くにさくロゴ
1984/03/28 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第11号
姉妹サイト
 
1984/03/28 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 社会労働委員会 第11号

#1
第102回国会 社会労働委員会 第11号
昭和六十年三月二十八日(木曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 戸井田三郎君
  理事 稲垣 実男君 理事 小沢 辰男君
  理事 丹羽 雄哉君 理事 浜田卓二郎君
  理事 村山 富市君 理事 大橋 敏雄君
  理事 塩田  晋君
     伊吹 文明君    稲村 利幸君
     古賀  誠君    斉藤滋与史君
     自見庄三郎君    谷垣 禎一君
     友納 武人君    中野 四郎君
     長野 祐也君    西山敬次郎君
     藤本 孝雄君    箕輪  登君
     湯川  宏君    網岡  雄君
     金子 みつ君    多賀谷眞稔君
     竹村 泰子君    永井 孝信君
     森井 忠良君    沼川 洋一君
     橋本 文彦君    森田 景一君
     森本 晃司君    小渕 正義君
     浦井  洋君    小沢 和秋君
     菅  直人君
 出席国務大臣
       厚 生 大 臣 増岡 博之君
 出席政府委員
       厚生省児童家庭
       局長      小島 弘仲君
 委員外の出席者
       労働省婦人局婦
       人労働課長   藤井紀代子君
       労働省職業安定
       局業務指導課長 鹿野  茂君
       社会労働委員会
       調査室長    石黒 善一君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
 辞任         補欠選任
  網岡  雄君     金子 みつ君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     網岡  雄君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 児童扶養手当法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、第百一回国会閣法第四一号)
     ――――◇―――――
#2
○戸井田委員長 これより会議を開きます。
 第百一回国会内閣提出、児童扶養手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案につきましては、前国会において既に趣旨の説明を聴取しておりますので、これを省略いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○戸井田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 児童扶養手当法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#4
○戸井田委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。
#5
○金子(み)委員 私は、今回提出されております児童扶養手当法の問題につきまして政府の御所見を伺いたいことがありますので、よろしくお願いいたします。
 まず初めに、これは事務局の御答弁で結構でございますが、事務的な問題を一つ伺いたいことがあります。
 それは、児童局とされては、児童福祉の問題を進めていらっしゃる上に政府の独断に陥ってはいけないということで幾つかの委員会なり審議会なりを持っていらっしゃるということを承知いたしておりますが、今回のこの児童扶養手当制度の改正につきましてお取り扱いになったその処理の方法なんですが、一昨年になりますか、五十八年の十二月に、厚生大臣の私的諮問機関として児童福祉問題懇談会というのがありまして、この児童福祉問題懇談会から十二月の二十六日に報告を受けて、そして今度の改正の骨子と申しますか、もとをおつくりになったものだと思います。
 その次に、そのことを私は事務局から承りましたらば、児童局には中央児童福祉審議会という公的な諮問機関があるわけです。ところが、今回は、この公的な諮問機関にかけないで、公的な諮問機関はただ了承を得ただけということで、そして法律全体の審議をお願いする社会保障制度審議会にお出しになった。それで社会保障制度審議会では一週間という短い期限を切られて大変だったというお話を裏話で聞きましたけれども、社会保障制度審議会は二月十日から十七日の間で答申を出されました。その答申を受けて、そして今度の法案を提案してくるというふうな形になったと承知いたしておりますが、そのとおりでございましょうか。
#6
○小島政府委員 御指摘のとおりで、ございます。ただ、社会保障制度審議会について短期間でございました。法律の検討もありましたので、できるだけ早い御答申をという要請はいたしておりましたが、社会保障制度審議会としては審議会の従前の審議方針にのっとり十分御審議いただいたものと承知しております。
#7
○金子(み)委員 そこで、今のことは御確認いただきましたので、大臣にお尋ねいたします。
 今のことが事実だといたしますと、中央児童福祉審議会という公的な諮問機関があるのにここで審議を諮問なさらないで、私的諮問機関だけの報告で骨子をまとめて、そして法案をつくられて、そして制度審議会にお出しになったという事実でございますけれども、私は、この問題はこの児童扶養手当制度を社会保障政策上どういう位置づけをなさったのかということに非常に疑問を持つわけでございます。そのことを論ずるのでなくて、この児童扶養手当制度を一部改正することによっていかに費用の削減を実現することができるかというようなところに主眼点を置いて制度の改正を検討されたようにうかがえます。
 というのは、基本的な児童福祉の保障制度を考えるのだったならば中央児童福祉審議会にかけるべきではないか。なぜ手抜きをして公的審議会を外して私的諮問機関だけでお済ませになったのか。このことは、結論から申し上げれば委員会あるいは審議会の軽視というふうにも考えられるように思いますし、せっかくある公的審議会は形骸化されたものだというふうにすら考えることができると思いますので、その辺の御意見が承りたいと思います。
 その前に、数日前に決算委員会で審議会や委員会の問題が提起されました。そのときに、最近非常に、殊に行革の問題が出されるようになってから私的諮問機関がふえている、そういうことで非常に問題だという提起がなされましたときに、中曽根総理の御答弁では、私的諮問機関の乱立は戒めなければならないというふうにおっしゃって、よく働いている審議会もあるけれども余り効果が上がってない審議会もあるようだなどというようなこともおっしゃられたことも記憶いたしておりますが、そういうようなことを考えますと、つくり過ぎて、必要だろうと思ってつくるのでしょうけれども、つくったのならその審議会なり委員会なりを活用すべきであるのに、それをしないで手抜きをした形で出されたということは、この児童扶養手当制度を重要視してないというふうにも考えられますので、私はこの点について大臣のお考えを聞かせていただきたいと思うわけでございます。
#8
○増岡国務大臣 中央児童福祉審議会におきましても御了解をいただいておるわけでございますけれども、その前に、今回の法律案の中身につきましては、地方にも一部負担をしていただこう、そういう問題もございますので、まず原案作成の段階におきまして地方その他の各分野の学識経験者に御相談を申し上げた、それが児童福祉問題懇談会でございます。したがいまして、一応の筋としては各段階を経るべき手続はいたしておると思っております。
#9
○金子(み)委員 今の御答弁は私のお尋ねとちょっとポイントが違うのですけれども、私は大臣にお尋ねしたのは、一般論としても審議会、委員会のお取り扱いをどう考えていらっしゃるか、そして今回の場合は殊さらどのようにお取り扱いになったのかということがお尋ねしたかったわけでございます。
 と申しますのは、委員会や審議会の取り扱いを非常に軽視されることがないことでもないということがわかるからです。例えば形式的に置いてあるとか、あるいは参考に意見を聞くために、実質的にはそういう考えで政府の方は対処していらっしゃるとか、あるいはさらには都合が悪いときの隠れみののように審議会を活用するというような扱いもないわけではないと漏れ聞いているわけでありますので、そういうことがあってはならないと思いますが、大臣が審議会のお取り扱いをどのように考えていらっしゃるか、伺いたかったわけです。
#10
○小島政府委員 中央児童福祉審議会につきましては、十の部会を設けられまして、各般の問題について折に触れ貴重な御建議をいただいたり、御意見を伺っておるところでございます。また従前の施策につぎましても、母子保健、それから障害者福祉、健全育成等々につきまして、それを施策に取り入れるように努力してきておるところでございます。
 ただ、今回の問題につきましては、臨調の御指摘にもございましたように、制度運営の適正化を図るというような見地からも地方負担の導入というものを検討してはどうかということでございますので、そういう方々に加わっていただいての審議ということを考えたものでございますから、中央児童福祉審議会とは別途に、いわば懇談会を設けまして御検討いただいたという経緯でございます。したがって、その経緯については総会に御報告申し上げ、また御了承も得ておる、こういうことでございまして、また問題の性質上、特別の懇談会を設けた方が問題の究明に資するのではなかろうかと考えたことでございまして、決して軽視とかなんとかという意図でやったことではございません。
#11
○金子(み)委員 私は懇談会をつくったことが悪いとは決して言っておりません。いまだ一遍もそんなこと言っておりません。そうじゃないのです。懇談会をおつくりになったことはそれでいいと思いますけれども、その懇談会の意見を求められたのも結構だと思いますが、中央児童福祉審議会をなぜ活用なさらなかったのかということをお尋ねしているのです。もともとちゃんとできている公的な諮問機関ですのに、それを使わないで私的諮問機関だけの意見をおとりになったというところをお尋ねしているわけです。
#12
○小島政府委員 この問題につきましては、事柄の性格上、今の中児審の中の構成その他の機構を活用するよりも、別途の懇談会を設けてやった方がより十分な御意見が拝聴できるのではなかろうかという考えでございまして、そこで、もちろんこういう重要な関係を持つ問題でございますので、中児審についてはこういう御意向をいただいて、こういうことで進めてまいりたいと考えておるということを御報告申し上げ、そこで御了承を得たという経過でございます。
#13
○金子(み)委員 私はそれは納得できないのですよね。中央児童福祉審議会というのは児童福祉に関する問題を審議するところだと思っていますが、今お話しのように、臨調の答申に基づいてやらなければならないから、その審議会でなくて別の委員会をつくってというお話しのようでございますが、要するに金を減らそうということを考えるんだから福祉審議会でなくていいんだというふうに聞こえてしまいますよね。
 目的が違うものだから正式の公的な審議会を活用しなくても、別個に都合のいい委員会をつくって、そして仕上げていこうというふうになさったように、大変頭のいい政府がなさったことなんだと思いますけれども、そういうふうに聞こえてしまいます。だから、そうでなくて、じゃ、なぜ中央児童福祉審議会にもう一遍、こういうことになりましたが、いかがでしょうかと言って審議しておもらいにならなかったのですか。了解を得るだけなんというのはその審議会に対して失礼ですよ。(「軽視だ、やり直し」と呼ぶ者あり)本当にそうだと思いますよ。そこら辺、どうだったのですか。
#14
○小島政府委員 いろいろ御意見もおありになるところだと存じますが、一応の結論を得まして、中央児童福祉審議会につきましても、その経緯等を十分御説明申し上げて御了解を得たということでございますので、特に軽視というようなことではございません。また今後の運営等については御意見も参考にしながら十分考えてまいりたいと思っております。
#15
○金子(み)委員 この問題にばかりかかわっておられないので、適当におさめていきたいと思いますけれども、しかし、今の御答弁でも納得できませんね。中央児童福祉審議会があるのに、なぜそこへ諮問しなかったかということです。懇談会の方で意見をもらったから、それを報告して、御了承願いますということで了承したと審議会が言ったようですけれども、これじゃ、諮問にかけたわけじゃなくて、無理やり審議会にオーケーをとらせたような格好になりまして、あくまでも審議会無視ですよね。こういう形を今後もおとりになるのだったら、考えがあると思うのですけれども、そこら辺はきちっとやってくださるようでなければ困るので、こういった事務的な措置ではありますけれども、大臣もその辺はしっかりと考えていただきたい。
 大臣御就任前だったですか、このことは。――そうかもしれません。だから、個人増岡大臣でないかもしれないけれども、厚生大臣としては引き継ぎをしていらっしゃる責任がおありになると思いますので、そういうことのないように、今後十分厳重に御注意をなさって、せっかくそのためにつくってある公的諮問機関を無視することのないように、大臣のお考えを聞かせてください。
#16
○増岡国務大臣 審議会はそれぞれ重要な任務を持っておられるわけでございますから、その趣旨を尊重するような立場でお諮りいたしたいと思います。
#17
○金子(み)委員 それでは、この問題は将来手抜きのないようにきちっとなさることを要請いたしまして、終わらせます。
 次の問題は児童扶養手当法。児童扶養手当に関する制度というのは、一体これを制定されたときの趣旨は何だったんでございますか。それを聞かせてください。
#18
○小島政府委員 これは先生御承知のとおり、国民年金法の発足に伴いまして、国民年金の方で死別の母子家庭については母子福祉年金が出る、いわゆる無拠出者についても母子福祉年金が出るという保険制度ができました。その際、いろいろ範囲等の検討が行われたわけでございますが、離婚等々については保険事故の対象になじまないということで、死別の母子家庭だけが対象になったという経緯がございます。
 この制度発足後、生別の母子家庭についても、やはり母子家庭の状況というものについては、家計の中心を失っているという面で同じではなかろうかということで、それについて、いわば母子福祉年金を補完するような形で生別母子家庭を対象とした児童扶養手当制度ができたという経緯でございます。
#19
○金子(み)委員 それは経緯ですよね。そうしますと、趣旨そのものは何ですか。補完的なものとしてつくられたというのは一つの経緯ですよね。つくられた趣旨そのものはどうなりますか。
#20
○小島政府委員 これはあくまでも、母子家庭という状態になった場合に生活がそこで激変する、だから、その激変を緩和するような措置を講じて児童の健全育成を図っていこうというのが真のねらいでございます。
#21
○金子(み)委員 現在の児童扶養手当法というのの二条に「児童扶養手当の趣旨」というのがあります。ここを見ますと、「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として」いるというんですね。家庭のために手当を出すなんてどこにも書いてないですよ。児童扶養手当というのは、父親と生計を同じくしていない児童そのものが健康な成長、発達していくために支給されていた手当だというふうに私は理解するわけです。それがちょっとゆがんできたんじゃないかという気がするのです。
 それで、この制度ができるようになったもう一つ後ろまで背景を探ってみますと、世界人権宣言まで続くわけです。世界人権宣言の二十五条に「母と子とは、特別の保護及び援助を受ける権利を有する。すべての児童は、嫡出であると否とを問わず、同じ社会的保護を受ける。」と規定されています。これを受けて国際人権規約のAというのができたわけですね。そして、この規約には「締約国は、社会保険その他の社会保障についてのすべでの者の権利を認める。」と定めています。この流れの中で日本国憲法もできているわけです。日本国憲法二十五条というのはその趣旨を酌んでつくられたものだと私たちは理解しています。そしてかつ、日本も国際人権規約Aの締約国になっているわけですよ。だから、これをやはり遵守していかなければならないわけですね。
 子供は大人の附属物ではなくて、一個の人格を持った権利の主体である、そういう考え方から、第二次世界戦争の後、国際的にも子供の権利を進展させるというふうにどこの国でも図られてきたわけですね。だから、その結果、児童の権利宣言というものが採択されたのじゃないですか。日本でも、日本国憲法というのをつくって、その憲法の中で個人の尊重と法のもとの平等を保障して、子供についても教育を受ける権利だとか、あるいは酷使をされてはいけないという酷使の禁止などが規定されてきたわけですね。その結果、児童福祉法もできたわけだし、児童憲章もできているわけですね。
 こういうものがみんなバックになって、今の児童扶養手当法はつくられてきたわけなんですから、あくまでもその対象は発育成長段階にある児童そのもの、子供そのものなんですよ。だから、その子供そのものに対する手当というものがどうあったらいいかということがこの制度の中で決められているわけでしょう。そういうふうにいかなければいけないと思っているのに、今度の制度改正は、図らずも局長が最初におっしゃったように、臨調答申に基づいてというのがありまして、地方にも金を持たせる、国だけでなくて地方にもやらせろ、国の金を倹約しろよということが出てきている。それはそのとおりですよ。私は難しい言葉は知らないから、端的にわかりやすく申します、そういうことでしょう。それを受けて制度の改正が行われてきた。だから、直接子供そのものの福祉のために考えられているのではなくて、財源のことに主眼が置かれてきているというふうに思えますね。それだから、今度の改正でこういうことをお決めになったのではないですか。例えば、今回の改正はそういうことを主眼に置いているものだから、児童福祉を低下させてしまっているのですよ、結果的に。そして、児童福祉制度の趣旨に沿わないものをつくってしまった。
 その理由について、政府はこうおっしゃっているんですね。二つ理由を挙げていらっしゃいます。
 政府の理由の一つは、離婚による母子世帯が大変増加した、したがって母子世帯に支給される手当額が非常に増額した、金がかかるようになった、こういうことなんです。厚生省の調査なさったのを拝見いたしましても、確かに五十三年度の調査では六十三万三千七百世帯だったのが、五十八年度の調査では七十一万八千百世帯になって、一三・三%、対象の母子家庭がふえたというふうに数字で示していらっしゃいます。その結果と言ったらいいのでしょうか、給付額が前年度に比べて二百五十六億ふえた。金がかかってくるということが非常にはっきり出されていることは事実でございます。数字で出ているのですから、これは事実ですから、否定はもちろんできません。そういうことがあるということはわかります。それが一つの原因だというふうに政府が言われることもわかります。
 ところが、二つ目の原因です。母子世帯の経済的自立条件が整備されてきたから、こうおっしゃるのですけれども、この点については、私はそうかなと思うのですよ。そのことをどうやって判断なさったのでしょうか。何によって自立条件が整備したとごらんになったのですか。統計的な資料がございましたら見せていただきたいのですが、残念ながらその統計資料はないみたいに思いますが、いかがなんでしょうね。
#22
○小島政府委員 一つには、産業構造の変化等々によりまして女性の職場進出の機会が増大してきている、就労の機会が増大しておるという面があります。ちなみに、現に働いていらっしゃる女子雇用者の数を見ましても、昭和三十七年当時は八百万弱でございましたが、五十八年には千五百万というような形で逐年増加してまいっております。
 また一方、女性、特にお子様のある女性の方々に就労願うためには、お子様の保育の問題が重要な課題になってまいりますが、保育所の整備状況もこの二十年間に倍増をいたしておりますし、現在では保育所入所を希望される方はほとんど受け入れられる、地域的に多少の問題はございますが、むしろゆとりがある程度になってまいりました。
 このような就労のための保育の条件あるいは就労の機会というものを勘案いたしますと、離婚された母子家庭の方々についても職を求め自立できようという条件は、従前と違って相当整備されてきているものと考えております。また、逐次そういう条件が改善されてきているという面があろうと考えている次第でございます。
#23
○金子(み)委員 厚生省の眼鏡がちょっと違うんじゃないでしょうか。眼鏡の度が合ってないんじゃないでしょうか。今のお話は一面ですよね。片一方の面で、母子家庭の母親が就業することのために奨励金を労働省は出しているのですね。ちっとも使われていない。十何%しかない。先般予算委員会のときにそのことを申し上げたのです。労働大臣が、おっしゃるとおりだ、労働省も怠慢のところがあったようだから以後気をつけます、努力しますという御答弁をいただきました。だから、そんなにちゃんとできてないのですよ。
 もう一つ申し上げます。私の眼鏡、違った眼鏡で見ますと、厚生省が調査なさった全国母子世帯の調査があります。あなたのところでなさった調査ですよ。これによって見ますと、母子世帯の昭和五十七年の年間収入は世帯平均で、この世帯人員三・一六人となっていますが、これは死別も離別も含みます、約二百万円。平均収入二百万ですよ。それから一般世帯、これは一般の家ですね、大体世帯人員は同じぐらい、三・四二ですから。その一般家庭は四百四十四万円です。だから約倍ですよ。一般の家庭に比べて母子世帯は半分の収入ですよ、平均して。それでさらに離別母子世帯、これはお父さんのいない離別した母子世帯、この場合は平均百七十七万円ですよ。さらに低いじゃありませんか。これでどうして手当がなくてもやっていける、余裕ができたなんていうことが言えるのでしょうかね。
 二段階に今度なさろうとしておる。私は事務当局からの資料をいただきましたが、百七十一万未満の家庭は全体の世帯の中で八七%もあります。百七十一万から今度切ろうとしていらっしゃる三百万まで、これは一〇%。合わせて九七%ですよ。三百万以上なんというのは三%しかありませんよ。そうすると、九七%といったらほとんど一〇〇%に近いじゃありませんか。ほとんどの家庭がこういう低所得でいるということなんですよ。
 もう一つ資料の数字を申し上げます。東京都の五十九年度の生活保護世帯と比べてみたいと思います。生活保護世帯と比べますと、お母さんが三十歳台で子供が二人、子供の一人は学校へ行っている、こういうような世帯でございますと、生活扶助を受けています。それから教育扶助、住宅扶助、母子加算など合わせて月額十七万九千二百四十円。そうしますと、東京都の場合、年額二百十五万八百八十円、大体二百二十万ぐらいですね、を受けることになるというのです。
 今度の法律案で、今私が数字を申し上げましたとおりですから、離別母子世帯の平均年収が百七十七万、そうすると、今までのように児童扶養手当がいただけます。児童扶養手当を支給されると、年間総収入が二百二十二万六千円ぐらいになるわけです。ちょうど同じぐらいですね。東京都における生活保護世帯が受けるのが総額二百十五万八百八十円、今度児童扶養手当をもらっていく離別母子世帯は二百二十二万六千円、ほとんど同じぐらいです。ですから、児童扶養手当を受けることによって、どうやら生活保護世帯の母子家庭と同じぐらいになっているわけです。やっとそこまで来ているわけですよ。それなのにどうして余裕ができたというふうにお考えになるのですか。その辺がわからないのですが、どういうふうに理解したらいいか、もう一度教えてください。
#24
○小島政府委員 現に母子家庭の所得が低いということは、先生御指摘のとおりでございます。ただ、雇用状況を見ましても、昭和三十七年当時、常用雇用者は働いている母のうちの三四・一%ぐらいでございましたが、現在では常用雇用者が六五・四%と雇用も安定化しつつあるということでございまして、なお一層そういう方面での御努力もお願いしたいし、また労働関係の施策についても、それらの関係の施策が先生まだまだ不十分だという御指摘もありますが、進んでいるという状況でございますので、自助の御努力もお願いしたいということでございます。
#25
○金子(み)委員 就職しているから、就職する率がふえたから生活が安定したというふうに局長はおっしゃるのですが、その人たちはどれぐらい収入があっているのですか。問題は、生活をしていくのに一番必要なことは収入の問題ですよ。収入がどれぐらいあるかということで考えていかなければいけないわけでしょう。それはどうなっているのですか。さっきから局長それを一つもおっしゃらない。何%就職できているから大丈夫だとおっしゃいますが、じゃ、どれぐらい収入がその人たちはふえたのですか。どんな収入で生活しているのですか。それが今私が申し上げた数字よりも多いのだったら、私は話を変えてもいいと思いますが、そんなことないのじゃないですか。これは厚生省のお調べですからね。しかも五十八年ですからね。それよりか新しいのはないでしょう。そこが私は納得できないのです。
#26
○小島政府委員 御指摘のように所得水準が低いということは、繰り返しますが、御指摘のとおりでございます。ただ、御努力によって安定的な就労につけるような条件あるいはまた保育所を利用して就労できるような条件も整備しつつありますので、そういうことを御活用願いながら、今後一層の自助努力もお願いしたいという趣旨でございまして、現在もう十分な収入になっているからというようなことではございません。
#27
○金子(み)委員 私は十分だなんて一遍も言ったことありません。今の制度では、生活保護家庭とやっと同じぐらいになれるところまでくることになっていたのですよ。それを、局長がおっしゃる言葉をそのままいただけば、自立して生活できるような条件が整備されてきたから、今度はこういう制度に直すんだと。直されたら、がたっと落ちますよ、さっき申し上げたように。上がっていないのだから、ゆとりがあるのじゃなくて、やっとの思いで生活保護までたどり着いているのですよ。この人たちが怠けてなんていませんよ。ぎりぎりですよ。自立なんて言われなくたって夢中になって自立している人たちですよ。だから、そんなむごい制度に切りかえる必要がどこにあるのですか。どれぐらい財源を浮かして何かに使おうと考えられたのですか。そこら辺はどうも納得できませんね。
#28
○小島政府委員 先生御指摘のとおり所得が低いという事実がありますので、二人世帯で三百万円までは手当の支給対象にいたしておるわけでございます。そういうことで三百万までの方には今後とも手当を支給しながら、そういう受給されている期間中に、一層の御努力をいただきながら自立に結びつけていただきたいということでございます。したがって、先生御指摘のような世帯については、今後とも支給の対象になっていくわけでございますので、そこには問題はなかろうと考えております。
#29
○金子(み)委員 そこら辺でまた基準がちょっと狂ってくるのですね。問題はなかろうとおっしゃる。私は言葉じりをとらえるつもりはありませんけれども、そんならなぜこんな二段階方式だとか、いろいろなものをお考えになったのですか。そんなことをしなくたって、今までどおりでよかったじゃありませんか。精いっぱいなんだから。これは精いっぱいなんですから、余裕がもう少しできたところでお考えになるのなら私もわかりますよ。だけれども、今私が申し上げたように、収入として考えたら、児童扶養手当をいただくからやっと生活保護と一緒ぐらいだという。生活保護は余裕あるのですか。生活保護世帯のような生活がいいと思っていらっしゃるのでしょうか。とんでもないことですね。だから、そんなんだったら、何もここで制度を変えることはないじゃないですか。
 私はここでもう一つ申し上げたいことがあります。それは、この制度を国会へ提出なさる前に、社会保障制度審議会におかけになりました。これは一週間といえども審議をしておもらいになった。結構だったと思いますが、その答申が出ています。その答申を読みます。「今回の改正が、財政対策にとらわれるあまり、真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように十分配慮されたい。」これをどう理解なさるのですか。社会保障制度審議会は非常に正しく見ています上。非常に的確な答申をお出しになったと私はこれを見て喜んでいるのです。尊重しているのですけれども、これをどうして受けとめなかったのですか。これはこれとして聞きおいたのですか。
#30
○小島政府委員 御指摘の答申は「今回の改正が、財政対策にとらわれるあまり、真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように十分配慮されたい。」御指摘のとおりでございます。
 むしろこういう趣旨に基づきまして、今回の改正につきましては所得の低い方々にはできるだけ多い手当を、それからそういう福祉の措置でございますので、所得に対応して多く刻むのはいかがかということで二段階にいたしまして、比較的低所得者の中でも上位グループにつきましては、従前よりも少し切り詰めた手当を差し上げるという制度に改めたものでございますので、本当に必要なところには手厚く、そうでないところには、という考え方でございまして、答申の趣旨に反するというふうには考えておりません。
#31
○金子(み)委員 いろいろと、ああ言えばこう、こう言えばああと御答弁なさるわけで、それはしようがないのかもしれませんけれども、しかしそうじゃなくて、これだけはっきりわかっているのですから、何もここで無理算段して二段階方式を出してみるとか、あるいは後から出てきますけれども、別れたときの夫の収入が幾ら以上あればだめだとか、そういうことを今ここで決めなければならない理由はないのですね。もっぱら理由は臨調答申の御指示があるからということになるのだと思いますけれども、それでは本当に困っている子供たちが救われることにはならないのですね。だから、おっしゃるとおりごもっともと臨調答申を金科玉条のように仰いで、そして少しでも詰められないか、少しでも詰められないかと頭をひねられた結果、知恵を絞ってこういうことになったんだと思いますが、その結果で泣いている家庭がたくさん出てくるということですよ。この問題をどういうふうに取り上げていただけるのか。
 もともとは子供が成長していくために必要な手当なんで、それは今度改正された意味が、今局長おっしゃったように臨調答申に従ってやったんだ、あるいは制度審議会のおっしゃるようにやったんだというふうに言われますけれども、そういうやり方があるということを初めて私はわかりました。そういうふうにおっしゃられているのだったら、今の制度がどこが悪いか再検討してみて、この制度でいけるというふうにどうして考えられなかったのですか。これ以上さらに無理して改正をして、そしてわずかばかりの、幾らですか、三十四億ですか、それぐらいの財政を浮かせるために無理な制度をおつくりになったとしか考えられないのです。そこら辺は私どもは決して納得できない点なんです。母子家庭の子供たちの成長のことを考えたときに満足できないやり方かんで、これはぜひ考え直しをしていただくことを要求したいのですが、どうですか。
#32
○小島政府委員 これは何も臨調の言うままということでございませんで、貴重な御提言でございますので、それを踏まえまして社会保障制度全体の中での位置づけを再検討した結果、児童扶養手当のあり方としてはかくあるべきであるということで改正案を出したわけでございます。
 福祉全般につきまして、母子保健にしろ要保護児対策にしろ日々逐年新しい施策を充実しております。施策全体として拡充を図ってまいります場合に、制度全体の中でのあり方をそれぞれ見直しまして、改善すべきものは改善し、改めるべきものは改めていきながら社会保障制度全体のバランスのとれた発展を図ってまいらなければならないわけでございますので、その見直した結果、一部の制度につきまして、従前より見方によっては改悪とか、従前もらっていたものがもらえなくなる制度の出ることも、これは制度全体の前進の中での措置でございますので、御理解いただかなければならない問題だろうと考えております。
#33
○金子(み)委員 御理解いただけませんね、残念ながら。それは支給を受けていた人が受けられなくなったということのショックはすごいですよ、それが同時に生活に響くのですから。感情的なショックだけでなくて、それが毎日の生活に響くことになるので非常に問題だと思って私は申し上げているわけです。だから、一口にして言えば、無理して制度を改正することはなかったのじゃないか、こういうふうな段階別なんかつくったり、いろいろと計画なさることはなかったじゃないかということを私は申し上げたい。ですから、この問題についてはそういう私の意見も聞いていただいて、もう一遍考えていただきたいというふうに考えます。
 この問題はそこでとめておきますが、ちょっと余談なんですけれども、私は厚生省から児童扶養手当制度改正案の概要というものをいただきましたら、一番後ろのページに臨時行政調査会の指摘と児童福祉問題懇談会の報告が載っているのですけれども、この中に中央児童福祉審議会の了解を得たことも書いてないし、社会保障制度審議会の答申の要旨も書いてないのです。何で載せなかったのだろうとまた勘ぐりたくなるのです。都合のいいものばかりここに載っているのですよ。都合の悪いものは載ってない。私はその姿勢も大変問題だと思います、おかしいですよ。書くならみんな書けばよかったじゃないですか。
 中央児童福祉審議会には審議でなくて御承諾を得ましたなら得ました、社会保障制度審議会からはこういう答申をいただきましたと、どうして載せなかったのですか、あんなに的確な答申が出ているのに。これは参考資料ですよね。だから、この制度のことを考えるための参考資料なんだから、重要な資料だったと思うのに、なぜその二つは外されたのですか。その姿勢が問題だと私は思うのですけれども、大臣、いかがですか、そういう姿勢なんですよ。大丈夫でしょうか。
#34
○小島政府委員 それを載せなかったのは全く手落ちでございます。お配りしております参考資料には制度審の答申を載せておりますので、そこは全くの手落ちだったということでございます。
#35
○金子(み)委員 それでは時間も進みますので、今度は内容に少し入らせていただきます。
 その一つは、この問題です。今度切られた問題の一つですよ。期間の問題ですね。手当を支給する期間を制限されたという問題なんですが、こういうことを考えていただきたいのです。この手当は、先ほどから何遍もお互いに繰り返してまいりましたが、父親と生計を同じくしていない子供の成長、発達を願って手当を出しているはずです。お母さんが暮らすためにもらったわけじゃない。それから、その子供が生活するだけ、生存できればよいという最低限の生存保障ではない。そのはずですね。というのは、子供たちはこれから次の社会を担う大事な人物ですよ、日本をしょっていく。ですから、ただ生きていればいいというためだけの制度では意味がない、政府としてするのには。政策としては非常にお粗末です、そういうのだったら。
 そうじゃなくて、これから成長していく、社会人となって日本の国をしょっていこうとする子供たちです。ですから、その子供たちには、現在の社会の実態から見れば高等学校教育というのは準義務化してきているでしょう。もう九七%、東京なんか九九ですってね。それほど高等学校教育というのは現在では義務化されて、高校も義務教育にしたらどうだという声すら出てきている今日です。それなのに今度は手当の支給を七年間と切ってしまっています。いつから七年間がということによって問題はケース・バイ・ケースになるということはわかります。だから、ある子供は高等学校に入ってももらえているかもしれません。しかし、ある子供は中卒でぴしっと抑えられちゃう、こういうことになるわけですよ。そこに問題があるんじゃないですか。
 私が申し上げたいのは、ケース・バイ・ケースてもらえる人もあるからいいじゃないかという御答弁は聞きたくありません。そんなことを伺っているんじゃなくて、今の子供たちが、次の二十一世紀で日本をしょっていこうとする人たちに中卒程度の教育でよろしい、しかもそれは離別母子世帯だからその程度でよろしい、もしそういう考え方がそこに流れているんだったらとんでもないと思います。これは大きな差別ですし、とんでもない不公平な取り扱いで、そんなことを考えているんだったら大変だと思いますが、それはどういうことを考えたらいいのですか。
 厚生省が全国調査をなさった、これも厚生省の資料ですよ、五十九年四月の資料で見ますと、この子供たちは、男の子は九七・八%、女の子は九七・七%が高校を希望しています。実態は五〇%しか行ってないのですよ、この家庭の子供たちは。全国的に九十何%というのにこの家庭の子供たちは五〇%くらいしか行ってない。それがこういう要望を出している。これがかなえられるようにすることに児童扶養手当制度の意義があるんじゃないですか。生きてくるんじゃないですか、制度として。それをぜひ私は考えてもらわなければならぬと思いますが、その点は再考する余地は大いにあると思うのですが、どうですか。
#36
○小島政府委員 支給開始から七年間ということにいたしましたのは、決して先生御指摘のように高校は行かなくてもいいというような価値判断のもとではございません。ただ、母子家庭が自立するまでの期間をいろいろな制度の中で見てまいりますと、生活保護を受けている母子世帯を見ましても、これもちょうど子供さんのいらっしゃる三十歳から四十歳くらいまでの間でございますが、生活保護を受けなくてよくなって自立なさるという期間を見ますと、五年くらいで九二・五%、それから七年間では九七%の方が生活保護から脱却して自立なさっている。
 それから母子寮の入居期間を見ましても、五年間で八四%の方がもう退寮なさっている。七年では九三%の方が退寮なさっているということで、七年間程度で大体自立の足固めがおできになるような状態と理解してまいっております。したがいまして、七年間の期間で自立願いたい。
 ちなみに、児童扶養手当の平均的な受給期間を見ましても、六、七年のところで大部分の方が手当の受給が終わっておるということもありますので、そういうことを勘案いたしまして、まあ自立援助に必要な期間を一応七年と考えてこの制度を組んだものでございます。
#37
○金子(み)委員 とても理屈がお上手で負けちゃいますけれどもね。
 私はこういうふうに思うのです。今局長がおっしゃったのは、一つの実態から見てお話しになったのだと思います。ただ、母子寮を出ていった理由がそういう理由がどうかわかりませんよ。何の理由で母子寮を出られたのかというのは、そこまで探索していないと思いますから、果たして局長がおっしゃるような考え方で出ていったのかどうかはわからないと思います。それを基礎に考えられるのは、私は必ずしも正しいとは言えないと思うのです。
 私が考えますのは、高校入学率の全国平均の数に達するまで待っていたらどうですか。そうなった時点で考えられてもいいのではないですか。それだったら高校に入学するということが保障されることになりますから、そこまで見た上で、今度は七年にするなり、あるいは六年にするなりお考えになったらいいと思うのです。そういうふうに考えられてもいいと思いますけれども、今ここで途中の段階で切るのは早過ぎると思うのです。そこまで待った上でごらんになるべきではないでしょうか。本当に温かい心が通った離別母子世帯を援助しようという気持ちがあれば、そこまで考えていいのではないですか。子供が希望しているのですから、その希望が満たされる段階に至ったところで、もうよかろうということで切られることは私はいいと思うのです。少し早過ぎると思うのです。それは考えられませんか。
#38
○小島政府委員 母子世帯の子女の高校進学率が低いという事実は、先生御指摘のとおりでございます。ただ、その事由につきましては必ずしも明確にいたしておりませんので、経済的な理由のある場合、その他もろもろの理由がある場合があろうかと思います。今回の措置にとりましても、一応七年間の自立のための必要期間と考えておりますが、なおこの手当を七年で切られた後、進学等々のために資金が必要だという場合には母子福祉資金の中で今回扶養手当額と同額のような無利子の貸付制度を新たに設けることにいたしまして、進学の便宜を図ってまいりたいと考えている次第で、ございます。
#39
○金子(み)委員 この議論は、考え方の基盤が違うものですから一本になりませんね。だから、私は、今からまた申し上げても同じような御答弁が返ると思いますから申し上げませんが、それぐらいの考え方で児童福祉を担当する行政庁は考えていくべきではないかと思います。世間の人たちは、厚生省というのは国民の生活を守ってくれるところだというふうにしか考えていませんよ。そういうことを考えている国民の期待を裏切らないように、この点は私は強く申し入れをしておきますから、考えていただきたいと思います。
 そこで、大臣にお尋ねが一つございます。今度の改正の要点の目的というのを拝見しますと、「父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、」これは「ため」なんですよ。手当を出す「ため」の対象が現在の制度と違ってきたのです。現在は子供のためなんです。ところが今度は子供のためでなくて「家庭生活の安定と自立の促進に寄与するため」ということになっている。大分目的が違ってきています。言葉をかえて申し上げれば、本来的には権利者は児童だったのです。ところが、それが押しのけられて家庭になったのです。児童から家庭に変更した。
 だから、このことは先ほども申し上げましたが、子供の成長発達権というものを無視して、単なる生活救済、貧困家庭と言っていいかどうかわかりませんが、生活救済制度に変えてしまったということだと思うのです。児童扶養手当制度の特徴がなくなったのですよ。大変残念だと思います。だから、今度の制度改正は単なる制度の後退ではなくて、抜本的な改悪だというふうに考える。将来性のある子供が将来有意義な人間になるための育成のために手当が出るのじゃなくて、その家庭に出てきたのです。家庭を自立させるために、こういう言い方に変わってきているのですが、精神はどう変わったのでしょうか。法律の上ではそう読めるのですが、大臣、どういうふうにお考えになってこの法律でよろしいとお思いになったのでしょうか。
#40
○小島政府委員 これはあくまでも児童の福祉の増進という目的には変わりございません。ただ、母子福祉年金にいたしましても、父を失ったことによる家計の破綻の防止に寄与しようとする制度でございます。それを通して児童の福祉を増進しよう、家計が破綻したことによる児童の福祉の後退、健やかな育成の後退を防止しようとする趣旨でございますので、あくまでも母子家庭ということに着目いたしましてそこに手当を出す、それは、児童の育成をねらいとする趣旨には変わりないところでございます。
 したがってここではこの手当を出す期間を七年間としましたという趣旨も含めまして、こういう手当を一定期間出しますので、その間に生活の安定と自立を図って、今後とも児童の福祉に問題のないような生計を立てていただきたい、こういう趣旨を含めたものでございますが、あくまでもこれは児童のための手当であることには変わりございません。
#41
○金子(み)委員 大臣、お考えいかがですか。
#42
○増岡国務大臣 児童が対象であることは今局長が申しましたとおりでございます。現行も改正も、その児童につきまして父と生計を同じくしていない、こういう条件が付せられておるわけでございますけれども、支給対象は児童であることには間違い、ございません。
#43
○金子(み)委員 それだったら何も変えることはないですよ。前のとおりでいいじゃないですか。家庭の生活の安定と自立をするということは何も一々法律で決めなくても、そういうことを望みながら生活している家庭なんですからね。そのために子供を助けてもらっているわけでしょう。従来子供のために手当をいただいていたわけです。だから、何もわざわざこういうふうに書かなくたって、そのままでいいじゃないですか。
 こういうふうに書きますと、先ほど私が申し上げたように、目的の方角が違ってきたととれるのですよ。そこへ重点がかかったと読めるわけです。だから、子供のための手当、制度ではなくて、家庭の生活の安定と自立を促進するためにというふうになっている。ためにと書いてある。だから、それが目的、対象になっている。だから、方針が変わってきたなと読めるわけなんです。それは間違いです、そう読んでくれては困りますとおっしゃるのだったら、この一条のところをこういうふうにお書きにならなければいいのです。こんなふうに書かないで、今までどおりで私はよかったと思うのです。それで十分行けているじゃないですか、行政指導もやっているんだし。私は、こんなになぜわざわざ法律改正をなさったのか非常に疑問なんです。そこには、見えない意図があらわれているんです。白紙で読めば、どうしてもそういうふうにとれてしまいますよ。
#44
○小島政府委員 ここにもございますように、究極の目的は児童の福祉の増進ということは一向変わっておりません。ただ、これは福祉の措置として体系を整備する、そういう観点から、お子様のためではございますが、母子家庭の生活が安定し、自立の促進ができるまでの援助措置であるということを明確にするために目的にもそういう文言を盛り込んだわけでございます。
#45
○金子(み)委員 切りがありませんからやめますけれども、それなら現在の制度をそのままにしておけばいいのですよ。局長のおっしゃるとおりです。「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるもの」である、これでいいじゃないですか。なぜ変えるのですか。そこが、私は変えられた趣旨がおかしいじゃないかと申し上げているわけです。そうでない、同じなんだとおっしゃるのですが、同じならば、何も変える必要はなかったのです。だけれども変えられたのは、同じでないから変えたんでしょう。それはそうじゃないんですか、率直におっしゃってください。
#46
○小島政府委員 それは、毎々申し上げておりますように、いわゆる母子福祉年金の補完的な措置としての児童扶養手当制度から、社会保障体系の中でもう一回見直し、母子家庭の自立促進を通して児童の健やかな育成を図ってまいろうとする福祉の措置に改めたことを明確にするために目的規定にもこういう文言を挿入したということでございます。
#47
○金子(み)委員 いや、もうそれを伺ってもだめです、それではちっとも理由にならないから。
 ですから、児童扶養手当制度を無理して無理して改正しているという感じがあっちこっちに出てくるんですよ。そんなに無理して改正しなくたっていいのにと私ども思います。そんなにしなくたってよかったのに。
 そこで、その無理した一つをお尋ねしたい。事務局にお尋ねします。
 お願いしておきましたが、数字は出ましたかしら、六十年度末には全母子世帯の何%ぐらいの人たちが今度の改正によって従来よりもマイナスになるかという数字。六十年度と切ってくだされば計算しますとおっしゃってくださったからお願いしたのですが、数字は出ましたか。
#48
○小島政府委員 今度の改正措置は新規認定分から適用されるものが大部分でございます。従前の方に適用されるものは、所得制限の改正規定は従前の方にも適用になりますが、この方々につきましても、新たな所得制限により支給が打ち切られるという方につきましても、一年間に限っては経過措置といたしまして、低い方の二万二千円の手当でございますが、一年間に限って従前受けておる方々は所得制限によって不支給にしないような措置をとっておりますので、これによる数字の変更はございません。
 それから、父の所得による所得制限について厳密な試算は困難でございますが、離婚家庭と一般家庭の所得分布がほぼ同じだったというふうに仮定して考えますと、六十年度の対象世帯、父の所得制限のために申請を受け付けられないという方々は千二百世帯程度だと考えております。
 それから、いわゆる生活の激変がないということで今回対象になりませんいわゆる未婚の母子世帯につきましては、大体毎月三百件程度か、こういうふうに推計いたしておりますので、六十年度の対象世帯は九百世帯程度になろうか、こう考えております。
#49
○金子(み)委員 これに時間をかけたくないのですが、今の未婚の母の場合、いただいた資料では、未婚の母は受給者三万六千人となっているのですね。これは全部そのままその数字をとっていいのですね。
#50
○小島政府委員 そのとおりでございますが、従前認定を受けられた未婚の母の方々は今後も引き続き支給の対象になりますので、新たな認定分からの問題が残るだけで。ございます。
#51
○金子(み)委員 ここら辺の数字をきちっと出していただいて、この問題はまたやりたいと思います。今、数字がしっかりしていないものですから、私の方もやりにくいですので、これはちょっとペンディングにしておきまして、同じ所得制限の問題で、所得制限と申しますか、今度の改正点でもう一つお尋ねしておきたいものがあります。
 それは、離婚したときに父の所得が六百万円以上というのがありますね、その人たちは外すよというお話です。
 それで、この問題なんですけれども、私が伺いたいと思いますのは、六百万円以上の収入が別れた夫にあるということがどうしてわかるのかということが一つですね。そうだった場合には、扶養の養育費と申しますか、別れた子供の養育費を果たして必ず払ってくれるというふうに考えた上でなさったことなんでしょうか。養育費の支払い方が悪いというのは厚生省のお調べにも出ていますよ。物すごく悪いですよ。時間がありませんから飛ばしまして結論だけですけれども、大体、家庭裁判所で調停または審判により離婚が成立したケースについて見ても、養育費の取り決めがあったものは六五%しかないのですね。
 結局、いろいろいろいろと裁判所に行ったりなんかしてやりましても、養育料の支払いが合意されて履行について裁判所が関与しているものでさえ、約三分の一はだめだというのですよ。支払われていない、それが現状なんですね。
 細かく言えばもっと悪い数字が出てくるのですよ。現在受けているものが一一・三%しかない。過去に受けたことがあるという人が一〇・一%しかない。受けたことがないのが七八・六%、こんな数字が出ている。これは厚生省の調査です。
 だから、養育費なんというものは、支払うようになっていてもおよそ支払われていないということが常識みたいになっていますね。これは皆さん、局長さんも御存じだと思いますが、そういうときに、六百万円以上の収入があったから支払うであろうと考えられたのですかね、何を根拠に考えられたのかわかりません。何も支払うという保証はないでしょう。人のことですよね。保証がない。多分支払うであろうと見込んでいらっしゃったんじゃないのですか。期待もされたと思いますけれども、そういうことでこの制度を変えようという、私は、そんな不確実なことで制度を改正されたんじゃかなわないと思うのですよ。
 これは、確実に六百万円以上を持っている人だったならば養育費は支払うというはっきりした証拠と申しますか、保証があった上でこういうふうに制度を変えられるのなら話はわかりますよ。だけれども、そうではなくて見込みで、ひどいじゃありませんか、そんな不確実なことで法律を変えるなんてとんでもないと思うのですけれども、それはどうなんですか。
#52
○小島政府委員 離婚家庭の父の扶養義務が十分果たされてないという実態は、先生御指摘のとおりでございます。
 ただ、ここで考えましたのは、一つは、離婚いたしましても父は父でございますし、依然として本来、民法上の扶養責任がありますし、扶養義務があるわけでございます。相当程度の高い所得のある父まで、別れたらもう子供について知らぬ顔をして、あと公費によってその手当の支給にまつということについては、これはいかがであろうかという認識のもとに、一応所得の十分位法で見ましても最高の階層に属するいわゆる六百万以上の所得のある父親につきましては、別れてもその扶養義務を十分果たしてほしい、またそういう父親については、別れた母も子供のために子供の養育費を請求願いたいという気持でこういう制度を組み込んだわけでございます。まず公的な援助よりも私的な扶養義務をやはり果たして、それで足りない場合に公が乗り出すというのが本来のこういう福祉のあり方ではなかろうか、こういう見方でございます。
#53
○金子(み)委員 わかりますよ。その気持ちはわかりますよ。それは公的よりも私的で生活する方が望ましいことは百も承知です。だから一生懸命にやっているのですよ、苦しいけれども。
 だけれども、六百万円以上あれば必ず払うであろうということを考えてやったんだとおっしゃるけれども、これはひど過ぎますよ。こんな不確実なことを基盤にして法律をいじるなんというのはとんでもない、法律づくりの遊びみたいになってしまいますよ、失礼なことを申し上げれば。こんなことでいいんでしょうか。この点は大臣にもぜひ私は御意見をいただきたい。そんなことで法律を改正していいんでしょうか。それをひとつ伺わせてください。
#54
○増岡国務大臣 私は、父親の方にも扶養の義務があると思っております。したがいまして、私どもが制度をつくります際に、そのことは伏せておくわけにはいかないと思います。もともと父親の方がずるいわけでございますから、私どもとしてはまず父親が支払うべきだというふうに考えます。そういう法体系の中では、やはりこの項目を入れざるを得ないというのが実情であろうと思います。
#55
○金子(み)委員 大臣のおっしゃることはわかります。私もそう思います。それなら、なぜ父親がちゃんと払うということを確約できるような制度になさらないのですか。それは児童福祉手当制度の中でだって入れられないことはないと思うのです。それをちゃんとなさった上でだったらこの法律改正はいいと思いますよ。だけれども、その制度をつくらないでいて、多分払うであろう、払わせたい、その気持ちだけで改正するなんというのは私はおかしい。そんな法律の改正の仕方というのはないと思いますよ。法律を担当する役所としてはちょっと無責任過ぎるのじゃないでしょうか。
 このことは、今申し上げてもいいお返事が出てくると思いませんから、私は申し上げることだけにとどめておきますけれども、それはぜひやるように考えられなければ、とてもじゃないけれどもかないません。とても従来よりもよく支払われるようになるなんということは考えられませんね。何かの方法でこのことは考えていただきたいというふうに考えます。それに関連したような答申が社会保障制度審議会からも出ているじゃありませんか。だから、あの答申を受けて、何かひとつ急いで考えていただきたい。これは申し入れにしておきます。
 それから、あともう時間もなくなりましたので、一つだけこの前、予算委員会のときに、私は未婚の母の問題だけを取り上げて御質問いたしました。私は一つだけ申し上げます。いろいろ申しませんが、そのときに最後に大臣がこういうふうにおっしゃいました。「御指摘のような御趣旨につきましてはごもっともなことでございますから、今後の施策の上には十分反映をさせていただきたい、そういうふうに考えております。」というふうな御答弁がございましたので、今後の施策にどういうふうに反映させようと考えていらっしゃるのか。もしまだ考えていらっしゃるのだったら急いでいただきたいのですが、もしお考えがあるのだったら一言お聞かせいただきたい。
#56
○増岡国務大臣 その際、現在御審議いただいております児童扶養手当法案の中身に触れることは御容赦願いたいという前提でした。したがいまして、その後、いかなる手当てがいかなる制度のもとで行われるかということは列挙いたしておりますけれども、その中でどれだけ的確に実行できるかということは今後の検討にしてまいりたいというふうに思っております。
#57
○金子(み)委員 では、それは急いでいただきたいと思います。
 それからもう一つ、もう時間がありませんからこれは御答弁は結構でございます。私が申し上げるだけ申し上げますので、しっかり聞いていただきたいと思います。
 それは何かと申しましたら、児童扶養手当法の関係ではなくて、先般の予算委員会のときに質疑をいたしました内容でございます。これは共働きの夫婦が子供を健康保険のどちらの被保険者の扶養家族にするかという問題でございます。その問題について私が質疑をいたしましたときに、もちろん結論は出ていないのですけれども、その後この社会労働委員会で森井議員が同じ問題で質疑をなさっていらっしゃる。そのときの大臣の御答弁を拝見しますと、「所得の比較によって多い方に扶養家族をつけるということが、事務的には、あるいは社会通念からも認められるところではないかというふうに思います。」こういうふうにおっしゃっているわけなんで、私はこれについて一言申し上げておきたいと思います。
 そのときのことを覚えておいでになるかと思いますが、夫か妻がどちらの扶養家族にするかということがその家庭の中で決める問題であって、どちらにするかということに国が介入する必要はない、介入するのは行き過ぎじゃないかというふうに私は申し上げたわけでございます。そういう問題で、今ここで、所得の多い方にしたらいいというふうなお考えを政府側はお持ちのようでございますけれども、これまた結局、結果的には夫に帰ってきちゃうんですね。というのは、今の所得のあり方から申しましたら、男女の比較で申しますから夫、妻の比較ということに結果的になるかと思いますけれども、女性の収入は平均して男性の五三%にしかなりません。そうしますと、一般的に言って、一家の中では男性である夫の方が収入が高いというケースが多いと思いますね。こういうふうにお考えになれば、また夫のところへ戻っちゃうわけですよね。結局、夫ということになるので、夫と言わないだけの問題であって、結果的には同じことをしたんだということになりますので、私は納得できないと思うのです。
 例えば妻の方が多い家庭の場合がありますが、これは妻の方につくでしょう。そうでなくて、私の言いたいのは、一家の中の家計というのは、収入の多い方のその収入で賄われているかどうかというのはわからないのですよ。多い収入があったら、それは将来の計画のためにどこかへ貯蓄しているかもしれないし、何かに使っているかもしれない。それで、収入の少ない方の母親なら母親の収入で家計は賄っているのかもしれない。そういう家庭だってあるわけですよ。だから、一家の家の中のお金の使い方というのはいろいろな形があると思います。だから、やっぱり多い方にしたらいいというふうに端的に決めない方がいいと思うのです。決めつけない方がいいと思う。それは常識的にそうなるのかもしれないけれども、しかし政府がそこまで決めつける必要はないと思うのです。だから、私は選択にするべきじゃないか、その方が自然だと言っている。
 そうしましたら政府側は、健康保険法の一条にこういうことが書いてあると言うのでございます。確かに健康保険法の一条に主たる生計を営む者と書いてある。それは私もわかります。ですから、もしどうしても役所としてこれを生かさなければいけないのであるならば、私は所得の多い方の扶養家族にすることが望ましいとでもなさればいいと思うのです。いわばこれは課長通達ですからね。健康保険法の説明をした課長通達なんですね。それをほかのいろんな制度に当てはめていこうというわけでしょう。ですから、そういうことであるならば、そういう幅の広い指導というものもなさるべきではないかと思いますから、そういうふうに考えられるということもぜひ考えていただきたい。私は、所得の多い方になんということを通達の中で明言して政府が介入するなんということは絶対ないようにしていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#58
○戸井田委員長 竹村泰子君。
#59
○竹村委員 児童扶養手当改正案を出しておられるわけですけれども、これはまれに見る悪法中の悪法ですね。離別母子のお母さんたち、それを支援する人たちがそう思うのはもちろんのことですけれども、法律の専門家から、日本弁護士会や、それから東京弁護士会の法律家からも激しい反対や抗議が出ております。また、初めは余り関心を持っていなかった人たちも、この政府案の内容を知りまして、恥ずかしげもなくよくこんなものを出してこられたものだとあきれ返っている内容であります。許さるべきことではないと思います。
 この改正の背景となりましたものは、今金子議員の御質問にもありましたけれども、法案は、第二次臨時行政調査会の答申を受けて厚生大臣の私的諮問機関として設けられた児童福祉問題懇談会の報告を受けて厚生省が立案したものですね。社会保障制度審議会や中央児童福祉審議会などの公的審議機関で検討されないで出されたものですけれども、その後社会保障制度審議会に対する諮問は、児童福祉問題懇談会の報告が出た後、昭和五十九年二月十日、しかも一週間後の二月十七日には答申をさせるという、こういう全く形式的なものであったわけです。このようにして、法案は本来の手順的なものを全く無視して立案されたわけです。
 それは、社会保障政策上の位置づけがどうあるべきかを改めて論議するのではなく、費用の削減を実現するためにはどうすればいいか、弱いところ、切り捨てやすいところを切っていこう、こういう検討課題として改正を急いだとしか思えません。このような立法手続は近来割と行革法案においてはあるわけですけれども、公的な審議機関、ひいては国会までを形骸化するものであると私は思います。
 そういうことから、現行法では、国はこのような児童を助けるべきだということで児童扶養手当を出しておられる。それは「父母が婚姻を解消した児童」「父が死亡した児童」「父が障害の状態にある児童」「父の生死が明らかでない児童」「その他前名号に準ずる状態にある児童で政令で定めるもの」となっております。
 そして、その児童扶養手当法の施行令、政令というのは、「父が引き続き一年以上遺棄している児童」「父が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童」、そして「母が婚姻によらないで懐胎した児童(父から認知された児童を除く。)」こういうふうになっておりますね。
 ところが、改正案では「父が引き続き一年以上遺棄している児童」「拘禁されている児童」はそのままですが、その後「父及び母が共にない児童一文がなく、かつ、母が法令により引き続き一年以上拘禁されている児童を含む。一の養育者に対し」となっているわけですね。こういうすりかえが行われているわけなんですけれども、その辺のことはどう思われますか。
#60
○小島政府委員 まず最初に審議会問題でございますが、これは金子先生にも御答弁申し上げたとおりでございまして、社会保障制度審議会につきましては正規の諮問を申し上げ、御答申をいただいておりますので、決してそういう軽視という問題ではないと思います。また、中央児童福祉審議会につきましても、一応御報告申し、経緯を御説明申し上げ、御了承を得ているという経緯でございます。
 現在、支給対象児童を変える改正についてのお尋ねでございますが、先ほど来金子先生にも御説明申し上げましたが、今回の改正が社会保障制度全般の中でのこの児童扶養手当制度のあり方というものを見直しまして、その結果、従前の児童扶養手当と異なりまして、母子福祉年金制度の補完的制度というものから母子家庭の自立の促進を通じて児童の福祉を保ってまいろうという制度に改めたことに伴いまして、対象児童というものをそういう立場からもう一度見直しを行ったわけでございます。したがって、今回、手当の支給ということは、これは年金もそうでございますが、離婚等によります残された母子の生活の激変というものを緩和する、それにつきまして、それらの方々が自立できるまでの間の児童のための援助措置としよう、こういう改正を行ったわけでございます。
 そういたしますと、今先生御指摘なさいましたいわゆる未婚の母につきましては、その離婚等による生活の激変という事態がございませんので、こういう制度対象を拾った結果、その対象にならなかったということで、結果的に落ちるということになったわけで、ございます。
#61
○竹村委員 どうもよくわかりませんけれども、政府は改正の理由として、離婚による母子世帯が増加し、現在の財政状況のもとでは従来の形で制度を維持できない、母子世帯の経済的な自立条件が格段に整備されたことを挙げて、真に困っている母子世帯のために合理化、適正化を図ったとされておりますね。離別母子世帯の経済的な事情が、児童扶養手当がなくてもやっていけるほど本当に水準が向上していることを示す統計資料は全くないわけですね。
 厚生省の調査、昨年の四月に出されました「全国母子世帯等調査結果の概要」、これを見ましても、昭和五十七年の母子世帯の年間収入を見ますと世帯平均二百万円であり、これは一般世帯の四百四十四万円の半分以下であるわけです。収入階級別にその累積分布を見ますと、百万円未満が二一・五%、二百万円未満が五八・〇%という数字を示しています。三百万円未満が八一・一%、また死別の母子家庭では平均収入は二百四十万円、離別母子の世帯より少し高いですけれども、二百四十万円。そういう統計を出しておられるわけですね。
 その中で、どうして経済的な自立が非常に容易になったとか、格段に整備されたとかということが言えるのか、普通の一般世帯の年収に比べて極めて低い水準にあるわけです。また、仮に政府が言うようにその経済的な自立の条件が整備されているというのであれば、離婚の増加にもかかわらず児童扶養手当の受給件数が減少していって、文字どおりこの制度を不要とする実態が生じるはずですね。
 問答集というのを出しておられますね、同じく五十九年四月に。この中にもこの「改正をしなければならない理由は何か。」というところがございます。この中にもやはり同じように「離婚による母子世帯の増加等、制度発足後今日までの母子世帯の実態や」「離別世帯が母子世帯の大半を占めて」いること、それから「ここ二十年間の経済の高度成長と各種対策の充実により、婦人の就労機会も増え、また、保育所も整備され、母子世帯が経済的に自立できる条件はかってに比べて格段に整備されています。」こうお書きになっているわけですね。
 私、ここに一つ、ある方の、川崎市のある女性の家計簿を持っております。ちょっとこの方のことを御紹介しますと、
  離別して八年近くなるというのに、毎月給料ま近になるとお金がなく(はずかしい話ですが、何十円とかの場合もある)そうすると子供は「貧乏ってやだね」とか言います。私自身はそれぐらいの事は覚悟の上のことですから、厳しいなとは感じても貧乏という意識はなかったのに子のことばにハッとしたりします。
 「食費」は夕食代だけで、朝食は親子共とりません。唯一の栄養源は学校の給食、私は昼のサンドイッチです。川崎市は中学の給食がないとのことで今から不安です。
そのようなことがいろいろ書かれているわけですね。医療補助とか東京都のような現金支給とか、そのようなこともないので非常に不安ですと言っておられるわけです。
 この方は、収入は、一九八四年度、年収が百四十四万四千二百七十五円であります。支出の方が、ある月ですけれども、家賃が三万二千円、食費が昼食費も外食費も全部入れて二万八千二百七円、水道光熱費が三千百三十六円、通信費が三千四百九十円、新聞代二千六百円、学童保育費が千九百五十円、おふる代が四千六百八十円、医療費が二千七百五十円、生命保険料九千七百円、国民健康保険二千百七十円、国民年金六千六百二十円と、こういうふうにずっとなっておりまして、支出の計が十一万六千二百四十七円です。年収百四十四万の家庭で月にこれだけかかるんです。母子家庭がなぜそんなに整備されて暮らしやすくなっているとおっしゃるか、私は非常に不思議に思います。
 そこで、私は労働省にお聞きしたいのですが、「母子家庭が自立していくための環境」特に「婦人の就労機会の増大、保育所の整備、貸付金制度の拡充等、大幅に改善されている。」果たして労働省もそう見ておられるのですか。特定求職者雇用開発助成金というのがありますね。これは特定の人を雇うと賃金の四分の一あるいは三分の一を助成する。これはたしか寡婦も入っていると思いますけれども、ほかにも入っている方がありますか。そして大体どのくらいの人数の方が助成されておりますでしょうか。
#62
○鹿野説明員 ただいま先生から御指摘ございました私どもの制度の中に特定求職者雇用開発助成金制度というのがございます。この制度は、母子家庭の母等として寡婦を含めた母子家庭の方たちが対象になっておるわけでございます。この母子家庭の母等にこの制度を適用いたしましたのは五十六年の六月からでございますが、最近、五十六年以降四年間の実績値は、ちょっと対象人員と支給実績額を申し上げますと、五十六年が五百四十七人で九千三百万円になっております。五十七年は六千二百三十九人で十一億七千万になっております。それから五十八年は八千二百六十三人で十五億九千万になっております。それから五十九年度につきましては、六十年の一月末までの数字でございますが、八千三百六十四人で十六億三千万円程度になっておるわけでございまして、この制度が適用されてから以降年々支給実績が徐々に伸びております。
#63
○竹村委員 それは寡婦及び身障の方も入っているわけですか。
#64
○鹿野説明員 ただいま申し上げました数字は母子家庭の母等についての数字でございます。
#65
○竹村委員 先日の予算委員会で金子議員の質問に対して、六十年度の予算額を、この特定求職者雇用開発助成金を十億円以上削られたその理由について、野見山政府委員は支給実績との乖離を挙げておられますね。この制度に対するPRが足りなかったことも反省しておられる。これ、十分に知らされていないんですよ。こんな特定求職者雇用開発助成金という難しい名前では何が何だかわからないのですね。これはどうしてもっとわかりやすい名前にできないのですか。PRが足りないと反省されるならやはり具体策を考えていただきたい。
 母子家庭のお母さんを雇ったら賃金の四分の一か三分の一を助成してあげますよ、だからお母さんたちを雇ってください、どうしてそういうふうに易しくわかりやすく言っていただけないのでしょうか。これは使われると困るからわざとわかりにくい言葉を使っているのですか。名称を変えたらどうですか。例えば母子家庭求職者雇用助成金とか、そんなふうに少し具体的な策を考えてみていただきたいと思いますが、どうですか。
#66
○鹿野説明員 労働省におきます就職援護対策としての助成金制度というのはかなり多数いろんなものがあるわけでございます。いろんな種類があるために非常に複雑でなかなかPRしにくい、そしてまた使いにくいという面がございましたので、五十六年度におきましていろんな制度を大きくまとめまして特定求職者雇用開発助成金制度という形にしまして、先ほど先生から御指摘ございましたように、身体障害者であるとかあるいは高年齢者であるとか、多くの就職援護を必要とする方々を同じような援護制度の中でまとめて、そしてわかりやすく使いやすくしようとしたわけでございます。
 確かに、その結果が、母子家庭の母等についてだけ見ますと、一つの制度の中にいろんな対象者があるものですからなかなかわかりにくい面があるかと思います。そういう面で、私ども、これから母子家庭の母等について就職あっせんする場合には当然先生御指摘のような形で御説明申し上げておるわけでございますけれども、より広く社会あるいはまた産業界の方にも理解をいただくようなPRの方法については検討してみたいと思います。
#67
○竹村委員 女性の就労機会がふえているということについても、不安定なパート労働が増加しているだけでして、賃金も極めて低いわけですよね。それはもう労働省よくわかっていらっしゃるはずです。一時間平均五百六十円、最低賃金、その辺のところですね。そして、パートで三時間か四時間働いて、子供を抱えてはちゃんとした就職ができない、そういうお母さんたちが社会の谷間であえいでおられる。この事実を労働省はどう見られますか。就職機会、就労機会が非常にふえている、だから児童扶養手当はなくてもいいのだというふうに見られているのか。そうでないならば、厚生省に対してもっとはっきり文句を言ってくださいよ。どうですか。
#68
○藤井説明員 お答え申し上げます。
 まず女子雇用者一般について申し上げますと、御承知のごとく年々増加しておるわけでございます。総務庁の労働力調査によりますと、昭和五十九年の非農林業女子雇用者数は千四百八十四万人に上っておるわけでございます。これを五十五年に比べますと百六十一万人増加しております。また、このうち短時間雇用者数、これは週間の労働時間が三十五時間未満という方について見ますと七十二万人増加しておるわけでございます。その結果、一般の女子労働者はこの百六十一万人から七十二万人引きました八十九万人の増加となっておるわけでございまして、短時間雇用者と一般の女子労働者の増加数で見ますと、短時間雇用者の方もふえておりますが、一般の女子労働者の増加数が多く狂っているということでございます。
 先ほど先生が母子家庭の就業の実態につきましてお触れになりましたけれども、その実態を見てみますと、常用雇用者数というのが六、五・四%、これは全国母子世帯等の実態調査ということでございますが、それで常用雇用者数が六五・四%ということになっておりまして、先ほど先生が申されましたように年間の所得は二百万円ということで、先ほど御指摘のように一般世帯に比べましては低くなっておるということでございます。
 このことにつきまして、母子家庭の母等の収入が十分でない背景といたしましては、保育等家庭生活上の制約があるということとか、家庭の主婦でございまして職業経験が乏しく技能が十分でないこと等があると考えられるわけでございます。したがいまして、労働省におきましては、母子家庭の母等がその適性、能力等にふさわしい職業につき、より安定した雇用とより高い収入が得られるような適切な職業相談体制の強化、職業訓練及び就職援護措置の実施等に努めてまいりたいと思っているわけでございます。
#69
○竹村委員 社会保障制度は予算を伴うものであります以上、国家財政の事情によって影響を受けることは否定できないと思いますけれども、児童扶養手当の支給水準をどこに決めるか、それはこのような事実を抜きにして費用の削減を図るのみでは、まさに財政的理由からの福祉切り捨てとしか言いようがない。これはお出しになったけれども、大臣、いかがですか、非常に問題点が多い悪法中の悪法であった、潔く引っ込めましょう、こういうことにはならないですか。反省しておられますか。どうですか。
#70
○増岡国務大臣 目下の厳しい財政状況のもとでは、先ほど先生もお触れになりましたように、社会福祉制度といえども財政上の面を一顧だにしないというわけにはまいらないと思いますので、この厳しい事情のもとでは現在考えられる唯一の案だというふうに思っております。
#71
○竹村委員 いたし方はない、引っ込める気はもちろんないし、悪いとも思っておらぬということですか。
#72
○増岡国務大臣 そのとおりで、ございます。
#73
○竹村委員 こういうことですから困るのですね。こういう厚生省の基本的な理念でありますから、困るのです。
 児童扶養手当法、先ほど金子議員も触れられましたけれども、これは国民年金法によって死別母子世帯に母子福祉年金が支給されるようになったことに続き、手当支給の必要があるものとして昭和三十六年に制定されたものです。「父母の離婚後父と生計を異にしている児童、父と死別した児童、父が廃疾である児童等については、社会的経済的に多くの困難があり、これらの児童を育てる家庭の所得水準は一般的にいって低い場合が多く、児童の扶養の資に困難を見る事例が見られるのであります。政府といたしましては、」「社会保障制度の一環として母子家庭の児童及びこれに準ずる状態にある児童について一定の手当を支給する制度を設け、これによって児童の福祉の増進をはかりたい」、これは昭和三十六年、社会労働委員会議録からですけれども、この精神は今回大幅にすりかえられておりますね。
 それは、先ほども出ておりましたが、第一条「この法律は、国が、父と生計を同じくしていない児童について児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図る」、そして第二条では「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給される」と規定されていますね。ところが、改正案では、目的を「この法律は、父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、」これは、従来は児童が健やかに成長する権利の保障としてとられていた制度を、不安定で自立できていない母子家庭への恩恵的な、あるいは救貧的な福祉制度へと法の性格を変えようとするものです。
 変える必要はないじゃないですかと先ほども金子議員が聞いておられましたけれども、この目的の変更は非常に大きな問題であります。これは法律家が皆指摘しているところでございます。これは児童扶養手当制度が子供の成長発達権を保障するためのものであることを無視して、最低基準の生活保障制度に変更しようとしているわけですね。この点を厚生省はどう考えられますか。
#74
○小島政府委員 最低生活の保障としては生活保護法があります。それとは別個の制度として組み立てておる制度でございまして、最低生活の保障は専ら生活保護法の所管事項でございます。
 今回の制度を見直した理由につきましては、提案理由の際にも御説明申し上げたことでございますが、逐年給付費が増大しているという事実が一方にございます。また、一方では本来これが補完していた制度である母子福祉年金制度というものがなくなるというような事態も出てまいっております。
 したがいまして、母子家庭に対するこういう児童扶養手当は、給付制度としては今後一体どうあるべきかということにつきまして社会保障全般の中での見直しを行った結果、従来の性格を変えまして、母子家庭が離婚等による生活の激変を来した場合に、その激変を緩和し、同時に、その間の自立までの必要な期間を援助をする、それを通して自立を促進し、また児童の健やかな成長を目的とするという制度に組みかえたわけでございまして、この制度のみで見ますれば、御指摘のように従前の制度を一部切り捨てたのではなかろうかと御批判の出るところ、もっともだと思います。ただ、全般的な社会保障制度全体の今後の組み立て方の中で、やはりいろいろな行政需要が逐年増大してまいっておりますので、母子家庭に対するこういう措置につきましても、今後の社会保障制度のあり方といたしまして、改革できるものは改革し、それらの財源を社会保障制度全般の中で有効に活用してまいりたい、こう考えておる趣旨でございます。
 したがいまして、先生御指摘の最低生活の保障はあくまでも生活保護になりますが、それと別に母子家庭というものに着目した制度でございまして、単に経済的な状態で見ますれば、父と一緒の家庭でももっと生活程度の悪いものもありましたり、一般家庭でも生活レベルの低いところもあります。本当に児童のためだったら、なぜそういうところに出さぬかという御批判もいろいろ出るところでございますが、母子家庭は一般的に社会的に弱い立場にあるという認識のもとに、自立されるまでの期間を、十分ではないかもしれませんが、助成する措置を講ずることによって母子家庭の児童の福祉が損なわれることがないような措置を考えてまいりたいというのが今回の改正の趣旨でございます。
#75
○竹村委員 その点は先ほどから聞いておりますし、ここで今幾ら追及いたしましてもそれ以上のお答えは出てこないと思いますので、次に移りますけれども、非常に大きな問題であり、だれもが、これはおかしい、ここのところはどんなことがあっても許すわけにはいかないと思っている大きな問題点であることをどうぞ覚えておいてください。
 次、支給期間の短縮に移ります。
 現在、全国平均高校進学率が九四・三%ということですね。これは憲法に保障された教育を受ける権利を阻害するものであると私は思うわけでございますけれども、先ほどの、厚生省が出しておられる問答集の中で、義務教育で切るのはなぜか、高校に行かれないではないかという問いに対して、「この手当は、離別母子世帯が離婚によって受けた精神的なショックや経済的な打撃を緩和し、できるだけ早く自立していただくために、」「七年としました。」と。「自立していただくために」なんですね。そして「児童扶養手当と同じ額を児童扶養資金として無利子でお貸し」いたします。だから、母子世帯が高校進学でお困りにならないように配慮しておりますというお答えがあるのですね、ここに。
 でも、児童扶養資金というのは、幾ら無利子であってもお借りするわけですから、お母さんたちの、高校に行かせたい、高校に行かれなくなるという訴えが私のところには山のように来ております。こういった母子世帯の母親の切実な願いを無視して、時代に逆行してこういうことをあえて行おうとされる、非常に俗な言葉で言うと、けちな考えですね。
 厚生省が出されました資料によりましても、中学校卒業以上の子がいる母子世帯は約三十七万世帯となっていますね。母子世帯全体の五一・一%、該当する子供は約五十五万人であります。この五十五万人の人たち――もう既に受けておられる方は支給を打ち切られるわけではありませんから、全部とは言いませんけれども、しかし、かなりの数の子供たちが、この改正案が通ると今度は支給を受けられなくなる。これは大変なことですね。
 なぜ支給期間を七年間に短縮するのか、納得のいく御説明は何らなされていないのです。児童憲章の理念では、すべての児童に個性と能力に応じた教育環境が与えられること、また、児童福祉法では、児童を心身ともに健やかに育成する責任というのがあります。これを国は放棄するわけですね。また憲法は、児童が平等に教育を受ける権利ということをうたっております。これらの実現を阻害するものであります。
 私は、これは即撤回していただきたいと強く要望いたします。どうですか。
#76
○小島政府委員 これも繰り返し御説明申し上げたとおりでございますが、生活の激変を生じた母子家庭につきまして自立までの期間の援助措置という制度の組み立てをいたしました。それはどれだけの期間が必要かということで検討を行った結果、生活保護の受給状況、生活保護の受給を要しなくなるまでの母子世帯の期間とか、あるいは母子寮を退出するまでの期間とか、あるいは平均的な児童扶養手当の従前の受給期間等を勘案いたしまして、七年間程度あれば一応自立までの期間が援助申し上げる期間としてはふさわしいのではなかろうかということで、七年間にしたことでございます。
 したがいまして、これはすべて高校を対象としないというようなことではございませんで、受給の受け始められる年齢に応じまして、高校の場合もあるし、高校の場合でない場合もある。ただ、保障いたしますのは、義務教育終了までは全部保障いたしましょうということでございます。決してこれは高校に行かなくてもいいというようなことではございません。母子世帯の子供たちの進学率の低いことは事実でございますし、これに関する施策の必要性も十分痛感しておるところでございます。今回の措置にあわせまして、先生、貸付制度というものが不十分だという御批判があるかもしれませんが、無利子の同額の貸付制度を整えることによりまして、そういうことにも支障のないような方途を講じてまいっておるところでございます。
#77
○竹村委員 だって、事実上行けなくなるじゃありませんか。月に三万何がしかのお金がおりなくなる。そうすると、全部が高校に行かれなくなるわけではございませんとおっしゃいますけれども、もちろんそういう何らかの方法で無理をしてやりくり算段をして行く人もあるでしょうが、事実その年齢までしかもらえないのでしょう。そうしたら行かれなくなる人が非常に多くなることは否めない事実であるわけでしょう。どうですか。
#78
○小島政府委員 したがって、高校を卒業する前に手当を打ち切るというような事態が生じました場合には、母子福祉資金の中に、高校を卒業なさるまで月額、手当の多い方の額であります三万三千円と同額の資金を無利子でお貸しするという制度を整えまして、そういう支障が生じないような措置を講じてまいることにしているところでございます。
#79
○竹村委員 今、児童扶養手当をもらうのと貸付金を借りるのとは違うと私申し上げましたけれども、そのようなことをあえてされる。これはやはり今申し上げました児童憲章、福祉法、憲法その他まだまだ挙げればたくさんあります、そういったことにすべて逆行するものであるということをしっかり頭に入れていただきたい。これはどんなことがあっても許すわけにはいかないと私は思っております。これはぜひ撤回していただきたいと強く希望いたします。
 それから次に、父親の所得による支給制限、これも本当に全くナンセンスとしか言いようのない条件なんですね。離別した父の所得が離婚の前年度において一定の額、六百万円以上の場合には児童扶養手当を支給しない。離別父の扶養義務の履行をいかに確保するかという点については、何にも手がつけられていない。いかに離別の父親が六百万円以上の収入を得る資力があっても、現実に養育料が支払われていなければ、母子世帯にとっては何の意味もないわけです。
 この養育料の実態はもうよくよく厚生省ではわかっておられると思いますから詳しくは言いませんけれども、離婚のほぼ九割が日本では協議離婚なわけです。夫が養育料を負担しているのは三〇%にも満たない。しかし、現実はもっともっと低いのです。年に一回だって養育料を払えば払ったことになるわけでしょう。年に一回二万円出したって、それは養育料を払ったことになるわけですね。ですから、毎月きちんと養育料を払っている父親なんていうのは、五%にも満たないと思っております、その数字は別といたしまして。
 そういう中で、厚生省のこの調査によりますと、離別した父から現在養育費を受けている者はわずか一一・三%という数字も出ております。そして受けたことが過去にある、一〇・一%、受けたことが全くない、七八・六%という数字です。大臣わかりますか、大きな数字ですね。八〇%です。ほとんどの人が養育料を受けていないのです。そういう中で子供を抱えながら働いておられる。時間的にも費用的にも心理的にもこの養育料のことで、離婚の成立とは別にまた調停をしてもらったり審判の申し立てをしたり、これは働く母親にとっては非常に難しいことです。
 このような実態の中で、別れた父親の所得制限を新たに設ける。しかも別れる時点の一年前からの所得ということですね。仲よくて別れる人はいないのですよ。みんなそれぞれ冷たい、あるいは暴力、あるいはアル中、サラ金、そういうことで蒸発をしちゃったり、いろいろなことで非常に厳しい中で別れておられる。その別れた夫のもとの勤め先へ行って所得証明をもらってくる、このようなことをしなければならないのですね。これは全くナンセンスです。別れた父親の収入なんて全く関係ありません。一億円あったって関係ありません。どうですか。
#80
○小島政府委員 これは別れた夫につきましても、妻は別といたしまして、子供については別れる以前と全く同様の扶養義務は民法上あるわけでございます。したがいまして、本来、我が国におきましても、父による別れた後の子供の扶養の義務の実施状況が極めて低いということは、先生御指摘のとおりで極めて残念なことでございますが、ただ公的なこういう制度を設けます場合に、やはり父親に十分期待できるだけの所得がある場合には、第一義的にはその父親の義務の履行に期待したい。また、そういう父親については、別れたお母さんも子供のために父親にその扶養義務の履行を迫る御努力をお願いしたいということでございまして、やはり公的なこういう制度を組み立てます場合には、それに優先いたします私的な扶養義務の十分な履行ということを考えるべきものと考えております。
#81
○竹村委員 さっぱりわからない御答弁なんですね。父親にこういった法的な義務といいますか、そういう強制的な措置が全くされない中で今度の児童扶養手当の改悪が出されていることに私は激しい憤りを感じます。なぜ母親ばかりがそんな割を食わなければならないのですか。父親の責任はどこにあるのですか。その辺は厚生省、短くわかりやすく答えてください。
#82
○小島政府委員 日本の離婚法制上、そういう場合協議離婚が大部分でございますので、そこに公的機関が関与する制度がとられておらないのは事実でございます。ただ、あくまでも民法上の扶養義務はあるわけでございますので、その十分な履行に期待するということを前提としてこういう仕組みを考えたわけでございます。
#83
○竹村委員 その辺はまことにおかしい理屈でして、外国の例をいろいろきょうは持っておりますけれども、ちょっと引用する暇がないと思いますが、例えばアメリカなんかでは児童扶養手当のようなものはありませんね。そのかわり法律的には厳しくどこまでも追いかけていって、父親は子供に対する責任をとらされるわけですよ。あるいはほかの国々でも、スウェーデンでもそうですね。ドイツでもどこの国でも厳しく、これは両親の責任です、両方に責任があるわけですといって、きちんと追及していっている。それがない日本なんですね。それができない。法的な根拠が何もない。そこでこういうことを出されても、これは結局男の人が喜ぶだけじゃないですか。
 扶養義務が全くなくなっちゃうじゃないですか。そして国からもどこからも保障がないということになるのじゃないですか。そうすると、母親はまた先ほどの家計簿のように厳しい状況の中でまたまた泣く泣く苦労をしていかなければならない。この事実をどう見られますか。
#84
○小島政府委員 諸外国の例につきをしては、離婚法制が違いまして、特に子供のある場合の離婚については必ず裁判所あるいは法的機関が関与するという仕組みになっております。離婚の今後のあり方等についてはいろいろな立場からの議論があることだろうと思いますし、我々としても今後そういう父親の履行を担保するためにどんな方法がとれるか十分検討はしてまいりますが、日本の場合は、基本はその辺が私的な請求にまつという法体系になっておりますので、まずその御努力に期待するという立場をとらざるを得ないのが現状でございます。
#85
○竹村委員 そんな御努力に期待して法律を改正されちゃ困るのですよ。そんななまぬるいことでは困るのです。ですから、法律的にきちんとその手だてが立ってから児童扶養手当改正を考えてくださいよ。今することないじゃないですか。その辺よく考えてください。
 次に、未婚の母について質問いたします。
 法案が、子供を未婚の母子家庭に属するか、死別ないし離別母子世帯に属するかによって差別することは、憲法十四条で禁止する社会的身分による不合理な差別に該当すると私は思います。お母さんが結婚していたかどうか、親の事情は子供にとって全く責任ありません。それが子供の権利保障に差別を設ける合理的な理由とは到底なり得ない。現行法では、父に認知された場合一律に支給対象から除外されておりますね。これも同様の理由から不合理な差別に当たり、この点こそ改定が図られるべきであろうと思います。子供は、本来親とは独立した人格、人権を持っております。親の生き方、親の事情を問わず平等を保障されるべきことは国際的にも確立されていることです。
 未婚の母について、私ここに今北海道児童相談所の出しております資料を持っておりますけれども、未婚の母について、今、日本の政府がこういう案を出してこられたというのは、何といいますか、何十年も時代を逆行しているものと私は思うのです。
 外国の例を見てみますと、古くは第一次大戦後、ドイツにおいてワイマール憲法が出されておりますが、これも「嫡出子でない子に対しては立法によりその肉体的精神的および社会的成長につき嫡出子に対すると同一の条件がつくられなければならない。」となっております。これは一九一八年ですよ。
 一九四六年、ユーゴスラビア連邦人民共和国憲法では「親は結婚によらないで生まれた子に対して法律上の結婚によって生まれた子に対するのと同一の義務をおう。結婚によらないで生まれた子の地位は法律によって決定される。年少者は国家の特別の保護をうける。」となっております。
 一九四八年、イタリアの憲法では「子をたとえ婚姻外で生まれたものでも育て教え学ばせることは親の義務であり権利である。」「法律は婚姻外で生まれた子に対し正当な家庭のメンバーの諸権利と両立する法律的および社会的保護を保障する。」となっております。
 そのほかいろいろありますけれども、世界人権宣言「母と子は特別の保護と援助をうける権利を有する。すべての児童は嫡出であると否とにかかわりなく同一の社会的保護を享有する。」となっております。
 この報告書によりますと、児童相談所で扱う未婚の母は、結婚をしないで私は子供を育てますといって名のりを上げられるような有名な人でもなく、社会的にも経済的にも自立している人たちでもない。そのほとんどは結婚を前提に交際し、受胎の後に相手から去られた女性であったり、避妊の失敗から未婚の母になってしまったり、結婚できると思って交際していたけれども、受胎後に相手が妻帯者であるとわかって逃げられたり、男性にだまされたり裏切られたりしている人たちであるわけです。
 そのような中で、厚生省のお考えは、「未婚の母」はと、こういうことを書いておられるわけですね。「結婚しないで子どもをつくった女性のことですが、このような女性には、実際には、夫なり、子の父親に当たる人がおられる場合が多いので、今回の改正で受給をご遠慮いただくこととしたのです。現在の制度でも父が子を認知すれば支給対象になっていませんし、いわゆるおめかけさんまで税金による手当が受けられることについて、これまでいろいろと批判もありましたので、今回改めることにしたのです。」こういう下品な文章、私はこれはお役所の出される文章とは思えません。
 何ということを書くのですか、あなたたちは。許せませんね、こういうこと。こういうことで今法改正をしようとしているのです。大臣、どう思われますか。
#86
○小島政府委員 御指摘の文章、確かに舌足らずの感じはありまして、配慮に欠けていると思います。また、正確でもない表現で、大変誤解を生む、御迷惑をかける文章だと反省しております。そこに書いてありますのは、いわゆる未婚の母子家庭の場合に、なかなか実態を明確に把握することができない。実は御主人に当たる人がいらっしゃる、こういう家庭にまで手当を支給するのは乱給じゃないか、あるいは制度の悪用じゃないかという御批判があったり、そういう趣旨のものでございます。
 今回の改正の趣旨は、そういうふうに未婚の母の方々の道義上とか倫理上のことを問題にしているわけではございませんで、今回の制度の仕組みが離婚等によっていわゆる家計の中心人に頼れなくなった、母子だけが夫と別れて自立しなくちゃならぬ、そういう生活の激変があった母子家庭に対して、自立までに要する期間必要な援助をしていこうという制度に改めたものですから、その結果、離婚等による生活の激変が起こっていないいわゆる未婚の母子家庭が対象から外れた、こういうことでございますので、御理解いただきたいと思います。
#87
○竹村委員 未婚の母についてこういうふうな文章を出して、そして不正受給が多いとおっしゃりたいのだろうと思います。不正受給も確かにあるでしょう、人間は完全なものじゃないですから、あるいは悪い人もいると思います。しかし、そういうことで法案を改正しようというお粗末な論理なんですね。まことにお粗末な論理です。これは非常に大きな問題です。
 それから、未婚の母につきまして、引き続きましてプライバシーとの関係で私ちょっと質問をしたいと思います。
 一九八一年の新聞ですけれども、未婚の母に「父の名」を聞く、「私権侵害」である、厚生省は「愛人手当」避けたい、こういう見出しが出ているのです。厚生省はそんなことはおっしゃらなかったかもしれませんけれども、調査をされるときに調査書を書かされますね。この調査書の中に「未婚の母子の調書」というのがありまして、これに「子の父の状況」という欄があるのですね。これが氏名、住所、電話番号を書くようになっているのです。それから「妻の有無」。ばかげているとお思いになりませんか。未婚の母の相手の男性ですよ。それから「子供の安否を気遣う電話・手紙等の連絡」、「時々有り(頻度月何回)」「何年何月迄有りその後無し」こういう項目があります。もっとひどいのは「訪問回数」です。「有り」「無し」、「時々有り」「何月まで有りその後無し」、これは東京都の調書です。その次に「認知の予定」、「有り」「無し」、こんなことなぜ聞くのですが。全くひどいと私は思います。
 それからもう一つ、「事実婚の解消に関する調書」というのもあるのですね。これも同じく「子の父の状況」氏名、住所、電話番号、「同居の期間」「事実婚を解消した理由」、理由なんてどうして聞くんですか。「子供の安否を気遣う電話・手紙等の連絡」。実際に調査を受けた人の話によりますと、例えばこういう事実が起こり得るわけです。役所の人が電話をする、男性が出ると、ボーイフレンドが来ていたのだろうとか、男がいたのだろうとか、そういうことになる。そうすると打ち切られてしまうわけですね。一年に一回でも男性が訪ねてきている、あるいは電話をかけてきている。「安否を気遣う電話・手紙等の連絡」と書いてありますから、そういう事実が起こり得るわけです。全くこれは私はひどいものだと思います。これは都議会でもこの当時論議されておりますけれども、基本的な人権の問題です。なぜこんなことを調べさせるのですか。
 それから、一つ大きな問題は、事実婚と未婚です。事実婚というのは児童扶養手当をもらえなくなるわけですね。事実婚と未婚をどう区別しますか、答えてください。
#88
○小島政府委員 事実婚も婚姻の形態でございますが、我が国の場合は法律婚制度をとっておりますので、正規の婚姻にはなっていないという関係でございます。ただ、正規の婚姻と同様、男女が生活をともにしている状態を事実婚と言っておりまして、社会保険等につきましても、事実婚は法律婚による支障がない限り大体妻の立場を法律上も制度上も与えているということでございまして、事実婚につきましてはほぼ法律婚に準じた取り扱いが行われております。したがいまして、事実婚と未婚の母の大きな違いは、夫に当たる方と生計を同一にしているかどうかということでございます。その場合にも、一般的には同居の要件が中心になろうかと思います。
 事実婚の場合は法律婚と同様に児童扶養手当も取り扱っておりますので、事実婚を解消した場合には、やはり児童扶養手当支給の対象にいたしております。これは今後とも変わりません。やはり生活の激変というのが事実上起こるわけでございますので、したがいましてそういう事実を認定するに必要な事項についてはいろいろ調査させていただいております。先生御指摘のように、この制度については難しい面があります。一方では制度の不適正な運用とか、乱給とか批判もあります。この制度を適正に運営していくためには、どうしてもそういう不正や何かができるだけ起こらないような制度に仕組む必要がありますので、必要事項としての調査を行っているわけでございます。
#89
○竹村委員 その調査なんですけれども、父親が一年以上子供を遺棄している場合も関連しまして、両方について伺いますけれども、これは未婚の母あるいは事実婚の場合と同様そう認められなければならないわけですね。未婚の場合は、定期的な訪問があったり、定期的に生計費の補助を受けていたりする場合には事実婚に該当することになるわけですね。ですから、事実婚であるかどうかは、定期的な訪問、定期的な生計費の補助を調べなければならなくなるわけです。
 そうしまして、父親が遺棄している場合にも定期的な訪問、仕送り等がある場合は受給対象にされないわけですから、これをだれが調べるかといいますと、自治体の職員あるいは警察、民生委員などが探っているということが事実あるわけなんです。別居中の父がどの程度訪問し、どの程度仕送りをしている、あるいはこういうことを行政が探索する、これを調べるためにはどうしたって近所の人に聞かなければならない。二十四時間見張っているわけにはいきませんからね、近所の人に聞かなければならないでしょう。どういう調査方法をとられるかわかりませんけれども、民生委員とかそういった方があちこち聞き込みをされるわけでしょう。どういう調査方法を今とっておられますか。
#90
○小島政府委員 原則として本人に当たって調査するということで、プライバシーの問題がないような措置を講じております。また、その他警察を煩わすというような事態は一切ございません。この制度の運用に当たって警察に身元調査をお願いするというようなことはいたしておりません。
 民生委員の方々に状況をお伺いすることはあろうかと思いますが、民生委員の方々につきましても守秘義務があるわけでございますので、この件についてプライバシーの侵害等については十分な配慮をしているつもりでございますし、また必要事項についても今後とも十分見直しながら、制度の効率的な運用とあわせて、必要最小限度のものにしていく努力は続けていくつもりでございますが、そういう事実関係の確認をするために、こういう制度の本質と申しますか、性格上どうしてもそこを伺わないと、要件に該当するかどうかが判明しない。そこを全く外してしまいますと、この制度の趣旨が全く失われてしまう形になるわけでございますので、その辺については申請者の方々にも御理解と御協力をいただかなければならぬと考えております。
#91
○竹村委員 本人に聞くとおっしゃいますけれども、本人がすべてのことをきちんと言える事情であれば一番いいわけですけれども、民生委員さんが聞かれる場合が非常に多いと思います。
 私が先ほど警察と言いましたのは、そんなことがあったら大変なことなんですけれども、実際には戸別訪問して、定期的にお巡りさんが地域の住民の調査をしておられますね。そういうときに非常に突っ込んだ質問をされる、プライバシーをいたく侵害される。
 それから窓口ですね。お役所の窓口で甚しい侮辱、侮べつ的な扱いをされる、ふしだらな女性だというふうな扱いをされる。これは本当にけしからぬことなんです。この辺の指導を十分にやっていただきたい。これは、事実窓口で泣き出す女性もたくさんいるわけなんです。私もたくさん知っております。
 それから民生委員のあり方、かかわり方、この辺の御指導も、時間がありませんから――「児童扶養手当の事務運営上の留意事項について」と。いうのを出しておられますね、十分に注意しろというのを出しておられますけれども、別居、監護、事実婚などについては民生委員、児童委員などの証明書が要りますね。遺棄については福祉事務所長の証明書が要りますね。このようなことで民生委員、児童委員などに照会するように指導していらっしゃるようですけれども、制度上、その立場と性格が必ずしも明確ではない民生委員、これはまた違うところで問題にしなければならないと思いますけれども、この民生委員の証明書に依存する、これも非常に不当であるわけですね。
 人間ですから、秘密を知ったらつい言いたくなってしまう。あそこのうちは父親がいないのよ、未婚の母なのよということもついしゃべりたくなってしまう。そういうふうなこと。そして、さっきの問題の調書です。この調書はすぐ改めていただきたい。父親が何回来たかとか、父親の名前、住所、電話、認知の予定、こんなもの全く必要ないです。これは即刻検討して、ぜひ改めていただきたいと思います。
 そして、先ほどの民生委員の問題、その辺をどう考えておられるか、簡単にお答えいただきたいと思います。
#92
○小島政府委員 調査の必要性については御理解願いたいと思いますが、その調査が、行き過ぎがあったり不必要なものにわたる必要のないことは申すまでもありません。
 先生先ほど御指摘の、東京都のケースだとおっしゃいましたが、我が方で示しております、厚生省で示しております基準をさらに詳細に聞き取りのしやすいようなという面からの工夫だと思いますが、さらに詳細な区切りをしている面もあろうかと思います。これらにつきましては十分見直しを行いまして、できるだけそういう問題を生じないような方向でさらに考えてまいりたい、こう考えております。
 民生委員につきましては、これはやはり公務を担当する限りにおきまして公務員と同じような守秘義務があるわけでございますので、今後とも民生委員を煩わす場合の民生委員の心がけ、行動の準則等につきましては、十分細心の注意を払いまして問題のないような措置を講じてまいりたいと考えております。
#93
○竹村委員 世界的には、婚姻外による母と子に対しては特別な保護や配慮が古くからなされている。日本はそのような状況にはないわけですね。もっと未婚の母と子に対する配慮があってもよいように思います。それどころか、今全く世界の趨勢に反して、逆行して、これはすべて切り捨てようとしておられる。この辺は、児童扶養手当という言葉を素直に解釈するなら、親が欠けた経緯を問題として支給するのではなくて、当該児童を扶養するに際して困難な状態にある親に対して、そして子供に対して支給するわけですね。厚生省がされた調査には父子家庭の児童の調査もございますね。そういうことからも、そうでなければ父子家庭の児童や未婚の母などの児童を救うことができない、そういうことを私は思いますけれども、大臣、今後の施策、この児童扶養手当法をどうされるか、ちょっとお聞かせください。
#94
○増岡国務大臣 ただいま法律案を審議していただいておるわけでございますので、私どもといたしましては、この法律案並びにそれに付随する政令その他の範囲内でできる限りの対処をしてまいりたいと思います。
#95
○竹村委員 随分簡単なお答えで、全然何かわからないのですけれども、そっけないお答えなんですが、私が言っているのは、もっと温かい施策をしていただきたい。厚生省というのは国民の福祉、幸せを預かる省なんでしょう、違いますか。切り捨てることばかり、お金がないから切りやすいところを切る、そういうことではないはずです。もっと温かみのある行政をしていただきたい、ぞうお願いしているわけです。大臣、もう一度お答えください。
#96
○増岡国務大臣 そのような温かい気持ちで対処するに際しましての心得を先ほど申し上げたわけでございます。
#97
○竹村委員 もう少し人間的なお答えがいただきたかったのですけれども、厚生大臣という厚生省のトップにおられる方ですから、私は、期待する方が無理なんでしょうか、そういうことを期待してお答えをいただきたかったのですけれども、これらのことを、行政改革から来る財政負担の軽減を図ることに目をとられる余り、臨調行革を大切にする余り、問題の本質を見失ってしまってはおられませんか。
 今なすべきことは、児童を扶養するに際して困難な状態にある親と子供すべてに適用できる内容を持った基本法づくりなのではないでしょうか。私は非常にその点を――これは最初に、まれに見る悪法だと専門家の方々も押さえておられる、初め余り関心がなかった人々も、この内容を見るのにあきれておられる、よくこんな恥ずかしげもないものが出せたものだということを言っておられる。このことを大臣、もう一度、どう思われますか。子供たちを平等に幸せにしてやろうとお思いになりませんか。お答えください。
#98
○小島政府委員 この法律は金銭給付の法律でございます。母子家庭の自立までの期間を援助して、そういう生活の自立、向上に寄与すると同時に、児童の福祉をそういうことを通して守っていこうという制度でございます。金銭給付でございますが、同じような経済状態にある父子家庭とか一般家庭は対象になっていないわけでございます。母子家庭の特性と申しますか、一般的な社会的な状況を勘案いたしまして、母子家庭についてこういう特別の措置を設けているわけでございます。
 ただ、児童の幸せ、これはいかなる児童であっても変わるわけではないわけでございますので、父子家庭につきましてもまたは母子家庭につきましても、必要な施策については今後とも十分拡充を図ってまいる考えてありますが、今回の金銭給付につきましては、母子家庭の生活の激変を緩和して自立を促進するという趣旨で改正を行っておりますので、その点御理解をいただければと思っております。
#99
○竹村委員 長々といろいろなことを申し上げましたけれども、時間が参りました。
 これらの主なポイントを十分にいま一度検討し直していただいて、そしてできることならば、できないとおっしゃるでしょうけれども、考え直しをしていただきたい。大変恥ずかしい法案をお出しいたしましたと、潔く引っ込めていただきたい。それを強く求めまして質問を終わらせていただきます。
#100
○戸井田委員長 午後二時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#101
○戸井田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。森本晃司君。
#102
○森本委員 まず最初に、大臣にお伺い申し上げたいわけでございますが、本法案が改正されるに当たりまして、私も中身を検討すればするほど、これは大変な重大な変更になってくる問題であるなということを実感しているわけでございまして、また同時に、厚生省は非常に冷たい施策を今度は打ち出そうとしているなということを実感しているわけでございます。財政困難、いろいろな理由はあろうかと思いますけれども、このときに、大事な大事な児童に対する福祉を切り捨てていくということ、これは私は断じて許されないと思うわけです。
 朝の委員会では、社会党の先生が女性のお立場からいろいろと御質疑をされました。また母親の立場というところからもお話をされました。私は、実は二歳からおやじを亡くしまして母子家庭で育っております。それだけに、自分自身でも母子家庭の大変さというのを身に受けて育ってきたわけでございます。私が育つころにはこういった制度はなかったわけでございますけれども、遺族年金、遺族手当で育ってきたわけでございます。それが、このような制度が設けられて充実してきた。私は非常に喜んでいたときに、こういう大きな変化、しかも社会保障制度の重大な変更である。特に目的の部分から変えていきますから、私は決して一部の変更ではないというふうに今のところ実感するわけでございます。
 目的の部分については後でまた論議さしていただきますが、大臣就任になられましたときに、この法案を引き継いで受けられたわけでございますが、率直に言って、大臣、大変なお気持ちで、財政的事情はわかるけれども、これは大変な法案を自分が引き継いだな、自分が大臣のときにこれをやらなきゃならないのかと、私は、慈悲深い大臣であればきっとそのように思われた、実感されたのではないだろうかと思うわけです。これは大臣がそう思いましたとは言えないところではございましょうけれども、私、その辺のこの法案に臨まれる大臣のお気持ちをお伺いしたいと思います。私たちは、もう断じてこの法案は改正すべきでない、このように思っておるところでございます。
#103
○増岡国務大臣 先生からいろいろ私の立場に御同情いただきまして、ありがとうございます。
 しかし、社会福祉制度も、やはり財政事情というものも頭に入れないでやるわけにはまいりませんので、そういうことも勘案しながら、その厳しい中で何とかこの制度を維持していこうという気持ちであるわけでございますので、そのための各方面の御意見も承った上でございますので、よろしく御理解をお願いいたしたいと思います。
#104
○森本委員 大臣の今国会の所信表明を私は改めて読ましていただいたわけでございますが、その中で「特に本年が国際青年年であることから、記念事業を行い、これを契機として児童福祉の一層の推進を図ってまいります。」このように所信表明の中でおっしゃっておるわけで、特に国際青年年の年で、ございますので、このときに児童福祉が、これじゃ推進じゃなしに後退になっていくというふうに私は実感するわけでございます。これ以上大臣に撤回する気持ちはありますかと尋ねましても、出した以上は、そういうふうには恐らくお答えいただけないと思うわけでございます。
 そういうところから考えまして、さらにもう一つ考えられることは、本法案が本来ならば中央児童福祉審議会あるいはまた社保審で十分検討されて、制度の変革で社会保障政策上のどういう位置づけをしていくのかということが十分検討されてしかるべきでありますが、臨調の答申を受けて、そして大臣の諮問機関である児童福祉問題懇談会の報告を受けて厚生省が立案したものであります。私は、手続の上でも、こういった大事な問題についてはきちっと順番を踏んでいかなければならない、このように思うわけでございますが、これに対する考え方をお伺いしたいと思います。
#105
○小島政府委員 本法案を検討いたしましたのは、確かに第二臨調の御答申、制度の位置づけをはっきりして実施体制ももう少し整備したらどうかということでございますが、それを受けて検討します場合に、臨調の御提言でも、地方負担という問題がございました。したがいまして、地方行政に明るい方あるいは地方財政に明るい方等も御参加願って、よくそういう地方公共団体の御理解もいただくという趣旨で児童福祉問題懇談会を設けまして御検討いただいて、そこの御意見を参考といたしまして厚生省案を策定し、社会保障制度審議会に諮問して御答申をいただいて、法案提出の運びとしたわけであります。
 御指摘のように、中央児童福祉審議会につきましては、諮問ということはいたしておりませんが、この間の考え方等々を十分御説明申し上げまして、一応御理解を得て、御了解を得ておるところでございますので、手続上の違法の問題はないものと考えております。
#106
○森本委員 社保審についてはどうですか。
#107
○小島政府委員 これは社保審の審議事項ではございません。審議対象事項になっておりませんので、社会保険審議会は制度発足当初からお諮りしておりません。
#108
○森本委員 昨年の二月に、制度審議会にこの問題を出されましたね。その制度審議会に出されたときの状況について私がいただきました五十九年の四月の厚生省から出されました問答集がございますが、この問答集、社会保障制度審議会に出されました。これはわずか一週間の期間なんです、回答を得ておられますのは。この問答集の問四のところですけれども、別にこれにけちをつけるというわけじゃないんですけれども、児童福祉問題懇談会の場合には「昨年三月厚生省に」云々から、昨年三月から始まって昨年十二月というふうに時期が明確にされて、児童福祉問題懇談会で十分論議をしましたよというふうな書き方ですね、この文は。ところが、社会保障制度審議会の場合には期日がないんですね、いつやって、いつ回答出したか。だから、先ほど社会保障制度審議会に正式に諮問してその答申をいただいております−−自分たちのこの懇談会の場合にはきちっと長い間やる。それで私、聞いたんです。
 そうしたら、二月十日に出して二月十七日に答申をいただいた。わずか一週間ばかりの間でございますけれども、十分検討する間もなかったのではないだろうかという憶測をするわけです。保障制度審議会に最初からいろいろとかけていかなきゃならない問題なんですけれどもそれはなされないで、だけれども、この問題はそこにかけないわけにはいかないから形式的にはいかないから形式的にかかったのではないだろうか。悪い推測でございますが、だから日にちが書いてないんじゃないかと私は思うのですが、いかがですか。
#109
○小島政府委員 確かに検討の時間につきましては懇談会と制度審議会に有意の差があるのは御指摘のとおりでございます。ただ、懇談会の場合は、今後どのような制度に仕組んでいくかということをいろいろ各方面から検討しまして御意見を取りまとめいただきましたわけでございます。これはどうしても時間がかかるだろうと思います。社会保障制度審議会への御諮問は、厚生省がこういう考え方で改正を行いたいと考えるがどうだと具体案を示して諮問申し上げる形になります。片っ方は何もないところから一体仕組みをどうしたらいいかということでございますので、そこには差のあることを御理解願いたいと考えております。
 確かに法案の提出期限との関係もありますので、審議会にはできるだけ速やかな御答申をというお願いをしておりますが、これは四回にわたって審議会を開催していただきまして御審議いただきましたので、審議会としても十分御検討いただけたものと考えております。
#110
○森本委員 そこで、またこの問答集に戻ってくるわけでございますが、社会保障制度審議会の答申は、その第二項の中に「民法上の扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねないので、この方面に対する検討を別に行われたい。」第三番目には「今回の改正が、財政対策にとらわれるあまり、真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように十分に配慮されたい。」こういうふうに答申は出ているわけですね。なお、四番目に「父子家庭の問題も忘れてはならない。」ということもございますが、この問答集の文章を見ますと、今読み上げた二番と三番を実に見事に合作して、肝心のところを外して見事にでき上っているなというのが私の実感なんです。
 「真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように」ということ、この三番目の初めの文章、その上の「財政対策にとらわれるあまり」というのはカットされております。そして三番目の中ごろから、肝心な財政対策にとらわれないようにというところはカットされて、「配慮するとともに、離婚後の夫の扶養義務が十分履行されるよう」にというふうなことが書いてありますけれども、「民法上の扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねないので、」こういう点がうまくカットされまして、文章が見事にでき上がっている。
 私、この制度審の答申を読む前にこの問答集を読ましていただきまして、これを読んだだけで、ああ、なるほど、そうかと思っておったのです。ところが、この答申の中身を読んでみると、厚生省、立派な人たちが随分うまく文章をつくられたなという感じが私はしたわけでございます。財政にとらわれないようにというふうにちゃんと答申の中にも出ておるのに、そんなところは全部カットされているという状況から見まして、私はこれは初めに財政ありきだな、初めに行革ありきだな、それを大前提として、そしてその中に制度をはめ込んでいこうというふうにして厚生省が取り組んだものではないだろうか、このように思うわけですが、いかがですか。
#111
○小島政府委員 御指摘のように、財政対策ということを全然度外視して考えるわけにいかないと思います。本制度につきましては、最近離婚の増加に伴いまして毎年毎年数百億円のオーダーで給付費が増大しております。こういたしますと、社会保障全体に占める割合が、特に児童福祉行政に占める割合が非常に高くなってまいりまして、他の必要な施策の推進に支障を来しかねない状況も出てまいっております。
 したがいまして、もう一度こういうような状況、あるいは一方で本体と申しますか、これで補完しておりました母子福祉年金がなくなるという事態も勘案いたしまして、それから母子福祉年金の補完制度というのではなくて、全体の社会保障制度の中、特に児童福祉対策の中でどのような位置づけをしていこうか、どういう機能をこの制度に期待しようかということを検討した結果、制度全体のバランスを考えながら、これは離婚等による生活程度の激変が生じた母子家庭につきまして、それが自立できるまでの自助努力にも期待しながら、自立できるまでの間の必要な援助措置としてまいろう、こういう考え方から制度の構成を行ったものでございます。
#112
○森本委員 我々にとっては、もう最初から行革に、財政問題に、それを主体にして今回の問題は取り組んだのだとしか考えられないんです。国家が財政上の問題を考えずに何でもかんでも福祉をやれというわけじゃありませんよ。しかし、切り捨てのしやすいところからやっていこうという考え方があるんじゃないだろうか。私は、何も一番困っている、それから次の二十一世紀を担う大事な子供たちの分をカットすることから始めなきゃならないことは何にもないじゃないか。母子福祉年金制度の補完だ、それがだんだんなくなってきた、これはわかります。そのなくなってきて、離婚が今多いから、離婚した人たちの幅を狭めていこうという考え方には私はならない。補完制度ではあったけれども、それが十分次の日本を担う子供たちの大事な問題、より健やかにより健康的に育てるというのが児童福祉の大前提ですから、そういう立場から考えたら、離婚世帯がふえてそれに対する財政がいろいろかかってこようと思うのですが、私はその問題はカットすべき問題ではないんじゃないだろうか。ほかにいっぱいあります、厚生省以外の予算の中に。カットすべき問題がいっぱいありますよ。
 厚生省には強い姿勢で、ここの問題は、将来の日本のために、また本当に困っている人のために、どうしても守らなければならないんだという強い姿勢で厚生省は各省庁との折衝で踏ん張るところは踏ん張ってもらわないと、だんだん福祉が後退していって弱い者から切られていくということは私は許せない。自分の家庭が財政的に苦しくなった。一家の家庭で考えてみましたときに、財政が苦しくなった。そうなってきたときに、親が子供の養育費から削り始めますか、一家の家庭で考えてみたとき。親鳥がどんなことがあってもひな鳥をかわいがろうとして自分が雪に打たれてでもやっていく。これが国の政治のあり方です。政治家のあり方です。一家の家庭で親が財政的に苦しくなった、恐らく子供のところから削らぬだろう。
 局長の家だって、財政的に苦しくなったとしたら恐らくまず局長の、どれだけお飲みになるか知らぬけれども酒の量を削ったり、あるいは買う物を縮めたり、だけれども子供に対してはかけようとしていくのが親の務めではないだろうか。私はおやじなしで育っておる。母親が自分の食うものも、着るものも着ないで私のために尽くしてくれたことを自分でこの目で知っております。恐らく今のこの問題、法案を見て、離婚あるいは未婚のお母さん方、何と冷たいんだろうと悲しんでおられる。その人たちは余裕があってやっておられるのじゃないと思いますよ。一生懸命お子さんのために、自分の食うものも、あるいは自分の体を無理してでも働いて、子供のために一番かけておられる。そんなところを削っていくというのは極悪非道だなと私は思うんですよ。どうですか。
#113
○小島政府委員 御指摘のように、一般の家庭においてもそれは子供にかかる経費は最後の切り詰めの段階まで残すべきものだと考えておりますし、現にそのような愛情のもとに子供は育てられておる。国といたしましても、子供は本当に次代の国民生活を左右する存在でございますので、この健全な育成については万端遺漏のないような配慮をしていくべきことは当然でございます。ただ、その施策全般の中で、どういう施策をどう組み合わせてやっていくかということについてはいろいろな方法がありましょうし、また財政状況も勘案しながらやらなければならない分野もあろうと考えております。
 今般、児童扶養手当法を見直しましたのは、先ほど申し上げましたように、たまたま母子福祉年金の補完的制度という使命が終わる時期でございますので、今後社会保障制度の中でどのような位置づけを与えていくべきかということを中心に検討いたしまして、あわせてその制度の適正な運用のために、地方負担という御指摘もございましたので、地方負担を取り入れるような本来の福祉の制度として再構築したというわけでございます。
 確かに、今までの性格が変わってまいっております。それは、一つはやはり本来の福祉固有の制度になってきた、年金の補完じゃなくて児童福祉施策固有の制度になってきたという問題と、もう一つは、やはりこれは母子家庭の自助努力にも期待しながら、自立され、生活が安定するまでの間の援助措置という性格のものに組みかえた結果、御提案のような内容になっているというわけでございます。
#114
○森本委員 母子家庭の自助努力とおっしゃいましたけれども、全部が全部とは言えないかもわからない、だけれども、母子家庭の方々はもう大半の人が本当に一生懸命それを目指して自助努力をされていると私は思うのです。その目指していく中で、どうしても、今の児童扶養手当をいただきながら子供に回していく。それでも実態調査を見ますと、今児童扶養手当をどれだけ生活の中で使っているかというと、これは厚生省も一番よく御存じだと思いますけれども、六十何%は生活費。まだまだ教育費に回っていないんですよ。
 それだけの流れの中で、よく一生懸命頑張っている、自助努力。それは自助努力は大事ですよ。だけれども、それよりももっと社会的な立場のほかの条件整備をいろいろ厚生省も一生懸命押して持っていって、それから自助努力ということを胸を張って言えるのじゃないだろうか。今、母子家庭の皆さんは自助努力をやっておられますよ。先ほど申しましたように、私もそういう立場で育っただけに母子家庭の家に行ったら上がり込んで話をします。自助努力、もう一生懸命やっておられますよ。
 それで、今回のその改正の中で先ほど申しました一番大きな変更になるのが、要するに児童が健やかに成長する権利の保障という問題から家庭の恩恵的、救貧的な福祉制度へと法の性格を今根本的に変えようとしているんじゃないかな、これはちょっと先ほどの局長の論議とまた同じことの繰り返しになっていくかもわかりませんけれども、そう思うのです。最も保護を必要とする児童を切り捨てて、児童の権利から今それを家庭という問題へ、ですから、家庭という問題ですから家庭の自助努力が要るんですよ、今度はそういうぐあいにすりかえていく。
 あとのいろいろな制度の問題も、この目的が大きく変わったからこういうことはやむを得ません、こういうことはやむを得ませんと冷たい一つ一つの切り口上になっていくと私は思うのですけれども、この児童から家庭に今変えていこうとする意図、その趣旨をよく説明してください。
#115
○小島政府委員 これは手当の趣旨も改正後も変わっておりませんし、あくまでも児童の健やかな成長を図るために、育成を図るために使われるべき費用だということには変わりございません。同時に、児童の福祉の増進を図ることを目的としているというこの本来の目的も変わっておりません。ただ、いずれにいたしましても、従前の児童扶養手当にいたしましてもそれから母子福祉年金にいたしましても、全部それは家計への援助の措置でございますが、それは子供のために使ってく札という趣旨の援助であるということは変わっておりません。
 ただ、この中でも、この手当を支給するということは本来子供のためでございますけれども、それは十分子供を育成できるような家庭生活の安定と自立を図っていくためにそれまでの期間を援助しましょうという趣旨でございますので、あくまでもそれは救貧対策に変わったとかということではございません。これは本来的に生活保護とか何かと違いまして母子家庭の生活の激変緩和ということでございます。
 所得制限につきましても、今回幾らか厳しくしてはおりますが、この二人世帯三百万というのは直近の調査によりましてもごく普通の生活だと考えられる層でございますので、ここの層まではちゃんと手当を支給してまいりたい、こう考えておるところでございます。
#116
○森本委員 家庭の激変緩和、要するに家庭と言うから激変緩和という問題が出てくるのですよ。そうでなしに児童一人一人という問題からいくと今度はその問題が言えない。今の児童扶養手当法第一条「児童扶養手当を支給することにより、児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」このままでいいんじゃないですか。どうしても家庭という問題を持ち出してくるならば、なお、このことにより家庭の自助努力を、というふうにすればいいんじゃないですか。児童の福祉の増進を図るということに一番重きを置かなければならない。これを今度は外してしまって家庭に重点を置きますから、だから、あとの未婚の母の問題とかいろいろな問題が、今度は家庭が中心でございます、家庭の激変緩和という言葉で全部切られてしまう。
 ここの目的の部分をもう一度よく検討していただきたいと私は思うのです。そうでないと、もうこれから幾らでもそういった状況によって、家庭、家庭という言葉によって、家庭の自立あるいは激変緩和云々という問題によって、そこの家庭にいる子供たちが全部ぶった切られていくというふうになっていくように私は思えてならない。
 局長、これは母子家庭のお母さん方がお見えになったら本当にそのことを言われますよ。法律家は、また役所の皆さんは、これでも十分に児童の手当はいけますよというふうにいろいろなことをおっしゃるけれども、実際行われていくことはだんだんぶった切られていくことなんですけれどもね。大臣、この大きな目的変更について大臣の所感をひとつ伺いたいと思います。
#117
○増岡国務大臣 児童につきましては、御指摘のように、親にとりましても、また国にとりましても大事な存在でございます。したがいまして、この法律が母子福祉年金を補完する立場からこのような福祉の制度に変わってきたわけでございます。その過程ではこのような措置もあるいはやむを得ないことであるかと思いますが、しかし、そのことが財政的な理由だけでとられたというふうにとられることは非常に残念なことでございます。しかし、その間の手続、気持ちの上では先生御指摘の主張を頭に入れながらやってきた、なおかつやむを得なかった措置だと思っております。
#118
○森本委員 やむを得ない措置で切られる子供たちが私は本当に気の毒です。そう思います。本当にこの問題、これはこれからいろいろ検討していかなければなりませんけれども、児童扶養手当という問題あるいはこれからの日本の社会福祉の制度の中についても、我々大人はいろいろ辛抱しましょう、子供のために一生懸命やっていくような政治施策を私は講じていくことがひいてはまたこれは我々に戻ってくる問題であると思うのです。これ、今大臣がお答えいただきましたけれども、大臣も非常につらい思いでこの問題について取り組んでおっていただくとも私は思っていますし、でき得ればこの法改正そのものをもうやめたいと思っていらっしゃるのじゃないかなと私は思うのですよ。
 だけれども、それはまたいろいろな財政の中から考えてその制度のあり方というわけでございますけれども、この辺は今後この問題についていろいろ論議なされるにも児童というところに十分焦点を置いてください。児童というところに焦点を置いていかないと、この後のいろいろな論議もここですれ違うと全然かみ合わなくなってくるのです。児童という問題を離れてしまうと、この後の問題は全部――家庭というところに置くところからいろいろな問題が起きておるわけです。
 そこで、厚生省がこの説明のときに、婦人の就労機会もふえ、また保育所も整備され、母子世帯が経済的に自立できる条件がかつてに比べ格段に整備されています、このように説明を始められましたけれども、本当にこれは実態調査の上からですか。母子家庭のお母さんが就職する条件がよくなっていますか。今度はまた労働日の日に、この法案と関連してくるわけですから、労働省の方に母子家庭の労働条件の問題をいろいろと私も伺いたいわけですけれども、保育所の個数は確かにふえたけれども、母子家庭のお母さんが子供を預けていくだけの機能には保育所はまだなっていません。労働問題は仮に労働省としましても、保育所の問題だったら厚生省の問題です。こういう格段に整備されてきたという証拠を言ってください、根拠。
#119
○小島政府委員 一つは、先生御指摘のとおり就労の状況の問題でございます。法制定当時の三十七年には女子就労者は八百万を割る状態でございましたが、現在では千五百万という形になっております。また、中を見ましても、三十六年当時は、常雇の雇用者としている母子家庭の母親は三四%程度でございましたが、五十八年になりますと、常雇の状態で、常用雇用者として就労なさっている方が六五・四%というふうにふえてまいっております。ただ、先生御指摘のように、賃金面等ではまだ極めて低い状態にあるという状況がありますが、安定的な就労ができやすくなってきた状況にある。
 それと裏腹の条件として、就労に必要な条件を整備するための保育所の整備も、先生御指摘のように、数の上ではもう十分でございます。一部の人口急増地域等を別といたしますが、数としてはもう十分である。ただ、それについて時間外の保育とか、それから乳児の保育とか夜間保育なんかでまだまだ受け入れ態勢の未整備なところもございます。ただ、これは逐次整備をされてきておりますし、現在の児童数の減少という状況を反映いたしまして、こういう面の整備も今後急速に進み得るものと考えております。
 そういうような代表的な両面にわたってかつてのような状況ではない。安定的な就労を目指して御努力を願えればそれなりの道は開けつつある。また、これについては、労働省を初め関係省庁と母子家庭の母の安定就労をより確実にし、かつ十分な賃金が獲得されるようないろいろな手だてを考えていかなければならぬことは、先生お考えのとおりだと思います。我々も他省庁との連携を密にしてそういうことをあわせ行いながら、なお一層そういう事実ということに対する促進の施策を講じてまいりたい、こう考えております。
#120
○森本委員 今切り離すだけ十分まだ整備されてませんよ。一番卑近な例は、私の事務所の女性秘書さんですけれども、この人、一生懸命、五時も六時も働きたいと思ってくださっているのです。ところが保育所はもう五時で打ち切りですから、どうしても事務所を四時半に出なければならないのです、これは母子家庭の場合だって、そのお母さん、そういう条件なんです。そういう条件でいこうと思えば、どうしても労働条件悪くなりますね。朝保育所へ送っていって、それを終えてから出勤でしょう。常用雇用者から比べますと労働条件が異なってくるのですから、その人の労働条件もおのずと悪くなってくる、こういうのが母子家庭のお母さん方の働く場なんですよ。きちっと朝一般社員と同じように出て最後までやっていくのであれば堂々と条件主張ができるわけですけれども、そうはいかない。
 また、せんだっても、私もびっくりしたのですけれども、東京都内でことし保育所へ入れるのに苦労しておられる人も随分いらっしゃるらしいですね、去年はスムーズに入ったのですけれども。これはある国会議員さんの御家庭ですよ。ことしなかなか入れないのです。東京都内です。苦労しているという話を聞いたのです。
 なお、保育所が十分整ったか、まだ機能的な部分で整ってないと思うのです。だから労働条件が悪くなる、だから家庭の生活が悪くなる。収入は十万円ぐらいじゃないですか、普通の母子家庭の人の暮らし。十万円もある人は少ないのじゃないですか。その辺はどうですか。働いておられる賃金、母子家庭の方は平均月にどれほどもらっておられるのですか。そういうデータはありませんか。
#121
○小島政府委員 これは五十八年の調査でございますので、二年ほどの差があるわけでございますが、母子家庭の場合、母と子供一人というような状態で平均的に年収が二百万ということでございます。これは平均でございますので、人によってこれを随分下回っている方もいらっしゃる、月十万円にならぬというような方もいらっしゃることも事実だと考えております。
 保育所の問題でございますが、全体としては数は充足しつつあると思います。まあ入所率を見ましても八五%ぐらいでございますので、まずそういうことはないと思いますが、人口急増地域など一部の地域で整備の上でそういう問題があろうかと思います。ただ、このような状態になってまいりましたので、さらに今後一層延長保育や夜間保育ということを拡充しながら、そういう母子家庭のお母様方の就労の条件を有利なものに持っていくような努力をあわせて講じてまいることにいたしております。
#122
○森本委員 生活保護を受けている母子家庭の世帯数ですけれども、この十年間でふえていますか、それとも減っていますか。
#123
○小島政府委員 今正確な数字は持ち合わせてございませんが、生活保護世帯の中で増加しておるのは母子世帯とそれから老人世帯というふうに承知しております。
#124
○森本委員 要するに、母子世帯の生活保護を受けているのはふえているわけでしょう。(小島政府委員「はい、ふえております」と呼ぶ)ということは、それだけ母子世帯は厳しくなっているということじゃないのですか。この厚生省の説明によると、就労の機会が確保されて児童扶養手当がなくてもやっていけるというふうにおっしゃっているわけですけれども、十年間でふえていっているということは、児童扶養手当がもう本当に必要だということじゃないんでしょうか、どうですか。
#125
○小島政府委員 ですから、これは、離婚当初なんかというのは、直ちに自立というのは困難だろうと考えております。したがいまして、自立までの必要な期間は児童扶養手当を支給する、そういう期間を準備期間として自立をお願いしたい、そういう方向に向かっての計画的な自立もお願いしたい、こう考えておるところでございまして、生活保護は確かにふえてきておりますが、大体今までの例でございますと、生活保護の支給開始から七年間ぐらいたちますと、母子世帯で九〇%を上回る方が生活保護世帯を脱却しております。したがって、そういうことを考えて、そういう自立までに必要な期間を援助の期間として、そこで生活が困窮することがないような、児童の福祉にそごを来すことがないような制度は確保してまいりたいというのが今回の改正の中で盛り込んだ措置でございます。
#126
○森本委員 大臣、ひとつこの問題は、これからの母子世帯を守っていく上からにおいても、また児童を守っていく上からにおきましても、環境整備というのはより力を入れていっていただかなければならないと思うのです。その環境整備がきちっと行われていってこそ、今回厚生省が出した文章というのは納得できるわけですけれども、私はまだまだ環境整備が不十分だ、どうかこの問題をやっていく以上は、きちっとやってもらいたい、大臣に訴えをしたいような思いなんですけれども、大臣、いかがでしょう。
#127
○増岡国務大臣 先ほどから局長が御説明申し上げておりますけれども、これは十年、二十年前よりか大分よくなったということだろうと思います。御指摘のような環境整備にはこれからも十分力を尽くしてまいりたいと思います。
#128
○森本委員 次に移らせていただきますが、非常に大きな問題となっております未婚の母子世帯の切り捨ての問題でございます。これはもう切り捨てですね。今回のこの母子世帯の児童を支給対象から外した根拠、家庭の自立とかいろんな問題があるかもわからない、またそういう御答弁になってくるかもわからない、この外された根拠、それから、これに該当する人たちはどれほどいるのか、何世帯あるのか、それからこの四、五年の流れはどうなのか、ふえているのか減っているのか、変わらないのか、お伺いします。
#129
○小島政府委員 まず今回の改正によりまして、いわゆる未婚の母子世帯がこの手当の支給対象にならなくなる、これは先生御指摘のとおりでございます。
 これも目的規定と関連いたしますけれども、この制度は本当に離婚によって生活の支え手を失ったという母子家庭の経済状況、家計上の激変に着目いたしまして、そういう生活状態が激変した家庭の児童の福祉が損なわれることのないように、そういう激変を受けた家庭が自立できるまでの間の援助措置としてこの制度を組み込んだわけでございます。したがいまして、初めから父親が家計の中心的な存在でなかった未婚の母子世帯というものがこの制度の対象に上がってこなかったというわけでございまして、意識的にこれを切ろうというようなことでなくて、制度の趣旨、目的それからそういう立て方をした結果、対象に上がらなくなったということでございます。
 大体どの程度あるかという御質問でございますが、総体として、今の受給者の六%程度ではなかろうか、こう思っております。まあ数といたしますと、現在の中で三万六千件、この件数はここ数年ほとんど動いておりません。
#130
○森本委員 要するに動いていないんですね。さっきの、財政上大変だというわけだけれども、動いてなければ、もうそのままやってあげたらどうですか、大慈悲で。
 では、この打ち切られた人たちに対する手だてはどうなっているのですか。この三万六千世帯の皆さんに対する手だて、これはどうなっていますか。
#131
○小島政府委員 その辺、我々としても、そういう方が出てくることについては、この制度それだけを限って見れば、極めて残念なことだ、遺憾なことだと思います。ただ、今後社会保障制度全体の中で効率的な財源配分を考え、必要な施策を進めるというためには、やはり福祉制度としての一つの見直しが必要であったということでございます。結果的に未婚の母子家庭が対象にならぬわけでございますが、同じように生活の激変が起こってない、例えば別れた父子家庭等々も従来からなっておりませんので、あくまでも激変緩和措置ということで整理しております結果、こういうことになったわけでございます。
 もう一つお尋ねの、どういう施策を用意してあるか。生計面につきましては、これは母子福祉資金の貸付制度等によりまして、修学資金とか、それから生業資金、就職のためのいろいろなもろもろの必要経費の貸し付けというようなことを行っておりますし、またその他の福祉の措置といたしましては、介護人の派遣というようなことを通じたり、新たなさまざまな相談に乗って、今後の生計を立てるための御相談にあずかるというような措置を講じております。
 また、労働省関係でも、特にそういうことに力を入れての就職の便宜措置等も逐年充実されてきていることだと考えております。
#132
○森本委員 だけれども、そんな家庭の児童はどうなんですかね。家庭の激変緩和ということに重きを置くというから、子供は切り捨てられるんですよ。だけれども、死別であれ離別であれ、あるいは未婚の母であれ、そこの家庭におる子供たちにとっては、社会の厳しい環境の中で生きなければならないということについては、これは変わりないでしょう。厚生省が激変緩和とかいろいろ言いながらも、またこの問答集の問十の中で、未婚の母の問題について書いてあることの中で――私は、こういうことが根底になって今回の打ち切りの策を考えられたんじゃないかと思うのですよ。
 「このような女性には、実際には、夫なり、子の父親に当たる人がおられる場合が多いので、今回の改正で受給をご遠慮いただくこととしたのです。」しかも、ここのところは厚生省、ゴシックで、太い文字で書いている。私は、そこに今度の厚生省のやり方の本質があると思うのです。それは実際こういう場合もありますよ。だけれども、これが大きな理由で、ゴシックで書かなければならないようなことじゃないじゃないですか。こんなもの、後ろの端の方に小さい字で、こういう場合もあるとぐらい書いておけばいいんですよ。さもこれがあるかのように……。私は、この未婚の母の切り捨ては、厚生省は実態を余り調べないで非道なるやり方をやったなと思う。
 もう一つは、未婚の母の抑制政策ぐらいに考えているんじゃないですか、抑えようと。だけれども、未婚のお母さんだって、自分で最初から未婚の母になろうと思ってなった人はないと思うのですよ。いろいろな社会環境の中から、そんな中から――きちっとお父さんがおって子供を産むのが一番理想的だ。極端な例を言うと、もう結婚式を前にして、自分の夫となるべき人が交通事故に遭った。そうしたら、おなかには赤ちゃんが宿っていた。命が大事だから赤ちゃんを産んだ。私の身近なところにもいらっしゃいますよ。これは家庭の激変ではないから生まれた子供には何もしません――泣きますよ、そういった人たちは。これは局長、本当に泣いていますよ。ここに書かれている「このような女性には、実際には、夫なり」云々ということが書かれて、それからその後も書いています。「いわゆるおめかけさんまで税金による手当が受けられること」云々。一体、この実態は何なんですか。私は、これは感情論だと思うのです。どうですか。
#133
○小島政府委員 午前中も御指摘を受けたところでございますが、この表現は極めて適切を欠くものがあったと思っております。ただ、一つこういう問題がありましたのは、児童扶養手当が非常に不正乱給、不正受給がある。まあ未婚の母だ、あるいは離婚したという状態でも、夫と見られる方々が同居しているというようなケースがありまして、ここいらが非常に批判されている事実ということが念頭にあったせいもあったかと思います。ただ、これは主目的から考えましても、表現その他全く適切を欠く表現であったというふうにおわび申し上げておきます。
 それで、未婚の母と思われるものにつきましても、事実婚というようなことを形成している場合につきましては、その事実婚の解消には、全く法律婚の解消と同じような措置を講じておるわけです。これもやはり事実婚として夫たるべき人に生計を支えられている、それがまた支え等を失ったという事実は法律婚と全く変わりないわけでございますから、対象にしております。が、別れた父子家庭なんかにつきましては、これはほとんど生活の激変ではないだろう、一般には夫が支えているわけですから。そういうことで、これも対象になっていないわけでございます。その場合には、収入がどんなに少なくても、母子家庭と違って手当の対象にはならぬということでございます。
 今回の制度の仕組みといたしましては、生活状況の激変を緩和し、急激な変化から立ち直れるまでの間の援助措置として制度を整理した、その結果いわゆる未婚の母が対象にならなかった、こういうことでございますので、制度の趣旨、目的に照らしまして−−まあ子供全体を対象に考えておるということになりますと、これは母子家庭とか父子家庭とかを離れまして、所得水準で見るとか、あるいは児童手当の問題で考えるとかということになろうかと思いますが、今後、改正した児童扶養手当制度が担う役割として、そういう離婚等による母子世帯の激変緩和を援助して自立を促進する、そういうことを通して児童の家庭における養育が十分にできて、健全育成に役立つようにしたい、こういうことでございます。あくまでもねらいは児童でございます。
#134
○森本委員 生まれてくる子供には本当に責任はないと私は思うのですよ。お母さんが別れるところへ生まれようと思って生まれたわけでもないし、未婚の母のところへ生まれようと思ったという、そんな意思も持ってない。それから、生まれてきた子供にとっては、先ほどの局長の法律解釈なんか全くわかりませんよ。そんな法律解釈、僕らも大したことはないけれども、それは局長の話を聞いていたらだんだん難しくなって、法律というのは難しいなというふうにしか思えぬ。だから法解釈云々、これは法治国家ですから、それは当然あるのですけれども、もっともっと児童という問題に合わせていくと、これを今やるのであれば、そのかわりにこういうぐあいにこういった児童については別の救済措置を考えますと、何かなければならぬ。何もなしで、ただぶすっとぶつけてきておる。こういうやり方は私は納得できないのです。
 大臣、未婚の母子世帯についてはどうしてもここで切らなければならぬ法律の解釈が法律論の上であるというならば、そういった世帯をこうしますという――今これで救えなかったら、別に法律でもつくって、あるいは救済措置もきちっとして、それで今回の法律が施行されるべきである。そうでない限り、ただ切ってしまうということには私は納得できないと思うのです。大臣、この未婚の母子世帯、今回無慈悲にも切られた世帯をどうしていくのかということを、本気になって施策を考えていただきたいのですが、どうですか。
#135
○増岡国務大臣 この法律は、今案として御審議をいただいておるわけでございまして、御指摘の点につきましては、親と子供あるいは児童に着目しておりますもろもろの制度があるわけでございますので、その中でできる限りの救済をしてまいりたいと思います。
#136
○森本委員 これはもう本当に切り捨てたらだめですよ。本当に、法律で切るのであれば、法律でまた救済することを考えてください。私は、それが行政のあり方だ、また我々政治家の取り組むべきところだ、そのように思います。
 ぜひこの問題については、できる限りじゃなしに――それは、できなかったら子供は切り捨てですか、局長。この子たちは切り捨てになるのですか。できなかったら切り捨ててもいいというのですか。局長、どうですか。
#137
○小島政府委員 先生御指摘のように、子供には、どんな形で生まれてこようと区別はございません。すべての子供を健やかに育てるのは国の責務でもございますし、特に厚生省が担っている大きな責務だと考えております。
 ただ、こういう現金の支給制度の対象といたしまして、これは先生ももう既に御承知のとおりに、日本の場合には一応生活の最低保障は生活保護と。ただ、そういうところに至らない場合でも、生活が激変した場合にどういう対応を行うか、あるいは母子家庭についてどういうことを行うか、必要かというような施策については従来からいろいろ検討を重ね、必要な施策の推進を行っておるところでございますし、今回手当の支給対象にならなくなる方等につきましては母子福祉資金の貸付制度というようなことで、修学とかあるいは自立のためのいろいろな手助けをするという制度のまた一層の拡充を図りながら、全体として児童に対する社会保障制度、社会福祉制度が十分なものとなるよう、さらに努力を続けてまいる所存でございます。
#138
○森本委員 家庭の激変と言いますけれども、親子にとっては家庭の激変ですよ。未婚のお母さんにとっても家庭の激変ですよ。二人、親と子ができたら、そこから家庭ですからね。だけれども、未婚のお母さん、今まで一人だったら何もなかったのです。そこへ子供が生まれた。激変じゃないですか、これは。その子供をほっておくわけにはいかない。子供を抱えて一緒にこれから、しかも、まだとやかく言われる社会環境の悪い中ですよ。それを抱いて、お母さん、ぐっと踏ん張っていかなければならぬ。これは家庭の激変ではないのですか。大きな激変ですよ、これは。だから、私は本気になってこの問題については考えてあげていただきたい。
 厚生省というところは、そういう家庭から見ると何か救って――私のところへいろいろ御相談に見えるのも大概厚生省関係の相談です。そういうところの人たちはみんな、厚生省へ行けば、厚生省の管轄であれば、何か救う手だてがあるんじゃ、ないだろうかというふうな思いで来られる。それがこういう状況では私は許せない。だから、ぜひこの問題については、大臣ができるだけとおっしゃっていただきましたけれども、どうか必死になってやっていっていただきたいし、それから貸付制度もあると御説明いただきましたけれども、借りたものは返さなければならないのです。貸付制度だけで果たしてよくなっていくかというと、よくならないと思うのです。
 私も奨学資金で大きくなりましたけれども、これはやはり二十年かかってきちっと返しました。返さぬでもいいと一回も言うてくれませんでした。また当たり前のことだと思うのですが、そういうところへ無理に国から借金を背負わすようなことじゃなしに、もう少しいい方法を考えていくべきだと私は思うわけです。大臣、できるだけとおっしゃっていただきましたが、私、非常にしぶといようでございますけれども、この問題はしぶとくいかぬとあかんと思うのです。大臣、もう一度、できるだけじゃなしに、厚生省と力を合わせてやっていきますと、あるいはここだけは特別の措置を行いますと、いかがでございましょうか。
#139
○増岡国務大臣 御指摘の御趣旨につきましては私も同感でございます。あらゆる制度を利用いたしまして、御趣旨に沿うような姿勢で、かつ熱意を持ってやってまいりたいと思います。
#140
○森本委員 ひとつぜひ取り組んでいただきたいと思います。
 次に、父親の所得との関係が今回の改正の中で問題になってまいりました。おやじの所得いかんによって別れた家庭がいただく手当も金額が変わってくるし、それから六百万円以上の家庭についてはそれが支給されない。別れたお父さんの所得が六百万円以上であれば、おやじの方からきちっと扶養料が払われているとかいないとかにかかわらず、六百万円以上だったらアウトなんですね。六百万円の根拠、それから六百万円以上の家庭であれば必ずおやじが扶養料を払うという根拠を示してください。
#141
○小島政府委員 六百万の根拠でございますが、これは単身で六百万の収入がある、そういたしますと、ボーナスも平均してでございますが、月当たり五十万というような収入になろうかと思います。単身で六百万ということになりますと、所得を十分類いたしますと一番上のクラスである、一番生活にゆとりのある階層だ、こういうことになろうと思います。こういう方々につきましては、まず父の所得のあるなしにかかわらず、いかに離婚いたしましても父には子供については扶養義務がございます。したがいまして、まずそういう義務の履行を期待して、またこういう公的な制度に頼る以前に、別れた母親の方も父の子供に対する扶養義務の履行を請求していただきたい、こういう趣旨で今回こういう事項を盛り込んだわけでございます。
 が、先生第二点で御指摘になりました必ず払ってくれるということになりますためには、これは請求しても払わないというケースもあり得ると思います。ただ、これにつきましても、保証としては、現在のところ民事上の請求ということでお願いする以外に公的な制度としてこれを保証する制度はございません。
#142
○森本委員 六百万円以上で社会の中の一番上に属する人たちだ、だから、そういった人たちは養育料を出してくれるという考え方ですね。役所でいうと大体課長級の皆さんですね。六百万以上というのは課長級の皆さんになるんじゃないですかね。それは厚生省の課長さんだったら別れても払うかもわかりませんよ。一般じゃ養育料は払われにくいと私は思うんです。払われないいろいろな条件がありますよ。それがもとで離婚しているという場合も多いですよ。収入が六百万円以上仮にあるにしても、あって、社会的な立場があったとしても、ギャンブルに明け暮れて、それで出ていくのが多いから離婚された家庭もあるやないですか。
 六百万円以上の家庭は払えるという根拠は何もありませんし、現実に、これは五十八年度厚生省が調べられた調査によりますと、全国母子世帯等調査でいくと、養育費を受けたことがないもの七八・六%、おやじの方は、私もおやじでございますけれども、大半が払っとらぬ。じゃ、この七八・六%の大半が六百万円以下であればいいのです。七八・六%の中には六百万円以上の人もいっぱい入っていると思うのです。お金なんか取っても、出すときなんか、みんな金持ちになればなるほど出しませんわ。
 僕も昨年そういう問題に突き当たって、いろいろ弁護士さんと相談しながらやったこともありましたけれども、これは大変ですね、しかももう二人とも感情的になっておるから。そうでなかったら、冷静で六百万円以上の人が何もかもうまくいってきちっとやっていたら離婚なんてしません。また、この人は六百万円以上であったかどうか私はわかりませんけれども、これもちょっと極端な例で申しわけないのですが、巡査部長が銀行強盗をやる。社会的に立派な立場の人やないですか。しかし、なぜ銀行強盗をやったのか、この間の事件。ギャンブルに明け暮れてサラ金に借金がいっぱいですわ。この人は、じゃ前年度六百万円以上の収入があったからといって養育料を払うとは限りません。私はこんな例がいっぱいあると思うのです。
 局長が、六百万円以上であればその家庭は養育料が必ず支払われる、支払われない場合には私が支払いますというぐらいであればこの法案は構わないけれども、あるいはスウェーデンやアメリカやソ連のように社会的にそういう制度があるのであればこれは納得できますね。だけれども、別れて養育料の取れない人はどうするんですか。
#143
○小島政府委員 現在公的にそれを保証する制度はございません。公的にというか、こういう公法上と申しますか、行政上の仕組みとしてはございません。これらにつきましては、いろいろなケースもあろうかと思いますが、高額所得者であればであるほどやはり一番履行しやすい条件は整っているわけでございますので、別れても本当に父であることに変わりありませんし、そういう履行義務に期待をし、なおかつ子供の監護者である母についてもいろいろな問題あろうかと思います、再び別れた夫の顔を見たくないとか、こんな話をしたくないという状況もあろうかと思いますが、そこはやはり子供の監護者としてやはり民事上の手段によって請求をお願いしたい、こういうことでございます。
 なお、あわせて先ほど先生御指摘の社会保障制度審議会の御答申の中でもこういうものが確実に担保できるような手だてもあわせて今後検討しろということでございますので、これは離婚制度にも絡む問題で複雑な問題ではございますが、行政的にも今後どんな対応ができるか、十分検討してまいりたいと考えております。
#144
○森本委員 十分検討してもらいたいことと同時に、今度六百万円以上の人たちで実際に養育料がもらえない人が出てくると思うのです。局長がおっしゃったように、大半は払ってくれる人であるかもわかりません。実際そういった人たちが出てきたときの手だてをきちっとやっておかないと、これは極めて不平等な、不公平な、また気の毒な話になってくるのです。一〇〇%いける、あるいはもしいかれなかったら厚生省も一緒についていって、実は六百万円以上であなたが養育料を出さないから、この人たちには児童扶養手当も何にもないんですよと厚生省が行って相手の夫に説明してあげてくれてそこからもらってくれるのだったら、それはまだわかります。
 これは、六百万円以上の所得証明をもらった、別れるお母さんがえらいことだなといってその証明書を見せながら、今度御主人に、あなた、私これは手当がないからあなた何とかと言うて、そんな話は離婚のときにできないと僕は思うのです。してくれる人はきちっとしてくれます。恐らく最初からしてくれるでしょう。だけれども、こじれてこじれてこじれた人あるいは夫に支払い能力が――しかも前年の収入ですからね。前年の収入があって、倒産して、しかも支払い能力がない人は僕はできないと思います。何とか考える余地はないのですか。
#145
○小島政府委員 どんな御協力ができるか今後十分検討させていただきたいと思いますが、かわって取り立てるということになりますと、請求権を確定するとか、これは御本人の努力にまたなくてはならぬ、現在の法制度のもとではそういう状況もあろうと思います。
 それから、先生最後に御指摘になりました、前年六百万でも破産したというような場合があるのじゃないか、こういうようなケースについては、状況の変化ということでございまして、これは対象にする取り扱いに考えております。
#146
○森本委員 それから、所得証明、給与証明をもらいに行くわけでしょう。これは法的には出さなければ相手はどうなるのですか、夫の方は。
#147
○小島政府委員 これは原則として請求者に出していただく形にしておりますが、どうしても請求者がそういうことで出しがたい事情、いろいろな個人的な事情も含めましてあります場合には、知事がかわってその関係者からそういう証明をとるという道も開いております。そういう証明は第一義的には御本人の御努力にまたなくてはなりませんが、困難な事情がある場合等々につきましては、公的機関と申しますか、自治体である都道府県知事がかわってそういう書類を整えるということができる道も今度の改正に盛りこんでございますので、そこは第一義的には本人の御努力に期待するということになっておりますが、事情によりましてはかわって知事が請求する、整えるということで、そういう問題の生じないような対応を考えてまいっております。
#148
○森本委員 向こうが出さない場合はさらにどうするのですか。知事が所得証明を取り立てに行くのですね。その辺はちょっと私わからぬのですけれども、どうしてその証明を取り立てるのですか。
#149
○小島政府委員 これは別れた後御請求になった場合に、こういう事情で別れた夫の所得証明がとれないというお話がありました場合に、その事情がもっともだと思われる場合には、知事がその夫自身やあるいは夫の勤務先とか、それから関係の官公庁へ照会してそういう資料を整えるという道を開いてございます。
#150
○森本委員 私は、証明書をもらうということは非常に非現実的な問題ではないだろうかとこれは思うのです。
 それから、その証明書が出てきた段階で、今度は六百万円以上は、もう扶養料を払うか払わないかにかかわらず切られる。今度は、出てきた段階で二段階制で、百七十一万円未満の人は従来よりも三百円上がるのですか。この数年間物価スライドも何にもなしで据え置きのままで、やっとことし三百円上がるわけですね。厚生省は真にお困りの方については上げますというので三百円上げられるわけです。この二年間置いといてですよ。そこだけ真にお困りの人と、こういうふうに言うわけだけれども。ところが、一方、今度は百七十一万円以上三百万円未満。何で今まで三百六十一万円あったものを三百万にしたのですか。
#151
○小島政府委員 この制度を福祉の制度として見直してきたわけでございますが、二人世帯で三百万というのは、生活状況が普通だと感ずる次第でございます。したがって、自立の援助というと、普通程度の生活を営んでおる世帯を上回るような所得のあるところには今回手当を御遠慮願うという趣旨でございまして、一般の生活レベルの均衡等々を考えて三百万という線を出しております。
#152
○森本委員 七年ほど前が大体三百万円だったのですね。それからだんだんだんだんいろいろ検討されて三百六十一万円になったんじゃなかったですかね。今から七年ほど前の手当に逆戻りですか。今まで七年間厚生省がいろいろ考えられて、これは大変だからということで、漸次上げられて三百六十一万円にされたのでしょう。そうじゃないのですかね。
#153
○小島政府委員 これは所得制限につきましては、従前、支給率をああいうような形で維持していくということで所得の上昇等を勘案して上げてきたという経緯は、御指摘のとおりでございます。今度福祉の制度の一環として社会保障全体の中で見直しを行った結果、どの程度の所得制限が妥当であろうかということで検討した結果、普通程度の生活レベルを上回る層については手当の支給対象としないこともこれは妥当ではなかろうかという判断のもとに、このような所得制限を考えておるところでございます。
#154
○森本委員 三百万円から三百六十一万円にするのに一つ一つ検討されて、これが妥当であるというぐあいになって、七年かかって三百六十一万円になったのです。それが今度この目的を変えてきて、また福祉制度にするので三百万円に切ろうというのは、この制度がまさに最初に申し上げましたように、貧困家庭の救済的措置の中の最低限の問題に焦点を絞っていくから、そういうことになっていくと私は思うのですよ。健全なる児童の育成という立場から考えたならば、今まで健全な児童の育成に必要だから六十一万円を七年かかって上げてきたのです。一生懸命厚生省も検討されてやってこられた。しかも離別世帯の家庭の人たちの収入の平均が大体百七十七万円というわけですね。一番ここの人たちがかかってくるんじゃないですか。実態はどうなんですか。今度切られる人はどのくらいの人数になるのですか。
#155
○小島政府委員 切られると申しましても、今度の所得制限の適用につきましては、一年間の経過措置を設けてございますので、現在受給されている方々、三百六十一万の線で受給されている方々につきましては、施行後一年はそのまま受給いただける。ただ手当の額については、二万二千円という額の手当でございます。
 今度新しく申請される方々の中でどの程度あるかというのは、ちょっと精査は難しい問題もあります。ただ、普通一般の世帯と離婚世帯を全く同じレベルで所得の分布があると仮定してみますと、大体月間の申請数で四百件程度になろうかというふうに一応推算しております。
#156
○森本委員 四百件ですか。
#157
○小島政府委員 その六百万の所得制限に該当するような母子世帯、それだけによって失格するような母子世帯というのは、月平均で見まして、請求数の中で現在の状況から推算しますと、四百例ぐらいが出るんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
#158
○森本委員 六百万という数字が出ましたけれども、私が今言っているのは、三百万から三百六十一万の中の人たちです。三百万から三百六十一万の人たちで、今まであったけれどもという人たちは人数的にはどのくらいになるのかということです、
#159
○小島政府委員 三百万というようなことで該当する方々につきましては、現在の受給者の中で見ますと三%程度と考えております。
#160
○森本委員 わざわざそこまでしないで、今まで三百六十一万円が妥当だとやってきた厚生省ですから、そのまま三百六十一万円までというふうにこの枠を広げる考え方は全くないのですか。
#161
○小島政府委員 制度全体の位置づけを社会保障制度の中で体系的に見直した結果、平均的な普通の生活レベルというところまではやはり対象として妥当ではなかろうかということでございますので、今後のこういう社会福祉の措置としての位置づけを考えますれば、三百万という所得制限が御理解願えるものと考えております。
#162
○森本委員 今局長の御答弁をいただきましたけれども、こういう状況下、今日まで三百六十一万円というのが妥当だとやってきたのを、今度制度を見直すから切るんだという考え方になっているわけですけれども、三百六十一万まで踏ん張るという考え方は大臣どうですか。
#163
○増岡国務大臣 今このような御提案を申し上げておるわけでございます。いろいろ経過措置も考えておるようでございますが、この問題は法律事項じゃなしに政令事項であろうと思いますので、将来にわたって検討してまいりたいと思います。
#164
○森本委員 十分検討して後退しないようにしていただきたいと思います。財政事情の上からということで福祉が後退され、児童が権利をなくすようなことがあってはならないという答申も出ておるのですから、どうかその点は単なる財政上の問題で後退するというようなことのないようにお願いしたいと思います。
 そこで、さらにまた後退する問題が支給期間の短縮でございます。従来十五歳までとされておりましたけれども、お母さん方が昭和五十一年くらいから三年間にわたって何とか最終を十八歳まで、高校在学中にまで延ばしていただきたいと一生懸命努力してこられた。そして、そのお母さん方の訴えを受けて厚生省は今日まで高校卒業までというふうに一生懸命頑張ってきていただいた。しかも今高校進学率が九四・三%という状況下。それから朝も論議の中にありましたけれども、その中にあって母子家庭は非常に高校進学を希望する者も多いけれども実際の進学率は低いという状況下ですね。これは母子家庭の人が頭が悪くて低いんじゃない。勉強しないで低いんじゃない。なぜ低いかというと、大半は経済的理由によるものなんです。
 それを今度の改正で七年間とされました。それを言うと、義務教育の間は七年過ぎてもいけますよと言う。じゃ、八歳までの間に母子家庭になった場合には、十五歳、もう義務教育を終えた段階で打ち切りなんですね。高校へ行こうと思うときにはもう全くなくなるわけでしょう。それで、このときも家庭の自立のためにと言うのですか。高校へ進学したいという人があっても、その七年間の期間が過ぎて義務教育を終えた場合にそういう手当が支給されない。このときに母子家庭にあって一番お金が要るときなんです。しかも母親が一番体に変調を来す年齢なんです。(「それはわからぬ」と呼ぶ者あり)いや、そうだ。大体更年期障害とかいろいろ起きるのはこの辺からで、子供を小さいときから一生懸命苦労して育ててきて、それでそうなるときなんですよ。
 高校へ進学するときにばっとここで切られるというのは、厚生省、またきょうは初めから終わりまで、私、厚生省薄情やと言うてますけれども、薄情なやり方だと思うのです。今まで高校卒業までやってあげたんですからね。どうですか、局長。
#165
○小島政府委員 七年間というのは、先生御指摘のように何歳から受給するかということでいろいろ変わってくるわけでございます。母子家庭の高校進学率の低さについては、我々としても十分原因も究明しながら必要な対応策を今後考えてさらに充実してまいらなければならぬと考えておりますが、たまたま高校の進学段階であるいは高校生になった後で手当が受給できなくなったというような方々につきましては、福祉資金の中に別枠で所要の貸付金を設けまして、それを無利子でお貸しすることにしてそういう方々の進学の便宜を図ってまいりたい。経済的理由で進学ができないというような事態は救済してまいりたいと考えております。
#166
○森本委員 七年間に切られた根拠を聞きましたら、平均は皆さん四・七年で大体自立しておられる。それから七年以上の人は二五・三%ですか、私、こういった人たちこそ一番必要な人たちだと思うのです。制度審で真にお困りの人あるいは厚生省も真にお困りの人と言っているんですからね。今もう大半が高校へ行く時代になったとき、私はこういうときこそこういう制度は削らないでそのままあるべきだと思うのです。さっき私が、このときお母さんの体が一番変調を来すときだと言ったら、そうでないというやじも飛んでいましたけれども、大体子供が十五、六になりますと、二十五でその子が初めて生まれて、ちょうど四十過ぎから母親が一番苦しいときになってくるんですよ。
 なぜ私がこんなことを申し上げますかというと、初めに申し上げましたように、私が二歳のときにおやじを戦争で亡くして、そして私が高校一年、姉が高校二年、母子家庭で育ってきたときに母親ががんで倒れたのです。そのときに私と姉とどっちが学校をやめるかということで本当に一生懸命話し合いました。姉は、私がやめるから、あんたは男やから学校へ行け、僕は男やから僕が働いた方が収入が多いから僕がやめる、そういう論議を、片一方母親が病院に入院中です、高校を途中でやめるかやめないか、姉と一生懸命やったんですよ。そのときはどれだけ暗くつらかったか。そしてその結果、私はまだ親戚とかそんなのがあって、姉はおじいさんの家へ、私はおじさんの家から高校へ行って、母親は病院へ入院という一家ばらばらになった体験があるんです。
 しかも、その高校時代、母親が病気になって倒れた期間、どれほどつらい思いをしたか。だから、私は、私がつらい思いの中で頑張ったからえらいというんじゃなしに、そんな条件に置かれるのがこの年だ。高校進学、しかも僕らのときはまだ高校進学率が今ほどもなかった時代ですから、まだ中卒でも社会人の中で働いて頑張っている人がいっぱいおった時代ですが、それでも高校をやめるということはつらかった。今まであった制度が後退してこんな状況になっていくということは、私の体験からいっても断じて許されないと思う。大臣、どうですか。
#167
○増岡国務大臣 先ほど局長からそういう場合の制度として無利子の貸付制度をという説明をいたしました。また先生からそういう貸し付けと給付とは全く違うという御指摘もございました。私もそのことはそのとおりであると思います。
 しかし、制度をつくります以上は、どこかにそのような区切りといいますか、それが義務教育であるのか十八歳であるのか、大変難しい問題であろうと思うわけでございまして、その間の事情を考えながら今日のような御提案を申し上げておるわけでございますので、その間の事情もよろしく御理解いただきたいと思います。
#168
○森本委員 ぜひ今の期限、高校卒業までの問題については十分検討いただきたい。それから、期限を設けないで従来どおりやってあげていただきたいと思うのです。
 あと五年という問題、それから地方負担二割、国の責任を地方に転嫁するというふうに考えられますし、窓口が地方になればなるほど、今まで郵便局の窓口でもらえたのが、今度はいろいろな規制を受けながらお役所の中で監視されているような思いの中でこれをもらわなければならない。しかも今までも生活保護の窓口は非常に冷たいということで有名でございますけれども、そういったところへまた苦しい思いで行かなければならないという状況、地方の二割負担から起きてくるわけでございます。こういった問題ももう一度よく御検討いただきたいわけです。
 質問しようと思ったのですが、ちょうど時間が参りましたので、これで質問を終えさせていただきますけれども、この問題については、私は終始一貫薄情だと言い続けてまいりました。その気持ちは今も変わっておりませんし、しかも私は、私の体験の中からそう実感するものであって、決して今度の法改正の問題について感情的にただどうこうと言っているわけではございません。どうか、この制度についてはもう一度よく見直していただいて、決して後退することのないように、しかも厚生省が言っているように、真にお困りの方に、家庭という問題を横に置いて、本当に未来を担う児童のために手厚い施策をきちっと講じていっていただきたいことを大臣にお願いすると同時に、もう一度この問題についてのきょうの論議の大臣の所感を伺って、また決意を伺って質問を終えさせていただきたいと思います。
#169
○増岡国務大臣 私どもも先生御指摘のような観念といいますか、物事の考え方でおるわけでございます。しかしながら、それが制度としてスタートし、それを将来長続きするようなものに安定をさせなければならぬという立場からこのような御提案を申し上げておるわけでございます。先生の御趣旨は私もよく理解しておりますので、そのように今後対処してまいりたいと思います。
#170
○森本委員 質問を終わります。
#171
○戸井田委員長 小渕正義君。
#172
○小渕(正)委員 今回の児童扶養手当法の改正案につきましては、余りにも問題点がもう明確になっているわけですね。もちろん、この法改正に至るまでの手続の問題もありますが、中身としての所得制限導入の問題、特に実効は伴わないのに離婚時の夫の収入を定めてそれ以上の人については支給しないというような問題、また俗に言う未婚の母の子供に対して対象から外す。その他収入制限、また支給期間の変更、それぞれ余りにも問題が明快でありまして、しかも改正されようとなさっているいろいろの理由づけについても極めて納得性が薄い、こういうことで、いとも明快であります。
 したがいまして、ほとんど問題は絞られているわけでありますので、午前中からの論議とほとんど重複するかと思いますが、大臣も局長もそういった点では同じようなことはかり聞かれて大変かと思いますが、先ほどから言われておりますように、厚生省としては社会福祉政策を推進する立場の中で、こういうふうに非常に冷たいじゃないかとか薄情じゃないかと言われて心外だと思われる点があるかもしれませんが、事この児童扶養手当改正案についてはそう言われてもやむを得ないような性質のものじゃないかと思います。
 したがいまして、増岡大臣は、前国会で提案された事項でございますので、できればこういったものは前大臣で処理してしまってもらえておればよかったな、恐らくそういう気持ちの中で苦しい答弁をなさっているだろうと思います。しかし、今回のこの改正案の中身は、本当にどう考えてみましても理解できない面が多々ありますので、そういう立場から、重複いたしますが質問を申し上げます。
 まず第一に、これも午前中も触れられておりましたが、今回の改正の主な理由、これをもう一回明快にお示しいただきたいと思います。
#173
○小島政府委員 先生御承知のとおり、児童扶養手当制度は昭和三十七年に、三十四年に発足した国民年金法によります母子福祉年金、これは死別の母子世帯についてでございますが、これを母子福祉年金の対象にならないで母子世帯になっているいわば生別の、離婚による母子世帯等に対して母子福祉年金と同様の手当を出すという制度として発足したものでございます。が、一方、母子福祉年金は、もう今回の改正でなくなってしまうというところまで来ておりまして、現に現在の受給者数も千人を割っておるような状況でございます。一方、この制度は逐年受給者数が増大しまして、現在は六十万人近い数字にもなってきているという状況がございます。したがって、今回母子福祉年金がなくなるという時期をにらみながら、もう一度今後の社会保障全体の中での児童扶養手当制度のあり方はどうあるべきかということを、臨調の御指摘もございましたので、検討した結果、今後の児童扶養手当制度のあり方といたしましては、離婚等による母子家庭の生活の激変、これは働き手の中心であった夫や父に頼ることができないという生活の激変が起こっておりますので、そういう苦境を乗り越えて自立するまでの期間その自立を援助しながら家計の安定を図るという制度に組み直そう、いわば純然たる福祉の制度に組みかえるということで、年金制度の補完的なものから福祉制度として社会保障制度全体の中で制度を見直した結果、今回の改正案を御提案した次第でございます。
#174
○小渕(正)委員 二通り言われておりますが、結果的には臨調答申で児童扶養手当の給付についても一、二項挙げて指摘がされておるわけでありますね。やはりこれが直接的な動機となってこの問題を検討するようになったのか。これはあくまでも付随的で、先ほどから言われているような周囲のいろいろな状況の変化の中で改正作業を検討中にたまたま臨調からこういう指摘があってあわせてやったのか、そこらあたりはいかがですか。
#175
○小島政府委員 母子福祉年金が逐次縮小してきて次第になくなりつつあるという事態がありましたので、内部では今後こういう母子福祉年金の補完的な制度としての役割は終わるわけでございますので、今後のあり方はどうあるべきかということを検討してまいりましたが、やはり直接のきっかけとなりましたのは、臨調におきましては、その運用の適正化というようなこととか、全体の社会保障制度の中での位置づけはどうあるべきかということで、検討しろという御指摘を受けましたので、それを契機に検討を急いだということでございます。
#176
○小渕(正)委員 これも午前中からの議論になっておりましたが、まず最初の改正の目的の中で、特にこの問題の本質的な考え方の変更という立場で御質問が出てきておりますが、くどいようですけれども、現行の目的の「国が」というところを抹消して、新たにこのような条文を挿入した。その意味するものは一体どういうものを意味して、このような条文になったのか。
 先ほどから前の委員の質問等にも出ておりましたけれども、いま一つどうしてもはっきりしないわけでありますが、要するに、目的が変わったのじゃないか。この児童扶養手当については、先ほどの御答弁の中では変わってないんだということをいろいろ具体的に言われておりますが、私はこの改正案と現行との中において、これだけ条文をこういうふうに変えて入れたということは、目的そのものの変更をこれは意味しているんじゃないかというふうに受けとめているわけですが、そこらあたりについての御見解をもう一度お尋ねいたします。
#177
○小島政府委員 目的規定を改正している、これは御指摘のとおりでございます。
 これは、「国が」という字句を削除いたしました趣旨は、今回はこれは福祉の措置として見直しを行った結果、国と地方が共同してこの手当の支給制度をやる、いわば地方にも給付金の一部を負担願うという仕組みにいたしておりますので、そういう意味で、従前は国だけが給付金を負担しておりましたが、そういう変更がございましたので、「国」という字句を削除しております。
 もう一つ、今回の改正によりましても、児童のための手当であること、児童の健全育成を図るために使われることを期待した手当であることという性格は変わっておりません。ただ、今回は従前の母子福祉年金制度等の補完的な制度と異なりまして、母子家庭が生活の激変を乗り越えながら、克服しながら自立するまでの間の有期の支給制度にしようという趣旨にいたしましたので、そういう趣旨を目的規定の中にも盛り込んだという次第でございます。
#178
○小渕(正)委員 国を外したのは、地方自治体に負担を一部肩がわりさせるということから、ということでは理解できます。ただ、しかし今、一つ後の問題ですが、児童そのものに対してこれを支給するという性格づけについては、何も変わってないんだということでありますが、私はそこが一番変わっているんじゃないかという気がするんですね。結局、従来は児童を対象にして扶養手当を国が支給していこう、これですね。ところが、今回は家庭の中の児童としての、補助的にそういうお金を支給していこうということに、やはり性格づけはこれはもうここで明らかに変わったんじゃないか。これが先ほどから議論されている一番問題の点になるんじゃないかと思います。
 先ほどからのお話を承っておりますならば、従来はもう要するに児童一人に対してどうだということ、児童そのものに対する、これが万全かどうか別にして、国としてきっちりした一つの方向を示しておったのが、今回はそういう児童を持つ家庭に対しての一つの補助的な意味でお金を出していく、自立安定のためのお金を支給していくという形の中では、明らかに本質的な流れ、考え方が変わっているんじゃないかと私は思うのですが、その点はどうですか。
#179
○小島政府委員 従前からも母子世帯という状態に着目して手当を出しているわけでございますし、その受給者は母でございます。その世帯が父親を失ったことによって生活状況が苦しくなる、それを補てんするという趣旨で出しているわけでございますが、それは変わりはございません。ただ、何のためにそういう母子世帯に生活の苦しくなったときに着目しながら出すか、それは児童のためであるということには現在も全く変わりはございません。したがって、この児童扶養手当の趣旨の規定も今回改正法案ではいじっておりませんで、あくまでも児童のために使ってくれという趣旨の手当であるということの性格は変わっておるわけではございません。
 ただ、今回は年金の給付というようなものと考え方が違いまして、自立ができるまでの期間の、いわばそういうような有期の給付である。従前も子供が十八歳に達すれば終わっておるわけでございます。有期であることに変わりはございませんけれども、平均的な受給年数あるいは母子家庭が生活保護家庭から脱却するまでの年数等を勘案しながら、一応七年間という期間でその自立の準備をしていただきたい、その間手当を出しましょうということでございますので、そういうニュアンスをこの目的規定にも盛り込んだ、これはあくまでも自立を促進するために援助する趣旨であります。ただ、使うのは子供のためでございますし、従前もそういう母子世帯にそういう手当なり年金が出ていたということには変わりはございません。その性格上の違いはございません。
#180
○小渕(正)委員 もし、そうだとするならば、あえてこのような条文を新しく挿入することの意味がないんじゃないか。やはり変わっていない、変わっていないと言いながらも、あえてこのような文章を新しく挿入して変えてきたというところは、そういう手当制度の持つ意味合いそのものを変えていこうとした一つの流れがこういう条文になったんじゃないかと私は思うのです。だから、今の説明でいきますならば、あえて何もこんな新しい条文を挿入しなくても、このまま国なら国のところだけ外せば、これは体裁はそのままでいいんじゃないかと思うのですがね。
 そういう意味で、これは午前中も金子委員の御質問に対して御答弁されておりましたが、どうしても私はこの点がひっかかってならぬわけですけれども、じゃ、なぜこういう条文を挿入して変えるのか。今言われたようなことであるならば、あえて何もこういうことを入れる必要はないじゃないか、こういうふうにまた逆にどうしても反論が出てくるわけですが、いかがですか。
#181
○小島政府委員 先ほど申し上げましたように、子供のための手当であることには変わりはありません。ただ、これは今後は、夫を失った、父を失ったということによって生活の激変を生じた家庭につきまして、その激変を乗り越えて自立できるまでの間の援助措置であるという性格の手当になりますので、そういう趣旨を目的規定にも明確にしたということでございます。
#182
○小渕(正)委員 この問題で余り時間を割いてもいけませんので、これは両方平行的でありますが、ただ私はあえてこのような条文を挿入してきたということは、今回の改正では別として、次からの児童扶養手当制度の中でこの条文を中心にしてまた次第にそういう考え方に沿っていろいろな問題が出てくるのじゃないか、これは非常にそういう懸念があるものですから、ちょっとこだわったわけでありますが、この点はまた別の機会があればそのときに議論したいと思います。
 次に、先ほどから今回の改正のきっかけは臨調答申に基づくものだということを言われておるわけでありますが、この臨調答申の中で一番問題になっておるのは、不正受給を防止するため、それから何らかのものを検討せよということとあわせて、都道府県に対しての負担の導入という問題についてもひとつ社会保障政策との関係の中で考えていけというような、臨調答申はそういう内容が一つあります。
 したがいまして、今回のこの改正案では臨調答申に沿ったこの二つの問題にはどのように、結果的にはもちろん二〇%の地方負担ということでありますが、不正受給防止という立場から見て、この今回の改正案にこれがどのように生かされておるのか、その点を明らかにしていただきたいと思います。
#183
○小島政府委員 不正受給につきましては、臨調の第一次答申におきまして児童扶養手当制度に触れたところがあります。ここでは「認定の適正化を図る上から、支給に要する費用の一部を都道府県が負担することも制度上考えられるが」云々、こういう御指摘がございました。認定の適正化を図るためには、この制度の現実の実施主体と申しますか、制度の第一線の実施主体についてもある程度の負担をお願いするというような仕組みがあっていいのではないか、こういうお考えであろうと思います。児童扶養手当の受給問題につきましては、不正があると従前からいろいろな形での御非難も受けていたところでございますし、従前からこれらの不正の排除につきましては可能な限りの努力をしてきたわけでございますが、なかなか完全に防ぎ切れるところまで行っていないのは残念でございます。
 今回は年金制度とのつながりを断ち切りまして、純然たる福祉制度という形で見直しました結果、他の福祉諸施策と同じように地方負担を導入する、第一線の実施機関である都道府県につきましても一部の給付費を、二割と考えておりますが、負担を願う。それを通してまた給付の適正化も図っていこうという措置は、臨調の御指摘の、自治体にも一部負担を願うような形での運営の適正化を図ったらどうかということにはこの改正でこたえていると思いますが、改正そのものが単に適正化のための地方負担ということではございませんで、やはり制度全体を見直した結果、制度の性格づけから、これは福祉の措置として、他の児童福祉の措置費あるいは生活保護等々も同様に一部の費用について地方の負担をお願いするのが適正と考える、またそれを通して結果的には事業運営の適正化も期待できる面があろうということは言えるかと思います。
#184
○小渕(正)委員 要するに、地方が二割負担することによって地方も初めてみずからの責任を感じるようになるということで、不正受給の防止といいますか、適正な運営といいますか、そういうものに必然的にひとつ取り組まれていくであろうということを言われているのですか、その点どうですか。
#185
○小島政府委員 事業運営の適正化の一つとして、実施主体に一部費用負担を願うという方法も当然考えていいのではなかろうかというのが臨調のお考えであったと思います。結果的に臨調の御指摘のような一部給付費の負担をこの制度の中に盛り込んだわけでございますが、それは第一義的に事業運営の適正化あるいは不正防止ということではなくて、制度の性格上他の福祉措置と同様に地方負担をお願いするのが妥当ではないかというこの制度の性格上からのことでございますし、その結果、運営について一層責任ある運営が期待できるのではないかというような、臨調第一次答申にもこたえることができている格好になっておると思っております。
 臨調につきましては、第五次答申の中でも先生御指摘のように触れておりまして、「離婚の増加、女性の職場進出の進展等の変化を踏まえ、児童扶養手当の社会保障政策上の位置付けを明確にし、手当支給に要する費用の一部についての都道府県負担導入問題について、早急に結論を得る。」という御指摘をいただきました。第一義的には臨調もまずその性格を明確にしろということに主眼があると全体として考えております。
 不正防止につきましては、これもあわせて御指摘いただいたところでございまして、「不正受給を防止するため、認定申請の支給事由の確認及び受給者の受給資格継続の有無の確認につき適正化措置を強化するとともに、これらの事務の監査指導を強化する。」という指摘もいただいております。これは午前中も御指摘いただきましたが、プライバシーの問題もあります。なかなかに難しい調査であるという面もありますが、できるだけそういうところを簡略化しながら、かつ確実に事態をはっきり把握できるようなことにしたいということで、逐年こういう不正受給防止施策につきましても見直しを行い、その適正化に努めているところでございます。
#186
○小渕(正)委員 それで今回の改正の中で不正受給防止という点はどのようなところに盛り込まれておるのかということをお尋ねしたわけです。
 今の御答弁でいきますならば、社会福祉政策上のバランスから今回地方に二割負担、そういう形に変更することによって、地方がそれによって不正受給その他事務のいろいろなものを扱うことによって結果的には間接的にそういう形の中で不正受給がある程度防止されるであろう、こういうことを言われているということであって、実際にこの制度そのものについては不正受給防止のために何らかのものを考えだということは別にないわけですね。この点いかがですか。
#187
○小島政府委員 これにつきましては、従前からいろいろの運用上の努力をしているところでございますので、この制度について直接的にそれをねらいとしてやったというようなところはございませんが、事態をはっきり把握するために知事等のいろいろの調査権なんかの整備をしている規定もございますので、これらをあわせもって、より一層の給付の適正化を図ってまいりたいと考えているわけでございます。
 なお、地方について、地方負担がないから制度の運営が安易に流れる、地方の負担があるかう制度の運用が慎重になるというようなことは一概には言い切れないと思います。ただ一般的な面としては、自分もみずから負担するものについてはより一層慎重になることが期待できるのではなかろうかというのがこの臨調の御趣旨であったかと理解しております。
#188
○小渕(正)委員 地方に幾らか責任を持たせ、肩がわりすることによって、そういう一つの期待感の中で不正受給防止も何とかやっていけるだろう、こういうことのようでありますから、その点はそれでそれなりに受けとめておきます。
 それから、先ほどからも触れられておりますが、先ほども局長の答弁の中でありました臨調の中で、児童扶養手当の社会保障上の位置づけというものをどうするのかという問題提起があっているわけです。ところが、先ほどからの御答弁の中では、そういう他の社会福祉政策とのバランスの中で今回地方負担二割というものを考えたということでありますが、児童扶養手当の社会保障上の位置づけというものについてもう一度はっきりひとつその点の見解をお示しいただきたいと思います。
#189
○小島政府委員 繰り返しの答弁になろうかと思いますが、従前は母子福祉年金の補完的制度、いわば年金に準じたような費用負担のあり方をしましたり、全く母子福祉年金に準じたような給付をしてまいっていたわけでございますが、本当に必要な福祉の措置としてどうあるべきかという社会保障制度全般の中で再検討いたしました結果、離婚等による家計の支えの中心を失った母子世帯について、離婚等による生活の激変を乗り越えて自立できるまでの間の援助措置に制度を位置づけよう、こういう形で制度の見直しを行いまして、そういうことで受給期間とか所得制限とかを全部見直したということでございます。
#190
○小渕(正)委員 そうすると、端的に申し上げますと、社会保障政策上従来は国がすべて負担しておったわけですね。ところが今回二割地方負担だという形に変わっていくということにおいては、社会保障政策上若干位置づけが、言葉は適切かどうかわかりませんが、軽くなったというか下がったというか、国が全面的にすべて見ようとしておったのを、ほかの福祉政策とのバランスの中で地方でもある程度見てもらうような形に移すということは、それだけ社会保障政策上は今回のこの制度そのものが若干形としては軽くなったのじゃないかと受けとめざるを得ないのですが、その点いかがですか。
#191
○小島政府委員 これは重い軽いという表現は必ずしも適当ではないのかと存じますが、これまでの制度は全く母子福祉年金の補完的な制度、母子福祉年金をもらえない母子家庭を対象とする年金に準じたような制度でございましたが、それで、これもそういう性格から国が全額を負担しておった。ただ、今後は社会福祉の施策として制度全体の位置づけを明確にしたということでございます。そうすると、社会福祉施策となりますと、児童福祉その他の身体障害者福祉とか、生活保護等も含めましてある程度の費用をやはり地方にも負担願っている、そういう事業の性格からこの制度が変わることを契機といたしまして地方にも他の福祉施策と同様に一部の費用の負担をお願いするという仕組みに変えたということでございます。
#192
○小渕(正)委員 言葉が適切でないかどうかということで前もってお聞きしたのですが、確かに年金に準じて国として全面的にすべて面倒を見るというものと、国が七割なり八割なり出し、あとを地方が見る、公共的な性格で見る分についてはそれは同じなんですけれども、一般国民と言うか我々素人から見れば、国が責任を持ってすべて見るというものと一部地方が負担して地方と全体の中で見るというのは、重さが軽いという言葉は悪いですが、どうしてもちょっと変わると思うのですよ。そういうふうにしか一般に受けとめられかねない問題があります。
 そういう点で、この内容はともあれ今回の改正案の本質的な流れとしては、先ほど申し上げましたように、目的のところでああいった条文を挿入するし、そして地方負担制度を導入することによって、言葉が適切かどうかわかりませんが、我々素人流に言いますならば、社会保障政策の国としての心構えというか、そういうものが今回何か後退したのではないかというふうに受け取らざるを得ないわけですね。そういう意味で先ほどからの質問をしているわけであります。
 結果として、もらう人から見れば変わらなかったらいいじゃないかということは言えましょうけれども、受け取る側としてはすべて国が見るのか、一部国が見てあとは地方が見るのかによってどうしても受け取り方が違ってくるわけです。そういう意味で私どもとしては、一連の流れとして今回の制度改正は基本的にそういう本質的なものがかなり変わりつつあるのではないかと理解するわけでありますが、その点、何か御意見ございますか。
#193
○小島政府委員 確かに今回の改正は、年金に準じた制度であったものを他の社会福祉施策と同様の位置づけをしたということでございます。
 ただ、そうなると軽くなるのかどうかという問題につきましては、例えば生活保護なんかも、これは憲法上の最低生活保障、最終的にはさようなことでありますが、その根幹をなす制度だと思います。これについても地方負担がある。ただ、社会保険とか何かの仕組みにつきましては、従来から国費だけでやってきたという経緯がございますので、年金的なものにするか、社会福祉制度としての給付というふうに位置づけるかによって地方負担を導入するのが妥当かどうかという事業の性格論の結果だと考えておりますので、軽いからこれを地方にお願いするという趣旨のものでは決してございません。
#194
○小渕(正)委員 今回の改正の中で主なものは、所得制限が強化されたことが一つです。それから、手当額の段階制を導入したというのがございます。こういうものは臨調答申の中では触れられていない内容だと我々は思うのでありますが、これは臨調答申に沿った中からこういうものが考え出されてきたのかどうか、その点についての御見解を承ります。
#195
○小島政府委員 臨調の御指摘それ自体においては、所得制限をどうしろ、あるいは二段階制の手当にしろというような御提言は具体的にはございません。だから、社会保障全体の体系の中でもう一回見直しを行えということでございまして、全体として見直した結果、年金でございますと保険事故があれば経済状態によって給付額が変わるというものではございません、支給制限を受ければ別でございますが。ただ、福祉の制度ということになりますれば、やはりその実態に対応したきめ細かな配慮があってしかるべきだと考えておりますので、従来の一本であった手当額を所得の段階別に、所得税非課税という階層までは手厚い給付を、それを上回ってどこまで出すかという問題はまた一つありますが、普通の生活状況と考えられている収入が二人世帯の場合で大体三百万という数字が出ておりますので、そこまではやや少ない手当額を出すという形で変えたわけでございます。年金でございますと、そういうきめ細かな配慮がなくて給付金は大体一律、どういう事故であればどうだということになるわけで、ございますが、福祉の制度でございますのでそういう配慮をすることが妥当ではないかというふうに考えた措置でございます。
#196
○小渕(正)委員 午前中もいろいろ議論されておりましたが、今回の改正は財政上の制約から着手せざるを得ないような形になったのか、現実の情勢の中に制度が必ずしもうまくマッチしない、ふぐあいというか、いろいろそういう状況が発生したので、この際考えようとしたのかということについては、先ほどの質問の中でも、たまたま制度改正についての検討等の臨調答申の御意見もあってあわせてこれを具体化していったという御答弁でございました。
 いろいろ言われておりますが、根本的には、今のような制度ではどんどん膨張するばかりだから、何とか歯どめをかけなければいかぬという財政上の規制からどうしてもこういう新しい考え方を導入せざるを得なかったのではないかというふうにしか理解しにくいのでございますが、その点を率直に御見解をお尋ねいたします。
#197
○小島政府委員 二つの要素はともにあります。我が国におきます離婚件数というのは逐年増加しております。アメリカから比べますと、割合といたしましてはまだ三分の一程度の状況だと思います。ただ、どこまでこれが増加するかという問題はあります。この児童扶養手当の給付費につきましても、毎年三百億とか二百億とかというオーダーで増加してまいっておるわけでございます。そうしますと、社会保障施策全般の中でこの制度がだんだん大きくなってまいりますと、他の制度の必要な施策に振り向けるべき財源が極めて拘束されるという状態も出てまいるわけでございますので、財政的な配慮という面も当然念頭にございました。
 同時に、先ほど申しましたように、たまたまその母体と申しますかそれの裏打ちみたいなことをしてまいりました母子福祉年金そのものがなくなる時期でございますので、この際、母子福祉年金制度の補完的な制度からどうあるべきかという形で見直しを行って今度の改正法案を取りまとめたということでございますので、御理解願えればと思います。
#198
○小渕(正)委員 次に移りますが、今回段階別に改正した中で対象世帯数は具体的にはどういう数字になりますか。全体としては現在六十万世帯くらいが対象になっているとお伺いしておりますが、今回新たに六百万という措置を設けたことによって外れていく世帯、三百万以上の収入によって所得制限で対象から外れる世帯、その他という形でもしあればお示しいただきたいと思います。
#199
○小島政府委員 今回の改正によります離婚時の父の所得が六百万とか未婚の母子世帯というような方々について、既に現在受給なさっている方を排除しようという改正は取り込んでおりません。今後新たに申請されるという方々からこういう要件で審査してまいるということになっております。また、所得制限を三百六十一万から三百万までにしているわけでございますが、これにつきましても一年間の経過措置を設けておりますので、直ちに手当が失権するということにはなりません。
 今後の新しい申請につきまして、例えば父の所得による六百万ということになって申請ができなくなる、あるいは申請しても認定してもらえないという人たちがどのくらい出てくるかというふうに考えますと、申請件数が、これ全体が月平均一万件前後あろうと思います。その中の、これは試算がなかなか難しいのですが、離婚家庭の所得の分布率が一般家庭と全く同じだ、こういうように考えてみますと、大体一万件のうち四百件ぐらいがそれに該当するのではなかろうか。それからまた、未婚の母子世帯につきましても、月平均申請件数のうちの大体三百件程度じゃなかろうかというふうに考えております。一月当たり平均して考える場合ですので、一年間満年度で計算いたしますと、片一方は四千八百件、片一方は三千六百件というような数字になろうか、こう考えております。
#200
○小渕(正)委員 大臣、これは今回の改正案の中での、何といいますか問題点の最たるものの中の一つがこの六百万円の所得制限の問題ですね。離婚時の夫の年収が六百万以上ある人については、そのような離別世帯については、養育費は前の夫からもらえということで対象から外すというのが一つ大きく、これは新しく出ているわけでありますが、これは先ほどからいろいろこの問題のいかに不当か不合理かということが言われておりましたように、六百万の証明をどうしてとるのだというような問題もありましょう。
 それから、何といいましても問題は、確実にそういう六百万以上の年収のある家庭の離婚の夫の方が養育費を出すかどうかという問題についても問題指摘がされておりましたが、これについても単なる精神論と期待感だけでありまして、具体的に実効あるものは何もないわけですね。だから、それなりに社会的責任を負わせる立場として、こういう発想は私はわからぬでもないと思いますよ。ある一定の年収のある人については子供の養育についてはやはり社会的にも責任を持て、それはわかるんです。だから、そういう意味ではこういう発想は理解できるわけでありますが、しかし、実効性がないのにこういうものを設けること自体が非常に問題じゃないかと思うのです。だから、六百万以上の人が離婚した場合には必ず養育費を出すべきであるというような法律を何かつくってきちっと義務づければ、また別です。それがないでしょう。
 それから、民法上の問題がある。民法上でやれ、やれと言いますが、これはなかなかまた年数がかかって実効性が上がらぬという現在の非常に不備な状況にあります。そうしますと、例えばまたそういう家庭については国が手当を支給するかわり、そっちの夫の方に対して必ず徴収してやる、その分を代替費として国がまた徴収する、何かそういう措置でもあればまた別ですけれども、そういうことなしに、ただ離婚前の夫の収入が六百万円だから、あなた対象になりませんということでは、先ほどから言うように、これは明らかに切り捨てたということ以外にない。
 まさに実効性が疑われているわけでありますから、この点は、これは何としてでもやはり大臣、考え直さぬことには、まずこれが厚生省は冷たいとかなんだとかいろいろ言われる最たるものの一つだと思います。余りにもこれは建前論だけ先行して――法律というものはそういうものじゃないと思いますね。やはりそういう実効性が上がるようなことが本当の法律だと思いますので、この点は大臣、これは何としてでも考え直さないことには、この問題については、これは恐らく国民の理解を得ることは不可能だと思います。
 私、その発想そのものを否定するものじゃございませんけれども、裏づけがないわけですから。裏づけがないのに片一方切り捨てるということですから、結果的に切り捨てになってしまうわけでありますから、そういう意味でやはりこれはひどいじゃないかというふうに言われるのは当然のことだと思うのですが、大臣、どうでしょうか、この点。
#201
○増岡国務大臣 この問題は、現在の社会世相から考えて非常に難しい問題だと思います。先生御指摘のように、実効が上がるかどうかということもありますし、また反面、建前論からいきますと、父が扶養の義務があるはずであるのに、その法を無視して仕送りをしないということを暗に認めるようなことが制度の中に入るということも大きな問題があろうかと思うわけでございます。そういうところで、窮余の策として六百万円ということを入れたのだろうと私は思います。その基本には、やはり養育すべき父が支払わないからといって、直ちに国がそれを肩がわりして負担をするということに制度の上で明らかにしてよろしいかどうかということでこういう結果になったのでございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。
#202
○小渕(正)委員 それは苦労されるのはわかりますけれども、しかし、結果的に打ち切りになってしまうじゃないかということを言っているわけですね。だから、そういう対象のところについては国が肩がわりしてとりあえず養育費としてこの手当を支給するかわり、その分は全部その対象の夫の方からもらいますよという形で、きちっとそれを何か義務づければまだいいんじゃないかと私は思うのです。何らそういうことをしないで、ただ、じゃ国がすべて支給しますということでは、今御懸念されたようなことをかえって促進するという形で、扶養義務までかえって放棄するというようなことになりかねないという一面があみことはわかります。
 だから、それはわかりますから、先ほど言うように、何らかの形で、要するに問題はそういう社会的な責任を果たさないような人たち、人たちと言っては悪いけれども、そういうものについてどうするかということが一番問題ですから、それがやはり一つの実効性が伴うものとしてこの法を運用しないことには、ただ建前論だけでこれをやったところで、これは結果的にはそういう御家庭の人たちを全部この制度から切り捨ててしまうということのいろいろな理由を幾ら申されても、結果的には財政上から少しでも切り捨てればいいということの一つの逃げ込みだ、こう言われても、心外かもしれませんけれども、結果的にはそう言われてもやむを得ない面があると思うのです。
 だから、ぜひこの点はひとつ今後、これは私どもとしては絶対にこのことをそのまま納得するわけにいきませんので、特にこの点についてはしかと再考を求めるように意見を申し上げておきたいと思います。
 それから次でありますが、これもまた悪名高いと言うが、要するに未婚の母の支給打ち切りの問題でありますが、これはいろいろとやかく理由を申し上げることも別にもうないほどそれぞれ質問者の皆さんから言われておるわけであります。
 ただ、先ほどからいろいろこのやりとりを聞いておりまして、結果的にはこの未婚の母という世帯ですか、これは政府としては、未婚のそういう世帯の人たちは家庭としては考えない、そういうところから来ているのじゃないかという感じが、先ほどの局長の答弁等を聞いておってするわけでありますが、その点は、要するに未婚の世帯というか家庭というのは、それは家庭じゃないんだということからどうもスタートして打ち切るという形に来たんじゃないかという気がしてならぬわけですけれども、その点いかがですか。
#203
○小島政府委員 これはまさしく未婚であろうと別れた母子世帯であろうと、それは家庭であることには全く変わりはありません。全く家庭でございます。
 ただ、離婚のように、従前は夫によって生計を支えられて、その支え手を失ったというような生活態様の激変がないという違いがそこにある。そういうことによりまして、今回は生活状態の激変に対するいわば自立までの間の援助措置という性格の制度に組みかえましたので、激変の起こってないいわゆる未婚の母子家庭は対象に上がってこなかったということでございます。世帯であることには変わりませんし、一般に母子福祉対策等につきましては全くそれと区別することなく必要な施策の推進に努めておるところで、ございます。
#204
○小渕(正)委員 激変の対象として上がってこなかったということでありましょうけれども、先ほどからこんな大きな変わり方があるというお話もありましたが、内縁の妻、これはどのように定義なさっているのですか。
#205
○小島政府委員 内縁の妻につきまして、もう既に同居しておる、これは事実婚の関係が成立している、内縁関係は一般に事実婚という形で見ております。したがって、そういう方々、内縁の夫に生活を支えられていて別れたということは、これは事実婚の解消ということで今後ともその手当の支給対象になります。
#206
○小渕(正)委員 これは細かい話を突き詰めていきますが、もしそういう内縁の関係であればこれは認めていくということでありますが、それは一月でも同居しておれば、もうそういう内縁の関係だということで認めていくのですか。
#207
○小島政府委員 その態様であろうと思いますが、期間というのは余り本質的に問題にならぬと思います。ただ生活を同一にして夫に支えられた、そういう生計をともにしているという事実関係があるかどうかということとともに、期間も参考になることになりますが、実態の具体的な判断になりますので、一概に何月以上なら、何日以上なら内縁関係成立ということは申し上げられませんが、そういう実態があれば期間はそれほど問題ではございません。
#208
○小渕(正)委員 これはこれからの運用の中でいろいろ非常に幅広く考えられれば結構ですけれども、未婚の妻といったって、例えば一月同棲したとか、十日同棲したとかいう形で未婚のなにが発生するわけでありますから、そういうことが今の内縁との関係の中で包含されればある程度救われるという面がございます。だから、そういう意味でちょっと細かいことをお聞きしたのでありますが、そのようなことを考えるならば、先ほどの御答弁では今後努力するように何とかしていきたいというお話をされておりましたね、局長答弁で、大臣でしたか、前の委員の質問に対しまして。
 施策の充実、これはしかし、この改正案がスタートした後からそういうことを幾ら検討してもらっても困るわけでありまして、施策の充実という立場が並行的に行われて初めて、改正案がスタートするときにはそういうものがまた裏づけとしてないことには、これが後二年先三年先に施策が充実されても困るわけですから、そういう意味で、施策の充実は今後十分努力しますということは、この改正案との並行的な形で何とかそうやってこぼれていくものを救うという立場で間に合わせるということでおやりになるのかどうか、その点いかがですか。
#209
○小島政府委員 これを打ち切るかわりにこういう施策を新たに設けましたという対応関係が十分でない場合もあります。ただ、一応こういう手当を受給できなくなるような方につきましては、打ち切られるというような方につきましては必要な資金の貸付制度というものも設けることといたしておりますし、また、他の福祉対策全般の中で必要な施策の拡充に今後とも努めてまいるということでございます。
#210
○小渕(正)委員 問題は、他の必要な施策とは具体的にどういうものが考えられるのか、その点をお尋ねいたします。
#211
○小島政府委員 これも従来からやっている施策の拡充という面もございますが、例えば母子世帯のおうちの方々がより自立しやすいように、保育所の整備を進め必要な保育体制を完備するとか、就労を援助申し上げるとか、家庭介護人を派遣したりというような事業を拡充して、その生活に困ることのないような、母親が病気になった場合とか何かに支障を来さないような施策を拡充していく、その他生活の実態に対応して必要な施策の拡充を図ってまいることにしております。
#212
○小渕(正)委員 時間がありませんので、次に移ります。
 あと一つ、支給期間の有期化ということで今回七年という制度が新しく設けられるわけでありますが、先ほどから議論されているように、児童が、児童というよりも小さい一歳か二歳からの子供さんであった場合には、結果的には義務教育期間ということ、一番長いもので十五年ですね。だから、今の我が国の社会実態として少なくとも高校進学が九四%、五%程度に来ているような状況の中で、当然高校までは考えるべきじゃないかという意見がいろいろ出されておったと思います。これは至極社会的に常識的なものだと私は思います。
 そういう点で考えますならば、結果的に七年間の基準は、とり方が今までの実績の上に立ってとられているわけですね。だから、それはそれなりにわかりますけれども、最終の高校までは何とか国としても対象の中に入れるということはぜひ考えないと社会的にも大変問題じゃないかと私は思います。
 そういう点から一つ考えられるのは、子供さんの生活費、年齢が大きくなるに従って生活費がかなり変わってくるわけです、家庭の中での費用というのは。だから、二歳か三歳のときと小学校に行くときと中学校へ行くときと、子供さんの必要経費といいますか、かなり変わってきますから、その辺のことを考えますならば、もう少し本当に情味のおる施策を考えるとするならば、子供さんの対象年齢段階別のものを何かもっと考えるべきじゃないか。これは事務的に面倒だといえばそれまでですけれども、本当に温情味があるならば、そういう子供さんの生活実態に応じた手当の支給ということももう少し画一的でなしに考えていいんじゃないか、そういうことを含めながら、最終的には皆さん高校へ進学される場合には何とかそこまでは対象に入れるというような配慮が欲しいと思うのでありますが、その点いかがでしょうか。
#213
○小島政府委員 支給期間を原則七年、義務教育終了時まで、ものによっては七年を延長してという仕組みにいたしております。その結果、高校の途中で、あるいは高校に入ると切れるという方も出てくるのは御指摘のとおりでございます。ただ、これらの方々につきましては、七年ということは、世帯全体で見ますと一応自立可能な状態になってきているのじゃなかろうかという判断のもとに無利子の児童扶養資金を貸与する、その額もこの手当額と同額を考えておりますので、そういうことを御活用願いながら進学を可能な状態に持ってまいりたい。また、母子家庭の進学率が低いことは事実でございます。これは経済的状態のうちどんな要素があるのか、これもいろいろなデータを分析いたしまして、また進学率向上を図り得るような所要の施策も講じてまいりたい、こう考えております。
 年齢階層別に手当額を、これも一つのお考えであろう、こう思っております。ただ、我々の場合、児童福祉施設なんかの場合でも生活費そのものはそう大きな変化はございません。ただ、学齢に達しますと、小学校、中学校、それから高校等によっていわば勉学のための費用というものに差が出てくるのは先生御指摘のとおりでございます。現在は、そういうことまで考えないで、一つの考え方であろうかと思いますが、そこに余り大きな差がございませんものですから一応一本化させていただいておるということでございます。
#214
○小渕(正)委員 家庭での子供さんの生活費というものをどういうまとめ方で見るかによって違いますけれども、これは一般社会通念上も四つ、五つの子供さんと中学生とはかなり生活経費というのは違うんじゃないかと思います。だから、そういう点で、そこらあたりもいろいろと血の通った方策として検討に値するんじゃないかと思うわけでありますが、いずれにいたしましても、大臣、今回のこの改正案は、どのように考えてみましても、何とか政府の立場といいますか、いろいろそういう御意見をお聞きしましても、これが理解できるような問題ではございません。
 したがいまして、特に六百万所得制限の問題、それから新しく導入したそういう問題、また未婚の切り捨ての問題その他子供さんの年限有期の問題、いろいろと、これはいかに国家財政が厳しいとは言いながらも、だからといって、もう少し知恵を出し合ってもっと解決すべき問題が幾多とあるのじゃないか。このままではこれはとてもじゃない、私は厚生省のいろいろな施策について余り悪法だとかなんとかいうことは言いたくございませんけれども、今回のこれだけはやはりどうしてもいただきかねる。これは恐らく国民の皆さんみんな、対象の人たち、どなたに聞いても、ああそうか、そんなことをやろうとしているのかということで、実は共感は絶対呼びません。
 だから、一部新聞等報道によりますと、自民党――よその党のことですから余り言われませんが、与党の中でもやはりこれは問題だ、何とかしなければいかぬということでいろいろと再検討されているやに私どもは報道を通じて見ておるわけでありますから、ひとつ政府、大臣も、そこらあたり与党の皆。さんとも十分連携をとりながら、我々がここで出しておる意見等も十分参酌していただいて、もう一度スタートに戻って御検討いただきたい、このように思いますので、その点に対する大臣の御見解を承りまして、終わります。
#215
○増岡国務大臣 各党におかれましてどういうふうにお考えになっておりますかは私どもが申し上げる立場でもございませんし、また事実、御意見もまだこの委員会の席でお伺いをしておるところで、ございますので、差し控えたいと思います。
 ただ、この件につきましては、私どもといたしましては、気の毒な立場にある児童というものに着目をして、その制度を長く永久に続けるためにはこのようなことであろうかという立場で御提案申し上げておりますので、よろしく御理解をお願い申し上げたいと思います。
#216
○小渕(正)委員 では終わります。
#217
○戸井田委員長 浦井洋君。
#218
○浦井委員 私は大臣に冒頭お尋ねしたいのですけれども、中曽根内閣になってから医療保険は大改悪をするわ、それから年金保険も今大改悪をやろうとしておる。今度は児扶法の大改悪でありますから、これはもう隣の第一委員室でやられておる高率補助金の一律カットの問題と同じように、いよいよ中曽根内閣は弱者の切り捨てといいますか、弱者いじめといいますか、こういうものに乗り出してきたというふうに思うわけであります。
 朝から議論をされてきておるように、所得制限の強化であるとか、手当の二段階制の導入であるとか、支給年限の短縮であるとか、未婚の母子世帯に対する支給の廃止であるとか、例の別れた父親の年収六百万円による支給の廃止、そこに線引きをしました。それからもう一つは、この目的のところで「国」というのがなくなって、実質的にはもう国と地方の共同の仕事だというように、これは結局自治体に対する費用負担を強いるわけであります。ですから、どの一つをとってみても大改悪だというふうに思うわけであります。生まれ出る前から既に欠陥商品も大欠陥があるというふうに私は言わざるを得ないわけであります。
 そこで、大臣に率直にお尋ねをしたいのでありますが、今の話によれば、これだけ与野党とも、こんなのはあかんと言うておるわけでありますから、もう潔くこの法案を撤回をして、少なくとも現行法の目的にのっとって、やはり生別の母子世帯の皆さん方の児童という点に着目をして、もっと拡充充実をすべきである、そういう決意をもうこの辺で大臣言わはったらどないですか。
#219
○増岡国務大臣 先ほどから各党の先生方に申し上げておりますように、この児童扶養手当法の改正案につきましては、年金制度の中でその恩恵に浴しておられた方々がもうほとんどおられなくなって、年金制度としては消減をするわけでございます。片や離婚によります母子世帯が大半、ほとんどを占めてくるようになったわけでございますから、年金制度から一般の社会福祉制度に変わっていくことは、その対象であります母子世帯の実態から見ましても自然な成り行きであろうというふうに思うわけで、ございます。したがって、そういうような観点から考えますと、やはりそういう制度の枠組みの中でいろいろな問題が考えられ、それに対応した法律案をつくっておるわけでございますので、よろしく御審議をお願い申し上げたいと思います。
#220
○浦井委員 なかなか大臣もしぶといわけでありますけれども、母子福祉年金が減っていくというのはこれはこれとして当たり前の法則的な話であって、児童扶養手当がふえていくというのもこれは当たり前のことで、全然別の問題であります。
 そこでお尋ねをしたいのでありますけれども、午前中からの局長なりの答えを聞いておりますと、今度のいわゆる改正案なるものの括弧づきの法律の目的というものが変わったのか変わらぬのか、その趣旨が変わったとかなんとかいろんなことを言われておりますが、私は国が抜けだということを今は問題にしているわけじゃないですよ。これもけしからぬわけでありますけれども、「児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため」というような辺ですね。これは目的が変わったわけですか、それとも趣旨が変わったんですか。
#221
○小島政府委員 児童扶養手当の趣旨は全く変わっておりません。目的も「児童の福祉の増進を図ることを目的とする。」ことに変わっておりません。ただ今回は、全く年金制度の補完的制度という性格から改めまして、離婚等による生活状況の激変を生じた母子家庭に対する福祉の制度という位置づけをしておりますので、そういう性格のものであるということを明確にするために目的規定にこういう文言を入れた。いずれにいたしましても、年金にしろ従来の児童扶養手当にしろ、それは使い道としては子供のために使っていただく趣旨のものでございますが、そういう子供のための費用を出すことによってその母子世帯の生活の安定を図ってきておることは変わっておりません。
#222
○浦井委員 何かわかったようなわからぬようなことを言われるのですけれども、午前中は金子委員の御質問に答えて、目的については変更しておらない、竹村委員の質問に対しての答弁の中では、目的は変更しておるというふうに言われておるわけでしょう。午後になると、目的は変更しておらぬけれども、趣旨が変わったのだというように何か受け取られるような答弁があった。今は、目的も趣旨も変わってないんだ。一体どれがほんまもんなんですか。
#223
○小島政府委員 これは金子先生のお尋ねは、子供のためのものから家庭のためのものになったのかというので、それはそうではございません、こういうことでございます。全くこれは現金給付でございますから、やはり生活の安定を図るための趣旨としては、年金にしろ児童扶養手当にしろ、同じでございます。ただ、使い道としては児童のために使ってくれ、児童の福祉の増進を図ることを目的とするのだから、児童のために使ってくれということでございます。そこは変わっておりません。
 ただ、ここで目的規定を変えているのは事実でございます。なぜ変えたかといいますと、離婚等によって夫の収入によって生活を支えられてきたという状態が変わるわけでございますので、その変わって、自立できるまでの期間の自立促進のための援助措置であるという性格のものにいたしましたので、その趣旨をここに盛り込んだ。あくまでもこれは子供のための手当である、母子家庭の生活の安定を図るために出してあげているものであることには変わりはありません。
#224
○浦井委員 しかし、ここの新旧対照表によれば、目的の文言が変わっておることは間違いないでしょう。
#225
○小島政府委員 ここでは要するに、児童が育成されておる家庭の生活の安定とその自立の促進に寄与するために出す制度である、これを受けている期間に万般の準備をしていただいて自立してほしい、自立できるまでの間手当を支給しましょうという趣旨の法律でございますので、その趣旨をここに明確にしてあるということでございます。
 ただ、これによって手当を出す目的が変わったのか、これは子供のためでなくなったのかというと、これはあくまでも子供のためであることには変わりはありません。
#226
○浦井委員 趣旨と目的とは、どない違うのですか。
#227
○小島政府委員 似たようなものです。どういう意味合いでこの手当を出すか、こういうようなことを図るために出すというのが趣旨で、ございます。この二条に書いてありますのが趣旨でございまして、これはあくまでも、そのままお読みいたしますと、第二条で「児童扶養手当は、児童の心身の健やかな成長に寄与することを趣旨として支給されるものであって、その支給を受けた者は、これをその趣旨に従って用いなければならない。」こういう気持ちでこの手当は出しておりますよということで、ございます。
 ただ、そうすると何のためにこれを出すのだということになりますと、児童の福祉の増進を図ることを目的としてこの手当を出すのです。これは全く変わっておりません。
#228
○浦井委員 目的の少なくとも一部分の中に趣旨という精神が人づておるわけでしょう。そうでしょう。
#229
○小島政府委員 目的規定は、趣旨も踏まえて書くことは当然でございます。
#230
○浦井委員 だから、やはり目的が変わったということになるんじゃないですか。そうでしょう。
#231
○小島政府委員 だから、目的は子供のためのものでなくなったとかなんとかという変わり方ではない。この手当は、生活の激変を生じた家庭について、その自立を促進するために、いわば自立できるまでの間の援助措置として出すものですという性格は、ここでより明確に書いてあるということでございます。それで、自立の必要な期間として、今回の改正では一応七年間を考えておる、こういう仕組みで、ございます。
#232
○浦井委員 そうすると、これはもうこんにゃく問答みたいなもので、時間が浪費みたいな格好になるのですけれども、少なくとも目的というのは趣旨にのっとってやるわけですから、やはり私は目的が変わったというふうに思うわけです。あえておたくの立場をしんしゃくした表現で言えば、広い意味で目的が変わったというふうに私は理解をするわけです。これは何で変えたわけですか。
#233
○小島政府委員 ですから、今までのような年金の補完的な性格から、福祉の措置として、離婚等によって生活の激変を生じた家庭にその自立を促進するための福祉の措置であるという性格に変わりましたので、その趣旨を目的規定にも明らかにしたわけでございます。
#234
○浦井委員 母子家庭をめぐる状況の変化というのは、どういうふうに認識されておるわけですか。
#235
○小島政府委員 これも午前中来御論議いただいておるところでございますが、母子家庭の収入が一般的に低く厳しい状況であるという事態は、まだ変わっておりません。ただ、雇用の状況を見ますと、二十年前から比べますと、常雇の雇用者が非常にふえてきているとか、全体の女子の就労者が非常に増加している、あるいはそういう母子家庭の方々等が働きやすい条件整備としての、例えば保育所あるいは児童館というようなものも整備をされてきている。したがって、自立に努力なされるための条件としてはまだ不十分な面はありますが、二十年前の法制定当時と比べると、大きく変わってきておるという認識でございます。
#236
○浦井委員 不十分であるかという文言が今初めて入ったのですけれども、今自立できますか。母子家庭をめぐる経済的な自立がしやすくなったという証拠はありますか。
#237
○小島政府委員 数量的に申しますと、就労の状況が、不安定的就労者から安定的な常雇の被用者になってきているという面もございます。また、働きに出るための保育所等の整備も、二十年前と格段の状況になってきた。また、労働行政等につきましても、こういう母子家庭に対する特別の施策も逐次拡充されつつあるという状況がございますので、そういう面で、条件は整備されつつあるという事態は事実だと思います。またそれは御指摘のように不十分な面があります。
#238
○浦井委員 それは局長、認識不足もはなはだしいわけですよ。ここに私、厚生省の出しておられる数字というのは朝方からもう大分使われましたので、新しい数字を出してみたいと思うのですが、ここに大阪府母子福祉連合会、こういう社会福祉法人があるわけなんです。その中に若松会というのがつくられておって、若年の母子世帯の方が会員に入っておられる。その中で、しかもさらに中学三年生の生徒を持っておられる離別世帯について丹念に戸別訪問で――戸別訪問でというと変な言い方でありますが、訪問調査をしておられるデータであります。それを例えば大阪市大の先生であるとか龍谷大であるとか花園大であるとか、そういうようなところの学者の方々が専門的に統計学的にまとめたものであります。
 今局長は、大分変わってきたというふうに言われておるのでありますけれども、ここにありますけれども、まず、就業の状況であります。働いておられる方、働かざるを得ない方が九一・六%、そしてその中で、離別後新たに働き始めた方が四二・七%、それから離別後仕事を変わったという方が二九・三%、これでもう七二%ですね。それで、離別前と離別後と同じ仕事を続けておるというのはたったの一九・六%、二〇%弱なんですよ。これで安定したということが言えますか。
 それから、転職の回数を調べておられる。そうすると、一回転職をしたという方が四四・七%、半数に近いわけです。しかも驚くべきことに、二回から十一回まで、この数字を合計しますと、これでもう五〇%を超えておる。安定就労どころか、まさにこれは不安定就労じゃないですか。
 それから、まだいろいろ証拠がありますよ。例えば、不安定就労の割合が高いという数字でありますけれども、これはここにあります。ずっと調べられた数字をちょっと申し上げますと、現在働いておられる母親三百六十九人の――これは回答者ですね。四百数十軒の訪問調査ですけれども、その中で回答された方が三百六十九人、この就業先を見ますと、いわゆる一般企業が二五・七%で、比較的ここは多くなっておるけれども、その約半数は現業ですよ。現業です、ブルーカラーです。そして、従業員三十人以上の企業の事務職五・一%というものや、あるいは専門職は一・九%であるから少ない。やはり多いのは臨時雇い、日雇い、パート二二・五%、これはやはり多いわけです。だから、ここでも結論として「不安定就労の割合が高いといえよう。」こういう結論ですね。これは局長どうですか。
#239
○小島政府委員 転職の場合どういう事由が、あるいは転職によって勤務条件がよくなったのか悪くなったのかというようなこともありますし、これは一概にその転職によって安定、不安定ということは言えないと思います。いろいろよりよい仕事を求めて転職というケースは母子家庭のみならず多い状態だと思います。
 ただ、先生のおっしゃったケース、中にはこういうケースもある、非常に多いケースだということは私もそのように理解いたします。ただ、中身をもう少し見ませんと、それに、こういう転職が多いから就労条件がだんだん悪くなってきておるのか、よくなるためにかわるのか、あるいは住居の移転等々のためにかわるのかというような要素もあろうと思いますので、そこは一概に言えない問題があろうか。ただ、我々の調査として、全国的な調査で見ますと、常雇の従業員が増加してきている、働いておる方々の中で大きな割合を占めているということでございます。
 それと同時に、まだまだ賃金水準は低いということも、これも否定し得ない事実でございます。これにつきましては、やはり単純労働が多いとかなんかという問題はあろうかと思います。したがって、これは労働省ともいろいろ相互に協力しながら、我々としてはやはりこの手当を支給している期間を有効に活用願って、それによってよりよい職を求められる条件を整備していただきたい、そういう意味でその七年間を御活用願いたいという気持ちも含めての今度の改正でございます。
#240
○浦井委員 だから、児童家庭局長がそういうのんきなことを言うておるから困るわけですよ。私がちょっと挙げた数字、働かざるを得ないわけでしょう。そして、離別後、働き始めざるを得ないわけでしょう。それから、転職の回数も極めて多いわけでしょう。現業は多いし、しかも臨時、日雇い、パートが多いというようなことになれば、わざわざ今の労働市場全体と比べて、そこと同じだから特異性がないというようなことをあなたぬけぬけと言えますね。どうですか。もう一遍謙虚な姿勢で、もう一遍はっきり、母子世帯の方々の立場に立ってもう一遍答えてください。
#241
○小島政府委員 離婚を契機としてお働きになられる、これは今までいわば夫の収入で生活なすっていたのが、そういう状態がなくなったわけですから、これは職を求められる、それが一つの母子家庭としての自立への歩みでもあろう、こう理解しております。それは大変なことだとは思います。ただ、そういう御努力はお願いしたい、こういうことでございます。
 それから、パートとかなんかという割合が、これは前と比べると数字の上で減ってはまいってきております。常雇の者の割合が従前よりは増加してまいってきておる事実も、これは否定できない状態でございまして、午前中もちょっと申し上げましたが、三十六年当時の常雇の雇用者、これは母子世帯のですね、常雇の雇用者は就労している者のうちの三四%でございました。これが昭和五十八年の調査によりますと、就労している者の六五・四%は常雇の雇用者になってきている。全体としては常雇の雇用者という地位を従前に比べれば得やすくなっている状態はあるのではなかろうか。ただ、その勤務条件が十分なものかどうか、劣悪なものかどうか、賃金は十分あるかということについてはまだまだ問題があることは承知しております。
#242
○浦井委員 従前よりはよくなっておろうかというような認識が問題なんですよ。具体的には収入はどれくらいあるわけですか、今不十分だと言われたんですけれども。
#243
○小島政府委員 五十八年の調査によりますと、母子世帯として平均しまして年収二百万ということでございます。
#244
○浦井委員 年収二百万円というと、月収どれくらいですか。
#245
○小島政府委員 年収二百万ということになりますと、月収に直しまして十六万六千円程度でございます。
#246
○浦井委員 それは五十八年でしょう。
#247
○小島政府委員 はい。
#248
○浦井委員 この社会福祉法人大阪府母子福祉連合会の訪問調査によりますと、五十八年から変わってないわけですよ。ちょっと大きな数字だけ申し上げてみますと、月収が十万から十五万円の方が三七・五%、それから月収が十五万円から二十万円の方が三九・〇%、合わせて七六・五%ですね。これは平均しても局長の言われた十六万何がしにまだ及ばぬわけなんです。まず十五万ぐらいですよね。これで中学三年生の子供さんがおられる方の家庭を訪問調査されておるわけですから、中学生もおられるし高校生もおられるかもわからぬ、小学生もあるいはおられるかもわからぬというようなことになると、一般の家庭、離別しておられない世帯に比べてやはり低いということは認めざるを得ぬでしょう。
#249
○小島政府委員 この調査のときに一般家庭、ちょっと家族構成も違いましたり、就労者の平均数、これも違ったりする状況はありますが、四百四十四万で、ございますので、半分を下回っている、極めて低いという事実には変わりありません。
#250
○浦井委員 大臣、いろんな数字を私並べたんですけれども、そういう中で、これは総論的な話になりますけれども、どうも中曽根内閣は離婚というようなことは社会的に悪であるというような考えを持っておられるように思えてしようがないのですが、大臣の御見解はどうですか。
#251
○増岡国務大臣 離婚が社会的に悪であるかどうかということは、これは倫理学者が御判断なさることで、ございます。私個人としましては、やはり子供のことを考えますと離婚なさらない方がいいと思いますけれども、いろいろな御事情でございますから、私どもはそういう現実を見た上での対策を講じていかなければならないと思っております。
#252
○浦井委員 少なくとも一時ブームになりました「おしん」のような忍従の生活というようなことは、これは今の社会でよいとは言えないですよね。私自身も別に離婚を勧める立場にあるわけではないわけです。極めて常識的な立場にあるわけなんです。そういう中で、やはり児童扶養手当法というのはとにかく児童というものに着目をして、児童福祉法の一条から三条にのっとってきちんと今までやられてきて、順次改善されてきておるわけでしょう。それをトンボ返りのような形でばさっとやるというのは大臣としていかがなものか、潔く撤回しなさいというように私は申し上げているわけなんです。どうですか。
#253
○小島政府委員 これは繰り返し御理解をお願いしているところでございますが、従前の年金的な性格の制度から、本当に福祉の体系の中で離別した母子家庭を中心に生活の激変を生じた母子家庭についてどのような対応策が必要かということで制度を見直した結果の改正措置でございますし、これに財政対策がないということは申し上げません。社会保障施策全体の中でますます多くなってくる需要でございますので、母子家庭対策についてもその必要性を勘案しながら制度を見直しするということも制度全体の飛躍を図るためにはやむを得ないことだと考えておりますので、全体のバランスされた施策を今後とも推進してまいるための必要な措置であるという面での御理解を得たいと考えております。
#254
○浦井委員 本源的に今度のいわゆる改正案なるものが社会保障の諸制度の中でバランスがとれたものだというのはまさに誤った議論であって、むしろあなた方が出されたこの「児童扶養手当法の改正について(問答)」というものから見ても、臨調答申で指摘されておるので、「児童扶養手当制度の改正は、行政改革の上でも是非とも実現しなければならない課題なのです。」と書かれておるわけですよ。
 だから、これはまず大臣に、これは先ほどからの繰り返しになりますけれども、臨調が大事なんですかね、国会が大事なんですかね。国会が大事なら、今与野党ともにという話もありますけれども、潔く本当に撤回されたらどうですか。大臣どうです。
#255
○増岡国務大臣 政府といたしましては、臨調の答申を最大限尊重することにいたしておるわけでございまして、この法案につきましては、臨調の御意向もありますけれども、しかし、何としても母子福祉の立場から制度が長続きをするようにという意味合いでの対策でございますので、よろしく御審議をお願いしたいと思います。
#256
○浦井委員 ちょっと角度を変えますけれども、局長さん、今、朝から問題になっておるいわゆるこの問答のパンフレット、これは何部ぐらい刷られてどこへ配られたのですか。
#257
○小島政府委員 これは都道府県に御負担を願って福祉の制度として組みかえる、こういうことでございますので、都道府県関係者に理解を得るために都道府県を中心に配っておりますが、部数としては一万程度刷っているそうでございます。
#258
○浦井委員 午前中の局長の答弁で、さっきも言われた、適切な表現でなかったのは遺憾であったということでしょう。これはもう回収したらどうですか。
#259
○小島政府委員 適正を欠くものについては機会を得てこういう趣旨であるという説明もしておりますし、回収ということまでは考えておりませんが、これが誤解のないような措置を講じてまいりたいと考えております。
#260
○浦井委員 誤解のない措置を講じたいとは具体的にどういうことですか。
#261
○小島政府委員 どういう趣旨、見地からこういう改正をしたかということを正確に理解できるような説明を十分してまいりたい、こう思っております。
#262
○浦井委員 この文章は、これは一つ一つ指摘するまでもなく生別の母子世帯の方々を侮辱するものですよ。こういうものは即刻回収すべきだと私は思うのです。強く要求しておきたいと思います。
 そこで、今までいろいろ午前中からの議論、私の質問なんかで、やはりどういうふうに考えても今度の改悪案というのは、いろいろなへ理屈をつけておられますけれども、要するに、年間どんどんふえてきておる、六十年度で二千五百億円と言われておる児童扶養手当の給付費を何らかの格好で切りたいというのが私は自民党政府の、中曽根内閣の本音ではないか。まさにこれは、一方で軍事費であるとかあるいは大企業奉仕の方は聖域として残しておきながら、それをふやしながら、年金、医療保険に続いて今度はいわゆる狭い意味での社会福祉の分野に切り込んできたというふうに言わざるを得ないと思うわけでありますが、これは大臣、その辺の御理解はどうですか。
#263
○増岡国務大臣 厚生省全体の予算につきましては、従来この三年間にわたって一般歳出予算がゼロあるいはマイナスという状態の中でずっとふやしていただいておるわけでございます。したがって、福祉について政府全体として十分考えてきた予算だ。六十年度におきましても二・七%の増でございます。その点は決して福祉をおろそかにしておるものとは私は考えておりません。
#264
○浦井委員 それは全くの詭弁でありまして、前二年ぐらいはいろいろな手品を使って何とか数字のつじつまを合わせて、それで間尺に合わなくなったので医療保険の改悪をやり、今度は年金の改悪をやろうというのが厚生省の現在の態度ではないですか。だから、私は大臣のそういう発言は全くけしからぬというふうに思うわけであります。
 そこで、いろいろ問題点ありますけれども、もう一度審議の場があるというふうに聞いておりますので、未婚の母子世帯の問題については後ほどまたやるとして、例の六百万円という問題であります。
 この「大阪府下における離別母子世帯の生活と福祉」の報告書によりますと、これはもう大変なことでありまして、例えば今も問題になりましたけれども、ちょっとまた数字を挙げてみますと、別れた夫の養育義務の履行の状態で、四百三人中三百十八人が養育費を一度も受け取ったことがない。母集団が七百数十でありますから、かなり確度の高い調査だと私は思うのであります。
 それから養育費の受取額いうのは、これは二万円というのが一番多いわけであります。それからせいぜい三万円、逆に一万円というのがかなりあるわけです。二万円というのが三八・九%。
 それから「養育費を受け取っていない理由」というのがあるんですけれども、その中で一番多いのが「相手に支払う意志がない」二八・三%、「相手に支払う能力がない」というのが二三・九%、それから「養育費について取り決めをしていない」というのが一六・五%、こういう格好で、これが実情なんですよね。
 それをさらに六百万円というような線引きをやって、しかも二段階にやってというような格好でこういう生別母子世帯の方を具体的に苦しめているのは何たることかと私はしかりつけたいのであります。どうですか。
#265
○小島政府委員 これは離婚法制の違いもありますが、外国では別れた夫も扶養義務を履行しているわけであります。法制の違いがあって一概に言い切れない問題がありますが、我が国の法制でも夫に義務はあるわけです。ただ、離婚法制の違いでそれを制度的に公的な機関が関与して取り立てるというような仕組みがとれない実態はございます。しかし、あくまでも私的な扶養義務は優先しているという実態は変わりないわけでございますので、極めて所得の高い階層の方につきましてはもう十分義務を履行していただきたいし、また別れた母親の方にも、それはいろいろお手数をかけることになりますが、そういう請求をやっていただきたいということでございます。
#266
○浦井委員 前から聞いておる答えでありますけれども、私がこの報告書を見て、さっきの質問にも出ましたけれども、母子世帯にとって児童扶養手当が打ち切られたときにどういう影響があるかというところであります、こんな改悪を許したらいかぬというふうに一番強く感じたのは。これは大臣、一体何だと思われますか。それはやはり教育の問題ですよ。
 これもちょっと数字を挙げてみますと、打ち切られたときにどういう影響があると考えるかということの項で、当然一番は「何とかして生活費を切り詰める」というのが−−局長、聞いておってくださいよ。六九二%、「子どもにアルバイトをさせる」というのが四一・五%、「内職をする」というのが三二・○%、そして、その次に「子どもに進学をあきらめさせる」というのが二七・一%、がくんと落ちて「生活保護を申請する」というのが一五・二%、ここでやはり一番問題になるのは子供に進学をあきらめさせるという二七・一%の数字だと私は思うのです。先ほどからも出ておりますように、高校の進学率が九四%とか、地域によっては九七とか九八までいっておるわけでしょう。この調査の中で子供の希望を聞けば、短大、できれば大学に進みたいという人が、そういう子供さんが多いわけですよ。
 ところが、逆に母親の方は二七%の方が子供に進学をあきらめさせる。何という冷酷なことを厚生省はするのか、中曽根内閣はするのかとだれだって考えますよ。だから、私は、これはそういうことはすべきではないということを重ねて強調をしておきたい。こういうふうに言われたら、それは無利子の修学資金があるのだから、いや何とかかんとか局長は言われるでしょう。無利子であったって借金は借金ですから、返さなければいかぬわけでしょう。だから法改悪をやらなかったらいいわけでしょう。どうですか。
#267
○小島政府委員 制度の改正の趣旨は、その必要性については先ほど来申し上げておる答えで繰り返しませんが、そういうような状態になりましても進学をあきらめるというふうな事態が生じないように、貸付金ではございますが、無利子で無理のないような返済ができるような形で所要の資金をお貸しして進学の妨げにならないような措置をあわせて講じてまいりたいと考えております。
#268
○浦井委員 最後に大臣にお尋ねしたいのですけれども、私、初めに尋ねましたように、どうも中曽根内閣の持っておられるモラルというのが、何か離婚は悪いのだ、やはり家父長制でなければならぬ――なければならぬと今お答えに恐らくならぬだろうと思うのですが。それから、未婚の状態で子供が発生するのはけしからぬ、汚らわしいことだというような、非常に古臭くてしかも危険なモラルに基づいているように思えてしようがないのですが、これははっきり否定できますか。
#269
○増岡国務大臣 いろいろおしかりを受けておるわけでございますけれども、私は、そういうことになるにつきましては扶養の義務があるはずの父親が仕送りをしないということにもまずおしかりをいただきたいというふうに思います。その上で、私どもは、しかしそうは言いましても現実がそうでございますので、これから永久に長続きをする制度としてこのような改正案を提出いたしておるわけでございまして、決して中曽根内閣はそのような福祉の切り捨てをやるという考えではございませんで、先ほど申しましたような福祉の予算につきましても他省と比べて破格の増額をいただいておるわけでございます。当然その背景になります物の考え方といたしましても、世の中の常道といいますか、常識に沿って考えていただいておるはずで、ございます。
#270
○浦井委員 もう終わります。常識に沿ってというより常識に反してやっておられる。父親が基本的におらぬわけですから、母子家庭を救う前に父親をしかってほしいというのは、これはとんでもないことなんですよ。それから、先ほどの局長の言われた、外国ではこういうことがある、外国の話であって、日本では私が今るる数字を挙げて説明したような状態であるわけなんです。だから、私は声を大にして最後に叫びたい。こういうことは、こういう改悪は絶対にやらない、深くこの法案は撤回をして、改めて母子福祉法なり憲法にのっとった児童を中心としたきちんとした児扶法を出してきなさい、こういうことを強調して、私の質問を終わりたいと思います。
#271
○戸井田委員長 菅直人君。
#272
○菅委員 きょうは朝以来この児童扶養手当制度の問題についての質疑が続いているわけですけれども、もう各委員の方から話がほとんどと言っていいくらいあったと思いますが、私も今回の政府提案なるこの法案は全くの改悪法案であり、まさに悪法であって、特に弱い立場にある人に対して非常に厳しい状態を押しつける、いわゆる弱い者いじめということをいろいろな場面で言われますけれども、この改悪については特にそれが、何といいましょうか、非常に特徴的にそういうふうな効果をあらわすということを感じておりまして、何としてもこの改正法案の成立は食いとめなければならない、そんなふうに考えております。
 特に、きょう朝来いろいろな議論がありましたけれども、父親の所得による制限あるいは支給期間を七年と定めて、義務教育の期間から超えた場合に七年を超えた場合は出さないとか、あるいは未婚の母については支給しないといったような問題を含めて大変に問題点が多いわけですけれども、私の質問時間は限られておりますので、その中でも幾つかに絞って、大臣ないしは局長の意見を伺いたいと思います。
 まず、先ほども浦井委員の方からも話がありましたけれども、父親の所得が六百万以上であったら養育費がたくさんちゃんと受け取れているという何か根拠があるのか、あるいはそういう扶養義務を父親が果たしているというふうに何か現実にそういう根拠があるのですか。
#273
○小島政府委員 六百万以上の収入のある父親が現にどの程度の扶養義務を果たしているかというような資料はございません。が、しかし、六百万というのは、一人ですから、単身の場合で六百万ということですから、極めて高額の所得でございます。したがって、こういう父親には十分な扶養義務の履行を期待するのは当然ではなかろうか。また母親の方にも、大変ではございますが、子供のために父親に養育費を請求していただきたいという趣旨のものでございます。
#274
○菅委員 聞いていることを答えてください。つまり根拠があるかというと、ないわけですね。そうすると、社会保障制度審議会が五十九年二月十七日に出した答申の中に「また、婚姻解消時の夫の所得によって支給要件を定めることも理解できるが、民法上の扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、児童の福祉が確保されないことにもなりかねないので、この方面に対する検討を別に行われたい。」これは答申ですね。これについてはどうなんですか。
#275
○小島政府委員 考え方それ自体には、この答申でも御指摘いただいておりますように、理解をいただいている。ただ、私ども、これを実行できる手だてもやはり別途あわせて検討すべきであるという御提言をいただいております。我々としてもこういう扶養義務のPRとか何かをしながら、またこういう父の扶養責任の喚起を図る方法等を講じまして、父の扶養義務が十分実行されるような対応策を考えてまいりたいと思いますが、また制度的にもどのような対応が可能か、今現在研究を続けておるところでございます。
#276
○菅委員 大臣、よく聞いてくださいよ。この後には続いて「真に援助を要する者が対象からはずされるおそれのないように」、いわゆる「財政対策にとらわれるあまり」そういうことが外されるおそれがないように「十分に配慮されたい。」これは制度審の答申で出ているのですよ。今の局長の答弁は何ですか。それはいろいろほかで検討してもらいたいけれども、今のところ何もない。何かあるのですか。それが何もなくて、しかも現実の根拠、六百万以上の人が十分に扶養義務を果たしているという根拠があるかとさっき聞いたら、それもない。何か手だてもあるかと言ったら、ない。それでやったらどうなるのですか。まさにこの社会保障制度審議会の答申で言うように、それは理屈は幾ら言われたって、現実には受け取れない。そして本当に必要な人が対象から外れてしまう。制度審にはこの部屋におられる与党の議員の方もたくさん入っておられるのでしょう。そういう答申を一方的に外しておいて−−制度審ですか、社会保障制度審議会、大臣にこれはお答えいただきたいですが、この制度審の答申の趣旨を守られる意思はあるのですか、大臣。
#277
○増岡国務大臣 扶養の義務は民法上当然負荷されておるわけでございます。私どもが行政を行います際には、そういう法体系のもとで行わなければならないわけでございます。したがって、まず扶養の義務がある男の方がそれを怠っておるというのが社会の風潮ではあります。しかし、その風潮を暗に容認するかのような文言になることは避けなければならない。とすると、こういうものをやはり入れておかざるを得ないというのが現在の法体系下での判断でございます。
#278
○菅委員 大臣、聞いていることに答えてくださいよ。社会保障制度審議会が、民法上の扶養義務が十分に履行されるような手だてなしには、こういうことをやったら危ないですよ、真に援助を要する者が対象から外されるようなことになることを十分配慮されたい、この答申の趣旨を大臣は守る意思がありますかと聞いているのですよ。大臣、答えてください。社会保障制度審議会ですよ、大臣。
#279
○小島政府委員 このような、「検討を別に行われたい。」という御答申をいただきましたので、早速に省内に有識者の方も加わっていただきまして研究会を設け、履行の制度全般について、こういう扶養義務の履行方策も含めまして検討をしているところで、ございます。
#280
○菅委員 いいですか、大臣、だから検討を大いにすればいいじゃないですか。それまでこの法案なんかやめたらいいじゃないですか。検討が進まないうちにこんなのをやったら、まさにここで言っていることが、一番心配されていることが、そうなるわけじゃないですか。それがこの制度審議会の答申の趣旨じゃないですか。真にそういう人が外れないように気をつけなさいという趣旨じゃないですか。これは大臣、一言答えてくださいよ。この答申を尊重するのかどうか、これはちゃんとした制度審議会でしょう、大臣。
#281
○小島政府委員 当然に、制度審議会の答申でございますので、十分尊重して対処してまいることにしております。
#282
○菅委員 ですから、ちゃんとこの答申を尊重するという立場に立てば、だれが考えても今回のこの六百万の根拠というのがない、実際もない、手だてもない。じゃ、当然こういうものはやらないということになることを確信しておりますから、これは大臣、その場で、さあ、答えると言ってもすぐイエスとは言われないかもしれないけれども、これは論理的にそうなりますから、そういうふうに理解をして次の問題に移りたいと思います。
 このときに、この同じ問題ですが、六百万円以上であるという、あるいは逆に言うと六百万円未満であるということを証明する手だてですね、つまり児童扶養手当を受け取りたいというときに、その所得証明を提出するのはだれの義務になるのですか。そしてまた、それがもとの夫によって、そんなのは出さないと言われた場合には受け取ることができるのですか、できないのですか。
#283
○小島政府委員 原則といたしましては申請者の責務でございますので、母親が父親からもらって提出していただく、こういうことでございますが、これがもしそういうことができない事情がある場合には、都道府県知事がかわって関係官庁等からその証明をとって母親の提出にかえるという措置を講ずることにいたしておりますので、そういう場合の対応策は用意しております。
#284
○菅委員 この四条五項のただし書きというのはそういうふうに理解していいのですか。それで、私がいただいている資料の中で知る限りは、そこまで細かく書いてませんから、その四条五項の「ただし、」「特別な事情により」云々ということがそれに当たるのか。そしてこれは拒否した場合、あるいは逆に言えば、もう別れただんななんかには会いたくない、いろいろとトラブルがあって二度と会いたくないという場合にも、それは知事なりが責任を持ってやるということですか。そう理解していいんですか。
#285
○小島政府委員 お尋ねの根拠規定は二十九条、三十条でございまして、四条のただし書きにつきましては、六百万円以上の所得があった場合でも、破産とかその状況が激変した場合には支給制限をしないという趣旨の規定でございます。
 今のお尋ねのことにつきまして、本人が請求して提出していただくというのが原則でございますので、合理的に見て、それは母親から父親に請求されることはとてもできない事情があると考えられる場合には知事がかわってやることになります。
#286
○菅委員 ですから、その事情が、今言ったように相手に会いたくない、もうトラブルが大変激しくてやっと別れた、その間でまた子供の問題が上がってくるのはもういやだ、そういう場合にもいいんですね。
#287
○小島政府委員 その会いたくないという御事情がある場合もあると思います。そのときにでも、手紙なり文書なり、通信手段を活用して一応請求していただく、そして、もうどうしても出してこないということになれば、知事がかわって職権でいろいろ調査するということにいたしております。
#288
○菅委員 その点はぜひ−−まあ、もともとこういう制度を設けてもらいたくないわけですけれども、つまり、先ほど言ったように、六百万円という制限を設けること自身が社会保障制度審議会の答申の趣旨から反しますから、設けるべきじゃないと思いますけれども、手続的にこういうものがひとり歩きをして、何か別れるときのバーターに、いわゆる養育費は払わないかわりに、では所得証明を出してやろう、文句を言うなら所得証明を出さないぞという、そんなふうに使われることのないように、そういう変なひとり歩きはすることがないようにと思って確認をさせていただきました。
 そんなことで、大臣も聞かれておられて、何か大臣の答弁を逃げておられましたけれども、重ねて申し上げますけれども、この所得制限という問題については、民法上の問題であるとするならば、まさに民法上の大きな問題として考えることは大いに必要だと思います。厚生省の方から説明を受けたときに、スウェーデンの例を挙げられました。スウェーデンの例というのは、逆に国がかわって別れただんなから、または父親から取って支給する、どうしても取れないときには、その分は肩がわりするという制度であって、これの制度とは全く逆でして、この制度は、肩がわりするどころか、それ以上は勝手に取りなさい、では取れないときはあなたが取り方が悪いんですよということで、その取れない人については逆にペナルティーになっているわけです。もとの主人が六百万円以上収入があった方がペナルティーになるという、ものすごく矛盾した制度なんですね。そこは重ねて言っておきたいと思います。
 もう一点、これも先ほど来議論になったところですけれども、支給期間を七年間あるいは義務教育終了までということになっているわけですが、私が知る限りでも、高校生というのはまさに義務教育でないだけに、経済負担もかかります。また大学生の場合と違って、アルバイトといっても、なかなか体力的にもあるいは能力的にも十分なアルバイトができる状況にない。そうすると、一番厳しいのは高校だという気がするわけですね。その高校をずばっと切って、多分母親も、高校生の子供といえばある程度年がその年代になると思います。そうすると、まさに弱い中でもかなり弱いと想定されるところをずばっと切ってしまう。そういう意味では、これだけは何としても、高校に進学させた場合には高校終了時までと変えるべきだと思いますけれども、大臣、どうですか。
#289
○小島政府委員 これは、離婚なさったときの子供の年齢によりまして、どういう段階まで受けられるかということは変わってくるわけでございます。小さいうちに離婚なさった場合には、義務教育段階で七年間を経過してしまって、義務教育終了と同時に手当の支給が打ち切られるケースも出てくることは事実でございます。七年間手当を支給しておりますので、繰り返して申しますが、その間を利用して自立のための努力を続けていただきたい。また、そういうことによって、手当の支給を必要としなくなる事態を望んでおるわけでございますが、どうしてもそういう状態で、受給期限の到来で高校在学中、あるいは高校に進学しようとしたときにもう手当が受けられないというような母子家庭につきましては、先ほど来申し上げでおりますように、母子福祉資金の中で特別の無利子の、手当額を参考とした額で定めるつもりでございますが、貸付金制度を設けまして、そういう場合の進学に支障を来さないような措置を講じてまいりたいと考えております。
#290
○菅委員 それでは聞きますけれども、何か調査をされて、七年たったら、あるいは子供が高校生になったら、それ以前よりも状況はよくなるという何か根拠があるのですか。希望じゃないのですよ。局長の希望を幾ら聞いてみたって仕方がないのですよ。何か平均所得が上がっているとか、何かがたっと上がっているとかあるのですか。
#291
○小島政府委員 まず、母子世帯の生活保護、高校生になるぐらいの年齢と申しますと、三十歳台後半から四十歳台にかけてだと思っておりますが、そういう層の、母子世帯になって生活保護を受給なさってどのくらいの期間で生活保護を脱却しているかというような状況を参考に見ますと、五年間で九二・五%の世帯が生活保護を脱却している。それから、七年間では九七・○%の世帯が生活保護を脱却して、自立の道を歩んでいただいている。また、母子寮の入所期間につきましても、七年たつと九三%の方が母子寮というようなところから出て、自分で部屋なりうちを借りてそこで自活をしていらっしゃるという事例があるものですから、また、従来の児童扶養手当の受給期間を見ましても、七年程度で四分の三程度の方がもう支給を受けない状態になっていらっしゃるという状況もございますので、一応七年ということを自立までの必要な準備期間と考えたわけでございます。収入面での特別の調査はございません。
#292
○菅委員 それなら、まさにそんなに少なくなるなら、このまま残しておけばいいじゃないですか。少なくなった人が特にいろいろな事情で困っているわけでしょう。四分の一残る、四分の三は外れる、大いに結構じゃないですか。それが四分の三・五、それから九割五分外れていけばいいじゃないですか。逆に言えば、残った人はそれでも外れられない。五年間頑張ったけれども、この所得で言えば、今までで言えば三百六十一万以上にならなかった。だから続くわけでしょう。あるいは再婚をしなかった。だから続くわけでしょう。だったら、そのまま残せばいいじゃないですか。なぜ外すのですか。外れる人は外れるのだから、自動的に。外れない人はまだそういう状態にあるということです。三百六十一万以下で、まだひとりで、母子家庭の状態にあるということを、わざわざそのデータはまさにそのまま示しているじゃないですか。だからこそ残すべきじゃないですか。どうなんですか。
#293
○小島政府委員 大部分の方がその期間で終了している。気の毒なケースもあり得ると思いますが、大部分の方がそういう生活保護にしても母子寮にしても脱却できるようなこの七年間を活用なさって、努力していただきたい。大半の方がこうなるのですから、残りの方も一層の御努力をお願いしたいという趣旨の制度にしたわけでございます。
#294
○菅委員 それが本当に福祉なんですか。つまり困っている人、これは特に弱い人を弱くするというのはさっき言ったようなことなんですよ。これなんかまさにそうなわけですよ。逆に調べてみてくださいよ。多分その残った四分の一の人は、それから外れた四分の三の人よりもいろいろまだ苦しい条件があるから残るというふうに想定するのが自然じゃないですか。それを、じゃあそこで切るからそれまでに何とかしろ。何とかできる、例えば年齢が十五歳では無理だけれども、十八歳になればある程度自分で働けるからというならわかりますよ。何かそういうふうなことならわかりますよ。しかし、何の根拠もないじゃないですか。根拠がないどころかどちらかといえば、もしかしたらもっと厳しくなっているということだって十分あるわけじゃないですか。
 大臣、今の議論を聞かれてどう思いますか。この四分の一の人は余計厳しい状況に置かれると思いませんか、大臣。それをほっといていいのですか。
#295
○小島政府委員 要するに自立を促進するための援助制度という性格で組み込んだわけでございますから、七年間という制度で御努力願いたいという趣旨でございます。
#296
○菅委員 もうこれは議論していてだれもが感じていることだと思いますけれども、これはその制度から独立されることに大いに期待されることは結構ですよ。大いに期待してくださいよ。しかし、いろいろな事情でこれからまだこの制度に頼らなければならない人を勝手に切って、それでもう勝手に卒業したんだということにするというのとは全然意味が違うじゃないですか。
 ですから、私は、この点については、今大臣は何か答弁を回避されていますけれども、大臣が答弁できないようなことを局長が幾らあれこれ言ったって、こんなものが通りっこないわけですから、これについても全面撤回をしていただきたい。
 あとわずかな時間ですが、もう一つだけ絞って言いますと、未婚の母の問題です。
 これも朝以来いろいろ議論がありますが、子供の立場に立つということを先ほど来局長は言われている。大臣も言われている。では、子供の立場になって、例えば一歳あるいは五歳の子供がいた。そうして母親がいて、父親は何らかの形ていなかった。その状態でいえば、それは死別の場合、生別の場合、あるいはいわゆる未婚の母の場合、状況はどう違うのですか。大臣、何が違うのですか、子供の立場から見て。
#297
○小島政府委員 母子家庭の子供であるという実態は変わりはありません。ただ生活の状況が離婚等によって激変したかどうか、非常に従前の生活態様ががらっと変わってしまうというような状況が出るか、出ないかということを一つの要件といたしまして、この制度を組み立てておるわけでございます。
#298
○菅委員 ですから、それは子供じゃなくて、母親の一つの経緯が違うということでしょう。子供が置かれた状況において、これで言えば、現在の制度で言ったら三百六十一万円以下の収入しか母親はない。――不正受給を除けばですよ。不正受給については、これはちゃんと厳しい対応をされればいいのですけれども、不正受給を除けば、生計をともにする父親がいない、そういう状況は同じじゃないですか。それに至る経緯がいろいろな形で違っておるだけです。
 もう一回聞きますけれども、子供として違いますか。一言答えてください。同じでしょう。
#299
○小島政府委員 ですから、子供はどんな状態で生まれても、これは子供を区別するつもりはございません。ただ、世帯の経済基盤に変動を来したかどうかということをポイントとして考えておりますので、むしろ子供ということに着目いたしますれば、母子世帯であろうが、父子世帯であろうが、同じような経済状態だったら援助の手を差し伸べるというのも一つの考え方だと思います。
#300
○菅委員 いい答弁をされるじゃないですか。同じ条件だったら同じ条件で援助の手を差し伸べる。つまり現状でいえば三百六十一万円以下だったら同じ条件で差し伸べる。この制度をそのまま守ればいいのじゃないですか。今まさに局長言われたとおりで、子供にとって同じ条件だったら、同じ条件でちゃんと差し伸べればいいわけですよ。それを何で、子供の条件であると言いながら何か経緯のことをいろいろ言われるけれども、まさに今の答弁を忘れないでくださいよ。それでいいでしよう。
#301
○小島政府委員 これはスタートも準年金的なものとしてスタートしましたように、そもそも生活の困窮している状態に陥る原因が夫の死亡とか離婚という生活状態の激変に着目した措置でございますので、そういう制度に徹した。もし本当に経済状態で考えるならば、生活保護の基準でいくか、それとも一律の児童手当の制度でいくかという問題になりまして、母子家庭に着目した制度としては、こういう形に見直すのも妥当なものだと考えております。
#302
○菅委員 もう時間がありませんが、最後の議論は、局長みずから一たん認められて、後でまた全然違う話をしている、つまり子供の立場に立ったら同じだと認められた。そして、まさに同じ子供の状態に対しても同じような手を差し伸べるということも一つの考え方だ、まさにそういう考え方に立ってこれがやられているわけですよ。それを今回変える必要は全くないわけですよ。それはいろいろな経緯のことを言われましたけれども、それはおかしいようなことを言われているから、逆にそれが浮き彫りになるだけであって、子供の状態を基本に考えれば、まさに子供の状態で言えば同じなんだから、それは給料が母子家庭で三百六十一万を超えている人ならばやめればいいわけであって、それ以下だったら同じ条件なんだからやります、原因がどうであろうと、その経緯かどうであろうとやりますというのが自然だと思うのです。
 そういうことで大臣に最後に一言、これも聞いてもお答えいただけるかどうかわかりませんが、今の議論を聞かれていて、それぞれ大変な問題がある、論理的にもおかしな問題がある。私は公平に考えてもそういうふうに聞き取れるのじゃないかと思いますが、大臣、この法案についてかなり問題ありというふうに感じられたのじゃないかと思いますが、いかがですか。
#303
○増岡国務大臣 子供に着目はいたしておるわけでございますけれども、その前提として結婚後離婚、そういう激変を経過した母子、そこに着目をいたしておるわけでございます。
#304
○菅委員 時間が来ましたので終わりますが、とにかく大変な問題を抱えた法案でありますので、全面的に撤回をしていただくよう強くお願いをして、私の質問を終わります。
#305
○戸井田委員長 次回は、来る四月二日火曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時四十二分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト