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1984/12/18 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第5号
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1984/12/18 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第5号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第5号
昭和五十九年十二月十八日(火曜日)
    午前十時二分開議
出席委員
  委員長 戸井田三郎君
   理事 愛知 和男君 理事 稲垣 実男君
   理事 小沢 辰男君 理事 丹羽 雄哉君
   理事 池端 清一君 理事 村山 富市君
   理事 大橋 敏雄君 理事 塩田  晋君
      伊吹 文明君    稲村 利幸君
      古賀  誠君    斉藤滋与史君
      自見庄三郎君    谷垣 禎一君
      友納 武人君    中野 四郎君
      長野 祐也君    西山敬次郎君
      野呂 昭彦君    浜田卓二郎君
      林  大幹君    林  義郎君
      藤本 孝雄君    箕輪  登君
      湯川  宏君    綱岡  雄君
      河野  正君    多賀谷眞稔君
      竹村 泰子君    永井 孝信君
      森井 忠良君    新井 彬之君
      沼川 洋一君    森田 景一君
      森本 晃司君    小渕 正義君
      塚田 延充君    梅田  勝君
      小沢 和秋君    菅  直人君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
        労 働 大 臣 山口 敏夫君
 出席政府委員
        内閣法制局第四
        部長      工藤 敦夫君
        厚生省年金局長 吉原 健二君
        社会保険庁年金
        保険部長    長尾 立子君
        労働省婦人局長 赤松 良子君
        労働省職業安定
        局長      加藤  孝君
 委員外の出席者
        大蔵大臣官房審
        議官      門田  実君
        大蔵省主計局主
        計官      小村  武君
        厚生省年金局年
        金課長     山口 剛彦君
        厚生省年金局数
        理課長     田村 正雄君
        社会労働委員会
        調査室長    石黒 善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
十二月十五日
 辞任          補欠選任
  有馬 元治君      湯川  宏君
同月十八日
 辞任          補欠選任
  中野 四郎君      林  大幹君
  新井 彬之君      橋本 文彦君
  浦井  洋君      梅田  勝君
同日
 辞任          補欠選任
  林  大幹君      中野 四郎君
  梅田  勝君      浦井  洋君
    ―――――――――――――
十二月十八日
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
 する法律の一部を改正する法律案(多賀谷眞稔
 君外四名提出、第百一回国会衆法第四四号)
は委員会の許可を得て撤回された。
同日
 京都府の国立病院・療養所の統廃合反対等に関
 する請願(梅田勝君紹介)(第二二四号)
 被爆者援護法制定に関する請願(岡田春夫君紹
 介)(第二二五号)
 同(小平忠君紹介)(第二八九号)
 民間保育事業振興に関する請願(有島重武君紹
 介)(第二二六号)
 同(上田哲君紹介)(第二二七号)
 同(河上民雄君紹介)(第二二八号)
 同(鯨岡兵輔音紹介)(第二二九号)
 同(兒玉末男君紹介)(第二三〇号)
 同(左近正男君紹介)(第二三一号)
 同(高沢寅男君紹介)(第二三二号)
 同(中井洽君紹介)(第二三三号)
 同(中村正雄君紹介)(第二三四号)
 同(吉原米治君紹介)(第二三五号)
 同(岡崎万寿秀君紹介)(第二八六号)
 同(砂田重民君紹介)(第二八七号)
 同(松野幸泰君紹介)(第二八八号)
 同(伊藤昌弘君紹介)(第三二五号)
 同(北川正恭君紹介)(第三二六号)
 同(田並胤明君紹介)(第三二七号)
 同(野口幸一君紹介)(第三二八号)
 同(武藤山治君紹介)(第三二九号)
 同(森本晃司君紹介)(第三三〇号)
 同(山下元利君紹介)(第三三一号)
 同(山花貞夫君紹介)(第三三二号)
 同(湯川宏君紹介)(第三三三号)
 同(渡辺栄一君紹介)(第三三四号)
 国民医療の充実等に関する請願(梅田勝君紹介
 )(第二七三号)
 同(経塚幸夫君紹介)(第二七四号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第二七五号)
 同(P長亀次郎君紹介)(第二七六号)
 同(津川武一君紹介)(第二七七号)
 同(辻第一君紹介)(第二七八号)
 同(中川利三郎君紹介)(第二七九号)
 同(野間友一君紹介)(第二八〇号)
 国民医療の充実改善に関する請願(中林佳子君
 紹介)(第二八一号)
 公的年金制度の一元化反対等に関する請願(東
 中光雄君紹介)(第二八二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第二八三号)
 同(正森成二君紹介)(第二八四号)
 保育所制度の充実に関する請願(福田一君紹介
 )(第二八五号)
 同(小沢辰男君紹介)(第三二四号)
 児童扶養手当制度改悪反対に関する請願(土井
 たか子君紹介)(第三二三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国民年金法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、第百一回国会閣法第三六号)
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
 する法律の一部を改正する法律案(多賀谷眞稔
 君外四名提出、第百一回国会衆法第四四号)
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
 する法律の一部を改正する法律案(多賀谷眞稔
 君外四名提出、第百一回国会衆法第四四号)の
 撤回許可に関する件
 厚生関係の基本施策に関する件
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関
 する法律の一部を改正する法律案起草の件
     ――――◇―――――
#2
○戸井田委員長 これより会議を開きます。
 第百一回国会、内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案及び第百一回国会、多賀谷眞稔君外四名提出、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森井忠良君。
#3
○森井委員 去る百一国会から本法案の審議は始まったわけでございますけれども、どうも私は、今もって、この法案が成立をいたしますとこれでいいのだろうか、相当な不安を感じておるわけでございます。審議を詰めれば詰めるほどなお問題が多く出てくるという今までの審議経過からいたしますと、そういう感じがしてなりません。
 例えて言いますと、基礎年金であります。我が党は、かねてから御案内いただいておりますように、基本年金構想というのを出しております。財源につきましては、社会保障制度審議会の建議を参考にいたしましてつくったものでありますが、我が党の基本年金、単身者六万円、そして夫婦十万円という形にしてありますが、例えば単身者六万円につきましても、私どものは最低保障年金であります。六万円以下の人はいない、そういう形になっております。それに対しまして、政府案は最高が五万円なんです。最高が五万円でありまして、五万円以下の人がいっぱいあるわけでございます。
 そういう意味で、厚生省は、我が党の基本年金と厚生省案の基礎年金と違いについて今御指摘を申し上げておるわけでありますが、先ほど申し上げましたとおり基礎年金は最低保障年金に値しない、最高が五万円という形である、相当な虫食いがあると思うわけでありまして、本法案が実施に移された場合に、本当に五万円もらえる人は一体何人あるのか、何%ぐらいなのか、見通しについてお伺いをしたいと思うわけであります。
#4
○吉原政府委員 確かに、私どもの改正案では四十年納めた方に月額五万円でございまして、四十年納め得なかった方につきましては、年金額が五万円より少なくなるということは事実でございます。それでは、五万円に満たない、あるいは四十年納められない人がどのぐらいいるかというその辺の推計といいますか見込み、これは率直に言いまして大変難しいことでございまして、私が今、大体何%ぐらい、あるいは何割ぐらいがそういう人になるということは、明確にお答えできないわけでございますけれども、現在の保険料免除の数、あるいはいろいろ御質問もございました保険料を納めておられない方の現時点での割合といいますか数から推計いたしまして、それほど大きな数字にはならないだろう、あるいはそれは楽観的だとおしかりを受けるかもしれませんが、私はそんな感じを持っておるわけでございます。
#5
○森井委員 保険料というのは、確かに全国民強制加入になるわけですけれども、納めなくても罰則がありますか。納めなければ納めないでそのまままかり通るのですね。現に今の国民年金がそうですね。今もってまだ無年金者がおる。ちゃんと申請免除の方もいますけれども、黙って納めないという人がおる。あるいは加入していて、黙って滞納してそのままになっておる人、この数は今吉原局長お答えのとおりでありますが、学生はどうですか。学生も相当数に上る。それから失業者は今何人ありますか。少なくとも百六十万から二百万人ぐらいの失業者が現実にある。これは統計上でも明らかであります。いずれをとってみましても、全部これは脱落の予定者なんです。少なくとも、丸々四十年掛けることができるかどうかということになりますと、やはり難しい方が相当ある。ですから局長、そういう意味ではあなたの御答弁はまことに不謹慎だと私は思うのですよ。全国民に漏れなく基礎年金を導入する、こうなっておるわけでしょう。ですから、そうしますと脱落者が予定できるような法案を出すということは不謹慎じゃないですか。
#6
○吉原政府委員 その脱落するといいますか無年金になる事情といいますか、理由が一体どういうことなのかだろうと思いますけれども、免除を受ける方につきましては、金額はともかく、三分の一の国庫負担分の年金はつくわけでございます。やはり厚生年金のような被用者年金と違いまして、給料から保険料を自動的に天引きといいますか、徴収されるという付組みでないところに国民年金の運営の難しさがあるわけでございまして、やはり私どもの行政努力、それから国民の方のこの制度への参加とか理解ということが私は基本的に一番大事なことだと思いますので、そういった面につきましては最大限の努力をいたしたいと思いますし、例えば海外に行っておられた期間なんかも資格期間の中には算入をするということにいたしておりますので、制度的に脱落が出るあるいは無年金が出るというようなことは、少なくとも今度の改正においてはほとんど皆無にしたというふうに思っているわけでございます。繰り返しになりますけれども、あとはもう私どもの行政努力と国民の方々の自主的な御理解、御協力、御参加というものをお願いしたいと思っているわけでございます。
#7
○森井委員 先ほど学生の話をしましたね。私も制度審の委員ですけれども、最初にこの法案が制度審にかかりましたときに真っ先に発言があったのは、学者先生の委員の御発言でありました。自分のところの研究室にはたくさん無給の大学院生あるいは副手というんですか助手というんですか、要するに給料のもらえない人がおる、しかも年はもう大抵二十七、八になっているというわけであります。短大は別にいたしまして、一般的には四年制大学の大学生というのは全部入れないことになる。いやそれは六十を超してさらに任意加入すればいいじゃないか、そして不足を補えばいいじゃないかという理屈もあるかもしれませんが、二十五を超した大学生というのはどれくらいいると思いますか。これは明らかにしていただきたいと思うのです。相当いるんですよ。明らかに五万円もらえない人がたくさんある。まず、そういった学生等についてお答えをいただきたい。
#8
○吉原政府委員 二十蔵から二十四歳までの学生数は約百五十六万人ということでございますし、二十五歳以上の学生の方は約十万人おられるものと推計をいたしております。
 こういった学生の方の適用問題につきましては、私ども問題意識も持っておりますし、御指摘のような問題、私どもも同様な認識を持っておりますので、この制度実施後におきまして今後の宿題として検討させていただきたい、こう思っておるわけでございます。
#9
○森井委員 今後の宿題と言われますが、これは難しいですよ。なぜならば、アルバイトしておる学生もおるかもしれませんが、基本的には無収入です。そして、今度の改正案のように、無業の妻なら夫が標準報酬の中から払うという方法はありますね。しかし学生の場合は、まさか自分の親の収入から掛けるというわけにはいかないという問題が当然出てまいります。学費で親のすねをかじり、さらに保険料ですねをかじるというのはなかなかできにくい。しかも安い金額じゃないですよね。再来年の四月から六千八百円、やがて一万三千円になるという代物です。学費の上にそれは積めない。私は、今は亡き山口新一郎前年金局長をよく知っております。非常に熱心な方でした。そういう意味で個人的には山口さんの遺志は生かしてあげたい、心からそう願っております。しかし、生かす以上はこれは何としてもいいものを、しかも国民が納得できるものをという気があるわけでございます。この認識には恐らく御異論はなかろうと思うのです。ただ、やってみますと、五万円、五万円とおっしゃるけれども、これは最高であって、もらえない人がこれだけおる。
 片をつけておきたいと思うのでありますが、学生についてはこれから研究するとおっしゃいますけれども、法律はできたらもうひとり歩きをいたしますよ。いつまでに検討なさるのか、これは明確にしていただきたい。
 それから関連をいたしまして、これは我が党の多賀谷委員からも既に指摘があったところでありますけれども、障害年金について明らかになっておりませんが、学生期間中に障害事故に遭う、二十歳未満なら当然のことでありますが、今度は障害基礎年金の対象者になるわけでありますが、同じような形態で保険料を払うことはできないが、しかし学生中に障害者になるということはあり得るわけであります。数字を持っていないでしょう、何人ぐらいおるか。私は障害者の皆さんの団体に聞きましたが、一生懸命調べられたらしいですが、当面五、六千人は学生の中で障害者がおるということが明らかにされております。これの救済をどうするのか。これはすぐできるでしょう、学生の障害者の救済というぐらいのことは。第一、二十歳未満の人が今度は保険料を掛けていなくても障害基礎年金がもらえるわけでありますから、当然それと同じ延長線にある学生についても適用すべきだと思うのです。
 この二点についてお答えをいただきたいと思うのです。
#10
○吉原政府委員 制度を考える場合にどこで線を区切るかというのは大変難しいことでございまして、確かに二十歳前のもこれからはもう障害基礎年金が支給される、その対象になったわけでございますが、学生をその延長線上として当然に同じような扱いにしていいかどうかというのは、学生といいましても、さっきもお話がございましたように三十、四十の学生さんもおられる、こういうことになりますと、なかなか議論としては二十歳前の障害者の方と同じように扱えるかどうかというまた別な議論があるわけでございます。それから同時に、二十歳になりますと任意加入の道も開かれておる、決してそれが十分だとは思いませんけれども、そういった任意加入の道も考えられない二十歳以下の方と同列に考えでいいのかどうか。その辺の議論をもう少しさせていただきたいと思いますし、いろいろな方の御議論も伺いたい。そういったことで、学生の問題につきましては私はこれからの宿題にさせていただきたい。
 いつごろまでに検討するのかというお話でございますけれども、私の心づもりといたしましては、この年金制度についての財政再計算といいますか、大きな改正を五年ごとに行う、こういう建前にこれからもなっておりますので、次の大改正のときまでには結論を出させていただきたい、こう思っております。
#11
○森井委員 まだ障害の問題についてはあるんですよ、例えば保険料を三分の二納めていない人をどうするかという問題等ありますが、これは後で時間があれば御質問することにいたします。
 次に、今私どものところに届いているのは、サラリーマンの奥さん方、いわゆる無業の妻と言われている方々であります。これは今度の改正案では、厚生省は婦人の年金権の確立ということで、中身はそう濃いものじゃありませんけれども、相当宣伝をしていらっしゃるわけでございます。これはいい点もありますよ、確かにいい点もありますが、問題もまたいっぱいあるわけでありまして、何とかやはりお考えをいただきたいと思うわけでございます。一体、本当の意味での婦人の年金権の確立になっているのかどうなのか。これは時間がありませんから、できれば所信のほどを大臣から一言、こういう点がいいから婦人の年金権は確立している、するんだと。無理なら局長で結構です。
#12
○増岡国務大臣 基礎年金を導入することによって、自分自身の年金ができるということで年金権の確立ができたものと思っております。
#13
○戸井田委員長 関連質疑を許します。竹村泰子君。
#14
○竹村委員 婦人の年金権について質問いたします。
 ちょっとショッキングなことを申し上げますけれども、今回の政府案は、前提条件として一人一年金が徹底していないところに大きな問題があると思うわけです。夫婦がセットで一年金であるということです。
 ちょっと申し上げますと、政府案では、正式な結婚をして子供が生まれる、夫婦は離婚しない、妻は外で働かない、これが基礎となっているのではないでしょうか。ところが、現実は反対なんですね。もうよく御存じと思いますけれども、正式に結婚しないで子供を産む方もたくさんおありになる、それから離婚は非常に増大している、女性はどんどん外で仕事を持っている。こういうところで、一人一年金の原則ということは確立されていないのではないか。新しい制度では、個人単位の考え方で貫いて、これまでの厚生年金のような世帯単位の考え方は改めるべきではないかと思いますが、どうですか。
#15
○吉原政府委員 全く、その御指摘のような社会の変化あるいは国民の生活形態といったものが変わりましたがゆえに、今度の年金制度におきましても、御婦人の方一人一人が自分自身の年金をもらえるような形に改めたわけでございます。もう昔のように御婦人の方がサラリーマンの妻としてずっと家庭におられるということは考えられませんし、それから御自身が離婚されるあるいは障害者になられる場合もあるわけでございますから、今までのような世帯単位、いわば夫についたような形の年金ではそういった女の方の老後の生活に非常に心配が多くなってきたということを背景にして、まさしく今度の年金改正案におきましては、御婦人の方一人一人にも年金がどんな場合でももらえるように、できるだけすべての場合にもらえるようにしようということで今度の改正案を考えているわけでございます。
#16
○竹村委員 それは宣伝しておられることですけれども、年金の受給権というのは保険料の支払いによって生じるわけですね。とすれば、無業の妻が保険料を払わないでも六十五歳になれば支給されるこの基礎年金については、給付と拠出の非常な不公平が起きてくる、問題が大き過ぎるのではないかと思われるわけです。無業の妻には年金手帳や番号があっても、実際の資格は被保険者ではなく被扶養者ではないのでしょうか。これは女性の自立の問題からいっても非常に大きな問題であると思うわけです。妻の年金の受給権は夫の保険料に従属しているわけであります。
 それから、夫の保険料率一〇・六%ですね。八五年十月からは一二・四%になりますか。これに含まれる妻の基礎年金分の保険料率は幾らなんでしょうか。
#17
○田村説明員 お答えします。
 一二・四の中で、夫の分、妻の分含めまして基礎年金に当たる部分は三・四%でございます。
#18
○竹村委員 三・四ということですけれども、これははっきりそういうふうに算出できているわけですか。
#19
○田村説明員 拠出する本人の分と被扶養配偶者の分を含めまして、全体をプールいたしましての平均でございます。だから一人一人について三・四ということではなくて、全体をプールいたしまして平均して出しておりますので、必ずしも一対一というわけではございません。
#20
○竹村委員 妻の分は結局はっきり出せないわけですね、プールというお答えでしたから。ですから、それから考えても、妻の保険料という独立したそういう権利というものは全くないと言っても言い過ぎではないと思われますけれども、例えばこういうことが起こり得るわけです。
 夫が失業しますね。保険料が払えなくなる。無業の妻の年金権は、この間、空白となりませんか。このケースを考えただけでも、妻の年金受給権は夫の保険料支払いに従属している、夫が倒れたら、親ガメこけたら子ガメもという感じではないのでしょうか。どうですか。
#21
○吉原政府委員 従来、国民年金に任意加入されていたサラリーマンの奥さんの方は、御自身で月々国民年金の保険料を払っておられたわけですから、これからもそういう仕組みにするのがいいかどうかということをあるいは頭に置いての御質問かもしれませんが、任意加入の場合でしたらともかくといたしまして、サラリーマンの奥さんを全部当然加入といいますか全員強制加入の形でこの基礎年金に入っていただくことにした場合に、果たして今までのような、御自身でずっと保険料を月々払っていただく格好がいいのか、あるいは御主人のサラリーの中から天引きをされる保険料の中で込みで払う格好になっている方がいいのか。考え方としては先生のおっしゃることもわかりますけれども、現実的には、御主人の収入というのは同時に奥さんの寄与分があるわけでございますから、御主人の収入の中から天引きされて保険料を月々払っている形をとった方が、将来の奥さん自身の年金権のいわば確立といいますか、将来しっかりした年金をもらうためにもその方がいいんじゃないか、こういうことで今度の改正案をつくったわけでございます。
#22
○竹村委員 いろいろな事情があって夫と妻が別居をされる、そういうときに無業の妻の年金権は二重になるということが起き得るわけですね。例えば別居をなさる場合にはいろいろな事情があるわけですけれども、そういうケースが今非常に多い。そして、新たにまた違う女性と一緒に生活をともにされるというケースもあるわけですね。内縁という関係、これは法律的には認められておりますね。この場合、二人のうちのどちらに年金権があるのですか。
#23
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 今の先生の御質問は、具体的には、今回の改正案で三号被保険者となりますサラリーマンの妻につきまして事務上とのような認定の方法をとるかということにかかわるのではないかと思います。
 現在御提案いたしております法律におきましては、三号被保険者は「被扶養配偶者」というふうに規定されておるわけでございます。配偶者という点につきましては、現在の法体系もそうでございますが、先生がおっしゃいましたような事実上の配偶者、事実婚を含んで対象といたしておるわけでございます。これに、扶養されておるという状態が加わった形で扶養配偶者ということが今回の三号被保険者の規定でございます。
 配偶者の認定につきましては、今先生御指摘になりましたような法律婚の妻と事実婚の妻がいるようなケース、これは大変認定が難しいのでございますが、原則的には法律婚の妻を優先して考えていくという取り扱いを従来からしてきたところでございます。扶養されているかどうかということにつきましては、現実に同居されておりまして、いろいろな公簿上で、例えば会社における被扶養者として認定されておるとか、税金上の被扶養者になっておるとか、そういうような状態を見まして認定をしていくことになろうかと思います。私どもといたしましては、事実上の配偶者であってもそれは配偶者の範囲として考えていきたいと思っておりますし、現実に即して認定をしていくということになろうかと思います。
 そういう形で三号被保険者として認定をいたしますと、それぞれの奥様に独自の年金手帳を交付いたしまして、このそれぞれの奥様ごとに被保険者としての登録、被保険者としての資格の管理をしていくということになるわけでございます。
#24
○竹村委員 有業、無業を問わず、婦人が年金保険料を免除されますのは、ヨーロッパ諸国でやっているように、例えば育児期間でありますとか老親の介護期間でありまして、あくまでも自立した婦人が自前の保険料を支払って年金権を獲得することを基本とすべきだと私どもは思います。
 それから、有職婦人の場合ですね。きょうは時間がありませんので余り深追いできないのですけれども、有職婦人の場合、四十年間保険料を掛け続けてもらう基礎年金額ですね、これは無業の婦人と同額であるわけです。この不公平感は、保険料相当額を複利で預金した場合の元利合計と六十五歳以降支払われます年金額の合計を比較した場合、一層強まるのではないでしょうか。婦人に限らず、公的な年金の保険料を掛けるよりも、民間の個人年金の方が得だという計算が先に立って、国民の間に公的年金から離れる、そういう傾向が広がっていくのは必至だと思われますが、これについて政府はどう思われますか。
#25
○吉原政府委員 生命保険のような個人年金は長期の貯蓄的性格を持っているわけでございまして、これに対しまして公的年金というのは、よく言われますように世代間の扶養でございますし、同時にやはり年金の実質価値の維持、これが公的年金の使命といいますか本質的な役割でございますので、私はなかなかどちらが得でどちらが損というような比較になじまない性質のものだと思いますけれども、そういった今申し上げましたような私的年金と公的年金の違い、これはやはり国民の方にもよく御理解をしていただきたい、また、そういう努力を行政側としてもしなければいかぬというふうに思っておりますが、働いておられる御婦人の方とそうでないサラリーマンの妻の方、家庭におられる方の基礎年金が同じ、これは先ほどのお語とも関連をいたしますが、自分が毎月保険料を払っている場合と、それから御主人の保険料の中でいわば一括して払っておられる場合と私はやはり区別をしないでよいのじゃないか、区別することの方がなかなかいろいろな面でまた別な議論があるのではないか、私どもはそういう考え方でございます。
#26
○竹村委員 それは御夫婦が円満に一生、いつまでもずっと添い遂げられる場合はそれで大変結構なんですけれども、必ずしもそうとは言い切れない現実が不幸にしてあるわけですね。しかもその数が非常に多い。そういう中で今回の政府案の問題点、余りにも大き過ぎるのではないかと私は申し上げているわけです。
 共働きの奥さんの場合、夫が死亡された場合に、遺族厚生年金か、それから自分の老齢厚生年金か、そのいずれか高い方を選択しなければならないわけですね。男女の賃金の格差が非常に大きい現状から見ますと、結果的に共働きの妻も無業の妻がもらう遺族厚生年金を受け取らなければならない、そちらを選択しなければならないというケースが非常に多い。どうですか、このケースでは自分の掛けた保険料、これは事実上掛け捨てとなりますね。これに対する処置はいかがですか。
#27
○吉原政府委員 夫の死亡という一つの事態といいますか、事故に対して二つの年金が出る場合に、どちらか一つというのは、これはもう年金制度ができてから、何といいますかできるだけダブって支給ということは避ける、その分をできるだけ本当に必要なところへの給付を手厚くする、こういう考え方でできておるわけでございまして、そういった意味におきまして、二つの制度に入って二つの保険料を払っていて、一つの事故で二つの給付が出る場合に調整をされるというのは、これは私どもから言いますとやむを得ない、やはりどうしても御理解をいただかなければならない点だと思うわけでございます。
 その場合にどちらを選択するかというのは、御本人の意思で決めることができる。当然高い方を選択あるいは有利な方を選択されるということになると思いますけれども、そういった意味でそれを掛け捨てたと言われますと、またなかなか、年金というのはできるだけ手厚くすべきところへ手厚い給付をという考え方からいいますと、そういった面での支給の制限、併給の調整というのはやむを得ないし、御理解をいただかなければならないことだと私は思います。
#28
○竹村委員 掛け捨てになるのですよね。掛け捨てになりますので、働く婦人たちは今非常にこのことで激しく運動を広げておられますし、また怒りを持っておられるわけです。
 それからまた、現行の厚生年金で、婦人の老齢年金支給開始年齢を五十五歳から六十歳に引き上げることも検討されているわけですけれども、同じく、働く婦人たちの職場の環境が厳しいだけに、これも大きな問題です。実効ある男女雇用平等法の実現、労働条件のもっと性差別をなくすという充実、それが先決だと思うわけです。
 それから、新制度によって、二十五年間保険料納付という受給資格期間を満たさなければ年金受給権はもらえない。こうした無年金者の大多数は婦人であります。非常に大きな問題があります。
 また、同じく労働の問題では、パートタイマーにおける婦人の雇用保険、御存じのとおりパート労働者の数は非常にふえております。また大多数が婦人であります。こういう中で、社会保険庁から全国の各都道府県の健康保険課長に通達を出されておりますね。どんな通達ですか。
#29
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 いわゆるパートタイマー、短時間就労者の厚生年金保険の適用につきましては、常用労働者、常用的使用関係にあるということを認定した上で適用するべきであるということを指導いたしております。常用的使用関係にあるかということにつきましては、その就労者の労働日数、労働時間、就労形態、職務内容等を総合的に勘案して認定をすることでありますが、一つの目安といたしましては、同じ事業所において同じ種類の業務に従事する通常の就労者の所定労働時間のおおむね四分の三以上であるものについては、これを常用的使用関係にある者として適用するようにという指導をいたしております。
#30
○竹村委員 これはいつ発行されましたのですか。
#31
○長尾政府委員 今申し上げました通知は、昭和五十五年の六月六日でございます。
#32
○竹村委員 五十五年六月、四年前ですけれども、その後の適用状況はどうなっておりますか。うまく徹底しておりますでしょうか。
#33
○長尾政府委員 この後の適用の状況につきましては、パートの就労状態、これは実際問題としていろいろでございますので、私どもとしては正確に把握をいたしておりません。
#34
○竹村委員 パートの就労状況その他、社会保険の適用状況がどういうふうになっているかという調査はしておられないというわけですね。今労働省も要綱を出されたりしまして、パートタイマーに対する雇用状況は非常に厳しいものがあり、またその処遇を十分に対応していただかなければならないという世論もあるわけですが、社会保険の面でもそういう通達を出されたら出されっ放しではなく、きちんと調査をし、そして適用状況をいつもお手元に持てるように、きちんと整備をしていただきたいと思います。
 まだほかにも、婦人の年金権の問題に関しましてはたくさん大きな矛盾点があり、私もいろいろ申し上げたいところがあるわけですけれども、きょうは時間の関係で、関連質問をさせていただきましたので、この政府案の矛盾点をぜひ再考していただきたいと思います。
 私の関連質問を終わらせていただきます。
#35
○戸井田委員長 森井忠良君。
#36
○森井委員 婦人の年金権の問題についてはまだ相当問題がありまして、引き続いてやりたいわけでありますが、実を言いますと大蔵省と約束がございまして、今予算編成作業で忙しいということで、もちろん国会の方が優先すると思うのですけれども、言葉は適当でありませんが、敵に塩を送るという意味で、婦人の年金権、しばらくおきまして、とりあえずほかの問題について御質問をし、その後でまた、婦人の年金権の問題について私からもお聞きをしたいと思っております。
 たしか今月の十二日、社会労働委員会と他の関連委員会との連合審査のときに大蔵大臣がにおわしたわけでありますけれども、例の行革特例法をこの際延長したいという趣旨の発言があったわけでございます。大蔵省、行革特例法は延長するのですか。実は総務庁の行管局に問い合わせてみました。できれば本委員会に来て答弁をしてくださいと言ったわけでありますが、行管としてはまだ態度を決めていない、すぐれて財政上の問題であるというふうな認識を持っておったわけでございます。したがいまして、金の問題ならやはり大蔵省だろう。大臣がそれだけにおわすぐらいですから、恐らくそれなりの根拠があるのだろうと思うわけでございます。この点についてお伺いしたいと思います。
#37
○小村説明員 行革特例法は、先生御案内のように、五十七年から五十九年までの特例期間中における措置でございまして、これは、五十九年赤字公債脱却という一つの目標がございまして、その区切りとして出されたものでございます。
 法案は、御指摘のように、総務庁所管ということになっております。ただ、五十九年赤字公債脱却というのは残念ながら目的を達し得なかったというような事情もございまして、六十年以降どういうふうにするかということにつきましては、こうした財政状況等も勘案して、今予算編成の一環として検討しているところでございますが、まだその方針を申し上げるような段階になっていないということで、今後関係省庁と詰めてまいりたいということでございます。
#38
○森井委員 総理の口からも大蔵大臣の口からも、財政再建時期は昭和五十九年度ではなくて昭和六十五年度だということについてはしばしば触れられておりますし、公知の事実になっているわけですね。この認識には間違いありませんか。
#39
○小村説明員 赤字公債脱却五十九年度ということは、目的を達し得なかった。今、私どもは、一応の目安として六十五年度に赤字公債を脱却したいという方針でおりますので、おっしゃるとおりでございます。
#40
○森井委員 実は、大事な質問だから私は大蔵大臣に御出席をいただきたいという要求をしたわけでございますけれども、国会軽視かどうか知りませんけれども、結果として小村主計官で御勘弁を願いたいということでございました。極めて遺憾であります。小村さんには、百一国会の健保の締めくくりのときもあなたに大変御迷惑をかけて、個人的には大変恐縮をしておるわけでありますけれども、大臣のかわりということでありますから、やむを得ない、やや質問が厳しくなるかと思うのでありますが、お許しをいただきたいと思うのです。
 私は、昭和五十六年と五十八年、二回の臨時国会におきまして行革特別委員会の委員をしてまいりました。五十六年の行革国会のときは、要するに補助金等のカットあるいは四十人学級の推進の凍結、地域かさ上げ特例の凍結など幾つかあったわけでございますけれども、緒論から言いますと、カットの一番大きな目玉というのは厚生年金の国庫負担のカットだったわけです。二千何百億かのうちで千八百億までは厚生年金の国庫負担二〇%を一五%にする、四分の一カットという、そういう大変なものだったわけです。返すのか、返します、利子はつけるのか、つけます、当時は渡辺大蔵大臣でしたけれども、そういう答弁が返ってまいりました。
 続いて今度は、五十八年の行革特別委員会ではやはりこれが問題になりました。財政再建はどうも怪しい、五十九年で赤字国債の脱却は難しいのではないか、そうすると利子だけでも相当なものになる、当初は七千億か八千億でありますけれども、利子を含みますとすぐ一兆円を超してしまう、そういう問題がございました。そのときも、結局大蔵省と厚生省との合意文書ができまして、そして行革特別委員会で明らかにされましたけれども、趣旨は、先ほど申し上げましたとおり、利子もつけて完全に返す、これが第一。二つ目は、昭和五十九年特例期間が終わったら国庫負担は本則に戻す、つまり二〇%に戻す。そういうことでありました。これはもう改めて御指摘は申し上げませんけれども、議事録で明らかであります。
 しかし問題は、そうすると、本則に戻すが、一体貸した金はいつ返すのかということが問題になりました。しかし、返す時期は明らかにならないままで今日に至っているわけであります。これは大変なことなんです。四分の一カットされましたけれども、あるとき払いの催促なし、いつか返すよというわけであります。そうしましたら、先ほども申し上げましたように、五十九年ではなくて六十年。今、来年度の予算編成作業が行われておりますけれども、来年についても同じように国庫負担を四分の一カットしたい、これは金がないのですから。今主計官がそんなことを言いましたけれども、明らかにされておる例えば来年度予算の中におきます要調整額、銭の足りない額は三兆八千億に上る。そして、先ほど申し上げましたように、財政再建目標というのはこれはことしでは終わらない。あと六年たって、六十五年まで延ばさざるを得ない。これが明らかになりました。そうなってまいりますと、これは私は来年が危ないと思うわけです。
 再度大蔵省、それでは来年は国庫負担は厚生年金の場合二〇%で予算をお組みになるのかならないのか。もう既に相当作業が進んでいるはずであります。明らかにしていただきたいと思います。
#41
○小村説明員 先ほど御説明申し上げましたように、六十年度以降の財政状況については大変厳しいものがございます。こういう状況を踏まえて現在予算編成がなされているわけでございますが、その一環として行革特例法の取り扱いについても検討しているということで、その結論を得るにはいましばらく時間をいただきたいと存じます。
#42
○森井委員 さて、それではとりあえず大蔵省の過去の債務、厚生省側からいけば債権を明らかにしておかなければ、これは問題になると思うわけであります。当初の計画は、五十七、五十八、五十九、三年度の特例期間中で運用利息も含めて――これは七・五%の計算にしてありますから金額は若干現在と違ってくるわけでありますけれども、金利情勢の変化でそうなったわけでありますが、五十六年の行革臨時国会のときは、三年間で運用利息も含めて七千四百二十一億九千万円。これはその当時の議事録に載ってございます。その後五十七年と五十八年は経過をいたしました。五十九年についてはまだ推計値になるだろうと思うのでありますが、今私が申し上げました債権のトータルは実際にはどのように動いていますか。厚生省、見通しを明らかにしていただきたいと思います。
#43
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 行革特例法による厚生年金保険の国庫負担の繰り延べ額の状況でございますが、昭和五十七年度の予算千八五三十億、昭和五十八年度二千百七十億、昭和五十九年度二千四百二十億、総計いたしますと六千四百二十億の予算上の繰り延べ額に対しまして、六十年度年央における元利合計、この場合には、先生今利子が変わっているからというお話がございましたが、五十七年度及び五十八年度分につきましては七・三%、これはつまり昭和五十七年二月から五十九年一月までの資金運用部の預託金利でございます。それから昭和五十九年度以降につきましては、同じく預託金利七・一%として試算をいたしますと、元利合計で七千三百六十億になる予定でございます。
#44
○森井委員 常識的に考えまして、大蔵省これはいつ払うのですか。
#45
○小村説明員 行革特例法に基づきます国庫負担減額分については、年金財政の安定を損なわないよう、国の財政事情を勘案しつつ、特例期間経過後速やかに払うということが法律でうたわれております。したがいまして、私どもとしてもできるだけ速やかにその繰り入れの着手に取り組みたいと思っておるわけでございます。
#46
○森井委員 国会では、それぞれの議事経過というのはちゃんと議事録に載っているわけです。その当時、確かに今主計官お答えのように、いつから返すという点についてはついぞ明確にできませんでした。しかし、返し方については、一回払いあるいは三回払い、さらには同じ三回でも傾斜払いなどを示されまして、そういう方法がございます、しかし必ず返しますということでございました。今も返すと言っておるわけでありますが、時間の関係で私の方から明らかにいたしますが、これは三年間で、先ほどお話がありましたように元金を足したものが六千四百二十億円ですね。そして、これを仮に特例期間が終わって一番早く払う場合、来年の年央に払うということになって元利合計をいたしますと七千三百六十億円。ところが驚くなかれ、六十五年まではまだ赤字公債脱却ができないわけでありますから、これを六十六年以降に返す――これはもうまゆつばものです。昭和六十五年に赤字公債脱却ができるかどうかわかりません、今の中曽根内閣では。しかし、仮にできたといたしまして、明くる六十六年の年央に返すといたしますと、もう利子がつきますから合わせて一兆一千百九十億。これは厚生省の計算でありますけれども、もう一兆円を超すわけであります。この数字については間違いないか、厚生省と大蔵省、一言ずつ答えてください。
#47
○長尾政府委員 そのとおりでございます。
#48
○小村説明員 金利の前提を置きましたら、先生おっしゃるとおりの数字になると存じます。
#49
○森井委員 もうそれだけで、積立金は一兆一千百九十億事実上立てかえをしなければならぬという格好になるわけです。
 強調したいのは来年度です。来年度は、厚生年金の国庫負担四分の一カットに見合う金額というのは二千九百億ですね。だから、来年ももう一回国庫負担を四分の一減額する、逆に言えば四分の一、厚生年金特別会計から一般会計に貸すということになりますと、昭和六十五年の赤字公債脱却が予定どおり済んで明くる年の昭和六十六年の年央に返すとして、今度は元利のトータルというのは何と一兆五千五百七十億になるのです。年金の積み立ては四十兆もあるよと言われるかもしれませんけれども、一兆五、六千億、それは六十五年の財政再建が一応予定どおり済んだとして直ちに返す場合の話であります。ものの五年もおくれてごらんなさい、これは二兆数千億になる。大体十年で倍以上になるのですから、一挙に二兆円その他を返してもらわなければならなくなる。今申し上げた数字と、それから厚生省の対応をお伺いしたいと思います。
#50
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 先生御指摘の六十年度に二千九百億の繰り延べをいたしまして、六十六年度年央における元利合計の金額一兆五千五百七十億ということは、そのとおりでございます。
 私どもといたしましては、行革特例法におきまして、厚生年金保険の財政に支障を来さないようにという趣旨になっておるわけでございますし、また、国の財政状況を勘案してという趣旨でございますので、(「絶対返してもらう」と呼ぶ者あり)そういうふうに考えておるわけでございます。
#51
○森井委員 これは与党の皆さんも聞いてください。返す返すと言われますけれども、これは、ゆうべ私が過去の行きがかり上これを質問しますよと言って、初めて利子の計算をなさった。放置をしたままなのです。本来ならもう来年返してもらうべき状態でしょう。矢のような催促をして当たり前なのです。片方において、今度のこれだけの制度改悪をして、保険料もがくんと上がるという状況なんです。
 積立金については、例えば運用利益そのものも少な過ぎるじゃないか。他の共済でありますとか農林年金や私学共済から比べれば、運用利益は少ないじゃないか。かねがね相当の不満があるときに、私は厚生省の姿勢を問題にしたいと思うのです。聞いたら、三年間で幾らの借金がたまっているのか、利子は幾らかというのをまだ計算をしてない。これは私、大問題だと思うのです。しかも、運用利益については、これでいいとだれも思っていないのです、安い安い金利で貸して。ですから、個人年金の方が有利じゃないかと言われるぐらいひんしゅくを買っているのでしょう。運用利益をもっとふやせとかいろいろ深刻な要求があるときに、利子の計算もしてない。いつ、どういう形で返してもらえるのですかという大蔵との交渉をなさいましたか。これは大臣の所信をお伺いしたいと思います。
#52
○増岡国務大臣 先ほどから御議論のありますような結果でございますので、私どもといたしましては、約束どおりお返しいただきたいというふうに思っておるわけでございます。
#53
○森井委員 それでは、今大臣の明快な御答弁をいただきましたので、事務当局としては今予算編成の真っ最中だけれども、これは大事な問題です。今までどおり四分の一カットされて、これは大臣、私が一番懸念いたしますのは、チャラになるのじゃないかという、これが一番心配なのです。恐らく最低二兆数千億になると思うのですけれども、チャラにするのじゃないか。実は打ち明けた話を申し上げますと、本則に戻すのか、つまり二〇%の国庫負担を一五%にして四分の一カットしたわけでありますけれども、これは財政再建が済んだら本則に戻しますね、つまりもとの二〇%に戻しますねという念を押したのです。それ以降どうしますかというときに、いや、制度を改正してというので、結局今度の改正案になりまして、国庫負担は事実上減るような形になっている。ですから、六十一年度以降は、今審議をしております法案が通りますと新たな本則ができるわけですから、もうそれ以降は本則もくそもない、チャラになるわけです。
 結局、私が当初にらんだとおり、五十六年の行革特別国会の段階で四分の一カットという路線が敷かれて、当面貸した、貸したという形になっていますけれども、やがてこれは国庫負担を四分の一削る意図だなということで、実はしつこく迫ったわけでありますけれども、本則に戻す、戻すということです。しかし結局、今考えてみますと、本案にありますとおり、六十一年度以降は基礎年金の三分の一という形で、事実上のカットになって路線が敷かれてしまいました。この点については、あと時間があれば申し上げますが、ともかく昭和六十年度というのは勝負なのです、そういう意味では。
 そうしますと、今大蔵省も予算の編成作業をしておりますけれども、予算の要求とは別に、これは厚生省として絶対に譲ってはならぬ点だと思う。本則に戻して二〇%、金額にして見込みは二千九百億、必ず戻してもらえますか。事務当局は折衝を始めますか。あるいは大臣も大臣折衝をなさいますか。申し上げるまでもありませんけれども、もう既に、厚生省は地方における国庫負担を大筋一割カットするのでしょう。一割カットした上に、今度は自分自身の厚生年金の国庫負担もまたぞろ四分の一削られるという形で容認するとすれば、私どもはどうしてもこれは納得できない。折衝し合うのはまず事務当局でしょう。その上で、最後は大臣折衝に至るまで、必ず返してもらうという決意があるのかどうなのか、明らかにしていただきたいと思います。
#54
○吉原政府委員 私どもは、あくまでも特例期間は三年ということでございましたから、来年度から本則に戻していただきたい、こういう気持ちでございます。そういったことで、大蔵省ともいろいろ今までも折衝といいますか、協議をしてきております。ただ、客観的情勢としては、先ほど大蔵省からもお答えがございましたように、赤字公債の脱却ができないというような状況もございますし、来年度の厚生省の予算編成も、今お話しのございましたように、高率補助金のカットの問題もございますので、大変難しい状況にあるということを大変残念に思っているわけでございます。
#55
○森井委員 だめです、そんな答弁じゃ。そんな答弁じゃだめだ。たちまち事務折衝を始めるかと僕は聞いておるのです。願望だけならわかりますよ。最後は大臣折衝までいきますか、これは。
#56
○吉原政府委員 事務的には今までもやってまいりましたし、今後も最後まで、私どもの主張というものは主張として大蔵省にぶつけてまいりたいと思っております。
#57
○森井委員 誤解があってはいけませんから申し上げますが、この会も、あれば資金運用部資金に預託するわけですから、完全にそれと同じ形で戻してくれるのなら、こういう時期ですから、私はわからなくはないと思うのです。ただ、今までの経過を見ますと、どうもチャラにされそうだということが問題なんですよ。そこが一番問題なんだ。だから、その点を考えていただかないといけないと私は思うのです。
 大蔵省、あなたも忙しいでしょうから、大臣にかわって、そして二回の行革特別委員会の経過も踏まえた上で、あなたが言いにくければ私から言いますから、イエスかノーかだけ言ってください。
 第一点は、必ず返す。運用利息もつける。そして年度は、仕方がないです、昭和六十五年。昭和六十五年、それ以上待てませんよ。それまでは資金運用部資金に預託したのと同じ形で扱いますか。
 そして、昭和六十年度はもう借りません。昭和六十年度、来年度は本則に戻します。これは、本則に戻すというのは口が酸っぱくなるほど今まであなたのところの大臣は言っているのだから、本則にも戻します。イエスかノーか。
#58
○小村説明員 五十七年から五十九年まで行いました行革特例法に基づく国庫負担の減額分については、元本及びその運用利子を含めまして必ずお返しをいたしたいということは、従来からもお約束をしているとおりでございます。ただ、いつ、どういう形で繰り戻しをするかという点については、今後の財政状況も勘案しなければならない問題でございますので、現時点で私がここで申し上げるような状況には、今はなっていないということでございます。
 それから来年度の問題につきましては、今予算編成過程で、行革特例法の取り扱いを初め種々の問題について検討しているさなかでございますので、いましばらくお時間をいただきたいということでございます。
#59
○森井委員 もし四分の一カットしたら、私どもとしては徹底的に責任を追及するということだけ明確に申し上げておきたいと思います。御苦労さんでした、時間がありませんから。
 では、次の質問に移らしていただきます。
 先ほど我が党の竹村委員から、婦人の年金権の問題について質問があったわけでありますが、もう一度私から確認をしておきたいのでありますが、内縁の妻についても対象になりますね。
#60
○長尾政府委員 いわゆる三号被保険者の認定に際しまして、配偶者と言われる定義につきましては、事実上婚姻関係と同様な事情にある者も含めて取り扱います。(「どうやって証明するんだ」と呼ぶ者あり)
#61
○森井委員 問題は、今、後ろから声がありましたように、どういう証明をするのですか。管理も大変ですよ。これは制度としては、夫の保険料から夫名義と妻名義の、現在のところ約五千五百円相当分を国民年金の基礎年金勘定に入れるのですね。事実婚の場合は名字が変わっていますよ。それは、名字は変わるけれども、ちゃんと把握ができますか。これは、入籍しなければ氏はそれぞれ違いますね。
#62
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 三号被保険者の具体的な適用方法でございますが、具体的な事務処理につきましては、法案成立後私どもにおいて検討を進めさせていただくわけでございますけれども、具体的には 現実に任意加入をしておられますサラリーマンの奥様がおられるわけでございますが、こういう方々から届けを出していただきまして、自分は三号被保険者該当であるということを証明するものを添付していただくというような方向ではないかと考えておるわけでございます。
 先生お話しになりましたように、いわば夫側の方から妻を探すということではございませんで、個々の奥様の方から届けをしていただくという形をとりまして、三号被保険者として認定ができない方にっきましては、一号被保険者ということで保険料を納付していただくというような形になろうかと思っております。
#63
○森井委員 しかし、これは大変なことですね。僕も、今明らかになってびっくりしたのですけれども、そうすると、サラリーマンの奥さんは自動的じゃなくて、本人からの申請に基づいて三号被保険者として認定する、こういうことですね。これは事務的に大変なことですよ。出さなかったらどうするのですか。そうすると強制加入だから、今度は国民年金そのもの、一号被保険者として強制加入になる。届けなかったらそういう場合があるわけですね。そのときは市役所とか区役所とかから納付通知書が行くのでしょうか。あなたは届け出がないから一号被保険者でございます、こういうような形になるのですか。
#64
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 現行の制度におきましても、国民年金の被保険者につきましては御本人の届け出という形で適用させていただいておるということでございます。厚生年金の場合は、事業主の方に、個々の被用者につきまして被保険者の資格取得、喪失ということの手続をしていただいておる、こういうことでございます。国民年金は事業主にかわる方がございませんので、御本人に被保険者の資格取得、喪失ということについては届けを出していただくという形になっておるわけでございます。
 今回の改正法によりましても、本来被保険者につきましては、厚生省令の定めるところによりまして、その資格の取得及び喪失並びに種別の変更、これは今お話しになっております一号、三号等の種別の変更でございますが、こういったものを市町村長に届け出るという形になっておるわけでございまして、そういう形での事務処理をさせていただくということになるかと思います。
#65
○森井委員 年金局長、それでいいのですか。そうしますと、これは全国数千万のサラリーマンの妻が全部そういう手続をとるわけですか。では、ほっておいたらどうなります。先ほど言いましたように、あなたは一号被保険者だから国民年金を支払いなさい、そういう納付通知書が行くのですか、あるいは放置ですか。
#66
○長尾政府委員 現在の法律体系もそうでございますし、改正後の法律体系もそうでございますが、我が国は二十から六十歳までの年齢の方につきましては、学生さん等の例外はございますが、すべて国民年金その他の被用者年金に加入していただくということが仕組みでございます。したがいまして、三号被保険者と認定できない方につきましては、一号被保険者としての保険料の納付を私どもからお願いをするということになるわけでございます。
#67
○森井委員 質問ですからそれ以上言いませんけれども、それは事務的には大変なことになる。大体各事業所ではそれぞれ源泉徴収等を行っているわけですね。本人がたれ、そして扶養家族はだれ、その中の妻はだれというのが明確になっているわけです。僕は割とちゃっかりしているものですから、そういった方については自動的に行くんじゃないかと思っておりましたけれども、これはゆゆしいことでありまして、そうすると、ほっておいて一号被保険者にされて納付通知書が来る。納付通知書が来るとか来ないとかという返事がありませんけれども、多分来るんだろうと思う。それとも、納付通知書も来なければ、これはそのまま無年金者ですかね。これは事務的には、あるいは法制的には相当な欠陥があると思う。いいです、これは答弁は要りません。大変な問題だから、お困りになるのはあなた方ですけれども、国民も困りますね。しかも、先ほど言いましたように、保険料というのは払わなくても罰則がないのですよ、自分が年金をもらえないだけで。そういう性質のものでしょう。
 だから、政府の基礎年金というのは問題がある。我々のは税方式ですから。しかも所得型の付加価値税というのは、間接税じゃなくて直接税なんです。そして、これは物価にもはね返らないといういろいろのいい点もある。数々のメリットがありますが、これは、私どもが勝手に主張しているんじゃないのですね。既に昭和五十二年に社会保障制度審議会で建議があって、これからは、四十年も何十年も掛けなければ少なくとも基本に関する部分の年金がもらえないというのはおかしい、だから税方式にしようじゃないか、こういう形で建議がされているわけでありますが、あなた方はそれは無視をしてこられたわけです、名前だけは似たようなものをとっておられますけれども。しかし、そう考えていきますと、話を戻しますが、今言いましたように、三号被保険者か一号被保険者かで相当違いがありますね。
 もう一度聞きますが、事務的にはいいのですか。
#68
○長尾政府委員 今回の改正案の具体的な実施につきましては、現行の仕組み、つまり国民年金は市町村を通じました事務処理をやっておる、厚生年金は事業主、社会保険事務所を経由した事務処理をやっておる、こうした現行の仕組みを大幅に変更しないようにということを考えたわけでございます。
 今御質問になっておられます被用者の妻の方は、現在は任意加入の奥様として大体七百万ぐらいの方を、市村町が第一線の窓口として、これらの方々の被保険者資格の取得、変更等の事務を処理しておりますので、今までの事務を継続するという形で市町村長に事務をさせるというような形になっておるわけでございます。
 先生が先ほど来御質問ございますように、第三号として認定し得なかった方につきましては第一号被保険者としての認定になりますので、この方につきましては市町村から保険料の納付をお願いするという形になっておりますし、またその場合、先生がおっしゃいましたように、免除に相当される場合にはもちろん免除をいたしていくわけでございますが、滞納される場合につきましては、確かにその期間が年金権の上では空白の期間になっていくということは御指摘のとおりと思います。
#69
○森井委員 時間がありませんから、もうこれ以上私は聞きませんけれども、この問題については相当問題がある。
 じゃ、管理はどうなるのでしょうか。例えば内縁の妻は対象になるわけでしょう。三号被保険者になり得ますよね。その場合にどういう証明が要るのか。離婚した場合も、離婚しましたと−−離婚というのは届け出によって発生いたしますから、市役所とか区役所とかで把握できる。そこから今度はそれぞれの年金勘定に対して通知があるのですか。それは十分自治省側とも連絡をとってあるのですか。そうしないと、次から次に落ちてしまいますよ。先ほど言いましたように、仮に内縁の妻で三号被保険者として認められて、夫の保険料から夫名義と妻名義の拠出金が国民年金の基礎年金勘定に入るといたします。これは当然固有名詞がついて入るのでしょうね。だから、そういうふうなことを考えますと、あなた、もうちょっと親切に答弁してください。
#70
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 この仕組みは、いわば被保険者サイドで把握いたしました方と、先生御指摘の保険料の納付とがストレートに結びついておらないという形になっておるわけでございます。ですから、それぞれの被保険者の方から被保険者としての届け出がありまして、市町村でその方を三号被保険者として認定していく場合には、その方から出ましたいろいろな証拠書類、例えば今先生事実婚という話がございましたが、事実婚にっきましても、例えば住民票上相当長い期間同居しておられるという事実がある、それから、だんな様の会社において被扶養者として認定しておる事実がある等のことを見まして、具体的には例えば山田さんなら山田さんという方について認定をいたしますと、その方に三号被保険者としての資格を認めまして、その方の資格の記録というものを市町村のいわば国民年金サイドで登録をいたします。しかし、この山田さんにつきまして具体的にその御主人の厚生年金の方から山田さんの分という形で保険料が納付されるということではありませんで、総体としての三号被保険者の数を考えまして被用者年金、つまり厚生年金からでございますが、基礎年金勘定に繰り入れるという形をとるわけでございます。
 ですから、個々の被保険者の方からしますと、それぞれの方がどういう方とある時点結婚しておられようと、また離婚しておられようと、その方の独自の資格は継続して記録されてまいりますが、そのそれぞれのときに応じまして、その方が一号である期間は御自分が、また三号である期間は、御自分は納付せずに厚生年金から、いわばプールされた形で保険料が納付されていく、こういう形になるわけでございます。
#71
○森井委員 もう時間がありませんから、この問題はこれくらいにしますけれども、ちょっとだけ強調しておきますと、これは夫婦であって四十年間、離婚もなければ夫の失業もない、逆に妻が自営業者等に就職をして変わる場合もありますけれども、いずれにしても四十年間平穏無事に連れ添っている人については確かに計画どおりいくかもしれませんが、それ以外は総背番号制にでもしない限り−−総背番号制も、こんなことをしてはいけません。まだ保護法制がないのですから大変ですけれども、大変な問題があるということを指摘しておきます。十分御考慮いただきたいと思うのです。
 残念ながら、次の質問に移らしていただきたいと思います。
 続いて、時間の関係で二つさしていただきますが、一つは厚生年金の独自給付です。六十歳から独自給付がありますね、特別支給という名称になっています。厚生年金の被保険者については、本則は六十五だけれども、附則で六十歳から特別支給を認める、こうなっています。これは調べてみますと、昭和三十六年以前、つまり風年法が整備される以前の国庫負担については二〇%払う、それ以外は全部保険で見ろ、国庫負担なしだ、こういう形でありますが、極めてけしからぬ。それは事実かどうかということと、これから国庫負担について考慮する意思があるのかないのかお伺いしたい。それが一つ。
 二つ目は、サラリーマンの妻等の任意加入の扱いであります。産業構造の変化、就業構造の変化等もございまして、国民年金の対象者がどんどん減るということもあって、政府、厚生省はどちらかというと、むしろ任意加入を進めた嫌いがある。そうして今度は、サラリーマンの妻の場合は全部強制加入にして、一号じゃなくて三号の被保険者にする、こういう形になっています。そうしますと、次の二つくらい問題点が出てまいります。
 一つは、確かに三号被保険者になって、今までの任意加入の期間は通算をするわけでありますけれども、今までは言うなれば一号被保険者として納めてきたわけでありまして、現在の金額に直しますと六千二百二十円相当分を納めてきたことになるわけであります。しかし今度は、三号被保険者になりますと五千五百円で済むわけです。その部分を具体的に言いますと、これは例えば死亡一時金でありますとかあるいは寡婦年金でありますとか、そういったものに足される金額であったはずであります。これはどうなるのか。せっかく任意加入をして積み立てておきながら、まさにひったくりなんです。期間計算だけはするけれども、そういった余分に納めた分については一私に言わせれば、期間計算に何らかの特例を設けて、その分だけは足してあげるべきだ、そういう気がいたしますが、その点はいかがか。
 それからもう一つは、いわゆる付加保険料、月に四百円取っておりますが、これは単価にいたしまして千六百八十円にさらにもう二百円足して、そして加入期間に乗じて年金が出るわけでありますけれども、付加保険料を予定どおり納めますと一割以上の、僕が計算したのは約一二%であります、千六百八十円と二百円と比較してみますと一二%くらいに相当するわけでありますが、たくさん年金がもらえると思って付加保険料を掛けた。しかし、これはスライドがないという話であります。まさにけしからぬ話でありまして、将来にわたっては、例えば国民年金の保険料は、今は一万三千円とはじいておりますけれども、三万九千円くらいになる、五万円の基礎年金が十五万円ぐらいになるという状況が当然出てくるわけでありますが、そういうときに付加保険料だけは依然として二百円の計算しかしないで、大変な問題だと思うわけであります。
 この二点について明快なお答えをいただきたい。時間があればこれを一つ一つやりたかったわけですが、とりあえず問題点を指摘をしておきます。
 それからさらに、最後でありますけれども、第三種被保険者について、今回の改正で現行の期間算定について三分の四の措置が廃止されましたね。そして現実に、五十五歳以上の者は、一時退職して給付を受けなければ年金額は下がることになるわけで、五十五歳退職を奨励する結果になる、これは大変なことであります。職場に大混乱が起こることが予想されるわけでありますが、長く加入すれば給付が下がることだけは絶対に避けなければならぬと思うわけでございます。この点についても明快な見解を伺いたいと思うわけであります。
#72
○吉原政府委員 たくさんの質問でございますので、お答えが意が尽くせないかもしれませんが、最初の、六十歳から六十五歳の老齢厚生年金は、いわば厚生年金からの独自の給付として支給をする、こういうことにいたしましたので、国庫負担は各制度共通して基礎年金の部分に集中的に国庫負担を導入する、こういった関係から、原則として各制度のいわば独自給付には国庫負担はつけない、全部本人なり事業主の保険料で賄う、こういったことから、六十歳から六十五歳の老齢厚生年金には国庫負担がつかないということにしたわけでございます。
 それから二番目の御質問で、今まで国民年金に任意加入していた人についての扱いでございますが、これはもう御指摘にもございましたように、今までの権利は権利として、基礎年金に金額の面でもあるいは資格期間の面でも継承される、こういうことになるわけでございます。ただ、今度は基礎年金の導入によって、六千円余りの保険料のうち五千五百円が基礎年金の分ではないかということでございますが、これは今度こういう措置をとったことによって、いわば六千円でなしに、五千五百円で基礎年金の支給は賄える。はっきり言いますと、基礎年金を各制度共通で持つことによってそういった保険料の計算になったわけでございまして、国民年金の側にとりましては、いわば負担が基礎年金については軽くなったということなのでございまして、その分を特に給付の面でまた特別な配慮をしろ、あるいはそれが損にならないようにしろとおっしゃいますと、これまた新しい制度の発足にとって、逆に障害になる点、不合理な点が出てまいりますので、それはひとつそういうことで御理解をいただきたいと思うのです。
 それから付加年金、付加保険料の点でございますけれども、この付加年金というのは、もともと出発のときに大変議論がございまして、果たして任意加入でもってこんな年金を発足さしていいかどうかという議論もあったわけですけれども、とにかく高い保険料を払って高い年金をという御希望があることは、今でもございますけれども、当時もあったわけでございますので、一応任意加入としてこういった制度を設けた。ところが、やはりこういった任意加入の制度でございますと、スライドというのは実質的にできないわけでございます。入るのも自由、脱退するのも自由ということでスライドをするということにいたしますと、スライドというのは後代の被保険者の負担によって財源を賄っているわけですから、後代の被保険者が一体入ってくれるかどうかわからないようなものをスライドするということができないわけでございます。初めから、いわばスライドをしないという前提でこの制度を設けたわけでございます。
 しかし、いろいろ御議論がございますので、これからはこの付加年金制度というものは、一応少なくとも国民年金の任意加入者、サラリーマンの奥さんの方のような場合については廃止をするということにしたわけでございまして、こういったいわば国民年金の二階建ての給付のあり方につきましては、ひとつこれからの宿題としてさらにまた出直しをしたい、出直しを考えてみたいということで、検討の時間をいただきたいと思います。
 それから最後に、坑内員の方のいわば特例措置でございますけれども、坑内員の方は五十五歳で退職をする、大部分の方が五十五歳で退職をされるからこそ五十五歳という支給開始年齢を残したのでございまして、五十五歳以上残っていると非常に損をするからおかしいではないかと言われましても、そうしますと、その五十五歳という特例措置を残したことが一体問題だったんだろうか、こういう議論が一般の方からまた出てくるわけでございます。ある意味では処理の非常に難しい問題でございまして、五十五というものを残す必要、つまり五十五歳までに大部分の人が退職をするからという御議論で今度の措置を残しているわけでございますので、その点もなかなか、仮に五十五歳以上お勤めになった場合には、またそれだけの有利な措置を残しておくようにという御議論ですと、実際問題として制度の上では非常に難しい問題なんでございます。
#73
○森井委員 今の答弁、納得できない面がいっぱいありますが、残余の質問は後日にいたします。
#74
○戸井田委員長 塚田延充君。
#75
○塚田委員 このたびの改正で、現行制度と比べて格段に条件が悪くなる例がかなり生じております。これでは円滑に新制度に移行させるという原則を裏切っているということになってしまうわけです。
 まず、障害三級の問題でございます。例えば標準報酬月額が十万円の場合、現行制度ならば五万一千円の年金額だったはずですが、これが今度の政府原案によりますと、一万八千百円というように大幅にダウンとなる形になります。この委員会においてもこの問題が何度か取り上げられておりまして、その結果と申しましょうか、現在内々に予定されております修正案では、三万七千五百円という最低保障制度を設けようじゃないかということになりつつあることは、まあまあの改善だと思います。
 しかしながら、我が党としましては、この物価スライド制の年内何が何でも支給というような物理的な状況に追い込まれているために、とりあえず緊急避難的に三万七千五百円でも仕方がないんじゃないか、このように修正に応じようとしているわけでございます。しかしながら、現行水準との間に余りにも大きな落差があることを考えますと、この最低保障額三万七千五百円を例えば五万円に再修正すべきだと強く主張するものでございますが、場合によっては、参議院における審議の段階において、この問題について前向きに御検討される用意があるのかどうか、御見解を賜りたいと思います。
#76
○吉原政府委員 三級障害の方の場合の年金額でございますが、確かに標準報酬が低い方につきましては、現在よりもかなり低い年金額になる、二万円にも満たないような場合が出てくるということを考えまして、いわば三万七千五百円というものは最低保障するということを考えているわけでございますけれども、やはりこの三万七千五百円、これは基礎年金が五万円である、そして二級障害の場合には障害基礎年金五万円が支給される。一級の場合には普通その二割五分増しの年金が出るわけでございまして、三級の場合には、やはりそれとのバランスからいいましてその七五%というのが一つの基準なんでございます。やはり障害の程度によりまして、二級を標準とした場合には、一級は大体四分の一増し、三級の場合には四分の一減というのが、この障害等級に応じたバランスのとれた年金額というふうなことに、従来、年金制度ではなってきておりますので、そういった意味におきましても、五万円の四分の三相当額、これを最低限保障するというのは、私は年金の体系としてはバランスがとれた一つの金額になっているのではないか、こう思うわけでございます。
#77
○塚田委員 次に、女子の支給開始年齢と保険料の問題でございます。
 女子の場合の支給開始年齢が、昭和七十五年までに六十歳になってくるわけでございますが、それには労働環境の整備を徹底して急がなければいけないわけでございます。この問題につきましては、所管としては労働省の方になるわけでございますが、厚生省としても、そのような労働環境が整って初めて女子の支給開始が六十歳ということで整合性を持つわけでございますから、この労働環境の整備ということについては一面の責任もあるはずでございます。そういう意味において、この問題につきまして労働省の方とよく連携をとりまして、そのような労働環境を整備することについてぜひ側面から取り組んでいただきたいということを強調すると同時に、問題はこの保険料でございます。
 この保険料についてやはり修正を求めざるを得ない、このように強調いたします。と申しますのは、女子の場合支給開始年齢が引き上げになる、と同時に保険料も引き上げになるという、いわばダブルパンチを受けることになります。というわけで、何とかこの女子の今置かれておる現状の労働環境であるとかなんとかいうことを配慮いたしまして、緩やかな経過措置が必要だと考えるわけでございます。特に保険料の引き上げにつきましては、五十五年の改正で男女同率にしようというような目的のもとに、年々○・一%ずつ引き上げることになっていたわけでございまして、これを今回の改正で○・二%ずつ上げ幅を大きくした。そんなことなしに、従来どおり、やはり緩やかな意味で○・一%に戻すよう再修正にぜひ応じていただきたい、このようにお願いするわけでございますが、いかがでございましょう。
#78
○吉原政府委員 できるだけ不合理な格差、不公平を是正するというのが今度の年金改革のねらいでございまして、先ほどの坑内員の方についてもそうでございますけれども、男女の不合理な格差についても、できるだけ早くそういったものをなくしていきたい。早くといいましても、やはり今も御指摘ございましたように、急激にやることについてはいろいろ問題もあろうかと思いますので、私どもとしては、支給開始年齢については十五年という長い期間をとって年齢を引き上げるということにしておりますし、保険料率につきましても、従来から女子については差を縮めるような努力をしてまいりましたが、そのテンポを少し速めさしていただくということでございまして、女子の方から見ると今までどおりのテンポでという御議論もわからないではございませんが、やはり制度全体から見ますと、あるいは男子の方の立場から見ますと、もう少し早く縮めてもいいんじゃないか、女性の方の方がはるかに年金の受給期間も長いわけでございますので、そういった面の保険料率の格差、できるだけ早く縮めるべきだ、こういう御議論もあるわけでございまして、私どもとしてはそれほど無理のない取り扱いにさしていただいた、こう思っておるわけでございます。
#79
○塚田委員 ただいま局長の御答弁にございましたように、不合理な格差を改める、これがやっぱり必要でございます。しかしながら、いろいろな事情からどうしても認めざるを得ないというような合理的な格差と申しましょうか、特例と申しましょうか、これを一挙になくしてしまうということは、別な意味において不平等をさらに助長するというような結果になるんじゃないかと私は思うわけでございます。
 それでは、大変問題になっております第三種の特例の廃止の件について議論を進めたいと思います。
 いわゆるこの特例が合理的な理由に基づいてなされたのか、それとも特例を残しておくこと自体が不合理なのかというようなことに連なってくると思うのですが、私は、合理的な意味でもって特例を認めたものはやはりそのまま残す、もしくはそれを改善するとしても、緩やかな改善にしなければいけない、それが本当の意味の平等じゃないかと考えるわけでございます。
 まずお伺いしますが、坑内員及び船員についてこのような特例扱いをせざるを得なかった背景について、どのように考えてこの特例措置が生じてきたのかということをもう一度振り返ってみる必要があると思います。ついでですから、私の方でおさらいしてみたいと思います。
 その理由としては、第一に、やはり作業環境が極めて厳しいということ。第二に、第一線作業に従事しておるその稼働期間というものが短いこと。第三に、死亡率が高い、別な見方をすれば平均余命が短いということ。第四には、ほかの法律との整合性、例えば労働基準法などにおいても、坑内員などについてはそのような特例を認めざるを得ない状況だった。となると、関係法令との関連を考えて、やはり年金制度においてもこのような特例を認める必要が生じたわけでございます。そして第五には、諸外国においてもこのような特例があり、これを参考にせざるを得なかったという事情もあると思われます。
 これら、今私が列挙しました件について、これは二十九年当時制定したわけでございますが、これを大きく否定するような、すなわち改善されたというような事実を厚生省としてはどのように把握しておられるのか。そして、できればそれを統計的な、だれもがわかるようなデータによって、このように改善されたのだからもう必要ないのじゃないかということを示す必要があるのじゃないか、このような気がいたします。
 以上の件について御答弁願います。
#80
○吉原政府委員 現在の坑内員の方についての支給開始年齢と、それから期間計算についての特例措置、設けられた背景につきましては、今おっしゃいましたようないろいろな事情があったかと思いますが、この中で、年金制度との関連におきまして一番大きかった理由というのは、何といいましても稼働期間が短くて年金に結びつかなかった。当時は年金制度の通算というのがございませんで、いわば坑内員の方がもう坑内員でなくなった途端に年金の適用除外になる、あるいは一般の年金制度とは通算がないというようなことがあったわけでございます。それが、いろいろ事情を挙げられましたけれども、年金に結びつかなかったということが一番大きな理由だったのです。
 ところが、昭和三十六年に国民年金ができまして、通算制度もできた。同時に、厚生年金やあらゆる年金との通算がつきまして、稼働期間が仮に短くても、それはすべて年金の期間として生かされる道というものが開かれたわけでございます。国民年金ができたときに通算制度ができた時点においては、こういった期間計算の特例――支給開始年齢は別でございますよ。少なくとも期間計算の特例についてはもう要らないのじゃないかという御議論があったのですが、それからいろいろな事情がございまして、一挙に廃止するのは難しかろうということで二十数年経過をしてきている。
 今の時点になって考えますと、やはりこの特例措置を今後ともずっと残していくかとなりますと、私は、一般の人とのバランスからいって、残すべきであるという議論の理由もなかなか薄くなってきたような気がいたします。それで、支給開始年齢と期間計算の特例を同時に廃止することはいろいろ問題である、じゃ少なくとも年齢については残しておこうじゃないか、期間計算についてはもう残しておく理由はないではないかというのが、関係者の方の御意見も踏まえた審議会の御結論であったわけでございます。
 審議会の答申では、期間計算については一応の経過措置を置いて、それに配慮しながら見直しをすべきであるという御答申をいただきましたので、今回のような措置をとらせていただいたわけでございます。制度ができたときの事情とは非常に大きく変わっている、一般の方との不均衡、不公平、そういった問題、それが理由になって廃止をさせていただいておるということでございます。
#81
○塚田委員 第三種の特例、特に期間計算の特例を設けた大きな理由として、やはり稼働期間が短いということだったようでございます。そして、それが三十年前と比べるとどのように改善されたかということについて、まだ私は今の御説明では納得できないわけでございまして、確かに坑内作業の状況が前と比べると改善されていることは事実でございますけれども、今なお、例えば九州の方でいえば、真冬だって摂氏四十度を超えるような高熱のところでやらなければいけないとか、寒いときには零下二十度ということもあり得る。そして機械化されているとはいったって、扱う機械そのものは大体三十キロ以上の機械を動かさなければいけない、こういうような重労働にタッチしていることは、余り大きな変化がないのではないかと思うのです。
 それでは、統計的に立証してほしいのですけれども、いわゆる坑内員及び船員の方々について、平均余命がこのような形で改善されたというような資料がございますでしょうか、お願いいたします。
#82
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 先生お話しの第三種の老齢年金の受給者、それから船員保険の老齢年金の受給者の死亡失権年齢、つまり亡くなられたということによって失権をされたというのを見ますと、一般男子の老齢受給者が七十二・六歳でございますが、三種の方の場合は七十二・一歳、船員の方は七十一・二歳でございまして、一応ほぼ同じような数字になっておるように思います。
#83
○塚田委員 今度の改正におきまして、予定されている改定日すなわち昭和六十一年四月一日現在、受給要件を満たして、しかも現行法の適用を受ける最後の方々というのは、第一種ならば昭和二年四月一日生まれ、第二種、三種の場合は昭和六年四月一日生まれ以前の方のはずでございます。ところが、第三種の上記適用者が、施行日以後定年延長であるとかもしくは再雇用された場合、新法によりますと、標準報酬月額などによって違いますけれども、月当たり約一万五千円から二万円の引き下げとなってしまうわけでございます。そうなりますと、いわゆる政府の方としては、何とか定年延長をこれからすべきであるということで、労働界に対していろいろと指導しておるわけでございますけれども、逆に、早く会社をやめてしまった方がよろしいというような環境になってしまうわけでございます。これについてどのようにお考えになるのか。先ほどの森井委員との関連もございますけれども、お答えいただけたらと思います。
#84
○吉原政府委員 坑内員の方について支給開始年齢を五十五歳に残すことにしましたのは、先ほどのお話とも関連をいたしますが、稼働期間が短くて、五十五歳前には大部分が退職をされる。そういう実態があるからこそ、年金の支給開始年齢も五十五歳を延ばしてはいけない、残しておけ、こういう御議論があったわけでございます。ところが今のお話ですと、いや、そうではない、五十五歳以上も在職をされるのが多いということになりますと、一体年金制度の上でどういうふうな扱いをするのがよかったのか、果たして支給開始年齢を五十五歳に残しておいたことがよかったのか、私はそういう議論も一方で出てくるような気がいたします。
 年齢に伴う経過措置というのは、特に特定のグループの方について特定の乗率あるいは単価ということはなかなか難しいわけでございまして、一般の人と同様な経過措置のとり方をしているものですから、今おっしゃったような段差が出てくる、早くおやめになった方とこれからおやめになる方との間に段差が出てくるということは確かでございますけれども、それは実はあくまでも支給開始年齢を、一般の人とは違って五十五歳に残したことによる段差でございます。仮にそういった段差を残さないようにしようとすれば、支給開始年齢を残すこと自体にいろいろまた議論が戻ってしまうというようなこともあるわけでございまして、制度の上では非常に対応がしにくいわけでございます。そのこともひとつ御理解いただきたいと思います。
#85
○塚田委員 確かに今度の改正の大きな目的として、不合理な格差を是正して、国民だれから見ても平等であり、また納得いくような制度に直そう、そのような政府原案の趣旨はわかりますが、もう一度私として強調しておきたいことは、不合理な格差は確かに縮めなければいけない、その処置が必要でしょうけれども、合理的な格差というものはやはりそれなりの認め方をすることが、本当の意味の平等につながるのじゃないか。
 そういう意味において、第三種の坑内員及び船員の特に期間計算については、これからの参議院などの審議において、原則は原則でわかりますけれども、もうちょっといわゆる格差是正の仕方を緩やかにするというようなことについて、修正に応じるなど、ぜひ第三種被保険者の立場も、合理的な理由があったわけですから認めていただきたい、そんな方向で御検討いただきたいということをくれぐれも厚生省当局にお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。
#86
○戸井田委員長 小沢和秋君。
#87
○小沢(和)委員 今まで論戦を行ってまいりましたその経過に基づいて、幾つか締めくくり的にお尋ねをしたいと思います。
 一つは物価スライドの問題であります。私たちは、苦しい年金生活を続けている人たちの年金が実質的に目減りをするような事態は許されないということで、四・四%の引き上げを繰り返して主張してまいったわけでありますけれども、残念ながら二%ということになりました。前回も私は、その二・四%の積み残しをどうするのかということをお尋ねしたのですけれども、どうもはかばかしい御返事をいただけなくて、その後の論戦を聞いておっても、結局これは、下手をすれば半永久的にこのままという状態になるのではないかという危惧を禁じ得ないわけであります。そこで、この点についてどうするつもりなのか、もう一遍お尋ねしたいのです。
 それから、こういうような措置が可能になるというのは、結局、五%のスライド条項があって、五%以上の差になったときには義務的にそれをやるというけれども、しかし五%以内であればいいということで、少しずつやって、いつもある程度ずつは目減りをした状態を続けていくことができるようになっておる。ここのところをこういうことがなくなるようにするためには、私どもは自動スライドを取り入れていかなければならぬのじゃないかということを考えますが、二点、まずお尋ねします。
#88
○吉原政府委員 積み残しの二・三%が永久にそのままということはあり得ないのでございまして、物価が累積分、積み残し分を含め、過去の分も含めて五%上がったときは、当然法律上その率でもってスライドをする義務が生ずるわけでございます。ことしの時点におきましては、まだ五%を超えるようなところまでまいりませんので、国家公務員なり恩給に合わせて二%ということになったわけでございますが、将来は必ずやこの積み残し分はきちんとスライドの対象になるという、法律上の仕組みになっているわけでございます。
 第二の御質問でございますが、五%に限らず、物価が何%であろうと当然スライドをすべきである、そういう御議論もわかりますけれども、やはり法律上義務づけられるスライドというのは一応五%、今までもそうでございましたし、これからも、今度の年金改正法におきましても五%ということになっているわけでございます。やはり五%以下のときにはいろんな事情も勘案して対応ができるということにしておいた方が、いろんな意味で、例えば賃金との関係、ベースアップとの関係、そういったこととの関連、対応ということも含めて、政策的な判断ができるという余地を残しておく方がよいのではないかと私は思いますし、いわゆる人事院勧告なんかも、法律上勧告が義務づけられておりますのは、五%以上民間の給与との差が生じた場合ということになっておりますので、現状のような五%で物価スライド、法律上の義務が出るということでよろしいんではないかと思います。
#89
○小沢(和)委員 五%以上ギャップができたときに、それを完全に埋めなければならないという義務が生ずるわけですね。だから、私がさっきからお尋ねをしているのは、その五%にならないのですね。今度のように二%とかそれぐらい措置したら、いつも若干ずつ積み残しの状態をずっと続けることができるような今の法律上の仕組みになっているのじゃないか、そこのところをあなた方が悪用しているのじゃないかということを言っているわけです。その点については、私は、あなた方は決して否定できないということをもう一度申し上げて、時間もありませんので、次の問題をお尋ねしたいと思うのです。
 次は、低年金、無年金の人をどうするかということです。私どもは、今の年金の問題というのを考えてみた場合、一番緊急にやらなければならないことは、二万円台というような方がたくさんおられる。あるいは無年金の方も相当におられる。こういうような状況を改善していく。そういう中で、あなた方が言っておられる全体としての体系とかいろんなものも改めていけばいいというふうに考えているわけですが、今までの議論では、結局今そういう状態にある人については改善の考え方がない。そう言うと、あなた方はスライドを持ち出すかもしれぬけれども、スライドでなくて水準を上げるということについては、結局それは考えていないというふうに受け取りましたけれども、その点どうでしょうか。いわゆる老齢福祉年金などについて、私は特別改善の緊急性があると思っているのですが、いかがですか。
#90
○吉原政府委員 現在の老齢福祉年金の額につきましても、私どもはできるだけ改善をしたいという気持ちは持っているわけでございますが、やはり全額国庫負担の年金でございますので、国の財政とのいろんな関係も深いわけでございます。そういった状況の中で、スライドに限らず、できるだけ水準自体も上げていきたいという気持ちは十分持っております。
#91
○小沢(和)委員 私たちは、あなた方が基礎年金と言われるけれども、これは実際上基礎年金になっておらない、本当の基礎年金と言えるものは、すべての老人に最低これだけは保障するという土台になるものでなければならぬということを言っておるわけです。私たちは、それを保障するためには、国と企業がもっと負担をする以外にないということを主張をしてまいったわけですが、前回、時間が足りないこともありまして、企業のことについて私、余り触れることができなかったのですけれども、私がここに持ってまいりました「先進国の社会保障費の財源に占める社会保険料の割合」というこの資料を見ますと、事業主の負担が、一九六〇年から七七年の間に四二%から二八・八%、約二九%まで一貫してずっと下がっているのですよ。こういうような事業主の負担の傾向にあるということは、あなた方もお認めになりますか。
 それからまた、先進国の社会保険料の負担割合ということで、被保険者と事業主の負担割合というのを計算してみると、いわゆるサミットに参加している七カ国、この中で日本は文字どおり最低なんです。日本は事業主の負担が一・一五倍。それに対して、よく折半だというふうに言われている西ドイツでも一・三九倍、同じく折半だと言われるアメリカでも一・六六倍。ほかの国はもっと高いのですよ。こういうふうに、折半だと言われる国々でも日本がうんと低いのじゃないでしょうか。どうですか、この事実関係。
#92
○吉原政府委員 どういった数字的な根拠といいますか背景での御指摘が、後からもう少し拝見をさしていただきたいと思いますが、私どもの手元の数字で見てみますと、被保険者本人の負担、それから事業主の負担、我が国の場合でもそれほど大きな変化はございませんが、どちらかというと被保険者の負担の方が低下傾向にある、事業主の負担の方が増加傾向にあるという事実がございます。
 それから、諸外国の事業主負担と本人の保険料負担の関係でございますが、これは社会保険というものを税方式でやるか社会保険料方式でやるか、そういったこととの関連も非常に違いますので、一概に外国がどうだからどうだという議論にはなかなかならないのじゃないかと思います。日本の社会保険の場合、西ドイツやなんかに似た形態で発足をしてきておりますので、諸外国の中では西ドイツの社会保険あるいはその費用負担体系と非常に似ているということが言えるかと思います。
#93
○小沢(和)委員 今私が言った数字は、かつてここで多賀谷委員だったと思いますけれども、引用した数字だと思うのですよ。私のメモにはそれが書いてあるのですから。私、それをもう一度確認する意味で、私の方も資料を整理したものをもらって今指摘しているのですよ。あなた、事実としてだんだんふえている傾向にあるなどというようなことを言われるけれども、それはとんでもない間違いですよ。
 それから、私は社会保険料の負担割合は日本が最低だということをここで言ったわけですが、それは事実と違いますか。事実でしょう。だから私は、局長、それを前提にして、これだけ諸外国に比べても負担割合が低いということが国際比較でもはっきりしているとすれば、日本でももっとこれを引き上げるのは当然ではないか、その点についてあなた方どう思うかということを、ここでもう一遍お尋ねしたいわけです。
#94
○吉原政府委員 社会保障や社会保険の負担割合、事業主の部分だけを見てどうこうというのは、私はなかなか比較ができないのだろうと思うのです。やはり主として国、事業主、本人保険料といういわば三者で負担をしている。その負担の仕方の類型がいろいろ国によって違いがあるわけでございまして、どちらかというと日本は、税方式ではございませんで、社会保険方式でやっている国ではございますが、社会保険方式の中に国の負担を多くしている国でございまして、事業主の負担自体だけを見て多いの少ないの、余りそれは比較できない問題じゃないかというふうに思います。
#95
○小沢(和)委員 だから、私はこの前も、国自身も負担を減らしているじゃないかということを言ったのですけれども、今度は企業もこんなに少ないじゃないかということをまた言っているわけです。
 それで、時間もありませんから、もう一つお尋ねしたいのですが、これは前回、我が党の正森議員もここで質問をしたことでもありますけれども、特に、大きな企業は、人に対して今のように保険料を掛けていくというような考え方でいけば、人減らし、合理化がうんと進めば、その企業はかえって負担が軽くなるというような傾向が出る。これについて、そこに着目をして、もっと負担を求めるべきではないかという質問をしたのに対して、これは検討しなきゃならぬというふうに言われたと思うのです。
 ところが、検討しなきゃならぬというのは、私も実は林厚生大臣の時代にも、それから渡部厚生大臣の時代にも、同じように、検討しなければならぬという答弁をいただいたことがある一のですよ。だから、きょうは大詰めの質問、我々は賛成しませんけれども、あなた方そう言うから、もう一遍ここで念を押す意味でお尋ねするけれども、検討するというのは、いつ、どういう形で検討していくのか。私が今申し上げているように、国際的な比較で見ても、日本は非常に企業の負担が軽いのですから、これだけ財源が足りないとあなた方言っているのだったら、早急にそれはやらなければいけないのだと思うのですが、いかがですか。
#96
○吉原政府委員 社会保障というのは、要するに人に対するサービス、人に対する給付でございますから、人を使わないところの事業主や企業の負担が相対的に少ない、人を余計使っているところの事業主や企業の負担が相対的に多くなるというのは、私はこれはある意味では当然ではないかと思うのです。ただ、やはり社会保障といいましても、国が相当負担する面があるわけでございますから、税金として負担するあり方としては、人を多く使っていようと使っていまいと、収益の多いところに税金が余計かかる、そういう形でその税金を社会保障の中につぎ込んでいくというやり方は考える必要があると思います。
 そういった観点から、私は、社会保障における税の負担、あるいは国の負担と言ってもいいのですが、税の負担はどうあるべきか。その場合に、一体どういう税がいいのか、その税は何に着目して取ればいいのかというような観点から、今おっしゃったような議論も、税との関係を十分考えながら、今後検討していくべき問題ではないかというふうに思っているわけです。
#97
○小沢(和)委員 じゃ、もう一点お尋ねして終わりにしたいと思うのですけれども、これも前回正森議員が質問をしまして、ちょっとすれ違いみたいな感じになったというふうに受け取られているのじゃないかと思うのですが、いわゆる国民総生産あるいは国民所得に対する年金の負担の見通し。私は、あのときに、厚生省の方が将来一六%ぐらい、正森議員の方が一〇%ぐらいというふうに言われた、その食い違いの一番の原因というのは、GNPなりあるいは国民所得なりの伸び率をどれぐらいに見込むかということで食い違ってきているのじゃないかというふうに考えるのです。年金の方は五%アップしていくというふうに、あなた方も正森議員も見ているわけでしょう。そうすると、結局のところ、もう一つの方の数字をどう見るか。だから、このGNPなり国民所得なりが年率何%ぐらいで伸びるというふうにそちらはごらんになったわけでしょうか。
#98
○吉原政府委員 まさしく年金の給付の伸び率あるいは標準報酬の伸び率以上に、GNPといいますか国民経済が伸びていけば、それほどその負担は高くならないわけでございますけれども、私どもの考え方は、年金はそれほど伸びない、GNPだけが伸びていくというようなことはないだろう、大体同じ率で並行的に伸びていくだろう。また、そうしなければいけないわけでございます。国民経済が伸びたら、それだけ年金の給付も上げていかなくてはならないわけですから、その率の差をどう見るかということですが、私どもは大体同じようなペースで伸びていくだろう、そういったことで……(小沢(和)委員「だから、端的にどれぐらい伸びているのですかと聞いているのですよ」と呼ぶ)大体五%から七%くらいの伸びを考えているわけでございます。
#99
○小沢(和)委員 これで終わりますが、今あなたが言われたその五%ということになると、年金の方も五%でふえていく――実は前回私が質問して、あなた方は一人当たりの所得が将来もほとんど伸びないというような仮定に基づいてこれを計算しているじゃないかといって追及して、厚生省のパンフレットから、そういうようなあり得ない仮定に基づいた計算はおかしいということで削りましたという、あの話が出たのは、まさにそのパラレルに伸びていくという考え方じゃないのですか。だから、それをまた蒸し返しているような議論だということを私は指摘をして、質問を終わります。
#100
○戸井田委員長 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#101
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。
 これより内閣総理大臣に対する質疑を行います。村山富市君。
#102
○村山(富)委員 時間の制約もありますから、基本的な部分だけに限ってお尋ねを申し上げたいと思います。
 まず第一に、今回政府が提出しました年金法の改正案は、六十一年四月から施行する部分と、五十九年に実施をされる二%のスライド部分と抱き合わせで提出されているわけです。この二%のスライドというのは法案の改正には全然関係がない、それをくっつけて出しておる、こういうところに一つ問題があると私は思う。
 同時に、この改正案は第百一特別国会に提出されたのです。しかも、三月二日に国会に出されているわけです。会期は八月八日まで大変長い会期でありましたから、私どもは、年金は国民生活に重要な関連のある大事な法案だから、ひとつ審議をやろうではないか、こう言って盛んに政府・与党の方に呼びかけましたけれども、当時はもう健保、健保で年金のネの字も言わなかった。それが、健保が上がったら途端に年金、年金と叫び出しまして、特に、いまだかつてない十二月の一日に通常国会が召集されて、冒頭にこの年金が審議をされる、こういう異例な扱いをしているわけです。しかも、冒頭にも申しました二%のスライド制を盾にとって、何とか本体も通してもらいたい、こういう形で、審議途中にして、きょう採決もやりかねないような状況にあるわけです。
 こういう重要法案の扱いについて、総理の考え方を聞きたいと思うのです。
#103
○中曽根内閣総理大臣 まず、年末の御繁忙のときに、特別の御配慮をいただきまして御審議いただいておりますことを心から感謝申し上げる次第でございます。
 それから、この法案の提出でございますが、前国会におきまして健康保険法の改正という大問題を処理する、そういう必要がございまして、党の中におきましてもいろいろ御議論がございましたが、そういう順序を経て行うように国会対策におきまして考えていただいた次第でございます。
 なお、この法案の内容の問題でございますが、スライド制の問題が含まれていることはそのとおりでございます。これは広い意味におきまして年金体系の一環をなすものでございますから、一括して出させていただいた、そういう事情でございます。
#104
○村山(富)委員 これは全く木に竹を接いだような中身のものをくっつけて出して、そして、スライド制を盾にとって本体の方も通してしまおう、こういう魂胆がある。それならば実にけしからぬ話だと私は思いますから、その点は指摘をいたしておきます。
 それから、次にお尋ねしたいと思うのですが、今回の改正は国民皆年金ができてから初めて年金法の大改革をやるわけです。その改革を必要とする背景についていろいろ考えてまいりますと、幾つかあると思うのですが、第一に、第一次オイルショック以降、狂乱物価で物価が高騰した。したがって、その積立金が目減りをして保険財源が崩れていったということが一つあると思うのです。もう一つは、そういう背景の中で縦割りでばらばらになっていますから、それぞれ小さな規模で年金が組み立てられておるというところに、国鉄を初め国民年金ももう行き詰まることが目に見えておる、こういう状況に追い込まれておる。さら。に、急速に老齢化社会がやってくる。こういういろいろな背景があって、将来、年金はどうなるんだろうか、果たして年をとってから年金がもらえるんだろうか、こういう不安を持っている国民がたくさんいる。それだけに年金問題に対する関心が非常に高まっておると私は思うのです。
 したがって、そういう国民の不安にこたえて、将来心配はない、安定的な年金制度の基盤をつくることが今回の大改革のやはり主眼でなきゃならぬというふうに私は思うのです。
 しかし、この改正案の中身をつぶさに見てまいりますと、行革に名をかりて、先般の健康保険の改正と同じように福祉を後退させるのではないか、あるいは財政対策にすぎないのではないか、こういうものが目に見えてならぬわけでありまするけれども、総理の考え方を承りたいと思うのです。
#105
○中曽根内閣総理大臣 この点は、お示しのように、まず何といっても高齢化時代が到来をいたします。目前にこういう大問題を控えておりまして、現在費用を負担して保険金を掛けている若い世代の人たちの時代でも、引き続き長期的、安定的にこの保険制度を維持して、安心して公平なる給付が受けられるようにしてあげるということが非常に重大な要素でございます。それから、おっしゃるように、いろいろな多様的に分立しておる年金制度を統合して合理化しよう、そういう考え方もございます。
 そういうような諸般の考えに立ちまして、去る二月に閣議決定いたしまして、そしてこれらの年金の一元化の方途を決めまして、六十一年の四月から厚生年金あるいは国民年金の一元化、あるいは共済の年金も発足する、そういうような形で進め、七十年を目途にこれらの大きな一元化へ前進していこう、こういう行程管理表も決めまして、今その線に沿って御審議をお願いしておるわけでございます。
#106
○村山(富)委員 抽象的な議論をしても始まらぬと思いますから、私は少し具体的にお尋ねしたいと思うのですけれども、このまま推移したら国民年金はもうやがて行き詰まりますね。と申しますのは、例えば、国民年金に加入をしている人のふえる数よりも年金を受ける人の数の方がふえていく。そのことは、今、国民年金保険料を納めた額よりも、国の負担を除けば支出をする額の方がふえてきておるということが言えるのじゃないですか、どうですか。
#107
○吉原政府委員 そういうような状況にございます。
#108
○村山(富)委員 じゃ、国民年金がそういう状況に追い込まれたその理由にはいろいろあると思うのです。これは時間がありませんから私がちょっと列挙しますと、一つは、やはり十年年金、五年年金等々が設けられまして成熟度が早まった。さらにまた、産業構造、就業構造が変化して、第一次産業に就労する雇用者が激減した。したがって、被用者保険に入る部分はふえたけれども、国民年金に入る層が減ってきた。第一次、第二次オイルショックで物価が高騰して目減りした。さらにまた、年金を受給するのは六十五歳からですけれども、早くもらわぬとという気持ちもあって、六十歳から減額年金をもらう方が非常にふえてきておる。さらに、それに加えてスライド制が採用された。こういういろいろな理由があると思うのです。
 で、任意加入のサラリーマンの奥さんの数が大体七百万人ぐらいある。これは六十一年から大体二十五年になって資格ができるわけですから、六十五歳からもらうとしますと昭和六十六年から年金をもらい出す、こうなりますといよいよ行き詰まる。こういう状況に、今国民年金は置かれているというふうに言わなければならぬと思うのです。
 そこで、こうした国民年金の状況であるだけに、何とか国民年金を安定的にする必要がある。そのために基礎年金を導入して、一番大きな力を持っている、一番積立金も多い、しかも加入者も多い、まだ財源にゆとりのあるこの厚生年金を基礎年金に導入して、国民年金と合体させることによって、国民年金の財政調整を図りながら守っていこう、こういうふうに言われてもやむを得ない節があるんじゃないですか、どうですか。
#109
○吉原政府委員 今、国民年金についてのお話がございましたけれども、多かれ少なかれ、国民年金に限らず共済組合を含めましてどの年金制度も、今後の人口の高齢化、受給者数の増大に伴ってそういう問題が生ずることが予想されるわけでございます。だからこそ、一つ一つの年金制度ではなしに、全国民共通の年金制度の基盤をつくって、公平な給付、公平な負担を今度の改正案でお願いをしておるわけでございます。
#110
○村山(富)委員 今私が申し上げましたように、何とかしなければ国民年金はもう早晩行き詰まるのですよ。これを何とかする一つの方策として、今申しましたように、一番余裕のある、一番力を持っておる厚生年金を基礎年金というものに合体することによって国民年金の財源の安定も図っていこう、こういうねらいがあったことは間違いないですよ。事実なんだから否定し得ませんよ。
 そこで、そういう考え方もあって、すべての年金に共通した土台として基礎年金をつくるというのでしょう。一体そのつくられる基礎年金の性格というのは何ですか。どういう性格ですか。
#111
○吉原政府委員 基礎年金といいますのは、今お話しのございました各制度に共通した給付として基礎年金というものをつくりまして、その給付につきましては、国民一人一人があるいは各制度を通じて公平に費用を負担していく。そのことによって、基礎年金については、国民の老後生活の基礎的部分といいますか基本的部分、そういったものが支えられるようにしていきたい、こういうものでございます。
#112
○村山(富)委員 基礎的な、基本的な部分が支えられるというその中身は一体何ですか。その基礎年金の理念というのは一体どういうふうに位置づけたらいいのですか。なぜかといいますと、これはすべての年金の土台になるのでしょう。言うならば年金の年金ですよ。その土台になるものの理念やら性格が不明確なままつくられていくということは、やはり将来に問題を残すと私は思うのです。そういう意味で、やはり性格をはっきりしてもらいたい。総理大臣、どうですか。
#113
○中曽根内閣総理大臣 一言で言えば、老後生活における基礎的保障、あるいは老後生活のための基礎的支えというふうに解釈していただいていいのではないかと思います。
#114
○村山(富)委員 基礎的保障、基礎的支えというその基礎の中身は何ですか。
#115
○吉原政府委員 衣食住を中心にした老後の生活の基本的部分、基礎的な部分、根幹になる部分のことでございます。
#116
○村山(富)委員 そうしますと、一人五万円でしょう。一人五万円という五万円の額は、今あなたが言う基礎的な部分とか支えとかいう中身を分析しますと何ですか、五万円というのは。どういう積算ですか。
#117
○吉原政府委員 この点につきましては、今までの御審議の中で繰り返し申し上げておりますように、現実の実際のお年寄りの方の月々の生活費が今どのくらいかかっているだろうか、そういった調査をもとにいたしまして、先ほどの繰り返しになりますが、いわば衣食住、それから光熱費等を中心にした基本的な支出がどのくらいかということを参考にいたしまして、この五万円という金額を決めたわけでございます。
#118
○村山(富)委員 そうしますと、その五万円というのは、今の老人世帯の生活費とかそれから生活扶助の額とかそういうものを勘案しながら、基礎的にこの程度の額が支給されればある程度の支えになるという漠然とした意味ですね。そういう意味に解釈していいですね。そうした場合に、最低生活を保障するというナショナルミニマムの考え方と今あなたが御説明になった考え方とどういうふうに違うのですか。どこが違うのですか。
#119
○吉原政府委員 恐らく御質問の趣旨は、生活扶助基準等を御参考にされまして、基礎年金が老後生活の一切を賄うものでなければならない、こういうお考えに立っての御質問かと思いますけれども、私ども必ずしもそういうふうには思いませんで、年金でもって老後生活の一切を賄うものにするというのは、負担との関係におきましてもなかなか困難な問題だろうと思います。そういうことで、一切ではないけれども、普通のお年寄りの方の生活の基本的な部分はこの基礎年金で十分支えられるような年金額にしたい。それはまた、保険料の負担との関係でそういった金額が適当であろうということで、五万円というものにさせていただいたわけでございます。
#120
○村山(富)委員 正確に言えば、衣食住の基礎的な部分、あなたの説明を僕がまとめて言うのです、そういうものだ、こう言うのですね。これはここで論争したって始まりませんから、時間をとるばかりですから後でまた触れます。
 そこで、総理の言葉をかりれば、基礎的な部分、老後生活の支えとなる部分を何とか賄えるようなものにしたい、こういう考えですね。そうすると、最低五万円は必要だということになりますね。ところが、政府はそういう宣伝をしていますよ、一人五万円、夫婦十万円だ。しかしこれは四十年掛けて五万円ですよ。現実に五万円の基礎年金をもらえるのはずうっと先のことですよ。目に見えないはるかかなたですよ。今もらえる人たちは最低一万五千円から二万円、三万円、四万円、こういうものしかもらえないのですよ。これで最低の支えになるのですか。どうですか。
#121
○吉原政府委員 制度的には、四十年保険料を納めた方に五万円というものが支給されるわけでございますが、現実の今の厚生年金の水準は、定額部分、それから報酬比例部分合わせまして、現在、現時点で退職をされる方につきましては、十五万円から十七万円程度の年金が出ることになっているわけでございます。現実に厚生年金の水準はそうなっておりますし、国民年金につきましても、先ほどお話しございましたように、二十五年加入される方につきましては、六十一年で五万円近い年金の資格を受けられるわけでございますから、おっしゃるように五万円の支給というものが決して遠い先ではないというふうに私どもは考えておるわけでございます。
#122
○村山(富)委員 経過措置で当然加入できる期間を想定して、その加入できる期間の中で計算をして、そして満杯している者は五万円出すというものはありますよ。しかし、無業の妻で任意に加入している人あるいは全然入ってなかった人等々は空期間で計算でしょう。ですから、完全にすべての方が基礎年金五万円もらえるというのはいつからですか。
#123
○吉原政府委員 今度の年金改正におきましては、現在の世帯単位の年金から徐々に二十年ほどかけて個人単位の年金、一人五万円の年金が支給されるような仕組みに変えていこうということでございまして、この制度が完全に本来の姿になるのには二十年程度の期間が要ることは確かでございますが、そうかといいまして、二十年たたないと五万円、あるいは先ほど言いましたような十五万、十六万というような年金が出ないということではございませんで、現在の年金の仕組みにおきましても、相当程度の水準が維持をされているわけでございます。将来に向けて給付水準というものを適正なものにしていく、こういう考え方に立っているわけでございまして、繰り返しになりますけれども、決して五万円というものがそう遠い先の話として私ども考えているわけではございません。
#124
○村山(富)委員 これはさっき総理も答弁されましたように、基礎的な部分、老後生活を送る支えに必要な額、こう言われましたね。ところが現実は、五万円の年金をもらえる方は極めて少ない、完全にもらえるというのははるか先である。これはもう間違いないのですからね。私はこの事実をひとつ指摘しておきます。
 もっと具体的な例でお尋ねしたいと思うのです。これは今までの質疑の中でも随分出ましたけれども、これまでの質疑の中で明らかになったことは、国民年金に加入している方の傾向を見ますと、保険料免除者数が五十八年現在で一六・七%、約三百九万人ある。この傾向を見ますと、五十年がわずかに八・〇だったのです。五十八年までの八年間に免除者が倍増しているわけですよ。免除者がこんなにふえた理由は何ですか。
#125
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 免除率の傾向でございますが、今までの三十六年以来の傾向を見ますと、当初は免除率が一〇%を超える時期がございまして、それが制度の発展の過程で昭和四十四年あたりから一〇%を下回るというような状況になりまして、それ以後、ただいま先生御指摘になりました五十年が一番最低の八・〇でございますが、その後上昇傾向になっておるわけでございます。
 この理由といたしましては、一般に、国民年金は、他の被用者年金に加入しておられない無業の方から、所得状況の厳しい方を被保険者としておりますので、一般的な経済事情というようなものを反映いたしておると思いますし、いろいろ御指摘がありました保険料もこの過程で大変上がっておるわけでございますが、そういった要素が総合的にこういった傾向になっているものと考えます。
#126
○村山(富)委員 今説明があったような傾向から類推しますと、これからさらに免除者はふえていく可能性がありますね。と申しますのは、この改正案が六十一年四月から施行されますと、今の保険料六千二百二十円が六千八百円になるのです。毎年三百円ずつ上がっていくのです。一番ピークが一万三千円ですよ。こうして保険料が上がっていく。これは五十九年現在の価格で計算した場合ですから、スライドしていきますからもっと上がっていきますよ。
 同時に、この国民年金に入っている方々の年間所得の額の分類を見ますと、六十万から百万未満の方が一〇・三%、百万から二百万未満が二八・七%、二百万から三百万が二〇・九%ですよ。こういう年間所得で、これは強制加入ですから、夫婦二人おれは二人払わねばいかぬですね。仮に一万三千円になったときに二万六千円払わねばいかぬですよ。こういう傾向から見てまいりますと、私は、免除者は一層激増していくのではないかと思う。
 これは地方の場合は市町村でよくわかりますから、役場の方が丁寧に指導すれば免除の手続をとるかもしれませんよ。大都会ではつかめませんから、もう掛け捨てになってやめてしまう、いわゆる把握し得ない脱落者もふえていくのではないか。
 こうなってまいりますと、免除者がふえる、脱落者がふえる、無年金者がふえる、基礎年金の土台が崩れていくのじゃないですか。その点はどうですか。
#127
○吉原政府委員 現行制度のままにしておきますと、今のピークの一万三千円が実は一万九千円になるわけでございます。そういったことでは、やはり国民の負担の限界といいますか限度を超える。免除者も当然ふえてくることになりましょう。そういったことで、給付の適正化を図り、保険料負担についても、現行制度のままにしておきますと限界を超えるその度合いというものを、適正な負担、国民の方々の負担できる範囲内にとどめたいという気持ちで、実は今度の基礎年金の構想を提案をさせていただいておるわけでございます。
 私は、おっしゃいますように、一万三千円の負担が軽いものとは決して思っておりません。今後とも年金の負担については国民の御理解を得なければ、なかなかこれだけの制度の維持運営というのは難しいと思っておりますけれども、やはり給付との関係で負担というものも考えていくということになりますと、今の制度が給付の面からいっても負担の面からいっても一番適正なものではないかというふうに思っているわけでございます。
#128
○村山(富)委員 一万三千円が高いとか低いとかいう議論の前に、今国民年金に加入しておる人たちの所得の実態を見た場合に、保険料を掛けることに大変無理があるのではないか。そうすると、免除者がふえ、脱落者がふえて無年金者がふえていくのではないか。これが基礎年金の土台を崩す一つの大きな要因になっていくのではないか、こういうことが心配されるから聞いているわけですよ。私はそれは確かにあると思いますよ。このことを一つ今言うておきます。また議論したって始まりませんからね。
 その次にお尋ねしたいと思うのですけれども、今、サラリーマンの奥さんというのは、無業の奥さんが一千万人いる。これは今までは任意の加入ですから、任意で入っておる者もあれば入らぬ者もある。大体一千万人くらいいる。この一千万人の方の保険料というのは、夫の厚生年金の保険料に加えられて払うわけですね。ですから奥さんは払わないわけです。そうしますと、これは、今のような変動の激しい社会の中では極めて雇用は不安定なんですよ。いつ失業するかもしれない、いつ転職が起こるかもしれない。そういう移動の激しい状況の中でどういう管理をしていくのですか。同時に、夫婦というのはいつまでも夫婦で一緒におるわけじゃない。別居する場合もあろうし、戸籍上いろいろ問題があるかもしれませんけれども、離婚する場合もありましょうし、いろいろありますよ。そういういろいろな夫婦関係、雇用も含めての現状に対して、一体この管理はどうしていくのですか。どうつかんでいくのですか。
#129
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 いわゆる三号被保険者の資格の管理の問題でございますが、この点につきましては、ただいまの国民年金の被保険者の方とほぼ同様な手続、処理をいたしたいと思っておるわけでございますが、まず、第三号被保険者の資格の確認でございますけれども、国民年金の現在の被保険者の方と同じように、御本人の届け出を待ちまして、その方が厚生年金の被保険者の配偶者であり、かつ、その被扶養者であるということを確認をいたしまして、三号被保険者としての登録をさせていただきます。この場合、当初確認をいたしまして被保険者原簿に登載をしてまいりますと、その年におきましてはその保険料の納入は必要ないということになります。しかし、その後、先生今お話しがありましたように、御主人の方の就業上の身分、また御主人との関係等に変化があるわけでございまして、その点の後のいわばフォローでございますが、これは私ども具体的に細部を詰めておりませんけれども、例えば、現在は任意加入の被保険者の方に毎年保険料の納入をお願いしておるわけでございますが、そういった形で、毎年御本人にそういった状態に継続しておられるかどうかということを確認する手続をとっていただくこと、または、途中でそういった変化がありましたときに、届け出ということによりまして、その資格状況をフォローさせていただくというようなことを考えておるわけでございます。
 細部につきましては、具体的な実施に当たります地方庁等の意見を聞きまして詰めたいと思っております。
#130
○村山(富)委員 これは大変難しい問題だと思いますよ。だから、問題点として指摘をしておきます。
 それから、今度のこの基礎年金に入る、厚生年金に入っておる方は強制加入ですからね。そうすると、無業の奥さんの場合には、さっき言いましたように、御主人が奥さんの分も一緒に払う、それから単身者の場合も、妻はないのだけれども、やはり自分の掛ける厚生年金の保険料の中に妻の分も含めた形で保険料を取られる、そうなりますね。これはある意味では相互の支え合いですから、そういうものがあってもやむを得ない節があると思うのですよ。しかし、それはやはり限界がありますね。ところが、保険主義というのは納めた方が還元してもらう、年金で給付してもらう、こういう姿のものだと思うのですけれども、これは全く世界に例がないですよ。保険料は本人は全然納めなくて、しかも年金は給付される。それから、奥さんがなくて給付はないのにその分の保険料は納めなければならぬ。そうなるでしょう、実態的には。そういうところにこの制度の中には矛盾があるのですよ。
 それからもう一つ、ついでにお尋ねしておきたいと思うのですが、例えばパートの場合は、今度税法の改正で、九十万円以上の賃金をもらう人は扶養控除からなくなるわけですね。九十万円以下なら税金を納めなくていいけれども、九十万円を超すと税金を納めなければならない。そうしますと、税金の面では扶養控除から除外されるわけですよ。
 一方、今度は労働省の規定から見ますと、パートの場合、一週の労働時間数が当該事業所において同種の業務に従事する通常の労働者の一週の所定労働時間数の四分の三以上であること、この四分の三以上の就労時間があれば雇用労働者と認めるという中身のものだと思うのですが、これは言うならば、社会保険に入りなさい、入れなさいという方ですね。一方、税金の方は扶養控除から排除するというのです。こういう問題の扱い方はどうするのですか。どこで調整をするのですか。
#131
○長尾政府委員 お答え申し上げます。
 第三号被保険者の定義といたしましては、配偶者であるということと、被扶養配偶者というふうになっておりますので、扶養されているかどうかということになるかと思います。今先生お話しの点でございますが、例えば、御本人が収入がありまして被扶養者としての認定がない場合には、三号被保険者としてはこちらは確認できないと思います。
 それから、もう一つの社会保険の適用の面でございます。年金保険に関係して申し上げますと、その方の場合に厚生年金の被保険者としての加入がどうなるかということになるかと思うわけでございますが、これにっきましては、その企業に雇用されておるほかの常用労働者とほぼ変わらないような状況、つまり四分の三以上の就業時間を持っておるというような実情を踏まえまして、私どもとしてはこれを適用するようにという指導をいたしておるわけでございます。
 現実問題といたしましては、今先生御指摘のような事情は、奥様御自身が厚生年金の被保険者として適用される形になるのではないかと思います。
#132
○村山(富)委員 いや、形の上ではそうなるんだけれども、税金の面では税務署、住民税は市町村が認定しますね。常用かどうかという位置づけについては、労働省がこの規定でもって指導するのでしょう。そうすると、社会保険に入るべきかあるいは国民年金に入るべきかという判定や指導はどこがするのですか。
#133
○長尾政府委員 お答え申し上げます。
 年金保険に関しましては、私どもの方で厚生年金の適用を所管いたしておりますので、厚生年金の適用につきましては労働省の御指導とほぼ同じ水準で適用いたしております。したがいまして、今、先生は、税金の場合の扶養の姿と社会保険の適用と食い違うケースがあるのではないかという御指摘かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、国民年金の保険者としての市町村が認定をしますときは被扶養かどうかということを問うて認定いたしますので、社会保険の適用問題は形式的には入ってまいりません。社会保険の適用問題は社会保険事務所が適用させていただきますけれども、実質問題としてはその間に乖離はないものと思っておるわけでございます。
#134
○村山(富)委員 日本の行政というのは、大蔵省、労働省、厚生省全部縦割りですから、今御説明があったように、実際問題として末端ではなかなかうまくいかぬと思うのです。社会保険事務所がするのか、大蔵省がするのか、税務署がするのか、市町村がするのか、これはやはり混乱すると思うのです。そういう意味で私は今までずっと指摘したのです。
 一つは免除者がふえる、それから脱落者がふえて無年金者がふえていく傾向にある。さらに無業の妻、サラリーマンの奥さん、一千万人からいる層の管理は、いろいろ内容を分析してみますと困難性がある。今指摘したような問題がある。パートの問題、これはますますふえていくわけです。こういうことを考えた場合、基礎年金を保険主義でやろうとするところに無理があるのではないか。
 外国の場合などを見ますと、基礎年金にはナショナルミニマムで最低を支えるという理念がありますよ。そして、労働者平均賃金の二五%くらいというめどもあります。ある意味では性格がはっきりしているのですよ。従来の雇用保険だって定額部分はある。この定額部分というのは、ある意味では基礎を支えるという最低保障ですよ。
 今度の基礎年金というのは、今まで議論しましたけれども、理念や性格が全然ないのです。全くあいまいな形でつくられているのですよ。そのときそのときで、どうでも都合のいいように解釈されるのです。しかも、推移する中でもう基盤が崩れていく可能性、要因を持っているのですよ。こういうものであるだけに、今すぐは無理にしても、後で申し上げますけれども、少なくとも現行制度の中で負担をしている程度の国庫負担を減らさずに見ていけば、当面は三分の二くらいは国庫負担で見る、三分の一くらいは保険で見る、そして五年ごとに見直しがあるのですから、その見直しを踏まえながら将来は税方式も検討していく、こうでなければ、国民が安心できる基礎年金の土台というのはできないのではないかと思うのですが、総理、どうですか。
#135
○中曽根内閣総理大臣 我が国の今までの伝統といたしまして社会保険システムをとってまいりまして、給付と負担の公平という観点で今までやってきたわけでございます。そういうようなことで国民に慣熟して、今までの世論調査等を見ましても、社会保険制度、そういう方向の選好性が強いようでございます。そういう観点に立って今度の一元化というものを考えておるので、いろいろ具体的なすり合わせの問題になりますと各省庁間のいろいろな打ち合わせ等が必要であると思いますが、制度の基本としてはこれが適当ではないかと思っております。
#136
○村山(富)委員 アンケートなどはとり方でどうにでもなるわけですからね。これは今までの質疑応答の中でもはっきりしていますけれども、今の制度のまま持続したらやがて行き詰まると思いますよ。当然行き詰まりますよ。
 なぜかといいますと、負担の能力には限界があるから、例えば租税と社会保険の負担は四五%ぐらいを限度にすると出てますね。しかも、給付の水準は六八%くらい、六〇%くらいを維持していく、こう言っているのでしょう。これは当然行き詰まりますよ。そうなった場合に、私はやはり税方式を取り入れざるを得ないということになると思うのです。これは今すぐというのではなくて、十年くらいの経過の中で国民の皆さんにも十分理解をしてもらう。これは国民の最低生活を保障する大事な年金ですから、目的を明確にして国民に訴えていけば、やむを得ないといって理解を求めることができると思いますから、将来は恐らくそうせざるを得ないようになっていく。今ここで、私は、将来は必ずそうなるという見解を申し上げておきます。
 次に、問題を変えます。総理、今度の改正案を見ましても、各年金は縦割りになっておりますね。縦割りになっている年金の土台に基礎年金を据える、そしてその基礎年金の上に厚生年金も共済年金もすべて報酬比例があるわけです。給料をもらっていますから、労使負担で保険料を掛けて、そして報酬比例部分をもらうわけです。その基礎年金と報酬比例部分を合算して、あるいは企業年金がそれにつきますと三階建てをトータルして、その人は年金をもらうのです。国民年金だけは基礎年金だけしかもらえないのですよ。しかも五万円というのは大分先の話なんです。こういう実態を考えた場合に、やはりこの国民年金にも、所得は違うのですからその所得に応じて、所得が把握しにくいとかいろいろな問題はありますよ、ありますけれども、三ランクぐらい設けて、私はこのランクで保険料を納めますといって申告制にして、そして所得比例を取り入れて、余り被用者年金と国民年金と格差のないような年金制度を考えてやる、これは大変要望が強いと思うのですが、どうですか、総理。
#137
○中曽根内閣総理大臣 村山さんがおっしゃるようなアイデアも一つの御見識であると思うのです。ただ、所得の申告あるいは所得の把握という問題が現実の問題として出てきた場合に、果たしてうまくいくであろうかどうか。また、それによりましていろいろな格差が多少出てまいるおそれがあるのではないか。そういう場合に、公平感という面から見てどういう問題が起きるであろうか。そういう点は今後大いに検討を要する問題であろうと思います。
#138
○村山(富)委員 所得の把握が難しい、これは自営業ですからね。しかし、それは本来税金なんというものも申告制が建て前ですよ。私は、国民年金に所得比例部分をつくって、そしてその人の所得において申告をさせて、そしてランクに位置づけて保険料を納めてもらう、これは調査もしやすくなるのじゃないですか。むしろ、今のような税金の掛け方よりも、申告制にしてそういう扱い方をすればだんだん地ならしができて、税金の方も正確に取れるのじゃないかと私は思うくらいですからね。これは大変要望が強いのですよ。総理も御存じでしょう。これは今まで話し合いの中で、与党の皆さんも、それはよく納得できます、だから今後十分検討しましょう、もうこういうことになっているわけです。総理、どうですか。
#139
○中曽根内閣総理大臣 先ほどから申し上げましたように、一つの御見識であると思いますが、しかし、これは実際やるという場合になると、国民の皆さん、特に自営業者の場合には所得に触れるということを非常に嫌うのですね。これはもう税務調査その他におきまして今まで経験しているところなのであります。その辺に関して、これはよほど検討する必要があるのではないか、国民の選好性の問題がかなりあるだろうと思います。
#140
○村山(富)委員 これはもう、総理がそういう答弁をされても、与野党の話し合いの中では、今後の検討課題として検討していきましょうということになっているわけですから、ひとつ十分御検討いただきたいということだけ申し上げておきます。
 それから次に、年金の支給開始年齢並びに在職老齢年金制度について若干お尋ねしたいと思うのですけれども、今度の改正案では、本則では六十五歳、附則で六十歳となっているわけですね。これはいつごろから六十五歳にするというめどですか。
#141
○吉原政府委員 年金の支給開始年齢の問題、将来六十五にするかどうか、これは将来避けて通れない問題だとは思いますが、現時点で、雇用の状況なりあるいは定年制の状況からいいまして、支給開始年齢だけを先にするということは時期尚早であるという考え方から、現状のまま六十歳にしているわけでございます。やはり雇用の状況なり定年制の状況、そういったものの推移を見きわめながら、国民的な合意を得て、支給開始年齢の問題はその時点において改めて検討すべき問題だと思っております。
#142
○村山(富)委員 これは雇用の状況の推移を見ながらと今言われましたね。そうすると、まだ六十五歳をいつからにするかめどがついていない。めどのついていないものを本則に入れて、そして現実にやっているものを附則に入れるというのはどういうわけですか。
#143
○吉原政府委員 この年金改正案におきましては、あくまでも基礎年金というものを年金の基礎、基本というふうに考えているわけでございまして、その基礎年金の支給開始年齢は、もう御案内のとおり各制度を通じて六十五歳ということに統一をしているわけでございます。そういった意味におきまして、この新しい制度におきましては、基礎年金を中心に、核に据えて、六十五歳という支給開始年齢を決めておりますが、それぞれ厚生年金なり共済の年金制度につきましては独自の給付として考えていく。それは厚生年金について申し上げますと現行の六十歳にとどめおくということでございます。
#144
○村山(富)委員 時間がだんだんなくなるものですから急ぎますけれども、これは厚生年金に入っている方は大変不安に思っていますよ。現実に今六十歳定年というのは五割ぐらいにいっていますか、これは労働大臣が来ていますから後で聞きますけれどもね。そうしますと、まだ五十五歳で定年になるところもありますよ。五十六歳でなるところもありますよ。五十七歳でなるところもありますよ。そういう場合に、今度の改正案では本則に六十五歳になると入っている。いつからなるのだろうか、その間の生活はどうするかと大変不安に思っておりますよ。そういう不安を与えるということを考えた場合に、当面は六十歳でいくのですと本則にちゃんと据えて、雇用の状況を見ながらやがては六十五歳にするかもしれませんというような意味のものであれば、それは安心するかもしれませんよ。それは私はやはり実際問題としておかしいと思うのですよ。
 私は、ここで労働大臣にちょっとお尋ねしますけれども、定年と年金の支給開始年齢というのはどういう関係にあるのが一番いいと思いますか。現状、定年制というのはどうなると思いますか。どうなっておりますか。
#145
○山口国務大臣 人生五十年があっという間に六十年、七十年、八十年の時代でございますから、当然、高齢化社会における雇用の問題、定年制の延長の問題は時代的必然でございまして、我々も六十歳定年に対しまして行政挙げて取り組んでおるわけでございますけれども、昨日も雇用審議会を再開いたしまして、六十歳の定年延長の法制化問題も含めまして審議をお願いをしておる、そして六十五歳定年への布石を早々に進めていきたい、こういうことでございますから、当然、年金と雇用の連携の中に高齢化社会における国民の皆さん方の安心と社会的貢献をひとつお願いしたいと考えております。
#146
○村山(富)委員 やはり、自民党の大臣と新自由クラブの大臣とは幾らか違うのだね。
 そこで、なおお尋ねをしたいと思うのですけれども、在職老齢年金制度というものがありますね。これは総理、よく聞いてもらいたいと思うのですけれども、今の在職老齢年金制度というのは、六十歳から六十五歳までの間、在職をして給与所得のある人の年金は減額するわけであります。四万五千円から九万二千円までが八割、九万八千円から十二万六千円までが五割、十三万四千円から十五万円までが二割の年金をもらうわけであります。いいですか。そうしますと、例えばこの六十歳から六十五歳までの方がどこかに就職をする、こうした場合に、仮に年金が十万円ついておる、その場合に、給与が九万円の場合は年金は八割ですから八万円もらうのです。そうすると、合計すると十七万円になるのです。ところが、給与を十万円もらう、こうした場合には、年金は五割ですから五万円になるのですよ。トータルは十五万円になるのです。そうしますと、九万円で就職するか十万円の給与をもらうかということによって、トータルがうんと違うのですよ。こんなばかな話はないでしょう。そうしますと、年金で賃金が操作されますよ。あなたは在職老齢年金で年金が五割しかもらえなくなるから給与は九万円で我慢しなさいよ、そうするとトータルは同じじゃないか。こうなると年金で給与が操作されるのですよ。こういうあり方について、これは労働大臣と厚生大臣に聞きますけれども、どう思いますか。――ちょっと大臣に聞いておる、二人の大臣、労働大臣と厚生大臣。
#147
○吉原政府委員 今の在職老齢年金の仕組み、実は御指摘のような不合理がある、おかしな点がある点につきましては、私どももそういうふうに思っておりますが、現実にそれをどういうふうに直していったらいいかについては、実は審議会等でも御議論をいただいたわけですけれども、なかなかいい結論というものが得られなかったわけでございます。
 それで、この問題についてはさらに時間をかけて今後検討しようじゃないかということになって、実は今度の改正案におきましては、従来どおり、ただ、今おっしゃいました二割、五割、八割の支給の金額のラインは少し改善、アップをいたしますけれども、基本的な仕組み、考え方は現行どおりとしているわけでございますが、その点につきましては、今後の年金制度の一つのあり方としてよく研究をさせていただきたいと思います。今のままでいくのがいいとは必ずしも思っておりません。
#148
○山口国務大臣 村山先生の御指摘のような問題、当然懸念されるわけでございますが、そういう高齢者の雇用者の方々の給与と年金の問題等につきましても、今厚生省からもお答えございましたけれども、国民年金の今審議をいただいているわけでございますが、厚生省と労働省で、高齢者における年金と雇用、給与の問題も含めまして両省会議で協議していこう、こういうことで両省間においてその設置を決めて討議していこう、こういうことを今進めておるところでございます。
#149
○村山(富)委員 これはちょっと総理にお尋ねしたいと思うのですけれども、今言ったような矛盾があるのですよ。今度共済組合法が改正されれば、共済組合法はこういう仕組みが取り入れられるのかどうか知りませんけれども、共済にはこういう制度はないのですよ。大変な官民格差だと指摘されている一つのものなんです。
 そこで、私どもは、やはり今の雇用の実態からするならば、年金の支給開始年齢は六十歳が当然だと思いますよ。六十歳を守るべきだ。仮に六十歳から六十五歳に将来なるにしても、雇用は定年制があるいは遭いついていけないかもしれない。その場合に、六十歳から六十五歳までの方々にどう就労してもらうか、働いてもらうか。これはある意味からしますと、お年寄りというのは、金をもらうだけでなくて、やはり自分の経験を社会のために生かしたい、まだ働けるのだから働きたい、これが生きがいの一つでもあるわけです。そうしますと、お年寄りが自分の能力を生かして社会のために役立ちたいという気持ちが生かされるような、そういう雇用政策というものを十分考えていく必要がある。しかし、一人前の労働者として働くにはもう体力がついていけない、こういう事例が多いと思います。
 そういう場合に、スウェーデンなんかでは、俗に言われる部分労働、例えば一日に五時間働きます、一日に四時間働きます、そして働いた分の賃金をもらって、その賃金に部分年金で年金額を追加される、こういう仕組みというものを考えていけば、合理的に解消できる道も開けていくのではないか。これがまた、老後対策としては、一つの年金と雇用と組み合わせた総合的な対策としていいのではないかというふうにも考えるのですけれども、こうした問題についてもやはり検討する必要があるのではないかと思うのですが、総理、どうですか。
#150
○中曽根内閣総理大臣 今の退職時とそれから年金支給時との格差という問題は、非常に大事な問題であると私も心得ております。これらの問題につきましては、関係各省庁におきまして引き続いて合理的な解決が行われるように督励してまいりたいと思っております。
#151
○村山(富)委員 だんだん時間がなくなりますから、もう飛ばして、最後に積立金の運用について若干お尋ねしたいと思うのです。
 今、厚生年金の積立金は、五十八年度末で四十四兆円、五十九年になりますと大体四十八兆円になるというふうに聞いているわけです。今の厚生年金の積立金というのは資金運用部に入っておりまして、七・一%ぐらいの利回りで運用されているわけです。これはもうずっと以前から指摘をされておりますように、被保険者が介入する余地は全然ないのです。意見が反映されるという余地は全然ないのです。一方的に資金運用部に入れられて運用されているわけです。わずかに原則三分の一ぐらいは福祉関係に還元融資をするということが決められているだけであって、この資金運用について何らの発言権もないのです。共済は自主運用ですから自主的に運用しています。もっといい利子で運用すればこれは大変な財源の違いがある。こういう問題について、これは以前から共済並みに厚生年金の積立金も自主運用ができるように、さもなければこの審議会に被保険者の代表も参加できるような、意見が反映できるようなそういう運営にしてもらいたい、こういう要望が大変強いのです。これは一%利子が違ったって四千四百億ぐらい違うのですから、これは大変な違いですよ。私は、そういう運用を、今後は当然掛けた被保険者のためにも考えるべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
#152
○中曽根内閣総理大臣 国民年金あるいは厚生年金というようなものは、ある程度、国の信用とか国の制度とか国の政策とか、そういうものが背景でこれが実行されております。国民の皆さんも国を信用しておやりいただいているのではないかとも思います。そういう意味におきまして、これが処理につきましても、国の一般方針というものと関係なしに処理されるということは必ずしも適当でない、やはり国の一般政策あるいは金融関係との調整、こういうものをよく考えて行われることが望ましい、そのように考えております。
#153
○村山(富)委員 これは、積立金の性格から考えてみて、労使が負担しているのでしょう。給付するときに国がわずかに三分の一の負担金を出すだけですよ。この積立金というものは全部労使が負担した金ですよ、国の金ではないのですよ、厳密に言えば。その積立金の運用について、保険料を納めた被保険者が発言権も全然ない、意見も言えない、そういう運用はどう考えてもおかしいのじゃないですか。この運用については被保険者の意見が十分反映できるような仕組みにする必要がある。
 重ねてお尋ねしますが、これはどうですか。
#154
○中曽根内閣総理大臣 ただいま申し上げたとおりでございます。今まで財投等におきまして非常にお世話になっておりまして、私は感謝しておるところでございます。しかし、今おっしゃいましたような筋も多少考えるべき点もあると思います。しかし、やはり国全体として考えてみまして、国の一般政策にこれを活用させていただくということが筋ではないかと思っております。
#155
○村山(富)委員 これは各委員会、審議会等の答申も指摘をされていることですから、大臣よく調べて、そしてやはり答申も尊重して、少なくとも、被保険者の掛けた金ですから、被保険者の意向なり意見が十分反映できるような仕組みに考えていくのは当然だと思いますから、なお検討をお願いしておきます。
 それから、今の問題と関連をして、これはきょうの午前中の質疑の中でも行われたのですけれども、行革特例法で五十七年、五十八年、五十九年と国の負担をカットしているわけです。これは三カ年間の特例法ですから、特例法は期限が切れるわけです。そうしますと、当然本則に返らなければならぬ。利子をつけて返すという約束になっているわけです。六十年度予算編成の前ですけれども、この扱いはどうするつもりですか。
#156
○中曽根内閣総理大臣 この問題は、前内閣のときにおきまして、五十九年度赤字公債依存体質から脱却する、そういう目標を立てまして、五十九年という年次が区切られたものと記憶しております。今その年次が参りまして、六十年度予算編成中でございますが、この予算編成の過程におきましていろいろ考えながら処理してまいりたいと思っております。もうしばらくの時間でございますが、よく検討してまいりたいと思っておる次第であります。
#157
○村山(富)委員 これは大変大事な問題ですからね。さっきから議論している、厚生省は、今度の改正案を国民にPRするのにも、老齢化社会がやってくる、財源はだんだんなくなっていく、保険料をうんと上げなければならぬ、だから保険料はこの程度に抑えて、給付をこの程度に抑えないと財源がもちませんよ、こう言ってPRしているわけです。そういう状況にあるときに、この国の負担をカットした分はだれが負担しているのですか。保険料で賄われるのです。保険料で立てかえるのですよ。しかも、金額を調べてみますと、六十一年ごろには元利合計一兆一千億円です。六十六年度になりますと一兆五千億円になりますよ。莫大な金です。これを掛けた保険料で立てかえているのです。保険料は倍も上げて、給付は三割も下げて、国民に我慢しなさいよとPRしているのじゃないですか。そして国の負担は平然として立てかえて、まだ払えませんから、いつ払えるかわかりません、こんなことでは責任がないじゃないですか。私は、六十年度予算編成の中では約束どおりにちゃんと厚生保険特別会計に返してもらいたい。この点はどうですか。
#158
○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたような事情で五十九年という区切りがついたわけでございますが、六十年度の予算編成の過程におきまして処理してまいりたい、先ほど申し上げましたとおりでございます。
#159
○村山(富)委員 時間が参りましたから、最後に総括して、一言お尋ねしたいと思うのですけれども、たしか中曽根総理が行管庁長官だったときだと思うのですが、年金の一元化という問題が以前から話題になっておるわけです。例えば厚生年金は厚生省、国民年金は厚生省、地方公務員は自治省、国家公務員は大蔵省、ばらばらになっているのです。このばらばらの行政を行政的に一元化を進める必要がある、そうでないと年金制度の一元化も難しい、こういういろいろな意見もあって担当大臣が厚生大臣と決められたのです。けれども、これは今までの議論の中でも、やはりそれぞれの縄張りは縄張りでちゃんと守っていますから、担当大臣がなかなか踏み込んでいけないのです。だから、担当大臣で行政を一元化するというのは名目だけであって中身は何も伴っておらない、こういう現状にある。しかも、閣議決定では七十年をめどに年金制度の一元化を進めていいこう。これはできますか。だれが責任を持って統括してやるのですか。どうなっています。
#160
○増岡国務大臣 厚生大臣が年金担当でございまして、内閣審議室長がそのもとでいろいろこれからの作業を進めてまいるわけでございますけれども、これまでのところ、いろいろ話し合いました結果、先生御心配のようなそごを来すことはないと思っております。
#161
○村山(富)委員 あなたが、ないと責任を持って言い切ってやれるならいいですよ。しかし、この年金法の審議をする過程の中で連合審査もやりました。その連合審査の中で、共済は共済、それぞれ孤塁を守った形で踏み込めないじゃないですか。厚生大臣が担当大臣ですから、総理大臣の前で、私は責任を持てませんという答弁はできないと思いますよ。だからそう言ったのだろうと思いますけれども、実態としてはなかなかしにくい、やりにくい、そういう部面がたくさんある。まだまだ縦割りの縄張りというものがあって、それぞれ沿革もありますからなかなか難しい問題だと思うのです。難しい問題であるだけに、やはり行政はちゃんと責任の所在を明確にして行政の一元化を図って、そして年金全体の統合化を進めていく、こういうものにする必要があると私は思いますから、最後に、総理大臣の見解を聞いて終わりたいと思います。
#162
○中曽根内閣総理大臣 年金の一元化の問題につきましては、厚生大臣を年金担当大臣に任命いたしまして、かなりよくやって成績を上げてきておると思っております。国鉄や電電公社の年金の問題、協力一元化の問題も、あるいは今法案を提出いたしまして御審議願っておりまする国民年金あるいは厚生年金の問題も、あるいはいずれ国家公務員等の共済年金の問題等も、芸も二月の閣議決定の線に沿いまして、着々と予定どおり、スケジュールどおり進行させていただいておるわけでございまして、このペースでいけば七十年度を目途にする大きな一元化も必ずしも不可能ではない、各省よく協調してやっておると思って、当分この体制でやっていきたいと思っております。
#163
○村山(富)委員 今までの質疑の中でも大分問題点が指摘をされたと思うのです。そういう問題点を考えた場合に、本当に関心を持っている国民の皆さんが安心できるような結論を出していくためには、なお慎重な審議が必要であるということを申し上げて、質問を終わります。
#164
○戸井田委員長 大橋敏雄君。
#165
○大橋委員 総理を迎えての委員会の質疑は余りございませんので、私はできるだけ総理大臣とお一話をしたいと思います。
 適切な評価というものは正しい認識からとよく言われます。例えば、中曽根代議士は現在日本の総理大臣である、これは正しい認識です。戸井田代議士は現在衆議院の社会労働委員長である、これは正しい認識です。しかし適当であるかどうかということが評価になるわけであります。今論議されております年金というのは一体何だ、あるいは基礎年金というのは一体何だ、この正しい認識に立たなければその適切な評価も出てこないというものであります。
 したがいまして、私は、私自身が、今言った年金あるいは基礎年金というものに対して、このような認識に立っておりますということを簡単にまとめて述べますので、もし私の考えに大きな誤りがあれば遠慮なく指摘をしていただきたいし、また訂正もお願いしたいと思うのです。しかし、大筋においてまあまあ間違いはないとお考えになれば、二言で結構です、同意です、こういうふうにおっしゃっていただければいいと思います。と申しますのは、年金制度に対する基本的な認識が、総理大臣と私の間で大きく食い違っていれば論議にならないからでございます。
 そこで、一般論として申し上げますと、例えばサラリーマンの場合は定年退職というものがございます。自営業者、農業者の方々は、定年というものはございませんけれども、やがて体がきかなくなって十分な労働ができなくなる時期が必ずやってくる、すなわち老齢となる危険があるということです。あるいはまた、年若くして障害者となって、志に反し職業生活から離脱していかねばならないという問題、つまり障害者となる危険があるわけです。さてこれからが働き盛りだというときに、不幸にして亡くなる、後には妻や子供が残される、こういう事例がたくさんあります。死亡するという危険があるわけです。私たちだれもが、今申し上げましたような、老齢の危険、障害の危険、死亡する危険、こういう三つの危険を背負って生きているわけでございます。しかも、これらの危険に遭遇した場合は、本人やその家族にとっては安定的な収入が途絶えてしまうということを意味するものと思うのです。
 このように、だれもが同じ危険性を持っているのであれば、個々別々にこうした危険に備えるのではなくて、社会全体として備えて、事故に遭ったものをカバーしていく仕組みがつくられないものか、これが私は年金制度の生み出された基本的な動機ではないかと認識しているのです。この問題が一つです。
 もう一つは、老後におきまして、一定の年齢に達したら、すべての国民に等しく健康で文化的な最低限度の生活が営める年金が支給される、こういうのが公的年金制度であり、これが基礎年金なのだ。国民が希望している年金制度というものはいわゆる最低生活保障という年金である、私はこのように思うのです。
 今回政府が考えております基礎年金も、なるほど最低生活保障であるなど考えられるのは、例えば障害福祉年金、母子福祉年金の方々ですらもフル年金をもらえるようになっております。
 こういうことで、基礎年金の性格、そして年金とはこうだといった今までの私の認識についていかが総理大臣はお考えになっておりますか、お答え願いたいと思います。
#166
○中曽根内閣総理大臣 認識におきましておおむね同感でございます。
 ただ、最低生活という面につきましては、先ほど申し上げましたように基礎的な支え、基礎的な保障である、そういうふうに申し上げました。この点はいわゆる生活保護費とは性格を異にしている、そのように認識しております。
#167
○大橋委員 今総理のおっしゃることも私、よく理解できます。しかし、基礎年金が最低生活保障という趣旨を踏まえるならば、本来その財源というものは、つまり目的税等の税方式に求めるのが一番好ましい。総理の諮問機関であります社会保障制度審議会の御意見も同じような趣旨を述べられていましたね。また我々公明党も、昭和五十一年、社会福祉トータルプランを発表いたしました際には、税方式をとってまいりました。それを主張してまいりました。しかし、国民の世論が特に増税反対、こういう声が強い、しかも年金については既になじんでまいりました社会保険方式を望む者が八十数%に達したという事実がございました。そういうことで、今回政府案は社会保険方式を取り入れられたものと考えるわけでございますが、この点についての総理のお考えを聞かせていただきます。
#168
○中曽根内閣総理大臣 その点は、社会保険方式を私は是とするものであります。やはり社会保障税あるいは年金税というような税という名前がつくやり方はまだ国民にはなじまない、そう思っております。
#169
○大橋委員 そこで、私は、先ほど申しましたように、最低生活を保障するという趣旨を踏まえれば税方式が正しいのだ。あなたの諮問機関の社会保障制度審議会がそう言ったのですよ。ですから、それを尊重しなければならない立場にある総理ですから、本来ならば税なのだけれども、社会保険方式をとらざるを得ない社会の実態がある、そういうところからくれば、税方式とそして社会保険方式の折衷案というものを編み出さざるを得ないという結論になるのではないかと私は思うのです。
 そこで公明党は、基礎年金本来の基本理念に裏づけばこうあらねばならぬということを考えました。
 その一つは、全国民を対象とした共通の制度を確立することである、それからその制度が公正に運営されることが重要課題である、社会保障というものは公正でなければなりませんからね。ということは、無年金をなくすこと、それから脱落者の防止のための十分な配慮による措置が講じられねばならない、このような観点に立って制度の創設に取り組むべきだと私は考えたのでありますが、先ほども申し上げました一番目の全国民を対象にするということは、実施の方針、計画がもう明示されまして、先ほどもお答えになったとおりです。昭和七十年までには大体それが実施できる方向に行くだろう。だから、そういう計画の進行について私も大いに協力したいと思っておりますが、問題は二つ目です。
 制度の公正な運営の面に疑問が非常に多いのです。とにかく、こんな高い保険料は払えないだろうと思われるような保険料を設定して、保険料を納めない者には年金は上げませんよ、これは不公正な制度だと私は思うのです。
 そこで公明党は、今回の年金審議の過程におきまして問題点を数多く指摘をしてまいりまして、十六項目にわたる修正要求を政府・自民党に行ったわけでございますが、その協議、交渉の結果、現時点におきまして、十六項目のうち、五項目については法案修正という形で受け入れてもらうことになりました。あとの八項目については、趣旨を踏まえて附帯決議等で処理をしていこうということで話がまとまりました。あと二項目は質疑の中でぜひ確認をしていただきたい、こういうことで、これは、ではそうしましょう、後でこれは質問いたしますということになりました。あと一項目は妥協して終わったわけでございます。
 そこで、その附帯決議の中に、我々が一番最も柱としておりました給付水準、基礎年金の五万円はちょっと低いのじゃないですか、五万五千円までいったらどうですかというその問題と、それをカバーしていく国庫負担の、徐々にではございますが、十五年間で引き上げていこうという案が盛り込まれてしまったわけでございまして、そういう意味から、我々はどうしても原案に対しては賛成できない、こういうことでございます。
 そこで、先ほど申しました確認の質問でございますが、国民年金の障害の程度による等級は政令によらずして現行どおり法律の別表によるものとせよ、我々はこう主張したのです。従来、障害者の等級というものは法律の別表で示されているのです。それは支給要件ですから当然だと思います。それを今回政令にゆだねられているということ、それから厚生年金における障害等級は一級、二級、三級とございますから、これは一級、二級を国民年金の等級に合わせるべきですよ、このように修正要求をしたわけであります。というのは、国年の一級、二級と厚年の一級、二級、三級にはかなりのずれがあるということでございます。そういうことで、私は、この等級というものは障害年金の重要な支給要件だから、安易に変更しては大変だ、それは政令ではいかぬ、こう言ったわけでございますが、いかがでございますか。
#170
○吉原政府委員 障害等級表につきましては、現在の厚生年金と国民年金の等級というものを整合性のあるものに一元化していきたい、これを新制度の実施までに専門家の御意見も聞いて合理的な等級表をつくりたいということで、一つは政令で決めさせていただくことにしているわけでございます。
 それからもう一つは、やはり医学医術の進歩でありますとかあるいはリハビリテーション技術の進歩に応じた障害等級の認定というものを弾力的にといいますか、非常にそういった技術の変化に対応した障害等級の定め方というものを考えた場合に、法律よりも政令で定めた方が好ましいという判断もあったわけでございますが、決して私ども、安易に障害等級を運用するあるいは動かす、変えるというようなことは考えておりませんで、御指摘のようなことも十分踏まえまして、当面は政令で決めさせていただきますけれども、運用面では十分注意をしてまいりたいと思っております。
#171
○大橋委員 では、直接の所管の大臣の考えはどうですか。
#172
○増岡国務大臣 ただいま局長からお話を申し上げましたとおり、これからいろいろ医療技術の変化、進歩があろうと思われますので、先生御指摘の点は念頭に置きながらも、当面は政令でやらしていただきたいと思います。
#173
○大橋委員 要するに、当面は政令でいくけれども、障害等級がきれいに整理ができた段階においてはまだ法律の別表等に置きかえる。私は、ぜひそうしてもらいたいということを強く要望して、時間の関係がありますので次に移ります。
 先ほど申しましたように、基礎年金というのは最低生活保障という趣旨を踏まえるならば、これは断じて無年金者を出してはならないということになるわけでございまして、今回の改正において無年金者対策はどうなっているかというと、これがまた問題でございます。
 その一つは、従来国民年金の強制被保険者でありながら保険料を滞納してきた人たちがかなりいるわけでございますが、これらの人々に対する救済措置が何ら講じられていないということであります。今回は従来にない大改正でございます。ですから、今回限りという条件つきで結構ですから、何らかの姿でこの無年金になる見通しになっている人を救済していく措置をとらねばならないのではないかと、強くこれも要求しました。
 また、定額保険料、六十一年度から六千八百円、将来一万三千円、これが高過ぎまして、保険料が支払えなくなってくる者が続出することが容易に判断されるわけですね。今話があっておりましたように、このままの保険料ではこの基礎年金は崩壊しますよ。既にイギリスで定額保険料の高いものを取って失敗した実例がありますね。そういうことを踏まえてまいりますと、私はどうしても、無年金者をなくすという趣旨の上から立ちましても、この二つの問題は何らかの措置をとらねばならぬと思うのでございますが、いかがですか。
#174
○吉原政府委員 制度的な無年金者が出ないような措置につきましては、今度の年金改正案におきましても、例えば海外に行っておられた期間は資格期間の中に算入するなど、十分配慮しているわけでございます。ただ、過去、国民年金が発足いたしまして二十数年たっているわけでございますが、その期間まで全部資格期間の中に押し込めるということはなかなか難しいわけでございます。
#175
○大橋委員 総理にお尋ねします。今私が言わんとするのは、過去にも滞納者を救済する特別措置が二回、三回ととられてきました。それでもお金が払えないで、いまだに無年金になっている方がいるわけですね。今回の大改正ということにちなんで、特別の配慮として、やはり空期間といいますか、年金額は別ですけれども、資格として認めてやる方法を何らか考えるべきじゃないかということです。これは総理のお考えを聞けばいいのです。
#176
○中曽根内閣総理大臣 無年金者をなくそうという温かい思いやりについては私も敬意を表する次第でございますが、やはり制度を長期的に安定的に運用していく、また負担をしている人たちとの公平性というものを考えますと、そう安易にも処理できない問題であります。運用上、いろいろ注意してやっていくようにいたしたいと思います。
#177
○大橋委員 時間の関係がありますのでこの辺にしておきますが、これは重大なところでございますから、ぜひとも特段の配慮をお願いしたいところでございます。
 そこで、後段の部分ですけれども、六千八百円から一万三千円になるととても払い切れなくなりますよということについて、我々公明党はこういう考え方をしました。
 基礎年金を賄う保険料というものは、一つは、均等割保険料と所得割保険料の合計額によって、すべての被保険者から徴収する。二つ目、均等割保険料は少なくとも政府案月額六千八百円の二分の一以下に抑制する。気持ちは三分の一ぐらいが妥当ではないかということでございます。三つ、所得割保険料には最高限度額を設けるとともに、サラリーマンの負担する所得割保険料の半額は使用者負担とすること。四つ目に、均等割保険料は原則としてすべての被保険者が負担することとし、負担にたえ得ない低所得者には負担免除等を講ずること。こういう四点を実は修正要求したのです。
 政府は、この問題については非常に考えられた模様でございまして、やや抽象的ながらも、今後総合的に検討を加え、必要な措置を講ずる旨の法律上の修正をいたします、こういうことで私はまあまあ納得しました。それは遠い将来にやるのではなくて、近い将来に必ず行き詰まる現象が起こる、必ずそれは取り上げてほしい、それは法律でうたわれたことによりまして担保されたものと私は考えております。
 定額保険料というものはとにかく貧富の差がございませんですね。貧富の差を問わないわけです。一定の保険料であり、所得の再配分にもなっておりませんし、むしろ逆累進性がありますから、保険料の負担は低所得者層に非常に苦しい思いをさせております。全く不公正である。この点について政府も法律にうたうほどの反応を示しておりますので、これも、総理大臣のお気持ちもこの際に聞かせておいていただきたいと思います。
#178
○中曽根内閣総理大臣 非常にきめの細かい御配慮をしていただいている点で、一つの御見識であると私も思います。
 ただ、先ほど来申し上げます上うに、所得割というような発想が入ってきます場合に、一体所得の把握という面がどういうふうな反応を呼ぶであろうか、正確にできるかどうか、あるいはそれに対象となる人たちがそれを喜ぶであろうかとか、そういう問題についてはよく検討してみる必要があると思っている次第であります。
#179
○大橋委員 現在トーゴーサンという事実、不公正税制があるわけです。しかし、その中から所得税も取られているし、そしてまた社会保険料も徴収されているわけですから、その気になれば実行できると思うのです。今基礎年金が崩壊するかしないかの境ですから、これは重大な問題ですから、強くそこの問題を指摘しておきます。
 それから給付水準と基礎年金額についてでございますが、先ほど申しました我が党の修正の柱のところでございます。政府案は、勤労者の平均賃金の六九%というところに設定しまして、逆算的に基礎年金を一人五万円ということにしたわけです。また、昭和五十四年の総理府の六十五歳以上の老人全国消費実態調査に基づけば、それを現在に置きかえれば五万円になるんだ。それはなぜかならば、四万七千六百一円である。六十五歳以上の消費実態から見ると四万七千六百一円だ、だから五万円ということで基礎年金額を設定した、こういう答弁があっておりましたが、この実態調査によると、衣食住、光熱費、これはたしか四万七千六百一円でございました。しかし、これに保健医療あるいは交通費、文書通信費というものを加えますと、どうしても五万五千円ちょっと上に上がるのですよ。私は、これが老人の六十五歳以上の方々の実態なんだということを、総理府が調査して出てきた内客ですから、少なくとも五万五千円に引き上げたらどうだ、こう主張したわけです。しかし、その財源をどうするんだということになるわけでございますので、現在の国庫負担が、基礎年金に対しては、現在夫婦で十万円、それに対して三分の一でございますから三三・三%です。これを六十一年四月から一挙に上げるというのは無理でしょうから、徐々に十五年かけて四割まで、四〇%まで持っていけばこの支給は可能です。しかも、四〇%に引き上げても現行の年金に対する国庫補助率、国庫補助額よりもぐっと下です。私は、これはぜひ実施してもらいたいということで強く強く修正要求したのですけれども、ここはどうも骨格部分で譲れないということで、附帯決議になってしまっております。これはやはり問題だと思います。ですから、この点について総理大臣はどう思われるか。もうぎりぎりの線だと思うのですよ、五万五千円は。どうでしょうか。
#180
○吉原政府委員 基礎年金の水準の考え方につきましては先ほどから申し上げているとおりでございますが、やはり負担との関係、それから現実にそれだけの国庫負担が可能かどうか、そういうことも考えなければなりませんので、将来の問題としてはともかく、現時点においては政府案の考え方を御理解いただきたいと思います。
#181
○大橋委員 実務者の局長さんが、今は無理としても将来は重要な検討事項だと言いました。総理もそういうふうに思われますか。
#182
○中曽根内閣総理大臣 政府の一員といたしましてはできるだけ温かい措置をやってあげたい、それはみんな気持ちは大橋さんと同じなんです。ですが、保険財政の現状あるいは特に現在負担している皆様方のお立場全般を考えてみますと、まことに残念ですが、五万円という程度に今せざるを得ないのははなはだ残念であります。
 しかし、将来は、いろいろ保険財政がどういうふうになっていくか等もよく見きわめながら検討してまいりたいと思っております。
#183
○大橋委員 中曽根総理の経済政策が非常によろしいというこの前の新聞論調もございましたが、そうならば、だんだんよくなって、当然こういう問題は簡単に解決できることではないかと私は思いますので、これは早急に改善をしていただきたい。
 時間もだんだん迫ってまいりましたので、もう一つ大きな問題をお願いしたいと思います。それは、年金がこれまで論議になってきたもとをただせば、老齢福祉年金があめ正年金じゃないか、そういうことで年金論議がどんどん高まってまいりまして今日に来たわけでございます。ついに基礎年金構想を導入した大改革になったわけでございますが、障害福祉年金、母子福祉年金の対象者は今回は完全に救済されました。ところが、老齢福祉年金対象者は全くびりっとも触れられていないのですよ。これは片手落ちではないか。社会保険方式をとられた立場から、人数も多いことだし無理だということもわからないわけではございませんが、これも一挙に上げてくださいとは言いません。(「毎年上げている」と呼ぶ者あり)今不規則発言で毎年上げているという話があっておりますが、そのとおりです。毎年計画的に上げてもらいたいのです。それも、少なくとも十五年がかりで千五百円くらいずつ上げたらいかがでしょうかというのです。なぜ十五年としたかといいますと、国民年金の定額単価の二千円を十五年かけて千二百五十円に引き下げますね。一方をずっと引き下げていくわけですから、少なくともこの老齢福祉年金対象者は、別個の国庫で少しずつ、千五百円ずつ引き上げていけば、十五年目には、五万円には到達しませんけれども、かなり基礎年金に近づくことは可能でございます。しかも、お気の毒ではございますが、老齢福祉年金対象者は毎年二十万人以上もお亡くなりです。ですから、この方々に対して仮に予算額をふやしてみても、現在の予算を落とさない限りむしろ余るくらいにあるのではないかと私は思うのです。ですから、このことを考え、ましてや老齢福祉年金対象者は昭和八十五年にはゼロになるという統計が出ております。ですから、我が国をこんなにまで繁栄さしてくださった大功労者ですから、この福祉年金対象者に対してわずかではございますが、毎年計画的に上げていくということをぜひとも総理にお願いしたいのでございますが、いかがでございましょうか。
#184
○中曽根内閣総理大臣 老齢福祉年金の受給対象者は、戦後の再建についていろいろ御苦労いただいた老齢の御老人でございますから、我々為政者としてもできるだけのことをしてお報い申し上げたいと思っておるのでございますが、遺憾ながら財政が非常に苦しい折から、これはほとんど全額国庫負担で、約二百三十万人くらいの方に約六千九百億円くらいの予算を投じておるわけであります。そういう状況を見ますと、今にわかに大橋さんのお言葉どおりやることはちょっと難しい状況にあると御理解をいただきたいと思う次第でございます。
#185
○大橋委員 老齢福祉年金者が、この年金の大改革のときに、我々だけは見捨てられたか、このような思いでいらっしゃるのではないか。ですから、何らかの姿で必ず対処してまいりますと答えてください。
#186
○中曽根内閣総理大臣 先ほど来申し上げますように御老人の方々でありますから、我々としてはできるだけの誠意をお示しして御安泰な老後を願っておるわけでございますが、今にわかにこれを改善するということはなかなか厳しい状況です。しかし、今まで毎年少しずつではありますが上げてきているのでございまして、今後、財政の状況を見まして、できるだけ御期待にこたえるように努力してまいりたいと思います。
#187
○大橋委員 それでは、最後にもう一問お尋ねします。
 先ほど申しましたように、障害等級を国民年金に調整しますと厚生年金の三級の一部分が残るわけですね。この三級の方については今回は非常に改悪の状況になっておりましたので修正を要求しましたら、最低保障額として三万七千五百円を見ましようという修正にはなっておるのですが、私はこれは低いと思うのです。いわゆる障害基礎年金というのは一級、二級ですよね。一級、二級しかないのですよ。それも子供の加算がつきます。上積みの分です。それから厚生障害年金も一級、二級、これには妻の加算が加わります。三級は全然子の加算もなければ妻の加算もないのです。ただ二級と同じ計算額のものを百分の百で支給しましょう、こういうことになったわけです。ですから、給料の高い人は割といただけるかもしれませんが、給料の低い人はわずかな金額になるわけで、そこで初めて最低保障額ということで、三万七千五百円が出てきたわけであります。しかし私は、もう子供の加算もなくなる、妻の加算もなくなるという障害三級者に対して、確かに障害は一、二級に比べると非常に軽くはなりますけれども、それにしても三万七千五百円は低過ぎると思います。これは少なくとも四万以上にぜひ上げていただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
#188
○吉原政府委員 三級障害の方は一、二級に比べまして障害の程度が比較的に軽い方が多いわけでございまして、また現実に働いて非常に収入のおありの方も一、二級に比べて多いということで、現行制度よりやや御辛抱いただくということになったわけでございますが、今回の修正の与野党間のお話におきましても、私ども最大限御指摘に沿うような努力をしたつもりでございますので、現時点ではひとつこれで御理解をいただきたいと思います。
#189
○大橋委員 衆議院を通過してもまだ参議院の段階がございます。我々はこの修正要求はあきらめませんから、そのつもりでいてください。
 あと一、二分ございますので、最後にもう一問御要望いたしますが、厚生年金の第三種に関する要望です。今回これも非常に改悪の状況になっております。これも激変を避けていただきたいということですが、どうですか。
#190
○吉原政府委員 激変緩和ということで、私どもとしてはできるだけの配慮をしたつもりでございますが、なお検討させていただきます。
#191
○大橋委員 総理、これについて最後に一言答えてください。
#192
○中曽根内閣総理大臣 御意見として承りまして、よく検討さしていただきます。
#193
○大橋委員 終わります。
#194
○戸井田委員長 小渕正義君。
#195
○小渕(正)委員 このたびの改正案につきましては、基礎年金が導入される、そういう点から見ますと我が党としては前向きに評価できる点もございます。しかしながら、個々の内容に至りますならば、いろいろ修正意見等を出しておりますが、一部分は理解されて取り入れられるような面もございますが、まだまだ不十分な点がございます。したがいまして、私は、そういった点ではいろいろまだありますが、せっかくの時間でございますので、大きな問題として柱を三本に絞りまして、個々のまだまだ不十分な点については参議院段階での議論を待つといたしまして、そういう関係で御質問申し上げる次第であります。
 まず第一に、このたびの改正案は、少なくとも、現行の年金制度が三本立ての制度間の不合理、不公正等があるということ等を含めて、制度の統合元化ということのスタートとして出されたものだというように理解をいたしますが、そのようなことから考えますならば、これからの統合一元化のスケジュール、そういうものについてはっきりとお示しいただきたいと思います。
#196
○中曽根内閣総理大臣 今年の二月、この一元化の方針を閣議決定いたしまして、その線に沿いまして法案を提出して、今進行しておる最中でございます。さきに、年金関係の一元化の構想を出しまして、国鉄あるいは電電のような公社の年金関係の統合、共済の統合をまずやりまして、それから今回は、国民健康保険あるいは国民年金、厚生年金等の一元化を今努力しつつありまして、そしてこの法案を提出いたしました。再来年の六十一年の四月から実施したいと思いますが、この時期に、同じように共済関係の年金も実行いたしたいと思っております。
 したがいまして、できるだけ早い時期に共済関係の法案も追って国会の御審議をいただく、そして間に合うように措置いたしたい、そういう形で六十一年の四月から同じように発足させて、七十年を目途にいわゆる大統合的一元化に向かって進みたい、このように考えております。
#197
○小渕(正)委員 ただいま統合一元化のスケジュールが再度表明されたわけでありますが、このたびの年金制度の統合一元化の中で一番問題にされておるのは、いわゆる一般的に言われておる官民格差の是正、これが私は最大の焦点だと思うわけであります。したがいまして、そういう立場から考えますならば、もちろん官民格差と言われておる中には、年金支給額の算定の問題、受給年齢の問題その他、受給制限の問題等いろいろありますが、いずれにいたしましても、そういうかなり社会的にも大きく問題にされているこういったものが、すべて統合一元化の中で吸収されて払拭されなければならない、かように思うわけでありますが、その点に対する心構えといいますか、その点についての総理の御見解をお伺いいたします。
#198
○中曽根内閣総理大臣 この一元化の過程におきましては、おのおのの年金の特色をまず生かしつつ、しかも共同基礎部分については同じゅうしていく、そういうような非常な苦心をした方策として行われるものでございまして、できるだけ各省庁間の垣根を取り除いて、そして合理的な組み方を実現してまいりたいと思っております。
#199
○小渕(正)委員 六十一年四月同時スタートということになりますならば、もう当然、今国会の中に取りまとめられて法案を提案されなければならないようなスケジュール的な状況にあるのではないかと思うのでありますが、その点とのようなお考えをお持ちですか。少なくともこれだけの大きな問題でありますから、当然年金関係については、また次の共済年金の統合問題についてもかなり大きな論議を呼ぶ問題だと思いますから、そういったことを考えますならば、当然これは今国会、来年の四月末までの間には成案を得て国会に提出されるようなスケジュールでないと、本当に六十一年四月からの同時スタートということはかなり難しいのじゃないかという私なりの見方もありますが、その点に対する御見解をお伺いいたします。
#200
○中曽根内閣総理大臣 やはり準備に相当な期間を要しますから、今国会中には提案をして御審議願うように努力いたしたいと思っております。
#201
○小渕(正)委員 ぜひそれは期待するところでありますが、その際ぜひお願いしたいのは、次に出てくる共済年金関係は文部省、大蔵省、それから自治省、それぞれ所管が非常に違うわけであります。したがって、この種のような非常に大改革になるような大きな問題をそれぞれの所管ごとでいろいろ審議することは、私はやはり年金の統合一元化という立場から考えるならば不合理ではないかという気がいたします。もちろんこれは審議する方、我々立法府の関係でもございましょうが、法案を一つに取りまとめて提出してくるという、内閣としてもそういう何らかの考え方の中でこの際示されないことには、本当に真の意味で、継続的な国民年金法案、厚生年金の統合法案、それから最終的な共済年金の統合法案という、本当に年金の統合一元化という一つの立場から見ますならば、そういう一貫した中での論議がさるべきだと思いますので、そういう点考えますならば、やはり法案自体を、そういう所管を別にして、内閣として新たな角度から問題を絞っていただいて、まとめて提案さるべきでないかという考えを持つわけでありますが、この点に対する総理の御見解をお伺いいたします。
#202
○中曽根内閣総理大臣 その点につきましては、厚生大臣を年金担当大臣に指定しておりまして、厚生大臣に各省庁との調整を実行していただきたいと思っております。
#203
○小渕(正)委員 今担当大臣が厚生大臣ということのようでありますが、従来の経緯等から見ますならば、それでは果たしてどうかなという感じが若干なしとはしませんが、その点、我々受ける側からもまた新たな問題提起をしていきたいと思いますので、この問題はこれで終わります。
 それで、あと一つ入っていきますが、これは厚生大臣にお尋ねいたしますが、統合一元化をした際には、当然厚生年金と共済年金の財政調整という問題はどういうふうに考えておられるのか。やはりこれは次の改正案の中での考え方としては一つの非常に大事な問題でありますので、ここらあたりをあいまいにしながら、この統合一元化の問題は議論はできないと思います。そういう意味で、現在お持ちである考え方を、ひとつこの問題について、統合一元化の作業の進行状態ということで、申しにくいかもしれませんが、少なくとも担当大臣として、この問題について現在とのようなお考えをお持ちか、その点をお尋ねいたします。
#204
○吉原政府委員 厚生年金と国民年金につきましては、今回の基礎年金の導入によりまして、財政的な面でも統合一元化がいわば図られたということが言えると思います。
 その次の問題は、むしろ厚生年金、国民年金ではなしに、共済制度相互間あるいは共済制度と厚生年金、同じサラリーマンといいますか、被用者を対象にする年金制度として、その間のいわば調整をどうするかというのが私は次の課題になるのだろうと思っております。
#205
○小渕(正)委員 だから、その問題をどのようにお考えになっておられるのかということをお尋ねしておるのです。
#206
○吉原政府委員 その問題は、今回の改正案が実施された後の七十年までのスケジュールの間の一環の問題として考えていきたい。今具体的にあるわけではございません。
#207
○小渕(正)委員 それでは、その問題はまた次の機会に譲ることにいたします。
 あと一つ、これもまだこれからの問題でありますが、共済年金の改革委員会等で出された意見の中で、職域年金相当部分についてやはり何らかの措置をしなくちゃならぬのじゃないかということが触れられておるわけでありますが、これは前回質疑のときも申し上げましたが、民間で俗に職域年金と言われている企業年金は、民間では退職金の一部を充当して初めて運営されているわけでありますから、この問題を企業年金との関係で論議されることは結構でありますが、当然その際には、そういった退職金との関係を考えながら職域年金の問題は議論されなければならないと思いますから、この点はしかとひとつ、今まだまだ取りまとめ中でありましょうから御意見を伺うことは無理かと思いますが、この点についてのもし御見解があればお聞きしたいと思います。
#208
○門田説明員 共済を担当している立場としてお答え申し上げます。
 今先生おっしゃいましたとおりでございまして、職域年金部分、確かに公務員制度として考えるべき部分があるわけでございますが、これはまた民間における企業年金等の状況、あるいは今おっしゃいました退職金の問題も当然ございましょう。その辺を総合勘案しまして、よく勉強していくべき問題だ、かように思っております。
#209
○小渕(正)委員 時間がございませんので、次に進みます。
 先ほどからも論議されておりますが、行政改革特例法によりまして、この厚生年金関係を三年間繰り入れを延ばしてしまったわけでありますが、先ほど総理としては、今回の予算編成の作業中なのでもう少し時間をかして、その上ではっきりした結論を出したいというお答えでございましたが、結果的に、前回の委員会での御答弁等を聞いておりますと、六十年度まで一年また延ばすのはやむを得ないという考え方を整理中じゃないかと憶測されるわけでありますが、そうなりますと、ますますそのツケが先の方へ延びていくだけでありまして、ますます国家財政上は問題を大きく残していくことになりかねないと思います。そういう意味で、やはり勇断を持ってこの問題のけりをつけるべきだと思いますが、その点に対する総理の御見解をお尋ねいたします。
#210
○中曽根内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、これは前内閣のときに、昭和五十九年度までに赤字公債依存体質から脱却する、そういう意味で五十九という目標は決められたわけでありまして、今のような状況のもとにどういうふうに処理するか、この予算編成の過程において処理してまいりたいと思っております。
#211
○小渕(正)委員 この特例法の中には財政的事情を考慮してということが盛られておりますから、そのようなことで考えますならば、今の我が国の財政状態からいきますれば、これはかな力半永久的な形になってしまうのじゃないかという懸念さえ持ちます。しかも、性格的に考えますならば、これは一種の形を変えた赤字国債と同じだと思います。そういう意味では、これは先ほどの御答弁から出ないわけでありますのでそれ以上はお尋ねいたしませんが、意見として、ぜひこれはひとつ、今回限りの措置の中で勇断を持って一つの問題処理をしておかないと、ますます禍根を先に延ばしていくということになりかねない、こういう意味で御意見だけ申し上げておきたいと思います。
 次に、あと一つだけですが、この前、党首会談の中で我が佐々木委員長からも総理にお話しされたと思いますが、俗に言う年金客船と言っている話でございます。
 お話をお聞きになったと思いますが、要するに、我が国は海洋国日本でありながら、残念ながら客船は一隻もありません。しかも、現在海洋国と言われているスウェーデン、イギリスその他、そういったいろいろな先進諸国においては三万トンから五万トン、今ごろはもう七万トンなんていう大きなことじゃなしに、四、五万トンの豪華客船が建造されて、世界の船旅としていろいろと活用されておるわけでありますが、少なくとも我が国は海洋国日本でありながら、残念ながら先進国だと言って仲間入りしているにかかわらず、この種の船は一隻もございません。したがいまして、それぞれ海に関係する人たちの中から、年金のお金をもちましてこの客船を建造して、年金受給者の老後のいろいろな海上の海外旅行、研修その他、いろいろとそういったものに活用し、しかも大事な海外のお客さんもその船の中で十分賄える、接待できるような、そういうすばらしいものをつくるべきではないか。その場合に、現在、年金の積立金は、大型保養基地として二百五十億から三百億程度のお金を投資して、全国八カ所程度ですかについてやられて、そういう計画が進行中でございますが、そういう年金保養基地よりも、まだこの年金客船の方がより年金受給者や国民の皆様方には広く利用され得るという要素を持っておるのじゃないか。そういう立場から、問題は、現在四十八兆円という積み立てたお金があるわけでありますから、その中の利子の中のまた一部分だけをそれに充てることによって、この建造は可能でございます。そうして、その建造された中において、あとどういうふうに自主的に運営していくかはそれぞれまたお互いに英知を絞って、そうして、少なくとも独立採算制の中でやっていくようなことは十分可能でございますから、問題は、政府がそういった新しい視野に立って、角度に立ってこの問題に決断をしていただくことがすばらしいことじゃないかと私は思うわけでありまして、そういう意味で、ひとつぜひ総理のこの問題に対する積極的なお取り組みをお願いしたいと思うわけでありますが、その点お尋ねいたします。
#212
○中曽根内閣総理大臣 これは党首会談のときに佐々木委員長からもお聞きした点で、一つの魅力的な御提案であると思います。ただ、一体これの運用をどういうふうにするか。相当な管理費もかかるおそれもあり、大事なせっかく拠出していただいたお金でございますから、かりそめにも一銭もむだにしてはならない、そういう考えにも立ちまして、慎重に検討いたすべきものと思っております。
#213
○小渕(正)委員 この問題は、もう三年ほど前からこういうアイデアを出しまして、関係者の皆さん方にお話しすると、ああ、すばらしい話だ、結構ですというところまではいきます。ところが、それ以上は何ら進展がございません。確かに、果たして建造後の運営主体をどうするのか、果たしてペイしていくのかどうか、いろいろそういった問題もございますが、それはそれなりにそれぞれの専門家の中で検討していけば、これは問題の解決にはなっていくわけでありますから、要はそういうことで一歩踏み込んで、この問題にかかるかどうかという決断の問題だと思いますので、そういう意味で、ぜひひとつ総理に対してこれは積極的なお取り組みを願うことを再度お願いしたいわけでありますが、いかがでしょうか。
#214
○中曽根内閣総理大臣 せっかくの御提案でございますから、よく考えてみたいと思います。
#215
○小渕(正)委員 これをもって終わります。
#216
○戸井田委員長 小沢和秋君。
#217
○小沢(和)委員 総理には、基本的な問題で幾つかお尋ねをしたいと思います。
 人生八十年というふうに言われるような状況になってまいりまして、老後保障に対する国民の要求というのは非常に切実なものがあると思うのです。ところが、現実に政府のやっていることを見てまいりますと、昨年老人医療をまた有料にした。それからことしになりまして、前国会では雇用保険法を改悪いたしまして、六十五歳以上の人は対象にしない、そういう考え方で、今失対事業から高齢者を排除するというような問題も起こってくる。そうして今度の年金の改悪で、三割以上の給付枠をカットして、そして倍も三倍も保険料を取っていく。こういうふうに老人に対してやられていることをずっと眺めていくと、これでは高齢化社会というけれども我々が高齢化した場合本当に安心できないのじゃないか、どなたも不安を感ずるのじゃないかと思うのです。
 高齢化社会で本当に安心して生活していくためには、医療から年金から住宅から雇用から、いろいろな政策を総合的に実行していく必要があると思うのですけれども、こういうような後退に歯どめをかけて、真に老後が安心できるような総合的な政策をぜひ進めていく必要があるのじゃないかということを考えておりますが、総理の基本的な見解をまずお尋ねしたいと思うのです。
#218
○中曽根内閣総理大臣 政治は国民生活全般にかかわっておるものでございまして、生老病死全体は非常に大事な問題であります。これらはいずれも合理的にうまく処置して、国民の皆さんに御安心がいただけるようにできるだけ努力してまいるつもりでおります。
#219
○小沢(和)委員 大変抽象的なお答えなんですけれども、具体的に総理が、今私は幾つか非常にはっきりした後退現象を指摘したわけですけれども、お年寄りの皆さんがこれでは不安を感ずると思うのですよ、だから、どうやって安心できるような老後社会をつくろうという点についてのはっきりしたビジョンなり総合的な政策なりを明らかにして、それに基づいて強力な施策を進める必要があるのじゃないかということをお尋ねしているのです。
#220
○中曽根内閣総理大臣 この点は共産党の皆さんと我々とで一つの考えの違いがあると思うのです。つまり、我々は、社会保険という考え方に立って国民の皆さんのある程度の自由性、選好性というものも考えてやっていきたい。共産党の皆さんは割合に国有、国営論者が多いわけでありますから、国が面倒を見ようということでありますが、それはそのとおりやると税金が非常に高くなって、また国民の皆さんが嫌うという情勢になります。最近のスウェーデンや北欧の一部等を見ましても、税金が非常に重いというので、非常に改革が行われつつある状況でもあります。そういう点、どういうふうに調和さしていったらいいのか、国民の選ぶところを我々は選はしていただくようにして進めていくべきであろうと思っております。
#221
○小沢(和)委員 今私が聞こうと思ったことをちょっと先取りをされたような答弁もあるのですが、基礎年金という今度の考え方が目玉になっているわけですけれども、これが保険方式に基づいてつくられている。そうすると、結局のところ、四十年掛金をずっと掛け続けてようやく六十五歳から五万円という水準に到達する。だからこれは一番よくいって五万円なんですね。だから掛金がどんどん上がってきているという中で、先ほどからお話があっているように、もう払い切れないという人が続出してきたし、今後ますますこれは増加して、基礎年金とあなた方が言っておられるこの制度自体が本当に崩壊してしまうのではないかということを、私の立場から見ても心配せざるを得ないわけです。これは、基礎年金をそういう保険方式でやろうというふうにお考えになっているからじゃないのですか。やはり、国や企業の負担というものをもっと重視して、組み立て直す必要があるんじゃないでしょうかでこの点いかがですか。
#222
○中曽根内閣総理大臣 やはり、国民の皆様方自体にも御負担を願い、そして長期的、安定的にこの制度を維持していく必要がありますし、また世代間の公平という点を考えてみますと、今保険金を負担している皆さん方のためにも長期的、安定的な制度、仕組みを考える必要がある、このように考えて今回の改革をいたしたのであります。
#223
○小沢(和)委員 今、国民にも負担をというふうに言われたのですが、私どもは、スウェーデンなどでやられているように全部、付加給付の方まで事業主が出すようにしろというようなこと空言っているのじゃないのですよ。土台になる部分を国と企業でやって、上積みになる部分を、国民年金あるいは厚生年金という形で、今現に積み立てておられるこの社会保険方式でやったらどうだというふうに提案をしているわけでありまして、国民もそれなりに努力をするという考え方を我々はちっとも否定しているわけじゃないのです。
 それで、次に質問を申し上げたいと思うのは国の負担の問題なんです。今、金がないということがすぐ問題になるわけですけれども、しかしよく言われますように、軍事費などは毎年七%から、これはもう最優先でふやされていっておる。そうすると、今世論調査などでもこれは非常に否定的な意見が多いのですけれども、どっちにお金を使うかという場合、財政が苦しいというのであればあるほど、高齢化社会を本当に安心して迎えられるような方向にこそ思い切って政府が金を集中していくべきじゃないか。こっちの方は、この前の厚生省との議論でも、下がっていくということを認めざるを得なかったのです、厚生省も。だから私は、これは逆だ、こっちの方こそ上げていかなければいけない、下げるようなことで、総理、国民が果たして納得するとお考えでしょうかで
#224
○中曽根内閣総理大臣 給付と負担の公平あるいは長期的安定、世代間の公平性、こういうようなことを考えてみますと、今の改革案が妥当な改革案であると思いますし、国民の皆さんも御理解いただけるものと考えております。むしろ、国民から税金という形で集めるというやり方の方は国民は好まないのではないか、私はそのように考えておるのであります。
#225
○小沢(和)委員 税金という形で集めるということを私まだ主張しておりませんよ。私が一つの例として挙げたのは、軍備などに七%以上毎年最優先でとっていながら、そっちに使うお金はあって、これだけ高齢化社会ということが大問題にだっているときに、国民のためにこっちをふやそうとしない姿勢に対して、国民は納得しませんよというふうに言っておるのです。それで、私は、国の財源を確保していく上では、さらに大企業に対して非常に優遇しているというような政策を再検討したり、あるいは税制の面でも不公平税制を改めていくというようなことも、これは有力な財源確保の方法になると考えておるのです。
 ところがどうも、政府のやっているところを見ると、福祉の方にお金を出さないだけでなく、むしろ積極的に、そっちの方を財源を得る非常に有力な分野だと考えているんじゃないかというようなことさえいろいろ見られるわけです。
 けさの新聞を見ますと、政府管掌の健康保険がここのところずっと大変な大幅な黒字だ、今までの借金を全部返して一千億円からの黒字だ、これを政府の方は目をつけて、来年度の予算編成に貸せと言っている。これは国民が医療のために出したお金ですね。そういうものが毎年こんな大きな黒字を出すようになったら、これだけ国民が苦しい生活の中で出しておるのですから、負担を軽くすることも考えたらよさそうだと思うのですが、それを財源に取り立てる、こういうようなことは国民が納得しないのじゃないかと私は言っているんですよ。
 総理にもう一遍、その点お伺いしたいと思うのです。
#226
○中曽根内閣総理大臣 政府管掌の健康保険の問題は、私は聞いておりません。
 それから、世界の有力な国で、世界的な役割も分担もしているというような国で、自分で防衛しないという国はないのじゃないかと思っております。
#227
○小沢(和)委員 あなたとここで防衛論争までいくと時間がなくなってしまうから、残念ながらそれはおきます。
 それで、もう一つの企業の負担のことについてお尋ねをしたいと思うのですが、総理は今、我が国の企業の社会保障関係、年金関係の負担というのは適当な水準だというふうにお考えになっておりますか。
#228
○中曽根内閣総理大臣 共産党と自民党ではいろいろ企業に対する考え方も違うと思いますが、企業の皆さんも厚生保険、そのほかでは負担をしていただきまして、まず妥当であると考えております。
#229
○小沢(和)委員 客観的な数字を挙げて、もう一遍そこのところをお尋ねしたいのです。
 これは私、先ほども申し上げたのですが、「先進国の社会保障費の財源に占める社会保険料の割合」という資料が私の手元にあります。これはさっき、どこから出た資料がわからぬなどと年金局長が言われましたけれども、この出所はILOなんですよ。そのILOの資料に基づいて計算をしたのですけれども、これによると、我が国の事業主は一九六〇年ごろはこの財源の中で四二%の負担をしておったのです。それが年ごとに減って、七七年ごろには二八・八%まで下がっておるのですよ。それからもう一つの数字を申し上げますと、「先進国の社会保険料の負担割合」なんですが、総理もよく行かれるいわゆる先進サミット、あの七カ国の中で我が国はこの負担割合が何と一番低いのですよ。一番高いのがイタリアで四・五七倍なんですけれども、日本は一・一五倍、一番低いのです。
 先ほど厚生省の担当者に、これは間違いないなと念を押したら、間違いないということを私、確認をもらっているのですが、こういうようにサミットの諸国の中でも一番低くても、なおかつ総理は妥当だとお考えになるか、それとも、こういうような状態だとすればもう少し企業に対して負担を要請しなければならぬなというふうにお考えになるか、その点もう一度お尋ねします。
#230
○吉原政府委員 今の我が国の社会保障全体に対して、国と労働者本人、それから使用者、おおむねこの三者で費用を負担しているわけでございますけれども、大体その費用負担割合というのが三分の一ずつ、三者等分の負担割合となっておるわけでございまして、使用者にも社会保障費について相応の負担をしていただいている。これは長い沿革もございますし、こういった負担割合で定着をしているわけでございますから、現在の時点においてはこれを積極的に変えるべき理由は少ないのではないかというふうに思います。
#231
○小沢(和)委員 時間が来たという声もかかったから、私は、最後にもう一度、今の質問は総理に向けたのですよ。だから、先進サミットの七カ国の中で一番低いというのは、さっき私、もう一遍聞いたけれども、厚生省もそれは間違いないというふうに言っているんですよ。それでも妥当だというふうにあなたはおっしゃいますか。
#232
○中曽根内閣総理大臣 みんな国々は、国庫によりましておのおのの個性のある政策をやっておるのでありまして、日本は妥当であると考えております。
#233
○戸井田委員長 菅直人君。
#234
○菅委員 短い時間ですので、絞って総理に御質問申し上げたいと思います。
 年金改革については、二十一世紀を見通した改革が必要であるということは私も全く同感です。これは年金受給を受けるに近い世代だけではなくて、四十代、三十代あるいは二十代という若い世代も、果たして年金を掛けていって自分たちのころ受け取れるんであろうかという点では、大変に不安感を持っていることも事実であります。そういう点で、今回の改正案で基礎年金と二階建ての年金という構想を出されたこと、私はそれ自体には基本的な構成としては賛成であります。しかし、その内容において大変大きな問題点が幾つかありますけれども、その二つの点について総理にお尋ねをしたいと思います。
 先ほど来他党の委員の方からも話が出ておりますけれども、せっかく基礎年金と二階建て年金という形にしたわけですけれども、この基礎年金というものの性格が果たして基礎と呼べるような内容になっているのだろうか。まず総理大臣にぜひお尋ねしたいのは、基礎年金というのはナショナル、ミニマムとして最低の保障であるというふうに多くの国民が理解をすると思うのですけれども、そのように理解をしていいのかどうか、いかがでしよう。
#235
○中曽根内閣総理大臣 生活保護費と違うと思うのです。生活保護費の場合は最低生活の保障という性格が強い。しかし、基礎年金の場合には老後を支える基礎的保障、そういうことを申し上げて基礎的という言葉を使い、片っ方は最低という言葉を使っておる、そういう点で性格が違うと私たちは考えております。
#236
○菅委員 私の言うのは、基礎的保障であっても構わないのです。ただ、基礎的保障であるとすれば、今の総理大臣の言葉をそのまま使うとしても、そう考えれば、これは基本的には全国民に対してその基礎的保障がなされなければならない、これがナショナルミニマムの考え方だと思うのです。しかし、今回の改正では、いわゆる先ほど来の議論のありますように、社会保険方式という性格をそのまま踏襲したために、四十年間の掛金を掛け続けた人は受け取れるけれども、三十五年だったらちょっと減るとか、さらに少なければちょっと減る、もっと少なければとうとうなくなるといったようなこともあり得る。私どもはやはり、ナショナルミニマムとしての性格上、基礎年金部分については目的税方式などを取り入れて、基礎的保障であっても最低保障であっても結構ですけれども、それは全国民に保障すべきである。そして二階部分については、これは保険方式あるいは負担能力、負担期間に応じて増減のあるものでいいのではないか、このように基本的に考えるわけですけれども、このような考え方についての総理の所見を伺いたいと思います。
#237
○中曽根内閣総理大臣 七十年を目途にこれだけの大きな一元化をやるというのは、普遍性を持たした、国民全体にあまねく公平な制度に持っていきたいという考えでやっておるのでありまして、そういうような理念を持っているということをここで重ねて申し上げる次第なのであります。
#238
○菅委員 余り返答になってないように思いますが、あまねく公平であるという考え方に立てば、私は、基礎的部分はすべての国民に均一に保障され、そして上乗せ部分で、ある意味では差をつけていくということがあり方ではないかと思うわけであります。
 これに加えてもう一点だけ質問をしたいと思います。
 今のあまねく公平ということにも関連するのですけれども、現在国民年金に入っている自営業者等については、今回の改正においても二階建て年金の二階部分が一切制度的に保障されていない。これの制度的な創設というものがやはり何らかの形で考えられる必要があるということをこの審議の中でも厚生大臣に申し上げてきたわけですけれども、この点についての総理大臣としての所見を伺いたいと思います。
#239
○中曽根内閣総理大臣 その点は将来の検討課題の一つであると考えます。
#240
○菅委員 この大きな二つの問題について、それ以外にもまだまだたくさんの問題点はありますけれども、今回の改正が果たして二十一世紀を見通した改正としてたえ得るものであるかどうか、私どもはかなりの疑問を持っているということを申し上げまして、私の質問を終わりにさしていただきます。
#241
○丹羽(雄)委員 議事進行の動議を提出いたします。
 ただいま審査を行っております両案について、質疑を終局されんことを望みます。
#242
○村山(富)委員 ただいまの質疑打ち切りの動議について反対をいたします。
 反対の理由は、申し上げるまでもございませんが、二%のスライド部分については年内支給ができるように切り離して議決することについては賛成、切り離された本体部分については、百年の大計であり、長期にわたって年金制度を安定化させるためにも、まだまだ慎重審議が必要であります。党派を離れて国民的な立場に立って、疑問点は解明し、これから検討すべき課題についても整理をして、十分納得のできるような結論を得るために、慎重審議をすることは国会の任務であります。
 そういう意味で、私は、質疑打ち切りに対して反対をいたします。
#243
○戸井田委員長 ただいまの丹羽雄哉君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#244
○戸井田委員長 起立多数。よって、両案に対する質疑はこれにて終局いたしました。
    ―――――――――――――
#245
○戸井田委員長 この際、お諮りいたします。
 第百一回国会より継続審査となっております多賀谷眞稔君外四名提出の国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員より撤回の申し出があります。
 これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#246
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#247
○戸井田委員長 次に、厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。
 本件につきましては、先般来理事間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。
 その起草案の趣旨及び内容について、委員長から簡単に御説明申し上げます。
 本案は、昨今の社会経済情勢にかんがみ、昭和五十九年度において年金額等の改定を実施しようとするもので、その主な内容は、
 第一に、昭和五十七年度及び昭和五十八年度の累積消費者物価上昇率が五%を超えない場合であっても、年金額の特例的な改定措置を講ずること。
 第二に、年金額の改定率は二%とし、厚生年金保険及び船員保険については本年四月から、国民年金については本年五月から、それぞれ実施すること。
 第三に、老齢福祉年金の額を月額二万五千六百円に引き上げ、本年六月から実施するとともに、その他の福祉年金の額についても引き上げること。
 第四に、特別児童扶養手当の額を、福祉年金に準じて本年六月から改定するとともに、福祉手当の額についても引き上げること。以上が、本起草案の趣旨及び内容であります。
    ―――――――――――――
 国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#248
○戸井田委員長 本件について発言を求められておりますので、これを許します。小沢和秋君。
#249
○小沢(和)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、ただいま議題となりました委員長発議による国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案に、反対の意見を申し述べます。
 我が党は、物価スライドを行うことはもとより当然と考えていますが、引き上げ率は二%ではなく、この二年間の消費者物価上昇率に見合った四・四%とすべきであると考えます。
 年末ぎりぎりになっても、なお年金のスライドが実施されていない原因は、本来別々の法案として提出すべき年金制度の改革部分と物価スライド部分とを政府が一本の法案として提出してきたところにあります。でありますから、我が党は、最も早くから、物価スライド部分や障害者の改善部分は、年金制度改悪部分と分離して、早期に実施すべきであると主張してきました。今回、遅きに失した感はあるものの、物価スライドを実施することについては大賛成であります。しかし二%には同意できません。物価が四・四%上昇しているのでありますから、二%では完全に目減りであります。年金を受けている多くのお年寄りや障害者は、他に収入を得る道はほとんどなく、しかも、大多数の方が三万円以下という低い年金水準のもとにあることを考えるならば、物価スライドの値切りなど断じてなすべきでないと考えます。私は、四・四%の引き上げを内容として、委員長提出法案とされることを強く望みます。
 なお、我が党は、今回の分離法案は委員会提出法案としてではなく、賛成会派共同提出の議員立法とすべきであると強く主張してまいりました。
 それは、第一に、委員会提出法案は委員会審議を省略するのが常でありますから、全会一致の場合でなければ、委員の質疑、修正案提出、討論などの審議権を奪うことになるからであります。
 第二に、政府提出法案の一部を分離する分離法案の策定によって、もとの政府案に対する修正案提出権が重大な制約を受けることになるからであります。
 日本国憲法下の国会で、初めて行われる政府提出法案の分離が、このような形で行われることはまことに遺憾であります。
 委員長の善処を要望して、発言を終わります。
#250
○戸井田委員長 これにて小沢和秋君の発言は終わりました。
 これより採決いたします。
 お手元に配付いたしております国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案の草案を成案とし、これを本委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#251
○戸井田委員長 起立多数。よって、さよう決しました。
 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#252
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#253
○戸井田委員長 国民年金法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は、先刻終局いたしております。
 この際、丹羽雄哉君外一名から、自由民主党・新自由国民連合及び民社党・国民連合二派共同提案に係る修正案が委員長の手元に提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。丹羽雄哉君。
    ―――――――――――――
 国民年金法等の一部を改正する法律案に対する
  修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#254
○丹羽(雄)委員 ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党・新自由国民連合及び民社党・国民連合を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 修正の要旨は、
 第一に、昭和五十九年度における年金額等の改定措置について、国民年金法及び特別児童扶養手当等の支給に関する法律の一部を改正する法律案において同様の措置を講ずることにされたことに伴い、所要の規定の整備を行うこと。
 第二に、子のない寡婦の遺族厚生年金に対する月額三万七千五百円の加算について、夫の死亡時に三十五歳以上である寡婦等が四十歳に達したときから行うものとすること。
 第三に、三級障害についての障害厚生年金の額について、その額が月額三万七千五百円に満たないときには三万七千五百円とすること。
 第四に、遺族の範囲について、被保険者の死亡の当時五十五歳以上であった夫、父母または祖父母を遺族とするものとし、その者が六十歳に達したときから遺族厚生年金を支給するものとすること。
 第五に、夫及び妻のいずれもが六十五歳に到達して老齢基礎年金を受給するまでの間における老齢厚生年金の将来の水準について、配偶者加給年金額に特別加算を行うものとし、その加算額は月額一万円とすること。
 第六に、自営業者等の保険料について、国民年金の費用負担、所得比例制等との関連を考慮の上、今後、総合的に検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすること。
 第七に、国民年金制度における学生の取り扱いについて、学生の保険料負担能力等を考慮して、今後検討が加えられ、必要な措置が講ぜられるものとすること。
 第八に、昭和五十九年八月一日から施行するとされていた部分及び同年十月一日から施行するとされていた部分の施行期日について、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日からとすること等であります。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。
#255
○戸井田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 この際、本修正案について、国会法第五十七条の三の規定により、内閣の意見を聴取いたします。増岡厚生大臣。
#256
○増岡国務大臣 ただいまの修正案については、政府としてはやむを得ないものと考えます。
    ―――――――――――――
#257
○戸井田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に付します。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。谷垣禎一君。
#258
○谷垣委員 私は、自由民主党・新自由国民連合を代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対して自由民主党・新庄由国民連合及び民社党一国民連合が提出した修正案につきまして、修正案及び修正部分を除く原案に賛成の意を表するものであります。
 我が国の公的年金制度は、今日、社会保障の中心的な制度として国民生活において重要な役割を占めるに至っております。しかしながら、人口構造の高齢化、社会経済環境の変化等により、年金制度のよって立つ基盤そのものにも重大な変化が生じております。
 年金制度は国民の老後生活を支える主柱であり、このような社会経済情勢の変化に的確に対応しつつ、我が国社会が高齢化のピークを迎える二十一世紀においても、健全で安定した年金制度の運営を図るために、今日、長期的展望に立った制度全般にわたる早急な見直しが迫られているわけであります。
 政府原案は、このような要請にこたえて、公的年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため、国民共通の基礎年金を導入するとともに、給付と負担の均衡を長期的に確保するための措置を講じるものであります。
 私は、公的年金制度の一元化等の改革の第一段階として、国民年金、厚生年金保険及び船員保険の再編成を図り、また、基礎年金の導入に伴って障害者の所得保障の大幅な改善を図るなど、今回の政府原案の趣旨については高く評価できるわけでありますが、主として次のような諸点について所要の修正を行うことにより、一層の内容の改善が図られるものと考えます。
 すなわち、第一は、遺族厚生年金に加算のつく子のない中高齢寡婦の範囲を拡大すること。第二は、三級障害者の年金の充実を図ること。第三は、遺族厚生年金について遺族の範囲を拡大すること。第四に、将来の老齢厚生年金の水準に関し配偶者加給年金額に特別加算制度を設けること等であります。このほか、自営業者等の保険料、国民年金制度における学生の取り扱いについて今後検討が加えられ、必要な措置が講じられるものとされております。
 以上の修正は、本委員会でも十分に審議を重ね、最善の努力を尽くした上での結果であり、基礎年金の導入による制度体系の再編成、給付と負担の適正化等の原則を貫きつつ、さらに、本法案の目的の達成とその円滑な実施に資するものであると考えるものであります。
 このように、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・新自由国民連合及び民社党・国民連合提出の修正案は、本格的な高齢化社会の到来に備え、公的年金制度の長期的な安定と整合性ある発展を図るため重要な意味を持つものであり、私どもといたしましては、この修正案及び修正部分を除く原案に賛意を表するものであります。
 これをもちまして、私の討論を終わります。(拍手)
#259
○戸井田委員長 永井孝信君。
#260
○永井委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表し、政府提出の国民年金法等の一部を改正する法律案並びに修正案に対し、反対の討論を行うものであります。
 今日、我が国の人口が急速に高齢化しつつあり、かつ経済が低成長下にあるこのような状況のもとに、高齢化社会における社会保障の根幹をなす年金改革が、緊急的な政治課題であることを否定するものではありません。しかし、問題はどのような視点から改革を行うかということであり、いかなる状況のもとでも安定した年金が確保されるということが肝要であります。言いかえれば、そのために政府、保険者、被保険者間の負担をどのようにするのかが最大の問題であります。
 同時に、現在の年金制度がばらばらに分立し、制度間に抜きがたい格差を生み、供給に関する調整もなされず、拠出と給付の均衡を欠き、成熟度の高い国鉄共済が破綻するなど混乱を来すに至った原因と責任は、あげて政府・自民党にあることを強調するものであります。
 さて、今回の政府提出の改正案について、次の問題点を強く指摘せざるを得ないのであります。
 まず、基本姿勢であります。さきの百一特別国会では、政府・自民党が、有史以来の大改悪と言われた健康保険法の審議を促進するが余り、年金法の審議に応ぜず、国会の終盤になってようやく審議に入り、今国会の冒頭から前例のない審議促進を図るという、重要法案に対しての慎重審議の姿勢は全く見られないことであります。年金制度の根幹にかかわる法案でありますだけに、拙速に走ることなく、あくまでも慎重審議に徹すべきであります。
 第二の問題は、制度の改正と全く異なる年金給付額に対する物価スライド分二%の措置を制度改正案の中に組み込み、それを人質的に扱って改正案成立促進を図ろうとしたことであり、明らかに年金生活者の窮状を無視したことであります。
 第三の問題は、制度審の建議の取り扱い方であります。昭和五十二年十二月に内閣直属の社会保障制度審議会、ちなみに構成は学者、各党立法経験者、労働団体、日経連、大蔵省、厚生省の次官などで構成しておるのでありますが、その建議である「皆年金体制下の新年金体系」にうたっている、基本年金を導入し、最低保障制度の確立とその財源を税方式に求めていることを無視し、形をとって内容は似て非なるものになっているわけであります。
 特に、基礎年金に社会保険方式を取り入れ、四十年丸々掛けて最高五万円という国際的にも例のない制度を取り入れながら、厚生年金被保険者本人が保険料を納め、無業の妻が年金給付を受けるという、保険方式のルールを無視した制度となっています。
 無業の妻は一千百万人と言われていますが、この人々の夫婦関係、雇用関係の変動は、離婚の増大、共働き、パートの激増など非常に激しい実態にあります。結果として、無業の妻は無政府状態に置かれ、婦人の年金権を放棄せざるを得ない人が激増するのではないかと思われます。
 結局、我が党の基本年金構想のように、税方式で単身六万円、夫婦十万円の均一的最低保障年金という、国際的な立法例によるほかないことは明白であり、政府案は絶対に了承できません。(拍手)
 よって、既に我が党が修正方針として提起している次の諸点について、原案を具体的に修正すべきであると考えます。
 まず、その第一は、既に申し上げましたように、財源は、被保険者に大きな負担増となる社会保険方式によらず、目的税として税方式を取り入れ、基本年金基金を特別会計として独立させるべきであります。
 その二つは、基礎年金ではなく、基本年金として最低保障方式を確立すべきであり、単身者六万、夫婦十万とすべきであります。
 その三つ目には、厚生年金給付開始年齢は、雇用の現状から見て、定年と年金給付は絶対に連動させるべきであり、政府改正案に明示している将来の六十五歳開始は削除し、現行どおりを堅持すべきであります。
 第四には、国庫負担については、社会保障の理念を喪失することのないように措置すべきであり、被保険者に負担を増大させることは避けるべきであります。国庫負担の減額は断じて認めることはできません。
 第五番目には、一人一年金の原則に立った婦人の年金権の確立を図るとともに、年金改革の一環として、児童手当、児童扶養手当、特別児童手当並びに障害年金、障害者福祉年金などの改善を、我が党の要求に基づいて改善すべきであります。
 以上、大要を述べましたが、当面、緊急課題である厚生年金、国民年金などの二%物価スライド分を改正案から切り離し、年内支給を可能とし、本法にかかわる分はさらに慎重審議すべきであります。
 このことを申し上げて、以上、反対の討論といたします。(拍手)
#261
○戸井田委員長 森本晃司君。
#262
○森本委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました国民年金法等の一部を改正する法律案に対し、修正部分賛成、修正部分を除く原案反対の立場から、討論を行います。
 基礎年金導入の構想は、既に我が党が昭和五十一年に打ち出した福祉社会トータルプランにおいて、国民基本年金の導入を提唱したこととその大枠においては一致するものであります。その意味においては、政府が基礎年金の導入に踏み切ったことは評価するものであります。
 しかし、残念ながら、その内容は、無年金者をなくし、すべての国民が健康で文化的な最低生活を営むための恒久的な年金制度を確立。するという、基礎年金導入の基本理念が十分に生かされているとは言いがたい内容のものであると言わざるを得ないのであります。
 すなわち、政府原案は、四十年間拠出を続けた場合の基礎年金額を、生活保護基準や老人の必需的生計費にも満たない額に設定しているほか、老齢福祉年金受給者に基礎年金導入のメリットを全く与えていないこと、保険料の滞納等によって年金の受給資格が欠落している者に対する救済措置が講じられていないこと、さらには、国庫負担を現行制度に比して大幅に切り下げている反面、基礎年金の定額保険料が高額に過ぎて国民の負担にたえ得ないこと等、公正であるべき基礎年金の趣旨に沿わない内容となっているのであります。
 申すまでもなく、昭和四十年代前半から沸き上がった年金改革の論議の発端は、無年金者をなくし、あめ正年金と言われた老齢福祉年金などを初め各種公的年金の水準を、何とかして最低生活が維持できる程度にまで年金水準を引き上げたいということであったのであります。そのためには、各制度間の不平等をなくし、重複、過剰給付もなくして、公平で公正な年金制度に改め、これを国民全体で支えていこうではないかということで、既に十数年にわたって論議が続けられてきたわけであります。
 従前の国民年金が、こうした国民の念願を達成し得なかった最大の理由は、保険料が高過ぎて国民がその負担にたえ得なかったからであります。このことは、本年三月末における保険料免除者の数が三百九万人、すなわち、国民年金の強制被保険者の六人に一人が保険料を払えないという状態を見れば明らかであります。このほか、免除手続もしないで保険料を滞納している人たちが数知れずいるのであります。本来、社会保障制度によって救済されなければならないこうした人たちが、その保険料の負担にたえかねて脱落し、十分な保障が受けられないような制度は、公正な社会保障制度とは言えません。
 私ども公明党・国民会議は、以上の趣旨に基づき、去る十二月六日、十六項目にわたる修正を要求いたしました。これら我が党の主張に対し政府・自民党においても理解を示され、かなりの部分について法案修正の運びとなりましたことについては高く評価するものであります。が、なお、基本年金額の水準の問題と、これに関連して国庫負担及び保険料負担のあり方の問題、さらには、老齢福祉年金の引き上げや保険料滞納等による年金権欠落者の救済の問題等、基礎年金が将来にわたって、国民年金法第一条の趣旨に照らして真に国民の基礎年金として十分機能するために、解決しなければならない問題が残ってしまったことは甚だ残念でなりません。
 基礎年金導入の構想は、もともと我が党が国民基本年金として提唱し推進してきたものでありますが、これを導入するに当たっての基本理念が十分生かされないまま、原案に賛成することはできません。
 まことに残念ではありますが、修正案には賛成するものの、本改正原案に対し反対の意思を表明して、私の討論を終わります。(拍手)
#263
○戸井田委員長 塩田晋君。
#264
○塩田委員 私は、民社党・国民連合を代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案に対する修正案及び修正部分を除く政府原案に、賛成の討論を行うものであります。
 御承知のとおり、我が国の平均寿命は予測を上回る伸びを示し、いわゆる人生五十年時代から人生八十年時代へと大きく移行しつつあります。老後は平均で二十年以上となり、今日、長くなる老後をいかに過ごすかが国民各層の重大な関心事となっております。老後生活を第二の人生にふさわしく豊かに、生きがいに満ちた生活とするには、その経済的基盤が万全でなければなりません。
 老後生活を支える所得保障の最大の柱は、何といっても公的年金制度であります。しかし、公的年金制度は、いわゆる官民格差、給付と負担の不均衡など多くの問題点を抱えていると同時に、制度が多岐に分立しているがゆえに、国鉄共済の例のごとく個別制度ごとに財政が破綻することにもなりかねず、苦労して保険料を納めても、年金が本当にもらえるのかという不安を国民に与えていることは否めない事実であります。それゆえ、老後の給付を支える現役の働く人々の保険料負担がたえがたいものにならないようにするとともに、給付内容については、生活の基盤を支える適正なものとすることにより、将来にわたり財政の破綻を招かないようにする必要があります。かくて、国民が信頼できる年金制度確立に向けての抜本改正が急がれてきたのであります。
 民社党は他党に先駆け、基礎年金の創設と所得比例型年金の二階建て年金制度体系に改めるナショナルミニマム・プランを提唱してまいりました。基礎年金構想は、社会保険審議会や社会保障制度審議会でも論議され、その創設は国民合意となり、臨時行政調査会においても、五十七年七上の答申で、「全国民を基礎とする統一的制度により、基礎的年金を公平に国民に保障することを目標」としながら、段階的に制度を統合することを明記しております。
 今回の政府案は、こうした論議や答申を踏まえ、世代間の給付と負担の適正化を通じ、長期的制度運営の安定強化を確保するため、基礎年金制度の確立とそれによる女性の年金権の確立、障害者に対する障害年金の大幅改善等を中核とし、激変緩和の措置を含んで制度の抜本改正を行うものであり、その改正の骨格について我が党は基本的に評価するものであります。
 しかし、今回の改正は、まさに制度の抜本改正であるため、個別には多くの問題点もあり、その修正を求めてまいりました。特に老齢、遺族、障害の三つの年金給付水準について重点的に法案修正の実現に努力してまいりましたが、このいずれもが修正されることになったのであります。
 まず、老齢厚生年金については、政府原案は、基礎年金を六十五歳から支給することになっており、夫婦ともに六十五歳に達していれば、夫婦合算して成熟期に月額十万円の基礎年金が受給できます。しかし、夫が六十五歳に達しても妻は平均で六十歳前後であり、その場合、厚生年金の加給年金として月額一万五千円の年金しか受け取れないことになります。我々はこの段差を是正するよう強く求めてまいりましたが、その結果、妻が六十五歳になるまでの老齢年金は、加給年金月額一万五千円に加え月額一万円の特別加算を行い、妻が六十五歳になるまでは夫婦で月額七万五千円となるよう修正されました。
 第二は、厚生遺族年金であります。政府原案は、子持ち寡婦に対しては手厚い給付を行うことにしており、この点は評価いたします。問題は子なし寡婦であります。政府原案によれば、手なし寡婦の場合、四十歳以上と四十歳未満に大幅な段差をつけておりました。例えば、標準報酬月額が二十万円の場合、四十歳以上の寡婦の年金額は月額六万五千円であるが、四十歳未満の者の年金額は月額二万八千百円となり、このような大幅な格差を設けることは極めて不合理であります。これについては、我々の修正要求によって、夫の死亡時に三十五歳以上であった寡婦に対しては、四十歳以降月額三万七千五百円を加算するよう修正されたことは、大いなる前進であると考えます。
 第三は、三級障害厚生年金の給付水準であります。政府原案によれば、障害三級の給付水準は、標準報酬月額が十万円の場合、現行が月額五万一千円であるのに対し、政府原案では急激に年金水準が低下することになります。急激な給付水準の低下は可能な限り避けようとの民社党の修正要求によりまして、三級障害厚生年金については月額三万七千五百円の最低保障制度が設けられ、かなり改善されることになりました。私としては、最低保障額の水準になお不満が残りますが、政府原案より改善したことは事実でありますので、これを受け入れる立場をとるものであります。
 以上のとおり、我が党の修正要求のうち特に重点とした三項目につき法案修正が明確になされましたので、今後の参議院の審議において、第三種の期間計算の特例廃止における緩和措置、女子の保険料率の引き上げ幅の経過措置についても修正されることを期待いたします。
 さらに、附帯決議において、今後の検討課題とされます基礎年金の水準、無年金者対策、老齢福祉年金等の引き上げ、五人未満事業所の適用拡大、在職老齢年金のあり方、年金の毎月払い、国際年金通算、年金積立金の管理運用について、国民の期待にこたえた改善検討がなされるよう強く要求いたします。
 最後に、本法案は年金統合化の第一段階であり、共済年金の改正なくして統合一元化は実現できません。したがって、いわゆる官民格差の是正、激変緩和の措置を基調として、本法案で創設される基礎年金を共済年金にも創設することを核とした共済年金法の改正を早急に国会に提出するよう特に強調いたしまして、私の討論を終わります。(拍手)
#265
○戸井田委員長 梅田勝君。
#266
○梅田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表いたしまして、国民年金法等の一部を改正する法律案並びに自由民主党・新自由国民連合及び民社党・国民連合共同提案による同法修正案に対し、反対の討論を行います。
 まず、私は、討論に先立ち、年金法案が今採決されようとしていることに対し、厳重に抗議するものであります。
 今回の法案のねらいは、軍拡、国民犠牲の臨調路線に基づいて行われてきた老人医療の有料化、健康保険法改悪に続く第三弾の福祉切り捨ての攻撃であり、また、欺瞞的な年金財政危機論で、国民に犠牲を強いる改悪を強行しようとすることは明白であります。
 まさに、政府案は、二十一世紀の遠い将来にわたる年金制度の大改悪であり、すべての国民の利害にかかわる内容でありながら、今国会におきましては、その国民的合意を得るための慎重審議が十分やられず質疑が打ち切られたのであります。
 我が党は、毎年行うべき物価スライドは本案から分離し、物価上昇率に見合う四・四%の実施を直ちに行うこと、残る制度改悪部分については、政府が撤回し、国民の納得のいく抜本的改善案を出し直すことを強く主張してまいりました。ところが、スライド部分をテコにして、本体部分まで、十分審議が尽くされないままで同時採決されることは、極めて遺憾であり、断固として抗議するものであります。
 さて、本案に対する反対理由は、まず第一に、本案は年金水準を三割以上も切り下げながら、他方、保険料は二倍から三倍にわたって大幅に引き上げるという驚くべき改悪であるということであります。委員会審議の中でも明らかにされたように、現在でさえ高い保険料が払えない人々がたくさんあるのに、このような高額保険料の強制は、新たな無年金者、低年金者を大量につくり出すことは明白であります。
 第二に、高齢化社会に対応するといいながら、高齢者の雇用実態を無視して、年金の支給開始年齢を繰り下げ、将来は老齢年金支給をすべて六十五歳からに統一しようとしていることであります。
 第三に、また、婦人の年金権も、政府が確立したと宣伝しているにもかかわらず、極めて欠陥の多いものになっております。
 第四に、障害年金につきましては、一定の制度改善も含まれておりますが、給付水準は手直し程度にとどめられ、また福祉手当の打ち切りなど障害者の自立にとって新たな脅威を生み出していることは許せません。
 第五に、本案は、年金財源への国の負担を大幅に削減し、大企業の負担を国際水準以下に放置しようとする点であります。
 本案によりますと国の負担割合は毎年軽くなり、我が党の試算では、三十五年先には約四兆円にも達する削減となるものであります。高齢化社会を迎えるに当たり、社会保障に対する財源確保に努めるべき政府が、その責任を放棄し、逆に国の負担を減らし、大企業の負担を低いままに放置するのでは、年金制度の改善など望むことはできないのであります。
 最後の理由は、政府は、年金財政再計算を根拠に、将来の高齢化社会において年金財政が破綻することを今回の改正の大きな理由にしておりますが、我が党の質疑の中で明らかにしたように、この主張は、我が国経済の成長、GNPの伸びを年金財政に正当に反映しない計算に基づくものであり、全くの欺瞞であるということであります。
 以上、本案は、軍備拡大、福祉切り捨ての臨調路線に基づき、公的年金制度に対する国の責任を大幅に後退させ、社会保障制度をこれまでより一層、低福祉、高負担の制度に変えようとするものであり、我が党は断じて認めることはできません。
 また、修正案につきましては、ごく限られた部分的改善にとどまり、政府原案の大改悪の骨格を変えないものでありますから、修正の名に値しないものであり、原案とともに反対であります。
 最後に、我が党は、六十歳になればだれでも夫婦十万円の年金が受けられる最低保障年金制度の確立を目指して奮闘することを表明いたしまして、私の反対討論を終わります。(拍手)
#267
○戸井田委員長 菅直人君。
#268
○菅委員 私は、社会民主連合を代表して、ただいま議題となっております国民年金法等の一部を改正する法律案につきまして、修正案及び原案ともに反対の立場で、討論を行います。
 急激な高齢化社会を迎えて、現時点において年金制度の改革が必要であるということについては、我々としても全く同感であります。また、今回の改正案で提案されている基礎年金の上に二階建て年金を設けるという構想については、基本的には賛成であります。
 しかし、今回の改正案は、その内容において大きな欠陥があり、また修正案についても、六十五歳未満の妻に対する加給年金の増額や、手なし寡婦の遺族年金の条件緩和など部分的には評価すべき点もありますが、全体としては極めて不十分であって、賛成するには至らない内容であります。
 その第一点は、今回の改正が二階建て年金といいながら、実際には一階建てと二階建ての併存であるということであります。すなわち、現在の国民年金に加入している自営業者等については基礎年金のみであって、二階部分が存在しないということであります。この点について、二階部分の創設を修正案の中に明記することを我が党は強く求めてまいりました。しかし、修正案では、国民年金の保険料のあり方、費用負担についての検討は明記されることになりましたが、二階建て部分の創設は明記されるに至っておりません。この点極めて不満足であり、参議院での修正を期待するものであります。
 さらに、第二点としては、我が党が主張した無年金者の救済にもつながる二十五年の資格期間の見直しについても、その方向が全く示されておりません。加えて、基礎年金についても、共通年金の性格は備えていても、全国民に対する最低の定額保障には必ずしもなっておらず、ナショナルミニマムとしては不完全な形になっているという点です。
 こうした重大な点について、今回の改正は大きな欠陥を含んでおり、その修正についても満足すべきものではなく、修正案及び原案ともに反対であることを再度表明をし、討論を終わります。(拍手)
#269
○戸井田委員長 以上で討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#270
○戸井田委員長 これより採決に入ります。
 第百一回国会内閣提出、国民年金法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、丹羽雄哉君外一名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#271
○戸井田委員長 起立多数。よって、丹羽雄哉君外一名提出の修正案は可決いたしました。(拍手)
 次に、ただいま可決いたしました修正案の修正部分を除いて、原案に、ついて採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
    ―――――――――――――
#272
○戸井田委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。(拍手)
#273
○戸井田委員長 この際、稲垣実男君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合五派共同提案に係る本案に附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。塩田晋君。
#274
○塩田委員 私は、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び社会民主連合を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    国民年金法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるよう配慮すべきである。
 一 今後における基礎年金の水準については、社会経済情勢の推移、世帯の類型を踏まえ、かつ、費用負担のあり方との関連を含め、その改善について検討すること。
 二 無年金者の問題については、今後とも更に制度・運用の両面において検討を加え、無年金者が生ずることのないよう努力すること。
 三 老齢福祉年金については、老後の生活実態等を踏まえて、今後ともその充実を図るとともに、その所得制限についても改善を図ること。
 四 第三種被保険者については、その適用を円滑に行うとともに、被保険者期間の扱いについては、坑内員・船員の労働の特殊性に対する配慮と公的年金制度における公平の原則との均衡を十分に考慮して、その具体的な方策につき早急に検討すること。
 五 法人以外の非適用業種及び五人未満事業所の従業員に対する厚生年金保険の適用について、業種の拡大及び任意包括制度の計画的推進につき検討し、必要な措置を講ずること。
 六 在職老齢年金については、高齢者の雇用、賃金体系との関係を勘案して、事務処理の円滑な実施にも配慮しつつ、合理的な方策を検試すること。
 七 年金の支払回数については、毎月支払を実施することにつき、事務処理体制等の整備を図りつつ検討すること。
 八 在外邦人、在日外国人の年金保障の充実について検討を加えるとともに、年金通算協定の締結の推進に努めること。
 九 年金積立金の管理運用については、極力、有利運用を図るとともに、保険料拠出者の代表を運営に参加させるなど民主的な運用に努めること。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#275
○戸井田委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 稲垣実男君外四名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#276
○戸井田委員長 起立多数。よって、本動議のとおり本案に附帯決議を付することに決しました。
 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。増岡厚生大臣。
#277
○増岡国務大臣 ただいま御決議になられました附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重いたしまして努力をいたす所存でございます。
    ―――――――――――――
#278
○戸井田委員長 お諮りいたします。
 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#279
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
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    〔報告書は附録に掲載〕
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#280
○戸井田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四分散会
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ソース: 国立国会図書館
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