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1984/05/10 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第10号
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1984/05/10 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第10号

#1
第102回国会 外務委員会 第10号
昭和六十年五月十日(金曜日)
    午後二時十一分開議
出席委員
  委員長 愛野興一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 野上  徹君 理事 浜田卓二郎君
   理事 井上 普方君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君
      石川 要三君    糸山英太郎君
      佐藤 一郎君    中川 昭一君
      中山 正暉君    西山敬次郎君
      綿貫 民輔君    岡田 春夫君
      河上 民雄君    小林  進君
      八木  昇君    渡部 一郎君
      木下敬之助君    岡崎万寿秀君
      田中美智子君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      斉藤 邦彦君
        外務省アジア局
        長       後藤 利雄君
        外務省北米局長 栗山 尚一君
        外務省中南米局
        長       堂ノ脇光朗君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省経済局次
        長       恩田  宗君
        外務省経済協力
        局長      藤田 公郎君
        外務省条約局長 小和田 恒君
        外務省国際連合
        局長      山田 中正君
        外務省情報調査
        局長      渡辺 幸治君
        農林水産省農蚕
        園芸局次長   畑中 孝晴君
        食糧庁次長   山田 岸雄君
 委員外の出席者
        外務大臣官房外
        務参事官    久米 邦貞君
        外務委員会調査
        室長      高橋 文雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十日
 辞任         補欠選任
  町村 信孝君     中川 昭一君
  山下 元利君     糸山英太郎君
同日
 辞任         補欠選任
  糸山英太郎君     山下 元利君
  中川 昭一君     町村 信孝君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国際情勢に関する件
     ――――◇―――――
#2
○愛野委員長 これより会議を開きます。
 国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、外務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣安倍晋太郎君。
#3
○安倍国務大臣 私は、今般国会のお許しを得て、四月二十八日に出発、第十一回主要国首脳会議に出席するとともに、その前後、フィンランド、ノルウェー、ドイツ連邦共和国、オーストリアを訪問し、七日帰国いたしました。
 ここに、その概要を御報告申し上げたいと存じますが、時間の関係もございまして、お手元に配付させていただいております印刷物をもちまして帰国報告にかえさせていただきたいと存じますので、記録にとどめてくださるようお願いいたします。
#4
○愛野委員長 ただいま安倍外務大臣から申し出がありましたとおり、帰国報告につきましては、本日の会議録に参照掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
  〔参照〕
    安倍外務大臣の帰国報告
 私は、今般国会のお許しを得て、四月二十八日に出発、第十一回主要国首脳会議(サミット)に出席するとともに、その前後フィンランド、ノールウェー、ドイツ連邦共和国、オーストリアを訪問し、七日帰国致しました。
 ここに、その概要を御報告申し上げます。
一、まず、サミットにつき御報告申し上げます。
  五月二日から四日までボンで開催された今次サミットでは、「持続的成長及び雇用の拡大」を目指して、世界経済の成長の制約要因となる米国等の財政赤字とドル高・高金利、欧州等における高失業と構造的硬直性、日本の対外収支不均衡等、各国が抱える諸問題、及び、保護主義の高まりとこれに対処するための新ラウンドの早期開始等貿易分野での緊急課題等につき建設的な討議を行いました。同時に、開発途上国の抱える諸問題、就中、アフリカの困難につき真剣な話し合いを行いました。
  我が国は、これらの討議の過程で、我が国の考えを説明し、その立場を適確に主張して参りました。具体的には、次のような諸点であります。
  第一の経済政策全般の分野については、インフレなき持続的成長達成のためには、サミット参加国間の協調による努力の結集が最も重要であるとの姿勢の下、我が国より、行財政改革の努力、市場開放や輸入拡大の奨励、規制緩和による内需拡大努力等を積極的に推進していくとの考え方を説明しました。我が国のこのような積極的取り組みは、各国が自らの抱える問題につき前向きの姿勢をとることを促す結果となったと考えられます。この結果、各国が相互批判を行うことなく、夫々の国がとるべき政策を自ら積極的に披露し、各国が協調して現下の問題を乗切っていくという姿勢が確認されましたが、これは今後の世界経済の安定的成長のため極めて有意義であったと考えます。他方、我が国の今後の対外経済問題の実行振りについては、サミット参加国のみならず世界中が注目しているところであり、六月から七月にかけての政策決定においても、我が国の果たすべき責任を十分念頭において、実効的な措置を講ずるよう努力する所存であり、同時に国民各位の御協力も不可欠であります。
  第二に、貿易分野については、保護主義圧力の高まりを背景に新ラウンドの早期開始につき活発な議論が行われました。その結果、先のOECD閣僚理事会での合意が強く支持されたうえ、サミット参加国のほとんどが、新ラウンドを明年中に開始すべきとの点について合意し、本件交渉の開始に向けて一歩を踏み出したと考えます。今後、先進工業諸国としては、いつ、何を対象として、いかなる方法で交渉を行うか等について途上国とも十分話合って決めて行きたく、途上国の積極的参加を期待している次第であります。
  第三に、開発途上国との関係では、世界経済の安定的発展のためには、途上国経済の健全なる発展が不可欠との認識の下に、インフレなき持続的成長の途上国への広範な伝幡の必要性につき合意をみました。特に、累積債務問題等の諸困難に直面する途上国の健全な経済発展を支援するため、具体的方途として、我が国より自由貿易の推進、ODA拡充、技術移転、特恵の改善を始めとする市場アクセスの改善等の重要性を訴えました。特に、ODAについては、我が国が、厳しい財政事情にもかかわらず八六年以降も新たな中期目標を設定し、引続きODAの着実な拡充に努める方針であることを表明、サミット各国にODA拡充の必要性を強調した次第であります。また、特に、アフリカの困難克服のため先進工業国として何をなすべきかにつき真剣な討議が行われました。この点につき、いくつかの方途について合意をみたことを踏まえ、今後専門家グループを設置して具体的提案を準備のうえ本年九月までにサミット諸国の外務大臣に報告されることとなった次第であります。
  以上に加え、今次サミットでは環境問題の重要性及びこの分野での国際協力の必要性につき各国が認識を一にするとともに、科学技術分野における協力促進につき合意がみられました。
  次に政治問題につき御報告致します。
  今次サミットは、第二次世界大戦終戦四十周年という節目の年に開催されたこともあり、同サミットにおいては、サミット七カ国がかつての対立を完全に超克して、自由と民主主義並びに平和維持という目的に向かって七カ国の連帯を改めて強く再確認した「第二次大戦終戦四十周年に際しての政治宣言」が採択されました。
  我が国は、今次サミットにおいては、ウィリアムズバーグ・サミット、ロンドン・サミットの延長線上に立って西側諸国の連帯の重要性を強調するとともに、米ソ首脳会談をはじめ東西対話促進の重要性を訴えかけましたが、かかる我が国の主張は本政治宣言の中に盛り込まれました。また、アジアからの唯一の参加国として、アジア情勢につき説明し、政治宣言の発出に際しては、「欧州の分断」への言及に加え、朝鮮半島の分割にも言及すべきことを主張した結果、この点も宣言に盛り込まれることとなりました。
  現下の国際情勢は、新しい米ソ軍備管理交渉の開始、米ソ首脳会談の可能性が見え出したこと等にみられるように、一方では東西関係の面での明るい兆しが見られます。しかしながら、他方で、カンボディア、アフガニスタン等における情勢は改善の傾向はなく、また、依然としてアジア、中東、中米、アフリカ等いたるところで紛争が続いているという厳しい環境の下にあります。かかる地域の紛争に関連して、特にカンボディア問題については、私より、外相個別会合において、我が国の基本的立場を説明した上で、西側諸国が結束して民主カンボディア連合政府を支援するASEANの立場を支持することが重要である旨強調したところ、各国外相より賛同を得ました。
  このように依然として厳しい国際情勢の下で、世界の平和と安定を維持・発展させるためには、サミット国の協力、団結が不可欠であります。また、かかる団結の下に軍備管理・軍縮に決然と取組むことの重要性は言うまでもなく、今次サミットではこのような点につき、参加国の間に広く意見の一致がみられたことは大きな成果であったと言えます。
  SDIについては、主として米国の考え方の説明を聴取いたしました。二、私は、サミット及び総理の訪独期間中、ボンにおいて、シュルツ米国務長官、ゲンシャー西独外相、ハウ英外相と会談致しました。
  日米外相会談においては、日本貨物航空を中心とする日米航空に係る当面の諸問題に関しシュルツ長官との間で最終的合意に達し、それを確認する書簡を交換しました。
  日米経済問題については、MOSS協議が全般的に実質的進展をみたことを確認し7月のASEAN拡大外相会議の機会にも全般的レヴューを予定とすることに意見の一致をみました。更に、サミットヘの両国の対応、米ソ軍備管理交渉、朝鮮半島情勢、中米、中東等の国際情勢についても有益な意見交換を行いました。
  ゲンシャー西独外相との会談では、サミットへの対応振りにつき意見交換し、サミットに向けての日独協力を確認するとともに、東西関係、アジア情勢、欧州問題等現下の国際情勢についても極めて有意義な話し合いを行いました。
  ハウ英外相との会談では、政治及び経済関係につき意見交換を行い、最近の日英対話の進展を確認し、両国関係が良好であるとの点で意見が一致しました。特に、新ラウンドに関しては、ハウ外相より、英国は日本と立場を同じくしているとの発言がありました。また、先方より、我が国に対し一層の市場開放努力の要望があり、実際の結果が重要である旨指摘がありましたが、私からは、四月九日以降の一連の措置をはじめ最近の日本側対応振りを説明しておきました。三、次に北欧諸国並びにオーストリア訪問につき御報告いたします。
  私は、四月二十八日から五月一日まで、フィンランド及びノールウェーを訪問し、サミット終了後は、五月五日から六日までオーストリアを訪問しました。
  フィンランドに放ては、コイヴィスト大統領及びヴァュリユネン外相との会談、ノールウェーに於てはオラフ国王の謁見、ヴィロック首相及びストライ外相との会談、またオーストリアに於てはシノヴァッツ首相及びグラツ外相との会談を行いました。これらの三国は地理的環境、歴史的経験を踏まえつつ、夫々の立場から自国に適した外交政策を探求しており、東西関係、安全保障問題を含む国際情勢につき有益な意見交換を行うことができました。また二国間関係の討議に於ても政治、経済等の分野で、今後とも対話を継続していくことで意見の一致をみました。フィンランド、オーストリアについては我が国の外務大臣として最初の訪問でもあり、各国より最大級の歓迎を受けました。
  従来、我が国の対西欧外交は、EC以外の国々との関係が不十分な面がありましたが、今次訪問は、我が国外交を一層きめ細かいものとし、また、その幅を拡げていく上で大いに資するところがあったものと考えます。
    ―――――――――――――
#6
○愛野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。糸山英太郎君。
#7
○糸山委員 外務大臣、今回のボン・サミットでは大変御苦労さまでございました。また、外務省の各局の関係者の御苦労に大変感謝をいたしております。私も同行議員として、大臣の御苦労を身をもって実感しております。
 大臣は、ボン・サミットの前にフィンランドやノルウェー、またはサミット終了後にはオーストリアなども、たしか日本の外務大臣として初めて訪問されたと記憶しておりますが、東西関係の上で重要なこれらの国々を歴訪されたことは、日本外交の幅を広げた意味で大きな意義があったと思います。しかし私は、世界の中の日本を考えたときには、特にこれからの外交が勤まらないような政治家ならば総理大臣は無理だろうと思っております。そういう点では、ニューリーダー・ナンバーワンの評判が高い外務大臣でございますので、なお一層の御活躍を期待いたすところでございます。
 そこで大臣、我が国政府の努力で、ボン・サミットでは直接我が国が名指しで非難されるという事態にはならなかったわけでございますが、来年我が国で開かれる東京サミットに向けて最も重要なのは、やはりまた貿易面での我が国の努力だと思います。昨年の貿易収支黒字は四百四十四億ドル、ことしは恐らく五百億ドルも超えるだろうと言われております。それだけに、今回のサミット成果を自画自賛するだけではなく、我が国としての国際責任と具体的な貿易改善の施策の練り方について、外務大臣はどんなお考えをお持ちなのか、お聞かせください。
#8
○安倍国務大臣 糸山議員も、今回のサミットに同行議員として参加をされまして、その実態をつぶさに見られたわけでございます。また、いろいろと激励をいただきまして、感謝をいたす次第であります。
 今お話しのように、今回のサミットは、いろいろな政治面あるいはまた経済面において問題点もありました。しかし全般的には、政治の面ではいわゆる自由国家群が連帯を強めて、米ソの軍縮会議を支援していく、そして緊張緩和、軍縮へ進んでいこうという一つの合意がなされたことは、非常に意義が深かったと思います。また経済面におきましては、保護主義を抑圧するための最大のいわば歯どめとなるニューラウンドについて、この早期実現について合意が見られたことも、大変意義が深かったと思うわけでございます。
 こうした基本路線に従って、これからいろいろとサミットのフォローアップが進められるわけでありますし、また、これは来年の東京サミットにつないでいくわけでございますが、来年の東京サミットは、特にニューラウンドを来年じゅうに何とか交渉を開始していくためにも非常に大きな意義を持つものになるであろう、こういうふうに思います。
 来年じゅうにサミットのニューラウンドの交渉開始を行うという点につきましては、フランスの反対がございました。しかし、早期開始ということについては全体の国が一致しておりましたので、これから夏過ぎには高級事務レベルの会議が持たれ、さらにまた十一月には、閣僚によるところのガットの会議も持たれるということが予定をされておるわけでございます。その間に、日本としましても来年のサミットに責任を持つわけでありますし、またニューラウンドを提唱した国としまして開発途上国等に対して、特にアジアの国々に対して、積極的にニューラウンドの意義を説明をし理解を求めて、来年じゅうにはぜひともこれが交渉開始の運びに持っていくように、来年のサミットを盛り上げていかなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 同時にまた、経済の面におきましても、いろいろの国がそれぞれの立場で困難な問題を抱えております。これを、それぞれの国の責任において解決していこうという意思表明を行ったわけであります。そして全体的には、インフレのない持続的な安定成長の路線を確立していかなければならないということに合意したわけでございますから、それぞれの国のそうした困難な問題を来年に向けて解決すべく努力を傾けていく。特に日本の場合は、市場アクセスの改善を初めといたしまして、貿易のインバランスというふうな問題あるいは内需の振興という問題もありますから、そうした問題につきまして七月を目標に政策の詰めを行って、来年のサミットには日本も責任を果たしつつある、こういう形で臨んでいくことが大事であろうというふうに思います。
#9
○糸山委員 今、フランスの問題もニューラウンドの問題も出ましたので、頭の中が大変こんがらがっちゃったんですよ。大臣が親切過ぎて、質問の前に答弁をされてしまったために、もう一回繰り返しますが、マスコミによりますと、例えばフランスのミッテラン大統領が九日、エリゼ宮での記者会見で、来年の東京サミットへの不参加を示唆したという点は、さっき私もテレビで見てきたのですが、サミットのやり方を変えよと発言したニュースも流れました。大臣は、このミッテラン発言をどう受けとめていらっしゃるのか。また、中曽根総理はこの七月、たしかフランスを訪問することになっておりますが、外務大臣御自身も、サミットのあり方あるいはサミットの原点に関してお考えをお持ちだと思います。また、外交ルートを通じて、フランスに対する説得などを行う予定があるのかないのか。きょう、新しいニュースですので、その点をちょっとお聞かせください。
#10
○安倍国務大臣 ミッテラン大統領がサミットの全体会議におきまして、ニューラウンドの時期をめぐる議論の中でフランスとしての立場を表明されたわけでございます。
 元来サミットというのは、経済問題を中心に発足したわけでありますから、いわば経済サミットと呼ばれておるわけでございますが、最近におきましては、そういう中で時代の流れとともに政治問題も加わってきておる。これは時代の流れと言わざるを得ないわけでございますが、ミッテラン大統領のお考えは、サミットは自由国家群の七カ国、主要な国々の首脳が集まってお互いに胸襟を開いて話し合うということに大きな意義があるんじゃないか、したがって、そういう中で例えばニューラウンドについて時期を決めるというふうなことはむしろガットの機能であって、サミットがそこまで、問題点で対立があるにもかかわらずサミットが一方的に決定をするというふうなことになれば、これはサミットとしてのあり方にも問題があるんじゃないか、サミットの原点に返るべきである、要約すればこういうふうな主張であったように思います。
 したがって、そうしたことを受けてサミット後の記者会見あるいはまたフランスにおける記者会見等で、サミットというもののあり方が本来の姿に返って、首脳がそれぞれ胸襟を開いた形で話すということでなければならぬ、少しサミットが官僚体制になり過ぎているじゃないかというふうなことを言われたようでございます。そうした点については、十一回やったわけですから、日本も来年サミットを主催する国として、今までのあり方につきましてはいろいろな点から検討を加えて、立派なサミットが日本で行われた、こういう方向で努力していかなければならぬ、打ち合わせも必要であろう、こういうふうに思います。
 今度中曽根総理も、七月にはフランスを訪問されるわけでございます。ミッテラン大統領とも十分話し合いをされると思います。ぜひともそうした話し合いを実りあるものにしていただいて、そして来年のサミットが本当に実りの多い、成果の多いサミットたるべく努力をしてまいらなければならない、こういうふうに思います。
#11
○糸山委員 ぜひ、フランスにも参加していただきたいのですが、たしか一九七九年の東京サミットの際に我が国が、大洋州代表の形でオーストラリアを参加国にしてはどうかと提案した経過があるだけに、今度同じアジアの大洋州の仲間として、来年の東京サミットにはオーストラリアの参加を呼びかけるお考えはございませんか。
#12
○安倍国務大臣 前回のロンドン・サミットにおきまして、たしかオーストラリア参加の問題が出ました。当時の中曽根首相もこれを推進をされたわけでございますが、全体会議、各首脳の発言の中で、この点についてはついに結論を得ずに今回に至りました。今回のサミットでは、オーストラリアの参加云々の問題は議論にならなかったわけでございます。
 来年、どういう形でやられるかは、これは中曽根総理が主催をされるわけですから中曽根総理の判断によるものであろう、こういうふうに思いますが、オーストラリアの政権がフレーザー政権からホーク政権にかわっております。そういう中で、オーストラリアのお考えも確かめながら、同時にまた各参加国のコンセンサスがなければできないわけでございますから、そうしたコンセンサスが得られるかどうか、そういうところに一つのかぎがあるんじゃないか、こういうふうに思います。
#13
○糸山委員 先ほどのニューラウンドの点でもう一つだけ確認をしておきたいのですが、大臣は、六月初めにたしかストックホルムで開催のガット非公式閣僚会議ですかに出席の御予定がおありと伺っておりますが、その会議の時期とそれからどんな提唱をなさるのか、ちょっと具体的に簡単で結構ですからお答えください。
#14
○安倍国務大臣 今お話がございましたように、この六月にストックホルムにおきまして、途上国も含めた広範な国が参加する国際貿易に関する閣僚会議、いわゆるCG18と言われております閣僚会議が開かれる予定でございます。同会議は、準備会合を前に閣僚レベルで先進国、途上国が集まる重要な機会でもございますので、私としましても国会の了承が得られればぜひとも出席をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
 我が国としましては、このような一連の準備がうまく進んで、来年の早い時期に新ラウンドが発足することを期待しているところでございます。そのためにも最大限の努力を払いたい、こういうふうに考えております。日本がニューラウンドを推進する上において、CG18のこの会議というものは非常に重要である、日本はそれなりの役割を果たしていかなければならない会議ではないか、こういうふうに判断しております。
#15
○糸山委員 ボン・サミットの外相討議では、アメリカのシュルツ国務長官が、日米ソ三国による北太平洋の民間航空機安全運航をめぐる協議は順調に進んでいると明らかにされたそうですが、安倍大臣も協議の進展を高く評価したとのニュースがありますが、具体的な協議内容はどんなことなのだろうか。大韓航空機撃墜事件のような悲劇の再発防止も含め、我が国にとっても重要なことだと思いますので、その点もお聞かせください。
#16
○安倍国務大臣 この日米ソ三国によるところの北太平洋の航空路安全に関する会議、これは既に第一回が終わって第二回会議に入っておるわけですが、これは大韓航空機事件が起こりまして、その後、こうした事件を再び起こしてはならない、こういうことで日米ソが集まりまして、この防止策についての検討を行う会議でございます。これはそうした日米ソで話し合うなんということは、今までなかったことであります。
 今回のサミットの外相会議におきましても、シュルツ国務長官から、米ソの核軍縮交渉がジュネーブにおいて再開される、同時にまたこれに関連して米ソ間のいろいろの会議が持たれる、あるいはまた東西間の会議が持たれるということで、まさに世界は緊張緩和の方向に向かっておる、いわばその一つの象徴というのがこの日米ソによるところの航空路安全に関する会議であって、これが順調に進んでおることを自分としても非常に喜んでおるという説明がありました。
 日本としてもこれに参加しているわけでございまして、我々もこれを高く評価しておるということを述べたわけでございますが、今この会議が行われております。具体的にまだ結論を申し上げる段階には至っておりませんが、しかし、順調にその会議は進んでおるということは言えると思います。
#17
○糸山委員 今回のサミット会談において、中曽根総理はレーガン大統領に対し、米ソ首脳会談の実現促進を強く要望したそうですし、また大統領も総理の意向を了解されたようですが、首脳会談の開催の可能性を含めて今後の東西関係の推移の見通しに関して、大臣の御所見を伺いたいと思います。また、日本政府として、何かアクションを起こすプログラムをお持ちであるかないかの点を伺いたいと思います。
#18
○安倍国務大臣 この米ソの首脳会談は、まさに世界が注目をしております。このサミットにおきましても、この会議がいつ開かれるかというようなことが首脳の間でも話し合われて、その中で中曽根総理から、ぜひ米ソ首脳会談を開くべきであるということが主張をされたということも承っておりますし、同時にまた私自身も、シュルツ国務長官から米ソ首脳会談の可能性について話を聞きました。シュルツ長官は、この十四日ですか、ウィーンでオーストリアの国家条約ができてちょうど三十周年に当たりまして、グロムイコ外相も出席する、その際シュルツ・グロムイコ会談が行われて、その中でこうした問題も話し合いになるであろう、自分としてもぜひとも米ソ首脳会談がことしじゅうに行われることを期待する、こういうお話でございました。いろいろな言葉の端々から、私もこの首脳会談が開かれるであろう、そしてそれは恐らく国連総会の前後に行われるのではないだろうか、こういうふうに推測をいたしておる次第でございます。
#19
○糸山委員 ぜひそういうふうになってほしいと思いますが、今回のサミットの政治宣言にちょっと入りたいと思います。
 第二次大戦終戦四十周年という戦後の大きな節目におけるサミットとしては、旧枢軸国と旧連合国と分かれて敵対した諸国が和解し、今や自由と民主主義、そして平和という共通の価値観に裏づけられながら、世界の平和と繁栄のために一致団結して当たることを世界に向けて宣言しております。その意味において政治宣言は、終戦四十周年を飾るにふさわしい格調高い宣言と思われますが、大臣はこの宣言の持つ意義をどう評価されたか、簡単で結構でございますから、御答弁をお願いします。
#20
○安倍国務大臣 この四十周年を記念する政治宣言というのは、非常に大きな意義を持つ宣言であると私は思います。このサミットに参加した国は、四十年前にお互いに相戦った国々であります。そうした国々が戦後、同じく自由主義、民主主義という価値観をともにしながら、戦後の発展を遂げて今日に至りまして、いわゆる自由国家群としての連帯を強めておるわけでございまして、そういう意味で、この四十周年を迎えまして、過去のそうした勝敗というものの歴史を乗り越えて、これからもさらに将来に向かつて同じ価値観を持つ国々として結束をして、世界の平和と安定のために努力をしていこうということでございまして、まさに四十周年にふさわしい一つの大きな意味を持った政治宣言であると私は確信しております。
#21
○糸山委員 政治宣言は確かに格調高いと私も思いますが、一点だけちょっと気になることがございますので伺っておきたいのですが、例のプロポーザルズ、諸提案を評価する点でございます。私は余り英語が詳しくないのですが、たしかあれは複数になっているんですが、一部のマスコミでは、あれをSDIとINF、そしてSTARTの三つをワンパックにしたものだということに解釈して、そしてそれはレーガン大統領もそれを指しているというふうに解釈していますが、SDIは現在のところは多分含まれていないのではないか。特に、中曽根総理大臣はこの問題に関しては理解をすると言っているし、コール首相は支持をすると言って、大変これはニュアンスが違いますので、この際はっきりとこの問題、政治宣言のプロポーザルズという複数の点は何と何なのか、お答えいただいておいた方がよろしいのじゃないかと思います。いかがでしょうか。
#22
○安倍国務大臣 米国はジュネーブ交渉におきまして、戦略核等の攻撃核兵器の大幅な削減を通ずる米ソ間の長期的な戦略バランスの安定、中距離核についてのグローバルベースでの解決等を目指す提案を行っておることは、御承知のとおりでございます。
 政治宣言の当該部分は、交渉に臨む米国のかかる立場を一般的な形で積極的に評価するとの趣旨で書かれたものでございます。したがって、SDIに対する評価は含まれておりません。この点につきましては、既に日本のスポークスマンもはっきりとサミット後の記者会見においても申し述べておりますし、総理も名言をしております。同時にまた、アメリカのスポークスマンもこの点に触れて、SDIは含まれてないということを述べておるわけでございます。それで、今申し上げたとおりでございますし、含まれてないというのが日本のはっきりした立場であります。
#23
○糸山委員 私は、参議院のときも外務委員会におりまして、私なりに外務委員会にいろいろとお願いをしてまいりましたが、大変与党の立場で申し上げにくいこともたくさんございましたけれども、最後に、時間が残りましたので、言わせていただきたいことがございます。
 特に外務省の幹部の皆さん方、この機会に外交信条に関してよく御理解いただきたい。それは、世界は日本を必要としなくても済むが、日本は世界を必要としなくてはならない。つまり、日本は世界が必要なんです。きのう、本会議でもって我が党の森喜朗代議士が強調されたように、国際国家の日本としての責任を考えたとき、例えば国連の安保理事会において我が国はなぜ常任理事国になれないのか、各国から推薦されるような外交努力がまだまだ外務省の方に足りないのではないのだろうか。これは私、あえて答えはいただきませんが、ぜひそういう問題も真剣に受けとめていただきたいと思います。
 そして最後に、国連憲章の問題、百七条にはいまだに敵国条項が残っております。この条項を削除せよということで、昨年の二月二十日ですか、本院の予算委員会などでも社会党議員が取り上げて、その質疑は私はよく理解をしております。現実問題としては、大変難しい問題であることもよくわかっておりますから、この問題に関してあえて外務大臣の答弁は求めません。しかし、どうか信念を持った外交努力を一層進めていただきたい。そして、国民に明らかにすべきことはどんどん公開をしてほしい。
 在外公館の機能強化問題あるいは情報収集を含めて、私は、参議院でも随分外務省に対して協力態勢をとってきたつもりでございますが、外交の上では、行革だからと言ったり、あるいはアバウトという言葉、あるいは外交は失敗などは許されない大変重要なことであります。それだけに、外務省の局長あるいは幹部の皆さん方、また近いうちに間違いなく総理大臣になるだろうと思います安倍外務大臣の実行力に期待をいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#24
○愛野委員長 次に、井上普方君。
#25
○井上(普)委員 ボン・サミットに出発せられるに当たりまして、この委員会におきまして、SDIの取り扱いについていろいろと質問がございました。その際に安倍外務大臣は、SDIの研究参加は慎重に考えて自主的に判断しなければならない、こうあなたは言われたのであります。しかも、帰国後の外務省での報告によりますと、これは伝えられるところでありますが、SDIを支持してくれと言われたら、今のところは支持できないであろうと答えるつもりだと語ったと私は承っております。これは、非公式な発言でございますので何とも申し上げられませんが。
 しかし、一方におきまして総理大臣は、サミット前のレーガン大総領との会談でも五原則なるものを示したそうでありますし、また中曽根・コール首相とのサミット前の会談では、研究は正当なものである、こうコール首相との間で一致した見解を出されるということを実は聞かされておるのであります。しかし、SDI支持派のはずのコール首相でさえも、アメリカに強制されずに決めたいと言っておるのでございますけれども、中曽根総理の対応を見てみますと、アメリカのために旗振りをしておるとしか私どもには感じられないのであります。このことについて外務大臣と総理との間に、SDIの考え方に差があるように思われてならないのであります。
 外務大臣の慎重に対処するという姿勢は今後も変わらないものであるか、この点ひとつお伺いいたしたいのであります。
#26
○安倍国務大臣 SDIにつきましては、この研究は理解をする、しかし、この研究に参加するかしないかということはいまだ決定してない、そして、このSDIの研究に参加するかしないかの回答を出すに当たっては、日本としては自主的に、そして慎重に検討した上でこれを行うということは、私がこれまでしばしば申し上げたとおりでありますし、この点につきましては、中曽根総理と私との間においては乖離している点はない、私はそういうふうに思っておりますし、SDI問題についての中曽根総理のサミットにおける、あるいはまたサミット前後で行われた各国との首脳会談においても、この理解の線を越えたものではない、こういうふうに私は考えております。
#27
○井上(普)委員 SDI研究に対して、理解をするということを言っておるわけなんです。しかも、SDIの研究が正当であるとまで総理大臣は言われておる。こうなれば、SDI研究に対しては正当のものであり、理解するものであるとこう言っておる以上は、あなたの研究に参加することに自主的で慎重でなければならないというのとは、大きな隔たりがあるように思われてならないのであります。
 今、研究に参加することに対して、自主的、慎重にやらなきゃならないというので総理と外務大臣との間に意見は一致しておる、こう言われますけれども、ヨーロッパにおいては、もうどの新聞を見ましても、中曽根総理はSDIの研究に参加するものという受けとめ方をしておるのであります。これが当然だろうと思う。この点、外務大臣と中曽根総理との間に大きな意見の差があるように私は思われてならないのであります。この点、もう一度はっきりしていただきたいのが一点。
 第二点といたしまして、研究と開発とはどれだけ違うのか。聞くところによると、御承知のように日本の企業に対しましては軍事技術協力の合意文書がある。これがSDIの技術力に転用されるということにもなりかねないと思うのでありますが、いかがでございますか。この点はっきりさしていただきたい、第二点であります。
 第三点といたしまして、フランスのミッテランは、このSDI反対の理由といたしまして、過剰な軍備を招くおそれということが一つ、第二に技術的成果がアメリカにひとり占めせられるのじゃないかという、二つの面を挙げて反対をいたしておるように承るのであります。この点、日本は無防備で技術供与に突き進むおそれがあると思うのでございますが、この点についてはいかにお考えになるか、お伺いします。
#28
○安倍国務大臣 中曽根総理とコール首相との首脳会談におきまして、SDIに関しまして、一月の日米首脳会談においてレーガン大統領から、非核の防御兵器であり、究極的に核兵器の廃絶を目指すものとの説明を受けて、その道義的な正当性を認めてSDI研究を理解するとの立場を表明した経緯を中曽根総理からコール首相に説明されたものでありまして、この点につきましては、私は政府の立場においては何らの変更はなかった、こういうふうに考えております。
 なお、右の点につきましては、また今回の中曽根・レーガン会談におきましても、これは私自身も立ち会っておりましたが、同大統領に対して改めて確認をされたところでございます。
 なお、ミッテラン大統領のSDI研究参加に対する姿勢というものは、私は、フランス政府としてまだ正式に決まっておるのではないように思っております。確かに、我々がミッテラン大統領の発言を聞き、さらにまたデュマ・フランス外相との議論の中で、フランスとしては、今おっしゃるようなこのSDIというものについてはまだまだ疑問は存在している、今お話しのようにSDIそのものが、場合によってはさらに軍拡を助長する可能性も出てこないとも言えない、あるいはまた、ヨーロッパの技術がアメリカにみんな持っていかれてしまう、とられっ放しになってしまう、そういう可能性も、今我々の知る限りにおいてはなかなか否定はできない点もある、しかし、この点については、なお十分アメリカとの間の意見の交換もしてみなければならない、こういうことも言っておられました。
 また同時にアメリカも、これは総理が五原則ということで示されたわけでありますが、そうしたいろいろの疑問に対して、このSDIはソ連に対する一方的な優位を追求するものであってはならない、一方的にソ連に対して優位ということになれば、これはまた、ソ連がそれに追いついてまた強化をしていくということになるわけですから、優位を追求するものであってはならない、あるいはまた、このSDIがアメリカそのものの防御であってヨーロッパに益するものではないということについては、西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資するものでなければならない、そういうことも言っておるわけであります。これは中曽根総理の発言でもありますが、アメリカの発言でもあります。
 あるいはまた、SDIの研究そうして開発配備というものが、結局攻撃核兵器の大幅削減を目指す。SDIを研究開発することによって、いわゆる軍縮が進んでいくものでなければならない、これも一つの条件でなければならぬということであります。あるいは、ABM条約には違反してはならない。あるいは、さらにSDIの開発配備については、同盟国との間で十分な協議が行われなければならぬし、あるいはまたソ連との交渉が先行されなければならぬということも言っております。これは総理が五つの原則として述べたわけでございますけれども、同時にまたアメリカがこれまで説明をした、その説明の内容等も踏まえたSDIに対する日本側の立場として述べたものであるわけでございます。
 いずれにしても、私も実はSDIの外相会議の議論を聞いておりましたけれども、お話のようにまだまだSDIそのものについて議論が熟しておらないといいますか、SDIそのものがまだ十分各国の間に理解といいますか、SDIの実態そのものが一体これからどうなっていくかということについて、各国のまだまだ判断が熟してないというのが私は現実の姿じゃないだろうか、こういうふうに思っておるわけであります。
#29
○井上(普)委員 素直に今の安倍外務大臣のお話を承ると、SDIたるものがどんなものかわかってない、尾花の枯れススキであるかもしらない、そういう全然あいまいもことしたものに対して、研究に理解を示す、あるいは正当性を理解するというようなことは、余りにも軽率じゃないかと私は言いたいのであります。
 外務大臣は、研究参加については慎重に、しかも自主的に判断したいと言っておるけれども、あなたの仕えておる総理大臣がとっととっとと先に進んでおる。しかも今、五原則なるものを中曽根さんは示したそうでありますが、これもあいまいもことしておる。これがあいまいもことしているというよりも、むしろ何を言っているのだ、わけのわからぬことを言っておるように思われてならない。SDIを研究することによって核兵器が少なくなるだろうなんという、こういう面が私らは考えられない。それこそ、もう少し核兵器を増加させるものではないだろうかという気もしてならないのであります。にもかかわらず、これに理解を示し、あるいは研究の正当性を認めるということは、まことにもって私は誤った道であると思われてなりません。
 中曽根さんという人は、私への答弁なんかを見てみますと、どうも考え方が日本人的発想じゃなくて、アメリカ的発想の人であって、我々の理解を超える人だという感じがしてならないのであります。今までも御承知のように、三海峡の封鎖とかあるいは不沈空母論、あんなことをやってみたり、何のための、どちらを向いた外交を展開しておるのか、私どもは非常に危惧の念を持つのであります。その点においては、持ち上げるようでありますけれども、安倍さんは外務大臣として慎重に対処せられようという点については、私は敬意は表するものであります、このSDIに関する限りは。
 しかし、あなたは外務大臣として総理の言うことのしり馬に乗っては困る。今も申しましたが、明らかに外務大臣と総理大臣との意見の不一致があると我々は認める。そして私どもは、安倍外務大臣の方針に、その慎重さに対して敬意を表するのであります。なお一層の御努力を願って、ともかくひとり走りしようとするこの中曽根総理の外交方針をチェックしていただきたい、このことを強くお願いするわけでありますが、安倍外務大臣のお考え方を承りたい。
#30
○安倍国務大臣 まあ、いろいろと見方はあると思いますけれども、しかし少なくとも中曽根総理も私もそうでありますが、今回のサミットにおきましては、事SDIに関しては首尾一貫しておると私は思っております。SDI問題については、確かに理解は示しております。これは一月の日米首脳会議以来、研究に対する理解を示したというのは、レーガン大統領が、このSDIというものが非核兵器である、あるいはまた防御兵器である、最終的には核の廃絶につながるものである、こういうことを強調されまして、そうした一つの考え方と、日本としても、核の廃絶につながるということは、日本の立場から見ましても大変理想的なことでありますし、軍縮が進んでそういう核廃絶につながるという防御的な非核的な兵器であるならば、これは大変結構なことじゃないかということで、研究に対しては理解を示したわけでございます。
 それは今度のサミットにおいても、その一線で日本の立場を説明したということでありまして、この点については何ら中曽根総理の発言も、今おっしゃるように、何かずっと前へ出たというふうなお考えでございますが、それは私はなかった、あくまでも理解という線にとどまったと思うわけでありますし、また研究に対する参加、不参加という点については、あくまでも現在の段階においてはこれは白紙である、こういうことも私も実は外相会議で述べておるわけであります。
#31
○井上(普)委員 このSDIが核廃絶に向かう、あるいは防御的兵器であるという決めつけ方をせられるところに、私は問題があると思う。昔から、防御的兵器と言いながら攻撃的兵器になるのは兵器の常なのです。こんな当たり前のことさえわからぬような総理大臣では、あやふやでしょうがない。それをまた理解を示す安倍さん、あなたに対しても私は幻滅を感ずる。ミッテラン大統領は、その点ではこれは過剰な軍拡であると言っておるところは、私は立派なものだと思うのです。
 それじゃ、あなたはおっしゃいますが、一体SDIってどんな戦略構想なんです。わかっていないのでしょうが、あなた自身にも。わかっていないものをわかったように言っているのだよ。今あなた方は、どんなものかわからぬと言っている。研究に理解を示し、正当化する。大体今の科学技術の時代に、研究と開発とが不即不離なものであることは、科学常識を持っておる者の常識なのです。研究と開発とが別個に進むなんということが考えられますか。これを研究と開発とが別個である、しかも研究については理解を示すということは、開発にも理解を示すということに匹敵するのです。つながるのです。ここに大きな、人をごまかすといいますか、韜晦させるような論理の飛躍があると私は言わざるを得ない。
 まして、いわんや安倍外務大臣が中曽根総理と意見は一致しておると言うようなごときに至っては、まさに人をごまかすにもほどがあると言わざるを得ないと思うのであります。(「じゃ、あなたも総裁失格だ」と呼ぶ者あり)ああいう不規則発言もあるぐらいであります。慎重に対処していただきたいことを強く要求いたしまして、この問題については終わります。
 それから、経済サミットにつきまして、新ラウンドの開始をめぐって大もめにもめたという話を聞きます。全会一致を原則とするサミットの史上におきまして、初めて多数決でこれを八六年開始ということを決めた。しかし、ミッテラン大統領はこれに大きな不満を持っている。だから、東京サミットには参加しないというような発言すら出てきておるのであります。
 このフランスが、ミッテラン大統領が東京サミットには参加しないという面については、SDIとこの新ラウンドの問題だろうと思います。しかし、私どもが非常に危なく思いますのは、この新ラウンドにおいて農産物が取り上げられるのじゃないだろうか、この点について私どもは大きく疑問を持つわけなんでありますが、この点についてはいかにお考えになっておられるか。農産物の自由化に対するアメリカの究極の目的は米にあることはもう常識になっている。政治に携わっておる者としましては、米の自由化を最終的な目的にしておることはもう常識になっている。この点について外務大臣はいかにお考えになっておられるか、ひとつお伺いしたいのです。
#32
○安倍国務大臣 井上さんの御指摘でございますが、米の問題については、私もアメリカとも何回も会って話をしております。それは、牛肉とかオレンジについては枠の拡大を求めておりますし、最終的には自由化を求めておりますが、米については日本の特殊な事情は百も承知しておるわけで、アメリカが日本に対して米について輸出枠を求めるとか、あるいはまた自由化を求めることはあり得ないということは何回も確認しておるところでありまして、その点について御心配要りませんし、また日本としても、そうした米に対する要求をのむことは絶対にできないということは、今さら申し上げるまでもないと私は思います。
 確かに、今度のサミットでミッテラン大統領がニューラウンドについて一つの危惧を持っているというのは、いわゆるECの共通農業政策、これが崩れてくるのじゃないか、ECの共通農業政策がまずやり玉に上げられるのじゃないか、こういう心配であったと思うわけでございます。日本も、ニューラウンドに当たって農業問題だけを真っ先に突出して取り上げることについては反対でありますし、この点については日本とフランスの首脳会議におきましても、農業問題を突出してニューラウンドで取り上げることは日本も同じように反対である、あくまでもニューラウンドはバランスのとれた形で論議をされていくべきであるし、その点はこれから行われるところの高級事務レベル会議等で十分検討しなければならぬし、あくまでもニューラウンドは東京ラウンドと同じように、バランスをとっていかなければならぬということを日本としても言っておるわけであります。
 フランスは農業国家でありますから、そういう点で非常に心配があると思うわけでありますが、これらの点は、それぞれの国も農業問題は特殊な立場にあるわけでありますから、十分話し合いをしていけば、ニューラウンド全体についての一つの交渉というものは進んでいくのじゃないかと私は思っております。
#33
○井上(普)委員 私もアメリカへ行って、アメリカの下院議員と話した。そのときに出てくることは、米を買ってくれぬかとフロリダ出身の議員あるいはまたカリフォルニアの議員がどんどんと私らに言うことは、もう御承知のとおりなんです。知らないのは国民でありまして、こういうようなことを我々は事実、体験しておる問題なんであります。
 これは心配ないとあなたは言われるが、私は五十四年の予算委員会において質問したことがあります。それは何かといいますと、銀行の自由化を行えという要求が出てくるのじゃないだろうかという危惧を表明いたしました。その際、外務省もあるいはまた大蔵省も、銀行の自由化ということはありません、我々は断固として拒否しますと明言をされたのであります。しかし、五十四年から三年たったら、もう既にその問題が表面化してまいりました。アメリカが堂々と要求をするようになってきた。
 政治というものは先取りしなければなりません。しかも、それが国内にどんな影響を及ぼすかということを考えなきゃなりません。今こそ頑張っておられるけれども、まだ言ってこないだろうと思いますが、私らは、言ってくることはもう必然であります。といいますのも、これだけ大きな貿易黒字が出ております以上は、考えられるのはアメリカの農産品をさらにうんと買えという要求が出てくるでありましょう。既に我々には、常識外の要求がアメリカから出てきておるじゃありませんか。経済援助のために日本はアメリカの小麦を一千万トン買えなんという、ばかげた要求がアメリカから出てきておるじゃありませんか。
 今度のサミットにおきましては、外務大臣が今出されました報告書を見ますと、一番先に、世界経済の成長の制約要件となっておるのは、第一番にアメリカ等の赤字財政とドル高・高金利であると書いてある。しかし、ドル高・高金利という問題は、ここもう四、五年、日本も要求しますと言いながら直されてない問題じゃありませんか。この点について、ほかの問題で日本については、貿易収支の不均衡については日本政府は一生懸命になってこれを努力しつつある、あるいは欧州における高失業と構造的硬直性についても、欧州自体が一生懸命解決に努力しようとしておる。アメリカがこのドル高・高金利それから財政赤字について、どういうような措置を今までとってきたのか。
 これは、ことし言っているのじゃないですよ。ここ四、五年来言われている。しかも日本の貿易黒字は、ドル高・高金利によってなされているのでしょう。これから日本の貿易収支が、このドル高あるいは高金利が続く限り、ことしは三百七十億ドルとか言いますけれども、先ほども糸山さんが言いましたように、これが五百億ドルを突破することは必至なんです。これを直すには、アメリカのドル高・高金利を直さなければならないということは世界の経済界の常識になっているけれども、これが直されていない、努力がなされていないように思われるのですが、外務大臣はどういうようにお考えになっていますか。この点をお伺いしたい。
    〔委員長退席、野上委員長代理着席〕
#34
○安倍国務大臣 今度のサミットの経済宣言の中でも、高金利という問題は各所において取り上げられております。アメリカ自体の問題であるだけじゃなくて、やはり高金利が開発途上国の累積債務等に非常に悪い影響を与えておることも事実でありますし、また、日本の黒字の大きな原因が高金利そしてドル高にあることも、これはもう事実であります。日本も、しばしばアメリカに対しても率直に説明をしておるわけでございますし、アメリカにこれが是正をずっと求めてきておるわけでございますが、今日の段階においては、あの膨大な財政赤字の中で高金利・ドル高というものが大きく改善される状況にないことは事実であります。したがって、今回のサミットにおきましても、アメリカのドル高・高金利の大きな元凶であるところの財政赤字につきましてアメリカに改善を求める、アメリカ自身がこれを改善していくという問題提起がなされておるわけであります。
 この問題については、確かにこれからも日本としても求め続けていかなければならぬし、あるいはまた世界の大きな問題でもあろうと思っておりますし、アメリカも、アメリカ自体の経済のこの数年来の成長というものが、やはりある一面においては高金利あるいはまたドル高とも関連があることはそのとおりだろうと私は思うわけですが、しかし、これが世界経済に与える影響というのは決していいものでないことは御承知のとおりでありますから、この問題はこれからもサミットのフォローアップの問題として、関係各国の間でお互いに努力をして是正を図っていかなければならない、こういうふうに私は思っておるわけであります。
#35
○井上(普)委員 まあサミットというのは、経済問題を中心にしてやるのがサミットだったのが、いつの間にかともかく政治問題が絡んできておかしげなサミットになっている。その中で経済問題については、第一番に「持続的成長及び雇用の拡大」、目標は結構なんですよ。ところがこの制約要件となっておるのは、一番に、あなただってアメリカの財政赤字と高金利・ドル高と言って指摘している。ほかの問題につきましては、いろいろと議論ができている。しかし、赤字財政とドル高・高金利の問題についてはことしのサミットだけじゃない、言われてからもうここ四、五年になる。
 ところが、その四、五年の間アメリカがどういうような努力をしたか、我々の目に映らない。これらについて、厳しくアメリカを追及しなければならないのだが、むしろアメリカの方が日本に対し、あるいは諸外国に対し、アメリカの得手勝手な要求を突きつけておるというのが現状ではありますまいか。そして恫喝的に、保護主義的な議会の動きがあるからということを盛んに言う。自分のなすべきことは言わずに顧みて他を言うたぐいが、今のアメリカの外交政策、経済政策じゃないかと私は思う。こんなことでは日本とアメリカとの間は、私は、親密にならなければより一層協力的にならない、そう思っておる。
 しかし、このような理不尽な要求をし、自分のことは棚に上げておく、この得手勝手なやり方に対しては、国民は不快感をこれから示さざるを得ないと思う。これが日米間の親善を損ねるゆえんだと思う。この高金利あるいはドル高に対しまして、日本政府としてはますます強く要求しなければならないと思うのですが、へっぴり腰で外交が行われておるように思われてならない。この点について、さらに厳しくアメリカに対して要求することを注文しておきたいと思うのであります。
 ニューラウンドがやられることも結構、しかし、これが国内の農業に対し大きな打撃を与えることについては考えなければならないと思う。事実、ミッテランが、ECの農業政策について大きな影響が加わるのではないかと言って反対したことに対して今欧州各国は、特にスペインであるとかポルトガルあるいはオランダであるとか拍手をもって迎えているじゃありませんか。こういう面からするならば、日本の外交もアメリカに追随――追随という言葉じゃない、もう中曽根外交は。御機嫌をとることにきゅうきゅうとしておるのが、あのSDIの五原則であろうと私は思う。こういうことをなくして毅然とした態度でもって臨まれることを強く要求いたしまして、私は質問を終わります。
#36
○野上委員長代理 土井たか子君。
    〔野上委員長代理退席、委員長着席〕
#37
○土井委員 外務大臣は、サミットから後、ヨーロッパへの歴訪を終えられてお帰りになって初めての外務委員会ですが、お疲れであったと思います。
 今回のサミットは第十一回のサミットであったはずなんですが、先日、外務省の方から、「ボン・サミットについて(とりあえずの評価)」という文書が出されました。これを見ておりますと、「今次サミットは、緊張感あふれたウィリアムズバーグ・サミット、明るい雰囲気の下で開催されたロンドン・サミットに比し、不確実性を孕んだサミットであったといえる。」と書いてあるのです。これは外務省は、「不確実性」とえらい遠慮ぎみに書かれておるのですが、率直に言えば、対立が浮き彫りにされたサミットだということを私はまず言わなければならないと思います。
 そうなってくると、そういう対立が浮き彫りにされたようなサミットは今までにない。お互いがそれでも無理をして歩み寄って、経済宣言、政治宣言を物する。そういうときには、お互いの国が自分たちの立場に立って考えたときに、百点満点の中身にならないことはもう言うまでもないと思います。どの国に聞いたって、百点満点という国はなかろうと思うのですね。恐らく満足、これで十分だと言っている国はなかろうと私は思います。安倍外務大臣におかれましては、これを聞くと、恐らくはいやもう大丈夫、日本は合格点だとおっしゃるに違いないと思うのですが、採点したら一体日本は何点くらいとったというように考えていらっしゃるのですか。いかがです。
#38
○安倍国務大臣 何点という点数はなかなか私自身がつけようもありませんけれども、しかし、私も外務大臣としては三回目のサミットでありますが、確かにおっしゃるように、今回のサミットは政治問題にしてもあるいはまた経済問題にしても、不確実性の要素をはらんだサミットであったと私は思います。そういう中で、少なくとも日本の役割としましては、そうした不確実性の中で政治的にはやはり日本も含めた西側が一応の足並みをそろえて米ソ交渉を応援しなければならぬ、推進をしていかなければならぬ、そして平和と軍縮の方向へ軌道を固めていかなければならぬ、こういうことでいろいろと議論はありましたけれども、一応の形はまあまあそろったのじゃないかと私は思います。
 経済の面におきましても、確かにニューラウンドについての期日を設定するということについてはフランスの反対はありましたけれども、しかし、ニューラウンドを推進するということについては、もう早期に行うということについては完全な合意を見たわけでございますから、いろいろと政治の面においてもあるいは経済の面においても不確実性の要素ははらんでおりますけれども、一応は形のとれたサミットになったのじゃないかと思います。
 ですから、これからそれぞれがサミットで約束したことを経済の面でもちゃんと守っていけば、サミットの目標とするところの、少なくとも経済の面におけるインフレなき安定経済成長という路線を進めていくことができる可能性というもの、基盤というものは生まれた、こういうふうに私は思っております。
 あるいはまた、SDIとかあるいは中米等についての不協和音等があったことは確かに事実ですけれども、しかし、少なくとも米ソの交渉についての一つの明るさというものが、西側の国の一つの結束の中で生まれてくるのじゃないか。このサミットが一つの要因となって、米ソのいわゆる首脳会談もこの秋に行われる可能性が加速をしたのじゃないだろうか、私はそういうふうに思っております。
#39
○土井委員 中身について今大臣からるる御説明を賜ったわけですが、評点については難しいということで何らお答えにならないのです。大臣自身が落第点とは、よもや言いづらいだろうと思うのですね。ただしかし、辛うじて合格点ということになってくると、どの点がそうなのかということが問題になります。今、新ラウンドの問題を取り上げておっしゃいました。じゃ、お伺いいたしますけれども、今回の政治宣言の中にSDIが入っていないということは日本としては得点になりますか。外務大臣はどうお考えになります。
#40
○安倍国務大臣 全体的に何も言わないということになりますと、また何もしなかったということになりますから、これは日本としては非常にいい点数をとったんじゃないかと思っております。
 それからSDIにつきましては、私は、これは政治宣言に入らないのは当然だと思います。というのは、SDIについては、各国の足並みがそろっていませんから当然だと私は思います。
#41
○土井委員 評論家としておっしゃる分には、今のお答えでよかろう。各国の足並みがそろってないから政治宣言に入れないのは当然だ。日本の外務大臣というお立場でこの問題の日本の評点を考えたときに、プラスになっているとお考えですかということを今お尋ねしているのです。いかがです。
#42
○安倍国務大臣 私も政治宣言に入るのは反対です。
#43
○土井委員 そうすると、これは日本にとって、評点の上ではプラスという格好だということを外務大臣はお考えになっていらっしゃる。
 それでは、ニカラグアに対してのアメリカの制裁を支持するということに対して、何らこれを取り上げることがなかったという点は、日本にとっては得点の中に入りますか。いかがですか。
#44
○安倍国務大臣 ニカラグアを初めとしまして、アフガンの問題とかカンボジアの問題とかアフリカにおけるいろいろ紛争の問題、いろいろと問題点はあったわけでございますが、政治宣言におきましては、今四十年を振り返っての象徴としてのいわゆるドイツの分割、あるいはまた朝鮮半島の分割というものに象徴して扱われたということであって、議論としてはそれぞれの問題が行われたわけでありますが、政治宣言には、具体的にはドイツの問題、そしてまた朝鮮半島の問題が取り上げられた。朝鮮半島の問題については、日本の主張でこれが挿入されたということでありました。私は、それなりに大きな意味があったんじゃないか、こういうふうに思っております。もちろんニカラグアの問題は、アフガンとかカンボジアとか、その他の問題とともに論議はされたわけです。
#45
○土井委員 大分大臣お疲れの御様子でございまして、私は、朝鮮半島の問題にまで今質問を及ぼしていないのです。ニカラグアに対してアメリカ側が制裁をしたことに対する御協力をという提案があったことに対して、冷ややかであった。大体そういうことは逆効果じゃあるまいか、キューバの二の舞になるよという声もあったというのは、これは新聞紙上伝えられているところでお互いよく知っているところなんですが、今回の政治宣言の中にその問題が入ってないということは、日本の立場からして外務大臣がお考えになって、日本のこの政治宣言に対する評価はどういうふうに評価していったらいいかという場合に、プラスになっていますかどうですかということを私は聞いているのです。いかがです。
#46
○安倍国務大臣 ちょっと私から余り我々の会談の模様を明らかにするというのはどうかと思いますし、しないという約束ですけれども、しかし、アメリカがニカラグアについて各国の同調を求めたということはありません。これは、アメリカはアメリカ自身の判断に基づいて行ったんだという説明であって、皆さんに同調は求めません、こういうことでございます。したがって、初めからこれは政治宣言の対象にはならなかったということであります。
#47
○土井委員 政治宣言の対象にならなかったということでありますけれども、この点について日本はどういう発言をしているのですか。昨日の本会議での内閣総理大臣の御答弁では、コンタドーラに対して日本は支持するという立場であった、こう言われるのですが、コンタドーラの姿勢というのはもう御案内のとおりで、アメリカのニカラグアに対する制裁に対しては反対なんです。こういうことにはまずもって反対。アメリカは手控えてもらいたい、手を引いてもらいたいというのがコンタドーラの立場でしょう。そうすると、アメリカのニカラグアに対する制裁に対する我々のやり方に対して御支持をというときに、日本としてはどういうことを言われているのですか。コンタドーラに対する支持ということならば、その線をはっきりおっしゃるべきだと私は思ってきのうは聞いていたのですが、この場所でどういう発言がございました。
#48
○安倍国務大臣 日本としては、あくまでも中米問題は平和的に処理されるべきである、コンタドーラのイニシアチブを支援をして、そしてニカラグアにおける平和的な解決が図られるべきであるというのが、日本の基本的なニカラグア問題に対する政策でありまして、これは今日といえども変わっておりません。それは、ニカラグア問題についての論議の中で私からもはっきり申し上げたところであります。
 ただ、アメリカがああした経済措置をとったという背景あるいはいきさつ、経緯等については、それはアメリカなりの理屈があるわけだし、日本としてもそれはそれなりに理解はいたします。しかし、あくまでも日本の立場は平和的な解決でなければならない、コンタドーラのイニシアチブを尊重しなければならないというのが日本の立場であるということは、はっきり言っておるわけであります。アメリカから日本に対して支援を求める、これに対して同調を求めるというふうなことは、一切ありませんでした。
#49
○土井委員 そうすると、今回の政治宣言、経済宣言の中で、特に政治宣言について私は申し上げたいのですが、日本にとってマイナスの点がある、評価の上で言うとそこそこの点数という中でこの点がどうもひっかかるので、さらによい点数と言うわけにいかないという点がありとすればどの点ですか、外務大臣がお考えになって。
#50
○安倍国務大臣 大体満足すべき内容であったと思います。特に日本の立場からすれば、朝鮮半島問題をこの中に挿入することができたということで、日本自身としても満足をいたしております。
#51
○土井委員 大体満足と大変気のよいことをおっしゃっているのですが、この政治宣言の中身を読んでいきますと、あちこち数点にわたって私は疑問の点があるわけです。まず、この点ははっきりさせておきたいと思いますからお尋ねを進めますが、政治宣言の仮訳を見ますと、ページ数で申し上げましょう、三ページのところで「国連憲章において確認されているとおり、」で始まるセンテンスがございます。この中に「我々は、民主主義的自由を擁護しつつ、平和を維持する決意を共有している。そのために、優位を求めず、また自らの防衛も怠らずに可能な限りの低い水準における安定した軍事力の均衡の維持及び強化に向けて我々の一人一人が努力する。」こう書いてあるのです。ここにあるところの「軍事力の均衡」というのは、何に対する均衡ですか。まず、これをはっきり聞かしていただきたいのですが、何に対する均衡なんです。
#52
○安倍国務大臣 これは全体的なそれぞれ、日本は日本としてもちろん最小限の軍事力という立場でありますけれども、全体的な均衡というのは東西の均衡だというふうに思います。
#53
○土井委員 東西の均衡というのは、具体的に言うとソ連に対する均衡というふうに言っていいですか。いかがですか。
#54
○安倍国務大臣 東西ということで、すべて含まれているのじゃないかと思います。
#55
○土井委員 含まれているのじゃないかと思いますでは困るのです、これは。宣言というのは約束事なんじゃないでしょうか。サミットの首脳会議の場所に列席している国々は、政治宣言をやった中身に対して拘束を受けるのでしょう。約束ではないのですか、約束なんですか、どうなんですか。
#56
○安倍国務大臣 これは政治宣言ですから、その中に書いてあることについては、それぞれの国がそれぞれの問題について努力をしていかなければならないことであろうと思います。しかし、こうした宣言でありますし、また、東西といいますか、米ソ間においても軍縮交渉が行われている、こういうことですから、やはりこうした文書については注意深く書かれておると私は思います。そうして、具体的な点に絞ってということよりは、解釈を求められれば東西の緊張と言った方が、私は今日においては非常に理解される解釈じゃないだろうかと思います。
#57
○土井委員 それは外務大臣御自身の独自の解釈で、そういうふうに東西とおっしゃっているわけですけれども、東西の、特に日本はそうすると西側陣営の中に入って、西側陣営の一員として、この問題に対して先ほどお答えのとおりに、宣言というのは、それに拘束を受けて日本もこれを守るという努力をしなければなりませんから、努力をしていかなければならない、こういう形になるわけですね。
 さあそこで、その次の「軍事力の均衡の維持及び強化に向けて我々の一人一人が努力する。」こう言っているのですが、「我々」の中には日本は入るのですね。日本も含めて「我々」と言っているのでしょう。いかがですか。
#58
○安倍国務大臣 もちろん、これは日本が入った宣言ですから、日本が入っておることは当然です。
#59
○土井委員 そうすると、これは全くおかしな話だと私自身は思います。なぜかというと、NATO諸国と我が国とではそもそもスタンスが違うのです、これは。こういう問題に対しての選択の土台が違うのじゃないですか。我が国の場合は憲法がございまして、この憲法から考えますと、NATO諸国と一緒になって軍拡を進めていくということは本来できるはずがないのです。許されていないのです。と同時に、集団自衛権の行使は一切認められていないのです。NATOとは土俵が違うのですよ。土俵が違う相手と一緒になって、日本がこれをやる努力をすることが義務化されていくというのは、まことにもってマイナス中のマイナスであって、マイナスどころか間違ったことを約束しているという格好に相なると思いますが、いかがですか。
#60
○安倍国務大臣 これは確かに日本とその他の国は、スタンスが違うことは事実だと思います。日本はNATOにも入っておりません。日米との間には安保条約を持っておりますけれども、しかし、日本独自の憲法も持っていることは御承知のとおりでありますし、私は、こうした宣言はやはりそれぞれの主権国家が集まった宣言でありますし、その主権国家としての憲法とか、あるいはまた基本的な国家政策とか、そういう範囲内においでこれは合意されたといいますか、その範囲内における努力目標であって、それを超えたものではない、こういうふうに思います。何もこれは、軍事協定とか軍事同盟とかそういうものではありませんし、そうした主権国家のそれぞれの独自な主権的な範囲内においてこれは守られるべき宣言である、こういうふうに理解しております。
#61
○土井委員 ただしかし、これはNATOと我が国とは土俵が違うという点が、この点は非常に鮮明にされないばかりか、むしろ日本の軍事力に対してそれを強化していく方向が、西側陣営の一員であって、そういう役割、責任というものがあるのであるという方向で取り扱われるということが、今後非常に問題になってくるであろうと私は思います。それならば、このことに対する歯どめは外務大臣、どういうふうに考えられますか。
#62
○安倍国務大臣 これは、日本は日本なりの独自の憲法であるとか、日本の防衛政策であるとか、そういう基本に基づいて日本が努力していくことであって、具体的に言えば、例えば日本の防衛政策の基本は防衛大綱を実現していこうということでありますし、それを超えたものでは決してあり得ない、こういうふうに思うわけです。
#63
○土井委員 ただ、今は日本独自の防衛政策があるから、その点を日本としてはやっていかざるを得ないという御答弁でありますが、きょう外務大臣は、帰国報告については文章が長いので文書を配って、そしてそれを我々が各自で読むというふうなことに、帰国報告を口頭で説明することを振りかえてここで御報告されました。この帰国報告の文書を見ますと、外務大臣御自身がこういう表現なんですよ。「世界の平和と安定を維持・発展させるためには、サミット国の協力、団結が不可欠であります。」「かかる団結の下に軍備管理・軍縮に決然と取組むことの重要性は言うまでもなく、」云々なんですね。「軍縮に決然と取組む」、これは当然のことだと思うのですが、その前に「団結の下に軍備管理」と書いてあるのです。
 そうなってまいりますと非常に気にかかるのは、今歯どめはどこにあるかということを質問したら今のような御答弁なんですが、サミットの中で少なくとも外務大臣御自身が、NATOと我々は違う、アメリカとも我々は違う、日本独自の立場があるということをどのように鮮明に、はっきりと物を申されましたか。いかがです。
#64
○安倍国務大臣 これは日本の立場は、各国との首脳会談におきましても外相会談におきましても、あるいはサミットの場においてもしばしば鮮明にしておりますから、具体的に詳細にわたって説明するまでもないわけでありますし、そしてまた、各国が主権国家として集まっているわけですから、それは主権国家の主権の範囲内においてこれを行うのは当然のことであろうと思います。
 ただ、いわゆる米ソの軍縮あるいはまた軍備管理、そういうものに対して、日本も西側の一員であるという立場から、日本も含めた一つの結束がこの軍縮交渉を進める上に極めて大事であるということは、これはサミットにおいて一貫して流れた考えである。ウィリアムズバーグ・サミットが、いわばその大きな一つの起点になったと私は思いますけれども、それ以来の西側の一つの団結というもの、それが軍縮・軍備管理というものに大きな一つのアクセルを踏むことになるのだというのが、サミット参加国のやっぱり合意した一つの考え方であるということは、はっきり言えると私は思います。
#65
○土井委員 これはしかし、どこまでいっても水と油のようなものを一つにまとめてここに出してきたような格好でありまして、我が国とすれば常に言っていることだからとおっしゃいますが、サミットの中でやはりこの辺、ミッテラン大統領が非常に鮮明に、孤児的立場になってもなおかつ自分の主張をはっきり言い続けて、そして鮮明に自分の立場を主張したことが今回は功を奏して、宣言の中にもそういう効果を出してきているという点は、これは重視しなければいけない話だと私は思っています。日本とすれば、従来言ってきているからこの節黙っていてもわかってもらっているなんというふうな外交は、あったものじゃないと私は思っています。やはり毅然とした姿勢ではっきり物を言うことが、その都度問われているのじゃないでしょうか。
 そうすると、今回の政治宣言の中にも、お帰りになった外務大臣に尋ねてみますと、るるいろいろ御説明も、何だかそれに対しての言いわけめいた説明にしか私は聞こえてこないわけでありますけれども、その場所その場所での一番肝心のときに、この点は日本としてはこうだということをもっと鮮明にしていただくということでなければ、日本の外交の今後はないというふうに私自身は思うのです。
 さて、先ほどは何遍も、このことに大変自信がおありになるかのように私は受けとめておりますけれども、政治宣言の中に「ドイツ民族が自由な民族自決を通じその統一を回復するような欧州の平和な状況を待ち望んでいる。」というくだりがございますね。これは、場所がボンであったからということも一つは問題になったかもしれませんが、ここでその「民族自決を通じその統一を回復するような欧州の平和な状況を待ち望んでいる。」ということに、日本も賛成なんですね。日本もその立場に立って、この政治宣言を物されたというふうに考えていいわけですね。まず、いかがです。
#66
○西山政府委員 ただいまの箇所につきましては、ドイツの現状が変わるということは、これは欧州に真の東西融和ができるということを意味するわけでございますから、当然私どもとしてもそういう状況の来ることを期待する、そういう意味において同じ気持ちを持っているわけでございます。
#67
○土井委員 そうすると、四月二十六日に、ワルシャワ条約機構首脳会議があの条約の二十年延長を決定いたしました。固定期間は来世紀を超えるのですよ、これは。そうすると、今の御答弁からすると当然聞かしていただかなければならないのは、今回のワルシャワ条約機構がさらに二十年の固定有効期間を延長したという取り扱いについて、どういう御認識を持っていらっしゃいますか。
#68
○西山政府委員 ワルシャワ条約機構は、これは申すまでもなく東側の軍事同盟関係を決めたものでございますけれども、これが現在の時点においてさらに延長されたということは、そういう意味で非常に冷厳な事実として受けとめざるを得ない、そのように考えております。
#69
○土井委員 冷厳な事実として受けとめるだけの話なんですか。外務大臣、先ほどの御答弁はお聞きになったとおりで、この政治宣言の中に対して、日本としては責任ある姿勢で臨んでいらっしゃるんでしょうが。そうしてワルシャワ条約に対して、二十年の固定期間の延長に対しては冷厳な事実として受けとめるだけなんですか、外務大臣。外務大臣の御認識、どうです。
#70
○安倍国務大臣 これはやはり、戦後四十年たって依然としてドイツも分裂国家として存在している、あるいはまた朝鮮半島も分割されておる、こういう事実はやはり冷厳な事実なんですね。しかし、これは同じ民族が分割されておる、こういう事態が自由なうちに解決をされ、そして統一されることを望むということは、これは日本もそうでありますし、サミット参加諸国も同じような期待と念願を持って集まり、ここに宣言を出したわけでございますから、このワルシャワ条約がそうした延長決議をしようとしまいと、これは我々の一つの念願として、あるいはまた一つの理想として打ち出していくことは、これは当然意義のあることじゃないか、私はこういうふうに思います。
#71
○土井委員 ちょっと今の外務大臣の御答弁はわかりませんですね。どういうわけで意義があるのです。ワルシャワ条約というのはもう御案内のとおりに、NATOに対して対抗措置としてつくられた条約機構なんですよ。そういう状況の中で今回の政治宣言があるわけですから、政治宣言の中で東西ドイツの「統一を回復するような欧州の平和な状況を待ち望んでいる。」と言っているのでしょうが。状況については冷厳な事実として受けとめますじゃ済まない話なのです。もう局長答弁結構です。外務大臣はどうですか、これは。このままではいかぬのですよ。
#72
○安倍国務大臣 これは待ち望んでおるわけですから、これはもちろん日本もそうですし、参加した国々が今ドイツの統一を待ち望んでおることはまことに素直な、またはドイツ民族の一つの悲願というものに照らしてみても、これは当然の政治宣言の重要な文句である、語句である、私はこういうふうに思います。
#73
○土井委員 今後二十年間というのがもう固定期間が延長されて、それはさっき冷厳な事実だと言われたけれども、それは冷厳な事実を認識するだけでおさまらないですよ。そうして外務大臣、これは小学校の生徒の作文の方がもっと考えて書きますよ、書いたことに責任を持ちますよ。美辞麗句を並べて済む問題じゃないと思うのです。
 したがって、同じように日本がこれを提案したからここに入ってきたということを胸を張っておっしゃる部分について、お尋ねをしてみましょう。「アジアにおいては、当事者が朝鮮半島の分割を自由のうちに克服することを可能とするような政治環境が創られることを切望する。」とあるのですが、今のワルシャワ条約に対して私が取り上げて質問をした限りにおける答弁はいいかげんなものです。同じように、日本が提案をしたと言われるこの部分について「政治環境が創られること」、それは「朝鮮半島の分割を自由のうちに克服することを可能とするような政治環境が創られること」、これを切望するということを日本が提案をしてわざわざここに入れたと言われるのですね。
 さて、日本としては、この政治環境ということがつくられていくことをただ見守るだけなんですか、さっきの御答弁だったらそういう立場であると私は思うのだけれども。それとも、強引にここにこういう部分を入れられたという立場がおるのですから、それについては何らかの認識がなければそうならない。何か日本として手伝いをするということを考えられているのかどうか。そうではなくて、三つ目に、日本が何かをやるとここに言う政治環境は壊れるという認識をお持ちになっているかどうか。つまり、日本が努力をするということはマイナス点を稼ぐということになる。
 今、私は三つの状況を申し上げたのです。何にもしない、静観する、積極的に何かをやる、やったら何かマイナスになる、私はこの三つの条件を出したのですが、どういうふうに外務大臣考えておられますか。
#74
○安倍国務大臣 ドイツの宣言、あるいはまた朝鮮半島についての宣言において、ただ何もしないということではありませんし、それは民族のそうした統一の悲願というものをそれぞれの国が相協力して実現ができるように努力していこうということは、この文章の中にはっきりと出ておるわけです。
 例えば、朝鮮半島の前にちょっとヨーロッパのことを申し上げますと、その前段に「我々は、欧州において生じた障壁を平和的手段によって低くすることを求めている。我々は、人権を高めるとの約束を伴ったCSCEの過程は、欧州における信頼、協力及び安全を増大する機会を提供したものと信ずる。」こういうふうな形を一つのドイツ統一に向かっての努力の過程としてここに挙げておることも、御承知のとおりであります。
 また、朝鮮半島の政治環境については、言わんとするところは今行われておるところの南北の対話というもの、これを促進していかなければならないということであります。それはそれなりに、日本の役割というものはあるだろうと私は思います。例えば、韓国と中国との間の非政治的な面での対話が行われております。そういう対話をさらに進めていくというのは、日本のまた役割でもあろうと思うわけであります。あるいはまた日米両国で行い得るそれぞれ、あるいはまた日米両国で協力して行い得る朝鮮半島の緊張緩和の努力というものも、これも今後対話が進む中においてはあり得るし、必ず出てくる、私はそういうふうに思っておるわけでございますし、あるいは北との関係におきましても、日本は外交関係を持っておりませんが、しかし、民間の交流が今進んでおることもこれは事実でございます。
 したがって、朝鮮半島についてもいろいろの面で日本、そうしてサミットに参加したアメリカ、それぞれの立場、あるいは相協力して朝鮮半島の分割が自由のうちに克服されることを可能にするような政治環境をつくるための具体的な努力というものが行われるし、またこれから行われるということは十分あり得るわけでありますし、またそうあらなければならない、そのために努力をしていこうということでございます。
#75
○土井委員 そういうことがあり得ると言って、他人事のように言っている問題じゃどうもないのですね。それは、言葉で幾ら説明したって態度で示さないと、何ともそれは外交に対してのあかしにはならないのです。そうでしょう。それは大臣も首を縦に振っていらっしゃいますから、そのとおりだということに相なると思います。これは記録にとどめておいていただかないと困ると思います。
 さあ、そこで、具体的にひとつはっきり、私は外務大臣に問いただしたい問題がございます。それは、朝鮮半島に対しての分割を自由のうちに克服する平和的なそういう環境、その政治環境というものをつくっていくことのためには日本が努力をする、その努力が生きる前提に日本が信頼を受けていなければだめなんですね。日本に信頼性がなければだめなんでしょう。
 そういうことから考えてまいりまして、八日だったと思いますが、川崎市で在日韓国人の人が指紋押捺拒否ということで、自治体は告発をしておりませんが突然警察に逮捕をされました。その後のいろいろな論調は大臣御案内のとおりで、これは解決にとってむしろマイナスになるんじゃないかと憂慮する声が非常にちまたにあふれております。これからこの指紋押捺拒否の人たちの人数というのは恐らくどんどんふえると思いますよ、今でも多いですが。七月からこの秋にかけて登録切りかえ期に当たっておりますから、窓口では指紋押捺拒否をする人たちがどんどんふえていくと思います。そして自治体の中では、もう既に告発をしないということをはっきり議会で決議をしている自治体が今現に数は多いです。数を一々新聞に載っけておりませんけれども、数は多いですよ。その数もどんどんふえていっているのです。そして今回は、新聞紙上によりますと、韓国当局者も日本政府のこのような措置は問題解決を一層難しくするものだと憂慮しているという表明が載せられている。大臣はどうお考えになりますか。
 指紋押捺拒否に対してこういう取り扱いをやっていくということは、法を振りかざして強行突破なんですよね。得策じゃないと私自身は思っております。むしろ、指紋押捺をしなければならないという義務を法によって強制されている在日外国人の方々の立場からしますと、犯罪人扱いすることになるからやめてもらいたい。先進国の中では、大半が指紋押捺制度をとっておりませんよ。したがって、これは外交関係から考えてどうお考えになりますか。政治宣言の中にこの一項を盛り込む努力をされた日本の政府として、今回のこういうふうな取り扱いというのは日本の国際的イメージを高めるゆえんでもないと思うのです。外務大臣自身はどういうふうにお考えになっていらっしゃるかという率直な御意見を承らしていただいて、私は終わりにしたいと思います。どうですか。
#76
○安倍国務大臣 この指紋問題につきましては、外交関係からいえば韓国からこの改善を求められております。先般の全斗煥大統領の訪日においても、首脳会議においてそれが提起されたわけでありまして、日本としても在日朝鮮人の待遇改善ということにつきましては、これまでも努力を続けてまいりましたし、それなりの成果を上げてきておるわけでございますが、この点につきましてはいまだ国内における調整問題が残っておる。ただしかし、韓国側政府の要望にこたえて努力はする、こういうことにいたして今日まで努力を続けておるわけでございます。
 今外務省も参加して、この問題についていろいろな角度から検討いたしておるわけでございますし、何らかの改善を行いたいというのが外務省の姿勢でありますが、しかし現実には、まだ改善が行われておるあるいはまた改定が行われておるという状況じゃありません。現実には今の制度、そしてやはり法治国家として今の制度を守っていくというのは、これまた法治国家の責任であろうと思います。そういう立場から、司法当局あるいはまた治安当局が現行法律に基づいた措置をとっていくということに対しましては、これは外務省としてあるいは外務大臣としてとやかく言う筋合いの問題じゃない。しかし、外交問題としては、今度秋には日韓の閣僚会議も行われるわけでありますし、何とかそれまでの間にこの指紋問題についての一つの方向を打ち出さなければならない、こういうふうに考えております。
#77
○土井委員 一つの方向とおっしゃるのはまことに抽象的ですから、少し外務大臣のお心づもりといいますか、お考えといいますか、それをここでちょっと聞かしておいていただくことは、私は非常に大事だと思うのですね。外務大臣、率直にお考えを聞かしていただきたいと思うのですが、本来指紋押捺制度については、廃止すべきであるという向きが最近非常に強うございます。つまり外国人登録法に対しての改正ですね、これを具体的にやらないとどうにもならない。これが問われているということと同時に、現行法の中でも取り扱いを是正していく。
 御案内だと思いますけれども、今、一年以上居住する十六歳以上の外国人に対して、登録証を取得して五年ごとに更新することを義務づけて、登録証の取得、更新のときには左手の人さし指の指紋押捺を、これはぐるりと手を回して押させているという格好なんです。これが義務づけられているということは、いかにもこれは異常としか言いようがないんですね。したがって、こういう問題に対する取り扱い方を、先ほどは考えていくとおっしゃいましたが、どういうふうに外務大臣は外務大臣として思っていらっしゃいますか。
#78
○安倍国務大臣 これは、なかなか外務大臣としてと言われましても関係当局もありまして、そうしたおっしゃるような問題点を今まさに検討しているわけです。法律の改正を伴う、あるいはまた政令の改正で行う、そうした今おっしゃるようないろいろな問題も含めて具体的に関係の省庁で検討している。あえて言えば、法務省が主管官庁であるわけでございます。外務省は、外交的な見地から意見を述べておるわけでございますが、今そうした問題を踏まえてまさに検討そのもののときでございまして、そういう中で今私個人の意見といいますか、外務大臣としての意見を言うことはやはり差し控えた方がいいのじゃないか、こういうふうに思います。
#79
○土井委員 私は、唐突にお尋ねをしておるわけではないんです。最後に一問。これは政治宣言の中に、わざわざ日本が積極的に織り込まれたこの一文があるわけですからね。具体的にどういう努力をされていくかという中に私は入ると思いますよ。なぜかといったら、在日外国人の中で圧倒的に多いのは朝鮮人であるということは言うまでもないからであります。しかもその朝鮮人の方々の多くが、かつて日本人として半ば強制的に日本に連行されてきた。戦争が終わってようやくこの朝鮮の方々に対して、在日外国人という取り扱いに切りかわっていったという背景があるという、この問題を抱えているんでしょう。
 それと同時に、先進国の間で人権を重視しなければならないというのはやはり世界の趨勢ですよ。今こういう指紋押捺の問題に対しても、こういうやり方をやっている先進国はありません。犯罪人扱いをされては私たちとしては黙っておれないと言われる人々の声というのは、当然だと私も思う。そういう外交的な取り扱い方の上からお考えになって、こういう指紋押捺制度は廃止すべきだと外務大臣はお考えになるかどうかを最後に一言おっしゃってください。それで私は終わります。
 唐突に聞いているんじゃありませんよ。政治宣言の一文の中に強力に主張されて入れたんでしょう。これは評価されているんですよ。総理大臣も昨日は、ここに力を込めて本会議ではおっしゃっているんですから。いかがですか。
#80
○安倍国務大臣 今おっしゃったようないろいろ声があることも、私も承知をしております。今はまさに法務省を中心にしまして、外務省も意見を述べながら検討しておるわけでございまして、近いうちにその結果が出されることを私も期待をしております。全体的には、まさに今宣言に盛られたような今の朝鮮半島の分割という状況は、やはり緊張緩和から統一へという方向へ向かっていくための日本のそれなりの努力というものは全体的に必要であろう、私はそういうふうに思いますし、そのための努力をいろいろな面で傾けていかなければならない。
 ただ、指紋の問題そのものについて、今具体的にどうだということを申し上げる段階ではありませんけれども、まさにこれは検討を重ねておるということであります。
#81
○土井委員 もう私はこれでやめますけれども、外務大臣、そんなくどくどと修飾語を積み重ねるような御答弁は要らないのですよ。指紋押捺制度に対して、私はこう思うということがはっきり言えませんか。いいことですか、悪いことですか、今日本がやっている指紋押捺に対しての義務化というのは。これを一言おっしゃってください、それで終わりますから。
#82
○安倍国務大臣 今、とにかく現行制度としてあるわけです。ただ日韓の会談においても、この問題については強く韓国側からも要請がありますし、また日本としても、この点については十分検討しなければならぬという立場で、今まさに検討していることは間違いありません。
#83
○土井委員 終わります。
#84
○愛野委員長 次に、玉城栄一君。
#85
○玉城委員 私の割り当て時間は四十二分間ですが、大変おそくなりまして、安倍外務大臣にはボン・サミット、それから北欧諸国、オーストリア御訪問、お帰りになって連日国会御出席、大変御苦労さまでございます。
 それで、ボン・サミットについてなんですが、先ほどから御質疑もありました。フランスのミッテラン大統領が大変失望した、来年の東京サミットには欠席することもあり得ると、公におっしゃっておるわけですね。そのことについて大臣は、いろいろ検討を加える必要があるということを先ほどおっしゃっておられたわけでありますが、大臣御自身も現在のサミットのあり方について問題意識を持っていらっしゃると思うのです。来年我が国が主催国でありますから、サミット主要国フランスの大統領がそこまで言っていることからしますと、これは我が国としては重大に受けとめなくてはならない、こう思うわけでありますが、どういうことをいろいろ検討を加える必要があるというふうにお考えになっていらっしゃるのか、お伺いいたします。
#86
○安倍国務大臣 ミッテラン大統領の意見を聞いてみますと、やはりサミットというのは世界の首脳が集まって、そして本当に腹を打ち割って話し合う、それを何といいますか、文書にして外に出すとかそういうことを余り大きく、これが煩雑になることは避ける方がいいんじゃないか、率直な意見の開陳ができないんじゃないかということもありますし、あるいはまた今のサミットが少し官僚化してきてしまっておるじゃないか、あるいはまた本来はもっとほかの場でやらなければならない決定をサミットでやろうとしておる、それは行き過ぎではないか、そういうふうな意見でございました。
 私もやはり、サミットも十一回になるわけでございますから、この次東京で開く場合においては、そうしたサミットがもっと生き生きとした形で今後行われるように、ミッテラン大統領の意見等もいろいろと参考にしながら、踏まえながら、改めるべきところは改めていくということが必要じゃないか、何か硬直しているというふうな印象をもし与えるとするならば、それはやはり直していかなければならない、こういうふうに思うわけであります。
 ミッテラン大統領も、次の東京サミットに出ないということを具体的に言っておられるわけじゃなくて、今後考えざるを得ないということを言っておられるわけでございます。私は、そうしたフランスの意見というものはそれなりに尊重して、そして次の主催国の日本としても、来年はみんなそろってサミットを有意義に盛り立てていくための努力をこれから傾けていかなければならぬ、そういうふうに思いますし、それは十分可能である、こういうふうにも考えます。
#87
○玉城委員 ですから、ミッテラン大統領は、このままの状態でサミットがいくならば、来年東京サミットは欠席もあり得るということ。私、一つ感じますことは、今回のボン・サミット、西側の結束ということを非常に強調する余り、各国のいろいろな利害を抑え込まれたりある意味では強引な点があったのではないか。そういう意味では、中曽根総理は大変自画自賛していらっしゃいますけれども、フランスの大統領がボン・サミットの批判をするということは、中曽根総理、大変御苦労したということではありますけれども、結果からしまして、やはり責任の一端はあるのではないか。
 ですから、来年やるわけですから、サミットの運営の仕方、外務省御当局もいろいろ検討していらっしゃると思うのですが、あるいはその議題の取り上げ方ですね。例えばミッテラン大統領は、今度のニューラウンドの問題についていろいろ御不満がある、SDIについても不参加だ、アメリカのに参加することは服従することになりかねないというようなことですね。ですから、そういう問題を強引に、例えば東京サミットに議題として取り上げる、それならおれは参加しないということも、あるいはこの延長線で考えられると思うのですね。どうなんでしょうか、出席させるためにはテーマをどうするかとか、その辺どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#88
○安倍国務大臣 まさにそういうことも含めて、これからこの十二月までは、今までの慣例で大体ドイツがいろいろの問題、フォローアップについては責任を持つことになりますから、それ以後については日本が持つことになるわけでありますし、いずれにしても来年は日本が行うわけですから、各国が喜んで出席できるように、今おっしゃるような議題の問題にしてもあるいは運営の問題にしても相談をしていかなければならぬ、こういうふうに思います。
#89
○玉城委員 サミットの提唱国であるフランスの大統領がこうした発言をしていること、しかも構成国からサミット自体に対する疑問が直接的に提起をされたことは、今後のサミットのあり方について重大な問題提起をしていると思います。したがいまして、次の主催国である日本政府としては重大な関心を持って検討を加えていただきたい、このように思います。
 そこで、サミットでいわゆる日本プロブレムとして、日本の貿易黒字などが集中砲火を浴びるのではないかという懸念が非常に強かったわけでありますが、これが名指しの批判などは行われずに一応今回は回避されたとはいえ、各国の厳しい目が我が国に注がれていることを認識する必要があると思うわけであります。既にイギリスのサッチャー首相は、日本が市場開放策を実行に移さなければ対抗措置に訴えることを明らかにしておりますが、この点についてどうお考えになっていらっしゃるのか、お伺いをいたします。
#90
○安倍国務大臣 今度のサミットの経済宣言におきましては、アメリカあるいはイギリス、フランス、日本、イタリー、ECと、それぞれが抱えておる問題を列記をして、この問題の解決にそれぞれが努力していこう、そしてお互いに相協力しながら持続的な、インフレのない安定成長を目指していこう、こういうことになったわけでありまして、日本だけが黒字問題を取り上げられて集中砲火を浴びるということはなかったわけでございますが、これは決して安心できることではないと思っております。
 各国としても、日本が四月九日に行った政策決定については、それなりの評価もしております。ただし、これが果たしてどのように具体化されるであろうかということを見守るという姿勢でございますから、評価はしておるが、最終的な評価はこれからの具体化にあるという点が各国の見方でございますから、日本がこれから何をするかということで決まっていくのではないか。何もしないでこのままいったら、再びアメリカにおいても保護主義が大きく出てきて、日本に対する攻撃が強まってくると私は思いますし、あるいは諸外国の日本批判も起こってくるのではないか。イギリスのサッチャー首相もサミット後、既に日本に対しての批判も述べておるわけでございますから、我々はこれからの日本の努力、これを具体的にどういうふうに行っていくかということが極めて大事な段階に来ておる、こういうふうに考えておるわけです。
#91
○玉城委員 最終的な評価は、これからの我が国の対応、日本がこれからどういうことをするのかということですが、これは特にアメリカ議会等におきましては、恐らく九月等からこの問題が再燃してきて、大変憂慮されるわけであります。そこで、ひとつこれはぜひ御検討いただきたいのですが、我が国の輸入促進策の一つとして、日米貿易摩擦解消の一つの問題として、我が国にいわゆるフリーゾーン、自由貿易地域を設定して、アメリカ中心の諸外国のそういう輸入促進をするという考え方が一つあるのですが、大臣、いかがでしょうか。
#92
○国広政府委員 今先生御指摘の保税加工地域は、貿易促進の見地から大変有益だと思います。しかしながら、結局、輸入したものが輸出して出ていくという場合が圧倒的に多いわけでございまして、その貿易摩擦といいますか、日本の経常収支ないし貿易収支の大幅黒字を減らすという観点だけからいいますと、余り大きな効果はないのであろうと思います。しかしながら、物の流れを多くする、なるべく貿易を活発にするという意味からは、先ほど申し上げましたように意味のあることでございまして、一部我々の間でも検討しておりますが、今直ちに結論がどうこうと申し上げ得る段階ではございません。
#93
○玉城委員 これは大臣にぜひお答えいただきたいのですけれども、沖縄振興開発特別措置法というのがございまして、その沖縄振興開発特別措置法の四章の中に六条ぐらい条を設けて、このフリーゾーン、自由貿易地域の問題について、制度としてはもう既に設定されておるわけです。といいますのは、沖縄の場合は復帰前、返還前はそういうのが一部ありました。したがって、それを継承しておる。ところが、第一次沖縄振興開発計画の中にもちゃんとその位置づけがされている。十年過ぎましたが、今第二次振興開発計画の中にも制度としてはちゃんとあるのですけれども、なかなか機能しないというようなことで、実は一つの例としまして、輸入牛肉は沖縄は特別措置で関税が下げられているわけですね。
 例えば百グラム当たり、東京では五百八十円、ところが沖縄では二百六十円ということで、したがって観光で沖縄にいらっしゃるたくさんの方々は、帰りのときはその安い牛肉をお土産として買っていらっしゃるということで、そういう意味ではこういう制度、自由貿易地域の設定をすることによって、大いに輸入促進と同時に、日米経済貿易摩擦解消の一つとして有効に機能するのではないか、私はこのように思うわけですね。この際、やはりこれを真剣にお考えになっていただいて、今、この深刻な日米間の経済問題について、解消策の一つとして検討してみる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#94
○安倍国務大臣 今おっしゃるように牛肉とか、あるいは我々も沖縄へ参りますと洋酒とか、沖縄へ行った人たちが非常に安く買って、内地とは違った価格で入手できるということなんかは、沖縄振興にとっては一つの大きな意味があると私も思います。
 ただ、フリーゾーンにつきまして、今局長も申し上げましたように、これが果たして貿易の黒字解消、あるいはまた今諸外国が言っているような市場のアクセスの改善、そういうものにどれだけ結びついていくのか。沖縄の振興という意味においては、それなりの一つの大きな役割があると私は思いますけれども、今貿易摩擦の解消についてどれだけの意味があるかということについては、それはそういう角度から検討していかなければならぬと思いますが、しかし、今お話しのように、これが沖縄の開発計画の中に載っておるということになれば、それはそれなりに国の一つの考え方として出ておるわけでしょうから、そうした計画も我々これから一つの自由貿易体制を推進するという立場から検討するにはもちろんやぶさかでございませんし、せっかくのお話でございますし、そういう点もこれから私も何か貿易問題あるいはもっと貿易政策を考える中で、一つの課題として取り上げるように努力をしてみたいと思います。
#95
○玉城委員 これは、外務大臣御自身当事者でいらっしゃいますから、我が国の経済問題に対する非難、批判、特にアメリカ側のこれは大変なものだと思いますし、サミットでも保護貿易主義の圧力に厳しく闘うとか、またアメリカにおいては反日感情が高まるとか、しかし日米関係は友好な関係を維持発展させなければならないということからしますと、そういう既設の制度を動員して、それを日米経済摩擦解消にどのように役立てるかということは、後はもうこちら側の問題だと思うのですね。ですから、ぜひひとつこの機会にこういう問題も御検討をいただきたいと思います。
 それから次に、SDIの問題について私も一言お伺いしておきたいわけでありますが、ワインバーガー国防長官のSDI参加要請、何かこの秋ごろまでに我が国としては回答するというように伺っているわけでありますが、SDIに対し慎重ということは当然といたしまして、現在どのようなスケジュールで政府はこの問題を検討していらっしゃるのか、明らかにしていただきたいわけであります。
#96
○栗山政府委員 結論から申し上げますと、特に今具体的なスケジュールを念頭に置いてはおりません。先般、御承知のように、サミット前でございましたが、アメリカのチームがやってまいりまして、いわば第一ラウンドともいうべき説明を受けました。まだその説明の内容につきまして、関係省庁との間で十分そしゃくするに至っておりませんので、検討しました上で、さらに必要があれば重ねてアメリカ側の必要な説明を聞いていく、その上で、先ほど大臣から御答弁ありましたように、我が国の立場も踏まえて結論を出す、こういうことになろうと思いますが、今現実にどういう具体的な段取りを考えているかという点につきましては、特に具体的なものを念頭に置いておりません。
#97
○玉城委員 きのうの本会議でも、総理も白紙である、きょうも大臣もおっしゃっていらっしゃるわけですが、一つ確認しておきたいことは、このSDI参加について、我が国として不参加という選択肢が残されているかどうか、確認しておきます。
#98
○栗山政府委員 政府の立場ということから申し上げれば、これは白紙ということでございますので、参加、不参加両様あり得るということだろうと思います。
#99
○玉城委員 そこで、この問題は今国内でも、SDIについてのアンケート等を見ますと、七六%はこういうものは反対であるというふうに出ておるわけですね。したがいまして、今一応具体的なものは検討していないということですが、アメリカ側へ参加するあるいは不参加という回答をする前に、やはり国会に正式に報告をして、ちゃんと議論をさせる必要があるのではないか、このように思いますが、いかがですか。
#100
○栗山政府委員 政府としましては、これも従来から申し上げておることでございますが、国会等で表明されました御意見を十分考慮しながら政府の態度を検討していく、こういうことであろうと思います。
#101
○玉城委員 大臣、大変お疲れで恐縮ですけれども、もうしばらくしますとお休みになって結構ですから。あと、この前の委員会の続きを外務省の方々とやりますので。
 私、お伺いしたいのは、SDIについては、国民のアンケートでは今七六%が反対であるというような意思表示がされているわけですね。これだけ非常に関心の深い問題ですから、参加とか不参加とか、いずれにしてもアメリカに回答する前には、ちゃんと正式に国会に報告をして、ちゃんと議論をさせるべきではないか、このように思うのですが、いかがでしょうか。
#102
○安倍国務大臣 これは、まだ第一回の専門家の話を聞いたばかりで、その評価もまだ煮詰まっていない段階でありますから、これからどうするかということは政府の部内でも検討してみなければならないと思います。いずれにしても、ワインバーガー長官の提案は六十日ということでございますが、私はそれにこだわっておりません。また、ワインバーガー長官も、六十日には必ずしもこだわっていないと私は判断をしております。ですから、少し時間をかけて、慎重にいろいろな角度から検討してみたい。もちろん、その中にあって、これまでの国会の議論等もいろいろな意味でやはり参考にさせていただきたい、こういうふうに思います。
#103
○玉城委員 ですから、この問題についてアメリカにコメントする前には、ちゃんと国会に政府としてのいろいろなこういう問題を報告して議論をさせる、こういうふうに理解しておいてよろしいわけですね。
#104
○安倍国務大臣 どういう形で日本の態度を決めるか、この点についてまだ何も政府の中で検討していないわけでございますから、ここで今どういう方向でやります、あるいは国会に対してどういうふうにやりますということを明らかにする立場にはございません。
#105
○玉城委員 私が伺っているのは、今白紙でいろいろ検討中である、どうするかこうするかまだわからない、いずれにしても何らかのコメント、結論をアメリカに出す前に、国会にはちゃんとそういうふうなことを政府として報告されて、議論をさせるのですかということをお伺いしているわけです。そういうことをしないで、そのまま政府御自身の判断でやっていく、こういうことになるわけですか。
#106
○安倍国務大臣 もちろん、これは政府の責任において決めなければならぬことですから、政府の責任で対応したいと思いますが、そういう中で国会の御意見等も参考にさせていただくことは当然のことであろうと思います。どういう形で、例えば法律とか条約とか協定とか、そういうことになればもちろん国会にかけなければならぬわけでございますが、どういう形で国会との関係に対応していくかということについてはまだ決めておりませんけれども、しかし、少なくとも何らかの方針を決めたという段階においては国会に御報告をしなければならぬことは、私は当然のことであろうと思います。
#107
○玉城委員 今この問題で最後に、時間を十分かけて、政府としてはイエスもノーも、いろんなものを含めて検討する。ということは、秋にはこだわらない、来年とか、そういうことになっていくわけですね。
#108
○安倍国務大臣 これはやはりいつごろになるか、各国のそれぞれの対応もあるでしょうし、また日本とアメリカとの関係で専門家がこれからやってまいるでしょうから、そうした専門家の意見を聞いての日本側としての評価もあるわけですから、今ここでいつまでということを申し上げる段階にはないわけでございまして、いずれにしても慎重に、そして自主的に判断をすべき問題である、こういうふうに考えます。
#109
○玉城委員 大臣、どうぞしばらくお休みになって結構です。
 先回のこの委員会で私は、例の第一豊漁丸事件に関連しまして、たとえ船舶の衝突事件の場所が公海上であったにしても、不作為による殺人の場合は当然我が国にその裁判権はあるのではないかという趣旨の質問をいたしました。そのときに外務省は、検討して後で答えたいということでありましたので、その検討協議の結果を御報告いただきたいと思います。
#110
○斉藤(邦)政府委員 先回の委員会で私から御答弁いたしましたので、引き続き私からお答えさせていただきます。
 先回の委員会におきましても私、玉城委員の御質問に対しまして、公海における衝突事件に伴いまして死亡事故が発生した場合、不作為の殺人という形で我が国が管轄権を行使するのは難しいのではないかということを申し上げました。その後、玉城委員の御要求がございましたので、慎重に検討いたしました結果、先回申し上げました結論に変わりはなく、公海条約第十一条の規定に従いまして、我が国が管轄権を行使するのは難しいという結論に達しております。
 すなわち、この公海条約第十一条におきまして「衝突その他の航行上の事故」、この範囲が衝突そのものに限られるのか、あるいは衝突に関連して発生する一連の事態までこれでカバーされるのかというのが論点でございますけれども、公海条約第十一条の規定のカバーする範囲は衝突事故そのものに限られず、これに関連して発生いたします一連の刑事上の判断の対象となる事態も当然含まれると解さざるを得ないわけでございます。したがいまして、今度の衝突事故に関しましては、加害船はリベリア籍であり、乗組員は韓国でございますので、我が国が管轄権を行使することはできない、不作為の殺人という考え方をとることもできないという結論に達した次第でございます。
 なお、以上の点は法務省とも協議済みでございます。
#111
○玉城委員 確認しておきたいのですけれども、この前の委員会の法務省のお答えを踏まえまして、あのとき法務省のお答えは、いわゆる状況によっては不作為による殺人ということもあり得る、したがって我が国は刑法一条二項の適用もまた考えられるというようなこともあり、さらにまた五十一年の大阪高裁の判例も申し上げて、したがってたとえ公海上であったにしても、そういう事件の場合は我が国に裁判管轄権があるのではないか、こういうふうなことを御質問申し上げたわけであります。
 今のお話を伺いますと、公海上のそういう事故によって不作為による殺人というものがあって、それは我が国の刑法一条二項の適用はあるけれども、しかし公海条約十一条によってそれは排除といいますか、消されると理解すべきということなのでしょうか。
#112
○斉藤(邦)政府委員 御指摘のとおりでございまして、公海における衝突事故に関します管轄権は公海条約第十一条で規定されていて、ここで規定されております管轄権の仕分けは、衝突事故そのものにとどまらず、衝突事件に伴って発生する一連の刑事上の刑事事件に関連する事態も含まれる、したがって、今回の事件について我が国が管轄権を行使することはできないということでございます。
#113
○玉城委員 今回の事件につきましては、またちょっと離れる問題でありますから、一般論として、それで第一豊漁丸に当て逃げしたコンコルド号について、外務省はどういう外交的措置を相手側の国にとられたのか、御報告いただきたいと思います。
#114
○久米説明員 五月二日に、公海条約十一条に基づきまして、本件について管轄権を有しておりますリベリアと韓国の双方に対しまして、外交チャネルを通じまして事実の通報を行いますとともに、先方に本件についての調査を依頼いたしまして、さらにその調査についての結果を我が方に通報するようにという依頼をいたしてございます。
#115
○玉城委員 その結果については通報を依頼したということで、その結果について我が国に知らせるということについてはまだ来てないということですね。
#116
○久米説明員 結果はまだ返ってきておりません。
#117
○玉城委員 そこで、補償の問題をお伺いします。
 期間が過ぎていますから、乗組員の五名の方々がもし仮に不幸にして死亡ということになっていた場合、人命の補償あるいは船の損害賠償とか、この補償問題は公海上の場合どこの国の法律によってされるのか、その辺いかがでしょうか。
#118
○久米説明員 本件につきましては、既に加害者側から補償の意図表明がございまして、現在双方の指定しました弁護士の間で補償の問題が話し合われているというふうに我々聞いております。これは、政府の直接介入する問題ではございませんけれども、我々が聞いておりますところでは、既に当事者間で話し合いが進んでいるということであります。
#119
○玉城委員 当事者間というのは、被害者の方はよくわかりますが、加害者の方というのはコンコルド号の代理店ですか、それともリースした別の会社なんですか。そして、その相手側のいわゆる加害者側の当事者は、そういう損害賠償をする能力があるのかどうか。いかがですか。
#120
○久米説明員 直接話し合いに当たっておりますのは、用船社の代理店だと承知しておりますけれども、補償能力につきましては、船主それから用船社とも、非常に十分な保険を掛けていると我々聞いております。
#121
○玉城委員 最後に一つ確認しておきますが、そうしますと、この補償問題で双方折り合いがつかないという場合は、当然我が国の裁判所でこの問題が争われるということになるわけですね。
#122
○久米説明員 現在、当事者間で行われております話し合いは示談の交渉でございますけれども、万一示談の形で話し合いがつかない場合には、両者間で、本件を日本の裁判所に提起するというところまで合意が成立しているというふうに承知しております。
#123
○玉城委員 もう一つ、去る五月六日に、これは栗山さんの方かと思いますが、岩国から普天間基地に行く途中にアメリカの大型ヘリが鹿児島の屋久島沖に墜落して、乗り組んでいた海兵隊員十七名が全員死亡という事故があったわけであります。この件は、当然外務省は御存じだと思うのですが、いかがでしょうか。
#124
○栗山政府委員 御指摘のような事故があったことについては、私どもも承知しております。
#125
○玉城委員 時間がございませんので、一つ一つ申し上げたいのですけれども、このヘリの事故というのは非常にあちこちで起きているんです。普天間基地というのは、栗山さんもよく御存じかとも思うのですが、市街地のど真ん中に位置しているんですよ。五十六年ですか、前の淺尾北米局長さんの御答弁の会議録もあります。読んでもいいのですが、非常に環境の変化があり、都市化しているというようなことをおっしゃっていらっしゃるわけです。その基地の周辺に、もちろん学校もあれば保育所もある、いろいろな公共施設もあるわけです。たびたび不時着とか今回のような墜落事故とか、地域住民は大変大きなショックを受けておるわけですね。
 これは四十九年でしょうか、ずっと前なんですけれども、たしか第十五回日米安保協議において、普天間基地の周辺について一部返還合意ということがあったようでありますけれども、やはり非常に不適当ですね。これは市街地のど真ん中ですからね。そこに毎日のごとく、今墜落した大型ヘリが離着陸訓練をやり、市街地の上空の旋回訓練をやり、地域住民は大変恐怖にさらされているわけです。しかも今回のような事故。これは洋上であったから、亡くなられた海兵隊員の皆さんには大変気の毒ですが、もし市街地にこういうのが墜落でもしたら、大惨事になりかねないですね。どのように御認識していらっしゃいますか。
#126
○栗山政府委員 普天間飛行場の周辺がおっしゃられるような環境になっているということは、私どもも承知しております。他方におきまして、現地においてかねてから非公式な形で飛行場の移設の検討のお話があるということも、私ども承知しております。
 ただ、ただいまの状況におきましては、普天間飛行場の移設というものが、早急に具体的な形として実現するという状況にはないというのが私どもの現状認識でございまして、おっしゃられるような事故が発生するということは万々避けなければなりませんので、やはりこの種の事故が発生しないように、米軍の方においてヘリ等の整備には十分心がけてもらうということを、今後ともアメリカ側に要請をしていくということであろうかと存じます。
#127
○玉城委員 ですから、今回の去る六日の大型ヘリ墜落、十七名の海兵隊の方が亡くなられたということについて、外務省はどういう対応をされたのですか。有事ならいざ知らず、こういう平時において、安保条約に基づいて我が国に駐留しているそういう飛行機が墜落しているのを外務省はただ眺めている、こんなのんきなことで、これがもし市街地だったら重大問題ですから、どういう対応をされたのですか。
#128
○栗山政府委員 目下アメリカ側において、事故の原因については調査をしておるというふうに承知しております。現段階におきまして、私どもの方で具体的にどうこうということをアメリカ側に申し出る状況ではございません。したがいまして、アメリカ側の調査の結果を待った上で、今後の事故の再発防止につき何らか具体的な方策をアメリカ側でとり得るということであれば、一般的な整備上の細心の注意ということは当然のことながらやってもらわなければいけないわけでありますが、さらに何か具体的な措置が可能であるということであれば、そういうことについて話し合うということであろうと思いますが、現段階におきましては、まだ、先ほど申し上げましたような状況でございますので、外務省として特段の話し合いなり申し入れをやる段階にはないと考えております。
#129
○玉城委員 この墜落したヘリのホームベースというのは普天間基地ですよね。そこでは四六時中、さっき申し上げたような訓練をしている。たびたびこのヘリは墜落している、あるいは不時着している。そういうことを考えたら、去る六日の事故などを見ましたら、早急に米側に何らかの注意を厳重に喚起するのが当然だと思うのです。ですから、さっき申し上げましたような普天間基地については、移設を早急に検討していただきたいと思います。
 時間がありませんので、大臣、この間、沖縄県知事の西銘知事もお会いになったと思うのですが、知事も、今度沖縄の基地問題をアメリカのペンタゴンに直訴するんだ。そのときに大臣は、安保条約どころではないというふうに知事にもおっしゃった。これは現地の新聞記事にも載っていますよ。いやそれは、それほどやはり事故とかそういうものがひどいんだという意味でおっしゃったと思います。これは、実際の今回の普天間のヘリの墜落事故によっても、宜野湾市といいますか、その市長はもちろん保守系の市長さんで、先頭になってそれを撤去してくれ、安保条約もわかるけれども、こんなことじゃそれ以前の重大問題であるというようなことですね。ですから、知事も御相談に上がったようでありますけれども、大臣はどのように知事には激励されたんでしょうか。
#130
○安倍国務大臣 知事さんがアメリカへ行かれるということで、私も知事さんに、やはりこれは安保条約の信頼性を確保するためにも、ああしたように沖縄で事故が頻発したんじゃこれは大変だ、だからあなたもアメリカへ行って、しっかりひとつ、事故を起こさないように士気、規律をきちっとやるように厳しく言っておいてください、私も私なりに、日米の協議会とかその他でアメリカ側に対しても反省を求めているし、また改善も求めてまいりますということで激励をいたしたわけです。
#131
○玉城委員 以上です。
#132
○愛野委員長 次に、木下敬之助君。
#133
○木下委員 大臣、サミットヘ、いろいろな外交に行って御苦労さまでございました。早速質問いたします。
 去る五月三日に採択されました「第二次大戦四十周年に際しての政治宣言」、これに対してシュルツ国務長官は、我々は極めてよい政治宣言を得た、このように満足の意を表明しているようでございますが、この政治宣言にはSDI支持が盛り込まれなかったことに対してアメリカは不満ではなかったのか、このように思うのでございますが、大臣、どうお考えでしょうか。
#134
○安倍国務大臣 このサミットの政治宣言については、これは日本もSDIについては、いわゆる米ソ交渉に関してのくだりですが、これは含まれていないということを総理も言っております。またアメリカのシュルツさんも、これは盛り込まれていない、その他の関係国も大体そういうことを言っておるわけでございまして、アメリカとしては、SDIに関して盛り込みたいという気持ちは十分あったと思います。しかし、状況からそれは無理であるというふうに判断したものと思われます。
#135
○木下委員 SDIという言葉はありませんけれども、この宣言の中で「我々は、ジュネーブにおける交渉の開始を歓迎する。我々は、アメリカ合衆国の積極的な提案を評価する。」こういう部分がございますが、この中の「アメリカ合衆国の積極的な提案」、これは具体的には何を指しているのでしょうか。SDIのことを指しているのかなとも思うのですが、どうでございましょうか。
#136
○栗山政府委員 そこで言う「積極的な提案を評価する。」というくだりは、御承知のように、アメリカがジュネーブ交渉におきまして核兵器の大幅な削減、それから中距離核については、これをやはりグローバルベースでできるだけ削減していく、こういう一般的な態度で提案を行っているということを承知しております。今般サミット諸国としては、アメリカのジュネーブ交渉に臨んでおります。そういう姿勢を、一般的な形でこれを歓迎する、積極的に評価する、こういう趣旨で入れられたものでございます。したがいましてSDIは、先ほど大臣から申し上げましたように、ここでは触れられていない、含まれていない、アメリカ側もそういうふうに認識をしておる、こういうことでございます。
#137
○木下委員 この政治宣言にSDI支持が盛り込まれなかったのはなぜか、各国の反応をそれぞれ教えていただきたいと思います。簡潔にお願いします。
#138
○栗山政府委員 SDIにつきましては、先ほど大臣から御答弁ありましたような各国の状況でありますので、アメリカとして、特にジュネーブ交渉の文脈において、各国の支持を求めたいというような意思がなかったということであろうと思います。
 サミットにおきます各国のSDIに対する態度についての御質問かと思いますが、これにつきましては、アメリカの説明を主として聴取したということにとどまりまして、若干の意見交換はあったというふうに承知しておりますが、具体的に個々の国々がこういう態度をとったというような意味での、非常に突っ込んだ首脳レベルでの意見交換があったというふうには伺っておりません。
#139
○木下委員 それでは、二日からのボン・サミットに先立って開かれた日独首脳会談で、SDI研究計画は正当との意見で一致した、こういったことを日独共同声明発表後の記者会見でコール西独首相が明らかにしている、このように思いますが、SDI研究計画について中曽根総理は、これまでの理解するという認識から正当なものと、このように一歩踏み込んだ評価をしていると思います。先ほどからいろいろな答弁でも、理解の範囲を超えてないとおっしゃっていますが、どうですか、やはり一歩、理解というより正当なものとして評価したということは、進んでいるとは思いませんですか、大臣。
#140
○安倍国務大臣 私は、これは決して理解の範囲を超えたものじゃない、こういうふうに思っております。
 このレーガン大統領の言っております非核兵器である、防御兵器である、あるいは核の廃絶につながる防御構想である、こうした言明の限りにおいては、これが道義的に正当である、こういうことで理解を示したわけで、その範囲は超えてない、こういうふうに思います。
#141
○木下委員 少し確認してお聞きいたしたいと思いますが、この支持するというのはやはり理解の範囲を超えたことなわけですか、お伺いいたします。
#142
○安倍国務大臣 研究について理解をするということで、支持するということになりますと、これはむしろいわば構想そのものに対して最終的な判断といいますか、そういうものを加えた形になるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけで、そこで支持と理解という点について日本が理解を選んだということは、支持と理解ということについての一つの日本なりの立場を明らかにしたということです。
#143
○木下委員 もう一歩突っ込んでお伺いしますが、この支持するということは研究に参加するということを意味するのでございますか、それとも、支持するという表明はしたけれども、研究に参加しないことがあり得るということでございますか。
#144
○安倍国務大臣 まあ、これはいろいろなとり方があると思います。支持しても、研究に参加しないということもあり得ると思います。例えば、ドイツにしてもあるいはイギリスにしても、まだ研究に参加するかどうかは決めておりません。イギリスなんかは支持しているわけですが、研究に参加するということも決めておりませんし、それは支持したから研究に参加する、そういうことではない、私は、それぞれやはり別の問題ではないか、こういうふうに思います。
#145
○木下委員 当たり前のことにも見えますが、参加を決定するということは、これは支持は当然のことでございますか、確認いたします。
#146
○安倍国務大臣 その支持ということがどこまで――研究から開発、配備といろいろな段階があると思いますけれども、どの段階においてかということで、今研究という段階でしょうが、そうした中にあって研究に参加するということは、それは支持というものにつながっていく、これは常識的に見なければならぬ、こういうふうに思います。
#147
○木下委員 その研究に参加するというのが支持につながっていく。支持を決めたけれども、まだ研究は決めてないという国もあるわけです。じゃ、研究には参加した、それが支持につながっていく、こう前後してきますと、先ほどの、正当と認めた、それから理解した、これは範囲を超えてない、どちらがより積極的に支持に向かっていくのか、研究参加に向かっていくのか。ちょっと言葉の序列をもう少し、両方の逆もあり得るふうに言わずに、おっしゃっていただけませんか。
#148
○安倍国務大臣 今日本は、研究参加とか支持とか、そういうところまで至ってないわけですから、その辺のところの対応を具体的に何も考えてないわけです。日本は、今のところは研究を理解するというところにとどめておりまして、そして研究に参加するかどうかということについては決めてない、いわば白紙であるということですから、今の日本の立場からいえばその段階でありますから、それ以上のことについては何も考えてないということですね。
#149
○木下委員 それほどわかっていないのが正当なものと評価したのと、理解というのはどこまでも理解の範囲を超えてない、こうはっきり言えるというのもおかしなものだと私は思います。言葉としては、そんなふうにやってみますと、支持をした、しかし、支持も理解の範囲を超えていないという表現も出てこないとは限らないようなあいまいさも感じておりますので、やはり素直に正当なものと言われたということは、今までのただ研究することを理解したということよりは、一歩前に進んだものと思っていかれる方がいいのじゃないかなというふうに思います。いずれだんだんはっきりしてきたら、ちゃんと教えていただきたいと思います。
 このSDI研究計画の正当性を確保する条件として、四条件を西独首相に中曽根総理が提案した、こういうことでございますが、この提案した理由は何か、その項目の一つ一つの具体的な意味、これも不明な部分もあれば後ほどまた追求しなければならぬこともあると思いますが、総理の方からこういった四条件を出したということは相当積極的な意図があった、このように思われます。どういう意図から積極的に条件を提案したのか、これをお伺いいたしたいと思います。
#150
○栗山政府委員 総理がコール首相との会談で言及されました、今四条件とおっしゃいましたが、これは具体的には、ソ連に対する一方的な優位をSDIが追求するものではないということ、それから二番目は、西側全体の抑止力の一部としてその維持強化に資するものであるということ、それから第三番目は、ABM条約に違反しないということ、それから四番目は、配備については同盟国と協議を先行すべきであるということ、こういう点をおっしゃられたというふうに承知しております。
 念のため申し上げますと、レーガン大統領との会談におきましては、以上の四点のほかに、攻撃核兵器の大幅削減を目指すものであるということ、これをつけ加えて五つの点をおっしゃられたということでございます。
 先ほど大臣から、他の委員の御質問に対して御答弁がありましたように、これらの点は、従来からアメリカがいわばSDI構想の戦略的、政治的な側面についての基本的考え方として累次言ってきておる点でありまして、サッチャー首相が訪米しましたときにサッチャー首相が出しました声明の中にも、米英間で合意された点として出ておるわけでございますが、そういう点をSDIの戦略的、政治的側面についての非常に重要な要素であるというふうに総理が考えられて、これをコールさんにお話しになられ、コールさんもそのとおりであるということを言われた、レーガン大統領に対してもそういうお話をされて、レーガン大統領もアメリカが従来から言ってきておることでありますからそれを確認された、こういうことが経緯でございます。
#151
○木下委員 レーガン大統領との話は置いておいて、そこでコール西独首相と自分の方から積極的に四条件の確認をとろうとした、これはやはり相当な意図があったというふうに思われるのですが、この四条件をお聞きになって合意された形のコール首相は、SDIの問題についてサミット参加国の足並みをそろえるために、この四条件を下敷きにして、議長総括の中に何らかの合意みたいなものが入れられるように取りまとめに当たったのではないか、このように思われるのですが、こういった動きはございませんでしたか。
#152
○安倍国務大臣 それは私の知る限りにおいてはなかった、こういうふうに思います。
#153
○木下委員 その辺は、知る限りではなかったで、実際のことはちょっとわからないし、またお答えにならないかもしれませんけれども、中曽根首相がこの問題でコール首相に四条件を提示したその時点では、中曽根総理の方はこの問題でサミット参加国の足並みをそろえて合意することができる、このように判断していたのではないかと思いますが、どうでしょうか。
#154
○安倍国務大臣 その辺のところまでは、中曽根総理とも話し合っておりませんからわかりませんが、少なくとも首脳会談ではSDIについて突っ込んだ話はなかった、むしろあったのは外相会談であるということであります。
#155
○木下委員 結論として、フランスがああいう形でサミットにSDIのことはのらなかった、しかし、それまでの過程のあの中では合意の可能性があって、その合意ができた場合には支持の表明をするという決意があったのではないか、このように思われますが、どうでしょうか。
#156
○安倍国務大臣 支持の表明があったかというのは、中曽根総理ですか。
#157
○木下委員 支持の表明をする決意があった、合意ができれば。
#158
○安倍国務大臣 それは、そう簡単にいかないと思います。そう簡単にはいかないと思います。どういうことになったか仮定の問題ですけれども、首脳間でも突っ込んだ話をするに至らなかったわけですし、外相会談でもそういうふうな情勢に至らなかったわけですから、そういうふうなことになる、また日本の立場は、あくまでも理解を超えないということが日本の立場でありますし、それは私もしばしば国会で申し上げたわけでありますから、この日本の立場を越えるというわけには、私は外務大臣として国会でもしばしば約束しておりますから、それはできないわけです。
#159
○木下委員 そういう表現でお聞きしたのですけれども、みずから自分が出された条件、自分の方が言われた四条件、それを下敷きにみんなで合意をしようと言った、その合意に対しては反対する理由がない、このように思いますし、その後のレーガン大統領のフランス、ストラスブールですか欧州議会における演説等によっても、その演説の中にそういった四条件みたいなものがそのままみんな入っておる。こういう状態で進んでいくと、日本としては参加を断る理由がなくなっていく、こういう状態ではなかろうかと思うのですが、どうですか。
#160
○安倍国務大臣 いずれにしても、これはこれから時間をかけて、慎重に自主的に日本の立場も踏まえて、さらにまたアメリカから第一回の専門家の意見を聞いたのですけれども、まだその評価も出てないわけですから、まだそれで十分だとは言いませんし、また、さらに聞かなければならぬと思いますし、まだまだ時間をかけなければならぬ、こういうふうに思います。
#161
○木下委員 このSDIの問題でまだ実態のわからないことがたくさんございますし、四月二十三、二十四日ですか、アメリカからSDIの専門家の説明を受けておられる、こういうことでございますが、この中身について国会にはどういう形で報告していただけるのか、お伺いいたしたいと思います。
#162
○栗山政府委員 まだ第一ラウンドということでございますし、いわば話し合いが続いておるという段階でございますので、非常にまとまった形で国会に御報告できるというような状況にはないと思います。しかしながら、内容につきましては、御質問に応じできる限り御説明をさせていただきたいというふうに考えております。
#163
○木下委員 これから時間をかけてじっくりといろいろなことを研究する、我々も同じようなペースで教えていただける情報は知らせていただく中で、ともに研究する中でこの国会で論議させていただきたい、このように思うのですが、どうでしょうか。どういう説明があったということを、少しでもまとめて教えていただける方法はないのですか。
#164
○栗山政府委員 できるだけ御説明したいと思います。
#165
○木下委員 それは聞けば説明するということですか。この間どういう説明があったのかとお伺いずれは、こうこうこういう説明があったというふうに言われる、そういうことでございますか。
#166
○栗山政府委員 そのとおりでございます。
#167
○木下委員 まことに残念ながら時間がありませんで、申しわけありません。ありがとうございました。
#168
○愛野委員長 次に、岡崎万寿秀君。
#169
○岡崎委員 私は、ボン・サミットに関連して、SDIの問題を中心に質問したいと思います。
 ただいまも質問がありましたが、中曽根総理はボン・サミットで、レーガン大統領にSDIの五条件を述べられたわけです。これは新聞によりますと、外務省や自民党とも相談済みの中身であったということなんです。今、その意図について質問があったのですが、その位置づけや意味するものがよくわからぬ。中曽根総理は、レーガン大統領からSDIが防御兵器である、非核兵器である、そして核兵器の廃絶を目指す、したがってその道義的正当性を理解するというふうに言っているわけですけれども、ただいま栗山さんの御答弁の中では、SDIの重要な要素として五つの条件があったとおっしゃいましたけれども、なぜこの五つの要素の中に、核兵器の削減ということはあるけれども核兵器廃絶ということはないのか。この辺の関連はどうなっているのでしょう。
#170
○栗山政府委員 非核兵器、防御兵器、究極的な目標としての核兵器の廃絶ということの側面と、それから先ほど私、SDI構想の戦略的、政治的な側面という言葉を使って申し上げましたが、いわゆる五つの要素というものと、必ずしも非常に截然と区別されるというものではないと思います。核兵器の大幅削減というのはアメリカも言っておりますが、当面この過程において攻撃核兵器の大幅削減を目指していく、そしてすべての核兵器の廃絶を究極の目標としては考えている、こういうふうに言っておりますので、核兵器の大幅削減と核兵器の廃絶というものは、途中のプロセスのどこをとらえて見るかということで、目標としてはつながっておるものであるというふうに理解しております。
#171
○岡崎委員 どうもよくわからぬですね。核兵器の廃絶を目指す、そう理解しておきながら、日本が重要な要素として五つの条件を持ち出して、そこには核兵器の廃絶は一言も言わない。ただ大幅削減があればいい。安倍外相、この五つの条件というものは、どういう位置づけをもってなぜお出しになったのですか。これは安倍さん、お願いします。
#172
○安倍国務大臣 これは先ほどから局長も答弁をしましたが、アメリカ自身が従来から種々の機会に、SDI構想の政治的あるいは戦略的側面についての原則的考え方として明らかにしてきておるものでありまして、例えば昨年十二月のサッチャー英国首相訪米時の同首相声明あるいはニッツェ大使の講演などで明らかになっておるところでございます。それをいわば総理が集約した形で五条件ということで述べておる、こういうことです。
#173
○岡崎委員 どうもはっきりしませんけれども、先に進みましょう。
 核兵器という問題ですが、政府は昭和三十三年の四月十五日、政府見解として、「核兵器とは、原子核の分裂又は核融合反応より生ずる放射エネルギーを破壊力又は殺傷力として使用する兵器をいう。」こういうふうに言っていますけれども、これはそのとおりですね。一言でいいですよ。
#174
○栗山政府委員 そのとおりでございます。
#175
○岡崎委員 ところが、中曽根総理は二月十九日の衆議院の予算委員会で、「私が一応常識的に解釈したのは、核兵器という場合には、それが直接殺傷や破壊力に使われる、そういうような意味で一般的に考えておりました。」このように言っているわけですが、この総理答弁というのは、核爆発のエネルギーが直接殺傷力や破壊力に使われる、そういうふうに「直接」ということをこれにつけ加えているわけです。政府の統一見解ではこの「直接」がないわけですけれども、中曽根総理の言うように「直接」をつけるならば、核兵器の対象が狭められることにならないのかどうか、この点についていかがですか。
#176
○栗山政府委員 総理の御答弁については私、必ずしも記憶しておりませんが、私自身予算委員会の答弁において、たしか「直接」という言葉を使って御答弁申し上げましたが、後ほどその「直接」という言葉があるとないとで意味の違いがあるかという御質問をいただきまして、私は、率直に申し上げて意味の違いはないであろうということを申し上げました。政府の解釈としまして、別に「直接」という言葉に非常に意味があるというふうには考えておりません。
#177
○岡崎委員 「直接」に意味がないとするならば、それでは直接であれ間接であれ、核爆発エネルギーが殺傷力や破壊力に使われるような兵器、これは核兵器だ、こういうような政府の統一見解であるというように理解してよろしいですね。
#178
○栗山政府委員 私は、「直接」という言葉に意味がないということを申し上げたのですが、それは逆に申し上げて、エネルギーを間接的に使うものが核兵器だということにはならないと思うのです。ここで申し上げている政府の統一見解はあくまでも字句どおりでございまして、核分裂または核融合反応によって生じた放射性エネルギーというもの、それ自体を殺傷力、破壊力に用いる、それが核兵器である、こういう定義でございますので、間接に用いた場合であっても核兵器である、技術的にどういう場合が考えられるか私わかりませんが、やはりあくまでもそのエネルギー自体を殺傷力、破壊力として用いる兵器を核兵器と言う、こういう考え方であろうと思います。
#179
○岡崎委員 それはかなり重大な内容だと思いますね。直接であれ間接であれ、核爆発のエネルギーを殺傷力、破壊力に使う場合は、これはやはり核兵器じゃないかと思うのですよ。今の栗山さんの答弁というのは、総理答弁を事実上、直接以外にないというふうに限定した形になっちゃった。それはよくないと思うのです。技術的に間接的なものがどういうものであるかについてはおわかりになっていないと思うので、そういうわからない内容について直接だけに限定するようなことは避けた方がいいと思うのです。これは、あらゆる場合を含むということに理解したらどうですか。
#180
○栗山政府委員 委員御指摘のような、間接的にそのエネルギーを使ってどういうような兵器ができるかというのは、ちょっと私念頭に浮かびませんが、ここで政府が申し上げようとしておることは、やはりあくまでも常識的に言って核兵器というものでありまして、これはまさに核爆発によって生ずるエネルギーで人間を殺傷し物を破壊する、そういう兵器であるという定義を申し上げておるということであろうと思います。
#181
○岡崎委員 それじゃ具体的に聞きましょう。
 核爆発によってエックス線が出ますね。このエックス線レーザーというのは、直接、間接かどうかはともかく、これは核兵器ですか。
#182
○栗山政府委員 これは、従来から御質問が何度かありまして私から御答弁申し上げておりますが、これが政府の統一見解で申し上げております核兵器に該当するかどうかということは断定的に申し上げられないということを御答弁申し上げておりますが、今の御質問に対してもそのようにお答えするよりないと思います。
#183
○岡崎委員 その理由は何ですか。エックス線エネルギーであろうと、核爆発によって生ずるエネルギーですよ。これが殺傷力、破壊力に使われて、何で核兵器じゃないのですか。理由を挙げてほしいのです。
#184
○栗山政府委員 一般的な理論としまして、今まさに岡崎委員のおっしゃられるようなものがいわゆるエックス線レーザー兵器と呼ばれているものであるということは、私どもも理解しております。しかしながら、これは現実に存在しない兵器でございまして、まだ研究所の中でいわば技術者、研究者がいろいろ研究している段階のものでございますので、これが実際に技術的にどういうものになるのかということは、私どもまだわかりません。したがいまして、断定的にこれが核兵器であるとかないとかということを申し上げられる状況にないということを御答弁申し上げている次第でございます。
#185
○岡崎委員 これが研究途上であるから、核兵器であるとかないとか断定できないという御答弁のようですが、これはいずれはっきりすると思うのです。少なくとも、核爆発によって生ずる放射能エネルギーが指向性エネルギーに変えられて、それが殺傷、破壊に使われるわけですから、それはこれまでの政府の統一見解の中に入るはずなんです。あなたは逃げていると思うのです。しかし時間の関係もありますので……。
 この間、四月末でしたか研究代表団、チームが参りましたが、撃墜に用いるエックス線レーザーに触れて、核爆発エネルギーをその源として使用するということを公式に表明しているわけですが、そのとおりですね。
#186
○栗山政府委員 エックス線レーザー兵器については、国会でも非常に御関心を呼んだものでありますので、それから、実際問題としてレーガン大統領その他アメリカ政府が種々の機会に、SDIというものは非核のシステムである、そういうものの研究であるということを申しておりますので、専門家が参りましたときにこの点については私どもも質問をいたしました。それに対してアメリカ側の専門家は、確かにそういうエックス線レーザー兵器というものの研究を行っておるけれども、これはソ連が現にいろいろ研究を行っていることであるので、アメリカも一応知っておかなければならないということから研究を行っているが、SDI構想そのものは従来から米国政府が言っているように、あくまでも核を使わない非核のシステムというものの研究を考えておるのであって、全体の研究計画の中でもこのエックス線レーザー兵器の研究というのは極めて小さい一部を構成しているにすぎない、こういう説明がございました。
#187
○岡崎委員 小さいと言いますけれども、撃墜に使うのはエックス線レーザー兵器を使うわけです。したがって、これは非常に重要だと思うのです。政府の場合、今はっきりと断定できないとおっしゃるが、エックス線レーザー兵器を核兵器だと認定できるようになった場合には、協力参加は決してしませんね。明言願いたいと思うのです。
#188
○栗山政府委員 いずれにしましても、エックス線レーザー兵器というものが研究の対象になっておるということはアメリカ側も認めておるわけでございますが、全体の計画の中ではあくまでも小さな部分にすぎない、全体のシステムとしてはいずれにしても非核のものを考えておるということでございますので、アメリカ側がそういう非核のシステムを追求するということである限り、特に問題はないのではないかと考えております。もちろん、エックス線レーザー兵器そのものの研究に我が国が参加するかどうかということは、別個の問題だろうと思います。
#189
○岡崎委員 エックス線レーザー兵器そのものが撃墜に使われるということは、この間の研究チームの報告によってもはっきりしているわけです。こういうものについては絶対参加すべきでないと思いますし、先ほどの政府の統一見解を直接に限るような、そういう矮小化したようなゆがめた解釈は絶対許すべきではないと思うわけです。
 それでレーガン大統領は、SDIが究極的には核兵器の廃絶を目指すものというふうに言っているわけですが、きのうの衆議院本会議の質問にもありましたが、イギリスの国際戦略研究所の文書によりますと、SDIが仮に実現可能になっても、対抗手段が開発されれば数分のうちに報復措置がとられることになる、それは人類の判断時間を短くするだけで、安定を強めるより損なうことにしかならないというふうに書いてあります。首相も、これは一つの見識であるというふうに答弁されたわけですが、外相、このイギリスの戦略研究所の指摘、懸念は、単なる荒唐無稽なものだとお考えでしょうか。
#190
○安倍国務大臣 イギリスの戦略研究所の指摘とか分析、その他いろいろな研究所のSDIについての分析、評価は出ておるわけでありまして、今それに対して我々がとやかくコメントする立場にはないわけで、日本は日本としての自主的な立場で慎重に判断しなければならぬと思います。
#191
○岡崎委員 自主的に判断してもらいたいと思うのです。アメリカが非核を言えば非核と言うのじゃなく、日本の立場から判断してもらいたいと思うのです。
 SDIが、これ以外にはない絶対兵器だということはあり得ないと思うのです。当然、イギリスの国際戦略研究所でも言っているように対抗兵器が開発されるし、これによってさらに核軍拡競争が拡大する、激化するということはだれも否定できないと思うのです。安倍さん、この現実も否定されますか。SDIによってレーガンさんが言うような側面は、これはこれとしておくとしましょう。しかし、もう一面、これに対抗する兵器が開発されて、それがさらに核軍拡競争を激化させることにならないのか、そういう懸念について全く否定されるのかどうか、ここをお聞きしたいと思うのです。
#192
○安倍国務大臣 SDIの研究は、何もアメリカだけがやっているわけじゃない、ソ連もやっているわけです。そして、同時に今回のSDIの研究については、一方的な優位を求めるものであってはならないということはアメリカも言っておりますし、日本の総理大臣も言っておるわけですから、そういうことになれば軍拡につながっていく可能性がありますが、そこは一つの抑えとして一方的な優位を求めるものであってはならない、そういうことによって攻撃兵器等の核軍縮が進んでいくということでなければならないと思います。
#193
○岡崎委員 対応手段として相手の方もSDIを持つだろう、だから核軍拡の方に行く、これはお認めになったのです。しかし、SDIだけではなくて、SDIをくぐって、あるいはSDIを撃ち落とす核兵器が開発されるわけです。それを総合的に見ると、核軍拡の可能性がないのかどうか、このことをお聞きしているわけです。それはお認めにならなければいけないと思うのです。どうでしょうか。
#194
○安倍国務大臣 いろいろと議論がありますけれども、結局SDIによって今の米ソの核軍縮が進む、SDIの研究あるいは今後の開発、ソ連もやっているわけですから、そういうことによって米ソの軍縮が進んでいくことを我々は期待いたしております。
#195
○岡崎委員 期待されるのは結構なんです。しかし、もう一面で、期待に反して核軍拡に進む可能性を否定されますか。やはりこれはあるでしょう。しつこいようですけれども、この辺はっきりお答え願いたいと思います。
#196
○安倍国務大臣 まだ、いろいろと議論があることは事実なんです。これは確かにサミットでもいろいろな議論がありましたから。議論がありますけれども、日本としては今のSDIというのが非核であり防御的であり、そしてこれが核軍縮から核廃絶につながる、こういうことで理解をしておりますし、今その理解にとどめておるわけで、あとはいろいろと勉強して自主的に判断をしていかなければならないと思います。
#197
○岡崎委員 どうもはっきりしない点があります。しかし、少なくとも相手がSDIを開発し、核軍拡につながるものであるという、その一面の指摘はされたと思うのです。
 そこで、時間が来ましたので最後の一問で終わりたいと思いますけれども、SDIが核廃絶につながるものでないということはもう明白だと思うのです。これはホワイトハウスの報告やあるいはフレッチャー報告さらにホフマン報告、どれを見ましても中曽根総理が言うように、このSDIが開発されたら核兵器は無能力になり無価値になり時代おくれになる、だから核兵器廃絶につながるんだ、こういうナンセンスなことはどこにも書かれていない。これはSDI室長のエイブラハムソン氏自身が、SDIの目標として「攻撃用核戦力の価値を減らすことにより、交渉による同戦力削減のための軍事的、経済的誘因をつくり出す」、単なる誘因にすぎないわけなんです。レーガン大統領は核兵器廃絶を目指すと言っているけれども、これは単なるうたい文句にすぎない、何の保障もないわけなんです。
 そこで、安倍外相に最後にお聞きしたいんですけれども、そういう点から見て、核兵器の廃絶というのはSDI待ちではなくて、やはり核兵器廃絶への核保有国の政治的合意が必要だ、そういう協定が必要だ、こうお思いになりませんか。
#198
○安倍国務大臣 これはもちろん、核を保有している国々が集まって、ひとつ核を廃絶していこうという合意が行われれば、これは大変結構なことであると思いますし、日本としても、核の廃絶は国連とか軍縮会議において大いに主張しているところでございます。SDIに頼って核廃絶をやろうということじゃなくて、やはり世界がそういう方向へこれから進んでいくことを日本としても念願し、そのための努力はやはりそれなりに傾けていかなければならぬ、こういうふうに思います。
#199
○岡崎委員 今、SDIに頼って核廃絶をやろうということじゃないというふうにおっしゃったんですが、それは必要だと思うのですね。今世界の中には、SDIを口実に核兵器廃絶の課題を先延ばしするような議論があるのですが、これはとんでもないと思うのです。やはり核兵器廃絶を今日の課題としてはっきりやっていくということ、SDIをその煙幕に使うべきじゃないということ、このことを強調して、私の質問を終わります。
#200
○愛野委員長 次回は、来る十三日月曜日午前九時四十五分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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