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1984/03/29 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第9号
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1984/03/29 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第9号

#1
第102回国会 法務委員会 第9号
昭和六十年三月二十九日(金曜日)
    午前十時四十二分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 森   清君 理事 天野  等君
   理事 横山 利秋君 理事 岡本 富夫君
   理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      衛藤征士郎君    玉置 和郎君
      丹羽 兵助君    宮崎 茂一君
      山崎武三郎君    小澤 克介君
      中村  巖君    柴田 睦夫君
      林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
        法務省刑事局長 筧  榮一君
 委員外の出席者
        大蔵省主税局税
        制第三課長   津野  修君
        国税庁直税部法
        人税課長    加藤 泰彦君
        最高裁判所事務
        総局総務局長  山口  繁君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十八日
 辞任         補欠選任
  上村千一郎君     江崎 真澄君
  稲葉 誠一君     網岡  雄君
  小澤 克介君     嶋崎  譲君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     上村千一郎君
  網岡  雄君     稲葉 誠一君
  嶋崎  譲君     小澤 克介君
    ―――――――――――――
三月二十九日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(梅田勝君紹介)(第二四六二号
 )
 同(佐藤祐弘君紹介)(第二四六三号)
 同(柴田睦夫君紹介)(第二四六四号)
 同(瀬崎博義君紹介)(第二四六五号)
 同(瀬長亀次郎君紹介)(第二四六六号)
 同(津川武一君紹介)(第二四六七号)
 同(中川利三郎君紹介)(第二四六八号)
 同(野間友一君紹介)(第二四六九号)
 同(林百郎君紹介)(第二四七〇号)
 同(東中光雄君紹介)(第二四七一号)
 同(不破哲三君紹介)(第二四七二号)
 同(正森成二君紹介)(第二四七三号)
 同(松本善明君紹介)(第二四七四号)
 同(三浦久君紹介)(第二四七五号)
 同(簑輪幸代君紹介)(第二四七六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化
 のための措置等に関する法律案(内閣提出第二
 〇号)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所山口総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○片岡委員長 内閣提出、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。
 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、来る四月二日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#7
○片岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。衛藤征士郎君。
#8
○衛藤委員 本法律案の立法の趣旨ないし目的は、法案の第一条に規定されておりますとおり、最近における登記事件の急増に対処するため抜本的な事務処理体制の改革を図ろうとするものでありますが、登記事件は増加の一途をたどっておりまして、今後も都市開発また道路整備、住宅、団地の建設などによりまして公共事業の拡大や企業活動のますますの発展に伴いましてさらに増加することが予想されます。これにより登記の事務処理が遅滞し、また国民へのサービスが低下することになりますと、国民の最も重要な財産であります不動産の権利の保全に重大な影響を及ぼすことが懸念されるのであります。このような登記事務量の増加とそれに伴い発生することが予想される事態に効果的に対処するためには、登記事務処理体制の抜本的な改革が必要でありまして、これを図るべく必要な事項を法律化しようというのが本法律案の趣旨とするところであると理解しております。まことに時宜に適した法案であろうと思います。
 そこで、まず第一に局長にお伺いいたしますが、第一条に言うところの「最近における不動産登記、商業登記その他の登記の事務の処理の状況」、すなわち登記事務処理の現況についてお伺いいたしたいと思います。
 また、第二点としまして、今回登記にコンピューター化が図られるわけでありますが、これによっていかなる効果が期待できるのか、この点につきましては恐縮でございますが大臣にお伺いいたします。
#9
○枇杷田政府委員 現在の登記所の実情は、膨大な事務量にいわば忙殺されておるというのが現状でございまして、試みに事件数の推移を申し上げますと、昭和四十六年度を一〇〇といたしますと昭和五十八年度におきましては一一七、これは甲号事件でございます。それから謄抄本等の乙号事件につきましては、昭和四十六年度を一〇〇といたしますと昭和五十八年度におきましては実に二〇八、要するに二倍というふうにふえておるわけでございます。そして、そのような増加の傾向はなおこれからも続いていくものと予想されるところでございます。
 そのような状況のもとで、一方では増員を図り、また能率器具の導入等も努めておるところでございますけれども、なかなか対処し切れないという状況から、申請人の方々にとっては謄抄本を求めておいでになる方々も窓口で相当時間お待たせをするとか、あるいは所有権移転等の甲号事件につきましても事件の処理がかなりの日数を要するというような状況でございまして、まことに残念なことでございますけれども、行政管理庁の調査によっても窓口サービスの面では登記所が一番悪いというような評価も受けている状況でございます。したがいまして、これらの状況を改善するためには抜本的な方策を講ずる必要があるであろう。そのためには現在の登記簿の簿冊制度というものをコンピューターに切りかえることによって打開の道を開きたいということを考えておるところでございます。
#10
○嶋崎国務大臣 ただいま民事局長の方から説明がありましたように、最近の登記事務の状況は量的にも何とも処理ができないような増大傾向を示しておるわけでございます。例えて申すならば、新規の登記の関係の仕事、甲号関係でも一年に四千三百万件、抄本をいただくとかあるいは閲覧をするとかいうような乙号関係のところで何と一年に四億一千万件といったような状態になっておる。しかも、乙号だけで見ても年々の増加が御承知のように千六百五十万件ふえるというような状態になってきておるわけでございます。ちょうど一年に愛知県一県分ずつふえるというようなことでございますから、なかなかその事情は大変なことでございます。
 そこで、今御説明あったとおりでございますが、御質問の、特にこれによって将来どういう問題点の解決になるかということでございます。
 第一番目に挙げられるのは、やはりそういう複雑多様化して何とも量的に追いつけない、しかもそれが質的な面でもある程度問題が起きましていろいろ問題が生じてきているというような問題もあるわけでございますけれども、とりわけこれを処理するために、非常に困難な行政改革の実情の中で人員増というのはなかなか要望どおり認めていただけないというような状態もあるわけでございます。それのみならず、登記の仕事というのは今の体制の中で運用することは将来考えてもなかなか難しかろう。したがいまして、何とかそういう増員を回避をし、それを能率化し、合理化することによって能率を上げていかなければいけないのじゃないかというような観点がこれを取り上げた非常に大きな理由であろうと思います。
 二番目は、そういうことを通じまして、できるだけ行政サービスを高揚させていきたいというふうに思っておるわけでございます。
 今、平均的に調べてみましても、例えば謄本をいただくというような乙号関係のところでも、大体平均的に四時間近い時間がかかるというようなことになります。そのことは一般の利用される国民に大変な御迷惑をかけるというようなことに相なるわけでございます。したがいまして、そういう意味での能率を上げて、国民の需要に対して的確に対応していきたい。それとともに、今膨大な量になっておりますから、いろいろ登記、抄本等について間違いが起きるというような事件、あるいは更正をしなければならぬというような事件もあるわけでございますから、そういう点についてその改善に努めまして、行政サービスをぜひとも上げていかなければならぬという問題があると思います。
 それからもう一つは、御承知のように、今の登記簿というのはブックシステムになっておって、それが一冊しかないわけでございます。そういう実情にあるわけでございまして、今度コンピューター化をしますと、それをチェックするという機能で一つの磁気ファイルができる、それから正本の磁気ファイルができる、二つの組織ができるというようなことになるわけでございます。そうなりますと、それをうまく保全をするということになれば、災害等において、不幸な事態があったというようなときの回避のために非常に役立つというような効能を持つこともできるのではないだろうかというふうに思っておるわけでございまして、計画はある程度時間がかかるということは、非常にたくさんの処理案件があるこの登記の実情でございますから、にわかには期しがたいけれども、できるだけ早目に実現をされるような努力をすることによりまして、以上申し上げた三つの点の解決に努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#11
○衛藤委員 大臣からお話がありましたが、全国すべての登記所に登記のファイルが備えつけられた際には、現在あるようなブック式の登記簿は廃止されるのかどうか、お尋ねいたしたい。
#12
○枇杷田政府委員 将来、登記法の改正がなされまして、そしてコンピューター化の作業が終わりますと、その登記所におきましては、登記簿というものはいわば法律的な意味を持たなくなりまして、現在の登記簿の法律的な効用といいますかそういう性質のものは、磁気ディスクに記録されておるものが登記簿にかわるということに相なります。
#13
○衛藤委員 登記をコンピューター化することによりまして、将来改正が必要となる法律があると考えられますが、現時点においてその対象となるものとしてどのような法律をお考えになっておられますか。
 また、登記ファイルへの移行が完了する登記所が出現するまでには、不動産登記法あるいは商業登記法などを改正をしておく必要があると考えられますが、その改正の時期は大体いつごろとお考えでありましょうか、お尋ねいたします。
#14
○枇杷田政府委員 現在、登記簿を備えでいろいろな事項を記録させるというようなことを定めております法律が三十を超える法律がございます。したがいまして、全部の登記簿をコンピューター化するということになりますと、その三十幾つかの法律をすべて改正しなければならぬということに相なります。中心になりますものは、不動産登記法と商業登記法ということになるわけでございます。
 ただ、その三十幾つかの法律の中には、商業登記法等を準用するという規定で賄っておるものが多うございますので、法律の形式上はどういうことになるかというのは、これから少し検討をしなければならぬことだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、その三十を超える法律のすべてに実質上の改正を加えていくということが必要であろうと思います。そのような法改正はこれから検討を進めてまいるわけでございますけれども、私どもといたしましては、二年後の国会にその改正法律案が提出できるように努めてまいりたいと思っております。
#15
○衛藤委員 登記のコンピューター化の施策と関連いたしまして、コンピューターによる処理が増加してまいりますと、当然データの保護の問題や、あるいは担当者による端末機の誤った操作により誤った情報が入力されるなどの問題が懸念されるわけでありますが、これらにつきましては万全の対策が講ぜられておるものと確信はしておりますが、パイロットシステムでもそれらの検証がなされておるもの、このように理解もしております。この機会に改めてこれらの防止策についてお伺いをいたしたいと思います。
#16
○枇杷田政府委員 現在の登記簿制度の場合におきましても、登記用紙の抜き取りとか改ざんとかという不正事件が残念ながら起きております。そのような不正事件は、コンピューターによって防止することが可能になると思いますけれども、また逆にコンピューター化してまいりますと、いわゆるコンピューター犯罪といいましょうか、コンピューターを利用して、また内容を改ざんしたりあるいは記録を消滅させるというふうなことが技術的に可能になるという面が出てまいります。したがいまして、このコンピューター化のためのシステム開発あるいはプログラムの設定の場合に、そのような不正が行われないようにということを厳重にチェックするシステムを開発していかなければならないと思います。現在板橋の出張所におきまして行っておりますパイロットシステムにおいても、そのような措置は十分に考えてやっておりますけれども、なお、これから本番のシステムを開発する段階におきましては、さらにあらゆる面から検討して、その不正が絶対にできないというような形のものに工夫を重ねてまいりたいと思っております。
#17
○衛藤委員 ただいま局長からお話のありました板橋の出張所でのパイロットシステムでございますが、私は先般の視察に参加できませんで大変失礼いたしましたが、パイロットシステムについて意見を述べる評価委員会がある、このように伺っておるわけでございますが、この評価委員会とはどのような機関でどのような活動をしておるのか、お尋ねいたしたいと思います。
#18
○枇杷田政府委員 このパイロットシステムと申しますのは、登記制度にコンピューターを導入する場合のいわば実験でございますので、十分な検証がなされなければいけないわけでございます。そうなりますと、単に役所の側からだけの検証ということだけでは不十分でございますので「あらゆる部門からの専門家に御参加をいただきまして十分な検証をしていただきたい。しかも、それが個々の問題についての検証というよりはむしろ総合的に検証していく必要があるであろうということから、いろいろな方面の専門の方にその評価を依頼いたしまして、その方々にお集まりをいただいて、討論をしながらその評価をしていただくというようなことにしており、それが俗称といいますか、普通私どもがパイロットシステムの評価委員会と呼んでおるものでございます。その評価委員会は、板橋でパイロットシステムを行いました直後に発足をさせまして、そして現在までに、委員会といいますか全体の集まりが九回行われております。
 そして、各分野に大ざっぱに分けまして、準備会というものを三つに分けて設けております。その第一準備会と申しますのがソフトとかハードとかそういう面での信頼性を中心に検討する部門、それから第二準備会と申しますのが利用者側、そういう面から見た問題点の検証ということ、それから第三準備会と申しますのは、職員の側と申しますか、職場の執務環境という面から検討する。そういう三つの部門に分けまして、そして各準備会でそれぞれの会合を持ちながら検討を進めております。準備会の開催回数は、三つそれぞれ回数は違いますけれども、合計いたしますと、現在までに十八回開かれております。
 そのようなことですが、去る三月十一日に中間的に従来までの検証の結果をまとめました。結論的に申しますと、ハードとかソフトの面における信頼性も十分であろう、需要者側から見てもかなりメリットのあることであって非常に効果が上がる、それから職員の側、執務環境の側からいいましても、現状よりはかなりの向上が図られるというふうな結論が出されております。なお、その中には、幾つかのもっと改善すべき点とか検討すべき点とかという指摘はございますけれども、大ざっぱに言うとそういうふうなことになっておる次第でございます。
#19
○衛藤委員 我が国の登記制度というのは諸外国における登記制度と歴史的な沿革等がなり相違するものがあると思いますが、今回コンピューター導入に際しまして、特に外国のコンピューター化の中で参考になりました点がございましたら御指摘をいただきたいと思います。
#20
○枇杷田政府委員 欧米の主要諸国におきまして登記制度のコンピューター化はどのように進んでおるかという調査はいたしてございます。そして各国におきましても、それぞれ登記制度の現行の扱いがいろいろ方式が違っておりますものですから必ずしも一律には申し上げられませんけれども、方向としてはコンピューター化の方向に向かうというふうなことで、現に導入をしているところもありますし、導入方の検討をしているところもあります。その点でいろいろな導入の仕方がございますので、それもいろいろと参考にさせていただいてはおるのでありますけれども、結論から申しますと、我が国で一番問題になりますのが漢字をどう処理するかという点でございます。そういう面につきましては諸外国のは余り参考にならない、むしろ漢字の問題がない、アルファベットだけで処理ができるということで大変簡単にいくという点ではうらやましいなという感じはいたしますけれども、特に我が国のコンピューター化についてこの方式がということで新しい、何といいますか目を開かれたという調査の結果は出ておりません。
#21
○衛藤委員 本法律案と登記特別会計創設との関係はどうなりますか。また、本法律案は、全国すべての登記事務がコンピューターにより処理されるまでの間の登記事務について定めるものかどうか、お伺いいたしたいと思います。
#22
○枇杷田政府委員 この法律案の第五条で国の責務の規定がございます。このような規定が置かれておりますけれども、そのような責務を実現するため、すなわちコンピューターを用いて登記を行う制度を導入していくということになりますと、それにはかなり多額の経費を必要といたします。したがいまして、国の責務を果たしていくためにはそのための財政的な裏づけが必要ということになります。そういう面で、一方では登記の特別会計制度を設けて、そして受益者負担的な考慮も入れながら、このコンピューター化を進めていくということになるわけでございます。したがいましてこの法律の第五条と登記特別会計制度というものは結びつくわけでございまして、いわばこの法律が特別会計制度を必要とするその政策の中心になるということは言えようかと思います。
#23
○衛藤委員 第一条に規定されておる「円滑化を図るための措置」とは、具体的にどのような措置を指しておるのか、また、第二条第一項の「登記ファイル」とは何を指すか、また、第二条第二項の「電子情報処理組織」とは何かについてお尋ねいたしたいと思います。
#24
○枇杷田政府委員 第一条の「処理の円滑化」と申しますのは、先ほど来申し上げておりますように、現在の登記事務が必ずしも円滑に処理されておらないわけであります。したがいまして、それを抜本的に改善していくためにはコンピューターの導入が必要であろうということでございます。したがいまして、そのコンピューターの導入というのをいわばこの登記制度の改善の中心に据えるという意味で書いておるわけでございます。コンピューターが導入されますと謄抄本の作成が迅速円滑に進む、あるいは乙号事件の処理につきましても円滑になるということでございます。
 それから第二条の関係の「登記ファイル」と申しますのは、これは余り熟しているとは言いがたい言葉ではございますけれども、要するに登記事項を記録するものということになりましょうか、実質的にはここでは磁気ディスクを私どもは考えておるわけでございますが、そういうものに記録をさせるということでございます。それを電子情報処理組織によって行うということとの結びつきでそういう解釈が出てくるわけでございまして、「電子情報処理組織」と申しますのは、申し上げるまでもなくコンピューターによる処理組織ということでございまして、これは自動車登録等にもこのような言葉が使われておりますので、そういう言葉でここに表現されておるわけでございます。
#25
○衛藤委員 登記簿には、不動産登記法に規定されておる土地登記簿あるいは建物登記簿、また商業登記法に規定されている株式会社登記簿、有限会社登記簿など、幾つもの種類の登記簿がありますが、法案第二条第一項の規定により法務大臣が指定した登記所においては以上のすべての登記簿を登記ファイルに記録することになるのかどうか、お尋ねをしたいと思います。
#26
○枇杷田政府委員 ただいまお述べになりました登記簿は、この第二条によって法務大臣が指定いたしますとそこで登記ファイルに記録するという作業がまず一つできることになります。ただ、その作業が一遍にはできませんので、したがいまして場合によっては部分的にといいますか、不動産登記なら不動産登記だけというふうな形ですることも可能ではないかと思っておりますけれども、私どもとしますと、まず最初の指定の関係では登記所で、法務大臣が指定をいたしますれば、ただいまおっしゃいましたような種類の登記簿については全部登記ファイルに記録するという作業が可能になるというふうな考え方でおります。
#27
○衛藤委員 第三条第一項に規定されておる「登記ファイルに記録されている事項の全部又は一部を証明した書面」の意味と、この書面は登記簿の謄本または抄本と異なるのかどうかについてお伺いいたしたいと思います。
#28
○枇杷田政府委員 この第三条第一項の記録されておる事項の全部または一部ということでございますが、全部というのは、現在の登記簿で申しますと謄本に当たるものでございます。ある一つの不動産なら不動産に関する記録事項が全部ということでございます。一部と申しますのはその一部でございまして、いわば抄本に当たるものでございます。そのようなものを請求によって交付するということになるわけでございます。
 この証明書の性質でございますけれども、これはこの段階では、この段階と申しましょうか、この法律ではまだ登記簿というものを廃止するといいましょうか、登記法そのものを改正しておるわけではございませんので、登記簿は現在のまま存在するわけでございます。それに並行して登記ファイルに登記事項が記録されておるという状態でございますから、したがいまして登記簿の謄本とか抄本そのものではないわけでございます。しかしながら登記簿と同じ内容のものが記録されておるわけでございますから、そこからいわばコンピューターを用いて打ち出されたこの証明書というものは実質的には登記簿の記載と同一であるということが言えるわけでございます。したがって、そのような書面も、これは登記簿の謄本あるいは抄本と同じような法律的な効果を認めてもいいじゃないか、効力を認めてもいいじゃないかということで、四条で規定が設けられておるところでございますが、あくまでもこれは登記簿の謄本または抄本ではないということでございます。
#29
○衛藤委員 第五条第二項の「政令で定める審議会」とは何を指すのか。また、その審議会の意見を聞かなければならない重要な施策とは具体的にどのようなことか。例えば関係法律の改正の要否など重要な施策に含まれるのかどうか、お尋ねいたしたいと思います。
#30
○枇杷田政府委員 この第五条第二項で考えております審議会というのは、私どもといたしますと、現在民事行政審議会というのがございます、それを政令によって指定をしていただこうという考え方を持っております。
 この審議会の意見を聞くというのは重要な事項についてでございますが、コンピューター関係につきましては、重要な事項と申しますと、閲覧制度というものを、現在と同じような形のものはできないことになります、そういう場合にどういうふうに変えていったらいいのだろうかとか、あるいはコンピューターによりましてこの際といいましょうか、今までのブックシステムでの制約を外すような、そういう仕組みのものができる余地はないだろうかとかというような事柄、それからコンピューター化を進めていきます場合の進め方と申しましょうか、そういうような事柄についても審議会の意見を伺いながら決定をしてまいりたいという考え方でございます。
#31
○衛藤委員 これで終わります。
#32
○片岡委員長 天野寺君。
#33
○天野(等)委員 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案、大変長い名前で、どこでどういうふうに切れるのかちょっとわからないような法律の名前なのでございますが、なぜこんなことを申し上げるかといいますと、実はこの法律の提案理由の説明のところに、これは第一条と同じことが書かれてはいるのですが、「この法律案は、最近における登記事務の処理の状況にかんがみ、電子情報処理組織の導入によるその処理の円滑化を図るための措置等につき必要な事項を定めようとするもの」だということです。そこで、つながりの問題としてまずお尋ねしておきたいのですが、この法案というのは、最近における登記事務の処理の状況にかんがみて、これを何とか解決しようとするために、そのために電子情報処理組織を導入しようとする、そういう法案なのかどうかという点です。としますと、言葉としては、電子情報処理組織の導入によりその処理の円滑化を図るための措置ということなのかどうか、そういうふうに考えていいものなのかどうか、最初にちょっとそのことをお尋ねしておきたいのです。
#34
○枇杷田政府委員 実質的にはただいま天野委員が仰せになったとおりでございます。ただ、この法律は電子情報処理組織の導入というのが中心ではございますけれども、ただそれだけではございませんで、その他の施策も講じながらという要素もあるのですから「措置等」とかいうことになっていますけれども、コンピューター導入の関係につきましては今御指摘になったような考え方と変わっておらないと思います。
#35
○天野(等)委員 なぜこんなことをお聞きしたかといいますと、このお出しいただきました関係資料、その資料編のところ、参考資料の中で実は「登記事件数の推移」というのが出てくるわけでございますけれども、要するにここでわかるのは、現在の登記の事務の処理の状況という中の事件数がふえているということだけしかこの資料ではわからないんですよ。事件数がふえているということだけなのか。問題はこのふえた事件数をどう処理しているのかという、そこのところの問題を資料としてはやはりつけていただかなければならないのじゃないか。この点について、この間における登記事務に従事している職員の数がどういう推移をしているのか、これに応じてふえているのか、あるいは減っているのか、ふえないのか、あるいは事件数に応じて手数料収入というような形での収入がどういう推移を示しているのか、これこそ私は事件を処理しているということの推移だと思うのですが、私この点についてこの資料は非常に足りないものだと思うのですよ。その点で、この事件というものについて、単に事件がふえているということだけをお考えになって、それでこの法案をおつくりになっているのかどうか、その点はいかがなんですか。
#36
○枇杷田政府委員 ただいまの御指摘はごもっともでございまして、私どもも資料としてはなお対応する法務局側の資料も提出すべきであったと思います。当委員会におきましてもしばしば登記事件数の伸びとそれからそれに対する法務局側の対応の関係についての御質疑があるわけでございまして、その面について改めて申し上げるまでもございませんけれども、登記従事職員の数というのは事件数の増加に比べまして余り伸びておらない。殊に最近におきましては、定員の抑制というものが政府全体の方針として打ち出されておりますために、余り大きな増員は得られていないという状況であることは改めて申し上げるまでもございませんけれども、そういう資料も全部つけて出すべきだったということは御指摘のとおりでございまして、大変申しわけないことだと思っております。
#37
○天野(等)委員 これはできればこの「登記事件数の推移」に重ねる形で、グラフの指数で見ますと大変よくわかるものですから、ここに、その年度の登記従事の職員の数とか、あるいは特別会計との関係で手数料収入の推移の数とかいうものをひとつおつくりいただいて、簡単だと思いますので、きょうということで申し上げているわけじゃございませんけれども、法案審議の過程の中でちょっと御提出いただけないかというふうに思います。
 私の方では一応調査室等でお聞きをしまして調べてみました。それで見ますと、これは事件数が四十年度を一〇〇としたときに五十八年度四六六、これは乙号事件、甲号事件一七五となっています。私調べた資料が、ちょっと母数を間違えてしまいまして、四十一年度を一〇〇とした数字なんですが、そうしますと、職員数は一二三にしかなっていない。これがいわば現況なのだろうということです。
 それで、これはお尋ねしたいんですけれども、この法律ができることによってまさに最近における不動産登記、商業登記その他の登記事務の処理の状況がどれだけ改善されることになるのか、あるいはそれはさしあたってはこの事件については改善のあれはないけれども、長い見通しとしてそうなんだ、これはわかります。しかし、さしあたって今の状況についてこの法案が何らかの救いになるのかどうか、この点については大臣、いかがでございましょうか。
#38
○嶋崎国務大臣 ただいま御指摘の資料等につきましては、できるだけ準備をしてお話を申し上げたいと思いますが、確かに案件の伸び率というのは非常に高こうございます。特に公共事業等がどんどん施行をされる、あるいは住宅が非常にどんどん建つような状態になってきている。しかも、だんだん、核家族的な背景ということがありますので、しかもそれを借金その他でお買いになる、したがって抵当その他に入るという非常に複雑な様相になってきておるわけでございまして、そういうことを考えてみますと、事件数の伸びに対して人員の伸びが非常に窮屈になっていることは事実だろうと思うのでございます。しかし御承知のように、昭和四十四年からこの人員の増加その他については年々努力を積み重ねて、そういう条件の中では相当御配慮をいただいているというふうには思っておりますけれども、なかなか十分でないというのが私は現実であろうというふうに思うのでございます。
 ところで、今度のこの電子情報処理組織による登記事務に切りかえていくといっても、いろんな意味で基礎は四十七年以来非常に研究され、しかも日本語を何とか消化をできるワードプロセッサーというものもできてきて、それが軌道に乗ってようやく日の目を見まして、それをベースにしてこれから拡充をするという基礎は十分できたというふうに思っておりますけれども、これを全国的に広めていくためのいろんなシステムというものを考えていかなければならぬということになりますと、それにはある程度の時間がかかるというのはやむを得ない点もあると思うのでございます。そういう意味で、ここ一両年はこれはなかなか窮屈な事情が引き続いてあることは否定できない状態であろうというふうに思っておるわけでございまして、まずそれに対応するために、人員の面はもちろんのこと、いろんな意味での能率を上げるための施策というものを講じてまいってはおりますけれども、今後とも、非常に困難な状態になっている現在の登記事務の状態というものを考えますと、そういう点に十二分に配慮した運用をしていかなければならないというふうに思っておる次第でございます。
#39
○天野(等)委員 コンピューター化が完成される時期というのはどのくらいの時期を見込んでおられるのですか。
#40
○枇杷田政府委員 二十一世紀までには全部完了したいということで、一応十五年間ぐらいで全体をやりたいというような考え方をしております。
#41
○天野(等)委員 ということは、ここの法律案の提案理由にある「最近における不動産登記、商業登記その他の登記の事務の処理の状況」は、これはこの法案を出してみても大して変わりようはないんじゃありませんか。この法案を出すことによって最近における登記事務の問題、これは解決しないわけでしょう。これが解決するのはまさに二十一世紀、それに向けての大事業であることはよくわかります。この点についてはまだ後でお尋ねしようと思いますけれども、この法案を出してみても、最近の登記の処理の破局的なといっても過言ではないようなこの状況は恐らく変わらないのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
#42
○枇杷田政府委員 コンピューターを導入するということになりましても、ただいまおっしゃいましたように、長期間の年月を要しますので、一挙に改善されることにならないことは御指摘のとおりだと思います。ただ、その移行の手順といたしますと、繁忙庁の方から移行を進めてまいりまして、なるべく早くその効果があらわれてくるようなやり方で進めてまいりたいということが一つでございます。
 それから、この法律で、先ほどもおっしゃいましたけれども、コンピューター導入ばかりではなくて、その他もろもろの施策も講じなければいけないだろうということでございます。したがって、特別会計の方ではそういう面も配慮をいたしまして、コンピューターの導入のための経費のほかに、窓口のサービスを充実するための窓口整理要員をかなりの人数を入れるようにするとか、あるいは現在の能率器具をさらに拡大をして入れるとか、あるいは施設をよくしていくとかいうような経費も盛り込んで現状を打開して、そして中期的と申しますかそういう面においては、コンピューターの導入によって抜本的なものに改善を図っていく、そういう構想でおるわけでございます。
#43
○天野(等)委員 現状認識の問題についてもう少し触れますけれども、実は、私、ちょっと試算をしてみました。登記事件数の推移の昭和四十五年度で、この時期における登記従事職員の数が八千三百六十三名というふうに、私の方で調査をいたしました。これで割りますと、甲骨乙号足しまして、登記従事職員一人どのくらいの件数を持っていたかというと、二十四件強でございます。これが昭和五十年では三十件強、それから五十五年では四十二件、五十八年度で四十六件、一人当たりの件数がウナギ。登りに上がってきているわけです。それで恐らく昭和四十五年度の時点においても、そんなに登記所の仕事が暇であったという状況ではなかっただろうと思うのですが、その間二倍近い一人当たりの事件、これを処理するために恐らく民事法務協会ですかからの職員の派遣というようなこともなさってこられたのではないかと思うのですが、この民事法務協会からの派遣の現状、どういうふうになっているのか、どのくらいの人数を派遣をしておるのか、これが登記所にどのくらい配置をされておられるのか、その辺の資料はございますでしょうか。
#44
○枇杷田政府委員 民事法務協会によります派遣職員の関係は、現在全国で百十四庁でございます。そして派遣されておる職員は約六百人、六百人をちょっと切る程度でございますが、その程度の者が派遣されております。
#45
○天野(等)委員 そうしますと、登記従事職員が現在、昭和六十年の時点で九千七百二十七人という状況でございますけれども、それに約六百人足しましても全体として一万三百人ぐらいいる。一万三百人くらいという状況だろうと思うのです。この六百人を入れたとしましても、一人当たりの事務処理量というものはもう非常にふえているということが言えると思うのですね。今、この現状がこの法案を出すことによって直ちに解消していくということにはならないだろうと思うわけです。もちろん繁忙庁等から先にコンピューターを導入するということでその方向にいくことは大いに望ましいことですし、そういうふうにやっていただけると思いますけれども、しかし、直ちにこの状況が解消するとは思えない。一方で、私どもも先日渋谷の登記所も視察をいたしましたが、非常な悪環境、悪状況の中にあるということは実感をいたしております。この法案を出すと同時に、やはり現状をどういうふうに改善をしていくのかということでの見通し、その辺はいかがでございますか。
#46
○枇杷田政府委員 御指摘のように、この法律が成立したからといってその日から抜本的に登記所の現状が変わるというものではございません。したがいまして、コンピューター導入を進めながら、一方では現在の簿冊制度を中心にしながら仕事をしている登記所がほとんどでございますので、そういうところにつきましては増員とかあるいは部外委託の拡大であるとかあるいは窓口整理要員の臨時職員をふやすとか、そのほか施設の関係をよくしていくとかいうふうな総合的な施策をこれからも強力に進めていかなければならないであろうと思います。
 したがいまして、先ほど申し上げましたように特別会計の面におきましては、コンピューターだけの経費を据えているわけではございませんで、ただいま申し上げましたようなその他の面についての経費の充実も六十年度においても計上されているところでございますが、その面におきましても六十一年度以降もさらに力を入れていかなければいけないだろうというふうに考えております。
#47
○天野(等)委員 人員の点についてはふえないというのがあるわけですが、もう一方で、今特別会計の話がございましたが、この間における手数料収入の伸びあるいは登録免許税の伸びというのは確かに驚異的なものでございます。昭和四十年度に約二十億の手数料が昭和五十五年度には二百二十億、昭和五十八年度で二百四十億の手数料収入。四十年から五十八年まで、この表でいきますと、指数でいけば大ざっぱに言って一二〇〇でございますか、謄抄本交付の事件が四六六という指数ですけれども、手数料収入の方は一二〇〇まで上がっているわけです。これだけの登記手数料を国はいただいているわけですから、これはまさに受益者からいただいているわけですから、それに見合った返し方をしていかなければいけないだろう、これをしてこなかったところに、これは大臣を前にしてあれかもしれませんが、法務省の怠慢があったと言っても言い過ぎではないのではないか。
 登録免許税でも状況は同じでございまして、昭和四十五年度には四百五十億、これが昭和五十五年度では四千百四十億、昭和五十八年度では四千七百五十億です。これもやはり十倍の伸びを示しているのです。登録免許税は甲号の関係のことであり、また甲号は登記申請というだけではなくて、国全体のいわば権利の安定、国民の財産の安定というようなことからくる重要な施策ですから、もちろんこれを全部登記のものに使えということではありません。しかし、そういう形で登録免許税は国民からいただき、登記の手数料もいただいている。この間に十倍以上にもなる。それでいながら、実際に受けるサービスは年々ますます悪くなってきたというのが現状だと思うのです。どう悪くなってきたかといえば、この推移、事件数と人員の伸び率、この差を見れば、ここにこれを書き込んでいただければ、それだけでもって一目瞭然サービス低下があったということが言えると私は思うのです。それをずっと見過ごしてきたという点については法務省においても責任は免れないのじゃないか、我々政治に携わる者としてもやはりその点については責任を感じなければいけないのじゃないかというふうに私は考えますけれども、先ほどもちょっと受益者負担という問題がございました。
 実は受益者負担という点では、受益者は十分に出すべきものは出している、むしろ受益者が出しているものに政府の方がこたえてこなかったのじゃないかというふうに考えるのです。大臣、いかがでございますか。
#48
○嶋崎国務大臣 ただいまのお話でございますが、御承知のように世の中も随分変わりまして、社会的な事情の面からも住宅その他の充実が相当進んできておるというような現実もあるわけでございます。その間、過去においても努力をしてまいりましたけれども、人員の増加というものはある程度の限界をこうむらざるを得なかったという実情もあるわけでございます。それに対応して、いろいろな意味で高速のいろいろな機械を導入するとかあるいは設備その他の点についても努力をして今日までまいっておるわけでございます。もちろん、我々が予想した以上に事件数の伸びが大幅であったということの関連の中で十二分であったというふうには決して思っておらぬわけでございます。
 そういうことに対応しまして、実は何とかそういう工夫がないだろうか。今のブックシステムで事柄を処理をしている、しかも先ほど話がありましたように、日本語で書かれているこういうものをどうしてうまく消化をしていくのだろうか、実は非常な苦心を積み重ねてまいりまして、ようやくその結論が最近出て、今度お願いをするような特別会計を設けるというような段取りまで進んできたわけでございます。しかし、御承知のように、一挙にそういう状態にいくわけにはいきませんので、過去の事跡も十分踏まえながらもできるだけ努力をいたしまして、当面のいろいろな問題についても何とかこれをしのぐための努力を積み重ねていきますとともに、やはり早急にこのシステムを動かすような努力をしていなければいかぬと思います。もちろん、過去の高度成長時代におきましては、手数料その他の問題を考えてみましても、実際はサービスのために使っておる費用、それを手数料その他のことではね返りをいただくというような考え方が乏しかった時代が実はあるわけでございまして、ベース自体にも相当の問題点があったのだろうと思うのでございます。
 そういうことでございますので、私は現状から考えまして、待ち時間とサービスというようなことも考えると、やはり今後もよほど工夫、努力をしてやらなければいけないという切実感を深くしている人間の一人でございます。過去の経緯はともかくとしまして、今後、やはり現状の把握とその改善、さらにこういうコンピューターシステムによる能率化、合理化を真剣にやっていかなければならぬというふうに思っておるのが現在の心境でございます。
#49
○天野(等)委員 私は、こういう登記事件数の非常な増大あるいは関係する登録免許税や登記手数料の圧倒的な増大というようなことの裏に、法務省の仕事の全体の中でこういう法務局関係の仕事の量が大きくなってきている、あるいはまたそれに対する国民の要求が大きくなってきているということがあるのじゃないか。従来、法務省というと、とかく検察行政、国内治安というような形での行政官庁、いわば権力行政的な感じを持っておったのでありますが、しかし、国民の要求という点ではむしろサービス行政として非常にその要求が強くなってきている。そういう面があり、それに対する法務省としての対応がおくれてきたのじゃないか。事件数の増大の推移にしても、恐らく区分所有法というようなものの成立の時点から考えて当然予想される事柄であったと私は思うわけです。それに対する対処をしてこなかったというところに急角度の事件数の増大の原因があるのじゃないかというふうにも私は思うわけです。これがもし法務省が国民のサービス行政という点にもっと重点を置いていたならば、この点での対処の仕方もまた違うものが出てきたのではなかろうかというふうな気がするわけです。今後こういうサービス業務に対する国民の要求というものはふえこそすれ減ることはないわけでございますから、それに応じた法務省内の行政組織といいますか、そういうものについても考え直してみるというようなところまでのお考えはございませんでしょうか。
    〔委員長退席、太田委員長代理着席〕
例えば法務局関係の仕事について独立した法務庁をつくってみるとか、そういう形でサービス行政について、これは登記所だけじゃありません、人権擁護というような面も含めてそういう組織がえまでも考えた法務省の仕事について抜本的に見直してみるというようなお考えはございませんでしょうか、大臣。
#50
○嶋崎国務大臣 確かに法務省というのはやはり司法関係の役所であるというような一般的な認識があるものですから、とかく敬して遠ざけられるというような感じのところがあるような気持ちがするわけでございます。
 そういう意味で、これは少し脱線ぎみな話になるかもしれませんけれども、今度の登記の特別会計ができた、これが本当に円滑に動くようになるならば、一般の人、民間に対するサービスの相当向上になることは事実であろうと思います。しかし、これができたから、大変おめでとうございました、大変努力をしていただきましたというあいさつを外部から受けたことは一件もないというのがざっくばらんに言って実情でございます。こういう状態というのは余り適当ではないのじゃないか。やはり気持ちはみんな持っておられて、実は私、個人的に会う人でも、あれはいいことができた、ぜひ早くやれるように、少々の手数料なんというのは、君、問題じゃないよ、待ち時間を考えたら、早く抜本的に進めるような方法を考えてもらいたいというようなことをどんどん個人的には言っていただける人が何人かありましたけれども、しかし先ほど申しましたような実情にあるわけですね。そういうことというのはなかなか一挙に改まるわけではないと思うのです。しかし、少なくとも登記のような仕事あるいはそのほかのいろいろな仕事でももう少しPRに努めまして一般的な認識を高めるような努力をしなければならぬと思うのでございます。
 保護その他、人権等の問題につきましては、広報週間をつくったりなんかして相当の宣伝をする工夫をしておるわけでございますが、この問題についてもある程度の負担増をお願いしなければならぬという時期も迎えておるわけでございますから、本当に積極的にこの問題についての御理解を一般に求めていき、またそういうことの中から御意見をくみ上げて、それを施策の中に反映していくというような苦労もしていかなければならないのじゃないかと思っておるわけでございます。いずれにいたしましても、この法案につきましてはひとつぜひとも御協力いただきまして、また今後の推進方について応援をしていただくことをお願い申し上げて、答弁といたしたいと思う次第でございます。
#51
○天野(等)委員 私は、これは法務省のある点では範囲外のことかもしれませんけれども、現在の不動産登記法に基づく登記事項をコンピューター化するというだけでは正直もったいないのじゃないかという気がするわけです。土地に関する、あるいは建物に関する不動産登記ということを考えますと、不動産に関する情報というのは必ずしも不動産登記法に基づく情報だけではなくて、例えば都市計画法に基づくこれがどういう地域に指定されているのかとか、その他消防法の関係だとかさまざまな不動産情報というものがあるわけですね。それで、これは現実にはそれぞれの所轄の役所に行かなければわからないという形でばらばらに管理をされておるという状況だと思うのですが、その中心になる不動産登記がコンピューター化されたことによってそういう行政情報というようなものも思い切ってこの中に含み込んでいくような構想、これは今の法務省という枠の中だけではなかなか難しいことかもしれませんが、他の行政官庁との連絡をとりながら、そういう形で不動産情報というようなものをファイルできるような、二十一世紀というならそのぐらい思い切った構想というようなものも考えられないものでございましょうか。この点は民事局長、いかがでございますか。
#52
○枇杷田政府委員 今御指摘になりました点は、そのような意見もかねがね私ども聞いております。なるほどそうだというふうに思う面もあるわけでございますけれども、現在のところ先ほどお話ございましたように法務省だけの問題でないという点もございますので、現在の計画といたしますと登記法固有の情報だけを入れるということで考えておりますけれども、一たんコンピューター化できますと、物によっては、必ずというわけにはまいらないかもしれませんが、ただいま御指摘になった点についてはそれにプラスして入れるということは可能になってこようかと思います。
 ちょっと話はずれますけれども、現在の登記の関係だけで申しますと、住居表示というものは登記法と関係ないわけでございます。しかしながら一般の国民の方は住居表示によって不動産を認識するということが一般になっております。そのつながりをつけなければいけないという意味では、住居表示に関する情報も入れるということは踏み切っておる。これはいわば不動産を引き出すための一つのものだということでございますので、先ほどの都市計画その他のものとはちょっと性質が違いますけれども、単に不動産の不動産登記法あるいは商業登記法固有の情報だけでないものも取り入れるという用意は全くないわけでないわけでございますが、ただいま御指摘になったような点は、今後の研究課題にしたいと思いますし、またコンピューターを導入する際に必ずしも決定しなければいけない問題でもないだろうというふうに考えております。
#53
○天野(等)委員 私も、いわゆる行政地番ですか、それが今度不動産の地番との関連を持つようになってきたという点では大変な進歩だと思うわけです。窓口でもって、しょっちゅうその問題で窓口の人と謄抄本をとりに来た人とがやりとりをしているというところに私自身もぶつかっておりますし、なぜこれがばらばらになっているんだろうかというのは、行政内部ではなるほどそうかもしれないけれども一般国民には非常にわかりにくいことなんですね。何でそんなのがばらばらになっているのか、登記所でなぜそれがわからないのか、この点についてもコンピューター化される以前に各登記所でその点についての配慮をしておいていただきたい、これは切なる希望でございます。各登記所によってはその点の配慮をしているところもあるようでございますが、まだ全体としてそうなっているというふうにはいかないように思うわけで、この点についても私、いわゆる行政地番というのですか、それを登記所でもわかるように、何丁目何番何号から地番がわかるような、そういうシステムを早急にしていただきたいと思うわけです。
 それから、コンピューター化ということに関連してですけれども、さしあたり法務省としてはこの不動産登記あるいは商業登記だけを考えていらっしゃるのでしょうか。それとも、登記所に登記されているもの、あれだけを考えていらっしゃるのか。もっと広く法務省としてコンピューター化できる分野があるんじゃないか。例えば供託というような問題、こういう点についてはいかがなものでしょうか。
#54
○枇杷田政府委員 法務局の関係の事務につきましてもコンピューター化していく余地のあるものはかなりあると思いますが、ただいま御指摘の供託関係につきましては、現に全部の事務ではございませんけれどもある一部につきましてコンピューター化を始めております。現に二十数庁においてはコンピューターを据えつけて、そこで供託金の管理並びに利息の計算、そういうようなものをコンピューターで処理をするということを既に実行を始めておるところでございます。
#55
○天野(等)委員 先ほども申しましたように、供託事務というようなものも国民に対するサービス業務の大きな分野だと思うのです。恐らく紛争についての弁済供託というようなものもかなりふえてきているんじゃないかと思うのですが、この辺の資料はございますでしょうか。ちょっと関係がないのであれですけれども……。
#56
○枇杷田政府委員 ただいま資料の手持ちがございませんけれども、供託関係につきましては、大体横ばいでございますけれども若干微増と申しましょうか、ごく最近は払い渡しの事件数が少し伸びておる、受け入れよりは少し伸びておるというふうな感触でございます。ともかく全体としてはかなりの事件数になっておるわけでございまして、事務量は相当膨大でございます。
#57
○天野(等)委員 法務省のそういうサービス関係の業務の量が非常に大きくなってきているという中で、やはり問題になってくるのは法務省の職員の方の労働条件とかあるいは雇用関係とかいうようなものだと思うわけです。その点で少しお尋ねをしておきたいと思います。
 まず第一に、このコンピューター化というのが人減らしのためのものなのではないか、そういうおそれを法務局に勤めていらっしゃる職員の皆さんが不安として感じているのではないかと思うわけです。そこで、前々実は民事局長からはそういうことではないんだという御答弁はいただいておるわけですけれども、今回この法案が正式に審議されているという中で、このコンピューター化によって法務省の人員を削減することはないんだということをひとつ御田言いただきたいと思うのですが、いかがでございますか。
#58
○枇杷田政府委員 このコンピューター導入は、人減らしのためにと申しますか人減らしを目的としてするものではございません。あくまでも登記制度全体を合理化をして、そして利用される方々に御不便をかけない、御満足のいくようなサービスを提供することを第一義的にねらっておるわけでございます。
 ただ、コンピューターを導入いたしますとかなり省力化という結果が出てくることは否定できないと思います。しかしながら、先ほど来申し上げておりますように、法務局の現状は非常な事件数の増加にむしろあえいでおる状況でございますので、その省力化によって職員の現在の労働条件が緩和をされて負担過重が緩和をされるという効果にはなると思いますけれども、直ちに削減ということになるわけのものではございません。これは将来の事件数がどういうふうになるか、あるいはコンピューターの導入によってどれほどの省力化が図られるか。そして本当に適正な労働条件のもとで職員が働くということを総合して、もしそれでも過剰な人員になるという状況になればこれまた話は別だろうと思いますけれども、現在ではそのような見通しが立っているわけではもちろんございませんし、先ほど申し上げましたように、私ども人員削減のためにコンピューターを導入するものではないわけでございますので、何と申しましょうか、現在の状況の中で削減が行われていくのではないかというふうなことは、これはあり得ないことだと思っております。
#59
○天野(等)委員 この場合、登記事務だけで人員の過剰あるいは寡少といいましょうかというような問題を考えていくのか、あるいは法務省、法務局全体の仕事の中でこの辺を考えていかれるのか、その点についてお答えいただきたいと思います。
#60
○嶋崎国務大臣 ただいまのコンピューター導入によって、これから相当長期にかかっての努力でございますけれども、能率化し合理化してやっていくということ、私はそのこと自体がある意味でサービスの向上にもつながるわけでございますし、またそこで余裕ができるほどの奉仕ができれば非常に結構だと思っております。
 今御指摘のように法務省の仕事をやっている場合に、例えば刑事関係だけとってみましても、検事さんの数あるいは副検事さんの数あるいはそれに関連の人を入れても一万人をちょっと超えたぐらいの人で処理をしている。あるいは保護関係の仕事をやってみましても、本当に職員は二百二十名ぐらいでございまして、御承知のように保護司その他の人のボランティア活動によって相当支えられている面があるわけでございます。同じことは人権擁護関係のところを考えてみましても、職員の数はごくわずかでございまして、人権擁護委員の皆さん方に大変応援をしていただくというような、そういう形で運用されている面も非常に多いわけでございます。
 事柄を考えます場合に、どうしても役所と役所との間のバランスという問題もありましょうけれども、まず第一次的に、法務省の中で、いろいろな苦心惨たんの中で整理をしていかなければならぬというような面も多いように私は思うのでございます。今後どれくらい能率が上がるか、またどういう結果が具体的に出ていくかということは、これはよくわかりませんけれども、十二分にそういう点については配慮して運営する余地があるのではないかというような感じを持っておるわけでございます。もちろん、そうはいっても、行政全般を考える場合にいろいろな評釈、考え方というものはあると思いますけれども、我々はやはり法務省の仕事の重要性というものを考え、そのことが本当に国民の生活の安定、繁栄のために非常に大事な基礎的な要件を提供する仕事であるという気持ちでもって対処をしてまいりたいというふうに思っておる次第でございます。
#61
○天野(等)委員 このコンピューター化というのは順次行われていくわけだと思うのですけれども、先ほども、繁忙庁の方から優先してということですが、法案が通った場合に、どういうところからコンピューター化に手がけていくのか、あるいはいつごろから具体的にこれを始めていくのかという見通しをちょっとお聞かせいただきたいと思いますが。
#62
○枇杷田政府委員 これは先ほどもちょっと申し上げましたけれども、審議会の御意見も伺いながら決めていきたいと思いますけれども、まず、現在板橋の出張所がパイロットシステムで一部やっておりますので、これをできるだけ早く全庁にやりまして、そしてそこでいろいろな改善点なども見つけていくようにしたいと思います。
 それと同時に、これから新しくやっていく登記所を逐次拡大をしていくということになるわけでございますけれども、その間に実は、全国的な規模でやるとシステム開発あるいはプログラミングの作成というものを必要といたしますので、今の段階からすぐにいろいろな登記所に移行作業を進めていくということはできないだろうと思います。したがって、ある程度の基本設計その他ができた後の二年後くらいから移行庁を指定をしていくということにできればいいなというような考え方でおります。
#63
○天野(等)委員 年間幾つぐらいの移行庁をつくっていくかというような青写真はあるのでございますか。
#64
○枇杷田政府委員 現在全国の登記所が千二百カ庁ございます。それを、先ほど十五年と申しましたけれども、二年間はそういうシステム開発の方にとられますので、十三年ぐらいでやるということになりますと、単純に平均いたしますと百片足らずということになるわけでございます。大体それが一応のめどにはなろうかと思いますが、そのときの特別会計での予算規模の問題などもありますので、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、大体単純に申しますと七十庁ないし百庁の間で、序数と申しますよりも筆数、そういうものを中心に考えながら計画を達していくということになろうと思います。現在のところでは、大体、大ざっぱですけれども、七、八十から百ぐらいのところが単年度に行われるということになるのではないかという考え方でおります。
#65
○天野(等)委員 繁忙庁としてどことどこを抽出してというようなところまでは、まだやっておられないのでしょうか。
#66
○枇杷田政府委員 そのような具体的な構想はまだ持っておりません。
#67
○天野(等)委員 順次の移行によってコンピューター化された登記所については、比較的、特に乙号関係の人員というものが少なくて済むということはできてくると思うのですけれども、そういう場合に、やはり職員の異動というようなことも考えられるかと思うのですが、年々移行が進むことによってどういうふうに職員を配置していくかというようなことについても、現在はお考えになっておられませんか。また、それについては、もし今お考えになっておられなければ、いつごろにどういう形でおつくりになられるか。
#68
○枇杷田政府委員 現在、そのような職員の配置をどうするかという問題については考えておりませんが、先ほども話に出ましたけれども、繁忙庁におきましては民事法務協会の派遣職員が謄本作成業務に当たっておるわけでございます。したがいまして、省力化が進みましても、主に人が要らなくなるというのは謄本焼きの関係でございます。したがいまして、そういう庁におきましては派遣職員が要らなくなるということで顕著にあらわれてくるわけであります。
 もちろん、派遣職員だけで乙号事件を処理しているわけではございませんが、それらの職員は、甲号事件の方もかなり負担過重になっておる庁でございますので、そちらの方に吸収するということが主たることになるだろうと思うので、各登記所ごとに申しまして、殊に繁忙庁につきましては、そこから他の庁の方に配置がえをするような余裕がそれほど多くは出てこない。何がしかのものは出てくるかもしれませんけれども。そういうことでございまして、今のところ、そういう構想は持っておりませんし、実際にやってみてどの程度登記所の負担が変わっていくかということを見定めませんと、現在のところは、机上での計算でやるということには適しない問題だというふうに思っております。
#69
○天野(等)委員 配置がえというようなこともあるのじゃないかということで不安を持っている職員の方もいらっしゃるわけで、その点では、職員団体ともひとつ十分協議をしていただきながら、この問題をスムーズに移行を進めていっていただきたいと思うわけですが、この点、そういう人員の配置等も含めて、今後とも職員団体との話し合いを進めていかれるというようなおつもりがあるかどうか。
#70
○枇杷田政府委員 このコンピューター導入の問題は、職場にかなりの影響のある、職場生活に変革をもたらすものでございます。したがいまして、職員にもよく理解をしていただかなければなりませんし、そういう意味で、労働組合の方とも十分に協議をし、その意見、問題点の指摘を受けながら、そこで円滑に処理をしていきたい。このコンピューター化の仕事は、組合とか当局とかということを除きまして、法務局職員全員がまさに納得をして、そしていわば登記制度を改善していくという熱意に燃えてやらなければならない仕事でございますので、そういう面からも、労働組合との協議は十分にしてまいりたいと思います。
#71
○天野(等)委員 その点にも関係をしてくるのですが、従来、コンピューターを扱っている職場での職業病といいますか、そういう問題が少しずつ問題にされつつあるというところだと思います。先日も板橋の登記所を見せていただきましたときにも、やはり、長時間続けての作業というのは非常に疲れるのだ、目が疲れるというようなお話も、作業をしていらっしゃる方からございました。そういう点で、そういう一種労働災害といいますか、そういう点についての事前の調査、そういうものをなさっておられますでしょうか。
#72
○枇杷田政府委員 コンピューターの操作によります職業病的な問題につきましては、私ども深い関心を持っておりまして、パイロットシステムの評価委員の中にもそういう面での専門家にも加わっていただきまして、そして板橋での現状などもよく見ていただいて評価をしていただいているところでございます。ただ、現在の板橋の出張所では、全登記所がコンピューター化されているわけではございませんので、ちょっと登記事務における職業病的なものをつかまえるというデータとしては不足しておりますので、そういう面からも早く全庁をやってみる必要があるのではないかと思っておるわけでございますが、現在までのところ、担当職員も目の関係とかあるいは機械の音とかそういうものについてそう問題にするというふうな声は聞いておりません。なお、これはずっとこれから続けてまいりたいと思います。なお、板橋では機械に当たっている職員については、三カ月に一遍でしたか、検査をするというふうなこともしてもらっておりまして、異常がないかどうかは見ておるわけでございます。現在のところ何もございません。
 先ほどちょっと申し上げました評価委員会における専門家の御意見では、普適職業病的なものが起こるのは朝から晩までコンピューターと向かい合ってディスプレーするものを見たりあるいはキーをたたいたりするという場合に起こりやすいのだけれども、登記所の場合には仕事の一部としてコンピューターに接触するけれども、あとは書類を見たりいろいろなことをする、あるいは六法全書を見たりというようなこととか、あるいは外来者と応接をするとかいうふうなことで、全事務量の中でコンピューターと接触するというのがそう連続的に長時間ということではない、そういう面では比較的いい条件にあるのではないかというふうなお話も聞いております。
 何にいたしましても、コンピューター導入によって職員の健康に悪い影響を及ぼすようなことがあってはなりませんので、そういう面についてはこれからも十分気をつけてまいりたいと思っております。
#73
○天野(等)委員 今のお話にもありましたように、一日の中でコンピューターに接している時間をどのくらいとるか、また、ほかの全体の事務量の中の一部分にしていかないと影響が大きいというようないろいろなことが今までも言われておりますし、既にコンピューターを導入している職場等ではそういう問題についての調査がかなり行われていると思うのです。まあ電機労連の組合なんかでもかなり細かなそういう点についての調査結果の報告を出しておりますが、ひとつそういう点も参考にしていただきながら、やってみなければわからないということではなく、やってみなければわからないというのではやはりやられた職員は一種生体実験になってしまいますから、そういうことではなく、もう既にコンピューター化されている職場、そこでの人体への影響というようなものについてはかなり調査研究もされているわけですから、その辺についてやはり慎重に検討していただいて、特にコンピューターに触れている時間について厳重な管理をひとつお願いしたいというふうに考えるわけです。とかく今度はコンピューターを扱うことが忙しくなるということで限度時間を超してしまうということもあり得るわけでして、これはまた取り返しのつかない身体的な影響になってしまうということがあるかと思いますので、私は、そういう点でも今までとはまた違った職場の管理体制といいますか、そういうものが必要じゃないかと思うわけで、その点での御配慮をぜひともお願いをしておきたいと思います。
 それからもう一つ、これはコンピューター化する前の、現在の謄抄本業務の中でもアンモニア系の全自動謄抄本作成機ですか、それについての現場からの意見、特にあれから来る騒音と、悪臭と言えるのでしょうか、そういうものについての現場の意見というものについて聞いておられますか。
#74
○枇杷田政府委員 謄抄本の作成につきまして複写機を利用するわけでありますが、湿式の複写機によりますとアンモニアが出てまいります。その関係で職員から苦痛を訴えるというふうなことが過去がなりありました。それにつきまして、そういうアンモニアが出てこないようにということで機械の改良をしたりあるいは空気抜きの装置をつくるとかいうふうなことをやってまいりまして、湿式の複写機それ自体についても最近ではアンモニア臭の苦痛を訴えるというケースは余り聞かなくなりましたけれども、一方、湿式のものを皆乾式のものにかえていくということを基本的には考えなければいけないということで、目下それを切りかえ中でございます。昭和六十年度におきまして特別会計が実現いたしますと、そういう面での切りかえもかなり大幅にスピードアップできるのじゃないかというふうに考えておりますので、従来の職場でのそういう問題点というものは間もなく解消するというふうに考えております。
#75
○天野(等)委員 大体いつごろまでに乾式のものにかえられるのでしょうか。
#76
○枇杷田政府委員 ちょっと今手元に資料がございませんけれども、謄抄本の発行の件数の多いところは少なくとも五年以内ぐらいには解決する、そういう計画だったというふうに記憶しております。
#77
○天野(等)委員 それから、冒頭にも申し上げたのですけれども、現在謄抄本の作成事務ということで民事法務協会の派遣職員の方がやっておられる。これについてはさしあたりそういう方式はこのまま続けていかれるおつもりなのか、また、それをふやしたり減らしたりという全体の見通しですね、そういうものについてちょっとお聞きをしたいと思うのです。
#78
○枇杷田政府委員 コンピューターが導入されますと派遣職員は要らなくなるわけでございますが、その時期はかなり先のことになります。その間毎日謄抄本の交付請求のお客さんがおいでになるわけでございますので、派遣職員をやめるということはできないわけで、むしろ拡大をしていかなければいけないだろう、そしてコンピューターの導入によって派遣職員の不要となる庁がふえるに従ってその他の庁の方に回していかなければならぬというふうなことだろうと思います。また、全体計画としてどういうふうにやるかというのは、先ほど申し上げましたように、コンピューター導入の大きな計画というものがまだできておりませんので何とも申し上げられませんけれども、そういう形でございますので、当面部外委託を減らすということはできないし、むしろ拡大をしていきたいということで、昭和六十年度におきましてもさらに拡大をするという予算を計上しているわけでございます。
#79
○天野(等)委員 この関係はどういう関係になっているのですか。法務省の方が民事法務協会の方と一人幾らということでの契約でやっておられるのか。どんなふうな契約関係で法務省と民事法務協会の間はできておるわけですか。
#80
○枇杷田政府委員 これは一人幾らということではございませんで、いわば出来高払いでございます。したがいまして、謄本を枚数で約何枚処理したかということで月々締めまして、そしてあらかじめ決めました一枚当たりの単価に従って払っていくという形でございます。
#81
○天野(等)委員 そうすると、一人一人の派遣職員の労働条件というようなものについては、法務省は全く関係をしておらないのか、あるいはそれについてもそれなりの配慮をされておられるのか、この点はいかがでございますか。
#82
○枇杷田政府委員 派遣職員と協会との関係はまさに雇用関係にあるわけでございまして、それにつきましては法務省は関与しないということでございます。ただ、実際問題といたしますと、余り雇用条件が悪いということになりますと法務局での事務にも影響してまいるわけでございますので、一般的な意味では私どもも関心は持っております。しかし、ベースアップを幾らするとか基本給を幾らにするとかというふうな面については私どもの方は関与はいたしておりません。
#83
○天野(等)委員 といいますのは、結局は一枚幾らという単価になるわけですから、それが働いている人の雇用条件を決定してくるわけでしょう。その点で、一枚幾らの単価というのを決める際に、単位当たりでどのくらいの労働時間でそれがやれるのかということを考えて、それで一枚幾らの単価決定をなさるのか、それとも、単なる需要供給の関係、といいましても相手方が複数あるわけではないと思いますから、どういうふうな基準でこういう契約をなさっておられるのかということなんです。それによって結局は派遣職員の労働条件というのが決まっていくのじゃないかと思うのですが、その点で考慮をされておるかどうかということなんです。
#84
○枇杷田政府委員 結論的に申しますと、そのような面では考慮をいたしております。単価を決める際にその単価の内容になるコストの中心になるものは派遣職員の人件費でございますので、したがいまして、協会における人件費がどうなっておるのかというふうなことが単価を決める際の基礎データになるわけでございまして、その人件費の単価を決める、決めると申しますか単価を考える際に、こちらがいわば値下げといいますか値段をたたきますと、それが派遣職員の人件費に影響してくることは当然でございます。したがいまして、どういうような給与体系でやっておるかというふうなことは、基礎的なデータとしては私どもの方も見せていただきまして、そして大体公務員に準ずるような形での給与、公務員と全く同じではないと思いますけれども、その程度の給与水準は維持できておる、また、それは維持するという前提で単価決定をいたしております。
#85
○天野(等)委員 その点でもう一つ。これは労働基準法の関係では問題になりませんでしょうか。
#86
○枇杷田政府委員 かつてそのことが問題になったことはございます。今でもその問題が完全に解消したかどうか、私どもとすれば、まあまあその問題は解消しているのではないかというふうに思っております。一つの仕事の請負でやってもらっておるということでございまして、その派遣職員を別に登記所側の方で事実上使ってどうこうするという関係ではございませんし、そういう面から問題はないというふうに私どもは考えております。
#87
○天野(等)委員 私は、この問題は実はかなり問題があるのじゃないかというふうに考えます。ただ、きょうこの場でどうかということで詰めるのが適当でもないと思いますが、私は、やむを得ないといいながら、やはり各登記所で一応派遣職員に対する監督権というものは持っているのじゃないかというふうに考えるわけです。そうなってきますと基準法上の関係で単に請負と言えるのかどうかという問題も生じてきやしないか。これはさらに、移行期のコンピューターの入力の場合の人員の問題、委託の問題というようなときに、また問題が生じてきやしないかというふうに考えるのですが、いかがですか。
#88
○枇杷田政府委員 まあ移行時の場合にどういうふうな形で登記簿からコンピューターの方に記録がえしていくか、その作業についてのお尋ねかと思いますが、それはどういうふうな形でやるかというのは実はまだ決定をいたしておりません。現在の板橋では、法務局の方で直接の職員として採用した者に移行作業をやらしているわけです。しかしながらこれから大量のものをやっていくということになりますと、そういう臨時職員を法務局で雇用してやるということでうまくいくかどうかという問題もあります。それはどこかへ委託するということも考えなければなりませんけれども、現在のところ別にその方向を決めているというわけではございません。しかしながら、いずれにいたしましても単なる人を派遣するというだけの形のものにはならないのではないかと思います。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕
恐らく外部の人にやってもらうという場合には、そっくりその仕事を請け負ってやってもらうという形で、作業する場所も法務局の場所でないところでやるということも多分にあるだろうと思いますし、全く監督とかそういうようなことがないわけではなく、仕事の中身についての指示とか注文とかいう面ではあると思いますけれども、雇用関係的な意味での監督というようなことはないということになる、そういう形でしかできないのじゃないかというふうに思っております。
#89
○天野(等)委員 外部委託の問題について、やはり基準法との関係の問題がありますので、また具体的な施策がなされるという段階ではひとつ十分御検討をいただきたいと思うのです。
 先ほど登記特別会計で、現状についても派遣職員の増員というような方向で何とか解決していきたいのだというお話でございましたけれども、職員の増員ということも今後期待できるというふうに考えてよろしゅうございますか。
#90
○枇杷田政府委員 法務局の職員の増員につきましては、六十一年度以降も私どもの重点事項として要求は続けてまいりたいと思います。
#91
○天野(等)委員 少し時間が余りましたけれども、私の方でお尋ねしたい基本的な点については大体お尋ねいたしましたので、また同僚の議員に質問を譲りまして、私の方はこれで終わらせていただきたいと思います。
#92
○片岡委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十分開議
#93
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。横山利秋君。
#94
○横山委員 先般、同僚諸君と一緒に渋谷と板橋の登記所に行きましたが、大臣は両方ともごらんになったのですか。
#95
○嶋崎国務大臣 二つとも見せてもらっております。
#96
○横山委員 板橋は新進気鋭でございまして、ほうほうと言って説明を受けたのですが、渋谷へ行きまして、登記所のサービスが一番悪いという毎年の世論調査は決していいかげんな世論調査ではないということが私どもよくわかりました。待っている人が五十人ぐらいおったでしょうかな。腰かけがないので立っている。一番隅っこに立っている人に、あなたはどのくらい待っているのですかと言ったら、あきらめ切って吐き出すように、一時間半待っておりますわ、こう言うわけです。呼び出しも一生懸命職員がやっておるのですけれども、呼び出しが本当にうまく通るのだろうか。こちらから見ますと書類をうずたかく積んであるわけですね。あれでは本当に怒るのも無理はない。登記所は何やっておるんだと怒るのも無理はないと思うのです。あれは全国一でしょうか。ほかにもああいうところはたくさんあるのでしょうか。
#97
○枇杷田政府委員 全国の登記所はそれぞれ繁忙の度合いが違いますけれども、繁忙庁と言われている登記所においては、おおむね渋谷あるいはそれに準ずるような状況であろうと思います。
#98
○横山委員 私は地元の名古屋の登記所によく行くのですが、渋谷ほどではないにしても、しかし行ってみまして思うことには、税務署だって植木があったり自分でお茶が飲めるところがありますよ。戦後、税務署の評判が非常に悪かったが、居は気を移すといいますか、税務署の建物が全部近代化されて、応接もいんぎんになり、もちろん服装もよくなった。ある意味ではいんぎん無礼なところはあるけれども、人権をじゅうりんするような発言はほとんど影を潜めてきて、コンピューターによる反面調査資料せん、そういうものが驚くべき発達をして、北海道で何かごまかしがあってもすぐに資料せんが名古屋に回ってきて担当の課がそれを案分して処理をする。税務署はなかなか近代化された。それにもかかわらず登記所は一体どうしてこんな日本一サービスが悪いと言われなければならぬのでしょうか。今ここにコンピューターの導入による出発点に立って、登記所の改善、近代化がおくれた理由は何ですか。
#99
○枇杷田政府委員 私どもも登記所側の整備には十分努力してきたつもりでございますけれども、その努力をするよりも先に受件数が爆発的に伸びておったということが主な理由であろうと思います。
 現在、不動産の所有形態が大分変わってまいりまして、大げさに言えば国民が全部所有者だというような状況になってまいりまして、それからまた情報化社会といいましょうか、いろいろな行政の関係につきましても登記簿謄本などが一般に使われるというふうなことから、私どもが予想しなかった受件の伸びがあったということでございます。それに対しまして、私ども十分な対応策に努力してきたつもりでございますけれども、なお十分でなかった点もあろうかと思います。そういうようなことで、残念ながら現在のような状況が現出してしまったというふうに考えております。
#100
○横山委員 要するに予測ができなかった、洞察力がなかった。洞察力のないところには準備がなかったということもあるでしょうけれども、それが本当に洞察できないことであったのか。洞察しても大蔵省、国家財政、どうしてもそこへ行くのですけれども、そういう点について歴代の法務大臣、民事局長は、努力はしながらも十二分に大蔵省なり閣議に対して説得ができなかったという責任を免れるわけにはいかぬと思うのです。
 今度嶋崎法務大臣が、最初の仕事としてこの特別会計の設置並びに法務局へのコンピューターの導入ということをなさったのは法務行政の中で特筆すべき、歴史に残るあなたの功績だと私は思いますよ。民事局も努力をしたかもしれぬけれども、本当に功績だと思います。しかし、この出発点に当たって一体何を考えるべきであろうか。板橋だけやってみて、それに伴う法律をちょっと手直しするということだけで、あとはちょこちょこ予算の許す範囲でやれるだけやっていけばそのうちにはいつか一さっきの話ではないけれども、二十一世紀になったら何とかなるだろうというようなことをお考えだとしたら、せっかく峠に立ったことが余り意味がなくなると思うのですよ。私は、せっかく峠に立ったものであるから、これから完成までの展望とか、それに至る道筋、それに必要な予算、人員、そういうものの長期計画を立てて、その長期計画を閣議で確認してもらうという必要があると思うのです。それは単に登記所ばかりでなくて、後から申し上げようと思うのですけれども、政府部内におけるコンピューターの導入の状況など、ちょっと古い資料ですが、私もいろいろ見てみました。コンピューターの導入による行政機能の変化、法律的な地位というものについでは法律改正によって政府の基本的な対処をなさるべきである。その意味ではまさに今度、登記ファイルから出てきたものは謄本及び抄本とみなすというみなす規定、これは今日まで法律的には余りなかった言葉でありますけれども、法務省がここで先鞭をつけたとすれば、これはもう各省ともに共通する問題であるからお骨折りを願わなければならぬことだと思いますが、そういうことについて法務大臣はどうお考えでしょうか。
#101
○嶋崎国務大臣 今回のコンピューターの導入の問題につきましては、実は法務局の中でも昭和四十七年あたりから、非常に問題を抱えている登記事務の現状を踏まえて研究をやってきたわけでございますが、ようやくその成果を見られるような段階に現在差しかかっておるわけでございます。そういう中でこういう操作というものは一挙になし遂げられるかというと、そういう仕事自身も日進月歩で、新しい技術が出てきているというような段階にもあるわけでございます。そういうことを十分に踏まえて長期の計画を立てていかなければならぬというふうに思っております。
 御承知のように、十五年のうちには必ず実現をしたいということでございますが、できるのならそれをもう少し早めるような工夫はないものかというようなことを私自身が言っておるわけでございますが、全体的な計画というようなことになりますと、そう一挙にもならないというようにも思うのでございます。しかし、大切なことは、今御指摘になりましたように、そういう行く末について十二分の検討を加えて、そしてその実現のために間違いのない政策を展開していくことが必要であろうというふうに思っておるわけでございます。
 今日までもいろいろ努力をされてきたのだろうと思うのです。ちょうど今から二十年前に高速道路ができたわけでございますが、あの時分、東京の町並みというのは本当に二階建てが精いっぱいというような状況でありましたが、今日のような状況になってきておるわけです。昔と比べて時代の移り変わりというのはより一層早くなっているということを痛切に我々自身も感じておるわけでございまして、そういう意味で、今度のコンピューターシステムの導入につきましてはそういう時代の変化というものを踏まえた対策を考えていかなければいけないというふうに思っておるわけでございます。
 それから第二点目の問題につきまして、非常にいろいろな施策の中にコンピューターを導入するというような形において合理化が進んでおるという実態を我々自身も承知しておるわけでございます。一般的な官庁事務の処理自体はだんだんそういう形になっておりますけれども、法務省の中でも、例えば出入国の管理あるいは登録等の仕事であるとか、いろいろな犯罪歴の整理であるとか、いろいろな意味での判例の検索、その他の問題、そういうような問題も十分研究しなければならぬ面があるのじゃないかというふうに私は思っておるわけです。もちろん、今度の組織にフィットするものであるかどうかということになりますと相当問題はありますけれども、今後そういう面にも十二分に配慮をしながら、やはり時代の要請、あるいは民間の皆さん方の法務省の仕事に対する要望というものを踏まえて処理をすることを考えていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
#102
○横山委員 ちょっと古い資料ですけれども、官公庁におけるコンピューター利用状況の推移を見ますと、五十四年度を例にとりますと全国で三百七台。これは容量にも機械種別にも随分議論があるとは思いますが、ともかく総数は三百七台。法務省は、五十三年から始まって、わずか六台です。これに比べると防衛庁四十九台、郵政省は六十三台、運輸省五十一台等で、法務省はいろいろな業務を持ちながらコンピューターの導入は非常におくれておると思います。
 今、長期計画の話が出ましたので民事局長にお伺いしますけれども、私どもには、今度は大きなことを言ってもしようがないから、とにかく不動産登記だけやって、あとはそれからというような気持ちがほの見えて仕方がないのですが、全国的な登記所のコンピューター化及びそれに至るべき道筋というものは具体的に討議され、あなたの机の前にちゃんとあるのですか。
#103
○枇杷田政府委員 全体計画につきましては、まだ詳細な確定的な案というものはできておりませんけれども、大ざっぱな見込みといいますか考え方としては、先ほど来ほかの委員の方からの御質問にお答えしましたとおり、今後十五年のうちに全国の登記所についてコンピューター化を完了いたしたい。その手順といたしましては、ここ二年の間に全国的な規模でコンピューターを導入するということを前提にしたシステム設計に入る、それからプログラミングに入るということをいたしまして、そして二年後には不動産登記法、商業登記法その他の登記法を改正してブックレスの登記制度に切りかえていくということにいたしまして、その後七十庁程度のものを毎年指定して移行作業を進めて、そしてコンピューター化の実現を図っていくというような程度の構想は持っておる次第でございます。
#104
○横山委員 そんな程度では私どもの審議にたえられないんじゃないですか。今板橋だけで審議をしろというようなことですね。一体これからどうなるんだ。今は民事局長の頭にある絵図面だ。しかしながら十五年というのは長過ぎると私どもは言っているんだけれども、それまでにどういう計画、手順でやっていくのか。それに伴って養成はどういうふうにしていくんだ、どんな設備が必要になっていくのか、どんな人員が確保されなければならないか、建物はどういうふうに直していかなければならないのかというようなことが具体的に私どもの前に、詳細でなくてもいいのですけれども、提示をしてもらわぬと、板橋だけ一つやりますからよろしくでは、国会の審議にたえられないのじゃないですか。今度のこの法案が上がるまでに、大体の要旨をあなたの方で出してくださいよ。
#105
○枇杷田政府委員 今御審議いただいております法律にも書いてございますけれども、事柄が重要でございますので、審議会の意見を聞いて具体的な案は固めてまいりたいと思っております。そういう意味で固まった案というものはまだないわけでございますが、私どもの考え方といたしますと、まず、コンピューター化されます登記所においては、そこ自体で処理ができるコンピューターの本体を置いていく、その後に各局単位ぐらいでバックアップセンターを設けていく、そして中央に開発センターという中央センターを置いていくという構想で考えております。開発センターにつきましては、先ほどお話ししましたようにシステム設計の基本になるわけでございますので、予算が成立しましたならば直ちにそういうものを前提にしたシステム設計に取りかかるということにいたしたい、そして開発センターの場所とか建物などについても六十年度中には見通しをつけていくという予定にいたしております。
 そのような状況のもとでどういう手順でやるか。いわば移行作業をするにつきましても、私どもとしましては、繁忙庁から年間七、八十庁ぐらいをめどにして指定して移行作業を進めていくという予定でございますけれども、そういうふうなやり方についても審議会の御意見も聞きながら進めていきたいというふうに思います。それからまた移行のやり方につきましても、どういうものをその記録の方に移していくかというような関係につきましても御検討いただいてということで、その腹案みたいなものはないわけではございませんけれども、そういうことも腹の中では考えておる次第でございます。ただ、委員会の方に正式に、こういうことだというのは、審議会にまだこれからかけてということでございますので、御容赦いただきたいと思います。
#106
○横山委員 これは納得できませんね。そうあわてずに、これからゆっくりやりましょう、ひとつ板橋だけ承知をしてくれということは、国会の審議に際して失礼だと私は思うのですよ。
 私がこういうことを言いますのは、本当に全国的にコンピューターを導入して、思い切ってこれを出発点にして大々的な改革をしようとするならば、その体制づくり、ムードづくり、政府、大蔵省を説得する十分なものがなくてはならぬ、これはいい機会ではないかと、むしろ応援軍のようなつもりで言っておるわけですよ。来年度予算でまた今度はこことここだけやるので頼むとかなんとか言わずに――前々々民事局長か、そのころに民事局の改革、五カ年計画だったか十カ年計画だったか、何か出されたことがありましたね。それがこの問題に対応したかどうか、それはわかりませんよ。わかりませんけれども、少なくともそういう長期計画というものがあって、大臣がそれをもって閣議でこうするんだ、日本一評判の悪い登記所が長期にわたってこういう改革をするんだ、そして大蔵省も予算の裏打ちをしろというような落差のある行動でなければ、年々単年度のことをやっておったのではだめではないかという意見ですよ。どうですか、大臣。
#107
○嶋崎国務大臣 ただいま横山委員からのお話、まことにありがたい話だと思います。皆さん方の応援を得まして、こういう制度というのはやはり一日も早く実を結ぶような努力というものを積み重ねていかなければならぬと思っております。また、それがためのいろいろな準備体制というものもつくっていかなければならぬということは、そのとおりだと思っておるわけでございます。
 しかし御承知のように、そういう計画をつくる場合においても、現在五十八年から先行的にやっている実験の中で、いろいろな意味でのノーハウの積み重ねがあり、またいろいろな意味での活用の方法というものを工夫し、改良して今日まで至っておるわけで、そういう基礎ができつつあるというのが実態だろうというふうに思っておるわけでございます。そういう先行的なものができますと、この種のものというのは横に広げる可能性はうんと広まるわけでございます。そういうことをよく認識をしまして、そういうことを前提に、どうしたら皆さん方に自信を持って応援をしていただけるような計画を明らかにできるのだろうというふうに私たちは思っておるわけでございまして、そういう意味で誠実に努力を積み重ねてまいりたいと思っておる次第でございます。
#108
○横山委員 先ほどの質疑応答を聞いておったのですが、第五条に「登記を行う制度その他の登記事務を迅速かつ適正に処理する体制の確立に必要な施策を講じなければならない。」これはたまに見かける作文ですね。これは今のところ何を言おうとしておるのか、修身的教科書に終わるのか、それともあなたの方がこの五条を盾にして今私が言うようなことをやろうとしておるのか、ちょっと意味がわからぬです。こんなもの、なくてもあっても同じようなことなんで、別にこれがないから国が必要な施策を講じないというわけでもない。特に五条を置いて「体制の確立に必要な施策」とうたったゆえんは、またその中身は何ですか。
#109
○枇杷田政府委員 御指摘のように登記の体制の確立に必要な施策を講じなければならないということは、これは法律がなくても当然しなければならないことであるわけでありますが、特にここでうたいましたのは、コンピューターを登記制度に導入をするということを中心として、それからもろもろの施策をあわせて登記の事務が円滑にいくということが、いろいろ必要な施策の中でも特に肝に銘じてと申しますか、はっきりした形でやらなければいけないのだということをこの政府提案の法律の中でみずから「国の責務」として定めるということで、ただいま御指摘ありましたように、これからの登記の充実についての政府としての基本的な姿勢をここであらわすということでございまして、いわば政府の決意といいますか、そういうものがここにあらわれているというふうにお受け取りいただければ幸いでございます。
 なお、ここで必要な施策と申しますのは、登記事務が円滑に迅速に適正に行われるということのための施策をもろもろやるわけでございまして、コンピューター導入を一つの柱としてここに掲げておりますが、その他の関係について、すなわち施設をよくする、あるいは必要な人員を確保する、それからいろいろな器具の整備をする、もろもろの事柄が講じられて登記事務の円滑化が図られる、そういう施策をするということをこの中に織り込んでいるというつもりでございます。
#110
○横山委員 この五条は二つのことを言うのですか。電子情報処理組織を用いて登記を行う制度に必要な施策を講じなければならないことが一つ、その他の登記事務を迅速かつ適正に処理する体制の確立に必要な施策を講じなければならぬ、二つのことを言っているのですね。
#111
○枇杷田政府委員 最終的には、登記事務を迅速かつ適正に処理する体制を立てるということでくくられるわけであります。その施策の中にここに書いてありますようなコンピューター導入といいますか、そういう制度改革がうたわれるというふうに解しております。
#112
○横山委員 わからぬな。その他の登記事務――これは「電子情報処理組織を用いて登記を行う制度、その他の登記事務を迅速かつ適正に処理する体制の確立、に必要な施策を講じなければならない。」こう言うのが文法上当然なことではありませんか。もしあなたの言うような「最終的には」というなら、「電子情報処理組織を用いて登記を行う制度に必要な施策を講じなければならない。」この「その他」を特に入れたこと、それから特にその下へ「登記事務を迅速かつ適正に処理する体制」ということを入れたという意味は、単にコンピューターだけじゃありませんよ、コンピューターが中心になるかもしれぬけれども、そのほかもろもろの体制の確立が必要なんですよ、こういうことをわざわざ、国にこれを書いてくれ、判こを押してくれというところがあったのでしょうと言っているのですよ。
#113
○枇杷田政府委員 その点につきましては、ただいまの御指摘のとおりでございます。
#114
○横山委員 「政令で定める審議会の意見を聴かなければならない。」と第五条にありますね。これもえらく簡単に「政令で定める審議会」と言っているが、これは国会軽視の話ですよ。審議会はどういう権限を持っておって、何人ぐらいで構成して、どういう任務を持っているかということが通常の法案なら当然出てこなければならぬ。こんな簡単に、しかも今の御答弁を聞くと、みんな審議会でやりますから待ってちょうだいよ――これはこすいですよ、ずるいですよ。普通だったら、審議会の構成、人数、それから権限等があってしかるべきじゃありませんか。何でこういうずるいことをするのですか。
#115
○枇杷田政府委員 これは新たな審議会を設けるという趣旨ではなくて既存の審議会でございまして、具体的に申しますと、ここで考えております審議会というのは、民事行政審議会でございます。その民事行政審議会というのは実は政令で定めておるものでございますので、法律レベルでその審議会を書くというは法律の形式上問題だということで、名前は挙げておりませんけれども、五条の二項で言っておりますところの「政令」においては、民事行政審議会を定めるというだけの政令を出す予定になっておるわけでございまして、これは別に国会軽視というつもりではなくて、民事行政審議会が実質なんだけれども、それが政令レベルで決まっているのでそれが表現できなかったということでございますので、全く技術的なことだということで御了承いただきたいと思います。
#116
○横山委員 大臣、あなた、にやっと笑っておるが、違うかね。
 これはこすいですよ。全部これからは審議会でやるからと、国会答弁を避けようとしている傾向がありますね。よくないことだと私は思いますよ。
 それから、この間板橋を見て思うことですが、四条で「交付された書面は、民法、民事執行法その他の法令の規定の適用については、登記簿の謄本又は抄本とみなす。」ということですね。あそこの機械のそばに座っている人に、万が一謄本とそれから交付された書面とが違うことがあるかないかということをやったのですけれども、まあないでしょうねという多少実感はしましたが、論理上は、何か手違いがあってその押し方が違うとかなんとかということがあって、謄本とそれから交付された書面と違う場合は、どちらが効力があるか。もちろんそれは謄本が効力があると思うのですが、それによって国民が受けた損害は、国家賠償の対象になりますか。
#117
○枇杷田政府委員 この三条で決めております証明書というのは、登記ファイル、すなわちコンピューターの中に記憶されているものがこういう内容でございますということが直接の証明内容になるわけでございますが、しかしながら同時に、それは登記簿に記載されておるものと同一でありますということもこれは事実上ある。それがなければ成り立たないわけでございます。そういう意味で、もしこの証明書で書きあらわされたものが登記簿と違っている場合には、これはその証明書を一致しているものとして使った人々に対しては、申しわけないことになるわけでございます。国側の方の手落ちということになるというわけでございますので、したがってそういう関係でもし損害が生じたという場合には、国家賠償の対象になり得るというふうに考えております。
#118
○横山委員 この「みなす」ということは、通俗的に言えばそれと同じものだと思いますということですが、法律文として「みなす」と書いた以上は、その法律上の公証力、公信力といいますか、それがある、裁判で争える、証拠書類として原本を持ってこなくてもこれは十分有効性を持つというふうに理解してよろしいのでしょうね。
#119
○枇杷田政府委員 そのとおりだと思います。
#120
○横山委員 この種の例は、ほかの法律で、政府のコンピューターのようなものでできたものが原本と同じとみなすという前例はありますか。
#121
○枇杷田政府委員 私の知る限りでは、ないと承知しております。
#122
○横山委員 私もそうだと思うのです。これは極めて重要な法文だと思うのです。初めて、コンピューターによって出てきたものを裁判で争える証拠書類であると法律上断定をするということは、私は画期的なことだと思うのです。
 それで聞きたいのですけれども、これがそうなら、ほかはどうなんだということですね。今、民間では、とにかく法務省が初めて――ほかの省でもコンピューターをどんどん使っていますけれども、民間の産業界では、もう大会社は画期的など言っていいほどコンピューター、マイクロフィルム、COMというものを使っていますね。そんな、法務省が初めて板橋でやったくらいのことじゃないですよ。画期的なやり方ですよね。そういうものは法律上みなされていないわけで、まだ法律上の地位を得ていないわけですね。それについて法務大臣、どうお考えでしょう。民事局長にこんなこと聞いたってしようがないが、おれのやったコンピューターのやつだけは裁判で争ってもええが、おまえらは知らぬ、おまえらのやっていることは、おれよりもどんなにすばらしくてもそんなことは法律上の地位を得ておらぬで、あかんということが言えるでしょうかね。
#123
○枇杷田政府委員 法務省としては、自分のところでやるものについてはそれだけの効力を認めてほかのはだめだ、そういう形でだめだと言うつもりは毛頭ございませんけれども、いろいろなケースによっては、謄本と同じような効力を認めるというふうなことが妥当な事案もあるだろうと思いますが、今ここで謄本と同一の効力をみなすというふうにしておりますのは、いわば原本の記載内容がコンピューターを通過をしていってそのとおりのものが出ていくという事柄について、一種の保証があるといいますか、移行についても省令で定める方法によってやるということで、それがほかのやり方でもって違うものが出てくるということがあり得ないという前提がここで打ち出されているから、このようなことが可能だろうと思います。したがいまして、ほかの分野におきましてもそういうようなことの保証がやれる場合には、コンピューターで処理するということについての法律的な効力というものは認められることが可能になってくるのではないかというふうに思います。
#124
○横山委員 ここまで来ると技術的なことになって、私も、なんですけれども、例えば板橋で見ておって、申請書がある、それをインプットする。インプットした以上は、登記簿とそれから出てきた書面と、甲号の登記官がおりますね、そこでこれは、そう違うはずはないだろう。ところが、申請書とインプットしたときとの違いは申請者にはわからぬわね。それで回ってきたら、うっかりしてそれを持っていっちゃったということがないとも限らないと思いますね。それは少し余談だけれども。
 そこで、裁判で争えるというような、電磁的記録の文書性の問題なんですが、
 一橋大学の竹下教授は「電磁的記録自体も人の思想を内容とし、ただそれを通常の文字でなく、コンピュータ特有の記号によって表現しているにすぎないと考えられ、その意味で電磁的記録は「文書」であると言い得る。
  それは速記のための記号で記された文書と異なるところはなく、また、マイクロフィルムとも本質的に異ならない」と指摘している。
  電磁的記録の文書性に関する判決は、電磁的記録物である自動車登録ファイルにつき、文書性を肯定した判決とし、地方裁(広島高裁昭和五十三年)及び最近の最高裁のものがあり、電磁的記録にも文書性があるというのが確定した見解である。
  最高裁の決定で、補足意見として谷口裁判官はマイクロフィルムについてふれ「マイクロフイルムについては……それ自体は可読的ではないが、機械を用いることによって可読的になるものについて、文書性を肯定することは可能である。」と述べている。
これはコンピューター、マイクロフィルム、COMというふうに連動していくものなんですが……。
 ここに韓国ですが、韓国では、
  一九八四年十一月二十三日付全斗煥大統領名で公表されたものは、政府公文書の保存、収録等について、行政環境の変化と事務機器の進歩に合わせ現実に即したものにすると言うものであって、商法三十七条(日本の商法三十六条に当るもの)を含め改訂されたものであって、これは日本の記憶媒体がある一定の条件のもとで法的根拠になり得るものと認められたものとは異なり、媒体としてのマイクロフィルムで総べて町との政令で大きく前進したものとなっている。
  その内容の骨子は、政府公文書規程の公文書保管および保存規程は総べて統合し、保存文書はマイクロフィルムに収録し原本を廃棄して良いと言うものである。
ここに韓国の全文があるのですが、これは全く画期的なことを韓国がやっているなと思う。大体日本では、民間がどんどんやれば、役所もちょっちょっとやっていって、それでなじんできたころに法律改正するというのが通常ですが、韓国のああいう政治体制でしょうか、まだなじんでいないものをいきなり原本を廃棄してもよろしい、コンピューターやマイクロフィルムを活用した政府の公文書は全部原本とみなすというふうにやったということは、実に画期的なことだと思うのですがね。日本はそういう点では遅きに失しているなどいう感じがするわけです。
 そこで、大蔵省にお伺いをいたします。
 ここに昭和五十六年五月八日の速記録、それから四十九年十二月二十四日、それから五十六年六月二日、これは参議院ですが、三回にわたって私が税務書類の問題について問題提起をいたしました。その当時、まあ言うならば、税務書類は納税者がコンピューター化してやったものを原本として、あとのものはインプットしたものは廃棄するということについて国税庁は抵抗をしたわけであります。そして、要するに税務職員もなれておらぬでちょっと待ってくれ、いずれはそうなるかもしらぬけれども待ってくれという返事だったと思うのです。詳細は省略します。あれからさらに数年たって日本の産業界のコンピューター、マイクロフィルム、COMの活用はもう飛躍的なものになっています。そういうときに税法上の税務書類について、コンピューターによる書類、COMによるあるいはマイクロフィルムによる書類、それを税務書類として認めておるのかどうなのか、一遍それについて御返事いただきたいと思います。
#125
○津野説明員 お答えいたします。
 税務上の書類といたしましては、例えば青色申告法人とかそれから一般の法人等につきましての書類の保存の規定がございますけれども、その書類の保存の規定の帳簿書類にマイクロフィルムとかそういうものが入るかどうかにつきましては、原則的にはそれには入れていないということでございます。
#126
○横山委員 五十六年五月八日に、
 現在、制度上の帳簿書類で言いますと、先生御承知のとおり、法人税法の施行規則の五十九条でございますが、一号帳簿、これは仕訳帳とか総勘定元帳とかその他資産、負債、資本に影響を及ぼす一切の取引に関する帳簿、二号帳簿がたな卸表とか貸借対照表とか損益計算書及び決算に関する書類、三号が日々の取引に関します契約書とか領収書とか見積書とか、これに準ずるようなものでございます。私どもの非公式な考え方でございますが、このうち一号関係の仕訳帳とか総勘定元帳、二号関係のたな卸表とかBS、PLあるいは決算関係の書類、こういうふうなものはマイクロによる保存というものが相当可能なんではなかろうか、こういうのを民間の主要な団体にも非公式に表明しているわけでございます。
  あと残りますのがいわゆる三号書類で、領収春とかあるいは契約書とか注文書とか、こういった原始証憑に属するものでございます。これももっと厳密に申し上げますと、このうち取引の相手方から受け取ったものとそれから自分が交付したものとがあるわけでございますが、自分の交付したものは当然控えしか残らないわけで、これのマイクロ化はもう現実にも相当行われておりますし、私どももそれを活用させていただいているところでございます。
等々と言っておりますが、あれから進歩が何もないのですか。
#127
○津野説明員 お答えいたします。
 当時、うちの方の法人税課長の方からお答えしているかと存じますが、当時といたしましてマイクロ化とかコンピューター化というのは当然予想されておりましたものですから、あるいは民間団体等からの御要望等もございましたものでしょうからいろいろ研究はさせていただいているわけでございますけれども、現時点に至りましても、そういう一般的な税務調査あるいは課税の適正な担保というようなところから見まして、全面的に帳簿書類の中にそういうものをすべてそれでいいと認めるわけにはいかないというふうに現在でもなっております。
#128
○横山委員 まことにおかしなことだね。これを見ますとあなたの方は、税務署は、国税庁は出ておらぬけれども、大蔵省全部に入っておると思うのですが、コンピューターの導入は極めて大々的にやっておって、自分のところの書類はコンピューターでやっておるけれども、あるいはマイクロでやっておるけれども、民間でやっておるものはそんなものは原始記録だと認めぬ、コンピューターに出てくる書類、帳簿あるいはマイクロ、COM等は認めぬというのは少し僭越ではないんですか。今回コンピューターによる登記簿の書類が法律上の地位を得るという機会に、民間のそういうようなものは税務書類と認めぬというのは僭越じゃないのですか。
#129
○津野説明員 もちろん先生御指摘いただきましたように、現在企業の経済活動とかそういうものが非常に拡大しておりまして、企業とか事業者等の帳簿書類の保存のためのいろいろな負担という面も大きくなってきておるという面はあると思います。それからまたコンピューター化の技術もどんどん日進月歩しておりますから、従来に比べまして飛躍的にいろいろ技術的には進んでいるだろうということを認めることは我々やぶさかではございませんで、そういうことをこれから研究した上でさらに、帳簿用書類等の保存方法の拡大、そういう問題につきましてはいろいろ税務執行上の問題点があるものですから、そういうような執行上の観点とかあるいは税務上の各種の問題等を考えながら十分検討はしていかなければいけない問題だというふうには考えておるわけでございまして……(横山委員「何年前からそういうことを言っているのだ。十年も前から同じことを言っておる」と呼ぶ)当然そういう問題でございますので検討は十分していかなければいけないと考えておりまして、全く認めないというわけではないわけでございまして、例外的な問題ではございますけれども、例えば帳簿書類で五年まではいわゆる原始記録の帳簿類、そういうものじゃないと認めないことになっておりますが、物によりまして七年間保存しなければならないというものが、例えば預金通帳とか現金出納帳みたいなものがございますが、そういうものにつきましては五年を越した後の二年間につきましてはマイクロフィルム等で保存じでもよろしい、一定の要件はございますけれども、そういう面で若干の進歩は進めているわけでございます。
#130
○横山委員 もう十年も前から言っていることが、これは四十九年、五十六年、五十八年、言っていることがちっとも進歩がないですね。それじゃ一体これ、コンピューターに入れているから、マイクロに入れているから、あるいはCOMにしているからといって原始記録を破棄したら、あなたの方は原始記録の悪質な消却、廃棄として今追及するんですか。
#131
○津野説明員 現在、帳簿書類の保存義務等につきましては青色・白色各事業者あるいは法人等につきまして法律上義務づけてはおりますけれども、罰則等で特にこういう処罰をするとか、そういう罰則等での担保はしておりません。ただ、青色申告者の場合、法人とか事業者ですけれども、その場合につきましては青色申告の承認の取り消しということで、青色申告による種々の特典がございますけれどもそういうものが認められなくなるということで担保しているということでございます。
#132
○横山委員 この種の驚くべき電子情報処理組織、それに関連をするマイクロフィルム、COM等の発展に即応した税務行政のあり方について、大蔵省、国税庁で全国へ通達をするとか指示をしたとか、そういうものはあるのですか。
#133
○加藤説明員 お答えいたします。
 特別の通達を流しておるということはございません。
#134
○横山委員 どうもおかしいと思うね。委員長もどう思いますか。法務大臣も横で聞いておってじくじたる思いがするのじゃないですか。おれのところのやつだけはこれで法律的な地位を持つ。板橋でやったことは大したことないですよ。けれども、すぐにそれを法律上の根拠規定を置く。それで、民間でやっているコンピューターやマイクロフィルムやCOMなんかの仕事はべらぼうな飛躍的状況ですよ。それについて国税庁は前戦に任せ切りで、どういう条件ならコンピューターによるものを認める、どういうような見読可能というかシステムであれば原始記録を廃棄してもよろしいとか、それは証懸書類として認めるとかいうようなことが当然あるべきものだと私は思うのですね。それは全然ない、通達したこともないと言うのです。そんなこと考えられますか。大臣どう思いますか、コメントはありませんか。そんなばかな話があるかね。閣僚の一人として物を言ってください。
#135
○嶋崎国務大臣 今御指摘のように、私の方の法案の四条で「登記簿の謄本又は抄本とみなす。」という場合、ある意味では非常に、何というか登記簿とそれが確実に合致しているということを前提にそういう規定を入れたわけでございますが、そのことが私の所管外の事項にまで話が及んでおるわけで、なかなか判断は難しいわけでございますけれども、私は、税務の記録の場合に、ちょうどこういう切りかえのときに、このシステムを使って調査をするという場合に、大変困ったケースというのが幾つか過去にあったんだろうと思います。したがいまして、原始記録についてはその保存が前提になった取り扱いになっており、それが現在まで継続して続いておるというように思うのでございます。したがいまして、どういうことになっているのか現在の税務の仕事について私もこのごろ直接承知をしているわけじゃありませんので、判断のしにくいところはもちろんあるわけでございますけれども、やはりそういう確実な同一性とかなんとかというようなことをきちっと留保する何か前提その他がなければ、この処理というのは難しいというようなことが残っておって今の制度になっておるんじゃないかというふうに思っております。しかし、いずれにしましても、こういう制度がどんどん敷衍しておるという実態があるわけでございますから、よくそれぞれのところで検討をして、時代の進展に即応し、しかもそれぞれの仕事がうまく両立するような体制というものをつくっていくことが必要なのではないかというふうに思っておる次第でございます。
#136
○横山委員 これは五十六年五月八日の法務委員会の議事録ですが、見出しがないものでわからぬが、四元説明員という名前が出てきますが、だれですか、何をやっておった人ですか。
#137
○加藤説明員 法人税課長でございます。
#138
○横山委員 読み上げますよ。
 ○四元説明員 お答え申し上げます。
  国会等でも御指摘いただいておりますし、また横山先生にも何回が御指摘いただいていることはよく承知をいたしております。私どもの基本的な考え方は、先生のいまのお言葉にもございましたように、そういう技術の進歩の成果というものを踏まえまして、またそういう企業のニーズがあれば、これを積極的に私どもの分野でも取り入れていくべきだという基本的な考え方は十分持っているところでございます。
最後に、
 今後とも先生御指摘の方向で取り組んでまいりたいと思っておるところでございます。よく言えたものだ。その次は、
 ○四元説明員 先生御指摘の点は、まことにそのとおりであろうと私どもも思っております。税務行政を預かる立場から、かなり保守的な考え方にならざるを得ないという点についての、弁解になるかもしれませんが、御理解をいただきたいわけでございます。しかし、いまおっしゃいますように、
と言って最後に、
 これをいい機会といたしまして一層積極的に導入をする方向で、いろいろな条件はつくかと思いますけれども、検討させていただきたいと思います。
ありがとうございましたと言わんばかり。これはいつだね。五十六年ですよ。いいかげんなことを言って、今また同じことでどうするんだ。責任をとれ。どうなんだ。国会をばかにするな。
#139
○津野説明員 先ほど御答弁いたしましたが、その後の改正におきまして、例えば先ほど言いましたように帳簿保存期間が五年を超えます書類につきましては、一部マイクロフィルムとかコンピューターの磁気とかいうもので保存してもよろしいというような改善は行っているわけでございまして、全く先生がおっしゃるような方向に進んでないということではございません。当然今後のそういった技術革新等の動向を踏まえながら我々としても十分検討していくべき問題であるということにおいては変わりないつもりでございますけれども、現在に至ってはまだそこまで行ってないということでございますので、よろしく御理解のほどをお願いいたします。
#140
○横山委員 御理解しない。御理解できるか。口をきわめてここで、先生のおっしゃるとおりだとか、ごもっともだとか、今後一層先生御指摘の方向でたとか、まことにそのとおりであろうと私どもも思っておりますとか、そんなことを言っておって、今昭和何年だ。こういうことで国会をごまかしておいてその場逃れしておるのは許さぬ。この法案が上がるまでに、このコンピューター、マイクロフィルム、COM等について、昭和五十六年以降大蔵省、国税庁が何をしたか、今後どういうふうにこれに対応するのか、文書をもって国会に提出してもらいたい。
#141
○津野説明員 文書をもって国会に返答するということは確約できないと存じますが、(横山委員「確約をせよ」と呼ぶ)御容赦願いたいと思います。
#142
○横山委員 許さぬ。今初めて言ったことじゃないのですよ。ここに書いてあることですよ。それに何らの返事もしないということはいかぬ。文書をもって提出してもらいたい。
 委員長、もう一遍言いますが、この議事録に基づいてその後どんなことをしたか、これからどういうようにしようとするのか、文書をもって当法務委員会に提出してもらいたい。
#143
○片岡委員長 そういうふうにしてください。いいですか。
#144
○津野説明員 帰りましてよく相談さしていただきたいと存じます。
#145
○横山委員 どういうことだ。委員長の命に反対するのか。
#146
○津野説明員 どういうものを出すか等につきましては帰って相談さしていただきます。
#147
○横山委員 相談は当たり前だ。出すのか出さぬのか、それだけはっきり言いなさい。委員長の命令があったのだから。出すのか出さぬのか。
#148
○津野説明員 できましたら……(横山委員「できましたらじゃない。出すのだよ」と呼ぶ)御容赦願いたいと存じますが、よく相談いたしまして御返事いたしたいと存じます。
#149
○横山委員 それはおかしいな、委員長。
#150
○片岡委員長 ちょっと速記をとめてください。
    〔速記中止〕
#151
○片岡委員長 速記を始めて。
 横山君。
#152
○横山委員 まことに国会の権威に関する問題でございますから、私は今の答弁で不満でございますが、一応出すというのでありますから、出してきたものがまた不満足なものであれば追及いたすことにいたしまして、次に移りたいと思います。
 マイクロフィルムについてちょっとお伺いをいたしますが、電子情報処理による登記ファイルは一つの進歩ではありますが、処理した後のもとの原本については先ほどお尋ねしたとおりであります。附属書類、精密に表示された公図、地図などは登録の方法や長期安全保存の点から見てマイクロフィルムの併用の方が適切と思われる。コンピューターのデータは図面の登録に当たっては原図を電子変換しているためにインプットの作業、精度、鮮明度について寿命があるなどからいって、マイクロフィルムでは原図を直接縮小、拡大しているので原図に復元が容易であると思いますが、この点どうお考えですか。
#153
○枇杷田政府委員 登記所におきます申請書の附属書類であるとかあるいは図面であるとかというものにつきましては、その保存方法としてマイクロフィルム化することは十分に可能であろうと思います。
 ただ、これから登記事務そのものがコンピューター化されてまいりますと、それほど書庫の狭隘という問題もございませんので、原本をマイクロフィルム化にしてやるというふうな経費をかけてやることと、そのままにしておくこととのメリットがどちらにあるかというふうな点も考慮しなければなりませんけれども、実行の問題は別といたしまして、理論的にはマイクロフィルム化による保存というものは物によっては採用してもいいものではないかというふうに考えております。
#154
○横山委員 ちょっと最高裁にお伺いをいたしますが、最高裁のコンピューター化、まあ神武以来とは言わぬけれども、判決書類が恐らく見たことはないけれどもうずたかく積まれておると思うのですね。これから永久保存の書類が二十一世紀はもちろん二十二世紀までずっと積まれると思うのですが、最高裁において一体コンピューター、マイクロフィルム、COMはどういう利用計画がありますか。
#155
○山口最高裁判所長官代理者 御承知のとおり、裁判事務につきましては、基本的には裁判手続が単に効率性だけではなく、手続の厳正、安定を求めなければならないというような面もございまして、しかもその裁判事務の内容が非定型的なものが多いというところから、全般的にコンピューターライズをするという点ではなかなか難しい面があろうかと思います。
 現在のコンピューターの活用状況について申しますと、他省庁あるいは民間企業等と比較的似たような仕事をいたしております司法行政事務の部門におきましては、例えば最高裁の統計部門におきまして、他省庁に先駆けて五十八年度に大型コンピューターを設置いたしまして、いわゆるデータベースシステムというものを導入しまして、全国の裁判所の各種裁判統計のコンピューター処理を行っております。直近の事件処理関係の資料を得まして裁判所の運営に活用しているわけでございます。
 それから、高裁数カ庁におきましては、比較的大型のオフィスコンピューターを導入しまして、その高裁のみならず、数千名に及びます管内の職員の給与計算事務等を処理しております。それから、その他の小型のパーソナルコンピューターあるいはワードプロセッサー等も順次導入いたしておりまして、ほぼ他省庁と同様のOA化を図りつつあるわけでございます。
 裁判事務の中でも、比較的定型的な処理をしやすい場面におきましては、事件処理に対応いたしますために小型のコンピューターを導入いたしておりまして、事務処理の合理化を考えているわけでございまして、例えば昨年度は民事執行事件における配当計算等の関係事務あるいはサラ金調停事件における利息計算なり割賦金額、割賦月数の計算等に使いますために独自のプログラムを組み込みましたパーソナルコンピューターあるいはポケットコンピューターを配付しているわけでございます。
 今後の計画といたしましては、裁判事務の中でも比較的定型的な処理になじみやすい部門、例えば督促手続におきましても計算事務等でコンピューターの活用が考えられるわけでございまして、そういう部門をそれぞれよく検討しながら逐次コンピューターの活用を図るように考えていきたいというように思っております。ただ、コンピューター処理をいたします場合、そういうふうな部門が限られているわけでございますので、大型のコンピューターを導入して端末を各庁に設置するというような形よりは、それぞれ小型のコンピューターの活用を図っていくという方が能率的ではないかというように考えております。
 それからワードプロセッサーにつきましても、供述録取等の非定型的な場面でどのように効用があるのか、その辺を見きわめるためにも、現在数カ庁で実験を行っておりますが、その実験の成果を踏まえながら検討してまいりたいというように考えております。
#156
○横山委員 この間私が本委員会で最高裁に皮肉を言ったのですが、最高裁は予算がないので、下部で複写機その他についてわずか数台をもらったといって労使間で喜んでおる、何という情けないことだといった実例を挙げて言ったのですけれども、今お話で順序に進んでおるようではあるけれども、少し司法行政の事務の機械化がおくれておるということを指摘しておきますよ。
 先ほど韓国の状況を話しましたが、アメリカでは既に一九四三年、連邦議会で政府記録の全面的なマイクロ化と原本の廃棄を認めました。西ドイツ、フランスなどヨーロッパ各国においてもほぼ同様の傾向だそうであります。近代諸国の中で日本が一番おくれておると思われます。ですから、高度情報社会での各国における進歩的なあり方からいって、法務省、最高裁あるいはその他のところでは、この種の問題の進展に伴って国民に対してこれが還元されるということに――自分たちだけ機械を持っておってそして自分たちだけそれを活用して国民にその恩典を与えないというようなことはいかがかと思います。
 地方公共団体での状況を見ますと、法務省が二十八年、戦災で滅失した戸籍及び除籍副本の再製をマイクロフィルムで行ったことがわかっております。その後除籍原本のマイクロ化及びマイクロからの謄抄本の交付が認められ、さらにマイクロ化後の除籍原本は除籍後五年を経過したものにつき監督局の許可によって廃棄することが認められ、また二十五年経過戸籍のマイクロ化も進められている。こうして戸籍事務の分野で法務省はもちろん市町村でのマイクロフィルムの恩恵が非常に強い。地方公共団体などでは、今日、この登記事務に類似した業務として、税務事務で旧土地台帳、土地表示登記済通知書、土地課税台帳、家屋課税台帳のマイクロ化が、また住民基本台帳、戸籍での除籍など戸籍事務のマイクロからの謄抄本の発行事務がかなりの範囲で進められており、特にCOMすなわちコンピューター・アウトプット・マイクロフィルムによって土地家屋課税台帳証明、市民税、県民税台帳証明が広く行われている。したがって、今回の法務省のこの作業の中へ、システムの枠の中へ今後COMを取り入れていくということは考えられないかという点であります。
 マイクロフィルムをこの新しいシステムに補完するツールとして提言をするに際し、既に採用しておる地方公共団体の利用後の効果ベストフォーを紹介をいたしますと、地方財政調査会の資料によると、一つ目は長期保存の安定性が図れる、二つ目は文書保存面積の縮小が図れる、三つ目は記録、転記作業の迅速効率化が図れる、四つ目は複写閲覧に際し市民サービスの向上につながるということが言われておるのでありますが、この今回これから法務省が行うシステムに十分取り込まれることが可能であると思いますが、いかがですか。
#157
○枇杷田政府委員 ただいまお話しのCOMというのは、御指摘のようないろいろな長所を持っているものだということは私も承知いたしております。ただ、それを登記のコンピューター化に直ちに導入するのが適当であるかどうかということにつきましては、私ども十分検討はいたしておりませんけれども、登記と申しますのは、不動産登記を例にとってみますと、所有権の移転だとか、抵当権が設定されたり、またそれが抹消されたりということで動いていくものでございます。そういう動いていくものを常にフォローしながら現在時点での権利関係を掌握していくというふうなことで考えた場合に、COMというものが一番効用を発揮するかどうかについては、まだちょっと問題があるのじゃないかという気がいたしております。が、いずれにいたしましても、これからの基本的なシステム設計につきましては、現在は磁気ディスクによっていわば文字による入力というようなことを考えておりますけれども、またいろいろな有用なものがあれば、それを検討するということにはやぶさかではございませんので、一つの研究対象にはさせていただきたいと思います。
#158
○横山委員 これは「パイロット・システム詳解」という本でございますが、私もこの本を随分勉強してみました。わからないことが非常に多いのですが、示唆を受けた点を紹介しておきますと、
 不動産登記情報システムは全登記所を対象とするのか、あるいは一定規模以上の登記所を対象とするのかについては、まだはっきりとした方向が示されていないが、システムにかかる経費とそれによって得られる効果等を十分に分析して判断していかなければならない。と言いまして、この移行を正しく、安く、速く、楽に行なう方法を考えなければ、それだけ職員の負担になることになり、システムの円滑な運営に支障をきたすことになるおそれがある。そのためには、パイロットシステムにおいてとられている移行方法、すなわち文字を一字一字入力していく方法には、たとえこれを一定の範囲において文章として入力するとしても、経費的にも、日数的にも、人員的にも限界があるように思われるので、これ以外の方法、例えば光ディスクやマイクロフィルムを利用して登記情報を画像で移行していく方法等も十分考えていかなければならないであろう。特に、効率の面から考えた場合、マイクロフィルムの利用は検討に値する面も多く、また、最近ではマイクロフィルムとコンピュータの結合システム、すなわちコンピュータの持つ高速性・論理性・即時性とマイクロフィルムの持つ経済性・融通性・縮小性とを結びつけ、さらに効率のよい高速検索と情報管理を志向する傾向が活発化している現状を考えてみると、区分建物及びその敷地以外の一般の土地、建物についてはこの方法を利用するということも十分検討に値すると思われるので、今後この方面における研究を期待したい。とあります。私は、感覚的にとらえてなるほどなと思いましたが、専門家としてはどうお考えになりますか。
#159
○枇杷田政府委員 専門家としてと言われますと、私はその面の専門家と言える状況ではございませんけれども、今までの登記制度に対するコンピューター導入につきましての検討の過程でも、ただいま御指摘ありましたようにマイクロフィルムとか光ディスクとかというふうなものを使ってやるということは検討をしてまいっております。なお、現在でもその点についての検討は続けておるわけでございますけれども、先ほどもちょっと申し上げましたように、不動産登記の場合には権利変動がかなり頻繁に行われます。それを常時フォローして、そしてある時点ではその現在時点における権利関係というものが一覧的に速やかに打ち出されるということが必要になってまいるわけでございます。そういう面から申しますと、マイクロフィルムの場合には、マイクロフィルムは一巻、二巻というふうにフィルムが巻かれておるわけでございますけれども、同一の巻の中で同じ不動産の情報が収録されておるということはむしろ例外ということになろうと思いますが、そういう場合に、一カ所に情報を集めていくということのためには、ちょっと不便と申しましょうか、人手を要するというふうなことにもなるわけでございます。そういう面では、ちょっと向かないのではないかという気がいたします。ところが、入力の関係だけで申しますと、入力と申しましても、現在の登記簿をコンピューターに記憶がえをするという移しかえの入力の場合は、これはマイクロフィルムとか光ディスク、専門用語ではイメージ処理と言っておるようでございますが、イメージ処理方式でやることが非常に簡潔であり、経費も安く済むということは争えないことだと思います。そういう面ではかなり魅力があるわけでございますが、後々のことを考えますと不動産登記については少しなじまないのではないかということを疑問点として持っておるわけでございます。したがいまして、その他の登記につきましてはイメージ処理が向くという登記もあるのではないか、そういう面についてはただいまおっしゃったようなそういう方式も大いに検討し、場合によってはその方式を採用するということもあり得るのではなかろうかと思っております。
#160
○横山委員 ここに昭和五十三年六月八日の衆議院司法書士法改正附帯決議、同じく五十三年六月十六日の参議院の附帯決議がございます。衆議院の決議の一番最後に「コンピューターシステムを登記事務に採用する問題については、日本司法書士会連合会を含む関係者の意見を尊重しつつ、慎重に検討し、国民の権利の保全に遺憾のないよう期すること。」参議院も同様な附帯決議の一節であります。それで、不動産登記にコンピューターを採用することについて司法書士にどんな影響をもたらすかということであります。この「詳解」には、司法書士の業務を分析して、一つは「権利者、義務者等人の確認」、二番目に「物件の確認」、三番目に「当事者の意思の確認」、四番目に「法律判断」、五番目に「申請書の作成」、六番目に「申請代理」、この六つが司法書士の業務であろうというふうに整理をして、そしてコンピューター処理になじむのは五の申請書の作成の部分であると思われると書いておるわけですが、この司法書士の業務に登記所のコンピューター化はどんな影響をもたらすか、説明をしてもらいたいと思います。
#161
○枇杷田政府委員 謄抄本の発給が早くなるとかあるいは甲号事件の処理も登記所の内部で早く済むようになるとかということの影響は当然ございますけれども、そのほかに司法書士業務それ自体としての影響があるところは、私どもの考えでは、ないのではないかという感じでございます。
 ただいま御指摘になりました司法書士業務の六分類をした中の第五分類の申請書の作成方式に影響があるかもしれないという点が指摘されておるわけでございますが、これは、その申請されました登記事件の内容をコンピューターに入力する際に、その申請書自体から機械が内容を読み取るというふうな方式をとる場合には、それに向くような申請書をつくっていただかなければならないことになります。そういう意味では変わってくる面があるわけでございます。現に板橋のパイロット・システムにおきましても、謄本の交付の申請書に、通常の申請書でもいいけれども、もう一つのやり方としては、所要事項を鉛筆で黒塗りをしてやるという、そういう申請書の方式も採用しておるわけでございます。その方法をとる場合には機械がその申請書を機械的に読み取って処理するということでございます。したがいまして、申請書をコンピューターが読み取りやすいような形のものにしてもらうという方式をとりますと、先ほど御指摘のように第五番目の問題にかかるわけでございます。
 ただ、今読み上げられましたその本の作成段階におきましては、まだ申請書それ自体から登記事項を読み取るという方式をかなり考えていた時代、あるいはその考え方が残っていた時代ではないかと思います。そうしますと、いわばバーコードと申しますか、ある文字にコンピューターで読み取れるようなものがくっついた、ひげのようなものをつけたそういう独特のタイプライターの印象ということで申請書をつくっていただかなければならぬかもしれない、あるいはOCRと申しますか光の反応で読み取るという場合には一定の規格の文字、すなわちタイプライターで申請書をつくっていただかなければならぬということにつながってまいるわけでございますけれども、現段階ではワードプロセッサーが非常に発達をしてまいりましたので、現在の板橋のパイロットシステムでもごらんになったとおりでございまして、何も申請書から直接読み取らなくても、通常の申請書をお出しいただいて、それを登記所の方がワードプロセッサーによって処理をするということも、比較的容易にできるという状況になっております。したがいまして、登記所の方がワードプロセッサーによって登記事項を入力するという方式をとる限りにおいては、ただいま御指摘の第五番目の問題もなくなるということになってまいろうかと思います。
#162
○横山委員 この電子情報組織の導入によって直接的業務として影響を受けるであろうと想像されるのが、司法書士諸君とそれから関係職員であります。司法書士諸君については、今局長のお話によれば、そう心配したことはないということのようではありますが、しかしながら、司法書士諸君は実情がわからないということもありまして、コンピューターがどういうふうに業務にかかわっていくかという不安もまだまだ必ずしもなくなっていないと思います。
 それから職員の方は、この間渋谷へ行きましたところ、あの大混雑の中で、登記協会ですか、七人、内部で仕事をしておりますね。これは一体、登記協会の仕事が独自の仕事なのか、職員の仕事を登記協会が手伝っておるのかよく定かではありませんけれども、常態的なものではないと私は思うのです。過渡的に応援軍としてやっておられるかしらぬけれども、本来職員のなすべきことを、国家公務員でもない人がやっておるということは余り感心したことではない。これは将来、一体どういうことになるかということと、もう一つは、コンピューターによって職員諸君の労働条件に非常に変化をもたらすことは言うまでもないことであります。ですから、養成はどうするのか、あるいは書記官の、登記所の職員の平均年齢も先般、私聞いたわけですけれども、たしか私の承知する限りにおいてはちょうちん型で、あるときにはざっとやめてしまうということも予想をされたことではございますが、このコンピューター導入によります職員の労働条件、他省庁転換は登記所が一番多く導入したという話も聞いておりますが、職員の労働条件の変化についてはどういう展望と施策を持っていますか。
#163
○枇杷田政府委員 現在、御承知のとおり法務局登記所の職員は、膨大な事務量を抱えてかなりな過重な負担にたえて仕事をしておるわけでございます。これがコンピューターが導入をされてまいりますと、ある程度の省力化が進むことは言うまでもないわけでございますが、その場合にその省力化の効果というものがどこに一番あらわれるかと申しますと、ただいま御指摘ありましたような、登記所の仕事に従事している部外者の方が排除されていく。民事法務協会から派遣をされております職員も要らなくなるという面もございます。それから都会ではそれほど多くはございませんけれども、地方などに見られますように、地方公共団体その他の職員からの部外応援というものも残念ながら受けておるわけでございます、そういうものが不要になってくると思います。したがいまして、登記所の内部がいわば正規の職員と申しますか定員の中で、公務員になっておる職員自体が登記所を完全に構成をして処理をしていくという体制が出てくることになるであろうと思っております。そしてまた、その職員自体の労働条件というものも現在よりは緩和されていくのではなかろうかという期待を持っておる次第でございます。
 なお、そういう面ばかりではございませんで、また今度はコンピューターによりまして現在とは違う執務環境が出てまいります。そういう面におきまして、職員側の方で何か新しい問題が生ずるということも考えられないわけではないのでございまして、殊に本日も午前中に天野委員から御指摘ございましたけれども、職員の健康の面において、殊にコンピューターにつながる職業病のような発生を見るということになっては大変なことでございます。そういう面につきましても、これからのコンピューターの導入の場合にも悪影響が起こるようなことがないような仕組みというものも考えるし、職員の執務体制、そういう面も十分考慮した形で考えていかなければならないだろうと思います。したがいまして、そういう職員の労働条件、職場環境の問題につきましては、労働組合側の意見も十分に聞く、問題点の指摘も受けて改善をしていくというふうなことに努めなければならないと思っております。
 またそれに絡みまして、現在のパイロットシステムの実験におきましても、私どもの方でその成果を評価していただく評価委員というのをお願いして検討をしていただいているわけでございますが、その中に労働衛生上の問題点を研究しておられる専門家にも入ってもらっておりますし、それからまた現場の職員の代表の人も加わってもらっておりまして、そういう面からの検討、問題点の指摘というものも十分受けるという体制をつくっておる次第でございます。
#164
○横山委員 今のお話はよくわかりました。ぜひ、移行に当たって関係団体の意見を聴取し、また労使間の協議を適切に行って、円滑にこの移行が進められるように希望したいと思います。
 最後に大臣、時間が終わりになりましたので申し上げたいのですが、技術革新の時代に、この登記所の仕事を機械を導入して敏速にやるということが主力ではございますけれども、しかし冒頭申しましたように、居は気を移す、広いところで腰かけて待っているところもある、そこへ、そばへ行けばお茶もある、花もある、横町に行くとコーヒー屋もある、コーヒー屋にもマイクが通じておって、横山さん、できましたよというのがあれば、やはりいらいらもなくなると思うのですよ。私が渋谷で、ぞろぞろ国会議員が道路を行ったのですから、みんな見ています。私が、失礼ですが、どのくらいお待ちですか、一時間半ですよ、やりきれぬですよ、こう言っている同じ顔ばかりですね。そういうことを考えますと、単に技術を導入して敏速になれば済むというものでもありません。職員諸君が気持ちよく働ける、そして来た国民の皆さんが、このごろ登記所は親切になったわい、早くなったわいというような雰囲気づくり、条件づくり、環境づくりが合わせて行われなければ、せっかくのものがだめになると私は思うのです。
 ですから、そういうことを十分考えてもらいたいことと、先ほど冒頭強く申しましたけれども、これだけのことをやる出発点でありますから、でかく物を考えて、長期に考えて、落差の立つこの機会に計画を立てて、それで長期的に財政的なり、あるいは各省の協力を、特に大蔵省の協力を得られるような落差の立つ行動をしてもらいたい、こう思いますが、いかがですか。
#165
○嶋崎国務大臣 ただいま登記事務の現状というものを踏まえられて御発言になったわけでございますが、確かに、渋谷の例をとりましても、あれが最初にできたときには割合ゆとりのある登記所であったのだそうでございます。ところが、御承知のように建物がどんどん高層化をし住宅が非常に多くなってきているということで、私も行ってまいりましたけれども大変厳しい状態になっておる。それのみならず、例えば東京の法務局自体へ行きましても、私は大変な状態だなということを現に見てきておるわけでございます。したがいまして、職員の皆さん方が十分気持ちよく働けるような環境をつくり、また登記所にお見えになる皆さん方にもやはりそういう環境が与えられるような線に努力をしなければいけないと思っておるわけでございます。
 今度たまたま登記の特別会計というのができまして、非常に苦心をしておると思いますけれども、それなりに三十億近い施設費も中に認めていただいておるというようなことになっておるわけでございますし、これからもそういうことを意図して大いに努力をしていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
 それからもう一つ、冒頭にもお話しになりましたけれども、せっかくこういうコンピューター化をして本当に内部的ないろいろな問題点を解決していく、そういう意味で合理化、能率化を図っていくということももちろん必要でございますけれども、本当にサービス業務としての登記の仕事というものが確実に行われ、それによって国民の権利が確実に保持されていくということのために、この構想というのは大きな目標を持っておるわけでございますから、それに沿えるようなきちっとした計画を立てて着実にそれを具体化するための努力を、こういう契機であるからいよいよ大切にしていかなければならないし、またそういうことによりまして登記所の仕事が円滑に行われるように努めてまいりたいと思っておる次第でございます。
#166
○横山委員 終わります。
#167
○片岡委員長 小澤克介君。
#168
○小澤(克)委員 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に関しまして若干お尋ねをいたします。
 この法案を見ますと、多少耳なれない言葉が出ておりまして、かつそれについての定義規定が特に設けられてないわけです。
 「登記ファイル」という言葉がまず出てくるのですが、これは何を意味するのでしょうか。
#169
○枇杷田政府委員 「登記ファイル」という言葉は今まで法律の中で出てきたことはないと思いますが、これに類似なものとしては、自動車登録の場合の登録ファイルという言葉が既にあるわけでございます。具体的には磁気ディスクのようなものを考えておるわけでございますけれども、概念といたしますと、登記ファイルというのは登記事項を電子情報組織によって記録するものというようなことになろうかと思います。
#170
○小澤(克)委員 法案の第二条の一項と二項を読めば「電子情報処理組織によって行う。」となっていますから、それに用いられる一種の記録装置だということはわかるのですけれども、一項だけぽんと見ますと、「登記ファイル」となっていますと、ファイルというのは要するにつづりでしょうから、現状の登記簿だって登記ファイルと言えなくはないわけです。基本的には磁気の記録装置であるとかあるいは光学的なものが最近はあるようですけれども、この辺何かもっと実態に即した、もう少し一読してわかるような表現ができないものなんでしょうか。「登記ファイル」と言うだけではどうも何のことかわからないわけです。現状のものだって登記ファイルと言えなくはないでしょうから、じゃこの法律は一体何を意味しているのかわからぬということになりませんでしょうか。いかがでしょう。
#171
○枇杷田政府委員 ただいまの御指摘、ごもっともでございまして、私どももこの法案の作成につきましては、何かもっと具体的にわかるような表現あるいは定義規定みたいなものが置けないだろうかということを工夫したわけでございますけれども、結局うまく書けない、正直のところ、そういうことで、一項と二項とで読み取っていただけるだろうということでこのような表現にさしていただいたわけでございます。
 なお、具体的に磁気ディスクとかその他の物品名といいますかそういうものを書くということも考えられましたけれども、先ほどの横山委員のお話にもございますように、磁気ディスクだけに限っていいものかどうかという点もございます。したがいまして、結果的には、先ほど申し上げましたように登記事項を記録するもの、そして二項とあわせてそれはコンピューター処理によってなされるそういうものなんだという程度でこの際はとどめておかざるを得ないということから、このような表現になったということを御了承いただきたいと思います。
#172
○小澤(克)委員 おっしゃることは私もよくわかるのですけれども、法律の言葉として何かぴんときませんので、せめて何か定義規定を設けたらどうかと思うのですね。確かに磁気記録だけに限定すれば、将来どんないい機械ができてくるかわかりません。既に光学式のディスクもありますし、ですからその辺は磁気記録に特定するのはまずいかと思いますけれども、何か工夫ができないものでしょうか。情報処理装置に用いられる記録装置として例示的に磁気記録装置であるとか光学式ディスクであるとか、何かそういう工夫をした方がいいんじゃないかという気がするのですけれども、まあこれはそういう意見を申し上げておきたいと思います。
 それからまたわからないのが「電子情報処理組織」という言葉ですけれども、これは要するにコンピューターシステムを翻訳したもの、こういうことなのでしょうか。
#173
○枇杷田政府委員 何分にもコンピューター関係の用語といいますものは、コンピューターが開発をされて世間で用いられるようになりましてから年数も少ないために一般用語として定着している言葉がなかなか見当たらないということで、法律で書きあらわす場合には困難を来すわけでございますが、この条文で書きあらわしております「電子情報処理組織」と申しますのは、これは英語で申しますとエレクトリック・データ・プロセッシング・システムというのの訳語でございまして、いわばコンピューターシステムによってやるんだ、要するにコンピューターシステムということの内容を意味するものでございまして、先ほどもちょっと申し上げました自動車登録の場合にもたしかこのような言葉を使っておったと思いますので、その例に倣ったということでございます。
#174
○小澤(克)委員 エレクトリック・データ・プロセッシング・システムですか、を直訳すればこういうことになるのでしょうが、システムというのを「組織」と訳すのはどうなんでしょうか。組織といいますと、我々の日本語の感覚では人的組織をむしろ意味しまして、ここで言うシステムズの場合はむしろ装置といいますかそういったもの、それに人的組織も含めてまさにシステムということだろうと思うのですけれども、電子情報処理装置、そう言った方が機械的な装置、機械をあらわすには何かぴったりくるんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。
#175
○枇杷田政府委員 確かに組織という言葉は、役所の組織とかいうようなことで機構的なものが組み合わさるとか人的なものが組み合わさるとかいうことで通常使われている言葉でございまして、コンピューターシステムという概念をあらわすのに一番適切な言葉であるかどうかについては疑問があろうかと思います。
 しかしながら、コンピューターの用語といたしますと、そのような形でも組織という訳語をかなり使っておるようでございますし、また現にもう十数年前につくられました自動車登録の関係での法文でも使っておりますので、そのようなものとして御理解いただく、らしい言葉だということでのみ込んでいただくより仕方がないのではないかというふうに考えております。
#176
○小澤(克)委員 私の日本語の感覚が古いのか、何かのみ込むのにのどにひっかかるようなところがあるのですけれども、これは用語の問題でございますので、これが定着すれば、それで一義的に意味が読んだ方にわかるということに多分なるんだろうと思います。
 そこで、私は機械のことはよくわからないのですが、登記ファイルに記録した場合に磁気記録装置に多分当面はなるだろうと思いますけれども、これはいわゆる加除訂正が全く痕跡を残さないでできるわけですね。現在の紙に記入する方式だと、書き間違いがあればそこは訂正をして訂正印を押すということで、訂正をしたということが後々にわかるわけです。ところが磁気的な記録装置だと、一たん前の記録を消しまして新しい記録を入れかえると全く痕跡を残さない訂正ができるわけですけれども、その辺はどうなるんですか、そういうことは認められるんでしょうか。
#177
○枇杷田政府委員 これはプログラムのつくり方の問題だろうと思います。痕跡を残さないような形で結果が打ち出されてくるというふうな仕組みのものもできますし、また抹消は現在と同じように抹消の登記をしてもとのところに斜線を引いて出てくるということもやり方としては可能でございます。現に板橋の出張所でのやり方はそういう痕跡もずっとたどっていくというやり方をとっておるわけでございまして、今後の本番でやる場合にどういう方式をとるかということは選択されるわけでございますが、技術的にはどちらも可能だろうと思います。
#178
○小澤(克)委員 抹消登記は単に消すんじゃなくて抹消登記という新たな登記ですから、前の登記がそのまま痕跡残さずに消されたんじゃたまらない話ですので、そういうことは恐らくお考えでなかろうと思いますけれども、加除訂正のようなケースですね、登記官吏が誤って何か書き込んで、字などが間違っていて、それは訂正印を押して訂正してあるという例もたしかあるかと思うのですけれども、こういうのが全く痕跡残さずにどんどん訂正できるということになりますと、場合によっては悪用されないかという心配がありますので、その辺をひとつ御配慮を願いたいと思うのです。
 それから細かい話ですが、現在のやり方ですと、抹消登記の場合は抹消登記の登記をした上で抹消部分について朱抹するということになっておりますね。これはどういうふうに記録してどう表現するのでしょうか、文字どおり赤で消すわけにはいかないのじゃないかと思うのですが。
#179
○枇杷田政府委員 抹消登記をした場合に、その抹消に係る登記の消し方でございますが、現在は一覧してわかるように朱で斜線を引くというやり方をとっております。しかしながら、コンピューターになりますと、それだけ朱であらわすということはできません。いずれにいたしましても打ち出した謄本などでどう表現するかという問題になるわけでございますけれども、また斜めに線を引くというのもコンピューター仕様としては不可能ではございませんけれどもやりにくいという面がございますので、いわばその文字の土とかあるいは積とかにボーダーライン的なものを引いて処理をするとかというふうな形で若干の修正はせざるを得ないことになろうかと思います。
#180
○小澤(克)委員 それからこの法案を見ますと、第四条で、この登記ファイルに記録され、そこからアウトプットされた書面をもって登記簿の謄本または抄本とみなすという規定になっているわけです。そうしますと、記録装置にある記録というのは、刑法百五十七条で言う公正証書原本に当たるわけなんでしょうか。
#181
○筧政府委員 この制度でいきました場合には、原本はあくまで従来からの登記簿というのが原本であるというふうに考えております。
#182
○小澤(克)委員 そうすると、原本はないけれども、そこからアウトプットされたものは謄本または抄本だと、まあこれはみなすということですから、そうじゃないけれどもみなす、こういう理解になって、原本はない。したがって、登記ファイルに不実のデータを打ち込んでも、これは公正証書原本不実記載罪にはならない、こういったことになるわけですね。当然そのもとになる登記簿がありますから、実際の適用ではそのもとになる登記簿に不実な記載をしたということになるわけでしょうけれども、その辺、一応もう一遍確認させてください。
#183
○筧政府委員 これはあくまでも刑法百五十七条、刑法の解釈としてお答え申し上げますが、あくまで登記簿謄本が原本であるということでございます。
 ただ、現実の問題としては登記簿に登載された事項がそのままファイルの方に行くということで、だれか第三者が不実の申請をして不実の記載をさせたという場合には両方に載るわけで、その場合は登記簿の方が原本不実記載罪の対象になると考えております。
#184
○小澤(克)委員 この法案では、第五条は将来的には電子情報処理組織を用いて登記を行うことを目指しておるわけですから、紙とインクによる登記簿は将来的には廃止していこうということだろうと思います。その段階では、これは公正証書原本だというふうにせざるを得なくなるでしょうね。現に自動車登録についてはこれが原本に当たるんだという判例があるということも聞いておりますが、いかがでしょう。
#185
○筧政府委員 将来、現在の登記簿がなくなりましていわゆる登記ファイル一本になりました場合の公正証書原本不実記載という罪の適用に関しましては、今小澤委員御指摘の自動車登録ファイルに関する最高裁の昭和五十八年の判例は、これを公正証書の原本というふうに理解しております。そのことから、将来できた登記ファイルが公正証書原本と認められるかどうか断定はできませんけれども、同じような内容の文書であり同じような形態であるといたしますれば、同様の解釈がなされる可能性は強いと考えております。
#186
○小澤(克)委員 それからまた将来の話になりますが、現在登記簿が不動産登記簿については縦書きになっておりまして、商業登記簿については横書きになっているわけですが、これは将来的には横書きなら横書きに統一するというお考えはありましょうか。
#187
○枇杷田政府委員 御指摘のように、ただいま不動産登記簿の方は縦書き、商業登記簿の方は横書きになっております。これをコンピューター化いたしました場合に、いわば登記簿原本に当たりますものは磁気ディスクその他のものになりまして、それ自体としては横書き縦書きの問題は全くないわけでありまして、結局打ち出されてくる謄抄本のようなものを横書きであらわすことにするか縦書きであらわすことにするかという問題になろうかと思います。
 先日ごらんいただきました板橋のパイロットシステムでは縦書きで打ち出しております。これを横書きにするということも十分考えられるわけでございますが、今まで縦書きということでかなりなれてきておりますし、また縦書きの方が表現しやすいというようなものもなくはないのでございますので、いずれがいいかというのはちょっと今決めかねておりますけれども、コンピューターで処理をいたしますと、ある日から横書きに切りかえようと思えば、それは打ち出し方の問題でございますので、そう困難なプログラムを必要としないでできるであろうというふうに考えておりますが、当面は縦書きのままでいって、少なくとも全国の登記所の半分以上のところがコンピューターによって出されるということになった時点でどちらがいいかというふうに考えたいと思います。
 と申しますのは、ごく一部のところだけが横書きで他のところが縦書きで出てまいりますと、国民の側としては何かちょっと奇異な感じがして、謄本の申請について疑いを持つということも考えられなくはないのでございますので、あるところまで進んだ段階で、なれの問題も含めて一般的に横書きか縦書きかという検討をしていくべき事柄ではないかというふうに考えております。
#188
○小澤(克)委員 それから、法案を見ますと、第三条は書面の交付を請求することができるということになっておりまして、現行の不動産登記法等の閲覧請求の点が全部落ちているわけです。これはどうしてなんでしょうか。技術的にはディスプレー装置に内容をずっと映し出すことは可能なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#189
○枇杷田政府委員 この法律案は、現在板橋でやっておりますように、並行処理期間中の仕組みでございます。したがいまして登記簿というものがまた別にあるわけでございます。その登記簿の謄本や抄本も請求ができるわけです。そしてまた、その登記簿の閲覧もできるわけでございます。それにつけ加えましてコンピューターでも簡単に打ち出されるというものがせっかくあるんだから、そちらの方の証明書もとれるというふうな仕組みをプラスしたわけでございます。実際上は登記簿謄本、抄本という形でなくてこのような証明書によって処理していきたいというふうには思いますけれども、理論的にはプラスしているものでございます。したがいまして、閲覧したいとおっしゃる場合には登記簿の閲覧が当然できるわけでございます。
 問題はむしろそういう並行処理でなくて、コンピューター化が完成しまして登記簿がなくなってしまった場合にどうするかという問題だろうと思います。この点につきましては、先ほどもほかの委員の方の御質問にもお答えしたわけでございますが、閲覧制度を残すか残さないかという問題がございます。厳密な意味での閲覧というのは、磁気ディスクにもし記録されたとしますと、その磁気ディスクそのものを見ても何もわからないわけでございますので、それが見えるような状態においてディスプレーする、ブラウン管に映し出すということで見ていただくようにするかどうかということでございます。ただ、そのような制度を設けますと、かなり端末などにも特殊な機械をつくらなければなりません。したがいまして、場合によっては閲覧の方が謄抄本の発給を求めるよりも高くつくというような現象も出てくるのではないかというような気もいたします。そういうことも含めまして、民事行政審議会などでも閲覧か閲覧にかわるようなものを残すかどうかということを検討していただいて、そして登記法の改正の時点では、その関係についての結論を出した法改正が必要になってこようかというふうに考えております。
#190
○小澤(克)委員 閲覧を認めるかどうかというのは、実は理論的なもの以上に実務にはかなり大きい影響があると思うのですね。現在の登記簿の編成は物的編成になっておりますので、ある人がどんな財産を持っているかということは調べられないわけですね。特定のものについては、どういう権利関係にあるのか、現在の権利関係だけでなくて過去の来歴に至るまで全部詳細にわかるわけですが、ある人がどういう財産を持っているかということは全然わからない。自治体に備えてあります課税台帳なども第三者には見せないということになっておりますので、例えば差し押さえをしたいとかいうようなときに、どういう財産があるかわからない。あるいは相続関係の争いのような場合に、遺留分減殺権の行使をしようとしても、相手が財産を隠してしまっていて、特に生前に処分してしまって何が何だかわからぬというような場合に、これは邪道かどうか知りませんけれども、大体見当をつけて特定の不動産の閲覧申請をする。そうすると、登記簿は編綴されておりまして、その分厚いのをぼんと貸していただけますので、その前後を調査して、ある人がどういう財産を持っているかというようなことを事実上調査できるという実態が現在あるわけです。これが全部できなくなるということになりますと、権利行使がかなり妨げられるということが実際問題としてあるのではないかというふうに考えるわけです。この辺について法務当局はどうお考えなんでしょうか。そもそも見当をつけて特定の不動産の閲覧申請をしておいて周りを調べるということ自体、あってはならないことだ、したがって今後ともそういった事実上の利益というのは保護する必要はない、こういうお考えなんでしょうか。
#191
○枇杷田政府委員 理屈を申し上げますと、現在でも閲覧というのは、不動産を特定していただいてその当該不動産の登記用紙だけを見ていただくという制度でございます。したがいまして、閲覧の手数料もその特定された不動産の数によってちょうだいをしておるということでございますので、そういう面では、ついでにごらんになるというのは手数料収入に御協力いただいてないということになるわけでございますが、それはそれといたしまして、確かにおっしゃるように現在の登記制度が物的編成になっておりまして内閣的なことが行われませんので、債権者が債務者の財産を調べるとかいう場合に御不便であるということは否定しがたいところで、その解決として事実上、一筆の閲覧申請をお出しになってその周辺のものを当たってごらんになるということが行われておることは私どもも承知しております。また、それが適法であるかどうかは問題といたしましても、実際上必要なこともあろうかということもわからないわけではございません。しかしながら、今度コンピューターになりますと、事実上のそういう便宜が失われるということは避けられないことでございますので、当たりをつけてというその当たりをたくさんつけなければいけないということに相なるわけで、その点は恐縮でございますが、また一方、コンピューターになりますと、実は所有名義人によってどういう不動産の権利を持っておるかということを検索して引き出すということも技術的にはできないわけではないわけでございます。
 ところが一方、債権者に便利であるということは逆に債務者にとっては不利益なことでございまして、そのようなことで各人ごとの財産調べ、それが今どれだけ財産を持っているかというばかりでなくて、場合によってはどういうところに抵当権を設定して幾ら借金をしているかということまでわかってしまうということでは困るという、それはプライバシーに当たるかどうかわかりませんけれども、そういうようなプライバシー的な意味での問題の提起もございますので、私どもとしては目下のところ、そういう人的な索引というようなことは考えておらないところでございますが、将来コンピューターになりますと、いろいろな面での情報の検索が可能になってまいりますので、ある一定限度では、そういうふうなことをつかまえることを法律レベルでも容認していいじゃないかというふうな声が高まってまいりますれば、それはそのように考える余地はあるのではないかと思っております。
#192
○小澤(克)委員 今のは、特定の人の、債務者なら債務者の財産を調べる便宜のことだったのですけれども、ほかにもこの種のことというのは、実は実際、実務上行われておりまして、例えば建物の謄本をとりたいときに、本来だったら地番及び家屋番号で特定して請求するのでしょうけれども、実際には今法務局では、所有者がわかれば、家屋番号まで特定しなくても閲覧させてもらえますし、また、謄本なども出していただけるというかなり弾力的な扱いになっておりますし、さらに家屋番号がわからないときは、地番だけ書きまして、その地番上の全部の家屋というふうな書き方でも出していただけるという状態があるわけですね。この辺につきましても、閲覧ができない、あるいは何せ機械が相手ですから、融通をきかすことができませんので、きちんと特定をして、マークシートで申し込まない限り出てこないということになりますと、不便を来すのではないかということですね。
 それからもう一つは、実は意外に多いのが、地番がわからないということがあるのです。住居表示しかわからない。それで、しようがないから住居表示でまず公図を見て、この辺の住居表示は大体何番地ぐらいになるのだろうということでまさに当たりをつけまして、それで閲覧申請をして、分厚い登記簿を見せてもらって、前後を見て目的を達するというようなことも現実に行われておりますので、そういったことがこの機械化によって、そういう事実上の利益というものが、これが適法かどうかということはともかくとしまして、奪われることになると非常に不便になってしまうのではないか。その辺を非常に危惧するわけです。そのあたりについて、将来全面的にコンピューター化されたときの手当てを何かお考えいただけないものかどうか。現在のお考えで結構ですから、お答え願いたいと思います。
#193
○枇杷田政府委員 所有者の名前で家屋を特定するというのは、先ほどの人的な検索の問題になりますので、先ほど申し上げましたとおりコンピューター化になりますと無理ではないかと思います。しかしながら、家屋番号がわかれば検索ができるわけでございまして、その家屋番号は敷地番と同一の番号を振ることにしております。したがいまして、敷地番がわかればわかるわけでございますが、ただ敷地番も、法律的には数筆に分かれていて枝番がついているのだけれども、申請人の方はその親番だけしか御存じにならないというようなケースもあるわけでございます。そういう場合には、親番に当たるようなものがたくさんあった場合にはちょっと問題でございますけれども、その数筆の分を当たってごらんになればわからないでもないだろうと思います。そのような検索について、将来、法務局の窓口として、自分のところに持っているディスプレーで何か御相談に応ずるというふうな体制をつくるかどうかという問題は今後あろうと思いますが、仕組みとしては、正式な閲覧という形でございますと、やはりその枝番をつけながら、一つ一つ謄本申請なりをしていただかなければならぬということになろうと思います。
 もう一つ、その敷地番自体がわからないという問題、住居表示はわかるけれども敷地番がわからないというケースが現在非常に多うございまして、窓口でも混乱をし、申請人にも御不便をおかけしているところでございます。これは何とか解決しなければいけないということで、板橋のパイロットシステムにおきましても、住居表示から不動産を特定してやれるように、謄抄本の請求ができるようにというシステムを採用いたしまして、それで稼働いたしております。それは大変好評のようでございますので、今後本番でやる場合にも、その住居表示から地番が検索できるという仕組みはぜひ採用して、全国どこでもそのような状態にする必要があるであろうというふうに考えております。
#194
○小澤(克)委員 それで、先ほどの財産調べの問題に戻るのですけれども、ある人がどういう財産を持っているかというのはまさにプライバシーの問題なのかどうか。これはかなり基本的に検討の必要のある事柄だろうと思うのです。プライバシーという面から見ますと、例えばある特定の不動産について、登記簿を見れば、これはもう故事来歴全部出ているわけですから、いつだれから差し押さえを食ったとか、税務署から差し押さえられたとか、それから裁判所の予告登記があれば、いっどんな争いがあったとか、さらには、例えば財産分与を登記原因とする所有権移転登記などあれば、この人は離婚したんだなというようなことまで、それこそプライバシーどころでないんですね。すべてわかってしまうわけです。
 その一方で、債権者が正当な権利を行使しようと思うのだけれども、債務者の財産がわからない、こういうのはプライバシーとして保護をされるほどのものなのかどうか。特に不動産は、家はともかくとしまして、土地についてはすべて国土ですから、それを切り刻んで特定の人が所有する。近代的な所有権というのは、使用、収益、処分のすべての全面的な権利を持つということですけれども、これも現在ではそのことが当然のように考えられておりますが、歴史的に見て近代社会以後の事柄でして、こういったことが絶対的なものとも思えませんし、ましてそれがプライバシーとして保護されなければならない、だれがどれだけ国土の一部を占めているかということについて秘密が守られなければならないというのもどうもぴんとこないところがあるわけですね。
 他方、行政庁の方は、先ほど言いました課税台帳などで、これは人的に編成しまして全部握っておられるわけです。その辺を考えますと、今後こういう不動産を公示する制度において人的編成といいますか、そういう要素を加味していくことも十分考えられるのではないか。特に私、これは細かくは知りませんが、同じく物的編成主義をとるドイツ、それからスイスでも、同一所有者に属する二つ以上の土地を一括して一個の登記用紙に登記することを認めている、人的編成主義を加味したというようなことが行われているのだそうでございます。そうしますと、先ほど民事局長がおっしゃったように、コンピューター化すればこれはまさに記載の順序に限らず、ある人のものについてのみピックアップして打ち出すというようなことが技術的に極めて容易になるわけですので、そういったことも十分考えられるのではないかと思うわけです。
 この点につきましては、今のところその辺に対する考え方というのがはっきりしていないままに、先ほど言いましたように登記簿が幸か不幸か多数のものが一つのつづりに編綴されているのを利用しまして、当たりをつけて申請しておいて調査をするということが事実上行われている。実務の方が何か実際の必要性を、基本的な考え方をあいまいにしたままで満たしているという実態があるわけですから、ここでコンピューター導入を一つの機会として、今言ったような、ある人の財産がどういったものかを第三者がわかるような仕組みというものも十分考えられるのではないか、その辺ぜひ御検討いただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#195
○枇杷田政府委員 不動産登記の場合には、その登記簿に記載されていることが公開をされるということがむしろ生命でございまして、公開をされているからこそ民法の百七十七条の対抗要件といいますか、対抗力を与えてもいいという基礎がそこから出てくるものだろうと思います。したがいまして、公開が生命でございますので、そこでプライバシーなどというふうな問題は生ずることはないというのも、私はそのとおり考えます。
 ただ、現在物的編成でございますので、ある不動産についての権利関係がどうなっているかということを公開していくというのが登記制度の目的なんだ、それを超えて、ある人がどんな財産を持っているかということを、いわば個人の財産調べ的な意味での情報を公開するのは登記制度ではないんだ、またそのような形で情報が公開されるということになりますと、個々の不動産についての権利関係とはまた別の意味がそこに出てくるのではないか。そこら辺がプライバシーの問題がどうか知りませんけれども、それはやたらに公開されるということのないように保護されるべきものではないかという議論があるわけでございます。
 その点につきましては、まだそんなに学者や何かでも大きな議論を呼んでおりませんけれども、賛成の立場、反対の立場、いろいろあるだろうと思います。殊に先ほど申し上げましたけれども、債権者の立場と債務者の立場とではまた違ってまいります。したがいまして、この問題をどう選択するかということは将来の問題だろうと思います。現在は、少なくとも登記制度というのは物的編成であって、個々の不動産の権利関係を情報公開していくんだという制度でございますので、これからコンピューターの進め方といたしますと、現在の考え方をベースにして計画を進めていきたい。そして世論的に、人的にも情報がつかまえられるようにする方がいいのだというようなこと、それがむしろ当然だというふうな声になってまいりました場合には、これはコンピューター内での情報の検索の問題でございますので、若干のシステムをまたつけ加えなければならぬかもしれませんが、基本はどのようにでもデータは処理できるはずのものでございますから、その時点でそのような方途を考えるということを私どももはなから否定するものではございませんが、当初の出発は現在のままで出発をせざるを得ないのではないかと思っております。
#196
○小澤(克)委員 おっしゃるとおり、登記制度そのものとはまた別の要素のことだろうと思います。私もそう思いますが、実際には非常に密接な関係が生じてくる。特に、コンピューター化すればある人の物件のみ、人的にのみピックアップしてデータを打ち出すということは技術的には非常に簡単になってくるだろうと思いますので、このコンピューター化を機会に、ひとつ個人の資産についてどう――方では知る権利があり、他方ではそれを秘匿する権利があるのかということ、これは重要な問題だと思うのですね。例えば政治家の資産公開などの問題もいわば全部その中に含まれてしまうわけでございまして、重要な側面も持つかと思うのですけれども、ひとつ私もどうすればいいのかという考えははっきりあるわけではございませんが、法務当局としてもぜひ御検討願いたいと思うわけです。
 きょうは大臣には質問の通告をしておりませんので質問は差し控えますが、要望として今言った特定の人の資産について国民はといいますか、第三者はどこまで知る権利があるのか、一方その当該の人にとってどこまで秘匿する権利があるのか、重大な問題だろうと思いますので、ぜひ御検討を願いたいと要望をいたしたいと思います。
 大分時間が余ってしまいましたが、私はこれで終わります。
    ―――――――――――――
#197
○片岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 法務行政に関する件調査のため、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#198
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選、日時につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#199
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 次回は、来る四月二日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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