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1984/06/19 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第25号
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1984/06/19 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 農林水産委員会 第25号

#1
第102回国会 農林水産委員会 第25号
昭和六十年六月十九日(水曜日)
    午前十時四十五分開議
出席委員
  委員長 今井  勇君
   理事 衛藤征士郎君 理事 島村 宜伸君
   理事 田名部匡省君 理事 玉沢徳一郎君
   理事 小川 国彦君 理事 田中 恒利君
   理事 武田 一夫君 理事 神田  厚君
      大石 千八君    太田 誠一君
      鈴木 宗男君    田邉 國男君
      月原 茂皓君    保利 耕輔君
      松田 九郎君    山崎平八郎君
      若林 正俊君    上西 和郎君
      島田 琢郎君    新村 源雄君
      日野 市朗君    細谷 昭雄君
      駒谷  明君    斎藤  実君
      水谷  弘君    吉浦 忠治君
      稲富 稜人君    菅原喜重郎君
      津川 武一君    中林 佳子君
 出席国務大臣
        農林水産大臣  佐藤 守良君
 出席政府委員
        農林水産大臣官
        房長      田中 宏尚君
        農林水産大臣官
        房審議官    吉國  隆君
        農林水産省経済
        局長      後藤 康夫君
        農林水産省農蚕
        園芸局長    関谷 俊作君
        農林水産省畜産
        局長      野明 宏至君
        農林水産省食品
        流通局長    塚田  実君
        食糧庁次長   山田 岸雄君
        林野庁長官   田中 恒寿君
 委員外の出席者
        農林水産委員会
        調査室長    門口 良次君
    ―――――――――――――
六月十八日
 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八三号)
同日
 農畜産物の輸入制限品目保持に関する請願(上
 草義輝君紹介)(第六五五一号)
 農林年金制度の改悪反対等に関する請願(小川
 国彦君紹介)(第六五五二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する
 法律案(内閣提出第八三号)
 農林水産業の振興に関する件
     ――――◇―――――
#2
○今井委員長 これより会議を開きます。
 農林水産業の振興に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。目野市朗君。
#3
○日野委員 大臣、きょうは麦価の米審でどうも御苦労さまでございます。それに、どうも経済摩擦のあおりが農産物にどんどん来るようで、まことに困ったことだと思っております。ひとつ頑張ってやっていただきたいと思います。
 ところで、そろそろ米価決定のシーズンになってまいりましたが、米価の決定というのはすぐれてこれは行政的な作用であるはずなのでありますが、どうも最近そっちでもこっちでも自民党が米価を決めるというような演説をふって歩く方が非常に多いので、これは農水省さぞやお困りでしょうと思っているのです。この米価決定の仕組みの中で、自民党が米価を決めるというようなことを言う、いつから国会議員も行政官になったのかいなと非常に奇妙な思いに駆られながらこの話を聞いているわけですが、どうもそういう声が非常にこのごろ強まってまいりまして、私もこれはほっておけないというふうに思います。
 事の原因は、そもそも農水省、食糧庁、農水大臣初め食糧庁の幹部が、自民党と米価について政治折衝をやるということに間違いがありはしないかと思っております。いかがでございましょう。どういう根拠に基づいてこの政治折衝なるものをやっているのか、そこをお聞かせいただきたい。
#4
○佐藤国務大臣 日野先生にお答えいたします。
 先生御存じのように、国民の主食であります、かつ我が国の農業の基幹作目でありますお米の価格の決定は、農政のみならず国民経済にとって重大な影響を及ぼす性質のものでございます。
 そんなことで、その決定に当たりましては、米価審議会の御意見をお聞きするとともに、政権を担当しております与党と十分意見の調整を行うことが必要であるとの判断によるものでございます。
#5
○日野委員 いやいや、それは必要だということですが、事はそれじゃ済まないのですよ。我が国は三権分立の方針をとっておるのでございますよ。米価決定は行政です。これはもう当然のことでございますね。それに自民党が行政の一翼を担うかのごとく政治折衝などというものを行っていくわけでございますね。これは私は納得いかぬ。国民経済の健全な発展とか日本の政治の健全な進みというものは、三権分立というきちんとした方針を踏まえなければいけません。そうじゃありませんか。そこらのところをゆるがせにするということは、全体主義的な一つの手法です。随分それは間違いを起こして、場合によっては戦争に突入をしたり、そういうことを起こしているのですよ。(「戦争なんてそんな、ばか言うなよ」と呼ぶ者あり)今与党席のやじが聞こえているけれども、これは思い上がりがある。そう思いませんか。行政は行政としてやっていかなければいけない。
#6
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 今申し上げたとおりですが、米価審議会の御意見を承りまして、米価決定を行う場合、米価決定は先生御存じのように極めて重要な政策決定でありますので、実際問題としては政府・与党間に食い違いがあることは避ける必要があるということで、最終的な決定に至るまでの間においては与党との話し合いを行っておるのであり、政府として、あくまでも基本的には米価審議会における審議及び答申についてはこれを尊重して米価決定を行っていく所存でございます。
#7
○日野委員 実際上は、マスコミなんかの取り扱いを見ても、現実に出てきている結果を見ても、自民党との政治折衝の結果、これが現実には機能しているわけです。私はこういうことはあってはならないと思う。あくまでも行政府は行政府である。そして、政党というものは一体どういう機能を果たすのでしょうか。政党というのはそれは国会議員を送り出す。そして、そこで国会と政府との関係といえば、これはもう議院内閣制という方針をとっているわけですね。行政の決定は行政の責任において行われるべきである、私はこう主張するのです。
 政治折衝を行うなどということは一体どこに根拠があるのです。この法治国家である日本の法的な根拠を示してもらいたい。
#8
○佐藤国務大臣 先生に今申し上げたように、基本的には米価審議会の意見を聞きまして慎重に決定いたす予定ですが、その間におきまして政権を担当している与党と十分調整を図るというのが常識ではないか、こう思っております。
#9
○日野委員 その常識だというところに問題があるのですよ。私は常識だと思ってない。あくまでも行政は行政、これはもう行政官の方々は行政官の誇りにかけて行政を運用してもらわなければならぬ。もし行政のところに立法に携わる部分がかかわり合っていったら、これはもう癒着ですよ。そこをきちんとしないと日本の民主主義の根幹を崩す、そう思いませんか。
#10
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたしたとおりでございますが、基本的には米価審議会の意見をよく聞きまして慎重に対処して決めているわけでございますが、政権を担当している与党と意見の食い違いがあってはいけませんから、やはりその間に当然話し合い、調整を図るというのが常識だというふうに私は思っております。
#11
○日野委員 日本の政治システム、行政のシステム、これは両方の緊張関係というものを当然予想しているのですよ。食い違いのあることを当然予想しているのです。だからこそ国会は国の最高機関として国政調査権を持っているわけでしょう。そこでなれ合ったら国政調査権などというものは意味がなくなります。やはり行政は行政をきちんとやりなさい、立法機関は立法機関として、行政にかかわっていくのは、法律をつくってその法律に従って行政が運用される、その行政に間違いがあったら国政調査権を発動する、これが建前です。何かそのほかに自民党と政府がこういうなれ合いをやるというのなら、法律的にその根拠を示してくださいと僕は言っているのです。
#12
○佐藤国務大臣 先生に再三同じことをお答えして申しわけありませんけれども、私は、少なくとも米価審議会の意見を聞きまして慎重に我が省が決めておるわけでございますが、やはりその間、政権を担当しておる与党と十分話し合いをし、食い違いがないようにするというのは、政治の常識ではないかと思っております。
#13
○日野委員 私はその常識を崩してもらわないといかぬと言うのです。
 それなら、この米価の問題でいろいろ問題が出ます、生産者からも出るでしょう、消費者からも出るでしょう、その責任を自民党は負うのですか。その責任の態様、どのような責任の負い方をするのか、答えてください。
#14
○佐藤国務大臣 お答えします。
 責任は、私が全責任を負っております。
#15
○日野委員 現代社会では、何かにかかわればその責任というものは当然考えながら行動しなければなりません。私が全責任を負うと言うからには、そこにお座りになっておられるのは農林水産大臣としてお座りなんだから、それは農林水産省が責任を負う、こういう意味ですか。自民党はそのことについて全く責任を負わない、こういうことでしょうか。
#16
○佐藤国務大臣 責任は、私が全責任を負っております。
#17
○日野委員 全く自民党というのはすてきな商売でございますな。すてきな立場でございますね。
 しかしこれは、役人の方々はこれでいいのでしょうか。あなた方は誇り高き行政官として農水省にお入りになったんじゃなかったか。佐藤大臣は一面政治家でもあるからこうおっしゃっていますが、大臣のいる前でそれにちょっと違うことも言いにくかろうと思うが、行政官の誇りいずこにありや。
#18
○山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。
 今大臣から御説明していただきましたように、米価決定は極めて重要な政策決定でもございますし、実際問題として政府・与党間に食い違いがあるということは避ける必要があるのではないか、このように考えておりまして、最終的な決定に至るまでの間におきまして与党の方と話し合い等を行っておるわけでございまして、最終的には政府の責任において決定されておる、このように私ども理解しております。
#19
○日野委員 これは行政官の立場でのお話というよりは、こうやって与党の議員も大臣も目の前に控えているというところで今のような発言になると思うけれども、私はそれじゃ本当はいかぬのだと思うのです。そんな雰囲気になっていること自体が問題ではないか。あくまでも立法府と行政府というのは違うのです。政治家と行政官というのは違うのですよ。その長に議院内閣制によって大臣を、国会議員をいただくことになる、これは仕方のないことかもしれませんが、それによって全行政が律しられてはならない。また大臣は大臣で、やはり農水省という一つの行政の府の長としての見識を持って動かなくちゃいかぬと思うのです。
 私は、政党と行政府というものは緊張関係がなければならない、それでなおかつ国会が行政に対してきちんと目を光らせることができるようにということで、さっきも言ったけれども国政調査権というものを持っているのですね。そこをきちんとやらないところに多くの問題を生み出しているのだと私は思うのです。
 皆さん政府・与党と言いますけれども、与党の機能というのは何ですか。中曽根内閣を支えていくという立場でしょう。中曽根内閣を支えていく、これは国会の場において支えるのです。行政の中にまで足を踏み込んで支えるのじゃありません。そこでの癒着関係ができてくるから、これはよく言われますね、政官癒着なんて言われて、それがさらに財の方に飛び火をして政官財の癒着なんということになって何とかスキャンダルなんというものが出てきたりするわけでして、私はそこのところは断ち切らなくてはいけないと思う。
 今度の米価決定に当たっては、行政の府にある者は行政の府にある者としてきちんと対処すべきだ、そう思いますが、どうですか大臣。
#20
○佐藤国務大臣 お答えします。
 再々お答えしているとおりでございまして、あくまでも米価審議会の意見を聞きまして我が省が責任を持って米価を決定しておるわけです。ただ、その間におきまして、今与党は自由民主党でございますが、これは国民の公正なる審判によって選ばれて、そして中曽根内閣ができておる。内閣をつくっておるのはやはり与党がつくっておる。そんなことでございまして、この与党とは十分意見の調整を図ることが大切ではないか、このように考えております。
#21
○日野委員 その意見の調整というのは、政治の基本的な方向を定める、それが国会に出された段階で与党としての立場として動くというものであるべきであって、今国民の負託を得てと大臣はおっしゃったけれども、我々も国民の負託を得ているのですよ。この間は新自由クラブとの連合で何とかこう、連合なのか、そこから先は言いませんが、連合で急場はしのいだけれども、現実には自民党に投票した人の数を数えてみたら有権者の過半数を割っておりますよ。そういう状態で今国政が運営されているのです。我々の方もさっぱり、一緒になってわっとパンチのきく行動をとればそれにこしたことはないのですが、今度の米価ではとるつもりなんです。
 そうしたらこれは、与党ばかりに聞くというのは片手落ちです。野党の側ときちんとした話し合いを持つ、それが国政を誤りなく運用していく。しかも、国政というのは公平さがなければならない。国会に対する関係というのでは、与党とだけ結びつくということはあり得ないはずなんです。結びつくとすれば、関係を持つとすれば、国会と結びつくわけです。そうしたら、野党との折衝、野党の意見を十分聞く、そういう場所を設けなければ著しい片手落ちだと思うのです。どうですか。
#22
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 米価の決定につきましては、実は野党の方々からも種々の機会を通じまして貴重な御意見を十分お聞かせ願っておるところでございます。
#23
○日野委員 現実の姿を見れば、どうも自民党さんあたりとは去年あたりは徹夜で折衝をなすったらしい、まことに御苦労さまなことでございます。国の法律、制度にも何にも全く根拠のない、しかも三権分立という国政の大原則から見たらかなりいかがわしい寄り合いを夜を徹して行う、それはまことに異常な事態である、こう思うのです。
 大臣、行政の側がそういうような一つの党とばかりのめり込んでいく、これについて随分大きな批判があることは御承知でしょう。いかがですか。
#24
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 先ほどから申しておるとおりでございますが、基本的には米価審議会の意見を聞いて適正に判断して決めておるわけでございます。
 そんなことで、与党たる自民党が日本の農政を心配し、特に基幹作物であるお米につきまして国民に安定的に供給する立場を持っておる、そんな立場の中で大変御理解と御協力を願っておることについては感謝しておるわけでございます。
#25
○日野委員 まるで野党は米の生産にも流通にも、それから国民の消費にも無関心であるかのような、そことは話し合いをすることがないみたいな話ですね、今の話を聞いていると。そう思いませんか。自民党は生産、供給、そういったものに非常に心配をしていると今あなたおっしゃった。我々はその心配をしてないとでも言うんですか。
#26
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 そんなことを申しておるのじゃないんで、いろいろな機会を通じまして野党の先生方から大変貴重な御意見を聞かせていただいておるということは先ほど申したとおりでございます。これも非常に感謝しておるわけでございます。
#27
○日野委員 じゃ、野党との話し合いの機会というのは――我々も確かに随分申し入れや何かをいたします。この委員会でもいろいろ話もいたします。それはそれなりに聞いてもらっておるんだろうとは思うけれども、私が言うのは、そういう話を聞くとか聞かないだけの話じゃないのです。現実に決定される米価というのは、政治折衝という奇妙なところで決められた米価が現実には決定米価として用いられるというところがおかしいではないか、こういうことを言っているのです。聞いているとか協力をもらうとか、それは我々もやることはやりますよ。しかし、その決定の場というところをそこに求めるのはおかしい、こういうことを言っているのです。いかがです。
#28
○佐藤国務大臣 お答えします。
 私はちっともおかしくないと思っております。今お聞きしまして、私の言っていることと先生の言っていること、そう違いはないと思います。あくまでも私は米価審議会の意見を聞いて私の方が慎重に決めるということでございます。そんなことで、政権を担当している与党と意見の食い違いがあってはいかぬ、その辺の調整を図るというのはこれはごく当たり前のことではないか、こう思っていることを申し上げているわけでございます。
#29
○日野委員 では、そこでいろいろ引き上げ幅や何かについて話をする、そのとき、引き上げになった場合、では金はどうするという話が当然ついて回りますな、これはどうなっていますか。
#30
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 米の政府買い入れ価格が引き上げられました場合には、買い入れ費が不足するかどうか、こういう問題があるわけでございますが、従来から、買い入れ費が不足する場合には予備費の使用等によって対応させていただいておったわけでございます。
 政府の買い入れ価格の引き上げが行われましても、不作だとか、また自主流通米の数量の増大、こういうふうなことによりまして当初予定しておりました政府買い入れ数量よりも減少するようなこともあるわけでございまして、そうした場合におきましては格別の予算措置を講じることなしに対応し得る、こういう実態になっております。ちなみに、予算措置を講じないで対応し得ましたのは、五十三年から五十九年、こういったところではそういう措置もなしにやれた、こういうことでございます。
#31
○日野委員 そうすると、予算措置なしでやれる枠内が米価引き上げの一つの枠だ、限度だということでしょうか、実際上はという話ですよ。
#32
○山田(岸)政府委員 今御指摘の点でございますが、一応予算上の買い入れ費、こういうことで計上されておりますものでございますから、政府買い入れ価格の改定、こういうことを直接的にまた拘束する、こういうものではないと考えております。(発言する者あり)
#33
○日野委員 委員長、今やじが邪魔になって聞き取れなかったのですが、もう一度言ってください。
#34
○山田(岸)政府委員 もう一度答えさせていただきます。
 今御質問の点でございますが、政府買い入れ価格を決める際に当たりまして、予算に計上されておる買い入れ費というふうなものが最終的に絶対のものであって、それで規制する、こういうふうには考えられないと理論的には思われます。
#35
○日野委員 そうすると、あと手法としては予備費の取り崩しもしくは補正予算を組むというような形になりますか。
    〔委員長退席、田名部委員長代理着席〕
#36
○山田(岸)政府委員 これは、ある程度運用してみなければわからないといいますか、買い入れ数量がどのようになるか、こういうことにも関連するわけでございますが、理論的に申し上げれば、今先生御指摘のように、予備費の流用ないしは、それで十分調達できないといった場合におきましては補正予算、こういった補正の手続をとるというふうなことも必要になるわけでございます。
#37
○日野委員 そうすると、自民党との政治折衝などやっても、予算の枠からそう大きくはみ出すことは事実上は不可能なのでございますよということですね。
#38
○山田(岸)政府委員 今先生御指摘の点は、答弁が非常に難しいわけでございますが、予算の実行上の問題、また買い入れ価格をどのように持っていくか、ともどもに政策的に重要な問題でございまして、その間におきましては慎重に検討して結論を出さなければならないのではないか、このように考えます。
#39
○日野委員 答弁もその辺が限界でしょうから、そこから先は余り難しく言いませんけれども、しかし私は思っているのですよ。やはり行政官は行政官の誇りでお仕事なさい、最初から自民党との政治折衝を含んでおいて、大体どのぐらいをそこで上積みしましょうなんということを考えずに――議院内閣制という制度はとっていたにしたってあなた方は行政官なんです。我々が立法の府に携わると同じように、あなた方も行政府のすぐれた仕事をやらなければならないのです。この点は機会があったらまたちくちくやっていきますから、そのつもりでひとつ……。
 今度は、林野庁に伺います。
 分収育林制度です。分収育林がまあまあうまくといいますか順調に一応進んでいるように思うのですが、昭和六十年度の分収育林の事業を見ますと、限定公募を導入する、しかもそれがかなりの面積を限定公募ということにしているようでありますが、この限定公募というのはこれからもずっと続けていくのでしょうか、これをどのように進めていかれようとしているのか、大体の概要をちょっと示していただきたい。
 それから、分収育林についての長期計画があったらお示しいただきたい。なかったら、いつごろできるのか、そんな点をひとつ聞かせていただきたい。
#40
○田中(恒)政府委員 先生お話しのございました限定公募方式は、本年から取り入れたいと考えておるところでございますが、昨年の国会御審議の際にも、これは特定の企業に偏ることなく広く一般国民の方々のという御意見と、さらには直接受益する水源林等の受益者、電気事業者とかその他の関係団体等についても考えるというふうないろいろ御意見がございまして、それらを踏まえまして、本年はまずは一般公募方式によりまして約八割の対象面積を公募いたしたい、二割くらいを、その申し込みの状況を見つつ後の方から限定公募方式を出してまいりたいというふうな考えでおるわけでございます。
 と申しますのは、昨年は大体四億円ぐらいの規模で行いましたが、本年はずっと大きいものでございますから、果たしてどういうふうな応募状況になってくるのか、これは市場という言葉など使いますと大変失礼でございますけれども、どのような対象者の分布、意向が応募状況にあらわれてくるのか、事業的に行いますのは本年が初めてとも申せるものですから、慎重に状況を見ながら考えていきたいと思っているところでございます。
 なお、長期計画にいたしましても、これは物理的にこちら側が保有しておる山の状態から出てくる限度もございますけれども、また、先ほど申しましなどのような応募状況になるかということも当然考えなければなりませんし、国有林野事業の財政事情がどのように推移して、それにどう寄与をさせるかとか、いろいろな点から考えなければならない。また、民有林におきましても行いますので、これらとの平和的な共存関係において事業が進められなければならない等々ございますので、見通しをいろいろつくりたいとは実は思っておりますけれども、まだそれへの十分な資料も取りそろえられてないというふうな状況でございます。そういう段階で、しばらく時間がかかるのではないかと考えております。
#41
○日野委員 限定公募というシステムをとりますと、公募は確かにしやすくなると私は思うのです。これは予算の状況、それから財政の状況にもよるのでありましょうが、財政状況が悪くなったりすると、かなり大規模にこれがふえていくということの心配が一つあるのですね。そういうことがあるのかないのか。
 それから、これをやりますと、七十二年までの財政改善の期間、七十二年までにその計画が進んでも、今度は、それから先にこれを伐採する時期になっても事業の収益が大きく切り込まれてしまうのではないかという心配が一つあります。
 それからもう一つは、限定公募する相手方の法人などには森林組合なども含むわけですし、林業関係の事業をやっている法人が入るわけですね。そうすると、本来は林野庁でやるべき事業、それらのものが縁故ということでそちらの方にこの仕事を移すというようなことが生じないか、そういった点の心配がありますので、ひとつそこらを教えていただけませんか。
#42
○田中(恒)政府委員 将来の財政事情への影響でありますが、現在国有林で伐期に到来しております五十年生以上の森林は、全体の八%でございます。八三%が三十年生以下ということになっておりますので、ある程度前倒し的に持ってくることは可能でありますけれども、もちろんその後の経常的な財政運用を考えない前倒しの仕方というのはあり得ないわけでございますので、その辺は十分慎重に考慮に入れた運営をいたしたいと思っております。
 それから保育管理についてでありますけれども、これは分収育林対象地でありましょうとその他の森林でありましょうと、国有林の責任において保育管理をするのは当然でありまして、もちろん直営で行う場合あるいは民間事業体に行わせる場合も考えられるわけでありますけれども、特段にこれらの契約が行われたからということでその辺を配慮するというようなことは考えられず、国有林の事業全体をどのように責任を持って運営するかということで考えてまいりますので、御心配のようなことにはならないものと考えております。
#43
○日野委員 終わります。
#44
○田名部委員長代理 新村源雄君。
#45
○新村(源)委員 第一点として、今政府は貿易摩擦の解消のための一環として、関税引き下げの措置を中曽根総理の一方的な強引な手法で進められようとしておるわけであります。特に農業関係におきましては、農産物も聖域でない、こういう言い方をしておりながら、今回報道関係等によりますと、農産物は除外しておりますけれども、農産加工品のほとんどの品目が入っている、こういうことになっておるわけです。
 そこで、今農産物の加工品が三〇%とも言われ二五%とも言われておりますが、これがもしそういうように引き下げをやった場合に、貿易摩擦に一体どのくらいの影響をもたらすと予測しておりますか。
#46
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 実は先生御存じと思いますが、四月十九日に対外経済対策を各省策定しろということで、四月二十二日でございましたが、私どもの事務次官を長の策定委員会をつくりました。今その策定委員会で作業中でございまして、実は私もまだ何も聞いておりません。そんなことで、今策定委員会で策定中、鋭意検討中、こう御理解願いたいわけであります。
#47
○新村(源)委員 そうしますと、今の段階では農林水産省としての立場はどういう考え方なのですか。
#48
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 私はいつも言っておりますけれども、農林水産物につきましてはその重要性――率直に言いますと、総理も最初から、後でちょっと言葉が変化してまいりましたが、特に農林水産物については大変御理解いただいておるわけです。そんなことで、いわゆる農林水産物というのは、アクションプログラムをつくる条件の中にも、やはり一つあるいは複数の中で例外に当たるものが非常に多い、こんな理解と気持ちでこの問題に当たっている。そんなことでございまして、いつも言っておりますけれども、我が国の置かれた立場を認識し、そして我が国農業を守り、健全な発展を図るということと、友好国との関係をどう配慮するかということを総合的に踏まえながら慎重に対処しているというのが我が省の基本方針でございます。
#49
○新村(源)委員 そうしますと、現状では、大臣は閣議の中でも孤立するぐらいに頑張っていらっしゃるということを聞いて非常に力強く存じておるわけですが、農林水産物と加工品、こういうものについてはもう一つも入れない、こういうことで理解をしていいのですか。
    〔田名部委員長代理退席、衛藤委員長代
    理着席〕
#50
○佐藤国務大臣 先ほど言ったようなことでございまして、現在事務次官を長とする策定委員会で鋭意検討中ですが、頭と胸を非常に悩ましているというのが今の私の気持ちでございます。非常に苦慮しているというのが私の現在の心境でございます。
#51
○新村(源)委員 それでは、先ほどお伺いしましたように、今彼に農林水産物の加工品に三〇%なり二五%なりというものが適用されるということになれば、三百六十億余のいわゆる貿易黒字のうち、農畜産物によってどのくらい埋められるか、そういう見通しをお持ちになっていますか。
#52
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 六月末の個別品目についての関税率の引き下げの問題の一環といたしまして、かつて昭和四十七年に一度鉱工業品と農産加工品について関税の一律引き下げをやったことがある、それをさらに規模の大きなものにして実施をしたらどうだというような意見が最近新聞報道等でも出ておりますが、その当時にも、価格政策の関連品目でありますとかいろいろなものを除いてやっておりますし、政府の中でもまだ議論そのものが煮詰まっております段階ではございませんので、数字で幾らというようなことはお答えを申し上げかねるわけでございます。
 いずれにいたしましても、私どもよく外国の方にも、また国内のいろいろな要路の方にも申し上げておるのでございますけれども、我が国の農林水産物の輸入というのは世界的に見てもかなり大きな輸入国になっておりますし、これ以上市場アクセスの改善を進めましても今の大幅な貿易黒字を大きく減らすということにはならないと私ども考えておるところでございます。
#53
○新村(源)委員 これが加工品という形で入ってこようとも、その分だけ日本の農業生産が縮まっていくわけです。現在でも日本の農業というのは既に破局的な状況を迎えている。ここで少しでもそういうものが入ってきたら日本の農業は壊滅的な打撃を受けていく、こういうことになりますので、この関税の一括引き下げについては農産加工品は一切応じない、こういう強い態度で大臣最後まで頑張っていただきたい、日本農業を守るためにもぜひ頑張っていただきたい、こういうように考えるのです。
#54
○佐藤国務大臣 基本方針は先ほど私がお話ししたとおりでございます。我が国の置かれた立場を認識し、我が国農業を守り、この健全な発展をどうして図るかということと、友好国との関係を配慮しながら慎重に対処いたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#55
○新村(源)委員 慎重にということに非常に不安を感ずるわけですが、先ほど申し上げておりますように、日本の農業を守る、こういう観点で体を張って頑張ってもらいたい、こういうことをお願い申し上げまして、次の問題に移りたいと思います。
 きょう米審に諮問されました麦価の諮問の内容を簡単にお知らせ願いたい。
#56
○山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。
 本日の米価審議会に六十年産麦の政府買い入れ価格につきまして諮問させていただきましたが、その中身につきまして若干御説明させていただきます。
 基本方針といたしましては、農業パリティ指数に基づいて算出されますパリティ価格に麦の生産振興のための調整額を加えて価格を算定する、こういう方法でやっておるわけでございますが、パリティ価格につきましては、今年のパリティ指数の上昇率は対前年〇・八%アップでございまして、二十五年、二十六年の政府買い入れ価格に六十年五月の農業パリティ指数を乗ずる、こういうことによりまして、小麦の場合でございますと六十キロ当たり八千八百二十三円、このように相なるわけでございます。価格にいたしまして対前年七十一円のアップ、こういうことでございます。
 この価格に先ほど申し上げました麦の生産振興のための調整額を加えて五十二年以降算定させていただいておるわけでございますが、この調整額の算定に当たりましては、昨年と同じような方式によりまして、前年産価格に織り込みました調整額に麦の生産性の向上を反映させることといたしまして、投下労働時間の年平均減少率の三分の一と収量の年平均上昇率を勘案させていただきまして算定する、こういうことをいたしまして、この調整額は、昨年は二千三百四十円でございましたが、今年におきましては計算上二千二百二十四円に相なるわけでございます。
 これを先ほど申し上げましたパリティ価格に加算いたしますと、前年の価格との間に四十五円の差がございまして価格が下がる、このようなことにも相なるわけでございますので、麦作農家の生産意欲に配慮いたしまして、前年の価格と同額にするための補正額、これを四十五円といたしまして、先ほどの二千二百二十四円に四十五円の補正額を加えまして、今年の調整額といたしましては二千二百六十九円と、いずれも六十キロでございますが、算定させていただいたわけでございまして、パリティ価格とこの調整額を加えますと、小麦でございますれば六十キログラム当たり一万一千九十二円、こういう価格に相なるわけでございまして、この価格は前年の価格と同額でございます。
 なお、大麦、裸麦につきましても同じような手法によりまして算定させていただきまして、昨年と同額の、大麦につきましては五十キログラム当たりで八千三百六十六円、裸麦につきましては六十キログラム当たり一万一千四百四十一円、こういう数字で本日諮問させていただいている次第でございます。
#57
○新村(源)委員 生産奨励金、補正額、こういう非常にまやかしのものがこの中に入っているわけですね。この麦価の試算はパリティの上昇率によって掛けている、こういうことになっているわけですが、これは、生産資材その他が値上がりをしてくる、その分は当然価格でもって補償されなければならぬ。それを奨励金あるいは補正額ということで調整されてしまう。こういうことでは麦作農家が一生懸命努力したそういうものが全然農民の側にははね返っていかない。こういう点についてはどうお考えになっているのですか。
#58
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 最近の麦作の生産事情等見てみますと、先ほど申し上げましたように作況による多少の変動はございますが単収は伸びておる、こういうこととか、また単位当たりの投下労働力、労働時間につきましても相当の減少が見られるわけでございまして、こうした生産性の向上、また収益もよくなっておるといった事情があるわけでございまして、私どもといたしましては国民的理解を得ながら適切な価格を算定する、こういう立場から昨年と同様の算定方式をとらせていただいた次第でございます。
#59
○新村(源)委員 農林水産省はいつも農畜産物の価格を決定するときには生産性の向上ということをおっしゃるのです。生産性の向上部門だけで見れば、昭和四十四年から四十八年まで、そして四十九年からこの生産奨励金という措置がとられたわけですね。これを境にして最近、昨年までの直近の平均単収を比べると、確かに一一八・八%、一八・八%の生産向上になっています。それと同時に、労働生産性の面を見てまいりますと実に三一・九%、投下労働力が約三分の一に減っています。
 しかし、これに直接の関係があるいわゆる生産部門で見ますと、肥料費が二五九・七%、これがさっき言ったいわゆる単位収量の生産性の向上になるわけですね。さらに労働力が三分の一に下がったということは、それだけ機械力が充実をした、そのことによってこの農機具費の上昇率が実に二四二・七%、こういうようになっているわけですね。
 こういう数値から見ていきますと、生産性の向上というのはほとんど直接投下される肥料代金に吸収されてしまう、あるいは労働時間の短縮は農機具費によって吸収されていく、こういうことが今日農家経済を非常に苦しくしている。一生懸命努力をして生産を上げてもそれは全部政策吸収されてしまう。こういう中では一体農家の経済が、あるいは農業経済というのが成り立っていくとお考えになっていますか。
#60
○山田(岸)政府委員 お答え申し上げます。
 今先生四十四年から四十八年の生産費なり労働生産性なり、またそれを五十四年−五十八年の平均と比較して御指摘いただきましたが、御指摘のとおり第一次生産費につきまして二・三倍、また第二次生産費につきまして二・六倍というふうに上昇していることは私たちも計算して認めておるわけでございます。
 しかしながら、この間に先生も御指摘のように十アール当たりの収量が二割増加しておるとか投下労働時間が七割減になっておる、こういう事実もございますし、生産性は向上しておるわけでございます。またさらに政府買い入れ価格についてはこの間に二・九倍というふうなことにも相なっておりまして、麦作の収益性は大幅に上昇しておりますし、十アール当たりの所得で四・七倍、一時間当たりの所得で十三倍程度になっておるわけでございます。
 こうした事情から、麦の政府買い入れ価格と生産費とを比較してみますと、五十二年産以降第一次生産費で見ますと毎年、また第二次生産費についても、作柄が悪かった五十六年、五十八年を除きますれば平均生産費をカバーしておる、こういう実態にも相なっておるわけでございまして、現行の麦の政府の買い入れ価格としては生産費をおおよそカバーしておりますし、麦作の収益性の確保にこたえられる水準ではなかろうか、このように考えている次第でございます。
#61
○新村(源)委員 これはこの前発表された農業白書でも、今日本の食糧というのはあらゆる面で行き詰まってきている、ただ大豆と麦だけは作目転換の可能な作目である、こう言っているわけですね。
 ところが北海道の場合は、今秋まき小麦が中心ですが、秋まき小麦をつくろうと思えばできるだけ早く収穫をするものをつくらなければいかぬ。そうすると非常に生産性の低い、いわゆる所得の低い作目をつくって、そうして輪作体系を守りながら一定の麦作を入れていく。前年非常に所得の低いそういう作目を多く取り入れているわけですね。そうすれば、今単年度だけのことでおっしゃれば食糧庁次長のおっしゃったような形になるかもしれない。しかし、そういうことをしなければ輪作を守っていけない。ですから、そのものの補てんをしなければならないという意味があるわけですね。
 そうすれば、今言ったようにわずか〇・八%くらい出てきたものを正常に価格に反映をして、麦作農家の生産意欲というものをもっともっと高める必要があると思うのですが、そういう点についてはどうですか。
#62
○山田(岸)政府委員 先生御指摘のように日本農業における麦作の重要性ということは私どもも十分認識をしておるつもりでございますし、六十五年見通しにおいて国内でできるだけ小麦の需要にこたえられるように、こういうことで計画もなされておりまして、多少の伸び悩みもまたございますけれども、おおむね全体としては六十五年見通しの線上に沿って麦作も拡大されておるのではないか、このように理解しておりますし、今後とも価格政策のみならず生産政策等各般の施策によりまして麦作の振興には努めていかなければならない、このように考えております。
#63
○新村(源)委員 大臣、先ほどから申し上げておりますように、本当に数少ない日本農業の行き詰まりのはけ口になっておるわけですね。ですから、この点でももっともっと伸ばしていく、生産意欲を持たせる、こういうことで、きょうの価格の決定には少なくともパリティ上昇率の〇・八%くらいはぜひ最終的に価格に上置きをしてもらいたい、こういうことを強く要望申し上げると同時に、麦作振興の諸施策についてはなお一層の努力をしていただきたい。
 次に林野庁にお伺いをいたしますが、もう時間が非常に少なくなりましたので、問題点の指摘をし、今後の対策についてお伺いしたいのです。
 昨年の十一月に私どもは国有林の調査団を編成いたしまして、北海道の帯広支局の中標津営林署と新得営林署の両地域を視察をいたしました。
 そこで第一の問題点は、非常に間伐がおくれているということです。せっかく金をかけて植えたのに木がまさにもやしのようになっている。ああいうような状態に放置しておくということは一体どこに原因があるのか。殊に中標津地域では、その周辺にある道有林あるいは町有林等は適正に枝打ちをやる、間伐をやる、こういうことで立派な森林をつくっている。国有林の方は今言ったようなもやしのような落葉松をつくっている。殊に、この点については新得営林署において非常に顕著にそういうものが出ておりました。
 それから、これも新得営林署の管内で見てきたわけですが、五十六年に風害を受けた。そして寄りかかったり曲がったりしているものをいまだにそのままにしてある。一部手入れはしてありますけれども、もう四年も五年もたってなおかつそのことの手入れがしてない。これは一体どうしたことか。この点についてもお答えをいただきたい。
 さらに次の問題は、最近天然林施業が行われております。しかし、この天然林施業の事業のあり方というのは、いわゆるできるだけ金をかけない、山はほっておけばいいんだ、こういう考え方で天然林施業に転換をしているところが数多くある。これは一体どういうことで安易な天然林施業に切りかえていっているのか、この点についてお伺いをしたい。
 それと、次には、昨年あの調査時点で特に北海道営林局の管内で問題になったいわゆるダイオキシンの問題がありました。今は国有林は貴重な国民の水がめです。かつては農村でも井戸を掘っても十分な水が出てきた、あるいはきれいな飲料水が供給できた。今は河川の改修をやる、土地改良をやる、農薬を散布する、こういうことで、やはり生活用水というのは国有林からもらわなければ、もう水を供給する場所がなくなりつつあるわけです。それに、これは中標津管内で見てきたわけですが、そういうところにいわゆる枯殺剤といいますか、そういうものを安易に、水流には関係がないからまいたんだ、こういうことで毒性の甚だしい農薬をまいているわけです。私は、今の時点、国有林というのは、いわゆる水資源を涵養する場所においては絶対に汚染を許してはならない、一つ間違えば大変なことになる、そして日本の将来にとっても大変な問題を残す、こういうように考えるのですが、この四点についてひとつお答えをいただきたい。
#64
○田中(恒)政府委員 最初に、間伐関係についてお答えいたします。
 国有林の間伐に当たりましては、もちろん施業計画の指定に従って満席の実行を目的にしておるわけでございますが、御案内のように市況が非常な低迷状況にありますので、間伐材の販売がはかばかしくないというようなこともありまして、なかなか一〇〇%の実行にまでは到達をいたしてございません。全国的に見ますと九割ぐらいの実行になっておりますが、これは材積で見た場合でございますが、北海道の方の樹種の関係もありまして全国平均までいかないような情勢になっております。
 特に先生ごらんいただきました新得方面におきましては、五十六年以降でございますが、十五号台風の被害があの辺では大変出ましたので、その被害木の整理処分に全力を投入した、年々の伐採量も、その被害木の方に規制量といいますか計画量が食われましたために間伐がおくれたぐあいになったわけでございますけれども、事の性格からいいまして、この辺につきましてはやはりもう少し弾力的に調整すべきであったと現在考えておるところでございます。
 次に、天然林の施業関係でありますけれども、私どもこれまで人工造林を経営の主体に置いて推進をしてまいりましたけれども、亜高山地帯でありますとかその他立地条件におきましては、人力をもってする限界よりは天然力の方が非常に有効に機能するという場合がやはり長い林木の育成期間にはあらわれてまいりまして、いろいろそういう過去に行いました経験を踏まえまして、天然力を充実すべきところにつきましてはやはり天然更新に切りかえてまいりたい。
 ただ、これが、放置するというふうにとられますと、決してそうではないのでございまして、稚幼樹の足りないところにはそういうものを植え込むとか、あるいはほかの灌木、ササに覆われました場合には刈り払って出すとかあるいは除草剤を使用するとかによりまして、そういう天然更新の補助手段を使いながら立派な天然林に更新するような天然更新作業を推進してまいりたい。特に北海道におきましては、天然力活用型の施業が非常に有効な場合が多いのではないかと考えております。
 なお、その際、除草剤についてでございますけれども、更新の一番妨げとなっておりますのはやはりササの処理でありますので、これを根絶することは本当に至難のわざでございますが、これにつきましての塩素酸系の非常に安定したいい除草剤もございますので、もちろんこの使い方につきましては、いろいろ水系を考える、いろいろな社会的な施設をよく判断する等によりまして万全を期した散布方法をしなければならないわけでございますが、現在七百五十万ヘクタールの国有林におきましても、除草剤を使用しております面積は大体二万ヘクタール程度でございます。そういうふうに極めて慎重に対象林分を精査した上で使用してまいりたい。ダイオキシンにつきましては、これは2・4・5T系統の除草剤でございますが、私ども、使用しておるときには、このダイオキシンの含有ということについては全く知見がなかったということから使用しておったわけでございますが、内容につきましての知見がいろいろ多くなるに従いましてその使用を取りやめて、現在では使用をしておらないところでございます。
#65
○新村(源)委員 時間が参りましたが、最後に一つ。
 今長官のお答えになったことについては、私ども現地を調査したり、私どもの手元にある資料から見ますとなかなか納得しがたい、そういう点が数多くあります。したがって、この問題については後日に譲るとして、最後に、苗畑の統廃合が積極的に行われるわけですね。やはり苗畑というのは適地適木ということで、そこに適した苗木をつくって、そして山を緑で覆っていく、こういうことでやっているわけですが、安易に苗畑をつぶしていく。もう一つ、苗畑をつぶしていくというのには、これは特に大臣にお伺いしたいわけですが、日本の現在の景気も、一皮むけばここ五、六年の間に五、六百万ぐらいの労働力が多くなってくるということが予測されているわけですね。この労働力をどういうように吸収していくかということは日本の経済の重要な問題だと思うのです。そうすれば、国の機関がどんどんそういう事業所、雇用の場をみずから失っていくということは、これは将来に対して大きな問題を残すのじゃないかと思うのですが、最後に大臣にそこのところの御答弁をいただきたい。
#66
○田中(恒)政府委員 苗畑関係につきましては、最近の伐採量の大変減少いたしましたこと、あるいは天然林施業を推進いたしましたことによりまして、大変過剰関係となっておるわけでございます。特に北海道におきましてそういう傾向が多いわけでございますが、そのために既存の苗畑をどうしても縮小しなければならないことになってございますが、それに当たりましても、従事する関係職員、作業員の方々に対しましては、国有林内におきます事業転換と申しますか、他事業への転換等につきまして十分配慮いたしまして、そのような摩擦の生じないよう慎重に配慮してまいりたいと思っております。
#67
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 実は今の苗畑の問題、長官の答弁したとおりでございますが、基本的に木材が高過ぎるわけですね。そんなことで、実は今度木材総合対策も民有林を中心ということで国有林に手が出せなかった、これは制度に問題があるということで。
 そんなことで、今先生の御指摘の点は私はよく理解できると思うのです。実際、今度民有林をやりましても、実は総合対策でも、率直に言いますと、八千円の杉が、コストを見ますと原木が三割、搬出等が七割。七割をどう減らすかということは、林道、作業道、それは間伐材にも影響する。そんなことで、今度でも約三割弱コストは下がります。今間伐材も非常に高いです。例えば、先生御存じのとおりですが、小学校の机その他でも八千円ぐらい。普通五千円じゃ買えません、こんなものは。そんなことで、今先生の御指摘よくわかりますので、恐らく分収育林なども財源づくりの一つと、こんなことで鋭意その方向で努力している、こんなように御理解願いたいと思うのでございます。
#68
○新村(源)委員 ちょっと時間が超過しましたが、以上で終わります。
#69
○衛藤委員長代理 神田厚君。
#70
○神田委員 質問の通告ではなかったのでありますが、きょうの問題でありますので、麦作の方から先に大臣にちょっと御回答いただきたいと思うのであります。
 昭和六十年産麦の政府買い入れ価格の問題でありますが、この問題につきまして農業団体等におきまして具体的な要求が出ているわけであります。昭和六十年産麦の政府買い入れ価格の引き上げ問題でございますが、「麦の政府買入価格は、再生産が確保できる所得を補償するとともに、生産振興が図られるよう引き上げること」、具体的にはいろいろな形でいろいろと要請がされているわけでありますが、この問題について基本的に大臣の方の考えをお示しをいただきたいと思います。
#71
○佐藤国務大臣 神田先生にお答えいたします。
 本年産麦の政府買い入れ価格につきましては、最近におきまする国内産麦の生産事情等に配慮しながらその生産の振興を図るという考え方に基づきまして、パリティ価格に、麦作の生産性の向上を勘案するとともに麦作に取り組む農家の意欲の影響にも配慮した調整額を加えて決定してはどうかということを、本日の米価審議会にお諮りしたところでございます。
 米価審議会の意見を十分お聞きするとともに、関係各方面との意見調整を経て適正に決定してまいりたいと考えております。
#72
○神田委員 さらに、国内麦の優先利用体制の確立の問題でありますが、国内麦の優先利用を基本とする食管制度の運営を図るとともに、政府買い入れ麦の全量についての流通契約が円滑に進むよう必要な措置を講じてほしい、こういう要請がなされております。また、飼料用麦の買い入れ価格基準並びに生産のあり方につきまして中長期的な基本施策を明確にしてほしいという要請がございます。さらに、ビール大麦の計画的な生産、流通を確保するため適切な指導措置を講じてほしい、こういう問題が出ておりますが、この点につきまして御回答をいただきたいと思います。
#73
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 今、先生御指摘の団体の諸要請でございますが、国内産の麦の優先利用につきましては、従来から私どももそのように対応しておりますし、今後ともこうした点につきましては国内産のものをまず優先的に充てまして、不足するものを輸入する、こういうことで対処してまいりたい、このように考えております。
 そのほか、生産振興なりまた流通対策なり、こうした問題につきましても、やはり麦作の振興は、生産対策、流通対策、こうした各般にわたる対策を講じながら振興していかなければならない、このように考えておりますし、関係局挙げましてこうした問題に今後とも取り組んでまいりたい、このように考えておる次第でございます。
#74
○神田委員 次に、米価の問題でありますが、農業団体から本年度の米価の要求がなされております。一万九千三百八円、前年度化四・九五%の引き上げを求めておりますが、この問題につきまして農林水産大臣はどのように考えておりますか。
#75
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたしますが、農業団体の本年産の要求米価一万九千三百八円、四・九五%アップは、昨年五月にまとめられました米価審議会の米価算定に関する報告の大枠を踏まえて算定されたものであると考えております。
 その御努力と御熱意には非常に敬意を表しますが、いずれにしましても、具体的な水準や内容についてはこれから十分検討してまいりたいと考えております。
#76
○神田委員 私どもは昨日、農林水産大臣に昭和六十年度生産者米価及び稲作経営に関する申し入れを行ったわけであります。その席上におきまして農林水産大臣は、生産農家の意欲をそぐような米価の決定はしたくない、こういうふうなことがあったわけでありますが、その辺の考え方を少し御説明をいただきたいと思います。
#77
○佐藤国務大臣 お答えします。
 食管法に基づきまして、再生産を旨として、米価審議会の意見を聞きまして慎重に決定したい。その場合に、いろいろなことが言われておりますが、私は、基本としてはやはり農家の方たちの生産意欲をそぐようなお米の価格は決めたくない。
 そのときにも申し上げましたが、今度は三つ問題点ありますが、その一つはお米の価格の問題、もう一つは良質米奨励金、もう一つは他用途利用米、そういう形の中で、やはり肥料、機械等、総合的に配慮すべきじゃないか、こういう御意見を申し上げたと思います。
#78
○神田委員 そういうことになりますれば、少なくとも前年度に比べまして米価を引き下げるというようなことは、これはとにかく避けるという原則は考え方の中にあるわけでありますね。
#79
○佐藤国務大臣 これは、実は昨年と同じような生産費所得補償方式をとれば下がるという話もございますが、私は、そういう点につきましては、先ほど言いましたように、食管法の規定に基づきまして、再生産を旨として、それからいろいろな物価等の情勢を踏まえながら、米価審議会の意見を聞きまして慎重に決めたい、適正に決めたい、このように考えております。
#80
○神田委員 農家の生産意欲をそぎたくないという気持ちの中では、少なくとも昨年の決定米価に比べて少しでもやはり引き上げが図られなければならない、大体普通の常識で、言葉の問題からいえばそういうことになるわけでありますが、その点はどうでありますか。
#81
○佐藤国務大臣 お答えします。
 さっきも言っているとおりでございまして、米価審議会の意見を聞きまして適正に決定いたしたい、このように考えております。
#82
○神田委員 それでは、算定基礎の問題でありますが、今年度の米価の算定基礎につきましてどういうふうにお考えでありますか。
#83
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 生産者米価の算定につきましては、一昨年の十月から昨年の五月にかけまして米価の算定に関する米価審議会小委員会におきまして検討が行われ、当面三年間程度は生産費及び所得補償方式を維持するという考え方に立ってその安定的な運用を図っていくことが適当であるという内容の報告が出されておるわけでございまして、本年産の米価につきましては、昨年と同様にこの報告の趣旨を踏まえまして算定に当たりたいと私ども考えておる次第でございますが、算定の要素のとり方等具体的な運用につきましては現在検討中でございますので、ひとつ御了解いただきたいと思います。
#84
○神田委員 算定の基礎のとり方によりまして非常に。米価が左右されるのが例年の例でありますが、昨年は非常に豊作であったということで、いろいろそういう意味ではまた米価決定に対しまして多少問題も残しているわけでありますが、そういうことにおきまして、算定基礎を適切に要素として取り上げていただいて、少なくとも米価が引き下がるような算定の要素のとり方はやめてもらいたい。
 ですから、問題は、単収などを一つ入れているわけでありますが、これの場合は、それじゃもし凶作の場合はどうするのかということもありますから、単収などのとり方というのも非常に問題があるというふうに私どもは思っております。先ほど機械とか肥料とかの問題について大臣の方からお話があったわけでありますけれども、そういうところを十二分に見ていただきまして、そしてこの算定要素のとり方について慎重にこれを取り扱っていただきたいと思うのでありますが、いかがですか。
#85
○山田(岸)政府委員 先ほど私お答えいたしましたように、本年産の米価につきましては、昨年と同様に米価審議会小委員会の報告で取りまとめられているその趣旨を踏まえまして算定してまいりたい、このように思っているわけでございまして、算定要素のとり方等につきましては、まだ具体的な運用の仕方について結論を得てないわけでございますが、そうした問題につきましては極力適正に算定すべきものであろう、このように考えております。
#86
○神田委員 良質米奨励金の問題でありますが、この現行水準を確保してほしいという要請であります。この問題についてはどういうふうにお考えでありますか。
#87
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 良質米の奨励金は、単収が低く、かかり増し経費がかかるといった良質米の生産に伴う不利益を補てんすることによりまして良質米の供給増大を図るために、五十一年産から創設されましたことは御案内のとおりでございます。
 その後、五十二年、五十三年と単価を増額しましたが、五十三、五十四年産の豊作もございまして良質米の供給量が急増いたしましたことから、五十三、五十四年産では相当大幅な値引きの販売をせざるを得ない、こういうふうな状況が生じたという経緯がございます。そうした状況を踏まえまして、五十五年産におきましては良質米奨励金に縮減を伴う見直しを行いましたし、その後、四年連続の不作を背景に良質米の自主流通米に対する需要が強まりまして価格が堅調に推移したことから、生産者の手取り額は相当増加してきているような実情でございます。
 そこで、五十九年産米について見ますと、一転いたしまして豊作になったことによりまして、良質米の出回り量が増大する一方で、かつ政府米の品質も向上していたこと等から、自主流通米をめぐる環境も大きく変化したような情勢になっておりますし、五十三、五十四年産のような価格を引き下げるところまでは現在いっておりませんけれども、相当だぶつくなり、販売業者等におきましても売りにくい状態になっておるような次第でございます。
 こうした流通の実態等を踏まえまして、良質米の奨励金についてその具体的なあり方を検討しておりますけれども、消費者の根強い良質米志向を考慮いたしますと、良質米生産の奨励が今後とも必要である、こういった考え方は変わっておりません。また、単に財政からのみその縮減を図るということを考えているわけではございませんが、良質米奨励金を適正な水準にしないと、五十三年産なり五十四年産のように、財政負担をしたのに生産者手取りがかえって下がる、こういったことになるのではないかという観点から、現在種々の検討をしておるところでございます。
#88
○神田委員 米の消費拡大からいいましても良質米生産は欠かすことができないわけでありまして、そういう意味では良質米奨励金の現行水準をぜひとも確保してほしい、こういうふうに要請をしたいと思います。
 さらに、昨年の米価決定に当たりまして、この良質米問題について何か大蔵省等との間で文書等の取り交わしがあったというようなことを聞いておりますが、その辺はどうでありますか。
#89
○山田(岸)政府委員 お答えいたします。
 大蔵省との間で取り交わしというようなことは私ども関知しておりません。
 自民党の方におきまして、本年の良質米奨励金は現行どおりとするが、自主流通米制度の健全な発展を図る立場を堅持しつつ、来年度においてその流通実態等を踏まえ、その縮減合理化につき検討を行う、一応こういった合意がなされておるということは存じております。
#90
○神田委員 したがって、そういう問題があるわけでありますが、縮減合理化についての検討ということであったようでありますから、これは別にそういうことで決まっているわけでもないわけで、そういう意味ではやはり現行確保という基本線をこの際守ってもらいたい、私はこういうふうに思っておりますが、農林大臣どうでありますか。
#91
○佐藤国務大臣 神田先生にお答えします。
 おっしゃることもよく理解できるわけですが、やはり現在の自主流通米制度の健全な発展を図るという基本的立場に立ちつつ、流通実態等を踏まえ、その縮減合理化につき検討を行っているというところでございます。
#92
○神田委員 強くこの現行確保を要求をいたしておきたいと思います。
 続いて、市場開放問題でありますが、アクションプログラムの策定の進捗状況はどうなっておりますか。
#93
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 行動計画の策定につきましては、四月の二十二日に設置されました省内の策定委員会におきまして鋭意検討を行っているところでございます。
 もう既に御案内のとおり、我が国の農林水産業の実情を見ますと、カロリーベースの食糧自給率が五〇%余りというようなところに低迷をいたしておりますし、生産調整が実施されるというような大変厳しい状況にございます。また、農林水産関係者は、累次の市場開放対策なりあるいは昨年の対米交渉というようなことで、こういった市場アクセスの改善なり市場開放の問題については非常に厳しい関心の目を注いでいるところでございます。
 そういった中で、私どもも我が国の置かれております国際的な立場あるいは諸外国との友好関係というものと国内農林水産業を守るという観点との調整にいろいろ苦慮いたしておるところでございますが、現段階におきましては、まだ具体的な内容等をお示しできる段階には至っておりません。今月の末には個別関税の引き下げの問題、あるいはまた七月には行動計画の骨格の策定を行うということで期限が決まっておりますので、農林水産省としても非常に厳しい立場にございますけれども、何らかの結論を出すべく鋭意検討を行っているところでございます。
#94
○神田委員 報道されるところによりますと、一律関税二〇%引き下げというような問題が出ているようでありますが、この辺の問題についてはどういうふうになっておりますか。
#95
○後藤(康)政府委員 関税の問題あるいはまたアクションプログラムの内容といった問題につきましても検討を求められておるわけでございますが、何分にも新しく出てきた問題でございますので、まだそれについてどう対応するかというふうなことについて申し上げられる段階にはございません。
 しかし、農林水産物と申しますのは、個々の産品によって事情も異なりますし、いろいろ価格政策との関連もございますので、やはり農業の特殊性というものを踏まえてこの問題には対応していかなければいけない、こういうふうに思っております。
#96
○神田委員 最後に大臣にお伺いしますが、諸外国の市場開放要求に対しまして農林水産省の基本的な考え方はどうなのか。聖域としない、聖域は設けないというようなことがありますけれども、農林関係者からは農林水産物については例外として認めてほしいという強い要請があります。その辺のことも含めて御答弁をいただきたいと思います。
#97
○佐藤国務大臣 先生にお答えします。
 私いつも申しておることでございますが、農業というのは生命産業として非常に大切であるし、また大変な公益的機能を持っておる。そういう形の中で、地域社会におきましても、就業の機会等を通じまして地域経済社会の健全な発展を図るのに非常に大切なものであります。まあ聖域でないということについてもいろいろ意見があるわけですが、アクションプログラムをつくる場合におきましての基準の中には、例えば国民生活の維持とか環境保全とかいろいろな基準がございます。それに農業が一つあるいは複数でかかわる。気持ちの上におきましては原則例外、これは非常に重要である、こんな認識のもとに今対処しておるわけです。
 そんなことで、基本的な態度をとりながら、我が国の置かれた立場を認識しながら、我が国の農業を守りその健全な発展を図るということと友好国との関係に配慮しながら慎重に対処いたしたい、このように考えておるわけでございます。
#98
○神田委員 終わります。
#99
○衛藤委員長代理 中林佳子君。
#100
○中林委員 まず初めに、私は、政府が本日の米価審議会に対して六十年産の生産者麦価について据え置き諮問をされましたことに強い抗議の意を表明しておきます。諮問どおり決定されれば麦価はこれで四年連続の据え置きとなって、この間の物価上昇率だとか生産資材等の値上がり分を考え合わせると実質値下げになってしまいます。これでは重要な転作作物であります麦の再生産意欲を一層減退させることは明白です。しかも重要なことは、この麦価据え置きに続いて予想されております生産者米価の据え置きへ連動されようとしている、これは非常に重要な点だと思います。
 既に昨年九月に発表されました日米諮問委員会報告書では、我が国の米や麦などの穀物価格が高いことを挙げて、日本が米麦などの穀物生産から撤退することを要求していることは、予算委員会を初めこの委員会でも既に指摘してきたところでございます。こうしたアメリカの要求だとか財界の圧力に屈して、臨調行革路線に基づく価格の抑制を強行していくならば、自給率の低下をもたらし、ひいては我が国の農業そのものの崩壊につながることもこれまた自明であります。
 農水大臣としては、麦価の据え置き諮問を撤回されて、我が国農業を発展させるという立場から引き上げをすべきではないかと思うわけですけれども、いかがでしょうか。
#101
○佐藤国務大臣 中林先生にお答えいたします。
 本年産麦の政府買い入れ価格につきましては、最近におきます国内産麦の生産事情等に配慮しつつ、その生産の振興を図るという考えに基づきまして、パリティ価格に、麦作の生産性の向上を勘案するとともに麦作に取り組む農家の意欲に及ぼす影響にも配慮した調整額を加えて決定してはどうかということを本日の米価審議会にお諮りしたところでございます。米価審議会の意見を十分お聞きするとともに、関係各方面との意見調整を経て適正に決定してまいりたい、こう考えております。
#102
○中林委員 諮問そのものが据え置き諮問でございますから、今の状況を考えてみて、決定も据え置きになっていくのではないかという予測が立つわけなんです。大臣が本当に農家の人たちの声を聞いていらっしゃるならば、こういった諮問もできないはずですし、麦価決定に当たっては当然引き上げの決定をなさると期待をしたいわけですけれども、とても期待できないので、抗議を強くしておきます。
 引き続いて米価の問題ですけれども、これも据え置きの話だとかむしろ引き下げにすべきだというような世論といいますか、一部の声も出てきているわけです。これなども生産者あるいは国民の農業に対する気持ちからしても遠く離れたものだと言わざるを得ないので、麦価及び米価の引き下げ並びに据え置きについては断固反対の意を表明しておきたいと思います。
 時間がありませんので、懸案になっている市場開放問題についての質問に入りたいと思います。
 農水省は去る十三日に総額二千十億円の林業救済対策、森林・林業、木材産業活力回復五カ年計画案を発表されたわけですけれども、一部の報道によりますと、この計画案について大蔵省との折衝が難航するのではないかというふうに言われているわけです。
 そこでまず、この計画案はあくまでも別枠として大蔵省へ要求するものであると私は思うわけですけれども、大蔵省の承認を取りつけられる見通しが本当にあるのかどうか、自信があるのかどうかということをお伺いしたいと思います。さらに、農水省としては、計画案が額面どおり実施されるならば合板など木材製品の関税引き下げにどの程度まで応じていくおつもりになっているのかということをお伺いいたします。
#103
○佐藤国務大臣 お答えします。
 この財源約二千十億、国費八百五十億、融資枠千百六十億につきましては、今までの経緯から見まして私は別枠と理解しております。いずれにしましても、私の方の計画案の別枠につきましては財務当局と十分協議することが大切と思っております。
 それからもう一つ、合板等の対策でございますが、林野庁長官が後からお答えするかと思いますけれども、業界の意見を聞きながら、日本の合板工業の体質を強くいたし、そして十分やっていけるように考えたい。また木材等につきましては、これは民有林でございますが、基本的な生産原価というものを考えました。例えば杉など一本人千円のものが約三割弱下がる。これは、原価を見ますと、原木が三割で搬出等の費用が七割だ。そうしますと、搬出等の費用を安くすると当然コストが安くなる、そんなことでございまして、この対策をやればかなりの効果がある、このように考えているわけでございます。
#104
○田中(恒)政府委員 関税につきましては、ただいまの活性化対策を財政当局との折衝の後に順次具体化をし、その施策の実施状況を見ながら関税について検討するということでございまして、現時点でその幅などを決めておるものではございません。
#105
○中林委員 私は、多分林野庁としては一定の関税引き下げの目安を持って立てられた二千十億円の救済対策ではないかと考えざるを得ないわけですね。
 といいますのは、そもそもこういう対策を立てなければならないのは関税引き下げというのが前提にあるわけです。ですから、どの程度の関税引き下げに対して国内林業界全体がそれに対抗できていくのか、そのためには今どういう対策が必要かというところからお考えになって、この二千十億円という予算を一応お立てになったのだというふうに思うわけなんです。ですから、やってみなければどの程度それに応じていくかわからないなどというようなことは極めて無責任な計算ではないかというふうに思います。五カ年で二千億円の救済がどういう試算に基づいて必要なのかというのを当然お立てになっていると思うのですけれども、それではこの二千十億円という総額になったその根拠、これは一体どこにあるわけですか。
#106
○田中(恒)政府委員 国費につきましては八百五十億、利子補給等を行います融資枠につきまして千百六十億の計画を持っているわけでございますが、その中身は、まずは木材需要の拡大関係、二番目に木材産業の体質強化、三番目に間伐、保育等の施策による森林・林業の活性化にあるわけでございます。
 先生のお話にもございましたが、関税の下げ幅と施策の対応との間に定量的な関係を見通すということは極めて至難なわざでございまして、まずは関税引き下げによります大量の輸入に備えましての国内の関係産業の体質を徐々に強化していく、それを五カ年間にわたりまして強化してまいりたいということで積み上げたのが二千十億円でございます。
#107
○中林委員 この対策案について、私も資料を見せていただいて、こんな資料しかないのかと思ってびっくりしたわけです。大変ずさんと言えばずさん、これ以上細かい話は立てられないのかなという感じがしたわけですけれども、それも大変ですけれども、たった二千億円程度で本当に市場開放に太刀打ちできるのかどうか。国内林業の体質強化が本当に図られるのかどうかということを非常に疑問に思うわけです。
 しかも、先ほどの御答弁もありますけれども、融資分を除けば国費はわずか八百五十億円にすぎないわけですね。一時は五千億円だとか三千億円ということも言われていたわけですけれども、実質八百五十億円の対策で、しかもこれが五年分だというわけですね。一年に平均すれば総額で四百億円、国費分だけで百七十億円ということで、国の林業予算の五%にも達しないという非常に少ない額なわけですね。
 かつて、昭和四十六年から四十七年、二年がかりで、日米繊維交渉の際に、繊維業界への救済対策として当時二千億円の対策がなされた。この経緯と比べましても、今回の林業対策は、当時よりも随分貨幣価値も変わっているわけですね。当時、二年間で二千億円という対策がなされたとの比較から考えても、これは非常にお粗末過ぎるというふうに思うわけです。しかも先ほどは、これは別枠で財政当局とも折衝するのだとおっしゃいましたけれども、大蔵省はなかなかスムーズにこれを認めないであろう、こういうふうに言われているわけですから、全くお話にならないと思うわけです。
 もともと我が国の林業については、もう数年来、構造的な林業不況に襲われて山林も荒廃している、こういう状況に追い込んできたわけですね。これはまさに政府自身が、国有林事業に見られますように山から撤退をしていくということなども大きな責任だというふうに思うわけです。ですから私どもは、関税引き下げ前ありきでこういう対策を立てるのではなくて、林業そのものに国が本来ならばもっと力を入れるべきであったというふうに思うわけです。それにしても、関税引き下げを前提にした、五年間でわずか二千億円ということでは、これはとても立ち直りはできないというふうに思うわけですけれども、大臣は、この対策で瀕死の我が国の林業が本当国活性化し、よみがえると自信をお持ちなのでしょうか。
#108
○佐藤国務大臣 お答えしますが、例えば今、二千十億につきましてわずかな金とおっしゃいますが、この厳しい財政再建の中で、予算の中では大変な金だと思っております。そんなことで、合板工場と製材工場につきましては十分対処できます。
 それから民有林につきましては、実は今度の場合、基本的に緊急に百九十万ヘクタール間伐等をやらなければならないのを、毎年二十五万ヘクタールしかできていません。これを年間十三万ヘクタール、五年で約六十五万ヘクタール追加ということでございますし、これができれば、やはりかなり民有林の活性化が図り得る、このように考えているわけでございます。
#109
○中林委員 委員長にまず抗議をいたしますけれども、委員がこういうふうに非常に出席していないような状況で委員会を続行されること自体にまず抗議をしておきます。
 続いて、合板の関税引き下げ要求が、もともとアメリカの対日貿易赤字解消要求を背景に出されたものであるわけですね。アメリカとの関係で合板の関税をゼロにしたところで、対日赤字全体のうち大体何%ぐらい、今度言われている合板関係の引き下げによって赤字解消に役立つのかどうか、どの程度を見込んでおられるのかお聞きします。
#110
○田中(恒)政府委員 関税を引き下げいたしますと、輸入合板の競争力は確かに強まると考えられますが、どのような状態になってくるかと申しますと、やはり国内需要の動向でありますとか為替レートの問題等もございますので、量的に輸入量がどれほどになってくるか、さらに、それが対目貿易赤字にどのくらい貢献するかということを量的に見通すということは、これは極めて困難ではないかと考えております。
#111
○中林委員 お答えになれないというのも非常におかしい話だと思うのですけれども、私が試算をしましても、五十九年度でアメリカの対日貿易赤字が三百六十七億九千六百万ドル、我が国の輸入合板額が五十九年度で二千七百万ドル、そのうち針葉樹合板が六百二十万ドル、これが主にアメリカなんですね。それで広葉樹が二千万ドル、これは東南アジアになるわけですけれども、東南アジアも含めて、対日貿易赤字に占める五十九年度の輸入合板の割合は単純に計算して何と〇・〇七%。ですから、仮に関税引き下げによってゼロということになったとしても、そんなに輸入がぱっと入るという見込みはないと私は思うのです。ですから、そういう意味ではわずかコンマ以下というような対日貿易赤字の解消にしか役に立たない。日本の業界には大変な影響を与える、林業そのものに対しても大きな影響を与える関税引き下げによって、対日貿易赤字の解消に役に立つのだという宣伝が、これではまさにペテンだということをこの数字は物語っているということを言っておきます。
 引き続き、関税引き下げ問題では、第二の合板と言われております農産物品目に、いわゆる東南アジア、特にタイからの骨なし鶏肉が挙げられているわけです。今月の二十五日に対外経済対策推進本部会議でこの骨なし鶏肉の関税を引き下げる方向が既に伝えられているわけですけれども、農水省としてはどのくらいの引き下げを検討なさっているのか。そして、それによって我が国の鶏肉生産にどんな影響が出ると分析されているのか。二十五日までというとあと一週間もないという状況の中で大臣が推進本部会議に臨まれると思うわけですけれども、この骨なし鶏肉についてはどういう態度で臨まれるお気持ちなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#112
○野明政府委員 お答えいたします。
 鶏肉の問題につきましては、最近需給が過剰基調で推移しておりますし、鶏肉の卸売価格も長期にわたって低迷しておるわけでございます。また、国内でも計画生産に努力中であるという大変厳しい状況に置かれておるわけでございます。こういったように鶏肉産業は大変困難な状況に置かれておりますが、まだ具体的に今検討中でございますので、だだいまお話しのような点については目下検討中ということでございますが、いずれにしても慎重に対処してまいりたいと考えておるわけでございます。
#113
○佐藤国務大臣 お答えします。
 私の対外経済摩擦に対する態度は、いつも申しておるようなことでございますが、基本的に我が国の立場を認識し、我が国農業を守り、健全な発展を図るということと、友好国との関係をどう配慮するかということで慎重に対処する予定でございます。
 骨なし鶏肉につきましては、局長が答弁したと思いますが、現在策定委員会で検討中でございます。そんなことで、現在検討中ということで、一週間と言いますが、まだ一週間ございます。現在検討中ということでございます。
#114
○中林委員 いつもこの問題では検討中検討中ということで、国内的に状況を見れば非常に厳しいという二つの話しか出てなくて、先般のこの委員会でも我が党の津川議員が、農家にとってみたら、ぎりぎりまで隠しておいて、結局関税引き下げがなされて大変な打撃を受ける、こういう状況だということを指摘していたのですけれども、一週間前、正確には六日ぐらいだと思いますけれども、まだ検討中というような状況ではない、本当は計画はきちっと持っていらっしゃるのではないかというふうに私は思うわけなんですね。これはもう決めていることだというような新聞報道もあるわけですから。本当に今の日本の鶏肉生産を支えている農家あるいはそこで働く労働者のことを考えれば、とてもこれは受け入れがたい中身だというふうに思いますので、ぜひこの引き下げ要求には応じられないよう要望しておきます。
 続いて、市場開放問題に関連して、牛肉、オレンジの問題についてもちょっと伺っておきたいと思うわけですが、先般のこの委員会でもアメリカのオルマー商務次官の辞任に当たっての話、つまり期限内でも牛肉、オレンジの輸入枠拡大の交渉に入るべきだ、こういう発言はまだ正式には聞いていないという御答弁であったわけですけれども、この種の発表はただでさえ輸入攻勢であえいでいる国内の牛肉農家にとっては大変な打撃を実は与えているわけです。先行きが大変不安で、国内の和牛生産にはもうずっと深刻な影響が現在もなお続いております。優良和牛の産地であります私の地元の島根県でも、昨年の牛肉交渉がまとまるまでの間に、既に先行きが不安で、肉用子牛価格が大変暴落している。五十八年には三十万から四十万円もの実質経費がかかった子牛の出荷が二十万そこそこという実態にまで追い込まれたわけですけれども、こういう輸入攻勢がさらに出てくるのではないかという不安の中で、県下では基準価格に達してない月が連続二十九カ月も続いているという状況です。
 大臣、農家は何が安心できるかといえば、まず一九八七年度末までのいわば期限内の再交渉には絶対に応じないという言明をされるべきだと思うのですね。そうすれば農家にとっても非常に安心だということがまず第一です。それから、期限が来た、それなら期限後はまた交渉に応じられるのではないかという不安がいつもつきまとうわけですね。一九八七年以降もそういうことには応じてほしくないというのが農家の方々の強い要望でございますので、それについてもぜひ農家の実態を把握して、期限が過ぎても再交渉に応じない旨を言っていただければなお農家は安心すると思うのですけれども、いかがでしょうか。
#115
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 日米間の牛肉、かんきつ問題については昨年四月に決着を見、現在平穏裏に合意を実施中でございます。
 日米農産物問題に関してオルマー次官等の発言、これも私は新聞で見ましたけれども、ブロック農務長官は四月十八日の松永大使との会談の場で、牛肉、かんきつの交渉の終着後は平穏な状況であると見ている旨述べており、米国農業団体も今のところ比較的平静でございます。合意期間である一九八七年度末までの間については、合意が誠実に履行されていれば問題は生じないと考えております。
#116
○中林委員 ぜひそれは守っていただきたいと思います。
 大臣、御用のようでございますし、質問の持ち時間も終わりましたので、最後に一点だけ指摘をしておきたいと思うわけですけれども、合板にしろ鶏肉にしろ、その関税引き下げが我が国の農林業にははかり知れない打撃を与えることはもう必至ですね。しかも、これらの関税引き下げがいわゆる貿易摩擦の解消策として提起されているにもかかわらず、例えば関税をゼロにしたところで、アメリカの、東南アジアとの貿易摩擦解消には焼け石に水だというように私は計算上も見られていると思います。牛肉の輸入枠拡大についてもそれは同様だと思います。
 貿易摩擦を解消するには、それをもたらした原因に直接メスを入れること、すなわちアメリカについては軍拡による大変なドル高、それから自動車産業に見られる我が国の大企業の低賃金や長時間労働を背景とした輸出攻勢を改めさせること。東南アジアについては、電気機械メーカーや商社によるなりふり構わぬ進出や、現地合併会社による対日輸出制限などをやめさせること、こういうことをやらない限り、貿易摩擦解消には効果が上がらないというふうに思います。それでいて、我が国の農業には重大な被害をもたらすような農産物の関税引き下げにしわ寄せをするやり方、これはまさに本末転倒だということを最後に指摘をいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#117
○衛藤委員長代理 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時四分開議
#118
○今井委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。佐藤農林水産大臣。
    ―――――――――――――
 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#119
○佐藤国務大臣 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び主要な内容を御説明申し上げます。
 この法律案は、高齢化社会の到来等社会経済情勢の変化に対応し、公的年金制度の長期的安定と整合性ある発展を図るため、公的年金制度の一元比等の改革の一環として、他の公的年金制度の改正と同様、農林漁業価体職員共済組合制度についても所要の改正を行おうとするものであります。
 また、本制度は、公的年金制度としての性格を有するとともに、農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための農林漁業団体職員の相互扶助事業の一環としての性格をも有しているので、今回の改正に当たっても、この面からの配慮を行っているところでございます。
 次に、この法律案の主要な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、農林漁業団体職員共済組合制度に基づく給付につきましては、原則として基礎年金に上乗せして支給する給与比例年金とすることといたしております。
 第二に、本制度により支給する年金の額につきましては、厚生年金相当部分の年金額に職域年金相当部分の年金額を加えたものをもって年金額とすることといたしております。
 第三に、既裁定年金者の年金額につきましては、いわゆる通算年金方式により算定した額に改定することとし、新規裁定年金との水準上の均衡を図ることとしております。なお、これにより現在受けている年金額が減額することがないよう、従前の年金額はこれを保障することといたしております。
 第四に、農林漁業団体職員共済組合の給付に要する費用につきましては、使用者である農林漁業団体と組合員との折半負担とすることといたしております。また、国庫補助につきましては、公的年金制度共通の措置として、基礎年金に要する費用に一元化することとし、原則として組合が納付する基礎年金拠出金の三分の一を補助することといたしております。
 第五に、本制度による年金の額につきましては、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制に改めることといたしております。
 第六に、農林漁業団体職員共済組合の組合員等につきましては、基礎年金制度を適用するための所要の法的措置を講ずることといたしております。
 最後に、今回の制度改正の施行期日につきましては、昭和六十一年四月一日といたしております。
 以上がこの法律案の提案の理由及び主要な内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#120
○今井委員長 次に、補足説明を聴取いたします。後藤経済局長。
#121
○後藤(康)政府委員 農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由を補足して御説明申し上げます。
 この法律案を提出いたしました理由につきましては、既に提案理由において申し述べましたので、以下その内容につき若干補足させていただきます。
 第一は、給付の内容についてであります。
 農林漁業団体職員共済組合の給付の種類としては、退職共済年金、障害共済年金、遺族共済年金等といたしており、それぞれ、基礎年金の上乗せとして、厚生年金相当部分に職域年金相当部分を加えたものとして設計いたしております。
 このうち、厚生年金相当部分につきましては、公的年金としての性格を有する部分でありますので、その算定の基礎となる基礎給与を全期間の平均標準給与月額とするほか、その他の年金額の算定方式につきましても厚生年金と同様のものとするとともに、年金額算定上の給付乗率については、二十年の経過期間を設けて段階的に逓減するなど、厚生年金と給付の水準、内容等について均衡のとれたものとしております。
 また、職域年金相当部分につきましては、農林漁業団体の職域における独自の給付としての性格にかんがみ、費用の負担能力等を参酌してその水準を厚生年金相当部分の二割相当といたしております。
 第二は、各年金給付の個別の改正についてであります。
 退職共済年金につきましては、厚生年金に合わせ、新たに配偶者等に対する加給年金制度及び低所得者に対する在職老齢年金の制度を設けることといたしております。
 なお、支給開始年齢につきましては、従来の経過措置を短縮し、昭和七十年から六十歳となるようにいたしております。
 また、障害共済年金につきましては、事後重症の制限期間を撤廃することとし、遺族共済年金につきましては、給付率を退職共済年金の四分の三相当額に引き上げるとともに、四十歳以上の中高齢の妻等についての加算制度を設け、給付の重点化を図ることといたしております。
 第三は、複数の年金を受給することとなる場合の併給調整等についてであります。
 すなわち、本制度において、一人の受給権者が複数の年金を受給できる場合には、その者の選択する一つの年金を支給することといたしております。さらに、この措置は他の公的年金制度との間にも適用することとし、相互に併給の調整を行うことにより、年金給付の面での合理化を図ることといたしております。
 また、本制度の年金の受給権者が他の公的被用者年金の被保険者等となった場合には、その者の給与所得の高低に応じ、年金額に一定の割合を乗じた金額を支給停止することとし、現役組合員との所得の均衡を図ることといたしております。第四は、既裁定年金の取り扱いについてであります。
 今回の改正案では、年金額の計算方式を原則として厚生年金と同様の方式に改めるとともに、年金額算定上の給付乗率についても段階的に逓減させる等、大幅な制度改正を行うこととしておりますので、既裁定年金につきましても、改正後の年金の算定方式に類似している、いわゆる通算年金方式により算定した額に改定することとし、新規裁定年金との水準上の均衡を図ることといたしております。なお、これにより現在受けている年金額が減額することがないよう、従前の年金額はこれを保障することといたしております。
 第五は、費用負担についてであります。
 本制度の給付に要する費用は、農林漁業団体と組合員との折半負担とすることといたしております。また、国庫補助につきましては、組合が納付する基礎年金拠出金の三分の一のほか、基礎年金制度の適用とならない昭和三十六年四月一日前の期間に係る給付につきましては、従来どおりの国庫補助を行うことといたしております。
 第六は、年金額の改定方式についてであります。
 本制度による年金の額につきましては、従来は国家公務員の給与の変動に準じ年金額の改定の措置を講じてきたところでありますが、これを、厚生年金等と同様、消費者物価による自動スライド制に改めることといたしております。
 第七は、農林漁業団体職員共済組合の組合員及びその被扶養配偶者に対する基礎年金制度の適用についてであります。
 これにつきましては、この法律により国民年金法等を改正し、所要の法的措置を講ずることといたしております。
 このほか、所要の規定の整備を図ることといたしております。
 以上をもちまして、この法律案の提案理由の補足説明を終わります。
#122
○今井委員長 以上で本案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#123
○今井委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、これを許します。衛藤征士郎君。
#124
○衛藤委員 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま提案されました農林漁業団体職員共済組合法の一部を改正する法律案について、政府に対し質疑をいたします。
 我が国社会は、近年、諸外国にも例を見ないスピードで高齢化社会へ移行しつつあります。このことは、すなわち、現役で働いている人々が支えるお年寄りの世代の方々が急速に増加していることを示しておるのであります。逆に言いますと、社会全体として、一人のお年寄りを従来は何人もの若い人たちで扶養してきたわけですが、今後は一人のお年寄りを扶養するのにほんの数人の現役で支えなければならなくなってしまうことを意味していると思います。
 かつては、このような扶養関係につきましては、親子、兄弟といったように家族や親類でお年寄りを扶養するという私的扶養が可能だったわけでありますが、核家族化が進行している今日、このような私的扶養にすべてをゆだねることは困難であります。このようなことを考慮の上、社会全体として現役世代と老齢世代の助け合いを行う仕組みである公的年金制度の持つ意味は、本格的な高齢化社会の到来を控えた今日、ますます重要となってきております。
 そして、このような重要な役割を果たす公的年金制度が真に国民の信頼を得るためには、これが長期にわたって安定的に運営されなければならないことは論をまたないものでありまして、このためには現役世代と年金受給者世代との所得の均衡、給付と負担の均衡、その適正化を図ることは避けられないところであります。
 今回、このような観点から、我が国の今後における人口構造や社会構造の変化に適切に対応できる公的年金制度を確立することを目的として一連の公的年金制度の改革が進められ、既に今国会におきまして、いわゆる全国民共通の基礎年金の導入等を主眼といたします国民年金、厚生年金等の制度改正が成立したわけであります。今回提案されました農林漁業団体職員共済組合制度、いわゆる農林年金制度の改正につきましても、以上のような一連の公的年金制度の改革の一環として、他の公務員、私立学校教職員等の共済組合制度とともに実施するものと承知いたしております。
 もちろん、農林年金制度につきましては、単に公的年金制度の一翼を担うのみならず、昭和三十四年に創設以来、多数の農林漁業団体の役職員の方々の相互扶助事業として、このような方々の福利厚生を図ることにより、これら農林漁業団体に優秀な人材を確保しその事業の円滑な運営に資してきたものでありまして、このことがひいては我が国農林水産業の発展に大きく寄与してきたことは言うまでもありません。したがいまして、このような重要な役割を担う農林年金制度が今後とも安定した制度運営を行うことができるようにすることは我が国農林水産業の発展にとっても重大な問題であります。今回の改正法案は、このような観点にも十分留意して提出されたものであると伺っております。
 法案の具体的内容につきましては、これから当委員会での議論でただしてまいるわけでありますが、我が自由民主党といたしましては、このような年金改革の重要性にかんがみ、本法案は一刻でも早く成立させるべきものでありまして、このことによって農林年金制度の長期的安定の礎を築き、農林漁業団体の役職員の方々が安心してその職務に邁進できるようにし、我が国農林水産業の発展に全力を傾注していただきたいものと考えております。
 そこで、本法案につきまして、以下若干政府の見解をただしたいと思います。
 我が国は、平均余命年数の伸長、出生率の低下等から世界に例を見ない速度で人口構造の老齢化が進展し、二十一世紀にはそのピークを迎えると言われておりますが、実際に働いている人口と老齢者、いわゆる六十五歳以上の人口との割合は、現在どのようになっており、二十一世紀にはどのように進展していくのか。また、農林漁業団体の職員と年金受給者についてもほとんど同じような割合で推移していくものと考えられますが、その点の将来見通しはどうなるのか、まずお伺いいたしたいと思います。
#125
○後藤(康)政府委員 お答えを申し上げます。
 我が国の人口構成につきましては、昭和五十六年十一月の厚生省の人口問題研究所の推計によりますと、国民総人口に占めます六十五歳以上の者の割合は、昭和六十年に一〇・一四%、昭和七十年に一三・六二%、昭和百年には二一・二九%、昭和六十年に比べまして昭和百年には約倍になると予想されております。農林年金制度におきましても、組合員数に対します年金受給者の割合というものを見てみますと、五十八年度に一六・二%でございましたものが、昭和八十五年度には三七・五%になるというふうに予想されておりまして、これは、昭和五十八年度には組合員六人に対しまして年金の受給者が一人という割合であったわけでございますが、八十五年度では組合員二・六人に対して年金受給者一人、こういう関係になると見ておるわけでございます。
#126
○衛藤委員 我が国の人口構成は、老齢化が進展し、農林漁業団体の現役人口と年金受給人口から見ても、現在現役六人と年金受給者一人の割合であるものが、ただいま御説明いただきましたように、二十一世紀、昭和八十五年には現役二・六人で年金受給者一人を支えることになると予想されるわけであります。農林年金も含めた年金制度にとって、出生率の低下、余命年数の伸長等は制度の根幹を揺るがすものでありまして、年金制度の今後については国民の大変大きな関心事となっております。
 このような状況のもとにおいて、将来に向けて確実に信頼される制度をつくる必要があるわけであります。そこで、今回の農林年金制度の改正案の基本的な考え方を大臣にお伺いいたしたいと思います。
#127
○佐藤国務大臣 衛藤先生にお答えいたします。
 改正の趣旨は先ほど申し上げたとおりでございますが、我が国の人口構造は、先生御指摘のように今後ますます高齢化が進展し、高齢化社会へ移行するものと考えております。
 そんなことで、この農林年金制度についても、このような社会経済情勢の変化に対処するため、三つの基本的考え方に配慮して対処することが大切だ、こう思います。
 その第一は、公的年金制度全般の整合性を図ること。
 二番目には、制度の円滑な運営を図るために三つの点に特に配慮する。一つは、適正な給付水準を確保すること。二つ目には、負担との均衡を図ること。三つ目には、世代間の公平に配慮すること。
 また三番目には、制度の財政の長期的な安定を図る必要がある、等に配慮して対処すべきものであると考えております。
#128
○衛藤委員 農林年金の組合員及びその被扶養配偶者に基礎年金を適用することとしておりますが、現行制度では農林年金の組合員には国民年金制度は適用されないこととなっておりまして、組合員の被扶養配偶者は任意で国民年金に加入することができることとなっておりますのは御案内のとおりでありますが、今回の改正案では農林年金の給付はどのようになるのか、また、組合員の配偶者はどのような形で国民年金に加入し給付を受けることになるのか、お伺いいたしたいと思います。
#129
○後藤(康)政府委員 お答え申し上げます。
 今回のこの制度改正は、公的年金制度全般の整合性を図りますために全国民に共通の基礎年金の制度を適用することにいたしまして、農林年金の給付は原則として基礎年金に上乗せをして支給する給与比例年金という形にしているわけでございます。
 給与比例年金は、公的年金としての性格を持ちます厚生年金相当部分の年金額に共済年金としてのいわば職域年金相当部分の年金額を加えたものになっておりまして、この合計額を農林年金が給付をするということになるわけでございます。
 組合員の被扶養配偶者につきましても、国民年金の被保険者になりまして六十五歳から基礎年金が給付されることになるわけでございますが、その被扶養配偶者の保険料につきましては、直接国民年金に納入することを必要とせずに、奥さんのいわば保険料相当部分につきましては、農林年金から国民年金への拠出金として組合員の保険料相当分と一括して納入するということにいたしております。
 なお、基礎年金の支給開始年齢は六十五歳からとなっておりますために、農林年金の支給開始年齢、これは当初五十六歳支給で昭和七十年に六十歳支給になるように段階的に引き上げるということになっておるわけでございますが、これから、この支給開始年齢から六十五歳に達するまでの間は、農林年金から給与比例年金に加えて組合員の基礎年金相当額の定額年金を支給するということにいたしておるわけでございます。
#130
○衛藤委員 今回の改正案の一つの柱といたしまして将来の年金の給付水準の適正化ということがあるわけでありますが、農林年金の組合員としては、何よりも将来の年金制度を老後の当てにしてよいのかどうかということに関心を持っているわけでありますから、将来の年金の給付水準について、負担との均衡もあると考えますが、今回の改正案において適正な給付水準というものをどのように考えておられますか、お伺いいたしたいと思います。
#131
○後藤(康)政府委員 農林年金の給付水準の設定につきましては、掛金を負担をいたします組合員の所得と年金受給者の所得との均衡が図られるものでなければならないというふうに考えておるところでございます。
 現役組合員の標準的な方の所得といいますか、そういうものを比較の目安としてどうとるかということはいろいろ考え方があるわけでございますが、組合員期間四十年の方、そして四十五歳で夫婦子供二人という方を例にとりまして、夫婦と子供二人ということで、その給与をベースにしまして今回の改正案によります給付水準を比較いたしますと、おおむね七割程度に相当するということで、これは、年金受給者と現役組合員との均衡から考えました場合、ほぼ妥当なものではないかというふうに考えているわけでございます。
#132
○衛藤委員 農林年金制度は農林漁業団体の役職員を対象とした年金制度であることは論をまちませんが、近年の農林漁業を取り巻く環境は相当厳しいものがあります。したがって、農林漁業団体の職員数についても過去のような大きな伸びは予想できない状況にあると考えられますし、一方、年金受給者は今後ますます増大していくとともに、余命年数の伸長等によりまして年金の受給期間が長くなり、給付費は組合員の負担の限界を超える大きな額に増大していくものと考えられますが、このような事態に対して、給付と負担の問題をどのようにとらえておられますか、お伺いいたしたいと思います。
#133
○後藤(康)政府委員 この給付と負担の限界というものは、どうしても年金の仕組みにはついて回る問題でございます。
 農林年金の現行の給付水準を維持していくといたしますと、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年には、掛金率は、現行が一千分の百九ということでございますが、その約四倍程度になるものと推計をされております。こういった掛金の負担、すなわち現役組合員の所得の二分の一に近いというようなものになりますと、これは負担の限界を超えるものというふうに考えられるわけでございます。
 このため、年金の給付につきましては、やはり現役組合員は所得から租税やら社会保険料等が控除されていることにもかんがみまして、いわゆる可処分所得の額で、現役組合員の可処分所得とそれから年金受給者の所得との均衡を失しないようにする必要があるというふうに考えているわけでございます。
#134
○衛藤委員 今回の改正案は恐らく歴史に残る極めて抜本的な改正を含んでおると思いますが、農林漁業団体の役職員はもちろんのこと、農林漁業団体を退職された年金受給者に与える影響が非常に大きいものと考えられます。また、役職員の中でも、遠い将来に年金をもらう人と近い将来に年金をもらう人とでは違った考え方を持っていると思われます。
 このような大改正をまとめる場合、農林水産省としては各界各層の人たちの意見を十分にお聞きになった上でまとめたものと考えられますが、どのような措置をされましたのか、お伺いいたしたいと思います。
#135
○後藤(康)政府委員 御指摘のとおり、年金の制度改革ということになりますと、当該共済組合の関係者の中でもいろいろな御意見があり得るわけでございますけれども、今回のこの公的年金制度の改革の中で農林年金制度をどう位置づけて改正をしていくかということは非常に重要な問題でございますので、これを円滑に進めてまいりますには、事業主と組合員との利害調整、また加入者団体相互のコンセンサスの形成等を十分に図る必要があると私ども考えてやってまいったわけでございます。このため、今回の農林年金の改革に当たりましては、組合会におきます議論、それから農林年金の構成団体である農協でございますとか漁協等の系統ごとに、また全国団体、県段階ごとの意見や年金受給者の方々の御意見をも伺いながら、さらに組合員代表、事業主代表、学識経験者等から構成をされます農林年金制度に関する懇談会というものを五十七年の十月から開催しまして、この場で関係者の御意見をも十分伺いながら法案の作成に当たってまいったわけでございます。
#136
○衛藤委員 農林年金制度は、農林漁業団体が農林水産行政の推進上重要な役割を担っていることから、その団体の役職員の福祉の向上に資する目的で設立された制度でありまして、これまでその役割は十分果たされてきておりますし、また今後も維持していかなければならないと考えます。今回の改正案についてもこの点には十分配慮されているものと考えますが、農林年金制度の特殊性が考慮されている点ほどのようなところにありますか、お伺いをいたしたいと思います。
#137
○後藤(康)政府委員 今回の改正の目的の一つといたしまして、公的年金制度の整合性を図るということから農林年金の組合員及び被扶養配偶者にも基礎年金制度を適用いたしますとともに、農林年金はその上乗せ年金ということで、一般の民間被用者を対象としております厚生年金に相当する部分を給付することにしております。一方、農林年金は公的年金制度としての性格とともに農林漁業団体の事業の円滑な運営に資するための農林漁業団体職員の相互扶助の一環としての性格も持っておりますので、あわせて職域年金相当部分の給付を行うことにしております。
#138
○衛藤委員 農林年金制度の長期的安定を図るためには、世代間の公平性に配慮しつつ、負担と給付の均衡を図り、適正な給付水準を定める必要があると考えていますが、その際、既に年金を受けている年金受給者の既得権、あるいは改正の直前に退職したならば受けることができるはずであった年金額に対する期待権といったものについては、これを保障しなければならないと考えます。今回の改正案においては、これらの既得権及び期待権についてどのような保障をとられておりますか、お伺いいたします。
#139
○後藤(康)政府委員 現在の農林年金の年金額の計算方式には、給与に比例して年金額を計算いたします共済方式と、定額部分と給与比例部分とを合わせて年金額を計算いたします通算年金方式とがございます。この両方式で計算した額のうち高い方の額がその人の実際の年金額となっているわけでございます。
 今回の改正案におきましては、既に年金を受けておる者の年金につきましては、改正後の年金の算定方式に類似しております改正前のいわゆる通算年金方式により算定した額にすべて改定することにいたしまして、新たに年金を受ける者の年金額の水準との均衡を図ることを原則としております。しかし、これによりまして、共済方式で計算をした方が通算年金方式で計算した場合より高い額の人について、現在受けている年金額が減額するようなことになった場合には、既に支給されております年金額につきましてはこれを従前の年金額として保障することにいたしております。
 また、施行日の前月に組合員期間が二十年以上である者につきましては、施行日の前日に退職したとしたならば改正前の年金額の計算方式によりまして年金の受給権が発生することにもかんがみまして、施行日以後退職をし年金を受けることになった場合、改正後の法律に基づいて年金額を算定することが原則でございますけれども、その額が施行日の前日に退職したならば受けることができた年金額を下回るときには、施行日の前日に退職したならば受けることができた年金額を従前の年金額として保障することにいたしております。
#140
○衛藤委員 農林年金制度における年金の額の改定については、従来からその指標として国家公務員の給与の上昇率を基準として毎年法律で定めているわけですが、これを物価上昇率等により自動的にスライドする方式を考えるべきだと思うのであります。今回の改正案ではこの点についての考えはいかがでございますか、お伺いいたします。
#141
○後藤(康)政府委員 この年金額の改定につきましては、当委員会でもたびたび御議論があったところでございますけれども、現行の法律では第一条の二におきまして「年金たる給付の額は、国民の生活水準その他の諸事情に著しい変動が生じた場合には、変動後の諸事情に応ずるため、すみやかに改定の措置が講ぜられなければならない。」という考え方を定めまして、実際は四十四年度以降毎年法律改正をして年金額の改定をいたしてきているところでございます。この指標としては従来公務員給与の上昇率を用いてまいってきたところでございますけれども、これは各種年金制度の制度間の均衡を図るという意味合いからもこの指標を用いてきたわけでございます。他方、年金額の改定につきましては、物価上昇率のような客観的かつ普遍的な指標をとるべきであるという御意見がかねてからございました。今回公的年金制度改革の一環として年金制度を改革するに際しましては、公的年金制度共通の措置として消費者物価による自動スライド制を実施するということにいたしております。
#142
○衛藤委員 農林年金制度は農林漁業団体の職域年金であるところから、その職域から離脱しない限り年金の給付が行われないことになっております。しかし、この方式によると、農協の職員が定年退職後、土地改良区とか森林組合等に再就職した場合、低額の給与であっても、同一の職域ということから年金は支給停止となります。厚生年金の場合、このようなケースであっても在職老齢年金が支給されることになっておりますのは御案内のとおりであります。農林年金制度においても、低額給与者については在職中であっても年金を支給すべきではないかと考えますが、いかがでございますか。
#143
○後藤(康)政府委員 農林年金制度は農林漁業団体の職域におきます共済年金制度として発足した経緯がございますので、従来から農林漁業団体を退職して共済組合の職域を離れた方について年金を給付するということにいたしてきたところでございます。
 しかし、今御質問の中にございましたようなケースもございますし、また今回の制度改正に当たりまして、公的年金制度間の整合性あるいは給与が低い方についての給付の重点化というような観点から、特に六十歳以上の高齢者については、年金の必要性等を考慮いたしまして、在職中でございましても給与が低い方については一定の年金額を給付するということにいたしておるわけでございます。
#144
○衛藤委員 高齢化社会の到来で年金制度は今後ますます給付費が増大していくものと考えますが、現行の給付水準を維持していくものとすれば、高齢化のピークを迎える二十一世紀には組合員及びその事業主の負担は組合員の給与に換算してどの程度になると推計しておりますか。また、今回の改正を行ない給付水準の適正化を図れば負担は軽減するのか、軽減するとすれば掛金率はどの程度になるものとお考えでございますか、お伺いいたします。
#145
○後藤(康)政府委員 今回の改正案におきます給付水準の適正化につきましては、長期間の経過措置を設けて給付と負担の均衡を図ろうというものでございまして、世代間の負担の公平に十分配慮しておるところでございます。
 具体的には、高齢化のピークを迎えます二十一世紀の昭和百年において、現行の給付水準を維持していくものといたしますと、先ほどお答えの中でもちょっと触れましたけれども、現在の千分の百九という掛金率が約四倍程度になるということが推計されておるわけでございますが、今回の改正案によりまして給付水準の適正化を図ることにいたしますと、この掛金負担の約四分の一程度の軽減は図れるものというふうに考えております。
#146
○衛藤委員 農林年金制度は昭和三十四年に厚生年金から分離して発足した制度でありますが、発足当初は国家公務員の旧共済制度に倣って制度を仕組んでおりましたけれども、昭和三十九年に国家公務員の新共済制度に倣って大幅な制度改正を行っております。この制度改正の前後では給付水準に違いが生じてきておりまして、新旧格差として改正前の期間に係る給付は低水準に放置されてきておりますが、今回の改正案はこの点についてどのようになっておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
#147
○後藤(康)政府委員 農林年金の昭和三十九年九月以前のいわゆる旧法時代の期間につきましては、制度発足当初から恩給制度及び旧国家公務員共済組合制度に準じて設計されておりますために、昭和三十九年十月以後のいわゆる新法時代の期間とはその取り扱いに格差が生じていたわけでございます。
 当委員会でもたびたび新旧の格差の問題が質疑の中で触れられてまいったわけでございますが、今回の農林年金の改正におきましては、年金額の算定に当たりまして旧法期間と新法期間を同様に取り扱うことにいたしておりまして、このような格差は是正されることになっておるわけでございます。
#148
○衛藤委員 国民年金の基礎年金は六十五歳から支給されるものと聞いておりますが、現在、農林年金の支給開始年齢は昭和七十五年に六十歳とする経過期間中でありまして、六十年度は五十六歳の支給となっております。農林年金制度に基礎年金制度を導入すると、支給開始年齢に差が生じるため、五十六歳から六十四歳までは基礎年金が支給されないことにならないのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
#149
○後藤(康)政府委員 国民年金法によりまして、サラリーマンや農業者等自営業者など、全国民を対象として支給されます基礎年金は、その支給開始年齢を六十五歳からというふうにしておりますけれども、農林年金制度を含めまして被用者年金制度では支給開始年齢を原則として六十歳からというふうにいたしておりまして、六十歳から六十五歳の間につきましては基礎年金が支給されないことは事実でございます。このため農林年金といたしましては、この間、給与比例の年金にあわせまして基礎年金相当部分として定額部分の年金も支給するということにいたしております。
 また農林年金の支給開始年齢につきましては、従来は現在の五十六歳支給から昭和七十五年に六十歳支給になるように経過措置を設けておったわけでありますが、今回これを若干短縮いたしまして、昭和七十年に六十歳とする経過措置を設けております。この経過措置によりまして、五十六歳から六十歳の間に支給される年金につきましても、給与比例の年金とあわせまして定額部分の年金を支給するということにいたしております。
#150
○衛藤委員 現在公的年金制度には、農民、自営業者等を対象とする国民年金、一般被用者を対象とする厚生年金、公務員等特定の職域の被用者を対象とする四つの共済年金がありまして、三種七制度に分立していますが、この制度の分立によって給付の重複、制度間の不均衡等さまざまな問題点が指摘されております。今回の改正案はこのような問題点についてどのように対処していこうとしておりますか、お伺いをいたしたいと思います。
#151
○後藤(康)政府委員 今回の改正は、現役組合員と年金受給者の給付と負担の均衡を図ることが一つの重要な柱でございますけれども、あわせて、年金受給者相互間における給付面の均衡ということもその目的、ねらいの一つになっておりまして、現行の給付の重複の問題につきましては、いわゆる年金の併給調整ということによりましてその解消を図ることにいたしております。同一制度内あるいは他制度間を問わず、一人が二以上の年金を受けることができます場合には、原則として、その者の選択によりましてその方に有利な一つの年金を支給するということにしているわけでございます。
 これは、一つには、公的な年金給付はそれぞれ一つの年金で受給者の生活の支柱としての役割を果たすものとして設計されておるということもございますし、また二つには、二以上の年金を受給できる方とそうでない方との均衡を図る必要があるということもございます。さらには、将来にわたって年金給付の適正化を図っていくということを考えますと、給付はより必要性の高いものに重点化をしていくべきであるというような考え方から、年金受給者間の均衡を図りまたその公平性を確保するという観点からこういった併給調整を行おうというものでございます。
 また、現行の公的年金制度間におきます不均衡の問題につきましては、今回基礎年金制度を全国民に共通に適用いたすということと、給与比例年金につきましても、共済年金は職域年金相当部分は設計いたしてございますものの、基本的給付要件は厚生年金とそろえるということにいたしておりますので、この点につきましても十分対応しているというふうに私ども考えておるわけでございます。
#152
○衛藤委員 今回の改正案では、年金額算定の基礎となっております標準給与のとり方が、退職時前一年間の平均標準給与から勤務期間の全期間の標準給与の平均額となるようでありますが、その考え方はどういうものでありますか。また、年金額のかなりの低下につながるおそれがあると思いますが、いかがでございますか、お伺いいたします。
#153
○後藤(康)政府委員 農林年金制度を含め、共済年金制度は、従来年金額算定の基礎となります給与を原則として退職時前一年間の給与の平均というふうにいたしていたところでございますが、一方、民間の一般被用者を対象にいたします厚生年金におきましては、全期間の給与の平均を年金額の算定基礎とするということでやってまいりました。この点につきましては、共済年金の年金額の有利不利というようなこととの関連もございまして、従来からいろいろと御意見のあった点でございます。今回の改正案におきましては、共済年金につきましても基本的給付要件は厚生年金にそろえるということにいたしておりますことから、この点についても厚生年金との整合性を図るということにいたしたものでございます。
 この措置によりまして年金額が低下するのではないかということにつきましては、今度の改正に伴いまして基礎年金制度が適用される、それからまた、従来農林年金制度には適用されておりませんでした加給年金の制度を新たに設けるというようなこともございまして、具体的には組合員の給与によって異なってまいると思いますけれども、大幅な低下ということはないものと考えております。
#154
○衛藤委員 御案内のとおり、現在公的年金制度は七制度に分立しております。これらの制度についての国の補助は、ただいま局長から答弁がありましたように、今回の改正案で公的年金制度の整合性を図ることとしておるわけでありますが、さらに具体的にはどのようになるのか、お伺いをいたしたいと思います。
#155
○後藤(康)政府委員 現行の公的年金制度に対します国庫補助につきましては、国民年金の場合原則三分の一、厚生年金は原則二〇%、農林年金の場合は原則一八%というようにそれぞれ異なったものになっているわけでございます。今回の改革におきまして、現在各制度によって異なっております国庫補助の不均衡を是正するということで、公的年金制度は基礎年金への拠出金の三分の一を補助するということにいたしておりまして、農林年金制度につきましても、基礎年金への拠出金の三分の一を国から補助するということにいたしております。
 なお、国民年金制度発足前の期間でございます昭和三十六年三月以前の期間に係る給付費に対する国庫補助につきましては、国民年金制度発足前ということでございますので、現行の補助率を継続してまいるということにいたしておるわけでございます。
 なお、農林年金に対します国庫補助は、補助の仕組みが従来の給付費補助から、国民年金への基礎年金の拠出金の三分の一補助、いわば掛金補助的なものに変わりますので、単純な比較はなかなかできないわけでございますが、当面、現行の補助額を下回るようなことはないというふうに私ども見込んでいるところでございます。
#156
○衛藤委員 最後に大臣にお伺いをいたします。
 国民年金法及び厚生年金法の改正案は既に本国会において成立しまして、六十一年四月から実施されることとなっておるのは御案内のとおりであります。これらの法律と同様な措置を講じ、実施時期についても六十一年四月としております農林年金法の改正案は、現に今委員会で審議しているわけでありますが、本国会の会期も残り少ない現在、仮に農林年金法の改正案が六十一年四月実施に間に合わなったならばどのような問題が生じますか、お伺いをしたいと思います。
#157
○佐藤国務大臣 先生にお答えいたします。
 今回の農林年金法の改正は、先ほどから局長が答弁しておるようなことでございますが、公的年金制度の改革の一環として、高齢化社会の到来に備えまして給付と負担の均衡を図り、公平で安定した年金制度を確立するために不可欠のものでございます。そういうことで、この趣旨に沿いまして、民間の被用者については基礎年金制度の創設、厚生年金の給付の適正化などのための法改正が御指摘のように既に成立を見ているところであります。
 仮に、御指摘のように農林年金法の改正が六十一年四月実施に間に合わなかったとすれば、大きく三つの問題点が出てくるだろうと思います。その一つは、農林年金の組合員の妻が無年金者の状態となる、そして民間企業の被用者の妻の場合と格差が生じることでございます。それから、年金額の給付水準、算定方法等に関し制度間における均衡を大幅に失することでございます。それからもう一つは、長期的に農林年金の財政の健全化を推進する上で支障が生ずるということでございます。
 大きく今三つの点を申し上げたわけでございますが、このようにいろいろな問題が生じてくるために、農林年金法の改正については六十一年四月から実施されることがぜひ必要ということで、一刻も早い成立をお願いする次第でございます。
#158
○衛藤委員 時間が参りましたので、これで私の質疑を終わります。
#159
○今井委員長 次回は、明二十日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十三分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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