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1984/04/10 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第17号
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1984/04/10 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 大蔵委員会 第17号

#1
第102回国会 大蔵委員会 第17号
昭和六十年四月十日(水曜日)
    午前十時二分開議
 出席委員
   委員長 越智 伊平君
   理事 熊谷  弘君 理事 熊川 次男君
   理事 中川 秀直君 理事 堀之内久男君
   理事 上田 卓三君 理事 沢田  広君
   理事 坂口  力君 理事 米沢  隆君
      糸山英太郎君    大島 理森君
      加藤 六月君    金子原二郎君
      瓦   力君    笹山 登生君
      塩島  大君    田中 秀征君
      中川 昭一君    東   力君
      平沼 赳夫君    藤井 勝志君
      宮下 創平君    山崎武三郎君
      山中 貞則君    伊藤  茂君
      戸田 菊雄君    藤田 高敏君
      武藤 山治君    石田幸四郎君
      古川 雅司君    宮地 正介君
      矢追 秀彦君    安倍 基雄君
      玉置 一弥君    正森 成二君
      簑輪 幸代君
 出席国務大臣
        大 蔵 大 臣 竹下  登君
        文 部 大 臣 松永  光君
        厚 生 大 臣 増岡 博之君
        建 設 大 臣 木部 佳昭君
        自 治 大 臣 古屋  亨君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 茂串  俊君
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵大臣官房審
        議官      大山 綱明君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
        大蔵省理財局次
        長       亀井 敬之君
        大蔵省銀行局保
        険部長     加茂 文治君
        国税庁直税部長
        兼国税庁次長心
        得       冨尾 一郎君
        文部省社会教育
        局長      齊藤 尚夫君
        文部省体育局長 古村 澄一君
        厚生大臣官房総
        務審議官    北郷 勲夫君
        厚生省社会局長 正木  馨君
        厚生省保険局長 幸田 正孝君
        社会保険庁年金
        保険部長    長尾 立子君
        運輸大臣官房国
        有鉄道部長   中島 眞二君
        運輸省国際運
        輸・観光局長  仲田豊一郎君
        運輸省地域交通
        局長      服部 経治君
        運輸省航空局長 西村 康雄君
        建設省河川局長 井上 章平君
        自治大臣官房審
        議官      石山  努君
        自治大臣官房審
        議官      土田 栄作君
        自治大臣官房審
        議官      井上 孝男君
 委員外の出席者
        中小企業庁小規
        模企業部小規模
        企業政策課長  窪川  功君
        大蔵委員会調査
        室長      矢島錦一郎君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月四日
 辞任         補欠選任
  野口 幸一君     小川 仁一君
同月八日
 辞任         補欠選任
  小川 仁一君     野口 幸一君
    ―――――――――――――
四月四日
 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案撤回等に関する請願(経塚幸夫君紹介)(第二五七五号)
 同(東中光雄君紹介)(第二五七六号)
 同(正森成二君紹介)(第二五七七号)
 大型間接税導入反対等に関する請願(中川嘉美君紹介)(第二六一三号)
 所得税の課税最低限度額引き上げ等に関する請願(野間友一君紹介)(第二六四五号)
 同(梅田勝君紹介)(第二六九九号)
 同(梅田勝君紹介)(第二七〇九号)
は本委員会に付託された。
四月十日
 日本債券信用銀行の融資状況調査に関する請願(兒玉末男君紹介)(第一四七四号)
は委員会の許可を得て取り下げられた。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案(内閣提出第八号)
 派遣委員からの報告聴取
 日本債券信用銀行の融資状況調査に関する請願(兒玉末男君紹介)(第一四七四号)の取下げの件
     ――――◇―――――
#2
○越智委員長 これより会議を開きます。
 この際、請願取り下げの件についてお諮りいたします。
 本委員会に付託になっております日本債券信用銀行の融資状況調査に関する請願第一四七四号につきまして、紹介議員であります兒玉末男君より取り下げの願いが提出されております。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○越智委員長 国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審議中、連合審査会において参考人の出席を求め、意見を聴取する必要が生じました場合には出席を求めることとし、その人選、日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#6
○越智委員長 次に、本案審査のため、去る四日、五日の二日間、三重県及び岩手県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を求めます。第一班中川秀直君。
#7
○中川(秀)委員 第一班、三重班の派遣委員を代表して、団長にかわり私から便宜その概要を御報告申し上げます。
 当班の派遣委員は、越智伊平委員長を団長として、塩島大君、沢田広君、渋沢利久君、戸田菊雄君、古川雅司君、玉置一弥君、簑輪幸代君と私、中川秀直の九名でありましたが、現地参加委員として坂口力君が参加されました。また、このほか伊藤忠治議員が現地において出席されました。
 会議は、三重県津庁舎において開催し、まず団長から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事の順序等を含めてあいさつを行った後、意見陳述者より意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。
 意見陳述者は、三重県知事田川亮三君、亀山市長今井正郎君、地方自治研究センター専務理事坂倉藤吾君、三重県市町村保健婦協議会会長松尾みち子君、全日本労働総同盟三重地方同盟会長池本正三郎君、自治労愛知県本部書記長 伊藤欽次君の六人でありました。
 以下、その陳述内容につきまして簡単に御報告申し上げます。
 まず、本法律案の趣旨が、国の厳しい財政事情下にあり、あわせて臨調答申による行財政改革の見地から補助金の整理合理化を行うことにかんがみ、意見陳述者から、行財政改革についての基本的認識、国と地方の機能分担と財源配分の検討の必要性、地方自治体の行政改革に対する取り組みの実情等について意見が述べられ、次に、本法律案の内容に関連いたしましては、本法律案の提出の経過とその取り扱いに対する考え方、高率補助金の一律カットによる地方財政への影響、国と地方の社会保障及び義務教育関係補助金に対する負担のあり方、補助金の交付金化による保健婦設置への影響、本法案の暫定措置に対する期限の遵守、補助金交付事務の簡素化等の諸問題について意見、要望等が申し述べられました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、国の地方への助成のあり方、一般財源化による地方自治の利害得失、地方富裕論とその実態、生活保護費等による国の行政基準と地方の実情、保健婦の設置状況と対策等の問題について質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。
 以上が第一班の概要でありますが、会議の内容は速記録により記録いたしましたので、詳細はそれによって御承知願いたいと存じますが、速記録ができましたならば、本委員会の会議録に参考として掲載いたしたいと存じますので御了承願います。
 なお、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力を得ました。ここに深く謝意を表し、報告を終わります。
#8
○越智委員長 第二班堀之内久男君。
#9
○堀之内委員 第二班、盛岡班の派遣委員を代表して、団長の私からその概要を御報告申し上げます。
 当班の派遣委員は、私のほか、大島理森君、熊谷弘君、熊川次男君、田中秀征君、伊藤茂君、上田卓三君、宮地正介君、安倍基雄君、正森成二君の十名でありましたが、現地参加委員として小川仁一君が参加されました。また、このほか、菅原喜重郎議員が現地において出席されました。
 会議は、岩手県庁講堂において開催し、まず私から、派遣委員及び意見陳述者の紹介並びに議事の順序等を含めてあいさつを行った後、意見陳述者より意見を聴取し、これに対して各委員より熱心な質疑が行われました。
 意見陳述者は、岩手県副知事赤澤善二郎君、盛岡市長太田大三君、自治労運動推進岩手県本部委員長高橋文雄君、岩手大学人文社会科学部教授河越重任君、岩手県東山町議会議長松川誠君、自治労岩手県本部中央執行委員長村上博是君の六名でありました。
 その陳述内容につきましてごく簡単に申し上げますと、まず、行財政改革のあり方等基本的な問題といたしましては、岩手県の地域経済の現状と県及び市町村の財政状況、県内自治体の行政改革への取り組み、国と地方を通ずる行政改革と財政再建のあり方等について意見が述べられ、次に、本法案の内容に関連いたしましては、本法案の提出の経緯についての考え方、一年限りとしている暫定措置の厳守、国と地方の役割分担の見直し、地方財政法の本旨と本法案との関係、義務教育費及び生活保護費等に対する国の負担のあり方、地方自治体から見た補助金等の整理合理化の方向等各般にわたる事項について、それぞれの立場から意見、要望等が申し述べられました。
 次いで、各委員から陳述者に対し、国庫補助負担率の一律削減等による県内自治体への影響額、国の地方財政対策の適否、県内市町村の公債費負担比率の現状と起債の困難性並びに消化の見通し、生活保護費等の受給制限強化の懸念、市町村の教材整備計画に与える影響、補助金等の効率的使用と国の行政のあり方、行革推進と自治意識の向上等の諸問題について質疑が行われ、滞りなくすべての議事を終了いたしました。
 以上が、第二班の概要でありますが、会議の内容は速記により記録いたしましたので、それによって御承知願いたいと存じます。なお、速記録ができましたならば、第一班と同様のお取り計らいをお願いいたします。
 また、現地会議の開催につきましては、地元の関係者を初め多数の方々の御協力をいただきました。ことに深く謝意を表し、報告を終わります。
#10
○越智委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。
 お諮りいたします。
 ただいま御報告のありました第一班及び第二班の現地における会議の記録ができ次第、本日の会議録に参照掲載することに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#11
○越智委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
 〔会議の記録は本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#12
○越智委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
    〔委員長退席、堀之内委員長代理着席〕
#13
○藤田(高)委員 大蔵大臣初め厚生大臣、衆議院、参議院の予算審議を中心にして、連日大変御苦労でございます。
 言うところの補助金一括法案の審議につきましても連合審査を大方終えまして、今日この法案それ自体の審議も大詰めを迎えておるわけでありますが、今回の補助金一括法案なるものも、いわば財政再建、財政改革の極めて重要な施策として提案されておると思います。その中身の良否はともかくとして、大変重要な施策として提案されておることには間違いございません。そこで、私は、この補助金一括法案を含めまして財政再建の基本的なあり方、その方向についてまずお伺いしたいのであります。
 竹下大蔵大臣とも財政問題では何度かこういう形で議論を闘わしてまいりましたが、私の率直な感じは、これは後で私なりの具体的な見解を申し上げますが、年々歳々というか、年を経るごとに財政再建の方向というものは弱い者いじめの方向を強めているのじゃなかろうか。もっと本来的にやるべき課題があるのじゃないか。そういうものとの相対的な見合い、総合的な見合いからいって、今回の、この老人問題であるとか児童の問題であるとかあるいは特に生活保護にかかわる問題等々を見ます場合に、弱い者いじめの財政再建の方向というものが非常に強く表面に出てきておるという感じがするわけでありますが、まずそのあたりの見方、考え方について所管大臣にお尋ねいたしたいと思います。
#14
○増岡国務大臣 私どもといたしましては、厳しい財政の中でありますけれども、その中で福祉水準の実質的な低下がないようにということを中心に対処をしてまいったわけでございまして、国と地方の役割分担、負担の振り分け等によりまして、厳しい中ではございますけれども、今後福祉行政の水準を低下させることのないように実行できるような考えでおります。
#15
○藤田(高)委員 今の私の質問に対しては、大蔵大臣からも、次の質問と関連をして見解を聞かしてもらいたいと思うわけであります。
 既に四月五日に来年度の予算案が参議院においても成立をいたしました。この段階において大蔵大臣としては、衆議院、参議院を含めていわばそれぞれ野党の予算修正案が出された、その中でも今審議をいたしております補助金一括削減法案にかかわる問題についても、具体的な修正内容として、特に参議院においては私ども社会党の修正案として提示したわけでありますが、これらの問題を含めて予算成立直後における大蔵大臣の反省を含めた感想といいますか、そういう修正案等を含めた見解というものを私聞かしてもらいたいと思うわけであります。
#16
○竹下国務大臣 予算が通過いたしまして、まず第一に、この審議の過程を振り返っての反省ということでございますが、私どもといたしましてやはり大きな反省は、絶えずいわゆる財政再建計画を提示しろ、で、中期試算、仮定計算、これは全く無意味とは言わないが、年々同じようなものを出して、それだけが我々の予算審議の上の手がかりになっておるではないか、こういう御質問に対しまして私なりに感じましたことは、昨年も一昨年も、特に昨年は、何とか六十年度予算審議に当たっては、一歩とは言わなくても半歩でも進んだものを資料提供をいたしたい、こういうことを申しておりましたが、結果として同じ形式のものしか出し得なかったということであります。
 しかしながら、それに対して私なりに振り返ってみますと、いわば一昨年から昨年は健保法の改正とか、そういう法律改正によるものが要調整額の一昨年のものよりも昨年の実績に埋め込まれておる、その裏っ側にそういう法律改正というものがあったんではないか。そうしますと今度は、ことしになりますとまたその中に新たに、これはまだ裏っ側でもまさに定量的なものは何もございませんが、税制論議が行われて、そしていわば税制の抜本改正ということについてのある意味におけるやるべきだということについてのコンセンサスが、議論を通じて、その当てておる焦点は別といたしましても、できてきたんではないかということと、そしてこれから御審議いただくことになりますいわゆる電電株の売却等が、言ってみれば将来は、今年は別といたしまして、いわばそういう試算などをお出しする場合の裏っ側に、これも定量的ではございませんが、見えてきたんではないか、こういう感じがいたしますので、いわばそういう将来の、私どもの方で言えば要調整額をいかにするかという問題についての議論の素材が裏っ側に映像が映されてきた。これは定量じゃございませんが、姿だけが見えてきた、こういうような感じがいたします。
 したがって、一歩でも半歩でもこれを進んだものをお示しするための努力というのは、より一層きょうのような御議論を通じながら、来年、再来年へと積み重ねの努力をしていかなければならないということを感じたことが第一点でございます。
 それから、その中に含まれておるとは申しながら、いわば税調から異例の答申をいただきましたことが一つのきっかけになりまして、税制論議が大変に議論の焦点に当たったことである。したがって、予算委員会全体を通じまして大蔵大臣あるいは主税局長の発言機会が例年に比してふえておるという実績が示しますように、角度の相違はあれ、税制に関する議論が衆参両方を通じて行われてきたということ。
 それから次には、具体的に参議院で提案されました日本社会党修正案でございますが、これにつきましては、我々が割り切って申しますならば、いわば防衛費の対前年比の伸び分を削減し、そして補助率のカットをもとに戻すというようなことが基本に置かれた予算修正案でございます。それにつきましては、これは基本的考え方を異にするとは申しながら、総額でいいますと減額修正になっております。したがって、国会法によりますと、増額修正の場合は政府の意見を求めなければならないと書いてありますが、総額が減額でございまして、あれでも特別会計か何かで少しでも増額があれば意見を述べる機会を与えなければならぬということになりますが、それがないわけでございます。すなわち減額の予算修正をお組みになったことに対する一つの、何と申しましょうか、基本的な考え方の相違はございますが、そういう取り組み方というものに対して、私どもも将来大いに参考になったわけであります。
 そういうことを思いながら五日の日に予算が成立いたしましたが、今は、こいねがわくは、予算執行のいわばもとの法律ともなるべき今御審議いただいておる法律を通過、成立せしめていただくことによりまして、予算の執行が早くなることを心から期待を申し上げておるというのが偽らざる今日の心境であります。
#17
○藤田(高)委員 大蔵大臣は読みが早いですから、私がきょうあと一時間半ほど質問するような項目といいますか、そういうものをも配慮して今の見解を述べられたような気がするわけであります。これは冷やかしではなくて、まじめな意味においてそういうふうに私は受けとめました。ですから、抽象的な言い分でありますけれども、財政再建に向けての少しく透かし絵みたいな形だけれども、前進へ向けて一層の意欲を燃やしつつあるのじゃなかろうか、また当然そうなければいかぬわけですが、そういう感じがしたわけであります。
 しかし、私、今特にお尋ねしたいのは、この補助金一括法案に見られるように、弱い者いじめというような性格を持った一括補助金法案、極端に言えば、国の財政全体から言えば、石で手を詰めたという例えがありますが、後で指摘をいたしますけれども、大蔵省から出されておりますいわゆる「財政の中期展望」あるいは言うところの財政の仮定試算表、こういうものから見ると、今日の我が国の財政というものは非常に困難な状態だ。一口で言えば、財政再建の展望があるのかどうかといえば、その見通しは極めて薄いというようにさえ私は判断をするわけであります。
 そういう情勢の中で、私は最近の出来事の一つとしてお尋ねをしたいのですが、大臣、四月七日の、予算案が通った明くる日のその明くる日、朝日新聞の「天声人語」をお読みになりましたか。何か気にとまるようなことがありませんでしたでしょうか。(竹下国務大臣「読まなかったなあ」と呼ぶ)ああ、そうですか。お忙しい方ですし、新聞も大きな活字くらいしか見ないかもわかりませんから、「天声人語」のところは目にとまらなかったかと思うのですけれども、今日の予算審議、我が国の財政問題にかかわる非常に急所をつく記事が掲載されておるわけであります。
 それは、かつて村上孝太郎さんという大蔵省の事務次官をやられた方、これは私の選挙区でございますが、この村上孝太郎さんが非常に立派な財政通の大蔵官僚であったということは有名な話でありますが、この村上孝太郎さんのことを、橋口収さん、主計局長もやり、公取の委員長もやられたと思うのでありますが、この方が「新財政事情」という本を出されておるようでありますが、その中の一こまで取り上げて、この村上孝太郎さんがかつて防衛担当の主計官時代に、防衛庁から要求をしてくる概算要求に対してこれは少し水増し的なものがあるんじゃないかということで、魚市場や野菜市場を主査に調査をさせて、そして査定の段階で非常に厳しい査定をやって、いわばそういう積み重ねの上に予算を編成した、そういうことが出ておるわけであります。
 それに比べると、今日これだけ財政事情が苦しい中で、私は先ほど大蔵大臣に予算成立後の感想をお伺いしたのは、ここでも指摘をしておるのですが、五十二兆という国の予算に比べれば額は小さいかもわからぬけれども、防衛庁の最後の復活折衝の中で上積みされた予算の中の四割に匹敵する二百十億がいわばつかみ金的なものだ、そしてその二百十億というものが上からつかみ金的に決められて、そして今度は逆に大蔵省と防衛庁が相談をしてその使い方を決めたということがここに出ておるわけであります。これは今日の財政事情から見て、こういうずさんな予算の編成のあり方では、大蔵大臣が幾らまじめな顔をなさって今日の財政危機を訴え、国民に対していろいろなことを協力要請しても、政府は本気で財政再建問題に取り組んでおるのかどうかというその真意を疑いたくなると思うのですよ。
 私は、そういう意味合いからも、今回のこの財政再建に向けての取り組みというものに対して、新幹線の予算にかかわる問題であるとかそういうものをあれこれ考えますときに、やはり手抜かりがかなりあるんじゃないか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
#18
○竹下国務大臣 防衛予算あるいは新幹線問題を例示しての御質問でございますが、確かに防衛予算で見ますと、まず最初事務当局間でいわば基礎的な問題が詰められてまいりますが、その中でことし問題になりましたのは、最初はいわゆる老兵対策という言葉で言われて、必ずしも老兵とは思っておりませんけれども、要するに定年を延長することによって、ちょうど今定年組が大変多くなっておりますので、急激な変化を生ぜしめないような形ではどうかという私どもの主張と、やはり絶えず新しい血液を注入すべきだという意見との調整が第一回の――いわゆる債務負担行為等に伴う現金化の問題は、これは事務的に決まるわけでございますが、最初の段階はそういうことが問題で、議論の焦点であったと思います。それが一応決まりますと、それなりに進んでまいります。
 それから次は、いわゆる後年度負担問題になってまいります。新規の、これはことしの予算には少額な影響しかございませんけれども、後年度に影響を持ちますところの装備の充実の予算でございます。それについての大枠を決めまして、その大枠の中で、今度はプロが寄って、どれがいいかというような形で中身を詰めるわけであります。
 そうしてさらに、最後に問題になりましたのは、いわゆる後方問題と、そして継戦能力等の問題でございます。これについて、最終的に話が詰まらなかったものが、総理官邸における政府・与党の最終調整に上ったわけであります。そのときは、つかみと申しましょうか、比率に基づく一つの金額というものが出まして、だが、およそその問題は事務的な積み上げの中での対立点、これはもう継戦能力とそれから後方の公共事業に類するような仕事というのは、金額さえ示されれば中身はすぐ詰まる性格のものでございますが、それが最後に残った。それがいわばつかみ金で、後から中身の整合性を持たしたんじゃないか、こういう御批判の対象になっております。しかし、後方装備などというのは、まさに積み上げてそこへ来ておりますので、私はこれは必ずしも後から整合性をとったというふうには思っておらないところでございます。
 新幹線問題というのは今後の問題に残っておるわけでございますが、いわば国民全体のニーズというもの、あるいは地域住民の悲願とでも申しましょうか、そういうことに対応してきたものでございます。しかし、これに対しては、その後新聞論調等におきましても、言ってみればぎりぎり締めた予算が、最終的に後年度どれほどかかるかわからぬ大きなプロジェクトの中で、いわば詰めた予算の仕上げの段階でマスコミ等からも厳しい批判をいただいておることも十分承知いたしておるところであります。だから、そのような御指摘も私は肝に銘じて、今後に対応していかなければいかぬよすがとしなければいかぬと思っております。
#19
○藤田(高)委員 予算全般にもかかわりますし、今度の補助金にかかわる問題についても、今さら五十六年度以降、臨調から指摘されるまでもなく、私ども自身がこの予算委員会を通して、例えば大平内閣当時、もう既に私自身が、補助金でも臨調が言っておるような観点から、むだをなくしていく立場あるいは経済効果の薄いもの、時代的に合わないもの、そういうものはやはり整理する必要があるんじゃないかということを指摘した一人でありますが、しかし、補助金といえども、やはり削ってはならない、手をつけてはならない補助金もありますし、また、新幹線ではございませんが、国民的なニーズからいって、これは財政のやりくりをやってでも新規の政策というものを進めていかなければならぬ面も、これはあり得ると思うんですよ。しかし、私は先ほど「天声人語」の例を取り上げましたが、国民の受けとめ方としては、「天声人語」に代表されるような受けとめ方をする国民も私は率直に言って多いと思うのですね。そういう点をやはり大切にしながら今後の財政再建問題に取り組んでほしい、これは強く要請をしておきたいと思います。
 そこで本論に入っていきたいと思うのですが、まず第一に、財政再建の出発年度をどこに置いたか。これはいろいろ見方がございましょうが、一応ここ五十四、五年ごろから財政再建問題が非常にやかましく言われてきた。そういう経過から見て、これは概略で結構ですが、この財政再建のために取り組み出した段階から今日に至るまで、いわゆる財政再建のために取り組んできた具体策、例えばこの補助金法案のように歳出カットでやったもの、あるいは財政制度の変更によるもの、あるいは「増税なき財政再建」と言ってはおりますが、増税をやらなかったのは私から言わしむれば恐らく五十八年度だけではなかったのか。あとはほとんど大なり小なり、法人税にしても、酒税にしても、物品税にしても増税をやっておるわけでありますが、そういう意味の増税によるもの、あるいは今、年金制度の改正が参議院で議論をされておりますが、昨年の健康保険法の改正に見られるような医療、年金制度の改正によるもの、あるいは言うところの財政事情が悪いということで、後年度回し、後年度送りの措置によって今日の財政事情というものを切り抜けるためにとってきた一つの方策、分けていきますとそういう幾つかの区分ができると思うのですが、大綱的で結構ですから、そういう大方の区分に沿ってどの程度の財源の捻出が図られたかということをお示しいただきたいと思います。
#20
○平澤政府委員 いろいろの措置は、今委員がおっしゃいましたように、歳入歳出両面にわたってとられたわけでございます。
 主計局の方でございますので、歳入面は別途主税の方からお話し申し上げると思いますが、歳出面の方を申し上げますと、制度の根幹にまでさかのぼっていろいろ措置をとっている部分と、それから例年やっておりますような査定段階できめ細かくやっている部分とに分かれるかと思います。
 この歳出の種類で申しますと、御高承のように、一般歳出の四割強が補助金でございますので、結果的には過去数年、補助金が重点的にその対象になったということも言えるわけでございます。
 そこで、それでは、ここ三年間一般歳出ゼロでやってきておりますが、その三年間を焦点にしまして、簡単に具体的なものを御説明申し上げたいと思います。
 まず、五十八年度でございますけれども、医療費の適正化等、これで二千二百億円、あるいは国民年金の国庫負担の平準化、これで三千二百億円、あるいは交付税特会への利子財源繰り入れの節減、これで三千四百億円、それからこれは非常にいろいろ御議論を呼びましたが、人勧及び年金等の改定見送り、これで人勧で三千二百億、年金等で九百億円というような節減をやっておるわけでございます。
 それから五十九年度は、先ほどお話がございましたように、割合制度的な面でいろいろの措置をとったわけでございますけれども、一番大きいのが医療保険制度の改革でございます。これは四千二百億円の節減がございました。その他医療費の適正化等で二千億円。それから年金、恩給等の改定の抑制で千百億円。あるいは、地方財政制度のあり方について大きな改革をいたしました。これで千七百億円。その他食管経費でございますけれども、千億円等々がございます。
 それから、先般成立いたしました六十年度予算についてでございますけれども、やはり一番金額的に大きいのは補助金等の整理合理化、特に高率補助率の引き下げ等でございます。これによりまして一般会計で六千六百億円。そのほか厚生年金国庫負担の例の特例法の延長でございますが、三千三百億円。その他大きいものといたしましては公共投資をマイナスにいたしました。これで千五百億円。その他各般の措置をとっているということでございます。
#21
○大山政府委員 税制面の措置につきましてお答え申し上げます。
 税制面からは税の負担公平の確保という観点、総理がよくおっしゃいますところのでこぼこ調整という観点からの措置をここ数年とっているわけでございますが、ただいま主計局の方からこの三年間ということで申し上げましたので、私どもの方も同じような期間について申し上げさせていただきますと、「増税なき財政再建」という臨調の方針が確立されました五十七年以降は、主として税負担の公平確保という観点からでございまして、具体的には五十七年度三千八十億円の増収措置でございますが、中身といたしましては、例えば価格変動準備金の整理五百八十億円、交際費課税の強化四百六十億円等々の租税特別措置の整理合理化が主たるものでございます。
 五十八年度は、先ほど委員おっしゃいましたように、ほとんどゼロでございます。
 五十九年度につきましては、所得税の八千七百億円の減税をいたしました年でございますが、それとの見合いで、その財源確保という観点から、法人税の税率の引き上げ四千三百億円、酒税の税率引き上げ三千二百億円等の増収措置を図っておりますが、減税と増税とを差し引きいたしますと、トータルで六百五十億円の増税ということでございます。
 六十年度につきましては、既に御審議をいただきまして法案が成立いたしておりますが、二千八百九十億円の増税でございます。具体的には貸倒引当金の法定繰り入れ率の引き下げ、これが一番多うございまして二千億円でございます。そのほかには、公益法人等の軽減税率の引き上げ三百二十億円、法人税における所得税額控除の控除不足額の還付に関する特例八百四十億円等々でございまして、トータル二千八百九十億円の増収ということになっております。
 以上でございます。
#22
○藤田(高)委員 主計局次長、歳出カットの先ほど説明したもののトータル額はどれぐらいになりますか。
#23
○平澤政府委員 歳出カットの中身でございますけれども、トータル額でございますが、ふやしたものもございますし、切ったものもあるわけでございます。
 そこで、一応の考え方といたしまして、いわゆる中期展望で後年度負担額推計というものを毎年出しております。これはある意味では現行の制度、仕組みを前提としてどれだけになるかということでございます。その数字を集めた。それに対しまして、それでは実際の予算額はどうなっているかという数字が今御質問の御趣旨に一番合うのではないかと思いますので、その数字で申し上げますと、例えば五十八年度につきましては、「中期展望」で見ておりました数字が三十五兆二千七百億円でございました。それに対しまして実際でき上がりました予算は三十二兆六千百九十五億円、したがいまして二兆六千五百五億円「中期展望」から歳出をカットしたということでございます。
 ちなみにその数字を五十九、六十年度と申し上げますと、五十九年度は一兆七千百四十三億円、三角にしております。それから六十年度は一兆六千九百四十六億円ということでございます。
#24
○藤田(高)委員 これは、歳出面のカットあるいは歳入面の合理化、それぞれそろばんのはじき方で捻出額については違いもあろうかと思うのですが、大臣、大きく分けて、歳出カットでここ三年あるいは数年来相当な歳出カットをやってきた。その代表的なものは今回の補助金一括法案かもわかりません。あるいは、先ほどの御答弁の中にはなかったですけれども、これは後で私少し御意見も聞きたいと思っておりますが、いわゆる国債整理基金に対する定率繰り入れを四年間停止してきたわけですが、これなんかもある意味では今日までの財政上の一つのやりくり、合理化手段としてはその中に挙げてもいいのじゃなかろうか。
 そういうものが例えば四年間でざっと六兆円ですね。あるいは増税によるものが今少しく所得減税との差し引き勘定で説明がありましたけれども、細かい数字は申しませんが、所得税が減税だと言うけれども、これは累進課税ですから所得税は毎年ふえておることは間違いないのです。このあたり、財政当局が答弁する場合でも、減税の八千何ぼやったことだけは言うが、国民に負担をかけてきておる自然増による増税については答弁をなさらない。これは特に悪意があってそういうことを答弁されておるとは思いませんけれども、そういう面の増税があるわけですね。
 所得税のその意味の増税分あるいは先ほど答弁のありました法人税あるいは酒税、物品税というようなものを見ますと、この三、四年の間に私の概算では約三兆五千億増税をやっておる勘定になります、これは非常にラフな数字ですけれども。あるいは医療費、年金制度の改悪、これはまだ法律案が通っておりませんが、法律案がもし通ったとすれば、平年度引き直しで約六千億になるのではないかと思います。これは厚生大臣も、局長もおられますから、お聞きした方がさらに明確になると思いますが、私の素人のなにとしては六千億程度と見ております。あるいはことしの予算審議の中でもかなり議論がなされたと思うのですが、いわゆる後年度繰越分がもうかなり多いわけですね。厚生年金の繰り入れ、これは今度の場合も問題になってきておる件ですね。あるいは住宅金融公庫の利子補給の分、国民年金の特別会計への繰り入れ分の減額あるいは交付税特別会計への借入金に関係する後年度のツケ回しというようなものを列挙していきますと、これは六十年までの段階でも約三兆円。
 これはトータルとして、あるいは個別的にどれだけの財源が捻出されたかという点については、計算の仕方にもよりましょうけれども、いずれにしても相当な財源を生み出すような措置をやってきたことは間違いない。それだけのものを、国民サイドから見れば政府が国民に財政再建のためにということで協力を要請してきたことは間違いないわけですね、事の性格上。
 しかし、そういう協力を要請してきたにもかかわらず、先ほどちょっとお触れになりましたが、財政再建の展望というものは国民に安心を与えるようなものになってきておるのだろうかどうか。あえて言えば、「おしん」の我慢の哲学ではありませんけれども、我慢するのももう五、六年やってきた。少なくとも、ここまでいろいろなことを国民に強要しあるいは協力を求めてきた以上は、皆さんにもこういうふうに協力を求めてきたけれども、おかげさまで財政再建の見通しはこうなってまいりましたというものが出てこないと、これから六十三年まであるいは六十五年までの三年、五年先を見越しても明るい展望が極端に言えばいまだに何にも示されないということでは、国民の立場からして、今回の補助金一括法案ではありませんけれども問題があり過ぎるのではないかと思うのですが、大臣どうでしょうか。
#25
○竹下国務大臣 今御意見を交えての御質疑の中で私自身も感じますのは、この五十八年から六十年の三年間ということで今御説明を申し上げました。
 私は、実は一遍は、五十五年度予算をいわば財政再建の元年にしたいという気持ちがございました。ところが、結果としてそのとき前夜にまでしか至らなかったと私は自己採点をしたわけでありますが、いずれにしても初めに一兆円の減額ありきというので、五十四年の当初からすれば一兆円減らして出発しました。そして、五十六年度予算というのはその最初は二兆円の減額で進んでおりますから、まさに財政再建第一歩。ところが結果は、五十六、七は歳入欠陥をもたらして、いわば財政再建の軌道を着々と進んだということの評価ができなくなってしまった。そこで、そうなると五十八年から始まったというふうに事実認識すべきかということで、五十八年から三年間ということでいろいろな分析をしたものをきょうお答えを申し上げたとおりでございます。
 そこで、いわゆる中期試算等の議論をする際に私もいつも思いますのは、何年前の試算から言えば、ことしは施策、制度そのままにしてという前提を置けばこれだけのものになる、仮定計算だからそういうものでした。しかし、これがこのような形におさまりました中身は、制度改正でこれがあり、そして事実上の予算査定の厳しさからこういうものが出てき、そして今おっしゃいました国債整理基金の問題もございます。さらには公債の減額幅もございます。そういうものを総合して過去と比較したものを一つ一つお示しするのが実はことしの議論を通じての来年からの一つの試算の示し方かな、こんな感じで思っておりましたが、それを早く突っ込んでいただきましたので、我々もそれを整理しつつ御報告することができたわけでございます。それがきょうの機会でもあったと私は思っております。したがって、それを見ればなるほど国民の皆さん方にとっては、こういう点の工夫がかくしからしめてきたのだな、こういうことになります。
 だから、その過去を振り返りつつ今度は先の展望ということになりますと、そうは言っても中期試算は、来年の試算を見たら補助金ももとに返って、公共事業はデフレーターをかけただけのもので出しているんじゃないか、だからそれをさらに切り込んで出すということになりますと、制度改正の持つポイントを事前にお示ししなければならぬことになるわけであります。それがなかなか国民のコンセンサスを得られないから、いろいろな議論を通じていわゆるそのポイントのある方向が出てくることを待ちながら、それを取り入れて次の施策へのステップとしておる、現実問題としてこういうことになっておるわけであります。
 したがって、透かし絵という言葉をこれから私も使わしていただきますが、おぼろげながらの透かし絵が幾らか出てきたと思います。この透かし絵が本当の絵になって、それに数字が入ってくるということになると、私は、年々の努力の中でそういうものが国民にも示されていくのではないかな、こういう感じで思っておるわけであります。だから、私が長いこと大蔵大臣をやらされておるというのも、結局その透かし絵ぐらいまではおまえのときにぼんやりとでも出さなければいかぬというような考え方がそうあらしめておるのかなという自問自答をしながら、毎日を過ごしておるような気がいたします。
 それで、これから先、要調整額をどうして埋めていくかという具体策ということを出しますと、それは問題点が余りにも大きいんじゃないか。だから、手間取ると言われながらも問答の中で、透かし絵あるいはぼかし絵かもしれません、それが逐次あらわれてきて、そこに数字等の定量性が入ってくるという道をたどっていかなければならぬじゃないかな。だから国民の皆さん、こんなにしたらこんなによくなりますと言えないことは我々にとっても大変な悩みでございます。
#26
○藤田(高)委員 今の答弁を聞きますと、いろいろなことが私の頭の中にも浮かんでくるわけであります。政治の世界ですから、腹の中で思っておることを今言うことがいいのかどうか。これは竹下大蔵大臣の最も得意とするところだろうと思うのですが、待ちの政治じゃないけれども、国民的コンセンサスが求められるまで一定期間待って、徳川家康じゃないけれども、鳴くまで待とうホトトギスで今の財政再建の具体策をお出しになる時期をにらんでおるんじゃないかとも、今の答弁を聞きながら私は感じたわけであります。
 大蔵大臣、私は率直に申し上げたいのです。大変失礼だけれども、長いこと財政担当大臣をやること自体が手柄じゃないと私は思うのです。財政再建問題が論議され出してから一番長い大臣として大変御苦労なことだと思います、思いますけれども、責任ある財政担当大臣を三年余りもおやりになっておるのはあなたですよ。そうすると、今はしなくも言われた財政再建のポイントはどこにあるか、これは一つじゃないと私は思うのです。時間があれば後で私なりの見解を申し上げたいと思うのですが、そういうポイントは何か。わけても大蔵大臣が去年、参議院で財確法が成立するときの附帯決議のときに、いわゆる中期の財政展望なり仮定試算から見て来年もこの程度の要調整額が、再来年もこの程度の歳入欠陥がありますという、どこかの事務屋か財政研究所が物を発表するような形で国会に問題を提起して、果たして政治責任というものが果たされておるんだろうか。私は大変残念なことですが、もっと社会党が力を持っておって、せめて数が百五十名以上くらいな議席を持っておったら、これはもう真正面から、三年もおやりになって財政再建の展望がいまだにこんな――「ファイナンス」の一番新しいこれに集約されておりますけれども、こんなものを出すんだったら、学者の団体、学者というか研究団体がいつでも出すんで、それは責任ある与党の、あるいは政府の、あるいは責任ある大蔵大臣の出すものじゃないじゃないか、こう言いたいのでありますが、我々の側にも今それだけの肉薄をする条件がないからこの程度でおとなしく構えておるわけですよ、いや本当のところ。
 そういう意味からいって、私は今の答弁に関連して集約をしますが、それでは財政再建の展望をはかる物差しといいますかポイントといいますか、そういうものをどういうところに置いて、せめて透かし絵程度のものでもつくろうとしておるのか。私は率直に言って、去年の参議院の財確法が通るときの大蔵大臣の答弁から、ことしのこの予算議会には透かし絵程度のものは提示されるだろうという期待を持っていたんですよ。ですから私は、予算委員だったらこの問題を予算委員会で大蔵大臣に今質問しておることを詰めておったと思います。これが出ないまま、去年議論をやったこともおととし議論をやったこともさして変わりがない、こういうことで果たして国民にさまざまな協力を要請する資格があるのかどうか。この点は私は率直に、厳粛な意味において担当大蔵大臣としての見解を承りたい、こう思うわけであります。
#27
○竹下国務大臣 確かにそのとおりでございます。昨年、いわば「昭和六十五年度を目標とする特例公債依存体質からの脱却は、現下の財政における最優先課題である。したがって、政府は、この目標達成にいたる手順と方策を具体的に明らかにすべきである。」これにつきまして、「具体的な歳出削減計画とか、増税計画といったものを策定してお示しすることは無理だと思われますが、目標達成に至るいろいろな道筋についてどのようなものができるか、今後工夫してまいりたい」、一歩でも半歩でもという気持ちがあったことも事実でございます。
 そこで私が申しておりますのは、いわば透かし絵あるいはぼかし絵かもしらぬが、それが制度改正を年々行っておりますものの中で幾ばくかでも明らかになりつつあるのじゃないか。まあ制度からいえば、やはり医療問題、それから年金問題、これは御審議をいただいておるさなかでございますが、そういうものが制度としての透かし絵になっていくのかな。ぼかし絵というようなものの中には、あるいは透かし絵の範疇に入るとすれば、今は定量性がないが将来定量性があるかもしらぬ、いわば電電株の収入とかいうようなものになるのかな。税制改正というのは、それによって増収を図ろうという目的のとりあえずの諮問をするわけじゃございませんから、それのどういう色塗りをしていくかという図案のようなものかな、こんな感じで見ております。
 そこのところが、今待ちの政治というお言葉をお使いになりましたが、考えてみなければならぬのは、この附帯決議にもありますように、六十五年度に赤字公債から脱却したい、これが第一目標です。しかし、今予測してみましても、そのとき百六十五兆数千億の残高が残っている。そうすると、その時点から考えて、赤字公債分が完全になくなるということになれば、返す場合には建設国債も赤字国債も色がついていないということになるとすれば、私が百二十六歳になるときにやっとそれまでに累積した赤字国債が償還されるということになるわけですから、そうなると、少なくとも赤字国債分の約六十五兆円というものに対しては、年々公債依存度を下げつつも、およそ何十年とかいうような議論も率直なところしてみとうございます。二十一世紀というのも一つの考え方かなと思いましたが、二十一世紀というもので、あと十六年間でその六十五兆円の残高がなくなるということも、これはまた容易な問題でないなという感じがいたします。
 もう一つは、議論の中にだんだん出てきておりますのは、昭和三十九年まで国債を抱えない財政、それから四十九年まで建設国債以外特例債を抱えない財政、今はいや応なしに抱えた財政、これが脱却した後、膨大な残高を抱えた財政というのは、かつての財政とは異質な財政になっていくのではないか。御指摘いただくとおり、社会保障費を利払い費が上回るわけでございますから、そういう際に現在の財政の評価をどうしてやるべきかということの位置づけも、国会の議論等を通じて逐次明るみに出していかなければならぬ課題だなということをつくづくと私は感じております。
 ただ、手間遠なようでございますけれども、私思いますのは、国民の皆さん、これだけの要調整額が要ります、歳出削減ポイントを、あるいは公共事業にこれくらいとか社会保障にこの程度とかということで削減をせざるを得ません、そしてまた、なお足りませんものはこのような増税をしていただかなければなりませんというところまで言い出すような勇気といいますか環境はできていない。政治の手法と必ずしも思えませんが、ある意味において政治の手法かもしらぬ。私いつも思いますのは、日本人が世界で一等賢い民族であるだけに、かつてのように、このようなプランの中で国民の皆さん、ついてきてくださいとか、協力してくださいとかいう呼びかけよりも、むしろ国民の皆さん、どうしたらいいでしょうかという相談をしながらコンセンサスを求めて、半歩前を進んでいくというのが一番現実的な手法じゃないかな、こういう、自己評価をも含めてそんな感じで対応しておることは事実でございます。
#28
○藤田(高)委員 二つ三つ具体的に聞いておきたいのですが、そうしますと、率直に言って、「財政の中期展望」ではないですけれども、具体的な財政再建の見通しが立たない財政状況から見て、今日の段階は具体的な財政再建の方策を立てるだけのそういう条件下にはない、こういうふうに考えておるというふうに受けとめていいですか。
#29
○竹下国務大臣 やっぱり、なかんずく定量的なものをお示しする段階に至っていない、こう思います。
#30
○藤田(高)委員 その定量的というものを示す段階に至ってないという場合に、物事には主観的な条件と客観的な条件があるんですね。そして、だれがイニシアチブをとって、だれがヘゲモニーを発揮してやっていくのかという面があると思うのです。その点からいうと、国民的なコンセンサスを得るまで、国民の皆さんどうですか、財政再建のポイントはこういうところにあります、そういう意見を出してくださいと、そういうものが大方出そろうまで政府はお待ちになるのか。それとも政府の方は少なくとも、この「ファイナンス」ではございませんけれども、これは当然国会にも出されておりますが、この二十一ページには「財政改革を進めるに当たっての基本的考え方」というものがこういう形で載っておるわけですから、この方針が出る以上は、ごく常識的にいえばこれを裏づける定量的なものがなければこれは政治の世界では財政再建の論議にはならない、こういうことを求めるのは無理でしょうか。私はそうあるべきだと思うのですよ。ですから、客観的、主体的な条件からいえば、財政当局は、あえて言えば政府は、その主体的な判断においてこれの裏づけになるものを出すべきじゃないか。なかんずく大蔵大臣が去年の参議院附帯決議のときに言ったように、わけても要調整額はいかなる財源によってこれを埋めていくのかということを提示する段階に来ておるのじゃないかということがいま一つ。
 もう一つは、時間の関係で集約して申し上げますが、財政再建をやる場合は基本的にはこういう考え方で政府は当面取り組まれるわけでありますが、やはり私は目標を決める必要があるんじゃないか。それは、鈴木内閣のときに赤字公債からの脱却を五十九年度にする、これは結果としてできませんでした。しかし、私はやはりそういう目標を掲げて内閣は総力を挙げてやる、それでいかなかった場合にはその責任をとって次の内閣にバトンタッチをする、こういうことであっていいんじゃないかと思うのですね。そういう点からいきますと、私はその目標として置くべきものに、これは順序不同ですし、私の専門的な意見でもないわけでありますが、例えば政府が国債からの脱却の年度を六十五年に置いておる、これも一つの目標であると思うのですよ。
 二つ目は、国債費の現在負担というものがだんだんとこれまた一般歳出の中に食い込んでくるわけですね。現在の一九・何ぼが六十三年、六十五年に向けて二三%にこうなってくる。そうすると、五十兆円の予算を組んでみても、見かけは五十兆だが、実際国民の生活に潤いを持たすものは三十八兆程度、四十兆を割る、こういうことになるわけですから、少なくとも国債費の予算に対する圧迫の限度の率を例えば一〇%なら一〇%に置くためには、何年がかりでそこまで持っていくんだ、これが一つの座標というか、指標にしていく。そういうものとの兼ね合いにおいて、やはり今申し上げたことに関連するわけですけれども、全歳出予算に対する一般歳出の比率、現在六割程度だろうと思いますが、これを例えば何年がかりで八割だったら八割に引き上げていくんだ、そういうポイントになるべきものを、それは五つになるのか六つになるのか知りませんが、そういう枠組みを少なくともつくって、それを裏づけていく定量的なものは何かということをやはり出していかないと、余りにもこれは無責任じゃないか、こう思うわけでありますが、そういう私の要求は無理でしょうか。そういう方向というものをお認めになって、具体的に財政再建に今後取り組まれていくのかどうか、見解を承りたいと思います。
#31
○竹下国務大臣 確かに、基本的考え方をお示ししておりますが、これはまさに定性的とでも申しましょうか。そこで、定量的なものを出せ。
 それに私なりの、これは私見を交えて申しますならば、いわゆる定量的なものが「経済社会の展望と指針」等にも出せなかった一つの問題は、やはり五十六年、五十七年の、言ってみれば世界同時不況、予期せざるもので、例えば二百四十兆の公共事業も百九十兆に下方修正するとか、そういう大変動というものがあったために、そういう定量性のものがむしろ不信感をあおるんじゃないか、こういう反省も私はあったかと思っております。
 それと同時に、やはり今お出ししておりますのは、それこそ名目成長率を六・五%に置いて、租税弾性値を一・一と、こういうことでやっておるわけですから、その問題について藤田さんからこういう仮定でやってみろというような段階までは今来たような気がするんですよ。そうすると、次の段階は何か、こう申しますと、私は、いわば大量な残高を抱えた場合の財政というものをどう位置づけていくかという議論になろうかと思っております。
 目標の一つとしては、御案内のとおり六十五年度を赤字公債脱却の努力目標として、その後は逐次対GNP比で残高を減していく努力をします、こう言って、それは年限も切ってありませんし、比率も示してないわけであります。そこのところの議論で私どもも勉強してみますのは、いわば一つは、一般歳出のいわゆる一般会計全体の中に占める比率というものはなかなか議論ができないんじゃないか。と申しますのは、その償還と利払いがやってまいりますから、それがいや応なしに押し上げていきますので、これはなかなかつくれないのじゃないかなという感じが一つしました、今までの議論した過程でございますが。
 それから、がしかし、もう一つつくれるのは、いわゆる予算に占めるところの、歳入に占めるところの公債依存度でございますね。これは確かに昭和五十四年に三九%、四〇%に達するようになった、さあ国債も売れなくなった、大変だ、こういう時代がありました。しかし、それは五十四年の経済全体がよろしゅうございましたから、このよかったのもあるいは五十二年、五十三年の増額査定しましたり機関車論が出たときでございますが、それで結果は比較的よかったが、その累積で今度は五十六年以後参っちゃった、こういうことにもなるでございましょうが、したがって依存度の問題というのはやはり私は議論をしていくべき一つのポイントだと思っております。
 やっと二二%になったわけですね。かつて私どもやはり一けた台までは健全だという議論をしておったことがございますから、だが一けた台にいくということになると、それを何年かかってやるか。かつて二けたになった時点から今日までの推移を見ながら、その期間だけで一けたに返らないかという議論もしてみました。が、今のような議論が出てきて、それがある前提を置いてもいいということになれば、私は、もう一つ別の議論としての資料というのはつくれるのじゃないかなという考え方はいつも持って――いつもじゃございませんが、昨年以来そんなものがつくれないかということは持ってきております。
 だから、重ねて申しますように、もう一遍考えなければいかぬのは、大量な残高を抱えた財政というのは、いわばまだ償還期の来ない時代の財政と質が変化していく。その変化したことに対する責任追及もさることながら、変化したことに対する、それは必然的に変化せざるを得なかったといたしましても、その場合の残高というものの観念はどういうところへ位置づけるべきか。将来の納税者に負担を回すわけでございますが、それの許容する範囲はどこにあるのかというような議論がまた新たな議論として出ていきやしないかなという気がしております。
 それで、ちょっと話が長くなりましたが、今藤田さん、自分の政党の数の話をなさいましたけれども、私が昭和三十三年に出ましたときは自由民主党二百八十七、日本社会党百六十六、共産党一、諸会派一、その他十二という時代でございました。そのころ我々がよく議論したのは、大変な対立しておった時代ですから、安保、防衛問題は別として、内政問題は野党の方の質問を聞いておって、それを大体三年後にやればちょうどうまく機能するというようなことを先輩が話しておったことがございますが、だから国会というのは結局、私は、そういう与野党の問答の中で、イデオロギッシュの問題は別として、現実の問答の中でやはり新しい施策が生まれていくべきものじゃないかな、こんな気持ちを、私の体験上そんな感じを持っております。
#32
○藤田(高)委員 前後しますけれども、ここで野党が具体的な意見をあるいは方策を出すと、待ちの政治じゃないが、周囲を見渡しながら三年後にはやる。これは早稲田哲学でもあるように時折冗談まじりにも聞いておるわけでありますが、後でこれは、時間がないのでそこまで立ち入れないかもわかりませんが、不公平税制の是正の問題でも、確かに取り上げることは取り上げるんですけれども、しかし、私どもが言っておるような気持ちを本当に組み入れて税制の改正をやられておるかどうか。例えば貸倒引当金だ、退職給与引当金だ、手はつけてはおります、三年後ぐらいには手をつけておるけれども、これは言いわけ程度だ、大変失礼だけれども。今日のこのような国家財政をここまで陥れてきた責任は、やはりそういう微温的な、びほう的な、あるいは便宜的なというか、この国会を何とか乗り切っていけばいいじゃないかというような、そこまで安易でもなかろうけれども、そういうふうにさえとられるような態度の中に私は一つ問題点があるんじゃないか、こう思うわけですよ。
 私は、冷やかしではありませんが、おとついでしたか、この委員会で大臣の答弁を聞いておりまして、地方自治団体の数字を三千三百二十五とか、今も安保激突時代の各党の勢力の数字を言われたでしょう。これだけ数字的にもずば抜けた能力をお持ちの大蔵大臣が、なぜ定量的な裏づけを提示して、財政再建の構想というものが出ないんだろうか、これが私は不思議でならない。それと、何度も繰り返すけれども、参議院における、あの要調整額を出しただけでは済まない段階だと言ってきておるわけですから、それであれば、要調整額の財源は財政改革を進める基本方針に沿ってどうやるんだということを、大臣、やはりお出しにならないと問題の解決にはならぬのじゃないか、私はそう思うわけです。
 私がこういったことをしつこく申し上げるのは、大臣には釈迦に説法でありますが、「ファイナンス」の三月号をずっと、さすがきちっと整理されておると思うのですけれども、さっきの透かし絵じゃないのですけれども、あっちからもこっちからも検討してみて私なりに心配なのは、この十五ページを例えば例にとっていきますと、これから五年間はこういうふうに建設公債は六兆円でずっと横滑りでいきますよ、赤字国債は大体一兆一千億ずつずっと下げて、六十五年にはゼロにしますよ、この方針はいいのです。ところが、一般歳出の伸びがゼロと三%と五%でいきますと、五%でいった場合は赤字国債の減ってくるものよりも要調整額のふえるカーブの方が深くなるのですよ。だから、相似形でずっとくるのだったらまだいいのですけれども、財政再建というのは、こっちでこういうふうに赤字を消してくるのであればこっちもこういうふうに上がっていかなければ、はさみ状に開くのじゃなくてこういうふうに狭まっていかなければいかぬのです。それが逆に要調整額がこういうふうに広がるのですよ。これじゃとてもじゃないが、これを見ておりますと財政再建どころか、もう年を追うごとに財政事情が大変なことになるのじゃないか。大変なことにならないというのであれば、ここで、それこそ第二の井上準之助になるのかならないのか知りませんけれども、それぐらいな覚悟を決めて、政府も、特に大蔵大臣としても、総理を夢見られておることも事実でしょうけれども、やはり政治家というものは、野党の我々じゃないけれども、大臣にも常任委員長にもならないで二十年、二十五年、三十年やって、額が上がるほどやってもそんなことも考えないでやっておる代議士もおるのだから、大蔵大臣にもなれば、総理におなりになるよりも今日の財政再建に命をかけたということの方が政治家として大事じゃないか、私はこう思うので、我々もまじめにいろいろな意見も出しますよ。出すけれども、その意味ではもっと捨て身で財政再建に取り組んでほしい、私はこれを強く要請します。
 そこで、私は、ひとつ申し上げておきたいのですが、「税とデモクラシー」、これ、お読みになられたと思いますが、これに私の名前も実は入っておるわけであります。入っておるというのは――私は福田さんという方は人格的、人物的に非常に立派な方だと思っているのですよ。しかし、やはり財政再建論議をやって、私が今言っておるようなことじゃないけれども、私が、この計画でいくと年度末が来ますと残念ながら五兆円ぐらいな歳入欠陥が出るのじゃないですか、これで翌年度の、その当時五十七年度の予算を組むということは大変これは問題がありますよ、こう指摘したのです。ところがそのときには、どうですか、大蔵省、大臣、鈴木総理を含めて、この見積もりには自信があるのだ、こう開き直ったのですね。だから我々は、当然のことですが、お互いに信頼し合っておるわけですから、これだけの膨大な財政機構を持って検討されておる大蔵省がそう言われるのだから、大臣がそうおっしゃるのだからと、こう思っておった。ところが、これを読んで、ああやはりこんなことあるのかなということを私は実は感じたわけですよ。
 というのは、福田さんが、ここが非常に福田さんのお人柄が出ておると思うのですけれども、結局、藤田議員に質問されてき出すと、ああやはり痛いところをついてこられた、財政当局は実はここが問題があるというふうに考えておったところをつかれてきておるということを書いておるわけですよ。私は、この段階で本音で議論をしてなかったと思うのです、これは悪いけれども。このときにただ一言、議員が指摘しておるようなことになるかもしれません、そういう一言の上に、そういう真剣さの上に財政議論が展開されてきてなかったという一区切りのあることを非常に残念に思うわけですよ。これは何もこの福田さん御自身を非難しておるわけじゃない。ないけれども、これだけ我々が真剣に数年来財政再建議論をやっておるのに、やはりこういうからくり的なものがあったのかということは、私は非常に何か裏切られたような気持ちがするわけであります。
 大変これは釈迦に説法的なことでありますが、国家間においても、あるいはお互いの政府と野党の関係においても、あるいは竹下さんと藤田という人間関係においても、相互に信頼をし合うことが一番大事じゃないでしょうか。そういう意味で、財政当局がお出しになる資料の中にも、仮定計算ではありませんけれども、やはり本気で真剣なものを出してもらいたい。
 私は特に申し上げたいのですが、こういうものは何ぼ出したって、財政当局の事務屋の案にしかすぎない。そうでしょう。これ、閣議にかけてないのでしょう。閣議にもかからないものを出して、そして財政論議をやるなんというのは、非常に我々としては、これはある意味では内閣としてはふまじめな態度ではないか。したがって、ここできょう最後にこの問題で御要請したいのは、閣議にかけて内閣全体の責任において取り組もうとする財政再建の総合的な青写真というものを、大蔵大臣の言う要調整額をいかなる財源によって埋めていくのかというところを最重点に置いた再建案というものを示してもらいたい。
 私は、このことは大蔵委員会ですけれども、ぜひ大蔵大臣から総理にもお伝え願いたいと思うのです。総理は、今の中曽根内閣は、外交問題には案外血道を上げてやるけれども、今国民的な課題の中で何が一番大事なんだといえば財政再建だと私は思うが、その問題について総理自身が陣頭指揮をとられておるという姿勢が見受けられない、残念ながら。この点については、総合的な財政再建プランではありませんけれども、総理を陣頭指揮とする財政再建プランを提示されることを私は強く要望したいと思うのですが、大臣の御見解を承りたいと思います。
#33
○竹下国務大臣 毎年、予算審議をいただくに当たりまして、こういう資料を提出いたしますということを大蔵大臣の責任で閣議に報告しておるという限度でございます。いわゆる閣議決定ということになりますと、かつての経済社会七カ年計画、これはまさに閣議決定でございます。今で言えば「八〇年代経済社会の展望と指針」というところまでが閣議決定でございます。
 したがって、いわゆる財政再建プランというのを閣議決定として出すということになりますと、今おっしゃったいわゆる要調整額を定量的に、歳出削減で何ぼ、税の増収で何ぼ、あるいは建設国債で何ぼとかいうようなプランを出すということは、なかなか一挙には難しい問題だ。そこで、透かし絵じゃございませんが、年々制度改正の法律を出すというのが、これがある程度定量を基礎づける資料になる。そしてまた、税の問題は、これからまず不公正是正ありきというところから議論をして、その中へどういう数字を入れていくかというのが今後の課題、こういうことになりますと、なかなか定量的なものを出すという順序にはならないという感じがしております。
 それから、福田元主税局長が――あれは私が感じますのは、これは形式主義と言えば形式主義かもしれませんけれども、見積もります、とにかく税収を。それを、この税収は大きな変化があるかもしれませんと言うことは、これは原案を提出しておる者としましては口が腐っても言えない。これが現在における最良、最善のものなり、こういう前提で御審議いただいておるわけですから、その中にあるいは相当変わるかもしれませんと言うのでは、これは出し直してこいという論議にもなりますし、その辺の限界というのがお互いの人間関係の中で消化されておるから、役所をやめれば一つの反省となって書き物なんかに出てくるということは、あるいはやむを得ないことかもしれません。
#34
○藤田(高)委員 この問題はこの程度でと思うのですけれども、最後の福田さんの出されたなにですが、これは、この中にもありますように、その論議が終わった直後、いわば進退伺いを出しておるのですね。もう予算案をこういうふうに出してきておって、これはこの段階における最良のものだとして出してきておるものを、それを変えるわけにはいかぬですよ。それをなにすることはできぬけれども、出す過程で、国会でこういう大きな歳入欠陥が生まれるだろうということがわかっておるのに、後で進退伺いを出すほど何となくそこへ財政当局が妥協して、そしてこれを最良のものなりとして出してくるところに問題があるんじゃないかということをむしろ私は指摘しておるわけであります。だから私は、その意味においては、先ほども言ったように、財政再建論議は本音で議論をし合わないとそこにはあすへの再生産はないんじゃないか、こういったことを申し上げておることを念のために申し上げておきたいと思います。
 そこで、財政再建の歳入面の、何といいますか、やはり増収を図ることを考えなければいかぬ。そのためには、実はきょうは租税特別措置の項目をずっと一覧表にして出して、私は私なりに、特に租税特別措置の中ではこの種のものは全廃をしてどうでしょうか、この種のものは今の税率を大幅に引き下げてはどうでしょうか、あるいは少し時間をかけて検討しなければならないものはどういうものがありましょうかという、三つぐらいに区分けして議論をしようと思ったのですが、ちょっと準備不足でございますし、時間の関係もありますので要約して言わせていただければ、政府の方も、先ほども議論に出ましたが、例えば貸倒引当金とか退職給与引当金の限度額の問題については一定の改正案を出しましたが、やはり実績から見て、これなんかは現行の半分以下に税率を引き下げるべきじゃないか。
 これは一つの例でありますけれども、大会社の退職給与引当金一つだけでも例にとりましょうか。例えばAという銀行は、現在、退職給与引当金だけで八百三十三億持っておるのですね。八百三十三億積み立てておる。ところが、いわゆる退職給与引当金の性格、目的に合致する目的使用をやっておるものはそのうちの何%かというと、わずか三・八%なんです。四%足らずなんですね。ある大きな製鉄会社、これはそれ以上に持っておりまして、千九百八十一億持っておるのですね。これは大蔵省に出す有価証券報告書の数字ですから間違いのない数字でしょう。それで目的使用率というのはわずか三%。これは結果的には税隠しですよ。脱税ですよ。
 これは私は五、六年前にも申し上げたと思うのですが、「戦後産業史への証言」ということで、かつて大蔵省の主税局長あるいは国税庁長官をやられたような泉さんとか吉國さん、この間まで国鉄の総裁をやっておった高木さんとか、そういう方の対談を連続してやっておりますね。これを見ても、非常にはっきり言えることは、租税特別措置なんというのは、これは全く大企業に対する今日でいうところの国の補助金だ、無利子の融資だ、特別償却なんというものは、こんなものはやめてしまわなければいかぬ、こう言っておるのですね、財政を担当してきた人が。ところが、どうですか。去年なんか、またエネルギー関係で新しい特別償却、三〇%から三五%、これをやっている。こういう租税特別措置というようなものをこの際、どうして大臣一遍抜本的に洗い直しをやらないのですか。
 これはこれだけやっても一時間二時間かかります。私の今持っておる材料だけでもそれぐらいかかるのですけれども、今言ったように、乱暴なことで全部なくしてしまえというんじゃないですよ。なくするものもある、あるいは二分の一ぐらいに下げたらどうだというものもある。こういう現実的な対応をやっても、計算しますと五兆円、計算の仕方によると十兆円ぐらい財源が浮いてくるのですよ。そういうものに全然手をつけないで、そしてこれは大変失礼だけれども、厚生大臣、自治大臣おられますが、今度の五千八百億のこの補助金、もうずっと何日も議論してきておりますから私は申し上げません。申し上げませんけれども、連合審査の中でもそれぞれのベテラン議員から具体的に質問がありましたように、なぜここまで、生活保護の問題なり、地方財政がいい、いいなんて言うけれども決してよくはない、そういう地方財政に国の財政のしわ寄せをするのかというようなことが、私はこういうものとの関連において理解ができないのですよ。これは何としてもこの際一遍それだけのプロジェクトでもおつくりになって、私がこういうふうに言うと、三年先になったらまたちょっと言いわけ程度にやってくれるかもわからぬけれども、そうじゃなくて、不公平税制の是正といいますか、租税特別措置を中心とした抜本的な見直し、そういう中から必要な財源を調達して、そして生活保護とか老人医療とか児童福祉とか地方財政とか、そういうものは基本的に国の政治の責任の中で守っていくのだという、そういうものを私はやはり出してもらいたいのです。大臣、どうでしょう。
#35
○竹下国務大臣 退職給与引当金は、いわゆる租税特別措置、政策税制ではないと考えております。これはいわゆる法人税を適正に算出するための制度であるということでございますが、しかし今、俗によく不公平税制という言葉が使われる。私ども、国会を通していただいた税制そのものが不公平であるとは言えませんが、不公平感が存在しておることは十分認めておるわけであります。したがって、その不公平感というのは、今御議論がありましたように、いわゆる租税特別措置というのは税の本来の体系を多少の度合いはありましてもひん曲げるわけでございますから、これはやはり絶えず見直しの対象にしておかなければならぬものである。政策税制としての意義づけは認めないわけではございませんが、絶えずこれは見直しの対象としておかなければならないものだ。
 今おっしゃいましたような議論が最近国際会議等でもよく言われますが、租税歳出とかいう言葉で使われております。言ってみれば、税で納めた中から補助金として支出してもらうものを、税を納めないで済む特別措置に該当したものは、いわば租税歳出をいただいたようなものだ、こういう議論は確かにございますので、特別措置というのはいつでも見直しの対象にしておかなければいかぬ。だから、今度アメリカの財務省が提案いたしました税制改正――提案とまでいっておりませんが、大統領府に出しましたところのあの税制というのも、本来フラット税制とかシンプル税制とかいうのは、可能な限り特別措置というのは排除すべきだ。レーガノミックスでとられた税というのは、ある意味においては余りにも特別措置が多過ぎたかもしれません。だから、その限りにおいては、特別措置というのは絶えず見直しの対象にしておかなければならない。ただ、政策税制全部を否定する考えはございませんけれども、そういう性格のものであるという事実認識は私どもも持っておるところでございます。
#36
○藤田(高)委員 私の要請を含めた質問に十分こたえられた答弁だとは思えないのですね。私はエコノミストとしての対談ではありませんが、この特別償却に代表されるようなことをやると、これは古い一つの記事ですが、ある会社なんかはそれで全然法人税を払わなくてもいいとまで財政の実務者が言っておる。少なくとも、現在法人税が四三・三%であれば、これは半分くらいになるのじゃないか、こういうふうに見られるわけですよ。
 そこで、今常時見直すという大臣の御答弁ですが、もう少し目的意識的に財政再建をやるためには、そのこと自身を不公平とは財政当局は言えぬと言うが、それは、よりよく公平を確保するための租税特別措置に関する税の見直し、こう言っても何でも結構です、名称に何もこだわる必要はないわけですから、そういうもので、例えば私は今二つのことを挙げましたが、受け取り配当益金の不算入の問題であるとか、支払い配当軽課の問題であるとか、あるいは株式の払い込みプレミアムの非課税の問題であるとか、あるいは海外投資等の損失準備金とか、異常危険準備金であるとか、あるいは渇水準備金、価格変動準備金、ずっとたくさんありますけれども、今ちょっと代表的なものだけ読み上げてみましたが、そういうものについては、私はもう少し財政再建、いわゆる先ほどからの議論ではございませんが、要調整額の財源をどういうものに求めていくかと裏腹の関係でこういうものの見直しをやる必要、そういう時期が来ておるのじゃないか。
 そうしないことには大臣、私は思うのですよ、それは自治大臣なり厚生大臣おられて失礼ですけれども、これは個人の問題じゃなくて、やはり財政調整権を持つ大蔵省は強いですよ。これは何だかんだと言ったって強いですからね。最後は、三大臣のああいう覚書じゃないけれども、これはある意味で私は適切じゃないけれども、昔で言ったら泣きの涙で一札入れたと思いますよ。私は政治の世界というのはそういうものだというふうに見ておるのです。
 私が今指摘しておるようなことについて、そこまで前向きに、そこまで真剣にやらないと、今度の一括法案に代表されるような生活保護にまで影響が及ぶようなことはできないんじゃないですか、これは政治の総体論として。どうでしょうか、その点では、大臣の今の取り組む御答弁では。私は率直に言って物足りない。そういうなまはんかなというか、中途半端な態度であれば、野党の我々としても、もう極端に言ったら政治責任だけをどんどん追及するような型になってくるのじゃないか。そうではなくて、我々は少なくともここにこういう問題があるのじゃないでしょうか、これについては与野党こぞってこういう方向で努力したらどうでしょうかというものを提示しつつ質問させてもらっておるわけですから、そういう熱心にこたえられないものがあるかもしらぬけれども、やはり道理にかなったものについてはもっと積極的な御答弁を煩わしたいと思うのですが、どうでしょうか。
#37
○竹下国務大臣 今のいわゆる租税特別措置に対する物の考え方でございますが、支払うべき税金を支払わないというのは、仮に本則どおり払っておったらそれだけの補助金を受けたと同じ結果であるという論議は、これは今日多数ある論議でございます。したがって、租税特別措置というのは大なり小なり本則を曲げるわけでございますから、絶えず見直しの対象にしておかなければいかぬ。そこで、それらの問題は、きょうなどの議論が正確に報告されて、税調にこれから議論してちょうだいすることになろうかと思っております。
 ただ、今度の税調は、財政再建の手段としての税制を考えてくれ、こういう諮問ではないわけでございますから、そこでその後の問題になってくると思うんです、あるべき税制の姿というのが出てきたら。その後の問題として、されば財政再建にそれがどのように機能していくかというときに、言ってみれば要調整額の場合、これだけは増税によってという書き方でなく、租税特別措置等の整理合理化等によってこれだけのものが出ますということがその次の段階に書かれていく方向にいくんじゃないかな、こういうことはおぼろげながら私の頭にないわけではございません。
 しかし、私はいつも聞く耳を持っておると申しますか、人間みんな耳はついておりますが、可能な限り議論を深める中で、絶えず吸収していくという形で政策選択のそれを基礎に置くべきだ。だから、私が二十五年前の話をしましたけれども、あのころ先輩がよく言ったのは、本当に野党の皆さん、安保、防衛は当時は激突しておったわけですから、いわば財政論議などはそれを吸収して、三年後というのもこれは非礼な言い方ですけれども、私の友人がただ言ったというにとどまることとしてお許しいただく、そういうのが実りある論議の中に政策選択として実現していくというふうに、私はそういうスタンスで対応していいんじゃないか、自分にはそういうふうに言い聞かしております。
#38
○藤田(高)委員 私はこの補助金一括法案の審議に参加して、政府の答弁の中に一つやっぱり物足らない点があるわけです。というのは、臨調ベースで、臨調がこうだ、今のお話じゃないですけれども、臨調の答申からいくと取り組むべき検討課題は次はこうだ。それはなるほどこれも大事な、よしあしは別にして、臨調から出されてくるものの中で、いいものは積極的に取り上げていく。しかし臨調オールマイティーでないんで、むしろ政府がその中で出てきたものの選択をしていくんだ、それをさらにチェックするものは国会でもあるわけですから、そういう点では、この間の生活保護にまで手をつけるものについては、臨調でさえ第一次の答申ではそれを外せ、こう言っておるんだ。いわんや、今度それをやってもいいという意味のことを書いておるのかどうか、私は書いていないと思うのだけれども、きょうの午後、土光さん来られるのですか、どなたか来られるのだろうけれども、私は、臨調がこう言ったからああ言ったからということは一つの参考であって、国会で議論する場合は、それはやっぱりそういうものは一つの参考であっても決定的なものではないという前提で取り組むべきだろう。そういうものとの兼ね合いにおいて、今の臨調の物の考え方、順序はそうであったとしても、私が強く求めておる、よりよく公平を確保する括弧つきのいわゆる不公平税制の是正については、抜本的な改革をやってほしいということを強く求めておきたいと思います。
 そこで、財政関係に関連してあと二つあるんですが、一つだけ簡単にお尋ねしておきたいのは、国債整理基金の定率繰り入れですね。これは先ほども私申し上げたように、この四年間、定率繰り入れを停止したということでざっと六兆円ぐらい財源が浮いてきておるわけです。しかし、これは極めて大蔵大臣には失礼ですが、財政秩序を乱した中では例の赤字公債の倍換債をやらぬという、またやってはならぬものをやるようなことをやりましたけれども、全く私は気持ちの上では憤慨しておるんです。こういうでたらめな、もう境目のない、折り目、切れ目のない、財政秩序を乱してまでこのようなことをやる今の財政当局のやり方に対して、私は感情としては非常にふんまんやる方ないものを持っておりますが、これはひとつ感情として、この定率繰り入れを停止するときには、財政当局は一方では高い利子のつく赤字公債を出して、片一方では生の金を積み立てていくような、俗に言う歩積み両建てみたいなことをやるべきじゃなんて適当なことを言って、そしてこの四年間、これは繰り入れをやらなかった。
 今度これは繰り入れをやるわけですね。繰り入れをやらぬことには、もう余裕金が、国債整理基金の中身が空っぽになってきておるわけですから、九千億しかないわけですから、もうこれはやせても枯れても、赤字国債、建設国債含めて、これは今はどんぶり勘定になっておりますけれども、その現金償還をやらなければいけない分だけは、繰り入れ額はともかくとして、繰り入れをやって、そして現金償還には絶対差し支えないようなことを今後は継続しておやりになるお考えなのかどうか、これをひとつ聞いておきたいと思うのです。
#39
○竹下国務大臣 確かに、この定率繰り入れというのはいわば国債政策の歯どめだということで、六十分の一に相当するものを国債整理基金に入れていく。財政が非常に厳しくなりましたから、言ってみれば、国債整理基金に定率繰り入れをすれば、それだけ赤字公債を余計発行して繰り入れをするからという議論もございました。ございましたけれども、その際の議論もやはり、たまたま今空っぽというか少なくなっておっても、償還期がまだ来ないからその定率繰り入れをしないでも許されたと申しましょうか、やむを得ないというような答申をいただいて、それでそういう措置をとらしていただいた。が、その後でもう一遍議論してもらいましたら、やはり財政審も、いわば基本的には現行の減債制度の仕組みは本来これを維持するのが適当であるということをやはりきちんと答申をいただいたわけであります。
 したがって、六十一年度におきましては、国債の償還財源の問題はもはや猶予を許されない状態になるわけでございますから、したがいまして、今度は新しい工夫として、いわゆる電電株、たばこ株が国民の共有の財産であるということから、売却収入等は国民共有の負債である公債の償還財源に充てることが適当であるということから、いわば株式のうちの売却可能分について国債整理基金特別会計に帰属させるということを、この次御審議いただく財確法でまたお願いをしておる、こういうことになったわけであります。
 それで、六十一年度、それじゃ定率繰り入れの取り扱いはどうするかということになりますと、そのときの財政状態とそれから資金繰りを見まして決めるわけでございますけれども、現行の減債制度の仕組みを維持するという基本的考え方は踏まえて対処しなければならぬ。例えば議論の中に三分の二入れよとかあるいは半分入れろとかいう議論もございますけれども、それはそのときの財政状態を踏まえてまた議論することがあろうといたしましても、やはり基本的考え方でありますところの減債制度の仕組みはこれを維持するという考え方で対応すべき問題であるというふうに認識を私はいたしております。(「よし」と呼ぶ者あり)
#40
○藤田(高)委員 大変な激励の不規則やじも飛んでおりますけれども、これは真剣に議論しておる立場から見たら、定率繰り入れの問題だって、今の大臣の御答弁の中にも問題があるんですよ。というのは、その当時、こういうふうに定率繰り入れをやめるという議論が一番最初起こったときには、御承知のようにまだ赤字国債の借換債はやらぬということを答弁しておる時期ですから、今の御答弁の中には実際問題がある。しかし、そういうことはやめましょう、きょうはそれこそ時間がないから。
 私は、この数年間のことはお互い議論してきておりますから、そういう意味合いも含めて、これもどんぶり勘定になってきておりますが、現金償還の分だけは、これは国債に対する信頼性を確保するためにも、また間接的というか、ある意味では直接的にもみだりに国債を発行するための歯どめとしてのそういう機能を持たす意味合いからも、少なくともこの定率繰り入れはぜひやってもらいたい。これが一つ。
 それと電電関係の、これはどの程度になるかわかりませんが、私の考え方からいくと、結果論的には同じになるかもわからぬけれども、そういう特別な歳入がある場合は赤字公債、特例公債の減額にそういう財源を振り込んでいった方が財政の運営としてはよりベターではないだろうか、こんなふうに思うのです。これは、そのこと自身にはこだわりませんけれども、大臣の御見解を聞かせてもらいたい。
 時間があと十分程度でございますので、一括して二、三お聞きいたしておきます。
 補助金に関連して厚生大臣、自治大臣に率直にお尋ねするのですが、先ほどから二時間近く、私は私なりに、今日の国家財政の現状なり今後の財政再建の展望、見通しについて私見を交えながら申し上げたのです。こういう財政事情の中で、今日まで再三議論になってまいりましたが、言うところの行革法に関連する例の厚生年金の一年繰り延べ、三大臣の覚書によって必ず返済する、こう言っておる問題でありますが、こういう情勢の中で、お二人の所管大臣、特に厚生大臣、六十一年から必ず返ってくる、返済できると思うかどうか、これは率直な意見を聞かせてもらいたい。
 財政当局の方にお尋ねしたいのですけれども、三大臣の間でそういう原則的な覚書による取り決めがなされておる。いま一つは、これをこういう取り扱いをするということが決定されるときの当該委員会の議事録をずっと読んでみますと、三年たてば必ず返済する、こう言っておるのです。これは私は今日の段階からいけば、明らかにある意味における大臣の食言ではないかと思うのです。必ず必ずということを何回使っておるかわからぬ。当時の渡辺大蔵大臣、個人で言えばあの人もおもしろい人だから冗談を言うくらいに聞き流されるかもわからぬけれども、国会であれだけ厳格に答弁しながらまた一年繰り延べる。そして今度また一年かかって制度の見直しというか本格的な機能分担等については検討するんだ、そして返す方向でやる、こう言うのだけれども、そこまで返すということが原則的な方向になっているのであれば、さっきの財政再建ではございませんが、財政当局としては何年くらいで返すつもりなのか、見解を聞かせてほしい。
 次の問題は、現在参議院で国民年金の改正案が出されておるわけです。返してもらう方との関係になってくるのですけれども、厚生年金の財源はほかの年金に比べて現在の段階は比較的何とかなるだろう、こう言っておりますが、財政当局の返してくれるいかんによっては、厚生年金だって五年もたてばだんだんと財源がおかしくなってくるわけです。そういうものとの兼ね合いにおいて、これはどうしても返してもらわなければ今の年金法の改正の問題とも関連してなじまないことが起こってきておるのではないかと思うのですが、そのあたりの見解はどうでしょうか。
#41
○竹下国務大臣 まず私の方からお答えいたします。
 最初の電電株の問題でございます。電電株は本当のところ赤字公債の削減に充てろ、こうおっしゃっておりますが、それが売れるころはあるいは赤字公債から脱却しておるころになるのかなと思ってみたり、現実問題、本当はいついかなる方法で売れるかということは率直に申しまして見当がつきません。したがって、原則的には公債残高を減らすためにいわば直入して、国民の財産だったから国民の負債に充てよう、今日の答弁ではそこまでが限界ではなかろうかと考えますが、御趣旨は私にも十分理解できる問題でございます。
 次の問題は、三大臣申し合わせで、いろいろな問題について一年かかってしっぽりとあるべき姿を議論しよう、まさにそのとおりでございます。
 さらにそれに敷衍してお話のありました厚年の問題でありますが、これは渡辺大臣ももちろんでありますが、私がまた五十八年の答弁におきましても――五十九年はさすがに、五十九年度が財政再建の目標の赤字公債脱却を放棄した宣言をしておりますからそのときは言っておりませんが、五十八年は私も、これは前大臣と厚生大臣がお答えしたとおりでありますということを何回も言っておりますから、その限りにおいては食言あるいは政治責任。が、五十九年の脱却ができなかったという環境の変化の中で一年延ばしてください、こう申しておるわけです。
 したがって、この問題は、今おっしゃいましたように、私も専門ではございませんが、年金改革というものを、結末はこれから国会でつけてもらうわけでございますが、一応予定しておる。しからばその予定しておるものがどういう姿になるかということもございますので、まさに一年ということでお願いしておるわけでありますが、今日の時点で答弁の限界といたしますならば、要するに年金財政に不都合をもたらさないように必ず適切な機会にお返ししますという考え方は変わっていない、ただ五十九年が延びたということは事実です、こうお答えせざるを得ません。
#42
○増岡国務大臣 高率補助のカットに関しましての三大臣の約束のことでございますけれども、この措置は一年限りということでございまして、役割分担と費用負担の割合をこれからじっくり相談しようということでございます。私どもは、最初に申し上げましたように、福祉の水準が実質的に下がることのないような配慮を終始一貫通してまいりたいと思います。
 また、年金の繰り延べ問題でございますけれども、御指摘のとおり、この数年間は年金の制度に支障がないということでありますけれども、将来に対しましての貴重な財源でありますから、できるだけ早く返していただきたいというふうに交渉してまいりたいと思います。
#43
○古屋国務大臣 三大臣の覚書でございますが、御承知の経過のように、私ども自治省といたしましては、地方財政の現状あるいは非常に厳しい財政事情下におきまして、本当は事務分担とか事務の役割ということを考えてから補助金の整理はもちろん必要であると考えておりましたが、私どもは予算編成の直前まで、一括にカットしてそれから後事務分担、そういうものをやるのはむしろ反対だ。地方の事務分担とかそういうことをどうして合理化するか、それによって補助金の定着しているものはもちろん整理していいと思いましたが、一律カットということは私ども自治省としては反対の立場にありました。ただ、予算編成の直前までこの問題はもめましたが、編成直前になりまして、どうしても厳しい財政状況だから、一年限りとして、またそれは国で補てんするからということで私どもはこれに従ったというような事情でございます。
 三大臣の覚書につきましても、地方財政の現状あるいは地方制度調査会の御意見も徴しながら、また福祉は国家的責務というようなことも考えまして、三大臣の間でそういうことを基礎にして協議をしてまいりたいと思っております。
#44
○藤田(高)委員 時間が参りましたが、あと一つ質問をお許しいただきたいと思うのです。
 今さら手続関係を申し上げても仕方ないのですが、厚生年金のこういう繰り延べについては、かつては社会保障制度審議会、社会保険審議会といったところの答申も得てきておると思うのですが、今回もその手続は当然踏まれておるのでしょうね。これが一つ。
 それと、もう全く時間がありませんのでお許しいただきたいのですが、今日までのこの補助金問題の議論を通し、あるいは参考人の意見なんかから判断できることは、産炭地の田川市に代表されるような意見ではございませんが、生活保護適用者の非常に多いような地域は、交付税で面倒を見るのだと言ってみても現実的にはでこぼこのぼこの方ができるのじゃないか。あるいは財政力についても、名古屋の大学の教授でしたか、名古屋周辺の財政事情をなにしますと三倍ぐらいの違いがあるというわけですから、財政力の弱いところは同じ四千八百億の地方債が出ても、資金繰りの面で利子負担の問題なんかが出てくるということになると、表向きの数字だけを見るとそこには全然影響がないように見えるが、実際の第一線の現場では影響が出てくると私は思うのですね。ですから、そういうものに対しては、例えばですが、特別交付税で面倒を見るとか、一定の財政指数で財政力の弱いところに対しては具体的に今から実際の面で問題が起こらないように段取りをする、あんばいをするというものを提示してやる必要があると思うのですが、そういうものについてのお考えをぜひ聞かせてもらいたい。
 それともう一つの問題は、これは私自身がきょうの質問で財政関係に大変時間をとったものですから自治大臣にお尋ねするところまでいかなかったわけですが、大蔵大臣にも関係してなにしたいのですけれども、今回の補助金一括法案は、国の立場から見ると地方の財政事情の方が少しいいと。この端的なあらわれは、財政制度審議会の第一部会の答申の中に如実にあらわれておるのですね。これはもう時間がありませんから詳しくは言いませんけれども、結局円満な地方財政運営等のために特例公債を含む巨額の公債を発行してきたことで国がこういうふうになったんだ、いわゆる地方の財政経済運営を円滑にするためにわざわざ国が赤字公債まで出して面倒を見た結果が今日の我が国の財政状態を引き起こしておるんだ。私は、それも小さい一つの要素かもわからないけれども、今日国の財政と地方財政と比較した場合に、一昨日の新聞じゃないですけれども、これは仮定ですが、地方財政が国と比較して少しいいとすれば、これはそれぞれの自治団体が毎年財政基金、積立金のようなものをつくったり、多いところによったら十種類、十五種類ぐらい、非常事態をも――非常事態というのは、特別に災害その他で出費をしなければいかぬようなことも考えて、普段から財政抑制、今日で言うところの行革ですか、地方的な行革を自主的にやってきたからこそ今日の財政がどうにか持たれておるのであって、これは国がどうだこうだというものじゃないと思うのですよ。このあたりの地方財政に対する大蔵大臣なりあるいは自治大臣の認識というものをぜひ聞かせてもらいたい。
 私の率直な意見を言わせてもらうと、地方財政も地方債の償還がいよいよこの六十年から数年間がピークになるわけですね。あるいは先ほど私が言ったさまざまな、俗に言う貯金ですね、積立金というものはずっと崩していかなければならぬ。そして、全国の府県単位で見ると、歳入総額に対して税収の占める比率がわずか一〇%台、一割自治と言われる一〇%台になっておるのが十五団体もできてきておる。こういう面からいくと、今日、地方債の累計額が四十二兆円にも達しておるというような状況等々を考えると、安易にとは言いませんけれども、地方財政がゆとりがあるからこの種のような、補助金一括法案に見られるような形で少々地方財政に圧迫が出てもやむを得ないんだという考え方で今後の財政運営をやることは根本的に誤りだと思うのですが、そのあたりの認識をお聞かせいただいて私の質問を終わりたいと思います。
#45
○古屋国務大臣 地方財政につきましては、今先生お話しのとおり、現在借入金その他五十六兆ぐらいのそういう支払いしなければならない分があるわけでございます。それに地方団体といえば三千三百で、今先生のお話しのように、中には相当財源もあるものもありますけれども、大部分が財政的には非常に困って、積み立てといいますか、いろいろなことをやっておりますが、それをどんどん切り崩しておるというのが実情だと私は考えております。そういう意味で、現在二〇%以上の公債率というのは危険信号といいますか、これが大体四分の一、八百二十団体というものがあるわけでありまして、財源的にも義務的経費が多いし、自由裁量的なものは地方財政にはほとんどない。税制の面でもそういう状況でございまして、私どもは地方が豊かだからこれに従ったということは絶対ございません。私どもは、地方財政の立場にありまして、国のこういうあれが国と地方は両輪のごとくあらなければならぬということから、やむを得ない、一年限りで、しかも財源を負担していただけるということでこういう措置をとったことは先ほど申し上げたとおりでございます。
 それから交付税、特別交付税、お話しございましたが、産炭地等の生活保護の問題、これは厚生省から申すべきことかもしれませんが、二百億の交付金というものは取る、そういうものを重点的に配分していただけるというふうに考えておりますから、自治省としてもその結果によりまして、また、赤字が多いとかそういうどうしても負担できない、国全体としては大丈夫だけれども、個々の地方団体の財政力で困っておるところにつきましては、特別の財政措置を講じたいと考えております。
#46
○長尾政府委員 お答えを申し上げます。
 厚生年金の国庫負担の繰り延べ措置を延長する件につきましては、社会保障制度審議会、社会保険審議会に御説明いたしまして御意見を伺っております。
#47
○竹下国務大臣 いわゆる財政制度審議会の報告をもとにしての御意見でございますが、確かに大蔵省という役所は、地方財政を見ます場合に、いわゆる地方財政計画という土俵でマクロ的に見ます。したがって、マクロ的に見たときに、やあ公債残高が違うじゃないかとかあるいは赤字公債はないじゃないかとかいうような議論をよくすることがございますけれども、今古屋自治大臣からお答えがありましたとおり、国も地方も車の両輪としての役割を果たしつつも、お互いが財政は厳しい状態にあるという認識は十分持っておるつもりでございます。
#48
○藤田(高)委員 どうもありがとうございました。
#49
○堀之内委員長代理 午後零時三十分より再開することとし、休憩いたします。
    午後零時十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後零時三十三分開議
#50
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。戸田菊雄君。
#51
○戸田委員 まず最初に、今回提案されました国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案、すなわちこの五十九法律、六十六項、これが一括法案として大蔵委員会に審議をしなさい、こう出された。
    〔委員長退席、中川(秀)委員長代理着席〕
このことについて私は、国会の審議権の軽視、それから採決権を奪う、こういう不法なものじゃないかという考えを持っているのですが、この扱い方について大臣どうお考えでしょうか。
#52
○竹下国務大臣 これを提案をいたしました立場から申しますと、これはこの各措置がいずれも昭和六十年度予算編成に当たっての国の財政収支にかかわる問題である、しかもこれは歳出削減、縮減にかかわる問題であるというところから、いわば一括性があるという判断を行い、そして法制局ともすり合わせの上にこれを提案をいたしました、こういうことになります。
    〔中川(秀)委員長代理退席、熊川委員長代理着席〕
 それで、審議の方法につきましては国会でお決めになる問題でございますので、私の方から論評は差し控えるべきであるというふうに考えております。
#53
○戸田委員 そこで、法制局長官にちょっと見解をこの機会に承っておきたいと思うのですが、これは「憲法の論点」、田上穣治さんが書いたものです。諸説はあるようでありますけれども、私は、以下田上さんが書いておられるこの論調に実は賛成なんでございます。田上さんは国会の概況等についてこういうことを言っています。
  国会は、いうまでもなく国民を直接代表する機関である。
これは憲法四十三条。
 そして、国民は、原則として、国会を通して政治に参与する。
これは前文ですね。
 したがって、国会の意思決定手続は、できるだけ国民の意思を忠実に反映するように、実質的な配慮がなされなければならない。そのような配慮がなされることなく、ただ単純に、「国会の意思イクォール国民の意思」という法的フィクションのみが押しつけられるならば、国民と国会は遊離し、議会制の危機は深まらざるをえないであろう。一見技術的問題にすぎないような国会運営の問題が、今日とくに重視されるようになった理由は、まさにここにある。
こう前文で言っておられるんですね。これに対する見解はどうでしょう。
#54
○茂串政府委員 ただいまお読み上げになりました田上先生の国会運営のあり方に対する基本的な考え方、この点につきましては私も同感でございます。
#55
○戸田委員 それで、なおかつこの二百三十六ページで「二つの指導原理」ということを指摘されている。
  第一の原理は、民主的な審議過程の要請である。議会が、その意思を決定する場合、1必要なときにはいつでも(会期の問題)、2できるだけ多くの議員の参加を得て(定足数の問題)、3公開の議場で(会議公開の原則)、4自由な討論と十分な審議を経たうえで(議員の発言表決の無答責制)、5民主的な表決がなされなければならない。このような慎重審議の手続をつくさずに決定された議会の意思は、実質的にみて国民の意見を十分に反映しているものとはいえない。
  第二の原理は、議事運営における専門性・能率性の要請である。特に二〇世紀の社会国家においては、積極的な国家活動が急激に増大したため、この原則の比重もまた大きくならざるをえない。1伝統的な一事不再議の原則や、2常任委員会制度の発達は、この第二の観点からも問題とすることができる。
こういうことを指導原理として指摘をされている。この見解はどうでしょう。
#56
○茂串政府委員 国会のあり方に絡むいわゆる指導原理とういことで田上先生がお書きになっていらっしゃると思いますが、学説としてまさにそのような考え方が適当であると私どもも考えております。
#57
○戸田委員 それで、なおかつ二百三十九ページに参りまして、委員会制度について述べられております。
  各議院には、総議員で構成する「本会議」と委員会の会議とがある。憲法は前者についてのみ規定し、後者には触れていないので、委員会制度はもっぱら国会法、衆議院規則、参議院規則の定めるところによる。委員会には、常任委員会と特別委員会の二種がある。本会議で審議すべき案件の予備調査を行なうことを職務とするが、実質的には、議院活動の主役となる。現代国家においては、議院の審議すべき案件は、数も極めて多く、質も高度の専門的知識を要求するようになってきているので、この傾向は、至極当然のなりゆきといえよう。
これはどうでしょう。
#58
○茂串政府委員 国会のあり方の中で、いわゆる委員会制度の性格なりあるいは本質あるいは機能といったものについて田上先生がお触れになられていると思うのでありますが、この辺は国会運営のかなり具体的な問題になりまして、政府の一員としての私の立場からとやかく申し上げることもどうかと思いますけれども、私個人としてはまさに先生の御説のとおりであるというふうに考えております。
#59
○戸田委員 そこで問題は、一点だけ伺っておきたいのですけれども、結局国会の組織、運営等については行政に対応して常任委員会というものを設置をされている。十八常任委員会と理解をいたしますが、その常任委員会は、例えば大蔵であれば大蔵省あるいは直轄の各業務機関等々のチェックとして、あるいは厚生、労働は社会労働委員会に、いわば行政に対応して国会の組織、運営というものがつくられている、その対応措置を図られている、こういうことになるかと思いますね。
 そうしますと、今回五十九の法律が出されまして、そして八省庁に及ぶということであれば、当然それぞれ分割をして、それぞれの対応措置、常任委員会に諮られてやっていくことがよろしいんだと思うのであります。さっき大蔵大臣の見解では、財政調整上、こう言われておったようでありまするが、しかし、どういう事情があれ、行政に対する対応措置というものはそういうことが原則でなければいけないのですから、そして前段でいろいろ指摘をされた内容等を踏まえて、やはり常任委員会、それぞれ分割をしてやるのが私は一番ベターなやり方ではないだろうかという気がいたすのでありまするが、この問題についてひとつ見解を伺っておきたいと思います。
#60
○茂串政府委員 御指摘の問題になりますと、我々が従来いわゆる法案の一括化についてどのような基本的な考え方なり基準、方針を持っているかというところをお示ししなければならないわけでございますが、これも従来から何回か御答弁申し上げておりますけれども、二つ以上の法律改正を一つの法律案にまとめて、いわゆる一括化して国会に提出するということは従来からしばしば行われているところでございまして、枚挙にいとまがないほど多数ございます。一般論としては一つの技術的な立案方式として認められているということは御理解いただけるのではないかと思います。
 ただ、一括化が無制限あるいは無原則に行われるということになりますと、これは無論よくないことでありまして、従来から我々といたしましては、一括化の基準あるいは方針というものを立てまして、これに当てはめて、そして慎重に処理を行ってまいってきているつもりでございます。
 この基準の内容を申し上げますと、これもしばしば申し上げておりますように、まず第一には、法律案に盛られた政策が統一的なもので、その趣旨、目的が同じであること、それから第二には、法律案の条項が相互に関連していて、一つの体系を形づくっているということが挙げられると思うのでございまして、こういう基準に該当する場合には、いわゆる一括化してもよいのではないかということで対処してまいっておるものでございます。ただ、それ以外に、今申し上げました基準とは別に、実際上の考慮といたしましての問題でございますが、できる限りどの法律改正も同一の委員会の所管に属する事項に関するものであることが望ましいと考えてきておるわけでございますが、ただ、法律案の具体的内容によってはこれを一括化した方が、とろうとする政策の趣旨、目的がかえって明確になるようなものがあることは否定し得ないところでありまして、このようなものについては、同一の委員会の所管に属しないものであっても、複数の法律改正を一括化して御提案申し上げるということが従来からしばしば行われてきたことは御承知のとおりでございます。
 ただいま御審議をいただいております法案につきましても、立案の段階でこれらの諸事項を十分に慎重に検討した上で一括化することが適当であるという結論に達しましたので、一括化法案の形で御提案申し上げたものでございまして、国会の各委員会の審議権を制限するということなどはもとより考えておりません。
 なお、法案の国会審議の問題は最終的には国会でお決めいただくことでございますので、私どもとして御意見を申し上げるということは、そういう立場にはございませんので、差し控えさしていただきたいと思います。
#61
○戸田委員 今法制局長官が見解として述べられた基準、それから最終的な扱い方は国会で決めなさい、それはそのとおりだと思いますから、我々も国会議員の一員として、今後議運等を通じまして法案扱い等に対する正当な扱い方を出さなくてはいけないと思いますが、今長官が述べられた基準の法的根拠はどういうところにありましょう。
#62
○茂串政府委員 法律改正につきまして、幾つかのものをばらばらで出すかあるいはまたこれを一括化して提案するかということは、これは特に法律では、いわゆる立案の形式につきましては別に法律で明記されているものはございません。あくまでもこれは先ほど申し上げたような基準の合理性の問題でございます。私どもとしては、先ほど申し上げたような基準が、いろいろな事柄を総合的に勘案いたしましても合理的なものであるというふうに考えました上で、従来からそのような基準、方針にのっとって処理をしてまいっておるわけでございます。
#63
○戸田委員 法制局長官、結構でございます。
 ありがとうございました。
 それじゃ本題に入りたいと思うのでありますが、まず最初に国庫補助金等の補助見直しの概況、いわゆる影響度についてでありますが、自治省に一定の資料をいただいたのですが、これは五十七年、八年を基準にするものであるから、六十年の予算が決まっているのだから、それを土台にした資料をください、こう言ったのですが、質問の時期までに持ってきます、さっきそういう話だったけれども、まだ来てませんでしょうか。
#64
○土田政府委員 お尋ねの趣旨は、公共事業の関係の各県、市町村の影響額という資料だろうと思いますが、これは委員部の方から先日御配付申し上げております。
#65
○戸田委員 ですから、それは五十七、八年を実績値として出したものであるから、六十年の予算額でもって持ってきてくれと……。これじゃだめなんですよ。
#66
○土田政府委員 お答え申し上げます。
 その資料は、五十八年度の決算をベースにいたしまして、昭和六十年度の影響額がどの程度になるかということを推計したものでございます。
 それから、委員お尋ねのような形で各県別に実態としてどうなるかということでございますけれども、これは三千三百団体につきまして積み上げをいたしませんと計算ができませんので、推計額以外は私どもの手元にはないという状況でございます。
 なお、その推計額と実際の道府県の負担額というものを、抽出でございますけれども、二、三当たってみますと、大体適合しているというふうに承知いたしております。
#67
○戸田委員 それはだめなんですよ。この間、四日、五日、三重県に行きましたが、三重県では四千億見当の予算確定をしているわけです。それに対して、あなたの方で出された資料は削減額四十億、ところが現地へ行ってみると六十九億、こうなる。その違いというものは何かといえば、五十八年実績値を土台にしたものと六十年予算額で決めたもの、これは違う。だから、各都道府県は全部予算確定しているのですからそれを持ってきてください、こう言ったのですが、できるだけやりましょう、こう言って、全都道府県聞いて持ってくるという話だったが……。
#68
○土田政府委員 当委員会におきまして何度か御説明さしていただいているわけでございますが、私どもとしては、この経常経費系統につきましては、生活保護とか児童福祉とか、こういうものは余り動きませんので、こちらの方の推計はできます、ただ、公共事業の関係につきましては、これは各省が現実にどれだけの予算というものを配るかということ、六十年度の予算が成立いたしまして配分が決まらないと計算ができないので、これは各県がどれくらいの負担になるだろうというおおよその推計額というものの情報は集めることができますけれども、政府として責任ある数字としては出せないというふうに申し上げている次第でございます。
 三重県について申しますと、経常経費系統につきましては、私どもの試算額は十八億でございます、県分でございますが。それから三重県が推計しました試算額は十九億ということでございまして、大体合っております。
 委員御指摘の数字の差というのは投資的経費系統になろうかと思いますけれども、この分につきましては、各県から実際にどういうふうに予算を組んでいるのか、その積算は何かということを聞かないと、私どもとしては提出できないという状況でございます。
#69
○戸田委員 それじゃ、きょうは、自治省で出しておる「国庫補助金等の補助率見直しの概況」、影響度、これは五十九年九月七日、予算要求段階で積算をした影響度がありますから、これを使わせていただきます。
 若干、大蔵省で言うのと自治省で言うのとは、数字的には違いが出てきますね。そうですね。違いが出てきますね。
#70
○土田政府委員 私どもとしては、トータル額としては大蔵省と私どもと数字を合わせているつもりでございますが、違っている点がありましたら、御指摘に従いましてお答えを申し上げたいと存じます。
#71
○戸田委員 それで、大蔵大臣と自治大臣にお伺いするのですが、どうも政府の中には地方財政裕福論、こういうお考えの方がおるようです。さっき大臣の御答弁を聞いておりましたら、どちらも厳しい。かつて総理もそう言っておられましたが、この問題についてどう考えておられるか。それから、今回の削減は即地方自治体の財政に転嫁をするものではないか。もう一つは、得てして今の項目、五十九法律を見ましても、その該当は主として弱い者に視点を当てられておる、そういう気がするのでありますが、この三点についてひとつ大臣の答弁を。
#72
○竹下国務大臣 いわゆる地方財政富裕論というのは、要するに大蔵省の所管しております財政制度審議会などで議論されたのを見てみますと、どうしても大蔵省の方はマクロで地方財政計画という土俵を見ながら議論をいたしますと、いや、公債残高が少ないじゃないかとか、いや、いわば赤字公債はないじゃないか、こういう議論になりがちで、そういうことからの比較論というのが私は全くないとは申しませんけれども、私はこの今回の措置はそうした観点からとったものではなく、いわゆる機能分担、費用負担のあり方というところから対応したものであって、私自身、国も地方も車の両輪としての役割を果たしていかなければならないが、いずれも厳しい環境にあるという認識の上に立っておることは事実でございます。
 それから、弱い者に焦点を当てた、これは恐らく中身で申しますならば、社会保障関係が多いではないか、あるいは地域特例というようなものは財政力の比較的弱い自治体ではないかとか、こういうお考えも背景にあろうかと思いますが、これもいわゆる末端の給付水準そのものをダウンさせるという前提の上に考えたものではなく、申し上げましたように、やはり費用負担のあり方という点から考えたものであります。
 それから、特に財特法等に関する地域特例の問題が一括法の中に入っておりますが、これは従来ともの考え方で、ただ、残念ながら五十九年赤字公債脱却ということができなかったということから、当面一年の暫定措置としてお願いをしておるという性格のものでございますので、特に力の弱いところへ焦点を当ててこの措置をとったという考え方はございません。
    〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
#73
○古屋国務大臣 今、第一の問題は地方財政が富裕かどうかという問題、それから第二番目の問題は今度の負担転嫁は地方財政法違反になるんじゃないか、第三は貧乏なところをどういうふうに持っていくかという御趣旨と思いますので、お答えいたします。
 富裕論につきましては、私どもももちろんそういうことは毫も考えておりません。言っております実態を申し上げますと、現在大体五十六兆。財政計画でことしのあれが五十兆近くでございますが、一年以上のそういう今までの借り入れあるいは精算せんならぬものを総計いたしますと五十六兆になっておる。
 もう一つは、公債負担率といいますか、大体三千三百、その四分の一の八百二十団体が危険信号と言われる公債負担率二〇%以上を超えておるということでございまして、これに対する対策といたしましても交付税その他でやりますが、やはり御承知のように、地方団体といたしましては歳出構造に義務的経費が比較的多い。それからまた、国によってずっと支配されるような財政状況になっておりますので、地方独自の財源というのは、本当にどうにもならぬようなといいますか、大いに救済していかなきゃならぬような状況になっております。
 そういうような状況でございますので、私どもは地方財政富裕なんということは毫も考えておりませんし、実際、また先ほども御指摘ございましたが、各自治体におきましてはいろいろな積み立て等をやっておりまして、また行政改革等も国に率先いたしまして、この二年間で広島県のごときは相当進めておるということを聞いております。人員の問題にいたしましてもやっておりますので、それでも積み立てをいろいろ崩していかなければならぬつらい状況にあるということを知っておりますので、私どもは国と地方が両輪のごとくという、そういうことはもちろんよく知っておりますけれども、地方は苦しい。豊かと言われるから国の転嫁を受けた、そういう考えは全然持っておりません。
 それから第二番目の地方財政法の問題でございますが、これによりまして実は五千八百億、これがなければ地方としてはことしは収支がとんとんにいくと私どもは思っておりましたが、五千八百億足りないというので、一千億は交付税、四千八百億は建設地方債ということで一応補てんをいたしたというようなことでございまして、私どもは、一律カットは正直に申し上げまして、はっきり言いますとただ国の費用を節約するだけじゃないか、いや、地方団体としては必要な補助金もあるし、それからもう地方に定着しているから――これは確かに一般財源に入れてもいいような補助金もあるわけでございます。そういう意味で、私どもその当時、去年の夏以来、考え方といたしましては、特に社会保障の面が経常経費で一番問題になっておりましたので、こういう経費削減は要らないんじゃないか、いろいろの論争を事務的にも随分重ねてまいりました。予算編成までこういう状況が続きました。しかし予算編成の直前に至りまして、国が非常に厳しい状況であるから地方も何とか考えろという御指摘がございました。これに対しましては、一年限りの措置ということで、その金額を、言いました五千八百億を国で見てもらえるということで私どもはこれに従ったような次第でございます。それで、これは今度の一括法にもありますように、財政金融上の措置を講ずるということをはっきり法案にも出していただいておりますよと。それからもう一つは、今言ったような五千八百億の補てんの問題で一応のあれができましたので、地方に負担を転嫁するものではないからということで地方財政法違反ではないというふうに考えております。
 それから、辺地やいろいろそういう地方財源の乏しいところにつきましては、先生のお話のように、末端の市町村等におきましては相当、国全体としてはバランスがとれても、末端についてはそういう問題があると思います。でございますので、これは厚生大臣からお話しになることでございますが、二百億の社会保障関係の調整交付金を大蔵省に認めていただいた、それでもまだなお足らぬようなところにつきましては、私どもはどうしても地方をほうかっておくわけにいきませんから、地方財政措置を講じてやっていきたい、こういうように考えておるところでございます。
#74
○戸田委員 そこで両大臣に再度お伺いをしたいのですが、大蔵大臣と自治大臣との申し合わせ事項ですね。四項目にわたっておるわけでありますが、一項目はわかるのですよ。問題は二項目なんですね。「昭和六十年度における建設地方債の増発額のうち、一千億円に相当する額については、昭和六十年度における補助率が、検討期間中における暫定措置であることに鑑み、暫定的に、昭和六十六年度以降に精算すべき地方交付税交付金の額に加算されるものとし、検討の結果を踏まえ、その取扱いについて両省間で調整するものとする。」こうなっているのですね。
 だから、大蔵省は今まで、これは一年の時限立法でございます、一年限りでございます。自治大臣の今までの答弁を聞きますと、この暫定措置その他について協議をして、その後に決めるという見解。結局、大蔵大臣、これはこういうことじゃないでしょうか。五十九年赤字国債の脱却を目指したがだめだった、したがって六年間延ばして、六十五年まで持っていきました、だから問題は、その見通しがつかないうちにこれは確定できませんよ、こういうことじゃないかと思うのです。財源がないのですから、結局そういうところに求めざるを得ない。言うなれば、六十五年の赤字脱却を含めた財政再建、この成功を見込んでそこまでひとつやっていこうということじゃないかと思うのです。だから、一年限りということは全く政治的な一つの調整であって、本来はそういうことではない、こう思うのですが、大蔵大臣どうですか。
#75
○平澤政府委員 今委員がおっしゃいました千億円のお話で、六十六年度以降調整ということにいたしましたのは、一つは、先ほど来御議論がございましたように一年間の暫定措置とする、特に社会福祉関係につきましてはその間に種々検討するということになりましたので、その検討の結果を見てどうするかということをまた改めて判断しようじゃないかということでございます。
 それから、それでは六十六年度以降ということでございますが、我々の頭の中には、六十五年度まで非常に国の財政状況が苦しいものですから、そういうことも念頭に置きつつ自治省と折衝いたしまして、六十六年度以降ということでお願い申し上げたわけでございます。
#76
○戸田委員 ぴりっとした回答じゃないのですね。だから、結果的にはこれは財政再建が可能だというところまで延長されていくわけでしょう。どうなんですか。
#77
○平澤政府委員 六十五年度までに赤字国債から脱却しようという一つの大きな目標がございます。したがいまして、その六十五年度の翌年である六十六年度と、こういうことでございます。
#78
○戸田委員 自治大臣、そういう見解でいいのですか。
#79
○土田政府委員 ただいま大蔵省からお答えがあったとおりでございますが、私どもとしましても、昭和六十六年度以降に五兆七千億借りております交付税を返さなければいかぬという問題がございますので、そちらの方の配慮というものもあるわけでございます。
#80
○戸田委員 そこで、中身について若干質問したいのですが、今回の一律一割削減、これはやはり相当矛盾が多いと私は思うのです。決して一割カットオーケーというわけじゃないですよ、私は反対でありますが、結局国はどうしても都道府県を縛る、都道府県は市町村を縛る、そしてそれが極度に財政力の弱い市町村、地方自治団体、こういうところにどうしてもしわ寄せがいく、こういうあり方になっていますね。
 例えば地方自治体に行く金が二千六百三十八億円、そのうち都道府県に行く分が八百二十六億八千万です。市町村には一千五百三十五億九千万円。確かに市町村の方が数が多いですから額が多くなるのは当然でしょう。しかし、都道府県の約二倍になっている。殊に、今産炭地で全部取りやめになられた田川とか北海道の赤平、こういったところは、後でいろいろ生活保護対象を見ますけれども、全国的に一番多い。そして税収が少ない。そういうところは、国は一割削減ですが、地方自治体に行きますと平均で五割も負担がアップする、こういう状況になっているのですから、そういうことになって、なおかつ弱い、財政収入のないところは極度に圧迫される。だから、こういった一割削減というものをもう少し財政調整をやって、そして条件に応じてそれらの削減方式を分担方式をやっていったらどうかという考えを持つのですが、これは大蔵大臣、どうですか。
#81
○平澤政府委員 委員御指摘のように、今回の社会保障、特に生活保護費の補助率の一割削減によりまして、今挙げられましたような市町村に削減額が非常に大きいというのはそのとおりだと思います。
 そこで、これは自治省の方からも御答弁があろうかと思いますけれども、基準財政需要額を算定して、その額がそういう交付団体の場合はそのまま交付税にはね返っていくわけでございますけれども、その算定に当たっては、特に密度補正においてそういう市町村にショックを与えないよう各般の御検討をしていると聞いておりますし、さらにそういう市町村を念頭に置きつつ、厚生省におきまして例の二百億円の生活保護臨時財政調整補助金、その配分に当たっても十分に配慮を行うということでございますので、そういう点から万全の措置がとられるのではないかと考えております。
#82
○戸田委員 これは後で詳細触れますけれども、例えば北海道赤平市の場合は、百四十六万八千有余の生活保護対象者の中で、人口二万四千三百八十人で六百七十一人の被保護者がおって、総体二七・五パーミルを占める。こういうところは税金も入ってこないのですよ。それから田川郡の場合は十万六千六百三十一人の総人口に対して、被保護人員が二万一千二百七十五人おって一九九・五パーミルですよ。二〇〇パーミル近い。ほとんど税収もない。そういう状況になっているのですね。だから、それらに対する何らかの財政調整があってしかるべきじゃないだろうか、これが私の考えなのでありますが、これらに対してもう一度何らかの調整が必要だ。自治省、大臣、どう考えますか。
#83
○土田政府委員 ただいま地方行政委員会におきまして、地方交付税法の改正の審議をお願い申し上げているわけでございますが、委員御指摘のようなケースにつきましては、生活保護費について申しますと、今まで地方負担が二割という計算でありましたものを、今度は三割から臨時財政調整交付金を引いたものだけふやす、三割近くふやすという形での算入をするわけでございます。そこで、生活保護世帯数の多いところにつきましては、そういう形での生活保護費の基準財政需要額がふえてまいります。一方、もし税収が伸びないとしますと基準財政収入額はそのままになりますので、基準財政需要額と基準財政収入額の差は、普通交付税の増ということでそれぞれの団体に財源措置されることになります。そういうことも含めまして、昭和六十年度の地方交付税は、前年度に比べまして一〇・九%増しというものを確保しているわけでございます。
 ただ、普通交付税の算定につきましては、全国画一の単価での算定でございますので、個別団体につきまして普通交付税で措置しましたものと財政負担との差は当然生じてまいると思いますけれども、こちらの方につきましては厚生省の臨時財政調整補助金の方で適切に対処していただけるものというふうに存じている次第でございます。
#84
○戸田委員 助成金の中にもいろいろありまして、殊に予算補助等の問題については国会でなかなかチェックができない。予算確定をする、総額が決まる、配分箇所づけをやる、そういうことになると国会は終わってしまって、それから交付ですから。そういう点の不利の条件がありますから、そこはひとつ、審議官が今言われたような趣旨でこれは厳重に調整してください。そうでないと本当に困るのです。
 時間がありませんから次に移りますが、今回廃止をしたもの、いわゆる一般財源化、これは義務教育費のうち教職員の旅費及び教材費の補助、これは五省庁二十目四百五十億円。それから交付金にされたものですね、いわゆる定率助成から定額助成に変更になった。これは六省庁十五目、額は若干少ないですけれども、将来私はこれは相当な負担増になっていくような気がします。それから補助額の削減について、これは制度は変わりありませんけれども補助額を圧縮した、こういうものがあります。殊に公立文教施設、これは多くあるわけですけれども、そういったものが四百十一億円。地方自治体は今後やはり事業量を減らしていかないと超過負担になりますから、背負い切れないということになってくると思うのです。そういう事態があります。そしてなおかつ児童扶養手当、これは今度都道府県の二割負担を導入したわけでしょう。これによって初年度は八十億ですが、私の計算によると近々五年以内には八百億ぐらいになる勘定です。そのくらいまでふえていく。
    〔委員長退席、熊川委員長代理着席〕
そしてなおかつ最終的に負担率一割削減ですから、このことによって経常関係費が十一省庁三十七目二千六百億円、公共事業関係費が七省庁七十七目三千八百億、合わせて六千四百億。そして大蔵省が出したこの政省令を含めた九千億何がし、こういう形になって、これがすべて地方自治体の負担に転嫁をされてくることになるのですよ。地方自治体としてもなかなか大変じゃないですか。どういう見解を持っていますか、大臣。
#85
○土田政府委員 地方団体も自主自律でやらなければいけないわけでございますから、地方団体の歳入は、一つは税があり、一つは交付税があり、一つは地方債があり、それから国庫支出金、この四つがあるわけでございます。国の財政が非常に厳しくなってまいりました場合には、私どもとしては基本的に国庫補助負担金といったものの整理合理化には反対しているわけでございませんで、筋の通るものについては、これらのものは国庫補助負担金を整理いたしまして、地方負担がふえれば、それは地方交付税なり地方税の増強ということで賄っていくのが基本的に地方自治を振興する方策であると考えている次第でございます。そういうことで、ことしは地方税、地方交付税につきましても二けたの増というものを確保いたしております。
 それから、委員御心配の点は、その場合に税源の非常に弱いところについてどうなるかということであろうと思いますけれども、税源の弱いところについては地方交付税の配分がふえますので、地方交付税、税と両方足したものにつきましては、全国くまなく平等の財源措置ができるだろうと考えております。
 それから、旅費、教材費等についての負担の転嫁と申しますか、転嫁ではございませんで、国庫補助金を廃止したことに伴いましてこれは一般財源化される、それを各地方自治でどう受けとめるかということでございますけれども、この分につきましても地方交付税措置をいたしますので、交付団体でありますればそれに見合う地方交付税というものがふえるということになります。それをどう使うかということにつきましては、それはそれぞれの地方自治団体の判断、首長の提案、議会の御議決ということであるわけでございますけれども、三千三百二十五の地方議会の議員さんも教育に非常に熱心な方が多うございますので、そこのところにつきましては適実なる予算計上ができるだろうと考えております。
#86
○戸田委員 審議官いろいろとお述べになっていますが、自治体でいろいろ努力をしていることは私も認めますよ。しかし今回やられた五項目による国家補助の負担の削減方式、これで、地方財政法第二条の「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」という趣旨を、大臣これは守れたと思いますか。
#87
○古屋国務大臣 先ほど先生に申し上げたように、いろいろ厳しい地方財政の状況であることは御了解いただいておると思いますが、今回の措置によりまして一応地方交付税と建設地方債によってカバーするということで、私どもは一年限りということを条件にしてこういうような一括カットということは最後に受け入れた、こういうことを申し上げたとおりでございまして、全般的には、今申しましたように、交付税と建設地方債でカバーできます。ただ、先ほどからお話しになっております具体的な市町村あるいは財政力の乏しいところにつきましては、交付税の算定を通じまして、私どももぜひそういうことが起こらないように十分注意してまいりたいと思っております。
 今後の地方債につきましては、その償還年に当たります年、六十一年度以降において償還のあれが回ってくるものにつきましては、交付税による地方財政計画によって財源措置を講じてまいりたいと思っております。
#88
○戸田委員 厚生大臣に伺ってまいりますが、今回の削減の対象項目になったのは、例えば厚生省、結核医療費補助金、精神衛生費等補助金の精神障害者措置入院費補助金、麻薬中毒者入院措置費補助金、生活保護費補助金の細目で保護費補助金、施設事務費補助金等々、削減の法律内容を見ますと、本当に弱い対象者を対象にしてやられておる。
 例えばその一例ですが、時間がありませんから全部読み上げるわけにまいりません、義務教育費国庫負担法の一部改正、第二条、公立小中学校、盲学校、聾学校小中学部の教職員給与費等の旅費国庫負担を対象から除外する、こういうことですね。第三条、公立小中学校、盲学校、聾学校の教材費について国庫負担二分の一の対象から除外する、こういうことです。以下、そういうものが全部です。例えば児童福祉法の一部改正で、児童相談所で行う相談、調査、判定及び指導に要する経費も廃止する。身体障害者福祉法の一部改正、身体障害者更生医療に係る医療費の支払いに関する事務の委託に要する経費等々、ずっと十九か、ほとんどそういうものが対象になっているのですね。したがって、当然その金の動きを見ましても、地方に移行される二千六百三十八億円のうち生保関係、千三百十億円占めますね。老人保護で三百二十二億占める。児童保護で六百六十九億円占める。そしてなおかつ生活保護、これは一〇〇%本来なら、生活保護法の第一条の精神からいけば、国が面倒を見るべきものですね。それを今回一〇%削減をして七〇%に落とした、こういう状況ですから、その分のはね返りは、国は一割であっても地方自治体だと五割負担増、こうなる。そういうはね返りになっていくわけです。
 こういうことになっているわけですから、過日三重県に行って、いわゆる一般財源化された保健婦の皆さんが切々と訴えておりましたけれども、今三重県は、全国平均保健婦の十三・七人に対して十・九人見当だ、こういうことを言っておられましたが、そういうふうに一般財源化されると、そういうものに対する金の割り当てが地方自治体としてはやりたくてもやれない、こういうことになっていくのですね。
 だからこういう点で、まさに今回の削減案の内容というものは、日の当たらない弱い層に、弱い層にいっていることは間違いないと思いますね。その辺に対する見解をひとつお伺いしたい。
 それからもう一つは、保健婦は今十万人当たり、一定の全国の平均がありますが、どの程度の割合で要員配置をされるのが、医療の予防、治療、後保護、この健康を守るための対応処置として妥当か、大臣の見解をお伺いしたい。
 それからもう一つは、生活保護費の金の出し方。いろいろ聞きましたら、これは地方自治体で一定の数、その他掌握しておるわけですから、そういうものについて前払いをいたします。そしてそれに対して国でもって、厚生省で後から支払った額を交付します、こういう形をとっているようです。ところが今回は、これは大蔵大臣にも見解をお伺いしたいのですが、予算は通りましたけれども、大体慣行で交付をしているというのが、日にちはそれぞれ違うようでありますが、例えば全国の状況で、四月一日に支払われるところが二百七十六カ所、二日に払われるところが二十七カ所、三日が百八カ所、四日七十一カ所、五日六百六十八カ所、六日十六カ所、七日六カ所、八日一カ所、十日に一カ所。十日までに千百七十四カ所の支払いを全部完了することになっている。予算は確かに五日の日に参議院を通過しましたけれども、その裏づけ法案であるこの一括法案はまだ審議中なんですから、そうするとこれは間に合わぬ。一体厚生大臣は、この支払いを現行どおりの法律でやらざるを得ないのでしょう。どうなんですか、その見解をひとつ。三点ほど。
#89
○増岡国務大臣 まず高率補助率のカットの問題でございますけれども、私どもは実際に、例えば生活保護費に例えますと、支給をお受けになる方々に対する水準が下がらないようにということで対処したわけでございます。その点につきましては、今後も問題が起きないと思いますけれども、御指摘の地方負担のことにつきましては、財政的な裏づけができたということでありますし、また私の方でも補助金の調整金を二百億円確保いたしておりますので、先ほど自治省からも説明がございましたけれども、そのようなばらつきに対しての対処をしてまいりたいというふうに思います。そのようなことでございますので、ほかの施策につきましても行政側は厳しい立場に立つ場合がございますけれども、実際の福祉には支障がないようにという配慮を加えたつもりでおります。
 次に、保健所とおっしゃいましたか、保健婦とおっしゃいましたか。
#90
○戸田委員 保健婦。保健婦の配置、要員配置ですね。
#91
○増岡国務大臣 保健婦の要員配置につきましては、その地域地域の特性に応じて必要な人数を配置することにいたしております。別段何人に一人というような基準は設けておりません。
 それから、生活保護費に対する国の負担金の配分の問題でございますけれども、今この法律案、御審議いただいておりますので、できるだけ早く御議決いただきまして、地方自治体に御迷惑がかからないようにいたしたいと思っております。
#92
○戸田委員 大臣、その生活保護費の支払い方法について、十日までが慣行になっている。厚生省はそれに対して、払ったものについては後追い交付します、こういうことで来ている、こう言うのです。現行、予算は通ったけれども、裏づけ法案が通ってないのですから金がない。そういうものに対してどういう手当てをするのか。
#93
○正木政府委員 生活保護、生活扶助費の支給につきましては、先生御案内のように生活保護法第三十一条で「生活扶助のための保護金品は、一月分以内を限度として前渡するものとする。」ということで、被保護者に対しましては毎月五日ごろまでに支給するということにいたしております。
 お尋ねは、その保護費に対する国の資金交付といった問題でございますが、国庫負担の資金交付につきましては、生活保護法第七十五条の定めるところによりまして、地方公共団体が被保護者に支弁した給付費について、地方公共団体の支払いに支障の生じないよう交付をしてきておるわけでございます。ところが、六十年度におきましては、予算は成立いただいたわけでございますが、一括法案が御審議中ということで、まだ交付決定をいたしておらないわけでございますが、地方団体におきましては、借り入れ等の措置によりまして資金繰りを行っておるということで、そういった面からも、できるだけ早く、早期に一括法案の成立がなされるということを厚生省としても強く望んでおるわけでございます。
#94
○戸田委員 そうすると、借り入れしても支払えというのは、現行法律でやれ、こういうことですか、地方自治体には。
#95
○正木政府委員 生活保護費、毎月五日ごろまでにというのは、地方団体が被保護者に支給をするわけでございます。御案内のように、保護費に対する支弁責任というのは地方公共団体が負っておるわけでございまして、したがって、地方公共団体が支弁したものに対しまして国が一定の負担を行うわけでございますが、その負担率につきまして現在一括法案で御審議をいただいておるということでございます。
#96
○戸田委員 僕の聞いているのは、とにかく一割削減するのですから、それは確かに国と自治体のやりくりでしょう。それで慣行は、これはそのまま支給します、慣行に従って今言った日にちに支給します。しかし、一割削減するわけでしょう。だからその点は、地方自治体に対して便法的に立てかえをやっておけよ、こういうことでしょう。そして払わすというのでしょう。
#97
○正木政府委員 これは被保護者の方には関係がないわけで、定められた保護費を支給しておるわけでございますが、問題はその保護費の支弁したものについての国と地方の負担区分でございますす。
 これは暫定的に七割、国の負担割合七割ということで予算でお願いし、一括法案の御審議をいただいておるわけでございますが、予算は現行の八対二を七対三ということで成立をしていただいた。それに対して一括法案について御審議をいただいているということで、端的に申しますれば、予算と法律との関係が不一致になっているということで、現在地方に対する交付決定というのを行っておらないということでございます。
#98
○戸田委員 そういうことで、一応国と地方自治体の分担の割合の変更だ、それによって前払いをやっておきなさい、こういうことで自治省では現地に指示をしてそういう処理をしたというけれども、大蔵大臣、予算は通ったが一括法案はまだ通ってない、既に金は払っておる、こういうことですね。これは補正を組まざるを得ないんじゃないですか。どうですか。
#99
○竹下国務大臣 その節いろいろ勉強いたしましたが、私どもといたしましては、予算は成立したわけでございますが、もう一つは暫定になった場合どうかという議論も一応はしてみました。が、今日予算は成立をいたした。
 そこで、この法律は言ってみれば予算関連法案で、予算の執行の仕方について決めるということ、我々もそのことを期待しつつ、したがって、普通はその国会の予算関係法案は二月の最終火曜日か最終金曜日いずれかを提出期限とするが、本法律につきましては、執行に間に合うように、予算と一緒にという期待感がありましたから、予算案と一緒に国会へ提出して今日議論をしていただいておる。そして私どもは、それが一刻も早く成立することを今日期待しておる。だから私は、将来いわゆる補正予算を組む要因にはならないという判断でございます。
#100
○戸田委員 希望観測ですね。これはいつ成立するかわかりませんけれども、とにかく衆議院では目下審議中なんですね。裏づけ法案が成立をしてない、そういうことですから、総額においても国庫負担分は変わるわけでしょう。少なくとも支払い権限なりそういったものは法律でもって縛るとか、それから国家予算は全部国会で縛るとか、承認が必要なんですから、こういった網をかけて今までやってきたわけです。ところがそれは成立してないのですが、負担分の一割削減分だけ削って予算執行をやっているわけでしょう。これを補正をやらずにやっていくというのはどうですか、国会無視になるんじゃないですか。その技術的な取り扱いはどうなんですか。
#101
○竹下国務大臣 これはいわゆるそのことを期待してそうしておるわけでございますから、予算が成立しても本法律案が成立していない場合においては、引き下げ前の補助率でこの六十年度予算を執行できるような状況にはない。したがって、今の生活保護に限っての問題につきましては、いわゆる地方の財政措置によって、あるいは借り入れでございましょう、あるいはそうでないところもあるかもしれませんが、それによって執行をお願いしておるということになります。そこで仮に交付決定の時期が、国から地方自治体へ出す交付決定そのものが従来よりおくれましても、これはいわゆる法律違反にはならないという考え方であります。
#102
○戸田委員 いずれにしても、国は削減分を含めて分担を交付する、自治体でそれを支払うということになると、自治体はどういう金のやりくりをするかわからぬけれども、仮に金がないから市中銀行から借りてこようということになると金利も生むわけですね。そういうものに対しては国で全部面倒を見てやる、こういうことですか。大蔵省はどうですか。
#103
○平澤政府委員 この問題につきましては、既に成立しております予算によってお示しいただきました国会の御意思と、現在法律がまだ成立しておりませんので、その法律に対する御意思とが現在の段階で食い違っておられるわけでございます。したがいまして、行政当局としてはその意味では補助金の交付決定ができない状況にあるわけでございますので、ある意味では通例ない事態でございます。しかも片方で、生活保護費につきましては、生活保護法によって今回一定率アップしております額を地方団体に支払うよう義務づけているわけでございます。
 そういたしますと、そこでおのずから、その資金繰りをどうするかという問題が出てきますが、今申し上げましたようなことから、その資金繰りの部分をどうするかということにつきましては、行政当局として処理し得ない事態が現在生じているわけでございます。したがいまして、現段階においては地方団体が生活保護法の規定に従って、その義務として支払っている。したがって、結果的に地方団体が資金繰りをして支払っているという状況であるわけでございます。
#104
○戸田委員 いや、国家負担分だけは行ってないわけですから、それを全部丸々金繰りをしてやるということになれば、やりくりできる自治体はいいと思うのですが、できないところはどこかから借りてくるとかなんとか、そうすると、総体的には生活保護対象費は一千億を超えるんですから、その金利だけでも一カ月借りればこのくらいということでおおよその見当は出ますね。七%にしたって七十億かそのくらい出ちゃう。そういうものを含めて国が面倒見てやらなければ自治体だって大変じゃないでしょうか。
#105
○平澤政府委員 資金繰りを借金によって地方団体がやった場合には、地方団体に利息負担というのが生じるわけでございます。しかし、これにつきまして、それでは国で面倒見るかということの御質問かと思いますけれども、その面倒を見る法律的な根拠も現在ないわけでございますし、予算上もそれを措置しているわけではございません。したがいまして、今のところその負担は地方団体の負担になることが予想されるわけでございます。
#106
○戸田委員 この間内閣総理大臣の答弁を聞いておりましたら、絶対国民には迷惑かけません、こういう答弁でしたですね。しかし、こういう迷惑がかかっているわけですから、本来ならやっぱり早期に補正予算を組んで、慣行としてやられる支払い期日に間に合うように政府としては措置をするのが当然だと私は思いますが、時間がありませんから、これはいずれまた問題にすることにしまして次に移らしていただきます。
 大蔵大臣、今の補助金制度というのは抜本的に改善すべき必要があるだろう、私はこういうふうに考えるのです。例えば六十年度の法律補助十一兆九千八百五十三億円、予算補助二兆四千四百四十八億円、合計十四兆四千三百一億円、こういうようになっているわけです。交付対象別で見ますと、法律補助は地方公共団体に十兆三千四百四十六億円、その他一兆六千四百七億円、予算補助を見ますと、地方公共団体に九千五百十二億円、その他一兆四千九百三十六億円。予算補助になりますと、その他に対しての補助が一対一・五になっているんですね。
 予算補助というものは御存じのように、中央省庁が恣意的、人為的、恩恵的に判断をして、箇所その他も時の政権等が関与してその箇所づけをやったりしてやるわけです。だから、そういうことで余りにも弾力があり過ぎたためにいろんな不明朗な事態というものが発生しておる。例えば役人がある特殊公団に天下りすると、事業量五億円持ってきたとか、こういうことになりかねない。
 そしてなおかつ、省庁別によっても補助金のケースが違う。厚生省を見ますと、ほとんどが法律補助です。全部法律でやられておる。ところが、別の省へ行きますと、基本法としては確かに何かの計画がありますが、あとはよろしくといったような格好がずっとあった。予算はというと思うとおり中央省庁の配分だ。こういうことでは、少なくとも国民の税金を使って、そして景気活性化その他いろいろと財政上補てんをしていくわけですから、もう少し私は明確に本問題等に対する改善策をとるべきだ。でき得ればやはり、どうでしょう、これひもつきとかなんかというようなことも一理ありまするが、地方自治体として自主的な運営のできるような補助金といったような要請もあるようですから、もう少しこの点は検討されて、そういう余り弾力運用の入らないような金の使い道をやってみてはどうか、こう考えるのですね。
 例えば、大蔵省の資料で見まして、法律補助で社会保障関係費、地方これ大体四兆八千五百四億円、その他で二千三百七十九億円。この二千三百七十九億円というのはいろいろな団体に行っている。例えば文部省を見ましても、かつてモスクワ・オリンピックのときに約五億見当の補助金が政府から出る。文部省からも出る、大蔵省からも出る、各省からいろいろその名目で出てくる。しかし、こういったものが、アメリカはモスクワ・オリンピックに参加しませんと言ったら、日本政府もそういうことになった。当時の外務大臣伊東正義さんが行ってそれを説得して、そして最後に、言うことを聞かなけりゃこれはひとつ打ち切るよといったようなことまでかかってくる。そういったこともあるんですから、だから、そういうことの余地のないような、いわば明朗なガラス張りでそういうものが使われていくというようなことに改善をすべきではないかというふうに私は考えるわけでございます。この点の見解を大蔵大臣、どうでしょう。
#107
○竹下国務大臣 地方財政法第十条に基づきますところのものというのは、これは非常にはっきりしております。大ざっぱに今おっしゃいましたとおり、法律補助が八三・一%で、その内訳は、負担するが七二・六で、予算の範囲内において補助することができるというようなのが一〇・五%。したがって、大体、これは非常に出入りありますが、地方公共団体を通じて出すものが七八・三と二一・七でございますから、大体八、二。八、二。それからもう一つは、社会保障と公共事業と文教、これと大体そうでないものとが八、二。そういうふうにかかって、枠をこうかけてみますと、そのいずれにも出ないものというのは非常に薄いものになってまいります。
 それから、今のおっしゃったオリンピック不参加のときに不用額になりましたね、結論から言うと。不用額の問題というのはこれは別でございますけれども、私もなるほどな、そういうことはあり得るなと思って、本当は不敏にして今感じたことでございますけれども、なるほどな、不用額に恐らく立ったわけでございましょう。したがって、可能な限りきちんとしておった方がいいじゃないか、こういう議論もございますし、しかし、いわゆる負担金と違って、一般的に言う狭義の補助金の場合、奨励的補助がございますし、その都度その意義を失ったらやめにしましたり、役所から見ればスクラップ・アンド・ビルドしたりしているわけです。それを一本一本法律でやるというのもこれまた容易なものじゃないなと実は思うわけでございますが、いわゆる「補助金等」、今度は「等」と申しておるわけでございますが、につきましては、いつでも法律八、二、地方自治体経由八、二、それから文教、社会保障、公共事業八、二という比率を念頭におきながらシビアに対処していくべきであるということは私も賛成でございますし、いろんなことを私も考えてみました。だから、引き続きこれは検討すべき課題であるという事実には間違いないと思っております。
#108
○戸田委員 そこで大臣、検討のついでに次の三点についてぜひ要望しておきたいのです。
 今大臣がおっしゃられたように、このくらいあるんですよ。それが補助金、補給金、委託費、分担金等々八百項目以上あるんです、ちょっと僕も数えてみたら。この中から全部これをやるとすると、例えばこれは予算が決まったけれども、予算補助については国会でチェックできない仕組みになっているんですね。とても間に合わない、時間的に。だから全般的に今のような改善策が必要だということを私は指摘をしたわけであります。
 それでもう一つは、非常に補助金の少額なものがあるんですね。そうすると、受領書発行、申請書発行等々をやりますと、もらう金よりも経費の方が高くついてしまうのがある。大体私の積算でいくと、小さいのになると一万何がし、二万何がし、こういうのもあるんです、受領書、申請書、人件費使っていろいろやりますと。だから、こういう点はもう少し整合性のある、何か一元化をして、そういう経費よりも下回らないというような方向での助成態様というものをとっていくべきじゃないか。
 それから、今の補助金の基準改定ですね。基準、これがばらばらです。各省によって全体がばらばらです、中身を見ますと。時間がありませんから指摘しませんが、やはり実態に極めて差がありますから、こういうものについてもひとつもう少し検討されて、整合性のあるものに整備をする必要がある、このように考えるわけです。これは要望として申し上げておきます。
 それから、一つだけ具体的例として、通産省来ていると思いますが、補助金をやって中小零細企業の無担保無保証の融資、この制度を四十八年田中内閣のときにつくった。それに対して、当初出発四十八年で二百九十五億、現在は約五千億の助成をやっているわけですね。しかし、あなたの方からもらったものは実質的に四千百四十二億ですから、約九百億くらい未消化になっている。これは結局は、無担保無保証ですけれども、商工組合を通じていかなければだめだ、国民金融公庫は出さない、こういう仕組みなんです。だから、時間もありませんから、私は二点について要望をして、明確な改善をしてもらう。
 それは、一つは、もう一回門戸開放をやりなさい。商工組合だけではなくて、市町村段階も入れろ、協同組合方式で中小企業その他でやっているものを入れろ、あるいは、全建総連とかそういうことで一人親方その他で経営者を含めた団体がありますよ。そういったものも入れろということで、認可その他の対象を、いわば保証人ということでしょう、そういうものができるものは、最低そのくらいまで門戸を開放していいじゃないか、今の商工組合だけじゃなくて。これが一つです。
 それからもう一つは、利率は七%。七%では、最高四百万借りても年間二十八万の利子を払わなければいけない、こういうことです。四年据え置きとか半年据え置きとか、各金額によって違うけれども、一定の据置期間がある。だから、この期間にしても、もう少し楽に返せるように、こういうことですね。趣旨は私はこれはいいと思うのですよ。確かに一人親方の大工さんや左官屋さんがお正月を越すときに、五十万あれば二カ月仕事できる、その金がないというようなときにそういうもので気楽に借りられるということは助かるのです。だからそれはいいんですから、そういう面での門戸開放と、それから低率期間の返済期間等々について十分検討して――これは一項挿入すればいいんですから、法律条項でも何でもないんですから、あなたの方の運用項でやっているものなんだから、それはどうでしょうか。
#109
○窪川説明員 お答えいたします。
 まず貸付規模の点でございますけれども、先生御指摘のように貸付規模五千五百億に対しまして実績は若干下回っておりますけれども、これの理由といたしましては、五十六年以降ここ三、四年、中小企業、とりわけ小規模企業につきましては景気のよさが及んでこなかったというような原因にあるものと思われます。
 門戸の開放という御質問でございますけれども、そもそもこのマル経制度、小企業等経営改善資金制度は、商工会議所、商工会が実施しております経営改善普及事業を金融面から補完いたしまして、経営改善普及事業の実効性を確保するというために設けられた制度でございます。
 この経営指導という面につきましては、商工会議所、商工会は、長年の経験と、全国すべての市町村に広い窓口を有しておりまして小企業等の経営指導に当たっているわけでございまして、受け付けも融資の推薦も、会員、非会員の別なく広く門戸を開放しているところでございます。また、協同組合等につきましても、商工会議所等を中心にいたしまして小規模企業振興委員という制度を置きまして、小規模企業者と経営指導員あるいは会議所とのパイプ役という役を果たしていただきまして、小規模企業振興委員が実際にマル経の仲介、取り次ぎもやっているというような状況でございます。
 経営改善普及事業が制度発足いたしましたときに、この事業自身を地方公共団体が行うか、あるいは商工会、商工会議所が行うかという議論があったわけでございますけれども、地域の商工業者により密着した商工会、商工会議所が行うのがより効果的であるということで現行体制で発足したものでございまして、地方公共団体にマル経制度を行わせるということは、地方公共団体必ずしも経営指導を行うような能力、体制がないというのが実情でございます。
 それから、本制度の貸付条件につきましては、逐年償還期間、貸付限度額等々の改善を行ってきておりまして、例えば六十年度におきましても、運転資金の貸付限度額を三百五十万円から四百万円に引き上げるというような形で改善を行ってきておりまして、今後ともできるだけ小規模企業者が借りやすいような形でマル経資金の条件改善には努力をしていきたいというふうに考えておるところでございます。
#110
○戸田委員 そこで、課長、この改善方はひとつ真剣に検討してください。
 それから、発足当時からいろいろ商工組合に要員の配置、委託費その他でも補助体制をとっているわけですね。だから実質は、原資として五千億を出すばかりじゃなくて、それよりはるかに上回っている。今私の記憶では一万人超えると思うのですがね。そうして増配置をやって、なおかつ九百億ないし一千億見当の未消化があるということは、今の状況からいって、経済状況がそうさしているということになればそれまでだが、しかし、金が欲しくて、何とか百万あればという人がいっぱいいるのですよ。だけれども、それは全部商工組合その他を通じなければいかないのですから、そういう点での団体の門戸開放をひとつぜひ考える。運営要項にそれを一つ入れればいいのだから、協同組合方式のものとか市町村とか、こういうことを入れればいいのです。
    〔熊川委員長代理退席、委員長着席〕
それで済むのですから、これはひとつ真剣に考えてもらいたい。
 それから、要員配置その他をやって一万人以上もいるわけですから、そういうものに対してもう少しPR、宣伝をやって、そして活用に便ならしむるような、ひとつそういうサイドでもって経営体制をやってもらいたい、そのことを要望して私の質問を終わります。どうもありがとうございました。
#111
○越智委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後一時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三分開議
#112
○越智委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。玉置一弥君。
#113
○玉置(一)委員 補助金の問題もいろいろ論議を醸してまいりましたけれども、どうも三巡目になりますと皆さんと同じような質問をするということになって、お答えをされる方も、またかという感じを受けると思いますけれども、御容赦をいただきたいと思います。
    〔委員長退席、熊谷委員長代理着席〕
 今までの論議の中で、高率補助金の引き下げあるいは一般財源化、行革関連ということで、国としても大変財源欲しさの余りに、一律カットという方向が打ち出されました。先日の公聴会でも、いろいろな影響が出てくることを具体的に各地域で示されてきたわけでございますけれども、特にこれから申し上げたい内容につきましては、普通でさえも非常に長期にわたっての事業があるわけでございまして、この長期にわたる事業についての費用負担あるいは一般の地方財源の中での固定化というものが、各地方自治体のいろいろな事業に大きな影響を与え始めてきている。そして、補助金の率が決められながら、なかなかそれだけの資金が確保できない。こういうことから、従来五年でやっていた事業が八年、あるいは今では十年というふうに、非常に長きにわたってその事業をやっていかなければいけないということで、なかなか当初の目的あるいは効果というものが得られなくなってしまう。こういうことに関連をして御質問していきたいと思います。
 まず、地下鉄の問題でございます。
 地下鉄、大都市では既にいろいろ稼働して、むしろ場合によっては老朽化が進み過ぎて弱っている、そういう地域もあるわけでございます。私の地元の京都では、約六キロぐらいの地下鉄ができました。ただ、一本であるがために、なかなか利用客がふえてこないということもございますし、新しい事業、新しい路線の拡大を目指しながらやっているわけでございますけれども、どうも地方自治体にとっては、地下鉄事業という大変お金のかかる事業でございまして、この費用を捻出することが非常に難しい。どうしても長期な計画を組んで取り組まざるを得ないというような状況の中で、今回高率補助の引き下げということ、あるいは今までもう既に実質的な引き下げが行われてしまっているという現実があるわけでございます。
 そこで、ここでは地元の京都、そして大阪、両方を例にとりまして、関係各省にお聞きをしたいと思います。
 まず最初に運輸省にお聞きをしたいと思いますが、現在、大都市の交通網の整備というものが、運輸省の一つの大きな政策の柱として打ち出されております。その中に、建設省関連の都市街路整備とかいろいろあるわけでございますけれども、地方鉄道並びに都市交通の整備というものが、大都市の内外周辺を含めた、まさに動脈となるわけでございまして、機能的には同一の機能を果たすというふうに私は見ているわけでございますけれども、今回の補助率から見た場合に、地下鉄の場合とその他の場合との補助率が大変大きく違う、こういうことをまず問題点として取り上げたいと思います。そして、両方とも大変大きな費用でございますけれども、今までの事業の内容からいきまして、地下鉄の方が、用地買収なり工事費、工事にかかる期間、これが相当の日数を要するということでございまして、大変大きな負担を強いられながら、市民の要望に沿うような努力をされているというのが各自治体の実情でございまして、まず都市交通という観点から見て、なぜ補助金が違うのかということついてお聞きをしたいと思います。
#114
○服部政府委員 お答えいたします。
 今先生は街路事業を例に引かれまして、地下鉄補助制度との差を御指摘になったわけでございますが、もうこれは御承知のとおりでございますが、街路事業と申しますのは公共事業方式で行われているところでございまして、一方地下鉄は、公営という形ではありますけれども、鉄道事業として、企業経営方式を採用して行われている事業でございまして、もとより都市交通に果たす役割という面からアプローチすれば、大変似通ったといいますか、ともに大事な機能を果たしておるわけでございますが、そういった公共事業とそれから企業システムということの差が補助率にも反映されているというふうに、基本的には理解しているところでございます。
#115
○玉置(一)委員 確かに、道路そのものにつきましては、人も使う場合がありますし、あるいは自転車も使うということもありますし、あるいは防災という面もあるという、いろいろな多くの用途を持っているわけでございますけれども、しかしそこに道路をつくるということは、一つには交通機関としてのバスあるいは自動車の円滑な運行ということが目的でございまして、そういう意味では、確かに利用する側にとってみれば、自分で自動車を運転される方は別でございますけれども、バスの乗客にとってみれば、地下鉄に乗ろうと地方鉄道に乗ろうとあるいはバスに乗ろうと、同じことではないかというふうに思うわけです。そういう面で同一機能というふうに申し上げているわけですし、また、費用負担の還元という面から見て、地下鉄、バスなんかの場合にはちゃんと料金を取って回収するということが一部できますけれども、今の費用そのままに負担をした場合に、大変高額な運賃になってしまうということもあります。
 そして、建設費の補助と言いながら、実際は運営の補助という形で今補助金として出されているわけでございまして、それがどんどん積もり積もってくるというのもやはり各公営企業の実態ではないか。例えば京都の市バスあるいは大阪の市バス、それぞれの地下鉄を見ておりましても、決算の状況がだんだんと悪くなるというような状況でございまして、単に運営費として運賃をいただいておるから、その分は国として同率の負担をしなくていいということではないということでございます。
 そういう機能という面から見て、あるいは市民、府民からの要望を踏まえて考えていきますと、どちらをどうするということはそれぞれ選択の余地があるわけでございますけれども、実質的な、人を運ぶあるいは物を運ぶという面から考えると、差がないと言っていいかと思います。単に街路ということじゃなくて、都市交通の中での差がないのかどうか、この辺もお聞きをしたいと思いますし、また、先ほどもちょっと言いましたように、現在運営についての赤字が累積をされて大変大きくなってきている。この辺についてどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#116
○服部政府委員 都市におきます公営の地下鉄事業というものが、採算性の面におきまして非常に難しいといいますか厳しい状況下にあることは、ただいま先生御指摘のとおりでございまして、この一番の根っこにある問題は、単位キロメートル当たりの建設費が非常に膨大な額に上るということが根底にあるわけでございます。そういう点を踏まえまして、私ども、こういった地下鉄の建設につきましては、他の鉄道事業に例を見ないような高額の補助制度というものを採用しておるところでございまして、現在私どものとっております補助制度を前提といたしましても、大体一定の事業量が想定されます都市におきましては、大体二十七年ないし三十年という長期にはそれがペイをするというような基本的な見方を持っておるわけでございます。
 それから、街路事業との比較の問題を再度御指摘でございますけれども、これは先ほどの答弁の繰り返しになろうかとは思いますが、確かに、都市交通機能を鉄道とともに分担しているという意味では、おっしゃるとおり、街路は鉄道と並んで大都市交通の担い手でございます。そういう点ではまさしくそうでございますけれども、先ほど申しましたように、一方は公共事業という形で、その街路の使用から対価を取るという形ではございませんで、公共事業方式という形で整備される。一方、鉄道といいますものは、御承知のとおり、利用者から対価を収受いたしまして、それでもって収支の均衡を図るというのが第一義でございます。ただし、都市の地下鉄につきましては、建設費が非常に膨大な額に上りますために、そういったことができませんので、手厚い補助をしている、こういうふうに考えておるところでございます。
#117
○玉置(一)委員 ぽんと出してオーケーというわけないので、当たり前だと思って聞いておりますけれども、現在の補助金の中で、地下鉄の補助金の場合には一応七〇%ということが決められております。そこで、京都、大阪ともに補助金の実額というものを調べてまいりました。一般的に申しまして、建設費が一といたしますと、そのうち出資債の分を割り引かれ、間接経費を引かれ、補助率を掛けられるということで、実質的な補助率というものは、七〇%が実に五九・八五%ということになっております。これが実際七〇%、七〇%と言われてまいりまして、地元の超過負担という形で残ってしまうということになっております。これについて、国で七〇%と決められていながら、なぜ実質的には六〇に満たない数字しかいかないのかというのを、まず御説明をいただきたいと思います。
#118
○服部政府委員 先生のお尋ねの前提といたしまして、私どもが地下鉄については総建設費の七〇%を補助するという約束をしながら、実は六〇%しかやっていないではないかという御認識があるように承ったのでございますが、決してそれはそういうことではございませんで、最初から私ども地下鉄の建設費補助制度につきましては、総建設費からまず五%相当の総経費部分を除きまして、さらに一割部分の自己資本負担部分を除きまして、それの七割を補助するという補助制度の仕組みを持っておるわけでございまして、そのことは当然各公営の地下鉄事業者も十分正しく認識しておるところでございます。羊頭狗肉で、七割と約束しながら六割しか補助しない、決してそういう格好をとっておるものではございませんので、その点につきましてはぜひとも御理解を賜りたいというふうに考えるものでございます。
#119
○玉置(一)委員 数字を見て理解はしますけれども、七〇%という数字を決めるときには、大体総枠の割り振りで決めるんだというふうに私は理解をしておりますけれども、事務費を見たりあるいは起債の補助を出したりといういろんな事例もあるわけでございますし、やはり七〇%を出すということで当初お決めになったわけでございますから、少なくともその辺の補助率の確保というものはやらなければいけないというふうに思うわけでございます。実質的に一〇%も差があるということは、やはりかなり大きな問題でございますし、今回の切り下げでさえもこれくらいの騒ぎになるわけでございますから、当然地方自治体の負担というものがかなり大きく残されてきているということになるわけでございまして、ぜひその辺いろいろ理由をつけて、起債だとかあるいは一般経費だとか一般会計だとかで割り振るようにやるという――これが七〇%と決められたのは、正式に法律で決まっているんですか、違うんですか、政令で決まっているんですか。
#120
○服部政府委員 再度同じ御説明の繰り返しで恐れ入りますけれども、この地下鉄の補助制度というのは、私が先ほどの答弁の中で御説明申し上げましたような形で最初から決められておるわけでございまして、総建設費の七〇%を補助するという形ではどこにも物を申していないわけでございます。総建設費掛ける〇・九五掛ける〇・九掛ける〇・七。したがって、総建設費というものを根っこに置きますれば、先ほど先生数字を申されましたけれども、総建設費の五九・八五%を補助するという約束事で最初からこの制度が始まっておるのでございますので、その点につきましてぜひとも御理解をいただきたいというふうに思います。
#121
○玉置(一)委員 なかなか次に移れないのですが、ちょっと大蔵省に聞きたいと思いますけれども、今出ております法案で補助率がいろいろ決まっております。この補助率の中身は、例えば国が二分の一あるいは国が三分の二というふうに決まっていた場合に、それぞれどういう計算で最終的な補助金額を決められるのか。そして法律で決まっているわけでございますから、これに、今おっしゃったような〇・九とか〇・九五とかいろいろな数字がございますけれども、これをまさに勝手に各省庁が掛けていいのか。その辺についてお伺いしたいと思います。
#122
○平澤政府委員 補助率の決め方につきましては、御存じのように予算補助と法律補助がございます。八割が法律補助ですが、法律補助の場合は、法律にきちっと、こういう金額に対して二分の一とか三分の二とかというのが書いてございますので、そのとおりやるわけでございます。
 それで、今御議論しておられます地下鉄につきましては、これはたしか予算補助になっていると思いますので、補助要綱で先ほど来の率を決めて交付していると理解しております。
#123
○玉置(一)委員 このときに今の計算式みたいなので取り決めをした、こういうことですね。わかりました。ただ、いずれにしても表に出るのは〇・七という数字でございまして、それとは実体が一〇%以上のかけ離れをしているということでございます。そういう意味で、これからの中でいろいろの負担の現状というものをぜひ御認識いただいて、そして地方財政の能力に合った負担を適宜考えていただきたいと思います。
 続きまして、改良路線ですか、この辺についてお伺いをしたいと思います。
 今までの地下鉄の補助金というのは新設についてのみということで、新設というより総資産で作業はやっておられますけれども、現実的には新設というふうに理解をしておりまして、これについての補助ということでやっていただきましたけれども、例えば大阪なり東京都なり、非常に老朽化した地下鉄がございます。こういう改良をやらなければ、交通安全という面から見ても非常に危険だというふうに言われておりますし、特に最近地震の話とかいろいろ出てくると、鉄の耐久年数とかあるいは疲労度、こういう面から見てどこまで支え切れるかわからないというようなこともあるようでございまして、こういう面で老朽化に対する手だてをしていかなければいけない。
 ところが、先ほど申しましたように、地下鉄だけを見た公共企業体としての赤字というものが非常に拡大をしてきている。こういう面から見てなかなか手がつけられないというのが現状だと思います。大阪なんかでもいろいろ新線以外に改良工事をやりたいところもあるようでございますし、そういう面から見て、改良工事についてのこれからの補助というものも見ていかなければいけないのではないかと思いますが、この辺についてどういうふうにお考えか、御意見をお述べ願いたいと思います。
#124
○服部政府委員 お答えいたします。
 地下鉄の改良工事の必要性につきましては、私ども先生と同じように、基本的にその必要性を理解しておるところでございます。
 それで、この改良工事にもいろいろと段階がございますけれども、非常に金のかかります、新線建設に匹敵するような大規模な改良工事につきましては、私どもこれを五十六年度から補助の対象に取り上げましてやってまいっておりまして、現実にそうした対象になっておりますのは大阪市の御堂筋線でございます。それ以外のといいますか、大規模改良工事というには当たらない程度の一般的な改良工事につきまして、これを補助対象とするということにつきましては、現在では大変困難ではないかというふうに私ども考えておるところでございます。
#125
○玉置(一)委員 小さい補修だとかなんとかというのはある程度漏れると思いますけれども、少なくとも大規模のものについての補助というものも、これからお願いを申し上げたいと思います。
 それから、今の補助の中で年々にわたって経費の補てんをしていただいているわけでございますけれども、聞くところによりますと五十九年、六十年と補助金の先送りが行われておる。年間一%ということでございますけれども、一%ずつずれていきますと、そのままずれて終わりじゃないかというようなことでございます。一%というのはかなり大きな金額でございまして、この辺についてそれぞれの実態を聞いてみますと、本当にこれを返してくれるのかという心配もあるし、十年間も先送りされたんでは資金繰り上非常に苦しいということもございますので、これについてどういうふうにされるのか、お聞きしたいと思います。
#126
○服部政府委員 お答えいたします。
 都市地下鉄の建設の必要性につきましては、私ども本当にそのことを痛感しておるわけでございまして、そうした基本的な認識のもとに、地下鉄整備の促進を図る見地から、地下鉄助成制度の円滑な運用と申しますか、できる限りの補助の充実ということに向けまして今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えておるところでございますけれども、ただいま先生御指摘の五十九年度の地下鉄補助予算、それから六十年度におきますその予算案の中で、私どもが行いましたいわゆるポイントの先送りと言われております措置でございますが、これは現下の大変厳しい財政状況を踏まえましてのマイナスシーリング予算の中で、どうやって地下鉄補助の予算を確保していくかということを考えるに当たりまして、本当に大変残念なことではあったわけでございますが、そういうポイントの先送りというような措置をとらざるを得なかった事情があったわけでございます。
 このポイントの先送りにつきまして、今後どういうふうにするのかというお尋ねでございますが、この点につきましては今後の国の財政状況一般との兼ね合いがあるわけでございますが、私どもといたしましては、できるだけ早い機会にその回復を図りたいというふうに考えておるところでございます。
#127
○玉置(一)委員 いろいろわかるんですけれども、法的根拠なしに操作をされたり、あるいは財政事情から急激に方向転換するということがよく出てきますので、やはりそれぞれ根拠を明確にしていただいて、そして長期的な裏づけというか、こういうものも含めて各自治体とお話しいただきたい、こういうことでございますので、ぜひ御理解を賜っておきたいと思います。
 自治大臣がおられますので、ちょっとお聞きをしたいと思います。
 その前に、古都税で大変お世話になりましてありがとうございました。
 自治大臣、今までお話が出ておりましたように、例えば地方財源の問題、地方財政、この中で、これからの事業の中での大きなものといいますと、都市の再開発あるいは下水道整備、そして大都市におきましてはまだこの地下鉄問題というものがあるわけでございます。こういうふうに見ていきますと、かなり長期的に用途が限定をされる、地方財政の面からいきますと費途が固定された部分というのがウエートが非常にふえてくるというような状況でございまして、これの中でさらにこの補助金の問題のような地方財源を圧縮するような、負担転嫁のような問題が出てくるということでございまして、長期的に、例を出しました下水道だとかあるいは地下鉄だとか、こういう大プロジェクトといいますかお金の大きいプロジェクト、この辺のとらえ方は、自治省として、各自治体にどういう形でそういうもの以外の部分を守っていくのか、この辺を自治大臣として、突然の質問でございますけれども、お聞きをしたいと思います。
#128
○古屋国務大臣 自治省といたしまして、こういう公営事業ということを前提にして申し上げますと、下水道なり上水道なりあるいは地下鉄なり、随分たくさんございますが、こういうようなものにつきまして、一応現在では起債制度というものによりまして、補助金が多ければいいのでありますが、補助金がだんだんカットされてくる、地方団体としてはどうしても操作しなければならないということで、起債を活用いたしまして、各地方の地方団体の経理に対して、起債の制度によりまして助成をしておる。その起債の割合、いろいろ物によって違いますが、地下鉄のような長期的なものにつきましては、相当長いあれも要るのでございまして、こういうものにつきまして、今これから事務当局から、地下鉄の問題については一応御説明させていただきまして、また必要に応じてお答えいたします。
#129
○井上(孝)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま大臣が申し上げましたように、地方公営企業の分野の資金供給の問題について申し上げますと、大変長期な、かつ、できるだけ利率の安い良質な資金、こういうものを供給いたしたいということでございます。資金といたしましては政府資金を中心といたしますし、そのほか公営企業金融公庫からの資金というものが、企業債資金の中心的な部分を占めておるわけでございます。これらの資金によりまして、建設段階での必要な資金は調達いたしますと同時に、今後その元利償還が出てまいるわけでございます。これらにつきましては、いろいろな事業に応じまして、いわゆる運転資金対策でございますけれども、企業債の利息あるいは生じます元金償還分、こういうものに対しまして、新しく起債措置を講ずるとか、あるいは一部の事業におきましては、その場合に生じます利息につきまして一定の補給をするとか、あるいは当該地方団体に一般会計から一定の繰り入れをいたしまして、それを自治省の方では交付税の基準財政需要額に算入してまいるとか、いろいろな方途を講じまして、いわゆる運転資金対策につきましてもいろいろ努力をしておるところでございます。
 基本的には以上でございます。
#130
○玉置(一)委員 総枠の中での交付税での調整というような感じを受けるわけでございますけれども、この交付税の中で特別交付税というものがございます。例年どおり地方交付税のうちの六%に当たる部分、これが一応、約五千数百億円ということでございますけれども、特別交付税として交付をされるというようなことになっておりまして、今回の補助金の削減が大体九千四百億円強ということでございます。そのうち五千三百億円が特別交付税で肩がわりできないのかな、こういう疑問もあるわけですし、また、これは大変野党的な見方であれでございますけれども、いわゆるつかみ金といいますか、各府県に対し、あるいは各自治体に対して、中央官庁の裁量で割り振りを決めるというようなこともあるんじゃないかということで、何のために零細な補助金も含めて、今大蔵委員会の中で論議をしているんだ、こんな大きなものがあるじゃないかというような気がするのですが、これについて今申し上げました内容、私自身そういう気持ちを持っているわけですけれども、自治省として特別交付金の内容を、これはもっと大事なものだというのをここで立証していただきたいと思います。
#131
○土田政府委員 今委員の御指摘にございましたように、特別交付税は地方交付税総額の六%で、五十九年度におきましては五千百十四億ということに相なっておりますが、これは法律的には、地方交付税法の第十五条に規定がございまして、普通交付税の算定上、「基準財政需要額の算定方法によつては補そくされなかつた特別の財政需要があること、」あるいは「基準財政収入額のうちに著しく過大に算定された財政収入があること、」それから普通交付税の「額の算定期日後に生じた災害等のため特別の財政需要があり、又は財政収入の減少があることその他特別の事情があることに」よりまして、「普通交付税の額が財政需要に比して過少であると認められる地方団体に対して、」「交付する。」ということにされております。
 それから、具体的にはどういうものに対して算定するかということは、特別交付税に関する省令ということで、省令で決めて配っておりますので、決して私どもとして恣意的に配っているというわけではないわけでございます。
 それでは、特別交付税でどういうものを現実に財政需要として見ているかという問題があると思いますが、これは特に必要なものは、例えば島根の水害が起こりますとか、そういうふうな災害の関係でございます。それからことしでございますと、北陸を中心といたしまして異常豪雪がございました。そういうふうなところにつきましても、除排雪経費でございますとか、さらには当委員会でもいろいろ御指摘がございます、財政力の貧弱な過疎市町村に対します過疎対策でございますとか、それから公営企業関係で申しますと、水道の中で資本費が非常に高くなる団体がございますけれども、そういうところにつきましては、一般会計から一定以上の資本費負担によりまして、水道料金が高くならないというような配慮をいたしますための水道の高料金対策でございますとか、あるいは病院で申しますと、僻地の医療とかそれから高度医療に対します公的負担分でございますとか、さらには地域改善対策関係、同和関係、そういうふうなもの、それから公害対策等というものにつきまして、各団体の御要請を聞き、各地方団体ごとの財政需要というものを算入いたしているものでございまして、私どもといたしましては、いわば地方交付税の中で、普通交付税と特別交付税とは、まあ車輪の大きさが違いますけれども、車の両輪のようなものでございまして、両々相まってそれぞれの役割を果たしており、非常に重要なものであるというふうに考えております。
#132
○玉置(一)委員 中身についてはいろいろ既にお聞きをしているわけでございますけれども、例えば国の予算でいうと予備費に該当するんじゃないか。それで、予備費でも、ある程度毎年毎年、いろいろな内容から見て使うところが決まってきているのではないか、こんな感じで受け取っておりまして、今回の補助金の性格からいくと、余り中身が変わらぬのじゃないかなというような気がするわけでございます。そういう意味で補助金を、同じやるなら特別交付金も含めてやったらどうだというふうに思ったものでございますから、ちょっと質問いたしました。時間がないので、その後については省略をしたいと思います。
 大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。実は、いろいろ準備をしたつもりでございますけれども、ちょっと違う話をしたいと思うのであります。ぜひお願いしたいと思います。
 実は、けさの新聞によりますと、「九日の閣議で、六十年度予算成立後の経済・財政運営について発言」ということで、その中の一部でございますけれども、六十一年度予算編成は引き続き厳しい概算要求基準を設けるということを各省に協力要請をされた、こういう記事が出ております。そして、マイナスシーリングを六十一年度も続けていくのだというお話でございました。確かに今の厳しい情勢の中ではマイナスシーリングをやらなければいけないし、行政改革の体質が機構の中に生まれてこなければいけないと思うわけでございます。しかし、六十年度もマイナスシーリングでかなり厳しい予算編成をされまして、今回のように補助金の一括法案が出てきたということでございます。
 そういう面から考えていきますと、同じような要求基準で六十一年度予算編成をやられるということ、これは経常経費のマイナス一〇%、公共事業については五%ということでもしやられるとするならば、一般会計予算の約二七%強、いろいろな一般会計予算のうち二七・五%しか対象にならないということになると思います。そして、国債あるいは地方税を除きますと四四・三%が残るのですかね。要するに半分以下のものが対象である。そういう中でもう既に固定してしまっているものがありまして、その中での補助金の率というのは非常に大きいということになります。
 これはちょっと頭の中であれですけれども、数字が出てこないのですが、十五兆円の補助金、一般財政が三十三か四ぐらいでしたから四割強ですね。四割強のウエートを占める補助金に手をつけなければ、マイナスシーリングなり、あるいはことしと同じような予算編成というものはできないのじゃないか。しかし、大蔵大臣の発言によりますと、きのうの閣議では、同じようなことをして六十一年度予算を組みたいという発言をされておりました。ことしの今までの御説明をいろいろお聞きいたしておりますと、ともかく六十年度についてはこれでお願いしたい。しかし、来年以降の話は一向に出てこないということでございまして、初めてきのう出てきたというような感じを受けております。ですから、今お聞きしたいのは、まさにことし限りの補助金カットでいけるのかどうか、来年度予算は補助金に手をつけないでいけるのかどうか、この辺について明快なお答えをいただきたいと思います。
#133
○竹下国務大臣 必ずしも明快ではないかもしれませんが、要するに昨日の閣議におきまして、これは例年でございます、予算成立に当たっての発言を大蔵大臣が求めるわけであります。
 その第一は、いわゆる年度途中に予想される追加財源もありますよ、したがって既定経費等についても極力節約、節減を図ってくださいというのが第一でございます。これは大体例年どおりの文言でございます。
 それから第二番目は、公共事業の事業執行についての考え方を申し述べました。これはいわゆる景気の動向に応じて機動的、弾力的に運用する。それから、地域経済に配慮する。それから次の問題は、いつものことでございますが、災害復旧及び雪寒関係の事業費は早期実施に努めるというような考え方を述べました。
 そこで三番目に、今度は予算関連法案、まさに今のこの法律です、審議中でございますので、これにつきましては連合審査もございますでしょうし、よろしく各大臣協力してくださいと申しました。
 それから四番目に、財政運営の基本的考え方を申し述べました中で、六十一年度の概算要求についても厳しい基準を設定せざるを得ないと考えますが、各位におかれましても、政府と民間の役割分担、まさにこの委員会でたびたび申しておる言葉でございます。国と地方との機能分担及び費用負担のあり方を見直すなど、連年の努力を踏まえ、歳出の節減合理化にさらに積極的に取り組むべく、事務当局に前広に検討方を御指導くださいませ。さあ、具体的にどうするか、今玉置さんおっしゃいましたように、去年のように一〇%と五%とかいうようなことはしばらく勉強させてください、こう申したわけであります。
 いずれにせよ、環境が厳しゅうございますから、やがて概算要求作業というものも始めなければいかぬということになりますと、事前に事務当局方でいろいろ勉強してもらう必要があると思うから申したわけであります。
 そこで、今御指摘のとおり、いわゆる国債費、これは利払いと償還の一部でございますが、そして地方交付税、これはまさに一般歳出ではなく、一般会計の中へ入りますが、これは手をつけることのできないものであります。その後の問題につきましては、いわゆる人件費でございますとかなどなど、やはり手をつけられない固定的なもの、あるいは既に債務負担行為で契約をしてたまたま現金化がやってくる、こういうような問題がございます。その後の問題についてどうするかということになりますと、今御案内のように、一般歳出の四割強を占める補助金というものは、やはり歳出削減を図る前には絶えず注目して対象としなければ、これは実際問題として歳出削減というのはなかなか難しい問題でございます。そこでことしは、たびたび申しますように暫定の一年と、こう申しておりますが、社会保障については三大臣が話し合いまして、この一年間かかってきちんとした補助率のあり方を決めようや、こういうことになっております。
 それで一方、他の問題につきましても、必要に応じいわゆる役割分担と費用負担のあり方については、引き続き検討をしていかなければならぬ課題だ。だからその点につきましては、今お願いしておるものは、確かにこれは一年の暫定措置でございますが、将来にわたっての補助金のあり方というものは、やはり手綱を緩めることなく、引き続き検討していかなければならぬ課題だという問題意識を申し述べたわけであります。
#134
○玉置(一)委員 先日の公聴会で我々もかなり勉強になったと思うのがありました。実は零細な補助金はむしろ束ねるべきじゃないかという意見で我々大体今まで来たわけですけれども、実情をお聞きしますと、零細な補助金になるほど、声なき声が伝わらないということで無視をされてしまう、こういうことがございまして、我々も多少考える余地ありというような気持ちになりました。しかし、全般的な傾向として、竹下大蔵大臣がいつも言っておられますように、予算づけにしてもやはりめり張りも必要ですし、今回の補助金カットについても、効果のあるものないもの、そしてもう要らないものについては、思い切った処置をしていくということも必要でございます。
 来年度の予算編成のやり方をあくまでも推測をしているわけでございますけれども、もしこのまま概算要求を各省にお願いをされて出していただくという時期――日数から数えますとあと四カ月弱になるわけでございまして、恐らくまた同じような補助金の一律カットというものが出てくるのではないかというふうに思うわけです。ただ、一律カットでどんどん押していけば、そのうちゼロになるわけですから――まあゼロにはなりませんけれども、どんどん減ってくるわけでございまして、その辺を先ほど申し上げたように、補助率が本当に地方財政に圧迫を加えているものもあるわけですし、また、効果が、経済環境の変化なり住宅環境の変化なり、そういうようなものから非常に薄れてきてしまっているものもあるわけでございます。
 これを私の希望として申し上げておきたいと思いますけれども、ぜひ早いうちに手をつけていただいて、やはりいろいろ検討された結果、この部分については今回やろう、あとの部分については一律だとか、そういうような形で、一遍に全部見直すというのは、これは時間的にもとても無理ですし、難しいと思いますけれども、やはりことしの轍を踏まないような形でお願いをしたいと思いますが、それにお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
#135
○竹下国務大臣 確かに一割削減方式というのは、五十六年度の予算編成に際しまして、要するに大蔵省は予算の調整権はあるにいたしましても、現実に一番詳しいのは各省庁のお方でございます。そこで、各省庁で優先順位をつけてくださいというので、一律のカットをした中で、あるものはなくなり、今おっしゃいましたように、既に目標を達成したものはなくなり、あるものは伸びたものもございますし、それからスクラップ・アンド・ビルドされたものもあるという形でやってきました。そうして、その際は、先ほど来もちょっと話があっておりましたが、例えば社会保障などは、これは例外としておったわけであります。
    〔熊谷委員長代理退席、中川(秀)委員長代理着席〕
 そこで、だんだんそれでやっていきますと、やはり制度、施策の根源にさかのぼらなければならぬということになって、出てきたのが、一つは医療保険制度の改正じゃなかったか。そうして、ことしも年金が中長期の課題として、いわば御審議を参議院でいただいたり、これから共済は、また本委員会でお願いしなければならぬようになるということになるのでございましょう。
 そこで、どうしても補助金ということになりますと、アバウト八割が法律であり、そしてアバウト八割が地方公共団体を通ずるもので、アバウト八割が文教、公共事業、社会保障ということになりますと、今度は率の問題が出てくるわけです。それを今度は、地方と国との、いわば役割分担、費用負担のあり方ということで議論をした結果、こうしてお願いしておるわけです。したがって、来年度は可能な限り一律、こういうことで、各省で優先順位をつけてもらうのがだんだん選択の幅が少なくなってまいったわけでございますから、どういう手法でお願いするのか、そういうことを含め、三大臣合意である社会保障は社会保障、その他の問題はその他の問題として、これは本当に役割分担と費用負担のあり方という点から見直し作業を進めていかなければならぬというふうに考えておるところであります。
#136
○玉置(一)委員 終わろうと思ったんですけれども、ちょっと一つだけお聞きしたいのですが、例えばこの法案がどうなるかわかりませんが、採決をされて成立をするというのは、四月末か五月か六月か知りませんが、少なくとも四月の一日は既に過ぎちゃっているわけですね。各地方公共団体の予定しております公共工事の発注、こういうものの発注がどうなるかわからないというようなことも聞いておりますし、四月の五日に生活保護費の支払いがされたと思いますけれども、この辺の手続をどうするかという問題についてお答えをいただきたいのです。
 それで終わります。本当に終わります。
#137
○竹下国務大臣 これは私から総合的にお話しいたしますと、今御指摘のような生活保護というようなことになりますと、これは交付決定はいたしておりませんので、したがって、地方においてそれぞれ財政措置をなさる。その場合、きょうもいろいろ議論がありましたが、中には借入金で措置される方もあるでございましょう。いろいろな形でこの資金手当てがなされまして、結果として法律が成立後交付決定をいたしますならば、幸いに末端の受給者に対しては損得がないようにということだけは気をつけておるわけであります。
 それから公共事業の問題は、箇所づけということになりますと、例えばこの法律が通る前提で十カ所を予定しておるとしますと、通らなかったら、それは八カ所にしなければならぬかもしらぬというようなことからして、いわば交付決定に至っていないということになるわけでありますが、可及的速やかにこれを通してもらうことによりまして、いわば経済とか景気とかという問題にも、幸いになだらかながら景気がいいところにありますので、大変な不況のときとは違うといたしましても、そういうことの影響がないようにしていかなければならぬというふうに心がけておるわけです。幾らか補正で御審議いただきまして、道路関係の特定財源とそれから債務負担行為、あの問題が、私は契約ベースで考えますと幾らか支えになっておるんじゃないかなという感じは持っております。
#138
○玉置(一)委員 終わります。
#139
○中川(秀)委員長代理 石田幸四郎君。
#140
○石田委員 公明党の石田でございます。
 この法案に対する質疑をこれからやるわけでございますけれども、まず基本的な問題から伺っておきたいと思います。
 この国の補助金の整理及び統合化、まあ法案の名称がそういうふうになっておるわけでございますけれども、これは本会議の議題にもなりましたし、各委員からもいろいろと質疑があったものと思うのでございますけれども、臨時行政調査会の答申を見ますと、補助金等の整理統合化という課題は、実は国と地方とが共同して行っている行政施策そのものについて整理統合化を検討することである、また、国と地方との費用分担のあり方を検討することにほかならないというふうに言われておるわけでございます。
 ところが、実際の法案の中身は、いわゆる高率補助金の一割カットというような形になって出てきているわけでございまして、私はこの地方の行政あるいは国の行政のあり方について必ずしも十分な踏み込みが行われていないというふうに感じておるわけでございます。今もいろいろ議論を伺っておったわけでございますけれども、そういった意味でやはり大変国の財政が厳しい、あるいはまた地方財政も厳しいときだけに、この補助金等の整理合理化の問題は、本質的な問題から掘り下げてやるべきだ、このように思うのでございますけれども、大蔵省が御提出になった背景には、そういった議論はどの程度行われておりましたか、まずこの点から伺っておきたいと思います。
#141
○竹下国務大臣 臨調というお言葉もお使いになりましたが、臨調、行革審等からたびたび指摘を受けておるところでございます。なかんずく高率補助金というものについてはまたいろいろな問題もある。したがってこのたびは、いわゆる地方と国との役割分担、そして費用負担のあり方ということからこれに取り組んだわけであります。
 そこで、その間に行われました議論というのは、まさに今石田さんがおっしゃいましたように、本来一つ一つを、これは国の責任がどの程度か、これは地方がいかにあるべきか、こういうことで積み上げた議論をして、そして、事によっては一年間でそれをやった後、六十一年度予算から取りかかるのも一つの考え方ではないかというような議論もありました。それを積み重ねてまいりまして、結論から申しますと今御審議いただいておりますように、みんながみんな一割ではなく、八が七になり、あるいは三分の二が六になりというようなばらつきがございますけれども、そういう方向でいわば費用負担のあり方をとりあえずこの一年は暫定的にやって、そうして先ほどのような根本、まさに施策の根源にさかのぼった議論は、これから一年かかってきちんとしたものをつくろうじゃないか、こういう結論になったということでございますので、その議論の過程においては、今石田さんのおっしゃったような議論がその根幹に流れた、議論の真ん中にあった課題だということであります。
#142
○石田委員 これから一年かかって補助金の基本的な改革をお考えになるということでございますが、どんな手だてで、また本当に一年後そういった結論が得られるようなことになりましょうか。
#143
○竹下国務大臣 結論から申しますと、得なければならない課題だと思っております。
 さて、どういう手だてでやるかということでございますが、今関係省庁で話し合いをいたしておりますが、いつからどういう手だてということについては今結論を得ておりません。恐らく関係方面の意見を聴取する機会も必要でございましょう。だが、まずは国会の議論ありきというのが私の平素からの姿勢でございまして、そういう議論を整理してそこから取りかかっていこうということになろうかなと考えておるところであります。
#144
○石田委員 そうおっしゃっても、ちょっとそのまま引っ込むわけにはいきません。大蔵大臣、大体一年をめどにというようなことを申されたわけでしょう。しかし、国の財政の現状あるいは概算要求の時期も、今玉置委員の話の中にももう数カ月ということで出てきておるわけでございまして、法案が一年限りという性格もありますれば、どうしてもそこら辺のところはおしまいの方をきちっとしていただかないとならない。
 特に、今大臣がおっしゃったそういった議論については、かなりやってみましたというお話でございます。そのお話の中で、こうすべきだという議論もかなりあったと思うのですが、形としては高率補助金の一割カットという形になって出てきたわけですがら、この間のプロセスについては残念ながら明確じゃないわけですね。いろいろな予算編成の都合もあってのことだと思いますので、そこら辺は了とはしますが、今大臣がおっしゃったように、一年後くらいにはということでありますので、もうちょっとそこら辺を明確にしていただかなければ、この法案を審議しても余り意味がないのではないか。また、下手をすれば来年この法案を再度持ち出してきて、そうしてもう一年お願いしなければならぬというような結論になりそうな感じもあるわけですからね。くどいようでございますが、もう少し御答弁をお願いします。
#145
○竹下国務大臣 その結論を得よう、一年以内と申しましたのは、去年の暮れに三大臣申し合わせをやりまして、六十一年度予算編成までには決着をつけよう、こういうことがぎりぎりの線としてはあるわけですが、今石田さんが御議論なさいましたように、概算要求という一つのハードルがあるわけです。それについて、予算が通ったばかりで、概算要求はこういうふうにしてというところまでまだ勉強しておりませんけれども、その際どういう扱い方をするのか。例えば公共事業で、「仮定計算例」等でお示ししておりますようにデフレーターだけ掛けたものとか、国費ベース同額、あるいは何%カットとかそういうことでやっておいて、後から補助率がついていく場合も、私は全くないとは申せないと思っております。
 だから、概算要求というのが一つのハードルだとは思っておりますので、その際、概算要求のあり方と補助率の問題等をどういうふうに調整していくかというのが、これから概算要求基準を決めるに当たっての一つの作業だなと思っております。しかし、そのハードルあるなしにかかわらず、この検討は進めていかなければならぬわけでございます。それと概算要求とのあり方をどうするかというところはまだ不確定でございますが、頭の中にはいっぱいある課題でございます。
#146
○石田委員 自治大臣、今の議論を聞いておられたと思うのでございますが、これは主として自治省の方で責任を持って、補助金のあり方あるいは国と地方の行政のあり方をきちんと御要求をなされなければならない立場でいらっしゃるわけです。この法案が一年限りだということになりますれば、十二月末には予算が決まるわけでございますから、欲を言えば十月ぐらい、少なくとも十一月ぐらいには、ここら辺の議論の結論をしっかり御要求をしなければならないお立場であろうかと存じますが、いかがでございますか。
#147
○古屋国務大臣 先生御承知のように、私どもも、補助金の整理合理化ということは臨調答申にもありますし、極めて必要であるという考え方で、昨年の初めから、こういう問題が出る前から進めてきたわけでございます。補助金の見直しは必要だ。つまり零細補助金をやめるとかメニュー化を図るだとか、もう地方に定着しておってわざわざ国から補助金を出さなくてもいいというようなものを中心にしまして、特に一番問題になりましたのは、最後には社会保障の問題でございましたが、私どもはそういう補助金の整理簡素化、地方の自律性というようなことを前提といたしまして、補助金の整理合理化をやるべきだということは言ってまいりました。
 そういうことでずっと予算編成直前まで私どもは主張しておりましたが、十二月の二十日ごろの話でございますが、国は極めて厳しい財政状況にある、これではどうしても何とか協力してもらわなければ予算編成も大変であるというような判断が行われまして、私どもはこれは承服できないが、ただ一年限りにする、特に社会保障の措置等については三大臣できちっと話し合う、その結果によって判断をしていく。そしてまた、それによって地方の負担になります五千八百億、こういう計算をしておりますが、それについては交付税と建設地方債で補てんをするというはっきりとした約束をいただきまして、それで一年間ということを前提といたしましてこの措置をやることにしたわけでございます。
 そういういきさつでございますので、補助金の内容、区分というようなことは、自治省としましては相当検討しておりまして、一律カットをやられますと、御承知のように必要でないものも残りますし、これは国の財政が厳しいから一律カットということで、最後のやむを得ない裁定で私ども従ったわけでございます。補助金の見直し整理ということは私ども大賛成で、またやらなければならない。同時に、そのためには地方の行財政を簡素化すると同時に、自律性ということを考えて進んでいかなければならぬ、そういうふうに考えておるわけであります。特に社会保障費等の経常経費につきましては、大蔵大臣が申し上げましたように、三大臣合意で、この一年間にとにかくどうするか十分検討をして、来年の予算編成の前には結論を出すという気持ちで、その場をどういうところへ持っていくかは今検討しているところでございます。
#148
○石田委員 その議論は、今の両大臣の言明があるわけでございますので、これ以上突っ込んでみても果てしない議論になると思いますのでやめますけれども、地方行財政の問題もやはり長い間審議会等において議論をされてきたところでございまして、私どもも耳にたこができるほど聞いておるわけでございますので、ぜひそういった切り込み方を政府の方できちっとしていただきたいと、強く御要望を申し上げておきたいと存じます。
 それから、もう一つ基本的な問題として、国の財政が極めて厳しい状況にあることは、数字を挙げるまでもなく、もう既に言われているところでございますが、地方財政との関連で考えてみたときに、一体地方財政というものが国に比べてまだ余力があるんだというふうにお考えになっているのか。あるいは自治体そのものも、全般的に見て行政改革には努力をしておる、その結果であるというふうに見ておられるのか。そこら辺の見方について、大蔵大臣の見解を承りたいと存じます。
#149
○竹下国務大臣 いわゆる地方財政富裕論とでも申しましょうか、そういうものにくみした考え方でこれに対応していくべきものではない。やはり基本的には、その都度都度の財政状態ももとよりでございますが、国と地方との役割分担、費用負担のあり方ということでくみするべきものである。
 そこで、されば今の地方財政をどう見ておるかということになりますと、確かに大蔵省の財政制度審議会等では若干そういう御議論がございますが、地方財政計画というマクロな土俵を見ての議論になりますと、国と比べていわゆる赤字公債はまだないというか、今後あってはならぬことでございますが、あるとなしの違いがあるじゃないかとか、あるいは残高が三けたと二けたの違いがあるじゃないかとか、こんな議論はございますけれども、その議論は、議論としてはあり得るとしましても、事実認識としては、車の両輪たるいずれも厳しい財政状態の中に置かれておるという認識のもとに、この車の両輪が、両者が理解、協力し合いながら地方財政に当たっていくという基本的な認識の上に立っていなければいけないことだというふうに考えております。
#150
○石田委員 それに関連してでございますけれども、これも私、総理が御発言になったその席にいたわけではございません、新聞紙上でちょっと拝見をしたんですけれども、今回の補助金の一〇%カットの問題、これは地方がその分を負担するあるいは債券で負担をするということだから、国民の受益は同じではないかというような考え方を言ったとか言わぬとか新聞に出ておったのでございます。これは、もしそうであったとすれば極めてずさんな御答弁ではなかろうかと私は思うわけでございます。仮に百歩譲って、量的な立場から見れば国民の受益という問題は変わらないかもしれないけれども、質的な問題から考えてみますと、私は随分違うんじゃないかという感じがするんですね。地方財政にそれだけゆとりがあれば、あるいは地方の方でそれだけの独自な計画も立ち得るわけでございまして、ここら辺の問題、大蔵大臣としてはどんなお考えでございますか。
#151
○竹下国務大臣 私も参議院の予算委員会とのかけ持ちで、全部が全部おったわけではございませんけれども、恐らく総理がお答えいたしましたのは、例えば社会保障給付に当たって、生活保護なら生活保護の費用負担は変わってまいりました、しかしそれを受給される方の給付水準は変わりません、そして従来と同じようにスライドもちゃんと入っております、こういう意味で使われたことであろうと思っております。それから、公共事業なら公共事業にいたしましても、国費では若干の減でございますが、その補助率が変わってまいりましたことからして、事業費ベースではいささかでもふえております。だから、末端の国民自体が現実問題として受けるサービスの低下があるわけではございません、こういう趣旨で申し上げたのじゃないか。
 それで、石田さんの御意見というのは、さはさりながら、きょうはそうかもしらぬ、しかし実態から申しまして、ことしのいわゆるマクロの地財計画が私どもが議論する土俵になりますが、その土俵で見ますならば、この補助率の問題がなかったとしたら収支とんとんということになるわけでございますから、そのものは別の手当てをいたしたといたしましても、仮にそのような順調な姿で将来伸びてきた場合におきまして、いわばこれもマクロの見方の中で余裕――余裕と申しますかが仮にできて、その地方独自のいろいろな事業をやっていけるということに対しては、この問題が若干なりとも足かせになるんじゃないか。こういうことは、マクロの見方の中では成り立ち得る議論の一つだと私は思っておりますが、そこのところがまさに、国と地方とが車の両輪という立場に立って、毎年毎年単年度主義の予算の中で、可能な限りサービスの低下をもたらさないような措置をしていくわけでございます。したがって、総理が申しましたのは、まさにこれによって直接サービスの質が低下しないという意味において申し上げたことではなかろうかというふうに考えます。
#152
○石田委員 それではちょっと観点を変えて、まず自治省の方にお伺いをするわけでございますが、地方自治経営学会の調査によりますれば、都道府県の場合で、申請書をつくったりあるいは陳情、監査の書類づくりなど、国庫補助金をもらうための事務に使われている時間が四四・六%、これに国からの調査依頼分を含めると、勤務時間の六三・九%が国の関係の時間に費やされているというふうに言われているわけですね。今度の補助金のカットの問題、これはカット率だけの問題ではないわけで、地方債に振りかえるというようなこともありますので、このことを考えてみると、この補助金の一割カットというのは、そういった都道府県の事務量がかえってふえるのではないかというふうに私の方は想像するのでございますけれども、そこら辺に対してどんなお考えを持っているでしょうか。
#153
○土田政府委員 委員御指摘のように、地方団体の仕事は、補助金を廃止しなければ、率を下げるということだけであれば、仕事の分量は同じということでございまして、今回の措置によりまして一部二十三件補助金が廃止された分がございますけれども、それ以外の分につきましては事務量は同じでございます。
 なお、これに伴いまして、四千八百億の地方債を借りるというための事務が新たに必要になるわけでございますけれども、これにつきましては、私ども地方債の許可なり借り入れというものにつきまして、ほかの起債とできるだけ一本にしてやるという工夫をやりまして、地方団体の仕事ができるだけふえないようにしてまいりたいというふうに考えております。
#154
○石田委員 これはぜひそういう形でお願いをいたしたい、このように思うわけでございます。
 それから、各自治体によって財政状況が変わるわけでございますから、自治体によってかなりアンバランスになる場合も想像されておるわけでございますが、それに対する何か対応措置をお考えになっていらっしゃるのかどうか、この点についていかがですか。
#155
○古屋国務大臣 御承知のように三千三百余の集合体でございますから、財政が特に豊かといってはあれだけれども、貧しいところとそうでないところがあることは事実で、これは交付税制度によりまして、大体三二%を地方交付税としていただきまして、これを地方に配分する場合にいろいろの条件を入れまして配分しておりまして、辺地の点あるいはそういう財政の悪い点についても、そういうような配分によりましてできるだけ差を縮めていきたいと考えております。
 なお、問題の社会保障の問題につきましては、例えば九州の福岡県とか、あるいはそういうところと岐阜県なんかとは、圧倒的に保護世帯の数が違っております。これにつきましては、今度の厚生省の二百億の調整交付金によりまして、私はそういうところの配分によって当然考えられるべきものと考えております。
#156
○石田委員 自治大臣にもう一つお伺いいたしますが、この法案、今審議をしておるわけで、こんなことで参議院まで行きますと、当初の見込みからかなりずれ込むわけですね。そうしますと、地方自治体によってはかなり借金をしなきゃならぬところが出てくるわけですね。ここら辺の影響についてはどんなふうにお考えでございますか。どんな見通しですか。
#157
○古屋国務大臣 地方も御承知のように行革を国以上に相当進めているところもあるわけでございまして、今「地方行革大綱」というものによりましてその基準を示しまして、行財政の一層の簡素化ということを図っていただいておるわけでありますが、今予算は通りましても補助金カット法案が通りませんと、地方に配分できないものが随分ある。積み立てやそういうものがあって、それをなし崩しに崩していけるところは、国から金が来るまでそういう措置をとっておりますけれども、財政的に困るようなところは、これはいつ成立するか知りませんが、国会のことでございますから、私どもは早期に成立していただきたいと思っておりますが、その間が長くなりますと、やはり地方自治団体としてはある程度金を工面しなきゃならない。
 本当にこれは、そういう状況を、私は御審議を承りながら、私も地方自治体の財政負担というものが――実は交付税の方も、御承知のようにまだ審議が始まったところでございます。でございますので、この補助金法案がもとでございます。それができませんとこっちの方もできないということで、私どもも一つの大変大きな苦痛にしておりますが、苦痛だけでは済まぬわけでありまして、借入金できるところはする、できぬところにおきましては、その財政措置といたしましてどういう点をあれしていくか、今一生懸命検討しておるところでございます。
#158
○石田委員 その辺のところは十二分にひとつ御配慮をいただきたいと思います。
 それから、もう一度この補助金等の仕組みの問題に立ち至るわけでございますけれども、どうも私どもが見ておりますと、補助金の低額のものに対していわゆる中央各省庁に対する申請をし、いろいろな検討書類を持ち込んで決裁をしてもらうということで、各地方自治体がずっと陳情合戦をするわけでございますけれども、やはりこれはひとつ自治省なり大蔵省なり御相談をいただいて、これ以下の分については書類決裁で済むんだというぐらいの、この辺は簡単に線引きができるのじゃないか。一割カットしたくらいでございますからできるのじゃないかなと私思うのでございますけれども、ひとつここら辺に踏み込む用意はございませんか。
#159
○竹下国務大臣 確かに、いわゆる事務が大変煩雑だ、なかんずく出先を回ったりいろいろなことをすれば大変な浪費を伴う、こういう指摘がかねがねございまして、そこで補助金等の執行面の改善についての効率化ということから、補助金等適正化中央連絡会議というのがございまして、これで各省庁に対し補助金等の申請、交付手続の簡素化、合理化、これを要請してきておるということでございます。
 が、まさに石田さんの御指摘のように、この六十年度、今年度でございますけれども、総務庁におかれて補助金等事務手続の簡素合理化に関する行政監察を実施される、これはやはりいいことだなと私は思っております。したがって、これからもそういう点に配慮いたしまして、いわゆる合理化、効率化を図る方向でなお努力をしていくべきだというふうに考えております。
#160
○石田委員 この点はぜひ進めていただきたいと思うわけです。
 それから、この暫定措置、六十年度限りというふうに言われておるのですけれども、今日の財政状況からすれば、来年も相当厳しいというふうに言わざるを得ない。六十年度限りというのは非常に見方が甘いのじゃないか。要するに国会審議に当たって、簡単にそういうことをのんではいかぬぞと言う人もおるぐらいのもので、これは先ほど両大臣が言われたわけでありますからそれに期待をするといたしまして、もう一つまだ心配なのは、五〇%で一応ラインを引いたわけですね。今後の財政需要の見通し等の上からいって、仮にそれ以下の補助率の問題についても削減をするという事態があるとすれば、財政状況がどんなふうに変わった場合かというふうに考えてみますけれども、こういったことは絶対にあり得ないというふうなことになりましょうか。あるいは五〇%以上の問題でなくて、むしろ三〇%以上というような切り込み方も、財政に変化があればあるぞよというようなことになりましょうか。そこら辺の見通しについてちょっと伺っておきたいと思います。
#161
○竹下国務大臣 ことしお願いしておりますのは、各種答申等が高率補助ということの指摘にこたえて、それを二分の一以上ということでお願いをしておるわけであります。私は、刻みで、さればその次は三分の一以下をどうするかという形の議論というのはなかなか難しい議論じゃないかと思うのでありますが、従来も、いわば補助で出しておったものを融資に転換いたしますとか、そういうような政策は行ってきておりますし、それから交付金化したものもございますし、そういう努力、一般論としての努力というのは、やはりこれはまさにエンドレスとでも申しましょうか、終期がないほどやっていかなければならぬ課題だと思っておるところでございます。
#162
○石田委員 それから、これもたしかけさの新聞だと思うのですが、この補助金の一〇%カット、一年繰り延べの措置、これはこれなりに今法案として出ているわけでございますけれども、例えば児童扶養の手当給付費、こういうような問題について、自民党部会ではかなり厳しい削減の方針を決めたかのごとき報道がございました。そういうことから見ると、もちろんそれは個々の問題が財政全般に波及をするというような形はあり得るわけでございますけれども、こういう福祉関係をびしびしカット率を厳しくするということについては、当然これは地方の負担も増加するようなことでございますので、この一律のカット法案に関係なくそういうものが出てくる。そういう心配があるわけですけれども、そういうことのないようにぜひお取り組みをいただきたい。こんなふうに思いますが、いかがでしょうか。
#163
○平澤政府委員 新聞は読んでおりませんが、恐らく児童手当のお話だと思いますが、児童手当につきましては本法案と別の問題でございます。したがいまして、その補助率を今後どうするかという点につきましては、ほかの類似の事業等との権衡あるいは今後の全般的な補助金問題の検討の状況いかん等々を勘案して、また検討していくということかと考えております。
#164
○石田委員 そういう意味で、これは個々の法案の問題でございますけれども、全体の姿勢としてはぜひひとつ福祉重視の姿勢を貫いていただきたい。御要望を申し上げておきます。
 それから、国鉄の再建問題について、若干大蔵省のお考えを承りたいわけでございます。
 これは、いわゆる助成金に対しての考え方等の問題があるわけでございますが、御存じのとおり、今国鉄、二十二兆円の長期債務というようなことが見通しされておるわけでございますけれども、再建監理委員会が発足して、七月には再建案を出す、こういうことが言われておるわけでございます。この再建案は、大臣に申し上げるまでもなく、まさに国鉄の生死を決する重要なものというふうに思うわけでございまして、政府としても、この答申に対しては責任を持たなければならない、こういうことですね。
 まず基本的に大臣にお伺いいたしますが、恐らく出てくるであろう民営・分割案、この基本的な考え方、これはもうしばしば表明されているわけでございますので、大蔵大臣としても当然基本的にはそうあるべきだというふうにお考えなのでございましょうか。
#165
○竹下国務大臣 去年の八月の委員会の第二次緊急提言におきまして、長期債務等のうち新しい企業体による最大限の効率的経営を前提としてなお事業の遂行上過重な負担となるものについては、用地を最大限債務償還の財源に充てるなど可能な限りの手だてを尽くした上で、最終的には何らかの形で国民に負担を求めざるを得ない、これは緊急提言でございますが、こうなされております。
 それで、さてということになりますと、抜本的な再建策は、ことし半ばごろには結論が出されると聞いておりますが、その結論を予測してと申しましょうか、結論を待たないままに私がコメントするのはいかがかなというふうに考えますので、結論をまった上で各方面と協議し、適切に対処してまいるというのが、本日の時点におけるお答えの限度かなと、こんな感じでございます。
#166
○石田委員 それは大臣、ちょっと違うのですね、そこのところが。再建監理委員会の今までの検討をいろいろな角度から漏れ承っておりますが、民営化をするということを前提とすれば、これは民営化をするまでのいろいろな問題点があるわけで、これを整理をしませんと、とても民営・分割という発想は出てこないわけです。したがって、監理委員会とすれば、この七月にもし答申を発表するとすれば、その考え方については十分に政府、特に大蔵当局と御相談をした上で見通しをつけない限りは、監理委員会の再建案は出ようがないわけですよ。そうでございましょう。例えば、いろいろな努力をした結果国民に応分の負担を求めなければならないというのは、まさにそれであって、例えば新しい税目を設けるのかあるいは一般財源から補てんをするのかということにしても、これは一たん再建案が出れば、それを政府は尊重するとおっしゃっているわけですから、それに基づいてさまざまな法律をつくらなければならぬわけなんですね。
 さらに具体的に申し上げますれば、前回国鉄が出された再建案、非常に評判が悪うございました。それは、いろいろな努力をしてもなお年に二兆円の財政措置が必要だということで、何だ、これでは今までの政府助成よりもはるかに負担が大きくなるじゃないかという議論もありました。そういうことで大変不評ではあったのですけれども、この財政処理の問題をどうするか、二十二兆円の問題を、いわゆる民営化を実施するについて、その債務は、じゃどこまで負担をさしていくか、あるいは棚上げ措置を何%とるかというような問題がはっきりしない限りは、これはとてもとても民営の発足はできないわけでございます。
 そうしますと、仮に一兆円規模の利子補給を――長期債務のうちの、例えば国鉄が言うている二十二兆円の分、九兆五千億は新しい会社になって引き受けることができる、こう言っておりますね。そうしますとどうなりますか、約十二兆円前後、これは国の棚上げ措置を期待をいたしておるわけでございまして、それの利子補給を考えただけでも、七%という利息を仮定しましても、これは約八千四百億の利子補給というものが政府に必要になってくるわけですね。現在たしか、五十八年のペースですか。五千五百億くらいの利子補給をしていらっしゃるわけですよね。それを上回るわけですよ。
 後で申し上げますが、例えば年金の問題、これもかなり大きな問題がありますね。そういったことも恐らく再建委員会でも――例えば国鉄共済の追加費用約三千二百二十五億ぐらいでしょう。それを新しい民営の株式会社に持たすことはできない、これだけでも大変な赤字要因であるというふうにお考えになっておるはずなんですよ。これは、各党の専門家が集まってみても、それは全部そういう意見です。
 例えば、自民党の三塚さんが国鉄問題について本を出されました。その中にも、追加費用分については、これは国で何とかする以外に方法はないのではなかろうかという意味の御発言をしていらっしゃるわけで、だれが見てもこの問題はそう簡単ではない。民営化にそれをおっかぶせられるような性質のものでもなければ、それだけの余裕もないということでございまして、大蔵省が本当に再建監理委員会と打ち合わせをして、これらの問題について腹をくくらぬことには、私が見るところ少なくとも一兆円規模。そうすると、現在の国庫助成の倍近くになりますね。そこら辺の腹をくくらぬ以上は、この監理委員会の再建案というものはできないわけなんです。
 私はそう認識をいたしておりますが、これは大臣、お考えになってどうでしょう、私の主張は間違っておるでしょうか、私は間違っていないと思いますが。そうすると大蔵省としてはかなりの額を腹をくくらなければならぬ。これは来年度の予算編成にとって非常に大きな問題になりますね。いかがでしょう。
#167
○中島(眞)政府委員 先生ただいま御指摘がございましたように、昨年の八月の十日に出ました再建監理委員会の緊急提言におきまして、長期債務の処理についての考え方を述べております。
 それによりますと、御指摘の長期債務とか年金負担などにつきましても、新しい企業体が民営・分割を前提としながら今検討されておるわけでございますが、そこで最大限効率的な経営を前提とするということにいたしまして、そういう効率的経営を前提として新しい経営形態が背負い得る債務、それは新しい経営形態が引き継ぐわけでございます。残りのものにつきましては、国鉄が持っております膨大な土地がございますけれども、こういうものを最大限債務償還の財源に充てるというようなことで、可能な限り手だてを尽くしまして、それでも残る債務があるわけでございますが、それについては、最終的には何らかの形で国民に負担を求めざるを得なくなるだろうということを言っておるわけでございます。しかしながら、その前提といたしまして、先ほど申し上げた本当に効率的な、健全な経営が行われる経営形態というものが確立されるのが前提となっております。
 御案内のとおり、既に昭和五十一年と五十五年に、二回にわたりまして累積欠損額に相当いたします債務の棚上げを行っておりまして、五兆三千二百二十一億の債務が現在棚上げされております。それにもかかわらず、その後事態は悪化したわけでございまして、今申し上げた長期債務、最後に国民の負担ということになるといたしますれば、その前提といたしまして、国鉄が国民にとって本当に有用な鉄道事業といたしまして、効率的で、かつ健全に運営されるという仕組みが確立されなければ、到底国民の納得を得られないだろうということを監理委員会の提言では言っておるわけでございます。
 こういう効率的な経営形態の確立と切り離して長期債務の問題は解決し得ない、こういう認識のもとに、現在監理委員会においては民営・分割を念頭に置きながら、効率的な経営形態がいかにあるべきかということの検討を進められておりまして、それとあわせまして、この長期債務についても検討が進められておるわけでございます。私どもの方もいろいろ勉強はいたしております。新しい予算が成立いたしまして、国有鉄道再建実施対策室も発足いたしまして、いろいろ勉強いたしております。監理委員会の審議にも積極的に協力いたしまして、適切な結論が得られるように努力してまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
#168
○石田委員 国鉄部長さんのお話でございますけれども、そこら辺の話はもう一カ月、二カ月前のお話でございまして、事態はそこからさらに進展しているのですよ。もう七月には結論を出さなければならぬ。そうでしょう。そうすると、その結論を出すときの、いわゆる最も効率のよい経営形態という問題と、財務の長期負債等にかかわる問題、国鉄財政との問題はお礼の裏表なんです、これは。効率化を図るためには財政処理をしなければいかぬでしょう。財政処理ができれば再建案もつくれるわけですよ。これはまさに表裏一体のものなんです。
 ただ、私が指摘をするのは、この再建案が、仮に再建監理委員会から出ようが、あるいは運輸省当局が立てられようが、民営化を前提とするならば、少なくとも一兆二、三千億のいわゆる政府助成というものはどう計算したって必要なんですよ。これがなければできないんだ。そのように、今の助成額ではとてもとても及びませんよ、それだけの腹を決めないとこの再建案はできませんよということを申し上げているのであって、大蔵省としては本当にそういう御決意があるのかどうか、それを承っておるわけです。
#169
○竹下国務大臣 石田さんの御議論は、確かにプロの議論で、かなり進んだ議論なんですね。私は国鉄問題、もちろんアマチュアでございますが、プロの論議でそういう御議論がなされておるということを全く知らぬというわけじゃございません。しかし、今や財政当局の長としてあえて申し上げますならば、今日時点におけるお答えの限界というのは、国鉄再建監理委員会のその答申が出た時点で議論をして適切に対処するというのが大体限界かなあということで、これはまあ御理解いただけるのではなかろうか。ある種の御理解の強制をお願いしなければならぬのかなあ、こう思います。
#170
○石田委員 これは議論の段階でございますから、これ以上申し上げても、再建案、終着点じゃないわけでございますから御無理と存じます。しかし、これはそれだけの大きな問題でございますので、せっかく再建監理委員会が骨を折られて一つの案を出されるわけです。これは当然国会の議論にもなるわけでございますし、これに対して賛否両論いろいろな角度からあろうと思います。恐らくこの国鉄再建法案なるものは、まさに政府の権威をかけた攻防となると思います。これだけでも解散含みの問題なんですね。それの一番の焦点は、長期債務その他の財政の仕組みをどうするかということが問題なわけでございまして、各党の案を今までいろいろ承っている状況の中では、大変困難な問題で、現在の政府助成の倍は出さなければならぬだろうというような感じがいたしますので、ひとつぜひ御研究を願いたい。その程度にいたしておきます。
 それから、再建論議の中で一つの大きな問題点、公共企業体の共済年金の問題なんですね。共済年金の改正法が出るというふうなお話も承っておるのでございますけれども、公共企業体の共済年金の中で区分が分かれておりますね。いわゆる経営者負担、経営陣の負担をする割合というものは事業者負担、公的負担、それから追加費用、こんなふうになっているわけですが、どうもわからないのがいわゆる事業者負担、公的負担、追加費用という三つの区分の分け方なんですね。事業者負担というのは、民間会社でも厚生年金の場合は事業者負担をやっておりますから、これはわかるのですね。ところが公的負担と追加費用の分け方というのが余りはっきりしていない。しかも、今回電電公社あるいは専売公社が民営化されたために、この公的負担というのはなくなってしまったわけですね。そうすると、その路線上に考えられるのは、国鉄がいわゆる株式会社として発足をすれば、当然この公的負担分は消えるもの、こういうふうにまず一つ考えられるわけですが、この考え方についてはいかがでしょうか。
#171
○中島(眞)政府委員 先生ただいま御指摘のとおり、電電、専売が抜けますと国鉄だけが公共企業体ということになりまして、従来、公共企業体につきましては、いわゆる公経済負担分につきまして、国の負担に相当する部分は国鉄、公共企業体が負担しております。それで、電電と専売も抜けたということもありまして、一月十日に出されました国鉄の基本方策の中では、その公経済負担分に相当する分については国において負担してもらいたいという前提での試算となっております。
 国鉄につきましての新しい経営形態がどういうようなことになるかということについては、再建監理委員会で検討中でございますので、まだどういうことになるかわかりませんけれども、株式会社ということになりますれば、通常のあれからすれば、国の負担になるというふうに理解しております。
#172
○石田委員 これは議論してもしようがないかと思うのですが、そういうことであれば、やはり政府としては国鉄の財政赤字を減らすためには、ここら辺の問題は今までも切り込んでおかなければならない問題ではなかったかと思うのですが、さらに大蔵省の方で、追加費用という考え方、概念、これはどんなふうなとらえ方をしているのでしょうか。
#173
○中島(眞)政府委員 追加費用の考え方でございますが、国鉄共済組合が現在の制度で発足いたしましたのが昭和三十一年の七月でございます。三十一年七月以前から国鉄に勤務していた人々に対する共済年金につきまして、三十一年七月以前の分の恩給の負担額、それから雇員、傭人という立場で職員として働いてきた人の三十一年七月以前の積立金がございますけれども、それで賄い得ない不足部分というものにつきましては、追加費用という概念でとらえておりまして、これは国鉄が負担するということで運営してまいっております。
#174
○石田委員 さて、これからが議論なんでございますけれども、過去の歴史的な経過というのはよくわかるのですけれども、三十一年の七月に公共企業体の共済組合が発足をいたしたわけですね。公社に移行したのは二十四年の六月でございますね。そうすると、その前に、大正年間には恩給法の制定等がずっとあったわけでございまして、これは随分長期にわたっての後始末的な費用として追加費用があるわけでございますけれども、これは果たして今後も――今の専売公社やあるいは電電ですと、追加費用をそのまま受け継いでおるわけですね。経営状態、国鉄ほどじゃありませんから我慢してやっているんだと思うんですけれども、仮に民営化が進んでいくというふうに考えた場合、例えば政府出資一〇〇%の時代もありましょうし、それが進めば日航のように政府出資三〇%という時代も来るかもしれない。いずれにしても、やはりこれをどこかで決着をつける方向に行かざるを得ないのではないか。その方向だけでも結構ですけれども、その私の提起に対してどんなお考えをお持ちでしょうか。国鉄さんお答えですか、運輸省さんどうぞ。
#175
○中島(眞)政府委員 先ほども申し上げました国鉄再建監理委員会の第二次の緊急提言におきましても、長期債務とあわせまして、追加費用などの年金負担ということについて、あわせて債務処理の問題として考える必要があるという認識でございます。国鉄の債務は、五十九年度末にはほぼ二十二兆円でございますけれども、監理委員会の方での試算によりますと、この追加費用だとかあるいは青函トンネルそのほかの大規模プロジェクトの資本費などを入れますと、三十五兆の債務になるんじゃないかという推定もなされておる状況でございまして、この追加費用の問題についてもあわせて検討が行われているところでございます。
#176
○石田委員 大蔵大臣、聞いておいていただきたいのは、今運輸省の方は、再建監理委員会の案が出れば、恐らくこれについて触れられてくるであろうということで、これは今までもそういった負債分経費が余計にかかっている問題、新しい会社にどのように負担させるかというのは確かに大問題で、議論も幾つかあるわけですね。難しい問題なんですけれども、ただ、国鉄の方は、例えばある程度政府がこれを負担しようということになりますれば、先ほど申し上げたように電電も専売もこれは連動している問題でございまして、公共企業体の共済年金の問題として考えていただかなきゃならないわけですね。
 今度出てくる公共企業体の共済年金法については、これはいわゆる国民年金の基礎年金の考え方に合わせていくわけですけれども、今の形態のままですと、三千数百億がまだずっと十年、十五年続くわけですね。そういうことになるわけです。こんなのを持っていたんでは、とても国鉄の民営化というのはできません。そういう問題が出てくるということをぜひ頭の中に置いていただいて、ぜひとも国鉄再建監理委員会のときに電電の分もたばこの分もあわせて決着をつけていただきたい、こんなふうに御要望をいたしたいのでございますが、その点についてはいかがですか。
#177
○竹下国務大臣 私が国鉄共済自体にかかわりましたのは、国家公務員共済との統合でございますか、いわゆる国家公務員等共済組合になって今日に至っておるわけであります。そのときにも、いわば電電のお方から専売のお方から、あるいは国家公務員、全農林の方等々、いろいろな議論をいたしました。だが、第一段階は御案内のとおり、言ってみれば、ある人は国鉄共済救済法案じゃないか、こういう意見。いや、労働者連帯でひとつ可能な限りだんだんパイを大きくしていこう、こういうことで議論をいたしまして発足して、そして今度は専売、電電はこの四月一日から経営形態が変わった。
 しかし、その中へ依然としてお入りいただいて、そうして今審議会等で議論されておりますのは、今おっしゃいましたいわゆる年金の一元化を展望した基礎年金の議論をしておるところでございます。これはまさに審議中で、この間私も一回だけ審議会に出かけてまいりましたけれども、今おっしゃった問題というのは私どもとしても、たまたま国家公務員共済は私の所管でございますから、その所管の窓口から見ましても、これは大変長く続く問題である、それの対処の仕方ということに対しては、今日から十分勉強してかかっていなければならぬ課題だという問題意識だけは持っております。我が方も、共済問題ということになりますと、数少ないプロに今議論をしてもらっておりまして、私どもも時たまレクチャーを受けておりますけれども、今おっしゃったいろいろな問題点というものについては、今後とも勉強して追っていかなければ、いずれ再建監理委員会の答申が出るわけでございますから、勉強課題としては十分認識しておるつもりでございます。
#178
○石田委員 特にこの年金問題は、七十年というのが一応のめどになっておるわけでございますので、それまでの間というようなお考えでは、これは国鉄の民営化の方に非常に大きな一つの壁になってしまうので、強く御要望を申し上げた次第でございます。
#179
○竹下国務大臣 一つだけ今間違いを申しました。国共審の審議会ですね、月曜日に答申をいただいた。私がまだレクチャーを受けていなかったものですから、今、きょうかあすかというようなつもりで申し上げましたが、月曜日にいただくことだけはできたそうでございます。これだけは訂正させていただきます。
#180
○石田委員 あと運輸省がお見えになっておりますので、若干細かい問題をお伺いいたしたいと思います。
 自賠責の運用益の問題についてお伺いをいたしておきたいと思います。
 五十八年度におきます自賠責の運用益の一部二千五百六十億が、一般会計への貸し付けということで、三年据え置き、七年払い、無利子ということになっておるわけでございますが、もし利子をいただくというふうに仮定をしてみた場合に、この三年据え置き、七年払いというのはどのぐらいの総額になりますか。概算で結構でございます。
#181
○服部政府委員 お答えいたします。
 三年据え置き、七年間の均等償還というふうに仮定をいたしまして、かつ、利率を七%というふうに仮定して計算いたしますと、ざっと千六百億になろうかと思います。
#182
○石田委員 さて、大蔵大臣にお伺いいたしますが、今も試算がございましたように、自賠責の運用益の一部を一般会計に貸し付けているわけですが、利息をいただくとすると千六百億ということになるわけですね。これは一体どういうことなんですか。これは政府のお金じゃなくて、保険を掛けた人の利益に属するわけでございまして、これが無利息というのは、私どもはいまだもってどうも納得しがたい。これだけ国鉄財政が厳しいときも、政府が金を貸し付けるときは無利子というのはないわけでございまして、大半が要するに利息を取っていらっしゃるわけですね。六%にするか三%にするかというような大議論がかつてございました。そういうような状況の中で、どうも国の都合だけで無利子ということは、保険という建前から考えるとどうもいかぬのじゃないか。大変むちゃな法案だったんじゃないかという批判をせざるを得ないのですが、これに対する何か御反省はございましょうか。
#183
○平澤政府委員 この問題につきましてはたびたび御議論があったわけでございますが、いわゆる利子相当分につきまして、なぜそれを加算してないのか、こういう問題につきましては、通例一般会計と特別会計との繰り入れ、繰り戻し関係は、原則として無利息でやっております。この場合は、これも御存じのように、自賠責の保険計算上は毎年度、単年度ごとにやっておりますので、いわゆる積立金等が結果的に出てきた場合、利子を保険計算上計算してないわけでございます。そういうことから、そこで出てきました収支差額がたまった部分について、国としては無利息でお借りするということにいたしたわけでございます。
 それから、現在一般会計の方から、交通安全施設や救急医療施設の整備など自動車事故の防止等のために支出が他方行われております。したがいまして、結果的にこれが自賠責特会の収支改善につながっているというようなことも、この無利息ということを決めました際に、念頭に置きながら判断したという経緯がございます。
#184
○石田委員 そうしますと、特別会計と一般会計の振りかえの問題については、原則無利子であるということでございます。そういう例は他に幾つもありますか。
#185
○平澤政府委員 今ちょっと手元に資料はございませんが、例えば農業共済に一般会計から足りない部分を繰り入れた場合等も、これは無利息で後で返していただくとか、幾つか例があるかと思います。
#186
○石田委員 それはまた後ほど書類で御報告をいただきたいと存じますが、しかし、自賠責の審議会答申の立場からいくと、千六百億は保険料の負担の軽減に充てるとか、保険収支改善のための資金に充てるというような趣旨からは全くかけ離れているわけですね。これは自賠責が黒字状況であればまだしもなんですけれども、五十七年度以降は累積で赤字になっておるわけですよね。そういうことを考えると、非常に大きな矛盾というふうに思わざるを得ないのですけれども、私の意見に対して何か御感想があれば述べてください。
#187
○平澤政府委員 先ほども申し上げましたように、自賠責特会は、毎年毎年保険設計をしております。したがいまして、ある年に保険料を決めて、実際にその一年間たってみますと、収支差額がプラスで出る場合に、そのプラスをそれではどう考えるかという場合、これはその一年間の保険契約者に予想以上に多くいただいたような感じになるわけでございます。したがいまして、その部分を後年度、何年かたってからの別の保険契約者に返すのがいいか悪いかという問題が別途あるわけでございます。そういうこともございまして、この積立金の使い方につきましては、いろいろな角度から公益的にどう使っていくかということで考えていくべきものというふうに考えておるわけでございます。
#188
○石田委員 しつこいようですけれども、もうちょっと伺いたいのです。
 三年据え置き、七年払いですから、これは来年度からですね。あるいはその次ですか。返還予定を立てられておるのでしょうか。
#189
○平澤政府委員 これにつきましては、たしか私の記憶によりますと、覚書ベースで今言ったような決まり方をしているのかと思いますが、おっしゃるように三年据え置きでございますので、その意味ではデューが来るわけでございます。したがいまして、そのときの財政事情等も勘案しながら、デューでございますのでできるだけその方向で考えていきたいとは思っております。
#190
○石田委員 どうもそういう御答弁を聞くともう少し聞きたくなっちゃうのですけれども、よろしいでしょう。いずれにしても早く返していただかないと、利息の分だけでも保険者が損をするということになりますので、十分な対応をお願いいたしたい。
 それから、連合審査の中でも自賠責による医療の適正化問題がかなり問題になったようなんですけれども、これはしょっちゅう問題になっているのです。特にけがをされた場合の医療の問題ですね。自由診療ということで、健康保険による診療とは大変大きな隔たりがあるのです。したがって、賠償金を食いつぶしてなお自由診療であるから払わなければならない、あるいは保険金を受け取る額までは自由診療にして、それから健康保険による診療に切りかえるという問題が随分話題になっているわけでございます。
 この前の連合審査の中では、竹下大臣は、審議会が答申を出すたびごとに治療費支払いの適正化を言われないように措置するよう部内で検討を進めているというふうに御答弁があったようでございますけれども、もう少し具体的な問題として御答弁は出てこないでしょうか。いかがですか。
#191
○竹下国務大臣 先般の審議会の経緯もありまして、保険部長がその点一番詳しゅうございますので、保険部長からお答えをいたさせます。
#192
○加茂政府委員 ただいま先生御指摘のように、現在自由診療の割合が八五%と高いわけでございますが、今回、審議会の答申をいただきまして、その中で「医療費支払の適正化」ということについての内容がございます。
 一つは、自算会「及び損保会社の医療費調査担当者に対する研修を強化するとともに、担当者数を増加する。」それから二番目でございますが、「自算会及び日本損害保険協会において、交通事故医療に関する調査、研究を強化する。」それから三番目でございますが、同じく「自算会及び損保協会において、日本医師会の協力を得つつ、医療費統計等を参考に責任保険についての診療報酬基準案を作成し、医療機関等の医療費請求及び自算会調査事務所等での医療費調査の基準とする。」ということでございまして、私どもといたしましては、医師会の協力を得ながらこの自賠責の診療報酬基準案を作成すべく最善の努力を尽くしていきたい、このように考えております。
#193
○石田委員 見通しはどんなぐあいですか。いつごろまでに会議の結論を得ようと努力いたしますか。
#194
○加茂政府委員 相手方であります医師会との関係がございますが、私どもとしましては六十年度中に何らかの案をつくりたい、このように考えております。
#195
○石田委員 それでは他の問題に移りますが、この自賠責特会で現在自動車事故対策センター、千葉の医療センターが、新聞によりますと大変好評で、大変感謝をされているようでございますけれども、現在の運営状況あるいはまた患者の状況等、わかりましたら簡単に御説明いただきます。
#196
○服部政府委員 お答えいたします。
 ただいま先生御指摘の自動車事故対策センターでございますが、ここにおきまして、自動車事故によりまして重度の意識障害に陥った方がございますが、こういった方たちに対しまして適切な治療と養護を行うという目的で、昨年の二月に千葉療護センターというものを二十床体制で発足、開設いたしました。その後、逐次療護施設の体制の整備を図ってきているところでございまして、昭和六十年四月五日現在で二十六名の方がここに入院をしておられまして、治療と養護を受けておられるわけであります。こういった方たちの出身地といいますか現住所別に見てまいりますと、地理的な関係もございまして、現在のところ全員が関東地区に居住されておる方々という格好になっております。
#197
○石田委員 重度心身障害者、いわゆる植物人間と言われる人たちあるいはそれに近い人たち、この問題はしばしば、ここ一、二年予算委員会等でも問題になって、これに対する看護手当等が出るようになったわけでございますけれども、この自賠責特会における医療センターというのは、また別な形で行われているわけですね。
 それで、今、関東地区の人が入院者のほとんどであるというような状況を承ったわけでございますが、日本は御存じのとおり細長い島国でもございますので、何とか西の方にもどこか一つつくれないか、こういうような気がするわけでございます。厚生省の統計による都道府県別の自動車事故による死亡数、死亡率等を見てみましても、かなり西日本も高いと考えざるを得ない。また中部関係は、東西の日本を縦断する交通網の一つの焦点でもございます。そういった意味で、西の方にもぜひ考慮をしていただきたい。財政状況等もあるのでございますけれども、財政状況が許すかどうか、またそういう可能性があるかどうかについて御研究をいただきたいと思います。
#198
○服部政府委員 こういった重度の意識障害の方々を対象といたします療護施設というものを充実してまいることの重要性は、先生御指摘のとおりでございます。私ども、将来に向けましてそういう方向での検討を進めたいとは思っておりますが、当面は、最初につくりました千葉療護センターが開業間もない段階でもございますし、そういったモデル的な施設としての千葉療護センターの運営状況なども踏まえまして、今後の検討課題にさせていただきたいというふうに思っております。
#199
○石田委員 ぜひ研究を進められると同時に、この成果が全国に及ぶように御努力をお願いを申し上げたいと思います。
 それから航空局長にお伺いをするわけですが、もう時間もありませんので、まとめてお伺いをいたします。
 一つは、きのうも総理がテレビにお出になって、日米摩擦の問題、盛んにやっていらっしゃるわけでございますが、NCAのアメリカ就航の問題、今までもいろいろと折衝をされてきたようでございます。それから、全日空あるいは東亜国内航空のいわゆる民間会社、ここら辺の問題、どのようになっておるか、見通しをお聞きをいたしたい。
 それからもう一つは、地方の、何と言いましたか、簡便な飛行機の採用というようなことで、今回羽田、それから科学万博の会場とをヘリコプターを使ってやっていますね。ああいうものの今後の見通しはどうでしょうか。特に、カナダあたりにおいては、二、三百メートル滑走すれば簡単に飛び立つ飛行機があって、あそこの都市の集中しているところで、かなりの成果を挙げていらっしゃる。これは現実に私も見たことがありますけれども、ああいうようなミニカーに匹敵するような、いわゆる今後の航空業界の運航について、政府としてこれを推進されるのかどうか、ここら辺もあわせてお答えをいただきたいと思います。
#200
○仲田政府委員 まず、日本貨物航空の乗り入れをめぐります日米交渉のお話を先にさせていただきますが、従来の経緯を申し上げますと、貨物航空の乗り入れにつきましては、二月からまず東京で行われまして、それから一度中断して、また三月の十二日からワシントンで行われました。これもまた中断いたしまして、三月二十八日から四月二日まで、これが最近の交渉でございます。この交渉も三たびでございますが、また中断しているというのが現在の状況でございます。いろいろ難しい問題もございますが、政府のベースではかなりのところまで合意点に達したわけでございますが、いろいろ周囲の状況などもございまして、全体としての局面はかなり厳しい状態になってきております。今までも、合意に向けて精力的に協議を行ってきたところでございますが、これからも、早期にこの交渉が再開され、速やかに適切かつ妥当な解決が図られるように全力を挙げて取り組んでいきたいと考えております。
#201
○西村政府委員 今先生からいろいろ御質問いただきましたが、そのうち、まずただいまのNCAをめぐっての交渉と、今後の日米間の新しい航空体制というのができてまいりますが、それに対して日本の国際航空企業を複数化していくかどうかというような問題につきましては、これから協定の成立ができましたら、これを受けまして、各社がどういう意向をまず持つかということが前提でございます。ただ、御承知のように、航空憲法の全体的な枠組みの見直しということに今着手しておりまして、全体の枠組みの中でこの問題は基本的には考えていくべきかというふうには思うわけですが、非常に国際的な進出が急がれるというような状況になりますれば、全体の検討を早めながら、弾力的に対処していきたいというふうに考えている次第でございます。
 それから科学万博の際に、今回ヘリコプターを羽田あるいは成田から会場まで飛ばすというようなことで新しい定期輸送の開発をしている次第でございますが、これはお話のように、これからの小型の航空機の活用という一つの方向を目指している、その一環だと私どもは理解しているわけでございます。そういう点で、これからヘリコプターあるいは小型の航空機を活用するということで、今まで大型の航空機が大量輸送するということで、低い運賃で多くの国民が航空を利用するという体制でやってまいりましたが、これからはもう少し、実際に小型機になりますと運賃が高くなります、負担も多くなりますが、高負担に耐え得る事業活動なり、あるいは利用者という方が出てくることも事実でございますので、それらの需要に合わせていろいろな工夫をしていくべきだというふうに考えております。
 ただ、今お話のありました、非常に短い滑走路で飛び立つ飛行機、いわゆるSTOL機でございますが、これの開発につきましては、一時非常に世界各国とも熱心でございましたが、価格的には非常に割高になるということで、また世界の各国は日本と違いまして、飛行場も長い飛行場ができますものですから、STOLの開発というのはここのところ余り熱心でないということでございます。非常に割高なSTOL機というものよりも、実際に七、八百メートルの滑走路で使える航空機というのを中心にしてやっていったらどうかなというふうに考えますし、それからもう一つは自家用機の利用ということも、これからは考えられてくる時代になるかというふうに思うわけです。
 ただ、今までのこのために使われる飛行場の整備は、国が基本的な大型航空機のための飛行場整備をやってきましたので、それが今後とも国の使命というのはそこら辺にあるだろうと考えますと、ひとつここら辺は各地方がいろいろな御工夫をしていただいて、小型飛行機のための飛行場の整備というようなことをお骨折りいただくような段階になってきておるんじゃないだろうか。政府としますと、そのためのいろいろな技術的な援助あるいは飛行のための空域の調整というような問題もございますが、そういった点に対する積極的な協力で、いろいろと皆手を携えて開発に努力していきたい、そんなふうに考えております。
#202
○石田委員 終わります。
#203
○中川(秀)委員長代理 簑輪幸代君。
#204
○簑輪委員 今回の補助金カット一括法案は、臨調の指摘あるいは行革審の指摘に基づいて行われているということでございますけれども、この臨調等の指摘の中でさまざまな分野に波紋が広がり、問題が起こっているわけですけれども、私は教育の分野において、特に学校給食でも大きな不安が広がっているという点で、文部大臣の御所見を伺いたいというふうに思っております。
 学校給食法の第二条は、学校給食について教育の目的を実現するためということで、第一に「日常生活における食事について、正しい理解と望ましい習慣を養うこと。」二番目に「学校生活を豊かにし、明るい社交性を養うこと。」三番目に「食生活の合理化、栄養の改善及び健康の増進を図ること。」四番目に「食糧の生産、配分及び消費について、正しい理解に導くこと。」と四つの目標を明記しているわけでございます。
 大臣は、この学校給食の意義というものについてどのように受けとめておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
#205
○松永国務大臣 今、先生がおっしゃいました点に加えて、児童生徒の体位向上にも大いにプラスするということで、極めて教育上の効果を発揮しておる制度だと思っております。
 御承知のとおり、学校給食が始まったのは終戦直後、我が国が貧しいときでありまして、貧しい家庭の子供は弁当を持っていけないという状態も実はあったわけであります。そういう人は教室の中に残らないで外に出て、そして食事をしたことにして午後の授業を受けるなどということもあったやに私も承知をいたしております。そういう状態を見て、貧しくともせめて子供にだけはだれでもひとしく昼食が食べられるようにということで学校給食が始まったと思います。
 そういうことでありますから、国民の多くの理解と支持を得て、学校給食法施行後さらにこれが普及してまいりまして、現在では小学校九九%、中学校八二%という普及になったわけでありまして、まことにすばらしいことであると思います。そしてまた、先生が今申されたようなこと及び児童生徒の体位の向上等の面でも教育的な効果を発揮してきておると私は思っておるわけでございます。
#206
○簑輪委員 学校給食が今日教育的に重要な役割を果たしているということとあわせて、今後ますますこの充実向上に努めなければならないのではないかと私は思っております。そういう事態であるわけですけれども、そうした中でことし一月二十一日に文部省の体育局長の通知として、「学校給食業務の運営の合理化について」というものが出されております。この通知を見ておりますと、学校給食の一層の充実という観点よりは、むしろ合理化という点に大変重要な要素があるように思えて、果たしてどうなのだろうか。この通知は、学校給食法の四つの目標を十分に果たし、よりよくするために役立つものというふうに考えて出されたものかどうか、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#207
○松永国務大臣 今申したようなわけで、学校給食の目標はあるわけでありますが、同時に国民の経済状態がそれほど豊かではない、こういったことが背景にあって、そしてみんなが支持をしてここまで普及したわけであります。現在では豊かになってきた。ならば、今度は別の意見も出てまいりまして、むしろ弁当をお母さんがつくってあげて持たせてやることの方が教育的な効果があるのではないか、そういう意見も実は出てきておるわけであります。
 そういう意見も一つの意見だと私は思いますが、豊かになってきたけれども、私はまた新たな問題が起こってきたと思うのです。それは何かというと、豊かだからといって必ずしも栄養のバランスのとれたお昼御飯になるとは限らない。かえって豊かであるがゆえに、栄養のバランスの失われた状態も起こってきておる。一方、家庭環境も変わってまいりましたから、豊かではあるけれども、案外朝御飯を食べないで学校に来る者もおる。あるいは、夕御飯なども必ずしも充実したものではない。豊かであってもそういう問題が出てきておる。ならば、学校の昼食の時間に栄養のバランスのとれたものを子供に食べさせるということが大事であると私は考えておりまして、そのこととあわせて、法第二条に書いてあるような目標に到達するためにも大事なことであるからということで、私どもは推進したいと思っておるわけであります。
 しかし、国民の本当の支持と理解が得られなければなりません。国民の支持と理解を得るためには、やはり学校給食の運営について、経費のむだやあるいは効率的でない面、不合理な面があるとするならば、それは改正をしていかぬと、長い目で見て国民の理解と支持は得られない。そういったことで、行革審の意見等も踏まえまして、そこで学校給食の目的を達成し、かつ、学校給食の質を低下しないようなやり方でむだを省くこと、そして効率的な運営ができるようにという趣旨で通達を出した、こういういきさつなのでございます。
#208
○簑輪委員 大臣がおっしゃるように、学校給食が今後さらに発展していくためには、国民の理解と支持が必要であることは当然のことだと思うのです。国民の理解と支持を得るために経費節減をするということではなしに、この学校給食がどれほど子供の教育上重要なものであるのかということについて、国民に周知徹底をされるという点での努力こそ重要ではなかろうか。それこそ教育上重要な、文部省が積極的にPR等もさらに進めなければならないことではないかと思うわけです。したがって、経費節減ということを目標にして学校給食の中に別の要素を持ち込んでくることは、結局学校給食法の目的をよりかなえるためにするということでは決してないのではないかと私は思います。
 きょうの文教委員会の質疑、私も拝聴させていただきましたけれでも、局長さんは、学校給食についていわゆる派遣方式がいいと思うけれども、全面民間委託を禁じたものではない、この通知についてこのように見解を述べておられました。そういたしますと、この通知は、学校給食の全面民間委託が可能である、むしろそれをやった方がよかろうというような感じに受け取れるわけですけれども、大臣はこの全面民間委託ということについてどのようにお考えでしょうか。
#209
○古村政府委員 今回の通達の内容は、合理化の方法として、一つは共同調理場への転換の促進、一つはパートタイマー職員の活用、そして民間委託を考えてみたらどうか、この三つの方法論を御提案申し上げておるわけでございますが、その中で調理業務、どこで調理するかということで、学校の中で調理場がありますから、そこへ調理の方が来られて調理するのも民間委託の方法だろうと思います。そこで、先ほど申し上げましたのはそういうことで、そういう方法が、今の調理施設が整っている段階では一番とりやすい方法かと思うけれども、あるいは調理業務を外でやっても、それについて設置者が責任を持てる体制をきちっと組めば、民間委託をすることによって学校給食の質の低下を来さないことを条件にして認められるのではないかというふうにお答え申し上げたわけでございます。
#210
○簑輪委員 大臣としても同様でございましょうか。
#211
○松永国務大臣 そのとおりでございます。
#212
○簑輪委員 設置者が責任をとれるということならば構わないというようなおっしゃりようでございましたけれども、果たして設置者が行政責任を完全にとれるのかどうかという点に大変疑問があるわけでございます。特に子供たちの健康や命にかかわるという部分もございますので、例えば安全衛生面という点だけを取り上げてみましても、食中毒も多発しておりますし、その点について、これまでの学校給食における食中毒の推移を最初にお答えいただきたいと思います。
#213
○古村政府委員 過去三年ぐらいの数字を申し上げますと、五十六年度におきます食中毒は、発生件数として十五件、患者の数として三千九百人、それから五十七年度は発生件数が十八件で患者の数で四千百人、それから五十八年度が発生件数で二十二件、患者の数で五千三百人というふうになっています。
#214
○簑輪委員 けさほど私がお聞きした食中毒の発生というのでは、昭和五十六年二十四件四千人余り、五十七年三十一件三千五百九十三人、五十八年三十四件七千六百三十七人というような数字が出されたのですけれども、この違いはどこにあるのでしょうか。
#215
○古村政府委員 今の先生がおっしゃった数字は、多分厚生省の方からの数字だと思いますが、私の方は都道府県の教育委員会を通じて学校から上げてきた、学校給食の数字による食中毒の数字でございます。
#216
○簑輪委員 学校給食の食中毒の発生について、厚生省からの数字と文部省の数字が違うというのはちょっとわからないところですけれども、それにしても大体食中毒の発生件数がふえているということは言えると思うのです。この食中毒の問題というのはそう軽々にできるものでもございませんので、これは行政責任がちゃんととれるかという点で大変問題があろうかと思います。民間委託にするということになりますと一体どういうことになるのかということを十分点検し、そして疑問がすべて払拭されないと、こういうことは大変な事態を招くというふうに私は思うわけです。
 それで、全面完全民間委託ということになれば、給食産業といいますか、もうけ本位で商売をするということになるわけです。聞くところによりますと、給食産業界というのは学校給食をねらっておるようですけれども、農林水産省の指導によって集団給食経営合理化マニュアルなんというのをつくっていて、それによる産業化の基本的条件はコストコントロールにあると位置づけているわけですね。だからポイントは、まず人件費を下げるということ、二番目に加工食品を活用するということ、三番目に共同購入システムの導入なんというふうに言われております。利潤を上げるという点から言うならば、当然こういうことになってくるだろうと思います。そうしますと、さっき大臣が言われたような豊かな給食とは相反して、加工食品の乱用ということが当然懸念されるわけで、民間委託というのは、本当に教育的見地に基づく豊かな給食づくりということとはおよそかけ離れたことになってくるだろうという不安を持つわけです。
 民間委託についてのさまざまな問題点が指摘されておりますけれども、もうけということになりますと、第一に食材費のコストを抑えようということが出てくる。そうすれば、当然質の低下につながることは目に見えていて、これまで一見豪華で中身がまずいとか、業者は安い材料費なので添加物によって補うとか、実際に協会と契約したものとセンターに運ばれた食材が全く違う、悪い品物が運ばれてくることがある。腐ったジャガイモが納入されたり、色の変わった肉がまざっていたり、それを現場で調理員が一々チェックしないということになれば、まとめて子供の口にどっと入ってしまうということになるわけですね。
 二番目に、先ほど安全衛生面で指摘しましたように、行政の責任という点が果たして貫かれるだろうか。食中毒がふえております。五十八年は五十七年よりも二倍だというふうに言われて、それまで一位だった家庭を抜いて給食がトップになった。五十五年に埼玉県の久喜市のセンターで起こった食中毒では、前日の調理が原因と判断されたのに、根本的対策が立てられないまま再開されて、その上それが業者の責任だからということで、当時の学校安全会から被害者に医療費の給付もしなかったということも言われております。
 そのほか、人件費を抑えるということは、そこに働く労働者へのしわ寄せになりますし、低賃金、無権利の労働者をたくさんつくり出すということにもなります。さらに、大手食品メーカーの流通機構や学校給食会システムとつながっていくだろうということで、問題がいろいろ指摘されております。
 果たしてこれで学校教育の一環としての大事な学校給食が守られ、さらにより充実していくということができるのだろうか。民間委託などということは、そういう観点から出てきたものではなくて、経費の節減、財政、お金の問題から出てきている。子供の教育あるいは教育の充実を願う父母の願いから出てきたものでもなかろうというようなことをあわせ考えますと、民間委託の問題というのは本当にさまざまあって、今これらが全部払拭し切れているとは言えないと思うのです。こういう民間委託を文部省としては決してどんどんやれと推奨されるものではないと思いますが、その点、大臣、いかがでしょうか。
#217
○松永国務大臣 私は、公務員は責任を持って仕事をし、民間はもうけ中心で無責任だというふうにはとらない。民間の方も良識を持って仕事をしていらっしゃる。良識を持って仕事をしているから民間の企業もやっていけるのだと私は思います。いずれにせよ人がやることでありまして、民間だからどう、公務員だからどうというふうに言えないと思う。問題はポイント、ポイントを責任を持ってきちっとチェックする体制があるかどうか、ここがポイントだろうと思います。だから通達におきましても、「献立の作成は、設置者が直接責任をもって実施」すること、「物質の購入、調理業務等における衛生、安全の確保については、設置者の意向を十分反映できるような管理体制を設けること。」そういう注意をして、今、先生の御指摘のような事態が起こらぬような責任体制、管理体制のもとにやりなさい、こういう指導をするために通達を出した、こういうことなのであります。
 それから、父母もまた納税者であるわけでありますから、納税者は経費の合理化、効率化、節減、こういったことは希望だろうと思う。むだを省くという点については、納税者たる父母も同感だろうと思う。そういうことを受けて、将来にわたって学校給食を維持し発展させていきたい、そのためには納税者の理解と支持が必要である。とすれば、経費の節減、合理化はやらなければならぬ。その節減、合理化をやる場合の注意事項を通達の形で各都道府県教育委員会教育長に流した、こういうことでございますので、御理解を賜りたいわけであります。
#218
○簑輪委員 私は民間に良識がないというふうに言ったわけではございませんで、やはり民間である以上採算がとれる、もうかる、当たり前なことだと思うのです。そのために本来の目的が阻害される危険性を指摘しているわけでございまして、おっしゃるような通知があることは十分承知しながらお尋ねしているわけです。
 最終的には、民間委託にするかどうかというのは自治体の判断にゆだねられているというふうに伺っておりますが、それでよろしいわけでしょうか。そして自治体が判断するに当たって、学校給食法の立法趣旨、学校給食の一層の充実、向上を願う立場で考えるということが基本でなければならないと思いますし、いたずらに経費削減という点を基準にして、これを自治体に押しつけるということが決してあってはならないと思うのですが、その点をお尋ねしたいと思います。
#219
○古村政府委員 学校給食にどういう形態を取り入れるかということは、まさに実施者であります学校の設置者、地方公共団体が判断することでございますが、今回の通達はいろいろな行革の趣旨も考えながら、合理化するところは合理化を考えてくれ。その合理化を考える方法論として、先ほど申し上げた三つの方法がある。そういうものをよく考えて、地域の実情を勘案しながら自治体で判断してほしいという通達でございます。
#220
○簑輪委員 自治体の方もこの問題については十分研究をしておるようでございますけれども、やはり随分懸念しているんですね。パートなんかが導入されてきたということになると、突然何人かの調理員に欠勤が生じたとか、十分な調理ができないこと、最悪の場合には全く調理ができないという事態だって考えられるし、民間業者において突然調理ができないような事態が生じた場合、他の学校給食業務と異なって、調理業務については通常、緊急の代替措置がとれないというようなこともあろうという不安も持っておりますし、また、調理業務の処理形態が教育活動の内容と密接に関連しているということから見れば、民間業者の方に全面委託するということになると、教育的意義が希薄になるという不安も持たれております。
 それから、とりわけ食中毒ということになりますと、学校給食の中断の可能性、影響、さまざまなことが自治体側からも指摘されているということを私は申し上げたいというふうに思います。
 今までいろいろとお尋ねしてきましたけれども、結局学校給食の民間委託ということをやれば、より教育的観点が貫かれて、子供たちのためにうんと資するというふうには到底思えないのですね。むしろ民間委託での大変な不安、危険というものを払拭するに足りないというふうに、私は明確に申し上げたいと思っております。だから、財政上の都合等で教育的観点が決してゆがめられてはなりませんし、私は、学校給食の民間委託には、文部省としては断じて厳しい姿勢をとっていただくべきであるというふうに思っております。このことを強くお願いをし、次の質問に移りたいと思います。
 文部大臣もおいでになるところで、ちょっとだけ、全部の大臣に一言ずつお伺いしたい問題がございます。
 と申しますのは、御存じのように、ことしは「国連婦人の十年」の最終年でございまして、昨日閣議でもいわゆる婦人白書というのが発表されて、各大臣は全部それをお聞き及びと思います。その席で藤波官房長官は、政策決定への婦人の参加について特に発言をなさいまして、各省庁は審議会などに女性委員をもっと登用するとともに、女性職員の採用、登用を積極的に進めるように求めたというふうに伺っております。
 そこで、御出席の全大臣に一言ずつ、この政策決定への婦人の参加を促進するための御決意を伺いたいと思います。
#221
○松永国務大臣 先生御指摘のように、官房長官から、政策決定参加を促進するために、婦人問題企画推進本部で目標として定められておる一〇%、これがまだ達成していない、速やかに達成するよう努力せられたいという注意といいますか、発言がございました。私は、男性に劣らない能力を持っている婦人がたくさんいらっしゃるということをよく承知しておるつもりでございます。法曹界、あるいは裁判官でも検察官でも役人でも、随分立派な婦人が活躍をしていらっしゃいます。
 そういうことで文部省では、実は企画推進本部決定前は、文部省関係の審議会等の委員の登用数は十五人でしかなかったわけでありますが、ことしの三月現在では三十人、六・三%になったわけでありまして、政府全体の平均五・二%を一・一%上回っておるわけであります。
 なお、文部省は毎年十名をちょっと超える、要するに上級職の合格者から職員を採用しておりますが、毎年二名ぐらいは婦人が採用されております。そして文部省の重要な課の課長として活躍をしてくれておりまして、これからも婦人の能力を遺憾なく発揮させるという立場で努力をしていきたい、こう考えておるわけでございます。
#222
○竹下国務大臣 官房長官から、きのうの閣議、一般案件が終了いたしました後、最初の国務大臣発言としてそれがございまして、一〇%、こういうことでございました。私も帰って早速伝えましたが、その後のフォローアップは、国会にずっとくぎづけになっておりますので、いたしておりません。
 ただ採用は、ことし気をつけましたが、一名でございました。二十五名中一名。これは審議会とは違いますけれども、心しておかなければならぬ課題だという問題意識は十分持っております。それこそ今松永文部大臣がおっしゃるように、各界にずっといらっしゃる、国会にもいらっしゃいますから。
#223
○増岡国務大臣 御指摘のことにつきましては、厚生省も鋭意努力をいたしておるところでございます。この五年間で約五割増しにふえておりまして、全体の比率は七・五%でございますけれども、目標に達しておりませんので、今後とも人員の登用に努めてまいりたいと思います。
#224
○古屋国務大臣 自治省関係におきましては、審議会はほかの省よりそうたくさんございませんけれども、例えば地方財政審議会、中央固定資産評価審議会、税制調査会というような専門的な知識を要するものが多いのでございます。今見てみますと四、五人という委員でございますが、きのう官房長官からも閣議で話がありましたので、見識のある女性にはぜひ今後も入っていただきたい、そういう方針であります。
#225
○木部国務大臣 私ども建設省所管の九つの審議会がありますが、この審議会に婦人の委員が十一名入って活躍していただいておるわけであります。これからも積極的に登用するよう努力してまいります。
#226
○簑輪委員 それぞれ御答弁いただきましたけれども、いずれも政府の目標をはるかに下回るという実態はございますので、一層の御努力をお願いしておきたいと思います。
 さて、今回の補助金カット一括法案では、国の重要な仕事、国土並びに国民の生命、身体及び財産を災害から保護するという災害対策基本法から来る重要な仕事があるわけですけれども、これにかかわる治山治水対策についても、このカットで重大な影響が出るというふうに不安を持っております。法律によるものだけでも、森林法八十一億円、砂防、地すべり、河川法、河川法施行法の各法で三百九十三億円カットされるということでございますが、きょうはちょっと時間もありませんので、特に河川について私はお伺いしたいというふうに思っております。
 これまで国の河川というのは、直轄河川などは特に安心なものだというふうに思われてきた向きもありますけれども、最近では私どもの長良川でも立派に決壊をするという状態で、本当に不安をぬぐえない状態なんですね。直轄河川がこう次々と決壊してくるということになると、住民は安心して住むことができない。それで国の方は、百年に一遍の大雨が降ったからこれは予測できなかったというようなことをいつも言うわけですけれども、百年に一遍の雨があした降らないという保証はございません。
 それで、これまでのいろいろな調査の結果、例えば各河川についてこのような整備を行うべきであるという計画もありましょうし、そしてその計画に対して予算が組まれてきたでしょうし、それから現在の整備状況は一体どうなっているのかという点をお伺いしたいと思います。私はたくさん伺う時間がございませんので、木曾三川、そして長良川という分についてお答えをいただきたいと思っております。
#227
○井上(章)政府委員 お答え申し上げます。
 最初に我が国の河川改修全体の現況と今後の方針でございますが、大河川につきましては戦後最大洪水、中小河川については時間雨量五十ミリ相当の洪水に対処することを当面の目標として整備を進めておるわけでございますが、昭和五十九年度末におきます整備率は、大河川につきましては六〇%、中小河川につきましては二〇%という状況でございます。
 それで、現行の第六次治水事業五カ年計画は五十九年度で第三年目に当たるわけでございますが、これにつきましても、この計画達成によります整備率を大河川で六三%、中小河川で二三%とすることを目標に鋭意事業を進めておるわけでございます。しかしながら、現下の財政事情のもとで、計画期間内における目標達成は大変厳しいものと考えられておりますが、治水事業の重要性にかんがみ、計画的効率的な治水事業の推進に今後とも努めてまいりたいと考えております。
 それから次に木曽三川でございますが、これはもっと具体的なお話を申し上げますと、木曽川、長良川、揖斐川を含みました木曽川水系の直轄管理区間の堤防の整備状況で申し上げますと、要整備延長は約四百四十キロメートルございます。このうち堤防が完成しておりますのは約二百十キロメートルでございます。したがいまして、この割合は四八%ということになります。さらに、堤防がおおむね概成しているという段階のものが百六十キロメートルございますので、それを加えますと三百七十キロメートル、割合は八四%となるわけでございます。
 それから、ただいま御指摘ありましたように、五十一年あるいは五十八年もそうでありますが、この木曽川水系につきましては災害が相次いでおることは御指摘のとおりでございまして、そういう災害に対応いたしまして、私ども、いろいろ堤防の総点検等を実施いたしております。それらの総点検の結果、特に破堤の原因となりましたような漏水対策に対します要改修箇所は、木曽川水系全体で百六十八カ所になるわけでございますが、これらにつきましてもおよそ八十カ所の対策を今日まで実施いたしておるわけでございます。
 今後の整備方針でございますが、過去の水害の発生の状況あるいは流域の重要性等にかんがみまして、堤防の拡築等により流下能力の拡大及び高潮対策、内水対策等につきまして今後一層促進するよう努力してまいる所存でございます。
#228
○簑輪委員 木曽三川についてのお話をいただきましたけれども、長良川についてどうかということはわからないんでしょうか。
#229
○井上(章)政府委員 長良川におきましては、御承知のように、昭和五十一年九月、台風十七号によりまして安八町地先で破堤いたしましたが、また多くの箇所で堤防のり崩れ等が発生いたしました。これにつきましては、被災箇所について直轄河川災害復旧事業、また破堤箇所を中心にいたしまして延長六千五百三十メートルの区間につきましては、再度災害防止という観点から河川激甚災害対策特別緊急事業を採択して、これは昭和五十五年には完成させて所期の目的を達成しておるわけでございます。
 このような状況で、全体の整備状況を見てみますと、長良川につきましては全体の要改修延長が百十三・七キロでございます。このうち完成いたしておりますのが五十六・一キロ。それから、先ほど申し上げましたように、ほぼ完成に近い暫定断面でございますのが三十七・五キロでございます。したがいまして、これまでの総計で申し上げますと、八二・三%の区間につきましては暫定完成堤防ということに相なります。
#230
○簑輪委員 暫定堤防というものは、本来あるべき堤防よりも実際は何か一メートル低いとか、それからその他いざというときにはおおむね完成したなんという代物ではなくて、とても耐え切れないものではないかなというふうに思いますけれども、その点はどうなんでしょうか。
#231
○井上(章)政府委員 昭和五十一年九月の台風による洪水は、この河川といたしましては昭和三十六年以来の極めて異例な大洪水でございました。その際、先ほど申し上げましたように安八地先で破堤したわけでございます。その他の地区につきましても、のり崩れ等の被害がございましたが、何とか持ちこたえたという実績がございます。そういう実績に加えまして、先ほど申し上げましたような事業を実施したわけでございますから、昭和五十一年の災害程度の規模の洪水に対しましては十分耐え得る堤防というように私どもは考えております。
#232
○簑輪委員 暫定堤防というものの基準を、わかったらちょっと教えていただきたい。
#233
○井上(章)政府委員 長良川のような大河川の堤防につきましては長い歴史の経緯がございまして、徐々に拡築、かさ上げ等を進めてきた経緯がございます。したがいまして、すべての延長の堤防が同一規格でできているということではございませんで、逐次そういった状況をつくり上げてきたわけでございますから、一概に暫定堤防の構造について申し上げられませんが、一応計画高水位対応の洪水に対しては物理的に対応できるというような構造になっておるわけでございます。
#234
○簑輪委員 抽象的でちょっとわかりませんが、またそれは詳しく教えていただきたいというふうに思います。
 長良川が一九七六年九・一二災害ということで、大変な被害をもたらしましたけれども、そのときに私がお聞きしたのは、本堤防の実現というのでは一九%程度だったというふうに聞いているんです。だから、それから見ますと、百十三・七キロ中五十六キロということで大分御努力をいただいたというふうに思いますが、本来全体として安心できるという状況にまだないということをいや応なしに知らされたわけです。
 そして、先ほど御答弁いただきましたけれども、漏水危険箇所の全国調査というのをこの九・一二災害を契機としてなさった。そのときに、危険度というのでさまざまな段階があるけれども、危険度Aというのが全国で一千カ所を超えるというふうに伺っておりまして、またこれを十年間で手当てをするという計画だったようですけれども、先ほどの現状でいいますと、まだまだその進捗率は不十分なんです。この危険度Aをこれから完全になくしていくということでの展望からいいますと、一体どのようにお考えなのでしょうか。
#235
○井上(章)政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたように、長良川災害の実態にかんがみまして、堤防総点検をその直後に実施したわけでございます。その点検の結果、緊急に漏水対策を要する箇所として一千百カ所を拾い出したわけでございます。昭和五十二年からこの漏水対策に着手いたしておりまして、昭和五十九年度までにおよそその五〇%の対策を実施いたしておるわけでございます。で、特に緊急の度合いの強いところから着工いたしておりますので、そういったところはこれによって救われておると思います。なお五〇%残っておりますので、これらにつきましては第六次治水事業五カ年計画の中におきましても、重点的かつ計画的に推進を図ることといたしております。
#236
○簑輪委員 重点的かつ計画的に推進を図っていただくということでございますけれども、いつになったらそれが完成するのか、大変不安を覚えざるを得ません。漏水というのは決壊の引き金にもなりますし、点検をされて危険なところがまだたくさん残っているということでは、とても安心して河川の流域に住むことができないわけですね。洪水を阻止するためには、例えば堤防の強化、かさ上げ、そのほかしゅんせつ、引き堤、さまざまな対策がとられなければならないというふうに思いますけれども、当面緊急にということでこの程度でありますと、本格的な安心できる堤防というものは、二十一世紀どころか百年たってもできないのかしらという不安を持たざるを得ないわけですね。私も、実際災害に直面して現場へ行った者の一人としては、到底この程度の進捗状況では大変なことだ。まして今回補助金が削減されるということになったら、大災害が起こったときに一体政府はどういう責任をとるつもりなのかということを厳しく追及せざるを得ないのです。建設大臣はどのようにお考えですか。
#237
○木部国務大臣 先ほど局長からも答弁いたしましたように、五〇%の進捗率、これに対しまして、河川の改修というものは、先ほど来御指摘がありますように、国民生活に欠くことのできない根幹的な事業でありますから、そういう点を私どもしっかりとらえまして、そしてこの高率補助のカットの問題等もございますが、その財政事情は大変厳しい中ですけれども、いろいろな措置を講じていただくようになっておりますので、地方単独事業を含めまして、これから治水の着実な整備に一生懸命努力さしていただきたいと思います。
#238
○簑輪委員 今回の補助金のカットによって、公共事業については総事業費をふやせばよいというような考え方がございましたけれども、全体を見ると、この治水事業費というのは国費が百五十億円減って、河川は八十六億円減っているわけです。それだけ地元自治体の方が負担がふえるということになりますし、そういうことであるならば、地元の方からも事業の申請という点については、地方債等大きな負担を抱えるということから考えてみましても、そうそう積極的に進めていくというふうには意欲的になれないのではないかというふうに思わざるを得ません。本当に災害が起こってから、その災害復旧のために莫大な国費を投入するということを考えてみますと、むしろ災害予防、常日ごろから安全に生活できるための施策というのに十分な予算措置を講じることの方が、結局は経費の面でも負担が少なく済むのではないかというふうに思わざるを得ません。その点で、この河川対策ということについて、建設大臣の再度の御決意を伺いたいと思います。
#239
○木部国務大臣 効率的、効果的に治水の整備に努力をしてまいりたいと考えます。
#240
○簑輪委員 なかなか国がお金を出さないという事態のもとでの災害対策あるいは河川対策ということは、大変厳しいと思いますので、一層強く要求をしていきたいというふうに思っております。
 さて最後に、国民健康保険の財政の危機についてお伺いするわけですけれども、昨年、退職者医療制度の創設に伴って、国保の国庫負担の削減が行われたために、今日市町村の国保財政は大変危機的状況を迎えております。退職者医療制度の創設に当たって、政府は一定の見込み計算をしたわけですけれども、それはどうやって立てたのでしょうか、お尋ねをしたいと思います。
#241
○幸田政府委員 健康保険法改正の際、昨年の七月からこれは実施をするということで積算をいたしたのでございますけれども、国民健康保険に退職者医療制度がどの程度影響を与えるかということでございますが、退職者医療制度の国庫補助の減が二千三百五十五億、それから国庫補助制度そのものの改正の減が千七百四十五億円、いずれも七月実施を前提にいたしまして国庫補助の減が合計四千百億円でございます。それに対しまして、被用者保険からの交付金が三千六百十一億円、そのほか医療費適正化あるいは薬価の引き下げ等を行いまして、退職者医療制度の実施に伴う国保財政への影響は、そういった意味で国庫補助の減はいたしますけれども、収支とんとん、こういうことで、七月実施を前提にいたしまして考えたものでございます。
#242
○簑輪委員 ところが、その見込みが大幅に狂って、現状は大変な事態になっておりますけれども、現状をどのように把握しておられるでしょうか。
#243
○幸田政府委員 退職者医療制度につきましては、国民健康保険の被保険者の約一割、四百六万人が移行する、こういう前提で私ども案をつくったわけでございますけれども、現在まで二百六十四万人程度の加入にとどまっているわけでございまして、そういった加入のおくれというものが国民健康保険財政に影響を与えているということは私ども承知をいたしておりますけれども、実態につきましては、現在調査をしている最中でございます。
#244
○簑輪委員 のんびり調査していられるような状況ではないのです。これ、全国各地でさまざまな悲鳴が上がっているわけです。当初、退職者医療制度のための特別財政調整交付金というのは、差額分について、五十九年度十分の七、六十年度二分の一、六十一年度三分の一を見るんだというふうに言っていたようですけれども、ことし一月二十四日ですか、厚生省から正式に通知をされたようです。それは各都道府県の方に多分通知されたと思うのです。都道府県から、岐阜県の場合、市町村にそのような通知というか指示があったのは、五十九年度については三分の二、六十年度については三分の一、六十一年度についてはゼロになるというふうに話があったわけです。
 そこで各市町村の担当者は、これは大変、見込みと違う実体なので予算が組めないということで、大わらわになったわけです。岐阜市の場合では、六十年度は国保の歳入欠陥のために、実は保険料を一四・一四%アップをしたわけです。これは特別財政調整交付金が二分の一来るという計算でいえば八億二百万円、三分の一の場合だと五億三千四百万円、その差二億六千七百万円が見込み違いになってしまった。そのために保険料の値上げという事態を招いております。ところによっては、市の持ち出しというようなこともいっぱいあるようですし、こういう事態で、岐阜の市議会でも問題になり、もしこのまま行くということになれば、六十一年度は三〇%は保険料を引き上げざるを得ないのではないかという答弁すら議会でしているわけです。そしてまた、六十一年度は、現在岐阜市が積極的に一歳未満の乳幼児医療費無料制度をやっておりますけれども、そうした施策はやめざるを得ないという答弁も市議会でしているようです。こういう事態を迎えまして、岐阜県としては、十四市全体で約十七億円を上回る国保財政上の赤字をもたらすということになるわけです。
 こういった深刻な事態、少し例を挙げましたけれども、こういうことは到底放置できない。厚生省や自治省の電話は鳴りっ放しというような話も言われているようですけれども、特にこの事態のもとで、岐阜県議会でも、国民健康保険の財政措置に関する意見書ということで、被保険者の負担増加を招かない財政上の措置を講ぜられるように意見書を提出するということが出されております。
 そしてまた、これはことしの三月二十五日に出されているわけですけれども、さらに二月の二十日には全国町村会で、「今回の制度改正は、国保財政の悪化を招かないことを前提としたものであり、また、町村においては」「退職者医療制度対象者のいわゆる「掘りおこし」をほぼ完了している」「国において適切な財政措置を講じられますよう緊急に要望いたします。」というような要望書もあります。それから、国民健康保険中央会では三月六日に定期総会で緊急決議をし、「制度改革にともなう国保保険料の負担増はないとの国の言明にもかかわらず、国保の財政は急激に悪化し、深刻な事態にたちいたっている。」そこで、「国庫補助率の引下げの結果、保険料の負担増を招かないよう十分な財政上の措置をとること。」という決議がなされているわけです。
 こうした事態を招いた責任というのは一体どこにあるんだろうかというふうに思いますが、自治省はこの地方の声をお聞きになっていると思いますけれども、この事態を招いた責任は一体どこにあるとお考えでしょうか、自治大臣。
#245
○土田政府委員 この問題は全国的に大変な問題でございまして、大臣の御地元の岐阜市、それから岐阜県内の市町村も電話の鳴りっ放しといいますより、町村長の皆さんが私どもの大臣のところへ陳情に参られ、それから私のところへもいろいろの問題がおりてきております。
 それで基本的な問題は、四百六万人程度というふうに予想いたしておりました退職者の見込み数が、二月末現在で、先ほど御説明がありましたように二百六十四万人しかいないということで、この差の問題であると思います。この差の問題につきましては、それだけ国保財政の負担がふえる問題でございますので、所管省において適切に対処してもらいたいというふうに思っておりますし、私どももそういうふうに所管省に対して強く要請してまいりたいと思っております。
 なお、岐阜県内につきまして、国保料の引き上げというのを見てまいりますと、岐阜市を例にとりますと、六十年度は確かに一四・三%ふえておりますけれども、昭和五十八年度にこれは国保財政がある程度豊かになりまして、五・七%下げたというような経緯もございます。そういうふうなことでございまして、各市別に見ますと、大垣市は五・五%、高山市は三・八%、多治見市は今度は逆に一一・五%というふうにさまざまございますけれども、いずれにいたしましても、この退職者医療の人数の見込み違いというものがありますれば、それは所管省において適切にその分の財政措置をしてもらいたいということでございます。
#246
○簑輪委員 できるだけ数字を小さくするというような配慮はいただかなくて結構だと思うのですね。今おっしゃいましたように、退職者医療制度に加入する人数の見込み違いということですけれども、決してそれだけではないのですね。もしそれで全部達成されたとしても、実際にその人たちが払う保険料が見込みに合ってなければ、これはずれてくるわけですし、また医療費との関連もあるわけで、簡単にこの四百六万人の見込みが達成されれば財政がすんなり解決できるというような、そんな甘いものではないことも御承知おきのことと思います。
 自治省としては、所管省において適切な対処をされるようにというお話でございますが、所管省であります厚生省は、どのようにこの事態を受けとめ、どのように解決されるおつもりでしょうか。
#247
○幸田政府委員 四百六万人の見込みに対しまして、現在二百六十四万人の対象者の把握にとどまっているという問題については、先ほど来御説明を申し上げているとおりでございますが、国民健康保険財政の問題は、被保険者の受診の問題あるいは高額療養費の発生の頻度の問題、いろんなさまざまの要因がございまして、全国三千三百の市町村、必ずしも同一ではないわけでございます。
 したがいまして、私ども、国民健康保険につきましては、比較的老齢化をしたところでございますので、平均いたしまして年に七%か八%の医療費の自然増――これは全体での話でございますけれども、これはどうしても避けがたいものというふうに考えているわけでございまして、例えば六十年度におきましても、国民全体の国民総医療費は五・五%伸びるであろう、こういう予測を私どもいたしておりますが、国民健康保険につきましては七%から八%程度の自然増というものがあるのではないかと考えております。これは退職者医療制度の発足とは全く無関係の事情でございまして、国民健康保険財政の赤字あるいは困難な要因の中にも、今申し上げましたような保険料の引き上げを行うべきものを行っていないための要因というものもある程度あるのではないか、こういうことでございます。そういった意味合いにおきまして、私ども、退職者医療制度の実施に伴う影響はどの程度あるか、国民健康保険財政の各市町村の状況を現在実際に調査をしている、こういうことでございます。
#248
○簑輪委員 こうした事態を招いた責任は、私は見込み違いをした政府の責任だというふうに思いますので、それはきちんと国が責任を持って財政措置を講ずべきだということは明らかだと思うのですね。それについてあれこれ他の要因を持ち出して、なるべく責任を回避しようとするような態度はよろしくないというふうに思いますし、今回いろいろ調査をした結果、事態は明らかになると思うのです。したがって、ただのんびりのんびりやってもらっていたのじゃ市町村の方としても困ってしまうわけで、いつまでにこの問題に厚生省としてきちんとした責任を持って対応するのかということをはっきりさしていただきたい。大臣の御判断でこれこれちゃんとやりますというふうにお答えいただきたいと思います。
#249
○増岡国務大臣 この国保の問題は、先ほど局長から御説明申し上げましたように、医療費の増加傾向というものはずっと続いておるわけでございます。したがいまして、今回の退職者医療制度の発足によってどのような波紋を持っておるかということは、やはり実態を調査してみなければならないと思います。
 それからまた、この退職者医療制度の適用者の把握というものは完結したわけでございませんで、まだ今後も把握をしていかなければならないということでございます。しかし、大方の趨勢というものがわかっておるわけでございますので、ここ数カ月以内には調査が終わり、その対策を検討いたしたいと思っております。
#250
○簑輪委員 数カ月なんということでは市町村の方が納得しないんじゃないかというふうに思います。速やかに市町村国保の安定的運営に支障のないように、大臣の積極的な対応をお願いしたいと思いますし、最後に大蔵大臣、何といったってこれは財政的な問題が絡んでまいりますので、こうした点で大蔵大臣も全面的に協力をし、解決のために骨を折るということを一言お答えいただきたいというふうに思っております。
#251
○竹下国務大臣 厚生省とよく協議をいたします。
#252
○簑輪委員 こういうことで、大変厳しい財政状況のもとで切実な声がありますので、深刻に受けとめて、必ず責任を持って解決していただきたいというふうに思います。そうでないと、この補助金の一括法の審議のときにも大臣等が、一年限りとかさまざまなことを約束されますけれども、去年のこの健保のときの政府の見込みがもうすぐこうやって崩れてきて、あと市町村にしわ寄せして知らぬ顔をするということでは信用がなくなってしまうわけですね。そこで、自治体にしわ寄せすることは一切せずに、きちんと政府で責任をとるということでの対応をお願いして終わりたいと思います。ありがとうございました。
#253
○中川(秀)委員長代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十分散会
     ――――◇―――――
  〔本号(その一)参照〕
    ―――――――――――――
   派遣委員の三重県における意見聴取に
   関する記録
一、期日
   昭和六十年四月五日(金)
二、場所
   三重県津庁舎六階大会議室
三、意見を聴取した問題
   国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時
   特例等に関する法律案について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 越智 伊平君
      塩島  大君    中川 秀直君
      沢田  広君    渋沢 利久君
      戸田 菊雄君    古川 雅司君
      玉置 一弥君    簑輪 幸代君
 (2) 現地参加委員
      坂口  力君
 (3) 現地参加議員
      伊藤 忠治君
 (4) 政府側出席者
        大蔵政務次官  中村正三郎君
        大蔵大臣官房文
        書課長     斎藤 次郎君
        大蔵省主計局法
        規課長     八木橋惇夫君
 (5) 意見陳述者
        三重県知事   田川 亮三君
        亀 山 市 長 今井 正郎君
        地方自治研究セ
        ンター専務理事 坂倉 藤吾君
        三重県市町村保
        健婦協議会会長 松尾みち子君
        全日本労働総同
        盟三重地方同盟
        会長      池本正三郎君
        自治労愛知県本
        部書記長    伊藤 欽次君
     ――――◇―――――
    午前十時一分開議
#254
○越智座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院大蔵委員長の越智伊平でございます。
 私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いをいたします。
 この際、私から派遣委員を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、本委員会におきまして、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案の審議を行っているところであります。
 当委員会としましては、本法案の審査に当たりまして、国民各層から意見を聴取するため、岩手県盛岡市と御当地におきましてこの会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。
 御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわりませず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚くお礼を申し上げます。
 また、参考資料の到着がおくれ、まことに御迷惑をおかけいたしました。
 次に、この会議の運営について申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持は、座長であります私が行うことといたしております。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言をしていただきたいと存じます。
 なお、この会議におきまして御意見を陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。
 次に、会議の順序につきまして申し上げます。
 最初に、御意見陳述者各位から御意見をそれぞれ十分程度順次お述べいただいた後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の出席委員及び御意見陳述者の御紹介を申し上げます。
 出席委員は、自由民主党・新自由国民連合の中川秀直君、塩島大君、日本社会党・護憲共同の沢田広君、渋沢利久君、戸田菊雄君、公明党・国民会議の坂口力君、古川雅司君、民社党・国民連合の玉置一弥君、日本共産党・革新共同の簑輪幸代君、以上であります。
 次に、各界を代表して御意見をお述べいただく方々を御紹介申し上げます。
 三重県知事田川亮三君、亀山市長今井正郎君、地方自治研究センター専務理事坂倉藤吾君、三重県市町村保健婦協議会会長松尾みち子君、全日本労働総同盟三重地方同盟会長池本正三郎君、自治労愛知県本部書記長伊藤欽次君、以上の方々でございます。
 それでは、田川亮三君からお願いいたします。
#255
○田川亮三君 衆議院大蔵委員会の諸先生方には、日ごろから地方行財政の諸問題に関しまして格別の御理解と御高配を賜り、まずもって衷心より感謝申し上げる次第であります。
 本日は、政務御多端の折にもかかわりませず、当津市におきまして国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に関して地方団体の意見を申し述べる機会をお与えくださいまして、まことにありがとうございます。厚く御礼申し上げます。
 国、地方を通ずる行政改革の推進と財政再建が今日の我が国における最も緊急かつ重要な課題であることは衆目の一致するところでありまして、これを着実かつ迅速に推進してまいらなければならないことは今さら申し上げるまでもございません。このため、私どもはかねてより行政の効率化とスリム化を図る等の観点から事務事業のあり方及び国と地方の機能分担について徹底した見直しを行い、国民に身近な行政は、国民に身近な行政主体である地方公共団体の手で行われる体制を整えることを基本として事務と財源の再配分を行うべきであり、このような考え方のもとに、地方に対する権限の移譲、関与、必置規制の整理合理化等、行財政改革の推進を強く要望してまいったことは御承知のとおりであります。
 後ほど述べますように、私ども地方公共団体も私どもなりに行財政改革を進めてまいりましたが、そのときに必置規制、許認可等、私どもだけではいかんともしがたい問題があったのでございます。国、地方を通ずる行財政改革を進めるためには、こうした点での制度、運用両面にわたる改善が必要かと存じます。今回の国における行財政改革の中で、その一部については機関委任事務の廃止、必置規制の縮小等の措置が講じられましたことは極めて当を得たものと存じますが、私どもの目から見ますとまだ抜本的な改革となっていない部分もあるように思われます。今後一層地方分権を進める方向での改革をぜひお願いいたしたいと存じます。
 せっかくの機会でございますので、若干の時間をおかりをいたしまして、私ども三重県におきます行財政改革の概要を説明させていただきます。
 昭和四十八年のオイルショック以降、行財政体質の改善を図るため、各年度の予算編成に当たっては、事務事業の抜本的な見直しや各種補助金の削減等を実施してまいりました。
 また、本県では、経済の低成長の中で多様化する県民のニーズを的確に把握し、行財政運営の円滑な推進を図っていくため、国の臨時行政調査会の設置に先駆けて、昭和五十四年六月、庁内に行財政システム調査研究会を設置をいたしまして、附属機関等の整理統合、補助金の交付事務手続の簡素化、予算編成方式の改善等を実施してまいりました。
 さらに、国において臨時行政調査会が設置をされましたことに伴いまして、昭和五十六年九月には先ほど申し述べました行財政システム調査研究会の中に行革問題特別部会を設けまして、国の動向を把握し、県行政との調整を図るとともに、県独自の行財政の見直しに努めてまいったところでございます。
 また、県議会におきましても、昭和五十八年七月に行財政特別委員会が設置をされまして、行財政問題の総合的な調査検討がなされ、その検討結果は、過去三回にわたりまして行財政特別委員長中間報告書という形で県の行政運営の諸問題についてさまざまな御提言をいただいているのが現状でございます。
 こうした委員会、調査会の提言等を受けて実施してまいりました行財政改革の事例の一端を申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、予算面から見た事務事業の見直しについてであります。
 予算策定作業の過程におきましては、徹底した事業の見直しを繰り返すこととしております。ちなみに、行革問題特別部会を設け、その検討結果を実施に移しました昭和五十七年度以降四カ年間の実績を見ますと、一般行政経費の節減額が六億九千九百万円、廃止いたしました事業が二百五十七件で十五億八千万円に上るほか、サンセット方式を導入することにいたしました事業が百二十二件、団体運営補助金の削減は二百九十五件、三千二百万円、受益者負担の適正化を図ったことに伴います使用料、手数料の改正による増収額が七億三千六百万円となっております。
 第二点は、行政組織についてであります。
 本庁、出先機関の課所数は増加させないいわゆるスクラップ・アンド・ビルドの原則のもとで、県経済の活性化を図り、高齢化社会、情報化社会へ適切に対応するための組織づくりを行う一方、課や出先機関の統廃合を進めてまいりました。特に昭和六十年度は身体障害者更生指導所など四出先機関の廃止のほか、長年の懸案でありました土木事務所の出張所十八カ所を昭和五十九年度限りで全廃をいたしたのでございます。
 第三点は、職員定数についてであります。
 知事部局の定数は昭和五十一年度以降毎年度一ないし三%の定数削減を課しまして、これによって捻出いたしました人員を新規の行政需要に再配置する方法をとっております。ただ、国の法令等によって定数が定められております教員と警察官につきましては、過去十年間で教員が二千二百三名、警察官が二百二十二名の増加となっております。
 第四点は、事務事業の民間委託についてであります。
 本県では、従来から民間委託になじむ業務については積極的に委託の推進を図ってまいりました。庁舎の清掃、電話交換、機械設備の保守管理、県立病院の保険診療報酬の請求事務、給食業務、さらには新設の福祉施設の管理委託を図るなど、民間委託の拡大に努めております。
 以上申し上げましたように、地方は地方なりに独自の行財政改革に取り組んでいるところでございます。
 なお、この四月からは、地方行革大綱の指針をもにらみ合わせながら、本県における行革の推進機関として有識者で構成する三重県行政改革協議会、実施機関として三重県行政改革推進本部を設置するとともに、県民の理解と御支援のもとに、より一層地方行革の推進に努力をしてまいる所存であります。
 国におかれましては、マイナスシーリングの設定と三年連続前年度を下回る一般歳出予算、日本電信電話公社及び日本専売公社の民営化、特殊法人の整理統合、国家公務員の第六次定員削減計画の実行等、近時の行財政改革に対する取り組み方への努力とその実行力には心から敬意を表するものでございます。しかしながら、今回行われることになりました補助金、負担金の一律カットの措置については、国の行政改革への努力とは別に、我々地方公共団体にとって、今日の厳しい財政状況下においては非常に苦しい対応を強いられることが予想されまして、現に今回の高率補助率の一律引き下げによる三重県への影響額は六十九億円にも上ると試算されております。
 私は、昨年夏に国家予算の概算要求の大要が示されました段階から、全国知事会等を通じまして、また、昭和五十九年九月には、政府招集の全国知事会議の席上、知事会の社会文教調査委員会を代表いたしまして、中曽根総理大臣にも補助負担金の率を一律に引き下げることは適当でない旨強く申し述べてまいったところであります。そもそも、事務事業の見直しを行うことなく、負担割合だけを変えることによって国家財政の健全化を図ろうといたしますのは、本来の意味での国、地方を通じての行政改革ではない、こういうふうに考えておるからであります。
 国と地方が目指す行政改革とは、行政が果たすべき役割とは何かを検討し、例えば民間にゆだねられるものがありとせばそれを民間にゆだねる、さらには行政の事務事業そのものを減少させる、こういうようなことが本来の行政改革であると考えております。この面における英断をお願い申し上げたいと存じております。
 ただ、今回の法案そのものにつきましては、昭和六十年度限りの緊急避難的な暫定措置ということでもございましたし、また、昭和六十年度の地方財政運営に大きな支障を生ずることのないよう、地方交付税、地方債を中心とする財源対策を講じていただいておりますので、現段階に至りましてはやむを得ないものと考えております。
 今後お願いを申し上げたいことが三点ございます。
 その第一点は、この法案をできるだけ早く成立をさせていただいて、地方公共団体への補助金の交付手続をスムーズに行ってもらいたいということであります。法案の成立がおくれますと、御承知のように地方団体の行う事業そのものが遅延いたします。そのようなことがあっては大変でございますので、法案の早期成立をお願い申し上げる次第でございます。
 第二点は、昭和六十一年度以降の補助負担率のあり方については、国と地方の間の役割分担、費用分担の見直し等を踏まえて政府部内において今後検討されることでありますが、これまで私どもが要望してまいりました方向で適切な結論が得られることに期待するとともに、六十年度のような土壇場に参りまして一律カット、こういうようなことにならないように格別ひとつ御要望を申し上げておきたいと存じます。
 第三点は、自主財源の充実についてであります。私ども三重県を例にとりますと、一般会計の規模は、昭和六十年度の予算で四千百十億に上っております。このうち地方税、使用料、手数料等のいわゆる自主財源は千七百四億円でございまして、四一%程度にしかすぎません。この自主財源の充実を図っていかなければ、地方財政の立て直しはおろか、真の地方自治の確立も困難になろうかと思われますので、ぜひその充実に向けて先生方の御支援、御協力をお願い申し上げる次第でございます。
 以上、私の立場から細かいことも申し述べましたが、何とぞよろしくお願いを申し上げます。
#256
○越智座長 ありがとうございました。
 次に、今井正郎君にお願いいたします。
#257
○今井正郎君 衆議院大蔵委員会の諸先生には、地方行政の諸問題につきまして平素から格段の御理解と御尽力を賜っておりますことを厚くお礼申し上げます。
 また、本日は、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして、地方団体としての意見を申し述べる機会を得ましたことを深く感謝申し上げます。また、それと同時に、私ども市町村の実情と当法案に対する意見を申し上げられることを非常に光栄と存じております。
 行財政改革の推進は、国、地方を通じて最も重要かつ緊急の課題であることは申すまでもございません。私ども地域住民に密着して市町村行政を預かる立場といたしましては、住民のニーズの多様化による行政需要の増大と、それを賄う税収入等の伸びの鈍化あるいは公債費の増大等々により、市町村財政事情は年々厳しさを増していることを痛感しているものでございます。
 国におかれましては、第二次臨調答申、さらに引き続いて行革審の審議が行われ、逐次意見が出され、着実に行政改革の推進が図られているところでありますが、私ども市町村においても、従来からそれぞれの市町村で自主的に知恵を絞りながら行財政の改革推進を図ってきたところでございます。
 その実情について若干触れさせていただきたいと存じます。
 県内十三市においてはすべての市で、町村においては十五町村で、名称は異なりますものの、行財政改革を推進するための委員会等を設置し、その他の町村でも独自で、事務事業、組織機構、補助金等の見直し、職員数の抑制削減、あるいは事務事業の民間委託等で減量化を進め、簡素で効率的な行財政運営に努めてきたところでございます。
 さらに、「地方行革大綱」の推進について、その趣旨にのっとり、各市町村で行革推進本部と民間有識者も含めた行政改革推進委員会の設置を進めつつあるのが現況でございます。
 私の亀山市は人口三万五千の内陸都市でございますが、当市におきましても、昭和三十六年に亀山市行政事務改善委員会を設置して行政事務改善計画を策定するとともに、国の行政改革に先駆けて昭和五十三年には六カ所の支所を一気に廃止し、その施設を地区のコミュニティーセンターとして開放して施設の活用を図ったほか、昭和五十六年にはこの委員会を亀山市事務合理化推進委員会と改組いたしまして、一年余にわたって機構の全面的見直しを行い、昭和五十八年一月に十四課四十五係を十課二十七係と二出先に縮小し、大課制の実施による組織の流動化によって人員の抑制に努めているところでございます。さらに、職員の欠員不補充、税務業務、給与等の電算化移行、清掃業務等の民間委託等、住民へのサービスを低下させないよう配慮しながら種々の改革を実施してきたところでございます。
 私どもといたしましては、本来、行財政改革は、国、地方を通じた行政全体の流れの中でそれぞれの機能分担、財源配分の検討をし、事務事業の整理を行いながら簡素効率化を進めるべきであるというぐあいに考えております。したがって、国庫補助金等の整理合理化も、地方自治体の自主性、自律性を尊重するという立場で進められるべきものであるという基本的な考え方を持っておる次第でございます。しかしながら、昨年来にわかに出てまいりました高率補助金の一律一〇%カットの問題は、国、地方を通じての機能分担と費用分担のあり方についての十分な議論もなされないまま、国の財政事情のしわ寄せを一方的に地方に転嫁するものとして、私どもとしては、全国市長会、全国町村会を通じて強く反対し、撤回を求めてきたところでございます。
 この補助金一律カットに伴う県内市町村の影響額については、県で試算されたところでは、経常経費で約二十二億円、投資的経費で約十一億円、合わせて三十三億円に上ると見込まれておるところでございます。
 亀山市におきましてもその影響額につきまして試算をいたしましたところ、一般会計予算約七十七億円でございますが、六千万円に上ると見込まれており、小規模な市といたしましては大きな負担と言わざるを得ません。四日市市や津市においては四億円以上の影響額になると聞いております。
 特に生活保護費を初めとした社会保障関係費の影響が大きく、六十年度予算編成に当たってはその対応に苦慮したところでございます。
 県下の市町村は一般的に財政規模も小さく、自主的財源も乏しい中でこのような一律カットを受けることは、それぞれの市町村の財政運営にとって大きな支障を来すところとなりかねません。特にここ数年の県内の市町村の財政状況は、決算による実質収支の増加なり財政力指数の上昇から、マクロ的には好転しているように考えられますものの、五十一年度以降の景気浮揚対策あるいは財政不足補てんのための財源対策債の増発等により公債費比率も上昇し、さらに財政構造を判断する経常収支比率においても年々上昇しており、市町村財政の硬直化が進んでいることがうかがわれます。また、財政運営は年々難しくなっているのが現状でございます。
 幸い六十年度については、このカット分に相当する財源措置が交付税と起債で措置されることになり、一応安堵したところでございますが、これも各市町村均等に補てんがなされるとは限らず、大きな負担を強いられる市町村、影響の少ない市町村と、新たな地域格差を生み出す原因にもなりかねません。
 今回の措置については六十年度限りの暫定的措置となるものの、六十一年度以降も継続すべきであるという御意見もあるやに拝聴いたしておりまして、憂慮いたしておるところでございます。今回の措置は本年度限りとし、昭和六十一年度以降の補助率のあり方については、私ども市町村の意向も十分踏まえた上で適切な結論が得られるよう、強くお願いをするものでございます。
 また、申し上げるまでもなく、法律案の審議、取り扱いにつきましては、私どもがとやかく申し上げる筋合いではございませんけれども、地方行政を執行する立場にある者といたしましては、地方行政を円滑に執行してまいりますためには、法律制度の安定と行政が継続して行われることが不可欠であると考えております。したがいまして、予算と法制とが一致しないという不安定な状態が長く続かないように、極力お願いを申し上げたいと存じます。
 以上、三重県の市町村を代表いたしまして忌憚のない意見を申し上げましたが、私どもの意見が十分反映いたしますようお願いいたしまして、発言を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#258
○越智座長 ありがとうございました。
 次に、坂倉藤吾君にお願いいたします。
#259
○坂倉藤吾君 本日は、衆議院の大蔵委員会の諸先生方には、大変御苦労さまでございます。
 私は、本法律案に反対であり、速やかに廃案とすべきが至当であるとの立場から、以下、五点に絞ってその理由を申し述べたいと存じます。
 第一の理由は、民主政治のもとにあっては、いかなる法律といえども、その改廃は国民の総意に基づくべきが原則であります。
 ところで、本法律案につきましては、その提出の動向をめぐりまして、全国自治体三千三百三団体のうち、その七八%にも達する二千五百八十七もの団体がこぞって一律削減反対の決議をいたしておりますし、かつ全国知事会や全国市長会など、いわゆる地方六団体が再三再四にわたって反対を表明し、補助金一律削減による地方への負担の転嫁は行政改革に何ら寄与しないばかりか、国と地方との信頼関係を根底から覆すものであると政府並びに関係省庁や各政党に訴え続けてきた事実を見逃すわけにはまいらないのであります。
 国民主権、民主国家たることを標榜し、その具現を図るべき政府並びに国会がこの事実を無視し、地方の声を力によって押し切ろうとするのは、我が国にとって無縁なはずのファッショ的様相とでもいうべき対応でありまして、憲法上からも疑義を持たざるを得ないのであります。
 第二の理由は、この法律案の内容とするものが国庫負担金あるいは国庫負担金と同様の性格を有する補助金を削減対象としていることであります。
 負担金の性格は、単なる政策推進のための奨励報償的あるいは恩恵的性格の補助金などとは全く異なるものでありまして、その事務事業の目的に関し、国と地方との密接な関係に基づいて、その共同責任たる視点を踏まえて分担すべき割合を法律で定めたものでありまして、国としての負担の責任と義務は明瞭であります。にもかかわらず、臨時行政調査会の答申、提言を盾にいたしまして、国の財政負担を一方的に地方に押しつけ、押しつけられる地方の理解と合意を得ないまま、また、その分担すべき割合の論議も尽くさないままに一律削減を強行しようとするものであって、本法律案の国会提出自体が無謀の挙というふうに私は判断をいたします。
 第三の理由は、本法律案がそれぞれ事務事業の内容と目的、性格を異にする五十九件にも及ぶ法律改正を、削減並びに削除、廃止を共通点として一括にし、一つの法律案となって審議に付されているという事態についてでございます。
 五十九件もの数多くの法律改正をそれぞれの所管省庁ごとにばらばらで提出をすれば、国会審議がそれぞれの制度論議にまで発展をすることになり、結果として成立をしない法律案が生じるおそれがあるとして本法律案がまとめられたと言われておるわけでありまして、このことは特に私は重視をせざるを得ないのであります。現行該当各法律の制定の経緯と歴史を無視し、国会における審議権をも愚弄して、国民主権を冒涜している事態と判断せざるを得ないのであります。
 国、地方を問わず、行財政の改革は今日の最も緊急的課題であることは私もよく承知をいたしておるところであります。だからこそ、それだけに現情勢下における各制度や政策の的確なる判断と将来への見通しに立った十二分の検討と審査が望まれるのでありまして、その上で存廃あるいは削減が決せられるべきものと思うのであります。いわんや、本法律案が社会保障制度や教育制度、農漁業政策など国民生活に直接影響を及ぼす、いわば我が国の今日的重要政策の根幹にかかわる法改正を主要部分として構成しているだけに、私は、ぜひとも個別の法律改正案として分解をし、所管の各委員会審査にゆだねることが国民の政治に対する信頼回復の道であろうとあえて申し上げておきます。
 第四の理由は、仮に本法律案が成立いたしますと、直ちに地方財政を圧迫し、結果として勤労国民諸階層の生活を直撃する事態となるからであります。
 本法律案は、国の負担または補助の割合が二分の一を超える負担金、補助金、すなわち国の責任並びに負担義務が重いがゆえにそれに見合って分担をされてまいりました高率負担関係法が四十法律もあり、まさに本法律案の主体をなしているのであります。
 生活保護費など社会保障関係費や、公立学校施設整備費や定時制教育費など教育関係費がさらにその主軸でありまして、これら当該事務事業の性格と現状からは、国の削減額そのものがもろに地方自治体に転嫁されるのでございます。例えば生活保護費の削減をそのまま受給家庭に減額できるでございましょうか。まさにそれは生存権を根底から否定をすることになるわけでありまして、当然地方自治体の上にかぶさってまいるのでございます。私の独自の試算によりますと、地方交付税に一部振りかえられるものをも計算に入れまして、当三重県下七十の全自治体合わせておよそ百十五億円余の負担増を余儀なくされるのでございます。
 今日、各自治体の財政傾向は、財政調整積立金は有するものの、一般会計におけるいわゆる財政硬直化が鋭く指摘をされておるところでありまして、関係当事者の共通した最大の悩みとなっておるのであります。本法律案の成立は、この実情にまさに追い打ちをかけ、各自治体の自主的な努力をも無視するものでございますし、国への不信を募らせる結果になるでございましょう。
 また、地方の自主財源が押し縮められる結果といたしまして、各自治体の自主性、自律性、さらには独自性という、地域住民と地域の実情に即した自治体本来の特性が失われるばかりか、行政全体のサービスが低下することはもちろん、地域住民にとって最も不公平な税外負担が強制されるなど、個々に犠牲となってしわ寄せをされることになるのでございます。
 第五の理由は、仮に本法律案が成立いたしますと、国庫負担金や補助金のこうした一律一括削減措置が先例となって、継続恒久化をする可能性を持っているからでございます。
 今回の措置が、単に当面の国の財政負担を軽減するだけの目的とは考えられないのでございます。過般、毎日新聞はこのように論評をいたしております。補助率を引き下げ、地方負担をふやした場合、地方交付税を受けていない富裕な自治体は負担分を吸収しやすい、その他の自治体も高い人件費や冗費を削れば負担増を吸収できる、これによって国に比べておくれている地方の行財政改革が進むと。これはまさに、極めて意図的に地方富裕論を展開をしてまいりました大蔵省などの、地方への負担転嫁による国の歳出削減と地方行政改革推進という二面性を指摘しているのでございます。国に、特に大蔵省にこのねらいがある限り、一律削減は今回一年限りの措置との約束事は当面のごまかしでございまして、竹下大蔵大臣の、一年間議論した上で恒久化したいという一月末のあの発言こそが本音であろうと分析せざるを得ないのでございます。したがって、本法律案の扱いが一律削減の例年化、恒久化を誘導し、さらに地方積立金等を視野に入れた上での地方交付税率の見直しによる引き下げの動向をも招くおそれを持っておるのでございます。
 以上、五点にわたりまして、本法律案に反対し、かつ廃案とすべきが至当との理由を申し述べましたが、最後に、地方自治体がまさに憲法第九十二条に言う地方自治の本旨に基づいて、住民福祉を柱に、地方の時代にふさわしい活動が保障されますように、本日のこの機会に御出席の各委員先生方に特にお願いを申し上げて、私の陳述を終わらせていただきます。
#260
○越智座長 ありがとうございました。
 次に、松尾みち子君にお願いいたします。
#261
○松尾みち子君 大蔵委員会の皆様には、本日御多忙の中、三重県にお越しくださいまして、まことにありがとうございます。
 早速でございますが、私は三重県市町村保健婦協議会の会長をしております松尾みち子でございます。保健婦設置に関する補助金が交付金化されますことについて一言述べさせていただく機会を得ましたことを大変うれしく思っております。
 交付金化について述べさせていただきます前に、三重県の市町村保健婦の設置状況についてお話しさせていただきます。
 市町村保健婦は、昭和五十九年十二月現在百一名で、六十九市町村中五十八市町村に設置されており、これを人口対比で見てみますと、人口十万対の保健婦は全国十三・七に対して三重県は十・九と、かなり低いという状況になっています。
 このような設置率の低さの原因については後ほど触れさせていただき、次に最近の保健状況を見てみますと、我が国では公衆衛生の進展によって乳児死亡や結核死亡は大幅に減少し、これにかわって成人病、すなわち、がん、脳卒中、心臓病が主要死因となり、国民総死亡の約六二%を占めるようになりました。しかも、人口の急激な高齢化によって、これらの疾病予防はますます重要な課題となってきております。さらに、これらの疾病が原因となって、寝たきりになる人や痴呆老人がふえつつあり、大きな社会問題となっております。このため、予防対策として昭和五十三年の健康づくり施策を先駆けに、昭和五十七年に老人保健法が制定されました。この老人保健法の中での保健事業を今大きく進めるのが市町村の急務となっております。
 保健事業には、健康教育、健康相談、健康診査、家庭訪問指導などの形があり、これらの事業は地域住民の生活の場できめ細かく行われなければなりません。この事業を企画し、実施の中心となるのが保健婦でありますから、市町村に保健婦が確保されていないと事業の進展が大きく阻害されます。このため、保健婦設置促進を目指して、県におかれましても保健婦確保対策に力を入れられ、年々効果を上げ、設置数も徐々に増加してまいりました。
 しかし、保健婦設置率の低さが飛躍的に改善されない原因の一つに、厳しい地方財政事情があります。この状況の中では、市町村職員の現定数を増員する形での保健婦設置は非常に難しく、また、現定数内での設置は他職種を圧迫する形となってさらに困難をきわめています。市町村の保健衛生担当部門では、保健婦の必要性を唱え、要請をしていますが、このような事情が障害となって、大幅な設置拡大が望めないのが実情です。また、健康づくりに関心が高まってきたとはいえ、市町村行政の中ではまだまだ保健活動の重要性や保健婦の専門性が十分に理解されにくく、他の政策が優先されてしまうという状況もしばしば見られます。
 このような状況のもとでは、従来の地域保健対策推進費補助金の市町村保健婦設置費という国庫補助金が保健婦の設置を大きく支える貴重な財源となっていたことは確かであります。昭和六十年度予算編成で示されたこの人件費補助金の一般財源化の考え方は市町村に大きなショックを与え、既にそのようになることを恐れて、昭和六十年度保健婦設置を計画していながら設置を取りやめてしまった市町村があったように聞いております。このように、補助金の一般財源化の動きはたちまち保健婦設置促進を脅かしています。ひいては、地域住民の方々への保健サービスの停滞、低下につながることは言うまでもありません。
 このたびの交付金化は、人口の高齢化による保健需要の増大と多様化に対応し、市町村の実情に応じた自主的かつ弾力的な保健活動の推進を期待するものであるという趣旨を承っております。確かに、交付金化によって従来の人件費という概念がなくなり、活動補助という形に姿を変えたことから、市町村での保健水準を上げるための積極的な保健活動への取り組みが期待されますが、保健婦の設置促進については心配が残ります。と申しますのは、人件費としてのひもつきでなくなると、保健婦の役割がいかに重要であっても、市町村の政策方針によっては必ずしも保健婦の設置に使われるとは限らないからです。補助金が保健婦設置を支えてきた時代ですら全国で九・七%、三重県で一五・九%の保健婦未設置市町村があるという現状であったことから、今後保健婦の設置が促進されることについての予測は極めて厳しいものになると思います。そればかりでなく、厳しい地方財政下では人員削減の波が保健婦を襲わないとは保障されない情勢が心配されます。
 市町村保健婦費の交付金化は、現段階では厚生省の特定財源として引き続き国の財政援助が受けられるような考え方のようですが、私たちはこれがさらに一般財源化に進むことを非常に恐れています。前述のような市町村の状況では、使い道が特定していない財源措置は保健婦活動のための財源確保が保障されず、保健婦の設置あるいはその活動に大きな支障が起こり得ると考えられるからです。
 高齢化社会への対応の重要な柱である地域保健をより進展させ、住民の健康を守っていくために国の積極的財政援助を要望いたしますとともに、保健婦としては、それに値する評価が得られるような努力を一人一人が現場の日常業務の中で実践していきたいと思っております。
 これで終わらせていただきます。
#262
○越智座長 ありがとうございました。
 次に、池本正三郎君にお願いいたします。
#263
○池本正三郎君 私は、全日本労働総同盟三重地方同盟会長の池本正三郎であります。
 本日は、ただいま国会において議題となっております国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対し意見陳述の機会を与えていただきましたことに深く敬意を表すると同時に、私が本法案に対して抱いている見解を率直に表明させていただくものであります。
 結論から先に述べますと、私は本法案に対しては率直に言って反対であります。
 反対の第一の理由は、国と地方の税財政制度のあり方という基本問題について何ら触れることなく、国の財政的理由をのみ優先させ、補助率を一律カットし、地方に負担を転嫁させることは、国と地方の財政秩序を乱し、国、地方間の信頼関係を損なうものではないかということであります。
 国の補助金は、戦後、地方自治が未熟であり、また地方財政が極めて貧弱で、かつ地方団体間の財政力にかなりの格差があった時代において、全国均一の行政水準の確保、福祉のナショナルミニマムの確保等の要請から、不可欠の制度としてその存在意義を有してきたのであります。しかしながら、戦後四十年、地方自治も発展し、地方自治体の行財政能力も著しく向上してまいりました。かかる時代においては、かつてその存在意義を有していた国の補助金も多くのひずみを生むに至っているのであります。つまり、我々自治体において、地方の時代にかなわしく総合的な行政運営を行おうとしても、国からは各省庁ばらばらの補助金が交付をされ、しかも、それぞれに細かな条件がつけられるなどにより、それができない状態になっております。また、国の補助をもらうための事務手続や陳情などの手間もばかにはなりません。
 国の補助金の整理統合に当たっては、かかる補助金制度の不合理を是正し、三割自治と言われる今日の国に偏した国と地方の税財政制度のあり方を、地方の時代に適し、合理的に改めることが不可欠ではないでありましょうか。各省庁ばらばらの補助金は、地方交付税率の引き上げなどにより地方の一般財源化を図るなど、地方の自主性にゆだねることが必要ではないでしょうか。政府の今回の措置は、この点について配慮がなされていないと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、地方は財政再建に努力をしていないことを前提として地方に負担を押しつけているように思えることであります。
 確かに、国債費が十兆円を超えた国家財政の危機は、一国民として無関心ではいられないし、国民全体が痛みを分かち合うべきだという考えもわかります。しかし、国は財政再建のためにどれだけ努力をしてきたのでありましょうか。地方自治体の中には、かつてのオイルショック以来、景気の激しい冷え込みと地価上昇に四苦八苦をしながら、長期の税収減少を予測して、業務の縮小や民間委託、職員の定数削減など、行財政の効率化を図っており、今なお懸命に努力をしておる市町村も数多いのであります。これに対して、国の努力はいかなるものでありましょうか。行革のかなめである肥大化した行政機構の縮小や、各省庁ばらばらの行政のあり方の問題にどれほどの努力をされてきたのでありましょうか。行政機構の改革は単なる機構いじりや看板のかけかえにすぎないのではないかと思います。国の縦割りの行政や地方自治体へのかたくなな組織、職員の必置規制が自治体の行革努力をいかに妨げてきたことかを政府は深く銘記すべきであります。
 地方自治体にも、職員の高額給与、退職金の問題など、改革すべき問題もあります。しかし、営々として健全財政に努力をしてきた自治体も数多いのであります。国の行政のあり方に根本的メスを入れず、健全財政に努めてきた自治体に痛みを分かち合えというのでは、余りにも一方的また権力的姿勢ではありませんか。したがって、私は、地方自治体に痛みを分かち合えと言う前に、国は行革に徹底的に取り組み、地方に範を示すべきであったと思うのであります。
 第三は、今回の措置は地方財政法の趣旨に反するものではないかということであります。
 地方財政法第二条第二項によれば「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と定められております。これは、国の都合により地方自治体の自主的な行政運営がゆがめられてはならないという理由からだと私は理解をいたしております。政府の今回の高率補助のカット、地方への負担転嫁は、明らかに地方財政法の趣旨に反するものではないかということであります。
 第四は、政府の今回の措置は行政改革の精神にも反するものではないかということであります。
 補助金は、真に必要なものに限り、必要最小限度とすべきであります。そのための手続も簡単明瞭とすべきであります。それが納税者の立場に立った行政であり、国民に自主自立の気持ちを醸成し、国全体に活力を生む基本であります。時代の変化とともに役割を終えた補助金は廃止すべきであります。地方に同化定着した補助金は地方の一般財源に振りかえるべきであります。また、地方自治体に過重な負担を強いておる補助金に係る膨大かつ複雑な事務手続は思い切って簡素化をすべきでありましょう。単に補助率を引き下げただけでは、国、地方を合わせた国民の負担は何ら変わらないし、補助金にまつわる問題の解決に寄与するものではありません。行革の効果は全くゼロであります。政府はこの点に十分留意をされ、行革の趣旨に沿った補助金の整理合理化を行うべきであります。
 そのほか、国と地方の事務再配分の問題、補助金にかかわる機関委任事務の問題など、補助率のカット以前に解決すべき問題は数多くあります。これら問題について何ら改善することなしに、単なる財政上の理由のみで補助率をカットしたということは問題であり、私はこれが先例とならないよう祈るものであります。
 最後に、私は今日の補助金制度の改革について私の意見を述べ、陳述を終わりたいと思います。
 第一は、零細補助金や地方に同化定着した補助金は、これを廃止するか、地方の一般財源化する必要があろうということであります。
 第二は、公民館や児童館、福祉センターなどのコミュニティー施設にかかわる補助金はできるだけ統合化し、どのような施設をつくるかは地方の自主性にゆだねるべきであるということです。少なくとも、地方自治体が各省庁から出されている補助金で、土地の有効利用の視点から多目的複合施設をつくる場合、これに制限をつけず、地方に任せるべきであるということです。
 第三は、補助金の申請などの事務手続について、交付様式の統一、窓口の一本化、補助交付の迅速化など、地方自治体に過重な業務を課している事務手続を思い切って簡素化すべきであります。少なくとも、二重、三重のむだとなっている国の地方出先機関との協議は廃止すべきであると考えます。
 第四は、補助金の惰性的存続を防止するため、奨励的、財政援助的な補助金については、すべて存続期限をつける必要があるのではないかと思います。
 以上で私の陳述を終わります。ありがとうございました。
#264
○越智座長 ありがとうございました。
 次に、伊藤欽次君にお願いいたします。
#265
○伊藤欽次君 私は、統一労組懇に参加している全日本自治団体労働組合愛知県本部書記長の伊藤でございます。
 私どもは、地方自治体に働く職員、労働者で組織する労働組合であります。地方自治体に働く労働者の暮らしと権利を守るため不断に努力を続けているだけではなく、住民の暮らしを守る組織としての地方自治体を、住民本位に、つまり清潔で公正、民主、効率的なものにし、住民の暮らしと命、福祉と教育の充実を図ることを目指しています。私どもは、住民全体への奉仕者としての自覚に基づいてその仕事に携わるとともに、仕事の内容についての民主的改善と改革のために不断に努力を続けているものであります。何よりも、日本国憲法が保障している国民の基本的人権と地方自治、さらに平和を何よりも大切にしていかなければならないと思っているものであります。国と地方の行政では、この見地が貫かれる必要があると痛感しています。
 さて、私はいわゆる補助金カット一括法案について絶対反対であり、廃案にすべきであるという考えを持っております。
 以下、幾つかの点を指摘しながら、率直な意見を申し上げさせていただきます。
 まず第一に指摘したいことは、この法案、特に高率補助の一律一割カットについては、全国の圧倒的多数の地方自治体とその議会が反対であることを強く表明しているという事実であります。
 地方六団体は、いち早く地方自治確立対策協議会を設け、周知のように昨年十月三十一日には異例と言われる地方への負担転嫁反対総決起大会を開きました。このことからも明らかなように、地方自治体の側は、一律カットによる負担増によって地方団体が自主的に使用できる財源が奪われ、行政サービスの低下を来さざるを得ないとの危機感を、保守自治体であれ革新自治体であれ、抱いたのであります。これは至極当然のことであります。
 こうした強い反対の声が全国津々浦々から上がるということ自体、この補助金カット一括法案が地方自治と地方財政を破壊する悪法であることを示したものであると言えます。この一事をもってしても、この法案は廃案とすべきものであると言えます。
 さて、第二は、本法案が地方負担増六千億円余にも上るもので、これに対する国の財源手当ては不十分きわまりないものであると言えます。これは、国の財政赤字を地方にツケ回しを図ろうとするものであります。これは、地方への負担転嫁を禁じています地方財政法第二条「地方財政運営の基本」に明白に違反するものであると言わざるを得ません。しかも、自治省ですら、一律カットは補助金の中身を無視した哲学のない方法と厳しく批判をし、反対をした代物なのであります。
 ところが、昨年末、自民党政調会長などの調整で、この問題は昭和六十年度限りの措置ということで自治省と大蔵省との間で手打ちが行われ、両大臣の覚書が交わされたようですが、その内容は、一年かけて検討した結果、補助金削減を恒常化しようとする危険性が隠されていると言っても言い過ぎではないと思います。
 第三に指摘しなければならないことは、この法案が国民生活に重大な打撃を与えるものであるということであります。
 政府は、本法案は中央と地方との負担区分の調整をやるだけで、国民に直接影響はないと言っていますが、これは明らかにうそであると言えます。今回の高率補助金の一律カットは、一つは、生活保護にかかわる国庫負担の削減に集中しています。生活保護受給者比率が高く、財政力が弱い自治体は集中的な打撃を受けるばかりか、国の責任を明記した生活保護法第一条の「目的」の「日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、」「その最低限度の生活を保障する」という原則をじゅうりんしているばかりか、非人道的な受給制限の強化に一層拍車がかかるおそれが大きいと言えます。これは、県や市役所の社会福祉事務所のケースワーカーの共通する不安であるということを申し上げておきます。
 さらに、削減が集中している児童保護措置費についても言えることです。今でさえ保育料はかなり高額である上に、補助金の削減によって、厚生省が示す保育料徴収基準の引き上げに連動して、自治体での保育料が大幅に引き上がるおそれがあります。これは父母の負担増となり、生活に重大な影響を与えることは確実であります。
 私は、今回の措置は、まさに憲法第二十五条に言う国の社会保障向上、増進義務を定めた規定や、生活保護制度などの原理原則をじゅうりんする乱暴なものであると言わざるを得ません。
 また、今回の措置は、文教の分野でも重大な問題をはらんでいます。
 例えば、小中学校の教材費に係る国負担の規定を削除したことは、地方教育財政を圧迫し、教材整備の後退、父母負担の増大をもたらすばかりか、文部省が定めた一九七八年から始まった第二次教材整備十カ年計画が五〇%弱しか進捗していないのですから、国負担の規定を削除したことはこの計画を放棄することを意味するものであります。教材の充実、父母負担軽減の見地から、一九五八年に国庫負担の「一部負担」とあるのを「二分の一負担」と明確化しましたが、今回の措置は、義務教育費国庫負担法の改善に逆行するものであります。
 また、児童生徒急増地域の小中学校の新増設に係る国庫負担の削減は、父母や教職員の願いに逆行するものであります。
 こうした措置は、義務教育無償、教育の機会均等を明記した憲法や、教育条件の整備確立を教育行政の責務と定めた教育基本法、教育水準の維持向上を目的とした義務教育費国庫負担法などの原理原則と相入れないことは明らかであります。
 第四に指摘しなければならないことは、国政と国民生活、地方財政の多岐にわたる計七十五にも及ぶ法律改悪案を一括審議するということは、ファッショ的なやり方であり、しかも議会制民主主義をじゅうりんするものであります。主権者である国民の一人として怒りを感じるものであります。
 本法案が現に大蔵委員会で審議されていますが、関係する八常任委員会と五つの特別委員会とでそれぞれ連合審査を行うなど、議会制民主主義に基づく国会の審議権を十分発揮して、国民一人一人の生活に思いをいたし、地方自治と地方財政を充実させる立場から、慎重な審議を強く求めるものであります。
 最後に、国の財政赤字を行政改革の美名で地方に転嫁するというやり方をきっぱりとやめるよう要求します。
 現に進められている行政改革は、軍備拡大、大企業優先、国民生活犠牲を本質としたものであることは、臨調発足以来この四年間の実態が明らかにしています。国民が厳しく批判をしています軍事費の異常突出をやめ、さらにこれを大幅に削減すれば、今回のような乱暴な補助金カットは必要でないばかりか、むしろ国民生活の充実に貢献するに違いないと確信するものであります。私どもは、かねてから軍事費を削って国民の暮らしと福祉、教育の充実を願って国民的な運動を続けてきた者として、ここに声を大にして叫ばざるを得ません。
 以上をもって、私はいわゆる補助金カット一括法案に反対、廃棄を求めて、陳述を終わることにします。
#266
○越智座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
 この際、現地参加議員として、日本社会党・護憲共同の伊藤忠治君が出席いたしておりますので、御紹介申し上げます。
    ―――――――――――――
#267
○越智座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。沢田君。
#268
○沢田委員 各陳述人におかれましては、非常に貴重な御意見をそれぞれの分野、立場を通じましてお聞かせをいただきました。まずもって厚くお礼を申し上げたいと存じます。
 私たちの方の質問をする時間も極めて短いものでございますので、これから申し上げることなどについては、これは恐らく全員に当てはまることでありますが、簡潔にお答えをいただければ幸いであります。
 最初に、順不同で恐縮ですが、私は財政関係とか福祉関係、運輸関係を通じてお伺いをいたします。三人おりますから、それぞれ分担しております。その点、御了承をいただきたいと思います。また、陳述人なんてかた苦しく言っているとぎくしゃくしますから、今井さんと、こういうことでお許しをいただきたいと思います。
 今井さんにお伺いをいたしますが、交付税で来て一般財源で来る、それから同時に、また起債で地方債として借金で賄う、こういう形で来ると、先ほど松尾さんからもお話がありましたが、それぞれの系統的な方々にとってみると不安感が隠し切れない、こういう意見もあります。しかし、ひもつき補助がなくなって一般財源化することによって地方の自主的な運営が可能になる、言うならば地域の実情に応じた適切なものが行えるのだということで、削減の問題は別として、補助金の性格的な意味、いわゆるひもつきというようなものでなしに一般財源化で来る方が望ましい、いやそうではない、今言ったようにそれぞれの分野で議会で取り上げられたのじゃ市長はかなわない、それよりもきちんと決まった方が議会対策としてはしやすい、どちらにお考えになっておられるか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
#269
○越智座長 はなはだ失礼でございますけれども、国会では君づけになっておりますのが用語でございますので、お許しいただきたいと思います。
 今井君。
#270
○今井正郎君 大変難しい御質問をちょうだいいたしたわけでございますが、私が考えますに、これは一長一短であろうかと思います。ということは、一般財源化されますといろいろな、一地方公共団体といえども国の中の公共団体でございますから、国の一つの方針というものはやはり市町村にまで及んでくるという考え方と、それから市町村独自の行政という、二つの考え方があろうかと思います。そういった意味合いで、一般財源化をすべてしてしまうというようなことはちょっと困る場合が出てくるであろうと思いますし、補助金だけというのでもまた困るであろう。両々相まってやるのが適当でないか、私はこういうぐあいに思います。
 それで、御質問の要旨が十分理解できませんけれども、私の市に例をとりますならば、すべて一般財源化ということになりますと、いろいろな事業を通じての技術的な指導といったものが排除されてくるというような問題があろうかと思います。それから、補助金をいただくことによってその趣旨が住民に十分徹底できるという利点もあろうかと思います。ということは、市町村で理論づけをするということが非常に難しい場合がございますので、そういった意味合いからも、そういうような立場もあろうかと思いますので、補助金がいいか一般財源化するのがいいかということに対しては、一長一短というぐあいにお答えするより方法はなかろうかと存じます。
#271
○沢田委員 私は二十分なのでありまして、ひとつ簡潔にお答えいただきたいと思います。
 田川さんにお願いします。
 行政改革特例法がこの前大騒ぎをして通ったわけであります。政府は、これは三年限りだという約束で実は提出をしてきたわけです。それをそらぞらしくまた一年延期だと言ってきておる。これに対するお考えをまずひとつお伺いすることと、また、これは一年限りだと言っているが、これは信用できると思っておられるかどうか、その点どうお考えか、お答えをいただきたい。
#272
○田川亮三君 これまた大変難しいお答えになりますが、私どもは、国と地方との関連からいうと、もっと地方を信頼していただきたい。そういう意味においては、逆に国に対してより信頼感を持ち得るようにということを期待いたしたいと思います。したがいまして、当然国に対していろいろ地方側からも要望したり御無理を申し上げる点がありますけれども、ただいたずらに延期をする、延ばすということでない、改変を含めての措置、こんなことが大事でなかろうかと思います。いずれにいたしましても、よりきずなの強い信頼関係が双方にあるということを期待いたしたいと思います。
#273
○沢田委員 ついでに、県の方の関係で、港湾法も削られることになるわけです。それから、地方鉄道軌道整備法も削られることになるわけです。田川さんの県を考えてまいりますと、地方鉄道のさらに南への延長あるいは港湾もたくさん持っておる。こういうことになると、台風が通れば通るたびに県民の負担が増大をしていくということが考えられるわけでありますが、その点ははかり知れない負担増になるのではないかというふうに思われますが、先ほどは総額七十億、また坂倉さんからは百何億、こういうふうに言われておりますが、知事の立場からはいかがでしょうか。
#274
○田川亮三君 具体的に港湾法あるいは地方鉄道軌道整備法の高額補助がカットされてきております。したがって、私どもとしては、高額補助のカットの問題は単年度限りの問題というふうに受けとめておりますので、必要な部分は復活を期待したい、こんなふうに考えております。
#275
○沢田委員 大分お苦しいお話のようでありますから、もう以上で知事の方は……。
 これは知事も県民のためにという立場に立って、自民党の人はおりますけれども、こういう法律は県民のためにはならないのだということをはっきりさせながら国に反省を求めていくということで、これまた御協力をいただきたい。これは私の方からもお願いを申し上げておきます。
 続いて坂倉さんにお伺いをいたしますが、非常に明快に述べていただきました。私たちも同意見なのであります。ただ、先生も前には国政に参加されたわけでありますから、地方の自主性、自律性、それから自主財源性、今の交付税制度の三二%、各都道府県の格差あるいは景気のでこぼこというものを考えますと、地方交付税制度というものの方がいいのか、それともそういうでこぼこの中におけるこういう補助金制度というものの方がある意味においては全国的なバランスをとる、ナショナルミニマムを確保するために必要な措置であると思われますか。私は、補助金には恒久的なものもある、それから臨時的なものもある、必要に応じて見直しをしていかなければならない、これが補助金だというふうに思っているわけですが、先生はいかがでしょうか。
#276
○坂倉藤吾君 一つは、自治体の性格の問題として、先ほども田川知事の方からお答えがありましたように、国の中のそれぞれの地域に自治体があるわけでありますから、Aという自治体からBの自治体へ行って極端に生活環境が変わるということであってはならぬと思うのです。そういう意味合いでは、全国自治体のどこへ行っても最低の水準というものが確保されなければならぬだろう。その上に立ってその地方に見合った独自性が発揮される、これが私は最も望ましい形であろうというふうに判断をいたします。
 そういたしますと、今日一番問題になりますのは、いわゆる交付税が果たしてそうした対応にきちっとなっておるのであろうかどうであろうか、こういうふうになりますと、私の陳述の中でも述べましたように、交付税をちょうだいをしないで自前でやっておる自治体も多分にあるわけであります。そうなりますと、交付税一本でこれを処理をするということは、逆に言うと不均衡を招いていくことに相なるであろうというふうに思います。
 それで、補助金の場合あるいは負担金の場合でありますが、とりわけ施設関係になってまいりますと、国の建設の基準が示されてまいります。この基準で果たして完全にその地方の事業が行われるのかということになりますと、必ずその事業に対して、国の基準どおりやったのでは地域住民は利用できないという観点から上積みをしているのが現状であります。そうなりますと、ひもつき財源は非常に結構でありますが、そういう意味合いで、常に各基準の見直しとあわせて補助あるいは負担の体制というものをとっていかなければならぬだろう。だから、常に見直しは必要でありますが、私は、それぞれに限定をするという立場ではなくて、それぞれの特徴を生かして、地方の実態、全国の実態をにらんで論議をして決定をしていくべき筋合いのものだろう、こういうふうに判断をいたします。
#277
○沢田委員 松尾さんは、立場上、こういう補助金が削られることは全体的なお年寄りの福祉というものが後退する、御説そのとおりなんです。それを守っていくためにどういうふうに、あなた自身の今の率直な気持ちで結構なんですが、一般財源になっていったらば、かえってその地方における議員の選挙あるいは首長の選挙というものを通じて自分たちの仕事を守るあるいはお年寄りを守るという運動を強めていく、そういうことによってそれを確保できる道があるのじゃないのかという気はするのです。何か天から降ってきたものだけでやっていると、常に運動が盛り上がらないでそのまま便々と日がたってしまう。こういうプラスとマイナスがあると思うのですが、松尾さんは会長さんだからしっかりしておられるようですが、もし一般財源にしたらもっと金を取ってしまうぞ、こういう形で運動するというお気持ちにはなれないでしょうか。いかがでしょう。
#278
○松尾みち子君 できるだけそういうふうに努めてはおるのですけれども、よほどでないと住民の声というのは出てこないというふうなこともあると思うのです。特に市町村の中で働く保健婦の場合は、一人とか、よういても二人とか、そういうふうな中で地域へ出てやっていこうとするのには、例えば役場の中で働かなければならないこともありますし、議員さんとかいうふうな人に働きかければ出てくると思うのですけれども、自分たちの仕事をもっとわかっていただくようにPRさせていただくという点がちょっと足らないのじゃないかと思っているのです。
 皆さんに保健婦さん来てうれしいというか、すごく喜んでいただくのですけれども、どういうふうにして声を出すかという点まではいかない、届かないというふうな感じはあるのです。だから、役所には役所のやり方があって、補助金が国、県、市町村という段階でおりてくるということが一番大きいのじゃないかと思うのです。地域の人はなかなかそこまで……。
#279
○沢田委員 きょうみたいな会合でこれだけ言えるということはいいことだったと思いますか。
#280
○松尾みち子君 今までそういう機会が全然なかったのです。だから、私はどうしようかなと思って不安だったのですけれども、こういうふうに皆さんに聞いていただける機会ができたということを大変うれしく思っておりますので、ぜひともそういうふうに保健婦というふうなものをもう少しPRさせていただきたいと思っております。
#281
○沢田委員 知事も市長もおりましたから、肝に銘じて帰られると思います。
 そこで、今井さんにお伺いしますが、生活保護がこれだけ減らされてくると、中曽根総理は絶対に影響を与えないとは言っておりますが、現実的に市町村財政でやっていきますと、どうしても選別して対象者を減らしていくという傾向が生まれてくるのではないかということが一番心配の種なのであります。結果的には、あなたのところはテレビ三台も持っているから、あなたは幼稚園に行っているから保育園に行けばいいんだからというような形で、今までの基準よりより厳しくなって、そして選別して落としていく、そして補助金の穴をそれで埋めていく、この傾向を一番心配しているのです。市長さんの立場から、そういう現象は起きないのか起きるのか。総理は絶対起こさないとは約束したのでありますが、いかがでありましょう。
#282
○今井正郎君 私の方の実例を見ておりますと、いろいろ解釈上基準について疑義が生ずるものがございます。したがって、そういうおそれがないかという御質問に対しては、私の市としては厳正に実施しておりますから、私の市だけで見ますならばそういうことはないと考えます。ただ、いろいろなこういう基準については、いろいろ微に入り細をうがっての御指導といいますか、基準をおつくりいただきたい、こういうことは考えてはおりますけれども、現状としてはないと思います。
#283
○沢田委員 時間が切れまして非常に残念でありますが、今後住民の福祉が一層増進されるようそれぞれの分野でひとつ御活躍をしていただきたいし、また、他の方にもとても質問が行き渡りませんで失礼をいたしましたことをおわびを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
#284
○越智座長 次に、戸田菊雄君。
#285
○戸田委員 戸田菊雄でございます。
 きょうは、陳述人の皆さん、御参会の皆さん、本当に協力をしていただきましてありがとうございました。
 まず、知事の方と市長さんと坂倉さんに三点ほどお伺いをいたします。
 その第一点は、今国の方では、地方財源は非常に豊かだ、こういうことを言っているのですが、この辺に対する見解はどうでしょうか。
 それから、今回の措置でいずれにしても私は地方への負担の転嫁ということになるのじゃないかと思うのですが、この辺の見解はどうでしょうか。
 それから、一般財源化されて今回廃止される義務教育費国庫負担法の一部改正、これは主として聾とか盲学校の方ですね。それから公立養護学校整備特別措置法の一部改正、これも言ってみれば弱者と言えるのでしょうね、そういうものの改正。それから児童福祉法の一部改正がありまして、児童相談所、こういったものの運営費を削る、こういうことなのですね。それから身体障害者福祉法の一部、精神薄弱者、農業協同組合等々ありますが、こういったものはいずれにしても社会保障でも非常に弱者向けに行っているのでありまするが、こういう面の削減に対する見解はどうでしょう。
 まず三点についてお伺いします。
#286
○田川亮三君 第一点の地方財政の富裕、余裕論、これは私どもも東京へ参りますとよく聞かれることなんですが、ぜひ御認識賜りたいのは、県段階の場合には、御承知のように自主財源のうちのいわゆる県税の大きな部分は法人事業税、したがって景気の好不況によって非常に変動する税源である。そんなことから、ある県がある特定の法人の財源で非常に豊かになった、したがってそれで地方は豊かだ、こういうことをおっしゃる方が中にいらっしゃいますが、これはとんでもない間違いでございまして、私どもの地方から申しますと、そういういっときの財源だけですべて地方は豊かである、こういうことにはならないのであります。ぜひこの点は御認識を賜りたいと思います。本県の場合でも、かつてはそういう時期もなきにしもあらずという時期がございましたが、その後大変落ち込んできておるのが実態であるというのが今日の状態でございます。
 それから、地方を全体に見る場合に、やはり三千数百ある自治体の中には非常に苦しんでおる自治体もございますし、今申しましたように富裕の自治体もあります。したがって、そういう意味で、地方財政は余力があるということを一つのところだけで御判断をされるのは、地方側から見ても大変迷惑であるということであります。
 また、二つ目のお尋ねの、地方転嫁ではないかということでありますが、確かに六十九億ばかりの負担という形に本年度はなるのであります。したがって、予算の編成の中でも、私どもは一般財源だけでは十全でございませんために基金を取り崩して操作をした、こういう意味においては客観的には転嫁ということになるのですが、財源的には今回は御承知のような交付税あるいは起債措置、こういうことで一応補てんをされている形になります。しかし、これも見方によっては確かに地方への転嫁ということになるわけでありますから、こういうような形は一年限りという全く緊急避難だというものですから、万やむを得ず我々は受けとめただけでありまして、ぜひこれは一年限りの措置としていただきたいというふうに考えております。
 第三点の、今回の補助金のカットの諸問題が福祉関係の法案が多い、大変残念なことであります。だから、こういう分野の施策が弱くなる、ウイークになる。私どもは逆に措置をいたしたい。そうであるならば、地方としてはそういう分野を強めていく考え方をとっております。
 ただ、先ほどちょっと御説明の中で、身体障害者の相談所を廃止するということを申し上げましたが、これは実はこの津に立派な身体障害者の総合福祉センターが完成をいたしました。したがって、その中へ取り込むという意味で廃止をする、こういうことでございますので、この点はひとつ御理解を賜りたいと存じております。
 以上、三点お答えをいたします。
#287
○今井正郎君 地方財政は豊かでないかという御質問に対しましては、これは豊かなところと豊かでないところと、非常に差が大きゅうございます。交付税でいえば、不交付団体もございますし、それから交付団体の中でも、財政力指数で申し上げますならば〇・三というような市もあるわけでございますので、これは非常に千差万別でございますから、豊かであるという御表現には私はならないであろう、こういうぐあいに思います。
 豊かな市もないわけではございませんが、非常に差があるということと、それから三重県で申しますならば、四日市市あたりは不交付団体になったりならなかったりでございますが、これは地域に進出しております法人市民税の落差が大きかったりもうかったりというようなところで非常に御苦労をなさってみえるのが現状でございます。だから、必ずしも豊かであると言えないと私は思います。
 続いて、地方への転嫁ではないかという御質問に対しましては、一時的には私はそのように思いますが、今回に限りましては財源措置が一〇〇%なされておりますので、私の方としては、これが具現化されますならば影響はないというのが現状でなかろうか、このように考えますが、これがどのような形でこの一年間御討議が出て結論を出していただくか、この行き先については非常に心を痛めておるのが現況でございます。
 次に、弱者に対してという御質問でございますが、私の方といたしましては、法律で定められた措置はすべて適正にやっておるつもりでございます。それに対する補助率が落ちてくるということで今後どのような影響が出てくるかということにつきましては、これが恒久的なものになる場合には財政的にもまたいろいろな観点から考慮をしなければならないとは思いますけれども、今年一年は暫定的ということでございますから、善処していきたいというぐあいに考えております。
#288
○坂倉藤吾君 お答えを申し上げたいと思うのですが、総論的には一点目、二点目、三点目とも私が陳述の際に申し上げておるわけであります。
 まず、地方富裕論の関係については、幾つか書物の記事等にも出てまいります。その着眼点は一体具体的にどこが出ておるのかといいますと、およそ地方の議員定数が多い、それから庁舎がどんどん立派になり過ぎていくじゃないか、福祉関係施設がどんどんといっているじゃないか、言うならば地方が前々から計画的に充実をしていこうということで努力をしてきた結果として出てくる問題について、それが国の立場からいってぜいたくだという観点が非常に強い、これが一つあります。それからもう一つの問題は、地方に積み立てられておりますいわゆる財政調整資金、これは目的があるわけでありますから、使わないで積み立てておって当然であります。ところが、それがたまり過ぎているから、あるいはそこに財源があるからということで、この地方富裕論が非常に迫力を持って攻撃をされてきておる、こういうふうに受けとめておるわけでありまして、これはまさに私は間違いだ、そういうところに着目をすべきでないというのが第一点目の問題であろうと思います。
 それから、確かに国が削減をしたものが地方に負担が転嫁をされるのは、先ほども申し上げたとおりであります。ただ、それに対していわば起債等の問題があります。起債は、いずれにいたしましても借金であります。ただ、国が借金をするのか地方が借金をするのか、同じ借金であるとするならばいずれ返さなければならぬわけでありますから、もともと国の義務を地方に押しつけるのではなくて、国が借金をして、そして国の計画に基づいてこの借金を返していく努力をすべきでありまして、地方で起債ができるように振りかえるからというのは明らかなごまかしであろう、こういうふうに私は指摘をせざるを得ません。
 それから三点目の弱者の関係は、まさに今日の政治情勢の中で十分に論義をいたしまして、そして憲法に基づいて国が責任を持つのだという立場で今日まで法律がつくられてきたところであります。その弱者を対象にいたしまして、そして一割カットの無謀な形が出てくるということは、明らかに地方に負担を転嫁をする二点目の問題と同じであります。ところが、地方の方ではより全体的にそのことの影響が出てまいりますから、特殊なサービスはなるべく避けようという動きになってくることは間違いありません。したがって、弱者本人がそのことについての犠牲をよりまともに受ける、こういう政治傾向が出てくることでありまして、弱者にしわ寄せをされておるだけに、そこは何とかして排除をしてもらわなければいかぬだろう、私はこういうふうに考えておるものであります。
#289
○戸田委員 あと四分しかないものですから、松尾さんに一点だけお伺いをしたいと思います。
 松尾さん、非常に具体的にわかりやすい陳述をしていただきまして、命の守り神、こういうことで私は感謝をしているわけでありますが、言われた中で、全国の十万人当たり平均が十三・七人、しかし三重県の場合は十・九人だ、こうおっしゃられましたが、大体今どの程度まで伸ばしていけばいいのか、こういう点について見解をひとつお伺いしたいと思います。
 それから最後に、いろいろな交付金、補助金に対する陳情その他で市町村も県も含めてえらい苦労されておると思いますが、御存じのように法律補助と予算補助というものがありまして、委託費とか負担金とかいろいろあるわけでありますが、こういったものは私はできるだけ法律補助、これはひもつきということになるかどうかわかりませんが、そういうことで政策優先順位を決めてやってしまえば、むしろその方がいいんじゃないだろうか。恣意的判断によって交付金が行かないような、こういう見解について、簡単でいいですから、知事さんと市長さんと坂倉さん含めてお答えを願いたいと思います。
 まず、松尾さんからひとつ。
#290
○松尾みち子君 三重県が六十何年かにはどれだけにしたいとか、そういうふうなことでしょうか。
#291
○戸田委員 はい。
#292
○松尾みち子君 私の方は県の関係になっておりますので、市町村の保健婦としてはちょっとわからないのですが、一応六十四年を目標として百六十五人というふうなこと、現在は百一人なんですけれども、百六十五人を設置目標としてやってきております。
 三重県は設置がまだまだすごく不足しておりまして、長野県とか岩手県とか、そういうところはなかなか保健婦の方も活発にやってきておりますし、浸透もしてきております。町村でも六人とか七人とか、そういうふうに雇ってみえるそうなんですけれども、三重県の場合は、未設置市町村もありますし、一人設置が半数を占めております。そういうふうな現状ですので、人口サイズとか土地の過密度とか産業形態ですか、そういうのに合わせますと、六十四年度で百六十五人の予定なんですけれども、まだ百一名という段階になっております。そういうふうに県では言っておりますから、ぜひとももっと保健婦の数をふやして、仲間をふやして、そして地域に浸透させてやっていきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
#293
○戸田委員 皆さん全員に質問したかったのでありますが、時間の関係で失礼をいたしました。
 どうもありがとうございました。
#294
○越智座長 渋沢利久君。
#295
○渋沢委員 お尋ねしたいと思うことは幾つかありますが、今までの質疑の中でお答えをいただきまして、大変参考になりました。
 時間がありませんので簡潔にお尋ねをさせていただきますが、知事さんは三重県における地方転嫁による影響額の試算は六十九億というふうに今おっしゃいましたけれども、その中で特に社会保障、社会福祉事業分野の占める割合はどのように計算しておられますか。
#296
○田川亮三君 六十九億の内訳でございますけれども、公共関係、いわゆる公共事業関係が三十八億でございます。非公共の関係では、今の先生のお話の福祉関係だけを取り出してまいりますと、県関係で申しますと十八億前後というふうに相なります。
#297
○渋沢委員 知事にいま一つだけお尋ねしておきますが、御存じのように、このような高率補助率の引き下げについて一律カットというような方式は、政府部内においてもある時期までよくないという見解と、これはある程度恒久化していくという思想を下敷きにした考え方との調整があって、一年というのはとりあえずのいわば暫定的なものだ、そういう政治的な判断でまとめられて今回の法律の提案になったという経緯があるわけでございまして、我々もこの法案の審議の過程で、これから先のあらわれ方というものを非常に心配もし、また議論もしている部分でございます。
 知事からも、かようなものは一年限りでなければ困るという趣旨のお話がございましたけれども、そういう見通しをつけ得るかどうかというのは大変定かでございませんで、今の状況からいいますとこれがやや恒久化していく。そして、今まで国が本来責任を持つべきものだと言われてまいりましたし、地財法等で国が進んで財源負担をしなければならないということを明記し、だからこそ、政令ではなしに法律で負担区分を明確にした部分についても、国のみがという思想から、国と地方とがという形、恒久的な位置づけにしていこうという考え方がかなり強くなっているような気がいたしまして、心配もいたしているわけであります。
 一年ということにとどまらずという状況になりました場合、先のことまであれこれ言うのはどうかということもあろうかと思いますけれども、私は国と地方との信頼関係を欠くと財政規律の上でも重大な局面になりはしないかということを危惧いたしておりますが、その点についての知事の所見があればぜひ伺いたいと思います。
#298
○田川亮三君 私も全く同感でございまして、先ほど陳述で申し上げましたとおり、昨年九月の政府招集の知事会議の際に、知事を代表しての意見で中曽根総理にも強くその点を申し上げたのでありまして、いわゆる財源転嫁的な感覚で議論するのではなくて、事務事業の見直しをなぜやらないのか、そのことをやらないで、やれ予算編成期でぎりぎりだからとりあえずこれだけ持っておれ、これはある意味では実に地方を愚弄した話になるわけなんです。そうでなくて、本質は、今やっておるのが行政改革でありますから、ぜひそういう方向を徹底的に究明すべきである。であるのにかかわらず、ぎりぎりのところへ来て、国の予算が組めないからとりあえずこういう措置をというのは、今回の措置というのは全く私どもとしては耐えがたいものであったのですけれども、ぎりぎりのところで組めない、国の予算がまたがたがたするのではというようなことだったものですので、今回の措置は一年限りとなったものと、こう我々は理解をし、妥協をしたような感じを持っております。
 そういう意味で、これはことしだけの措置、六十一年度以降は新たな観点での考え方が討議をされるものというふうに私は今大きく期待をいたしておりますが、ややもいたしますと、こういう問題は先ほども御所見がございましたようにだらだらと続きがちでございますので、地方側としては、これはことし限り、こういうことでぜひ頑張ってまいりたいと思います。
#299
○渋沢委員 今井市長にお尋ねをしておきたいのですが、市長の先ほどの陳述を通してもよくわかるのでありまして、一応の財源措置をするということでやむを得ずこれは受けざるを得ないけれどもということであります。しかし、とりあえずの財源措置といいましても、五千八百億見込まれる地方への影響の中で地方交付税は一千億ということでありまして、あとは建設公債で補うという形でありますから、これは全く万全の措置ができたとか影響がないなどと言い切れる性質のものでないことは、先ほど来御指摘がたくさんあったとおりでございます。
 特に、市長の陳述の中で一番気になりますのは、過疎とか弱い自治体ほどむしろ影響が強い、こういうことで、地方自治体間の格差をさらに拡大をする、負担の割合も弱いところにしわがいくということは大変重大に受けとめざるを得ないのですが、このことについて、特にこういう面でというようなことがありましたら、具体的な行政の分野で御指摘がいただければ大変ありがたいと思います。
 それから、坂倉さんに一点お尋ねしておきたいことは、先ほどのお話の中にもあったと思いますけれども、地方財政富裕論というのが大変ネックになっていくと思うのであります。国がこれだけ苦しくて地方は比較的よくなっている、したがってこういうときには、いろいろ疑義があっても、地財法違反の疑いはないかとか憲法の精神はどうかとか、いろいろございますけれども、そういう議論を乗り越えて、国のこの財政ピンチを乗り切ってもらうということがにしきの御旗になってやはりいろいろ進んでまいります。しかし、同じ国と地方の借金といいましても、借金の性質が違うというのはもう常識だろうと思うのです。地方の借金、赤字というのはいろいろな法律にがんじがらめになってでのことで、この借り入れその他の処理というものは、国が行う借金の、いわば赤字財政の処理とは全く違う性質を持っております。その辺、地方自治の問題を御勉強の坂倉さんから、こういう点についての御所見をひとつ伺っておきたい。
 それから、もうまとめて申し上げて終わりにいたしますが、最後に松尾さんに伺っておきたいと思います。
 大変いい御指摘をいただきまして、私どもも、今の医療政策は治療中心で予防とかリハビリという部分が非常におくれている、本当は予防に力を入れなければ国民の健康を守っていくということにはならないと思うのです。それで、一番力を入れなければならぬのは実は保健所、保健婦さん、予防行政を担当される皆さんの分野だと思うのですが、住民の中でも、病院をつくれという声はあるのだけれども、保健所と保健婦をというようなことにはなかなかならぬ部分がございまして、御苦労いただいておると思います。
 そこで、松尾さんの御意見は、一般財源化することで、交付税化することであれこれの不安がある、それでなくても地方財政が非常に厳しいという中で縮こまっているのに、逆にさらに厳しくなってくるということを非常に不安に思うという御指摘であったと思います。それで、この法律はよくない、困る、現行の状況の中でこうしてやってほしいということで、具体的には予防政策、保健婦の設置強化というような願望、御期待を具体化していくためには、国の財政補助といいますか、財源措置のあり方についてはこうあってほしいのだというようなことがありましたら、それを伺っておきたいと思います。
 私の質問は、以上のお答えをいただいて終わりにいたしたいと思います。
#300
○今井正郎君 御質問の要旨は、弱小な自治体に影響が出てくる、こういうことについて具体的にあったら話してみろ、こういうことでございました。
 それについて、各市の状況でございますからちょっと私も十分把握はいたしておりませんが、生活保護費に例をとってみますと、私の市は実は非常に保護率が低いのでございます。五・二でございます。県下の平均が一二・七でございます。最高の市は三五・五でございますので、ここら辺の数字をごらんいただきますとかなりの差が出てくる。もちろん人口差はございますけれども、これほどの差はございませんので、そういった意味合いで御判断をいただきたいと存じます。
#301
○坂倉藤吾君 起債等の性格の問題はお尋ねのとおりでありまして、これは私からお答えをしなくていいのじゃないかというふうに思うのです。
 ただ、地方の今日の起債の状況から見ますと、おおむね償還期が五十九年あたりから来ておりまして、そのピークはおおむね六十二年になるだろう、こんなふうに計算ができるわけであります。したがって、そういう状況のところへ、将来特別交付金その他で償還をされるといたしましても、地方がこの償還を計画的にやっていくことに対して一時的に大変な支障を来すことに相なるのではなかろうか、こんなふうに私は考えておるものですから、その実情をよく御了承いただきまして、起債で逃れるからいいんじゃないのかというお考えについてさらに突っ込んだ御審議を賜りたい、こういうふうに思います。
#302
○松尾みち子君 どのようにして確保するかというふうなことですけれども、必ず保健婦設置費というふうな明確な名称をつけていただいた上でおろしていただきたい。交付税ということになって、市町村長の考え方によってどうにでもなるというふうなことになりますと設置が難しくなりますので、前みたいに名称をきっちりと明確にしていただきたいと思います。
 活動費もお願いいたします。
#303
○渋沢委員 どうもありがとうございました。
#304
○越智座長 午後一時再開することとし、休憩いたします。
    午後零時二分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#305
○越智座長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。古川雅司君。
#306
○古川委員 古川でございます。
 午前中から大変有意義な意見の御陳述をいただきまして、大変参考にさせていただきました。引き続きお尋ねを続けていくわけでございますが、私は、田川県知事と今井市長の御両氏にそれぞれ共通して三点ほどお伺いをしてまいりたいと思います。
 まず最初に、今回のこの補助金削減の一括法案でございますが、当三重県におかれては、地方への負担の転嫁を約六十九億円というふうに御説明をいただいたわけでございます。このこと自体大変ゆゆしき事態だと思いますが、私どもが大蔵委員会で自治省からいただきました「経常経費系統に係る国庫補助負担率の引下げによる都道府県別影響額推計」という資料がございます。これは「各補助金毎の影響額について、五十八年度決算額をもとに都道府県別に按分推計し、これを合算したもの。」でございますけれども、三重県につきましては県分が十八億円、そして市町村分が二十二億円、合計四十億というふうにここに出てきております。このすべてのトータルが二千八百三十八億円になるわけでございまして、御説明いただきました六十九億と違います。これは計算の基礎が違うのか、あるいは自治省で非常に軽く見込んでいるのか。
 なぜこれを問題にするかと申しますと、総額二千八百三十八億円で締めておりますので、地方で考えていらっしゃる額と国で推計している額の開きが今後さらに地方にとってゆゆしい問題になるのじゃないかということが一つでございます。
 二番目にお尋ねしたいことは、先ほど来お話がございました一年限りという問題でございますが、この法案には非常にいろいろ問題があって、今後に残す影響も大きいわけでございます。市町村にありましても、その内容についてはいろいろ不安も不満もあるけれども、ともかくも一年限りという点で理解を示されたというふうにもうかがえるわけでございますが、この一年限りということについて、最近国会での政府の答弁も非常に怪しくなってまいりました。本会議における大蔵大臣の答弁も、継続して考えるというような示唆を含んだ答弁も出てきております。総理もこの点についてはこの間の大蔵委員会で御答弁なさいまして、全く白紙だという言い方になってきている。昭和六十年度については一年だという当たり前の御答弁でありまして、来年からどうなるか、その後どうなるかということについては答えていないわけであります。一年というのも、考えてみれば、この七月ないし八月から六十一年度の予算編成の準備の作業が始まるわけでございますから、そこで当然これは検討の課題として一つの問題点になってくるわけでございまして、せっかくその一年限りというお約束をなさって、あるいはそれを条件に御理解を示されたにもかかわらず、一体これでいいのかどうか、その辺の御見解を伺っておきたいと思います。
 この補助金一括法案と並んで行革関連法の方も一年限りということでございますけれども、いずれもこれは現下の厳しい財政事情にかんがみということが大前提になっておりまして、では六十一年以降財政事情が好転するかというとそういう保証は何もないわけでございますので、その点も含めてひとつ御見解をお聞かせいただきたいと思います。
 第三点でございますが、これも先ほど来お話が出ておりますいわゆる高率補助金についての一律カットの問題でございますが、大体この法案を全体的に考えてみましても、この六十年度予算案で金額の枠をきちんと決めてしまって、しかも、きょう予算は参議院を通過するということが予想されております。きょう予算が通ってしまう。金額の枠を決めておいて、あとは日切れ法案的に、これを通さなければ自治体も大変迷惑をこうむる、いろいろ事務的にも支障を生ずる、だから通さなければならない、こういう行き方を地方の実務に当たっていらっしゃる皆さんが果たして許されるのであろうか、どうお考えになっていらっしゃるのかということがお聞きをしたい点でございます。
 なおかつ、この一律カットにつきましては、福祉行政あるいは文教行政の特に弱い立場の方々に対して大きなしわ寄せ、不安を与えていくことになるのじゃないか。総理は、この法案がそうした福祉や文教政策あるいは公共事業のレベルを下げるということには直接ならないというふうに答えておりますけれども、先ほど来それぞれ委員から皆さんにお伺いをいたしましたとおり、今後の問題としてこれは重大な不安を残していくことでありまして、その点の知事と市長のお考え方をぜひお聞かせいただきたいと思うわけでございます。
 以上、三点でございます。
#307
○田川亮三君 お答えを申し上げます。
 まず第一の今回の一律カットに伴います影響額の問題でございますが、私が先ほど六十九億と申し上げましたのをもう少し具体的に申し上げますと、いわゆる公共直轄のカットに伴います影響額が三十七億八千百万円、丸めて三十八億、こういうふうになります。それから、御承知のように公共直轄の事業費の増による分というのは一応十二億という積算をいたしております。そして、問題の非公共のカットによる影響を細かく申しますと十八億八千三百万円、丸めて十九億。したがって、三十八億と十二億と十九億で六十九億、こういうふうに私どもは積算をいたしております。
 ただ、自治省の今のお話のは、五十八年ベースの非公共、こういうふうになっておるのだと思いますが、私どもは一応六十年度の予算編成を見通して、既に決まっておりますけれども、それで積算をして六十九億、こういうふうに出したものでございまして、若干もとに使った数字等で食い違いがあるかなという感じがいたしております。さらに十分精査をいたしておきたいと思いますが、大きくは食い違いというものはないものと考えております。
 二つ目の一年限りの問題は、各法律の改正案も、みんな冒頭に(昭和六十年度の特例)、こういうふうに括弧して明記をしておるわけです。したがって、私どもはこの問題については、先ほど来申し上げておりますように、一年だけの特例措置、こういうことを強く期待しておりますし、この間に時間的に余裕がないためにまた続けて暫定の形になるということは耐えがたいわけでありますので、ぜひここでもう一遍見直しをしていただいて、できるものから的確に措置をしていただくということが大事でございますし、特にこれは当委員会の先生方の御見識と御協力を賜りたい、こんなふうに考えております。
 第三点の一律カットの問題は、これまた申しましたように、本来事務事業の見直しの中から出てくるべきでありますが、大蔵省の方のお考えの概算要求の一つのスタイルとしてこういう形をとっておると思います。したがって、事務事業というものを見直す中で、より的確なものを設定をしていく、その努力をやはりやっていくべきだ、こんなふうに考えております。
#308
○今井正郎君 第一点とされまして、一年限りということについてどう考えるのかということでございますが、私どもは、一年限りで、本年中に見直していただけるものという前提に立っております。
 それからもう一つは、今知事さんがおっしゃいましたように、いろいろな意味の総合的な御判断の上でどういう措置になりますか、そういったことについては、その見直しの段階においていろいろと市町村としては御意見を申し上げたいというぐあいに考えております。だから、十分御意見を申し上げて、改革すべきものなら改革していただく、こういう方向で現在は考えております。
 それから一律カットでございますが、これはどういう影響があるかという御趣旨であったように思うわけでございますが、これにつきましては、御存じのとおり、先ほどもちょっと御説明申し上げましたように、財政と法律とが一貫してないということで非常に我々としては不安を感じるということでございます。
 それから、いろいろ事務的なことを申し上げて申しわけございませんが、補助申請等が大変おくれてまいります。したがって、いつこれが通るのかということについては私どもがとやかく申し上げることではございませんけれども、事務事業の執行の立場から申し上げますと、事業を執行するのがおくれるということも考えられます。それからまた、おくれる次第によりましては一時借り入れ等の問題が起きてくるであろうというぐあいに想定できます。そのような影響があると思いますので、ぜひともこれだけは一緒にしていただいた方が地方行政としては正しいのではなかろうか、また、いいのではないかというぐあいに私は考えます。
 それから、こういうようなものが恒久的になった場合に行政レベルを下げていくかというような御質問の要旨に拝聴いたしたわけでございますが、私どもといたしましては、現在もう既にやっておりますことについて行政レベルを下げるのは非常に至難でございます。したがって、下げないでいこうというのが私の覚悟でございます。
#309
○越智座長 坂口力君。
#310
○坂口委員 それでは、引き続きまして皆さん方にお伺いをしたいと存じます。
 私は松尾陳述者に先にお伺いをしたいと思いますが、地域保健の第一人者としての保健婦さんの立場からるるお話をいただきましてありがとうございました。地域保健の第一人者は医師ではなくて保健婦であるという言葉がございますが、私もそう信じている一人でございます。
 先ほどお話しになりました中に少しはっきりしない点がございましたので、重ねてお伺いをしたいと思いますが、三重県における補助金の基準では保健婦さんは何名設置できることになっているのでしょうか、まずそれをお聞きしたいと思います。
 先ほど、現在は百一名というふうにお述べになったと思いますが、それで間違いないかどうかということをまず先にお聞きをしたいと思います。
#311
○松尾みち子君 ただいまの御質問ですけれども、三重県では二百四十六名という補助金算定基準が出ております。六十四年には百六十五名というふうな設置目標は立てておりますけれども、基準としましては二百四十六名なのであります。
#312
○坂口委員 そういたしますと、今百一名ですから、半分に至っていないということでございますね。
 それからもう一つ、お話の中に保健婦さんの採用を取りやめたところがあるという部分がございましたけれども、それはどのくらいの町村でありますか、それをひとつお聞きをしたいと思います。
#313
○松尾みち子君 求人が二十八名ありまして、七町村取りやめております。
 参考までに申し上げますと、五十九年度には求人が三十一名ありまして、取りやめた市町村はございません。多分、一般財源化というふうな形で流された情報のためにそういうふうになったのではないかと思っております。
#314
○坂口委員 先ほど知事さんの方からは、地方を信頼してほしいというお話がございまして、確かに知事さんや市長さんのお立場からすればもっともな御意見だというふうに思うわけですが、一方また、松尾さんからの意見によりますと、これは知事さんや市長さんを御信頼申し上げていないという意味では決してございませんけれども、しかし、完全に信頼できるとまでは言い切れない幾つかの事例を今お挙げになったわけであります。
 先ほども議論がございましたとおり、補助金から一般財源化、交付金化というのは、一方におきましては地方の自由の尊重あるいはまた選択性、選好性というものを高めるという意味でプラスの面がある。しかしまた反面に、何を重要視するか、何を基準にするか、物差しにするかということによって切り捨てられるところがある。多分その辺のジレンマに知事さんや市長さんも悩まれるのではないだろうかと思うわけであります。そういうふうな意味で、中央と地方の関係ではなくて、地方の中におきましてもそういう心配があるわけでございますが、その点につきまして、知事さん、何か御意見がございましたらひとつお聞きをしておきたいと思います。
#315
○田川亮三君 ただいまの坂口先生のお話は、私ども地方側から見て、かつてのように超過負担的な感覚で措置をしなければならないということはだんだん是正をされてまいりましたが、最近は、抽象的な表現ですが、実質的な感覚志向というものが強く出てきておりますから、地方側に対して余り細かな諸条件を付すという時代ではないのではないか。したがって、先ほど来一般財源あるいは補助金的性格論の問題がございますけれども、確かに奨励的なものについては補助金的なもので措置をする、あるいはモデル的なものにはそういう措置をする、こういうより実質的なものに一歩一歩近づけていく、そのことが地方分権の体系にしていける、こんなふうに考えております。今ちょうどその過渡期にあるのではないかなというのが私の目下の考え方でございます。
#316
○坂口委員 もう一問、松尾さんにお聞きをしておきたいと思います。
 一番最初に沢田先生から、保健婦さんの立場というものをもう少しPRできないのかというお話がございまして、松尾さんからは、なかなかそういうゆとりがないという意味の御答弁があったと思いますが、先ほどお伺いをいたしますと、二人以上必要なところでもせいぜい一人しか採用されないということもあって、仕事が大変で、皆さんに保健婦さんの仕事がいかに大事かということを根回しをしたりあるいは細かく説明を申し上げたりというような時間的余裕はないのだ、むしろ私たちは自分のやっている仕事の結果を見て十分にそれを評価してほしいのだ、そういう御意見ではなかったかと思うわけなんですが、それに間違いはなかったかどうかということ。
 それからもう一つ、どうすればとりわけ市町村長さんに理解をしてもらえるようになるか、なれるだろうか、どうすればいいとお考えになっているか、その辺をお聞きをしたいと思います。
 それから、時間が迫ってまいりましたのでほかの方にもお聞きをしておきたいと思いますが、補助金の交付金化という問題は大きな問題を含んでいると思うわけでございます。信頼をする、信頼をしないというようなことは一遍にはなかなかいかないと思います。しかし、ある意味におきましては、長い時間をかけて、そして地方自治というものを高めていくためには、中央が何から何まで口を出すというようなことはよくないのであって、やはりそこは信頼をしてお任せをするという態度も必要ではないかと私も一方では考えている一人でございます。坂倉さん、池本さん、それから伊藤さん、一言ずつで結構でございますが、地方自治体を信頼をしていくべきかどうか、その辺につきましての御意見を承れればというふうに思います。
 まず、松尾さんからひとつお伺いをいたします。
#317
○松尾みち子君 今まで私たちは、自分たちの仕事を一生懸命しておれば皆さんにわかっていただける、そう信じてやってきたわけなんですけれども、その声が届いていないというところに問題があったように思うのです。だから、PRをこれから対外的にももう少しやっていかなければ、また、保健婦の仕事だけをやっておってはだめなんだというふうなこともわかってきたように思います。だけれども、私たちの仕事を質的にも高めていかなければならないというふうに思っておりますので、その点よろしくお願いいたします。
 それから、市町村長さんへの認識というふうなことですけれども、市町村長さんというのは住民とつながりが深いと思うのです。住民の声がすごくよく聞こえてくるのではないかと思います。それで、私の関町の場合でも町長さんに大分よく理解していただいているわけなんですけれども、とにかく住民の声が上がらないとだめだと思いますし、それから、機構の中で私たちの働くのは一番末端なわけです。末端の保健婦がどんな仕事をやっているのかというのを上司に訴えて、上司が市町村長に訴えていただかないと届かないのじゃないかと思います。そのためにも、保健婦が課長というふうな役職につくとかいうことになれば、例えば議会にも出られるだろうしというふうなことで、ある程度声が届くのじゃないか、そういうルートが途絶えているのじゃないか、そういうふうに思っているわけなんです。だから、そういう意味でも役職に専門家がつくことも大事じゃないかと思っております。
#318
○坂倉藤吾君 簡単に私の意見を申し上げたいと思うのですが、国庫補助金を地方交付金の制度に一般財源として繰り入れていくという方式は、例えば補助をしてまいりました事務事業そのものがすべて一切基準から外されまして、そして地方の財源として地方の判断に基づいて自由にされる部分にそれを充ててよろしいという立場での地方交付金化の問題であれば、今坂口先生が御質問いただきましたような分野というものが開けてくるだろうと私は思うのです。しかし、今回の法律案でも明らかなように、その事務事業はあくまでも必要だという前提に立っているわけであります。そうなりますと、一般財源化を仮にされましても、すべての事務事業は相変わらず存続をしなければならぬわけであります。そうなりますと、結果としてはそこでは何ら自由が生まれてこないわけであります。いわゆる地方の選択権がないわけであります。したがって、私はそのことは今回の欺瞞的措置に匹敵をするのじゃないのかというふうにしか理解のしようがないわけでございます。
#319
○池本正三郎君 まず簡単に申し上げたいと思いますが、私は一年限りという問題について、本当に一年限りなのかどうかという来年の見通しをより具体的に示されることがまず第一に必要ではなかろうかな、こういうふうに思います。
 それから補助金のあり方につきましても、これは中身にいろいろ問題があると思いますので、中身によってはある程度やむを得ないという部分もあろうかと思いますが、基本的には、特に民生費を中心にした実際に恩恵を受ける方々の――先ほどからいろいろ御意見をお述べをいただいておりますいわゆる使う立場、利用する立場で考えるよりも、むしろ実際に生活に困っているあるいは行政の中で苦労しているという、私どものレベルよりももっと日々直接関係する方々の御意見がこうした公聴会等でもより具体的に述べられるというふうな仕組みも今後ひとつお考えをいただければ大変ありがたい、私はこのように考えておるところであります。
#320
○伊藤欽次君 私はまず第一番に、皆さんが強調なさっていますように、今度の特例が一年限りであるということについては、知事さんや市長さんがそのように期待をなさっているようでありますけれども、このことはかなり厳しいのではないか、むしろこれが恒久化するという不安を持っていますので、何としても先生方のところで本当に一年限りで食いとめていただかないと、国民が大変迷惑をするのじゃないかと思います。
 それから補助金制度の問題についてでありますけれども、補助金にもいろいろな類型がございまして、例えば生活保護などについては本来国が全面的に責任を負うべき性質のものでありますから、こういった補助金を一般財源化するということはなすべきではないと思います。ですから、強いて言えば、奨励的な補助金などについては、メニュー化をすることがあったとしても軽々に一般財源にするべき性質のものでもないし、ましてや先ほどから松尾さんが主張なさっていますように、保健婦事業にかかわるものを一般財源化すればその事業が切り捨てられるか圧縮される、軽視される、こういうことにつながると思いますので、一般財源化についてはかなり慎重でなければいけないのではないかと思います。
#321
○坂口委員 あと一分ございますが、ありがとうございました。きょうは大蔵省の方も中村政務次官、そして斎藤文書課長以下、将来大蔵大臣並びに局長になられることが間違いのない方々がずらりと並んでおみえになるわけでありまして、きょう皆さん方が述べられましたこと、とりわけ補助金から交付金にしていく中には、一律的に考えていくといろいろ難しい問題があるということをよく御認識をいただいたものというふうに思うわけでございます。
 ありがとうございました。
#322
○越智座長 玉置一弥君。
#323
○玉置(一)委員 大変御苦労さまでございます。
 今回初めて地方公聴会という形で皆さん方のいろいろ貴重な御意見を直接聞くことができて、それなりに大変大きな意義があったと思います。ただ、今回の補助金一括法案は、本来でございますと昭和五十六年から行政改革の一環としていろいろ言われておりまして、いよいよ本当に出てきたのが一括で財源確保のためというような形になってしまった、これが非常に残念であると私自身思っております。そして、先ほどからいろいろな御意見を伺っておりますと、既に三重県では地方行革を大分前からやられておりまして、その面での大きな効果を上げられているということ、そして今回の補助金のカットは、先ほどからも数字が出ておりますように、六十九億に上る大変大きな財源の圧縮につながってくるということから考えていきますと、どうも思想のない一律カットで財源を地方にだけ押しつけてしまっている。とりあえず一年限りということでございますけれども、口ぶりからいきますとどうも国を信用できないというような気持ちを私自身持っているわけでございます。そういう意味で、これからの補助金のあり方についていろいろお聞きをしていきたいと思います。
 先ほどの池本さんの話の中にもございましたように、補助金の整理合理化を何らかの形でやっていかなければいけない。中曽根総理のお言葉をかりますと、つい先日の決算委員会では、行政改革で財源確保はできるのだ、こういうふうに明言をされておりますので、地方におきましてもあるいは国におきましても、行政改革をやっていけば今の財源不足という部分について少なくともある程度の補てんができるのではないか、そういうふうに思います。
 逆に、今回のような財源確保のための補助率の一括引き下げ、あるいは今うわさをされております大型間接税の導入等を考えていきますと、国民世論として今本当にこのままでいいのかという気持ちをむしろ持っているのでございます。というのは、やるべきことを十分やった上でさあどうするのだという選択を迫られたならば、国民としてもどちらかを選ばざるを得ない、こういうふうに思うわけでございますけれども、まだまだ十分国民が納得できるほど行政改革も進んでおりませんし、単なる負担増加というためにいろいろな費用が削られていくという方向がごく自然のままに打ち出されてきているということ、このことが国民にとって大変大きな不安ではないかというふうに思うわけでございます。
 こういうことをいろいろ申し上げておりますけれども、まず行政改革を推進して、その一環として補助金のあり方を見直していかなければいけないと私は思うわけでございますが、これについての御意見をそれぞれお伺いしたいと思います。
 まず最初に、問題提起をされました池本さんの方からお伺いしたいと思います。
#324
○池本正三郎君 私は、最初に陳述として御意見を述べさせていただいたわけでありまして、基本的には今玉置先生のおっしゃったことに全く同感であります。
 ただ、実際に地域におきまして、先ほどからいろいろ御意見が出されておりますように、十分に地域の中の問題を整理をした形でいま少し具体的に、我々が理解できるような施策というか、そういうものを打ち出される必要があろうか、こう思います。
 県の場合は一部お話がございましたけれども、例えば私どもが住んでおりますこの津市の場合におきましても、財源難の折から積極的に行革にも取り組んでおります。その一例を申し上げますと、五年間で当初百名の人員を削減しようという目標を立て、それが三年でこの百名を減らすことができたとか、あるいはまた部を二部廃止いたしまして二十二の係を廃止をしたとか、私どもが評価できる段階ではありませんけれども、そういうふうに地方においては地方なりのいわゆる行革を進めておる状態にあるということも聞いておるわけであります。
 そういう意味で、今回のこの一律カットあるいは一年限りというような補助金の制度につきましては、先ほども御意見を申し上げましたように、少なくとももう少し中身の整理をしていただくということが私どもとしては大事ではなかろうかというふうに思います。
 お答えになったかどうかわかりませんが、一応そういうことで御理解をいただきたいと思います。
#325
○玉置(一)委員 坂倉さん、お願いいたします。
#326
○坂倉藤吾君 二点お尋ねをいただいたと思うのですが、まず行革の進め方は、今各地方自治体で真剣にそれぞれが取り組んでおるわけであります。そのことは地方自治研究センターにおりまして私はよく承知をいたしておるわけです。ただ、そのことについて、具体的に二月段階で自治省の次官通達が出ておりますし、「地方行革大綱」まで示され、想定問答までつけられている。これでは地方の自主的な行政改革ではなくて、むしろ国の統一をした立場での強制的な行政改革の方向に今進みつつある、私はこれはけしからぬことだと思っているのです。
 もともと行政改革はその地域住民、各地方団体を取り巻く住民の意思を大きく反映しながら、その機構等について、十分な意見を含めて行政改革が行われていくべき性格を持っておる。それがむしろ国の統一をした線で今強行されようとしているわけでありまして、それらについては大いなる異議を私は持っております。いずれにしても、行政改革そのものは財政再建とも絡んで進めなければならぬ課題である、私はこのことをかたく信じておるわけであります。
 ただ、本日は私はこの法律案に絡んで意見を申し述べておりましたが、今行政改革その他が出てまいりましたからあわせて申し上げておきたいのですが、収入、財源の問題からいくとするならば、私どもが一番問題視をしなければならぬのはやはり不公平税制の課題であります。それから脱税の問題であります。これらにつきましてもっともっと努力をしていただくとするならば、今日のいわゆる一律カットをすべき財源などは簡単に捻出される、私はそういうふうに思う次第であります。ひとつ各先生方に、住民の意思を反映した地方行革、そして今申し上げましたように、不公平税制の是正という問題あるいは不正な脱税を許さない、こういう徹底した体制をぜひ御措置いただきますようにお願いを申し上げて、お答えにしたいと思います。
#327
○玉置(一)委員 田川さん、お願いいたします。
#328
○田川亮三君 いわゆる補助金というのは大変数が多い、かつ目的を持っておるのですが、先生御指摘のように、やはり絶えずその時点時点で見直しをしていく、これは大変大事なことだと思いますが、残念ながら国の段階では、この補助金については大変硬直的な考え方が依然として残っております。私どもは、知事会あるいは地方制度調査会を通じて、見直しと同時にぜひスクラップをしていただきたい、こういうことを具体的に提言をしているにもかかわらず、具体化をされておりません。今回、若干そういう意味では芽が出てきておりますけれども、まだまだ不十分であります。
 さればといって、ややもすると補助金を薄めて何か目的をぼやかしてという形にすれば地方が自主性を確保できるような感覚をよく言われる方もいらっしゃいます。これは、補助金という性格と一般財源とをごっちゃにした議論になりがちでございます。補助金は補助金としての目的というものを明確にして、スクラップをしていく、そういう見直しに努めていただく、こういうふうに私は考えております。
#329
○玉置(一)委員 先ほどからサンセット方式とか、目的をぼかさないで補助金の性格というものを明確に出していくというような非常に貴重なお話がございました。また、松尾さんの方からは、使う目的を最初から明確にしておかなければ、非常に大事でまだ数の少ないそういうサービスが伸びることができない、こういうお話もございました。非常にもっともな御意見だと思いますし、我々もそういうところになかなか目が届かなかったということで反省をしているわけでございます。
 しかし、今ある中で、やはりがんじがらめに補助金が全部ひもつきになっている。そのために、先ほど池本さんの話の中にもございましたように、いわゆるコミュニティーセンターとかいろいろな複合施設というものは、自治省なり厚生省なり文部省なりのそれぞれ独立した補助金のために、それぞれの基準を満たさなければ補助対象とならない、これが大変むだな形をつくっていると思います。また、現在の陳情の状況を見ても、陳情から始まっていろいろな事務手続が終わって補助金が交付をされる、交付されてからまた今度は報告書をつくらなければいけない、こういうことまであるわけでございまして、いわゆる事務の合理化につながるためにも補助金の見直しをやっていかなければいけないと思います。
 そういう意味で、自由裁量についてお聞きしたいと思いますが、今の補助金の中で、自由裁量にして各地方公共団体に交付するものがあるのかないのか、これが一つ。そして、自由裁量の体制を各府県あるいは市町村でとるならば、これからどういうことを考えていかなければいけないのか。この点につきまして、田川さん、今井さん、そして坂倉さんにお伺いしたいと思います。
#330
○田川亮三君 補助金の性格は明確でなければならないということを申し上げましたが、今先生のお話の、若干メニュー化したりあるいは幅を持たせたりするという補助金もあっていいものも出てきております。
 その際に、自由裁量の段階は市町村と県という形で、やはり県がある程度の指導監督をし得る立場にあるわけでありますので、市町村に対してのものであるならば県段階で的確に対処できましょうし、県段階のものでございますれば、国のそれぞれの出先機関の段階でチェックをしていただくというような形があっていいのではないか。ただ、今の補助金の申請事務というのは、一々国まで全部上げなければというものが大変多うございます。そういう意味での効率化、能率化が当然配慮されてしかるべきである、こういうふうに考えております。
#331
○今井正郎君 補助金を自由裁量にしてはどうか、こういうことについてでございますが、今ちょっと頭の中で浮かびましたのは、農村のモデル事業等は、こちらの方から事業を計画いたしまして上げていくという方法でございますから、自由裁量の余地はあると考えます。また、自治省の方から中核的な施設、こういう補助金がございますので、こういったものはそれに該当するのだろうと思います。性格的にそういうことができる補助金もございますけれども、そうでない補助金がたくさんございますので、一括的にこれをどうということは申し上げかねるのではなかろうかと思います。
 したがいまして、これを自由裁量の余地のあるようにしていくというのには、何らかの基準がございませんと、市町村としても補助金をちょうだいする以上的確な仕事をしなければならないという観点からまいりますと、自由裁量のあるものはそれはそれなりの意味があってやっておりますけれども、それ以外のものについてはやはり明確に規定していただく方がいいのではないかというぐあいに思います。
#332
○坂倉藤吾君 今日までの補助金のあり方というのは、自由裁量という分野はなかろう。なぜならば、この補助金を出すという立場は、包括的なものですとこれはもともと柱がないものであります。したがって、何々の事務事業に対して補助金をというのが通例でありまして、それにはそれぞれの目的があるわけでありまして、まさにその補助金をどういうふうに使うかは、事務事業の目的に従っての分野というのは考えられていっていいであろう、私はこういうふうに思いますけれども、もともと補助金として出す限りにはひもがつくのは当然のことだろう。
 ただ、その場合に、私は御質問にお答えをして述べたと思うのですが、例えば建設とかというような形になりますと、それぞれの建設の基準があるわけであります。地方の方で見ておりますと、それが例えば建設省の建設基準あるいは文部省の基準あるいは厚生省の基準とあって、類似の入れ物につきましてもそれぞれの単価が異なるわけであります。これは大変地方では迷惑をしておるというふうに私は受け取らざるを得ません。少なくとも国が、類似の事業をやる場合にはそれぞれの単価をもう少し統一をしていってほしい、こんなふうな感じがするわけであります。
 したがいまして、自由裁量的補助金というのは新たな制度として御検討いただく価値があるものだなというふうに思いますけれども、私はむしろこの種のものであるとするならば、従来の地方交付税的な形の中の比率を改定してもらう、むしろ引き上げてもらうということの方がより有効的なのではなかろうか、こんな感じを持っておるわけであります。
#333
○玉置(一)委員 確かに超過負担の問題とか、いろいろより具体的なものがございまして、そちらの処理をするというのがまず第一だと思いますけれども、しかし、今の補助金行政を見ておりますと、確かにひもつきで、例えば各府県の取り合いになっている、あるいは三重県の中でも各市町村の取り合いになっているということもございまして、その補助金がつかなければ事業が全く進まないということも事実でございますから、例えば各市町村の判断において先行的にやるということも可能かと思いますけれども、後で本当につくのかつかないのかわからないということもあるわけであります。一括で、ある程度自由裁量のある補助金になれば、その中で割合を自分たちで決めるのだということにもなるわけでございますから、そういう形でいわゆる各自治体の特性というものが生かされてくるのではないかというふうに思うわけで、我々も提言しているわけでございます。
 最後に、池本さんに、今のいろいろな論議をお聞きになって、このいわゆる補助金の一括化といいますか、この辺についての御意見をもう一度お聞きして、終わりたいと思います。
#334
○池本正三郎君 私は、公聴会が地方では比較的少ないということで、本日のこの公聴会に出席をさせていただいたということを心から感謝申し上げるわけであります。
 先ほど来それぞれの立場で今回のこの補助金の問題についていろいろ意見が述べられておりますように、より国民の立場に立って、そして、ただ単に補助金の問題だけではなしに、これは国の行政改革なり行政責任そのものに起因をすると思います。そういう意味で、ぜひひとつ今回のこの特例法については、ただ単に一年限りということではなしに、先ほども申し上げましたように、実際にことしだけでやめるのだ、来年からは変えるのだということは、この委員会の先生方は十分に私どもの立場を御理解いただきまして、改善にお努めいただくようにお願い申し上げて、私の意見を終わりたいと思います。
#335
○玉置(一)委員 どうもありがとうございました。
#336
○越智座長 簑輪幸代君。
#337
○簑輪委員 陳述者の皆さん方には、本当に貴重な御意見をいただきましてありがとうございます。私に与えられた時間は大変少のうございますので、十分お聞きすることができないかもしれませんけれども、まず最初に伊藤さんにお伺いしたいと思います。
 今回の法律案につきましては、中曽根総理は、これは中央と地方の団体の間での負担の区分の調整を行ったのであって、国民の皆様方には直接影響はないのだということを再三繰り返して答弁しているわけでございます。しかし、現実には、こうした財政危機の中で本来国が負担しなければならないものを地方に押しつけたこと。そして、地方自治体としても、政府がいかに万全の措置をとったといっても、これはほんの一部分の特例加算と、あとは借金で賄えということの中で、地方財政の中でどのような住民への影響が出てくるのか、大変不安を持っておられると思うのです。ただいま田川知事さん、それから今井市長さんから、それぞれ住民に負担が及ばないようにしたいという決意のほどは伺わせていただきましたけれども、現実にはそうした不安をなかなかぬぐえないというのが実態でございます。
 伊藤さんから御陳述をいただきました中で、この法案に反対をする理由として、国民生活に重大な打撃を与えるということを懸念しておられます。特に生活保護の問題、それから児童保護措置費の削減に係る保育の問題、あるいは教育の分野ということで御指摘をいただきました。先日の国会における参考人質疑の中でも、さまざまの方々からそうした懸念が表明されておりまして、現場では既にさまざまな住民犠牲が行われており、今回の法案によってそれが一層強化されて、住民の犠牲は大変大きなものになるのではないかというふうに懸念をされているわけです。
 地域住民の皆さん方と直接接触をしておられる自治体労働者の皆さん方の生の声というものを把握しておられるであろう伊藤さんの方から、こうした各分野にわたっての現場の労働者の皆さん方がこれまで何を感じ、そしてこの法案でどんな不安を持ち、これからどうしていったらいいかという点について、できれば具体的なお話が伺えたらありがたいと思います。
#338
○伊藤欽次君 今お申し越しの件でありますけれども、私の陳述の中でも、生活保護にかかわっては県や市役所のケースワーカーが大変不安を持っているということを申し上げましたが、どんな不安を持っているかということについて少し触れさせていただきたいと思います。
 ケースワーカーの諸君たちの今の仕事は、厚生省がかなり厳しい受給制限を行っていて、いわば裁量の余地がほとんどないというような状況にまで狭められています。そういう中で、ケースワーカーの諸君たちがみずからを嘲笑して、ケースワーカーではなくて計算ワーカーだ、厚生省が決めたさまざまな基準に当てはめて計算をして生活保護額を決めるだけという、そういう計算ワーカーだというふうに言われるような状態に現になっているわけであります。
 そこで、今回の補助率の削減が特に生活保護に集中しておりますので、このことを大変皆懸念をしておるわけです。この四月や五月に直ちに何かの変化があらわれるというふうには言っていませんけれども、かねてから言われていることは、例えば資産を持ったひとり住まいの老人が生保を受けていた、たまたま不幸にしてこの方がお亡くなりになりました、そうしますとこの不動産が相続人に引き継がれる、これは不合理だということが厚生省の中からも言われていて、この独居老人が住んでいた不動産を売却させて受給していた生活保護費の幾ばくかを還元させる、こういう制度を考えるべきだということが実は関係者内で議論をされているようであります。そのことについてもケースワーカーが大変懸念をして、これでは独居老人から不動産を召し上げるというケースワーカーになってしまうという不安を持っているわけです。
 いずれにしても、職場の仲間が言っていることは、特に生活保護に集中していますし、さきに申し上げましたように児童福祉にも集中しているこの減額が、いずれ近いうちに大変ショッキングな形になって職場の中でいろいろな事態が生まれるというふうに懸念をしています。ましてや政府が六十年限りと言っていることも、私どもとしては信用ができない。恐らく削減が恒久化されるとすればもっと深刻な事態が生まれる、こういうことを職場の仲間が思っているということをまず申し上げておきます。
#339
○簑輪委員 生活保護での問題について御指摘をいただきましたけれども、私どもは同時に保育所の問題が、最近は特に保育料が毎年毎年上がって、働く婦人は子供を保育所に預けて社会的役割を果たしたいと思っておりますけれども、保育料の値上げによって保育所へ預けることさえできないというようなことが大変心配されているわけです。そして、今回こういう児童保護に関する措置費についての削減ということになってきますと、よりよい保育を目指して国基準を上回るような施策を住民の要求にこたえて実施しているような地方自治体などは、真っ先にこうした問題について大きな打撃を受けるであろうということが心配されます。そして、そのために保育所へ預ける人たちをできるだけ減らそうということが働いて、例えば自営業者あるいはパートの婦人は、本当に働きながら子供を預けるという意味では何ら差異はないにもかかわらず、不当な基準を設けて保育所から締め出すというようなことも既に行われているやに思いますけれども、今後一層それが強化されるのではないかという不安もあるわけです。父母負担増あるいは保育に欠けるということでの締め出しというようなことも、保育の現場では一層激しくなるのではないかというふうに思いますけれども、伊藤さんはその点いかがお考えでしょうか。
#340
○伊藤欽次君 まず最初に申し上げておきたいことは、特に保育の行政に関して言えば、厚生省が定めたさまざまな基準では十分ではないということで、多くの市町村ではその基準を上回る保育体制、保育内容を実施しているところであります。ですから、当然に自治体の超過負担というのが非常に大きなウエートを占めている、こういう状況に現在あるわけであります。そこに加えて補助率が削減をされるということは、一層自治体の超過負担を増大させるという意味で、ただでさえ地方財政が厳しいところでもってこの超過負担にさらに上乗せをするような事態が生まれれば、自治体としても一定の自衛措置を講ぜざるを得ないということになるのでしょうね。
 その場合に、厚生省の指導もありますでしょうけれども、特に保育に欠けるという基準を厳しくして、入所をかなり制限をしてできるだけ保育をしない、こういう状況も実際には都市周辺では生まれているわけであります。特に自営業者についてこのことが強くあらわれていますし、それから共働きの場合でも、奥さんが家庭で内職をするとか、いわゆる短時間のパートに行っている場合には、入所申請する際に、少々の収入ならば保育料の方が高いのだからむしろ働かない方がよいのではないか、そして子供を自分で面倒を見ろ、こういう調子で、働くことさえ妨害をしていくというような状況も今あります。特に深刻なのは、自営業者の共働きの人たちの子供が保育されないという状況が生まれていますし、この補助額が削減をされれば、自治体の規制はますます強くなるのではないか。
 同時に、私が陳述で申し上げましたように、厚生省が年々保育料の徴収基準を引き上げていきます。それに伴って、自治体も今まで以上に保育料の値上げを余儀なくされる、こういう事態になって、結局保育料が大変高くなります。乳児でいえば五万円を超えるような保育料が随所にあらわれてきますので、これでは預けたくても預けられない。こういう高額な保育料になって、結果として保育所から子供が締め出される、こういう事態になるわけでありますから、私は最初にもちょっと申し上げましたように、本来国が責任を持つべき生活保護などの社会保障にかかわる国の負担金は十分地方に支出をすべきだ、このことを抜きにしては国民の生活が守れないのではないか。そういう意味で、私は今回の一律カットについては絶対反対でありますし、これを撤回されてもとのように戻していただきたい、来年と言わずにことし戻していただきたいということを申し上げたいと思います。
#341
○簑輪委員 今回の措置は、国の財源が乏しいということで、財政危機ということでこういう措置がとられるというふうに説明されておりますけれども、何もきのうきょう始まったわけではなくて、いわゆる第二臨調のもとで、行政改革をにしきの御旗にして国の行財政のあり方を改めていくという方向の中でこれまでも集中的に社会保障、福祉、そして教育の分野がねらわれ、そのための予算削減が制度改悪にまで至って行われてきた経過を持っているわけです。
 したがって、今回は例えば生活保護とか児童福祉とかというところに大きな被害が出るであろうということも予測されておりますけれども、それだけにとどまらずに、こういった経過を踏まえてきて、今回特に地方自治体にこういう押しつけを行うことによって、これまで地方自治体が住民の期待にこたえ福祉の充実あるいは一層の施策の増進のために取り組んできたことだけではなくて、住民の要求にこたえるさまざまな施策が同時にあおりを受けて縮小あるいは削減をされていくという心配もあるのではないかと思いますが、その他の分野で何か気づいておられることはございますでしょうか。
#342
○伊藤欽次君 今回のこの法律だけではなしに、御案内のように、この一月の二十二日に自治省の事務次官名でもって「地方行革大綱」の策定を全国の都道府県、市町村に押しつけるという事態があります。これは明らかに国が地方に財源を付与しないで苦しめておいて、そしてその上でいわゆる地方行革を強要する、こういう今日の事態がございます。これがもし強行されれば、単にお金のやりくりの問題ではなくて、自治体が本来行わなければならない住民のための福祉や教育などの施策がどんどん後退をしていくということは明らかだと思っています。この今回の法案はその一つのきっかけでありますし、突破口とも言えるような性質のものだと思います。
 それだけではなしに、かつて臨調が始まったときに、真っ先に白羽の矢を受けたのは老人医療費の無料制度を有料化するという制度でありましたけれども、最近新聞などで報道されていますように、この老人医療費の有料制度も、所得によってさらに負担割合を変えようとかというようなことが今言われている。まさにお年寄りなどもさらに厳しい状況にされるのではないか。
 そういう意味で、私は陳述の際にも懸念を申し上げましたように、単なる奨励的な補助金ではなくて、本来国が責任を持って実行すべき仕事に対する財政支出でありますから、これを減額をするというようなことは、まさに国が責任を放棄するだけでなしに、弱者をいじめる大変な施策だと思いますし、今後これが拡大する突破口になる、そういう意味で、私はこれは絶対あってはならないものだと思っています。
 ですから、この問題だけではなしに、今自治省が推し進めようとしている「地方行革大綱」や、現に大蔵が検討なさっている来年を目指す補助金の見直し問題などなどを考えれば、これからも地方自治体が大変厳しくなりますし、住民の生活に重大な影響が一層加わってくる、こういうふうに思っています。
#343
○簑輪委員 もう時間がなくなりましたので、一点だけ松尾さんにお尋ねしたいのですけれども、この法案の結果、保健婦の充実という点で大変な心配があるということを述べられたと思うのです。より一層充実させる点での不安ということだけでなくて、現在従事しておられる保健婦さんの給与を含め、労働条件全体、待遇などにも影響が出てきて心配だというようなことはないのでしょうか。
#344
○松尾みち子君 お答えいたします。
 今の活動状況を見てみますと、健康づくり施策が出てきて、老人保健法が出てきて充実されてきたのですけれども、マンパワーが不足しているということで、外に出ていく時間が多くなり、訪問記録とか健康相談の記録、カルテの整理とかというのは全部残業でなされているのが現状なんです。健康づくりにしましても、地区組織活動は夜でなくてはできないというふうなことで、今現在皆さん働いてみえますので夜でないとできないわけなんです。だから、夜の時間の稼働量というのも大分出てきました。私たちは質的にも保健婦活動を見詰めていかなければいけないのですけれども、その量をこなすだけで精いっぱいで、質的に深まらないというのが今の保健婦たちの悩みなんです。
 それと、給料のことなんですけれども、三重県の場合は初任給が十万一千九百三円で、全国では十万六千二百四十三円だということを聞いております。地方の財政難ということで大分少ないのじゃないかということもありますので、また考えていただきたいと思います。
 それと、一人設置のために、役所の中で仲間がいないということがすごく問題なわけなんです。保健婦の設置希望市町村もたくさんあるのですけれども、入っていかれるのですが、また退職される数も多いということで、それも市町村の保健婦協議会としてはすごく悩みになっております。というのは、仲間がいないということで一人で悩んでいる、そういうところに問題があるのじゃないか。一人でも仲間をふやしていただきたい、そのことが一番の望みなんです。
 以上です。
#345
○越智座長 中川秀直君。
#346
○中川(秀)委員 自民党の中川でございます。
 各陳述者の各位には、きょうは朝から大変貴重な御意見をちょうだいいたしまして、心から厚く御礼を申し上げます。とりわけ現場で御苦労なさっている保健婦さんの代表である松尾さんの御意見等々、我々心に響くものがたくさんあるわけでございまして、大変参考になった次第でございます。
 簑輪先生のところで五分ばかり超過しましたから、私は十二、三分ぐらいしかないようでありますし、後ほど各陳述者の方から一言ずつ、委員長からの御指示でございますが、最後の御意見をちょうだいするようでございますから、私はもう一つくらいしかお聞きできないのじゃないかと思いますが、ぜひお伺いをしたいと思いますのは、総論的なことでございます。
 まず、田川知事さんにちょっとお伺いをしたいのですが、地方の方が豊かであるかどうかという、午前中もそんな議論がございましたけれども、私どもも一方的に地方の方が豊かだと決めつけるという意思は毛頭持っていないわけでございます。ただ、これは比較の問題でございまして、その点で一、二お尋ねをしたいのですが、国の財政事情、公債依存度、あるいは歳入に占める税収の割合、あるいは公債残高、また国債費、利払い費の一般会計に占める比率等々、どれをとりましても先進国最悪の状態にあることは陳述者各位、皆さん御承知のことだと思います。
 三重県の現状は、先ほど午前中参りましたときに総務部長さんからいろいろ当初予算の概要等も伺ったわけでありますけれども、大体全国平均でございますという御説明でございました。それでちょっと比較をさせていただきますと、国の方の公債依存度は二二・二%であります。三重県の資料によりますと、大体これが五・九%ということでございますね。それから歳入に占める税収の割合は、国の方は七三・四%です。これはいずれも六十年度予算です。県の場合、主要なものだけ拾いまして先ほどちょっと計算をしてみましたが、県税並びに地方交付税、あるいは地方譲与税、あるいは国庫支出金、あるいは諸収入等々入れまして八七・二。歳入に占めますいろいろな収入の割合が国に対してはかなり高いわけでございます。それからまた、県債発行の一般会計に占める割合は、先ほど申し上げましたが、公債費の方は歳出に占めます割合が八・八%というようにこの資料には書いてございますが、国の方は一九・五%でございます。
 ともかく初めに利払い費ありきというのが我が国の国家財政の現状でございまして、利払い費だけで九・九兆円、一日当たり二百七十一億円、一時間当たり十一億円、国民一人当たりに直しますと、公債残高が百十万円、利払いが年に八万円、大変な巨額な状態になっておるわけであります。こういうような数字を見ると、決して議員の数とか建物のよしあしではなくて、全体的な数字からいいましても国家財政の方が大ピンチである、こういう印象を我々は持たざるを得ないのでありますが、この点に関して、知事さん一言。
#347
○田川亮三君 確かに数字で比較されるとそういう形に映し出されるのでありますけれども、問題は、結局進んでいくべき方向のかじ取りの問題のよしあし、こういうふうになってこようかと思います。私どもも過去の段階で随分苦しいのを乗り切ってきて今日の段階になってきておるわけでありますから、国、地方という対立意識ではなくて、やはり国あっての地方でございますので、私も協力し得るものは協力すべきだと思いますけれども、今回のように一方的に地方の意見をほとんど聞かずに措置をする、こういう国の姿勢はぜひどうかひとつ改めていただきたい。お答えにはなりませんけれども、私どももせっかく努力をしてまいりますので、国の段階においても一層の御努力をお願い申し上げたいと思います。
#348
○中川(秀)委員 知事さんにそういうお答えもちょうだいしましたので、それでは今井さん、あるいは国政の大先輩でいらっしゃいます坂倉先生、また池本さんにも伊藤さんにも一言ずつで結構ですが、お伺いいたします。
 ともかく国も地方も車の両輪だと思うわけでございます。いずれにしても国民であり、また県民であり、市民であるわけであります。
 我が国の財政の現状というのは先ほど申し上げたとおりですが、いずれにせよ百三十三兆からの国債残高を抱えておる。このまま参りますと、これが昭和六十五年には百六十五兆円ぐらいになるのではないか。これを六十年償還をいたしますと、五百十兆円という元利払いをしなければならぬわけであります。そういうことを考えてみまして、どういう方法をとるべきなのか。つまり、このまま放置をすれば、例えば金利の上昇あるいはクラウディングアウトあるいはインフレと、何らかの形で国民生活に重大な弊害を来す。あるいはまた、償還というものは最終的には何と申しましても税で返していかなければならぬわけであります。そうすると、後世に大変な負担を転嫁をする。そういう方法にしてしまうのか、あるいはまた何らかの現行税制の枠内での増収策あるいは増税という方法にいくべきなのか、あるいは今問題になっております補助金等の削減を含め国家予算全体の縮減、見直しをするのか、いずれかの方法をとるしか道はないわけであります。これについて、それぞれの陳述者の方々、端的なお答えで結構でございますから御意見を賜りたい、こう思います。
 それから、ちょっとついでに今までのお答えについて一つ二つだけ簡単に申し上げておきたいのですが、午前中の陳述の中で坂倉さんからも小中学校の施設整備費の補助の問題に触れられました。これは実は十年間で三・七倍ぐらいにふえておるわけでありますが、その間の国税収入というのは二・六倍しかふえていない。いろいろな比較をいたしますと、やむを得ぬところも随分あるのだろう、こう思います。
 それから、補助金全体で削減ばかり強調されていますけれども、増額をしたものも六十年度には随分あるわけでございます。
 一、二申し上げますと、老人医療費の給付金の補助金は七百二億円もふえておりますし、また、国民健康保険における財政調整交付金も六百四十八億円もふえておる。あるいは義務教育の国庫負担金五百四十九億円、これは教材費並びに公立学校の施設整備費の補助金の削減額四百十億円よりはるかに大きいわけであります。また、国家公務員共済組合負担金、これは全省庁でございますが、これは坂倉さんや伊藤さんなんかも御関係が深いと思うのですが、こういうものの国庫負担金も三百十八億円ふえておる等々、補助金のふえたものが六千八百五十七億円もある。これも当然増で高齢化の中でふえていく。そういうものも考えながら、全体的に補助金というものを考えなければならぬということもあるわけで、その点の御意見も含めてそれぞれ御意見をちょうだいして、私は終わります。
#349
○越智座長 簡単にお願いいたします。
#350
○田川亮三君 先ほど申し上げたことと同じことですので、私は後段の、国に当然増のものをふやしていただく、これは当然そういう措置をしていただかなければ、またこれは地方に転嫁される、こういうふうな形にもなりかねません。したがって、やはり増税なき云々という財政論ではなくて、率直にここで国全体の財政構造そのものを大きく洗い直していくくらいなつもりで財政改革にお取り組みをいただいてはいかがかな、こんなふうに考えております。
#351
○今井正郎君 どういう方法がいいだろうかという意見を言えということでございますので、私は私なりに申し上げてみたいと存じます。
 まず第一番に、国民全体に、中川先生のお話のような、ふえたものもありますよ、減ったものもありますよというようないわゆるPRが少し不足しているのじゃないかということが一つでございます。
 それから、現在の制度でございますから、現制度の中で増収できるものは極力増収して賄っていただきたい。
 それから三番目には、いわゆる組織、事務事業、そういったものの見直しをすることによってかなりのものは浮いてくるであろうというぐあいに考えますので、そういった手順を踏んでいただきたい。
 最後に、どうにもならないときにはいわゆる国民のコンセンサスを得ていただいて行革に踏み切っていただくと同時に、財政再建についても御一考いただくのが順序でなかろうか、こういうぐあいに考えます。
#352
○坂倉藤吾君 まず、国の財政事情はよくわかっています。ただ、なぜそうなったのか。そうなるぞという警告は今までも国会論議の中でたびたびあったわけであります。したがって、なぜ今日の財政事情になったのかということを抜きにして、今の先生のお話というのは、ちょっと私は即座にここで短時間にお話をするということには相ならないというふうに思います。
 もう一つは、行政改革の問題でありますが、財政再建と行政改革というのは、これは明らかに別個の問題。往々にしてこれが一緒になって論議をされておる向きがあるのですが、私は、財政事情が厳しいから行政改革をやるのだという論議は明らかに間違いだろうと思う。財政事情がどうあろうとも、行政の簡素化あるいはむだをなくしていくということはやらなければならぬ課題でありまして、そういうことについてはあくまでも、先ほども触れましたように、国民のあるいは地域住民という前提を踏まえてお互いが努力をしていくのが役目であろう、私はこういうふうに思うわけであります。したがって、財政再建ということになりますと、一般の家庭の財政も同じでありまして、収入をふやすかあるいは支出を減らすか、この二つしか道がないわけであります。
 したがいまして、まず第一は、収入について今日ふやせる見通しがあるのかないのか。ここのところの現状はどうなっているかといえば、先ほどもお答えの中で申し上げましたように、今日依然として不公平税制が解消されていない。努力はされておるようでありますが、根本的にこの税の不公平については措置がされていない。ここの財源を一体どう見るのだろうか。さらにまた、本来納めなければならぬものがそのとおり納められていないで見過ごされておる。努力をされておりますが、脱税についての監視体制その他も含めて、私はまだまだ極めて不十分だというふうに指摘せざるを得ないのであります。したがって、収入をどういうふうにふやすかということを抜きにして、今日一方的に支出の方のみ削減をする。しかも、その支出の削減は、国の財政事情はわかりますけれども、地方に全部それが振りかぶるという方向では我々としてはちょっと今回納得ができにくい、こういうことを申し上げておるわけであります。
#353
○越智座長 松尾さん、ありますか。もういいですか。――池本君。
#354
○池本正三郎君 端的に御意見を申し上げたいと思いますが、今回のこの財政問題あるいは補助金問題すべて関連をすると思いますが、私は、簡単に申し上げて、行政並びに政党政治の問題ではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。そういう面から、一層ひとつ、国民の立場に立ってこの補助金問題、また行政改革問題について取り組んでいただきたいと思います。
#355
○伊藤欽次君 私は、一言で申し上げますけれども、先ほど坂倉さんがおっしゃいましたように、今国が膨大な赤字を抱えているのは、決して庶民、国民のせいでできたのではないということはもう周知の事実でありますから、その赤字をつくり出した大もとについてもっと明らかにしていただくと同時に、赤字国債なり建設国債を増発して利益を得た人から、もっとたくさん税金を取ってやったらいいのじゃないかというように思います。
#356
○越智座長 この際、陳述者の方々から、今までお述べいただいた以外で要望をしておきたい、話しておきたいということがございましたら、二分程度でお話しいただきたいと思います。
 それでは、田川君。
#357
○田川亮三君 重ねてのお願いなんでございますけれども、今回のこの法律は、たびたび申しておりますように、六十年度一年限りのものにぜひしていただきたいということが一つ。
 二つ目は、地方自治体は既に新年度がスタートいたしております。できる限り混乱を起こさないように御措置をいただきますようにお願いを申し上げます。
 二つだけを特に強調いたしておきたいと思います。
#358
○越智座長 ありがとうございました。
 今井君、ありますか。
#359
○今井正郎君 今、知事さんのおっしゃったとおりでございます。
#360
○越智座長 坂倉君、いいですか。――松尾さん。
#361
○松尾みち子君 いろいろと申し述べましたけれども、よろしくお願いします。
 私たちの仕事は、建物を建てるとか道路を直すとか、そういう目に見えた仕事でないため、どうしても省かれやすい仕事であると思います。だけれども、良識のある国の立場からよろしく御判断をお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#362
○越智座長 池本君、いいですか。――伊藤君。
#363
○伊藤欽次君 最後に、自治体に働く職員、労働者としてぜひとも強調しておきたいのは、この法案は私は希代の悪法だと思いますので、私が陳述で申し上げましたように、ぜひ廃案にしていただくと同時に、地方自治体の財政に支障のないように予算の組み替えをやっていただくように心からお願いをいたします。
#364
○越智座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述者の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。
 拝聴いたしました御意見は、本委員会の審議に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため、格段の御協力をいただきました関係各位に対し、深甚の謝意を表する次第であります。
 それでは、これにて散会いたします。
    午後二時二十八分散会
     ――――◇―――――
   派遣委員の岩手県における意見聴取に
   関する記録
一、期日
   昭和六十年四月五日(金)
二、場所
   岩手県庁講堂
三、意見を聴取した問題
   国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時
   特例等に関する法律案について
四、出席者
 (1) 派遣委員
   座長 堀之内久男君
      大島 理森君    熊谷  弘君
      熊川 次男君    田中 秀征君
      伊藤  茂君    上田 卓三君
      宮地 正介君    安倍 基雄君
      正森 成二君
 (2) 現地参加委員
      小川 仁一君
 (3) 現地参加議員
      菅原喜重郎君
 (4) 政府側出席者
        大蔵大臣官房参
        事官      二宮  学君
        大蔵省主計局次
        長       平澤 貞昭君
 (5) 意見陳述者
        岩手県副知事  赤澤善二郎君
        盛 岡 市 長 太田 大三君
        自治労運動推進
        岩手県本部委員
        長       高橋 文雄君
        岩手大学人文社
        会科学部教授  河越 重任君
        岩手県東山町議
        会議長     松川  誠君
        自治労岩手県本
        部中央執行委員
        長       村上 博是君
     ――――◇―――――
    午前十時一分開議
#365
○堀之内座長 これより会議を開きます。
 私は、衆議院大蔵委員会派遣委員団団長の堀之内久男でございます。私がこの会議の座長を務めますので、よろしくお願いいたします。
 この際、私から、派遣委員を代表して一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様御承知のとおり、本委員会におきまして、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案の審査を行っているところであります。
 当委員会としましては、本法案の審査に当たりましては、国民各層から意見を聴取するため、三重県津市と御当地におきましてこの会議を催し、各界の代表の方々から忌憚のない御意見をお伺いしようとするものであります。
 御意見をお述べいただく方々には、御多忙中にもかかわらず御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。厚く御礼を申し上げます。
 まず、この会議の運営について申し上げます。
 会議の議事は、すべて衆議院における委員会運営についての議事規則及び手続に準拠して行い、議事の整理、秩序の保持は、座長であります私が行うことといたします。発言をなさる方々は、必ず座長の許可を得て発言をしていただきたいと存じます。
 なお、この会議におきまして御意見を陳述される方々は、委員に対しての質疑はできないことになっておりますので、あらかじめ御了承をお願いいたします。
 次に、会議の順序につきまして申し上げます。
 最初に、意見陳述者各位から御意見をそれぞれ十分程度に順次お述べいただいた後、委員より質疑を行うことになっておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、本日の出席委員及び意見陳述者の御紹介を申し上げます。
 出席委員は、自由民主党・新自由国民連合の熊川次男君、熊谷弘君、大島理森君、田中秀征君、日本社会党・護憲共同の上田卓三君、伊藤茂君、小川仁一君、公明党・国民会議の宮地正介君、民社党・国民連合の安倍基雄君、日本共産党・革新共同の正森成二君、以上であります。なお、現地参加議員として、民社党・国民連合の菅原喜重郎君が出席されております。
 次に、各界を代表して意見を述べていただく方々を御紹介申し上げます。
 岩手県副知事赤澤善二郎君、盛岡市長太田大三君、自治労運動推進岩手県本部委員長高橋文雄君、岩手大学人文社会科学部教授河越重任君、岩手県東山町議会議長松川誠君、自治労岩手県本部中央執行委員長村上博是君、以上の方々でございます。
 それでは、赤澤善二郎君からお願いいたします。
#366
○赤澤善二郎君 岩手県副知事の赤澤でございます。
 諸先生方には、地方行財政の諸問題につき、日ごろ格別の御理解、御高配をいただいておりまして、衷心より感謝申し上げます。
 また、本日は、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案につきまして意見を述べる機会をお与えいただきまして、まことにありがとうございます。
 東北自動車道の北伸、花巻空港のジェット化に加え、去る三月十四日、東北新幹線が上野まで開通したことによりまして、本県はまさに本格的な高速時代を迎え、歴史的にも類例の少ない激しい変動の時期に直面しております。
 これに伴いまして、立ちおくれている産業基盤の整備や、全国を上回るテンポで進行しつつあります高齢化社会への対応など、多くの県政課題に速やかな対応を迫られており、県民の行政需要もますます増大かつ複雑、多様化してきているのが実情であります。
 国内の景気は緩やかながらも回復基調にあるとはいうものの、本県におきましては、一昨年まで連年の冷災害に悩まされ、個人消費も一進一退の状態にありましたが、最近わずかながら持ち直しの兆しを見せ、景況全体としても遅まきながら明るさが見えてきたように感じているところであります。
 また、公共事業、住宅建設の伸び悩みによりまして、建設業を中心として企業倒産が近年急激に増加しており、昭和五十九年暦年ベースで二百九十五件、負債額で四百二十五億七千万円に達し、全国に比較してもワーストナンバーに挙げられる状況にあります。
 さらに、本県の産業構造について申し上げますと、第一次産業の就業者割合が二六・六%で全国一高いことに示されておりますように、高度化がおくれ、経済力も脆弱であります。
 このような本県経済の状況からいたしまして、県税収入は五十九年度で約六百七十三億円と、歳入総額に占める割合が一四・三%にすぎず、地方財政計画における地方税収入割合四二・二%に比べ二七・九ポイントも下回る現状に置かれております。
 したがいまして、財政運営に当たり常に苦労いたしますことは財源の確保対策でありまして、法人県民税の超過課税の実施、使用料、手数料の見直しなど自主財源の確保に、毎年あらゆる手だてを講じておりますが、財源の七割以上を地方交付税、国庫支出金等の依存財源に頼らざるを得ないのが実情であります。
 このため、本県におきましては、早くから独自に行政改革に鋭意取り組んでおりまして、五十八年度に、専門調査機関による本県の行財政運営の実態分析をベースとしまして、行政改革懇話会から提言をいただき、これに基づきまして行革大綱を定め、知事を本部長とする行政改革推進本部を設置し、全庁挙げまして行政改革を推進中であります。
 行革の効果を、歳出の節減合理化の面で申し上げますと、職員定数の三カ年、三%削減を実施していますほか、事務事業の抜本的な見直しを行い、五十九年度二十三億五千九百万円、六十年度で十五億八千百万円の節減を行うなど、多大な成果を上げているところであります。
 しかしながら、本県の一般財源収入総額は、五十九年度で二千三百六十八億円でありますが、このうち人件費に一千百四億円、扶助費、公債費に四百五十六億円、締めて義務的経費に一千五百六十億円、およそ七割が食われ、投資的経費に充てられるのは約三百八十億円、一六%にすぎないのが実情であります。しかも、この一般財源収入は、前年度対比わずか二%の増にとどまっております。当然ながら、義務教育国庫負担職員、警察職員に係る給与費もこの中に含まれているものでありますが、ちなみに、本県の給与水準は国家公務員並みでありまして、全国最下位であります。
 このように財政基盤の脆弱な本県にとりまして、公債費に充当します一般財源が四百十四億円と一般財源総額の約二割を占め、しかも、毎年三十億円ないし四十億円増加し続け、これに加えて農用地開発公団に対します多額の年賦払い金の負担は、財政の大変な圧迫要因となっております。
 申し上げるまでもなく、この公債費の増大は、五十年代における大型の景気浮揚対策、地方財源不足に対処した財源対策債等、国の施策、国の地方財政対策による起債の大量発行によるものであります。
 これらの地方債には元利償還費が交付税で手当てされているものもありますが、交付税総額の中で公債費が増大してまいりますと、交付税総額がふえない限り、他の交付税需要額がそれだけ圧迫されることになる懸念があります。これは、地方交付税に依存する度合いの高い本県など、財政力の弱い団体にとりましてはまことに深刻な問題であり、公債費など義務的経費の増高への対応も含めて、地方一般財源の安定的確保が図られるよう、抜本的な地方財政対策を確立することが焦眉の急と痛感しているところであります。したがいまして、一部で言われておりますような地方財政余裕論などは、個々の地方団体の実情をお聞きくだされば、私は、そのような話は出てまいるはずはないものと存じております。
 このような状況のもとにおいて、国の昭和六十年度の予算編成に当たりまして、社会保障や公共事業等について国庫補助負担率の一律削減等の措置が、いわば一方的に講じられたことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。これによる県分への影響は、もろもろ取りまぜまして、およそ百億円と見込まれるところであります。
 国、地方を通ずる行政改革の推進と財政再建が最も緊急かつ重要な課題でありますので、これを着実に推進してまいらなければならないことにつきましては、私どもも十分認識いたしておるつもりでございます。行政改革と財政再建は、国、地方を通ずる行政全体について事務事業の抜本的な見直しを行い、行政の減量化、効率化を進め、事務と財源の再配分を行うことが肝要であると存じます。
 しかしながら政府は、このたびの予算編成に当たり、国と地方を通ずる事務事業の見直しを行わないまま、単に国の負担を地方へツケ回しすることは、国、地方を通ずる事務や経費の節減合理化に何ら寄与するものでなく、また、行政改革の本旨にも反し、国と地方の間の信頼関係をも損なう極めて望ましくないものと考えております。
 さらにまた、本県のように開発がおくれている地域につきましては、後進地域の開発に関する公共事業に係る国の負担割合の特例に関する法律によりまして、財政力に応じてかさ上げする措置がとられておりまして、この制度は国土の均衡ある発展に大きな役割を果たしていることは申すまでもないところでありますが、この制度も、国庫補助負担率の一律削減の影響を受けております。
 仄聞するところによりますと、この影響額に対する財源措置については特に配慮されておらないとのことであります。仮に、この財源補てん措置がないとすれば、これまた財政力の弱い団体ほどこの影響を大きく受けることとなり、本県のみならず関係団体においてその対応が問題となっておりますので、財源不足が生ずることのないように国において直ちに対処されるべきものと考えております。
 今回の措置は一年限りの暫定措置でありますので、昭和六十年度限りとすることを厳守していただくとともに、再び繰り返されることのないよう諸先生方の御尽力をいただきたく、お願い申し上げます。
 なお、法案の取り扱いについては私がとやかく申し上げる筋合いではないと存じますが、当面の六十年度の措置につきましては、仮に予算と制度が一致しないような状態が生ずるとすれば、対住民との関係で好ましくない影響が生ずるおそれがあります。前段申し上げました筋論は、それはそれとして、住民に身近な行政を担う立場にある者として、それはやはり極力避けたいものだと念願しているところであります。
 以上をもちまして、私の意見を終わらせていただきます。
#367
○堀之内座長 ありがとうございました。
 次に、太田大三君にお願いいたします。
#368
○太田大三君 盛岡市長の太田でございます。
 本日の衆議院大蔵委員会公聴会に御出席の先生方には、地方自治の推進のため、日ごろ格別の御理解と御協力を賜り、感謝申し上げます。
 盛岡市で開催されることとなりました当公聴会におきまして、国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に関し、私に意見を申し述べる機会を与えていただきましたことに対し、厚く御礼申し上げます。
 つきましては、盛岡市の現状を踏まえながら、私の所感を述べさせていただきます。
 地方財政は、巨額の借入金の累積によって硬直化が進んできておりますが、盛岡市も例外ではなく、財政事情は一段と厳しくなってきております。
 私は、盛岡市政の道しるべといたしまして三つの都市像、すなわち高福祉都市、北東北の拠点都市、文化都市を掲げ、都市基盤の整備、産業や教育、文化の振興、福祉の充実など、各般にわたる施策の展開を図り、市勢の発展に努めているところでありますが、財政事情が好転せず、円滑な事業の実施に支障を来しているところであります。
 盛岡市の財政事情悪化の要因といたしましては、借入金の累積と一般財源の伸び悩みが挙げられます。昭和五十八年度末における盛岡市の借入金現在高は三百三十六億一千二百万円にも達し、市民一人当たりでは十四万四千円となっております。また、一般財源に対する公債費の比率を示す公債費比率も、昭和五十八年度には一六・六%となっております。さらに、主要な一般財源であります市税は歳入の五〇%弱を占めておりますが、市税のうち約四〇%強を市民税所得割に依存するという税構造となっておりまして、給与所得者層の所得の伸び悩みが市税の伸び悩みともなっております。
 このような財政状況下にあって、盛岡市におきましても、経費の節減、行政の簡素効率化を図るため、盛岡市事務事業見直し検討委員会を設置し、現在、提案された二百件余の事項につきまして検討協議を重ねているところであります。充実を要する部門への所要の職員配置につきましては、定員の見直しによって生み出すほか、OA機器の導入による市民サービスの向上や事務処理の効率化など、限られた財源の効率的、重点的配分と事務事業の見直しの推進を市の行財政運営の基本として、積極的に実施してまいりたいと考えております。
 このような盛岡市の財政上の立場から見ますと、今回の高率国庫補助金の一律カットはまことに残念であると考えます。一応、今回の高率補助金一律カットにつきましては所要の財源措置が講じられましたことから、昭和六十年度予算は何とか編成することができましたが、もしこの財源措置が講じられなかった場合は、当市においては、この一律カット相当額五億六千六百万円余の対応につきましては事業の切り込みを余儀なくされ、行政水準の低下を招く結果になったであろうと考えております。
 確かに国、地方を通ずる行政改革の推進と財政再建は緊急かつ重要な課題でありますが、行財政改革は、地方六団体の要望にもありますように、国、地方を通ずる行政全体について行政の減量、整理を行い、国と地方の役割分担と責任の所在を明確にした上で、補助金交付事務の簡素化を一層推進し、一般財源化、統合メニュー化等国庫補助金の整理合理化が図られるべきものと考えております。
 このたびの高率国庫補助金の一律カットは昭和六十年度限りとし、今後、政府部内において検討するとのことですが、その取り扱いにつきましては、地方六団体で要望しております方向に沿って善処されるよう期待するものであります。このような国庫補助金の一律削減は昭和六十年度限りとしていただきますよう、重ねて要望申し上げますとともに、今後、地方の意向を十分に取り入れられるよう強くお願い申し上げます。特に市町村は基礎的地方公共団体として、住民生活と直接関係する行政を担当しておりますので、市町村の役割分担と責任を明確にするとともに、所要の財源をぜひとも確保していただきたいものと重ねて要望申し上げる次第であります。
 以上、直接地方行政を担当する者の立場から、苦しい財政事情を披瀝の上、忌憚のない意見を申し述べましたが、何とぞよろしくお願い申し上げます。
#369
○堀之内座長 ありがとうございました。
 次に、高橋文雄君にお願いいたします。
#370
○高橋文雄君 高橋文雄でございます。
 本日の出席までの時間がなかったものですから、特に準備ができずに、手持ちの資料で意見を述べますが、私自身は法律や行政の専門家でありませんので、増大する行政需要と定員の削減、不補充のもとで、住民の生活に深くかかわる仕事をしている自治体労働者の立場から意見を述べさせていただきます。
 時間の関係で端的に申し上げたいと思うわけでありますが、結論から申し上げて、今回の国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案には反対であります。したがって、廃案にすべきであるという考え方でございます。
 以下、その立場から、理由の幾つかを述べさせていただきます。
 反対する理由の第一でございますが、単に財政的問題ではなく、国の政治のあり方の問題だからであります。
 例えば、今回の一律削減の対象となったものに福祉関係がありますが、厚生省関係のうち最も削減額の多い生活保護関係を見ましても、法律には「憲法第二十五条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、必要な保護を行う」とうたっており、いわば国の責任においてなすべき事務であります。だからこそ法律によって国が高額、高率の負担を行ってきておると理解しておるわけであります。
 したがって、その性格上、奨励的意図に基づいて支出されているいわゆる補助金とは異なり、国の財政が苦しいから削減するということは、国の責任の後退であり、同時に、既に国民的合意として定着している国と地方自治体との負担割合を一方的に変更することになると思うわけであります。
 反対する理由の第二でございますが、地域格差が拡大しないかという懸念があるからであります。
 今回の削減等の対象となっている事務事業は、社会的弱者に対する援助や生活基盤整備等が中心であります。経済基盤の弱い地域ほどそのような課題があると思いますが、国の財源対策が後退すると地方自治体の持ち出しも多くなり、あるいは、その分野での行政サービスが後退します。既に生活保護をめぐっては、今後は認定が厳しくなるのではないかという意見を耳にしますが、権利として定着していない現状では、その危惧は当然でございましょう。また投資的経費関係の生活基盤整備についても、例えば土地区画整理事業や街路事業、下水道整備事業などは、とかく計画より事業の進捗がおくれがちですが、国の負担率の引き下げによって計画年次がさらに延び、私権の制約が長期に及ぶとか生活上の不便等の問題が発生することが予想されます。
 さらに、一般財源化される国庫補助負担金の中に、農林水産業関係が十数項目ございます。本県のように農家戸数が東北の平均に比べて一〇三%と多く、農業従事者も一一〇%と上回りながら、農家一戸当たりの生産所得あるいは農業従事者一人当たりの生産所得は、それぞれ八九%、七二%と東北平均を下回っている県では、農業施策に力を入れ、農林水産業費の金額もあるいは構成比も東北平均よりも高いわけであります。こういうところでは、今回の措置の痛手も多いわけです。また、健康を守る医療、保健あるいは道路の問題でも、全国一広い県土を抱えているだけに、全国一律という削減取り扱いにも問題があります。
 このように見てまいりますと、今回の措置が恒常化され、あるいは対象が拡大されると、地域格差がますます広がると懸念するわけであります。
 反対する理由の第三は、緊急避難の特例措置として一年限りという保証がないことであります。
 既に各自治体では、六十年度国の予算を受けて、補助金削減等を前提に厳しい予算を編成しながらも、現行どおり財源確保がなされるものと期待をしております。今回の措置は、個別検討ではなく一律削減であることと、事実が先行しているという二重の問題があると思います。こうした情勢もあって、県内町村の三分の一は、前年度当初に比べてマイナスの予算編成となっていると言われ、また、ある市の場合は、補助金の削減額が普通会計予算の一・三%に相当し、大幅に財政調整基金を取り崩して予算を編成せざるを得なかった例もあります。
 新聞が報ずるところによりますと、衆議院大蔵委員会において竹下大蔵大臣は、一年間議論をした上で恒久化したいと述べたと言われています。公務員の賃金抑制も緊急避難として始まり、しかし今日もなお続いていることとあわせ考えますと、一年限りということに深い疑念を抱かざるを得ません。
 反対する理由の第四は、補助率の引き下げ分を地方交付税で措置するので、交付団体には財政上の影響はないと言われていますが、具体的裏づけが見当たらないからであります。
 このことを考える前提として大事なことは、地方交付税は法律に基づく地方の財源であるということであります。さらに、言うまでもなく、交付税の総額が国税三税収入額の百分の三十二と定められていることであります。六十年度地方財政計画では、経常経費系統に係る補助金削減の分については特例措置として加算することとなっていますが、交付税総額をふやさない限り、五十一年以降の交付税の実態から見て、要素として加味されても、どこかの分野で影響を受けるのではないかという危惧を抱くわけであります。
 反対する理由の第五は、義務教育費国庫負担金の一般財源化などは、市町村財政に与える影響が大きいということであります。
 市町村財政を基準財政需要額と歳出決算額との比較で見ますと、歳出が多くの費目で基準財政需要額を上回っています。その中に教育費の小中学校費があり、その考えられる主な要因を物件費増と挙げているのが目立ちます。私の手持ち資料でも二〇%以上の支出増になっているわけでありますが、今回、国庫負担金が一般財源化されることになるとすれば、その確実な措置がないと市町村の持ち出しがさらにふえ、あるいは父母の負担増となります。現在でさえ学校徴収金が年間、小学校で一万円以上、中学校で三万円を超えると言われていますが、このように国の施策の変更によって、住民の意思が問われることなく負担を強いられることになるからであります。
 反対する理由の第六は、地方財政富裕論は、自治体の自主努力に水を差すことを危惧するからであります。
 今回の一律削減の背景には、地方自治体の財政富裕論があると言われています。立場により評価の分かれるところでありますが、各自治体は行政改革に取り組んでおります。例えば岩手県の場合、財団法人地方自治協会に委託して行った行政事務運営改善調査によりますと「岩手県はかねてより行政の体質改善の必要性を認識し、それぞれの時代の要請に応えるべく多くの改革を」行い、その結果「行政組織、事務処理体制、県・市町村との関係などの各側面においてかなりの実績をあげてきたことが窺われる」と評価をされております。調査研究委員会メンバーの十四人中八人の幹事は、すべて自治省の現職の行財政担当者等であり、六人の委員中二人の方は、臨時行政調査会専門委員であることから見れば、その岩手県の改革の努力は国からも評価されていると言えると思うわけであります。ひとり岩手県に限らず、自治省のまとめた最近三年間の自治体の行政改革の実情を見ても、かなりの自治体が行政の簡素、効率化に努めているとの評価がなされています。賃金を抑制し、定数を削減するなど職員に犠牲を強い、あるいは公共事業の抑制などで住民にも我慢を強い、財政の収支均衡を図る努力の結果に、地方財政が豊かだとして国の負担を転嫁するとすれば、それは問題であります。
 以上、幾つかの問題を挙げましたが、この際でありますから、まとめとして所感を申し上げたいわけでありますが、六十年度の国の予算は、臨時行政調査会答申に基づく行政改革が始まる前の五十六年度と比較しても、防衛費は突出をし、社会保障費、文教費では伸び悩んでいます。識者の間には、政府は民間活力の導入には熱心だが、地方の活力、自主性の尊重には熱心でないとの指摘があります。さらに国の負担を地方にツケ回し、その自主性を圧殺しては、何が行政改革かとの意見もあります。
 今、国の手によって行われている地方の行政改革は、画一化以外の何物でもございません。国から見れば行政にばらつきがあっても、それはそこに住み、生活する人たちのニーズと知恵と力によるものであれば認められるべきです。それが地方自治の原点ではないでしょうか。そしてそれを援助するのが国であり、例えば財政的には、地財法で「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と定められています。私は、盛岡市の大通りを歩き、最近非常に明るくなった、広くなったという感じとともに、店に個性が出てきたという感じを持ちますが、これはアーケードが撤去されたからでありますけれども、現在の国の指導からは、平準化という名の天蓋を感ずるわけであります。
 私は、多くの町村を回って、崩れんばかりに積み重ねられた町村長の机の書類の山を見るたびに、首長が決裁をされるときの判断は住民のニーズだろうか、あるいは国や県の指導方針だろうかと考えるのです。政府の手による地方の政治と化した地方自治を、住民の手による地方の政治に戻すためにも、国庫負担金削減法案を廃案にされるよう強く訴え、私の意見発表を終わります。
#371
○堀之内座長 ありがとうございました。
 次に、河越重任君にお願いいたします。
#372
○河越重任君 このたびの国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に関しまして、地方団体の実情等につきましては、ほかの陳述者の方々からるる開陳されているところでありますので、私はこの際、この法案による節減の主要な標的とされております社会保障に多少なりともかかわりを持つ研究者の一人といたしまして、主として住民福祉等の面に限りまして、若干の意見を述べさせていただきたいと思います。
 この法案の目的は、補助金等を見直して国の歳出を縮減し、財政収支の改善を図ろうとするものと承っております。私どもといたしましても、補助金等の整理合理化の必要を頭から否定するものではございません。しかし、この法案を拝見いたしまして、まず率直な感想を一言で申しますならば、国の懐ぐあいが苦しいとき、そうしたときであれば、本来国の仕事まで数多く抱え込まされているところの地方団体は、より以上さぞ苦しいであろうというような思いやりの一つだに読み取ることができないことを、いたく悲しむものであります。
 そこで、まず第一の点といたしましては、いわゆる高率補助金の補助率の一律引き下げについてであります。
 この一括法案によります財政の効果は、国の側からいたしますならば節減ではありますが、地方にとりましては負担増にほかならないものであります。そのいわゆる直接の節減効果約四千五百億のうちの約三分の一を占めるのが生活保護費、そしてその千五百億を中心にいたしまして厚生省の社会保障関係費分だけで約六割の二千七百億を超えるものとされております。はしなくも、ここにこの法案の性格が示されているものと考えます。本来、国が責任を持って行わなければならない最低限度の生活の保障の措置さえも、いわゆる機関委任事務として地方団体にゆだね、押しつけ、あまつさえ、そのために補助率が高い、そのことを理由として、さらにその負担を増大させようとしているわけであります。
 しかも、この補助率の引き下げによる地方の負担増、いわゆる一律一割カットと言われておりますが、しかし、そうした住民の生活にかかわる部分については一割カットではなくて、ほぼ百分の八十から百分の七十、一二・五%にも及ぶわけであります。国の側からは一二・五%の引き下げですけれども、地方にとっては実に六二・五%の負担増ということになるものとされております。もっとも、国民の立場からあえて申し上げますならば、行政の費用負担における国と地方との分担の比率が、従来の八対二から、この法改正によりまして七対三にされようとも、合わせて一応十というものとして、それが財政で負担される限りにおきましては、結果といたしまして何ら歳出の削減にはならないはずのものと見られるわけであります。そして現行の地方交付税制からいたしますならば、これらの補助を削減された地方団体の負担分は、いわゆる基準財政需要額に一応算入されることにはなっているといたしますと、交付団体でありますならば、交付税にも一応ある程度ははね返ることになる建前でありましょうから、総じて補助率の削減がそのままの形で歳出の削減につながるものとは考えられないはずのものであろうかと存ずるわけであります。といたしますならば、地方財政の運営の基本にかかわるものといたしまして、地方財政法でも厳に戒めておりますところの地方団体への負担の転嫁にほかならないと言うべきでありましょう。
 いわゆる高率の補助率の引き下げに対しましては、一応、地方交付税一千億の特別加算の配分でもって埋め合わせをするとされておるわけでありますけれども、負担増の全額がそれによって保証されているわけでは決してございません。まして、このような補助金の一律カットは、地域により、地方団体によりまして、決してその影響は一律ではないわけでございます。とりわけ全国平均を上回りまして高齢化が進行しておりますこの東北地方におきまして、今日、生活保護の開始事由の三分の一強は高齢化によるとされておりますときに、目下、まあこの地方の特徴と申しますか、いわゆる自助努力でもって保護率はほぼ全国水準並みにとどまってはおりますけれども、受ける影響というのは、それであればこそ、より深刻ではないかと考えるわけであります。
 こうした補助率の一律カットによる影響といたしまして、自治省の試算によりますと、この岩手県におきましては、ざっと県が二十億、市町村の分が十六億、合わせて三十六億、そうした負担増になるものとされているようではございます。しかしながら一方、県の試算におきましては、県の分といたしまして八十億、市町村の負担増が二十七億、計百七億強のそうした負担増を招くということになっております。余りにもその試算が違い過ぎる。私といたしましては、国の方はそうした影響の試算を余りにも過小に評価し過ぎていらっしゃるのではないかと考えるわけであります。
 なお、この補助率の引き下げが一応今年度限りの措置とされてはおりますけれども、しかし果たしてそうなのかどうか。これまで、今年度には利子をつけて返すんだと約束されていたはずの厚生年金等への国庫負担の削減なども、現にこの法案の中におきまして行革特例法の延長が図られていることからも多言を要しないものと考えるわけであります。
 そして、それはまた、この春から予定されております社会保障費の抜本的な検討作業の中で、負担割合の見直しを中心に進めるんだ、そして、来年度の予算編成以降それが恒久化されようとしているんだというようなことが伝えられます。地方は、今後の見通しも定かでないままに、それに対応を迫られているわけでございます。
 いずれにしましても、地方財政審議会やあるいは地方制度調査会も既に指摘していらっしゃいますように、補助金等の負担割合の変更は、少なくとも、国と自治体との間におけるところの機能の分担の見直し等根本的なことを行うことなく、ただ便宜的に負担率の変更だけを強行的に行うものとすれば、あるべき行政改革の理念にももとりますし、そしてそのことは、ただ単なる地方への負担転嫁にとどまらず、いたずらに地方を混乱させるものと言えましょう。
 次に、人件費の補助金等の交付金化についてでございます。
 その趣旨といたしましては、定率補助から交付金化することによりまして、地方公共団体の自主性とか、あるいは事業の効率化等を図るものとうたわれているようでございます。例えば、その措置によりまして、過疎地域等の保健婦の設置費、五十九年度当初予算で四億六千万円、ざっと二百五十人分ほどがこの法案では交付金化されることになっております。
 御承知のように、この岩手県におきまして全県六十二市町村ですか、そのうちの四割弱、二十三市町村が現在過疎地域振興特別措置法の適用を受けておりますほどに過疎が一般化しておる地域でございます。そして、そうした地域に関しまして、無医地区におけるところの医療の確保措置等としての保健婦の配置、従来の「配置」が、この法案によりまして、交付金化により「保健婦による保健指導等の活動」というぐあいに変更されるといたしますと、その対象が具体的にどのような地域にどのような影響を及ぼすかということは、本日の会を承りましたのが急なことでして、具体的に確認する間もございませんでしたけれども、この北上とかあるいは奥羽の山系の山ひだをはうようにして行わなければならない、そうした人たちの仕事というものが、それはもともと地形その他の地理的条件から、全国的な平均の効率で物を言われると、そんなことはやめるということになるわけですけれども、そうした効率が芳しくない地域において、効率化あるいは運営の弾力化等というものが図られるとすれば、その後退は免れがたいということに相なるわけでございます。
 第三に、この法案におきまして、そうした性格の異なるいろいろな措置を一まとめにして、ただ財政上の都合、つじつま合わせだけを軸にいたしまして改正されようとしていることであります。とりわけ、先ほど述べましたところの交付金化のように、国と地方との役割分担等の改善の方向といたしまして、これまで一般に改善の方向として指摘されておりましたことを、一応その趣旨に沿ったもののように先取りして言われますと、そのようなつもりで改善の方向を私どもは言ってきたのではないというようなことは、実ははなはだ申し上げにくいということになるわけであります。しかしながら、このような地域の実情に即しました措置を事実上否定するような法案というものは、やはり地域の住民を納得させるに足る十分な合理的な理由も見当りませんだけに、そのこと自体が不当に自治を混乱させるものというそしりを免れがたいものと考えざるを得ないところでございます。
 最後に、本日はくしくも、間もなく本年度の予算が参議院において成立する日とかいうことになるのだということを伺っておりますが、予算を先に通しておきまして、その執行の必要から、国の施策の基本にもかかわる法制の改正を図るというのは、順序があべこべではなかろうか。今後は、もう少し先にこうしたことを検討して、十分国民の納得を得、それから予算編成というように、ぜひやっていただきたいということを切望する次第でございます。
 甚だ雑駁ではございますけれども、以上で私の意見陳述を結ばせていただきます。
#373
○堀之内座長 ありがとうございました。
 次に、松川誠君にお願いいたします。
#374
○松川誠君 私は松川誠でございます。
 本日は、ただいま国会において議題となっております国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対し、意見陳述の機会を与えられましたことに深く敬意を表するものでございます。同時に、私が日ごろ抱いている見解を率直に表明させていただきます。
 実は、昨日大蔵委員会からその資料をいただいたばかりでございますので、果たして立派な意見が陳述できるか、それは疑問でございますけれども、聞き上手な諸先生方にはよく御理解を願いたい。
 結論から申し上げますと、私は、本案に対して率直に言って反対でございます。
 まず、反対の第一の理由は、国と地方の税財政制度のあり方という基本問題について何ら触れることなく、国の財政的理由をのみ優先させ、補助率を一律カットし、地方に負担を転嫁させることは、国と地方の財政秩序を乱し、国、地方間のお互いの信頼関係を損なうものではないかと私は思うからでございます。
 国の補助金は、戦後、地方自治が未熟であり、また、地方財政が極めて貧弱で、かつ、地方団体間の財政力にかなりの格差があった時代において、全国均一の行政水準の確保、福祉のナショナルミニマムの確保等の要請から、不可欠の制度としてその存在意義を有してきたのであります。しかしながら戦後四十年、地方自治も発展し、地方自治体の行財政能力も向上してまいりました。かかる時代においては、かつてその存在意義を有していた国の補助金も、多くのひずみを生むに至っているのであります。つまり、我々自治体において、「地方の時代」にふさわしい総合的な行政運営を行おうとしても、国からは各省庁ばらばらの補助金が交付され、しかも、それぞれ細かな条件がつけられるなどにより、それができない状態になっております。また、国の補助をもらうための事務手続や陳情などに手間がかかり、それらもばかになりません。
 国の補助金の整理合理化に当たっては、かかる補助金制度の不合理を是正し、三割自治と言われる今日の国に偏した国と地方の税財政制度のあり方を、「地方の時代」にふさわしく合理的に改めることが不可欠ではないでしょうか。各省庁ばらばらの補助金は、地方交付税率の引き上げなどにより地方の一般財源化するなど、地方の自主性にゆだねることが必要ではないでしょうか。政府の今回の措置は、この点について配慮がなされていないと私は言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、地方は財政再建に努力していないことを、あるいは前提として、地方に負担を押しつけているように思えることであります。
 確かに、国債費が十兆円を超えた国家財政の危機は、私は、一国民としても無関心ではいられないし、国民全体が痛みを分かち合うべきだという考えもわかります。しかし、国は財政再建のためにどれだけ努力をしてきたのでありましょうか。地方自治体の中には、かつてのオイルショック以来、景気の激しい冷え込み、地価上昇に四苦八苦しながらも、長期の税収減少を予測して、業務の縮小や民間委託、あるいは議員あるいは職員の定数の削減など、行財政の高効率化を図りながら今なお懸命に努力をしているところでございます。
 これに対して国の行革努力はいかがなものでありましたか。行革のかなめである肥大化した行政機構の縮小や各省庁ばらばらの行政のあり方の問題にどれほどの努力をされてきたのでありましょうか。行政機構の改革は、単なる機構いじりや看板のかけかえにすぎないのではありませんか。国の縦割り行政や、地方自治体へのかたくなな組織、職員の必置規制が、自治体の行革努力をいかに妨げてきたことかを政府は深く銘記すべきでありましょう。地方自治体にも、職員の高額給与あるいは退職金の問題など、改革すべき問題もあります。しかし、営々として健全財政に努力してきた自治体も数多いのであります。国の行政のあり方に根本的メスを入れずに、健全財政に努めてきた自治体に痛みを分かち合えということでは、余りにも一方的で権力的姿勢ではないかと私は思うからであります。したがって私は、地方自治体と痛みを分かち合う前に、国は行革に徹底的に取り組み、地方に模範を示すべきであろうと思うのであります。
 第三は、今回の措置は地方財政法の趣旨に反するのではないかということであります。
 地方財政法二条には「国は、地方財政の自主的な且つ健全な運営を助長することに努め、いやしくもその自律性をそこない、又は地方公共団体に負担を転嫁するような施策を行つてはならない。」と定められております。これは、国の都合により地方自治体の自主的な行政運営がゆがめられてはならないという理由からだと私は理解しております。政府の今回の高率補助のカット、地方への負担転嫁は、明らかに地方財政法の趣旨に反するのではないかということであります。
 第四は、政府の今回の措置は行政改革の精神にも反するのではないかということであります。
 補助金は真に必要なものに限り、必要最小限とすべきであり、そのための手続も簡単明瞭とすべきでありましょう。それが納税者の立場に立った行政であり、国民に自主、自律の気概を醸成し、国全体に活力を生む基本であります。時代の変化とともに役割を終えた補助金は廃止すべきであり、地方に同化あるいは定着した補助金は地方の一般財源に振りかえるべきでありましょう。また、地方自治体に過重な負担を強いている、補助金に係る膨大かつ複雑な事務手続は、思い切ってこの際簡素化すべきでありましょう。単に補助率を引き下げただけでは、国、地方を合わせた国民の負担は何ら変わらないし、補助金にまつわる問題の解決に寄与するものではありません。行革の効果は全くゼロであります。政府はこの点に十分留意され、行革の趣旨に沿った補助金の整理合理化を行うべきであると私は思います。
 その他、国と地方との事務再配分の問題、補助金にかかわる機関委任事務の問題など、補助率のカット以前に解決すべき問題は数多くあろうと思います。これらの問題について何ら改善することなく、単なる財政上の理由のみで補助率をカットしたことは問題であり、私は、これが先例とならないよう祈る一人でございます。
 最後に、私は今日の補助金制度の改革について私の意見を述べ、陳述を終わりたいと思いますが、第一は、零細補助金や地方に同化定着した補助金は、これを廃止するか、地方の一般財源化する必要があるということであります。
 第二は、公民館や児童館、福祉センターなどのコミュニティー施設に係る補助金はできるだけ統合化し、どのような施設をつくるかは地方の自主性にゆだねるべきだということです。少なくとも地方自治体が各省庁から出されている補助金で、土地の有効利用の視点から多目的複合施設をつくる場合、これに制限をつけないで地方に任せるべきだということであります。
 第三は、補助金の申請などの事務手続について、交付様式の統一、窓口の一本化、補助交付の迅速化など、地方自治体に過重な業務を課している事務手続を思い切って簡素化すべきであります。少なくとも二重、三重のむだとなっている国の地方出先機関との協議は廃止すべきだと考えるのであります。
 第四は、補助金の惰性的存続を防止するために、奨励的あるいは財政援助的な補助金については存続期限をつける必要があるのではないか、このように私は思うのでございます。
 以上で私の陳述を終わりますが、私は、諸先生方には陳情のないすばらしい政治の姿勢を求めて、私の陳述を終わります。御清聴ありがとうございました。
#375
○堀之内座長 ありがとうございました。
 次に、村上博是君にお願いいたします。
#376
○村上博是君 私は、自治労岩手県本部の委員長をしております村上博是と申します。
 今回の国の補助金等の整理及び合理化並びに臨時特例等に関する法律案に対し、反対の立場から意見を述べさせていただきたいと考えます。
 私は、職務上県内の市町村を絶えず回っておりますが、そこで共通して言われることは、今回の補助金カットの問題は、まさに大きな津波に襲われているようなものだということであります。岩手の三陸沿岸は津波の常襲地帯でありますが、臨調行革路線のもとで、老人医療の有料化、健保の本人一割負担、国保の補助金削減、そして今回の補助金カットというように、次々に津波が押し寄せてきて、住民の生活と地方自治が脅かされている、そういう危機感を、どこの首長であれ、職員であれ、強く抱いているのが県内の実態であります。
 その具体的証拠の一つとして、私どもも取り組んだ国の補助金カットに反対する請願が、県議会を初め県内六十二市町村のすべての議会で採択されたことを挙げることができます。すべての議会での反対決議、こういうことは岩手県ではかつてなかったことと思います。本日の先ほど来の意見の陳述、つまり県、市町村当局、そしてまた私を含め自治体職員、その代表の立場の者あるいは学者、これらをもってしても、我が岩手県では全県この法案の撤回を目指していることを、まずもって御認識をいただきたいと考えるところであります。
 すべての自治体が反対するのは、国の補助金カットがもたらす影響が極めて重大かつ深刻であるからであります。県内の各自治体の六十年度予算を見ましても、十三市のうち七市がマイナス、四十九町村のうち十六町村がマイナスであり、大変厳しいものとなっております。県内の補助金カットによる影響は、経常経費、投資的経費を含め県予算で八十億円、市町村で二十七億円と見込まれ、合わせて百億円を超えるものと見られております。しかも、県の八十億円は、生活保護、老人保護、児童保護など、社会的援助を必要とする弱い立場の住民を直撃するものであり、投資的経費も、復旧治山事業など住民生活に密着したものであります。
 これらについて国は、一年限りのことであり、六十年度については地方交付税や建設地方債で手当てをしたから、住民に直接影響はないと説明しているのでありますが、国が手当てをしたのは五千八百億円のうち一千億円だけで、あとは地方に借金のツケが回されるのであります。まして手当ては今年度限りで、来年度以降はカットしたままというような議論が国会で行われているのでありますから、そのような事態になれば、まさに大変な事態であります。
 ここで強調したいことは、既に県や市町村では、住民の反対を押し切って単独補助金の見直しや削減を行ってきたことであります。その上に今回の国の補助金カットですから、それだけ地方財政全体と住民に与える影響は深刻であると言わざるを得ないのであります。
 例えば沿岸の釜石市では、新日鉄の人減らし合理化が進み、大変な不景気の中で、五十八年度予算において補助金の一割カットを軒並み行ったのであります。それも、子供の幸せを守る親の会運営費十万円を九万円に、点字サークルや手話サークルヘの補助金三万円を二万七千円に、朝起き野球への補助金三万円を二万七千円にというように、微に入り細に入り削ったのであります。また県予算でも、昨年度は県単補助金を百六十九件、十一億三千万円をカットし、今年度も補助金を五十七件、五億七千万円、事務事業を百二十六件、六億四千万円、それぞれカットしています。ここまで切り詰めた上に今回、全県で百億円余の国の補助金が削られ、さらに、それの一般財源への波及等の影響を考え合わせるならば、事は重大であります。
 こうした中で、既にさまざまな形で心配されることが県内で起こっております。
 県南のある市での、現在、市と折衝中の事例でありますが、母子世帯の母親が生活保護を申請したところ、八月になれば児童扶養手当が支給になるから、それまでの四カ月間は借金をしなさいと言われているとのことであります。一歳の子供を抱えた母親が縫製工場で働いていても月収六万円程度のため、月四万円程度の生活保護を受けようとして断られているのであります。借金をしたのでは到底返せるものではありません。ところが近年、こうした受給制限や締めつけがますます厳しくなり、厚生省はことしの一月、母子世帯から申請があった場合には安易に適用を認めないように指示しているのであります。こうした結果、六十年度予算では、生活保護費では一億二千万円の減額となっているのであります。これは県であります。生活保護制度は、憲法二十五条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を保障するかなめの制度であり、本来国が全額負担すべきものであることは言うまでもありません。また、児童措置費についても、年々保育料が値上げされ、父母負担が増大しております。このため保育料の滞納が増加したり、保育料が高いので子供を保育所に入れることができないなどで、保育所では定員割れが起こるなどの問題が生まれているのであります。
 そんなところに今回の補助金カットで、例えば大船渡市では約九百万円から一千万円の負担増となっております。このため市では、この負担を軽くするために、これまで児童一人に月七百円の措置費の加算をしていたものを、これを二百円ずつ削っています。しかし、一割カットのしわ寄せが子供たちに及ぶことにだれもが反対で、共産党も自民党も復活を要求し、市もその方向で検討せざるを得なくなっている事情にあります。
 今回、教材費等の国の負担制度が廃止されようとしておりますが、これに伴い県北の大野村では、予算編成の段階で教材費がゼロ査定となり、村長査定でようやく復活するという事態が起こっているのであります。これまで年次計画で教材費等の整備も進めることができたのでありますが、これが一般財源化されることによって自治体の財政事情に左右されかねないのであります。必要な備品等の基準は国で決めていますが、その整備は市町村任せというのでは、ちぐはぐなことになるのであります。
 次に投資的経費についても、例えば、ある自治体では交通安全施設整備を三千三百万円の事業規模で行おうとしていたところ、財政当局から半分にしなければならないと言われ、予算規模を縮小せざるを得なくなっているのであります。これも、例えば盛岡市の隣の矢巾町長は、一割カットの影響について、要するに百メートルの道路なら五十メートルやるしかないというふうに端的に表現しているのであります。
 以上私は、制度上の問題等について触れる時間がありませんでしたが、県内の自治体の幾つかの例について触れてみました。今回の補助金一律カットが実施されるならば、特に国の財源に依存する度合いの強い岩手県においては、地方財政危機に拍車をかけ、住民生活に重大な打撃を与えることは明らかであります。私は、今こそ軍事費を削って国民の生活と医療と福祉の充実をという立場から反対の意見を述べ、陳述を終わらせていただきたいと思います。
#377
○堀之内座長 ありがとうございました。
 以上で意見陳述者からの意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#378
○堀之内座長 これより委員からの質疑を行います。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
#379
○上田(卓)委員 今六人の諸先生方から貴重な意見をいただきまして、本当に私たちは喜んでおるわけでございます。特に全員の皆さん方がこの補助金の削減法案に反対、こういう立場ではなかろうかということで、我が社会党も、全面的にこの法案に反対して今、国会で頑張っておるわけでございまして、大変心強く感じておるところでございます。
 さて、補助金の削減と、こういうことでございます。先般、私も大蔵委員会で質問をいたしたわけでございますが、補助金というよりも、多くの部分が国庫負担金の削減、こう言った方がいいのではないか。法律の中身においても、また予算額においても、圧倒的に国庫負担金の削減、こういうものが含まれておるわけでございまして、そういう意味で国庫負担金等の削減の法案、こういうように法律自身も表題を変えるべきだ、こういうふうなことを申し上げたわけでございます。
 さて、この法律案によりますと国庫の、国費の削減額が九千四百八十億円、こういうことになっておるようでございますが、今、副知事さんなり、あるいは関係の皆さん方からのお話をいただきますと、この岩手県においては、県において八十億円、それから市町村において二十七億円、計百七億円の負担増になる、こういうことでございますが、国においては三十二億円程度の削減というように考えておるようでございまして、やはりこの法律によるところの地方の負担割合、負担額といいますか、そういうものが国と地方において大きく食い違っているということでございますので、この点について、なぜそうなっておるのか、詳しく副知事さんなり、あるいは市長さんからお聞かせいただきたい。また大蔵省の主計局の平澤次長もお見えでございますので、お聞かせいただきたい、こういうように思うわけでございます。
 それに関連いたしまして補助金の廃止、そして地方交付税でそれを措置する、こういうことでございますが、高橋文雄さんからもお話ございましたが、これは地方交付税の総額がふえるのじゃなしに、地方の自主財源である地方交付税の中から充当される。三二%ですね、国税三税によるところの三二%の中で措置されるということでありますから、その分だけ逆に他の交付税、交付金が減るということになるわけでありまして、追加されるのじゃない。そういう意味ではタコが自分の足を食べるような形になって、その分だけが逆に削減されておる、こういうように解釈されるべきでなかろうか。そういう点の違いから、国と地方自治体のそういう算定額に食い違いが出てきているのじゃなかろうかと思いますので、まず、その点についてお聞かせいただきたい、こういうように思います。
#380
○赤澤善二郎君 国の三十二億という数字は私にはわかりません。
 私、先ほど百億円と申しましたのは、県だけで百億円――八十億円という話もありますが、その内訳をまず申し上げたいと思います。
 経営経費系統、いわゆる社会保障、国土庁関係の計上額は二十億二千八百万円でございます。それから公共事業の関係の投資的経費の関係で、事業費を据え置いた場合、三十五億六千九百万円、それから事業費の伸ばしがありますから、その分で二十四億二千百万円、それで締めて五十九億九千万円が公共事業関係で影響を受けます。その合わせた額が八十億一千八百万円であります。そのほかに後進地域のかさ上げに関する部分があります。それが十一億五千万円あります。その十一億五千万円のほかに、実は今度カットによって財源措置がどうもされてないというふうなことを聞くわけです。直轄事業の負担金はことし納めなければいけません。その額は一億五千万円あります。それで来年になりますと、かさ上げの分が県の方へ参るわけですが、平年度化しますと約五億ほどございます。そのほかに、実はいろいろな補助金で交付税の方へ一般財源化されたものが五億ほどございます。したがって、百億をちょっと超える数字になるわけでございます。
#381
○太田大三君 盛岡市の場合の例を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、一つずつ積み上げまして五億六千六百万の地方負担ということになっておりますけれども、その主なものは生活保護とか児童保護とか、そういう関係の厚生省関係が四億二千八百万ほどで、大体七五・六%ほど占めております。それが一番大きいわけでございまして、その次が建設省関係で一億二千百万円。あとはかなり小さくなっておりますが、文部省関係一千百万円、労働省関係六百万円というような形になっておるわけでございます。私の方は、それぞれ各事業ごとに積み上げておりますので、先ほど副知事さんからもお話がございましたように、国が三十二億でこちらがどうのというような数字ではなく、積み重ねで数字を出しておりますので、御了承を願いたいと思います。
#382
○上田(卓)委員 いずれにいたしましても、各地方自治体の削減額というものと国との関係において、相当大きな開きがあるということがわかったわけでございます。
 次に質問申し上げますが、補助金が廃止されて交付金化する、こういうことでございますが、そういう意味では地方自治体が自主財源としてこれを使うということになるわけでございます。逆に、これらが特定目的ですか、に使われないという懸念があるわけでございます。例えば教職員の旅費とかあるいは教材費ですね、それに使わなくてもいいということになりはしないだろうか、こういうように思うわけで、そういう意味で他に流用されるということが非常に心配されるわけでございますが、その点についてはどのようにお考えでしょうか。
#383
○赤澤善二郎君 教職員の旅費等について交付税の方へ入る形になっておりますが、私の方としては、必要な旅費については見ていくべきものというふうに考えております。ただ、先ほど申しましたように非常に財政が厳しいものですから、完全にというか――まあしかし、必要なものは考えていかなければならないと思っております。
#384
○太田大三君 旅費につきましてはこれは県の方でございますが、教材費につきましては市町村もあります。今の御答弁のとおりでございますが、いわゆる特定と申しますか、ひもつきというか、そういうことも言えると思うわけでございますけれども、そういうものがあろうがあるまいが、やはり必要なものにつきましては市町村としては措置していく必要があるだろうというふうに存じております。
#385
○上田(卓)委員 ぜひともこの点については考えていただきたい、こういうように思いますが、その前に、この法律を廃案にするということの方が一番大事だ、こういうように考えておるわけです。
 それから、補助金の定額交付という問題がございますが、これについても一応その目的に使われるが、その予算を減らすというようなこともできるわけでございますので、その点について、やはり行政においても十分に配慮をしていただきたい、こういうように思っておるわけであります。
 次に、いわゆる高率負担金の一律カットでございますが、河越先生からもお話ございましたが、要するに八割補助が七割補助になる、国の方では一割カットということになるが、地方自治体においては六八%と言いましたか、要するに五割アップ近くになるわけでございます。そういう意味で、例えばある町村において、まあ金額が妥当かどうかはわかりませんが、今まで二百万円の負担があったものが今度三百万円になるということでありますから、二百万円で抑えようとすると人数で絞らなければならない、こういうことになるわけでございまして、国の方の説明によりますと、これは国の負担を地方自治体に負担してもらうだけであって、国民の皆さん方には直接被害はないんだ、迷惑はかけないんだ、こういうことでありますが、結局はやはり地方財政が非常に窮迫している、こういうことから、給付内容には手を入れていないにしても、対象人数を絞っていく、特に、生活保護などにおいては既にそういう傾向があるわけでございますが、それがさらに拍車をかけるということになるのではないか、こういうように思っておるわけでありますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#386
○太田大三君 前提といたしまして、この生活保護なりそういうものは、本来的に私は、本当は全部国で持つべきものというふうに考えております。しかし、従来からの例から申しまして八割、二割でいっておりますし、また一部におきましては、十割というようなことであれば、いわゆるケースワーカーによる査定というものはかなり甘くなるのではないかというような御意見もあることも承知しております。いずれそれらは本当はいろいろ意見を闘わせながら、補助率とかそういう負担率をさらに検討していくべきものというふうに私は思っておりますが、そういう議論を余りしないで今回一割下げたということは、少し遺憾であるというふうに実は思っております。
 しかし、これは全国一律的な問題でございますから、国の負担であろうが市町村の負担であろうが、最低の生活水準を持たせるのは、国であろうが市町村であろうが責任がございますから、そういうふうに市町村の負担がかなりふえたからといって、査定を前よりももっともっと厳しくするというようなことはないと思います。従来どおりのやり方でいって、しかも正当に査定をしていくべきものというふうに存じますし、そのとおり今後ともやっていきたいというふうに思っております。
#387
○上田(卓)委員 この法律の中に行革特例法の一年延長、五十七年、八年、九年と三年の時限立法であったにもかかわらずさらに一年、こういうことでございます。また、この高率補助金、負担金の一律カットというものもあるわけでございますが、これらについて、この臨時特例法も、三十年間そういう意味ではずっと延ばしに延ばされてきたというような例もあるわけでございますので、これらが一年限りでなしにもっと延ばされるのではなかろうかというような御懸念もあるんじゃなかろうかと思いますが、その点についてどのようにお考えでしょうか、皆さんにお聞きしたいと思います。
#388
○赤澤善二郎君 後進地域のかさ上げの延長の問題でございますが、私は、これはやはり今後引き続き政府部内において検討していただきたい、こう思っております。
#389
○堀之内座長 ほかに今の上田君の質疑で御意見がございましたら、陳述人の方から手を挙げていただきたいと思います。――河越重任君。
#390
○河越重任君 先ほど上田先生の方から、一律カットの点等のいわゆる恒久化のおそれということでお話がございましたけれども、先生御承知のように、これはやはり、この法案に関しては本年度限りということですけれども、新聞や何かにも伝えられておりますように、むしろ八、二を七、三、これは本来恒久化したかったところを、仕方がなくて本年度限りにしたい、それでまた、その後で来年度予算編成時ぐらいまでに間に合うように検討するというような格好で、まさに御懸念のことが懸念ではなくて、むしろもう少し確実性があるみたいな格好で進行中ではないかと私は考えております。
 したがいまして、むしろそういうことがあるといたしますならば、こうした国民の生活ないしは生存権を保障するというものは本来どこの責任か。先ほど太田市長さんからもございましたけれども、減らす方ばかりではなくて、やはり八、二をもう少し本来の方に引き戻すというようなこともあわせて御検討いただくのが本筋ではないかと考えるわけでございます。
#391
○上田(卓)委員 五十九年度に赤字国債を脱却する、こういうことで行革特例法が実施されたわけですけれども、どうも脱却できないということで、六十五年までかかるんじゃないか、こういうことでありますから、これが一年限りじゃなしに六十五年まで毎年延ばされるというような、そういう懸念が私どもはいたしておるわけでございます。
 そこで、もう少しお聞かせいただきたいのですが、高率補助金、いわゆる負担金の一律カットによって地方公共団体、地方自治体が五千八百億円の負担増になる。これに対して国の方は、交付金の特例加算で一千億円、それから、いわゆる建設地方債によってあとを賄うということでありますが、それが元利償還で約束されているのが一千億円、そういう意味で、五千八百億円の中で二千億円だけが国の方で何とか措置をしてもらえる、あとの三千八百億円が地方の持ち出しになる、こういうことのようでございますが、その点について地方自治体の方はどのように考えておられるのですか。
#392
○松川誠君 今、五千八百億円の地方負担ということですが、補助金の削減によって、私どもの町は一万足らずの小さな町ですが、そんな中でちょっと二、三を拾ってみましても、例えば農業委員会の補助が丸々削減、あるいは学校の教材費補助が二分の一の削減、保健婦の設置補助三分の一がゼロになる、あるいは高能率農業生産組織育成対策事業、それらがいずれも三分の一から、あるいは十分の十が国庫負担であったものがゼロになる。これらについて一般財源化または交付金化するとしておりますけれども、具体的にどんなような形で出てくるのか、算定するのか。私どもの町村では、本当は当初予算では実態的に苦しんできたところでございます。
 私は、先ほどだれか先生からもおっしゃったように、こういう問題で皆さんがこのような公聴会をもしやるとするなれば、もっと早く来てやってくださることが根本的な問題であって、言うなれば、何のために国費を使ってやっておるのか。
 私どもの町では、例えば二十六人の法定の議員を持ちながら、自助努力によって今十八名に削減しております。皆さんは今、国会の問題で、たった六人の議員すらもやりくりできないでおる。私は、一割削減の前に、皆さんの報酬なり、皆さんが一割削減する方が立派なその答えじゃないのか、そんなように思っております。
 私どもの町では、そんなような中で、二千万円ほど今回マイナスの補助金の欠陥が出ます。道路事業の補助にしましても三分の二が十分の六になる、そんなような道路が八つか九つあります。一千万です。あるいは、さっき言った農業委員会あるいは保健婦のそういうものが一千万で、二千万です。
 今やらなければならないもの、それを忘れて一律にやる、そんなような体制が――一律一〇%削減というその発想はどこにあったのか、これは小学校の一年生がやる発想であって、皆さんを並べて、一割だあっと切った、その結果がどういうことかということを皆さんから教えられたい。でき得るなれば、皆さんはすばらしい英知を持った方々ですから、地方の皆さんのふるさとに帰って、ふるさとづくりをしてから大蔵委員会にまた所属するようであれば、すばらしい一割カットが実現できるだろう。この一割は縦割りの責任だ、縦割りの弊害です。これは私どもの責任ではなく、皆さんが審議してきた過程の中での責任ですから、皆さんに岩手までわざわざおいでいただいた、その何かのお土産をここに残していかれるなれば、もっとすばらしいのじゃないか。東京へ帰って、岩手の自然に触れたお土産ができるのじゃないか。ひとつ皆さん、どうですか、お答えを願いたい。
#393
○上田(卓)委員 本当に松川先生、いい話をしていただきまして、自民党の先生方もおられますし、大蔵省の役人もおられるので、よく理解ができたんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけであります。
 こういう国民生活、また特に弱い者を直撃する補助金の一律カットというよりも、もっとカットしなければならない、廃止しなければならない補助金がたくさんあるのじゃないか。そういう意味で、利権絡みの、そういう要らない補助金というものをなくするとか、あるいは隠れた補助金と言われている租税特別措置法によるところの、そういうようなものを廃止するとか、あるいは当然軍事費なども凍結するというのですか、突出させないというようなことも大事ではないか、こういうふうに思っておるわけであります。
 私たちは微力でありますが、国会で頑張りますことをお約束を申し上げ、同僚の地元の小川先生が発言を求めておりますので、かわりたいと思います。ありがとうございました。
#394
○堀之内座長 小川仁一君。
#395
○小川(仁)委員 六人の陳述者の皆さん、いろいろありがとうございました。私も岩手で生まれ育った者でございますから、皆さんの話を自分のことのように身にしみて感じております。
 特に、岩手は非常に面積も広いわけでございまして、国の施設等についても十分な措置がされていない。この前、話は違いますけれども、例えば同じ面積の四国には気象台が四つあります。岩手県には一つしかないのです。これは県庁所在地が一つしかないからだと言われますけれども、農民の生活一つをとってみても、一関なり水沢に測候所一つ置いてもらえば、この広い面積の岩手県の農民の皆さんや住民の生活に非常にプラスになる。こういうことを考えながら気象台設置を要望したのですけれども、こういうふうな形で、この広い面積、財政的に貧しいところに育った者の私自身の考え方として幾つかお聞きをし、それを反映してまいりたいと思いますので、お答えを願いたいと思います。
 まず、岩手県の場合、公共事業費の依存度が非常に高い県であり、市町村でございます。したがって、現在まででさえ地方自治財政が厳しい状況であったわけでございますだけに、こういう補助金一律カットというものが与える影響、先ほど数字でお話が出ましたけれども、そして皆さんの方から御意見も出ましたが、具体的にはどういう形でそれが処理されようとしておるのか、しようとしておるのか、そこの中で本当に困っておるところはこういうところなんだ、こういう点がございましたら、どなたでも結構ですから御意見をいただきたいと思います。それでは赤澤さんから太田さん、そしてそれ以外の御意見のある方、皆さんからお願いしたいと思います。
#396
○太田大三君 最初に、四国と岩手県との事例がございましたけれども、私も、東北地方とかそういう方面には、公共事業費の配分等につきましてはいわゆる傾斜配分と申しますか、少しこっちの方には余計いただきたいなというふうに常日ごろ考えておりまして、そういう運動もやっているところでございます。
 公共事業費の依存度が我々といたしましては高いわけでございますから、補助金カットの影響というものもまた、おっしゃるとおり高いわけでございます。したがいまして、この影響は出てくるわけでございますから、我々雪国の者といたしましては、本来なるべく早く公共事業に着手したいわけでございます、配分等も早くいただきたいわけでございますから、そういうことになりますと、逆に、この法律そのものには反対でございますけれども、早く通してもらわないと配分がなかなか来ないというジレンマも実はあるわけでございまして、そういう点につきましては両方の面でやはり考えていく必要があるのではないかなというようなことも実は現在考えているところでございます。
#397
○赤澤善二郎君 岩手県の場合、これは五十八年度の数字でございますが、公共工事の依存度の問題ですが、官民合わせて五千百九十億円という投資がされております。そのうち公共工事にかかわるものが二千八百九十七億円でございまして、公共工事に対する依存率というのは五五・八%でございます。これを全国の数字で見ますと、公共工事の依存率は全国では四〇・四ですから、したがいまして岩手県の場合は公共工事に対する依存度が高いということが言えようかと思います。したがって公共工事、県分でもここちょっと下がりぎみに推移してきておりまして、ことしは何とか少しでもふやして、そして、おくれている基盤整備に努めたい、こう思っているわけでございます。
 それからあと、昨年までですと、私どもの県は雪寒地帯でございますし、それから県内景気に与える影響等もありまして、上期の発注率を、県の場合ですと八五%にしておりました。ところが今年度の場合、その契約をどの程度にするかということは、国の内示を得られない段階では決められないということで、そういうことが今度は県内経済にどういう影響を与えていくであろうかということを憂慮しているものであります。
 それから一〇%カットの財源措置の問題ですが、起債額の元利償還金で一〇〇%措置されるものもありますが、公共事業の増に伴う分については八〇%の財源対策債が措置される、二〇%は県が持たなければいけませんよということになりますので、そういう財源的な影響は一部ございます。
 以上でございます。
#398
○小川(仁)委員 今度の一律カットの中で財源が交付金に繰り入れられます旅費及び教材費等についてですが、かつて岩手県は、教材費等は財政基準需要額にも到達しない市町村が幾つかございました。現在はようやくその基準額に到達しつつあったのですが、新聞等の報道によりますと十六市町村がマイナス予算を組んでおられる、こういうふうに聞いているわけであります。教材費等について財政基準需要額に到達しないような市町村が、もし県の方でおわかりでございましたらお答え願いたいし、なければいたし方ございません。特にそういう方向について今後影響が出てくる――いわゆるまだ骨格予算しか組んでいない市町村があるわけでございますから、そういう方向がありましたら、傾向があるかどうかについての県のお考えを伺いたい。
 もう一つは、財政特例法が一年延長になりました。したがって当然四十人学級になるべき学校で一年延長のために四十人学級ができなかった、こういったような具体例、おわかりでしたら。なければ、盛岡市の場合なんかは一体どうなっているのでしょうか、あるいは東山の議長さん、どうなっているのでしょうか、おわかりでしたら、ひとつお伺いしたいと思います。
#399
○赤澤善二郎君 私から教員の旅費についてお答えしますが、ここ数年できるだけ適正な額を見積もるように、予算編成の上においては努力しております。今後におきましても、まあ額の単価をどの程度見るかが非常に難しい問題でございますが、しかし支障を来さない適正な額を措置するように努めたい、こう思っております。
 それから教材費につきましては、ちょっと答えは控えさせていただきたいと思います。
#400
○太田大三君 盛岡市の場合は、教材費等につきましては、いかなることがあっても需要額以下にはしたくないというふうに存じております。
 それから四十人学級のことで、具体的にどうかという御質問でございますが、ちょっと具体的に承知しておりませんので、御了承をお願いしたいと存じます。
#401
○松川誠君 別にございませんけれども、私どもの町村においてはやはり教育は骨組みであり、宝であるということで、うちの方の町長は、そういう教育費、教材費を削減するようなことなくやっていく。あるいは私どもの町に関しては県の御配慮をいただきまして、派遣指導員についても今のところ従来どおりやっております。
#402
○小川(仁)委員 先ほど高橋文雄さんの方から、行政措置のおくれが出てくる可能性があるというふうなお話がございました。もし具体的にそういう点おわかりになっておりましたら、ひとつお知らせを願いたいと思います。お話の中では三分の一ぐらいマイナス予算、そしてさらに今回の一律措置で、行政のいわゆる住民サービスその他がおくれがちになるというふうなお話もございましたが、そういう点について何かお考えあるいは御意見があったら、お聞きしたいと思います。
#403
○高橋文雄君 今までの上田先生も含めた御質問、私のきょうの主張の中心なんですが、今回の特例法案には非常に不明な点が多い。不明というのは、先ほど言ったとおり、試算をしても合わないというふうに、ちょっと私は、そういう中で今議論をされておることに非常に不安があるわけであります。
 もう一つは、町村の財政担当から聞きましても、措置されるものとして予算は組んでいる、したがって、これが措置されなければ計算なんか大変だというのが実態なんですね。ですから、その点については今まで述べたわけでありますけれども、小川先生の話の中で特に答えるとすれば、まず私は単年度で終わることについて疑義があるということを申し上げたわけですね。それは緊急避難というのは、ややもすれば、今の公務員賃金も同じでありますけれども、続くということがあるものですから、一年間で終わることがその面からも保証されないということと、一年限りの措置でこの財政問題が解決するのかということになりますと、私はそうではない、相当な規模の国家財政の課題だと思っておるわけであります。
 そこで先生の御質問にお答えするわけでありますが、若干私は観念論といいますか、それで申し上げたのですけれども、いろいろと担当から聞きましても、何といいますか、事業をやろうと思っても、いわばそれにブレーキがかかるといいますか、先ほど矢巾その他の例も出ましたけれども、市町村の持ち出しがあるとすれば従来に増したスピードで仕事はできないという意味で、仕事は進行が延びていく。そこで例として挙げたのが、生活基盤の整備にかかわるような都市整備なんかの場合でも、従来からも五年計画が七年に延びておるように、それがさらに延びることについて、町村の方々はそういう危惧を持っているわけであります。
 そうしますと当然のこととして私権の制約というのがその分長く続くわけでありますので、これは経済面だけではなくて、市民のそういう財産権にかかわっても影響を呼ぶという意味で、一割カットの問題を中心とする今回の法案は、財政的な問題もそうでありますけれども、意外な分野で、例えば町村の公共事業の意欲を阻害、と言えば言葉は悪いのですが、そういうことになったり、あるいは間接的には、そこに住む方々の生活やあるいは財産権の問題まで含めて、従来と違った意味で問題が出てきはしないかというふうに考えておって、それらを中心にきょう申し上げたわけであります。
 ちょっと御質問の意味が理解不十分のためにお答えが十分でないと思いますが、私は、やはり今の議論は少しマジックが多過ぎるといいますか、どうもみんなが期待をして予算を組んだけれども、果たしてどの分野でどのようにということになりますと、皆目見当がついていないということが実態でありますだけに、それともう一つ、さっき言ったとおり、単年度で終わる、あるいは完全に補てんするのであれば、何もこんなに難しい措置をとらなくてもいいんではないかという意味からすれば、多少勘ぐって言えば、さらに、あるいはなおという意味で不安があることについて申し上げたつもりであります。
 以上です。
#404
○小川(仁)委員 時間はいいですか。
#405
○堀之内座長 はい、まだあと十分。
#406
○小川(仁)委員 では、岩手県の各市町村の公債額、公債費率を拝見しておりますと、二〇%以上の市、町が五つ、まあ一〇%未満というのは都南村だけでございます。こういったような公債費率。今回の一律カットで各市町村持ち出しがふえるわけでありますから、さらに公債の増額という方向に進むのかというおそれもあるわけですが、逆に言うと、岩手県各市町村貧乏ですから、借金しても返せないから、この程度の公債費率で抑えているという町村だってあると思うのです。具体的には、例えば東和町とか千厩町なんというのは二〇%を超えています。こういうところは一体財政的に、この一律カットをやれるのだろうか。あるいはもうこれ以上公債を発行できない、起債できないという事態の市町村、そういったようなものが県の見方としてございましょうか。その辺、おわかりでしたらお願いしたいと思います。
#407
○赤澤善二郎君 市町村の公債費率の問題でございますが、県下の市町村の公債費率、これは実はいろいろ定義があるのですけれども、標準財政規模で公債費の額を割る、しかもその場合、交付税で措置されている部分は除きます。それではじいたものでございます。したがって自分の自由に使える金から払える方の率になろうかと思いますが、その公債費比率は、五十八年度の数字ですが、県内の全市町村平均は一六・四%でございます。全国の市町村平均は一三・四%でございますから、県下平均で見ますと三ポイント高い。したがって、県下の市町村の財政は苦しいということはまず言えると思います。そのうち二〇%を超えるものは五十八年では二市町村ふえまして、御指摘のように五市町村になりました。それから一五%から二〇%の市町村は三十八市町村でございまして、これは対前年九市町村増加いたしております。しかもこの中には一八%あるいは一九%台の市町村も相当ございますので、したがって二〇%により近づいているという点は、これは財政運営上非常に問題があるというふうに私は解しております。
 それで、こういう市町村に対して起債制限というのは、今度は起債の公債費率によるところの別な制限がございます。それで起債制限がかかるということになって、いろいろと各市町村では、先ほど、どなたかがおっしゃいましたが、ことしの予算では前年よりも落としているということで、非常にやりくりをしているようであります。しかし、一割カットに伴うところの財源措置、実はまだ起債方針を私ども国からもらっておりません。これについて相当の措置が講ぜられると思いますが、しかし、そのバックグラウンドには、実は、こういう公債費率の非常に高い市町村があるということをどうか御配意賜りたいと私は思うわけでございます。
#408
○小川(仁)委員 時間がなくなりましたので、あと、岩手県の立場から、どうしてもこれだけはおっしゃりたいという方、十分間の時間不足の中で、ここはというところを言えなかった方がございましたら、一言ずつで結構ですから、御希望の方、どなたでも御意見を賜りたいと思います。
#409
○村上博是君 ただいま公債費比率が大変高くなっているというふうな市町村関係の財政状況と、今回、起債でもって手当てをしたという関係についてお話がありましたので、その件について、私の方からも実態について少し触れさせていただきたいというふうに思います。
 よく言われるとおり、例えば一番厳しい状況にあるのが大船渡市で二一・五%、これはいわゆる公債費比率。今赤澤副知事さんが申し上げましたいわゆる起債制限比率という、国が手だてをするのを除いた基準でいいますと、一七・八というふうなことになりますが、かなり無理をして償還を前に持ってきて、三年間でもって、この起債制限率が二〇%にならないように、そして再建団体になることを避けるためにぎりぎりの努力をしているというふうな状況が、現に大船渡市などにあるわけであります。したがって起債でもって手だてをしたといっても、それにこたえて起債を起こすことが、大船渡の例ではありませんけれども、大変な状況にあるのではなかろうかというふうに思いますので、もし時間がありましたら、また後で触れたいと思います。
#410
○河越重任君 この法案によりますところのカットの影響でございますけれども、先ほど県の試算等で百何億というお話がございました。これは総額との関係で見ますと、結局、人口で頭割りにしますと、全国平均に比べて岩手県においてはほぼ倍近いものを、いわばカットの影響をしょい込まされるということを申し上げておきたいと思います。
#411
○高橋文雄君 今回の問題に限らないわけでありますが、市町村財政の診断等を通じて思うことは、今の物差しというのは、ややもすれば人口密度といいますか、そこが中心になってきているという意味で、やはり土地の広さとかそういう環境ファクターが上がってこなければという意味で、私たちは常に御意見を申し上げているわけでありますが、そういう点からしましても、さっき申し上げたとおり、すべての面で一律というやり方というのは、与える影響が地域によってかなり違うということについて、その問題についても同じことが言えると思っていますので、物を考える場合の一つの要素として、広さなり交通事情なりを含めたものがなければ、交付税の場合でも、人口が中心になってくるというと、いわば過疎地帯についてはそれなりの手当てはあるにしても、どうしても現実的に問題があるように思っておりますので、そのことについてだけ申し上げておきたいと思います。
#412
○小川(仁)委員 では、終わります。
#413
○堀之内座長 午後一時から質疑を続行することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#414
○堀之内座長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。宮地正介君。
#415
○宮地委員 意見陳述者の皆さんにおかれましては、大変に御多忙の中を、本日の衆議院大蔵委員会公聴会に御出席を賜りまして、心から厚く御礼を申し上げる次第でございます。また、先ほど来の陳述に対しまして、貴重な御意見に心から敬意を表する次第でございます。公明党を代表いたしまして、限られた時間でございますが、何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 今回の国会に提案されております補助金削減一括法案、先ほど来諸先生方から陳述がございましたが、私どもも、国の財政運営のこの失政のツケというものを、補助金カットという手法によりまして全国の地方公共団体に負担を転嫁するというのは、まさに八〇年代後半の、これからの「地方の時代」に逆行するのではないか、特に、地方財政法第二条第二項の精神に抵触するのではないかと大変に危惧をしているわけでございます。特に、生存権の保障をしております憲法第二十五条、この問題に対しましても、生活保護者初め老人対策あるいは児童措置費、身障者対策費など、国民の弱い立場におられる方に、高率補助金一括削減ということで切り込んだということはまことに残念な限りでございまして、特に、御当地岩手県のように、大変に財政基盤の弱い、また過疎地域をたくさんお持ちになっている、こういう地方自治体に対しましては、なおさらの地域格差拡大ということで、私ども大変に心配をしているわけでございます。
 そこで、まず私がお伺いしたいのは、今回のこうした補助金の削減一括法が衆議院大蔵委員会で今審議をされているわけでございますが、きょう夕方には本予算が参議院で可決。こうなりますと、この法案は確かに非常に大きな問題点があり、我々も反対の立場を持っているわけでございます。現実問題として、執行面において今度は大変に大きな影響が国会審議の問題に絡み出てくると思うわけでございます。そうした執行面のおくれが、地域経済の中における、特に公共事業の発注の問題などにつきまして、景気に大変に大きな打撃になるのではないか。本来、政府としては公共事業の前倒しということを積極的に行政指導する立場にあるわけでございますが、逆に、今回の措置が執行がおくれますと後倒し、こういうような状況になるのではないか。
 特に、岩手県のような、大変に地域経済の中の大きなウエートを占める公共事業発注問題に絡み、今回のこうした補助金削減一括法案の審議につきまして、特にこうした執行面におけるおくれが景気、地域経済に与える影響はどうなるのだろうか、こういう点も心配をしているわけでございますが、まず、この点について副知事さん、また盛岡市長さん、また河越先生、御意見がありましたらいただきたいと思います。
#416
○赤澤善二郎君 六十年度の公共事業は千二百二十一億円を今のところ見込んでおります。それで通常の場合でありますともう四月の半ばにおいて内示があって、そして協議をする、四月末には早いものについては契約を結ぶ、そして五月には着工されるという段取りになるわけであります。したがって、通常の年でございますれば五月の発注が多くなります。そういうことでございますが、今その執行計画がつくられないということで、先ほど来申し上げておりますように建設業関連業界、それから雇用されている人もありますが、そういうふうな方々へいろいろ波及していくのではないかということで苦慮しているわけでございます。
 あと、社会保障の関係での生活扶助の問題でございますが、生活扶助世帯は岩手県の場合約三千五百世帯ございます。この方々には、例年ですと遅くとも四月半ばに決めて、四月末に四月と五月分を支給するというふうなことになりますが、そこいらのめども立っていない状態でございます。しかし、これについてはもう生活費にかかわることでございますから、県としては立てかえ支弁をせざるを得ないだろうというふうに思っております。その金額としては、生活保護費として、ちょっと今数字はあれですが九億円程度ではなかったかと思います。そのほかに在宅障害者手当資金、福祉手当の資金が約一億ほどあるのではないかと思っております。
#417
○太田大三君 我々、こういう雪寒地帯と申しますか、冬の間はなかなか事業が進まない地区におきましては、なるべく上半期におきまして契約率を多くしなければならないわけでございまして、暖かいうちになるべく仕事をしたいというのが希望でございますが、今お話がございましたように、この割り当てとか箇所づけがおくれてまいりますと、現在の高率補助分につきましてはかなりおくれが出るわけでございます。したがいまして、我々が組んでおります単独分とか、あるいは定率の補助分は箇所づけができるかもしれませんが、高率分につきましても早く箇所づけ等をしていただきまして、上半期の契約率を上げていく必要があるというふうに考えております。
#418
○河越重任君 ただいま先生御質問の地域経済に及ぼす影響でございますが、まことに恐縮でございますけれども、何分急なことでございまして、実は、言われております一割カットということのほかに、この法案の中で微妙な条文の改正点やなんかの影響も読み込んで、それを頭にたたき込みまして、大体どんなところが主なところかなという見当をつけて、それをどうかという検討をする暇がございませんでしたので、確たることを申し上げることができません。
 ただ、一割カットの影響にいたしましても、末端と言うと語弊がございますけれども、具体的に市町村の段階になりますと、カットされて、それを肩がわりで払わされることはわかる。国の方はそれに対して交付税を千億増し積みする、それから地方建設債も一応は認めるということでございます。しかし、交付税の方につきまして、総額はそうはおっしゃいますけれども、具体的に個々の市町村に対して、どの費目についてどういう単価、単位でもって幾らくれるのかはさっぱりわからない。それに対応してどういう影響が出ると言われたって、予算を組むのでさえも困りますというのが実情でございまして、それがどういう影響をしてくるかということは当然はっきりしない。
 ただ、一般的にわかるということからすれば、全額補てんしてくれるわけではない、しかも総枠は従来のままというか、だんだん先細りと申しますか、枠が限られていて、その中でやりくりということになりますと、カットされたそのものだけではなくて、その他の部分に影響を免れないことは確かである。ただ、それが個々的に、どこの部分にどうなるかということは、まだ現在はじけないという状態でございます。
 それから、大部分のところは建設地方債の発行ということでございますけれども、先ほど来、個々の公債費率が非常に高いというお話が出ております。したがいまして、より財政規模の小さい市町村になりますと、そんなものをもらっても、その返すのを、だれか国なり何なりが後から面倒を見てくれるならば借りる余地はあるけれども、返す見込みがないから、借りたくたって借りる余地がないということでございます。したがいまして、それやこれやで、例えば公共事業あたりにしたって圧縮を免れないというようなことが現状ではないかと思います。
 そしてもう一つ、一般的に申しますならば、そういう格好で、ある程度市町村が無理をして対応しよう、圧縮をしようといたしましても、この東北におきましては、雪が一降り降りますと、東京ではハイヒールのお嬢さんが転べばいいかもしれませんけれども、こちらの方は市町村の財政そのものが転ばざるを得ない。生活がかかっておりますので、その雪をほっておくわけにはいきませんし、これはある意味では財政的には全く生産的ではないわけですけれども、払わざるを得ない。雪の方は、幾ら市町村が節減に努力したところで、一割減ったんだから、かわいそうだから一割降るのを減らそうかというふうに待ってくれませんので、そうした影響で、幾ら計画を立てても狂ってきて、どうしても払わざるを得ない部分が出てくる。その影響というものもまたはかり知れないのではないかと考える次第です。どうも十分なお答えではございませんけれども……。
#419
○宮地委員 先ほど来、各陳述者の皆さんからも、いわゆる大蔵大臣、自治大臣、厚生大臣の覚書によりますところの、今回の一年限りの暫定措置の問題に対して、大変に危惧をされておるわけでございます。私も過日、竹下大蔵大臣また古屋自治大臣、増岡厚生大臣にも確認をしたわけでございますが、今後一年以内に検討機関を設けて、そして六十一年度以降については検討する、こういう覚書の第二項がございまして、どうも竹下大蔵大臣は六十一年以降に含みを残しておる。古屋自治大臣は、一年限りの暫定措置なので今回は国の財政危機に協力をしたんだ、ただし一千億円は特例加算、残りの四千八百億円は建設地方債で手当てしてもらった、聞きようによっては、地方の費用負担への転嫁というものは、財政的手当てがあったから地方財政法第二条には触れないんだ、こういう言い方をして、大変私は憤りを感じたわけでございます。
 私どもも今回のこうした法案の中にそうしたトリックがあることはまことに残念でございますが、今後こうした暫定措置が形骸化されると大きな影響が出てくると思います。我々もそのようなことのないよう、国会で断固この覚書の厳守については対応していきたい、こう思っておりますが、この問題について、時間もありませんので、県当局の副知事さんから岩手県の置かれた実情、そしてこの暫定措置が形骸化されるということで、どういう厳しい打撃的影響を受けるか、この点についてのお話を簡単に御説明いただくとありがたいのであります。
#420
○赤澤善二郎君 初めに意見を申し上げましたように、岩手県の場合、非常に公債費の負担比率が高いわけでございます。しかも、なさなければならない仕事が相当山積しておりますし、それから地域間の格差の問題もございます。したがって、私といたしましてはこの覚書については厳守してもらいたい、そしてその結論は、県民にそして私どもに理解できる形で、納得のできるような形ではっきりとさせていただきたいというふうに思っているわけでございます。
 過去、戦後間もなくドッジによるところの財政改革が行われたときがあります。そして、これによって地方団体は赤字財政に転化しまして、財政再建に私は非常な苦労をした経験があります。その立て直しに相当年数を要しましたが、そういうことの起こらないように第二には要望したいということでございます。
#421
○宮地委員 河越先生にお伺いしたいと思います。
 先生は、岩手大学で社会保障の専門家という立場から大変に御研究を熱心にされておる、このように伺っております。特に今回の補助金の削減一括法案、こうした高率補助金の一律削減という方式、いわゆる財政当局のシーリング枠の押し込みの中から、こうした問題の手法がとられてきたと思います。
 地方におきましては大変に厳しい財政の中、地方の自治体の皆さんも最近は行財政改革に大変に御努力をされ、そういう中から一部地方自治体においては財政事情が大変に好転してきているところもあるやに聞いております。しかし、全体的にはまだまだ地方財政というものは厳しいというのが本音であろう。しかし、そうした地方の皆さんが国に先駆けて地方財政あるいは地方行政の改革に熱心に取り組んでこられておるのも事実であろう。そういうところに冷水をぶっかけるというような感じを与えている。本来、地方の自主財源、こういうものの確保――国から地方に費用負担だけでなくて、やはりあるべき姿は地方制度審議会等の答申のように機能分担、この車の両輪があって初めて国と地方との調和というものができ上がる、こう私は思っております。今回そういう点では費用負担のみが先行して、機能分担が置いてきぼりにされる。まあ今後一年の間に検討機関を設けて、この機能分担についても費用負担についても見直しをする、こういうふうに覚書の中でうたっておるわけでございます。今回のこの一括法が与えた影響、根本的な課題を解決せずに、地方に費用負担のみが転嫁された、これは私は大変残念なことであると思っております。
 そこで、河越先生は特に岩手県下の市町村でいろいろ社会保障関係の御調査をされていると伺っております。聞くところによりますと、この岩手県の県北にあります二戸市に御調査にわざわざお出かけにもなっておられると伺っております。この辺の御調査の結果をまずお伺いしたいと思いますと同時に、今回の補助金削減一括法案、これがさまざまな影響を、特にこうした岩手県のような過疎地域を多く抱えた県には大変に大きな地域格差を与えていくのではないか、その辺を実態的な面から御調査された御報告と、また、こうした政府の手法でなくて、学者として何か新しい手法、対案といいますか、こういうものをお持ちであれば御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#422
○河越重任君 県内の実情につきまして先ほど来いろいろな方々からございます。そして岩手県は広うございまして、殊に県の南の方の部分については先ほどの松川さんからもお話ございましたと思いますので、先生御質問の、例えばということで、県北の方の例をかいつまんで挙げさせていただきます。
 お話しのところは、青森とのちょうど境のところに、人口三万ほどの、いわば県北の拠点都市とも言われる町がございます。年間の財政規模、このごろは圧縮されてきておりまして、今年度大体七十億ちょっと切るぐらいの財政規模の町でございます。そこで、いわばこの法案によるところの補助率のカット、直接どれが何割というわかっているところだけ計算しまして、その町で大体五千九百五十何万、まあ六千万でございますね。しかも、その主たるものが生活保護とか、それからあるいは精薄の援護施設の措置費とか、あるいは更生援護施設の事務費とか、そういう直接住民の生活に密接な関連を持つものの比重が極めて高く、その意味では、いわば補助率のカットもいろいろございますけれども、一番補助率の高いものに該当するところがほとんどであるというような格好になってきておるわけでございます。そしてその他交付税化とかそういうようなことの影響、それから一般財源化の影響というのがまだどうなるかということを試算されておりませんけれども、そうしたものを含めますと、もっと負担増の影響は膨れてくるのではないかと考えます。そして、まだこのほかに本日のこの法案との関係はございませんけれども、今年度につきましていわゆる超過負担が二億円強あって、これにも頭を痛めているというような状況でございます。
 そして、とりわけ、こうした一律カットにつきまして一般に、国より地方の方がまだしもゆとりがあるからだというようなことがしばしば言われておりますけれども、例えば先ほど県は職員給与ほぼ国家公務員並みだというお話ございましたけれども、岩手県の市町村、まあ盛岡市ぐらいを除きましてほとんどは平均以下でして、この県北の町についても大体ラスパイレスが一昨年度、五十八年度で九四・七、それから昨年度が九六・二ですか、いわば全国平均値からすると一〇ポイントぐらいは低い。そして特例債につきまして昨年末の現計でもって七十四億何がしというようなものを抱えていて、いわば年間の予算規模というものを超えてしまっているわけで、したがって、節減に節減を重ねて圧縮してきているので、これ以上の負担増には耐えようがない。もしこれ以上削るということになりますと、例えて申しますならば交付金の申請の紙と鉛筆でも削るしか削る場所がないのではないかというと少し言い過ぎになるかと思いますけれども、むしろ、そういうところが実態と申し上げてよろしいかと思うわけです。そのようなことです。
#423
○宮地委員 最後に副知事に伺いたいと思います。
 岩手県の第三セクターとして事業を行っております三陸縦貫鉄道、五十九年の四月開業ということで事業を起こされまして、国鉄から引き受けまして、この五十九年度の決算が、聞くところによりますと二千五百万円の黒字が出た。率直に、我々国民の一人としてよくやったな、頑張ったな、こういうことで敬意を表したい、こう思うのです。やはり行財政改革の中でやる気になればできるんだな、こういう感じがしておるわけでございますが、この三陸縦貫鉄道のこの一年間の事業の御努力に敬意を表しますとともに、国鉄時代と、第三セクターに移して黒字になる、その内容的な差というのはどういうところにあるのだろうか、まあ時間がないわけでございますが、その特徴の何点かを御説明いただければありがたいと思います。
#424
○赤澤善二郎君 三陸鉄道、実は私、直接担当している副知事じゃございませんので、的確にお答えできるかあれですが、私の感じているところを答えさせていただきたいと思います。
 お話のように二千五百万円程度の黒字が出る見込みでございます。当初、収入は八億五千万円に見込んで、計画的には約九千八百万程度の赤字が出るのではないかと思いました。ところが、今のところ収入が八億一千万になり、そして経費の面といたしましては、計画人員よりも少ない九十八人の従業員で運転をいたしております。車両はアイボリーホワイトの新車両を購入いたしました。これもどういう車両にするか、住民の方々に親しまれるような形のものをどうしようというので随分考えました。そして、運転手一人で運転できるような車両にもいたしましたし、それから自動販売機も設けております。
 で、住民から、自分たちの鉄道ということで利用されまして、通勤通学には非常に便利になりました。しかも、ダイヤを需要に合わせてきめ細かくつくりましたために、一両で運転する場合もあれば二両で運転する場合もある、お客さんが多ければ三両編成にするということで、需要に対応した車両の編成もしております。そんなことで、利用率は通勤通学に五〇%、それから買い物でありますとか病院に通うのにも便利になる、バスなんかで行くと相当時間がかかるのが非常な短縮をされまして、その利用客が三〇%程度です。全国的にも初めての第三セクターであるということから、観光客も非常に多うございました。その率が乗車人員の約二〇%程度ではないかと思います。一日乗っているお客さんの数は、平均しますと七千五百人ぐらいでございます。
 人件費につきましては、国鉄のOBの方あるいは若い人も採用したりしましたので、今のところ人件費も安い。しかも一生懸命やっていただいている。各市町村も、駅につきましてはいろいろな自分の町なりの駅をつくって、そして喜んでいただける、魅力もあるということで、この一年何とか予想外に喜んでいただけた。しかし、これからまだまだ知恵を絞ってこの鉄道を運営してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#425
○堀之内座長 安倍基雄君。
#426
○安倍(基)委員 民社党の安倍基雄でございます。
 本日は、陳述者の方々、貴重な御意見を承らせていただきまして本当にありがとうございました。既に同僚議員がいろいろなことを聞いておりますので、私、余り重複しない形でもってしたいと思います。
 今回の一括削減法案、まあ我々も一つは、それぞれの補助金なり何かはそれぞれに意味を持っているだろう、それを一括しているのはおかしいのではないかという点と、やはり弱者にしわ寄せではないかという面から、民社党としては反対しております。しかし民社党としては、もちろん行革そのものに対しては非常に前向きで考えているところでございます。
 今回の削減法案がどういう支障をもたらしているのかということにつきましては、もう既に同僚議員がそれぞれ聞いておりますが、ここで一つ、今河越先生も指摘されましたように、資金調達が大丈夫かなという点が一つの問題点として若干残されているのではないかと思うのでございます。この点につきまして、もう既にそれぞれ公債費率が高いとか、出しづらいという御意見が随分多い。でございますけれども、副知事さんにお伺いするのでございますけれども、岩手県内でそういった市町村は大体余力がどの程度あるのか、あるいは金融情勢からいって、その消化ができるのか、そういう点をちょっとお伺いしたいと思います。それとともに、地方債の発行につきまして何か要望があるかどうか、その点をお聞きしたいと思います。
#427
○赤澤善二郎君 ちょっと質問の中身を十分に消化できない点がありましたので失礼申し上げるかもしれませんが、資金調達、これは起債の問題と理解をいたしますと、できるだけ県としても不都合を来さないように、また関係機関とも協議してあっせんしなければいかぬだろう。しかも、市町村に対しましては大部分政府資金が充当されると思っておりますので、その点では調達はできるのではないかと思います。ただ、先ほど来申し上げておりますように、起債制限団体に近いところ、そういうところの財政運営については、十分注意して指導してまいらなければならぬというふうに思っているわけでございます。
#428
○安倍(基)委員 基本的には、できるだけ政府資金で見てもらえるだろうという期待とともに、金融情勢としてはどうにかいけるだろう。ただ、基本的には財政事情が悪い町村が多いから、これからこれ以上しょったのでは返していけるのかどうか。もちろん、国が部分的に将来の交付税でもって払うという要素がございますけれども、そういったところ、できるだけ最後には国で見てくれということだろうと思います。
 こういったことでございまして、この法案につきましていろいろな問題点がございますが、その支障をもたらしているかどうかにつきましては、重複を避けましてこの辺で質問をやめようと思いますけれども、これからはどうしたらいいかという問題が一つ問題としてあると思います。
 いずれにいたしましても、私まあ全体を見ますと、特に東京周辺あるいは大阪周辺の自治体というのは本当にむだをしている。こちらの岩手県とかローカルのところは本当に苦労して行革をしているということがしみじみと痛感されるのでございます。行革に関連しまして、さっき松川議長からいろいろ、我々これだけ苦労しているんだというお話もございましたけれども、国がそれを若干阻害する要因があるかのようなお話しもございましたので、その点について、どういう点を国が阻害しているんだろうかということをお聞きしたいと思います。
#429
○松川誠君 お答えになるかどうかと思いますが、例えば多目的な複合施設が最近はやっております。私どもの町にも公民館とそれから勤労者体育施設、省庁が違います。それらに対して、建てる時点においても、あるいは行政指導、監査におきましても、壁をつくってはならぬとか、あるいは玄関が右左にあるとか、看板が裏表にある――そういうことはその地方の特性を生かしたような、先ほど私は陳述の中でも話しておりますけれども、本当にその地方の自治体に、地方の特色ある、そういう高度なものを英知を結集してつくらせる、省庁が余りクレームをつけないで、その地方の実態に合ったような施設をつくらせていいのではないか。さまざまございます。私どもの近くの町にも、福祉センターと公民館というものがある。そういうものは、本当は一体になればその機能を十分に発揮されるべきものが、一つの壁があって廊下をつけなさい、全く不合理なそういう省庁の縦割りで地方の実態に適合しないものが、今日的な皆さんのやっている実態じゃないのか、このように思います。
 それから、ついでですから話しますと、例えば国民年金における印紙制度の問題について、もし皆さんが実態をおわかりでしたらお聞かせ願いたいと思うのです。これは今、年金の印紙制度では国民年金だけじゃないかと思うのです。町村が基金を設けて印紙を買って、住民から納付書によって金をもらう、そうして今度はだれか職員が手帳に印紙をべたべた張って検認をする、そんなむだな手間がある。一割削減もいいけれども、やるべきことをやる、削減するものは削減する、補助をつけるものは二割も三割も補助をもっと出すというような姿勢が大切じゃないのか。ですから年金なんというのは、そういう印紙をつくる方もあるだろうけれども、印紙ではなくして、ただ検認でできる、そして現金送金できる、そんな仕組みがあってしかるべきじゃないのか。
 例えばもう一つは、農業委員会の制度の中では、あれは三年に一回農業委員会というものは選挙がございます。しかし、農業委員会は毎年選挙人名簿を作成しています。何たるむだなことをやらせておいて、そういうことの指導を諸先生方はやってこなかったか。もしそういう実態を、自民党の方々でもよろしゅうございます、社会党の方々、どなたでもよろしゅうございます、実態を知っておったとするなればお知らせ願いたい。
 きょうは貴重な時間ですから、さっき私ども六人は地方の実情を陳述の中でもうしゃべっております。十分御理解いただいたものだと思いますから、逆に私は、きょうは国政に対する苦言の、そしてあるいは抗議の場でありたいというようなことで意を強くしてしゃべっておるのでございますから、私の話が皆さんに通るか通らないかわかりませんけれども、意に沿わないような答えでございますけれども、そのような実態が私どものそういう小さな町でもあるということを御理解願いたい、このように思います。
#430
○安倍(基)委員 結論的には、いろいろ縦割り行政が随分なむだをしているんじゃないかということと思いますけれども、そういたしますと、いわゆるたくさんある補助金、この中で、できたら交付税にした方がいいだろうか、統合した方がいいだろうか、一般財源振りかえでいいだろうかというようなことが中心になるかと思いますけれども、その点について、こういったものはこうすべきだというような御意見があれば、松川さん、あるいはそちらの副知事さんでも市長さんでも、どちらからでもよろしゅうございますが、ではひとつ松川さん、皮切りにお願いします。
#431
○松川誠君 例えば人件費的な補助ですが、例えば保健婦とかそのような補助あるいは少額な学校の教材費的な補助、通年的な、毎年やってきた、定着したような補助金は、私は、これは交付税の対象にするとか自由に使えるようなものに切りかえる必要があるのではないか、このように思います。
 話すといっぱいありますけれども、例えば私どもの町にもそういう少額な国庫の補助的なものがあります。例えば何々学級補助金、家庭教育学級補助金とか、私どもの町は小さいですから額も少ないです、十万円ぐらい。あるいは青少年地域活動補助金十万円とか、そういう五万や十万円の補助金が国の補助という中で生きるよりも、それは交付金なりのような形の中で組みかえられるような姿勢があれば、もっともっと地方の英知がすばらしく伸びるときが来るだろう、私はこんなように思うからでございます。
 以上であります。
#432
○赤澤善二郎君 補助の一般財源への切りかえにお答えする前に、基本的に行政の守備範囲はどこまでにするんだということ、これはいろいろ議論されておりますけれども、これを詰めて、そして国と地方とがどういうふうに機能分担するか、そして費用の配分をどうするんだということを筋目立てて考えていただきたいと思うのです。補助金を減らせば、あとは地方で見ればいいというふうにすぐ持っていくことが多いものですから、そういう筋目というものを考えていただきたいと思います。
 ただ、今お話がありましたように、私自身でさえも何が何やらわけのわからないような補助名目がございます。本当にもう数限りなくありまして弱っています。そして、そのためにつくる書類というものは大変な分量です。働く時間もまた多いわけです。ですから、そういうのを、県の場合ですと補助金合理化の小委員会をつくりまして、民間の方も入って、そうして五十八年度は洗いざらいいろいろやりました。そんなこともありますので、人件費についての問題はやはりその中で当然処理されていいものでありますでしょうし、そのほかいろいろ細かいものについては、もうある程度つくられているようでありますが、削減の対象に考えていいというふうに一般的に私は思います。
#433
○太田大三君 補助金につきましては、全国市長会におきまして昭和五十五年に、「国庫補助負担金の整理合理化に関する具体的改善方策」ということで、国の方にこういう本を出しておりますが、あらゆる項目にわたりまして、一般財源とすべき国庫補助負担金はこうあるべきだとか、廃止すべき国庫補助金、給付金とすべき国庫負担金、国庫負担金とすべき国庫補助金、あるいは統合メニュー化の促進、総合補助金の創設とか、それ以外にもございますけれども、もう五年前に提言しているわけでございます。一部につきましては、この提言どおりになっているものもございますが、やはり依然としてなかなか我々が提言しているような具体的な改善が進んでいない点がございます。
 先ほどもおっしゃってございましたように、縦割り行政というようなものもかなり影響している面もございましょうし、そのほかいろいろな隘路があるようでございますが、いずれ我々市長会といたしましては、その方向に向かって今後とも進んでまいりたいというふうに存じております。
#434
○安倍(基)委員 まさにそのとおりでございまして、副知事さんがおっしゃいましたように、私どもも、国でやるべきものと地方でやるべきものとぴしゃっと分けて考えるべきだと思います。例えば福祉関係なども、これはやはりむしろ国が中心ではあるまいか。国民健康保険なんかにつきましても、各地区地区で、取る金が違うというような話も問題である。国の事務と地方の事務とを分けて、財源ももう一遍考え直すという方向で進むのが正しいのではないかと私どもは考えております。その意味で、もし、こういったものは国の事務にしてもらいたい、こういったものは今までは地方プロパーのものにはしていたんだけれども、国からこちらへもらいたいというようなものがございましたら、今急に言われてもあれかもしれませんけれども、もう時間もございませんので、副知事さんでも……。(赤澤善二郎君「余り突然でございましたから……」と呼ぶ)これは大きな問題でございますから、それでは、こういったことをひとつ皆様考えていただいて、積極的に提言していただきたい。その場合、それは県でやるのか、また市町村でやるのかという配分もあると思いますし、これが税源にどう結びつくのかという問題もございますので、私ども、この問題を契機といたしまして、基本的に皆さんの御意見をあらかじめどんどんお聞きして、それで考えていくべきじゃないかと思っております。
 もう大体同僚議員もいろいろ聞きましたので、私はこれで終わらせていただきます。
#435
○堀之内座長 正森成二君。
#436
○正森委員 共産党の正森成二でございます。
 今度の補助金一律カットと言われております法律については、同僚委員から先ほどもお話がございましたけれども、国庫負担金と区分されるものが大部分であります。そして学者の意見でも、国庫負担金というのは通常の国庫補助金と異なって、国が義務的に支出すべきものでございまして、経費負担区分によって支出されるものであるから、その内容が明確にされていることが必要であり、国の財政状況や各省庁の考え方によってみだりに左右さるべきものではないというのが大方の意見であります。
 ところが、そういう国庫負担金について大幅にカットされるわけですが、まず赤澤さんに伺いたいと思いますが、先ほどの意見陳述の中で、一年限りということであるが、これを厳守してほしいという意見を申されたように思います。
 ここに昭和五十九年十二月二十二日に大蔵、厚生、自治三大臣が行いました覚書がございますが、これを見てみますと、非常に遺憾なことですが「社会保障に係る高率の補助率の引下げ措置を講ずるに当たり、次の通り申し合わせる。」こうなっておりまして、「この措置は、昭和六十年度における暫定措置とする。」こうなっておりますね。したがって社会保障に係るもの以外は「昭和六十年度における暫定措置とする。」という約束の中に入っていないのですね。だから、それ以外の部分については、昭和六十一年度あるいは六十二年度と続く可能性が大いにあります。
 しかも、その社会保障に係る部分についても、「昭和六十一年度以降の補助率のあり方については、国と地方の間の役割分担・費用負担の見直し等とともに、政府部内において検討を進め、今後一年以内に結論を得る」こうなっておりまして、一年以内に、経費負担区分が八対二でなしに七対三でいいとかということになれば、これは昭和六十一年度以降も続く可能性があり、しかもその場合は、大蔵大臣の答弁によれば、一年間見直して決まったものは恒久措置にする、こう言っておりますから、恐らく今年度のような財源措置が行われない可能性もあるわけですね。
 そうなりますと、あなたがおっしゃった、一年限りを厳守してほしいという御意見から見ますと、今度のこの一律カット法案というのは、地方にとって随分厳しい内容のものではないかと思われるのです。ことしは何とかやりくりされたようですが、これが来年度以降も続くということになればどう思われますか、御意見をお聞かせ願いたいと思います。
#437
○赤澤善二郎君 一年の暫定措置ではあるが恒久化するおそれがあるんじゃないかということでございますが、今の段階では法律的にも一年とされるわけでございますので、私は、この段階ではその中で解決されるものと思うわけでございます。
 あと心配されますのは公共事業に係る問題でございますが、やはりこれについても社会保障経費と同じように検討してもらいたい、私はこう思うのであります。
 それから、今後どうなるんだという影響の問題ですが、仮定の上に立ってのことで非常にわかりにくいわけですが、実は、ことしの場合におきましても、交付税の積算の詳細というものは私どもにはわかりません。したがって今、私自身心配しておりますのは、八月に交付決定される交付税額というのは幾らになるであろうか。それで、あれは標準団体を選んでやっていますので、果たして自分のそろばんのように来るであろうかということで、まだまだ心配な段階であります。そして、仮定ですが、来年度以降どうなるかということは、その結果を見てからでないと何とも申し上げかねるわけです。
 ただ一般的に言えば、先ほど申しましたように、私どものように税の脆弱な団体にとりましては、各積算費目も、国の予算と同じように、経常経費は切り詰められて積算されていると思います。したがって、きつい基準財政需要額になるであろう。したがって財源的に少し心配な数字になりはせぬかと思っているわけです。
#438
○正森委員 どうやら、ことしの予算のやりくりでさえ首が回りかねるのに、とても来年のことまで考えられぬというようなお気持ちのようでございます。
 次に、太田市長さんに伺います。
 起債で措置するといいましても、地方自治体の財政状況は非常に悪いようでございまして、ここに公債費負担比率段階区分別団体数の状況という市町村のものがございますが、五十八年度を見てみますと、公債費負担比率が三〇%以上が六十二もあるのです。二五%以上が二百二、二〇%以上が五百五十五、一五%以上が九百五十二でございまして、制限ラインと言われる二〇%を超える団体が八百十九、全体の二五%であります。もし一五%以上を入れますと千七百七十一、五五%ぐらいになります。ですから、起債で措置をするといいましてもなかなか大変なことであろうというように思われます。
 岩手県について見ますと、私もちょっとびっくりしたのですが、大船渡市は五十八年が二一・五でワースト九番目に入っているのですね。それから宮古市が二一%、遠野市が二〇・二%ということで大変な状況であります。ここへ参りましてから拝見しました新聞によりますと、例えば大船渡などは七・五%も、五十九年に比べて六十年度の当初予算の額が減っておるというような状況で、その中で盛岡市はとにもかくにも四・八%増でございますか。新聞記事を見ますと「五十二億八千万円余ある財政調整基金から約十四億九千四百万円取り崩し、同市財政課は「苦しい財源ねん出だった」と言うが、他市から見れば「まだまだうらやましい限り」だ。」こう書いてあります。財政調整基金から取り崩すということは大変なことだと思いますが、それでも「まだまだうらやましい限り」だと言われておるというようなことでございますので、この新聞の記載について、市長さんとして感ぜられるところがあれば、遠慮なくお聞かせ願いたいと思います。
#439
○太田大三君 我々、予算を組む段階におきましては、例えば福祉の問題につきましても、公共事業につきましても、いかにして前年度と申しますか、質や量を落とさないようにやるかということで苦心するわけでございますが、私の場合は、いろいろ要求を見ながら査定をしている段階では、どうしても金が足りなくなったわけでございます。本来、財政調整基金は、減債とかあるいは不時の災害とか、そういうものに充てるべきものでございますけれども、やはり福祉とかそういうものを落とさないためには、こつこつためた貯金をおろすのも、これまたやむを得ないだろうということで予算を組んだわけでございます。
 確かに今おっしゃいますように、私の方も公債費比率が一六・六になっておりまして、かなりきつくなっている段階でございますので、今後仮に起債をするにしても、良質と申しますか、なるべく政府債で長期のものをということを感ずるわけでございまして、政府でもそういうものにつきまして、なるべく地方には郵便貯金とかあるいは簡保とか、そういう政府債の方を長期にわたって貸していただきたいというような希望を強く持っておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、公債費比率の問題につきましては、今回いろいろな面でその償還につきましても措置をするようでございますから、公債費比率を算出する場合に、それがどのように算出されるかという問題もございましょうが、これ以上借金をしていくということは、地方団体にとってはなかなか大変なことであるというふうに感じております。
#440
○正森委員 松川さんに伺いたいと思います。
 先ほど、地方公聴会に来るのもいいが、同じ来るならもっと早く来いとか、それから国会議員の歳費を一〇%カットしたらどうだとか、大分厳しいお言葉をいただいたのですが、私どもは、行革そのもの、本来の行革はやるべきでありますが、現在政府がやっている行革には異なる意見を持っております。例えば自衛隊の費用、防衛費は、行革が始まりました五十六年から六十年度までの間で三〇・九%も伸びております。ところが、例えば農林漁業を見ますとマイナス一一・四%であります。中小企業に対する対策を見ますとマイナス一三・五%であります。こういうぐあいに、国民の生活に関係する部分は、予算がこの四年間でマイナス一〇%を超えているのに、防衛費が三〇%以上もふえているということについて、先ほどの厳しいお言葉から見ますとどういうぐあいに御判断なさるか、御意見を承りたいと思います。
#441
○松川誠君 その辺は専門でないのでお答えいたしかねますが、しかし私は、守るものは守る、来るものは拒むという姿勢の中で、最低の防衛は必要だということは私の持論でございますが、だからといって国の防衛費をむやみにやるということには問題がある。それは私は、国民すべからく皆同じじゃないのか、このように思います。
 以上でございます。
#442
○正森委員 ここは陳述者から貴重な御意見を承る場で、論戦をする場ではございませんので、御意見として承っておきたいと思います。
 それでは村上さんに承りたいと思います。やはりここへ参りましてから読ましていただいた新聞によりますと、例えば大野村ですか、先ほどちょっと名前が出てまいりました。ここは財政調整基金を五千万円取り崩しても新規の目玉事業は何らないというように、岩手日報の四月三日付に書かれております。この村では教材費負担金が当初予算ではゼロになっているのを、やっと村長査定で復活したというようなことも報道されておりますが、小学校、中学校等の教材関係についても、今度の義務教育費国庫負担法から外れるということで、教職員等の間でさまざまに心配がなされております。こういう問題について何か意見をお述べになりたいことがございましたら承りまして、私の時間が終わりましたので、終わらしていただきます。
#443
○村上博是君 この二日の衆議院の大蔵委員会で、教材費それから教職員の旅費を国庫負担の対象から外したことについて首相の答弁が報道されておりますが、それを見ますと首相は、国庫補助から除外をして一般財源化したので、経費の所属が変わっただけで、精神は変わってないという答弁をなさっているように報じられております。
 この件に関しまして、先ほど大野村の事例を報告したわけでありますが、大野村では国からの補助金が二百万円と、それに対して村の一般財源二百万円を加えまして、四百万円でもって昨年度まで予算化しておった。特定財源でありますから、年次計画を立てて、教材費をそれぞれ七つの学校に、ことしは何を買う、来年は何を買うというふうなことで教材を備えておったらしいのでありますが、たまたま今回、予算査定の段階でこれが盛られておらなかった、村長の査定の段階で復活したというふうなことを報告を受けたわけでありますが、通常、岩手のような一般財源に乏しい自治体においては、まず予算を編成するに当たっては、国からの補助金があるかどうかというふうなことをかなり目配りするといいますか、それを優先させまして、少ない特定財源と補助金を合わせて予算の器を大きくするといいますか、そういうふうなことで予算編成をするのが一つのやり方になっておるのではなかろうかというふうに考えるわけであります。したがって、単純に機械的に査定をするとかなにかになりますと、補助金がついてないものはどうも後回しになってしまうというふうなことの一例ではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 もともと特定財源を一般財源にしたわけでありますから、これは言葉のとおり、例えば県の地方課なんかでも、交付税の中にこういうものが盛られている、入っているんだといっても、結局は最後はどのように使うかは自治体で選択をするものだ、これが一般財源だというふうに説明されますから、この教材費に限らず、国の方では交付税に盛ってあるということでも、やられない例がかなりいっぱいあるわけであります。
 具体的な例を申し上げますと、私どもがかつてかなりやりとりしてきた内容では、今回、文部省で新しい通達を出しまして政策の変更がなされております。学校給食の調理員は本採用すべきだ、あるいは市町村が直接やるべきだというふうな通達を出して、交付税の積算にはこういうふうに盛られているというふうなことをちゃんとそれなりに手だてをしているわけでありますが、しかし実際に自治体に来ますと、それを臨時職員がやっているところがあったり、あるいは学校給食そのものをやっていないところがあったりして、やはり特定財源は特定財源、一般財源は一般財源ということが、この例をもっても明らかではなかろうかというふうに考えるわけであります。
 したがって危惧されるのは、大野村の場合であると、二百万円なら二百万円の国から来る誘い水でもって、二百万円を村の方で出して四百万の予算を組むわけでありますが、このように一般財源になってしまいますと、国から来た部分さえも下手をすると予算をつけない、いわんや一般財源を持ち出すというふうなことは、そこまでは面倒見ないというふうなことが、考えられる一つの例ではなかろうかというふうな感じがいたすわけであります。したがって、岩手のような山村でございますから、教育の機会均等というふうな精神からいっても、このような一般財源にされてしまうというふうなことは、結局は岩手のようなこれまでの格差が一層拡大するとか、教育の機会均等というものが実際上は絵にかいたもちというふうな方向にならざるを得ないのではなかろうかというふうなことも心配をしているところであります。
#444
○堀之内座長 大島理森君。
#445
○大島委員 私は自由民主党の大島でございます。時間がありませんので二、三点だけ御質問を申し上げさせていただきます。
 きょうは陳述者の皆様方、本当に御苦労さまでございます。私は実は隣の青森県でございまして、地方議会も経験したものでありますから、地方自治の今日抱えておる諸問題というのはよく理解させていただいているつもりでありますが、それと同時にまた国の抱える諸問題も、非常に逼迫した状況にあるということもよくわかるものであります。
 とやかく申し上げるまでもなく、政治は将来を見ながら現実を踏まえなければならないものだと思っております。やがて来る大変な老齢化社会あるいは国際化社会、そういう中にあって現状の急激な経済社会の変化、それらを踏まえて地方自治のあり方あるいは国のあり方すべてを考えていかなければならないのではないか。一億二千万の国民福祉の増進、国と地方はまさに車の両輪であろう、このように思うわけであります。また、そういう観点から、今日、行政改革あるいは財政改革ということは国、地方挙げての大きな課題である、このように私ども自民党は認識をしておるものでございますし、その一環として今度の法律案、皆様方にいただいた御意見を十分に配慮いたしながら、できるだけ早く法案を通し、自治行政の支障なきを期したい、このような観点から御質問を申し上げさせていただきたいと思います。
 まず最初に、先ほどもいろいろ御意見をいただきました、国費をかけてわざわざ来るというお話もいただきましたが、地方の苦しみをわかりたいがゆえに私どもは参ったつもりであります。国においても、五十九年、六十年、二年度にわたって一万人の公務員の総定員法に基づいての削減、あるいは大変な苦しみをお互いに本当に分かち合いながら、人勧の扱い方についてもいろいろな御批判をいただきながらも五十七年、五十八年、五十九年、あのような措置をとりました。そこで、そういう皆様方のお苦しみ、きょうは拝聴をいたしました。逆に今、国の財政の置かれておる立場、国債償還ことしの予算十兆円、さらに国債残高百三十兆円、この状況について、皆様方が地方の立場からごらんになって、どういうふうな御理解あるいは御感想を持っておられるのか、一言ずつで結構でございますから、皆さんにお聞きしたいと思います。
#446
○赤澤善二郎君 百三十三兆円の国債残高、十兆円の公債費、非常に苦しいということはわかります。しかし、相対的に私どもの県もそれに近い苦しさであるということでございます。
#447
○太田大三君 ただいまの副知事さんの答弁と全く同じでございます。
#448
○高橋文雄君 今の大島先生のお話を聞いてふと思い出したことがございます。それは、たしか去年の七月かに自民党の政調会長さんがセミナーで話された内容でありますね。これは、かつての不況時代には、財界は景気浮揚のためにいわば借金をして事業投資したはずだ。したがって、今日の財政赤字はやはり財界も国民も――国民の方は多少大衆課税も含めて不安がございますけれども、私はそういう自民党政調の責任者の話として聞いたものですから、そういう意味で今の赤字の問題を考えなければならぬだろう。その対策を抜きにして今のようなツケを地方に回すことについては、これはもう将来の歯どめにならぬという意味で不安を抱いているわけでございますので、お答えにはなりませんが、所感として今ふと頭を横切ったものですから……。
#449
○河越重任君 ただいま、いろいろ国の財政状態とおっしゃられましたけれども、それに至るまでに、私どもも微力ですが、そうじゃなくてこうしたらというようなことはいろいろ申し上げてきております。それをちょっとおいておいて、ある一時点でもって断層写真みたいにぱさっと切りまして、ここはどうもまずいからどうするんだと言われても、それに対していきなりお答えするのも困るわけでして、それでしたら、これまでにも国民やその他のいろいろな方々から言われていることについても、どうしてそう対処しなかったのかということもあわせてお考えいただきたいと考えるわけです。
#450
○松川誠君 全く皆さんがおっしゃることと同感でございます。補助金ということになると、もらう姿勢になるし、皆さんは今回は矛先を変えて起債は許すとなると借金になります。借りたものは返さなければならぬというふうに私どもは小さいときから親から教えられている。このような姿勢ですから、やはり苦しみは皆同じだ、このように思います。ただ、その責任はどなた方がとってきたのかということをつけ加えて終わります。
#451
○村上博是君 先ほどもお話がありましたが、七三年の石油ショック以来の経過を踏まえまして、景気浮揚政策というようなことで国自身が大変な借金をしてきましたし、自治体の方にもむしろ建設課とか土木とか、そういうところが忙しくて大変なように、これもやれ、あれもやれというふうな状況で事業をやられたことが記憶にあります。そういう点で財政の赤字の問題を考えますが、今の地方財政の危機問題に関連しまして結局、今回もまた地方財政危機だ、公債費率が大変だという状況の中で、一千億円を除いてはあとは借金で手当てをしたというふうなことで、借金に大変あっぷあっぷしているところに借金でもって手当てをするというふうな手法も何か似たような感じもしますので、そういう点は、先ほど申しました軍事費の問題なども含めまして、本当に国民本位、生活本位の予算の組み方といいますか、運営の仕方が欲しいということをお願い申し上げておきたいと思います。
#452
○大島委員 まさに正森先生の言葉じゃありませんが、議論する場じゃありませんので、御意見を伺う場でありますから、大変皆様方のそれぞれの御意見を伺いました。そこで私は、肝心なのは国民に対して国と地方がサービスをしていく、そして国民がそれをどう受けとめるか、あるいはそのサービスを低下させないこと、これが一番肝要かと思うのでございます。
 それで、皆様方の午前中からの御意見を伺って、この法律案に基づいて、まさに十四兆四千億の補助金、さらに二千数百件に及ぶ補助金、これをどうするのか、あるいはもっと抜本的に基本的にどうするのか、そういうふうな御議論が一番根底にあるのではないかと私は思うわけであります。そして最後の言葉は、必ず役割分担をどうするか、ここなんだというふうな御意見をそれぞれに出していただいているわけであります。私どももそう思います。そこでもう少し突っ込んで、基本的な理念の問題でもよろしいかと思うのです。副知事さんあるいは市長さん、あるいは皆様方に、さらにまた役割分担はこうあるべきだ、ただ役割分担を考えるべきだじゃなくて、こうあるべきだというところまで突っ込んだ御意見を賜りたい、こう思います。
#453
○赤澤善二郎君 事業の内容によって、その役割というものは違ってくると思いますが、その度合いをどの程度に見るかという、これはちょっと理念的になりますが、事業事業によっての違いが私はあると思います。ただ先ほど出た、例えば人件費の場合でございますと、まあ交付金にかわったものもありますけれども、一々個人名まで入れたようなそういう処理をして、そしてお金を交付してもらうというようなことはもう避ける方向を考えたらいいんではないか。ただ国の委任に係るものについては、これは除外していただかなければならぬと思います。
 第二は、県あるいは市町村の仕事として、もうなじみ過ぎているというものについての補助もあります。これも再々言うていることでございます。先ほど盛岡の市長さんが全国市長会提案のことをお話しされました。知事会も提案されました。これは今度のカットについては一顧だにされないで、ばさっと決められたといういきさつもあるわけでございます。あれも私はまだ十分であるとは思っておりません。もう少し刻みを入れてもいいんではないか。ただ、刻みを入れ過ぎると、すうっと補助相当額が召し上げられるという形もありますので、そこら辺の兼ね合いが非常に重要ではないかというふうに私は思います。
#454
○大島委員 一言ずつ、理念的なことでいいですから。
#455
○太田大三君 原則的には今、副知事さんがおっしゃったとおりだと存じております。極端に申し上げますと国防だとか外交だとか、そういうものは当然国だろうと存じますけれども、これは余り極端過ぎますけれども、直接住民に関与したものにつきましては、やはり地方でやるべきだというふうに考えております。
#456
○高橋文雄君 役割分担を考える場合の基本は、私は憲法だと思っております。
 二つ目は、地方分権を考えていくべきではないか。その意味では、今の肥大化した行政がなぜ生まれたのかということを考えますと、多少言葉を選ばずに言わせていただけば、いわゆる今の政治の中心になっている方々にも責任があると思うのです。例えば補助金の中にも、たくさん出ましたけれども、農家に一戸当たり何百万の補助金がいっているといいますが、それは現金でいくのではないわけですね。その過程でたくさんの方々が関与をしている。そういう意味では、私は今の行政の肥大化を考える場合は、そういう歴史的なものを考えていくべきではないか。そのためには、見直しに当たっては、権限の地方への移譲、それに基づく関与ではないかと抽象的に申し上げておきます。
#457
○河越重任君 役割分担をどうするかというお話でございますけれども、少なくとも国民の暮らしと申しますか、生存と申しますか、これはやはり基本的には国が責任を持つ。ただ具体的にどうするかということになりますと、なるべく、そのそれぞれの人々が住んでいる地域において、そこら辺の実情に即したことをやっていただく必要がありますし、そうなりますと財政力にもばらつきがございますので、政府関係者の方は少し頭が痛いかもしれませんけれども、逆にそうした点では一定の水準を保つためには、どうしてもある程度の再調整が必要でございましょうから、したがって、そのために一言で言うと、金は出すけれども口は出さないというような格好での分担が必要かと思います。
 それから、ついでに申し上げさせていただきますと、非常にひがみっぽいようで恐縮なんでございますけれども、天気もそれから補助金等も、国民生活向上その他の施策というのも大体西からというようなことで、いよいよ東北の辺に薄日でも差し始めるかなと思うころには、何か観測によりますと沿海州からカムチャッカの辺に強烈な寒気団が出てきたとかいって、何か銚子の辺からか、房総の辺から太平洋上へそれていくというような傾向がどうもあるようでございますので、そこら辺のところ、どうか北の方までも一応のところは来て、それから見直しというようなことを、ぜひどこか心にとめておいていただきたいと思うわけでございます。
#458
○松川誠君 大変抽象的で御意見にならないかと思いますけれども、ただいま河越先生がおっしゃったように、金は出すけれども口は出さない、そして地方の創意が伸ばせるような財政システムになってほしいし、そして最近、陳情の政治があります。私どもも、町村議長会が毎年大名行列みたいに行きます。岩手県四十九町村ですから膨大な経費です。できるなれば国に対する陳情は県がやって、末端町村は県に陳情するというようなこと、あるいはそういう陳情システムにでも変えたらいいのじゃないか。どうも私どもは、何か行きますと、かわいい東京の女の子に陳情書を持っていきます。承っております、はいわかりました、どこまでわかったのかわかりませんけれども、わかりましたという答えで私ども帰ってきますけれども、帰ってきても、依然としてそれが実りに結びつかないというのが現実でございますから、その辺もひとつお考え願えれば幸いだと私は思っております。
#459
○村上博是君 国と地方の役割の分担、あり方については、一般論としてはさまざまな御意見があろうかと思いますが、私は、今回の補助金の一律カットの問題に限定しますと、社会保障費や福祉の問題が中心でありますから、これは一般論は一般論として議論されるにしても、今回の問題に関しましては、社会保障、教育というふうな面から見ましても、基本的には本来国が責任を持つべき分野の問題だというふうに考えております。
#460
○大島委員 もう時間のようでございますが、まだまだお聞きしたいことがたくさんあったわけでございますけれども、最後に、先ほど副知事さんのお話によりますと岩手県で行革を一生懸命進めておられる。そういう中で私が一番大事じゃないかなと思うことは、かつての四十年代のときのように、実のなる木が日本国じゅうにあちこちにたくさんありまして、それを青森県でも岩手県でも食べる時代ではなくなってきたというような経済的な構造の中で、一番大事なのは、先ほどのまさに三陸縦貫鉄道の気持ちと同じで、我が町は我々の手でつくるのだという自治意識の向上というか、そういうものが非常にこれから大事じゃないかと私は思うのです。
 ですから、行革推進の中で、そういうふうなものも取り入れられてやっておられるのか、ただ単に削るということだけなのか。あるいは県下の町村の皆さんにも、その辺のまさに意識改革みたいなものも本当に基本的に進めていかないと、戦後四十年のこの今、まさにいろんなものを考えるときに、一番根底だろうと思うのです。先ほど何か陳情の話が出ておりましたが、私どももどんどん来なさいということを言っているわけじゃない。そういう中で一番大事なのは、まさに我が村、我が町に実のなる木をつくっていくのだ、そしてそれを食べていこう、そういう自治意識の向上、本当にそこから始めなければならぬ行革であるし、この補助金問題を考えるときもそこだと思うのですが、その辺を踏まえてひとつコメントをいただければありがたいと思います。
#461
○赤澤善二郎君 私ども五十八年、行革懇話会をつくってどうするかという場合に、一つのたたき台をつくりました。そして県下九ブロックに分けまして、いろいろな人から意見を聞き、そしてそれを集約してどうしようか、補助金の問題も先ほど申しましたようにいろいろ利害反することがあって議論沸騰いたしました。しかし、こうかということで納得を得たものであります。やはり、そういう民意の吸収というものが大事だろうと思います。
 岩手県におきましても、お話のように村づくり運動というものを今一生懸命になってやっております。大分県だけではございません。我が岩手県においても各町村長さん方それぞれ知恵を使って、自分のところの自慢のできるものは何だろうということで非常に盛り上がりを見せてきております。私は、そういう自治意識が今高揚しつつあるということを受けとめているところでございます。さらに頑張ってまいりたいと思います。
#462
○大島委員 終わります。
#463
○堀之内座長 これにて質疑は終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 意見陳述者の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は、本委員会の審議に資するところ極めて大なるものがあると信じます。厚く御礼を申し上げます。
 また、この会議開催のため、格段の御協力をいただきました関係各位に対しまして、深甚の謝意を表する次第でございます。
 それでは、これにて散会いたします。
    午後二時三十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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