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1984/03/06 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第9号
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1984/03/06 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第9号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第9号
昭和六十年三月六日(水曜日)
    午後三時三十三分開議
出席委員
  委員長 越智 伊平君
   理事 熊川 次男君 理事 中川 秀直君
   理事 堀之内久男君 理事 上田 卓三君
   理事 野口 幸一君 理事 坂口  力君
   理事 米沢  隆君
      糸山英太郎君    大島 理森君
      加藤 六月君    金子原二郎君
      瓦   力君    笹山 登生君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中川 昭一君    東   力君
      平沼 赳夫君    山岡 謙蔵君
      山崎武三郎君    山中 貞則君
      伊藤  茂君    川崎 寛治君
      沢田  広君    戸田 菊雄君
      藤田 高敏君    石田幸四郎君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      矢追 秀彦君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
 出席政府委員
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵大臣官房日
        本専売公社監理
        官       松原 幹夫君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
        大蔵省主税局長 梅澤 節男君
        国税庁直税部長 冨尾 一郎君
        兼国税庁次長心
        得       
        国税庁間税部長 山本 昭市君
 委員外の出席者
        文化庁長官官房
        会計課長    青柳  徹君
        厚生省保険局保
        険課長     奥村 明雄君
        自治省税務学府
        県税課長    前川 尚美君
        日本専売公社総
        務理事     岡島 和男君
        日本専売公社理
        事       遠藤  泰君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
三月六日
 自動車関係諸税の増税反対等に関する請願(草野威君紹介)(第一八一九号)
 所得税の課税最低限度額引き上げ等に関する請願(梅田勝君紹介)(第一八四六号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第一八四七号)
 同(辻第一君紹介)(第一八四八号)
 同(中川利三郎君紹介)(第一八四九号)
 同(野間友一君紹介)(第一八五〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第一八五一号)
 同(藤木洋子君紹介)(第一八五二号)
 同(藤田スミ君紹介)(第一八五三号)
 同(正森成二君紹介)(第一八五四号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第一八五五号)
 同(東中光雄君紹介)(第一八八五号)
 同(正森成二君紹介)(第一八八六号)
 同(正森成二君紹介)(第一九一六号)
 年金受給者の課税強化反対等に関する請願(岡崎万寿秀君紹介)(第一八六一号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)
 入場税法の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)
     ――――◇―――――
#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 法人税法の一部を改正する法律案、租税特別措置法及び所得税法の一部を改正する法律案及び入場税法の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。戸田菊雄君。
#3
○戸田委員 大臣がおいでになりませんから、若干順序を変更して質問してまいりたいと思います。
 まず最初に税収問題についてでありますけれども、六十年歳入総額が五十二兆四千九百九十六億円、内訳として、税収が三十八兆五千五百億円、対前年比伸び率が一一・四%、税外収入二兆二千六百九十六億円、対前年比三二・三%のマイナス。これは恐らく電電とそれから専売の納付金体制が一般税に行ったものですから、法人税のそういう関係だろうと思うのですが、公債金収入は十一兆六千八百億円、前年比マイナス七・九%。こういうことで、大体税収伸び率一一・四%、税収増が三兆九千五百四十億円。自然増収、これ大体どのくらいになりますか、確定数字。僕の推測では二兆七千八百三十億円、こう考えているのですが、これは後でひとつお答え願いたいと思うのです。それと、昨年に比して税収の依存度がどういう状況になっているか、まずこの内容について説明をしていただきたい。
#4
○梅澤政府委員 まず六十年度の税収見積もりでございますが、いわゆる自然増収の額は、当初予算に比べましての増収見込み額は、ただいま御指摘になりましたように二兆七千八百三十億円でございます。これは、言うまでもございませんけれども、予算書上では対当初三兆七千七百六十億円になっておりますけれども、六十年度におきましては、一般会計税収に新たにたばこ消費税、それから日本専売公社、日本電信電話公社の会社化に伴います法人税収等が入っておりますので、前年と比べます場合はそれを除かなければなりません。除いたものが、ただいま委員が御指摘になりましたとおりでございます。
 それからもう一つの御質問は、歳出額に対する租税収入の割合、いわゆる税収依存度でございますけれども、六十年度当初予算、ただいま御審議いただいております当初予算におきましては七三・四%と見込んでおります。
#5
○戸田委員 税調の中期答申で、八〇%台が大体正常な状況じゃないだろうか、こう言っておるわけでありますから、去年は六八・何がしだったと思いますが、去年よりも若干上回ってきた、こういう状況でございますね。この上回った税収のよりどころは、どういう税金がふえたのですか。
#6
○梅澤政府委員 税目別でございますけれども、一番大きい増収額は、何と申しましても我が国の税体系の基幹でございます所得税と法人税でございます。所得税につきましては、政府見通しによります雇用者所得、経済見通し等を基礎に見積額をはじいたものでございます。法人税につきましては、これも政府見通しのほか、私どもは企業別の個別の収益見通しのヒヤリング等を基礎にいたしまして積算をいたしておりますが、同時に、六十年度におきましては税制改正で約二千四百七十億円の増収を自然増収の上に見積もっておるわけでございます。その他各税につきまして、それぞれ多くの場合増収見込みを生じておりますけれども、ただ酒税等につきましては、最近の課税数量の状況等から見まして、減収額を見込んでいる税目もあるわけでございます。
#7
○戸田委員 わかりました。
 専売の関係の方来ておられると思うのでありますが、電電と専売の関係が四月一日以降それぞれ新会社に一移行するわけであります。したがって、専売の処分金――電電関係については、国債整理基金繰り入れの問題等特会計の問題と、それから産業投資会計でもって別途審議の時間がありますから、そのときにやることにいたしまして、きょうは専売だけ御質問したいと思うのでありますが、資本金はどのくらいで、配当はどのくらい、一株当たりどのくらいと考えているか、あるいは公社時の資本金あるいは資本剰余金、それから利益剰余金、これは大体どういう状況になっておりますか。それから、退職引当金、これはどのくらい新会社でもって確保しなければいけないのか、賞与引当金、負債があるのかないのか等々についてまず説明をお願いしたいと思います。
#8
○岡島説明員 ただいまの御質問の点は設立委員会におきまして議論もなされていることでございまして、大蔵省の方から答弁すべき問題かとも思いますが、私の方で大蔵省の方といろいろ打ち合わせをしている経過的なものということで御答弁をさせていただきたいと思います。
 私ども専売公社の純資産額は、五十九年度末で、たばこと塩と合わせますと一兆一千九百億円ということでございます。そのうちから塩の部分を引きますと、塩の部分が約四百億円ございますから、たばこ事業の純資産額は一兆一千五百億ということに相なるわけでございます。
 それから、今御質問ございました、新規に計上しなければならない負債の金額が約三千三百億ほどございます。その主なものは、今御質問の中にもございましたように、退職給与引当金というものが約二千七十億円ございます。それから賞与引当金が約百億円。それから地方たばこ消費税が三月分が未納になっておりますから、地方たばこ消費税、これの未納分がございます。それが七百六十億円。それから共済組合負担金が未払いの分がございまして、約三百八十億円でございます。その他、未払いの電力料等ございまして、約十億円ございますが、それを全体を足しますと、先ほど申し上げました新規に計上する負債が三千三百二十億円ということに、相なるわけでございます。
 それで、その一兆一千五百億の金額から新規に計上する負債を引きますと、出資財産の価額は八千百八十億円ということになるわけでございますけれども、納付金率が法定されましてからは、五十四年度から五十九年度までに、たばこ事業に係る利益額を積み立ててまいりました。その金額が約五千八百四十億円ほどございます。それからさらに、現在私ども葉たばこの過剰在庫を抱えておりまして、その処理のためにコストの増加もあるだろうということで、その金額を約千四百億というふうに見込みまして、その金額を先ほどの八千百八十億から引きますと、九百四十億ということに相なるわけでございまして、そういうものを基礎に千億円というような算定をいたしまして、これが設立委員会におきまして、大蔵省事務当局から説明された数字ということでございます。
 それから、今は資本金だけ申し上げましたが、配当というような問題は、これはまた新会社になってからの話でございまして、資本金も正確にはまだ議論の過程でございまして、確定いたしておりませんし、まだ配当の問題について申し上げる段階ではないというふうにちょっと思っておる次第でございます。
#9
○戸田委員 かつての会社法案審議の際、資本金等についても大体目安はこのくらい、配当もこの程度と要望しておったのは、商法上七%から一二%の範囲、こういうことが商法上の規定ですから、その範疇でどのくらいだと言ったら、総裁は当時、八%ないし一〇%でしょうと。きょう電電の資本金その他も発表になりました。日経ですが、これを見ますと、きのうちょっと説明聞いたんですが、八%程度できます、しかし、一年後には大体一〇%に引き上げたい、こういうことを言っておりましたが、大体専売と同時進行でいっているんじゃないかと思うんだけれども、そこら辺、まだおくれていますか。
#10
○岡島説明員 先生のところに電電の方がどういうふうに言われたか存じませんけれども、私どもとしても、民営化いたしまして健全な運営をしてまいりたいということの結果といたしまして、まあ世間で言われているような配当率みたいなものは、これはしたいというふうに考えておりますけれども、今ここで申し上げるのは、まだ少し御容赦いただきたいというふうに思います。
#11
○戸田委員 それで、これも百一国会で検討のさなかに確認をしてきたことでありますが、税制執行に伴って、国税の方は後にしますけれども、自治省、来ていると思うのですが。――それで、地方税等の問題についてちょっと確かめておきたいと思うのでありますが、それは専売納付金制度が廃止になって一般法人税体系に移るわけでありますから、当時五十七年の実績の上に立って納付金率は五五・九%、それを増減はしないという約束だった。したがって、国税部分については二七・九五%、地方税部分については二七・九五%、これを分等するということになっていました。それに耐えて、なおかつこの地方たばこ消費税については税率を道府県税が一〇・三%、それから市町村税は一八・一%、こういうことで確認をして今日までまいりました。それから、税の種目は従価税八、従量税が二、こういうことで併課税でいくということで確認をしているわけなんです。その場合に小売定価の定価価格制をとって、これを土台にしてそれぞれやっていこうということで、詳細にわたって、例えば紙巻きたばこ、これは二三%、一千本当たり五百八十二円というのまで詳細に、パイプたばこ、葉巻きたばこ、刻みたばこ等等の問題をずっと確認をして今日きたわけです。
 だから、これにのっとって地方税の場合にも対処したと思うのですが、その内容と税目別の税収見通し、これをちょっと発表してください。
#12
○前川説明員 ただいまの御質問の点でございますが、御指摘ございましたように。地方たばこ消費税の制度を改正するに当たりまして、幾つか基本的な事項がございました。
 冒頭にお話ございましたように、五十七年度における専売納付金及び地方たばこ消費税の総額のたばこ総販売金額に対する割合、五五・九%とおっしゃいましたのはその点であろうかと思いますが、を基礎にいたしまして、国、地方で適切な均衡を保持するということで、地方分は二七・九五%と、これも御指摘の数字でございます。そうして従価、従量を併課することにいたしまして、道府県分、市町村分ごとにそれぞれ従価、従量の税率を決めておりますけれども、その場合の税額の比率はおおむね八対二程度ということで、その点を基本といたしましてこのたばこ消費税の改正をさせていただきまして、その結果、まず税率の点でございますけれども、従価割につきましては都道府県分が八・一%、市町村分が一四・三%、それから従量割につきましては都道府県分が千本につき二百円、市町村分が千本につき三百五十円というふうに設定をさせていただきました。こういうことで六十年度の道府県、市町村たばこ消費税のそれぞれの見積もりをいたしているところでございます。
 それから、その結果でございますが、たばこ消費税の六十年度分の収入見込み額は、この改正後の新しい制度によります分といたしまして、道府県、市町村合わせまして七千九百八十億程度の見込みになっております。
#13
○戸田委員 新会社発足のときには、五十七年の生産総数は三千百七十一億本、こういう積算でいったはずだと思うのですが、今度は六十年見通しはどういう状況になっていますか。
#14
○岡島説明員 私どもが六十年度に考えておりますものは、従来の専売公社の時代と違いまして、専売公社の時代には国産品と輸入品と両方とも私の方で扱っておりました。今度六十年度からは国産品だけということでございまして、輸入品については、これはまだ私の方では把握すべき立場にございません。それで、私の方の、いわゆる国産品の方の数字だけ申しますと、五十九年度でございます本年度、三千六十億本と見ておりますが、六十年度は全体の喫煙総数量が微増する中で輸入品がかなりふえるだろうという見込みのもとに、私どもは三千五十億本という見込みでいろいろな計数をはじいておるということでございます。
#15
○前川説明員 大変恐縮でございます。先ほど六十年度分のたばこ消費税の見積もり額の概数を申し上げましたが、ちょっと正確を期させていただきたいと存じますけれども、道府県分、市町村分合わせまして七千九百十七億九千三百万円ということでございました。ちょっと訂正させていただきたいと思います。そこは間違いでございました。失礼いたしました。訂正をさせていただきたいと存じます。
#16
○戸田委員 当時審議のときも、地方税の場合の問題になったものは、三千三百カ所の市町村があるわけですね。だから、市町村の消費割合がどうなるかによって格差が生ずるのではないだろうか。今までだったら、それを調整してそれぞれ案分をやっておったわけだけれども、今度は税金ですから、そういうことに対する調整はやりますよ、こう当時答弁をしているのですが、これは一体どういうことで調整をやっていきますかね。
#17
○前川説明員 御指摘にございましたように、新しい制度によりますと、従価割の分がございますので、改正前に比べますと、市町村ごとの地方たばこ消費税の総額は若干変動することは、私ども間違いないと思っております。ただ、最近たばこの販売の動向を専売公社からの資料によって見ておりますと、現在の課税の仕方は全国平均単価が基本になっているわけでございますが、最高単価と最低単価を過去数年度にわたって比較をしてまいりますと、最近におきましては五十五、五十七、五十八と逐次その格差が大幅に解消に向かっている状況でございます。そういう意味で、今後それがどういう趨勢をたどるかは、これはもう少し様子を見なければ確定的なことは申し上げられないと存じますけれども、こういうことで、従前に比べると結果としては格差がかなり縮小してきているという点がございます。
 ただ、そうは言いましても、実際にまだ若干のずれが出てくるのじゃないかとは私は思っております。こういった点につきましては、今の程度でございますと、特別の何か新しい制度によって調整するというお考えもあろうかと存じますが、普通交付税によって税源の偏在による財源の調整というのを、現在御承知のとおりさせていただいておりますので、道府県たばこ消費税にいたしましても、市町村たばこ消費税にいたしましても、それぞれ普通交付税の計算上、基準財政収入額に実態を反映した姿で算入をされまして、差し引きで地方交付税として、これは普通交付税の方になりますけれども、市町村あるいは都道府県に交付をされるという形になりますので、私は、交付税制度による財源調整機能を通じてこの格差は埋められてくるというふうに考えていいのではないかというふうに理解をいたしております。
#18
○戸田委員 その点非常に大事なんですがね。当時私が要望しておったのは、一定の配分基準を決めたらどうか。それに対して消費割合を加算していく、こういうようなことで設定基準をひとつつくってみたらどうだ、こう言っておったのですがね。そういうものはまた触れておりませんか。
#19
○前川説明員 この点につきましては、そういうことで全体の財源調整といいますか、たばこ消費税の税収額の団体ごとの変動による、あるいはその偏在性による財源配分の不均衡というのは、やはり一般的な制度としての交付税制度がございますので、その中で調整をする。ただそのときに、各団体ごとの市町村たばこ消費税なり道府県たばこ消費税なりの税収が的確に基準財政収入額に反映されませんと、これは調整が十分に行われないということにもなろうと思いますので、そういう点は財政当局の方とも連絡をとりながら、できるだけひとつ的確な算定が行えるように努力をさせていただきたいと考えております。
#20
○戸田委員 つくるということですか。
#21
○前川説明員 その点は具体的にどういう姿になるか、もう少し時間をかしていただきたいというふうに思います。
#22
○戸田委員 検討するということですね。
#23
○前川説明員 新しい基準財政収入額の算定方式になるかどうかは、これは全体の仕組みをいろいろ関連づけて検討しなければならないと思っておりますが、今御指摘の問題点も含めて新しい制度をつくることになるかどうかは、それから先の話になりますので、今ここで私はそのことを前向きに検討するとかいうふうなことは申し上げられないわけですけれども、そういう問題点があるということは承知をいたしておりますし、そういうことも含めて交付税制度の一つの問題点として考えていくようにいたしたいと思います。
#24
○戸田委員 十分検討していただきたいと思うのです。
 それからもう一つは、経過措置として納期限ですね。これも一たん三項目確認しているわけですから。六十年四月から六十二年三月までの二年間は年二回、これは十月と四月、これを納期限とする。それから昭和六十二年四月から六十三年三月までの一年間は年四回、これは七月、十月、一月、四月。昭和六十三年四月以降は翌月末日納期限とする。これから出発しよう、こういうことで経過措置三項目を確認しているのですが、これは地方税の場合も変わりありませんね。
#25
○前川説明員 地方税ということでしたので、ちょっと私の方から先に御答弁をさせていただきたいと存じますが、今の御指摘の点は、これは国税の場合のケースではないかと存じます。地方税の方は、たばこ消費税の納期につきましては、当月分の総売り上げに応じて翌月末にそれぞれ、したがいまして毎月申告納入をしていただく、こういう手続になっております。ただ、取り扱い数量が非常に零細な事業者については、一定の要件を設けまして、三カ月分をまとめて四半期に一遍申告納入をすることができる、こういう仕組みになっておりますけれども、基本的には毎月毎月その前月分の売上高に応じて申告納入していただく、こういうふうに地方税の方はなってございます。
#26
○戸田委員 私の勘違いかもしれませんが、私は両面ともそういう確認じゃなかったかなという記憶なんですが、これは主税局長どうですか。
#27
○梅澤政府委員 たばこ消費税法におきましては、基本的には申告納付は移出した月の翌月末日、特殊な場合に一カ月の延納が認められておるわけでございますが、経過期間の特別な納付措置としては、ただいま委員が御指摘になったとおり、たばこ消費税法で規定をいたしております。
#28
○戸田委員 税制関係は、基本法は事業法に挿入をするということでしたね。納付金その他の兼ね合いを含めて事業法にその基本をうたいましょう、こういうことじゃなかったですか。それはないですか。
#29
○梅澤政府委員 たばこ消費税の課税標準なり税率なり申告納付の手続は、全部たばこ消費税法で規定をさせていただいております。
#30
○戸田委員 最後に、国税の法人、印紙、登録免許税の税目ごとの収入総額はどのくらいに見積もっていますか。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
#31
○梅澤政府委員 ただいま御審議をいただいております六十年度におきましては、新しくできますたばこ株式会社の法人税として約四百億円、それから印紙税、登録免許税等におきまして約十五億円の見込みを行っております。
#32
○戸田委員 これは五十七年の基本生産数量が若干多いのですけれども、今専売の方から伺いましたように三千六十億本ないし三千五十億本、若干下がってきますから、税収の見通しとしては徐々に下がるということになりますか。
#33
○梅澤政府委員 たばこ消費税の税収見積もりにつきましては、先ほど公社の方から御説明ございましたように、私ども基本的には公社の見込み額と申しますか販売見込み額等を基礎にいたしまして、六十年度も税収をはじいておるわけでございます。長期的なたばこ税収の動向ということになりますと、結局たばこの販売数量の動向を一体どう見るのか、あるいは国産品と輸入品とがどういうプロポーションになっていくのかということにかかわってくるわけでございますが、長期的な見通しにつきましては、私ども歳入当局よりもむしろ事業を直接御担当になっております公社の方が、的確な見通しを持っていらっしゃるのではないかというふうに考えております。
#34
○戸田委員 大臣、御苦労さまでございます。今たばこ消費税等について、国税、地方税ともにいろいろと事務当局から伺っておったのですが、専売の説明によりますると、消費税その他の確定は三月一日閣議決定、三月五日公示という運びで、今後二十二日ごろまでにおおむね全体が整備できるのじゃないだろうか、こういう状況にあるようですが、設立委員会等を通じて、役員とかそういうものは一体いつごろ大体確定なされるおつもりでございましょうか。
#35
○松原(幹)政府委員 お答え申し上げます。
 役員等につきましては、先生御承知のように、現在設立委員会等で御審議願っておるわけでございます。その設立委員会の席上での基本的な考え方といたしましては、現在の専売公社から民営化することになって必要になる役員数をどのように算定するかということで議論願っておるわけでございますが、今月の十九日に定款の最終的な審議が行われて、そこで役員数が定款上決まるという予定になっております。
#36
○戸田委員 大体二十日ごろまでですか。
#37
○松原(幹)政府委員 三月の十九日に第三回の設立委員会が設けられて、そこで役員の数等も含めて定款が最終的に決まるようになっております。
#38
○戸田委員 自治省、ありがとうございました。
 税制について若干お伺いをしたいと思うのですが、その税制の本論に入る前に、一つは政府税制調査会の性格と任務について若干お伺いをしたいと思います。それからもう一つは、大蔵主税局の機構、性格、使命等々について若干質問をしていきたいと思います。
 最近の税調、どうも中立その他、口では標榜しているんですけれども、その実体がついていってない、こういうようなことを時々言われるのでありまするが、税調の役割というのは、国民の生活、権利等に対する影響は非常に大きいと思います。殊に税制、そういう重要課題に対して審議をし、任務を全うしていくということになるんですから、非常に重要だと私は判断をしておるのでありますが、そういう現状の中で、今の政府税調というものは、どうも実体がなかなかそのようにいってないんじゃないだろうかという気がいたします。それで、この税調のいわゆる設立あるいは機構、任務、こういったものについてどうなっているか、ちょっと説明していただきたいと思います。
#39
○梅澤政府委員 税制調査会の組織の根拠は、総理府本府組織令でございます。この税制調査会は、「内閣総理大臣の諮問に応じて、租税制度に関する基本的事項を調査審議し、及び当該諮問に関連する事項について、内閣総理大臣に意見を述べること。」というふうに規定をされております。これが税制調査会の使命と申しますか、組織の意味でございます。
 それから調査会の組織につきましては、別途税制調査会令で定められておりまして、「調査会は、委員三十人以内で組織する。」「特別の事項を調査審議させるため必要があるときは、特別委員若干人を置くことができる。」それから、専門的な事項を調査していただくために、「専門委員若干人を置くことができる。」というふうに規定をされております。なお「委員及び特別委員は、学識経験のある者のうちから、専門委員は、財政経済又は税制に関し専門的知識のある者のうちから、内閣総理大臣が任命する。」これも調査会令で規定をされております。
 「調査会の庶務は、内閣総理大臣官房審議室において大蔵省主税局及び自治省税務局の協力を得て処理する。」という規定がございまして、実際の運営におきましては、税制調査会の総会あるいは各種の特別部会、作業部会の議事運営に当たりましては、事実問題としてはその都度大蔵省主税局なり自治省税務局が庶務のお手伝いをしておるということでございます。
#40
○戸田委員 今主税局長がおっしゃられたとおりだろうと思うのでありまするが、総理府本府組織令に基づいて設置をされております、総理府の附属機関であります。組織令十八条一項で、政府税調は内閣総理大臣の諮問に応じて租税制度に関する基本的事項を調査審議をする、これが目的だ。
 さらに、この組織令十八条二項によって税制調査会令というものが制定されておる。そして委員は三十名以内、また特別の事項を調査審議するために専門委員若干名を置きます。委員、特別委員は学識経験のある者、専門委員は財政経済または税制に関し専門的知識のある者、このうちからいずれも内閣総理大臣が任命をいたします、こういうこと。委員の任期は三年、再任可能、特別委員は非常勤で、これは、当該特別の事項に関する調査審議が終了したとき、専門委員は当該専門事項、同条でそれぞれ解任される、これも非常勤。以上のほかに、二十五人以内の幹事を置くことができる、こういうことになっているわけですね。その幹事というものは、関係行政機関の職員のうちから内閣総理大臣が任命をする、こういうことになっている。幹事は委員、特別委員を補佐。非常勤になっておるわけでありますが、所掌の事務についてこれを補佐をする。庶務は内閣総理大臣官房審議室において、大蔵省主税局と自治省の税務局から協力を得てこれらを処理をする、こういうことになっているんですね。
 さらにこの政府税調には、部会、特別部会、こういうものを置くことができる。調査会令五条、六条、これによってそういうことになっている。さらに、小委員会を設置をいたします。これは税調議事規則七条。そして現在は、所得税住民税部会、企画特別部会、申告納税制度特別部会、利子配当課税小委員会等々が設置をされておるわけであります。議事の手続その他、調査会の運営に関して必要な事項は会長が調査会にはかって定める。これは税制調査会令九条によって決まっている。同じく、同規則五条によって、政府税調会の会議は非公開と明文規定がなされている。さらに、この政府税調の事務局は実質的には大蔵省の主税局である。委員等の任免、議案の提出、議事の進行、資料の作成、提出、答申案文の作成等々は、実質的には大蔵省主税局がこれを担当する、こうなっているんですね。
 こういうことになりますと、政府税調は中立的であって、そしていろいろな意見を集約をして、正しくその税制に対しての基本的な調査審議をやって答申をするということは言うけれども、今の不服審判所じゃないけれども、それよりもさらに、これは裁判長も検察官も、弁護士の領域まで全部主税局でやるということになるんじゃないでしょうか。これじゃ、本当の意味での審議会ということは言えないんじゃないか。だから、小倉さんが何ぼ立派な方であっても、そういうことでがんじがらめにされるから、それは三十名内外の人がおっても、なかなか公平な判断、答申ができないということになりはしないか、こう思うんですが、大臣、どうお考えですか。
#41
○竹下国務大臣 今戸田さんが正確にお述べになったわけでございますが、私も政府税調というものを、いろいろ私の経験、そして文献あるいは役所からレクチャーを受けながら今日まで見ておりますと、やはり政府税調というものは、我が省の場合は国税部門でございますけれども、この人事構成を見てみましても、さすがだなというお方がいつも選ばれておるというふうな感じを私は持っております。そうして、特別な問題がございましたときに、専門委員としてお入りいただく方方も、なるほどその特別な土地税制なら土地税制とか、そういう問題に対しての、学識経験者ということの角度から見ても、これは立派な方々だな、こんな印象をいつも持って、見ておるわけであります。
 そこで、戸田さんの議論、あるいは私の思い過ぎかもしれませんけれども、いわば内閣総理大臣の諮問機関であるというのは、国税、地方税両方にまたがっておるから、したがって、総理が任命して、そしてそうなれば当然内閣官房審議室が事務局をやり、実質的なものは、主税局と自治省の税務局でやっているんじゃないか。が、やはりいろいろ長い間の苦心の中に、私はそういう国税サイドから見た、あるいは地方税サイドから見ただけの人選ではなく、本当に総理大臣任命でありますから、それなりの方々がお集まりになって、やはり国税、地方税のあり方についてという税制全般の議論をやっていただくのには、まさに最高の権威ある機関として実質的に機能しておるじゃないか、こんな感じでもって私は眺めております。
 そこで、時々税制臨調をつくれというような町の――町の声でもございませんが、そういう議論が間々ございますけれども、私は改めてそのような屋上屋と申しますか、そういう形よりも、現在のものの歴史の中で機能しておる実績自身を評価した方がいいな、こういう印象を持って、それらの御意見を持たれる方にはいつもお答えしておるというのが実感でございます。
#42
○戸田委員 もう一つは、これと並行して日税連調査会というのがありますね。これは当初出発したときは、私の記憶では非常に立派な答申その他をやっておったんですが、最近どうもやはりこれも税調と同じようなもの、何かはっきりしない、そういうような印象を受けるのでありますけれども、これはさておき、しかし実際、大臣、そういう状況の中で大蔵省主税局の性格というものはこうなっているんですね。結局通常の行政事務というのはほとんどこの主税局はやらない。結局大蔵省組織令の六条に基づいて、一つは、主税局というのは、「租税(関税、とん税及び特別とん税を除く。)に関する制度(外国との租税に関する協定を含む。)の調査、企画及び立案」、それから「租税収入の見積り及び決算の調査を行う」、「税理士に関する制度の調査、企画及び立案をする」、「酒類業組合等に関する制度の調査、企画及び立案をすること。」「地方公共団体の歳入に関すること。」地方債にかかわるものは除くということで、主税局が。実質的に税調にも相当な影響を持ち、その性格と構成からこういう任務分担が与えられておりまするから、その法案の立案段階その他すべてこれはできることになっているんですね。そういうことになりますと、答申も自分で書くわ、受けて立案するときも自分でやるわ、こういうことになるんですね。そうすると広範な国民各層から意見、こういうことにはなってきませんね。
 だから、その辺について、私は今後の税調のあり方について四点ぐらいの提案をして、その改善策に努めていただきたい。
 一つは、現在三十名以内のこの委員の皆さんがおるわけでありまするが、労働団体から二名、婦人代表一名、ほかは官僚OB、学者、まあ大学教授等々といるわけです。個人的には非常に立派な人がおられると私は思うのでありますが、ともすると偏重している状況になっているんじゃないだろうかという気がするわけなんです。ですから、そういう問題に対してもう少し広範な代表、例えば税収の納入状況を見たって、やはり所得税が一番、四〇%を占める。三〇%・これは法人、そういったものもありましょう。そういうもの全体を考えますと、それに見合ったものをバランスのとれた形で配置をしてはどうかという気がいたします。
 それから、税調に事務局がないというのは、どうしてもうまくないと私は思うのですよ。だから、そういうものに対しては、事務局ぐらいは税調そのものに直轄をさせるということで置いてはどうか。
 それから審議の内容は、これは資料を含めてすべて公開すべきである。
 それから立案過程において、国会とまでは言いませんけれども、何か第三者機関的なチェック機関を置いて、そしてそれらの法案に答申というか意見というか、そういうものを反映させるような機関を検討してみてはどうか。そしてなおかつ、この税調へのそういう重要使命を負った皆さんでありますから、そういったものの任免については国会の承認ということを置いてはどうか等々の問題が、当面改善措置としてやられるの在らば、よほど違った政府税調が出てくるのではないかというふうに私は考えますけれども、大臣の所見をひとつ伺っておきたいと思います。
#43
○竹下国務大臣 今戸田さんおっしゃいましたことは、一つ一つ戸田さんの御提言として、私どもも十分参考、吟味させていただく問題であると思っておりますが、人選につきましては、御婦人の方も、今これは御婦人として特に選んだということでなく、その道の権威者としてお選びした中で三人いらっしゃいます。そしていわゆる学者の先生方、これらはそれぞれのその道の権威でございますが、いずれにいたしましても、皆さんがいわばタックスペイヤーであって、しかも学識経験豊富な人であるという点においては、私はバランスのとれた人選ではないか、こういうふうに考え保ております。
 それから、事務局を直轄するということになりますと、恐らく税調そのものの性格から変えていかなければならぬめではないかな、こういう感じがいたします。これは私が今直観的に受けた感じにすぎませんが。
 それで、私どもとして絶えず注意いたしておりますのは、この国会等の論議を正確にお伝えして、そこで大所高所から御検討いただく、その作業のお手伝いをするという立場でありまして、私どもの方が、言ってみれば答申を下書きを書いて、政府の、あるいは主税局の、あるいは大蔵省の隠れみののような形でこれを生かしていこうという大それた考えは全く持っておりません。だから、可能な限りいろいろな資料の収集とかそういうことはお手伝いをいたすわけでありますが、いわば意見をリードしていくという立場はとらないで努めてまいっておるわけであります。
 それから、審議内容の公開の問題につきましては、この種の問題はいつも議論のあるところでございますけれども、いわば税制調査会の議事は非公開とされておりますが、各先生方が国民的立場に立って自由な発言を行われるということを期待の前提に置いた場合は、私は、経過については非公開が妥当であろう、そして結果については、これは答申としてあくまでも国民の前に明らかにすべきものであるというふうに考えておるわけであります。それで必要に応じて中間的な取りまとめも、これは新聞発表等を行って公表しておるということでございます。
 それから、提出した資料に基づきましては、いわばこういう資料を出せと言われれば、先生方の意見をもとにつくったたたき台を出して、そのたたき台は、これも議論の過程において絶えず訂正されながら結論の答申にまとまっていくものでございますので、ちょっと税収の動向はどうかとかいったような公式的なものであるならば、これは別途公表することも考えられますが、いわば審議過程におけるたたき台をつくってくれとか言われたような問題についての公開というのは、結果を公開するわけでございますから、やはりいわば自由な発言の過程の資料の一つにすぎないというふうに御理解をいただきたいと思っております。
 それから、国会承認人事の問題につきましては、これは今までもいろいろ国会承認人事案件というものは数あるわけでございますが、最初の物の考え方というのは、これは給与の問題が伴う、そしてそれは兼職禁止規定が伴うとか、いろいろな制約の中にあまたの国会承認人事案件というものができておりますので、この国会でオーソライズされるということは、これはいいことには決まっておりますけれども、また現実運営の中で、おおむね長い国会運営の慣習の中で可能な限り全会一致という方法がとられておりますものの、いわば三十人もの大部隊が反対、賛成を受けた方々によって審議されるということは余り好ましいことではないじゃないかな、こんな感じで、これは主税局長と議論したことではございませんが、いささか私の体験上そんな感じで眺めておるということを率直に申し上げます。
#44
○戸田委員 ぜひひとつ、今おられる方がどうのこうのということではなくて、制度として少し改善措置の余地はあるのじゃないだろうか、こう思うものですから、そういう点の改善を要望して、次に移りたいと思います。
 予算委員会、今次国会で大分税制問題についていろいろな論議が出てきたわけでありますが、間接税について若干の設問をしたいと思うのであります。
 五十九年十二月、六十年度のいわゆる税制改正に関する答申案でありますが、この三ページに「基本的考え方」の中で、「既存税制の部分的な手直しにとどまらず、今こそ国民各層における広範な論議を踏まえつつ、幅広い視野に立って、直接税、間接税を通じた税制全般にわたる本格的な改革を検討すべき時期にきていると考える。昭和六十年度の税制改正に関する答申に当たって、極めて異例ではあるが、当調査会としては、以上のことを指摘し、更に、この問題については、国民に十分な理解と協力を求める努力を尽すことが是非必要であることを付言しておきたい。」等々の答申が行われている。
 それに対して一月の三十一日の予算委員会で、我が党の田邊書記長が大型間接税に触れまして大臣に質問しておるわけでありますが、それを受けた形で、いわゆる大臣の答弁があるわけであります。今度ちょうだいした答申というのは、それらを含めて基本的に検討すべき時期が来ましたという答申をいただいていると意識しております。
 どっちも主張しているのは時期だけなんですね。中身には全然触れていない。そして、なおかつ大臣は、多段階方式、一般消費税は否定されておりますと、これに限定した回答を実はやっておるわけです。ただし、消費一般にかかわる税制全部を否定したら税の論議はできなくなるということで、巧みに、うまくいわば答弁をしているわけでありますが、この本格的改革という中身、これはどういうものを想定して大臣は――きょうは税調会長が都合悪くてだめだそうですから、大臣にひとつ中身の問題でお伺いしたいと思う。
 それから、「幅広い視野」と言っておりまして、いわゆる「直接税、間接税を通じた税制全般にわたる」、こう言っておるわけでありますが、現行の制度、枠組みでやっていくのか、それにとらわれずに、全く広い視野に立って、別制度を含めたそういうものでやっていくのか、この点の見解をちょっとお伺いしたい。
#45
○竹下国務大臣 これはおっしゃいますように、税調答申、まさに私どもも、今お読みになりましたとおり、「極めて異例ではあるが、」「調査会としては、以上のことを指摘し、」「国民に十分な理解と協力を求める努力を尽すことが是非必要である」、まさにそういう既存税制の枠内での部分的な手直しにとどまっては、所得、資産、消費等の間で適切な税負担バランスを図るという観点からはゆがみを生じさせておるという御指摘でありますので、その時期をとらえて、政治的な発言としては、総理が申しておりますいわば公平、公正、簡素、選択を旨としてこれをやっていただこう。それで普通の場合は、先生御承知のとおり税制全般を諮問しておりますから、特別に改めて諮問するということはしておりませんが、今度は予算委員会で総理から答弁申し上げましたので、いわばちゃんとした気合いをかけた諮問というものを正式にしなければいかぬというふうな理解をしておるところでございます。
 それから先は、一番近いものでおよそこの枠組みをそう出ないだろうと思われるのは、五十八年十一月の答申が一つございます。これは現在の我我のバイブルとでも申しますか、そんな感じのものでございますが、それの延長線上で議論が行われますので、よく我々が、これはガラガラポンにしてやり直すんだとは言いながら、そうガラガラポンになるものじゃないだろう。それは五十八年の暮れにちょうだいした中期答申というのがあるわけであります。が、それをさらに踏み込んだ場合は、いわば予見を持ってリードすることは最も避けようじゃないかという気持ちでございます。だから、これは間接税をどうこうするための、あるいは所得税をどうこうするためのものだという認識でなく、まさに総理がシャウプ以来という言葉をよく使いますが、その中における既存税制の枠内でいろいろゆがみが出てきたようなものを下敷きにしながら、まさに税体系のあり方について検討していただこう。だから、こちらからリードしていくという物の考え方はとらないということを貫かなければならぬな、こんな感じでおるわけであります。
#46
○戸田委員 一月十八日の日経によりますると、大型間接税のプログラムがちゃんとでき上がっている、こういうことを言っているんですね。八五年二月、自民党村山調査会が作業開始をいたします。四月には政府税調が作業開始をいたします。八月は村山調査会が税制抜本改革構想を報告をいたします。十二月で政府税調が中間報告をいたします。八六年の六月から七月は参議院選挙だ。八六年の十月から十一月にかけて政府税調が最終答申をいたします。八七年の一月は所得税減税をやります。八七年四月、大型間接税導入、こういう一スケジュールが発表になったことがあるんですが、それはどうでしょう。
#47
○竹下国務大臣 この日本経済新聞のシナリオというものは、税制とそして政治情勢、すなわち選挙まで中へ組み入れての、かなり勉強された方が自分でおつくりになったシナリオであろう。仮に私につくってみろと言われれば、あるいはもっと違うかもしれませんし、戸田さんがおつくりになってもこれは若干の違いは出るかもしれませんが、まあやっぱり一生懸命でマスコミの担当者が推測で構築されて、国民の前にこの権威ある新聞で提示されたものであろう。だから私どももそういうふうに受けとめますが、これのシナリオについて、私や藤尾政調会長の間で詰めたわけでもございません。もちろん村山調査会という、我々が党内で勉強していただく機関もございますし、それから、かつての本委員会における税制小委員会の議論とか、それから、各党に戸田さんを含めいわば税の専門家と申しますか、関心の深い方がいらっしゃいますが、まあ政治家でございますから、いろんな角度から御意見を伺うことは友人としても当然あるわけでありますが、組み立てたシナリオというものは、やっぱり税調そのものでおつくりいただくという考え方に立って対応すべきものである、これもあらかじめこちらがシナリオを示すべきものではないというふうに思っております。
#48
○戸田委員 そこで間接税ですが、これはもう大臣御存じのように納税者と負担者が違う、そういうものが間接税。そういうことですから、最終的にはいずれにしても消費者すべてに負担がかかる、こういう性格のものだと思うのですね。だから、そういう意味では非常に逆進性が強い、各般の欠陥というものが存在をするんだろうと思うのでありますが、かつて一般消費税が五十四年十二月に否定されたときに、財界の一部まで実はこれは反対だといって参加をしました。そういう事例があるんです。それは何かというと、いわば市場競合が行われた場合に、どうも転嫁の困難な状況が生ずる場合があるので、その辺に対して一般消費税は不明確だ、こういう理屈で、財界の皆さんといろいろ話をしたときに、私たちも反対ですよということで、実はあの問題は否定をされたわけですね。
 ところが、最近稲山会長はこういうことを言っているんです。大型間接税は賛成でございます、ただし製造業者や卸売業者、これの値上げは困りますよ、小売売上税なら結構です。それから同時に税額の転嫁、こういうものについて明確にしておくならそれでいいですよ。例えばEC型付加価値税というものは投資財税額即控除方式というものをとっていますね。例えば生産財の価格を百万円、税率一〇%ということになると、税込み価格百十万円で販売されてしまう。しかし企業としては、この十万円の付加価値税を自分が納税するわけですが、付加価値税から直ちに控除できる、こういう仕組みで、転嫁方式が明確になっている。これならば稲山さんもいいと言っているんですね。こういう見解については、大臣どう考えていますか。
    〔堀之内委員長代理退席、委員長着席〕
#49
○竹下国務大臣 これは私の意見として申し上げると、ある種の予見になりますが、五十二年の中期答申、税制調査会で議論されたレポートになるわけですが、それに出ておりますのは、確かにある種の逆進性というものが存在しておる。しかしまた、これにつきましては税負担配分の累進性、逆進性は所得税との組み合わせ、さらには税体系や財政全体として判断すべきであるという、逆進性があるという意見と、それに対して、一般消費税はむしろ比例的であるという指摘もまたある。したがって、やっぱり税負担の累進性、逆進性というのは所得税との組み合わせとかいろんな税体系の中で判断すべきであるという意見がこの時点では多かったにすぎないのです。
 それからもう一つは、いつも出ます物価への影響でございますが、言ってみれば物価上昇は、本来はその税が出発した一回限りのものではないか。で、便乗値上げを防止しなければならぬし、したがって、導入のタイミングとか選び方は、一般的な物価騰貴の契機となることはそれによって回避されなきゃならぬとかいう、まさにこれはまだやるやらぬというような話でなしに、五十二年の中期答申でございますから、割に平易な――平易など言ってはちょっと失礼でございますけれども、平たい面から議論されておるな。
 それからもう一つは、価格に転嫁。いわゆる商品の価格は、基本的には市場の需給関係によって決まるから、一様に一般消費税額を上乗せすることは実際上不可能であると考えられる、またこういう一つの意見もありまして、それで、今度は競争力の弱い中小企業は困るじゃないか、それには税率とか範囲とかいう問題が議論されなければならぬじゃないか。こういうような、私の意見ではございませんから、かつて議論されたときの平易な意見というのはあるなと思って、一般論としてはそういう紹介ができるだろうというふうに思うわけであります。
 が、それにつきまして、最近いろいろ新聞で出ておりますが、まあどちらかといいますと、製造業者の方は、蔵出しは自分の方では好ましくない。末端の小売の方では、蔵出しならいいがとはおっしゃいませんが、小売の方では好ましくない。これはそれぞれの立場立場において議論されておる、それぞれ自由な御議論が出ておるわけでございますが、確かに、これは私どもがリードしたわけでも何でもなく、何となくいわゆる間接税問題が国民の言の葉に上るようになっておるなという印象は私も受けております。したがって、間接税中心に議論すべきだなどというところまで踏み込んだ意見を持っておるわけではもちろんございませんので、稲山さんの意見がありましたり、それからまた商工会議所の五島さんの意見がありましたり、あるいは同盟の宇佐美さんの意見もありましたし、総評の人でも数人、いろいろ人によって違いますが、いろいろな御意見を持って私どもに勉強させていただくのはありがたいことだなといつも思っておるところでございます。
#50
○戸田委員 今後採用されておる制度の中で、間接税では個別消費税だけですね、日本の場合は。一般消費税はない。したがってこれを今後検討していきますと、どうしても租税論的には一般消費税ということになるのでしょうね。結局、そういうことになって一般消費税の導入を図るとすれば、製造業者あるいは卸売業者を納税義務者とする庫出税、あるいは小売業者を納税義務者とする小売売上税、あるいはサービス業者を対象とするサービス供与税等々に絞られてくるのじゃないかと思うのですが、どうですか。
#51
○梅澤政府委員 この問題につきましては、先ほど来大臣がるる御説明申し上げておりますように、大蔵省として、あるいは税制当局といたしまして、今後の税体系なかんずく間接税の問題につきまして、踏み込んだ意見とか踏み込んだ検討をいたしてないわけでございます。
 ただいま委員の御指摘では、結局課税ベースの広い間接税になるのではないかということでございますけれども、例えば最近の税制調査会の答申を見ましても、現在の我が国の間接税が、ただいま委員御指摘になりましたように個別消費税等を中心にしておるわけでございますから、今後の消費あるいはサービス消費の動向に適応するような間接税の検討は必要であるということを言っておられますけれども、その場合においても、現在ございます消費税の課税範囲の拡大というふうな方向も示唆をされておるわけでございまして、一概に直ちに新しい間接税の方へ行くというふうな議論が現時点で税制調査会で行われておるわけでもございませんし、私どももそういう考え方を持っていないわけでございます。
 したがいまして、いわゆる単段階の間接税の類型について、ただいま製造、卸売、小売あるいはサービスだけに着目する、理論的にはいろいろな考え方があり得るかと思います。それから、これも学者の意見では、それぞれの税目につきましていずれもメリット、デメリットがあるという一般的な議論があるわけでございますが、いずれにいたしましても、私ども現時点におきまして、そういう具体的なプランとか検討を行っておるわけではございませんので、ただいまの御質問に対して直ちにお答えを申し上げる用意はないということを御理解願いたいと思います。
#52
○戸田委員 税調でも答申の中では、本問題については、五十四年の十二月に否定をされたいわゆる一般消費税、そういう全流通に多段階的にやっていくのはいけないけれども、いわば単段階ないしは複数等々であれば検討の余地ありというような表現がちょっとあるのですね。だから、そういうものをもし受けてやるとすれば、今言ったような三つくらいしかないのじゃないかと私は思うのですが、これはひとつ、こればかりがあれじゃないですから、飛ばして、いずれ機会があるときにまた質問してまいりたいと思います。
 もう一つは、福祉目的税というのは、何か最近自民党税調等々でいろいろ話題になっている、こういうことですが、確かに、構想として水平的再分配をということでありましょう。しかし、私たちの理解からいけば、結局は貧乏人同士が助け合えということになりかねないのじゃないか。もちろん政策的税制を全面的に私たち否定するものじゃないけれども、本当に民主的な公平な税制をつくるということであれば、我々としては、どうしてもやはり累進課税ないしは累進負担、こういうものを土台にした税制をつくり上げるということで今日まで来たわけですから、この福祉目的税等については、どうもやはり私たちは賛成しにくい、こういう気分なんですが、自民党税調等で何かいろいろと意見が出たということで聞いているのですが、これは主税局長どうですか。
#53
○梅澤政府委員 今仰せになりましたいわゆる福祉税あるいは福祉目的税でございますが、これは、自民党の税制調査会で具体的に、例えば税制改正の考え方の中にそういうものが明記されたということはございません。むしろ、自民党の税調というよりは、広くいろいろな議論が行われておることは私ども承知しておりますし、先年社会保障制度審議会で年金財源としての所得型の、あるいは加算型の付加価値税が提言されたというような事実もございます。
 ただ、率直に申しまして、現在行われております福祉目的税あるいは福祉税の議論は、論者によりましていろいろバリエーションがあるのじゃないか。つまり、福祉の範囲をどうとらえるかという問題でございまして、例えば年金に限定して現在の社会保険システムを新しく税財源に置きかえるというふうなものから、もっと広く福祉を広げていって、その財源として考えるといういろいろな議論があろうかと思います。ただ、一般論として申し上げますと、これは毎度申し上げていることでございますけれども、一般に目的税というのは、財政運営の観点からはいろいろ問題がある。つまり資源配分の効率性を阻害する、財政の硬直化を招くという側面があることは否定できないわけでございます。したがいまして、この福祉目的税につきましても、そもそも今後の税体系をどう構築するかというのは実はこれからの問題であるとすれば、私ども、現時点におきましては、税制当局として福祉目的税あるいは福祉税なるものについて一定の見解というものは持っておらないわけでございます。いろいろな問題があるという問題意識は持っております。
#54
○戸田委員 時間がありませんから単発的に質問をしてまいりますが、イギリスのサッチャー首相が、法人税率五二%、これは三五%に引き下げましたね。それからアメリカの大統領が法人税率の四六%を三三%に引き下げようという政策を発表しておるわけですが、それにちなんで、昨年の法人税改正のときに、基本税率四二%を日本の場合四三・三%、中小の場合は別ですが、等々の措置をとったわけです。しかし、これはいずれにしても時限立法で二年ですから、六十一年からどうするかということが一つ問題であります。そういうことで、この見解をひとつお伺いしておきたいと思います。
 それからもう一つは、今回、殊にこの税制改正の中で、ミニカーの排気量五十cc以下の四輪車、これを千円から二千五百円に引き上げた。私はいつも日本自動車工業会からいろいろな情報をもらっておるのですが、これによりますと、個人的に自動車諸税による負担がトータルで一人年間五十三万円、このくらいかかるというのです。詳細は時間がありませんから省略いたしますが、こういう状況の中でもう目いっぱいだ、こう言っているのです。例えば自動車重量税を設定したときもそうなんですが、いわば目方で税金を取るような格好で、大型は何ぼ、小型は何ぼ、中型は何ぼ、こうなっているわけです。そういうことで諸税を含めて九くらいの税金がかかっているわけです。だから、自賠責その他全部入りますけれども、五十何万という負担になるんですね。それになおかつ今度軽関係を結局千五百円引き上げた、こういうことになるわけです。国民の側からいけば、車社会で四千万以上の所有者があって、大体一世帯平均一・一車くらい、こういう平均になっているわけで、もう満杯状況じゃないかという気がするのですが、この辺の見解をひとつお伺いをしたい。
#55
○梅澤政府委員 まず最初の、五十九年の税制改正でお願いいたしました二年間の暫定措置としての法人税率の引き上げの措置、これはただいま御指摘になりましたように、六十年度中に期限が到来するわけでございます。この税率引き上げにつきましては、五十九年のいわゆる本格的な所得減税のいわば財源の一部としてお願いをしたわけでございます。ただ、六十一年度以降、この期限の到来いたします法人税率をどう扱うかということにつきましては、これはやはり六十一年度の予算編成の段階におきまして財政全体を眺めまして、引き続きこれを継続してお願いするのかどうかということを改めてその時点で判断しなければならない問題であろう。期限が参りまして、それで直ちにもとの基本税率に復するか否かというのは、現時点でまだよほど慎重に考えなければならない問題であろうと思います。
 それから第二点目の自動車関係諾税でございますが、仰せのとおり国税、地方税を合わせまして現在九つの税目があるわけでございます。ただ、一つの車にもつの税金が全部がかってくるわけではございませんけれども、いずれにいたしましても、取得したとき、保有それからガソリンの消費といった時点、あるいは車検のときとか、いろいろな税負担をお願いしておるわけでございますが、主としてこれは道路財源等の目的税として使われておるという意味で、受益者負担的な性格でもございます。
 各国を見ましても、車体課税、それからガソリンの税負担というものを総合して見ますと、各国とも現在の自動車社会を背景にいたしましてそれなりの税負担をお願いしている。我が国の現状においても、ひとつそういった観点から御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 なお、御指摘のありましたのは恐らく軽自動車税の問題であろうかと思いますが、これは実は地方税でございます。この税率の引き上げの問題につきましては、別途自治省から御説明申し上げるべき事項かと思いますので、私からのお答えは差し控えさせていただきたいと思います。
#56
○戸田委員 ちょっと間違いまして申しわけなかったのですが、実は私の聞く真意が、時間の関係でちょっと漏れたのです。
 重量税とか揮発油税、これはオール道路財源として、例えば重量税の場合ですと四分の一は地方、それから四分の三は国にということでやっているのですが、これが最近、金が余っているのかどうかわかりませんが、一般の会計に繰り入れて、そういうことも使用目的に違反した格好でやられている状況にあるということを聞くのですが、これはどうですか、ありませんか。
#57
○平澤政府委員 自動車重量税のオーバーフローの問題でございますけれども、これにつきましては従来から、その部分について一応国の方で使わせていただいているわけでございます。しかし、制度の仕組みといたしましては、この部分については目的財源となっておるわけではございませんので、そういう仕組みの中で、非常に厳しい財政事情のもとで、これを国として従来一般財源に充てているというのが現状であるわけでございます。したがいまして、今後この問題にどう取り組んでいくかということについては、また六十一年度以降の予算編成の際に、いろいろな角度から検討していくということになろうかと考えておるわけでございます。
#58
○戸田委員 最後に二点だけお伺いして終わりたいと思うのですが、その第一点は印紙税です。これはきのう、朝日のいわゆる投書欄にあったのですが、極めて不公平じゃないかという投書です。
  私は大衆課税という言葉にイデオロギーを感じて好感を持てません。しかし印紙税については不公平の感を描くものです。
  仮に中小企業が百万の事業を十件、二千万の収入を得たとすれば、これに二千円の印紙税がかかります。一方、私は職業柄一件三万円が大半で、これで一千万の収入を得るのに六万円の税がかかります。なぜなら印紙税は三万〜百万が二百円だからです。同じ収入で二千円と六万円の違い等々の問題があって、これは極めて不公平じゃないかという御指摘であります。
  確かに転嫁できませんからね。今の刻みは、どうしてもそういった中小零細取引関係の利用度が多いということになるのだろうと思うのですが、大手でもって、多額の金額で契約その他をやれば安い。そういう面の反映をいろいろ考えて、やはり税率段階というものを是正していく必要があるのじゃないかと思うのですが、この点について一つだけ。
 それから最後に、所得税との問題について、今度所得税減税がないわけですが、与野党書記長・幹事長会談で今いろいろ頑張っているのでしょうが、いずれにしても、仮に三百万の所得者が五%アップになったとすると三百十五万円、それで税金は、所得税が四万九千七百円、住民税が三万七千四百円で計八万七千百円。七万三百二十円ですから、おおむね一万七千円見当ですね。やはり増税体制、こういうことになっていくわけです。したがって、今、所得税の基礎控除や配偶者控除、扶養控除、そういった人的控除をいろいろ考えてみても、四人家族でもって生活保護法による生活扶助と比較をして、わずかに所得税が三分の二、住民税は半分にすぎない、こういう状況になっているのです。
 こういう問題に対して、前回の改正でもって十九段階を十五段階にした。恐らくこれから所得税の改正についていろいろ構想を持っているのでしょうけれども、これはさっきのスケジュールでいくなら大型間接税と抱き合いで減税をやる、こう言っているのですから、いろいろ検討されているんじゃないかと思うのですが、そういう一端の内容なんかを見ましても、さらにこの七〇%を六〇%にしたいとか、一方最低税率は一〇・五を一二に引き上げるとか、あるいは現行の十五段階を十段階にする等々、累進税率の体制というものを大幅に緩和して、そして何かどこかに重心を置いた改善策などということでやられておったんじゃ、これは大変だと思うのでありますが、そういう前途の問題と現状のこういう問題について、やはりもう少し改善措置をとる必要があるんじゃないか、こういうふうに考えるのです。
 以上、二点について質問すると同時に、最後に政務次官にひとつ、我々与野党幹事長会談でいろいろ問題になっている政策減税でございますけれども、単身赴任あるいは教育、高校で終わるのかどうかわかりませんが、そういった三税のいろいろな話が出てまいりました。せめて政務次官の段階でひとつ、副大臣ですから、これらについて大いに実現できるような御努力をお願いしたい。その決意のほどをひとつ最後にお伺いしたい。
#59
○梅澤政府委員 最初の二点について、まず私から御答弁申し上げます。
 まず、印紙税の問題でございますけれども、印紙税の現在の階級定額の税率体系は、五十六年の改正でお願いをしたものでございます。申すまでもないわけでございますけれども、印紙税というのは取引の背後に担税力を見出す流通税でございますが、これは不動産の譲渡契約書とか手形とか受取書、やはり記載金額の大きいもの、つまり取引の大きいものほど税負担をそれに応じてお願いするということで税率が仕組んであるわけでございますが、何しろ印紙税は自主納付でございますので、やはり一定の価格帯をつくりましてそれぞれ税率を設定しておきませんと、制度として非常に複雑になるということで、同じ価格帯の中で負担を見ますると、やはりそこに一種の権衡を欠くということは、これは階級定額税率の避けられないところであるわけでございます。ただ、取引額の低いものほど税率水準も低くしてあるわけでございまして、こういった点、ぜひ御理解を賜りたいと思うわけでございます。
 それから、第二点の所得税の問題でございますけれども、これは五十八年十一月の答申で、特に中堅所得者、多人数世帯の負担の軽減を図る、累進を緩和する、同時に税率の刻みも少なくするという方向が示唆されまして、五十九年の所得税の数年ぶりの改正を行ったわけでございますが、所得税というのは累進構造を持っておりますから、今委員が例示されましたように、仮に収入がふえますと、その限界点では限界部分の税負担の引き上げ幅、これは当然のことながら大きく出るわけでございます。ただ、税引き後の手取り、いわゆる可処分所得もまたふえているわけでございますね。これは所得再配分機能を持つ所得税としてはいわば当然と申しますか、自然な姿なのではないかというふうに考えておるわけでございます。特に、五十九年の所得税の減税を行わせていただきました後、家計調査なんかを見ましても、特に勤労者世帯では五十九年四月以降、実収入の伸びよりも可処分所得の伸びが上回っております。これは当然減税の効果でございます。そういった点も御理解をいただきまして、六十年度、六十一年度以降の税制改正の中で、所得税について税制調査会でどういう御議論をいただくのか、そういう検討の結果を待つべき問題であろうと考えております。
#60
○中村(正三郎)政府委員 大変難しい御質問をちょうだいいたしましたけれども、今公党間でいろいろなお話し合いがなされて、その中に所得税減税それから政策減税ということで三点出ているというようなお話は、伝え聞いて伺っているわけでございますけれども、やはり私ども今大蔵省の立場としてお答えすれば、大変厳しいお答えにならざるを得ないというふうに思うわけでございます。
 前々からお話が出ておりますとおり、単身赴任等、また教育減税でございますとか、そういったものを特定の税の制度としてしんしゃくするのには、大変しんしゃくの限界があるのではないかということが税調の答申にも盛られているわけでございまして、もう既にいろいろ御議論になっていることでございますので、細かいことは省きますが、こういったことに対処するのは、本来は労働政策上と申しますか、労使間において話し合いを持って解決していくのが筋でないかと私ども思うわけでございまして、決意を述べると言われましても大変難しいわけでございます。そんな御答弁にしかならざるを得ないのでございますが……。
#61
○戸田委員 終わります。ありがとうございました。
#62
○越智委員長 川崎寛治君。
#63
○川崎委員 それでは、大蔵大臣が参りますまでの間、中村次官並びに政府委員の皆さんにお尋ねをしたいと思います。
 まず最初に、それでは順序を逆にしまして、厚生省、見えていますね。――それでは、厚生省が見えておりますので、今確定申告の時期でございますが、還付の面で医療費控除についての要望が大変強い。そして医療費控除の還付も相当伸びてもきておるわけであります。
 まず、国税庁の方にお伺いします。医療費控除の還付の申告をいたしますときには、医師の領収証を必ずつけなければならないことになっているわけですね。
#64
○冨尾政府委員 所得税の還付申告をいたします際、医療費控除の適用を受けるという場合には、政令の規定によりまして、医師に支払った医療費の領収証を添付するというのが原則でございます。
#65
○川崎委員 そうすると、それは必要条件だ、こういうことになりますが、確定申告の時期になりまして、今本屋に行きますと、随分税金の本というのがずらりと並んでおりまして、これらをぱらぱらとめくっておりますと、医療費控除の項目もあるわけでありますが、今おっしゃられるように領収証が必要だ、しかし、お医者さんの中には領収証を出さない人がおるので、そのときは云々、いろいろなことを細々と書いてあるわけですね。しかし、これは不思議だなと私は思うのです。何で患者が領収証を請求したときに医師が出すという制度になっていないのか、不思議でならぬわけです。当然医師は、患者が要求をしたら領収証を出すということを義務づけられてしかるべきじゃないか。特に去年の健康保険法の改正で、四十四条ですか、差額医療の問題については、指定病院は領収証を出さなければならない、こういうことになっておるわけでありますが、なぜそのときに一緒に、つまり町のお医者さん一般、そういう者に対しましても領収証の請求があれば出すというふうなことにしなかったのか、その点、伺いたいと思います。
#66
○奥村説明員 先生御指摘の領収証の発行でございますが、これは民法に定めがございまして、患者の請求があれば領収証を発行する義務がある、こういうことになっておりますが、先生御指摘の特定承認保険医療機関、これで高度医療を実施いたします場合には差額の費用を自己負担いたしますが、通常の一部負担と入り繰りが生じますとトラブルが生じることになりますので、そこを明確にするという趣旨で、特に求めがなくても発行するようにということを義務づけいたしたわけでございまして、通常の場合でも義務があるわけでございますが、私どもとしては都道府県あるいは医療関係団体を通じて徹底を図っておるということでございます。
#67
○川崎委員 しかし、税金の解説書、いろいろな本に、必ず領収証をもらえます、だから出しなさい、お医者さんは命を預かっている人だからけんかをしないようにとか、そんなことまで書いてある。となると、やはり相当たくさん断られているのがあると思うのですね。だから、そういう通達ではなくて――では国税庁にお尋ねしますが、医師の優遇税制における減税分は年間どれぐらいですか。
#68
○梅澤政府委員 先般国会に御提出申し上げました六十年度の租税特別措置の減収額のうち、社会保険診療報酬の特例に基づきます減収額は一千三十億円と見込んでおります。
#69
○川崎委員 そうしますと、医師の方はそれだけ優遇税制を受けておるわけです。患者が還付してもらいたいといって、切実な、領収書を書いてくれということでいろいろ細かに解説がございますが、そうだとしたら、これは当然健康保険法の改正をすべきだ、そして患者が請求をしたときには領収証を出さなければいかぬというふうにしておけば問題ないと私は思うのです。ですから、その点はそういう方向で取り組んでもらえますように、ひとつ伺いたいと思います。
#70
○奥村説明員 先ほど先生に御説明申し上げましたが、民法の四百八十六条で受取証書の規定がございます。これが領収証に当たるものでございますが、「請求スルコトヲ得」という規定がございまして、それで医療機関は発行を義務づけられているということでございます。
 ただ、ちょっと古いデータで恐縮でございますが、五十七年に日本病院会で調査いたしました状況で見ますと、医療費が高額となります入院医療費については九八%、まあほとんど全体に近い、あるいは外来については約九割という状況で、先生おっしゃるように若干領収証を出していないところがあるわけでございますが、私どもは中医協の五十六年の領収証発行の徹底という決定を受けまして指導を強めておるところでございまして、今後とも引き続きこの徹底を図ってまいりたいと思っておるところでございます。
#71
○川崎委員 それなら、差額医療だってわざわざ領収証のことを書く必要がないじゃないですか。契約は全部出さなければいかぬ、民法が貫かれるということであれば、差額の場合も要らぬのですよ。しかし、その差額の場合には領収証を出す、こうなっておるわけでしょう。それなら健康保険法に一条つけて、請求があれば領収証を出すというふうにすればいいじゃないですか。そうすればトラブルなくなるのですよ。大蔵省、どうですか。
#72
○冨尾政府委員 私どもといたしましては、基本的に領収証を出すか出さないかという問題は、医師と患者との間の契約関係の中での金銭の授受に関するものでございますので、税務行政の上から直接出せ、出さなくてよろしいといろいろなことを言える立場にはございません。
#73
○川崎委員 そう言うだろうと思いました。しかし、必要条件なんです。還付を請求するには必要条件なんですから、必要条件を満たすように、ただ民法の上での契約云々ということだけでなくて、具体的に必要条件を満たしてやるということのために健康保険法に一項目をつけ加えればいいのですから、そんなことは簡単じゃないですか。
#74
○奥村説明員 特定療養費制度の場合には差額部分が新たに付加されるわけでございまして、従来の保険診療の中に含まれる一部負担と両方が患者の負担になるわけでございますが、ここの区分を明らかにするという意味で特に明文をもって規定したわけでございまして、一般的には民法によって義務づけられておるというふうに考えておるところでございます。
#75
○川崎委員 しかし、それで義務づけられていると言うけれども、それが実際には一〇〇%ないのでしょう。一〇〇%ないのだったら、弱い立場の患者がお願いして三拝九拝しなければ出ないということのないようにしてどこが悪いのですか。
#76
○奥村説明員 法制的には民法上の規定がございますので、特に重ねて規定を設ける必要がないということでございますが、私どもとしてはこの規定に基づきまして指導を徹底してまいりたいと思っております。
#77
○川崎委員 しかし、一〇〇%されないのでしょう。税法の上ではつけなければならないと義務づけられているのです。義務づけられているものが、契約云々でいいのだ、こう言っても、それが実行されないのだから、実行できるように、漏れがないように穴を埋めてやるというのが血の通った行政というものではないのですか。私は、これはそんなに大きな政策課題になるのかどうかわからぬ、本当に小さな事務的な問題だと思うのだけれども、なぜ検討できないのですか、検討できない理由を言ってください。
#78
○奥村説明員 一部負担金につきましては、保険医療機関と被保険者との間の民事的な関係が基本になるわけでございまして、その意味で法制的には民事上の義務づけがされておるということで、重ねて法律上の義務づけをする必要がないということで、義務づけを特段一般的には設けず、特定承認保険医療機関だけについて設けた、こういう趣旨でございます。
#79
○川崎委員 これは続けているのがばからしくなります。だから、これは大臣とやらなければいかぬ議論なんでしょうけれども、民法の云々で、それが一〇〇%実行されておったらいいですよ。実行されていないのだから。そして解説書に、お医者さんの機嫌を損なわないようにしなさいとか、そんなことまで書いてあるのです。そんなばかな話がありますか。それなら、民法のあれで一〇〇%出るはずです、請求しなさいと解説があるべきでしょう。それがないのですから、だとしたら、それを埋めるのは何でもないことじゃないですか。
 それでは、あなたじゃしようがないから、また改めてどこかで議論いたしますけれども、私はこれは大蔵大臣があれば、国務大臣としての大蔵大臣、竹下国務大臣に聞くのですが、いませんから、それならば、いつの年にやったのか知りませんけれども、一〇〇%実行されるように、厚生省として改めて行政指導をやりますか。
#80
○奥村説明員 今後とも指導を徹底してまいりたいと思います。
#81
○川崎委員 それでは、順序としては税制改革の議論の中で、少額貯蓄の非課税の問題も少し後で詰めたかったのでありますけれども、大臣がおりませんので、少し事務的にお尋ねしたいと思います。
 六十年度の税制に対する政府税調、これを見ますと、非課税貯蓄が二百四十五兆円とあります。五十九年の三月です。五十八年の三月は二百二十五兆円です。そこで、その数字を、個人貯蓄の内訳というのをここ数年にわたって少し説明してくれませんか。
#82
○梅澤政府委員 ただいま仰せになりましたように、五十九年三月末で個人貯蓄の残高が四百十九兆円ございますが、その中で非課税貯蓄の占めております割合が二百四十五兆円。これを種別で申し上げますと、民間のマル優がこのうち百四十二兆円、それから特別マル優が十兆円、財形貯蓄が七兆円、郵便貯蓄が八十六兆円。大ざっぱな傾向といたしまして、非課税貯蓄のうちおよそ六割が民間マル優、四割が郵貯、こういうことになっております。
 過去の状況を見ますと、この郵貯の割合というのは現在とそう大きく変動はいたしておりません。五十一年当時、一時落ちた時期がございまして、その後また上がってきておる、こういう状況にございます。
 それからもう一つは、今おっしゃいました、これは税制調査会の答申でも指摘されておるわけでございますけれども、個人貯蓄のうち現在非課税貯蓄が大体六割を占めておるわけでございますが、これは四十年代の初めはたしか三二%、大体三割ぐらいの水準になっております。したがいまして、個人貯蓄の中で非課税貯蓄の占める割合が、ここ四十年代を通じまして大体倍ぐらいの水準になっておる。それは国民の貯蓄高がふえるということが一つと、それから時間的経緯の中に非課税貯蓄の枠の拡大という制度拡大もございますから、そういった影響もございまして、現在個人貯蓄全体の六割までが課税の範囲から外れておる、こういう状況でございます。
#83
○川崎委員 大体一割程度ずつふえていますね。そうしますと、今非課税枠の預貯金の口座数は何ぼありますか。
#84
○梅澤政府委員 非課税貯蓄の民間の分で申し上げますと、いわゆる申告書の件数でございますが、二億一千七百二十六万件でございます。一方、郵便貯金の方でございますが、郵便貯金の場合は、定額貯金というのは一枚一枚になっておりますので、必ずしも口座の数ではございませんが、そういう口座の数と定額貯金の枚数を合わせたところで三億七千四百四万枚、これはいずれも五十九年度の数字でございます。
#85
○川崎委員 そうしますと、大体六億近いわけですね。人口一人当たり五つという大変なもので、四人家族ですと大体二十、こういうことなんですが、グリーンカードをもし実行していくということになりますと、今の六億というふうなものは大体どれぐらいにおさまるという見方をしたのですか。
#86
○梅澤政府委員 当時もその御議論をたしか当委員会でもいただいたかと思いますけれども、御質問の趣旨は、そういうふうなグリーンカードといいますか、限度管理の制度を強化することによって、現在不正に利用されているものが排除されて、残ったところの枚数が幾らかという御趣旨かと思いますけれども、これはなかなか計量的につかまえにくい。これは結論的に言いますと、そういう制度を実施した段階でしばらく時間の経緯を見ながら、結局結果として数字が出てくるというものでございまして、これが例えば二割減るとか三割減るとか、いろいろ巷間推測はございますけれども、税制当局として何割ぐらいに減るでしょう、あるいは減ったと思いますというふうに、なかなかお答えしにくい問題でございます。
#87
○川崎委員 現在不正利用はどれくらいと推定しますか。
#88
○冨尾政府委員 国税庁というか、執行の立場から申し上げますと、私どもとしてはマル優のチェックの方法は二つございまして、一つは金融機関に臨席をいたしまして、マル優の利用が適正に行われているかどうかというチェックでございまして、これにつきましてはたびたび申し上げておりますが、金融機関大体四万店舗あるうちの一割程度をめどといたしまして、臨席してマル優の利用状況をチェックしておるわけでございます。この結果としまして、不正の利用件数ということについての詳細な把握はございませんが、追徴金額としては、五十八事務年度、これは一番新しいものでございまして、三千八百店舗調査をいたしまして二百億円追徴をしております。そのほかに私どもとしては、非課税貯蓄申告書というものが金融機関を経て提出されてまいりますので、これの名寄せも一部行っておりまして、この二つを通じまして非課税貯蓄の利用の適正という見地からのチェックをしておるわけでございます。
#89
○川崎委員 だから、不正利用の金額というのは大体どれぐらいと見ていますかというのです。
#90
○冨尾政府委員 先ほど申し上げました金融機関の一〇%につきまして、私どもがマル優の不正利用の結果として追徴いたしました金額は、一番新しい五十八事務年度では約二百億円でございます。これを一定の計算方式で、その元本としてどの程度のものがあるかということで計算をいたしますと、六千七百億円ぐらいの元本になろうかと思います。ですから、マスコミ等ではこれを十倍しまして、約七兆円近い不正利用があるのではないかというふうな記事になさる向きもございますが、私どもとしては、いろいろ問題がありそうなというか、何かそういう意味で問題点を見つけてやっておる調査の結果としての二百億円の追徴でございますし、これから直ちに元本としてどの程度の不正利用が行われているかということを推計することは、現在の私どものデータから見て簡単にはできないというふうに考えております。
#91
○川崎委員 そうすると、梅澤局長が大体一割ぐらいで伸びてきたという過去のあれを言いましたけれども、今度の改正で新しい制度に入るということになりますと、その流れというのはどういうふうにごらんになりますか。
#92
○梅澤政府委員 今御審議を賜っております租税特別措置法並びに所得税法の一部改正で、本人確認を明確にする、本人確認のできないものは新たに課税範囲に取り入れる。郵便貯金につきましては、そのほかに、限度を超えました部分につきまして故意、重過失という主観的要件なく課税対象にする、同時に、その利子を支払われる場合に郵政官署から税務署の方に通知をいただくという制度化をお願いしておるわけでございまして、私どもはこの制度によりまして、現状のいわゆる不正利用というものが相当改善されるということを期待はしておるわけでございます。期待はしておりますけれども、果たしてどれだけの効果があるかというのは、やはりこの制度の運用をさせていただきまして、その状況を見ながら分析しないと、計量的にどれぐらいそれが正されるのかというのはなかなかお答えしにくい問題であるというふうに申し上げざるを得ないと思います。
#93
○川崎委員 そうしますと、脱税所得ですね、脱税したもの、あるいは税漏れの所得、そういうものは今はとんと金融資産になっていますね。その点はそういうふうにごらんになりますか。
#94
○梅澤政府委員 これはあるいは国税庁の方でお答えすべきものかと思いますけれども、私ども執行におりました経験で、そういったいわゆる脱税事案等の具体的な、所得を隠す形態と申しますか、さまざまございますけれども、やはり金融資産という形でそれが持たれているというウエートは相当大きい、一般論として大きいということは言えると思います。
    〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
#95
○川崎委員 それは金融資産の問題、いわゆる中流意識の崩壊という問題とも関連をして、後ほどまた触れたいと思います。
 大臣が見えましたから、大臣に質問したいと思いますけれども、まず、田中元総理が入院をされまして、きのうの医師団の発表によりますと、二、三カ月の入院加療、こういうふうな発表でございました。私たちも、やはり同じ国会におります先輩でございますし、大変心配をしておるわけでありますが、大変身近な竹下大蔵大臣でございますので、この機会をかりましてお見舞い申し上げたい、こういうふうに思います。
 そこで、まず、きょう午前中、幹事長・書記長会談で合意をされましたことにつきまして、一番関係の深い大蔵大臣でございますので、この点についてお尋ねをしたいと思います。
 三項目ございますけれども、問題は一と二でございますね。「所得税減税問題については、経済情況を勘案しつつ、政調・政審会長会談において鋭意かつ誠意をもって引き続き検討を進める。」これが一。
 二が、「いわゆる政策減税等(教育減税問題、ねたきり老人問題、単身赴任問題等)については、実務者会談において検討する。」この実務者会談というのは政調、政審会長だそうでございますが、なお幹事長が口頭で「幹事長・書記長会談の責任において本年中に結論をえて実施する」、こういう金丸幹事長の口頭説明というのがついておるという報告を受けております。
 そこで、この二つの項目につきまして、大蔵大臣として、所得税減税問題についての検討の進め方、また政策減税、これは責任において結論を出し実施、こういうふうになっておりますので、大蔵大臣としての決意といいますか、これを受けての、最大の関係大臣でございますので、御見解を伺いたいと思います。
#96
○竹下国務大臣 まず基本的に申しますと、いわゆる議院内閣制、また政党政治、そして衆議院を構成しております党の責任者の方々の合意につきましては、これを尊重するということが基本的にございます。
 それから、一番の所得税減税問題のことにつきましては、従来からも政調、政審会長さん等はたびたびお会いになっておりますので、いろいろ御議論をなさっておるやに聞いております。したがって、引き続いてといり言葉が入っておるではないかというふうに思っておるわけであります。したがって、各政党の政審・政調会長会談においての検討のスケジュールを今のところ、私の方であらかじめ予測するわけにもまいりませんので、それを見守るということであろうかと思っております。
 それから二番目の、いわゆる政策減税等の問題につきましても、これまでも予算編成のとき等に政審、政調の皆さんが御議論なさっておることを私も聞いておりますので、これも原則的に言えば、これの推移を見守るということであろうと思います。ただ、口頭説明の中で「責任において本年中に結論をえて実施する」ということでございますので、結論が得られるならば、当然のこととして、政府としてこれを尊重しなければならぬという基本的考え方であります。
#97
○川崎委員 実現をしてもらえますことを確信をして、待ちたいと思います。
 それでは、税制改革の問題についてお尋ねをいたしますが、中曽根首相は、税の増収や財政再建のためでなく、シャウプ税制導入以来の税のひずみやゆがみを直すためだ、こういうふうにいわゆる大型間接税の導入の問題について答えておるわけでありますが、この点について、大蔵大臣も総理の答弁のとおりに受けとめておるというふうに理解をしてよろしいでしょうか。
#98
○竹下国務大臣 総理の答弁のとおりに理解していただいて結構だと思っております。
#99
○川崎委員 それでは、シャウプ税制の問題でございますけれども、中曽根総理の、このシャウプ税制導入以来云々、こうありますけれども、シャウプ税制以来の戦後税制というものを余り十分に御理解の上の答弁ではないんじゃないだろうかな、こういうふうに私は思うわけです。シャウプ税制というのは二十五年でございますけれども、引き続きずっとシャウプ税制が続いておる、こういうふうに大蔵大臣は理解しておられますか。
#100
○竹下国務大臣 これは、二十四年にいらっしゃいまして、随分長い時間をかけておやりになって、したがって私は、基本的理念でありますところのいわゆる財政民主主義の観点、それから包括的な課税ベースと所得分配機能を基本とする所得税を日本の税体系の中心に置くという考え方、これは今日においても税制の基本的な考え方として継続しておるというふうに考えております。
#101
○川崎委員 しかし、実際シャウプ勧告に基づいたいわゆるシャウプ税制というものは、私は、昭和二十八年で崩壊をした、こういうふうに理解をするのでありますが、どうでしょうか。
#102
○竹下国務大臣 これは、いわゆるシャウプ勧告を出発点として、その後改正を重ねてきたわけでございます。ただ私は、あくまでもこのいわゆる税制の基本的な考え方として評価されるものを含んだものである、その思想は継続しておるというふうな、ゆがみの問題は別といたしまして、基本的にはそういう事実認識をしております。
#103
○川崎委員 それで、後で別の法案で産業投資特別会計の問題も新しく出てくるわけですね。この産業投資特別会計というのは、昭和二十八年に発足するわけでありますけれども、昭和二十八年というのは、要するに一九五二年の四月二十八日、平和条約発効ということで、そこでがらっと変わってしまうわけですね。ですから、そうした民主的なもの、あるいはキャピタルゲインの問題もそうですし、あるいは架空預金もやってはいかぬというようなことも厳しくやっているのですが、そんなものは全部わきの方に置いてしまって、資本の蓄積と輸出の振興ということに二十八年から突っ走るわけですね。ちょうど今総理が、戦後体制の総決算とか見直しとかいうことを言われておりますけれども、私は今の時点は、その意味では一つの、つまり大型の間接税を入れよう、税制全般を見直そうということも、ちょうど二十七年の平和条約発効からきたその時点と、また今金融の自由化、国際化、そういう中で、一つの転換点に来ておる、ターニングポイントに来ておる、こういうふうに私は思うわけです。
 例えばあなたと大平内閣のときに不正支払い防止の問題について議論をしたこともございます。それは、証券取引委員会がアメリカの指示のもとにつくられたときは大蔵省の外にあったわけでありますけれども、昭和二十八年に証券取引委員会を大蔵省の中に入れて証券局というふうになり、行政委員会としての力を失ってくる。つまり、アメリカのSECのようなものでないもの、そして資本の蓄積、輸出という方向にこの時期に移るわけです。ですから、そうであるとしたならば、その点でやはり非常に大きな時代の変化の時期でございますから、そこを踏まえた議論というのがなければならない、こういうふうに思うわけです。ですから、シャウプ税制というふうにくくって中曽根総理は言われますけれども、じゃそのゆがみとかひずみとか、それは何なのか伺いたいと思います。
#104
○竹下国務大臣 これはやはり私ども、あらゆる予見を与えないためにも、ゆがみ、ねじれとかひずみとか言われる問題については、五十八年の十一月の税調の中期答申を整理してみたが一番いいのではないかとも思います。
 一つは、所得再配分機能、すなわち所得水準の平準化の動向等を勘案して、中堅所得層の負担の緩和にも配意した、全体としての若干なだらかな累進構造とする方向で見直しを行うことが適当であるとされ、二つ目には、所得の捕捉。所得課税は執行面で把握差が生じやすい、実質的公平確保の面で問題があるとの批判が少なからず見受けられる。これは徴税側の問題も含められておると思いますが、とりわけ個人が稼得した所得に対し直接に負担を求める所得税においては、制度及び執行の両面において実質的公平確保の工夫が強く要請されておるという指摘。それに付随いたしまして、法人税の申告状態で、法人の約五割が赤字申告を行っておる。いわゆる赤字法人といえども公共サービスを享受しておることから、応益負担の問題が指摘されております。
 それから三番目が課税ベースの浸食でございまして、租特は政策目的実現のため税負担の公平その他の税制の基本原則をある程度犠牲にして講じられているものである、したがって、常時これは見直さなければいかぬということ。そして、その同じ課税ベースの浸食におきましては、昨年来議論になっておりました非課税貯蓄残高の総額が個人貯蓄の六割を占めるに至った今日、いわゆる非課税貯蓄制度の取り扱いが大きな比重を占めている問題であるとかいうようなこと。
 それから四番目が、間接税の課税ベースと税率構造。間接税は、言うなれば特定の物品に対する課税が大宗を占めておって、従量税率によるものが多い。だから相対的に税負担水準の低下が生じやすい。本来的にそういうものを持っておる。それからサービスの問題で消費が急増しているが、国税としては課税の対象となっていないということ。それから、若干の手直しをしていただきましたが、いわば酒税につきましての、酒類消費の多様化とか均質化に伴う問題、こういうような指摘が、中期答申の中から拾い上げればあるんだな、こう思います。
 このような指摘に加えまして、我が国の税体系が、結果的にではございますけれども、まあいわば直接税に偏り過ぎておるのではないか、こういう意見もさまざまなところでございます。いずれにしても最終的には国民の合意と選択によって決められるべき問題でありますだけに、まさに検討課題も今中期答申の中から整理してみたわけでございますが、今後さまざまな角度から議論されてきて、ゆがみとかひずみとかというようなものがさらに浮かび上がってくるではないかな、こんな感じで見ております。
#105
○川崎委員 中曽根総理のこの税制改革の基本、認識は一緒だ、こう言われました。そうすると、今言われたそのひずみの是正、それからさらには税制全般の改革ということは税の増収や財政再建のためではない、こう認識してよろしいんですね。
#106
○竹下国務大臣 これは私は今度の答申そのものからまいりますと、まずいわゆる増収ありきという考え方はとられてはいけないな、やはり政治的にそれをさらに中曽根総理は公平、公正、簡素、選択という言葉でくくっておられますが、そういう観念のもとで、まず増収ありきというより、まず公平、公正ありきということから御議論をちょうだいすることが適切ではないかというふうに思っております。
#107
○川崎委員 新聞報道によりますと、二月二十五日、政府・与党連絡会議があった。これは大臣も御出席ですね。
#108
○竹下国務大臣 ちょっと必ずしも正確に記憶しておりませんが、予算委員会等でつぶれたことが一同か二回ございますが、可能な限り出席はいたしております。
#109
○川崎委員 これは、村山調査会が五、六月に税制の抜本改革の本格的検討に入る、こういうことを藤尾政調会長が記者会見をして言っておるわけです。そして税制改革は党主導でやるんだ、小役人が何を言うかと大変強い御主張でありました。頼もしいなと思って読んでおりますけれども。
 ここでも首相は、税に対する私の考え方は間接税だけではない、減税も含めて全体的に発言しているのに増税だけが取り上げられているといって大変御不満を漏らしておるようでありますけれども、そうしますとこの村山調査会というのは、そういう政府・与党連絡会議、これは予算委員会の方でも何遍も何遍も議論されていることでありますけれども、これは五、六月に発足をするというふうに受け取っておいてよろしいんですか。
#110
○竹下国務大臣 党の政調の中で、村山さんという人は大蔵大臣としても私の先輩でございますが、もともとが税の専門家であったり財政の専門家であるというので、いわば財政のいろいろな類型というようなものを村山調査会で勉強していただいて、党として参考にしようじゃないか、こういうことがありまして、そのときは税についてということには必ずしもなっていなかったと思います。したがって、その村山調査会というのはそのまままだ残っておるわけでございますので、それがいつから検討に入られるのか、あるいは私としては政審・政調会議でいろいろ議論をなさる、それとどういうふうにタイミングを合わせでこれから政調で検討されるのか、にわかに判断がつきませんので、別にこの六月からとかいうようなことを確定して私からお答えするだけの自信はございません。
 それから、総理がよく言っておりますのは、いわゆる直間比率問題というのが、臨調で一遍答申にそういう言葉が使われておりますけれども、何となくひとり歩きしてしまって、世間には間接税による増収措置というふうなことだけが先行しておる。私も気持ちとしては減税もやりたいのだ、所得減税という意味でございましょう、やりたいのだ、その気持ちはある、だから税制というものをまず抜本的に勉強してもらう必要があるということを、予算委員会等でもかねてお答えになっておるということを、私もそばにおって感じておるということであります。
#111
○川崎委員 党主導だ。先ほど与野党の幹事長・書記長会談の今回の減税問題についてもお答えになられたわけですが、そこで、村山さんの談話というのがここにあるのですが、
 大型間接税の発想の根本は、何と言っても大幅な財政資金不足をどうするかにある。特に六十一年度以降は、国債償還のため多額の財源繰り入れが必要になるが、所得税や法人税の増税はほぼ限界。現実的には新しい間接税の導入によるしかない。
 そういう状況だから、仮に大型間接税を導入する場合、それと見合いに、法人税を大幅に軽減するというのは、どんなものか。いま暫定的に一・三ポイント引き上げている法人税率を元に戻すことは可能だろう。しかし、それ以上の税率引き下げをする余裕は乏しい。また減価償却期間を約一割短縮するだけで一兆五千億円の減収になり、償却期間の短縮もやさしいことではない。
 もっとも、日本の税制が今のままでよいとは決して思っていない。本当を言えば低所得層の所得税率を引き上げたり、法人課税を大幅に見直すなど、米国のようにトラスチックな改革をするべき時期に来ている。云々とまだ後が続くのですが、こういうことを言っておる。大幅な増収だ、党主導ですよね。増収だ、こう言っている。
 一般消費税のときを振り返ってみますと、五十四年の秋、ちょうど総選挙前に、一般消費税の導入による赤字財政からの脱却、こういうことでありましたね。ですから、この一般消費税の導入のときには、赤字財政からの脱却という増収、五%の三兆円程度という計算も出しておったわけであります。
 そうしますと、今大蔵大臣は、税収というよりも、むしろゆがみ、ひずみの是正だということに大変力を入れた中期答申を引用されてお答えになっておるわけでありますけれども、しかし党の方は、藤尾さんに言わすと党主導だ、こういうふうに言っておるのであります。党の方は、大型間接税というのは財政資金不足を片づけるためだ、こういうふうに言っておるのでありますけれども、そうしますと、総理や大蔵大臣が国会で答弁をいたしておりますこととは大変食い違っている、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#112
○竹下国務大臣 まず、私もかねて考えておりましたが、いわゆる五十二年の十月四日の「今後の税制のあり方についての答申」というのを見ますと、「以上の審議を踏まえて、国、地方を通じる財源不足の事態を改善するため、一般消費税として新税を考えるとした場合、基本的に」どうなるか、こういう答申をいただいておるわけです。やはりそういうときのいろいろな議論が、そこで財源不足に充当するためという議論が行われておりましたから、いわゆる税調におきましても、そういうあうんの呼吸の中で答申を、これは五十二年答申でございますけれども、いただいたなと思っております。
 今度の答申はまさにそうでなくして、もう一遍あえてガラガラポンにしてしまえというわけじゃございませんが、いわばゆがみ、ひずみのできた基本にさかのぼって議論をしなさい、そういう時期が来た、こういう答申でございますから、私はそれはそれなりに素直に受けて、今の藤尾さんあるいは村山さんの議論も議論でございますから、それらを、あるいは国会の議論等を正確に税調にお伝えして、そこで基本的な議論をしてもらおう。それで財政再建に、その中の手法としてどういうものを採用するかとか取り入れるかということは、まだ私は国民の皆さん方に問答している段階じゃないだろうかな。すなわち、要調整額がこれだけになります、一体増収によってやりましょうかあるいはさらにサービスをカットしましょうか、どうしましょうかという問答をしておる段階であるから、その問答をしておる段階で、政府そのものがこういうもので対応していきたいというのには、やはりあらゆる政策が国民の理解と協力なしには実現が不可能でございますから、したがって、まだどれを選択する、どれが国民のコンセンサスであると判断するかという時期にまでは来ていないのじゃないか。
 その意味においては、私も大蔵大臣になってみて、毎年同じような収支試算なんかを出して御議論していただいておると、本当にまだ問答の素材を提供しておるだけで、そこには一つの意思というものが出ていないなということを、みずからを顧みながらそういう感じを持って対処しておるということですから、まずは税制改革ありきで、その後財政再建の問題とどうつないでいくか、どの手法をとるかというのは、まだ国民の皆さん方と問答をしておる時期だな、こんな感じを持っております。
#113
○川崎委員 国民の皆さんと問答しているという。しかしそれは政府税調も動き出しますよ。小倉会長もこの間の参考人としてお見えになりましたときには、早い機会にと、動き出したいことを言っておるのですから、総理大臣の方から諮問があれば動き出す、こういうことになると思いますね。
 今度の昨年暮れの政府税調の六十年度についての答申と、それから自民党税調の答申という二つ並べてみますと、違うのですよね。政府税調は、税収のことも触れておりますけれども、言われたような是正というところに少し改革の重点を置いた議論をされておる。しかし、自民党税調の方は、必要な税収を安定的に確保することというのがまずばんと頭に来るわけですね。そうしますと明らかに違うのですよ、そこのところは。ですから、非課税貯蓄の問題についても、これは前にこの委員会でも議論があるわけでありますけれども、政府税調と党の税調は違った。そして大蔵省は政府税調ではなくて、党の税調の方に従ったわけなんです。そうすると、税収の問題と税体系論の問題というのは明らかに食い違いが出ているのですね。いかがですか。
#114
○竹下国務大臣 私は政府税調と言わず、党税調と言わず、税収の安定的確保というのは底辺には存在しておると思います。が、問題は、それは増収とかそういうことを意味するわけではないわけでございますけれども、ただ政府税調の方は、やはり国税、地方税のあり方についてと、そういう諮問に対しての答申でございますから、いわばそうしたことが問題の本質に存在しておる。党税調というのは、政党内閣でございますから、これは与野党を問わず、やはり自分が今政権を担当しておるという立場、あるいは将来せんとする立場で国民に対して示す政策であろう。だから、政府税調が理論的で片方が非論理的という意味ではございませんけれども、そのベースの違いは存在するな、こう思います。そして選択をどうするか、こういうときには、やはり最終的には、今まで政府税調から出していただいたことをすべて採用しておるわけではございませんが、それは政府自身が判断をしなきゃならぬな。
 いつも私感ずることですが、あるいは非礼に当たるかもしれませんが、この大蔵委員会等の議論で、どちらかといえば野党の皆さん方との問答が多いわけですけれども、それを聞いてみると、それが一つの世論を惹起して、今度はそれが政権与党の方の議論に反映してきて、それを選択しているから政権が長もちしているのかなという感じもときに持つわけですが、それは私は悪いことじゃないな、仮に攻守所をかえたといたしましてもいいことじゃないかな、そういうふうに考えております。
#115
○川崎委員 大変うまいぐあいに逃げられたわけでありますけれども、それじゃ少し具体的に、一般消費税とEC型の問題、これは上田委員も随分やりましたが、大蔵大臣はうまく答弁せぬで逃げたわけですね。
 具体的にあれしますが、去年の三月一日の衆議院の予算委員会では、社会党の稲葉委員の質問に対して、EC型付加価値税は五十四年の十二月国会で導入してはいけませんと決議をした一般消費税(仮称)を含んでいると。これを読んでみますと、
 国会決議のいわゆる中身については国会自身でお決めになるべき問題で、政府が国会決議を勝手に決めたりしたらこれはいけません。
 ○稲葉(誠)委員 今あなたのお話だと、それがインタルードされておればEC型付加価値税はできない、こういうふうになりますね。
 ○竹下国務大臣 インタルードされておるという印象を少なくとも私は持っております。ただ、国会で中身が違ってくれば、それは別問題でございます。
こういうことで、否定をされた一般消費税とともにEC型付加価値税も含んでおる、こういう答弁をあなたは去年の三月されておるのです。これはもう変わりませんね。


#116
○竹下国務大臣 これは類型をお示ししたいわゆる多段階、ということは、いわゆる一般消費税(仮称)も多段階でございますし、EC型付加価値税そのものが多段階でございますから、そういう意味においては類型的にはインタルードされておるな。しかし、あの類型のときには別建てで一応は六類型としてお出ししたわけでございますけれども、そういう観念は今でも私には多段階という意味においてはございます。
 ただ大事なことは、私も長い間、最近は言っておりますが、あの決議をここの委員会で私も参加してつくらしていただいたときは、国民の理解を得ることができなかった、よって、この手法はとらない、いわゆる一般消費税(仮称)はと、こういう決議であるわけでございますから、あれは読み方によっては国民の理解を得られたらやってもいいじゃないかという読み方にもなりますので、したがってその辺は、社会経済情勢において税制というのは国民のニーズも変化してきますから、随分いろいろなことを考えて本当はあの決議案はつくってちょうだいしたものだなというふうに、私自身は当時印象を持っておりましたが、その議論は別として、多段階類型のという意味においては、EC型付加価値税といわゆる一般消費税(仮称)は多段階であるという点においては全く一緒だと私は思っております。
#117
○川崎委員 これはもう少し先にまた議論になるわけでありますが、そこで所得税、法人税の減税をあわせてやる、こういうことですか。
#118
○竹下国務大臣 政治家として中曽根総理が減税したい、所得減税やりたい、これは私はあり得ていい話だと思いますが、税調で議論してもらうときには、ここでの議論等は正確に伝えて、もちろんそれは税調の先生方の心の底に入る問題になると思いますが、そこで所得減税といわゆる間接税増税とを抱き合わせで議論してくださいませんかということは、税調に対しては言ってはならぬことじゃないかなと思っております。
#119
○川崎委員 そこで、いわゆる白紙だ、こう言いますから、白紙だということになると税調が出すまでは何も言えぬ、こういうことでは、国民の皆さんにという議論にならぬわけですよ。やはりそこのところは国会における議論というものを踏まえて、それをまた税調が受けとめるということでなくてはならぬわけでありますから、税調がお出しになるまではじっとしている、これではないわけですね。そうしますと、この税制改正の方向、先ほど中期答申を踏まえて言われておるわけで、今後の方向として今述べられたわけでありますが、成長性に富む文化やスポーツやレジャーや外食産業や情報産業関連の商品、サービスに新税をかけるべきであるという意見が政府税調にある。そうしますと、その新税の方向というのは、政府税調が出るまでは大蔵省としては何も言えませんという態度なのか、あるいは大型間接税となっておらぬわけですから、多段階、網羅的という議論じゃないわけですから、そうしますと物品税や娯楽施設利用税、料飲食等消費税など現在の税制の枠組みの中での増税、そういうものもあるのかどうか。
#120
○竹下国務大臣 やはりそれはときどきの情勢によって、既存税制の中で増もあれば減もある場合もそれはあり得ると思いますが、今度の税調の御審議というのは、国会の問答はこれは正確に伝えよう、それから臨調とか財政審とかほかのいろいろなのもございます、それもお伝えいたしますが、その国会の問答も私なりに気をつけて言っておりますのは、今のところ税調のテキストブックといえば、五十八年十一月に出た中期答申がテキストブックでありますから、あの範囲を出ないように出ないように気をつけながら答弁して、できるだけ竹下税制理論、もともとは余りありませんけれども、そういうものが出ないようなお答えの中で、より各方面の意見が余計出されて、それが参考になれば幸いだというふうに思っております。
#121
○川崎委員 それじゃ、少し勉強したいんですが、これは梅澤博士に聞くことになるのかどうか、EC型ということ、しきりに議論されましたよね。そうすると、このEC型の付加価値税というのは、要するに戦争、戦費調達ということと大変絡んだ、つまり戦費調達が目的だったということは、フランスや西ドイツやイギリスを見てもこれはそのとおりではないか、こう思います。それで第一次大戦中に実施されました一九一七年のフランスの支払い税の創設、これも第一次大戦中にやったわけですが、さらには一九二〇年にそれがすべての商品の売り上げ、サービスの対価に課税する取引高税に名前が変わっていった。それから第二次大戦中には軍備税、それが一九六八年に付加価値税という今日の形になっておる。そういう意味では、フランスにおいては戦争の戦費調達が出発であったということをお認めになりますか。
#122
○梅澤政府委員 EC型付加価値税そのものは一九六七年の統一指令で、域内各国の内国消費税を統一するという格好で整序されたものでございますが、今委員がおっしゃいましたのは、その前にたどってきた歴史ということの御指摘かと思います。
 非常に一般論になって恐縮でございますけれども、近代国家の税制の歴史を見まするときに、税制の大きな転換点というのは、一つは戦費調達と申しますか、戦時財政にどう対応するかということが一つの大きな区切りになっている事実は否定できないと思います。そもそも近代の所得税は、ナポレオン戦争のときの英国の戦費調達を嚆矢とするものでございまして、間接税のみならず各税につきましても、やはり戦争というものが一つの契機になっておるということは否定できないと思うわけでございますけれども、そのことと、その税制が戦費調達の税制であるからということで、平和になった時点でその議論を引きずるというのは必ずしも正確ではないだろう。それはやはり平和になった財政の中で、税制というのはそれなりの役割を果たしておるというふうに私どもは考えておる。しかし、歴史的事実として、戦争というのは近代国家の桃側に非常に大きな契機となってきた一つのエレメントであるということは否定できないと思います。
#123
○川崎委員 西ドイツも、第一次大戦の財源を賄うために、商品取引印紙税というものをやりましたね。イギリスは、第二次大戦の戦費調達のために、一九四〇年に仕入れ税というのを入れてきた。戦費調達がその税制のきっかけであったということについては、今主税局長がお認めのとおりだと思います。
 そこで私は、日本とヨーロッパを比較してみますときに、これはなかなか条件が違うと思うのです。で、それは総理も、市場が違う、流通市場が日本の場合大変複雑だということを言っておりましたが、その点については、もう少し突っ込みますと、これはかつてジニ係数の問題で梅澤さんとも去年やりましたけれども、今日本の国内の賃金格差、それは業種間、産業間、そして地域間、非常に格差が出てきておる。広がってきておる。これは低成長の中でなお一層広がっておるし、男女間の格差も非常に広がってきておる。その点はお認めになりますか。
 例えば産業間の格差でいえば、鉄鋼や石油等についても言えますし、特に企業間の格差でいいますと、これはヨーロッパと非常に違う。だから、これがいわゆる網羅的なという問題をやりますときの非常な問題点になるわけでありますけれども、ヨーロッパは横断賃金ですね。横断的な賃金ですから企業間の格差というものが余りないのです。ところが、日本においては企業間の格差、地域間の格差が大変大きい。これは所得の平準化という、去年議論をしたものをいずれまたやらなければいかぬわけでございますけれども。そして最近は、例えば半島振興法なんかにも出てきておるような、地域間の格差に対する不安というのが非常に地方に出ているわけですね。そうしますと、そういうヨーロッパと置かれておる条件の違い、それは流通市場もそうだと思います。つまり日本の方が複雑であり、非常に開きがある。その点いかに認識されますか。
#124
○梅澤政府委員 委員がおっしゃいましたように、昨年もこの所得の平準化の議論をここでさせていただいたわけでございますけれども、高度成長期を通じて、これは賃金面から見てもそうでございますし、例えば家計調査にあらわれております世帯の収入等から見ましても、格差が縮小しておる。特に高度成長期の若年労働者の供給不足という観点から、若年労働者の賃金が非常に上がったことが一つの引き金になったと言われておりますけれども、平準化が非常に進行しておりますし、一般にOECDなんかの資料を見ましても、先進国の中で日本は、ジニ係数から見まして所得の平準化が一番進行しておる部類に挙げられておるという事実は否定できないと思うわけでございます。
 賃金問題になりますと、これは委員の方が専門家でいらっしゃいますが、ただ、私の個人的な感触として申し上げますと、その賃金格差という問題は、今いみじくもおっしゃいましたように、業種間の格差とかいう問題は、それぞれの企業のそれぞれの経済局面によってやはりいろいろ変動があるのだろうと思います。平準化の議論というのは、むしろ構造的に日本の国は一体どっちの方を向いておるかということになれば、税制調査会の答申なんかでも指摘されておりますように、昭和三十年代と昭和五十年代と比べました場合に、家計調査の第一分位と第五分位の収入の倍率は半分ぐらいに縮小しているわけでございますから、基本的にはやはり平準化は進行しておるというふうに考えるべきではないかと考えております。
#125
○川崎委員 それは高度成長の時期を言っておるのであって、低成長になってから――つまり、政府税調がやっておりますのは高度成長の時期、しかもそれは去年も議論しましたように、賃金でやっているわけですよね。金融資産を入れましたか。去年金融資産の議論をして、つまり勤労所得だけの議論ではいけない、金融資産の問題を当然入れるべきだという点、政府税調に、議論に入れることを私は要求したわけですが、その点は入れたのですか。
#126
○梅澤政府委員 明示的にフローのほかにストックも入れた平準化の議論というものを、税制調査会で今日までの時点ではやってはおりません。ただ、税制調査会でたまたま利子・配当の問題を議論していただきましたときに、総理府の貯蓄動向調査というのがございますが、これは特に勤労世帯と一般世帯、それから粗収入と貯蓄ストックの残高、時系列の表があるわけでございますけれども、これを見ましても、勤労世帯も一般世帯も通じまして、収入に対するストックの量がふえてきておるという顕著な傾向がございますから、そういたしますとストックを含めたところでも逆の方向に来ているとは考えられないのではないか。ただ、委員がおっしゃいますような精密な分析はまだいたしておりません。
#127
○川崎委員 先ほど非課税貯蓄の問題で、脱税所得や税漏れ所得が金融資産に形を変えるということを、大体そういう方向だろうとお認めになりましたよね。そこで、そうしますと、大臣が税制の根本的な改革の中で触れられた点にもあるわけですが、非課税貯蓄の問題についてはファイナルでない、今後さらに検討したいというのは、前回の委員会でも、ここでいろいろと議論があったわけですね。そうしますと、非課税貯蓄に対する税調の指摘もあります。そういう問題の解決、不公平をなくしていく、つまり勤労所得よりも非課税貯蓄などの方が有利であるという今日の税制のひずみ、そういうものは当然――そうしますと先般一も、今後も検討いたします、こう言いましたが、それは大型間接税というのか、あなた方はそれを使うのは嫌でしょうから、としたら税制の根本的な改革というときに、この非課税貯蓄の問題も一緒に片づけるという方向に行くのですか、いかがですか。
#128
○梅澤政府委員 先般私が申し上げましたのは、税制調査会の六十年の答申にもございますように、利子・配当課税の問題は、非課税貯蓄のみならず課税貯蓄も含めまして、最終的にどういう方向へ持っていくかという、いわば中間的な答申内容になっておるという認識がございます。それから、先ほど来御議論がございますように、仮に税制全般を見直したとする場合に、所得税の基本的見直しというのは当然日程に上ってくると思いますが、そういたしますと、利子課税そのものはすぐれて所得税制の問題でございますから、それとの関連で検討事項として上ってこざるを得ない。ただし、その方向はどうかという問題につきましては、今後の税制調査会で御議論いただく、そういう意味で、今後の検討課題になるということを申し上げたわけでございます。
#129
○川崎委員 当然のことだろうと思います。
 そこで、サラリーマンから見た不公平ですね。これについては必要経費論なりいろいろあるわけでありますが、その議論を今細かにしておくことはできませんから、残された時間で問題を詰めて伺いたいのでありますけれども、例えば営業所得を申告所得といたしますと、源泉所得等の勤労所得と申告所得の営業所得を見ますと、勤労所得、源泉所得には大変不公平があるという感じがあるわけですね。例えば、減税がなければことし増税になるという議論はもう繰り返しこれまで予算委員会等でもあったところです。ところが、申告所得の場合ですと、必要経費というのは自主計算をして、自主申告でやるわけでありますから、その問題は出てこない。そういたしますと、根本的な税制改革、つまり大型間接税を入れるという前に、あるいは入れるときにはというか、それ以前の問題として、当然この勤労所得の不公平をなくす。
 だから、そのためには、私はやはり、この議論もこれまでこの委員会でも繰り返されてきたと思うのでありますけれども、妻の働きというもの、つまり所得の分割という問題については、所得税の減税という議論をいたしますときには、当然この勤労所得者の所得の分割ということが行われるべきだと思うし、そしてまた、当委員会でもこれまで議論がありました二分の二乗方式というものを当然入れるべきだ、こういうふうに思いますが、いかがですか。
#130
○梅澤政府委員 今おっしゃいました課税単位の問題は、昭和五十年代に入りましても中期答申を三回いただいておりますが、税制調査会でもその都度検討テーマとして御議論いただいておるわけでございます。
 ただ、今日までの審議経過から見まして、我が国において直ちに二分二乗方式あるいは世帯単位課税に移行することについては、従来までの審議経過から見ますと、税制調査会の考え方は消極的でございます。それはいろいろな議論があるわけでございますが、課税単位の問題、今おっしゃいましたように。共稼ぎ世帯とそうでない世帯の所得税負担のアンバランスの問題があるわけでございますけれども、ただ、共稼ぎ世帯でない場合の主婦労働というものは、仮にそれを帰属所得とすれば、それは現在課税対象になっていないということからすれば、その面からの不均衡という議論は、必ずしもそう言えないのではないかという論点が一つございます。
 それから、諸外国で、なるほどおっしゃいますように二分の二乗とかN分のN乗とか合算分割、いろいろな制度がございますけれども、それはそれぞれの国の非常に歴史的な経緯がございまして、あるいは夫婦財産の共有制、別産制のような問題も絡んできて、現在のような制度になったという経緯の国も複数以上ございます。
 そういった点から考えますと、我が国の場合、稼得者単位というのは、それはそれなりに非常にわかりやすいという問題が一つございますし、もう一つは、税制の効率性という点から見ますと、稼得者単位でありますればこそ、所得税の九割以上を占める給与所得者のほとんどの方が、いわば年末調整で課税関係が整理される。そういった税制全体の効率性というような観点から見ましても、今直ちにこの課税単位の問題を考えるということではなくて、むしろ税負担の議論とすれば、各種の人的控除の水準が一体どうあるのか、あるいは税率構造をどう考えるのか、そういった問題に議論の焦点を絞っていくというのが、従来の税制調査会の考え方でございます。
#131
○川崎委員 勤労主婦の問題は、これは確かに共稼ぎ家庭がふえております。しかしそれは主婦のパート減税、前の国会でも処理されたわけでありますけれども、そこの中にもいわゆる勤労主婦という問題が一つ出てきているんですね。ですから、それとパートとか内職とか、それは税調でも雇用政策の問題として少し検討してもらわなければいかぬという議論もあるわけですけれども、共稼ぎの問題というのは、これはまた勤労主婦の控除ということで別個に考えればいいことだと私は思うのです、優遇していくということでね。ですから、家庭にあって妻が支えておるということについては、これは営業所得なりそういうものが所得を分割をしてやっておる今日のあり方というものに対する不満は大変大きい、こう思うのです。スウェーデンは両性平等で稼得者単位に戻ったわけですよ。それから西ドイツは憲法で二分の二乗を定めておりますし、アメリカでは複数税率で、どっちかといえば二分の二乗的なんですね。そういう意味では、ただヨーロッパのEC型の付加価値税を検討するということだけではなくて、そうしたヨーロッパにおける二分の二乗的なそういう問題も、当然勤労所得に対する不満というのが今あるわけでありますから、それを税制の根本改革と言うのであれば、当然そこのところに入れてくる。
 でなければ、源泉徴収というのも、昭和十五年、これは戦時の措置として源泉徴収制度というものが入ったわけです。本来は申告だったわけです。そうしますと、この源泉徴収というものも、戦争、つまり効率的ということを言われました。戦争のときに制度を変えるのが一番そういうきっかけだったとあなたは言われたけれども、まさにそのとおりで、それ以来四十五年も続いているのですから、そうしますと、中曽根総理はシャウプ税制のねじれ、ゆがみを直すのだ、こう言うのであれば、第二次世界大戦中の昭和十五年に始まったこの源泉徴収というもののゆがみ、ひずみ、それをただ取る方の側の効率というだけでやることは納得できない、私はこう思うのです。ですから、EC型のそういうものを検討する、こう言うのであれば、当然妻の問題、夫婦の問題という稼得者単位について、欧米のそういう問題も当然検討すべきだ、こう思うのですよ。大蔵大臣、いかがですか。
    〔中川(秀)委員長代理退席、委員長着
    席〕
#132
○竹下国務大臣 前にも御議論がありまして、いわゆる二分二乗の問題等、それを正確に報告しますと、やはり今梅澤局長からもお話ししましたが、正確に答えと申しましょうか、これは五十八年十一月答申でございますけれども、まさにそういう議論があるということは、そういう二分二乗方式を採用すべきであるとの意見もあるという前提の上に立って、しかしながらということで、先ほど梅澤局長からお答えしたような考え方に基づいたものの答申をちょうだいしておるわけであります。だから二分二乗問題というのは、私は今までの税調の経過からすれば、承りつつも、それに対しての答えは必ずしも積極的とは言えないというふうに、私も事実認識をいたしております。
 だが、こうした意見のあったことは、これは十分お伝えすべきでありまして、そういう意見があるという事実認識は中間答申を見てもございますから、それが議論されるかどうかの問題は税調の自主性にお任せするといたしましても、正確に報告すべき議論ではあるという認識は私も持っております。
#133
○川崎委員 なお源泉徴収の問題についても、これはいろいろと議論したかったのですが、もう時間がございませんので、改めてまた機会を見たいと思います。
 先般当委員会で、参考人でおいでいただいた方の中に、コンピューターの販売会社が大変過度な宣伝をしておる、つまり痕跡を残さずにいつでも会計記録を訂正できることを売り言葉にしている、こういう指摘があったわけでありますが、余りよろしくないと思います。いかがですか。
#134
○冨尾政府委員 先般の当委員会におきます参考人の御意見の中に、そのような御発言があったことは私ども承知しております。最近のコンピューターのことでございますから、いろんなことができるわけでございますけれども、ただ私ども、コンピューターはいわば一種の計算機でございまして、そのもとに取引の基本的な記録でございます証憑書類等は必ずあるはずだと基本的に認識しておりまして、そういう全体の中で私どもとしても的確な税務調査をしていくという形で、そのようなものに対しては対応していくべきであるし、また、そういう方向で現在努力しておるという状況でございます。
#135
○川崎委員 きちっとしてほしいと思います。総理が、アメリカの税制の簡素化ということについて検討したい、こういうふうなことを言っておりました。しかし、アメリカは行政改革の中で税務職員を例外として二千二百人増員をしておる。脱税を押さえよう、こういうことでございますが、日本の場合、本委員会でも、税法改正の場合には必ず附帯決議をつけてきたんです。ところが、振り返ってみますと、税務職員の数は五十五年がマイナス九、五十六年がゼロ、五十七年が二十七、五十八年が十一、五十九年が十六、ことしは十一。実調率は個人が四%で、法人が一〇%、こういうことでございまして、五十七年度を見ると、法人税で三千五百億、所得税で千二百億、源泉で六百五十億、その他で二千億、締めて七千五百億、こういうのが出てきたわけです。そうしますと、やはり実調率を上げますためにも、私は税務署の職員をふやすことは必要だと思うのです。何も強権的なそういうものをふやせということではなくて、いずれにしても脱税というのはいけないのですから、そうするとやはり脱税ができないという状況をつくらなければいかぬと思うのです。そのためにも、一つは税務職員の増強が必要だと思うのです。
 例えば、話は違いますけれども、品種改良を見ますと、行政改革の中で日本の品種改良というのは非常におくれてきたのです。つまり行(二)をどんどん切ったわけです。品種改良というのは人海戦術ですから、中国とアメリカが組んでハイブリッド、F1というのもつくったわけです。私、この間種子島へ参りましたときにサトウキビの試験場に参りまして、現地の苦労も見てきました。その中でも感じたわけでありますが、行(二)を切って、つまりそういう大事な品種改良というものができていない、おくれておる。中国はヘクタール当たり四百五十キロであったものが、もう今は五百五十ぐらいで、日本と同じぐらいのところへ並んできたのです。イギリスもドイツも、食糧の自給率は品種改良でうんと上げてきているのです。日本が非常におくれてきているのです。そういう面も今行政改革の中で欠陥が暴露されてきているわけです。
 税務職員の問題も本委員会で決議がずっとあるわけですから、決議があるだけに大蔵大臣としても、しかもあなたは戦後最長、最多の大蔵大臣でもあるわけですから、決議を尊重して、この増員を図って実調率を上げていくということについて、具体的なあなたの見解といいますか、抱負といいますか、お考えをお聞かせいただいて、終わりたいと思います。
#136
○竹下国務大臣 納税につきましては、それこそいわゆるモラルの問題もございましょうし、いろいろな環境の整備とか、あるいは教育指導とか、そういうことも大事なことでございますが、事実問題として、いわゆる税務職員の増員問題は我々として、なかんずく税務当局としては一番こいねがっておる政策課題の一つであります。そしてたびたび本院のみならず、こういう問題の際には両院においてそれをサポートする意味の、それが必要であるという意味の御決議もいただいております。それの背景があるからこそ私は、一けたでなく二けたずつの実増が行われておると思って感謝をしながら、いつも感謝をしながらあきらめるわけでございますから、余りいい答弁にはなりませんが、そういう実感を持っております。
 行革推進のさなか、どうしてもまず隗より始めよということになりますと、大蔵大臣としましては、それに対して非常に厳しい姿勢をとり続け、そして自分の守備範囲の中には増員を最大の政策課題としておる国税当局を持っておるわけでございますから、その悩みの中でいろいろお願いをして、そしてああいう決議の支えがあったからこそ今日二けたずつの伸びがある。しかしこれは、きょうの意見等をやはり踏まえて、私もいずれの日か声を大にして、蛮勇を振るわなければいかぬじゃないかという心境をいつでも持ちながら今日まで継続しておる、こういう偽らざる心境を率直に申し述べます。
#137
○川崎委員 終わります。
#138
○越智委員長 矢追秀彦君。
#139
○矢追委員 初めに、先ほどもお答えをいただいておりましたが、本日、幹事長・書記長会談におきましての自民党の回答の中においての所得税減税、いわゆる政策減税について、大蔵大臣としてはどう受けとめ、今後どのように、特にいわゆる政策減税については六十年中に実施、これが口頭の回答になっておりますので、その点も含めましてお伺いしたいと思います。
#140
○竹下国務大臣 いつの場合でも、政府といたしまして今日御審議いただいておるものが今日の時点においては最善のものであるという考え方で御審議をいただいておるわけです。しかしながら、より高度なところにおきましていわば議論がなされ、そしてそれが最高の政党の責任者の方々の会合となり、政権政党の代表者たる幹事長からお答えをする、こういう結果のものにつきましては、まずはこれに対しては最大限尊重すべきものであるという基本認識を持っておるところであります。
 それから二番目のいわゆる口頭説明でございますが、まさにこのことも、どういう形で今後会合が持たれていくかというのは現在私の予測するところではございませんけれども、その結論は最大限尊重すべきものであるという認識は十分に持っておるつもりでございます。
#141
○矢追委員 今言われたのは、原則論としては当然であり、それ以上は大蔵大臣としてはなかなか言えないと思いますが、特に私は、今、後で申し上げました、六十年中の実施ということになりますと、政府としても今まで減税はしないと言い切っておられただけに、財源も含めて仮に与野党のいわゆる実務者会談で成案が出たといたしましても政府の方からクレームがつくことも予想されないではない。そうなると非常に困るわけでございますので、特に六十年中の実施となりますと私はかなり早い時期にやらなけれはならぬのじゃないかと思うわけですが、その点いかがですか。
#142
○竹下国務大臣 これは各党のまさに政調、政審会長、実務者という表現もございますが、それこそ専門家の皆さん方の御議論でございますから、我々がノーと言わなければならぬような御結論が出るというようなことは私は予測もいたしておりません。したがって、あくまでも尊重すべきものであるというふうな姿勢でこれに臨むべきであろうというふうに思うわけでございます。
 ただ、何分にもきょうできたばかりでございますので、恐らく政府も出てこい、意見を言えとか財源をどうするかとかそういうような会合も持たれるでございましょうけれども、どういう形で進んでいくかということについては、まだ与党もお答えしたばかりでございますので、其外的なスケジュールといいますかシナリオと申しましょうか、それは恐らくできてないんじゃないかというふうに考えております。
#143
○矢追委員 この問題は、今言われたとおり今後の問題でございますのでこれ以上は詰めませんが、せっかくお互いに大変な努力をしてできたものでございますから、どうかできる限り国民の納得するような形での減税をやっていただきたい、これを強く要望する次第でございます。
 次に、これは二十日の予算委員会の集中審議において大蔵大臣と議論した問題の続きといいますか、蒸し返しになるわけでございますが、租税負担率の問題でございます。これについては、大蔵大臣なかなか答弁をはっきりされないまま時間がたってしまったわけでございますが、ただその中で、議論を詰めながらこれからだんだんやっていくんだ、このようなことを言われましたので、私はここでもう一度議論をさせていただいて少しでも明確な方向を探り出していきたいと思いますので、質問をさせていただくわけでございます。
 まず最初に聞きたいのは、臨調答申の租税負担率を上げない、この租税負担率を上げない範囲というのはどれぐらいを指しておられるのか。例えば今年度は昨年度から〇・四上がったわけですが、これはその範囲にはない、もちろんあったら臨調答申の違反ですから、そう政府はお考えになっておると思うのですが、〇・四ならいいのか、一ならだめなのか。ということは、増税というのは租税負担率がどこまで上がるというふうにお考えになっておるのか。この辺含めて御答弁いただきたいと思います。
#144
○竹下国務大臣 いわゆる「増税なき財政再建」というところからきまして、「「増税なき財政再建」とは、当面の財政再建に当たっては、何よりもまず歳出の徹底的削減によってこれを行うべきであり、全体としての租税負担率の上昇をもたらすような税制上の新たな措置を基本的にはとらない」こういうことでございますので、このでこぼこ調整でございますとか自然増収でございますとかいう問題につきましてはいわば許容されるものである。ただ、結果として出てくるものでございますが、何ぼまではいいとかいう問題を今議論しようと思ってお答えしたわけではございません。
#145
○矢追委員 そうすると今の御答弁は、この前のまた蒸し返しになりますけれども、第一の、自然増収による負担率の増は、極論いたしますと少少パーセントが高くてもそれはそこの臨調で言っておるものには当てはまらない、こう解していいのですか。まずそれが一つ。
#146
○竹下国務大臣 極論すればそういうことであろうと思っております。ただ、それがもう一つの国民負担率の方にかかって、それが著しいものになるまでほうっておくというようなことはやはり許されないのではないかなと思っております。
#147
○矢追委員 そう言われると何かまた、ごまかされるとは言いませんけれども、ちょっとまた議論が別になってくると思います。国民負担といっても、社会保障負担率よりも租税負担率の方が圧倒的に多いわけですから、この前もちょっと、私今ここにデータを持っていませんが、過去に租税負担率三%ぐらい上がっておった時点で減税されておると思うのです。私は、一%以上超えると減税の方に向けなければいけない、だから、例え一の今言われた自然増収であっても、租税負担率が一%ぐらい上がればこれはいわゆる増税という形になるのだ、こう考えるべきだと思うのですが、重ねて伺います。
#148
○竹下国務大臣 中期的に見れば、矢追さんの議論、私も否定いたしません。が、当面の財政再建という、当面が何年かというのは別としまして、その辺を考えましたときに、中長期的に見ればこれは所得の伸びによって上がっていくわけでございますから、その辺は私は中長期的に、何%ということは別として、上がっていくのをいつまでも腕をこまねいて、これはすべて自然増収ですから別でございますと言っておる姿勢は現実問題としてとれないんじゃないかなという気はいたしております。
#149
○矢追委員 だから、まさしく今のようになったら国民から不満が出るに決まっているから、その時点では減税をやられると思うのです。だから私は、租税負担率がどれぐらいのめどで上がれば、それは国民の負担も高くなるから、これはもう増税になったと同じだから減税に回すべきであるということで、目安を決めるべきだ、こう言いたいわけです。だけれどもなかなか認められませんから、次に議論を進めます。
 次の二番月の、いわゆる新税ではなくて現在ある税制の中での税率アップ、それから物品税などについての品目の拡大、そういったものによるいわゆる増収といいますか租税負担率の上がったのは、今の臨調答申の中から外れる、今の自然増収と同じように第二番目は外れるというお考えのように大蔵大臣の答弁この前も考えたのですが、これは変わりませんか。
#150
○竹下国務大臣 この前も大筋そのようなお答えをいたしました。
#151
○矢追委員 そうすると、結局三番目に残る新たな新税、一般消費税であろうがECの付加価値税であろうが、要するに新たな税、また品目の拡大という意味じゃなくて全然違った新たな税はやっちゃいけない、大型間接税というのはどういう形になるのかは別といたしまして、そういう新税は、極論いたしますと、たとえことしのような〇・四%の租税負担率のアップであっても臨調の言うやっちゃいかぬ項目に入る、こう考えていいわけですか。
#152
○竹下国務大臣 これはいわゆる政治的な答弁でなく、厳密に言えばその範疇の外にあるというふうに言えると思います。
#153
○矢追委員 ということは、臨調の答申をそのままいけば、今後財政再建の期間、今のところ昭和六十五年が赤字国債脱却ですから一応それが財政再建の一応のめどの期間とすれば、その間には一切新税の導入は認めない、これが臨調の答申であって、それを尊重される政府としてはその線でいく、こう理解してよろしいですか。
#154
○竹下国務大臣 これはその後の推移というものからいたしまして、抜本見直しということがあれば、抜本見直しというのはいわば公平、公正という角度からそれが行われていくということはあり得る、そして、その結果としての租税負担率の上昇が結果としてあり得ることは、私はあるというふうに言わざるを得ないのではないか。全くありませんとは私は言えないというふうに思っております。
#155
○矢追委員 そこが非常に問題のところでして、今の御答弁だと、いわゆる税制を根本的に変える、そういうことであれば、いわゆる新税の導入だけをするのじゃなくて、もとの方も全部入れかえてしまう。例えば所得税も、総理の言っておられるように、アメリカ方式で簡単に段階を非常に少なくしてしまう。そういうようなことで所得税の方も抜本的な改正をやる、法人税も抜本改正をやる、そしていわゆる消費税、物品税等のそういういわゆる間接税というものも抜本的に見直す、そういうことであれば租税負担率が上がってもいい、それは臨調答申に違反しない、こうでいいのですか、今のあれでは。
#156
○竹下国務大臣 税制調査会の答申に基づいて新制の抜本改正をやる、その場合は、私は、これは個人の考え方でございますが、まず少なくともそういういわゆる抜本改正の作業に入るとかいう問題は、行革審――今臨調のフォローアップ機関ですから、行革審あたりには意見をお伝えしておかなければいかぬ問題だろうというふうに思っております。
#157
○矢追委員 今言われた、まさしくその意見を言っておかなければいかぬというものは、今言われたように臨調の基本的な答申の方向は少し変更してほしい、こう解していいわけですか。
#158
○竹下国務大臣 最初は変更してほしいとは言えないのじゃないか。要するに、抜本見直しをすることになりました、それは許可がないとできないというものじゃございませんけれども、それはやはりああいう答申をいただいておる限りにおいてはまずやっておかなければいかぬな、そしてその出た結果はもちろんお伝えをしなければならぬ問題だろうというふうに思います。
#159
○矢追委員 今のところが私は非常に大きな問題だと思うのですね。今の、その手続を経てということは、結局政府は、税制改正を抜本的にやるという大義名分のもとに少々のいわゆる負担率のアップはやむを得ぬ、それは臨調の答申に反しない、こういうことで、片方では逃げながらされておる。実際は増税したい、大型間接税を導入したい、その気持ちがありありと出ておると指摘せざるを得ないわけです。だからこそ私は再三、この租税負担率の一つの原則というか幅というか目標というか、それを決めなければいけないと。今までの経済計画では全部明らかにされておりながら、今度の「経済社会の展望と指針」においては、ただ単なる言葉だけでヨーロッパよりかなり低い水準の公的負担率、こういうふうにごまかしておる。こういう点が非常に不満なわけです。
 だから、もしそういう税制の抜本的な見直しをやって臨調答申の基本的な線を大変更するなら、私は、それこそ租税負担率というものもきちんとした上でなければならぬ、こう思うわけですし、またそういうことはしてもらいたくない。しかも財政再建、あと五年あるわけでしょう。これだって赤字国債の脱却ということであって、それで財政が果たしていいのか悪いのかという問題、これはまた話は別だと思うのですね。赤字国債を発行しないことと累積赤字をどうするか、これは別ですから。
 そういう点を含めましてもう一度租税負担率について、今後議論を詰めながら明らかになっていくだろうと言われたのですから、今後の方針を伺って、大臣、結構でございます。
#160
○竹下国務大臣 また予算委員会に参りまして、またこっちに帰ってまいりますが、租税負担率というのは七カ年計画のときに二六カ二分の一というのがございまして、そのほか公共事業の二百四十兆とか、私もあの企画委員会のときに参加させていただく機会があって、今でも悪いことをしたような気がしていないわけでございます、その瞬間は。が、その後大変な狂いが生じてしまいまして、その二六カ二分の一の前提にはいわゆる一般消費税(仮称)もございました。それから成長率の問題からして、二百四十兆などはとても、百九十兆に下方修正しましたが、しかし、あの作業をされる段階には私も政党人としては大変生きがいを感じながら、その都度、後からでございますが、先生方のお話を聞いて勉強させていただいておりました。
 今度の「展望と指針」をつくるときには、確かに定性的なものにして、定量的なものをやめにいたしまして、それで結局この問題というのも、おっしゃいましたとおり六十五年までの第一期目標という表現は適切でないかもしれませんが、これは赤字公債依存体質から脱却するというだけでございますから、その抜本的な財政改革とはちょっと離れて、まだそこまでもちろんいかないわけでありますが、したがってこの問題も、こういう議論を重ねておるうちにおのずから選択しなければならぬ課題になるのじゃないかな。だから今、幾らまでがおよそ予測される数値ですというものを出すだけの自信は政府の中にまだない、残念ながらそう私は言わなければならぬ。だから、矢追さんからその都度鞭撻されるような問答の中からおのずから出てくるものじゃないかな、そんな感じがしております。
 また帰ってまいります。
#161
○矢追委員 この問題はちょっと後回しにさせていただいて、入場税の問題についてお伺いしたいと思います。
 十年ぶりの改正でございまして、課税最低限を引き上げたわけでございますけれども、どうして入場税を残されたのか。十年前の議事録を読みましても、同じことが返ってくるかなと思いますが、サービス税ということで残すのだ、こう言われておるわけですが、まずそのねらい、どこにあるのか、お伺いしたいと思います。
#162
○梅澤政府委員 ただいま入場税の免税点の引き上げについて御審議を賜っておるわけでございます。御質問は、むしろ入場税は廃止すべきではないのかという趣旨とお伺いするわけでございます。
 ただこの問題につきましては、税制調査会の中期答申等におきましても、最近における消費の態様の変化、その一つとして消費のサービス化という点が指摘されておるわけでございまして、一般論として申し上げますと、やはり間接税の中でサービス消費を対象とする税というのは今後の検討課題であろうというふうに一般的に位置づけられておるわけでございます。
 税制調査会の中では、現在国税の体系を見ますと、サービス課税と言われるものは入場税と通行税、地方税に若干のサービス課税がございますが、そういった状況であるとすれば、むしろ基本的にはそのサービス課税というのは廃止という方向には少なくとも税制の持っていき方としてないのではないかというふうに私どもは考えておりまして、しかも現在の入場税は、特に映画や演劇等はただいま御審議願っておりますように免税点を高く引き上げまして、比較的高い入場料金に担税力を求め税負担をお願いするものでございますから、私どもとしては、やはりこれは国税のサービス課税の数少ない税目の一つとして今後とも税制の中にそれなりの地位を占めていかなければならない税目であろうというふうに考えておるわけでございます。
#163
○矢追委員 今、数少ないサービス課税と言われましたが、いわゆる消費税とサービス課税、それからまた今、サービス、消費、両方おっしゃいましたけれども、この辺の定義をもう少し明確にしていただけますか。
#164
○梅澤政府委員 定義と申しますか、消費税は文字どおり消費支出に担税力を求める税でございますが、実定法上いろいろな税制度がございますから、課税品目から除外したりあるいは免税点を設けたり、いろいろな税体系が考えられるわけでございます。その中で、サービス消費に担税力を求めるというのが、一般的にいっていわゆるサービスに対する消費税というふうに言えるのではないかと思います。
#165
○矢追委員 では、今言われたのはサービスに対する消費税、こういう言葉でございますから、そういうことをあれにしまして、そのほかには現在のところはあと二つだけと考えていいわけですか、いわゆる料理飲食等消費税、娯楽施設利用税。それとも、ほかの品目があるのかどうか。
#166
○梅澤政府委員 先ほど申し上げましたように、国税としてはもう一つ通行税、これがサービス消費税に分類されると思います。それから、地方税につきましては、ただいま委員が御指摘になりましたように娯楽施設利用税、料理飲食等消費税。そのほかに、これは公共団体によってやっているところとやってないところとあるようでございますが、入湯税という税目もございます。
#167
○矢追委員 今回残されたのは、数少ないいわゆるサービス消費税であるから残すんだ、こういうことでありますけれども、私は逆に、こういったものの品目をこれからふやそうとされておるのではないか、そして行き着くところはまた一般消費税というふうな形に持っていきたい、こういう意図を感じるわけなんですが、その前に、こういったサービスに対する消費税として、かけようと思えばかけられる可能性のあるものはあるのですか、ないのですか。
#168
○梅澤政府委員 そういったものとして税制当局として具体的に検討したことは、今日までございません。
 税制調査会においても、具体的な論議は行われておりません。ただ、五十八年中期答申では、今後サービスに対する課税問題が一つの検討課題であるという指摘はございまして、そのときに、「運輸、通信等」という例示はされております。ただし、これも税制調査会で具体的に、しからばどういうサービス産業のサービス商品に対して検討すべきであるというところまでの議論は今日まで行われておりません。
#169
○矢追委員 広告税というのはどれに当たるのですか。
#170
○梅澤政府委員 一般に広告課税と言われる場合に、広告をする側の企業の経費否認のような格好でやる議論も含めて議論されることが多いわけでございまして、その場合はむしろ法人課税の問題になると思います。
 一般に広告税と言われるのは、媒体課税と言われる場合もございますけれども、むしろそういうスポンサー側ではなくて広告をする側の行為に対しまして税負担を求めるということでございますので、ただこれをサービス消費税と言っていいかどうかというのはかなり疑問があると思います。というのは、広告を利用するのは一般に企業が多いわけでございますから、消費税という場合はむしろ個人消費支出に最終税負担を求める。これは言葉の使い方かもわかりませんけれども、広告税即サービス消費税というふうに言ってしまうのが適当かどうか、これはやはり問題があると思います。
#171
○矢追委員 税制調査会でかなり、最終的なものは出ていないにせよ、こういった問題が議論されており、しかも「運輸、通信等」ということでございますので、これからの新しい時代の中でよほどきちんとしておかないと――私もかつて物品税のときによく議論をした。要するに定義というか、そういったものがあいまいのままだんだん拡大をされてきておる。しかも大型間接税もやりたいという政府のいちずな気持ちがその裏にあるわけですから、そういった点は非常に問題がある。例えば物品税というのはもともとは奢侈品にかけられたものが、いつの間にか大衆課税になり、最近では奢侈品ということをおっしゃらなくて便益品にかけるんだというようなことを大蔵省の方もおっしゃっておる。そのようになってきただけに、このサービス消費税というものも今のうちに非常にきちんと、もちろん広告課税が、それがサービスなんだという断定ではなくて、一つの例として今そういうふうに難しいように言われただけに、このサービス消費税というものは数少ない、しかし、これは拡大をしたいという気持ちがあるわけですから、きちんとしておかないといけないと思います。
 そういう面で、サービスというもので利益を得ておる、そのサービスに税金をかけるんだという。それは先ほど言われたように、サービスを売り物にして仮にもうかっておったとしても、それは法人税でいけるわけですから、何もそこはそうかけなくてもいいんじゃないかという疑念も起こらないでもないわけです。それだけを業にしてもうけるようなものが現実にどんどんあるわけです。しかし、それも一つの企業でやっているわけですから、その辺はどうなんですか、ちょっと私も専門的なことはもう一つよくわからぬのですけれども。
#172
○梅澤政府委員 おっしゃるように、サービスをめぐってはサービスを供給する側とサービスを買う側とあるわけでございまして、供給側につきましては、ただいま委員がまさしくおっしゃいましたとおり法人税とか、場合によっては個人でやっている場合には所得税として課税されるわけでございますが、今論点になっておりますのは、サービスを買うその個人の経済力に着目する、担税力に着目するということでございますので、これはあたかも、自動車に対して物品税がかかっておりますけれども、自動車産業に対しては、法人税はかかっております一方、自動車の物品税は結局最終的な購入者が負担しておる、こういう関係として御理解をいただくべき問題じゃないかと思います。
#173
○矢追委員 その物品税と、サービス税いわゆるサービス消費税と一緒に考えると言われても、ちょっと厳しいんじゃないですかね。だから私は、非常に怖いのは一般消費税の導入に一挙に入るような気がしてならぬので、その辺をきちんとしておきたいからこういうことを聞いておるのですが、では、そのサービスを受けた人の担税力によって税金を払う、こうなりますと、どこまでがサービスなのか、サービスでないのかという限界、業種によって。
 例えば、現在、喫茶店あるいはレストランというのは、地方税にせよ、いわゆる料理を食べる、それにサービスがついているからそれはサービス税なんだとなれば、では今度はお医者さんも、これからちょっと数がふえましてだんだん厳しい時代ですから、患者さんにサービスしなければいかぬというのでコーヒーを出したり何か、今までのただ受付で待ってくださいだけじゃなくて、そういうことをし出す。何か付加価値みたいなものをつけたくなってくる。別にお医者さんだけではなくて、そういうのが出てきたら、またそれに税金をつけていくのか。こういうこともあり得ると思うのですけれども、その点はいかがですか。
#174
○梅澤政府委員 たまたま今医療を問題にされたわけでございますけれども、これはしばしば議論になっておりますEC型付加価値税におきましても、医療は各国とも課税対象にしてない。それはいろいろ社会政策といいますか、社会衛生的な政策的な配慮もあると同時に、私どもの推測では、やはり医療サービスを受けるのは消費とは見てないという考え方が基本にあると思いますね。ただ、今委員がおっしゃいましたように、いろいろ患者さんにサービスされるという場合には、場合によってはそれはまた医療の料金に転嫁されるという場合もございましょうけれども、ただいま申しましたように、医療サービスそのものを消費として課税しておるという例は余り一般的ではない。それはやはり、医療サービスというのは消費という考え方、ひとつそこまで割り切るということに問題があるということがあるんじゃないかと思います。
#175
○矢追委員 そうすると、サービスというものの範囲はどうなるのかですよね。レストランで食事をするというのは、食事するのとサービスと分けた場合、食事が一〇〇とする。サービスがそれに一〇ついている。全体が一一〇。で、そのサービスについて幾らかいただく。こういう、要するにどうサービスがくっついているかというものをどう判断していくか。今後数少ない品目をふやしたい気持ちは大蔵省持っていると思うのですけれども、だから私は先ほど言ったように、サービス課税というものの原則をきちんとしておいてもらいたい。
 どうもさっきから伺っていると、医療というのはサービスでない、だからECでも入ってない、それは当たり前のことだと私は思うのですが、じゃ、そうでない業種でこれからそういうのがくっついてくると、やっぱり取れるようなところが出てくるのじゃないかとすぐ知恵をめぐらされるのじゃないか、こう思うのですが、その点はいかがですか。
#176
○梅澤政府委員 私が申しましたのは、医療はサービスではないとは申し上げておりませんで、サービスそのものだと思いますが、購入する側にとってはいわゆるサービス消費というものではないんだろう。つまり、レストランに行く人は、いろいろ個人的な趣味もあるかもわかりませんけれども、高級レストランヘ行く人はそれだけ高いものを買う経済力を持っているわけでございますけれども、医療の場合それを消費として言いにくいのは、金持ちであろうと貧乏であろうと、経済力があろうとなかろうと医療サービスを受けなければならないという場合があるわけでございますから、そこはやはり、EC諸国の付加価値税を見ましてもそこを課税対象から外しているというのは、一つはそういう考え方が基本にあるんだろうということを先ほど申し上げたわけでございます。
 それから、一つの論点として、個別サービス消費税といったものを考える場合に、じゃどういうものをどういう基準で取り上げていくのかという御疑問だろうと思うのですが、これはまさしく大きな問題でございまして、それは絶対的基準というものではなくて、結局税体系全体を考える場合に、仮にサービスに何らかの負担をすべきであるといった場合に、それは大方の国民の合意といいますか御議論の中で、それぞれの国においてしかるべきものが浮かび上がってくるのだろう、個別消費税として問題を考えます場合に。
 それからもう一つ、入場税との関連で今御議論を提起されたわけでございますけれども、これもEC型付加価値税をとっている国でも、娯楽税とか興行税というような形で別個に併課しているというような例もございます。したがいまして、私どもがサービス課税としての入場税を国税体系の中でそれなりの位置づけをさせていただきたいと申し上げていることは、これはまさに個別消費税の問題でございますので、いわゆる課税ベースの広い間接税の議論とは直には結びつかない議論であるというふうに考えております。
#177
○矢追委員 これは一般消費税導入への一つの残り物であるかどうかについて本当は大臣と議論したいのですが、これはやめまして、次に参ります。
 課税最低限は上がりましたが、税率は一〇%と変わっていないわけです。過去にはかなりいろんな税率段階がございましたが、今では一〇%になっておるわけです。これは今後ともこういう形で堅持されていくのか。また一〇%の根拠。あるいは税率を下げる、撤廃が理想だと思いますが、税率をダウンするということは、いわゆる課税最低限を上げる問題と税率の問題ですね、この関連、この辺はいかがですか。
#178
○梅澤政府委員 おっしゃいますように、過去の沿革をたどりますと、特に戦時中なんか階級税率をかなりの段階で設定されておりました時期もございましたけれども、昭和三十七年の改正で一本の税率になりました。昭和四十八年でございましたか、特別の軽減税率が設けられた一時期もございますけれども、基本的に税の簡素化、それから消費税という性格から申しますと単一の比例税率がやはり一番望ましい税体系であろう、そういった考え方から恐らく昭和三十七年以降一本の税率になっておるというふうにお考えいただいて結構かと思います。
 一〇%の水準でございますけれども、これはそれぞれの国の租税政策のとり方いかんの問題でございますけれども、我が国の場合は、国税、それから先ほど申しました地方のサービス課税も含めまして、サービス税は大体一〇%という税率でいわば定着しております。それはそれなりに現在まで別段の支障もないということでございますので、やはりこの一本の税率で一〇%というのはそれなりの適正な水準ではなかろうかというふうに考えております。
#179
○矢追委員 課税最低限は違いますけれども、あらゆるものが同じ税率ですね、映画、演劇、スポーツ、競馬、競輪。これも今言われた全部一〇%の方がわかりいい、こういう判断ですか。
#180
○梅澤政府委員 私どもは御指摘のとおりに考えております。
#181
○矢追委員 次に、免税点を映画二千円、演劇等五千円、こうされた理由はどこにありますか。
#182
○梅澤政府委員 現在の免税点が設定されたのは御案内のとおり昭和五十年でございます。今回いわば十年ぶりにこの免税点の見直しをするわけでございますが、その基本的考え方としてはやはり相当高額な入場サービスの購入に税負担を求めるという考え方でございますので、具体的には、五十八年の映画の平均的な課税入場料金が千九百六十円でございます。それから演劇、音楽等のいわゆる空ものと言われるものが四千八百四十円ということでございまして、それともう一つは、先ほど申しましたように、五十年からの十年ぶりの見直しでございますので、その間におきます物価の上昇率が約一・六倍ということでございますので、彼此勘案をいたしまして、映画につきましては二千円、演劇、音楽等の空ものにつきましては五千円ということでただいま御提案申し上げておるわけでございます。
#183
○矢追委員 計算の根拠はわかったんですけれども、現在、映画は入場料が千五百円ですね、課税最低限いっぱいになっておるわけですね。そうすると、今度二千円になりますとまた映画館が二千円になる可能性があるわけです。その点はどうお考えですか。偶然の一致だったのか。
#184
○梅澤政府委員 免税点が実際の入場料金の水準に無関係であったとは私どもも考えていないわけでございます。ただこの問題につきましては、前回のときも同じ問題があったわけでございますけれども、入場料金というのは基本的にはそういう興行業者が自己の経営責任において設定するというものではございますけれども、国会の御審議を経て免税点が引き上げられた場合、やはりいわゆる減税部分というのは本来の消費者に還元されるべきものであるということ、それからもう一つは、いわんやそれを口実にいたしまして便乗値上げなどがあってはならないというふうに考えております。
#185
○矢追委員 便乗値上げ、あってはならないのですが、現実に今申し上げたように、過去そうやって現在千五百円で来ておるわけでして、昔の映画と比べて今の映画が高いか安いかとなりますとこれまた議論のあるところですけれども、とにかくひとつこの意は、これは経企庁のお仕事だと思いますが、大蔵当局の方からもそういったことのないようにひとつ指導をしていただきたいと思います。
    〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
映画、最近はなかなかいいものも出つつありますが、全体としては過去のような爆発的な時代は去りまして、大変厳しい時代だけに、値上げをしたい気持ちというのは非常に興行の方としては強いと思うのです。それだけに二千円になる可能性がありますので、その点は歯どめをきちんとしておいていただきたい、こう思うわけでございます。
 そこで、今回の課税最低限の引き上げは一応評価はするのですけれども、昭和五十九年の入場税収が九十億、六十年度が五十億。四十億減るわけですよね。多いときは百六十四億、これは昭和三十五年に最高ありました。
 この課税最低限の引き上げについては私は評価するにはやぶさかではありませんが、冒頭にも言われましたように、やはり入場税撤廃というのが非常に強いわけでして、ヨーロッパ諸国でもないところも多うございますし、そういう意味では、入場税撤廃ということは五十億の財源があればこれはできるわけですから、特に一番最初戦費調達からできたものがまだこういった文化的なものに残っておる、こういう点について非常に反対運動もあるわけでして、この点について撤廃というのはさらさら考えないと言われるならばその理由。さっき言った数少ない消費税の一つだから置いておいてくれと、こう言うのか、まだこれから拡大したいから置いておかぬとぐあいが悪いのか、この辺はいかがですか。
#186
○梅澤政府委員 これは先ほども申し上げましたことの繰り返しになって恐縮でございますけれども、入場税は、御案内のとおり映画とか演劇等のいわゆる興行の部分と、それからいわゆるギャンブルと言われる競輪とか競馬場に出入りするときの入場料金の課税と二つあるわけでございます。後者につきましては、もう従来からこれはギャンブル関連の支出でございますから応分の負担を求めてしかるべきであろうということで御理解を賜っておるわけでございますが、映画、演劇等につきましても今回の免税点の引き上げによりまして一体どれぐらいのところが課税になるのかということになりますと、映画でございますと大体ロードショーの映画館の指定席、それから演劇のようなものになりますと一流劇場の上級席、音楽とか演芸とかいうことになりますと、そういう一流と言われるところの場所における上級席とか、あるいは外人タレントが来るような非常に高い入場料金が課税になるわけでございまして、そういった点から考えますと、入場税につきましては、文化に対する課税を行うのは野蛮であるというふうな議論も一部にあることは私ども十分承知をいたしておりますけれども、例えば高価なディナーショーの入場料金に税負担をお願いするという考え方は、税の適正な負担という観点から必ずしも頭から否定されるべきではないのではないかというふうな考え方を私どもはとっておるわけでございます。
#187
○矢追委員 今言われたように、大変難しい問題だと思うのですね。
 一つは、そういうギャンブル性のあるものと、いわゆる文化的と言われるもの、その文化的と言われるものの中にも非常に高価なものとそうでないもの、だから課税最低限をどんどん引き上げていけばいいんだという考えがあるわけですけれども、そういうときは、税率を操作するのが一つありますね。もう一つは、課税最低限をもっと上げる、そして税率も上げるという考えもあるでしょうし、いろいろやり方あると思うのですけれども、もし今言われたそういう高価なディナーショーは、高いんだから、そういうところへ行く人はお金持ちしか行かないんだから――大体三万から五万ぐらいしていますね、たしかディナーショーの高いのはそういうことで、そういうものはもちろん取るべきだという考え、私も理解はできますが、しかし、そういうのはほかの方法で、いわゆる映画とか演劇、そういったものと分けて、それは仮に撤廃したとしても、そういうディナーショーみたいなものは私は何かほかの方法でできはせぬかと思うのですが、その点はいかがですか。
#188
○梅澤政府委員 先ほど来申し上げておりますように、やはり私どもの考え方は、一つは免税点の水準を適当なところに設定しておく、ただいま御審議いただいておるとおりでございますが、もう一つは、やはり消費税としてもなるべく単一の比例税率が好ましいという考え方があり得ると思うわけでございます。ただ、諸外国の例を見ましても、複数税率といいますか、むしろスタンダードな税率があって、出し物によっては割り増しの税率を設定しているような例もございますので、委員がおっしゃるような考え方はあながち否定するわけではございませんけれども、今の入場税という税目の中で見ますると、やはり今後とも単一税率でいくべきではないかというふうに考えております。
#189
○矢追委員 中曽根総理は、たくましい文化国家ということを非常に言われておりますので、それにしてはまだまだこういったことに対する税が残っておるということは非常に問題があると私は思います。したがって、今回の課税最低限の引き上げは評価しつつも、やはり入場税撤廃という方向へぜひ持っていっていただきたい。
 しかも、これが税収に大きく寄与しておるというようなものであればまた別ですが、六十年度で五十億程度でございますから、不公平税制の是正ぐらいで五十億ぐらいはひねり出せるのじゃないか。仮にギャンブルの方だけでも残すとか、そういったことはできるのかできないのか、その点はよくわかりませんけれども、こういうことを含めまして、政務次官せっかくお座りですから、御意見を……。
#190
○中村(正三郎)政府委員 今主税局長からずっと御答弁してまいったとおりでありますが、政府税調の答申にも、消費の態様の変化、また間接税は従量税部分が多いからいろいろな経済の変化に応じて負担が減ってくるというようなことで、やはりこうしたサービスの担税力に着目することも必要であるというような税調の答申もある中でございますし、比較的高いこうした消費支出に対しては担税力を求めてもそれはいいのではないかというふうに私は感じております。
 この前も御答弁さしていただいたのでございますが、例えば松竹セントラルだったらS席の二千五百円とか、国技館だったら升席とか、そういうところが課税されるわけでございまして、レスリングなら後楽園ホールの特別リンクサイド、またディナーショーは五万円ぐらいなのがあるということでございます。こうしたところに担税力を求めてもいいのではないかと思いますと同時に、先ほど先生からお話しございました、税収が少ないからこれはやめた方がいいではないかというような御議論もあったようでございますが、やはりどこに担税力を求めるかという理論があって、その上で税収が決まってくるものでございまして、税収が少ないからこれはやめたらどうかというのは、ちょっとそういう性質のものではないのではないかというふうに考えるわけでございます。
#191
○矢追委員 私は税収が少ないからやめる、そういう意味じゃなくて、担税力の方ばかり大蔵省強調されますけれども、それならそれこそまだまだ取る道はあるわけでしょう。非課税貯蓄の問題だってあるわけだし、そればかり強調されると困る。むしろ入場税そのものはどうなんだというところからこっちは議論しておるわけですから、その点は誤解のないようにしていただきたいと思います。
 そこで、せっかくですから、ちょっと文化庁あるいはまた文部省お見えになっておりますか。
 予算委員会でも、うちの矢野書記長が映画あるいはまたフィルムセンターの焼失等、文化行政の問題についてお伺いをしたわけでございますが、特に民間芸術等振興費補助金、これはだんだん減っておるわけですね。これはいわゆる臨調答申によっての行政改革で、とにかく削れ削れという方向ではさばさ、勢力の少ないところ、弱いところへ目がけてどんどん切り込んでおる、こういう感じばかり私は抱くわけです。片方では入場税撤廃もしてくれない、そしてまた片方においてはこうやって予算はどんどん削られていく。これは総理の言われておるたくましい文化国家建設とは逆の方向である。これは強く指摘をしたいんです。
 今後は民間芸術、そういったものはもう国は面倒を見ない、極論いたしますと。全部民間でどんどんおやりください、こういう方向のように、何か民間活力とかそんなことを言われていると、全部民間でやりなさい、こうなると、もうかるものしか絶対やらなくなるんですよ。ところが、日本の伝統芸能であるとか、あるいは国立劇場一つ見たって、入場人員は全部埋まっておらぬわけですね。
 この前資料をいただいたわけですけれども、国立劇場の大劇場で、五十八年度は座席数が三十七万三千八百三十八のうち、入場員は二十六万四千六百九十七、小劇場で十一万三千六百八十二に対して八万五千三百五十六、演芸場が八万二千八百に対して二万八千二百六十二、能楽堂が、これは五十八年九月からで、二万九十四のうち一万九千九百八十三、これは割と入れ物の割には来ているわけですが、合計いたしますと五十九万四百十四に対して三十九万八千二百九十八、これぐらいしか入っていないわけですね。入れ物をつくってもこれだけしか入らないぐらいまだまだ厳しいといえば厳しいんでしょうが、こういったものはそうやたらもうかるというものじゃないわけですから、なかなか民間にやれと言ったって手を出さないわけです。
 まだ東京はこれでいいんですよ。大阪となりますと、また今度国立劇場をつくっていただいて、文楽劇場できましたけれども、まだ数字出ておりませんが、今のところはある程度いいようですけれども、これからの運営費等考えますと、なかなか寂しいものがあるんです。しかも何でも出せばいいというものでもありませんし、これからの後継者、特に浄瑠璃などは跡を継ぐ人なかなか大変ですよ。
 そういうことを考えますと、片方においては歌舞伎や能や文楽というものも、一面においてはブームがありますけれども、じゃ、これ全部民間でやらせてもうかるか。全部民間にやらして国は知らぬ顔をしているというふうな方向は、それはやはりとるべきじゃないし、とれない。やはり日本の伝統芸能、文化というものはきちんと守っていく、こういうことに対して、政府がこうやってどんどん予算が削られていく中で文化庁としてはどうやっていかれるのか、これが第一点。
 その次は、洋楽を取り上げましても、オーケストラというのは一番金がかかるわけです。一番赤字です。オーケストラというかオペラ、これはもうおわかりのように、外国からオペラを呼んできたら大変なお金がかかる。相当人気のあるものでいいものであれば入場料を高いところでそれこそ二万円ぐらい取っても何とかなりますけれども、まあ一般的なものであれば、なかなかオペラでも、毎日はオペラやりませんよ、一日は歌だけというのをやりますから、そうなるとがたんと人が減っているわけですね。東京はまだいいんですが、地方になりますとなかなか難しい。こういう状況の中で、民間に全部やらしていくというのは私はなかなか難しいのじゃないかと思うのですね。
 そのほか、具体的に挙げればいっぱいありますけれども、そういう面、特に伝統芸能、伝統文化、それから今言ったようにオペラに見られるような間違いなく赤字になるようなもの、こういったものについて、どんどん削られていく中で本当にたくましい文化国家になれるのかどうか。まずいわゆるカットの実情と、それから今後の方針、ちょっとお伺いしたいと思います。
#192
○青柳説明員 民間芸術団体に対する補助金の問題でございますが、我が国の芸術文化の向上普及を図ってまいりますには、民間芸術団体の自主的で創造的な活動に負うところが大きいわけでございます。そういったことで、かねてからこれらの活動を助成、促進していくということで、補助金を計上いたしまして助成をいたしておるわけでございます。
 ただ、この補助金につきましては、御指摘のように昭和五十八年度以降、民間団体に対する補助金等の合理化あるいは縮減等の一環といたしまして減額になっております。が、その影響を最小限にとどめたいということで、補助事業をこれまで以上に精選をいたしますとか、あるいは民間団体自体でいろいろな御工夫をいただくというようなことで、運用の一層の効率化を図っているところでございます。今後とも各方面の意見をお聞きし、そういった意見を踏まえながら、この補助金の適正かつ効率的な運用を図っていきたいというふうに考えております。
 それから、国立劇場につきまして観客数が減っているではないかという御指摘がございます。確かに御指摘のとおり、最近、若干減少の傾向にございます。これは出し物の関係でございますとかあるいは景気なんかも一部あるのかもしれません、いろいろな要因があるのであろうと思うわけでございますが、国立劇場の運営につきましては、公演そのものにつきましては入場料等の収入をもって何とか運営していくということでございますが、その裏方になります一般管理費でございますとか、あるいは調査研究事業あるいは後継者の養成等の事業につきましては、大変厳しい財政事情のもとではございますが、国庫補助金といたしまして今回御審議をいただいております六十年度予算におきましても三十七億九千万ほどでございまして、対前年七千万の増の経費を計上させていただくことに相なっております。
 そういったことで、できるだけこういった伝統的な歌舞伎、能楽、文楽というようなものが保存し、発展し、また十分楽しんで見ていただくというように私ども努めておるところでございます。
#193
○矢追委員 この六十年度、今ちょっとふやしたと言うが、その点はふやされたでしょうが、全体的には減っているし、しかもことしは欧州音楽年、この予算が入っておるわけでしょう。入って削られているんでしょう。だから、実質は七・九じゃなくて、もう一〇%以上削られた実質になるわけでしょう。こういうのもおかしいんですよね。例えば国際青年年あるいは万博もある。そういうのにみんな予算をちゃんとつけているでしょう。こっちの方は全然だめ。
 そうでなくても、あなたもう御存じと思いますけれども、貿易摩擦でない文化摩擦というの御存じですか。こういうのがあるんですよ。今ヨーロッパでは、ヨーロッパに留学した日本人がヨーロッパのオーケストラに全部就職してしまう。声楽以外はかなり優秀な技術を持っている。だから、例えばドイツのオーケストラに日本人が就職した、それだけドイツ人が追い出された、それで文句を言っている。それで、このヨーロッパの音楽年に予算を組んだって実質全部下がっている、こういうのは別枠にしてちゃんと出すぐらいにしなければいかぬわけですよね。
 だから、文化庁というのは非常にお上品な庁で結構なんですが、もうちょっと力を持ってもらいたい、こう私は思うのですよ。フランスなんかは大臣だっているんですから。そういう意味で、今もこれだけちょっとふえたなんておっしゃっておりますけれども、効率的にとかそんなことを言わないで、大蔵大臣おりませんけれども、来年度はひとつ概算要求のときには、総理のあの「たくましい文化」という――たくましいという言葉、私実際は余り好きではないのです。あれはちょっとファッショみたいな気がしてならぬのです。ヒトラーみたいな気がするので私は余り好きな言葉ではないのですが、堂々とやってもらいたい、これを要望しまして、私の質問を終わります。
    〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
#194
○越智委員長 しばらくこのままお待ちください。
 速記をとめて。
    〔速記中止〕
#195
○越智委員長 速記を始めてください。
 米沢隆君。
#196
○米沢委員 私は、大好きなしょうちゅうがどうも増税されそうな気配が漂っておりますので、そんなのはだめだ、そういう立場で質問をさせてもらいたいと思います。
 巷間伝え聞くところによりますと、大蔵省は税制改革の一環として酒税の抜本的な見直しに取り組みたい意向と言われ、この六十年度予算が成立した後、早ければ四月にも政府税制調査会に特別部会を設けて検討を始め、六十一年度税制改正にもその改定を盛り込みたいという、もっともらしいことを聞くのでございますが、これは事実でございましょうか。
#197
○梅澤政府委員 酒税は、御案内のとおり従量税率が中心の税でございますから、従来からも税制調査会の中では、やはり消費の実態等を踏まえながら適宜適正な負担水準を見直す必要があるという考え方に立っておりまして、そういった考え方に沿って酒税につきましての税制改正を今日までお願いをしてきておるわけでございます。さらに一昨年の十一月の答申におきましては、そういった検討の方向といたしましては、酒類間、紋別間の税負担の格差の縮小という方向で検討をすべきであるという基本的な方向が示されております。
 ただ、今委員がおっしゃいましたように、それでは目前酒税の税制改正の検討作業に入っているのかというお尋ねでございますけれども、そういう具体的な検討作業に入っているという事実はございません。ただ、酒類、酒税だけに限りませず、直接税、間接税全般を通じた見直しというものが課題になっておる今日でございますので、当然その場合に酒税についてもいろいろな角度からの検討がなされると思いますけれども、具体的に現在検討作業に入っているわけでもございませんし、ただいまおっしゃいましたような検討のスケジュールとか、あるいは六十年度に酒税の改正をまたお願いするといったような具体的なことを決めておる事実は一切ございません。
#198
○米沢委員 確かにまだ六十年度予算も通っておりませんし、税法も今審議の過程でありますから、既にもう検討作業に入っておるということはないかもしれませんが、少なくとも六十一年の税制改正に向けて、大体一段落したところで大蔵省としては検討を始めるというのがやはり本音ではないかな、こう思うのです。現に、もう御案内のとおり、五十九年度補正予算では酒税については減額をせざるを得なかった。また、六十年度の税収見込みにおきましても、酒税は五十九年度補正後よりもまだ少ない税額しか計上できなかった。まさに、わざわざ五十九年の五月に大増税をやったにもかかわらず税収は減っておるのですから、酒税について関心がないという議論はまあおかしいだろうと、素人ながらそう考えるのでございまして、そういうことですね。
#199
○梅澤政府委員 国会が終わりますと、例年税制調査会が開かれまして、これはたびたび大臣から御答弁申し上げておりますように、国会での御論議を税制調査会に御報告申し上げるという段取りになるわけでございます。また、これも例年のことでございますけれども、私どもは当然のことながらあらゆる税目にわたりまして常時検討作業をしていかなければならない立場にございます。したがいまして、酒税につきましてもいろいろな角度から今後勉強していかなければならないというふうに考えておりますけれども、先ほども申しましたように、現在の時点におきましてそういう具体的な検討のスケジュールとか方向を持っておるというわけではございません。
#200
○米沢委員 いや、酒税について増税をもう検討しないというならばこれで質問終わってもいいと思うんですがね。それでいいんですか。
#201
○梅澤政府委員 先ほども申しましたように、中長期的にはやはり税負担の適正な水準について絶えず見直しを行わなければならないわけでございますし、酒類間、級別間の税負担の格差縮小という中長期的な課題も抱えておるわけでございます。増税とか減税とかいう議論じゃございませんで、やはり酒税につきましても、いろんな角度から今後とも検討はしなければならないというふうに考えておるわけでございます。
#202
○米沢委員 五十八年の中期答申におきまして、今主税局長がおっしゃいましたように、「今後とも適正な税負担水準を確保することができるよう随時見直しを打っていくべきである。」という答申がなされて、ここに書いてありますように、 「酒類間及び級別間の税負担格差の縮小を図る」あるいはまた「当面は、税負担の公平の観点から、価格帯の広い酒類について従価税の適用範囲を拡大していくこと」あたりを検討したらどうか、こういう答申がなされて、この答申に従って五十九年度税制改正が酒税について行われたわけですよね。で、この五十九年度の税制改正におきましては、ビールが一本二十五円、清酒の特級が一・八リットルで百八十円アップされまして、酒類別に大体一五%から三五%の、トータル三千二百億円という大幅な増税が行われたばかりであります。その際、酒類業界は、大増税は消費減につながり税収増には即つながらないということで、猛反対があったのは御承知のところでありますが、あえて当局はそれを振り切って増税に踏み切られたわけであります。
 ところが、その業界の心配が現実のものになりまして、ビールやウイスキーの販売不振によって、五十九年度当初見積もりで前年度比二〇・三%増の二兆二千三百七十億円の酒税収入見込みであったものが、五十九年度補正予算で二千四百五十億円の減額がなされる事態となり、六十年度予算ではこの五十九年補正後の税収をさらに下回る一兆九千五百五十億円の税収見込みを余儀なくされたということで、またぞろ増税を画策しようというような朝令暮改的な酒税の見直し論が出てくるとすれば、これは筋としておかしいなと国民が思うのは主税局長も同じじゃないかなと、こう思うんですが、大臣はいかがですか。
#203
○梅澤政府委員 大臣の御答弁の前に、先ほどと同じことを申し上げるわけでございますけれども、五十九年に酒税法の改正をお願いをいたしました。ただ、中長期的な課題としましては、先ほど委員が引用なさいましたように、税制調査会のそういった答申も出ております。
 六十一年度をどうするかというのは、これは酒税だけに限りませんで、六十一年度の税制改正をどうするかというのは実はこれから六十一年度の予算編成の過程で検討されるべき問題でございますので、今の時点におきまして酒税についてどういった改正の方向を意図しておるかということを検討もいたしておりませんし、まだ申し上げられる段階にもないということでございます。
#204
○竹下国務大臣 毎月毎月税収を見ておりますと、対前年比で見ますから、仮需のあった場合落ち込みが大きかったり、またその影響が少なくなった場合は若干の伸びを見ておるわけでございますけれども、現実問題として、酒税に関しましては補正で減額補正をさせていただきました。
 これは、私も酒屋のせがれでございますので子供のころから見ておりますが、現実問題どうしてだろうかということを、これは大蔵大臣としてよりも、私の出身からして判然とつかんでおりません。いわばしょうちゅうブームというようなものがそれはあるでございましょう。しかし、それが言ってみれば完全に国民の嗜好の変化の中で定着していくものなのか、あるいは一時的流行であるものかということも、私も定かにはこれを理解するに至っておりませんが、おっしゃいましたとおり、この間やってみたら、今動いておる。改正したばかりの税制でございますから、それでアンバラができたからすぐそれじゃもう一遍手直ししようかというのは、それは私も余り格好のいいことじゃないなということは感じないわけでもございませんが、まだ六十一年度税制のあり方についてということの議論もそう深くしておるわけじゃございませんし、また部内ではまだ検討にも入っていないという段階でありますので、それは今その将来の方向について申し上げるような時期には至っていないというのが素直な現在の心境でございます。
#205
○米沢委員 大臣の御答弁の中で、昨年やったばかりでまたことしやるのは格好悪い、まさにそのとおりでございまして、できればそういう調子でやってもらいたい、こう思うのでございますが、しょうちゅうの売れ行きがよくて、どうもこれに目をつけた方が税収増になりそうだというような動きがあることも事実でございますから、ちょっとそのあたりを分析するために質問も続けてみたいと思うのです。
 五十九年の五月の大増税後、五十五年五月以降の消費量の変化はどうなっているのか、また六十年度酒税の税収見込みの積算基礎になった六十年度酒類の消費量見込みは、対前年度伸び率でどのように設定してあるのか、数字的なものをちょっと教えてもらいたいと思います。
#206
○梅澤政府委員 現在まで判明いたしておりますのが、移出月で申しますと昨年十一月までの数字がございます。
 ただいま御指摘のように、税率引き上げ後、つまり価格改定後、五月以降の各酒類の課税数量の動向でございますけれども、五十九年の五月から十一月までの間、前年同期で見ますと、全酒類では九一%でございますが、酒類別に主だったものを申し上げますと、清酒が九九・四、ほぼ横ばいからやや減、微減ということでございます。しょうちゅうは一三四・九、それからビールは八五・四、ウイスキー類が六三・八。ただ、ビール、ウィスキーについて申し上げますと、八月、九月の移出月は対前年非常に悪うございましたけれども、十月、十一月と、ビールは対前年十月は一六・九、十一月は七八・二%の伸びに回復をいたしております。ウイスキーはおくれまして、十一月に対前年同月五二%という伸び率を示しております。今後の動向についてはなお注意深く見守る必要があると考えております。
 それから六十年度の税収の見積もりの基礎になりました課税数量でございますが、これも先ほどの酒類別に申し上げますと、清酒につきましては対前年一・八%の減、しょうちゅうは二五%の増、ビールは四%の減、それからウイスキー類につきましては二三%の減、その他酒類につきましては一六・二%の増、いずれも業界等のヒアリングを基礎にいたしまして見込んだものでございます。
#207
○米沢委員 この消費量が増税後かなり減っておる。その後の変化はちょっとあるようにお聞きしましたが、消費量が減った原因、これはやはりどう考えても、どう分析しても、最大の要因は増税であった、こういうことなのでしょうね。
#208
○梅澤政府委員 最近の課税数量、あるいは消費の推移と申し上げてもいいかと思いますが、しょうちゅうとビール、ウイスキーとでは動き方が顕著に違ってきておるということでございます。これは、先ほど数字をもって申し上げたわけでございますが、今の時点からさかのぼってみますると、こういった傾向が非常に顕著に出ましたのは、実は五十八年の秋からでございます。十一月ぐらいからでございまして、そういった意味では、酒税法の改正による税率引き上げ、価格改定の五月以前に今から振り返りますとそういう顕著な傾向が実は出ておった。これは、だれしもそこまで予測できなかったわけでございますが、今数字としてあらわれておるわけでございます。
 それからもう一つは、これはただいま委員がおっしゃいましたように、今回の特徴といたしましては、特にビール、ウイスキーにつきまして、通常税率の引き上げが行われますと価格の改定が行われますが、その以前に仮需要が起こりまして、それから価格改定俊二、三カ月の間はその反動で数量が落ちるのでございます。それが間もなくもとへ復していくというパターンをとっておるわけでございますが、今回はその仮需がありました後正常に復するまでに、ビール、なかんずくウイスキーの回復のテンポが非常に長くなっておるというのが特徴かと思います。
#209
○米沢委員 ビールやウイスキーが増税で消費が落ち込んで、その分すべでしょうちゅうの方にシフトした、こういう言い方がありますが、今主税局長のおっしゃるのを聞いておりますと、それは大増税以前においてもそういう傾向が既にあった、こういうことを今教えていただいたわけでございます。この大増税後、そのような変化が加速されるような傾向があったのかどうか、この点についてはいかがですか。
#210
○梅澤政府委員 この課税数量の推移をたどってみます限り、この税率の引き上げによる価格改定が、課税数量の、特に酒類ごとの動きにやはり無関係であるとは言えないと思います。
#211
○米沢委員 ところで、先ほど来の御答弁の中で、今のところは六十一年度の税制ということを念頭に置いた酒税をどう検討するとかしないとか、そういう作業には入っていない、こういうことでございましたが、中期答申等にもあらわれておりますように、もし酒税の見直しというものが行われるとすれば、この中期答申が言っておりますような税負担率の格差の是正だとか、あるいは清酒の級別間の税率の格差の縮小、あるいは特級酒並みの値段をつけた二級酒など、このような高価格酒に対する課税には従価税率を組み合わせるような検討等々がやはり税務当局としては関心のあるところだと言ってもいいんでしょうね。
#212
○梅澤政府委員 中長期的な検討の視点といたしましては、一昨年十一月の中期答申に述べられております、ただいま委員が御指摘になりましたような点がやはり検討の視点としてあるということは申し上げられるかと思います。
#213
○米沢委員 こういう御検討、数々あると思いますが、この中で、特に税負担率の格差是正の中で、しょうちゅうの税率、すなわち小売価格に占める税負担率がしょうちゅうの甲では一四・四%、三十五度は二六・四%だそうでございますが、乙類で八・七%、こういうことで、ウイスキー特級の五〇・三%、ビールの四八・八%に比べて低いということからしょうちゅうの税率アップがねらわれるのではないか、こう言われるのでございますが、そういうことはないですね。
#214
○梅澤政府委員 実は、酒類間、級別間の税負担の格差の縮小というものは、五十九年の税制改正においてもそれが一つの大きな原則になっておったわけでございます。というのは、昭和三十七年に酒税法の大改正がございまして、当時大減税が行われたわけでございますが、それから昭和五十六年に至るまでの間は、いわば他の酒類の税率が引き上げられる中で、しょうちゅう等いわゆる当時低負担酒類あるいは大衆酒と言われましたものについては、その引き上げ幅を小さくするとかあるいはその年に引き上げを見送るというふうなことがずっと続いてまいりまして、この負担格差がずっと拡大する傾向にありました。
 ところが、先ほどの一昨年の答申に従いまして五十九年の改正では、ビールそれからウイスキー等の税の引き上げ率が二〇%でございましたけれども、しょうちゅうの乙類でございますと二五%、甲類でございますと三五%ということで、ここ二十数年ぶりに税負担の格差の縮小を図るという方向での改正のいわば第一歩であったわけでございます。
 ただ、この問題は、やはりこの格差の縮小という問題は今後の課題として残っておるというふうに私どもは認識をいたしております。
#215
○米沢委員 酒類間の税負担率の格差みたいなものが酒だけ並べられて議論をされれば、確かにしょうちゅうの税負担率は低いことは事実でございます。同時にまた、お酒ですから、財政物資だということで特別の感覚で税賦課がなされておるということは理解をいたしますけれども、ほかの物品の税負担と比較をしてみますと、例えば小売価格に対する税負担割合では、ダイヤの指輪は一三・〇%、ミンクのコートは一三・〇%、小型自動車は一一・九%、ルームクーラーは一〇・〇%、ステレオが八・五%、ピアノが八・九%、こういうことで、例えばしょうちゅうの甲類二十五度は一四・四%、しょうちゅうの甲類三十五度は二六・四%。やはり他の物品の課税に比べたら、しょうちゅうの負担税率が低いとは言われながらも、ほかのこのような値段の高い高級な物にかかっておる税負担よりもたくさんのものを負担しておる。しょうちゅうの乙だって、ステレオ、ピアノ並みだ。そういう意味では、酒の間で議論をしたら確かにしょうちゅうは低いかもしれないけれども、他の物品の担税力という感じからしたときに、やはりしょうちゅうも相当の税を負担しておるという見方が一面では成り立つのではないでしょうか。
#216
○梅澤政府委員 消費支出に対する最終消費者の税負担の単純比較という点からいえばただいま委員のおっしゃったような理屈も成り立つわけでございますが、いわゆる物品税のようなものと酒税の消費税としての性格、これは伝統的に説明されている考え方でございますけれども、やはり酒類に対する消費課税というのは、アルコール飲料という特殊な嗜好品であるということに着目いたしまして、どこの国も歴史的にはこれをいわゆる財政物資としてかなり高い税負担を求めてきた、そういう沿革がございます。同時に、そういう特殊な嗜好品ということでございますので、衛生上の観点とかあるいは社会的費用といったような観点から、それなりにほかの物品消費よりも相対的に高い水準で税負担を求めてしかるべきである、それなりの合理性を持つという考え方に立っておるわけでございます。したがいまして、その物品税の、一種物品にいたしましても二種物品にいたしましても、その小売に占める負担の水準と酒類の負担水準を直ちに比較して高い低いという議論は、必ずしも税制の議論としては従来とっておらないわけでございます。
#217
○米沢委員 とはいうものの、しょうちゅうでも、相当の高級なものに比べても税負担をやっておるということだけは事実として数字が物語るところではないかと思うのです。
 そこで、どうしてもしょうちゅうの税率アップみたいなものがねらわれるんじゃないかという心配が、先ほどの議論の中からも絶対にそういうことはないということが納得できるほどの答弁はないわけであります。
 今、酒類間の税負担が格差があり過ぎる、したがって税負担の不公平が広がって、関係企業の活動に影響を及ぼしては経済に中立であるべき税制が問題ではないか、そんなもっともらしいことを言う向きもあるんでございますが、しかし、そもそもこの税負担の不公平が出てきたゆえんはビールやウイスキーの大増税に踏み切ったところに原因があるわけでございまして、みずからその大増税をやりながら、結果として経済の中立が損なわれるからまた底上げするんだという議論は、私は問題ではないかな、こう思います。そういうところから、低い税率のしょうちゅうをやり玉に上げるような理屈としてそんな議論があるとすれば、私はちょっとそれはエゴイスティックな議論ではないかな、こう思わざるを得ないのでございます。やはり税金が上がった結果消費量が落ち込むような影響が出てきておるとするならば、この際考えるべきなのは、低いしょうちゅうを上げるのではなくて高いビールやウィスキーを下げること、これが六十一年度の税制改正の逆にポイントでなければならぬのじゃないかな、こう私は思いますね。
 確かに、ビールは世界的にも大変高い税率ですね。ウイスキーは大体ほかの国のウイスキーとそう変わりません。まあしかし、中身がちょっと違うんだそうでございます。ビールの方は高過ぎる。したがって、税金が上がったことによって消費が云々という議論の際には、私はどうしてもしょうちゅうの税率を上げるという感覚ではなくて、高過ぎるビールやウイスキーを下げるという方向で酒税の検討がなされるならばこれは大賛成だ、こう思うのでございますが、主税局長はどういうふうにお考えですか。
#218
○梅澤政府委員 酒類間、級別間の税負担の格差の縮小、それは適正な負担という観点からも望ましいという考え方の背景にありますものは、今委員がおっしゃいましたマーケットに対する中立性という議論も関係なしとはしませんけれども、それよりも基本的にございます考え方は、税調答申にも述べられておるわけでございますけれども、所得水準が上昇してまいりまして所得の平準化が進行するという過程で、特に五十年代に入りまして顕著になってまいりましたのは、酒類の消費が多様化の中での均質化ということが言われるわけでございます。したがいまして、これは例の話でございますけれども、従来のようにしょうちゅうは貧しい人が飲みウイスキーは比較的裕福な人が飲むというふうな、いわゆる大衆酒、高級酒といったような消費の区分がだんだんなくなってきておる。それが現在の消費の態様であるとするなれば、この税負担の格差をならすということは、マーケットに対する中立性の議論はともかくといたしまして、やはり消費に対する担税力を求めるという酒税の性格からいたしまして、適正な負担を図るという観点からはやはりこの酒類間、紋別間の負担格差は縮小されるべきである、これが背景にある考え方だと思うわけでございます。
 ただ、ただいまおっしゃいましたように、我が国の酒類に対する税負担が先進国の中で必ずしも低くないということは、これは事実だと思います。というのは、我が国は個別消費税の体系しか持っておりませんから、特に財政物資に相当な御負担をお願いしておるということは事実私ども否定はしないわけでございますが、さればといって、今後の方向として、今おっしゃいましたように今負担の高い酒類の税負担を引き下げることによってこれをいわばならすというふうな方向を私どもは率直に申しましてとっておらないわけでございます。
 ただ、税負担の引き上げが酒類の消費の最近の動向に必ずしも無関係ではないということを先ほど私ども認めておるということを申し上げたわけでございますが、酒類の消費の動向をもう少し時間をかけて見る必要があるだろう、その中で一体どういうふうに考えるのかということではなかろうかと思っております。
#219
○米沢委員 世の中の商売というのは、売れぬときには値を安くして多く売ろう、これは商売の秘訣ですね。これは常識だろうと思うのです。しかし、どうも税務当局というのは、取ることが仕事みたいなものですから取ることに熱心な余りに、国鉄運賃の値上げみたいに、国鉄の財政がおかしくなったから運賃を上げよう、そのかわり乗る人がどんどんなくなっていく、結果的には今のような財政再建をしなきゃならぬような状態になっておるわけであります。国鉄だったらまだ代替輸送がありますけれども、お酒というのはありませんね。そういう意味でもう少し商売のやり方というものを考えて、多くしたら売れないんだったら、安くしてたくさん売ってもらうように努力する、やはりそういうことを考えてもらうことが必要ではないかな、こう思うのでございます。
 次は、昨年の増税をされた後、末端の小売価格、特に飲食店の正札はどういうふうに変化したか、つかんでおられますか。
#220
○山本(昭)政府委員 お答え申し上げます。
 小売店から最終的に消費者に届きます飲食店における酒類の価格のお尋ねでございますが、飲食店につきましては私どもの所管外の業種でございまして、個別具体的な調査をしてまでの計数はないのでございますけれども、総務庁統計局調査の数字がございますので御紹介申し上げますと、この消費者物価統計によりますと、東京都区部の外食におけるビール大瓶一本の飲食店における価格でございますが、増税前の五十九年の三月、四月の数字が四百四十円でございます。二十五円の増税が行われました五月以降でございますが、徐々に値上げが行われまして、ことしの一月には四百六十四円という数字になっております。二十四円ほど平均的に値上げを見ているということでございます。
#221
○米沢委員 ということは増税の分だけしか上がってないということですか。
#222
○山本(昭)政府委員 平均的に申し上げますと二十四円ということでございますので、増税額のほぼ二十五円に相当する額というふうに思われます。
#223
○米沢委員 次は、しょうちゅうの増税は避けてもらいたいというために、四つぐらいの当局の見解を聞かしてもらいたいと思っております。
 一つは、しょうちゅうあたりが増税をされますと、それイコール大衆増税につながるという議論があります。しょうちゅうを飲む人の実態を調べてみますと、確かにしょうちゅうはこのごろ伸びておるのではございますが、その消費実態は九州とか北海道など第一次産業の多い地域での一人当たり消費量が多い、また、都市部でも若い勤労者が多く飲んでいるということからして、依然として所得の低い層に多く愛飲されている大衆酒であると言ってもいいと思います。先ほど主税局長は、このごろ高級酒とか大衆酒というイメージが少しずつ壊れかけておるという話でございました。確かに個々別々でやりましても、それは個人の好み等もありますから例外はたくさんあると思いますが、しかし依然として傾向は、しょうちゅうの消費は余り金のない連中が飲む、こういう数字が正確ではないかな、私はこう思います。
 ここに、総務庁の統計局の家計調査報告書によって酒類の一世帯当たりの年間消費数量を調べた表が手元にありますが、例えば二百九十五万未満の年間収入者を一階級というのだそうでございますが、ここの人が飲むしょうちゅうの量を一〇〇とした場合、次の二百九十五万から三百九十六万、ちょっと百万ぐらい年収の多い方は六七に下がってしまう。次の第三階級者は六六、第四階級者が五八、第五階級者が六〇。ところが、ウイスキーの特級を飲む方がどういう年間収入者が一番好んで飲むかといいますと、いわゆる余り金を持たない第一階級者、そこの消費量を一〇〇としますと、第二が一八二、第三が一八三、第四が二〇九、第五が二九五というふうに、しょうちゅうは年収の多い人になるに従って消費量がぐっと減っていきますが、ウイスキーの方はぐっと上がっておるのが事実ですね。ビールも同じような傾向がありますし、清酒一級もそのような傾向があります。
 こういう数字から見ましても、やはり年間収入が最も低い階層の世帯で最も多く消費されているのがしょうちゅうである、こう言えるのでございまして、それゆえにしょうちゅうの増税は即大衆課税になるということは、私は事実だろうと思うのです。そういう意味で、税の格差を是正すべきという大義名分のもとにしょうちゅうの税を上げるというのはちょっと問題があるのではないかな、こう思うのですが、数字的な問題等について御意見があれば教えてもらいたい。
#224
○梅澤政府委員 家計調査によります数字は、今委員が御指摘になったとおりだと思います。したがいまして第一分位、つまり低収入世帯ほどしょうちゅうの年間消費量が多いという構造は現在もあるということは、これも御指摘のとおりでございますが、ただ先ほど申し上げましたことは、これを時系列で見ますと、昭和四十五年ごろでございますと、今おっしゃいました第一分位と第五分位のしょうちゅうの飲み方の差が大体三倍弱になっておりましたけれども、今お引きになった数字、恐らく五十八年の数字だと思いますが、これによりますと、二倍弱くらいに縮小はしてきておるわけでございます。この傾向は私どもは事実として、しかもこの傾向が今後ますます進行するであろうということは容易に推測されるわけでございますので、そういった問題はやはり念頭に置いておかなければならない。しかし同時に、現在の消費の態様が、しょうちゅうにつきましては低所得者階層におきまして相対的になお消費量が多いという事実も、また私どもは否定はできないと考えております。
#225
○米沢委員 少しずつ変化は見せ始めてはおりますが、しかし、まだ依然としてしょうちゅうは大衆酒である、こういうことは言えるのではないかと思います。
 それから、担税力の観点からもやはり問題があるということを指摘しなければいけません。租税負担の公平というのは応能負担の原則、すなわち、納税者の担税力に応じた課税が行われることによって担保されているということは、御案内のとおりでございます。したがいまして、先ほど申し上げましたような所得階層別の各種酒の消費の仕方等を見てもおわかりのとおり、大衆酒であるしょうちゅう税率もやはりこのような実態を踏まえた上で低くセットされたというふうに思うべきだろうと私は思うのでございます。
 このごろ、しょうちゅうの担税力も上がってきたではないか、こういう議論もありますけれども、例えばビールは昭和三十年当時の税負担率は五六・二%でした。ウイスキーの特級は五二・八%でありました。五十九年の改正以後の負担率は、それぞれそれが四八・八%、五四・九%というふうになっております。つまりこの三十年から五十九年の間、ほぼ大体五〇%くらいの担税率であったにもかかわらず、なおかつビールの消費量は一二・四倍にはね上がった。ウイスキー特級は二九・二倍も伸びてきたわけでありまして、この間しょうちゅうの負担率は低かったにもかかわらず低迷を重ねた。つまりビールやウイスキーは歴史的に見ても担税能力の非常に高い商品であると言えますし、また現在の市場規模、消費実態よりしてもまだまだ担税能力は高い。しょうちゅうの担税率が低いから伸びるのではなくて、しょうちゅうの伸びそのものは担税率が低かったにもかかわらず伸びてないという事実は、やはりしょうちゅうの担税力が低いというふうに見るのが素直ではないかな、そう思います。
 同時に、合しょうちゅうの生産が伸びておりますけれども、先ほど主税局長もおっしゃいましたように、このような急激な伸びというものが果たしてこれから先もずっと続くものなのか、それともこの二、三年くらいでとまるものなのかということも見きわめねばなりませんし、また量的にも消費量は少ないのでございますから、そこらを、長期的な推移みたいなものが定型的にとらえられるようになったとき、初めでしょうちゅうの担税力はふえたというふうに理解すべきではないでしょうか。
#226
○梅澤政府委員 ただいま委員がおっしゃいましたこと、一面において私どもは決して否定するものではございません。ただ、昭和三十年の初めごろから現在までのビール、ウイスキー、しょうちゅうと、こう並べまして消費の動向を見ますと、確かにその間のしょうちゅうの伸びは相対的に現時点までの比較に関する限り低いということでございますけれども、これをもう少し時系列をもって考えてみますと、昭和三十年代の初めは、しょうちゅうというのは非常に消費をされたわけでございますが、三十年代後半から四十年代にかけまして非常に低迷をしたわけでございます。その反面何が伸びたかといいますとビールとかウイスキー。
 これは、その背景にはやはり三十年代の国民の所得水準、つまりその時代にはピールとかウイスキーというのはなかなか手の出なかった酒類であったろう、ところが三十年代、四十年代を通じまして、所得の上昇とともに今まで手が出なかったピールとかウイスキーというものに消費がシフトした、その間実はしょうちゅうは足踏みをしておった。五十年代に入りまして最近までの顕著な動向と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、所得水準が上がり所得の平準化が進行し、その過程の中でしょうちゅうの消費の上昇がまた見られるということでございますので、この傾向をもってにわかに将来の方向を結論づけるということは慎まなければならないわけでございますけれども、そういった傾向が進行している気配なしとしないという観点からも、やはり今後慎重に見ていかなければならないのではないかと考えております。
#227
○米沢委員 同時に、今主税局長がお触れいただきましたように過去の酒類課税移出量の流れを見ておりましても、ちょうどしょうちゅうは大変低迷しておる時期があって、今売れる売れるとはいいながらも三十年当時の量にやっと追いついたぐらいの、トータルとしてはまだ消費市場の大変少ない酒でございますので、そういう意味からも、この段階で酒類格差を云々するほどそんなにしょうちゅうの税率を上げねばならないということにはつながらないというふうにぜひ御理解をいただきたいと思うわけであります。
 それから、このごろ特に、お酒というアルコールの消費量というのは日本の場合がなり成熟の度合いが高くなっているのじゃないか、こんな議論がよくなされます。ですから、余り増税増税とねらっておりますと結果的にはアルコール離れ、今たばこ離れが大変激しいのでございますが、その次はアルコール離れ、私は離れませんが大方の皆さん方が離れるということになってしまって、結果的には酒税の税収そのものに影響を来す、こういうことになる可能性も大変多くなったのではないかな、こう思いますが、当局としては、このアルコールの消費量は成熟の段階に来ておるのかどうか、まだまだ何ぼでも伸びそうな、シェアが拡大するようなものなのか、それとの絡みで増税は議論すべきであるという意見に対してどういう御見解をお持ちですか。
#228
○梅澤政府委員 これは私ども税制当局のお答えする能力の範囲を超える問題もあるわけでございますけれども、一般的に言われますことは、おっしゃるように高度成長期を通じましてアルコールの消費量は非常にふえてまいっておりますが、今の時点で、例えばアルコール換算で見ますと、先進諸国の中では日本の人口一人当たり消費量はフランスの半分以下、西ドイツの大体半分、アメリカの七割ぐらいの水準でございますので、これをどう見るかという問題はあろうかと思います。したがいまして、成熟、低迷期に入ったというふうにはにわかには言えないのではないかと思いますけれども、高度成長期を通じましたような顕著な年ごとの伸び率を今後とも期待するということについてはよほど慎重でなければならぬと考えております。
#229
○米沢委員 最後の質問にいたしますが、しょうちゅうの増税はしょうちゅう業界の経営危機を招くということもぜひ御理解をいただいておかねばならぬことじゃないかと思います。特にしょうちゅうの乙類は業態は大変小規模零細業者がほとんどでございまして、逆にこれらの業界の業者数は減少の過程にあります。同時に、もう既に御案内のとおり原料需要の特殊性というものもあります。原料米は国内産に限られておる。その価格は年々上昇しておりまして、ほかの酒類がほかの国から安い原料をとることができても、しょうちゅうだとかみりんだとか清酒だとか、このあたりはそう簡単に原料の合理化ができない。先ほど言いましたようにしょうちゅうの甲類には大きな企業もありますが、特に乙類に限ってみますとほとんど小規模零細業者ばかりでございまして、経営基盤は脆弱であり、そして酒税の転嫁力は極めて弱いと言っても私はいいと思うのであります。
 そういう状況にありますから、特に鹿児島とか宮崎とか、私は宮崎でありますが、今県外に物を売って県内に金が入るというのはしょうちゅうくらいのものですね。そういうところから、しょうちゅうの増税が始まってまたそろしょうちゅうの生産量なり消費量が影響があるというようなことになりますと、これは九州や周辺の産業育成という立場からも、死んでもいいということになるわけでありますから、どうかそのあたりも配慮した上で増税は議論をしてもらいたい、こう思うのです。大臣、いかがですか。
#230
○竹下国務大臣 甲類はかなり大きなのがございますが、乙類は今実態としてお話しになりましたような状態であるというふうに私も理解はいたしておるつもりでございます。まだ別に増税の議論をしたわけじゃございませんが、そういう事実認識は十分持っておるべきことだと私も思っております。
#231
○米沢委員 特にこのしょうちゅうの乙の製造業者は主として南九州、沖縄、そのあたりに集中いたしておりまして、先ほどから何回も言いますように、地域の重要産業の一つであります。そういうところから、そちらの方にもよく届いておると思うのでありますが、清酒製造業の安定に関する特別措置法というのがありますね。それに基づく信用保証事業にしょうちゅう乙類も入れてくれという声があるんですが、このあたりは前向きに御検討いただくような御答弁になりませんか。
#232
○山本(昭)政府委員 ただいまの清酒業安定法に基づきまして日本酒造組合中央会が行っております清酒業を対象といたしました信用保証事業につきまして、しょうちゅう乙のメーカーも加えられたらどうかという御指摘でございますが、この点につきましてはいささか経緯がございます。
 すなわち、昭和四十四年に自主流通米制度が導入されました際に、それまで原料米割り当ての重要な基準でございました、かつまた酒造権的な財産価値を有しておりました基準指数というのがございまして、それが全く無価値になったのでございます。それによりまして、これを担保といたしまして金融をつけておりました清酒製造業者の経営環境が激変をしたというようなことを背景にいたしましてこの制度ができた経緯がございますが、しょうちゅう乙類業界につきましてはこういった基準指数がなかったという事情があるわけでございまして、この辺につきまして、直ちに現在の清酒業安定法の制度に乗るかどうかということにつきましてはいささか問題があるのではないかと考えておるわけでございます。
 御質疑は、この幅を広げて加えたらどうかという御指摘だと思うのでございますが、このためには立法措置が要るわけでございます。確かにしょうちゅう業界、中小企業も多うございますが、清酒業界に比べますと需要が安定的に伸びておりますこと、あるいはまた醸造期間が清酒でございますと冬季に限られておりますが、年じゅう仕込みができるということで、一時的な資金需要の集中がないという問題、あるいはまた信用保証協会が現在保証業務を行っております。こういった問題もございまして、せっかくの御指摘でございますが、立法措置をお願いいたしましてまでそういう必要性は現実には乏しいのではないかというふうに考えておるわけでございます。
#233
○米沢委員 過去の歴史は歴史、ぜひ前向きに御検討いただきたい。
 以上で終わります。どうもありがとうございました。
#234
○越智委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後八時五十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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