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1984/05/31 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第17号
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1984/05/31 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 外務委員会 第17号

#1
第102回国会 外務委員会 第17号
昭和六十年五月三十一日(金曜日)
    午前十一時三十二分開議
出席委員
  委員長 愛野興一郎君
   理事 奥田 敬和君 理事 北川 石松君
   理事 野上  徹君 理事 浜田卓二郎君
   理事 井上 普方君 理事 土井たか子君
   理事 玉城 栄一君 理事 渡辺  朗君
      石川 要三君    鯨岡 兵輔君
      佐藤 一郎君    中山 正暉君
      仲村 正治君    西山敬次郎君
      山下 元利君    金子 みつ君
      河上 民雄君    小林  進君
      八木  昇君    草川 昭三君
      岡崎万寿秀君    田中美智子君
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  中曽根康弘君
        外 務 大 臣 安倍晋太郎君
 出席政府委員
        内閣法制局長官 茂串  俊君
        内閣法制局第三
        部長      大出 峻郎君
        内閣総理大臣官
        房参事官    松本 康子君
        防衛庁教育訓練
        局長      大高 時男君
        沖縄開発庁総務
        局長      関  通彰君
        外務大臣官房長 北村  汎君
        外務大臣官房審
        議官      斉藤 邦彦君
        外務省欧亜局長 西山 健彦君
        外務省中近東ア
        フリカ局長   三宅 和助君
        外務省経済局長 国広 道彦君
        外務省国際連合
        局長      山田 中正君
        文部省初等中等
        教育局長    高石 邦男君
        厚生省保健医療
        局長      大池 眞澄君
        厚生省薬務局長 小林 功典君
        農林水産省農蚕
        園芸局次長   畑中 孝晴君
        運輸省航空局次
        長       山田 隆英君
        労働省婦人局長 赤松 良子君
 委員外の出席者
        法務大臣官房参
        事官      米澤 慶治君
        外務大臣官房審
        議官      木幡 昭七君
        外務大臣官房文
        化交流部長   荒木 忠男君
        文部省初等中等
        教育局職業教育
        課長      菊川  浩君
        通商産業省通商
        政策局経済協力
        部経済協力企画
        官       長島 英雄君
        自治省行政局公
        務員部公務員第
        二課長     安田 達男君
        外務委員会調査
        室長      高橋 文雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月三十一日
 辞任         補欠選任
  岡田 春夫君     金子 みつ君
  大久保直彦君     草川 昭三君
同日
 辞任         補欠選任
  金子 みつ君     岡田 春夫君
  草川 昭三君     大久保直彦君
    ―――――――――――――
五月三十一日
 核時代を研究する世界規模の平和研究所新設に
 関する請願(河野洋平君紹介)(第四九三二号
 )
 核兵器の全面禁止実現等に関する請願(岩垂寿
 喜男君紹介)(第四九七五号)
 ILO未批准条約の批准に関する請願(河上民
 雄君紹介)(第五〇三二号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関す
 る条約の締結について承認を求めるの件(条約
 第一二号)
     ――――◇―――――
#2
○愛野委員長 これより会議を開きます。
 女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約の締結について承認を求めるの件を議題とし、質疑を行います。
 この際、各質疑者に申し上げます。
 質疑時間につきましては、理事会申し合わせのとおり厳守されるようお願い申し上げます。
 なお、政府におかれましても、質疑時間が限られておりますので、答弁は簡潔明瞭にお願いいたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。北川石松君。
#3
○北川(石)委員 限られた十分間ではありますが、質問の機会を与えていただきまして深く感謝をいたします。
 女子差別撤廃条約が昭和五十五年七月十七日に署名されて約五カ年になります。国会での批准を控えまして、総理のお考えをお聞き申し上げたいと思います。総理、いかがでございましょうか。
#4
○中曽根内閣総理大臣 この条約を批准するという基本方針を我が政府は掲げまして、そのための国内法の整備に今まで全力を尽くしてまいりました。今回、雇用機会均等法の成立を見まして、その準備がいよいよできたという関連のもとに今批准をお願いしている次第でございまして、七月のナイロビ会議までにはぜひ成立させていただきたい、そう念願しておる次第でございます。
#5
○北川(石)委員 七月のナイロビまでにぜひともという総理のお言葉ではございますが、総理は、この条約の内容について見られたでございましょうか。いかがでございましょう。
#6
○中曽根内閣総理大臣 べっ見はいたしましたけれども、詳細に読んだというところまではいっておりません。
#7
○北川(石)委員 詳細に見られなかったことは、お忙しいからやむを得ませんが、ただし、遺憾であると思います。
 と申しますのは、内容が大変広範囲にわたっておりまして、所変われば品変わるといいますし、その国その国によって、風土も違えば長年の歴史的慣習も違います。その内容の一つ一つを分析いたしますと、これは日本に適しておる、これは適していないな、こういうことを見受けるのであります。そういう点において、総理は、臨教審を持たれ、また新しい二十一世紀ということを常におっしゃっておりますが、この条約が批准された後に、日本国内に醸し出されてくるであろういろいろなものを想定いたしまして、どのように、お考えでございますか。
#8
○中曽根内閣総理大臣 この条約は、我が憲法の基本精神と合致している条約でございまして、そういう意味で、できるだけ早期にこれを批准させることは望ましい、国民にも歓迎していただけるだろうと思います。
 内容につきましては、母性保護という面については女子の特異性を認めておりますが、それ以外の点につきましては男女無差別ということを原則にして、女子の基本的人権あるいは人道主義という面の精神に合致しておる条約である、そう考えて、我々はこれを早く批准すべきものと考えておる次第でございます。
#9
○北川(石)委員 これは例えばでございますが、昔から言われている言葉に上州空っ風かかあ天下、こういう言葉があります。私の方では、至ってがさつではございますが、子供の時分から、ど根性とかどめろう、あるいはどあほう、と突いたろか、あほんだら、すかたん、いろいろな悪いような言葉が長年の歴史の中に生きておる。これは、あるいは徳川幕府時代からのいろいろな空気がそのようなものを醸したのかもしれない。
 私は、この条約が締結されることは大変うれしいことではございますが、戦後、靴下と女は強くなったとか言われる中で、男性がひ弱くなったとかいう言葉もちまたに聞かれます。こういうことを思いますときに、しつけというものが大変大事ではないか、そして、しつけていくところの要素は母親にあると思うのです。母親が子供の中に愛情を注ぎながら子供を育てていくしつけが今日失われていくのじゃないか、こういう思いをいたすのでございますが、いかがでございましょうか。
#10
○中曽根内閣総理大臣 その点は、あなたと同感であります。
 教育は、まず家庭が行うべきものであり、家庭の中でも、しつけというのは母親の受け持つ部分が非常に大きいと考えております。
#11
○北川(石)委員 そういう点で私は、妻の力は家の力、家の力は妻の力、こういうことを聞くにつけましても、この条約が批准された後において日本の女の方たちが、この条約が批准されたがために、ただでさえ心配されるような男性のひ弱さがだんだんと目立つと言われているときに、こういうことのないように、日本の中に独特のよりよいムード、おのおのが自分というものを厳しく見詰めながら社会秩序を打ち立てていっていただきたい。長幼おのずから序ありという言葉がありますので、その点をお願いしたいと思います。
 限られた時間というのは、言いたいことがたくさんあっても言えない、まことに残念であります。
 先ほど総理は、内容を全部見ていないと言われましたが、十一項にあることです。これは、女性が第二次大戦後非常な戦争嫌いの中に――男性はもちろん自分の一命をささげるのでありますけれども、女性は自分の夫が死ぬ、あるいは戦争というものは男性によって醸し出されたような思いの中で苦しんでまいりました。そこで、十一項にあるのは軍縮の項でありますが、御承知でありましょうか。
#12
○中曽根内閣総理大臣 私は、内容を深く読んでおりませんので、お答えするに十分の知識を持っておりません。もし必要があれば、政府委員をして説明申し上げます。
#13
○北川(石)委員 その時間がもったいないから私から申し上げておきますが、十一項に軍縮の規定が挿入されておるのですね。その中で核軍備の縮小ということがうたわれておる。これは、この間本会議でも議決をいたしました。世界の人類が最も幸せでなくちゃいけない。それは、人間と語り得ない木々に至っても、小鳥に至りましても、流れておる川の魚に至りましても、生きとし生ける権利があると私は思う。この大自然を破壊する核というものは使用されては困る。時たま世の中には抑止力ということが言われておる、軍備の強さによって戦争を抑止するんだと言われておりますが、私は、人間の知性が抑止するところの強さを持たなくちゃならぬ、このように考えるのであります。欲望をとめるところの知性というものが必要であろうと思います。
 そういう点におきまして、サミット洪水時代とか言われますが、ひとつ思い切って日本で世界の御婦人たちを呼びまして、軍縮サミットをやろうじゃないかというようなことを、総理あるいは外務大臣において各国に提唱されるお考えはおありでございましょうか。
#14
○安倍国務大臣 これはもう男女の性別を問わず、軍縮というのは世界人類の大課題であると思います。日本も真剣にこれに取り取んでおるわけであります。今、米ソでも核軍縮交渉が進んでおりますし、戦後四十年たった国連総会におきましても、この軍縮問題というのは恐らく大きな課題になっていくのじゃないか。そうした世界の軍縮の問題は、米ソが直接に交渉しておりますが、やはり世界の問題として国連あるいは軍縮会議、そういうところで広く各国が集まって、真剣にこれからも論議していかなければならぬ課題だと思います。
#15
○北川(石)委員 あと一分間でございますから、ただいま安倍外務大臣がおっしゃられたことを前向きで検討していただく、こういうことをお願いしておきたい。
 それから、先ほど総理がナイロビで開かれる国連婦人の会議までにとおっしゃったのですが、このナイロビで開かれるのを想定いたしまして、ホテルが日本の業者によって全部買い占められているということがちまたに聞かれるのであります。これはまことに好ましいことじゃない。営々として戦後築いてまいりました日本の世界各国に対する信頼が、ナイロビの婦人の会議によって一朝に失われるおそれがあると思うのでありますが、これに対して政府において対処するお考えはございましょうか。
#16
○安倍国務大臣 そこまでは聞いておりませんが、ナイロビの会議というのは、世界の歴史、女性の歴史に新しい一ページを開くということもあって、特にこの条約が批准されるという想定もありまして、日本からも三千人近くが参加しそうだというふうなことも聞いております。したがってそういう中で、ホテル等についてもいろいろと予約もされておるのじゃないかと思いますが、日本だけが独占するとか日本が非難される、そういうことのないように政府としてもその点はよく注意してまいりたいと思います。
#17
○北川(石)委員 大変ありがとうございました。時間でありますので、終わります。
#18
○愛野委員長 次に、土井たか子君。
#19
○土井委員 今の質疑応答を承っておりまして、まず私は、抽象的なことじゃなくて具体的なことでひとつ総理大臣の御認識を伺わせていただきたいと思うのです。
 総理大臣、御存じだと思いますが、ゴルフ場の中で女性を締め出すゴルフ場がございます。実は当委員会でも大変問題になりました。二十五日に行われました外務省幹部と在京の各国大使の間での、外交団とのコンペの問題であります。森山眞弓外務政務次官が女性であるという理由だけで、このコンペに入ることを拒否されたということがゴルフ場の取り扱いの上から出てきたわけであります。
 まずお伺いしたいのは、もう総理大臣もよく御存じだと思いますが、こういう問題についてどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
#20
○中曽根内閣総理大臣 私も新聞で拝見いたしましたが、ゴルフとかトランプの仲間とかああいうようなものは趣味の世界でありまして、男女差別というものとちょっと隔たりがある世界ではないか。特に、英国あたりではそういうような長い伝統のある部分もございますし、クラブなんかでも女性を入れないとかあるいは英国人だけで集まるクラブであるとか、そういうような伝統もございまして、ホビーの世界というものはそれほど目くじら立てる必要もないのではないか、そういうように感じております。
#21
○土井委員 先ほど総理大臣は、余りよく条文を読んでおりませんということを正直に告白されているわけでありますが、なるほどよくお読みになっていらっしゃらないのです。今回この条約を締結するに当たりましては、行政の長としての内閣総理大臣の責任たるや重大でございまして、この条約の中身がどういうことを決めておるかということはやはり知っておいていただかないと、これは批准する意味が実はございません。批准してから後の努力も問われるわけですからね。
 十三条というところを見ますと、この条約では「レクリエーション、スポーツ及びあらゆる側面における文化的活動に参加する権利」を女子に対して差別してはならない。「差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとる。」と書いてあるのですよ。「締約国は、」でございますから、国に対して問うているわけであります。今総理大臣のおっしゃったホビーにしたって、レクリエーションにしたって、全部ここの中に入ってくるわけでありますが、十三条が決めている中身にばっちり入るのです。森山次官も、そのことをきちっと認識しておっしゃっていらっしゃるのです。私もそのとおりだと思うのです。これは十三条からしたら許されないですよ。いかがでございますか。
#22
○中曽根内閣総理大臣 たしか条約の中に、社会の慣習云々という言葉もあったと思います。しかし、私の感じでは、そういうトランプの仲間とかゴルフの仲間とかそういう仲間づき合いというような世界は、それぞれぞれの特殊性を持たしておくのが社会が豊かになるゆえんではないか。女性はまた女性同士でいろいろおやりになって、男性を入れないというそういうものもなきにしもあらず、それはそれでまた結構であると思うのです。それが公的な、公式の問題になりますとこれは別でございますけれども、個人同士が友人同士でいろいろホビーをやる、そういうような場合はまた別のジャンルに属するのではないかと思いますが、詳細については政府委員より答弁させます。
#23
○土井委員 ちょっと総理大臣の御認識というのは、違っていると思うのですね。これは、ゴルフ場の取り扱い方というのは個人の私的な問題では実はございませんで、ゴルフ場の存在というのは、れっきとした社会的な存在じゃないでしょうか。そうして、個人の単なる嗜好だとか単なる遊びの問題ではなくて、今回は外交的な一つの仕事の場所になっているわけですよ。外交的な一つの仕事の場所において政務次官の果たされるお役割というのは、事重大であります。政務次官が女性であるからといって外交的な役割を果たすことができないということになりますと、総理大臣、これはゆゆしい問題じゃございませんか。単なる私的な問題とか単なるホビーの問題と言って済ますわけには絶対いかないことだと私は思いますが、どうでございますか。
#24
○中曽根内閣総理大臣 これはパブリックのゴルフ場だとちょっと性格が違ってくるように思いますが、パブリックではなくて、会員同士が自分たちでお金を出し合って、そして規約を決めて、役員を決めて、そして自主的に運営しているというプライベートな場所でございます。それぞれみんな税金も払ってやっておるということでありますから、私は、ホビーの世界というものは特別の関係として考えていいのではないか。よくクラブあたりでも、男性だけで集まっているクラブもありますし、女性だけで集まっているクラブもございます。社会というのはその程度の余裕を持たせていいのではないか、そう考えております。
#25
○土井委員 これは余裕の問題じゃございませんで、民間の組織や民間の団体のいろいろな取り決めや運営についても、これは単なる個人の問題とかプライベートな問題というふうに過ごすわけにいかないというのが憲法の趣旨であり、まさに今回の条約の中身なんですよ。したがって、そういうことからいたしますと、男性だけが集まって女性を締め出すことを決める規約、逆に女性だけが集まって、男性だからといってどんな男性であっても絶対入れないということを決める規約、これは今後変えていくということが問われている条約なんです。余裕の問題と今総理大臣がおっしゃった中身は、まるで違うことを履き違えておっしゃっているように私は思います。
 森山政務次官は、今回七月のあのナイロビの国連会議における日本の政府代表なんです。こういう行き方をとっているゴルフ場というのは、一つではなくほかにもあるようでありますけれども、あえて訴訟も辞さないというところまで覚悟されている。私は問題は、だから今外務大臣がおっしゃったようなプライベートな問題ではないという側面を、もっと認識をしていただかなければならないと思いますよ。私自身は、女性だからということでなしに、森山次官のこの問題に対する認識に対しては、全面的にそのとおりだと思っています。総理大臣、どうでございますか。
#26
○中曽根内閣総理大臣 関係者や当事者がそういうお考えを持つことは一つの御見識であり、ある意味においては啓蒙的効果も持っておる、そう私は思いますが、民法上の私契約でやっておるようなものにつきまして、そこまで及ぼし得るかどうか。やはり私らも、ホビーとか人間の趣味とかいう世界は、それなりにまた尊重されていい要素もある。ただ、パブリックの場合は性格は多少違うだろう、そういうように考えておりまして、その点は同情はいたしますが、やはり土井さんとちょっと考えの違うところがあると思います。
#27
○土井委員 これは、この条約を批准する値打ちのない総理大臣のいる国だということを言わざるを得ないと思いますよ。公的な問題ならいざ知らず、私的な問題だったら全部これは条約の綱から外れてしまって、民法でどう決めているかということの方が優先的に考えられるとか、今までの慣習とかプライベートに考えられる問題の方が優先的だという認識が、どうも総理大臣の胸の中や頭の中におありになるようであります。しかも、その発想たるや、従来、今日まで続けられてまいりました男性本位の物の考え方がどうも抜けていない。
 今回のこの条約で問われているのは、まさに個人の問題についても民間の問題についても、慣習やならわしについてまで、男性だから女性だからという従来の固定した観念を認めるわけにはいかない、それをなくしていくことに、差別を撤廃するということの基本があるのであるということがちゃんと明記されているのです。
 どうも、先ほどはちょっとは読みましたがとおっしゃっていますが、全くこの条約については読まれていないという感じがいたします。読んでもわからないということであるのかもしれません。総理、総理のお考えというのは、その点はまことにこの条約にそぐわないお考えですよ。同情なんて、そんなもの要りません。物に対するまともな目を持って見ようということをお考えいただきたい。それであればこの問題に対してもっと、それこそゆとりのある物の考え方ができようと私は思います。
 さて、そういうことからいたしますと、この条約については余りお読みになっていらっしゃらない、その総理大臣にお尋ねを進めても無意味なような感じがいたしますけれども、二条に、「女子に対するあらゆる形態の差別を非難し、女子に対する差別を撤廃する政策をすべての適当な手段により、かつ、遅滞なく追求することに合意し、及びこのため次のことを約束する。」とまず書いてございまして、「女子に対する差別となる既存の法律、規則、慣習及び慣行を修正し又は廃止するためのすべての適当な措置をとること。」と書いてございます。これをどのように総理大臣としては受けとめて努力をなさいますか。
#28
○中曽根内閣総理大臣 そのポイントは、この条約の一つの基幹部分をなすものであると認識しております。したがいまして、その国の国情とか伝統とか社会的慣習とか、いろいろのものがあると思います。ですから、Aの国に適用するものがすぐBの国にそのまま適用するとは限らない。それは、独立主権国家としての立場というものは留保されていると思いますが、その条約の精神を最大限に活用しつつ今の趣旨を生かしていくように、法令の修正なり再点検を行うべきものであると考えます。
#29
○土井委員 再点検をどういう方向で行われますか。
#30
○中曽根内閣総理大臣 つまり、差別撤廃の方向で検討すべきものであると考えます。
#31
○土井委員 そうすると、差別撤廃の方向で検討するということまで言われるわけでありますから、女性であるがゆえに――ほかに何の理由もないんですよ。女性であるがゆえに締め出すということはいかがでございますか。
#32
○中曽根内閣総理大臣 今申し上げたとおり、仲間が集まって、趣味あるいはホビーといいますか、そういう世界というものは別なものではないか、その辺がふっくらした社会を維持しているゆえんではないかというように、先ほどから申し上げているとおりなんであります。
#33
○土井委員 そういうのはホビーとかなんとかいろいろおっしゃいますけれども、それも慣習とか慣行ということの中に入りませんか。
#34
○中曽根内閣総理大臣 趣味とかなんとかという場合は、いわゆる制度的な慣習とかなんとかというものとちょっと距離があるように思います。
#35
○土井委員 それも制度的な慣習の中で考えられていくという部面は否定できないと思われますが、これはいかがでございますか。
#36
○中曽根内閣総理大臣 制度的というような性格は、ちょっとないと思うんですね。やはり横の広がりで、横断的にそういう人間が集まって、そのときにそういうクラブをつくって、そしてみんなで楽しもう。そういう考え方の共通の者がみんなでやりたいというもので、別に社会の公安を害しているというようなものでもないと思います。
#37
○土井委員 公安の問題を引っ張り出しておっしゃるというのは、これは的外れも甚だしいと思うのです。
 今度の条約の十三条にははっきり、レクリエーションに参加する権利というのに、女子に対して締め出してはならないという趣旨が書いてあるんですよ。先ほどおっしゃったホビーというのはレクリエーションでしょう。その中に入るでしょう。まあ、これは正直に申し上げてお読みになっていらっしゃらないと思いますから、批准するまでに条約の十三条というのに、ひとつきっちり目をお通しいただけませんか。この条約の中身に対して総理大臣、もう一度吟味をいただけませんか。いかがですか。――それはもういいです。総理大臣に私は言っているのです。あなたはいいです。
#38
○斉藤(邦)政府委員 条約の解釈にかかわる問題と思われますので、ちょっと御説明を……。
#39
○土井委員 もういいです。あなたを私は指示をいたしておりません。それは総理大臣に言っている。
#40
○愛野委員長 ちょっと事務説明として。斉藤審議官。
#41
○斉藤(邦)政府委員 委員長の御指名をいただきましたので御説明いたしますが、この問題は総理が申し上げたとおり、法の介入が想定されていない私的自治に属する事柄と考えておりますので、私的なクラブがみずからの規則をもって会員資格を男だけに限るとか女だけに限るとか、こういうことをもって直ちに条約に違反するというふうには考えていない次第でございます。
 御指摘のとおり、この条約には私的な団体についての規定ももちろんあるわけでございますけれども、御指摘の十三条にレクリエーションに関する規定があるのもそのとおりでございます。ただ、この条約は、女子に対する差別を撤廃することを目的としているものでございまして、その差別につきましては第一条に定義がございまして、女子に対する区別であって、かつ、女子が基本的な人権を享有することを妨げるようなものを差別というふうに規定しているわけでございます。我々といたしましては、このような私的なクラブがみずからの規則で男だけに会員を限るということは、この第一条に言う差別に当たらないと考えている次第でございます。
#42
○土井委員 第二条の条文からすると、今おっしゃったその説明は全く意味をなさないんです。「個人、団体又は企業による女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとること。」二条の(e)からいたしますと、ちゃんと明記されているんですよ。外務省は質問をすると、そういうまやかし半分の説明を答弁という形で言われますけれども、それならば、なぜ今回のゴルフ場の問題に対して遺憾の意を表されるんですか。遺憾の意を表される必要ないですよ。今申し上げた二条からしたって、これはおかしい。個人の問題で女性を差別することはまかりならぬと書いてあるのです。団体もまかりならぬと書いてあるのですよ。企業ももちろんです。これは中身からすると――もうあなたの説明は不要です。総理大臣に対してその点は私は再考を求めますよ、条文をひとつ読んでいただいて。
#43
○中曽根内閣総理大臣 私も、大事な条文は読んできたつもりでありますが、今申し上げましたようにホビーの世界というものは、やはり厳然として一つの人権の世界にも属するのでありまして、それを侵すこともまたどうかと私は思っているのであります。
#44
○土井委員 ホビーも、男性がつくってきたホビーということで今お答えになっていらっしゃる。ホビーのあり方を変えなきゃいかぬです。観念を変えなきゃいかぬです。そういうことの努力も、この条約からしたら問われるという格好になっていくんですよ。そういうための努力をどういうふうに払っていくかというのが、これから問われていくんです。私は、こればかりやっているわけにはいきません。総理大臣の認識というのは大分この条約とは隔たりがあるということを、私は今はっきり受けとめているわけでありますけれども、そういうことからいたしますと、具体的に今回のこの条約審議の中でただいま問題になっておりますことを取り上げて、総理大臣のはっきりしたお答えをひとつ受けたいと思うのです。
 この条約の中で十条という箇所を見ますと、総理大臣は、非常に教育熱心であることを自負されていると思うのです。教育の問題について、十条の中では、教育課程というものが男女同一でなければならない。同一とは何かといったら、全く同じということであるということを各関係省は答弁の中で明らかにされている。そういうことからしますと、今家庭科における教育というのが同一ではないのです。この条約を締結するときにも、同一ではないのです。同一ではないということを外務省としては認識されて、新たにそのことを取り扱いの上で、条約を締結するときには同一でないということを言ってこられているわけでありますが、これはそのとおりなんですね、総理大臣。
#45
○中曽根内閣総理大臣 その点は家庭科等ということで、体育とか家庭とか選択の対象になっておるので問題はないと思います。
#46
○土井委員 それはちょっと認識として間違っているんじゃないですか。男性にはどういう取り扱いをしているか、女性にはどういう取り扱いをしているか、同一でなきゃならないのに、男性であるからというので別の取り扱い、女性であるからというのでまるで別の取り扱いをしているのが、この家庭科の中身なんですよ。これを変えなきゃならないというのが、現在の大変大事な一つのポイントになっているのです。現実は同一じゃないということも認められているのです。同一でないままでこの条約を締結するということになるのです。これはそのとおりでしょう。
#47
○安倍国務大臣 これは、ここでもしばしば答弁いたしましたように、確かに同一課程ではないわけですが、締結はするわけです。この点については、文部省における検討の中で、これを将来一定の期間の中でそういう方向に持っていくということが合意されたわけですし、そうした点で、条約そのものもまた締結の一つの条件として漸進性ということをうたっておるわけですから、条約の締結の条件は今申し上げた点で満たされておる、こういうことで批准をお願いいたしておるわけです。
#48
○土井委員 条件が満たされているとおっしゃいますが、その点少し聞きたいのです。条件は満たされてないんでしょう、批准時は同一でないままで批准するんですから。正確に言うと、ただ、これからこうやりたいという願望と、やりたいというあらましを考えて批准をするという格好なんですよね。それは外務大臣が今縦に首をお振りになっていらっしゃいますから、そのとおりだというふうになっているわけであります。
 そこで、願望とそういう努力を払いたいまではわかったのです。そうすると、一体いつ同一の教育になるのであるかというのをはっきりしておかないと、いつも願望というのは願望倒れになってしまうのですよね。政府は約束されるけれども、約束をいつ果たしてもらえるのかというのは、未来永劫に果たしていただくまで、もうとにかく言い続けなければならぬということが、今までも過去の事例を見てまいりますといろいろあるのです。これは大事な条約なので、ひとつ条約批准までに、願望だけじゃなくて、具体的にいつしたいということを言っておいていただかなければならないと思います。総理大臣、これはどうでございますか。いつごろこの教育内容が同一になりますか。
#49
○安倍国務大臣 これは、そうした方向が前提となって、この条約の条件が整ったということでこの条約に対する承認をお願いしておるわけで、この条約を批准しまして、その結果につきまして、これはもちろん条約を批准した以上はこの条約を守っていく義務があるわけでございますから、文部省も常に言っておりますように、教育課程審議会にこれを諮って早急に結論を出していただく、こういうことになると思います。
#50
○土井委員 それでは具体的に言いますが、教育課程審議会に諮ってとおっしゃるが、教育課程審議会にいつ諮られますか。
#51
○菊川説明員 お答えします。
 昨日の外務文教連合審査会で、現在臨教審で基本的な教育改革のあり方も御検討いただいておりますが、その動向も見守りつつ、できるだけ早く発足させたいというふうに大臣が答弁申し上げましたが、そのとおりでございます。
#52
○土井委員 これでは心もとないです。できる限り早くと言ったってよくわからないです。臨教審の動きを見つつできるだけ早く、これではちょっとわからないですね。これは具体的にはいつごろになるのですか。この辺は、あらましはっきりしておいていただかないと、示しが本当につきません。
#53
○菊川説明員 これもまた昨日大臣が、臨教審から「審議経過の概要」が四月二十四日に出されましたが、その中には教育課程審議会で御審議いただく項目も含まれておるということでございますので、答申が出た段階で、その点を踏まえて教育課程審議会の発足を考えたいというふうに申しておりますので、その答申後……
#54
○土井委員 答申はいつごろ出るのですか。
#55
○菊川説明員 答申は六月末というふうな予定になっております。
#56
○土井委員 そうすると、ことしじゅうには、少なくとも何ぼ遅くてもこれは審議にかけられるということになりますね。
#57
○菊川説明員 昨日の大臣の答弁は、そういう感じで申し上げていると私は思っております。
#58
○土井委員 これは感じではだめなんです。感じというのはだめですよ。感触とか感じというのは雲をつかむような話なのです。この点は、責任持ってはっきりしておいていただかないとならぬと思います。いかがでございますか。これは総理大臣の御努力にかかるのですよ。
#59
○中曽根内閣総理大臣 この条約の精神にかんがみまして、批准後できるだけ早期に条約に合致するように努力してまいりたいと思います。
#60
○土井委員 批准後できるだけ早期に合致するというのは、ちょっとわからないですね。総理大臣は、批准を早期にしていただきたいとさっき言われたのはわかっているのです。七月のナイロビの会議までに、これはわかったのです。そうすると、中身に合致するような努力は早期にとおっしゃるけれども、これは条約を批准してから後に問われる努力になるわけですから、この努力が早期というのは、一体いつごろを指して早期と言われるかというのは、もうひとつはっきりしないとならぬようになってきますよ。
#61
○中曽根内閣総理大臣 今、政府委員が答弁いたしましたように、教育課程審議会をできるだけ早期に開けるように努力したい、そういう意味であります。
#62
○土井委員 できる限り早期と総理大臣おっしゃるんだから、これはもう年内であるということはほぼはっきりしておる、それは年内どころか、秋にはもう開かれるということははっきりしている、総理、こう考えてよろしゅうございますね。
#63
○中曽根内閣総理大臣 御期待に沿うように、できるだけ早く開かせたいと思います。
#64
○土井委員 さあそれで、その教育課程審議会というのは、審議というのはこれは先の話ですから、どれくらいかかるかわかりませんけれども、常識的に判断をして、かなりの時間がこれまたかかると思うのですがね、どういうふうに考えていいのですか。それがまたかかって、それが終わってからその次の教育課程の改定の際に、初めてこれが具体化するわけでしょう。一体、作業を通じてどれくらいに考えておいていいのですか、同一の教育になるまでに。
#65
○菊川説明員 教育課程の改定の作業は、教育課程審議会で教育の改定の基本的な考え方をまとめまして、それが出ました後、それを学習指導要領という形で告示するということになっております。それに従いまして教科書が作成され、教科書の検定作業が行われ、都道府県でその教科書の採択が行われて施行されるという順番になるわけでございます。
#66
○土井委員 手順はそういうことでしょう。随分これは長期にわたりますよね、そうすると。
 どうですか。それはもういいです。早く。時間の方がかかるから、そんなに立ったり座ったりなさると。どれくらいかかりますか。
#67
○菊川説明員 過去の、教育課程審議会の諮問から高等学校でその改訂指導要領に基づきます教育が行われるまでの期間は、五年という例がございますし、八年五カ月という例もございます。
#68
○土井委員 ということなのです、総理大臣。これはもう大変先の話になるのですよね。この国連婦人年以後、ことしで十年になるのですがね。この間だって大変な十年だったのです。これは随分長いです。これから先、また同一の教育までこんなことですよ、今の御答弁のとおりなら。これは早期にと総理大臣はおっしゃるのだから、鋭意このことに対しての努力をはっきりやっていただかなければならないと思うのです。お聞きのとおりなのですが、総理いかがでございますか。
#69
○中曽根内閣総理大臣 条約批准をできるだけ早くやっていただいて、ナイロビ会議に間に合わせていただいて、そうしてその条約の精神に合うように、早く体系を整備するというのは政府の責任でもありますから、ほかの問題とちょっと性格も違ってまいります。したがいまして、できるだけ早期にと申し上げましたのは、そういう意味を込めて、できるだけ早期にという意味でございまして、五年や三年とか、そんな長いことを考えておるものじゃありません。
#70
○土井委員 そうすると、もう今の文部省のいろいろな作業というのは、この問題については総理のいろいろなそれに対する指導のもとに、早期にこれは具体化するというふうに考えてよろしゅうございますね。
#71
○中曽根内閣総理大臣 国内体系の整備の中で、やはり大きな要目として国籍の問題、それから男女雇用機会の問題、それから今の家庭科云々の問題、それはもう大事な問題であると心得ておるので、あとの二つは大体できましたから、今の教育の問題もできるだけ早期に合わせなければ平仄が合わない、そう考えてせっかく急がせるつもりでおります。
#72
○土井委員 あとの二つの問題は大体できましたとおっしゃいましたが、しかもそのままでいいとはこれは言えないので、中身をさらに充実したものにする、改善する方向で努力する、これはこの条約締結後、さらに問われる大事な大事な問題になってくると思うのですね。
 そこで総理大臣は、国内行動計画について、婦人問題企画推進本部長でもあられるわけなのですね。今までこの十年の間、本部長として歴代の総理が頑張ってこられたのですが、ちょうどこの条約を締結するかしないか、一番大事なときに、中曽根康弘内閣総理大臣が本部長なのです。この本部長とされては、ナイロビが終着駅とはまさかお思いになっていらっしゃらないと思うのですが、この条約締結を日本として問われていることしの十年ですね。それがなぜ問われているかというと、政府はそうおっしゃったわけですから、その十年後、婦人問題企画推進本部というのを存続させる必要があると思われますが、総理大臣としてはどうお考えになりますか。
#73
○中曽根内閣総理大臣 中曽根内閣としては、存続させる必要があると考えております。
#74
○土井委員 存続させて、さらにその中身を充実強化していくということをお考えになりませんか。これは外務大臣も御答弁で、批准後の努力が非常に問われる、まず批准してから後の努力でこれはやっていきたいという御答弁は、再三再四、事あるたびごとに御答弁の中に出るのです。これからの努力たるや、批准までの努力もそれは大変なものがありますけれども、さらに問われると思うのですね。そういう点からするといかがですか。
#75
○中曽根内閣総理大臣 それは外務大臣が答弁したとおりであります。
#76
○土井委員 そうすると、その企画推進本部についても、さらに充実強化するというお考えを総理としてはお持ちになっていらっしゃるというふうに考えてよろしゅうございますね。
#77
○中曽根内閣総理大臣 本部長である間は、一生懸命努力してまいりたいと思います。
#78
○土井委員 その大きな問題として国籍法、それから同一の教育課程、それからさらには男女雇用平等ということを正面に掲げて、この取り組みを今までされてきているわけでありますけれども、しかしその基本には、やはり男女平等という物の考え方がどうあらなければならないかということが、どうしてもこれは基本にあるのですよ。そういうことからすると、男女の固定的な役割分担という、この固定観念というものを改革していかなければならない。ある意味では、もう一大社会改革だということを言わなければならないと思うのですが、これに対しての総理大臣の御所信をお伺いいたします。先ほど来のゴルフ場の問題を聞くと非常に、心もとないですから。いかがなのですか。
#79
○中曽根内閣総理大臣 ゴルフ場の問題はホビーの問題で、先ほど来申し上げているとおりで、それほど目くじらをお立てになるべき問題ではないと思います。それより、もっと大事な雇用の問題であるとか、あるいは職場における差別の問題であるとか、そのほか教育に関する問題であるとか、あるいは社会的待遇の問題であるとか、あるいは男女の例えば官庁や会社における雇用の比率の問題であるとか、そういうような実質的な問題が、やはり私は大事な問題ではないかと思っておるのであります。
#80
○土井委員 それは総理大臣の認識の問題として聞きおくということにいたしますけれども、どうも総理大臣の御認識というのが、まだまだだという感じがいたしてなりません。それはさらに問題として、私どもは具体的な運動を展開しましょう。
 さて、この条約の基本には、国際人権規約の遵守が問われているのです。国際人権規約の精神からいたしまして、昨今大変に問題になっているのが指紋押捺の問題なのです。
 総理大臣は、昨年九月に日韓共同声明の中でも、この取り扱いについて改善に努力するということを述べられて今日に来ているわけですけれども、総理大臣とされては、五月十四日に出されました法務省からの通達、あのままでいいとお考えなのですか。いかがでございますか。
#81
○中曽根内閣総理大臣 この問題については、外務大臣の御答弁のとおりであります。
#82
○土井委員 外務大臣の御答弁というのは、ただいまはいただいていないのですが――いや、いいですよ。総理大臣が途端にそれをおっしゃるから。それは外務大臣の御答弁のとおりとおっしゃるけれども、ただいまのこの場所で、私は総理大臣にお尋ねをしているわけであります。
#83
○中曽根内閣総理大臣 指紋の押捺の問題は、外国人を確認するために必要な制度としてこれは行われておるものでありまして、私は必要であると思っております。
 ただ、やり方については改良の余地があるというわけで、今回かなり思い切った改良を行ったところでございますが、しかし、この問題は長期の問題として引き続いて検討していくべき問題である、そう考えております。
#84
○土井委員 長期の問題として引き続いて考えていくということをおっしゃっているわけでありますけれども、いろいろ日本におられます在日外国人の中で、やはり圧倒的に多いのは、戦前、戦中、日本の政府の植民地政策によって、徴用または徴兵という名目で日本に強制連行されてきた人々とその子孫だということになるわけです。したがいまして、七月の日韓閣僚会議までこのまま突っ走っていくということでお臨みになるのか、あるいはそれまでにこれについて何らか考えてみようというふうなお気持ちがおありになるのか、この点はどうでございますか。
#85
○安倍国務大臣 日韓閣僚会議、私が責任者として出ますので、私からお答えをいたします。
 日韓間では、この指紋押捺の問題については協議が続いております。日韓間で、この指紋押捺制度さらにまた法的地位の改善については、今後とも日本が努力していくということは言っておるわけでございますから、これは今後の課題として我我としても検討していかなければならぬ。ただ、今行いました指紋押捺制度の改善については、これは相当思い切った措置を講じたわけでございますし、日本の法律は法治国家として守っていただかなければならぬわけでございますので、その点については在留の外国人の皆さんにも理解を求めて、協力をしていただきたい。ただ、この指紋押捺制度の将来のあり方については、これはこれとして、長期的な課題として日韓間でも協議もいたしますし、また、日本自体においても自主的に検討してまいらなければならぬ、こういうふうに思っています。
#86
○土井委員 今の外務大臣の御答弁の感触で申しますと、七月の会議までの間に何らかできることをやってみたいというふうに受けとめられますが、どうですか。
#87
○安倍国務大臣 これから相当大量に、していただく方が出てくるわけでございますが、この改善措置によってひとつ行いたい、それについては御協力をいただかなければならぬということで、指紋制度そのものについては、これは基本的にはそれぞれの国の主権に関する問題ですし、指紋制度そのものについて我々は必要だと認めておるわけです。しかし、この改善措置については長期的な課題として、韓国からも指摘がありますし、我々も自主的な問題として検討してまいりたいということであります。当面は、今の我々の行った改善措置を守って、それに協力していただきたいというのが政府の考え方であります。
#88
○土井委員 これは協力していただきたいとおっしゃるけれども、協力を要請されているその中身を見ますと、国際人権規約の精神に違反しますよ。外国人の登録法というのは、在日外国人を対象にしている問題でありますけれども、十六歳以上の在日外国人に指紋押捺が義務づけられていることは、著しい人権侵害だということであります。日本の国民に対して指紋の押捺が課せられているのは、受刑者と犯罪の嫌疑がかけられた者だけであることは、もうはっきりしている。したがって、そういうことからすると、犯罪者並みに扱う制度であることを認識として持たれるのは、当然のことだということにならざるを得ない。こういう取り扱いをしながら、どうぞ御協力を、御協力をというのは、協力を求める方が無理なんじゃないでしょうか。
 恐らくはこの夏にたくさんの人が、指紋押捺に対して拒否されるであろうことは想像にかたくない。現にもう五月段階でも、どんどん拒否をされる方々の数がふえていっておりますし、全国の自治体の窓口ではこのことに対して非常に困惑しておりますよ、政府のやり方に対して。そういうことからすると、やはり指紋制度そのものを考え直すということと同時に、取り扱い方も考え直していく。指紋押捺を義務とするという制度、これは廃止するという方向で考えていくのが、国際社会の中における人道やさらには人権を尊重している先進国としてのありようとすれば、当然問われている問題だと思われますけれども、いかがでございますか。
#89
○安倍国務大臣 私は、指紋押捺制度が人権規約に反するとは思いません。各国、先進国の中でも、指紋押捺制度を採用している国もあるわけでございますし、外国人の取り扱いにつきましては、それぞれの国がその国の主権に基づいて、国情に応じて制度をつくっているわけで、日本の場合も、この指紋押捺制度は日本の憲法にも反するわけではありませんし、これまでもこれが行われてきたわけでございます。ただ、やり方について問題があるということについて、今回改善措置を講じたわけでございます。ですから、この制度自体が国際社会のそうした方向に反するとかあるいはまた人権規約に反する、こういうことではないと思います。
#90
○土井委員 やり方に対して改善したとおっしゃいますけれども、改善に当たるような節はどこにもないのです。むしろ中身は、このことによってさらに拒否者はふえるでしょう、そして自治体の窓口では混乱が起こるであろうと思いますよ。そういうことからすると、先ほど総理大臣は、同一性を確認するということのためには必要なことであるとおっしゃいましたけれども、指紋だけが同一性を確認する方法になりますか、そうじゃないでしょう。法務省自身も、今回は保証人二人ということで取り扱いを考えてみようという姿勢を持たれているわけであります。また、現場では、今まで写真で確認してきているという経緯もあるわけです。指紋にどうしてこだわられるのかわからない。同一性を確認する方法といったら指紋以外にありますよ、指紋にそんなにこだわらなくたって。この点は総理大臣、どうお考えになりますか。
#91
○中曽根内閣総理大臣 法律がある間は、その法律を守っていただかなきゃならぬと思います。しかし、この制度自体という問題については、我々は将来も課題として検討していって結構である。韓国との今のお話でございますが、日韓の友好的関係にもかんがみ、また、日本の国際国家としての地位にかんがみまして、そういう広い観点から、将来の課題として我々は検討していくべきものであろう、一般的にそういうものであるべきである、そう言っておるわけであります。
#92
○土井委員 これは具体的にお尋ねしても、恐らくはただいまの御答弁以上にはならないであろうと思われます。
 さて、今回の条約を締結するときに外務省にもいろいろとお尋ねをした中に、ILO条約それから国際条約で関係するものがあるのです。ところが、ILO条約に対しては、女性の母性保護の問題であるとか、労働時間の短縮の問題であるとか労働条件の改善、これは男女ともに問われると思いますよ。深夜業に対して禁止の方向で取り組む、これも男女ともに問われる問題だと思います。こういう一連の関係する条約について、何ら日本は批准してないのです。外務省の御答弁は、ILOの本部から日本でも批准できるものを批准するようにという要請があったということが答弁として出てきているわけでありますけれども、やはり批准すべきものは批准するという姿勢で早く臨まないと、この女子差別撤廃条約が批准できていて、その条約の中で問われている問題に対して、いわば各論に当たる問題であろうと思いますけれども、関係する条約は何ら一つも批准できないというのは私はどうも腑に落ちない。総理大臣、どうお考えになりますか。
#93
○中曽根内閣総理大臣 ILO条約の関係につきましては、本条約との関係をよく考慮しつつ、検討すべきものは検討し、直すべきものは直していくことが適当であると考えて、政府は、そういう考えを持ちまして検討してまいりたいと思うわけであります。
#94
○土井委員 検討ばかり今までも続いたんです。
 それで、私は二年来この外務委員会において、ILO条約を早く批准する方向でと言い続けたのでありますけれども、外務大臣は、どうも国内の条件が整っておりませんからとかというふうな話なんですよ。各省庁のいろんな整合性を求める作業が非常に問われると思いますけれども、そうなってくると、総理大臣がそれに対してどのように熱意を持って臨まれるかが当然問われてくるのです。今、条約に照らし合わせて考えて努力するということをおっしゃっているのですが、努力も今までには恐らく続いたんでしょう。だけれども、具体的に批准していくものはやはり批准するという方向で、はっきりそれはいたしますということでないと、いつまでもそれは待たされる努力でありまして、いつまで待ったらいいのかこれまたわからない、百年の大計みたいになってしまうのです。総理大臣、この点はいかがでございますか。
#95
○中曽根内閣総理大臣 ILO条約はかなり膨大な条約でございまして、各国ともそれぞれの国情を持っておって、慎重に検討しておるところでございます。日本だけが批准しないという状況ではないのでありまして、みんなそれぞれの国情を抱えて、できるだけ早く自分の国情との調整を行いながら努力している問題であると考えております。日本も、やはり同じように国情を考え、そしてその調整を考えつつ、この批准について検討を加えているというのでありまして、私は、そういう態度が正しい態度であると思っております。
#96
○土井委員 正しい態度であるとおっしゃって息巻かれますけれども、この条約を批准した以上は、批准の中身に合致する方向で努力するのが正しい態度なんですよ。だから、今まで努力は全くなかったとは申しませんけれども、この条約を批准するに当たりまして新たなる努力が大いに問われるということで、現実に避けられない我々に課せられた義務となるわけであります。そういうことからいたしますと、今までどおりの努力では間に合わないので、総理大臣にひとつこちらの方から一考を求めたいと思いますけれども、それはよろしゅうございますね。
#97
○中曽根内閣総理大臣 今御審議願っている条約が批准ができましたならば、今度はそういう新しい事態も考慮しつつ検討していかなければならない、そう思います。
#98
○土井委員 総理大臣、最後に、先ほどの北川議員の御質問に対しまして、家庭における子供のしつけというのは女性がやるべきものだというふうな御趣旨の御答弁がございました。昨年の六月に、本会議で私、総理大臣に質問させていただきましたときに、総理大臣は「天の半分は婦人が支えている、また、よき妻であると同時によき母親であってくれというのが私の念願であります。」という御答弁だったのです。天の半分を女性が支えていると、他の半分は男性が支えているのですね。よき妻であると同時によき母親であってくれというのは、また男性に対して言うと、よき父親でありよき夫であってくれというのが念願だという格好になりますが、この点はそのように考えて当然だと思いますが、どうですか。
#99
○中曽根内閣総理大臣 これは、女性との関係で家庭との関係等も考慮して答弁したのでありますが、もちろん、よき母親であり、あるいはよき妻であり、あるいはよき社会人として社会にも貢献する婦人であってほしい、もちろんそういう意味を込めて言っておるのであります。
#100
○土井委員 そうすると、男性に対しても、よき夫でありよき父親であるというふうなことが家庭人としては当然問われるでしょう、いかがでございますか。
#101
○中曽根内閣総理大臣 それは当然でありまして、それと同時に、よき社会人として社会で貢献してもらいたいということも同じことであります。
#102
○土井委員 今まで男は仕事、女は家庭という、そういう役割分担に対する固定観念があるがゆえに、種々この女性差別という問題が社会的にも経済的にも政治的にもあったという基本的な問題に、対して、今までのその固定観念を変えなければならないというのがこの条約の基本問題でありますけれども、総理大臣のそれに対する御所信をひとつはっきり承って、質問時間が終了でありますから私は質問を終わりたいと思います。
#103
○中曽根内閣総理大臣 日本憲法も男女の平等、性に基づく差別はいけない、そう書いてあるのでありまして、その点は我々は遵守していくべきものであると思います。やはり男と女は生理的に違うので、男が子供を産むわけにはいきません。そういうようなわけで、子供を産む特権は母親にあり、女性にあります。したがって、そういう特別の女性のお仕事もあるわけで、それはまた尊重されなければならない。
 そういうお仕事を持っておられると、ほかの仕事が男性から比べれば少し手薄になるという面も出てくるでしょう。女性にいろいろな面をすべてやれと言ったって、それはかわいそうな話でありまして、そういう意味において、両性がそれぞれ持っておる特性を生かしながら、調和ある社会をつくっていくというのが望ましいことであり、私は、子供を育て子供を教育するという場合には、何といったって教育は愛情が中心でありますから、父親の愛情も大事であるけれども母親の愛情も非常に大事である。特に赤ちゃんのときから、抱いたりおっぱいを上げたりほおずりしたりするということは、子供の将来を左右する非常に大事な要素であると思っておるのであります。その点を強調して申し上げたのであります。
#104
○土井委員 御答弁に対してはちょっと不本意なところがありますけれども、質問はまた別の機会に私はさせていただくことにします。
#105
○愛野委員長 次に、玉城栄一君。
#106
○玉城委員 ひとつ総理に、この女性差別撤廃条約に関係しまして御提案を申し上げたいと思うわけであります。
 ぜひひとつ御検討いただきたいと思いますことは、先ほど北川委員の御指摘がございましたけれども、この条約には軍縮に関する規定が前文の方に織り込まれておるわけです。この委員会でも、男女平等ということとこの軍縮ということはちょっと異質じゃないかという議論がされたわけですが、やはり戦争ということになりますと、差別どころか、人間の基本的人権あるいは生命そのものが抹殺されるということで、軍縮規定が織り込まれたことについては非常に有意義である、このように私は思うわけであります。
 ちょっと総理、条文のその部分を私読んでみます。いわゆる前文の方に、「全面的かつ完全な軍備縮小を達成し、特に厳重かつ効果的な国際管理の下での核軍備の縮小を達成し、」云々と、こういう条項があります。
 そこで御提案と申し上げますのは、今月の当初、総理も御出席されたボン・サミット、それからOBサミット、サミットが非常にブームと申しますか、そのボン・サミットの前に、レーガン大統領の御夫人のナンシー夫人の提唱で夫人サミットも開かれた。総理の奥様も御出席されて、麻薬撲滅とかそういうことをテーマにした夫人サミットが開かれたということも伺って、これは非常に有意義なことではないかと思うわけであります。したがいまして、今回こういう軍縮規定の織り込まれた男女差別撤廃条約が批准をされる。同時にまた、我が国は被爆四十周年でありますし、こういう機会に我が国の提案として、軍縮に関する女性のサミットをぜひ提唱していただいて何とか開催できないものかという、これは一つの御提案でありますけれども、思いつきではなくまじめに御提案申し上げておりますので、総理のお考えをお伺いいたしたいと思います。
#107
○中曽根内閣総理大臣 ユネスコの憲章であったと思いますが、戦争は人間の心から始まるという有名な言葉があります。人間の心というのは、男の心もあれば女の心もある。したがって、人間が中心である。男女の差別はない、この問題については。したがいまして、外務大臣が答弁しましたように、全人類の課題として軍備縮小、特に核兵器を地球上から廃絶するという問題については、真剣に我々は努力すべきものであり、それについてはやはり正規の国際機関がありまして、それが国家を拘束して成果を生む性格を持っておるものであります。
 夫人サミットも結構でありますが、これは国家を拘束する拘束力は世論的な拘束力しかない。そういう意味において、国連であるとかあるいは国連の軍縮会議であるとか、そういう国家の拘束力を持つ会議で真剣な討議が行われるというのが第一義である。あとは、世論づくりである、そういう性格を持つと思うので、私は、むしろ国連とか軍縮会議というものを中心に精力的に努力するのが適当である、そして、夫人だけで軍縮をやるというのは個人的な集まりでありまして、それも結構ではありますけれども、どっちかといえば、国連とかあるいは軍縮会議とか、そういう正規のもので精力的にやるべきである、こう考えております。
#108
○玉城委員 総理のおっしゃることは私よく理解しておりますが、一たん戦争となりますと我が子を戦場に送る、そういう母親、女性という立場から、今総理がおっしゃった世論ということも非常に大事でありますし、それを例えば東西南北、そういう枠を超えて女性の方々が集まって、ナンシー・レーガン大統領夫人の提唱のような形の、別に拘束力とかなんとかということではなくしても、そういうものを我が国としてもぜひ、例えば七月のナイロビの婦人会議、そういうことも広島あたりでやってみたらどうかということを提案されることは、別に公式とかいうことではなくても、軍縮規定も織り込まれ、かつ男女平等を実現していこう、生命の尊厳、基本的人権を尊重していこうという趣旨の条約からすれば、総理がむげにそういうことは必要ないだろうということではなくて、やはり御一考をしていただく必要があるのではないか、こう思います。重ねてお伺いいたします。
#109
○中曽根内閣総理大臣 私は、そういう動きをあながち無視したり否定するものでは。ない。しかし、政府として考えてみた場合には、やはり法的拘束力のある国連であるとか、あるいは国連軍縮会議であるとか、そういう点に重点を置いて効果的なことが行われることが望ましい。当面の問題としてはジュネーブ会議を成功させることでありまして、ジュネーブ会議を成功させる一つの要因としてアメリカのレーガン大統領とソ連のゴルバチョフ書記長、お会いしなさいと、私はボン・サミットでレーガン大統領にも言い、この間ソ連から来た皆さんやソ連関係の方、おとといでありましたか、ブルガリアのジフコフ大統領に対しても、あなた、ソ連とは親しいのだから、ゴルバチョフさんやソ連の要人に会ったら、中曽根がそう言っていたとぜひお伝え願いたい、そういうこともお伝えし、アントノフさんがおいでになったときにも、ソ連の副首相に対して、私はレーガンにこう言っているから同じことをゴルバチョフさんにもお伝え願いたい、そう言っておるのでありまして、我々政治家としては、そういうことに全力を注ぐべきであると考えております。
#110
○玉城委員 そのことは、私もよく理解できます。ですから、例えばゴルバチョフ書記長のライサ夫人とかそういう方が参加する、ジュネーブ軍縮会議もよくわかります。ある意味では、そういう女性の軍縮のためのサミット的な会合が行われることは、私は非常に有意義だと思うのですね。ぜひひとつ、お考えいただきたいと思うのです。
 そこで、この条約は、昭和五十四年の第三十四回国連総会で採択された条約です。いわゆる国連が中心になってできた条約です。国連につきましては、とかく平和維持機能の問題とかいろいろな批判もあるわけでありますが、総理は、現在の国連のあり方についてどういう御認識をお持ちですか。
#111
○中曽根内閣総理大臣 世界の百七十カ国以上の国々が集まってああいう国際機関をつくって、平和の問題や、あるいは経済の問題や、社会や福祉の問題、教育の問題、人類全般の生活、運命に関する問題について討議する場があるということ、存在自体がまず非常に貴重である。これを失わしめてはならない、これを守っていかなければならない、そして、これがますます機能するように全力を尽くしていかなければならない、私たちはそのように考えております。
#112
○玉城委員 私も、むしろこれから国連の、世界平和、もろもろの問題について果たすべき役割は、非常に重かつ大なるものがあると思いますし、総理がおっしゃるとおり国連の充実強化については、積極的に我が国としてもそういう姿勢で臨んでいただきたい、要望です。
 もう一つは、国連が創立されましてことしがちょうど四十年、四十周年記念総会が開かれるわけですが、米ソ首脳会談も実現するのではないかという期待もあるわけですし、各国首脳もこの総会にこぞって参加を予想されておるわけですが、当然総理も御出席されると思うのですが、いかがでしょう。
#113
○中曽根内閣総理大臣 これは検討課題でありまして、今外務省を中心にいろいろと検討していただいておるところであります。
#114
○玉城委員 たしか国連創立の三十周年の総会、当時佐藤総理が出席されたかと思いますが、また軍縮特別総会に前の鈴木総理も出席されて演説しておられるわけです。被爆四十周年、核軍縮、平和、そして男女平等の実現、人権問題等、いろいろな問題を我が国の立場から国連で総理御自身がお訴えになることは非常に私は有意義だと思うのですが、重ねてお伺いいたします。
#115
○中曽根内閣総理大臣 四十周年記念日がたしか十月二十四日でしたか、行われる予定でありまして、とりあえず出席の登録だけは外務省でやっていると思います。秋、どういうふうな仕事が出てくるか、国会の模様はどうなるか、国会があるのかないのか、そういうようないろいろな面も考え、また、外国のどういう人たちがそれに参列するであろうかということも考えなければなりません。そういう意味において、今外務省において幅広く検討しているということであります。
#116
○玉城委員 御自身として御出席して、我が国の立場をお訴えしたいというお気持ちは持っていらっしゃるということで理解しておいてよろしいのですか。
#117
○中曽根内閣総理大臣 そのときのいろいろな情勢を判断した上でないと、一国の総理大臣が出席するということは大変大事なことでありますので、今から軽々に即断をもって申し上げることは適当でない。
 要するに、そのときの情勢がどういう情勢になるかという判断を十分に練った上で、出席するならする、する場合にはどういう話をすべきであるか、そういう点までよく詰めてやらなければいけない。そのように、一国の総理大臣の進退というものは重大なものであると考えておりますから、今申し上げましたように、検討を続けていくと申し上げておるのであります。
#118
○玉城委員 先ほど土井先生もお話ありました指紋押捺問題について、私も一言総理のお考えをお伺いしたいわけです。
 在日外国人に対する指紋押捺制度は人権問題だということで、先ほど御指摘もございましたとおり最近は押捺拒否者も増大する、これはある意味では深刻な事態が予想されておるわけです。大幅に改善した、思い切って改善をやったと外務大臣も盛んに強調しておられたわけですけれども、思い切って変えたというのは、犯罪者扱いではないかという批判が強い回転押捺を平面押捺ですね。これは、運用上の緩和措置にすぎない話でありまして、指紋押捺という制度自体の根本的な改革への踏み込みということではないわけです。先ほども御指摘ありましたとおり、日韓首脳会談でも既に韓国側はそういう不満を表明しておるわけです。
 今我が国は、とかく経済の分野でも、いろいろな面で批判がされるわけでありますけれども、こういう問題につきましても、在日外国人の方々の人権を擁護する、尊重する、そして我が国がこれからさらに国際化を推進していく立場からも、指紋押捺制度について、長期的課題ということではなくて、当然この際検討していく時期にあるのではないかと思うわけですが、総理のお考えをお伺いいたします。
#119
○中曽根内閣総理大臣 今回改良しましたのは、私はかなりの改良であると思っておるのです。私自体も強い関心を持ちまして、法務省や警察にも直接意見を聞き、私の考えも述べまして、できるだけの改良を図るように実は努力してきたのです。今言った回転式をやめるとか、あるいは手が汚れないようにできないか、汚さないようにしてある液体ぐらいつけてぽっと押せば、それでできるようなやり方はないか、いろいろな点を研究させてそういうふうにして、今度は黒く手が汚れないような制度にも改めたのでございます。そういう点ではかなりの前進であり、実はかなり費用もかかることなのでございます。
 それは、今の法律の範囲内でやれることでありますからそういうふうにしておるわけで、五十七年でしたか、法律改正して、たしか年も十六歳以上に変えたとかなんとか、そういうわけで、今の状態で現段階において我々としてはできるだけの誠意を示したつもりであります。そういう法律が存在している間は、法治国でございますから、ぜひ法律を遵守してもらいたいと思っておるのであります。しかし、日韓関係の友好関係ということも考えてみますると、これは将来の課題として常に日韓友好を考えて、検討すべきものは検討していくべきものである、そういう考えに立って検討していくべき考えでおるわけであります。
#120
○玉城委員 ですから、今回の思い切った改良、改善につきましても、例えばその通達を見ますと、拒否者への説得に加え、告発の励行及び拒否者に対し経済活動、社会生活に必要な登録済み証明書の不交付などの措置とか、いろいろ不満、非難される問題も含んでのことですから、ぜひこの制度そのものについても、早い機会に御検討を要望いたしておきたいわけであります。
 そこで、この条約につきまして、私、総理がきょう御出席なされて、ぜひ総理のお考えをお伺いしたいと思うのは、実は男女差別撤廃ということで、沖縄は御存じのように大きな基地を抱えております、安保条約に基づいて。その基地から派生するいろいろな問題がありまして、外務大臣にいろいろお伺いしてまいったわけであります。その一つに、いわゆる国際結婚が非常に多いのですね。うまくいっているケースもあれば、非常にうまくいってないケースもありまして、例えば本国に帰った主人、いわゆる兵隊が家族に送金しないままの状態、いわゆる母子家庭ですね、生まれてくる混血児、あるいはその中から無国籍児という問題も出てきている。総理もさっきおっしゃいました、この条約に基づく国内措置の一つで、国籍法の改正ということで相当改善はされているわけですけれども、まだ全部が全部というわけではないわけです。
 そういうことを前提にしまして、私は、そういう問題も含めて、こういう条約の審議とも関係しまして、沖縄の基地から派生するいろいろな問題についても、やはり政府としてもいろいろな配慮をしてもらいたいということです。
 そこで、総理、御存じのとおり沖縄は失業率が非常に高いわけです。沖縄振興開発特別措置法というのがございますが、その中に自由貿易地域という、制度としてはもう十何年前に存立しているのです。どういうわけか、今もって全く機能してないわけですね。それで、今、日米経済摩擦問題、いろいろな問題が言われている中でありますし、ブッシュ副大統領も、日本はいろいろ目に見えた措置をとらないと、これは問題の解決にはならないというような指摘もあるわけですから、せめてそういう存在している制度を大いに活用して、摩擦解消策の一つとして、沖縄の振興のため、我が国のため、あるいは日米関係のためになるという立場から考えても、せっかくできているそういうフリーゾーンという制度についても活用していく、あるいは検討していく時期に来ているのではないか。そういう意味では外務大臣は、やはり検討に値する、関係省庁にも検討させるというようなお話もあったわけですが、総理、いかがでしょう。
#121
○中曽根内閣総理大臣 これは沖縄振興法ができましたときからの問題でありまして、沖縄県当局におきましても検討していただいておる問題であると思います。私も、沖縄の振興開発については特別の関心を持っておる人間で、あらゆるいい知恵を絞り合って、沖縄の県民の所得を上げ失業者を減らしていくという方面には、政府は善意を持って積極的に努力すべきである、そう考えておりまして、この制度の功罪、長短等についても検討していくべきものである。今も、政府も検討しておると思います。
#122
○玉城委員 今、総理のお話の中で、私が具体的に申し上げました自由貿易地域という制度の活用についても、検討しているというふうに受け取ってよろしいということでしょうか。
    〔委員長退席、浜田(卓)委員長代理着席〕
#123
○中曽根内閣総理大臣 これは、私がもう十年前に通産大臣をしていましたときに海洋博等がございまして、海洋博の後をどうするかというような問題もありまして、そのころから検討しておる問題なんです。沖縄県の方も熱心に御検討なすっております。政府といたしましても、これについてそのころからも検討もしておりますし、現在も国際情勢や経済情勢等をにらみつつ検討している、そう思っております。
#124
○玉城委員 そこで、先ほど土井先生の御指摘にもありました、またこの委員会でも、外務省の政務次官が女性だからといってゴルフクラブに拒否されたという、この条約の審議の真っ最中に、本家本元の外務省、そこが拒否されて、そしてお役人さんは出ている、体面だけの問題じゃないか、こういう条約をどうしてくれるかとか、いろいろな議論がなされたわけです。
 そこで、総理につかぬことをお伺いいたしますが、総理御自身は、そういう男子だけのゴルフクラブにお入りになっていらっしゃいますか。
#125
○中曽根内閣総理大臣 私は小金井へ参りますが、あれは正式の会員ではなくて、ビジターとしてやらしていただいておるのです。そういうことで、男子だけというのはないと思いますが、ただ、クラブで東京倶楽部というのが三井ビルのそばにありますね。あそこはたしか女性を入れないクラブであったと思うのです。そういうものはイギリスにはうんと多いのです。やはり、ふだん家庭で奥様のしりの下に敷かれているものだから、たまにはそういうところで息抜きしたいというのが男性全体の願いにあるんじゃないかなという気もいたしますね。もっとも、日本ではそういうケースは余りないと思いますが、外国ではあるようであります。
#126
○玉城委員 総理のお話を伺っておりますと、むしろ安倍外務大臣の方が進んでいらっしゃる。総理は大正生まれかどうか、やはり古いという感じがしますね。この機会に、せっかくこういう条約を御自身が最高責任者として批准しようというわけでありますから、どうかその辺は、あのとき安倍外務大臣は、自分は自粛しようということで出席していらっしゃらないわけですから。総理、ひとつどういうお考えですか。そういう特殊な――よくわかりますけどね。
#127
○中曽根内閣総理大臣 これはホビーの問題でありますから、余りそういうホビーに関して論評することは適当でない。要するに趣味の問題ですからね、私は論評は差し控えたいと思います。
#128
○玉城委員 傍聴にいらっしゃる女性の方がみんな苦笑していらっしゃるわけですが、やはりこういう条約の審議のときだから、あえて私は申し上げているわけです。
 時間が迫ってまいりました。最後に、これも非常にホットなニュースで総理御自身も御存じだと思いますが、これは条約からちょっと離れていますけれども、国民の生命の安全ということから……。
 二十八日に那覇空港で、全日空のジャンボが着陸滑走中に突如として自衛隊機が飛び出してきて、ジャンボ機の左翼エンジン下をもぎ取るという大変大きな事故が起きたわけでありますが、これは二百余名の乗客、乗務員が乗っておりまして、時速百八十キロのスピードで滑走しているわけですから、これは一瞬しますと大惨事であることは間違いないわけですね。これは防衛庁長官も陳謝したりしていらっしゃるわけですが、私も毎週行ったり来たりしておりますので、私自身ショックを受けるわけですが、総理、この事故についてどういう感じを持っていらっしゃいますか。
#129
○中曽根内閣総理大臣 これはまことに申しわけない事件でございまして、自衛隊に対しては厳にこれを戒めて、こういうことが再び起きないように厳重に注意するように指示しておるところでございます。
#130
○玉城委員 この問題で最後に。
 この空港は、総理もよく沖縄には、総理にならない前においでになって御存じだと思いますが、一日平均大体二百三十機の飛行機が離発着しております。あの空港は、年間大体五百八十万人ぐらいの人が出入りしておるわけですね。その二百三十機のうち約三分の一が自衛隊機ということで、過去にもいろいろとこの自衛隊機の事故があるわけですね。したがいまして、あの空港については、もうそろそろ民間使用と自衛隊の使用とは、何とかこれを分けないと非常に危険がある、そういう指摘があるわけですし、政府もそういう話はお聞きになっていらっしゃると思うのですが、この際やはりそういう問題につきまして、抜本的にお考えいただく時期に来ていると思う。大惨事が起こってからではこれはどうにもなりませんので、いかがでしょうか、総理のお考えをお伺いします。
#131
○中曽根内閣総理大臣 この点は、よく検討してまいりたいと思います。
#132
○玉城委員 ぜひ、御検討いただきたいと思います。
 以上で終わります。
#133
○浜田(卓)委員長代理 次に、渡辺朗君。
#134
○渡辺(朗)委員 この条約を読んでみますと、本条約が女性の憲法だと言われるゆえんがよくわかってくると思っております。そしてまた同時に、これから恐らくいろいろなことをやらなければならない。今日までも、いろいろ努力をしてまいったわけでありますけれども、特に現状とのギャップというものがまだまだあるように思います。今後、立法、司法、行政あるいは生活慣習、いろいろな分野においての変革が恐らく進められていくに違いないだろうし、また、そのような社会ができていくだろうというふうに思います。それと同時に国際的にも、基本人権あるいは国際平和、こういったものを基礎にした世の中をつくっていこうとする動きが、この条約を一つの大きなてこにして進められていくのではあるまいかと思うわけであります。私はそういうふうに思うのですけれども、まず、総理のこの条約についての御認識をぜひお伺いをしたいと思います。
#135
○中曽根内閣総理大臣 本条約は、男女平等というものを基本的に考えて、男女の基本的人権あるいは人道主義というものを踏まえてつくられた条約でありまして、日本国憲法の精神及び規定とも完全に合致する条約でございますから、できるだけ早期に批准して成立せしめたいと念願しておる次第であります。
#136
○渡辺(朗)委員 今、この条約と現状のギャップということを私言いましたが、その点について総理はどのくらい開きがある、これは具体的に言うのは非常に難しいかもわかりませんけれども、どのような御認識でしょう。そこら辺をちょっと、率直なところをお聞かせいただきたいと思います。
#137
○中曽根内閣総理大臣 これは男性と女性というものは生理的な違いがありまして、神様から与えられた使命も違っておるところがあります。同じところもあります、人間としては同じでありますけれども、子供を産む、育てるという面は女性の権利であり、また女性の特別の使命でもあると思います。そういう意味において、機能的な差があるということはやむを得ないところであり、それぞれの立場を尊重し合いながら、しかも人間として人権的平等性というものを守っていくように、社会制度、慣習等もできるだけ変えていくということが望ましい。
 現在、どの程度の差があるかということは、これは人によって評価が違いまして、一概に私から申し上げることは差し控えたいと思います。
#138
○渡辺(朗)委員 だんだんとお聞かせをいただき、総理の御見解を明らかにしていただきたいなと思っておりますが、ひとつ別の角度から総理の認識をお尋ねを申し上げたいと思います。
 我が国は経済大国になりました。と同時に、最近起こっておりますようにアメリカ、ヨーロッパ、そういうところとのさまざまな問題が、特に経済の分野、貿易の分野において摩擦などが起こってきております。かつ、深刻にもなってきております。総理もその点では大変に苦慮して、対策に当たっておられるわけであります。だが同時に、そのような市場開放の措置であるとか、いろいろな方法、方策を講じなければならぬことは当然でありますけれども、もう一つ別の角度から問題を考えてみる必要がありはしないだろうか。
 言葉をかえれば、日本製品が問題ではなくて、日本という国のあり方が問われているという問題点があるのではあるまいか。さらに別の言葉で言うならば、国際社会の中において日本の生き方といいますか、今日まで生きてきたビヘービアあるいは価値観のあり方、行動様式、すべてが何か異質なもの、同質性が他の国よりも、オーバーラップするところもいろいろあるのでしょうけれども、異質的なものが非常に強く今他の国々から感じられている。それが、単に商品の数量が多いか少ないかという問題のみならず、大きな摩擦の原因になってきているのではなかろうかと考えると、女性差別撤廃という問題は、それによってどのような措置を講じていくのかという我が国のあり方、総理の姿勢、こういったものが国際協調のこれからの基本になっていくものをつくり出していくでありましょうし、また恐らく総理も、そのような意味で国際化という言葉をよくお使いになりますけれども、感じておられるであろうと思うのですが、これは私の独断でございましょうか。総理、どのようにお考えでございましょうか。
#139
○中曽根内閣総理大臣 これは、対外経済関係におきましてもあるいは男女の関係におきましても国際化していくことが望ましい、そしてできるだけ国際的水準、よき水準――悪い水準ではございません、よきことに対する国際的水準に合致するように、我々は努力していくべきものであると考えております。
#140
○渡辺(朗)委員 その点でもう少し総理のお考えを。これは私は、幾らか抽象的になるかとも思いますけれども、日本の独自性は守らぬといかぬと思います。しかしながら、特殊性が強調されたり、これが言いわけに使われるということは、もはや国際社会で通用しなくなりつつある、こういう認識を持つのですけれども、この問題について総理、いかがお考えでございましょう。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、野上委員長代理着席〕
#141
○中曽根内閣総理大臣 これはそう思います。雇用関係等においても、できるだけ普遍性、国際水準性というものを維持するように努力していかなければなりませんし、経済関係におきましても、これだけの経済大国になりまして、どっちかと言えば日本の商品が世界を濶歩している、あるいは大きく言えば洪水のように押し出している、こういうような状態のもとに、日本が対外経済関係において国際水準を守らないということは、日本が孤立化する原因になるのでありまして、そういう意味においても、国際国家としての水準を貫いていくように全力を尽くさなければならぬと思っております。
#142
○渡辺(朗)委員 もう一つ、また別の角度からお聞かせをいただきたいと思います。南北問題と女性差別撤廃という問題でございます。
 今、差別を解消するということによって女性の地位が向上する、また、それによって社会の進歩が進められるという考え方を持っている先進国と、同時に、これに対しては、著しい経済的な後進性、そういう中に現在置かれている、苦しい状態に置かれているが、その中で苦悩しながら今要望しているのは、これまでの世界秩序、こういったものを変えていわゆる新国際経済秩序、そういうものを樹立しなければ女性の解放もあり得ないのだという考え方を持つ途上国、この先進国と途上国の両者の間では、大変な落差がありますし、違いがあります。問題についてのアプローチの仕方も違ってまいります。
 日本という国は、この問題のどこに接点を置くべきなのか、我が国としては、途上国の婦人問題に対してどういうふうに取り組んでいったらいいんだろうか。あるいは開発に婦人が参加していく、こういうことについて今日まで口ではいろいろなことを言ってきておりますけれども、私たちとしてはどういうふうに特殊な対策を講じるべきなのであろうか。私は、我が国はもっとその分野においての支援体制を強化していくことが必要だと思いますけれども、総理はこの途上国問題、南北問題について、どのような御見解をお持ちでいらっしやいましょうか。
#143
○中曽根内閣総理大臣 これは非常にデリケートな、難しい大事な問題であります。いわゆる経済秩序における新世界経済秩序というものについては、内容はどういうものであるか、これをよく確かめた上でないと、我々の考えを申し上げるにはまだ時間があると思います。しかし、今まで言われている点につきましては、言わんとするところは我々も理解できるものがあると思っております。
 途上国の婦人解放の問題となりますと、これは皆主権国家であり、それぞれの宗教なり社会慣習のもとに生きている国々でございまして、他国から容喙を許さない分野はあると思うのであります。したがいまして、国際機関等を通じて、一般論として我々がそういうような問題について発言もし、努力していくということは、これはしかるべきであると思いますが、個別的な関係において、相手方の制度や慣習やその他についていろいろ指摘したり何かするということは越権である、そう私は思います。
 それは、みんなその国が主権国家として、国民がみずから決めてやるべき問題である。例えば、回教圏におきまして女性がチャドールという黒い布をかぶっております。一都の国におきましては、例えばイランのような国はそれを脱ぎ捨てるという連動をやっていますが、しかし、サウジアラビアその他においてはまだやっておる国もございます。それらは、みんなそれらの国々の国民みずからがお決めになることでありまして、我々がとやかく容喙すべき問題ではない、そういうふうに考えております。
#144
○渡辺(朗)委員 おっしゃるとおりかもわかりません。また同時に、私は基本的に違う点もありはしないかと思います。大変小さなことですけれども、今おっしゃったイランにおいてチャドールを脱ぎ捨てたのはシャーの時代でありまして、逆にホメイニ革命後はチャドールを着用することが、経済的あるいは経済外的、いろいろな要因でもってこれが強制されてきている、こういう情勢になってきております。そういう非常に難しい状況の中で、婦人解放というものはこれからどういう方に行くのであろうか。これに対する日本の対応の姿勢あるいはまた援助のあり方、こういうようなものは非常に難しいことだなと私は思っております。
 それは別といたしまして、今おっしゃったことで一つ、基本的に私、総理の認識を改めていただきたいと思いますが、この条約の基本は、今おっしゃった新国際経済秩序確立、これはもうはっきりと前文の中に、これを踏まえてこの条約ができていると書いてあるわけでございます。ですから、この条約を承認する、批准するということは、そういうものも私どもが踏まえていかなければならない、容認していかなければならない、こういうことを意味しているのだと思います。その点、再度外務大臣あるいは総理、ともにひとつお答えをいただければと思います。
#145
○安倍国務大臣 おっしゃるとおりだろうと思います。日本としても、これまで南北問題につきましては積極的に発言をし、南北の調和を図っていくための努力も重ねておるわけでございますし、南の国の発展なくしては北の繁栄もないということを総理も言っておりますが、婦人の問題を考える場合にも、南の国の経済的な安定ということが非常に大きな要素になるということは、今さら申し上げるまでもないわけであります。そういう観点から、この条約に批准をすると同時に、世界全体の経済の安定、特に開発途上国に対する日本の協力、あるいは南北の調和に対する日本の積極的な姿勢というものは強く望まれる、こういうふうに思うわけであります。
#146
○渡辺(朗)委員 外務大臣、今の中で新国際経済秩序、これは日本として容認していくという立場でこの条約の審議を今しているんだと思いますが、その点はもう一遍確認いたします。いかがでございますか。
#147
○山田(中)政府委員 新国際経済秩序というものの樹立を開発途上国が非常に熱望しておるということを十分認識いたしまして、その立場に立って開発途上国の開発問題に我が国としても取り組むという姿勢でございます。
#148
○渡辺(朗)委員 総理、以上のような点でございますので、その点ぜひ御理解をしていただきたいと思います。
#149
○中曽根内閣総理大臣 ですから、私は理解はしておりますと申し上げたので、問題は新国際経済秩序、ニュー・エコノミック・オーダーと言っておりますが、それはよろしいんです。ただ、その中身をどういうふうにつくるかというのは、いろいろこれからの作業があります。UNCTADにおきましてある国々が言っている新国際経済秩序と、それから、その中におきましても別の国の言っておるニュアンスの差がかなりあります。そういう意味において、その中身が完全に世界的に固まっているわけではないわけです。しかし、そういう方向については、この条約において一致しておるわけであります。ですから、これから具体化するという過程におきましては、我々も条約の参加国といたしましていろいろ発言もし、また相手方の意見も聞き、練っていく、そういう立場にあるという関係であると思っております。
#150
○渡辺(朗)委員 今の新国際経済秩序の問題でありますが、この条約には、衡平と正義に基づく新たな国際経済秩序の樹立という言葉を使っております。その衡平と正義の問題でありますが、この次の七月における会議はナイロビで開かれる。ナイロビと言えばケニアであります。そしてまた、ケニアと言えば、アフリカの諸国において今一番の焦点になっている問題は、これは経済の開発もさることながら、アパルトヘイト問題であります。我が国もアパルトヘイトには反対という、建前としてはそのような態度をとっておりますけれども、毎年毎年貿易量がふえていっているという状況、いわば総論では賛成であるが、各論では反対というような形も見られる、あるいは建前と本音の違いというふうにも見られる状況というものが、南アとの関係であろうと思います。
 アパルトヘイト問題、これはナイロビが会議の場所であるということと同様に、世界から大変に注目されている日本のこれからの行動様式にも関連してまいりますので、私は、ここで総理としてはっきりとした発言をしていただきたいと思います。どのような施策を持っておられますか。
    〔野上委員長代理退席、浜田(卓)委員長
    代理着席〕
#151
○中曽根内閣総理大臣 我が国は、人種差別政策には絶対反対であります。現に我が国は、昔々そういう差別を受けた経験もある国でありまして、それらの国々の立場はよく理解でき、同情もしておるところであり、人種差別政策については我々は反対をし、国連がおやりになっておることに非常に同調して積極的にこれを支持している、そういう立場にあります。
#152
○渡辺(朗)委員 事実、そのように国連においても我が国代表は発言してきておられる。私は、それはもうそのとおりだと思いますが、問題は、現に貿易量はふえていっております。そしてまた、それに対しての規制は別に行われているわけではございません。これについての総理のお考え方はいかがでございますか、ここら辺が問題でございます。
#153
○中曽根内閣総理大臣 人種差別政策については、我々は反対であります。また、そういう意味におきまして、政治面におきまして、我々は国連あるいはアフリカ諸国の行為について協力しております。ただ、経済の問題になりますと、これは物の流れの問題であり、我が国民経済を活性化ならしめ、経済を拡大していくという面から、必要不可欠の物資等についてはやむを得ざる面がある、そういう考えに立ちまして、交易を認めておるという関係であります。
#154
○渡辺(朗)委員 総理、私は、そこが今国際的に日本が非難をされるゆえんではなかろうかと思うのです。例えば最近も、国際自由労連の婦人の総会がスペインで開かれておりますけれども、その会議の中で非常にたくさんの部分を費やして今のアパルトヘイト問題、これを取り上げております。そしてまた、先進諸国においては経済的制裁措置を講ずるべきだ、こういう意見もあり、その決議も行っておる国がございます。そういった動きの中で、経済活動は容認ということになってまいりますと、これは先ほども申し上げましたが、経済大国であるがゆえに、しかも、そのビヘービアが異質であるがゆえに摩擦を引き起こすという問題になりはしないであろうか、私はその点を憂えるのでございますけれども、それを再検討するという用意はございませんか。
#155
○安倍国務大臣 南アのアパルトヘイト政策に対しては日本は反対をしておりますし、これは筋を通しておると思います。したがって国交も持っておらない。政府が関与するあらゆる点については、南アとは断絶をいたしております。ただ、経済、貿易については、これは先進国者そうですが、…由貿易制度をとっておる国々は南アとの間で貿易の交流は行っておる。これは日本も自由貿易制度をとっておりますから、そういう中で民間の交流は妨げるということはあり得ないわけでございます。これは先進諸国、自由貿易制度をとっている国々は皆そういうことで貿易は行っておる、こういうふうに存じております。
#156
○渡辺(朗)委員 まことに不満な答弁でございますけれども、また別の機会にこの点は論議をさせていただきたいと思います。
 一つ、今人権の問題を議論しておりますので、関連いたしまして、国内問題でありますが、総理の御見解を聞かしていただきたい。
 この数日来、自民党の総務会において決定されたスパイ防止法案、これを議員立法として提出しようという動きでございます。総理は、国の総理であると同時に自民党の総裁でもいらっしゃいます。このスパイ防止法というのは、運用いかんによっては拡大解釈が幾らでも可能になりまして、人権の問題の侵害ということにもつながりかねない、そういう要素を持っていると思います。総理の御所見をお伺いして、質問の最後にしたいと思います。
#157
○中曽根内閣総理大臣 日本はスパイ天国である、こうよく言われております。過去におきましても、そういうスパイ活動が何回か発覚した事件もございます。そういう意味におきまして、国家の重要な機密、特に防衛の機密等を保護するということは、国の存立を維持していく上について大事であると私は思います。しかし、それを行うためにどういう方法で行うかという問題については、また別の観点から検討する必要があると思います。
 党において、今までいろいろ検討されまして、法案を準備されたやに聞いておりますが、私、その内容についてまだ知悉しておりませんので、内容についてよく勉強した上でコメントいたしたい、そう考えております。
#158
○渡辺(朗)委員 この問題については、さらに機会を見ていろいろ審議させていただきたいと思います。ありがとうございました。
#159
○浜田(卓)委員長代理 次に、田中美智子君。
#160
○田中(美)委員 総理に質問いたします。
 女子差別撤廃条約について、私ども共産党・革新共同は、当然のこととして早期批准を要求してきました。批准が今日までなされずに来たということは、遅きに失したと言わなければならないと私は思っております。世界で七十番目ぐらいになるのではないかというふうに思います。
 この条約にうたっている性差別を解消するという趣旨は、我が国において法的に既に定着しております憲法第十四条、第二十四条、第四十四条などに定められております性による差別の禁止、両性の平等の理念、これはまさに女子差別撤廃条約と理念が合致するものと思いますけれども、総理の見解を伺います。
#161
○中曽根内閣総理大臣 日本憲法の精神に合致している条約であると考えます。
#162
○田中(美)委員 男女の生理的条件の違いに基づいての労働条件などの違いは法のもとの平等に反しない、つまり男女差別ではないという考え方は、どんな憲法の教科書やテキスト、こういうものにも書いてある定説だと思います。この点についての中曽根総理の御見解もそうでしょうか。
#163
○赤松政府委員 女性が持っている母性の特性などを考慮した女性にのみ行われる保護規定等は、憲法の平等の原則に反しないものと考えます。
#164
○田中(美)委員 中曽根総理もそのとおりでしょうか。
#165
○中曽根内閣総理大臣 赤松政府委員と同じ考えであります。
    〔浜田(卓)委員長代理退席、委員長着席〕
#166
○田中(美)委員 それでは、あなたもお認めになりました憲法の定説ですが、東大の名誉教授の宮沢俊義先生の書かれました「憲法U」という本の中でこのように書かれております。「男と女とのあいだには、生理的条件のちがいがあるから、そうしたちがいに応じて、女子について男子とちがった取扱いがみとめられることは当然であり、」「女子の労働時間や労働時刻が制限され、さらに生理休暇や、育児時間について女子の特別扱いがみとめられるのは、いずれも法の下の平等に反することはない。」これは一つの例を挙げましたが、このように認められております。
 そうしますと、今回政府が、差別撤廃条約批准の条件の一つとして男女同一基盤を要するということで、女子の時間外労働や深夜労働禁止の緩和措置というものを男女雇用機会均等法によってとったということは、今、国会を通過したところですので十分御存じのことと思います。この措置から見ますと、今申し上げましたこれまでの憲法解釈をこのときに変えたのでしょうか、この点を総理にお伺いいたします。
#167
○赤松政府委員 憲法のつくられました時代と同じ時代に労働基準法もつくられているわけでございます。それ以降長い時期がたちまして、今日条約を批准する時点では、憲法がつくられました時代には考えられておりました合理的な理由というのが、多少の変容をもたらしているということはあり得ると思います。そして、条約の中には、非常に具体的に母性保護というものを限定的に解釈するという精神が流れているわけでございまして、それに基づいて現在の時点で改めて検討をし直す。しかし、女子保護規定がすべて撤廃されたわけではもちろんございませんので、現在でも憲法のもとで、条約のもとで残されている女子保護があることは、先生の御存じのとおりでございます。
#168
○田中(美)委員 今の回答は、ちょっと私に意味がよく理解し得ないという感じがいたしました。時間がありませんので、もう一度同じ答えをいただくわけにはまいりませんが、どう考えましても今度の均等法は、憲法解釈を変えたのではないかというふうに思われるわけです。日本国憲法から見ましても、最初に申しましたが、女子差別撤廃条約はもっと早く批准すべきだった、そういうふうに思うわけですが、それをここまでおくらせておきながら、いよいよ批准するという段階になって憲法や条約の趣旨に逆行したような行動をとるということは、私は大変遺憾だと思うわけです。
 それで、労働時間の短縮や母性保護、家庭責任の分担を前進させる、こういうことを具体的にやっていくということが社会における男女差別解消のかぎということは、国際的な趨勢でもあると思うわけです。国際的趨勢でもあり、また女子差別撤廃条約の趣旨にも沿ったものだと私は思います。ところが、我が国では、この点での国際基準であるILO条約、これが重要な点で批准されていないものがあります。先ほど総理は他の議員に答えて、経済摩擦で日本が世界で孤立しないようにしっかりやるんだということを言っていられましたが、この長時間労働を何とかしなければ経済摩擦はなくならないじゃないかと今世間が言っているわけですが、ILO一号条約は労働時間の条約です。これは六十六年前に国連で採択されたものを日本はまだ批准しておりませんが、この批准についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか、お答え願います。総理、お願いいたします。
#169
○安倍国務大臣 ちょっとその前に、批准をおくらせたというようなお話でありますが、政府としては、この批准をするためにあらゆる努力を結集してやってきているわけであります。この条約について、アメリカもイギリスもまだ批准をしておりません。ですから、この日本の姿勢というのは、非常に先進的であると言わざるを得ないわけでございまして、ただ、いろいろの体制を整えるためにこれまで多少の時間がかかったわけでございますが、ほとんど条件が整った、こういうことで、国会承認を求めて、そして批准を七月までには行おうということでありますから、何も政府が恣意的におくらせたとかあるいはまた時代に逆行するとか、そういうお言葉は全く我々として受けとめるわけにいかないわけでございます。
 なお、条約が批准された後、これはまだまだ条件整備をしなければならない、いろいろと国内体制を進めていかなければならないという点については、今後とも、政府としても誠実に条約を守るという立場から努力を重ねてまいりたい、こういうふうに思います。
#170
○田中(美)委員 意識的におくらせたかどうかということは私はわかりませんが、アメリカの問題というのは、これは憲法にないわけですから特殊な例でありまして、やはり経済大国二位の日本が批准がおくれたということは世界の認めることだというふうに思います。
 それで、今申しましたILO一号条約、時間がありませんのでもう一つ申しますが、家庭責任を有する労働者の条約、百五十六号条約、このILO条約を批准していないということで、ぜひ批准をしていただきたいと思いますが、この点についての総理のお考えをお願いいたします。きょうは総理質問ですので、あとわずかな時間ですので、総理みずからがお答え願います。
#171
○中曽根内閣総理大臣 ILO条約についてはたくさんの条約がございまして、かなり高水準を要求しているという面がかなりあるのであります。そういう意味においては、かなり理想主義的な条約であるだろうと思います。各国は、その各国の条件をできるだけそこへ寄せつけよう、引き上げていこう、そういう努力をして、そして批准をする、そういう状況で、日本もそういう意味において今努力はしておるが、まだ批准するだけの条件が整っていない、そういうものがかなりあるわけであります。百二号条約もそうでありますし、今おっしゃった第一号条約の問題もそうでございますし、それから第百五十六号条約についても検討中であり、努力中である、そういうような状況にあるということを御理解いただきたいと思います。
#172
○田中(美)委員 百二号条約はまだ質問していなかったのですが、この問題は、もう日本は批准しております。しかし、批准しておりますけれども、この中で、母性、家族、遺族給付について、女性に関する項目がすべて保留ということで批准しているわけです。これを批准しましたのが七六年だったと思います。そのとき私は、当時の外務大臣に質問いたしましたときに、この点も努力し検討するというふうにお答えをいただいております。それから九年たちました今、今なお社会保障の最低基準を決めたこの百二号条約の母性、家族、遺族のところが保留になっておりますので、これは早急に検討し、何年も何年も検討するということではなく、世界に対しても、今度のケニアでの会議に対しても日本がこの点だけ、まだほかにもちょっと落ちておりますが、この点、婦人の問題が社会保障からすっぽり抜けているということは大変恥ずかしいことではないかと思いますので、ぜひこの点には重点的に、早急に批准できるような努力をしていただきたいと思います。総理のお答えを願います。
#173
○中曽根内閣総理大臣 大いに検討してまいりたいと思います。
#174
○田中(美)委員 ことしの七月に、ケニアのナイロビで第三回の婦人の世界会議が開かれます。この会議では、西暦二〇〇〇年に向けてこれからの計画をどうするかということが話し合われると思うのですが、ここでは国連婦人の十年をもう一度設定しよう、そして行動計画を作成しようということが提案されるというふうに聞いておりますが、これに対して日本政府が賛成してきていただきたい。それこそ、世界の中で孤立しないようにしてきていただきたい。総理の御指導をぜひ仰ぎたいと思いますので、この点の御見解をお願いいたします。
#175
○中曽根内閣総理大臣 御指摘の二〇〇〇年のための戦略作成につきましては、その重要性にかんがみまして、実りのある戦略作成のために、各国とも協力して積極的に取り組む所存でございます。
 特に、昨年のESCAP地域政府間準備会議で我が国の提案により採択されました勧告が、将来戦略の中に反映されるように努力してまいりたいと思います。
#176
○田中(美)委員 ぜひ、努力してきていただきたいと思います。
 最後にもう一問。先ほどちょっとありましたが、教育の問題です。
 私、昨年ウィーンに行きましたときに、日本は今度の女子差別撤廃条約で教育の点を留保して批准するのではないかという質問を受けたわけです。大変びっくりいたしまして、どうしてかというふうに聞きましたら、一九七九年の国連の会議で日本が賛成したときに、この教育の問題について日本代表が発言したことに疑問を持っているんだということを聞きました。それで、原文は日本語がありませんので、これは英語になっているわけです。これは見ますと、パートVの十条のところですが、このページには、赤線を私は引いてまいりましたが、セームという言葉が七カ所出ております。そのとき日本が、イコールにしてほしいという発言をしていた。イコールというのは、違う物でもこれとこれが同じ値段ならばイコールだ、百円ならイコール。しかし、セームというのは、全く同じでなければならないんだというので、日本の代表が袋たたきに遭ったということを私は聞いてきたわけですが、そういうことがあったのでしょうか、その点ちょっとお伺いいたします。
#177
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 国連で条約案を審議いたしておりました過程において、先生御指摘の条項に関しまして我が国がそのような提案をしたのは事実でございますが、現在のお手元にございます条文の表現で最終的には我が国も支持いたしております。
#178
○田中(美)委員 そういう発言が世界の婦人から非常に疑問を持たれて、この条約の教育のところが留保されるのではないがというふうに疑いを持たれている。そういう中で、この外務委員会での質疑を見ましても、実際には同一の教育になるのは何年先かはわからない。先ほど中曽根さんは、三年から五年というふうに言われましたけれども、これを一日も早く、世界からの疑問を持たれないように、事実上セームの教育になるように御努力を願いたい。最後に総理の御見解を伺いたいと思います。
#179
○中曽根内閣総理大臣 先ほどお答え申し上げましたように、できるだけ早くできるように努力いたします。
#180
○田中(美)委員 質問を終わります。
#181
○愛野委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後一時三十九分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十分開議
#182
○愛野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。金子みつ君。
#183
○金子(み)委員 まず初めに、ちょっと事務的な問題をお尋ねしたいと思いますので、事務当局から御回答いただければ結構だと思います。
 それは、今回審議いたしております差別撤廃条約でありますが、この差別撤廃条約を批准する目的で今審議が進められているわけでありますが、この条約が批准されました場合、何もこの条約と限りませんが、一般に申しまして条約が批准をされました場合に、その後その批准した国は締約国になるのだと思います。締約国になった場合には、国連の条約であれば国連に、ILOならILOに、いろいろ対象があると思いますが、どのような義務と責任が国連並びにその国の国会に生ずるのであるかということを、具体的に教えていただきたいと思います。
#184
○斉藤(邦)政府委員 我が国が締結した条約につきましては、我が国全体として当然これを誠実に遵守する必要がございます。この場合、我が国というときには国会も含まれるわけでございます。したがいまして、今後国会が自己の立法権あるいは予算制定権その他の機能を行使するに当たりまして、我が国が締結した条約に違反しないように行動する義務が生じると考えております。
 それから、国連がどういう義務が生じるかというお尋ねもあったかと存じますけれども、国連でつくられた条約ではございますが、国連自体は当事国になるわけではございませんので、その意味におきまして、我が国がこの条約に縛られるという同じような意味で、国連がこの条約に縛られるという関係には立たないと考えております。
#185
○金子(み)委員 その関連でございますけれども、次に、締約国は国連に対して、義務と責任というのは今お話がありましたが、具体的にいたしました場合には報告のようなものはなさらないのですか。報告しなければならないことになっているのじゃないでしょうか。
#186
○斉藤(邦)政府委員 ただいま私がお答えいたしましたのは一般論でございましたが、この条約に即して申し上げますと、第十八条に、「締約国は、」「この条約の実施のためにとった立法上、司法上、行政上その他の措置及びこれらの措置によりもたらされた進歩に関する報告を、」「国際連合事務総長に提出することを約束する。」という規定がございますので、我が国がこの条約の当事国になりますと、この規定に従いまして、今後国際連合事務総長に報告を提出する義務を負うということになります。
#187
○金子(み)委員 その報告書をつくるときに、どんな資料をもとにしておつくりになりますか。それは、政府の持っておられる政府部内の資料だけが基本になるのでしょうか、あるいはもっと広く材料を収集されるのでしょうか。
#188
○斉藤(邦)政府委員 この報告は、政府の責任で出すものでございますけれども、この条約の取り扱う問題は多くの省庁にわたっておりますので、正確に事実関係を把握してこれを報告するために、十分に政府部内の連絡調整を図る必要があると考えております。それからまた、報告の中で事実について記述する場合には、客観的な内容となるものとするように努めることは当然でございます。
 なお、まだ我が国はこの条約の当事国となっておりませんので、提出についての具体的なやり方についてはまだ決定しておりませんけれども、他の条約の先例等も勘案いたしまして、外務省が関係省庁の見解を取りまとめた上で政府の報告として提出することになると考えております。
#189
○金子(み)委員 それでは、大臣にお尋ねしたいことがありますので御回答願いたいと思います。
 この条約は、批准することを前提といたしまして、一九八〇年、今から五年前、御案内のようにデンマークのコペンハーゲンで開かれていた国連婦人の十年の中間年の会議がありましたが、その会議で批准を前提とした署名が各国で行われたと思います。そのときに日本も、当時のデンマーク駐在特命全権大使、高橋大使によって、政府の指示を受けて署名をされたというふうに承知いたしております。私どもは国内におりまして、この条約の批准を目的とする署名が行われるということを承知いたしておりましたが、それに関連して、その当時安倍外務大臣ではなかったと思いますけれども、これを署名することについて決して素直にと申しますか、すっきりとすんなりと署名を実施するという形になっていなかったように記憶いたしております。
 私は、そのことでお尋ねしたいのですけれども、なぜそのときに署名することを政府はちゅうちょされたのか。何となく渋った感じがありました。そのちゅうちょされたことについての理由が伺いたいわけなんです。例えば、男女平等の条件を取りつける自信がなかったためなのか、あるいはこんなことも聞いておりますが、事実でなかったら否定していただければ結構ですが、当時はたまたま大平元総理大臣が急逝なさいましたときでした。そういうことが突然起こりましたものですから、それで閣内が何となくがたがたしていたというふうに私どもも記憶いたしております。そこで、十分審議をしていなかった。十分審議ができないままに、何となく署名するということの指示決定がなされてしまった。
 そのことについて、もしこのことが決められて、そうして関連の法律をつくらなければならなくなる、あるいは改正しなければならなくなるという手続が進められていくであろうということは、当然考えられるわけでありますけれども、その前の年から婦人少年問題審議会の婦人労働部会は出発していたと思いますので、もう既にその問題はいろいろと議論が進められていたと思うのです。そうしますと、その当時から既に三者構成の部会でございましたから、いろいろとお話し合いがお互いにあったと思います。
 当時でも既に問題はあったと思いますが、今日、最近いよいよ最終段階となって、批准のための中心課題になる男女雇用機会均等法ができ上がりましたが、この法律ができ上がるまでの過程の中で企業の方たちが、このことを批准するということについて、こういう事態が必ず出てくるということはわかっていたはずなのに、批准するに際して企業に何の相談もなかった、これは正式に表向きに相談するものであるとは思いませんけれども、その辺は何かの話し合いがあってしかるべきものだったのかどうか存じませんが、企業の方々は、何の相談もしないで勝手にやったということで大変に立腹しておられたというようなことを、私どもは後に均等法の審議をいたしておりますころにテレビででも、新聞ででも読む機会があったわけです。
 ああ、そんなことがあったのか、そんなことを書かれておかしいとは思いましたけれども、そういうようなことがいきさつとしてはあることだったのかな、あるはずであったのかなというようなことが考えられていたのでありますが、そういうことはあった事実なのかどうか、そして、これを批准する前の署名をすることについてちゅうちょされた理由を率直に聞かせていただきたい。
 と申しますのは、いよいよ批准が行われて、準備された法案だとか法律その他が進められるにつきましても、まだまだ問題がいっぱい残っておると私は考えておりますから、そういった残された問題を解決していく上にも非常に重要な基本的な考え方になると思いますので、外務大臣となさいましては、そのことについてどのような姿勢で臨んでおられたのか、当時のことをお聞かせ願えればと思います。
#190
○安倍国務大臣 署名当時の状況について私も承知しておりませんけれども、特にこうしたいわば画期的な条約でございますから、署名に当たりましても、いろいろと政府内でも議論があったことは当然なことであろうと思いますが、最終的には、政府全体として署名に踏み切ったわけでございます。
 その後、批准のための条件を整えるために、政府内で調整が進められました。これも時間がかかりましたけれども、最終的に国籍法の改正とか、男女雇用平等法の提出とか成立というところまでこぎつけたわけであります。教育に関しましても、御承知のように文部省の方向というのがはっきり決まったわけでございます。多少の時間はかかりましたが、そうした条件整備を終えまして、今回、この国会に承認を求めるお願いをいたしたわけでございます。
 批准に当たりましても、確かに今おっしゃるように、いろいろな方面から声が出ておったことはそのとおりだと私は思います。そういう中で、やはり署名した以上はこれはどうしても批准をしなければならぬ、特に、国連婦人の十年という非常に重要な時期にこの批准だけ終えたいということで、外務省としましても、全力を挙げて努力をいたしまして今回の運びになった、こういうことでございます。
 これは、いろいろとまだ残っておる問題があることは率直に認めるわけであります。この点につきましても、この条約を批准することによって、我々としても条約の趣旨を尊重して誠実に守っていかなければならぬわけですから、こうした条約の趣旨を踏まえて、そうした残された問題につきましてもできるだけ早く解決をしていかなければならぬ、こういうふうに考えます。
#191
○金子(み)委員 当時その席におられなかった安倍外務大臣から、その当時のことを聞かせていただきまして、一応わかったわけであります。
 そこで、今の時点でこれを批准しようと思ってみんなが努力しておるところでございますが、この条約を批准することが日本にとってどういう意義があるかということについて、今の担当である外務大臣から御所感を聞かせていただきたいと思います。
#192
○安倍国務大臣 やはりこの条約そのものが相当な、先ほど申し上げましたように画期的な条約であろうと思います。日本も憲法によって、男女平等というものがはっきりと明記されておるわけでございますが、そうした情勢の中で日本自体も、法体系の整備等もしてまいったわけです。この条約を批准するということは、これからの新しい時代、二十一世紀といいますか、そういうものに向かってのまさに男女差別のない、そして女性の基本的人権とか人間の尊厳とかというものに対しての非常に大きな理想を掲げたといいますか、目標を掲げたわけでございますから、これからこの条約を批准した後にこの条約を守るということが今度は日本の義務になるわけでありますし、この義務に従って、いろいろな問題をその方向に向かって努力して解決をしていくということがこれからの大きな課題になってくるわけで、そういう意味ではまさに新しい時代の幕あけだということも言えないわけではない、私はそういうふうに思っております。
#193
○金子(み)委員 外務大臣の御所感は、よくわかりました。その考え方を大臣お一人でお持ちになっているのではなくて、外務大臣をいつまでも続けるわけではないと思いますので、そういうお考えは閣内に伝えて、閣内の各閣僚たちがそういう考えでこれからも進めていってもらえるように、今その衝に当たっておられる安倍外務大臣から強く伝えていただきたいし、そしてそのことは、どれだけ人がかわりましてもその問題が継続されていくように、ぜひ御努力を願いたいと思いますが、いかがでしょう。
#194
○安倍国務大臣 これは私ひとりの問題ではなくて、条約を批准した以上は、条約というものが政府を国際的に縛るわけでございますから、政府としてその条約の趣旨を今後とも誠実に履行していくということは当然のことであろう、こういうふうに思います。
#195
○金子(み)委員 それでは、その考えで進めていただきたいと思います。
 次にお尋ねいたしますが、日本は幾つかの条約を批准していますが、批准されていない条約も幾つもございます。また、条約を批准いたしました場合で、その条約の中に幾つかの条件がうたい込まれておる場合に全部は批准ができなかった、批准をしなかったと言った方が正しいのかどうかわかりませんが、いずれにいたしましても、完全に批准しないで部分的に批准をしているという条約もあるわけでございますね。そういう場合には、批准されなかった部分については、後日にその部分だけについての批准を追加すると申しますか、あるいは補足すると申しますか、そういうことができるものなのかどうか、それをちょっと聞かせてください。
#196
○斉藤(邦)政府委員 一般論で申し上げまして、一つの条約を批准いたしますときに、留保することができるということになっております。条約の本質にかかわるような留保はできないというのが一般国際法でございますし、条約の中に、これこれの部分については留保ができないという特段の規定がある場合もございますが、そういう場合を除きまして、幾つかの部分について留保した上で条約を批准するということがございます。
 その場合、留保した部分につきましては、締約国として条約上の義務を負わないわけでございますが、ただいまの、その部分について後からまたその義務を負うようなことができるかというお尋ねにつきましては、それまで行っておりました留保を撤回するという形によりまして、締約国として今まで負っていなかった義務を新たに負うということができるという形になっております。
#197
○金子(み)委員 わかりました。
 それでは、具体的に例を挙げたいと思うのです。
 今の問題ですが、ILOの百二号条約というのがございますね。これは社会保障の最低基準を決めた条約ですが、この条約は批准したのは一九七五年、今から十年前です。奇しくも国際婦人年の出発の年だったわけですね。この条約はこの年に批准されたのですが、九つの部門に分かれておるのでございますが、そのうち批准されなかった部分が五つ残っております。それは医療、母性、それから家族、遺族、廃疾に関する給付に関する部門ですね。この五つの部門が、今当局の御説明によれば留保の部分になっている。この問題につきまして、私どもは当時非常に問題にしたわけです。というのは、偶然かもしれません、意識的とは思いませんけれども、留保になった大部分が女子に関する問題なんですね。女性関係のものが残ってしまった。たまたまその年は、先ほど申し上げたように国際婦人年の十年の出発の年だったわけです。そういう年に、社会保障の最低基準を決める条約を批准しようというときに、わざわざと言ったら語弊があるのかもしれませんが、その婦人に関する部分だけが――だけがじゃありませんが、婦人に関する部分が大半留保されてしまったということは、大変に残念だったと思うのです。
 この件について、今御当局の御説明のように、後日できるということもわかったわけですが、そのことを私どもは期待をいたしまして、当時国会におきましては、衆参両院で決議が行われております。この外務委員会で決議が行われております。その決議によりますれば、「婦人関係ILO条約の批准促進に関する件」という題になっておりますが、
  国際婦人年の意義に照らして、政府は、未批准の婦人関係ILO条約をすみやかに批准するよう努力すべきである。
こういう決議でございます。そしていま一つは、
  政府は、一〇二号条約に関し今回受諾しない部門、特に、母性給付及び遺族給付について、本条約の趣旨をふまえてその改善をはかるとともに、すみやかに条約第四条1の規定に基づく義務受諾の通告を行うよう努力すべきである。
という決議をいたしました。これは全会一致で採択されたわけであります。
 これに対しまして、当時の外務大臣は宮澤喜一外務大臣でございましたが、大臣はこのように決意を述べておられます。「ただいま採決されました御決議に関し、」「政府といたしましても、婦人関係ILO条約の履行を確保し得るよう、国内法の整備を行いました上、」これを批准することは非常に大事だ。時間がかかりますから中を省略いたしますが、「このような観点から、先ほど御採決をいただきましたILO第百二号条約につきましても、今回義務を受諾しない部門につき、」「今後とも引き続き関係各省間で緊密な連絡を保ちつつ、政府として最善の努力をいたす所存でございます。」というふうに決意を表明されております。
 そこでお尋ねしたいのですが、こういう決議に対する外務大臣の決意を聞かせていただくことができたわけでありますが、そういたしますと、そのときから今日まで十年たっているんですね。大変に偶然が重なりますが、十年たちましたから、ことしは国連婦人の十年の最終年に当たります。出発の年に始まった問題で、最終年のことしにまだ留保事項が残っているわけですね。それで、鋭意努力いたしますと当時の外務大臣は決意を述べてくださったのですが、この十年間にどんなふうにこの決意を具体化するための御努力がなされたのかどうかということが実は知りたいわけです。いかがでございましょうか。
#198
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 ILO百二号条約につきましては、先生御指摘のように、この条約を締結いたしました際に五部門についての受諾をいたしておりません。条約全体についての国会の御承認をいただいたわけでございますが、条約自体が、その中のどれを受諾するかということの枠組みがあるものでございますから、当時、国内法制がこの条約が定めます水準に達しておらなかった五部門について、受諾ができなかったわけでございます。
 五部門のうちの医療給付、母性給付につきましては、その後、支給額の改善は行われておるわけでございますが、先生御承知のとおり自己負担があるということで、いまだにこの条約が規定いたしております水準に達しておりません。それから家族給付につきましては、これが該当いたしますのは児童手当でございますが、条約との関連で問題になりましたのは二点ございまして、内外平等、この点は既に改善されておりますが、まだ手当の額について水準に達しておりません。したがいまして、この三部門につきましては、いまだ受諾をする段階に至っておらないわけでございます。
 廃疾給付と遺族給付につきましては、その後改善が行われておりまして、これはまだ外務省だけの見解でございますが、今回の国会で御立法いただきました年金法改正でこの給付関係のものが大体定まったと思いますが、もはやこれを受諾し得る水準に達したのではないかという感じを抱いておりますので、この二つにつきましては厚生省とよく協議させていただきたいと考えております。
#199
○金子(み)委員 私がお尋ねいたしましたことの中には、一つの心配があるわけです。それは、今留保されている部門は婦人関係の部門が多いということを申し上げたわけでありますが、それらの部門が、今回の婦人差別撤廃条約の該当の部分が出てくると思いますので、そういう関係が非常に多いと思いますが、そういう場合に、批准から漏れて留保になっていることがそれだけある、それが婦人関係である、差別撤廃条約とも関係が深いということになりますと、差別撤廃条約を批准するためには何か妨げになるのではないかという心配を持ちますが、それはどうですか。これができなければ無理じゃないかというふうに考えなくてもいいのでしょうか、それを教えてください。
#200
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 ただいま御審議を仰いでおります女子差別撤廃条約は、一般的に申しまして、女子の権利を男性のそれと同等にする分野を細かく定めたものでございます。もちろん、特定の事項を定めた条項がございますが、一般的に申しますと、私が申し述べたようなものでございます。例えば、先生から御指摘ございましたILO百二号の条約は、それぞれの分野での水準と申しますか、内容を定めたものでございます。そういう点におきまして、両者は密接な関連はあるわけでございますが、このILO百二号を全部受諾していないからということで、女子差別撤廃条約の批准ができないということではございません。
#201
○金子(み)委員 それでは、それはわかりました。
 それからもう一つは、ILOの百十一号条約でございます。これは、雇用と職業に関する差別待遇に関する条約というものでありますけれども、私がお尋ねしたいのは、この条約とそれから差別撤廃条約との間に矛盾がきていないか、そのことが条約批准に対して障害にならないかということが大変に不安定な感じがいたしますので、その点をお尋ねしたいのです。
 例えば平等と保護ということの考え方の中で、この百十一号条約で申します保護あるいは援助というのは、理由は、姓とか年齢とかあるいは廃疾というように、社会的に弱い立場にある人に対する保護または援助ということを言っています。ところが一方、差別撤廃条約の方は、母性の保護を確立するというところに重点が置かれている。この違いがあるわけですね。それからいま一つは、労働関係の面で、差別撤廃条約の方は男女平等は同一の権利であるというところに視点が置かれておりますが、ILO百十一号条約の方はそれは権利とは考えていないんで、これはどちらかといえば一つの政策目標として考えている、こういうふうになっているということでございますので、この二つの問題の視点から考えて、差別撤廃条約を批准した場合に、このILOの百十一号条約の関係部分と差別撤廃条約の部分との間に抵触することがないか、あるいは矛盾することはないか、そのことは災いになりはしないか、こういうことが考えられるのですが、それはいかがでございますか。
#202
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 今先生御指摘ございましたようにILO百十一号条約、それからもっと一般的に申しましても、ILOでこの女子差別撤廃条約が採択されます以前に採択されました条約、これには差別でないという観点から女子保護を決めたものがたくさんございます。先生も御指摘ございましたようにこのILO百十一号では、ILOで作成いたしております女子保護条約は差別ではないという考えに立っております。一方、先生御指摘ございましたように、ただいま御審議を仰いでおります女子差別撤廃条約は、母性保護を除きその他の問題、いわゆる女子差別は一般論としては差別に該当する、したがってそれは認めないという立場でございますので、そこの間に観念の違いがあることは事実でございます。
 したがいまして、ILOにおきましても、女子差別撤廃条約採択後新しい動きがあるというふうに承知いたしております。本年予定されておりますILO総会におきましても、雇用における男女の平等関係についてのこれからのILOの取り組みについて議論することになっております。
 したがいまして、先生御指摘のように二つの条約の間には考え方の差があるということは事実であろうと思います。ただ、女子に対してのみではなく、一般的に男女も含めての保護と申しますか、高い基準の労働条件を定めること、これはこのILO百十一号にも違反しない問題でございますから、百十一号と現在の条約が必ずしも積極的に抵触するわけではないと思います。
 それから、先生もう一つおっしゃいました、ILO百十一号条約の方は政策ではないかというお話でございますが、ILO百十一号は男女の同権の場合でなく、人種でございますとか皮膚の色とか、幅広い面での差別の撤廃をうたっております反面、その分野を雇用の分野に限っておるわけでございます。現在御審議いただいております条約は、男女平等の観点に絞って、その分野を雇用に限らず広い分野を対象としておるということでございまして、両者が基本的に、積極的に抵触するということはないと思います。
#203
○金子(み)委員 今の御説明で、基本的に抵触することはない、だから条約批准に差し支えはない、こういうふうに理解していいわけですね。
 それでは、条約の関係でいま一つ政府の姿勢を伺いたいことがございます。
 それは、ILOの条約ですが、百四十九号条約というのがあります。百四十九号条約というのは、看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約、こういう条約でございますね。これは一九七七年六月一日に採択されています。そしてILOの総会で採択されまして日本政府に回ってきておりますが、日本政府では、これを翌年の八月五日に国会に提出しておられます。報告だと思いますが、なされたのでございます。
 それで、それから以後何の音さたもないわけですね。その後八年間経過しておりますが、この条約の取り扱いについては何の動きも承知いたしておりませんけれども、政府は、この条約は批准する方針でお進みになるつもりなのか、それとも、そういうものができたなということだけで、承知しておくということで終わっているのでございましょうか。そこを聞かせていただきたい。
#204
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘の条約、これは看護職員に関する待遇を他の労働者と同等またはそれ以上の条件にするように規定したものでございます。先生も御承知と思いますが、我が国の看護職員につきましては、労働基準法上の若干の特例が認められておりますが、条約が規定いたしておるような状況にはまだ達しておりません。ただ、暫定措置等で、条約の規定しております基準と現状との間が少しずつ狭められてきておる、こういう状況ではございますが、残念ながらまだこの条約を批准し得る水準に達しておらないのが現状でございます。
#205
○金子(み)委員 この条約は、大変に珍しい取り扱いだと私どもは聞かされております。と申しますのは、ILOの条約というのは、特定の職種だけを取り上げて条約をつくるなどということはあり得ないことなんだそうですね。これは特に看護職員だけを対象につくってあるという、大変に珍しい形になっているようでございますが、その理由というのが、これは日本だけの問題じゃない、世界的にそうだからということになったのだと思いますけれども、その国の医学あるいは医療がどこまで発達したといたしましても、看護がこれに伴っていかない限りは、その医学、医療、医術というものは、必ずしもその国の国民の利益あるいは福祉に当たらない、到達しないというふうなことが前提になっているようでございます。
 ですから、日本の場合でもそのことを考えますと、日本の医学が世界的に大変に発展しているということにはなるわけでございますが、その医学を応用する医療の分野においては、これと協力をする看護の職員の取り扱いが十分ではないということはみんながよく知っている点でありますが、これをこの条約が言うような形に改善することでなければ日本の国民の健康は守られていかない、本当に発達、発展しているところの日本の医学の恩恵を受けることができない、こういうふうに解釈できるわけです。ですからこの条約は、日本にとっても非常に意味があると私どもはこの条約を高く評価いたしておりますが、この条約について何の動きもないというのは大変に遺憾だと思います。何かこのことについて話し合いをなさったとか、あるいはこれは労働省、厚生省、両方関係があるかもしれませんけれども、外務省となさっては具体的になさったのかどうか、もしなさっていないとすればなぜかということも、ついでに聞かしていただきたい。
#206
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 この条約の位置づけについては、先生おっしゃるとおりであろうと思います。そこで、先ほども少し触れましたが、この条約を批准する関連で大きく申しまして三点の問題点がございます。一つは深夜業の問題、一つは看護職員が一斉休暇の適用除外になっておる問題、それから最後が九時間労働制の問題でございます。この点につきましては、主管官庁であらせられます労働省、厚生省とは、私ども常にこれらについての動きの情報はいただいております。そこで、先ほど申し上げましたように、まだ残念ながら批准する水準に達していない、こういうことでございます。
#207
○金子(み)委員 そういうことであるとするならば、このことをできるだけ早く進めていってもらいたい。今度条約が批准されようとしております差別撤廃条約は、一般女子の問題でございますけれども、先ほど申し上げたような理由がありますから、看護職員に関するこの条約も、一日も早く批准できるような体制を積極的に取り組んでいただきたい。今の御答弁で伺っておりますと、積極的になさったようには聞き取れなかったので。
 しかし、そのことを今さらに追及しても、時間がもったいないと思いますのでやめますが、こういうことがあるということを記憶してというか、忘れていらしたのではないかというような気もしますから、こういう条約があって、どんなに重要な条約であるかということを改めて考えて、姿勢をとり直していただきたいということを強く要求しておきたいと思います。
 次に、差別撤廃条約の問題について、具体的に入らしていただきます。
 差別撤廃条約の第二条の(g)というところを読んでみますと、時間がかかりますから読みたくないと思いますけれども、これは「女子に対する差別となる自国のすべての刑罰規定を廃止すること。」というところです。これに関しまして御意見を伺いたいと思いますが、何を私は言いたいかと申しますと、これを見まして、あ、それはこれだ、これをやれるじゃないかというふうなことを考えたわけです。
 それは何かと申しましたら、刑罰規定としての刑法の問題です。刑法の堕胎の罪というのがあります。堕胎罪です。刑法第二百十二条、ちょっと今資料が見当たりませんが、刑法の二百十二条。これは、懐妊した女性が薬を用いるかあるいはその他の方法で堕胎した場合に、たしか一年以下の懲役に処せられる、こういう条文がある。「懐胎ノ婦女薬物ヲ用ヒ又ハ其他ノ方法ヲ以テ堕胎シタルトキハ一年以下ノ懲役ニ処ス」という大変に厳しい条文がございます。これが今生きているわけですが、私が申し上げたいのは、優生保護法というのが一方にあります。この優生保護法の、できたときと違って改正が行われましたので、現在では、医師が優生手術を行うことによって人工妊娠中絶が合法的に実施できるようになっています。そうなりましたから、私は堕胎罪は成立しなくなったと思うのです。
 そこで、この条文をこのまま残しておくということは、その存在の意味がなくなっているということで、直ちに削除すべきだと思いますし、またこれが残っているということは、女子のみ処罰される差別だというふうにも考えられると思いますので、この点を改めていかなければいけないというふうに思いますが、法務省の御見解はどうですか。
#208
○米澤説明員 お答えいたします。
 先生御指摘のように、刑法の二百十二条は、懐胎の婦女を犯罪主体といたしまして、その者が堕胎いたしますと、確かに一年以下の懲役に処するという現行法の規定がございます。ただ、先ほど、優生保護法が改正された結果として堕胎罪が成立しなくなったのではないかという御指摘について、まずお答えしたいと思います。
 先生御承知のように、優生保護法で医師が行い得ます人工妊娠中絶と申しますか、それは事実上の堕胎と言ってもいいわけでございますけれども、その場合の客体は、母体を離れては生存できないような、まだ成熟程度がその程度の胎児を客体といたしております。その上で、優生保護法第十四条の要件に合う場合だけ、医師が優生保護法によって人工妊娠中絶ができる、こういう構成になっておるわけでございます。
 他方、堕胎罪の客体になります胎児と申しますのは、自然に分娩期が参りまして、そして母体外に陣痛等があって自然に出産する、そういうふうな状態になる前に、人工的にこれを母体外へ排出する。したがいまして、胎児の成熟度の観点から申し上げますと、客体が少しずれるわけでございます。つまり、成熟程度がまだ母体を離れては生育できない、母体外へ出せば生存の見込みは全くないというような状態のときの胎児が対象になっておる。それから、優生保護法の十四条の要件に当たることが必要であります。
 したがいまして、十四条の要件に当たらない場合、これはもう堕胎罪の成否の関係からいいますと、まず堕胎罪が現行法がある以上は成立するということでございますし、それから、今申しましたような、母体を離れて生育し得るような程度にまで成熟した胎児を意図的に堕胎する、要するに母体外に排出するというようなことをいたしました場合には、優生保護法の対象からかけ離れておりまして、専ら刑法の問題になる、こういうことでございます。そこで、先生のおっしゃいますように、優生保護法の改正があったから刑法の堕胎罪は全く成立の余地がなくなったということは、この意味では当たらないかと思うわけでございます。
 他方、先生、もう一点御指摘がございました。この懐胎の婦女だけが罰せられるのは、婦人差別撤廃条約の精神に違反しないかという点を御指摘だろうと思いますので、その観点からさらに一言、二言つけ加えさせていただきますが、この堕胎罪の二百十二条だけをごらんになりますと、確かに懐胎の婦女だけが犯罪主体というふうに構成要件はなっておるわけでございます。
 ところで、この懐胎の婦女以外の男性が、この懐胎の婦女と一緒になってこのような行為をした場合、どういうことになるかと申しますと、その次の条文の二百十三条というのがございますが、同意による堕胎罪ということにまずなろうかと思うわけです。場合によってそれぞれ違いますが、男性が加功して、婦女の同意を得て、その婦女の胎児を人工的に流産させたというようなことになりますと、そちらの条文に参ります。そちらの条文の法定刑をごらんいただきますとおわかりのとおり、その場合は二年以下の懲役に処すということでございまして、懐胎の婦女みずからが堕胎した場合よりは一年多くなっております。つまり、罰則が倍になっておるわけでございます。
 さらに、同意による堕胎罪が成立しない場合でも、例えば、男性が懐胎している婦女に対しましてこれを唆して、彼女をして堕胎せしめた場合には、その罪の教唆犯なりあるいは幇助犯ということで、これまた男性も処罰されるわけでございます。男性が処罰されるという観点からは、女性と男性との間には、法律効果的には差がないというシステムになっておりますので、その意味では、婦人差別撤廃条約そのものの精神にもとるというような規定ぶりにはなっていないというふうに私ども考えております。
#209
○金子(み)委員 その問題は議論したいのですけれども、時間があんなになっちゃったのです。大変残念ですが、これは別の機会にやらせていただくようにいたします。今のお話を伺っていますと、ケース・バイ・ケースみたいなふうにも聞こえました。要するに、胎児の月数の問題が問題になっているようですから、そうだとすれば、問題はまた別にあると思いますので、大変残念ですが、これはそれではペンディングにさせていただきたいと思います。
 そこで、その次ですが、もう時間がほとんどございませんので、ぜひただしたいことが幾つかございますが、その中から一つ選びます。それは十一条の1の(c)というところです。
 私が申し上げたいのはこのことです。今回、男女雇用機会均等法が成立をいたしました。そして、その成立に際して修正が行われたわけですね。修正は二つ行われたのですが、一つは見直し規定が入ったのですから、これは特別な問題になりませんが、いま一つの修正の方です。一条の中に文言が入りました。「法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり」という文言が入りました。そこで申し上げたいと思いますのは、ここで憲法をうたい出してこられた、憲法十四条のことだと思います、これは。憲法十四条で、「すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、」云々、「差別されない。」こういうふうになっていますね。これをお入れになった。このことを受けておられると思うのですけれども、そこでお尋ねしたいのが、今回の均等法は、勤労婦人福祉法の焼き直しと一緒に労働基準法の改正がセットされている。その労働基準法の方の問題を取り上げたいわけです。
 憲法十四条のことをここで受けておられたのならば、なぜそのときに、労働基準法の三条の中に「性別」という文言を挿入されなかったのか、これを私は言いたいのです。現在の労働基準法の三条は「均等待遇」でございますが、その中にはこう書いてあるのですね。「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、」差別してはいけないということが書いてある。この中に「性別」という字が入っていない。憲法十四条には「性別」という字が入っている。なぜ、ここに「性別」を除いたかということなのですが、労働基準法ができた二十二年の時点で、既に憲法はできていたわけです。ですから、ここで除いた理由と、今回の均等法の中に労基法が一部入っていますが、均等法をつくった場合にこの労基法の改正の中で、なぜ三条に「性別」を入れなかったのか。前の二十二年と今回とがもし全く同じ考え方であるとすれば、それは非常におかしいと私は思う。
 なぜかと申しますと、なぜ除いたかということについて伺いたいわけですが、私どもの考えでは、あえて除いたというふうに理解ができる。あえて入れなかったとすれば、それは差別意識のために除かれたのだ、こういうふうに理解ができるわけです。そうでなかったら、「性別」を入れてよかったはずです。二十二年のときに入れなかったのならば、今回の均等法ができるときには当然入れるべきであったと思うのに、なぜ入れなかったのか、それがぜひ伺いたいところでございます。
#210
○赤松政府委員 お答え申し上げます。
 このたびの修正は従来申し上げておりますように、憲法の十四条の規定は国と国民との関係を規定した性格のものであり、それを企業と労働者、つまり私人間の行為にまで具体的に平等を保障するという趣旨でつくられた福祉法の改正でございますので、それはとりもなおさず憲法の理念にのっとったものであるということを、従来から国会の中で御説明してまいりましたが、そのことを明言をもって明らかにするという趣旨でなされた修正であろうと、私どもは理解している次第でございます。
 これは、国会が立法府としての立場からなされた修正でございますので、私どもとやかく申す筋合いはないわけでございますが、そのように理解をしている次第でございます。
#211
○金子(み)委員 修正のときにしなかったということを今局長はおっしゃったわけですけれども、それもさることながら、それ以前に法案を準備なさったときに、当然これは改められているべきであったと私は思う。それをなさっていなかったということは、大変に残念だと思いますし、私は法案審議のときにもこの点を指摘いたしました。後に修正が出てきたので、改めてさらにもう一遍、どうしても言わなければならぬと思ってきょうは発言をしているわけでございますが、そもそも法案を提出なさるときに、あの法案をおつくりになったときに、どうしてこれができなかったのか、その方が聞きたいわけです、局長からは。どうぞ。
#212
○赤松政府委員 雇用における男女の平等を確保するためには、基準法の三条の改正によるという方法は一つあり得ると存じます。しかし、これでは、基準法のカバーいたします雇用の中に取り入れられた労働者にしか適用がないという一つの欠点がございます。また労働基準法は、申すまでもなく罰則をもってその履行を迫っているものでございますから、もう少し緩やかな形での男女平等を法律で規定をするということの方が、現在の社会情勢その他現実のあれから考えまして適切であろう、必ずしも労働基準法の中で規定を、三条を改正して「性別」という文言を入れるというだけが、男女平等の実現の方法ではございませんので、それ以外の方法、つまり現在の機会均等法のような規定の仕方の方が適切ではないかというふうに考えて、三条の規定を、「性別」を入れるという改正をしなかったわけでございます。
#213
○金子(み)委員 私は、それでは理解ができないのですけれども、またこれをやると時間がなくなるので困るのですが、三条の中に「性別」を入れることだけが差別をなくす問題にはならない、もっと緩やかに緩やかにとおっしゃいますが、機会均等法全般が、全体にわたって実効のない緩やかな規定になっているということはだれもが承知しておりますから、今改めてそのことを当局から伺わなくともわかっているわけでありますが、私は、三条の中にこのことを入れることが緩やかでない結果になるからしなかったのだ、こういうふうにおっしゃっているというふうに理解ができます。そういうふうに理解をいたしますが、そのことは私どもといたしましては、そうでございますかと引き下がることにはならないわけでございますが、しかし、今の時点で、これはすぐにどうすることもできないことはわかっております。
 たまたま聞くところによりますと、来年は労働基準法の改正を手がけるようになる予定であるというふうなことも承っておりますから、労働基準法の改正があります時点で、これをぜひ私どもはそちらの方で努力をして挿入するということをいたしまして、そこで本当の均等、労働基準法で言う均等待遇の、名実ともに均等待遇になるように改善をしてもらいたいというふうに今考えているところでございます。
 時間がなくなりましたのであれでございますけれども、一つだけ。詳しいことを話していると時間がなくなりますので、自治省は来ていらっしゃいますか。――自治省が御存じかどうかということを確認したいのと、もし御存じだったらどういう手だてをおとりになったかということを伺いたいことが一つございます。
 それは、多くは申しませんが、熊本県の天水町と、それから同じ熊本県の玉名市というところで行われている女性職員の差別の問題でございます。これはどちらも役所です。町役場と市役所との両方の問題ですが、職員の問題で、片っ方の天水町の方は結婚退職ということを実施しているわけです。これは三十七年からやっているそうですが、女子職員だけです。女子職員だけに対して、採用の際に、結婚することになったらやめますという誓約書を書かせています。今まで百五十人も退職しているそうでございます。それから玉名市の方は、夫婦共働きの職員がおりました場合に、夫が管理職につきました場合には妻は退職するという誓約書なのです。
 こんなものが今どき堂々と通っているのはどういうことでしょうか。これは明らかに、女性差別だと言ってもいいのじゃないでしょうか。私は、後で外務大臣の御見解も伺いたいと思っておりますけれども、これはそもそも地方公務員法違反にもなるし、憲法違反にもなるし、今度条約ができれば、その条約の違反にもなるしということになるわけですけれども、これは自治省は御存じだったのですか。もし御存じでなかったら、これをどのようになさろうと考えていらっしゃるか、簡単に御答弁いただきたいと思います。
#214
○安田説明員 お答え申し上げます。
 ただいま先生御指摘になりましたように、結婚をした場合に退職する旨の誓約書を提出いたさせたり、夫が管理者になったときは妻が退職をする、そのような定めをすることは、地方公務員法の平等取り扱いの原則に違反するものとかねてから存じております。
 そこで、御指摘いただきました天水町、ここにおきますのはその前者、結婚した場合の誓約書の件でございますが、実は先般新聞報道されまして、私どももびっくりいたしまして、今県を通じて実情を把握しているところでございますが、その前に、現地においては従来の扱いに問題があるという認識のもとに改めるべく、現在措置をとりつつあるというふうに伺っております。
 それから玉名市の件につきましては、そういう定めが明らかになったものがございませんので、まだ具体的に承知することができないでおります。一般論として、そのような形で定められているとすれば私ども違反と思っておりますので、今後とも実態をよく把握して、適切に対処してまいりたいと存じます。
#215
○金子(み)委員 その点につきましては十分図っていただきたい、こういうふうに思いますので、よろしくお願いします。
 時間になりましたので終わることになりますが、最後に、外務大臣の御決意を伺いたいために一言申し上げたいと思います。私、きょうは時間がなくて十分申し上げておりませんが、この委員会はもう何回か開かれております。そして、差別撤廃条約を批准する問題につきまして、いろいろと質疑が行われていたということを大臣はつぶさにお聞き取りになっていらしただろうと思うわけでございます。
 そこで、それらの質疑を通して考えられることなんですが、どうもこの条約の精神あるいはその趣旨に完全に沿い得ていない関連の法律とかあるいは制度とかというものが、まだまだたくさんあるということでございます。一部については、手直しをしたとか改正をしたとか新しい法律をつくったとかというものもございますけれども、それでもこの条約の趣旨あるいは精神にはぴたっと完全に一致していないという点が多々あるというふうに考えられます。いわゆる不完全と申しますか、不完全批准という言葉は使えないのかもしれません、あるいはまた先ほどのILOの条約のときのように、留保などということにはならないのかもしれませんけれども、内容的に、批准はされるけれども、しかしその批准に結びついたたくさんの規則あるいは法律、制度、そういったものが批准された条約の趣旨に必ずしもそぐわないということは、事実としてまだまだたくさん残っているというふうに私は承知いたしておりますが、これらの点について大臣はどのように認識していらっしゃるか、そんなことありません、きれいに完全に批准できますというふうにおっしゃるのか、あるいはそれらの問題があると認識なさるのだったら、それらについて今後どのように具体的に改善の歩を進めていらっしゃるおつもりか、その御決意を伺いまして質問を終わりたいと思います。よろしくお願いいたします。
#216
○安倍国務大臣 条約を締結した以上は、これを誠実に守っていくというのが政府の義務であります。そういう観点から、今日本でまだ条約の趣旨あるいは精神に照らして問題が残っておる制度もなきにしもあらず、私はこういうふうに思います。
 また慣習等につきましては、これは条約とか法律だけで一律に規定はできませんが、国民の意識が条約というものを踏まえた形で改善をされていかなければならぬ点等もあります。そうした慣例等もあると思いますが、そういう点を、せっかく新しいこうした条約に入るわけですから、国民にもひとつ十分理解していただくという中で、また政府自身も、条約に照らして改善していくところは今後とも改善していくべく努力を重ねていかなければならぬ、こういうふうに思っております。条約に入ったからこれで終わりということでは決してない、こういうように考えます。
#217
○金子(み)委員 今のお言葉を絶対に忘れないで守っていただきたい。ILOの百二号条約のときのような轍を二度と再び踏まないように、十年かかっても何もしてないというようなことのないように、ぜひ御努力をいただきたいということを強く要請をしておきたいと思います。
 委員長、きょうはまだほかに予定いたしておった質問があったものですから、政府の方々においでいただいているところがございますけれども、それができませんで大変失礼いたしましたことをおわび申し上げたいと思います。ありがとうございました。
#218
○愛野委員長 次に、小林進君。
#219
○小林(進)委員 前回に引き続いて御質問をさせていただきます。
 私の非公式な情報でございますけれども、外国にいる友人等から、何か日本では外務政務次官がみずから主催した会にゴルフ場からキャンセルを食って出れない、その外務政務次官が七月に行われる婦人差別の十年の総会に団長でおいでになるという話があるけれども、それは一体本当か、これは実に奇異なる現象である、日本という国はどうなんだ、国内でそういう婦人差別を天下にさらしておきながら、その人を団長にして婦人差別撤廃の会議によこされるという、この神経はどうなっておるかどうもわからぬが、そこらの事情はどうなっておるのかというような質問を私は受けたわけなんでございます。外務大臣、これは一体どういうことなんでしょう。私は、これにどう答えたらいいんでございましょうか。ちょっとそれを外務大臣から私の友人の質問に、外国から来たんですが、お聞かせをいただきたいと思います。
#220
○安倍国務大臣 確かに我が省の森山政務次官が、小金井カントリーで外交団と一緒にゴルフをしようといたしたわけですが、これに対しまして残念ながら小金井カントリーは、日曜日には女性はプレーをしていただかないことになっているということで拒否をされたということがございました。また、森山政務次官は、御承知のように我が政府の代表といたしましてナイロビの会議に出席をいたすことになっております。
#221
○小林(進)委員 今、外務大臣がおっしゃること、声が小さくて私は聞き取れなかったのでございますけれども、こういうことは国際上一つのニュースとしては非常に関心を寄せるんですね。だから、これが世界じゅう飛んで歩いているんですね。だから、単なる一つのプライベートの問題だとか、単なるゴルフとかプレーの問題ではないんだ。これは日本政府の姿勢の問題であり、外務省の姿勢の問題であり、公的職務についたいわゆる高官だ、外務省におけるナンバーツーですから、そういう人の職務に対する、そういう勤務のあり方に対する一つの問題でもあるわけだ。
 外務大臣は、このままの様子で何らの手入れをしないで、森山政務次官をナイロビへ団長として、その人には婦人差別をずっと強く反対をしている衆参両院の国会議員も皆ついていくわけだ。そういう人たちを引率をしながら、その団長はいわゆる差別の慣習ですか規約にやられてオミットされた、そういう変則な団の編成を日本の港から船出をさして、それでよろしいという感覚で一体外務大臣がいらっしゃるのかどうか。これは、世界から日本の良識を疑われる問題になるのではありませんか。あるいは、このままじんぜんと日がたてば、この煙は立ち消えるというふうにでもお考えになるとすれば、私は大変認識不足だと思いますよ。第一、日本の国会自体が、この委員会自体が火がおさまるわけはないのですから、この問題に何らかの手を打っていただかない限りは、十年一日のごとく、森山さんがナイロビへ立っていかれるまでここではこの問題を叫び続け、批判し続けるのですから、これはおさまりませんよ。そういうことを真剣に考えていただきたい。
 いま一つは、私は残念ながら午前中のこの委員会の審議に出ることができなかったんだ、他に拘束された。ところが、中曽根総理が来てここで何とか答弁をされたというのです。大変な答弁を聞くチャンスを逸したと思って、私は非常に残念にたえないのだが、その総理の意見に便乗して、そこにいる斉藤君だ。斉藤君が、今度は、レクリエーションだし、条約十三条の云々にはこれは違反しないというふうな、何か人の顔をぞうきんでぬぐうようなことを平気で答弁されたということを聞いて、これはまた驚いた。一体、外務省というのはどうなっているのですか。ここに森山談話がありますよ。これは新聞記事だけじゃない。彼が実にコピーをしたる抗弁もここにあります。これは新聞と同じだけれども、大変なる屈辱を受けた、だからこの小金井のゴルフ場の管理者に対して、首脳部に対して抗議文を出されている。同時に、訴訟も辞さないというんだ。外務政務次官という公の職務に殉じてやった仕事に対してこういうことをやられたのなら、単なる家庭の中における一つの差別の問題ではないから私は訴訟も辞さないと言っているんだ。
 繰り返して言いますけれども、それがナンバーツーですよ。その下にいるセブンだかエイトだか何だか知らぬのがぞろぞろと、このナンバーツーのそういう恥をかかされたような事項に対して反旗を翻して、政務次官何者ぞといって何々局長以下九人もぞろぞろと行って、平気の平左で戯れながらそこでゴルフをやっておる。それでいいのかと思ったら、今また聞いたら、これもこの政務次官の下で職務を執行している斉藤何がしというのが、そんなことは何も取るに足らざる問題であると言う。これでは、一体立場を変えたら政務次官どうなるのです。これは外務省という一つの機構、組織の中において自分の部下だ。こういう諸君からこういう扱いを受けて、一体政務次官の立場はどうなるのですか。
 外務大臣、これはあなたにひとつ至厳なる判断、決断を得なければならぬですよと、私はこの前も忠告を発していたのだけれども、あなたの所見を承っておきたい。部下職員が、こんなことは何でもないですよ、うっちゃらかしですよ、こういうふうにちょろまかしている諸君の言動に乗って、まあ森山政務次官、君はともかく腹を切るなら切るもよろしい、ナイロビに行かぬなら行かぬでもよろしい、訴訟するなら訴訟するもよろしい、抗議文を出すなら出すもよろしい、どうぞ御勝手に、こういうことで終始せられるのか、きちっと承っておきたいと思う。
#222
○安倍国務大臣 今せっかく名前が出たわけですから、斉藤君からも後で説明をさせますが、私からまず申し上げます。
 小金井で日曜日の女子のプレーを断る、こういうのは小金井のクラブのこれまで長い間の理事会の決定によるところの慣例であった。私は知りませんでしたが、こういうクラブは日本じゅうにまだほかにもあるようでございます。日曜日に女子のプレーを断るということが条約に違反するかどうかということは、条約の解釈でもありますし、私は、必ずしもそうしたことが直ちに条約違反だとかそういうものには結びつかないと思っておりますが、しかし全体的に見ますと、最近は男子だけじゃなくて女子も盛んにゴルフをやっておるわけでありますし、女子プロも盛んに活躍しておる。
 昔そうした慣例ができて、昔にはそういう慣例が日本だけじゃなく世界にもいろいろとあったと思います。そういう慣例であったとしても最近は漸次改善をされまして、例えば平日にはプレーをさせるとか、あるいはまた、その日に限って女子だけのプレーを行わせるとか、そういうふうに最近は大分ゴルフ場も改善されてきておるようでございます。私は、この最近の状況から見ますと、男子だけじゃなくて女子も盛んにゴルフをやるという時代になったわけですから、そう格式張って、昔のような慣例をそのまま千年一日のごとく守っていくというのは、今日の時世から見てどうかと思っておるわけでございます。したがって、森山さんが怒られるのは無理はないと思っております。
 森山さんは何も公的といいますか、これは親睦会でございますから、そういうかた苦しい立場で、日曜日ですから、行おうというわけじゃなかったのでしょうけれども、しかし森山さんの立場に立ってみれば、政務次官という立場にあったから大使との懇親会、ゴルフのプレーを行うということでございますから、それは自分の職務の一端と考えられておったと思いますし、そういうことからすれば、非常に憤慨をされ、抗議をされ、あるいはまた、場合によっては訴訟も辞さないという気持ちを持っておられることは事実であろうと思います。私は、それはそれなりに森山さんの気持ちは十分わかるように思います。
 私自身は、今外務大臣として、ゴルフ場のそうした経営あるいはあり方について、ここで強制的にどうだこうだと言う権限を持っておりませんけれども、これはやはりそれぞれのゴルフ場がこうした事件というものを十分踏まえて、そして今日の時代というものを十分ひとつ理解をしていただいて、またさらに、今、条約そのものの解釈は別としても、女子差別撤廃という条約が審議をされておる時期でありますし、これを通していただいて、国連婦人年最後の年のナイロビでの婦人の世界会議が持たれるというときでもあるし、また、条約に入ればそれに従っていろいろな体制を整えていかなければならない、そういう政府の責任も出るわけでございますから、これは条約の違反である、違反でないということは別として、今日の時代認識からすれば、今のそうした経営のあり方はやはり問題があるのじゃないか。ですから、善処を求めたいと私は思っておるわけでございます。
#223
○小林(進)委員 この問題だけで時間がかかっていますけれども、これで幕を引くわけにまいりません。同時に、私はこの前も言った。こういうふうに歴然たることがその前日に繰り返されて、出てきてもらっては困ると言われたら、その部下の局長諸君は次の日には一人か二人でよろしい。我我のいただいておる政務次官はこういうわけで出席できない、残念ながら、外国のお客さんは九人いるか十人いるか、事情はこういうことです、それで大臣も出席されないのでありますから、私は外務省を代表して、外国のお客さんには申しわけないけれども事情説明に参りました、どうかお許しをいただきたい、僕はそれでよかったと思う。私はそれが正しい姿勢であると思う。それをやらないで、のほほんとして政務次官を皆で、我々の俗な言葉で言えば、一人を殺してしまったような形でのうのうと部下職員が行ってプレーをしているなんというようなことは、だれが考えても了承できない。
 同時に、私は、この問題に関する限りは何も個人的に関係はないが、森山ユミコ女史の主張は終始一貫理論が通っている。(「眞弓さん」と呼ぶ者あり)眞弓さんか。私は御主人とは、昭和二十四年当選の同期生で仲よくおつき合いいたしますけれども、御夫人の方とはそう仲よくおつき合いもしていませんものですから、時には名前なんかも間違ったりしますけれども、そこら辺はひとつ御了承いただきまして、少しくらい違っても、ああ彼女のことを言っているんだなということで御了承いただきたいのでございますけれども、私は、この主張は大変正しいと思う。こんなことで一歩も二歩も退歩してもらったら、何のために私どもはここで汗水垂らして男女の不平等の問題を論じているのか。何もここでこんなことを論じるほどの価値もない。これは単なる弁論大会だ。お互いに言葉のやりとりをしているだけの問題だ。しかも、国会における委員会は、しゃべったことは実行してくれ、実行しますという、行動を裏づけした理論のやりとりが国会の論争なんです。その裏づけをすべき行動を目の前に、こんな差別が転がっておる。
 しかも、この委員会において、一番責任を負うべき行政のナンバーツーだ。その人がこんな侮辱を受けた、差別を受けているのを、のほほんと行動も起こさなければ、モーションも行わぬ、アクションもない。ただこれを素通りさせて、そのままここで議論を重ねていくなんということは、我我委員の名においてできません。だから、私は繰り返して言うように、森山主張は正しいから、大臣がどっちの方に軍配を上げるか。これは政務次官と外務官僚との対立てすよ。このまま、一緒にやります、外務官僚の斉藤何がしの答弁も正しいということで、森山さんは従来の予定どおりナイロビにでもいらっしゃるということならば、あなたの軍配は完全に政務次官を見殺しにしたという結果になりますよ。あなた、ならないと思ったって、結論はそうなりますよ。
 しかも、彼女は世界の衆目の中だ。日本のゴルフ場で締め出しを食った、それほどの差別を受けて、今世界の関心の的になっているときに団長になってよく行く。その後へまた、婦人の差別撤廃を黄色い声で叫んだ日本の国会議員方がのこのについてきたなんといったら、ついていく者もついていく者だ、こういうことになって、国会を挙げての潮笑を受ける結果になる。私は、決して事を扇動的に言っているのではない。物の道理を言っているのですから。外務大臣、こういうことをきちっと処置をしていただかなければ、この条約の批准も兼ねて私どもは了承することができません。はっきり言っておきます。きょうのところは、まずあなたに問題を投げかけたままで、あなたと私の友情関係に基づいて、それ以上攻めていくとあなたの立場も苦しくなりますから、物事を八分目にとめておきますから、今晩帰ってひとつじっくり考えて、一番よい決断を出していただくように強調いたしまして、次の問題に移ります。
 男女差別の問題、お聞きしますけれども、女性解放を妨げている要因は一体何か。今、頭のいい方々が、やれ教育の問題、雇用の問題、生理の問題から産休の問題、私が言いたいことを全部やってしまった。だから、私はそこにはもう触れません。私がお聞きしたいのは、そういう差別をつくった要因は一体何か。いかがでございましょう。
#224
○安倍国務大臣 日本も、戦後新しい憲法のもとに、男女平等ということを高くうたっておるわけでありますし、戦前の日本と違いまして、男女平等という観念は国民の中にも相当浸透してきている。政治の面においては男女差別は完全になくなったということは、今日の日本の国会は明確に証明をしておるわけですが、ただ、まだ法律制度あるいはまた日本の長い歴史、伝統、慣例、慣習等あるわけですから、そういうものがやはり根強く根づいておるということも事実だと思います。
 そういう中で、日本も今の条約を結んで国際社会の中で約束をして、こうした制度等についても改善を加えるものは改善をし改革をしていく、また慣習等につきましても国民の協力を得て改めていかなければならぬということからこの条約の署名に踏み切ったわけですし、そして今日国会に承認を求めておるわけでございますから、これはどこの国でもそうでしょうが、それぞれの国の長い伝統、歴史、宗教、いろいろの面の中で男女差別の問題もあったわけでありますし、あるいはまた、男女は男女なりに本質的な一つの区別的なものもあることも事実でございます。しかし、あくまでも人間の尊厳あるいは基本的人権ということからいえば、完全に平等でなければならぬということでこの条約が生まれて、そしてこれに対する、これからの改善を加えるということに大きな意義があるのではないかと思います。
#225
○小林(進)委員 外務大臣の御答弁は、半分は私の質問に答えていらっしゃると思うのです。私は、こういう差別ができたのは、単なる法律問題で問題の処理ができるとは思わない。これは何回も繰り返されているように、慣習がある、習慣がある、世論がある。世論がなかなか男女の差別をつくり上げている。政治があります。法律の中にも、まだ男女の差別が幾つも残っている。経済がある。一番ここで論ぜられたが教育の問題がある。学問がある。この学問の中にも、実に男女差別の問題がまだ残されている。
 それから家庭もある。今我々の仲間でも差別の問題を論ずるときに、それぞれの大臣の家庭あるいは議員の家庭などを眺めて、あいつはどうだ、あいつはいいだろう、小林議員なんというのは実にファミリーで和やかな立派な男女平等の家庭を営んでいるだろう、こういうことが評判になっているんだ。それと出てくるのは外務大臣、あれが男女差別の巨頭ではないか、こういう評判が強い。あなたは、そこでは男女平等やります、やりますと熱心にやっているけれども、家庭に行ったら一番ワンマンじゃないかという、この国会内部における大方の世論だ、そうでなければいいけれども。そういうことで、今我々はいろいろなことをお互いに反省も含めて話し合っている。家庭が一番問題がある。その中でも、改めるところは一生懸命改めていかなければならない。スポーツにおいてもしかり、レクリエーションにおいてもしかりです。
 だから、そういう中で今ここで法律だけを論じて手直しするよりも、従来のいろいろな問題があるでしょう。いろいろな問題を部分的に直していかなければならぬ。そこまでいくと、問題は外務省だけじゃない。この男女差別というもの、慣習、習慣、風習などを直すということになれば、各省がこの法律を中心にして、挙げてそれに取り組む体制をつくらなければいけない。この差別の問題は、総理大臣を頂点にして、各閣僚が外務省と同じような姿勢で取り組むことが必要なんだが、それを総理大臣に聞いてみようと思ったら、午前中残念でしたけれども、答弁なんかを見ていると、どうも彼が一番男女差別を温存していく巨頭のような答弁をしていったということで、怒り心頭に発しているのだけれども、遂に私はそのチャンスを失ったので、改めてやらなければならないと思っております。
 そこで聞くのだが、一体総理府は、当面する国際的な重大条約の問題について、今どういう姿勢でこれに取り組んでいられるかを、まず私はお聞きしたいと思う。
#226
○松本政府委員 総理府では、まず昭和五十年、国際婦人年に総理大臣をその長といたします婦人問題企画推進本部というものが総理府に設けられたわけでございまして、自来、この本部の事務を担当しているわけでございますが、昭和五十二年には婦人の施策についての国内行動計画がまとめられまして、これについて進めてまいりまして、この条約に署名するときには、この条約を署名した後批准のための国内法制の整備に努めるという本部の申し合わせなどをしてまいりまして、各省の連絡を密にいたしまして、今日までこの条約批准のための準備を外務省その他各省と、御連絡をとって進めてきたところでございます。
#227
○小林(進)委員 あなたは計画、法制の準備をしたと言う。準備だの計画だのというのは、言葉の問題ですからね。そんなことは何ぼでも言えるんだ。具体的に――十分前、何だ、これで持ち時間終わりかね。何にも質問できないじゃないか。
 総理府の六十年度予算をみんな見てきたんだ。まず、予算の上から総理府の、そういうあなたのこの問題に対する取り組み方を私は一つずつ聞くつもりだった。これでは何にも時間がない。総理府自体の予算は大体七千八百万円。七月の世界会議の経費として、三人分の旅費を含めて二千九百万円だ。民間女性で婦人の地位を高める政策に協力した功労者として表彰するという、その表彰するための経費が二百万円。これが婦人の十年に対する総理府の取り組み方だ。こんなことで一体いいんですか。まじめにやっていると考えられますか。
 お伺いしますけれども、どうもその二百万円で婦人問題に活躍した人を表彰されるそうでございますが、私も国会におけるこの婦人の十年議員連盟の副会長をやりまして、あなたの言う準備に大変熱意を傾けて奮励努力をいたしてまいりましたが、私もその表彰される仲間の中に入っておりましょうか。私の名簿がありますかどうか、ひとつ参考までにお伺いいたしますが、いかがでございますか。
#228
○松本政府委員 まず、総理府の予算でございますが、総額といたしましては七千万円程度とささやかでございますけれども、前年に比べますと四割程度、大変大きく伸ばしていただいているところでございます。
 それから、功労者の表彰につきましては、具体的にどのような方を対象にしていくのかということにつきましては、これから長間の有識者の御意見等も伺いながら、検討してまいるところでございます。
#229
○小林(進)委員 どうぞひとつ、公正妥当にお決めいただくことを進言いたしまして、時間がないものですから。しかし、これは総理府、私これで、あなたの御答弁で了承したわけじゃありませんよ。こんなけちなことで、婦人年に取り組む姿勢が出ているなんてことは、いささかも感ずるわけにいかない。実に私は、残念にたえないということを今申し上げておく。けれども、あなたは実に立派な御婦人でいらっしゃいますから。総理府長官でも来れば、こんなことでおさまるわけにいかないのでありますけれども。
 次に、厚生省にお伺いいたしますけれども、時間がないからさっぱり聞けない。女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約に対して、一体厚生省はどういう取り組み方を今やっているのか。
 一つの例ですよ。今、私のところへ仲間も来ていますけれども。厚生省には一番ネックの問題として丸山ワクチンという問題がある。これは大きく出ておりますが、これに助けられた人が二十数万人いるのです。今でも、このワクチンを欲しいということで、日本医科大学のところへは毎日四百人、五百人の人が列をなして、全国からこれを求めてきている。その人たちが、婦人なるがゆえに手に入らない。家庭に縛られているから行動力がない。これが保険薬として登録されていれば、どこの薬屋でも買えるから、男も女も平等に買えるけれども、いろいろ手続をしないから買えないのです。しかし、自分の夫なりあるいは自分の子供なり、その人の健康のためには、この御婦人が一番丸山ワクチンの治療薬を要求している。
 これを阻止しているのが厚生省なんですよ。だから、敏感にして正しい御婦人方は言っているんだ、厚生省の業務官僚というのは一体どうなっているのですかと。大製薬メーカーだけのことを彼らは考えて、か弱い女性がまさに死に瀕しながら、この薬によって生命を保ちたいという、この熱望をいささかも入れてくれる姿勢のないことは、これは一体どうしたことなんでしょう。厚生省こそ我々の本当の自然の要望にこたえてくれない、こういうことを言っている。厚生省の業務局長、この婦人の熱意に対して君たちは具体的に何やった。
#230
○小林(功)政府委員 ただいまの先生のお話は、丸山ワクチンを承認しないのはなぜか、こういう問題と、それから女子が時間がなくてそれを買いに行けない、二つあると思います。
 最初の方の承認するかどうかという問題は、先生十分御承知のとおり、中央薬事審議会で付されました附帯意見に基づいて治験をやりまして、それについてまだ有効性を判断するに足る十分な資料がないということで、一応今、有償治験という制度でやっているわけでございます。
 あと、その買えるかどうかという問題は、現在既に郵送で申し込める、郵送で送ってもらえるということもやっておりますので、その点は余り問題がないのではないかというふうに思います。
#231
○小林(進)委員 ともかく、御婦人方が言ってくるんですよ。医者のところに行くと、ピシバニールとかクレスチンとか飲めば痛いし、苦しむし、かえって病状は悪くなって少しも治らない、そんな薬を保険薬だから飲みなさいといって強制的に飲まされて、私どもこれだけ飲ましていただきたい、この薬品は実に副作用もないということが明らかなんだ、どうかこれを飲ましてもらいたいと言っても、自由に飲むわけにはいかない。ピシバニールだ、クレスチンだ、こんなの飲めば苦しんで死ぬだけだというときにも、それを発売して、こういう痛くて苦しくて命を縮めるような薬が、一年間に六百億円も四百億円も売れている。厚生省のバック、後押しの力によって、ばんばんと売れていく。そして、この薬で安らかに我が生涯を終えたいというこの丸山ワクチンの方は抑えておいて、これは飲めない。いわゆる治験薬というだけの話で、医者の証明がなくちゃいけないの、何がなくちゃいけないのと手続があるものだから、婦人はなかなかその手続ができないからね、飲めない。
 こっちの方は、数においては二十万人も二十五万人もこれを全部経験して、ああこれが一番いい薬だと言っているんだけれども、人間が二十万人、三十万人飲んでいい薬だと言っても、ネズミがいい薬でございます、ウサギがいい薬だと言わなければだめだと厚生省は言う。人間のこの経験をネズミ以下にして、そしてこれを許可しないというのが厚生行政。今婦人は泣いている。こういう差別が厚生省の中で行われている。これは一番悪い省です。こういうような官僚独善がある限りは、男女差別なんてなくならない。
 それから聞くけれども、厚生省は一体保険だとか年金はどうだ、婦人の分を認めないじゃありませんか。国民健康保険なんかそうだろう。御主人が契約者だ。家族はその付随事項だ。御主人は保険料を払いなさい、何やら手続しなさい、そうすれば、病気になったらあなたは二割持ってきて八割だ。そのときには奥さんは付随事項だ、子供は付随事項だから、そのときは家庭付随事項で、今三割持ってくるか二割持ってくれば医者にかからせてやる、入院もさせてやるというけれども、婦人というものを年金、保険において独立の人格として認めていないじゃないですか。御主人のいわゆる附属物とした待遇しか与えていないじゃないか。どうだ、わしの言うことはうそか。今保険や年金が改正されつつあるようですけれども、将来どうなるか知らぬが、今はそのとおりだ。独立の人格として奥さんを認めていない。これも婦人の差別ではないですか。どうです、厚生省。恥ずかしくて答弁に出られぬのだろう。出られなければそれでよろしい。そういうこともちゃんとこの差別を直してこなければ、問題にならない。だめだ。
 それから厚生省は――また紙を持ってきたか。紙ばかり持ってくるから、そっちへ行けないじゃないか。厚生省は今、婦人相談所からいろいろあるけれどもしようがない。保育所設置費から児童扶養手当、全部あるのだ。あるけれども時間がないから、文部省、来ているか――来ていない。
#232
○愛野委員長 いや来ています。
#233
○小林(進)委員 文部省、来ているならそこに来て座っている。文部省ほど、婦人の差別をしている省はないんだ。これはもう時間が来たからしようがない、読み上げる以外にないんだけれども、予算も言いますか。
 婦人問題学習講座を少なくとも二学級は実施するようにせよという指令を都道府県に出したというのはどういうことなんだ。文部省は、国内行動計画、国連憲章に関する予算は別として、総額九十七億八千万はそれとして、しかしこれも婦人年が来ているにもかかわらず、去年よりみんな一〇%ずつ予算を削減しているじゃないか。予算面から見たら婦人軽視も甚だしい。予算はがた落ちしている。そして、特にその中で力を入れているのは婦人学級。家庭学級の補助対象数がこれはちょっとふえているけれども、婦人問題学習講座を少なくとも二学級は実施するように都道府県を指導していく、こういうことをやっている。これは一体どういうことなんだ。少なくとも二学級設けるとはどういうことなんだ。婦人学級をなくせと言うなら話はわかる。この規約どおり同一だ。同一というのは、この前も私が聞いたように全部セームだ。等しく同じにするというのが同一であるにもかかわらず、特に婦人学級を二学級設けろ、特別学級設けろと言うんだ。
 あなたは、これもしゃべられないんだろう。君たちは、みんな都合が悪くなればカタツムリのように黙って、そして時間が来れば、あの小林のやつも時間でやめていくだろう、こういうことを考えて、これはいわゆる刑法で言う不作為の作為です。何もやらないで犯罪を犯している行為なんだ。何もやらないことによって国会議員を侮辱していることなんだ。こういうことをやったのでは、委員長、とても質問なんかやれない。――いいか。おれが読み上げるから、教育の場において一体これをどういうふうに処置したか。
 家の乱れは女から、男は外回り女は内回り、男は松女は藤、女は三界に家なし、若いときには父に従い、嫁しては夫に従い、老いては子に従うものであるという、こういう教育はどうだ。子持ちを雇うよりいわゆる体の不自由な人を雇え、子持ちの女なんか雇ったら商売が成り立たない。女子と小人は養いがたし、人生婦人の身となることなかれ、男女衣架を同じくせず、男女七歳にして席を同じゅうせず、盗人も五女の門をよぎらず、女房と畳は新しい方がよい、女房は貸すともすりこぎは貸すな、婦人の仁、貧しき老妻を選ばず、こういう差別の言葉がずっとある。一体文部省は、これを教育の場でどう処置したか。今ごろ婦人年を迎えてどう処置したか、これを聞いておきたい。
 まだ読み上げれば山ほどありますよ。こういうことはまさに法案審議、条約審議の前に、国内できちっと整理をしなければならぬじゃないか。その体制が今の内閣にできているか、今の文部省にできているか。何にもやらぬじゃないか。それをそのままにして、この条約を通せば能事終われりで、また食い逃げしてしまおうというのだから、断じてこういう条約を批准するわけにはいきません。私の言いたい質問を全部やらしてくれるまではだめです。――文部省だけ答弁しろ。
#234
○高石政府委員 学校教育の場と社会教育の場、両面があると思います。前段お話しいただいたのは、社会教育の場で婦人の地位を高めるためのいろいろな学級講座、こういうものを積極的にやらなければならないということで、社会教育局の婦人教育課というのがありまして、そこで婦人の地位向上のためのいろいろな施策を積極的に展開しているわけでございます。その一こまに、そういう学級講座があるわけでございます。
 それから、学校教育の場では、戦後、男女平等、両性の尊厳、そして男女の基本的人権、こういうことを十分に取り入れて教育を展開しておりまして、戦前からいろいろ言われた言葉は、なおいろいろございましょうけれども、少なくとも新教育では、男女平等の原則に従って教育を展開しているつもりでございます。
#235
○愛野委員長 次に、草川昭三君。
    〔委員長退席、野上委員長代理着席〕
#236
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。私は、本条約の締結の承認を求める件につきまして、外務省という一つの役所を中心に、外からあるいはまた中から見た問題提起を少しさせていただきたい、こう思います。
 まず、外務大臣にお伺いをいたします。この二十五日に、参議院の社会労働委員会で男女雇用機会均等法案というのが通ったわけでございますが、私どももそれぞれ意見を申し上げ、修正すべき点はそれなりに指摘をしてまいりました。そこで、この法案について感想をお伺いをしたいわけでございますが、これは撤廃条約の要請を満たしていると思われるかどうか、まず外務省の御意見を賜りたい、こう思います。
#237
○安倍国務大臣 条約を批准するための条件としては満たしておる、こういうふうに思います。
#238
○草川委員 条約の案件、それぞれ第何条、第何条という項がございますので、そういう上に立っての質問をこれからさせていただきたいわけでございますが、何か官房長が時間の関係があるとおっしゃっておりますので、ちょっと離れますけれども、早くお伺いをしたいと思うのです。
 この際、この条約なりあるいはまた法案が通過をした立場から、外務省として各国にそれぞれ大使を派遣をなすっておみえになるわけでございますが、女性大使の採用、登用ということにつきましては、私は非常に少ないのではないか、欠けているのではないかと思うのでございます。外務省としての現状と、あるいはまたせっかくこの際、こういう条件ができたわけでございますから、もっとどしどしふやすべきではないか、私はこういう意見を持っておるのでございますが、外務省の見解をお伺いをしたいと思います。
#239
○北村(汎)政府委員 お答え申し上げます。
 高橋展子前駐デンマーク大使が退官されました後、女性大使は現在おられないわけでございます。現在、外務省の女性幹部といたしましては、森山政務次官を別としますと、国連の代表部に黒河内公使がおります。女性大使という御指摘の点につきましては、部内の者の大使への登用とかあるいは部外の人材を起用して大使にする、そういう双方の可能性について、適材適所の観点から外務省としては検討をしてまいりたいと思っております。女性に限らず一般に、外務省としてほかの官庁あるいは民間との交流を含む幅広い人材の確保に努力をしておりますが、女性大使の起用の問題につきましては、部外の人材起用に係るいろいろな問題を考えながら、適材適所の観点から検討をしてまいりたいと考えております。この点につきましては大臣からも国会で、そういうことで考えておるという御答弁が何度かございました。
#240
○草川委員 私は、数の問題ではなくて、この条約の中にもございますように、女子に対するすべての差別を禁止をするというさまざまな措置というのは、なかなか簡単なものではないということをきょうは申し上げたいと思うわけです。女性大使が登用されるということが新聞記事になる、非常に話題になるというような状況であっては、国際的な一番の窓口であるところの外務省としても、問題があるやに私は思うわけであります。
 そこで、いろいろとこの女子差別撤廃条約についての議論もあるわけでございますし、社会労働委員会でも細部について議論がなされておるわけでありますが、私はいま一度、この女子差別撤廃条約の署名に際して、外務省なり労働省なりが、労働関係なりあるいはまた使用者団体なり、そういうところに対する根回しが非常に不足をしておったのではないか。外務省は外務省として国際的な関係から、この条約をとにかく早く批准をしてもらいたい、署名だけはとにかくしておこう、こういうところに、せっかくこういう提案がありながらも、関係団体に相当強い批判の声がこの法案にあったのではないか、こう私は思うわけであります。
 これは私は、衆議院の社会労働委員会でも申し上げたので、労働省の見解は伺っておりますが、まだ外務省の答弁を得ておりませんので申し上げたいわけでございますが、たまたま経営者側の団体が、昭和五十九年の三月でございますか、日経連の方から公開質問状というのが政府に出されているわけです。こういう経営者団体が政府に対して公開質問状を出すというのは珍しいことでございますけれども、この中の要約を申し上げますと、こういうことを言っておるのですね。
 「事前に検討すべき種々の問題点があるという態度であった。しかしこの頃は、五月十九日大平内閣による衆議院の解散、六月二十二日の衆参同時選挙、しかも六月十二日大平首相の急死という政局混迷のさ中にあり、政府としても本条約署名について時間をかけて討議する雰囲気にはなかった。労働省事務当局としても、本条約に署名することが簡単に決定されることはあるまいとの観測が強く、したがって事前に日経連はもちろん、労使双方に連絡はしなかった。」という、このことを取り上げて経営者団体は、もう少し根回しをしてほしかったというようなことを言っておるわけですね。
 当時の状況というのは、それなりに確かに言われるようなことがあったわけでございますけれども、私は、このスタートで関係団体に根回しをする機会が本当になかったのかどうか、あるいはなかったとするならば、外務省ももっとじっくりと根回しをして、準備を整えて、そして結ぶべきものは結ぶ、あるいはまた提案すべきものは提案する、そういうことがあってもいいと思うわけでございますが、この点について、外務省サイドの意見をお伺いしたい、こう思います。
#241
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘ございましたような、経営団体からの批判があったことは私ども承知いたしておりますが、条約署名に至る経緯につきまして少し御説明させていただきますと、条約が作成されましたのが一九七九年の終わりの国連総会でございますが、一九八〇年の七月に国連婦人十年の中間会議の世界会議が開かれる、こういうことを控えまして外務省といたしましては、できればその機会にこの条約の署名を行い、そしてその後できるだけ早い機会に条約批准に持っていきたいという方針のもとに、関係各省庁との検討会議を条約が作成されました次の年の春から開始いたしました。
 ただ、条約に署名いたします以上、単に署名するということではなく、やはり将来この条約が締結できるというある程度の見通しを持つ必要がございますので、関係各省庁とその努力をしていただくということについての合意をとるべく、検討会議を重ねたわけでございます。そして、それの結果を踏まえまして、政府全体といたしまして署名することに決定いたしたわけでございます。その過程におきまして、外務省が民間の団体と直接御連絡しなかったのは事実でございますが、条約署名の決定に当たりましては、政府としての方針を決めるということで政府間の内部での意思疎通、これに努力したという事情でございます。
#242
○草川委員 では、もう一回、これは労働省の方にお伺いいたします用意思の疎通は欠けてはいなかった、努力をした、こういうお話でございますけれども、御存じのとおりILO協会もございますし、いろいろな関係団体があるわけでございます。その当時、これは口頭説明ではございますが、五十九年の三月二十七日に「労働省事務当局としても、本条約に署名することが簡単に決定されることはあるまいとの観測が強く、」だから連絡をしなかったんだ、こういうことを口頭で言っておみえになるのですが、これは事実かどうか。局長は社会労働委員会等では、そういうことはなかったというような御答弁をなさっておられますけれども、これはどちらが本当なのでしょうか、お伺いをします。
#243
○赤松政府委員 私、社会労働委員会でお答えいたしましたのは、その当日と申しますか、日経連の代表の方と労働省の代表の者がお会いしたときには、私はその場には居合わせなくて国会の審議に出ておりました。その前に、前もって打ち合わせをしたメモがございます。そのメモにはそのようなことは書いてなくて、もう少し、これから先どうするというようなメモが書いてあったわけでございます。
 そのメモによれば、そういうことは書いてございませんでしたが、それは口頭でいろいろお話をしているわけで、文書で回答したわけではございませんので、口頭でございますれば、そのときのやりとりの一々細かいことはその場に居合わせない者はわかりませんので、これは、日経連タイムスに出たものは、先生ただいま御引用のものだと思いますが、日経連タイムスにはそのとき出ておられた、その場に居合わされた方の記憶などでお書きになったものでございましょうから、全くそういうやりとりがなかったと、いなかった私から申し上げるのは適当ではなかったのではないかと思っております。
#244
○草川委員 非常にややこしい御答弁をなさっておられます。私は、たしか社会労働委員会で、日経連タイムスにこういうことが書いてあり、もしそういうことを労働省が言ってはいないと言うならば、抗議をすべきではないかという発言をしているわけであります。これは随分議論になっておるわけでございますから、これがもし労働省全体の本音であったのか、あるいは今局長がおっしゃられたように、当時私はそこにはいなかったからその件についてはコメントすることができないとおっしゃられるとすれば、逆に抗議をなすったらいかがなものか、私はこう思うのでございますが、その点はどうでしょう。
#245
○赤松政府委員 先ほど申し上げましたように、その場に居合わせないことについてはデテールにわたって承知いたしておりませんので、その後伺ったところによればいろいろとお話し合いがあったようで、その中で日経連タイムスに出たようなことに多少はお触れになったというようにも伺っております。したがって、抗議をするというような事態ではないように存じます。
#246
○草川委員 結局、労働省の事務次官の関さんがおっしゃっておられるわけでございますから、どちらかと言えば、日経連側に多少同調すると言うと言葉が悪いのでございますけれども迎合的なお話があり、それを新聞が書いたかもわかりませんね。
 私が言いたいのは、言った、言わないとかということよりも、本音の議論が非常に大切だと思うのです。それで、その場限りの条約を結ぶ、国内法の整備が非常にしり抜けで行われていく、後で非常に問題が残りますよということを私は申し上げたいわけであります。
 例えば、国際人権規約を当委員会でも議論をいたしました。私も、当時この議論に参加をさしていただいたわけでございますけれども、将来、年金の取り扱い等についてはいいのですか、例えば在日外国人の待遇等については差別なく行われるのかどうか、あるいはまたその後に難民条約の締結がございましたが、難民条約の締結と国際人権規約の批准に基づく国内法の整備に矛盾をするものはないかどうか、これはその当時厚生省にも随分申し上げましたが、結局、年金の取り扱い等についても差別が残っているわけですね。
 だから、この条約を締結することについては、もちろん前向きにこのような議論、あるいはまた後ほど説明を求めますけれども、ILO関係では未批准のものがたくさんあるわけでありますから、一日も早くこういう問題等については取り上げていただきたいわけでございますが、よほどしっかりとしたスタンスを持って問題点を一つ一つつぶしていく、解決をするという意向がないとだめではないかと私は申し上げておるわけです。
 今、女性大使の問題も申し上げましたけれども、これももちろんそういう人材、人物がおるならばどんどん登用する、こういう御答弁でございますが、私は、外務省の内部においても、この条約さえ結べはあとはいいという問題があるのじゃないかということを申し上げたいわけであります。
 実は、非常に卑近な例ですけれども、これは後ほど青年海外協力隊の問題等について申し上げますが、大臣、ちょっとまじめに耳を傾けてもらいたいのです。
 これは、青年海外協力隊事務局の昭和六十年春の募集要項です。これは外務省所管ですよ。この中にいろいろな職種名の募集があるのです。それから、どこの国に配属するかという一覧表があるわけです。例えば、タンザニア男一名とかあるいはマレーシア女三名とか、スリランカ女一名とか男一名とか、タイ男一名とか、これほど明確な男女差別の募集要項があるのはないですよ。
 これは労働省に念のためにお伺いをいたしますけれども、この法律ができて、来年からは採用の条件として男、女ということはだめなのでしょう。男、女という、男女の差別を条件に採用することはだめだという議論になっておるのです。だけれども、外務省所管の例えば青年海外協力隊員の中では、今申し上げたように男、女という差別の採用ということになっておるわけです。まあ、条件はよくわかりますよ。マレーシアとして、「家政」ということで女性を三名欲しいという気持ちがわかるから素直に載せておるのですけれども、これは来年からもこういう形で募集をされるのかどうか、非常に難しい問題があるわけです。これは目くじら立てるわけではございませんで、一つの例として申し上げますけれども、外務省も、この撤廃に関する条約だけ結べばあとはいいというものではないという一つの事例を私は申し上げておるのですが、その点、どのようにお考えになられますか。
#247
○木幡説明員 事実関係にもわたりますので、私から御説明させていただきます。
 青年海外協力隊の募集に際しましては、先生御指摘のような募集要項があるわけでございますが、この青年海外協力隊の派遣に当たりましては、私ども、あくまで派遣要請国の要請に応ずということが大前提でございます。したがいまして、先方からの要請が例えば看護婦の職種を希望してきた場合、あるいは教育分野で特に女性の職種を希望してきたような場合におきましては、その要望数を勘案しながら選考をし、また派遣前の研修をするわけでございます。したがいまして、これは私どもの方であらかじめ決めてやるということじゃございませんで、先方の要請にできるだけきめ細かく対応する、先生御指摘のような配慮に基づいてやっているところでございます。
#248
○草川委員 私もわからぬではありませんけれども、今のような答弁なら、国内でも随分としり抜けのような採用なりあるいは登用なり、あるいはまたインフォーマルな形での実際の労働条件というのは出てきますよ。だから、そういうことも考えてしっかりと対応を立てていきませんと、例えば今おっしゃるように外国からの要望だから素直に載せますよ。だけれども、国内の立場からいうならば、どうして採用について男女の差別があるのですか、おかしいじゃないですかと言われたときに、またこれも一つトラブルの原因になるのですよ。だから、外務省もしっかりとして、もうあとは全部労働省の問題だということではなくて、まず自分の足回りをしっかりと固めていただきたい、私はこういうように要望をしておきたいと思います。
 第二番目に申し上げたいのは、この女子差別撤廃条約の批准と関連をいたしますけれども、ILO条約関係で未批准の条約が随分あると思うのです。これを外務省からか労働省からか、どちらかひとつ答えていただきたい、こう思います。
#249
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先生御指摘のILO関係の女子関係の条約、ただいま御検討いただいております条約が扱っております分野についてのILO条約を申し上げますと、約十一件ございます。
 母性保護条約、ベンゼン条約、差別待遇に関する条約、雇用政策条約、人的資源開発条約、看護職員条約、家族責任を有する労働者条約、白鉛条約、夜業条約、最大重量条約、障害、老齢、遺族給付条約、以上十一件が我が国未批准の条約でございます。
 我が国が既に批准いたしました関係のこの御審議いただいております条約と関連するものといたしましては坑内作業条約、同一報酬条約、社会保障条約の三条約がございます。
#250
○草川委員 じゃ、労働省にちょっとお伺いをいたしますけれども、今の十一件全部は結構でございますが、例えば百三号、八十九号、百十一号、百二十七号、百五十六号条約等に絞りますけれども、労働省としての対応はどのようになっておるのか、お伺いします。
#251
○赤松政府委員 お答え申し上げます。
 一つずつお答え申し上げると大変時間がかかるかと存じますが、それぞれの条約について国内法と厳密にすり合わせを行いまして、国内法の水準と一致しているものについては比較的早く批准ができるものと思いますけれども、先生御指摘の条約についてはそれぞれ多少とも相違がございまして、その点についての国内法の整備をした後でなければ、条約が批准できないという問題が少しずつ残っているように存じます。もし、どの条約のどの部分ということもお答えした方がよければ、御指摘があればさせていただきます。
#252
○草川委員 例えば夜業に関する婦人条約、母性保護、差別待遇、あるいは最大重量、あるいは家族責任を有する労働者条約、たくさんありますので、きょうは時間がございませんからここの場では申し上げませんけれども、せっかくこういう機会があるならば、今私が触れたものだけでも早急に国内法の整備をし、本当の意味での女子差別撤廃条約、実りあるものにしていかなければいけないと私は思うのでございます。これは労働省の方としても、本腰を入れて対応を立てていただきたいというふうに私は思うわけでございます。
 そこで、実際国内の労働条件等を見てまいりますと、私どもも中小企業の後援会の方々が随分おりますので、この問題についてお話をしてまいりますと、特に零細下請企業では今日の労働条件というのは非常に悪いわけでございますね。それで、正直なことを言ってやはり女子は男性に比べますと低賃金です。あるいはまた、パートタイムというような形で非常に安易に労働力の供給を受けるということがあるわけでございますが、実際上の労働の作業現場で女子の勤労者の方々が差別なく労働することができるのかどうか、あるいは行政指導が本当にそういうように実りあるものにできるのかどうか、そういう具体的な展望をお伺いをしたいと思います。
#253
○赤松政府委員 先生も社労の委員会で、いろいろと御質問くだすったわけでございます。そのときにもお話が出ておりましたが、このたびの男女雇用機会均等法におきましては、いろいろな男女に対する異なる取り扱いの中で、合理的な理由のないものをなくしていこうという基本的な姿勢を貫いているつもりでございます。そのため、雇用の入り口から中へ入っていろいろな待遇、そして退職、解雇というような、すべてのステージにわたって男女の均等な機会と待遇を確保するという点につきまして、具体的な事業主の講ずるべき措置を規定したわけでございます。
 また、その中で特に審議の中で問題を指摘されておりましたのは、雇用の入り口、つまり募集、採用、それから配置、昇進、昇格というような点については、強制規定でなくて努力義務にすぎない、したがって実効性が上がらないのではないかという御指摘がございましたが、これにつきましては、労働大臣が指針を作成いたしまして、なくすべき差別の具体的な内容を明らかにすることによって、行政指導を的確に進めるようにすることができると考えているわけでございます。
 また、個別の紛争につきましては、室長の解決の援助はもちろんでございますが、自主的な解決あるいは調停委員会への申し立てに対する行政の援助等を通じまして、時間はあるいは多少はかかるかもしれませんけれども、いろいろな企業における差別を次第になくしていくことができるというふうに私どもは確信している次第でございます。
#254
○草川委員 今の答弁をもう少し突っ込んで聞きますけれども、今度の均等法の修正案が通りましたが、この修正の中に本法の見直し規定がございます。この見直し規定の中に「必要があると認めるときは、」という文言があるわけでございますけれども、「必要があると認めるとき」とはどの程度の内容を想定しておられるのか。時間がかかるから、あるいは調停の委任等についての援助もするというようなお話が今ございましたが、一体、「必要があると認める」というのは具体的にどういうことを想定されるのか、お伺いいたします。
#255
○赤松政府委員 お答え申し上げます。
 見直しにつきましては、参議院の社労におきます修正案は、もともとは審議会の段階でも、最終段階の答申の中に必要があれば見直しをすべきであるというような答申がございました。その二つは軌を一にするものと存じます。そこで、審議会の建議の中で述べられていることが、見直しが必要であるという点についてのあるいは参考になるのではないかと思いますが、これは将来を見通しつつも女子労働者の就業実態、職業意識、我が国の雇用慣行、労働条件を初めとした労働環境、女子がいわゆる家庭責任を負っている状況、女子の就業に関する社会的意識等、我が国の経済社会の実態を踏まえてその法制は立案したものでありますので、したがって「必要があると認めるとき」とは、これらの実態が大きく変化して、それに十分対応するには本法の規定について修正が必要であると判断されるときというふうに私どもは理解をいたしております。
#256
○草川委員 私が、なぜそういうことを申し上げたのかといいますと、経済企画庁は、十五年後の西暦二〇〇〇年にはパート労働者などの臨時社員の割合が倍増し、正社員の高齢化が進んで云々という、経済企画庁は経済企画庁なりにパートの労働者がふえますよという見通しを立てておられるわけです。同じ政府の役所の中でもそれぞれの分析をされておるわけでございますが、今局長がおっしゃったように大きく変化するのは相当早いのではないだろうか、だから「必要があると認めるとき」という見直し条件は、相当早い時期に予定をしてアクションを起こしていただかないと、せっかくの国際的な背景にもこたえられないのではないだろうかということを私は言いたかったわけであります。そういう趣旨で、ぜひ労働省としても対応を考えられたいと思うわけでございます。
 そのほか、たくさんの質問もあるわけでございますが、時間が大分過ぎておりますから、今外務大臣はおられませんけれども、日ソの文化協定のことについて外務省がどの程度お考えになっておられるのかということを私はぜひ聞きたいわけであります。
 私が、なぜそういうことを申し上げるのかというと、今サハリンに元日本人の女性の方々が数百人おみえになるわけであります。私は、ちょうど一昨々年サハリンへ行きまして、現地で元日本人の方にもお会いいたしました。もう六十前後の御婦人の方が多いわけでございますが、今まだ残留をしておみえになります。かつて日本の軍隊が、当時の朝鮮半島から四万から五万と言われる朝鮮人の方々をサハリンへ強制連行して、そのまま放置をして日本に引き揚げてきたという問題を取り上げたわけでございますが、本日はその問題には触れません。ただ、私は現地を訪れたときに、五十、六十になった日本の婦人の方々が望郷の念に駆られて、日本に一日も早く帰りたい、日本との往来の自由をやってもらいたいという、生の声を聞いてきているわけであります。
 そういう忘れられた元日本人、元朝鮮人の方々の祖国との往来が自由にできるようにするためにも、文化協定を表に打ち出していくべきだ。また、この文化協定は、日ソ間で懸案になっておるわけでございますが、この協定ができるということは非常に大きな役割を果たすものだ、こういう基本的な立場から、この日ソ間の文化協定は一体どうなっておるのか。ソ連側は、長期の経済協力協定と並んで租税、貿易支払いあるいは文化、この三つの協定について日本側に締結を強く求めていると言われておりますけれども、日本側の対応は一体どうなっておるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#257
○西山政府委員 お答え申し上げます。
 日ソ間の文化交流につきましては、既に日ソ文化交流取り決めというものが昭和四十七年以来存在いたしております。これに基づきまして、従来文化交流を進めてまいったわけでございますけれども、ソ連側からはかねてから、より広範な分野において文化交流を進めたい、より包括的な文化協定を締結したい、そういう希望が寄せられてまいりました。
 そこで、昭和五十一年の一月にグロムイコ外相が来日された際に共同コミュニケが出されたわけでございますが、その中でこの交渉を開始しようということを合意いたしたわけでございます。その合意に基づきましてソ連側から案が出されまして、昭和五十三年初めに、それに対して日本側の案を提示した。そういう経緯があったわけでございますけれども、その後ソ連側からそれに対する反応がなかったということもございまして、この交渉は事実上中断状況にあったということでございます。
 しかしながら、昨年の二月に、安倍外務大臣が当時のアンドロポフ書記長のお葬式に出席された際にグロムイコ外相と会談されまして、その後、日ソ間でもって対話を進めていこうではないか、相互理解を深めていこうではないかということで、そういう対話の一環といたしまして、改めて文化交流に関する協定の締結交渉を再開しようということになった次第でございます。
 現在私ども、鋭意その案をまとめるべく努力しているわけでございますが、何分にも非常に広範な分野にわたりますためにいろいろと調整すべきこともございまして、いまだ先方に提示し得る状況には至っておりませんが、これも極めて近い将来において提出できることになるというふうに考えております。
    〔野上委員長代理退席、委員長着席〕
#258
○草川委員 一体いつごろ提示できるのか、あるいはまた、今お話がございましたように、取り決めと協定との違いというのはもう全然次元の違う程度に違うわけでございますので、非常に重要な問題だと思うのですが、その案文については、差し支えのない範囲でぜひ本日示していただきたいと思うのでございます。
 例えばの話でございますが、今社会主義の国ではユーゴスラビアと締結をいたしておりますけれども、大体同様程度のものになるのでしょうか、お伺いします。
#259
○荒木説明員 お答えいたします。
 日ソの文化協定といいますと、やはり非常に幅広いものとしてつくらなければいかぬと考えておりまして、ユーゴと日本の間にできておるものよりは相当幅広いものになっていくのではないかというふうに考えております。
#260
○草川委員 ユーゴよりは幅が広いということでございますが、その中には、定期刊行物その他の出版物、講演、演奏会とか演劇ができる、また学者等の交換、相手国文化の研究の奨励、学位及び資格証書、奨学金、文化機関間の協力、博物館等の利用、運動競技の奨励、いろいろあると思うのですが、そういうことはすべて含まれていくのでしょうか。
#261
○荒木説明員 お答えいたします。
 今先生がおっしゃいました事項は、日本が持っております世界各国との文化協定の中に出てくるものでございます。まだ一番終わりのところを一々具体的に詰めておる段階なものですから、はっきり申すことはできないのですが、先生が列挙されたもので日本側のプロポーザルに含まれているものもあれば、また含まれていないものもあると言えると思います。
#262
○草川委員 基本的なことにもなりますけれども、一般の国々との間の協定文の中には、出版物、テレビ、ラジオなどの便宜供与が書き込まれておりますね。こういうことは当然、非常に大きな問題になると思うのでございますが、案文の中には、あるいは日本側から示すものの中には、当然含まれるべきだと思うのです。どうでしょう。
#263
○荒木説明員 まさに今先生がおっしゃいましたテレビを使うとかいうことが、日ソの間でお互いにうまくできるような事態になっていけば、非常に結構だと思うのでございますが、先ほども欧亜局長からお話ししましたように、日ソで基本的な対処が違っておるものでございますので、余り我が方が一方的に希望するものばかり盛っても話がうまくいかないかもしれないということで、今先生の指摘されたような問題も入れて話し合いがつけばいいというふうに希望しつつ、今は一番終わりの段階で案文を練っておるところでございます。
#264
○草川委員 大臣、これはぜひ答弁していただきたいのですが、今お見えにならないときに私申し上げたのです。私がサハリンに残留する元韓国、朝鮮人の方々等の問題をやっておることは大臣も御承知だと思うのですが、サハリンには元日本人の方がまだ五、六百人残っておみえになるわけでございます。それぞれ向こうで生活しておみえになりますけれども、やはり望郷の念に駆られて、日本に帰りたい、あるいは日本に自由に旅行をしたいという強い要望があるわけです。そういうことが自由にできるというためにも、この文化協定ということは非常に大切なことではないだろうか、こういう視点から今申し上げておるわけでございます。
 本来ならば、今月中にある程度の締結の方針が伝えられるのではないだろうかということを言われ、いずれグロムイコ外相が来日されるときに署名ができるようにというための準備があると思うのでございますが、大臣としてどのようにお考えになっておられるのか、どのように取り組まれようとしておみえになるのか、お伺いをしたいと思います。
#265
○安倍国務大臣 まず、草川さんが、今サハリンの朝鮮の人の朝鮮半島における親族との交流等について、非常に熱心に努力をしておられることに対しては心から敬意を払っております。これはなかなか政府ではできない面もありますし、そういう中での御活躍というものに対して、私も評価をいたしておるわけでございます。
 なお、日本とソ連との間の関係の改善については、基本的には領土問題というのがあるわけで、基本的な問題が解決しない限りは、本当の意味での日ソの友好関係というものはなかなかもたらされないのじゃないか、こういうふうに私は思っておりまして、ソ連には日本の立場を常に主張しておるわけでございます。残念ながら、大きな隔たりがあるわけです。しかし、そういう問題はありながら、隣国同士ですから何とか日ソ間で対話を進めて、体制は違っても日ソ間の協力といいますか協調関係は進めていきたい、こういうふうに思って今やっておるわけであります。
 グロムイコ外相が訪日するという機運も出てきておるわけで、この際、今お話がありましたような租税協定とか、これは幸いにして妥結という方向が来たようですが、あるいは貿易支払い協定、これもできると思います、あるいはまた文化協定の締結、この三つの懸案を何とか解決するということになれば、グロムイコ訪日への大きな足がかりにもなる、関係改善への手がかりにもなっていくということで、日本政府としても努力しております。
 特に、文化協定は日ソ間の懸案でありまして、何とか早く日本の案文をつくってこれをソ連側に示したいということで、今関係の省庁ともまさに調整を進めておる最中でございます。一日も早くその調整を終えてソ連側に提案をしたい、これに対してまたソ連側の案もあるわけでありますから、交渉してこの締結に持っていきたいものだ、こういうふうに実は思っておるわけでございます。
 今、日ソ間の文化交流も事実上あります。映画祭であるとかその他の芸術関係の交流であるとかいろいろあるわけでございますが、やはり協定ができるということがさらにそうした文化交流を進めて、日ソの対話の道を大きく開いていくという意味においては非常に有効であろうと思って、今精いっぱい努力を傾けておるわけでございます。大体日本の案文もできつつある、ただ調整がもちろん残っておりますが、整いつつあるというのが現状で、できるだけ早く提案をしたい、こういうように思っております。
#266
○草川委員 もう一問だけ。その点については一体いつごろになるのでしょうか、時期的なことがある程度めどがつくならお教え願いたいと思います。
#267
○安倍国務大臣 これはやはり、外務省の一存だけで案をつくって出すわけにいきません。関係の省庁とも連絡調整をしなければならぬわけでありまして、目下その調整を急いでおるわけで、調整が終わればあしたでもあさってでもできるわけですから、調整がまだ整ってないという段階で、一日も早くその調整を終わりたい、終われば直ちに提案をしたい、こういうふうに考えております。
#268
○草川委員 時間があと三分しかありませんから、通産省と外務省にお伺いしますが、やはり国際的な理解あるいはまた日本の真意という、国際的なトラブルをなくすということは非常に重要なことだと思うのです。そういう意味で文化協定も一つであります。
 最後になりますけれども、実は今非常に日米、日英間の貿易摩擦等もあるわけでありますが、トルコの第二ボスポラス橋の問題で英国から非常に対日非難が出ております。これは、総理がサミットへ行きいろいろな弁解もされておられますし、あるいはまた駐英大使の方も御努力なすっておられますが、ここ最近非常にニュース記事も話題にしております。通産省としてどう対応なされるのか、あるいはまた外務省としていわれなき批判ではないか、こういう問題等についてどのようになすっておられるのかお伺いをして、私の質問を終えたい、こう思います。
#269
○木幡説明員 お答え申し上げます。
 第二ボスポラス橋の問題をめぐります日英間の話し合い、新聞等をいろいろにぎわしているところでございますが、これにつきましては、私ども経済協力としてはあくまでトルコ政府からの要請に応じて円借款を供与したものであって、特定の資金用の入札案件に関しまして、それを支援するというような考慮に基づくものではないというのが基本的な立場でございます。そしてまた、具体的な対象プロジェクトにつきましても、いわゆる経済インフラの対象プロジェクトとして大変良好なプロジェクトであるということを、調査団を派遣した結果ちゃんと確かめた上で円借款を供与した、こういうことでございます。この辺の関係は、いろいろなレベルで十分英国側にも説明をしているところでございます。
#270
○長島説明員 お答えいたします。
 基本的には、今外務省の方からお答えしたとおりでございまして、通産省といたしましても、英国の批判は若干誤解に基づくような批判等々が含まれているやに聞いておりますので、在外公館等を通じまして先方の誤解が解けるよう、今後ともお願いしてまいりたいというふうに考えております。
#271
○草川委員 以上で終わります。
#272
○愛野委員長 次に、渡辺朗君。
#273
○渡辺(朗)委員 午前に引き続き、また質問をさせていただきます。
 その質問に入る前に、ただいまちょっと夕刊を見ましたら、一部の新聞ですけれども、こういう記事が出ておりました。これは、この条約の問題とは無関係でありますが、大臣いらっしゃるわけでございますのでお伺いをいたします。
 見出しは「ソ連大型揚陸艦が一時、東京湾内に」侵入、今月の七日から十四日の間、「国際情報筋は」「同艦は一応民間籍になっているため、日本側は何の対応もできなかったが、同艦が事実上「軍艦」であることは常識とされており、わが国の安全保障に対する考え方に大きな問題を投げかけたといえよう。」こういうふうなことで一面トップに報道されております。しかも、一時は東京湾内のかなりの地点まで侵入した、こういうことが言われているわけであります。この事実があったのかどうなのか。ここら辺を外務省で御存じでございましたら、あるいはこれは完全なる虚偽の報道であるのか、お知らせをいただきたいと思います。
#274
○西山政府委員 お答え申し上げます。
 ただいまの件につきましては、ただいま私どもにおいてもその事実を調査中でございますので、結果が判明次第御報告させていただきたいと存じます。
#275
○渡辺(朗)委員 それはこの審議中にわかりますね。
#276
○西山政府委員 ただいまそういう努力をいたしておるところでございます。
#277
○渡辺(朗)委員 なおまた、きょうの夕刊によりますと、労働省主催の婦人問題会議が本日開かれているようであります。その中で、いろいろな議論もされたようでありますが、こういうことが報道されておりました。
 男は仕事、女は家庭といった通念は完全に一掃されてはいない、女性の社会進出に伴ってさまざまな困難があるということが報告されている。特にこういうことです。男女平等の枠組みはできたもののそれをどう生かすかが、これからの大きな課題であるということがいろいろ論じられたようであります。つきましては、この条約の第七条でありますが、それによりますと「締約国は、自国の政治的及び公的活動における女子に対する差別を撤廃するためのすべての適当な措置をとるものとし、特に、女子に対して男子と平等の条件で次の権利を確保する。」(a)(b)(c)と挙げてあります。その中で(b)のところでありますが、「政府の政策の策定及び実施に参加する権利並びに政府のすべての段階において公職に就き及びすべての公務を遂行する権利」こういうような項目があります。
 そこで、私はお聞きしたいのでありますが、婦人の参加という問題で、我が国の国内行動計画の中で審議会等の委員の婦人の登用の問題が指摘され、そしてまた推進されてきております。そして、婦人の委員の割合を政府全体として一〇%とすることを目標に掲げておられました。現在、何%までになっているでありましょうか。
#278
○松本政府委員 国の審議会等におきます婦人委員の割合は、五十九年六月一日現在で五・二%でございます。これは五十年には二・四%でございましたので、ほぼ倍以上にはなっておりますが、目標には若干開きがあるという状況でございます。
#279
○渡辺(朗)委員 中央においてもそういうふうな状態であるということは、地方においてはあるいはもっとおくれている場合があると思います。地方公共団体における主な審議会等における婦人委員の参加の割合、これはいかがでございましょう。重立ったものないしは、それがわかりませんでしたら平均のところで結構でありますが、お教えいただけませんか。
#280
○松本政府委員 都道府県で地方自治法に基づいて置かれております審議会等における婦人委員の割合は、やはり昨年の六月一日現在では六・九%でございます。
#281
○渡辺(朗)委員 そうすると、中央において五・二、地方公共団体において六・九、地方の方がむしろ進んでいるように思いますが、むしろ中央の方で積極的に推進していただくことが非常に大事なことだし、五十九年六月中央において五・二%としますと、一〇%はいつになったら達成するのでございましょうか。ここら辺はどのようなプログラムを持っていらっしゃるのか、お知らせいただきたいと思います。
#282
○松本政府委員 私ども一〇%という目標を掲げましたのは、国内行動計画の後期重点目標でございまして、六十年、国連婦人の十年は暦年で終わりでございますが、政府の計画ということなので、年度いっぱいにそのような目標を達成したいということで努力しているわけでございます。
#283
○渡辺(朗)委員 大臣がいらっしゃると、ここら辺で大臣にお聞きせぬといかぬのですけれども、こういう進捗状況でどうなのでしょうかね。大臣来られる前に、外務省の方ではどういうふうにお考えになっておられますか。こういう進捗状況でいいのですか、ちょっとスローテンポだと思いますけれども、いかがでございます。
#284
○斉藤(邦)政府委員 ただいまの御質問そのものに、外務省としてお答えする立場にあるのかどうか、ちょっと自信がございませんけれども、目標として掲げております一〇%到達というようなことは、この条約、特に第四条の趣旨にかんがみましても適当なことと考えておりますので、外務省といたしましても、それが早期に実現することが望ましいと考えております。
#285
○渡辺(朗)委員 大臣、今お聞きしていたのです。国の行政への婦人の参加を拡大しようということで、行動計画がつくられております。そして、婦人委員のいない審議会等の解消に努力する、それからまたそれを一〇%に持っていこう、こういうようなことが目標として掲げられてまいりました。今お聞きすると、昨年度で五・二%の中央における達成率だということであります。果たしてこれでいいのかな、むしろ積極的に号令をかけていただくことではないでしょうか、私そう思うものですから、戻ってこられるのをお待ち申し上げていたのですが、大臣の所見をぜひ聞かせてください。
#286
○安倍国務大臣 方針として決まっておりますように、一〇%に近づくように各省ともいろいろとこれから努力していく必要があるのじゃないか、こういうふうに思います。特に、この女子差別撤廃条約を批准しようということでありますから、そうした方向がこれから推進されることを期待いたす次第であります。
#287
○渡辺(朗)委員 地域において参加率がかなり高いものもあるのですね。しかし、同時に非常に低いものもある。平均的に見ると、例えば公害対策審議会なんかは四・八%、自然環境保全審議会が五・三%、これは地方公共団体の状態です。中央の方がぐんぐん進めていただきますと、それが地域にも及んできて積極的参加が促進されていく、そういう意味合いもありますので、外務大臣、これは積極的に進めるよう、そしてまた総理府の方においても積極的な御努力をぜひお願いしたいと思います。
 さて、今度は十七条であります。この十七条におきますと「この条約の実施に関する進捗(ちょく)状況を検討するために、女子に対する差別の撤廃に関する委員会を設置する。」四年の任期で委員を選出する、専門家で構成する、こういうふうな形になっておりますが、日本が締約国になった場合、これからどういうことになるのでございましょうか。日本からも委員を出すとか、そうするといつ選挙が行われてどういう人を出すのか、そういう準備は行われているのでございましょうか。それはこれからの問題だから、まだまだ全然準備もしてないのでという程度のところでございましょうか。そこら辺、わかりましたらお教えいただきたい。
#288
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 条約第十七条に基づきます委員会、条約が発効いたしました翌年に成立いたしておりまして、毎年会合をいたしております。
 現在二十三名の委員がこの委員会を構成いたしておられますが、そのうち十二名が一九八六年末で任期が切れることになっております。かつ、そのうちのアジアから出ておられます四人の委員が、全部一九八六年末で改選を迎えられることになっております。そのための選挙は、まだ時期は確定いたしておりませんが、明年開かれます会議で行われることになると思います。
 人選につきましては、現在二十三名の委員はすべて御婦人の方でございます。我が国が条約に入りますと、当然立候補する資格があるわけでございますので、先ほど申し述べましたように、明年の選挙に備えて立派な候補者を出す方向で努力いたしたいと考えております。
#289
○愛野委員長 西山欧亜局長より発言を求められております。西山欧亜局長。
#290
○西山政府委員 先生から御下問のございました本日の夕刊に伝えられておりますところのコスイギン大型揚陸艦の動向につきまして、現在までに判明したことを御報告させていただきます。
 横浜にございます第三管区海上保安本部、これに照会いたしましたところ、この船は五月七日から十四日の間千葉港に入港しておりまして、そこで錨泊しております。その目的は機関修理のためということで、そういう事実があったということが確認されております。他方、防衛庁によりますと、この船が五月十四日に東京湾を南下いたしまして十六日に津軽海峡を西へ向かって進んでいった、そこまでが確認されております。
 新聞に伝えられておりますように遊よくを繰り返したというふうな事実は、現在までのところ確認されておりません。千葉港の中でむしろ錨泊して修理をしていて、済むと同時に出ていったということのようでございます。したがいまして、その限りにおきましては既に関係当局が知っていることでございまして、特に不審の行動ということには当たらないのではないか、しかしなおここに伝えられてあるような事実があったかどうかについては、さらに事実の確認を進めてまいりたいと思っております。
 なお、ちなみにこの船は、荷物用のはしけを運搬する船でございまして、ラッシュというふうに呼ばれております。これはライターアボードシップというのだそうでございますけれども、コンテナ専用船としても使える。場合によりましては軍用に転化することもできますけれども、一応商船籍というふうに我が方としては考えている、そういう船でございまして、ただ本年四月に、イワン・ロゴフ級の強襲揚陸艦、アレクサンドル・ニコラエフ、これは戦車と兵員を揚陸するわけでございますが、その船と相まってウラジオストクを中心とするソ連の海軍に配備されているわけでございまして、極東に配備されたわけでございまして、そういう意味では我が国周辺海域におけるソ連の海上輸送能力、陸上支援能力、それを増強をするものとして注目はする必要があるというふうに考えております。
#291
○渡辺(朗)委員 民間の商船が領海に入ること、これは日本として商船の無害通航権、これを保障した国際条約で定められていることでもありますし、民用船としている以上は、領海に入ることについてはとかく問題にすることはないであろうと思います。しかしその場合でも、領海内でいかりを打つということは、それには事前に許可を必要とする問題であろうと思いますが、その点はあったわけでございますね。
#292
○斉藤(邦)政府委員 私の方から一般論をお答えいたしますが、外国船舶が無害通航権を認められているというのは、ただいま御指摘のとおりでございます。ただ、それはあくまで通過をするという目的のためでございまして、国際法上やむを得ない場合を除いては、停泊したり行ったり来たりしてはいけないということになっております。
#293
○渡辺(朗)委員 この問題は、さらに調べておいていただきたいと思います。
 次に、十八条の方に入ります。
 十八条のところで、立法、司法、行政上どのような措置がとられてきたのか、進捗状態というものを「委員会による検討のため、国際連合事務総長に提出する」ということになっております。そうなると、国際的にも先ほどの例えば平均五・二%などという状況が報告されるわけでありますから、これは国際的にも恥ずかしいことになってはいけないので、本当に腰を入れてやらぬといけないなと思います。
 と同時に、そういうものは国連事務総長に報告するということの前に、ないしは同時に、少なくとも国会に報告すべきであろうと私は思うのです。事前にそういうものが報告されますと、これは大変だと私どもも奮起していろいろやっていくということにもなりましょうし、あるいは政府の方にしりをたたくということにもなりましょうし、そういうような意味では、事前に報告をするということにしておく必要がありはしないだろうか。
 関連して、私北欧などに行ってびっくりするのは、議員さんなんかで女性の方が非常にたくさんおられるというようなことでびっくりいたします。本当に我々の方はおくれているんだな、男社会だなというふうなことを感ずるわけでありますが、そういうものが国際的にこれから国連の場に報告されるなんということになりますと、少々日本は野蛮国みたいになってしまいますから、その意味でも、ここで大臣どのようにお考えになりますか、国連事務総長に報告する、しかし同時にそれは日本の国会には報告する、ないしは事前に報告するということにはしていただけないものであろうか。
#294
○安倍国務大臣 これは御要望があれば、その都度国会に報告いたします。
#295
○渡辺(朗)委員 今、隣にお座りの土井先生からの御指摘によりますと、要望がなくてもすると大臣おっしゃったと聞いておりますが、いかがでございます。
#296
○安倍国務大臣 もちろん、御報告することはやぶさかでありません。ですから、どういう点で御要望があるということも踏まえて御報告した方がいいのじゃないか、こういうふうに思います。
#297
○渡辺(朗)委員 ちょっとお伺いしますけれども、こういうことも報告の中に入ってくるのでしょうね。例えば外務省で交流計画をやっておられる。海外からいろいろな方をお呼びでございます。オピニオンリーダーとか中堅指導者交流とかいうことをやっておられますが、例えば昨年一年間をおとりになりまして、もしわかっていたら何名くらい呼ばれましたか。その中で、男女の比率はどうでございますか。
#298
○山田(中)政府委員 昭和五十九年度に、外務省が招聘いたしましたオピニオンリーダーの数は七十名でございます。そのうち、女子で来られましたのは二名でございます。
#299
○渡辺(朗)委員 大臣、いかがでございます。これは随分インバランスといいますかバランスが崩れておりますね、六十八対二というようなことでは。政府の審議会の方には五・二%。ところが、これはよその国から呼ぶ場合は、こんなにばらつきといいますか離れているというのでは、ちょっとおかしいと私は思うのですね。これはやはり、早く半々に持っていくぐらいに目標を設定していただきたいと思います。その設定するという決意はいかがでございます。
#300
○安倍国務大臣 さあどうですか、目標設定するというのは。別に男女にこだわって、外務省はやっているわけじゃないと思います。オピニオンリーダーということで、日本の事情もよく理解してもらって、その国で大いに日本との間のかけ橋になっていただく、そういう役割を果たしていただける立場の有力な方を呼んでおるわけでございますから、そういう基準ということになれば、婦人であろうとそれは別に何もこだわらないで、オピニオンリーダーということになれば男女ともども呼べばいいわけで、何も無理してやらない方がいいんじゃないでしょうか。
#301
○渡辺(朗)委員 これは、この条約を扱っていらっしゃる外務大臣とも思えない発言だと思います。例えば、具体的に言いますと、イギリスであろうとマレーシアであろうと、いろんなところからお呼びになる場合に、日本政府の方からあらかじめだれを呼びたいというようなことを言っておられますよ。相手の国に任せているわけじゃないんです。そうすると、こちらの方で積極的に女性は何人ぐらいぜひ、こういうふうな気持ちがあれば当然リストアップもできるだろうし、いろいろなところから推薦も受けられる。そういう点を考えますと、私は、そんなに一遍にフィフティー・フィフティーにしろとかなんとかというやぼなことは言いませんが、こちらに積極的姿勢があるかどうかなんです。女性のオピニオンリーダーを積極的に呼びたいとすれば、向こうの方からも必ずやそういう人を出してくるでありましょう。中堅指導者ということになっても同じことが言える。その姿勢の問題を聞いております。
#302
○安倍国務大臣 よく心得てやりたいと思います。
#303
○渡辺(朗)委員 一言にして、しかし同時に大変重みのある発言だと思っておりますので、これから期待しております。
 さて、時間もだんだんなくなってきてしまったものですから、簡略に質問をさせていただきますけれども、国連婦人の十年はことしで終わるわけでありますが、これから先どう対処していかれるのか。お聞きすると、ナイロビ会議で西暦二〇〇〇年に向けての目標達成のために、具体的な措置を検討することになっているんだということになっておりますが、そうでございましょうか。どういうふうなこれからの進め方というものをお持ちでございましょうか。まず、総理府の方から聞かせていただけますか。
#304
○松本政府委員 ナイロビの会議では、西暦二〇〇〇年に向かって婦人の地位向上を図るための戦略でございますか計画でございますか、そういうものが議論され、何かまとまるかのように聞いておりますので、今後どのように婦人に関する施策を進めていくかということは、その議論を踏まえまして、関係各省とも十分協議の上で検討してまいりたいというふうに思っております。
#305
○山田(中)政府委員 先生御指摘ございましたように、ナイロビでは国連婦人の十年の再検討を行いますとともに、二〇〇〇年へ向けての新しい将来戦略が作成される予定でございます。我が国は、昨年ESCAPの地域会議を東京に招聘いたしました。それから、このナイロビ会議に向けての準備を行う機関としての婦人の地位委員会でも、この将来戦略の設定についていろいろ努力してまいりました。ナイロビでこの戦略ができる運びになるわけでございますが、重要なのは、国連全システムを動員してそれを実施する体制づくりであろうと思っております。昨年のESCAPの会議でこれを我が国が提案いたしまして、それが認められ、現在事務局が会議に提案いたします文書の中にもそれが触れられております。したがいまして、ナイロビの会議では立派な将来戦略をつくるとともに、それを推進していくような国際的な枠組みの設定に努力したいと考えております。
#306
○渡辺(朗)委員 大変失礼でありますけれども、松本参事官あるいはまた今御答弁いただいた外務省の山田さん、何か抽象的でございます。それから、受け身であるように感じられてなりません。将来戦略の問題にしても日本として何をやろうとするのか、何か具体的な提案をお持ちであろうと思うのですが、何かそこら辺はないのでしょうか。あれもこれもという総花的なことを私は言っているのではございません。これだけはぜひ推進すべきだ、日本がそれだけの責任も持ちたいぐらいな提案があって私はしかるべきだと思うのです。これから検討をするとか、これから戦略について、実施体制や何かについても私どもとしては推進するのだとかいうようなお話では、大変心もとないように思えてなりません。具体的にどういうこととどういうことをやる、あるいはこれは予算も必要なことでありましょうから、その分野においても何らかの心構えなり提案があってしかるべきだと思うのですが、いかがでございますか。
#307
○山田(中)政府委員 お答え申し上げます。
 先ほど申しました体制づくりのほかに、日本の代表団が準備会議の段階を通じて努力してまいったものが九項目ございます。
 一つは、今先生おっしゃいました財政的な面でございますが、国連婦人の十年のために基金が設定されましたが、これをさらに存続すること。
 それから、婦人の問題につきましては、やはり各国の間での婦人の実情をお互いによく知り合うことが必要であるという見地から、情報システムの強化と申しますか、情報調査のネットワークをつくることを提案いたしております。
 それからまた、婦人の地位を向上するための世論の喚起運動と申しますか、マスメディアを効果的に利用すること。
 また、国内の機構、民間団体と政府の密接な連携の確保を図ること。
 それから、そのような国内機構の効率性につきまして評価を行うこと。
 また、対外援助プログラムの策定におきまして、婦人のためのプログラムに優先を図ること。
 それから、現在御審議いただいております女子差別撤廃条約の各国の批准の促進をすること、等等。
 以上のような点の実現に向けて努力いたしております。
#308
○渡辺(朗)委員 ありがとうございます。そういうふうに言われると具体的にいろいろわかってまいりますし、日本政府が決して受け身ではなくて積極的であるということも期待できるように思います。
 ところで、時間がなくなってまいりましたので、最後に、予算関係について一言だけお伺いをしたいと思います。
 総理府の婦人問題担当室で、ことしの初めでございましたか、集計された国内行動計画関連の予算というのはどのくらいなものだったのでしょう。報道によりますと二兆一千九百五十七億、こういうふうなことが言われておりますが、これは何かあれもこれもみんな一緒にしたような数字であるようにも思います。そこら辺、もしもっと何かきちんとしたものがありましたら口頭で、あるいはもし今準備ができておらなかったら後ほど文書ででもいただければと思います。
 なおまた、それが来年度は一体どうなるのかということであります。特に、女性に直接関係のある母子福祉の問題、働く婦人のための予算、こういったものは一体どうなっていくのだろうか。今までの予算編成や何かの過程を見ておりますと、難しい問題が出てくると先に削られるのは、えてして婦人関係のところであったり母子関係のところであったりする。これでは口頭禅と同じで、条約は通しても中身が伴わないということになってはいけないと思います。特に、御婦人の方々が職場にどんどん進出していかれるというようなことになっていくと、保育所に対する措置の費用、そういうようなものも逆にふえていかねばならぬであろうし、あるいはまた職業訓練、こういうようなことに対しても積極的に助成ということが必要になってくるでありましょう。そういう点で、これは一番先に総理府の方から御発言を聞かしていただいて、それから外務大臣に、最後の締めくくりのところでございますので、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
#309
○松本政府委員 先ほど先生おっしゃいましたように、六十年度の国内行動計画関係の関連経費は二兆千九百五十七億円ということでございまして、これは国内行動計画の主な事項別に数字を整理してございますが、ここで読み上げてもなんでございますから、資料を差し上げるようにいたしたいと存じます。
 それから、来年度の婦人関係の予算につきましては、これは各省とも婦人関係施策は極めて重要な問題であるという認識のもとに、検討していただけると期待しているわけでございますが、また財政事情等も勘案して、今後関係各省で御検討いただくということになろうかと思います。
#310
○渡辺(朗)委員 外務大臣、その点で、これから推進役になっていただきたいと思いますが、予算の面でですね、その点はいかがでございましょう。
#311
○安倍国務大臣 今総理府から答弁いたしましたように、婦人問題、これは特にこの条約を批准する、さらに行動計画等もつくってこれを実施するということになれば、非常に重要でございますから、外務省は外務省の役割がありますけれども、こうして条約の責任者として御協力を求めておるわけでございますし、条約を誠実に履行していくために、予算その他の面においても努力してまいりたいと思います。
#312
○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。終わります。
#313
○愛野委員長 次に、田中美智子君。
#314
○田中(美)委員 政府が、女子差別撤廃条約を批准するその措置として、男女雇用機会均等法というのをつくったわけですが、この均等法が施行されますと、女子も男子労働者と同じように、すべてではありませんが、いわゆる残業とか深夜勤をする、こういう人たちの数がふえるのではないかと思います。これは政令によって範囲が定められるので、はっきりはしませんが、一応はそういう人たちの数がふえるのではないでしょうか。お答え願います。
#315
○国広政府委員 私どもは、労働関係の詳細を担当しておりませんので、確たることは申しかねますが、感じとしては、やはりふえる効果があるのではないかという気がいたします。
#316
○田中(美)委員 ふえる効果というのはおかしいのですが、そうしますと、日本の労働者の総実労働時間というのが、現在は二千時間を超えているということで、これが経済摩擦の大きな原因になっているというので世界から批判されているわけですので、今のお答えのようにふえる効果があると言われますと、これは逆効果であって、ますます総労働時間がふえて世界の批判の的になるのではないかと思いますが、安倍大臣はどのようにお考えになりますか。
#317
○国広政府委員 失礼いたしました。ふえると申し上げましたのは、就業機会がふえるということでございまして、総労働時間は減る方でございます。
#318
○田中(美)委員 総労働時間が減るのですか。どうしてですか。
#319
○国広政府委員 平均労働時間が減ると思います。
#320
○田中(美)委員 どうしてかと聞いているのです。言えないなら結構です。減るはずはないと思うのですね。今まで夜働けなかった、という言い方はおかしいのですけれども、そちらの言葉で言えば、働けなかった人たちが働けるようになれば、総実労働時間というのはふえるということになるのは普通の計算だと思いますので、答弁はもうそれだけで結構です。ふえるということは、結局国際的に批判を受けることだというふうに思います。今、世界からも、また国内からも、何とか労働時間を、女だけの問題ではなくて、男女あわせて働く者の労働時間を短くしなければならないという声が出ている、これは安倍大臣もお認めになっていることだと思います。
 例えば、ILOが近く発表する「世界労働年報」というのに、一日八時間、週五日労働、ということは週休完全二日ということですね。週五日労働という伝統的パターンは、急速に過去の遺物になろうとしている。この言葉はちょこっと読みますと、我々は長い労働時間になれているものですから、一日八時間で週五日労働だったら、ああ、いいなというふうにちょっと思いがちなんですけれども、ILOでは、こういうパターンというのはヨーロッパでは定着しておりまして、これがもう伝統的なパターンなんだ、しかしこれはもう急速に今、過去の遺物になっているんだというので、私など、長時間労働を一生懸命批判している者でさえ、これを見たら、あれ、いいじゃないかと思うくらい、これが過去の遺物になろうとしている。ということは、ああ、そんなに世界というのは、もう長時間労働というものは日本人から見ればほとんどなくなってきているんだな、こういうふうに思ったわけです。
 それからもう一つありますのは、西ドイツの経営者連盟が先進国を十七カ国調査した結果が出ております。この結果を見まして、西独の産業界が、年間二千時間も働く日本人と対等に競争するのは不公平だ、こういうふうにコメントしているというのを見ましても――日本の二千時間もというのは少ないぐらいで、二千時間以上なんですけれども、二千時間自体が非常に大きいというふうに西独が言っているわけです。大臣も御存じだと思いますが、昨年私、西ドイツに行きましたとき、ちょうど決まったところでしたが、週三十五時間を要求して、妥結は三十八・五時間ということで、いや、うらやましいと思ったわけですので、こういう批判が日本に出ているということも当然のことだと思います。
 もう一つ事例を挙げますと、ことし、日本でありました国際シンポジウムで、これは新聞報道の見出しですけれども、「「有休返上」侮べつの的デスゾ」というふうに大きく見出しが出ているわけです。日本人が有休を残しているということは、これはおかしいというよりも侮べつの的だ。それに対して、これも見出しですが、「日本勢反論できず」このように日本の新聞に報道をされておりました。
 こういうふうなことに対して、安倍大臣はどのようにお受けとめになるでしょうか。
#321
○安倍国務大臣 日本は、日本人が一生懸命働いたから今日の繁栄があったと思います。これからも、もちろん一生懸命働かなければならないと思いますが、しかし、国際的な一つの労働時間という水準もだんだん国際的にも出てきているわけですから、そういう中でいろいろとこれから労働時間の短縮等については、今も努力しているわけでしょうが、これからもやはりそうした国際基準に近づけるような努力はしなければならぬ。しかし、働くことというのを否定するということではありません。働くということはいいことだと思います。
#322
○田中(美)委員 もちろん、日本の労働者が大変よく働くということについては、私自身も誇りを持っております。しかし、長時間働くということと一生懸命働くということは、ちょっと次元が違うわけなのですね。長時間怠けて働いているのではないわけですから、時間を短くして一生懸命働くということは、これは日本人の非常にいい特徴だというふうに思っていますが、長時間ということは、これはやはり日本人の悪い特徴だ、働かされているというところが悪い特徴だというふうに私は思いますが、安倍大臣が努力をなさるということですので、今後ともこの点で努力をしていただきたいと思います。
 この均等法が施行されるようになりますと、当然婦人は残業も多くなるであろう。それは婦人局長の赤松さんが、去年の社労で「やってみなければわからない。」こういうふうにお答えになったので、確かにこれは施行してみなければわからないことですけれども、それぞれに想像いたしますと、婦人も残業なり、また一部の婦人は深夜勤もする人が、今までは禁止されていたものが緩和されるわけですから、これがふえてくるというふうに思います。職場の中で男の人は残業もする、夜勤もするのに、女の人はそれをしないということになりますと、今まではできなかったからいいわけですが、できるのにしないということになりますと、これは職場にいても大変居づらいし、またそれが勤務評定にもつながってくるしということは考えられることだと思うのです。そうしますと、無理して夜も働くということになりますと、健康破壊や母性が損なわれるということは当然のことではないかと私は心配しています。
 しかし、きょうはこの問題ではなくて、夜も働くようになり、労働時間が長くなれば、結局今の日本の状態の中では、育児だとか、病気の親だとか、家事の分担、こういうものがどちらかと言えば女子の方に多くかかってきているという状況ですから、そうしますと、どうしても男性と同じように夜働くということは、家庭をどうやって持っていくかという問題が出てきます。そうなれば、婦人の平均の賃金というのは、男性の一生で見て、男性の五二%という数字が出ておりますので、やはり家庭を女が持つのだということと、また賃金の安い方の女性がやめる、まさか給料が高い方のだんなをやめさせて家事、育児をしていただき、女が安い賃金で働きにいくということは、まあそういう選択は余りしないのではないかと思うのです。そうすると、やむなく婦人が働きたいけれども働けなくなる、こういうことが一部に出てくるということは考えられるのではないかと思いますが、その点の大臣のお考えをお聞かせください。
#323
○安倍国務大臣 この均等法につきましては、女子保護規定につきまして、第一に労働時間を初めとする労働条件や労働慣行、第二点として現実に、今お話しの女子に家事、育児責任がかかっているという状況、第三番目として労働条件の同一化という条約上の要請、さらに婦人少年問題審議会等によるところの検討、そういうものを踏まえまして、男女の機会均等を確保するとの観点から、特に改廃が必要と判断されたものについて、所要の手当てを行ったものである、こういうふうに承知しております。したがって、均等法は、男女同一の労働条件を確保するためのすべての適当な措置をとるとの条約の要請に合致するだけでなく、これによって今働いている女子が働き続けることができなくなるといった事態にはならない、こういうふうに考えております。
#324
○田中(美)委員 婦人局長が「やってみなければわからない。」と言われましたけれども、大臣はそうはならない、こういうお答えですので、一応それはお聞きしておきます。
 私は、この条約の十一条の(a)で、婦人の労働権というのは何人といえどもこれは奪うことのできない基本的な権利なのだということがうたわれているわけですけれども、結局、夜も働かなければ一人前の労働者として評価されなくなれば、どうしても家庭や子供を犠牲にしてでも婦人が夜働かなければならなくなる、または仕事をやめなければならなくなる、みずから自分の権利を捨てていかなければならなくなるという人が出てくることは、私は当然だというふうに思うのです。これは非常に残念なことで、大臣はそういうことにはならないということですけれども、私はなるというふうに思うわけですね。すべての婦人がなるとは言いませんが、なると思います。そうすると、労働権が奪われるだけでなくて、結局、働けなければ家庭が経済的に維持できないという家庭は今非常にふえているわけです。ですから、結局本採用の職場をやめてパート労働者になっていく。ですから、パート労働者がすべて不安定就労とは言いませんが、短期間の不安定就労につかざるを得ないという婦人たちがふえていくということも、私は事実だというふうに思います。みずからパートの方が働きやすくて、好んでパートになるという方もあると思いますけれども、やむなくパートになるという労働者がふえるということも私には思われるわけですが、このパートがふえるという点については、安倍大臣はどのようにお考えになりますか。――御自分の考え方を言ってください。ここで討論して、お互いに高め合った方がいいのではないでしょうか。
#325
○安倍国務大臣 確かに、婦人のパートはふえておると思いますね。これはいろいろ社会経済、そういうものが非常に多様化しておる。そういう中で、また家庭の収入を確保して、さらに生活をより高めたいという欲求があるわけですから、そういうようなこともあって、結局パートというそうした仕事がふえておる。これは企業主にとりましても、こうしたパートによって企業としての経営の健全化を図っていこう、もちろんそういう一面もあるのじゃないか、こういうふうに思います。
#326
○田中(美)委員 何となく歯切れが悪いのですが、パートがふえていくであろうという点では、ある点では私ども一致するようなところがあったと思います。
 五月二十二日に、経済企画庁の予測調査というのが出されました。これは「二〇〇〇年に向けて激動する労働市場」ということで、経企庁が調査を依頼してつくったものだというふうに聞いております。これは中を見ますと、二〇〇〇年には、ということはあと十五年しかないわけですが、十五年たちますと、パートなどの臨時社員が増加するということを言っているわけですね。この点では安倍さんもそう言っていらっしゃるし、私もこれはそのとおりだ、これは予測ですけれども、私もこの予測はそうだなと思います。
 今パートがどれぐらいいるかということは、率でいきますと六人の労働者のうちに一人がパートだ。これは経企庁の予測調査の中に出ているわけです。現在は六人に一人、それが二〇〇〇年には三人に一人に急速に高まる、こういうふうに言っています。これは男女合わせておりますけれども、今の現状から見まして、パート労働者の八〇%近くが女性だというのを見ましても、これは三人に一人になるということは、今のパートが倍増するということになるというふうに思います。三三・三三三%ぐらいがパートになる。そうすると、その中の七、八〇%が女性だということになりますと、結局、賃金も安く不安定な吹きだまりのような労働者のところに女性が追い込まれていくという状態になるのではないかと私は思いますが、この点は大臣どのようにお考えでしょうか。
#327
○安倍国務大臣 私は、外務大臣ですから詳しいことはよく承知しておりませんけれども、しかし、吹きだまりのようなところへパートだから落ちていく、そういうことはないと思います。やはり今のパートをやっておられる方は、夫の収入だけではなくてさらに自分たちも働いて、自分たちの生活をより豊かにしようということで働いておる方が随分あるのじゃないか。そういう職業というか、そういう職場がこれからもまた社会経済的な要請によってふえていくであろうと思いますけれども、一概にこれが何か吹きだまりというようなところへいくなどということは、私はそういうふうには思いません。
#328
○田中(美)委員 それは、すべてがそうではありません。しかし、今でさえ婦人のパートというのは無権利状態に置かれているということで、労働省もこのパート対策というものはやらなければならないと言っているわけです。ですからマクロで見れば、これはある程度吹きだまり的ではないかと思うのが一般の常識ではないかと思うのですね。
 それで、均等法に対して怒りを持った人たちの大きなポイントというのは、いろいろありますけれども、やはり罰則がないから絵にかいたもちなんだという意見と、実際には実行されないんじゃないかという意見と、それから長時間労働になって、結局労働権を奪われるというより自分から捨てていかなければならない状態に追い込まれるということが、絵にかいたもちもさらにもっと悪くなるんだということで、この均等法が午前中の審議の中にもありましたように、女子差別撤廃条約の趣旨に逆行しているんだ、こういう考え方を持っている婦人が――怒りを持っている婦人たちはそうです。すべてがそうだとは言いませんけれども、ここにあるわけですね。
 ですから、もうできてしまった均等法ですから、これを見直したりいろいろしていくということは、見直し条項も入っているわけですから、これからこういう努力をしていくわけですが、やはりその基本的な労働時間を短くするということが実現していけば、例えば西ドイツのように三十八・五時間とか、ベルギーなどは一日四・八時間というわけですから、私などの今の日本人の感覚でいきますと、たったそれだけしか働かなくていいのかと実感するのですけれども、世界はそういう方向に動いているんだということは、ベルギーのようにやれとは私は言っておりませんけれども、世界はそう動いているのだ、だからそっちの方に近づいていけば、均等法をよりいいものに近づけていくことができるのではないかと思いますので、この労働時間を短くするということについては、大臣にぜひ頑張っていただきたいと思うわけです。
 労働省は、時短の展望と指針という原案をつくられまして、今完全週休二日とか、年休を八割消化というのはちょっと私はひっかかりますけれども、それと所定外の労働、残業ですが、決まった残業、月十時間短縮、これをやればやっと二千時間になるということで、これをやろうという努力、これは非常にわずかですけれども、その努力を労働省は始めているわけです。
 それから通産省も、余暇開発センターに調査を依頼しまして、内外の週休二日制の普及状態とか時短の日本経済に与える影響とか、こういうものをこれから調査するというふうに言っているわけです。
 これが、これだけでいいというのではないのですけれども、こういうことをするためには各省がばらばらにやっているのではなくて、やはり日本の長時間労働というのが世界から非常に大きな批判を受けているわけですから、外務大臣が中心になりまして、連絡会議など労働省、通産省その他の――女子差別撤廃条約に少しでも近づけていく、理想に対して近づけていく、そのための努力を、特に今の時短の問題ですけれども、関係した連絡会議をつくってその中で外務大臣がリーダーシップを持って動いていただきたい、御指導していただきたい、そういうことを今婦人たちは非常に望んでいると思います。均等法がもう成立した時点では、それを非常に願っていると思うのです。そういう意味で、女子差別撤廃条約を批准するときの大臣として大きな力を発揮していただきたいと思いますが、この点についての大臣の見解をお述べいただきたいと思います。
#329
○安倍国務大臣 労働時間の問題で外務大臣が中心になるというのは、ちょっとそういう立場にありませんけれども、しかし、労働時間を短くしていかなければならぬ、こういう点については、私も今の国際環境を見てそういうふうに思います。外務大臣としては、そうした国際的な、特に先進国の間で日本に対してもいろいろと批判がありますし、そういう国際的な労働時間の状況等も、国内施策を進める上において的確に説明をして、いろいろな面で国際化が進んでおりますから、日本も国際国家としての努力をする、こういう点についての理解を得るようにこれから努力はしたいと思います。
#330
○田中(美)委員 もう一問そのことですけれども、ただ説明をするということではやはり姿勢が弱いと思うのです。世界からこれだけ批判をされているのですから、外務大臣が、リーダーシップというのはどういうのを言うのか、概念から難しいのですけれども、世界からこういう批判を受けているのだからということで、外務大臣が労働大臣や労働省や厚生省に、これを指導する立場でないかもわかりませんが、ただ説明するというのではなくて、やはり強くそれを求めるという姿勢はぜひ持っていただきたいと思いますが、その点はいかがでしょうか。御決意をしっかりとしていただきたいと思います。
#331
○安倍国務大臣 これは、今度条約批准ということになれば、日本も守っていかなければなりませんし、そういう中で日本の立場はますます国際化していくわけですから、国際会議等で我々が直接外国から指摘を受けた労働時間の問題等、やはり国内でその責務にある、衝にある人たちに的確に伝えて、善処を求めるということであろうと思います。
#332
○田中(美)委員 ぜひ、そういうふうに頑張っていただきたいと思います。
 質問を終わります。
#333
○愛野委員長 次回は、来る六月四日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時七分散会
ソース: 国立国会図書館
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