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1984/05/29 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第14号
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1984/05/29 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第14号

#1
第102回国会 文教委員会 第14号
昭和六十年五月二十九日(水曜日)
    午前十時五分開議
出席委員
  委員長 阿部 文男君
   理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君
   理事 白川 勝彦君 理事 佐藤  誼君
   理事 馬場  昇君 理事 池田 克也君
   理事 中野 寛成君
      青木 正久君    赤城 宗徳君
      臼井日出男君    榎本 和平君
      北川 正恭君    田川 誠一君
      中村  靖君    二階 俊博君
      町村 信孝君    渡辺 栄一君
      木島喜兵衞君    佐藤 徳雄君
      田中 克彦君    中西 績介君
      有島 重武君    伏屋 修治君
      滝沢 幸助君    藤木 洋子君
      山原健二郎君    江田 五月君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松永  光君
 出席政府委員
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省教育助成
        局長      阿部 充夫君
        文部省体育局長 古村 澄一君
 委員外の出席者
        議     員 佐藤  誼君
        議     員 中西 績介君
        人事院事務総局
        給与局次長   藤野 典三君
        文教委員会調省
        室長      高木 高明君
    ―――――――――――――
五月二十七日
 中学校の租税教育推進に関する請願(鈴木宗男
 君紹介)(第四七〇五号)
 私学の授業料助成の実現等に関する請願(森井
 忠良君紹介)(第四七〇六号)
 養護教諭の配置等に関する請願(田中克彦君紹
 介)(第四七三九号)
 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に
 関する法律制定に関する請願(瀬崎博義君紹介
 )(第四七四〇号)
 身体障害児者に対する学校教育改善に関する請
 願(武部父君紹介)(第四八二一号)
 同(中井洽君紹介)(第四八二二号)
 同(春田重昭君紹介)(第四八二一二号)
 同(福岡康夫君紹介)(第四八二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申入れに関する件
 学校教育法の一部を改正する法律案(佐藤誼君
 外二名提出、衆法第三号)
 学校教育法等の一部を改正する法律案(中西績
 介君外二名提出、衆法第四号)
     ――――◇―――――
#2
○阿部委員長 これより会議を開きます。
 この際、連合審査会開会申し入れの件についてお諮りいたします。
 外務委員会において審査中の女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件について、連合審査会開会の申し入れを行いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○阿部委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、連合審査会の開会日時につきましては、委員長間で協議の上、追って公報をもってお知らせいたします。
     ――――◇―――――
#4
○阿部委員長 佐藤誼君外二名提出、学校教育法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山原健二郎君。
#5
○山原委員 学校教育法の一部改正案を提出されまして、これに対して御質問を申し上げたいと思います。
 この趣旨は、もちろん養護教諭あるいは事務職員の必置の問題でございますが、最初に文部省にお伺いしたいのです。
 義務教育国庫負担法をめぐりまして、ことし、いわゆる教材費と旅費のカットといいますか国庫助成の対象から外すということが行われたわけです。そのときにこの見直しの過程で、教材費、旅費のみならず事務職員、栄養職員の給与費の国庫負担につきましても廃止の問題が検討されたわけでございますが、そういうことがあったでしょうか、どういう論議がなされたでしょうか、最初にこの点を伺いたいのです。
#6
○阿部政府委員 ただいま御指摘がございましたように、昨年の秋の段階であったと記憶しておりますけれども、予算編成の途上におきまして財政当局から、義務教育費国庫負担制度の中身について幾つかの改革と申しますか変更と申しますか提案がございまして、いろいろ論議を重ねたわけでございまして、その中に御指摘のような事務職員等の給与費を国庫負担の対象から外すという提案があったことも事実でございます。ただ、議論を重ねてきました段階で、かねて国会で大臣からお答えを申し上げておりますように、義務教育費国庫負担制度の基幹となる部分はぜひ堅持をしていきたいという我が方の主張を中心に据えて論議を重ねました結果、結果として六十年度においてそういう措置をとられるということはなかったという結果に相なっておるわけでございます。
#7
○山原委員 竹下大蔵大臣も、この間の補助金カット一括法の連合審査のときでございますが、そういったことを論議したことは事実でございますというふうに答えておりますから、今局長が御答弁になったとおりだと思います。
 ところで、国庫負担法の見直しの検討の結果、残念ながら教材費、旅費が対象になったわけでございますが、事務職員と栄養職員を負担対象から外すということや、あるいは交付税不交付団体の国庫負担を一〇%カットする問題などは結局見送られたわけです。今おっしゃったとおりです。ところでこれは、事務職員、栄養職員を負担対象から外したり不交付団体の一〇%カットなどは、義務教育国庫負担法の趣旨に反するので行わないことになったのか、それとも、今後とも見直しを検討していくが当面見送りの措置をとったのか。要するに、義務教育国庫負担法の趣旨に基づいてそういうのはだめだというふうになったのか、それとも、当面の措置として今回は見送ったのだ、そういうものなのか。今の御答弁によりますと、六十年度はということで限っておっしゃっておりますから、後者ではないかというふうに受け取られますが、その辺は文部省はどういうふうにお考えになっておりますか。
#8
○松永国務大臣 先ほど局長がお答えいたしましたように、予算編成の過程で財政当局から、事務的な議論の段階で義務教育費国庫負担法の国庫負担の対象について変更を求める意見が出てきたことは事実でありますが、我が方は義務教育費国庫負担制度の基幹となる部分はぜひ堅持していきたいというふうに強く主張し、その結果我が方の主張が……(山原委員「大臣、ちょっと今のところもう一回言ってください」と呼ぶ)義務教育費国庫負担制度の基本的な部分はぜひ堅持しなければならぬ、堅持していきたいという我が方の主張が通って、旅費、教材費については義務教育費国庫負担の対象から外される結果になりましたけれども、人件費の部分につきましては義務教育費国庫負担の対象として堅持をされた、こういうことでございます。
#9
○山原委員 義務教育費国庫負担法の立場を堅持するというところから、給与の問題はやまったんだということをおっしゃって、それは大変結構です。ただ残念なのは、私はちょっと調べてみたのですけれども、教材費、旅費もこのためにかなり影響が出ておりまして、各校を調べてみますと今度は教材費が随分減っているのです。それから、父母負担もそれなりに増大をいたしておりまして、ある兄弟が行っている大体普通の規模の小学校でございますけれども、ここへ計算して持ってきているわけですが、影響が相当出ておる。これは非常に残念なことだと思います。ただ、今おっしゃったように、栄養職員あるいは事務職員の給与については国庫負担法の精神に基づいて堅持したということだと思うのです。
 ところで、国と地方の費用分担の見直しが、官房長官を司会役にしまして大蔵、厚生、自治の三大臣、司会役を含めて四大臣で、来年度予算編成前までに結論を出すべく検討が進められるようになったというふうに報道されております。この検討対象は主に社会保障にかかわるものだと思いますけれども、義務教育費国庫負担制度の見直しも含まれているのではないかとも考えられるわけですが、そういうことはないというふうに理解してよろしいでしょうか。
#10
○阿部政府委員 今月二十四日の閣議におきまして、補助金問題関係閣僚会議の開催ということが決まったわけでございますが、この閣僚会議の考え方は、五十九年十二月二十二日のいわゆる三省覚書の内容についての検討を行うための会議であるということになっておりますので、当面のところ義務教育費国庫負担とか教育関係の経費についてこれに触れるということが予定されているものではないと理解をいたしております。
#11
○山原委員 少し気になるのは、四大臣を中心とする閣僚会議で検討対象になるかどうかは別としまして、大蔵大臣は、「他の分野におきましても、同様に協議をして検討を加えていくことはもちろんのことである。」と答弁をいたしております。したがって、悪く解釈すれば、大蔵省は義務教育費国庫負担制度に対しましてももっと突っ込んだ改悪といいますか、削減に意欲を燃やしておると受け取れる節がございます。間もなく予算の概算要求の季節を迎えるわけでございますが、文部省としてはもしそういうふうになった場合にはどういう態度をとられるのか、伺っておきたいのです。
#12
○松永国務大臣 先ほど局長が答弁いたしましたように、閣僚会議の設置は、昨年暮れの三省の覚書に基づく事項について検討をするための会議だというふうに私どもは理解をいたしておりますので、当面、義務教育費国庫負担制度に係ることは検討の対象ではないというふうに理解をいたしておりますが、今山原先生の御指摘は、もし万一国庫負担制度についてさらに変更を求めるような議論がなされた場合に文部省としてはどうするのかという御質問だと思いますけれども、この点につきましてはしばしばお答えしておるわけでありますが、義務教育費国庫負担制度の根幹にかかわるいわゆる人件費についての国庫負担は我々はあくまでも堅持していくという方針で対処していく所存でございます。
#13
○山原委員 文部大臣が確固たる決意でそうおっしゃられております。その立場でぜひ頑張っていただきたいと思います。この前の連合審査のときに、義務教育費国庫負担制度ができました当時のことを私は中曽根首相にも申し上げたわけでございますけれども、あのような大運動と国会の決議によって生まれたものでございますから、これが崩されることになりますとまさに大変な事態だと思いますので、その点よろしくお願いしたいと思います。
 また、四月八日の大蔵委員会における連合審査のときにも、我が党の経塚議員の質問に対しまして松永文部大臣は、「事務職員、栄養職員は学校の基幹的な職員であること申されまして、だから「国庫負担の対象から外すことは極めて困難なことである」と答弁をされております。今おっしゃったこととこの点は一致するわけでございますが、私は、その基本姿勢を崩さないということをいま一度明言をしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#14
○松永国務大臣 先生御指摘の、大蔵委員会における連合審査の場で私が申し上げました基本姿勢を今後とも崩さずに対処してまいりたいと考えております。
#15
○山原委員 それでは、この法案に即して幾つかお伺いしたいと思いますが、これも最初に文部省に対しまして、事務職員の問題につきまして大臣が、事務職員が学校の基幹的職員であるという御答弁をされておるわけでございます。また、昨年のこの審議のときにも、たしか有島さんに対する答弁だったと思いますが、森文部大臣が、事務職員は「校長などから見ればある意味ではお台所、お母さん役こというふうに例えて、その役割の重要性を強調されました。この考え方は松永文部大臣も御一緒の立場だと思うわけでございます。そうしますと、学校教育法第二十八条第一項のいわゆるただし書きの「置かないことができる。」となっていることは、大臣の御認識から考えてみますと、やはり不十分あるいは整合性がとれない法律になっておりはしないかというふうに考えますが、この点について大臣はやはり一定の矛盾をお感じになっておるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#16
○松永国務大臣 山原委員御指摘のように、学校教育法第二十八条第一項にただし書きがございまして、特別の事情のあるときはこれを置かないことができるという規定になっておることは先生御指摘のとおりであります。このただし書きでございますが、これは、極めて規模の小さい学校あるいは地域的な特殊な事情で適当な者を採用できないような場合を想定した規定であるというふうに考えるわけであります。したがって、こういう例外規定があるからといって、私どもが先ほどから答弁しておるように事務職員は学校の基幹的職員であって、国庫負担制度の対象として今後ともやっていくのだということと矛盾するものではないというふうに私は考えるわけであります。
 いずれにせよ、我々といたしましては、現在第五次改善計画を進めておるわけでありますが、この改善計画を着実に進めていく、そうすることによって現在八〇%程度の設置が完成年次になりますと九六%の設置になってくるわけでありまして、そういうことを通じて、事務職員の学校教育の現場における重要性にかんがみまして適切な配置がなされていく、そういう計画を着実に進めてまいる考えでございます。
#17
○山原委員 あと養護教諭の問題について御質問したいのですが、事務職員の問題で提案者の佐藤先生に対しまして、事務職員はいないよりいた方がいいんだという程度の存在ではないと思いますし、また、今の大臣の答弁をお聞きしましても、そういうものではなくて基幹職員である、こういうふうにおっしゃっているわけですが、事務職員が学校で果たしている役割との関係で、今の点について提案者はどういうふうにお考えになっておるか伺っておきたいのです。
#18
○佐藤(誼)議員 お答え申し上げます。
 今日、学校事務職員が教育活動にとって教員と並ぶ重要な基幹職員である、この認識がまず極めて大切だと思います。この点については文部省も、表現の違いはあっても、今文部大臣も答弁されましたが、大同小異だと思うのです。問題は、この認識に基づいてどのような施策を施すか、ここにかかっておるわけであります。
 ところで、今日の学校事務職員の職務は、文書、統計、給与、福利厚生、学校予算等の本来の事務と言われるもののほかに、直接子供にかかわる教材教具、施設設備、就学奨励に関する事務、そのほか地域の父母にかかわるPTAの諸活動に対する援助など、年々非常に多様化し複雑化している。そういう点では、この学校事務職員に対しまして専門性が要求されると同時に、その仕事の範囲が非常に広まってきている、これはどなたも否めない事実だとして認識されると思うのです。したがって、学校にこれらの事務を専門につかさどる事務職員の配置は学校教育活動にとって欠かせないものであり、それなくしては教諭が教育をつかさどることも学校教育活動全体が一体有機的に機能することも不可能な状況にある、このことを十分認識しなければならぬと思います。加えて言うならば、事務職員は、一般の行政事務としての専門性のほかに、その行動には常に教育的な配慮を持った適切な判断が必要だ、このこともまた極めて重要だと思います。そういう意味で、学校はそのような事務職員に支えられた活動があって初めて教育と事務が一体化した学校運営がスムーズに進められることになるというふうに考えておるわけであります。したがって、今質問されました、ないよりはあった方がいいなどというものではなくて、これは必置を必要とする職務であり職員であるということがまず言えると思います。ところが、今文部大臣も言われましたけれども、昭和二十二年学校教育法制定以来三十八年たちまして、その間文教常任委員会等でもいろいろな全校必置についての附帯決議がなされましたけれども、いまだに御存じのような配置状況になっておるわけです。その最大の隘路は先ほど言われました学校教育法第二十八条ただし書きということでありますから、私たちは、そのただし書きを削除して全校配置を進め、そしてまたその学校の状況によっては増員を図る、こういうことをねらいとした改正案を提起しているということでございます。
 以上が提案している趣旨でございます。
#19
○山原委員 次に、養護教諭の問題でございますが、これも今まで随分長い期間にわたってこの委員会で論議をし、なおかつ突破できないという感じがいたしまして、何とかこの問題については解決をしなければならぬと思うわけですが、時間の関係もありましてちょっと私の質問を読み上げてみたいと思うのですけれども、養護教諭の場合も、学校教育法第百三条で「当分の間、養護教諭は、これを置かないことができる。」というこの規定が最大のネックになっております。しかし、子供たちの現状と養護教諭の果たすべき役割を考えますと、当分の間置かないことができるどころか、この間ますます配置の必要性が高まっております。これが実情だと思います。昨年この委員会で審議をしました際に高石初中局長は、「子供たちの実態は、非常に近代的、現代的になってまいりますと複雑化しておるので、その対応は非常にふえておる、しかもやるべき仕事の量はふえておるし役割も重要性を増している」と答弁をしております。私は、この点での認識には文部省変わりはないと考えるわけです。最近特に校内暴力問題あるいは対教師暴力などの件数が減少しているとの報告もありますけれども、反面いじめなど表にあらわれにくい非行が深刻化しているとの指摘がたくさん出ております。また、学校側による体罰などを伴った管理主義の強化などによって校内暴力などが無理に抑えられている面もあるのではないかという事態もあるわけです。こうした中で、子供たちの体の病気、けがとともに心の不調にも手を差し伸べ、心身ともに健やかな子供たちを育てる上で養護教諭の果たすべき役割はますます重要になっていると考えます。
 文部省に伺いますが、いじめ及び体罰による問題あるいは事件の発生状況等について、この数年間どういうふうに変化しておるかという調査をされているかどうか、ちょっと伺ってみたいのですがどうでしょうか。
#20
○高石政府委員 現在、いじめの問題については、協力者会議を開きましてその対応策を含めて検討を進めることにしているわけでございます。したがいまして、その前提としてどういう実態であるかという実態把握にも努めてまいりたいというふうに思っております。体罰につきましても、画一的な調査をしてはおりませんけれども、各県で起きた事例については随時その内容を報告をしていただくようにお願いしているところでございます。
#21
○山原委員 提案者の佐藤先生に伺いたいのですが、これは今と同じ質問ですけれども、最近の子供たちあるいは学校を取り巻く実情との関係で養護教諭の果たしている役割の重要性についてどういうふうにお考えになっておるかというのが第一点でございます。後でお答えいただきたいと思います。
 もう一つは、文部省に伺いたいのですが、養護教諭、事務職員の現在の配置率及び第五次教職員定数改善計画が目指す配置率はそれぞれどういうふうになっているかという点、それから第五次計画の配置目標数に対して、現在まで何人が配置され、進捗率は何%かという点をお伺いしたいのですが、時間の関係で、文部省来ていただきまして、一応私の方もこの実態をお聞かせいただいております。したがって、ここでお聞きしておると時間が長くなりますので、今まで文部省から伺いましたところでは、現在養護教諭で二割弱、事務職員で四分の一に近い学校で配置されておりません。文部省は昭和六十六年度までに九六%に持っていくと言うのですが、その第五次計画はなかなか進んでいないのが実情です。十二年計画の折り返し点を迎えているわけですけれども、進捗率が養護教諭で二〇・一%、事務職員で一二・七%という実情でございます。だから、九六%といっても、昭和六十六年に近いぎりぎりまで抑えられていく可能性がありますし、下手をすると、法律事項ではあってもこの計画の数字自体がいわばほごにされないかという心配もなくはないわけでございまして、養護教諭、事務職員の職務の重要性を言葉では言っておっても、財政状況云々ということで、九六%という目標との関係でなかなか改善が進まない、これを打開するためにはどうしても養護教諭、事務職員の配置を明記する法改正を図る必要があると思うのでございます。この点について提案者の方からと文部大臣の御見解を伺いたいのですが、私のこういう心配は単に危惧にすぎないのかどうか、この点についても御見解を承りたいのです。
#22
○佐藤(誼)議員 お答えいたします。
 養護教諭の全校必置の必要性ということにかかわってまいりますけれども、本来の養護教諭は、御承知のとおり、保健、安全に関する管理と指導という重要な職務を従来からやってきたわけであります。特に今質問者が指摘されるように、近来は社会経済の急激な変化なりあるいは受験競争の激化ということで、幼い子供のときから心身ともに痛めつけられてきている、こういう状況の中で、成人病というべき心臓や腎臓疾患等を初めとする、さらに発達段階にある子供たちが発達障害やあるいは情緒障害などまさに憂うべき現代病にかかっているというふうに言われると思います。そういう中で特に指摘をしなければならぬのは、保健室を埋める子供たちの心の病、これをどういやすかという非常に差し迫った重要な問題もあるわけです。したがって、従来から養護教諭の配置は、先ほど申し上げたような観点で必要ですが、特に最近になっては必要欠くべからざる職種であり職務であるというふうに言わなければならぬと思います。
 御案内のとおり、昭和二十二年に学校教育法が制定され、三十八年たつわけでありますけれども、今も指摘をされましたように、「当分の間」というこの当分が三十八年になるなどということは常識を逸していることでございまして、そういう三十八年たち、しかも昭和五十三年にこの文教常任委員会で全校必置しかも二人以上ということを含めた附帯決議がされているにもかかわらず、私はあえて申し上げますけれども、文部省の国会軽視というそういう態度のために、いまだにそれが具体的に法改正という形で図られていないということを非常に遺憾に思うわけであります。したがって私たちが、この国会決議の趣旨に基づきまして、しかも全校必置、このことを実現するために、学校教育法百三条のただし書き削除、「当分の間」削除ということでもってこの法案を提案しているということでございまして、今現状を見るならば御承知のとおりで、小規模校の中では兼務、それから大規模校では子供が多いにもかかわらずそれを全部見なければならぬということで、養護教諭の皆さんの心身をすり減らすような犠牲と行動の中で支えられている、このことは非常に人権の問題にもなりますし、私は、学校が大きいとか小さいとかそういう問題ではないと思うのですね。例えば百人のうち九十四人は救われたけれども、六人は救われなかったということになれば、まさにその子供にとっては決定的になるわけです、残った六人の救われない子供にとっては。このことを考えるのが、私は、教育の量と質のこの関係を十分考えて、我々は教育的な配慮をしていかなければならぬということを、特にこの際でありますから、文部省の方にも、この法案改正の提案者として訴えておきたいということを付加して、私の答弁を終わります。
#23
○阿部政府委員 第五次定数改善計画の現状あるいは達成程度等につきましては、先ほど山原先生から御指摘のあったとおりの数字であろうと思います。この計画につきましては、かねて申し上げておりますように、五十五年に発足をして以来、五十七年度から行革問題というようなことがございまして、この抑制を余儀なくされたという状況が続いておるわけでございます。しかしながら、これもかねがね申し上げておりますように、昭和六十六年度までにこの計画を達成するということは、国会で御審議をいただき、成立をした法律によって定められているものでもございますので、私どもといたしましては、もちろん決して平たんにいくとは思っておりませんけれども、最大限の努力をして着実にこれを法律の規定どおりに六十六年度までに実施をするということに全力を傾けたい、かように考えているところでございます。
#24
○山原委員 私は、この質問をするに当たりまして、いろいろ資料も集めたり、また現場の養護教諭の先生方、事務職の方にもおいでいただきまして、私の県の方たちの意見も実態はどうなのかと聞きましたら、本当に仕事の量はふえておりますし、それから大きな規模の学校などの場合には、本当に率直に言ってお手上げだ、お手上げだと言っても頑張らなければならぬということで、必死で頑張っておられるわけですね。ところが、大規模校に対する複数配置をしようと思っても、県の方では、まだ全校必置されていないのだから複数はだめだ、こういうふうに言って双方が立ちすくんでしまって進まないという実情もございますし、文部大臣、今佐藤先生がお答えになりましたように、「当分の間」というのが三十八年という今まで随分言われてきたことでございますけれども、これは本当にどこかで突破するということがなければどうにもならぬと思うのですね。
 私はこの間も申し上げたのですが、子供の問題について民族は持てる最高のものを用意しなければならぬというのが児童憲章の中身でございます。私は実は昨日、ブルガリアの大統領が来ておりまして、きのう科学万博を見に行くというので、私もブルガリア議員連盟の一人ですから行ったのです。式典で七分間大統領が演説をしましたが、その間全部子供の話なんですね。私はちょっとびっくりしましたけれども、一国の元首が子供のことを全部これに使ったのです。それに比べますと、実際、中曽根内閣になりましてから、率直に言いますと、教材費を打ち切るとか給食の費用を打ち切っていくとか削減をするとかいうようなこと、本当に教育の問題から見ると、最低、最悪の内閣ではないかというぐらいに私は思うのですよ。幾ら貧しい国家だと言ったって、世界の経済大国と言っているわけですからね。それが子供の予算を削るということで、将来に向かって教育改革なんかやるなんて言ったって、私は信用しません。
 そういう意味から考えまして、きょう出ております法律案は非常に重要な意味を、昨年度にも増して大きな意味を提案されたことは持っておると思うわけでございまして、こういう点では本当に与野党含めて、子供たちのためにこういう問題を解決していくという前進の気構えを持つ必要があると思うのですが、この点について最後に文部大臣の見解を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
#25
○松永国務大臣 事務職員あるいは養護教諭の配置の問題につきましては、先ほど局長も答弁いたしましたように、我々は、第五次改善計画の進行中でありまして、幸いにことしから、いわゆる足踏み状態にあったのが着実に第五次改善計画の達成に向けて新たな歩みを始めることができた、こういう予算措置も実は実現をしたわけでありまして、我々としては定められた計画を着実に達成年次に達成をするということで進んでまいる考え方であります。
 なお、これは言葉のあやでございましょうけれども、教材費につきまして打ち切ったわけでも何でもないのですよね。財源措置といたしましては、昨年度を上回る財源措置を実はしたわけなんでありまして、初等中等教育というものは、国と地方がお互いに協力し合って、そしてその充実を図っていくという仕組みになっておるわけでありまして、教材費につきましては国庫負担の対象からは外しましたけれども、全体としての公費の支弁額は昨年度を上回る支弁ができるような財源措置はしたわけでありますから、私は、地方の方も我々と同じようにあるいはそれより以上に初等中等教育の重要性は認識していただいていると理解をいたしておりますので、初等中等教育の充実は国、地方協力し合って今後とも進めてまいりたい、こう考えているわけでございます。
#26
○山原委員 時間が参りましたので、終わります。
#27
○阿部委員長 佐藤徳雄君。
#28
○佐藤(徳)委員 まず最初に、私は、今山原委員が質問の中でも種々意見を述べられましたとおり、本改正法案はまさに現場に立脚をした、そして一日も早く本法案を成立させて現場に安心感をもたらせると同時に子供の健康を守っていく、そういう立場に立って提案をされましたことに対しまして深い敬意を表したいと存じます。
 さて、私は、まず最初に、養護教員の問題につきまして、提案者並びに文部大臣、文部省に対して幾つかの点をお尋ねをいたします。
 養護教員が職制化されましたのは、御承知のとおり一九四一年、昭和十六年であります。今日まで非常に長い歴史を積み上げてきた職種であり、そして苦労をされて仕事をしてこられたわけであります。その歴史は、常に子供たちの命や健康を守り、そしてまた学校保健教育の充実、強化、発展に尽くしてこられたこともこれまた事実であります。とりわけ、戦後の混乱期における子供たちの病気、栄養失調、結核、寄生虫など、当時いわゆる国民病と呼ばれていたものでありますが、子供たちを国民病から救うために、全国の養護教員の皆さんが献身的な役割を果たしてこられたことも、長い歴史の中で特筆すべき事柄でもありましたし、なお高く評価をされてきているところであります。時代の流れとともに子供の成長は、御承知のとおりその発達は著しくなった反面、山原委員も触れられておりましたが、受験競争による子供たちの異常なほどの精神的な作用、そして矛盾と悩みなど、いわば子供たちの心の病の相談相手と養護教員の皆さんがなっておられるわけであります。このように全国的にあらわれている子供たちの心の病から解放させてやる、子供たちを救い上げてやる、そういう具体的な施策を本来臨教審等も議論すべきであるにもかかわらず、むしろこれを置き去りにしているところに問題がありますし、文部省や県教委あるいはまた市町村教育委員会等も温かい手を差し伸べるべきではないかと私は思うわけであります。
 さてそこで、文部大臣に冒頭お伺いをいたしますが、私が今申し上げました歴史的な過程、そして今日置かれている状況、こういう立場に立ちまして、大臣が養護教員に対してどのような認識を持っておられるのか、そして今後どうあるべきだと考えていらっしゃるのかお尋ねをいたします。
#29
○松永国務大臣 養護教諭というのは、学校教育法の規定によりまして、児童生徒等の養護をつかさどる職務があり、学校において児童生徒等の健康管理及び保健指導に従事する学校保健の専門的な教員であるというふうに私は認識しております。具体的には、学校の保健計画立案への参画、健康診断や健康相談への従事、救急処置、学校環境衛生活動の実施、児童生徒等に対する保健指導など、児童生徒の健康の保持増進について極めて重要な役割を果たしていただいておる大事な教諭であるというふうに理解をしておるわけであります。
 子供たちが健康でかつよい生活慣習を身につけ、そして心身ともに健康な成長、発達がなされるようにしていくことが非常に大事なことなんでありまして、そのことは学校において教員の皆さん方の努力も大切なんでありますが、その前にやはり家庭における良好な生活慣習あるいは健康保持、こういったものも実は大事なんであります。最近は豊かになってきたとはいいながら、残念なことに、家庭における子供を健康に育てるというその家庭の能力といいますか、それがやや低下しているような感じが見られます。例えば昨年の調査の結果でございますが、小学校三年生と六年生について調査をしたところによりますと、朝食をとらないあるいはとらないことが多いという三年生あるいは六年生が四%程度いる。あるいは顔を洗わないというのが一一%以上いる。歯磨きをしないという者が実は二二・五%もいる。こういったことは、第一次的には家庭において親がきちっとしたしつけをし、そういう生活慣習をつけさせることが大事だと思いますが、しかし、こういうことがありますとやはり児童生徒の健康な発達が阻害されるわけでありまして、これは大変なことでありますけれども、学校において養護教諭あたりが中心になって家庭の足らざる面を補っていくということをして児童生徒の健康な発達を図っていかなければならぬ。そういう面でも養護教諭は大変大事な仕事を担当していらっしゃるというふうに私は理解をしておるわけでございます。
#30
○佐藤(徳)委員 学校と家庭の関係の重要性について後段見解をお示しになったと思いますが、家庭の足らざる面を学校の保健面で養護教員の皆さんが補っているということについては、私はいささか疑問を持たざるを得ません。それはまた議論の余地が残っているわけでありますが、何はともあれ今の見解の中で、極めて重要な役割を果たしている、こういう認識に立っていられることは極めて結構なことだと思います。その重要な役割を果たすために現実的に一体どういう状態に置かれているのか。これは後ほど私は幾つかの事例を申し上げて大臣の見解をお尋ねしたいと思っているわけであります。
 さて、大臣に就任されましてから、養護教員の皆さんと対話をされました経験がありますか。
#31
○松永国務大臣 いろいろな学校現場の先生方とお会いしましたが、さて、養護教諭の先生と公式にお会いしたことはちょっとなかったんじゃないかというふうに思いますが。個人的にはありますけれども。
#32
○佐藤(徳)委員 大事な点をやはり見逃していらっしゃいますね。重要な役割を果たしているという認識をそれだけお持ちなんですから、大臣いつまでやっているかわかりませんけれども、大臣に座っている間にぜひともひとつ対話の機会を持っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#33
○松永国務大臣 努力してまいります。
#34
○佐藤(徳)委員 期待をいたします。
 さて、大臣の見解の中でも種々述べられたわけでありますが、今日、学校保健教育というのは極めて大事であります。時間の制約がありますのでそう多くを語ることはできませんが、文部省にちょっとお尋ねいたしますけれども、今日、学校保健教育の中で社会的にも教育的にも一番求められているものは何だとお考えですか。
#35
○古村政府委員 学校におきます保健教育といいますのは、健康、安全で幸福な生活のための必要な習慣を養うということを目標にいたしておるわけでございます。したがいまして、教科のみならず、特別活動あるいはその他の学校教育の中の全体を通じて組織的に行うということが必要であるということでございますが、今何が求められているかということになりますと、これはいろいろと考え方があろうかと思います。子供の基本的な生活習慣、先ほど大臣がちょっと例に挙げられましたが、朝起きてからの生活習慣というものが十分でない。その点から来る、例えば虫歯が非常に多くなってきたというふうなことが挙げられようかと思います。したがって、子供の基本的な生活習慣というものをしっかりと根づかせるということが必要ではなかろうか。この点については大臣もお触れになりましたが、もちろん家庭の養育の問題ということと深くかかわるわけでございますが、学校におきましても十分な指導をしていかなければならぬことだというふうに考えております。
#36
○佐藤(徳)委員 基本的な習慣を身につけさせる、これはまさに基本であります。私が想定をしておりましたこととは大変違いがありまして、大分学校現場を知らないな、こんな感じを受けざるを得ません。養護教員の皆さんと対話をするように努力する、大臣もこうお答えになったわけでありますから、文部省も積極的に、養護教員の皆さんが今お持ちになっている問題点、悩み、そして学校教育の中における保健教育の位置づけ、そういうものを対話の中からつかみ取っていただいて、現場にこれが生きるような状況をぜひつくっていただきたいと思っているわけであります。基本的習慣を身につけさせるなんというのは当たり前のことなんでありまして、私は、今の時代の中で求められているものはもっと大事なものがたくさんある、こういうふうに実は思っているわけであります。しかし、それだけのお答えでありますから、これ以上お尋ねすることはやめます。
 そこで、文部省にお尋ねをいたしますが、養護教員、助教諭の数はどうなっておるでしょうか。校種別、それから年度別、五十六年度からここ五カ年お示しいただきたいと存じます。
#37
○阿部政府委員 養護教諭、助教諭の人数でございますが、五十六年から年を追って申し上げますと、小学校が五十六年度二万一千百六十九人、五十七年度二万一千三百二十六人、五十八年度二万一千五百六十七人、五十九年度二万一千七百九十三人というようなことで、年々百人ないし二百人、三百人ぐらいの増加を見てきております。
 中学校でございますが、五十六年度から八千八百七十四人、九千二十一人、九千二百二十一人、九千三百二十九人ということで、これも百五十ないし二百ぐらいの毎年の増加になっております。
 高等学校でございますが、五十六年度四千十七人、五十七年度四千三十四人、五十八年度四千百八十五人、五十九年度四千三百一人ということで、若干ずつでございますけれども、これも増加をしてきておるというのが現状でございます。
#38
○佐藤(徳)委員 配置率は年度別にどういうふうになっていますかね。
#39
○阿部政府委員 ただいま年度別の配置率を手元に持っておりませんので、恐縮でございますが、五十九年五月一日現在だけの数字で申し上げさせていただきたいと思います。
 養護教諭の配置率が定数上八一・七%でございます。そのほか県単で養護教諭を置いている県等もございますので、実員で申しますと八五・五%というのが配置率の現状でございます。
#40
○佐藤(徳)委員 全校配置を完了されている県は何県が、県名を教えてください。
#41
○阿部政府委員 現在の標準法の本則が昭和六十六年度から適用ということに予定されておるわけでございますけれども、その場合におきましても、先ほど来申し上げておりますように、三学級以下の学校の一部と二学級、一学級という小さな学校の場合には、無医村等の場合を除いて定数上の措置がまだないという状況になるわけでございますので、全体の配置率が九六・八%ぐらいになるというのが定数の計画でございます。現段階で、御指摘のように、県単等の形で不足分と申しますか、それを補って全校配置を実施しているものというのが四県でございます。神奈川、大阪、東京、愛知の四県というふうに聞いております。
#42
○佐藤(徳)委員 先ほどのお答えの中で、配置率が八一・七%、県単を含めて八五・五%だと助成局長のお答えでありましたが、これはお答えの中にありましたとおり県費負担が含まっての数字のようであります。
 さてそこで、県費負担で配置している県名と配置数を示してください。
#43
○阿部政府委員 県単で配置をしているというのが全体で二十県ほどあるわけでございますが、その態様はそれぞれさまざまでございまして、全県で一名だけ定数より多くなっているという程度のところもございますし、東京等のように百名以上も県単で置いているというケースもあるわけでございます。これらを一々申し上げるのもどうかと思いますが、十人以上置いているというところが十一都府県、それから一人から九人くらいの間というのが十一県という状況でございます。
#44
○佐藤(徳)委員 時間がないせいもありますが、後でこの県名と配置数の資料をいただきたいと思いますが、局長、よろしゅう。ございますか。
#45
○阿部政府委員 後で検討いたしまして、できるだけ先生の御要望に沿うようにいたしたいと思います。
#46
○佐藤(徳)委員 これは秘密でも何でもありませんし、今後の定数配置について非常に重要な資料でもありますので、ぜひひとつお願い申し上げたい、こう思っているわけであります。
 さて、次の質問でありますが、これは提案者にお尋ねをいたします。
 先ほどの山原委員の御質問の中で文部大臣がかなり前向きの答弁をしていらっしゃるようでありますけれども、第五次計画からいいますと着実にという表現を何回か使っているわけであります。しかし、私の調べで見ますと、大臣がおっしゃっているような着実になっていないという感じがするわけでありますが、提案者はいかがでしょうか。
#47
○佐藤(誼)議員 養護教諭の重要性については大臣も力説をしているわけですが、実態は御承知のとおりで、三十八年たって今実質で八五%ですか、定数法でいいますと八〇%、こんなような状況にあるわけです。第五次の十二年計画でいきましても、六年が経過していますから折り返し地点になっておって、養護教諭で二〇・一%ですか、事務職員で一二・七%ですね。六十六年に計画どおり一〇〇%達成するにしたって、養護教諭で言えば折り返し後の六年間で残りの八〇%を達成できるのかどうか私はちょっと疑問に思うわけであります。この点はなお文部大臣あるいは文部省の方に確認をしていただきたいなと思う点であります。
 仮にこれが一〇〇%いったところで九六%ぐらいですから、まだまだ全校配置にはなっていないという状況なわけです。文部省はいろいろなことをおっしゃいますけれども、結局のところは現状において八五%ですね。一五%は配置されていない。この部分は養護教諭の皆さんの過重な労働負担と、それからどうしても必要なものですから各自治体の負担で賄われているという状況ですね。その隘路になっているのは学校教育法の百三条の「当分の間」、これを援用いたしまして三十八年間パーフェクトに置いてこなかったわけですね。それを援用しながら小規模校はまあまあというような形で今日まで至っているわけです。ですから、これは本当に重要だからやろうと思ったら、百一二条の「当分の間」を削るしかないと思うのです。文部省がやらないから私たちは出しているわけですよ。この法律が通れば一〇〇%完全配置になりますよ。このことはぜひ御理解いただきたいと思います。
 以上です。
#48
○佐藤(徳)委員 四月十一日に補助金一括法案の連合審査が行われました。その中で我が党の中西績介議員が質問をいたしまして、松永文部大臣が答弁をされております。「義務教育諸学校の教職員の人件費、これは義務教育費国庫負担制度の根幹をなすものでありますから、それを維持するために、今後とも一生懸命努力をしていきたいと考えております。」こう答弁をしていらっしゃるわけであります。大臣、この答弁を確認できますか。
#49
○松永国務大臣 先生御指摘の委員会で答弁した私の考え方、これは現在でもまた私が文部大臣をしている間じゅう変わらない私の考え方でございます。
#50
○佐藤(徳)委員 今の確認に基づきまして、次に、幾つかの点についてお尋ねをいたします。
 先ほど来お答えになっておりますが、第五次配置計画では毎年四百五十名の増員計画になっているわけですね。ところが、これは文部省の調査でも明らかなんでありますが、大臣がおっしゃっているように着実にこれが進行しておらないというのが実態ではありませんか。例えば養護教諭の場合、初年度一九八〇年度が四百五十名、この四百五十名でずっといけば六十六年度で完了するわけであります。ところがだんだん減少しているのですね。八一年度が四百五名、第三年次八二年度がゼロ、第四年次八三年度が四十八名、八四年度が五十九名、そして八五年度が六十八名、こういう数字が実はあるわけであります。これらについてどうお考えですか。大臣でも局長でも結構です。
#51
○阿部政府委員 御指摘のように、この十二カ年計画におきまして五千百二十二名の定数改善を行うという予定をいたしたわけでございます。これを各年次それぞれしかるべく措置をしたいと考えておったわけでございますが、五十五、五十六の最初の二年間につきましてはおおむね文部省で考えておりましたような線で進んだわけでございますけれども、御指摘にもございましたように、五十七年度以降はかなりこれを抑制せざるを得ないという状況になりました。行革関連特例法によりまして、この定数改善計画について一定の期間内は計画を進めることを抑制するようにというように法律上の義務づけが行われたということもございまして、その結果こういう数字になったわけでございます。
 しかしながら、先ほどから大臣が着実にと申し上げておりますのは、こういう状況になったけれども、今後昭和六十六年度までかけて残りの計画について着実に実施していくように最大限の努力をしたい、こういうふうに申し上げておるわけでございまして、大臣からお答えしたとおり、私どもも今後最善の努力を払ってまいりたい、こう考えておるところでございます。
#52
○佐藤(徳)委員 私は着実にこだわっているわけではありませんけれども、本来着実にというのは計画どおり進行しているというのが普通の理解なんでありまして、ゼロの年度があって、着実という表現が当たるでしょうか。私はその点やはり疑問を持たざるを得ません。
 さてそこで、今後の増員計画をどのようにするおつもりですか、示してください。
#53
○阿部政府委員 五千百二十二名のうち千三十名の改善措置がこれまで行われたわけでございますので、残りが四千九十二名ということになっております。これを各年度に具体にどういうふうに割り振って今後措置をしていくかということにつきましては、まさにそれぞれの年度の国の財政事情等もございますし、現在の段階で何年に何人ということは申し上げかねるわけでございますが、いずれにいたしましても六十六年度までには完成をしたいということについては再度繰り返して申し上げておきたいと存じます。
#54
○佐藤(徳)委員 大臣にお尋ねいたしますが、完成年度には完成したいという大変前向きのお答えであります。しかし、現在の状況は五分の一でしょう。まあ財政当局が大きな障害になっているということは私も承知をしています。そこで、かなり大きな人数になるわけでありますが、来年度を初め、残された年度の予算要求の際にはきちんと四千九十二名を到達できる年次計画で予算要求をするお考えがありますか、大臣、いかがですか。
#55
○松永国務大臣 先ほど局長も答弁いたしましたように、第五次改善計画は、五十五、五十六は大体計画どおりいったわけでありますけれども、五十七年度以降につきまして、特別の抑制措置をしなければならぬという事情になりましたので、その結果、五十七、五十八、五十九と足踏み状態が続いたわけでありますけれども、六十年度から第五次改善計画をさらに前に進めるということについての方針で、これから毎年毎年の予算編成時に、養護教諭の重要性にかんがみまして、必要な予算が確保できるように最大限の努力をしていく決心でございます。
#56
○佐藤(徳)委員 期待をいたします。
 そこで、こういうことを前置きをしたくないのでありますけれども、今日の国の財政状況は、私が言うまでもなく、先ほどお答えになっているとおりなのでありますけれども、もし配置がおくれた場合を想定して、その場合にはどう対処をされますか。
#57
○阿部政府委員 教員の全国的な実態といたしまして、小中学校の児童生徒数がピークを過ぎたということもございまして、これからは自然減というのが相当出てくるということもあるわけでございますので、私どもはそういったことを念頭に置きながら、六十六年度までには最大限の努力をして完成したい、こう申し上げているわけでございます。文部省として、全く見込みなしに申し上げているつもりはないわけでございます。そういうことで、私どもとしては完成すべく最大限努力をするということを何度もお答えさせていただいているわけでございます。
#58
○佐藤(徳)委員 その努力に対しましては評価をいたします。
 だめ押しするようで大変申しわけありませんけれども、例えば完成できなかった場合、まあそんなことを考えたくはないのでありますけれども、さらに次期の配置計画にその残を積み残す、こういうことはしないというお約束ができますか。
#59
○阿部政府委員 予算に関することでございますので、しかも数年先のことについて私がお約束をするということはいたしかねるわけでございますけれども、先ほど申し上げたような状況の中で最大限の努力をし、そういう積み残しが生じないようにやってまいりたい、少なくとも、法律におきましても六十六年度には完成するということが明記されておるわけでございますので、この法律を着実に守っていきたいというのが私どもの気持ちでございます。
#60
○佐藤(徳)委員 非常に前向きなお答えでありますから、私どもも一生懸命努力もいたしますので、大臣初め文部省の皆さん、さらに力を入れてお願いを申し上げたいと思います。
 さて、次の質問に入ります。
 養護教員の学校兼務問題であります。学校兼務の実態を文部省はどのように把握をしていらっしゃいますか。そうして、兼務の実態を調査をした事実がありますか。
#61
○阿部政府委員 全国的に資料で調査をするというようなことを行っておるわけではございませんけれども、学校基本調査の中でわかっております数字で申し上げますと、養護教員の兼務を行っている者の数、要するに兼務者数ということで出てまいりますものが、小中学校で五百六人という数字になっております。これは幾つかの県の状況等を聞いてみますと、小中学校が同じ場所で併設されているというケースでございますとか、あるいは小中学校が隣接をしている場合、あるいは僻地の小規模校等の場合などで、一人の教員が二校を兼務しているケースがある、こういうようなことを聞いておるわけでございます。
#62
○佐藤(徳)委員 学校基本調査からのお答えのようでありますけれども、兼務校が一番多い学校数はおわかりですか。
#63
○阿部政府委員 昨年の先生の御質問でそういう御指摘があったということを聞いておりましたので、話題に出ましたような県につきましては幾つか問い合わせをしたわけでございますけれども、御指摘のような数校、五、六校というようなことを兼務をしているというケースは聞いておらないわけでございます。
#64
○佐藤(徳)委員 それはまさに実態調査をしていない、こういう裏づけじゃないかと私は理解せざるを得ません。
 そこで、先ほど来から議論になっております学校教育法二十八条と百三条の関係が実はここに存在をしているわけであります。私も幾つか調査をいたしまして、その実態を、資料を持っております。その事例を申しあげますから、その上に立ってひとつお答えをいただきたい、こう思うのであります。
 関東のある県の実例でありますけれども、兼務校、さらに兼務校に加えまして援助校というのがあるんですね、御承知かどうかわかりませんけれども。例えば兼務校の場合、勤務内容でありますが、週一回、火曜日、木曜日の午後、二つの学校へ行く事例、三つの学校に行く事例、四つの学校に行く事例、これが出されています。それから週三回の場合については、火曜日と木曜日と土曜日である、こういうふうに曜日が定められています。冒頭の大臣の答弁の中でも触れられましたとおり、健康診断あるいは検査、診断結果の集計など、あるいは修学旅行の引率、宿泊訓練、こういうものが実は勤務内容の中に含まれて兼務をしているわけであります。
 さらに、援助校につきましては、二校ないし三校持っておられるようでありますが、これも健康診断の実施とかさらに補助、結果の処理であるとか保健室の整とん、薬品等の管理、保健資料の提供、修学旅行引率、学校医との連絡、保健指導への参加、マラソン大会の救護あるいは予防接種、宿泊訓練、諸検査の記録整理などが実は折り重なって仕事をさせられているわけであります。ここで、こういう実際に兼務に当たられている養護教員の先生方が一体どういう問題点を持っているのか、それを出していただいたものが手元にあります。少し紹介しておきます。
 その第一は、兼務校に行く場合、校長、教頭へ口頭で申し出をするわけでありますが、何かあると極めて不安が残る、ある教師はこう訴えているわけであります。そして、辞令がないのに時間を決め、割り当てた日には絶対に行くように命令をされる。そして、年度初めに連絡がなく、行事の前になって慌てた例なども報告をされているわけであります。
 さらにまた、援助校でありますが、その援助の内容が明確でない、そのために非常に混乱を来しているという実情も訴えられているわけであります。あるいは兼務校に行く場合につきましては、自動車で行くようでありますけれども、それに対してのガソリン代の補償は全然ない。さらに一番大事なことでありますが、児童生徒を一人一人把握できないでいる。これは私は一番養護教員の皆さんが悩んでいらっしゃることであり、そして一番保健教育の中で大事なことではないか、こんなふうにも受けとめているわけであります。
 同時に、二校ないし三校あるいは四校兼務している方たちの意見というのは共通しているわけでありますが、人間関係が非常に難しい。これもまた、保健教育をする場合あるいは学校教育全体の中での非常に重要な問題提起ではないかと思っているわけであります。さらに、幾つかの学校を飛び歩きますから、そういたしますと留守中にかなりの仕事がたまっておりまして、到底時間内ではこれを処理し切れない。精神的にも非常に苦痛であるというような状況さえ実は出ているわけであります。
 そのほかたくさんの事例が出されているわけでありますが、例えば一つの地区に中学校にただ一人の養護教員もいない。心身ともに成長は激しく動揺しやすい時期である中学生に対して、保健室、養教の必要性を本当に感じたという意見も出されてきています。あるいはまた、七学級の小規模校ではありますけれども、近くにお医者さんがいなくて一般教師の負担が非常に過重である。そういうところに限って、幼稚園、小学校、中学校の一貫健康教育の県指定にもなっているという非常に矛盾した実態さえ実は出されているわけであります。私も長い間学校現場の経験がありますから、実感としてよく受けとめることができるわけでありますが、一般教諭ですと、自分のクラスなどに多くの仕事がたまっているわけであります。そして、養護教員がいない場合についてはその代行もしなければなりません。そういう悩みも実は出されてきているわけであります。
 同時に、皆さん共通して訴えられておりますことは、心の健康が叫ばれている現在、どうしても養護教員が必要である。これは今日の受験競争、冒頭私が述べたような今日の状況でありますから、そういう状況からいって心の健康を取り戻したい、取り戻させてやりたい、こういう願いというものがかなりあるわけであります。
 幾つかの事例を出しましたけれども、提案者並びに文部大臣から、今日こういう全国的に共通な実態に対しての受けとめ方と感想をぜひお聞かせいただきたいと思います。
#65
○佐藤(誼)議員 兼務校並びに援助校の実態いろいろ言われましたが、まさにそのとおりだと思うのです。実態は実数で八五%、改善の十二年計画が終わっても九六%、こういう実態ですね。それを本当に必要であるという言葉ではなくて実感として現場の皆さんは受けとめて、そしてそれを何とかパーフェクトにしたいということで頑張っていると思うのですね。それが結局は養護教員の皆さんの心身をすり減らしたそういう犠牲の中で行われていると私は思うのです。
 また、ある自治体などは、なけなしの金を払ってもそれを何とかしたいというので先ほどの一〇〇%近い実施を行っている県もありますが、それはどちらかといえば富裕県ですから、結局のところは養護教員の皆さんの負担でやっている、私はこういうことだと思うのです。しかも、それは養護教員の皆さんが幾ら頑張っても、一人のところに一人配置されなければ、兼務では十分行き届かないのは事実だと思うのです。そういう犠牲はだれが背負うかと言えば私は子供だと思うのです。
 申し上げるまでもありませんけれども、八五%ということは一五%の学校には配置されないということですね。そうすると、配置率は八五%という数字は出てくるかもしれませんけれども、その養護教員が配置されない一五%の子供にとってみれば、自分の学校には配置されていないのですから配置ゼロだと思うのですね。このことをよく考えなければならぬと思うのです。先ほどから文部大臣も、それは学校の健康管理、安全の指導のために必要だということをるる言われた。これは生命にかかわるし、何にもまして健康にかかわることですから、いかなることをおいても全校必置ということが必要だと私は思うし、そのための隘路になっているのが第百三条だと私は思うのです。これを排除しない限り、これを盾にとって、努力する努力すると言ったって、これから後折り返しの六年間で残りの八〇%できるのかどうか。努力するとはここでは言うけれども、いやそれは無理かもしらぬと文部省は思っていると私は思う。それをきちっとやれるのは法的な拘束力を持つことですよ。そのために第百三条を改正して必置制にすることだ。また、そういうことはそうでないと今のような予算の足りない中では選択の問題になりますから、法的な規制がなければほかの方に流用してしまう。例えば軍事費の方に持っていくということだって考えられるわけです、予算が決まっていますから。例えば、昭和五十六年以降の防衛と福祉と教育の関係を見れば明らかだ。防衛は三一%増でしょう。福祉関係は六%でしょう。教育関係は二%でしょう。そういう選択ができるわけです。法律的にそれを必置の義務にさせられれば、何をおいても法律上の予算の措置をしなければなりませんから、ここに本当に必要だということの裏づけをしなければならぬ、そのために私たちは改正案を提起している、このように御理解いただきたいと思います。
 以上です。
#66
○松永国務大臣 養護教諭の仕事が大変大事であるということはるる申し上げたとおりであります。文部省としては、先生御承知のとおり、第五次定数改善計画の実施中でありますが、第五次改善計画というのは、教諭それから事務職員、養護教諭、学校栄養士、そして特殊学級、そういった教育にかかわるすべての職員について必要な改善措置を計画的に進めていくということでこれを進めているところでありまして、現在の財政事情等を考えますとき、我々としては、この第五次改善計画がこれから完成年次に向けて着実に実施されるように努力していくというのが我々の務めだと考えておりまして、それの実現に向けて今後とも最大限の努力をしていかなければならぬ、こう考えている次第でございます。
#67
○佐藤(徳)委員 私がお尋ねしたのは、こういう実態に対してどう思うかということを期待していたわけでありますが、時間がありませんからこれ以上入りませんけれども、しかし、少なくとも私が今幾つかの事例を申し上げたのが現場の実態だということを、大臣初め文部省の皆さん、ぜひ承知をしてもらいたい。そうすれば、提案者のお答えのとおり、まさにネックは百三条だと私も思うのです。去年も前文部大臣ともやりとりをいたしましたが、松永文部大臣、その経歴はまさに法律の専門家でありますし、その道を歩まれて政治家になったようでありますから特にお尋ねをいたしますが、社会通念的に「当分の間」というのはどのくらいの年数をお考えですかね。
#68
○松永国務大臣 これは解釈はなかなか難しいようであります。期間を定めることができない場合に「当分の間」というふうに使うのが通例のように私は承知いたしております。
#69
○佐藤(徳)委員 わかったようなわからないようなお答えでありますが、しかし、当分の間待ってくれとかしばらく待ってくれというのは、日にちが定まらないという社会的通念なんでしょうかね。当分の間とかあるいはしばらくという表現を社会通念的に使うときには、何十年も待ってくれなんていうことにならないと私は思うのですよ。これは先ほどからの議論の焦点になっておりますが、まさに何十年、三十何年もの間この条文が生きているということに、そのものに大きな矛盾があるし、そして地域社会が求めているあるいは現場が求めているものとは全然ほど遠い状況にあるということをぜひ御認識をいただいて、提案者が答弁をされておりますように、まさに第百三条のただし書きを撤廃するこの努力を文部省もぜひお願い申し上げたい、こう思っているわけであります。
 時間も余りありません。養護教員の問題と、さらに事務職員の問題について若干触れたいと思いますから、いま一つだけお尋ねをいたします。
 学校にはそれぞれ大規模校があり中規模校があり小規模校があることは御承知のとおりであります。特に、今日、大規模校の問題は、保健教育の問題だけではなくて、学校教育全体の問題として大きな検討対象にされているわけでありますが、先般私は地元のかなり大きな中学校に行ってまいりました。そういたしますと、職員室はあるわけでありますが、そこに入り切れない。もちろん先生方が事務もとれない。したがって、中学校の一学年、二学年、三学年とそれぞれ職員室が分かれている状況であります。したがいまして、一日の関連性が先生の間でとれないという悩みを持っておられるのは私の県だけではないと思います。そういう中で、養護教員の先生が一人置かれている。もちろん保健室もあるわけであります。生徒も大変な人数であります。そういうときに、一人で養護教員の先生方の目が一体子供たちに届くのかどうか、私は一番心配に思ってきたわけであります。どうしてもここに複数配置が必要だな、こんな感じを持ったわけでありますが、提案者並びに文部省、いかがでしょうか。
#70
○佐藤(誼)議員 先ほど答弁しましたように、保健業務が年々多様化し、複雑化し、量が重くなってきておる、これはそのとおりなのでございますが、特に保健室に訪れる子供が年々多くなるということですね。これは心の病ということで表現されているわけですけれども、私が聞いたところでは、一千人の子供があれば一日百人程度は訪れるというふうに聞いておりますから、そうすると大体一〇%くらいということですね。これでも大変なわけです。ですから、これはなお調査してみなければならぬわけですけれども、私が実感として受けとめておるのは、三百人を越せば一人ではとても賄い切れない、少なくとも二人以上なければとても行き届かないし、体がもたぬというのが実情だというふうに私は聞いております。
 なお、その点は、年々学校の事情も変わっておりますし、またつぶさに調査しなければわかりませんけれども、私は大体その辺のところで受けとめておりますから、全校配置と同時に、非常に重要な点は、複数以上の配置、そして行き届いた安全と健康の管理指導ということを考えております。
#71
○古村政府委員 先ほど学校の保健教育といいますのは、教科あるいは特別活動、その他学校教育活動全体を通じて組織的にやっていくのだというお話をいたしましたが、そうなりますと、学校におきましては、学校保健委員会というものもございます。学級担任あるいは体育主任等も、保健主事というふうないろいろな組織もあるわけでございまして、そこにおきまして各学校の先生のそれ相当の御協力を得ながら子供の健康管理をやっていくというのが、現在の保健教育のあり方かというふうに思います。そのときに中心になりますのが養護教諭の先生であるということでございますので、学校の規模の大小によりましても、一人の養護教諭の方の専門的な知識を得ながら、学級担任等が中心になって保健教育をやっていくということではなかろうかというふうに思っています、
#72
○佐藤(徳)委員 残余の時間が余りありませんので、事務職員の問題について若干お尋ねをいたします。
 大臣、甚だぶしつけな質問で恐縮でありますが、各学校に事務職員が配置されている学校と配置されていない学校があるわけであります。配置されている学校の中で事務職員の方が、校長初め先生方、それから児童生徒、父兄から何と呼ばれているか御存じですか。
#73
○松永国務大臣 最近においては大体先生と呼ばれているというふうに私は承知しております。
#74
○佐藤(徳)委員 これは最近ではないのですね。私が教員になった時代から、あるいはそれ以前からでありまして、事務員さんとか事務職員さんなんて呼ぶ人は恐らく一人もいません。みんなやはり先生と呼んでいるわけであります。それだけに、事務職員の皆さんが普通の行政事務と違う職務を持っていらっしゃる、そういう特色がある。そして教育全般とかかわり合ういわゆる教育事務職員であると私は思っているわけであります。それだけに、非常に大事な仕事をこなしているわけでありますが、そういう意味で、単に事務の仕事だけではなくて、クラブ活動のお手伝いをしたり、あるいは修学旅行に一緒についていったり、間々そういう事態が定数不足のために生じていることもまた事実であります。
 今申し上げましたように、行政事務とは全く違う特色があるだけに、私は学校事務職員の皆さんは大変苦労されていると思うのでありますが、養護教員の問題と同じように、どういう認識を持っていらっしゃいますか、大臣、御見解を承ります。
#75
○松永国務大臣 私は、学校というものがその効果を上げていくためには、学校の教育にかかわるさまざまな事務があるわけでありまして、そういった事務がてきぱきと処理されて、学校が規律ある状態にある、そしてまた先生方が規律正しい学校運営をしていかれる、これが学校の教育活動がその効果を上げていくために極めて大事なことであるというふうに考えております。
 それで、事務職員というのは、具体的に言えば学校における庶務、会計など学校におけるさまざまな事務の処理に当たり、学校運営を極めて秩序正しくかつ効果的に運営していくための極めて大事な職務を担当する職員であるというふうに認識いたしております。
#76
○佐藤(徳)委員 そういう認識をされていらっしゃいますから、さらに突っ込んでお尋ねをいたします。
 これは提案者と文部省にお尋ねをいたしますが、去年も私はこの問題について触れました。学校教育法第二十八条第六項には「教諭は、児童の教育をつかさどる。」とあります。そして同条第八項には「事務職員は、事務に従事する。」とあります。昨年も述べたのでありますが、広辞苑を調べてみましたら、「従事する」ということは「仕事に従うこと。」であるとか「仕事にたずさわること。」とが記載されています。「つかさどる」という意味合いは「官職として担当する。」あるいはまた「役目として担当する。」こう解釈をされています。「従事する。」という表現は適切だと思いますかどうか。つまり、先ほど大臣からの見解が出ましたから聞くのでありますけれども、極めて重要な仕事をなさっていらっしゃる、そこに、事務職員の表現とそれから一般教員の表現が違うというところに私は奇異な感じを持つわけでありますが、これは提案者並びに文部大臣お二人からお答えをいただきたいと思います。
#77
○佐藤(誼)議員 「従事する。」という表現は不適切です。やはり教諭が「教育をつかさどる。」と同じように、事務職員は事務をつかさどる、これが適切な表現だというふうに思います。
 その理由として、法律上の根拠といたしまして、教職員定数法の第二条三項に事務職員の規定があります。それを見ますと、「地方自治法第百七十二条第一項に規定する吏員に相当する者」、こういうふうに規定してあります。さらに、今申し上げました地方自治法百七十三条二項で吏員、つまり事務吏員の職務についての規定があります。それを見ますと、「事務吏員は、上司の命を受け、事務を掌る。」こう書いてあります。したがって、法律上の根拠、系列からいいましても、事務をつかさどるという表現が適切な表現だというふうに思います。
 さらにまた、この事務職員の職務の重要性は先ほど言われたとおりでございますが、その実態から見ますと、学校事務職員はまさに資格を持った専門職として一般的なそういう行政事務の分野を担当するということと同時に、学校の教育活動を支える基幹職員ということで常に教育的な配慮を持った適切な総合判断のもとに行動しなければならぬ、こういう分野があると思います。ですから、そういう点からいいますと、今も質問者が指摘されたように、単に上司の命に従うということではなくて、そういう専門職と同時に、常に教育的な配慮を持った総合判断でもって自己の行動を律するという点からいうならば、単に従うということではなくて主体性を持って行動する、つかさどるというのが適切だというふうに私は考えております。
 以上です。
#78
○阿部政府委員 「従事する」と「つかさどる」ということについての御質問でございますが、先ほど辞典を引いてのお話がございましたけれども、一般的に、従事するというのはある仕事を処理をしていくということ、つかさどるという場合には若干高い責任の段階において処理をするケースに使うケースが多いように思っております。
 しかしながら、実際の現行の法令の規定を見ますと、必ずしも整合性があってすべてがそれで処理されているわけではございませんで、確かに、地方自治法の系統で地方の事務吏員について「掌る」という言葉が使われているということはございますけれども、一方、学校教育法の系統ではただいま御指摘のように「従事する」という用語が使われておりまして、これは地方公務員である公立学校の事務職員ばかりではなくて、例えば国立学校設置法といった関係の法令の系統におきましても、国立学校の事務職員についても「従事する」という用語が使われておるというようなことになっておりますし、また、地方教育行政の組織及び運営に関する法律、これも教育系統の法律でございますけれども、事務局職員について「事務に従事する。」こういうような表現が使われております。私どもは、「従事する」という言葉それ自体は仕事をするという意味でございますので、それによって、その言葉のいかんによってどうこう、「つかさどる」でなければならないということは必ずしもない、関係法令の系統によって使われ方が若干違うことがある、こういうことで考えておるわけでございます。
#79
○佐藤(徳)委員 時間も参りましたので、最後に一つだけお尋ねをいたします。
 第五次五カ年計画との関係で、今後における増員計画はどういうふうになっておりますか、文部省にお尋ねします。
#80
○阿部政府委員 事務職員の定数改善計画でございますけれども、十二カ年計画におきまして、昭和六十六年度までの間に六千三百九十二名の定数改善ということを予定しておるわけでございますが、昭和六十年度までに八百七十二名の改善措置が講じられたということで、五千五百十九名というのが残っておるわけでございます。これにつきましても、先ほど養護教諭についてお答えを申し上げましたのと同様に、六十一年度以降毎年度の予算において措置をしていく所存でございますけれども、いずれにいたしましても、六十六年度までに計画どおり全体が完成するように最大限の努力をしたい、かように考えております。
#81
○佐藤(徳)委員 時間も過ぎましたので、これで終わりますが、文部省が、先ほどのお答えの中でも表明がありましたとおりかなりの努力をされていらっしゃる、そしてまた文部大臣の表明の中にもありましたとおり、完成をさせるために最大限の努力をするというお答えもいただきましたから、私はそれに期待をしたいと思います。
 しかし、全体的に言いまして、提案者からそれぞれのお答えをいただいたわけでありますが、まさに現場の実態に即応した法改正だと私も提案者とおり思うわけであります。どうぞひとつこの問題を大切にしていただいて、国会が現場にお返しをしてやる、そういう状況を各党の皆さんもぜひつくっていただきたいし、文部省にもぜひそのようなお取り計らいをお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
#82
○阿部委員長 有島重武君。
#83
○有島委員 養護教諭と事務職員の配置ということにつきましては、これは文部当局におかれましても、また学校の現場におきましても、望ましいことである、一様にこれも努力してまいりたい、こういった認識は共通である、その上に立っての審査であると思います。昨年もこの席におきまして、この養護教諭と事務職員の問題につきまして質問をさせていただきましたし、ただいまも委員の方々から大変詳細にわたる質問がございました。私も用意してまいりました点、大分重複いたしますので、ここではちょっとそれを総まとめみたいに整理しておきたいと思います。
 最初に、養護教諭のことについて、その重要性の認識ということが今までもずっとお話ございましたけれども、これを五つか六つくらいに分けて確認をしておきたいわけです。
 文部省に伺いますけれども、そういう養護教諭というのは本来は一体何をするのか、本来の仕事ですね。最近に至ってそれにどのような仕事が付加されているという実態があるのか、それが二番目です。それから三番目に、そうなってくると、現在一番大事な中心的な仕事というのはどういった点にあるのか。それを裏返して言えば、四番目に、その養護教諭がいないという場合には一体何が一番困るのか、だれが一番困るのか。それからもう一つ言えば、五番目に、いない場合には一体だれが代行をしておるという実態があるのか。この辺のことを整理してひとつお答えをいただきたい。
#84
○古村政府委員 養護教諭といいますのは、一口で申し上げれば、学校におきます児童生徒の保健管理及び保健指導に従事する専門的な教員であるということでございまして、沿革的に見れば、学校看護婦という制度がありまして、それが昭和十六年に養護訓導になって、二十二年に養護教諭という経過を経ていることでございます。
 そこで、具体的には、学校保健計画の立案への参画、これが学校全体で一年間の保健教育をどういうふうにやっていくかということを決める基本になるわけですが、それの原案をつくるといいますか、そういったものについての計画の立案への参画、それから健康診断あるいは健康相談というものが行われますが、これは学校医あるいは学校歯科医といった方々のお出ましを願ってやるわけですが、それについてのいろいろな仕事をお手伝いする、あるいは事故があったときに救急処置を行う、それから学校環境をきれいにするといいますか、例えばプールの洗浄をするとか、そういった場合の学校環境衛生活動の実施をするというふうなことをひっくるめまして、児童生徒の健康の保持、増進について重要な仕事をしておるというのが私たちの認識でございます。
 そこで、これが今までのあれでございますが、では近ごろ何か新しく変わったことがあるのではないかというお話でございますが、私たち養護教諭の先生方の話を聞いてみますと、やはりいろいろな悩みを学級担任なりあるいは教科の先生ではなくて養護教諭の方に打ち明けに子供が保健室へ来る、あるいはこれは余りいいことではございませんけれども、授業に出たくないから腹が痛いと言って保健室へ来るというふうな事態がたまたま見られることが新しい点ではないかというふうに思うわけでございます。
 そこで、私たちが養護教諭に期待いたしますことは、子供自身小学校へ入りまして健康で安全な生活を将来送っていくための基本的な資質を養うということでございますから、それについての基本的な生活習慣というものはやはり子供につけさせてやりたい、そのために養護教諭の方々が十分御活躍を願いたいというふうに思うわけでございます。
 そのときに、では養護教諭がいないときにはだれがやるんだというお話でございますが、先ほどからもお話がございましたように、あるいは兼務というふうなお話もあろうかと思いますが、いわゆる子供の健康とかそういったものにつきましては、やはり学校の先生方全体が、あるいは学校医、学校歯科医、学校薬剤師というふうな方もおられるわけでございます。これは非常勤でございますけれども、そういった方々もひっくるめて学校の組織全体として子供の健康教育というものをやっていく必要がある、そのときに養護教諭の方々の専門的な知識を十分おかりしていくということに相なろうかと思うわけでございまして、そういった点で、兼務のときにはそういった形での学校全体での組織体制を整備してやっていくということが必要ではないかというふうに思うわけでございます。
#85
○有島委員 提案者に、今の文部省の答えについて、そういった程度の認識でもってよろしいのかどうか、御感想があったら承りたい。
#86
○佐藤(誼)議員 私は、大変失礼な言い方ですけれども、何となく平面的なとらえ方でないかな、現場で肌で感ずるとらえ方をしてもらいたいし、もっと厚みのあるとらえ方をしてもらいたい、そういう感想を持ちますね。
 私は、先ほど申し上げましたけれども、教育というのは量で表現される面がありますけれども、質の面を常に注視していく必要があると思うのです。先ほども例に挙げましたけれども、八五%といえば一五%のところには養護教員が配置されない。一たん緩急何か学校であるときには、専門的な方がいないということですね。これは子供の心身の発達なり安全管理、それから健康指導の上で極めて決定的な意味を持つ、このことを深く考えてみる必要があるということだけを私は申し上げておきたいと思います。
#87
○有島委員 文部大臣、今局長は局長としての立場で、これは定められた範囲でこうですと、こう簡潔に言われたのだと思うのですね。それに対して、もっと厚みのある理解が欲しい、こういうことでございます。大臣の御見解、今までも述べられましたけれども、本来の養護教諭の仕事、それに新しく今、時代の変化とともに加えられておる仕事、この中にこういうことも入っているのじゃないかと思うのですけれども、御見解をいただきたいと思います。
 というのは、心の相談とか、学校が嫌だからサボりましたとか、いやサボる気持ちはないのだけれども本当におなかが痛くなっちゃってとか、いろいろなことが、昔なかったようなことが、昔ならこんなのはわがままだと一言で言われてしまったことが、現在の生活の中では一概にわがままとだけ言えないような状況というのが子供たちにとって起こっているのじゃないかと私は感じます。
 それで、養護教諭のお仕事の中で、一時代前には、子供たちというのは家庭において保健、健康、安全、こういったことのしつけは一通りできておる。その子たちが来る。それから兄弟なんかもいるわけですね。そういういろいろな人間関係があって、心の病気というか悩みというか、そういったものも家庭の中あるいは友達同士の中であらかた解消しておる。このごろの子供たちというのは、孤立しているというか非常に孤独である。それは、健康も心も一緒のものとしてもいいですね。そういう者の相手をしなければならぬ。ある場合には家庭との連絡をしなければならぬ。そういう連絡にとどまらず、今はやはり家庭指導というところまで踏み込んでいかなければならぬ。そこまでやっていいのかよくわからぬけれども、一人の子供のことを思うとそんなところにまでいってしまうのではないか。そういうようなことを私も聞くわけですけれども、最近、今までとは違った一つの、何といいますか、文明状況の中における子供たちへのいろいろな重圧というか、そういったものを受けとめていくというような仕事、そういうようなことが今起こりつつあるのじゃないかと思うわけであります。大臣の御感想をいただきたいと思います。
#88
○松永国務大臣 学校教育というのは、どういう状況のもとに運営されるのが最も望ましいのであろうかということなんでありますが、先ほど局長は、児童生徒の救急看護、保健指導、また学校の衛生環境、こういったものを中心となって担当するのが養護教諭であるという答弁をしたわけであります。私はまさしくそうだろうと思います。
 というのは、学校というのは、校長先生以下いろいろな先生がいらっしゃるわけでありまして、先ほど委員が指摘になりました心の相談とか、あるいは健康に異常を生じたというような場合、これは養護教諭だけの問題ではございませんね。やはりまず担当の先生がいるわけであります。あるいはその学校のほかの先生もいるわけでありまして、校長以下すべての学校職員がその子供の心身ともに健康な発達のために協力し合っていく、こういう状況が学校でなければならぬというように思いますが、その場合に、救急看護や保健指導等につきましては、養護教諭がその専門的な知識を生かして、そして中心的な役割を果たしていく、こういう形で学校教育というものは健全になされるものだというふうに私は思います。
 そういう意味で、子供の心身の健康に関すること、これは養護教諭だけの問題ではないのでありまして、校長、教諭、特に担当の先生が大事だと思いますね。私は、いろいろな悩み事の相談等を自分の担当の先生に言わずに養護教諭に言うなどというのは、これは決して望ましい状況ではないと思うのですよ。一番大事なのは、本当はその生徒と担当の先生との心のつながり、信頼関係、これが大事だと思うのでありまして、またその相談を受けた先生が、やはり専門的な知識を持っているのは養護教諭でありますから、そこで養護教諭と連絡をとり、相談をしながら適切な対処をしていくというのが望ましい学校の現場における活動でなければならぬというふうに思うわけであります。
 同時にまた、子供の心身ともに健康な発達を図っていくためには学校だけの問題ではありませんね。やはり家庭における養育のあり方あるいは育て方というものが非常に大きなかかわりを持ってくるわけでありまして、先ほども申したように、朝御飯を食べないで来る子供がある程度いる、あるいは歯磨きをしない子供が二十数%もいるなどということは、これは大変残念な状態なんでありまして、そのことによるいろいろな責任を学校あるいは養護教諭だけに負わせるというのは、これまた甚だ酷な話なんでありまして、やはりそれぞれの家庭が、特に子供を健康に育てていく第一義的な責任者は親なんでありますから、その親もみずからの責任において子供たちを健康に育てていくような、そういうしつけあるいは指導というものをしなければならぬわけであります。
 さようなわけで、家庭においてもしっかりしたしつけをし、育て方をする、それを受けて、学校においてもいろいろな問題があるわけでありますけれども、校長以下全職員が協力し合って、心身ともに健康な子供の発達を図っていくためにそれぞれがその務めを果たしていく。その場合に、救急看護とか保健指導とかあるいは学校の衛生環境の問題等で、養護教諭がその専門的な知識を活用して中心的な役割を果たしていくものだというふうに私は理解をしておるわけでございます。
#89
○有島委員 提案者は今の大臣のお答えについてどうですか。御感想があれば……。
#90
○阿部委員長 有島さん、質問の要点をもう一回言ってください。
#91
○有島委員 今大臣が言われましたこと、これは、時代の流れによって子供たちが随分変化が起こっておる、家庭の事情も起こっておる、こういったことについては先生方も家庭も社会も全部一緒になってやるべきことなんだということですね。そういったお答えがございました。その中にあって、今私は集中してここでもって、養護教諭の荷の重さというようなことが随分ふえているのじゃなかろうか、そういった実態についてどういうふうに思っていらっしゃるか伺ったわけですね。さっき提案者は、さらに重厚に受けとめてもらいたい、こういうようなお話があったけれども、御所感があれば承っておきましょう。
#92
○佐藤(誼)議員 養護教諭の仕事は、端的に言えば児童生徒の健康と安全についての管理と指導ということになると思いますが、これは従来から一貫した一つの職務の内容であり、仕事の範囲だと思いますね。今質問者が指摘されるのは、ごく最近さらにどういう状況が子供を取り巻く状況として出てきたのか、それに対してどう対応したらいいのか、こういう形での質問だと思います。
 このとおりの経済社会の日進月歩、大きな変化ですから、当然子供をめぐる健康の状態なり安全の状態が変わってきますね。私が第一に指摘したいのは、子供の成長が非常に速いということですね。これはやはり考えなければならないと思うのです。それからもう一つは、環境の変化と同時に受験競争の激化等の中で心身ともに大変打ちひしがれているといいましょうか、そういうことのために出てくる従来余り見られなかった子供の時代からの成人病の萌芽といいますか、兆しといいますか、こういうような問題、さらに加えるならば、今のことと関連しますけれども、心の病といいましょうかね、孤立感といいましょうか、そういうものが従来とは非常に違った形で新しい問題として出てきていると思うのですね。
 ですから、これを親に相談する、あるいは担任の先生に相談するというのは当然あり得ると思いますけれども、やはり子供の立場からいえば、自分の心身、特に体を中心にしたことですから、専門の先生に相談したいし、私も学校現場にちょっとおったことがありますけれども、子供の気持ちからいえば、担任の先生に相談することもありますけれども、そういうことはやはり隔離されたところで専門の先生に相談したいということがあると思うのですよ。ですから、そういう点からいいますと、養護教諭の先生は、先ほど申し上げたような子供の健康と安全の管理指導という幹はありますけれども、子供の肌や心に触れ合う、そういう指導という新しい分野を担ってきているのではないか。ですから、そういうことで、ただ単に授業に出たくないということだけで保健室を訪れるものだけではないという、この辺を私はもう少しきちっととらえておく必要があるのではないかなと。逆に言えば、養護の先生方の任務が非常に重くなっているし、それだけに専門性が要求されるし、また、全校の配置というのはそれだけに、一人の子供であっても一人の子供はかけがえのないことですから、そういう点で全校配置というそのことを軸にしながら、健康と安全についての管理指導はさらに担任の先生なり学校全体でいえば校長先生の管理のもとで、さらに、それは学校だけの子供、生徒じゃありませんから、父母との連絡なり全体的な心身を含む環境をよくするという点では社会教育の分野とつながっていくのではないだろうか、そんなふうに考えますので、今質問者が指摘されるような意味で、課題として新しい分野がどんどん出てきている、それをつかさどる養護教諭の専門性と仕事の範囲も広まってきている、そしてまた子供はそれを頼りにしてきている、このことをやはり十分に受けとめた形で対応していかなければならぬのではないかというふうに考えます。
#93
○有島委員 大臣は短い時間でこうやっておっしゃっているので、まだまだ考えていらっしゃることがおありになろうかと思うのですけれども、確かに今の提案者が指摘されたように、従来以上の専門性、それからもう一つは、従来以上の母親がわりもあれば先生がわりもおれば、本当は教頭さんやなんかがやるべきことまでこっちがやらなければならなかったり、そういった兼任性といいますか、そういうものもできてきている。これが現実である。だから、建前からいえばそういったことは本当は望ましくなくて、本来の与えられた仕事をやって整然と進んでいるのが一番いいわけですけれども、実は一つの時代の流れがそれを許さないような状況になってきているということは御認識をいただいておきたい、こう思います。
 それで、定数改善の問題でございますけれども、これは文部省に伺いましょう。
 さっきから何か数字が出ておりますけれども、あと何人いればそれでよろしいのかということです。六十六年度までに何とかと言っていたけれども、あと何人で、それを金額で言えば幾らになるのか。例えば六十六年というのを六十一年なら六十一年に繰り上げたとします。そうすると、それは金額にすると幾らの予算化になるのか、それも承っておきたいと思います。
#94
○阿部政府委員 第五次教職員定数改善計画の中での養護教諭のこれから宿題として残っている数字でございますけれども、四千九十二名、若干は数字が動くかと思いますけれども、おおむね四千名程度というのがこれからの計画の数字でございます。この四千名に対してどれだけの経費がかかるかと申しますと、国庫負担金ベースで申しまして約二百四十億でございます。もちろん残りの額は地方負担ということになるわけでございますので、いずれにしろ公の負担としては、この場合は約五百億くらいの金が必要ということに相なるわけでございます。
#95
○有島委員 提案者、それからそれに関連してですけれども、この文部省の計画というのは目標が一〇〇%じゃないわけですね。この一〇〇%じゃないという根拠は小さな学校もあるしいろいろだ、こういうことでございますけれども、提案者の方はこれは九六%ではいかぬ、丸々一〇〇%でなければいかぬ、こういう御趣旨であろうかと思うのですけれども、その辺はどうですか。
#96
○佐藤(誼)議員 今の第五次改善計画の十二年計画、これで御承知のとおり折り返し地点、つまり半分の六年で二〇・一%だけです。ですから、あとこれから折り返しの六年間で残りをやらなければならぬわけですから、これは文部省が、いや六十六年の完成年度には一〇〇%にするんだ、このことの答弁はそれで結構なんですけれども、実際問題はてそれじゃ八〇%を残り半分でやれるんだろうか。金額についても今総額で言われましたけれども、私は文部省が言われることは否定しないのですが、かなり至難なことだろうなというふうに言わざるを得ないわけです。このことが幸いにして一〇〇%いったとしても九六%ちょっとですから、やはりまだ一〇〇%はいっていない。これは私の持論なんだけれども、九六いつだって四%残るわけですからね。つまり養護教諭のいない学校が依然として存在するわけです。そこで何か起こったらどうなるのかという問題が依然として残るわけです。ですから、やはり私たちは一〇〇%という完全配置、同時に、先ほどから指摘されているようなある一定の規模を超えればとても手が届かぬ。質問者も指摘されるように心身ともに子供をめぐる環境の変化、養護教諭の任務の過重がどんどん出てきますから、複数配置なりあるいはそれ相当の増員配置を考えていかないとできないのではないか。したがって、文部省が先ほどから六十六年の完成時には計画どおり一〇〇%やるのだというこの答弁と意気を私は壮たるものとして受けとめますが、実際今の、六十五年度ですか、赤字国債の発行を停止する、そこから脱却するというこの見通しの状況等を勘案したときに、私はかなり困難ではないのかなというふうに言わざるを得ません。
#97
○有島委員 では、もう事務職員の方に移ります。
 事務職員も仕事がどんどん多くなっているというふうに聞いています。そして、これは全校必置、配置をしなければいけないということで、私も本当にそう思っておりますけれども、この前、去年でありましたか、文部省のお答えの中に、仕事が広がっているということもある一面では簡素化している面もあるんじゃないか、こういうことを言っておりましたね。それで、事務についてはなるべく簡素化していくといいますか、複雑にしない方向でやっていくということ、これは努力しなければならぬと思うわけです。現場では努力しようと思っても、いろいろな報告事項だとか連絡だとかいろいろなことが起こってくるわけなんですが、文部当局としてこれは簡素化することもあると言うのですけれども、意欲的に簡素化した方がいいというようなお考えがおありになるでしょうか。当然と言えば当然みたいなんだけれども、この前のあれでは、簡素化している面もあります、こういう現状認識的なお答えでございました。簡素化をできるところからすべきじゃないか、こういう意欲を含めたことになるのか、これは傍観的なお話なのか、どっちなんでしょう。
#98
○阿部政府委員 事務職員の仕事の中身でございますけれども、これは過去に比べまして質的に変化をしてきているというようなことではないと思うのでございますが、ただ中身が年々複雑化をしてきている、あるいは量的にふえてきているというような実態はあると思っております。例えば各種の給与等につきましても、手当の種類がいろいろふえてくればそれだけ事務としては大変になってくるわけでございますし、あるいは各種の調査統計等もいろいろと持ち込まれてくる等のこともございます。あるいは予算がふえれば、それだけ物品を買う手間がたくさんになってくる、いろいろなことがあるわけでございますので、そういう意味ではだんだん仕事がふえてきている、複雑になってきているという状況はあると思うわけでございます。
 そういった中で、例えば給与関係の事務等につきましては、コンピューター化というのが相当進んでおりますので、各学校で事務職員に計算をさせずとも、市町村の教育委員会あるいは知事部局等の方でまとめて計算することもできるようになってきていると思いますので、そういう面での簡素化と申しますか、能率化と申しますか、そういうこともある面で進みつつあると思うわけでございまして、ほかの面で何が簡素化等ができるかということについて、私もここでにわかにお答えするだけの能力がございませんけれども、基本的な方向としては、できるだけ簡素化をし負担を軽くしていくことが全体として必要なことであろう、それはそのように思っている次第でございます。
#99
○有島委員 では、もう時間ですのでこれで終わりますけれども、大臣、今の局長のお答えですが、学校事務の簡素化ということについて文部省内で、これはだれかが責任を持って検討して、勉強して、努力してもらうべきじゃないのだろうかと私は思うのですけれども、大臣いかがでしょうか。
#100
○松永国務大臣 学校の事務職員の任務というのは、学校における庶務、会計その他さまざまな事務につきましてこれを能率よく処理していく、それを通じて学校教育というものが効率的に行われ、かつ教育効果が発揮される、そのことのために存在し、それゆえにまた大事な職責であるというふうに思うわけであります。
 したがいまして、とれからの方向でございますけれども、やはり学校教育の質的な充実はあくまでも図っていかなければなりません。学校教育の充実向上を図るという見地で問題は考えていかなければならぬわけでありまして、質的に充実向上を図る。しかしながら、事務というものは能率的になされることが結構なんでありまして、そういう立場で能率向上あるいは合理化というものを考えながら、しかし学校の教育効果というものがあくまでも発揮されるような学校でなければならぬわけでありまして、そういうことで対処しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。
#101
○有島委員 大臣お答えでございますが、したがって、省内に調査するような何か一つ、機関といいますか部署といいますか、ひとつ本気で研究する、調査する、そしてそれを改善していくということをお始めいただきたいと私は思うのですけれども、いかがでしょうか。
#102
○松永国務大臣 先ほど申し上げたようなことで、教育効果はあくまでも高めていく、充実をしていく、しかし事務の処理の仕方は効率化していく、これは当然のことなんでありまして、わざわざ検討会とか審議会、そういったことを設けるまでもなく、そういう事務を進めていくことは当然のことだ、そう考えておるわけでございます。
#103
○有島委員 大臣が一言、このことはひとつ局でもって調べよ、こういうことになればもっと動けると思うのですね。大臣の御認識としては、確かに今事務に引っ張られるようじゃ困る、事務を本当に簡素化をして教育にもっと突っ込めるようにしたい、こういうお心ですから、それは、その心をひとつ具体化してもらいたい。今までもその心がけでやってきたわけなんだけれども、その心がけはみんな持っているんだが、どんどん複雑化していくわけですね。もう時間がありませんから例を挙げませんけれども、そういったことがありますので、ひとつそれも始めていただきたい、そういう意味なんですよ、いかがですか。お答えいただいて終わりますから。
#104
○松永国務大臣 常日ごろから努力をしなければならぬ問題なんでございまして、今後ともより一層努力をしてまいりたい、こう考えております。
#105
○阿部委員長 阿部局長から数字の訂正について発言を求められております。
#106
○阿部政府委員 恐縮であります。
 先ほど有島先生にお答えしました数字、必要経費の方を養護教諭と事務職員と合わせた数字でお答えしてしまいました。養護教諭に必要な経費につきましては、国庫負担金ペースで約百十五億、地方費まで含めますとこの場合で約二百三十億という数字でございます。訂正させていただきます。
#107
○有島委員 終わります、ありがとうございました。
#108
○阿部委員長 午後二時三十分に再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十九分開議
#109
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 中西績介君外二名提出、学校教育法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。有島重武君。
#110
○有島委員 議題となっております学校教育法等の一部改正法律案、「実習助手が置かれている現状にかんがみ十二年後に実習助手制度を廃止し、これに伴う措置として公立の高等学校等の教職員定数の標準を改めるとともに、その廃止を円滑に行うため現に実習助手である者について新たな教員資格認定制度を設ける」、こうした理由であるというふうに承っておりますが、最初に文部省に伺います。
 実習助手のあり方についてたびたび議論をしてきたわけでございますけれども、これは三つの選択肢があるわけですね。一つは現状のままでもっていきましょう、こういうこと。それから、この待遇改善をしなければならぬ、これも法的措置によって助手というものを教諭にする、こういった案が一つあるわけですね。それからまた、現状のままだけれども、何らかの待遇改善をやっていこう、こういうようなやり方もあるということなんですけれども、文部省としては一体これをどういうふうにしていこうと思っておられるのか、それから聞いていきましょう。
#111
○高石政府委員 まず、実習助手という現行制度、これは学校教育を展開する上で必要であるということを考えておりまして、したがいまして、制度として実習助手制度をやめるということはできない。そこで、実習助手の処遇改善というような形で、処遇改善に二つの道があると思います。一つは、実習助手という名称のまま終身雇用されていくというような形態についての不安感がある。したがって、教諭免許状を取得した人に対しては教諭への道が開かれるという、教諭に登用されるという一つの改善。それからもう一つは、実習助手自体の給与上の問題。この給与改善につきましては、教職員全体の給与改善とともにこの内容改善に努めていかなければならない。二つの考え方をもって現在まで文部省は対応してきましたし、今後もそういう点での努力をしていかなければならない、こういうふうに考えているところでございます。
#112
○有島委員 今重ねて名目的なこととそれから実質的な給与と二つの御答弁でしたが、名目的なことはどういうふうになっていくのですか。
#113
○高石政府委員 教諭への道でございますが、これは実習を主たる目的とする教諭、こういう制度がございまして、したがいまして、実習助手を対象にいたしまして、そういう免許資格を取り得るように講習会、研修会、そういうものを毎年計画的に実施をしているわけでございます。したがいまして、そういう教諭資格、免許状を有する者がかなりの数になっているということでございます。
 そういう資格を持った者を具体的に各府県が任用していくという問題でございますが、その任用の問題は各都道府県の教育委員会が人事行政上の観点で決めていくわけでございます。最近の傾向ですと、二百人前後ぐらいの人たちが実習助手から教諭へ採用されている、こういう傾向でございます。
#114
○有島委員 給与の点についていきましょう。
 ちょうど昨年の五月であったと思うのですけれども、本委員会におきまして同じく実習助手についての審査をいろいろいたしました。そのときに給与面での改善を積極的に進めたい、高石局長であったと思いますが、こう御答弁があった。それで積極的に進めたい、こうおっしゃったので期待をいたしておったわけでございますけれども、どんなふうに進められたのか、どういうふうに検討しておられるのか、それを伺っておきたいと思います。
#115
○阿部政府委員 実習助手につきましては、先生御案内のように、高等学校関係の教育職俸給表(二)の三等級適用ということに現在なっておるわけでございます。この三等級という現在の俸給表が二号俸から三十五号俸までという格好ででき上がっておるわけでございますけれども、通常、高校卒業程度でもって実習助手の職についたという人たちのことを考えますと、五十歳前後で俸給表の上では既に頭打ちになってしまうということで、六十歳の停年までの間はずっと横に並んでいくというようなことにもなりかねない点があるということが一つ問題があります。これをぜひ、その生涯の勤務の実態に即して号俸をもっとふやしてほしいというのが一つ私どもの願望しておるところでございます。それから、もう一点は、この俸給表自体の昇給曲線と申しますか、これがもう少し改善されてもいいのではなかろうかというような、俸給全体のレベルと俸給の号俸の数の問題、この二つの点についての改善が望ましいということで、これは人事院に対しまして文書でその二点についてお願いを申し上げておるところでございますが、人事院においても今御検討いただいておるところと思っております。特に、給与制度全般について見直しをしたいというようなことで人事院当局の御検討があるようでございますので、その中でこの問題についてもぜひ前進を図ってほしいと要望を重ねておる段階でございます。
#116
○有島委員 阿部局長さんから待遇改善について願望をしておる、努力しておる、こういうことでございます。文部省としての努力、今伺った範囲では人事院にお願いした、こういうことがまあわかった。そのほかの何か文部省独自の努力というか、そういうようなことがあるのですか。とにかく人事院にお任せ、こういうだけのことでしょうか。
#117
○阿部政府委員 教育公務員の給与に関する事柄は人事院を中心にして運用されていることでございますので、私どもとしては、実態等を何回か機会を重ねまして人事院に御説明をし、御理解をいただき、人事院勧告等の形でこういった給与表の改正をしていただきたいということでお願いをしておるわけでございまして、事の性格上、文部省が給与表を直すとか、そういうわけにまいらないわけでございますので、御理解をいただきたいと思います。
#118
○有島委員 人事院はきょうは来ていてくださっているわけですね。――文部省に言わせれば、人事院が頼りだ、願望をしておる、こういうことですよ。人事院の方でも昭和六十年度をめどとして見直す、こういうことが言われておったと思いますね。ことしは六十年なわけですけれども、どういう検討がされておったのか、その結果がそれじゃ何月にはどうなるか、そういうことを御報告をいただきたい。
#119
○藤野説明員 お答えいたします。
 先生今御指摘の二つの点でございますが、いわゆる昇給カーブの問題、それからもう一つは号俸延長の問題、この問題につきましては、先ほど文部省からもお話がありましたように、文部省からもそういう話を聞いておりますし、当委員会におきましても、昨年、一昨年そういう話を承っておりまして、そういう意味で、給与制度を今検討中でございますが、その中におきまして、この二つの問題につきましてはそういう問題認識を持って目下検討しておるところでございます。ただ、これは勧告という形で申し上げるわけでございまして、目下作業中でございますので、今の段階におきまして具体的に申し上げるという段階に至っておりませんが、少なくともそういう問題意識を持って検討しておるということでございます。
#120
○有島委員 では、六十年度を目途としてやる、このことは、この方針は変わっておりませんね。
#121
○藤野説明員 給与制度の見直しにつきましては、先生御指摘のように六十年めどということで作業をしておるものですから、ことしの勧告でこれらの問題については、できるものについては措置をしたいと考えておりまして、その中にこの問題は含められるのではないかということを考えております。
#122
○有島委員 六十年度を目途にできるものについては見直しをする、こうおっしゃったわけですね。そして今のお答えでは、実習助手の待遇改善の問題については、これはできるもののうちに入る、こういう意味ですね。
#123
○藤野説明員 今お話がありました点につきましては、特に給与のベースの改善につきましては、全体の厚み、高さといいますか、そういうものと絡む話でございますから、どの程度できるかという問題はもちろんございますけれども、少なくとも今おっしゃいました二つの点については、そういう意味での前進ある措置を考えたいと思っております。
#124
○有島委員 提案者に質問をさせていただきます。
 今の人事院のお答えですけれども、一つは号俸を延ばしていくという問題、もう一つは賃金カーブを引き上げるというような問題があろうかということですね。この点については、提案者としてはどういうふうにお考えになって、どのように要求をすべきだと思っていらっしゃいますか。
#125
○中西(績)議員 今、人事院の方からお答えがありましたけれども、二つの点、号俸の延長ですね。今までは三十五号になりますと頭打ちになって横ばいするわけですから、その面を何号か延ばしていくというやり方ですね。それともう一つは、賃金カーブが行政職(一)表の皆さんよりもうんと低くなっておるという事態があるわけですから、そのカーブ自体を今度は引き上げていく、こういう二つの面で考えておられるようです。ですから、賃金面だけについて申し上げますならば、今まで私たちが主張してまいりましたし、この点についてなぜ今まで措置をされなかったかということに対して大変不満を持っておったわけでありますけれども、一定の前進があるという見方ができるのではないでしょうか。ただ、問題は、その際に依然として教諭という資格を持っておるわけです。したがって、教諭としての賃金形態というのは、給与表で言いますと教育職(二)表の二等級、これに該当するようにならなくてはならぬわけですね。だのに、資格はありながらも、またやっておる教職としてのあり方、内容については大変重要な任務を持ってやっておるにもかかわらず、依然として終身的に大変内容的にも低い中身であったものを、わずか引き上げると言っておりますけれども、その中身そのものが大きくは変わらないという性格にしかなっておりません、今までよりは前進するけれども。ですから、二等級とのかかわりをどうとっていくかということになるわけです。
 結論を申し上げますと、結局こういう皆さんの場合に、やはり総枠、教諭の枠自体を教諭と資格を持っておる人を合計した数でもってくくっていただきますと、今度は二等級適用ということが可能になってくるわけですから、そういう措置をとっておる県も既にあるわけです。先ほど局長が二百名年々教諭に任用しておるということを言われましたけれども、これからいきますと、今資格を持っておる人は九千三百を超えるという数ですから、約二百名では五十年近く、このまま放置しておけばかかるわけです。だから、何としても総枠をどう広げ、二等級にどう近づけるということに行かない限り、給与の問題については解決にはならない、こう私は考えております。
#126
○有島委員 それじゃ、さっきの実習助手で教員免許を取得する、この問題に移りましょう。こういった教員の免許を持っておられる方が一万人に近い。これは全体の三分の二ですか、六四%というふうに僕たちは聞いているわけなんですけれども、この六四%というのは間違いありませんか。最近のまた数表を見ると五十何%というふうな数字があったように思うのですけれども、この数字について確認をさしていただきます。
#127
○高石政府委員 実習助手の五十九年度の総数が一万四千六百二十五でございます。五十八年十月一日現在における学校教員統計調査が行われましたが、先回は多分五十五年のときの数字を申し上げたと思います。今回の調査によりますと、一級、二級の免許状を持っているのが四〇・七%、約四割ということでございますから、一万五千の約四割、これが免許状を持っている人の数であるというのが私たちのつかんでいる一番新しい数字でございます。
#128
○有島委員 そうすると、六四%というのは現状ではない。現状は、今おっしゃったのは四九%……。
#129
○高石政府委員 四〇・七%です。
#130
○有島委員 それで、これは教諭の任用は望ましいことだというふうに今文部省としても考えていらっしゃるわけですね。それで、これを促進していくということ、これはそれを望んでいる人が大勢いるわけですから、何かそれを推し進めていく具体的な措置、こういったものは考えていらっしゃいますか。
#131
○高石政府委員 教諭の免許状を取得できるように、まず一つは、文部省としては毎年講習会を開催しているわけでございます、まず資格がなければ話になりませんので。大体定員百名くらいでやっていますけれども、実際上は今の状況では半分近い、定数に満たない応募者になっております。そこで、そういう資格を持った人々をそれぞれの県の教育委員会が教諭に昇任の発令をしていくということになるわけでございます。県の教育委員会としては、全体の定数が定められているわけでございます。したがって、工業であるとか農業であるとか、そういう定数の枠の中で教員を採用していく、それは実習を担当する教諭以外にいろいろな教科関係の先生ももちろん入るわけでございますが、そこで、実習を主として担当する教諭ということになりますと、座学の方の教諭と実習面の担当の教諭をどういう比率にして採用していくかというのは県の教育委員会が判断するわけでございます。したがいまして、文部省の方としては資格のある者をすべて教諭に発令しろという指導をしても、現実的には、その県のそれぞれの学校における人員構成その他によって具体的な任用行為を行うということになるわけでございます。したがいまして、私たちといたしましては、そういう講習会も実施していることでもあるし、そういう資格を持った人の中で教諭として適格者の方々にできるだけそういう道を開くように、こういう指導をしているわけでございます。しかし、現実的に採用するのは都道府県の教育委員会の判断ということになりますから、それ以上数を割りつけてこれだけ採用しろというわけにはまいらないという実態でございます。
#132
○有島委員 提案者、今の高石局長の説明、促進しようと思ってもその枠がないんだ、それで頭打ちになるんだ、こういう御説明でございますけれども、これはいたし方ないということですか。何かまだ、いやそうではない、それはこういうふうにできるんだというようなことがおありになりますか。
#133
○中西(績)議員 先ほども給与のところでちょっと触れましたけれども、今高石局長の答弁を聞いておりますと、文部省としては講習会を開いてその資格付与のために努力をしておる、実際にそういうのが毎年何名かずつは資格をとっていっておる、ところが、実習担当教諭の比率と座学担当教諭の比率というのは県教委が決めるものだから、それまで立ち入って強く指導し数までを規制するということはできない、ですから判断はあくまでも県教委側にある、こういうことですね。ということになりますと、先ほど申し上げましたように、今たまってしまっておる一万人近くの人がいらっしゃるわけでしょう。今は毎年毎年五十人であっても、既につっかえている人が一万人近くいるわけですから、こうした解消策を考えていかなくてはならない。その矛盾というものは既に人事院そのものも認め、文部省も認めた上で要求をしておるわけで、したがって、この状況を打破するためには、現行定数法ではどうすることもできないわけです。指導を強めることもできません。ということであれば、指導を強めることのできる法的規制によってこれを打破する以外にないのではなかろうか。したがって、私たちが今提案しております実習助手の皆さんを教諭任用をするための措置を直ちにとっていただくことが一番緊急な課題ではないだろうか、こう思います。と申しますのは、ただ給与面だけの問題ではありません。免許状取得の道を開いた三十六年当時から、任用された者に希望を与えさらに教育の大きな発展を願うというねらいの中から実施されておるわけでありますから、今これだけたくさんいらっしゃる皆さんを勇気づけ、自信を持たせ、本当に教育担当者として校内における大きな役割を果たしていただくことが一番問われておるわけでありますから、私たちが提案しておるこの内容でもって措置をすることが肝要ではないかと考えております。
#134
○有島委員 時間も迫ってまいりましたが、最後に、大臣に今までのお話について御所見を承っておきたいと思うのです。実習助手というものの今までの教育における重要性、それから今後の教育における重要性、これはきょうは省略してしまいましたけれども、大臣も十分御認識をしていらっしゃるのじゃないかと思うわけであります。文部当局としてもこの待遇、現状のままでいいとは思っておらない、これを給与面で改善をする、それには教員の免許を取得できるようにしておく、ところが勉強はしたけれども学校の中の配分というようなものでやや頭打ちになっておる、こうなっているので、提案者が助太刀をしているというか、こういうようにしたら突破できるじゃないかという知恵を出して提案している、こういうことに私たちも理解できるわけです。大臣も私が今申し上げたような御理解に至られるのではないかというように期待しながら、私は御所見を承っておきたいと思います。
#135
○松永国務大臣 私は、今までの議論を聞いておりまして、問題の中心点をどこに置くかということでございますが、この問題については、農業高校、工業高校等いわゆる職業高校に学ぶ生徒たちにいかに適切な教育をしていくかという観点から対処していくべきだと思います。実習助手というのは職業高校等での実習・実験について、教諭の職務を助けて、実習・実験の準備、後片づけ、実技指導といったものを行う極めて大事な仕事を担当していただいているわけであります。しかし、その実習助手の中で、さらにその分野における知識を深くお持ちになり、かつ生徒に対する教育その他もやっていけるようなそれだけの能力をお持ちになった方については、現職教育を通じて教諭の資格もお取りになる、そういう道が開かれておるわけでありますが、そしてまた、それによって教諭の資格をお取りになった方も毎年出ておるわけでありますけれども、実際に職業高校における教育の内容を充実し向上させるためにどういう人を教諭として採用するか、これはまさに設置者である都道府県教育委員会が自主的に判断をされて、そして職業高校におけるよりよい教育がなされるようにしていらっしゃることだというふうに思うわけであります。したがいまして、実習助手の皆さん方に対して、実習助手そのものの仕事も大変大切なんでありますから、それはそれとして、先ほど局長が答えましたように、その処遇改善ということは今後とも人事院に対する要望をして進めてまいりたい、こういうふうに考えておりますけれども、実際に教諭として採用するかどうか、この問題は都道府県教育委員会においてその設置される職業高校の教育の内容の充実向上という立場から措置されることでありますので、それが適切な措置がなされるようになることが望ましいことだというふうに考えておるわけでございます。
#136
○有島委員 では、提案者からの所感をひとつ。
#137
○中西(績)議員 今大臣言われました生徒との対応の中で判断をすべきだということは、大臣も文部省も今後とも絶対に忘れていただきたくない言葉でありますので、これは私は全面的に賛成であります。
 そこで、そのためにどうなのかということを発想すれば、そこから今度ちょっと変わってくるのですね。それは教委の自主的判断によって各県でやるべきだ、こういう認識に立っています。現状肯定をすれば、その中における判断としてはそのことしかないだろう。ですから、それを一歩踏ん切ってよりよい成果を求めていくということになれば、何らかの方策はないだろうか。そのときに考えられるのが、今提案をしておる標準法であるということなんです。ですから、この点をやはりもう少し広い気持ちを持っていただきまして、先ほど一番最初に言われました、生徒との対応のために教育効果がいかに上げられるべきなのかというこの視点からお考えいただければ、私たちは、この実習助手の仕事をやめると言っているわけではありません、その仕事はそのまま継続をして、教諭任用の中で教諭の数にこれを持っておる方々が一緒に加わった合計数によってこの措置をしていただこう、こういうことを言っているわけですから、しかもそれは十二年間の経過措置を持ちながら改善を遂げていこうということでありますから、特段財政的にも大きな負担をかけるということでもありませんし、ぜひそういう面での御賛同をいただければ、こう考えておるわけであります。
#138
○有島委員 よくわかりました。
 もう時間が参りましたからお答え要りませんけれども、私ども、教育改革推進本部というものを二年ほど前から設置いたしまして、その中でこれからの科学技術あるいは教育研究という一つのプロジェクトをつくっていく議論をしていたのですね。その中で、大学の問題とか何か研究所の問題というのからずっとだんだん話が絞られてきて、小学校から中学校、高校における教育のあり方という方にずっと話が絞られてきた。そして、行き着いたのは座学と実習とのバランスの問題なんですね。しかも、実習が充実しているということが、次の時代の創造性であるとか、次の時代を本当に開いていく教育的要素を非常にはらんでいるのじゃないだろうか、そういうところに話がどんどんいきました。それでつくづく私は思ったのですけれども、それは五年前、十年前と現在は違って、そして、現在から五年後、十年後を望んでみると、実習助手の持っている守備範囲といいますか、これは先ほどの同じく名前は学校教育法ですけれども、養護教諭や何かの話と同じように、非常に重要性といいますか、実習そのものの器具や何かの質も違ってまいっておりますし、それからそれをどうやって生かして使っていくか、それはまた子供たちのそれが将来の本当の力にしてしまうかというようなこと、これは単なるおぜん立てをして後片づけをしてと、そういうところをはるかに今超えているのだという実態があろうかと思います。今提案者からのお話がございましたけれども、大臣初め文部省におかれてもひとつさらに調査をなさり、実態を知ってこの方向に努力をされるのが至当ではないかと思います。
 以上で終わります。
#139
○阿部委員長 山原健二郎君。
#140
○山原委員 教育に携わるいろいろの関係者の処遇の問題あるいは身分の問題、幾つかの矛盾の問題をきょうは朝から審議をしておるように思うのです。
 例えば養護教諭の問題にしましても、あるいは事務職の問題にしましても、「当分の間」というのが三十八年になったり、そういった問題を含めて、実習助手の問題もこの席でしばしば取り上げられてきましたけれども、なかなか前に進まないという状態でありますが、実際に授業を持ち、さらにクラブの顧問をし、またクラス担任もやるというような方々がたくさんおいでになるわけでございまして、この問題をどうするかということで何とか突破口をつくろうということで、この十二年の措置期間を置いて出された法案だと思います。そういう意味で、この学校教育法等の一部改正案という今回の提案を毎年審議はしてきておりますけれども、実際にこの実現をさせていくという意味で非常に重い内容を持っていると思うわけです。そういう意味で、提案者の積極的な姿勢に対して、まず賛意を表明いたしたいと思います。そして、提案者の中西先生に今回の提案の法改正案のポイントは何かということを簡明にお答えいただきたい。これは趣旨説明でも出ておりますけれども、改めてお聞きしたいと思います。
 また、実習助手がこの法律によっていなくなった後の問題がどうなるのかという点ですが、新たな職員の配置が必要なのかどうかについても一言説明をいただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#141
○中西(績)議員 ポイントは既に提案の際に申し上げてはおりますけれども、何と申しましても一万四千八百十二名、学校教育法、教職員定数法に基づく配置がされておるわけでありますから、その中でこうした一級、二級の免許状取得者は、先ほどの局長の話でありますけれども四〇・七%という率になっています。ただ、私は、この四〇・七%というのが、昨年五十五年度が六五%ということを言っておりまして、余りにも差が開いておりますから基準のとり方が大変誤っておるのではないかという感じがしますけれども、いずれにしても半数の人がそうした措置がされています。そういう状況でありますから、何と申しましても関係法律の改正を行いまして、実習助手の廃止、十二年間の経過措置をまず設けて実施をしたい。そして二つ目に、高等学校の教職員定数の標準を改正しまして、実習助手の規定を削除し、教諭などの数の規定に実験・実習担当の教諭の数を加えて必要な措置を定める。三つ目に、教育職員免許法を改正いたしまして、実習担当教諭の免許状取得資格として、新たに、高等専門学校を卒業した者――これすら大変な矛盾ですね、依然として高等専門学校卒業者にはないわけですからね。及び看護婦の免許状取得者を加えるとともに、現に実習助手である者のうち、理科及び特殊教科担当の者で文部省令に定める資格を有する者について教諭免許取得の措置を講ずる、こういう措置をしていきたいと思っています。
 ただ、先ほど指摘をされました、もしいなくなった場合にそれではどういう状況になるかと言いますけれども、これは私たちとしてはあくまでも、先ほど申し上げましたように、実習助手の皆さんが実習教諭に任用替えいたしましてもその職務については変わりがないわけであります。したがって、むしろ積極的に今までそうした教諭免許取得をするためにみずからがそうした学習をし、さらにまた自分たち自身で研さんを遂げていく、その上に立って自覚を強め、本格的に教諭としてのあり方を追求するという、そうした中ででき上がってくるわけでありますから、従来より一層教育面における積極的な面を引き出していかなくてはならぬと思っています。そうしますと、全くそこには数の上でも変わりがない、教諭プラスの任用者を加えていただきましても数が残るわけでありますし、十二年間経過した中ではそれが完成するという体制をつくるわけでありますから、そこには積極的な面はありましても全く内容的にはマイナスの面はむしろ起こらないという確信を持って提案をいたしておるところであります。
#142
○山原委員 もう一つ、この法案の提出された背景ですが、特に実習助手の勤務実態といいますか、それをどういうふうに把握をされて提案をされたか、一言お伺いをしておきたいのです。
#143
○中西(績)議員 現行制度におきましては、実習助手の身分あるいは職務については学校教育法第五十条の三項に位置づけられております。職務内容としては「実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」となっています。学校教育法をここでは具体的に今読み上げることはいたしませんけれども、この条文による一般的な実習助手の職務内容として、実験・実習の準備、後片づけあるいは教材の維持管理、備品の整理などが挙げられています。しかし、学校現場における実態は、今申し上げた一般的に言われている補助的な職務内容にとどまっていることはできません。もちろん実験・実習の準備や後片づけ、教材の維持管理などについても重要な職務内容の一部であることは言うまでもありませんけれども、実習助手はこれらの職務を十分果たした上で実験・実習教育に教諭と協力分担しながら、例えば一つの班を受け持って指導書の作成、実験・実習についての直接指導、そして評価まで実験・実習の教育に直接かかわっておるわけであります。実習を幾つかの班に分けて行うことが一般的になっている工業あるいは農業高校ではこの状況は一層顕著であると言えます。またそのことは、産業教育手当支給規則の精神からも当然のことと言えます。
 これを私はちょっと紹介申し上げたいと思いますけれども、「実習の指導並びにこれに直接必要な準備及び整理」、二つ目に「実習の指導計画の作成及び実習成績の評価」、こういう中身になっておるわけであります。したがいまして、学校教育法に言う「教諭の職務を助ける。」にこだわり、狭義に解釈いたしまして実習助手の職務内容を補助的業務のみに限定するならば、実験・実習教育そのものが成立しないと言っても過言ではありません。実験・実習とは直接関係ない分野においても実習助手は重要な役割を担っております。すなわち、今大きな問題になっている生徒指導、特に非行や低学力などいわゆる教育荒廃の克服のため、生徒の指導や校務分掌の分担、部活動の指導など、学校教育全般にわたって教諭と協力分担しながら重要な役割を果たしておるわけであります。したがって、こうした背景を受けて、私たちは先ほどからるる申し上げておりますように、さらなる教育面における大きな前進を果たすためにも、あるいは本人自身にとりましても大変希望を持てる条件をそこにつくり出すことが今最も重要ではないだろうか、こういうことを考えまして、提案いたしておる次第であります。
#144
○山原委員 今の提案者の御説明ですが、これによりますと、第五十条というもの、これは非常に窮屈な感じがするわけで、法規定に合わそうとするならば、現在実態としての実習助手の姿をまた抑え込む結果になるというふうな感じがするわけですが、文部省はこの点についてどういうふうにお考えですか。
#145
○高石政府委員 実習助手が学校の制度の中に置かれている趣旨は、現行学校教育法で書いてありますように、「実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」そういう観点から実習助手を職制として置いているわけです。今までいろいろな議論がありますが、大部分の実習助手に採用される方々は高等学校卒業程度、これと中卒を入れますと、大体八割が高卒から実習助手になられるという方が多いわけでございます。したがって、教諭資格を与えるといった場合には、基本的にそういう養成資格の問題から抜本的に考えていかないと、ただ現に処遇改善の点からのみ教諭資格を与えればいいというものではない。職制上そういう必要性があって置かれているし、そしてそういう職種であるから免許状を有しない多くの人が実習助手として採用されてきている。しかし、一たん採用された実習助手の方々に将来の希望と夢を与えていくためには、そこに必要な講習会を実施して、免許資格を取るような努力をしていただき、その資格が得られれば教諭への道が開かれる、こういう仕掛けになっているのが現行制度であろうと思うのです。したがって、実習助手制度の置かれた本来の仕組み、制度、それから現に採用されている人々の実態、そういうことを全く無視して教諭にすればいいという議論は現状に合わない。あくまでそういう実態の背景の上に立って処遇改善その他の問題は考えていかなければならないけれども、もしいきなり教諭ということになると、最初からその資格の問題とか基礎資格の問題、そういう問題からやり直し、考え直さなければうまくいかないのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
    〔委員長退席、白川委員長代理着席〕
#146
○山原委員 ここのところが本当に提案者と文部省の真っ向から違うところですね。今の高石局長の答弁に対して、提案者、御意見がありましたら一言言ってください。
#147
○中西(績)議員 今、高石局長の答弁を聞いておりますとちょっと驚くのですけれども、この八〇%が高卒者だということであり、そして教諭資格を取得するためには、免許状、そのためのいろいろな講習会なり開いてちゃんとやっておるわけでありますから、そこから教諭の道は開けるわけであります。だから、この実態にそぐわないということがどうしてもわからないわけであります。実態は、今言われた措置を通して一万人近くの人が実際現存するわけであります。その人に資格がなければ今言われるとおりだと思いますよ。資格もない者を任用せよとは私は言っていません。したがって、あくまでも資格がそこにある者について任用すべきではないか、こういう提案をしているわけでありますから、その措置をこれからどう広げていくのかということを提案いたしておりますので、ちょっと今の回答の中には矛盾のある回答をいたしておったようでありますから、少し付言をさせていただきました。
#148
○山原委員 このところが、実態から見ましても、単なる実習助手の方たちの願望ではなくて、実態を背景として改革をしていかなければならぬという立場と随分違ってくるわけですが、この問題等につきましては、後で時間がありましたら質問することにします。
 次に、給与の実態ですね。これはもう申し上げるまでもなく、ただいま有島さんの方からも質問がありましたので中身は省略しますが、これについては文部省も昨年の審議のときにも、「三等級の格付が教諭に比較いたしまして低いというのは、またそのとおりでございます。また、一般の事務職員との対比においても若干不利になっているのではないかという点もございます。したがいまして、そういう面の給与上の待遇改善という点については、文部省も力を入れていかなければならないということで、人事院に対してその処遇改善、三等級が頭打ちになるのをもう少し起こしてもらうように一昨年来お願いをして、今努力を続けているところでございます。」というのが高石局長の昨年の答弁ですね。現在これについてどういう努力がなされているかということと、その点での成果は上がっているのか、これについて簡単に答えていただきたい。
#149
○阿部政府委員 先ほど有島先生の御質問にもお答えしたところでございますけれども、昨年の御審議の後も五十九年七月九日付で人事院に対しまして、教育職俸給表(二)の二等級と三等級について号俸の増設を行っていただきたい、特に三等級適用政員についての待遇改善を図っていただきたい、先ほども申し上げましたように、号俸の数を延ばしていただくということと、それから昇給曲線をもう少し高めていただきたいというこの二点について、重ねて人事院当局にお願いをし、そのよい回答が出てくることを期待して待っているところでございます。
#150
○山原委員 人事院にお伺いします。昨年の審議で斧給与局長が出ておられたのですが、こういうふうに答えておられます。「六十年度を目途にということで、さらにもう一年間検討をさせていただきたい」と答弁をされています。確かに、給与アップについては他の俸給表と比べても考慮されているようでございまして、この点での努力については評価するものですが、肝心の号俸を延ばすという点や賃金カーブの引き上げという点がどうなっているか、現在の検討内容と展望についてお伺いをしたいのです。先ほど御答弁がありましたけれども、少し積極的なような感じも受けるわけですが、これは本気でやられる構えで立ち向かっておられるのかどうか。これだけ問題になっているわけですから、かなりはっきりしたお答えをぜひいただきたいのですが、いかがでしょうか。
#151
○藤野説明員 お答え申し上げます。
 昨年の本委員会におきましても、今御指摘のありましたようなところが問題になったわけでございますが、そこで、昨年の勧告におきましては、昇給カーブのいわゆる改善といいますか、給与改定につきましては、昨年実は給与勧告で一細かいことを申し上げますが、平均的には六・四%程度の引き上げでございましたが、今御指摘のありました実習助手につきましては六・八%と、各俸給を通じまして一番高い引き上げ率の改善を行ったところでございます。
 ただ、もう一点の昨年の勧告におきましては、号俸延長についてはいわゆる六十年見直しということで、そういう制度問題については六十年にまとめて一応検討するということでございまして、あらゆる俸給を通じまして号俸の延長を行わなかった。したがって、この問題につきましては、本年の給与勧告といいますか、これから夏の勧告の中でいわゆる制度見直しを実施するよう、今鋭意検討しておりますが、そういう意味で、この委員会でいろいろ問題があったことを十分踏まえながら、漸進的な措置を考えたいと思っております。
#152
○山原委員 もう一回伺いますが、人事院としては、この給与体系の勧告に当たりましてそういう見直しを勧告する用意があるというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
#153
○藤野説明員 勧告につきましては、最終的な結論はまだもちろんこれから時間がございまして、最終決定を見ているわけではございませんが、少なくとも現段階におきましては、この見直し関係につきましてこれらの問題を含めて本年の勧告で措置をしたいというふうに考えております。
#154
○山原委員 人事院としては今お聞きのようにかなり積極的な立場をとられようといたしておりますが、いわゆる使用者、当事者である文部省としては、八月を目指してのこの勧告、これについてどういう決意で臨まれるのか、伺っておきたいのです。
#155
○阿部政府委員 人事院の方から前向きの御答弁もいただきまして大変喜んでおるわけでございますけれども、私どもといたしましても、なおこれが実現いたしますように、例年の例でございますと、また夏の勧告の前に文部省としての希望を正式に人事院にお伝えをするというような機会もあるわけでございますので、そういう時期にさらにこの問題を取り上げ、要望を重ねてまいりたい、かように考えております。
#156
○山原委員 これは、局長のお答えはございましたが、局長のお答えを追認する意味で、文部大臣もそのような御決意をお持ちでしょうか、伺ってみます。
#157
○松永国務大臣 実習助手の処遇改善の問題についてでございますが、今後とも人事院に対して処遇改善の措置がなされるように引き続き要請をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
#158
○山原委員 提案者の方にお伺いしますが、給与の問題というのは、この法改正案との関係で言えば当面の課題であると思います。この法改正が実現すれば、当然実習助手そのものの存在が十二年間の経過措置の後に廃止されるわけですから。そこで、提案者としては、この経過措置の間に実習助手の給与あるいは身分保障というものをどういうふうにすべきだとお考えになっておられるでしょうか。
#159
○中西(績)議員 今御指摘ございましたように、実習助手制度を廃止しまして教諭を一元化するわけでありますから、改正後は教諭としての処遇の問題として考えていけばよろしいわけであります。しかし、現にまだ制度改正がなされていませんので、制度改正が実現しても十二年間の経過措置の期間中は実習助手が存在いたしますので、さらに、この法案とは直接関係ありませんけれども、三等級の適用者には障害児学校などに配置されておる寮母もいますし、したがって、基本的には制度改正を早急に実現して問題解決を図らなければなりませんが、当面緊急の課題として、三等級の改善を実現しなければならないと考えます。さらに、制度改善前であっても免許の取得、経験年数によって二等級の適用がなされるよう改善すべきだと思っております。したがって、人事院がこうした措置をとるわけでありますから、さらにそれをどう展開していくかについての御検討を願うと同時に、こうした矛盾等があるといたしますならば文部省もさらに内容的に深めていただく、このことが一番大事だろうと思っています。
 ただ、私もう一言だけつけ加えさせていただきますと、給与面だけを申しておりますと、文部省は、これを改定すればそれでもうよろしい、安心したということになってしまうので、そうならないようにするためには、実習助手の現在の現場における重要な役割というものをどのように認識をするかということが今一番大事ではないかと思っています。したがって、その任務を十分保障して発展させて、実習助手の誇りを持って教育活動に当たられるようにすべきではないでしょうか。
 ただ、私が今一番心配しておりますのは、各県教委に対しまして、文部省からの指導と言われておりますけれども、こうした教育的活動に対する制約が行われておるということを聞きます。例えば、部活動などで生徒指導をし、そして引率をします。そうすると、引率をすることはまかりならぬというような県教委が既にあらわれ始めておるわけであります。ところが、先ほどもありますように、授業を担当しておる者が既に五〇%を超えておるという実態等からいたしましても、何としてもこうした積極的な教育活動に対する抑制あるいは排除などは絶対あってはならないし、そのことは、逆に今度は、教育の面におきましては大変大きなマイナス面が出てくるわけでありますから、この点をぜひお考えいただければということを最後に申し上げまして、終わります。
#160
○山原委員 この実習助手の教諭任用の問題ですけれども、きょうはこの問題について他の委員の方も御質問されております。また文部省も、教諭の免許状を所有している実習助手については教諭任用は望ましいと言っておるわけです。昨年の五月十一日の議事録を見ますと、これは初中局長だったと思いますが、「そういう担当者の会合等においては、具体的にそういう問題について前向きの対応をしていく必要があるということで文部省も話をし、担当者もその打開のための方途はないかと苦しんできていることは事実でございます。」と答弁をしているわけでございます。こういう立場で文部省がやる気があるなら、具体的方途はいろいろあるはずだと私は思うのでございますが、この問題の改善のために都道府県教育委員会にあてて通達を出すとか、そういったことは考えられていないのか。もちろんその通達だけでは解決をしないと思いますが、この点について、どういう方途があるかということを先に高石さんの方からお答えいただいて、後で提案者の方からそれについての見解を伺っておきたいのです。
#161
○高石政府委員 まず、数字のことを少し申し上げてみたいと思いますが、五十九年度当初教員採用状況というのを調査しておりますが、それによりますと、実習助手から教諭に採用された人がことしは百九十一名になっております。それから、五十八年度に免許状を取得した人が二百三十三名でございます。
 そこで、教諭資格を有する者を教諭に発令することについては、職業教育担当の部課長会議であるとか担当指導主事、そういう場を通じて、そういう制度であるしこういう趣旨で講習会を実施しているということを、趣旨を徹底させているわけでございます。このために特に通知を出すということは、現在の時点では考えておりません。
#162
○中西(績)議員 今答弁ございましたように、部課長会議などにおきましてそうした指導がなされておるわけでありますけれども、何と申しましても、その一番基礎になる、行政の根幹にかかわる問題として、標準法が明定されておらないと強い指導というのはできないはずなんですね。ですから、これを解決する最も端的な手だてというのは、やはり私たちが提案をしておりますこうした標準法の改正をまずしていただきまして、私たちが期待をするそうした方向に向けて諸矛盾を行政的措置において解決していただくよう、私は要望申し上げる次第であります。
 以上です。
#163
○山原委員 任用することが望ましいと文部省がお考えになり、また部課長会議などでそういう指導をなさいましても、現実にはなかなかそれが実現しない。また、実際に長くお勤めになって任用もされない状態、新たな人がどんどん入ってくる、こういうことに対して、それは幾ら考えても不満が出てくるのは当然のことでございまして、そういう矛盾が存在することは事実なんですね。これを解決するために法律改正の提案をされたわけで、それがこの矛盾を解決する道だということは私もわかるわけでございます。
 ともかく、実習助手の問題では任用の問題あるいは処遇の問題を含めまして本当にさまざまな問題があるわけで、しかも、それが何回かの審議の中で問題点はもう既に明らかになってきているわけで、これを具体的にどう解決し、成果を上げていくかということが今日の問題だと思います。
 そういう意味で、提案者の御趣旨はよくわかりましたが、文部省もこれに対して真っ向から対決するという立場ではなくて、本当にこの問題についての速やかな解決のために努力をしていくという立場が必要ではないかと思うわけでございまして、私の三十五分間にわたる短い質問でございますが、この質問の中で私がお聞きできなかったこともあると思いますので、最後に、提案者の方から感想なり、また御意見がございましたらお答えいただいて、質問を終わりたいと思います。
#164
○中西(績)議員 今までの討論の中でも明らかになりましたように、何と申しましても、文部省、行政側がどうもこれに踏ん切りきれないのは、職務職階的なそうしたものを依然として残しておきたいという期待があるのではないか、このことを一番私は危惧いたしております。したがって、先ほど大臣が申されておりましたように、生徒の側からこれをどう措置するかという立場の中で考えてまいりますならば、先ほど言うように積極的な面をどう生かしていくかということを考え合わせてまいりますと、ぜひこうした問題についての早急な解決を図っていくべきではないか。ということになってまいりますと、きょう、また一昨日か申し上げましたけれども、全員そろってはおられませんけれども、与党、野党の皆さん全員でこうした提起をするような態勢なりをお話しいただきましてとっていただいて、自民党の皆さんにもぜひ賛同していただくことが、二、三名でも出ればその可能性は生ずるわけでありますから、その点で今後努力してみたい、こう思っております。
#165
○山原委員 時間が参りましたので、今の最後の中西さんのお話で、自民党の方はきょうほとんどおいでにならぬのであれですが、議事録でしっかり見ていただきたいということを申し上げて質問を終わります。
#166
○白川委員長代理 佐藤誼君。
#167
○佐藤(誼)委員 今もありましたけれども、法律が制定される過程の中には衆法と閣法があるわけですけれども、これは全く比重は同じだと思うのですよ。私から言えば、国権の最高機関は国会であるし、この構成員である議員が出す衆法の方がむしろ法案としては重みがあるというように理解しなければならぬと思うのです。私は閣法を軽く見るわけじゃないのですけれども、閣法の場合はそれなりに人が集まるし、特に与党の皆さんも集まるのですけれども、衆法になってこんな状態では私は質問したり議論する意欲がわいてきませんので、委員長、ひとつその辺もう少し出席させるように措置を講じていただいて、それから質問に入りますから。
#168
○白川委員長代理 暫時休憩いたします。
    午後三時五十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後四時一分開議
#169
○阿部委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。佐藤誼君。
#170
○佐藤(誼)委員 会議が成立していると思うのだけれども、引き続いて委員長の方に委員の出席方をひとつ私の方から要望しておきます。
 それで、時間ももったいないので、質問は継続いたします。
#171
○阿部委員長 出席については厳重に警告します。
#172
○佐藤(誼)委員 それでは、今の委員長の確認もありましたので、質問を継続いたします。
 実習助手の問題については先ほどからずっと質問されておりますが、私もときどき退場したりして前の方の質問要旨をよく聞いていなかったものですから、内容によってはダブる点もあると思いますが、その辺はひとつ十分にある程度取捨選択もしながら御答弁いただきたいというふうに思っております。
 そこで、まず最初に、実習助手の身分確保と待遇改善等について質問したいと思います。 最初に、実習助手の給与について質問いたしますが、御承知のとおり実習助手に適用されている教育職。表の三等級について文部省と人事院にお願いしたいというふうに思います。実習助手にかかわる今までのこの委員会での議論の中で、教育職(二)表三等級については俸給表それ自体に問題があるし、また他の職種と比較した場合にも較差が大きく、特に実習助手にとって終身の俸給表であるという点で問題があるということがずっと指摘されてきました。これは文部省も人事院も同じような受けとめ方をしてきているというふうに私は議事録で確認をしておるところであります。その点で、教育職。表三等級の俸給表の見直し、改善について文部省はどのようにとらえ、今対応しておるのか、また人事院は現在どのような取り組みをしているのか、端的に質問いたしますので、お答えいただきたいと思います。
#173
○阿部政府委員 実習助手の給与でございますけれども、これにつきましては、お話にも出てまいりましたように教育職俸給表の(二)の三等級格付ということになっておるわけでございます。
 この三等級の号俸につきましては二点問題があると私ども考えておりますが、一点は、この二号俸から三十五号俸までという号俸数でございますけれども、実習助手が生涯の職場としてそこに勤務するということを考えました場合に五十歳前後で頭打ちになってしまうという問題があるということから、この号俸をさらに延長すべきではなかろうかという点を問題意識として持っておるわけでございます。もう一点は、昇給曲線の問題でございますけれども、待遇改善という意味で現在の水準よりももう少し高い水準に高めていくことができないだろうか、こういう二点の問題意識を持っております。
 昨年の七月におきましても、文部大臣からの人事院総裁に対します要望といたしまして、教育職俸給表(二)の三等級についての号俸の増設と三等級適用職員の待遇改善、この二点について御検討をぜひお願いしたいということを人事院に申し入れいたしておるわけでございまして、その後も重ねて事務段階でいろいろと折衝をし、お願い等も申し上げてきているというのが今日までの実態でございます。
#174
○藤野説明員 御指摘のございました二つの点でございますが、このうち昇給カーブの改善につきましては、本委員会におきまして昨年、一昨年そういう問題指摘がございましたことは十分承知しております。したがいまして、そういうことを受けまして、一昨年並びに昨年の給与勧告の際におきましてもほかの俸給表よりも高い給与改善をしております。
 昨年の例で申し上げますと、昨年は平均的に六・四%の引き上げでございますが、実習助手が一番たくさんおられるところの号俸につきましては六・八%という高い引き上げの改善勧告となったわけでございます。
 ただ、これで決して十分であるということではございませんで、本年でございますが、六十年の制度見直しにおきまして、そういう意味におきまして、この点についても水準是正並びに先ほどお話がございました号俸延長、この二つの面におきまして目下検討しておるところでございます。
 ただ、具体的なことにつきましては、一般的な本年の給与改定の幅がどうなるか、あるいはほかの俸給表との関係がございますので、今の段階は申し上げられる段階ではございませんが、お話のございました号俸延長について申し上げますならば、一度に五号も六号もということになりますと他職との問題もございますが、少なくともこういう点において、特に教育(二)表の三等級につきましては二号ないし三号の延長は考えたいと思っております。
#175
○佐藤(誼)委員 人事院の考え方と現時点の取り組みの状況はある程度わかりましたが、これはつまり民間の給与との較差の調査を受けて人事院勧告という形でそれを出すわけですね。その中で、今話のありました号俸の延長とか昇給曲線、つまり水準の是正といいますか、それをあわせてやる、こういうふうな理解になりますか。
#176
○藤野説明員 お答え申し上げます。
 給与勧告の改善幅につきましては、行政職を中心にいたしまして官民の均衡をさせまして、それとの関係におきまして教育職等の改善幅を検討しておるわけでございます。そういう意味において、改善幅につきましてもどうしても行政職等の改善がどの程度あるかということと無関係ではございませんので、その辺をひとつ御理解いただきたいと思います。
 ただ、号俸の幅につきましては、先ほど若干申し上げましたように、ほかの俸給表についてもいろいろ問題があるところがございますので、それとの関係がございますが、特に教育(二)の三等級についてはそういう意味において二号ないし三号を延ばしたいというふうに考えておるわけでございます。
#177
○佐藤(誼)委員 昨年、一昨年とも給与局長が来て、質問のやりとりの中で、最終的には昭和六十年度が制度改正の年である、したがって、その時点でその要望を十分受けとめて善処したい、こういう趣旨できたわけですね。ちょうどことしが六十年度で制度改正の年でありますから、私の方から改めて御要望申し上げたいのです。
 今、号俸延長については二号ないし三号ということがありました。御案内のとおり、五十一歳で三十五号ですか、これで頭打ちという状態です。これは俸給表そのものが問題なんで、他の職種の俸給表と比べても、上に行けば行くほどかなりの格差が出てくるわけです。しかも、この俸給表というのは、実習助手の方がその職にとどまる限り生涯とも適用される号俸なんですね。ですから、本人たちにとっては生活がかかっている大変な俸給表です。したがって、一応のお話はありましたけれども、今の制度改善にあわせて、ぜひ十分その意を酌んで是正できるように要望しておきたいと思いますが、なお重ねてどうですか。
#178
○藤野説明員 お答え申し上げます。
 今先生のお話にありました点を含めまして、前向きに検討させていただきたいと思います。
#179
○佐藤(誼)委員 それでは、人事院の方、どうも大変御苦労さまでした。
 次に、実習助手の身分確保を中心にして質問していきますが、この法律の改正案を提案いたしました中西議員に私の方からまず最初に質問していきます。
 学校教育法五十条では、「実習助手は、実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」こうなっておるわけですね。実習助手の学校現場における勤務態様は実際どのようになっているのか、おわかりの範囲内で、またあなたがとらえている状況で、ひとつ御説明をいただきたいというふうに思います。
#180
○中西(績)議員 先ほどもある程度答弁をいたしましたけれども、学校教育法では、「実習助手は、実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」と、あたかも補助的な性格を持っておるような内容のものが示されておりますが、実態としては、本人が研修と実験・実習についての力量を高め合い、さらに高等学校普通二級免許状を取得して、生涯を実習助手として過ごしていきたいという気概に燃えておるわけであります。そうした中でこのような格差あるいは差別が厳然とあるわけでありますから、これを何としても取り払っていただきたい、その期待と希望は大変なものがあるわけであります。
 そこで、実態としては、実験・実習の準備あるいは後片づけ、さらにまた教材の維持管理、備品の整理、こういう従来から言われておる部分にとどまっておくことはできなくなってきておるというのが現状ではないでしょうか。もちろんこの実験・実習の準備、後片づけ、教材の維持管理は重要な職務内容の一部ではありますけれども、実習助手はこれらの職務を十分果たした上で、実験・実習教育において教諭と協力、分担しながらその実を上げておるというのが実態であるわけであります。
 例えば、私たちは経験をしておるわけでありますけれども、一つの班を持って、まず第一に指導書の作成から始まるわけであります。そして実験・実習についての直接指導、評価まで、実験・実習の教育に直接かかわっておるということが随分長い間指摘され、また私たちもこのようにして申し上げてきたところであります。特に、工業だとか農業なんかの場合には、その状況というのは極めて顕著であります。したがって、産業教育手当支給規則の精神からも当然でありまして、実習の指導並びにこれに直接必要な準備及び整理、実習の指導計画の作成及び実習成績の評価などを含めてやっておるというのが実態であります。もしそうした具体的な教育活動というものができなければこうした手当を受給することはできないわけでありますから、こうした面からいたしましても内容的にそれを十分果たしておるということが言えるのではないかと思っております。したがって、もしこの実習助手のこうしたものがなければ実験・実習教育そのものが成立をしないという状況であります。
 したがって、先ほどから申し上げているように、実習助手の果たす役割というものは大変深く重いものがあるということが言えると思います。加えまして、生徒指導面におきましても、特に実習関係の場合には直接生徒と深いかかわりを持ちながら少人数で対応するわけでありますから、その間における多くの生徒たちの悩みあるいは一般日常的な教育面における指導まで含めまして大きな役割を果たしておもわけであります。さらに、先ほども申し上げましたけれども、担任についても、文部省の調査をもってしても五〇%を超えておるという実態が既に明らかになっています。したがって、こうした実態を受けてこの法律案を提案しておるということを御理解をいただければと思います。
#181
○佐藤(誼)委員 ただいまの提案者の説明で、実習助手の皆さんが教育現場におきましては実験の準備、後始末、教材の維持管理はもちろんのこと、直接生徒の実習面での指導、さらにそれ以外の学習活動の指導までやっているという実態が指摘されたわけでありますが、特に文部省の調査によりましても、授業担任状況別構成というのを見ますと、担任ありというのが合計で五〇・一%ですね。五〇%以上が文部省の調査でも授業担任をやっているということが明らかになっています。ですから、これは文部省も、あなた方が調査されていることですから十分それはわかると思いますが、とかく実習助手は実験・実習で教諭の職務を助けるのだという極めて補佐的な側面、それから実験の準備、後始末、教材の維持管理という面に非常に局限した形でとらえられやすいのですけれども、実際の教育現場での勤務の状況あるいは勤務態様というのは、今提案された中西さんの指摘された状況と同じだと私も思うのですね。文部省としては、特に五〇%あるいは五〇・一%というふうに出ておりますけれども、その辺も踏まえながら、どうされていますか。
#182
○高石政府委員 五〇%という数字、ちょっと文部省でそういうデータの調査をしたというふうには今担当の課の方に聞いても出てこないわけでございます。何の調査であるかちょっと不明でございますのでお答えできませんが、実習助手の職務は、先ほど来議論がございますように、「実験又は実習について、教諭の職務を助ける。」ということが法令上定められている職務内容でございます。したがいまして、実態としては、実習の指導及びこれに直接必要な準備及び整理、実習の指導計画の作成及び実習成績の評価等があろうと思いますし、それぞれ農業、工業等の種類によってその対象物も違いますし、やり方についてもその内容によって変化があろうと思うわけでございます。しかし、実習助手はあくまでも教諭の職務を助けるということでございますので、実習助手が単独で授業を受け持つということは制度上あり得ないというふうに理解しております。
#183
○佐藤(誼)委員 今私が述べた調査は学校教育基本調査の調査だと思いますので、これはもう一度私の方でも調べてこの点は突き合わせたいと思います。確かなところから入手しておりますから、これは後で突き合わせていきたいと思います。
 そこで、時間もありませんので、今度は文部省の方に質問いたします。
 端的に言いますが、現在の実習助手の総数、これは私の手元にあるデータでは、昭和五十八年五月で一万四千五百二十八人、次に、免許状の取得者が昭和五十五年十月一日、九千三百八十九名、したがって免許状所有率は六四・六%、これに間違いないかどうか。
 それから、次は質問でありますが、実習助手で教員免許状を持っており、教諭に採用された者は昭和三十六年以降とのぐらいあるのか、各年度別に採用された数字がわかればひとつお知らせいただきたい。時間がありませんので、端的に数字で結構です。
#184
○高石政府委員 これも先ほどお答えいたしましたが、実習助手の総数、これは五十九年現在でございますと一万四千六百二十五でございます。それから、免許状を持っている人、これも五十八年十月一日現在における学校教員統計調査によりますと、一級、二級を合わせますと四〇・七%、これが免許状取得というデータになっております。
 それから、その中から毎年どれくらい教諭に採用されているかというのは、三十六年度以降の統計的な調査をしておりませんが、五十九年度の採用状況で言いますと、実習助手から教諭に採用された者は百九十一名でございます。これは先回の質問がありまして、特に五十九年度調査をした結果から判明したものでございます。
#185
○佐藤(誼)委員 ちょっと先ほど私は聞き漏らしたのだけれども、実習助手の総数が一万四千五百二十八人、昭和五十八年五月、それから免許状の取得者、昭和五十五年十月一日、九千三百八十九、これは違っていますか。
#186
○高石政府委員 五十五年の数字は御指摘のとおりでございますし、それから五十五年度における我々の調査結果ではそういう数字になっております。それから、その後の五十九年度の数字、五十八年十月一日現在における調査結果が先ほど申し上げたような数字でございます。
#187
○佐藤(誼)委員 そうすると、昭和三十六年以降、つまり三十六年以降という意味は、教員免許法が改正されて実習助手の皆さんが経験年数と単位の取得によって免許状が取得される、こういう法改正がなされた年を起点にして聞いているわけですけれども、それ以降の教諭への採用がどのくらいになったかというのは数字がないわけですね。
#188
○高石政府委員 三十八年度以降は全体の数字を調査しておりませんし、また、県ではそこまでの追跡は非常に難しいということで、とりあえず五十九年度の状況を調査したわけでございます。
#189
○佐藤(誼)委員 これは私は甚だ遺憾なことでありまして、後ほどまたこの問題に触れますけれども、大体昭和三十六年の免許法改正以降どのくらい免許を取った人が採用されたか数字もわからぬということでは、その間指導したとか努力したなどと言ったって全然問題にならぬと思うのです、そんなことは。
 そこで、これは昭和三十六年の四月二十六日、今申し上げた免許法の改正の時点で、後に文部大臣になったと思いますが当時の内藤政府委員が、今の実習助手の免許取得とその後の教諭採用について次のような答弁をしています。「そこでせっかく免許状をとった者が教諭に採用されないという事態になりますと、これは非常に本人に失望させますので、そういうことのないようにいたしたい。」若干いきまして、「免許状をとった者が教諭に現実になれるように積極的に指導して参りたい」というふうに言っていますね。これは議事録に書いてあるとおりですから、こういう国会での答弁をしたわけですから、当然、その後文部省は、本人ががっかりし失望しないように、取った者が現実に教諭になれるように積極的に指導してきたと思いますが、その点の確認が一つ。
 それからもう一つ、関連いたしますが、昭和五十六年五月二十九日、後に文部事務次官になられた三角政府委員の答弁の中で、「当該職業教科の教諭の資格を得られることは、これは望ましいことでもあると思っておりまして、現在も、それは認定講習等による道が開かれておるわけでございます。そのことによりまして、現行制度では実習教諭への昇進が可能でございます。」という、一生懸命勉強して教諭の免許状を取られた方には大変励ましになる答弁をしているわけですね。実態は先ほど言ったように、昭和三十六年に法改正された後どのくらい採用されたのか数字もわからぬということになれば、これはどんなに努力したなんと言ったって問題にならぬと思う。
 そこで、私が今申し上げたところの昭和三十六年の制定当時、こういうことがあった、こういう答弁をしたという事実は認められると思いますし、その後努力をするということを言っていますから、文部省は努力をされてきたと思いますが、どのような努力をされてきましたか。
#190
○高石政府委員 基本的に、免許資格を得た人たちが教諭に発令されるようにしていくということは必要なことであると思っております。したがいまして、従来の考え方は変わっていないわけでございます。
 そこで、具体的には、それぞれの都道府県の担当課長会議等の場を通じて、こういう趣旨で文部省は講習会等を実施しておるし、その趣旨を十分理解して、そういう資格者の中から採用への道というものを真剣に考えてほしいということを指導してきているわけでございます。ただ現実的に、先ほど百九十一名ということを申し上げましたが、五十八年度の場合で申し上げますと、免許資格を所有した者が二百三十三名ということでございまして、これがずっと毎年蓄積されていくわけでございまして、採用がその数字と同じようになれば問題は解決するわけでございますけれども、そこのギャップは依然としてある。したがって、今後の努力を要する点であると私は思っております。
#191
○佐藤(誼)委員 昭和三十六年当時以降から努力をしてきたし現に努力をしている、こういうことを力説したいんだろうと思いますが、しかし、結果は、今いみじくも言いましたように、昭和三十六年以降何人採用されたか数字がわからぬなどということは、全然努力の跡がないと言わざるを得ないし、今、昭和五十八年末の百九十一名、これは前の鈴木初中局長も、毎年推計いたしまして大体百五十ないし二百名は採用されているのではないだろうかという答弁をたしか一昨年にされているんですね。ですから、大体これは当たっておりまして、百九十一名、つまり百五十ないし二百名ということを言っていますから、大体この範囲内だと思うのです。
 そうすると、仮に最も大きな数字の二百名をとっても、免許状の所有者が大体一万人おりますから、この計算でいきますと五十年間かかるんですよ。そうでしょう、五十年。これでは、免許状を取りなさいということで希望を持たせ、採用の道はありますよ、そのために積極的に努力しますよ、落胆させるようにいたしませんということで努力をすると言って今日まで積み上げてきて、数字もわからぬ、そして二百名といえば五十年かかる、これではせっかく法の改正をして、それに基づいて免許状を一生懸命取った実習助手の皆さんから見れば、文部省、何をやってくれているんだということに腹の底から怒りを覚えるのは至当だと私は思うのです。
 ですから、それでは昭和三十六年のときに、落胆させないように、免許状が取れるように積極的に指導すると言うんですから、その線に沿って、具体的に実りあるように教諭に採用されるためにこれはどうすればいいのですか。あなたの方では、先ほど各都道府県の担当者に認定講習をやるように、しかもこういう道があるんですから採用するようにということを言っておったって、こういう事態でしょう。しかも、昨年の私に対する答弁の中では、それは結局地方教育委員会が決めることだ、文部省は各県教員担当者に前向きに対応するように求めてきた。一方、担当者はその打開のために、つまり具体的に言えば免許を持った実習助手の皆さんが教諭に採用されるための方途がないかと苦しんでいることは事実である。私は、努力をしたって苦しんだって、今の免許法のままではあるいは今の定数法のままでは、せっかく勉強して免許を取った実習助手の皆さんを採用する道は開けてこないと思うのです。
 まず、この点に関連して提案者はこのたび免許法の改正案を出したと思いますので、その辺のことについてひとつ提案者の所感を聞きたいと思います。
#192
○中西(績)議員 今局長の答弁を聞いておりましても問題になりますのは、昭和三十六年当時の姿勢あるいはその後の文部当局の姿勢というのは従来どおりで変わっておらないということを言うわけですね。その間にたまってきた数が一万人に及ぶということですから、結局何らそこには措置をしない。一応答弁では努力をするあるいは心配をする、いろいろあるでしょうけれども、結果的には何ら措置をしないということがそこには歴然としておると思うわけであります。
 先ほどの答弁の中に、例えば調査した中でも五十八年には二百三十三名免許取得者が出た。しかし、教諭に任用された者が百九十一名ですから、ここでも既に任用されない者が出てきておる。ところが、この内訳を見ますと、特定の数県においてしか任用されておらないという実態があるのではないか。ということになりますと、そうした都府県を除きますとあとは全く任用されてないということになるわけでありますから、これはもう到底こうした問題を解決するという意図すらもここからはうかがい知ることはできません。
 したがいまして、何としても今こそやるべきはこうした矛盾というものを、今まで言い続けてきたことを解消するためには、財政的にもそれほど大きな負担にはならないわけでありますから、この点を考え合わせてまいりますと、早速この標準法を改正をするということが今一番行政として、各県教委なりを指導する上にもその裏づけが必要でありますから、その裏づけとしてこの改正案を早急に再検討していただいて、我々と一緒にその達成を図っていただきたいというのが今時に私の希望であります。
#193
○佐藤(誼)委員 大変よくわかりました。
 それで、今度は文部省に聞きますけれども、昭和三十六年の免許法改正の当時文部省が答弁した、つまり先ほど私は議事録から引用いたしましたけれども、その当時の内藤政府委員は、「せっかく免許状をとった者が教諭に採用されないという事態になりますと、これは非常に本人に失望させますので、そういうことのないようにいたしたい。」「免許状をとった者が教諭に現実になれるように積極的に指導」したい。この趣旨に沿って、免許を取った者が具体的に実習助手から教諭に採用されるためにはどうしますか、どういう方途を考えていますか。
#194
○高石政府委員 現在の任用制度は、御存じのとおりに、都道府県立学校につきましては都道府県教育委員会が任命権を持っておりますから、文部省が直接任命権を行使していないので、これらの問題を完全に解消するようなことを、私がここでこうすれば一〇〇%目的が達成できるということが言えない仕組みでございます。したがいまして、あくまで都道府県の教育委員会に対してそういう方向での御尽力をお願いするという建前で府県に対して指導していかなければならない、こういうふうに考えるわけでございます。
 なお、念のために申し上げますと、実習助手の平均年齢構成でいきますと、三十五歳から四十歳、要するに四十歳以下というのがおおよそ七割近い数字でございます。内訳を申しますと、四十から四十五という方が一一・七%でございまして、四十五以上が一九・三%、四十五から五十が八・二、五十から五十五が六・三、こういうような経過でございまして、ある意味ではそういう方向での努力がそれぞれの府県でも行われているのではないかというふうに思っております。
#195
○佐藤(誼)委員 それで、具体的な点になりますと、都道府県が具体的に採用する仕組みになっているので何とも言えないという趣旨のことを言われるわけです。片一方、文部省はずっと、これは具体的に採用されるように積極的に指導したいということを言っている。これではどっちをとったらいいかわからぬわけです。積極的に指導すると言うので期待をすれば、それでは実際の場面に今度は具体的にどうするのかと言えば、都道府県が採用することだからこれは何とも言えないと言う。これは私は逃がれ答弁だと思うのですよ。確かに現行の制度では、都道府県あるいは教育委員会が具体的に採用になっていることは事実ですよ。そこを幾ら指導したって限界が出てくるから、だから、今改正の提案をしている中西さんが趣旨を説明されましたけれども、今改正案はそのために出ているのだと思うのですよ。私は、その改正案を通さない限り、幾ら指導したってもう限度があるということは明らかだと思うのですよ、どんな立派な答弁をしたって。
 私は具体的に一例を挙げます。私が知っている工業高校の例をとります。学校教職員の構成は、校長一、教頭一、教諭、普通科二十四名、職業科、この中には工業及び工業実習があります。工業及び工業実習という意味は、工業の免許状と工業実習の免許状がありますからね。知っていると思いますが、工業は座学と工業の実習と両方やります。工業実習は工業実習しかやりません。これが二十六名、それから実習助手が十五名、合計六十七名いるわけですよ。
 そこで、次は仮定の問題ですけれども、職業科で仮に三名の定員が欠けたとする。そのときにだれを教諭として採用するかという場合に、実習助手の免許状を持っている実習助手の中で教諭の免許状を持っている、つまり具体的に言えば工業実習の免許状を持っている人が十五人中例えば半分の七人おったとする。ではその実習助手の中から工業実習の免許状を持っている方を三名職業科の教諭として採用するかというときに、その校長なり学校では必ず問題になるのです。何が問題になるかといえば、工業実習の免許だけ持っている人を採用すれば、これは座学の方ができませんから、だとするならば工業の免許状を持っている人を採った方が、座学の方もできるし工業実習もできますから、おのずと工業の免許を持った人を三、よくても一名ぐらいは工業実習の免許を持った人を採るでしょうね。
 今の状況でおわかりのとおり、三名の欠員が出たときにだれを選ぶかといえば、今のようなことで、工業の免許状の人を選ぶということにおのずとなってしまう。そうすると、工業実習の免許状を持って何十年そこにおったって採用されないわけですよ。ですから、それを幾らあなた方が指導したって、これはできないですよ、学校の実態として。
 だから、私たちはこれを具体的に、せっかく免許状を持っている皆さんが教員に採用されて、そして指導力を発揮し教育効果を上げるためには、この職業科、工業及び工業実習二十六名の教諭の枠にプラス実習助手の十五名を、例えばですが教諭の枠にしてしまえば、工業実習を持った人も職業科の教諭として採用される道が初めて出てくるわけです。この趣旨がこのたびの法改正の最も中心的なねらいだと私は思うのですよ。そうすることによって初めてこの方々が、つまり実習助手で免許を持った方、もっと具体的に言えば、実習助手で工業実習の免許を持った方が具体的に採用されるという条件が具備される。そういう条件があって文部省が都道府県を指導されれば、実りあるものになると私は思うのです。重ねてですが、このことをおもんぱかって出したのがこのたびの改正案だと思うのです。この改正案についてどう思いますか。どこか問題がありますか。
#196
○高石政府委員 まず、学校でどういう職種が必要かということで、教諭であるとか事務職員であるとか学校栄養職員であるとか、それから実習助手というものが創設されてきた歴史的な経過があるわけです。したがいまして、実習助手は先ほど申し上げましたような職務内容を有しているわけでございまして、教諭とは違った、いわば教諭の職務を助けるという必要上、そういうことで職種として置かれてきたのが実習助手であります。
 したがいまして、実習助手という職務内容でございますれば、普通の場合には免許状を最初から有しなければ教員に採用しないというわけでございますけれども、現実の実態は大部分の方が高卒から入られる方が多いわけでございます。大体八割程度は高卒から実習助手に採用されるわけでございます。したがいまして、もう根っこから実習教諭という名称にしてしまうということになると、そこの基礎資格のありよう、そして免許制度のあり方、これに当然関連してくるわけでございます。
 したがいまして、やはりごく自然な形なのは、教諭の職務を助けるという職種として実習助手が必要でございますから、そういうものに当たる人として実習助手を、高校卒の方が多いわけでございますけれども、採用していく。採用されたその実習助手の方々に袋小路にならないようにということで、講習による教諭資格への道を開いたというのが、一つの処遇改善の方向としてとられた道であります。また給与の面でもそういう職務内容の特殊性からいろいろな手当も出すし、そして等級とかベースアップの改善につきましても、そういう実態を考えて対応してきているということで、いわば現実的な実態に応じた改善策を講じてきたのがこれまでとってきた政府の態度であるし、また、そういう方向での努力をしていきたいというのが政府の態度であります。したがいまして、根っこからもう実習助手という制度をなくして、教諭という定数の中で採用すればいいのだということになると、採用の仕掛けまで基本的に検討していかなければならないという重要な影響を与えると思っております。
#197
○佐藤(誼)委員 どうも考え方が倒錯しているのじゃないかと思うのですよね。現実に実習助手が存在するのだから、それは必要があって出たものじゃないか、したがってそれは必要なんだというようなそういう論法でいくのだけれども、存在したって必要がなければ改正すればいいし、また必要があれば存置すればいいし、それは我々のとらえ方で自由に選択できるわけですから、確かに実習助手は現実に存在しておりますよ。しかし、それが不必要であったり、その制度をなくしたってよりよい制度に改正できだとすれば、幾らでも改正できると思うのです。まず、そのことが一つですね。
 それから、もう一つの問題は、実習助手として入られた方が袋小路にならないように、教員免許状の取得の道、それから採用の道ということを言われましたね。それは確かにそのとおりです。教員免許を取る道はあります。じゃ取った方が教員に採用される道が開けているかどうかと言えば、まさに針の穴と同じでしょう。実際、採用されないわけだ。先ほど言ったとおり五十年もかかるわけですよ。それじゃ、道はあるけれども道はほど遠しですよね。それを具体的に解決するためにどうすればいいかということを私は先ほど言ったわけです。つまり、教諭の枠を固定してしまうとここに入れないわけです。工業実習の免許を持った方々が、具体的に先ほど私は例を言いましたが、入れない。したがって、本来この方々を教諭に採用できるのですから、定数の枠を広げればそこに入れることができるのじゃないか。そうしたことによってどういう不便が出てくるか。例えば先ほど、実習助手の方が教諭を助ける、具体的な中身としてはまあいろいろありますけれども、実験の準備や後始末あるいは教材の維持管理、こういうことを言われましたね。こういうことは教諭になったって幾らだってできるのじゃないですか。何も実習助手の方が全然いなくなって学校から離れるわけじゃない。その方々が教諭という枠の中で資格を持っているのですから仕事をやればいいわけです。教諭の仕事もやるし、その中身として実習助手の方がやってきた実験の準備なり後始末なり教材の維持管理は十分できるわけです、実習助手の制度がなくなったって。むしろ問題は、そういう方々が教諭採用の道、しかもせっかく勉強したことがより教育に効果的にあらわれるために、教諭の枠にプラス実習助手の枠を加えてその中に入れていくということで救われるし、むしろ効果が出るのじゃないか。マイナスが何が出てくるか、金がかかるか。これは本来から言えば、実習助手という数があってその枠の中をふやすだけですから、横に広げるだけです。教諭という枠に広げるだけですから、そんなに金もかからぬと思うのです。重ねてどうですか。
#198
○高石政府委員 まあいろいろな形での提案がありまして、非常に極論した言い方をしますと、およそ学校に配置している職員は、養護であろうと、実習助手であろうと、事務職員であろうと、栄養職員であろうと、要するに教諭にすればいいじゃないか、そして俸給表も一本にすればいいじゃないか、処遇はよくなる、チームワークはよくなる、極端に言いますとそういう発想もあり得ると思います。しかし、現在の公務員制度というのはそういう立て方を、教育界だけではなくして公務員制度全体としてはとっていないわけであります。文部省の中にも、技官もおりますれば、研究職の職員もおりますし、それから事務職員もいるというような形で、それぞれの最も中核的な職務内容に応じて給与表をつくり、給与体系をつくっていくという形になっているわけでございます。したがいまして、そういう前提、基本的な原則をどこまで崩せるか、そしてまた崩さないでどこまで改善できるかというようなところが、いろいろ政策上の判断として出てくるわけでございますので、実習助手という名称を全部なくして、十二カ年後には全部教諭であるというような制度は、現在の学校教育の運営の実態から適当でなかろうと理解しているわけでございます。
#199
○佐藤(誼)委員 何もかにも皆ぶち込んで教諭にしろなんということを言っているわけじゃないのですよ。現実に、あなたが言っているように、今の制度を改めないで、それじゃ一万名近くいる皆さんをどういう形で、あの制定当時に文部省が答弁して、積極的にしかも泣かせないようにすると言ったことをどう実現するのですか、具体的に。五十年かけてやるのですか。それはどうなんですか、答えてください。
#200
○高石政府委員 これも繰り返しの答弁になりますけれども、先ほど申し上げましたように、ことしの場合だと二百三十三人の免許資格者、そして採用されたのが百九十一人ということで、資格を得た者が即直ちに教員に発令されるということまでは保証できないにいたしましても、漸次そういう努力が各府県においても行われているということが百九十一という数字にあらわれているというふうに理解しております。
#201
○佐藤(誼)委員 そこで、私はもっと具体的に言いますけれども、先ほど一つの学校の上で職業科二十六名ということで例を挙げましたね。この二十六名という枠の中で、工業、工業実習。しかも、実習助手の方は工業免許じゃありません、工業実習ですから、工業実習は座学ができません。したがって、学校の実態としては、座学も実習もできる工業の免許状所有者を採るというのはおのずと人情になってしまうと思うのですね、私もそういうところにおったことがありますから。したがって、何ぼ言ったって工業実習の方が同じ学校には採用されないわけです。だとするならば、私は率直に申し上げますならば、そこで幾らあなたが言ったって採用されないのだから、むしろこの方々は資格があって教諭になっても何ら差し支えない方々ですから、これは仮にの話ですけれども、免許所有者が一万人いるのですから、例えばこの一万人に相当する人を、何人と言いませんが、教諭の枠を広げてそこに採用することが考えられないのかということです。そういう枠を広げられれば、初めて工業実習の皆さんも教諭に採用されるわけです。待遇はよくなりますよ。だけれども、その結果その方々には励みになり、しかも教諭という資格を持ち、実習助手として仕事をやってきた、言うならば実験・実習の準備や後始末、器材器具の維持管理もできるわけです、その人たちは。しかも授業も十分できるわけです。今、科学技術、実験・実習の重要性を唱えているときに、私はプラスになることはあってもマイナスにならぬと思うのです、そういう措置をとったって。
 そしてまた、昭和三十六年に法の改正をした当時、先ほどから何遍も繰り返しますけれども、ああいう答弁をして、実習助手の皆さんがまじめに真剣に職務に専念して、その傍ら合間を見て勉強して、その方々にそういう道はあるんだという希望を持たせながら、実態は採用されないんだ。私の知っている方も二十年たっても採用できなくて、免許状を取ったまま退職していった人がたくさんある。言葉は過ぎるけれども、非常に大きな恨みを持って出ている、ごまかしているのじゃないかと。せめて退職の間際ぐらいは採用して、それから退職したいものだという人がたくさんいるのです。あなたはいろいろなことを言われますけれども、私は実態を通して、実習助手の皆さんからいえば非常に厳しい気持ちだと思うのです。その点、文部大臣どうですか。大臣としての所感。
#202
○松永国務大臣 佐藤先生が、実習助手特に実習助手の中で認定講習を受けられて教諭の資格を取られた方の処遇について大変御熱心に努力していただいていることにつきましては、深く敬意を表します。しかし、職業に関する高等学校あるいは理科や特殊教科の教育をいかに充実したそしてまた質の高いものにするかという視点からの判断も私は必要かと思うのでありまして、先ほども申し上げましたけれども、やはり学校教育の現場においては、学校のいろいろな職員につきまして処遇改善、そして将来に希望を持たせるような仕組みを考え、それを実行していくことも大切なことでありますが、同時に、学校設置者の側からすれば、そこに学ぶ生徒の教育をどう充実したものにするか、あるいは質の高いものにするかという視点も必要だろうと思います。そういうことから現在の教諭に関する免許制度ができておると思うのでありまして、その教諭の免許につきましては、一般の場合にはそれぞれの高い深い学識を持っていることあるいは指導力を持っていること等々から免許が定められており、かつ、その中から設置者がそれぞれ自分の設置する学校の教育内容を充実向上させるという観点から実際の教諭の任用はなされていると思うわけであります。
 なお、先生の御指摘の実習助手をしておられて勉強して資格を取られたという方につきましては、実際の任用権者は設置者であるといたしましても、そういう努力をした人はやはり教諭として任用されることが望ましいと私も考えますので、先ほど局長も答えましたが、特に積極的に資格を取ってかつ立派な指導のできる人であるならば積極的に教諭に任用するようにということを、今後とも課長会議等の場を通じて指導いたしまして、先生の趣旨が通るような努力を今後とも続けてまいりたい、こう考えるわけでございます。
#203
○佐藤(誼)委員 採用されることが望ましいし、私が質問した趣旨に沿うように努力したいということです。それは心構えとしてはいいと思いますけれども、何遍も繰り返すようですが、今の免許法なり教職員定数法なりをそのままにして何ぼ努力したって限度があるということは、もう実態が明らかになっているわけです。数字が明らかに示している。そしてまた学校の仕組みも、先ほど言ったのですけれども、あなたが校長になったって、人情として、一定の定数の中で、黒板で授業もできるし実習もできる、その教員と、実習だけを担当するといったときに、やはり何とかよくできる方をというのがおのずと人情になってしまう。そうすると、どんなに優秀な方でも、そしてどんなに研さんを積んで免許を取った方でも、工業実習だけでは採用されないでしまうことがあるものですから、そこのところを枠をふやしてやったって、本来何も免許のない人をするのじゃないのだから、採用されてしかるべき人を枠をふやして入れるのですから、そのことは、今いみじくも大臣が言われたように、教育の質、子供に対する教育効果を高めることにプラスにこそなってもマイナスになんかなりませんよ。私はそのことをこの機会に真剣に、大臣からも文部省からも考えてもらいたいと思う。そのことを考えない限り、つまりここで言うこのたびの改正法案、学校教育法等の一部を改正する法律案、このことを中心にして検討してもらわない限り、幾ら立派な答弁をしたってまた同じことの繰り返しになるのじゃないかと大変危惧しますし、先細りと言ってはなんですけれども、無理だろうと私は思うのです。そこで、最後になりましたけれども、提案者の方に、今私が申し上げたような趣旨であなたの方も提案していると思いますが、今の文部省あるいは文部大臣と私のやりとりについて、提案者としての感想なり考え方なりを聞きたいと思います。
 私もこれで質問を終わりますので、文部大臣、文部省にはぜひこのことについて十分に御検討いただきたい。それから、きょう各党全部そろっておりませんけれども、各党の皆さんにもこのことについては十分御検討いただいて、提案者である社会党の我々は全部法案どおりでなければならぬとも思っておりません、お互いの話し合いによっては修正の余地もありますから、この辺のところは各党ですり合わせをしながら、ぜひこの提案についてはこのたびは採決をしてもらったらいいのじゃないか、そういうふうに思いますので、その点についての所感も含めて提案者の方から述べていただきたい。どうですか。
#204
○中西(績)議員 先ほどから大臣の答弁をお聞きしまして、矛盾を感じてはおるのだけれども、その点について行政の長として直ちにこれに対応できるという積極的な姿勢はいまだないということで、将来努力を続けていくということは言っておられるわけでありますから、この点につきましては、これから後の話の仕方によって一定の前進を図ることができるのではないかということを私は大変期待をしております。
 局長の答弁を聞いておりますと、幾つか問題点挙げました。しかし、究極するところ制度は維持しなくてはならぬということに尽きておるのではないかと思っております。ところが、その制度そのものが、教育効果を上げるという立場から、あるいは生徒の側に立っての考え方に立って、大臣が言われるように果たして考えておられるであろうかということを私は疑問視します。したがって、この点を、今矛盾を解決する手だてとしては新しい標準法なりつくらなければ解決できないということは、もう何回討論しましても覆すことはできません。したがって、そうした新しい突破する道を具体的に文部省側から提案をしていただかないと、任用するように指導すると言っても、今までの長い経過の中でそれができなかったわけでありますから、その歴史的事実をひとつちゃんと踏まえていただいて、新しい方策を模索するという立場にまず第一に立つことが大事ではないかと私は思っています。そのためにはこのようにして制度を改革する、そのことが教育的にどうかということの討論をしなければいかぬと思うのですね。この点が一番大きな課題になってくると思います。したがって、行政当局としては職階制を依然として維持したいという基本姿勢がある限り、これを突破することはできませんから、この点はやはり明確に出していただいて、教育の面からどうだということを徹底した討論なり論議をしていただいて結論を出すことが、今一番大事ではないかと思います。
 したがいまして、そうした意味で、この四年間にわたる討論経過を踏まえまして、今回だけではありませんから、大変長い期間通して論議をしてきた経過を持っておりますだけに、一万名に上る皆さん、そして後そういう道をたどるであろう四千名を超える皆さんの期待と教育制度そのものをここで大きく転換を求める、ぜひこういう面に向けての論議を各党でお起こしいただいて、もし必要であれば小委員会なりなんなりを設置でもしていただきまして、徹底した論議を尽くしていただいた上、採択をしていただくよう切にお願いを申し上げたいと思います。
 以上です。
#205
○佐藤(誼)委員 時間になりましたから、これで終わります。
 中西績介議員を初め、この適切なる法案を準備され提案された皆さんに心から敬意を表しまして、私の質問を終わります。
#206
○阿部委員長 次回は、来る三十一日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三分散会
ソース: 国立国会図書館
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