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1984/06/12 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第17号
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1984/06/12 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 文教委員会 第17号

#1
第102回国会 文教委員会 第17号
昭和六十年六月十二日(水曜日)
    午後二時一分開講
出席委員
  委員長 阿部 文男君
   理事 石橋 一弥君 理事 大塚 雄司君
   理事 白川 勝彦君 理事 船田  元君
   理事 佐藤  誼君 理事 馬場  昇君
   理事 池田 克也君 理事 中野 寛成君
      青木 正久君    赤城 宗徳君
      臼井日出男君    榎本 和平君
      北川 正恭君    田川 誠一君
      二階 俊博君    渡辺 栄一君
      木島喜兵衞君    佐藤 徳雄君
      田中 克彦君    中西 績介君
      山下八洲夫君    渡辺 嘉藏君
      有島 重武君    伏屋 修治君
      滝沢 幸助君    藤木 洋子君
      山原健二郎君    江田 五月君
 出席国務大臣
        文 部 大 臣 松永  光君
 出席政府委員
        臨時教育審議会
        事務局次長   齋藤 諦淳君
        文部大臣官房長 西崎 清久君
        文部大臣官房審
        議官      菱村 幸彦君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        文部省高等教育
        局私学部長   國分 正明君
        文部省体育局長 古村 澄一君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   藤原  享君
        法務大臣官房参
        事官      米澤 慶治君
        文教委員会調査
        室長      高木 高明君
    ―――――――――――――
委員の異動
六月六日
 辞任         補欠選任
  佐藤 徳雄君     嶋崎  譲君
同日
 辞任         補欠選任
  嶋崎  譲君     佐藤 徳雄君
同月十二日
 辞任         補欠選任
  木島喜兵衞君     渡辺 嘉藏君
  田中 克彦君     山下八洲夫君
同日
 辞任         補欠選任
  山下八洲夫君     田中 克彦君
  渡辺 嘉藏君     木島喜兵衞君
    ―――――――――――――
六月六日
 障害児学校教職員の定数法制定等に関する請願
 (木島喜兵衞君紹介)(第五二六〇号)
 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に
 関する法律制定に関する請願外四件(天野等君
 紹介)(第五二六一号)
 同(上野建一君紹介)(第五二六二号)
 同(小川国彦君紹介)(第五二六三号)
 同(木島喜兵衛君紹介)(第五二六四号)
 同(左近正男君紹介)(第五二六五号)
 同外一件(堀昌雄君紹介)(第五二六六号)
 同外四件(元信堯君紹介)(第五二六七号)
 同(安井吉典君紹介)(第五二六八号)
 同外一件(新村勝雄君紹介)(第五三二八号)
 同外二件(野口幸一君紹介)(第五三二九号)
 同外一件(矢山有作君紹介)(第五三三〇号)
 同外一件(石橋政嗣君紹介)(第五三九四号)
 同外二件(岩垂寿喜男君紹介)(第五三九五号
 )
 同(中村正男君紹介)(第五三九六号)
 同(森井忠良君紹介)(第五三九七号)
 同(森中守義君紹介)(第五三九八号)
 学生寮の充実、発展等に関する請願(阿部文男
 君紹介)(第五三二七号)
 同(藤木洋子君紹介)(第五三九二号)
 同(山原健二郎君紹介)(第五三九三号)
同月十一日
 養護教諭の配置等に関する請願(橋本文彦君紹
 介)(第五四三九号)
 公立幼稚園の学級編制及び教職員定数の標準に
 関する法律制定に関する請願(佐藤敬治君紹介
 )
 (第五四四〇号)
 同(森中守義君紹介)(第五四四一号)
 同外一件(山中末治君紹介)(第五四四二号)
 同外二件(小林恒人君紹介)(第五五〇六号)
 同(佐藤誼君紹介)(第五五〇七号)
 同外一件(村山喜一君紹介)(第五五〇八号)
 障害児学校教職員の定数法制定等に関する請願
 (佐藤誼君紹介)(第五五〇九号)
 私学助成の増額等に関する請願(田中美智子君
 紹介)(第五五六五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 同本体育・学校健康センター法案(内閣提出第
 一八号)
 文教行政の基本施策に関する件
     ――――◇―――――
#2
○阿部委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、日本体育・学校健康センター法案を議題とし、趣旨の説明を聴取いたします。松永文部大臣。
    ―――――――――――――
 日本体育・学校健康センター法案
    〔本号末尾に掲載〕
#3
○松永国務大臣 このたび政府から提出いたしました日本体育・学校健康センター法案につきまして、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 この法律案は、臨時行政調査会の答申に沿って、特殊法人の整理合理化を図るため、国立競技場と日本学校健康会を統合し、日本体育・学校健康センターを設立しようとするものであります。その統合の趣旨は、両法人の業務について見ますと、国立競技場は、その設置する体育施設の運営に関する業務を、日本学校健康会は、学校安全及び学校給食に関する業務をそれぞれ行ってきており、その業務の対象に国民一般と児童生徒等との違いはありますが、広く国民の体力の向上や健康の保持増進の面で密接な関係を有するものであることにかんがみ、両法人を統合しようとするものであります。
 この法律案におきましては、日本体育・学校健康センターに関し、その目的、組織、業務、財務、会計、監督等につきまして所要の規定を設けるとともに、従来の両法人の解散等につきまして規定することといたしております。
 その内容の概要は、次のとおりであります。
 まず第一に、日本体育・学校健康センターは、体育の振興と児童生徒等の健康の保持増進を図るため、体育施設の運営、児童生徒等の災害に関する必要な給付、学校給食用物資の供給等を行い、もって国民の心身の健全な発達に寄与することを目的とするものであります。
 第二に、日本体育・学校健康センターは、法人といたしますとともに、役員として、理事長一人、理事五人以内及び監事二人以内並びに非常勤の理事三人以内を置き、理事長及び監事は文部大臣が、理事は文部大臣の認可を受けて理事長が、それぞれ任命することとし、その任期はいずれも二年としております。なお、役員数につきましては、行政改革の趣旨に沿って統合の前に比べその数を縮減いたしております。また法人運営の適正を期するため、理事長の諮問機関として運営審議会を置くこととし、業務の運営に関する重要事項について審議することといたしております。
 第三に、日本体育・学校健康センターの業務につきましては、従来の両法人の業務を承継して、
 (一) その設置する体育施設及び附属施設の運営並びにこれらの施設を利用しての体育の振興のための必要な業務
 (二) 義務教育諸学校等の管理下における児童生徒等の災害に関する災害共済給付
 (三) 学校給食用物資の買い入れ、売り渡しその他供給に関する業務
 (四) 体育、学校安全及び学校給食に関する調査
 研究並びに資料の収集及び提供その他の体育、学校安全及び学校給食の普及充実に関する業務を行うことといたしております。また、この法人は、以上のほか、文部大臣の認可を受けてその目的を達成するため必要な業務を行うことができることとするとともに、これらの業務の遂行に支障のない限り、その設置する体育施設及び附属施設を一般の利用に供することができることといたしております。
 なお、災害共済給付事業につきましては、災害共済給付契約、共済掛金、給付基準、学校の管理下における児童生徒等の災害の範囲、学校の設置者の損害賠償責任に関する免責の特約等に関し、また、学校給食用物資の供給に関する業務につきましては、売り渡し価格、供給の制限等に関し、従前と同様の規定を設けることといたしております。
 第四に、日本体育・学校健康センターの財務、会計、監督等につきまして、一般の特殊法人の例に倣い所要の規定を設けることといたしております。
 第五に、従来と同様に保育所の管理下における児童の災害につきましても災害共済給付を行うことができる規定を設けることといたしております。その他日本体育・学校健康センダーの設立、国立競技場及び日本学校健康会の解散等にっきまして所要の規定を設けることといたしております。
 以上がこの法律案を提出いたしました理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。
#4
○阿部委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    〔委員長退席、船田委員長代理着席〕
     ――――◇―――――
#5
○船田委員長代理 次に、文教行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中西績介君。
#6
○中西(績)委員 私は、昨年この委員会におきましても何回となく討論をいたしました九州産業大学問題について、二、三の点について確かめておきたいと思います。
 この問題については、もう御存じのとおり昨年事件発生以来論議を重ねまして、前文部大臣の森さんも特別立法なりを認めなくてはならぬという事態にまで発展をした事件でありました。そして、その後、新しい理事会が発足をしまして、文部省から五点にわたる改革をすべき問題点を指摘をしたわけであります。この新しい理事会のもとにおきまして、約九カ月にわたるわけですけれども、指摘をした項目がどのように達成をされておるのか、この点について簡単でよろしいですからお答えをいただきたいと思います。
#7
○國分政府委員 九州産業大学につきましては、五十八年の二月であったかと思いますが、文部省から法人運営、大学運営に関しまして御指摘の五項目について指導したわけでございますが、その状況につきましてかいつまんで御報告申し上げたいと思います。
 一点目の、運営体制の刷新ということでございますが、まず理事体制の刷新につきましては、ただいまお話がございましたように、昨年八月末に理事長を含めまして全理事が辞表を出し、地元の協力支援のもとに現在の理事長以下新しい理事が就任し、この新体制のもとで自主的な改善の努力が行われているわけでございます。具体的な措置といたしましては、このほか教学側理事の増員あるいは監事の補充、評議員会の強化あるいはまた顧問制の廃止等々があるわけでございます。なお、今後の問題といたしまして、学内状況を見きわめながら、事務処理体制の改善でございますとか諸規定の整備等を図っていきたい、このようにしているところでございます。
 また、二点目の、入学者選抜方法の公正化という問題でございますが、従来九産犬におきましては寄附金を条件に入学させる例でございますとか、あるいは理事者側が合否判定に加わっていたというような例も見られたわけでございますので、文部省として、これらを是正しまして公正かつ妥当な方法により入試を実施するようにという指導をしておったわけでございます。これらの点につきましては、五十八年度入試以来実質的には改善されているわけでございますが、最近におきまして、入学者選抜実施規則の改正の手続をめぐりまして、理事者側と教学側と意見の食い違いもあるという状況にあるわけでございます。
 それから、三点目の、教員組織の充実でございますが、九産犬におきましては商学部、教養部等におきまして大学設置基準に照らしまして専任教員が著しく不足している、こういう状況にあったわけでございます。九産大におきましては五十八、五十九、六十の三カ年計画でこの教員の採用計画をつくりまして、これで充足したいという計画でございましたが、今日までいろいろ努力をしておりましたけれども、これまでの実績ではまだ予定どおりというわけにはまいりませんで、予定を下回る状況になって劣ります。
 それから、四点目の、経理の適正処理ということでございますが、これにつきましては、学校法人会計基準にのっとりまして正規の手続に従って処理しておりまして、財務関係の証拠書類等につきましても一定期間保存するというような適正処理に努めているところでございます。
 なお、監事による内部監査を随時実施しますとともに、監査法人による監査も一層充実して適正を期している、こういうことでございます。
 それから最後に、五点目の、内部監査機能の強化でございますが、これにっきましては、五十九年四月から常任監事制を採用いたしておりますほか、非常勤の監事二名につきましても、福岡県それから福岡市当局の推薦などを受けましてこれを補充するというようなことをいたしております。また、評議員会につきましては逐次新旧交代を図ってきておりますが、この六月の中旬に任期切れということになりますので、先般十日でございますか、新しい評議員の交代等も図ったということのようでございます。
 以上、かいつまんで御報告申し上げました。
#8
○中西(績)委員 改善を求め、改善をしたということなんですけれども、一応評価をすれば、一〇〇%で言うならどの程度行ったというようにお感じですか。
#9
○國分政府委員 評価ということになりますとなかなか難しい点もございますが、全体としては文部省の指導した線に沿って努力しているということが言えようかと思います。なお、例えば事務処理体制の確立でございますとか、あるいはまた教員組織の充実とか、いろいろな改善を図ったことにつきまして、それがどう定着していくかという問題等は今後の問題として残っていようかと思っております。
#10
○中西(績)委員 今答弁がありましたけれども、私は余りにも一般的過ぎると思うわけであります。私は、文部省がこの改善五項目を示した経緯について、特別立法までしなくてはならなかったという大変重要な課題を受けて、本来なら単独校に特別立法措置などということは到底考えられないことなんですが、そういう措置をとろうとしたその決意というのは、余りにも問題があり過ぎるということをお互いに確認をした上で、大臣に指摘をする中からそうした答弁が出できたと思うのです。この点については、大臣、御理解いただけますか。
#11
○松永国務大臣 この九州産業大学の問題は、いわば社会問題となって世間の耳目を随分集めたくわいの問題であったわけでありますので、特に深い関心を持って、かつ強力に指導をし、指摘をして、そして再建をしなければならぬ私立学校であるというふうに認識いたしておるわけであります。
 先ほど担当者から御答弁申し上げましたように、管理運営体制の問題につきましては、地元の協力を得て、新しい理事長、全員新しい理事が就任をいたしまして、そして新しい体制のもとで運営がなされておるわけでありますが、現在のところは、言うなれば再建の途上にあるわけでございまして、個々的には必ずしも改善措置が十分でない面もないわけでありませんが、文部省としては、事柄が私学のことでありますので、まずは大学自治の精神に基づいて大学自身の手によって自主的な再建が進められることが望ましいわけでありまして、こういう前提に立って今後とも適切な指導をいたしまして、この社会問題にまでなった学校の再建、そしていろいろな問題点の改善については、今後とも適切な対応をしながら図ってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#12
○中西(績)委員 私はそういうことを聞いておるわけではなくて、前大臣が特別立法までしなくてはならぬという大変な社会問題を引き起こした大学問題です。ですから、この点に関して理解ができるかということを言ったわけでありまして、時間がありませんから簡単に答えてください。
 そこで、時間がありませんから絞ってお聞きしますが、例えば、一点目の運営体制の刷新等につきましても、私たちのところに入ってきておる内容についてずっと見てみますと、役員報酬を一つの例に挙げます。私は、果たして運営体制が刷新されただろうか。役員報酬は、青木理事長は月額百四十万円です。
 そこで、私は大臣にお聞きしますけれども、大臣の給料は月収お幾らですか。
#13
○松永国務大臣 法律に定めてある額でありますが、税金を相当引かれますので幾らになっているか……(中西(績)委員「いやそれとは関係なしに」と呼ぶ)法律に書いてある額であると思うので、現在直ちに言えと言っても、細かい数字は覚えておりません。
#14
○中西(績)委員 大臣の額をはるかに超える百四十万円です。
 そこで、お聞きいたしますけれども、前稲井理事長は百万円だった。今度の理事長は百四十万です。そして、このように全く国の助成金もない、財政的には大変厳しい中ですけれども、年額にすると三千万円の年収になると言われています。二カ月分の冬の手当など二百八十万と言われていますから、これはもう大変な額です。
 そこで、お聞きしますけれども、ことしの助成金を算定するに当たって、理事長などが高額所得を得ておる場合にはペナルティー的にマイナスを科して差っ引くことになっておりますけれども、この限度額は幾らですか。
#15
○國分政府委員 お答え申し上げます。
 理事長の報酬でございますが、私ども報告を受けておるところでは、当初現在の理事長は百四十万という従来の数字をそのまま引き継いでおりましたが、この四月一日に百万円にしたということでございます。
 なお、御指摘の理事長報酬と私学助成との関係でございますが、理事長が二千万を超える報酬を得ている場合には、これは私学でございますからどのように報酬を定めるかというのは私学自身でお決めになることでございますけれども、その分財政的にゆとりがあるであろうということで、その二千万を超える分につきまして事務職員の分から差し引く。実質的に減額になるわけでございますが、そういう取り扱いをいたしております。
#16
○中西(績)委員 豊かであるということを理由にいたしまして助成金を差っ引くことになっているわけですね。その額をはるかに超える額を受領しておったことは事実ですね。
#17
○國分政府委員 ただいま御説明申し上げましたように、現在の理事長が就任したのが昨年の八月末でございまして、その際に、報酬をどうするかということにつきましては、年度途中でもあり、従来の額、すなわち月額にして百万、手当四十万、合わせて百四十万をそのまま引き継いだということでございまして、この四月一日にそれを改定いたしまして月額八十万円、手当二十万円、合わせて百万円に引き下げたと報告を受けております。
#18
○中西(績)委員 今説明がありました前理事長が百四十万というのはうそです。百万です。したがって、百万を勝手に百四十万に引き上げ、そして新月額給与もまた百四十万と決めておったものが、新聞などで取りざたされ問題になって今言われるようにしたかどうかもまだ不明です。さらにまた、他の理事を見ましても、例えば三月時点に五十万であったものが七十万、あるいは監事でも五十万であったものが六十五万というように、全部軒並み三〇%から四〇%引き上げていくという体制になっています。ですから、まずこのようにみずからの運営の体制がどうなっておるかということが私は非常に気になるわけであります。ちなみに、福岡における近郊の大学の理事長の収入月額はどうなっておるか調べてみましても、最高額は六十万です。こういう状況です。しかも、交通関係、通勤関係等につきましても、他の大学は全部交通実費を払っておるのに、この大学だけは理事長専用の自動車がちゃんとあるわけですね。
 このようにしてまいりますと、先ほど言われましたように全体としては努力をしておるということが果たして言えるだろうか。この点に関して、何回かこちらに来ておると思いますから、そこでどう指導していったかということについてはっきり文書でもって私に提示をしてください、もう時間がありませんから。この種問題を含めまして、五項目について日程的にどのように指導を遂げてきたのか。何月何日にだれが来てどのようにしたということを明確にしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
#19
○國分政府委員 すべてを記録にとどめているわけではございませんが、私どもの承知して限りにおきまして資料を整えて御提出したいと思っております。
#20
○中西(績)委員 特に私が要請したいと思いますのは、一番最初に私が申し上げましたように、文部省が時限立法であろうと独自立法を提案していこうという決意までした内容でありますから、この一年間とのように指導してきたかということが大変大きな問題になります。したがって、そうした内容について具体的に示していただければと私は思っております。そのことをつけ加えて要請いたしておきます。しかし、この問題については時間的に長く引き延ばしては困りますから、短期間の間にこれを提出していただきたい。
 それと、もう一つ、具体的に聞きましょう。例えば入学者選抜方法の公正化の問題につきましても、先ほど一番最後に言われましたように、選抜規定の改定の問題について問題が出ました。これはもう答弁は要りませんが、私は指摘しておきたいと思います。
 結局、この二番目の問題は、明らかになっているように、「入学者選抜方法の公正化=入学者の選抜は、教学側が責任を持てる体制の下で、公正かつ妥当な方法により実施すること。」になっております。したがって、問題は、教学側が責任の持てる体制でこの選抜規定を決定されたことに対して理事者側がこれを認めないというところから派生している。ということになってまいりますと、当初から問題になっておったようなことが依然としてここでは基本的に解消されていないということになります。したがって、二番目は、この点については基本姿勢が全くなっていないということを示しております。
 さらに、この三つ目についてお聞きいたしますけれども、教員組織の充実問題について指摘をされております。大学設置基準について大変欠けておるということです。これは認めております。したがって、設置基準について不足している。ところが、五十八、五十九、六十年度で採用計画を立ててしたと言われておりますけれども、例えば商学部で学生が一学年七百人、四十名の教員が必要だということになりますが、現在人員何名ですか、わかりますか。
#21
○國分政府委員 商学部の現在人員は、六十年四月一日現在でございますが、三十名でございます。
#22
○中西(績)委員 私が指摘する四十名、間違いありませんか。
#23
○國分政府委員 大学設置基準上は、御指摘のとおり四十名必要でございます。
#24
○中西(績)委員 三年間努力したと言うけれども、今言うように今までの二十六名にこの六十年になって四名加えて三十という人員に達した。ということになりますと、まだ二五%欠けておることになるわけです。これでは教員組織の充実等についてもやられていないのに等しい。
 ところが今度は、ことしもめている、問題になっているのは何かというと、教員採用の方法であります。私は当該九州産業大学の教員採用の手続について取り寄せてみました。この中身を見ますと、教授会規程がございまして、それに基づく教員資格審査規程、教員選考基準がございまして、それに基づいてやられるようになっております。しかし、この手続を経ずに理事者が個人的にこれを採用しようということを提案していく。これはかつて問題になりました国士舘でも全く同じような方式でやられましたね。このことは御存じですか。
#25
○國分政府委員 具体の詳細については存じておりませんが、九産大といたしまして、教員組織の充実ということから公募あるいは私募、その他いろいろな方法で教員の候補者の推薦を求めておるということは承知いたしております。
#26
○中西(績)委員 その結果、今教授会なり何なりの議を経て出されたものが、結局商学部なり教養部におきまして登用されないためにどういう結果を生んでいるかというのが、九州などの新聞に犬大的に報道されました。教養部で二十七コマ分、商学部で四コマ分、合計しますと三十一コマが欠講しておるということが問題になりました。
 私が、文部省はしっかり指導してもらわなくちゃならぬということを申し上げたいと思いますのは、文部省の皆さんが当該学校の教授なり学長に接触をしたときに発言をした中身について、きょうはもう問いただす時間がありませんから細かくは問いただすことはできませんけれども、あいまいな発言なりをしてもらっては困るのです。少なくとも、大学の設置を認可するという場合には、設置基準というのが明確に示されていますよね。これをまず守るあるいは守らせるということが文部省の行政指導であろうと思います。このことに関して、学校の教育内容にまでタッチをしたとか介入をした、踏み込んだということにはならぬと私は思うのです。環境整備については、少なくともこの点については文部省が明確に指導体制を確立していかなくちゃならぬ。ところが、私たちに入ってくる情報はその点が非常にあいまいではないか。
 あるいは、教員を採用するに当たっての手続上の問題等につきましても、私は明確に指導することができると思います、こういうものがありますから。大学にもあるわけですから。守れというのが文部省の指導でなくてはならぬと私は思いますけれども、この点が欠けておるやに聞いております。したがって、このように実態として依然として二五%に上る未補充の状況を三年間を経過して今なおつくり出しておるというところが、先ほど私が一番最初に申し上げた皆さんの指導の姿勢がどうであるかということが大変問題だろうと思っています。私は、内容まで介入せよということを言っておるのじゃありません。少なくとも大学としてあるべき姿、条件を整備させるということについては、文部省が責任を持たなくちゃならぬ。五項目の改善要求の中に明確に示しています。だからこそ五項目に絞っておるわけでしょう。したがって、この点が非常に欠け落ちておるということを言わなくてはなりません。これは商学部だけを今例に挙げましたけれども、ほかの部だってそうです。欠講状況がこうして出ております。
 さらに、文部省のどの方か知りませんけれども、むしろその欠講の状況は他の教員で補完をしてやれというようなことを言っておるではありませんか。それを指導すること、そのことが結局この設置基準すらも到達できない原因をつくり出す大きな要因になっておるということ。ですから、むしろ文部省が手をかしておるというような格好に間接的にはなるわけであります。したがって、この点はぜひ態度なり改めていただかなくちゃならぬと思いますが、今後は毅然たる態度をもってこれに当たるということの決意を言ってください。
#27
○國分政府委員 教員の採用の問題でございますが、私どもは、五十八年二月に指導五項目の中の一つとして、教員組織の充実ということを指導して以来、今日まで理事者側あるいは教学サイドの方がお見えになる都度、この教員組織の充実については強く指導しているところでございまして、この点については今後ともそういう気持ちで指導してまいりたいと思います。
 ただ、あるいは先生に誤解、と言っては失礼でございますが、生じたとすれば、ただいま御指摘のように、現実に専任教員が足りないために欠講の状態が続いているわけでございます。この理由はいろいろあろうかと思いますが、教員の採用の手続をめぐりまして、具体的に申しますと、教授会で適格でないと判断された者が、いわゆる拡大教授会という形で今度は適格であると判断されたのが上がってきて、それが手続上違うではないかということから採用にならなかった、こういうような学内事情もあるようでございます。学内事情は学内事情として、現実に欠講が生じているということになりますと、学生の教育に支障が生じますので、一方で専任教員の充実ということに努めながら、当面、学生に不自由が生じないように、授業に支障が生じないようにということもあわせて考えてほしいということを申し上げた次第でございます。
#28
○中西(績)委員 誤解も受けるわけであります。今のような言い方をするから、これはいつまでも片づかないわけですよ。三年間に片づけなければならぬわけでしょう。
 それでは、今言うような理由を申し述べて帰った理事者側の方々がなぜ二五%も補充されてないのか、この点についてあなた方はその人たちに何と言ったのですか。三年間でなおかっこうして残っているのですよ。問題はそこなんです。文部省の姿勢がそういう姿勢だから、いつまでも解決しない。
 ですから、今度は私が言いましょう。青木理事長が公式に発言したものを申し述べます。行政指導は達成をしたと言っています。これはどのテレビで放映されたか今わかりませんけれども、テレビで放映されたときに出ています。行政指導は達成をした、残るは教学問題のみ、こう言っています。それから、一、二年は補助金なしで経営をやっていく、その後教学問題に取り組む、こういうように言っています。
 お聞きしますけれども、教学問題だけが残っていますか。ほかのものは解決いたしましたか。
#29
○國分政府委員 先ほどもお答え申し上げましたように、まず何といっても教員組織の充実ということが最大でございますが、それ以外に、事務処理体制の整備、あるいは内部におけるいろいろな相互牽制、チェック機能、会計処理をめぐりますそういうものについて、機構は整いましたが、それが定着しているかどうか等々、なお今後改善すべき点はあろうというふうに考えております。
#30
○中西(績)委員 このようにして、私が一番恐れておるのは、九産大問題の根っこはどこにあるかということを見た場合に、前々理事長の鶴岡体制が事務局体制の中では全く変わっておらないということであります。部長制度をなくしました。当時の鶴岡体制にいた人たちは全部部長に座っておった。これをなくして、次長制度に切りかえています。ところが、この次長制度の中に依然として残っておるし、私が当然解職されるであろうと思っておりました元総務部長の平松氏あたりについては、部長待遇で依然として残って院政をしいておるという実態です。ですから、先ほど部長が言われましたように事務体制が依然として変わっておらない、こういうところに問題があるし、さらに、そういう人々が今度は言われました評議員に次々になっておる。あるいは国士舘の場合には、理事に選任をされた人は教授会なり何なりである程度論議され、皆さんから容認をされた人がなっていきました。ところが、ここでは全くいつも鶴岡体制側にいて教学側を混乱をさせておる人たちがみんな理事になっていったわけです。これでは鶴岡体制を打破できたということにはなりません。ここが一番の問題です。
 それにあわせて、新しい理事長はどうでしょう。言動を聞いておりますと、学校の民主な運営ということをほとんど知らないんじゃないかと私は思っています。それはなぜかといいますと、警察官僚であったゆえに、学校法人組織なり大学の自治というものを認めていない。依然として鶴岡体制のときと全く同じ、教学側に対する圧力のかけ方が同じです。これが今なお一番問題になっておる点だと私は思います。体制が変わっていない。先ほど私が申し上げました入学選抜の規定をめぐっての問題のときにも、もし理事者側の言うことを聞かなければ処分をするということを学長を初め通告をしておるのです。今こうした問題について教学が確立をされなければならぬやつを、それを全部抑え込んで理事者側が一方的に実施をしていくこの体制というのは、以前の体制と全く変わってないとしか言いようがありません。この点を指摘をしておきたいと思います。ですから、このような中身について、あなたたちは立ち入ることができるわけですから、やらなくてはならぬと思います。
 そこで、最後に、こうした問題があるために、問題発生以来ずっと問題を提起をし、正常化を願ってきておりました後援会組織がございます。その後援会の幹部に対して暴力行為が出ています。一つは、一月十四日、十七日、二回にわたって外園会長の新築をしておる住宅を破壊をしました。そして同じく十八日の朝早く、やはり同じくこの後援会の幹部をやっておる原といううちのお店を破壊をしました。その直後十九日、非常に朝早くですが、この原という人に後ろから自動車でもってぶっつけたわけですね。交通事故を起こさせた。追突でやりました。そして話をしておるうちに殴りかかる。警官に通報してこの人は事故のために入院をさせられました。ところが、この六月一日になって原という人の自宅にイスグミのイコウガグミ マキタという人から電話があったそうです。これは正式に名のって、電話ですからお名前はということを聞いたところが、九産大に出入りをするな、こうした要求があっています。夫人が出まして、子供がいるから出入りするのは当たり前だということを言ったようであります。あなたはだれから依頼されたのですかと言ったところが、私は他の人から依頼されて電話をしておるということを言ったそうです。そして、警察でもどこでも言えということを言っていますね。
 もともと鶴岡体制のときには暴力的な支配が非常に強かったところです。ところが、このようにして新しい理事長になり、しかもそれは警察管区本部長出身です。監事の堀さんは警察上がりです。みんな警察上がりの人がそこにいるのに、このような暴力事件が絶えません。正常化を願う、今の体制に対して変更を求める人たちに対して、こういう暴力行為が次々と起こってきています。
 この点からいたしますと、昨年国士舘で暴力事件はついに殺人行為にまで発展をしました。そのことは今から四年前に私は指摘をいたしまして、中村という名前まで出して、必ず自後問題が派生をするぞということを予告をいたしましたところが、殺人行為にまでなって出てきました問題であります。ところが、この大学も、このようにして一生懸命自分の子を持っておる親御さんたちが後援会を組織をして発言をすると、こうした行為が次々に起こってくるわけです。そして、この方たちは被害者届を出しておるようでありますけれども、先ほど言うように、警察官僚が上に座ってしまって、この問題の進展はないと私は思います。こういう事態は、今私学の中で問題になっておるところでは、教学部門を無視するか、このような暴力事件が絶えず起こってきておるということを私達は気づかなくてはなりません。私はここに一番の問題があると思います。
 さらにまた、後援会長は決議文を青木理事長のところに持っていった。ところが、青木理事長は一部の声だと言ってこれを拒否をいたしました。青木理事長がどこかに――これは私は言いません。電話をし頼んで、その人から今度はその会長に対して圧力を加えるかのごとき事態が出てきています。ということになってまいりますと、今言うこの暴力事件と何らかかわりがないとは言い切れません。これは大変なことだと思います。
 そこで、最後に、警察庁おいでですから、今までの事態、前回鶴岡理事長体制のときのことも知っておると思いますから、たくさんの告発が出されました、こういうところでありますから、これを聞いて、被害届を出しておるのですけれども、今後何かそれに対する見解はありますか。
#31
○藤原説明員 お答え申し上げます。
 お尋ねの、九産大の後援会をめぐります暴力事案でございますが、地元警察としては現在のところ届け出を受けたとかそういった状況は聞いておりませんが、前回も御答弁申し上げましたように、警察としては、そのような不法事案につきましてはこれを看過しないという厳しい態度で臨んできたところでございます。そういうことでありますので、今後とも刑事責任を追及し得る犯罪容疑があれば、厳正に対処していく所存でございます。
#32
○中西(績)委員 厳正にやってくださいよ、前回はうんと見逃していますから。
 最後に、大臣は本俸百十九万だそうですよ。ところがそれよりはるかに多い報酬を平気で取っておるという経営者の実態です。私は、今申し上げましたように、大変な状況にまた再びなってきていますから、こういう暴力事案が出てき始めましたから、この点について私が要請をいたしましたように特別立法だってやらなければならぬということだって出てくるかもわかりません。したがって、この点は十分勘案をしてこれから指導していただきたいと思います。
 最後に、要請を一つしておきますが、日本メディック財団・北九州病院グループというのがありまして、基準看護料不正事件などが出まして、数十億に上ると言われています。この際に、医師派遣の工作費が各大学に渡された。「大学工作費は年間三億円」という見出しをつけた新聞もあります。この点について大学は奨学寄付金として受け取ったなどと言っておりますけれども、関係の大学全資料を提出してください。この点を要請しますが、よろしいですか。――おらなければ、大臣に私は要請をします。
#33
○松永国務大臣 先生の要望の趣旨は、国立大学における奨学寄付金の経理に関する資料だというふうに理解をいたしますが、そしてそれが医学部関係の奨学寄付金の事項だと思いますけれども、どれだけ正確な資料が整うかわかりませんが、関係部局をして必要な資料を整えるように指示をしたいというふうに考えます。
#34
○中西(績)委員 お願いをしておきますけれども、奨学寄付金として受け取ったということに大学側は答弁をしておるわけですね。しかし、それ以外があるということで、今警察の手が入ろうとしているわけです。ですから、渡った金は文部省に報告する義務があるでしょう。渡った金は、大学側に正規の領収書を発行してやるべきなのですよ。ですから、その分あわせまして、渡った金が全部どうなったかという資料の提出を求めるわけであります。
#35
○松永国務大臣 大学側で奨学寄付金として領収をした分については、文部省の方で資料ができると思いますけれども、それ以外の分、これはこちらさんの方の調査の結果をまたないと、私どもの方では掌握できないわけでありますので、先ほど言ったように、大学側で、特に医学部関係で奨学寄付金として受領されたものにつきましては、資料を整備するように指示をしたい、こういうふうに思います。
#36
○中西(績)委員 以上で終わります。
#37
○船田委員長代理 佐藤徳雄君。
#38
○佐藤(徳)委員 私は、今注目を集めて審議をしております臨教審の中身の問題、とりわけ六年制中等学校設置に関する問題を中心といたしまして、そしてまた、今日教育の荒廃の原因となっております偏差値教育の問題について、幾つかの中身を指摘しながらお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、臨時教育審議会が四月二十四日に発行いたしました「審議経過の概要(その2)」これであります。この中で次のように実は掲載をされているわけであります。「公表された「審議経過の概要(その2)」に対する国民の意見を参考としながら、総会において、第一次答申に盛り込むべき事項及び内容を検討し、その中から合意が得られたものについて五−六月を目途に第一次答申として取りまとめることが合意された。」と五ページに掲載をされておるわけであります。たくさんの国民からの意見が出されたのかどうかはわかりませんけれども、国民の意見を参考にするというその吸い上げ方、手段、方法についてお尋ねをいたします。どのようにこれが出されて活用されたのか、お答えをいただきたいと思います。
    〔船田委員長代理退席、白川委員長代理着席〕
#39
○齋藤(諦)政府委員 臨教審では去る四月二十四日に、「審議経過の概要(その2)」として取りまとめて公表したところは先生の御指摘のとおりでありますけれども、現在までのところ、教育関係団体等を初めとして、団体としては十五団体から意見が寄せられております。これらの意見、要望は、教育の現状とかあるいは教育改革の方向とか、そのほか六年制中等学校等も含めて万般にわたっているところでございます。
 なお、そのほか、東京と大阪におきまして公聴会を開きまして、その際には、各部会長またはそれを代理する入から「審議経過の概要(その2)」について説明をいたしました。それについて意見発表者の意見を聞くとともに、フロアからも時間の許す限り意見を聞いた、こういう状況でございます。
 現在のところ、そういうことにして、そういう意見を参考にしながら第一次の答申に向かって作業が進められている、そういう過程でございます。
#40
○佐藤(徳)委員 日本教育新聞五月二十七日付でありますが、これを読みますと、「第一次答申のタタキ台として臨教審が発表した「審議経過の概要」に対する各校長会からの意見、要望が相次いで出されている。」と報道されております。その中身を読みましたら、大変現場感覚の上に立って批判をしながら、幾つかの内容が示されているわけであります。これらの各校長会からの意見、要望の概要と、特徴的なものはどういう内容であったのか明らかにしていただきたいと思います。
#41
○齋藤(諦)政府委員 意見や要望等の内容は、教育の現状認識あるいは教育改革の方向、教育改革の手段、方法等の項目についてのものから、学歴社会の問題でありますとか、生涯学習社会の建設、六年制中等学校、単位制高校、大学入試の共通テストなど、いろいろ具体的な問題に関するものまでわたっておるわけでございます。
 その特徴としては、例えば教育の現状認識につきまして、教育荒廃の原因は画一化が原因である、そういうように書いているけれども、それだけが原因ではない。例えば、全国連合小学校長会とかあるいは全日本中学校長会がそういうことで言っております。なお、日本私立中学高等学校連合会とか日本教職員組合等からは、現状認識が不十分など、こういうような指摘がなされております。教育改革の手段、方法等に関しましては、いわゆる自由化に対して反対の不安を表明するものが多くなっております。全国連合小学校長会とか中学校長会、こういうところがそういう問題を指摘しているところでございます。それから、学歴社会の問題に関しましては、学歴社会を是正するということが必要ではないか、その姿勢が薄いのではないか、こういう指摘があったりいたします。六年制中等学校に関しましては、基本的には賛成だけれども、慎重な検討を条件としたい、それが全国高等学校長協会等の意見でございます。なお、受験競争の低年齢化のおそれ等を理由に反対しているものもありますが、これは日本私立中学高等学校連合会でありますとかあるいは日本教職員組合等でございます。単位制高校等については比較的賛成が多いのでありますけれども、共通テストにつきましては若干反対の者も入っておる、大体そういうような状況になっております。
#42
○佐藤(徳)委員 先般の本委員会で佐藤誼委員が、朝日新聞で掲載をされました世論調査の中身について触れられました。私も興味深く丹念にそれを読みながら分析を自分なりに加えてみたわけであります。結果の全文を読みました私の感じとしては、まさに教育に対する国民の目はあるいはそのとらえ方は極めて鋭い、こういう感じであります。
 時間も限定されておりますので全体の問題について触れるわけにはまいりませんが、例えば、今の小中学校の教育に満足しているかという問いに対して、不満足が実に五五%に達しているわけであります。あるいはまた、小中学校ではどんな点に力を入れてほしいと思うかということに対しては、しつけや思いやりの心を育てるというのが五六%、伸び伸びと育てるというのが三七%でありまして、合わせますと九三%が実はこの二つに要約をされているわけであります。それだけに、今日しつけや思いやりの心がない教育、あるいは伸び伸びと育っていくような状況でない教育が横行していると判断せざるを得ません。
 さらにまた、今の学校教育であなたが問題だと思うものは何かということに対しては、社会的にも政治的にも問題になっておりますけれども、いじめあるいは校内暴力が三六%、先生の質が三二%、道徳教育が不十分であるというのが三一%、偏差値による進路指導というのが二五%にまでなっているわけであります、また、臨教審の個性主義の問題について何か見たり聞いたりしたことがあるかということに対しまして、ないと答えたのが七〇%であります。あると答えたのがわずか二四%にしかすぎません。そして、公立の小中学校は親や子供が行きたい学校を選べるようにした方がよいのか、それとも今までどおり同じ地域の子供は同じ学校に通った方がよいと思うかという問いに対して、今までどおりでよろしいと答えたのが六九%、約七〇%弱になっているわけであります。もっとたくさんあるわけでありますが、幾つかの事例を出しただけにすぎませんけれども、いかに臨教審が今日まで議論してきている個性主義の問題であるとか自由化の問題であるとかというものを国民が冷ややかな目で受けとめているかという実証ではないかと私は思っているわけであります。
 さらに、今の公立の中学や高校とは別に新しく中学と高校をあわせた六年制の公立学校をつくる方がよいと思うかという問いに対して、つくる方がよいと答えたのはわずかに三一%でございます。つくる必要はないというのが半数を超しまして五二%に達しておりますし、学歴社会の問題については、差はまだ大きい七九%、あるいは差がなくなったと臨教審等では議論がされているようでありますが、そのとおりだと受けとめている人がわずかに一三%しかいないという今日の状況であります。そして、臨教審のやり方についてどう思うかという質問に対しては、審議内容をもっと公開すべきだというのが四〇%、改革に不安を感じるというのが一六%、審議が性急過ぎるというのが七%、考え方が今の時に合っているというのがわずか五%、短期間によくやっているというのが三%であります。まあ新聞だからと私は簡単にこれを受け流すわけにはいかないと思っているわけであります。
 それで、お尋ねいたしたいのは、臨教審の中で、これらの調査にあらわれた傾向や動向というものをどのようにとらえて議論されたのでしょうか。
#43
○齋藤(諦)政府委員 新聞のアンケートでありますとか、あるいはそのほかの団体のアンケート等もございますが、そういう万般の資料を事務局といたしまして絶えず委員会、部会、あるいはプロジェクトチーム、所要のところにお出しするようにしております。それから、各団体の意見でありますとか、それから、各政党との会長または会長代理等による懇談がなされたわけでございますけれども、その際に出された御意見等につきましても、逐一報告はなされ、それを参考にしながら検討がなされているという状況でございます。
#44
○佐藤(徳)委員 私が挙げた事例だけでも結構でありますから、お聞きになりました大臣のこの問題に対する感想なり見解をお伺いいたします。
#45
○松永国務大臣 世論調査というのは設問によってパーセンテージがいろいろ変わってくるものですから、どう読むかという問題はありますが、中でも、現在の小学校、中学校の教育について満足をしていないという人が五〇%前後ですかあるという点に私は非常な注目をしておるわけでありまして、やはり現在の学校教育について国民の多くは改善措置を求めておるというふうに私は認識をいたしました。また、臨教審の「審議経過の概要(その2)」につきましても、まだまだ国民の中には正確には読んでいらっしゃらない方もあるのかな、したがって、「審議経過の概要」等を通じて国民の皆さん方に教育改革の問題についてさらにPRする必要もあるかなというふうな感想を持ったわけでございます。
#46
○佐藤(徳)委員 まとめといたしまして、大阪大学の先生をやられております麻生誠さんという方が論評を次のように実はしているわけであります。「権力が不変の場合、教育制度の大変革が実現された歴史はいまだかつてなく、また今日のような財政逼迫の下では、大変革のための思い切った投資がなされるはずがないというふうに国民の側が先読みをしているのかも知れない。」と言っているわけであります。そして、「国民は今日の教育に不満を抱き、教育の人間化を強く求めている。」と締めくくっているわけであります。まさに私はこの指摘が当たっているというふうに考えざるを得ません。臨教審の審議内容は、果たして教育現場やあるいは教師、児童生徒が求めているものは何か、非常にかけ離れた論議をしているのではないかと考えられるわけであります。
    〔白川委員長代理退席、船田委員長代理着席〕
あるいはまた、たびたびこの委員会の中でも論議がされましたけれども、教育の自由化や個性主義の問題、六年制中等学校、大学の共通一次試験の問題にいたしましても、国民意識と余りにもずれがあり、そして空回りしているのじゃないかという印象を国民の多くの人たちが持っているだろう、私はこのようにあの新聞を読みながら理解をしたところであります。
 さて、今日高等学校への進学率は、御承知のように年々高まっています。しかし、臨教審構想の六年制中等学校設置の問題についての論議は、合宿をされたときの激論と第一次答申をするため内容を投票で決めたと言われる二回しか討議をされていないと新聞も報道しているわけであります。六年制中等学校問題に対して臨教審自体が一体何回ぐらい討議をされましたのか、その事実を明らかにしていただきたいと思います。
#47
○齋藤(諦)政府委員 第三部会でこの問題を審議をする際に、どのようなものが学校関連で重要であるか、そういうことを十分審議をした上で六年制一貫教育に関するプロジェクトチームが行われまして、このプロジェクトチームが四回開かれております。そこでのいろいろな議論のいわゆるたたき台というものを土台にしながら、これは必ずしも六年制中等学校だけを第三部会が絶えずやっているわけではありませんので、正確に数えることは非常に難しいのでありますけれども、私の記憶では四、五回にわたり第三部会で六年制中等学校の問題を議論をした上でそれを「審議経過の概要(その2)」に提出され、総会の議論を経てから今日に至るまで、第一次答申にいろいろな意見を入れながらどのように考えていくか目下議論がなされているという状況でございます。
#48
○佐藤(徳)委員 わずか四回ないし五回ぐらいの論議でこの六年制中等学校問題を答申をするとすれば、私は非常に心配が重なるのではないかと考えているわけであります。新聞発表ですからその真意はわかりませんけれども、六年制中等学校問題について文部省もこれに受け皿をつくるような検討を始めたとさえ報道されているわけでありますが、この臨教審構想の六年制中等学校につきまして、文部省の受けとめ方とそれらの対応について一体どのように考えていらっしゃるのか、文部大臣の所見をお伺いいたします。
#49
○松永国務大臣 六年制中等学校の構想というのは、実は中央教育審議会が昭和四十六年に出した答申にも提案のなされておる問題なのでございます。すなわち「中等教育が中学校と高等学校とに分割されていることに伴う問題を解決するため、これらを一貫した学校として教育を行ない、幅広い資質と関心をもつ生徒の多様なコース別、能力別の教育を、教育指導によって円滑かつ効果的に行なうこと。」こういったことが新しい学校体系の開発という項の中で実は提起されておる問題でもあったわけであります。これは実は、御承知のとおり、中学生あるいは高校生というのは十二歳から十八歳になりましょうか、この六年間の、人間の発達段階で極めて変化の多い、そしてまた最も大きく成長する時期なのでございまして、この時期に十五歳のときに試験があるという問題もあるわけでありまして、そういうところから、三・三と区切ってあるのを一貫した学校体系、その道を開いてはどうかというふうな提案だというふうに私は理解をいたしております。この中等学校のあり方につきましては、既に私立の方では、これは厳密な意味の六年制ではありませんけれども、中間の試験を省略する形での中学校と高等学校というのが現に行われておるわけでありまして、それはそれなりに教育効果を上げておる面も実はあるというふうに私は認識しております。今度臨教審が「審議経過の概要(その2)」で提起しておりますことは、そうした事例にかんがみ、後期中等教育の関係で多様な学校コースを開ける道を開いてはどうかという提案だというふうに私ども受けとめておるわけでありますが、しかし、その具体的な事柄につきましては現在臨教審で最終的な詰めに入っている段階にありますので、正式の答申がなされたならば直ちにこれに対する対応を考えていかなければならぬというふうに思っているわけでございます。
#50
○佐藤(徳)委員 今大臣のお答えの中でも示されましたけれども、確かに中高一貫教育を私立学校でやっている学校が幾つかあります。いろいろ文部省自体も関心を持って受けとめているだろうと思いますが、これらの中高一貫教育を行っている私立学校の成果あるいは欠陥はどういうふうに把握をされておりますか。
#51
○高石政府委員 それぞれの私学は、建学の精神がありますので、入ってくる子供の態様がまた多様であるわけでございます。したがいまして、画一的な評価ないしは長短を申し上げることは非常に困難でございますが、一般的な長所と言われているのは、中高を通じてそこに受験という機会がない、したがって伸び伸びと教育ができるというのが一つと、それから、中学校、高等学校の教育内容につきまして系列的、体系的に教えることができるというようなこと、ないしは六カ年間の在学ということで、学校側の先生の掌握、これが十分行いやすいというようなことが一つの長所であるというふうに言われていると思います。短所は、そのまた逆で、受験がないから伸び伸び余り勉強しなくていくというような傾向があるというような短所が一方にありますし、六カ年間という長い期間で何となく節目節目がないからのんびり育ち過ぎるというようなことが短所と言われていると思います。
#52
○佐藤(徳)委員 文部省の見解として受けとめておきます。
 ごらんになっていると思いますけれども、今、朝日新聞に「教育改革 六年制中等学校って何?」という連載記事が掲載されています。きょうで八回出されているわけでありますが、私は非常に興味深くこの記事を読んでいるわけでありますが、特に兵庫県の灘中学校と高等学校、あるいは鹿児島の私立ラ・サール校、これは東大の合格率が非常に高いと言われている評判の学校のようであります。ここの責任者が次のように言っているのであります。「素質がそろってないと、六年間の一貫教育はムチャクチャになります」。あるいは「本気で中高一貫をやるには、ある程度粒のそろった生徒を集めることと同時に、カリキュラムを自分で作り、六年間生徒を責任持って教えていくことの出来る資質、能力、情熱という三拍子そろった教師を探さなければならない。こうした条件を抜きにして、公立で六年制の学校を作ろうたって、そう簡単にやれるもんじゃない」と、灘校の勝山という校長先生が実は談話を発表しているのですね。臨教審の六年制中等学校というのは、建前はどうあれ、結局はエリート進学校になってしまうのではないかという見方が強いというふうに新聞でも論評しているわけでありますけれども、今日四回ないし五回討議されたというその六年制中等学校の概要というのはどういうものなのか、ひとつ明らかにしていただきたいと思います。
#53
○齋藤(諦)政府委員 まず回数の件ですが、プロジェクトチームで五回行いました。そのほかに部会で四回ないし五回行っております。それからなお、先生から先ほどお話がありましたように、集中審議でも相当の時間をかけてこの問題がなされておりますことをちょっと御報告させていただきたいと思います。
 中身につきましては、六年制中等学校の特色は、先ほど文部省の方の考え方もございましたけれども、効率的、一貫的な教育を行うことができる、あるいは個々の生徒の個性、適性に応じて弾力的にカリキュラムを編成、運用する、あるいは適切な進路指導を目指して研究開発を進めることができる、あるいは才能開発に適する教育を推進することができる、こういう特色をうたっているわけでございます。そのほか教科外活動の充実とかいうこともうたっておるわけでございますけれども、反面、高等学校への節目が喪失して中だるみが生じるとか、あるいはこれは長所であり欠点になるわけでありますけれども、六学年ということで、こういう年齢の発達段階でこの年齢差というもので教育指導上あるいは生徒指導上の困難が生じるおそれがある、あるいはいろいろ外部でも言われておりますけれども、進路選択の決定の時期が早まるおそれがある、こういうことを指摘しているわけでございます。こういう留意点も考慮しながらこの制度というものは取り入れるか取り入れないか十分検討しなければならないという態度で、こういう道も開きたい、そういう方向を示しているわけでございます。
 中身としては、先生御案内かと思いますが、芸術とか体育とか外国語などそういう専門的な教育を一貫的に行う、そういうところに特色が出せるのではないか、あるいは各種の専門のコースを複合した教育がなし得るのではないか。先日の朝日新聞の欄にも、そういう複合コースがあって転科ができたためにまた非常に能力を伸ばすことができたというような報告もあったりいたしますけれども、同じようなことではないかと思いますが、専門のコースを複合した教育ということを考えております。あるいは普通教育と専門教育を統合した教育ということもあり得るのではないか、そういうことを言っております。それから、理数科などの教育、自然科学なり数学に興味を持ち、そういう学習に相応の能力を高める上で意義があるのではないか。そのほかに、六年制中等学校の設置の趣旨にふさわしい教育を行う学校ということでその他で入っておるわけでございます。
 なお、特に第五のコースとか理数科とか、世の中で言われておりますような進学競争の対象にもなる可能性があるわけでございまして、そういう意味では、十分入学者の選抜等に当たっては注意しなければならない。そういう留意すべき点にも配慮しながら、しかし、設置者においてもしそういう選択が可能であるならば、体育とか普通と専門とか理数科とか、こういうものについて、六年制の中等教育機関というものが一つの考え方として道を開くという考え方を出しているところでございます。
#54
○佐藤(徳)委員 時間がありませんから、この問題について深くこれ以上携わることができませんが、私の県の福島市の中学校の実態を調べてまいりました。そういたしますと、ことしの三月に卒業をした生徒数が三千七百八十七名であります。進学を希望した者が三千七百二十一名、したがいまして、就職を希望した者がわずか六十六名なんであります。これを割り出してみますと、九八・二六%が進学希望である。ほとんど入っていますね、いろいろな私立を含めまして。就職がわずか一・七%。しかも、この六十六名の生徒たちが卒業して就職したとしてもほとんどが夜間高校に通うというのが実態であります。先ほど高石局長が、中高一貫教育を私立学校で行っている長所として幾つか挙げられました。しかしこれは、単に私の県の子供たちだけではなくて、全国の子供達が、中学校から高等学校へ入学するときに受験がなかったら解放された気持ちになるだろうな、みんながそう思っていると思うのです。だから、そこに、先ほどの長所でありました伸び伸びとした教育ができるとか、体系的、系列的な教育ができるとかという事例を挙げられましたけれども、今日子供たちがなぜ一体こういう苦しみを受けなければならないのか。私は、これはまさに政治の責任であり、大人の責任だと考えざるを得ません。そして、三千七百二十一名の生徒たちが受験をしたわけでありますけれども、この中には自分が行きたい学校にも行けない生徒が何人かいたはずであります。臨教審の「審議経過の概要」の中でさえも次のように触れています。「同一年齢層の九四%の者が高等学校へ進学していること等に伴い、高等学校の在籍者は、進学目的、学習意欲、学力などの点において極めて多様に分布し、また、この中には本来の志望とは異なった不本意進学者も含まれている。」と指摘をしているわけであります。不本意な進学とは一体何か。これは生徒たちを偏差値によって輪切りにしていることがそのような結果を生んでいるのではないでしょうか。例えば岐阜市の例があります。この岐阜市では、県下の公立高校入試の出願変更最終日に、岐阜市のPTA連合会が志願者調整のため情報として、中学校で待機している親と生徒に高校別の出願状況を伝えているという実態があります。岐阜地区にある二十五の高校と二十六の中学校にそれぞれ二人ずつ張りつき、残りは岐阜市にあります中央公民館に設けた志願者調整センターで連絡に当たり、高校、センター、中学のルートで午前九時半から午後四時まで十一回出願情報を流して調整をしているというのが実態であります。あるいはまた、大阪においては、大阪府教育委員会がこれに一役を買いまして、同じようなことを実はやっているわけであります。まさに、不合格者を出さないための一つの作戦と言えると弁解をしているようでありますけれども、先ほど私の県の例を挙げましたように、ほとんどの生徒たちが高校へ希望し進学している。こういう状態を私は一日も早く解決をしてやらなければいけない、こういうふうに思っているわけでありますが、文部大臣の所見をお伺いいたします。
#55
○松永国務大臣 今先生のおっしゃったようなことでありますので、中等教育なかんずく後期中等教育については、いろいろな学校体系が開発されてよろしいのではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。
 先ほどの六年制中等学校の話の続きをちょっと申し上げますが、実は埼玉県には十二年制学校もあるのです。小学校、中学校、高等学校、十二年間学校に行くという私立の学校もあります。実は私は、この学校は大変ユニークな学校だと思っておるわけでありまして、自分の子供もそこに通わせました。先ほど朝日新聞に出た六年制中等学校の例は、主として灘とかラ・サールとかという男子だけのいわゆるエリート校と言われる例のようでありますが、そういう六年制中等学校のほかに、心豊かなそういう人間形成という視点を重視した六年制中等学校や十二年制学校も実はあるわけでして、その学校に私は自分の子供を通わせたのは、どちらかというと、おっとりした心豊かな人間に育ってもらいたいという私の、親の気持ちでそこに通わせたわけでありますけれども、私はよかったと思っております。その学校は、私のように保守系の人だけではなくして、革新系の立派な政治家の子供もそこに行っておりまして、非常にいい学校だと評価をいたしておりました。
 さようなわけで、現在の我が国の初等中等教育、六・三・三というふうに定型化されておるわけでありますけれども、それ以外の学校体系もあってもよろしい、そういう道が開かれてしかるべきではないかというのが、その一つの考え方として、六年制中等学校の提言が「審議経過の概要(その2)」で出ているのではなかろうかなというふうに思うわけでありまして、要は、その子供の適性、その時点における能力、あるいはその子供の個性、それから希望、それから進路、こういったものをよく見分けをして、それに適した学校に行けるようなそういう学校体系にすることが、いわゆるその子供を本当に伸ばしていくための学校体系のあり方ではなかろうかというふうに私は考えておるわけであります。
#56
○佐藤(徳)委員 県や地域によってそれぞれ条件がありますから違うかもしれませんけれども、しかし、少なくとも一〇〇%にやや近いほどの進学率に高まってきているというのは全国的な傾向だと思います。だから、いわば高等学校がもう既に準義務化しているような状況になっていることも間違いありません。だが、幾つか私が先ほどから申し上げておりますように、その最大の原因は、私はやはり偏差値だ、偏差値教育にあるということを指摘をしたいわけであります。
 例えば朝日の連載、先ほど紹介申し上げました、きょうの新聞であります。教育の自由化が大分議論をされたようでありますけれども、実態は、この新聞に次のことが掲載されているわけであります。「有名中学受験生を対象とした、徹夜特訓である。四時間ぶっ続けの授業のあとテスト、問題の解説、まとめと朝六時まで続く。終わるころにはもうろうとする子がいる。」まさに気違いざたではありませんか。徹夜をしてこういう特訓をしなければならない原因はどこにあるのか。多くを語るまでもなく明快であります。明らかにこれは偏差値教育がもたらした弊害と私は言わざるを得ません。
 恐らく、臨教審の公聴会が一番最初開かれたのは福岡であります。そしてその次が私の県の福島であります。そのときに、福島女子高校の生徒が、わずかな時間でありましたけれども意見を述べられました。まさに生徒の気持ちを社会に投げかけているわけであります。次のようなことを言っているのです。「大学区制は、遠い高校へ無理な通学を生み、中学時代の偏差値による選別を作り出しているのではないか。」「どうして人生の大事な時期に、自分の意志でなく、偏差値で進路が決められてしまうのでしょう。友だちの中には、「普通科はダメだから、商業科に行きなさい」「商業科はダメだから、農業科に行きなさい」、偏差値で希望を変えられてしまった人がたくさんいます。その人たちがいまどんな思いで勉強しているのかを考えると、つらい思いです」「偏差値は数のお化けです」「いま中学校全体にこのお化けがはびこっていて、学ぶ楽しさは失われている」「この偏差値偏重を改めるには、学区制を小さくすれば無理して遠い高校に通うこともなく、偏差値の比重が軽くなるのではないか」と意見を出しているのです。まさに子供の気持ちをそのまま出しているんじゃないでしょうか。
 このたった一人の子供の意見であっても、それは単に一人の子供の意見ではない。ほとんどの子供たちがみんなこう思っている。私も教育現場の経験を持っていますから、子供たちの気持ちが痛いほど実はわかるわけであります。まさに、今日の偏差値教育が生んだ教育の荒廃と言わなければなりません。大臣、偏差値教育についてどのようにお考えですか。
#57
○松永国務大臣 今先生のおっしゃったような考え方を持つ高校生もいるでしょう。いろいろ意見は分かれると思いますが、学校教育で積極的に勉強して自分の学問の力を伸ばしたいという子供もいるでしょう。あるいはもっとのんびりした中学、高校時代を送りたいという、そういう子供もいるでしょう。子供の物の考え方あるいは将来の自分の生き方、多種多様だと思います。
 ただ、問題としては、今先生御指摘のように、中学校から高等学校へ自動的に行けるということは、ある意味では六年制中等学校みたいな話になってくるわけでありまして、そういう部類の学校もあってもいいでしょう。しかし、自分としてはこういう学校に行きたいということで希望を決めて、その学校に向けて努力をして、その学校に入るというふうな形もあっていいでしょう。こういうことで多種多様であることが望ましいのではなかろうか、私はこういうふうに思います。
 なお、入学試験等の場合に、偏差値偏重型の選抜のあり方は、これは知・徳・体のバランスのとれた人間形成というのが学校教育の目標なんでありますから、そういう観点からいって、偏差値偏重というのは甚だ遺憾なことであるというふうに思うわけでありまして、そういうことで、そういった問題の解決のために、先生既に御承知のとおり、各都道府県の教育委員会に文部省としては通知を出しまして、偏差値偏重にならないような入学者選抜の仕組みを検討して、それを実施するようにということで通知を出しておるわけでありまして、そういうことでこの問題の解決を図っていただきたいというふうに考えておるわけであります。
#58
○佐藤(徳)委員 その他たくさんの問題を用意してきたわけでありますが、あと残余の時間は、関連いたしまして同僚議員が行いますので、時間をそこに移行いたしますので、私の質問はこれで終わります。ありがとうございました。
#59
○船田委員長代理 渡辺嘉藏君。
#60
○渡辺(嘉)委員 あたら青春を公教育の場における体罰によりみずからの命を絶った竹内恵美さん、多くの春秋を残して教師の体罰で命を奪われた高橋利尚君、天上より声なき声でその無念さとやるせなさを叫ばれよ。そして、二度とかかる悲劇の起きないよう、本質を明らかにして改革の一助とするために、私は二人の霊に哀悼の意を込めてここに質問をいたします。
 岐阜県において、本年に入り三月二十三日、五月九日と連続して体罰に起因した事故が起きました。両件については同僚の山下議員が既に詳細に質問をされましたが、その後どのような調査と対応を文部省はせられたか、また、岐阜県教委よりは本件についての報告はどのようにあり、それに対する文部省の見解等を簡単にポイントのみ御説明をいただきたいと思います。
#61
○高石政府委員 岐阜の教育委員会を通じまして、二つの事件についての報告をいただいたわけでございます。
 今お話のありましたように、まず一つは、中津商業高等学校の事件でございますが、これにつきましては、山内教諭の指導のもとに陸上部の部員であった竹内さんが、非常に熱心な指導をこの先生は行っていたようでございまして、去年の秋ごろからいろいろな指導が行われまして、そして自殺をされた前日は、具体的な体罰行為というのではなくして、長時間にわたりまして今後の指導を与えるというようなことが行われ、そしてその翌朝亡くなるというような状況でございます。
 これを受けまして、県の教育委員会は直ちに、この体罰による不幸な事件が二度と起きないようにということで、教育長の通達を四月十八日付で発しまして、市町村教育委員会、教育事務所、県立高校、市町村立小中学校等に対して通知を発しまして、指導の徹底を図ったわけでございます。
 ところが、その直後、五月九日に岐陽高校において、また不幸な御指摘のような事件が発生をしたわけでございます。これも既に新聞等で報じられておりますように、三人の先生から注意を受けていたわけでございますが、そのうちに雨森教諭は高橋君の頭を殴り腹をけり上げる等の行為を行いまして、ついに死に至らしめるというような大変残念な不幸な事件が再度発生したのでございます。
 したがいまして、そういう事件の内容についての報告をいただくとともに、県の教育委員会のこれについての的確な対応ということで、県の教育委員会に対して、対応の状況報告、その後どういうふうな対応をしたかを求めてまいったわけでございますが、県の教育委員会は小中高の校長会並びに教頭会等を招集して、この指導の徹底を図るという行為を行うとともに、一方においては、小中高等学校の校長会で、この体罰問題についての二度と発生しないような特別委員会を設けまして、そしてこの調査研究に乗り出す、そして近くは臨時の校長会を招集して、再度その指導の徹底を図る、こういうような対応をとっているわけでございます。
 以上、簡単でございますが、現時点までに報告を受けている内容の概況でございます。
#62
○渡辺(嘉)委員 今答弁いただきましたが、中津商の件につきましては、前にも山下議員からも追及がありまして、それで私は、特に岐陽高校の高橋利尚君の件に集中して質問いたしたいと思います。
 今文部省の御説明によりますと、いろいろ不審な点を感じたのです。要約いたしますると、三人の先生等によって注意をし、その結果雨森教諭が云々と、こう説明されたわけですが、私ども文部省にいただいた文書によりますると、「藤木教諭と雨森教諭は、午前七時すぎ両教諭の部屋に高橋君と他にアイバー等の持参が発見されたA君、B子の三名を呼び正座させて注意を与えた。 藤木教諭は、三名の頭を平手でたたいて注意したあと」中座をして、「藤木教諭が部屋にもどると、雨森教諭は、高橋君の頭を殴り肩あたりを蹴り上げ、布団に倒れた高橋君が起き上がろうとしたところを更に横腹あたりを蹴り上げるなどの暴行を働いた。この間、藤木教諭は呆然として、これを見ていた」、こういうことでございますが、ここで問題は、なぜ雨森教諭が突然高橋君に暴行を加えたかということでございます。藤木数論はどうして茫然とこれを見ていたのか、なぜとめなかったのか。なぜなれば、体罰は厳禁をされておることはもう言うまでもない。ましてや三月には不幸な事件が起きておる、その後を受けての県教委の通達も出ておる。そういう後であるだけに、教育現場でこのような暴力行為、暴行が発生しておるとすれば直ちにとめに入るのが当然である。ところが、このように不自然に殴らせておるということはどういうふうにお考えですか。
#63
○高石政府委員 県の教育委員会に対して事件の報告は随時敏速にやってほしいということで、その都度その状況の報告を受けるわけでございます。したがいまして、その間の調査の進行状況で完全でないものが文部省に上がってくる場合があります。その県の教育委員会の報告をもとにして国会に対して報告するという場合もあるわけでございます。
 一番最後に、一応事件の概況としてまとめ上げられた内容といたしましては、ではもう少し詳細に申し上げますと、「藤木教諭は、三名の頭を平手でたたいて注意したあと、出発のための点呼時間がせまったので、集合場所の大杉教諭に状況を伝えに退室した。(十分間くらい) 大杉教諭から、ただちに生徒を集合させるよう指示された藤木教諭が部屋にもどると、雨森教諭は、高橋君の頭を殴り肩あたりを蹴り上げ、布団に倒れた高橋君が起き上がろうとしたところを更に横腹あたりを蹴り上げるなどの暴行を働いた。この間、藤木教諭は呆然として、これを見ていたようである。 高橋君が倒れて、グッタリしてしまったのを見て、藤木教諭はあわてて大杉教諭に知らせ、大杉教諭らが高橋君の体のマッサージや人工呼吸をするとともに、救急車の手配をたのんだ。」こういうような状況の報告を受けているわけでございます。
 したがいまして、本人がまだ勾留中でございまして、本人の具体的な内容について県教育委員会も調査することができないでいるという状況でございますし、今のところ、そういう概況のところの説明を受けての報告ということになろうかと思います。
#64
○渡辺(嘉)委員 時間が貴重ですから、恐縮ですが、重複は避けていただきたいと思います。私が聞いたのはそういう羅列じゃないのです。こんなことはもうさっき聞いたのです。そのときに、雨森教諭がそういう暴行をやっておるのに藤木同僚教諭はなぜとめないのか、すぐとめればそういう死亡事故は起きなかったんだ、これを私は聞いておるのです。
 そこで、時間がありませんからすぐ次へ行きますので、この点は後で一緒に答弁をいただきますが、私の調査いたしましたところによると、これは大分違うのです。ここに同席していましたところの生徒の言葉を私は全部記録してみたのです。この生徒は藤木数論に呼ばれて先生の部屋に入った、朝食後で七時半ごろです。この子が部屋に入ったとき、もう高橋君は殴られた後らしく部屋の隅でぐったりと正座をしていた。藤木教諭はその隣に座れと指示した。そして、座るが早いか藤木教諭はこの生徒の頭を五、六発げんこつでばんばんと殴った。だから、それが耳に入ってしまってぼうんとしてしまった。後でそのお父さんが修学旅行から帰ってきたその生徒の耳の後ろを調べたらこんなこぶができていたというのです。紫色にはれておるというのです。そして、そこにいました雨森教諭が今度はもう一人の生徒を呼びに行ったのです。そして、もう一人の生徒と一緒になって三人そろったところで、今度は藤木教諭か平手でたたいてげんこつで殴り、そして先生同士が話し合い、雨森教諭はおれは手を出さない、こう言っておるのです。そして、藤木教諭はその間、十分じゃないのです、若干の時間、数分中座をしたらしいのです。その間に雨森教諭と後から入ってきた生徒とのやりとりがあったのです。そこで生徒がちょっと反抗的に出たらしく、雨森教諭はもう一人のその生徒を足けりにしていたのです。そこへ藤木教諭は帰ってきたのです。だから、高橋君を殴っておるところへ帰ってきたんじゃないのです。もう一人の生徒を足けりにしておるところへ帰ってきたのです。そして足げりが終わり、それから藤木、雨森両教諭は話し合いをしておる。その間高橋君ともう一人の生徒は、口ごたえをするとああいうことになるから怖いからせずにおきましょうと目配りをし合ったというのです。そして、そういうせっかんが終わった、体罰が終わったと見た藤木が、今度はその生徒に向かってかばんをとってこいと言って退席をさせた。二人はほっとしてこれで帰してもらえると思った。本人たちは怖くて上を向いておれなかった、だから二人の話はよくわからなかったけれども。そうしたら、突然今度は雨森教諭がその生徒の前を通って高橋君に近づき足げりをした。何回足げりしたかよくわからない。その場で高橋君は壁にぶつかってばったり倒れた。高橋君はそれでも起き上がって正座し直そうとした。その正座し直そうとする高橋君に今度は体ごと足げりでぶつかっていった。高橋君はぎゃあっと叫んでうつ伏せになり数秒か数十秒か泣いていた。そして、ばったりと泣きやんで動かなくなった。
 非常に重要なところが食い違っておるのです。この点教育委員会からそれぞれ詳細に報告を受けたとおっしゃっておるのですが、今私が申し上げたその同席しておった生徒の話、それからお父さんの話等から考えると大分違うのです。その点はどうしてこう違うのですか。
#65
○高石政府委員 その事細かなやりとり、いきさつ、こういう問題については、当事者である本人が勾留中でございますし、本人の供述、調べ、そういうことを的確にし、また周囲の状況も全部詳細に調べた上で、最終的な県の教育委員会の報告というものができ上がってくると思います。したがいまして、県の教育委員会としては今の段階で非常に概括的な事件の流れを報告しているということでございまして、だれがこう言った、こうしたといういわば刑事事件の真実を明らかにするような事件の内容をこの段階で報告はできないというふうに県の教育委員会は思っていると思いますし、その流れだけを報告してきていると思っております。
#66
○渡辺(嘉)委員 答弁漏れがある。
#67
○高石政府委員 常識でございますれば唖然として見ているということは普通あり得ないと思います。それがどういう心境であったか、これまた本人の心理状況を聞かなければわかりませんので、そこまでの内容は掌握しておりません。
#68
○渡辺(嘉)委員 今の答弁を聞いておりますと、非常に紋切り型で、それで果たしてこういう体罰によって死に至らしめた教育の責任者として真剣にこれをとらえておるのか、こう疑わざるを得ないんです。
 ここに写真がありますから、これをちょっと文部大臣に見せてください。この写真に詰め襟をきちっと着て写っておるのが、前の目に写した高橋君の姿です。今私が答弁を聞きまして非常に不愉快に思ったのは、県教委が既に私どもに渡した十日も前の報告書と今の文部省の報告とは大分遣うんです。県教委の報告はもっと詳細になってきておるんです。文部省にそれがないはずはない。ないとするならばどちらかの手抜かり。あれだけ十分対応しますと山下議員に答弁しておきながら、いまだにそんな程度の報告を受けていらっしゃるとすれば、私は職務怠慢だと思うのです。なぜかというと、今文部大臣にお見せしたその高橋君の写真、これをごらんいただいて、本当にいい青年、若い少年だと思うんです。これが棺おけに入れられてお父さん、お母さんのところへ来たときには、右手で殴ったんですから左のほお、耳の後ろ、頭、紫色でイチジクのようになっておったというんです。前にはここにも内出血の斑点が方々にあった、歯は一本折れていた、そして腕の包帯があったのでおかしいと思って腕の包帯を取ってみたら、左腕の内側が内出血をし、手が後ろにねじ曲がっていた、余りのひどさに校長を呼んでこれを見てくれと言うたら、校長は最初来なかったそうですが、呼びに行ったら来て、余りにひどいと校長も絶句したというんです。
 こういうことから、この同じクラスの生徒がこれについてこのように述べておるんです。その朝出発するときにバスの中で、ある生徒が貧血で倒れたので救急車で運んだ、こういう簡単な説明がおった。午前中の行動を済まして帰ってきた。そこで学年主任の先生から、ここで悲しい知らせがある、六組の高橋君が亡くなった、死因はと言いながら次に言葉を変えて、原因は心臓によるショック死だと説明があった、みんなびっくりした。そして、大部分の生徒がおまえらが殴ったんやろうと泣くように叫んだというんです。しかしその声は無視されて、そのままバスに乗せられて次の宿舎に直行したそうでございます。
 こういう事実から考えて、文部省はもっと具体的な事実を調べる必要があるのじゃないか。調べると言うと語弊があるかもしれぬが、事情を聞くべきじゃなかろうか。今聞いた程度のことで大分事実が違うんです。この事実の違いは私は刑事事件の問題で言うんじゃないんです。どのように教育現場で行われていたのか、これが果たしてどういうふうに各教育現場においてなされていたのか、こういう観点からきちっと真相を把握しておかないと対応を誤るから私は言うのです。文部省はこの前も、慎重に十分対応を考えます、こう言っていらっしゃったんだから、真相が明らかでないと対応が手抜かりが起きるからあえて聞くのです。もう一遍……。
#69
○高石政府委員 事実を明らかにすることは必要であると思います。ただ、現在本人が勾留されている、しかも刑事事件として取り扱われているということから、そういう関係での事実関係の究明というのが急がれていると思います。したがいまして、県の教育委員会としてそういう事件の全容、概容、そういうものを完全に調査できる状況になれば、その内容の調査を当然していただくつもりでございます。したがいまして、それを受けて、我々としては、今後こういうような事件が二度と発生しないように対応していかなければならないと思っております。
#70
○渡辺(嘉)委員 高橋君の死ということは雨森教諭、これだけが突出して起きた事故がどうかということです。
 ここに、同じ岐陽高校の多くのクラスメートの方から私は話を聞いた。昨年、ある違反をした生徒は、ある先生に呼ばれた。そして、平手で七、八回ばんばんとたたかれた。そして生徒指導室へ呼ばれた。そこでまた新しい先生から竹のむちで七回以上肩と首をたたかれた。そうして、ちょうど違反して呼ばれたのが四、五人いたらしいもので、四、五人に対して五、六人の先生がかわるがわる入ってきて、竹のむちとこぶしでたたいて輪番でやった。ある生徒は、先生に声をかけられたが無視したと言われて、生徒指導室に呼ばれて正座をさせられて殴られた。これは一年生のとき、昨年です。十回ぐらい平手で殴られた。頭がぼおっとしてしまった。雨の日にかっぱが要らないと思って持ってこなかった。そうしたら、先生が傘を持ってきた者は自首せよと言った。だから、私は傘を持ってきましたと言ったら、竹のむちで頭を二回、背中を一回思い切りたたかれて、背中に傷がつきました。これは昨年の秋のことです。遅刻をした生徒に対しては、出入口を狭めてしまった。一人しか通れぬようにしておいて、そして人づてくる生徒を一人一人先生が門のところで竹のむちで背中、首をたたいた。雨森先生はことし四月から岐陽高校に担任として来られた。英語の担当だった。四月からだからよくわからないが、手を出さない、殴らないのでいい先生だと思っていた。ある生徒が窓から外を見ていたら、門のところで先生がある生徒を殴っていた。かばんの中に入っていた本を校庭にばらまいた。生徒は泣く泣くその本を拾っていた。そして、その殴られた跡を教室に来てから首と肩が痛い痛いと言っていた。今申し上げた件はことしの四月。同じくことしの二月の出来事としては、雨が降っていた。教室から外を見ていた。そうしたら先生がある生徒を、相変わらずかっぱと傘の問題ですが、調べていた。そして、その生徒を竹刀で肩を大変な勢いでたたいていた。びっくりした。自転車を押し倒そうとしていた。またその上にたたいた。ここにそのたたかれた生徒の診断書があります。「診療証明書」、この生徒は高橋利尚君なんです。「傷病名 左肩部、腰部捻挫」「昭和六十年二月十九日より三月五日まで六回治療す」、こう書いてあるのです。この先生に聞くと、一カ月はかかるんだけれども、この子は六回来ただけで、三月五日からは来なかった、こう言うのです。
 こういう事実を今申し上げたわけですが、これは学校教育法第十一条あるいはまた施行規則十三条によるあの懲戒と体罰禁止を規定した法律があるわけですが、これに対して今申し上げた具体的な事実は、これは体罰なのか、懲戒権の範囲なのか、あるいはまたこれは学校ぐるみで行われておるのですが、この点についてどうお考えですか。
#71
○高石政府委員 学校教育法第十一条では、「校長及び教員は、教育上必要があると認めるときは、監督庁の定めるところにより、学生、生徒及び児童に懲戒を加えることができる。ただし、体罰を加えることはできない。」明らかに体罰は禁止しているわけでございます。したがいまして、その具体的な体罰に当たるかどうかという内容は、個々の事例によって判断をせざるを得ないわけでございます。
 今御指摘のありました具体的内容は、今突然の御質問について、私がその行為が体罰に当たる、当たらないということを、国会の場で私が事実関係を確認しないで申し上げることは非常に軽率になりますので、具体的なお答えはいたしかねますけれども、一般的にやはり暴力行為を伴う体罰は厳に禁止されている行為でございます。
#72
○渡辺(嘉)委員 今申し上げましたそういう事実、これに対して、しからば今度はそういうことが行われておるのに校長はどう対応をしたか、教頭はどうしていたか、ここなんですけれども、生徒指導のそれぞれの先生その他が竹刀、竹の棒でたたく、げんこつで殴る、平手でたたく、これに対して校長は十分な注意をしていない。教頭はたたいているところは見たけれども、軽い程度だと思っていた。今私が申し上げましたいろいろな先生は、昭和五十五年の四月、五十六年あるいはまた五十七年等からここに赴任しておられる先生方です。そして、この学校のある先生は、ある集会で岐陽の教育現場での体罰の横行について説明をされました。そして、私も体罰をやりました、反省いたしております。しかし、岐陽高校ではこれはそういう風潮の中で日常的になっていた。だから、ここにその生徒の声があるのです。
 私は岐陽高校に入学してからずっと不満があります。先生が暴力を振るうからなんです。竹刀で殴られている女の先輩を見たりしました。中略。竹の棒や教科書で頭をたたかれもしました。そして、先生は暴力でしか生徒を押えることができないだろうかと思っていました。だから、この事件を知った時、特別驚かなかった。やっぱりと思ったし、悲しかった。中略。でも私たちは雨森先生を責めるつもりはない。こういう事件が起きたからといって、特に先生にむちゃくちゃを言うつもりもない。一つだけ言わせてもらえば、暴力は一切やめてほしい。先生は生徒にとって怖い存在であってほしいけれども、暴力を振るう怖い存在になってほしくない。これが生徒の声です。今私がるると申し述べました。
 そこで、文部大臣、大臣は法律にも教育にも明るく立派な識見を持った方だと私も日ごろ尊敬をいたしております。私は今ずっと本件を申し上げました。これに当たりまして、今私が申し上げた雨森教諭、そして事件直接のその場にいた藤木教諭、それから学校の中で起きたこれだけの数多くの体罰事件、そして診断書までとったこの事件、そして今生徒の声、あるいはまた現在岐陽高校の現職の先生の話、これらをお聞きになって、これが学校教育法に言う懲戒権の範囲であると思われますか、それともこれは体罰であると思われますか。と同時に、この体罰と暴行との関係等についてもこれは関連をしてくるわけですが、この点について、今局長が唱えた程度のそういうあいまいな答弁でなくて、あるいはまた上滑りなことでなくて、今申し上げたのは私はうそではない、自信を持って申し上げましたから、事実であったとするならばどう判断をされまするか、御意見と御所見とこれの対応を承りたい。
#73
○松永国務大臣 私は、法律や教育についての深い見識を持っておるというふうに自負しておりませんけれども、微力ながら全力を挙げて自分の課せられた職務を遂行中というところでございます。
 そういう立場で先生の御質問に対して誠心誠意お答えするつもりでございますが、学校教育法におきましては、教育上必要があるときは、児童生徒に対して懲戒を加えることができる、こうされておるわけであります。
 その懲戒には二つの種類があると思うのでありまして、通常、注意したりしかったりする、そういった日常の教育活動の一環として行われる懲戒と、それからまた処分としての懲戒があるわけでありますけれども、いずれの場合でも体罰を加えることは禁止されておるというふうに私は理解をいたしております。
 なぜそうなのかといえば、体罰も一種の暴力でありますから、暴力を振るうということは教師と生徒との間の信頼関係が損なわれる。どうしても感情的になったりいたしまして、そうすると生徒の側も反抗心を持つ。そこには教師と生徒との間のあるべき信頼関係というものは破壊され、なくなってしまうわけでありますから、そこで、いわゆる体罰を加えることは禁止されておるというふうに思うわけであります。
 そういうことで、従来から文部省としては体罰の根絶について指導通知を出すなどいたしまして指導いたし、体罰の根絶のための努力をしてきたところでございます。
    〔船田委員長代理退席、委員長着席〕
 なお、岐陽高校の事件でございますけれども、先ほど先生から詳細な話がありましたが、私どもの方で把握している範囲におきましては、まず、亡くなられた高橋君らが学校で決められた事項について違反をいたしまして、ヘアドライヤーなるものを使っておるということが発見されたので、そこで注意をした。そのときの注意の仕方につきましても、平手でたたいたということがあるようでありまして、これは体罰に該当しはせぬか、こう思うわけでありますが、あってはならぬことでありますけれども、普通ならばそこで終わりなんですね。ところが、本件の場合は、その後雨森教諭がけ飛ばしたりなどしたということがあるわけでありまして、それが死に対する直接の原因になった。すなわち死に対する相当因果関係のある暴力行為がそこにあったということで、警察の方では雨森教諭を逮捕し、検察庁の方でも調べまして、そして送検され起訴されたという事実関係のようでありまして、それを超える詳細な分野につきましては、これは直接の行為者である雨森さんは勾留されておるという状況でありますから、そこで詳細なことは正確には調べることによしない状況なんでありまして、その方面の捜査書類等さらにまた裁判の経過等も見まして初めて本当の意味の真相がわかるわけでありますが、現在のところ、さようなわけで、雨森教諭の暴力行為によってお気の毒に高橋君が死亡したという関係なんでありまして、こういったことは絶対あってはならぬことだというふうに思います。
 私は、決して体罰を加えた教諭その他につきまして大目に見るような気持ちは全くございませんが、しかし、その背景にはやはり日ごろからその学校が荒れているのじゃなかろうかという推測をいたします。何も急にその場に限って、雨森氏も別に普通の人間でありましょうから、いろいろな荒れているような状況、そういう特殊な状況が背景としてあって、それからこれほどのことになったのじゃなかろうかというふうに推測するわけでありますが、そこらの背後関係も、これまたやはり事が刑事事件として裁判にかかっておるわけでありますから、そういったことの経過を見ながらでなければ正確なことは評価できませんが、問題はやはり、学校というものが荒れておるところからいろいろな不祥事件が起こる、学校の荒れている状態、これを速やかに解決をして、そして正常な教育活動、正常な教育活動は常に教師と生徒との間の信頼関係、それが前提になければならぬわけでありまして、そういう状況がつくり出されることが基本的には大事なことだ。もちろん、繰り返し言いますけれども、体罰は許されてはならぬ。したがいまして、体罰の根絶に向けて私どもは努力をしていく所存でございます。
#74
○渡辺(嘉)委員 真摯な御答弁をいただいたのですが、重大な誤りがあるということを申し上げたい。なぜかというと、私は何回も言うように、もっと真実を文部省調べなければいかぬですよというのはこれなんです。
 荒れていた学校かどうかということなんです。ここにまた、ほかの生徒の作文があります。「詳しいことを知りもしないクセに」マスコミの方、気を憩うせんと、「新聞がヒドク書き、ウソが書いてあったし、「岐陽の生徒は能力が低い」とか書かれた時はクヤシイとも思った。」と生徒は作文に書いたのです。
 私はこれを読むつもりはなかったのですけれども、大臣、荒れておるのじゃないのですよ。ここは普通の正常な高校なんです。私のすぐそばなんです。私がよく知っておるのです。これらの人々は私の近所の人ばかりなんです。この学校へ行っておる生徒、父兄も荒れていない。しかるにこのような暴行が平然と行われておる。だから、事実を調べなさいと言ったのです。そして、もっときちっとした真実をつかまえておらぬから今のようなこういう御答弁が出る。
 この際、ちょっと法務省に聞いておきますが、時間がありませんので後でまた答弁いただきますが、懲戒権と体罰、体罰と暴行、暴行と傷害との関係ですが、有形力の行使でも体罰までに至らない範囲内として東京高裁の判決が出ました。しかし、東京高裁のこの判決の場合でも、「教師は必要に応じ生徒に対し一定の限度内で有形力を行使することも許されてよい場合があることを認める」と前提しながら「学校教育法の禁止する体罰とは要するに、懲戒権の行使として相当と認められる範囲を越えて有形力を行使して生徒の身体を侵害し、あるいは生徒に対して肉体的苦痛を与えることをいうものと解すべきであって、有形力の内容程度が体罰の範ちゅうに入るまでに至った場合、それが法的に許されないことはいうまでもない」、そして、「その有形力の行使にあっていたずらに個人的感情に走らないようその抑制に配慮を巡らし、かつ、その行動の態様自体も教育的活動としての節度を失わず、また、行為の程度もいわば身体的説諭・訓戒・叱責として、口頭によるそれと同一視してよい程度の軽微な身体的侵害にとどまっているもの」であること、こう述べておるのです。こういうようにありまするが、法務省どうです、その見解について、異存ありませんか。
#75
○米澤説明員 お答えいたします。
 先生が今御指摘の判例がございますことは、私どもも承知しておるところでございます。その中で、今先生おっしゃいましたように、有形力の行使すべてが体罰に当たるとは言いませんで、いろいろな角度から見まして、懲戒権の行使を踰越したものである、そういうものであれば、それは刑法の犯罪を成立させるような体罰だという趣旨の判例が出ております。ただ、具体的な事例におきまして、どういった不法な有形力の行使が体罰つまり刑法上の罪を成立させるような暴行とか傷害に当たるかどうかにつきましては、先生御承知のように、その行われました時点における雰囲気とか、あるいは事象の起こり方あるいは動機、それから有形力の行使の程度、内容等加味しませんと、判断がつきませんので、一般的にはどの程度いけばどうかということは、ちょっと抽象的にはお答えいたしかねるというのが実情でございます。
#76
○渡辺(嘉)委員 もう一つ聞きますが、傷害致死について、戸塚ヨットスクールのこの判決を読んでみますると、傷害による致死は、 「暴行罪の結果的加重犯であるから、共謀は、暴行について存すれば足り、傷害及び致死の結果についてまで共謀があることを必要としない」、これは当然のことなのですが、これについて、今度は雨森教諭だけ起訴しておられる。いろいろな全体的な背景から考えますると、もう一人の藤木教諭が不起訴処分になっておる。私はこれをどうとかこうとか言わないです。言うのじゃないのですが、この全体的な流れの中から、雨森教諭だけが突出しておるというような印象を与えるような危険があるのです、これによって。この点については、どうお考えになりますか。
#77
○米澤説明員 お答えいたします。
 先生御承知のように、捜査密行の原則とか、いろいろ刑訴法上の縛りがございますので、具体的に不起訴になられたもう一人の先生について、どういう事情から不起訴になったか、雨森教諭との関係がどうであるかということ、ちょっと私ども具体的にはお答えできませんけれども、一般論といたしましては、検察当局におきましても、そういった事情、要するに比較考量ということをしてあのような処分をしたと考えております。つまり、不起訴処分をしたということでございます。
#78
○渡辺(嘉)委員 重ねて文部大臣に聞きますが、高橋利尚君は、他の生徒が持ってきたドライヤーを使っていただけで死のせっかんを受けるということまでいっちゃったのですね。もちろん予想しない出来事なのです。これは今あると申し上げましたように、体罰を容認する作風がこの学校の中に、そしてこの岐陽高校の先生の謹言によりますと、私の前任校、二つの名前を挙げられました、前任校でもこれと同じようでございます、岐陽高校だけ突出した体罰ではありませんと、はっきり私におっしゃった。そうすると、これはかなりのこういう体罰の作風があるということを否定するわけにいかないのであります。父母の方々に聞いてみますると、前の校長は自分からやったらしい。後から来た人は見て見ぬふりをしてそれに巻き込まれていく。そして三言目には、子供になめられるなど、新しく赴任する先生にそういう注意があった。
 こういうことから考えますると、今私が申し上げました事実について、大臣は、荒れていたからじゃないか。そうじゃないのです。絶対にそうじゃないということと、それから、真実の把握が誤っておるから、今のように、荒れておったで多少はやむを得ない、突出したのじゃないか、こういうようなことに私は今承ったのですが、そうでないということを申し上げ、どうかひとつ文部省も実態をきちっと調査いただきたい。そして、大臣もこれに対して的確に対処していただきたい。これの答弁をいただくとともに、いま一つ文教委員長にお願いをいたしますが、文教委員会としても、この実態から、文教委員会の現地調査をぜひお願いを申し上げたい。
 以上の二点について、最後の質問をいたします。
#79
○松永国務大臣 私といたしましては、この事件につきましては、的確な事実関係の把握に努めてまいりたい、こういうふうに考えておりますが、御承知のとおり、私どもは、地教行法の規定に基づきまして行政を行っていく立場でありますので、その法律の規定並びに精神に従いまして的確な事実関係の把握に努めてまいりたい、こう考えているわけであります。
 なお、事柄が起訴されておる事件なんでありますので、一番肝心の雨森さんは勾留されておるという状況でありますから、真実の把握につきましては、この審理の経過を見ないと、今先生が御指摘のような微に入り細をうがった事実関係というのは、現在のところつかみにくい点があるわけであります。事の真相をきわめるということはなかなか大変なことなんであります。私も、余り長い経験はございませんけれども、そういうことに関与したことがある人間として申し上げますと、やはり事柄が裁判にかかっている場合には、そこで詳細は最も明らかになるというふうに思うわけでありまして、その経過を見ながら、地教行法の規定に基づきまして真相の把握に努めてまいりたい、こういうように考えております。
 なお、私が、荒れていたのじゃなかろうかという推測を申し上げましたのは、決して体罰を加えた人を擁護するような気持ちはさらさらありませんけれども、常識的に言って、学校の先生ですから、その人が急にこれほどのことをなぜしたのだろう、こう考える場合に、何か背景があるのじゃなかろうかという推測が一般的にはされるわけなんでありまして、そのことを申し上げたわけであります。平地に波乱は起こらぬという一般的な論理から言えばそうなるということを申し上げたわけでありますが、事実と違うならば、その点は訂正いたしたいと思います。
 いずれにせよ、通常といいましょうか、これほどの暴行行為が加えられた事例というのは、私は生まれて初めて知ったわけなんでありまして、極めて遺憾な事件であるというふうに思っております。
#80
○阿部委員長 委員長より申し上げます。
 ただいま渡辺委員からの申し入れがありました文教委員会としての現地調査につきましては、極めて重要な事項でございますので、理事会に諮りまして、前向きに検討させていただきます。
#81
○渡辺(嘉)委員 時間が超過しておりますし、あとまだ二、三点ありまするけれども、同僚の山下議員が質問してくれますので、私は以上で終わりまするが、どうかひとつ、大臣もおっしゃったように、生まれて初めての事件だとおっしゃったが、私どもも公教育のこういう場でこういうことで生徒が死んだというようなことは初めてでございますので、ぜひひとつ前向きにお取り計らいをいただきたい、こう思います。
 以上で終わります。
#82
○阿部委員長 山下八洲夫君。
#83
○山下(八)委員 時間がありませんから、冒頭、大臣に、答弁はなるべく簡潔にお願いしたいということを要望しておきたいと思います。
 まず最初に、私は、大臣は法律と教育の専門家だ、そのように深く敬意を表しているわけです。そういう中で、まず一言簡潔にお答えいただきたいと思うわけですが、大臣に就任なさってから教育現場を幾つ視察されたのか、また、高等学校を視察されたことがあるのか、その辺についてまず御答弁いただきたいと思います。
#84
○松永国務大臣 高等学校を視察したこともございます。
#85
○山下(八)委員 それでは、そういう意味ではますます専門家としてお尋ねしていきたいと思いますが、その前に文部省の方、簡潔に質問いたしますので簡潔に答えていただきたいと思います。
 私は、五月三十一日の地方行政委員会で一時間二十分ぐらいやらせていただきましたので、今の岐陽高校あるいは中津商業の問題に深くは入りませんけれども、そのことにつきましては大臣を含めて、会議録ができましたらまた一度ぜひ熟読をお願いしたいと思うわけです。
 そういう中で、文部省から五月二十八日と六月十一日にこの両方の事件についての報告書をいただきました。そのうちの岐陽高校につきまして今触れられましたので、中津商の問題で一言簡潔に触れてみたいと思うわけです。
 この竹内恵美さん自身も、とうとう両親が訴訟を起こし、教育がこういう形で裁判になっていく、私は本当に悲しい思いをします。こういうことはあってはならないと思いますが、それ以前に、この自殺についての報告書が、私が読む限りではどちらも四月九日県教委がいろいろと事情を調査されている。そして五月二十八日にいただいたのについて見ますと、「二時間にわたり学習面、生活面、精神面についての指導を受けた。」そして、事情聴取によれば、過去には竹内恵美さんに対する体罰は一件あった。「昭和五十九年十一月の修学旅行中練習に遅れた事で蹴ったというものである。」これが五月二十八日文部省からいただいた報告書です。六月十一日にいただいたのにつきましては、「午前から午後にわたってはげましと指導を与え、午後六時ごろ帰宅させた。」こうなっているわけですね。そして中を読んでいきますと、「昨年の秋ごろ正座させて足蹴りをしたことを認めた。」
 そうしますと、最初のは修学旅行で今度は秋ごろでと、かなり暴力が頻繁に行われているわけです。その辺につきまして、この間の同じ日の事情聴取の報告書がなぜこれだけ違うのか、まず文部省の御答弁をいただきたいと思います。
#86
○高石政府委員 先ほども申し上げましたよ。うに、県の教育委員会としては随時文部省にその段階において掌握している内容を報告してもらっているわけでございます。したがいまして、今お読みいただいたのが最終のものとして現在文部省に報告されている内容でございます。したがいまして、どういういきさつでそこがどう変わったかということについては、その後の状況を把握した結果、現時点で今お読みいただいたのが最終の内容として県教育委員会は判断しているというふうに思っております。
#87
○山下(八)委員 この報告書を読みまして文部省としては何ら疑問を感じなかったのですか。同じ日付のものでこれだけ内容が変わってきた。先ほどの岐陽高校の件につきましては、勾留中だからまた結論は出ない、これはそれでわかりますよ。これは勾留されていないのですからね。疑問を感じないのかどうか、もう一度御答弁いただきたいと思います。
#88
○高石政府委員 県の公文書でいただくわけではなくして、担当課の担当課長のところでまとめたものでございまして、しかも緊急にこちらに提出してくるわけでございます。したがいまして、前の文書と後の文書と、いろいろ事件の掌握についての調査そしていろいろな内容についての的確な把握ということを今努めている段階でございますので、これが現時点での新しいものでございますけれども、最終的にまとめるのは、もう少し具体的な事実関係、そういうものが明らかにされた報告が来るであろうと思っております。
#89
○山下(八)委員 先ほど渡辺委員が冒頭質問に入りましたときに、かなり詳しく竹内恵美さんの事件について御答弁をなされていましたね。そういう中で三月二十二日、自殺をされた前日です。この日につきまして体罰はなかったという御答弁をされたのです。私もここで聞いていました。体罰はなかったという御答弁があったのですよ。
 そういう中で、私は文部省からいただいたこの報告書から、一つは、二種類の体罰が読み取れるわけです。同時に、この報告書からいきますと、まず最初いただいたのは、「二時間にわたり学習面、生活面、精神面についての指導を受けた。」となっているわけですね。六月十一日にいただいたのは、「午前から午後にわたってはげましと指導を与え、午後六時ごろ帰宅させた。」というのです。最初の方は二時間、そして後のは六時までですか、これは四、五時間あるんじゃないですか。それだけでも随分違いますし、それから、先ほど言いました体罰についても、五月二十八日の場合は修学旅行中、もう一つのはそうではなくて秋にやった、こうなっているのですね。
 だから、私は、冒頭渡辺委員が質問されたとき、体罰なしとおっしゃっているから、ますますこれに疑問を感じたのです。体罰はあったんじゃないですか。だから、文部省、私はせんだっての地方行政委員会で疑問を感じたわけです。私たち委員が資料を要求しますと、報告されたものを文部省自身が改ざんをしているのではないか、私はこのような疑いを持っているんです。もう一度答弁いただきたいと思うのです。
#90
○高石政府委員 文部省は事実関係を明らかにしなければならぬ立場でございますし、文部省が改ざんをするなんてとんでもない話でございます。県教育委員会がその段階で報告している内容についての差がある、それはまだ事件の内容を的確に掌握している作業の段階であるからいろいろなその経過で違いもございましょうということを重ねて申し上げておるわけでございます。
#91
○山下(八)委員 それこそ、時間がありませんから余りくどく追及しませんが、渡辺委員への冒頭の答弁では、三月二十二日を含めて過去に体罰はなかったと答弁をなさったのです。ですから、私はあえてこの問題について今強く追及をしているわけなんです。これは岐阜県の県教委からいただいたんじゃないんですよ。文部省からいただいた資料ですよ。文部省は県教委からいただいたかもわかりませんよ。私は文部省からいただいた資料でこれだけの疑問を感じているのです。ですから私は言っているんです。
 次へ移りたいのですが、もう一度、一言簡潔に言ってください。
#92
○高石政府委員 文部省は県の教育委員会からいただいた資料をそのまま先生にお渡ししております。
#93
○山下(八)委員 それでは、もうこれ以上進みませんので、次へ移っていきたいと思います。
 先ほど暴力とか体罰とかあるいはしごきとか指導とか、いろいろな面で議論があったわけですが、私は、体罰というのは殴る、ける、立たせる、あるいは正座、あるいは教室の外へ出す、すべて体罰だと思うわけです。また、スポーツ選手であれば部活で特別に特訓される。相手側が自分の腹に落ちなければ、グラウンド余分に走らされて、なぜ走らされたか本人自身がしっかりと理解を示せば体罰にならないかもわからないけれども、そうでなければ体罰にも変わっていく。
 それから、ちょっと古い話ですが、昭和二十三年十二月二十二日の「児童懲戒権の限界について」というので、法務庁法務調査意見長官回答では、空腹感を与えてもこれは体罰である、そこまで体罰が明確にされているわけです。その上に立って学校教育法十一条が定められている、そのように私は理解をしているわけです。
 ですから、この岐陽、中津商、両事件とも大変な体罰である。体罰をなぜするか。これを日本じゅうの教育現場から一掃しないといけない、そのことが今求められているんではないか、私はそのように思うわけです。その体罰を教職員みずからの手で一掃できずにいるところに、私は今つらい問題があると思います。同時に、中津商業の部の顧問の場合も、あるいは岐陽高の担任教諭の場合も、あるいは優秀な選手を育てるためとか、あるいは学校の規則を守らせるためとか、いろいろな理由で体罰あるいは暴力が生徒に加えられている、私はそのように思っています。ですから、体罰あるいは暴力を、生徒の生活あるいは規律を守らせて、非行を防止させ、学力の向上のためとか、あるいはクラブ活動の成績を上げるための教育の方法や手段として考えているのではないか。例えば、先ほども触れましたけれども、教室の前に立たすとか正座させるくらいはいいのではないか、そのように理解していくのではないかと思うわけです。だから、体罰、暴力を程度の問題として考え、生徒の体に害を加える場所や回数など、体罰、暴力の加え方を慎重にすればいいのではないかという考えが出てくるのではないかと思うわけです。
 さらに、体罰、暴力を使用しない教師は、あるいは教育に熱心でないとか、また、体罰や暴力を使用する教師は熱心な教師とか、誤った考え方があるのではないか。体罰、暴力は、それを受ける生徒の立場から見れば肉体的苦痛やあるいは恐怖を与えられ、理性を麻痺させられ、あるいは辱めを与えられ、自尊心を大変傷つけられるわけです。だから、私は、体罰、暴力が教育基本法第一条の目指す教育の目的とは全く反対の結果を生み出している。今回の中津南高あるいは岐陽高の事件はこれを証明したにすぎないと私は思うわけです。
 体罰、暴力は、教育ではなくて、今行われているこの画一管理主義の教育の強化がこのようなことになってきている。だから、私は、管理教育をやめさせなければならないというふうに思うわけです。
 私は、体罰が原因でますます学校の荒廃が出てくると理解をしています。体罰をしないで生徒を本当に指導できるのか、生徒たちの荒れを抑えることができるのか。本音の部分では父母も先生も、それは不安があったり迷いがあったりするかもわかりません。だが、体罰自体が学校の荒廃を生んでいる、私はそのように考えています。生徒たちが授業についていけないとしたら、生徒たちにわかるような授業を工夫すればいいわけですし、また、スポーツであろうとほかの部活であろうと、なかなかついていけなければ、ついていけるように、その指導部長がやはり努力をしていく、これが本当の教育だろうと思います。こうした教育的力量を高めることを怠っている教師自身が、私は、逆に言いますと体罰へ走る傾向もあるのではないか。だから、力で押さえて表面上は変わっても、生徒の心を変えることはできないと思うわけです。この当たり前のことを今みんなが知恵を出し合って正していくときに来ているのではないか。それは、家庭にも三分の一は責任がある。三分の一は学校にも責任がある。三分の一は社会にも責任がある。この社会はだれがつくったか。その後ろを大きく包んでいる政治にはもっと大きな責任があると私は思うわけです。
 ですから、今のこのようなことを解決するためには、先ほど佐藤委員も質問の中でありました輪切り、偏差値の問題、その中におきます学区制の問題、これも、あるいは中学区制と大学区制で、本当に偏差値で学校自身をランクづけをしている。だからひずみも出てくる。そういういろいろなものがあると思うわけです。ですから、今こそ小学区制に持っていく、そうしてみんなが一生懸命努力をして、開かれた学校教育をしないといけないと思うわけです。文部省から縦糸で管理主義できっちりと押さえ込むのではなくて、もっと民主的にしていく、そういう方向でぜひ取り組んでもらいたいということを大臣の御答弁をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#94
○松永国務大臣 私は、現在の学校教育の場における一番大きな問題は、秩序が乱れておるという点があるかと思います。教育の現場は、規律があって初めて教育の現場らしい秩序が保たれ、そういう状況下で本当の教育が始まるというふうに私は思います。
 そうした規律のある、秩序のある教育現場を確保するためには、やはり先ほど先生もおっしゃいました、三分の一と言いましたけれども、三分の一であるか二分の一であるか、そのパーセンテージは別といたしまして、やはり子供を幼いときから、守るべきルールあるいは規律、こういったものを発達段階に応じながらそれぞれの家庭で教え込み、しつけをしていくということが、発達段階からいえばまず大事なことだと思います。
 そうして、また、学校におきましてもきちんとしたルールがあるわけでありまして、授業時間が始まって先生が来れば、私語はやめて、そして先生の話をきちっと聞く、これはもうみんなが守っていかなければならぬわけでありまして、そういう状態が乱れることから教育の荒廃が始まるというふうに私は思うわけでありまして、教育の現場はあくまでも教育の現場らしい秩序が保たれ、そしてふさわしい状況をつくり出していくということが大事なことだというふうに思います。
#95
○山下(八)委員 先ほど渡辺委員からも要請がございましたが、私も重ねて委員長に、ぜひ文教委員会におきまして現地をしっかりと調査していただきますことをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
#96
○阿部委員長 次回は、来る十四日午前九時五十分理事会、午前十時から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時四十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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