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1984/04/16 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第15号
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1984/04/16 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第15号

#1
第102回国会 法務委員会 第15号
昭和六十年四月十六日(火曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 亀井 静香君 理事 高村 正彦君
   理事 森   清君 理事 天野  等君
   理事 岡本 富夫君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      塩崎  潤君    玉置 和郎君
      宮崎 茂一君    稲葉 誠一君
      小澤 克介君    山花 貞夫君
      中村  巖君    橋本 文彦君
      伊藤 昌弘君    柴田 睦夫君
      林  百郎君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務大臣官房審
        議官      稲葉 威雄君
 委員外の出席者
        参考人
        (日本司法書士
        会連合会会長) 俣野幸太郎君
        参考人
        (日本土地家屋
        調査士会連合会
        会長)     多田 光吉君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第四九号)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本日は、本案審査のため、参考人として日本司法書士会連合会会長俣野幸太郎君、日本土地家屋調査士会連合会会長多田光吉君の両名の方に御出席いただいております。
 両参考人には、御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本案について、両参考人におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきますようお願いをいたします。
 次に、議事の順序について申し上げます。御意見の開陳は、俣野参考人、多田参考人の順序で、お一人十五分以内に取りまとめてお述べいただき、次に、委員からの質問に対しお答えいただきたいと存じます。
 それでは、まず俣野参考人にお願いをいたします。
#3
○俣野参考人 参考人としてお招きにあずかりました日本司法書士会連合会会長の俣野幸太郎でございます。
 国会本院におかれましては、平素司法書士制度並びに司法書士団体に対しまして格別の御理解と御指導を賜り、また現に司法書士法の一部改正法律案につきまして慎重なる御審議を賜っておりまして、冒頭厚く御礼を申し上げる次第でございます。
 今次法改正の柱につきましては、既に御案内のとおり、公共嘱託登記受託組織の法人化及び登録事務の連合会への移譲、並びに法務大臣の許認可行政の簡素合理化の三点でございます。
 公共嘱託登記の受託組織につきましては、早く昭和四十七年から土地家屋調査士団体とともに、当時の国の土地政策を初めといたします公共事業を中心とした社会資本充実政策に沿いまして、国民の終局的な登記手続を私ども専門家が処理することによって国民の負託にこたえたいと考えたものでございます。自乗十二年余にわたりまして、とりあえずは人格なき社団としての公嘱委員会を全国に置きまして鋭意これが対応を図ってまいったものでございますが、嘱託登記の発注の入り口におきまして受託主体が法人格を持たないために大きなネックとなりまして、努力にもかかわらず必ずしも国民各位の負託にこたえ得なかった面があったわけでございます。そのためにどうしても受託組織に法人格をいただきたいということで逐年努力をしてまいりまして、集団的な処理、すなわち司法書士の個々の身分、資格を基盤といたしまして、さらには実体法的な基礎に民法第三十四条の法人という点に目標を置きまして、鋭意所管の法務省民事御当局と協議を重ねてまいったものでございます。何と申しましても、まだまだ国の施策としては社会資本の充実及び公共事業の充実という点はますます深められていく状況にございまして、一日も早くこれが法人を設立することによりまして法律実務家である司法書士が互いに連帯いたしまして、迅速的確にこれが嘱託登記を処理することにおいて国民の権利を保全いたしたいと念願するものでございます。
 次に、登録事務の司法書士団体への移譲の問題でございますが、これも私ども集団では早く、昭和三十九年以来、先輩が司法書士自治を目標に置きまして、何としてもみずからが自主的に司法書士の身分管理をいたしたいと念願してまいったものでございます。先般昭和五十三年法改正におきまして、本院においてもいろいろ御検討をちょうだいいたした次第でございますが、いまだその域に達せずということで前回の法改正には実現を見なかったところでございますが、幸い私ども内部におきましても、一層これが早期実現を要望する声が高まりまして、あわせて物的設備としての司法書士会館事務所の新設をも図るべしということで、昨年二月の臨時総会におきまして用地を確保することができました。五百坪の用地に高層の会館を三、四年以内に建設いたしまして、登録事務についてもその的確な整備を図りたいという域に達した次第でございまして、同じく所管法務省民事当局におかれましてはそのような状況をも踏まえまして、いよいよ国からこの登録事務を団体へ移譲するという御決断をいただいた次第でございます。
 第三の法務大臣の許認可行政の簡素化につきましても、逐年、御理解と御指導によりまして内部の充実を図ってまいりました。その自主性にかんがみまして、とりあえずは会則における会費等は自主裁量のもとに大臣の許認可から私ども団体自治にゆだねようという方向も決した次第でございます。
 以上三点につきまして、今申し上げましたとおり、私ども集団内部のみずからの発想と熱望によるものでございまして、これを実証するものといたしまして、去る一月十六日の連合会臨時総会におきまして、圧倒的多数をもってこれが法改正をお願いしようという内部意思を決定いたしたものでございます。
 戦後、司法書士法の改正は数次にわたりお願いしてまいりました。司法書士法の改正につきましては、私ども司法書士集団と団体におきまして、その都度、常にその時点に立ちまして過去を振り返り、みずからこれを厳しく反省し、いかにして国民各位の負託にこたえるべきであるか、法律職能としてよりベターな体制を整えるにはどうあるべきかということで熟慮、研究、努力をしてまいった足跡でございまして、その意味におきまして、司法書士法の改正は私どもにとりましては深い反省と新たな躍進へのモメントとなってまいったところでございます。今次の法改正に当たりましても、今申し上げました私どものみずからの熱意、また国民の負託にこたえようとする強い責任感、並びに現在の法治国家日本におきましての法律職能としてより充実した機能を果たしたいという状況のもとに、この法改正の実現、成立を心から切望をいたしておるところでございます。お手元の具体案につきましては、所管の法務省民事当局とも再三再四、時を割き、また問題点を描出し、いろいろと真摯な御検討をいただいてまいったところでございまして、価値観の多様化をもたらしております現代のことでございまするので、私ども内部にもいささか多様な考え方もなかったわけではございませんけれども、そのような検討を重ねていくうちに大いなる理解と共感を呼ぶことを得まして、集団一致の熱望点として法改正をお願いする段階に到達したものでございます。
 さような経過並びに司法書士自治、並びにそれを基軸にいたしまして、国民各位の負託にこたえ、国民の権利の保全に寄与いたしたいという念願をよろしくお酌み取り賜りまして、ぜひともこの改正法律案の成立を見ることができますよう先生方の格段の御理解と御尽力をお願いいたしまして、粗略でございまするが冒頭の申し述べる点といたしたいと思います。よろしくお願いをいたします。(拍手)
#4
○片岡委員長 ありがとうございました。
 次に、多田参考人にお願いいたします。
#5
○多田参考人 ただいま御指名をいただきました日本土地家屋調査士会連合会会長の多田光吉でございます。このたび、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして御審議をいただいております衆議院法務委員会において参考人として意見を述べる機会をいただきましたことを感謝申し上げる次第でございます。
 まず初めに、結論といたしまして、御審議をいただいております土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきましては、本国会においてぜひ成立されますよう特段の御配慮をお願いいたしたいと思うわけでございます。
 土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対して賛成する理由と、これまで対処いたしました経過の概要を申し述べ、御参考に供したいと存じます。
 御承知のように、土地家屋調査士制度は、昭和二十五年七月、法律第二百二十八号をもって制定公布されております。立法当時の趣旨説明によりますと、第一条に、「この法律は、登記簿における不動産の表示の正確さを確保するため、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることを目的とする。」としておるわけでございます。こうした基本構想は、制度の意図するどころとして、台帳の届け出自体が極めて正確であることを保証するために必要な制度として設けたと言われておるわけでございます。昭和二十五年税法改正に伴う土地台帳法、家屋台帳法が改正され、登記所の所管に移されたわけでございます。この登記所に移管されて、今まで税制の性格の台帳であったものが不動産登記の権利の客体を明確に公示する台帳としてその所管事務が登記所に移されるのに伴いまして、その正確性を期するためには所管する役所においてこの業務を行うことが適当である、しかしながら、人員あるいは巨額な予算を必要とするところから、調査士制度をしてこの正確な業務を行わせることが最も適当である、こうした措置によって制定されたと考えるわけでございます。したがって、土地家屋調査士は、日常業務におきまして行政が行う事務の一部を負担する職業である、こうした自覚に立って業務を行っているのが実情でございます。
 御承知のとおり、不動産の登記制度は不動産の表示に関する登記と不動産の権利に関する登記と別個独立した制度としているわけでございます。不動産の表示に関する登記は権利の客体である土地または建物の状況を明確にするための登記でありまして、不動産の権利に関する登記がされると否とにかかわらず、義務として表示登記をしなければいけないということになっておるわけでございます。したがって、登記簿の表題部に登記がなされていなければ権利の登記を許さないということにされておるわけでございます。こうしたことから、表示に関する登記につきましては現況把握による職権主義としているのに反して、権利の登記は書類審査主義をとっておるわけでございます。登記制度として不動産に関する権利を登記簿上明らかにするとしても、その権利の客体である不動産自体の物理的状況が登記簿上に明確に把握されていなければ、およそ権利が何らの意味を持つものでないということが言えるわけでございます。
 以上、登記制度の概要を申し述べましたが、このたびの法改正は公共嘱託登記事件の業務処理体制の整備をするためのものであって、その要因は、古く昭和四十七年四月に法務省から公共登記の嘱託が不適格なものが多く見られ、登記事務処理上一般事件処理に停滞を来しているのが現状であると報告され、この改善方策について協議をいたしまして、官公署における嘱託登記事件は非常に数が多うございますので、この大量な登記事件は個人資格による司法書士また調査士の個人事務所では事件処理が可能でないということから、法務省民事局の御指導のもとに日本司法書士会連合会と日本土地家屋調査士会連合会が合同いたしまして公共嘱託登記連合委員会を組織して、各単位会に対して公共嘱託登記事件受託組織を組織いたしまして、公共嘱託登記事件の適正、円滑、迅速な遂行を図り、公共事業の円滑な実施によって国民の権利保護に貢献をしたい、こうして整備を図ったわけでございます。
 全国的に見ますと、嘱託登記関係機関に対して積極的な活用の運動をいたしておるところでございますが、しかしながら発注官庁側からの意見として、契約上に法人格がないこと、責任の所在が不明確である、こうした提言がなされ、これが隆路となって所期の目的を達することができないような結果に終わっております。一応専門家集団がそうした姿勢を示したことに対しては理解が得られたとしても、まだ積極的に活用する方策がないということで、こういうような状況から、この際路解消に法改正が必要であるとして、日本土地家屋調査士会連合会の公共嘱託登記受託組織の法人化、この基本構想を公共事業の円滑な推進に寄与することを目的として設定いたしまして、昭和五十八年度の連合会総会に提案いたしまして決定いたしました。これをもって法務省民事局に対し早期法人格付与の要請をしてきたところでございます。制度の将来にまだ危惧される点も数あるわけでございますけれども、総会における一万八千名の会員の強い要請でございまして、法務省民事当局の御指導によって両連合会が合意いたしまして法人化の早期実現をお願いしているわけでございます。全国一万八千会員の要望とするところから、このたびの法改正案についてはぜひ成立をお願いしたい、このように思うわけでございます。
 次に、土地家屋調査士の資格登録の事務を日本土地家屋調査士会連合会に移譲する改正案について意見を申し述べてみたいと思います。
 両連合会においては、従来から資格登録を連合会に移譲することを要望をしてまいってきたわけでございます。たまたま政府の臨調の行政改革に関する最終答申において、許認可等の改善の一方策として行政事務の民間団体の活力の活用が提言されております。これに伴いまして、資格者団体の社会的地位を高め、資格者の資質の向上を図る観点から、行政機関の指導監督のもとに当該資格者で構成する団体等において処理させるということから、土地家屋調査士の資格登録事務を日本土地家屋調査士会連合会に移譲するための改正案となったと思うものでございます。また、調査士の補助者の承認制度は、本年三月、調査士事務所を管轄する法務局または地方法務局の長に届け出の制度として改正されておりますけれども、その際に連合会は調査士の使用する補助者については、各会の自主性を高めるためにも会に届け出制とするべきである、こうしたことをあわせて要望してきたところでございます。これらの受け入れについては十分検討いたしまして、適正に対処すべく既に準備を進めているところでございます。
 日本土地家屋調査士会は六月十三、十四日、定時総会を設定いたしております。この総会に、十三年にわたる要望を続けてまいりました法改正が成立され、報告できるとすればこの上ない喜びに存ずるものでございます。したがって、一万八千会員の要望としてぜひ本国会において成立をお願いいたしたい、このようにお願い申し上げる次第でございます。
 以上、簡単でございますが、意見として申し述べ、これをもって終わらせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
#6
○片岡委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○片岡委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高村正彦君。
#8
○高村委員 参考人の両会長におかれましては、貴重な御意見を聞かせていただきまして、本当にありがとうございました。
 まず、登録事務の移譲に関してお尋ねしたいと思うわけでございますけれども、このことは自主性の強化ということで大変結構なことだと思うわけです。しかし、受け入れということは、機構、運営あるいは事務等に大変いろいろな問題があると思うわけですが、この受け入れ体制の問題について御意見があれば両会長からお聞かせいただきたいと思います。
#9
○俣野参考人 ただいま高村先生から大変力強い御指摘を賜りまして、ありがとうございます。
 御指摘のとおり、受け入れ体制、即お言葉どおりの自主的な処理ということに相なりますと、本当にみずからの力と英知とによりましてこれを管理しなければならないという大いなる責務があると存じておりますし、特に入り口におきます登録におきましては、せっかくの激烈な司法書士試験を経る等並々ならぬ努力をされました国民の中からの選抜者をお迎えするわけでございますので、その責任はさらに大きなものがあると考えておりまして、この処理を的確、適正に行うということこそ司法書士制度への国民一般の信頼と理解を深めるものであろうと考えております。
 具体的には、今申し上げましたような本質的意義におきますチェックポイントは当然総力を挙げてこれを行わねばなりませんし、また現実の事務量におきましても現時点よりは相当量の増加を来すものと考えております。ただいま日本司法書士会連合会におきましては、本法案の御可決を期待いたしながら、コンピューターシステムの導入等につきましても検討を開始いたしております。既に現時点におきます会員の状況の把握もコンピューターのソフトに組みまして行ってはおりますが、今申し上げましたような意味におきます重大な責任を果たすためのより一層のソフト等も考えまして行いたいと存じております。
 さらにもう一点だけつけ加えますならば、いろいろな欠格条件等につきましての調査も十分でなければなりませんので、各司法書士会に調査委員会のようなものを設けまして、まず第一次的な調査も必要ではないか。これはなお詰めてまいりたいと思っております。
 第二点におきましては、これは登録を申請する者のサイドの問題でございますが、いろいろな市区町村等の条件具備の証明書、これを徴求するとか、さらには刑事犯歴等につきましては、これは法務省当局にお願いをいたしておりまして、各地の法務局または地方法務局の御協力も得ながら進めたい。さらに、以上トータルいたしました意味の本人の自己帰責といたしましての本人からの誓約書も徴求いたしたい。さらには、現実に各司法書士会におきまして第一次的に面接もいたしたい、かような手当ても考えておるところでございます。
#10
○多田参考人 日本土地家屋調査士会連合会といたしましては、登録事務についてはなるべく簡素化を図って対応してまいりたい。したがって、各会においては、それぞれ各会を経由して登録事務が行われるわけでございますが、現在五十の法務局において登録事務を行っていたものが一カ所に集中するということで非常に事務量の負担がある、こうしたことを配慮するためには何か現在の近代機器を利用するような方向も取り上げて検討をしたい。現在、日本土地家屋調査士会連合会の事務所は新橋の駅前ビルにございますが、非常に狭隘でございまして、これらについても、登録事務とは別に、会館の拡大ということを計画いたしまして、文京区に現在の七倍程度の会館を取得するという計画で、これは本年の九月末にはそこに移れる、そうしたことも配慮しながら整備の準備をいたしておるわけでございます。
 ここで一つお願いを申し上げたいと思いますのは、犯歴調査、この身分調査において秘密事項に含まれるものは、日本土地家屋調査士会連合会に何らかそうした自治団体からの証明をとる手だてがないものか、これは法務局を通じて身分関係の調査をするということになろうかと思うわけでございますが、こうした秘密事項が保守されるとする手だてがあるとするならば、何かそうした手だてを考えていただいたら最も事務の簡素化につながるであろう、このように考えておりまして、先ほど冒頭の陳述の終わりでも申し上げました登録事務の移譲についての人的、物的準備を進めていっているところでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
#11
○高村委員 公嘱協会制度の創設に関してお尋ねいたしますが、もう既に十二年ほど公嘱受託団が活動してこられたというお話がありましたけれども、人格がないということが隘路になっていた。これから法人格を与えられた協会ができるわけでございますけれども、これによって受託件数がどのくらい増加すると見込んでおちれるのかということと、既に個人の方でこういった仕事をやってこられた方の既得権を侵すおそれがあるのではないかと思われるのですが、そういう点についてどうお考えか、この二点についてお尋ねしたいと思います。
#12
○俣野参考人 まず、御指摘の前段の法人化した場合の受託量の増加の問題でございます。結論から申し上げれば、法人化して組織体制が整ったということだけで、一夜明ければ受託量が目をみはるように増加しておるということではないと考えております。すなわち法人を設立いたしまして、その社員はすべて司法書士でございますので、司法書士の連帯と結束によりましてよい意味の受託活動を展開をいたしまして開発をする、またそれにつきましては司法書士会本会もこれを指導し、バックアップし、助言をしていくというような体制の中で行わなければならないと考えております。御指摘もございましたし、また冒頭申し上げました十二年余にわたりまする委員会活動の実績におきましては、仮に総量八百万件と考えまして、そのうち大体二%、すなわち十六万件程度を処理いたしておるのが現状でございまして、単純計算でございまするが、あとの九八%につきましてはいまだ受注見込みのものである。
 また、それにつきまして、後段で御指摘の司法書士の会員の中でいわば既得権的にと申しましょうか、それなりの努力によりまして受注処理をしてまいった向きもあることは間違いございませんけれども、今申し上げましたような状況でございまするので、これから的確迅速に集団的処理を法人という体制によりまして取り進めた場合に既得権的に努力してまいりました会員の努力を無にするところは絶対にない、かように確信をいたしておる次第でございます。
#13
○多田参考人 お答えをいたします。
 公嘱受託事件の拡大ということでございますけれども、このことは行政で行う表示登記の事務を調査士をしてその的確性を図るのだという制度から考えますと、表示登記すべては調査士の手によってそうした公示制度の確立を図っていくということが考えられるわけでございます。しかしながら、表示登記につきましては本人申請を原則としておをわけでございますので、公嘱における登記事件につきましても、そうした意味合いも含めながら、受件拡大を図っていきたい。
 こういうことで一番問題になりますのが報酬の関係でございます。この報酬の関係につきましても、一般報酬よりもある程度発注者側の予算との関係で低額にせざるを得ないという現状がございまして、こういうことから他の一般会員との業務の関係で摩擦がないということはないわけでございますけれども、制度が社会に定着し理解されるためには、こうしたことを基礎にお互いの努力によって発展させてまいりましょうということで、私ども全国会員が一体となってこれについて賛成をしているわけでございます。
 したがって、こうした業務の拡大についての努力は必要でございます。さらに、会員との摩擦については余り問題もない、話し合いの中で十分対応できるのじゃなかろうか、このように考えておるわけでございます。
#14
○高村委員 今回の改正の中心となっているのは、登録の移譲と公嘱協会制度の創設、この二点だろうと思うわけでございますが、それ以外に司法書士制度あるいは土地家屋調査士制度に関して、将来の問題として、御希望があれば参考のためにお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#15
○俣野参考人 司法書士制度は揺籃の明治五年を起点といたしまして百十二年の足跡を有しておりまして、今日非常に深い層、広い面での国民各位の法生活上の御相談に応じ、またそれから必然する法律事務を行ってまいっておるわけでございまするが、何分にも法廷における活動という点はないわけでございまするが、現実の法生活におきまする多様なニーズにこたえたいと基本的に考えております。
 そういう点から、将来どうあるべきか、さらには具体的には次の法改正でどのようなことを本院におきましても御理解のもとにお願いをいたしたいかという点は、大変たくさんあることはあるわけでございます。しかしながら、何分にも現実の問題といたしまして、私どものみずからのサイドにおきまする資質のより一層の向上等もいまだ必ずしも十分ではないという点もございまして、全国一万五千百名相互が確認し合いながら研修制度の充実も図りたいと考えておるところでございます。要は、私どもの法律職能としての専門性をより高度化したい、またそれをどのような形で法制の面におきましても具現することを願うかという点は、おいおい詰めてまいりたいと考えておるところでございます。
 むしろ現時点におきまして全国の司法書士会員が非常な関心を持っておりまするのは、高度ニューメディア時代を見詰めまして、例えば今次本委員会におかれても御可決に相なりました登記事務の電子情報組織化を図りまして、より一層登記事務を円滑化されるという点との関連におきまする司法書士の現実の業務処理のあり方がどのように変革されていくのであるかという点がございます。これ等につきましても、おいおいこれを特別会計によりまして実践、取り進められまする法務省民事当局ともよくその状況把握をお願いいたしまして、逐次対応してまいりたい。甚だ具体性に欠けるようなお話に相なりまするが、大きなトレンドとしてはそのように考えております。
#16
○多田参考人 私ども調査士業務を行う上から、十七条整備がなされないということから、現状における調査測量あるいは境界の確認、こうしたことに非常に負担がかかっておるわけでございます。登記制度におきましても、表示の登記は正確に公示されたとしてもその経過の記録が何もない。したがって、登記はあるけれども現状はどこにあるか確認をする手だては、表現の方法としてなかなかできないということもございます。これが十七条によって位置、区画を明らかにする手だてだ、私どもそう考えて要請をしておるわけでございますけれども、実際の問題として地図整備については膨大な予算を必要とするわけでございますので、事情を考えますと無理な要求もなかなかできないということから、私ども努力によってそうした明確化に協力を、協力と申しますが業務処理の上で苦労しているわけでございます。したがって、将来といたしましては、登記簿の表題部において、こうした現状を再現できる方策の表示の表題部ということに改正したら制度がもっと――公信力と言わずとも客体については公信性を持つというような手だてが必要ではなかろうか。そういうことも考えながら、将来の問題としては現況と表示が一体となる方策、こうしたことが登記制度の充実であろう、こうしたことに努力をいたしたい。また法務省にもいろいろ要望しているわけでございます。
 そうして、将来においては、先ほど申し上げたように調査士業務が行政の一部を負担するということであるならば、そうした登記制度の確立を求めるためには、調査士の資格者をして業を行わなければならないというある部面も考えてもいいじゃなかろうか。このようなことで、将来を確立しながら今構想をしているわけでございます。これらについても法務省に対して要請もいたし、また御指導いただいておるわけでございます。
 今度、公共嘱託登記協会というものが法律の改正によってできるわけでございますけれども、これらについても、十分機能するような法務省からの各省庁に対してのアドバイスとかいろいろな協力をいただきたい。そうして、国民に理解される制度としての機能を果たすためにはそうした努力も必要であるし、また行政のお力もかりたい、こういうふうに願っておるわけでございます。
 以上でございます。
#17
○高村委員 どうもありがとうございました。
#18
○片岡委員長 天野寺君。
#19
○天野(等)委員 本日はお忙しいところ、両参考人にはこの法案審議のために御協力いただきまして大変ありがとうございます。私の方から若干の点について質問をさせていただきたいと思います。
 時間がございませんので重複を避けてと思いますが、自主登録といいますか登録移譲の問題について一点だけ、面会の会長としての参考人にお尋ねをいたしておきたいと思います。
 今回、面会ともに登録を自主登録にしていくということで、自律性という点で大きな前進を見たのではないかと思うわけでございますが、同時にそのことは、会自体の責任ということの重さも今までとは比較にならないくらい大きなものになってくるだろうと考えるわけでございます。そういう点から見て、実はこれは私、法務省に対しても質問をしたのでございますけれども、登録事務について面会が自主的に行うということならば、当然それなりに会員に対する綱紀の粛正を求めるという意味でも懲戒権なり何なり、こういうものを持つのが本来的には団体としては自然な姿ではなかろうかと考えるわけでございます。その点について、まだそこまでの自律性を持ち得ないのではないかというような考え方も法務当局からは聞かされているわけでございますけれども、面会の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#20
○俣野参考人 私ども司法書士の団体といたしましては、組織いたしまする全国の会員と接しますあらゆる機会を通じまして、御指摘のとおりまず理念といたしましては、完全な自主懲戒権というものは持ちたいという念願は持っておる現実でございます。ただ、昭和五十三年法で御厄介に相なりました法改正におきまして、一応段階的に注意勧告権というものを団体の内部にお認めいただいたわけでございまするが、これにつきましても、連合会で逐年その実績につきまして状況把握に努めております。いろいろと極端には、新聞紙上に露出するような会員の業務処理もないわけではございませんけれども、いろいろな御指導のおかげをもちまして、今申し上げました注意勧告対象という点につきましても、実はその対象事件は非常に少ないという現況でございます。これが今申し上げました理念としての懲戒権とはどうなるかという点につきましては、必ずしもその部面についての実績を示すものではないわけでありますので、そういうせっかくお与えいただきました注意勧告権等の実績をもいましばらくよく把握をする、それから、団体執行責任機関におきまする充実等もより深めることによりまして、理念へ到達する前進をも図りたいというふうに考えているのが現在の状況でございます。いずれの日にかはより資質を高めまして、自律性をより強く発揮できるような段階には、決断をいたしましてお願いにも及びたいというふうに考えております。
#21
○多田参考人 ただいまの御質問にお答えをいたします。
 登録事務を行うことにつきましては、当然この懲戒権等の付与もあってしかるべきだ、このようには考えるわけでございますけれども、調査士会連合会といたしましては、こうしたものの発動をする前に事前防止の指導をする。しかしながら、いろいろ問題も起こってくるわけでございますけれども、こうした懲戒権に対して実施と申しますか、人権にもかかる問題でございますので、これらについては、他力本願と申しましょうか法務局において適切な措置をしていただく、その事前に会といたしましては、私ども同志の会員でございますので、十分な予防指導と申しましょうか、そういうことの起きないように理解と品位の向上に努めるように指導をしていきたい、このように考えておりまして、日本土地家屋調査士会連合会としては、特に懲戒権の付与ということについては、現段階では、付与されるとしてもなかなか処理体制が困難であろう、こういうような現状にあるわけでございます。将来におきましては整理をいたしまして、登録と懲戒、こうした身分関係について、指導機関である連合会が掌握するということが最も正しい姿であろうと思うわけでございますので、これらについてはまた法務省と協議をしながら、人権の侵害にならないような手だての中で考えていきたい、このように思いますので、よろしくお願いします。
#22
○天野(等)委員 今早急に懲戒権をということではないにいたしましても、面会ともに自律性を持った会の運営という方向をこれから強めていかなければならないとすれば、当然のことながら、協会の理事者の会員に対する権威といいますか、そういうものも高めていっていただかなければならないことだろうと思うわけでございまして、現在もある指導というような観点を生かしながら、やはり会員同士がかばい合ってしまっているということでは一般国民にとっては不利益になるわけでございますから、そういう点でも問題があれば大胆にそれを摘出できるという体質をぜひともつくり上げていっていただきたい。それがやはり自律性の一番の根本じゃないかと思うわけでございます。この辺は私どもの方からの要望でございます。ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 それから、今度の法案で問題になっております公嘱法人の問題についてでございますけれども、まず、従来公嘱専門委員会というようなことでずっと経験を積んでこられたその経験を生かしながらこの法人化というものに踏み切られたのだと思うのでございますが、大体見通しとしては、社員として会員のどのくらいの割合が加入していくだろうというような見通しをお持ちでございましょうか。
#23
○俣野参考人 現在公嘱委員会ということで人格を持たない社団として行っております実績におきましても、まず形式的には、司法書士会本会の会員即受託団を編成するという形のものもございますれば、あるいは任意的に司法書士会の本会会員が受託団に入って実働いたしておるという実情もあるわけでございますが、今回法人が設立されますと、ある意味では抜本的なエポックでございまするので、会員に対しましての認識と期待を深めるという意味におきまして、今任意的な状況でありまする委員会におきまする状況が、一挙に全員参加という形に相なる地域もあるのではないかというようなことも寄り寄り考えております。先生御指摘のどの程度の数字になるであろうかという点につきましては、必ずしも正鵠を射ることは今の段階ではできないわけでございまするけれども、担当いたしておりまする連合会の機関等でのお話によりますれば、全国トータルで見まして六、七〇%は参加を得るのではないかというふうな見込みを持っております。少しく申し添えますならば、やはり経済の実勢といいますか、嘱託登記を派生する公共事業の開発地域あるいは非開発地域等との基盤状況の問題もございまして、全国的にはいろいろなばらつきが出るのではないかと思いますが、トータル的にはそのような傾向を得るに至るのではないかと考えております。
#24
○多田参考人 公嘱組織の法人化についての見通しということでございますが、調査事業は、御承知のように非常に兼業者が多い。したがって調査事業に積極的に対応してない者も多くあるわけでございます。そうしたことから、現状におきましては約五〇%が公嘱組織に参加をしている状況にあるわけでございますが、これらの方たちは、大体指導役として公嘱事件の拡大に非常に努力をしている中心的な者がそうした現組織の中で数として見られるわけでございます。したがって、こうした公嘱受託についての隘路解消がなされるという見通しになれば、また多くの参加があると予想されるわけでございます。したがって、早速、予想としてでございますけれども、大体六五%程度の会員はこれに参加をするということになろうかと思うわけでございます。連合会といたしましては、全会員がこの組織に参画をするということが望ましいということでございますけれども、事件量その他の関係で、あるいは参加したけれども業務の配分がないというような形になりますと、またもどのような状況に、いろいろ問題もあるわけでございますけれども、こうした門出については、実質的なものに取り組んでまいりたい、そして一般発注官庁の認識も、業務処理の経過によって理解をしていただくような積極的な推進を図っていきたい、このように考えておるわけでございます。
#25
○天野(等)委員 協会の業務の内容なんですが、どういうふうにお考えなんでしょうか。協会自体で直接司法書士あるいは土地家屋調査士の業務を行うというふうなことを基本にお考えになるのか、あるいは基本的には協会自体で直接司法書士、土地家屋調査士の業務を行うのではなくて、むしろ配分をしていく、一応受注窓口として、直接の業務としては個々の司法書士あるいは調査士の方に配分をしていくというふうにお考えなのか。そして、もしそうだとすれば、その際にやはり従来あるような受注団というようなグループをあらかじめおつくりになっておくというようなことをお考えなのか、あるいはそういうことではないのか、その辺の具体的なイメージについてはいかがでございましょうか。
#26
○俣野参考人 先生御指摘の基本性格といたしましては、後者の方でございまして、実質業務は、社員である個々の司法書士がこれを配分を受けて取り扱うという形を想定いたしております。ただし、例えば県域が非常に広範であるとか、さらにはその都市地域におきましても、都市構造の特殊性とか、そういうものに見合いまして、御指摘のような、現在でいいますならば受託団的な個別実践単体と申しますか、単位体というものをつくる必要もあろうかと考えておりまして、実際問題といたしましては、ただいま私ども日本司法書士会連合会におきましては、支部を設ける必要があるところは、その受託法人の支部ということでこれを設けて処理することもできるというふうに考えておる次第でございます。
#27
○多田参考人 ただいまの御質問に対して、日本土地家屋調査士会連合会としては、先ほど申し上げましたように、協会でなく社員がこの業務に当たる、したがって協会は受託のみ、受託をした上で社員である調査士に業務を配分するということになるわけでございます。こうしたことから、現在行っております受託団組織が当然必要になろうかと思うわけでございます。したがって、私どもの公共嘱託の登記事件は大体一カ所に集中する、あるいは継続といいますか、業務が連係されているということがございますので、そうした地域、地域の事情もございますので、そうした地域に支部を設ける、あるいは受託団をその地域に組成をする、業務処理の円滑化を図るために何らかそうした今の受託団組織のようなものが必要ではなかろうか、このように考えておりまして、この組織については今検討をしている段階でございます。
#28
○天野(等)委員 そうなりますと、一ついろいろ問題になってくるのじゃないかと思うのは、配分の公平さといいますか、そういうものの担保、これはどういうふうにお考えになるのか。協会の内部に公平を担保するような配分委員会みたいなものができるというのは一応考えられるわけですが、外部的に司法書士会とかあるいは調査士会というようなものがそういう配分の公平というようなものを担保していく、そういうようなこともお考えになっておられないかどうか、その点いかがでございましょう。
#29
○俣野参考人 冒頭申し上げました約十二年間にわたります現在の公嘱委員会活動の実績におきまして、この配分問題につきまして、さしたるトラブルと申しますか、また本質的な原理としての公平性に欠けだというような事実はほとんど皆無に近い。しかしそれで甘えるわけではございませんし、甘く楽観するわけではございませんが、先生が御配慮賜っておりまする法人という一つの明確なる人格のもとに、またそれに対する発注団体や国民各位の御信頼を得るわけでございますので、そこには厳正な配分の公平性、また公平性を確保することによりまする充実した業務処理ということも考えなければならぬと存じておりますが、今次設立につきましても、とりあえずイニシアチブは現在の各司法書士会が、連合会が編み出しました案に基づきまして設立の指導をするという実際面もございますし、また、設立後につきましても、本法案で考えておりまするような助言程度ではございますけれども、みずからのよりよき自律性また公平配分というものを図ることは、本会ともども考えてまいりたいということでございます。
#30
○多田参考人 御指摘のとおりに、配分については非常に問題のあるところでございます。こうしたものを公平にするということでなければならないと思うわけでございますけれども、私どもの業務は非常に単一な業務にならない、そして、公共事業等に含まれる表示登記につきましては、道路、河川あるいは住宅開発、そうした非常に膨大なものが連係として出てくるわけでございます。これらについては、当然ながら地域性とかあるいは技術の対応とか業務の性格から、それぞれ配分についていろいろ検討した上で決定をされることもあろうかと思いますけれども、この分野については、重要事項として現在分配と申しますか配分についての公平を期すということから検討をしている状況にあるわけでございます。
 いずれにいたしましても、社員である会員が均等、公平に配分を受けるものでなくてはならないというのが建前でございますので、そうした理解に立つような配分の方策、こういうことを現在検討して、連合会としては指導してまいりたい、このように思うわけでございます。
#31
○天野(等)委員 次に、配分と同じように、今後この協会が発展していくかどうかということで問題になるのは受託契約の際における報酬の問題、それから協会と個々の司法書士、調査士の方々との報酬契約の問題というようなところがあろうかと思うわけですけれども、先ほどもちょっとお話の中に出てまいりました報酬について、まず受託契約の際には、いわゆる標準報酬額から見て多少の値引きはやむを得ないのじゃないかというようなお話がございましたが、その辺で、従来、いわゆる公嘱委員会で行ってきた実情というのはどういうふうなことになっておったのでございましょうか。
#32
○俣野参考人 大変貴重な御指摘をいただきました報酬でございますが、ある面では、私ども公共嘱託登記の専門実務家におきまする処理の機能に対して生けきものであるかどうか、これは実は非常に悩んでおるところでございます。
 現状におきましては、過般、五、六年前でございましたが、例えば建設省の御所管の中に中央用地対策連絡協議会、略してこれを用対連と申すわけでございますが、こちらと調査士団体とともに組織いたしておりまする公共嘱託登記連合委員会、これまた人格がない社団でございますが、こちらが中央におきましていろいろと御要望も申し上げ、報酬の充実を話し合ったことがございます。その節、一般報酬額の大体六四%程度、単直には三六%のディスカウントになるわけでございまするが、そのような一つのガイドラインでやろうではないか、そして、その実際の報酬適用の実績が、手ごたえがあると申しますか、順調に処理されるようであれば、今度は中央用対連との覚書ということによりまして一つの規範的な効果も締めくくりをしたい、こういう御意向を受けて私どもも大変期待をいたしたわけでございます。
 しかし、御案内のとおり、その後の国の財政、さらにはその波及といたしましての地方財政が非常に逼迫をされました状況が一つ。さらには、既得的に取り扱っておりまする一部の会員におきましてそれ以下のディスカウントを実際に行うというような実情も遺憾ながらございまして、昨年度のトータルにおきましても、全国の今申し上げましたガイドラインの実施の結果は、非常に低い額で発注並びに受注が処理されておる量が非常に多いというような結果が出まして、中央用対連におきましても、実際が相当テーパーラインにあるので、ガイドラインを六四%に決めたこと自体の意味が実質的には非常に薄れておる、したがってということで、ただいまではそのままになっておるという状況でございます。しかし、先ほど申し上げましたように、やはり充実した報酬をちょうだいすることによりまして充実した業務、機能を果たすということも根幹に宿ります大きな基本でございまするので、今後、この法人の設立を契機といたしましていろいろと見直しを図りたい。
 少しく申し添えますと、非常に煩雑至難な登記事件、例えば相続人の捜索、探索が非常に難しいというようなことが原因いたしましてそのまま放置されておる難渋事件もたくさんございます。これ等につきましては、それに見合う特別の報酬というような線も話し合いをいたしまして、難易ともに法人が一挙にこの処理をする体制をしくことによりまして、また発注者の御理解も得られるのではないかと存じますが、いずれにいたしましても、本委員会におかれましても、甚だ恐縮ながら、この報酬の充実につきましても、法人設立の裏腹の問題として今後御理解、御指導賜ればありがたいと存じております。
#33
○多田参考人 この報酬につきましては、今度協会がいろいろやる、また、既得権者とのトラブル、こういうことの考えができるわけでございますけれども、公共事業に含まれる登記事件につきましては非常に低額を強いられるというのは、予算の関係から来るわけでございます。発注者側が予算がこれ以上ないと言うときには、ある程度の減額もやむを得ないという状況になるわけでございますので、一般の既得権者がこれを行うにしても、やはり予算に関係をしてやるということになろうかと思いますので、必ずしもそういう問題は大きく起きてこない、このような認識を持っておるわけでございますけれども、しかしながら、競争相手ができたということについては大きな問題も起こってくるであろうということは予想しておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、今度できる協会の行う仕事は、予算等の範囲の中で調整をし、既得権者の権利を侵害しないように対処しながら実施していきたいと考えておりますので、報酬についてはさらにまた検討をいたしたい、このように思うわけでございます。
#34
○天野(等)委員 報酬の問題ですが、確かに公共事件ですから、どうしても予算ということが枠として出てくることはこれもまた当然であると同時に、ただ、そういうことで司法書士、土地調査士の仕事に対する評価が低くなっていき、それぞれの会で定められている一応の標準報酬というようなものが結果的に無意味なものになってきてしまうということも――やはりそれぞれの仕事が司法事務、法律事務として重要なあれを持っておるわけですから、受注競争という形でどんどん安くなっていきその結果仕事が雑になっていくということでは、せっかく公共嘱託ということで専門家の手によって事業を迅速に進めていこうという本法案の趣旨にも反してくることになるのじゃないかと思うわけです。また、協会が大きな組織をもって個人の人よりも安く受注をするということになれば、これまた既得権の侵害ということにもなってくるかと思うわけで、その辺について十分な御配慮をぜひともお願いしたいと思います。
 最後に、そういうことも含めまして今後司法書士会、調査士会で共同して何か連合体みたいなものを考えて受注面での協力に当たるというおつもりがないかどうか、その辺いかがでございましょうか。
#35
○俣野参考人 発注者サイドからのニーズを充足するという意味では、先生の御想定に相なっておりますように、調査、測量、表示の登記を扱います土地家屋調査士による法人、それから権利の登記を扱います司法書士による法人がともに共同作業によりましてそのニーズを充足する必要は不可欠だろうと考えております。
 そこで、今次御理解によりまして法が成立を見ます直後に、両連合会の話し合いによりまして、ジョイントベンチャーと申しますか両士法人が共同作業を行うというルールを実際面で確立をいたしたい、そのための具体的な手だてといたしましては各地域におります両士法人が協定書を結んできちっとしたけじめをつけるべきである、そうしないと発注者にも御迷惑をかける、ひいては国民の御理解も得られないのではないかということで協定書案をただいま煮詰めておる最中でございまして、先生の御注意点を外しましてより合理的な方法を実現いたしたいと考えております。
#36
○多田参考人 両連合会が共同受託の方策――これは分離できないとすればどうしても共同受託ということになるわけでございますので、それらについての対応をどうするかということについては、先ほど俣野司法書士会連合会会長が申し上げたとおりでございますので、御了承いただきたいと思います。
#37
○天野(等)委員 どうもありがとうございました。これをもって終わります。
#38
○片岡委員長 中村巖君。
#39
○中村(巖)委員 両参考人におかれましては、本日は本委員会においでをいただきまして御意見を賜り、大変ありがとうございます。幾つかの点について質問をさせていただきます。
 まず最初に、公共嘱託登記の協会のことでございますけれども、この問題で、今回の法案におきましては、一つの法務局あるいは地方法務局の中に複数の法人をつくり得るということになっているのであります。それにつきまして、面会はそれぞれ複数であるということに対してどう考えておられるのか、それを伺っておきたいと思います。
#40
○俣野参考人 御審議を賜っております法の考え方は、中村先生御指摘のとおりで、各都道府県に必ず一個ということではなく複数もあり得るという建前になっております。
 司法書士サイドにおきましては、本来発想は一県一つというのでまいっておりまして、ただいまの時点においてもそのことは変わらないわけでございますが、ただ、目を翻しますと二つの問題がございます。一つは、独占禁止法サイドにおきます考え方といたしまして、一県一個という独占形態であってよいのかどうかという問題が今後の設立後の運営と関連いたしましてある。二つ目には、広い地域を持ちます県、地域におきましては二つということもあり得るのではないか。それは単に地理的な広さに限りませず、公共事業のプロジェクト自体が縦貫道路であるとか、いろいろな具体的様相を呈したプロジェクトの締めくくりとしての嘱託登記ということが想定できるわけでございますので、そういった場合には合理的、迅速な体制を整える必要も発注者のニーズにこたえるためには必要ではないか。
 こういった点からも複数という基本であってよいのではないか、あとはその地域地域におきます司法書士会の指導等によりましてみんながよく話し合いまして、一つであって十分だというところは一つというようなことでやってまいりたいと考えております。
#41
○多田参考人 御指摘のとおり、今度の法文の中からは一つと限定していないというところで幾つもできるという考え方もできるわけでございますが、これは各法務局単位に最初の構想では一個のという限定をしておったわけでございますけれども、ただいまの日司連の会長さんが言われるように公取との関係、いろいろな背景がございましてこういう形になったと思うわけでございます。
 いずれにいたしましても、どうした制限でするかということは別にして、単一が望ましいということは言えるわけでございますが、これはその地域の事情によりまして、例えば東京会は二千人の会員を擁しておるわけでございます。これが協会員になりますと、業務の配分その他についても非常に困難が起きてくる、また協会の運営にも相当困難があるだろう、こういうこともございまして、これら特殊な事情の地域については二つとか、余り競争的なものでございませんので、競合しない形で制約しながら指導してまいりたい、特殊な事情については一つでないということもあり得る、こういうふうに考えておるわけであります。
#42
○中村(巖)委員 今の点を重ねてお伺いしておきますが、今両参考人が言われたことからもうかがわれるわけでありますけれども、当初法務省は、参考人の言葉をもってすれば一県一個だ、こういうようなことで構想を示されて、それを面会に提示をした、面会はそれでいいだろうということで合意をしたというか了解をした、ところが突如として、法案が提出されてくる過程になると、今度これは複数できるのだということになった。これは何か了解事項の違反というか、それは大げさかもしれませんけれども、話が違っているじゃないか、こういうことになるのじゃないかというふうに思うわけでありますけれども、その辺どう考えておられるかということが一点。
 それから、両参考人のお話の中で、できれば単数にしたいのだということで、そういう方向で各単位会等も指導をされるというようなお話がありますけれども、実際問題としてそういうような強力な指導というものをされるのかどうか。この二点を両参考人に伺っておきます。
#43
○俣野参考人 中村先生御指摘のようなこの案の所管御当局と私ども団体との協議過程の御測定も、これはあるいはそういう御解釈もあり得ると思うのでございますが、率直に申しまして、先ほど申し上げましたように十二年間、人格なき社団ではございましたが、やってまいりました公嘱委員会も一県一個という実績がございまして、そういう一つの惰性といえば惰性的なものもある、それから、何と申しましても司法書士会本会と密接に連携してまいりました関係もございまして、過去並びに現時点でも一つがよいのではないかという点は、私どもサイドの事情といたしましても現存しておることは間違いございません。
 ただ、将来二つがあり得るということに対しましては、司法書士会本会のそういった法人への対応の責務も大きくなるわけでございまして、いわば松葉型のように、二つの法人を本会が基本的な、同時にまたメンタルな、精神的基盤として大いに指導してまいらねばならぬということに相なろうかと思います。いずれにいたしましても複数できるような発注事情に相なれば本当の意味ではありがたいことでございまして、そういうときにこそ先生御指摘の自律的なお互いの統制機能を発揮いたしまして、整然と行わねばならぬ。片方が巨大化して片方が矮小化するということが絶対あってはならない、またそのようにお互いの連帯と英知で行ってまいりたいし、また産いることができると確信をいたしております。
#44
○多田参考人 これにつきましては、認可の段階で行政指導が行われるということになるわけでございます。これにつきましても法務省と協議をいたしております中では、行政指導で果たして制限的なものができるかどうか、こうしたことも単位会の動向によって決定せざるを得ないことになるではなかろうか、このように思うわけでございます。現状における単位会の姿勢につきましては、単一であるという要望をいたしておりますので、乱立ということはない、このように信じておりますので、連合会といたしましても、こうした協会が本当に機能するような、評価を受ける措置になってほしいということで、これについても現状はそうした意向がございますので、単一化ということで指導してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
#45
○中村(巖)委員 次に、今の公共嘱託登記の協会の社員は司法書士あるいは土地家屋調査士でなければならぬ、こういうことになったのでございますけれども、協会の理事というものは過半数は社員でなければならぬけれども、社員でない者も理事たり得る、こういうことになっているわけでございまして、これはどういうわけでそういうことになっているとお考えになっておられるか。また、社員でない者を理事にするという場合に、どういう人に理事になってもらおうとお考えになっておられるのか、その二つを両参考人に伺いたいと思います。
#46
○俣野参考人 御指摘の点につきましては、私ども司法書士サイドでは理事はオール司法書士の資格者であらねばならないという強い要望もあることは事実でございます。また、司法書士のサイドから見ますと、そのように同職によりまして業務執行の責任を分担し合うという方が何かにつけてよいのではないかという発想も基本的にあるわけでございますが、冒頭に陳述申し上げました民法三十四条の法人の基本性格から見まして、やはり法の建前としては門戸開放型がよいのではないか。何分にも司法書士は法律実務家、法律職能としての任務が基本になりますもので、法解釈的にもそのような建前が至当ではないかという点がまずございます。
 第二には、しからばこれを全く閉鎖型で司法書士だけでいいのかという点に実際面で着目いたしました場合に、先生御指摘の具体的な、例えばでございますが、この法人の業務執行を責任体制としても拡充していくためには、損害賠償保険制度による発注者に対する担保責任と申しますか、ひいては国民に対するギャランティーを要するわけでございますが、そういった場合に、理事者の一端にそういう専門家を加えることによりまして、よりよい体制をしくこともできるのではないか。すなわち司法書士一職でない方が、これからの時代の進展に伴いましたり、また公共事業の進展なり社会の趨勢、経済基盤の変化に見合った英知を得られる人材を加えることもできるのではないかというような点もございまして、この法の建前に賛同いたしているところでございます。
#47
○多田参考人 協会の理事に資格者でない者が参画をするということについて、調査士会連合会といたしましては、これは協会の自主性でございますので、必要がなければ入れないこともできるし、またどうしても必要であるとするならば他から求めるということもあり得るわけで、他から求める場合には何かしら協会が発展するための要素があるものでなければならない。
 もう一つには、理事が調査士の資格者でございますので、それぞれ各個人の事務所を持っているわけです。協会に常駐するとしても個人の事務所をなげうつというわけにいかない、そういうことからもこうした常駐する理事は他から求めることも必要である、こうした考え方に立っている。理事全部が調査士でなければいけないということで規定をいたしますと、そうした自己業務ができないということになりますので、そういう面も配慮しながらこういうふうになっているのだと理解しているわけであります。
#48
○中村(巖)委員 今ちょっと抽象的に聞き過ぎましたけれども、端的に言って私が聞きたいことは、それじゃ各協会ともいわば専任の専務理事みたいなものを置くという考えはおありになるのかどうかということを伺いたかったわけであります。いかがですか。
#49
○俣野参考人 御指摘のとおり、法人設立後の望ましい姿は、どんどん発注がある、それを的確迅速に大量処理をみんなが力を合わせてやるということでございますので、当然その進展に伴いましては常駐専従者としての理事者を置く必要も出てまいろうかと存じますが、ただいま私ども司法書士団体では、連合会に専務理事制をしいているのが唯一の例でございますが、これは全国からでございますので、個人事務所を放てきいたしまして専従する者を見つけることは至難のわざでございますけれども、地域に設立されまする法人におきましてはその点も多少緩和されまして専従者を得ることもできる。ということになりますと、御指摘のように外部からそういう人があってもよいのではないか、経営能力を持ち、また理事の執行責任を誠実に実行する第三者であってもいいのではないかということもあり得るかと思いますが、そういった点も今後、状況によりましては考えなければならないと考えております。
#50
○多田参考人 ただいまの俣野司法書士会連合会会長の意見と同じでございますけれども、いずれにいたしましても、そういう組織自体ができるとすれば常任が必要であるということから、他から求めることがどうしても必要であろう。一つ心配されているのは、法務省の職員の天下りということがよく言われておるわけでございますけれども、それも必要があればそういうふうな措置をとっても、別に制限をするわけではございませんけれども、協会が機能しなければなりませんので、常務する理事を置くことは必要だと考えております。
#51
○中村(巖)委員 時間がありませんので最後に俣野参考人に一点だけ伺っておきますが、先ほど私が聞いたことでございますけれども、一県の中の公共嘱託法人が単一であることが望ましいという考え方、それは先ほど多田参考人の方から、そういう方向で指導をしていきたいというふうにはっきりおっしゃられましたけれども、俣野参考人はそこまではっきりおっしゃらないようで、若干ニュアンスが違うようでございます。やはり単一化が望ましいのでそういう方向で指導していきたいというお考えは、必ずしもないということなんでございましょうか。
#52
○俣野参考人 非常に失礼をいたしたかもわかりませんが、やはり一つが望ましいという方向でございます。
#53
○中村(巖)委員 終わります。どうもありがとうございました。
#54
○片岡委員長 伊藤昌弘君。
#55
○伊藤(昌)委員 この法案が通りますとまた大きな事業を背負うことになりますので、本当に御苦労さまと思いますが、しっかりお願い申し上げます。
 日本司法書士会連合会の見解と全国青年司法書士連絡協議会の見解は、仄聞するところによりますと異にしておるということを聞いておるのでございますが、どういう点に食い違いがあるのか、わかっておられたらお話をいただきたいのでございます。
#56
○俣野参考人 伊藤先生御指摘の点は、これは司法書士サイドだけの現実の問題であろうかと存じます。全国青年司法書士連絡協議会という任意団体に、青年層の司法書士が会員として研究調査活動を中心に行っております。その実績は多年にわたるわけでございますが、いろいろと市民の意識等も調査したり、また司法書士制度はいかにあるべきかといういかにも青年にふさわしいアンビジャスな研究も続けてまいっております。したがいまして、そういう面から理念追求と申しますか理想像を追求しての検討が行われておりまして、本委員会の御審議を煩わしておるこの法改正の考え方につきまして、そういった意味での考え方の相違を持っているということは否定できません。これはいわば、研究結果としての理論的な考え方におきましてはそごがないわけではないということでございます。しかし、司法書士会の会員でもあるわけでございますので、その青年層の全青司会員は、理論と実践とは別であるということで、実践的課題としては、この法改正に対してその具現は期するという方向にあることは間違いございませんので、今後ともいろいろな司法書士制度のいわば当為と申すのでございますか、いかにあるべきかという課題につきましては、私どもむしろ青年にふさわしい多角的な研究をして、連合会の執行にも役立つような理論的成果のあるものもいただきたいというふうに全青司の団体にも要望をいたしておるところでございます。詰めて申しますと、先生御懸念のような、私ども司法書士サイド内部に、本法の成立につきまして実践的に、現実問題として異を唱える者はないということは申し上げられると思います。
#57
○伊藤(昌)委員 理想は高く現実はそつなく、それはわかりますが、どうしてこの程度の問題でそう高い理想だとか、それから現実の違いが出てくるのでしょうか。もう少し具体的にお教えいただけますか。私は実は深く聞いておりませんので、仄聞しただけで何もわからないので、教えていただければと思うのです。どこに理想と違いがあるのか。
#58
○俣野参考人 まず公嘱問題で端的に申し上げますと、司法書士というものは一身専属の我が国における法律職能としての個別ライセンスである。それを集団的に法人をつくりまして行うということは、いわば厳粛なる基本のあり方を崩すものではないかというふうなのが理論的な結果なのでございますが、実際に着目いたしますと、大量な事件を集団処理をして国民の負託にこたえたいということでございますので、実践問題としてはそこに違和はない。
 登録事務の移譲につきましても、いわゆる懲戒権裏当ての、先ほども他の先生から御指摘のあった点でございます。理念としては自主懲戒は得たいわけでございますが、その自主懲戒権をみずから保有することのない裏当てにおける登録事務の移譲ということは、自主的と言えないのではないかという理論的な論理の運びが青年各位にはあるわけでありますが、先ほど申しましたように連合会といたしましては、実践的な課題としては理念としては自主懲戒を目指しておる、しかし具体的にはいましばらくみずからの、懲戒能力とまでは申しませんが、研さん、熟練を重ねましていずれの日か決断をいたしたい。
 申し落としておりますが、当面は少なくとも段階的には法務大臣に懲戒権を集約される方が、登録事務を連合会が扱うということとの整合上望ましいのではないかと考えておりますけれども、そういった懲戒権に着目した登録事務につきましても、理論的には違った考えはありますが、実践的には違和はない、こういうことでございます。
#59
○伊藤(昌)委員 それでは、どうか話し合いを上手にしていただきまして、早くまとめていただきたいと思います。
 それから、十七条の六の三、協会の理事の定数の過半数は社員、残りについては非社員という法案になりますると、私どもがすぐ頭に浮かんでくるのはお役人の天下りということなんですが、先ほどのお話を伺いますると、やはり法律職能家だけでは経営というものは上手にいかない、したがって経営能力、そういう意味の広い見識を持った方を理事に選ぶ、これは経営上必要なことだと思うのです。確かに論理はそのとおりですが、実際に天下りがあった場合、その人物の能力をよく調査をする能力が受け入れ側にないといけないと思うので、その辺のところをしっかりしていただかなければいけないから、これは私の取り越し苦労かもわかりませんけれども、そう考えるのですが、そういうことについてもお考え方がおありでしょうから、率直におっしゃっていただきたいと思います。
#60
○俣野参考人 伊藤先生には大変御配慮を賜りましてありがとうございます。御指摘のように、世俗一般を見ましても、やはり理事者がどういう者によって構成されるか非常に重要なことは申すまでもございませんが、何分にも私どもは社員は司法書士オンリーでございますので、社員総会におきまして当然そういった点の選別は十分になされるであろう。また、側面的にといいますか、バックアップとして司法書士会本会がございますので、そちらの方で何らかの意思表示というか助言という形で、先生が御心配を賜っておりますような問題に対しましてはまたチェックもしてまいりたいと存じております。
#61
○多田参考人 調査士会連合会といたしましては、協会の理事については現状では非常に数の少ない理事、こう考えておるわけでございまして、それも会で特に必要だということで人の選定がなされる。上からという考え方はないというような認識でございますので、それらについても会でどうしても必要であればこちらから要求をする、そうした人に来ていただく。上から、よそから入ってくるような性格の、自主性のないような運用はしたくない、このような指導をしてまいりたいと思うわけでございます。
#62
○伊藤(昌)委員 それはあくまでも皆様方が主体になっていかなければいけないので、本当に今までの情実とかそういうものをなくして、最初が大事だと思いますので、どうぞお願い申し上げたいのであります。
 先ほど私、聞き違いかもわかりませんが、今まで注文を受けておりました、本件の注文を受けておりました件数は全体の二%だとおっしゃられたのですか。そうすると、今度公唱法人ができますと、一〇〇%もらえるということになると九八%がふえる、こう考えてよろしいものなのか。
 そして、今までの件数が先ほど十六万件とおっしゃった。違いがあったら教えていただきたいが、そうすると全体とするとどのくらいの件数が発注されるものなのか、どうかお願いします。
#63
○俣野参考人 先ほど申した点についてのお改めてございますので申し上げますと、想定件数が、実績との絡みで大体八百万件あるのではないか。ただし少しく今日のお国の、また地方自治体の財政状況等もございましたり、内需拡大で公共事業がまた拡大することもございますが、トレンドとしては非常に不活発でございますので、あるいは五百万件かもしれません。しかし八百万件と見ますと、実際処理が十六万件でございますので二%と申し上げた次第でございます。また、単純計算では、したがいまして残りの九八%に公唱法人の着目すべきいわばシェアが残っておる。しかし、それは努力にまたなければならぬということを申し上げた次第であります。
#64
○多田参考人 現状におきましては非常に住宅事件が、先ほど意見の中で申し上げましたように契約に問題があるとして拡大をされてきてなかった。こういうことから、この法律改正によります協会が成立するならば、努力によってある程度の事件も拡大がなされ、そして業務処理の量についても適正な業務処理が図れるであろう、こういうふうに想定をしておるわけでございます。しかしながら、発注者側の意見のようにそうした隆路が解消されたとしても、努力がなければ開拓がなされない。これは組織ができてからの問題でございますけれども、そうした理解を得ながら業務の拡大にも努力してまいりたい、そして事件の適正な業務処理をしてまいりたい、このように考えておりますので、よろしくお願いいたします。
#65
○伊藤(昌)委員 それじゃ時間ですから、終わります。
#66
○片岡委員長 柴田睦夫君。
#67
○柴田(睦)委員 時間が限られておりますので、ちょっと工夫しながらお尋ねします。
 公共嘱託登記受託法人が設立されたときに最も重要なことは、この法人が民主的に運営されるかどうかということであるというように考えております。そこで、その問題について両会長の構想などについてお伺いするわけですが、会の方は協会に対して助言をするという規定があります。調査士会連合会の会則で遵守義務が定められております調査測量実施要領、これを守らせる、あるいは先ほど問題になりました標準報酬額をできるだけ守るという問題、あるいは社員が協会の仕事をするときも会則をちゃんと守る、こういう問題点は、正確な登記手続を確保する、その点からも非常に重要であるというように考えております。
 そういう点から一つずつ伺いますが、調査士会の会則で定められております調査測量実施要領、これを厳格に実施させる、守らせるという点で調査士会会長はどうお考えでありますか。助言をどう徹底していくかということ。それから、聞いておりますと、お二人の考えはそう相違点はないと考えておりますが、司法書士会会長の方には、協会の仕事をするときも会則を守らせる上について助言をどう徹底するか、分けてお伺いしたいと思います。先に調査士会長の方から。
#68
○多田参考人 ただいまの御質問にお答えをいたします。
 協会の業務について調査士会連合会は助言をする、その位置づけの中で何か指導助言したいということの要望をしてあったわけでありますけれども、これは法人対法人の指導助言ということで、適切ではなかろうということでああいうような表現になったと思いますが、実質的には指導のような助言をする、しかしながら、業務につきましては調査士会の会則の適用を受けるということでございますので、先生から御指摘のありました調査測量実施要領につきましても的確な遵守をしていただく、そして業務については調査士会としての立場で各会則を遵守するということで指導してまいりたい、したがって、仕事の面では協会の仕事に対してもその部分については会の指導が行われる、このように思うわけでございます。今後につきましても適正な業務をするためには規約に定めた手続を実施していただく、そうした指導をしてまいりたい、このように思います。
#69
○俣野参考人 司法書士サイドといたしましては、まず、基本的には、法人の社員たるべき司法書士も当然司法書士会本会に入会しておる会員ということでございまして、業務を個々の者が集団的に連帯して行うということでございますので、実際といたしましては、司法書士会本会の総会にも当然出席をするという基本的義務があるわけでございまして、そういった面でも十分に指導は可能である。ただし、それでも、柴田先生の御懸念をいただいておるような実際面での規律違反と申しますか、団体の統制機能に差しさわりのある者もいないわけではない、そういう点で助言ということに法は考えられておるわけでありますが、具体的には、私どもといたしましては、設立されまする法人の定款におきまして内部規律を設けたい。すなわち、除名に関する規定を定款に設定をいたしまして、ただし、もちろん加重要件にいたしませんと除名という重大なる結果を招来いたしますので、言うなれば四分の三以上というような加重要件を加えまして、さらには当人の告知、防御弁明の機会も与える。しかし、その行為におきましては、本協会の定款、規則または総会の決議に違反した行為が重大なものであるときとか、本協会の名誉を傷つけ、本協会の事務を阻害し、もしくは本協会に著しい損害を加え、または法人の目的に重大な非違をもたらすような者、これは除名ということで、ひとつシビアな線を引こうではないかと考えております。
#70
○柴田(睦)委員 それから、現存する受託団と今後設立される協会との関係で、この改正案が施行された直後あたりはいろいろな困難な問題も発生するというように考えております。この問題に対しては慎重に、かつ会員の意見を十分尊重してやっていただきたいと思っておりますが、その中で、いろいろありますけれども、一つは、類似呼称禁止規定との関係で、六カ月経過後にはトラブルが生じないようにしなければならない、それから強権的に残存受託団をつぶす、そのときまで残っている受託団をつぶすというのではなくて、納得を原則に柔軟に対応すべきであると思っておりますが、この点、司法書士会の会長はどうお考えでいらっしゃるか。それから、各協会間の業務範囲の調整問題についてどう考えていらっしゃるか。特に、強大な法人ができるということになりますと、大きな公共事業の一手受託というような問題が起きてまいります。この点を避ける必要があると思っておりますが、この点について、これは調査士会の会長の方にお伺いしたいと思います。
#71
○俣野参考人 柴田先生御指摘の前段でございまするが、確かに類似呼称の関係で、今の、全国にございまする人格なき社団としての嘱託登記委員会すらが抵触するやと思われる、さらには、その人格なきとはいえ、社団自体もあってはならないというような考えもございまして、これに六カ月のアローアンスをちょうだいするということにいたしておるわけでございます。それにつきましては、これは私ども内部の手だてで甚だ恐縮でございまするけれども、この法案の御可決を期待しながら、とにもかくにも法の御成立をいただきましたら、直ちに研修、指導をいたしまして、アローアンス期間内に整然たる処理ができるように努力をいたしたいと考えまして、国会に対して甚だ僭越でございまするが、今か今かとこの御成立の速やかなるを念じておりながら、そういう準備も開始をいたしておるところでございます。
#72
○多田参考人 ただいま御指摘のありました施行から六カ月間、こうした間に協会が成立しないと類称使用の禁止になるということでございます。これらにつきましても、既に調査士会といたしましては、長年の希望でもあって、準備についても、本年の五月中に各会が総会を開くわけでございますので、その総会に対しても、既に準備委員会を組織するような総会決議をもらっておく必要があるということで指示してございますので、この期間内にどうしても成立をするということで各会に指導をいたしておりますので、円満に移行されるではなかろうか、このように推測をしております。したがって、各地に設けられております受託団とも、協議の中で円満な協会の移行ができるのではなかろうか、このように推測をいたしておるわけでございます。
 それから、次の協会間の相互協定と申しましょうか、業務の受託につきましてそれぞれ、これは連合会も当然最初の段階では指導申し上げたいと思いますけれども、協会が成立した後については各調査士協会、司法書士協会、区域に設立されます協会が相互協議をしながら、最もいい形で受託を進めていくということになろうかと思いますが、それまでの間は連合会としても意見を添えてまいりたい、このように思います。
#73
○柴田(睦)委員 これで終わります。
#74
○片岡委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 両参考人におかれましては、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。
 次回は、明十七日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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