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1984/04/09 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第12号
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1984/04/09 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第12号

#1
第102回国会 法務委員会 第12号
昭和六十年四月九日(火曜日)
    午前十時十九分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 横山 利秋君
   理事 岡本 富夫君 理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      衛藤征士郎君    熊川 次男君
      塩崎  潤君    宮崎 茂一君
      山崎武三郎君    稲葉 誠一君
      小澤 克介君    浜西 鉄雄君
      日野 市朗君    中村  巖君
      橋本 文彦君    伊藤 昌弘君
      柴田 睦夫君    林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
 出席政府委員
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局刑
        事企画課長   中門  弘君
        大蔵省主計局主
        計官      吉本 修二君
        文化庁文化部著
        作権課長    岡村  豊君
        労働省職業安定
        局業務指導課長 矢田貝寛文君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月九日
 辞任         補欠選任
  山花 貞夫君     浜西 鉄雄君
同日
 辞任         補欠選任
  浜西 鉄雄君     山花 貞夫君
    ―――――――――――――
四月四日
 外国人登録法改正等に関する請願(小林進君紹
 介)(第二五七四号)
 同(串原義直君紹介)(第二六〇九号)
 同(清水勇君紹介)(第二六一〇号)
 同(関晴正君紹介)(第二六一一号)
 同(山下八洲夫君紹介)(第二六一二号)
 同外十件(天野等君紹介)(第二六四〇号)
 同(山下八洲夫君紹介)(第二六四一号)
 同外三件(横山利秋君紹介)(第二六四二号)
 同(中村茂君紹介)(第二七〇八号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化
 のための措置等に関する法律案(内閣提出第二
 〇号)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岡本富夫君。
#3
○岡本委員 私は、あと同僚の二人の委員が質問されますので、最初に簡単に二、三お聞きしておきたいと思います。
 コンピューターによるところの登録ができましたときには閲覧制度はやはり続けるのかどうか、これをちょっとお聞きしておきたいと思うのです。
#4
○枇杷田政府委員 厳密な意味で申します閲覧、すなわち登記ファイルそのものを見るということは不可能になるわけでございますけれども、技術的には登記ファイルに記録されている内容をブラウン管にディスプレーいたしましてそれを見ていただくということは可能でございます。ただ、そのような仕組みをとりましても、やはり端末の操作という問題もありますし、利用者の方々がそれを特に希望されるかどうかという問題もございますので、その点につきましては民事行政審議会において十分に検討していただいて、その御意見を伺った上で決定をいたしたいと思っております。現在のところでは、そのどちらもできるというふうな形でのシステムを考えておるわけでございます。
#5
○岡本委員 この間、板橋でしたか、あそこを見せてもらったら、あそこは閲覧はしてないような状態でございましたね。その前に行った渋谷では、閲覧の人たちが随分たくさん待っておるようでございましたね。これも、閲覧を希望する方もいるかもわからぬけれども、できますれば、コンピューターできちっと出てきたものが正確であれば、そう閲覧をしなくてもいいのではないかという感じも私はいたしたわけでございます。いずれにいたしましても、行革の観念から考えますと余りにも――正確さは必要ですけれども、なるべく簡略にできるような、そして国民の皆様に迷惑をかけないようなことを考えた方がいいのじゃなかろうか、こういうふうに考えます。
 次に、登記の管轄ということを考えますと、全国どこからでも謄本あるいは抄本の交付請求ができるのかどうか。例えば東京のものが全国どこででも端末機で出てくるというようなことを考えていらっしゃるのか。これをひとつお聞きしておきたい。
#6
○枇杷田政府委員 全国の登記所のコンピューター化が完了いたしますと、技術的にはただいま御指摘になったような形で謄抄本を全国どこからでもとれるということは可能でございます。ただ、そのようにするのがいいのかどうかという問題もございますので、これも民事行政審議会において御検討願おうと思っておりますが、その場合の謄抄本の認証をだれがするのかというような法律的な問題も若干あるわけでございます。そのような面も含めまして検討してまいりたいと思いますが、ただいまのところは、別にどちらにするというようなことも私どもとして決めておるわけではございません。一部には、そのように非常に便利になるということは生かしてやるべきじゃないかというふうな御意見が強いことも承知いたしております。
#7
○岡本委員 そういう場合、認証方法をどうするかということについてはまだ御検討されてないのでしょうか。これから審議会に諮ってということですから少しお待ちしましょう。
 パイロットシステムを見ておりますと、コンピューターへの登録、それから現在のところ並行処理をしておりますね。全国完全にコンピューターへ移行されることになりますと、その後この並行処理はどうするのか、ちょっとお聞きしておきたいのです。
#8
○枇杷田政府委員 結論から申しますと、並行処理期間が終わりました場合には登記簿というものはいわば法律上の効力のないものになりまして、登記ファイルに記録されているものが登記ということになろうかと思います。
 各作業の段階を申し上げますと、まずこの法律の規定に従いまして法務大臣が指定いたしました登記所においてコンピューター化の作業を進めてまいるわけでございます。そうしますと、ある段階におきまして並行処理ということが始まってまいります。その過程におきましてはまだ登記簿が正規のものでございまして、登記簿に書いてあることが登記ということになるわけでございますが、その後、多分今度の登記法の改正の際の附則で定められることになろうと思いますが、コンピューターに切りかえるということの指定をもう一度法務大臣がするということになるのではないかと思います。そのような法務大臣の指定がございますと、そこで法律的な様相が全く変わってまいりまして、コンピューターで記録されたもの自体が登記になって、従前の登記簿は一種の行政文書としてのものにしかならないという形になろうかと思います。
#9
○岡本委員 ちょっと念を押しておきますが、そうなった場合は現在よりも手数料は値下げをすることができるのか。その事態にならぬと考えられないと思いますけれども、今までの審議の過程を見ますと値上げの話ばかりで、値下げも可能だというような答弁が一つもないわけですが、その点についていかがでしょうか。
#10
○枇杷田政府委員 移行作業が終わりますと、コンピューター化のための必要経費というものが相当額不要になります。そういたしますと、実費計算の上からいきましても手数料の額というものが減る要素が出てくることは間違いないところでございます。ただ、その時点で直ちに値下げをすることになるか、あるいはその経費が少なくなるという見通しがついた時点から、むしろ値上げの方を抑制していってならすようにするかというような問題はございますけれども、移行作業が終わりますと、ともかく手数料の算定の基礎になる経費が大幅に減るということは間違いないことだと思います。
#11
○岡本委員 間違いないということは、それだけ値下げも可能だ、こう考えてよろしいですね。
#12
○枇杷田政府委員 値下げの要素が出てくるということは否定しがたいところだと思います。
#13
○岡本委員 行政監察局の窓口サービスの調査によるとワーストワンとされていた登記所の体制に関しまして特別会計制度を導入して、このコンピューター化を契機にどのような改善策を考えておるのか、これをお聞きしておきます。
#14
○枇杷田政府委員 行管庁の方の御調査でワーストワンという御指摘を受けて、大変恐縮しておるところでございます。ワーストワンという評価を受けます理由にはいろいろあろうかと思いますが、先日渋谷の出張所をごらんになっておわかりいただけたと思いますけれども、非常にたくさんの利用者の方が窓口においでになって、そして謄抄本の請求とか閲覧とかの処理のために長時間お待ちいただくというようなところが利用者の方々の一番御不満な点であろうと思います。そういう点は、コンピューターを導入いたしますと一挙に解決できるということになるのではなかろうかと思います。
 それからまた、先日の当委員会の御審議でも御指摘を受けましたけれども、一般の方々は不動産の地番とか家屋番号とかというものは御存じなくて、住居表示によって不動産を認識しておられる。そういうようなことから、謄抄本の請求をした場合でもなかなか請求がうまくできないということがございますけれども、コンピューター化によってそのような問題も解消するであろうというふうに考えます。それから、現在の謄抄本が非常に読みにくいというふうな非難も受けておるわけでございますけれども、この点もすっきりした形での謄抄本が発給できることになるであろうというようなこと。それからまた、利用者の方々が余りお待ちにならないということになりますと待合室の雰囲気なども全く変わってくるであろう、そういうふうなことから、コンピューターを導入いたしますと、いろいろな面で窓口においでになる方々の御不満が解消するであろうと思っております。
 なお、コンピューターを導入するまでは何にもしないでは済まないだろうということは当然でございまして、今度の特別会計と申しますのは、コンピューターの導入を図るということのほかに、その導入が完成するまでの間の窓口の改善についても十分な手当てをするということを一つのねらいとしておるわけでございます。したがいまして、そのような面での経費も六十年度におきましてもかなりのものが計上されております。そういうような面から逐次窓口の改善が図られていくことになろうというふうに考えております。
#15
○岡本委員 昨年十一月に東京の世田谷で生じました火災によるところの電話ケーブルの事故がありましたけれども、震災あるいはそういった不慮の災害によってこういうものが起こった場合、コンピューター化した場合はどういうことを想定し、どういうように考えておるのか、これもひとつ念を押しておきたいと思います。
#16
○枇杷田政府委員 大震災のような場合が私ども非常に怖いわけでございます。その場合に考えなければならぬことは、データが余り一カ所に集中し過ぎないようにするということ、それから一つの箇所に集められているデータが使用不能になるあるいは破壊されるということになりましても、第二次、第三次のデータが直ちに提供されまして復元できるという仕組みにすることだろうと思っております。
 したがいまして、これからコンピューターを全国展開していく際にはまず三段階方式をとってまいりたいというふうに考えております。それは、各登記所ごとにコンピューターの本体を置きまして、そこでその登記所の管轄内における不動産のデータを全部保管をいたします。それと同時に、府県単位ごとにバックアップセンターというものを置いて、各登記所のデータをそこで保存をする。それからまた、中央にセンターを置きまして、そこで全国の情報をまた保管をする。それを刻々更新するということは、これは費用倒れになるかもしれませんけれども、ある程度の時間のずれがあっても完全にデータを保管するようにするというふうなことも考えております。そういうことになりますと、一カ所、二カ所、あるいは一つの県単位の登記所が大震災で仮に全滅をするということになりましても、そのような場合でも中央のセンターからのデータの提供によって余り時間がかからずに業務が再開できるということになるのではないか、そういうふうな仕組みを基本的には考えておるところでございます。
#17
○岡本委員 これは警察の方にお聞きいたしますが、秋田県警の免許証の偽造事件がございました。余りよくないことでありますけれども、コンピューターを不正に使用、担当の職員の不正だったというような報道がございました。これについてちょっと御説明いただきたい。
#18
○中門説明員 秋田の事例と申しますのは、運転免許証の作成、交付等に関する職務に従事しておりました県警の職員が各種の免許のデータを偽造いたしまして、コンピューターの端末装置を操作いたしまして免許登録ファイルに虚偽のデータを入力いたしまして、それによりまして不正に運転免許証の交付を行っていた事案でございます。
#19
○岡本委員 こういうことを考えますと、今度の登記所のコンピューター化におきましても、担当職員の誤操作あるいは不法なデータの加工、不法な利用、こういう場合にダブルチェックができるのかどうか。そうでありませんと、非常な権利関係を伴いますので、この点についてひとつお聞きをしておきたいと思うのです。
#20
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘の点は非常に重要な問題でございますので、私どももこれからもいろいろ工夫を重ねてまいりたいと思っておりますが、現段階でのチェックシステムと申しますかそういう面につきましては、これは板橋の出張所でごらんいただけたかと思いますけれども、登記の作業行程はまず受け付け、それから調査、記入といいますか入力、最後に最終点検の校合という、大きく分けて四段階になっております。
 現在の板橋のパイロットシステムで行っておりますやり方は、その四段階が順次に行われないと最終的な入力ができないという仕組みになっております。したがいまして、その作業行程の中のだれかが間違ったことをするとかあるいは不正なことをしようと思っても、それだけでは動かないという仕組みになっております。それから、最終的には一番登記についての責任を持つ登記官がその登記官カードを挿入しなければ入力できないというふうなチェックも当然あるわけでございますけれども、なお今後さらに、そういう面につきまして不正な操作が行えないようにというふうな工夫は最初に申し上げましたように重ねてまいりたいと思います。
 それから誤操作の点につきましては、先ほど申しました不正チェックの仕組みでも防止できるわけでございますけれども、そのほかにコンピューター自体でも当然の誤りだということがある程度チェックできる、そういう仕組みも工夫できるのではないかと思っております。
 そういう点におきまして、御指摘を受けましたように非常に大事な問題でございますので、これからの全国展開の際のシステム開発あるいはプログラム作成の際に二重にも三重にも考えていく必要があるというふうに思っております。
#21
○岡本委員 今板橋でパイロットをやっておるわけですが、まだ操作になれてない、まだ開発中ということですから非常に慎重でありますし、それから、いろいろなところでチェックをして間違いないものをやろうと総力を挙げてかかっておるから、余り変なことは起こってこないと私は思う。しかし、これがなれてまいりますといろいろなことが起こるわけです。予期しないことが起こってくるだろうと思うのです。例えば、これは昨年の七月二十七日のことでありますけれども、大阪工業大学で学生の成績の処理を全部消してしまったとか、こういうコンピューターマニアの学生のいたずらじゃないかというようなこともございますが、これについて文部省から御説明をいただきたい。
#22
○岡村説明員 お答え申し上げます。
 著作権の側面から御説明申し上げますが、著作権はプログラム等をつくりました著作者の権利を保護するという立場でつくられております。したがいまして、そのプログラムを無断で盗用したり使用したりあるいは無断でレンタルするということに伴って著作者が受けます経済的利益の侵害から著作者を守ってあげよう、こういうシステムででき上がっております。ただいま御指摘のございました大阪工大のように、無断で使用したというよりも消してしまったというような場合にはなかなか著作権法で守るというのは難しいのではないか、こういうふうに考えております。
#23
○岡本委員 このことは後にしまして、ついでですから文部省に、ソフトプログラムの盗用あるいは無断使用ということによって起こっているところのトラブルというのはどのくらいあるのですか、これをお聞きしておきたい。
#24
○岡村説明員 お答え申し上げます。
 著作権はいわゆる私権でございまして、したがいまして、その紛争の実態というのはなかなかつかみにくいのでございますが、これまでに大体四十件程度起こっておるというふうに私どもは把握いたしております。そのうち判決のございましたのが四件ございまして、いずれもプログラムを無断盗用、無断使用されました著作者側が勝訴をいたしております。
#25
○岡本委員 このソフトプログラムの保護について文化庁はいろいろ検討しておるそうでありますが、どういうようなことを今考えておるのか、これをついでですからお聞きしておきます。
#26
○岡村説明員 コンピューターのソフトウエア、特にプログラムにつきましては、私ども昭和四十八年に著作権審議会から、学術的思想を創作的に表現したものとして著作権法で保護されるべきだ、こういう御報告をいただいております。したがいまして、私ども、従来からプログラムは著作権法により保護を受けるというふうに考えてきたところでございますが、先ほど御紹介申し上げましたように、プログラムを著作権法で保護するという判決も出ておりますし、また欧米の主要国もほぼすべて著作権法でプログラムを保護する、こういう方向でおるわけでございます。
 そこで、私ども、通産省さんが若干違ったお考えをお持ちでございましたので調整を続けてきておりましたが、このたび、当面著作権法でコンピュータープログラムを保護する、こういうことでお話し合いがつきまして、この国会に著作権法でコンピュータープログラムを保護するということを明確にするための著作権法の一部改正を提出する所存でございます。
#27
○岡本委員 時間がありませんから、これは、実は私今の文部省のお話を聞いておりましたり、また私の調べたところによりますと、今登記所で、法務省の方でソフトを盛んに開発をしておりまして、そうすると、今やっておるそういった開発、ソフトウェアのいろいろなシステムというものはその今開発しておる一社が握ってしまう、こういうことになりますとぐあいが悪いのではないかということも考えたわけなんです。
 そこで、もう時間がありませんから、これから全部で一応十五年かかると考えておるわけですね。一社の技術ではなくしてもう一社ぐらい――ソフトについてはいろいろと研究をしておるところが随分あります。したがいまして、最初は今やっておるところが十年かかりあるいは四年、五年かかって開発されておるわけですから、まだ時間がありますから、予算的にもまだ先になりますから、もう一つ新しいそういったソフトの技術を開発する、こういうものを考えて、将来はそれを競争の原理といいますか、入札の原理でどっちか安い方あるいは正確なもの、こういうものを考えるべきではないだろうか。大体公共事業というのは一社に随意契約してしまいますとそのままずっといってしまうものでして、東欧諸国のような計画経済じゃないわけですから、自由経済でありますから、やはりそういった競争の原理をここに入れていかなければならぬのではないだろうか、こういうように感じておるわけなんです。その点について最後に法務大臣の御意見をひとつ承って終わりたいと思うのです。
#28
○嶋崎国務大臣 ただいま岡本委員から御質問のあった件でございますが、これができるまでに、実は私が聞いたところでは四十七年から長らく研究を続けてきて、そして途中非常に難しい問題が多くなりまして、だんだん整理をされて今二社の方々が中心にこの問題を取り扱ってきているというような状況になっているわけでございます。しかも、その分担はそれぞれ分野を異にしておるようでございますが、大変な努力の中で今日まで来たという説明を聞いているわけです。ただ、そういう長い投資もありますし、今まで蓄積をしてきたソフトの開発の技術等々の問題もありましょうから、なかなかにわかに切りかえるというのは難しいのかもしれないというふうに思います。しかし、御指摘のように、これから十五年というような長い日月がかかる、我々は少しでもそれを早く達成したいという気持ちではおりますけれども、そういうことになっていきますと、その辺の配慮はなかなか気を使っていかなければならぬところであろうというふうに思っておるわけでございます。最近のコンピューター関係の仕事をどんどん導入をしているよその官庁の諸例というようなこともありましょうし、そういうことを十分検討し、さらに今後どういうぐあいに、展開を遂げていくかというようなことをよく見定めて研究をさせていただきたいというふうに思っておる次第でございます。
#29
○岡本委員 最後に申し上げておきますけれども、そういった面も一応考えていただく、そうでありませんと、少しでも安く――これは安いばかりでもだめなものはだめですけれども、このように日進月歩の技術革新の時代です。したがいまして、やはりそういった面も法務省は頭に入れてもらって、法務省は非常に保守的なところですから、一つ決めたらなかなか変えぬというように私は感ずるわけですから、やはりもう少し柔軟に、あるいはまたもう一つの新しい手法で考えさせる、それがうまくいけばそれも併用する、こういうことでありますと、コンピューター犯罪もどこにも通用しなくなるわけですから、そういうことにしておきますと非常にこういう犯罪も防げるのじゃないか。これから何が起こるかわからぬ。我々の頭で考えられぬようなことが続々起こってくるわけですから、それはやはり今から防止することも考えておく必要があるだろう、こういうことで申し上げたわけです。
 以上をもって、きょうの質問を終わります。
#30
○片岡委員長 橋本文彦君。
#31
○橋本(文)委員 今回の法案につきましていろいろな資料があると思うのですけれども、なかなか法務省さん、公開してくれない。ついこの間も、評価委員会の評価はどうなっているのかと私ども思って、いわゆる中間報告というものをいただきました。それを見てます最初にびっくりしたのですけれども、端的に言えば、全くお粗末きわまるというような中間報告だと思うのです。
 今、局長の方からも、いわゆる閲覧制度に向かってどうするのかという問題がありました。ところが、ある程度の構想をみんな持っておられる。おられるけれども、全然そういうことはどこにも公表しないでおって、しかもその評価委員会の説明もまだまだ検証が不十分である、もう少し時間をかけてみて最終結論を出してみたいというような、こういう意見でして、一体わけがわからぬけれどもスタートしようというふうにしか思えないんですね。ところが、話を聞いていると、もう四十七年からコンピューター化の問題で懸命に勉強をなさっておる。十三年経過した現在でもまだ予測がつかない。それほど難しい問題なのかどうか。また、日進月歩と言われるコンピューターの時代でございますけれども、そんなに予測性が困難なのかどうか、まずそこから始めたいと思います。
#32
○枇杷田政府委員 コンピューターの問題につきましては、四十七年から研究を進めておりますけれども、主として、コンピューターという機械が登記制度の中に入っていくのに可能なものであるかどうかという、そういう視点からの研究が中心でございました。そういう面で室内的に研究は一応でき上がりまして、まあ大体うまくいくだろうということで、板橋の出張所でパイロットシステムによる現場実験を始めたわけでございます。
 その中間的な評価が実はことしの三月にあったわけでございますけれども、機械の面につきましては、これは一つのシステムができ上がっておるわけでございますので、それはある程度、パイロットシステムとしていいかどうかという面では、深いといいますか、あるいは広いといいますか、そういう評価が可能でございます。しかしながら、職場環境の問題であるとか、あるいは利用者側の問題とかということになりますと、これは何分にもパイロットシステムでございます。しかも板橋という一つの出張所の、しかも現段階では八%ぐらいの事務がコンピューターによって処理をされているという状況でございます。したがいまして、十分にそれを検証するだけのデータがもともと足りないわけでございます。そういう面でこの中間報告というのは、ごらんになってまだ何か中途半端だというふうな御印象を持たれただろうと思いますが、それは今申し上げましたような状況からすれば、やむを得ないところではないかというふうに考えております。
 それから閲覧の問題につきましては、先ほども岡本委員の御質問にお答えをしたところでございますけれども、技術的にはブラウン管にディスプレーをしまして、登記ファイルの記録内容というものを目で見ていただくということは、これは可能でございます。そのようにすることは十分にできるわけでございますけれども、登記の公開制度としてそういうふうなものをするのがいいのかどうかという面につきましては、これは、私どもは私どもなりの考えは一応持たないわけではございませんけれども、正規の審議会でいろいろな角度からの御検討をいただいて決定をする、そういう政策的な問題であろうと考えております。そういう点については、まだ最終的な方策を決めていないという状況でございますので、したがって、私どもの態度をまだ最終的に決めていないわけでございまして、それに関連するような資料もまだないという状況であるということを御了承いただければ幸いに存じます。
#33
○橋本(文)委員 本当に資料がないのでしょうかね。例えばここに「登記制度コンピュータ化十五か年計画」というのがあります。これを見ましても、きちっと十五カ年が分類されておって、しかも六十二年度には法改正も一応予定しておられる。ここまで書いておきますと、データ的にある程度の結論的なものが出ておるのではないか、そう思うしかないんですよ。何せ十三年間経過しておりますのでね。
 今回の円滑化法案なのですけれども、具体的に聞きます。例えば板橋出張所で現在コンピューターを使っての謄抄本がつくられておりますね。現在この謄抄本は一般市民にこのまま交付されているのかどうか、まずお聞きいたします。
#34
○枇杷田政府委員 コンピューターから打ち出されました、ただいまお示しのものは、謄抄本として申請の方に交付いたしております。
#35
○橋本(文)委員 この謄抄本を見ますと、いわゆる登記官の記名、押印、この部分が既に瞬時に機械で出てきますね。それで、現在これが謄抄本として交付されているわけですね。そうしますと、現在、この板橋出張所に関する限り、この法案をつくる意味がないんじゃないか。つまり、もう既に磁気ファイルに登録されているものから出てきたわけですから、それを既に謄本として使っておられるわけですね。それをわざわざ今回の法案でこれをうたってくるのはどういうことなんでしょうか。
#36
○枇杷田政府委員 実は現在、板橋でつくっておりますお示しのものは、手順で申し上げますと、コンピューターに記録されているものの謄本ということではないわけでございます。あくまでも登記簿というブックが登記簿でございまして、そこに記録されていることが登記であるわけでございます。したがいまして、現在出しておりますものは、登記簿の記載と同じものであるという意味での謄本でございます。したがいまして、認証文が打たれる前の、論理的な段階で申しますと、それはいわば登記簿の内容が打ち出される一つの原稿になるわけでございます。したがいまして、厳密に申しますと、その打ち出された原稿を本物である登記簿とまた照らし合わせて、間違いがないということを確認した上でその認証の判こを押すというふうなことが一番正しいことになるわけでございます。しかし、登記事務の内容といたしましては、コンピューターに記録されておる事柄が登記簿に書かれている事柄と同一であるということを、登記官は一つの全体的な認識として持っておりますので、したがって、現在、打ち出されたものが直ちに登記簿の内容と同じだという形で謄本を作成いたしておるわけです。ところが、これを、今度の法案でお願いをいたしておりますのは、登記簿の謄本というのではなくて、法務大臣の指定によって、まさに間違いなく登記簿の記載内容を記録した登記ファイル、その登記ファイルの記録と同じだという形で直截に証明書を出すようにいたしたい。現在は一つの論理的なフィクションを加えているような形であることを言わざるを得ないわけでございますけれども、それをきちんとした形で登記ファイルの記載内容の証明書だとはっきりと位置づけまして、それについては登記所としても責任を持つものでありますけれども、謄抄本と同じ効力を持たせて世間に通用させるというふうにいたしたい。これがいよいよ本番と申しましょうか、登記法が改正になりまして、登記ファイルが登記簿になるというような事態になりますと、そこから打ち出されてくるものが厳密の意味で謄本とか抄本とかという言葉に当たるものかどうかということが一つの問題になります。用語としてはそういうものを謄本というのだと決めてしまえばいいのかもしれませんけれども、少なくとも現在使っておる謄本とか抄本とかというものとは少し概念が違うことになります。そういうものになりますとそれは登記ファイルの証明書だと言った方が直截的なあれかもしれません。そういうものに移っていくわけでございますので、並行処理といいますか、中間の作業過程において登記ファイルの記録をコンピューターシステムによって打ち出されたものは証明書という扱いにして、切りかえ後の状態にワンステップをそこで踏み出していくということが法律的にはむしろいいのではないか、すっきりするのではないかということから、この法案におけるような証明書制度を並行作業の段階でもとるということを打ち出してみたわけでございます。
#37
○橋本(文)委員 理屈からいえば今みたいな答弁にしかならないと思うのです。ですから、もっともっと現実的に、そういう論理をこねくり回さないで、ダイレクトに不動産登記法なりそのほかの商業登記法なり、それを言っても何ら矛盾がないと思うのです。いわゆる並行処理をして、段階的な問題なので中間的な問題なのだ、ある程度そこでデータが集まったら法改正に持っていこうということなのですけれども、今の考えそのものが法改正にそっくり移行する、こう思っているのですよ。ですから、なぜこういうような円滑化措置法をつくるのかちょっと理解しにくいのですけれども、それはおきまして、今のお話で現行の登記簿というものはなくなる、なくすということは言外にはっきり出ているように思います。
 ところで、この板橋出張所のコンピューター・パイロット・システム、これは現在までどの程度の経費がかかっておるのか、まず具体的にハードシステム、これに幾らかかったのか、それからソフトウェアの方はどうなっているのか、今までの登記簿をインプットするのにどの程度の人件費がかかっているのか等々のデータがあったらお示し願いたいと思います。
#38
○枇杷田政府委員 このパイロットシステムにつきまして、五十九年度までに総額五億六千万円の経費をかけております。それは実は四十七年からの経費を全部足したものでございますけれども、その中で板橋のパイロットシステムの経費だけを申しますと二億三千万程度でございます。そのうち移行作業にかかりました、いわば賃金職員といいますかそういう人件費が三百四十万程度でございまして、あとがコンピューターの機械のリース料とかいうようなことになるわけでございまして、その二億程度のものにつきましての細部の内訳というのは今手持ちの資料ではございませんけれども、要するに機械面とソフト関係のものをひっくるめて二億程度の経費を投入しておるということに相なります。
#39
○橋本(文)委員 四十七年から現在まで五億六千万という費用がかかっておる、板橋だけに限っていえば二億三千万というお答えでした。そのうちいわゆる機械にインプットする、入力の作業は職員ではなかなか手が回らない、できないという形で外部の企業の人を雇い入れるのだ、こういう説明を板橋出張所で聞きました。五十七年から板橋が始まっていますけれども、このインプット作業で現在までわずか三百四十万で終わっているのですか、重ねて確認いたします。
#40
○枇杷田政府委員 板橋では、法務局で臨時職員として職員を何人か雇用して移行作業を行っております。その雇い入れた人たちというのは登記簿の内容を入力する、そしてその原稿をつくるというような仕事をしておるわけでございまして、その後、その入力すべきものを登記簿の原本と照らし合わせて間違いがないかどうかというふうな点検は職員自体がやっているわけでございます。その臨時職員が入力の原稿づくりのようなことをやるのについて先ほど申しましたように三百数十万の経費でございますが、これは現在のところ一万筆個程度のものを対象にしておるわけでございますのでその程度の経費で上がっておりますが、これを板橋全庁に拡大するということになればそれだけで相当な経費は必要とすることになってまいろうかと思います。
#41
○橋本(文)委員 大変細かい話で恐縮なのですけれども、現在一万筆個が入力された。それが三百四十万で済んでいるということになりますと一筆当たり三円四十銭、ちょっと考えられないくらい安いと思うのですけれども、そうですか。
 臨時職員が相当数おるように聞いたのですが、まず臨時職員が何人おられるか。
#42
○枇杷田政府委員 一定はしてないようでございますけれども、大体五人ないし六人ずつといるようでございます。ただ、これはパートで入っておりますので、普通の職員と同じような勤務時間ずっといるというわけではございません。
 なお、先ほど申し上げましたけれども、一万筆個でございますので、三百数十万にしましても一筆当たりは三百数十円ということになろうかと思います。当初はこれはもちろん私どもの職員も一緒になってやるというふうなことも実際はございましたので、何分にも試験的なことでございますので、そこで計算されることが標準的な単価というふうになるかどうかはちょっと問題であろうと思います。
#43
○橋本(文)委員 三百四十円ですね。しかし、五人ないし六人のパートタイムでもこの三年間を通じて三百四十万で上がりますか。具体的にそういう支払ったあれがあれば後日お見せ願います。結構です。
 三月の段階で分科会がございまして、ここで局長さんがコンピューター導入の可否という問題をめぐりまして、この評価委員会のある程度客観的なデータが出た段階で皆さん方の意見をお伺いしたい、まず第一番目に民事行政審議会に検討いただく、こういう御発言がありました。同時に、関連している司法書士とかあるいは土地家屋調査士の方にも意見を聞く、こういう答弁がありましたけれども、民事行政審議会の方に検討をお願いしているかどうか。
#44
○枇杷田政府委員 民事行政審議会にはまだお諮りはいたしておりません。
#45
○橋本(文)委員 民事行政審議会の方の意見が出てからこういう委員会で議論をしたい、こう実は思っておるわけなんでございます。その辺いかがですか。
#46
○枇杷田政府委員 そのような手順も考えられなくはないと思いますけれども、実は、最終的にどのような姿でコンピューターが不動産登記制度の中に入っていくか、その結果どうなるかということを最終的にあらわすのは登記法の改正でございます。その改正は当然当委員会で御審議いただくことになるわけでございますが、その登記法の改正案の内容につきましては、これは十分に民事行政審議会にお諮りをするということになるわけでございまして、そういう面で間もなく民事行政審議会の方にもいろいろな考え方をお示しをして、いろいろな角度からの御意見をちょうだいしたいというふうに考えております。
#47
○橋本(文)委員 そうしますと、今の段階ではただ事務処理の迅速化、あるいは待ち時間が大変なのである程度の行政サービスの一貫化、それだけでもって現実に今だけを対応すればいいということでの考えなんですか。何回も言うように、もう十三年間経過している。それでとにかくコンピューター化をやってみて、動かしてみて、それからいろいろな意見を聞きたい、ちょっと何かわけがわからない気がするのですね。要するに、本格的に不動産登記法の改正ということを考えておられる、その構想というものはまだまだ持ち合わせていない、そんなことはないと思うのです。当然、こういう構想でやろうということはあると思うのです。それを全然外部に示さないで、ただ現実的にパイロットシステムでやっております、それは今中間的な段階でございますというのではなかなか納得しがたい。
 しかも、予算規模としては十年間で一千二百億あるいは全部の登記処理をコンピューター化すれば四千数百億円というような金額まで出ておる。今回のパイロットシステムに関する限りでは五億六千万円使っておる。しかし、板橋出張所に関する限りでは二億円である。そういうふうに単純計算していきますと、どこにもその四千数百億円は出てこないし、また当初の四百三十庁ですか、全体の八〇%の事務処理を扱っている、これに二億掛けたって八百億円で済む。しかし、技術は日進月歩でございますし、そんなに四千数百億円というのは出てこないと思うのです。
 ですから、何か一番大事な基本的なものが欠けておって、ただただ現段階でコンピューターを導入した場合にどうなっていくのだろうか、まず導入してみて、そして実情を把握してみた上で法改正をしていこう――本当に僕にはよくわからないです。
 費用につきまして、あるいは人件費の問題、あるいは入力は臨時職員がやっておるとあったのですけれども、時間が余りありませんから絞りまして、例えばこのパイロットシステムにおける一万筆個が今なされた。この入力の段階で、当初の臨時職員がやっているスピード、約三年間やっておりますけれども、同じ条件のもとで、この入力の単位当たりの、一件当たりの時間は急激に縮まっているのか、あるいは相変わらず一筆については同じような時間を要するのか、いかがですか。
#48
○枇杷田政府委員 入力の所要時間は、確かに最初のころは非常に時間がかかったというふうに承知いたしております。なれるに従いまして、それは当然早くなって要領よくなってまいるわけでございますけれども、しかし同時にまた、臨時職員の方もやめられて新しい方が入ってくるというふうなこともありますので、全くの初期の段階を除きますと、ある程度なれてから後のスピードというのはそんなに急激に縮小していくものではないというふうに聞いております。
#49
○橋本(文)委員 この板橋出張所以外に全国のコンピューター化、これも当然入力に関する限りは職員だけではできない、当然外部の人を頼むというふうに聞いておりますが、それは本当でしょうか。
#50
○枇杷田政府委員 入力の作業は、大きく分けますといわば入力すべき情報を一応原稿的につくるという作業と、それからその原稿みたいなものが間違いないであろうかということを再点検をして確認をするという二つに分かれると思います。後者の方は、これは法務局の職員自身がやるべき事柄でございます。その前段階の方は作業量も大変でございますので、これを法務局の職員として賃金職員を雇用してやるということも可能でございますけれども、それだけではとても賄い切れないということもあろうかと思いますので、外部の方に委託をしてするということも十分考えられるところでございます。現段階では板橋の出張所だけでございますので、賃金職員の雇用方式でやっておりますけれども、全国展開ということになりますと、そういう方式では賄い切れないという事態も生ずるではないかというふうに予測いたしております。
#51
○橋本(文)委員 賃金職員を雇用する場合にはいわゆる職員が登記所の中に来るわけでございますけれども、いわゆる外部委託というのはどういう形態を意味するのですか。
#52
○枇杷田政府委員 これは作業をするのを民間の会社に請負でやってもらうということになるわけでございますが、実際にキーを打って入力の原稿みたいなものをつくっていくという作業そのものをどこでやるかはまた別の問題でございまして、恐らくそういう移記をするようなことを請け負う会社自体でもそういう作業場を持っているだろうと思いますが、契約の仕方によっては法務局側の方で用意をする場所でやってもらうということもできなくはないと思います。コストの問題とかいろいろなことに影響をしてまいりますので、具体的には実際の契約の際に考えなければならないわけでございますけれども、ただいま御指摘のような場所は、外部に発注するからといって当然に外部に出すということではないと思います。
#53
○橋本(文)委員 登記簿というものは外部に出せないわけでございますので、もしそういうような外部委託の場合、登記所外でやるということは大変な問題をはらんでくると思いますので、しかるべくきちっとした基準をつくってその場合は対処していただきたいと思います。
 この法文に即して聞きますが、第三条でいわゆる手数料の額というものがここで決められております。不動産登記法の二十一条でも全く同じ内容がある。ただ閲覧がないだけだ。この第三条の第三項で手数料の額を「政令で定める。」と決めているのはどういう理由があるのでしょうか。
#54
○枇杷田政府委員 この手数料というのはもともと実費に見合うものを納付していただくという思想が中心でございます。したがいまして、不動産登記法の二十一条でも、またこの法律の三条でもそうでございますけれども、物価の状況だとかそれから人件費の問題とか、そういうものをもろもろ勘案して実費に相応する金額を決めるわけでございます。その金額を決めるにつきましては、ただいま申し上げました要素というものがしょっちゅう変わってくるものでございますので、政令で定めてその実情に合わせて手数料額を改定できるようにするという趣旨で政令で定めることにいたしておるわけでございます。
#55
○橋本(文)委員 この場合はあくまでも大臣が指定する登記所で、そこからその登記ファイルから証明した書面をもらう、その場合の手数料でございますね。単純にこれを読みますと、不動産登記法の二十一条で定める手数料の額と大臣が指定する登記所の証明書の手数料とは別々になるようなふうに読めるわけなんですが、これはいかがなんですか。
#56
○枇杷田政府委員 手数料の定める対象としては別々になります。しかしながら金額は、これは例えば板橋で申しますと、コンピューター化の対象になっている地区のものはこの証明書が出て、それ以外の地区は普通の謄抄本しか出ないということになります。その場合にそこで金額が違うということは不合理なことでございます。したがいまして、この三条の三項で書いております「その他一切の事情を考慮して、」という一切の事情にはそのような事情は当然考慮されるであろう。また、かなりコンピューター化の作業は進んでまいりまして、東京都内なら東京都内のうちの半数が全部コンピューター化されていくというようなときに、ほかの方は従来どおりの旧法の謄抄本で片っ方はいわば新法のということになった場合に、これまた手数料の額が違うということは、これは国民の側から見れば納得しがたいことでありましょう。そういうふうなことの一切の事情を考慮して決めるということでございますので、私どもとすれば、不動産登記法の二十一条の規定に基づいてする登記簿の謄抄本の手数料額とこの三条の三項で決める手数料の額とは結論的には同一の金額にすべきものだ、そうしたいというふうに考えております。
#57
○橋本(文)委員 値段が極端に異ならないように、ひとつよろしくお願いいたします。本当に単純に見ますと、これからコンピューター化をするんだ、大変な費用がかかる、だから登記ファイルに記録されたものをもらう場合には別途料金も払うんだというふうに読めますものですから、ぜひそういうことがないようによろしくお願いいたします。あくまでも今回のあれが国民の側に立っての利便ということをもし強調なさるならば、負担の増大ということはどうしても避けていただきたい、こう思うのですよ。しかし現実的には七月から上がってきますし、前途多難だなという感じはしますけれども……。
 それから、第五条の「必要な施策を講じなければならない。」というこの「必要な施策」というのは何を意味しているのか、具体的にひとつお示しを願いたいと思い良す。
#58
○枇杷田政府委員 この法律の第五条は、要するに登記事務が全体として迅速かつ適正に処理をするということをねらっておるわけでございます。そのための一つの中心的な施策としてはコンピューター導入でございますけれども、そればかりが必要な施策ではもちろんないわけでございまして、まず施設の改善でございますね。庁舎事情が悪いということが何としても登記事務の円滑な処理の妨げになっているばかりではなくて、申請人等に大変な御迷惑をかけているところでございます。そういう施設を改善をしていく、それから能率器具を今以上に整備をしていくということ、その他窓口などについてもこの対応が十分に行われるようなそういう人的なあるいは物的な設備をつくっていくというようなこと、そういうような事柄あるいはそのほかにも地図の整備とかいうようなもの、もろもろのことをこの中ではうたっておるつもりでございます。中心になりますものは施設とそれから器具整備それから窓口の対応の人的、物的な設備、それから将来的には地図の整備、そういうような事柄がこの中に織り込まれているというふうに理解をいたしております。
#59
○橋本(文)委員 またまた話がわからなくなってしまったのですけれども、五条で「必要な施策」ということを書いておりまして、今局長が答弁している内容だとすると、昭和六十二年に予想されている不動産登記法の改正との関連でまたよくわからないのです。どういう関係になってくるのでしょうか。
#60
○枇杷田政府委員 ある事務を適正迅速に処理するようなことに持っていくためには、法律的ないわば隘路を打開していくという面もあるでありましょう、あるいは法律的な面での整備をするという面もあるでありましょうが、そのほかに人的、物的な諸条件を整えていくことによってその目的が達せられるという面もあるわけでございます。そういうもろもろの面を総合的に講じなければならぬわけでございまして、したがいまして五条で言っております事柄は、それをはっきりと区分けをして言っているわけではございませんが、電子情報処理組織を用いて登記を行う制度ということは、これは当然に法律改正を予定せざるを得ない、そういう面では後二年後ぐらいに登記法の改正をお願いをしなければならぬだろうと思っております。それは現在のブックシステムというものを登記ファイルシステムにかえるということを中心とするわけでございますが、先ほどお触れになったことにちょっと触れさせていただきますと、その際に閲覧制度というものをどういうふうにするかとか、それからほかの登記所でも他の登記所に保管してある情報を用いられるようにするとかしないとかそういうふうなことを、要するにコンピューター化ができることに伴って現在の制度以上に何らかの利便な制度を設けるようにするかあるいは現在の制度のうちでやめることにするものがあるかというふうなことを民事行政審議会にかけて、十分に御意見を伺った上で登記制度としてのものを考えていきたいというわけであります。
 また余談になって恐縮でございますけれども、現在のパイロットシステムは現在の登記制度そのままを前提にしてコンピューター化しておるわけでございます。したがいまして、資料的なものはそれで足りるということになるわけでございまして、今後コンピューターが導入されることに伴って拡大すべきものあるいは縮小すべきものあるいは変更すべきものについて民事行政審議会にかけて、そこで結論を得た上で登記法の内容を決めていくというふうなことになろうかと思います。
#61
○橋本(文)委員 たしか昭和二十五年に固定式台帳制度、いわゆる大福帳と言いましたね、それを現在のブックシステムにかえるのに約九年間かかったように伺っております。それから、その後行われた土地台帳、家屋台帳、また台帳と登記簿の一元化の問題でも、これはやはり十年間かかったという、そのかかった内容を聞いてみますと極めて単純なことなんですね。ところが現在の、今度の登記ファイルシステムというのは、根本から変えるようなもので、今までの大福帳からブックシステムに変えるのに九年間、それから台帳一元化の問題でやはり十年間、そういう経緯を見ていますと、現実に十年あるいは十五年間で登記ファイルに移行できるのかどうか甚だ疑問に思うのですけれども、その点いかがですか。
#62
○枇杷田政府委員 確かに膨大な作業量でございますので、大変なことであるということはよくわかっておりますけれども、十五年あればできると思います。むしろ、登記所の現状あるいは申請人の側の事情から申しますと、十五年かからずにやれるものならやりたいというような思いでおります。
#63
○橋本(文)委員 この登記ファイルを契機に――いわゆる登記制度の理想といいますか、物権変動を正確かつ迅速に公示する、それから同時に不動産の取引の安全を円滑にするという、相矛盾するものがあるわけですけれども、その絡みでもって、必ずしも現在の登記制度は国民の万全たる信頼を得ているわけではありません。いろいろ問題があるし、そういうわけで、この問題を契機に国民が信頼できるような登記制度の確立に本当に寄与できることをお願いしたいと思います。
 それから、大事なことは、このために多大な費用がかかったのでは何のための登記制度なのか、あくまでも登記制度というのは国民のためにあるのだということを強調して、質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。
#64
○片岡委員長 中村巖君。
#65
○中村(巖)委員 今回の法案は、電子情報処理組織というものを導入をして、登記制度の中にそういうものを導入をするという法案であるわけでありますけれども、この法案というものがこの時期に出されてきたのはどういうことかということからまずお伺いをいたしたいと思います。
 今まで我が党の岡本委員、橋本委員もいろいろ質問をいたしましたので、今これから私の質問も若干重複をする点があるかもしれませんけれども、打ち合わせをしておりませんので御了承いただきます。
 まず、その点でございますけれども、法務省がこの登記制度の中に電子情報処理組織を導入しようということをお考えになったのは昭和四十七年である、こういうことでありますけれども、その昭和四十七年にそういう発想をされて、それから昭和五十八年には板橋の登記所にパイロットシステムというものを行われたわけでございます。そういうものは、今日まで法案なしに事実上進行をしておったという経過に結果的にはなるわけでありまして、それが今年、こういう形で法案が出されるということになってきたわけで、それは、考えてみますると、何か今年度の予算の中で登記特別会計というものが成立をしたので、それをしおに法案を出してきたというようにも受け取れるわけでありますけれども、本来的に、登記特別会計というものができたかどうかということはこの法案とは関係がないわけでございます。どうして今まで事実上行ってきたものを、この時期にこういう法案を出すのかということをまずお伺いをいたします。
#66
○枇杷田政府委員 この法案を提出さしていただきました理由の一つは、先ほども橋本委員の御質問にお答えをした点でもあるわけでございますけれども、現在板橋の出張所で実際の謄本あるいは抄本の作成、交付を行っております。これは見方によりましては、現在の法律制度のもとにおきましては巨大な自動謄本作成機というような、そういうものとして法律上は動かさざるを得ないわけでございます。しかしながら、これから板橋出張所だけでもどんどんと移行作業が進んでまいりますと、かなりのものになってまいります。そういうものを法律的にひとつはっきりした位置づけをする必要があるのではなかろうかというふうなこと、それからまた、板橋ばかりではなくて、移行作業を進めていく段階でそういう状況が広がってくるわけでございますので、それを法律的にきちんと整理する必要があるであろうということが一つでございます。
 それからもう一つは、これは今度の法案の五条に関係することでございますが、理論的には登記特別会計と完全に結びつけるものではございませんけれども、登記特別会計を創設するということは、財政法の側からの考え方からいたしましても、ある一つの政策を実現をしていくために必要やむを得ない特例であるということから特別会計法というのが認められることになると思います。そういう真にやむを得ない重要な施策というものが、この今御審議いただいております法律によって明らかになってくれば、そういう政策を実現するために特別会計法が必要だ、あるいは特別会計制度が必要だということがより明確になるわけでございます。そういう面からいたしまして、実質上のつながりがある。したがいまして、登記特別会計法が制定されるのとあわせて、そういう施策を法律で明らかにするということが大事なことではないかということで、五条の規定が置かれておるわけでございます。
 そういうようなことで考えますと、この種の法律を出すとすれば、ほかの時期ではまずいのであって、この時点で法案を提出することが一番時期を得ているということになるという考えで提案をさしていただいた次第でございます。
#67
○中村(巖)委員 今の御説明、わからないわけではありませんけれども、十三年近くにわたって事実上行われてきたということ、今も時期としてはその延長線上にあるわけでございます。そういう意味では、ただ理屈だけを言えば、その事実の流れというものは、事実上今後とも法案なしにも行い得るのじゃないかというふうなことがあるわけでございまして、ただその事実の流れそのもの、つまりコンピューター化の流れそのものにとってこの法案をお出しになられることが何か画期的な、一つのエポックメーキングな意味があるのかどうか、その点いかがでしょうか。
#68
○枇杷田政府委員 これは法律論からいいますと、絶対不可欠なものではないということがあるいは言えるのかもしれませんけれども、ただ、登記制度におきましてコンピューターを導入して登記制度を切りかえていくということは、これは画期的なことでございます。その画期的なことをこれからしていこう、そしてまた、そのために特別会計制度を設けて、そして受益者負担の考え方から登記印紙というもので手数料を納めていただくというふうな全体を考えますと、ただ特別会計法ができるというだけではなくて、このようにいわば実体法的にコンピューターに登記制度を切りかえていくのだというそういう大方針がここで法律上うたわれるということは非常に意味のあることでございます。したがいまして、いわば登記制度の転換の政策決定という意味では、私は極めて画期的な法律であるというふうに理解をいたしております。
#69
○中村(巖)委員 今回の法案の内容は、電子情報処理組織を導入して登記ファイルというものに登記事項を記録していくという、ほぼそれに尽きるわけで、それに関連をして、そこから取り出されたものに対してそれを証明書として位置づけていく、こういうことになるわけでありますけれども、そういう意味で、本法案は、この登記ファイルというものが従来の登記簿にかわってしまって登記制度そのものが抜本的に改変をされるのだということは含んでいないというふうに見られるわけであります。もちろん、法務省としては、前提としていわば登記ファイルの制度と従来の登記制度との並行的な運用を最終的には登記ファイルの方へ一本化したいというお考えのようには思えるわけでありますけれども、登記ファイル一本に移行をするということを本法案に規定をされないというのはどういうわけでしょうか。
#70
○枇杷田政府委員 登記簿を廃止をして、登記ファイルをもって今までの登記簿と同じような法律上の位置づけをしていくということをするためには、登記法の改正それ自体が必要でございます。ここではそのような制度に切りかえていくという、いわば方針、それをうたったものでございます。そういう面におきましては、第一条におきましても「電子情報処理組織の導入による」云々というようなことをうたっておりますし、それから五条でも「国は、電子情報処理組織を用いて登記を行う制度」というふうな言葉も用いておるわけでございます。
 そういたしますと、これは何も登記簿をやめて登記ファイルにかえていくのだということまでは、そこでうたっているわけではございませんけれども、方向としては登記ファイルをもって要するに登記を行う制度でございますから、したがいまして、ブックシステムではこれは不可能なことになってまいります。そういう意味で、登記ファイルを将来の登記簿にするのだという方向を、この法律では明らかにしておるものだというふうに考えております。
#71
○中村(巖)委員 法務省はそういうおつもりでおつくりになったのだろうということはわかりますけれども、ただこの法文を素直に読めば、電子情報処理組織の導入によってその処理の円滑化を図ると第一条にあるのは、ただ単に証明書を交付するための登記ファイルの制度を創設するのだという、こういうことにも読めるわけでございまして、さらに「国の責務」のところに「その他の登記事務」云々ということもあって、それからするならば、そういう法務省の決意というか、そういうものが法文にあらわれていないように私は思うのですけれども、重ねてその点をお伺いいたします。
#72
○嶋崎国務大臣 ただいまのお話でございますが、従来は予算の上でこのコンピューターの関係の仕事を積み重ねてまいっておったわけでございます。そういう中で、将来的に確実にコンピューターによって登記の事務というものを整理ができる見通しというものがだんだんできてきておるわけでございます。そういう意味合いから考えまして、やはり特別会計を今度設置をするということに踏み切ったわけでございます。したがいまして、そういうことで従来予算で整理してきたものを正式に特別会計というものに踏み切ることによって、長期的に登記事務を整理していこうという考え方を強く打ち出したいということでございます。
 かつまた、従来、特に五十八年以来やっております板橋の出張所における作業の結果というものがだんだん実ってきまして、そして言葉の上では非常に説明のしにくいことでございますけれども、並行的に存在しておることは事実でありますが、現実、その磁気ファイルの中に入っておるものを活用してやれるような実態というものも明らかになりました。そういうことを踏まえまして、これから全国的に登記簿の制度というものをどう展開していくかということを明らかにするために、第五条の規定にありますように、審議会を設けて正式にそういう方向づけというものを明確にさせていこうということで、これは私は、この登記の特別会計ができるということとこれとは非常に密接な絡みを持っており、今まで予算的に処置をしてきたものを法律的にもきちっと整理をして、国会の皆さん方にも登記の将来というものを展望していただけるようなそういう形でこの法案を御審議願うということが一番大切なことだと思います。また、そういう法案を準備して皆さん方に御審議をしていただくことが、将来登記事務というものをどういうぐあいに展開していくかということに非常に重要な意味というものを持っていく、そういう役割をこの法律が持っておるのだというふうに私は思っておるわけでございます。そういうこととしてひとつ御理解をぜひ願いたいと思っておる次第でございます。
#73
○中村(巖)委員 私が聞いた点は、恐らく第五条の第二項に「前項の施策のうち重要なものを」云々とある、この「前項の施策のうち重要なもの」というのは、全面的に登記ファイルに切りかえろということを意味しておるのじゃないかな、こんなようにも理解をいたしておるわけでございますけれども。
 それはその辺でやめまして、従来板橋の出張所において導入をされて、その中で謄抄本というか、そういうものの交付を事実上行ってきたわけでありますけれども、その法がないその段階で行ってきた謄抄本というものは、これは謄抄本なのか、それとも本法案の第三条にいうところの証明書というものなのか、その点はいかがでしょう。
#74
○枇杷田政府委員 これは、今まで事実上やってまいりました謄抄本はまさに謄抄本であって、登記ファイルに記録されている事柄を証明するものではないというふうに理解をいたしております。
#75
○中村(巖)委員 今まで謄抄本であったものが、この法律ができるとそれが今度は証明書に格下げをされる、そういう感じでありますけれども、謄抄本であるかそれとも証明書であるかという違い、板橋の場合、どこにあるのか教えていただきたい。
#76
○枇杷田政府委員 これは説明の問題だろうと思います。現在事実上やっております謄抄本と申しますのは、いわばあくまでも原本は登記簿でございますから、登記簿の記載内容と同じものであるという認識を登記官がいたしまして、そして発行するのが謄抄本でございます。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
その認識の仕方が、この登記ファイルには原本と同じものが記録されておるということを登記官が認識をしておることを介在として、原本と間違いがないという認識をして認証いたしておるわけであります。
 今度は、そうではなくて、登記ファイル自体に記録されている事柄であるということでございます。したがいまして、その背後には登記簿と同じものが記録されておるということが法令的に裏づけをされているということが必要になってくると思います。その点におきましては、法務大臣が指定をする。そしてその移行作業については、その法務大臣の定めます手続、省令で定めます手続に従ってきちんとやるという裏づけをしまして、そして直接にその登記ファイルに記録されている事柄であるということの証明書は、実質的には登記簿に記載されている事柄と同じであるということがわかりますので、したがって、今度はそれを謄抄本と同じものとみなすということでつなげるという仕組みに切りかえるだけでございまして、実質は変わっておらないと思います。
 なお、証明書だからといって私どもは格下げをしたというつもりはございません。
#77
○中村(巖)委員 実質的に同じなものだからこそ、みなすわけでしょうけれども、それならば板橋の登記所でやられているような形を、わざわざ証明書と言わなくてもそれは謄抄本なんだということで、この法律の施行後もやっていけばいいではないか、こういうふうに思われるのですけれども、いかがでしょうか。
#78
○枇杷田政府委員 それも一つのやり方であろうと思います。ある一定の手続のもとに移行が終わったその登記ファイルといいますか、登記ファイル並びに電子情報処理組織を用いて謄本を作成することを得というような形での条文にすれば、それはそれなりにいくだろうと思います。
 ただ、先ほども橋本委員の御質問にお答えをしたところでございますけれども、将来のことを考えますと、コンピューター化に切りかえた場合にはまさにこれは登記ファイルに記録されているもの、そのものの証明という形になるわけです。今度はその証明書な言葉として謄本とか抄本とか使いなれた言葉であらわすということはできるかもしれませんけれども、厳密な意味ではちょっとおかしくなるということが出てまいります。そういう将来のことをにらみますと、この際並行処理の中間的な処理方法としても、登記ファイルからの証明書だというふうな形にする方が経過的にはむしろいいのではないかという発想から、このような仕組みにさせていただいた次第でございます。
#79
○中村(巖)委員 そこで、この法案によってはいうところの並行処理というものが行われるわけでありますけれども、だれもが聞いているわけでありますけれども、問題は並行処理から要するに従来の登記の簿冊を廃して登記ファイル一本にするという時期がいつなんだろうかということであるわけでございまして、法務省としてはそれが早からんために鋭意努力をするということには恐らく間違いがないのでしょうけれども、ただ時期的なめどというものを全然お持ちにならぬでおやりになっているというのもおかしなことでございまして、並行処理そのものをどういうふうにこれから拡大をしていくのか、そしてどの時点で並行処理というものが全部、終わってしまってと言うとおかしいけれども終わってしまって、そして登記ファイル一本になり得る体制ができるのか、その辺について法務省自体内部で計画をお持ちなのかどうかということをお伺いをいたします。
#80
○枇杷田政府委員 これは法律的な問題と、それから実際の問題と二つあろうかと思います。法律的な問題といたしますと、これは登記ファイルをもって登記簿にするような、そういうことが可能になるような法改正が必要でございます。その登記法の改正は二年後の国会に提出をいたしたいという予定にいたしております。そして、それの内容でございますけれども、まだ確定はいたしておるわけではございませんが、登記所ごとに指定をいたしまして、と申しますのはその指定する前には登記所ごとに移行作業があるわけでございます。移行作業が完了いたしました登記所ごとに法務大臣が指定をする、その指定によって新法が適用される、すなわちコンピューター登記法が適用されるということになるわけでございます。
 今度は事実問題で移行作業の方でございますけれども、これは将来の予算とかそれから作業のやり方によって変わってまいろうかと思いますけれども、現在大ざっぱに試算的に考えておりますのは、大体十五年間に全庁の移行作業を完了いたしたい。ついては、それを単純に分けてまいりますと、板橋の関係がこれから進みますが、同時にシステム開発の期間がございますので、したがいまして実質的に移行作業に移る期間が十五年のうち十三年ということになろうと思います。これを単純に平均化いたしますと八十庁程度のことになるわけでございますが、繁忙庁といいますか事務量の多いところからやる方が効果的でございます。そうすると事務量も多くなるということから、当初は六十庁程度のものから始めることになろうかとも思いますけれども、それは今後の問題でございますが、大体六十ないし八十程度の登記所を、今御審議いただいております法律に従ってなされる法務大臣の指定を受けて作業を開始したい。一つの出張所の移行作業が一年間ではちょっと無理だろうと思います。したがって二年間くらいはかかるだろう。そうすると、作業開始の指定を受けた登記所が新法の適用の指定を受けるまでの間はいわば並行作業、並行処理期間ということになるわけです。その間においては、この法律によって登記ファイルからの証明書が発給される、そういうことになってまいろうかと思います。
#81
○中村(巖)委員 そういたしますと、二年後に登記法の改正をするということで、登記法が改正されれば、その改正の内容によりますけれども、登記ファイル一本でいけるところが出てくる。それについては指定をする。板橋なんか進んでいるから一番最初に指定をされるのだろうと思いますけれども、そうなってくると、その二年後、あるいは二年後に法が改正されてすぐ指定があるかどうかは別として、その時期には登記ファイル一本でやる庁と並行して処理がなされる庁、さらには従来の簿冊の方法による庁と三種類の庁が出てくる、こういうことになりますか。
#82
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。
#83
○中村(巖)委員 それから、第二条によって、法務大臣が指定する登記所においては登記ファイルに記録するということになるわけでありますけれども、恐らくこの法律が成立すれば板橋出張所については直ちに指定がなされることになろうかと思いますが、本年度中あるいは来年度中に板橋出張所以外の庁を指定をする御予定はおありになるのでしょうか。
#84
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、板橋の出張所についてはこの法律が成立いたしましたならば指定をすることになろうかと思います。
 なお、それ以外の庁については、本年度は新しい庁を指定するということは予定はいたしておりませんが、なるべく作業を早く進めたいということがありますので、明年度の予算編成作業等の中では検討されることになろうと思いますが、何分にも今早急にやらなければなりませんことは、本番に移行するためのシステム開発、プログラムの作成に力を注いでいくべき事柄であろうと思いますので、目下のところの一応の計画といたしますと、板橋以外の庁の指定は六十二年度以降ということで考えております。
#85
○中村(巖)委員 その点で、六十二年度以降にしても板橋の後に一番最初に指定をしなければならない序として、法務省は具体的にどこの庁を考えておられるのでしょう。
#86
○枇杷田政府委員 これは具体的にどこの法務局のどこの出張所というようなことについてはまだ何も考えておりません。
 この指定の仕方についても、実は民事行政審議会の御意見を伺いたいと思っているわけでございます。私どもの気持ちといたしますと、先ほどもちょっと申し上げましたようにいわば効率が非常にいいといいますか繁忙庁でございますね、そういうふうなところから始めるのが適当であろうというふうには考えておりますけれども、ただそれを東京から始めていくか、あるいは東京、大阪、名古屋というふうなところから始めていくかとかいろいろなやり方があろうと思います。そういう面においても民事行政審議会の御意見も伺っていきたいと思いますが、大体においては私どもの今の気持ちとしては、大都市における大登記所から始めるということが適当であろうかなという感触だけを持っておる次第でございます。
#87
○中村(巖)委員 そこで、この電子情報処理組織を導入するためには大変に金がかかるわけでございますけれども、今年度の法務省の予算の中でこの関係で計上をされております予算というものは、法務本省でなくて法務局の中にある情報処理業務庁費というものと電子計算機の借料というもの、この二つになるわけですか。
#88
○枇杷田政府委員 六十年度のコンピューター化のための経費は、一般予算と特別会計の予算と両方に計上されております。一般会計の場合には法務局の方に計上されておりますが、特別会計の方は本省とか法務局とかという区別はない計上の仕方でございます。合計いたしまして二十四億円がこの六十年度のコンピューター化のための経費として計上されておる次第でございます。
#89
○中村(巖)委員 私が予算書を拝見した限りにおいては、六十年度の一般会計の中に情報処理業務庁費として一億六千六百万円、それから電子計算機借料として九千八百万円、それから特別会計の中に情報処理業務庁費として十三億八千九百万円、それから電子計算機借料として七千五百万円、こういうものが計上されているように思われるわけですけれども、今の総体の金額から見ますとこれだけでは足りないようなので、あとどういう経費が計上されておるわけですか。
#90
○枇杷田政府委員 一般会計で二億二千百万円、特別会計で二十一億八千九百万円でございます。この金額を合計いたしますと、先ほど申しましたように二十四億一千万円になるわけでございますが、この中の一番大きな金額になりますものが本番のシステムの設計、それから現在板橋でやっておりますのは、区分所有法の関係では旧法を土台にしておりますが、これを新法の形に直すというようなためのプログラミングの経費その他で合計いたしまして十三億三千三百万円でございます。これはまた一般会計と特別会計に分かれております。それから施設費といたしまして、これは開発センターの関係の経費でございますが、これが一般会計と特別会計合わせまして七億四百万円でございます。一般会計の方は三カ月間のいわば調査的な経費でございますが二千九百万円、特別会計で六億七千五百万円というようなものでございます。それから、そのほかコンピューター導入に伴って職員を研修したりするような研修経費であるとかあるいは電算機の借料であるとか、そういうものがそのほかに組まれております。なお、細かな点につきましては、電気代のような光熱水料的なものがございます。それから賃金職員の人件費などもございます。そういうものが二千百万円でございまして、合計して二十四億という数字になるわけでございます。
#91
○中村(巖)委員 五十九年度予算においてはどのくらい計上されておりましたか。
#92
○枇杷田政府委員 五十九年度におきましては一億三千百万円でございます。これは主として法務局でございますが、本省にも三百万円をちょっと欠ける程度の経費が計上されております。
#93
○中村(巖)委員 一億三千百万というような予算から一挙に二十四億一千万という膨大な予算に切りかえになったわけですけれども、今大体の御説明を伺い善したが、そういう予算が膨大になったということは先ほどのお話のように本法に基づいて新規に別の出張所を指定するという関係ではないわけですね、全部板橋関係のプログラミングとかそういうような経費である、こういうことに理解してよろしいわけですね。
#94
○枇杷田政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、一番大きなものは、全国的にコンピューターを導入していくという前提のための大きなシステム開発が必要になってまいります。そのシステム開発、それからそれに伴うプログラミングの経費でございます。それから、開発センターという建物をつくらなければいけないという施設費でございますがそれが中心でございまして、板橋そのものといたしましては従来の電算機の借料の継続的な使用であるとか、あるいはこれから板橋の移行対象を広げていくとかというふうな関係でございまして、板橋固有のものはそんなに大きな金額ではございません。これは従来どおりとお考えいただいて結構だと思いますが、大きなところは、いよいよ本番に向けての開発をするという点に一番の経費の重点があると思います。
#95
○中村(巖)委員 ついでに聞いておきますけれども、まずシステム開発ですが、システム開発については法務省としてはそういう特定のソフト会社というかそういうものに開発委託契約みたいなものをされておるわけですか。
#96
○枇杷田政府委員 これはまだその契約はいたしておりませんが、いずれそのシステム開発についての開発のいわば委託契約は結ばなければならないと思います。
#97
○中村(巖)委員 それから開発センターですが、開発センターというものを従来法務省がお持ちの施設以外のところに土地を取得して建物をおつくりになろう、こういう御計画ですか。
#98
○枇杷田政府委員 法務省には開発センターに利用できるような施設は現にございませんので、新たにつくらなければならないことになろうと思います。先ほどもお話が出ましたような要するに災害時の問題であるとかということも考えまして、適地を見つけてそこに建てるという考え方にいたしております。
#99
○中村(巖)委員 そうすると、その開発センターを使って、委託したソフトの会社がそこで作業を進める、こういうことになるのでしょうか。それとも開発センターというものは法務省の職員だけで運営をする、こういうことになるのでしょうか。
#100
○枇杷田政府委員 開発センターはでき上がった後には全国のいわば中枢機能として運用していかなければなりませんので、これはもちろん職員も配置いたしますし、それだけでは十分でないという場合にはあるいは民間の専門家に一部お願いをするということも十分に考えられようかと思います。しかし、この開発センターができ上がりますのは先の話でございます。したがいまして、そこで基本的なシステム開発の作業をやってもらうというのには間に合いませんので、その作業自体は他の施設を利用してやりたい、そういう面での施設も現在探しておるといいますか、いろいろなところにお話をして何とか確保したいということで努力中でございます。
#101
○中村(巖)委員 今年度二十四億一千万、こういう予算を投入するというお話でありますけれども、先ほど来の長期の計画というか、そういう中では今後毎年どのくらいの予算を必要とするのか、そして総体でどのくらいの予算がかかるものと想定をされておるのか、その点はいかがでしょうか。
#102
○枇杷田政府委員 これは移行作業のやり方とかあるいはその移行作業のための能率的な機種といいますか、そういう新しい端末の開発がどのようにできるかということにもかかってまいりますが、これは大ざっぱな試算でございますけれども、現在のところ十五年間でやると仮定いたしました場合に、四千億を超える経費は必要とするであろうというふうに考えております。その経費の半分は実は移行作業にかかると思います。それから、残りのうちの四分の三かあるいは三分の二ぐらいはいわゆるランニングコストでございます。ですから、それは年数によって動いてくるわけでございます。十五年でやるとしたらば二千億近いような経費がランニングコストにかかるであろうと思います。
 ともかく一番金がかかりますのは、当初にシステム開発をするあるいはプログラミングをつくるというところで、当初に相当な金がかかります。これは要するに六十年度、六十一年度のところにかかってまいりまして、六十二年度以降は移行作業が主たる経費になる。同時に、その作業庁といいますか、コンピューターに移行された庁がふえるに従ってランニングコストがどんどんふえていく、そういう形になってこようかと思います。これも作業の仕方だとか、先ほど申しましたように作業のための端末の開発いかんあるいはコンピューターの機械そのものがどっちかといえば安くなっていくという傾向にもありますのではっきりしたことはわかりませんけれども、大ざっぱに申しますと先ほど申しましたような金額になろうかと思います。
#103
○中村(巖)委員 ランニングコストという意味ですけれども、それは結局そういうシステムというか、ソフトやハードを維持して、そして運用をしていく、こういうことのために要するコスト、こういう意味ですね。
#104
○枇杷田政府委員 そのとおりでございまして、要するに、コンピューター移行庁が一庁ふえますと、そこで機械を入れてそしてバックアップセンター等とをつなぐということになってまいります。そういうことが、移行庁といいますか、完了庁におきましてはずっと毎年必要になってくるということでございます。
#105
○中村(巖)委員 そのお考え方の中で、電子計算機そのもの、ハードですが、これはリースの方式でずっとやっていくということが基礎になっておるわけですか。
#106
○枇杷田政府委員 現段階ではリース方式で試算をいたしております。
#107
○中村(巖)委員 そこで法務大臣に伺いたいのですけれども、十五年間で四千億からかかるということになりますと、これは単純に割りますと年間約三百億近い、こういう経費を要することになるわけでございまして、そうなりますと、登記特別会計はできましたけれども、そこから年間三百億というような経費を捻出していくということは一般会計からの繰り入れというものを膨大にしないと可能でないのではなかろうかというふうに思われるわけでありまして、現在、六十五年までに財政再建だ、こういう状況の中で、今大蔵大臣の言われていることでは予算の伸びというもの、歳入の伸びというものが期待できない、歳出はずっと削減を図っていかなくちゃならないのだ、こういうようなお話でございまして、こういうようなことが、これだけの膨大な経費を要することがこの十五年間に今後とも可能だろうかということを大変疑問に思うのですけれども、大臣はいかがお考えになりますか。
#108
○嶋崎国務大臣 あるいは事務当局からもっと詳細な説明をしていただいた方がいいのかと思いますが、今度の特別会計を発足するに当たりましていろいろな意味で予算の充実を考えたわけでございます。予算のしりをごらんになっても相当なことでございますし、一般会計からの繰り入れの金額も相当な金額になっておるということは御承知のとおりでございます。したがいまして、今後、今言われたような計算のものはある程度時期によって利用者の皆さん方の御負担を願わなければならぬというようなことが出てくるかもしれませんけれども、総体的には、従来の一般会計予算ではなかなか処理がしにくい、またそれが外に顕在化して御認識をいただけない、そういう問題点をこの登記特別会計の発足によって皆さん方に理解をしていただき、またそういう御支援の中で処理をするという考え方をとっていくならば何とかこの処理ができるのではないか、そしてまた、そういうことが実現することによって一般の利用者の皆さん方がある意味で大変受益をされるような結果を実現できるのではないかというふうに思っておるような次第でございまして、今度の特別会計の発足につきましては、大蔵省の方もあるいは関係の皆さん方もある意味で非常に配慮を願って、そのスタートとしては立派な形でスタートをしておるような気持ちがするわけでございます。今後もその推移をよく見守ってどこまでも適切に実態に即し、しかも早期に合理化、効率化が図られるような観点から考えていくならば、利用者の皆さん方からも御協力をいただき、また、一般会計その他とのバランスというものも十分配慮いただけるのではないかというふうに思っておる次第でございます。
#109
○中村(巖)委員 それでは今度は別の観点の質問をいたしますけれども、昭和四十七年以来約十三年間ということで開発が進んでまいったわけでございまして、昭和四十七年から今日まで具体的に研究なり導入の過程というものがどういうふうに進んできたのだろうかということは私どもよくわからないわけでありますけれども、具体的にコンピューターのハードそのものが導入されたのはごく最近であるわけで、その間何年ごろまではどういうことをやっておって何年ごろまではどういうふうに今度は変わってきたのだというような御説明はいただけますか。
#110
○枇杷田政府委員 四十七年から研究を進めておりましたけれども、内部的な検討を二年ぐらいしまして、それから四十九年度ごろからシステムの試案みたいなものをつくってもらいたいということで外部にその作成の委託をいたしました。それを四十九年、五十年と続けてまいりまして、殊に五十年度ごろから力を入れてまいりましたのが入出力の関係でございまして、これが、先日参考人の方からも説明がございましたけれども、漢字処理をどうするかということが大問題でございまして、その漢字の関係の入出力のいろいろな方式を考案してもらい、また、それの実験をいたしたわけでございます。そういうことで進んでおったわけでございますが、昭和五十二年度ごろから室内で総合的な登記事務の処理をするという実験に入っております。そして、これがある程度室内的にはうまくいくだろうということが出ましたので、五十三年度から、それではいよいよ今度は実際に現場でそれを実験するという方向で一歩進めたい。ついては、それが板橋のパイロットシステムになるわけでございますけれども、パイロットシステムを設計しようということで、その設計を外部に委託いたしております。そのパイロットシステムが完成をいたしましたのが大体五十六年度でございます。このときには、実はワードプロセッサーの開発なども進んでまいりまして、それによって漢字の入出力というものも容易になるというめども開けてきたという状況がございます。そして、そのパイロットシステムを、五十八年に至りまして板橋の出張所で実際に行ってみるということを開始して今日に至っておる、そういう経過になるわけでございます。
#111
○中村(巖)委員 この開発、具体的に四十九年ごろから外部に委託して行ったということでありますけれども、それについては外部の会社を選択して、そしてそことの間に随意契約でおやりになったんだろうと思いますけれども、どういう会社をどういう方法で選択されたわけですか。
#112
○枇杷田政府委員 一番最初は実は電電公社にお願いをいたしました。そして、電電公社の意見などを伺ったり、あるいは関係の方面のことに詳しい方の御意見などを伺ったりしながら進めてまいったのでありますけれども、先ほど申しましたように、当初は入出力の関係を私どもの方も非常に問題にいたしておりましたので、それを、各社それぞれ独特のやり方を持っておられましたので、富士通だとか日本電気、東芝、日立、それから日本システム技術という会社もございますが、そういうところにいろいろな方式の実験の委託をいたしておったわけでございます。その後メーカー側の方も、言葉はちょっと適当でないかもしれませんけれども、ついてこれないというふうな面もあったかと思いますけれども、だんだん少なくなってまいりまして、最終的には富士通と東芝の二社が残って、そして今、パイロットシステムの開発のところまでずっと関与されることになったという経過でございます。
#113
○中村(巖)委員 現在の板橋登記所におけるパイロットシステムのシステムそのものの開発は、外部のどういう会社がどういう形でタッチをしているわけですか。
#114
○枇杷田政府委員 これはただいま申し上げましたように、会社といたしますと富士通と東芝ということになるわけでございます。形式上の会社名はちょっと別の子会社のような形になっておりますけれども、実質は富士通と東芝でございます。
 富士通の方はいわば本体の関係についての開発をお願いしております。それから、東芝は出入力の関係についての開発をお願いして、それを組み合わせて現在の板橋の出張所のシステムができ上がっておるという形でございます。
#115
○中村(巖)委員 先ほど橋本委員の質問に対して、従来このシステムの開発に対して、総体として五億六千万ぐらいうち板橋に二億三千万ぐらいを投入している、こういうことでございましたけれども、これは結局そのほとんどは外部のそういう委託会社に対しての支払いということになるわけですか。
#116
○枇杷田政府委員 主としてそういうことになるわけでございますが、システム開発のためのいわば委託料みたいなものと、それから機械をリースいたしております。そのリース料が中心になるわけでございまして、あと板橋の出張所についての移行作業の経費その他がかかる。あとは細かい問題としては消耗品とか光熱水料があるわけでございますが、中心はリース料とシステム設計、プログラミングの委託料ということになるわけでございます。
#117
○中村(巖)委員 また話の観点を変えますけれども、先ほど来お聞きをしておりますように、いずれ登記制度そのものが全面的に改変をされて、登記ファイルによる登記制度というものに全面的に移行してしまう、こういうことになるわけでありますれども、登記ファイルによる登記制度というものは、それ自体考えてみますると、明治以来長い間の紙による登記制度というものを根本的に変えてしまうわけです。確かに技術は日進月歩で時代というものはそれに応じて違ってまいるわけでありますから、そういうこともある時期にはなければならないのだという感じはいたしますけれども、やはり紙の時代からそれ以外のもので物を記録する時代へということになるわけで、それに対しては各界、学者の先生とか、いろいろなことでいろいろな御意見があり得るものというふうに思うわけであります。その根本的な問題について法務省としては審議会そのほかで御検討されたか、あるいは各界の御意見というものを聞かれて検討されたか、その辺のところは、そこへ踏み込むまでの考え方を固めるについてどういうふうな手順をお踏みになったのでございましょうか。
#118
○枇杷田政府委員 まだ正式に審議会に意見をお伺いするとか、あるいは各界にアンケート調査的なものをするとかいうふうなことは一切いたしておりません。ただ、法務省がそういう登記制度のコンピューター化を考えておるということは、これはかなりの方に認識をしていただいておるだろうと思いますが、法制審議会の民法関係の先生方のお集まりの際には、そういうことも雑談的にはもちろん出るわけでございます。そういうところの感触といたしますと、方向としては、もうブックレスの時代でもあるし、登記はそういうものにももちろんなじむのじゃないか、基本的にはそういう感触をいただいておるわけでございます。ただ、何と申しましょうか、はっきりと登記制度をコンピューター化しようというときにはムード的にどうこうという問題ではなくて、我々はどちらかといいますと法律家の集団でございますので、厳密な意味での構想とかあるいは形というものがなければ正確な御意見が伺えないということがあります。その正確な御意見を伺うためには、パイロットシステムによって現場実験をしてみる、そしてこういうことになるのだ、そして技術的にはこういうことも現在の制度からはみ出して拡大をすることもできる、それから、コンピューターの時代になれば現在やっているこういう仕組みはむしろ不用になるのではないかというようないろいろなことが出てくる、その基礎になるものはパイロットで実験をしてみないことにはきちんとした議論ができないのではないかという感じでおりました。そういう意味もあって、この板橋の実験をいたしたわけでございます。そして、現在のパイロットシステムそのものについていろいろな面からの評価、検討というものがともかく必要だろう、そういうものが一応できた上で正規の審議会の御意見を伺いたいという考えでおったわけでございます。
 そういうことでございますので、まず第一段階で必要なのが板橋でやっておりますパイロットシステムについての多角的な評価ということになります。その評価をしていただくために、これは実際上置いているものでございますけれども、評価委員会というものを置きまして、そして民法関係の学者の方あるいは電子工学関係の専門家であるとか、あるいは外部の利用する立場に立っておられる方というふうな代表の方にお集まりをいただきまして、そして多角的な検討をしていただいておるわけであります。その評価がまだ完全に終わっているわけではございませんけれども、中間的な評価を去る三月に出していただきました。
 そういうことでございますので、法律的な目で見てもいろいろな検討をするだけの素地といいますか、基礎的なデータはもう取り得たという感じでございますので、この法律が通りましたならば、民事行政審議会をこの法律で言う審議会として指定をしていただいて、そしていろいろな角度からの御検討を受けたいという考えでおる次第でございます。
#119
○中村(巖)委員 今、評価委員会のお話が出ましたけれども、評価委員会というのは、それは今の局長のお話では事実上だとおっしゃるのですけれども、だれが委嘱をしてどういう根拠に基づいてできているものなんですか。
#120
○枇杷田政府委員 これは法令上の根拠に基づかないものでございますので、事実上というふうに申し上げたわけでございますが、私がお願いをするということで、一人一人の方々にある側面からの評価をしていただくというつもりでお願いをして、その方々にお集まりをいただいて総合的な意見をまとめていただくようにするということでつくったものでございます。
#121
○中村(巖)委員 それから先ほど来お話にもありますけれども、民事行政審議会というものが今後この問題については大変に重要な位置を占めることになるのだろうと思うわけでございまして、五条の二項の「政令で定める審議会」というのもこれは民事行政審議会を意味しているという局長の御答弁でございまして、この民事行政審議会というものは従来もあったわけで、登記制度についての台帳一元化ですか、そのときにもいろいろ御審議をいただいたと思うのですけれども、この民事行政審議会というものは、私寡聞にして余り知らないのですが、どういう根拠でどういうふうな構成でつくられるものなのか、またはその権限というか審議の範囲というものはどういう範囲なのか、従来どういう仕事をされてきたのか、その辺の御説明をいただきたいと思います。
#122
○枇杷田政府委員 民事行政審議会と申しますのは、民事行政審議会令という政令で設けられているものでございます。この民事行政審議会で行いますことは、民事行政全般につきまして審議をするということでございますが、内容的に申しますと、登記、戸籍、供託、そういう関係についていろいろな意見を出して建議をしていただくとかあるいは諮問に答えていただくというふうなことでございます。単に登記法とか戸籍法とか供託法の改正の場合にはもちろんかけるわけでございますけれども、それ以外にもそういう登記を扱う仕組みと申しますか、組織的な面についても諮問するということがございまして、従来のやっておりましたことは、ただいま御指摘がございましたような登記法の改正の際に御意見を伺うということのほかに戸籍制度についても諮問をいたしました。ごく最近に行われましたのが、昨年国籍法に伴いまして戸籍法の改正をいたしました。そういう戸籍法の改正についての御審議もいただいておりますが、そればかりでなくて、出張所と申しましょうか法務局の出先機関がどのようにあるべきかという、いわば適正配置の問題についても御審議をいただきまして、その答申に基づいて法務局の出張所の整理統合と申しますか統廃合を進めたということもございます。そういう面でいろいろな分野についての御審議をいただいておるところでございます。
#123
○中村(巖)委員 その審議会の任期あるいはどういう人たちがその委員になるのかという構成、それはいかがでございましょう。
#124
○枇杷田政府委員 この審議会の委員は任期一年でございます。したがいまして、その年にお願いをする主要テーマを頭に置きまして、その主要テーマを御審議いただくのにふさわしい方をお願いをするということになっております。それで会長さんもいろいろな方にお願いをいたしました。我妻先生にお願いをするとか、そういうようなこともありました。それから鈴木竹雄先生にお願いをするということもございました。
 今度は登記のコンピューター化の問題ということを中心テーマとして御審議をいただくということになりますと、やはりそれを念頭に置いて今委員をお願いをいたしたいと思いますが、主に民法の先生とかあるいは利用されるような立場の金融機関とか会社関係の方とかあるいは司法書士、調査士の代表の方とか、それからまた一般の学識経験のある方、もちろん弁護士会からも御推薦を受けて委員をお願いをしなければならぬわけでございますけれども、そういうふうに登記に関係があって日常の登記所の実情などもある程度御承知で大所高所から御意見を言っていただけるような方にお願いをしたいというふうに考えております。
#125
○中村(巖)委員 その審議会の委員の定数とかそういうものは決まっているのでしょうかということと、それから現在はその審議会の委員というものは任命になっておらないというふうに理解してよろしいのでしょうか。さらにはまた、本法案に基づくいろいろな事項を審議するに当たって、いつごろ今度新たな委員を委嘱するということになるのでしょうか。その点を伺います。
#126
○枇杷田政府委員 員数でございますけれども、政令の上では五十人以内となっております。これは以内でございますので、実際にはそんなに五十名全部お願いをするという必要はなかろうかと思いますが、少なくともその半数程度以上の方はお願いをしなければならないと思っております。
 それで、現在のところは任期切れの状態になっております。先ほどちょっと申し上げましたけれども、昨年戸籍法の改正の際にお願いをした方の任期が切れて今空白状態になっておるわけでございますが、この法律が通りまして、そして政令で民事行政審議会をこの第五条第二項の審議会というふうに定めていただきました後に、早速人選をして審議会をいわば発足させたいというふうに考えております。
#127
○中村(巖)委員 その審議会が新規に発足をした場合に、法務省のお考えのところでは現時点でとりあえずどういう事項を諮問をするということになりますか。
#128
○枇杷田政府委員 これは、諮問という形でお願いをするか、個別にある段階ごとの御意見を出していただくか、いろいろなやり方があろうと思います。最終的には登記法の改正はこうあるべきだという形で意見は取りまとめていただくことになろうかと思いますが、今御審議いただいておりますこの法律の五条二項で、重要な事項については意見を聞いてということになっておるわけでございますので、いわば個別にそのときそのときの決定をしなければならない事柄について御意見を伺うことも多分にあるだろうと思います。繰り返しになりますけれども、最終的には登記法の改正はいかにあるべきかという形で諮問になろうと思いますけれども、個別の中間的な御意見をお伺いするについては、私どもが考えております三重構造方式、各登記所に本体を置いて、そしてバックアップセンターを置いて、それからその背後にまた開発センターを置く、そういう仕組みで進みたいということについての御了承といいますか、御意見を伺うということがまず出発だろうと思います。それから移行作業の進め方などについても、こういうふうな方向でやりたいという案を出して、そしてそれについての御議論をいただくとかいうふうなことで、当面私どもが進めなければならない事柄について、事実上はステップごとに御意見を伺ってまいりたいというふうに考えております。
#129
○中村(巖)委員 そこで、その民事行政審議会でいろいろなことをお諮りになるのだと思いますが、一つの問題として、このコンピューターそのものの導入というようなことを、一つの中央の大きなコンピューターで全国的に処理をされるということを法務省は今御想定になっておるのか、個々の登記所にコンピューター本体を導入をするというお考えなのか、あるいはまた幾つかのレジョンというか、地域地域に分けまして、その地域ごとに導入をするというお考えなのかということ、さらにはそのバックアップシステムというものをどういうふうに構想をされているのか、それをお伺いをいたします。
#130
○枇杷田政府委員 ただいまお話にございましたことにつきましては、いろいろな形が想定されると思います。私どもの現在とっております考え方は、各登記所ごとに本体を置いていく、そして府県単位ぐらいのグループごとにバックアップセンターを設ける、そして中央に開発センターを中央センターとして設けていくという三重構造方式をとって、そして、刻々動いていくデータはもちろん各登記所の本体で処理をいたしますが、またバックアップセンターにおきましても、これは刻々ということも可能でございますけれども、少なくとも数時間ぐらいおくれで、あるいは一日おくれでデータがそこで蓄積される、そしてそれがまた開発センターに蓄積されるというふうな三重構造の形をとりたい、それが一番いいのではないかというふうに考えております。これは、コンピューターの機械もだんだんと進んでまいりまして、余り金がかからないで、手軽なというと語弊があるかもしれませんけれども、簡易なコンピューターの機械を各登記所ごとに置くということもコスト的にそれほど不可能ではない、しかも空調設備等が必ずしも必要がないというようなものができておるようでございます。また、震災等が起きた場合には、集中してデータを保管しておきますと、そこがやられた場合には全国が麻痺してしまうというばかりでなくて、従来の蓄積されたデータが一挙になくなってしまうということでは大混乱を起こすわけでございます。そういう面から申しましてもデータの分散が必要だ。そしてそれをバックアップしていくという仕組みで二重、三重にやるということが貴重なデータの処理としては大事なことではないか。それからまた、そのようなことにするにしましても、現在の標準的な登記所の施設の中で設置できて多額の経費を必要としないコンピューターが現在開発されているという状況から見合わせて、今申し上げましたような形を私どもは想定をいたしておるところでございます。
#131
○中村(巖)委員 そういうような想定だと、一つには、余り法務局、出張所というものが多いとしようがないという、非常に不経済だというか、そういう側面も出てこようかと思うわけでありますけれども、従来法務省は、昭和三十年代からすれば八百から九百の出張所を廃止をしてこられたわけでございまして、今後のそういう出張所の統廃合というか、そういうことについてはどういうふうにお考えでございましょう。
#132
○枇杷田政府委員 現在でもそうでございますけれども、登記所の数というものは、一番多いときには法務局、支局を合わせて二千を超えるものに分散をいたしておりました。これは非常に交通不便な時代にできたわけでございまして、現在の状況からいたしますと、そんなに置くということはかえって職員の分散になって効率的にいかない、利用者の方々にとってもある程度まとまってもそう御不便はないだろうということから、かなりの整理統合を進めてまいっております。これからもある程度の整理統合は進めてまいりたいと思いますけれども、これは私どもはコンピューターの関係とは全く切り離して考えておるわけでございます。コンピューターの本体を各登記所に置くといっても、これは先ほど申しましたように絶対に数減らしをしなければだめだというふうなものであるとは思っておりませんし、考える次元の違う問題であろう。したがって、コンピューターを導入するということは登記所の適正配置の問題とは関係がない問題として考えております。
#133
○中村(巖)委員 そういうふうに出張所を廃止をしていくということで、現在法務省自体が、適正数と言ったらおかしいですけれども、どのくらいまで減らしたいんだという具体的なお考えはございましょうか。
#134
○枇杷田政府委員 これは社会情勢がいろいろ変わってまいりまして、あるところでは減らさなければならない、あるところではむしろふやさなければならないというふうなこともありますのではっきりしたことは申し上げられませんけれども、臨調の答申では、昭和五十九年度から六十四年度末まででございますけれども、六十五年までに二百七十五片整理をしろというふうな答申が出ております。私ども大体その程度の整理ができれば、現在の社会情勢からすればちょうど適当と申しますか、適正な配置になるのではないかというふうに考えております。
#135
○中村(巖)委員 時間がなくなりましたので、最後にほかのことを一点聞いておきますけれども、今何十庁かの登記所で、登記所の職員が非常に足りないということで民事法務協会というところから職員を入れておられるようでございますけれども、今何庁ぐらいでどのぐらい民事法務協会から職員を入れているというか、下請にゆだねているということになるのでしょうか。それから、民事法務協会からの下請職員にやらしている仕事の内容というのはどういうことになるのでしょうか。
#136
○枇杷田政府委員 登記所が大変繁忙でありまして、またそれに見合うだけの定員職員の増加が得られませんので、登記所の仕事の一部を民間委託をするという形で民事法務協会に謄抄本の作成の一部の工程をさせるということにいたしております。私どもは下請と言っておりますけれども、その序数は現在百十四庁でございます。
 この民事法務協会から派遣されてきております者がやる仕事は、登記簿から請求のありました物件に関する登記用紙を取り外しまして、それを複写機にかけて、そしてコピーをとってそれをとじるという作業でございます。その部分だけを委託してやっておるところでございます。
#137
○中村(巖)委員 その民事法務協会について、それはどういう団体であるのかということと、今ちょっとお答えがありませんで、総体でどのくらいの人間が法務局の中に入っているのかということをお伺いをいたします。
#138
○枇杷田政府委員 答弁を漏らしまして恐縮でございます。派遣職員は大体六百人ぐらい今入っております。
 民事法務協会と申しますのは、昭和四十六年に、そういう法務局の仕事のいわば一部を請け負うようなことをするとか、あるいは登記とか戸籍とか供託とか、そういうものについての調査研究をするとかいうようなことをするためにつくられました財団法人でございます。この財団法人のいわば寄附行為をした方は法務局長などを経験されたOBの方でございますけれども、そういう法人が昭和四十六年にできているわけでございまして、今の事業活動といたしますと、その謄抄本作成の下請が一番大きな事業でございますが、そのほかに、私どもの方からの委託を受けましていろいろな教材的なもの、職員の教材的なようなものもつくってもらったりするというふうな活動をいたしております。
#139
○中村(巖)委員 最後に、今の民事法務協会の関係で一点だけお伺いしますけれども、この民事法務協会に委託をするということについては、言ってみればいわば労働者派遣事業みたいな、こういう形になっちゃっているということでやはり労務上もいろいろ問題あろうかということが思われますし、もう一つは職員団体との関係で問題がないのかということをお伺いをいたします。
#140
○枇杷田政府委員 派遣職員の性格につきましては若干議論があることは私も承知しておりますが、ただ、請負的にその民事法務協会にやってもらっておりますので、私は法律的には問題はないのじゃないかと思っております。
 なお、全法務労働組合との間にそういう下請導入の問題については若干の問題があったことがございます。それは一つには、そのようなことをいたしますと正規の定員職員の増員というものの勢いが弱まるのではないか、いわば次善、三善の策で、その次善、三善の策を余り強調するということは本来の定員増というものの足を引っ張るのではないかというようなことから、少しごたごたしたことはございますけれども、現在は全法務労働組合との関係でも私どもは十分に話し合いの上でやっておりますし、現場の職場におきましては、まさにそういう人たちが来てもらっているために事務がはけておるわけでございますし、しかも、大体若い女性の職員が多いものでございますから職場の雰囲気もかえってよくなるというふうなことで、派遣職員と職場の職員との間でごたごたするということは、これは全くございません。非常に仲よくやっているというのが実情でございます。
#141
○中村(巖)委員 どうもありがとうございました。終わります。
#142
○高村委員長代理 午後二時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十五分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時三十三分開議
#143
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。林吾郎君。
#144
○林(百)委員 最初法務大臣にお尋ねしますが、本法案で特別会計にしたことについては、法務大臣はどういう観点からなさったわけですか。
#145
○嶋崎国務大臣 この登記事務のコンピューター化の問題につきましては、御承知のようにかねてから法務省において現在の登記事務の現状を考え、かつまたそれに伴うところのいろいろなトラブルというものを考えて、やはりこれを何とか整理合理化をしていかなければいけない、そして利用者の皆さん方のお立場に沿うような考え方で長期的に考えていかなければならぬというようなことで研究をしておったわけでございます。
 しかし、こういう制度に具体的に踏み切るためには、登記事務をうんと進めていくためには、やはり一般会計の中で処理をするよりはきちっとした形で一般の認識が得られるような条件というものをつくっていったらいいのではないか。ついては登記の特別会計をつくったらどうか。そして、かたがたそういうことでこの事務の能率化、合理化を図っていくということの反面、御承知のようにそういう特別会計が発足することに伴って、それを賄うためのいろいろな費用等の問題も出てくる、そういうところを総合的に判断をして運用をしていくというような意味でも特別会計をつくった方がいい、こういう考え方で、前の住大臣のときに提起をされておったわけだろうと思うのでございます。そういうことを受けまして、その趣旨をできるだけうまく実現をさしていただきたいというようなことで、六十年度予算編成に当たりましてこの登記事務の特別会計化ということについて努力をさしていただいたというのが経緯でございます。
#146
○林(百)委員 大蔵省にお尋ねしますが、大蔵省の方へは法務省の方からどういう相談があったのですか。それでこれを認めることになったのですか。
#147
○吉本説明員 お答えいたします。
 ただいま法務大臣からお話がありましたような趣旨で、何よりも登記の事務の現状からして改革が必要であるということで、これを効率的にやっていくにはどうしたらいいかというその手法についていろいろ御相談があった、こういうことでございます。実際、現在の登記事務の改善というのは非常に喫緊の事柄である、そういうことで、私どもとしてもいろいろと議論をし、慎重に検討を重ねまして、やはりつくる必要があるという最終的な判断をいたしたわけでございます。
#148
○林(百)委員 大蔵省にお尋ねします。あなたも十分御承知ですが、財政法に規定がありますように、この場合の特定の資金あるいは特定の歳入、これは何をもって充てるということになっていたのですか。
#149
○吉本説明員 御承知のとおり財政法に規定がございますが、特別会計をつくる場合というのは三つの場合が想定されております。一つは事業を行う場合、例えば郵政事業特別会計というような場合でございますね。それから、特定の資金を管理する郵便貯金とか資金運用部資金とか、そういうものの特別会計というのがございます。そのほかに区分経理特別会計と私ども呼んでいますが、特定の歳入をもって特定の歳出に充てるということが明確な場合、そういう場合が認められております。
 今回の場合はこの区分経理特別会計にまさに該当するわけでございまして、従来からその一つの運用の考え方といたしましては、この登記の謄抄本サービスというものは受益者負担に非常になじむものであるということで、現に手数料をちょうだいして一般会計の中でやってきたわけでございます。そういうものをこれからさらに全体としての財政が苦しい中で自前財源を調達して積極的な行政の改善を図らなければならない、そういうことのためには、その双方の、特定の歳入をもって特定の歳出に充てるという関係を明確にする必要がある、こういうことで、今の財政法の規定に基づく特別会計をつくることとした次第でございます。
#150
○林(百)委員 そうすると、この会計の特定の歳入あるいは特定の資金というのは受益者負担でこれに充てる、もちろん不足の場合は一般会計からの繰り入れもあるでしょうけれども、原則として受益者負担で行うということなんですか。
#151
○吉本説明員 これの特別会計をつくります基本的な考え方はそういうことでございます。
#152
○林(百)委員 まだ具体的な案が固まってないのですけれども、法務省としては十五年間に全部の登記事務をコンピューター化したいというので、約四千三百億というのですけれども、その四千三百億の予算、これは大蔵省の方へ話があるのですか。仮に将来、この特会の積み立てというか残高といいますか、特別会計の総計が四千三百億、そうなるというと、それはやはり原則的には受益者の負担がその特別会計の資金源になる、そういうことになるわけですね。
#153
○吉本説明員 全体として十年なり十五年なりこれからいろいろ技術改善も進むでしょうから、実際どの程度の金額が要るかということは確たることはなかなか申し上げかねるのでございますが、一つの試算として、現在の技術水準のレベル、機械の、科学の現状から、導入していこうとすればそのくらいの金がかかるという試算は一応お聞きをしております。現実には、今後いろいろ具体的な検討を踏まえて実際の実行計画を立てていくということでございますから、そこの金額については実は確たることは申し上げかねるわけでございますが、いずれにしろ基本的に、そういう手数料といってもむやみやたらに引き上げられるわけではなくて、やはり適正なるレベルというものがございますから、そういう財源ともにらみ合わせながらこれからその計画を現実執行可能なようなレベルで策定していく、こういうようなことになろうかと思います。
#154
○林(百)委員 あなたの言うようにまだ不確定な要素がございます。要するに、こういう特別会計をつくった基本的な考え方からいうと、今後のコンピューター化の費用、基本的には利用者の手数料をもって特別会計の財源に充てていくというんじゃなければ特別会計にする必要はないわけですから、そういう考えでいいんですか。
#155
○吉本説明員 そういうふうに理解しております。おっしゃるとおりでございます。
#156
○林(百)委員 四千三百億という数字は出たんでしょうか、出ないんでしょうか。ちょっと大蔵省の方、これはまだ固まってもいないし別に法文に出ているわけじゃないんですが……(「四千六百億だ」と呼ぶ者あり)そんなような数字は出たんでしょうか、四千六百億。
#157
○吉本説明員 先ほども申し上げましたように、一つの数字として――実はそれだけじゃなくていろいろな数字の試算がございますので、いろいろな数字があるということで、その一つに四千六百という数字もたしかあったかと記憶しております。
#158
○林(百)委員 それでとりあえず手数料を上げる、謄抄本の写しをもらうのが三百五十円が四百円ですか、それから閲覧が百円が二百円、こういう数字は出たんですか。――民事局長でいいです。
#159
○枇杷田政府委員 七月一日からただいまおっしゃったように謄抄本については一通三百五十円を四百円に、閲覧を一筆百円を二百円にという予定にいたしております。そういうことを予定しまして、六十年度の予算はそれを基礎にして計算をいたしております。
#160
○林(百)委員 大蔵省にお尋ねします。
 人員については、これを使う、コンピューター化する、そして合理化をする、それで事務の非常な混乱、煩雑――登記所の受付は庶民から言わすと官庁の受付のうちのワーストワンだ、そういうような話もいろいろ出ておるんですが、人員については法務省からどういうような話があったのですか。
#161
○吉本説明員 コンピューター化ということになりますと、まさにかなりの金をかけて合理化する、現場で非常に御苦労されている方々の仕事を機械に置きかえるという部分がかなりございますから、当然その人員についても、今後非常な事務量の増加の中で幾らでも人をふやせるという時代でもございませんし、どう対応するかというのは基本的なこの発想の中に入っておるわけでございます。そういうことで今後非常に膨大な事務がふえていく、そういう増員圧力というものもこれによって吸収できるというふうなお話を伺っております。
#162
○林(百)委員 増員をこれでもって吸収するというのは何だかわからないのですが、要するにこれで吸収して増員しなくていい、場合によっては減員もできるという意味ですか。もう少しわかりやすい言葉で――これをもって吸収するといってもわからないのですが、どういうことですか。
#163
○吉本説明員 実は先ほども申し上げましたように、これ自体の進め方が具体的に決まってないわけでございます。現実にプログラムをつくって開発して全体のシステムを設計して、そして導入計画をつくって、やがては基本的な法案の改正の問題もございますでしょうからそういう中で、当面はすぐ稼働するわけじゃないですから、すぐに人員の削減の効果が出るというようなことはないわけでございます、例えば六十年度をとらえますと。そういうことで、人員の問題については抽象的にそういうことはあり得ても具体的に何人どうなるかというようなところまでは現段階においてはとてもいかない。そういうことで具体的な、例えば減員がどの程度できるとか増員のうち何人ぐらい吸収できるあるいは今いろいろ応援していただいている方々を何人ぐらい減らすことができるとかそういうところの計算まではなかなか具体的には踏み込めない。ただ、基本的には当然合理化ということでございますから、そういうことはかなり効果を発揮するであろうというふうに私ども期待しております。それがまさに今回の一つの大きな意味の行政改革の一環でございます。そういうような意味で大きな成果をもたらすであろうというふうに期待しております。
#164
○林(百)委員 大蔵省が期待なさることは結構なんですが、法務省の方からそういう方向でやるんだという話はあったんですか。大蔵省が、法務省から何の話もないけれども、私の方ではそう期待しているということですか。
#165
○吉本説明員 法務省の方におかれても、これの具体的な計画を立て実行していく過程で当然そういう効果が出てくるであろうということはもちろんお認めになっているし、そういうつもりでおられると思います。私どもは、先ほど申し上げたのは具体的にどういう、何人どうなるかというようなところまではとてもいってないというお話を申し上げたので、そういうトータルの、抽象的と申し上げますかそういう段階の話としては当然そういうことを予定しておるというか期待しておる、そういうところでございます。
#166
○林(百)委員 そうすると、大蔵省の期待が主なんですね。法務省の方からは、コンピューター化すればこれだけの人員を合理化できますということを別に示したというわけじゃないんですね。そう聞いておいていいでしょうか。法務大臣は大蔵省と折衝する場合に何かそれの口実を与えてあるんですか。
#167
○嶋崎国務大臣 ただいまの問題でございますが、何しろ利用者の方にもある程度の負担をお願いしなければならぬということになるわけでございます。また、行政改革その他も言われておるわけでございますからできるだけ能率的、効果的な運用を図るということが大切なことだというふうに思っております。しかし、今の登記事務の現状というのはとてもそういう状態ではないということはもう御承知のとおりでございますし、前々から御説明申し上げておりますように、登記簿自体を改正をするというようなことは、いろいろなシステム設計その他から見ましてこの二年ぐらいはなかなか難しかろうという段階で、今をどううまく切り抜けるかということで精いっぱい、逆に言えばある程度の増員をお願いしなければとても――ワーストワンと言われたのは非常に残念でございますが、そういうような状態はなくするような気持ちで対応しおければならぬということは当然のことだと思うのです。しかしこの制度が発足したら、最初に申し上げたような状況でございますからできるだけの努力を積み重ねていかなければならぬ、またそういうための投資も行うわけであろうというふうに思います。しかし御承知のように、現在市町村の方の応援をいただくとかまた外部に委託をしなければならぬような仕事の状況があったりといういろいろな条件があるわけでございます。そういう条件というものをだんだん直し、しかもそういう機械を入れたことでございますからそれに対応した合理化を進めていくということは私は当然のことだ。そういう意味で長期的には今のような状態というものを何とか改善をして、ワーストワンに数えられるような姿というものを一刻も早く逃げ出して、そしてできるだけ能率のいい環境の中で本当に適正な人員配置の中で運用できるような姿へ変えていかなければならない。そうした場合に、少なくとも今のような状態を脱し切れて、将来はある程度職員の増勢を抑えあるいは逆に減員が期待されるような状況で運用していきたいということを私も強く大蔵省に申し上げておった次第でございます。
#168
○林(百)委員 そうすると、法務大臣のお考えとしては、今、むしろ定員が十分でないので、ワーストワンとまで言われているのだ、そのためにやむを得ず自治体から援助者を求めたり、それから臨時雇いなどもせざるを得ないような状態になっているので、そういうところを改善していきたいということであって、別にこれを入れたから現職員を直ちに整理をするとかそういうことを考えているわけではないというようにお聞きしておいていいのでしょうか。
#169
○嶋崎国務大臣 答えの結び方のところをそう受け取っていいのか、よくわかりませんけれども、今の状態を脱する、その中にいろいろな過程があります。また、御承知のように、法務省の予算自体を考えてみましても、もう本当に人件費の割合が圧倒的に多い。しかも、法務行政に対する需要というものはある程度あることは事実であるわけでございます。
 いずれにしましても、そういう背景の中で、登記事務につきましては、せっかくこういう投資をし、また、それを利用していただく皆さん方にある程度の負担を求めていかなければならぬことですから、できるだけの努力をして、しかも、それは適正な姿で変えていくという構図はもちろん持っていかなければならぬ。また、今申し上げましたような法務省全体の背景というようなこともあるわけでございますから、そういうことを十分検討して運用していかなければならぬ。したがって、今の段階で職員の合理化をすぐ進めなければならぬというような状態だという判断を申し上げたことはないということが実際でございます。
#170
○林(百)委員 大蔵省に申しますが、法務省の実情はそうなんですよ。実際は人員が不足して自治体から援助を求めなどして、自治体の方から陳情書まで出てきているわけですね。人員が足りないために私の方から定期に登記関係の仕事を手伝いにやっているようなことがあるので、これは国の委任事務として、国にこの費用を当然見てもらうべきじゃないかという請願も長野県あたりから来ているわけです。そういう状態でございますので、特別会計でコンピューターを導入することによって仕事の合理化が進むということはあり得ても、そのために人員をこうじる、ああしろということを大蔵省の方からいろいろと指図をする、そういう考えはお持ちでないのでしょうな。今、全法務といいますか、法務省に働いている人たちの要請からは、今の仕事を充足するにはどうしても、一万幾らという数字も出ていますけれども、最小三千四、五百人から四千人の増員がなければとても手に負えない。そういうことの一環もあって、このコンピューター導入もあるわけなんですけれども、そういう実情だということを大蔵省は十分認識なさって、今後は、おまえのところ、特会を認めてやってコンピューターを入れたから職員を減らすことができるじゃないかというようなことを安易に言わないようなことを我々は望むわけですが、どうでしょうか。
#171
○吉本説明員 現実に法務省関係の増員の要請が非常に強いとい。うことはよく話を聞いております。今後の問題につきましては、そういう状態で事務量がふえて、とにかく人をふやさなければならないというようなことだけ考えていたのでは、これからなかなか行政というものは進んでいかないので、そういうことの対策としてまさに行政改革と申し上げたのですが、機械化するなり何かしてどんどん人手を省けるところは省いていくというのがねらいでございますから、基本的にはそういう考え方でやっていく、それによって効果がどう出るか、人員が、需要がどの程度少なくて済むか、あるいはさらに減員ができるのかどうか、そういう問題はまさに計画と運用と、そういうものをひっくるめて総合的に法務当局がごらんになって、その上で私どもは御相談にあずかった上で検討していく、こういうことでございます。
#172
○林(百)委員 局長にお尋ねします。
 あなたは当事者ですから、大蔵省との交渉の過程で、コンピューターを導入することによって現職員の数を減らすことができる、そういうような言質を大蔵省へ与えておいでになるのですか、あるいはそういうことはないのでしょうか。
#173
○枇杷田政府委員 特別会計並びにコンピューター導入の話をする際に、大蔵省の方に、コンピューターを導入すればかなり事務が合理化されて省力化が進むであろうということは申し上げておりますけれども、それによって現在の人員を減らすことができるというような形でのお話は申し上げておりません。早く申しますと、これからもどんどん事務量がふえてまいって増員がますます必要になってくる、そういう関係が緩和されるということはあるであろうということは申し上げておりますけれども、減員についての約束とかそういうようなことは一切申し上げておりません。
#174
○林(百)委員 これは大臣に聞いたらいいか局長に聞いたらいいか、要するに閲覧の問題ですね。大分問題があって、一体コンピューターを導入したら閲覧はどうなるか、いや、あそこの画面に出るからあれを見れば閲覧になるのだというような話もありますけれども、いずれにしても、閲覧が技術的にどうなるのか。
 そして、移行の過程ですから、まだ板橋ですら完全にコンピューター化していないわけなんですが、そういう場合に、閲覧の料金を百円を二百円に上げるということは、これはどういう根拠があってこういうことが出たのでしょうか。これは数字のことですから何なら局長でも結構ですが、これはちょっと国民にとっては、例えばコンピューターを導入して、それを利用できる人は今までより便利になったから百円を二百円にする。まあ便利になるかならないかは、これは技術的な問題で非常に難しいかと思いますが、事実上はいわゆる従来の閲覧なるものはできないのじゃないかと私たちは考えていますけれども、しかし、それにしても移行の過程ですから、圧倒的な多数はまだ閲覧はできない状態なんですが、それがコンピューターを導入するからといって百円を二百円にするということは、結局、これが特会になって費用が要るからそれを捻出するためにはこういう費用を上げるのだということなんですかね。
#175
○枇杷田政府委員 いろいろな内容を含んだ御質問だと思いますが、閲覧につきましては、現在板橋でやっております並行処理期間中は登記簿というものがございますから、したがいまして、従来と同じように登記簿そのものの閲覧制度というものは残ります。ただ、これが本格導入になりまして登記簿というものがなくなって、いわばそれにかわるものとして登記ファイルだけが動いていくという状況になりますと、登記ファイルそのものを見るという意味での閲覧というものは不可能になるわけでございますけれども、その登記ファイルに記録されておりますものを目で見るという形でテレビのブラウン管に映し出して見るというふうなことは、これはやろうと思えばできることでございます。ただ、コンピューター導入後、そのような形での閲覧を認めるかどうか、そういう制度を残すかどうかについては現在でも議論のあるところでございます。謄抄本の方はコンピューターになりますと非常に速やかに簡単に映し出されてまいりますけれども、ブラウン管に映し出すということになりますと、お一人お一人の見る方のためにテレビのようなものを据えつけて、そして操作をしなければならぬということになりますので、もしかすると実費といたしましては、閲覧が謄抄本と同じくらいの実費がかかるということにもなりかねない面も出てこようかと思います。そういうことを総合いたしまして、そういう制度を残すのがいいかどうかということは、民事行政審議会でいろいろな御意見を伺った上で最終的には決定させていただきたいと思っております。
 そのことはそのことといたしまして、料金の関係でございますけれども、今度七月一日から謄抄本関係については一通四百円に、それから閲覧の関係は二百円にということを予定しているというふうに先ほど申し上げましたけれども、これは、これから三年ぐらいの実費を大体概括的に計算をいたしまして、そして実費として割り出されると大体そういうことになるということが結論でございますが、その場合に、実は現在の手数料の決めました時期が閲覧と謄抄本とでちょっとずれておる面もございます。そういう面で、諸物価の値上がり等の調整も閲覧の方に余計にかかったという面もございますが、現在、閲覧のために簿冊が競合したりなどしてかなりの時間がかかったり、手間がかかったりするというふうなことがございますので、片方は五十円、片方は百円ということで値上げ幅が違っておりますけれども、事務量の全体を総合的に見ますとそういうふうな割合で値上げをさせていただくのが一番実態に合っているということから、そのような金額に決定をする予定にいたしておる次第でございます。
#176
○林(百)委員 五十円と百円と言いますが、百円が二百円になるのは一〇〇%の値上げですから、だからどうしてそうなるのか。別にまだコンピューターの恩恵も何も受けているわけじゃないし、またコンピューターが導入されたとしても一体閲覧にどういう恩恵がくるのか。あなたのおっしゃるように、十人も閲覧の希望者が来れば少なくとも五台くらいコンピューターの映像がなければ閲覧できないことになりますから、恐らく将来コンピューターでの閲覧というのはできないような可能性の方が強いのじゃないかと思っているわけです。コンピューター特別会計を今度やるから百円を二百円にしますということは、国民の方から言ったらわからないことだと思うのですね。だから、それはやはり特別会計をする以上は、年間約四、五百億円の金が要るわけですから、それを捻出するためにやるということの要素が強いわけじゃないのですか。
#177
○枇杷田政府委員 このたびの値上げは、コンピューター導入のための経費も織り込んだ上で計算していることは間違いございません。ただ、閲覧につきまして謄抄本よりも値上げ幅が大きいということは、先ほど申し上げました事情のほかに、非常に大勢の方が閲覧のために窓口においでになります。そのために、登記所の職員が登記簿を探し回るということで大変な手間が、人数が多くなることに自乗するぐらいな比率で多くなっております。そういうことで、手間がかかり、またそういう方々を整理するためにロッカーを置いたり、それから整理をするための臨時職員を雇用したりというふうなことを現在いろいろ導入しておるわけでございます。そういう意味で、閲覧の関係についての実費が従来よりは割高になっているというふうな傾向がございます。そういうことを勘案いたしまして、ただいま申し上げましたような金額に値上げをさせていただきたいという考えでおるわけでございます。
#178
○林(百)委員 大臣、この問題については合理化の問題も絡んでおりますので、職員にとっては非常に重要な関心を持っているわけですね。受益者だとかあるいは登記制度そのものについても重大な問題がありますけれども、職員は、一体自分の身分がどうなるかということが重大な関心事になっているわけです。従来、この問題については、全法務ですか、全法務の労働組合と民事局あるいは民事局の課長との間でいろいろな覚書だの協定ができて、協議をしていくということになっておりますが、大臣としてはこの制度を取り入れることについて、職員との関係についてはどういうように調整をとっておいでになる考えですか、まず大臣の考えを聞きたいと思うのです。職員は重大な関心を持っているし、ある者は不安を感じているかもしれませんしするので、その点をまず大臣の考えを聞いておきたいと思うのです。
#179
○嶋崎国務大臣 先ほどもお話し申し上げましたように、当面は、登記事務の現状から考えまして、さしずめ人員の整理とかなんとかというようなことはある意味では遠い話であろうと思うのです。コンピューター化がどんどん進んでいくというようなことになりますと、私も、御指摘のように、将来は閲覧という姿はだんだん消えていくのではないか、一般的にはそう思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、そういう中で職員の皆さん方がこの仕事を進めていくためにやはりある程度の共感を持ってやっていただかなければならぬというふうに思っておりますし、そういう意味で、過去法務省の中でも職員団体とこの問題を取り上げたいろいろな論議をやってきたはずだと思っておるわけでございます。
 将来におきましても、やはりそういう新しい制度が入っていくわけでございますから、そういう点については十分相談に乗って、事柄を処理してもいいのではないかというふうに思っております。しかし、考え方としては、やはりこういう時節でございますから、ともかく将来合理化されるかもしれない、だから反対だというようなことで事柄を運ぶべきではないんで、先ほど来お話も申し上げているような登記事務の現状というものを踏まえ、またそれを利用される皆さん方のお立場なりあるいはその時間的なロスというようなことまで念頭に入れて対処をしていかなければならぬわけでございますから、組合の皆さん方にもその点はひとつ十分理解をしていただいて、この問題をうまく整理をしていくように努力をしていかなければいかぬというふうに思っておる次第でございます。
#180
○林(百)委員 別に全法務の職員の諸君がこういう新しい近代的な技術を導入することに反対などはしておらないのです。ただ、正規の職員でないところへいろいろな仕事を委託でおろしているとかあるいは賃金職員というのですか、賃金だけ払って職員並みの扱いをいろいろして非常に不規則な雇用関係、雇用関係と言えばなんですが、不規則な労働条件が職場の中にたくさんありますから、そういうものを、法務の仕事、登記の仕事は法務に働いている職員でこれを充足するという正規の方向へ持っていきたいという期待を持っておるわけですよ。そういう意味でいろいろな話し合いをしているわけなんで、新しい機械を入れるから合理化だから反対だなんて、そんな単純なことじゃないわけなんですよ。それはあなたもよく理解しておいてもらいたいと思うのですよ。だれだって、自分の仕事がきれいに、立派に、早く、しかも大衆の満足がいくようにできることについて反対する職員なんかおりませんよ。ただ、それについては、今異常な状態にある職場を正常な形に一日も早く戻したいということの期待を持っておるわけです。
 そういう意味で、職員と当局との間で覚書や協定ができているわけなんで、これは局長――大臣はまだ新任でございますので過去の経緯は御存じないかもしれませんが、最初には、昭和五十年七月十六日に民事局長と全法務の執行委員長との間で職員の問題についての協定ができて、それから続いて、それに基づいてごく最近は、五十七年十一月三十日に民事局の第一課長とそれから全法務の書記長との間で協定ができているわけなんですが、この協定によると、板橋の実験的な段階の総括をして、その総括に基づいて協議をしましょうということになっていることは、局長、御存じですか。
#181
○枇杷田政府委員 五十七年十一月三十日に板橋の出張所でパイロットシステムによる現場実験を始めるに当たりまして、民事局とそれから全法務労働組合との間で話し合いが持たれまして、その結果、ただいま御指摘のようなそういう条項の協議が調ったということは事実でございます。
#182
○林(百)委員 そこで、板橋の実験についての総括というのは出ておるのですか。これに基づいて両者は協議をする、それで遂行ができるようにするというごとになっているわけですが、その実験の総括というのは出ているのですか。
#183
○枇杷田政府委員 板橋におきます実験の最終的な評価、検討というのはまだ終わっておりません。ことしの三月に、評価をお願いしている評価委員会におきまして中間的な御意見の取りまとめがありまして、その報告は受けておりますが、まだ最終的な総括といいますか、そういうものは終わっておりません。
#184
○林(百)委員 そうすると、板橋も実験的な段階で、その実験の結果について職員とも協議をして全面的なコンピューター化に支障なきを期するというその協定に基づく実験の総括というのがないのに、職員組合と協議してコンピューターの導入を円滑にするようにしましょうというのが、先走ってこれだけ法案として出てきて審議するというのはどういうことなのですか。
#185
○枇杷田政府委員 全法務労働組合の方には板橋のパイロット実験の経過については逐一説明をしておりますし、また、先ほど申しましたこの三月の中間的な意見につきましても労働組合の方には話をしております。そしてまた、各段階において労働組合の方からいろいろな意見が出たり、個別の問題についても協議を重ねてきておるところでございます。
 これからも、先ほど林委員御指摘のように、コンピューター導入は職場における相当な変化をもたらすものでございますので、したがいましてそういう面については、本格導入に当たってどういうふうな問題が生ずるか、それについて組合側としてはどういうふうな態度で臨むかあるいは改善意見を出されるかというふうなことは多分にあるわけでございます。私どもの方といたしましては、この板橋の実験の関係につきまして、ソフトであるとかハードであるとかというようないわば機械的な面についてはある程度の評価はできておりますけれども、職場環境の関係であるとかあるいは利用者の関係であるとかについてはデータ量が不足しておりますので、評価委員の方々でも最終的な意見は述べがたい状況にございますから、これはまださらに進めましていろいろな角度からの検討を加え、そしてその上で労働組合の方からの御意見も十分に伺い、また私どもの方でも十分に説明をして、どのような形のものならば職場として十分に納得いく、通用する登記の仕組みというものが実現できるかということをこれから逐次まとめ上げてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
#186
○林(百)委員 大臣も念のために聞いていただきたいのですが、五十七年十一月三十日に民事局の第一課長の、そのころは清水さんというのですが、それから全法務労働組合書記長の大段君との協定、覚書がありますが、これは決してパイロットシステムを導入することに反対だという立場ではなくて、円滑な運営のためにはどうしてもこういうことをしてもらわなければいけないという立場でやっているわけです。
 その協定の中の第六項に「パイロット・システムの実施に伴う諸問題については、全法務労働組合と十分協議して対処する。また、具体的実施にあたっては、東京法務局、全法務労働組合東京地本東京支部間の協議についてこれを尊重する。」それから七として「実験終了後、全法務労働組合との協議が整わない限り本格導入を強行する考えはない。なお、実験終了後、ただちに本格導入が実施できない場合には、機器の撤去ということになるものと考えている。」こういう協定があるのですよ。もし協定が整わなければ少なくとも本格的な導入はしないし、場合によっては既設の機器の撤去ということもあり得るものと考えている、こういう協定までちゃんとできているのですよ。お見せしてもいいです。
 ところが、これは局長に聞きたいのですが、話し合いは多分していると思うのですが、しかし協定をちゃんとして、けじめをつけてそしてこの法案が出ているのか、せっかくこういう協定ができているのに、これはこれで、法案の提出は提出だということじゃ、組合に対して背信行為になるんじゃないですか。そこのところはどうお考えになるのでしょうか。
#187
○枇杷田政府委員 このたびの特別会計の創設並びに今御審議いただいております法案につきましては、組合の方にも説明をいたしております。先ほども林委員が御指摘になりましたように、このパイロットシステムの実施につきまして、組合は絶対に反対というわけではなくて、いろいろ慎重に組合と協議をしながら一歩ずつ進めていくことにしよう、そういうことが、ただいまおっしゃった協定の根本趣旨でございます。
 そういう線に従いましていろいろな段階でお話し合いをしておりますし、また、これからも協議は十分に尽くしながら進めていくつもりでおりまして、今度のこの法律は、方向としてコンピューターを導入するということを中心として登記事務の迅速、円滑な処理体制をつくっていくということでございますので、別に具体的にどういう内容の、どういう仕組みのもとにコンピューターを構想していくかということはまだまだこれから民事行政審議会の意見も聞きながらまとめていくわけでございますので、抽象的な方向を定めたこの法律が全法務労働組合との関係での背信的なものだというふうには私どもは理解をいたしておりません。
#188
○林(百)委員 そうすると、全法務労働組合との協議は重ねつつこの法案の審議もお願いしているんだというように受け取っていいですね。
#189
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。
#190
○林(百)委員 それで、職員の方からでは、これによって、合理化でたださえ人員が足りなくてよそから応援を求めたりあるいは臨時の雇いというような形もとっているということでありますので、それを正常な役所の運営に移したいというのは職員としての当然の念願ですけれども、ここで問題になるのは、コンピューター導入による労働の密度が、我々の聞いているところではやはり非常に密度の濃い頭脳労働ですから、一時間なら一時間操作したらば十分なら十分の休憩が欲しいとか、あるいは労働条件について配慮してもらいたいとか、これは働く者の側から言えば当然のことだと思うのですね、そういう配慮をしてもらいたい。それから、わずかなごみが入っているだけでも故障の起きるようなところですから清浄な環境にしなければいけないので、そういう環境を整備してもらいたいという希望も出ているわけですね。そういうことについてはどういうお考えなのでしょうか。
#191
○枇杷田政府委員 コンピューターの導入ができますと、職場におきましては、先ほど来御指摘のような部外者による謄本焼きの委託であるとか市町村とかあるいは司法書士の事務所の人の応援であるとかあるいは賃金職員の雇用であるというふうなことが逐次解消することになると思います。そうしましてすっきりした形の職場ができ上がっていくことが大いに期待されるところであります。
 それと同時に、この特別会計におきましてコンピューターのほかにもう一つ私どもが関心を持っておりますのは施設の改善でございます。そういう施設の改善が図られるということになりますと、そういう面からも職場環境はかなり改善をしていくだろう。そして、従来のように倉庫と事務室の間を簿冊を探し、またその簿冊を抱えて出し入れするというようなこととか、複写機に張りついてコピー焼きをするとかというふうな、そういう仕事は逐次なくなるという面でも改善されるものがあるだろうと思います。そういう面ではかなりいい影響をもたらすものではないかと私どもは思います。
 一方また、コンピューターを導入することによりまして新たな問題が生ずる可能性がある。それはただいまおっしゃいましたように、機械に張りついていろいろやっているということのために、目が疲れるとか、あるいは肩が凝るとか、神経が休まないとか、そういう問題が出てくる可能性がございます。そういう面を非常に私どもも心配をいたしておりまして、このたびのパイロットシステムにおきましても、そういう面での職員に対する影響はどういうものがあるだろうかということを十分に検証したいという考えております。ただ、現在までの実験では、それほどの悪い影響はないだろうというふうなことが言われておりますけれども、板橋の出張所の場合に、わずか八%の事務量についてコンピューター化されているだけでございますので、まだまだデータとしては不足だろうと思います。したがいまして、なるべく板橋の事務量が原則的にコンピューターで処理できるようになるという環境下でどうなるかということも十分検証していきたい。その結果、その影響度合いに見合ったような、見合ったといいますか影響度合いを回避するといいますか、そういう労働条件、勤務条件というものも考えていかなければならないだろう。ずっとブラウン管の前に張りついているというようなことは避けて、休憩をとるとか、あるいはほかの仕事とかわるとか、いろいろなことも、悪影響を回避するための知恵を働かした職場づくりといいますか、執務のやり方というものも考えていかなければならないだろう。その点につきましては、ただいま林委員が御指摘のことは私どもも重大な関心を持って、コンピュータ化によってある面ではプラスがあるけれども、ある面ではマイナスだというふうなことでなく、すべての面でプラスになるような、そういうふうな形にすることが我々の努力すべき事柄だというふうに考えております。
#192
○林(百)委員 登記所がワーストワンと言われる大きな原因は、職員のサービスが悪いということよりも環境が、とにかく人がたくさんいて、そして倉庫へなんか行ってみれば山のように書類があって、しかも薄暗いようなところにあるというようなことで、そういう前近代的な職場で、施設で、建物で、そこへ最も近代的な施設だけ持ってくる。それで近代化なんてできないと思うのですよ。
 そこで大臣、やはりコンピューターを入れる以上、施設全体、環境全体が近代化されなければ、施設はまるで前時代的なもので、古い登記簿が暗い倉庫の中にぎゅうっとある、そして窓口だけがコンピューターだといったってこれは一致しませんわな。だから、庁舎の施設、建物から近代化させるということを考えていかなければ、法務省の登記事務全体を近代化させていくという観点の中でコンピューターを導入するということでないと、これは木に竹を接いだようなことになると思いますが、その点についてはどうですかね、大臣。
#193
○嶋崎国務大臣 お尋ねの庁舎施設の問題についてでございますが、役所の規模というような問題も重なっておりまして、なかなか現在の段階で十分でないところがあることは我々もよく承知をしておるわけでございます。しかし、こういう施設が入ってくるということになれば、ある程度環境になれたような機械自身も開発をされてきておるということももちろんありますけれども、それよりも施設がうまく動くような条件というものを整えていかなければならぬということは、我々も十分気をつけてやっていかなければならぬということだというふうに思っておるわけでございます。したがいまして、今後登記特別会計の中でのいろいろな施設費をどういうぐあいに確保していくか、そしてどれだけ職員の執務環境というものをよくしていくかというようなことについては、十分気を配りながら処理をしていかなければならぬというふうに思っておるわけでございます。
 しかし、そういうことを前提とした場合でも、ある程度適正な規模はどういうぐあいのことを考えなければならぬのか、現状をそのまま肯定するというようなわけにいかない面も部分的にはあろうかと思いますが、気持ちとしては、御指摘のようにコンピューターが入ってきている、それをうまく運用できるだけの職場環境というものをつくっていくということを意図して運用していかなければいかぬというふうに思っております。
#194
○林(百)委員 大蔵省の吉本さんにも今私の言った現状をよく認識していただいて、特別会計だから、おまえの方は特別会計でやっていけ、一般からの繰り入れなどはおくびにも出してはいかぬというようなことは言わなくて、一度あなたも行って見てもらったらいいと思うのですね。大蔵省というところは、現場を知らないで金ばっかり削っているところが大蔵省みたいな印象がありますので。本当にあそこで働いている職員、また、あそこへ行った一般の大衆から見れば、我々渋谷の登記所に行きましたが、全く前近代的なんですよ。そこへ最も近代的なコンピューターを入れるというのですから、およそちぐはぐなんですね。ですから、特会は特会としても、必要な場合には一般会計からの融資も考えていただくということも念頭に置いておいていただきたいというように思うわけですね。
 ここに先ほどからの問題があるのですが、人員の問題でこういうものが法務省から出ているのですが、こういうものは大蔵省に行ったのでしょうかね。ちょっと、これ……(林(百)委員、パンフレットを示す)コンピューターを入れるとそうなるというのですよ。その人形のところだけ見てください。法務省から、こうなりますという話はありましたか。
#195
○吉本説明員 あのパンフレットは、十一月ですか十二月ですかちょっと記憶ございませんけれども、実は別のルートから手に入りまして眺めたことはございますが、私、直接法務省からあれをいただいて説明を伺ったことはないのです。
#196
○林(百)委員 そうすると、正規に法務省から、こうなりますというような説明の材料としてそれがあなたに見せられたことはないですね。ないならないで、いいです。
#197
○吉本説明員 先ほど来申し上げておりますようにいろいろな観点で事務的には検討しておりますから、あの数字が結びついているかどうか知りませんが、ちょっとあの数字ははっきり記憶しておりませんけれども、全く内部的な計算としていろいろな検討ができる、そういう意味でのいろいろなお話を伺ったということはございます。
#198
○林(百)委員 いろいろなお話を伺ったことはいいのですが、その材料の一つとしてそれが法務省から大蔵省へ提出されたことはあるのですか。それはないのでしょうね。
#199
○吉本説明員 先ほどのパンフレットは、法務省がいろいろな方に御説明するために使ったものだというふうに理解しておりまして、私どもとの関係で御説明に使われるにはちょっと簡単過ぎるような内容でございますから、使われたものではないというふうに思っております。
#200
○林(百)委員 その後、民事局の方も、あれは誤解を受ける統計の表示だから撤回するというお話もありましたので、万一あんなような考えが大蔵省の方にあるとすれば誤解を招きますから、念のために聞いたわけです。
 そこでお尋ねしますが、「移行作業について」「登記簿の謄本(写し)をとる。または、マイクロフィルムに写す。」これは委託をする。それから「磁気ファイルに入れる(入力作業)」は委託にする。校合作業については「通常業務との兼ねあいを考えると、かなり正確な作業による良品質のものを「校合」する事にしないと業務量に追いつかない。その為に入力済のものを一旦「確認」しておく。」これも委託。委託、委託とあるのです。これは移行の過程ですから専門家に委託することも考えられますが、将来どうするのですか。やはり今委託に出しているものは正規の職員に技術を習わせて正規の職員がやるようにすべきが本来だと思いますが、その点についてはどうお考えですか。
#201
○枇杷田政府委員 移行作業につきましては非常に膨大な作業量でございますので、現在人手不足の登記所ではその職員が移行作業に全面的に当たることは実際上不可能でございます。したがいまして、外の者に委託せざるを得ない。ただ、登記簿の記載内容が正しく登記ファイルに入力されるためには最終的な点検は必要でございまして、その点については職員がやらざるを得ないという面はございます。しかしながら、移行作業の中で委託になじむものはなるべく委託でやっていくという方針をとるつもりでおります。
 なお、その移行作業が終わりまして後、コンピューターを維持管理していくという面につきましても、コンピューターの専門家に委託することも考えておりますが、法務局の職員の側においてもそういうことがよくわかっている者がいることが望ましいのは当然でございます。殊にバックアップセンターであるとか開発センターに配置する職員につきましてはコンピューターに関する相当な知識、技能がある者が望ましいわけでございますので、そういう職員については、それほど多数の人数を必要とはしないかもしれませんけれども、相当な勉強をしてもらってそういう特殊な技術を身につけるように養成することは必要だと考えております。
#202
○林(百)委員 それから、賃金は支払いをして職員として今応援を求めておる、その職場はどういう職場がありますか。
#203
○枇杷田政府委員 現在、法務局職員以外、正規というか定員職員以外の者が入っている職場は、これは全庁的なことだろうと思いますが、殊に都市部の事件数の多い繁忙庁と言っているところにおいては謄本焼きのための部外委託の派遣職員が来ております。そのほかに、窓口整理要員とかいうような賃金職員が入っておるわけでございます。その他地方の出張所等には、先ほどもちょっとお話しがございましたが国土調査とか土地改良とかという時期に、これは遺憾なことでございますけれども、市町村の方にお手伝いに来ていただくということがあるわけでございます。
#204
○林(百)委員 「委託先としては、民事法務協会、コンピュータメーカー、メーカーの子会社、マイクロ化業者、オペレータ事業会社」「本番システム開発、設計などソフト、ハード両面におけるものなどは、メーカー、及びその関連企業に委託する」、こういう委託先があるわけですけれども、これも移行の過程ですから、もちろんこういう特殊な技術を持っているところに委託したりそういった者に援助を求めることは当然ですが、将来、こういう技術は職員が行うようにこの技術を身につけていくという方向は考えておりますか、そしてそれについてのいろいろの準備はしておいでですか。
#205
○枇杷田政府委員 移行作業につきましては、先ほども申し上げましたように外部に委託をせざるを得ないと思っておりますが、その委託先につきましては、現在のところ、まだどこというふうに決めているものではございません。板橋の出張所のパイロットシステムを実施するに当たりましては、法務局で臨時職員を雇用いたしまして、その職員に移行の作業の中心部分をさせておるという状況でございます。
 なお、その移行が済みました後でのコンピューターの作動を適正に管理をするということ、あるいは法改正などがありました際にプログラムを変えていくという事態が生じてくるわけでございますが、そのような問題につきましても、先ほども申し上げましたけれども、専門のシステムエンジニア、プログラマーとかいう者に委託することももちろん考えておるわけでありますけれども、役所の職員自体もそういうことがわかる者がいるということが大変望ましいことでございますので、そういう職員を、これは多人数を必要とするものではございませんけれども、ある程度の人数はそういうものの専門的な知識を得るような教育を内部的にもいたしまして養成していかなければならないと考えております。
#206
○林(百)委員 私の質問はこれで終わりますが、労働省を呼んだきりで質問しなくて恐縮でしたが、これはあしたも私の質問時間がありますのでそこで本格的にお伺いしたいのですけれども、最近、ワープロ商法なるものがありまして、要するに専門的な技術なものですから、機械なんかをリースしてやったり講習料を取って技術を身につけさせて、そのかわり私の方から働き先を探してあげますと言って、そして働き先に自分のところで養成した者を派遣している、別に労働者派遣業の許可を得ていないのにやっているということが新聞にも出ておりますし、私の方で事実を大分調べている。
 これは明日また質問したいと思いますが、こういうやり方は明らかに職安法に違反しているのではないか。今の法務省のようなやり方、会社が自分のリースした会社に機械のオペレーターのために会社の職員を派遣することは結構ですけれども、そうでないのがありますので、そういうのは今度法律をつくる労働者派遣業法、職安法に違反していると思いますが、その点はどうでしょうか。
#207
○矢田貝説明員 御説明申し上げます。
 最近の経済活動の多様化等に伴いまして、お話にございました情報処理サービス業を初めとしていろいろな分野で、自分のところで雇用している労働者を他の会社に派遣して業務を処理するというような事業形態が見られております。これらの事業は請負契約に基づいて行われておりますけれども、その業務の性格上、いわゆる発注先の施設内で一緒に作業するといった問題がございまして、そこで派遣先の方からいろいろと労働上の指揮監督を受けるといった問題が起こるということで職業安定法四十四条との関係が問題になるケースがございます。
 具体的に申し上げますと、今申しましたような請負業務につきまして、この業務処理を行うに際して派遣先、いわゆる発注者の管理者等からいろいろと労働上の指揮命令が派遣した労働者に及ぶとか、あるいは派遣先の労働者、すなわち発注元の労働者と一緒になって混在して仕事をしているとかというような場合につきましては、契約上は請負契約ということになりましても職業安定法四十四条に抵触する要素を持ってまいります。そういった意味で個別のケースによりましてこの四十四条の禁止規定に該当するかどうかを判断していく必要がございますが、いずれにしましても私ども労働省といたしましては、そういった請負事業を行うに際しましては受注の範囲というものをきちんと請負契約で明確にしまして、その作業の完成について請負事業主としてすべての責任を負う、また個々の労働者に対しましても使用者としての責任を果たすといったようなことできちんと請負事業として適正にやるように、そういった面での指導をいたしているところでございます。
 そういうことでございます。
#208
○林(百)委員 私は、質問はこれで終わります。大臣、いろいろ複雑な問題がありますけれども、しかし、登記事務を近代化すること自体に私たちも反対するわけじゃありませんけれども、ただそれにはいろいろの条件がございますので、それが満たされなくて見切り発車するようなことについては我々は賛成できません。この法案についてはそういう嫌いがありますので、我が党としてはどうもにわかに賛成しがたい条件がまだありますので、十分そういう点を充足するように将来大臣に考えてもらいたいと思うのです。それについての大臣の答弁をお聞きしまして、私の質問を終わります。
#209
○嶋崎国務大臣 先ほど来民事局長からも十分御説明しておるところで、余り見切り発車をしておるつもりはございませんので、どうぞ御賛成をお願いいたしたいと思います。我々も十分注意して運営していきたいと思います。
#210
○林(百)委員 私は終わります。
#211
○片岡委員長 柴田睦夫君。
#212
○柴田(睦)委員 時間がありませんので、飛ばしながら質問していきます。
 今回の法律案について言いますと、さしあたっては東京法務局の板橋出張所におけるパイロットシステムによってつくられる書面を登記簿の謄本または抄本とみなすことになります。そこで、板橋出張所において現在電子情報処理組織によって登記ファイルに記録されているものは管内にある不動産の中でどの程度の割合を占めているのかということ、それからこの実験システムは昭和六十二年度の前半まで続けられることになっておりますが、それまでの期間内にこれからどの程度の登記が新しいファイルに記録されることになるのか、その予算も含めてお知らせいただきたいと思います。
#213
○枇杷田政府委員 現在の時点におきまして、板橋でいわば並行処理の対象にしておりますのは全体の八%程度でございます。今後それをふやしていくわけでございますけれども、遠い先のことはちょっとあれですけれども、本年度、昭和六十年度中には現在入っておりますものの三倍以上程度のものは並行処理の対象にしたい、そういうふうな計画を持っております。
#214
○柴田(睦)委員 「パイロット・システム基本計画書」を見たのですが、この中にはパイロットシステムの検査項目がありまして、(七)として「費用効果分析」という欄があって、移行経費、運用経費、省力化効果、サービスの向上ということが対象にされております。先ほど同僚議員の質問に対して、三月に中間評価を出してもらったということを言っておられましたが、そういう中でこの点についての分析がなされ、また見通しが立てられるような状況になっているのかどうか、お伺いいたします。
#215
○枇杷田政府委員 三月に得られました中間の評価では、費用効果の点についてはまだ出ておりません。これはただいまおっしゃいましたように、八%の対象物件について処理をしているだけでございまして、ところが機械の方は全庁あるいは板橋出張所規模のものが二庁か三庁ぐらい入るような容量の機械を据えつけてやっておるわけでございますので、しかも実験でございますので、費用が従来のやり方と比べてどれぐらいだという比較をする基礎がまだないという状況でございます。これから移行地域を広げていくにつれましてだんだんと、はっきりした数字はつかめないかもしれませんけれども、見当が少しずつついていくというふうなことになろうかと思います。
#216
○柴田(睦)委員 法務省の説明によりますと、昭和六十二年度後半から昭和七十四年度まで、できればそれより短い期間内にということで全登記所をコンピューター化する計画のようですが、この十二年半の間にどのように全国の登記所のコンピューター化ができていくものか、これは段階的な計画がつくられなければならないと思っております。
 コンピューターシステム導入について今後の十五年間に移行経費、ハード面のシステムの運用経費などの合計を約四千六百億円とされているようですが、この予算というのはどのように運用されるわけですか、お伺いします。
#217
○枇杷田政府委員 ただいまの四千六百億というのは、実は全体の姿を概括的につかむという意味での試算のものでございまして、別に大蔵省との間で話がまとまったとかそういうふうな性質のものではないことをまず御了解いただきたいと思います。
 それで、今後の物価の上昇であるとか人件費とかそういうような未確定要素が大変ございます。それから作業期間も何年でやるかによっても随分違ってまいりますので、非常に概括的なものだということを最初にお断りしておくわけでございますが、その一応の試算によりますと、四千六百億のうちの約半分の二千三百億は移行のために必要であろうという考え方でございます。そして残りの二千三百億のうちの約二千億程度のものがいわばランニングコストと申しますか、機械のリース料とか光熱水料とか保守料とかそういったようなものに当たろうかと思います。残りがいわば開発その他に必要な経費、大ざっぱに言うとそういうことになろうかと思います。
 それで、そういう一応の試算をする前提におきまして、どういうふうな手順で移行作業を進めていくかということが基礎としてなければならないわけでございますが、この十三年間に千二百庁余りの登記所を全部やるということになりますと、単純に今ようかん切りで分けますと八十庁程度ということになりますけれども、なるべくならばコンピューターを導入したことの効率が余計に上がる繁忙庁の方から始めていく方がいいのではないか。そうなりますと、繁忙庁の方が若干地方の末端の登記所よりは移行の作業量が多いということになりますので、もう少し少ないもの、六十庁がそこらの序数ということにならざるを得ないかなというような感触をもとにいたしまして私どもは積算をいたしておるわけでございます。ただ、どういうふうな手順で進めていくかというふうなことも、これからだんだんと本格導入の形を煮詰めていく段階で民事行政審議会の御意見なども伺っていかなければならないことだというふうに考えております。
#218
○柴田(睦)委員 先ほど大蔵省の方のお話も聞いておりましたが、結局、一応約四千六百億円と考えられるそのものは登記制度の利用者が支払う手数料によって負担されるということになるようでありますけれども、これが四千六百億円を上回っていくというようなことになれば、結局その分も利用者が手数料の引き上げなどによって負担することになるわけでしょうか。
#219
○枇杷田政府委員 これは実際にやってみなければわからない面があるわけでございます。先ほど林委員の御質問にお答えしたとおり、当面は七月一日から謄抄本につきましては一通につき三百五十円から四百円に、閲覧を百円から二百円にという改定を予定いたしておりますが、それから先は移行作業のやり方とか機械の値段の推移というものによって影響されてこようかと思います。十五年先まで四百円のままでいけることはあるいはないのかもしれません。コンピューターの問題がなくても物価上昇等がありますと値上げをしなければならないということにもなりますので、そういうことを考えますと、はっきりしたことは申し上げられませんけれども、十五年の間には何がしかの値上げがさらに行われることは多分にあり得ることだというふうに思っております。
#220
○柴田(睦)委員 センターとなるべき庁舎においては、また端末機を置く庁舎の場合でも、「パイロット・システム基本計画書」に導入庁舎の要件というのが書いてありますけれども、あのように、庁舎や敷地に関して、建物の構造が堅固であり端末機の設置ができる庁舎でなければならない、そのためにはコンピューター室の増築をやらなければならぬ、そういうところがたくさん出てくると思うのです。そういう点から、敷地の確保やコンピューター室の増築の予算というものはこの四千六百億円の中で賄うということなのか。
 コンピューターについては今第三世代から第四世代へ移行する時代であるというふうに言われております。要するに、これから先の昭和七十四年と言えば第五世代に属する時代になるわけですが、そうなりますと、今後十五年の間にはコンピューターシステムについてもいろいろと更新されていくのではないか。こういう点についての予算は、この全国的な登記制度のコンピューター化について、庁舎の問題あるいはコンピューターの更新というような問題も一応念頭に置かれておるわけでしょうか。
#221
○枇杷田政府委員 コンピューターを本格導入いたしまして全国展開をいたすということになりますと、施設の問題が出てまいります。開発センター、いわば中央の中枢センターになるものの施設費は既に六十年度予算でも計上してあるとおりでございます。これは特別会計の中で計上いたしております。それから個々の登記所の施設の関係につきましては、四千六百億円の中には計算はしておりません。先ほどちょっと言い間違えましたが、開発センターの経費は四千六百億円の中に入っております。しかしながら、コンピューターを入れるにつきましては、各施設もそれに見合ったように整備をしていかなければならないということは、先ほど林委員が御指摘になったとおりだと思います。この関係につきましては特別会計の中でその施設費が一般予算のほかにも計上されることになっておりますので、コンピューターの本格導入に当たりましては、施設の整備もあわせながらその対象庁を決めていくというふうな配慮をすべきだと思います。したがいまして、移行庁については、施設の状況も考え、何年か先のものを見通した上で施設の改善計画を立てていくということが総合的に考えなければならない点であろうというふうに思っております。
#222
○柴田(睦)委員 将来の問題についてですから、現在の段階では具体的な予想を立てると言ってもそれは無理だろうと思うのですけれども、結局一定の段階に来れば、その計画が立てられなければこの計画が成功するかどうかわからないということになると思うのです。パイロットシステムによる実験が終わる段階には、二年半先ですから、現在の大臣もあるいは民事局長も多分もっと出世されて、おかわりになっていらっしゃると思いますけれども、そうすると、今後の担当者は場合によっては後始末というふうなことになるかもしれないわけです。場合によってはむだな投資をしたというようなことも起こるかもしれないわけです。私は率直に申し上げますと、四千六百億円ぐらいでこの大事業ができるとはちょっと考えられないような気持ちでいるわけです。
 そういう点からして大切なことは、「パイロット・システム基本計画書」をつくられましたが、これに匹敵するように、登記のコンピューター化について、予算面も含めていろいろな面で具体的な基本計画を示さなければならないと思うわけです。それには審議会の問題もありましょう。しかし、やはりこれを担当する省として責任を持って基本計画を示す、いろいろな識者の意見を入れて、本当に実現可能なガイドラインをつくる、これから先十五年間の計画であれば十五年間その計画に基づいて進んでいけるような基本計画をつくるということをしなければならないというように思っております。
 これをつくる時期が、実験が終了してこれからいよいよコンピューター化して、登記法の改正にまでなっていくというときであるかもしれませんけれども、いずれにしろ今の実験の中から結論が出て、それで基本計画がつくられるような状況になれば、本当にちゃんとした具体的な基本計画をつくらなければならないと思います。その点、現在のことではありませんけれども、大臣の所見をお伺いします。
#223
○嶋崎国務大臣 御指摘のように、一応今後十五年間ということで計画をしておりますが、具体的に動くのはあるいは十三年というような計算の立て方もあると思います。それらの期間、できるだけ早目に登記事務というものを十分な姿の中でつくり上げていきたいというような感覚でおるわけでございます。
 ただ、その具体的な内容ということになりますと、現在板橋の出張所でやっておるのはどこまでも実験的なことでございます。したがって、その投資されておる設備と実際の仕事の間にはアンバランスがある、あるいはこれを全国的にふやしていくということになれば、実態に応じてもっと簡素化した、あるいはもっと能率的な工夫が今後できていく可能性もあるのだろうと思います。
 いずれにしましても私自身はできるだけ早目にそれを実現したいという気持ちでおるわけでございますが、その具体的な内容につきましては、この実験の様子を十分見ていただいて、民事行政審議会の答えを見まして、そういう中で具体的に問題を解決するような計画を立てていかなければならないのじゃないかというふうに思っておる次第でございます。
#224
○柴田(睦)委員 もう一つ、地図の問題についてちょっとお尋ねしたいのです。
 不動産登記制度において、地図の整備の必要性は現在の状況から見でだれも否定しないことであるわけです。不動産登記法もちゃんとした地図を登記所に備えつけることを義務づけているわけです。そしてまた、現実の地図というものがその要請に合っていないということも否定できないと思います。現在は、登記所で行っている地図の整備、それから国土調査法により送付される地籍調査の成果を押さえる、また土地区画整理事業などの換地確定図によって登記所の地図を整備する、こういうことをやっておりますが、現在、登記法が要求している地図というのは全体の中でどれくらい確保されているわけでしょうか。
#225
○枇杷田政府委員 現在、不動産登記法の十七条で規定されている地図にふさわしい内容であるということで指定をいたしております地図の枚数は百十万枚程度でございまして、枚数で申しますと全体の三〇%ぐらいだろうと思いますが、これは単純に枚数だけで比較できませんで、三〇%でない残りのものはいわゆる公図と言われているもので、八畳敷きぐらいあるような非常に大きなものもございますので、面積的に申しますと四分の一があるいはそれを切るぐらいなところのものではないかと思います。
#226
○柴田(睦)委員 そこで、不動産登記制度のための地図づくりということに目標を合わせて、いろいろなものがあるわけですから、統一的なガイドラインを示して、それに基づいて総合的な地図の整備計画を立てる必要があると私は思っておりますけれども、法務省の見解はいかがでしょうか。
#227
○枇杷田政府委員 現状で申し上げますと、国土調査によります地籍調査によって地籍が明確になった地図が整備されるということが現在の地図整備の基本的なやり方でございます。ただ、この地籍調査自体も現在第三次計画で推進をされておりますけれども、対象地域がどちらかと申しますと農村地区を中心に行われております。現在登記所の方で公図のできが悪くて境界問題などでいろいろ問題が生じておりますようなところは、都会あるいはその周辺部ということでございます。その点について実は国土調査の方が余り進んでおらないというのが現状でございます。そういうことから、都市並びにその近郊の地図づくりを国土調査の方でやっていただくか、あるいは法務省みずからの手でやっていくかによってなるべく早く整備をしなければならないという課題を抱えておるわけでございます。私どもは、まず国土調査によって日本国土の相当部分がなるべく早く地籍調査が完了するようにということを期待いたしておるわけでございますが、私どもの手でも若干でも地図整備をやっていきたいということで独自に予算を計上いたしまして実施をいたしておりますが、何分にも現在の法務局の陣容ではそう多くの作業量をこなすという力はございません。したがいまして、将来法務局の体制が充実することによって地図づくりの方にも力が割けるというふうな事態に一日も早くならないかなというのが私どもの熱望するところでございますが、現在ではそういう見通しははっきり立っておらないという状況で、私ども自身も若干焦りに似たような気持ちを持っている状況でございます。
#228
○柴田(睦)委員 時間が参りましたが、今の点は大臣にもお考えいただきたいという要望をしておきます。
 それから、登記の特別会計制度が発足するわけです。法務省は、登記のコンピューター化によって、それまで登記事務に忙殺されている職員に登記所が本来なすべき仕事をしてもらうことができる、こういう説明をなされております。そういう中でいろいろ問題はありましょうが、問題を克服して地図の整備の促進、こういうことが必要であると思います。地図整備のためには今も言われておりますように予算が必要です。登記特別会計ができたということからそのために法務省全体の予算が削られるということがあってはならないと思うわけです。そういう点で大臣は、そういう特別会計ができた、だから法務省の予算が削られる、それでやはり地図の整備も進まない、こういうことにならないように頑張っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#229
○嶋崎国務大臣 ただいま御質問の国土調査によるところの地図の問題でございますけれども、今民事局長からお話がありましたように地域的なところからどんどん整備をされてきておるという実庸があるようでございます。しかし、いずれにしましても不動産登記制度というものを考えていく場合に、地図の整備というものは不可欠の問題であろうというふうに私は思っておるわけでございます。ただ、これはどういうような形で整備をされていくかという行き先の問題については、やはり国土調査を十分進めていただいて、それを整備してもらうのが基本じゃないかというふうに思っておるわけでございますけれども、今後のいろいろな様子を見まして、地籍調査の充実に我々も少しでもお手伝いをできる分野があったら努力をしていかなければならないんじゃないかというふうに思っております。
#230
○柴田(睦)委員 終わります。
#231
○片岡委員長 稲葉誠一君。
#232
○稲葉(誠)委員 法案について質問いたします。
 パイロット・システム評価委員会というのが、東北大学の幾代先生を会長にして、「評価委員会の活動状況及び中間報告における評価の内容について」というのを出しておられて、第一準備会が「ソフトウェア及びハードウェアの信頼性に関する評価」、第二準備会が「利用者に対するサービスに関する評価」、第三準備会が「職員の執務に関する評価」、それの(1)が「執務環境関係」、(2)が「業務関係」、(3)が「研修関係」というふうに分かれておるわけですが、これで見たときに、これは最終報告じゃなくてまだ中間報告で、最終報告は来年に出る予定であったのが、特会の方がお骨折りを願って早くなってしまったために中間報告という形で三月に出て、それを基準として判断するというふうなことになったのではなかろうか、こういうふうに思うわけです。ですから、予定よりも特会の方が一年早くなってしまったということから全体として早まってきたということがあるのではないかというのが第一点です。
 それから、私、ちょっと気づいて、第三準備会の方を見たときに、例えば「将来の展望」というところがあるのですが、その中で照明について「更に検討する必要がある。」ということが書いてある。それから「業務共通」のところでは「VDT作業については労働衛生上十分な配慮を要する。」こういうふうに書いてある。そして、その委員を見ますると、労働省産業医学総合研究所労働保健研究部長の山本宗平という方も委員として参加をされていらっしゃる。こういうふうなことで、職員の衛生上の問題、執務上の問題等についてまだ随分問題が残っておる、こういう形が現在あるというふうに考えられるのですね。これが第二点。前の点とあわせてこの二つです。
#233
○枇杷田政府委員 板橋出張所におきますパイロットシステムは、三年間現場実験をした上で、その結果に基づいて十分な評価をしようということで始めたものでございます。そういう面から申しますと、現段階ではその三年の現場実験が終わっておりませんので、最終的な評価をするには熟していないという面はございます。そして、ただいまもいろいろな職場環境の点についての御指摘がございましたけれども、何分にも現段階では板橋出張所の事務量のうちの八%が並行処理で行われているということでございますので、職場環境の点についての判断をするためにはデータ不足であるということは否めないと思います。ただ、コンピューターの導入とか、あるいは特別会計とかいうのはパイロットシステムとは関係がないことはございませんけれども、必ず結びつくというものでもないと思いますが、ともかくパイロットシステムはパイロットシステムであり、また、登記所の充実を図るための方策は方策として特別会計の実現に努力をしてまいったわけでございまして、それが六十年度で実を結んだということで若干事実上はつながってまいりました。そういうことから、ことし、この国会で現在御審議をいただいております法案を提出するという運びになりましたので、そういう御審議のための資料にもなるであろうし、また今後の本格導入に向けての検討のための基礎資料にもなるという意味で中間的な評価をお願いしたということで、三月の段階でその時点における評価をしていただいたわけでございます。
 それから、そういうことでございますので、機械面、ハードとかソフトとかいう面につきましては、現に稼働しておりまして、ただその稼働するときの受件数の容量は少のうございますけれども、システムとしてどうだという評価は一応できる状況にありますが、執務環境の面でありますとかあるいは第二準備会で取り扱っております申請者その他の利用者の関係につきましては、何分にも八%でございますので、それについて科学的な最終的な結論を出すということにはちょっと熟さない、いわばデータ不足の状況があるわけでございます。なお、今後板橋の出張所の移行作業の対象を広げて、ある程度中心的な事務がコンピューターで処理をされるという状況になりますと、ある程度の検証が明確にできるのではないかと思います。
 なお、現在の庁舎とかその他の執務環境につきましても、コンピューターということを十分に念頭に入れた上でのことではございませんので、今後評価委員の方あるいはそういう部門での専門分野の方の御意見も聞きまして、照明はどうあるべきだ、あるいはどちらの方向から何ルクスぐらいの照明が必要であるか、あるいは壁はどういう色がいいかとか、ブラウン管を見る場合にはそのブラウン管の輝きぐあいですかそういうものをどの程度にしたらいいかということも、登記所の職場あるいは仕事の性質に応じて最善な条件を考えていって、本格導入の際にはそういう条件をそろえるように努力していかなければならないというふうに考えている次第でございます。
#234
○稲葉(誠)委員 今お話がありました中で、「執務環境関係」で「検討事項」とされているのが「騒音」「空気環境」「照明」「その他」、こうあるわけですね。「照明」は「更に検討する必要がある。」というふうにされており、それから「業務関係」は「業務共通」部門として、今お話ししたように、「VDT作業については労働衛生上十分な配慮を要する。」こういうふうにあるわけですから、この点ばかりじゃありませんが、これを中心として今後職員とも十分話し合って、職員の執務に関する評価が将来の展望としても著しく改善されるようにしっかり努力をしていっていただきたい、こういうふうなことを私として要望する次第であります。
 それは、具体的にどういうふうに進めるわけですか。産業医学総合研究所ですか、これは専門的な人も入っておられますから、よく意見を聞き、職員の意見も聞いて万全の対策を立てていただきたいことを要望しておいて、それについてのイエス、ノーのお答えをいただきたいと思います。
#235
○枇杷田政府委員 ただいまの御指摘の点は私どもも同様に考えております。評価委員会の中に山本さんというその道の専門家に入ってもらっておりますし、また現場の職員の方にも入っていただいておりまして、その面での検討は十二分に尽くしていきたい。なお、板橋の職員の意見とか感想とかも十分に酌み上げるつもりでおります。
#236
○稲葉(誠)委員 それから、私どもが委員会で三月二十六日、渋谷と板橋を視察に行きましたね。そのときに局長はこっちに残っておられた、三課長も残っておられたのですか、それで職員組合といろいろ交渉されているわけですね。そのときに、いろいろなことが問題となっておるわけですが、実はこれは資料としては出てないのです。資料として出てないという意味は、国会へ提出された資料の中には入ってないのですけれどもその三月二十六日の話の中に出たのではないかと思うのですが、「当面のコンピュータ化スケジュール表」というのと「登記制度コンピュータ化十五か年計画」というのが出ているのですね。これは恐らくあなたの方から出たのだろうと思うのですが、それを見ますと、「第一次板橋出張所移行作業」、完全コンピューター化が六十二年の十月、「第二次六十一庁移行作業」が、三十庁ないし四十庁が移行完了して、コンピューター化して、残り二十庁ないし三十庁が六十四年の三月に終わるとか、「第三次六十一庁移行作業」が、移行作業開始が六十三年の四月で、六十四年の四月が三十庁ないし四十庁がコンピューター化して、残り二十庁ないし三十庁が六十五年の三月にコンピューター化される。「法改正に向けての作業」として、作業開始が六十年の二月、内閣法制局との打ち合わせ作成作業、民行審に諮問、法案確定、法案確定というのは六十一年の十月、第何回国会、これは十二月、六十二年の五月が法改正一省・政令改正一成立、こういうふうに書いてあるのです。
 これはよくわからないのですが、まず第一次、第二次、第三次の御説明をおよそ願いたいことが一つと、それから法改正というのはどれを言っておられるのですか。今ここへ出している法律を言っておられるのですか、また別個の法律のことを言っておられるのですか、不動産登記法の改正を言っておられるのですか、そこのところがよくわからないものですから、それの二つをお聞かせ願いたいと思います。
#237
○枇杷田政府委員 ただいまのお話の計画と申しますのは、私どもが特別会計の関係でいろいろ大蔵省と折衝するための前提としまして、全体的な構想を私どもなりに一応の試算をしてやってみなければ大蔵省との折衝の説明ができないという面がございまして、そういう観点から試算的につくってみたものでございます。当初、特別会計を要求をした九月の時点におきましては、コンピューターの関係は繁忙庁から始めていくべきだろうということで、全国の登記所のうちの四百数十庁ですね、それを十年ぐらいでやるという構想で進んだわけでございますけれども、その後コンピューター化を進めるということになりますと全体的にどうなるかということの方がむしろわかりやすいのではないかというようなこともありまして、それを全庁に広げるというふうなことで若干修正をした経過がございます。そういうようなことがここの表の中にいろいろ痕跡をとどめておるのではなかろうかとは思いますが、そういうことで、これは全体構想的なものを私どもなりの腹の中におさめて、そして大蔵省と折衝するためにつくった資料で、そういうものも私どもの周辺の方々にはその都度お話をしているというところから出たわけで、この計画が対大蔵省との関係で確定しておるというものでもございません。ただ、私どもとすれば、現時点では、できることならこういうものを中心として進めることもいいことではないか、特に変えるという要素は現在のところはないという意味では一つの計画だと言えようかと思いますけれども、民事行政審議会に御意見を伺ったり、それから今後の板橋のパイロットシステムの評価の状況などを見ながらもちろん修正はしていかなければならないだろうと思いますけれども、これが一つのたたき台といいますか、原型的なものには使えるのではないかというつもりではおります。
 なお、ここに書いております法改正の関係でございますが、これは現在御審議をいただいております法律のことを言っているのではなくて、不動産登記法、商業登記法、その他登記の関係を定めております法律を改正する。関係する法律が全部で三十幾つか、たしかあると思います。そういうものを検討して、そして現在の不動産登記法で申しますと、登記所には登記簿を備う、それは土地登記簿と建物登記簿とするというふうな規定があるわけでございますが、これを登記ファイルというものにかえていくということでございますね。そのほか、先ほど来議論が出ておりますけれども、閲覧制度を認めるとか認めないとか、そういうことも全部検討し尽くした上で織り込んで、コンピューター化導入後の登記制度はこういう仕組みになるという構想のもとに条文を練って、国会の御審議を得たい、そういうものでございます。
#238
○稲葉(誠)委員 この「登記制度コンピュータ化十五か年計画」というのを見ると、実施計画が、六十年、六十一年、六十二年は「板橋出張所オール・コンピュータ化」、これが一ですね。二が「本番システム開発・設計」、三が「開発・運営センター建設」、四が「法改正等」、これが六十二年までですね。六十二年になって一庁が稼働するのですか、それから六十三年が六十二、六十四年が百二十三、六十五年が百八十四、六十六年が二百四十六、六十七年が三百七、六十八年が三百六十八、六十九年が四百二十、七十年が五百九十四、七十一年が七百五十八、七十二年が九百二十一、七十三年が千八十五、七十四年が千二百四十九、こういうふうになって、これが十五カ年計画と称されるもので、こういうような年度的に稼働序数というものをふやしていきたい、そうすると、七十四年になると千二百四十九庁で、これで全部が終わる、こういうふうなことなのですか。そうすると、そこへいくまでの間に一体支出関係はどうなっていくのですか。まだそこまではわかっていないわけですか。
#239
○枇杷田政府委員 最初のお話の十五カ年計画は、逐次移行庁を指定をいたしまして、そこで移行が完了したら、新法、すなわちコンピューター登記法の適用を受ける登記所になっていく、それが年々ふえていって、七十四年には千二百四十九庁の全庁が完了するということはただいまお話しのとおりでございます。
 経費的には、当初は、六十二年まではシステム設計とかあるいはプログラミングとか、そういういわば頭脳的な部分についての開発経費、それから開発センターをつくる施設費、そういうものが中心にかかるわけです。そして、板橋の移行作業はもちろんありますけれども、それから六十二年以降はいわば本番のシステムができましたので、それに向けての移行作業を、この案で申しますと、まず最初に六十一庁ぐらい始めたいということで、六十一庁指定して、二年ぐらいかかってそれが完了して新法適用の登記所ができてくる、こういうことになるわけでございますが、経費的には、当初のうちは移行経費が非常にかかっていくわけです。これは当初から最後までかかると言ってもいいのかもしれません。移行の序数に応じて移行経費がかかります。それからその次には、移行の指定を受けますと、そこにコンピューターの機械を据えつけます。その据えつける機械がどんどんふえていくわけですね。そうしますと、その機械のリース料がそれだけふえていくということになります。それから、それに伴う電気代とかもろもろの経費がかかってまいります。そういうのがいわゆるランニングコストと言われるものでございますが、そのランニングコストは、コンピューター移行庁がふえるに従ってふえていくということになります。そういうランニングコストのふえていくことと、それから移行作業の経費というものとを勘案して、全体として、先ほど来話が出ております、大体四千六百億とかというふうな計算になるわけでございますが、それをこの計画では、移行作業は、大体の経費は横ばいで行って、そしてランニングコストが年々ふえていくという形で構成をしておりますが、やり方によっては、その全体の経費を似たような数字でやっていくということも不可能ではありません。どのような形でするかというのは、今後の予算の組み方あるいは民事行政審議会の御意見などで具体的には決めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
#240
○稲葉(誠)委員 そこで、私ども委員会で三月二十六日に視察に行きましたね。そのときにグラビアのパンフレットというか何というか、雑誌をもらったわけですが、二つあるんですね。二つのうち一つしかもらわなかったんですね。法務省がつくった「明日を開く登記事務のコンピュータ化」というのしかくれなかったのかな、二つくれましたかな、ちょっと忘れましたけれども、法務省民事局編の「飛躍的改善のために」というのと二つあって――あなた、行かれなかったのだけれども、どうだったかな、二つくれたか、一つくれたかどっちなんだろう。一つだろう。どうして一つしかよこさなかったのかな。これはどっちをよこしたのかな。
#241
○枇杷田政府委員 今担当の者に聞きますと、パイロットシステムに関する部分だけの資料を当日お渡ししたようでございます。ただいま稲葉委員おっしゃいましたパンフレットというのは、実は特別会計を実現をするために関係各方面の御理解を急遽得たいということで、大変わかりやすく、ちょっと漫画的な絵も添えましてつくりましたものが二つございます。それは恐らく別の機会にあるいは稲葉委員のお目にとまったかと思いますが、当日は、その分は配付しなかったというようなことでございます。
#242
○稲葉(誠)委員 そうすると、「明日を開く登記事務のコンピュータ化」のほかに二つあるという意味ですか。ちょっとよくわからないのですが、ほかに二つあるのですか。僕らに二つくれないな、そのほかに一つくれたけれども。
#243
○枇杷田政府委員 私、当日、参議院の法務委員会へ出ておりまして欠席いたしましたので、私自身の記憶でははっきりいたしませんけれども、「明日を開く」というのは、そのときにお渡ししたものとは違う資料のように聞きますので、なお詳しく調べてみたいと思います。
#244
○稲葉(誠)委員 問題は、その中の法務省民事局から出したものですか、その十九ページですね。そこの(B)というところに「稼働人員の推移予測」というのがあるんですよ。そこが問題なんですよ。現在四千七百名いる。それが十年たつと七千二百名になる。それが、今度はコンピューター化すると千五百名になる、こういう数字が並んでいるんですよね。これがよくわからないのですよ。これをわかりやすく説明してくれませんか。
#245
○枇杷田政府委員 まず最初に、現在四千数百人いると申しますのは、これは定員職員のほかに民事法務協会から謄本焼きに来ている人、それから市町村とか司法書士の事務所の人とかそういう人、実際に乙号事件にかかわっている者がこれだけいるということです。それが十年後、現在、過去の事件の伸び率を伸ばしてみますと、その事務量からいたしますとこの絵にかいているような人手を必要とすることになりますということです。これがコンピューター化いたしまして謄抄本がコンピューターによって処理できるということになりますと、この一番右端にかいてある一千五百人程度のもので済むのではないかということでございます。したがいまして、現在人員のこの絵は定員職員のことを言っているわけではない。それから、一番右の方の「コンピュータ化後」の姿は、そういう外部の者は排除できるであろうということですから、この残った絵は定員職員という数字になろうかとは思いますけれども、そういうことでございまして、コンピューターというのが謄抄本の作成について非常に偉大な威力を発揮するのだということを一覧的に、概括的におわかりいただくためにちょっと漫画的にオーバーにかいたという面があろうかと思いますが、そういう趣旨のことでございます。
#246
○稲葉(誠)委員 漫画的にオーバーにかくといっても、法務省がそういうことをやっちゃまずいな。それはまずいですよ。どういう点がオーバーなのですか。よくわからないな。
 そうすると、コンピューターが完全化してくると正規の職員が千五百名で足りる、こういうことなわけですか。そういうことですね。そうすると、そうでない職員というのは要らなくなってしまう、こういうことを言っているわけですか。何かこの三つの並べ方、お話がそういうふうに聞こえるのです。そうすると、正規の職員がこのコンピューター化に伴って人員の問題その他について影響を受けることが一体あるのですか、ないのですか。あるとすればどういう点にあるのですか。そこをどういうふうにしようとするのか。あなたが私の部屋においでになったときにも、念を押したのですね。職員の勤務条件、そういうようなものに対して影響があるのだったら困りますよということを私は念を押しているわけですが、そこら辺のところを詳しく御説明を願いたいと思います。
#247
○枇杷田政府委員 先ほどもちょっと触れましたけれども、このパンフレットは繁忙庁四百数十庁をコンピューター化するということで考えていた時代のものでございますから、全登記所の乙号関係職員の計算図をあらわしたものではないわけでございます。その点がまず第一点。したがいまして、全庁ということになりますと全庁の職員が対象でございますから今の右端の絵よりももう少し大きなものになるということになります。
 それから、乙号関係につきましてはコンピューターが一番威力を発揮するところでございますので、かなりの省力化ができることはもちろんでございますけれども、登記事務全体から申しますと非常に人手が不足をしておるわけでございます。そして、いろいろな問題が現に生じておるわけでございますので、この乙号の関係が省力化できますれば甲号事務の関係についても現在の過重負担の状態が若干緩和をするという方向には向くだろうと思いますが、それがどの程度になるかということは登記所全体としてはわからないわけでございます。
 それから、今後十年、十五年後には事件数が現在よりも増加するということは甲号事件についても言えるだろうと思いますので、その時点でないと増員、減員などの関係について具体的な数字をはじくなどということは到底できないわけでございますが、登記所の現状から申しますと、こういうふうな状況だからといって職員がむしろこの姿のままで減員になる、そういうようなことはつゆないわけでございまして、職員の現在の過重な労働条件が緩和される方向にまずこの乙号関係の必要人員の減が向かっていくであろうと考えるわけでございまして、決して私どもは、現在の職員一人当たりの労働条件をそのままに固定した上において、そしてこれだけの減員ができますというふうなことを言うつもりでこのパンフレットをつくったものではございません。
#248
○稲葉(誠)委員 「登記事件数の推移」というのを正式に法務省から当委員会に出したわけですか、この資料を。これを見ますと、今五十八年度のものが出ておりますが、登記従事職員というのは数が九千六百六十一人になっていますね。これがコンピューター化されると千五百名になってしまう、こういうことになるわけですか。ちょっとわからない。この資料と今のパンフレットに出ている数字とどういう関係があるのか、御説明願いたいと思います。
#249
○枇杷田政府委員 このパンフレットの数字というのは、登記事務の中で乙号事件のために要しておる人手だけを取り上げているものでございます。しかも、それはただいま御指摘になりました九千何百人かの定員職員のほかに民事法務協会の謄本焼きに来ている人がいます。それから、市町村とか司法書士の事務所から謄本焼きに手伝いに来ている人がいます。そういうものも全部ひっくるめたのが今のパンフレットの一番左側の四千七百人という数字でございます。それを十年後の事件数の伸びで伸ばしますと真ん中のような大きな人員になるという仮想の数字でございます。それがコンピューター化できれば右端の数字になる。要するに乙号に関して、しかも先ほど申しましたように繁忙庁の四百何十庁かのその事務量に対してそうなるということでございます。したがいまして、九千何百人かの現在の定員の推移の表の数字とは、内数ではございますけれども直接関係はないことだと思います。
#250
○稲葉(誠)委員 そうなれば、この五十八年の九千六百六十一名というものの中から、これは登記申請等事件と謄抄本交付等事件ですから甲と乙と両方合わせているわけですね、乙だけの人数を出してその人数が将来コンピューター化されれば千五百になるというならば、それと比べれば差額だけがほかへ回るとかなんとかという形になるのじゃないですか。そこを説明してくれませんか。
#251
○枇杷田政府委員 計算の考え方としては、ただいまお話しになったとおりでございます。その数字自体はそれほど大きな数字には出てこないと思います。
#252
○稲葉(誠)委員 説明してくださいよ、それじゃ。説明しないとわからない。
#253
○枇杷田政府委員 今細かな数字の根拠の資料を持ってまいりませんでしたけれども、四子七百人の人形さんの中には部外の方がかなり入っておるわけでございます。細かな数字は忘れましたけれども、二千人いるかいないかという感じになろうかと思います、定員職員は。それが右端の方の数字になるわけでございますが、これは先ほども申しましたように全国の繁忙庁における数字でございますから、全国的にはまだかなりのその数字を品さなければ乙号の十年後の従事職員としての姿にはならないということになります。その一番左側の「現在」と書いてあるところの職員の、約二千名程度だったと記憶いたしておりますが、それはこの登記従事職員数の九千六百人の中の内数ということになるわけでございます。
#254
○稲葉(誠)委員 それはわかったのですけれども、だから現在の一番新しい統計は五十八年だとすれば、このうちの乙号関係の職員というものは一体何人いて、それが将来コンピューター化されれば千五百名になるというのでしょう、そうすれば差額が出てくるのじゃないですか。それが明らかにならないとこの問題点というものはよくわからないのじゃないですか。もちろん、そのことについて私どもはそれをそういうふうにしないでほしいし、それから、それに対して労働条件を悪化させたり何かさせないということはあなたも約束されておられるのですから、私もそれを受けているわけですからね。それで私どもは賛成することになったんで、その点が壊れてきたら後で私どもが責任をとらされることになるのですよ。信用しているわけですからね。そこら辺のところがどうもよくわからないですね。
 いずれにしても、結論としては、コンピューター化が進んだとしてもそのことによって働く人にとって労働条件の悪化や何かは絶対させないということは、これは大臣からもお答え願えますか。
#255
○嶋崎国務大臣 ただいまの質問の件でございますけれども、御承知のように現在の登記事務の状況というのは非常に悲惨な状況というか見逃せないような厳しい状況になっているということは、我々自身も承知をしておるわけでございます。したがいまして、コンピューター化することによって仕事をできるだけ合理化し、効率化していくというような努力を積み重ねていかなければならぬことは事実だと思うのでございます。
 そういう際に、御承知だと思いますけれども、法務省自体非常に人件費依存の大きい役所であることは事実でありまして、いろいろな意味で何とか少し増員をしていただきたいという気持ちがあることは、こういう厳しい行財政問題が議論をされているときでも我々は常に主張してきているところでございます。そういう中で、登記関係の仕事は今までいろいろな配慮をしてやってきておりますが、御承知のようにスタートまでにまだ二年余の日月があるわけでございますから、その間については十分そういうことに支障がないような手当てをしていかなければならぬ。
 ところが、この板橋の実験というものが成功してできるだけ全部に広げていくという感覚になっていけば、そういう中である程度の省力化、合理化の効果というものは上がっていかなければならぬということになる。そうした場合に、御指摘になりましたようにいろいろな民事関係の協会等から支援を受けている方とかあるいは市町村その他から応援を受けているところとか、そういうものはだんだん排除して、本当に法務省の職員で適正、円滑な事務運営がなされるような努力をしていかなければならない。そういう過程の中で、せっかくこれだけの投資をしていてそれが法務局の人間に全然傷がつかないのかつくのかというのは、十五年先のところまでなかなか展望し切れない面があろうかと思います。しかし、先ほど来御説明申し上げましたように、今まで申し上げてきた経過からも御判断いただけるように、まだまだやらなければならぬことがある。それからまた、特に地図その他の問題から考えていきますと、今の国土調査による地籍図の作成というようなことでもなかなかその中に解決するのかどうかというのもわからない面もあるわけでございます。
 といったようなことを全体的に考えまして、適正な事務を行っていく場合に、当然余裕が出てくるという事態になれば、そのときそのときの判断というものは必要であろうと思いますけれども、私は現在の段階で見ますと、現在いる登記所の職員の急激な削減を図らなければならないというような事態はなかなか来ないのじゃないかというふうに思っておるわけでございます。しかしこれは、年々そういうことをやっていく過程の中でどういう成果が出ていくか見なければいかぬし、また、法務省全体あるいは法務局全体のいろいろな要素を見て判断をしなければいかぬと思っております。
 つけ加えて申しますと、さらに法務省の中では、法務職員が従事している仕事のほかに随分ボランティアの方々の援助をいただいてやっているような仕事もあるわけでございまして、そういうところをよく判断をさせて適正な配置を確保していくというような気持ちでやっていきたいと思っておる次第でございます。
#256
○稲葉(誠)委員 適正な配置といっても、それについては職員の同意というものを当然とる、なければやらないということをはっきりさせてもらわなければこれは困るわけですよ。
 私の手元に「別紙」というので「主な改善事項」というのがあるのですが、それを見ると、1、窓口整備経費、ルームクーラー、六十年予算内示額八十九台、放送設備が二十台、申請人用ロッカー五百五十八台、地図用閲覧机二百八十九台、窓口整理要員二百三十二人ですね。2が表示登記事務処理経費、(1)が実地調査事務補助六十七庁、(2)はトランシット、光波測距計各七十六台、委託学生派遣五十人、3が謄抄本作成業務委託経費、謄抄本作成業務処理一部請負二十五片、4が謄抄本作成機器等整備経費、全自動謄本作成機(PPC材)三十一台、複合複写機二十七台、ゼロックス四五〇〇が九十台、認証複合機五十四台、紙折機三十二台、地図用乾式電子複写機十八台、5が登記審査事務機器等整備経費、実地測量車二十台、6が登記簿粗悪用紙改製等経費九百九十万枚、7が台帳附属地図整備経費十四万八千枚、8が印鑑間接証明実施経費二十二庁、9が登記情報システム実施経費約十六億六千五百万円、10が施設費(法務局関係分)三十億円云々とあるのですが、これはどういう資料なのかということがまず第一ですね。これを全部合計すると幾らぐらいになるのですか。これが二百五十億ぐらいになるという計算ですか。それから第三、これを必ず実施をするということですね。これを約束できますか。
#257
○枇杷田政府委員 まず、この資料でございますが、これは、このたび特別会計が実現をいたしましたことによって、前年度と比べてどの程度の一般の物件費の充実が図られることになったかということを一覧的にあらわして、法務局の方に通知をした資料の一部でございます。そういう性質のものでございますが、特別会計というのは、コンピューターの導入を中心とするということでございますけれども、コンピューターの導入というのは、短時日に、殊に全庁に及ぶものではございません。したがいまして、窓ロへおいでになる申請人の方々にできるだけサービスよくといいますか、実質的に実のあるサービスを提供できるようにするかということが大きな課題になっておるわけでございまして、そういう面での要求が特別会計が実現することによってこのとおり計上されることになったのだという内容でございます。そしてこの関係の経費の合計につきましては、ちょっと今、現在の手持ちの資料で金額の資料はございませんが、特別会計の五百五十五億の金額の中に入っておるものでございまして、一部は六月までの一般会計に計上されているものもございますけれども、このお手元の資料の前年度の表と対比してごらんいただければまさに画期的なものが盛り込まれておるというふうに御理解をいただけようかと思います。
 そして、ただいま申しましたような趣旨でこういうような経費を予算化することができましたので、殊に七月一日から乙号関係の手数料の値上げもすることでもございますし、これは当然このまま、このとおり実施をするということに考えております。
#258
○稲葉(誠)委員 この中でどれが一番大きい金額になるのですか。ちょっとこれは金額がはっきり入ってないのでよくわからないのですけれども、どれが一番大きいというか、重点を置くというのはどれになるわけですか。
#259
○枇杷田政府委員 これはいずれも重点でございますが、コンピューターが導入される前の現体制でも早く、そして見やすい謄抄本を出すということが一つの目玉として考えたものでございますので、3と4でございますね、3と4の謄本作成関係の経費、それから窓口においでになるお客さんに御不便をかけないようにするということでの窓口整備経費、それが大体この中でも中心なものだというふうに考えております。
#260
○稲葉(誠)委員 9の登記情報システム実施経費、これが現在が一億二千八百万ですか、それが十六億六千五百万円になるというのは、これはどういうところがふえるのであって、具体的にはどういうことを言っているわけですか。
#261
○枇杷田政府委員 この表は、いわゆる物件費という形で計上したものでございまして、登記情報システム実施経費の関係では、先ほどたしか中村委員の御質問にもあったところでは合計二十四億と申し上げましたが、それはこの十六億のほかに開発センターの施設費の七億何がしというものがあるために合計二十四億になるわけでございます。この前年度の一億二千八百万円と申しますのは、板橋のパイロットシステムを実施いたすためのリース料でございますね、これが約一億で、そのほか移行経費等その他のもので合計一億二千八百万円ということでございます。
 六十年度の十六億六千五百万円というのは、その中心部分になりますのがシステム開発とかプログラミングの作成経費、そういうものが約十三億程度ございます。そのほかの板橋の関係とかいうもので物件費としては十六億六千五百万円ということになりまして、そのほかに先ほど申し上げましたセンターの施設費が七億余のものがあるわけでございます。
#262
○稲葉(誠)委員 私の質問はこれで終わりますけれども、くれぐれも前から申し上げておりますように、このコンピューター化によって職員の労働条件その他に影響がないということが条件ですし、それに悪い影響といいますか、そういうふうなものがないように何回となく要望をいたしておきます。それについての最終的なお答えを願って、質問を終わります。
#263
○嶋崎国務大臣 ただいまの御質問の件については、先ほど来御説明申し上げたとおりでございますが、できるだけそれによって登記関係の仕事が的確に行われるということがまず前提であります。また、そういうことを考えますと、急激に人員の削減というような事柄にはならないでしょう。十五年先の話ですから、私、ここで決定的なことはもちろん言えませんけれども、その過程でそういう厳しい条件というものは多分出てこないような状態になるだろうというふうに思っておる次第でございます。
#264
○稲葉(誠)委員 終わります。
#265
○森(清)委員長代理 三浦隆君。
#266
○三浦(隆)委員 コンピューターシステム導入に伴いまして、一般論としてシステム監査ということがコンピューターの導入では使われているようでございます。いわゆる独立した第三者の立場でコンピューターシステムの安全性、信頼性、採算性などをチェックするということからして、一つにはマネジメントからの評価及び改善勧告、二つ目には悪用の防止、三つ目には個人データの乱用防止、四つ目にはその他システムの健全化などを図るためのそういう諸施策を言うようでございます。
 そこで、第一問としまして、システム監査につきましてコンピューター化に伴うミス防止のチェック、ミスによる責任及びその救済手続の規定がこの法案では欠けているということなんですが、法律で規定しておいた方がよいのではないかという点についてです。
#267
○枇杷田政府委員 この法案につきましては、一種の並行処理をいたしております際の経過的な状態における事務処理の方法を決めておりますので、条文の数も多くございませんで、ただいま御指摘のような点についての条文はございませんけれども、この不正操作が並行処理期間中でも行われるという場合にはそれぞれ現在の法律でも処罰規定はございますし、それから登記所の職員内部としましても、そういう刑法上の問題ばかりでなくて職員の服務の問題としても適正にやるということが国家公務員法上要求されているところだと思います。
 なお、もし間違って機械が作動して、そして登記簿の原本と違うような証明書が発給されるということになった場合には、これは国家賠償の問題になるわけでございますが、そのようなコンピューターの移行が間違っているとかあるいは保守管理に誤りがあるとかいうような場合には、そのことによって生じた損害については国家賠償で補償をしなければならないということは、これは当然のことでございます。そういうふうなことがほかの法律自体でも用意をされておるということから、特にこの法律の段階ではそのような規定を設けることはいたさなかった次第でございます。
#268
○三浦(隆)委員 このコンピューター化というのは初めての問題ですから、まだどういうことが起こるかは実は予測が困難だと思います。ただ、一般論としまして国家賠償法あるいは民法その他の規定がございますけれども、一般的にはそれをやると大変時間がかかったりするものですから、こういう特別法的な場合には特別法的な手続、救済規定があった方が被害者救済にはより便利がよかろうということなんです。これはやってみまして、もちろん問題がなければそれまでなんですが、もしこういった事故が多発するようであれば早急にぜひ検討していただいた方がいいのじゃないかということでございます。
 第二番目にはバルネラビリティー、軟弱性という問題があるようでございます。というのは、コンピューター化された社会というのは大変便利がいいだけに意外と脆弱というか、一度何か故障その他が起こると大変な大きな混乱を起こしやすいということでして、こうしたことに対する対策というのはどうお考えなんでしょうか。
#269
○枇杷田政府委員 ただいまの御指摘の点は重大な問題でございます。したがいまして、本格導入をして全国に展開をしていこうという場合には、そういう面からの仕組みをどうするかということが重要課題になってくるわけでございまして、その面につきましては今御審議いただいております法律の第五条第二項に規定されております審議会において十分に御検討いただきたいと思っている点でございます。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
 私どもが考えておりますのは、このデータを一カ所に集中をするということがまず問題であろうという考え方から、コンピューターの本体を各登記所ごとに置くようにまずしたい。そうしますと、危険が分散されるわけでございます。それから、第二次的には府県単位程度に考えておりますけれども、バックアップセンターというものを設けておきまして、そしてそこで各登記所で持っておりますデータと同じデータを保管すると同時に、もし各登記所の機械に故障があった場合には、それに対して直ちに対応して、そのデータを送り込んで作動できるような体制をつくる、そういうバックアップセンターを設ける必要があるであろう。それから、さらにもう一段加えまして、全国の中枢のセンターと申しますか、開発センターというのを一カ所置きまして、そこでまた同じようにデータを蓄積しておいて、そこでコントロールするというふうな、三大構えの仕組みにいたしたいと思います。
 それから、各登記所におきますコンピューターに故障が生じたような場合に、早速修理をするというふうな体制も、これはそういう専門の業者との関係でネットワーク的に対応するような体制はとっていかなければならないところだろうというふうに考えておる次第でございます。
#270
○三浦(隆)委員 次に、コンピューター犯罪防止対策についてお尋ねをいたします。
 このコンピューターの時代、本当に何が起こるかわからないのですが、よくコンピューターの普及とともに考えられる一つは、手口が、プログラムを書きかえたりして不正なデータを入れて、いわゆる今回の法案とは違いますけれども、金銭を詐取したり、キーワードを使って重要なデータを盗み出すというふうなこともあったようでございます。
 また、これとはちょっと違いますが、先日、四月五日付の新聞に、これは実は横浜で起こったことなんですが、自分の住民票の写しを勝手に第三者にとられて大変迷惑をこうむったというふうなことが言われるのですが、今回も、こうしたコンピューター化が進みますと、自分の不動産登記の写しをやたらととられたり、その他のことで迷惑がかかるかもしれないというふうなことに対するいわゆるコンピューター犯罪防止対策、どうお考えでしょうか。
#271
○枇杷田政府委員 登記簿の謄抄本と申しますのは、登記制度自体が公開の制度でございますので、これは現在でもだれでも請求すればとれるという仕組みになっておりますので、それはコンピューターになりましても変更はないと思います。
 ただ、ただいま御指摘をいただきましたような、不正なデータを入力されるとか、あるいはプログラムをいじられるとかいうふうなことがあっては大変なことでございます。そういう点につきまして、不正防止というものを十分にチェックする仕組みというものを考えていかなければならない点でございますが、現段階で、板橋の出張所で扱っております方式と申しますのは、データを入力する場合には、受け付けと調査と記入と校合という四段階のステップを踏みまして、その四段階のステップを踏んで初めて入力が可能になる、そういうシステムにいたしております。したがいまして、途中のある段階のもので何か操作をしても、それでは入力ができないということにしております。それから、最終的な入力のサインを出すのは、責任のある登記官だけができるような仕組みにしておりまして、これは板橋でもあるいはごらんいただいたかと思いますけれども、登記官カードというものを使わないとそれが入っていかないという仕組みになっております。
 それからまた、コンピューター自体でも、妙な入り方をする場合にはそれをはじき出すというチェックシステムをこれから大いに開発していかなければならない点だと思いますし、それから登記官の最終入力をする際のやり方も、場合によっては登記官カードに加えて何らかの方法をプラスして考えていくというふうなことも研究に値することではないかというふうに考えております。
#272
○三浦(隆)委員 次は、プライバシー保護対策の問題についてお尋ねいたします。
 こうしたコンピューター化というのは、本当にどこまで進むか予測がつきませんで、いろいろな面でもっともっと発展してくるだろうと思います。目下はいわゆる国民背番号制度なんてやっておりませんけれども、あるいは将来そうしたこともあるやもしれない。あるいは現在でも住民登録その他はかなり進んでいるかもしれない。あるいはそのうちには学校の学業成績だとか、健康面での、病院での病歴カードの問題、あるいは税金の問題など、それぞれが全部コンピューターに打ち込まれるようになりますと、我々のプライバシーというのはますますどこいら辺で守られるのかなという不安がなきにしもあらずです。もっとも、これは将来の可能性の問題でございますが。今回の法案に関連しまして、いわゆる不動産登記その他がコンピューター化されたりした場合のプライバシーというのはどうなるものなんでしょうか、ちょっとお尋ねしたいと思います。
#273
○枇杷田政府委員 コンピューターは、技術的には、蓄積されましたデータをいかようにでも編集し、検索して打ち出すことができます。そういう意味では、ある不動産をだれから買ったとか、あるいはだれから幾ら借金をして抵当権をつけておるとかというふうなことも自由に取り出せるというふうなことにはなるわけでございます。したがいまして、その情報の打ち出し方いかんによっては、ただいま御指摘があったような問題が生ずる可能性はあろうかと思います。
 しかしながら、私どもが今考えております仕組みは、現在のブックシステムによって情報を提供するという仕組みを原則的に変えないという形で考えております。したがいまして、登記関係の情報を知りたいという場合には、不動産を特定をして、そしてその不動産の現況なりあるいは権利関係、それを証明書という形で打ち出すという方式を考えておるわけでございますが、一方ではまた、コンピューターによりますといろいろな情報が自由に取り出せるということから、登記所が持っております。そういう登記のデータというものをいろいろな形で利用したいという要望もあるいは出てくるのかもしれません。それからまた、そういうことは、プライバシー的な考え方で、すべきでないという御意見も出てくるかもしれません。私どもは、現在はその点については全く忠実でございまして、現行のままでこれからのシステム開発は進めていく、ただし、将来世論的に、こういう部門についてはこういう制限つきでまた別の角度で情報を出すべきでないかというような声がありますれば、それは何もかたくなに改正をしないというつもりはございませんけれども、現在のところは、現在の登記簿の仕組みの状態のままを変えないというつもりでおります。
#274
○三浦(隆)委員 INSというのですか、高度情報通信システムというふう塗言葉が使われるようになりまして、よく解説書で、INSとは「一体、何を、するんだ」――わからないものですから、そんなような言葉が言われていると思うのですが、これに対しまして、プライバシーとの関係で「一体、何を、されるんだ」というふうに言っている人もいるようでございます。コンピューター化、本当にどこまで進むかわかりませんが、国民の便利のいいことでしたら進めていかなければなりませんが、マイナス面、十分考慮しながら運営していただきたい、こう思います。
 引き続きまして、ニューメディアに関連してお尋ねしたいと思います。
 今、新情報伝達手段、ニューメディアは、三通り方法があるようでございます。一つは有線系で、CATVあるいはビデオテックスなど。もう一つが無線系で、文字多重放送一テレテキスト、ファクシミリ放送など。三番目にパッケージ系といいましょうか、VTRやビデオディスクなどを利用する方法と言われているようですが、いずれにしましても、こうしたニューメディア利用、情報化社会とかコンピュータリゼーションという言葉が頻々と使われるようになってまいりまして、ますます急速度に進んでいくもの、こう考えられます。
 そこで第一番目なんですが、今後急速に各家庭、各企業、各官公庁等においてファクシミリ、キャプテンなど、各種の情報処理機器が普及するもの、こう思われるわけです。これらの情報処理機器と登記事務処理における情報処理システムとの連係というものをどうお考えでしょうか。
#275
○枇杷田政府委員 技術が進んでまいりますと、登記のコンピューターシステムとそれから各家庭にあります端末とを連結して情報の出し入れができるというふうなことも、技術的には可能となってまいるだろうと思います。現在でも可能なのかもしれませんが。ただ、私どもの現在の考え方から申しますと、そのような形で登記所の情報が外に出ていくということは、現段階では少なくとも行き過ぎではないだろうかという考え方でございます。したがいまして、その登記情報を必要な方は登記所においでをいただいて、そこで謄抄本という形でその情報の提供を受けるか、先ほど来、閲覧の話が出ておりますが、あるいはまた閲覧制度というものは残すとすれば、そういう形で情報を得ていただくかというふうな仕組みで考えてまいりたいと思います。
 ただ、世間の一般の流れが、十年、二十年あるいは三十年先かもしれませんけれども、各家庭でどんな情報でも得るということが、むしろ情報をつかまえる常識的なことになるというふうな状況になりますと、先ほど御指摘のありましたような弊害がどういうところにあるか、それをどういうふうに除去できるかということを考えて、あるいはそういうものと結びつけるということも考えていかなければならない時代が来るかとも思いますけれども、現段階では、そういうものと結びつけて登記所のコンピューターシステムの構想をするということはいたしておりません。
#276
○三浦(隆)委員 私はこのニューメディア利用というのは思った以上に速いテンポで訪れるのではないかと思うのです。よく言いますように、お金を使う大変大切な、直接銀行に行かなければならないような仕事までがホームバンクというのでしょうか、むしろいながらにして、あるいは銀行に行かずにお金の出し入れができるのじゃないかと言われていますし、あるいはもう既に一部始まっておりますが、デパートなどの買い物その他も積極的に家庭にいてあるいはできるかもしれない。あるいはもっと進んでいけば、会社に出かけないで自宅にいて会社の仕事をするというふうなことも、今言われ出してきているというふうに考えますと、こうした登記業務に関しても、いわゆる登記所に直接行かなくても済む時代というのは、むしろ必然的に来るのじゃないだろうか、こう思うのです。なぜならば、このニューメディア利用、コンピューター利用そのものが利用者の便利のためにとか、あるいは事務量がふえ過ぎているからそれを簡略にしたいというか、そういった思惑がもしあるとすれば、この時代の進み方、便利さを否定する論拠はむしろ成り立たないのじゃないだろうかというふうに感ずるのですね。
 それから今の御答弁では、直接登記所へ行ってとありますが、この法でも第三条二項は「何人でも、手数料のほか郵送料を納付して、」云々と書いてありますから、郵送でも可能だということなんですね。そうすると、直接行かなくても郵送で可能なものならば、テレビその他の新しいニューメディアを利用してだめだという論旨はむしろ成り立たないのじゃないだろうかなというふうに感ずるのですね。少なくとも、もう既に御質問もあったようですが、閲覧などというのはボタンを押せばテレビに映ることでしょうし、テレビに映ればそれをちゃんと文書の形でコピーをとることも可能だと思いますから、むしろ――今、そういうふうな閲覧業務その他というものが、一切この法であっても、あるいはこの法じゃなくても、近い将来そういうニューメディア利用ということはあり得ないとお考えですか、ちょっとその点お尋ねしたいと思います。
#277
○枇杷田政府委員 私どももそのニューメディアについては関心は持っておるつもりでございますが、なかなか専門的なことでございますので十分な理解はしておらないと思います。関心は持っておりますけれども、現段階では、登記所においでいただくか、あるいは郵送で請求されるかというようなことを前提として考えておるわけでございますが、御指摘のように非常に急速な進歩を遂げ、そして社会全体がむしろそういうふうなことでやるのが当然なことなんだというようなことになってきました場合には、それに対して登記のコンピューターシステムを対応せざるを得ないだろうとは思います。そして、これから開発しようとするものも基本的にはそういうものの導入を妨げるような仕組みではございませんので、そういう要望が非常に強くなり、世論として求められるということになれば、それはその時点でやるようにしたいとは思いますが、ちょっと先ほどの御質問とも関連いたしまして、そういうふうに非常に安直にいろいろな情報がまた各家庭でも取り出せるということになりますと、プライバシー的な問題にも出てくる問題がございますので、そういうことも総合的に検討していかなければならない課題であろうというふうに思っております。
#278
○三浦(隆)委員 今の御答弁でもありますように、今の段階はともかくとして、将来そうしたニューメディアというのが当たり前のように普及してくる。我々世代を別にしまして、我々の子供たちというのでしょうか、別段抵抗感なくそういうものが自由にこなせるような時代がやってきた場合、これは本当にその時点で考えなくてはならない問題だろう、こう考えます。
 そこで、一般論とするのですが、公共嘱託登記に限りませんで、一般的にコンピューター化の徹底、そして情報処理機器の普及ということになりますと、従来の管轄制度、不動産登記法の八条なり十条に出ているようなこと、あるいは商業登記法一条に出ているようなことの従来の管轄制度のあり方、あるいは登記にかかわる登記官やあるいは司法書士の業務のあり方、そうしたこともコンピューターを使用しない昔とコンピューターを使用するようになってからではかなりな点で変わってくるように思うのですが、大体予測されるところ、どういうところがどう変わっていくと思われますか。
#279
○枇杷田政府委員 まず最初の管轄の問題でございますけれども、これはコンピューター化できますと、謄抄本などは全国どこからでもとれるようになるということは、技術的には可能になってまいろうかと思います。また、その場合にも認証すべき者がだれだとかいう法律問題は残りますけれども、そういうことが技術的には可能になってくるであろう。そういう意味では従来の管轄とは少し観念が変わってくる面があろうと思いますけれども、ただ一方、登記所の使命といたしますと、表示の登記というのがございまして、不動産の現況を絶えず把握しておかなければならぬという観点はございます。そういう意味での管轄というものは、なお必要なものとして残るのではないかという気がいたします。
 それから、司法書士、調査士業務でございますが、これは登記所に、本人にかわって書類を作成し、そして添付書類をそろえていくというのが仕事の本質でございますが、その面におきましては、登記所内部がコンピューター化ができたからといって、その生の物権変動についての法律判断をどうするか、それに伴ってどのような目的の登記申請をするか、そしてまた添付書類としてはどういうものをそろえるか、そういう判断業務につきましてはコンピューター後も変わるところはないと思いますので、本質的に司法書士とか調査士とかの仕事が変わるということはないと思います。
 ただ、謄抄本の関係が速く発給されるようになるとかということで、間接的には司法書士、調査士の仕事もかなり便利になるという面もあるでございましょうし、またその登記事務がコンピューター化になれば、司法書士、調査士の業務、その事務所自体もワープロその他の機器が導入されてくる。現にそういうマイクロとかあるいはワープロとかというものを備えつけている事務所もかなりふえております。そういう意味で司法書士や調査士の事務所の中の事務処理形態がコンピューター化されていくというふうな面は、多分に変化をもたらすものではないかと思います。
#280
○三浦(隆)委員 このコンピューター化の問題なのですが、ニューメディアですが、各家庭にも普及すると思うのですが、それよりもより近い将来、各官公庁においては徹底的に普及していくだろう、私はこう考えるわけです。今のところはコンピューターの普及度は民間の方が先行しているようでございますけれども、官公庁において、情報処理機器の充実あるいは各官公庁間のネットワーク化というのですか、そういうことはますます急速度に進むであろう、こう思うのです。そうすると、いわゆる公共嘱託業務の面で司法書士の業務というのは実質的に脅かされるようになってくるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#281
○枇杷田政府委員 私どもの考え方といたしますと、公共嘱託登記の場合でもこれは申請書といいますか嘱託書を登記所に出していただく。そしてそれの背景にありますところのもろもろの権利関係等を明らかにするようなそういう書類を整えて出していただくということが公共嘱託登記についても当然あるわけでございまして、そのこと自体がコンピューター化によって処理されるということにはならないのではないかという気がいたします。かなりな法律的な判断を必要といたします。その整理が大変難しいわけでございますので、そういう面では私は司法書士や調査士の仕事が脅かされるということにはすぐにはつながらないのではないかという考え方をいたしております。
#282
○三浦(隆)委員 私の質問は実はこのところがきょうの最大のポイントになるんだろう、こう思うのです。といいますのは、今の御答弁は個々の不動産登記なりを役所が個々にやっているわけですね。まとめてやってない、個々にやっているということなんです。私はそうではございませんで、この法文に基づいて、何人でも手数料を納付すれば自由に請求できるわけですね。これを個々にでございませんで、何でもなくてもあらかじめ一括すべてのあれを全部個々の形でもって役所がとっておく。そうすると、個々ではなくて全部役所がそれをそろえて持っている、となればもう別に登記所も関係なし、司法書士も関係なし、新たにそういうことを行うことが可能になってしまうのではないか。しかもそういうことに対して、この法案ではそれを歯どめする何らの条文も持ち得ていないということなんです。
 ちょっとくどいようですが、大切そうなので繰り返しますと、法三条を媒介としまして、インフォメーションブローカーなりあるいはインフォメーションプロバイダーというふうにいわれている者などが新しい情報提供者として活躍し得る時代が来るのではないだろうかという問題なんです。
 また、司法書士法十九条に非司法書士等の取り締まりの規定はございましても、インフォメーションブローカーというふうな者などとの利用者の直接的な結びつき、これに伴う情報入手を規制することは事実上困難というよりも現行法ではできないことだと思いますし、そうなった場合に司法書士というのはどうなるのかなという質問でございます。
#283
○枇杷田政府委員 なるほど、登記所からこの法律の第三条の規定に基づく証明書を全不動産について入手をいたしましてそれを入力すれば、その一定時点においては登記所と同じ情報をある者が把握するということは理論的には可能であろうと思います。それは、現在でも全登記簿の謄本を請求してそれを入力すればできるという意味で同じだろうと思います。
 ただ、そういうようなことで商売的なことが成り立つかどうかということは私はよくわかりませんけれども、そのことが司法書士や調査士業務を脅かすということにはならないのではないかと考えております。と申しますのは、司法書士や調査士の仕事というのは、現在の権利関係あるいは不動産の現況が登記簿上どうなっておるかということを知るということも仕事の一つではあろうかと思いますけれども、九〇%以上の問題は、むしろ現在の登記事項を変更する、現在の所有者が甲野太郎であるのを乙野次郎にというふうに所有権移転をするという、新情報を入力するための申請をするというところにこの司法書士の仕事があります。それから農地を宅地に変えるとか、そういうふうに現在の情報を変えていくというところに調査士の仕事があるわけでございます。
 そういう面から申しますと、現在時点における情報をだれかが全部掌握しているからといって、むしろ積極的に登記所の情報を変えていくという仕事をする司法書士、調査士の仕事とは関係が出てこないのではないかということを考えております。
#284
○三浦(隆)委員 今の答弁にもございましたように、司法書士のすべての業務とは別に言わないのですね。そうじゃなくて、少なくともこのインフォメーションブローカーというのは、本によりますと、アメリカ、イギリス、西ドイツは大変急速な勢いで伸びている成長会社だというふうに言われているわけであります。とするならば、我が国もこの種の企業が急成長を遂げることは恐らく目に見えている問題だろうと思うのです。別にこれは不動産登記の今回のことだけではございませんで、あらゆる情報というふうなものをそうしたブローカーがどんどんと入力することによって、それを利用する人との間に入って、それを企業のなりわいとするというふうな問題点です。
 さらに諸外国あたりでは進んで、民間業者に任せないで公共機関がそうすることによって安く利用させるということで積極的に考えていこうという動きもあるやに聞き及んでいるわけであります。ですから、ここではまだそうした一般論まではいかないにしても一そう言うけれどもかなりそういう名のりを上げている人は既に出ております。ここではあくまでも今回の法案に関連した事項でありますけれども、今御答弁の中にこれが企業として果たして成り立つかどうかというふうなお答えもありましたけれども、これはコンピューター以前のことでありまして、今度は新しくコンピューター化されるということにおいて、全く時代を画するというか違ったことが起こってくるのだということであります。
 それでもう一度ですが、第三条によれば、そうした関係のあるなしてはなくて、すべてをキャッチしてコンピューターに打ち込んだ資料を持つことは可能なんですね。そうすると、不動産の登記所へ行って時間をかけてお金をかけるよりも、その新しいブローカーの方がより簡単に、より安く文書が入手できるとするならば、安い方を利用するようになるのがむしろ当たり前のことなんじゃないだろうかということなんです。高いものよりも安いものへ、時間のかかるものよりも簡単なものへと、これが時代の自然の流れじゃないだろうか。
 しかも、そうしたことが今回の法案によっても、一切というか全くというか歯どめする何らの手段を持ち得ていないということでございますから、そういうことにおいて、閲覧にしても、直接登記所ならばあるいはチェックして、これはまだ時期尚早というかだめだと言い得るかもしれませんけれども、新会社が出た場合には、新会社に対して閲覧を申し込みをして、新会社は手数料さえ取れば何ら拒否する理由を持ち得ないということでありまして、そういう点に限っての司法書士の業務というのは明らかに、その限りにおいては低下するのがむしろ必然と言っても私はいいように思うのです。しかし、これもまた可能性の問題で、まだないと言われればそれまでですが、法案は今できたのでありまして、しかもそういうふうなことは諸外国で既に行われているのだということならば、我が国は諸外国の進んだ制度というかいいところを取り入れるのが実に鮮やかに、実に早い特性を持っていることを考えれば、こうしたインフォメーションブローカーの登場あるいはそれを助けるためのというか、それを前段階としてのインフォメーションプロバイダーというものも日本では外国並みに訪れるのはそう遠くない日であろうと思います。そういうことを踏まえて、これからこうした問題にどう対応されようとするのか。もちろん現在は、何大もというふうにあります。
 そういうことと関連してもう一度、そうした新しい、しかも可能性と言うけれども確実にと言ってもいいくらいそういう新商売が訪れるということをむしろ前提とされても私は間違いないと思うのですが、いかがお考えでしょうか。
#285
○枇杷田政府委員 ただいまのお話のようなことが商売として成り立つかどうか、それはわかりませんけれども、現在でも不動産登記法上、何人でも謄抄本は請求することができることになっておるわけでございます。今度この法律で、新しく何大もというふうに改めたわけのものではございません。
 それで今後の問題でございますけれども、この三条の規定あるいは不動産登記法二十一条の規定に基づきまして、謄本なり証明書なりを入手してそれを自分のところのコンピューターに打ち込んでおくというふうなことは当然できるわけでございますけれども、ただ、登記と申しますのは極端に申しますと時々刻々変化していくものでございます。したがいまして、常に関心があるのは、ある一定時点においてどういう権利関係にあったかということが問題になる。しかも、現時点でどうであるかということが問題になるわけでございます。したがいまして、登記所に保管しております登記ファイルというのは、毎日毎日新しい事件が出てきて新しい情報がそこで入っていくわけでございます。したがいまして、登記所からその謄抄本なりあるいは証明書を得られますと、その請求した時点での新情報が全部網羅的に出てまいりますけれども、そういういわばインフォメーション会社というようなものが把握する場合には、全部の情報について毎日毎日それを新しい情報に切りかえていくということは、これはなかなか至難なことであろうと思います。もちろん理論的には、毎日毎日夕方になって請求してその夜のうちにやればできなくはないのかもしれませんけれども、そういうことをやりますと大変な経費にもなってコスト高にもなるであろう。ですから、実質上防止策として考えられるのは、登記所の登記ファイルと民間会社の磁気ディスクとが直結していくようなそういう仕組みを認めない限りはいつまでたっても古い、ある一定時点での情報しかインフォメーション会社は提供できないということになるわけでございますので、その点で実質上の大きな歯どめになるのではないかと私は思っております。
 それからまた、司法書士の関係につきましては、これは新しい情報を入力する、そういうことばかりではない、情報の提供を受けるということも業務の範囲内だと申し上げましたけれども、これは業務量としてはごくわずかでございまして、主なものは新しい情報を入力した結果の謄抄本を要求するという形でかかずらわってくるものでございますので、したがいまして、ただいまのようなインフォメーション会社ができたからといって司法書士の業務あるいは調査士の業務に影響が出てくるということはちょっと想定しにくいというふうに私は思っております。
#286
○三浦(隆)委員 途中の経過のお言葉はわかるような気がするのですが、最後の結論のところは必ずしもそう言えない時代がやってくるのじゃないかというふうな気がいたします。
 今の毎日かえるというのはオーバーな表現でして、一年に一遍ぐらいやってもそう遠くない記録というものはあり得るわけですし、乱用する人にとってみればあるいはよくわからない人にとってみれば、それほど古い、新しいということもわからなく、そうしたことに間違って使われた場合、犠牲者というか、出るかもしれないと思います。
 それから、もちろん何大もというのは必要があるから何大もという規定をこれまでも持っていたと思いますね。今さら消そうにもむしろ知る権利との関係その他も出てくると思いますし、これはもう不可能、当然何人もだろうと思います。ただ、先ほど来言いますように、コンピューター化される前の手間暇かかった時代と、コンピューターが可能になってボタン一つで簡単にぱっととれるという場合、これは発想的にも大分違った時代、状況が出てくるのではないかなという感じなんです。もっとも、私にしてもそれがどういうふうに出てくるかということは一切わからないことでございますけれども、しかし、とにかく新しい状況にこれから進んでいくことでございますので、本当にくれぐれもひとつ注意した運用をぜひお願いしたいというふうに思います。
 次は、このコンピューター化に関連しての手数料についての問題点なんです。一つは、現行制度を維持した場合とコンピューター化を実施した場合の経費を比較した場合、その所要経費とか時間とか、そうした問題にどういうふうにつながるものでしょうか。
#287
○枇杷田政府委員 ただいまの点につきましては細かな計算をしたことはございませんので、大ざっぱな、感覚的なお答えにとどまるかと思いますが、手数料の関係につきましては、これは現行制度を維持いたしましても、窓口のサービスを向上するためにかなりの予算を投入するというふうなことになりますと若干の値上げが必要になるということは出てまいろうかと思いますけれども、何分にもコンピューター化の推進ということになりますとまとまった経費が一定期間の間に集中的に必要となってくるということになりますので、そういう面で考えますと、現行制度のままでの手数料とコンピューター導入の経費をも受益者負担という観点から御負担いただくという今度の特別会計の考え方とでは、当然手数料の額はコンピューター化するという場合の方が高くなるということになろうかと思います。ただこの点は、なるべく一挙に、しかも適正でない金額に上げるということは差し控えなければならぬ点ではございますけれども、まあそういうことだろうと思います。
 あと、手間がどれぐらい楽になるかということにつきましては、これは現在のやり方のようにまず簿冊探しから始まりまして、そしてバインダーから所要の登記用紙を外して、そして複写機にかけて認証印を押してやるというようなことからしますと、これは、職員の一件当たりの事務を処理するについての所要時間とコンピューター化後の所要時間とではえらく違ってくるということは卒然のことだろうと思います。ただ、閲覧制度につきましては、もしテレビジョンのようなブラウン管にディスプレーをするという方式をとりますと、あるいは現在と同じぐらいの手間、時間がかかるということにもなりかねない部分があろうかとは思いますけれども、全体といたしますとコンピューター化によってかなりの時間は短縮され令であろう、申請人の方もそれにつれていろいろな面で、待ち時間等が短縮されることは当然出てこようかというふうに考えております。
#288
○三浦(隆)委員 受益者負担というふうな考え方なんですが、これにつきましては、コンピューター化は法務省内部の事務の合理化あるいは行革に沿った処置だということで、これを利用者の方へしわ寄せするのはおかしいじゃないかというふうな意見も中には言われていると思うのです。今お答えがございましたように、このことによって大変に労力的にも手間的にも省けるということは、人数も前よりかずっと減ってくるということにおいて、当初はかなりのお金がかかるでしょうけれども、将来的にはぐっと経費が節減されるものではないかというふうに思うのですね。今のところはずっとかかると思うのですが、将来は大変に大幅なコスト減になるだろうと思われるのですが、そういう場合には手数料は逆に引き下げるということもあり得るのですか。
#289
○枇杷田政府委員 コンピューター化が導入されますと省力化が進んでまいりますが、それだからといって直ちに現在いる法務局の職員の減員の効果が出てくるかどうかはかなり問題だろうとは思います。ただ、先ほど御説明いたしましたように、コンピューターを導入するというためには、現在の登記簿に書いております登記事項を登記ファイルに写しかえるというために多額の経費を集中的に必要とするわけでございます。したがいまして、その分も手数料の中に織り込んで受益者負担で御負担をいただいておるという状況が、移行作業が完了いたしますとその経費が必要なくなるという意味ではコストダウンになるということは多分にあり得るだろうと思います。ただ、そのコストダウンと、それからその間の物価上昇その他との関係で現実に値下げということになるかどうかはその時点になってみなければわからないことでございますけれども、コンピューターの移行作業が完了いたしますと、それまでに多額にかかっておった移行経費というものが落ちるという意味では値下げの方に引っ張るという要因が出てくることは間違いないところでございます。
#290
○三浦(隆)委員 昭和三十五年でしたか、法改正でいわゆる登記簿台帳の一元化が行われまして従来の二重的構造での労力や経費というものが大変節減された、こう思うのですね。そのとき手数料は値下げされたのですか。
#291
○枇杷田政府委員 三十五年のいわゆる登記簿台帳の一元化による法改正に伴いましての手数料の値下げということは行われておりません。
#292
○三浦(隆)委員 合理化が行われて経費が削減された、そのときに手数料は下がらないで、何か上がるときばかり上がって下がるときは下がらないというのは、利用者の側からするとちょっと釈然としないのじゃないかなと思うのですが、やはり今回思い切ったコンピューター化の採用でございますから、これがいつの時点でか大幅にコスト減となったときには、国のやることはいつも上げることばかりじゃなくて下げることもあるんだということを、他の分野はともかく、ひとつ法務省管轄においてぜひとも範を示していただきたいように思いますが、いかがでしょうか。
#293
○枇杷田政府委員 御意見大変ごもっともだと思います。一元化の際には確かに省力化されて合理化されたということでございますが、そのかわり当時はかなり長期間料金の据え置きということがございました。今回も、値下げ要素が生じた時点で値下げをしていくということにするのがいいのか、あるいは少し前から、要するに物価上昇等に伴う値上げを抑制してならしていくのがいいのかという選択の問題はあろうかと思いますが、私どもは、実費以上の金額を手数料としていただく、そういうもうけるという観点はございません。したがいまして、必要なくなった分はもちろん何らかの形で計算に織り込んで還元すべきものだというふうに心得ております。
#294
○三浦(隆)委員 次は電子情報処理組織の導入に関連して、ちょっと振り出しの方に戻るのですが、お尋ねをしたいと思います。
 全国千二百有余でしょうか、正確な数はわかりませんが、その登記所でのコンピューター化にはどのくらいの期間が必要だとお考えなんでしょうか。
#295
○枇杷田政府委員 現在、全国の登記所数は千二百四十九庁でございますが、これのコンピューター化を進めてまいりますためには、まず最初に、その全国展開をしていくためのシステム開発というものが必要になってまいります。それからまた、そのための法律の改正という手続が必要でございます。そういうようないわば導入部門的なものが二年くらいは最低かかるだろう。それから、余り一挙にやりますとこれまた手数料の増額の問題にもなりますので、そういう点も勘案いたしますとその後十三年かかり、合計十五年間でこの登記事務のコンピューター化を完了して、二十一世紀には全庁コンピューターで処理をするという体制に持っていくことがいいなという一応の腹づもりを持っておるところでございます。
#296
○三浦(隆)委員 次に、この法案第一条によりますと、「この法律は、最近における不動産登記、商業登記その他の登記の事務の処理の状況にかんがみ、電子情報処理組織の導入」というふうにつながっておりますが、登記事務処理のコンピューター化は、不動産登記だけではなく商業登記その他の登記全般に及んでいくものでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#297
○枇杷田政府委員 現在登記所で扱っております登記は、不動産登記、商業登記、あるいは法人登記等々、種類で申しますと百を超える種類の登記を扱っております。これを一つの登記所で、ある種類の登記は簿冊主義でいくというふうなことは中途半端でございますので、私どもとすれば、現在登記所で扱っております登記をすべてコンピューター化していくという方針で臨みたいと思っております。
#298
○三浦(隆)委員 次に、そのコンピューター化が完了するまでの間、やはりかなりの歳月がかかるようでございますが、その期間、移行作業により、本来の登記申請業務などに渋滞を生じさせるようなことはないのかどうか、その対策はどうなっているのかお尋ねしたいと思います。
#299
○枇杷田政府委員 コンピューターへの移行作業というのは莫大な作業量でございます。これを法務局の職員がみずから全部やるということになりますと日常業務はストップするというような状況にもなりかねないとは思います。したがいまして、この移行作業につきましては、外部に委託できるものはできる限り委託するというような方式をとりまして、ただ最終的に、入力されたものが登記簿の原本と間違いないという確認だけはこれは責任ある職員がいたさなければなりませんのでそこは職員がいたしますけれども、できるだけ外部に委託をして処理をするということによってその作業を進めてまいりたいと思います。なお、それにいたしましても職員の手間がかかることは避けがたいところでございまして、だんだんと作業が進行してまいりますと省力化の効果が法務局全体に及んでこようかと思いますが、最初の段階における作業の場合には、そういう余裕といいますか、コンピューター化の効果というものがあらわれてこない状態でやるわけでございますので、かなり苦しい時期があろうかと思います。しかしその点につきましては、職員の協力、理解を得まして時間外等で処理をするということで、日常業務をそのことによって混乱させたり遅延させたりすることのないような方策で臨みたいと思っております。
#300
○三浦(隆)委員 次に、こうしたコンピューター化導入に伴いまして、情報処理技術者の養成及び研修制度並びにその資格者としての位置づけ及び待遇、この点とうなるのでしょうか、お尋ねしたいと思います。
#301
○枇杷田政府委員 コンピューター化が全国に及んだ場合には各登記所でコンピューターの端末操作を行うことになります。そういう面では操作をまずできるだけの知識、技能を職員が持たなければならないことになります。そういう面での研修は当然行わなければならない点だろうと思いますが、そのほかに、バックアップセンター並びに中央に置かれます開発センターにおきましては、そういうただ操作だけの問題ではなくて、若干システムのこととかプログラミングのこととかいうものがわかった職員を置くことが望ましいと思われます。殊に中央に置かれます場合には、法律の改正があったときなどにプログラムのつくり直しというふうなことも当然しなければなりませんので、そういう意味での専門的な知識というものも必要になってこようかと思います。プログラミングそのものにつきましては外部に委託することも十分可能だろうと思いますが、何にいたしましても基礎知識がなければ、委託する者との間の指揮監督というものもできないわけでございますので、大人数の職員を必要とするわけではございませんが、ある程度の人数は専門的な知識を持つ職員の養成をしなければならぬと思います。その養成をどういう形でやるかということは現在のところ決めておりませんけれども、そういうふうなことで決めてまいりたいと思いますし、また、そういう専門的な方が法務局に配置されることになりましたならば、それに見合うだけの官職、処遇というようなものも考えていかなければならないのは当然だろうと思っております。
#302
○三浦(隆)委員 今までの質問を通じまして、とにかくコンピューター化を導入するということで、今後どういうことが起こるかまだはっきりと予測し得ないこともあるし、それに伴ってどういうあるいは犯罪が起こるか、あるいはどのようなプライバシー侵害が起こるか、これまたよくわからないわけです。しかもこのようないろいろな不安要件を抱えながら、なおかつこの法案をどうしても通さなければならない、登記業務の渋滞を解消するとか、必然的な理由があっただろうと思います。この点をもう一度お尋ねして質問を終わりたいと思うのですが、そこで最後に、法案提出に関連しまして、時間もありますので、二点だけ一括してお尋ねしたいと思います。
 一つは登記行政の現状についてであります。ここではまず第一点、この十年間における登記事件数の推移とその処理体制はどうなっているか。第二点、最近の登記所の利用状況及び職員の執務状況はどうなっているか。第三点、最近登記事務の渋滞や窓口サービスの低下あるいは登記に係る不正不当事件が聞かれるが、これに対する対策はどのように行われてきたのか。第四点、登記に係る事務量の増加に伴う増員対策など、登記行政についてどういう対策をこれまでとられてきたのか。とりあえずこの四つの問題点についてお尋ねしたいと思います。
#303
○枇杷田政府委員 登記事務は年々激増の一途をたどっておりまして、先ほど当委員会にお配りをいたしました資料でもおわかりだと思いますけれども、仮に昭和四十年を例にとりますと、いわゆる登記、甲号事件につきましては昭和五十八年におきまして一七五、それから謄抄本等の事件につきましては四六六というような急上昇で伸びております。それに対しまして職員の方は、昭和六十年度をとりましても百二十四でございますか、その程度のものでございまして、グラフでごらんになってもおわかりのとおり、非常に事務量の増加に対して職員の充実というものがおくれておるという状況でございます。
 そのような状況でございますので、各職場におきましてはいろいろな問題が生じております。この問題を処理するために、殊に謄抄本の交付等の事件が多うございますので、謄本焼きのために外部にその謄本焼きの仕事を一部下請してもらうというようなそういう措置もとってきておりますし、それからまたこれは残念なことでございますけれども、市町村とか司法書士の事務員の方に登記所に事実上応援に来ていただくというふうなことで処理をいたしておるわけでございますが、なお十分でございませんので、窓口ではかなりの時間をお待たせするというふうな状況にございます。これを何とか抜本的に改善を加えなければならぬということで今回のコンピューター導入構想というものが生まれてきたわけでございますけれども、そういう状況でございますので、現在の職員は非常な事務量の膨大さに圧倒されるような過重負担の状況になっております。
 それで、そのような状況のために私どもも職員の増員というのを毎年最重点事項として要求してまいってございますけれども、これは御承知のとおり、政府全体として定員の増加を極力抑制するという方針が打ち出されておりますためになかなか思うように増員の獲得ができておりません。しかしながら、昭和六十年度におきましても、登記部門で純増二十四、昨年には三十八というふうな増員が図られているところでございます。今後ともそのような努力は続けていくべきだろうと思っております。
 なお、この問題の解消のために、根本的にはコンピューター化による改善しかないだろうという考え方でございますけれども、コンピューターを導入するにいたしましても、その効果があらわれてくるのはかなり先のことでございます。現在の状況を何とか処理をしなければならぬということでございまして特別会計ができました。その特別会計の内容といたしましては、そういう現在の状況を改善するという面での能率器具であるとか、それから先ほど申しました部外委託の拡大であるとかあるいは申請人が窓口でおられる状況を緩和するためのクーラーの増設とかそういうもろもろのことも考え、また一番関心を持っておりますのが施設でございますが、施設の改善等にもかなり努力して、そういうことを総合的に考えながら対策を講じてきましたし、またこれからも続けていかなければならないというふうに思っております。
#304
○三浦(隆)委員 最後に、その特別会計の問題と関連してなんですが、国が今大変に財政的に逼迫しているわけです。しかし、どうしてもこのコンピューター化というのが必要だという観点に立ってこの特別会計制度が導入されたと私は思うのです。とすれば、この今回の法案に限らずほかの問題であってもそれがどうしても必要であるとすれば同じように特別会計制度を組んででもやる問題が起こり得るだろう、このように思うのです。
 これは将来ということで、この問題にもう一度立ち返りまして、この登記事務のコンピューター化に当たって特に特別会計制度を導入した理由という点についてもう一度お伺いして質問を終わりたいと思います。
#305
○枇杷田政府委員 先ほど来申し上げておりますように、登記所の現状というのはもうパンク寸前という状態であることは今広く認識をされておるところでございまして、また一方、そういう状況のためにワーストワンというふうな評価も受けておるわけでございまして、私どもとしては何とかしてこの状態を脱却しなければいけない、それを脱却しなければ国民に対する登記制度というものの信頼を失ってしまうであろうという危機感を持っておるわけでございます。そういうことを根本的に改善をして脱却していくためにはコンピューターの導入しかないというようなことで、既に四十七年以来研究を重ねてきておるわけでございます。そういうことが、ある程度研究の成果がめどがついたということがございます。
 それから一方、コンピューターを導入いたします場合には先ほど申し上げましたように多額の経費が一時期の間に集中的に必要となってまいります。そういうことになりますと、それを実現するための経費的な裏づけというものをどうやってするかということが極めて問題になってくるわけでございますが、現在の一般予算の状況、財政事情から申しますと、そのような経費を現在の仕組みの中で生み出していくということは至難のわざである。したがいまして、登記制度を御利用になる方、受益者に負担をしていただくという形で、そしてこの制度を根本的に改善する道を選ばなくてはいけないだろう、そのためにはその出していただく手数料という金額がまさに登記所の改善につながっていくのだということが明確になって、そしてその経費がまさにその改善に使われるということが保証されるということでなければ、その受益者の方にも御負担をいただけないであろうということがございます。
 そういうことも総合的に考えまして、経理区分による特別会計を導入することによって、そしてこの登記制度というものを根本的に変えていくという道をつくるほかはないということが私どもの願いでありましたし、また大蔵省当局についてもそういう面についての理解がされまして今度の登記特別会計の創設につながったということであると考えております。
#306
○三浦(隆)委員 質問を終わります。
#307
○片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
#308
○片岡委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。天野寺君。
#309
○天野(等)委員 私は、日本社会党・護憲共同を代表して、電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に賛成の立場から討論をさせていただきます。
 この法案は、最近における不動産登記、商業登記等の登記事件数の爆発的増大という状況の中で、長期的、総合的観点に立って登記事務の円滑な処理を図るため、登記事務処理にコンピューターを導入しようとするものであり、従来のブックシステムを基本としてきた我が国の登記制度に対して画期的な変革を方向づけるものであります。
 現在、迅速な登記事務処理に対する国民の要望は非常に大きく、従来のブックシステムではこの要望にこたえ切れなくなっているのが現状であります。私たちは、この法案審議に当たって、登記所並びにパイロットシステムの現況を視察し、電子情報処理組織並びにマイクロフィルム組織の専門家の意見も参考にし、長期的展望のもとに登記制度にコンピューターを導入する方向に賛成をするものです。さらに、法務局における登記簿以外の諸書類の保存方法の近代化、法律上の商業帳簿等へのコンピューター処理システムの導入等についても前向きの検討を求めるものであります。
 ただ、本法案は登記諸制度に電子情報処理組織を導入する方向を示したものにすぎないものであり、その具体化に当たってはさらに慎重な検討を経なければならないものであります。この点については、本法案審議の中で法務大臣並びに法務省当局が、今後の業務運営のあり方、労働環境整備に当たっても業務担当者としての全法務労働組合を初め関係諸機関とも十分協議を重ねること、コンピューターの導入が法務局職員の削減を図るためのものではないことなどを約束をしており、私たちもこの点を強く要望するところであります。
 また、この法案が成立したとしましても、直ちに登記事務処理がコンピューター化するわけではなく、現状における登記事務処理の繁忙状況、職員の労働条件の劣悪状態が解消するものではありません。したがって、現状における登記業務の充実のため、予算、人員の十分な確保が必要であり、この点も本法案審議の中で明らかになった事実であります。
 私たちは、これら諸点に対する法務省当局の十分な配慮を要望しつつ、登記制度に新しい未来を開くことになる本法案に賛成をいたします。(拍手)
#310
○片岡委員長 中村巖君。
#311
○中村(巖)委員 私は、公明党・国民会議を代表して、ただいま議題となりました電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に賛成の討論を行います。
 現在、登記事務の事務量は飛躍的に増大しており、事務処理の大幅遅延等、サービスの粗雑化の問題が生じており、このまま推移すると、国民の経済取引も重大な影響をこうむるおそれがあります。
 昨年総務庁行政監察局から発表された利用者に対するアンケート調査の結果によると、苦情の多い役所のワーストワンは登記所の窓口であることが指摘されております。また、現行の登記所の大半は、狭隘の上に職場環境も悪く、その改善が強く望まれているところでもあります。こうした現状を改善し、円滑な経済取引を妨げないためにも、登記制度に近時発展の目覚ましい電子情報処理組織を導入することは、時代の要請によるものであり、その意味において、我が党は本法案には賛成するものであります。
 なお、今後登記事務のコンピューター化の一層の進展が望まれるのでありますが、その健全な発展を期するため、我が党としては、次の点について特に配慮することをこの際要望するものであります。
 その一つは、登記ファイルに記録する制度を全国の登記所において行うための長期的、総合的な計画を速やかに策定し、これに必要な予算、人員の確保、施設の整備、職員研修の充実に遺憾なきを期すること。
 二つ目には、コンピューターへの記録業務が開設される際には、当該登記所の業務の態様が変化することにかんがみ、業務のあり方、職員の健康、その他勤務条件等についても十分配慮すること。
 三つ目には、ハードウエア、ソフトウエアの導入については、複数のメーカーに開発を求め、価格の適正を期すること。
 さらに、従来の登記事務についても、人員面、施設面の充実に努め、その円滑な処理を図るため、なお一層努力し、国民に対するサービスの向上に努めること。
 これらを要請して、賛成の討論を終わります。(拍手)
#312
○片岡委員長 林吾郎君。
#313
○林(百)委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、本案、すなわち電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に対して、反対の討論を行います。
 登記のコンピューター化については、業務の効率化等の利点もあり、以下の問題点が十分解決されるならば私たちは本法案に賛成ではありますけれども、それが行われてないという立場からこれに反対するわけでございます。本法案は、コンピューターが導入された場合、遺憾ながら国民に負担を押しつけることになり、その一方、国民サービスは縮減され、切り捨てるなど、重要な問題を持っています。したがって、日本共産党・革新共同は、次の理由によって反対を唱えるものであります。
 理由の第一は、十五年間をかけての登記のコンピューター化移行等の経費を、受益者負担として、謄本・抄本交付代あるいは閲覧手数料を大幅に引き上げようとしておることであります。
 質疑に対する答弁でも、おのおのの額を、本法施行後直ちに謄抄本交付代を現行の三百五十円を四百円に、閲覧手数料は百円を倍の二百円にする、法務省はこのように答弁しています。しかもこれらの手数料は、特別会計上、受益者負担の名のもとに、今後さらに大幅に省令によって引き上げられることは必至であります。これは利用者である国民に負担を押しつける結果になります。我が党は強く反対せざるを得ません。
 反対理由の第二は、コンピュータ化によって登記制度の根幹を変更しようとしていることであります。
 現在閲覧は、手数料は前述のように百円でできますが、コンピューター化後は手数料は引き上げられる一方、事実上閲覧を困難にしております。実際、本法案では謄本、抄本についての明記はありますが、閲覧については一言も書かれていません。閲覧は、言うまでもなく登記制度の根幹をなすものであります。また、所有権移転の経歴等が引き続き確保されるかどうか、これも明記されておりません。事実上、経費等の関係でこれは除外される危険すらあります。すなわち本法案は、国民の知る権利にこたえるという国民サービスを切り捨て、まさに国民の権利関係を公証する登記制度の根幹を揺るがすものであります。
 反対理由の第三は、本法案は重要事項をすべて白紙委任にしていることであります。
 本法案は、登記のコンピューター化に伴う重要事項はすべて政令に委任されており、また、民事行政審議会に聞くとして、事実上白紙委任にしております。本法案は、全体で六条のみという簡単な形式をとり、重要な事項については白紙委任にするというもので、法案の体裁からいっても全く不備であります。
 第四の反対理由は、コンピューター化を理由に職員を減員しようとしていることであります。
 もしコンピューター化によって人員が合理化されるならば、労使協議によりその余剰職員を表示登記、権利関係を担う甲号事件で現在手抜きされておる調査や地図の整理などに振り向けるとともに、さらに、現在の実情からすれば増員すらすべきものである。しかるに、本法案によってはかえって登記職員が減員となる危険をはらんでおるからであります。法務省は大蔵省に対して三千二百名の職員減を説明し、本法案の前提である特別会計制度の導入を認めさせたとも言われております。これは、これまでの登記所等の職員増員要求の請願を国会で採決してきたことに全く反するものであります。
 最後に、登記従事職員の労働条件の問題であります。
 板橋登記所における実験についても、いまだに正式の中間報告すら提示されておりません。労働環境の変化に伴う労働条件の問題、従事労働者の健康への影響、適切な研修と人員配置など、重要な点で十分な労使間の協議が調っていないのであります。また、実験期間をなお一年残し、労使間の十分な合意、厳密な検討もなされないまま見切り発車しておるのが本法案であると言うことができると思います。したがって、我が日本共産党・革新共同は、以上の理由で反対をするものであります。
 私の反対討論を終わります。(拍手)
#314
○片岡委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#315
○片岡委員長 電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#316
○片岡委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#317
○片岡委員長 次に、ただいま可決いたしました電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に対し、太田誠一君外三名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議及び民社党・国民連合の四派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。太田誠一君。
#318
○太田委員 私は、提出者を代表して、ただいま議題となりました附帯決議案について、その趣旨を御説明いたします。
 まず、案文を朗読いたします。
   電子情報処理組織による登記事務処理の円滑化のための措置等に関する法律案に対する附帯決議(案)
 政府は、本法の施行に伴い、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一 電子情報処理組織を全国の登記所に設置し、登記事務の円滑な処理を図るための長期的・総合的計画を速やかに樹立するとともに、登記業務の充実に必要な予算・人員の確保、施設・設備の整備、職員研修の充実につき遺憾なきを期すること。
 二 電子情報処理組織への移行に当たっては、関係諸団体の意見を聴取し、業務運営のあり方及び関係職員の健康その他勤務条件について充分な配慮をすること。
 三 電子情報処理組織の導入に伴う事故防止については、万全の対策を講ずること。
 四 電子情報処理組織の導入に当たっては、登記手数料を適正に設定する等登記制度の利用者の不利益を招来しないよう配慮すること。
 五 法務局における登記簿以外の所掌諸書類についても、コンピュータ、マイクロフィルム、コム等を活用し、その保存方法の近代化と国民へのサービス向上を図ること。
 六 法律に基づく商業帳簿等についても、電子情報処理組織及びマイクロフィルム等を利用し得るよう、立法上の問題を含め検討すること。
以上です。
 本案の趣旨については、既に質疑の過程で明らかになっておりますので、その説明は省略いたします。
 何とぞ本附帯決議案に御賛同あらんことをお願いいたします。
#319
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#320
○片岡委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、嶋崎法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。嶋崎法務大臣。
#321
○嶋崎国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたしまして、鋭意努力してまいりたいと考えております。
    ―――――――――――――
#322
○片岡委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#323
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
#324
○片岡委員長 次回は、明十日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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