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1984/04/24 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第9号
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1984/04/24 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第9号

#1
第102回国会 外務委員会 第9号
昭和六十年四月二十四日(水曜日)
    午前十時三十五分開議
出席委員
  委員長 愛野興一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 野上  徹君 理事 浜田卓二郎君
   理事 井上 普方君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君
      石川 要三君    鍵田忠三郎君
      鯨岡 兵輔君    佐藤 一郎君
      中山 正暉君    仲村 正治君
      西山敬次郎君    町村 信孝君
      山下 元利君    綿貫 民輔君
      岡田 春夫君    八木  昇君
      安田 修三君    木下敬之助君
      岡崎万寿秀君    田中美智子君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
 出席政府委員
        防衛庁防衛局長 矢崎 新二君
        外務大臣官房審
        議官      斉藤 邦彦君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        海上保安庁次長 岡田 專治君
 委員外の出席者
        法務省刑事局総
        務課長     則定  衛君
        外務大臣官房外
        務参事官    村田 光平君
        外務大臣官房外
        務参事官    木村 崇之君
        水産庁漁政部企
        画課長     東   諄君
        水産庁海洋漁業
        部遠洋課長   今井  忠君
        水産庁研究部資
        源課長     菊地 徳弥君
        運輸省国際運
        輸・観光局外航
        課長      小和田 統君
        運輸省海上技術
        安全局検査測度
        課長      戸田 邦司君
        海上保安庁警備
        救難部参事官  辻  宏邦君
        海上保安庁警備
        救難部管理課長 茅根 滋男君
        海上保安庁警備
        救難部警備第一
        課長      神谷 拓雄君
        海上保安庁警備
        救難部航行安全
        課長      玉置 佑介君
        海上保安庁警備
        救難部救難課長 草薙 博文君
        外務委員会調査
        室長      高橋 文雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二十四日
 辞任         補欠選任
  河上 民雄君     安田 修三君
同日
 辞任         補欠選任
  安田 修三君     河上 民雄君
    ―――――――――――――
四月二十日
 ILO未批准条約の批准に関する請願外一件
 (井上一成君紹介)(第三六〇七号)
 同(井上普方君紹介)(第三六〇八号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第三六〇九号)
 同外一件(上田哲君紹介)(第三六一〇号)
 同外二件(上野建一君紹介)(第三六一一号)
 同外二件(小川国彦君紹介)(第三六一三号)
 同(小川仁一君紹介)(第三六一二号)
 同外一件(岡田利春君紹介)(第三六一四号)
 同(岡田春夫君紹介)(第三六一五号)
 同(加藤万吉君紹介)(第三六一六号)
 同外一件(島田琢郎君紹介)(第三六一七号)
 同外一件(嶋崎譲君紹介)(第三六一八号)
 同(新村勝雄君紹介)(第三六一九号)
 同(田中恒利君紹介)(第三六二〇号)
 同外一件(竹内猛君紹介)(第三六二一号)
 同外一件(中村正男君紹介)(第三六二二号)
 同(浜西鉄雄君紹介)(第三六二三号)
 同外一件(日野市朗君紹介)(第三六二四号)
 同外一件(藤田高敏君紹介)(第三六二五号)
 同(細谷昭雄君紹介)(第三六二六号)
 同外一件(村山喜一君紹介)(第三六二七号)
 同(森中守義君紹介)(第三六二八号)
 同外一件(山本政弘君紹介)(第三六二九号)
 同外一件(横江金夫君紹介)(第三六三〇号)
 同(吉原米治君紹介)(第三六三一号)
 同(和田貞夫君紹介)(第三六三二号)
 同外一件(五十嵐広三君紹介)(第三六六五号
 )
 同(奥野一雄君紹介)(第三六六六号)
 同外一件(川俣健二郎君紹介)(第三六六七号
 )
 同(木島喜兵衛君紹介)(第三六六八号)
 同外一件(小林進君紹介)(第三六六九号)
 同外一件(後藤茂君紹介)(第三六七〇号)
 同(佐藤敬治君紹介)(第三六七一号)
 同(多賀谷眞稔君紹介)(第三六七二号)
 同外一件(土井たか子君紹介)(第三六七三号
 )
 同外一件(堀昌雄君紹介)(第三六七四号)
 同外一件(松沢俊昭君紹介)(第三六七五号)
 同(安井吉典君紹介)(第三六七六号)
 核兵器全面禁止に関する請願(林百郎君紹介)
 (第三六六三号)
 核圧器全面禁止等に関する請願(柴田睦夫君紹
 介)(第三六六四号)
同月二十二日
 ILO未批准条約の批准に関する請願(富塚三
 夫君紹介)(第三九九九号)
同月二十三日
 ILO未批准条約の批准に関する請願外二件
 (上原康助君紹介)(第四一五八号)
 同(大出俊君紹介)(第四一五九号)
 同(大原亨君紹介)(第四一六〇号)
 同外一件(奥野一雄君紹介)(第四一六一号)
 同外一件(河野正君紹介)(第四一六二号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第四一六三号)
 同外一件(佐藤誼君紹介)(第四一六四号)
 同(渋沢利久君紹介)(第四一六五号)
 同(鈴木強君紹介)(第四一六六号)
 同外一件(城地豊司君紹介)(第四一六七号)
 同外一件(新村勝雄君紹介)(第四一六八号)
 同外一件(田中克彦君紹介)(第四一六九号)
 同(田邊誠君紹介)(第四一七〇号)
 同(高沢寅男君紹介)(第四一七一号)
 同(武部文君紹介)(第四一七二号)
 同(戸田菊雄君紹介)(第四一七三号)
 同(富塚三夫君紹介)(第四一七四号)
 同(中西績介君紹介)(第四一七五号)
 同(中村重光君紹介)(第四一七六号)
 同外一件(永井孝信君紹介)(第四一七七号)
 同(前川旦君紹介)(第四一七八号)
 同外一件(松浦利尚君紹介)(第四一七九号)
 同外一件(松前仰君紹介)(第四一八〇号)
 同外一件(水田稔君紹介)(第四一八一号)
 同外一件(八木昇君紹介)(第四一八二号)
 同(安田修三君紹介)(第四一八三号)
 同(山花貞夫君紹介)(第四一八四号)
 同外一件(和田貞夫君紹介)(第四一八五号)
 同外一件(渡辺嘉藏君紹介)(第四一八六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 千九百七十九年の海上における捜索及び救助に
 関する国際条約の締結について承認を求めるの
 件(条約第三号)
 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締
 約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日
 から十日までパリ)の最終文書に附属する議定
 書の締結について承認を求めるの件(条約第四
 号)
 北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約
 を改正する千九百八十四年の議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第五号)
 米州投資公社を設立する協定の締結について承
 認を求めるの件(条約第六号)
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第一二号)
 万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結につ
 いて承認を求めるの件(条約第七号)(参議院
 送付)
 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結
 について承認を求めるの件(条約第八号)(参
 議院送付)
 小包郵便物に関する約定の締結について承認を
 求めるの件(条約第九号)(参議院送付)
 郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締
 結について承認を求めるの件(条約第一〇号)
 (参議院送付)
 郵便小切手業務に関する約定の締結について承
 認を求めるの件(条約第一一号)(参議院送付
 )
 米ソ軍縮交渉に関する件
     ――――◇―――――
#2
○愛野委員長 これより会議を開きます。
 千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件及び北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
#3
○土井委員 私は、これより三条約についての質問をいたしますが、まず、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約、いわゆるSAR条約についてお尋ねをいたします。
 SAR条約は、外務省のお出しになった資料によりましても、現在まで十六カ国が加入をしている。そして、もう目の前になっております六月二十二日になりますと発効が確定しているという条約でありますけれども、日本の隣接国は、現状はいずれも未加入なんですね。海上の捜索救助を地域協力、国際協力によって迅速かつ効果的に行うということがあくまでこの条約の目的でございますから、この条約の趣旨からいたしますと、日本の近隣国であるソビエトであるとか、中国であるとか、韓国であるとか、フィリピンであるとか等々の、これに対する対応というのが大変問題になってまいります。そうでしょう。ソ連、中国は、批准を条件にして条約に署名を行ったということはわかっているのですが、まず、この両国の批准見通しはどういうことになっているのですか。いかがです。
#4
○村田説明員 お答え申し上げます。
 御指摘がございましたように、現在、ソ連、中国は署名を下しておりまして、特に中国は、現在、この条約締結のために必要な組織、法律等の国内体制の整備を進めております。今年末までには、国務院の批准が得られるのではないかという情報がございます。他方、韓国につきましては、この見通しは立っておりません。フィリピンにつきましても同様、まだこの見通しは立ってない、そういう状況でございます。
#5
○土井委員 今御答弁の、見通しが立っていないというふうにおっしゃった韓国なんですが、韓国との間では、別途日韓海難救助協定というのを結ぶために交渉が持たれているということを聞いているのですが、これはどういうわけですか。韓国がSAR条約に入るという意思がないためにそういう措置をおとりになるのですか。日韓海難救助協定の必要ということをどういう観点でお考えになっていらっしゃるのです。どういうことですか。
#6
○村田説明員 韓国との関係につきましては、ことし一月ソウルで開催されました日韓漁業共同委員会におきまして、予備交渉のためにできるだけ早い時期に両国間の実務者協議を開催するということで、原則合意しているのが現状でございます。そういうところで現在協定の内容につきましては、日韓それぞれが検討を行っているわけでございます。
 ただ、国際協定との関連でございますが、日本は現在ソ連との間にも海難救助条約を結んでおりまして、そういう意味では国際協定に先行するという先例はあるわけでございます。前にそういう実績をつくった後で国際協定に加入するということも、十分意味あることではないかと考えられます。
#7
○土井委員 それは、韓国側にSAR条約に入る意思がないために、先に日韓間の協定を結んだ上で、SAR条約にやがて韓国が入ってくるであろう、状況を待つという関係に相なるのですか。
#8
○斉藤(邦)政府委員 経緯的に申し上げますと、日韓の海難救助協定の交渉というのは非常に前からやっておりまして、SAR条約が一九七九年に作成されますはるか前から交渉を行っておる次第でございます。したがいまして、当初我が政府の意図といたしましては、二国間で協定を結んで韓国との間の本件処理を図ろうとしたわけでございます。その間にSAR条約が作成されましたので、今回韓国の批准見通しは明らかではございませんけれども、我が国としてはこれに入ろうとしているという事情でございます。
#9
○土井委員 そうすると、今の御答弁からしたら、えらい長い間交渉が続けられているという格好になるのですね。なかなかこの交渉が長引いて、妥結をして協定を締結するということにただいまなっていないということは、どういうところに理由があるのですか。聞くところによると、捜索救助活動の調整ということに対して手間取っている。それは守備範囲をどう考えるか、竹島の領有がいずれにあるかという問題が具体的にはかかってくるというようなことも取りざたされておりますが、事実でしょう。これはいかがです。
#10
○岡田政府委員 私どもの警備二課長が先日その関係で訪韓しておりますけれども、そのときに問題になっておりますのは緊急入域、いわゆる救助隊の緊急入域についての問題がどうも一つの問題となっておるようでございます。ただし、申しわけございませんが、私、今問題点の全貌をつまびらかにしているわけではございません。
#11
○土井委員 何だか、実に頼りない御答弁ですね。緊急入域の問題、それはどのことを指しておっしゃっているのです。雲をつかむような御答弁ですから、今の御答弁で私の質問に対するお答えとはとても受けとめられません。私の質問は、さっきからお聞きになっていておわかりになっているはずですから、もう一回答えてください。
#12
○岡田政府委員 暫時、お時間をいただきたいと思います。
#13
○土井委員 それじゃ、その答弁が出るまで待っています。
#14
○岡田政府委員 答弁に時間をとりまして申しわけございませんでした。
 我が方は、韓国漁船が例えば遭難しそうだというような場合にはどこの港であろうとも、緊急異常な場合でございますから認めておるわけでございます。しかしながら、韓国側との折衝の過程では限られた港にだけ認める、我が方のようにどこの港にでも必要な場合には、緊急な場合には入ってきていい、こういうふうに主張していないようでございます。その点が大変困るというふうなことで、一つの問題になっておるようでございます。
 なお、領土問題といいますか、竹島の問題なんかは、この話し合いの中では少しも問題になっていない、かように聞いております。
#15
○土井委員 今のお話を承っていると、救助活動にとっての基本的な問題ですから、難航どころか交渉自身が非常に難しいというふうにも受けとめられるように私は思います。
 朝鮮民主主義人民共和国近海での日本漁船の操業状況はどういうことになっているのですか。逆に、日本近海での朝鮮民主主義人民共和国側の操業状況はどうなっているのですか。まず、それについてお答えをいただきます。
#16
○茅根説明員 お答えいたします。おくれまして大変申しわけございません。
 北朝鮮と日本との間は、民間間で漁業に関する取り決めがございまして、日本の漁船も北朝鮮の近海に出漁できますし、北朝鮮の方も日本の近海で操業できるということになっておりますけれども、正確な数字は今承知しておりません。ただ、北朝鮮近辺の海域で操業する日本漁船の隻数の方が圧倒的に多いということは承知しております。正確な数字は現在承知しておりません。
#17
○土井委員 それじゃ、正確な数字はまた後で知らしていただくことにしますが、過去にそれぞれ操業の過程で事故があって救助活動が行われた実態があるかどうか、あるとすれば何件あったか、掌握されている限りでお答えをいただきたいと思います。
#18
○玉置説明員 お答えいたします。
 北朝鮮の船舶の海難といたしましては、昭和五十六年と五十七年にそれぞれ一隻ずつあるようでございます。
#19
○土井委員 いずれの海域で、いずれの漁船が、いずれに救助された事例を今お挙げになったのですか。
#20
○玉置説明員 細かな海難の実態については、現在手元に資料がございませんのでちょっとお答えをしかねるのでございますが……。
#21
○土井委員 何年という答弁ができているのですよ。何年に事故がありまして、それに対して救助されたということでありますまで答えられているのですよ。どの海域で、いずれの国の漁船が、いずれの国に救助されたかということをわからずに今お答えになったのですか。プリミティブなことですよ。そういう答弁は、いいかげんな答弁と言うのです。全然わかってないのですか。全然わからないで、何だかあったらしいということでおっしゃったのですか、何ですか。
#22
○玉置説明員 現在手元に資料がございませんので、後ほどもし可能であれば御報告をさせていただきたいと思っております。
#23
○土井委員 それならば、何年というのは手元にあったのですか。場所も船籍も救助した主体もさっぱり手元になく、年月だけが手元にあったのですか。
#24
○玉置説明員 私ども海上保安庁の統計によりますと、我が国周辺海域で海難を起こした外国船舶のうち、その他としてくくってあるところがございます。その隻数を申し上げますと、五十六年が二十四隻、五十七年が十五隻ということで、北朝鮮につきましてはその中にそれぞれ一隻ずつ入っておるということなのでございますが、細かな分類はしてございませんので、その実態等については現在直ちにはわからないということでございます。
#25
○土井委員 そうするとそれも後で。後で後ではかりになってしまうのですが、朝鮮半島付近での日本漁船の操業状況というのは、これは年間非常に隻数は多うございます。大体九百隻ぐらいということが言われているわけです。日本と、先ほど私がお尋ねしまして、これはなかなか交渉も難航しているのですが、しかし、国交のある韓国との間、それから残念ながらただいま政府間レベルにおいて日本との間で国交がない北朝鮮との間、朝鮮半島付近で日本漁船の操業は頻々としてあるわけですから、この三国の救助協力体制が非常に必要じゃないかということが考えられるのですよ。これは、SAR条約に入っている入っていないという以前の問題として、先ほど来お尋ねをしております。人道的な見地から考えまして、国交に関係がない問題として、国交があるなしにかかわらず協力すべき接点がこの問題に対してはあると私は思うのですね。
 外務大臣いかがです。北朝鮮との海難救助協力については、人道的立場からこれに対して取り組む、そして積極的にこれに対して取り扱いを進める、これはやはり考えられていい問題ですよ。そうしないと、民間漁業協定というものに対して、非常な努力の積み重ねの結果今日に来ているという中身に対して、政府はみずからの責任を果たすという姿勢を全く持ち得ないと思います。これはいかがです。
#26
○安倍国務大臣 確かに北朝鮮と日本との間には、漁業でいろいろと接触面といいますか、そういう面があります。民間でも漁業協定がありまして、そういう意味では民間同士の協力関係というのはありますし、私の郷里なども北朝鮮の海域に随分出漁していますから、その間の状況はよく知っております。そういう民間の協力関係というのはあります。しかし、国と国との関係がないわけですから、国と国との正式な海難救助等についての取り決め等はなかなか困難な状況です。したがって今、赤十字といったものを通じまして、いろいろと情報の交換といったものをやっておるわけでありますが、民間同士では、漁業者同士でそうした面についての協力関係というものは、お互いに行っている面もあるのじゃないか。
 幸いにして、大きい問題は頻発しておりませんけれども、しかし起こったこともあります。これは、中国と韓国もやはり同じような問題を抱えておるわけでありますし、やはり海難救助といった問題は、国と国との関係でこれに対処するというのは基本的には大事だと思いますが、残念ながらまだまだそういう状況にない。ですから、民間の関係とか日赤の関係、そういうものを通じてやる以外にないだろうと思いますし、そういう関係で進めることは現実の段階ではやむを得ない状況であろう、こういうふうに思っております。
#27
○土井委員 このSAR条約の精神からいたしますと、外務大臣、これはどういうことになるのです。捜索救助活動の範囲において遭難事故があった場合、国籍のいずれを問わず救助しなければならない義務があるのでしょう。その船の属する国が、日本と国交があるかないかという問題はないのですよ。問われてないのです。日本と国交を持たない国の船についても、SAR条約の中では、日本の捜索救助活動の範囲内においては救助しなければいけないのじゃないですか、そうでしょう。外務省どうです。
#28
○斉藤(邦)政府委員 我が国の捜索救助区域内におきまして遭難が起こった場合、その船の船籍にかかわらず我が国が捜索救助の義務を負うという点は、御指摘のとおりでございます。
#29
○土井委員 そうすると、この条約に日本が加盟するときには、そういう精神をきちっと体して、この条約に対する手当てを考えるという立場にあるわけですね。そうすると、これは今問題にしている国交のない朝鮮民主主義人民共和国に対しても、海難事故についてはどういうふうに手だてを講ずるかというのは、人道上の問題としてこれは考えていいのじゃないですか。今、それは国交がないから政府間の問題としては難しい、日赤を通じてと、まだかゆいところに手の届くような話でもないのですよ、そんな程度では。これは、海難事故が起こってから緊急避難みたいにやったらいいじゃないかという問題でもございませんで、やはりそういうことに対しては、人道上の問題として避けないで話を進めるということが非常に大事なことだと私は思います。外務大臣どうです。
#30
○安倍国務大臣 国と国の関係がないですから、協定に基づいてしっかりした情報をお互いに交換するとかあるいはまた遭難者の救難とか、そういうことはなかなか国と国との間では難しいのですが、しかし、目の前でおぼれている人を助けないわけにいきませんし、それはまさに人道上の問題としてこれまでこういう問題も起こってきた事実もありますし、そのときは国籍のいかんを問わず、それは我が国の海上保安庁にしても、あるいはまた民間の漁船とか民間の船舶等にしても、人道的な立場から積極的にやっているわけです。ただ、情報等については、これはやはり日赤等を通じてキャッチする以外には道はない、こういうことでございますし、これでもってそう決定的に、それじゃ何もできないじゃないかということにはならない、私はこういうふうに思います。
#31
○土井委員 しかし大臣、おいおい話し合っていってみたいというお気持ちはおありになるでしょう。
#32
○安倍国務大臣 これはやはり、国と国との外交関係が樹立しないと、協定問題あるいはまた条約問題について話し合うということは難しいのじゃないか。やはり基本は、外交関係が樹立するというのが大前提ではなかろうかと思います。
#33
○土井委員 なかなか、外務大臣はかたい姿勢ですね。
 海上保安庁の方にお尋ねしますけれども、我が国の受け持ち範囲は外国の管轄水域というのが含まれておりますね。そうすると、海上保安庁の救助活動の中には外国の管轄水域が入ってくるというふうにもなるわけですが、それはそのとおりに考えていいのですか。
#34
○岡田政府委員 捜索救助区域のことは関係締結国との間で決めるわけでございますけれども、この区域の画定については、条約にもございますように、いかなる国家間の境界にも関係しない、また影響を及ぼさないという規定もされているわけでございまして、また、この捜索救助という人道的な目的からいたしましても、今おっしゃられましたいわゆる管轄区域、例えば排他的経済水域等他国のそういう水域についても、自国の捜索救助区域に含むことは排除されてない、かように考えております。
#35
○土井委員 海上保安庁は、海洋法条約どこのSAR条約に反応するために、いわゆる広域哨戒体制というのと海洋情報システムというものの整備推進に力を入れておられるというのが、マスコミを通じてよく報道されているのですが、広域哨戒体制というのはどういう目的で、具体的に一体どういうことをなすっているんですか。
#36
○岡田政府委員 広域哨戒体制と申しますのは、私どもの部内的な表現でございますけれども、一応私どもの頭の中にありますのは、我々はこれまでアメリカのコーストガードと大変密接に協力し合ってきておりますが、このコーストガードと実質的に今まで協力をしてきた背景のもとに、今後SAR条約に入るとしたら、日米間では特に広大な太平洋をどんなふうにお互いに分担しようかというような話し合いを、事務的には検討を進めております。
 その際に、東京とハワイのほぼ中間くらいの線が、一つのめどとして事務当局間では考えられておるわけでございますけれども、結局は船舶交通の頻繁さとか、私どもとアメリカのコーストガードとの間の救助勢力の能力の問題とか、そんなようなことを考えまして、約千海里から千二百海里くらいの海域が区分する一つのめどとして考えられておるわけでございます。それを広域という表現で呼んでいるわけでございますが、哨戒体制という言葉、じゃこれをどういう救助勢力でカバーするかという目標といたしまして、ヘリコプター搭載巡視船でありますとか航空機を中心とした機動的な整備を計画的に進めでいこう、こういう部内的な目標を持っておりまして、これを広域哨戒体制と言っているわけでございます。
#37
○土井委員 広域哨戒体制というので今航空機などを挙げられましたが、現有の巡視船、それから今後建造予定のヘリコプターを積載する大型の巡視船――これはまず大型の巡視船というのは、どのくらいのトン数を考えられているんですか。
#38
○岡田政府委員 ただいま私どもが持っておりますヘリコプター搭載の巡視船は七隻ございまして、これはいわゆる三千八百トン型というものでございますが、このヘリ巡は一機しかヘリコプターを載せられません。それから一方、もう一つ建造中のものがございまして、二機ヘリコプターを載せることになっております。これは四千五百トン型というふうに、私どもとしては内部的に称しております。
#39
○土井委員 これはまた大型になっていくんですね。かつて三千トン級が「そうや」一隻しかなかったのが、今承ると三千八百トン級、やがて四千五百トンというのが建造される。遠洋救難というのは、このところほとんどないんでしょう。どういうふうな実例がありますか。それから、密入国や密輸もどんどん減っていっているのです。密漁というのは沿岸の問題でしょう。そうすると、こんな大型をつくって、どういうところにこの大型を使う意味があるんですか。今までこういう実績がありますというのがあったら、挙げてください。
#40
○岡田政府委員 今先生のおっしゃられましたのは、私の申し上げました二機搭載型の巡視船、四千五百トン型のものについて言及なさったことだと理解いたしますけれども、これにつきましては航続距離が非常に長うございまして、私どもとしましては、先ほど申し上げました中部太平洋の五百海里から先千二百海里ぐらいまでの間に、二十日間ぐらいそこに遊よくといいますか、一定の行動計画に基づいてパトロールしながら海難発生の事態に備える、こういういわば前進哨戒とでもいいましょうか、そういう発想法に基づいておるわけでございます。
 それから、そういう遠距離の海域でどんな海難があったのかということでございますけれども、例えば五十五年一月から五十九年四月までで、約五百海里から千二百海里の近辺までそういうドーナツ状の区域をとらえまして、主要な海難が三十数件起きております。あるいは、手元にありますのは一年限りの数字でございますが、五十八年暦年では、五百海里から千二百海里ぐらいの中での海難というよりは人身事故、例えば病気でありますとか大けがをする、そういうことで私どもに出動要請があったものが三十三件あるわけでございます。状況の一端としましては、こんなようなことでございます。
#41
○土井委員 しかし、わざわざ大型を特につくらなければならないというふうな理由とは、今のは受けとめられないような御説明なのですが、自衛隊についてどういうふうな連携共同行動があるかというのをまず聞いて、その次に私は移りたいと思うのです。
 防衛庁、御出席ですね。自衛隊法で言うところの八十条、百一条、この条文から海上保安庁に対して出動を求められる場合の基準というのは、どういうことなんですか。
#42
○矢崎政府委員 ただいま御指摘の自衛隊法八十条でございますけれども、自衛隊法の八十条におきましては、自衛隊の全部または一部に対しまして防衛出動あるいは治安出動の命令があった場合におきまして、特別の必要があると認めるときに、内閣総理大臣は海上保安庁の全部または一部を統制下に入れることができる、こういう規定を置いておるわけでございます。この場合にどういうことになるかといいますと、内閣総理大臣の統制下に入りまして防衛庁長官の指揮を受けることになるわけでございますが、その場合でも海上保安庁法に定める海上保安庁の任務権限には特段の変更はないわけでございまして、したがって海上保安庁は、その所掌事務の範囲内で海上における人命、財産の保護、海上における犯罪の取り締まりなどの業務を行わせるということになるわけでございます。
 そこで、具体的にどういうことになるかということにつきましては、そのときどきの事態の態様に応じまして異なるわけでございまして、一概には申し上げかねるわけでございますけれども、例えば密輸、密航などの海上における犯罪の取り締まりでございますとか、あるいは漁船の保護、船舶の救難などの海上における人命、財産の保護等、そういった業務が考えられると思います。
 それから、自衛隊法百一条でございますが、百一条の一項におきまして自衛隊と海上保安庁等は随時緊密な連絡を行うという仕組みがございまして、そういたしまして百一条の二項の方で特に必要があると認められる場合には、これらの機関、海上保安庁を含む公共機関でございますが、これに協力を求めることができる、こういう仕組みになっておるわけでございます。
 こういったこの規定に基づきまして、海上保安庁等の公共機関にどういう場合に協力要請を行うかという点についてでございますけれども、これもやはり具体的な状況に応じまして、自衛隊の任務遂行上の必要性を勘案いたしまして判断されることになるわけでございますので、その基準をあらかじめ具体的に申し上げるのは困難ではないかなと思っております。ただ、一般的に申し上げますと、海上保安庁の権限、能力の範囲内の事項で協力を得ることが特に必要な場合に、御協力をお願いをするというようなことになろうかと考えております。
#43
○土井委員 今の御答弁だと、海上保安庁の方に尋ねなければならなくなってくるのですが、海上保安庁、今巡視船が搭載をいたしております銃器のたぐい、大砲もあるでしょう、機関銃もあるでしょう、ソナーがありますか、ありませんか、これも後で聞きますが、今どういうものを装備として持っていますか。
#44
○茅根説明員 お答えいたします。
 巡視船には、当庁の治安の維持という任務上、それと海上で任務を遂行するという特殊性から、要するに機銃というものを持っておりまして、これは十三ミリと二十ミリでございます。それから、機関砲というのがございます。これは三十五ミリと四十ミリの機関砲がございます。その他、海上保安官が携行できるものとしては自動小銃とけん銃、普通の警察官が持っておりますようなピストルという意味でのけん銃でございます。
 以上でございます。
#45
○土井委員 そういうものを装備をするということの根拠になっている法は何法の何条ですか、また、それを使用することについて使用を決めている法は何法の何条ですか、いかがです。
#46
○岡田政府委員 私どもとしましては、機銃等につきましては、船艇に固着されているものでございまして、これは海上保安庁法の第四条に書いてございます「海上保安庁の船舶」は「海上における治安を維持し、」途中切れ切れに読んでおりますが、「人命及び財産を保護するのに適当な構造、設備及び性能を有する船舶」でなければならない、この規定によって銃器は根拠づけられている、かように考えております。また、携帯用の自動小銃あるいはけん銃につきましては、庁法の十九条によりまして、「職務を行うため、武器を携帯することができる。」この規定で根拠づけられている、かように考えております。
 なお、使用につきましては、庁法の二十条によりまして、「海上保安官及び海上保安官補の武器の使用については、警察官職務執行法第七条を準用する。」というところに最終的な根拠を持っておる、かように理解しております。
#47
○土井委員 今、銃器のたぐいについては海上保安庁法の四条の「設備」だと言われた。ところが、それについての使用の規定というのは、海上保安庁法の二十条に言うところの中身になる。二十条に従って言うと「警察官職務執行法第七条を準用する。」とあるのです。警察官職務執行法の第七条というのは、根拠を警察法の六十七条に置いているのです。首を縦に振っておられますから、ここまで確認しますが、よろしいね、声に出しておいてください。
#48
○岡田政府委員 御見解のとおりでございます。
#49
○土井委員 そうすると、最も根拠になっている警察法の六十七条という条文を見ましょうよ。「警察官は、その職務の遂行のため小型武器を所持することができる。」と書いてあるのであって、小型武器とは何ですか。警察官の持っているけん銃などを前提として考えているのですよ、これは。先ほどおっしゃった、海上保安庁の巡視艇に装備されている銃器類を指して言っているわけじゃないのです。そうすると、この銃器を使用することの根拠というのはどこから出てくるのですか。これに当てはまらないですよ、今おっしゃったことに。
#50
○岡田政府委員 海上保安庁が職務を遂行するのは、主として巡視船艇を運用いたしまして、一つの船艇を単位といたしまして、そして庁法に規定されております任務を遂行するというわけでございます。したがいまして、主として陸上で活動いたします警察官が、個別個別の、もちろん部隊編成はあろうかと思いますけれども、最終的には各警察官が個別個別の判断に基づいて法の執行を行っておると推察いたしますけれども、海上保安庁の場合には、船艇単位で海洋において行動を行っておるわけでございますので、いわゆる船艇を一つの単位として、そういう武器が船艇に設備として設置することが許され、また、船艇単位としてそういうものの使用が、警察官職務執行法七条を準用して一定の制限のもとで許されるということは、不適当ではないというふうに考えております。
#51
○土井委員 船艇単位とおっしゃるけれども、今の論法からいったら、海上保安庁法に言うところの四条を根拠にして船艇に銃器を備えていると言われる、その「設備」に当たると言われるのだけれども、しかし、それを使用することについては、警察法六十七条を準用して考えていかなければならぬということを先ほども認められたとおりなんです。警察法の六十七条からいうと、「小型武器を所持することができる。」とあって、「所持」なんですよ。船艇に装備する設備とは、これは当たりませんわ。
 しかも、小型武器なんですよ。けん銃を前提として考えているのです。大砲だとか機関銃のたぐいを警察が持っていますか。ミサイルのたぐいを警察が持っていますか。そうじゃないでしょう。これは当てはまらないことを無理して当てはめようとしたって、そうはいかないのですよ。一つ一つの船艇単位とおっしゃるが、それにそういう大砲とか機関銃等々を備えることを許している根拠をひとつ示してください。今のは当たらない。
#52
○岡田政府委員 私どもはこれまで、銃器の巡視船艇における装備につきましては、先ほども申し上げましたように、庁法の四条の「設備」で読んでいる、また読むことができるということでずっと対処してきておりまして、今先生のおっしゃいました、その使用についての問題かと思いますけれども、警察官職務執行法を準用いたしました庁法の十九条でございましたか、これに基づきまして私どもの内部的な訓令を設けまして、さらに制限的な、使用についてのいわゆる船長の使用許可権とか、そういうことについてかなり厳密に限定したケースを考えて規定しておるところでございます。
#53
○土井委員 しどろもどろですな。今、海上保安庁法の十九条、これは当初の解釈だった。ところが、この解釈が破綻して、そのうちに海上保安庁法の四条を引き合いに出してこられたという経過があることを私はよく承知をいたしております。よろしゅうございますか。そうして、その四条についても、これは余り国会で取り上げられて問題にされてないのだけれども、突いていくと、銃器というものは使用するところに意味があるのですから、使用目的を持っているところに意味があるのですから、ただそこに備えているだけで意味があるものではないのですよ。使用しないと意味はないのです。よろしいか。
 したがって、その使用ということに対してどういうふうな規定があるか。これを見ていくと、先ほど来ひっかかってくるのは警察官職務執行法の七条を援用する。その七条のもともとの根拠は警察法の六十七条である。そうすると、海上保安庁法の四条に言うところの「設備」とおっしゃっているその船艇に備えつけられている銃器のたぐいは、警察法六十七条に言う「小型武器」に当てはまらない。これはどこまでいったっておかしいですよ。四条も無理がある。だから、銃器を今船艇に備えられているところの法的根拠というのは、本当のところを言うとまことに不確かなままできょうに来ていると私は思うのです。
 さらに、使用に対しては、語るに落ちたりと思いながら今私は聞いたのですが、きめ細かな訓令があると言われた。お伺いしますが、昭和四十年六月一日に出された訓令十四号のことを指しておっしゃっているのですか、いかがですか。
#54
○岡田政府委員 おっしゃるとおりでございます。
#55
○土井委員 これは、かつて国会の予算委員会、決算委員会でも問題になった経過があります。国会でも取り上げられて、五十六年十月二十一日にはこの訓令第十四号が予算委員会の席で配られているのですが、ここで一つ問題になるのは、海上保安庁小銃機銃及び大砲の使用規則というのがこの名目なのですけれども、しかしここでいきさつがあったことを私はよく知っている。これもまた、国会で余り取り上げられていないのですけれども、外国の公船を対象にして発砲をすることをしてはならないというのが草案の中にあったはずであります。つまり、外国の公船を対象としては含まないということが草案にあったのが見事に削り取られてしまいまして、外国の公船に対して、正当防衛であるとか緊急避難であるとか事故または他人の生命の保護ということを理由にすれば、武器の使用ができるというふうに変わったといういきさつがあったという事実、これはお認めになりますね、どうですか。
#56
○岡田政府委員 素案がどのような変遷を経て今に至ったかということについては、ちょっと手元に資料がございませんのでお答え申し上げるに至りません。
#57
○土井委員 これは言いがたいでしょう。もともとの草案がそうであったのが後にこう変わりましたと言うのは、言いづらかろうと私は思う。
 ただ、海上保安庁の現場の巡視艇に乗っている方々の悩みは大変なものだということも私は申し上げます。よろしいですか。大砲が積まれたときにいかがなるかということで、戦々恐々もいいところだった。今日に至るまで、今の訓令十四号に基づいて使用規則は考えられているわけでありますけれども、考えてみるとこれくらい危ない話はないですよ。事例は、いろいろ挙げていくと、これから恐らくはもっともっと緊急事態というのはつくられていくわけですから、引き起こされていくわけですから、出てこようと私は思いますけれども、五十三年七月くらいから竹島周辺で幾たびか紛争が起こされています。海上保安庁はそのために発砲を受けていますよ。
 相手方から発砲された、これは緊急避難であるとか正当防衛であるということで、相手方にこちらから弾を撃ち込んだ、命中した、国際紛争の火種をここで巻き起こさないという保障はどこにもないのですよ。非常に危ない。防衛庁の方は、そういうときにほっておくわけじゃないでしょう。共同行動というのがここでとられるということも、これは事実の問題として予想にかたくない、非常に危ないと思うのです。
 海上保安庁とされては、そんなことは好まれないと私は思っておりますけれども、しかし、事実上、ただいまのようなこの訓令からすると、そういう事態を引き起こさないという保障はどこにもないのですよ。訓令をもう一度しっかり見直して、外国の公船を含まないという方向につくりかえるということがぜひぜひ必要である、このように思いますが、いかがですか。
#58
○岡田政府委員 銃器は相当な威力を伴うものでございますので、私どもが再々申し上げておりますように、いわゆる警察官職務執行法の七条を準用しての運用ということになりますと、御案内のように正当防衛とか緊急避難とか、非常に限定されたわけでございますけれども、なおかつ正当防衛、緊急避難でありましても、さらにこのような威力のあるものの使用については極めて抑制的に考えなければならないというふうに考えております。
 先生の御質問の趣旨も踏まえまして、なお内部において今後の検討を進めたいと思っております。
#59
○土井委員 内部において検討と言って、これははっきりしていただかないと非常に困ります。
 海上保安庁法の二十五条というのをよもやお忘れではあるまいと私は思います。「この法律のいかなる規定も海上保安庁又はその職員が軍隊として組織され、訓練され、又は軍隊の機能を営むことを認めるものとこれを解釈してはならない。」はっきりしているじゃないですか。非軍隊規定ですよ、これは。非軍隊規定と世に言う中身です。海上保安庁というのは軍隊じゃない、このことをひとつはっきりしていただかなければならない。
 しかし、そのことが自衛隊法八十条によって、防衛出動の際、治安出動の際、「自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があった場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。」ということになってくると、今私が取り上げた武器使用の問題というのは非常に大きな問題になってきますよ。
 つまり、海上保安庁法の二十五条と自衛隊法の八十条というのは、両方がまさに完全に矛盾した法条なんです。その間で武器使用に対してどのように取り扱うかという訓令が、先ほど来言うように、外国の公船を標的とするということもあえて辞さないような訓令になっているわけですから、その辺はひとつしっかり押さえをしておいていただかなければなりません、海上保安庁法の二十五条によってあくまで。これはよろしゅうございますね、海上保安庁。
#60
○岡田政府委員 これまでにお尋ねのありました経過を踏まえつつ、内部において検討いたしたいと思っております。
#61
○土井委員 今、現有の巡視船にはソナーが装備されておりますか。また、将来ソナーを、水中探知機ですが、装備するという予定がありますか。
#62
○茅根説明員 お答えいたします。
 このソナーが、もしも潜水艦探知といういわゆる一般的に言われているものでございましたならば、そのようなものは一切巡視船に載ってはおりません。今後ともその計画はございません。
#63
○土井委員 ソナーというのは、普通潜水艦探知のためのものなんですよね。それを何か変えまして、海底の地質とか底質というふうなものを調べるようなものにしたいというのだったら、現状でもできるのじゃないですか。わざわざソナーを備えるということになると、潜水艦探知のためであるということが少なくともまず第一に考えられるのが常識であります。
 少なくとも海上保安庁は、もう既に特別哨戒ということで、スパイ行為ではないかということが取り上げられて問題になった事例が国会でもあったでしょう、第一管区で起こった特別哨戒という業務の中身であったわけですけれども。情報収集をやっていた、これがソビエト側を非常に刺激したというふうな事情があったというのも、当時国会で取り上げられて大変問題になっております。
 私は、先ほどの質問の答弁、アメリカの沿岸警備隊とも連絡をとりながら、広域哨戒体制ということに対して整備をしていくことを考えているという海上保安庁側の答弁を注意して聞いたのですが、沿岸警備隊が実施しておりますいわゆるアンバーシステムというものに、ソナーの結果集約されたものが集められていくことになるのじゃないですか。これは非常に問題が大きいと思いますよ。どうです。
#64
○岡田政府委員 ただいま私どもの管理課長から申し上げましたのは、音波を利用するという意味では確かにソナーの一種と言えるかもしれませんけれども、結果的にはついておりませんが私どもがかねて予算要求いたしましたのは、自分の船の周辺、直下の地形だとか沈船の調査だとかを目的としたものでございまして、漁船などが使っております音響測深儀の改良型と言って差し支えないものだろうと思っております。例えば、けさの新聞に載っております第七十一日当丸におきましても、僚船が魚群探知機で高さ八メートル、長さ十五メートルの突起物を探知したというようなことが、まだ正確とは限りませんけれども、報道されております。このように沈船調査等につきましては、直下型の、みずからが音波を発信してその反響をキャッチして水面下の沈船等を調べる、これはある意味では有効な海難救助用の道具の一つであろうと考えております。
#65
○土井委員 いろいろ言われるのだけれども、今漁船が持っておる音波探知機等々でこなせる範囲というのは非常にあると思うのです。
 それでは、ソナーについて装備する予定というのは、今具体的にどういうことになっているのです。予算要求をされているのですか、されていないのですか。予算に計上されているのですか、されていないのですか。どういうことになっているのですか。
#66
○岡田政府委員 今私どもが申し上げました意味での、直下の海底地形あるいは沈船等を調べるソナーも現在ついておりませんし、また、今のところ要求する気持ちがございません。
#67
○土井委員 巡視船用のソナーを昭和五十七年度に予算要求として出されたといういきさつがあることは、私もよく知っているのです。これは結局は、要求されて認められなかったということですけれども、やはりきょう私が取り上げて問題にしたように、ソナーの持っている潜水艦を探知する機能というふうなことから出発して、危険視されたといういきさつがその理由としてあったのではないですか。いかがです。なぜ、ソナーに対しての予算要求を取り下げる格好になっているのですか。
#68
○岡田政府委員 私どもの方で確かに要求いたしましたが、取り下げたわけではございませんで、予算の査定の過程におきまして落ちたといいますか、私どももそれは認めざるを得なかった、こういう経緯でございます。
#69
○土井委員 そうすると、海上保安庁もさほど落とされても、さらに執拗に食い下がるくらいに熱意を持ってこれをつける必要なしというふうに認識されていると理解していいのですね、どうですか。
#70
○岡田政府委員 現在のところ、そのように考えております。
#71
○土井委員 船位通報制度というのが、今度の条約の一つの大変大事な目安になっているわけですけれども、今後は船舶の動向一つ一つがこの船位通報制度を設けた結果チェックできることに相なるわけですが、我が国としてはこの船位通報制度で得た情報をSAR条約の目的以外に利用する、使用することがあってはいけない、私は絶対にいけないと思うのですが、絶対にそういうことに使用しないということの保障はどういう格好でなされていますか。
 そして、海上保安庁の情報システムというのは、海上自衛隊と連絡しているのでしょう。先ほどの百一条から考えてもそのとおりなんです、平時においても常時連絡し合っているというのが自衛隊法の法の中身で決められていることなんですから。そういうことからすると、この船位通報制度というのがSAR条約の目的以外に悪用されない、利用されない、こういうことに対するチェックはどういうふうになされていますか。保障はどういうふうになされておりますか。
#72
○岡田政府委員 船位通報制度は任意の御加入を期待しておる制度でございまして、あくまでも海難救助の効率化という制度の趣旨を徹底し、御理解の上で各種船舶からの情報を入れていただく、かような制度になっておりますので、御指摘のとおり、この船位通報制度はあくまでも海難救助のみに活用するというふうに私どもとしてはかたい決心でございますが、内部的には一種の情報の管理規則というものをつくりまして、その趣旨を徹底いたしたいと考えております。
#73
○土井委員 その管理規則というのをつくられたら、これを当委員会に明示してください。これはSAR条約にとって大事な一つの部分だと思います。それはよろしゅうございますか、委員長。
#74
○愛野委員長 岡田次長、大丈夫かな。
#75
○岡田政府委員 提出申し上げます。
#76
○土井委員 船位通報制度は、今の御答弁のとおりで、加入を任意ということにされているわけですが、これはどういうわけでですか。
 最近は、船舶は小型漁船でも、通信設備を常備しているのが普通でありますが、そういうことになってくると、制度の効果的な運用を考えたら、日本籍船に対しては通報を義務づけることが非常に大事なのではないかと思いますが、この点はどうです。
#77
○岡田政府委員 私どもの船位通報制度は、先例といたしましてはアンバーシステムがあるわけでございますが、これも任意の加入ということを大前提としております。また、確かに海難救助といういわば利益が最終的には自己に及ぶかもしれないシステムではございますけれども、しかし、船位通報するということについてはある程度の労力とかいうものもかかるわけでございますし、これは民間の方々の自然な意思が働いて、より多くの船舶が加入するというのがこの制度の本来の趣旨に合致しているものだ、強制するのはなじまないというふうに考えております。
#78
○土井委員 今そういうお答えなんですが、アンバーシステムのことをお取り上げになりましたから申し上げますけれども、船位通報制度にいろいろ費用がかかるわけです。かかる費用のうちで、テレックスについての使用費用は利用者負担なんですが、アンバーシステムということからいうと、それをより効果的にすることのためには、そしてこのSAR条約に加盟する当事者は政府なんですから、国なんですから、そういうことからすれば、この費用を今回は国の方が負担する、あるいは免除する方向で考えていかれるということが、これからとられる有効な一つの手だてであると思われますけれども、これについての考えはどうです。これは、ぜひとも考えていただく必要が今後ますますふえてくると思います。いかがですか。
#79
○茅根説明員 お答え申し上げます。
 船員の方々から、いわゆるインマルサット、衛星を使いましてテレックスあるいは電話等で直接海上保安庁の方に船位通報を入れたいという御要望があることは、ユーザーズマニュアルを今一緒にやっておりますので十分承知しておりますけれども、そのテレックス、インマルサットを使えます船は、日本船ですと現在三百隻程度でございまして、システムを組み上げるときに、たくさんの船から船位通報をいただけるようにということで、一番普及しております無線通信によることにいたしました。これによりますと無料でございますので、現在は何とかこの無料の方で御参加いただけるようにお願いしておるところでございます。
#80
○土井委員 現在はそうでしょう。将来にわたって、これはいつまでもそのままでいかれるのか、それとも今私が申し上げたような方向を勘案する努力をなさるのか、いかがですか。
#81
○茅根説明員 隻数がどんどんふえてまいりまして、この方がうんとふえてくるということになりますと、当然考えなければいけない問題かと思います。
#82
○土井委員 あと二点ばかりお尋ねして、午前中の質問を終えたいと思います。
 船位通報制度を円滑にしていくということになりますと、まず船の側の負担をできる限り軽減する必要が考えられるんじゃないか。その問題として今一つを出したわけです。現在、一般海岸局経由で打電している問題に気象通報があります。気象通報を打電していますね。気象通報と今回のこの条約で問題になっている船位通報を一つにするということを、将来考えていってはどうかという問題なんです。つまり、気象通報を打電するときに、その船がどこにいるかということがはっきりわかるわけですから、船位通報とこれを一つにして考えるという方向で、業務の上での取り扱いを検討されるということがあってもいいんじゃないか。
 そうなってくると、これを受ける側の運輸省と海上保安庁と気象庁の間での検討が必要になってくるわけですが、関連して、気象通報の打電については海上保安庁でもこれを取り扱うことができるというシステムをお考えになったらいかがかと思われますが、いかがです。
#83
○茅根説明員 お答え申し上げます。
 気象通報は気象業務法に基づく行為でございまして、一日に三時間置きないしは六時間置きに打つことに決められております。一方我々の方は、二十四時間で一回程度ということでございますけれども、何とか一緒にならないかということで事務的検討は現在やっております。これは、電波の受け付けの関係がございまして郵政省の関係も出てきますので、若干調整が必要かと思いますけれども、今の御質問の趣旨を体しまして検討してまいりたいと思っております。
#84
○土井委員 それから、海難事故等々の問題を質問するたびごとにいつも取り上げて、これから解決していくべき課題であると言っているのが便宜置籍船の問題です。サブスタンダード・シップです。
 玉城委員も、沖縄の沖合において大変悲惨な当て逃げ事故がございまして、その当て逃げをした船が一体どういう船であるかということについて種々御質問されたわけでありますけれども、先日来マスコミを通じて報道されているところによりますと、当て逃げをした本体はリベリア籍のLPGのタンカー、ワールド・コンコルド号ではなかろうかということが明るみに出てまいっております。
 海難事故の未然防止という点からすると、SAR条約についてこれを円滑に考えていくということも大事なことでありますけれども、IMOやSOLASやILO関係条約の基準を満たしていない便宜置籍船に対して、海難事故と海洋汚染の多発の要因になっているということを考えて、日本としてはこの便宜置籍船を排除していく、なくしていく方向での努力が問われていると思うのです。これに対する対応をどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#85
○小和田説明員 お答えいたします。
 便宜置籍船に安全上問題のあるものが多いのではないかという御質問でございますけれども、確かに以前は、国際的な安全上の基準等に合わない船の中に便宜置籍船が多かったという実態はあったかと思います。ただ、最近は、先生が御指摘になりましたような関係の国際機関におきましても、いろいろと条約その他の整備が進んでおりますし、一方で便宜置籍国とされる国々におきましても、そういう国際条約の基準を実施するための努力をしておりまして、現在、便宜置籍船であるがゆえに基準に合わないということは必ずしも言えないのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、便宜置籍船を含み、世界の船の中に安全上いろいろな基準に合わないものがあるという現実はまだあるかと思いますので、そういう点につきましては、日本もその安全の確保、基準の維持ということについて、努力していく必要があろうかと思っております。
#86
○土井委員 今の御答弁では心もとないですよ。これはまた後で玉城委員の方からの質問もありますから、私は重複するような質問は差し控えたいと思うのですけれども、あれは当て逃げというよりも不作為の殺人行為だというふうに言わなければならないと思われるくらいに、悲惨な事故を起こしているわけです。それは便宜置籍船でしょう、現にこの船であるということになると。国際的な条約、国際的な基準を満たしている船の場合などは、当てて船体を真っ二つにするようなこういう事故を起こしておきながら、素知らぬ顔をして逃げ去るなんというようなことはよもやしないだろうと私は思いますよ。
 そういうことからすれば、日本としてはもっと便宜置籍船に対する対応に力を入れるべきだ。日本の港に出入りしている隻数からいったって、非常に多いですよ。タンカーであるとか貨物船のたぐいを見てまいりますと、多いです。私も神戸で生まれて育った人間ですから、神戸港にどういう船が出入りしているかというのは一大関心事でありますけれども、こういうことに対して今の御答弁のままでは非常に心もとない気がします。もう少し積極的な強い姿勢が望まれますが、いかがですか。これで午前中の質問を終えますが……。
#87
○戸田説明員 今先生御指摘のサブスタンダード・シップの排除でございますが、外国船への立ち入り臨検、ポートステートコントロールと言っておりますが、このコントロールの実施につきましては、例えば海上人命安全条約、満載喫水線条約、海洋汚染防止条約、それからILO百四十七号条約、こういったもので構造設備について国際的な基準を決めております。これに合致しているかどうかにつきましては、関係国際条約の趣旨にも従いまして、全国に配置されております船舶検査官をして、本邦の港、または沿岸の施設にあります外国船舶を対象としまして、監督を強化してまいっております。
 このようなことは、欧州十四カ国あるいは米国なども共同で実施するという方向で動いておりますので、そういった国際的な動きも踏まえながら、監督体制の充実、国際的な相互協力の推進をぜひ進めてまいりたいと思っております。
#88
○土井委員 終わります。
#89
○愛野委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十六分開議
#90
○愛野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。玉城栄一君。
#91
○玉城委員 千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約について御質問をいたします。
 この条約に極めて関係が深い問題でありますので、前回もこの委員会でお伺いいたしました。まず、海上保安庁の方にお伺いいたしますが、第一豊漁丸衝突逃走事件について、昨日海上保安庁はワールド・コンコルド号をその当て逃げ船と断定されたようでありますが、その経緯について御説明をいただきたいと思います。
#92
○神谷説明員 先日来、当委員会あるいは沖縄・北方特別委員会におきまして先生から御質問がございましたワールド・コンコルド号につきまして、昨日、私ども本庁、それから第十一管区海上保安本部にあります捜査本部、それから現実にワールド・コンコルド号が入港しております坂出海上保安署が、同時に十一時に発表いたしました。
 その結果、第一豊漁丸に衝突し逃走いたしました船につきましては、一昨日までの捜査の結果、香川県の坂出港に現在入港中のリベリア籍のLPGタンカー、ワールド・コンコルド号、これは総トン数が三万八千八百二十八トン、船長は朴炳凾ウんという韓国人の方でございますが、につきまして調査をいたしましたところ、第一豊漁丸の船体破断部付近に付着しておりました塗膜片と、ワールド・コンコルド号の船首付近の塗膜を、私どもの海上保安試験研究センター及び沖縄県警の科学捜査研究所におきまして鑑定いたしました結果、いずれも一致いたしました。
 それから第二点といたしまして、第一豊漁丸が通常操業する海域、この地点をワールド・コンコルド号は三月三十日の十二時から十八時ごろに通航しているという事実が判明いたしました。
 それから、先日来申し上げておりました、全国の海上保安部署に船舶手配しておりましたワールド・コンコルド号を除きます他の三百二十七隻――一部未確認のものもございますが、これは外国へ出て調査不能ということでございますけれども、現在のところ、容疑濃厚というような船はないということでございまして、こういう結果が得られましたので、捜査本部としては同船を加害船と断定した次第でございます。
#93
○玉城委員 今もって乗組員五名が行方不明でございますけれども、現時点で何らかの手がかりが得られているのかどうか、いかがでしょうか。
#94
○草薙説明員 お答えいたします。
 第一豊漁丸の海難が確認されてから現在まで、昨日まででございますが、海上保安庁では巡視船艇延べ百五隻、それから航空機延べ三十七機、それから自衛隊の航空機八機の応援も得て捜索しておりますが、行方不明者はいまだ発見されておりません。
#95
○玉城委員 海上保安庁、大変御苦労していらっしゃるわけでありますが、さらに鋭意御努力をお願い申し上げたいと思います。
 ところで、この第一豊漁丸は石垣港を出港したのが先月の二十九日の午後ですね。その翌日、三十日の正午から六時までの間に、通常操業海域でワールド・コンコルド号に衝突を受けて沈没した。これは私の調査では、この第一豊漁丸の従来の通常漁業海域での操業状況とか、またあのときの出漁状況、あるいはワールド・コンコルド号が急にコースを変えて石垣の方に入ってきたというような状況等から、あるいは関係者のお話を伺っても、明らかにこれは領海内での衝突であった、このように私は思うわけでありますが、海上保安庁、いかがでしょうか。
#96
○神谷説明員 新聞等ではいろいろなことが、こういう点が疑惑であるというようなことが報道されておりますけれども、私どもとしては現時点で、衝突位置が領海内であるというふうに断定するに至っておりませんので、現在捜査の形でやっているというようなことでございます。今後事情聴取その他によりまして、その衝突位置を特定していきたいというふうに考えております。
#97
○玉城委員 法務省の方にお伺いしたいのですけれども、海上保安庁の先ほどの御発表もあったわけでありますが、こういう事件についてどういう罪状が適用されるのか、お伺いいたします。
#98
○則定説明員 お答えいたします。
 ただいまの第一豊漁丸の問題につきましては、海上保安本部で領海内であるか否かの点を含めまして捜査を進めている現状でございまして、必ずしも事実関係が明確になっていないわけでございます。したがいまして、この段階でいかなる犯罪が成立するかということは明言しかねるわけでございます。ただ、あえて一般的に申しますと、業務上過失往来危険罪、あるいは仮に死亡の結果が明確になってきたということになりますと、業務上過失致死罪の成否が問題になろうかと思います。
 以上でございます。
#99
○玉城委員 今度は外務省の方ですね。これがもし仮に公海上であったという場合はどういうことになるのか、裁判管轄権の問題等お願いします。
#100
○斉藤(邦)政府委員 公海上の船舶の衝突に関する刑事裁判管轄権につきましては公海条約に規定がございまして、その第十一条におきまして、「船長その他当該船舶に勤務する者の刑事上又は懲戒上の責任が問われるときは、」「当該船舶の旗国又はこれらの者が属する国の司法当局又は行政当局においてのみ執ることができる。」と規定されております。したがいまして、今度の場合でございますと、この加害船の船籍国または船員の国籍の所属国、このいずれかが裁判管轄権を持つというのが国際法でございます。
#101
○玉城委員 法務省の方にさらにお伺いいたしますが、先ほど、これは領海での事故であった場合、衝突については業務上過失往来危険罪、乗組員が死亡していた場合は業務上過失致死罪というお話があったわけでありますが、当て逃げをしてそして乗組員が死亡した、こういう事件は不作為による殺人と私は思うのですが、いかがですか。
#102
○則定説明員 先ほども申しますように。事実関係が明確でございませんので仮定論ということになろうかと思いますが、今先生御指摘の不作為による殺人と申しますのは、何といいますか、衝突の結果が発生して被害船舶の乗組員等が海上に漂流しておる、それを放置した場合にどうなるだろうか、それが未必の故意による殺人というものにならないだろうかというような御指摘かと思いますけれども、事実関係いかんではございますが、なかなか慎重に検討を要する問題ではなかろうかというふうに思っております。したがいまして、直ちに今御指摘のような罪名が問題になろうとは、ちょっとこの場でお答えいたしかねるわけでございます。
#103
○玉城委員 事実関係がもっと明らかにならなければ何とも言えない、慎重に検討を要するということでありますが、やはりこの人命救助というのはすべてに優先すると思うのですが、いかがでしょうか、法務省。
#104
○則定説明員 まさにそのとおりだろうと思います。
#105
○玉城委員 したがって、やはりその乗組員を救助するという義務は当然ありますね。いかがですか。
#106
○則定説明員 先ほど外務省の方からお答えがありました公海に関する条約等にも、衝突事故の生じたときに加害船舶としては相手方の救護義務等があるという規定がたしか設けられておるかと思います。それから、一般的に申しまして、自己の行為によりまして相手方の身体、生命に危険を及ぼすような状態が生じた場合、これは救護義務が法的にも発生するということが一般論としてあることは、おっしゃるとおりであろうかと思います。
#107
○玉城委員 こういうケースの事件、つまり自分が衝突をして相手の船を沈没させ、そしてその乗組員が死亡したという場合ですね。しかも、海上という特殊な状況ですね。しかも、この乗組員の方々というのは自分自身では助かるすべがありませんね。いかがですか。
#108
○則定説明員 まさにそのとおりだろうと思います。御質問の趣旨が、何といいますか、加害船舶側におきまして、相手方の被害船舶の乗組員等が海上に漂流しておる、それをそのまま放置して逃げた場合にどうなんだろうか、刑事上の責任が一層重くなるのではなかろうかという御指摘だといたしますと、一般論でございますけれども、例えば陸上で交通事故を起こした場合に、相手方は瀕死の重傷を負っておる、その場合、いわゆる陸上での当て逃げをしたらどうなるかというような事情に引きかえて考えてみますと、やはりその場合に、事実関係いかんではありますけれども、要保護者遺棄罪等々の刑法上の罪の成立という場合があり得るということは間違いないかと思います。
#109
○玉城委員 ああいう海上という特殊な状況の中で、乗組員は自分自身で助かるすべがない、しかも、第三者がその乗組員を救助するということは全く不可能な状態ですね。いかがですか。
#110
○則定説明員 これも先ほど来申しておりますように、いわば加害船舶側の認識の問題、それと事故発生時の状況といいますか、これらを総合的に考えませんと、一概に成立か否かとお答えいたしかねるかと思います。
#111
○玉城委員 私がお伺いしているのは、今度のような事件の場合第三者が救助するということは、今の結果からしてほとんど不可能ですね。いかがですか。
#112
○則定説明員 御指摘の問題につきましては、海上船舶の救難の問題でございますので、法務省の立場からお答えいたすのがいいのかどうかわかりませんが、ただ、一般論としては、確かに先生おっしゃいましたように、非常に困難であろうということは私ども承知いたしております。
#113
○玉城委員 この加害船というのは、だれよりもその乗組員を容易に救助できる立場にありましたですね。どうでしょうか。
#114
○則定説明員 事実関係として、容易に救護できる状態にあったのではなかろうかということの確認を求められておるというふうに私受け取ったのですが、それでよろしいわけでございましょうか。
#115
○玉城委員 衝突して沈没しますね。その乗組員の方が海にほうり出された方もいるかもしれない、あるいは船内にいたかもしれない、あるいは両方であったかもしれない、それはいろいろな状況があると思いますよ。しかし、この乗組員はあの海の状況の中でみずから助かるすべはない、しかも第三者が救助できる状況でもない、これはほとんど不可能だ、加害船はだれよりも救助できやすい状態、そういう立場にあったことは事実ですね、違うのですか。
#116
○則定説明員 一般論はまさにそのとおりだと思いますけれども、その点について、私どもからちょっとお答えいたしかねます。
#117
○玉城委員 結局、この加害船が、この乗組員を助けたならば間違いなく助かっていたものを、助けずにそのまま放置をして逃げていった、そのためにその乗組員が死亡した、これは明らかに不作為による殺人という考え方が成り立つのじゃないですか。
#118
○則定説明員 怒られるようでございますけれども、仮定の話でございますので、いわゆる殺人罪が成立する場合もあろうかと思いますし、事案によってはそれは到底無理であるということしか、この段階ではお答えいたしかねます。
#119
○玉城委員 そういう殺人罪も成立する場合もあるだろうというお話ですが、そのときに自分では助かるすべもないのですよ。第三者が助けることもほとんど不可能、しかもその加害船であれば乗組員を助けることができた、そして助かった、それをしないで放置して逃げていった、これは明らかに不作為による殺人だ、私はこう思うのですね。いかがですか、もう一回。
#120
○則定説明員 あくまでも仮定論でございますので、その意味でここで断定的に、それが罪の成否の問題でございますので、お答えいたしかねるのは、この場の性質という意味におきまして、やはり差し控えさせていただきたいと思っておるわけでございます。
#121
○玉城委員 先ほど課長さんは、状況によってはそういうこともあり得るというような意味のこともお話しされた。私は、実はこの問題を専門家にお伺いしたのですよ。そうしたら、この種の問題において最高裁でもまだ判例はない、したがって、今のような考え方も間違いではない、そういうふうな話を承りましたのですが、法務省、その点いかがですか。
#122
○則定説明員 検討の対象とは十分なり得るだろうと思いますけれども、今申しましたように、断定的にどうであろうかということは、この場ではなかなかお答えいたしかねる、こういうことでございます。しかしながら、おっしゃる考え方というのは、十分あり得るであろうという気がいたします。
#123
○玉城委員 そこで、今度外務省の方にちょっとお伺いしたいのですが、先ほど、これがもし仮に公海上であったという場合は、公海条約の十一条によって管轄権は我が国にはないのだ、こういうお話であったのですが、今のような不作為による殺人の場合もそうですか。
#124
○斉藤(邦)政府委員 公海における衝突事故に際しまして、その加害船の船籍もないし船員の国籍も我が国でない場合、我が国が裁判管轄権を有さないという点は御指摘のとおりでございます。
#125
○玉城委員 いやいや、私がお伺いしているのは、ただいま法務省と私との質疑応答をあなたもお聞きになっていたように、容易に助けられる状況にあって、助けていたら助かったのに、それを助けないでそのまま放置して逃げていった、そのために乗組員は死んでしまった、いわゆる不作為による殺人ということも、あなたの言う十一条に当てはまるのですかということをお伺いしているのですよ。
#126
○斉藤(邦)政府委員 公海条約の規定は一般的な規定でございますので、御指摘のようなケースもその対象になると考えざるを得ないと思います。
#127
○玉城委員 そうしますと、今のようなケースの場合は、裁判権は当然我が国にあるわけですね。
#128
○斉藤(邦)政府委員 私の先ほどの答弁が、申し上げ方がちょっと悪かったかと存じますが、今のようなケースであって、衝突の地点が公海であれば、我が国には裁判管轄権はないということを申し上げたつもりでございます。
#129
○玉城委員 いやいや、それは最初から聞いてわかっていますよ。今のようなケースの場合は、さっきあなたは、そういう場合もあるということをおっしゃったわけですね。いわゆる不作為による殺人という場合もあり得ると、あなた、さっきそうおっしゃったでしょう。その場合は、裁判権は当然我が国にありますねと、これを聞いているわけです。
#130
○斉藤(邦)政府委員 私の御答弁が悪かったかと存じますが、私が申し上げましたのは、仮に不作為による殺人というケースに該当するような場合であっても、国際法の規則によりまして、我が国には裁判管轄権がないということを申し上げた次第でございます。
#131
○玉城委員 それはどこの規則にあるのですか。
#132
○斉藤(邦)政府委員 具体的には、公海条約の第十一条に書いてございます。
#133
○玉城委員 あなたがさっき読み上げました公海条約の十一条は「公海上の船舶につき衝突その他の航行上の事故が生じた場合において、」ですよ。だから、今のような不作為による殺人というものは含まれてませんよ。
#134
○斉藤(邦)政府委員 もし、玉城委員御指摘のようなケースが、船舶の衝突というのを離れまして、衝突と切り離された一般の殺人という観点から論じておられるのであれば、これは公海条約の規定を離れまして、我が国から見た場合、我が国の領域外における殺人事件ということになって、その一般的な規則に従って裁かれるということになると存じます。
#135
○玉城委員 仮に公海上において、さっき申し上げましたようないわゆる当て逃げをして、助けられるものを助けずに逃げていった、そのためにその乗組員は死んだ。それは公海条約の十一条には含まれない、したがって、裁判権は我が国にあるということを確認してよろしいですね。
#136
○斉藤(邦)政府委員 御指摘のようなケースが、公海条約第十一条の規定の適用外のものかどうかということは、なかなか一概に断定できないかと存じますけれども、仮にそうであった場合、すなわち、船舶の衝突事件というのを離れた殺人行為が公海上であったという想定で考えますと、我が国から見た場合、これは我が国の領域外における殺人事件ということになります。したがいまして、刑法の規定に従いまして、刑法につきまして私が申し上げるのは不適当かと存じますけれども、我が国の刑法は、我が国の領域外における外国人の殺人行為は対象としていなかったと記憶しておりますので、我が国の刑法の適用を行うことはできないという状況になると考えられます。
#137
○玉城委員 あなたはちょっとややこしいことを言っていますけれども、刑法の一条二項「日本国外ニ在ル日本船舶又ハ日本航空機内ニ於テ罪ヲ犯シタル者ニ付キ亦同シ」とちゃんとあるじゃないですか。そういう判例もありますよ。読みましょうか。「衝突場所が我が国の領域にないと仮定しても、被告人の過失行為に基づく結果はすべて日本船舶内で発生している以上、刑法一条二項にあたる」とした五十一年十一月の控訴審のこういう判例もありますよ。
#138
○斉藤(邦)政府委員 殺人行為が日本の船舶の中で行われたという想定であれば、それはまさに御指摘のとおりでございまして、日本領域内における殺人行為に対する刑法の適用と同じで、当然刑法の適用があるわけでございます。しかしながら、御質問の想定が、船舶の衝突事件というのを離れて、衝突事件と切り離された形での公海上での殺人行為があった場合どうだという御質問だと了解いたしましたので、そうであれば日本の領域外における殺人行為と考えざるを得ないということを申し上げた次第でございます。
#139
○玉城委員 この公海条約十一条で言う「衝突その他の航行上の」云々ということは、衝突はそれは確かに過失で衝突するでしょう。ところが、乗組員はあるいはほうり出される場合もある、あるいは船内にいる場合もあるかもしれません。さっきも申し上げましたように、みずから助かるすべがない、第三者は救助不可能、しかも海という特殊な状況、しかもこの加害船はだれよりも助けることが容易な状態にあった、助けたならば当然助かっていたものを助けずにそのまま放置して逃げていった、そのために死亡した、ということを繰り返し私は申し上げているわけです。あなたは切り離してとかいろいろなことを言っておりますけれども、そういう場合は公海条約の十一条に当てはまりませんよ、当然日本に裁判権はありますねと。どうなんですか。
#140
○斉藤(邦)政府委員 なかなか想定が難しいのでございますけれども、日本船舶上において犯される行為、これはすべて我が国の刑法において処罰し得るわけでございます。しかしながら、ただいま想定されておりますような場合が、公海条約第十一条に言う海上衝突に関する規則の枠外であって、なおかつ日本の船舶上の犯罪行為とみなされる場合という想定をしておられるように思いますので、そのような場合というのが果たしてあり得るのかどうか。すなわち、衝突事件から派生する事件であれば、これは公海条約が適用になって、遺憾ながら我が国の裁判管轄権は及ばないと考えざるを得ないわけでございますし、他方衝突と一応切り離されました殺人行為ということであれば、これは我が国の領域外における殺人行為ということになって、刑法の適用がないというふうに考えざるを得ないというふうに考える次第でございます。
#141
○玉城委員 私がお伺いしたいのに率直に答えていただきたいのですが、同じことを何回も繰り返しますけれども、あなたはああ言ったりこう言ったり、いろいろ言っておりますけれども、それはあなたの今のその場での考え方でしょうから、これは明確に政府の解釈として次の機会にでもちゃんとしていただきたいのですよ、あなた自身が今いろいろなことを言うよりはどうですか。
#142
○斉藤(邦)政府委員 私は政府の考え方を申し上げているつもりでございますけれども、政府部内で関係機関とも協議をいたしまして、後日御報告することはいたします。
#143
○玉城委員 先ほど法務省の方も、状況によってはそういう場合もあり得るというお話ですから、いわゆる不作為による殺人ということも成り立つと、私はそう思うのです。したがって、これは裁判権は日本にある、したがって現時点においても逮捕できると私は思うのですよ。どうですか、斉藤さん。
#144
○斉藤(邦)政府委員 領海内の事件であれば、もちろん問題なく逮捕ができるわけでございます。公海の場合どうだ、逮捕できるかどうかというのは、外務省員の私がそれを申し上げるのは不適当かと存じますので、差し控えさせていただきます。
#145
○玉城委員 これ以上あなたと議論しても進みませんので、海上保安庁、このコンコルド号の出港予定日はいつですか。
#146
○神谷説明員 五月一日と聞いております。
#147
○玉城委員 五月一日までに、先ほどおっしゃった領海か公海かもし確定できなかった場合は、どうするのですか。
#148
○神谷説明員 その場合は会社側に協力を求めまして、船員につきまして交代をさせていただこうというふうに考えております。
#149
○玉城委員 出港させたらだめですよ。逮捕しなさい、これは。
#150
○神谷説明員 私が申し上げましたのは、船員を交代させて、現在取り調べている船員はそのまま置いといていただこうということでございます。
#151
○玉城委員 最低、船長あるいは責任者である航海士の方は、きちっと解明できるまでは出国させてはならないと思うのですね。もう一回。
#152
○神谷説明員 そのとおりでございますので、協力を求めたいと思っております。
#153
○玉城委員 今度は外務省の方に伺いますが、このいわゆる当て逃げ船というのは、船籍がリベリアですね。それから乗組員が韓国の国籍ですが、この問題については今後どういう外交的措置をおとりになるおつもりであるのか、お伺いいたします。
#154
○斉藤(邦)政府委員 今度の事件は私船同士の事故でございますので、基本的には直ちに外交上の問題とはならないわけでございますが、今後の事件の推移を見きわめまして、政府としての態度は考えたいと思っております。
#155
○玉城委員 もう一つ外務省に伺いますが、こういう場合の補償に関する条約というのはあるのですか。その取り扱いというのは一体どういうふうになっているのか、お伺いいたします。
#156
○斉藤(邦)政府委員 このような事件に関します補償の問題につきましては、船舶衝突ニ付テノ規定ノ統一ニ関スル条約というのがございます。この第三条におきまして、衝突が一方の過失により生じた場合には、過失があった船舶が損害賠償の責任を負うということを定めております。しかしながら、我が国はこの条約の締約国でございますけれども、リベリア、韓国はいずれも締約国ではございません。したがいまして、一般に民事補償の問題というのは当事者間で話し合われるということになるかと存じます。
#157
○玉城委員 それはよくわかりますよ。わかりますけれども、先ほどから私申し上げておりますとおり、これはもう極めて、海の男としてのモラルがないというか、ひきょうですね。そのことによって、まだ乗組員の方々が死亡しているとは確定されていませんが、例えばそういう場合もあり得る。そういう場合は、いわゆる不作為による殺人ということも成り立つと思う。それは後で検討してお答えをいただくということにして、ですからそういう場合は当然我が国の裁判管轄権下にある、したがって強制捜査もでき得る、そういうふうな考え方に私は立っているわけです。ですから、そういうことから考えましても、こういうひきょうな事件を起こした国に対して、あるいはその船の国に対して、やはり日本の外務省としてもきちっと言うべきものは言うという姿勢が必要だと思いますし、当然また補償という問題も今後出てくると思います、いろいろな船に関する問題とか。そういうことについても外務省も、斉藤さん、積極的に協力をして、外交的対応ができる部分は十分努力をするというふうなことをひとつおっしゃったらどうですか。
#158
○斉藤(邦)政府委員 外務省としても、この事件はまことに遺憾な事件だと考えておる次第でございまして、今後の事態の進展を見きわめまして、海上保安庁とも十分協議をとりながら、ただいま玉城委員御指摘の諸点も考慮に入れまして、政府の態度を考えたいと考えております。
#159
○玉城委員 海上保安庁の方に、今度この条約に加盟することになるわけでありますけれども、この十一管区というのは相当な広大な守備範囲になるわけですね。これまでのいろいろな事故のそういうデータを見ましても、現体制で果たしていいのか。伺うところによりますと、他の管区からも相当常に応援をいただいている。しかも、この条約に加盟しますと、体制を強化しないと皆さんの職務の遂行に相当支障を来すのではないか、そういうふうな考えが成り立つわけでありますけれども、現体制と今後のそういう強化する計画というのはどういうふうな考えを持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#160
○辻説明員 ただいま十一管区の体制の現状と強化について御質問ございましたが、現在第十一管区に千トン型の巡視船四隻を含めまして巡視船六隻、それから巡視艇九隻、そのほか特殊警備救難艇と呼んでおりますが小さな艇が二隻の合計十七隻の船艇と、それから航空機の勢力につきましては、YS11の大型航空機一機を含みます固定翼機、いわゆる飛行機でございますがこれが四機、それからヘリコプター三機の計七機を配備し、周辺海域での海上保安業務に対応させております。船艇、航空機の勢力につきましては、多いにこしたことはございませんけれども、当面の十一管区の業務につきましては、現有船艇、航空機と、それから外国漁船の監視取り締まり業務の繁忙時には、隣接管区からの応援をすることによりまして対処できると考えております。
 なお、今後の船艇、航空機の整備の計画でございますが、私どもこのSAR条約の加盟を機に、広域哨戒体制の整備を進めておりまして、この全体の整備計画の中で十一管区の船艇及び航空機の配備を考えてまいりたい、このように考えております。
#161
○玉城委員 海上保安庁とされても、ぜひ強化をしていただくように要望をいたします。
 今度は水産庁の方に伺いたいのですが、今回の第一豊漁丸、事故に遭ったあの漁場海域というのは非常に好漁場なんですね。これはもちろん沖縄だけでなくして、四国、九州、相当な漁船があの海域に操業しているわけでありますが、今回のこの事件の期間中だけでも海上保安庁がチェックした数が三百二十八隻、これは日本の港に出入りしている船だけですけれども、外国から外国へ行く船、あの辺を通過する船もあるわけですが、もちろん軍艦等は含まれていない。相当の船があの海域を運航というのですか、通航しているわけですね。ですから、今度の事件、さらにこれに似たような事件も、あの海域で発生しているわけですね。
 そういうことからして、これは関係漁業に従事する方々はもとより、そういう船に関係する方々も、非常な不安を訴えておるわけですね。ですから今度の事件をきっかけにして、きっかけというよりも当然ですけれども、そういう漁船の操業安全対策というものをさらに強化をしていかなくては、非常に危険にさらされているということは、もう今回の事件がはっきり証明しているわけですから、そういう点について、水産庁とされてどういう計画、対策を持っていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#162
○東説明員 先生御指摘のとおり、沿岸漁船による海難事故は相当多発しております。その漁船の海難事故の防止、安全操業の確保等につきましては、水産庁といたしましても、従来から海上保安庁等の関係機関とも十分連絡をとりまして、人命尊重の見地に立ちまして講習会の開催とか安全操業のためのマニュアルづくりとか、そういうような措置を講じてまいっているところでございます。とともに、関係業界の指導にも努めてまいる所存でございます。今後とも安全操業の確保について、万全を期してまいりたいと存じます。
#163
○玉城委員 非常に抽象的で大丈夫かなと思うのですけれども、四国、九州あるいは沖縄、関係する地方自治体との連携をとっていただいて、もっともっと安全操業に強化すべき点を相談していただいて、ぜひ対策を練っていただきたいと思うのです。
 最後に、このSAR条約ですけれども、国会への提出が非常に遅くなりましたね。いろいろ理由をおっしゃっておりますけれども、こういう条約というものは、我が国が加盟をして、早く批准、推進されるべきであるという要望も強いわけですよ。なぜ、こうおくれてきたのか、外務省にお伺いいたします。
#164
○村田説明員 政府としましては、この条約の発効時期についての見通し、それから近隣諸国の動向を念頭に置きながら、条約の内容それから国内法令との整合性、条約の円滑な実施のための国内体制の整備などにつきまして、慎重な検討が必要だったということでおくれたわけでございまして、そういう状況も、例えば今年十月に船位通報制度などが発足する等、種々の措置をとられまして環境が整ったと判断した次第でございます。
#165
○玉城委員 大臣、私の時間でまだ一言もお答えいただきませんので、この条約に関係しますので、具体的な事件の問題についてもいろいろお伺いしております。私も何回も繰り返しましたけれども、そういう状況によっては私はそう思っているわけですけれども、たとえ公海上であったにしても、やはり不作為による殺人ということで、我が国に裁判権はあり得るという考え方なんです。こういう外国船、その乗組員の方々はまたほかの外国と、そして我が国の漁船は沈没され、乗組員は今まだ行方不明で捜索中であるわけですけれども、大臣、どういうふうにお考えになられるでしょうか、外務大臣としてお答えいただきたいと思います。
#166
○安倍国務大臣 まだ捜索中ですから、あるいは今取り調べ中ですから、何とも予断を持って言えないのですけれども、しかし、今想定されていますように、当て逃げして、そして当てられた船員がそのまま救助もされないでほっぽり出されて亡くなってしまった、不作為の殺人といいますか、そういう状況が想定されているのですが、そういう事実ということになれば、これは全く許しがたい犯罪行為だと言えるのじゃないかと思いますが、しかし、果たしてそういう状況がどうかというのは、これからいろいろと調査が進まないとわからぬと思いますし、そのときはやはり国際条約、公海であるかあるいは領域であるか、そういうことによって国際条約に照らしてこれが処理されなければならない。国際条約についてのいろいろな解釈は、これは政府としてもはっきりしたものを持たなければならぬと思いますが、国際条約に照らしてきっちりとこれは処理されなければならない、処断されるものは処断されなければならない、こういういうふうに思います。
#167
○玉城委員 以上です。
#168
○愛野委員長 次に、田中美智子君。
#169
○田中(美)委員 日ソ漁業関係の問題ですが、今、エビかご漁やツブ、カニ漁、これは民間協定になっています。大日本水産会と全ソ漁業船舶公団の交渉になっているわけです。しかし、五月一日が出漁の予定になっていますので、漁民が非常に困っておりますので、この問題、ぜひ大急ぎで外交ルートを通して積極的に政府がバックアップしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#170
○西山政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの問題は、まさしく先生御指摘のとおりの状況にございますが、私どもといたしましても、関係の漁民の方々の御懸念を十分意識、念頭に置いておりまして、何とか早くこの交渉が開始されますように努力を繰り返してきたところでございます。
 現に、東京それからモスクワで、繰り返し外交ルートで申し入れておりまして、その結果、四月二日の時点では、これを四月十五日から開始するということで原則的な合意が成立したわけでございます。ところが、ソ連側は、その後、本件交渉を四月十五日から開始することはできないということを一方的に通報してきた次第でございます。これが四月十日のことでございました。こういう、交渉開始時期を原則的な合意をしておきながら一方的に変更してくるということは、まことに遺憾なことでございます。そこで、既に一部漁期に入っていることも十分に踏んまえました上で、この四月十五日には鹿取駐ソ大使からソ連の漁業省のブイストロフ次官に対しまして、たまたま私もそこの場に同席していたわけでございますけれども、交渉の早期開始について申し入れも行った次第でございます。
 こういうわけで、外交ルートを通じてあらゆる機会をとらえてソ連に対し働きかけておりますし、今後とも、これが早期に始めることができますように努力を続けてまいるつもりでおります。
#171
○田中(美)委員 日にちも迫っていることですので、ぜひ強力にやっていただきたいとお願いいたします。
 こういう状態の中で、漁民たちも、現在は日本海岸の武蔵堆というところで漁業をしている人もいるわけです。それから、沿岸の漁民も武蔵堆で漁をやっている。その上に韓国船が、大々的にトロール漁でこの沿岸を根こそぎにとっていっている。海底が平らになるほどだというふうなうわさも出ているわけです。これは聞いた話ですけれども、エビを初め魚の資源の宝庫だと言われているこの武蔵堆、ここの資源がなくなってしまっては大変ではないかということを心配しているわけです。
 そういう意味からいたしましても、今すぐどうするということが手が打てないにしても、資源調査をすぐにすべきではないか、そしてその結果、どれだけの漁をここでしてもいいのかということを決めるべきではないか、それと同時に、韓国に対して、トロール船で大々的に根こそぎ持っていくというようなことをやらないように申し入れをしていただきたい、こう思うのですが、この点、御答弁願いたいと思います。
#172
○菊地説明員 お答えいたします。
 まず武蔵堆での操業の問題でございますけれども、水産庁といたしましては、北海道周辺水域における韓国漁船の操業につきまして、この水域における漁業資源の保護と我が国漁船とのトラブルの防止などの観点から、日韓両国間で話し合いの結果、昭和五十五年十一月一日から韓国側の自主規制措置が実施されておりまして、さらに五十八年十一月一日以降、自主規制措置が強化されてきております。この自主規制措置の一環といたしまして、韓国漁船の操業隻数は、当初の十七隻からその後毎年一隻ずつ減少させていくということになっておりまして、現在、三月末でございますけれども十六隻ということでございまして、最終的に昭和六十一年には十四隻と、当初の十七隻から見ますと三隻減らすということになっておるわけでございます。
 なお、この自主規制措置は、六十一年の十月末をもちまして期限切れとなるということになっておりますので、その段階におきまして再度両国間で話し合うということになるわけでございますけれども、現在の規制措置につきまして見直しを行うということになりますと、その時点でこれを行っていくということにいたしたいと考えております。
 それから次に、資源の調査の問題でございますけれども、水産庁といたしましては、我が国二百海里水域内の漁業資源の実態を把握するため、五十二年から主要な魚種を対象といたしまして、我が国二百海里水域内漁業資源調査というものを実施してきておるところでございます。この調査は、国の水産研究所が中心となりまして、都道府県の水産試験場などの協力を得まして、資源の総合的な評価を行うということをねらったものでございます。
 先生御指摘の武蔵堆水域におきましても、この調査によりまして詳細な資源調査を実施してきておりまして、さらに五十五年から武蔵堆を含めました北海道周辺水域につきまして、重要魚種であるスケトウダラに関しまして、新規加入量資源調査という名称の調査を実施しているわけでございます。これに加えまして、さらに五十九年度から、武蔵堆水域における大型トロール船の操業によります資源への影響というものを調査するため、新たな調査を展開しているところでございます。
 以上でございます。
#173
○田中(美)委員 そうすると、五十九年からこの資源調査をやっているということは、その結果はいつわかるのでしょうか。
#174
○菊地説明員 現在、その調査は北海道に委託をしておりまして、間もなくまとまるということでございまして、ただいままだ水産庁の方には届いておりません。
#175
○田中(美)委員 これはできるだけ早く結論を出して、漁民からの訴えは大変強く出ておりますので、韓国に対してももう少し強く申し入れをしていただきたいと思います。
 次に、マグロの問題についての質問に移りたいと思います。
 大西洋海域のクロマグロの資源の状況について、これは御存じのように日本と米国とカナダ、この三国が関与しているわけですが、この日本とアメリカとカナダとの間に資源についての評価の違いがあるということは、安倍外務大臣も御存じだと思います。これは、遠洋水産研究所が出されましたいろいろなニュースやなどから知ったわけです。また、話も聞いたわけですけれども、その交渉のとき、カナダとアメリカが組むと、日本は二対一になっちゃうわけですね。そのときに、相手国が自国の政策に合致した結果のみを資料として提出して、討議の過程で欠陥が指摘されると、さしたる責任の念も表明することなく、それに応じたカードを出すといった戦術を採用してくる、こういうようなことを言っているわけなんですね。ですから、きちっとした科学的な根拠でもって応対するというのではなくて、力関係で押されていくというような感じを私は受けているわけです。
 そういう中で日本の方も、外務省や水産庁、それから遠洋水産研究所の研究者の方々の御努力というものは私は非常に高く評価しておりますけれども、資源の評価というものは、そこの資源は消滅の危機にあるんだ、いやそうじゃないんだ、こういうことを何回もやり合う中で多少漁獲量をふやしてきているということは、私よりもそちらの方がよく御存じだというふうに思うわけです。そういう状態があるということは御認識だと思いますが、御認識がどうかということを簡単にちょっとお答えください。
#176
○菊地説明員 お答えいたします。
 御案内のとおり日、米、加三カ国の科学者間におきまして、大西洋海域のクロマグロの資源状態はよくないということは、従来からそういったことにつきましては見解の相違は見られなかったところであるわけでございます。しかしながら一九八一年、昭和五十六年でございますが、その時点での会合におきまして特に米国側が、これまでクロマグロに対して用いていなかった資源解析の手法によりまして資源状態が極めて悪いとの結果を示しまして、それに対しまして我が方といたしましては、現状程度の漁獲水準は維持できるのだというようなことでもって応戦したわけでございます。したがいまして、そこは議論があったわけでございますが、結論的に申しましてなかなか合意が見られないということで、そういったことが発端になっておるわけでございます。
 その後、我が方は米国側のかかる主張に対しまして、明らかな矛盾がある、具体的に申しますと、ある年次に資源として加入してきた年級群よりもその年級群の実際の漁獲量がはるかに大きいといったことであるわけでございますが、そういった矛盾というものを指摘するなど、我が方の主張を会議の場におきまして展開してきたわけでございますけれども、現在のところ、資源状態についての完全な合意といったものはまだ得られていないという状況でございます。
 クロマグロの資源状態の診断方法といたしましては二つございまして、国際的に認められておるものでございますけれども、その一つといたしましては、単位努力量当たりの漁獲量という指標と申しますか、そういうものの年ごとの推移を追っていくという方法でございまして、もう一つの方法といたしましては……(田中(美)委員「結構です」と呼ぶ)漁獲物の体長組成からその年齢組成を推定いたしまして、各年級群ごとの資源の消長の推移を年々見ていくということで、自然死亡率とか漁獲死亡率などの具体的な係数を仮定して予測していく方法であるわけでございます。
 高度回遊性の魚種でございますクロマグロにつきましては……(田中(美)委員「結構です」と呼ぶ)
#177
○愛野委員長 簡潔に。
#178
○田中(美)委員 そういうことがあるということを御存じかというのを聞いているのでありまして、そのように長々と演説されますと私の質問はもう終わりますので、もっと協力をしていただきたいというふうに思います。そういうことは一応そちらからも聴取しておりますし、よくわかっていることですので、そのことで結構です。
 私が質問いたしましたのは、そういう形でなかなか合意できないというのは、正しい科学的なデータをお互いが正しい立場で話し合っていないのではないかという疑問を私は持っているわけです。そのためには、やはり日本の研究者が少ない。向こうの数の方が多いし、向こうは自分の国のすぐそばですから非常に見やすいわけですけれども、日本は遠いところから行くわけです。そういう中で、外務省の方にしても水産庁の方にしても交渉に行くとき、それから研究者が交渉に行くとき、これは安倍外相に聞いていていただきたいのですけれども、この交渉に行くときの旅費自体がパック旅行券などを手渡すというような形で、非常に融通がきかない、非常に金額も少ない、こういう形で、日本の外務省や水産庁や研究者が十分に活躍できないのじゃないかというふうに訴えもありますし、そのように思うわけです。
 それで例えば、去年ですけれども、そちらの御存じのことだと思いますが、照洋丸というマグロの調査をしている船があるわけです。この船に日本の研究者を乗せろ、何人研究者が乗りたい。ところが、予算がないから一人しか乗せられない、いや二人乗せろ、三人乗せると言って、結局すったもんだの末何とか二人の研究者を乗せた。ここまでは二人というのでよかったわけですけれども、こういうふうにしますと、あと今度は水産研究所の人が足らなくなって、船に乗って出かけた後の体制というものができなくなるという状態になっているわけです。
 今日本は、鯨にしても食べられなくなるとか、どんどん遠洋の方が抑えられてくる、沿岸は海が汚れてきている。こうなった場合に、この小さな日本がたんぱく質の資源を、私たちは先祖代々魚を食べてきた民族なわけですから、この魚の問題についてはぜひもっと力を入れてほしいというふうに思うのです。外務省の役人自体が活躍してくる金まで惜しむ、研究者の研究さえ十分にできない、こんな体制では不公平な交渉の中で力関係で押されてしまうということで、今マグロ一つの事例を話しているわけですけれども、こういうふうに鯨にしてもマグロにしてもどんどん魚というものが食べられなくなってくるということでは、これはゆゆしき問題だと思うのです。
 もともと行革というものは、むだがあるところは省く、しかし足らないところはきちっとふやすというのが本来の行革ではないか。それがいつの間にか、行革というものは切り取るものだ、切り取るものだというふうに、辞書の言葉が変わってしまうというような行政が行われてきているように思うのです。そういう観点から見まして、私は、単なる行革という形で研究者の数をふやさないとか、旅費やいろいろな研究体制を弱めていくというようなことは許せないというふうに思います。この点で、何としてもまず外務大臣に頑張っていただきたい。日本国の将来のためにも頑張っていただきたいし、漁民のためにも頑張っていただきたいし、日本の水産庁がうんと頑張っていただかなければならないと思うのですが、この点の御見解を伺いたいと思います。
#179
○安倍国務大臣 ただいま、各省で外国に出張して交渉する人たちの旅費とか滞在費とかそういうものが十分支給されていない、こういうお話でしたけれども、私も全くそういうふうに思っています。旅費、日当とかそうしたものは、やはりもっと安心して堂々と交渉ができるような姿に持っていかなければ、これからますます国際関係厳しくなってきますから、大事なことだと思っております。
 残念ながら外務省一つとってみても、そうした外交体制については、人員についても予算についても十分でないわけで、しかしそれだからといって、体制が十分でないからといって、外に対してはきちんと日本の立場を踏まえて対処していかなければなりませんから、それはそれなりに我々として全力を尽くしておりますが、もっとそういう外交実施体制というものを、これは外務省だけではなくて、各省の関係も含めてつくる必要があるということは痛感しております。しかし、財政再建という非常に厳しい枠がはまっておりますから、そういう中で協力をしていきますが、協力しながら、そういう点については特別に配慮してほしい。多少の配慮はしていただいておりますが、まだまだ十分でない、こういうふうに思っておりまして、この点については御協力も得ながら、これからも力を尽くしていきたいと思います。
#180
○田中(美)委員 では、今後どのように努力していただけるでしょうか。ただ何となく希望を述べるのではなく、どのようにやるかという具体的なことを農水省と外務大臣、両方からお聞きしたいのです。
#181
○安倍国務大臣 私から御答弁いたしますが、外務省でも農林省でもそうですけれども、そうした予算を見ていただけばわかるように、去年、ことしにかけまして旅費とかについては、厳しい財政状況の中でそれなりに努力した成果というのも生まれておりますし、外務省などではまた不健康地に対する手当とか外地における活動費とかも、厳しい財政の中ではありますけれどもそれなりの成果は上がっております。しかし、まだまだ十分でないと思っていますから、さらに努力してこれを伸ばしていきたい。決して今までやっていないということではないし、それなりの成果は上がっておるわけです。これはもう御承知のとおりです。それをさらに進めてまいりたいということです。
#182
○田中(美)委員 この問題は、強力な漁業外交以前の問題なんだと思うのですね。ですからパック旅行券なんというのは、外相も外へ行っていらっしゃっておわかりだと思うのですが、そのとき行ってどういうことが起きるかわからないので、初めから全部予定が決められているというのはぜひやめていただきたいと思います。その点はどうでしょうか。
#183
○安倍国務大臣 相当政府として努力していますけれども、なかなか厳しい状況にあるので、中には公務でありますがそうしたパックを利用して外へ行かなければならぬということが現実だと思うのですね。ですから、こういうものも今からだんだん改善をしていって、そういうパックでやらないで済むように努力したいと思っていますし、改善が進んでおりますから、そういう方向にぜひとも持っていきたいと思います。
#184
○田中(美)委員 小さなことのようですけれども、そういうものを一つ一つ改善していかないことには、アメリカ、カナダという遠い向こうに向かってこちらから出かけていき、対抗していくときにきちっとできないと思いますので、一つ一つ改善を約束をぜひ守ってやっていただきたいと思います。
 質問を終わります。
#185
○愛野委員長 次に、土井たか子君。
#186
○土井委員 大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の議定書に対して質問をいたします。
 この議定書は、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の第十三条の1に、「いずれかの締約国又は委員会は、この条約に対する改正を提案することができる。」と規定されていることによって改正をされたのでありますか、いかがでありますか。
#187
○斉藤(邦)政府委員 今回の改正は、ただいま御指摘の条項に従った改正ではございません。別途の手続によった改正でございます。
#188
○土井委員 そうすると、それはどういう手続なんです。
#189
○斉藤(邦)政府委員 今回の改正は、関係国、締約国間の合意によりまして新たに議定書を別途作成いたしまして、これによって条約の改正を行った次第でございます。
#190
○土井委員 条約に定めがなくても、関係国が寄って勝手に新たな議定書を設けることは許されるのですか。
#191
○斉藤(邦)政府委員 一般論としてお答え申し上げれば、そのようなことは国際社会では許されております。
#192
○土井委員 一般論でなくて、今具体的な条約について審議しているのですよ。それは、この条約でどういう取り扱いになっているのですか。
#193
○斉藤(邦)政府委員 したがいまして、今回も我々としては問題がないと考えているわけでございます。
 一般に条約は、条約中に改定手続がなくても、全締約国の合意があれば当然に改正することができるわけでございます。したがいまして、今回この条約に伴います特殊の事情によりまして、この条約中に規定されておりました改正手続によらないで今度の改正を図っているわけでございますけれども、このような形の改正を行いましても、条約違反とか国際法上問題があるということにはならないと考えております。
#194
○土井委員 それは一般論としてとおっしゃるから、こちらも一般論としておこたえいたしますけれども、一般論として、条約で特定の手続がない場合にはそういう取り扱い方も許されると思うのですが、この条約では十三条で、「新たな義務を含まない改正は、締約国の四分の三による受諾の後三十日目の日」「新たな義務を含む改正は、締約国の四分の三による受諾の後九十日目の日に改正を受諾した締約国について効力を生じ、」とはっきり決めている規定があるのです。それに全く関係なく、関係国同士が集まってきて、この条約が規定している条文とは全く関係のない取り決め方をすることは許されるのですか、どうなんです。そういうことに対して、別途規定があるにもかかわらず関係国が寄って勝手な議定書をつくることは許されるという条文がないとだめです。この条約は、どこを見たってそれはありません。
#195
○斉藤(邦)政府委員 条約中に一定の改正手続が規定されていながら、その改正手続によらずして条約の改正を行ったのには前例もございます。我が国の関係で申し上げれば砂糖協定、これは一九五三年に署名のために開放された分の砂糖協定でございますけれども、この協定の改正は、条約自体に規定されてある改正手続によらずして改正を行ったということがございます。したがいまして、改正手続によらない改正方法を締約国間で合意するということは、特に問題がないというふうに考えられます。
#196
○土井委員 あなた、特に問題がないとやすやすおっしゃることは、大変な間違いだと私は思います。本来は、条約が決めているとおりの手続に従って条約の改定をするのが当たり前なんです。この規定に従わないというのは、異例中の異例なんです。今、砂糖条約を引き合いに出されますから言いますけれども、砂糖の場合は、国際価格が大変変動するのです。緊急避難の問題として、あのときは特例中の特例で問題になったということは、私は鮮明に覚えている。それを引き合いに出して先例があるからと言われるなら、先例には当たりません。これは特例なんです。わざわざ条文で決めている手続によらない改正手続を関係国が寄って勝手に決めたというのは、今回のまぐろにその緊急避難めいた意味があるのですか、いかがです。
#197
○斉藤(邦)政府委員 条約に改正手続があれば、その手続に従って改正すべきだという点は、全くおっしゃるとおりだろうと我々も考えております。
 今度の場合、先ほど私は特殊な事情と申し上げましたけれども、それはこの条約の第十三条の改正の手続でございますが、「新たな義務を含まない改正は、締約国の四分の三による受諾の後三十日目の日にすべての締約国について効力を生ずる。」が、「新たな義務を含む改正は、締約国の四分の三による受諾の後九十日目の日に改正を受諾した締約国について効力を生じ、」云々と書いてございます。さらに、「一又は二以上の締約国によって新たな義務を含むものとされた改正は、新たな義務を含む改正とみなされ、その手続に従い効力を生ずる。」と規定してございます。
 今回の議定書による改正につきましては、今回の改正内容については「新たな義務を含む改正」であるというふうに考える締約国があり、したがいまして、この条約の改正条項に定める手続に従いますと、欧州経済共同体とフランスのどちらを締約国とみなすべきかという問題を生ずるおそれがございましたので、この点を実際的に解決するために、この条約の規定によらずして別途議定書を作成して、その発効要件をもって全締約国による締結ということにした次第でございます。
#198
○土井委員 それにしても、新たな義務を含む場合と含まない場合というのは、それぞれの決め手がある。今度は含む場合でしょう。新たな義務が生ずる場合でしょう。生ずる場合ならば、それの決め手は、十三条の一項の条文に従って考えるのが原則であってしかるべきですよ。これは、もはや十三条の一項の意味はないと考えていいのですか。条文でわざわざこういう規定を置いているという意味はないですよ、そんなことをどんどんやられるんだったら。まず、このことについてはっきりさせていただきましょう。
#199
○斉藤(邦)政府委員 今回のような手続により改正いたしましても、この十三条に規定してあります改正の手続が意味をなくすということはないと存じます。先ほど御指摘もございましたとおり、通常のケースの場合であれば、当然この十三条の改正手続によって改正すべきものであろうと存じます。しかしながら今回、ただいま御説明いたしました特殊な事情がございましたために、別途の改正手続によったという事情でございます。
#200
○土井委員 それはどうも説得力としたら弱いですね。EECという国際機関が、新たに国際法上の法人格を持って加盟するという格好になる点が今回の特徴なんですが、これは非常にたくさん問題点を含んでいると思う。こういう問題について、従来余り国会で論議されたことは私知りませんけれども、特定の共通目的を多数の国々が達成するためにつくっている国際組織というのが、今回一つの法人格を持って入ってくるわけですね。本来は、単一の主権国家とは違う法人格なんでありますけれども、同様の加盟をするという立場に立つわけであります。これは従来になかった例だと思いますけれども、こういうことが行われる法的根拠というのは一体どこにあるのですか、これが認められる法的根拠は。
#201
○木村説明員 お答えいたします。
 欧州経済共同体につきましては、共同体の設立条約でございますローマ条約に、共同体の活動分野の一つとして農業の分野が挙げられておるわけでございまして、その農業には漁業も含まれているわけでございます。この共同体の活動分野につきましては、理事会の規則、命令、決定によって具体化されておりまして、これは共同体が実施するということになっております。それらの規則、命令、決定は、共同体の構成国及び国民を拘束するというふうになっておるわけでございます。したがって、その範囲において、欧州経済共同体がその当事者になるということは可能であるというふうに考えるわけでございます。
#202
○土井委員 非常にややこしい御説明をなさるのですが、これはいろいろ意見が分かれておりますよ。学説の中には、国家と並んで国際組織に、独自の行動単位としての独立の法人格と意思を持つ存在として認めるわけにはいかないという学説がありますよね。今回のこのEECを一つの単位として、加盟を認めるか認めないかについてもいろいろ論議があったでしょう。これから、たくさんの具体的事情を持って疑義が出てくると私は思うのですけれども、EECの中には加盟国もあれば非加盟国もありますが、非加盟国の場合は、EECに参加していてしかも非加盟国であるということの国際法上の関係は今後はどうなるのですか。
#203
○木村説明員 欧州経済共同体がこの条約に加入を認められました場合には、共同体に参加しているすべての国を拘束するということになります。
#204
○土井委員 おかしなことですね。国家の主権性がそれだけ抹殺されるという格好にもなるわけです。国家の主権性における自由意思決定というのがそれだけ拘束をされる。抑圧をされると申し上げねばならないかもしれません。
 それでは、条約によりますと、EEC加盟国も投票権を持つわけでしょう。EECも投票権を持つわけでしょう。また、EECという国際組織として投票権を持って、EEC加盟国には投票権がないという場合もあるわけでしょう。今回はいずれですか。
#205
○木村説明員 今回は欧州経済共同体のみが一票を持ち、加盟国は、当然のことながら何らの権限がないということになります。
#206
○土井委員 あと、まぐろの問題について一点お聞きします。
 十四条の5を見ますと、「4に定める機関は、正式の確認書又は加入書を寄託する」云々とありますが、「正式の確認書」と日本語で外務省が訳していらっしゃるのは、正式でない確認書もあるということを考えてお書きになっているのですか。
#207
○斉藤(邦)政府委員 正式の確認書というのは、国家が条約に署名の際批准書を寄託する手続に対応するものとして、国際機関が条約に署名の後条約に拘束されることについての同意を表明するために、寄託される文書のことを言っております。したがいまして、正式でない確認書に対応して正式の確認書という言葉を使ったわけではございませんで、ただいま御説明しましたような文書の性質を説明するものとして、正式の確認書という表現を使った次第でございます。
#208
○土井委員 わざわざ「正式の」とお断わりになるのは、原文でどう書いてあるのですか。
#209
○斉藤(邦)政府委員 英文では、フォーマル・コンファメーションという言葉が使われております。
#210
○土井委員 確認書というのは大体が正式なんですよ。フォーマルなんです。フォーマルというところを「正式」とわざわざ訳されるのは、非常に懇切丁寧と言えば言えるかもしれませんが、読んでいて陳腐な感じがいたします。
 外務省は、いつでも、要らないところはこういうふうになさるが、要るときには平気で割愛をなさるという特性をお持ちなんで、これを機会に私は一言言いたい気になって申しました。
 おつとせいの問題について聞きますけれども、三十年以上も暫定条約が続くのですね。条約締結の見通しはあるのですか、ないのですか。いかがでございますか。
#211
○木村説明員 今回の暫定条約が、今後本条約になる見通しいかんという御質問と理解いたしました。
 オットセイについては、陸上猟獲とともに一定の条件下での海上猟獲が、オットセイ資源の最大の持続的生産性の達成を妨げることなく許容されるか否かについて、これまで調査研究しておるわけでございます。しかし、まだ最終的結論が得られていないという状況でございますので、委員会がさらに研究を継続するという趣旨の勧告を行ったところでございます。今後、この研究の進展により最終的結論が得られれば、暫定条約にかえて本条約が作成される、こういうことになると理解しております。
#212
○土井委員 最終的結論とたやすくおっしゃるけれども、なかなか難しいのでしょう。暫定条約の暫定的適用というややこしい状況を続けておられるわけであります。
 昔、動く宝石というふうに言われ、毛皮としてオットセイの地位は非常に高かったのですけれども、最近はミンクであるとかアザラシに比べまして需要ががた落ちに減っております。
 外務大臣、オットセイの皮をおたくではお持ちですか。
#213
○安倍国務大臣 思い出しておりますけれども、ちょっと持っておらないような気がします。
#214
○土井委員 この条約の締結で、昭和三十年代には二億円もの国庫収入があったのがどんどん落ちてまいりまして、最近の国庫収入を見ますと、八三年というのは米国産はもうゼロになってしまっているのです、日本の国庫収入は。一九八二年もゼロですよ。ソ連産についてやっとで六十四万四千円、二十二万八千円という、まことに細々とした額が八二年、八三年、国庫に入っている。アメリカ産はゼロだ。数千万円の赤字をどんどんどんどん、今の状況を続けていくと、ふやし続ける一方だという格好にこれはなるんですよね。海上調査、受け渡し費用、大体五千万から六千万は用意しなければならぬでしょう。どうです、こういう状況をどういうふうに認識されていますか。赤字つくりのようなものですよ。
#215
○今井説明員 毛皮の状況についてお話しいたします。
 先生御指摘のとおり、毛皮の価格はどんどん下落しておりますが、最近時点において見ますと、約五年間に一遍ぐらい大暴落する、こういう状況でございます。先生御指摘のとおり、日本の御婦人は体格が余りよくなくて、最近は毛が長くてミンクのように軽いのがお好きだということはございますが、ファッション性その他がございまして、これも永久に続くとは思えません。そのうち、毛皮の価格の回復をすることもあろうかというふうに推測いたしております。
#216
○土井委員 あなた、数字を見てお答えですか、オットセイの皮について。五年に一遍暴落と、あなたは数字を見た限りで、そんなことはどこをどう押してそう言えるのです。どんどんどんどん、数字は下がっていっているんですよ。五年に一回じゃない。どんどん下落の一途なのです、これは。
#217
○今井説明員 御説明いたします。
 アメリカにおきます価格について検討してまいりますと、一九六八年は一枚当たり百ドル、三年たちました一九七一年が七十ドル、七三年に百三十ドル、七五年にまた下がりまして七十ドル、七九年に百二十ドル、八〇年に百十ドル、八一年に八十ドル、今御説明申し上げましたとおり、三、四十ドル上がったり下がったりしているというのが過去の統計でございます。
#218
○土井委員 アメリカのそういう額を聞いているわけじゃありません。変動を聞いているわけじゃない。日本において、アメリカ産のオットセイの皮が売れなくなっているんですよ。ソビエト産のも売れなくなっているのです。そして、それぞれから配分を日本は受けているんでしょうが、この条約によって。配分を受けた皮を売っているんでしょうが。売った皮が、国庫収入はどういうことになっているかというのは、数字を見れば、もう歴然と下落の一途だということがはっきりしているんですよ。米国産は八二年、八三年はゼロなのです、国庫収入は。よろしゅうございますか。それ以前も、ここのところ、どんどん額が減っている一方なのです。ふえていっているのは赤字なんですよ。こういう格好からすると、海上の捕獲がたとえ認められても、本条約を締結をしても、オットセイのも皮に対しての売買が商売として成り立たなくなってきているということから考えると、条約加盟の意義というのはだんだん少なくなっていっているのじゃないか、したがって、本条約締結を待たずに条約自身が安楽死するという可能性もあるのじゃないか、こうなるわけであります。
 日本は、このことに対してどう対応されるお気持ちですか。このことを聞いて私は終わりますが、外務大臣にちょっと聞いてみます。これは事務レベルからいったら、よその国の価格の変動ばかりを問題にするような数字を持ち出して、とんちんかんな答弁をなさるので、外務大臣、ひとつそのことに対して御答弁をいただきたいと思うのです。どうですか、私の今言ったこと。
#219
○安倍国務大臣 私もオットセイのことをよく知りませんが、大変繁殖力が旺盛だというふうに聞いておりますけれども、今おっしゃるようにいろいろ問題はあると思います。しかし、条約は置いておくということが、やはりいろいろと国際的なそうした動物保護とか海洋秩序とかを守るためには必要じゃないかと思います。
#220
○土井委員 終わりましょう。
#221
○愛野委員長 これにて各件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#222
○愛野委員長 これより各件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、順次採決いたします。
 まず、千九百七十九年の海上における捜索及び救助に関する国際条約の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#223
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、大西洋のまぐろ類の保存のための国際条約の締約国の全権委員会議(千九百八十四年七月九日から十日までパリ)の最終文書に附属する議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#224
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 次に、北太平洋のおつとせいの保存に関する暫定条約を改正する千九百八十四年の議定書の締結について承認を求めるの件について採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#225
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました各件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#226
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#227
○愛野委員長 次に、米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件及び郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件の各件を議題といたします。
 これより各件について政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣安倍晋太郎君。
    ―――――――――――――
 米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件
 万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件
 万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件
 小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件
 郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件
 郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件
    〔本号(その二)に掲載〕
    ―――――――――――――
#228
○安倍国務大臣 ただいま議題となりました米州投資公社を設立する協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この協定は、米州開発銀行の場で検討が進められ、昭和五十九年十一月十九日にワシントンで開催された関係国の会合において作成されたもので、昭和六十年十二月三十一日まで署名のために開放されております。
 この協定は、中南米地域の経済開発を促進するため、米州開発銀行の活動を補足し、民間の中小企業を支援する米州投資公社を設立することを目的としており、同公社の設立、その目的、資本、業務、組織及び運営等について規定しております。
 我が国がこの協定を締結することにより公社に加盟することは、開発途上国に対する経済協力に関し、国際社会において重要な役割を果たさんとする我が国の外交政策に合致するものであり、また、我が国と中南米諸国との友好関係を促進する見地からも重要な意義を有するものであります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 この条約は、男女平等に関する基本的かつ包括的な条約として昭和五十四年十二月十八日に第三十四回国連総会において採択されたものであり、我が国は、昭和五十五年七月十七日にこの条約に署名いたしました。
 政治的、経済的、社会的、文化的、市民的その他のあらゆる分野における女子に対する差別を撤廃し男女平等を実現するというこの条約の目的とするところは、我が国の憲法の精神にかなうものであり、この条約を締結することは、男女平等の実現に関する我が国の積極的姿勢を改めて内外に示すこととなるのみならず、男女平等の実現のための国際協力に積極的に貢献するとの見地からも有意義であると考えられます。
 よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、万国郵便連合憲章の第三追加議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合は、世界で最も古い歴史を有する国際機関の一つであり、我が国も、明治十年に加盟して以来積極的に連合の活動に参加し、郵便の分野における国際協力のために努力しております。
 万国郵便連合憲章は、連合の基本文書でありますが、第三追加議定書は、この憲章について連合の組織及び運営の効率化の観点から、所要の改正を施すことを目的とするものであります。
 この議定書を締結することは、我が国が連合の一員として今後とも連合における活動を続けるために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、万国郵便連合一般規則及び万国郵便条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 万国郵便連合一般規則は憲章の適用及び連合の運営について定め、万国郵便条約は国際郵便業務に適用する共通の規則と通常郵便業務に関する規定とを内容とするものであり、すべての連合の加盟国について締結が義務づけられております。
 この一般規則及び条約は、国際郵便業務における最近の事情を考慮して、万国郵便連合の運営及び業務に関する事項について所要の変更と補足を施した上で現行の一般規則及び条約を更新するものであります。
 この一般規則及び条約を締結することは、我が国が連合の一員として今後とも連合における活動を続けるため、また、我が国と他の締約国との間の各種郵便業務の円滑な運営の継続を図るために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この一般規則及び条約の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、小包郵便物に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 小包郵便物に関する約定は、締約国の間における小包郵便物の交換を規律することを目的としております。この約定は、小包郵便業務に関する最近の事情を考慮して、その内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の小包郵便業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 次に、郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 郵便為替及び郵便旅行小為替に関する約定は、送金の制度としての郵便為替業務等を規律することを目的としております。この約定は、郵便為替業務に関する最近の事情を考慮して、その内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便為替業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 最後に、郵便小切手業務に関する約定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 郵便小切手業務に関する約定は、郵便振替口座を利用して行う送金の制度である郵便小切手業務を規律することを目的としております。この約定は、郵便小切手業務に関する最近の事情を考慮して、その内容に所要の変更と補足を施した上で現行の約定を更新するものであります。この約定を締結することは、我が国と他の締約国との間の郵便小切手業務の円滑な運営を引き続き行っていくために必要であると考えられます。
 よって、ここに、この約定の締結について御承認を求める次第であります。
 以上七件につき、何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#229
○愛野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
 各件に対する質疑は後日に譲ることといたします。
    ―――――――――――――
#230
○愛野委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 ただいま委員長の手元に浜田卓二郎君外三名より、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合の四派共同提案による米ソ軍縮交渉に関する件について、本委員会において決議されたいとの動議が提出されております。
 この際、本動議を議題とし、提出者から趣旨の説明を求めます。浜田卓二郎君。
#231
○浜田(卓)委員 私は、提出者を代表いたしまして、本動議について御説明申し上げます。
 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。
    米ソ軍縮交渉に関する件(案)
  核兵器の廃絶を目指す軍縮の促進は、現在の世界にとって緊急かつ最重要の課題であり、折から被爆四十周年を迎え、あらためて世界の平和と安定を希求する我が国民の強い念願である。
  しかし、近年の国際情勢には極めて厳しいものがあり無制限の軍備競争及び国際関係の緊張が、このまま継続し、ひとたび核戦争が勃発するようなことになれば人類全体が滅亡の危機に瀕することは不可避である。
  このような国際情勢の中で、本年三月十二日より、米ソ両国間で核兵器及び宇宙兵器に関する新たな軍縮交渉が開始されたことは、誠に意義深いものがあり、本交渉の成果を強く期待するものである。
  よって、本委員会は、米ソ両国が、核大国としての重大な責任を自覚するとともに、核兵器不拡散条約第六条の約束を遵守し、真剣な態度で交渉を積極的に展開し、米ソ共同声明(一九八五年一月八日)において言及されているすべての領域における核兵器の究極的な完全廃絶をもたらすことを強く要望する。
  政府は、この際、軍縮促進のためあらゆる努力を続けるべきである。
  右決議する。
以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願いいたします。
#232
○愛野委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 浜田卓二郎君外三名提出の動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#233
○愛野委員長 起立多数。よって、本件は本委員会の決議とすることに決しました。
 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣安倍晋太郎君。
#234
○安倍国務大臣 ただいまの御決議に対して所信を申し述べます。
 政府といたしましては、ただいま採択された御決議の趣旨を十分に体しまして、今後とも軍縮、なかんずく核軍縮の促進のため、最大限の努力を払ってまいる所存であります。
#235
○愛野委員長 お諮りいたします。
 ただいまの決議について、議長に対する報告及び関係当局への参考送付につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#236
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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