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1984/05/13 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第11号
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1984/05/13 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第11号

#1
第102回国会 外務委員会 第11号
昭和六十年五月十三日(月曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 愛野興一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 野上  徹君 理事 浜田卓二郎君
   理事 井上 普方君 理事 玉城 栄一君
      鍵田忠三郎君    鯨岡 兵輔君
      佐藤 一郎君    塚原 俊平君
      中川 昭一君    中山 正暉君
      仲村 正治君    西山敬次郎君
      山下 元利君    岡田 利春君
      岡田 春夫君    河上 民雄君
      小林  進君    八木  昇君
      大久保直彦君    吉浦 忠治君
      木下敬之助君    岡崎万寿秀君
      田中美智子君
 出席国務大臣
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
        農林水産大臣  佐藤 守良君
 出席政府委員
        外務大臣官房審
        議官      都甲 岳洋君
        外務大臣官房審
        議官      斉藤 邦彦君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        水産庁次長   斉藤 達夫君
 委員外の出席者
        外務委員会調査
        室長      高橋 文雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十二日
 辞任         補欠選任
  石川 要三君     塚原 俊平君
  町村 信孝君     中川 昭一君
  八木  昇君     岡田 利春君
  大久保直彦君     吉浦 忠治君
同日
 辞任         補欠選任
  塚原 俊平君     石川 要三君
  中川 昭一君     町村 信孝君
  岡田 利春君     八木  昇君
  吉浦 忠治君     大久保直彦君
    ―――――――――――――
五月十三日
 漁業の分野における協力に関する日本国政府と
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協
 定の締結について承認を求めるの件(条約第一
 三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 漁業の分野における協力に関する日本国政府と
 ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協
 定の締結について承認を求めるの件(条約第一
 三号)
     ――――◇―――――
#2
○愛野委員長 これより会議を開きます。
 本日付託になりました漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府より提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣安倍晋太郎君。
    ―――――――――――――
 漁業の分野における協力に関する日本国政府と
  ソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の
  協定の締結について承認を求めるの件
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○安倍国務大臣 ただいま議題となりました漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 北西太平洋の二百海里外の水域における我が国のサケ・マス漁獲は、従来、昭和五十三年に締結されたいわゆる旧日ソ漁業協力協定を基本的枠組みとして、同協定に従って毎年締結されてきたいわゆるさけ・ます議定書に基づき行われてきました。
 しかるに、昨年五月、ソ連側は、国連海洋法条約の採択、経済水域に関するソ連邦最高会議幹部会令の発効等の新たな状況を踏まえ、同協定の再検討を行うことを提案し、さらに、その後六月下旬に至り、同協定の終了通告を行ってきたため、同協定は、昭和五十九年末日をもって終了した次第であります。
 このため政府は、北西太平洋の二百海里外の水域における我が国のサケ・マス漁獲の継続を確保するため、旧日ソ漁業協力協定及びさけ・ます議定書にかわる新たな協定を締結すべく、ソ連側と数次にわたり交渉を行ってまいりました。その結果、本年五月十二日にモスクワにおいて、我が方鹿取駐ソ大使と先方カーメンツェフ漁業大臣との間でこの協定の署名が行われた次第であります。
 この協定は、九カ条から成っており、北西太平洋の二百海里外の水域におけるソ連の川に発生するサケ・マスの我が国による漁獲について定めるとともに、北西太平洋の生物資源の保存、管理等のための協力を初め日ソ間の漁業の分野における協力について定めております。この協定の有効期間は、一九八七年末日までとされ、その後は一年ずつ自動的に延長されることとなっております。
 なお、今後、北西太平洋の二百海里外の水域におけるソ連の川に発生するサケ・マスの我が国による毎年の漁獲については、この協定に基づき設置される日ソ漁業合同委員会において実態交渉を行い、国会同委員会における協議の結果を日ソ両政府が承認した後に、これに従って行われることとなります。
 この協定の締結により、北西太平洋の二百海里外の水域におけるソ連の川に発生するサケ・マスの我が国による漁獲の継続が確保され、また、日ソ間の漁業の分野における協力関係が強化されることとなります。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ、御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
#4
○愛野委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○愛野委員長 これより質疑に入ります。
 この際、各質疑者に申し上げます。
 質疑時間につきましては、理事会申し合わせのとおり厳守されるようお願いいたします。
 なお、政府におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中川昭一君。
#6
○中川(昭)委員 ただいま議題となりました漁業の分野における日ソの協定について、御質問をいたします。
 十二日、昨日協定が署名になりました。その間、昨年の五月から本当に皆様方には大変な御努力をいただいたわけでございまして、まずもってそのことに深く感謝を申し上げる次第でございます。
 例年五月一日から出漁ということでございますが、今回大幅におくれておる。その間、私の地元だけではなくて、これは日本じゅうで一日も早い出漁というものを、本当に一日千秋の思いで地元の関係者が熱望されておりまして、地元では経済の低迷、あるいは、時には被害者、自殺をなさった方までいるということでありますが、今回のこの交渉が難航し、そしておくれている原因について、まず外務大臣にお伺いしたいと思います。
#7
○安倍国務大臣 ようやく協定締結の運びになりましたが、これまでの間相当時間がかかりまして、関係の漁民の皆さんは大変待ち遠しい思いをされたわけでございますし、交渉を行っております日本政府としても、こうしたおくれをとりましたことは大変残念に思っております。
 今次交渉の最大の焦点は、日本漁船によるところの二百海里の外でのサケ・マス漁獲の取り扱いについてでありましたが、いわゆる国連海洋法条約の規定ぶりを日ソ双方とも念頭に置きながら、母川国と漁獲国との間の権利義務関係のあり方をどのように規定するかという点についての日ソ間の意見調整が難航するであろうということは、政府として当初から予測していたところであります。ソ連が、御承知のように母川国ということでその権利を強く主張する、日本はいわゆる漁獲国ということでございます。そういうことで、この意見調整は相当難航するであろうということは前々から予測はしておったわけでございますが、そのためにもできるだけ早く交渉を開始したわけであります。
 そしてまた、これは非常に重要な交渉でございまして、日本としてもやはり守るところは守らなければなりませんので、腰を据えて交渉したわけですが、本件の協定は、今後毎年行われる我が国のサケ・マス漁獲の実態交渉のいわゆる基本的な枠組みとなるものでありますし、今次交渉における安易な妥協は我が国のサケ・マス漁獲の実態に長期的にわたり重大な影響をもたらす、こういう結果になりますので、我が方の立場を最大限確保すべく努力した、こういう事情にあるわけでございます。
 交渉を通じまして、ソ連は母川国としての権限を最大限獲得しようとし、我が方としてはこれを抑えるよう最大の努力を払ったわけです。またソ連としては、日本漁船の違反操業への不信感も非常に強かった。こうした違反の抑止を確保するための規制の強化を図ったのに対しまして、我が方は、伝統的な我が国のサケ・マス漁獲の継続を確保すべく努力を重ねたわけであります。こうした点が、交渉が長引いたいわゆる背景となったわけでございます。
#8
○中川(昭)委員 昨年も出漁まで十日ぐらいかかったわけでございまして、その間、大変関係者はやきもきなさったわけでございます。ことしも、今大臣から御答弁いただきましたように、基本的な枠組みの再構築ということで、日本側が譲れないところは一歩も譲らない、これは日本の基本的姿勢であるわけで当然のことでありますけれども、一方では一日も早く出漁したいという希望、これも大変きついわけでございます。今月の二日には根室、あるいは七日に釧路と、地元だけではなくて全国の皆さんが、七千人ぐらいの人が集まって、とにかく一日も早い出漁を、そしてまた日本の権利の確保という大総決起大会があったわけであります。
 今後、いわゆる実態交渉が始まるわけでありますけれども、ひとつ、実態交渉の見通しについて大臣にお伺いいたしたいと思います。
#9
○安倍国務大臣 実態交渉は、日本時間で今晩の八時ごろから始まる予定になっております。
 この協定の発効を待たずに実態交渉を早期に開始することにつきましては、東京、モスクワにおいて繰り返しソ連にも申し入れたわけでありますが、ソ連は、協定発効前の実態交渉の開始には応じない、こういう姿勢に終始いたしたわけでございまして、漁民の皆さんの非常に強い御期待は十分承知しておったので、何とか協定の発効前にやろうという努力もしたわけですが、ソ連が頑として応じないということでございます。
 この結果、我が国のサケ・マス漁業の実態問題についての協議を行う合同委員会は、本件の国会での承認並びに協定の発効手続を経た後速やかに行われるということで、先ほど申し上げましたように、今晩の大体八時ごろを予定しておるわけでございます。
 実態交渉そのものについては、協力協定交渉の際のソ連の姿勢に照らしまして、我が国によることしのサケ・マスの漁獲量、漁場転換等の諸問題をめぐって相当厳しいものになるのじゃないか、こういうふうに予測いたしております。
 政府といたしましては、本年の我が国のサケ・マス操業の開始が既に大幅におくれておるということから、我が方の立場を維持しつつも、一日も早く妥結を図ってこの操業のためにひとつ出発をしていただきたい、そういうことでこれからの実態交渉は、この協定の締結と同じようになかなか容易でない問題も抱えておりますが、全力を尽くして早期解決を図っていきたい、こういうふうに考えております。
#10
○中川(昭)委員 今大臣から御決意を伺いましたが、一日も早い出漁に向けてなお一層の御努力を、外務省そして農林水産省の方に強くお願いを申し上げたいと思います。
 今大臣からもお話がございましたように、実態交渉の中で幾つか大きな問題点があるわけでございますが、その一つに水域転換という問題、これは関係者も大変強く要望しておるわけでございます。北緯四十四度以北の開放ということでございますが、この漁場転換は、赤字経営に悩まされている関係者にとって大変に意義のあるということだけではなくて、もう時期がおくれているということでサケ・マスが大分北上しておる、より成長したサケ・マスをとることが資源確保という観点からも非常に意味のあることではないかというふうに思っておりますので、実態交渉の今後の大きな争点の一つになる漁場転換につきまして、きょう農林大臣にお越しをいただいておりますので、お伺いいたしたいと思います。
#11
○佐藤国務大臣 中川先生にお答えいたします。
 今先生の御指摘のとおりでございまして、北緯四十四度から北緯四十八度までの水域に転換したいという、実は私も関係漁家から極めて強い要望を直に受けております。
 ソ連側は、この漁場転換につきましては、貴重な魚種の産卵、回遊魚の保護あるいは取り締まり等の観点から厳しい姿勢を見せるものと考えられますが、関係漁家の強い要望を踏まえて、その実現に最善の努力をいたす決心でございます。
#12
○中川(昭)委員 ぜひとも、この漁場転換についても御努力をお願いしたいと思います。
 それから、今大変大きな問題の一つに、いわゆる以西船、ほぼ日本の二百海里の中で操業できる小型のサケ・マス漁船につきまして、この交渉のおくれからまだ出漁できていない。同じ日本の領海内でソ連系のサケ・マスをとるいわゆる日本海のはえ縄、流し網につきましては、三月からもう出漁しておるわけでございますが、以西船についても、これは日本の領海内でありますから、主権の問題も当然絡んでまいりますので、日本の領海内でとるサケ・マスについて、一日も早い出漁を認めてほしいという要望が大変強く出ておりますが、大臣、この点についてひとつ前向きの御答弁をお願いしたいと思います。
#13
○斉藤(達)政府委員 御指摘の以西船につきましては、私ども、業界からの要望も十分承知しております。
 新協定のもとにおきましては、日本の二百海里水域内のソ連系サケ・マスの保存及び管理に協力をするという規定はございます。それからまた、実態交渉全体への影響も一応考えなければいけないと思いますが、基本的にはこれは日本の二百海里の中の操業でございますので、できるだけ早期に操業できるように、操業許可を与える方向で検討させていただきたいと思います。
#14
○中川(昭)委員 今の御答弁で、できるだけ早い時期に以西船については出漁できるというふうに理解をさしていただきいたと思います。
 それでは、直接サケ・マスとは関係ございませんが、一月からずっと交渉を続けておりますカニ、ツブ、エビの問題につきまして、お伺いをいたしたいと思います。
 これは一度、四月中に交渉が開始されるというふうな話がありましたが、例えば資源保護の調査とかいろいろな理由でまだ実現していない。これも、北海道はもちろんでありますけれども、全国にとっても大変大きな影響があるわけでございますので、この現状と見通しについてお伺いいたしたいと思います。
#15
○斉藤(達)政府委員 カニ、ツブ、エビの問題につきましては、御指摘のように一たんは四月十五日に交渉開始の連絡があったわけでございますが、これがソ連側の都合で延期をされました。そこで四月三十日に、佐藤農林水産大臣からアブラシモフ大使に強い申し入れを行っていただきまして、五月五日に出発することになったわけでございます。
 ところが、残念なことに、現地に到着しました代表団は直ちに交渉に入れる状態になっておりませんで、さらに農林水産省からの、あるいは外務省からの申し入れにこたえまして、先方から、五月十五日から交渉を開始するということを言ってきております。
 なお、昨日到着いたしました外野水産庁長官も、これを早く推進するようにということを重ねて申し入れることにしておる次第でございます。
#16
○中川(昭)委員 時間がございませんので最後の質問になるかと思いますが、例年五月一日からの出漁が今回やっと十二日になって協定が署名される。これから厳しい実態交渉が始まるわけでございまして、地元の皆さんは、本当にいつになったら出漁できるのかということを、これは心配というよりは生活、そして命がかかっておる問題でございまして、そういう意味で、これができるだけ早く出漁できるように、今後なお一層の御努力をしていただきたいわけでございますが、万が一これからさらに出漁がおくれて、これからのことしの漁が大幅な減になったとかあるいは大変な損害を受けたということになれば、当然これは国内的に対策を考えなければいけないことになるかと思いますが、今のところ大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますでしょうか。
#17
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 先ほどからの安倍外務大臣、さらに水産庁から申したとおりでございますが、政府としては、これから開始される実態交渉の場において、安定的な操業状況のもとで出漁が確保されるように、最大限の努力を傾注してまいる所存でございます。
#18
○中川(昭)委員 とにかく、一日も早い出漁に向けて皆さんに大変な御努力をしていただいておるわけでございますけれども、佐野水産庁長官あるいはソ連にいらっしゃる外交官、大使を初め皆様方になお一層の御努力をしていただくということ、これは一日おくれることが、地元経済だけではなくて、いろいろな意味で、外交的にもあるいは経済的にも、また生活の面でも大変に大きな影響がある。それから、ますます被害あるいはこれから先もいろいろな関係者の悲劇が起こる可能性も十分にありますので、両大臣に一言ずつ、実態交渉にきょうから入られるわけでございますので御決意をお伺いいたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#19
○安倍国務大臣 実態交渉もなかなか難しい点もありますが、しかし、基本的な枠組みが今協定によってできたわけでございますから、政府としては全力を尽くして、いっときも早くこれが解決するように努めてまいりたいと思います。
#20
○佐藤国務大臣 お答えいたします。
 今、外務大臣の申したとおりでございます。私も実は、佐野水産庁長官がきのう訪ソしたわけですが、全力を尽くして、早く期待に沿うよう頑張るようにと、こういう指示をいたしておるわけでございます。
#21
○中川(昭)委員 質問を終わります。
#22
○愛野委員長 次に、岡田利春君。
#23
○岡田(利)委員 日ソ漁業経済協力協定の経過並びに今後の政府の姿勢についてお伺いいたしたいと思います。
 昨年以来、日ソ間におけるいわゆる地先沖合の日ソ漁業協定、その後の実態交渉、そしてまた日ソ間の漁業協力協定、いずれも相当な時間を要して難航をきわめておるわけです。私はそういう意味で、今日的な国際漁業に対する情勢の分析あるいはまた日ソ間の漁業の関係についての政府の判断は少し甘かったのではないか、こういう一応の見方もいたしておるのであります。
 昨年、ソ連邦が最高幹部会令で、海洋法条約に基づいて三条、五条でそれぞれ地先沖合の漁業協定の根拠法律あるいはまた経済協力の根拠法律を決めたわけであります。それ以来、大体もう二年と五カ月になんなんといたしておるわけであります。したがって、今日的日ソの漁業関係の情勢認識について、政府は一体どういう認識をされているのか、まずこの点お伺いをいたしたいと思います。
#24
○安倍国務大臣 新しい二百海里時代を迎えまして、日ソ漁業交渉が一層厳しさを加えてくるだろう、こういうことは当然予想されておったわけであります。ただ、政府といたしましては、このような厳しい現状認識を踏まえた上で、なお海洋生物資源の保存に協力し、互恵の原則に基づきながら、沿岸国あるいは母川国の利益との調整を図りつつ、我が国の漁業を維持することの立場に立ちつつ努力をしていかなければならないと思います。
 そういうことで、我々としては当初から相当長引くであろう、これは母川国と漁獲国との間の権利関係についての重要な枠組みを決めるわけですから、恐らく日ソの関係で相当な乖離がありますし、これが調整には難航するであろうということは予想してまいりました。それだけに早く交渉もしましたし、最大の努力をしたわけでありますが、やっと今回それが決まったわけでございます。この協定に基づきまして、実態交渉を一日も早く進めたいと思います。
 ただ、残念なことには、我が国の漁船による違反操業は相手国の不信を招いて、この漁業交渉をより厳しくしておるということも否定し得ない事実でありまして、違反操業の防止がぜひとも必要ではないか、こういうふうに考えておるわけであります。
#25
○岡田(利)委員 かつて八年前に世界が二百海里時代を迎えて、日本の二国間のそれぞれの漁業交渉は難航いたしたわけであります。昨年の二月にソ連の幹部会令が改正をされたという意味は、少なくとも日ソ間においては新海洋法条約元年を迎えた、こういう認識を当然持たなければならないわけであります。今日、日ソ間のすべての漁業交渉の実態は、海洋法条約に基づいて交渉されておるわけです。しかもその解決は、いずれも海洋法条約の定めに従って解決をされておるわけです。例えば大陸棚の水産生物資源、前回の協定ではこれは民間の交渉の方にカットされておるわけです。これも海洋法条約に定めがあるわけであります。認める、認めないは別であります。したがって、日ソ間の場合には海洋法条約元年を迎えた、こういう基本的な姿勢で交渉に臨まなければならぬことは極めて当然だと私は思います。
 同時にまた、二百海里時代を迎えて一番打撃を受けているのは、世界ではソ連の国であるわけです。そして、今日ソ連の海洋資源は基本的に食糧計画に組み込まれている、こういう実態も我々は無視してはならない、こう思うわけであります。大臣が言われた我が国の漁船の違反操業体質、このことも当然問題でありましょう。しかし、私はそういう基本的な立場、分析、認識、この点について政府は欠けるものがあったのではないのか、残念ながらこう言わざるを得ないのであります。
 そこで、二、三問題を簡単に聞いておきますが、今国際漁業で日ソ間のようにサケ・マスを沖取りする、そういう漁業協定を結んでいる国は日本とソ連以外にありますか。
#26
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 サケ・マスの沖取りについて決めておりますのは日ソ間だけでございます。
#27
○岡田(利)委員 母川国の権利の問題が言われるわけでありますけれども、今日本が協定で沖取りしているサケ・マス資源は、九七%はソ連の母川に上がる魚であり、しかも秋にはソ連の川に遡上するサケ・マスである、こう理解してよろしいですか。
#28
○斉藤(達)政府委員 ほぼ九七%がソ連圏のサケ・マスであるということでございます。
#29
○岡田(利)委員 そこで、なぜ一体漁業協力協定が難航したのか。今、大臣からも若干説明がございました。しかし、日本側がこの交渉に臨んだ当初の基本的な立場、もちろん条約の案を出すわけでしょう、第二条なら第二条、日本案というものを出すわけですね。内容は公表されていないわけです。その場合、一体日本はどういう提案をしたのか。さっきも話がありましたけれども、公海の操業自由の原則というものを基本的に前面に出す、そして国連海洋法条約があるわけでありますから、その中の六十六条の三項ただし書き、この点は当初から公海操業自由の原則とセットにして日本案として盛られたのかどうか、この内容について伺っておきたいと思います。
#30
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、この交渉の当初から我が方として一番考慮に置きましたのは、ソ連側におきまして海洋法条約によって母川国の発言権が認められてはおりますけれども、その漁獲が行われるところは公海であるという立場に立ちまして、公海における漁獲国の立場と母川国の発言権のバランスをどうとるかということが一番大きな問題でございまして、私どもとしては、公海における立場に影響があってはならないという立場から案を作成し、ソ側と交渉をした次第でございます。
#31
○岡田(利)委員 海洋法条約の交渉も、非常に長い時間を要したわけです。特に、六十六条というのは問題があったわけですね。しかし、世界でサケ・マスの沖取りをしているのは日本だけでありますから、特に日本はこの六十六条については相当積極的な発言もし、粘ったわけですね。そして、最終的に六十六条ができて、我が国は署各国になったわけであります。そうしますと、条約を決めるには長い時間を要しているわけでありますから、日ソ間のサケ・マスの基本的な原則を決めるのは、六十六条をお互いに素直に認める以外に早期に妥結する道はないと思うのです。これは極めて常識だと思うのですが、いかがでしょうか。
#32
○都甲政府委員 先生御指摘のとおりだと思います。日ソ双方とも当初から、六十六条を基礎にするということは合意しておりましたけれども、その解釈適用に当たってはやはりお互いの綱引きが始まるわけでございまして、そこが一番交渉が難航した原因でございました。
#33
○岡田(利)委員 交渉が難航もしておるので、現地では、漁民の意思なり地域経済の住民の意思というものを交渉に反映をさせたいということで、いわば危機突破の大会などを準備されたのでありますが、我々が伝え聞くところによると、政府筋の方から、そういう大会をやるとむしろ交渉にマイナスである、どっしり落ちついている方がいいのだ、こういうことを系統を通じて、この協力協定が妥結するまではそういう大会はすべて中止をしてほしい、中止すべきであるということが公然と流れておるのであります。政府はそういう見解をとったのでしょうか、いかがでしょう。
#34
○斉藤(達)政府委員 政府としては、そのような見解を表明したことは一度もございません。
#35
○岡田(利)委員 そういう答弁になると予想しておりましたけれども、現地にいるといろいろな情報が流れてきまして、各単協、各地域、情報の流れてきているところは同じなんですから、こういう姿勢自体に私は問題があると思うのですね。国連海洋法条約、長い時間かかって六十六条が決められている、六十六条の精神が尊重されなければならない、これが国際常識である。そこで、問題があるならば交渉の内容を明らかにして、そしてむしろ国民の世論に訴えるべきじゃないでしょうか。極めて秘密主義に交渉が推移しておるというような感じを受けることを我々は非常に残念に思っておるのでありまして、やはりそういう国民の世論というものは濶達にこの交渉に反映されてしかるべきじゃないか、こう私は思うのですが、大臣、私の見解に間違いがありますか。
#36
○安倍国務大臣 全くそのとおりで、やはり国民の世論といいますか、国益ですね、それをこの条約の中に反映しなければならぬ、いわゆる漁獲国としての日本の立場、そしてこれは国民世論の強い支持があるわけですから、これをやはり条約の枠組みの中に反映しなければならぬということで、政府としては全力を尽くしたわけであります。
#37
○岡田(利)委員 私は、あるときにソ連の要人に会ったのでありますが、そのときにこの問題を取り上げて議論したところが、ソ連側の方から、いわば日本が海洋法条約の原則を否定するという立場であってはソ連側としては妥協できない、こういうことを向こう側は述べたのであります。私はすかさず、それは海洋法条約の六十六条で定めてあるんだから、六十六条の一項、二項、三項、四項、この六十六条すべての精神に立脚すれば当然解決できるんではないのか、こう反論した経過があるのであります。
 そこで、そういう精神を持ちながら、では最も難航したのは一体何なのか。わずか九条しかないのですよ。そのうちのごくこのサケ・マスの部分だけでしょう。では一体、最も難航したのは何なのか。約一年間、交渉にかかっているのですよ。いかがですか。
#38
○都甲政府委員 確かに、大変長くかかったことは申しわけなく思っておりますが、お互いの主張がやはり基本的な国家の管轄権に関する問題であっただけに、かなり原則的な問題について当初から厳しい議論が行われたということを申し上げられると思います。そういう意味で、やはりお互いの管轄権のバランスをどうとるかということが最初から最後まで、特に最後の細かい案文の調整の段階に至るまで、それが問題の中心点であったということを申し上げられると思います。
#39
○岡田(利)委員 私は二十七日の社会党の国会対策に出席をして、協力協定がどうやら妥結の状況にある、従来の地先沖合の漁業協定の場合もそうであるが、この協定が締結されれば、批准しなければソ連側は交渉に応じないという慣例になっている、したがって、連休中といえども国会を開いてこれを批准しなければならない、その場合社会党としてどうするのか、こういう問題を国会対策に提起をして、社会党の国会対策としてはいつでも応ずる、こういう基本的な姿勢を二十七日に確認をいたしたのであります。
 外務委員会の井上理事を通じて外務省の意向をただしましたところが、いやいやまだ相当時間がかかって、その批准は連休明けゆっくりで結構です、これが外務省の見解だということで、井上国対副委員長でありますから、そういう報告が国対になされた、私はがっくりきたわけであります。そういう見解を述べた人が外務省におるのでしょうか。いなければおかしいですよ。理事であり社会党の国対副委員長が正式に聞いたのでありますから、そういう見解を持っておったのではないですか。いかがですか。
#40
○斉藤(邦)政府委員 外務委員会の理事会等の場で理事の方々からの御質問に答えまして、私から見通しの問題としてあるいは連休明けまで署名、発効ができないかもしれないということを申し上げたことはございます。ただいま御指摘のように、連休明けで結構ですというようなことを外務省が申し上げた事実はございません。
#41
○岡田(利)委員 公式に聞いたことが報告されたということは事実でありまして、これは井上さん今いませんから、後に残しましょう。
 そこで、これからいよいよ漁業合同委員会、実態交渉が行われるわけですが、実態交渉の問題点を絞って言いますと、どういう問題点になるでしょう。
#42
○斉藤(達)政府委員 従来の日ソ間のサケ・マス交渉で問題になっておりました漁獲量、操業区域あるいは使用される漁具等々が問題になるかと思います。なかんずくその中で、先ほどの中川先生の御質問にもありました中型流し網船の操業区域の問題、これらが焦点になろうかと思います。
#43
○岡田(利)委員 中部流し網の漁場転換の問題は、交渉の経過があるわけですね。これは御存じだと思うのです。それは、昨年九月ですか、山村農林水産大臣が訪ソしたときに六項目の問題点を提起している。その六項目のうちの三項目が、全部サケ・マスに関する問題点であります。その中に、太平洋中型サケ・マス漁業の操業水域の転換、こういう提案がなされて、そしてその後のカメンツェフ漁業相との会談の中で、この問題については日ソ漁業協力協定がまとまった後、日ソのサケ・マス科学者会議を開き議論することに合意をした。サケ・マス科学者の交流の再開も、科学者会議と一緒に行うということで合意しているわけですね。この事実は御存じでしょう。そうしますと、残念ながら漁業協定がおくれて、漁場転換の問題は、このカメンツェフ・山村会談の合意からいえば科学者会議を開いて議論をするということになっているわけですよ。間に合わないのじゃないですか。いかがでしょう。
#44
○斉藤(達)政府委員 山村・カメンツェフ会談の際に、科学者会議を先行させて、その上で議論をするということになっていたことは御指摘のとおりでございます。しかしながら、今回は時間がございません。科学者も行っておりますので、科学者会議と並行して実態問題についてこの漁場転換問題を議論する、その申し入れをする、あるいは獲得するということをやらざるを得ないかと思います。
#45
○岡田(利)委員 漁獲量、協力金それから今の漁場転換の問題、取り締まりの問題、大体この四点がこれからの実態交渉の問題点だと思うのですが、今言った状況から考えますと、この漁場転換というのを絶対解決しなければ妥結できないということになるとこれは相当難航するであろうということが予想されるのですね。これから実態交渉をやるわけですから、余り深く突っ込んだ議論はしませんけれども、ただ私は言いたいことは交渉の姿勢として、具体的な問題、同時にまた大局的な、包括的な立場、そして問題は早期に解決しなければならない。早期に解決しても、後に毎年毎年問題が残るようであってはならないわけですね。包括的に解決する場合でも、緊急手段的な行為として、協定がおくれたわけですから、漁期というのは限りがあるわけですから、したがって今年のこういう実態にかんがみての協定の仕方もあるのだと思うのです。そういう意味において、この交渉については弾力的に対応して早期に解決されることが望まれるのではないか、望ましいと思うのですが、こういう考え方についていかがでしょうか。
#46
○斉藤(達)政府委員 まさに先生御指摘のとおりであると思います。
#47
○岡田(利)委員 そこで、先ほどちょっと質問が出ましたけれども、十トン未満の以西船の問題であります。我が国の二百海里内で、昨年の四万トンの中で千二百トンの漁獲、ウエートを持っておるわけです。しかし、日本海流し網、日本海はえ縄、クォータが昨年二千百トンの千五百トン、計三千六百トンということになっているわけですが、これは既に操業を開始しているわけでしょう、日本の二百海里ですから、日本海の関係は流し網もはえ縄も。そうして太平洋岸だけ、以西船だけは二百海里だけれども認めない。これは差別ですよね。日本海流し網を認める根拠は一体何ですか。その根拠があるとすれば、以西船についても同じ根拠ではないでしょうか。違う根拠なのでしょうか。
#48
○斉藤(達)政府委員 お答えいたします。
 日本海の流し鋼あるいははえ縄につきまして、例年この操業は三月の初めに始まっております。この時期には、主として日本系のサクラマスをとっております。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
ソ連系のカラフトマスをとりますのが、大体五月の半ばごろからということでございます。したがいまして、基本的に二百海里の中の問題である。さらに加えて、その資源が日本系のサクラマス資源であるということで、日本海のサケ・マス操業は開始されたわけでございます。
 同じような問題が現在、これはソ連系のサケ・マス、カラフトマスでございますけれども、太平洋の小型、日本海の流し網、それからはえ縄について、同じような問題が出てきております。それにつきましては、まず日本としては、新しい協定のフレームワークの中でソ連と協力するという形になっております。それからまた、今始まろうとしている実態交渉への影響もございます。しかしながら、行われる操業が基本的に二百海里の中であるという問題がございます。これらを勘案いたしまして、できるだけ早期に出漁できるように取り進めさせていただきたい、検討させていただきたいと思っております。
#49
○岡田(利)委員 したがって、漁期的に見ますと影響があるというのは――母船式の一万四千六百トンには、まだ六月以降でありますから影響はないわけですね。日本海関係は、これは影響ないわけですね。三千六百トン、影響はない。影響があるのは太平洋中部と小型流し網、したがって二万一千八百トン、これだけが影響あるということですから、大体六割弱、五割ちょっとですね、が当面影響ある操業だ、こういうことが言えるのだと思うのです。しかもこれが中小、小型でありますから、特に基地独航でありますから、地域経済に非常に影響があるということになってくるわけであります。
 そこで先ほど、以西の問題については、今後の交渉の推移を見てできるだけ早く出漁を許可したい、こういう姿勢が述べられたわけでありますけれども、これは交渉の推移を見てなのか、ある一定の時間を限って水産庁としては決断をする、こういう意味でしょうか。
#50
○斉藤(達)政府委員 基本的に、日本の二百海里の中で行われる操業でございます。しかしながら、本日今晩にも交渉が始まるということでございますので、その辺のタイミングにつきましては、ここでは深く触れることを差し控えさせていただきたいと思います。
#51
○岡田(利)委員 そこで、関連して二、三点聞いておきたいと思うのですが、地先沖合漁業協定の中で取り決められた三十トン未満の小型漁船の通報内容の問題が大変問題で、実際にこれは実行できないということが問題になって、我々もあらゆる角度を通じてこの点についての善処方を要望してまいりました。先般、横路知事がモスクワを訪問したときにこの問題を提起をいたしまして、ソ連側の回答としては、このような問題についてはナホトカの実務者レベルの中で話をしたらどうか、そういう中で実務的に解決できるのではないか、こういうソ連側の態度が明確になったのであります。いわば政府間取り決めと、さらにこの中で、取り決め以外にもひとつ弾力的にソ連側としても考えよう、こういう態度が出されてきたわけです。政府としては、これに対してどう対応するつもりですか。
#52
○斉藤(達)政府委員 御指摘の三十トン未満船の操業につきましては、確かに新しい報告義務が課せられまして、これが非常に過大な負担を漁業者に負わせるということで、政府といたしましてもソ連側といろいろなルートを通じて接触をしてまいりました。その中で出てきましたことが、一部をグループ化してテレックスで報告してよろしいということで、かなり大幅な削減が図られる見通しがございます。それを具体的に、どういう方式でどういうグループ化をしてやるかということにつきまして、この五月の末に予定されておりますナホトカの専門家会議で十分詰めさせ、最大限の軽減を実現させたいと思っております。
#53
○岡田(利)委員 例えば今度の取り決めで、許可証を書いた一つの看板みたいなのがあるのですね。これなんか、小型に張ったら前が見えないのですよ。そういうばかげたことが決められているのですね。こんな大きなものです。それを張ると見えないのですから。そういう実態と遊離するようなことは、決めない方がいいと思うのですね。後から苦労すると思うのですよ。これは申し上げておきます。
 それからカニ、エビ、ツブの民間交渉を十五日からやるという情報もありますけれども、これは十五日からやることが正しいのかどうか。同時に、これを民間交渉に委譲したということは、大陸棚生物資源として日本が認めたという意味か、認めてないという意味か、日本の立場をはっきりしてほしいということであります。もし、このことによって減船が伴えば、これは一種の国際減船である。当然政府が減船を補償すべきだと思うが、この点についてはいかがでしょうか。
#54
○斉藤(達)政府委員 現在私どもが入手しております最新の情報では、四月十五日から交渉を開始するということになっております。これは先ほども申し上げましたように、佐野水産庁長官も側面から強力に推進していただけるはずでございます。
 それから、大陸棚資源がどうかということにつきましては外務省の方にお答えいただきたいと思いますが、本件補償云々ということにつきましては、これから交渉する交渉の帰趨が決まっておらない現段階では、触れることを差し控えさせていただきたいと思います。
#55
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 カニ、ツブ、エビにつきましては、今回協定の枠外でやりたいというそれなりの主張があったわけでございますが、これらにつきましては、いずれにいたしましてもソ連側の主権的権利が主張し得る資源でございますので、先方がいろいろな考慮からこれを協定の対象外にするということを主張した場合に、当方としては残すべきだという主張はいたしましたけれども、最終的にそれに応じざるを得ないという状況がございましたことを御了解いただきたいと思います。
#56
○岡田(利)委員 余り上手じゃないですね。大陸棚生物資源として認めたのですか、認めてないのですかという、日本の立場を聞いたのですよ。
#57
○都甲政府委員 そういう意味で、カニ、ツブ、エビのうちのカニ、ツブにつきましては、大陸棚資源という概念がかなり確立しておると思いますけれども、エビにつきましてはそういうことはないというふうに了解しておりますので、そういうことを認める、認めないという立場を離れて、協定の枠から外すことに同意をせざるを得なかったという状況を御説明申し上げた次第でございます。
#58
○斉藤(達)政府委員 大変失礼いたしました。先ほどお答えいたしました中で四月十五日開始というのは、五月十五日の誤りでございます。
#59
○岡田(利)委員 カニとツブの場合には、見解が明確になったわけでございます。ただ、甲殻類関係は、既に日ソ漁業協力事業として政府としても認めておるわけですね。今度、大日本水産会を政府として指定をされた。前の共同漁労と今度の新しく民間交渉される場合の関連性の問題があると思うのですね。この点については、従来の実績は否定されるのか。従来の実績はそのとおりであって、新しい部分については大水が窓口になるのか。この点はいかがでしょうか。
#60
○斉藤(達)政府委員 新しく民間協定になりました部分については、大水で窓口になりましてやるということになっております。ただ、ここでやりますのに、従来完全のコマーシャルベースでやっていたものが、先行することによって条件を悪くするという心配がございますので、まず大水ベースのものを進めさせた上で、後の取り扱いを決めたいというふうに考えておるわけでございます。
#61
○岡田(利)委員 時間がありませんから……。
 現在、例えばズワイなんかの場合には漁期がずっとずれているわけですよ。そうしますと、北見枝幸なんかの場合には、水産加工工場の八割は休止状態にあるわけです。したがって、それぞれの工場に採用している従業員の七〇%は解雇しなければならない、こういう事態がズワイの場合にも出ているわけですね。サケ・マスはどうなるか、おくれている、こういう状況の中で、いろいろ雇用問題も地域では出ておるわけであります。したがって、解決してからどうであったかということではなくして、問題点ははっきりしておるわけですから、今から実態調査をきちっとしておく必要があるのではないのか、そのことによって迅速にその後の対策ができるのではないのか、こう思うのですが、政府はそういう積極的な姿勢をお持ちかどうか、承っておきたいと思います。
#62
○斉藤(達)政府委員 交渉の結果いかんによって、どう取り扱うという問題が出てくるかと思いますが、御指摘のように調査は十分進めておきたいと思います。
#63
○岡田(利)委員 外務大臣と農林水産大臣に一問ずつ聞いて、終わりたいと思います。
 日ソ関係については、大臣も意欲を燃やされて、それぞれ文化協定なりあるいはまた貿易支払い協定や租税条約等の締結についてずっと進められておる、そしてグロムイコ外相の来日を実現をする、こういう体制の中で進められておるのであります。ただ残念ながら、既に結ばれている経済協力協定のプロジェクトの中でも、サハリンの大陸棚天然ガスのように、なかなか引き取りの関係でこれがスムーズにその後進まないとかいう問題も、過去のプロジェクトにはあるわけであります。
 私は、この海洋法条約元年を迎えている、これから日ソ漁業を考える場合に、長期経済協力協定と言いませんけれども、もう少しワイドに経済協力、その中における漁業協力というものをきちっと安定さしていく、こういう積極的な意欲がなければいかぬのではないか、そういう手法を考えられるべきではないか、こう思うのでありますけれども、こういう問題をめぐって外務大臣の見解を一点承っておきたいと思います。
 農林水産大臣には、山村さんはカメンツェフ漁業相に会ったときに今度はあなたが日本にいらっしゃい、こう招待をされておるわけであります。カメンツェフ漁業相の来日招待については、今どのような見解を持たれておるのか。農林水産大臣と漁業大臣は交代で相互協議をする、日ソ間の場合、漁業問題というのは、日本の国内的にいろんな影響を与えるわけでありますから、もう定期外相会議と同じように農林水産大臣と向こうの漁業相とは定期協議をする、お互いに綿密に希望を述べたり、あるいはまた意見を交換できる、こういう方向に構築していくべきではないか、こう思うのですが、この点についてそれぞれ御答弁をいただきたいと思います。
#64
○安倍国務大臣 日ソ間の漁業関係につきましては、これまで漁業の分野は漁業の分野として実務的に発展をしてきております。これは伝統的な日ソの関係であろうと思います。今回の日ソ二百海里漁業交渉におけるソ連側の厳しい態度も、基本的には漁業の分野における二百海里時代の反映である、こういうふうに理解をいたしておるわけであります。
 また、ソ連との経済関係は、従来より互恵の見地から進められてきておりますが、政府としては従来より、日ソ関係は政治経済等の分野も含めて全体としてとらえられるべきである、こういうふうに考えておりまして、いわば無原則な政経分離はとらない、こういう基本方針で対処してきておるわけであります。日ソ間の経済協力につきましても、かかる基本的な立場を踏まえまして、具体的案件ごとにケース・バイ・ケースで慎重に検討の上、対処していく考えでございます。
 私は、最近の日ソ間の状況を見ておりますと、国際情勢の緊張緩和という中で、日ソ間の対話というものも徐々に進んでおることを非常に喜んでおります。今回の漁業交渉もそういう中で、実務的ではありましたが、ソ連としてもこれを解決していこうという基本的な姿勢には変化はなかったように思います。交渉は難航しましたし、お互いの国益の立場はありますが、交渉を解決していこうという基本的な立場には変化はなかったように考えておるわけでございますし、また、最近の日本漁船の海難事故等において、これに対しても機敏にソ連側が対応してきて、生存船員を直ちに返してくれたということに対しても、我々はソ連側のそうした機敏な措置に対して感謝をいたしておるわけでございますが、こうした漁業協定が解決をして、そして実務協定も早く締ばれて、そういう中で今後ともいろいろの問題を逐次ひとつ具体的に改善の方向で進めてまいりたい、こういうふうに思っております。
#65
○佐藤国務大臣 岡田先生にお答えいたします。
 先生の御指摘のとおりでございまして、現在、日ソ間の漁業の分野における諸懸案を解決するためには、やはり漁業関係を安定させるために両国の大臣協議が非常に大切だと思っております。そんなことで、実はカメンツェフ漁業大臣の訪日要請につきましては、山村前大臣に引き続きまして、私が先般、日ソ漁業委員会の協議の際訪ソしました節にも、できるだけ懸案事項を解決しまして、何も重荷を負わないような形でひとつぜひ日本に来てもらいたい、こういう要請をしました。そのとき、カメンツェフ大臣から私に対しましても、ぜひあなたも訪ソしていただきたいという招請も受けたというわけでございます。カメンツェフ大臣は訪日の意向を有してはおりますが、まだ具体的な日程については決まっておりません。私としては、同大臣が近い将来、訪日されることを期待しております。
#66
○岡田(利)委員 終わります。
#67
○浜田(卓)委員長代理 次に、吉浦忠治君。
#68
○吉浦委員 外務大臣にお尋ねをいたします。
 昨年の五月に、ソ連側は国連海洋法条約に基づきますところの法体系の整備ということで、旧日ソ漁業協力協定の再検討を我が国に申し入れてきたわけでありまして、日ソ間でその話し合いが行われていた。ところが、昨年六月の下旬に、ソ連側から同協定の失効を通告してきたということでありますけれども、これは極めて異例なことではないかというふうに考えるわけであります。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
このようなソ連の措置は、昭和五十三年以来、同協定に基づいて話し合いを続けていた話し合いの路線を破るものでありまして、日ソ間の漁業協力の実績を無視したソ連側の態度ではないかというふうに考えるわけでありますけれども、政府はこのようなソ連の態度をどのように受けとめておられるのか、まずこの点をお伺いいたしたい。
#69
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 確かにソ連側が相互に協議を行った際に、この通告を行ってきたことを私どもは非常に残念に思いましたけれども、法的に見ますと、これは終了通告によって失効できるという規定がございますので、この規定に従ってのものでございますから、特に問題がないというふうには思った次第でございます。しかし、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、こういう協議によって新しい協定をつくるべきではないかという主張をしてきた際でございますので、非常に残念に思いましたけれども、この終了通告があったこともあり、鋭意新しい協定で新しい枠組みをつくるために、現在まで交渉してきた次第でございます。
#70
○吉浦委員 その付近のソ連側の政治的な背景等が感じられるわけではないのですか、どうですか。
#71
○都甲政府委員 本件につきましては、特定な政治的な意向というよりも、むしろやはり新しい海洋法条約ができたという事実と、それに基づく新しい国内法が制定されたという事実をもって、ソ連側としては新しい対応をせざるを得なかったという事情があったというふうに私どもは解しております。
#72
○吉浦委員 新しい協定に対する評価をどのように受けとめておられるかをお尋ねしたいのですが、新日ソ漁業協力協定は、昨年の五月から第一回改定交渉以来六回の交渉を重ねて、ようやく昨日、署名の運びとなったわけでありますが、今後のサケ・マス漁業のあり方を左右するところの非常に重要な協定であるというふうに思うわけでありまして、協定を一見してみますと、漁業従事者の方々が望んでおりましたいわゆる協定の実質的な延長化は図られましたけれども、その具体的な内容になりますとこれは玉虫色でありまして、毎年、実態交渉は厳しいものになるのではないかというふうに予想するわけであります。
 そこで、まず伺っておきたいのは、この協定に対して政府はどのように評価をされておられるのか、また、政府として満足できる結果だというふうに思っておられるのかどうか、この点をまずお答えをいただきたい。
#73
○安倍国務大臣 難航した協定交渉でありましたが、新海洋法時代が定着したという今日におきましては、今回のこの協定の難航というものも、これは両国家のいわゆる漁業管轄権をめぐっての対立、その調整ということでありますし、これはやむを得なかった。しかし、最終的には日本の主張も取り入れられまして、いわゆる漁獲国としての今後の漁獲が可能になったという点におきましては、我々としてはこの協定の締結を喜んでおるわけでございます。
 問題は、これから実態交渉に入るわけでございますが、この実態交渉においても、我が国としても全力を尽くして漁獲の確保に努めてまいらなければならない、こういうふうに思います。
#74
○吉浦委員 実態交渉についてお尋ねをいたしておきますが、その新しい協定の締結によりまして、これまでのようないわゆる議定書の延長を毎年国会で承認することはなくなるわけでありますが、毎年の漁獲量を決定するなどの実態交渉は、従来どおり毎年行われるわけであります。
 そこで、今年の実態交渉はもうきょうから開かれるようでありますけれども、中型サケ・マス漁の漁期はもう既に始まっているわけでありまして、実態交渉がおくれればおくれるほど魚は北上してしまいますし、特に、魚価の高いところのベニザケ等は寒いところを好むわけでありますから、ほとんど漁場にいなくなってしまうということになりはしないかという心配をいたしておるわけであります。
 まず、きょうから始まると思われますけれども、早期妥結に対する強い政府の態度というものを伺っておきたいと思います。実態交渉において大変難しい問題だろうと思いますけれども、いわゆる漁獲割り当て量あるいは漁業協力費の問題あるいは漁場転換等の問題、まだまだ解決しなければならない多くの問題があるわけであります。そこで、政府として最も重点を置いて交渉に当たられる点は何なのか。私はこの点、減船をしなければならない事態だけは避けなければならないというふうに考えているものでございまして、それだけの漁獲割り当て量は確保するべきであるというふうに考えますけれども、政府の考え方を述べていただきたい。
#75
○斉藤(達)政府委員 許容漁獲量、それからコンペ、いわゆる賠償金、協力金、漁場転換等、いずれも極めて重要な問題だと思います。しかも、それらすべて相互に絡み合っておりまして、みんな裏表の関係になっておりますので、どれが一番大事だということはなかなか申し上げにくいのでございますが、いずれにいたしましても北洋のサケ・マス漁業というのは、長年にわたりまして多くの漁業者、関連産業の従事者がこれに従事しております。その妥結を一日も早くということで皆さん待っておるわけでございますから、全体として安定的な操業条件をできるだけ早くに確保するというために、最大限の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
#76
○吉浦委員 先ほどから質問が出ておりますが、交渉のおくれについてですけれども、中型サケ・マス漁業あるいは太平洋小型サケ・マス漁業などの実態交渉の妥結がおくれればおくれるほど、その経営の困難というものは免れることはできないわけでありまして、政府として何らかの対策を考えなければならぬのじゃないかというふうに考えるわけでありますが、政府としてその検討があるのかどうか、お尋ねをいたしたい。
#77
○斉藤(達)政府委員 これからまさに実態交渉が始まるところでございます。交渉の結果、あるいはその交渉の結果出てくる操業の実際の結果、これは漁場の条件等によって、年によっても随分変動がございます。そういったことを考えますと、交渉が今から始まりますというときに、どのような対策を考えておるかというようなことを軽々に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。しかしながら、そのために事前に必要な調査については、遺憾なきを期しておきたいと思うわけでございます。
#78
○吉浦委員 協定の第二条第三項に、サケ・マスの公海上の漁獲を原則禁止ということでうたわれておりますが、「経済的混乱をもたらす場合」の例外規定を設けておるわけであります。そこで、この規定は海洋法条約の規定に即して書かれたものでありますが、「経済的混乱」、この解釈はまとまってないのじゃないかというふうに思うわけであります。その解釈によっては、例えば日本経済の全体の混乱というふうに考えていいのか、あるいは北海道地域における経済的な混乱というふうにもとれるのかどうか。サケ・マスのいわゆる公海の漁獲ができなくなることも考えられますけれども、政府としてその経済的混乱というのはどの程度の規模のものと想定されておられますか、その解釈を伺っておきたいと思います。
#79
○斉藤(邦)政府委員 二百海里外の遡河性魚種の漁獲が禁止されますと、このような漁獲を伝統的に行ってきた国においては一定規模の減船とか失業等、経済上の悪影響が生じる次第でございます。「経済的混乱」とは、このような状況を念頭に置いた表現でございます。
 御質問の後段の方でございますけれども、具体的に経済的混乱とはどのようなものかという点でございますが、ここで言っております経済的混乱とは、一国における一定規模の経済上の悪影響を指すものであって、一国の経済全体が混乱に陥っているということを言っているわけではなくて、地域経済に一定規模の悪影響が生じるような事態もこれに当たると解されると考えております。
#80
○吉浦委員 登録制度について、お尋ねをいたしておきたいのです。
 許可証については、従来と違いましてソ連側に登録することになったわけでありますけれども、その意味するところは何なのか。いわゆるその登録に基づき、違反船等の拿捕という事態が生ずるおそれはないのかどうか、登録制度のソ連側の運用いかんによっては、ソ連による許可と全く同じじゃないかというふうに考えるわけであります。実態交渉においてこの点を十分注意してもらいたいと考えるわけでありますが、政府としてどのようにお考えなのか。
#81
○斉藤(達)政府委員 協定交渉の過程におきまして、許可する権限は日本が持っておる、それを行政的に確認するだけであるということをソ連側は何度か保証をしておるわけでございますけれども、先生御指摘のような懸念が実態交渉の場で全く出てこないとは言えません。したがいまして、そういうことのないように全力を尽くす所存でございます。
#82
○吉浦委員 利用状況の通報ということで、新しい協定で漁獲量の利用状況について通報することが明示されているわけです。昨年末に調印されました日ソ地先沖合漁業協定に基づく操業では、各船ごとに毎日の漁獲量あるいは出入の地域をソ連側に通報することになっておるわけでありますけれども、このための経費が相当なものであります。先ほど質問が出ていたとおりでありますが、サケ・マス漁業についてはこのようなことにならないように折衝してもらいたいと考えるわけでありますけれども、政府はどういう方針を持っていらっしゃるか。
#83
○斉藤(達)政府委員 漁獲量の通報の態様、どういうルートで通報するか、どういう間隔を置いて通報するかということは、今回始まります実態交渉の中で合意されることになっております。もちろん私どもといたしましては、サケ・マス漁業者に過剰な負担とならないように全力を尽くす所存でございます。
#84
○吉浦委員 科学視察員という項目がありまして、協定の第二条第七項を見ますと、ソ連の科学視察員に対し「便宜を与える。」との条文があるわけであります。従来からオブザーバーという制度がありました。我が国の母船監視船に乗船をして、実際上は漁獲数量等をチェックするなどの漁業監督官のような役割を果たしてきたのでありますが、このオブザーバーと今回の科学視察員とはどのように違うのか。科学視察員は、漁獲に関する科学的情報を収集するためのものであるというふうに協定に書かれておりますが、我が国の漁船あるいは漁業を監視し、監督するのではないという点を明確にしていただきたいと思うわけであります。
 また、科学視察員は、日本の漁船を一時的に訪問するというふうにされておりますけれども、従来のオブザーバーは、公海では漁期の期間中通して母船に乗船をしているのが実態であります。協定に基づきまして、科学視察員は一時的に訪問するだけであると解釈してよいのかどうか、この点をまず伺っておきたい。
 また、もしも母船以外の独航船並びに基地船等に科学視察員が乗船されるような事態になった場合に、設備もありませんし、また実情では漁船の改造等もしなければならないと思うわけでありまして、出漁時期が迫っているときにこれは絶対避けていただきたいと思うわけでありますが、政府の考え方をお尋ねしておきたい。
#85
○斉藤(邦)政府委員 ただいま御指摘のとおりでございまして、この協定第二条七項に書かれております科学視察員は、この規定にもございますとおり、遡河性魚種の漁獲に関する科学的情報を収集するために一時的に訪問するのでありまして、取り締まりのために公権力を行使するその他の公務員とは基本的に違うものでございます。
 それから、乗船の期間でございますけれども、この点もこの協定に書いてございますとおり、日本国の漁船を一時的に訪問することに合意をしている次第でございますので、我が方といたしましては、この訪問というのはあくまで一時的なものだというふうに考えております。
 第三点につきましては、あるいは水産庁の方からお答えする方がよろしいのかもしれませんが、御指摘のような実際上の不都合が生じることのないよう、日ソ漁業合同委員会等の場で十分ソ連側と協議をしてまいりたいと存じます。
#86
○吉浦委員 最後でありますが、第一義的利益と責任についてという条項でございますけれども、この協定の第二条第一項を見てまいりますと、遡河性魚種については母川国が第一義的利益と責任を有することが明記されておるわけであります。ソ連の経済水域に関する最高幹部会令を見ますと、遡河性魚種について、いわゆる外国の漁業水域に入った場合でも権利を有する、こう読めるのでありますが、一方、我が国の漁業水域に関する暫定措置法を見ると、外国の漁業水域には管轄権は及ばないというふうにされているわけであります。
 新しい協定では、母川国の立場を明確にしたのでありますが、ソ連の母川国としての権利は、本協定上、我が国二百海里内またはアメリカの二百海里内にも及ぶというふうに考えるのか、政府としてどのように解釈をされておるのか、これが第一点。
 また、我が国二百海里水域内のサケ・マス漁業の規制措置については、ソ連側との協議は必要ないと考えるのか、このような解釈でよいのかどうか、これが第二点。
 また、日ソ双方にも、自国の二百海里水域において他の国のサケ・マスの保存、管理に協力するという条項、二条の六項があるわけであります。これは、我が国二百海里内でソ連系のサケ・マスをとることについて、その規制措置をソ連と協議するというふうに解釈されるおそれがあると考えるわけでありますけれども、その点大丈夫なのかどうか、この三点お答えいただきたい。
#87
○斉藤(邦)政府委員 第一点につきましては、母川国の第一義的利益及び責任は、二百海里水域と異なりまして地理的な概念ではございませんので、自国の川に発生する遡河性魚種に対する第一義的利益及び責任というものは、他国の二百海里水域を排除するものではなくて、回遊全水域においてこれらの魚種に対して及ぶと考えざるを得ない次第でございます。しかしながら、日本を含めまして他国の二百海里水域におきましては、沿岸国が生物資源の保存等について主権的な権利を有しておりますので、具体的にはこの母川国の第一義的利益及び責任というものは、沿岸国がサケ・マス魚種の保存、管理について母川国と協力するという形で反映することになる次第でございます。この点は、この協定の第二条六項にも書かれている次第でございます。
 それから、日本の二百海里水域内において規制措置がどうなるのかという点でございますけれども、この協定にも書いてございますとおり、日本は、日本の二百海里水域内におけるソ連のサケ・マスに関しまして、その保存と管理について協力する義務を負っております。しかしながら、我が国の二百海里水域におきましては、我が国が漁業に関する管轄権を有しておりますので、この水域におけるサケ・マス漁獲に対する規制措置を定めるに当たりまして、これをソ連側と協議して定めるというようなことは必要ございません。
#88
○吉浦委員 最後に、外務大臣に決意のほどをお伺いして終わりたいと思いますが、この交渉が大変難航するのじゃないかというような心配をいたしておるわけでありますけれども、仮に早期に実態交渉が妥結をしたとしても、十八日かまたそれ以降だろうというふうに思うわけであります。そうなりますと、こうした情勢から、いわゆる先行き心配な点がありまして、四月の末には既に根室では船舶電器商等の犠牲者も出ているわけであります。出漁時期のおくれから、漁業関係者等の焦りは高まる一方でありまして、その深刻な事態を政府として私は最大限の努力をしていただかなければならないというふうに思うわけであります。
 そこで、先ほども、まだ今交渉中だから対策等は述べられないという次長の答弁でもありましたが、出漁時期が大幅にずれ込むということは、もう今年の漁獲量は大半損失をするということになるわけであります。いわゆる取り戻せないような状態になるわけでありまして、結果的には減船もやむを得ないという事態になろうというふうに思うわけであります。そこで、政治的な背景等もあろうと思いますけれども、水産業界の経営というものは現在でも厳しい上になお困難な状態になるわけでありますから、何らかの補償措置等もあわせて考えなければならぬのじゃないかというふうに思うわけであります。外務大臣の決意のほどをお伺いして、終わりたいと思います。
#89
○安倍国務大臣 今回の協定は、これからの基本的なサケ・マスの二百海里外の漁業の枠組みをつくっていかなければならない重要な意義を持っておりますから、日本としても腰を据えて努力を重ねてまいったわけでございます。したがって、おくれてしまったわけであります。その間にいろいろな業者、関係者の皆さんにも御心配をかけたわけでございますが、ようやく協定も批准の運びになりまして、早速、日本時間の今晩から実態交渉が始まるわけでありまして、政府としては、とにかくこの実態交渉を一日も早く妥結せしめる、そしてできるだけ日本の漁獲量の確保を図っていくということにまず全力を尽くしてまいる、こういうことでなければならぬと思います。
 今後の漁業のあり方、あるいはまたいろいろな対策等につきましては、これは農林水産省等とも十分相談をしながら政府全体として取り組んでまいらなければならぬ、こういうふうに思います。
#90
○吉浦委員 終わります。
#91
○愛野委員長 次に、木下敬之助君。
#92
○木下委員 日ソ漁業協力協定締結交渉は、昨年五月の交渉開始以来一年ぶりに合意に達し、無協定状態によるサケ・マス漁業の操業見送りという最悪の事態だけはどうにか回避されたわけで、御関係の、交渉に当たった皆様の御努力には敬意を表したいと思いますが、五月一日の出漁時期はすっかり過ぎてしまい、いまだに実態交渉に入れず、漁業関係者は大変いら立ちを覚えておられることだろうと思います。このような状態を招いたことはまことに遺憾でありまして、ここまで追い詰められた理由というのは、先ほどからいろいろな方がいろいろな角度から質問されております。私は、そういう交渉の中で、日本として最終的にどうしても譲れない点、最後まで譲れない点というもの、それは何であり、それをどういうふうに認めさせたのかをお伺いいたしたいと思います。
#93
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 これは新しい海洋法条約のもとにおきまして母川国の発言権が認められるという前提のもとに、公海における漁業についてどのような法的な枠組みをつくるのが適正であるかという点が、私どもとして最後まで一番関心を持って交渉に当たった次第でございます。
 そういうことで、今回の協定におきましては、その点のバランスはぎりぎりとれているものと私どもは考えておりまして、最後の案文の詰めの段階に至りますまで、今の問題点が一番大きな問題点でございました。
#94
○木下委員 いろいろと解釈がまた出てくると思いますが、少し確認をさせていただきたいと思うのです。
 母川国主義、これは一応サケ・マスというのが当然頭にあったことだとは思うのですが、結論として、サケ・マス以外のものも考えられるし、どういう形になっておるのかと思うのですが、これはどうですか、サケ・マスに限って出ておる問題ですか、それともほかのことも含めてですか。
#95
○斉藤(邦)政府委員 母川国主義という概念は、サケ・マスに限って該当する概念でございます。
#96
○木下委員 サケ・マスに限ってでしょうけれども、そのサケ・マスの産卵ということですか。たださかのぼるだけじゃなくて、産卵の川ですね。
#97
○斉藤(邦)政府委員 そのとおりでございます。
#98
○木下委員 ただサケ・マスに限ってと言われても、ほかにも同じような形で、川ではないけれども海岸に産卵して回遊する点もたくさんあるでしょうし、ウナギなんというのは、川にさかのぼるけれども産卵はたしか違う、東シナ海の奥かどこか深い海だと思いますが、今後いろいろな問題が起こってきそうな感じがするのです。
 そんな中で、私、ちょっと気になりますのは、母川国のそういう立場とそれから公海の立場というのを申されましたが、母川国で産卵してふ化させて、それは一種の放牧みたいなものですね。この間、あの大きさになる間、相当のものをいろいろ食べて育っているわけですね。日本の二百海里内にも相当の魚が通っていっている。その間、日本の領海といいますか、二百海里内の日本のいろいろなものを食べて大きくなっていっているわけですね。だから、公海の立場と、もう一つ領海内で、自分の庭の車やらまいた種まで食べて、我々日本は近海魚の放免もしておるわけですね、そういったものも食べながら大きくなっていっているかもしれない。こういった立場というのは、幾らか考えてやられたですか。
#99
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど、ソ連側の母川国の権利と公海における立場というものを中心に御説明申し上げましたけれども、確かに日本の二百海里内におきましても、ソ連のサケ・マスが入ってくるわけでございまして、その中で、日本が日本の漁獲をどういうふうに観念するかという問題も、もう一つの問題ではございました。最後まで、その点につきましてかなり折衝を重ねたわけでございますが、結果的に、海洋法条約に書いてございますように、二百海里内は主権的な権利の及ぶ水域でございますので、協力という形を通じてソ連側の発言権をも尊重していくという形で取り決めた次第でございます。
#100
○木下委員 いろいろな生態系が変わるでしょうし、全然とらなくたって、ソ連系のサケ・マス、大変多くなって、世界じゅうの海の大量のものを食べてますます育たれたのでは、全体の生態系にも影響があるでしょうから、科学的にも十分解明して、どうぞいろいろな権利を主張されるように望みたいと思います。
 そういうことで、今回こういう協力協定ができたわけですが、この協定をどう評価し、今後日ソ間でどのような漁業協力を進めていく考えか、お伺いいたしたいと思います。
#101
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 この協定につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、新しい海洋法条約の秩序のもとで双方の管轄権のバランスをどうとるかということが基本的な問題点でございましたけれども、その点につきましては、ぎりぎり、私どもの主張は貫き得たというふうに考えております。
 この協定は、御承知のように二つの柱から成っておりまして、第二条を中心とするサケ・マスについての協力の問題と、第三条以下の全般的な協力の問題との二つの柱から成っておりますので、この二つの間のバランスをとりながら、今後日ソのこの分野における漁業関係を安定していく必要があるというふうに考えている次第でございます。
#102
○木下委員 ぎりぎり、バランスはとれておられるということでございますが、第二条で母川国としての第一義的利益と責任は明記されておる。しかし、その二百海里水域の外側の水域における我が国の方の遡河性魚種を漁獲し得る、こういう点については明確には規定されていないような感じがするのですが、どうでしょうか。
#103
○斉藤(邦)政府委員 確かに、この二百海里の外側で日本国がサケ・マスをとる権利があるということは、明文では書かれておりません。しかしながら、ただいま御指摘の、経済的混乱をもたらす場合には例外だという規定がございますし、それから、この協定のもとでは、その原則を踏まえつつ、二百海里外での我が国のサケ・マス漁業の条件について、日ソ間で合意に達するため協議するという規定がございますし、また、その規制の実施に関する規定その他の関連規定も、いずれも我が国が二百海里の外でサケ・マス漁業を継続して行うということを前提としたものでございます。したがいまして、この二百海里水域の外側の水域において我が国が今後ともサケ・マス漁業の漁獲を継続するということは、十分明らかになっている次第でございます。
#104
○木下委員 この協定の第二条三項によって保証されている、このように理解していいわけですね。
#105
○斉藤(邦)政府委員 そのとおりでございます。
 つけ加えれば、この協定全体が、日本がそのような漁獲を行うことを前提として書かれているということも、もう一つの保証かと思います。
#106
○木下委員 しかし、そうはいっても、二条で定めておられます合意を尊重することを確保するために必要な措置をとることまで念入りに規定されておる、こういった点を見ると、余りにも母川国の立場を強めた規定の仕方ではないかと思うのですが、どうでしょうか。
#107
○斉藤(邦)政府委員 確かに、いろいろな規定が書かれておりますけれども、政府といたしましては、日本漁船が第二条に関する合意を遵守すること、こういう規定がございますけれども、これにつきましては、漁業法に基づいて日本漁船に操業の許可を与える際に、許可の条件を付すること等によって確保することとなりますので、このような規定があるからといって、母川国の立場が直ちに強まるということはないというふうに考えております。
#108
○木下委員 日本の川を母川とするサケも相当おると思います。この辺、今のところ、昔はいなかった大分南の川まで、放流すると戻ってきている例が少しずつできております。今後、日本も母川国としての主張もする必要もあるようになると思うのでありますが、そういったことは、水産庁の何か見通しとか、どういう考えを持っておられるか、今言える範囲で結構ですから、おっしゃってください。
#109
○斉藤(達)政府委員 近年、日本の河川におきますさまざまのふ化放流技術が非常に発展いたしまして、最近では三千万尾、トン数にいたしますと十二、三万トンのサケ・マスが、恒常的に日本の川に帰ってくるようになってきています。ただいまのところ、これを公海で表向き漁獲をしている国はないのでございます。ただ、そういう国が明らかに出てきました場合には、日本としてもしかるべき措置をとらなくてはいけないと思っております。
#110
○木下委員 日本は、これまで旧日ソ漁業協力協定に基づいて、七八年以降資源保護の立場から、遡河性資源の保全と再生産にも相当の協力を行って実績を積み重ねてきております。それにもかかわらず、今回の交渉でソ連側には、こういった我が国のこれまでの漁業協力に対する配慮というものは認められていないように思えるのですが、どういう状況でございますでしょうか。
#111
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 今回の協定が締結されました背景には、ソ連側としてやはり従来の協力の実績にもかんがみ、またそれに対する一応の評価をした上で、今後とも公海における日本のサケ・マス漁業の継続を認めるという大きな決定をした上でこの協定を結んでおりますので、その背景におきまして、またこれからもそういう意味での配慮は協定上もそれなりになされておるというふうに、私どもとしては考えております。
#112
○木下委員 今回締結された日ソ漁業協力協定に基づいて設置されることになっております日ソ漁業合同委員会、これで我が国の漁業協力に対する立場をどのように反映させていく考えか、また、この日ソ漁業合同委員会の性格並びに日本側代表任命などについてはどのように考えているのか、お伺いいたします。
#113
○都甲政府委員 お答え申し上げます。
 サケ・マスにつきましては、従来は政府間交渉でやっていたわけでございますけれども、今回、これを実務的な処理をするという見地から、日ソ合同委員会というものを設けましてその中でこれを処理していくということでございますので、いろいろな実態問題、手続問題等を含めて、この中で総合的に検討処理されていく次第でございます。
 そこで、本協定が今次国会の御承認を得ましたら、直ちにこの委員の発令の手続をとりたいと考えておる次第でございますが、現在、代表としては佐野水産庁長官、それから代表代理といたしましては外務省から私が、水産庁からは中島海洋漁業部長が任命されることが予定されております。
#114
○木下委員 この協定は、二大漁業国としての日ソ両国が海洋法条約を踏まえて初めて締結した二国間協定であり、漁業分野におけるモデルともなるべき協力協定でございますが、新しい海洋秩序の形成にどのような影響を及ぼすと考えておられるか、お伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
#115
○斉藤(邦)政府委員 御指摘のとおり、この協定は、国連海洋法条約の規定を念頭に置いて締結された協定でございます。この協定が今後の漁業秩序全体にどのような影響を及ぼすかという点は、現時点で即断することは困難でございます。この協定がどのように運用されていくかということが非常に大きな影響があるかと存じますので、我が国といたしましても、我が国の利益に害することのないよう、その点については慎重に対処していきたいと考えております。
#116
○愛野委員長 次に、田中美智子君。
#117
○田中(美)委員 まず、大臣に質問いたします。
 今度の日ソ漁業協力協定の第二条の3の(1)、この点にちょっと問題があるというふうに私は思うわけです。と申しますのは、今度の協定は海洋法条約を基礎にして、そういう体裁でつくられたというふうに思っておりますが、この海洋法条約の六十六条の3の(b)、ここに「当該他の国の経済的混乱を最小にするために協力する。」ということがあるわけですけれども、ここのところが先ほど言いました二条の3の(1)には抜けているというふうに思います。これは、先ほどからの質問を聞いておりますと前提にしているんだというふうに受け取れましたけれども、なぜここのところがきちっと書き込まれていないのか、これは問題ではないかと思います。この点、お答え願います。
#118
○斉藤(邦)政府委員 海洋法条約六十六条の規定のただいま御指摘の点がこの協定に書かれていないというのは、そのとおりでございます。交渉の過程におきまして、この規定をどうするかという点は政府としても非常に慎重に検討した結果でございます。この結果、もしこの規定を入れるといたしますと、ソ連側は、日本の通常の漁獲量、操業の形態それから操業が行われてきた水域、これを考慮して経済的混乱を最小にするため協力するという規定を入れることになるわけでございますが、慎重に考えました結果、このような規定を入れますと、経済的混乱をどのようにして、それからどの程度小さく抑えるか、これは母川国であるソ連の一方的な裁量にゆだねられるというニュアンスがどうしても出てまいりますので、この規定は入れない方がいいというふうに判断した次第でございます。
#119
○田中(美)委員 やはり文字でこれを入れないと、ニュアンスとかなんとかと言っても、何で一体担保されるのか、日本国の権利はどのように担保されるのか。結局、母川国の権利はしっかりと海洋法で、お互いの国は今のところ署名しているわけですから、これを認めた。これはしっかり認めたけれども、日本のところは文章から除いた方がいいというのはどういうことなんですか。
#120
○斉藤(邦)政府委員 ただいまの点についての我が国の立場というのは、ソ連側が日本の漁獲量、操業形態それから操業水域を考慮するというただいまの規定、これによりまして我が方の立場は十分確保されると判断した次第でございます。具体的には、今後の日ソ漁業合同委員会における討議におきまして、我が国の立場を最大限確保すべく政府として努力をしていくということになる次第でございます。
#121
○田中(美)委員 今のお答えは私の質問の答えになってないのですが、大臣、ここのところが一番大事ではないか。やはり国というのは、お互いに対等、平等の立場でやるべきだ。この海洋法の中身は別としましても、これはお互いに認めているわけですから、母川国の義務というものを、権利というものを認めるならば、やはりこの経済的混乱があるということは――日本は、今まで魚を食って生きてきた国なんですね。ですから、いわば既得権という言葉を使うことがいいかは別として、やはりそれがあるからこそ、こういう条項が海洋法に入っているんじゃないですか。それがこの協定から除かれているということは陳情交渉にならないか。今夜からやられる実態交渉が厳しい、厳しいと言うわけですけれども、なぜ厳しいのか、こういうところのきちっとした権利というものをお互いに認め合って対等、平等でやっていけば、厳しくないんではないかと思うわけですけれども、もう最初に厳しい条件をつくっているんではないか、私はここに非常にこだわるわけです。
#122
○斉藤(邦)政府委員 我が国の権利というのは、この二条三項の(1)、すなわち二百海里の外側では漁業は原則として行わないけれども、その規定の適用が母川国以外の国に経済的混乱をもたらす場合はこの限りでないという規定によって確保されているわけでございます。
 ただいま御指摘の条項は、繰り返しになって恐縮でございますが、これをそのままここに入れますと、あたかもソ連側が一方的にいろいろな、漁獲の条件等につきまして決める裁量権を有するふうにも解釈されかねないというふうに考えましたのでここに入れなかった次第でございまして、ねらいとするところはまさに田中委員御指摘の点と同じでございます。
#123
○田中(美)委員 私は、やはりここのところに非常に疑問点を持つわけです。ですから、次の(2)のところになりますけれども、「この目的のための経費を負担している場合」「特別の考慮を払う。」というところがあるわけですが、こういうものは入漁料ではないにしても金を払っている。これは基礎がきちんとしていないと、これに対して次々にとらしてやるから金をもっと出せ、こういうふうにならないか、この点はどうお考えでしょうか。
#124
○斉藤(邦)政府委員 現在までも協定上の規定はございませんけれども、我が国がとっておりますサケ・マスの大部分がソ連起源であることにかんがみまして、大日本水産会が協力費という形で一定の資材等の供与をしているわけでございます。今度の協定のもとにおきましても、このような実態を踏まえまして、我が国がこのような形でソ連側の再生産措置に参加して経費を負担している場合には、ソ連側が特別の考慮を払わなければならないということを規定した次第でございまして、この点も、この協定に基づいて行われます我が国漁業、これが少しでも我が方に有利になるようにという趣旨で入れられた規定でございます。
#125
○田中(美)委員 またちょっと、質問にきちっと答えていられないと思うのですけれども、私は漁獲量のことを言っているのではなくて、結局、とる権利が日本にあるにもかかわらず、とらしてもらうためには金を出すのだ、これだけ金をどんどんつり上げられていく、こういうふうになれば、魚は非常に高いものになっていくわけですから、この点は大丈夫なのかと言っているわけです。
#126
○斉藤(邦)政府委員 日本が漁業を行う権利というのは、別のところで規定されているわけでございます。この協力費のところは、ソ連側として日本側に配慮しなければいけない項目の一つとして入れたわけでございまして、ちなみにこの規定は、国連海洋法条約第六十六条にもそのままの形で書かれている次第でございます。
#127
○田中(美)委員 そうしますと、これはお金をつり上げられるということはなくて、必ず漁獲量が確保されるということを保証しているということですか。
#128
○斉藤(邦)政府委員 繰り返しで恐縮でございますが、漁獲そのものは別途保証されておりまして、ソ連側としてこれから考慮に入れなければいけない項目の一つとして、日本がお金を払っていることというのが掲げられているわけでございます。
 ただいまの御質問、お金を払っているから漁獲量が確保されるのかという点につきましては、この規定が実態上、実際上の効力をどれだけ発揮するかということは、今後の日ソ漁業合同委員会における協議いかんということになるかと存じます。
#129
○田中(美)委員 そうじゃないですか。今後の交渉いかんになるということは、やはり日本の権利というものが文書の中にきちっとないということが、これがどのように解釈されても、結局金を払わなければとれなくなるというふうな心配が出てくるわけです。今度の交渉の中でうんと頑張ってほしいわけですけれども、こういうあいまいなことをしてくるから、厳しいことになるのではないかというふうに思います。
 そのために今の漁場の問題、先ほどからもお話が出ておりましたが、冷たい方にどんどん行くわけですから、十日間おくれたということで、結局去年でも三分の一の漁獲が減っているわけですね。今度もこんなに長く日にちが延びますと、魚の留守のところにとりに行くということになってしまいますので、やはり漁場をもっと北へ上げていくというこの交渉は、今度の中でしっかりとやってきていただけるのでしょうか。その点大臣、しっかりお答え願いたいと思います。
#130
○斉藤(達)政府委員 漁場の問題は水産庁が非常な関心を持って交渉いたしますので、水産庁からお答えさせていただきます。
 御指摘のとおり、今までの特に中型流し網漁船と言われるものの操業は、四十四度を北限としておったわけでございますけれども、現在業界は、四十四度と四十八度の間でとらしてほしいということを言っております。それにつきましては、御指摘のようにサケ・マスは北の冷たい海を好む。季節、月にもよりますけれども、五月から六月にかけて確かに北の方へ上がっていくわけでございまして、しかも北へ上がっていく過程で一匹当たりの魚体が大きくなるわけでございます。それからとったときにも、キロ当たりの価格が大きい魚の方が高いというようなことはございます。
 そのような資源上の事実それからまた経済的なメリット、そういったことを背景に漁場転換論を展開していくわけでございますが、ソ連側におきましては、北に上がりますと、魚群が特定の魚種に絞られていくおそれがある、それからまた、北の線だけを決めた今までの状態と比べまして、北の限界と南の限界を決める場合には、取り締まり上の困難が増すのではないかというようなことを言いまして反対をしております。ただ、これは私どものサケ・マス業界の悲願でございます。水産庁としても、懸命の努力をいたしたいと思っておるわけでございます。
#131
○田中(美)委員 どこにでも線を引くことができるのなら、北へ行ったって線を引くことができるわけじゃないですか。そこのところを、漁場を北へ上げていくということをきちっとしない限り、魚の留守のところにとりに行ったってとれっこないわけです。十日おくれただけでも、去年は三分の一減っているわけです。
 今度の問題は、北海道の漁民にとっては二百海里問題が起きて以来の大問題だということで、きょう十三日からですが、道議会では関連産業がどれくらい損失するかということで大々的な調査をやるということを聞いておりますが、これに対して、このようにおくれたということはやはり政府の責任があるというふうに私は思いますので、こういう漁民や関連産業に対する国の補償というものを今からしっかりと考えていただきたいと思います。
 この点についての御回答を大臣にお願いします。
#132
○安倍国務大臣 いろいろと御質問がございましたが、今回は母川国であるソ連の管轄権の問題と既得権を主張する日本の漁獲国としての立場との間をいかに調整するか、いわゆる新海洋法条約のもとにおいて、この調整について日本は日本の国益を守っていかなければならぬということで交渉が難航したわけであります。結論的に言えば、漁獲国としての日本の主張を貫くことができたと思いますが、実態交渉は、これまでもサケ・マスの議定書においても毎年繰り返しておるわけです。またことしも、実態交渉でいろいろと今まで答弁をいたしましたような問題がありますが、また難しい問題も横たわっておりますが、まず政府としては、今晩から始まる実態交渉の早期解決といいますか、いっときも早い解決のために全力を尽くすということでございます。
#133
○田中(美)委員 補償についてのことはどういうことですか。補償のことを考えているかということです。漁場も変わらない、日にちがおくれれば減ることは決まっている。
#134
○安倍国務大臣 まだ補償とかなんとかという段階じゃなくて、まず実態交渉をいっときも早く解決するということが政府の最大の責任です。
#135
○田中(美)委員 そのようにお逃げになるならばやむを得ませんが、これは今からどんなにやったって、もう五月一日から大分おくれているわけですから、減るということはもう間違いのないことです。ですから、それに対する補償というのは今後の問題として大きく残っておりますので、何としてもこれをきっちりやっていただきたいと思います。
 今大臣が、日本の言い分が通ったと言っていられますが、私は、どう見ましてもこれは、お互いに署名をしている海洋法条約よりも後退しているのじゃないかと思うのですけれども、何が入ったのか、これをお聞きしたい。
#136
○斉藤(邦)政府委員 海洋法条約の規定に比べまして、日本側が不利になっているということは全くございません。
 何が入ったんだという御質問、ちょっと御質問の趣旨がわかりませんが、海洋法条約の規定がほとんどそのまま妥当する部分は入っている次第でございます。
#137
○田中(美)委員 じゃ、時間ですので質問を終わりますが、全力を挙げてこの産業と漁民のために頑張っていただきたいと思います。
#138
○愛野委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#139
○愛野委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。
 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#140
○愛野委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#141
○愛野委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#142
○愛野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十一時四十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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