし“これにかえて、当分の間、経営移譲年金の給付に要する費用の額の六分の一に相当する額を補助することとしております。
 第六に、保険料の改定であります。
 保険料の額は、財政再計算の結果によりますと相当大幅な引き上げを必要とするところでありますが、農家経済への影響をも考慮いたしまして、昭和六十二年一月分から一月につき八千円とし、以後昭和六十六年まで毎年八百円ずつ段階的に引き上げることとしております。
 また、保険料の額は、昭和六十七年一月以後においては、法律で定めるところにより段階的に引き上げられることとしております。
 さらに、農業後継者の育成確保に資する見地から、将来の農業生産の中核的担い手となることが期待される後継者につきましては、引き続き、一般の加入者の場合と比べて保険料を三割程度軽減することとしております。
 第七に、厚生年金の適用事業所の範囲の拡大に伴い農業者年金の被保険者資格を喪失した者の取り扱いであります。
 厚生年金の適用事業所が従業員五人未満の事務所等に拡大されることに伴い、農業者年金の被保険者資格を喪失し、農業者年金の受給資格期間を満たし得ない者が生ずることとなりますが、その被保険者資格を喪失した日以後の期間のうち農業を継続していること等の一定の要件に適合する期間については、農業者年金の受給資格期間として通算する措置を講ずることとしております。
 このほか、所要の規定の整備を行うこととしております。
 以上をもちまして、農業者年金基金法の一部を改正する法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#169
○今井委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時四十三分散会
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ソース: 国立国会図書館
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