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1984/04/02 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第10号
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1984/04/02 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第10号

#1
第102回国会 法務委員会 第10号
昭和六十年四月二日(火曜日)
    午前十時三分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 横山 利秋君
   理事 岡本 富夫君 理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      衛藤征士郎君    玉置 和郎君
      宮崎 茂一君    小澤 克介君
      中村  巖君    橋本 文彦君
      伊藤 昌弘君    柴田 睦夫君
      林  百郎君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
 委員外の出席者
        参考人
        (ファコム・ハイ
        タック株式会社
        取締役兼ファコ
        ム本部システム
        統括部長)   植村 満夫君
        参考人
        (社団法人日本
        マイクロ写真協
        会理事)    秋山  茂君
        参考人
        (社団法人日本
        電子工業振興協
        会専務理事)  吉岡  忠君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化
 のための措置等に関する法律案(内閣提出第二
 〇号)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人としてファコム・ハイタック株式会社取締役兼ファコム本部システム統括部長植村満夫君、社団法人日本マイクロ写真協会理事秋山茂君、社団法人日本電子工業振興協会専務理事吉岡忠君、以上三名の方々に御出席をいただいております。
 参考人各位には、御多用中のところ、本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。本案につきまして、参考人各位には、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 次に、議事の順序について申し上げます。御意見の開陳は、植村参考人、秋山参考人、吉岡参考人の順序で、お一人十五分以内に取りまとめてお述べいただき、次に、委員からの質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。
 それでは、植村参考人にお願いいたします。
#3
○植村参考人 植村でございます。
 私は、ファコム・ハイタック株式会社に勤務しておりまして、この法務省さんの法務事務のコンピューター処理システムに関しまして、法務省さんの委託を受けて開発に関与してまいったわけでございます。約十年来この開発に着手してまいりまして、その間多くの試行錯誤を繰り返しながらパイロットシステムの完成を見たわけでございますが、その経験を踏まえまして、登記事務処理のコンピューター化について技術的な側面から意見を述べさせていただきたいと思います。
 本システムにおける技術的な問題のまず第一に克服しなければならない問題というのは、漢字をコンピューターでどのように扱うかということでございます。
 この登記処理システムの研究が始まりました当初は、コンピューターの世界では、数字、アルファベット、それと片仮名というだけの世界でございまして、数字、アルファベット、片仮名だけでございますと、約百種類くらいの文字をコンピューターが認識すればいいというわけでございますが、漢字の世界になりますと、少なくとも一万字を取り扱うという必要が出てまいります。したがいまして、この二つの世界の間には技術的に大きなギャップが存在しておったわけでございます。
 さらに、その漢字処理の問題ということの技術的な側面というのも三つに分けて考えることができます。
 まず一つは、コンピューターから漢字をどうやって出力するか、つまり印刷技術の問題でございます。では、当時はそういうことができなかったかといいますと、一部特殊な分野で漢字の出力ということが試みられておりました。ただ、この時点では大変コストの高いものでございまして、普及までにはまだ時間を要する、しかしながら技術の可能性は十分あるというふうに思われておりました。先生方も御存じのように、今日ではいわゆるレーザービームの技術と写真の技術とが組み合わさりまして、マイクロコンピューターにおいても非常に鮮明度の高い印刷装置がローコストで実現できておるわけでございます。したがいまして、出力ということについてはそういう見通しを持っておったわけでございます。
 今度はもう一つの入力の問題でございまして、入力ということになりますといろいろ問題がございました。しかもこの不動産登記システムにおきましては漢字入力ということが非常に重要な問題であったわけであります。不動産登記情報システムというのは、かいつまんで言いますと登記簿を磁気ファイルにおさめておきまして、謄本の申請があった場合にその磁気ファイルから即時に登記事項を紙に打ち出す、そしてこれを認証して交付するということが一つの目的でございますから、そうしますと登記申請があるたびに何らかの方法でこの登記の内容をコンピューターに入力する必要があるということになるわけでございまして、この入力作業ということがやはり現在の登記簿への記入作業にも当たるわけですが、これが登記所における最も作業として負担の大きなものというふうに見られております。
 そういうことでございますので、当初いろいろなことを考えまして、それじゃまずこの記入作業をなくしたらどうかということを考えてみました。つまり登記申請書を直接コンピューターに読み取らせたらどうだろうかということでございます。こういう機械にOCR、光学的文字読み取り装置というものがございまして、当時でも英文字とか仮名の世界では手書きのものが可能な技術に到達しておりました。その延長線上でどうかということをまず検討したわけでございます。
 先ほども申し上げましたように、漢字の世界となりますと、一万種類の識別をするということでございますので、これだけの能力を持った機械を、窓口に置くようなローコストなものにするということには、かなり困難が見受けられるだろうという見通してございました。したがって、これについてはちょっと困難であるということで、次に考えましたのは、それでは申請書自体に工夫を凝らしたらどうだろうかということでございまして、特殊な装置を使いまして申請書を作成して、これを直接コンピューターに読ませるということを考えたわけでございまして、例えばバーコードというのがございまして、こういうものを漢字の下に打つようなことを考えてみたわけでございます。これを実際に実験してみまして、技術的には十分いけるという結論を得たのでございますが、この方式では、しかしながら登記申請をする人々に負担を強いるということになるので、時期尚早であろうというのが結論でございました。
 その次に着目しましたのは、ワードプロセッサーの応用でございます。昭和五十四年ごろからワードプロセッサーというのが、まず日本語の文章をディスプレーを用いまして編集するという単独の機能のマシンとして世の中に出てまいりましたが、このワードプロセッサーの世界で漢字入力の方式についてのいろいろ提案がなされているというか、アイデアが出てきたわけでございます。例えば仮名漢字変換で漢字をつくり出すとかタッチパネルを用いるとかいろいろな方法が出てまいりました。やがて、ワードプロセッサーで提案された方式というのがコンピューターの端末装置の中にも取り入れられるというような状況になってまいりました。このシステムを検討している過程で、このワードプロセッサーのよさを十分取り入れて、なおかつ、登記所事務に即した機能を盛り込ませるというようなことを検討しまして、現在のパイロットシステムで実現しております記入端末ですとか移行データ作成端末の形で実現しておるわけでございまして、漢字入力の問題は、したがいまして、このワードプロセッサーの登場によってある種の見通しを得たわけでございますが、現在の端末は、そういう意味で、ワードプロセッサーのよさと登記事務に即した機能を盛り込んだ一つの知性度の高い端末装置にできているのではないかというふうに考えております。
 それから三つ目は、では、コンピューターの中で漢字がどう処理されるかという問題でございまして、これは主としてソフトウエアの問題でございまして、日本語をどうとらえるかということが非常に問題でございます。つまり今までにつくられてきた既存のソフトウェア体系の中にどう整合させるかということが問題でございますが、しかしながら我が国のコンピューターメーカーはこれを率先して取り組んでおりますので、そういう意味では、これは時間が解決するという見通しを持っておったわけでございます。
 以上が漢字にまつわる問題でございますが、次に大きな問題は、全国で二億七千万から八千万筆に上る登記簿をどうやって格納するか、ファイルの問題でございました。この登記簿の数は、文字数にいたしますと、約二千億文字ということになります。これだけの大量の情報を取り扱うシステムというのは恐らくほかに例がないのではないかと思われます。したがって、登記簿を格納する媒体をどういうものにしたらいいかという選択の問題というのが次の問題であったわけでございます。
 例えばこの二千億文字ということを、それでは磁気テープ装置に置きかえたらどうなるかということをちなみに換算してみますと、五十年当時の最新の技術で考えましても、一台の装置が収容できるのが二百メガバイト、つまり二百万文字でございます。ですから、これを単純に割り算しましても、装置台数では約一方から一万五千台が必要であろうという計算ができます。これを一カ所に集めるということは大変難しい問題をはらんでいるということでございまして、したがいまして、このファイルをおさめる媒体として、磁気ディスクのほかに、例えばテープ形式のファイルを集めたような大容量の記憶装置というようなこともその当時では出ておりましたし、マイクロフィッシュといったような装置の問題も比較検討してまいったわけでございます。
 ただ、不動産登記システムが要求していますいろいろな要求条件があるわけですが、読み取り速度とかそれからファイルに追加記入ができるというようなことが、非常に本質的な問題なわけですが、この本質にかかわる点で、大容量記憶装置とかマイクロフィルムには難点があるということでございまして、全体の量ということの問題を残しながらも、しかしながら、登記簿ファイルの媒体としては磁気ディスクを選択した、こういう経緯があるわけでございます。
 これは恐らく、本番実施までの間に、磁気媒体の記録密度が向上ができるだろうという判断が働いておって、この決断をしたわけでございますが、結果的には磁気ディスクの技術進歩は期待どおりのものがございまして、先ほどの例と比較しますと、今日では一台当たり二千五百メガバイトの装置が現実に実現しております。そういう意味では、単純な比較で、十二倍の情報格納能力がこの十年間でできたということになるわけでございます。そういうことで、登記簿ファイルを磁気ディスク上に置くということを決断したことによりまして、ほぼこの不動産登記システムの基本方式が固まったということになるのではないかと思います。
 そこで、いよいよ問題になりますのは、コンピューターの本体の問題でございます。すなわち、CPUといいますか心臓部分の能力の問題といっていいかと思いますが、この不動産登記情報システムでは、例えば登記申請優先順位の厳密な管理ですとか、文章解析による登記内容の誤りチェックですとか、登記事項間の権利関係の関連づけ、こういったほかのコンピューター処理システムとはちょっと趣を異にする複雑な論理処理を必要としております。したがって、当初の見積もりでも、最大級のコンピューターが必要だろうというふうに考えられておったわけです。ですので、当時の案では、中央に一カ所あるいは数カ所にコンピューターを置いて、そこに登記簿ファイルを集中的に置く、そうして、各登記所には端末を配置して、通信回線で結ぶという方式が考えられておりました。
 ただ、この方式の欠点といいますのは、通信回線やあるいはコンピューターセンターに障害が起きた場合に、登記事務が全国的に麻痺するというような影響がございます。そういう危険性を持っておりますので、この欠点をどう克服するかということが一つの課題としては残っておったわけでございます。
 そういうことでございますので、パイロットシステムのソフトウエアをいよいよ開発しようという段階になりまして、このソフトウエアの開発に課せられた課題というのが、いかにしてコンピューターの処理能力を、CPUの能力が少なくて済むプログラム構造をつくるかということが一つの命題であったわけでございます。プログラムで一番苦労しますのは、先ほどもちょっと触れましたが、登記事項の内容解析を行い、登記の関連づけを自動的に行うということでありまして、これが大事な命題でございます。これは人間にとっては何ら難しいことではないのですが、コンピューターというのはこういうところが一番苦手な事項なわけです。これをプログラム論理だけで実現しようとしますと天文学的な大きさになってしまって解決の見通しがないということでございます。
 そこで、どうしたかと申しますと、登記簿のファイルのつくり方を工夫いたしまして、その工夫とプログラム論理との組み合わせで実現したわけでございますが、ここのところが、このシステムをつくっていく上での一つのノーハウであったかと思っております。ただ、こういう登記簿ファイルをつくるつくり方を工夫したということで、データベースが非常に複雑なものになったという結果がございますが、いずれにしましても、そういうことでCPUの能力の問題を鋭意解決してきたという経緯があるわけでございます。
 そういうようなことでこのパイロットシステムを約一年間実際の場でやってきたわけでございますが、実際にパイロットシステムを実運用したという経験から得られました知見をもとに、改めてCPU問題を考えてみますと、現在のCPUの能力の進み方から見ますと、当初は中央集中で大きなものをと考えておりましたけれども、現在では、登記所の中に設置できる程度の大きさのコンピューターで十分処理が可能であるという見通しを得ております。こういう見通しを得たということで、したがいまして、先ほど触れました集中化方式における欠点ということも回避できますし、例えば登記簿ファイルのコピーということを離れた場所で管理するというような保護方式といいますか保全方式が可能になってまいりますので、実現性が非常に高くなってきたと思っております。
 以上のような技術的な検討の経過とパイロットシステムでの実験結果から、現在のシステムが不動産登記情報システムの実現方式としては適切なものではないかというふうに判断しております。開発に関与した立場でございますので、いささか手前みそに聞こえるかもしれませんが、そういうような判断の上に立っております。また、一般的には、システムというのは常に将来性とか拡張性を備えていなければいけないわけですが、その点においても十分な配慮がなされていると思っておるわけでございます。
 最後に触れさせていただきますと、このシステムの特徴は、登記事項の論理的な関連づけをプログラムの世界で実現するということでございまして、いわば自然文の解釈にやや近い内容を含んでおります。自由形式な自然文の解釈ということについては第五世代等で研究が進んでおるわけでございますが、非常に問題とか領域を閉じた形での文章解析ということについてのある一つの知見を得たのではないかというふうに技術者個人としては考えておりまして、今後のこのシステムの発展というのが技術的な立場からは大変楽しみの多いシステムと個人的には考えておるわけでございます。
 以上をもちまして、開発に関与した者の技術的な側面からのこのシステムに対する意見ということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#4
○片岡委員長 ありがとうございました。
 次に、秋山参考人にお願いいたします。
#5
○秋山参考人 秋山でございます。
 本当に偶然のことなんですが、昨夜、ドイツから帰りました友人に会う機会がありました。ノルトライン・ウェストファーレン州というところから帰ってまいりましたが、向こうではちょうど一月一日に法律改正がありまして、日本で言いますと郡の段階の登記事務が、もう少し下の印とか村という段階に細分化されて、住民サービスを徹底させよう、こういうふうな法律改正があったのだそうです。それの実務的な対応として、固定的な情報はマイクロフィルムで、それから変動的なものについてはコンピューターで、こういうようなシステムが今開発をされておりまして実行の段階に入っているというふうなことを伺いまして、日本もドイツも同じようなことがあるものだという印象を受けたわけです。これも法律的には伝間でございまして又聞きですから、また別な機会に確たる資料がありましたならば御紹介する機会があろうかと思います。
 きょう私は、三つほどの点をお話ししたいと思います。その前に、私はただいまの植村さんと違いまして、このパイロットシステムなどというものも実はよく知りませんで、オフィシャルにいただきました資料をもとに私の所感を申し上げたい、こういうふうに思います。
 まず第一点なんですが、これは日常的な業務の中でシステムが移行していくためのいろいろな問題点があるだろう、そういったことについて申し上げます。
 それから第二点は、システムの根幹に触れる部分で、マイクロフィルムというものをもっと使った方が、システムをより豊かな、より人間的なものにするためによいのではないだろうかという点が二点目。
 それから三点目には、これまでマイクロフィルムというものは、地方公共団体その他の分野で大変大きな経験をしておりまして、そのすぐれた経験というものを踏み台にしまして、こういった登記事務の新しいシステムというものに何らかの形で補完的な問題提起ができないだろうか、地方の主にマイクロ化の経験、こういうことを少しお話をして、参考にしていただければ、こう思います。
 まず第一点ですが、今植村さんが開発の経過をお話しになりましたが、このパイロットシステムということによりますと、この背景となっておりますのは、私が見る限り、登記所におきます事務というのは、地方公共団体にも類似したような事務がありますが、やはりその件数が非常に飛躍的にふえている。この資料によりましても、約四・六六倍ということですから大変なふえようなのですが、これに伴う書類というものもまた膨大な量がふえているだろう。したがって、この膨大な量の書類のバリケードの中で登記所の職員は仕事を強いられている。そして、書庫に登記簿を取りにいく、こういう作業も大変厄介な作業になっているだろうと思うのです。こういう問題が一つ背景としてあるだろうと思います。
 まず第一に、具体的に移行していく場合の一つの問題点ですが、日常、職員が登記簿その他の附属書類を常に謄抄本の発行事務の中で使っているわけです。その使っている過程の中で現実にコンピューターの登記簿のファイルをつくっていく、こういう問題があるわけで、ここではやはりその入力の方法をもうちょっと工夫してみる必要があるのではないだろうか。本案に示されておりますコンピューター処理によります一字一字を入力するという登記ファイルの入力の仕方では、登記所の職員の膨大な、経常的な煩雑な事務処理に支障を来すのではないだろうか、こんなようなことをちょっと感じました。また、コスト的にもかなり高いものにつくのではないだろうか、この点も幾らか問題になるのではないでしょうか。したがいまして、この移行の方法に関しましては、情報を面でとらえる、転記に誤りのないようなそういうマイクロフィルムを介在させた方が日常業務も阻害せずかつ安価にできるのではないだろうか、こんなふうに私は考えているわけです。植村さんの立場と違いまして、私は割と無責任なあるいは一般的なお話になってしまって大変恐縮なんですが、この点が第一点です。
 それから、第二点に幾らか根幹の問題に触れることになるわけです。
 パイロットシステムに関する本が出されておりますが、この本の中にも指摘をしておりますが、将来の問題としては、コンピューターとマイクロフィルムというものをもっと有効にドッキングさせ、あるいは連動させ、併用させながらシステムを構成した方が将来性があるのではないかというようなことをこの本の中でも指摘をしております。この点をひとつ十分御検討いただく必要があるのではないかと思うのですが、御存じのとおりコンピューターは、特にその能力から言いますと、高速性とかあるいは論理性、即時性、こういう面で大変な能力があるわけで、一方マイクロフィルムは、経済性とかあるいは融通性、それから縮小性、こういう点に大変大きな特徴があります。この二つの、お互いの持っております長所というものを生かした形で一つのシステムを構成する、こういうことがこの登記事務の中にも考えられていいのではないだろうか、こんなふうに思います。
 それから、短い時間ですので、このマイクロフィルムシステムそのものの特徴というふうなことにも触れながら、特に地方公共団体の実情から学ぶべき点が大変多いということを少しお話をしてみたいと思うのです。
 官公庁におけるマイクロ化は、既に中央の省庁を初め地方公共団体でいろいろな形で進められております。法務省が昭和二十八年に、戦災で消滅した戸籍及び除籍副本の再製をマイクロフィルムで行ったことは周知のとおりです。その後、除籍原本のマイクロ化及びマイクロからの謄抄本の交付ということが認められまして、さらにマイクロ化後の除籍原本は、除籍後五年を経過したものについて監督局の許可によって廃棄することが認められてきたわけです。また、二十五年経過戸籍のマイクロ化も進められております。こういうわけで戸籍事務の分野では、法務省はもちろん、市町村でもマイクロフィルムの恩恵というものを大変受けている、こういうことが言えます。
 また、地方公共団体などでは、今日この登記事務に類似をいたしました業務として、税務事務で、旧土地台帳、土地表示登記済通知書、土地課税台帳、家屋課税台帳といったようなもののマイクロ化が既に進められております。その他、住民基本台帳でありますとか、あるいはただいま申し上げました戸籍でのさまざまな事務の中で、マイクロフィルムそれからCOMというふうなものが採用されております。
 COMというのはちょっと注釈を加えておきますが、コンピューターがマイクロフィルムをつくると言うとちょっと言い過ぎなんですが、コンピューターの磁気テープから通常はラインプリンターを経て皆さんが紙で情報を読むわけですが、このラインプリンターで紙をとるという工程を省きまして、磁気テープからそのままマイクロフィルムをとってしまう、そこにCOMという装置を介在させるわけです。これがコンピューター・アウトプット・マイクロフィルム、略してCOMというものです。こういったCOMというものが今地方公共団体では、例えば土地、家屋の課税証明というふうな分野で大変広く応用されております。この土地、家屋に関する課税証明といいますものは、コンピューターからの磁気テープをマイクロフィルムに移行いたしまして、このマイクロフィルムをリーダープリンターで読んで、必要な箇所は紙コピーをとる、そしてその上に即市長印を押して、それを証明書に代行してしまう、こういうふうな仕組みでして、これまでの、簿冊をわざわざ遠い書庫に行って証明事務を行う、そういうふうな時代の事務とは隔世の感があるというふうに採用された方は口をそろえて言っております。
 地方公共団体の実際にお使いになっている方々がどういう点でマイクロがよかったかということをいろいろな調査の中で調べてみますと、これは地方財政調査会という組織の資料によりますと、一番目が「長期保存の安定性が図れる」、こういうことです。それから二番目に「文書保存面積の縮小」ということ。三番目に「記録、転記作業の迅速効率化」ということがメリット。四番目には「複写閲覧に活用し、市民サービスの向上につながる」、こういう四つが地方公共団体の実際にマイク目化を進めている方々の飛び抜けて多い御意見なんです。
 これに加えまして、情報の検索のスピードアップというものもそこそこの順位に挙がっておりますが、これまでの地方公共団体の実情から見ますと、情報検索という面でまだ若干問題が残されているように思われます。これはこのアンケート調査にも出てくることなんですが、市町村の戸籍の業務で今申し上げましたようにマイクロ化ということがかなり普及しているのですが、一方、原本で扱った方が便利であるとか、マイクロフィルムをちょっと扱いなれないというふうな向きもまだありまして、この辺は幾らか問題点があるんではないだろうかというふうに思います。いずれにいたしましても、地方公共団体ではさまざまな業務の中でマイクロ化というものが進められております。
 今、ちょっと具体的に、本法案の議論をするに当たりまして、幾らか参考になるだろうと思われるような応用事例についてお話をしてみたいと思うのです。
 横浜市などで昭和三十九年から現在までに、既に二万本以上のマイクロ化が進められておりますが、これは主に文書規程によりまして十年以上のものをマイクロフィルムに保存をするということになっておりますので、どちらかというと保存本位のマイクロフィルムの仕組みだったわけですが、昨年から公害対策事務局、公害関係のセクションが条例に基づく公害の固定発生源情報、これは申請書の形で出てくるわけですが、公害の発生源が施設を変更したり新設をしたりするたびに申請書を出して、そして市並びに県、普通は県ですが、県が条例でこれを許可する、こういう事務ですが、この事務の中でマイクロ化ということを進めることを今実際にやっております。これは私たちの言葉でCARシステムと呼びます。これはコンピューター・アシステッド・リトリーバル、その頭文字をとりましてCARということです。コンピューターの支援を受けた情報検索システム、こういうことになります。
 このCARシステムの特徴は、これまでは情報の検索についていろいろな台帳を中心に文書を取り出すという形が普通の業務の形ですが、これを一次情報は全部マイクロフィルムでとってしまう、こういうことになります。特に公害関係の条例に基づく申請書というのは、全部図面とか、技術資料でも設計図とかそういうふうなものが添付されておりますので、そういう意味合いもあって一次情報は全部マイクロフィルムにする、そして検索の方はコンピューターでこれを行う。これはオンラインでできておりまして、端末でキーをたたくだけで最終的にはマイクロフィルムのナンバーが出てまいりまして、そこからは手作業でカートリッジを取り出しましてリーダープリンターにかける。リーダープリンターといいますのは、先ほど申し上げましたが、テレビのスクリーン上にマイクロフィルムのイメージが出てまいりまして、必要なものはボタンを押すとすぐ紙が出てくる、こういうふうな装置です。この装置に若干検索の機能を持たせたものが今出てきております。そんなわけで、横浜市はこれまでの保存本位のマイクロフィルムをもっと現実の事務に活用しようということでCARシステムといったようなものをつくり出していったわけです。
 神奈川県も同じようなシステムがあります。これは公害に関する固定発生源情報をマイクロフィッシュというふうな一つのマイクロフィルムの形におさめまして、今まではロッカーで八十本廊下にずっと並んでいたそうですが、これですと何か公害の事件が発生したということにもなかなか緊急の対応ができない。例えばある会社が公害事件を起こしたということになりますと、その会社が施設をいろいろ変更したということは、それが何年であるかということがわかりませんとなかなか出てこない。つまり年度ごとにキャビネットの中に全部申請書というものが入っているわけです。これでは事務がやりにくいということで、一企業一フィッシュという形にしまして、一方で検索の方はコンピューター機能を持たせましたカードセレクターというふうなものを採用いたします。そういたしますと、一例を挙げますと、例えば多摩川のどこかで魚が浮いたということになりますと、その魚の浮いた地点の一キロ四方なら一キロ四方あるいは十キロ四方なら十キロ四方の中に自動車メッキ工場がどのくらいあるかということは、このコンピューター機能を持ったカードセレクターによって簡単に出てくるわけです。そして、最終的にはマイクロフィッシュナンバーの幾つと幾つである、こういうことでマイクロフィッシュを取り出して、コピーをとって、そして現地に行く、こういうようなことをやっているわけです。これなどはまさに緊急時の対応ということにコンピューター機能とマイクロフィルムが連動して効果的な役割を果たすというシステムであるわけです。
 そんなことで、地方公共団体は今日ではコンピューターと連動したマイクロフィルムの活用ということをかなりの領域で進めております。そのほか、所沢でありますとか郡山でありますとか、そういうようなところでは、このコンピューターの機能をかりたマイクロフィルムのシステムがいわゆるCARシステムという形で取り入れられております。所沢の場合は、資産税の証明書発行事務という分野にCARシステムが採用されております。
 この詳しいお話は時間がありませんので、このCARシステムによってどういうことがメリットとしてもたらされたか、こういうことだけをちょっとお話ししてみたいと思います。
 まず第一番目に、このマイクロフィルムシステムを導入した結果、台帳のマイクロ化による収納ベースが確保でき、事務室の作業環境が大幅に改害された。第二番目に、窓口の職員は一件の証明書発行に約三十五メートル歩き、毎日十六件以上の証明書の発行をしていたわけですが、しかし、このシステムの導入によって窓口職員はいすに座ったまま、CRTのディスプレーとIMT150、これは商品名ですが、要するにリーダープリンターと検索機能を備えた装置であります、この装置の操作ができて重労働から解放された。それから、窓口での証明書発行に以前では三分もかかっていたが、現在では二十秒へとスピードアップされて、さらにミスもなくなったので住民から大変喜ばれている、こういうようなことがメリットとして挙げられています。
 以上、地方公共団体の経験から学ぶべき点を若干述べました。
 この地方公共団体の今後のマイクロ化の状況を見ますと、こういうコンピューターとの連動の方向ということが非常にはっきりと出てきております。きょうはこの点と、さらにマイクロフィルムの法律問題について若干お話ししてみたいと思うのです。
 地方公共団体並びに中央の官庁がマイクロ化を進めるに当たってどういうことが問題点にあるのかということの一つに、非常に大きな問題としてマイクロフィルムの証拠能力ということがいつも挙げられます。これは今から二十年前あるいは三十年前にマイクロフィルムを導入された自治体でも繰り返し繰り返しこういう問題が議論になります。古くして新しい問題でもあるわけです。このマイクロフィルムの証拠能力のことにつきましては、公式見解が昭和三十四年ごろから出ておりますが、幾らか玉虫色的なものでして、いいとも思えるし悪いとも思えるというふうなことでかなりあいまいなものであります。しかし、現実に地方公共団体などが、マイクロ化がどんどん進んでおりまして、原本を廃棄しているというふうな事態が神奈川県などで進められております。どんどん起きておるわけです。そうしますと、訴訟、つまり横浜地裁などではそのマイクロフィルムを使った裁判がかなりの件数出ております。そこで裁判官がどういう判断をするかというと、別にマイクロフィルムがあったとかなかったとか、あるいはマイクロフィルムを正写したとかどうとかいうことではなくて、マイクロフィルムからコピーをとったこの紙も公文書である、こういうふうな判断を通常は下しています。したがって、証拠能力があるんだ、こういうことで特別にマイクロフィルムを差別するということはこういった裁判所では見受けられません。
 それから戸籍事務などで御説明いたしましたように、事実上原本としての役割を果たすような分野が非常にふえているわけです。したがいまして、マイクロフィルムがどんどんひとり歩きをしてしまっている。法律というのはいつもそうなんですが、これもある程度見ているわけでしょうが、どんどん先行しているというふうな状況があります。こういう点は今後の課題として行政当局が新しい記録媒体、情報媒体についての証拠能力について訴訟法上あるいはその他の形で明確にする必要があるんではないだろうかと考えます。この点につきましては、法務省も、これは非公式か公式かちょっとわかりにくいのですが、ある地方公共団体の情報処理担当者の会合でCOMの証拠能力を尋ねられまして、COMも公文書である。したがって、刑事訴訟法の三百二十三条の一号書面に該当するということでCOMの証拠能力を認めたという法務省の見解が過去にあります。
 一応根拠法令ということですとそういうことになるのでしょうが、アメリカですと、今四十四くらいの州が写真複写統一法ということで、マイクロフィルムを証拠として統一法の形で認めております。最近の判例などは全部もう写真複写統一法というものが根拠になっております。アメリカ法ですと、この制定法による法律的な根拠と、それから最良証拠の法則というのがありまして、これは一九六九年にキング対マードックというコンピューターの電磁的な記録を初めて容認した事件がありまして、この裁判所が最良証拠の法則というものを拡大いたしまして、最良証拠の法則というのは、今までの紙文書が原本だ、こういうことで考えてきたものを、原本というのはもっといろいろなものがあるんだ、最良証拠の考え方を拡大すべきだということを判決でうたいまして、電磁的な記録を認めたわけです。これが一九六九年ですから、マイクロフィルムは一九三九年ということですから、マイクロフィルムの方が兄貴分に当たる、こういうことになります。
 いろいろお話をいたしましたが、私が最後に申し上げたいことは、コンピューターというのはすばらしい能力を持っています。しかし、記録管理という問題からいいますと、すぐれた記録管理がないとコンピューターもまた能力を発揮することができないのではないだろうか、こんなふうに思います。本システムとの絡みで言いますと、マイクロフィルムというものがもう少し採用されることによりまして事務の向上、職員の負担を軽減して市民サービスに貢献するということができるのではないだろうかというふうに私は思います。したがいまして、私のきょうの話の結論は、このマイクロフィルムシステムというものが本法案の枠組みの中に位置づけられないとしても、将来の次のステップでこういったマイクロフィルムというものを検討されることは私はこのシステムの前進のために大変に結構なことだということを申し上げて、話を終わります。
#6
○片岡委員長 ありがとうございました。
 次に、吉岡参考人にお願いいたします。
#7
○吉岡参考人 私、吉岡でございます。社団法人の日本電子工業振興協会専務理事をいたしております。
 お送りいただきました書類を拝見いたしまして、私は法律の専門ではございませんので内容についてはよくわからないのでございますが、要するに、登記事務につきましてコンピューターを利用していこう、こういうことだと理解いたしまして、これは時代に沿った極めて適切なことではないかと心から喜んでおる次第でございます。ただ、電子工業振興協会というのはメーカーの団体でございまして、果たしてこの委員会におきまして御参考になるかということをいろいろ考えたのでございますが、一応、コンピューターの発達の経過、またそれがひいては将来どういう程度に発達をしていくかということを類推できるかと思いますので、これを申し上げまして、それからまたコンピューターの現状なんかを御紹介いたしまして、御参考に供したいと思っております。
 なお、電子工業振興協会というのは小さな団体でございますが、これの紹介を若干させていただきたいと思います。
 設立は昭和三十三年四月二十六日でございまして、現在の会員数が百七十七社という形になってございます。設立の趣旨といたしましては、昭和三十年代におきまして政府におかれては電子工業の振興というのを非常に大きな柱に立てておられまして、昭和三十二年に電子工業振興臨時措置法というのが成立したわけでございます。これに応じまして民間におきましてもお手伝いする団体が必要ではないかということで急遽設立を計画いたしまして、この法律ができました三十二年の翌年、先ほども申し上げました昭和三十二年に設立をしたわけでございます。
 現在、委員会組織をもちましていろいろ調査研究をいたしておりますが、現在委員会の数が合計いたしますと約五十五に及んでございます。やっている仕事といたしましては、まず調査がございまして、調査と申しますといろいろな調査がございますが、私どもの協会の特徴といたしましては長期展望というのを実施いたしております。これは大体五年ごとにやっておりまして、その始めました時点におきます十年先の電子工業がどういう形になっておりますか、これはもちろん電子計算機を含んででございますけれども、そういう作業をやっておりまして、その需要の予測でございますとかあるいは技術予測、こういったことにつきまして勉強をいたしてございます。
 この調査のほかに、本日話題の電子計算機につきましての例えば新技術の動向でありますとか需要動向でございますとか、あるいはさらに具体的には日本語の情報処理システムはどういう形で進歩させたらよろしいか、あるいは機械翻訳システム、こういったことにつきましても勉強をいたしておる次第でございます。
 コンピューターのほかには、システム関係、例えば最近はやりのオフィスオートメーションあるいはフューチャー・ファクトリー・システムあるいはパソコン、こういった勉強もさせていただいております。このほか新センサーでありますとか新電子材料、それから最後は標準化、こういった仕事をさせていただいておりますが、その中心になりますものはやはり電子計算機でございまして、以下電子計算機の大体の発展の経過につきましてごく簡単に申し上げたいと思っております。
 まず、世界最初に電子計算機があらわれましたのが一九四六年、昭和二十一年でございます。アメリカでございまして、ニックネームでENIACというのが開発されまして、このとき真空管を一万八千本使用いたしてございます。これは昭和二十六年、五年ほどたちましていわゆる商用機といたしまして発売をされてございます。
 日本でもこのENIACの開発に触発されまして、各大学、大阪大学あるいは東京大学あたりで研究が開始されております。また政府の工業技術院電子技術総合研究所におきましては、昭和二十八年にリレー式の電子計算機の研究開発が進められております。このリレー式は富士通が昭和三十一年、一九五六年に当たりますが、FACOM脳という機械で完成をいたしてございます。
 この日本とアメリカのこれが本当に初期の状態でございますが、現在使われておりますいわゆるトランジスター方式あるいはIC方式の始まりは若干おくれておりまして、昭和三十一年あるいは昭和三十二年に電子技術総合研究所でそれぞれMARKVあるいはMARKWという形で研究が終わってございます。これらの研究をもとにいたしまして、一九六〇年、昭和三十五年、ただいまからちょうど二十五年前になるわけでございますが、日立製作所、富士通、日本電気、東芝、三菱電機、沖電気、松下通信工業、それから北辰電機の八社がそれぞれ商用機を開発をいたしてございます。規模は非常に小さかったのでございますが、我が国の電子計算機産業の発足ではないか、こういうふうに私ども見ておるわけでございます。同時期に、IBMがいろいろ特許を持っておりましたので、特許契約も成立いたしております。
 しかし、商用機の発表はいたしましたけれども、アメリカの先進企業IBMでありますとかユニバックでありますとか、こういった会社との技術格差がかなりございました。各社はそれぞれ十年とかそういう期間を決めまして技術導入をした時代がございます。技術導入と同時に、これは非常に重要な機械でございますので、ぜひひとつ国産化を計画しなければいかぬのではないかということが政府を中心としまして企業の中でも非常に強く起きてまいりまして、一九六二年、昭和三十七年になりますが、これから三カ年をかけまして、通産省の補助を受けまして当時の世界最新鋭の大型機械に匹敵するシステムの開発に成功いたしてございます。開発に従事いたしました会社は、富士通、日本電気、沖電気の三社共同研究でございました。
 しかし、エレクトロニクス、特に電子計算機に関する技術革新は非常に激しいところがございまして、昭和三十九年、一九六四年でございますが、この時期になりますとIBMが全く新しい設計概念に基づく電子計算機システム、システム湖を開発いたしまして、大々的に販売にかかったわけでございます。このシステム360というのは当時としては全く画期的な新しい設計概念に基づいたものでございまして、モデルが30から70まで六つのモデルを持っておって一つの親子とか兄弟のようなものでございまして、同じ考え方で六種類の機械が動く、こういう形のものでございました。
 これに対して日本のメーカーも一九六五年、昭和四十年、一年ほどおくれまして日立製作所あるいは富士通、日本電気その他国産六社がそれぞれシリーズコンピューターを開発いたしてございますが、たまたま昭和四十一年に工業技術院において大型プロジェクト制度が発足をいたしましたのでここにお取り上げをいただきまして、超高性能電子計算機の開発が行われたわけでございます。これは昭和四十一年から六カ年で約百億円の予算を投入していただきまして、一九七〇年代において世界最高水準の性能を持つコンピューターを開発しよう、こういうことでございまして、とてもこういったものは一社では開発できないというのが当時の概念でございまして、国産七社の共同開発でございました。これも非常に見事に成功いたしまして、この成果が国産の電子計算機の開発に大きく採用されまして、技術ギャップを縮小することに多大の効果があったと考えでございます。
 ところが、一九七〇年、昭和四十五年になりますと、さらにIBMは新世代コンピューターといたしまして370シリーズという新しいシリーズを発表いたしました。これはシステム360に比べましてコスト・パフォーマンス、値段と性能を一緒に比較するということでございますが、そのコスト・パフォーマンスから申しますと大幅に改善された形でございました。ここで、国産メーカーも従来のシリーズの強化あるいは新シリーズの開発について対応を求められたわけでございます。
 この370シリーズが発表されますとほぼ時を同じゅういたしまして、アメリカから電子計算機の自由化を強く迫られてきたわけでございます。政府におかれましては、日米の友好関係を維持するという大方針のもとに一九七一年七月に自由化の方針を決定されまして、いろいろな折衝が次第次第に広がってまいりまして、一九七三年六月に最終的な自由化のスケジュールが決定をいたしてございます。詳細は省きますが、最終的には一九七六年、昭和五十一年四月以降、コンピューター関係は、ハードウエア、ソフトウエアあるいは資本提携、技術提携あるいは輸入、こういったものを含めまして完全に自由化される状態になったわけでございます。
 こういう状態でございますので、日本でも独特の国産のコンピューターを開発することが非常に急がれた時代が参っておりまして、政府におかれましては、新しいコンピューターの補助金制度をおつくりになりまして、そのときの六社を三グループに分けまして開発を進められたわけでございます。三グループと申しますのは、富士通と日立のグループ、日本電気と東芝のグループ、三菱電機と沖電気のグループ、この三つでございます。
 この時期はまた国際的にも非常に大きな動きがございまして、アメリカの巨大メーカーでございますGEあるいはRCA、これは大々メーカーでございますが、コンピューターもつくっておったわけでございますが、コンピューターの生産から撤退をいたしてございます。
 政府からいただきました助成は一応昭和五十一年まで六カ年間行われたわけでございますが、成果は極めて大きいものがございまして、富士通、日立のグループはMシリーズ、日本電気と東芝のグループはACOSシリーズ、三菱電機、沖電気のグループはCOSMOシリーズ、こういう形で三つのシリーズが生まれたわけでございます。私どもは、この時点で国産電子計算機の基礎が確立したものと考えております。一九七六年、昭和五十一年です。
 その後、ただいま申し上げました各シリーズの拡充に各メーカーが努めておりまして、それからまた新しいシリーズが二回ほど生まれておりまして、ハードウエアにつきましては、現在一応世界の一流であろうと自負をしているわけでございます。
 ところが、最近問題になりますのはソフトウエアでございまして、後でも申し上げる機会があろうかと思いますけれども、ハードウエアにつきましては一応世界の水準に達したという自負を持っておりますが、ソフトウェアにつきましては、これはいわゆる蓄積でございまして、時間がかかります。したがいまして、この点につきましてはまだアメリカに一歩を譲らざるを得ないという状態になっているわけでございます。今後の問題は、いかにソフトウエアを開発し、それを充実、拡充していくか、こういう問題になろうかと思っております。
 次に、電子計算機産業の現状につきましてごく簡単に申し上げますと、現在、五十九年の年間でございますが生産が二兆八千億程度になっております。これは七年前の一九七八年、昭和五十三年に比べますと、この当時は約八千五百億程度でございましたので、既に三倍以上の生産額に到達している状態でございます。今申し上げました数字は通産省の発表でございますが、この通産省の統計以外にオフィスコンピューター、パーソナルコンピューターという小さいコンピューターがございます。これは私の方の協会が独自の統計をとってございますが、一九八三年、昭和五十八年の実績までわかっておりますが、この両方を合わせまして約七千二百億に達してございます。
 現在どの程度のコンピューターが動いているかということを申し上げますと、合計大体十六万台、十五万五千台でございますが、この程度のコンピューターが現在動いております。これを形の大きいもの、小さいものに分けて申し上げますと、数の上では超小型コンピューター、これが約六〇%でございまして、非常に多うございます。それに対しまして大型は三%弱、四千四百二十六台という数字が五十九年六月末の状態でございます。
 これにつきましてもうちょっとつけ加えて申し上げますと、通産省の発表でございますが、どういう業種に使われているかということを申し上げますと、一番使われておりますのが卸、小売商事の関係でございまして、先ほど申し上げました十五万五千台のうちの半数近い七万台がここで使われてございます。その次がサービス業でございまして、約一万四千台。三番目が電気機械の企業が使ってございます。地方公共団体あるいは政府、政府関係機関、これは案外少のうございまして、約三千五百台という状態でございます。
 これを地方別に見ますと、やはり大都会に集中してございまして、これは府県別でございますが、東京都が五万台、大阪府が二万二千台、愛知県が八千七百台、神奈川県が五千四百台、こういうところが大どころでございますが、ただいま申し上げました四つの都道府県、それに福岡とか北海道は大体似たような数字でございますが、これらを入れますと全部で九万五千台でございますので、全国の十五万五千台のうちの三分の二は今申し上げましたような都道府県に設置をされておる、こういう形になろうかと思っております。
 大分長く日本の電子計算機の宣伝をさせていただきまして恐縮でございますが、それでは世界市場に比べましてどの程度かということを申し上げますと、これはアメリカのIDCという会社の調査でございます。ちょっと古うございますが、一九八〇年の十二月末の現状では、全世界で金額に換算いたしますと三十四兆一千七百億円のコンピューターが動いております。このうちアメリカのメーカーがつくりましたのは約八〇%、それからヨーロッパのメーカーがつくりましたのが約五%、それから日本メーカーがつくりましたのが七%、アメリカメーカーの約十分の一という状態でございまして、まだまだ世界的に見ますと日本の力は弱いなという感じを持つわけでございます。
 日本の国内のシェアを申し上げますと、メーカー別のものは雑誌その他に出ておりますが、大きく分けまして国産機と外国機でございます。日本で使われておりますコンピューターのうち、国産機が五五・九%、外国機が四四・一%、その国の国産機がこのように半分以上も使われておりますのは日本だけでございまして、あとヨーロッパその他におきましても外国機、特にIBMの機械が圧倒的に多いというのが実情でございます。
 それから、先ほど自由化のことについて申し上げましたが、我が国へどういう会社が進出しているか、これは営業のみの場合も含めてでございますが、若干最後につけ加えさせていただきますと、IBMは御案内のとおり日本アイ・ビー・エムという一〇〇%の子会社を持っております。それから、NCRは日本エヌ・シー・アールという会社、これは七〇%の資本比率を持っておりますが、これが進出しておるわけでございます。CDCという会社は日本シーディーシー、一〇〇%。バロースは日本でもバロースでございますが、これも一〇〇%。スペリー、つまりユニバックでございますが、これは二つの合併会社を持っておりまして、日本ユニバックは三四%、沖ユニバック四五%、こういう状態になっておりまして、現在は全く自由化されました開放体制におきまして、日本メーカー、それから外国メーカー全部がある程度の競争のもとに現在存在をしている、こういう状態でございます。
 簡単でございますが、以上をもって私の意見を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#8
○片岡委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
#9
○片岡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#10
○横山委員 参考人の皆さんには大変示唆に富むお話をいただきましてありがとうございました。時間の関係もございますので、端的に二、三の点をお伺いいたしたいと存じます。
 まず、植村参考人にお伺いをいたします。
 大変御苦労さまでございました。長年法務省の今回のこのパイロットシステムにお取り組みなさいました御苦心のほどがよくわかりました。お話を聞いておって感ずるわけでございますが、いろいろ試行錯誤ではございますけれども、ああやってみようかこうやってみようか、そして今日のシステムに到達をなさったというお話でございます。恐らくや、登記所のことはもちろんでございましょうが、法務省の諸書類、諸問題につきましてもいろいろと御検討をなさったかと思います。そこで、二つのことについてお伺いをいたしたいと思います。
 一つは、不動産登記システムを今度やるわけでございますけれども、このこと自身でも、これから全国の登記所に板橋システムを実践するという過程で、今お三人それぞれおっしゃいましたいろんな今後の展望に基づきますと、板橋システムが最高、唯一無二とは言えないような気がするわけであります。私も行ってびっくりしたわけです。これはいいものができたと思うのですけれども、今後新しい機械の技術の開発に基づいての工夫、変更というものがあり得るだろうかということが一つでございます。
 それからもう一つの質問は、不動産登記だけでなくて、法務省には、例えば最高裁判所を例に引きますと判決書があるとか、あるいは検察庁にはいろいろの永久保存の書類があるとか、それはもちろん検察庁については加除訂正もしていかなければならぬと思うのでありますが、こういう法務省の諸問題について、今回の登記所の経験から、法務省の行政のありよう、国民サービスのありようについてどんな実践的経験をお持ちになったでありましょうか、まずその二点をお伺いします。
#11
○植村参考人 お答え申し上げます。
 不動産登記システムを全国に実践していく上での新しい開発とか工夫という問題でございますが、先ほど私はパイロットシステムでのいろいろな知見を得たと申し上げましたが、その中にはもう少しこうすればよくなるということについての幾つかの細かい問題点、その解決策が見出せたということでございまして、そういうことの経験が、このシステムの全国への展開ということ考える場合には、生きてくるのではないかというふうに思っておりますが、もう少し具体的に一、二を申し上げますと、例えばハードウエアの面ではよりコンパクトにするということと、それからこれは当然登記所の職員の方々と密接な接点を持つシステムでございますから、使いやすさ、操作性ということでのますますの工夫というようなことが今後出てくるかと思います。
 それから、二点目の法務省さんにおける他の行政事務に対する実践的な経験からのお話でございますが、今回の不動産登記システム、先ほども申し上げましたけれども一つ大きな特色は、一番コンピューターが苦手としている、いろいろな事柄の論理関係をある種の判断をするというよう准ことを取り入れております。これはまだ登記事務という非常に限られた中で実現しておるわけでございますが、このような経験ということがほかの行政事務の中に当然これからも生きていくであろうというふうに考えております。
 それから、いろいろな情報の保存という問題でございますが、これもいわゆるオンラインで実際の行政サービスを行いながらやるような情報と、それから保存しておいて必要なときに取り出す情報というのはおのずからその処理の目的が変わってまいりますので、そこには現在採用しています磁気ディスクのほかに今後さまざまな記録媒体というのが出てくるだろうと予測しておりまして、これはそれぞれのシステムが目的とするものが何か、それの経済性というようなこととのバランスで十分検討する必要のある問題だろうというふうに思っております。
#12
○横山委員 秋山参考人にお伺いをいたします。
 マイクロの法律問題をお取り上げになりました。私も本委員会で二、三回にわたりましてコンピューター、マイクロフィルム、COMの法律問題を取り上げたわけでございます。今回この法律案をもって、このシステムから取り出した書類は原本とみなすということが骨格になっております。これは極めて画期的なことだと私は思います。問題は、この前取り上げましたのは、政府が自分のところのコンピューターでできてきた書類を公文書として裁判でもこれを確定をすることになるというわけでありますが、今吉岡参考人から聞きますと民間の方がコンピューターが驚くべき発達をしておるわけですね。その中で商業帳簿、それから税務書類、それについてはこの法律案は触れておらないわけであります。
 この開国税庁を呼びまして、驚くべき民間のコンピューターの発展、マイクロフィルムの発展にかかわらず、民間でつくったそれらを商業帳簿、税務書類とみなさないのはどういうわけかと言いましたら、検討中であると言う。検討中といっても、今から数年前私が質問いたしましたところ、非常に関心のある問題でございますから一生懸命にこれから前向きに検討いたしますと言っておったにかかわらず、同じことを数年たっても言っているとは何事だと言ってどなりつけたのでありますが、今このマイクロの法律問題と相関連をして、商業帳簿、税務書類についての御意見を吉岡参考人から伺いたいのが一つでございます。
 それからもう一つは、あなたの方で出されました書類の中で、韓国政府が昨年の十一月に大統領名で、政府保存の文書、記録についてこれを公文書とみなすという趣旨のことが発表されたというのでありますが、その内容を少し伺いたい。二点です。
#13
○秋山参考人 ただいまの二点について御説明いたします。
 一点目は税務書類の問題だろうと思いますが、マイクロフィルムの法律問題と申しますと、大きく分けてマイクロフィルムの適法性ということ、それからマイクロフィルムの許容性、アメリカではこれをアドミッシビリティーという言葉を使っております。日本流で言うと証拠能力とか証拠力、こういうことになろうかと思います。
 適法性ということですが、これは日本の法律でも備えおくことを義務づけている、例えば何年であるという年限を特定しているものもありますし、ただ備えつけておくことを義務づけているものもあります。そういうものはマイクロフィルムで保存してもいいのではないかということが、最近法律の改正、通達その他で、マイクロフィルムの分野でも随分出されてまいりました。
 一例を挙げますと、法務省見解というような形で、経団連と日本マイクロ写真協会の連名で、商法三十六条の保存義務に照らして、十年でございますが、マイクロフィルムで保存することは違法ではない、こういうことが法務省の見解で出されております。それを受けて税務当局も、今横山先生のお話がありましたようにいろいろと御検討はなさっているのだろうと思うのですが、現在の段階では、法人税の施行規則の改正に伴いまして五年から七年の間に限って、大蔵省の告示五十四号という形でマイクロ化を認める、こういうことが一応法律的には認められているわけです。しかし考えてみると、これは幾らか中途半端な感じはやはり免れませんで、現在民間企業などでは、先ほどもちょっと触れましたがCOMといったようなものを会計帳簿のかわりに使うというケースがよくあります。銀行とか証券会社がこういうことをやっております。
 証券会社については法定帳簿というものがありまして、これをCOM、マイクロ化でやってもいいということが大蔵省の通達で出されております。若干全体的に進んできてはいるのですが、税務関係についてはそういうことで、実際の税務調査はそういったコンピューターの記録とかCOMというふうなもの、あるいは一般のマイクロフィルムというようなものを対象にして現実には行われている、こういうのが実態だろうと思うのです。しかし、マイクロ化を進めるユーザーの側からいいますと、税務署にこういうことをきちっと認めてもらわないとなかなかやりにくい、こういうことがユーザー側の非常に大きな負担になっているのだろうと私は思います。そういう意味では、やはり法制化ということをぜひ進めていただきたいと思うのです。
 アメリカのことを毎度申し上げて恐縮ですが、アメリカでは一九八一年に、プロシージャーと申しますから、これは日本語に訳しますと手続、つまりその上に。あるルール、規則ですか、規則よりももうちょっと詳しいというか細かいという感じがいたしますが、このプロシージャーをもちまして、これまでは許可制とか届け出制というふうな仕組みをとっていたわけですが、全面的にCOM、マイクロ化はいいというふうな法律になりました。もっともそれと引きかえに罰則を非常に強化したということ、これはそういう特徴を持っておりますが、いずれにしてもアメリカの場合はそんな形でかなり進んでおります。
 それからドイツは、税法それから商法ともにこれまた大変にきちっと整備した法体系を持っておりまして、こういう法律改正に伴いましてドイツの市場は、日本がかつてはアメリカに次いで第二位と言われていたのが、日本はやや転落をしてドイツが今二位ということになっているようであります。この分野で正確な統計がありませんが、我我の考え方です。
 それから第二点ですが、この点は韓国が昨年の十一月二十三日に全斗煥大統領名で公表されたもので、政府の公文書の保存それから収録について、行政環境の変化と事務機械の進歩に合わせて現実的なものにする、こういう意味合いがありまして、日本の商法の三十六条に当たりますが、韓国の商法三十七条を含めまして改定されたもので、いわゆる政府の文書保存規程の改正、こういう形でマイクロ化を全面的に認めまして、原本を廃棄してもよい、こういうことを全斗煥大統領名で決定をしたわけです。韓国もマイクロフィルムの世界ではかなりおくれているというふうに見られておりました。それが一挙にしてこういうふうな形になったということは、我々にとっては何か頭をぶん殴られたような感じがいたします。そういう意味では、どうも日本だけが取り残されてきたなという実感を持っておりまして、こんな意味でも法務委員会の先生方の御議論を期待したいと思います。
#14
○横山委員 吉岡参考人にお伺いをいたします。
 承りますと、五十九年六月で十五万五千台のコンピューターが稼働しておるという。その中で、自治体、政府、政府機関ではわずか三千五百台という、これは脅威的な一私自身が認識不足でございましたが、このような日本の政府、自治体、政府機関が活用していない原因は一体何でありましょうか、それは予算もありましょうけれども。
 私がかつて商工委員をいたしておりました際の議論を思い出すのですけれども、ここにちょっと古い統計でございますが、各省のコンピューターの利用状況の推移という表がございますが、各省によって非常にアンバランスがあります。そして、あの当時の議論からいいますと、技術的な面では不十分な私どもの常識でございましたが、コンピュータの種別がみんな違う、それで余力が幾らあっても稼働率が非常に悪い、そんなむだなことを何でやるのだ、政府はもう少しコンピューター導入について総合的、ある意味では統一的、弊害はありますけれども、そういうことを可能な角度でやるべきではないかという議論をいたしたことが思い出されるわけであります。また、今稼働しているものはリースが多いと思いますが、講入をしたものを含めまして、政府機関内におけるコンピューターの利用はどうあるべきかという点についてお伺いしたいのです。
 それから、今秋山参考人から証拠能力について御意見を承ったのですけれども、委員会が五十五あって、いろいろな角度で検討なさっていらっしゃるという話ですが、この証拠能力とか、国会でよく話題になりますプライバシーの保護、こういうような問題については委員会で御検討なさっていらっしゃるかどうか、いらっしゃればその内容をお聞かせ願いたいと思います。
#15
○吉岡参考人 お答えいたします。
 非常に難しい問題で、的確にお答えできるかどうかわかりませんが、お役所でなかなかお使いにならないのは、一つにはやはり予算の問題があるということ、一つは、民間と違いまして、業務が極めて複雑であるということによるのじゃないかなと私は思っております。
 ただ、突っ込んでいろいろ調べたわけではございませんが、最近は非常にふえてまいっておりまして、ごく最近新庁舎をお建てになりました通産省におかれましては、パーソナルコンピューター、小さいコンピューターを各課長以上全部お持ちになっている、それでキーを押しますと、統計資料でございますとか発行されたばかりの雑誌なんかもぱっと出てくる、こういう状態になってくると伺っております。先ほど申し上げました十五万五千台の中にはこういうパソコンなんかは実は含んでおりませんので、あれは勘定には入ってないと思いますが、コンピューターライズと申しますか、次第次第にそういう形に各省ともおなりになるのじゃないかなと思っております。ただ、古い建物になりますと、改造その他の問題がございますので若干おくれる可能性はございますが、私どもから拝見いたしまして、恐らく将来はぐっと情報化されるのじゃないかな、こういうふうに考えております。
 それから、利用はどうすべきかという非常に難しい問題でございますが、やはりどんどん御利用いただく方がよろしいのではないかなと思います。ただ、統計資料でございますとかそういったものにつきましては威力を発揮いたします。しかし、お役所の仕事の大部分が、例えば判断であるとか決心であるとかという非常に高い要素になってまいりますと、現在のところ、コンピューターは資料を整えることにつきましては十分にできるのでございますが、決心でありますとか決断でありますというようなことになりますと、まだそこには及んでおりません。したがって、資料集めにはどんどんお使いになるべきではないかな、こういう感じがいたします。
 それからもう一つの、先生お調べいただきました、各社がばらばらの機械を使っているという問題でございますが、業界全体としましても、あるいは監督官庁でございます通産省とされましても、実は現在でも非常に大きな問題になっております。英語を申し上げまして恐縮でございますが、インターオペラビリティーを確保しようじゃないか、標準化でございますが、ということで、昨年あたりから一生懸命やっていらっしゃいますし、私どももお手伝いを申し上げておりますので、しばらくは時間がかかるかと思いますけれども、次第次第に標準化もされてくるのではないかなと思っております。ただ、コンピューターをつくりました本質的な考え方が違う場合がございます。これは一緒にはなりませんので、ただ、同じように使えるという技術は開発されておりますので、若干お金はかかりますけれども、これをどんどん延長していけばよろしいのではないかな、こう考えております。
 それから最後の、私の方の協会には五十五の委員会がございまして、プライバシーの問題とかを勉強しているか、こういうことでございますが、証拠能力につきましては私の方の関係外でございますので、やっておりません。プライバシーにつきましては、それだけの委員会をつくってやっておりませんが、将来とも考えていかなければいかぬというふうに考えております。
 以上でございます。
#16
○横山委員 植村参考人にお伺いするのですが、あなたの方は実践的な問題でございますから今の吉岡参考人の御意見と相まって、お役所が今後さらにこの種の機械化をする上についてどういうことが必要であるか、あなたの実践的な立場での御意見を伺いたいと思います。
 それから、秋山参考人に伺いたいのですが、先ほどの植村さんの苦心談の中で、第二段階でございましたか、読み取り速度や追加記入ができることが必要だからマイクロ化は困難だと一応考えたというお話がございました。秋山参考人は、COMを例にとって将来性をお話しなさったのでありますけれども、コンピューター、COM、マイクロフィルム等の総合的な発展、官庁、民間への取り入れはどうあるべきか、再度お伺いをいたします。
#17
○植村参考人 お答え申し上げます。
 実際に各官庁さんのシステムに携わっている立場から申し上げますと、コンピューターを有効に使っていくという上では、ある程度の情報の集中化をする、いわゆるセクショナリズム的な壁をなくして横断的に情報を交流し合うということが情報の有効活用につながるわけでございまして、そのことがコンピューター利用の活性化に通じていくのではないかなというふうに考えておる次第でございます。
 それからいま一つは、やはり中央官庁さんの場合には、いわゆる情報というものが単なるデータだけではなくて、文章による情報があると思います。これは、やはり先ほど来問題になっております入力の問題というようなことと絡んでまいりますので、そういった面での、いわゆるワードプロセッサーにしろパーソナルコンピューターにしろ、現場といいますか、現場に近いところでの入力問題ということが、これはメーカーも一端の責任があると思いますが、より使いやすいものがどんどん出てくれば、おのずから情報はある種の整理された形で集まってくるし、いろいろな横の関係での利用ということが活発化するのではないか、かように考えております。
#18
○秋山参考人 植村さんの御意見と幾らかぶつかる向きもありますが、ここは議論するところではありませんので……。
 確かにマイクロフィルムは、イメージ、つまりフィルムの上で追加をしたり訂正したりすることが実は、不可能ではないのですが、大変厄介な仕事なんです。このことがマイクロフィルムの一つの弱点になっているということはやはり私も言えるかと思うのです。ただそれは、一つはコンピューターとの連動したシステムの中では、コンピューターの索引ファイルの側にいろいろな情報が訂正され追加されたということを書き込んでおく、マイクロフィルムは追加されたものはまた別個に撮る、こういう形にしておいてコンピューターのファイルの方でその関連づけをとる、通常はこういうことが行われて、大体用が足りるわけですが、しかしそうはいっても、フィルム上で簡単に追加、訂正ができないということは、あくまでも我々の立場から言いますとやはり不十分な点でして、技術革新の時代ですから、ごく近い将来にこの追加、訂正がごく簡単にできるフィルムというものが出てくるだろうというふうに私は見ています。
 それから、全体的な、COMとかマイクロフィルムの将来、こういうことになりますが、やはり何といいましても、マイクロフィルムは、日本でも、昭和二十四年にアメリカから参りまして、国会図書館でマイクロフィルムがつくられまして、それが今日まで何ら変質することなく存在しているわけで、アメリカのANSIという機関の実験によりますと、恐らく数百年のオーダーでマイクロフィルムの保存はきくだろう。現存するいかなる良質の紙よりもはるかにマイクロフィルムの保存性は高いということが専門家の一致した考え方です。したがいまして、こういったマイクロフィルムの持っております能力、実績、こういうものを踏まえまして、今後の展開の中で、コストの安い、しかも精度の高い記憶媒体ということで、マイクロフィルムというものはまだまだ今後こういった面での役割を果たし得るだろうと思います。
 ついでに、技術的には、レンズの解像力とかあるいは感材の技術的な面というものはもっともっと進歩をしてまいります。したがいまして、記録をとっておく、あるいは記憶のための媒体としても、今後ともマイクロフィルムの発展というものは期待できるのではないだろうか、こんなふうに思います。COMという問題もありますが、やはりCOMというのはオンラインのバックアップシステムとして今後大きく伸びていく分野があるのではないかというふうなことは、将来の問題として言えるかもしれません。一応そういうところであります。
#19
○横山委員 ありがとうございました。
#20
○片岡委員長 岡本富夫君。
#21
○岡本委員 時間がおくれてしまって、僕の最終が五十分ですから五分しかなくなっておる。これじゃあれですが、したがって、重複は避けまして簡単に御質問申し上げます。
 吉岡参考人にちょっとお聞きしますけれども、各メーカーごとのコンピューター、これが互換性があるのかどうか、簡単にお答え願いたいのです。
#22
○吉岡参考人 お答えいたします。
 先ほども横山先生の御質問に対しましての答えにございましたように、基本的に思想が違うコンピューターがございます。これはそのままでは互換できませんが、ある特殊の装置、工夫を加えますれば、現在の技術をもっては互換させることができます。それから、今申し上げましたのは本体でございますが、周辺端末につきましては、インターフェースさえ合わせますと、これは完全に互換性はございます。
#23
○岡本委員 あなたの協会は、私は、昭和四十二年でしたか、このコンピューターの補助金なんかで随分商工委員会で審議をしたことがあります。当時はコンピューターと言ってもなかなかわからなかったわけですけれども、この協会ができ、それから先ほどお話がありましたように富士通・日立グループ、あるいはまた日電・東芝グループ、三菱・沖電気グループ、これ以外に外資系の企業があるわけですが、この協会でいろいろと研究し、あるいはまた話し合いしておるということになりますと、それぞれのコンピューター、これが値段が統一されたり、あるいはまた入札において談合されるというような危険はございませんか。
#24
○吉岡参考人 私の方は、政策的にどうしていったらいいだろうか、あるいは外国の事情はどうなっているかというようなことをいろいろ勉強はいたしておりますが、価格の問題の談合でございますとか、そういったことは独占禁止法の違反になりますので、これは一切禁止いたして、やっておりません。ただ、価格につきましては、ちょっとつけ加えますと、世界の巨大メーカーIBMというのがございまして、IBMは世界全体のコンピューターの五五・五%、約六〇%のシェアを押さえております。したがいまして、プライスリーダーという格好になっておりまして、まず彼らがこれが幾らだと発表いたしますと、我々はもうちょっと安くして出そうではないかという形で、各メーカーそれぞれ考えまして出している。したがって、プライスリーダーがございますので、大体それに似通った格好で出ていくという形になりますが、談合その他は一切いたしておりません。
#25
○岡本委員 私が申し上げましたのは、この間、あれは富士通さんでしたか、植村参考人からのお話がありましたように、パイロット事業をやられて、相当なところまで来ておる。しかし、十五年間で四千六百億というのですか、相当な金額になりますし、今植村参考人のお話を聞いておりますと、各登記所、全国に相当ありますけれども、集中じゃなしに、そこに一つずつつけた方がいいだろうというようなお話もあります。したがいまして、この仕事は、ソフトウエアを先にやったからというので一社で値段が決まってしまうというようなことでは国民は納得しないと私は思うのです。したがいましてお聞きをしたわけでありますけれども、その点について、これは開発された方ですから植村参考人、ちょっとお答えしにくいかもわかりませんけれども、どういうふうにお考えになるか、ちょっと聞きたい。
#26
○植村参考人 大変お答えしにくい問題でございますが、先ほどコンピューターの互換性という話が出ておりましたけれども、コンピューターをどういうふうにつくるかという考え方が違えば当然にその動き、振る舞いも違うわけでございますが、互換性という立場で言いますと、例えばコンピューターで扱います言語といったようなことはある意味では国際標準化されておるわけでございます。また、こういう登記簿ファイルをつくるにおきまして、データベースというふうに専門用語では呼んでいますが、こういったものにつきましてもかなり汎用的な物の考え方というのが出ております。パイロットシステムも決して特別な言語とか特別なソフトウェアを使っているわけではございません。
 ですから、そういう意味でコンピューターはもともと、どのメーカーがつくっても同じようなものというのがあるいは理想なのかもしれませんが、しかしながらコンピューターというのはその持っているシステムの性格上、やはりどういうものをつくるかというそのメーカーなり設計者なりの思想が色濃く入っていませんと本当の意味での道具にならないというある種の側面を持っております。しかしながら、これをお使いいただく皆さんの便のために標準化、互換性を維持するというふうなことはそれぞれ各メーカーが努力しておることでございますので、その点を御勘案の上御判断いただきたいと思います。
#27
○岡本委員 世上よく言われますように登記所はサービスの悪さがワーストナンバーワンということになっておりまして、この間も、あれは板橋でしたか、参りましたら大変な込みようで、これでは大変だというように考えたのです。(「渋谷だ」と呼ぶ者あり)渋谷の方でしたか。
 僕は感じですけれども、マイクロフィルムを使用した方が安いのじゃないかと思いますが、板橋の説明では三分くらいで出てくるというようなことでした。マイクロフィルムを使用した場合は若干時間が延びるんじゃないか、こう思うのですが、本当に初歩の質問ですけれども秋山参考人にひとつ。
#28
○秋山参考人 マイクロフィルムもいろいろな業務に使われておりまして、その局面によって、つまり必要度によりましてシステムの設計が変わってくるわけですが、登記所の場合のシステムということをちょっと頭の中に入れましてお答えするのですが、例えばこれに類似したようなもので先ほどもちょっと触れましたが、土地、家屋の評価証明というふうな事務があります。これはもともとは、帳簿のようなものを書庫のようなところへ行ってとってきてそれを見て証明をする、こういうことになりますけれども、今はCOMフィルムというものを使いまして、COMフィルムがもう机の上に置かれている、あるいは簡単な引き出しの中に入っている。したがって、だれだれさんが来て、この土地なら土地、家屋の評価証明が欲しい、こういうことになりますと、通常は索引簿を見て、それからマイクロフィッシュ状のCOMフィルムならCOMフィルムを見て、そしてリーダープリンターにかけてボタンを押すと出てくる、こういうことですから、まあ三秒というわけにはいきませんが、六、七秒ぐらいでは出てくるのじゃないかな、こう思います。仕事の種類によりましてもうちょっと大がかりな例えば遠隔地でも情報が入手できる、こういうようなシステムになりますと、またそれだけの問題があると思いますが、今はそういう、何か窓口の業務ということに限定してだけお話をいたしますと、そういうことになるかと思います。
#29
○岡本委員 吉岡参考人に、世界のコンピューターのシェアの約六〇%をIBMが持っておるということですが、どういうわけでIBMというのはこんなに強いのか、これをひとつお聞きしておきたいのです。
#30
○吉岡参考人 きょうの新聞にも出ておりましたが、日本IBMの椎名社長の新入社員に対する訓示がございまして、我が日本IBMは日本で第一号のコンピューターを売って六十年になる、こういうことで、日本の場合におきましては先ほども御説明いたしましたように、いわゆる産業というものが発足いたしましてからまだ二十五年でございます。そこに非常に大きな差がございまして、しかもハードウエアにつきましては、現在日本がようやく追いつきまして世界一流になったわけでございますが、問題はソフトウェアでございます。ソフトウェアは結局、蓄積でございます。例えば在庫管理はこうしてやるのだ、経理管理はこうしてやるのだ、そういったものが積み重なってどういう経理のやり方でもああこれは利用できるというふうに取り出せるわけでございます。ところが日本ではまだ歴史が浅いものですから、そういう蓄積が十分ではございません。そういった資本力その他いろいろな点からいきまして、残念ながら現在のところIBMが圧倒的に強い、こういう状態になってございます。
#31
○岡本委員 あなたの協会の中に外資系が参加をしておるわけでしょうか、その点についてお聞きしたい。
#32
○吉岡参考人 外資系の参加でございますが、会員といたしましては現在がなり入ってございます。一例を申し上げますと富士ゼロックス、これは外資系五〇%、それから日本データゼネラルという会社がございますが、これは外資系八五%、沖ユニバック、これも外資系が五〇%、横河ヒューレットパッカード、これは五〇%をちょっと超しているという状態、そのほか山武ハネウェルもやはり五二%程度、こういった会社が会員として入っております。
 それから委員会活動におきましては、特に標準化の問題につきましては外国メーカーをオミットするということは非常に大きな不利を招きますので、先ほどから申し上げております日本IBMとかあるいは日本ユニバック、日本メモレックス、こういった会社の代表の方に委員会に出ていただきまして、普通どおり平等にいろいろ議論をお願い申し上げております。
 以上でございます。
#33
○岡本委員 最後に、こういった委員会で、例えば日本の登記所の登記簿謄本の問題とかそういうことは論議はしないのですか。委員会論議というのはどういうことをなさるのでしょうか。
#34
○吉岡参考人 ごく特定のシステムについての議論につきましては、これは関係者がごく限られてまいります。したがいまして、その議論をいたしますと協会の場を使いますのは余り適切ではない、こういう判断がございまして、これはやっておりません。
 ただ、外国の技術動向がどうなっているか、例えばIBMがどういう動きをしているとか、あるいはユニバックがどういうものを開発したがこれはどういうものであろうか、各構成委員の方々の共通した興味のある問題につきまして委員会でいろいろやっておる。
 システム関係につきましては、先ほどちょっと触れました機械翻訳システムというのは日本にとりまして非常に重要な問題でございます。同様のことがヨーロッパにもございますし、カナダあたりにもございますので、こういった問題につきましても共通していろいろ外国へ調査団を派遣いたしましたり、それからまた向こうの方々をこちらに呼んでいろいろ話を聞きましたり、そういったことで調査活動をやっております。
#35
○岡本委員 終わります。
#36
○片岡委員長 中村巖君。
#37
○中村(巖)委員 ちょっと簡単にお聞きをしたいと思います。
 最初に、植村参考人にお伺いします。
 今のところのパイロットシステムの結果としてのお考え方とすれば、登記所ごとにコンピューターを置くんだ、こういうようなことのようでありますけれども、登記所ごとにコンピューターを置くというよりも幾つかの登記所をまとめた形で大きな容量のコンピューターを置くといった方が何かコスト的にも安いのではないか、こういうような気がしますが、その登記所ごとに置くというのとまとめて置くということの優劣はどういうことになりましょう。
#38
○植村参考人 あるいは誤解されたとしましたらちょっと訂正させていただきたいのですが、先ほど私が申し上げましたのは、この登記情報処理システムに必要なCPU能力が登記所の中に置く程度の大きさのシステムでも十分に実行できるという技術的な見通しを今得ているということが一つございます。それじゃ一足飛びにあらゆる全国の登記所に置くということにいくべきなのか、ある程度地域をまとめてそこに集中化するのがいいのか、これはひとえにコストとその効果ということの計算でございますので、技術的な面で登記所の一つ一つに置けるということだけでこの問題は決めるべきではないというふうに思っております。先生のおっしゃるように、実情を勘案して、それぞれでどういうシステムをすべきかというのはこれからの検討課題というふうに考えております。
#39
○中村(巖)委員 引き続いて植村参考人にお聞きいたします。
 現在、板橋のパイロットシステムではファコムの汎用のコンピューターをお使いのようですけれども、汎用コンピューターがいいのか、それとも登記所のシステムに適合するような特殊のコンピューターを設計して使うのがいいのか、その辺のところはどうでしょう。
#40
○植村参考人 実験システムでありますので、パイロットシステムでは汎用機を使いました。じゃ専用機と比べてどうかということでございますが、これはまだ早計に結論を出すべき問題ではないというふうに思っております。といいますのは、汎用機もある一定のコストで相当に能力あるいはメモリーがふえてきておりますので、あえて登記システムのための専用機を設計しなくても汎用機で十分に賄えるということはもっとさらに厳密に検討すべきことだというふうに考えております。
#41
○中村(巖)委員 最後に、植村参考人と吉岡参考人に伺いたいのですけれども、私ども理解するところでは、コンピューターというのは何か温度とか湿度とか、その置く場所の環境というか、そういうものが大変にやかましいように思うわけでございます。ところが一方、今の登記所の状況というものは、大変に環境条件が悪い木造の建物であったり、温度、湿度が調節をしにくい、そういったような建物が多いというのが実倍でございまして、その辺のことはこれからのコンピューターの状況と相まってどういうことになるのか、そういう環境条件の悪いところではコンピューターが使えないのではないか、こういう点についてはいかがでございましょう。お二人にお伺いします。
#42
○植村参考人 温度、湿度、いわゆる環境条件についてコンピューターはある種の条件をつけているというのも事実でございますが、実際に湿度が高いあるいは温度が高い、そういう場所で稼働させるということにつきましては、いわゆる機能的な面からのコンピューターのつくり方ではなくて、どういう実装方式にするかということも問題になってくるわけでございます。現状で申しますと、いわゆる空調がない状態で動かし得るコンピューターというのが相当ーコンピューターの熱の問題というのは、大きさとコンピューターの規模それからスピード、そういうことの関数で決まってくるわけですが、現状ではかなりの能力を持ったコンピューターでもそういう環境条件に相当緩やかな条件をつけたシステムが、これは実装技術をある程度変えることも含めまして実現しつつありますので、その環境条件に対する条件というのもどんどん緩和される方向に向かっていくもの、こういうふうに考えております。
#43
○吉岡参考人 ただいま楠村さんのお話のとおりでございますが、先ほどから申し上げましたオフィスコンピューターあるいはパーソナルコンピューター、こういう小さいコンピューターにつきましては常温のどこででも使える、こういう条件を満たしてございます。ただ、精度の高いコンピューターになりますと、やはり大事なものは大事な場所に入れなければいかぬ、そういう制約がございますが、先ほどのお話のように次第次第にその範囲は広がってくるのではないかな、こういうふうに考えております。
#44
○中村(巖)委員 終わります。ありがとうございました。
#45
○片岡委員長 三浦隆君。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
#46
○三浦(隆)委員 本日は参考人の三人の皆様にはお忙しいところ、まことにありがとうございました。よくわからない分野でございますので、大変貴重な御意見で参考になりました。
 お尋ねしたいことがたくさんございますので、場合によりましては簡単にお答えいただいて、後ほど文書でも結構でございますので、お示しいただきたいと思います。
 初めに植村参考人にお尋ねしたいのですが、漢字化への御苦労を克服される開発計画などを御説明されました。
 そこで、第一問はCPU、コンピューター本体についての問題なんですが、将来起こり得る障害というのはどういうものであって、それに対する対策をどのように考えられているかということ。
 第二点は、登記簿ファイルの工夫につきまして、どのような点で御苦労をされ、どのようにしてそれを乗り越えられ、さらにこれからどのような御工夫をされようとするのかということです。
 第三点は、システム化が将来性、拡張性を持っているということでありますけれども、登記関連業務においてどこまでそれが進められていくものか、あるいはどのようなデメリットというものが予測され得るものかということについてお尋ねをしたいと思います。
 あわせて、時間の都合もございますので、秋山参考人に対してお尋ねをしたいと思います。
 第一点は、マイクロフィルム化というものが戸籍事務の方においても大分利用度が進んでいるということでございますけれども、現在、実情どこまで進んでいるかという問題についてです。
 第二番目に、COMの問題なんですが、改めてCOMとはどのようなことなのか、そして土地、家屋面ではどこまでそれが行き渡ってというか進められているかという問題についてです。
 それから第三点は、CARシステムの特色と関連してでありますが、一次情報のマイクロフィルム化とあわせて検索におけるいわゆるコンピューター利用を組み合わすと、ぽんと押せば必要な書類が出てくるというお話でございますが、このCARシステムを登記業務で利用した場合に、利用の範囲というものが将来どこまで進み得るものなのか、あるいはどういう利便性を持ち得るものなのかということについてもう一度お尋ねしたいと思います。
 それから、マイクロフィルムの証拠能力との関連でございますけれども、確かに原本をいずれは年数によっては廃棄処分、あるいはマイクロフィルムすらも廃棄処分されるかもしれないのですが、どんなに正確であっても場合によってマイクロフィルムと原本は違うということがあるだろう。その中で作為的にそうしたものがすりかえられるという可能性は絶無と言い得るものなのかどうかなのです。これが保存と証拠能力という点で一つの大きな課題になりはしないかと思います。
 それから、もう一つは、ちょっとこのテーマとは違うのですけれども、今、国会では指紋押捺のことが大変話題となっております。現在、指紋原紙というものが既にかなりの数にわたって保存されているわけですが、これをマイクロフィルム化が可能になるものかどうかという点に関してでございます。
 それから、吉岡参考人にお尋ねしたい点は、第一問、コンピューターの利用状況が民間と官公庁では大分異なる。将来、官公庁分野の中でもどういう分野に最も進んでいくものなのだろうか、その点お尋ねしたいと思います。
 なお、業界は収益をふやすということにすべてがかかっているかと思いますけれども、五十五もの委員会があってプライバシーに関する専門委員会はないというふうなお答えでありますけれども、これについて将来どのようなお考えを持っているのか、もう一度お尋ねしたい。
 私の質問は、これだけでございます。
#47
○植村参考人 CPU本体で起こり得る障害という問題でございますが、最近のコンピューターの信頼度というのは相当高いものになっているわけでございますが、それでもCPUの本体系でも障害は当然予測されます。これについての対策はどう考えるかと申しますと、CPUの本体が障害を起こしていますからその時点での事務処理は一たん中断するわけでございますが、最近のソフトウエア技術ではその時点での状態をCPUの障害が直った後復元できる、これは障害回復処理と呼んでおりますが、そういう技術が実現できておりまして、そういう意味での回復を図ります。また、一つの考え方としましては、例えば一つのホストが障害が起きた場合に、端末だけを回線を通して別なところへつなぎかえてある程度の業務を遂行する、こういうようなシステム的な対策というようなことを考えているシステムも世の中には存在しております。
 次に、登記簿ファイルの工夫のことでございますが、これはちょっと長くなりますけれども、簡単な例だけ申し上げますが、例えば登記事項の関連づけを自動的に行うということを工夫しておるわけでございます。これはどういうことかといいますと、例えばAさんの所有権はだれから移転を受けてだれに移転したか、またその所有権には抵当権がついているのかというようなことがあったとしますと、コンピューターは登記事項の記載されている内容を解読して関連づけを行うという処理を、これはデータベースの工夫とプログラムロジックの工夫で実現しておるわけです。こうしますと、どういうことが具体的にできるかといいますと、謄本をとるときに現在生きておる登記事項だけを出してくる、こういうような要求にこたえることもできますし、例えばマンションの底地の場合に、請求人以外の事項が出てくるといった煩雑さを避ける、こういったようなメリットがシステム的に出てくる、これが一つの例でございます。
 それからシステム化の拡張性ということでございますが、パイロットシステムを構成していますプログラムを大きさで申し上げますと、大体九十万ステップございます。ですが、これをそれぞれのシステムの中の処理機能ごとにサブモジュール化しております。このことによって、システム全体はCPUの本体という心臓部があって、入力装置や出力装置やいろいろな装置から成り立っているわけですけれども、技術の進歩というのはそれぞれ異なった時間軸で進んでまいりますので、そういったものがいつでも取り入れられるようにそれに対応するプログラムを明確にというか機能別にしっかりと分けてつくってあるということが拡張性への対応の一つの例でございます。
 以上でございます。
#48
○秋山参考人 質問が私に対するところが多いものですから簡単にやります。
 戸籍事務においてはかなりの規模で地方公共団体が、先ほどちょっと説明いたしましたが、除籍、除票というものについてのマイクロ化を進めております。今後もこういう面では役所の保管空間をかなり書類が食いますので、もっともっとこの分野は進んでいくのではないかと思います。
 それから、COMといいますのは技術的にはそう難しいものではございませんで、コンピューターの一つの泣きどころは依然として情報の洪水ということを防げないわけです。その辺にCOMの出現の可能性が出てきたわけで、磁気テープからCOM装置を通しまして高速で、つまりCPUの演算処理速度とほぼ同じくらいでマイクロフィルムにコンバートしてしまうという非常に高速性を持った装置でして、かつ高縮度、つまり縮率の高いフィルムを作成する、これがCOMの特徴です。したがいまして、先ほどちょっと触れましたが、オンラインのバックアップシステムのようなもので、例えば病院などで昼間コンピューターが稼働してないというふうなときにはCOMというものを病院が置いておいて、何か緊急なとき、救急車が来たときにはそのCOMを見て患者の診療録を取り出す、こういうような仕組みに使われることがこれから伸びてくるのではないかと思います。
 それからCARシステムについては、これは特に登記所のことを考えますと、現在は登記簿ということが中心ですが、今後は附属書類の中にいろいろな地図とか図面とかそういったものが入ってくるだろうと思うのですが、精度の高い情報を提供するという意味では、一次情報のマイクロ化ということはこの登記事務の中でも今後は避けられないのじゃないだろうかというふうに私は思います。コンピューターももちろんその分野でどんどん進みますが、そういう意味では機能とコスト、この辺のバランスを考えながらある意味ではコンピューターと競争する、あるいは光ディスクというものとも競争していく、こういうことが出てくるのではないだろうかと思うのです。マイクロの側の問題としては、そういう意味では光ディスクとかあるいは磁気的な記録とコンバートできる、いつでも変換できる、こういうことが、現在でも一部できますが、これからは生まれてくるのではないだろうかというふうに思います。それから証拠能力のことですが、三浦先生のお尋ねの点は、いつも我々にも御質問なりあるいは議論があるところなんですが、余り厳密にフィルムだけのことではないので、例えば公文書でも差しかえようと思えば差しかえられるわけですから、その辺はマイクロフィルムだけの問題ではありません。しかし、そうは言ってもやはり原本を写すという過程が存在する以上、例えば文書規程をきちっとつくっておくとか、あるいはそのマイクロフィルムの作成の基準をきちっと決めて、その基準どおりいいフィルムをつくる、つまり、原本との同一性を立証できるようなそういう仕組みをつくっておく、こういうことが必要なのではないだろうか、こういうふうに思います。
 それから指紋については、実は私は横浜におりまして、神奈川県の県警本部のコンサルタントもやっておりますが、ちょっと年数は正確には忘れましたが、今から二十数年前に、鑑識で県警が持っております指紋を全部マイクロ化して、そしてそのマイクロフィルムを、現場でとってきたゼラチンの現場の指紋と照合させていきまして、そこである種の意思決定をする、こういう装置が二十数年前に開発されたことがありました。今後この見通しなのですが、やはりこの面でもマイクロフィルムの精度が高まってまいりますとこの可能性は依然としてあるのではないかと思います。しかし、これもまたコンピューターサイドのパターン認識その他の問題がどんどん進んでまいりますと、これともやはりまだ競合するような向きもあるのではないか、こう思います。
#49
○吉岡参考人 お答えいたします。
 官庁のコンピューターの利用はどういう分野に進めたらいいかという御質問でございましたが、私どもの立場から申しますと、まずやはり統計関係の資料を十分に整えておいていただきたい、この方面に進んでいただきたい。実は、生産統計なんかは、現在のところ通産省から出ますのは大体二カ月ぐらいのおくれになってございます。それから分類につきましても、必ずしも私どものお願いしている分類とは合っていない。非常に粗っぽい分類なんかになっております。それをもっと細かくしてもっと早くということが我々のお願いでございますが、そういった方面にとりあえずは進んでいただきますと非常に助かるのじゃないかな、こう考えております。
 それからプライバシーの問題につきましては、五十八年の十二月に通産省の産業構造審議会の分科会で一応答申が出ておりまして、私どももそれを承知いたしておりますが、先ほど申し上げましたように、私の方は大体技術的なベースが多いものですから、技術的に見てプライバシーの侵害というのは防げるかどうかということは多少勉強したことはございますけれども、本格的には実は取りかかっておりません。と申しますのは、情報関係の団体も幾つかございまして、そのうちに日本情報処理開発協会という財団法人がございますが、これはもとは私の方の協会の三分の二の勢力が独立いたしまして別の団体になって今日に及んでいるのでございます。これは随分前の話でございます。その団体はプライバシーの問題とかソフトウエアの問題とかそういったことをやっておりますので、重複しないようにということで、私どもは技術的な問題だけに限っております。
 以上でございます。
#50
○三浦(隆)委員 どうもありがとうございました。
#51
○高村委員長代理 柴田睦夫君。
#52
○柴田(睦)委員 極めて素人でありますが……。
 登記制度の性格が法律で定められているわけですが、コンピューター関係で、例えば銀行のオンラインがとまったとか、あるいは世田谷の電話ケーブルがもう何日間にわたって広範囲にわたってとまったとか、いろいろなことを見たり聞いたりしてきているわけですが、この登記制度の面から見て、コンピューター化した場合の危険性の防止という問題、例えば情報の保全が確実にできるか、あるいは情報を盗まれたりしないか、あるいは、これは聞いた話ですが、外国でやり損なったら十万人分の住民登録が一遍でなくなったというようなことを聞いたことがありますけれども、そういう防止の面については大丈夫であるかどうか、植村参考人にお伺いしたいと思います。
#53
○植村参考人 データの安全性ということは大変重要な問題でございますが、コンピューターで処置しております、まず物理的な意味でデータが壊れることについてどう対応するかでございますが、いろいろなやり方がございまして、同じものを二重に別媒体に書いておくというやり方もあります。それから、ある周期で磁気ディスクにあったものを、磁気テープといいますか、テープというものがあって、それに取り出しまして、その取り出した後から次の周期が来るまでの間に、それじゃそのデータにどういう変更ないしは追加の情報があったか、これもまた別な形でとっておきます。そうすると、一たん事が起きますと、一番近い時期のところまで戻りまして、そこから後どういうことが起きたかというのを、これはトランザクションという言葉で言っておるのですが、これを用いまして、その障害が起きた時点までその処理を繰り返しまして復元するという方法が一つはとられます。
 それから、もう少しシステム的に考えますと、ある箇所で持っているファイルを、今度は場所的なことを離す意味で、この中でのエッセンスになる情報をある別な場所に、これは通信回線を使いましてデータを持っておくというような方式も考えられておりまして、事実、こういうことを実行しているシステムもございます。
 それから、今度は人為的といいますか、盗まれてしまうということでございますが、今度は情報、そのファイルに入っているデータを一体だれがさわる権利を持っているのかということで、システムではこれは機密保護と呼んでおるわけですが、そのデータファイルを読める人とか、そこに情報を追加できる人とかいろいろなレベルをシステムが設定しておりまして、だれが使いに来たかということによって防止するという、これが一般的といいますか基本的な機能として備えられております。
 それで、これをさらにシステムの上で工夫するということで考えますと、例えばこの登記システムのパイロットシステムでは、登記簿ファイルを最後にといいますか、実際にそれをいじるのは登記官なわけですが、ここで登記簿ファイルをいじるよという要求が来たときには、その登記官が銀行のIDカードみたいなものを持っておりまして、これを端末に挿入しないとそういうオペレーションができない。それだけではなくて、さわろうとしている物件が、それ以前の処理過程があるわけですが、受け付けから始まって記入額とかそういうことがあるわけですが、その処理過程をちゃんと経てきているのかということもコンピューターで監視している。これはコンピューターシステムが持っている基本機能の上に、その処理しようとするアプリケーションがシステム的に応用を加えた例でございます。
#54
○柴田(睦)委員 先ほどもちょっとお話が出ましたが、渋谷の登記所なんかの混雑状態というものはすごいものですが、職員は朝の九時から十二時まで働く。そして一時間休みをとって一時から五時まで働く。これが普通の勤務です。実際には、家に持ち帰ったり日曜日を使ったりして仕事をするという話を聞いているわけですけれども、今度はコンピューター化されて、それを受け付けして入力をする作業、あるいは今度は登記簿謄本を出す作業、あるいは閲覧の作業、こうしたことになった場合に職員の過密労働という問題が憂慮されているわけですけれども、そういう仕事について精神的、肉体的な健康上の問題、この点はどういう影響になるでしょうか。またこれも植村参考人にお聞きします。
#55
○植村参考人 いわゆる手作業をコンピューターに置きかえるということで、その作業に限って見ますと相当な省力化になるわけでございます。ただ、例えば登記所の全体の作業がどのぐらいになるかというのは、これまたいろいろな運用の問題もありますので一概に言えません。ですから、先ほども出ましたけれども、例えば謄抄本の発行というのはコンピューターにごくわずかなキー情報を入力するだけで後は自動的に出てくるという面だけをとらえましても、これはかなりの能力の軽減になるということがあるわけですが、一面、ディスプレー装置といったような装置をオペレーションするということで、別な面の問題が起きてくるというようなことも話題にされておるわけでございます。
 この辺の問題につきましては、ハードウエアと人間との関係の、いわゆるそういう健康面での検討課題ということになるのだと思いますが、現状ではそういういわゆる人間との間での健康上の問題についての研究成果が新しい製品に続々と取り入れられておりまして、そういう面では問題はほとんど今はないと思います。
 ただし、それじゃ例えば一日の間に八時間ずっと座っている人と四時間の人とは、これまた比較の問題でございまして、その辺のいわゆる仕事の仕方の問題もございますので一概には言えませんが、こういうディスプレーについて言われておりますような問題というのは現状のハードウエアは一つ一つ解決しているというのが今の状況でございます。
#56
○柴田(睦)委員 それでは、不動産の閲覧制度はコンピューターでどういう方法でやるのか。それと、不動産は歴史がずっとつながっているわけで、例えば裁判なんかになれば歴史をたどっていかなくちゃならないということで、履歴がコンピューターによっても確実に確保されていくのかどうか。そういうふうにやる場合にどういうコストがかかるか、これをお伺いして終わりたいと思います。植村参考人にお願いします。
#57
○植村参考人 閲覧についてでございますが、現状のシステムは閲覧を考えているというか、閲覧を実行するようにはなっておりません。ただし、つくり上げましたシステムとしては、いつでも端末を用いて閲覧をするということができるような仕組みにはなっております。これはどういう閲覧方法を運用するかということの考え方の問題かというふうに思います。
 それから、登記簿の履歴をどういうふうにとるのかということでございますが、今のシステムは、現状の登記簿をそのまま登記簿ファイルに移すということになっておりまして、コンピューターでの管理といたしましても、そういう歴史的な経過というのは間違いなくとらまえることができるわけです。ですが、明らかに、既にこの情報については不要ではないかというようなことが起きてくることも当然だと思います。これについてどう扱うかというのは、コストとのバランスということで考えるべき問題だろうと思いますが、現状のパイロットシステムでは過去の履歴を全部入れるという前提でファイル登録簿を設計してあります。
#58
○柴田(睦)委員 では、終わります。
#59
○高村委員長代理 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人各位におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、明三日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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