くにさくロゴ
1984/04/12 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第14号
姉妹サイト
 
1984/04/12 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第14号

#1
第102回国会 法務委員会 第14号
昭和六十年四月十二日(金曜日)
    午前十時十分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 岡本 富夫君
   理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      塩崎  潤君    宮崎 茂一君
      山崎武三郎君    小澤 克介君
      日野 市朗君    中村  巖君
      橋本 文彦君    柴田 睦夫君
      林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
 出席政府委員
        法務政務次官  村上 茂利君
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
 委員外の出席者
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
四月十二日
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(岡本富夫君紹介)(第三〇一七
 号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 参考人出頭要求に関する件
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第四九号)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。嶋崎法務大臣。
    ―――――――――――――
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
  する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#3
○嶋崎国務大臣 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、司法書士及び土地家屋調査士の制度の運営の実情にかんがみ、司法書士及び土地家屋調査士の自主性の強化を図るため、その登録を日本司法書士会連合会または日本土地家屋調査士会連合会が行うものとするとともに、官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託等の実情にかんがみ、その嘱託等の登記の手続の適正化を図るため、司法書士または土地家屋調査士を社員とする社団法人がその嘱託等に係る事務を受託してこれを処理することができることとするものでありまして、その要点は、次のとおりであります。
 第一に、現行法におきましては、司法書士及び土地家屋調査士の登録は、法務局または地方法務局の長が行うものとしておりますが、これを改め、この登録は、日本司法書士会連合会及び日本土地家屋調査士会連合会が行うものとしております。
 第二に、登録の拒否及び登録の取り消しの手続を適正に処理するため、一定の事由に該当することを理由に登録の拒否または登録の取り消しをしようとするときは、登録審査会の議決に基づいてしなければならないものとしております。
 第三に、登録の拒否または登録の取り消しを受けたがその処分に不服があるときは、その者は、法務大臣に対し、行政不服審査法による審査請求をすることができるものとし、法務大臣は、審査請求が理由があるときは、日本司法書士会連合会または日本土地家屋調査士会連合会に対し、相当の処分をすべき旨を命ずることとしております。
 第四に、移譲した登録事務の適正を確保するため、法務大臣は、必要があるときは、日本司法書士会連合会または日本土地家屋調査士会連合会に対し、登録事務に関し、報告を求め、または勧告をすることができることとしております。
 第五に、司法書士会または土地家屋調査士会の自主性の強化を図るため、会則の変更のうち、会費に関する規定の変更等については、法務大臣の認可を要しないものとしております。
 第六に、官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託または申請に必要な手続は、その規模、性質等にかんがみ、専門的知識、技能を有する司法書士または土地家屋調査士が組織的に受託して処理することが望ましいところでありますが、現行法のもとでは種々の険路があり、司法書士または土地家屋調査士がこれらの登記の嘱託等の手続の受託をしているのはわずかの部分にしかすぎず、これがひいては官公署等のする登記の嘱託等の手続の適正、円滑な処理の目的を十分果たし得ない実情となっております。
 そこで、官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託等の手続の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として、司法書士または土地家屋調査士を社員とする民法第三十四条の規定による社団法人が当該嘱託等に係る事務を受託してこれを処理することができるものとする制度を創設することとしております。
 第七に、右に述べました社団法人制度の創設を認めることに伴い、所要の罰則の規定を設けるとともに、罰金及び過料の多額を引き上げることとしております。
 以上が司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ慎重に御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願いいたします。
#4
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#5
○片岡委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、来る十六日、参考人の出頭を求め、意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
 なお、参考人の人選につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
#8
○片岡委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
#9
○塩崎委員 私は、ただいまから、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたいと思います。
 質問の前に、まず感謝申し上げたいと思います。
 大変審議時間が制約されておりますこの委員会におきまして、一時間半という極めて長時間の質問時間を与えていただきまして、本当にありがとうございます。いつも自民党の質問時間は、これは私は委員長のせいだとも思いませんけれども、常に制約をされておりまして、なかなか質問の機会を与えていただけない。それがきょう珍しくお与えいただきまして、本当にうれしく思いますし、(発言する者あり)今、雨が降るではないかという不規則発言がございましたけれども、雨をとめてでもこれはひとつ質問をしなければならないと今考えていたところでございます。法務省の方々の明快な御答弁をぜひともお願い申し上げたいと思うのでございます。
 まず最初に、私は改正案について、この案に盛られましたところの方向はもう非常な賛成の意を表したい気持ちでいっぱいでございます。先般、もう既にこの委員会を通過、成立いたしましたが、登記制度について、コンピューター化さらにまた特別会計制度という大きな進歩が図られることになったわけでございますが、これは国民の側におきますところの登記制度の大きな前進であろうかと思うのでございます。この司法書士法及び土地家屋調査士法の改正法律案は、今度は国民と登記所との間に立ちますところの司法書士及び土地家屋調査士が大いにこれから意欲を持ってこの国民の権利を守っていこう、このような活動力を増す前進の法律案だと考えるものでございまして、私どもはぜひともこの法律案を早く成立させ、そして通過をさせていきたいと思うのでございます。
 しかし、私は、二つの観点からどうしても御質問申し上げさせていただきたい。
 まず第一は、大変御苦労された案であると私は思います。しかし、それだけにまだまだ多くの疑問が残っており、土地家屋調査士にしても司法書士にしても非常な不安もある。これが運営いかんによっては司法書士会あるいは土地家屋調査士会の権益にどのような影響を来すかあるいは業界にトラブルが起こってきはしないかというような心配も持っているようでございますので、私は、疑点をただし、不安をなくす観点からまず御質問をしたい。
 第二は、同時にまた、不断に進歩させなければならない登記制度でございます。私は将来の問題点をも皆様方に伺いながら、将来の方向を模索しながら、そういった観点から立法論を考えつつ、御質問を第二の点としてさせていただきたいと思うのでございます。
 この改正点は二点ございまして、今嶋崎法務大臣が読まれましたように、まず第一は、登録制度の改正でございます。第二は、多年の懸案でございました公共嘱託登記問題解決のための法人協会の創設でございます。このような二点について御質問を申し上げたいと思います。
 まず第一に、登録制度の改正の問題でございますが、そこで、この改正のねらいは何かという点でございます。今、嶋崎法務大臣は特に大きな声で自主性の強化という点を強調されたわけでございますが、そのような御趣旨が本心とは私は思うのですけれども、それがどのような意味で行われているかという点を御質問したいのです。
 それはなぜかと申しますと、この自主登録の制度の創設は今始まったことではないのです。私は約八年前に法務政務次官をやらせていただきましたが、そのときにこの問題を取り上げました。私は昭和三十六年に実は大蔵省の課長でございましたが、税理士制度を改正した際に、もう既に昭和三十六年に自主登録の制度は法律としてでき上がり、それから公認会計士制度も既に採用されているところでございます。弁護士会に至りますと、これは創設の当初からそのような格好になっている。私はこの点をひっ提げて法務省の中でも、そしてこの委員会でも主張したことがございますが、そのときに法務省の香川民事局長は、枇杷田局長の先輩でございます、今最高裁におられるのではないかと思うのですが、いや、登録という制度は公権力の行使である、行政処分である、このような公権力の行使を民間機関でありまするところの司法書士会あるいは土地家屋調査士会に委任するということは、どうも法理論としておかしいというような観点からの御答弁がたびたびありました。実は、私はそのときの速記録をここに持っておるのです。そして、私のみならず横山利秋委員も御質疑をされて、このような自主登録制度を織り込まない法案の改正、つまり国家試験の制度を採用した五十三年の法案は受け付けないぞとまで言ったのですけれども、法律論はやはり法務省の方が得意なんでしょうかね、強いと思われたのか、五十三年の改正の際には自主登録の制度は全然受け付けられなかった。こういう経緯がある。
 ところが、このたびまた自主性の強化という観点から自主登録を持ってこられるというと、心が変わってくれればいいこともありますけれども、法律論で来られただけに、私は少し疑問を持つのでございます。よしあしの政策論ならよかったのですけれども、そのような法律論で決めつけられますと、さて本当に自主性の強化というのは何かというところを確かめていきたいと思いますね。
 私が聞くところによれば、いや、そんな法律論よりも今行革がうるさい、臨調の答申が出てこのような登録制度はもう民間機関に委任するんだ。ただし、法務省の監督のもとにということがついておるから、まあまあ行革の精神で、国からも登録についての予算もなかなか来ないから、そういった財政上の観点といいますか、行革ですから財政上の観点だけでもないのでしょうけれども、一つの仕事を片一方へ持っていくということが経済的に能率的ならばその方を選択するということかもしれません。そんなような行革の精神でやったので、結果として自主性の強化かもわかりませんが、本心は自主性の強化というところとはおよそ相隔たるところが多いんじゃないかという、これは私の勘ぐりかもわかりませんが、そういう疑問を持つから、さてこの登録制度の改正のねらいは何かという点をまず伺いたいと思います。
#10
○枇杷田政府委員 このたびの法案に盛られております登録事務の移譲につきましては、先ほど法務大臣から説明がございましたように、結論的には両連合会の自主性を強化をするというところに尽きるわけでございます。しかしながら、この問題につきましては、ただいま塩崎委員御指摘のように長い経過を持っていることも事実でございます。そして、五十八年の臨調の答申でこのような登録事務を業者団体の方に移譲した方がいいじゃないかというような線が打ち出されておりまして、それもこの法案をまとめるについての一つの推進力になったということも否定しがたいと思います。しかしながら、やはり基本は、司法書士会あるいは土地家屋調査士会をどのように強化し育てていくかというところが中心の課題だというふうに私ども考えておるわけでございまして、従来から両連合会からの希望もございましたし、また客観的に見ても、自主性を強化するためには登録事務を移譲した方がいいという結論に達して今度の法案になったわけでございますが、その過程での法律論があったことはただいま御指摘があったとおりでございます。
 この法律論と申しますのは、登録事務というのは国の行政事務である、そういう性格は否定しがたいところでございます。そのような行政事務を民間に移譲するということも、それ自体として不可能なわけではございませんけれども、行政事務を民間に移譲する以上は、その事務について政府が責任を持てる体制がつくられていなければならない。そうでなければ、行政権は内閣に属するという憲法上の問題にもかかわってまいります。それの関係がどうなるかということが法律論として一番重要な問題であったというふうに理解をいたしております。
 税理士会などの場合には、金そのものに対して大蔵大臣の監督権限というものがかなり強固に打ち出されております。総会の決議の取り消し権とかそういうところまで及んでいるように承知しておるわけでございます。ところが、司法書士会、調査士会の場合には、もともと政府側の方の監督権というものが積極的にうたわれているという制度ではございません。そのような会に行政事務であるところの登録をそのままで移譲するということについては、法律的に問題があるんじゃないかという点があったわけでございます。その点を今度の法案でどのように処理をするかということが一つの問題でございましたけれども、内容をごらんいただければおわかりになりますように、この登録事務に関しては法務大臣がいろいろな報告を求めたり、指導したり、あるいは勧告をするというような権限を法務大臣の方に残す、それから客観的な意味で登録事務が適正に行われるような制度も設けるというふうなこと、それから不服審査の手続をきちんと決めるというふうなことを考えまして、そしてただいま申し上げましたような法律論を克服し、しかも、従来からの、官側の方が余り強権的に会を監督しないということの原則を余り動かさないような状態でまとめていくということを工夫してまいったわけであります。そのようなことができたということ、これが一つあるわけでございます。
 それからもう一つは、会の自主的な運営というものを尊重するというのがねらいでございますけれども、実際問題として今登録事務を行いますには、各連合会で具体的な体制づくりというものが必要でございます。そういう面につきましても、面会ともそういう体制づくりが次第にできてきたということもあわせまして、今度の国会にこの移譲についての法律案を提出した、こういうことに相なるわけでございます。
#11
○塩崎委員 私は、いい方向ならば考え方の変化があってもいいかと思うのでございますが、今のお話では少し自主性の強化という観点でまだまだ意欲が乏しいような気がしてならないので、やはり司法書士会あるいは土地家屋調査士会のことは司法書士会あるいは土地家屋調査士会が自主的自律的に内部規律によって運営していく、そうしてお互いの切磋琢磨によって地位の向上と信用の保持を図っていくという方向での登録制度の移譲、私はこんなふうに強く考えていかなければならぬと思うのでございます。
 とにかく、司法書士会や土地家屋調査士会に入ってみても何もいいことがないではないか、会費を納めることだけで済んでいるのではないか、これは団体にはつきもののことなんですけれども、そういうことがよく言われる。登録制度によって自分たちの身分がこのような形で確保されているという意識を個々の司法書士あるいは土地家屋調査士に持たせることは確かに大変重要なことだと思うのですが、そういった意味の登録制度と考えていただけないものでしょうか、どうでしょうか。
#12
○枇杷田政府委員 自主性の強化ということは、抽象的に申し上げましたけれども、司法書士会あるいは土地家屋調査士会と申しますのは、会員の指導、連絡というようなことを中心とする仕事をする会でございます。したがいまして、会が育っていくというためには、各会員が会に対する帰属意識を強固に持つことだろうと思います。そういう面におきましてこの登録というものを自主的にやるということは、いわば、自分が司法書士であるあるいは土地家屋調査士であることのあかしといいますか、そういうものが自分たちの会の中にあるんだということが、そういう帰属意識といいますか連帯感といいますか、そういうものを強めていく基本になるという認識を持っております。そういう意味でこの登録の移譲ということが両連合会の自主的な運営の強化になるであろうという認識を持っております。
 ただ、そういうことでございますけれども、もともと司法書士会、土地家屋調査士会につきましては、ほかの業法と違いまして法務大臣の監督権というものが余りないという状態で、非常に自主性を尊重している制度でございます。それを移譲することによって、かえってその自主性を損なってはいけないということの調整が一つの問題としてあったんだということを御理解いただきたいと思います。
#13
○塩崎委員 今の御答弁のとおり、私はこの登録制度の改正を自主性の強化という観点からのものと率直に受けとめて  とにかく税理士法改正以来二十四年、約四分の一世紀近くたって初めて自主登録ができた。これはまさしく大蔵省出身の嶋崎大臣のおかげであるということを痛感して、自主性の強化についてひとつこれから御質問をしたいわけでございます。
 例えば、昭和五十三年六月八日、第八十四回国会の司法書士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、あるいは昭和五十四年十二月七日、第九十回国会の土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、いずれも自主性強化のような観点からの決議がついているわけでございます。例えば五十三年六月八日の附帯決議の中に、数点ございますけれども、
 二 司法書士会が行う研修事業に積極的に協力し、司法書士が登記供託及び訴訟等の手続の専門家として真に国民の信頼に応え得るよう、その品位と資質の向上を図ること。
 三 司法書士会の内部規律により司法書士に対する国民の信頼を高め、社会的地位が向上するよう、司法書士会の指導に努めること。
このような趣旨は五十四年十二月七日の附帯決議にもあらわれているところでございます。
 そこで、自主性強化の観点から司法書士会あるいは土地家屋調査士会といつも比較されるのが弁護士会の関係でございます。弁護士、税理士、公認会計士あるいは行政書士、こういったいわゆる一身専属制の資格を持つ、士がつくところの自由職業者の団体との比較でございます。今弁護士会を例に申し上げましたが、自主的な規律の一番代表は懲戒権のあり方でございます。内部規律、一つの懲戒という仕組みを弁護士会と同じように司法書士会あるいは土地家屋調査士会に持たせていったらどうかという意見が前々から言われており、いや、それは弁護士とは全く仕組みが違うのだというようなことが言われてきた。確かに詳細に見ますれば違う点があろうかと思うのですけれども、同じ自由職業者、しかも弁護士と似て不動産登記法といった難しい法律によって国民の権利を守っていこうとするような自由職業者には内部規律で、役所の手数を煩わさなくても懲戒制度を運用ずみだけの資質があり、力も持たせていいのではないかと思うのですが、この点は今のところどのようにお考えですか。
#14
○枇杷田政府委員 結論から申し上げますと、懲戒権を会の方に与えるということは考えておりません。
 ただいま弁護士法のことに言及されましたけれども、弁護士法はちょっと特殊な立場に立つ法律だろうというふうに思っております。数年来当委員会におきましても、弁護士会が懲戒権を持っておるということ自体が憲法上疑義があるのではないかというような議論もあったところであります。その結論が当委員会で出たというわけではございませんけれども、そういう議論が出されたということも私、承知いたしております。
 懲戒で一番重い懲戒は、現行法で申しますと「登録の取消し」、この改正案によりますと「業務の禁止」ということになるわけでございますけれども、これはいわば資格といいますか、司法書士あるいは調査士としての仕事ができなくなるというような効果をもたらすような内容をも含むわけでございますね。そのようなことをするのは、国が与えました司法書士という、あるいは土地家屋調査士という資格を実質的に奪ってしまう、資格というと語弊がありますけれども、その立場を奪ってしまうというふうなものでございます。これは明らかに国の行政行為、行政処分でございまして、そのようなものを業界に与えるということは、いかに会と内閣との間につながりをつけるにしても、少し問題が大き過ぎるのではないかという感じがするわけでございます。むしろ司法書士会とか調査士会という会は、会員が集まりまして自分たちがみんなで励まし合い、いさめ合い、そして指導していく、そういうことで中身をよくしていくということが目標の性格のものであろうと思います。それをいわば強権的に、自分の会に属する者の登録の取り消しをしてしまうというような行為をすることが果たしてその会の本来的な姿に合うものであろうかどうかというような疑問もあるわけでございます。そういうようなことから私どもは、懲戒権を面会が持つことは法律論からいっても、また実際問題からしても適当でないという結論を持っております。しかしながら、この懲戒のあり方については会の方からのいろいろな意見とかそういうものを十分に酌み取って処理していくということが必要なことであろうという意味で、現在もそのような形で運営しておりますし、これからもそういうふうなことで処理してまいりたいと思います。行政処分としての処分権は官が行使するという建前の方がかえってすっきりすると思っておる次第でございます。
#15
○塩崎委員 私は、枇杷四局長の御答弁の理論的な筋道はなるほど理解できるような気がするわけでございます。ただ、今度、登録が司法書士会あるいは土地家屋調査士会に移ったこと、そしてそのために第六条以下に登録の手続が出てくるわけでありますが、その各規定を読んでみると、この自主規律、内部規律、懲戒権の問題は新しい段階に入ってきた、少し様相が変わってきた、もう五十歩百歩のような気が私はするのです。それで、六条の三に「登録の拒否」という条項がございますね。これは当然のことでございますが、登録が移譲されたのですから、日本司法書士会あるいは土地家屋調査士会が、登録要件に該当していなければこれを拒否できる。しかし、単にそれだけでは足りない。つまり、一遍登録をされておっても、登録の拒否と同じような条件に該当するときには登録の取り消しができるような仕組みになっていることは法律上当然かと思うのです。そして、登録の拒否にしても登録の取り消しにいたしましても、登録審査会で慎重に審議されることは当然なのですけれども、私は、登録の取り消しの中身を見ますと一つの懲戒的な規定と見ても実質的にいいような気がするのでございます。こんなところは枇杷四局長の方がはるかに法律の専門家でございますから、私は教えていただきたいと思うのです。しかも、税理士法などと比較してみてもこの登録の取り消しの発動の仕方が違うようなニュアンスの規定の仕方になっているから、これは大変重要な問題だと思ってお尋ねするわけでございますが、六条の三の登録の拒否条件が登録の取り消しに同じように適用されるわけでございますが、その中に、二号の病弱の場合は除きまして、三号に「司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士の職責に照らし司法書士としての適格性を欠くとき。」同じようなことが土地家屋調査士法にも出てきておるわけでございます。これは多分に判断を伴う一つの懲戒権の発動的な規定と読めないことはない。単なる登録の技術的な失効だと考えることもできるのでしょうけれども、やはり実体に入って信用の保持とか品位を害するおそれがあるというようなことは、私は、大変懲戒的な面に絡んでくる問題ではないかと思う。それが第一点目。
 第二点、私が税理士法と比較してみましたら、税理士法の取り消しの要件は、このような条件に該当すれば当然取り消すのじゃなくて、登録の取り消しができるのは、「日本税理士会連合会は、税理士の登録を受けた者が、税理士となる資格又は第二十四条各号に規定する登録拒否事由に関する事項について、記載すべき事項を記載せず、又は虚偽の記載をして第二十一条第一項の規定による登録申請書を提出し、その申請に基づき当該登録を受けた者であることが判明したときは、第四十九条の十五に規定する資格審査会の議決に基づき、当該登録を取り消すことができる。」その趣旨は、最初に出しました登録申請書の中に虚偽の記載があったときに限られるようなことで、その後の事情で信用を害するおそれがあるようなときには適用にならないように見えるのですけれども、このようなことは制度、仕組みの大きな差異を示すものであるかどうか。私も税理士法、長らく外れておりますので詳しくはありませんけれども、第二項などで司法書士法あるいは土地家屋調査士法の改正案と同じようになっているのかもしれませんけれども、一項だけ見るとそんなふうに見えるのですね。そして、登録が取り消されたならば事業ができなくなるという制裁を受けることは当然であるし、司法書士あるいは土地家屋調査士という名称を使えなくなることも当然の結果でございます。
 私はもう一つ敷衍して申し上げると、弁護士法の懲戒権は確かに範囲が広くて、戒告、二年以内の業務の停止、退会命令、これは私も初めて見たのですが、それから除名というような四つの、登録の取り消しと違った除名という別の制裁が与えられておるような規定がある。これとは違うのかもわかりませんが、税理士の制度を見ますと、弁護士と同じように戒告、一年以内の税理士業務の停止、税理士業務の禁止、こういうふうな三つの制裁がございますけれども、このような登録の取り消しの効果が業務の剥奪ということになれば戒告以上の懲戒権が行使されたと考えて変わらないではないか。それなら五十歩百歩、内部規律の中で戒告というような仕組みを設けても、戒告よりも業務の停止の方がはるかに大きな制裁であることはだれしも認めるところだと思いますが、このような形での戒告というものも考えられるのではないか、勉強しておってこういう疑問を感じたのでございます。要は、とにかく司法書士会、土地家屋調査士会の力を強めて業界全体の地位の向上を図り、そしてまだまだ所得も高めなければならない、仕事の量もふやさなければならない、そして国民の権利を守っていかなければならない両業界の地位向上は、この団体であります司法書士会あるいは土地家屋調査士会の権限を強めていくことにあると思うのです。
 長々としゃべりましたけれども、このような懲戒権、内部規律の強化、附帯決議のあった問題について今のような私の解釈でいいかどうか、さらに進んで、このような懲戒権という表現を避けてもいいかもわかりません、しかし内部規律を司法書士会、土地家屋調査士会がやっていく、そのための権限を与えるということについてどう考えられるか、御答弁をいただきたいと思います。
#16
○枇杷田政府委員 いろいろな点、御指摘があったわけでございますけれども、税理士の関係につきましては私ども所管でもございませんので余り責任のあることは申し上げられませんが、司法書士法、土地家屋調査士法の場合の先ほどの登録の取り消しの問題につきましては、これは効果といたしますと、まさに司法書士でなくなり土地家屋調査士でなくなるという効果をもたらしますので、懲戒あるいはそれ以上の重い効果が生ずることは間違いないと思います。
 ただ、この登録の取り消しと申しますのに二つあるわけでございまして、一つは、先ほど税理士の場合にそうじゃないかというふうに御指摘があったように、登録の当初にそのことが発見されていたならば登録は受けなかったであろうという場合に取り消すということでございます。これは今度の法律におきましても、欠格事由があったというふうな場合には当然後で取り消すということでございます。
 それから、登録の当初にあった事由ではなくて、それから後に生じた事由が何かあった場合にどうするかということが問題になってくるわけでございますけれども、その場合に、先ほどの欠格事由が後に生じたという場合も同じですが、そのほかにいわば分限的な事由、六条の三の第二号の心身が衰弱して業務ができないというような場合はまさにその分限の問題になるわけでございまして、この分限の事由が生じたときには登録の取り消しをするということでございますが、六条の三の第三号に当たるような事柄ですね、「信用又は品位を害するおそれがある」という場合には、これは具体的に品位を害し、あるいは法律に反し、あるいは会則に反するというようなことがあった場合にそれはむしろ懲戒の問題になるわけでございます。したがって、そのこと自体でこの登録の取り消しということにはならないわけでございまして、この仕組みはいわば、欠格事由が生じた場合あるいは分限事由が生じた場合には登録の取り消しはする、あと、品位を害したり法律に反したりするような非違行為があった場合には懲戒でいくというふうな立て方になっておりまして、そのうちの分限的な問題については、これはいわば会が自主的に処理してしかるべきであろうということで、この法律では登録の取り消しを会ができるようにしているわけでございます。
 懲戒の問題になりますと、これは先ほども申し上げましたように、むしろ会のあり方の問題からいたしましても、また重い行政処分だということからいたしましても、これは官側の方に残すべきだということにしておりますけれども、この登録の権限を会が持つことによって、欠格事由の有無であるとかあるいは分限事由があるかどうかというような観点についての判断は会がし、それを処理をするという意味では、従来よりもかなりの分野について会の自主性、自律性といいますか、そういうものが広がったということは御指摘のとおりだろうと思います。
#17
○塩崎委員 御答弁の趣旨は了承するわけでございますけれども、仮に品位保持を害するおそれがあるような場合に、とにかく任意加入、任意脱退ではありますけれども、その人が会にいることによって司法書士会あるいは土地家屋調査士会の品位にまで影響するというような場合には除名ということも制度として、いや単に事実上の行為じゃありませんよ、法律上の制度としてこの登録制度の移譲の際に設けることは適当と考えられますかどうですか、いかがですか。
#18
○枇杷田政府委員 会が会員に対しまして相当強力な指導力を持つということは当然必要なことだろうと思いますし、また過般の司法書士法、調査士法の改正の際にも、会が会員に対して注意を促したり必要な措置を講ずべきことを勧告したりすることができるような規定を盛り込んでおります。それをまたさらに進めまして、もっと何か措置を講ずることができないかということは、それはまあ十分に検討に値することだと思います。
 ただいまその一つの例として除名という御指摘があったわけでございますが、この会のいわば団体性から申しますと、もうとても会の中に包含していくことがだめだ、いわば自分たちの力で指導しても勧告してもどうにもならぬというような場合に除名という問題が起きるだろうと思います。そういうふうなことで除名ということがあってもいいではないかという議論はかねがねあることは私どもも承知しておりますし、私ども自体でも検討はいたしておるのでございますけれども、いまだ若干その点に踏み切れない点がございます。
 それはなぜかと申しますと、一つには、司法書士あるいは調査士というのは強制加入制度をとっておりまして、会に入っていることと司法書士あるいは調査士の業務を行うこととが完全に結び合って構成されているものでございます。したがいまして、会の方を除名されますと、司法書士であり土地家屋調査士であるけれどもその業務はできないという格好になる。そういうふうなことになりますと、会の団体の中からいわばほうり出すというようなことだけでは済まないで、実際上その本人の業務ができないという公法上の関係が結果的に招来をいたしますので、それを会の会則的に決めるような事柄で処理をすることが効果として強過ぎるではないかという点、それからまた、そういう除名をすべきような非違的な会員というものがあるなら、それはまさに懲戒の対象になるはずである。したがって、むしろ懲戒という形で処理をして登録の取り消しに結びつけて、いわば司法書士でなくなる、土地家屋調査士でなくなるという形でいくのが本来的なあるべき姿ではないだろうかという気がいたすわけでございます。
 しかしながら、除名の問題については、これは団体法的な考え方からいたしますとそういうものがあってもいいじゃないかというような議論も私どもも理解できなくはございませんので、これからいろいろな法制度全体でどういうふうにしたら実際上そういう事態に対処し得るかというような点を含めて研究課題にはさせていただきたいと思っておりますが、今申しましたようなことで、にわかにそれでいいだろうというふうなことを御返事申し上げられない次第でございます。
#19
○塩崎委員 私どもは、法案通過の際には必ずといっていいぐらい附帯決議をつけているのでございます。いろいろな趣旨はあろうかと思いますけれども、やはりつけた附帯決議はそれ自体として将来においての立法の中に取り入れられるべきであり、行政の実際においても尊重されるべきだと思うのですけれども、たびたび出してきました内部規律の問題ですね、今のような問題が含まれているわけでございます。この附帯決議の性格にも関するような、国会の権威に関するようなことでもあるのですから、ひとつ研究をしていただきたいと思います。
 さて、だんだんと時間がなくなってまいりましたので、第二の大問題でございますところの公共嘱託法人の問題について御質問を申し上げたいと思います。
 この公共嘱託登記法人協会の問題ももう既に附帯決議の中に取り上げられておりまして、私どもはこの問題こそ本当に長らく、皆さん方もそうでしょうが、司法書士会、土地家屋調査士会いずれも悩んできた問題でございますので、ひとつぜひとも将来の方向まで含めて御答弁を願いたいと思うのでございます。
 民法三十四条の法人の形態でありますけれども、私はこれは大きな前進だと思う。しかし前進にはまだまだ、この法案が示しておりますところの仕組みについて、あるいはまたその法の運用について、司法書士あるいは土地家屋調査士、さらにはまた委託をいたしますところの公共団体等においてのコンセンサスがなければならないかと思う。それが必要であると思いますし、またそれ以上に、このようなことで司法書士会あるいは土地家屋調査士会に混乱が起きてはいけない、大変私は法の趣旨に反する、マイナスを生ずるのではないかと思うわけでございます。そういった意味でひとつ御質問をして将来の前進を本当に確保したいと思うのでございます。
 まず第一に、公共嘱託登記事件とその他の登記事件との、司法書士あるいは土地家屋調査士の受託の状況はどうか。とにかく、公共嘱託登記がさっぱり司法書士あるいは土地家屋調査士の受託事件とならない。あるいは、八百万件と言われるところのこの事件がとにかく他の人の手によって、国民の十分な権利が守られるかどうかという疑問のあるのみならず、大変非能率に運ばれているような気がするわけでございます。しかも、今司法書士会の、あるいは土地家屋調査士会の実情を見ておりますと、だんだんと公共嘱託登記の部分がふえてくる、自分たちの分野、今までの実績としておりましたその他の登記事件の分野は、むしろシェアとして減少しつつあるような状況、そして全体として、四十八年以降は土地家屋の移動が少ないがために、報酬の面においても非常に苦悩しているのが司法書士会、土地家屋調査士会の実情ではないかと思います。まず、登記事件中におけるところの公共嘱託登記事件とその他の事件との間の構成比、その数量の変遷等について、法務省の御認識を伺いたいと思うのです。
#20
○枇杷田政府委員 現在、全国の登記事件の総数は、二千二百万から三百万ぐらいの件数が出ておると思いますが、その中で、いわゆる公共嘱託登記事件がどれぐらいあるかということが問題になりますけれども、私ども、そういうものを区分けした正確な統計を持っておりませんので、厳密な意味での数字を申し上げることはできませんけれども、大体七百万前後ぐらいはあるだろう、少なく見積もっても六百万件はあるだろうというふうに考えております。その最低六百万件ぐらいある公共嘱託登記事件の中で、司法書士、土地家屋調査士が関与している事件はどれくらいあるだろうかとしますと、両者合わせて三十万件ぐらいだというふうに考えております。したがいまして五%ということになるわけでございます。
 なお、従来からの登記事件の動向を見てみますと、昭和四十八年ごろまでの経済成長、土地が非常に動いたという時点までは、いわゆる一般事件が随分伸びましたけれども、その後オイルショック後の状況では、一般民間事件が大分減りまして、それからまた少し戻したわけでございますけれども、それは微増を続けております。
 一方、公共嘱託登記事件はかなりの勢いで伸びてまいりまして、最近は若干財政難から公共事業部門への投資が少なくなったと見えまして、そちらの方も必ずしも急激な伸びを示しておりませんけれども、かつてから比べますと、一般の登記事件とそれから公共嘱託登記事件との比率は、昭和四十年代よりは昭和五十年代の方が、なべて言うと公共嘱託登記事件の構成比が多くなっているだろうという感触でおります。今後も大体そのような状況が続いて推移していくのではなかろうかと思っておる次第でございます。
#21
○塩崎委員 今のような登記事件の内訳と趨勢は、この法務省からいただいた「司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案関係資料」の中の参考資料の三ページ、これにあるところで判断していいのでしょうか。これは正式に当委員会に提出された資料として考えていいのでしょうか。このような資料は、これで済んでおればいいのですが、そのような慣習かどうか、私は法務委員会の慣習を知りませんけれども、大事な資料ですから、できる限りひとつこの委員会に特掲して出していただいて、やはり国民の前、司法書士の前あるいは土地家屋調査士の前に出して大いに考えてもらう資料としてできないかどうか、この点をひとつお伺いしたいと思います。
#22
○枇杷田政府委員 ただいまお話がございました資料は、この法案の審議に当たりまして委員各位の御参考に供していただきたいというつもりで御配付申し上げておる次第でございます。また、このような資料そのものではございませんけれども内容につきましては、これは両連合会の方にも多分話はしておるだろうと思いますし、また、そのようなものは必要があればいつでも出すという用意はございます。
#23
○塩崎委員 それでは、この資料を、さらにまた、公共嘱託登記と思われる分を――推計をしなければならぬのでしょうね、これをひとつ入れていただいて、私どもが公共嘱託登記法人制度の設立についてこのような前提で考えられるんだという意味で、その推計を含めての資料をひとつ出していただき、また今後、将来は公共嘱託登記協会がどのようにうまくいっているかを示す意味でも、行革の精神に反しない程度でいいと思うのですけれども、法務局で統計上明らかになるような仕組みもひとつぜひとも考えていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#24
○枇杷田政府委員 ただいまの御指摘はごもっともでございまして、私どももそういうことがわかるような資料はつくりたいと思いますが、これは法務局側だけでできることではございませんで、司法書士会、調査士会と力を合わせていきませんと、登記所側の方では、事件はわかりますけれども、その事件の背後に司法書士、土地家屋調査士が嘱託を受けているものかどうかということは、これは必ずしも資料的にはわからない。代理人になってこられる場合にはわかりますけれども、書類の上では、県知事とかどこそこ市長とかという名前で来るけれども、実際上の仕事は司法書士の人たちがやっておられるケースもあるわけであります。したがいまして、そういう関係については司法書士会と調査士会の方の御協力を得ませんとできませんが、今でも、そういう面については三者で話し合ってそういう資料をつかまえるような努力をしておりますので、今後とも、この法案がもし成立した場合には、その後の推移を承知するためにもそういう資料はつくってまいりたいと思います。
#25
○塩崎委員 ぜひともお願いします。
 そこで、私の質問しました公共嘱託登記の問題、今数字的なことはわかりましたが、そこで、なぜ司法書士あるいは土地家屋調査士の受託がこんなに進んでいないのか、この点の御説明を簡潔に――大変大事な問題で、私は原因がわからずして解決策はないと思うのでございますが、その御説明を願いたいと思います。
#26
○枇杷田政府委員 これはいろいろな事情があるであろうというふうに考えておりますが、もちろん発注官庁側のいろいろな内部事情があるだろうと思います。既に、そういう嘱託の行為といいますか作業をするために、退職者を嘱託という形で再雇用して申請書づくりをするという体制づくりができているところもあるでございましょう。それから財政的な意味で外部に発注する予算がなかなか捻出できないところもあるでございましょう。いろいろなことがあるわけでございますが、そういう発注者側の事情のほかに今度は受注者側の問題があるだろう。
 この受注者側の問題と申しますのが実は今度の公共嘱託法人をつくるということにつながっていくわけでございますけれども、いわば公共嘱託登記事件と申しますのは、大量の事件、しかも普通の登記法だけでは処理できない要素を若干含んだ事件が多いわけでございます。そういうものを処理するのには一人の司法書士あるいは調査士がやるということでは量が多過ぎる。それからまた、そういう若干特殊な手続を含んでおる登記にいわば習熟していることがもう一つ要件になってくるだろうという気がいたします。そういう意味で、グループ化をし、そういう事件になれるという条件をつくらなければいけないということで、現在までもそういう受託団をつくって委員会的に処理をするということをしてきたわけであります。そういう努力をした結果、ある程度の受注は受けられるようになったわけでございますけれども、それだけでは足りないという問題が出てまいります。
 それは、発注官公署側の方で、かなり大量でございますから委託をする場合の契約金額もかなり多くなる場合がしばしばあるわけです。そのような場合に個人を相手に契約をするということが官公署の会計手続の上からいって非常に問題である。したがって、そういう法人格のないものについて発注をするわけにはいかない。したがって、もし個人でやる場合には相当な保証人がつくとか何かいろいろなことがないとちょっと発注しがたいというふうなことをしばしば言われるようになってきたわけであります。
 したがいまして、発注者側の方の内部事情というものはさておきましても、受注者側の、受ける側の方の体制だけは発注しやすいような状況をつくらなければいけない、そのことのために一番ネックになっているのが法人化の問題であるという指摘がなされました。それが今度の法改正の中心課題になるわけでございまして、先ほど来申し上げているようにいろいろな事情からわずか五%のものしか受けておりませんけれども、受注者側の体制を直していけばかなりのものが広がっていくのではないか、そのための最大のネックは法人格を持っていないことであるという結論のもとに今度の改正案になったというふうに御理解をいただきたいと思います。
#27
○塩崎委員 今、枇杷四局長が言われましたように、公共嘱託登記についての受託が進まない理由は委託者側、受託者側双方にある。そして、その核心は、法人格がないんだ、したがって大量の、大規模な登記事件等について大きな契約金額を含むところの発注を個人の小さい司法書士あるいは土地家屋調査士に発注することはなかなからゅうちょされるということですね。それが原因であるということを言われたわけでございまして、私もそのような理由が一番該当するのだろうと思うのですけれども、とにかくそのためにとった方策が、法人格を与えるという核心に合わせて枇杷四局長がこの法案の中でとったのが、民法三十四条方式。宗教、慈善、博愛というような大学の民法の最初に出てくるような民法三十四条法人の形態で片づけようとするところに、私どもがなかなか理解できない、そしてまたこれからも多くの問題をはらんでくるに違いない、そのような疑問を持つのですけれども、どうしてこの民法法人に皆さん方が進まれたのか。
 しかもこれは一私、いろいろ勉強してみましてたくさん疑問を持ってきたのです。私的な経済が中心の、いつも中曽根総理が民間活力、民間活力と言う、その民間活力と少し変わった、しかも手かせ足かせのある、活動の不十分な、経済活動には最も向いていない民法法人を選んだところに非常に私は、これはアイデアがよ過ぎるというのでしょうか、不思議に思う点がたくさんある。まずこの点、どうして選ばれたかについて御答弁願いたいと思うのです。私はその後、こんな点はどうかということをたくさん申し上げますから、最初に簡潔に、このほとんど個人がやっておるところの登記事件、土地家屋調査士にしても司法書士にしてもまさしく民間活力の代表だと思うのですけれども、民間活力をおよそ阻害するがごとき民法法人を選ばれた理由は何かを御説明願いたいと思います。
#28
○枇杷田政府委員 どのような形の法人組織にするかということは大問題だったわけでございまして、これを監査法人であるとかあるいは協同組合的な法人で処理をするという意見も多々ございました。私どももそういう考え方もあり得るところだということは検討の過程で十分に考えたわけでございます。最終的に公益法人をとったのは、そういう監査法人とかあるいは協同組合という式のいわば指定法人ですね、そういうものを考えた場合に、それは大体同志的な結合といいますか、相互の個人的な信頼関係に基づいて結合していく法人というのが基礎的な考え方でございます。したがいまして、監査法人の例でもそうでございますけれども、そういう場合にはその法人に新規に加入しようという者は社員全員の同意がなければ入れないというような形態が基礎になるわけです。それは今度の公益受託組織をつくっていく場合には望ましいことではないだろう。会員がその法人に入りたいと言えば、これはもう当然入るべき性格のものではないか。現にこの法案の中にもそのような規定をはっきり設けておりますけれども。そういう形の法人ということになりますと、信頼関係で少人数が結び合うというような協同部なそういう法人の形はちょっと距離があるのではないかということが一つ。
 それからもう一つは、現在でも公共嘱託登記の受託委員会をつくって各会が非常に努力をしておられるわけです。そしてまた、そういう努力に対して委託の官公署が理解を示している面があるわけでありますが、それは両会が、これは結果的には自分たちの報酬につながることではありますけれども、自分たちが公共の事業を最終的に法律的に安定的にやるためのその登記手続に参画してやるということが公共の利益になるんだというところに一つの誇りを持って、そして今までも受託委員会というものを設けてやってきているわけです。ですから、場合によっては損得抜きというふうな感覚も出ているようにも思います。そういうような意識、これは尊重すべきだし、またそういう事柄が公益法人というものに育っていく一つの根拠になるのではないか。ですから、公益法人でなければ絶対にいけないというようなものではあるいはないかもしれない、私はそう考えますけれども、法人のいろいろな形態を考えました場合に、司法書士会、調査士会の感覚にも一番合い、そして開放的なものでいく、それから法務大臣の監督にある程度置いた方が適当だというようなことが公益法人の場合には全部充足されるのではないか、あるいはそれに近いものが期待されるのではないかということから、私どもはその公益法人が三十四条の規定によるものがいいだろうという結論を得たわけでございまして、両連合会の方につきましても、内部的には途中ではいろいろな御意見もあったようでございますが、最終的にはそういうことが一番なじむ考え方ではないかという意見のまとまりもあるわけで、最終的に民法三十四条の規定による公益法人という線に落ちついたというのが正直なところでございます。
#29
○塩崎委員 大変御苦心された結果であることは認めますし、私も、司法書士会連合会あるいは土地家屋調査士会連合会、さらにまた、各単位会に参りましても、いつ行っても論議しておるのはこの公共嘱託登記だ。そしてなかなか結論が出ない。もう十年ぐらい同じような話を伺ってきて、最後に飛び込んだのがここだという意味で、今の枇杷四局長の答弁は理解できるのですけれども、これは相当難しい問題を法律的にも実際の上でもはらんでくるのではないか、私はこう思うのですね。
 そもそも法人格が必要だというのは、一身専属の肉体を持つ個人が資格試験を受けてもらった大変大事な司法書士あるいは土地家屋調査士、これは個人に専属ですから法人格を取れないことはもう当然なんですね。そんなことで悩んだのがやはり公認会計士であって、公認会計士一人ではとてもできない銀行とかの監査をアメリカ式のパートナーシップでやっていこうということで、公認会計士法の中に監査法人という仕組みを入れた。しかし、実際は特別法人でも何でもなくて、法律的には合名会社と同じようなものなんですね。それだってなぜいけなかったのか。私的な社会の中に何か公益的な難しい要素を注入したような気がしてならないのです。
 まず第一に、公共嘱託登記が特に公益性が高い。今損得を抜きにしてという言葉がありましたけれども、そんな損得を抜きにする必要はないと私は思うのですね。民間から委託を受けた登記事件についても、土地家屋調査士、司法書士は一生懸命やってもらわなければならぬ。官公庁から依頼を受けたものも同じだと私は思うのです。行政法で習った考え方においては、官公庁といえども私人と同じような立場に立つと考えていいのですけれども、どういったところにその公益性を認めるのか、大変難しい話です。それは、国鉄の仕事を建設会社が受注したらこれは公益性がある、そういうことで、鹿島建設でも個人の名前のついたような何とか会社でもすべて公益法人から受注しなければならないような結果になったら、これは経済体制が変に考えられてくるのですね。いかがですか。
#30
○枇杷田政府委員 先ほど申し上げましたように、監査法人のような形にするということも十分に考えられることと思います。それが絶対にいけないと言うつもりではございません。ただ、先ほども申し上げましたように、また今塩崎委員お話しのように、監査法人というのは合名会社でございます。というのは、一種の閉鎖会社なんですね。そういう閉鎖会社的な形のものでするのがいいのか。司法書士会にはたくさんの会員がいます。調査士会にもたくさんの会員がいます。そして新規の会員がどんどん入ってきます。そういうような人たちの関係を考えますと、閉鎖的な状態を原型とするような法人ではどうも適当ではないのではないかということが一つあるわけです。
 それから、先ほどの損得を抜きにしたというのは少しオーバーな言い方で、気持ちとしてそんなような気持ちも若干あったのではないかという意味で申し上げたので、決して今まで損得抜きでやっていたわけではないとは思いますけれども、気持ちとしては、公共事業が早く法律的に安定しておさまるという意味から協力をしようという意思があったということはあります。
 それから、現に全国のほとんどの会で司法書士会、調査士会が一緒になってつくっているわけでございまして、そういう委員会がいわばほとんど全会員をその委員会の構成メンバーとして受けて、それで受託団を個々に構成しながら運営をしているという実績がもう既にあるわけなんです。その委員会を頂点とする全体の受託組織をそのまま法人化したいというのが実は両連合会の発想の端緒だというふうに私は思っております。
 そういうことで考えますと、私は監査法人方式がいけないというのではなくて、むしろその方が現在の受託組織をスムーズに移行さしていくことにもつながるし、また、今まで努力をしてきた委員会の指導者の人たちの気持ちにも合うし、また会全体の和と申しましょうか、そういうことからしても一番なじむのではないか。そして、やっている仕事が、監査法人などの場合には、まさに私企業の決算その他の状況を監査をするという私的な世界における活動でございますけれども、今度のこれは、まさに官公署がやる事業に伴う登記の仕事でございます。そういう意味で、専門家が入っていくことによってその登記が今よりは早期にしかも間違いなく処理をされるということは公益性のあるものである。しかも、今度できます。その法人は、営利を目的とするものではありません。要するに、社員に利益を分配するということを目的としているわけではないわけでございます。そういうことからしましても公益法人がいいだろう。監査法人的なものであれば、まさにそれ自体が営利法人ということになるわけでございます。そういう形のものが入ってくるよりはいいのではないかというような総合判断からそういうことになった次第でございます。
#31
○塩崎委員 大変わかりにくい御答弁、苦しい答弁のような気がしてなりません。私は、同じような問題が医療法人にも起こったことを覚えているのですね。嶋崎大臣は専門家ですから昭和二十八年ごろのことは御案内のとおりであると思いますけれども、医療法人も公益性の理由で特殊な法人をつくった。したがって利益の配当はできない、内部留保だけでいくという非常に苦しい、現在の私的な医療機関が中心の医療経済の中では難しい仕組みになっているわけでございますが、こんなようなことも考えられたわけですが、医療法人の仕組みが今うまく動いていない。一人法人が要るんだとか、今の三人常勤が要るというようなことはだめだというようなことが言われておること、これもやはり一身専属の医師の資格からきたことが理由であることは申すまでもないわけです。
 そこで、このようなことはよほど疑問を解決していかなければいかぬと思うのです。我が法務委員会の若手のホープ中のホープの太田議員が先般御質問をした中に、それじゃ公共嘱託登記法人と一私人であるところの司法書士が競合したときにはどうするのだ、独占権を与えるのかという御質問があって、いや、それはそうじゃない、競合は認めるのだと。横山利秋先生の質問の主意書にもそんなことが書いてあったのですけれども、せっかく民法法人をつくっていきながら、公共嘱託登記法人にはそこになぜ独占権を与えないのであろうか。そしてまたもう一つ、この法的な建前を見ると、一法務局に一つじゃなくて、監査法人のごとく好きなやつが集まって公共嘱託登記協会が幾らでもできてお互いに競争ができるように、法の建前ですよ、見えるのです。それは実際上抑えるんだなんということは、私は、法務省らしくない、法律論としては成り立たない議論だと思うのですけれども、そのような独占権も与えない、数多くの法人の設立を認める。さらにまた、今伺ったように、今の受託委員会みたいなものに法人格を与えるのだという御趣旨であるとすれば、しかもこれは社団法人形態と書いてありますから、社員が仕事をやると競合禁止規定の商法上の精神が――つまり嘱託法人と社員であるところの司法書士あるいは土地家屋調査士とが競合するように、まあ下請みたいになるのでしょうけれども、見えるわけでございます。どうも私はそこがよく理解できない面があるのです。簡単でいいですから、独占権をなぜ付与しないか。なぜ多数の協会を認めるか。そして競業禁止規定ですね、商法の七十四条ですか何かにありますね。それから公認会計士法などではそれを是認しておりますが、そんな規定が入ってもいない。これで、しかしうまく法律的に動くかどうか、お答えを願いたいと思う。
#32
○枇杷田政府委員 公益法人であるからといって独占権を与えるということには、法律理論としては結びつかないと思います。これは、いろいろな関係での公益法人が現に存在しておりますけれども、それと同じことをほかのもの、ほかの法人なりほかの個人なりがしてはいけないというふうなことになることにはどれも結びついておらないわけでございます。独占権というのはまた別の分野からの出てくる発想だろうと思いますので、私は、公益法人にするからその独占権がむしろ出なければおかしいというふうなことは法律理論としてはないのではないかという気がいたします。
 それからまた、実際問題といたしましても、先ほど御説明申し上げましたように、公共嘱託登記の事件をもう少し司法書士、調査士という専門家が処理をするようになることが全体として好ましいという発想に立っておりますけれども、それは現在九五%が受託していない。その九五%の方に拡大していくための措置として法人格が与えられてしかるべきだという発想でございまして、現に個人がやっておられる事柄を、何もそれをこの法人にやらせなければいけないという弊害が一つもあるのじゃないのです。したがいまして、そういう個人のやっておることをこの法律で、片方で法人をつくるからといって禁止をするというふうな理由は全くないのではないかという気がいたすわけであります。
 この法人のあり方については、いろいろな案が経過的にもございましたし、両連合会でのお考えの中にもあったということは承知いたしておりますけれども、最終的にはこの公益法人という形でいくのが一番なじむのではないか。現にございます受託の委員会をそのまま法人化しようということではないわけです。先ほどちょっと申し上げたことがあるいは誤解を招いたかもしれませんけれども、そういうような形態が現にあるんだ、そういう現にあるものをいわば母体といいますか一つの既定の事実として、そういうものから今度の法人に移行しやすいような、そういうことも経過的には考えなければならない要素があるだろうという意味では申し上げた次第でございます。今、医療法人その他でどのような問題が生じているか私存じませんし、また今後の運営についてはあるいは塩崎委員御心配いただきますような問題が生じてくるということは私、否定するものでもございませんので、そういう点はよく心にとめまして、両連合会あるいはその協会とも十分連絡をとって、個別な問題で余り悪い面が出てくるようなことがないようなことはしてまいりたいと思っております。
#33
○塩崎委員 いろいろ民業の分野で官業による民業の圧迫というような言葉があることは御案内のとおりでございます。行管庁もその点を注意しておりますが、例えば、温泉地帯において年金原資の長期積立金を運用して何とか会館をつくってホテルと同じような業務を営む、あるいは結婚式場までやる。そして、税金がその点で違うから大変不公正な競争、しかもだれでもお客をとっていくというような広告までやるというようなことで、今大変問題になっている。私どもは、日本の私企業経済、資本主義経済、民間活力ということの方が中心の経済を守っていこうということなんですね。しかし、この分野だけ民法三十四条という法人を認めて、しかも受託をする。
 私は、割り当て機関ならわかる。割り当て機関というものを法人化して、それは割り当てるという仕事であっても、電話が要ったり事務所が要ったり従業員も要るから、そこを法人化して動かすならいいですけれども、直接受託して個人の司法書士あるいは土地家屋調査士会と競争する。少なくとも税金の面で不公平だというような可能性はありませんか。私は、そのあたりどのような利益の処分状況になるかわかりませんけれども、そういった面はよほど考えていかなければならない。いや、ほとんどは大体順番を決めて司法書士あるいは土地家屋調査士会に割り当てて、実費を与えて、残りをこっちに取ってしまうんだというようなことを言われるかもわかりませんが、それでもやはり今の体系では不公平論が出てくる。私は、そんなことは事実上はない、こう思うのですよ。皆さん方がうまく指導され、司法書士会や土地家屋調査士会がうまく運用していくには違いないと思うのですけれども、建前から見たら法律論としてなかなか説明が難しいような気がするものですからお尋ねしているわけですが、いかがですか。
#34
○枇杷田政府委員 それは、運用の問題はこの法律自体では明確な規定を設けておるわけではございません。民法の三十四条に基づく法人でございますから、民法上の主務官庁の監督権が適正に発動される、その発動するのは私ども自身でございますけれども、それは大いにやってまいりたいという仕組みと、それからこの法律独自のものといたしましては、会が助言をするというようなことをできるような規定を置いております。そういうようなことで、私ども並びに会の方が十分に協会の運営については助言をしてうまくいくようにというふうなことをするつもりでございます。そういうふうなことも公益法人の方が性格的にはやりやすいであろう、そういう感じが若干はなくもございません。それは法律の規定をつくってしまえばどのような法人だって同じことではあるかもしれませんけれども、性格的にはそういう公益法人、公益性がある法人だという方がいろいろな形からの助言や協力を得るというふうな制度がつくりやすいという面があるだろうと思います。
 あと、税金の関係でどうかということになりますと、これは私どもよくわかりませんけれども、この協会の運営の基本といたしましては、官公署から事件の委託を受けて契約の金額も決めるわけでございますが、それを一定のルールに従って司法書士あるいは調査士の方に割り当てていくということになって、そしてまたそれに対する報酬を支払うということになるわけでございまして、余り利潤を上げるということをもともと目的にしないわけでございます。そういう面から公益法人ということになっているわけでございますが、ただ何がしかの留保みたいなものは当然しなければならないものがあるだろうと思います。そういう面について税金がどうかかるかということは、私ちょっとその方面のことは詳しくございませんのでお答えできませんけれども、それも税金逃れだとか、あるいはその税金の関係で各構成員等の間に何か不平等といいますか、そういうようなことが起こるということはちょっと考えられないと思います。結局ある程度の経費的なものあるいは留保すべきものが協会に残って、あとは全部個々の司法書士、調査士の所得として入っていく、そういう形になるのではないかというふうに思っております。
#35
○塩崎委員 いろいろ考えなければなりませんが、古く明治にでき上がりました民法三十四条の法人のあの監督の仕方、定款の変更にしても、いろいろの役所の監督ですね。その活動の仕方としては、監査法人のような私的なものに比べたらむしろかえって窮屈なんじゃないですか。いつも監督官庁の出方を気にしながら、総会などには必ず監督官庁の方に来ていただいて御意見を承らないと気が済まないようなことになっておるのですね。これは経済行為をやっていくことだ。例えば大きな鉄鋼会社が大規模な土地造成をやられるときとそんなに変わらない。それが片一方は監督官庁の許可を受けていくというやり方は、これはよほど民法のあり方としても考えていただかなければなりませんけれども、今度の法案のでき上がった後の実施の面において考えないと――第三セクターという流行の言葉がある。特別法人は使えないから第三セクターにしてしまうんだという考え方、今度はそんな考え方にも本来いかなかったと思うのですね。第三セクターにもならない、古い形の民法法人を使うんだというのは、嶋崎大臣のアイデアかもしれませんけれども、アイデアとしては私にはなかなか理解ができないアイデアなんですね。どうも木に竹を接いたような機関ができることが心配なんです。ですから、これは運用においてひとつ大いに考えていただいて、ともかくも司法書士会、土地家屋調査士会の理解を得て混乱を来さないようにしなければならぬ。少なくとも一法務局一つくらいにしないとだめであるくらいなことはあなた方の腹の中にあるんでしょうけれども、これは法律上は言えないし、また期待をされてないわけですから、そういった面の運用を、それはしかし官僚独善になるかもしれない、権限が強過ぎるのですけれども、ひとつ司法書士会、土地家屋調査士会とよく御相談をしてやっていただきたいと思います。
 そこで、もう時間がなくなりましたが、最後にまとめてお願いしたいのです。
 このような新しい改正案には、今申しました両連合会も大変不安があり、心配があるのですけれども、それは多分に細かい技術的な点まで含んでおります。各法律案の中に、政令で定むるところによりというのがありますね。私は大蔵省でよくこのような御質問に説明をしたときに、それは政令で書きますから御心配なくと言ったのですけれども、何を書くのだということが委任されて、これは委任立法で、私は国家総動員法みたいな委任立法ではないと思うのだけれども、大変心配な点がある。
 例えば、これまで法務省に届けておった司法書士、土地家屋調査士の補助員の届け出、このようなものはどうなるのか。それは「政令で定めるところにより、」とはまた違うのだろうと思いますが、今まで、恐らく参考の意味かもわかりませんけれども、しかしこれは大事な制度ですから、このような制度がどうなるか。そして、各規定の中にある政令で定めるところによるということは、この審議に影響するわけでございます。私はひとつ政令案要綱として、本当はこの終わりまでというくらいに譲歩したいのですけれども、できる限り早くしていただく、どんなことを規定していくのだということをこの委員会に出していただきたいと思うのです。
 まず二点の、補助員の届け出制度はどうなるのかということと、今の政令案をひとつ全部の規定について出していただいて、これによって審議が進むようにお願いしたいと思います。
#36
○枇杷田政府委員 この法案の中で「政令で定める」と申しますのは、公共嘱託というのをどういうふうにとらえるかというのを法律で書くと大変なことになるものでございますから、政令にゆだねているものがございます。それは、新住宅市街地開発法による不動産登記だとかあるいは都市再開発法による登記だとか、そういうような要するに政令でその登記の手続が決まっているようなものを列挙する予定になっております。
 それからもう一つ、補助者の届け出の関係は、これは省令の問題だと思いますので、今度この法律が成立いたしました場合には、全般的に省令の見直しをいたしたいと思います。そういうことで、司法書士会、調査士会からも、その機会に考えてもらいたいという御意見も二、三あるようでございますので、ただいまの補助者の関係も含めまして、十分に両会等の御意見も伺った上で検討させていただきたいと思っている次第でございます。
 なお、その他もろもろの点につきましても、私どもは両連合会の方とは密接な連絡をよくとって、そして、今までも腹をぶち割った話をお互いにしながらも来ておりますが、今後もそういうふうなことを続けてまいって、円滑に事が動きますように考えてまいりたいと思っております。
#37
○塩崎委員 委員長にお願いなんですが、今申しましたように面会と相談することは当然なんですけれども、ひとつ法務委員会の慣行といいますか、政令案、省令案は審議が終わるまでに出していただく、それは法文の形のような煩雑な形ではなくて、要綱の形で項目的に出していただくことをお願い申し上げたいと思うのが第一点でございます。
 最後に、もう時間がたちましたが、民事局長の枇杷田さんは私と同じような愛媛県出身でございますので、私は大変質問が難しかったので苦労したわけでございますけれども、御懇切な答弁をいただきました。私は、この法案が枇杷四局長の手で十分に円滑に成立することを信じて疑わないということを申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#38
○片岡委員長 では、理事会でまたよく御相談をして対処します。
 小澤克介君。
#39
○小澤(克)委員 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に関して若干法務当局に伺いたいと思います。
 その前に、煩雑ですので、両法案が非常にパラレルな構造になっているようにお見受けしましたので、司法書士法に代表させて御質問いたしますが、それぞれに特有な事柄がありましたら分けて御答弁いただくということでお願いしたいと思います。
 今改正案の主な改正点は、司法書士に関して言えば登録事務を法務局から連合会に移管する、これが第一の柱だろうと思いますが、このような法改正をする目的といいますか、いかなるメリットを考えておられるのでしょうか。
#40
○枇杷田政府委員 登録事務の移譲につきましては先ほども塩崎委員からの御質問にお答えをいたしたとおりでございまして、会の自主性を高める、それによって要するに会が会員の指導監督がしやすくなる基盤をつくると申しましょうか、そういうところに目標があるわけでございます。
 公共事業の関係につきましては、これは現在公共事業関係の嘱託登記の……(小澤(克)委員「それはまた後で伺います」と呼ぶ)それではまたその点は後ほど。
#41
○小澤(克)委員 こういう改正案が出るに至る経緯で最も関係の深い両連合会とは当然これまでにいろいろお話し合いがあっただろうと思いますけれども、この改正案提出に至る経過を、ざっとで結構でございますが、教えていただきたいと思います。
#42
○枇杷田政府委員 両連合会とは久しくずっと意見の交換を続けてきておるわけでございまして、最終結論とすれば、今度の法案で両法の改正を要望するということになっておるわけでございます。
 その経過といたしますと、登録移譲の関係につきましてはかねがねから要望があったところでございます。それにつきまして、それをやるについての法律的な問題をどう解決をするかということとか、あるいは面会でのそういう移譲後の事務を円滑にやっていくための体制づくりをどうするかとかというようなことがございましたけれども、それは結論としてそんなに大きな折衝の問題でもなく推移したわけでございますが、きっかけといたしますと、五十八年の臨調の答申もそういうようなところをやったらどうだというふうなことが一つの推進力になったわけでございます。
 公共嘱託の関係につきましては、相当前からそういう受託組織というものを業界の方でつくって努力をしてこられましたけれども、実際問題としてなかなか受注しにくい問題がある、その一つの大きな問題としては法人格がないことだということが指摘をされておりました。たまたま五十三年に司法書士法、調査士法の改正の問題が起きまして、その際に当委員会におきましても司法書士法の改正の際に附帯決議がついておりまして、公共嘱託登記が円滑にやれるようにするための隘路を打開をしろということをこの附帯決議でうたわれておるわけでございます。
 私どもはそれを受けまして、では具体的にどうしたらいいのだろうかということで、まずこれはそういう実際の発注者との関係で問題を熟知しておられる両連合会、並びにどういう体制をつくったらいいかということもこれまた両連合会といいますか両業界の内部の問題でございますので、ひとつ両連合会がその問題についての検討をして考え方をまとめてほしいということを私どもも求めましたし、また、両連合会の方でもそういう案をまとめてみたいということで公共嘱託登記の関係の連合委員会ができまして、そこでいろいろ御検討になった結果、昨年その案がまとまったわけでございます。その案を両連合会の総会で最終的には了承するということで、またその了承された案に基づいて両連合会から法務大臣あてに法改正の要望があって、それを受けまして私どもの方で法案を整理をして今度提出をした、そういう運びになるわけでございます。
#43
○小澤(克)委員 そうしますと、両連合会ともにこの法案については基本的には了解といいますか賛成している、これはいずれまた参考人からお話を聞くことにはなろうと思いますが、法務省としてはそのように認識しておられる、こう伺ってよろしいでしょうか。
#44
○枇杷田政府委員 両連合会が了解されているのみならず、むしろ両連合会の要望に基づく内容であるというふうに御理解いただきたいと思います。
#45
○小澤(克)委員 それから登録事務が移管されると、逆に法務省といいますか法務局としてはそれだけ事務負担が軽減されることになるのじゃないかと思いますが、これはやはり法務局としてある程度のメリットというふうにお考えでしょうか。業務の繁忙さあるいは予算面まで含めていかがでしょうか。
#46
○枇杷田政府委員 現在五十の法務局で登録事務を扱っておりますけれども、五十に分散した事務というのはそれほどの量ではございません。したがいまして、それが連合会の方にいったからといって法務局の方に目に見えて経費とかあるいは人手の関係でメリットが出てくるというものではございません。また逆に、今までは法務局自体が自分のところで登録事務を行っておりましたために管内の司法書士、調査士の把握ができておったわけですけれども、そういうものをそれにかわるような形で把握をするというふうなことが同時にまた出てくるわけでございますので、これは法務局側の方にもメリットがないとは言えないかもしれませんけれども、私どもはそういうところにメリットの主眼を考えているものではございません。
#47
○小澤(克)委員 そうしますと、行革の一環というようなお話も先ほど出ましたけれども、やはり主たる改正の目的は、この両連合会の自主性をより尊重しよう、そういう方向での改正だというふうに伺って間違いないでしょうか。
#48
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。
#49
○小澤(克)委員 そこで。やや老婆心と言われるかもしれませんが、この登録事務を連合会みずから行うということになりますと、連合会は中央に一つあるわけでございまして、全国津々浦々の司法書士会ですか、に司法書士あるいは土地家屋調査士の登録を希望する場合にその資格等について審査するだけの体制あるいは能力といったものは十分にあるというふうにお考えでしょうか。
#50
○枇杷田政府委員 その点におきましては、そのことだけを目的にしておるわけではございませんけれども、司法書士会におきましても調査士会におきましても、会の体制というものをここ三十年の間に逐次積み上げてまいりまして、そして、会館の建設とか事務局の整備とか、そういうふうなことに努めてきております。そしてまた、非常に広い視野から物を判断するというふうな方もかなり多く出てこられまして、私どもとしてはこういうふうな事務を的確におやりになるだけの素地は十分に備わってきたというふうに現時点では考えております。
#51
○小澤(克)委員 改正法案の第六条の三を見ますと、登録を拒否すべき場合として三つばかり挙がっているわけですが、そのうち一号はともかくとしまして、二号、三号につきましてはかなり判断的な要素を含むように思われます。そうなりますと、この判断の基礎となる資料を収集しなければなりませんし、またその資料に基づいて的確、公正な判断をしなければならない、こういうことになるわけですけれども、これらの資料の収集等はどうなるのでしょう。実際には単位会が収集することになるのでしょうか。
#52
○枇杷田政府委員 この第六条の三の二号、三号の関係の判断資料につきましては、結論から申しますと、ただいまお話しございましたように単位会が主となって資料収集に当たるということになろうかと思います。
 実は、入会して登録を受けようとする者は、その申請を各単位会を経由して連合会の方へ出すという仕組みにしております。これは、一つには入会とのつながりをつけるということもありますけれども、もう一つは、そういう単位会を経由して連合会へ行くということの道筋にしておきますと、連合会と単位会の関係で、その際に単位会にはどのような資料を整えてもらうとかというふうなことが仕組みとしてできる基礎になるという面から考えでそのような仕組みにいたしたわけでございます。
#53
○小澤(克)委員 登録を拒否された場合の救済手続については後ほど伺うといたしまして、逆に、拒否すべきであるにもかかわらず、仲間うちのことでございますので登録を認めてしまうというようなこともなきにしもあらずではないかと思うのですけれども、そういう場合にはどういった是正措置があるわけでしょうか。
#54
○枇杷田政府委員 登録を拒否すべき場合というのはたくさんあるわけでございますけれども、まず欠格事由を見落としたという場合にはこれは直ちに登録の取り消しができます。それから、六条の三の一号というのはまずないことだと思いますので、二号、三号の関係で申しますと、二号の状態は、見落としたからといって直ちにというわけではございませんけれども、そういう状態が登録後も続いておる場合には、これはまさに分限的な事由があるわけでございますので、それをまた新たに認定をして登録の取り消しをすることができるだろう。問題は三号でございまして、これは「害するおそれ」があったのだけれどもそれを見落として登録をしてしまったという場合には、司法書士あるいは調査士になった後に、「おそれ」ではなくて今度は実際に品位を害する行為があらわれてくるであろう、非違行為が出てくるということでございます。それから結果として、あのときにおそれがあったのだから拒否すべきだったのだという判断になろうかと思います。そういう場合には、具体的にあらわれました非違行為をつかまえて懲戒の問題として処理をされるというふうなことになるのではないかと思います。
#55
○小澤(克)委員 今のお話は、事後における取り消し、あるいは場合によっては懲戒といったことで是正されるであろうというお話だと思います。
 この改正案を拝見しますと、第六条の十二に、法務大臣が「登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。」こういうふうになっておるのですが、これは登録事務に関して一般的な監督権ということになるのでしょうか。場合によっては個別の事案についてまで報告を求めたり勧告をしたりということが可能なんでしょうか。第六条の十二の解釈はどうなんでしょうか。
#56
○枇杷田政府委員 第六条の十二の規定は、立法の趣旨といたしますと、一つの登録事務の運営全般とかそういう扱いの傾向とかについて法務大臣の方からチェックをするというふうなことを考えている規定でございますけれども、個別な案件について勧告する、あるいはその他報告を求めたりすることができないわけではない、それを禁止するものではもちろんございませんで、法律の立て方とすればそのようなこともすることは可能でございます。
#57
○小澤(克)委員 法解釈としては個別事案についての勧告も可能であるというお考えだということですが、現実の運用としてどうなんでしょうか。個別事案についての介入――介入というと言葉が悪いですが、勧告ということも実際にあり得るというふうにお考えでしょうか。
#58
○枇杷田政府委員 この法律全体といたしますと、会の自主性によって事を処理させるというのが登録移譲の一つの目的でございますので、個別事案について一々口を出すといいますかそういうことは適当でないと私は思っております。
 なお、一番問題になりますのが登録の拒否でございますが、この場合にはその審査会も設けて、そこには官側の委員も入るということにしておりますので、そういう手続で本来処理さるべきことでございますので、理論的には第六条の十二で勧告することができなくはないけれども、実際の扱いとすれば、一々個別のものについてやるというのは、よっぽどでなければ差し控えるべき性質のものではないかというふうに理解をいたしております。
#59
○小澤(克)委員 法的には可能であるが、できるだけそういう権力の発動は抑制をしたいという御趣旨だろうと思います。私としてもそれはやはり妥当なのではないかというふうに考えるわけでございます。その点、適切な運用をお願いしたいと思います。
 それから、今も既にちょっと出ましたけれども、逆に登録を拒否された場合については行政不服審査法による審査請求をすることができる、これは六条の五に明記されておるわけでございます。私、不勉強なのですが、処分者としては各連合会になるわけですが、この不服審査の相手としては法務大臣、こういう構造はやや奇異な感じを受けなくはないのです。こういう立法例というのは他にもあることなんでしょうか。
#60
○枇杷田政府委員 登録の拒否というのは連合会が行うわけでございますが、連合会は行政庁ではございません。したがって、この法律の第六条の五のような規定を置きませんと行政不服審査法が動かない。しかし、実質上は不服を申し立てて救済手段が講じられなければいけないということで、いわば上級庁に法務大臣を充ててやるという特則の規定をここで設けたわけでございまして、このような例は、ほかの業法のこの種の処分についても同様な規定が置かれていることが多いというふうに承知いたしております。
#61
○小澤(克)委員 審査請求の結果、請求の理由がないということになった場合には当然行政訴訟を起こすことになろうかと思いますが、これは当然のことですけれども、一応確認をさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
#62
○枇杷田政府委員 法務大臣が審査請求、不服の申し立てを受けまして審査をした結果、理由がないと認めればそれを棄却するという裁決をいたすわけでございます。それを不服とする者はその裁決を取り消すという形でのいわゆる取り消し訴訟の提起ができるということになろうかと思います。
#63
○小澤(克)委員 そうしますと、法務大臣の処分に対する取り消し訴訟であって、両連合会の登録拒否それ自体を直接行政訴訟の対象にする、こういうことじゃないのでしょうか。
#64
○枇杷田政府委員 この種の場合について、原処分庁に当たるような連合会を相手にして行政訴訟が起こせるという説があるいはあるかもしれませんけれども、先ほど申し上げましたように、連合会というのは行政庁ではございません。したがって、連合会を相手に行政処分の取り消しという形で行政訴訟を考えるということはちょっとなじまないのではないかという感じがいたしますので、行政訴訟の形は裁決を争うというふうな形になるものと考えております。
#65
○小澤(克)委員 そうすると、その裁決を争って行政訴訟を行って、そしてその行政訴訟の方では請求の理由ありということになると、法務大臣の裁決が取り消される。そうすると、その次には、現実にはどういうふうに手続は進むのでしょうか。
#66
○枇杷田政府委員 そのような取り消しの判決が確定いたしますといわば裁決がない状態になりますので、もう一遍審査をするということになるわけです。ところが同じ理由で却下はできないわけでございますから、そうすると実質的には理由ありということになろうかと思います。そういたしますと、六条の五の三項に従って、連合会に対してその登録を受けなさいということを命ずるということになってまいるかと思います。
#67
○小澤(克)委員 裁判所の判断に羈束されながら新たに審査をして、現実には結局六条の五の三項の「相当の処分をすべき旨を命」ずる処分ということになるわけですね。
 そこで、今出ました六条の五の三項の意味なんですけれども、この命令というものの形成的効力は、字面を読めばそこまでは出てこないように思いますが、そのとおりでしょうか。
#68
○枇杷田政府委員 これはまさに命令でありまして、それを連合会が受けるべきものであります。この命令が出たからといって登録という効果が生ずるものではございません。
#69
○小澤(克)委員 そうすると、大臣が命令をしたにもかかわらず連合会がなお登録を行わないという、実際には考えられないと思いますけれども、法律論としてぎりぎり詰めると、その場合はどうなるのですか。
#70
○枇杷田政府委員 それは連合会をどういう性格のものとして見るかという問題に帰着しようと思いますが、このようないわば行政処分に当たるような事柄をこういう民間団体に移譲する際に、そういう不服審査手続によるとかいう場合の判断で連合会が従わないというふうなおそれが万に一つとか一億分の一にもあるようだったら、このような移譲の法制はとるべきでないと思います。しかしながら、そういうことはないという一〇〇%の信頼に基づいてこのような制度をつくったわけでございます。もしそれに従わないというふうなことがあれば、それはこの法制度をつくった前提が揺らぐということになりますので、その場合には移譲を取りやめるというような法改正があるいは必要になるというふうなことで、これは前提としては一〇〇%そういうことがないという信頼に基づくものでございます。したがいまして、これは強制手段がない性格のものでございます。仮に、それを受けなかったものについての罰則とかといいましても、それでも登録の効果が直ちに出てくるものではございませんので、これはある前提を置いているということでしか今は理解できない制度だというふうに思います。
#71
○小澤(克)委員 現実にはあり得ないことを議論するのもどうかという気はしますけれども、こういうことは他にもあるんじゃないかと思うのです。命令があったにもかかわらずそれに従わないときは、次にはどういう手段があり、それに対抗するにはどういう手段があるということをやはりきちんと決めておく方がドライでいいのではないか。形成的な効力もないということは、ぎりぎり突き詰めれば連合会の自主性を尊重しているようにも、表向きはそうなるのですが、実際にはそうあってはならないということで、表舞台でないところで強力な指導が行われるということに結局なってしまうだろうと思いますので、実質的には自主性が尊重されないことにもなりかねない。むしろ全部を表に出して、どうすればどうなるという方がいいのではないかという気がするのですけれども、やや机上の空論のような話ですので、これはこの程度にしたいと思います。
 それから次に、今回の法改正のもう一つの改正点は、会則の変更ですね。司法書士会の会則の変更等について法務大臣の認可を一部外したというところに改正点があるわけですけれども、これは立法趣旨はどういうことでしょうか。自主性を尊重するということに尽きるわけでしょうか。
#72
○枇杷田政府委員 会則事項にいろいろなものが定められておりますけれども、先ほど登録移譲のところでも出てまいりました各会の自主性を尊重するというふうな観点から見ますと、自主的な判断に任せていいのではないかというようなものがございます。したがいまして、その会則の中でより分けをいたしまして、自主的な判断で処理して十分だと思われる項目につきましては認可の対象から外したということでございます。
#73
○小澤(克)委員 認可の対象から外したものに名称及び事務所の所在地、それから資産及び会計に関する規定、会費に関する規定、これが外されたわけですが、一方で入会金その他入会についての特別の負担、これについては明示的に対象から外さなかったわけです。この会費と入会金とを分けた理由、根拠はどういったことでしょうか。
#74
○枇杷田政府委員 現在、会費に関する規定とそれから入会、脱会に関する規定というのがございまして、事実問題といたしますと、新しく入ってこられる方には入会金を取っておるわけでございます。これが会費という形で取っておるというふうに理解されている面と、それから入会、脱会に関する規定の中でのものだというふうに思われているケースもありまして、ちょっとあいまいな点であった。今度は、認可事項から外す場合に、いわゆる入会金についてはこれは認可に係らしめたいという考えがございます。そういうことからいたしますと、そこだけをはっきりとうたっておきませんと、認可に係る事項であるかどうかということがあいまいになってしまいますので、したがって区分けをしたということでございます。
 じゃ、なぜ会費は認可に係らずに入会金には認可に係らせるようにしたかと申しますと、これは申し上げるまでもありませんが、会費というのは、自分たちがこれから毎月納めていく会費をどうするかということでございますから、これはまさに自主的にお決めになってもいいだろう。ところが入会金の関係につきましては、現在その会則の変更の決議をする会員には関係がない。これから新しく入ってこようとする方に課するわけでございますので、これはいわば第三者の負担ということにその時点ではなるわけでございますので、そういうものは認可に係らしめた方が適当であろうということで、そのように区分けをした次第でございます。
#75
○小澤(克)委員 この各会の運営に関して、認可に係らしめる部分と係らしめない部分をこのように区分けしたわけですけれども、これは他の団体、例えば税理士会とか類似のものはいろいろあると思うのですけれども、それらに比較して大体同じ程度なんでしょうか。
#76
○枇杷田政府委員 これは各会もそれぞれ違いますし、また表現の仕方もちょっと違いますので比較できないのでございますが、主に第三者といいますかそういうものにかかわるような事柄は認可にかからせよう、それからまた非常に基本的な事柄についても認可は残しておくというふうな思想でできているようでございまして、考え方としては、今度の改正案も同じような考え方になっているのではないかと考えております。
#77
○小澤(克)委員 今回の法改正の最大といいますか大きい柱が、先ほどから他の委員からも議論になっておりましたが、公共嘱託登記の件だろうと思います。そもそもこの公共嘱託登記というものの範囲がややわかりにくいのですが、まず主体の面と登記そのものの二つの面でその範囲を明確にしなければならないかと思うのですが、改正法十七条の六の「官庁、公署」、これは比較的わかりやすいのですが、「その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者」については、これは政令委任事項ですけれども、どんな団体を予定しておられますでしょうか。
#78
○枇杷田政府委員 政令で定める予定にいたしておりますのは新住宅市街地開発法によるもの、都市再開発法によるもの、あるいは土地改良法によるもの等でございます。したがいまして、そのような開発法関係ではそういう開発の組合というようなもの、それから土地改良の場合には土地改良区というようなものをこの政令で指定するという考え方でおります。
#79
○小澤(克)委員 道路公団であるとか住都公団あるいは住宅供給公社とかいろいろありますが、こういうものは各種の法的な手当てで「官庁、公署」の中に既に含まれるわけでしょうか。
#80
○枇杷田政府委員 ただいまの道路公団等は「官公署」というところで読み込んでおるつもりでございます。
#81
○小澤(克)委員 それから今度は、その登記の方の種類なんですけれども、「不動産の権利に関する登記」というふうに法文上書いてあるわけですが、どういうものが含まれるのか。例えば裁判所による職権で行われる予告登記であるとか仮差し、本差しなどの登記、こういったものはどうなるのでしょうか。それからまた国税による差し押さえ、こういったものは含まれるのでしょうか。
#82
○枇杷田政府委員 ただいまの裁判所の差し押さえの登記の嘱託等裁判所の関係につきましては、一概には言えないかもしれませんけれども、おおむね裁判の執行の問題でございます。そのようなものはもともと、第三者といいますか民間にその事務を委託するということがなじまないものではないか。それから税務署の滞納処分による差し押さえにつきましても、滞納処分という処分と一体をなして動いているものでございますので、ここら辺もなじまないのではないかという気がいたします。この条文でぎりぎり読んでどうかということになりますと若干の疑義はあろうかと思いますけれども、私は少なくともこの条文で予定しているものからは外れるであろうと思いますし、むしろそういうことを外部に発注する場合には、裁判所のあり方、税務署のあり方として問題が問われるという性質のものではないかと思います。
#83
○小澤(克)委員 そうすると、そもそも概念的に裁判所等が職権で行うものについては登記の嘱託あるいは申請、こういうものに含まれないのでしょうかどうなんでしょうか、その辺よくわからないのですが。
#84
○枇杷田政府委員 この十七条の六の条文の字面からは外せるということにはならないのかもしれませんけれども、逆にそのような性質の嘱託であるという面から、この条文では少なくとも予定はしてないということが言えると思いますし、先ほど申しましたように、むしろこれは受注側の立場に立って書いているものでございますけれども、そういうものはいわば発注側として許されないという形での判断がされる事柄ではないかと思います。
#85
○小澤(克)委員 わかりました。
 それから、先ほどからいろいろ議論になっているようですけれども、協会という法人をつくりまして、登記申請等をこの法人たる協会自体が行うということになるわけです。この協会というのは、先ほど既に出ておりましたが、法的には一つの法務局管内に一つに限定するということはどこにも書いてないわけですが、実際問題、運用としてどうなるのでしょうか。
#86
○枇杷田政府委員 この協会というのができ上がった趣旨が、大量な事件をいつでも受けられるような体制をつくっておくことによって公共事業の嘱託を受けやすくするということがねらいでございますので、余り小規模なものを考えておるわけではないわけです。したがいまして、そのようなある一定の規模のものが現実問題としてそう数個できるということは考えられないところでございますし、また会の方でも、これは会と無縁の存在ではございませんで、いろいろ指導なさるだろうと思います。
 そういう面から、少なくとも当初は各県といいますか、各局に一つということで出発するのは当然だと思いますが、ただ理論的には複数であってはいけないということはもちろんないわけで、先ほど申しましたような要件に当たるようなものがあり、しかもそれがいわば存続の合理性がいろいろな事情から見て認められるという場合には、これは私どもの方としても拒否するというつもりはないわけでございます。そういう点につきましても、会の方でどういうふうな指導をされるかということが実際問題としては先行することになろうかと思います。
#87
○小澤(克)委員 この協会の運営については、この改正案でいろいろ神経が払われているようでございまして、例えば協会の社員が司法書士でなければならないとかあるいは理事の過半数は社員でなければならないというようなことが決められておりましてそれなりに理解できるわけですが、この十七条の六の四項ですか、「司法書士が協会に加入しようとするときは、正当な理由がなければ、その加入を拒むことができない。」とありますが、「正当な理由」というのはどんなことが予定されるわけでしょうか。
#88
○枇杷田政府委員 これは例えば前に加入しておったのが、いろいろな問題があってそして脱退した、そういう人がまた入ってくるとかいうようなこと、あるいはその協会が司法書士あるいは調査士に仕事を分配してやってもらうということになるわけですけれども、そういう仕事を非常に投げやりにやって、そして協会の方に損害を与えた、そういうふうなことで、要するにそういう方が社員に入ってもらったのでは協会の運営上ちょっとどうにもならぬというような、そういう人が加入しようとしてくる場合には拒否ができるのだろう。しかし、これはむしろ原則は指人ではいけないということを言っているわけで、しかし絶対にどんな場合でも拒めないというのでは不合理だという点から設けられている規定でございますが、具体的な適用例は多分ないと思いますが、もしあるとすれば先ほど申しましたような理由がある場合だろうというふうに考えます。
#89
○小澤(克)委員 そこで、次の十七条の七なんですけれども、法人たる協会自体が登記申請ができるという実体的な規定になろうかと思うのですけれども、個人による業務が原則であります登記申請等について法人たる協会が行うということについては、これはどういうふうに考えるべきなのか、最初はいろいろ戸惑い等もあるのじゃないかという気はするのですけれども、そもそも現状はどういうふうに公共嘱託登記は行われているわけなんでしょうか。
#90
○枇杷田政府委員 公共嘱託登記の現状は、九〇%以上のものがいわば嘱託官公署の内部的な事務処理の過程で書類が作成されて登記所に出てくるということでございます。五%程度が司法書士または土地家屋調査士が関与して書類を取りまとめて登記所に出てくる、こういう形になっているわけでございます。その五%のうちの約半分が全く個人といいますか純粋な個人の形で嘱託官公署との間の契約に基づいてその仕事をしておられる、あとの半分の事務量が面会でつくっております公共嘱託受託委員会が中に入りまして、そして官公署から発注を受けて、それを受託団として事実上まとまっている数人の方に分配をするというふうな形で処理されておるわけでございます。
#91
○小澤(克)委員 そうすると、これまでは委員会というところで事実上窓口となっていたものを法的にきちんと整理をし、協会という法人格を持ったものをつくり、そこを窓口にしようということだろうと思うのですけれども、この十七条の七の二項、そういった協会の受けた事務を「司法書士会に入会している司法書士でない者に取り扱わせてはならない。」という規定、これは逆に言いますと、協会として受けた事務を入会している司法書士に分配して、法人として申請するのであるけれども、実際の事務は各司法書士さんが行う、下請という関係になるのでしょうか、行うことを予定しているというふうに読めるわけですけれども、しかしぎりぎり法的に詰めれば、法人たる協会自体が事務を行って一向に差し支えないということになりますと、例えば補助者であるというようなことで司法書士でない人がどんどん事務をやるというようなこともあり得るのではないか。特に最近ワープロなど導入されておりまして、少々のことならワープロのオペレーターができるというようなこともあるので、この十七条の七の二項の意味、それから現実の運用、どういうことを予定しておられるのか、法務省としての見解を教えていただきたいと思います。
#92
○枇杷田政府委員 十七条の七の第一項は、まさに法人が司法書士業務を行うあるいは調査士業務を行うことができるということをあらわしているわけでございまして、発端は、法人格がないと司法書士業務あるいは調査士業務についての受託契約ができないということから始まった話でございますが、そういう受託の契約を結びますと、債務を負担する者はその契約の当事者になることは当然でございまして、それは法人だということになりますと、法人が債務の履行ができなければおかしい。債務の履行をするというのは、まさに司法書士業務、土地家屋調査士業務を行うということでございます。
 したがいまして、それが行えるようにするということでございますが、それが第一項で、次に、法人というのは言うまでもありませんで、純粋な法人というのは観念的にあるものでございまして、何も行動することはできないので、実際にそのことをやるのは人間がやるということになります。その人間がやる場合に、法人の業務執行、それを直接にやるかあるいは間接にやるかという問題が出てまいります。直接にやると申しますのは、公益法人の場合には理事が業務執行権を持っておりますから、したがって理事がその理事として司法書士業務をやるということはできるわけでありますけれども、ここで考えておりますのは、要するにそうではなくて、その地域の司法書士あるいは調査士に仕事を分配して、そこでまとまってやらせようということのねらいであります。したがいまして、それを単純に協会が司法書士業務ができるということになりますと、何の資格のない者も、要するに協会ですから会社員というのはおかしいのですけれども、大勢雇用いたしましてそしてやれるということになってしまったのでは、今度は司法書士法の業域の問題で、専門家が専門的な知識を駆使してやらなければいけないという法益が保護されないことになります。したがいまして、十七条の七の二項では、それは司法書士でなければいかぬということに決めておるわけでございます。
 ただ、その司法書士の場合には、個人がやる司法書士以上に厳格にする必要は全くないわけでございます。したがいまして、その司法書士が掌握している補助者をその際に使うということまでも禁止するものではございません。したがいまして、下請という言葉が出ましたけれども、協会がこの十七条の七の第二項の規定に従って取り扱わせる司法書士が、自分の事務所の補助者を使って補助させながらやるということはよろしいわけでございますけれども、そうでない者は補助者という概念からむしろ外れてしまいますので、そういう者はこの規定で禁止をされるという結論になろうかと思います。
#93
○小澤(克)委員 やや難しいのですが、もちろん法人というのは観念的な存在ですから、結局自然人がその業務を行うわけですね。そして、今おっしゃったとおり理事が業務執行を行う、そして実際には理事の手足が事実的な行為を行うということになるわけです。そうしますと、この十七条の六の三項によりますと、「協会の理事の定数の過半数は、社員でなければならない。」一方、社員は司法書士ですから、要するに理事の過半数は、みずから司法書士であるわけですね。そうすると、今の十七条の七の二項とあわせて読みますと、司法書士である理事が協会の業務の執行を理事として行う、そしてみずからの補助者を使って行うということも法的にはあり得ることになりまして、必ずしも、加入している司法書士に分配して行わなくてもいいようなことにもなりはしないかと思うのですが、その辺の解釈はどうなるのでしょうか。
#94
○枇杷田政府委員 理論的には、理事が自分のところの補助者を使ってやるということ、それは法律的には可能だということになろうかと思います。
#95
○小澤(克)委員 この法案につきまして、各会員の全部か一部か、私つまびらかにいたしませんが、いわゆる天下りを警戒する声があった、あるいは現在もあるやに聞いております。天下りは法務局の職員からの天下りという面と、それから官公署で現実に申請事務を行っている方々の天下りという二つの側面があるのじゃないかと思いますけれども、その辺についての手当てといいますか、どういう運用をお考えなのか、伺いたいと思います。
#96
○枇杷田政府委員 天下りというのは、ある企業と申しましょうか法人に対して、何らかの優越的な力を持っている側がその力を利用して役員をそこに派遣をしていくというふうな形で使われている言葉ではないかと思います。この協会は法務大臣の監督下にあるということでございますから、そういうところを優越的な力を利用して法務省のOBを役員につかせるというふうなことを懸念する向きも全くないということはないと思いますけれども、私どもの方とすれば、そういうふうなことをする意図は全くないわけでございます。
 むしろ、黙っていればといいますか、民法三十四条の法人をつくるということだけを決めておいた場合には、理事はだれでもいいということになるわけであります。それを、過半数はその資格がある者でなければいけないのだというふうにしているのは、それは業法の精神からくる面が主でございますけれども、一方では、そういう資格のない者がやたらに入ってこないという防止のことにも役立つ規定だろうと思います。そして、もし各法人が定款で全員を司法書士あるいは調査士でなければいけないというふうに決めれば、その定款も有効であります。そういう定款がもし出てきた場合には、それは私どもとしては、認可を拒否すべき理由ではないというふうに考えております。あるいは、五分の四とか四分の玉とかということでももちろんそれは結構だろう。要するに、法律で決めていること以上に厳しくすることについては拒否にはならないだろうと思います。
 それからまた、役員は社員総会で決めるわけでございます。したがいまして、その社員がどういうふうな判断をするかということは、司法書士会、調査士会の場合にはかなり意識の高い会員が多いわけでございますので、そういう方々が、そう合理的な理由もないのに力関係みたいなもので理事の就任を認めるというふうなこともないだろうという気もするわけであります。
 私どもの方としては、そういう天下りをする意図もございませんし、またそういうことをチェックしていこうということが各協会の方での自主的な判断で進められていくという場合には、私どもはそれを拒否するというふうなつもりもないということで、私は天下りが行われないのではないかというふうに思っておる次第でございます。
#97
○小澤(克)委員 そろそろ時間でございますので、最後に、これはぜひ大臣に伺いたいのですけれども、もう一つ、私が心配なのは、この協会が受けた事務を各会員に分配するということになりますと、これは分配権といいますか、一種の利権になることもあり得ると思うのですね。それからまた、先ほどちょっと質問の中で明らかになったのですが、協会の理事のうち資格を持っておる者は業務執行だということで、みずからできるということにもなりそうですので、この場合は協会の業務ですから、直接それが個人の収入にはすぐには結びつかないわけでしょうけれども、いずれにいたしましても、現実に仕事をすればそれだけ収入があるということになりますから、これは一種の利権化する可能性があるということが若干危惧されるわけでございます。
 それで、基本的には各協会の自主的な、民主的な運営にまつということになろうかと思いますけれども、これは公益法人でございますので、民法三十四条ですかによって所管の庁は法務省、法務大臣だろうと思います。この辺についての監督といいますか、その方針について大臣の御見解を伺いまして、質問を終わりたいと思います。
#98
○嶋崎国務大臣 ただいま御指摘になった件につきましては、民法三十四条によるところの公益法人としてスタートするわけでございますから、その監督権限は法務大臣の権限に属するというようなことに相なるわけでございます。したがいまして、その運営については十分な注意を持って運用をするように見ていかなければならぬというふうに思っております。しかし、基本的にはやはり司法書士会の方でも、あるいは土地家屋調査士会の方でも、御承知のように相当識見の高い皆さん方のグループとして運用されておるわけでございますから、そういう意味で私自身は余り心配をしていないというのが実情であるわけでございますし、またこの制度をつくり上げてくるまでにも、十分皆さん方と御議論をされて整理をされてきた過程があると思っておるわけでございます。したがいまして、今後、今御指摘になりました協会が受けた仕事をなるべく会員となっておられる皆さん方に広く均てんをさせていかなければならぬというような感覚で多分運用されていくだろうというふうに思いますし、また、その理事になっておられる方々がたまたま司法書士である、したがって自分のところで全部事柄を処理するというような感覚で運用されるものでもないと思っておりますけれども、そういう点については間違いのない運用をしていただきたいものだというふうに思っておるわけでございまして、せっかくこういう姿で法人化をして、今までどちらかというとなかなか公共嘱託登記の関係の仕事の分野というのが伸び悩むような事態にあるわけでございますから、そういうものをどうしてこういう組織を通じてうまく獲得していくか、先ほど天下りというお話がありましたが、法務省としては考えないでも、逆にそういうものを発注する官庁との絡みというようなものも十分考えて運用しなければならないということもあるのだろうと思いますけれども、いずれにしましても、この組織が十分うまく運用できるように、またこの組織の設定その他についても、法務省としては十分気配りをして、その発足がうまく、しかも先ほど来話が出ていましたように、何か県下でできるだけ一本化をするような方向で整理がされていくことを望んで運用をしていきたいものだというふうに思っております。
 いずれにしましても、協会の目的が十分に達成されますように、我々も十分気を配って運用していきたいと思っておる次第でございます。
#99
○小澤(克)委員 終わります。
#100
○森(清)委員長代理 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三十八分開議
#101
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中村巖君。
#102
○中村(巖)委員 本日は、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案の審議でございますが、司法書士法の部分に関しましては、我が党においては別の委員が後日質問を申し上げる、こういうことになっておりまして、私はもっぱら土地家屋調査士法に関して御質問申し上げる、こういうことでありますけれども、さりとて内容は司法書士法も土地家屋調査士法も全く同じでございますので、法案の内容に関しましては同じような問題になろうかと思います。
 そこで、まず、法案に立ち入って御質問申し上げる前に、土地家屋調査士の業務、これが土地家屋調査士法の前提でありますけれども、この業務をめぐる問題について一、二お伺いしておきたいというふうに思うわけであります。
 一つは、不動産登記法の十七条に言うところの「地図」という問題でございまして、御承知のとおり、不動産登記法十七条、登記所に地図を備えなければならないということになっておるわけであります。そしてまた、この地図については事務取り扱い準則においていろいろと規定があるようでございますけれども、現実問題としてはこの十七条の地図というものが大変に不備である。このために土地家屋調査士は仕事の上で非常に難渋をしておるということがあるわけでございまして、分筆の登記そのほかについても現実と即応するところの地図がない。例えば公図なんかというものは登記所にありましても御承知のとおりに悪名高いものでありまして、こういうものに基づいて分筆登記をすると現実に合わないというような結果が生ずるわけです。この地図の整備状況というものはどうなっておりますでしょうか。まずそれをお伺いいたします。
#103
○枇杷田政府委員 現在登記所に備えられております地図は二種類ございまして、一つがただいまお話しの不動産登記法第十七条の地図でございます。もう一つが税務署から移管を受けてずっと引き続いて持っておりますところのいわゆる公図、旧台帳の附属地図でございます。
 その全体の地図の中で枚数的に申しますと、十七条地図の指定を受けておりますものが百十万枚程度でございまして、全体の三〇%をちょっと欠ける程度のものでございますが、面積的には公図というのはかなり大きなものがございますので、面積的に申しますと、全国の四分の一あるいは五分の一程度のものしか十七条の地図の整備ができていないという現状でございます。
 なお、そのできていない地域が全国各所にあるわけでございますけれども、殊に不動産が動くと申しますか、取引が活発であり分筆等が行われるような地域、すなわち都市及びその周辺地域については国土調査も余り進んでいないというふうなことからその整備がおくれておるという、そういう面で量的にも問題でございますが、殊に質的にも必要な地域についての地図の整備が大変おくれておるというのが残念ながら現状でございます。
#104
○中村(巖)委員 現状では十七条の地図に指定をするというものが、その主要な部分は国土調査法に基づく地籍図であるということであろうかと思いますけれども、一つには国土調査法に基づく地図ができましてもそれはなかなか登記所の方に送付にならない、こういうことで非常におくれておる。それから国土調査そのものがなかなか遅々として進まない、こういうようなことがあるわけで、そういう状況ができているのだろうというふうに思うわけでありますけれども、本来的には十七条の地図というのは登記所自体が整備をするものであって何も国土調査法に完全に依存をしなければならないというものではないわけでございまして、そういう面で早く整備を進めてもらわなければならないだろう、こういうふうに思うわけでありますけれども、大体、整備計画というか、将来に向かっての法務省の地図の整備計画というのはどういうふうになっておりますでしょうか。
#105
○枇杷田政府委員 お話のとおり、地図の整備というのは国土調査法による地籍調査だけを待つものではないということは御指摘のとおりでございます。しかしながら、現在の法務局の現状から申しますと、日常の事件の処理に追われておるということでございまして、法務局みずからの力で地図を整備をしていくということは極めて困難な状況にあります。
 したがいまして、やはり当面は従前の方策どおり国土調査法に基づく地籍調査が進展をしていく、それにつれて送付されてまいります地籍図を十七条の地図として整備をしていくということを主軸として考えざるを得ないと思います。
 この面におきましては、国土庁の方で計画的におやりになっておられるわけでございますが、現在第三次計画の実施中でございまして、現在のところ、全国の国土調査法の実質上の対象地域でありますところが二十八万五千平方キロメートルでございますが、その中の約八万平方キロくらいは進んでおります。したがいまして、これがなるべく早く進捗するということを私どもとしては期待をし、国土庁にもお願いをしなければならぬということでございますが、私どもの方で自力で地図を整備をしていくということが現在のところ、先ほど申し上げましたような事情にございますので、私ども自体が一つの整備計画を立てて進めていくという状況には至っておりません。将来は法務局の方にもかなり力がついてくるということになりますと、国土調査の対象地域として取り残されておるようなところを中心にやっていくというふうなことも計画を立てなければならないと思いますが、現在はとても自前の計画を立てるような状況下にはないということが現実でございます。
#106
○中村(巖)委員 現実にその関係での予算もなく、あるいは人員の配置もない、こういうことはよく承知しておりますけれども、そういうものが整備をされなければ土地家屋調査士が的確な仕事ができないということは事実であろうと思うわけでございまして、このまま推移をいたしますれば、国土調査を待つということであれば、一説によれば五十年、六十年あるいは百年近くもかかるのではないか、こういうことも言われておるわけでありまして、その辺の何らかの手当てというものを、何らかと言っても抽象的でありますけれども、お考えをいただきたいということを御要望申し上げたいところでございます。
 それから、次は不動産登記法五十条の表示登記の場合の現況の調査のことでございますけれども、それを「調査スルコトヲ得」、こういう規定になっているわけでございます。現実には多少のところが調査をされていますけれども、やはりその正確な表示の登記を確保しようとするならばこの調査を大いに活用しなければならぬだろう。ところが実際問題としては、登記所それ自体にこの表示の関係の人員の不足そのほかのためにこれがなされていない部分が大多数であるということになっているようでございまして、この辺の現況調査の実情というのはどういうふうになっておりますでしょうか。
#107
○枇杷田政府委員 現地調査というのは規定の上では「スルコトヲ得」となっておりますが、理想から申しますと全部の事件について登記所の職員が現場を見に行くということが大事なことだろうという認識は持っております。しかしながら、現在の登記所の事務量からいたしますと、とてもそういうことを実行するだけの余力はございません。したがいまして、事件の種類によって、実地調査を特に必要とするものから、できればした方がいいというふうなものもございますので、そういう事件の種類を見ながらやっておる状況でございます。したがいまして、全国の各登記所の繁忙度合いにも違いがございますので一律には申し上げることはできませんけれども、全事件の一〇%ないし二〇%程度のものが実地調査ができていればまあいい方かというような感じでございます。
#108
○中村(巖)委員 一つには登記所の職員にそういう現地を調査するについての測量技術というような技術的な能力があるのだろうかということ、その辺が問題であろうというふうに思うわけでございます。
 それからもう一つは、その土地家屋調査士が関与した事件についてはできるだけ現況調査というものを省略をして、一般人が申請をしたものについてやるということが非常に能率的だろうというふうに思うわけですけれども、この二つの点についてはどうでしょうか。
#109
○枇杷田政府委員 まず第一点の職員の能力でございますけれども、これは私どもとしては計画的に能力を高めるという措置を講じなければならないということで、三通りの方法を考えております。
 一つは、初級の職員を対象にいたしまして測量講習というのを自序内で催しておりまして、毎年金国で数百人程度の者はそれを受講するという仕組みになっております。それから、もう少し程度の高いものを、また測量講習ということでこれも実施をいたしております。二回目のいわば高等の測量講習を受けますと、これはある程度のことができる、実務的な仕事は処理できる力は十分に備えられると思います。
 なお、そのほかに、全く専門的な測量的な知識を与えなければいけないということで、現在のところ毎年四十名、六十年度からは五十名にふえますけれども、全国から職員を集めまして、そしてある学校に六カ月間いわば国内留学的なことをさせております。そして三角測量からその他非常に程度の高い技術を身につけさせるという措置をとっております。このようなことが逐次拡大をしてまいりますと、法務局の職員の能力というのは、実地調査をしてもただ眺めてくるだけだなんというようなことではなくて、かなり実のある調査ができる能力に、現に達しておりますし、またこれからもさらにその能力が向上することが期待できようかと思います。
 もう一つの、調査士が委嘱を受けてやった事件については調査を省いてもいいのじゃないかという御指摘でございますが、先ほども申し上げましたように、全部の事件を行くことができないというふうな面からいいましても、現場調査へ行く場合には、調査士のついている事件がそうでないかということがその取捨選別をする一つの基準になっているということは事実上あるだろうと私は思います。ただ、調査士が関与されておる事件でありましても、地籍更正とか、後々まで非常に大きな問題を残すようなものもございます。それから、建物の関係などについてもその表現にかなり微妙な問題がある場合があります。増築なのか新築なのか、あるいは附属家なのかというようなことでの法律的な判断を加えなければいけないようなケースも間々あるわけでございます。そういうようなことでございますので、調査士の関与した事件だからといって無条件に実地調査を省略するということはいかがなものかと私は思います。それからまた、調査士さん、大勢の方、それは非常にまじめにきちんとやっておられる方がほとんどでありますけれども、時には問題になるというケースもないわけではございませんので、そういうものを総合勘案いたしまして、一番現状に即した形での調査を進めていくということで臨まざるを得ないと思っております。
#110
○中村(巖)委員 この調査の問題も非常に問題があるところだというふうに思っておりますけれども、一つのアイデアとしては、こういう調査というものを民間委託をするというようなことで、例えば土地家屋調査士会の単位会にそういう委員会をつくらせて、そこへ委託をするというようなこともあり得るのじゃないか。そうすればより表示登記の適正性というものが確保できるのじゃないかということも考えられるわけであります。
 そのことはともかくとして、次は法案の中身に入るわけでありますけれども、幾つかの点について解釈上の御見解を承っておきたいと思うわけであります。
 土地家屋調査士法の方で申しますけれども、まず最初に、第七条によりますと、登録の申請については単位会を経由して連合会へ行くのだ、こういうことになっているわけでありますが、そうすると、単位会は登録については審査権限は全くないのだ、ただ書類が通過していくだけなのだ、こういうふうに読めるわけでございますけれども、単位会で審査をするということは考えられないわけでしょうか。
#111
○枇杷田政府委員 単位会を経由するということにいたしました理由が二つあるわけでございまして、一つは、入会とそれから調査資料等というものが結びついていなければならない。それを手続的に合わせていくということが必要だということが一つあります。もう一つは、書類を経由するということで、あとは連合会と単位会の取り決めといいますか、会則で決めてもいいわけでございますが、そういうものによって連合会が調査審議をするための資料を単位会に集めてもらう、あるいはそこでその単位会の意見をつけて、そして連合会の方に書類を回してもらうというふうなことができる。そういうことまで何も法律で書く必要はないだろうということで書いておりませんけれども、そういうふうな仕組みが乗ってくるという基盤になるという意味でも、この単位会を経由するという手続にいたしておるわけでございますので、したがいまして、この法律が成立をいたしまして、恐らく各会の運用としては、単位会で関係資料を取りそろえて、そして拒否事由があるかないかについての意見を添えて連合会の方に書類を進達するということに多分なるのではないかというふうに考えております。
#112
○中村(巖)委員 次ですが、第八条の関係では「次の各号の一に該当すると認めたときは、その登録を拒否しなければならない。」こういうふうになっておるわけでありますけれども、弁護士法の方を見てみますと、これは拒否することができるというふうになっておるわけで、あえて「拒否しなければならない。」というふうな強い表現を用いたということについては、これは何か理由があるのでしょうか。
#113
○枇杷田政府委員 特段大きな理由があるわけではございませんが、弁護士会の規定でも権限的に表現いたしますと「できる」ということになるので、実質的にはこういう場合には拒否をしなければ困るわけでございます。そういう意味で、この法律では簡明直截に「拒否しなければならない。」ということを表現したわけでございまして、弁護士法の解釈を私必ずしも専門的に研究しておりませんけれども、弁護士法の方と実質的には同じことではないかなという気はいたします。
#114
○中村(巖)委員 次に、十七条の二の関係でありますけれども、調査士会連合会の会則の中には「調査士の登録に関する規定」等々が必要であるということになっております。一方、単位会の会則の中には、これは十五条の六号でありますけれども、十五条の六号において「入会及び脱会に関する規定」として、その中で、入会金の負担に関するものも含むということになっておるわけであります。そこで、連合会の方の会則には、言ってみれば入会金というか入会の手数料が取れるという、こういう規定を欠いているといえば欠いているわけで、これは実質的に言えば連合会は単位会の連合体であるということから来るのだろうと思うわけでありますけれども、この連合会自体が、登録の手数料というか入会金というか、そういうものを単位会を経由して徴収をする、単位会で負担をさせてそれを単位会から吸い上げるという形で徴収をする、これは妨げられないものでございましょうか。
#115
○枇杷田政府委員 調査士会の連合会は弁護士の連合会と違いまして、個々の調査士が連合会の会員になるわけではございません。したがいまして、連合会に登録をいたしましても連合会会員になるわけではございませんので、したがいまして、この登録の関係で入会金という形で連合会がその経費を徴収するということにはなじまない。したがって、その費用の分担者とすれば、やはり連合会の会員である単位会がその経費を実際上は負担するといいますか、そういう形でなければいけないので、したがって、今度そういう登録事務のためにある程度の経費増になりますから、そういうものを単位会が払うべき連合会の会費として取るということには多分なると思います。そういうものを今度は単位会の方から入会金の中から出すという実質的な関係にはつながっていこうかと思いますので、そういう実際上のつなぎ関係は出てまいりましょうし、それを否定することはもちろんできないわけでありますが、簡明直截に入会者がいきなり連合会にというふうな形のものは、この調査士会の連合会の組織のあり方としますとちょっとぐあいが悪いのではないかという感じはいたしております。
#116
○中村(巖)委員 次に、十七条の五の関係でありますけれども、十七条の五は登録審査会の関係であります。この登録審査会についてはその委員は四人として「委員は、会長が、法務大臣の承認を受けて、調査士、法務省の職員及び学識経験者のうちから委嘱する。」ということになっているわけで、この規定からいうならば、その登録審査会は法務省の職員及び学識経験者を必ず選任をしなければならない、こういうことになるのでしょうか。それとも、そういう者は当面必要がないということであれば、調査士だけでいいということになるのでしょうか。法務省としてはこういう者は何名必ず入れなさいというお考えを持っているのでしょうか。
#117
○枇杷田政府委員 この規定は、法務省の職員それから学識経験者、さらにその前に調査士でございますが、この者は最低一名ずつはいなければいけないということで書いているつもりでございます。したがいまして、この要件さえ満たせばそれでいいわけでございますので、法務大臣とすれば、こっちの方を二名にしてというふうなことを指示するという考え方は持っておりません。
#118
○中村(巖)委員 そうすると、今の点でもうちょっと念を押しますけれども、会長のほかに委員四人ということになって、その委員四人のうちの最低二人は結局法務省の職員及び学識経験者各一人ずつから構成されている、こういうことでなければならぬということになるわけですね。
#119
○枇杷田政府委員 そのような考えでございます。
#120
○中村(巖)委員 次には十七条の七の関係であります。十七条の七の協会の業務の関係ですが、念のために尋ねておきます。
 十七条の七の第二項に「調査士会に入会している調査士」に取り扱わせるということになっているのですが、これは調査士会に入会している調査士であれば、その地域管轄ということは関係なしに、どこの調査士にでも、自分の協会が存在するその他の調査士でなくても仕事をさせることができる、こういう御趣旨ですね。
#121
○枇杷田政府委員 理論的にはそのとおりでございます。これは実質的に資格のない者に調査士の仕事をさせないということに主眼点があるわけでございまして、会の問題とは切り離した場面の問題であるということからこのようなことにしております。実際問題といたしますと、わざわざよその県の調査士を頼むということはないだろうとは思いますが、当該協会が所在するところの会の調査士である必要は理論的にはございません。
#122
○中村(巖)委員 続いて第二十一条の関係であります。第二十一条の二項として、違反行為があった場合には協会の理事または職員を処罰する、こういうことがあるわけでありますけれども、二十三条との対比において、二十三条の方が比較的明確に読めるわけであります。二十一条第二項の「協会が第十七条の八において準用する第十一条の規定に違反したときは、その違反行為をした協会の理事又は職員」というのは、その協会が違反しておれば、協会の理事または職員がみずから違反行為をしていなくても処罰をされるというふうに読まれかねない、こういうところがあるわけでございまして、そうなると、責任がないのにかわりに罰せられるみたいな、あるいは連帯責任を負わせられるみたいな、こんなような感じに読めてしまう法文の書き方だと思うのですが、そういうことではないわけですね。
#123
○枇杷田政府委員 これは、官公署等からこういう仕事を引き受けてもらいたいという話があって、正当な事由がないのに断る場合の話でございますが、法人というのは実際上の行動をするようなことができるものではない、抽象的な存在でございますので、したがって、そういう嘱託を拒むという具体的な人間がいるはずでございます。ですから、そういうことをしちゃいけないというので、その行為をした者自体をつかまえればいいので、それが法人の行為だということに、いろいろなほかの民事責任等の場合に評価されることは大いにあるでありましょうけれども、罰則の関係では、具体的なその行為をした自然人をつかまえて罰しさえすればいいのではないかというふうに思います。あと、協会の肩がわりというつもりはないわけでございまして、協会の仕事としてやるわけで、仕事の処理の問題としてやって違反するわけでございますが、あくまでも自然人の行為だけをとらえればいいということでこのような形になっているわけでございます。
#124
○中村(巖)委員 いや、それはわかるのですけれども、理事が違反した場合に、そのほかの違反をしない理事、違反行為、実行行為そのものをしない理事も処罰されるのか、こういう意味で言っているわけでございまして、そういうふうにも読めなくはないではないか。それから、理事が違反したときに、協会が違反したのだからということで職員もやられてしまう、そういう読まれ方の危険性があるということを言っているわけでございます。
 あわせて言いますと、その場合に、職員についてはそういう受託を拒否をするということが現実にあり得るのか。職員限りで受託を拒否するということはないわけで、職員というものは必ず理事そのほかの指揮命令のもとに動いているわけですから、現実的には余りあり得ないのだろうと思うのですが、その点もあわせて伺います。
#125
○枇杷田政府委員 協会の業務執行権限は理事が持っているわけでございますから、おおむね理事だけということかもしれませんけれども、しかし、大きな協会になりまして、そこで課長とか部長とかという、言うならば理事でない職員を置くということも可能であります。そういうふうな者が、いわば協会内部において事務処理権限はある範囲内で与えられておる、その範囲内においてこういう違反行為を起こすということもあるわけで、ですから、そういう面を受けまして、実行行為を行った職員についても罰則を加えるということにしておるわけであります。
 なお、先ほどちょっと私、あるいは言い方が足らなかったかと思いますけれども、この関係は、二十六条にもその協会の両罰規定も設けられておるわけでございまして、身がわりになるという関係ではないということが言えようかとは思います。
 それから、先ほどの「違反行為をした協会の理事」というのを、違反行為をしたのが協会であって、その協会には数人の理事がいる、その数人の理事がみんなこの罰則にかかるのかというふうに読めやしないかという御質問だったようですが、その点、私は御質問の趣旨を誤解いたしまして、これは一口で読むわけでございまして、「行為をした」というのは理事にかかる、職員にかかるというふうに考えております。
#126
○中村(巖)委員 最後に一点だけ伺っておきます。
 第十七条の九の関係でございますけれども、第十七条の九には「調査士会は、所属の調査士が社員である協会に対し、その業務の執行に関し、必要な助言をすることができる。」こういうことになっているわけであります。助言ということだけにとどまりますと調査士会としては協会に対する指導性というものが非常に弱まってしまうというふうに思われるわけで、調査士会としては協会が余り勝手に意向に反して動かれたのでは困る、そういう意味もあって、調査士会としては協会に対する指導ということができるのかどうか、この助言という言葉は指導を排除しているのかどうか、その点だけ伺っておきます。
#127
○枇杷田政府委員 これは、助言と言いましても、指導と言いましても、強制力があるわけではございません。そういう意味では強弱どれくらい違うかという問題はございますが、ただ、これは法律の純粋な形から申しますと、調査士会も一つの法人であり、それから協会もまた独立の法人であるということでございます。したがいまして、これを一方の法人が一方の法人を指導するというふうな表現でやるのが適当であるかどうかという問題がございます。監督的な立場に立つ者は、公益法人については主務官庁であるところの法務大臣ということになるわけでございますので、指導というような表現でやることはちょっと適当でないということで助言としておるわけでございますが、その社員は全部自分のところの会員で、会の指導のもとにおるわけでございます。したがいまして、実質的にはあるいは指導的なことがあり得ることも、またそれを特にいかぬということはないと思いますけれども、今申し上げましたような独立の法人であるというところから、むしろその片っ方の協会のためになるようにいろいろ助言をしたり協力をしたりする、その中に指導的なこともあるいは含まれるかもしれないというようなニュアンスでお受け取りいただければ幸いだと思います。
#128
○中村(巖)委員 終わります。
#129
○片岡委員長 日野市朗君。
#130
○日野委員 まず、大臣に最初に伺いましょう。
 この司法書士法と土地家屋調査士法が今度改正になるわけでございますね。私はこの委員会における論議をきょうずっと聞いておりまして、そもそもこの司法書士及び土地家屋調査士という二つの職種、これをどのように位置づけるかというところに非常に大きな問題点があるように思われるのですね。特に、公共性との関連においてこの二つの職種はどういう職種であるのか、従来と変更があるのかどうか、この点、いかがでございましょう。
#131
○枇杷田政府委員 大変難しい御質問でございますが、司法書士並びに土地家屋調査士というのは、いわば国民の権利を保全することのための手続をいろいろするという意味では非常に社会性の大きい職種である。したがって、そういう意味では、広い意味では公益のために存在している制度であるということは、当然それ自体言えようかと思います。今度の法改正におきまして公共嘱託関係について積極的に関与していくというのも、いわばそういう公共事業に伴う国民の権利関係の変動を早く安定をしたものにするという意味では非常に公益的な仕事をするということでございますけれども、それはいわば最初に申し上げましたような本来の司法書士、調査士の仕事というものに由来してそれを発展させるという形ではございますが、特にこれによって司法書士像とか土地家屋調査士像とかというものが変わってくるというふうな性格のものでないというふうに理解をいたしております。
#132
○日野委員 私も、司法書士及び土地家屋調査士、この二つは非常に高い公益性を持った、公共性を持った職業であり、これは国民の権利を守っていくという点においては非常に崇高な使命を担った職種である、こう考えております。でありますから、ややもすれば余り利益性をもって考えたくないという、一方にはそういう考え方を私は非常に強く持っているのでございますが、こういう私の感じ方はどうでしょう、間違っておりましょうか、当たっておりましょうか。
#133
○枇杷田政府委員 基本的には私も同様に考えております。
#134
○日野委員 ただ、この司法書士――これから主として司法書士法の方について伺いますが、司法書士の仕事というのは、司法書士法第二条によってかなり限定された職種でございます。これは、だからといって、その重要性を欠くというようなことを私、申しているのではありませんから、そこのところは誤解ないようにお願いしたいのでございますが、こういう限られた分野における業務を遂行されるわけでございますね。私、この限られた業務の性格、内容について考えてみまして、これは、登記事務、それから裁判所、検察庁、法務局もしくは地方法務局に提出する書類の作成、それから登記、供託に関するという第三号がございますね。こういう業務であるとすれば、ここで業務の内容というのはどういう性格を持つのかということでございますね。これは登記等についての法務省が行う仕事、それとの関係でどういうものでしょう。どの程度の独立性を持ち、どの程度の補充性を持つか。非常に抽象的な質問でちょっと恐縮でございますが、これをどのように解するのか。独自の性格を持った独立の業務と解するのか、補充性を持ったものと解するのか、いかがなものでしょうかね。
#135
○枇杷田政府委員 大変お答えしにくい問題でございますが、この司法書士法の二条で書いております「業務」というのは、本来国民がそれぞれ自分の権利を保全する必要からいろいろな手続をしなければならないという法制度になっておる、そういう手続関係について司法書士が国民に専門的な知識を提出し、そして書類をまとめて、手続をかわってするということで、そこに司法書士法の業務の主軸があるわけでございます。これは役所の側から見ますと、法務局もまたこれは国民の権利を保全するということのために存在している役所でございます。でございますから、国民の側からそのような手続がなされてくるということを正確に受けて、そしてきちんと整理をするという完結的な仕事を法務局はやらなければならない。しかし、それは全く法務局だけでできることではなくて、一貫した流れの手続があるわけで、その手続の一部を司法書士が担っておる。そこの担い手がうまくいくと登記手続の方もうまくいくというような実質上の関連があるわけで、そういう意味では、大きな保全の一貫の手続の中では司法書士制度というものも一種の補充的なものだという言い方もできようかと思います。しかし、とらえ方としては、国民の側に立って、そしてその手続をかわってやるというような意味からしますと、補充的という言い方をするよりは、むしろ独立的に権利保全のための重要な職責を担って活動している存在であるというふうに認識する方が当たっているような気がいたします。
#136
○日野委員 私も今、局長のおっしゃったことにほぼ賛成する立場でございますが、要は、この司法書士の方々の団体である司法書士会連合会でございますね、ここの自主性を強化するということがこの法案で問題になっておりますし、この法案についての提案理由説明には「自主性の強化を図る」、こういう文言がちゃんと使われているわけでございます。ただ、こうやって見まして、職務の範囲というものは決してこれは広いものではございませんですね。裁判所等に提出する書類につきましても、これは現実の訴訟行為を司法書士が行うわけではございません。でありますから非常に限定されたものにならざるを得ない。こういう中での「自主性の強化」ということの持つ意味というものをどのように理解したらいいのであるかということは、実は私これは非常に多義的な概念として受け取らざるを得ないわけでございますね。人によってはこれを自分に都合のいいように解釈をする、これが可能ではなかろうか。「自主性の強化」だと言っても、この法文に記載された内容からこれは推しはかっていくほかないわけでございますけれども、とはいっても「自主性の強化」という非常に美化された表現といいますか、多義的な文言がこの提案理由の中でも説明されているわけでありまして、こういうことになると、人によっては自分にいいように解釈をするという嫌いがややもするとこういう文言にはございます。「自主性の強化」というのはどういうことなのだということをちゃんと概念としてもはっきりさせておくことが有益ではなかろうかというふうに思いますので、あえて御質問をさせていただくわけでございますが、どのようなイメージを思い描けばいいのか、やっていけないこととやっていいこと、自主的にやれることというのはどの範囲なのかというところをひとつ御説明をいただきたい。
#137
○枇杷田政府委員 「自主性の強化」という言葉自体は非常に抽象的でございまして、いろいろな受け取り方をされる方が出てくるという嫌いはあろうかとは思います。
 司法書士会における自主性とは一体何だということになりますと、これまた難しい問題でございますが、司法書士会はでは何のために存在しておるものであるかというところから考えていかなければならないような気がいたします。要するに、司法書士業務というのは国民の権利保全に非常に重要なかかわりを持つ仕事である、したがってその仕事が的確に、法律的に正しく、そして国民が求めているような形での保全がきちんとできるようにしなければいけない、しかもその仕事をする過程の中でフェアな仕事をしていかなければいけないということがあるわけです。そういうふうな状態を維持していく、殊にこれは相当大人数の人がやるわけでございますので、そういうものを一定水準以上に維持していくというためにこの司法書士会というのをつくる、これが大目的であります。その大目的を実現するために監督的にすることもあるいは可能なわけで、官側は非常に厳しい監督を一人一人の司法書士に加えていって、そして何か非違行為があればすぐに摘発してやるというふうなことによっても先ほど申しましたような水準を保つということも可能であるかもしれないけれども、そういう方策はとらない。要するに会というものを司法書士がつくって、そしてその会の指導のもとにお互いが切磋琢磨し、いさめ合い励まし合って、そして今言ったような業務の水準を維持し高めていくということのために会がある、そういう会の自主性という面で私はとらえるべきだろうと思います。そういう点から考えますと、会の自主性というのは、いやが上にもみんなが力を合わせて、そしてよそから言われるのじゃなくて間違いがあればみずから直ちに直す、そして問題があれば未然にそれを防止する策を講ずるというふうな仕組みを強化していくことが「自主性の強化」だというふうにとらえるわけであります。
 今度の登録移譲の問題は、登録移譲を受けたからといってそのことだけで直ちに「自主性の強化」につながるとは私は思いません。登録移譲をするということは――先ほど申しました会のあり方からいってみて一番大事なのは、自主性が強化されるために一番大事な基盤は、各会員が会に対する帰属意識を強固に持つということだろうと思います。その会に対する帰属意識を強化するということのために、登録事務を自分の会自体でやるんだ、いわば自分たちが司法書士であるということのあかしを自分たち自身で持って、そして運営していくんだということが会員の会に対する帰属意識の原点的なものに大いに役立つであろうというようなこと、これが、突き詰めていくと今度の登録移譲が「自主性の強化」ということの意味の一番もとになる事柄でなかろうかというふうに考えております。
#138
○日野委員 私も今度の改正を見ておりまして、入会、退会、こういう問題の規制、今までの取り扱いとはすっかり変わって会が自主的にこれをやるという一つのシステムができ上がったわけでありまして、これは評価をするわけでございますが、このことだけでは、私は、提案理由に見られるように自主性が強化されたということの十分なあかしてはないだろうと思っているわけですね。これは程度の差よ、いろいろな段階があるのよと言えばそれはそれきりでございますが、私はそれだけではないと思うのです。
 一応、入会の問題について伺っておきたいのですが、今までも会を窓口にして登録の申請を行ってまいりました。そこで、登録の申請が拒否されたような事例はございますか。
#139
○枇杷田政府委員 今まで登録を拒否したという事例はございません。
#140
○日野委員 今度は懲戒の問題について伺いたいと思うのでありますが、懲戒等について司法書士会と法務局の側が意見を異にしたというような事例はございましたでしょうか。
#141
○枇杷田政府委員 最終的な懲戒の処分につきまして公式に法務局側と会の側との意見のすり合わせというようなことはいたしませんので、そういう意味で食い違いということは出てこない、そういう現象が生ずる余地がないわけでございますが、事実上、法務局の行いました懲戒について会の方でいかがなものかという反響があったかどうかということでお答えするしかないわけでありますが、私の知っている限りでは、そういうふうな意味での考え方が違っておるというようなことは聞いたことはございません。ただ、各地各地で起こる事柄でございますので私が全部承知しているわけではございませんが、私の耳にはそういう形で問題の提起があったということはございません。
#142
○日野委員 それでは、そういった懲戒の事例について不服申し立てがなされたというようなことはございましたか。
#143
○枇杷田政府委員 これは、不服審査法に基づいて不服の申し立てがあることはございます。
#144
○日野委員 件数はどうでした、多かったですか。余りきちんとした数字でなくても結構です。
#145
○枇杷田政府委員 懲戒それ自体が全国で年によって随分違うのでありますけれども、おおむね十件見当かと思います。その処分に対しまして不服の申し立てがあるのが、年に一件あるかないかという程度のように承知いたしております。
#146
○日野委員 入会、退会というようなことは結構でございますが、私は、法務省の側が司法書士会に対して依然として非常に大きな権限を行使するといいますか、大きな力を持っている部分というのは、やはり会則の問題であろうかというふうに思います。今度は十五条の二につけ加わりまして法務大臣の認可の中から名称、八号の「資産及び会計に関する規定」、九号の「会費に関する規定」、ここらは外れたわけでございます。しかし、依然として大分大きなところで、司法書士の品位保持だとか執務に関する規定、報酬に関する規定、ずっとかなりの法務大臣の監督に服する部分、つまり認可を受けなければならない部分があるわけでございますが、この認可については非常に大きな司法書士会に対する圧力になると思うのです。この点について、取り扱いとしては従来と同じということになるわけでしょうか。
#147
○枇杷田政府委員 もちろん今度の条文では外したものは認可の対象にならないわけでございますが、認可の対象として残る事項についての会則変更についての取り扱いは、原則として従来の方針を変えるつもりはございません。
#148
○日野委員 ここでこの法案によりまして自主性の強化については一歩を踏み出したと言ってよろしかろうかと思うのでありますが、この自主性の強化というものはこれからもさらに進めていくという大きな政策上の流れがあるのかどうか、二の点はいかがでございましょう。
#149
○枇杷田政府委員 これは、ある団体が自主的にすべてがうまく規律できていくようになることは望ましいことであると言えようかと思いますが、ただ、自主性という言葉だけが先走ってしまって、そして合理性もないところで動いていくというふうなことがあってはいけないと思います。したがいまして、本来会なりの自律機能というものがますます高まっていく、そして実質的に他律というものが必要がなくなっていくという状況ができる方向が望ましいことだと思いますが、それもむやみやたらにできることではないでありましょうし、また自主性という名前だけで他律的なものを外していくということを考えているものではあくまでもございません。
#150
○日野委員 今まできれいごとでやりとりしてきたのでありますが、今度は少し生臭いところで伺います。
 自主性を強化していく、自律性を高めていくということは司法書士会のずっと長い間掲げてきた基本的な目標であったわけでございます。しかし、今までこの論議がなされた過程を見てみますと、法務省側としては自主性を高めていく、強化していくということについては決して好意的ではなかったと私は思うのでございます。何といっても法務省のしっかりした監督権のもとにこの司法書士会を服せしめたいという意向は、ありありと見えたと思うのですね。これが自主性を強化するという方向に急に変わった。これはやはり臨調の方針にそのまま従ったということですか。
#151
○枇杷田政府委員 今のお話でございますと、法務省は司法書士会、調査士会を非常にぎりぎり縛っておったというふうなことでございますが、もしそういうふうに受け取られるとすれば大変残念なことでございます。私どもとしては、従来からも会自体が非常に自律作用が強くなって、そして法務局あるいは法務省がいろいろなことを言わなくても済むように、まず自律的に事が運ぶようにということを望んでおったところでございます。
 ただ、最初にも申し上げましたように、条件もそろわないうちに背伸びをして、ただ言葉だけが先走っていくような事柄については、政府としての国民に対する責任がございますから、そういう言葉だけについていくというふうなことはとってはきておりませんでしたけれども、しかし、なるべく自主的に事が運ばれるように望むという態度は一貫してとってきたつもりであります。そして会が育ち、会の中で帰属意識が高まるにつれまして逐次省令とか法律の改正の際に司法書士会内部での自律機能というものを法令上の裏づけができるように進めてきたところであると私どもは考えております。今度の登録移譲の関係も、なるほど臨調の答申があったということが実際上推進的な力がなかったとは私は申しませんけれども、しかし、そういう一つの司法書士会、調査士会が自律的に育っていくということを私どもが願っておったという延長線上に出てきた問題というふうに受けとめております。これは私どもなりの考え方で、外からはそういうふうに見えないとすれば、大変残念なことだと思います。
#152
○日野委員 司法書士会の内部がどんな論議をしてきたかということは私よく存じません。ただ、私は個人的に司法書士の方々ともいろいろおつき合いがございますので、大体うかがい知ることはできる立場にはございます。それでいろいろうかがい知っている範囲では、今回の登録についての事務の移譲があったかわりに、かなり一般的な指導監督の権限をそれと引きかえに法務省の側が手に入れたというような意見を持つ人もいるわけであります。そういう点についてはいかがでしょう。確かに名簿の登録についての権限の移譲は司法書士会に大幅になされたやに見えますけれども、報告義務とか勧告、監督の権限とか一般的な指導監督の権限、それから具体的な場面にわたっての指導監督の権限はしっかりと法務省は握って離さないのではないか、こういうふうに思われるのですが。
#153
○枇杷田政府委員 そういう受け取り方をしている方があるとすれば、私としては大変残念なことだと思います。この登録移譲の関係につきましては、本日午前中にもいろいろ御質問が出まして私がお答えしたところでございますけれども、登録の問題というのは行政に関する事柄であることは間違いないところでございます。登録の拒否とか登録の取り消しとかということは本来的には行政処分でやるべき事柄であることは異論のないところであると思います。そのようなことを民間にやらせるということになりますと、行政責任というのをだれが背負うのかという問題があるわけであります。憲法上も行政の責任は全部内閣が負うということになっておるわけでございます。したがいまして、それとのつながりがない形で民間に移譲するわけにはいかないということがあります。司法書士会、調査士会以前に登録権限を持っておりますのが、例えば税理士会がございますが、この税理士会などは、もともと会に対して大蔵大臣はかなり強い監督権限を持っているわけであります。総会の決議の取り消し権だとかそういうようなことまで持っておるわけであります。そういういわば完全に監督下に入っているような会に移譲する場合には、それは行政責任を負うことができるでありましょうが、司法書士会、調査士会の場合にはそういう一般的な監督権を法務省が持っているという形ではないわけであります。そういう意味では出発から司法書士会、調査士会は非常に自主的な会として想定されてきているわけです。そういうところへただ権限を移譲するというだけでは行政の関係のつながりがつかない。したがって、法務大臣がその移譲された登録事務を業界がうまくやっていくようなことについて責任を負えるような最小限の道はつけておかなければ、実質上憲法違反になるじゃないかということがございます。
 そこで、それは監督規定と言えるかどうかわかりませんけれども、今度新たにつけました規定は、登録事務に関するだけだ、それに関して必要がある場合には報告を求めたり資料の提供を求めたり勧告をすることができるという最小限の、最も控え目なつながりをつけているのにとどまるのでありまして、この際に従来なかった監督権を法務大臣に与えるようにしたということは全くございませんし、ただいま申し上げたような行政権とのつながりの関係についても、一番控え目と申しましょうか、縮減した形のものでつながりをつけておるという程度にとどまるわけでございます。したがいまして、先ほど御指摘のあったような意見がもしあるとすれば、それは私は誤解も甚だしいものだというふうに考えます。
#154
○日野委員 では、一般的な指導監督の権限についてはどのようにお考えになりますか。
#155
○枇杷田政府委員 一般的な指導という形では、権と言えるかどうかわかりませんけれども、私どもはやはり司法書士法の所管庁といたしまして、会に対してこうしたらいいじゃないかというふうな形での指導を申し上げることはできると思います。ただしかし、それが権限であるかどうかについては疑問があります。監督の関係につきましては、会に対しては一般的な意味での監督権限は法律上規定が設けられておりません。したがいまして一般的な権限はないので、個別的なことでのいわばチェック機能というものは持っております。例えば先ほど申し上げましたような会則の関係についての認可とかそういう面についてのチェック機能は持っておりますけれども、一般的な監督権限はない、そういう関係に立っておろうかと思います。
#156
○日野委員 局長が今言われたことは、言うなれば行政指導的なものかというふうにもこちらでは受け取れるわけです。ただ、この行政指導というのも、特に今国際貿易をめぐって悪名が非常に高こうございまして、これは、外国から指摘を受けまして我々がさらに行政指導というものを見詰め直してみるという側面もあるわけでございますが、かえってこの行政指導の実態、行政指導の持つ強力さというものは、中にいるものが今まで気がつかなかった面があるものでございます。特に法務省と司法書士の関係というようなことになりますと、今まで何といったって司法書士はお役所に縛られてきたわけでございまして、局長さんはどの程度そういう実際上の御経験がおありなのか私知りませんが、私もその畑で生きてきてみまして、非常に厳しい縛りがあったということは、局長さんが何と言われようとも私の経験としてはそう申し上げたいと思います。そういう中で発揮される行政指導の力量というものはどういうものであるかということを考えてみますと、これは、権限とは言えないと言いながら現実には非常に強力なものとして司法書士の皆さんを縛るのではないか、私はそういう危惧がとても抜けないわけでございますね。どのようにお考えになりますか。
#157
○枇杷田政府委員 それは受け取り方の問題だろうと思います。私どもも行政指導的な面ではいろいろなことを連合会に今までも申し上げてまいりましたし、これからも申し上げるつもりであります。しかしながら、それは一方的に押しつけるというつもりはございませんし、今までもそういうふうな態度をとった覚えはないわけでございまして、あくまでもお互いに事実を認識し、共通した認識のもとに、どうしたらいいだろうかという相談的な意味合いのもとに指導なら指導らしいことをしてきたというのが実情でございます。私どもと連合会との間に縛るというふうな感じがもし強く印象づけられたとすれば、私どもとすればちょっと意外な感じもするようなことでございます。私は、いい意味での指導といいましょうか、相談を前提としながらやっていくようなことはこれからも進めていこうと思いますが、そんなに強圧的なことはするつもりはありません。先ほど申し上げましたように、むしろ私は基本的に、面会とも自律的にきちんとやって、こちらから行政指導なり何なりをする必要が何もないという形でいかれることが本当に望ましいことだという考え方は持っておりますので、なるべく指導が要らないような状況になることをこいねがっておる次第であります。
#158
○日野委員 私はどうもそうなってほしいという願望の点はよくわかりますが、なかなかこれは難しいことではないかなという感想をぬぐい切れないのですわ、なせそんなことを考えるかというと、私の気持ちの中にいろいろひっかかりになるところがあるわけです。それで、ぎとぎとした部分の二、三をちょっと伺っておきたいと思うのです。
 例えば司法書士の試験がございますね。これは今国家試験で非常に難しい試験でございます。我々なんか今受けたって到底受かりそうもないような難しい試験でございまして、そこを突破してこられた方の努力というものは大変なものだし、資質というものも大変なものだろうと私かねがね尊敬をしているわけでございますが、一方特認というのがございますね。十年以上法務局だとか検察庁だとか裁判所で仕事をした人は特認制度というのがあるわけです。私これを見ておりまして、これも一つは法務局あたりの権益意識といいますか、そういうものがあるのではないかと思いますけれども、どうも法務局で仕事をした人はよく受かるのだが裁判所の方からはさっぱり出てこない、受かってこないというようなことを耳にもするし、私の実感としてもそんなことがあるのですが、この特認の方々は、どういう試験をしておられるのですか。全く平等に試験、考査がなされておりますか。
#159
○枇杷田政府委員 これは一律の統一的な試験を実施いたしておるわけではございませんで、個別にその経歴とかいうものを見ながら試験をいたしておるわけでございます。それで、裁判所系統の方々の特認の数が少ないというのは、結果的にはそういうことが言えようかと思いますけれども、裁判所の方の要するに司法書士の特別認可をもらおうという方が法務局よりはもともと出発点から少ないということもございます。それからもう一つは、司法書士の仕事は広範囲にわたりますけれども、大部分の仕事が登記でございます。したがいまして、そういう登記の仕事についての能力があるかどうかというふうなことの試験になりますと、裁判所の方は若干不利がある。何十年も登記を専門にやってきたという者に比べますと不利があるということの結果でございまして、特に私どもの方がどろどろしたような形でのへんぱなというふうなつもりではおりません。
#160
○日野委員 これは、裁判所から受けたってどうせ受かりやしないのよと言われればだれだって受けないということにもなりかねませんので、ここらは厳重に注意していただきたいと思います。
 もう一つ、これは余り私の方も聞くのを快しとしないわけですが、ひところ法務局の窓口の客扱いが非常に悪いということで行管あたりから指摘を受けたことがございましたね。この点はその後改まっておりますか。私、二、三の人に聞いてみると、いや、前のとおりですよ、こういうことですが、いかがでしょう。
#161
○枇杷田政府委員 法務局の窓口のサービスが悪いということで、五十八年にはワーストツーでございましたが、昨年は残念ながらワーストワンということで私どもも大変遺憾に思いますし、また窓口においでになる方に申しわけないと思っております。
 これはいろいろな事情があるわけでございますけれども、基本的な問題は、法務局側の方の人的、物的な条件が十分にそろっていない、そこに大勢のお客さんがおいでになるということが解消しないと根本的には直らないだろうという考え方を持っております。したがいまして、そういうものを抜本的に改善するためには、まず現在の登記制度を根本的に改めていく必要があるだろうということで、コンピューター化を進めなければいけないということで過日、この委員会でもそのための法律案を御審議いただいたわけであります。
 それからもう一つは、財政的に、そういうコンピューター化を進めるばかりでなくて、施設をよくし窓口の状態をよくするというようなことをするための予算をきちんと確保しなければいけないということがございます。そのために、昭和六十年度におきましては登記特別会計というものが創設され、またその裏づけとなる登記特別会計法がこの国会に提出されておるわけであります。
 そういうものが一方で基盤として整備をされて、その上で職員の心構えをもう一度しっかりとしてもらって、そして体制をつくっていくというふうな努力をこれから積み重ねていかなければならないものだと思います。根本的な原因が過重負担というところにあると私は思いますので、一朝一夕に直るというものではございませんが、私は逐次よくなっていくと思います。また現に、窓口の職員はワーストワンという評価を受けたことは大変ショックに思っておりまして、何とか汚名を晴らしたいというつもりでは努力をしておりますので、私は現時点においても改善された窓口が少なからずあるだろうとは思いますが、しかし一挙に改善するという状況下にはない。客観的に申し上げまして、そういうことは急速には、私自身の立場からしても現場に望み得ないという状況下にあることを御了解いただければ幸いでございます。
#162
○日野委員 今の局長の言ったことには全面的に反対。忙しいからじゃないのです、あの人たちが接客態度が悪いのは。私も何回も経験もある。ごく簡単に、実務的にはこうなっているんですよ、こうお書きなさいとちょっと一言指導すればいいのを、それじゃだめ、それじゃだめ、それじゃだめ。何日も何日も通わせる。裁判所あたりから回っていった登記書類も突き返して、おれは判事が判こ押してきたやつを突っ返してやったんだよと言って威張っている。こういうところに問題があるのですよ。忙しかったらちょっと教えたらいいじゃないですか、ここのところはこう書いてきてくださいと。そうなっていないのです。
#163
○枇杷田政府委員 今のようなお話の実態があるとすれば大変遺憾なことでございます。私は、そういう扱いをしている登記所はむしろ例外的な存在ではないかと思いますけれども、時にそういうような対応の仕方をするという御批判を私も受けたことがございますので、今のお話は、私は事実そういうことを委員が御体験なさったのだろうと思って申しわけなく思いますが、これは繁忙の問題とは違いますので、私どもの方もそういう面については従来から口をやかましくして言っておるところでございますが、全国的な問題から見ますと先ほど申しましたようなところが中心の問題になって、ワーストワンの評価を受けているというふうに認識をしているわけで、個別的には私はやはり態度のよくない職員も残念ながらいる、それについては大いに教育をして、そして改めることはすぐにでもできることでございますので、また改めてそういうことのないような指導は強めてまいりたいと思います。
#164
○日野委員 私もこんなことは言いたくないのですけれどもね。何でこういう態度をとるのかなということが、私も常々非常に疑問でございます。
 また法案に戻りまして、そういう人が試験を通ってきた、司法書士会の方で、そんなことはないかと思うが、あいつには随分いじめられた、いたぶられた、あんな品性の悪い連中は入れない、こうなってきたらどうします。
#165
○枇杷田政府委員 そういうことが起こるのかどうかわかりませんが、実際のことはともかくといたしまして、法律的には登録拒否事由の第三号でございますか、「司法書士の信用又は品位を害するおそれがある」というふうな認定を司法書士会連合会の方でいたしました場合には、登録拒否事由になるわけであります。そういうふうなことがもし、本当に在官時代に極端に悪くて、そういうような者が入ってくれば司法書士の信用、品位を害するのだということですと、それは拒否事由にもなります。私どもの方としては、大勢職員がございますから、しっけが十分できていないものもあるということは認めざるを得ないわけでありますが、しかしそんなような状態の職員は、絶無と言えるかどうかわかりませんが、まずいないのじゃないか。応対は悪くても、そんなに根っからの悪い職員はいないと私は信じておりますので、そういう事態はないであろうと思います。
#166
○日野委員 仮定の問題はこのくらいにいたしますが、大臣、ぜひこれはよく心していただきたい。ワーストワンに法務局の職員がなるなんて、そんなことはいかぬのですよ。法律を実現していく一つの場ですから、法務局などというのは。そこのところだけでも大臣、御感想はいかがですか、今のやりとりを聞いておられて。
#167
○嶋崎国務大臣 ただいまの委員からのお話でございますけれども、御承知のように国民の権利を保全をしていくということは法務省の仕事の最も大事な柱の一つであるわけでございます。そういう仕事を円滑に進めていくために我々の出先でも非常に苦労して仕事をやらしていただいておる。そういう場合に、司法書士なりあるいは土地家屋調査士の皆さん方にやはりその道のエキスパートになっていただいてうまく仕事を運行していこうというような気持ちで、一体のつもりで今日まで運用してきているのではないかと私は思っておるわけでございますけれども、今いろいろなお話をお聞きしまして、ある意味ではまことに背筋の寒いような思いをしておるわけでございます。
 しかし、考え方としては、時代もどんどん変わっておりますし、そういう問題を解決するために、ともかくいろいろなことがありましたけれども、ことしはコンピューターを中心にする登記の特別会計というものをつくっていただいたわけでございますし、またそういう環境の中でこれはにわかに解決する話ではないかもしれませんけれども、行く朱としては、登記の仕事その他を十分うまく運行させるような方向で事柄を考えていきたいと思っておるわけでございます。いずれにしても、そういう御批判がありましたような状況であることは十二分、我々は承知をしてかからなければならぬわけでございます。
 今回の改正は、そういうことを前提といたしましても司法書士あるいは土地家屋調査士の皆さん方に登録事務をやっていただく。その原因は、とり方によってはあるいは臨調の話があったからというようなことかもしれませんけれども、もっと前からもいろいろな議論があり、またいろいろなよその制度というようなことも参考にしながら登録事務をともかく移譲するというような形に相なったわけでございます。私はやはり、そういうことを通じまして、それぞれの連合会あるいはそれぞれの会におきまして的確に責任を持った処理をしていただくというようなお気持ちになっていただきたいと思うし、またそういう存在を前提として我々の仕事の立て方も考えていかなければいけないのではないかと思っておるわけでございます。
 また、法務省の仕事自体がどちらかというと受け身の仕事であるわけでございまして、そういうことに関連して最後の責任を我々自身が背負わなければならぬというようなこともあるかと思いますけれども、それなりに余り外にはみ出たような形じゃなしに、いろいろな手続等についても、省略その他のことはできることは取り入れようというような考え方で対処しているわけでございます。
 また、これは質問にはなかったところでありますけれども、公共の嘱託登記というような問題につきましても、これは業界でもやはりなかなかその分野を開拓していくということは大変な使命だというふうに思っておるわけでございまして、これを法人化することによってその分野を上手に開いていく努力をしていただく、そういう中で司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会なりの中の状態というものも十分共感を持って働けるような素地をつくる一つのポイントになるのではないかというふうに思っておるわけでございます。
 そういうことでございますので、ひとつこの法案についてよろしく御審議をいただきますとともに、我々自身も今御指摘のありましたようなところを十分心にとめまして、やはり民間の皆さん方の権利保全というような重要な役割を担っておる窓口でございますから、それに即応した考え方で対応するように努力をしていかなければいけないし、また、そういうことについては篤と私たちもそういう意識を職員の皆さん方に浸透させていくために努力をしていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
#168
○日野委員 今度自主性を強めるという方向に進まれることは結構なことでございますが、これに関連して、今、日本の法律家、これは司法書士さんを含めて弁護士、司法書士、民間における法律家がいるわけでありますが、そこの職域の問題というのはやや流動的であるように私には見えるわけであります。これは、弁護士が数が少ない、しかも都市部に偏在をするというようなことがございまして、特に田舎の方における法律的な紛争とか法律問題に的確に対処し得ていないといううらみがございまして、その両者の職域を厳重に区分けができるかと言えば、これはなかなかできにくいという状態は一方にはございます。しかし私は、法律上の問題としてこの職域問題を見ますと、この職域はどういう資格を持った人の職域であるかということは、きちんと線を引いておくことが一種の法的安定という観点から必要なことであろうというふうに思っているわけでございます。これは、司法書士さんは司法書士さんで、特に郡部に行きますと、いろいろな法律相談は、それは私の職域内ではないと言って断ろうとしてもなかなか、隣近所のつき合いとか何かもございまして断り切れない状態にあるという現状は私もそのまま認めて、なおかつ職域の線引きというものは必要なことだろうというふうに思うのです。
 それで、今この司法書士会の中で職域を広げようという努力をなさっておられることは、それぞれの職種の仕事の領域を広げるということは非常に大事な機能の一つでありましょうから、それはよくわかるのでございますが、特に弁護士との職域の問題で、一方で自主性が強化されたということから過度の自信といいますか、少し言葉が過ぎましょうか、自信をお持ちになって、この職域問題で、ややもするとその線引さを越えるという傾向が出てこないかどうかということについては、私は非常に心配をしているわけでございますが、こういう点に対する対処の仕方はいかがなものでしょうか。
#169
○枇杷田政府委員 ただいまお話しのように、各業法ごとの線引きを明確にするということは必要なことだと思います。ただ、理論的に非常に線が引きにくいということもございます。また、仮に何かの言葉で線を引いてみても、個々具体的な案件について、それがどう働くのかということについても苦しむ問題があると思いますが、ある二足の線引きが必要であるということは、私もそのとおりであると思います。
 それに絡みまして、今度の自主性強化の関係が司法書士会における職域の拡大につながるだろうかということでございますが、私は、自主性の問題と職域拡大の問題とは全く平面を異にする問題であるから、理論的にはつながりはないだろうと思います。ただ、司法書士会内部には、簡易裁判所関係における準弁護士のような仕事ができないだろうか、そういう方向に職域拡大ができないだろうかという意見も、かなり昔からありますし、それがだんだん強まっているのではないかとは思います。そういうようなことが司法書士会が抱えております他の事柄が一つ一つ解決してまいりますと、そうするとそのような問題が残っていって、そして、事実問題としてそれがいわば皆さんの関心を中心に呼び合うというふうなことがあるいはあるのかもしれないと思います。そういう意味ではかかわり合いがあろうかと思いますが、職域問題というのは、先ほど申しましたように今度の自主性の強化とは全く別平面の問題でありまして、社会が一体どのような状態を求めているか、それに対して現在の業法がこたえているかという問題と、それからそれを改正する場合に、改正するについての新しい担い手が果たしてその要望に沿うだけの能力と責任を持ち得るかという観点から判断さるべき問題であろうと思います。
 そういうふうな観点から申しますと、今どういう形で司法書士会が職域拡大の問題を提起するかわかりませんけれども、現在のところ、早急に私どもの方が具体的な目の前の問題として取り上げるというふうな状況にはないというふうに考えております。
#170
○日野委員 余りここのところだけやっておりますと、肝心のところがやれなくなりますので、今度は公共嘱託登記司法書士協会の方に質問を移します。
 これも私は非常にわかりにくい改正案であろうというふうに思います。これは法文も「協会」となっているようですから、これから協会という言葉を使わしていただきますが、大体がこれはどういう法人なんでしょうか。
#171
○枇杷田政府委員 どういう法人かというお尋ねで、お答えすべき側面によって違ってまいりますのですが、法人の法律的な性格からいいますと、条文に書いてありますとおり、民法の三十四条の規定によって設立する社団法人ということでございますから、公益法人ということになるわけでございます。したがいまして、究極的に営利を目的とするものではない、したがって利潤を上げてそれを構成員に――構成員というのは法律上の社員でございますから、それに分配するというものではないということだろうと思います。
 では、どういう事業をやる法人だというような側面で言えば、これは公共事業関係の登記に関して官公署等から委嘱を受けてその登記をやっていく、そういう仕事をしていくところなんだ、そしてその構成員的な面から申しますと、これは司法書士は司法書士、調査士は調査士が集まって、そしてその中で自分たちのあれから理事を選任してそれでやっていくので、いわば法人に対する司法書士資格の付与なんだというような側面からも御説明できようかと思います。
#172
○日野委員 これは民法三十四条による法人ということになれば、その設立のときに定款をつくらなければなりませんね。定款をつくるときは資産に関する規定を入れなければなりませんね。この資産はどうなるのですか。
#173
○枇杷田政府委員 資産に関する規定は、処理の仕方としての規定は置くだろうと思いますが、当初は資産というものは財団法人と違ってありませんので、実際上の寄附などを受けるということもあり得るだろうとは思いますけれども、会員というか社員が会費を出すとかあるいは実際に仕事が動き出して官公署から仕事が来て、仕事を配分して、そして報酬を払う、その差額というか、そこで事務費を払って留保する資産をつくっていくというふうな形にはなろうかと思いますが、特に今の設立段階で資産というものはないわけでございますので、結局その運営の仕方、管理の仕方をどうするかというようなことが定款に掲げられるだけであろうと思います。
#174
○日野委員 今御説明のとおりだと思うのですね。これからの運営はどういうふうになされるのか。そして、名目はどのようにつけようとも、実態を見ますと社員に対する利益の配分になるわけでございますね。いかがでございますか。
#175
○枇杷田政府委員 そういうような見方もあるいはでき得るかもしれませんけれども、厳密に申しますと、利益というのは収入からコストを引いた残りが利益ということになるわけでございます。法人自体から見ますと、収入というのは官公署との委託契約に基づいて得られるところの一収入になります。そしてコストの中に、協会自体の事務経費もありますが、主たるものはそれからまた実際の仕事をさせる司法書士、調査士に支払う報酬でございます。そういうものの差が利益ということになるわけなんで、そういう意味ではその利益は社員には行かない。実際の生活上の感覚からいう利益というのは、実際上具体的な仕事の配分をもらった司法書士がもらう報酬が利益という感じが出てこようと思います。そういう意味では利益の配分ということは考えられるかもしれませんけれども、ただいま申しました法律的な意味での利益というものが社員に行く、そういうものではないというふうに言えようかと思います。
#176
○日野委員 税務署はそれで通りますかね。
#177
○枇杷田政府委員 私は税務署はどう扱うかというのはちょっとお答えできませんけれども、大ざっぱな感じで申しますと、法人の方、協会の方がいわばいろいろな諸経費を差し引いて、そして留保するような形になる利益については法人税の対象にはするだろう口それから個々の司法書士、調査士に報酬として協会から払います。それは各司法書士の所得の問題として税務署は捕捉するであろう。そこでまた経費を引いて純所得額を計算をして、そして税率を掛けて取るということになるだろうと思いますので、税務署が今のような理論で承知するとかしないとかということがちょっと起きないように思います。税法のことは私よくわかりませんが、ただいま申し上げましたような姿になるのじゃないかというふうに想像いたしております。
#178
○日野委員 私がわからないのはそこなんですね。社員でございましょう。社員という協会の中での立場が一方ではあるわけですね。そして、協会が受けてきた登記の嘱託を社員が受け取って仕事をするわけでございましょう。社員というのは法人の構成員であるわけですね。それと同時に、その法人から何かを請け負うのか何か知りませんが、どういう契約の形態をとるのか知りませんが、仕事をもらうわけです。それは観念的には別ですよ、ですから矛盾はないのですという御説明を恐らくいただけることになるんだろうと思うのですが、法人と別の人との取引という一般の観念からいいますとえらい違和感を私はそこで感じるのです。そういう違和感がございませんか。
#179
○枇杷田政府委員 予測されたとおりの答弁をすることで恐縮でございますが、理論的には、仕事の配分を受けるのは社員として受けるのではなくて司法書士としてあるいは調査士として受けるわけです。たまたまその人が社員であるということはある。たまたまでなくて実際はほとんどそうだろうと思います。しかし、それは性格的には司法書士として仕事の配分を受けるわけでありまして社員に対する利益の分配として受けるわけではない。したがって、社員として分配をする、何かの利益を分配するというならばこれは定款でどう決めるか問題でございますけれども、団体法の一般原則からすると、社員に平等に何か均てんされるべきものだということが原則になるだろうと思います。しかし、そういう性質のものではない。要するに、仕事に対する対価として報酬が支払われるわけであります。社員という地位に基づいて報酬が支払われるべきものではないということでございまして、したがって、社員の中にも、ある年はとうとう一件も自分は配分を受けなかった、あるいは割り当てはあったのだけれどもほかのことが忙しいので断ったということで、その公共事業の関係の報酬はもらわないで済むという人も私はかなり出てくるのではないかと思います。
 そういうことでございますが、社員としての立場と司法書士としての立場が違いますし、それから報酬というものはあくまでも自分の仕事に対する対価としてもらうのであって、社員としての何かの配分としてもらうものではないという、そういう性格からすると、私はそんなに奇異には感じられないのではないだろうかと思います。ただ、普通の会社とかの場合に、そういうふうな形で、社員であるとか株主であるとかということがいわば取引の相手といいますか仕事をもらう、そういう存在として考えられないということと比べますと、それは確かに変わっているといえば変わっていようかと思いますが、法律的な性格からすれば、私はそれほど違和感はなく受け取っておる次第でございます。
#180
○日野委員 司法書士にしても土地家屋調査士にしても、一つの法務局の管内にそうそう多数おいでになるわけではないだろうと思うのですね。株式会社における一般株主というようなものとは性格がまるっきり違ってまいります。この協会という一つの法人を組織する構成員は、不特定多数といえば二人以上は不特定だなんて言われると困るのですが、そんなに不特定多数にばっと広がるというような種類の性格のものではないだろうと私は思っておるわけでございますね。そうすると、団体を規律する法の中には、その構成員とその団体との取引、これは根本的には好ましいものではないという思想が大抵流れていると私は思うのです。ですから、役員なんかには競業避止義務というものもありますし、それからある一定の株を持っている者との取引なんかについてもいろいろな面倒なことがございますね。そういうものの観点からこの協会を見た場合に、これは好ましいと言えるだろうか。この点、私、非常に強く疑問を呈さざるを得ないのですが、そういう考え方というのは、やはり団体そのものの維持ということについて好ましくない、それは経理上も好ましくない。それから、そういうものを維持していく、統制をきちんととっていく上からも好ましくない。いろいろな配慮が働いていると思うのですが、私は、そういう思想というものが団体の取引について通則的にあるではないか、こういう考えを持つのですが、いかがなものでしょう。
#181
○枇杷田政府委員 ただいまおっしゃった点は、私もわからないわけではございません。そういう面から、今度のこういう法人は、むしろ組合的なものあるいは合名会社的なものというふうなとらえ方をする方がいいのではないかという御意見がけさほど塩崎委員からも提起されたようなわけでありまして、いわば社員と法人、協会とが取引の相当事者になるような形で構成されていくというのは不自然ではないか、ほかにちょっと類を見ないというふうな感触からいろいろな意見が出てこようかと思います。私も、そういう感じはないわけではありませんけれども、先ほどおっしゃったようなことが団体法の一般的な原則として、いわばそれが失われてしまったら団体法が成り立たない、団体が成り立たないというものではないだろう、一種の団体における弊害を除去するという側面の問題であろうという気がいたすわけであります。
 今度この団体を公益法人とし、また実際の仕事の大部分は社員である司法書士、土地家屋調査士がやっていくということになった場合に、今おっしゃったような側面からの弊害があるだろうかといいますと、それはないのじゃないか、もし何かあれば、それは会からの助言作用によって、あるいは公益法人に対する主務官庁の監督作用として是正していくことができるだろう。実質的には、組合的と申しますか、そういうようなものが存在しておるということは私も否定するわけではないのでありますが、それを公益法人という形でとらえていくということも、ほかの面では非常に有効に働く面がございますので、全体とすればこういうとらえ方をしても団体法の原則そのものにそう衝突するわけでもないし、弊害もないであろう、そしてほかの面では、むしろ有効な働きをする面もあるということからこういう形を選んだわけであります。
 けさほどの御質問にもお答えしたように、この法人をどういうふうな形で構成していくかということについては、最初からこれだというスタイルがないわけでありまして、こういう方がいいか、ああいう方がいいかというのは、実はいろいろな案がありまして、一長一短をいろいろ考えながらここにおさまったというわけでございますので、この形が絶対無比の形だというふうには私は思っておりません。
#182
○日野委員 私もけさの議論は聞いておりましたが、合名会社論というのは果たしていかがなものかとも思いますが、そう言われてもやむを得ないという一つの側面もあるのではなかろうかというふうにも思うのですね。
 問題は、何でこういう法人をつくらなければならない必然性があったかということであろうと思うのです。これは、司法書士が今まで扱えなかった部分というのがいろいろありまして、それを掘り起こすという議論があることも私、勉強させていただいて承知をいたしました。しかし、それならすぐにこういう法人という方向に短絡していいのであろうか、もっといろいろ考えるべき点はなかったのであろうか。今いろいろ何とか研究会ですか委員会とかいう形で、能力なき社団というような形で対処しているという話も聞くわけでございますが、そんなことをせずとも、だれかが仕事を受けて代理人として行動する、それで足りなければ相手の承諾を得てお手伝いをしてもらう、副代理人を選任する、そういうことによって対処し切れないのでしょうか。
#183
○枇杷田政府委員 まず、事の発端から申し上げますと、公共事業関係の登記に司法書士、調査士が関与していくようにしたいということが出発でございました。そのために、個人としての司法書士、調査士が官公署との間に話を進めてやるというふうなことから始まっているわけでございますが、なかなかそれではらちが明かないといいますか進展をしない。発注側の方からしますと、やはり何か一つのまとまった受けるものがないとそれはやりにくいということがございます。それは、事務量が非常に大量でございますので、一人ではこなせないということがあるわけです。
 そういうことから、今度は会の方で受託組織のための委員会というものをつくりまして、そこが官公署と折衝して契約を実際上する。しかし契約の名義人にはなり得ませんので、それは個々につくった受託団という団体が契約の対象になる。しかも、その受託団自体も権利能力も何もないわけでございますので、その代表者の名前でやるとか連名でやるとかいろいろな形があるようでございますけれども、そういうふうなことで始めて、現在は委員会の手を経てやるというものが十五万件ぐらいは出ているわけでございます。それだけではどうしようもない、もっと拡大をしたい、発注者側でも、こういう条件がそろえばもっと発注できるのだがということで示されて浮かび上がってきた問題が法人化の問題なんであります。法人格がないものだと、発注側としては非常に契約がしにくい、もし何か間違いがあった場合の後々の始末の問題も非常にやりにくいということがございまして、そこで次に、受託をするための何か法人がどうしても欲しいということがある。その法人にする場合に、一つは、個人資格である司法書士の業務を法人に与えるにはどうしたらいいかという側面の問題と、もう一つは、その法人をどういう形の法人にするのが一番適しておるかという問題と、その二つの問題が大きく分けますと議論の対象になっている。
 どういう形の法人にするかについては、おっしゃるとおり、それはいろいろな形のものがあります。現に面会の内部におきましても過程におきましてはいろいろな意見が出ております。私ども内部でもいろいろなことも考えました。しかし、結局最後に残る問題は、大きく分けて四つくらい残るかと思います。
 一つは、この司法書士法あるいは調査士法でもう全く特殊な形の特殊法人をつくるということ。もう一つは、民法の三十四条の規定を使ってやっている今のこの案でございます。こういう公益法人をつくるという案。もう一つは、ともかく何か会社をつくって、既存の法律制度に基づく法人をつくって、司法書士業務がこの範囲内でできるというようなことの指定を法務大臣かなんかがするということによってやる指定法人方式。もう一つ考えられますのは、司法書士会それ自体がやるという案。司法書士会は法人格を持っておりますから。大きく分けますと大体それぐらいのものが残ったわけでございます。
 ところが、会が会員の指導連絡をやっていく。そういう調整役、指導役をやっているところがそういう事業をやるということではこれはうまくいかないし、もしいろいろな問題が起きて損害賠償の支払いをしなければならぬというようなときに、一般の会員の財産の中から支弁していくということもなじまないのではないかということから、会にやらせるということはちょっとまずかろう。それから特殊法人というのも、わざわざそのために全く特殊な法人の制度をつくるということも少し大げさであるし、それならばむしろ既存の民法法人の手法でやる方がいいのではないかということ。それから指定法人の関係につきましては、けさほどの御議論を伺っておられたと思いますけれども、性格論としまして、数人の信頼関係にある者がまとまってやってより閉鎖的なものを前提にするようなことはこういう制度には全くなじまないということから、だんだん残ってきたのがこの三十四条方式でございます。ですから、そういうことで、初めからこれがもう絶対ぴったりだというような感触でできたものではないということは私も自白せざるを得ないわけで、いろいろな問題はあろうかと思いますが、次善といいますか、ベターとしてはこういう方式が一番いいという確信は私は持っておるつもりでございます。
#184
○日野委員 だんだん時間もなくなってきましたので、私もっといろいろあれこれ、そっちこっちいじくり回して聞こうと思ったのですが、直截に聞きますわ。大体一番最初に私が伺ったでしょう、司法書士の公共性というものはどういうものであるか。とりもなおさずこれと直接つながってくると私は思うのですね。司法書士は司法書士としていろいろな不便はあるだろうけれども、それを乗り越えてやはり自分の職責を果たさなければならないものだろうと私は思っているのです。ですから、そういう自分たちが手を伸ばせない部分があったならば、こういう形ではなくて、司法書士なら司法書士としての自分たちが誇りを持ってそれにアタックすべきだったと私は思うのですね。それにぶつかっていくべきだったと思うのですよ。だって、おかしいじゃないですか。官公署がこれは嘱託をしたいと思っても個人では困るなんと言、つのは、それは官公署の方がおかしいですよ。こういう仕事をやるのは個人しかいないわけですから。司法書士というのは個人です。個人が原則です。個人が建前。そして個人であるべき相当の理由があって、これは個人の資格とされているのです。もちろん一身専属性です。高い公共性もあるとして社会的なステータスも与えられているわけです。安易に法人なんかに逃げるべきではない。そういう個人しかできない仕事を法人でなければ与えないなんて、それは言う方がおかしいですよ。そこのところはむしろ積極的に法務省あたりが乗り出して、これは仕事の性格はこういうものですよということで説得すべきだった。それから、じゃどこか役所あたりがどこかの嘱託にでも連れてきて金を払ってそして登記事務をやらせるということになったらこれこそまさに司法書士法のどこか違反にでもなりませんか。そういうところをむしろ正すべきではなかったか、いかがですか。
#185
○枇杷田政府委員 お考え、ごもっともな点が多いと思います。私どもも、本来個人資格であるものであるんだからそれが個人の力をその辺のものが実際出し合っても個人という立場をあくまでも守りながらやっていくというふうなことが、少なくとも現行法ではそうでございますから、そういうことで貫いていくべきであるということで委員会制度を設けまして、ただそれの理解を相手方にしてもらう、そしていわばそういう会全体がそういうことを実際上バックアップしているんだというふうなことを後ろ盾として発注官庁との間の折衝を進めるという努力をここ十年やってきたわけでございます。私ども法務省側といたしますと、そんなに発注官庁側の方にやってくれというふうな立場にはございませんけれども、こういうものもあるので、話があったらよく聞いてくださいというふうな形でのお話は努力はしてまいりました。発注側の官庁も理解はしておるのですけれども、会計法規その他がありまして、どうもそこがうまくいかないので何とか法人格が与えられないかということが出てきたわけであります。
 私も、できることなら法人にいわば司法書士資格を認めるような形のものはなしで済ませるものは済ませたいと思っておった時代は確かにございます。けれども、もうここまで来ますと、どうもそうもいかない。国会の方でもそういう険路を打開するようにしろというふうなことを再三附帯決議などでも御指摘があるわけでございます。そういうふうなことから、現在の法律制度というものを維持しながら、そして実効が一番上がるという方策をどうやったら築き上げられるかというところにここ数年間は苦心もしまた両連合会もその点について苦心をしてきたわけであります。
 なお、発注官庁側の方でいわば司法書士法違反あるいは調査士法違反のような事実をしているならばそれを摘発しろということも理論的にはごもっともでございますし、私どもの方も何回か、刑事的な告発ということまではしないにしても、かなり司法書士法、調査士法違反であるというふうなことの指摘をし、会と一緒にその是正を求めたということも努力をしてまいりました。
 しかしながら、その発注者側の方にもいろいろ御努力は願わなければいかぬ点があると思います。また正すべきものは正していただかなければならぬことがあると思いますが、受注側の方でも、現在の体制のままでこれでおれたちは変えることはないんだからおまえさんの方から来てくださいというのでは事はやはり進まない、受注者側の方の体制も発注者側が発注しやすいように、また受注者の内部にしてもきちんと法律的に明確な形がとれるような体制は整えておく必要はあるであろう、それが法人化をしなければならないということの考え方の基礎にあるわけでございまして、ただその法人をどうするかということについては確かに議論はあったわけでございますが、基本的には法人化は現時点では避けて通れない、むしろ必要なものだという認識を私も持っておるところでございます。
#186
○日野委員 今のお話を聞いて、御苦労なすったんだろうなとは思うのです。ただ、その苦労というのはやはり根源的なところと矛盾するような気がするのですよ。私はこの法人を見て、はっきり言ってこれは営利法人じゃないかと思うのです。これはもう言葉の遊びを使えば社員と取引相手はまた別なんだと言ったって、これは同一人格なんですから、人間としては同じでしょう。それをあえてこれは営利法人ではございませんという理屈を使わなければならないところにある悩みというのはどこから来ているか。というのは、やはりこれは本来個人でやる非営利性の職種、これがこういう営利的なものに手を出していかなければならない、それを何とかするテクニックを考えるという、テクニックに走り過ぎるからこういうふうになるんだと思うのですよ。私は、これはもうどう見ても営利だと思わざるを得ない。これは現実に見てそうでございましょう。それをやれば仕事がふえる、収入もふえる、だからやろうという、発端はここでございますね。これはもう争えないところになっているので、これを営利法人ではない、じゃ民法三十四条を使いましょうと、このテクニックを使っていった。しかし、これは民法三十四条を使ったからといってその営利性は消えません。むしろこれは三十四条じゃなくて三十五条ですか、何か法人がありましたね、私はむしろそっちの方に傾いていくような気がしてしょうがない。むしろそういう目でこの法人を見た方がこれは法律的に説明がつけやすい、私はそう思うのです。
 今までいろいろ苦労をなすったということはよくわかりました。私、この問題を知ったのはほんの最近のことでございますから、おまえは局長さんの今までの御苦労というものを、知らないでそんなことを言うと言われるかもしれませんけれども、かえってそういう人間の方が物を見る目は曲がってないとも言えるのですよ。素直に見て、私はこれは営利法人ではないか、こう思います。営利法人であるという法的な立て分けはやらなくても、これは営利性を非常に強く持った法人だ、こういうふうにお考えになりませんか。そしてそれは司法書士という一つの制度とは相入れない、こう私は考えるのですが、いかがでしょう。
#187
○枇杷田政府委員 一つの側面から見ますと、司法書士あるいは調査士の仕事を獲得をする、そしてその仕事をすることによって対価を得ていくというようなことが、一つのねらわれているところにないことはないわけであります。そういう意味では、何か営利を目的としているというふうな印象は、私はその限りにおいては否定はいたしません。しかしながら、法人論で申しますと、営利というのはその法人自体が利益を上げてそれをその構成員、社団法人の場合には社員に分配をする、要するに最終的な利益の帰属が社員のところに行くという形のものを営利と言うわけであります。そういう面では営利ではないということですね。先ほど申し上げましたように、そこは仕事の対価として司法書士の受け取る報酬と社員が受け取る利益の配分というものとは違うという意味では営利法人ではない。それからもう一つ、営利法人でない公益法人の場合でも、収益事業というものは行うことがあるわけです。その収益事業という面におきましても、それはある仕事を官公署からもらって、そして実際にやるものに仕事をさして、それに報酬を払って差額が自分の収益になるという形での事業を行うという意味では、この法人は収益事業を行う公益法人であるということは言えるとは思います。しかしだからといって、営利法人だということにはつながらないという感じがするわけであります。
 先ほど来申し上げておりますように、こういうものを、法人格をつくるのをやめてしまえというのなら別なのでありますが、まず先に法人にするということを前提に置きまして、いろいろな類型のところに当てはめていきますと、どれにもうまくはまらないという要素はあることは私も否定しないわけです。ですから、どこかはテクニックを使ってということは避けられないわけでありますが、そういう面から申しましても、先ほど御説明申し上げましたように、この形でいくのが唯一のものではもちろんないし、私もベストだとは申しませんけれども、その中ではベターなものだ、したがって、これでおさめて具体的な弊害はないのではないかという感触から、こういう形のもので結論をまとめたということでございます。
#188
○日野委員 私、仄聞するところにすぎませんけれども、このような法人をつくるということについて時期尚早論があるのじゃありませんか。もっといろいろ考えるべき点があるのだというようなことが、二、三の分野から指摘をされているということはございませんか。
#189
○枇杷田政府委員 この問題に関係しておられる方々の中には、いろいろな御意見があることは承知をしております。したがって、もうちょっとよく検討した方がいいから、今時期尚早であるというふうな御意見もあるやに伺っておりますが、それと同時に、なぜ今ごろまでもほうっているのだという、時期極めて遅しという議論もたくさんあるわけです。そちらの方が圧倒的に強いというふうに私は承知いたしております。
#190
○日野委員 私が心配するのは、こういう法人をつくってしまうということが、司法書士制度という制度、土地家屋調査士という制度、この根本のところで矛盾してしまうのではないか。
 それからもう一つ心配する側面、法人というものをそう甘く考えてはいけないという側面でございます。最近、法人の設立を非常に緩やかに認めるという方向になってきたと学者は指摘をいたしますけれども、その法人の一つ一つを見ていけばかなり厳格な、これは設立についても運用についても規定を持っております。私はかなりあいまいだと思う。法人の性格が民法三十四条の規定ということで、あとは政令で決めるというのでしょう。そうじゃありませんか。その具体的な問題についてはそうじゃなかったですか。法務省令で決めるのですか。どうも勉強不足なもので済みません。そんなものでいいのか。やはりこういう法人がつくられたら、少なくともその根幹は法律で規定しておかなければならない。そんなにあいまいにすることは法人そのものに対する国の方針というものをゆるがせにする、そういう心配を非常に強く持ちます。
 最後に一言御感想を伺って、私の質問を終わります。
#191
○枇杷田政府委員 このような法人をつくりますということは、従来からの個人資格を原則とする司法書士法、調査士法にとっては重大な例外をつくるということになります。それからまた、この法人がどのような動きをしていくかということが司法書士制度、調査士制度について少なからず影響を持つものだと私は思います。したがいまして、このような制度を設けるに当たっては慎重でなければならないということは、私自身も従来から考えてきておりました。何をまだ決断をしないのだというふうに言われる声の多い中を、今日まで慎重に考えてきたつもりでおります。その結果、こういう結論に落ちついたわけでございますが、今後の運用に当たりましては、御指摘のような点はもう私どもも十分に警戒をしながら考えていかなければならない点でございますので、両連合会ともいつも十分な話をしながら適正な運営をしていく、そして予想外の方向に何か動いていかないように警戒をしながら、十分な見守り方をしていかなければならないと考えております。
#192
○日野委員 終わります。
#193
○片岡委員長 天野寺君。
#194
○天野(等)委員 今、日野委員と民事局長の間で大分突っ込んだ議論が行われておりました。私も、せっかく議論がここまで詰まってきたところでございますから、少しその延長でお話をお聞きしたいと思います。
 私が用意しておりました順序とはちょっと違いますが、率直にお尋ねいたしますけれども、このいわゆる協会という形で法人組織をおつくりになるということの、法務局側のメリットといいますかあるいは意図といいますか、そういうものはあるのでございますか。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
これは今、日野委員とのお話の中では、いわば司法書士会側の問題あるいは司法書士の仕事の問題という形で、かなり議論が深められてきたと思いますが、登記事務に携わる法務局側として、この法人化という形で受け皿をこしらえていく意味というものがあるのかないのか、この辺はいかがでしょうか。
#195
○枇杷田政府委員 登記事務を所掌いたしております登記所の立場から見ますと、法人ができるかできないかということについては中立てございます。一番関心がございますのは、公共嘱託関係の登記の書類がきちんと整えられたものとして提出をされる状況になるということを一番歓迎しておるわけであります。従来は、そういう関係におきまして、ほかの書類と比べますと、公共嘱託関係の書類がどうもやはり専門家が目を通していないだけに問題があって、いろいろ書類の行き来が行われるというふうな状態になっているわけです。したがいまして、その公共嘱託の関係に司法書士、調査士が入って、そして少しでも書類がきちんとでき、あるいは申請書が法律的に整理をされるという状況になるということに関心を持つ、そういう状況になるために法人が必要ならば、それについても関心は持たないでもないというのが、登記事務を所掌する登記所の見方だと思います。
#196
○天野(等)委員 ということは、いわゆる公共嘱託登記に司法書士あるいは土地家屋調査士というような専門職の方の手が入ることが、やはり法務局側としては望ましいことだというふうにお考えになっていられるということでございましょうか。
#197
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。書類を見ますと、いろいろ不備なものが多いわけでございますが、専門家が中で見るならこういうふうな不備は当然生じないであろうというようなことが非常によく見られるということから、専門家の介入が望ましいという考え方に立つものでございます。
#198
○天野(等)委員 その点で、例えば登記の申請の補正の率といいますか、そういうようなものについて具体的に調査をされたことはございますか。
#199
○枇杷田政府委員 一部の局である一定期間調査をしたことはございますけれども、ちょっと小規模でございまして、また、少数の局でございますので、ちょっとここで御発表申し上げるほどのことではございませんが、ある程度の数字はあります。それによりますと、補正といいますのはちょこっと直せばいいという程度のミスでございますが、そういうものにつきましては、公共嘱託と一般の事件とでもそう顕著な違いはないのでございますが、取り下げでございますね、これは、ともかくちょっと直すだけでは済まないから書類を持ち返ってもう一遍やり直してきてくれという式のものでございます。こういうものを見ますと、公共嘱託の関係の書類が圧倒的に多いという状況になっております。
#200
○天野(等)委員 どのくらいの率で、どのくらいの違いがあるかというのはわかりませんか、あるいは大ざっぱなことということでもよろしゅうございますけれども。
#201
○枇杷田政府委員 何分にもわずかのデータでございますので、これが全国的な姿であるとは言いがたいのでございますけれども、普通の事件ならば十のものなら、公共嘱託の関係については二十近くというふうな割合であるというふうになっております。
#202
○天野(等)委員 取り下げ事件あるいは補正というようなものになると、登記所、法務局等の負担といいますか、そういうものもかなり大きなものになるということは考えられますか。
#203
○枇杷田政府委員 それは当然そういうことに相なります。
#204
○天野(等)委員 この協会という形の法人の目的のところを見ますと、法文でいきますと十七条の六ですか、「司法書士は、」あるいは調査士法の方は「調査士は、」となっておりますが、「その専門的能力を結合して官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者による不動産の権利に関する登記の嘱託又は申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として、」ということがあるわけです。
 この場合の公共性なんですけれども、ここで言われているのは、事業の公共性ということは言われておりますけれども、それだけで果たして民法三十四条の公益法人の目的として十分なものなのかどうか。むしろ、官庁、公署の仕事をやるからその仕事に公共性があるというだけでは何となく足りないのじゃないかという感じもするのですが、その場合に、そういう事業の迅速な実施に寄与していくといういわば主体的な仕事、そういう点にもやはり公共性というものがないといけないのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#205
○枇杷田政府委員 おっしゃるとおりだと思います。官公署の仕事自体をやるわけでございますから、その面で公共性がございますが、それだけでは十分ではないだろう。その公共事業を全体として完結して推進させる、公共事業そのものに関与していくのだということと、それから、その結果のいわば成果、新しい権利関係が安定して定着していくというふうなことに寄与していくというところに公益性がある、その全体で公益性としては十分ではないかという考え方を持った次第でございます。
#206
○天野(等)委員 先ほどの日野委員の、司法書士の仕事の公共性という意味、個人的な仕事としての司法書士の仕事ということの公共性ということもわかるのですが、同時に、やはり一つの公共的な事業を行う場合に、一人一人の司法書士の力ということだけではなくて、それを共同させて仕事をしていく。共同したからといって、それで即公共性がなくなるというものでもないし、司法書士の仕事でなくなるというものでもないように私は思うわけですけれども、ただ、それを法人という形で行った場合にどうなるのかというあたりが恐らく先ほどの議論だったろうというふうに思ってお聞きしておったわけです。
 私は、この協会という法人については、そういう協会の仕事そのものが公共の事業の迅速な実施に寄与するという公共性を持つものだという点をかなり強く持たせておかなければいけないのじゃないか、そうでないと、なるほど確かに、仕事の量をふやすということだけに終わってしまうのだとすれば営利法人という見方をされてしまうところも出てくるのじゃないかと考えるわけでございますが、いかがでございますか。
#207
○枇杷田政府委員 それは全く私どもも同感でございます。先ほどは営利の面からどうかという側面でお答えすることが多かったのでありますけれども、公益という面からとらえますと、ただいま天野委員が御指摘のような公共性というのは十分にあるのだ、むしろそれによって仕事がふえて潤うという面は事実上あるにしても、それは結果の話であって、司法書士のあるいは調査士の使命から来るところの国民の権利の保全、司法秩序の確保というような側面からの仕事をするのだというところが第一義的にはとらえられていいことではないかと思っております。
#208
○天野(等)委員 本来、非営利である司法書士の仕事それから土地家屋調査士の仕事というようなものだと思うのですよね、仕事自体は非営利なものでありますから。だから、そのことの仕事がふえるということ自体は、必ずしも私は営利性だとは思わないわけで、そういう点で私、一番最初に、司法書士の仕事あるいは土地家屋調査士の仕事がこの公共嘱託登記事件に関与することが望ましいのか望ましくないのか、公共性という観点から見てどうなのかということをお尋ねしたわけなんで、とすれば、私は、当然、個々の司法書士、土地家屋調査士の仕事がふえること自体も国民的に見ればやはりメリットなのではないかというふうにも考えられるわけですけれども、こういう点はいかがでございますか。
#209
○枇杷田政府委員 そういうふうな角度からとらえることもできようかと思います。
 ただ、登記所側の方から申しますと、先ほど申しましたように書類がきちんと整って間違いのないものが出ていくことが望ましいという面から申し上げたわけでございますが、国全体から見ますと、そういうふうな状況になるということは、国民の全体の権利の保全という面から非常にいいことではないか。
 ちょっと敷衍いたしますと、官公庁の嘱託の登記の中にはいろいろな種類がございますけれども、多くのものはいわば司法書士の依頼人である官公署とは関係がない第三者の中での権利関係の移動、土地区画だとか土地改良などをお考えいただければよくおわかりになると思いますが、そういう要するに自分の依頼者でない第三者の権利関係を安定させるというような形の仕事が公共事業には多いわけでございます。そういう面から申しますと、やはり公益的な意味での仕事の一翼を担っておるということが言えるのじゃないかというふうにも思っております、
#210
○天野(等)委員 そこで、問題を前に少し戻そうかと思うのですが、司法書士法の登録の移譲の問題ですけれども、これをどういうふうな観点からお考えになっていらっしゃるのか。確かに臨調答申の中に出てくるわけですけれども、先ほども、実際としてこの登録移譲が行われたとしても、法務局の実際の仕事量にそう変化があるわけのものでもないのだというお話がありましたけれども、その点で念を押しておきたいのですが、この登録移譲が行われることによって法務局の定員の削減だとかあるいは予算の削減だとかというものは起こり得ないというふうに考えてよろしゅうございますか。
#211
○枇杷田政府委員 この登録の仕事が法務局の仕事でなくなりましても、私どもとすれば、それは計算上ちょっとまとまった数字になるような事務量ではないと思っております。五十局で分散してやっておりまして、そのために職員が張りついているわけでもございませんし、事務量としては法務局の中では微々たるものでございます。したがいまして、これが定員削減につながるようなものではない。それから、何がしかの経費が要らなくなることも、それは紙代が要らなくなるとかいうこともございますけれども、予算上もこういう登録事務のための経費が特に設けられているわけではございませんで、一般的な事務経費の中でいわばまとめてつけられているような予算でございますので、厳密に言えばそれは一庁で千円かそこらのものは経費減になるかもしれませんが、予算上に影響を及ぼすような、そんなものではないと思っております。
#212
○天野(等)委員 この登録が司法書士会あるいは司法書士会連合会に移譲されるということですが、一方で、その会員に対する秩序の維持といいますか懲戒権、これは相変わらず法務局の手にあるわけですね。やはり団体の自主性、自律性という観点から見ますと、入会のときの審査は団体が行う、しかし、団体員に対する規制は団体ではできないというのはどうも不自然な気がするのです。確かに、税理士法にしましても公認会計士法にしましても同じような規定にはなっていますけれども、どうも私その点で釈然としない。なるほど除名まではどうかという問題はあるにいたしましても、何らかの懲戒規定というようなものが団体内部の法としてあるのが当然じゃないか。現に民法法人の場合にはそれができるわけだと思うわけですよ。なぜ団体に懲戒規定を持たせないのか、その辺、もう一度御説明をいただきたいと思います。
#213
○枇杷田政府委員 懲戒もいろいろな程度がございますけれども、一番重たいのが、現行法で言いますと「登録の取消し」、今度の法案では「業務の禁止」でございますが、そういうふうにしてある国が与えている資格を全く剥奪する、あるいはその資格が効果を発揮しないような状態をつくり出すというふうなことは重大なことであります。業務の停止にいたしましても、国が与えている資格を十分に使えないというような状況でございまして、かなり重たい行為でありまして、これは本来的には国の行政権の行使の問題だというふうにとらえるべきものだと思います。したがいまして、もともと国にあるべきか団体の方にあるべきかということからいたしますと、こういう業法における懲戒処分制度というのは私は本来行政権に属すべき事柄である、だから、団体に渡す場合には、その団体に特に移譲するというふうなことが必要な性格のものではなかろうか。登録でも同じことだと思います。
 移譲することが適当かどうかということでございますが、私は、そういうような非常に重たい行為までも移譲するということは、理論的に全く不可能だとは思いませんけれども、現段階ではかなり妥当を欠くことではないか。現に弁護士法以外ではそういう懲戒権の移譲を受けているというところはないわけでございます。
 それからもう一つは、この懲戒を受けるにはいろいろな事由がございますけれども、一番関心が持たれるのは、いわばそういう資格があるという立場に立っていながら、また、独占的な状況に置かれていながら、そういうことをむしろ利用してといいますか、そういう立場にあって国民に迷惑をかけるといいますか、そういうことをする者についてどう制裁を加えるかということが懲戒として一番大きな命題になろうかと思います。弁護士の場合でもそういうことが言われているわけですが、そういう場合にそれをまた自律的にやるという場合には、かなり公正な、いわば同業者擁護的な要素はなくて、第三者と同じように専ら厳しい目で処理をするための準備がなければいけない、またそのための手続もなければいけないということになってこようかと思います。
 そういうようなことを考えますと、弁護士会ではその例があるわけでございますけれども、一般にまだ日本の業界でそこまでというふうなことが国民からゆだねられるという評価までいっているかどうかについて私疑問があると思います。私は、理想形といたしますと、司法書士会、調査士会もそこの信頼まで受ける程度に自律性が高まり意識が高まり、毅然たる態度をもって処理できるようになることが望ましいことだと思いますけれども、少なくとも現段階では、懲戒権を移譲するというのは先ほど来申した二つの面からいってとても考えられないところだ、そのように考えております。
#214
○天野(等)委員 今度のあれによりますと、最も重い業務の禁止ですか、それはともかくとしまして、そうじゃない形で、例えばこの司法書士会連合会というのは目的としてもその中の業務としても司法書士の品位保持に関する規定というようなものも持っているわけですね。一方でそういうものを持ちながら、それを会員の中で自律的に規制させていく手続を持たない、いわば懲戒委員会的なものも持たないということになっているのだと思うのですが、その点ではもう一歩自律性を進めてもいいのじゃないか。それから資格剥奪という問題がありますけれども、この法案によりましても、例えば法務局の懲戒処分によっても完全に司法書士あるいは調査士の資格を剥奪してしまうという処分ではなくて、業務を禁止するという形になっていると思うのです。したがって、もう一遍試験を受け直さなければならないというものではなく、三年間経過した場合に再登録される道が残されているわけで、その点ではそれなりの配慮がされている懲戒処分だろうと思うわけでございます。
 そういうことを考えますと、確かに心配はあるのかもしれませんけれども、私としては内部的な規律ということもこの新しい法律ができる際に考えてもよかった事柄ではなかったのか、一歩踏み出してみてもよかった事柄ではなかったのかという気がするわけですが、自律性を強めるための何らかの綱紀保持の組織を会の内部につくっていくというような方向は考えられませんでしょうか。
#215
○枇杷田政府委員 私どもの考えでいる方向としては、ただいま委員のおっしゃった点とそう違わないと思います。できるだけ会そのものが会員の品位保持と業務内容の向上のために指導、連絡するということが会の目的でございますから、自律の状態で綱紀が守られていくことが最も望ましいものでございます。したがいまして、懲戒というのは刑事規定で申しますと刑罰に当たるようなものでございますので、そうしたことにならないように、いわば予防的なこととかあるいはちょっと虞犯的な問題についてはみんなで注意し合ってやっていく、そういう保護的な観点で処理されていくのが一番望ましいということは考えております。それは自主性とかどうとかということよりももうちょっと前の問題なのかもしれませんけれども。
 そういうことから、会の中に綱紀委員会をつくっていただく、それは各会いずれもつくられておって、かなりの活動をしております。それから五十三年の改正であったかと思いますが、司法書士法で申しますと十六条の二のところに、会は会員に対していろいろな指導をしたり注意勧告をするというふうなことの明文の規定を置いておるわけです。そして、正式に注意勧告していく。懲戒処分的に申しますと訓告、正規の懲戒処分ではないけれども、その一歩手前の訓告的なものでございますが、こういうことによってなるべく内部の相互の助け合いみたいなことも含めて処理をしていくという方向をつくっていくことが何よりも大切である、懲戒の事案にならないような状態にするということをまず最初にやるべきだということで、その辺が自主とか自律性が一番発揮される場だろうと思っているわけです。そういうことがだんだんと育ってまいりまして、そして先ほど申し上げましたように、公正に切るものは切るということが厳正にできることがだれから見ても疑いを持たれないような形に会が育ってまいりましたならば、それはまた将来の問題としては懲戒権を全部とまでは言わなくても一部の移譲が考えられなくはないと思います。その方向としては、私はただいまの委員のお考えとそう違う考えを持っているものではないと思っております。
    〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
#216
○天野(等)委員 これは司法書士あるいは調査士を利用される依頼者としての一般国民、あるいはそれとの関係で依頼関係には立たなくても、対立関係に立つような場合もございますから、そういう一般国民の側から見ても、司法書士、調査士の仕事に不服がある、それを会に申し立てをする。綱紀委員会があることは私も存じておるのですが、ただ、綱紀委員会自身が強制的な処分権を持ちませんから、一応話は聞いてくれるけれども何となくうやむやになってしまうのじゃないかという感じがなくはないように思うわけです。そういう意味ではもう少しはっきりとした、この段階までは綱紀委員会である措置がとれるというようなことをもう一歩考えてやっていけたらと思うわけです。
 これについても、必ずしも懲戒、この法案でいきましても業務をやめさせることはともかくといたしまして、これはできないかもしれませんけれども、それ以前の段階の懲戒処分ならばあるいは内部的な会則を改めることでも運用可能じゃないかと思うわけです。そういうところで、むしろ綱紀委員会なら綱紀委員会の性格をはっきりさせた方が国民一般にとっても利益じゃないかと考えるわけですが、いかがでしょうか。
#217
○枇杷田政府委員 懲戒権の問題は別といたしましても、おっしゃるとおり、綱紀委員会の性格をはっきりさせる、場合によっては今申し上げました十六条の二との結びつきとか法務局の監督権の発動の問題との結びつきという面でよりはっきりさせるというようなことは十分考えられるところでございます。
 両連合会の意見も聞きながら、私どもでできること、あるいは会の内部でできることというのは十分に考えて、なるべく自律の範囲内で懲戒までに至らない、ちょっと何かがあっても注意勧告で始めて自粛を促して是正していくという方向でおさまるように持っていきたい、そのために綱紀委員会が本当に充実したものになってほしいと私は思います。
#218
○天野(等)委員 そこで、また公共嘱託の関係の方に戻りますけれども、この法案を読んでみましても、協会というものの実体が余り鮮明にはイメージとして浮かび上がってこないというのが事実だろうと思うのです。例えばこの協会と単位会とが、単位会というのは各司法書士会なり調査士会ですが、どういうふうな関係を持つようになるのだろうか。協会の仕事は協会の仕事、単位会は単位会ということで切り離して考えていくということなのか、あるいは単位会に入っている人にとっても、原則、協会に入ってもらって、公共嘱託の仕事についても公共性という観点で協力をしてもらうということが望ましいことなのか、その辺はどういうふうにお考えなのでございますか。
#219
○枇杷田政府委員 これは各会でいろいろ事情もあるだろうとは思いますけれども、この法案自体でも協会に加入したいという方は拒んではいけないという原則をうたっているわけでございまして、私は、なるべく全員あるいはそれに近い人に協会に入ってもらうということが望ましいのではないかという感触は持っております。ただ、どこまで強制できるかどうかはわかりません。
 そういう関係につきまして会とのつながりがまた問題になるわけでございます。会員と協会の社員とが全く同じになってしまうということになりますと、全くダブった組織のようにもなるわけでございますが、ただ性格は全く違うということになるわけでございます。しかし、性格は違うけれども、社員と会員が全く一致いたしますと、何かこの協会が会の中の一つ事業部みたいな、そんな感じになることはあり得ようかとは思いますが、あり方といたしますと、そういう会の事業部的なものではなくて独立的な法人だというふうな目で見たいと私どもは思います。ただ、会と独立はしていてもいわばそっぽ向き合うという関係であっては困る。したがって、お互いに意思が疎通し、全体の司法書士制度がその地域においてうまく動くかどうかということに会は関心を持つわけでありまして、そういう面で、協会が妙な動きをしないようにということについては重大関心事があるだろう、それゆえに助言制度というものも設けたわけであります。また、会から連合会へそういう問題があれば上げてもらって、それをまた法務大臣が主務官庁として公益法人である協会を監督する際の目のつけどころを連合会から指摘してもらうという形でつながりがついていくのじゃないかという感じがいたします。
 したがいまして、お答えになるかどうかわかりませんが、要するに独立な会、独立な法人として見るのだけれども、非常に密接な関係があるし、会の方から見れば、協会は一種の会員と同じような立場にあるわけだから、制度全体としてまずいことになりそうだという場合には十分に助言もするし、あるいは主務官庁の方を通じてそういう意見を述べて是正を求めるというふうな立場に置くということがありようとしてはいいのじゃないか。実際にやってみませんとどうなるかわかりませんけれども、大体そんなようなことを基本に置いてこれからの出発を迎えることにしたいと思っております。
#220
○天野(等)委員 それに関係してですけれども、法務省としては独禁法との関係は御検討になられましたでしょうか。
#221
○枇杷田政府委員 独禁法との関係も検討はいたしました。そういうことから申しますと、この公益法人ができたからといって、公共事業関係の登記嘱託はほかの者ではできないというふうなことにしているわけではございません。むしろ今までも個人で受けている者はそのまま続けられてもいいし、また新しい個人の方が官公庁と話をつけて仕事をするといっても別に差し支えない、そういう意味では全く排他的なものではありません。それからまた、この公益法人自体も、結果として一つになるかもしれませんけれども、法律としては複数つくってはいけないというふうなことにしているわけでもございません。そういう意味で独禁法の関係からの問題はこの関係についてはないというふうに考えております。
#222
○天野(等)委員 今度は協会と社員との関係という点ですけれども、まず、協会の定款等については法務省が直接認可をすることになるのでしょうか。
#223
○枇杷田政府委員 これは設立の認可をする際に当然定款は出していただきます。その定款がよろしいということが前提になって法人の認可になるわけでございますから、当然法務省の方に提出して、私どもがそれを判断するということになります。
#224
○天野(等)委員 協会と、社員個人としての司法書士、社員である司法書士との競業関係については、例えばこれを禁止するというような形で定款がつくられた場合にはどうなんでしょうか。
#225
○枇杷田政府委員 今のお話は、社員である司法書士が要するに個人として協会からの、下請という言葉はおかしいですけれども、配分としての仕事ではなくて、個人として官公署から公共嘱託の登記の事件を受けてはいけないというふうな規定を置いたらどうかという御質問でございますか……。
 その点につきましては、そういうふうな縛りをかけなければこの法律で決めている公益法人の目的というものが達成できないというものでもありませんし、むしろ公益法人をつくった趣旨をかなりはみ出すことになると私どもは思いますので、またそれは、そういう具体的な定款を出していただかないとあれでございますが、私どもはそういうような定款の規定は疑問ではないかな、今の段階ではそう思っております。
#226
○天野(等)委員 たしか監査法人の場合には、法人とそれを構成している公認会計士との間で競業が否定されているという規定になっていると思うのですけれども、そういうふうなこともどうなんだろうか。あるいはその場合に法人をやめてもらうというようなことになるのか、ならないのか。具体的な協会の運営の中身まではまだ踏み込んでいないということなんでしょうか。
#227
○枇杷田政府委員 まず協会の性格論もあろうかと思うのでありますが、ただいま御指摘のような監査法人のようなものは、これは、一種の同志的結合などというと少しオーバー過ぎるかもしれませんが、気持ちの合った者が集まって、そしてその信頼関係に基づいてその法人を動かしていくというような性格のものでございます。したがいまして、競合の問題もありますし、それから、新たにだれか加えるとしても全員の合意が要るのだというようなことが出てくるわけでございます。ところが、今度私どもが考えています法人というのは、そういう個人的な信頼関係に基づいてということではなくて、いわば公共事業の一環を担ってその成果の安定を図っていくという、そういう公益的な目的に結集するという形でとらえているわけでございます。したがって、だれでもそういう趣旨に賛同して入ってくるという者は拒んではいけない性質のものなのだということでございまして、別に閉鎖的なそういうふうなことは考えていないわけです。したがって、加入の関係でも競合の関係でも、そういうことと抵触しない限りはもちろんいいことじゃないかというふうに思っているわけでございまして、これからどういうふうな定款が出てくるかわかりませんけれども、そういうような線でひとつ見てまいりたいと思います。
#228
○天野(等)委員 法務省の方で、例えば協会の標準定款みたいなものを一応案としておつくりになるというようなお気持ちはございますか。
#229
○枇杷田政府委員 これからこの法案が通りまして、具体的に各地方で協会を設立していきます場合に、いわばそれを指導したり助言をしたりするというようなことは、現在、公共嘱託登記の関係の連合委員会というのがありますが、そういうところとか、あるいは両連合会とかがいろいろな指導的なことを実際上やっていくのではなかろうかと思います。両連合会が中心になってやっていくのではないかと思います。ですから、各協会の方でも、どういう定款をつくったらいいかというのを、五十会なら五十会がそれぞれに考えるというよりは、何かモデルが欲しいということに多分なってくると思います。そういうことを予想して、面会の方でもそういうことのモデル定款みたいなものの素案づくりを始めているというふうに伺っております。恐らくそれについて面会の方で、ある素案がまとまってきた段階では私どもの方にも、ちょっと何か意見があるか聞かせてほしいというふうなことでおいでになるのではなかろうかと思っております。ですから、そういう際には十分ざっくばらんにお話し合いをして、モデル定款をつくる主体は恐らく連合会になると思いますけれども、私どもの方もその段階で、後で混乱が起きないように、意見の交換は、もし求められれば十分すべきじゃないかというふうに思っております。
#230
○天野(等)委員 この協会という法人組織が考えられてくる前段階として、現在現実に機能している公嘱委員会ですか、そういうようなものがあると思うのですけれども、これが現実にどのくらい仕事をしているのか、公共事業関係ですね、その点いかがでございましょうか。
#231
○枇杷田政府委員 これは両連合会の方でつくっておられます公共嘱託の連合委員会の方からいただいた資料でございますけれども、それによりますと、昭和五十八年に、各地区におきます受託の委員会を通して扱われた事件が十四万件ちょっと超える件数を扱っているようでございます。それの報酬額といいますか、契約額といいますか、そういうものは十七億九千三百万円というように伺っております。
#232
○天野(等)委員 これは、今全都道府県漏れなくできておるのでしょうか。あるいはこういう形で仕事をしていないというところもかなりあるのでございましょうか。
#233
○枇杷田政府委員 何らかのものがあるというのは全国でございますが、ちょっと形が違っているものが二、三あるようでございます。
#234
○天野(等)委員 この公嘱委員会というのは、司法書士会と調査士会と双方が一つになって仕事を進めているという例が多いのだと思うのですけれども、今度できる協会については、そういう二つの組織の連合体といいますか共同の場というようなもの、そういうものは考えておられるのでしょうか。
#235
○枇杷田政府委員 この協会を各会といいますか、司法書士は司法書士、調査士は調査士ごとにつくるべきか、あるいは現在の受託の委員会というものが各県単位で面会の連合的なものがほとんどでございますので、そういうふうに合わせたものにすべきかということについてはかなり議論がなされております。その結果、利害得失それぞれあるわけでございますけれども、結局面会の方の結論といたしましては、別々の協会にすることがやりやすい。これは、先ほど来申し上げております会との助言協力関係とか、それから各業法の規制とかいうことになりまして、法律的にきちんとなりますと、どうも一本ではかえって混乱することが多いのじゃないかというふうな議論もある。実際の仕事の上では一本にまとまった方が受託しやすいという面もあるのですけれども、結論といたしましては別々にということになったわけであります。
 しかしながら、もともと現在でも一緒に委員会をこしらえてやっている間柄でございますから、法人としては別々なものができましても、官公署との関係でのあれでは、関連する仕事についてはいわば一緒になって折衝して、そして契約はそれぞれの分野に分けて契約するのでありましょうが、実際上は一つになって動くという場面はなくなりはしないだろうし、ある場合によっては、むしろそれを進めないと注文がふえないということもあろうかと思いますので、法人は別々にしましたけれども、全く縁切りにするという趣旨では毛頭ございません。
#236
○天野(等)委員 確かに、もともと表示の登記と権利の登記という非常に密接な関係を一つの流れの中で処理をしていくということが、やはり公共事業に関係する仕事の迅速な処理という点で重要な点だろうと思いますので、そういう点も、やはり今後とも指導性を発揮していっていただきたい一つの面だと思います。
 ただ、今もお話が出ましたけれども、受注という面でどうなのだろうかということを私はちょっと心配をするわけです。先ほど来、実は営利性の問題でもお話がありました。現実にこの法人自体で補助者を雇ったりしてそれで仕事をしていくというふうに考えられる、そういう組織なのか。あるいはいわば受注機関であって、それで仕事についてはむしろ個人の司法書士、あるいは従来も受託団ですか、現在、委員会制度の中でも受託団というような形の受け皿で、ある人数の方たちが共同して仕事をしていくという形があると思うのですが、そういうふうなものをイメージとして考えておられるのか、その辺はいかがなのでございましょうか。
#237
○枇杷田政府委員 実際にどういうふうになるかというのは、私どもよくわからないところがありますけれども、現在のやり方が受託団的にやっておりますので、恐らく当面は少なくともそういう受託団的なものが協会の中に予定されておって、それが地域的とかあるいは場合によっては登記の種類別にということがあり得るのかもしれません。そういうふうな受託団ができて、それに応じた事件の配分をしていくということで行われるのじゃないかと思います。そういうふうな配分に関係いたしましても、基本的なことは定款で書くかどうかわかりませんけれども、協会の基本的な規則事項の中に決められていくのではないかと思います。そして、私どもの考え方としますと、そういう形で行くだろう、したがって協会それ自体、業務執行機関としての理事が直接嘱託書の作成とか添付書類の整理とかいうことをやるということは余り想定いたしておりません。
 そこで、理論としては、先ほども御質問があってお答えしたので、できなくはありませんけれども、そういうことは想定しないわけで、協会の補助者といいますか、いきなり、司法書士の補助者ではなくて、会社の補助者的なもの、これは全く想定しません。そういうふうなことをすればそれは禁止規定に触れると考えておるわけでございまして、司法書士であるあるいは調査士である理事がやることは理論的に可能だし、何か緊急に穴埋めしなければならぬという場合にはそういうこともあるいは補充的にはあるかもしれませんけれども、基本的には受託団であるような構成のものに仕事が分けられて、そこの司法書士あるいは調査士が自分のところの事務所の補助者を、補助的に使いながら仕事をしていく形態が考えられる、少なくとも出発当初はそういうことでいくだろう、そして恐らくそのことの基本原則は余り変わらないのではないかと予測しております。
#238
○天野(等)委員 そうなると受注が一つの窓口になるということになると思うのですけれども、ただ、受注等について協会の実務を担当する者、これは理事が直接担当するかあるいは事務職員が担当するかその辺の問題はあるかもしれませんが、そういう経費がかえってかかってくるだろうと思うのですが、こういう協会の運営自体についてはどんな形で費用負担を考えておられるのでしょうか。普通、一般社団の場合ですと、会費といいますか、社員からの拠出金で通常の経費を賄っていくということになるかと思うのですけれども、この点はどういうふうにお考えになっておられますか。
#239
○枇杷田政府委員 そこら辺も私はよくわかりませんし、また、各会の事情によっても違ってこようかと思いますが、仕事が動き出してきますと、官公署からの受注があって、それに対する仕事をして対価として入ってくるという状態になりますと、その中から事務費が落ちていくということが主力になるのではないかと思います。しかし、それだけに頼っているわけにもいかないかもしれません。それからまた、そういう回転がきくまでの間の事務費というものも当然要るわけでございますから、社員の会費制度というものも採用されることが十分に予測されると思います。そのほかに有志、そういう者からの一種の寄附、そういうようなものもあるだろうと思います。あるいは会の方から若干財政的な援助、寄附なのか貸し付けなのか知りませんけれども、そういうふうなことも行われる会もあるのじゃないかという気がいたします。
 いずれにいたしましても、事業としての嘱託の仕事がスムーズに動いていくようになればそのこと自体の中から事務経費というものが支出されるのが原則になるだろう、ほかのものは補充的なものになるだろうと思いますが、当初はそれがございませんのでちょっと変則的な資金繰りというものが必要になるのじゃないかと思います。
#240
○天野(等)委員 受注の場合の価格の問題なのですけれども、法人も司法書士あるいは調査士資格を持つわけですね、仕事ができるということですから。そうなると当然、一応今決められています手数料、費用の標準額、そういうようなものの適用は受けることになるのでしょうか。
#241
○枇杷田政府委員 今、司法書士、調査士の報酬額を会則で決めております。したがいまして、今度の協会は会の会員ではございませんので会則の適用は受けないわけであります。しかしながら、個人の司法書士、調査士が公共嘱託を受けることができるわけで、その場合にはその会則の適用が一方であるわけでございますから、協会それ自体は会則の適用は受けませんけれども、実際上はそれによって一つの標準的なものが出てくる根拠にはなろうと思います。
 それから、今度は協会が個々の受託団的な司法書士、調査士に仕事を分配して、そしてそれに報酬を与える。その報酬については会則が働いてくるわけであります。そして、現在の会則の原則を申し上げますと、いろいろな事件の種類ごとに若干累進制をとっておりますけれども、一定額が決められておるわけでありますが、官公庁等のものについてはそれとは別途のものでいい、それは会長の承認を得ればいいということをいたしております。
 これは少し余談になりますけれども、なぜそういうふうな一律な決め方をしてないかといいますと、これは一律な決め方ができないというものもありますが、同時に一般の市民が相手ではございません。相手が官公署でございますから、そんなにべらぼうな報酬をふっかけられて後で泣くというふうなことは予定されない、合理的な範囲内でやる十分な力を持った当事者であるということ、それから大量な事件を一括して受けることになりますので、事務量が通常の一件とかというふうな形での積算では間に合わないということがあります。それからまた、実際に大量にありますので、いわば詰めた仕事がずっと継続的にありますのでコストダウン、コスト安にもなるというふうなことがあります。そういうふうなことから、公共嘱託の関係については別段の料金で会長の承認を得てもいいということになっております。したがって、おおむね通常の一般国民との間で委託を受けるよりは安目の契約がなされておるはずでございます。これからも多分そうだろうと思います。官庁との間でもそうで、協会との間でもそうなので、そこからまた必要経費を落とすような形で、各会員の方に行くそういう報酬額はまたさらに一件一件を一般市民の人から受けるよりは格安なことになるということになっていこうかと思いますが、報酬の決め方といいますかあり方というのはそういう仕組みで動いていくことになると思います。
#242
○天野(等)委員 これは平均するとどの程度一般のあれよりも安くしているのですか。そういう平均のあれはないのですか。
#243
○枇杷田政府委員 これは私どもの方ではちょっとつかまえにくい、しかも先ほど御説明申し上げましたように、ちょっと比較しにくいという要素があるわけでございます。要するに類似の一般事件というものがつかまえられますと比較がでさるのですけれども、そうでないものがございますので、ちょっと一般的にどれくらいか、感じとしては安い、低目だというふうには伺っておりますし、多分そうだろうという想像もしておるわけですが、具体的な数字はつかんでおりません。
#244
○天野(等)委員 これは相手が官公署ということになってくると、予算との関係でも価格というものが抑えられてくる。ただ、その場合に、司法書士会では司法書士の仕事というものの公共性から標準的な価格が定められていると思うわけですけれども、一方で協会の方が、ダンピングと言うと悪いですけれども、低い値段で受注をしていくということになると、今度は逆にそのことが個々の司法書士の人にとっての収入ダウンというものになってきはしないか。そういうところでやはりこの標準の価格というものもある程度は考えておくといいますか、そういう対応というものも必要なんじゃないかというふうに思うのですが、いかがでございますか。
#245
○枇杷田政府委員 確かに協会の方が非常に安い価格で引き受けてしまって、それを個々の司法書士、調査士の方に押しつけて出血の仕事をさせるということになっては大変だと思います。そうでなくても、余りいい料金を取ってもこれまた問題だとも思います。しかし、手ごろな料金というのか適正な料金というのはどれぐらいかというのは実はわからない面がございますが、おっしゃるように全国一律というわけにはまいりませんでしょうけれども、あるいは関係する省庁、本省、そういう機関等で予算の組み立ての仕組みなどに基づくアドバイスなどを受けながら、これぐらいのところがいいではないかというめどを中央で、両連合会を中心としてだと思いますが、そういうめどをつけて、そして参考として各協会の方に流していく、そしてそれを一応頭に置いた上で官公署と折衝していくというふうなことができる方が私は大変スムーズにいくだろうと思います。そういうふうな手だてができるかどうかわかりませんけれども、連合会でもそういうふうな方向にしたい。現にやっております委員会でもそういう努力もしておるというふうなことも聞いておりますので、これからもそういう面について努力をしていくだろうと思います。私どももできる限りは側面的な協力はしてまいりたいと思います。
#246
○天野(等)委員 これは協会の連合体みたいなものは考えていないのですか。
#247
○枇杷田政府委員 この法案自体ではもちろん考えているわけではございません。ただ、できた暁には恐らく何かそういうふうなものが各協会でも欲しいというような声が上がってくるのではないかと思います。そうでなくても恐らく連合会自体がそういう各単位会を掌握することを通じてということになろうかと思いますけれども、いわば協会のまとめ役とか世話役とかいうふうな立場で動いて、今も、準備段階でも行動されるだろうと思いますし、できてからもそれを引き続きおやりになるだろうと思いますが、ただそれだけでは足りなくて、何かの連合体みたいなものもきちんとつくろうという動きがあるいは出てくるかもしれません。そういう場合には私どもの方ではそういうものをつくってはいかぬということではありませんで、むしろ合理的にスムーズに協会が足並みをそろえて育っていくというふうなことのための方策はむしろ歓迎すべきことだと思っておりますので、何かそういう面で私どもの方でも協力できることがあればもちろん協力するにやぶさかでないと思います。
#248
○天野(等)委員 この協会ができるとしますと、個々の司法書士にとっては今度は巨大な協会という組織が、しかも独自に司法書士資格を持って仕事ができるという形が生まれてくるわけであります。先ほど競業のこともちょっとお尋ねをしたのですけれども、これが巨大になり、そのことで逆に個々の司法書士の仕事が圧迫をされたり、あるいは協会の費用や留保金というようなものだけがふくれ上がって、個々の司法書士の収入にとってはむしろダウンしてくるというようなおそれも私はないとは言えないように思うわけです。先ほど日野委員の方からも話がありましたけれども、基本的には一人一人の司法書士あるいは調査士の方々の仕事を守り、またその生活を守るということがあるわけでございますから、それにとってマイナスになっていかないように、そういう点での指導ということを法務省としてもぜひともお願いをしたいというふうに思います。
 時間が少しございますけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。
#249
○片岡委員長 次回は、来る十六日火曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十七分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト