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1984/12/06 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第1号
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1984/12/06 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第1号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第1号
本国会召集日(昭和五十九年十二月一日)(土曜
日)(午前零時現在)における本委員は、次のと
おりである。
  委員長 瓦   力君
   理事 越智 伊平君 理事 熊川 次男君
   理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      糸山英太郎君    大島 理森君
      熊谷  弘君    小泉純一郎君
      笹山 登生君    塩島  大君
      田中 秀征君    中川 昭一君
      中川 秀直君    東   力君
      平泉  渉君    平沼 赳夫君
      藤井 勝志君    堀之内久男君
      宮下 創平君    山岡 謙蔵君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      上田 卓三君    川崎 寛治君
      沢田  広君    渋沢 利久君
      戸田 菊雄君    藤田 高敏君
      堀  昌雄君    坂井 弘一君
      柴田  弘君    宮地 正介君
      矢追 秀彦君    安倍 基雄君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
    ―――――――――――――
十二月一日
 瓦力君委員長辞任につき、その補欠として越智
 伊平君が議院において、委員長に選任された。
―――――――――――――――――――――
昭和五十九年十二月六日(木曜日)
    午後一時三十二分開議
出席委員
  委員長 越智 伊平君
   理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君
   理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君
   理事 伊藤  茂君 理事 野口 幸一君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      糸山英太郎君    大島 理森君
      瓦   力君    笹山 登生君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中川 昭一君    東   力君
      平沼 赳夫君    宮下 創平君
      山崎武三郎君    上田 卓三君
      川崎 寛治君    沢田  広君
      渋沢 利久君    戸田 菊雄君
      藤田 高敏君    堀  昌雄君
      柴田  弘君    宮地 正介君
      安倍 基雄君    玉置 一弥君
      正森 成二君    簑輪 幸代君

 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        経済企画庁調整
        局長      赤羽 隆夫君
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        大蔵省関税局長 矢澤富太郎君
        大蔵省理財局長 宮本 保孝君
        大蔵省銀行局長 吉田 正輝君
        大蔵省国際金融
        局長      行天 豊雄君
 委員外の出席者
        人事院事務総局
        給与局給与第三
        課長      小堀紀久生君
        防衛庁防衛局防
        衛課長     藤井 一夫君
        外務省経済協力
        局政策課長   須藤 隆也君
        通商産業省基礎
        産業局基礎化学
        品課長     高島  章君
        労働大臣官房政
        策調査部総合政
        策課長     甘粕 啓介君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
十二月六日
 理事中西啓介君及び中村正三郎君十一月二日委
 員辞任につき、その補欠として熊谷弘君及び中
 川秀直君が理事に当選した。
同日
 理事越智伊平君同月一日委員長就任につき、そ
 の補欠として堀之内久男君が理事に当選した。
    ―――――――――――――
十二月一日
 貸金業の規制等に関する法律の一部を改正する
 法律案(伊藤茂君外十三名提出、第百一回国会
 衆法第一〇号)
 出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関
 する法律の一部を改正する法律の一部を改正す
 る法律案(伊藤茂君外十三名提出、第百一回国
 会衆法第一一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 理事の補欠選任
 国政調査承認要求に関する件
 小委員会設置に関する件
 国の会計、税制及び金融に関する件
     ――――◇―――――
#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 私、このたび各位の御推挙によりまして、当大蔵委員会の委員長に就任いたしました。
 財政再建が緊急な課題となっております今日、財政金融を担当する本委員会の使命はまことに重大なものがあると存じます。まことに微力ではございますが、委員の皆様方の御協力、御指導を賜りまして、円満かつ公正な委員会運営を行ってまいりたいと存じます。
 何とぞよろしくお願いを申し上げます。(拍手)
     ――――◇―――――
#3
○越智委員長 理事補欠選任の件についてお諮りいたします。
 現在、委員の異動による理事の欠員二名並びに私の委員長就任に伴う欠員一名、計三名の理事が欠員となっております。この際、その補欠選任を行いたいと存じますが、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 それでは、
      堀之内久男君    中川 秀直君
   及び 熊谷  弘君
を理事に指名いたします。
     ――――◇―――――
#5
○越智委員長 次に、国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国の会計に関する事項
 税制に関する事項
 関税に関する事項
 金融に関する事項
 証券取引に関する事項
 外国為替に関する事項
 国有財産に関する事項
 専売事業に関する事項
 印刷事業に関する事項
 造幣事業に関する事項
の各事項につきまして、今会期中国政に関する調査を行うため、議長に対し、国政調査承認要求を行うこととし、その手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
     ――――◇―――――
#6
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
#7
○越智委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。
 先刻の理事会において協議いたしましたとおり、それぞれ小委員十五名より成る
 税制及び税の執行に関する小委員会
 金融及び証券に関する小委員会
 財政制度に関する小委員会
 金融機関の週休二日制に関する小委員会を設置することとし、各小委員及び小委員長は委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。
 なお、委員の異動に伴う小委員及び小委員長の補欠選任並びに小委員及び小委員長の辞任の許可、それに伴う補欠選任につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#9
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#10
○越智委員長 国の会計、税制及び金融に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
#11
○戸田委員 八五年度の予算編成等に対する基本的な考え方について、大蔵大臣にまず質問してまいりたいと思います。
 これは「ファイナンス」、いわゆる大蔵省広報誌でありますが、これによりますと、大蔵大臣は九月十一日、閣議後に「概算要求の提出をうけ、六十年度予算編成の作業がスタートしたところであるが、この機会に、六十年度予算編成に向けての基本的な考え方について申し上げる。」こういうことで、以下六項目にわたって基本的な考えを述べられております。
 その第一が「我が国財政は、御承知のとおり、五十九年度末には公債の発行残高が一二〇兆円を超える見込みとなっているなど異例に厳しい状況にあり、我が国の将来の基盤を確かなものとするためには、財政の改革を行い、その対応力の回復を図ることが緊要な政策課題となっている。」こういうことを御指摘なさっております。
 さらに、歳出の節減合理化等につきましては、「歳出の節減合理化を中心として財政改革の着実な推進に努めてまいった。特に、昨年夏閣議で決定された「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中でその対象期間中に特例公債依存体質からの脱却と公債依存度の引下げに努めるという新たな目標が示され、五十九年度予算においては、この努力目標に向けて、御承知のような各種の制度改革をはじめ制度の根本にまで踏み込んで徹底した節減合理化を行うことにより、いわゆる一般歳出を五十八年度に引き続き前年度同額以下にとどめることが可能となった。」
 「しかしながら六十年度においても極めて厳しい財政事情となることは避けられないと考えられ、そのため、先般、昨年に引き続き、「対前年度マイナス」という厳しい概算要求基準の設定を御了解いただき、概算要求段階から、歳出の節減合理化を行っていただいたところではあるが、なお要求を更に削減しなければ、予算編成ができないという極めて容易ならざる状況にあると考えられる。」
 こういうことで、さらに続いて四番目の態度といたしまして、「行財政の守備範囲を見直す見地から既存の制度・施策についても改革を行うなど更に徹底した節減合理化に積極的に取り組んで行く必要がある」、こういうことを指摘されて、さらに「同時に、歳入面においても、社会経済情勢の変化を踏まえ、公平、適正な税制の在り方について検討を行うとともに、税外収入についても、その見直しを行っていく必要があると考えている。」等々で、大体八五年度の予算編成に当たっての大臣の基本的な考え方がここに示されておるわけであります。
 これを一つ一つこれからただしてまいりたいと思うのであります。
 今回配付された同じ「ファイナンス」でありますが、まず、現下の日本の財政状況において公債の重圧というものは非常にあるんじゃないだろうか。ですから、三木内閣においても福田内閣においても、あるいは大平内閣、そして鈴木内閣、中曽根内閣、歴代の内閣がいわば公債解決のために鋭意努力をしてそれなりの計画を立ててやってきたけれども、結果的には全部落着点として失敗ですね。しかし、これからの予算編成、今後の経済状況全般を眺めますと、この問題の改善措置なくして健全な財政再建とは言えないのじゃないだろうか、このように私は判断をするわけでございます。
 それで、今回の「ファイナンス」にもあるのでありますが、「公債残高の累増」ということで主計局調査課の寺内さんが書かれておりますね。これを見ますると、公債残高の累増ということでありまするが、既に五十九年度末には百二十二兆円に達するでありましょう。それから、五十九年度予算においては予算の一八%を占めた。しかし、八五年では想定されるところ二二・六%見当を大体占めるであろう。そして、なおかつ元利払いその他を含めますと、私の調査をした結果では、おおむね社会保障費を上回って三〇%を超すではないだろうか、こういう状況に位置しているようでございます。
 こういうことになって、なおかつ「公債依存度、長期政府債務残高対GNP比、国民一人当たり長期政府債務残高、利払費/歳出総額比率、国税収入/歳出総額比率のすべての面で、先進国のワースト・ワンとなっている。」
 具体的にこの「財政事情の国際比較」で見てみますと、公債依存度では、日本は五十九年度二五%、アメリカは六十年度一七・九%、イギリスは五十九年度五・二%、西ドイツは六十年度九・三%、フランスは五十九年度一三%。長期政府債務残高の対GNP比は、日本は四七・七%、アメリカは三二・一%、イギリスは四三・八%、西ドイツが一九・六%、フランスが五・三%。国民一人当たり長期政府債務残高で見ましても、日本は百十七万円、アメリカ百五万円、イギリス九十六万円、西ドイツ五十二万円、フランスが十六万円。利払い費を歳出総額で見ますと、日本は五十九年度一七・五%、アメリカは一三・九%、イギリスが六・六%、西ドイツ一一・四%、フランスが六・九%。国税収入を歳出総額で見ましても、日本は六八・三%、アメリカが七九・八%、イギリスが八五・九%、西ドイツ七六%、フランスが八二・五%等々になって、大変な負担、そしてなおかつ、予算の前借りですから結果的には後で国民が税金でそれを賄っていく、財政の硬直化等々、そういう状況が今の現状だと思いますが、これらの改善策について、一体今後六十年度以降どう対処していくのか、大臣の見解をまず伺っておきたいと思います。
#12
○竹下国務大臣 今、戸田委員がまさに正確にお読みになったとおりの実態にあるわけであります。私もいつも感ずることでございますが、国際会議等に出かければ、財政はそういう状態でありつつも、経済全体の動きの中でよかれあしかれ三%あるいは四%の実質成長をしておる唯一の先進国ではないかとか、あるいは最近、この五カ月ほどドイツの方がインフレ率は〇・一%ぐらい低くなっておりますが、先進国の中で消費者物価の最も上がらない国ではないか、かつ失業率は一番低いではないか、そうなればまさに日本経済は優等生ではないか、こういう指摘を受けつつ、一方、財政の状態を見ますならば今お読み上げになったとおりの状態であります。そこに私どもとしては、財政の出動によっていろいろな施策を行う対応力はまさに失われておると言っても過言ではないと思います。
 そして、予算編成をするたびに感じますことは、まず仮に五十兆といたしましても、今二二%とか三%とかいう御指摘がございましたように、初めに利払いありき、いわば二割以上のものは、初めにまず利払いをしてその後それぞれのニーズに応じて分ける、こういう状態であります。
 そしていま一つは、百二十二兆とおっしゃいましたが、やはり百二十一兆を原点に考えるべきではないじゃないかという感じが私もしております。すなわち、それに七%の金利を掛けて十年ごとに六分の一ずつ償還したといたしましても、六十年間にわたって後世へツケを回すのはおよそ三百九十兆、こういうことになります。三百九十兆を後世にツケを回しておる、そこに悩みを感じ、また一方、振り返ってみますと、昭和三十九年までは我が国の財政は一銭の公債もございません。そしてオリンピックの翌年の四十年、戦後最大の不況のときに二千億円の公債発行というものが即効薬のような役目を果たして、そして十年間にわたって発行されたものが九兆七千億、すなわち五十年以降今日までが百十兆を上回る発行額になっておるという実態を考えますと、後世にツケ回しをしておることが事実でありますだけに、これを何とか孫子のためにも減らしていかなければならぬ。
 そこで、第一次の目標は何かということで、一昨年以来いろいろ御議論をいただいて、まずは五十九年度の赤字公債依存体質からの脱却は、残念ながらギブアップしなければなりませんでした。それを六十五年に置きかえることにいたしました。まずはそれに全力を集中いたします。そしてその後、これは非常に大ざっぱで申しわけありませんが、細かい数字は除外いたしますと、赤字公債を脱却した後の公債残高の姿を見ますと、六十五年百六十五兆、百兆が建設、六十五兆が赤字、大体こういう計算になろうかと思われます。百六十五兆といえば、六十年間これは五百十兆円の後世に対するツケ回し、こういうことになりますので、さて、それをどういう手法でやっていくかということを、これから国民の皆さん方との問答を通じながらその方向を模索し、そして国会でも堂々とこのような手法で進めますということをいつの日かは明らかにしなければならぬ。言ってみれば、今その問答の途中であるという感じを私自身は持っておるわけであります。
 したがって、そういう背景から見ますと、まずは当面六十五年赤字公債脱却ということになりますと、勢いとの数字から見ましても予算というものは大変厳しいものにならざるを得ない。そこで制度、施策の根本にまでさかのぼってということで御協力いただいたのが、あるいは例示すれば、健康保険法の改正等がその一つであったでございましょう。とにかく内なる改革というものが出てきたが、さて、六十年度予算になりますと、内なる改革ということでおよそ経常部門一〇%の削減という概算要求枠を設けますと、それが全部いわば補助率の削減という形で要求予算となって出てくるわけです。車ほどいわゆる原局の方でもいかに骨を削っていくかということに苦労しておられる姿がそこに出てきたのではないかなと思いつつも、その中でやはり心を鬼にして、いかに顔がやさしくても心を鬼にして、これにあらゆるところに聖域を設けることなく対応していかなければならぬという感じをひとしお深くいたしておるところであります。
 したがって、今度引き続き大蔵大臣の職に残りましたのも、言ってみれば他人様に迷惑をかけないで私が、人によっては希望者がないからおまえに来たと言う人もございますが、車ほど厳しい環境にあるということを自覚しながら対応していかなければならぬ。その意味におきまして、今のような現状認識を持って御鞭撻を賜ることを心から期待をしまして、最初のお答えといたします。
#13
○戸田委員 大臣が今おっしゃられましたように、その都度内閣でいろいろな努力を試み、大蔵省としても各種試算、そういった計算はやって脱却に向けていろいろ努力はやっているんですけれども、例えば五十一年の二月試算で財政収支試算、これは三木内閣の目標だったんですが、これが三兆円ちょっとですね。それから五十五年に脱却をしようということでやったんですが、これも結局は失敗をした。それから五十四年の二月に財政収支試算というものを立てまして、それで五十七年に福田内閣のときに脱却を試みたが、これもだめだった。それから、五十七年の二月に「財政の中期展望」で、この試算によって五十九年脱却。ここでもう鈴木前総理の鈴木内閣はさじを投げたといいますか、そういう状況になって、中曽根内閣へ今度引き継ぎまして、五十九年の二月の試算によって、いわば「中期的な財政事情の仮定計算例」、こういうものに基づいて当面六十五年までに何とか脱却をしよう、こういうことなんでありまするが、実態はなかなかそのようにいっておらない。
 昨年から百一国会で、五十九年度から本当は一兆以上の圧縮、削減方式をとっていこうと言ったけれども、結果的には五千億見当で終わる。じゃ六十年度予算では一兆七百億円程度のものは圧縮できるのかどうか。とても今の状況からそういかぬだろうと思うのです。国債基金に対する定率繰り入れの部分は停止をする。一兆八千億円見当。なおかつ特例公債に対する借りかえの問題が制度としてある等々の問題がございます。
 ですから、何とかして私たちもこういう問題についてやはり早期に脱却、我々としては長期に十五年間ぐらいかかってということで一定の方向を持っておりまするが、そういう中で経済運営はでき得ればやはり成長持続型とでもいいますか、そういうものでもって消費拡大をし、景気浮揚をして、そうして税金が入ってくるような、そういう手だても含めてやっていきませんと、私はなかなか問題が解決しないのではないだろうか。いずれにいたしましても、こういう現状でありまするから、この打開策については鋭意検討していただきたいと思います。
 それからもう一つは、こういうことによって実は公債の元利払い費、これは八四年度予算委で衆議院に大蔵省から提出をされた資料でありますが、これで追ってまいりますると、償還額が一九八四年は八千七百億、八五年以降本格的な償還に入るわけですけれども一兆三千億、等々でずっときまして、これが九七年、十五年間の前途を見ますると、最終的には四兆二千四百億円の元金の支払いということになります。利払い費になりますと、これが極度にふえてくる。八四年が八兆七千億、八五年が九兆五千億等々で、ずっといきますと九七年には十三兆九千億。これを合わしたものが八五年では計十兆八千億の元利払い。九七年だと十八兆一千四百億。
 そしてなおかつ年度末国債残高は御存じのように八四年度百二十二兆円、八五年度は百三十三兆円、十五年後の九七年度には百九十二兆円。それで大臣も対談の中でいろいろと言われましたように、利払いその他ふえますと三百九十兆円を超える、こういうような膨大な数字になっていくんですね。確かに赤字国債を借りかえにしましたから元金の返済は減りましたよ、減りましたけれども利払いその他、残高は結局ふえていくというような悪循環、それが結局いろいろな所得再分配の機能にも影響する。
 例えば、今の公債の保有状況で見ますると、これは日銀のいわゆる資金循環によるとありまするが、これによりますと、国債保有者は、中央政府、公社、地方団体、公共団体もありまするが、主として金融機関が一番多いようであります。これでいきますと、保有額大体百十兆円の中で民間関係で七一%くらい占めます。これで計算をしてみますと、国民の税金で何と五兆円くらい入る格好。そうすると、それは比較的そういう機関とか金を持っている人、富裕な人に所得再分配で持っていかれる、こういうことになりまするから、私はこういう点は理解のしにくいところだと思うんです。それを税金で払う、こういうことですから。この辺の機能もあわせ含めて検討しなければいけないんではないだろうか、こういうふうに考えます。正確に言いますと、今国債の民間保有は金融機関で四十七兆円、法人企業と個人で三十一兆円、計で七十八兆円ですから、金利七%としまして五兆四千六百億円がとにかくそちらへ行くという状況になると思うんです。だから、大臣も意図せざるところに所得の再分配が行われているということで疑問視しているようでありますが、こういった問題に対して、私はやはり適切な国債の管理政策を何とか打開策をやっていく必要があるんだろうと考えます。
 それからもう一つは、今度の八五年度予算の中で国債特別会計を設定をしたいという意向があるように承っておるわけでありまするが、設定をするとすれば、どういう法律を根拠にして考えておりましょうね。まずそれを聞かしてもらいたい。
#14
○平澤政府委員 今お話がございましたように、これから大量の借換債の発行の時代に入るわけでございます。その場合に、いかに円滑に借換債を発行していくかということが重要な問題になるわけでございまして、その点につきましては、前回の国会におきましても本委員会その他でたびたび御議論があったわけでございます。そういうことから、我々としましてもそれを受けましてどういうふうに持っていこうかということで、現在、財政制度審議会で議論していただいております。そこで何らかの結論が出てまいりましたら、必要ある場合には法律改正等も考えまして、その上で国会にまた提出し御審議を仰ぎたいと考えているわけでございます。したがいまして、現段階で具体的にどの法律がどうということまでまだ成案を得ているわけではございません。
#15
○戸田委員 私は、仮に国債特別会計を設定をするということであれば、それは財政法違反だと思うのですよ、四条、五条に比して。しかし、もしあえてつくるとすれば十三条じゃないでしょうか、会計区分。どうですか。
#16
○平澤政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ具体的にどこということまで至っていないわけでございますけれども、今委員御指摘の条文は特別会計の設置についての規定だと思います。新しくつくるんでしたらその規定に基づいて設置ということにせざるを得ないと思うわけでございますけれども、その辺につきましてはまだ何ら成案を得てないわけでございます。したがいまして、例えば現に国債整理基金特別会計というのがございますので、仮に何らかの措置をとる場合、その特別会計ということも考えられるかもしれません。その辺はまだ具体的には案はないということでございます。
#17
○戸田委員 想定の段階ですから今具体的な論争は避けますけれども、もし仮に十三条を根拠として特別会計を設定をするということになっても、第五条の兼ね合いで非常に疑問だという気が私はいたします。
 それからもう一つは、今まで国会の議決でもって公債の償還計画をいろいろ出していただきました。あるいはこれから借りかえの問題とか定率繰り入れの停止の問題等々、公債の管理に伴って諸要件がございます。そういうものは、仮に特別会計法の制定でもって全部そちらへ持っていってしまって、国会がチェックできないということになったらこれは大変でございますから、私はあらかじめそういう点について大蔵省に対して一定の要望をいたしておきたいと思います。また具体的に出たときに詳しくこの問題については論争したいと思いますが、その点、どうですか。
#18
○平澤政府委員 償還計画表の問題でございますけれども、建設公債につきましては財政法四条の規定によって提出を義務づけられておりますし、特例公債につきましては、毎年度お出しして御議論いただいております財確法その他の規定によりまして、同じく提出を義務づけられているわけでございます。したがいまして、その点につきましてはそういう規定がございますので、その規定に従って我々としては処理していくということでございます。
#19
○戸田委員 今までは節減合理化その他を臨調答申に基づいて、極めて緊縮予算といいますか、圧縮できたわけですね。しかし、圧縮、圧縮できたんだけれども結果的にはどうもうまくいっていない、こういうのが現状だろうと思うのです。それで、今まで節減合理化をやった中において後年度にツケ回しがいっぱいありますね。
 例えば、厚生年金等の国庫負担金の繰り入れ等の減額、これは五十九年で二千六百八十二億、五十七年、五十八年を考えますと、七千百七十五億円ありますね。それから住宅金融公庫補給金の一部繰り延べが五十七年から五十九年の三カ年間で二千三百四十億円、国民年金特別会計の国庫負担金の繰り入れの平準化で六千四百一億円、交付税特別会計の資金運用部からの借入金の国庫負担分五兆八千二百七十七億円、自賠責特別会計からの借り入れ二千五百六十億円、合わせますと七兆六千七百五十三億円といういわばツケ回し、後年度負担分があるわけですけれども、これはこれから一体どう解決をしていこうというのか。自動的に時限立法をそのまま延長してしまって、六十五年の中期試算の終わるまではそれはお預けですよとやるのか、六十年度でぴちっと単年度決算して約束どおりやっていくのか。これは各省でもいろいろと議論のあるところでありましょうが、これは大臣どうでしょう。
#20
○竹下国務大臣 今御例示になりました例の行革国会で行われましたもろもろの、いわばツケ回し措置という表現でございますが、私どもから言いますならば、昭和五十九年度を時限としてのもろもろの立法が今日機能しておるわけであります。で、これは御指摘とお力このままいけば自然に期限が切れてしまうということになるわけであります。したがって、それをどう措置していくかということを考えてみますと、それこそ、まだ六十年度予算のフレームも確実にはできていない今日でございますけれども、ぎりぎりの決着で、この短い数週間の中で結論を出さなければいかぬ問題だという事実認識はしておるわけです。
 しかし、これは関係各省との関係もあることでございますので、今ここで直ちにもろもろの問題を含めて自動延長あるいは若干の手直しをして延長しますとかあるいは別の問題とともどもに一括法にしてまとめてみましょうとか明言できる段階にはございませんが、大きな重圧として私ども財政当局者の肩にのしかかってきておる問題でありますので、それらの措置をも含めてこれからぎりぎりの段階で決断をすべき問題ではなかろうかと考えております。
#21
○戸田委員 時間がありませんから説明は省いてやってまいりますが、大臣が言われました第二番目の基本的な方針の中で「制度の根本にまで踏み込んで徹底した節減合理化を行う」、例えば今まで行革関連法で三十六法案を一括して処理をしましたね。で、一定の歳出削減をやった。いろいろな角度で見てみますと、今度は概算要求で大体七十数項目あるんじゃないかという気がいたします。しかし、さしあたって同質のものを四十数項目まとめて、これも行革関連法として削減をしていこう。そういう中で各省の要求がいっぱいあるわけですけれども、ことに国民生活関連の関係で厚生省概算要求をちょっと調べてみました。
 これによりますと、厚生省予算全体として九兆五千九百十一億円、対前年比三・七%増であります。要求の概要としましては、高率補助金の補助率の見直し、これは二千百七十七億円の削減、引き続き医療費の適正化、これを理由にして約六百億、生活保護の運用の適正化ということで約二百億、措置費の費用徴収の適正化ということで約二百億、全体で三千百億見当の削減をやっていこうということですね。そうしますと、年金と医療を中心にした六千五百億円、この当然増に対して大蔵省は三千四百二十億円しか認めません、あとの三千百億円は地方に肩がわり、こういうことにならざるを得なくなりますね。こういう内容が一つございます。そういう削減方式になっていきますと、結局老人医療無料化とか生活保護の対象者、いわば実際に福祉が必要だという対象者がどんどん切り捨てられていく、こういうのが今の削減方式じゃないかという気がいたします。
 それから文部省関係を見ましても、大体四兆五千七百五十八億円で〇・一%増ですから、従前問題になりました四十人学級計画、これは当然凍結をしましたけれども、六十年から解除されるわけですね。恐らくこれは実行されるでしょう。それはなぜかというと、行革関連特例法でずっと凍結をしてまいりましたが、児童生徒数が非常に下回っているのですね。だから、例えば四十人学級を実施すれば本来千八百三十五人の増を必要としたわけでございます。それから教育困難校への増千百三人、二千九百三十八人くらい本当は必要だったのですが、実際はそういう現象によって大体三千六百四人くらい見込めますから、逆に六百六十六人くらい余剰という格好で、これは直ちにできるかっこうなんですね。しかし大蔵省の意向は、いろいろ聞いてみましてもどうもこういうものに対して余り乗り気じゃないという印象を受ける等々の問題がございます。それから私学助成につきましても、八三年度で前年度比二%減です。八四年度で一二%減。殊に八五年度は、公立学校の施設整備費を六・九%減、二百七十七億円を縮め、三千七百二十九億円に結果的には削減をしようというのですから。そういうことになると私学関係もなかなか容易じゃないんじゃないだろうか、まさに教育冷遇といいますか、そういうことになりはしないかという心配がございます。
 もう一つは、地方財政を見ましたが、今回とにかく全国一〇%一律削減です。そして補助金対象四十一項目、大体総額で二千二百九十五億円、私の調査によりますと、そういう格好になっていきます。例えば生活保護費の国庫負担は八〇%、これを八%下げる、七二%に下げますね。そうすると地方負担は二八%負担。しかし、実際は約四〇%近い負担増ということになりかねない。こういう状況になってまいりまして、これも地方自治体の財政そのものを非常に圧迫をして、ゆとりのないものに押しやっていくんじゃないだろうかという気がいたしますが、この辺の制度に切り込んで節減合理化を図るという内容について、大臣、どうでございましょう。
#22
○竹下国務大臣 今例示的にお読みになりましたものは、言ってみれば今度の概算要求基準に基づく厚生省、文部省等から出ましたところの概算要求の中身であります。
 確かにそれを見ながらお感じになったと思うのでありますが、一つの概算要求基準の中で原局で苦労されておさめられるのが、補助率をいじって、その分が地方に転嫁されていくという傾向にあるということは事実であります。したがって、私どもは制度、施策の根源にさかのぼってということをよく申しますが、負担の問題について本当に分野調整と申しますか、そういうところにまでぎりぎりの議論を、それもこれから短い数週間のうちにやっていかなければならぬ問題だというふうに考えております。
 私学等の問題はその問題とは若干違ってくるわけでございますが、振り返ってみますと、昭和四十七年予算、私学助成というのが三百億を超した、三百一億だということで関係者が万歳された当時から見ますと随分ふえてきたものでありますが、その中に、ある意味においては高校の問題と大学の問題、いろいろな問題を、それこそ本当に中に手を入れながら助成の重点施行というものも考えていかなければならぬ時期に来ておるなということを考えております。
 四十人学級問題につきましても、あのとき十二年間でもってということであの計画を一応立て、国会の御了承もいただきながら、行革関連法案で、学年進行のものは進んでおりますが、それらの問題についてはいわばストップがかかっておる。そこへ生徒数の変化の問題も来ておりますので、かれこれ総合勘案しながら、これもこの短い数週間の中で詰めていかなければならぬ問題だ。したがって、そういう政策も言ってみれば聖域とか例外とかという考え方で対応するわけにはいかぬという厳しい心境にあるということを赤裸々に申し上げておきたいと思います。
#23
○戸田委員 次に、税制問題について若干質問しておきたいのでありますが、大蔵省の税制改正の基本的能度が固まった、こう聞いておるのですが、その固まった内容はどういうものか、今なかなか微妙な時期ですから全部言えるかどうかは別にいたしまして、その基本的に固まった中身をひとつ教えてください。
#24
○梅澤政府委員 六十年度の税制改正につきましては、ただいま税制調査会で御検討に入っていただいたばかりの段階でございますが、私どもの方から御検討をお願いする項目として提出いたしました項目をざっと簡単に申し上げます。
 所得税につきましては、利子・配当課税問題をどうするかという問題がございます。
 法人税につきましては、貸倒引当金の繰り入れ率の問題、これは金融保険業を除きます他の業種についての繰り入れ率の問題をお諮りいたしております。それから退職給与引当金の累積限度額の問題、それから公益法人、協同組合等に関連いたします問題といたしまして、税率のあり方の問題、それから金融資産収益の課税についてどう考えるかという問題をお諮りいたしております。それから交際費につきましては、中小企業の定額控除のあり方についてお諮りをいたしております。その他の問題につきましては、赤字法人の課税問題を一体どう考えるのか、あるいは広告費の課税問題についてどう考えるかといった点について検討項目として提出をいたしております。
 租税特別措置は、非常に広範な事項にわたりまして現在既に各省庁と個別の事項につきまして折衝を始めておりますが、いずれまとまりました段階で税制調査会で改めて御結論を賜ることになろうかと思います。
 間接税等につきましては、物品税につきまして、ワードプロセッサー等OA機器五物品、並びにそれとの関連におきまして、いわゆるオフィスコンピューター、パーソナルコンピューターなどにつきまして物品税の課税範囲に取り入れるかどうかという問題をお諮りいたしております。それから自動車関係諸税につきましては、六十年度中に暫定税率の期限が到来いたしますので、この税率の取り扱いについてお諮りをいたしております。
 主要な項目については以上のとおりでございます。
#25
○戸田委員 その前に、きょうの朝日、日経等にも出ておるのですけれども、今年度のGNP、年間五・三%は可能だという企画庁の上方修正発表があるのですね。これは皆さんもお読みになったと思います。そういうことになりますと、自然増収はどのくらいあると考えておりますか。
#26
○竹下国務大臣 これは昨日議論してまいりましたので、正確を期するために読み上げます。
 「五十九年度の税収実績は、本日発表した十月末税収によれば、前年対比伸率六・三%で、予算伸率六・九%をやや下回っている。」十月末税収でございます。
 「五十九年度の年度を通した税収の動向については、現在、鋭意見直し作業中であり、計数的に厳密な見通しを述べることには今しばらく時間を要するが、これまでに判明している課税実績、企業ヒアリング等をもとに、あえて現時点での」感触という言葉を使わせてもらっておりますが、「感触を述べれば、法人税についてある程度の増収は見込めるものの、法人税以外の税目には低調なものもあるため、全体としては、予算額に対し二千億円をやや上回る程度の増収にとどまるものと見込まれる。」こういうことを一応きのういろいろ議論してまとめたお答えでございます。
 税収動向と経済成長率との関係につきましては、両者の間に定量的に安定した対応関係を見出すことは難しいわけでございます。いつもよく使います名目成長率に十年間の平均である一・一のいわゆる弾性値を掛けてと言いますけれども、実際問題、最高は一・九五から最低は〇・三五まで年によって大きく振れておりますので、あの一・一の使い方というのも考えてみなければならぬかなという感じがするくらい、定量的に安定した対応関係を見出すことは難しいというふうに思います。
 ただ、若干違いますのは、よく言いましたのは、これは余り理論的根拠のないことでございますけれども、私が一%は誤差のうちだなんてよく言いました。が、それに非常にこだわって、あえて三千億の中で二千億をやや上回る、こういうふうに申したわけじゃございませんが、率直に申しまして、所得税がおおむねとんとん、そしてやや、その他、しょうちゅう問題等の議論は別としまして、若干落ち込みのあるものを稼いだものがあって、法人税の伸びがまあ上積み。だから去年のように下回るかもしらぬという答弁はしなくても済むという状態じゃないだろうか、こういう感じでございます。
#27
○戸田委員 大臣は明確な数字言わなかったのでありますが、これはまあいいでしょう。
 ただ、今まで大蔵省で言っているのは、若干上方修正、企画庁その他の関係で、いろいろ試算してみたら、やや五千億以下じゃないか、こういうことですね。しかし、民間の各金融機関等の調査によると、一兆二千億円見当になるのではないかという調査が既に出ている。あるいは経企庁の五・三%でもっていくとすれば二兆円に及ぶのじゃないだろうかと言う人もいるわけなんです。公共事業の増大とかあるいは我々の方から減税とか、いろいろな要求が出るから、大蔵省、大変警戒をしてあれしているのでしょうけれども、いずれにいたしましても本問題について自然増収が相当数あることは、これは間違いないと思いますね。だから、こういう問題についてしかるべき時期に明確にお伺いいたしますが、そういう意味で、今ちょっと大臣も触れられましたけれども、私は大体税目ごとにいろいろ検討してみましても、不振なのはやはり酒税関係、若干悪いですね。それから有価証券取引税、こういうのも若干悪いです。しかし、法人税全体の伸び率は、これは大蔵省から出している累計計算でいきましても二四%伸びているでしょう。それから物品税関係は三二・五%。だから、そういう問題でもって景気と連動して景気浮揚がされる、そういうものと税収の絡み合いというものはマクロ的にはそういかないだろうという大蔵省の今までの見解がございますが、私はやはり連動するのじゃないかという気がいたします。ですから、当然そういう問題について、一定の増収があることは間違いない、こう思いますが、数字ははっきり言えませんか、大臣。
#28
○竹下国務大臣 まず、経済企画庁の数字は一応経済企画庁限り、こういうことになっておりますが、大宗は私どもの考えと離れておるとは思っておりません。
 ただ、これは考え方の問題が一つございまして、経済運営等の指標として絶えず修正しながら発表するというのが、いわば企業経営とかいろいろなすっている方に対しては親切だ、こういう一つの見方があります。私どもの方は、それが補正予算とか本予算とかの土台になりますだけに、非常に密度の濃いデータ等を集めながら、毎年十二月にあるいは上方修正さしていただいたり下方修正さしていただいて翌年度の分も見通しを組んでいく、こういう姿勢でございますが、その姿勢の議論は別といたしまして、経済企画庁でお出しになっているのに我々と大きな乖離があるなどということを思っておるわけではございません。
 税の場合はいつも名目成長率で議論しますと、五・九が六・五となれば、それだけである程度のものは見込めるという議論も成り立ち得るのではないかというふうに思っております。ただ、また税そのものはヒアリングをしたりして積み上げてまいりますから、仮定計算で将来の姿を示すときには六・五掛ける一・一というのはよく使いますけれども、五十九年度のものは積み上げたものでございますから、それが、五・九が六・五になってもそのまま弾性値を掛けたほど増収につながるという要素では必ずしもないではないか。したがって今の場合、二千億を上回る程度の増収が期待できるというのが今言える限界じゃないだろうか。昨日もかなり議論をして、きょう戸田委員の質問に答えるために準備おさおさ怠りなくやってきた数字でございます。
#29
○戸田委員 これは経企庁ですが、六十年度予算の経済指標はどのように考えていますか。
#30
○赤羽政府委員 お答え申し上げます。
 六十年度の経済見通しにつきましては、今作業を始めたばかりの段階でございますので、具体的な指標につきまして数字をここで申し上げられる段階ではございません。ただ、現在の日本の景気というのは景気の拡大上昇の局面にございまして、しかもその拡大上昇の局面に移りましたのが大体ことしの春ぐらい、年度の始まるぐらいのときでございまして、なお比較的若い段階でございます。まだ成熟した段階ではないということでございますから、例えば石油の値段がうんと上がるとか、そういうような予想されない異常事態が起こらない限りは、これからも引き続き比較的順調な、着実な経済拡大が続いていくもの、そういったような考え方をもとにして六十年度の経済見通しをこれから作業していこう、こういう段階でございます。
#31
○戸田委員 具体的に数字は出せませんか、想定。
#32
○赤羽政府委員 まだ数字自体が、細かい内訳につきまして作業している段階で、積み上げたものがございません。そういうことで、申し上げられる段階ではないということでございます。
#33
○戸田委員 大体税調答申が十七、八日に行われる、こう聞いているんですね。それから自民党税調もややそれに符節を合わせでやってくる。そうすると、予算を組むのに大蔵省だって大体二十日絡まりにはもう大蔵省査定が確定をする。あとは各省の折衝、二十八日ごろに最終確定という段取りで日程を追っていきますと、どうなんですか、経企庁でもって経済指標等のものがあらかじめつくられなければ政府全体としては本当に正しい自信のあるものをつくれないんじゃないでしょうか。その辺はどう考えているんですかね。
#34
○赤羽政府委員 お答えいたします。
 その点は先生御指摘のとおりでございまして、そういう観点から今作業を急いでおるという段階でございます。政府の税調その他の作業に間に合わないではないかということでございますけれども、先生も御承知のように、役所の仕事ぶりというのは最後になりますと徹夜徹夜をいとわず一生懸命やりますので、その段階には、最終段階には間に合うように作業が進むもの、こういうふうに思っております。
#35
○戸田委員 順序が逆になって申しわけないのですけれども、防衛庁来ておりましょうか。――来ておりますね。
 八五年度予算で防衛費については大体三兆一千四百億円、前年度比七%増。後年度負担、過去の分を含めまして二兆五千六百七十八億円、一九・五%増等々があるわけですが、この数字は間違いありませんね。
 それからもう一つ、アメリカの要求のシーレーン防衛、継戦能力の強化、これによって正面装備費七千三百二十一億円、八・二%増。それから後方経費でもって一兆三百八十三億円、九・五%増。人件費、糧食費一兆三千六百九十七億円、四・六%増、こういうことになっておるんですが、この数字は間違いありませんね。
 それから正面装備ではどういうものを一体購入していこうと考えていますか、具体的に教えてください。
#36
○藤井説明員 お答えいたします。
 ただいま先生のおっしゃいました数字は間違いございません。
 それで、六十年度正面装備で私どもが購入をお願いしております主なものでございますが、陸上自衛隊について申し上げますれば、特科火力、機動力等を向上いたしますために。七四式戦車、二百三ミリ自走りゅう弾砲、新百五十五ミリりゅう弾砲、それから対戦車ヘリコプターAH1S、こういうようなものをお願いしております。また海上自衛隊につきましては、対潜能力等の向上を図りますために、護衛艦、潜水艦等の艦艇あるいはP3C、HSS2B等の航空機をお願いしております。航空自衛隊につきましては、防空能力の向上を図りますために、現在のナイキの後継といたしまして新地対空誘導弾ペイトリオットの整備をお願いすると同時に、F15、C130等の航空機の整備をお願いしております。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
#37
○戸田委員 ナイキにかわる地対空ミサイルのペイトリオット、これは新規導入するわけですね。P3Cは何機買うのですか。F15戦闘機は何機買いますか。護衛艦は何隻つくりますか。潜水艦はどうですか。
#38
○藤井説明員 お答えいたします。
 P3Cにつきましては十一機買うことをお願いしております。F15につきましては十八機でございます。それから、護衛艦につきましては三隻お願いをしております。潜水艦は一隻でございます。
#39
○戸田委員 そういうことになっているのですね。そうしますと、さっき私が読み上げた数字のように後年度負担を含めますと、防衛費全体でもって五兆円を超しますね。単年度で決算した場合に一%枠というのは、きょう大臣じゃないから政治判断はできませんから、事務当局としてどんなふうに考えていますか。
#40
○藤井説明員 GNP一%の問題でございますが、現在政府の方針は五十一年の閣議決定を守っていく、守るためにぎりぎり努力をするということでございます。私どももそれに沿った努力をしておるところでございます。
 具体的に六十年度の問題につきましては、計上する中身につきましてまだ財政当局と調整中であること、それからもう一つ、GNPそのものがまだわかってないという状況でございますので、ちょっと見通しを述べることは差し控えさせていただきたいと思います。
#41
○戸田委員 防衛庁、もう一点教えてください。思いやり予算と言われるアメリカの施設その他、こういうものについて一六・七%増、ことしはどういうものをつくりますか。
#42
○藤井説明員 担当が来ておりませんので詳細はお答えできませんが、六十年度の思いやり予算の主なものにつきましては、三沢に配備を予定しておりますF16の受け入れ施設関連、この経費が大きなシェアを占めておるというふうに理解しております。
#43
○戸田委員 今説明を受けたとおりなんですが、そこで大臣、今中国孤児の皆さんが来られまして、毎日、新聞報道あるいはテレビ報道になって、全く聞くも涙、見るも涙ですね。とにかく日本人であって日本語ができない、こういう状況で、戦争というものは非常に残酷なものだと思いますね。そういう状況の中で、P3C一機百十七億、F15戦闘機は一機百四億、あの中国孤児の接待その他の諸経費が、厚生省にちょっと聞きましたら三十数億だというのですね。それで漸次やっていくというのですから、この辺は大臣、もう少し予算の関係も含めて検討されてはどうだろう、私はこういうふうに考えるのですが、いかがでしょうか。
#44
○竹下国務大臣 中国孤児の皆さん方、テレビで見るたびに、戸田さんのみならず本当に見るも涙、聞くも涙と申しましょうか、そういう感じでみんなが受けとめておると私も思っております。したがって、これらに対応する予算措置というものについては、これは予算でございますからそれぞれ峻厳な態度で臨むものの、感覚的に受けとめますならば、いわばなさねばならぬ予算であるという角度からこれについて査定が加えられて今日に至っておると思っております。ただ、その問題と短絡的に飛行機一機の値段とかということになりますと、それはまた次元そのものの違う、相対的なバランスの中で判断を願わなければならぬ問題じゃなかろうか。感覚的に御質問なさる趣旨は私も理解できますが、予算そのものを考えれば、国政全般とのバランスの中にそれぞれが位置づけされているというふうに御理解いただかざるを得ないのではないかというふうに思います。
#45
○戸田委員 ODAの関係は一番最後にしますので、御了解いただきたいと思います。
 それで主税局長、税制の問題ですが、今年の二月ですか、「財政の中期展望」で、歳入を前提としていろいろ計算をされた。そういうものからいけば、二兆八千億円見当、概算要求で歳入欠陥、要調整額が必要だ、こういうようなことを聞いているのですね。この点はそのとおりかどうか。
 それからもう一つは、来年度に向けて、増税とは大蔵省言っておりませんが、やはり何らかの増収対策をとらなくちゃいけない、おおむね総額にして五千億見当だろう、こう聞いているのです。
 そういうことで、毎年これは大蔵省大奮闘しているようですけれども、結果的には日の目を見ずというようなことになっているのですが、一つは、退職引当金の四〇%を三五%に引き下げる。これで大体二千億。貸倒引当金について、金融保険業を除いて損金算入引き下げ。これはいろいろあります。法定繰り入れ率が期末残高に対して卸・小売業一・三%、しかし貸し倒れ率は五十三年から五十七年まで見ましても〇・四%しか出ないですね、私の調査ですと。割賦小売業については一・六%、これに対して貸し倒れ率が〇・五%、製造業は一・〇%、貸し倒れ率は〇・三%、金融保険業は〇・三%で、〇・一%の貸し倒れしか出ない。だけれども、金融関係は、これは単年度でいけばそういう計算になるけれども、これは追求してずっといきますから、最終的に何年がいってみないとわからない。だから、もっと事実は低いだろうと私は思うのですね。その他の業種が〇・八%で同上〇・四%等々でやっていきますと、大蔵省はこれらで三千億近いものが増収できるのではないだろうかと計算しておるということを聞くのですが、この辺の問題についてどうですか。
 もう一つは、租税特別措置ですね。今回期限切れのが私の調査で三十五項目ある。それで、中小企業の構造改善特別償却十五項目、大体こういうものを中心にして総洗いをやってみようかということで大蔵省は考えている、こう言うのですが、この辺の見解についてお伺いしたいと思います。
 それからもう一つは、宗教団体、学校など公益法人の課税強化の問題ですね。これは、公益事業に対する現行二六%の軽減税率を二%ぐらい上げたい、こう考えておる、こう言うのですが、この辺の見解と、それから利子、配当などの非収益事業に対する全面課税ですね、何%になるかわかりませんが、これを考えている。それからもう一つは、課税対象の収益事業、今三十三だと思いますが、これを全体として拡大をしていこうということが考えられておる、こういうことがございます。
 時間がありませんから一括してお伺いしておきますが、物品税の増税に対して、OA機器、これに全面課税をしよう。聞くところによると、おおむね五%見当にしようかということのようですが、こういう問題について。それから印紙税、登録免許税、有価証券取引税、これもでき得れば上げたい。しかし、印紙税は五十六年に改正をしたばかりだと私は記憶しているのですね。それがまたいいのかどうかはわかりませんが、こういうもの。それから、広告税を新設したい、こういう考えを持っておられるというのですが、この辺の見解。
 それからもう一つは、マル優制度の問題ですね。私たちは与野党一致して、とにかく一定の議員立法でもって三年前にこれを決定をした、国会の決議として決定をした。途中いろいろな事情がありまして、一たん凍結された。六十年度以降これは解除されるわけですから、私たちはそういうことでやっていったらいいではないかと考えておるのですが、今大蔵省としては、マル優制度については五つの案を提示をして郵政省なり金融関係にやっておる、こう聞いておるのですね。一応その検討している内容について回答をいただきましょう。
#46
○梅澤政府委員 大変広範な御質問でございますので、簡単に御説明を申し上げますと、貸倒引当金につきましては、ただいま御指摘のとおり、金融保険業以外の業種につきまして繰り入れ率の引き下げ、特に最近におきます各業種別の貸し倒れ率の実績等勘案いたしまして、現行の法定繰り入れ率を引き下げていただくというふうな方向での御検討をお願いをいたしております。
 退職給与引当金につきましては、毎度この委員会で御議論になるわけでございますが、最近におきます企業の従業員の退職あるいは在職予定年数の長期化に伴いまして、現在の累積限度が果たして妥当であるかどうか、そういう点についての御検討をお願いしておるわけでございます。
 それから、公益法人、協同組合、この二つにつきましては、実は現在の特別税率が二六%という水準になっております。これは一般の法人でございますと四三・三%、中小法人の場合も三一%という水準でございますので、本来、公益法人なり協同組合の留保所得というものは、その部分に着目する限りは普通法人の法人税率と全く同じでいっていい、秋本来の立場からいったらそういうことになるわけでございます。いわば、現在の税率というのは政策的あるいは沿革的な事情もございまして低く定められておるわけでございますので、これを相当程度引き上げていただくという観点からの御検討をお願いいたしております。
 ただ、公益事業の収益事業の範囲でございますが、ただいまおっしゃいましたように、現在三十三業種が限定列挙されておりますけれども、六十年度におきましては、この収益事業の範囲の拡大をするということは考えておりません。
 それから租税特別措置でございますが、これも先ほど申しましたように非常に項目が多うございまして、基本的な考え方は、新規の措置は一切これを認めない、それから現行の措置につきましても、政策効果に疑問のあるものとか、もうこの際その役目を果たしたというような制度は思い切って廃止していただく。それから、期限の到来いたしました項目につきましては、例えば特償率なんかも縮減するという方向で、これは現在各省庁との間で事務ベースで折衝を続けておりまして、ある程度めどがつきました段階で税制調査会に私どもとしてその現状を報告し、お取りまとめを願うという段取りになろうかと思います。
 それから物品税につきましては、OA機器等につきまして先ほど申し上げたとおりでございます。
 広告課税につきましては、従来からも、交際費と比べました場合に、販売促進経費という点では全く同じであるから交際費と同じように課税してもよいのではないかという議論があります一方で、交際費のように、代替課税という観点から言いますと広告費にはそういう事情がない、したがってこの課税については慎重であるべきであるという議論があるわけでございますが、これについても、現在なお調査会で改めて御検討いただいているわけでございます。
 有価証券取引税につきましても、今の水準はかなりの高い水準に来ておりますけれども、何らかの引き上げの余地があるのかないのか、これも御検討願っております。
 最後に印紙税でございますが、これは先ほど御指摘になりましたように、五十六年度の改正で相当大幅な税率の引き上げをお願いいたしましたので、六十年度におきましては、部分的に手直しのような事態はあるいは生じてくるかもわかりませんけれども、大きな増収効果を生ずるような意味での例えば大幅な税率の引き上げといったような点は私どもも考えておりません。
 いずれにいたしましても、税制調査会での御議論を経て各種の繰り入れ率なり税率の引き上げ率が確定した段階で、結果として一体増収効果がどれくらいになるのかということは本日の段階でまだ申し上げられないということは御了解賜りたいと思います。
#47
○戸田委員 非課税制度の改革案として大蔵省としては、一定額の元本から生じる利子に低率で分離課税する方式等々含めまして、五つの案を具体的に検討して関係者の方に提示をしている。
 その一つは、現行制度はそのまま残して限度管理を強化する。二番目は、非課税貯蓄カードを導入して限度管理を実施する。三番目は、年間一定額の利子を非課税にする少額利子控除方式を導入する。四番目は、一定額の利子あるいは一定の元本から生じる利子に低率で分離課税する。次は、非課税貯蓄を全廃し、原則として総合課税とする等々の案がいろいろと具体的に検討されて提示をされているのですが、どの辺に落ちつくのですか。
#48
○梅澤政府委員 答弁が漏れまして大変失礼いたしました。
 ただいま御指摘になりましたように、非課税貯蓄の扱いにつきましては十月の初めに、ただいまおっしゃいました五つの類型、これは九月に政府税調の特別部会で中間報告が出まして、幾つかの論点を指摘されまして、これを踏まえて政府においてフィージビリティースタディーをするようにという御指摘がございましたので、それを受けまして、いわば非課税貯蓄を存続するという考え方と、これを廃止いたしまして所得税本則に立ち返るといった考え方、その間に五つの類型をまとめまして、金融機関なりあるいは郵政省当局にお示しいたしまして議論を重ねてまいりました。
 十一月の初めに、ただいまおっしゃいました二つの方式をいわば議論のたたき台として私どもの方から再度税制調査会に提出したわけであります。
 その一つは、ただいまおっしゃいましたように、現在の非課税貯蓄は存続するとしても、現在の限度管理が非常にうまく動いていない、その結果非常に乱用されておるという事態、これがひいては不公平感を助長しているというような問題もございまして、もう少し現在の限度管理よりもこれを強化すると申しますか適正なものにするということで、ポイントは、非課税枠を設定していただくときに医療保険証で本人確認をしていただく。それから、民間の場合でございますと、貯蓄者、金融機関の方から年に一回税務当局の方に申告なり御報告をいただくということでございます。それから郵便貯金の場合も、医療保険証によって本人確認をする。同時に、現在非課税貯蓄の枠を超えた場合の課税の扱い方が民間と郵貯ではいわば片ちんばになっておりますので、これをそろえていただくという意味で、限度枠を超えた場合の郵便貯金の課税につきまして民間と同じようにしてもらう。同時に、課税になりました部分については郵便局に源泉徴収をしてもらって、郵便局のそういう源泉徴収事務について税務当局が税務監査をするという案が一つの案でございます。
 もう一つは、限度管理が貯蓄者なり金融機関に非常に窮屈であるとするならば、本人確認の手段を医療保険証というようなものに限定せずに、もう少しそこは弾力的なものにする。同時に、現在の非課税枠であります三百万の枠内で生じます利子につきまして、所得税の最低税率を上回らない水準での税率で分離課税をする。
 この二つの案で今御議論を賜っておるわけでございます。
 税制調査会のこれからの段取りは、一わたり御議論いただきまして、来週から作業委員会が始まりまして、そこでもう少し詰めた議論をしていただき、また特別部会にフィードバックするといった格好で、何回か御議論をしていただきながら最終的にまとめていただくという問題でございますので、私どもといたしましては、税制調査会の御議論の帰趨をただいま見守っておるという状況でございまして、いずれの案に落ちつくのか、あるいはいずれの実とまた別の案になりまするのか、今日の段階ではまだ私どもとして予測の限りではないというのが現段階の状況でございます。
#49
○戸田委員 今、国民の貯蓄平均は一世帯当たり四百二十万と言われてい、ますね。今の非課税制度は大体総額で九百万、財形五百万を入れて一千四百万、こういうことになると思うのですが、全く零細貯蓄だと思います。だから、そうじゃなくて、例えば五億円もある、いろいろな形でもって金を持っている人たちがそういう脱税をやっておるというようなものを捕捉して、別な面でこれはやるべきじゃないかと思うのです。この非課税貯蓄制度も、できるときにいろいろな論議をして、そしてやってきたわけでしょう。むしろ今、貯蓄の平均率その他からいっても、三百万限度というものは五百万まで上げてもいい、そういういわば零細貯蓄なんですね。だから、これはやはり非課税制度そのままを堅持をして、持続をしてもらいたいと私は思うのです。これは要望です。
 それから、殊に私たちは今度の予算編成について、一つは、防衛関係費は今年度水準で凍結をして、GNP一%というのは超えない、こういうことでいってもらいたいと思いますし、それから対外経済協力、ODA等についても、時間がなくなりましたので、一応資料は私持っていますから、これで今後の改革方式をとってもらいたいと思うのです。ODA中期目標を立てて戦略援助政策の脱却ということですが、八五年度までのODA中期倍増計画、一九八〇年代前半五カ年間の政府開発援助資金総額を一九七〇年代後半五カ年間の実績総額の倍以上とするというような申し合わせがありまして、いろいろと努力はいたしてまいりましたけれども、いまだにこれが二千八百十三億ぐらいやはり減額をされている、こういう状況です。それから、協力開発についてはどうしても二国間契約でいっているんですね。そういうところに、ひもつきその他の不信があらわれているという状況も聞くのです。もう少しこれは各般の国際機関があるのですから、そういうところを通じて、あくまでも友好、連帯の上に立って、そしてその当事国の産業あるいは経済の面に寄与するような真の援助体制というものが私は必要だと思いますが、聞くところによると、商社ベースでもって任せたり、何か大プロジェクトでもって大手が行ったときにそこでやるとか等々の話も聞くのですが、そういうことでないことでひとつやっていってもらいたい。
 殊に開発途上国ですが、全体で関係しているのが六十カ国と聞いていますけれども、そのうちの大体六〇%は例えば韓国、フィリピン、インドネシア、マレーシアとか、主としてASEAN中心になることはやむを得ないにしても、そういうことでそこに六〇%くらいいってしまっている、あとは形式的にやっているというような状況ですから、本当の経済開発援助になるような金の使い方をやっていく必要があるだろうと私は考えますが、この点はどうですか。
#50
○須藤説明員 お答えいたします。
 我が国が行っております援助は、先生御指摘のとおり、二国間でやっております二国間援助と、国際機関を通じる多国間の援助とございます。現在のところ、年によって多少数字が違ってきますが、二国間の援助が大体六割から七割、平均しますと七割程度、多国間を通じる援助が三割程度ということになっております。
 二国間援助と多国間援助につきましては、それぞれその特徴といいますか長所がございまして、例えば二国間援助の場合には、我が国が我が国の外交的な配慮に従って直接相手国との関係で機動的に運営することができるという面が長所でございますし、また、我が国が相手国に直接援助を実施いたしますので、相手国の政府あるいは国民から見て我が国の援助として印象が強いという意味で、相手国との友好親善関係の増進にも役立つという面があるわけでございます。
 他方、先生御指摘のとおり、国際機関を通ずる援助方式についてもいろいろ長所はございまして、各国際機関、世銀なりアジ銀なり国際連合の専門機関なり、それぞれ専門的な分野から専門的な知識、経験を有するものがございますから、そういう国際機関の専門性を活用できるという点は確かに長所でございますし、また、日本が従来経験がなかったようなアフリカの奥地のようなところにも国際機関ならばパイプも持っているという面も有利でございます。また、我が国の援助の条件でございますが、国際比較いたしますと、我が国の援助の贈与部分というのが比較的に低いわけでございまして、国際機関を通じる援助は贈与にカウントされますので、そういう意味では援助条件の改善にもつながるという面もありまして、やはり我が国が国際社会の責任ある一員として多国間の国際機関を通じる援助も拡充していかなければならないであろうと考えておる次第でございます。
 したがいまして、多国間援助と二国間援助の割合をバランスをとりながら行っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
#51
○戸田委員 今のODA援助の中期計画で総額が何ほどか決まっているわけですが、今、計画に到達しないマイナス分はどのくらいありますか。
#52
○須藤説明員 お答えいたします。
 いわゆるODAの五カ年倍増計画でございますが、これは大きな目標と、そのための手段としての予算の倍増と二つございまして、大きな目標の方は、実際に支出された援助額のベースで五十六年から六十年の間の援助の実績を倍にするという目標でございます。その目標達成のためには二百十三・六億ドルの支出が必要でございますが、過去三年の実績が現在出ているわけでございますが、昭和五十六年から五十八年までの実績で九十九・五億ドルの実績がございまして、今後二年間で百十四億ドルの支出が必要でございます。
 他方、予算ベースで倍増いたすためには、五十六年から五十九年度の一般会計のODA予算は一兆八千四百九十七億円になっておりまして、倍増するためには六十年度で六千三百九十一億円の予算をつけていただく必要があるということでございます。
#53
○戸田委員 かつて私は、四十年でしたけれども、カンボジア、ラオス、ベトナム等に行ったのです。そのときは「鶏三羽」という賠償金をやって、そのかわりとして農事指導、そして農業センターに何人か派遣をした。それから医療関係の振興のためにお医者さんを何人がやった。お医者さんは、受入体制として医科大学か何かをつくってお医者さんを養成する、そういう指導のような格好をやれば本当に実りある、いわば協力開発になるんですね。ところがそうじゃなくて、実際行ってみたら、お医者さん自身が住民の治療をやっているわけですよ。これじゃ何も意味をなさないんですね。それから農業センターに行ってもそうですね。実際、自分がつくってやっているだけなんです。だから、そういう受入体制を含めまして、今後のODA協力開発費というものは有効に使われていくような諸方針というものがとられなければいけないではないだろうか、こういうふうに私は考えております。
 だからそういう意味で、連帯、友好で当事国の状況を勘案して、経済状況やあるいは産業政策その他の問題で一殊に中近東、アジア、アラブ一帯ですね、今飢餓で大変でしょう、五億人も餓死しようと言っているのですから。それは通産省から言わせれば、要請があれば初めてやりますよ、こういう姿勢だそうですけれども、そうじゃなくて、こういう問題については積極的に乗り出して、そしてやはり開発振興、農政の振興、十年なら十年の先を見て、それで投資開発に援助をしていく、協力をしていく、こういうことをやられなければ、受けた方は本当にこれでいいなと思わないんですね。だからそういう点も十分勘案して検討していただきたいと思うのです。
 それで大臣、最後になりますが、過日大臣にも時間をとっていただきまして、我が党の減税関係の一端について申し入れをして篤とお願いをしたところですが、私たちはいろいろ党内で論議をいたしまして、ことしも所得税減税一兆五百億、地方住民税一千七百億、計一兆二千二百億の減税というものをぜひやってもらわなければ困る、こういうことで御提示をしておるのです。当日私は、各項目いろいろありますから、でき得ればこれらについて書面で回答をいただけないでしょうか、こう言っておったところですが、これからまた関係各省といろいろ折衝をしていきますが、そういう中においてこの減税問題等については大蔵省で全然検討されていないと聞くのですが、その辺の見解はどうでしょう。
 それからもう一つは、昨年の議員立法でやったパートタイマーの減税問題ですね。これは所得税法五条に基づいて制度織り込みをやるのが一番いいのですから、六十年度においてこれはぴちっと大蔵省サイドで私は処理をしていただきたい、制度として制定をしてもらいたい。
 それからもう一つは、減反奨励金、こういったものに対する雑所得としての無税の問題、こういった問題も長年議員立法でやってきているんですね。だからこういった問題についても適切に六十年度で制度化に織り込んでやっていっていただいた方がいいのではないだろうか、そういうふうに考えます。
 それから大臣、補助金の問題ですね。これは今御存じのように法律補助と予算補助と二つありますが、問題は予算補助ですね。これは非常にあいまいもことして、ともするとつかみ金的にそのときの政治状況判断でやられるようなことがなきにしもあらず。だから、こういう問題については、できるだけ法律補助制度に移行していく必要があるのじゃないだろうか。政策優先順位を決めて、そして一定の補助体制をとって、それが必要でなくなったらたちどころに整理をしていく、こういうような筋目のある補助状況といいますか、こういうものをつくり上げていく必要があると思うのです。今、十四兆何がし、こういう格好の中で予算補助だけでも私の理解では約六〇%、そういうことで運用されているんじゃないでしょうか。そういうことでは非常に不明朗な要素があるんじゃないだろうか。だからこれは、でき得るところは法律補助でぴちっと制定をして出すものは出していく、こういうことの方がより筋目があって、秩序があっていいじゃないだろうかというふうに私は考えるのですが、その辺について最後に答弁をいただいて、私の質問を終わります。
#54
○竹下国務大臣 まず一つは、先般もお目にかかりましたが、所得税問題でございますが、減税につきましては、五十九年度税制改正において所得税、住民税合わせて初年度一兆一千八百億円、これは私どもの側から言えばまさにがけから飛びおりるほどの大幅減税、こういうことを行ったばかりで、きのう来放送あるいは新聞でも出ておりますように年末の還付の問題、いわばことし行ったばかりでございますので、現下の財政事情を考慮しますとさらに減税を行えるような環境にはないではないか、こういう考え方でございます。で、税調等でもいつも言われますように、所得税は税体系の基幹税である、そういう意味において「国民の理解と信頼によって裏付けられることが必要である。したがって、負担の急激な増加や歪みをもたらさないよう、社会経済情勢の変化に対応して、数年に一度は、適宜その見直しを行う必要がある。」こういうふうにかねて書かれてあるわけでありますが、今動いております予算、税制の中で、所得税減税というようなものが行われたばかりの今日、そういう環境にあるとは私どもの側から言えば申し上げるわけにはまいらない、こう思っております。
 それから予算補助の問題でございますが、今十四兆幾ばくかの補助金の中で、非常に大ざっぱに言いまして八割が法律補助で、二割が予算補助でございます。それから地方公共団体を通ずるものがこれまた八割で、そうでないものが二割。それから公共事業と文教と福祉、これを足しますと八割で、残余が二割というように組み重なっておるわけでありますが、予算補助の問題につきましては、今おっしゃいましたような姿勢で、それの終期を設定するとか、もうその必要の度合いが少なくなってきたというようなものから、峻別しながらこれを削減あるいは廃止していく方向でやっていかなければならぬというふうな進め方でございます。ただ、よほど注意しませんと、一遍奨励的意味でつけた予算補助というものも、それをなくすときにはいわば抵抗が倍化するということで、これまた心を鬼にせざるを得ないのかなという感じを持っておるところでございます。その意味におきましても、何分の御協力を願うや切なるものがございます。
#55
○戸田委員 ありがとうございました。終わります。
#56
○堀之内委員長代理 柴田弘君。
#57
○柴田(弘)委員 私は、きょうは、いよいよ間近に迫りました六十年度の予算編成問題を中心にして、歳入歳出両面にわたりまして、大臣を中心にしていろいろ御所見をお伺いしたい、こう思っておるわけです。
 「増税なき財政再建」、これは中曽根内閣の財政に対する一つの基本方針であるわけであります。ところが、最近になりまして、自民党首脳の発言を見てまいりますと、どうもこの「増税なき財政再建」というものがだんだん揺らいできたんではないかと、実は非常に心配をしているわけであります。
 そこで、まず概括的にお伺いをしていきたいわけでありますけれども、果たしてこの来年度予算、この十二月の二十四日には大蔵省原案が内示をされまして、二十八日には政府案決定、こういうことであるようでございますが、一つは歳入面において増税問題というのを一体どう考えているのか、しかもそれは「増税なき財政再建」という理念に照らしてどう対応するのか。それから、歳入面のもう一つの問題は税外収入の問題であります。これは一体どういうふうに具体的にお考えになっているのか。それから歳出面では、制度、施策の根源までさかのぼった歳出カットをやるんだということを絶えず大臣はおっしゃっているわけでありますが、具体的に一体どこを削減をしようとしていらっしゃるのか。特に「増税なき財政再建」への対応というものを含めて、ひとつわかりやすく、まず御説明を賜りたいと思います。
#58
○竹下国務大臣 まず最初に申し上げなければならぬのは、いわゆる「増税なき財政再建」についてどう考えているか、これはやはり私は理念として堅持すべきものであるという一言に尽きるかと思っております。一たびその理念というものがなくなりますと、安易にやはり増税、増収措置の方へ傾斜しがちになる。と同時に、いわゆる歳出削減の厳しい姿勢が失われていくという意味においては、理念として堅持すべきものではないかという考え方の上に立っております。
 しこうして、六十年度税制はどうなるか、こういうことになりますと、やはり基本的には税の公正確保という点からいたしまして、テキストブックがあるとすれば、五十八年の十一月に出されました税調の中期答申、これがテキストブックでございましょう。あるいはバイブルと言った方がいいかもしれません。その中で指摘されておる問題をことごとく洗いざらいをして問題指摘をお願いしようというのが、今日政府税調なりに審議をお願いしておる問題であります。したがって、それはあらかじめ増収ありきという考え方以前に、まず公正確保という点から指摘された問題を議論していただいて、結果として増収があるというふうに理解をしないことには、私ども財政当局者はとかくまず最初に増収ありきという考え方に陥りがちでございますので、常日ごろ心を戒めておるということでございます。
 したがって、まずはそういうことでなくてはならぬわけでありまして、いわばぎりぎり歳出削減が行われました際に初めて、負担するのも国民、受益者もまた国民であるという認識の上に立って、さてこのままの負担を続けていくのか、あるいはこれ以上のサービスを求めるのかというところで、最終的には国民の選択に至るであろうという考え方で、このように国会でも意義ある御論議を繰り返しておるわけであります。が、いずれかのときに、私はそれに対して、お互いのコンセンサスがどの辺にあるかということを見定めなければならないことになるだろう。ただ、いきなりガラガラポンと全部の組み直しをするということは、これは財政を預かる者の手順としましては大変難しいことであるというふうに考えております。したがって、当面我々は、テキストブックであります五十八年十一月の中期答申の問題を洗いざらい――国会の議論等をも正確に報告をしながら、それの結論をお願いをしておるところであり、理念としての「増税なき財政再建」という、この旗印をおろしたわけではもとよりございません。
 それから次の問題は、いわゆる税外収入でございます。これはちょっと考えただけでも、電電公社の特別納付金がなくなるなどか、あるいは専売公社の納付金もなくなるな、そのとおりでございます。したがって、それだけのものをどのようにして確保していくかというのは、これは容易じゃないぞ。まああのポケットにもこのポケットにも、底にかすがたまっておりはしないかというようなものを全部洗いざらいして――これはいつもと言えばそうでございますけれども、概算要求の段階ではなかなか出てこない問題でございます。したがって、最終的な短い数週間の中で税外収入は精いっぱいの努力をしていかなければならぬな、これはもう終わりということなくやっていかなければいかぬなという感じで対応したいというふうに考えておるところであります。
 それから、歳出削減のポイントをどこに置くか、簡単に言えばそういうことでございますが、これは結局私も今年度の予算編成に当たってそれぞれ事情聴取してみますと、ポイントはここだというものがないな、やはり全部を削減対象として対応していくという構えでないと、これはとてもじゃないが、今柴田委員おっしゃいましたようなスケジュールの中で予算編成作業をやるというのは、容易なわざじゃないなという感を一層深めておるということであります。
#59
○柴田(弘)委員 「増税なき財政再建」の問題ですが、今、大臣としても理念として堅持をする、こうおっしゃっておられる。確かに理念としてあるだけであって、実体はもう既に形骸化をしているのではないかということを、これは五十九年度の予算編成のときにも、酒税なり物品税の増税を見ましたときに考えました。
 自民党の金丸幹事長は、「増税なき財政再建」というのは、小学校を出た者であれば、そんなことはできっこないということはわかる、これは新聞報道で、そういうふうにおっしゃったかどうかわかりませんが、そういうことが出ておる。それから、同じく藤尾政調会長は、不公平税制の是正だとか、その結果直接税の比率が高くなるので、サラリーマンなどを対象に大幅減税をする。この辺まではまあいいでしょう。その後やはり間接税の比率を高めるための増税、すなわち大型間接税を行う、こういうような構想を示してみえるわけなんです。また政府部内においても、河本国務大臣はやはりこういった増税論に同調をしていらっしゃる。これは新聞報道に出ているわけであります。大臣と政調会長との話の中で、直間比率を見直すということを原則的に合意されている。これは結局裏返して言えば、やはり大型間接税の導入というものに含みを持った合意ではないかというふうに、私は非常に危惧をしているわけであります。
 六十年度予算編成、これは端的にお聞きいたしますが、この大型間接税というものは、竹下さんが大蔵大臣である以上、これはもう六十年度はもちろんでありますが 六十一年度、六十年度以降導入をしての予算編成はあり得ないと判断していいのか、あるいはまたこういった自民党筋の増税論に対して、大蔵大臣、政府としてはどういうふうに対応をしていかれるのか。党主導で予算編成をするということがもう七月に合意をされておるわけでありますが、その辺の大蔵大臣の真意といいますか、毅然とした態度といいますか、やはり「増税なき財政再建」の堅持という問題、そして大型間接税の導入はしない、こういった問題、やはりはっきりとひとつここで御答弁をお願いしたいと思うのです。
#60
○竹下国務大臣 「増税なき財政再建」、この理念は堅持すべきもの、この考え方には変わりはございません。
 各方面で税の問題についていろいろな議論がかまびすしく行われるようになっておるということは、やはりある意味においては、歳出削減というものからくる一つのリアクションとでも申しましょうか、負担するのも国民、受益者も国民という意味において、これ以上の、一つ一つの項目は別といたしまして、サービスを求める場合、やはりそれに応ずる負担というものも当然の帰結として考えなければならぬという議論が各方面で行われておる、その一環である。表現の仕方は別といたしまして、そのように私は認識をいたしておるところであります。
 したがって、次は間接税の問題に入ってまいりますが、直間比率の問題をも含めて見直すべきであるという趣旨の考え方は、臨調の、最近の分でない少し前の分にそういうことが書かれてあります。そして、いろんな機会に出くわしましても、直間比率というのが、日本は余りにも直接税依存型ではないかという議論があります。しかしこの問題は、いわゆる直間比率というのは結果において決まるものであって、仮に今日、直間比率を一つ固定いたしましても、所得は毎年いずれにせよ名目、実質ともに、わずかであろうとも伸びてまいります。片方、物価は、それを超すような状態には今日ございませんし、また従量税の問題はなかんずくそういうことでございますだけに、一度固定しても数年後には必ずまた比率は変わってくるわけであります。したがって、言葉の上で直間比率という表現よりも、税体系全体の見直しと言った方がいいのではないかな、こういうようなことを前国会でも御議論を申し上げたこともございます。が、今の場合、昭和五十五年当時、私が大蔵大臣をしておりました当時の国会決議というものがありまして、財政再建の手法としていわゆる一般消費税(仮称)、そういう手法はとらないでやれという国会決議というものが厳然と存在しておる。その認識の上に立って対応しなければならない問題だというふうに考えておるところであります。
#61
○柴田(弘)委員 そうしますと、一般消費税という言葉を使われましたが、これはもう国会決議もある、こういうことでありまして、大蔵大臣としてはやはり、大臣を続けられる限りは一般消費税ないしは大型間接税というのは導入しない、端的にこういうような受けとめ方でよろしゅうございますか。その辺どうですか。今、受益と負担の問題をおっしゃいました。いつも大臣おっしゃるわけですがいそれは国民の選択の問題だというふうに非常にあいまいなことで、その後に、じゃ国民が選択すれば大型間接税の導入があるのかなというふうに思うわけであります。しかし、大型間接税の導入というのは、国民的な一つの大きな阻止すべき、反対する課題であるというふうにも考えておるわけでありますが、端的にどうでしょうか。この辺、一遍ちょっと……。
#62
○竹下国務大臣 国会決議が厳存する限りにおいて、いわゆる一般消費税(仮称)、あの手法をもって財政再建の手法といたしますということは、私はとるべきでない。別の決議で決議が変更されるというような事態があれば別でございますが、そういうことはおよそ考えられないことでございましょう。
 ただ、私どもが税制に対して固定的な考えをいつも控え目にいたしておりますのは、やはり経済社会情勢の変化の中で、国民世論というものもいろいろ変わってまいります。中には本当にガラガラポンにして積み直ししたらどうだという議論もございます。そういうような議論が出てくるというのも、国会でいろいろな議論がなされることが国民次元に逐次浸透して、いろいろな議論になっておるわけでございますので、私が大蔵大臣をする限りにおいてというようなことは、そういつまでも微力な私がやっておるわけでもございませんでしょうが、やはり歴史的な経過の中で、よしんば一こまであっても、日本国大蔵大臣であることは間違いございませんので、後世に余り悔いを残すようなお答えになってはいかぬと思って、いつでも慎重な上にも慎重に言葉を選びながらお答えすることをもって私の使命であると考えておるわけでありますけれども、特に俗称直間比率なんというのはそういう全体の世論動向の中で決まるべきことでございますので、私がいわば将来の政策のすべてを固定するようなお答えをすることは非常に難しいのじゃなかろうか。
 ただ、中曽根総理が言っておられます言葉の範囲内においてお答えするといたしますならば、投網をかけるような、いわば消費一般を対象にした税制は、私はその手法をとらない、こういうことを言っておられますので、それが限界ではなかろうか。今日、中期答申等で議論をいただいておりますのは、まさに間接税そのものでございますけれども、その便益性からくるところのいわば範囲の拡大とかいう見直しの議論は、結論がどうなるかは別といたしまして、行われております。したがって、考え方の中で、いわば所得の段階に担税力を求めるか、消費の段階に担税力を求めるかという問題は、そのときどきの経済社会情勢の推移に照らして対応されるべき問題で、長年にわたって私がお答えすることによって選択肢を狭めてしまうということは避けるべきじゃないかという感じがしております。
#63
○柴田(弘)委員 そこで、私どもかねがね言っているわけでありますけれども、六十年度の予算編成に関連をいたしまして、いわゆる「増税なき財政再建」を実現していく、これは飽くなき行政改革を徹底していく、こういうことであると同時に、もう一方においては、最近我が国の景気は回復から上昇ムードにあるわけでありますが、この景気回復、上昇、つまり我が国の経済というものをきちっとした安定的成長の軌道に乗せていくということが、予算編成なり我が国財政に求められた課題ではないかと私は考えるわけであります。
 過去、ここ何年来の政府の予算編成をずっと見てまいりますと、それはただ財政再建という名前をかりた単なる財政の帳じり合わせではなかったのか、こんなことを考えております。福祉や教育というものをだんだん削減していく一方においては防衛費を突出させている、こういった予算編成のあり方というものが内需中心の景気回復を著しくおくらせていく、そして行政改革の不徹底と相まちまして財政再建を困難に陥れている、こういうことであるわけであります。
 でありますから、どうかひとつ六十年度の予算編成にありましては、一つは、「増税なき財政再建」を着実に進めていくためにも、行革というものをしっかりと徹底していく、そして同時に、内需中心の景気回復を実現して財政再建をしていくということで、少なくとも、経済成長というものも五十九年度は五・三%に上方修正されたわけでありますが、やはり五%台の経済成長を確保していくような予算編成のあり方、経済財政運営のあり方というものを私はお願いしたいわけでありますが、その辺のところは、経済問題と絡めてどうでしょうか。
#64
○竹下国務大臣 おっしゃいますように、いわゆる経済が内需中心型、すなわち貿易摩擦等を受けない外側にあって、しかも中期的に見て実質成長率が五%台というようなことは好ましい姿だなと思っております。それは、言ってみれば、我が国の持っておる潜在成長力を何ぼに見るかというところから決まるわけでございますけれども、御案内のように八〇年代の「経済社会の展望と指針」におきまして申し述べておりますのは、いつも申し上げますように「七、六、五抜きの四、三、二、一」、すなわち実質成長率を四%程度、こう見ておるわけであります。したがって、我が国経済をめぐる大きな変化、原油価格が突如として上がりますとか、そんな問題はないでしょうけれども、そういう変化もないということになるならば、やはりいわゆる「展望と指針」に示されております中期的成長率としての四%程度は、私は一つの目安ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。
 さらに、アメリカ経済の予想を上回る拡大等からいたしまして、輸出の好調、そういうことから、今は五%台の成長が五十九年度においては予測されておるわけでございますけれども、これは五%のときもあればまた三%台のこともあって、「展望と指針」の中に示されておる四%程度というのは、私は余り大きな間違いはないのではないかな、ただ、経済審議会におきまして今レボルビングが行われておるというふうに承知しておりますので、その点はもう少しその経済審議会の見直しとでも申しますか、それを見守っていきたい、大きな変化はないのではないかな、こういう感じがいたしておるところであります。したがって、かつての高度経済成長を願うような状態ではないという感じでございます。
#65
○柴田(弘)委員 ただいま大臣御答弁ありましたように四%台、これは「一九八〇年代経済社会の展望と指針」の中にそういうふうに書かれてあるわけでありますが、私どもが五%台の経済成長と言うのは、先ほど来申しておりますように財政再建を貫徹する、あるいは今日の企業を取り巻く中小企業を中心とした、年間二万件に及ぶと言われる倒産問題を解決する、あるいは雇用を改善する、あるいは貿易摩擦を解消する、こういったことで五%台の内需拡大による経済成長というものはぜひとも達成をしていく予算編成であり、また財政運営であっていただきたいと考えて御質問をいたしたわけでございます。
 そこで、「増税なき財政再建」を堅持する、こういうことであるわけであります。それから、中曽根内閣の使命としては、その財政再建というのは昭和六十五年にいわゆる赤字国債から脱却をする、こういうことになるわけであります。私いつも言っているわけでありますが、せっかく昭和六十五年までに赤字国債から脱却する、しかも「一九八〇年代経済社会の展望と指針」というものも一応閣議決定をされ、これはもう政府の一つの大方針として発表されている。であるならば、財政再建年次計画としてこういうふうに人減らし、金減らし、機構減らしをやっていくんだ、あるいはこういうふうに行政改革を徹底してやっていくんだ、歳入面あるいは歳出面の適正化もこういうふうにやっていくんだというふうなもの、この「増税なき財政再建」を堅持する方向で政府が対処していくのならば、私はそういったものも出されてしかるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。今までは「財政の中期展望」ですとか財政の中期試算、これは大蔵省の増税への環境づくりのようなものを出しておられるわけでありますが、そういった思考が全然ないというところに、「増税なき財政再建」だと、いかに政府が口で唱えても、国民から信頼されない。結局また財政再建も破綻をしてくるであろう。
 先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、歴代内閣が全部財政再建に失敗してきた。全くそのとおりでありまして、私も、中曽根内閣の財政再建も、こんな状態では失敗するのではないかという危惧を抱いているわけであります。そういった点から、昭和六十年を初年度とする財政再建計画の提出ができないかと私は考えるわけでございますが、その辺はいかがでございましょうか。
#66
○竹下国務大臣 これは、いつも真剣な議論展開の中に、財政再建目標年次までの計画策定という御議論が出ております。それは議論としていただけない議論ではないと私はいつも思うのであります。ただ、五十六年、五十七年等の予期せざる世界同時不況というようなことから、幾らか我々の肝が小さくなっているのではないかという批判を受けることもございますが、経済全体が極めて流動的なものであるという中において、その経済の一部分であります財政だけが、将来についてあらかじめ定量的な、画一的な実行計画を策定することは、事実上困難な問題であります。
 では、今何が出されておるかということになりますと、結局六十五年度までに赤字公債依存体質からは脱却したい。そういうことを努力目標として、それに至るためにいかなる手法をとるべきか。それに至る手がかりを示すものとして、毎年中期的な財政の展望を作成して、要調整額がこのような姿になっていきますということを、その年々の努力のあらわれと同時に、変更しながらそれをお示しして、そこで国会を通じて国民の皆さん方との論議をしておるわけであります。これが、いわゆる仮定の事実を置いてではございますが、「仮定計算例」であるとか「試算」であるということになるわけです。その重ねておる議論が濃密になればなるほど、そこでおのずから、負担するのも国民、受益者も国民という観点に立った場合には、コンセンサスも生まれていくではないか。そうなれば、最終的には、そのコンセンサスとはすなわち国民の皆さん方の選択の問題だということで、焦りつつも急がず問答を繰り返しておるというのが今日の段階そのものではないか。
 だから、あらかじめリジッドな実行計画を策定するという御議論は毎度ちょうだいしながら、現実問題として、その実行計画というものでお示しするということは、経済の一部である財政のみにそれを適用するということは非常に難しい問題だというお答えを繰り返さざるを得ないところに、また私どもの苦悩もあるということであります。
#67
○柴田(弘)委員 消極的な答弁しかいただけないだろうということを予想いたしまして質問したわけであります。そこで、具体的な税制改正の問題について御質問をしていきたいと思います。
 先ほど来主税局長から御答弁いただいておりますように、国税十項目、地方税七項目、十七項目に及ぶ増税の項目を政府税調なり自民党税調に提出された。こうした一連の動きを見ていますと、先ほど来「増税なき財政再建」を理念として堅持するとおっしゃっているのですが、やはりこれは国民の立場からすれば「財政再建なき増税」であると言わざるを得ない。不公平税制の是正ということもあるわけでありますが、そういった要素よりももっと安易な、いわゆる国民生活を圧迫する直撃型の増税攻勢、こういうことが言えるのではないかというように私どもは感じております。
 そこで、具体的に今度の物品税の増税でありますが、先ほど来のOA機器、きょうの新聞にも「パソコンなど七品目」に対して「来年十月」から「実施」をされる、これは「大蔵省案きょう提示」、こんなふうに書いてあるわけでありますが、こういったいわゆるOA機器の増税というのは、私は一つはやはり生産財ということから、物品税というものの趣旨に背くのではないかという疑念があるわけであります。この疑念についてひとつ解明をいただきたいと思いますし、それから二つ目には、やはりこういった中間生産財あるいは事務用品にまで課税対象を拡大をしていくということは、これはまた最後にもう一遍きちっと聞こうと思っていますが、大臣、大型間接税の導入への布石である、こういう心配がある。それから三つ目には、先般もいろいろとこういった業界の方々のお話を聞きますと、中小企業の方の約八〇%が、今後合理化のためにOA機器の導入をしたいと言っている。やはり中小企業によって支えられている我が国経済のいわゆる活性化、活力というものをそぐものと言わざるを得ない。あるいはまた、これは内需を抑制をして輸出ドライブをかけ、また欧米各国との貿易摩擦というものが増大をしていくのではないか、こういった経済面でも問題があろう、こんなふうに思っているわけでありますが、そこら辺はそういった懸念というのは全然ないわけですか。これは一遍ひとつ三点について御説明を賜りたいわけです。
#68
○梅澤政府委員 物品税の課税範囲の問題については、種々御議論があることは私ども十分承知をいたしておるわけでございますが、かねがね当委員会等でも御説明申し上げておりますように、物品税は本来は消費の持つ担税力に着目して課税をするということでできました法制でございまして、ただいま委員が御指摘になりました事務用機器まで課税するのは疑問があるという御指摘ではございますけれども、例えばタイプライターとか謄写版とか金銭登録機とか計算機とかいったようなものは、昭和二十年代の半ばに課税物品の対象から外された経緯はございますが、かつてそういうものも課税されたこともございます。
 昭和二十五年代半ばから現在までの立法の経緯を見ますると、物品税の課税範囲の対象をなるべく縮減するという方向で今日まで立法の歴史が推移してきたということ、これは事実でございます。それは、税制というものは、今さら申すまでもないわけでございますけれども、そのときどきの財政事情とかいろんな税目との組み合わせの中でいろいろな変遷をたどるものでございまして、今日この時点におきましては、これは昨年の十一月の税制調査会の答申もいただいておるわけでございますけれども、非常に消費が多様化し、昔の水準からいえば非常に高度化しておる、こういった時代に適応いたしまして、新しい物品税の対象として範囲に取り入れるべきものにつきましては、やはり積極的に検討していくべきである。私ども、現在の物品税の法制のもとで法制作業をする者としては、そういう立場で検討作業を進めなければならない問題であろうというふうに率直に考えておるわけでございます。
 ただ、おっしゃいましたように、生産過程そのもので使用されるようないわゆる財につきまして、これに課税をするというのは、これは私どもも、消費あるいはその便益性というものに着目して課税するという物品税の税制からいいますと逸脱すると思うわけでございますけれども、単に家庭で使用されている物品だけについて課税するのが物品税であるという点については、私どもはいささか疑念なしとしないわけでございます。
 例えば、現在乗用車が課税になっておりますけれども、これは家庭でも使いますし、オフィスでも使うわけでございますね。したがいまして、それぞれの物品の特性に着目いたしまして、例えばワードプロセッサーというようなものは、個人でも使うわけでございますし、オフィスでも使うといったようなものでございます。仮に企業で使用される物品にいたしましても、例えば消費に一番近いところと申しますか、一般管理費のような系統で経理されるような物品について、しかも家庭等でも使用されるというような物品については、やはり広く課税の対象として検討してしかるべきではないかというのが私どもの考え方なのでございます。
 後ほどの問題は大臣から基本的な考え方をお示し願えると思いますけれども、そういうふうに個別的な物品に着目して課税するというのが現在の物品税でございますので、消費一般に課税するという新しいタイプの間接税として議論されるものとは全く性格が違うというふうに私どもは考えております。
#69
○竹下国務大臣 大筋、主税局長からお答えしたとおりでございます。いわばバイブルとかテキストブックとかいいます五十八年十一月の中期答申の中でも読み取ることができますように、いわば便益性等に着目してそこに担税力を求めて、従来の物品税のあるべき姿に対しての範囲の拡大という意味で検討項目として提示され、それを今日税調で審議されておる。
 そこで、別の角度から、消費財といわゆる生産財という分析の仕方があろうかと思います。これについては、今主税局長から考え方を述べたとおりであるというふうに私も思っております。
 それで、完全にいわゆる消費の段階に担税力を求めるのか所得の段階に担税力を求めるのかという大議論の中で、消費の段階に担税力を求めていこうというのが、哲学として定着した形でこの一般消費税が生まれてきたというものではなく、既存の物品税の範囲内におけるいわば範囲の拡大という感じてこれを受けとめて議論をしていただいておるさなかであるというふうに私は思っております。だから、なし崩しで広げていくのならば、むしろ大議論をして、消費の段階に担税力を求めるか、所得の段階に求めるか、そういうサイドからの論理の展開というのがより自然ではないかなというふうに。考えております。
#70
○柴田(弘)委員 この問題はまた改めて後日議論をさせていただきたいと思いますが、大臣、四十代、五十代の中高年層に対する対策。経企庁が発表いたしております物価レポートによりましても、あるいは国民生活白書によりましても、四十代、五十代に。なりますと、子供が高校なり大学、非常に教育費がかかりやすくなる。
    〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
三十代では三・五%ぐらいだが、四十代になるとこれが一一・七%、とにかく私立高校、私立大学へ行くと大変な教育費がかかる。収入も上がるわけでありますけれども、収入と消費の支出、トータルでは赤字である、こういうことですね。
 そういう中で、他面において教育費に対する国家予算を削られ、義務教育の国庫負担金を一千億円程度削減をしたり、あるいは私学助成を三百億円減額する、あるいはまた国立大学の入学金や受験料を引き上げる。要するに税制面においても制度面においても、中年層いじめ。中高年ではなくて中年層ですね、四十代、五十代。この辺のところを何らか六十年度以降に配慮していく、税制面なり制度面なり考えていかなければ、不公平というものはますます助長されるのではないか。こういった問題の対応、教育減税をやれということを労働界あたりは言っているわけでありますが、こういった教育減税を含めて、大臣としての、政治家としての御見解。
 それからもう一つは、単身赴任減税という問題があります。単身赴任される方もやはり四十代、五十代が多いわけであります。全国で十五万人ぐらいいらっしゃるとか言われる。やはり同居のときに比べて十万円ぐらいの持ち出しになる、手当をいただいても。労働省あたりも単身赴任減税を予算要求していこう、こういう動きがあるようであり、自民党の中でも心ある人たちは理解を示していらっしゃる、こういうことでありますが、教育減税、単身赴任減税を含めてこういった中年層に対する対策というのは、来年度予算の一つの目玉じゃないか。五十九年度はパートタイマー減税が与野党合意によってなされたように、中高年に対する税制面、制度面の一つのあり方、こういうところへ来ているような感がするわけであります。来年度は何でも増税だ、何でも歳出カットだ、どうも今までの議論を通して、大型間接税の導入も将来あるかもわからない、そんな感じを私はきょう持ったわけでありますが、その辺はどうでしょうか。
#71
○竹下国務大臣 税は経済、社会の推移に応じて絶えず見直していくべきものであるという原則が一つあります。と同時に、所得税等におきましては、これまた数年に一度は見直すべきものではないか、こういう答申も、何遍も言うようでございますが、バイブルとも言われ、テキストブックとも言われる中期答申の中にあるわけであります。したがって、今年度、今動いております予算、それの裏打ちとなります税制の中において大型減税を実行した。たまたまその減税というものの対象が、いろいろな区分をしてまいったわけでありますが、相対的に、言ってみれば教育費等の掛かりの平均して大きいと思われるところに、少しは重く減税の効果が行き渡りつつあるというのが今日の税制ではないかというふうに思っております。これが未来永劫不易のものであるというようなことを申し上げるつもりはございません。
 そこで、そういうことから考えて、一方、教育減税の問題と単身赴任減税の問題があります。この問題で、やはり基本的な問題として我々がまず認識しておかなければならぬのは、いわゆる個別の事情のしんしゃくというものが、税制の中でどれだけなじむものであるかということでございましょう。したがって、教育費控除を創設してはどうかということになりますと、今日まで教育というものについてはいわば歳出面から助成を加えて、税制面において親に対する助成の道を開くということは、今の教育助成方式そのものに基本的な変更を加えるということになるものでございますので、これは軽々に結論を出し得ない問題であるという事実認識をまずいたしておるところであります。
 具体的に税制固有の問題としても、税金を納めていない貧しい家庭の父兄には全く恩典が及ばない、こういう問題もあります。そしてまた、高校を卒業して働いておる人は税を納め、なにを納めておりますが、大学へ行っていらっしゃる方は、いわばそれが親の側からにいたしましても、税の控除の対象になるということに対するバランスの問題からする問題も、いつでも議論されてきておるわけです。義務教育のみで社会に出て働かざるを得ない若年勤労者の税負担とのバランスということを度外視するわけにはいかぬ、そういうことが税制調査会の答申でも述べられておりますので、基本的には個別の事情を税制の上でしんしゃくするというのにはおのずから限界があるという答えに尽きるのではなかろうかというふうに思っております。
 それから単身赴任減税の問題は、感覚的には大きな世論として浮き彫りになっておることをだれしも承知しております。しかし、これこそまさに議論を詰めていけばいくほど、いわゆる雇用政策の問題になってくるのではなかろうか。そういういろいろな控除をいたしました際、それこそ公務員におきましては寒冷地手当とかそういう種の問題も給与として捕捉されておることには間違いないわけでございますので、別居手当とか帰宅旅費とかいうものを、いわゆる税制上の問題として取り上げていくのはなかなか難しい問題がある。
 なお、最近私も感じますのは、ちょうど冬になりますと、私の田舎でございますとか、あるいはここにもかなり開発途上県の人もいますが、そういうところからお出かけになる出稼ぎの方の問題とか、そういうことを考えますと、いわゆる単身赴任減税というのは、やはり雇用政策の中で議論されて、ある意味においては労使間の問題になる面もございましょう。そういう角度から解決するのが本当の姿じゃないかなというようなことが、そのうち国民全体に理解されていくのではないかなという願望を持っております。
#72
○柴田(弘)委員 考えの出発点が全然違うわけですね。私の申しておるのは、中年層対策というのをやらないと、たまたま教育減税という問題あるいは単身赴任手当減税という問題が起こってきた。それは税制上の問題からいえば個別の問題かもしれませんが、これは、考えていけば、例えば単身赴任の問題でもやはり住宅問題であり、教育問題です。今日までの住宅対策あるいはまた教育の問題というものにきちっとした対応を政府がとってなかったところに一つの問題があって、何も企業の個別の問題でないというふうに私は判断しておるわけでありますが、そういった発想の原点が大臣と私と違いますもので、これ以上議論しておってもあきませんが、とにかく冷たい対応策だなというようなことは指摘しておきます。
 それから、話を変えまして非課税貯蓄制度。今、低率分離課税の問題と限度管理の問題、それから適正化ですか、税調審議をお願いしておる、見守っておるという主税局長の答弁がありましたが、限度管理方式にしましても、これはグリーンカードと比較すれば、ただ心理的なそういった影響があるだけであって、本当に本来の目的であるいわゆる不公平税制の是正、総合課税によるマル優の不正利用の撲滅、あるいはまた金持ち優遇措置に対する対策にはならないわけです。きちっとした、本当にグリーンカードのような完璧なものじゃない。低率分離課税に至っては、どうも大蔵省はこちらの方をもくろんでいらっしゃるわけでありますが、そもそもこれはまじめにマル優を利用している者も不正利用している者も一律に五ないし一〇%課す、こういうことであって、これはますます本当に不公平税制の是正というものにはつながってこない。本当にこういったあり方でいいのかということで、私は非常に憤りをすら感ずるわけです。
 そこで、端的にお聞きしますが、六十年度に凍結解除になるこのグリーンカード制というのは廃止されるのかどうか、あるいはまた、それこそ国民世論の問題であるわけですが、機会を見て復活されるのか、これをひとつお聞きをしたいわけです。大臣、どうですか。
#73
○梅澤政府委員 先ほど来申し上げておりますように。利子・配当課税の問題につきましては、非課税貯蓄のあり方、それから課税貯蓄に対する課税のあり方、それは利子、配当だけではございませんで、昨今その周辺の問題になります金融商品はたくさんございますが、それに対する課税のあり方を一体どうするのか、あわせてグリーンカードを一体どうするかといった点も含めて、現在総合的に税制調査会で御議論を賜っております。私どもが審議を拝聴する限りは、ただいま委員がおっしゃいましたような御意見もいろいろ出ておりますけれども、いずれにいたしましても、グリーンカードの問題につきましては、私どもといたしましては税制調査会の御結論を賜りまして、そのとおり実行していかなければならない、そういうふうに考えております。
#74
○柴田(弘)委員 税制調査会をすぐ隠れみのにされるわけでありますが、私どもの考えは、決してグリーンカードは死んだとは思っていませんよ。今凍結中です、三年間、六十年度末まで。ところが、中には考え方が違った人がおって、今マル優見直しをやっている、つまりグリーンカードを廃止して、それの次善の策として低率分離課税ですとかあるいは限度管理方式というものをやっている、こういうことなんですね。私は、グリーンカードは将来は復活はあり得るのだが、やはり現実的な対応として、今の低率分離課税の見直しとそれから限度管理方式の適正化を税調へ諮問しているのだ、これならまだ理屈はわかるわけです。グリーンカードはもう死んだんだ、お蔵入りだ、こういうことで、じゃその次の対応ということで今の二案がやられたらこれは大問題だ、こういうことで聞いておるわけですよ。だから、税調の審議過程がどうこうでなくて、大蔵省としては一体どう考えているか。事務的な答弁でなくて大臣の、いわゆる不公平税制の是正という観点から、このグリーンカード制の復活というもの、これをやはり本当にきちっとやっていくなら再浮上させるべきだ、こういうふうに思っておるのですが、その辺は御答弁できませんか、そんなあいまいな答弁じゃなくて。
#75
○竹下国務大臣 実際問題としてあいまいな答弁になるかと思うのでありますが、このグリーンカードというのは、五十五年度予算を審議し、そして国会で通してもらった。当時私が大蔵大臣でございます。日本共産党を除く各党全会一致の賛成でこれが法律になりました。が、その後各方面からいろいろな御意見がございまして、いやゼロクーポンの方へシフトするとか、たんす預金をするために金庫が余計売れるとか、あるいはそれがあるためにいろいろな混乱が起こるとか、必ずしも実態を正確に把握したわけではございませんが、そうした環境の中で議論をされて、それで、はてさてと世論の動向を見ながらおったら、また私が大蔵大臣になりまして、今度は、今おっしゃったように凍結と申しますか、そういう法律を出さざるを得なかった。本来ならばこれは不信任ものだと私自身も思うのであります。私は、一遍途中で休んでおったとはいえ、それを出した提案者たる私が、それを凍結する法律を出しただけで不信任ものだという感じすら持ちながら対応しました。しかし、各党の御協力を得て――実質上は協力ということになるわけでございますが、これが凍結ということになった。
 そうすると、期限が来るとここで何らかの対応策を考えなければいかぬというので、利子、配当の問題について税調で部会をつくってもらって、そこで御議論をいただいて今日までに至った。それで、凍結の期限がいよいよ来るわけでございますから、したがって、それまでに何とか現実的な処理方法の答えを出してもらわなければいかぬというので、今言いましたように作業が進んでおる。そしてそれの結論が出たといたしますならば、法的措置といたしましてはグリーンカードの――今私、それでちょっとあいまいなお答えになるとあえて申しましたのは、法律的にはあの問題自身はそのまま残りながらこの措置が行われるのか、そうでなく、法律の書き方によっては、あの法律自身は、いわばまあ俗称グリーンカードというのは廃止されて、新しい利子、配当のあり方が生きていくのか、若干事務的な問題もございますので、ちょっとお答えが、私の不勉強ということでございましょう。どのようにお答えした方が正確かというのは、法律手続上の問題もありますので、すぐここで私がお答えする能力を持ちませんから、ちょっと相談してみます。
#76
○柴田(弘)委員 これは大事な問題ですね。要するに私どもの考えは、三年間凍結をされた。それで今この二案について税調で審議をしていただいている。当然グリーンカードは廃止でなくて、凍結解除はできないにしても、その凍結というのをまた三年なら三年延ばす。そしてその周に、現実的な処理と今大臣がおっしゃいましたが、次善の策として、現実的な対応として利子・配当課税の見直し、これが低率分離課税があるいは限度管理方式か、どういうふうに決まってくるか知りませんが、とにかくきちっとしていかなければいかぬわけなんですね。少なくとも僕は、幾ら次善の策が出されても廃止ではない、こう思うのです。
 ちょっと時間を超過しましたけれども、これは大事な問題ですから、不勉強じゃなくて、きちっと……。
#77
○竹下国務大臣 私がお答えしましたのは、そういう答えが出たときにどのような法律になるのか、その法律の書き方によっては、今おっしゃった二つの議論が出てくる。したがって、立法の事務的な問題からしても、これはちょっと相談してみなければいかぬなと思ったわけですが、対応の仕方としてはさまざまな対応の仕方があるそうです。それらを含めて税調で議論してもらっておるというのが現状だというふうに、正確にお答えした方が適切であろうというレクチャーを今受けたばかりでございます。
#78
○柴田(弘)委員 そうすると、私が言っているように、廃止ではなくて凍結がずっと続いていく、延期ということもある、その中で今の非課税制度の見直しというものもあるんだ、そういったことを含めて今税調で審議をしていただいておる、こういうことですね。廃止じゃないんですね。税調から出てくる答申が、こういうふうにしなさいよと、非課税を見直す場合に、グリーンカード制というのはもう死に体、いわゆる廃止じゃないんですね。こういうことですね。
#79
○梅澤政府委員 これは今大臣から御答弁のあったとおりでございまして、対応としては、そもそもグリーンカードをそのまま実施するということも一つのコースでございますし、今おっしゃいましたように、次善の経過的な措置としてやって、将来グリーンカード制度を本格的に実施するというやり方もございましょうし、一つの新しい制度をお答えをいただきまして、グリーンカード制度を一たん廃止するといったコースもあるわけでございまして、そういったものを全部含めまして、税制調査会で今グリーンカード制度の取り扱いを利子・配当課税問題の一環として御検討いただいており、その結論に従って対応いたしますというふうにお答え申し上げておるわけでございます。
#80
○柴田(弘)委員 これは大事な問題ですね。時間が来ちゃったから、また後でやりますけれども、これは本当に大事な問題です。税調の議論もありますし、その答申もありますが、やはり大臣も不勉強でなくて、しっかりと大蔵大臣としての対応というものを答弁できるように、ひとつお願いをいたしたいと思います。
 最後になりますが、私は、今日の見直し論議というのは、グリーンカード制のもとのねらいであった利子・配当所得の源泉分離課税を廃止をして、総合課税に一本化して不公平を是正するという道からも随分遠ざかっている。だけれども、次善の策ということであるならば、少なくとも次の三点はひとつ勘案していただきたい。
 一つは、できる限り不公平税制是正の目的を貫いた見直しをしていただきたい、マル優の不正利用をうやむやにしてまで税収を確保するという観点でなくて。マル優を全廃して、限度額を守っている人を巻き添えにすべきではない。
 それから二つ目には、非課税貯蓄制度を存続をして今日の経済発展にさえなった我が国の貯蓄あるいは国民の老後の蓄え、住宅取得のための蓄え、子供の教育や結婚のための資金確保、こういった面においても、私はやはり非課税貯蓄制度というものはどうしても存続をしていくべきだと思います。
 第三点目には、こういったマル優の見直しによって金融資産間のシフトが起こって、金融秩序が乱れ、国民経済に混乱が起きてはならない。少なくともこういう三点だけはきちっと貫いていただきたいと思います。これは要望しておきます。お考えがあれば、御答弁いただきたい。
 それから最後に、一番初め質問しました大型間接税の導入、これはどうも今国会、百二国会は、百一国会に比べて、私、今の大臣の答弁を聞いていまして心配です。はっきりと大型間接税導入をしないとおっしゃらない。だから私は、大型間接税の導入も将来はあり得る、六十年度は別にしまして、六十一年以降。中曽根さんも、シャウプ勧告以来の抜本的な税制の見直しをやる。これはあくまでも大増税路線であり、大型間接税導入の含みを持った発言だと私は思っています。いかに「増税なき財政再建」を貫いていこうと思っても、そういったところから崩れてきつつあるんだ。やはり百一国会の感触と違うのです、きょうの大臣の答弁は。その辺の点をきちっと私、確認したい。導入するというなら導入するとおっしゃっていただいても結構ですけれども、やはりそれに対応していかなければなりませんので、この二点、ひとつお聞かせをいただいて、時間が超過しましたが、質問を終わります。
#81
○竹下国務大臣 まず一点の問題につきましては、先ほど来申し上げておりますように、いわゆる税制調査会の中期答申というテキストブックに基づく範囲の拡大という議論が今日なされておるところであります。そして中曽根総理が、いわば表現としては、投網をかけるような形の、消費一般に着目した税はやらない、こうおっしゃっておるその方針は、大蔵大臣たる私もそれに従うのが当然であります。そしてまた、国会決議が五十五年でございますか、私もあの国会決議に手を入れさしていただきました。この決議案文をおつくりになるときに参加させていただきましたが、あの手法はそのまま生きておるということは、肝に銘じていなければならぬ課題だ。私が申しましたのは、未来永劫にわたって大型とか中型とか、それは範囲はどうだという議論はございますでしょうが、一人の大蔵大臣が未来永劫にわたっての税制を固定化さすことはいけないという意味で申し上げておるだけでございますので、大変心境の変化をもたらしておるというわけのものではございません。
#82
○柴田(弘)委員 マル優見直しのことはどうですか。簡単でいいですから。
#83
○竹下国務大臣 税制調査会で今盛んに御議論をいただいておるマル優の問題につきましては、今の柴田委員の御意見を正確にお伝えをしたい、このように考えております。
#84
○柴田(弘)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので、終わります。
#85
○越智委員長 米沢隆君。
#86
○米沢委員 現在、六十年度予算編成作業が急ピッチで行われておりますが、大蔵大臣を初め役所の皆さん方は大変御苦労さんでございます。それと並行いたしまして、先ほどから議論がありますように、六十年度の税制改正につき自民税調、政府税調を中心にしまして鋭意議論が重ねられておる最中でありますが、この際私は、石油化学産業に関連する税制問題、特に原料非課税の原則を確立すべきであるという問題に絞って関係当局の見解を伺っておきたいと思います。
 今さら申し上げるまでもなく、我が国の石油化学産業は、関連産業まで含めますと、出荷額にして約十六兆円、就業者にいたしまして約五十万人を数え、出荷額ではほぼ鉄鋼業界に匹敵する我が国の重要な基礎素材産業であります。
 過去二度にわたります石油ショックによりましてもたらされた原料、エネルギー価格の高騰に、アメリカ、カナダ等のエタン資源国に対する価格競争力の喪失も加わりまして、今日業界全体が極めて厳しい情勢を強いられておるのは、御案内のとおりであります。
 その上、昭和五十五年以降内需、輸出の後退と輸入品の急増の影響もありまして、今日まで生産量、稼働率ともに大幅な落ち込みを見せ、今や石油化学産業は構造不況業種の一つとして、目下再活性化のために、設備処理等業界挙げて最大限の努力がなされておることも御案内のとおりであります。
 昨年後半から、アメリカを中心にしまして世界景気が回復をし、また昨春の原油の値下がり等の影響もありまして、今原料安、製品価格是正、合理化効果等により、日本の石油化学産業も久方ぶりに業績は回復をいたしております。しかし、シンガポール、台湾、サウジアラビア、カナダ等、エタン資源保有国における積極的な大増設を背景といたしまして、本格的な攻勢の始まる来年度からは、また大幅な輸入増、輸出の減退、価格が下がってしまう等が予想されておりまして、再び業績は悪化することが目に見えており、かかる状態もつかの間の春ではないかと言われておることも事実でございます。
 そこで、まず本論に入ります前提問題として、通産省の方にお伺いしたいのでございますが、政府は、今申し上げました今日の石油化学の現状をどういうふうに認識をされておるのか、これが第一点。
 第二点は、サウジアラビア、カナダ等エタン資源保有国の新しい石油化学プラントがことしの後半から来年にかけまして陸続として稼働をスタートさせるわけでありますが、これが日本の石油化学工業界に与える影響を、激変するであろう輸出環境の将来を踏まえてどう見ておられるのか、これが第二点。
 第三点は、日本の石油化学業界もこの国際的な構造変化に対応して生き残るためには、国際的視野に立った対応が必要になってくると思いますが、既にかかる攻勢に備えまして、例の特定産業構造改善臨時措置法に基づきエチレン、ポリオレフィン樹脂、エチレンオキサイド、塩化ビニール樹脂などにおける過剰設備処理及びポリオレフィン樹脂等における共販会社の設立等々合理化努力がなされておりますけれども、当局の今後の指導方針や具体的な後方支援のあり方等は、どのような考え方で対処されようとしておるのか、この三点について率直簡明に、具体的にお答えいただきたい。
#87
○高島説明員 御説明を申し上げます。
 最初にまず御質問いただきました現状についてでございますが、既にお話がございましたように、石油化学工業が最大の影響を受けましたのは、二度にわたる石油危機のためでございまして、とりわけ原料でございますナフサが八倍にも上昇したというのが、一番の困難な点でございます。このために、諸外国との間で非常に価格格差が生じておりまして、これが競争力減退のもとになったと申し上げられると思います。現在こういう困難を乗り切りますために、特定産業構造改善臨時措置法を核にいたしまして、設備処理とかあるいは流通面の合理化に取り組んでいるところでございまして、これが景況の上向きに役立つとともに、先ほどもお話ございました経済の上向き、需要の増加と相まちまして、今若干明るくなっているというのが我々の認識でございます。ただ、今後アメリカの景気につきまして若干の不安がございますこと、それから御指摘ございました、後ほど触れさせていただきます石油化学の海外での動向いかんによりましては、またまた数年前の非常に寒い冬に逆戻りするかもしれないというぐあいに考えているわけでございます。
 第二点目にお尋ねいただきました海外のプラントの動向でございます。非常に安いエタンを原料といたしております石油化学プロジェクトというのは、非常に順調に海外でできつつございます。カナダでは、ことしの八月には非常に大型な新しいプラントが完成をいたしましたし、またサウジアラビアでは三つの、日本の最新鋭のエチレンのプラントよりもはるかに大きなものができつつあります。現に一部は既に完成したと我々は承知をしているわけでございます。こういうエタン、天然ガスをもとにいたしました安い品といいますものは、日本の場合とかヨーロッパの場合と違いまして、ほとんど全量輸出向けでございます。したがいまして、でき上がりましたプラントの能力そのものは、全世界で申し上げますと確かに五%程度にしかすぎないわけでございますけれども、貿易面で与えます影響というものは、これは非常に大きゅうございまして、品目によりましては、現在の貿易量を一挙に二倍にもするような大きな製品が市場に出回るということでございまして、我々としてはこのインパクトは非常に大きなものだというぐあいに認識をしているわけでございます。
 それから第三点の、今後の国際的な視野に立った対応をどういうぐあいにするかという点でございますが、冒頭に申し上げましたように、産業構造改善を徹底して進めていくというのは、これは何といっても基本でございまして、産業界がいわばぜい肉を落としまして再活性化するというのが第一でございますが、こういう施策、こういう業界の努力というものはいずれも開放経済体制を大前提にしておりまして、そういう自由な貿易を続けるという立場での構造改善策であるわけであります。
 海外との関連では、むしろ正確に海外の動向を把握いたしますとともに、いろいろなところで関係方面との意見調整、情報交換が必要であるとまず考えておりまして、ことし既にサウジアラビアには業界の調査団、これは通産省も参加をいたしましたけれども、そういう調査団が既に出ておりますし、あるいはカナダにおきましては、政府レベルでの石油化学に関します協議をこの秋に行ったところでございます。また各国幅広く多国間で情報交換をする必要がございますので、OECDの工業委員会の中に、石油化学に関しまして各国の政府の情報を交換できる場を設立することになっておりまして、これに対して我々といたしましても積極的に対応する所存でございます。
 以上、三点でございます。
#88
○米沢委員 そこで、大蔵大臣並びに再び通産省の御見解を聞きたいのでありますが、言うまでもなく、この石油化学製品というのは国際商品そのものでございますから、業界にとりましては国際競争力を維持、確保することは極めて重要な問題であり、また必要不可欠なものでもあります。とりわけ、製造原価に占める原料費の比率が七割から八割を占めるということでもわかりますように、石油化学の原料コストの低減問題は何にも増して重要な課題であることは今さら申すまでもありません。したがって、石油化学業界にとりましては、原料面においてもし国際競争力を阻害する要因があるならば、何とかして排除する、あるいは排除してもらいたいということに力点を置かれようとすることは当然のことであると我々は考えておるわけであります。
 このような観点から我が国の石化原料に対する課税の現状を見ますと、やはりそこには大きな問題がございます。それは、欧米では石化用原料は原料非課税の原則が確立されておりますが、我が国におきましてはそれが未確立であるという問題でございます。先ほども申しましたように、石油化学工業界はまさに我が国の大基幹産業の一つでございますが、日本の石化産業は単にそれだけで完結しておる産業ではありません。御案内のとおりプラスチック、合成ゴム、合成繊維等になり、自動車、弱電、住宅、繊維等の幅広いすそ野の産業に結びついておることは御承知のとおりです。
 特に、最近脚光を浴びておりますコンピューター、VTR、OA機器、医療機器等の先端分野では、金属等の新素材と相まって、石油化学からできる高機能樹脂が重要な役割を担っておりまして、そういう意味では石油化学業界が脆弱化してしまうということは、我が国の先端産業の競争力の喪失にもつながるということが言えるのではないか、そのように思います。
 これからある程度の汎用石化製品の輸入はやむを得ず発生するとは思いますが、日本では御案内のとおり高分子製品に対しては需要家の品質的な要求が厳しいので、品質保証、供給の安定性等の面からは余り輸入依存度は上げられないというのが実情ではないかと思います。仮にこのような厳しい情勢の中で日本のエチレンプラント等が縮小を余儀なくされて、エチレン生産規模が二百万トンに減った場合のことを想定して計算をしますと、副生するはずのプロピレン、ブタジエン、ベンゼン、それぞれ百二十万トン、三十五万トン、八十万トンという膨大な量の減産となるわけでございまして、これが日本の需要業界に与える影響は甚大と言わねばならないわけでございます。特に、エタン資源保有国の場合にはプロピレン以下の誘導品が出てまいりませんので、まさにそれは非常に大きな意味を持っていると思うわけでございます。
 この意味からも、やはり石化産業がおかしくなってしまうということをどうしても避ける施策が必要である、このことはもう言うまでもありません。そのためにやってもらうべきことの第一が、通産当局、ぜひ原料非課税という原則を何が何でも確立してもらいたいというこの問題でございます。やはり民間の経済活力を十分に発揮させるためには、長期的な展望に立って、政策目的の明確な税制措置を積極的に活用しながら、この厳しい情勢を乗り切っていくことが何にも増して大事なことではないか。そういう意味で、この議論は私も何回かごの席で質問をしたことがありますけれども、この際勇断を奮ってこの原料非課税の原則を確立してもらう。その点に関して通産省はどういうような御見解を持っておられるか。
 同時に、大蔵大臣、やはりこれは将来の税源を涵養するという意味では非常に大事な問題でございます。その意味におきまして、大蔵大臣に原料非課税の原則をぜひ我が国の税制にも確立してもらいたい。この要望に対してどのような御意見を持っておられるのか、できないとおっしゃるならば、一体何ゆえにできないのか、そのあたりも明らかにして御答弁を賜りたい。
#89
○高島説明員 石油化学産業の根本的な強化、国際競争力維持はまさに原料問題にあるというところは先生御指摘のとおりでございまして、我々も全くそういう立場で諸施策の推進に当たっているところでございます。
 ただいま各種の税制措置におきましても、主要原料でございますナフサについて見ますと、原重油関税の軽減あるいは還付、さらに揮発油税の免税も実施しているところでございます。また、石油税につきましても所要の免税措置を実施しているところでございまして、いずれも原料面での負担を軽減すべく諸施策を展開しているところでございます。
 なお、石油税の間接税問題につきましては、従来から通産省といたしましては、現在は単年度ごとの措置でございますが、これを期限を定めない措置として実施するよう要求をしてきたところでございまして、六十年度の税制改正におきましても、新たに本年の九月から石油税の課税対象となりました輸入のLPGも含めまして、一定の期限を定めない、当分の間という形の措置を実施するように、ただいま要求をさせていただいているところでございます。
#90
○梅澤政府委員 私からまず原料課税の基本的な考え方を申し述べまして、なお関連で関税局長から、後ほど補足して答弁があるかと思います。
 生産段階から課税するという間接税といたしましては、付加価値税のような税があるわけでございますけれども、個別的な間接税につきましては、原料課税というのは税として必ずしも好ましくない税であるということはそのとおりでございまして、諸外国を見ましても、炭化水素油系に課税をしている国におきましても、ただいま御指摘がありましたように、原材料課税を行っている例はあるいは少ないかと思います。ただ、我が国の石油税というのは、本来は石油対策、代替エネルギー対策のために、一体財源をどこに求めるかというところから始まっているわけでございまして、原料あるいは燃料として利用するという便益性に着目して利用者に負担をしてもらう、そのかわりにその財源は全部石油対策あるいは代替エネルギー対策ということで受益者に還元をするという日本特有の、あるいは日本が置かれた特殊なエネルギー事情に着目した税制でございます。したがいまして、これを一般財源に繰り入れているような税目であるといたしますと、この原料課税というのは税として好ましくないというのは、冒頭申し上げたとおりであります。
 ただ、そうはいいましても、御指摘になりましたように、石油化学産業の状況等を勘案いたしまして、政策的に輸入ナフサに対しては免税措置を講じておる、そういう政策的な措置を講じておるということでございます。
#91
○矢澤政府委員 関税の関係について御説明申し上げます。
 今日本には原重油関税という制度がございまして、御承知のようにキロリットル当たり原重油に対して六百四十円の関税が賦課されております。これは石炭、石油それから石油代替エネルギー対策の財源に使う、エネルギー対策の見地がら賦課されているものでございまして、原重油関税との関連におきまして、ナフサ等の石油製品につきましても関税が賦課されるというのが基本的な建前でございます。
 しかしながら、ただいま先生からも御指摘がございましたように、石油化学原料用のナフサまたはLPGは、エネルギーとして使われるものではございません。石油化学製品の原料として使用されるものでございますので、原重油関税の趣旨から見まして、関税を負担させることは本来適当でないという観点から、輸入されるナフサまたはLPGにつきましては、実際に石油化学製品の原料として使われる部分についてはその関税を免除するということになっております。
 ただ、先ほども申し上げましたように、特定財源に使われております原重油関税制度との関連がございますので、そういったナフサ、LPGで石油化学原料用に使用する場合であっても、例えばその一部が直接に燃料に使われる、あるいは副産物の形で燃料に使われるというような部分もございますので、この燃料の部分につきましては、石炭と競合するエネルギーであるという点から、直接、間接に燃料に使われる部分につきましては関税を課しているわけでございます。そういう意味で、原料として使われる部分につきましては、関税は課していないというのが実情でございます。
#92
○米沢委員 確かに石化用の原料等については、今御所見がありましたように、それぞれある程度の配慮がなされておることは事実でございます。しかしながら、無税であるのか、原則は課税するが、それを免税にしておるのかという、これは業界にとっては大変大きな意味を持つのでございます。特に、ただ民間の会社がこれから先の厳しい石化業界に対応して、さあ将来計画をどういうふうに設定するのか、どういう格好で設備計画をつくっていくのか、あるいは廃棄していくのか等々の議論の中で、無税であることを前提にして計画をするのか、ひょっとしたらまた課税が始まるかもしれないぞということを念頭に置いて議論をするのか、全然違うのでございます。そこらをまずわかってもらいたいということを申し上げまして、質問をしたいと思うのであります。
 先ほどおっしゃいましたように、欧米ではアメリカにおいて軽微な関税賦課はありますけれども、それ以外は関税、国内消費税とも石油化学原料に対しては非課税でございます。特に、比較的日本と原料構造の類似しております欧州は、原料非課税の原則は完全に徹底しております。日本でも御案内のとおり、おっしゃいましたように関税や通常の消費税、すなわち揮発油税、地方道路税、軽油引取税、石油ガス税等におきましては、産業政策として原料非課税の思想があることはあります。例えば関税においては、今おっしゃったような還付制度がある、通常の消費税におきましては用途免税がある。しかしながら、石油税には原料用にも課税される原則となっておりまして、これはやはりほかの税法との関連では均衡を失するのではないかと私たちは考えるのです。この点はいかがですか。
#93
○梅澤政府委員 今おっしゃいましたように、例えば揮発油税等は免税になっておるわけでございますが、それは考え方は先ほどの石油税を申し上げましたときと関連するわけでございますけれども、揮発油税は特定財源として道路財源になっておるわけでございますから、受益者負担という観点からいえば、石油化学産業が使う揮発油税等について課税するというのは、税の趣旨からいっても適当でないということで外してあるわけでございます。
 石油税につきましては、先ほども申し上げましたように、これは石油対策あるいはエネルギー対策ということで、結局それを原料なり燃料として使用する人、税を負担する人に還元されるという建前になっておるということが原則でございます。ただし、石油化学産業については、産業の実態において政策的に税が免除されておる、こういうことで均衡がとれておると私どもは考えております。
#94
○米沢委員 この石油税は一般消費税である、揮発油税も、これは一般消費税の分類の中に入ると思いますね。まあ揮発油税は一般消費税ではあるが道路税という目的税の性格を持っておる。したがって、道路と関係ない石化用途の原料については、恒久的な免税がなされておる、これはよくわかります。したがって、一般消費税だから用途免税はできない、こういう議論は理由にならないと私は思うのですね。石油税も一般消費税であるとともに、御案内のとおり石特会計を通じてエネルギー対策という目的税の性格を持っておるわけでありまして、揮発油税と同様の措置をとっても、法的には何ら矛盾することはないのではないかと思うのですが……。
#95
○梅澤政府委員 ちょっと私の説明が舌足らずであったかもわかりませんけれども、いわば端的に言いますと、目的財源の負担というのは極めて受益者負担的な考え方で整理をされておるということを申し上げておるわけでございます。そういたしますと、道路財源たる揮発油税に、道路の受益者でない石油化学産業で利用されるものについて負担を求めるのは、揮発油税の性格として適当でないということで、恒久的に負担を求めていないというわけでございますけれども、石油税というのは、石油産業が非常に活況の産業であるとすれば、本来受益者負担として負担していただく税である。ただし、現在の石油化学産業の現況に照らして政策的に、時限的に税の負担を免除しておる、こういうことでございます。
#96
○米沢委員 主税局長の御答弁は大体において私もわかるのでございますけれども、今石油業界が望んでおられる問題点は、確かに石油税等について一年ごとの見直しを行いながら免税の措置をいただいておるけれども、できればこの石油税そのものの中で、通産省の方は当分の間というお話でございましたが、恒久的に免税、いわゆる用途免税みたいなものができないのかどうか。確かに揮発油税の性格、石油税の性格、あるいは目的税の性格論等々、おっしゃることはよくわかるのですね。しかしながら、石油税そのものの中で一年ごとに見直しされる、そのたびごとに陳情合戦だ。これは大変なエネルギーを使いながらやっておられますね。そういう一年の見直し等ではなくて、もっと恒久的に石化用の原料等については石油税は免除するという措置をつくってもらいたい、こういう要請は今おっしゃった議論とは余り矛盾しないのではないか。何が矛盾するのか。そのあたりをちょっと御解明いただきたい。
#97
○梅澤政府委員 この免税措置の期限を、恒久化の問題もございますし、例えば当分の間というふうな形で、毎年度の見直しの措置についてこれを改めてもらえないかというのは、各方面から要望があることは事実でございますが、先ほど申しましたように、これは例えば恒久的に免除するという性格のものではないのだろうと私どもは思うのでございます。つまり、石油化学産業のいわば実態に着目いたしまして、産業政策的な観点からとられております政策的な、時限的な措置でございますから。特に現在は関税暫定措置法と連動して、この期限を一年限りで切っておるという事情でもございますので、委員の御要望の点につきましては私どもも各方面から聞いておりますし、御要望の趣旨は十分理解できるわけでございますけれども、税制上の措置といたしましては、やはり現在のように期限を切った免除措置ということで、ただし、石化業界がそれを必要とする限り、政策的な措置としてはこれは存続させなければならない問題であろうと考えております。
#98
○米沢委員 よく石油税の性格論からも出てくるかもしれませんが、例えば立法技術論で、今主税局長がお答えになりましたように、現在の石油税の免税措置は関税暫定措置法の定義に乗っかっておるんだ、したがって、関税暫定措置は一年ごとの時限立法になっておるから、免税対象品が一年ごとの時限立法に乗っかっている以上は、恒久化を図ることは立法技術上非常に問題だというような議論をよくされておるのでございます。しかし、石油税法の原油、石油製品の定義というのは、その法律の第二条で、関税定率法――これは時限立法ではありませんね。関税定率法で規定されておるのでございます。したがって、石油税の免税を、この第二条に定める原油及び石油製品のうち、例えばエチレンその他の政令で定める石油化学製品の製造に使用するものについて用途免税をするということを決めてもらえば、免税の恒久化措置は立法上決して難しいものではないと我々は考えるのですが、いかがですか。
#99
○梅澤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、今の免税措置のそもそもの政策的な根拠というのは、恒久的に免税するという趣旨ではございませんで、あくまで石化業界の現状に着目して政策的に講ぜられておる時限措置ということでございますので、恒久的な免税という形は、やはりこの措置としてはなじまないというふうに申し上げざるを得ないと思います。
#100
○米沢委員 だから、大蔵省流の議論をすれば、政策的に今免税措置をやっておるのであって、恒久的なものにはできない、こういうことでございますが、石油業界としては、一年ごとの見直しをされながら免税、免税というのではなくて、これから先の厳しい石油業界の将来を眺めたときに、原料非課税というまさに政策的な減税、原料については非課税という原則を、この石油税法にも取り入れてもらいたいというのが趣旨ではないかと思うのです。その決断はできないのかと聞いておるのです。
#101
○梅澤政府委員 先ほど来同じことを申し上げておるわけでございますけれども、石油税の性格からいきまして、原料非課税という観点から免税措置というのは、やはりこの税にはなじまないと申し上げざるを得ないと思います。
#102
○米沢委員 例えば日本におけるほかの産業の原材料は、おおむね非課税の措置がなされておりますね。鉄鉱石、コークス、燐鉱石、パルプ材、綿花、天然ゴム、石炭等々主要な工業原材料の内国消費税は非課税でございます。関税も、例外的に少数品目には課税されておりますけれども、ほぼ非課税でございます。そうなりますと、石油化学とほかの製造業と比べまして、これはやはり国際競争力という面からは不公平な措置であるというふうに通産省は認識されませんか。
#103
○高島説明員 我々といたしましては、現在の原重油関税制度、そして石油税制度の中で現実に石油化学産業の原料面でのマイナスを防ぐ措置を講じているところでございまして、先ほど触れましたように、石油税につきましては、単年度の不安定な制度から、期限を定めない制度に変更するように要求をさせていただいているところでございます。
#104
○米沢委員 実現のほどはいかがですか。
#105
○高島説明員 ただいま税務当局に、我々の立場を十一分に理解していただくように要求をさせていただいているところでございまして、引き続きその努力を続けていきたいと思っております。
#106
○米沢委員 くどいようで大変恐縮でございますけれども、確かに輸入ナフサについては租税特別措置法によって一年の期間、免税が認められておる。国産ナフサについては用途免税の措置がとられているわけではありませんね、現実の姿は。そういう意味で、輸入ナフサは石油税免税措置が確かになされている。国産ナフサは石油税負担の実質的な撤廃措置がなされておりますけれども、実際は用途免税の措置はとられていない。そういう意味では、決して我が国石油化学産業が優遇措置をとってくれというのではなくて、海外に例のない負担を撤廃してもらいたいという声であるというふうにぜひ御理解をいただき、あとは法的な技術論は、うちの春日一幸じゃないけれども、「理屈は後から貨車で行く」、やろうと思ったらやれるのでございまして、やりたくないからいろいろと理屈を言って、やらないという理屈を立てておる。私はそう考えておりまして、その際、主税局もっとまじめに検討していただきたい。
 それから、輸入ナフサ、輸入LPG以外の石化原料用の原油、いわゆる重質NGL等石油製品、灯軽油等への税制上の対策について御質問をいたします。
 先ほどから申し上げておりますように、重質NGLとか灯軽油等につきましては、石化原料であっても石油税、関税とも何ら減免措置がとられておりません。そのため、ナフサと同様非課税となっておる欧米に比べまして、日本は原料の多様化が大幅におくれておる、こう言われております。特に、輸入ナフサだけで競争するのではなくて、原料を多様化して欧米とコスト競争を図ろうとする場合に、ナフサ以外のものに石油税、関税がすべてかかっておるという、このコストの問題は非常に大きな問題を提起します。ある研究機関によりますと、例えば昨年一年間、ナフサではなくて軽油を使った方がコスト的によかったであろうという計算が、一年のうち八カ月もあるというのですね。これは、もし軽油に税金がかかっていなかったとするならばという前提でございます。
 そういう意味では、これから厳しい石油業界が生き延びていくために、単なるナフサの問題だけではなくて、もっと原料を多様化して、ナフサが高いときには軽油にかえる、軽油が高いときにはナフサにかえるというようなことで国際競争力をつけていくという努力は、やはり通産省としてもバックアップしてもらわなければいけませんし、同時に、先ほどから言っておりますように、重質NGLとか軽灯油等につきましても、石化原料に使うならば、石油税や関税あたりは減免措置をとるという方向で御検討をいただくことが筋ではなかろうかな、そう思うのでございますが、通産省の御見解と大蔵省の御見解を承りたい。
#107
○高島説明員 原料を多様化しますというのは、原料コスト低減のために最も重要な施策でございまして、その推進方につきましては、先生御指摘のとおり、我々も共通の認識でございます。
 ただ、五十八年度で見ますと、我が国の石油化学におきます原料はその九七%までがナフサで賄われておりまして、その他がLPGということでございます。これは短期的にはナフサの世界的な需給が非常に緩んでいることも背景にございます。今後いろいろなものを原料に使っていくということに関しましては、我々としてもいろいろ支援をしていきたいと思っておりますが、実際に原料としての適性がどのようなものであるか、あるいは実際にどの程度使われ得るものであるかといいました実体面につきましての研究を十二分にいたしまして、今後必要な措置につきまして対処してまいりたいと思っておるところでございます。
#108
○矢澤政府委員 関税面の措置につきましては、今後の使用の状況をよく見まして検討してまいりたいと思っております。
#109
○米沢委員 石油税は……。
#110
○梅澤政府委員 ただいま関税局長が申し上げましたように、今後の産業界の利用状況の実態等を見まして、適切な措置を講ずべきときに講じなければならないと考えております。
#111
○米沢委員 先ほど通産省の方から御答弁をいただきましたが、欧州の方ではガスオイルとの互換使用が大変進んでおるんだそうでございまして、日本がナフサが高いときに手をこまねいておるこるには、彼らはちゃんと安いガスオイルを使って生産をする、そういうことなんだそうでございますが、今おっしゃいましたように、日本も輸入ナフサの比率が大変増大しておりますので、そういう意味では原料の互換機能が、これから先の対策としては大変重要な課題であり、潜在的には、石油業界が原料多様化についてはかなり熱心な研究をなさっておる、こう聞いておりますので、そこらのバックアップの行政指導等はぜひ的確にやっていただきたいということを御要望申し上げておきます。
 同時に、これから先、サウジを中心にして相当量の石油製品が日本に向けて攻勢をかけてくるわけでございますが、その中には軽油とか重油等が含まれてくることは御承知のとおりでございます。この際、これは原料の自由化の問題でございますが、今の段階では、輸入ナフサは最初は枠があった、しかし、現実的にはもう輸入ナフサの枠はない。しかし、軽油の輸入については、民生用の軽油等の価格等もありまして、かなり輸入の枠が厳しい。これから先、このサウジを中心にしたエクスポートリファイナリーが大量に出現してまいりますと、この余った灯油を日本に持ってきたとき、さあどうするか。特に原料多様化で業界が動き始めた場合には、この灯油についても、輸入ナフサと同じように、何らかの形で自由化できる措置をとってもらいたいと言い出すのは当たり前のことだろう、そう思います。逆に、変に余りにも安い灯油あるいは軽油が日本の市場に入ってきますと、民生用の灯油や軽油についても市場攪乱の大きな要因になってくるのではないか。
 そういうことを考えたときに、確かに輸入ナフサの問題を議論した際にも、やはりある程度の枠を持っておかないと大変だという議論がありましたが、結果的にはうまく現実は動いておるということを考えましたときに、これから先この軽油、灯油等々、工業用途にする場合には、やはりある程度の輸入の自由化措置をとっていただくことが重要な課題ではないかな、こう思うのでございますが、通産省の御見解を伺いたい。
#112
○高島説明員 軽油、灯油の問題につきましては、石油化学企業の中で非常に熱心にその実施、利用につきまして研究をなさっているところがあるというのは、十二分に承知しているところでございます。ただ、何分現在の状況ではナフサが大宗でありますために、今後どの程度の実態になりますかということについて、まだ十二分の情報を我々としては持っておりません。今後の多様化の方向に沿って、できるだけの支援をしてまいりたいと思っております。
 なお、石油政策との関係につきましては、その調整問題の具体的な内容につきまして今後鋭意検討を進めてまいりたいと思っております。
#113
○米沢委員 終わります。
#114
○越智委員長 簑輪幸代君。
#115
○簑輪委員 大蔵大臣に最初にお伺いしたいと思います。
 あなたは映画、演劇、音楽がお好きでいらっしゃいますでしょうか、そして、こういうものが人生にとって大事というふうにお考えでいらっしゃいますでしょうか、まずお伺いしたいと思います。
   〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
#116
○竹下国務大臣 大事なものだという人並みの認識は持っております。
#117
○簑輪委員 余りお好きではありませんか。
#118
○竹下国務大臣 なかなか時間的余裕を見出すことが難しゅうございます。演劇論とか、そういう論議につきましては、学生時代にそれなりに心得ております。
#119
○簑輪委員 大変お忙しくて、すぐれた文化、芸術に接する機会がなかなかないということは、まことに御同情申し上げるのですけれども、芸術問題についての御理解はおありになるというふうに承りました。
 私たちが本当に人間らしい生活を送る上で、芸術、文化というのは非常に大事なものであり、豊かな楽しみとか、深い慰めとか、あるいはまた明るい希望、そして力強い勇気とか、さまざまな感動を与えてくれるものです。いわば心の栄養とも言えるのではないかと私は思います。だれでもが、いつでも気軽に、すぐれた文化、芸術に接することができるようにすることが大事だと考えております。しかし、こういったものに対して現在入場税が課されているわけです。
 入場税は、昭和十三年の支那事変特別税法で導入されて、昭和十五年、入場税法になって今西に至っております。そもそも発端が戦費調達ということでスタートしたもので、文化国家我が日本にふさわしいというふうには到底言えないものではないかと考えます。
 大臣も御承知のとおり、戦後直ちに入場税撤廃期成同盟というのが結成されまして、入場税撤廃運動が進められてまいりました。今日では、社団法人日本芸能実演家団体協議会とか全国子ども劇場おやこ劇場連絡会、私も岐阜県子ども・おやこ劇場連絡会の会員の一人でございますけれども、実に四十七団体が舞台入場税対策連絡会議というものに参加されて、入場税撤廃運動を進めておられるところでございます。
 大臣はこのパンフレットをごらんになったことがありますでしょうか。
#120
○竹下国務大臣 見たような気がしますね。
#121
○簑輪委員 「不思議なお話」という入場税撤廃のパンフレットでございまして、ぜひごらんいただきたいと思いますので、差し上げます。
 それで、入場税撤廃というのが国民的な要求になっておりますけれども、あわせて免税点も問題になっております。昭和五十年の改正の際に、参議院大蔵委員会で「政府は、映画、演劇等の免税点について物価等の動向を考慮し、適時に額の引上げをはかるべきである。」という附帯決議がされておりまして、その後五十三年には、入場税の撤廃を求める二十万人の請願署名が衆参で採択されております。こうした国会の意思を無視してこの十年間放置されているわけでございますけれども、そういう意味での責任は免れないところだろうと思います。
 大臣、昭和三十七年、当時の水田大蔵大臣が、入場税は税として悪税だと思う、将来は撤廃すべきものと考える、というふうに述べておられます。入場税は今日ぜひ撤廃をしていただかなければならないと私も思いますが、芸術、文化に税を課するなんというのは文化国家のすべきことではない、実に野蛮なことだという指摘もございます。それが即できないということでは困るわけですけれども、仮にそうであるとした場合でも、免税点の大幅な引き上げは、六十年度直ちに行わなければならないものではないかと思います。当大蔵委員会においても、さきの国会で堀之内前政務次官は、昭和五十年改定以来そのまま据え置きということはやはり一考しなければならぬ、非常に財政が厳しいとはいいながら、今後の文化発展を図るという立場からは、両方から検討していかなければならぬと思うので、今後の検討課題として勉強さしていただきたいという答弁もありました。そこで大蔵大臣、ぜひこの入場税撤廃について、それから免税点の引き上げについて、大臣の御見解を承りたいと思います。
#122
○竹下国務大臣 確かに戦費調達の歴史とか、これは物品税についても言えることでございますけれども、近代税制の中で議論がどんどん進んでいきますと、また援用するようでございますけれども、中期答申をごらんになりますと、「消費のサービス化が進展している最近の状況を考慮すると、運輸、通信等を含め各種のサービスに対する課税のあり方について幅広く検討すべきである」という記述があるわけでございます。したがって、近代税制の中では、受けるサービスに対する税の問題というのは、これこそ所得の段階で担税力を求めるか、消費の段階で担税力を求めるかということでございますだけに、私はそれなりの意義づけはできる問題であると思っております。
 ある私の友人が、入場税の問題は、本当は見る側が議論を提起すべきものであって、芸術に参加していらっしゃる人は、入場税とかそういうもののあらゆるのりを越えて、より崇高な芸術に挑戦することが本来のあり方じゃないか、こういう議論をする人もおりました。私がそう思っているという意味ではございませんが、それも一つの意見だなと思っておりました。
 それから、免税点の引き上げの問題。こうなりますと、これは確かに長らく据え置かれておりますが、今、現実問題として財政がこういうことの中で、免税店の引き上げとか減税とかという問題がこうした場所の議論で出てくることはできるだけないように、私の立場としてはそう願いたいなと思って、積極的に簑輪さん、そうしましょうという心境には、財政当局者たる私はなかなかなれない問題じゃないかなというのが素直な心境です。
#123
○簑輪委員 サービス課税ということでおっしゃいましたけれども、芸術、文化というのは、サービスという税の段階での位置づけというのは間違っているのではないかと私は思いますね。そういう観点でひっくるめて芸術、文化を受けとめるのではなくて、いわゆるサービス課税とは範疇の違うものという位置づけで考えていただかなければならないと思っております。
 そして芸術の問題について、見る方がというお話もありますけれども、これは見る方、受けとめる方と同時につくり出す方、芸術は双方があって成り立つものでして、混然一体となってすぐれた芸術、文化を享受できる環境づくりということが必要だろうと思います。財政当局としては、ということが常に御答弁から出てくるわけですけれども、それ一点張りで事を考えていては、干からびた物の見方になってしまって、人間味あふれる答弁とは到底言えないし、関係者の理解を得るどころか、ますます中曽根内閣、文化を大切にすると口ではおっしゃりながら、大蔵大臣がこのような御答弁ということはまことに納得できかねる。残念至極でございまして、私は引き続き、こういう状況のもとでも激発を目指し、できるだけ早期に免税点の引き上げということは御努力をいただきたいということも、重ねてお願いをしておきたいというふうに思います。
 時間もなくて残念でございますが、続いて単身赴任の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 大臣は、単身赴任の経験はおありでしょうか。
#124
○竹下国務大臣 兵籍にあるときは、やはり単身赴任の範疇に入るだろうと思います。
#125
○簑輪委員 どんな御感想をお持ちでいらっしゃいましたか。
#126
○竹下国務大臣 兵籍にあるときでございますから、それが当たり前だというある種のあきらめとでも申しますか、ある種の諦観の上に立って自分の人生を律しておったのではないかと思います。
#127
○簑輪委員 兵籍にあるときというケースをおっしゃいましたけれども、それは今日あってはならないことでもあり、私は、今日問題となっております単身赴任というのは、同類には考えられない問題である、したがって、現在単身赴任の当事者及び関係者が問題提起をしている点については、大臣は自分で経験がないということになるわけだから、余計にその面での十分な思いを込めて御答弁をいただきたいというふうに思います。
 単身赴任というのは、既にいろいろ報道もされておりますし、社会生活、家庭生活、いろいろな面で被害があって、特に子供や家族全体に重大な影響も、悪影響も出て、事件にもなっているケースもございます。当事者の健康障害も大変大きいわけですし、自殺、一家心中というようなことになれば大変な重大問題で、そこから今この問題も深く考えなければならないというふうにされている状況でございますが、政府としても特にこういう事態を受けて、十分な現状認識と対策を考えていただかなければならないというふうに思います。
 まず最初に、労働省にお伺いしたいと思いますが、欧米先進諸国における単身赴任に関する実態とそれぞれの政府の対策、法制度等も含めてどのようになっているのか、御報告いただきたいと思います。
#128
○甘粕説明員 欧米先進諸国の単身赴任の実態あるいはその対策ということでございますが、実は私どもは単身赴任という問題につきましては、非常に日本的な終身雇用慣行といいますか、そういうものと非常に密接に関係をしているというふうに認識してございます。そういう意味で、そういう問題につきまして実情は十分に把握していないところでございますが、在外公館等からの聴取ということでは、欧米先進諸国の政府自身としての調査あるいは特別の対策というものについては、ないというふうに聞いておるところでございます。
#129
○簑輪委員 今御答弁にありましたように、実に日本的な慣行といいますか、単身赴任というのは欧米では想像を絶することになっているわけなんですね。
 私が調べた範囲でも、極めて例外的な場合に単身赴任ということがあるかという程度で、アメリカでは出張でさえ配偶者同伴ということも当然とされておりますし、単身赴任どころか、八カ月間夫婦生活がなければ自然的な結婚の解消とか、逆に八カ月間同棲すれば、結婚の届け出がなくても財産相続権が主張できるというようなことも見受けられます。海外赴任においても、配偶者同伴で、企業の費用負担において下見検分を行う。その上に、気に入らなければ拒否権も保障されているという状況のようです。もっと詳しく見ますと、電気やガス、水道、電話代は言うに及ばず、子供の授業料から通学費用、あわせて年一回家族全員の帰国往復旅費の支給というようなことまで企業が保障しているというふうにも、調べた範囲で見受けられました。
 こういう点を考えてみますと、実に日本というのは企業の都合で一方的に転勤命令が出されて、非人間的である、非人道的である、労働者の人格、人権を無視して、人間の尊厳を踏みにじっているというふうに言わざるを得ないと思います。
 そこで私どもは、去る十一月三十日に、日本共産党として、総理大臣あてに単身赴任に関する申し入れを行いました。基本的には、単身赴任をなくすという基本姿勢を明確にすることが肝心な位置づけなわけです。そのために、転勤は家族帯同を原則とすることを企業に義務づける。また、老親や障害者の扶養、転入学の困難、配偶者の就労など、合理的理由による転勤拒否は当然の権利として認められるべきであり、拒否による不利益取り扱いの禁止というのを盛り込んだ労働法規の改正など、当然検討されてしかるべきだというふうに考え、申し入れています。
 そこで、労働省のこの点に関する御見解をまずお伺いしたいと思います。
#130
○甘粕説明員 今の御質問にお答えする前に、先ほどのお答えで私若干舌足らずのことがありましたので、補足さしていただきたいと思います。
 私は日本的な終身雇用慣行という特殊事情というふうに申し上げましたけれども、その理解といたしましては、企業としては、例えば事業所間で過剰人員が発生したということになりましても、やはり終身雇用慣行ということで解雇をしない。そういう中で配置転換を進めていくというようなこともございますし、逆に労働者の方でも、そういうふうな終身雇用慣行という中で、欧米等と違いまして、企業と運命共同体的な一体感があるということの中で、労働条件等不満がありましてもやめないというふうなことが絡み合って背景になっているというふうに理解しておるところでございます。
 それで、ただいまの御質問でございますが、基本的にはやはり人事異動とか人事配置という問題は経営者の人事権に属する事項でございますので、本来的に法律の具体的な規制にはなじまないのではないかというふうに考えておるところでございます。
 ただ、欧米諸国が、おっしゃいましたように家族帯同赴任が原則であるということにつきましては、私どももあるいは労使も共通した認識でございまして、そういう意味で労使の主要団体で、この家族帯同赴任あるいは単身赴任の問題につきまして前向きに検討しようということで意見が一致してございますので、私どもその推移を見守っていきたいと思いますし、また、私どももお手伝いすることがあればお手伝いさせていただきたいというふうに思っているところでございます。
#131
○簑輪委員 法規制になじまないという御答弁でございますけれども、やはり労働者の労働条件について労働省が基本的にこのように考えるという姿勢がなければ、改善していくことはできないというふうに思います。今、労使を指導してというような姿勢を示されましたけれども、それもあわせて積極的な取り組みをしていただかなければならないというふうに思います。
 五十九年度の婦人労働白書によれば、就労している婦人は千五百三十一万人を超えて、専業主婦を初めて超えたという結果が発表されております。働く婦人がどんどんとふえてまいりますので、共働きということになってくるわけです。一方、生産性労使会議の調査によれば、転勤者が今後増加すると答えている企業が四六・九%、五百一人から千人規模で見ると六〇・七%、従来どおりが四七・八%。転勤に対する企業の考え方の調査では、経営戦略、適正配置、人材育成、企業内訓練の一環として今後積極的に推進すべきと考える企業が実に九七・五%にも達している状況です。
 そうしますと、この転勤ということが今後さらにふえていく、そしてその中で単身赴任がさらにふえていくことが予測されるわけで、夫婦共働きということになりますと、家族帯同の転勤というのが事実上極めて困難となるケースが幾らでも予想できるわけです。
 当然のことながら、民法七百五十二条では、夫婦は同居しなければならない、そして互いに扶助しなければならないということが法律で定められております。しかし、実際上、そう言われても単身赴任せざるを得ないというような事態が起こってくるという心配もあるわけで、私はやはり夫婦がともに働くという基本的な男女平等の観点ということを考えますときに、差別撤廃条約の批准というのを政府が既に決めておられるわけですし、そうした中で、例えば男女労働者が家族的責任を持って働くという場合のILOの百五十六号条約と百六十五号勧告というのがございますが、これをぜひ早期に批准、そして受け入れをしていただきたいということを強くお願いをしたいと思っております。
 百六十五号勧告、「雇用条件」の二十項によれば、「労働者を一の地方から他の地方へ移動させる場合には、家族的責任及び配偶者の就業場所、子を教育する可能性等の事項を考慮すべきである。」ということが定められております。ぜひこの条約の批准、勧告の受け入れということで労働省の御見解をお伺いしたいと思います。
#132
○甘粕説明員 私ども、ILO条約につきましては、国内法制との整合性を確保することを前提に、積極的に批准していくことを基本的な考え方に置いているところでございます。
 今お話しございました百五十六号条約につきましては、そういう国内法制との整合性ということにつきまして、まだいろいろ検討しなければならない点がございますが、こういう法制整備という問題の検討、それから我が国の実情等というものを考慮しながら検討を進めてまいりたいというふうに思っているところでございます。
#133
○簑輪委員 差別撤廃条約を批准するということを仮にやりましても、その裏づけとなる諸法制、諸制度全部がしっかり整ってこないと、それが本物になりにくいということを考えますときに、労働省が今鋭意御努力いただいていると思いますけれども、ぜひとも早急に実現をしていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 イタリアの労働者憲章十三条の勤務地変更に関する規定について、ミラノ簡易裁判所では、「労働の場所は労働者の人格の展開領域であり、労働者自身の社会生活、家庭生活に影響を及ぼすので、乱用的勤務地変更が行われるならば従業員には回復不可能な損害が生ずる」として、労働者の人格保護という理念を尊重する判断を示しています。やはりこういう観点が大事ではないかというふうに思います。
 現在、転勤の内示などが、例えばわずか一日から五日程度であるということでは、隣近所へのあいさつもまともにできないという状況ですし、内示期間が七日以内というのが二九%、これでは到底お話にならないわけで、最低条件として三十日以上とするということが必要ではないか。
 また、異動の時期も、昇進時期、事業年度等の会社の都合というのは優先しておりますが、何の理由もないけれども長年の慣行というのも二二・八%もある。子供の教育上の諸問題が単身赴任の最大の理由となっている点を考えてみますと、この時期についても子供の教育上の都合に合わせるくらい、企業が配慮しても当然ではないか、そしてそれを行政指導で行うことも当然のことではないかというふうに思い、この点での労働省の指導をお願いしたいと思っております。
 そして私どもは、単身赴任はあるべきではないという基本的な立場に立っておりますけれども、万やむを得ず単身赴任をせざるを得ないという状況の場合の対策等につきましても、例えば何年になるかわからないということではなくて、最長二年程度の期間制限を設けるというのも、当然早急に行わなければならないのではないかというふうに申し入れているところでございます。
 ちょっと時間がなくなりましたが、民間労働者の問題だけでなく、公務員においても同様に単身赴任という問題が深刻な問題になっております。そこで人事院にお伺いしたいと思いますが、私がこの四月十一日に税務職員の単身赴任問題に関連してお尋ねをして、その後調査をされ、何らかの方向を出されるように伺っておりますが、それについてお答えいただきたいと思います。
#134
○小堀説明員 国家公務員の場合、その勤務場所が全国に所在しております。その勤務の特殊性等から異動も多い。したがいまして、単身赴任も相当ケースあることは事実でございます。最近、単身赴任が家庭生活に与える影響、それから経済的負担の増加などの観点から社会的に問題になっておりますので、公務においてもこの問題について検討する必要があると考えております。
 そのため、人事院といたしましては、まず官民の実態を把握するのが必要だと考えておりまして、とりあえず、現在民間における単身赴任者に対する措置の状況等について調査を行っているところでございます。
#135
○簑輪委員 最後に大臣にお伺いしたいのですけれども、単身赴任というのは心身ともに異常な状態をもたらすということも報道されておりますし、経済的負担も大変だと言われておりますので、そういう中でやむを得ない単身赴任の場合について、私どもは単身赴任手当の支給のいかんにかかわらず、所得税、住民税の一律月額五万円の特別控除を行うべきである、あるいはさらに帰宅交通費――家族呼び寄せ費というのを含みますが、帰宅交通費の実額控除を認めるべきであるという提言をしておりますけれども、単身赴任の税制上の基本的な考え方についての大臣の御見解を伺いまして終わりたいと思います。
#136
○竹下国務大臣 雇用政策とか労働行政の中の御議論は私も勉強させていただきました。
 この問題を税の問題でとらえてみますと、入場税撤廃とか単身赴任減税をやるべしとかということは、観念的にそういう環境が成り立ちがちな問題であるという事実認識は政治家として持っております。しかしながら、税というのはやはりそれなりの税理論というものに立っていかなければいかぬ。そうなりますと別居手当あるいは帰宅旅費、それから、あれは海員組合の交渉でございましたか、人間性回復手当というのもございました。そういうものを考えてみましても、これは扶養手当であり、僻地手当であり、まあ北海道の方もいらっしゃいましたが、寒冷地手当であり、そういうものはいわば給与の一部であるという税制上の位置づけからすると、特別な取り扱いというのは、理屈の上ではなかなか難しい問題であろうと思います。
 したがって、いろいろな議論をしてみました。先ほども申しましたように、出稼ぎの方の問題もあるではないかとか、またそういう控除制度ができた場合、一方、手当の支給のない企業の従業員等はどうするかとか、そうなると結局、先ほど来大変高度な御議論をなさっておりましたが、いわば雇用政策上の問題として位置づけしていくのが、まず初めに雇用政策ありきということじゃないかな、こういう感じをますます私は強くしております。事実上税制で個別の事情のしんしゃくというのは、本当に一つ一つやってみますと容易に解決のつかない問題であるということの事実認識もしていただかなければならぬではないかな、こういう感じでございます。
 ただ、雇用政策とか労働行政とか、そういう中での御議論は、私なりに勉強させていただきました。ありがとうございます。
#137
○簑輪委員 単身赴任問題も、長時間労働などとあわせて諸外国の非難を浴びる問題にもなりますし、貿易摩擦の原因にも絡んでくるだろうとも思いますし、今の御答弁をお聞きしていて、とてもそのまま納得できるものではございませんので、引き続き論議をさせていただくことにいたしまして、きょうは終わります。
 ありがとうございました。
#138
○中川(秀)委員長代理 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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