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1984/04/19 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第17号
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1984/04/19 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第17号

#1
第102回国会 法務委員会 第17号
昭和六十年四月十九日(金曜日)
    午前十時八分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 横山 利秋君
   理事 岡本 富夫君 理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      衛藤征士郎君    熊川 次男君
      塩崎  潤君    谷垣 禎一君
      玉置 和郎君    宮崎 茂一君
      山崎武三郎君    浜西 鉄雄君
      日野 市朗君    山花 貞夫君
      中村  巌君    橋本 文彦君
      山田 英介君    伊藤 昌弘君
      柴田 睦夫君    林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
 出席政府委員
        法務政務次官  村上 茂利君
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務大臣官房審
        議官      稲葉 威雄君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
        法務省刑事局長 筧  榮一君
 委員外の出席者
        公正取引委員会
        事務局経済部調
        整課長     糸田 省吾君
        警察庁刑事局暴
        力団対策官   横尾 敏夫君
        国土庁土地局国
        土調査課長   森本 茂俊君
        法務省民事局第
        三課長     田中 康久君
        建設省建設経済
        局調整課長   嵩  聰久君
        最高裁判所事務
        総局民事局長  上谷  清君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  上村千一郎君     塩川正十郎君
  衛藤征士郎君     江崎 真澄君
  稲葉 誠一君     嶋崎  譲君
  小澤 克介君     新村 源雄君
同日
 辞任         補欠選任
  江崎 真澄君     衛藤征士郎君
  塩川正十郎君     上村千一郎君
  嶋崎  譲君     稲葉 誠一君
  新村 源雄君     小澤 克介君
同月十九日
 辞任         補欠選任
  塩崎  潤君     谷垣 禎一君
  小澤 克介君     浜西 鉄雄君
  橋本 文彦君     山田 英介君
同日
 辞任         補欠選任
  谷垣 禎一君     塩崎  潤君
  浜西 鉄雄君     小澤 克介君
  山田 英介君     橋本 文彦君
    ―――――――――――――
四月十八日
 スパイ防止法制定に関する請願(原田昇左右君
 紹介)(第三二一九号)
 同(船田元君紹介)(第三二二〇号)
 同(稻村佐近四郎君紹介)(第三三三五号)
 同(片岡清一君紹介)(第三三三六号)
 同(平林鴻三君紹介)(第三三三七号)
 同(船田元君紹介)(第三三三八号)
 同(綿貫民輔君紹介)(第三三三九号)
 同(伊吹文明君紹介)(第三三五五号)
 同(住栄作君紹介)(第三三五六号)
 同(船田元君紹介)(第三三五七号)
 法務局、更生保護官署及び入国管理官署の増員
 に関する請願(日野市朗君紹介)(第三二二一
 号)
同月十九日
 スパイ防止法制定に関する請願(坂本三十次君
 紹介)(第三四一二号)
 同(塚原俊平君紹介)(第三四一三号)
 同(船田元君紹介)(第三四一四号)
 同(稲村利幸君紹介)(第三五四四号)
 同(野中広務君紹介)(第三五四五号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月十九日
 刑事施設法案等の再提出反対に関する陳情書外
 二件(松本市女鳥羽二の四の一五高木つた江外
 二名)(第二八三号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正
 する法律案(内閣提出第四九号)
 証人等の被害についての給付に関する法律の一
 部を改正する法律案(内閣提出第五〇号)(参
 議院送付)
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます、
 内閣提出、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田英介君。
#3
○山田委員 私は、今次法改正、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案につきまして、若干の質疑をさせていただきます。
 この司法書士法あるいは土地家屋調査士法、この法律によって定められます制度は、それぞれ大変長い歴史を持っておりまして、司法書士法の目的あるいは調査士法の目的というものは、それぞれの法律の第一条に規定をされているとおりでございます。司法書士法の第一条には「この法律は、司法書士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、登記、供託及び訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、もって国民の権利の保全に寄与することを目的とする。」こうございます。また、土地家屋調査士法の第一条「目的」の規定では、「この法律は、土地家屋調査士の制度を定め、その業務の適正を図ることにより、不動産の表示に関する登記手続の円滑な実施に資し、もって不動産に係る国民の権利の明確化に寄与することを目的とする。」と、いずれも極めて重要な目的を持ったそれぞれの制度あるいは資格と言わなくてはなりません。そこで、今次法改正におきましては、司法書士資格あるいは調査士資格、いずれも個人に対して付与されてまいりました資格でございますが、これが初めて法人を設立して、そうしてその法人にその資格を付与するという内容を含みます極めて重要な法改正でございます。司法書士制度にありましては、百年を優に超える制度としての歴史を持っておりますし、土地家屋調査士制度につきましても二十五年でございましょうか、そのくらいの制度としての歴史を持っているわけでございまして、その意味では百年あるいは二十五年という歴史を画する今次法改正である、このように位置づけをすることができるかと思っております。
 そこで、以下質問に入るわけでございますが、まず、法務省におかれましては、今次法改正に当たりまして、法案の作成、提出に至るまで基本的にどのような姿勢で作業を進められたのか、その基本的な姿勢についてお伺いをいたします。
#4
○枇杷田政府委員 このたびの改正法律案の内容は、大きく分けて三つになるわけでございます。一つは、現在法務局で行っております登録事務を連合会の方に移譲する、それからもう一つは、公共嘱託登記の受託をするための法人をつくるということ、それから会則の認可手続を簡素化することでございますが、その三つについて共通することは、司法書士会あるいは土地家屋調査士会の自主性を高めていくということ、そしてその業務が円滑に行われて、ただいま山田委員読み上げられました司法書士法並びに土地家屋調査士法の一条の目的を現実に達成しやすくするということを基本的な考え方として検討を加えたわけでございます。
#5
○山田委員 今、法案の改正の中身につきまして枇杷田局長から御答弁いただいたわけでありますが、私が今お尋ねを申し上げましたのは、業法でございますので、法改正というのは両生といいますか、司法書士、調査士あるいはそれぞれの会に対する影響というものが極めて大きいわけでございますので、やはり業法の改正ということになればそれら業界の会員の方々の意見なりをしっかりと踏まえた形での、そういうような基本的な立法化を進めるに当たっての姿勢があったんだろうかと思うわけでありますが、その点について伺ったわけでございます。
#6
○枇杷田政府委員 その点におきましても、業法の関係でございますので、両連合会を中心といたしまして各会の会員、司法書士、調査士の皆さん方の一つの盛り上がりといいますか、そういうものを私どもは期待をいたしまして、なおこちらとの意見調整というものは最終的には残りますけれども、基本的には会の内部での声の盛り上がりというものを基礎としてこの改正法はつくられたと申しましょうか、そういうような姿勢でやるべきだということで終始してきたつもりでございます。
#7
○山田委員 御答弁の趣旨は、両業界の意見あるいは要望、合意、そういうものにつきまして特段の配慮をしながら法改正の作業を進めてきた、こういう趣旨かとお伺いいたしました。
 そこで、法務省におかれましては、法の番人といいますか、立法の専門家、プロの集団でありますので、それぞれの、司法書士法、調査士法の改正に当たりましてはいろいろと立法技術的な面でアドバイスというか、助言などなさってこられたと私は思いますが、この点はいかがでございましょう。
#8
○枇杷田政府委員 もちろん、それらの点についてはアドバイスをするあるいは御相談するというようなことは常時行ってきたわけでございます。
#9
○山田委員 そういたしますと、今回国会に提出をされましたこの司法書士法、調査士法の一部を改正する法律案につきましては、法務省と日司連、日本司法書士会連合会並びに日本土地家屋調査士会連合会、この共同作業の成果である、こういうふうに見てよろしゅうございますか。
#10
○枇杷田政府委員 実質的にはそのようなことが言えるかと思います。
#11
○山田委員 日司連におきましては――司法書士法を中心に申しますけれども、調査士法とは一体の形で上程されておりますので御了解いただきたいと思いますが、日司連では、統一して連合会と言いますが、連合会ではことしの一月十六日に今次法改正にかかわる臨時総会を開いたわけであります。当然、法務省におかれても御存じのとおりでございます。この総会におきましては日司連試案が示されまして、その内容におきまして最終的に法改正作業に入るかどうかということについての賛否をとったわけでございます。結果的には、そういう立法化の内容であり、あるいは手法であるということであれば、いろいろな討議を会内で、その総会でいたしまして、それで立法化をしていただこう、立法化賛成である、こういう結果が出たわけでございます。
 私がお伺いしたい点は、この総会のいわゆる会内のコンセンサスというものを大事にして、それで法改正作業を進めていこう、こういう基本的な姿勢が法務省にあられるわけですから、その結果を待ってあるいはその結果を踏まえて立法化の作業に入られた、私はこのように理解をいたしておりますが、いかがでございますか。
#12
○枇杷田政府委員 実は、調査士会の方につきましては、昨年の六月でしたかそういう問題についての総会での決議というものもございます。それから同じく昨年の五月でしたか六月でしたか、今度は日司連の総会の模様も私ども承知いたしております。そして、先ほど申し上げましたように、常時、両連合会の執行部等との接触ということはいたしておりますから、ある意味での法案の作成の準備作業というものは継続的には行っていると思いますけれども、いわば公式にと申しましょうか、いよいよ法案を本当に出すということで作業を始めるということは、最終的に、一月十六日の日司連の総会が終わって正式な要望書が出るということから始まったということも言えようかと思います。
#13
○山田委員 五十九年八月二十三日に公共嘱託登記受託組織の法人化についての打合会が法務省と調査士連合会、司法書士連合会、この三者で行われました。そこでは当時の第三課長青山課長がごあいさつをされておるわけでございます。「日司連においては、特別委員会を組織し詳細検討の上、コンセンサスを得て立法化の方向に固まれば、それを受けて法務省は立法化に取りかかることになる。」したがいまして、私も司法書士の一人でございますので、そういう立場でこの法改正の流れというものを私なりにずっと見続けてきたわけでございます。いずれにしても、ことしの一月十六日の臨時総会が、最終的に司法書士会の内部が立法化に向けてお願いするか、あるいはこれはちょっと問題があるから慎重に、いずれの機会にまたお願いしよう、いわゆるその態度を、会内のコンセンサスを得るための総会であったことは間違いない事実でございます。
 そういうことで、ただいま局長の御答弁がございましたけれども、やはり現実には一月十六日の臨時総会の結果を踏まえまして本格的な立法化作業に入った、こう受け取らざるを得ないわけでありますが、この点、確認でございます。
#14
○枇杷田政府委員 私どもはあくまでも両連合会のコンセンサスがあって立法をするという考え方でございますので、本格的と申しますか、最終的な法案をつくって国会に提出するということを腹を決めて作業にかかるというのは、もちろんただいまおっしゃった一月十六日の臨時総会が終わって後でございます。
#15
○山田委員 先ほどの質疑応答、御答弁いただいた中で、一月十六日の臨時総会に検討の対象として出されました連合会の改正試案、これは、先ほど御答弁ありましたように法務省と連合会との共同作業の成果であるということでありますので、示された改正法案の中身と、三月でございましたか、国会の方に上程されました法律案とで、細かいところは別といたしまして、大きな骨格にかかわる部分で異なる点がありましたら御指摘をいただきたいと思います。
#16
○枇杷田政府委員 一つはいわゆる協会でございますが、協会を各単位会に対応して一つということで法律上限定するかどうかということと、それから登録審査会をどうするかという点については、異なると思います。
#17
○山田委員 もう一つ、私見ておりまして、公共嘱託登記の処理につきましては司法書士あるいは調査士という資格を持った者でなければ処理できない、こういう点が登録審査会とともに新たに加わった部分であろうかと私は思うわけでございます。公共嘱託登記とはいえ登記でございますから、やはり有資格者にこれを処理せしめるということが望ましいわけでございまして、この点につきましては、私は日にちを今も覚えておりますけれども、昨年の十二月二十六日に現在の登記第三課長でございます田中課長さんおいでいただきまして、社会党の渡部代議士、この方も司法書士の会員であるわけでございますが、とともに私は、司法書士という資格を持った者以外の者でも公共嘱託登記の処理ができるというような流れにあることにつきまして非常に強く疑念を表明をいたしまして、これが法律事項に盛り込んでいただけるように強く要望を申し上げた経緯があるわけでございます。これを法律事項に入れていただきましたのは、そういうような一つの考え方というものを踏まえて対応してこられたのか、その点について御確認をいただければと思います。
#18
○枇杷田政府委員 ただいまの点につきましては、法人が司法書士業務ができるということの実質的な薬づけとしては、具体的な仕事をするのは資格を持つ人がやるということでなければいけないという考え方は私どもも基本的に持っておりました。それを法律にどういう形で表現するかという点については、あるいは中間の過程ではっきりしなかった点があろうかと思いますけれども、そういうただいまおっしゃったようないろいろな過程を経まして、そしてそれは明確にするということがいいことだという最終的な結論になって現在のような法案になっているというふうに私も考えております。
#19
○山田委員 この点は極めて重要なポイントの一つでございます。
 それで問題は、局長一番最初に御答弁されました設立単位、協会は法務局または地方法務局の管轄区域内ごとに一個とする、実はこの骨格にかかわる部分が、立法化につきましての合意を得るという趣旨、目的で開かれました一月十六日の臨時総会における検討材料の中には明確に入っていたわけでございます。設立単位の問題でありますが、上程されました法律案を見ますと、見事にこれが欠落をしておる、抜かれておるといいますか、落ちているわけでございます。
 私は、立法化の一つの姿勢の問題として、あるいはあり方の問題として、会内の合意を踏まえて法改正をいたしますよという基本姿勢があって、そして今次法改正の大きな骨子についてはこういう形で法律事項にしますよ、これは政省令事項にしますよ、これは定款事項でいいだろう、こういう詰めをずっと積み上げてこられて、そして改正試案という形で会内の合意を得るために検討材料として出された。それに基づいて、こういう項目が入っているのであれば立法化をぜひお願いしたい、あるいはやむを得ないだろう、こういうことで来ておりますのに、それがその後に国会に上程される段階で、設立単位という、設立個数が単数か複数かという重要な部分が法律事項から抜けてきておる。これは微細な点はともかくといたしまして、骨格にかかわる部分についてこういう立法の作業の進め方というのは、私は好ましくないというふうに思うわけでございます。法改正の作業機会というのは今回限りではありませんで、その意味では将来ともにずっとそういう機会があるわけでございまして、私はどういう理由があったのか後ほど伺いたいと思っておりますけれども、まず基本的な姿勢として、そういうやり方が今後とも当然のように許されていいものじゃないのだと私は思っております。この点、いかがでございましょうか。
#20
○枇杷田政府委員 先ほど申し上げましたように業法の改正でございますので、それは各業界と法務省との間でコンセンサスが得られて、そしてそれに基づく法案を提出するということが一番望ましい姿であるということは考えております。したがいまして、そういう点から申しますと、中間の打ち合わせの過程で各単位会に対応して一つということにしようというふうな一応の話ができておったことは間違いない点でございますけれども、そういう面からいたしますと、それが最終的な法案から抜けてしまったということについては余り望ましいことではない形であるということは私もそのように思いますが、しかし、コンセンサスと申しましても、実質的にそれがどういうふうに変わるかというふうなこと、それから私どもの方も、先ほど申し上げましたように一月十六日の臨時総会の結果を見まして、いざ本格的に法案の詰めに入るというふうな段階になりますと、これまたいろいろな角度からの検討を改めて加えるわけでございます。そういう場合に、先ほど申し上げました一応できたコンセンサスというものを非常に尊重するという基本線は維持いたしますけれども、しかしながら、それに一字一句といいますか、全部そのとおりにするというふうにはいかない場合も出てくるわけでございます。そういう点につきましては、個々に両連合会の方にもお話をしながら若干の修正を加えるというふうなことは実際問題としてはやむを得ない、避けられないことであるということでございます。一字一句合わなかったという点については、それは私は望ましいこととは思っておりませんけれども、それほど基本的に私どもの姿勢が問われるような、そういうことにまで及ぶ問題ではないような感じでおります。
#21
○山田委員 御答弁でございますが、ちょうど登記に関係した法律の改正法案を審議しているわけですから、例えを不動産に持っていけば、この土地とこの建物を三千万で買ってください、植木もついています。見たら、これは本当にいい建物で、土地で、植木も感じがいいな、では三千万で買いましょうということでお金を払って、登記をしてもらって、戻ってきた権利証を見たらどうも建物が抜けていた、土地だけの権利証しか来ない。したがいまして、今局長から一言一句というような御発言がありましたけれども、そういうことではありませんで、設立単位という部分はまさに今次法改正の骨格にかかわる、そういうものでございます。実際に登記が済んで自分で住むようになった段階で見たら、あの植木は契約をしたときより一本抜けていた、少なくともそんなような問題ではないわけでございます。
 私がちょっと心配をいたしますのは、局長がそういう設立単位について協会を管轄区域ごとに一個とするのかあるいは複数個認めるのか、これは一言一句というような次元の問題ではないのです。そういう認識をもし本当に局長がなされておるとしたら、それこそまさに大問題、これはもう一回問題にしなければならないと私は思います。私は、これはてにをはの問題じゃないと思いますよ。これは一字一句違っている、違ってないなんということじゃなくて、まさにこの法改正の骨格にかかわる部分の一つが欠落をしている。これは極めて遺憾なことでありまして、ただいまの御答弁では私は納得をいたしません。もう一度お願いします。
#22
○枇杷田政府委員 一言一句と申しましたのは、コンセンサスと最終的な実との対比の抽象的な一般問題として申し上げたつもりでございます。現在の協会の一個制というふうな問題につきましては、両連合会でもかなり関心の深い事項であり、重要な意味を持つものであるというふうな認識は持っておりますけれども、今度の法改正の根幹をなすというほどのものではないと私は思っております。重要な問題ではあると思いますけれども、あくまでもその法人の性格をどうするか、その関係につきまして司法書士法あるいは調査士法の精神からいってどうするかというふうなことが根幹をなすものであると私は思います。したがいまして、そういう面については意見を異にいたしますけれども、重要な問題の一つであるということの認識は持っております。
#23
○山田委員 もう一度伺いますけれども、このような立法化の形あるいは推移というものは決して好ましいものではない、こういう御認識は変わりませんか。
#24
○枇杷田政府委員 私どもは常にコンセンサスを得てやるというつもりでおります。ただ、私どもの方は、検討を進める過程においてまたいろいろな法律上の問題というものが出てくるわけでございまして、それに対応いたしまして両連合会の方のコンセンサスというものを流動的にやっていくというふうなことは執行部との間でするしかないわけでございます。総会をその都度開いて対応するということは両連合会には実際上無理でございます。したがいまして、総会にかけられました案そのもので拘束をされるというふうなことは実際工作業を阻害するものでございますので、その検討の過程でいろいろ出てきた問題についての私どもの考え方というものを執行部の方には常時お話をして、そして御意見を聞きながらまとめるというふうなことがなければ、法案の作成というものは現実問題としてできないわけでございます。そういう面で、私どもは、総会にかけられた案そのもののコンセンサスを基本にしてやって済めば望ましいことではあるけれども、しかしそれでは事柄が処理できないという場合には、執行部との間での意見交換、それによるコンセンサスというふうな過程を経てまとめていかざるを得ない、そういう意味でのコンセンサスということもあってしかるべきだというふうに考えております。
#25
○山田委員 業法の改正だからといって、面会の、民間のそういう団体の意思あるいは会員の検討結果というものが立法作業を拘束するものであるなんということを私も申し上げているつもりはありません。ただ、司法書士法、調査士法の精神と先ほど局長はおっしゃいましたけれども、それは私も承知をしております。しかし、その精神を具体化をしていくあるいは具象化していくというような部分でいけば、ABCDという、こういう一つの法改正の骨子となるべき課題というものあるいは枝という。ものがあると私は思っております。そのうちの少なくとも設立単位を一個にするか複数個を認めるかという部分は極めて重要な根幹の一つである、こういう認識の上で申し上げているわけでございます。
 大臣、立法化作業を進める上においては、これは極めて重要な問題だろうと私は思いますが、今局長との質疑応答を聞いておられましてどんな印象をお持ちですか。それから今後の法律改正、特に業法の改正などという場合に、法務省としてはそういう分野に携わる業界の方々の意見というものは最大限尊重していくという姿勢が私は必要なのだろうと思いますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。
#26
○嶋崎国務大臣 ただいまの問題につきましては、御承知のように民法三十四条にかかるところの法人として運用されるというわけでございます。したがいまして、それについての判断というのは法務省の側でしていくという前提が一つあるのだろうと思うわけでございます。また、いろいろな問題が想定されるでしょうけれども、業界の中でもいろいろな調整というものが現に行われ、また行われなければいけない問題だろうというふうに思います。
 司法書士の場合あるいは土地家屋調査士の場合におきましても、そういう意味で、この問題の取り扱いというのをどういう方向でお考えになっているという趣旨は私たちは十二分に承知をしておるつもりでございますけれども、そういうことを前提にしまして、いろいろとその業界と密接な関連がある法改正でございますから、その関係の当局と話を煮詰めましてこういう整理になってきたというのが現実だろうと思うのです。片方でこういう議論があり、片方で反対の議論があり、わけがわからぬのに真ん中に線を引いたというような問題が処理の仕方ではなしに、法務省の側でも両方の団体の皆さん方と十分に調整をして、そして事柄を整理して今日に至ったというのが実態であるわけでございますから、そういうこととしてこの問題を御理解していただぎたいというふうに思っております。
#27
○山田委員 実際には共同作業の成果たる、一月十六日に検討されました連合会改正試案の設立単位の部分につきましては、先ほど申し上げましたように協会の設立は法務局または地方法務局の管轄区域ごとに一個とする、こういう一つの柱があったわけでございます。実際には法律事項になりませんでした、法律に盛り込まれませんでした。では、これは政省令事項なんですか、それとも運用でやるのですか。というのは、一つ、あるいは二つ認めるか認めないかというような部分は、法律事項ではない政省令事項になるのですか。あるいは政省令事項にもならずに運用でやるのですか、どういうことになるのでしょうか。
#28
○枇杷田政府委員 法律に一個だということを書きませんでしたのは、法律上一個に限定をしなければならないということのいわば立法論的な、理論上の立論が難しいということでございます。したがいまして、法律上一個でなければならないということを制限してないものを、政令で一個にするとかあるいは省令で一個にするとかいうふうなことの規定を置くことは余計に難しいことだと思います。
 私は法律的な、理論的な問題でただいま申し上げましたけれども、そういうふうなことである以上、あとは事実問題でございます。したがいまして、私どもは両連合会がいわば全国の各司法書士、調査士の意向を代表するものとして一個であることが望ましいという気持ちを持っておられる限りはそれは大いに尊重しなければならないだろう、したがって、設立許可の段階でそういうふうな意向は十分に尊重して事が取り計らわれるべきであろうという気はいたしますが、それを法規の上で決めるということはちょっとふさわしくないというふうに思っております。
#29
○山田委員 そうしますと、第二協会といいますか、二つ目の公共嘱託登記司法書士協会の設立が申請をされた場合には認めることもあり得るという御答弁でございますか。
#30
○枇杷田政府委員 理論的にはあり得ることでございます。実際問題としても、あるいは場合によっては、司法書士会あるいは調査士会そのものが一つでは不便だ、二つあってほしいというふうに御意見を持つことがあるかもしれないわけでございます。そういう場合もなおかつ一つでしなければならぬということは私は考えておりません。ただ、二つあることが合理的である、それがまた協会の事業の円滑な実施あるいは司法書士制度、調査士制度全体の上からいっていいことだ、合理的だという場合に、二つでも三つにでもするということは私は妨げないことだと思っております。
#31
○山田委員 まず二つ、局長の御答弁は極めて重要な御答弁でございます。
 一つは、二つ目の協会を認めることはあり得るかということに対しまして答弁として、理論的にはあり得る、これが一つです。これは極めてまれなといいますか、レアケースである、理論的にはあり得るというこの御答弁は重要だと思います。しかし、単位会な力あるいは連合会なりが二つ目をぜひつくりたい、あるいは三つ目もつくりたい、そういう希望なり必要性というものを認めたときにはまた二つ目、三つ目を認めることもあるだろう、この二つ、極めて重要であります。
 特に二つ目の御答弁の意味は、やはりその趣旨というのは、司法書士会、単位会と申しておりますけれども、それから連合会、そういう会の合意というか同意というか、ぜひ二つ目、ぜひ三つ目をつくってください、つくりたいという考え方を踏まえて初めてこの二個目以上の設立の許可をする、そういう趣旨にとることができるわけでございまして、局長のただいまの答弁は極めて重要な答弁であります。そう理解してよろしゅうございますね。
#32
○枇杷田政府委員 私どもは設立許可をするに当たりましては、連合会の御意見を聞いて、それを重要な要素としてその設立許可を考えるということにいたすつもりでおります。
#33
○山田委員 今、立法化作業のあり方という点につきまして、特に御見解をお伺いしたわけであります。
 そこで、具体的にさらに突っ込んでお伺いいたしますけれども、なぜ設立単位の項目を法律に盛り込むことができなかったのか。それは先ほどの御答弁では、法律事項にするのがどうもなじまない、こういう趣旨のお話でありますが、具体的になぜなじまないのか、なぜ法律事項に盛り込むことができなかったのか、その理由を局長の方で考えられる限り、今までずっと考えてこられたでしょうから、こういう点が問題だから立法化、法律事項として盛り込むことは難しいという点を幾つか考えてずっと検討してこられたわけでありましょうから、その難しかった理由についてできる限り挙げてください。
#34
○枇杷田政府委員 むしろ法律上一つに限定をするという、そういう詰めた根拠が見当らないということが中心でございます。
#35
○山田委員 今日までの両連合会、それから私どものこの質疑に至るまでの間の説明とはちょっとニュアンスが違うようでありますけれども、具体的に伺います。
 法務省は、設立単位の事項で独禁法とのかかわりについて検討されましたか。
#36
○枇杷田政府委員 その点も検討いたしました。
#37
○山田委員 公取においでをいただいているわけでございます。司法書士法、調査士法の一部改正法案につきまして法務省と協議をされたと思いますが、されたかどうか。そしてそれはいつですか。
#38
○糸田説明員 通常、法案の作成の過程におきましては各省間で意見照会というものが行われるわけでございますけれども、ただいま御審議いただいております法案におきましてもそういう形で法務省から法案が示されまして、意見照会があったことはございます。その時期ということでございますが、たしか二月八日ごろだったと思いますけれども、二月八日ごろ法務省から法案が示されまして、それに対しまして私ども内部で検討いたしました結果、特段意見がございませんでしたので、その旨を二月の下旬にお答えしたということでございます。
#39
○山田委員 今の御答弁で協議のいきさつにつきましては明らかになりました。これは国会に提出をする前に当然、法改正にかかわる他の法律との調整がありますから公取との調整を独禁法の関係でしなければならない。それで協議に行かれる。そこをクリアすれば、法制局へ上がって閣議決定で国会に出てくる、こういうシステムになっているわけでありますが、少なくとも設立単位と独禁法との関係については、確認は後で求めますけれども、恐らくこれは協議していないはずでございます。法律事項にもともとないんですから。法律案に入ってないわけですから。
 それで確認ですが、公取、その協議の際に、公共嘱託登記司法書士協会、同調査士協会のいわゆるただいままで議論しておりました設立単位の問題につきまして、具体的に協議をされましたか。もう一つは、そのときの協議以外に法務省から設立単位に関しての相談を受けたことがございますか。この二点、お願いいたします。
#40
○糸田説明員 先ほども申し上げましたとおり、ただいま御審議いただいております法案につきまして意見照会があったわけでございます。私どもは、この法案全体につきまして特段意見はないということを申し上げたわけでございますので、その意味からいたしましても、先生御指摘のような点について特に協議、調整をしたというようなことはございませんでした。それから、法案に対する意見照会という過程以外でも、法務省からこの問題について議論をしたというようなことはございません。
#41
○山田委員 公正取引委員会にもう一点だけ確認をさせていただきます。
 この法律案に、協会は法務局または地方法務局の管轄区域内ごとに一個とすると書いてあれば、それは独禁法に抵触をしますか、しませんか。抵触するとすれば、独禁法の何条の何項に抵触しますか、お示しください。
#42
○糸田説明員 申し上げるまでもないことでございますけれども、独占禁止法は事業者とかあるいは事業者団体の事業活動について規制の対象としている法律でございます。したがいまして、ある法律の規定それ自体が独占禁止法に違反するとか違反しないとか、そういったような問題はもともとないわけでございます。
#43
○山田委員 先ほど局長は、独禁法とのかかわりについて検討をされたと答弁がございました。その結果いかがでしたか。
#44
○枇杷田政府委員 法律的に、例えば一個とするというふうな規定をこの法律案に盛り込みましても、そのこと自体が独禁法に違反するものではないという考え方を持っております。
#45
○山田委員 したがいまして、ただいまの公取の御答弁、局長のただいまの御答弁、あわせて考えますと、設立単位を一個にするか二個にするか、複数個にするかということ自体が直接独禁法に抵触をするものではない、書いてあってもいいし、書いてなくてもいいという、少なくともそれが言えるわけでございます。これが確認をされました。
 問題は、国会における御答弁のような公式なという意味ではありませんけれども、今日までの設立単位が欠落をしてしまったということに対する法務省側の御説明が、どうも独禁法に抵触をするような、あたかもそういう言い方をして、これはやむを得なかったんだというような姿勢に終始をしてきておるという、これがむしろ私は問題ではないかというふうに思うわけでございます。独禁法でもって本当に設立単位のところが抵触をし、規制をされるというようなこと、そんなことはあるわけがないので、もしそういうことであればもっと丁寧に説明をして差し上げてよろしいのじゃないか、こういうふうに私は思っているわけでありますが、この点いかがでございますか。
#46
○枇杷田政府委員 私は直接両連合会の方にその問題を御説明申し上げたことはありませんので、担当の方がどういう言い方でしたかということはつまびらかではございませんが、私の気持ちといたしましては、普通にある種の仕事が行える法人をつくるという場合に、それが一個でなければいけないというふうなことはむしろ例外なのであって、何個でもつくれるというのが普通の形だと思います。したがいまして、一個に限定をするという場合には、一個に限定をしなければならない法律的な理由がなければいけないということでございます。したがいまして、内部の検討の際にも、私はそういうような立場からその問題を考えたわけでございますけれども、しかしながら両連合会の御意見としても一個制というものを強く望んでおられることはわかっております。
 それから、あるいは事実上一個の方が何かとやりやすい面があるというふうなことも、私どももわからないわけではございません。しかしながら、それをどうしても一個でなければいけない。例えばある地域について非常に事件数が多くなって、ある支部の管内についてもう一個あった方が便利だということが出てこないとも限らないわけであります。先ほど申しましたけれども、そういうようなことで、むしろ会の方が数個あった方がいいというふうな、そういう事態だってあり得るわけであります。それを法律的にどうしても一個でなければいけないのだということを決めつける理由が発見しがたいわけです。
 したがいまして、あと問題は、その協会を設立をするというのにつきましても、両連合会の意見を私どもが聞きながら許可をしていくというふうなことをルールとして打ち立てる。そして会の方がいろいろお考えになって、そして一個にするか二個にするか、あるいはその仕事の関係からいって二個にする方が合理性があるというふうなことならばそれで受けるし、そうでなければその設立の許可の段階で、そういう要素も一つの許可の判断の要素にはなるだろうと思いますので、そういうところで考えて処理をするということ、これが一番正しい方法じゃないか、法律的に一個だというふうに決めつける、そういう詰めた根拠というものは発見しがたいという考え方でおります。
 ただ、そういうふうなことも、恐らく両連合会の方に御説明しただろうと思いますけれども、いわばそのように一個に何でもかんでも限定してしまう。要するに合理的に二個があった方がいいという状態が仮に生じたとしても、法律上は一個のままで縛っておくというふうなことになると、それは公取法違反になるかどうかわからないけれども、公取法で考えているような、そういう精神には反することになるのじゃないかというような意味で、多分御説明申し上げたのじゃないかと思っております。
#47
○山田委員 二点あります。一点は、ただいまの答弁の趣旨からいきまして、連合会そして単位会、司法書士会の意見は、二つ目以降の設立を許可するに当たっては最大限に尊重する、こういう御答弁だったと受け取ります。
 それからもう一つは、局長はいつからそういうふうに変わられたのですか。昨年の七月四日第百一国会の当衆議院法務委員会の会議録が私の手元にございます。局長ははっきりとこうおっしゃっているのです。「民法法人的な考え方は、こういう仕事は」、いわゆる公共嘱託登記です。「こういう仕事はいわば公共のといいますか、地方公共団体の仕事を円滑にやる、それからまた、ひいては登記制度もそれによって円滑に動いていくというところに公益性を認めて民法法人」、三十四条ですね、それに基づいて「民法法人という考え方をとるわけでございます。そういうふうな考え方をとりますと、そのような法人を余り制限なしに置くということは、むしろその性格上おかしいということになります。したがいまして、一つの会があるところに一つのそういう法人を置くということぐらいが今申しました公益性という面から申しましても適当」であります、こうおっしゃっている。いつ変わられたのですか。
#48
○枇杷田政府委員 その考えは変わっておりません。ただ、それを法律の明文の上で一つに制限をするという根拠がないということを申し上げているだけでありまして、実質的にはそういうただいま読み上げられましたようなことからすると、そんなに二個も三個も無制限につくっていくということがふさわしいものでないということは考えは一つも変わっておりません。
#49
○山田委員 重ねて確認をさせていただきますが、民法三十四条の公益法人と主務官庁の許可というところの条文に基づいて、今回の社団法人公共嘱託登記司法書士協会、同調査士協会というものを設立することができる、こう明らかにうたっているわけでありますので、極めて公益的なあるいは公共的な性格の強い法人である、したがって、それはむしろ余り制限なしに二つも三つも四つも置くというようなことは望ましくない。やはり公益性のある公共的な事業を推進していくこの協会は、原則的には一つが望ましい。しかし単位会とか連合会とかがどうしても二つ、大きな区域で事業量も大きくて、もう一つあった方が処理の上で非常に円滑にいくというような要望とか、あるいはまた希望とかいうものがあれば、それを踏まえて設立をするということで、そういう要望も何も余りないのに、法務省が二つ目、三つ目の設立を許可するということはない、こういう御答弁の趣旨かとうかがいますが、それでよろしゅうございますか。
#50
○枇杷田政府委員 単位会と申しますか、その意見をくみ上げた連合会の意見が、そういう複数の協会を置くのは適当でないという御意見である場合には、私は許可の中で、許可するかしないかの判断の際には最大に尊重されるべきものだと思っております。
#51
○山田委員 局長は両連合会に対してそんな言い方はしたことがないので、部下の方がどういう言い方をしたかはつまびらかには承知していないが、こういう御答弁が先ほどありましたが、先ほど公取に来ていただきまして、直接独禁法と設立単位の問題が関係ないということが明らかになりましたので、今まで日司連とかあるいは両連合会や私どもに対する説明という中には、この公正取引委員会、独禁法との関係、あるいは内閣法制局でこれは通らないというような理由づけ、説明がるるなされてきたところでございますが、独禁法、公取が問題ないと言っている以上、内閣法制局が問題にするわけがないので、てにをは、一言一句といいますか、法律の体裁を整えるとか条文の言葉を整えるとかということを除いては問題になり得ないと私は思いましたものですから、法制局の方には御出席をお願いしなかったわけでございます。これは申し上げておきたいと思います。
 それから、全国で司法書士は約一万六千人、土地家屋調査士の資格を持っておられる方々は約一万八千人、合わせると三万五千人前後の大変な有資格者の数ということになりまして、全国でこの改正法案が審議される当法務委員会の審議の状況というものを本当に心配をして、あるいはまた期待をして大きな関心を寄せていることは事実でございまして、当法務委員会での各党の委員の方々と法務省とのやりとりというものは議事録としてしっかりときっと読まれることになるだろうと思います。
 そういうことで、その中でも一番大きな関心を、また心配をしておりますのが、実は局長、司法書士会においても調査士会においてもこの設立単位が欠けたというところ、自分たちの会の意思に反して二つ目、三つ目ができてしまうのじゃないかというこの点が実は一番心配をしておるという問題でありますので、いろいろな角度から伺うようで大変恐縮なのですけれども、事実また法務省のサイドでそういうふうに説明してこられたわけですから触れておかないわけにいかないわけでございまして、公益法人と契約というところの関係からも見ておかなければならないわけです。
 私、手元にちょっと資料を持っておりますが、先ほど申し上げました、この法人設立法改正についての法務省、日調連、日司連との昨年の八月二十三日の打ち合わせで、公益法人と契約あるいは競争というような関係でいろいろと御説明や解説をなされておるわけでございます。ちょっと御紹介いたしますけれども、これは当時の第三課長の答弁でございます。まず、公共嘱託登記の発注官庁と法人が協議した報酬となるのか。それに対するお答えとして、相手のあることであるから協議して定めることになろう、こういうやりとりがございます。これは、私、何を申し上げたいかといいますと、少なくともこの時点では、この司法書士協会、調査士協会が発注官庁、官公署等との契約をするときに協議をしてということですから、随意契約的なものと予想をされておった。それは、設立単位のところで一つであっても問題はないという御判断があったということも一つの証明になっていると私は思います。それから昨年七月四日の枇杷田局長の国会における答弁、「一つの会があるところに一つのそういう法人を置くということくらいが」「公益性という面から申しましても適当」である、こういう御答弁にもはっきりとあらわれておりますように、随意契約あるいは公益性、そしてそれは一個でも問題はないし、むしろ一個でいった方がいろいろ都合がいい場合があるよというようなお考えがあったことは間違いございません。私はそう思っております、資料から見てそういうことになりますから。それからもう一つは、これは当時の第三課長でございます青山課長さんから、やはり昨年八月二十三日の打ち合わせ会のメモによれば、この協会は公益的であり、競争関係に立つことは不相当という御説明が明確になされているわけでございます。
 したがいまして、先ほど局長はどうしても一個でなければならぬという合法的な理由が見つからないというふうに御答弁なさいましたけれども、しかし、きのうやきょう立法作業の検討を始めたわけじゃない。もう昨年だけなわですね。もう何年越しになるのでしょうか、公共嘱託登記の問題は。たしか五十三年法改正の折にも当法務委員会でこの公共嘱託登記の円滑な処理の問題というのは各党の委員の皆様からしっかりと議論がされた経緯があるわけでございます。そうしますと、七年あるいは八年という歳月がずっとたってきている。法改正の一番最終段階である昨年の八月ごろ、公益性があるがゆえに司法書士同士を価格競争なんかさせるのは妥当ではないだろう、ずっとそういう流れの上で昨年のこういう発言があるわけでございます。したがいまして、私は、この点につきましてはずっと理解に苦しんでおったものですから、こうして明らかにしていただきたいということで質問申し上げているわけでございます。
 設立単位の問題はまだいろいろございます。これは法務省から設立単位を載っけられないという理由を言ってくるから、全部こちらとしては勉強しなければならないわけですよ。本当にそうなのかそうじゃないのか、調べてみなければわからないのですから。そういう説明の仕方あるいは弁解の仕方、あるいは理由づけというのは、悪い言葉で言えばこけおどしみたいなものですよ、そういうやり方は。改めていただきたいと思います。
#52
○嶋崎国務大臣 今、法務省の仕事の立て方をこけおどしみたいなことだと言われたので、私もいささか気持ちが悪いわけでございます。
 御承知だと思うのですけれども、今度の法人の設立については、今ほど来民事局長から十分お話ししたところでございます。また、今度の国会の中でも問題になっておると思うのですが、タクシーの料金、MKタクシー問題というのが、皆さん非常に大きな関心があって取り上げられているケースであると思うのです。その申請につきまして、従来、単位一律みたいな取り扱いをしていたということが非常に問題になりまして、御承知のように個別申請をさせる、そして最終的には官庁の判断で同一的な料金の設定をするという建前になっていることは御承知のとおりでございます。そうしたときに官庁の取り扱いが独禁法に違反するかしないかということは、それはもう違反をしないでしょうということは公取でもはっきりおっしゃられておるわけでございます。今問題になるのは、司法書士の皆さん方を事業者だと言うつもりはない、本当にそういう資格を持っておられる人でございますけれども、そういうところの仕事の立て方が独禁法的に非常に危うい形で見られるというようなことになりますと、事柄が本当に厄介なことになっていくだろうと私は思うのでございます。そういうことを十分考え抜いてこういう制度につくっているわけでございまして、決してこけおどしでこういう問題を考えているということではさらさらありませんから、その点だけははっきり申し上げておきます。
#53
○山田委員 失礼がありましたらおわびをいたしますが、こけおどしのような法律改正作業であったというふうに申し上げたわけでは決してございません。私は、大事な部分が欠落をしたという現実を踏まえたときに、それに対する関心が非常に大きなものですから、もっと丁寧に説明をすべきではなかったのか、こういうふうに申し上げているわけでございまして、ただ独禁法とか公取とか内閣法制局とか、司法書士、調査士という有資格者という立場であってもそういうものかなということで、何となくそれでだめかなという感じになりますので、できましたらもう少し丁寧にその辺の欠落をしたということについての御説明をお願いしたい、そういう趣旨で申し上げたわけでございまして、それにしても大臣、今特段の御答弁をいただき、お話をいただきましたけれども、言葉に行き過ぎがありましたら心からそれはおわびをしたいと思いますが、私の真意はそういうことでございますので、大臣、御了解いただきたいと思います。
#54
○嶋崎国務大臣 ただいまのお話、私はそのとおりだと思いますが、ただ御承知のように、法務省という役所はある意味では法律の専門家の寄り合いでございまして、私も相談を受けることがありますと、なかなかぎりぎりした議論を中でやっておるわけでございまして、せっかく法務省が案をつくるときに苦心惨たんをしていろいろな法規との絡みということについても十二分に論議をした上で決めておることでございます。私、冒頭の説明でも申し上げましたように、これは民法三十四条に基づくところのものでありましょう。それからまた、司法書士会あるいは土地家屋調査士会、それぞれのところで十分事柄を議論して整理をされる過程もありましょう。そういう中で、ただ単に真ん中に線を引いたらいいんじゃなしに、いろいろな議論を積み重ねてこの法案をつくり上げてきた経過があるということを申し上げたわけでございます。そういうことでございますので、ぜひともひとつ御理解を願いたいと思います。
#55
○山田委員 恐縮です。
 次に、法案の十七条の六の関係につきましてお尋ねをいたします。
 十七条の六の規定は、登録事務の移譲の問題と並びまして、極めて大きな改正点の柱の一つであります。「司法書士は、その専門的能力を結合して官庁、公署その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者による不動産の権利に関する登記の嘱託又は申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として、」民法三十四条の規定によってこの協会をつくることができる。私はこの中で「官庁、公署」、これはわかりますが、「その他政令で定める公共の利益となる事業を行う者」という点についてお尋ねしたいと思いますが、まず「公共の利益となる事業を行う者」というのは何かという点でございます。
#56
○枇杷田政府委員 具体的には新住宅市街地開発法による事業であるとかあるいは都市再開発法による事業であるとか、土地改良関係の事業を行うというようなことを考えておるわけでございます。
#57
○山田委員 連合会の改正試案にはただいま局長が答弁なされましたものを含めまして、六つほど事業を行う者というものが挙がっているわけでございます。これは政令に定められるのでしょうか。そしてこれ以外に政令で定められる「公共の利益となる事業を行う者」を予定なされておりますかどうか。
#58
○枇杷田政府委員 両連合会の方にお渡ししております資料では、ただいま御指摘のように六つ挙げておりますけれども、これに限定するつもりはございませんで、これと類似のようなものはなお金法令を精査いたしまして、ふさわしいものは全部掲げるという予定にいたしております。
#59
○山田委員 例えば銀行法の第一条などを見ますと、目的規定になっておりまして「銀行の業務の公共性に、かんがみ、」云々、こう出ているわけでございます。この「公共の利益となる事業を行う者」というものはそういう意味では非常に概念の広い言葉、表現であるというふうに考えているわけでございますが、例えば銀行その他の金融機関、それはここに言う「公共の利益となる事業を行う者」という中に入るのでしょうか。
#60
○枇杷田政府委員 そのようなものは含まれるというふうには考えておりません。
#61
○山田委員 登録免許税法の別表第二というのがございます。いわゆる非課税法人が五十幾つか列記されていると思いますが、これは「公共の利益となる事業を行う者」に該当しますか。
#62
○枇杷田政府委員 その別表に掲げてある面の考え方とここで考えております公共事業というものは考える立場が違いますので、登録免許税の関係の別表に掲げている法人だからといって当然にその行う事業がここで言う公共の事業というふうには考えておりません。
#63
○山田委員 登録免許税法別表第二の非課税法人の中には国民金融公庫とか住宅金融公庫とか中小企業金融公庫とか、こういう法人も含まれておるわけでございます。仮にこの法案が成立すれば公共嘱託登記司法書士協会、調査士協会というのが設立をされまして、「公共の利益となる事業を行う者」という、官庁、公署とともにそこから発注される公嘱登記というのは処理ができるという形になるわけであります。今日まではこの国民金融公庫とか住宅金融公庫、中小企業金融公庫などは一般申請事件といいますか、今までずっと一万六千人の司法書士会員がこの登記の受託をして処理をしている一般申請事件の中でも極めて中核的な存在であるということになるわけでございますが、これらが「公共の利益となる事業を行う者」ということでどんどん拡大をされる中に加えられてくるということになりますと、協会といわゆる個人の司法書士事務所との兼ね合いが非常に厳しいものになってくる。もっと端的に言えば、一般申請事件を今までずっと処理をしてこられた司法書士あるいはその事務所というものの業務が非常に狭められるという問題になろうかと思いますので、ここは十二分に歯どめといいますか、あるいは節度を持った政令で定める事業者ということにとらえなければならないと思いますが、いかがでございましょうか。
#64
○枇杷田政府委員 ただいまのお話、私も全く同じように考えております。
#65
○山田委員 この「公共の利益となる事業を行う者」については、当初法律事項で盛り込まれる、それで国会の審議に付されるという、ずっとそういう流れがございました。資料もあります。民事局登記三課の印という資料も私持っておりますが、時間の関係もありますので……。これは政令事項に、格下げと言ったら失礼でありますが、されたわけであります。これが無制限に拡大をされないという歯どめということについては具体的に何かお考えがございますか。
#66
○枇杷田政府委員 私どもの方では法律に列記するということが一番正確でいいだろうという考え方は持っております。ただ、この種のいろいろな公共事業に係る法律は改廃が多うございます。新しい事業ができたり前のがなくなるというふうなこともございますので、それを一々法律改正ということでやったのでは現実問題としては対応し切れないというふうなことから、政令に委任をするということにいたしたわけでございます。
 しかしながら、ただいまも答弁申し上げましたように、これはそう無制限に広がるものであってはならないことは当然でございます。限定的にしなければならないところで、政令をつくる段階においては慎重に考えて、考え方が広がるというふうなことがあってはならないと思います。歯どめと申しましても、これを何か法規の上での歯どめというのは難しゅうございますが、実際問題といたしますと、私どもはその政令の改正をする際には両連合会の方にも意見を聞くということは行って、やりたいと思っております。
#67
○山田委員 ぜひこの点は、司法書士の業務の一番根幹の部分に直接かかわる問題でありますので、御答弁のように慎重な対応をお願いしたい。これは要望申し上げておきたいと思います。
 次に、法案第二十一条、そしてまた二十五条関係で「協会の理事又は職員」というところについて何点かお尋ねをさせていただきます。
 まず関連といたしまして、前提で一、二伺いますが、公嘱法人というのは退職された国家公務員の方々の吸収のためにつくられるものというふうな指摘が結構なされておるわけでございますけれども、そういうことはありませんですね。
#68
○枇杷田政府委員 退職職員を吸収してもらうためにこういう法人をつくるなんというふうな考え方は毛頭持っておりません。
#69
○山田委員 五十三年法改正のときに当時の香川民事局長さんの御答弁、ここに資料を持っているわけでございますが、「嘱託する側の官庁あるいは公団等におきまして、御承知のとおり、退職した、職員のやめた後のいわば職場として嘱託ということでさような事務をさしておる。」公共嘱託登記の処理の件でございます。「司法書士法人というようなものをつくって、各省、各公団等のそういった退職後の職員の吸収場所とすると同時に、責任のある嘱託を受ける側の体制を整えるというようなことも考えてみてはどうか」「今後とも鋭意さような方向も含めてひとつ検討してまいりたい」、こういう答弁があるわけでございますが、少なくともこの答弁の中には「責任のある嘱託を受ける側の体制を整える」という意図、目的と、もう一つ、ただいま枇杷田局長は絶対にも頭ありませんとおっしゃいましたけれども、香川局長さんが五十三年の国会で「吸収場所とする」、そういう方向を鋭意検討してまいりたい、こう答弁されておるわけでありまして、この辺についてどう御説明をいただけますか。
#70
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘ございました香川政府委員の答弁でございますけれども、これはただいま読み上げられましたところの前をごらんになればおわかりいただけると思いますが、現在、登記の嘱託をする官公署においては、その官公署の退職職員などを再雇用といいますか、いたしまして、その方々に登記の嘱託の書類の作成等をさせておる、そういうふうな状況にあるわけだから、そういう人を受け入れるというふうなことでもしないと実際上、そういう官公署からの発注というものがないのではないか、いわばそういう措置も考えないでただ発注をしてくれというふうに言っても実際上は発注官庁の方では困るし、場合によっては当該再雇用されたような方々が職を失うということになるとうまくいかない、そういうことも考えないと、法人さえつくればいいということではないだろうというふうな趣旨でお答えをしているわけでございます。
 したがいまして、今度の法人はそういうふうなことは一応度外視をいたしまして、ともかく受託をする組織を司法書士会、調査士会側の方でつくるというふうなところで公共嘱託の登記の受注をして、そして円滑適正な嘱託事務が行われるようにするということをねらっておるわけでございまして、この当時の香川民事局長の考え方も、天下りといいますかそういう退職職員を受け入れるためにつくるというふうな気持ちはない。むしろこの考え方は、仮に法人をつくる場合にもそういう者を受け入れるというふうなことをした方がスムーズにいくという面があるのではないかという側面からの問題の指摘だというふうに私、理解をしております。
#71
○山田委員 もう一つは、これは大変いろいろと言われているわけでありますが、ただいま天下りというお言葉を使われましたけれども、俗に言われる天下りポストの確保を目指しているようなことはないんだろうな、こういう心配がかなりあるようでございます。それは、今申し上げました公嘱法人そのものとともに設立単位との絡みがあるわけでございまして、非司法書士の理事という形で、局長使われましたので私も使いますが、天下りというようなそういうポストの拡大、それが一つということになれば全国で五十できるわけですし、みんな二つ以上つくれば百できるわけですし、迎えたいというのと迎えたくないという協会があろうかと思いますが、いずれにしても天下りのポスト拡大というところが念頭にないのかなというような心配があるわけでございますので、この際、ちょっとその点を伺っておきたいと思います。
#72
○枇杷田政府委員 私どもの方では法務省の退職職員の天下りというふうなことは毛頭考えておりません。そのようなことになるのではないかということを心配する声があることは承知いたしておりますけれども、私どもはそういう次元でこの問題をとらえるということはおかしいと思っております。むしろこれは公共嘱託の登記が円滑にいくということを主眼としてこの法案を作成したつもりでおるわけでございまして、法務省の職員を天下りするなんというふうなそういう次元でこの問題を考えるという発想は全然ございません。
#73
○山田委員 もう一つ、この際お伺いいたしておきたいと思いますが、昭和六十年度、今年度から国家公務員定年制が導入をされます。恐らく法務省の御関係でも退職者が、法務省に限りませんけれども、全体的にふえていく傾向になるだろう。そういう中で、これは法務大臣の特別認定、特認の問題でありますが、五十三年法改正で司法書士試験というのは国家試験に移行いたしましたけれども、現実には国家試験合格組の司法書士と法務大臣の特別認定、特認という形での司法書士、こういう流れがあるわけでございますが、退職者がふえていく傾向の中でこの特認をふやしていくのではないか、大変またふえていくのではないか、こういう指摘がありますけれども、その点につきましてはいかがでございますか。
#74
○枇杷田政府委員 定年制の問題と結びつくかどうかわかりません。と申しますのは、法務局の職員で満六十歳になってやめるという方が比較的少のうございます。が、いずれにいたしましても、法務局の職員の年齢構成から見ますと、ここ数年は退職時期を迎える年齢に達する方が多いということは事実でございます。そのような方々は、登記事務にかなり長期間従事をしてきてその道のベテランであるということが言える人でございます。そういう人が退職後に司法書士をしたいということで法務大臣の認可を求めるというケースが退職者の数が多くなるにつれて多くなるであろうということは予想されるところでございます。
#75
○山田委員 私は、特認の制度を否定するつもりは全くありません。国家公務員という立場で一定の専門的な能力を身につけられた方が関連の分野で退職後も活躍をされる、この特認の仕組みそのものを否定するつもりはありませんが、ただ、これが無制限に拡大をされていくあるいは歯どめなく特認数がふえていくということになりますと、これは職業選択の自由というような基本的な問題にもかかってくるわけであります。平たく言えば、特認が大きくなれば、数がふえればふえただけ、需要と供給といいますか、司法書士のバランスというのがあるわけでございますので、一定の五百人とか六百人とか毎年司法書士とする枠というのは決まっておるわけですから、特認がふえればその分だけ国家試験の合格者が非常に圧迫される、小さくなってくるという関係になるわけであります。ぜひひとつ、これは公益法人司法書士協会という新しい制度というものを内容としている法改正審議でありますので、この特認の問題は一退職者数がふえてくればそれにつれて特認数もふえるという局長の答弁かと今伺いましたけれども、バランス的にどうなんでしょうかね。バランス的に、国家試験によって司法書士になる者と特認で司法書士になる者と今までどの程度のバランスでしたか。そして、基準というのはおかしいですけれども、これからはどういう比率なりバランスなりを踏まえて運用されようとなさっておるのでしょうか。
#76
○枇杷田政府委員 先ほど、退職者の数がふえるにつれて法務大臣の認可を求める、希望するという人もふえるであろうというふうに申し上げました。しかしながら、私の聞き違いかもしれませんけれども、特認の人が多くなればその分だけ試験合格者の枠が減るというようなことはないわけでございます。試験合格者は、国家試験に一定の基準の点数を取るといいますか、能力があるというふうに判定をされた人は、司法書士の資格を与えるという意味で試験合格をするわけでございます。そして、登録につきましても毎年五百人とかというふうな枠があるわけではございません。したがいまして、試験合格者の方を圧迫するということは全くないわけでございます。ただ、現在の司法書士の業界全体で、先ほどおっしゃったように需要と供給の関係ではかつてほど登記事件が激増していくというふうなことは少しなくなってきた、漸増程度のことになってきたという意味では、余り司法書士の数が多くなってしまうと、言葉は悪いですけれどもだぶつきぎみになるというふうなことがあるのかもしれません。あるようにも聞いておるわけでございます。しかし、退職者の数が多くなるといいましても、そう一遍に二倍にも三倍にもなるというわけのものではございません。また、退職者もそういう全体の状況はわかっておりますので、必ず全部が司法書士になるという希望を持つわけのものでもございません。私どもも、司法書士以外のことでの再就職の道ができればそれもいいことだというふうに考えております。
 今後がどういうことになるかということは予測しがたいことでございますが、先ほどのお尋ねの中の比率でございますけれども、国家試験合格者が六〇%、それから法務大臣の認可を受けて司法書士になるというのが四〇%ということが大体ずっと続いておるようでございます。将来は、国家試験の合格者数も、これは毎年定員で決まっているわけではございませんので一概には言えませんけれども、先ほどのような事情で特認の方が若干はふえるというふうなことが考えられるかとは思いますけれども、ここでははっきりした見通しを申し上げる根拠を持っておりません。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
#77
○山田委員 局長、現状が国家試験合格者が六割、特認が四割というような状況のようでございますので、できましたらそのあたりを一つの目安にして、余りそれからバランスが崩れて特認者がふえるというようなことは少なくともないようにお願いしたいなというように思っておりますが、この点いかがでございますか。
#78
○枇杷田政府委員 そのような配慮も一面では必要だということは私も否定はいたしませんけれども、ただ、理屈を申し上げますと、国家試験の方もそれから特別認可の方も、司法書士となるだけの能力があるかどうかという客観的な基準で決めるということになりますので、そういう比率的なものを余り表面に出して考えることもいかがかとは思いますが、おっしゃる御趣旨は私どもわからないわけではございませんので、そういう御趣旨をよく頭にとめまして、今後の運営はいろいろな意味での問題が余り起こらないようにというふうなことは配慮してまいりたいと思います。
#79
○山田委員 ぜひお願いしたいと思います。
 法二十一条の「理事又は職員」のところからちょっと特認の方に、行ってしまいまして失礼いたしましたが、まず冒頭確認をさせていただきたいのですけれども、法案二十一条に「第八条の規定に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。」これが第一項。第二項が「協会が第十七条の八において準用する第八条の規定」、この「第八条」というのは、「司法書士は、正当な事由がある場合でなければ嘱託を拒むことができない。」こういう規定でございます。これに協会が「違反したときは、その違反行為をした協会の理事又は職員は、五十万円以下の罰金に処する。」こういう罰則規定がございます。ここに言います「職員」というところでございますが、これは法二条第一項で規定されております「嘱託を受け」、あるいは「嘱託を拒む」という、こういう事務というものはこの二十一条に挙げられている「職員」はできるのでしょうか、できないのでしょうか。
#80
○枇杷田政府委員 これは発注側の官公署と協会との関係で出てくる話でございまして、協会の方は公益法人でございますから理事が業務執行権を持っておる。したがって、発注官庁側の方との委託といいますか請負といいますか、そういう契約を結ぶというのは理事がやることになるわけでございます。ただ、普通の会社でも同じでございますけれども、会社で言えば代表取締役だけがそういう折衝をするわけではないわけでございます。現実に契約をするときには代表権限がある者、この法人で言えば理事が契約締結の名義人として行動するわけでございますが、拒否をするという場合には、実際上は、協会の事務局の中で内部的な交渉権限を与えられる者があり得るということが理論的に言えるわけでございます。そのような者が拒否をしてきたという場合に、これが罰せられなくていいという理屈にはならないだろうということに着目をしているわけでございまして、拒否をする場合には、いわばそういう交渉権限を任せられた職員が拒否をするという事実行為はあり得るという前提でこの法文ができておるわけでございます。
#81
○山田委員 事実行為はあり得る、しかし一般の会社のようにと今例を引かれましたけれども、業務執行権を持つ理事から職員に委任をして、おまえ、発注官庁のところへ行って契約を結んでこい、これ自体は本来できないわけでございますね。
#82
○枇杷田政府委員 正式に契約を結ぶ意思表示をすることはできないわけでございますが、ただ下交渉といいますかあるいは使者的なことをすることは当然できるわけで、最終の契約書の署名名義人ということではないだろうと思いますけれども、そういうことはできると思います。
#83
○山田委員 もう一点でございますが、二十五条の二項は罰則規定でございまして、「第十九条第二項の規定に違反したときは、」一年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。」この第十九条の第二項の規定というのは、「協会は、その業務の範囲を超えて、第二条に規定する業務を行つてはならない。」「業務の範囲を超えて、行つてはならない。」というこの規定に違反をしたときには協会の理事または職員は罰せられるという規定になっております。それでは、この場合の職員というのは、業務の範囲を超えなければ法第二条に規定する業務を行えるのでしょうか、行えないのでしょうか。
#84
○枇杷田政府委員 協会の理事は、いわば発注官庁から受けました委託の処理として、法人の行為としてするという場合にはそれはできなくはないと思います。ただ、職員の方は、別に司法書士の資格を持っている者でもないわけでありますから、協会の業務の範囲内のものであっても、それはできないことは当然でございます。
#85
○山田委員 ちょっと細かい聞き方になって恐縮なんですけれども、手元に日司連案または日調連案ということで社団法人公共嘱託登記司法書士協会定款案というものがありますけれども、根本的に協会の職員というのは、定款案でいきますと三十七条にありますが、「本協会の庶務を処理するため事務局を置く。」こういう文言がございます。これはあくまでも協会の庶務を処理するのが職員である、文字どおりでございます。それから「役員の職務」、この定款案では第十五条の第五号にございますが、今局長がおっしゃったように業務執行権、「理事は、総会又は本定款の定めるところにより、本協会を代表し、本協会の事務を執行する。」こうございます。この対比からも明らかなように、職員はあくまでも会の庶務を処理する、理事は本協会の事務を執行する、業務執行権の行使。嘱託を受けるという行為は、法第二条の極めて重要な事務といいますか業務である。嘱託を受けるというのと、その後一号から三号までございますが、各号の具体的な事務の処理というのは密接不可分のものでありまして、法二条の業務の範囲というものを定めておる、こう理解しておるわけでございますので、協会の職員が法二条の業務をできない、こういうことでございますね。
#86
○枇杷田政府委員 司法書士の業務は二条で決まっておるわけでございまして、それが一つの大きな円というふうに考えていただいてもいいと思います。そして、協会はその二条の司法書士の業務の円の中の小さな円の範囲内で業務ができるということになるわけでございます。ただし、協会の職員は司法書士の資格を持っていない、調査士協会の場合には調査士の資格を持っておりませんので、したがいましてその大きな円のものについても小さな円のものについても一切できないわけでございます。理事は、その小さな円については、協会の仕事ということになれば、形式上はできるということにはなろうかと思いますが、職員は全くできないわけです。
#87
○山田委員 職員の件につきましてはよくわかりました。
 では、協会の理事でございますが、司法書士の理事と非司法書士の理事、一つの協会に両方置かれるということはあり得るわけでございます。その場合、非司法書士の、資格を持っていない理事は法二条の業務を行うことができるのでしょうか。
#88
○枇杷田政府委員 先ほど申し上げたことでちょっとあいまいな点がございましたので、はっきり申し上げますと、十七条の七の二項で、協会はその業務に係る事務を入会している司法書士でない者に取り扱わせてはならないという規定は、これは業務執行という形でやる場合でもそれはできない。法人法の建前からいたしますと理事は業務執行ができるということから、委託を受けた契約の履行としての事業をやり得るということが法人法のサイドからは言えるわけでございますけれども、司法書士法のサイドから申しますとそれは適当でないという意味で、十七条の七の二項でこういう規定を設けておるわけでございまして、この規定によって理事はできない、つまり司法書士の資格を持っていない者はできないということになります。
    〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
#89
○山田委員 この際、せっかく職員のところでありますので、これはその設立をされる協会の社員総会等の決定なり決議なりにゆだねられるものかと思いますが、局長が想定をされておる、法務省が想定をされておる協会の事務局の規模といいますか、協会の庶務を処理するという位置づけの事務局の規模というのは極端に大きいものとかというふうなことでは当然ないわけでございますね。その辺の感じはどんなイメージをされておりますか。
#90
○枇杷田政府委員 これは御承知のとおり、司法書士会で申し上げますと五十人、八十人の会員の会もありますし、千数百人の会もあるわけでございます。それによりましてつくられる協会も大小いろいろとあろうと思います。現在委員会で扱っております事務量、そういうものを前提に置いて、その事務量をこなすような程度の規模の協会であるということなら事務局というものは大きなものにはならない、そんな大きなものを置いた場合は、むしろ経営が成り立たないだろうと思います。
 ただ、今度の法人化のねらいが、官公署側のそういう事件を大量に受けて円滑にやっていこうということがねらいでございますので、それが大変うまくまいりましてかなりの公共嘱託が受注できるということになりますと、それにつれて事務局と申しますか庶務と申しますか、そういう面の陣容も拡大していかなければならないだろうと思いますが、恐らく現在の状況では会の事務員なりあるいは特定の司法書士事務所の事務員なりが兼務してやる程度の事務量から発足するような協会が多いのではないかという予測を持っております。
#91
○山田委員 社員の中で事務の配分、仕事の配分を受ける社員、受けない社員というのがあるようでありますけれども、官公庁等から嘱託を受けるのは大量のものばかりではないと思います。少量の、中量のというのもあると思いますが、受けた嘱託登記を職員に全部処理をさせて――いわゆる司法書士事務所、司法書士が補助者を使っているように、今は五人ぐらいを目安にしているのでしょうか、それ以内でしたら補助者を使える、それはちゃんと登録をしなければなりませんけれども。それと同じような考えで、協会が受けた嘱託登記を職員に処理をさせて、そしてそれを社員が分配を受ける。分配を受けたらこれは公益法人じゃなくなってしまいます、公益性がなくなってしまいますから。そうじゃなくて、何かの形で報酬を得る、そういうことは考えられないわけでございますね、法人の性格からいっても。その点いかがでございましょうか。
 要するに官公庁等から仕事を受けて、その仕事を全部事務局の職員に処理をさせて、それは司法書士の理事なんかもいますから、社員であるけれども全然仕事の配分を受けない社員がいるというような、その関係を伺っているわけでございます。そういうことはあり得ないのでしょうね、職員を使って処理させるということは。
#92
○枇杷田政府委員 それは実際にその協会がどういうやり方をされるかの問題でありますので、あり得ないという意味は、事実上あり得ないということについては私は答弁できませんけれども、多分そんなおかしなことをするようなことはないだろうと思います。
 それからまた、法律的には、そういう形で、資格がない事務局職員にそういう仕事をさせるという場合には、これは違反でございますので、当該職員も司法書士法違反あるいは調査士法違反によって処罰を受けるということになるわけでございます。
#93
○山田委員 よくわかりました。
 その他の問題点といいますか、幾つかお尋ねをしますが、第六条の十二でございます。「登録事務に関する報告等」とあるわけでございますが、「法務大臣は、必要があるときは、日本司法書士会連合会に対し、その登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。」この関連――直接この条文ではないですね、ちょっと今失礼いたしました。
 登録事務の移譲が今回の法改正の中の大きな柱の一つとして盛り込まれているわけでございますが、なぜ今連合会に登録事務を移譲されるのかという観点から、これは第二臨調の許認可事務の簡素化というようなところで答申が出されておりますけれども、それで移譲をなされることを決断されたのですか。それとも、司法書士あるいは司法書士会の成長による、もうそろそろ移譲してもいいかなというものによる移譲でございますか、いずれでございましょうか。
#94
○枇杷田政府委員 この登録移譲は会の方からも、特に司法書士会の方からは強い要望があった件でございます。しかしながら、いろいろな面から見て、会がそういう登録事務の移譲を受けてやるだけの条件がそろっているかどうかという点については私どもも関心深く見守ってまいったわけでございますけれども、最近、そういう移譲をしてもやっていけるというふうなところまで、先生の今の言葉をかりますと成長してきたという状況にあるものと思われます。そこへ臨調の答申もありましたので、臨調の答申も推進力になったということは間違いないことでございますが、そういうことを合わせて今度の法改正で実現をするというふうに踏み切ることができたわけでございます。
#95
○山田委員 法務省の御指導のよろしきを得ましてこの司法書士も司法書士会もだんだん成長してきて、臨調の答申はあったけれども、それと両々相まってそろそろ登録事務の移譲かな、こういう御答弁と伺った次第でございます。
 そこで、全く第二臨調の答申だけが原因でないということに関連をいたしまして、これは司法書士会あるいは調査士会という組織に限りませんで、目的を一つにするあらゆる組織、団体におきましては、その団体内の会内における自治権というか自主性あるいは独立というような部分、次元というのはどういう団体でもお持ちになっておられるのが一般的に言えることだろうと思います。
 そういうことで司法書士会が資質の向上に今後とも励みまして、真剣に取り組みまして、さらにさらに成長させていただいて、そういう暁には――今回の法改正で自主登録をさせていただけるようになるわけですから大変ありがたいと思っております。とともにもう一つの自主懲戒権という部分がございまして、そういう意味で今後また司法書士が一生懸命頑張りまして、資質も向上し、社会的にもさらにさらに一層認知されるようになったということになれば、自主懲戒権を認められることもあるというような方向で理解をしてよろしいのでございましょうか。
#96
○枇杷田政府委員 自主懲戒についての要望といいますか、そういうふうなことができるような状態にまで会全体の内容を高めていきたいということを考えておられる方が多いことは承知いたしております。私どももそういう考え方それ自体は別に否定するものではございませんし、また懲戒権というものも法律上絶対移譲できないものではないかもしれないとは思っておりますが、ただ現状を考えますと、それは大変難しいことではないか。まだ面会ともそういう自主懲戒ができるというふうなことにはなっていないと思っておりますし、また世間の目から見ましても、自主懲戒ということで果たして納得してもらえるだろうかという点については疑問に思っております。そういうことからいたしますと、そういう要望があり、またそういうことを目標として内部的に充実をさせていこうという努力をされる方々のお気持ちはわかるし、それはそれとして尊重はいたしますけれども、懲戒権の移譲問題というのは全く不可能なことではないとは思いますが、できるにしても私はかなり遠い将来の問題だろうと思います。
#97
○山田委員 司法書士会も調査士会も一生懸命頑張りますので、かなり遠い将来というように局長おっしゃいましたけれども、そのかなり遠い将来が、一年でも二年でも早く認めていただく時代が来るように私ども司法書士も一生懸命やりますので、どうぞひとつよろしくお願いしたいと存じます。
 次に、登録審査会でございますが、第十七条の五の規定であります。「日本司法書士会連合会に、登録審査会を置く。」こういうふうにございます。これは法案六条の三、「登録の拒否」との関係でお伺いをするわけでございますが、この六条の三というのは、連合会の会長が登録の拒否をしようとするときは、十七条の五に規定する登録審査会の議決に基づかなければ登録の拒否はできないという仕組みになっております。
 それで、この第五項でございますが、この登録審査会の「委員は、会長が、法務大臣の承認を受けて、司法書士、法務省の職員及び学識経験者のうちから委嘱する。」こうなっておるわけでございますが、これはどうでしょうか。会長は連合会の会長がそのまま会長に就任をすることの規定ですが、あと委員については、司法書士も法務省の職員も学識経験者も、全部が全部これは法務大臣の承認を受けて委員に委嘱をされる、こういうことになっておりますね。法務省の職員の部分につきましては、法務大臣の推薦とか御承認とかというのが妥当だと私は思っておりますが、司法書士それから学識経験者のうちから委員を委嘱する場合に、これまた法務大臣の承認がないと委嘱できないという形が、必ずしもこれでよろしいのかどうか。司法書士と学識経験者につきましては、司法書士会連合会あるいは調査士会連合会の会長が委嘱ができるような仕組みに、いわばこれは法律事項ですからこれを変えると言ったら修正になりますので、そんなことは今はできないかと思いますが、私はそういう意見を持っているわけでございます。少なくとも司法書士はやはり連合会の会長たる会長が大臣の承認があるなしてはなくて委嘱できる、こういう考え方を私は持っておるわけでございますが、その点いかがでございましょうか。
#98
○枇杷田政府委員 登録の拒否とかあるいは登録の取り消しの際に審査をいたしますところの登録審査会というのは、非常に大きな行政的な行為を行うについての裏づけになる、そういう重要な審査会でございます。そういう審査会はただ連合会の会長なり司法書士会なりがそういうことを決定したというのではなくて、やはり第三者的に公正な目から見た判断をするということが必要であるために設けるという趣旨になるわけでございます。そういう審査会でありますために、それは実質的に公正でなければならないことは当然でございますけれども、外部から見ても公正な人選であるということが担保される必要があるであろうというふうに思われます。そういう意味で、会長は法定されて決まりますけれども、あとの四人の委員につきましては、いわば法務大臣が承認をするというふうなことで、実質上の公正と公正らしさというものも同時に担保する方が、重要な登録の拒否とか登録の取り消しをやる場合の審査会としてはあるべき姿ではないだろうかという考え方でおります。
 ほかの業法でもそういうような形をとっておるところが多いように承知をいたしておりますが、ただ人選そのものは、これは連合会がするわけでございまして、承認という形でいわば法務大臣が関与するわけで、したがいまして、それはおのずから人選をする連合会の方の立場というものは理解をした上でやるわけで、自分が人選をするというのとはおのずからその性格が違うわけでございますので、やはり基本的には連合会がいわば実質的に人選をするという線においては、私は変わるものではないと思っております。
#99
○山田委員 大変失礼しました。私は条文の読み方がちょっと浅くて失礼しました。今局長の御答弁はよくわかりました。まず連合会の推薦がある、いわゆる会長の推薦がある。それを法務大臣のところに持っていく。法務大臣が承認すればそれで委嘱ができる、こういう仕組みになっている、なるほどそういうことでございますか、わかりました。その場合には、連合会会長の推薦に係る方々については、ぜひ法務大臣におかれては最大限に尊重していただいて、これはちょっとあれだからこっちとかえろとかそういうことが余りないように、きっとないだろうと思いますけれども、お願いをしておきたい、こう思っておる次第でございます。
 それから十七条の六でございますが、司法書士協会の第二項に「協会の社員は、同一の法務局又は地方法務局の管轄区域内に事務所を有する司法書士でなければならない。」という規定が置かれてございます。この点に関係して実は司法書士会本会への入会と登録の関係と、本会を脱会した場合と登録の関係が必ずしも整合性がないように私は思っておりますので、この関係でちょっと伺うのですが、何か手だてを講じなければならないのじゃないでしょうか。こういうことです。本会に入会をしなければ登録はされないわけでございますね。本会に入会することが登録の大前提になっています。この入口の部分では連動しているわけです。ところが、本会を脱会してもその後登録はそのまま残っているという形になるわけでございます。そうなりますと、この十七条の六の第二項との関係で言えば、「事務所を有する司法書士でなければならない。」脱会しても登録は残っていますから、これは司法書士で残っているわけです。事務所というのは特段にどういう事務所だということは当然規定されておりませんので、これが事務所だよと言えばそれで済んでしまうかもしれません。したがいまして、本会を脱会したときと登録の関係を何らかの対応をしなければならないのじゃないか。そうしないと、極論かもしれませんけれども、本会に入会している司法書士が協会の社員になりました。ところが、何かのはずみであるいは事情があって本会を脱会しました。ところが登録は残っていますから、司法書士であることは間違いない。また事務所もあるでしょう。あると言い張ることもできます。それは協会の社員として残っている、仕事ができるということになるとちょっと問題がありはしないかなというふうに思っているわけでありますが、何かこの辺ちょっと統一的な基準なりそういうものを策定されるとか御検討なさるようなおつもりはございませんでしょうか。必要性を感じないでしょうか。
#100
○枇杷田政府委員 今のお話で、単位会の会員ではなくなったけれども、まだ登録は残っておるから司法書士である、したがって、この十七条の六の第二項で言えば、協会の社員のままでいるということが不都合ではないかというお話でございますが、その場合に、これは法人としての社員のことをここで言っているわけでございます。実際にその仕事の配分を受けましてやるという場合には、これは解釈の上では、入会をしていない司法書士は司法書士の業務を行えないということでございますから、その配分を受けた公共嘱託の事件の処理はできないということになると思います。ですから、そういう面ではチェックできると思いますが、ただ本会といいますか、単位会を脱会したけれども、まだ登録は残っている司法書士を、この協会の法人の方の分野の問題として社員でなくす必要があるかどうかということについては、必ずしもいかぬということも決めつけられないのではないか、むしろそれはその法人のといいますか、協会の定款等でそういう場合にはどうこうするというふうなことを決める余地もあるのではなかろうかと思います。そういう平面での問題ではないかというふうに思っております。
#101
○山田委員 そうすると、これは今後の運営の実際の姿などを見きわめて、ただ不都合があれば所要の検討をいたす、改善をする、こういうことでございますね。
 次に、同じく十七条の六の第三項でありますが、ここには「協会の理事の定数の過半数は、社員でなければならない。」という規定が置かれております。これを仮に定款で、加重規定と申しますか、協会の理事は全員社員でなければならない、社員とするという文言が盛り込まれました定款案というのは法務大臣は認可をされるのでしょうか。
#102
○枇杷田政府委員 この十七条の六の三項の規定の趣旨は、少なくとも定数の過半数は社員でなければいけない、そういう趣旨の規定でございます。したがいまして、それを全員社員でなければいけないというふうな定款の定め方はこの法律に反するものではございません。また、実際の設立許可の場合、私どもの考え方といたしましても、その協会のいわば、発起人じゃございませんけれども、最初の社員の方々の御意見といいますか、総意がそういうふうなことにしたいとおっしゃるなら、それを理由として設立許可をしないということにはならないというふうに考えております。
#103
○山田委員 これは、将来必ずしも全員を社員でなければならないという法人ばかりではないだろうと、私予想といいますか、想像をいたします。そういう加重規定のような定款の中身であっても大臣の認可のときには差しさわりはない、こういうような御答弁でございます。確認でございます。
 もう一つは、この協会の理事は所属の司法書士会会長の推薦を受けた社員でなければならない、このように定めた定款案は認可されるのでしょうか。といいますのは、社団法人、民法法人でありますので、社員総会で社員の総意で、決議でそのような定款案を作成することはできるわけですが、協会の理事は単位会、司法書士会の会長の推薦を受けた社員でなければならない、こういうふうに定款に規定をいたしました場合のその定款案は大臣の認可を受けることができるのでしょうか、どうでしょうか。
#104
○枇杷田政府委員 法律的に違法だということにはならないかとは思いますが、ただ、そういうのが具体的に妥当であるかどうかという問題は若干あろうかと思いますので、少しくそういうようなことを必要とする場合には、そういう必要とする趣旨なども伺って検討さしていただきたいと思います。
#105
○山田委員 次に、十七条の七関係「協会の業務」でございますが、法第二条第一項各号に関連をいたしますけれども、「協会は、」「官公署等の嘱託を受けて、不動産の権利に関する登記につき第二条第一項各号に掲げる事務を行うことをその業務とする。」こういう規定でございます。二条の一号と三号かと思いますが、司法書士の業務で供託あるいは審査請求の手続の代理、これはできるということになっております。ちょっと今手元に条文がすぐ出てまいりませんので失礼しますが、そうしますと、この協会は不動産の権利に関する登記につき第二条第一項の各号に掲げる事務ができるとなっておりますが、前提としての供託の代理だとかあるいは事後の審査請求の代理ということも、これは公嘱登記の前後ということであり得るわけでございますので、これは公嘱法人は、協会は業務として取り扱うことができる、こう解釈してよろしいわけですね。
#106
○枇杷田政府委員 これは、この条文で明らかにしておりますように、「不動産の権利に関する登記につき」というふうにしておりますので、いわば関連する業務として供託等のことがありましても、それは協会の仕事には入らないというふうに思います。
#107
○山田委員 そうすると、局長、ちょっと不都合は出てまいりませんか。むしろ前後でしたら――そうはいかないのかな、法律の条文からいきまして。登記の部分だけ協会がやる。その前提となる供託の手続の代理あるいは事後の審査請求の代理を一体として処理をした方が円滑かつ迅速な処理ということに資するのではないかという気がちょっとしておるものですから伺ったのですが、これはそういう解釈でございますか。よろしいのですかね、すみませんがちょっともう一度。
#108
○枇杷田政府委員 あくまでも権利に関する登記そのものの仕事だというところに限定されると思います。
#109
○山田委員 わかりました。
 次に、法案第十七条の八には「司法書士に関する規定の準用」という規定が置かれておりまして、「第八条の規定は、協会に準用する。」こうございます。第八条の規定というのは「司法書士は、正当な事由がある場合でなければ嘱託を拒むことができない。」これの準用を協会にもされるわけでありますが、法第十一条にはいわゆる守秘義務の規定が置かれております。この八条の規定を協会に準用されておるのですから、あわせてこの守秘義務の十一条の規定も協会に準用されるのかなと私は見ておったわけでございますが、この点は欠けておるようであります。そうしますと、協会というのは職務上知り得た秘密といいますか、この問題についてちょっと不整合ではないかな、問題が将来起きかねないかなというような懸念は持っておるわけでございますが、この守秘義務を準用しなかった何か特段の理由でもおありになりましたでしょうか。
#110
○枇杷田政府委員 この守秘義務を協会に準用するということになりますと、協会自体が漏らしてはいけないということになるわけでございます。ただ、この守秘義務と申しますのは、むしろ自然人のところでとらえることが適当ではないか。協会それ自体という法人をとらえてみても余り意味がないということになります。そういう点では、この協会の実質的な仕事自体は司法書士である者あるいは調査士である者しか扱えないという仕組みになっておるわけでございます。そういう面から、そういう人たちに今度は司法書士としてあるいは調査士としてこの守秘義務がかぶってくることは当然でございますので、それで賄えるということでございます。
#111
○山田委員 法案第十七条の九でありますが、「司法書士会の助言」というところがございます。「司法書士会は、所属の司法書士が社員である協会に対し、その業務の執行に関し、必要な助言をすることができる。」こうなっておりますが、いわゆるこの司法書士会本会と、その本会が所在いたします法務局、地方法務局の同一の管内に設立をされた公嘱登記司法書士協会の関係でございますが、これはどのように理解をされておりますか。
#112
○枇杷田政府委員 実質的には会に入会をしている司法書士または調査士が社員となって協会がつくられるわけでございますので、実質的には非常に密接な関係があることは否定できないと思います。
 ただ、法律上の建前から申しますと、単位会とこの協会とはそれぞれ別個独立した法人である、そういう意味では独立した法人格を持つものとして位置づけなければならないけれども、仕事の内容であるとか、あるいはその構成員であるとかということにつきましてはかなりオーバーラップした密接な関係にある、概括的に言えばそういうふうに考えております。
#113
○山田委員 実は、司法書士会の会員は強制入会でありますので、全員が司法書士会の会員になっております。協会というのは必ずしも全員が入るという形をとっておりません。ただしかし、同じ司法書士であることは間違いないわけでございます。したがいまして、本会と協会との関係というのは会内の極めて重要な問題になっておるわけでございまして、対等ということではないわけでございますね。
#114
○枇杷田政府委員 法律的な意味におきましては、どっちが主、どっちが従というふうな関係は全くない、独立の法人であるという意味では対等でございます。
#115
○山田委員 独立の法人、法律的には対等である、しかしこの条文にも本会の方が協会に対して「助言をすることができる。」ということですから、おのずからこの関係というものは規定されてくるだろう、このように理解してよろしいでしょうか。
#116
○枇杷田政府委員 法人レベルで考えますと対等でございますが、ただ司法書士法全体の理念から申しますと、司法書士関係業務が円滑適正に行われていくということの指導連絡の責任を会が負っておるわけでございます。協会の活動それ自体もただいま申し上げました司法書士制度の運営に重要なかかわりを持つものでございますから、先ほど申しましたような使命を持っている会が協会に対しても何らかの発言権があってしかるべきであろう。それが上とか下とかという言い方はどうかと思いますけれども、要するに発言をして適正な運営を図ってもらうようにするという立場にあることは間違いない。そこで「助言をすることができる。」としたわけでございます。逆のことは書いてないわけでございます。そういう意味では司法書士会の方が自分の会の責任を果たしていくために協会に対して働きかけることができるし、またそうしなければならない立場にあるということはこの条文から読み取っていただけるものと思います。
#117
○山田委員 私、予定をいたしました質問は大体させていただきました。
 ただ、一点だけ特別認定、特認問題につきましては、一項目柱を立てまして準備をしていたところでございますが、残り時間の中で十分な質疑応答できないかと判断をいたしまして、一部特認問題は職員のところでさせていただきましたが、まだいろいろと議論をさせていただきたい部分もございますので、この部分はまたいずれの機会にしっかりと議論させていただきたいと思っております。
 大臣、ずっと二時間半近く大変御苦労さまでございます。局長とのやりとりが中心になりまして、大臣に御答弁いただく機会が余りなかったわけでございますが、今回の司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を全体的に眺めてみまして、冒頭申し上げましたように、司法書士制度、百年を超える制度としての歴史を持っております。調査士も戦後二十五年の歴史を持っておるわけでございまして、個人に付与される司法書士とか土地家屋調査士という資格が、初めてこの法改正によって社団法人を設立をして、その法人に付与することができるように道を開いていくわけであります。そういう意味では、制度百年の長い歴史を本当に画するような大きな今次法改正である。そういう中で、いやしくもこの法改正の本旨といいますか趣旨というものが、だれがという意味ではなくて忘れられて、司法書士会とか調査士会の協調とか団結とか自治とかいうものが崩されるようなことがあってはならないと私自身思っているわけでございます。
 そういう中で、特に長い時間を割きましてしつこいような質問を申し上げてその意味では大変恐縮をいたしておりますけれども、それだけ大事な部分が協会の複数の設立という部分であります。これは単位会とか連合会の意思を本当に尊重していただくという大前提の上で法務大臣の許可権というものを御判断をいただきたいという本当に切なる願いを私は持っているわけでございます。単位会や連合会が結構ですよと言う部分の第二番目の法人の設立というのは問題ないわけでございますが、単位会や連合会がまずいよと言う状況の中で第二の協会が許可されるなどという局面を仮に迎えたといたしますと、それは明らかに対立関係とか相互不信関係みたいなものがそこに惹起されてきているわけでございまして、単位会や連合会の意思が十分に大臣に伝わらなくて許可されたということになれば、法務大臣の許可が意図するとしないとにかかわらず、意図するわけがございません、そんな失礼なことを申し上げません、結果的に分裂だとかあるいはまた司法書士内部の分断だとかということにつながりかねない大事な問題がございますので、最後に大臣のその点につきましての御所見、御決意を伺いまして質問を終わらせていただきます。
#118
○嶋崎国務大臣 ただいま山田委員の方から非常に御熱心に本法案についての御質疑をいただき、また我々も誠心誠意それにこたえるつもりで答弁をしてまいったわけでございます。
 御承知のように、この法ができるのにつきましては、例えば臨調答申というようなことがあったではないかというようなことが理由としてとらまえやすいのでございますけれども、実はこの発想はもっともっと長い日月を積み重ねて今日までまいったことは我々は十二分に承知しているわけでございます。そういう意味で過去長らく努力をしていただきまして、今日まで司法書士会の方もあるいは土地家屋調査士会の方も内容の充実を図られてきておるわけでございます。この機をとらえまして、それぞれの会におきまして、会の自主性というものを十分保てるように、形の上では登録関係の仕事を移譲するというような形になっておりますけれども、そういうことを通じまして、会の中でもいよいよ今後の会の進展のために御努力をされていただくということを心からお願いをしたいというような気持ちでおるわけでございます。
 また、御質問になりました公共嘱託の関係の問題につきましては、私も石川県の土地改良事業団体連合会の会長を仰せつかっておるわけでございますが、そういう仕事をやる場合に、なかなか多くの問題があることを我々自身も承知をしているわけでございます。今度今までの姿を変えまして、少しでも司法書士の方なりあるいは土地家屋調査士の方々が法人化をするという過程を通じまして十分な仕事が獲得をされる、仕事が一定量である場合にはその中の配分の問題になっていくのだろうとは思いますけれども、そういう努力をしていただくということによりまして、我々の方の仕事自身も円滑に運行するようにしていただかなければならぬというふうに思っておりますし、そういう意味での御努力を心からお願いをしたいというようなつもりでおるわけでございます。
 ところで、問題の単一であるかどうかという判断の問題、冒頭にも御説明申し上げましたように、民法の三十四条による公益法人としてスタートするわけでございまして、その認可なり監督の権限というのは法務省にあるわけでございますから、先ほど来御説明申し上げておりますように、十二分に司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会の皆さん方の御意見を酌んで、誤りのない判断をしていかなければならないというふうに思っておるわけでございます。また、そういうことが実現するためには、それぞれの会の中で、やはり中におけるところのいろいろな調整を十分に尽くしていただきまして、本当に円滑な仕事が我々ができるようなそういう基盤を持っていただくことも非常に大切なことではないかというふうに私たちは思っておるわけでございまして、あるいは言い過ぎであるかもしれませんけれども、そんな気持ちでぜひ運行していただきたいと思います。この士(さむらい)のつく会というのは、いろいろな意味で、なかなか意見のやかましい分野の人たちが多いところでございますので、そういう意味では十二分に、互いに気持ちを通じ合った処理をしていくということが大切だと思うし、我々もそれを受けまして御指摘になりましたような点、十二分に配慮をした処理を立てていきたいと思っておる次第でございます。
#119
○山田委員 大変ありがとうございました。御苦労さまでございました。
#120
○片岡委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十三分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#121
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所上谷民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#122
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#123
○片岡委員長 午前中に引き続き質疑を続行いたします。林百郎君。
#124
○林(百)委員 今回の改正で司法書士会、土地家屋調査士会は社会的な地位が一層高まることになると思います。新たにつくられる協会においては公共事業に関しての不動産の登記を処理することに伴って、司法書士、土地家屋調査士の公共性は一層強くなると思いますが、司法書士や土地家屋調査士は公的存在の自覚が求められるようになってくると思うわけであります。これに対してそれぞれの、税理士会にしてもそうですけれども、政治団体をつくりまして、何か自分の利害関係があるような法案またはそのほかについての政治献金等がよく行われることがありますけれども、政治団体をつくるようなことあるいは政治献金があるようなこと、そういうようなことについて警戒心を十分持ち、それからそれに対するそれぞれの自覚を深めていかなければならないと思いますが、それについては、見通しと言っても無理かもしれませんが、そういう将来の見通しについて、この際この法律の改正に当たってきちっとけじめをつけておく必要があると思いますが、大臣、その点についてどうでしょうか。
#125
○嶋崎国務大臣 まだ、そういう内容のことについては承知しておりませんのでよくわかりませんけれども、政治を行う者は信頼が第一でございますから、そういう点についてはきちっとした整理をしていくことが必要だと思っております。
#126
○林(百)委員 その点については法務大臣も報告を求めたり、一定の監督をする権限もおありのようですから、監督と言うのは強過ぎますが、自主性を損なってはいけませんが、司法書士、土地家屋調査士の社会的地位が非常に高まることになりますので、ぜひ十分の関心を持っていただきたい、こういうように思うわけです。
#127
○嶋崎国務大臣 その点につきましては、御承知のように政治的な問題を取り扱うことを認められている点もある意味ではあるわけでありまして、個々的にどういうような事態になるかは別にしまして、少なくともそのことが悪い政治的な影響にならないことを注意してやらなければならないわけでございまして、全般的な問題としてそれぞれの業界のいろいろな立場を政治に反映させるという意味での御努力をされることは、これは余り避けて通れないことではないかと私は思っておりますけれども……。
#128
○林(百)委員 ことしになりまして、東京の法務局の方からでありますけれども、不動産登記の登録免許税の課税標準価格の認定基準の通達が出ているようです。私の手元に今東京法務局のものがありますが、これは司法書士の皆さんについてもいろいろと直接間接の関係を持ってくると思いますけれども、この通達はどういう内容のものを今出しておりますか。
#129
○枇杷田政府委員 今お話しの東京法務局の通達というのがどのようなものであるか私わかりませんけれども、登録免許税関係につきましては、いわゆる固定資産税の評価額の評価がえが行われるという場合に、それに対して申請人の方の登録免許税額が変わってまいりますので、そういう点につきましては各調査士会、司法書士会の方に御連絡申し上げて会員の方に徹底していただくようなこともしておりますし、また登記所の窓口に掲示もして周知することにしております。
 もう一つは、市町村の方の固定資産税の評価額がまだ算定されていない物件について登録免許税をどうするかという問題がございます。そういう場合の登記官側の方での認定の基準について内部的に取り決めをいたしまして、それで処理をするというふうなことはございます。今お話しの東京法務局の書面はそのどちらかに当たる事柄ではなかろうかと思いますが、後者の場合には登記官のいわば内部的な取り決めのことでございますけれども、司法書士会等の実務にも影響するところでございますので、その内容は対応する各会の方に御連絡をしているところではないかと思われます。
#130
○林(百)委員 民事局長、ちょっとこれを見てください。――そういうものが出てはいるのです。名義は東京の法務局になっておりますけれども、今おっしゃったようなものが出ていると見ていいわけですか。
#131
○枇杷田政府委員 今拝見したところによりますと、新築家屋でまだ固定資産税台帳の方に評価額が記載されていないといいますか、市町村の方で評価が済んでいない新築家屋についてどういうふうに評価するかという関係についての基準の改定を東京法務局でした、そういう内容についての通知を各登記官あてに東京の局長がしておる。その内容については、各登記所側の方から対応するその関係の団体の方に通知をしろというような内容にうかがわれます。
#132
○林(百)委員 それでその通達が、これを見ますと東京司法書士会及び東京土地家屋調査士会に対しては、命によって通達が発せられた旨の連絡であるということで、局長がおっしゃるように東京司法書士会及び東京土地家屋調査士会にもこの通達の内容は行っていると思いますが、これで問題になりますのは、「一般申請人に周知させるための「お知らせ」を一部送付するから、適宜の場所に掲示すること。」この「一般申請人に周知させるための「お知らせ」」というものは、どういう内容でしょうか。
#133
○枇杷田政府委員 基準が変わりますと、納めていただく登録免許税額が変わってまいりますので、それは申請人にお知らせしなければなりませんけれども、その地域内でどの方が申請人になられるかということはわかりませんので、登記所の一番目につきやすいところに、そういうお知らせとして内容を掲示をするということを意味していると思います。
#134
○林(百)委員 そのお知らせの内容というのはどういう内容になっていますか。
#135
○枇杷田政府委員 これは評価の計算ができるようにということと、それからそういう改正があったので、詳しいことについては窓口の方に詳細はお尋ねくださいというような式のお知らせだと思います。
#136
○林(百)委員 ちょっと局長、「お知らせ」があるのですが、こういう簡単なものなのですが、これでは一般の人にわからないと思いますが、どうでしょうか。
#137
○枇杷田政府委員 これは個別の新築建物につきまして、いろいろな要素で評価をするものでございますので、その内容を逐一掲示するということは、かえって煩瑣でわかりにくいという面がございますので、要するに変わったということと、そういうことがあるので御注意いただきたい、そして詳しい内容は係員の方へお尋ねくださいという内容でございますので、そこで個別の問題については十分に御説明するという内容であると思います。
#138
○林(百)委員 それで一般の者に対しては、「窓口における説明は「基準表」を見せる程度(申請しようとする者に対しては、当該建物の基準額を知らせる程度)にとどめること」、こういうふうにあるのですが、これはこの程度にとどめなければならないのですか。あと聞くわけにはいかないわけなのでしょう。
#139
○枇杷田政府委員 これは当該申請人の申請に係る物件についての評価がわかるということでいいわけでございまして、ほかの方は一般の評価を一々お知らせをするということまでは要らない。要するに当該保存登記ということになろうかと思いますが、その場合の計算がわかり、額がわかるという程度でいいので、何もほかの物件についての話までする必要はないだろうということだろうと思います。
#140
○林(百)委員 これは当委員会で、私が説明して、ことしは固定資産の評価がえがありまして、固定資産税の変化があるので、それが家賃、地代にはね返ることのないように、それに対して通達を出すということで、その通達の方は建設、自治省の通達が出ておるわけでありますけれども、それには評価に伴って、縦覧について借地、借家人に対しても実情に即した対応を行うようにしろ、こういうようによく納得するように説明しろ、建設、自治省の方はこういう通達があるし、それから法務省の方では詳しいことは言わなくてよろしい、表さえ見せておけばよいという。この通達が建設、自治省とそれから法務省との間で大分食い違っているわけですが、この辺はどういうわけなのでしょう。もう少し親切に、十分親切に、わかるように説明してやれ。このおたくの方の通達のように、窓口における説明は基準表を見せる程度でよろしいということになっておるわけなのです。しかし建設、自治省の方ではよく借地、借家人――本来は借地、借家人は利害関係人であるかどうか問題でありますけれども、それでも一番利害関係があるから、借地、借家人に対して実情に即した対応を行うようにという通達が来て、大分法務省の方と違っているわけなんですね。ここのところはどういうようにお考えになるのですか。
#141
○枇杷田政府委員 登録免許税と申しますのは、抵当権の設定登記のように債権額を基礎にするものもございますが、多くのものは不動産の価額に税率をかけて計算されるものでございます。その固定資産税の評価額が既に出ておるというものが、もう九九・何%かになるわけでございます。それにつきましては、御指摘のような建設省の関係で周知がされるということになりますが、新築したばかりで、まだ市町村の方の固定資産税の評価が終わっていないという物件がたまに出てくるわけであります。そういうものにつきましても、保存登記の申請がありますとそれを受理しなければならぬということになるわけでありますが、その市町村の評価を待っているわけにはまいりませんので、登記所側の方で一応の標準的な基準に従って価額を算定するということになるわけであります。そういういわば非常に例外的なものについても、変わってくるというふうなことについてお知らせをして、そのときにその計算ができる根拠を、その方式を教えてあけなければいけないということを決めておるわけでございますので、ちょっとただいまお示しのような固定資産税の評価額がなされているものについての一般的なお知らせと、この場合の個別的な問題とはいささか問題が違うように思います。
#142
○林(百)委員 それと、司法書士の方々の実務的な処理については、こういう通達がおたくから出ているわけですが、これに対してはどういう措置をすればいいわけですか。
#143
○枇杷田政府委員 司法書士会、調査士会の方にはそういう計算ができるような内容のものはお知らせしてあると思います。したがいまして、それに基づいて一応計算される。なお司法書士、調査士の方もその登記所の窓口へ来られて、今度はこういうことでいいんだなというふうなことで確認をされるというふうなことが多分あるだろうと思いますけれども、それで済んでしまいますが、本人がおやりになるという場合には、その関係がよくおわかりになりませんので、登録免許税額の計算ができるようなそういう根拠をお知らせして、それで御自身で計算していただいて、申請書に登録免許税額を書いて、その金額を納めていただくというふうなことになろうかと思います。
#144
○林(百)委員 新築建物の評価認定基準表というのは非常に細かい数字がありますので、司法書士の皆さんも、これの届け出を依頼された場合には非常に細かい計算が必要なので、そういう場合、登記所に問い合わせをしたところが、それはその基準表を見せる程度でいいと、一般の扱いを受けるのでしょうか。あるいは司法書士というような特殊なそういう責任を負っている人に対する説明については、詳しくちゃんと表もありますけれども、計算の仕方とかそういうものは一般のものとは違った説明をしてもらえるわけですか。
#145
○枇杷田政府委員 これは実際の申請手続をされる方が当該新築家屋についての評価額というものを理解していただかないと困るわけでございます。したがいまして、その点につきましては、どちらについてもおわかりいただけるような説明は登記所で十分にしなければならないわけでございまして、その手続をされる方が司法書士であるか、あるいは個人であるか私人であるかということによって差別がされることはないと思います。
#146
○林(百)委員 そうすると、司法書士の方がそういう手続をする場合に、計算上のことや価格評価の問題等についていろいろの点で正確を期するために問い合わせをするような場合には、これはただ表を見せればいいという程度の一般の人の通達ではなくして、ちゃんと司法書士の方が十分納得の上で手続ができるような措置は、窓口ではちゃんと指示なりをしてもらえる、こう聞いておいていいわけですね。
#147
○枇杷田政府委員 これは先ほど来申し上げておりますように、登録免許税額がきちんと決まりませんと手続ができないことになりますので、したがいまして、御納得がいかない場合には十分に意見の交換もし、また再確認をしていただくというふうなことでやることは当然だと思います。
#148
○林(百)委員 わかりました。
 それからもう一つ、不動産の関係について、司法書士の方々が非常に相談を受ける案件で競売に関する問題で、競売の申請はするのですけれども、その競売が適正に行われて納得のいくような競売が行われるかどうかということは、後々、申請をした司法書士の方々のところへ直接間接影響がありますので、この競売のことについてちょっとお尋ねしたいので、忙しい最高裁判所の局長さんに来ていただいたのです。
 例えばこういう例が私のところへ来ているわけなんですけれども、八王子の競売で、何か持ち分の六分の一を二百六十六万で株式会社朝商という、これは競売ブローカーみたような会社ですが、これが落とした。ところがそのところに借地借家人がおりまして、あなたのところの地主、家主さんの六分の一を二百六十六万円で落としたけれども、あなたはこれをどうしても買ってもらわなければならない、それは二千万で買えと家主が言っておるので買ってもらわなければいけない、私の方は、テレビでも出ているように朝商という会社で、もし言うことを聞かなければ、のこぎりを持っていって柱を切るようなことは幾らでもしておることでありますから、それを覚悟で買ってもらいたいというようなことを言って、競売を利用してそれで非常に悪質な暴利をむさぼるようなブローカーみたいなものが競売をしておるところへ出入りをしているようなことがあるので、これはこの前当委員会でも問題になりまして、それについての処置はいたしますということが約束されてあるのですけれども、それは四つのことがそのとき約束されているわけです。例えば期間入札を実施するようにする、ブラックリストを備えておくようにする、そういう脅迫をするような者に対しては警察官をそこに配置するようにする、それから巡視をするという四つのことをここで約束したわけです。そのうち期間入札のことは、一週間くらいの間を置いて、期間入札の時期を置いたし、ブラックリストの備え置きもあるようですけれども、しかし刑法で規定されております公正な価格を害しまたは不正の利益を得る目的をもって談合した者というようなこと、あるいは、競売の入札を妨害、談合することに対しての取り締まりとしてここで約束されました警察官を配置するとか、あるいはそこの巡視を厳重にするとか、そういうことが行われないために、入札のブローカーみたようなものがいて、それが何を落としたかというようなことを聞いて、それを種にして、そこに実際に住んでおる借地借家人を責めて莫大な利益を図るようなことがしばしばありますので、それが回り回って司法書士の方々のところへも、申請した関係上、相談が行くというようなことがあるわけですが、それに対して厳正な措置をとることが必要だと思うわけです。
 私の方で調べました八王子に出入りしております朝商という不動産競落のブローカーというのは、八王子を拠点にしていろいろのそういう悪質な行為をしているようですけれども、これに対して最高裁判所としては、その競売の申請をする司法書士の方々だとかそういう善良な方々に後くされのないようなことをきちっとしてもらわなければならないと思うのですが、その後どういう措置をとられているか、ちょっと説明願いたいと思うのです。
#149
○上谷最高裁判所長官代理者 ただいまお話のございました具体的な事件につきましては、特に私ども報告等を受けているわけではございませんので詳細に把握しておりませんが、ごく一般論としてお答えさせていただきたいと存じます。
 これはもう委員も十分御案内のとおり新しい民事執行法が施行されまして、悪質競売ブローカー、競売の公正を妨げるような業者の排除を行うためにいろいろな措置を講じてございます。大きく分けまして二つに分かれると思いますが、一つは、例えば売却場で競買の申し出をする者に威力を加えて申し出を妨げるとか、その他競売の公正を妨げるような行動をとった音あるいはとらせた者を競売場から退場させる、入れない、そういうふうな措置をとり、あるいはまた、たまたま売却決定の際にそういうことが明らかになりますと売却を許さないということで排除していくという直接の手段でございます。
 もう一つが、そういうふうな悪質業者を寄りつけなくする、そういう工夫でございまして、これが民事執行法の規定を受けまして民事執行規則で定めました期間入札でございます。先ほど御指摘がございましたとおり、最高裁判所といたしましても、まずそういう悪質業者が寄りつくことができないようにすることが最も悪質業者の排除のために効果のあることだと考えまして、新法が施行されまして早速全国の裁判所で期間入札を実行していただくようにお願いしてまいりました。その結果、昭和六十年二月一日現在では、全国の本庁ではすべて期間入札を行っております。それから、もう既に半数を超す支部で期間入札を実施しておりまして、全国の裁判所で見ますと、約八〇%くらいは既に期間入札を実施しておるわけでございますし、不動産競売の事件数そのものから見ますと、ほとんどの事件が期間入札で行われていると見てよいかと存じます。
 この期間入札になりますと、一般の買い受け希望者は郵便で裁判所に入札、競売の申し出をすれば足るわけでございまして、裁判所へ出頭する必要もございませんので暴力団等から妨害を受けるという機会もまずなくなるわけでございますし、そういう悪質ブローカーが裁判所へ出入りしましても入札を妨げることができないということになりますので、最も効果的な方法であろうかと思います。
 それから、先ほども御指摘ございましたとおり、そういう悪質な行動をとった者、したがいまして売却が不許可になりますが、そういう者の氏名、住所、それからいわゆる競売を妨げる不正な行為をして有罪の確定判決を受けた者の住所、氏名、これを全部各庁から御報告を受けまして、私どもの方で取りまとめてその都度各裁判所にお知らせしております。いわゆるブラックリストといいますか、そういう名簿を完備いたしておりますので、そういうふうな通知によりまして各裁判所はいわゆる悪質ブローカーの前歴を有するそういう者たちを把握するという体制になっております。
 したがいまして、最近のそういうふうなケースを見てみますと、民事執行法第六十五条に該当するような行動をとる者というのは年々減ってきておるようでございまして、私どもの方の対策がかなりの効果を上げているのではないかと存じます。
 それから、もう一つは、そういうふうなことがありましても、とにかく若干の期日入札は残りますし、物によっては競り売りも行う可能性はあるわけでございます。そういうふうなものにつきましては、今度は執行官の退場合令あるいは入場の阻止ということが実効的に行われなくてはならないわけでございますので、その対策といたしまして、先ほどお話もございましたとおり、一つは執行官の監督官あるいは監督補佐官が競売場に臨場して監視をする、そういうふうな体制をとることを全国の裁判所にお願いしてございまして、各裁判所でそういう事態が生じかねないような場合にとるべき措置を要領としてまとめてございまして、万一そういう事態が予想される場合には対処できるような体制をつくっておるわけでございます。
 それから、警察官の派遣要請でございますが、これも実際問題としては警察官の派遣を要請しなければならないほどのひどい事件が起こった例は特に報告は受けておりませんが、将来ともあり得ないわけじゃございませんので、各裁判所でその際の体制を既にとっていただいております。法律の規定で申しますと、民事執行規則四十三条の中で執行官が執行裁判所に援助要請することができることになっておりまして、これを受けまして執行裁判所の方が民事執行法第十八条の規定で官庁、公署に対する援助依頼ということで警察官の派遣を求めることもできる、このように解されるわけでございますが、万一そういう事態になりました場合に備えて、各裁判所ではどのように対処するかという処理要領をつくってそういう不穏な事態の発生に備えているというわけでございます。
 そのようにいたしまして、裁判所といたしましては、競売の手続の中でとり得る万全の対策はとってきたわけでございます。たまたまそういう目に漏れて、あるいはまた法律に定める要件に該当しないで競売人になって売却許可決定を受けたそういう買い受け人が後で例えば賃借り人であるとかいうふうな者に脅迫行為をするというようなことがありましても、これは競売の手続で裁判所が排除するという限界を実はもう超えておるわけでございまして、そういうふうな事態がございますと裁判所としては特に手続的に手を打つ手段がございませんので、例えば警察署等の保護を求めていただき、本当にそういうふうな犯罪行為があるといたしますれば、しかもそれが競売の公正を妨げているようなことでありますれば、捜査あるいは公判を経て、例えば有罪の判決があるということになるとそのリストに載せていく、そういう対処の仕方をせざるを得ないのではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
#150
○林(百)委員 私のところへ吉祥寺の八木美江子さんという人から手紙が来ておりまして、リアルにわかるのでちょっと読んでみますと、「今回は、家主から委任されたといって不動産屋が来ました。」この人は土地も建物も借りている人で、家主というのは借地人で自分のうちを持っている人ですが、その六分の一の持ち分をこの朝商というのは競落した。「競売でかった朝商という業者は、テレビでもやったように柱を切ったりして、住めなくしたりいやがらせをして、おいたしする業者でなにをするか判らない。」六分の一を二百六十六万で買ったけれども、二千万で買えと家主のところへ責めてきている、どうかひとつ皆さんで二千万円で買ってもらいたい、どうしてもというならその七掛けぐらいで、千四百万ぐらいで買ってもらってもいいから早く返事をしてもらいたい、そういうことで委任状を持って家主の代理人だという人が来ているということなんです。詳しく聞いてみますと、この八木という人は昭和九年ごろからこのうちを借りている人であって、競売は昨年されておるわけでございます。家賃もちゃんと払っておるわけですけれども、家主はこういうおどかしをされて――六分の一の持ち分というのだが、どういうことかはっきりしませんが、要するにけんかする道具として六分の一の持ち分を競落したとしか考えられませんが、そういう人はその借家を出なければならないようなことになるのでしょうか。昭和九年ごろから借りて、競売したのが去年なんですから、家賃はちゃんと払っているわけなんですから、短期賃貸借でもないので、こういうのはおどかされてもそこに住んでいることができると思いますが、その点はどういうような解釈になるのでしょうか。一般的な解釈で結構です、余り具体的なことですから。
#151
○上谷最高裁判所長官代理者 競売でございましても、所有権の移転は通常の売買等による移転とは全く異なるところはないわけでございます。競売で所有権を取得したからといって当該不動産の賃借り人が当然に権限を失うとかいうようなことは、一般論としてはもちろんないわけでございます。通常の所有権移転と同じでございますので、当該不動産について貸借人がいてその貸借人の権利を対抗し得るがし得ないかは、借地法あるいはまた借家法の規定によって決せられることになるわけであります。一般的には、借家の場合でございますと引き渡しがあれば新家主に対抗できるわけでございますし、借地の場合でございますれば建物の登記等があれば賃借権を新しい地主に対抗することができるということになっておるわけでございますから、その解釈を競売の場合にも同じように適用されることになろうかと思います。
 当該賃貸借が真実成立していたかどうかという点につきましては、これは法律論ではございませんので、お答えを差し控えさせていただきたいと思いますが、繰り返しますと、不動産の競売による所有権取得であっても通常の売買等による所有権取得と特段の異なるところはございませんので、同じように解釈されるという法律論になろうかと思います。
#152
○林(百)委員 そうすると、一般論としてはその人はそういうおどかしを受けてもその家に居住していることができると言い得るということなんですね。
#153
○上谷最高裁判所長官代理者 どうも具体的事件のお話でございますのでお答えしにくいのでございますが、抽象的に申し上げますと、当該賃借権がもともと正当な賃借権であれば、不動産の所有権について、家主あるいは地主が当該物件を競売によって取得されたからといって、賃借権が当然になくなるわけではなく、先ほど申しましたように、借家については引き渡しがあり、借地につきましては借地権の登記もしくは地上建物の登記等があれば対抗できるという一般論になろうかと思います。
#154
○林(百)委員 お忙しいようですから、もう一問で帰っていただきたいと思いますが、そうすると、新聞にもたびたび出ますけれども、競売をえさにして最近は暴力団だとか、あるいは不当な利益を得るためのいろいろな不正な行為が行われるわけですが、警察の方としてはそういう問題についてどういう措置をとられておりますか。
 それから民事局長には、そういうことで司法書士さんの方からこういう点は後々いろいろ関係になってきますので公正な競売をしてもらうように、それから速やかな競売をするようにしてもらいたい、そういう要望は別に来ていませんか。警察と民事局の両方にお聞きします。
 それから最高裁の方、お忙しいようですから、結構ですからどうぞお帰りください。
#155
○横尾説明員 お答えをいたします。
 警察といたしましては、公正な競売を妨害しあるいは談合する事案につきましてはあらゆる刑罰法令を適用して厳しく対処しておりますし、今後ともするつもりでございます。
 一般的に、暴力団が関係しておりまする民事絡みの事件に対しましては、民事介入暴力対策担当官というものを各県警の本部に置くなどして厳しく対処しているところでございますが、今後このようなケースがふえてくるおそれがございますので、彼らの動向に十分注意するとともに強力に対処してまいるつもりでございます。
#156
○枇杷田政府委員 ただいまお尋ねの司法書士の方からの要望でございますが、私どもの方にはそのような要望は来ておりません。
#157
○林(百)委員 警察の方に申し上げますが、本件につきましても、みんなで話し合って仲間たちに三十万円ぐらいずつ配っておるので、自分が二百六十六万で落とすには談合するので六百万ぐらいかかっているのだ、だから二百六十六万で落としても二千万という数字が出るんだということで、談合が公然と行われておるようなんですね。真の競売人が行くと、あなた、何お落としになりますかと聞いてくる。いや、私はこの競売に来てますと言うと、急に談合連中が相談し合って対策を講ずるということがあるようなんですが、そういう事態は把握しておりますか。要するに三十万ぐらいずつみんなで配って、ひとつこれはおれに任せると言って自分がそれを落として、それを種にしておどかしをかけていく、そういうことがあるのですけれども、警察はもちろん気がついていると思いますけれども、そういう点を厳重に監視されているかどうか。気がついておられるでしょうか。
#158
○横尾説明員 警察といたしましては、関係機関と十分連携をとりまして、特に暴力団関係につきましては積極的に対処しておりますし、十分彼らの動向について注視をしております。
#159
○林(百)委員 それでは、そういうようなだれが見ても談合と思われるようなことが公然と行われておるわけでありますから、監視員を警察も派遣していると言われますから、十分注意をしてもらいたいというように思います。
 それから、本法に関してですけれども、幾度かどなたも質問をしておりますが、協会の方、公共事業の不動産登記の嘱託のこれに公務員出身の方が入られて、その方が自分の就職した役所と特別な関係を持ってそこの仕事を持ってきて、協会での発言権を強化して、実際はそういう役人の出身の人がこの協会を牛耳るようなそういうことを各委員がみんな心配しておるわけですが、そういうことに対しては連合会があったり、それからそれぞれの組織もありますからそれの批判があるからということなんですが、実際問題としてそういうことは将来警戒しなくてもいいものなのでしょうかね、どうでしょうか、局長。
#160
○枇杷田政府委員 この問題につきましては、社員がいずれも、司法書士協会の場合には司法書士であり、調査士協会の場合には調査士であるということでありまして、その社員総会において役員が選ばれるわけでございますので、その社員の方方が最終的には自主的に御判断になることだと思いますが、私どもといたしましては、少なくとも法務省に関しては天下り的に特殊な関係があるからといって役人を送り込むなんということは考えておりません。また、そういうような状態をはっきりとうたいたいということでございましたらば、それは定款でそのようなことを定めるということも可能でございますし、私どもそういう定款は差し支えない条項になるだろうというふうに考えておりますので、そういう面で対処ができるのではないかと思っております。
#161
○林(百)委員 具体的に定款というのはどういう文章になりますか、そういう場合の規制するための定款というのは。
#162
○枇杷田政府委員 当協会の理事は社員の中から選ばなければならないとか、あるいは司法書士、調査士等の資格を有する者の中から選ばなければならないというふうな規定を置くことになろうかと思います。
#163
○林(百)委員 だから、その社員から選ばれなくて、公務員の前歴のある方が入ってきて――我々は公務員の人がみんなそうやるとは思いませんし、また公務員の人の生活問題もありますから。しかし、そういう社員から理事者を選ぶということでない場合に、公務員の方が理事者になる場合に、旧役所との特殊な関係でその協会での発言権を強化するというようなことを規制するための定款の文例というようなものは考えておいでですか。
#164
○枇杷田政府委員 御趣旨のようなことでの定款というのはちょっと考えたことはございませんけれども、ただいま申し上げましたように、要するに社員でなければ理事になれないとか、あるいは司法書士でなければ理事になれないというふうな決め方でただいまおっしゃったような趣旨をあらわそうと思えば、あらわすことができるのではないかと思っております。
#165
○林(百)委員 念のために法務大臣にお尋ねしておきますが、司法書士会でも土地家屋調査士会でも法務大臣は一応の監督権はお持ちになっているわけなんです。だからそれが干渉にわたるような――今度の法案の重要な目的の一つは自律性を確立するということですから、そこのところを考慮しての、もちろん品性を陶冶したり、正確にしかもまじめな仕事をしなければならないという一般の責任もありますけれども、しかし自律性を尊重するという意味での配慮をひとつ十分してもらいたいと思いますが、その点はどうでしょうか。
#166
○嶋崎国務大臣 ただいま林委員から御指摘がありましたように、今回の改正の中でできるだけ自律性を与えたいというような感覚でもって事を処理しているということは周知のとおりでございます。その内容については、十分であるとか不十分であるというようないろいろな議論はあると思いますが、考え方としてはそういう考え方をとってきたわけでございます。したがって、我々もそういう気持ちを十二分に酌んでいかなければならぬというふうに思っております。
 今、官庁の関係の者についてどうだというようなお話ですが、民事局長からお話があったように、そういうことを法務省として考えているというようなことは全くないわけでございます。ただ、これは余分なことかもしれませんけれども、いろいろ仕事を拡張していくという場合に、関連の、例えば土地改良関係の世話をしているとか、あるいはいろいろな公共事業関係の区画整理なら区画整理の仕事をやっておられる方とか、そういう方をある程度上手に導入して仕事を回した方がかえって利口な場合もあるんではないか。これは私の想像のしすぎかもしれないけれども、そういうことを十分にお考えになって、ともかくこういう新たな制度が発足するわけでございますから、それぞれ司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会の皆さん方が十分御判断をされて的確な答えを出していただく、そういうことの中で今後の発展、可能性というものが選択をされていくのだろうというふうに私は思っておる次第でございます。
#167
○林(百)委員 時間が参りました。柴田さんもここにお見えになっております。一問だけお尋ねしておきます。
 局長、二つほど問題があるのですが、一つは、公共事業の場合に、公共の事業をやる自治体なりあるいは公共の組織が自分でそういう技術を持っていて、自分で登録をするということは今後はできないことですか。そういうことはこの協会にするということで、自分自身がそういうことを一切やってはいけないということになるのでしょうかということが一つと、それから、私は弁護士なものですから、弁護士会と司法書士会との関係で何か我々の側も反省しなければならない点もあると思いますけれども、何かそういうことで局長の耳に入ったことがあったら念のためにこの際聞かしていただきたい。この二つのことをお聞きしておきます。
#168
○枇杷田政府委員 まず第一点でございますけれども、この法律によりまして公共嘱託登記を受ける法人ができましても、公共事業を行う団体がみずから登記の嘱託をするということを妨げるものではございません。そういう事件をすべてこの協会に委託をしなければならないということを決めているものではないわけでございます。
 それから第二点の関係で、弁護士会と司法書士会との間で職域問題で何かトラブルがないかというお話でございますけれども、若干、トラブルというほどではございませんけれども、少し行き過ぎではないかというような問題があったことは私はあると思いますけれども、最近はもうお互いにお互いの職分といいますか実情というものを承知した上でやっておられますので、各出先の方ではどうか知りませんけれども、私どもの方までそういうふうなことが問題として上がってくるということはございません。
#169
○林(百)委員 終わります。
#170
○片岡委員長 柴田睦夫君。
#171
○柴田(睦)委員 大臣、先ほどもお話がありましたが、臨時行政調査会が昭和五十八年三月十四日に提出しました第五次答申におきまして、その第五章の「許認可等」に関するところで司法書士や土地家屋調査士に関連する提言を行っております。「改革の方向」のところを見ますと、「資格制度は、一般的には、各種の専門的知識・技能の保持者に対する社会的需要を背景に設けられている等その有用性は一概に否定すべきものではないがここの「が、」から先がちょっと問題がありまして、資格制度の「整理合理化を推進していく必要がある。」と否定的な見解を「が、」以下で表明するわけであります。私どもも行政改革の問題では、行政の中にロッキード事件のような汚職、腐敗、そうしたものが起きる構造をなくさなくちゃならないとか、あるいはむだをなくしてその面での簡素化をしていく、あるいは行政改革によって本当に国民へのサービスができるようにしなくちゃならない、こういう立場で、そういうように進めなくちゃならないというように考えているのです。本改正案は、大臣の答弁によりますと、会の意思、そしてまたその時期が熟しているんだ、こういう立場からつくられたということでありますが、これはやはり臨調答申の方もにらみながらこれをクリアしている、こういうことも御検討されていると思いますが、そういう考えも有していらっしゃるわけですか。
#172
○嶋崎国務大臣 ただいま柴田委員から御質問の件でございますが、確かに五十八年の三月の臨調答申の中に――だんだんに司法書士会なりあるいは土地家屋調査士会なりそういう面の充実を図るというような考え方から、例えば仕事のある部分、特に登録その他については移管をしたらどうだというような考え方もあることは私どもも十分承知をしているわけでございますけれども、そういう段取りに来るまでに、もう既にそういう気分というのはだんだんつくられつつあったということは御承知のとおりでございます。また、そういうことが一つの背景になって臨調答申というものもできているのか、これはあるいは言い過ぎかもしれませんけれども、そういう点もあるんだろうと私は思っておるわけでございます。したがって、そういう長い経過と、またその経過をあるいは織り込んだかもしれない臨調答申という考え方も十分酌んで、我々としても今やそういう時期に面会とも成長されておるというようなことを十分認識をして、この改正をそれぞれの司法書士の皆さん方あるいは土地家屋調査士の皆さん方といろいろ協議をし、特にそれらの組織の皆さん方とも御相談をしてこの改正に踏み切ったというのが実情であろうと思っております。
#173
○柴田(睦)委員 臨調の問題で、「整理合理化方針」についての提案を見ますと、「業務独占資格は、国民の職業選択の自由を制約することとなるので、国民の生命・財産の保全を図る上で重大な役割を果たすもの等に限定する。」例によってその後に否定面が提案されるわけですけれども、司法書士、家屋調査士については当然業務独占資格制度として存続させなければならない、この立場で本改正案は立案されたものであるかどうか、確認をしていただきたいと思います。
#174
○嶋崎国務大臣 そのとおりだと思います。
#175
○柴田(睦)委員 次は、臨調答申の「事務の民間団体への委譲」というところでは、「登録事務については、資格者団体の社会的地位を高めて資格者のモラルや資質の向上を図る観点からも、行政機関の指導監督の下に、当該資格者で構成する団体等において処理させるものとする。」という提案になっております。そして、登録事務のうち司法書士、土地家屋調査士の登録は資格者団体に移譲させるとしておりますが、臨調答申があるなしにかかわらずこれが現在の要請であるという立場でいらっしゃるのか、お伺いします。
#176
○枇杷田政府委員 司法書士会、調査士会の自主性を高めて、自立的に運営ができるようにするということは望ましいことでございます。そういう面で私どもも今度の法改正を考えたところでございますので、内容的にもただいま読み上げられました臨調の趣旨と全く同じ考え方に立つものでございます。
#177
○柴田(睦)委員 そこで、行政機関の指導監督ということが臨調答申では主張されているわけです。この臨調答申との関係で指導監督面がどういうふうになっていくのか、監督権を強化するということよりもむしろ会の自主性を尊重する方向が中心にされなければならないというふうに思いますが、この点についての見解をお伺いします。
#178
○枇杷田政府委員 もちろん自主性を尊重するということが改正のねらいでございますので、おっしゃるとおりだと思います。ただ、臨調の方でも触れておりますが、監督といいますか指導といいますか、そういうものが全く切れた形で移譲するということはまたもう一つの問題があるわけでございます。と申しますのは、言うまでもありませんけれども、登録というのは一つの行政的な行為でございますので、そのようなことについて内閣が責任を持つという形において何らかのつなが力がなければならないことは当然でございます。そういう意味で、本法案におきましても若干それに関する規定を置いて、最小限度のことを図ることにいたしておりますけれども、基本的に監督権限を強化するというふうな立場に立っておるものではございません。
#179
○柴田(睦)委員 では、臨調答申に出ておりますが、「司法書士及び土地家屋調査士の補助者に関する個別承認については、廃止を含め、簡素合理化を検討する。」という提案があります。両士会員の補助者に関する個別承認問題については、検討の対象にされておりますか。
#180
○枇杷田政府委員 補助者の関係につきましては、従来法務局長の承認に係らしておりましたけれども、その制度をやめまして、ある一定の人数についての枠を各単位会との間で決めまして、その範囲内において会の方が自主的にお決めになるというふうなことに現在なっております。
#181
○柴田(睦)委員 規則の問題になってくるかと思いますが、これから法案が正式に法律になる、そうすれば両方の施行規則がまた変えられなければならないと思うのです。今の施行規則を見ますと、全般的に強力な法務局の監督指導が貫かれているというふうに私自身感じるわけですが、規則の改正の方向あるいはプログラム、考え方の基本、こうしたものについてお話し願いたいと思います。
#182
○枇杷田政府委員 まだ具体的な成案は得ておりませんけれども、大ざっぱなことで申し上げますと、今度の法改正に伴いまして当然司法書士関係、調査士関係の施行細則、省令の改正は必要になってこようかと思います。ただ、この法律の施行の関係が公共嘱託法人の関係と登録関係その他のことで施行期日が分かれますので、その施行期日に合わせまして二つのグループに分けて省令の改正をすることになってまいろうかと思います。
 まず最初の問題は、公共嘱託の受託法人に関する部分でございます。その点につきましてもまだ精密には詰めておりませんけれども、設立許可の関係についてどういうふうにするかというふうなことを決める、殊にその場合に連合会との連絡をどういうふうにしてやるかというふうなことが細則に盛るべき事項かどうかが検討されることになろうかと思います。
 それから、後の方のグループの改正でございますけれども、これは現在法務局が登録をやっているということを前提にいたしましていろいろな手続規定がございますが、そういうふうなものを今度は連合会がやることになりますので、その規定の削除または改正というふうなことが必要になってまいろうかと思います。いわば論理必然的に整理されるものが中心になってくるのではないかと思います。
#183
○柴田(睦)委員 そうしますと、今度の公嘱法人が設立されるという場合に、両士会が協会と連絡協力を密にするという問題が当然必要になってくると思いますけれども、この公嘱法人を設立するにつきまして、これは民法法人でありますから民法の三十四条で法務省の許可が必要である。そうすると、許可について各連合会の意見を聞くという問題が出てくると聞きましたが、これはやはり規則で決められることであるのか、そしてまた連合会の意見というのはどの程度尊重されるのかということについて、まだ固まっていないかもしれませんけれどもお伺いします。
#184
○枇杷田政府委員 ただいまもお答え申し上げましたように、今度できます協会の設立許可の手続に関してはどういうものをこの省令の中に盛るかということが早速検討されなければならぬわけでございますが、連合会の意見の聴取の関係についての議論がいろいろあることも踏まえますと、そういうことを省令の中で取り上げるべきかどうかというふうなことも一つの検討になろうと思います。実際問題といたしますと、省令に書こうと書くまいと、この協会をどういうふうにして設立するかということは司法書士あるいは調査士の会の全体の影響は大変大きな問題でございますので、連合会の意見を十分に聞いて、それを踏まえた上で設立許可をすべきあるいは設立許可をしないということを決定すべき事柄だろうと思っております。それをどういう形で表現するのかということは、まだ最終的な腹は決めておりませんけれども、当然これからの重要な検討事項になることは間違いないと思っております。
#185
○柴田(睦)委員 現行の規則を見ますといろいろなことがありまして、登録の移転通知だとかあるいは登録の取り消し通知だとか通知関係、入会、脱会の通知、いろいろあります。これらが現行の省令では法務局長にしなければならないということになっておりますけれども、これらの通知というのは法改正後は会に移譲される、そういう性質のものではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#186
○枇杷田政府委員 登録を法務局長、地方法務局長のところで行っておるということを前提とする諸規定は当然不要になってまいります。そして、そのかわりどこに届けたり通知をしたりするかというふうなことが問題になりましょうけれども、それは恐らく会側の方の会則とか規則とかということにゆだねられるのではなかろうかというふうに思います。したがいまして、これから先ほど申しました第二段階の改正の際には、各条文を当たりまして、そして先ほど申しましたように法務局が登録をしておるということを前提とする規定については削除ないし改正をするということが当然必要になってこようかと思います。
#187
○柴田(睦)委員 もう一つ、規則の問題で私も疑問に思ったのですが、処理事件がおくれていることの通知、司法書士では一カ月、調査士では二カ月まで終わらないものは報告しろ、あるいは三週間以上病気で業務が行えないときは届け出せよ。しかし相続登記なんかで一カ月でできないようなケースというのは、まだ日本の国情の中においては、特に田舎なんかに行ったら、田舎とかかわり合いのあるところでは非常に多いのではないかと思うのです。それから山林、山間部、こうしたところの分筆などの表示登記というようなことになると、この期間で本当にできない場合が当然のように出てくると思うわけです。それが一つの独立て仕事をしている司法書士、調査士、こうした人たちが、勤め人ではあるまいしこれを届け出なければならないというのはちょっと腑に落ちないのですけれども、こういうものも今度の規則改正などについて検討されていいんじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
#188
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘になりました、いわば長期未済の届け出とそれから三週間事務がとれないという場合の届け出とでございますけれども、後の方の三週間病気その他で業務が行えないときの報告というのは、先ほど申しました登録を法務局で行っていることを前提として設けられている規定の中に入ると思います。したがいましてこれは当然検討の対象になる条文だと思います。
 もう一つの方は、これはいわば懲戒権と申しますか、懲戒権までいきませんでも業務の適正な取り扱いというところ、それがひいては懲戒権のところに結びつくという側の問題だろうと思います。したがいまして、論理必然的に検討の対象になるというものではないわけでありますが、その問題をどうするかということではなくて、省令を改正する際には当然改正をしなければならないもののほかにも何か改正すべきものがあるかということは一応見ることになりますので、そういう一般的な考え方でどうするかということを考える対象になるということになろうかと思います。
#189
○柴田(睦)委員 その三週間というのが、仕事を担当していて三週間ほっぽらかしてどこかへ行ってしまった、こういうことではなくて、仕事を担当しているということには何か規則によると全然なってないというふうに思いますので、私も疑問を感じたわけです。
 それでは先に行きますが、次は報酬問題です。
 司法書士は登記、供託、訴訟に関する手続、これは書類作成ですが、それから土地家屋調査士は不動産の表示登記手続、これらの適正、円滑な実施の役割を果たして、国民の権利保全、権利の明確化に寄与するということを業としているわけですが、業務の適正化を図る上で、一方で利用者である国民の負担が過重にならないということは当然の前提でおりますけれども、適切な報酬を保障するということがまた法の精神から求められているところであると思います。従来の国会の論議、附帯決議などでも再三標準報酬額の適切な引き上げが要請されてきたところでありますが、これからこの新しい法律ができる、そういう中におきまして適切な報酬額の問題は、引き上げの問題も含めて今後とも保障されなければならないと思いますが、どのようにお考えであるか、お伺いします。
#190
○枇杷田政府委員 おっしゃるとおり司法書士、調査士の報酬額というのは、その司法書士、調査士側の方の適正さとそれから業務を委託する側から見た適正さと両方の適正さが満足されなければならないわけでございまして、具体的には大変難しい問題ではございますが、従来とも諸物価の変動であるとかあるいはいろいろな給与の動きであるとかそういうものを総合勘案いたしまして、しかるべき時期に連合会と十分に話し合った上で、ある一定の線までの報酬改定を行うというふうなことにいたしております。これは形式的には各会の会則で決めることでございますので、会則の変更の認可という形で私どもはかかずらわってくるわけでございますが、その前提としてそういう適正額について十分に話し合って、そしてここまでならば認可ができるという線を事実上お示しをして、そして改定の手続をとっていただくということにいたしております。今後ともそういう面での改定を必要があればその都度行うという考え方に変わりはございません。
#191
○柴田(睦)委員 公共嘱託登記手続の標準報酬額の確保の問題ですが、この前の参考人の意見陳述では、司法書士連合会会長は公嘱報酬額は中央用地対策連絡協議会との合意で、一般報酬額の六四%をガイドラインとしている、けれども実際はそれを下回っているというお話がありました。公共事業の予算上の縛りがあります。手続が比較的に類型性があるというような事情もありまして、一定程度の一般報酬額より割引がなされるということは、これは合理性があるかと思いますけれども、これもできるだけガイドラインを上回ること、少なくともそれを下回ることがないこと、これが望ましいと思っております。そこで、この公嘱報酬額については法務省としてはどのようにお考えですか。
#192
○枇杷田政府委員 公共嘱託登記の報酬額というのはいろいろな面で難しい問題がございます。一つは通常の売買による所有権移転であるとか抵当権設定であるとかというものとは類型を異にいたします。そして一件で非常に多くの筆数を内容とするという事件も多うございます。それから一般私人では起こり得ない形態、土地改良による交換分合とかそういうようなものは一般報酬額と比較ができないという面がございます。そういうようなことから現在の私どもが認可をしております会則の規定の上では、個別に会長の承認を得て決めてよろしいということにしておるわけでございます。
 具体的に、ではどうしたらいいかということになりますと、先ほど六四%のお話が出ましたけれども、標準的な報酬の額がそのものずばりあるものについては六四掛けようがあろうかと思いますが、そうでない類型のものについては掛けようがない。しかし、類似のもの、実質的な仕事の手間等から見て大体これに当たるというふうなものを割り出して、それから六四%お掛けになっておられるのじゃないかと思いますが、何%がまた適当かということにつきましても私どもの方ではよくわからない点がございますので、そこは実際の仕事の内容がわかる司法書士会、調査士会と、それから発注する側の官庁との間で合理的な報酬額というものを決めていっていただくしかないというふうに私どもは思っております。
 ただ、予算額の関係などで、どちらかというと低額傾向にあるというふうなことも聞いておりますけれども、これもある程度協会なりが受注をするというふうな体制をつくっていくためには、ある時点では若干我慢してというようなこともあるいはあり得るのかもしれないと思いますが、そうだからといって余りに低廉でいわば出血サービス的なことをするということもこれまた問題でございます。そういう点で、適正な報酬額が決められるということが望ましい点であろうと思いますけれども、私どもも具体的な価格折衝についての場に加わるという立場ではございませんので、いわば側面的と申しましょうか、若干距離を置いてそういうことを期待をするというほかはない状況でございます。
#193
○柴田(睦)委員 やはり側面的な協力をしてもらわなくてはいけないと思うのです。これは各省の仕事がありますし、自治体の仕事があるということですから、あるいは閣議などの問題になるかもしれません。とりわけ土地家屋調査士について見ますと、測量・調査など手間暇がかかる業務であります。公共事業といっても必ずしも表示登記手続、表示登記の申請書、それだけのこと――それは画一的になるかもしれませんけれども、測量・調査という面になると画一的、類型的とは言えない面が非常に多いように思います。現存する受託団の中には、調査士会並びに受託団の努力によりまして、発注官公署の理解を得まして一般報酬額に近い報酬額を維持している例もあると聞いております。そこで調査士連合会は、公嘱登記報酬額を一般報酬額のおおむね八〇%を目安として発注官公署の理解を得るように努力をされているところであります。
 そこで、法務省も連合会あるいは中央用地対策連絡協議会の協議そしてまたその合意を尊重するように、また関係官公署との調整について、側面的という言葉を言われましたけれども、やはりそういう面でも発言することは発言していただいて、前向きに対処されたいと思いますが、いかがでしょうか。
#194
○枇杷田政府委員 私どもが発言し得る場においては十分に発言をしてまいりたいと思いますが、何よりもまず私は司法書士あるいは調査士、そういう協会に頼めば仕事が大変うまく早くいくというふうな認識を持ってもらうことが基本的には先決ではないかと思っています。
#195
○柴田(睦)委員 では次に、協会の新設に関連する問題ですが、まず一般論といたしまして、時間がありませんので私の方で言いますが、五十七年の六月二十二日に日調連から、「法第十九条該当事項について」ということで民事局長に、対して問い合わせをなさって、九月にその回答がありました。
 問い合わせの内容は、「測量士等が業として他人の依頼を受けて、不動産の表示に関する登記につき必要な土地又は家屋に関する調査・測量をすること及び地積測量図等を作製することは、土地家屋調査士法第十九条第一項本文の規定に該当するものと解しますが、いささか疑義がありますので何分のご指示を賜りたくお伺いいたします。」これが伺いの内容でありました。これに対しまして法務省の当時の民事局長が、標記の照会のあった件については貴見のとおりであると考えるというように言われております。
 この見解から見ますと、官公署といえども、嘱託登記に際して登記所に提出すべき地積測量図などを測量業者が作製することは、その測量業者について、大体繰り返し行わせるでしょうから、法十九条違反の疑義も生じてくる余地があるのじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#196
○枇杷田政府委員 登記所に提出することになるいろいろな書類でございますが、そういうものを作成する、図面をつくるというようなことは土地家屋調査士がやらなければならないわけでございます、本人申請の場合は除きますけれども。したがいまして、そういう仕事を業として土地家屋調査士の資格のない者が受けるという場合には、ただいまお示しの調査士法の十九条違反ということになろうかと思います。
#197
○柴田(睦)委員 そこで前々から問題になっております社団法人日本補償コンサルタント協会に所属します各企業が、司法書士や土地家屋調査士を抱えて法人をつくって、その法人の仕事として登記事務、物件権利調査のための土地測量を業務として行う、会社ですから業務として行うということがちゃんと書いてある。それからある県の社団法人の弘済会、ここではその法人の仕事の中に、用地の登記、筆耕事務の受託、そのための公共事業の測量などを業として行うというくだり、そういうことが現に書いてあるわけです。これらは現行法上も問題があると思いますが、最初にその見解をお聞きしたいと思います。
#198
○枇杷田政府委員 ただいまお話しの具体的な法人のことについては、私も必ずしも十分に承知いたしておりませんけれども、一般論として申し上げますと、ある法人が自分の会社ですか、それに絡む登記事件を自分で書類を作成して申請をするということは、これは差し支えございませんけれども、第三者から委託を受けて書類を作成したり、登記所に提出すべき書類をつくる前提としての調査・測量をするというようなことを業としてやる場合には、これは十九条に違反することであって許されないところだと思います。
 現行法ではそういう場合には、現実にやった者が処罰の対象になるわけでございますけれども、今度の改正法によりますと法人自体も、もし十九条違反の行為があれば罰するということになってまいりますので、より明確になるのではなかろうかと思います。
#199
○柴田(睦)委員 それに関連しますけれども、この法律の改正によって協会が新設される場合に、今言いました現実に存在する既存の公共嘱託登記の下請機関になっている法人に対してどういうように対処されるのか、お伺いします。
#200
○枇杷田政府委員 現実にそういう官公署等の依頼を受けて登記関係の書類を作成しているところがあるやには聞いておりますけれども、その実態は必ずしも把握いたしておりません。登記所の方には代理人として出てくるということはまずあり得ませんので、題名的なものではないように思います。しかし、そういうふうな状態は法律の許すところではございませんので、各単位会の方とも十分に連絡をとりまして、そういうものについてはそういうことをやめるようにということをまず勧告をする、そして改めることを勧めるということから始めまして、すぐに告発するとかどうとかというふうなことはしないで、なるべく円満におさまるようなことで努力をすべき事柄ではないかと思っております。
#201
○柴田(睦)委員 結局、法律が施行されますと、こうした法人との調整をどうするか、また十九条の問題をどう解決していくか、こういうことが重大な問題になってまいると思うわけです。協会の民主的運営を確保するということは非常に大事なことであります。同時に、実際に実効ある協会として成長していかなければならないし、そのことがやはりこの協会が発展するかどうかということのかぎを握ると思われます。そういう意味で、柔軟でなければならない場合もあるかと思いますが、法務省としての今後の適切な対応あるいは指導の課題について、この改正の目的に合うように厳正にやっていただきたい、これは要望しておきます。
 時間が参りましたから急いでいきますが、公嘱法人の業務範囲の問題についてですけれども、大事業が行われる場合、各県の単位を越えて数県にまたがる公共事業、例えば道路、高速道路あるいは鉄道、新幹線、こういう場合に、この仕事を一つの公嘱法人に独占させる、そういうことは避けなければならないのじゃないかと思っております。そういう意味で仕事の守備範囲の調整が必要であると思いますが、そうした大規模なものについて、いろいろな公嘱法人がうまく分配されて入っていく、そういう問題についての構想はどういうことになっているでありましょうか。
#202
○枇杷田政府委員 それらの問題に対処するには、私どもといたしますと、協会が自主的にお定めになるべき事柄だろうと思っております。しかし、想像いたしますと、その数県にまたがるそのまたがり方にもよるだろうと思いますけれども、関係がある県の協会それから発注官庁、その三者の中で話し合いが行われて、部分的に仕事を分けてそれぞれが受注することもあるでございましょうし、あるいは若干しかまたがっていないという場合には、主たる協会の方が受けるということもあるでございましょうし、場合によっては共同受注という形で処理をされることもあるだろうと思います。そこら辺は発注官庁と、関係する協会の良識的な判断で円満に解決していくものだというふうに考えております。
#203
○柴田(睦)委員 懲戒権の問題につきまして、あるいはこれからの将来の問題につきましても私は重要な関心を持っているのですけれども、多くの方から質問がありましたので、この問題は遠慮をいたしまして、登録審査会の問題ですが、委員は、司法書士または土地家屋調査士の方から出る、これは会で恐らく民主的に選ばれるでありましょう。それから法務省の職員というのがあります。それから学識経験者というのがあります。この法務省の職員というのはだれがなるのか、学識経験者というのはどういう学識を持っている人が予想されるのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
#204
○枇杷田政府委員 この審査会の構成メンバーとしての法務省の職員については、だれがということを決めているわけではございませんで、実際のやり方といたしますと、連合会の方から、法務省の職員の場合にはだれが適当だろうかという御相談があるのじゃないかと思います。建前は、連合会の方でこの人でどうだということをお決めになって法務大臣の承認を得るという形になりますけれども、同じく結論として法務省の方に来られるわけでございますから、どういう方がいいだろうかというふうな御相談になるだろうと思います。私どもといたしますと、別に今だれというふうに決めているわけではございませんけれども、要するに職務上司法書士制度というものをよく理解している立場にある者あるいはそういう職務を経験した者というところを、もし御相談になれば、そういう人が適当だろうということでお答えをすることになろうと思います。
 学識経験者と申しましても、結局司法書士あるいは土地家屋調査士制度の中にある審査会での仕事でございますので、学識といいますのもそういう司法書士制度なり土地家屋調査士制度なりというものについて特別深い知識を持っておられて、そして一般的に、そういう登録を拒否するとか登録の取り消しをするとかいうふうなことを判断する上で十分な一般的な教養といいますか人間的な豊かさと申しますか、そういうようなことを持っておられる方ということになるわけでございます。弁護士会でも、そういう意味での懲戒委員会あるいは資格審査委員会でも学識経験者ということで規定がございまして選ばれておるようでございますけれども、そういうような線から、結果的には大学の先生方などが弁護士会などでは多いようでございます。司法書士会、調査士会の場合には、何も大学の先生ということに限定するわけではございませんけれども、弁護士会のそういう例なども、選ぶ場合には一つの参考になるというふうに思っております。
#205
○柴田(睦)委員 皆さんから法務局職員の天下り問題ということで御質問がありましたが、天下りで問題になるのは、公務員が再就職をするということはまた当然必要なことであるわけで、そのことが問題でなくて、再就職の場を得るためにいわゆるお土産を持っていく。例えば建設省の役人が民間会社に下る場合に、その会社が公共事業をもらえるようにする、そういう関係が問題だと私は思うのです。お土産を持参したかどうかということとは別に関係ありませんけれども、民間会社だけでなくて、公益法人の関係でちょっと調べてみたのですけれども、関連公務員が現に重要役員になっておる例が非常に多いわけです。一、二挙げますと、例えば社団法人の中でも、日本道路協会の専務理事、この方は中国地方建設局総務部長であった人。それから全国市街地再開発協会の専務理事は北九州市の建設局長であった人。財団法人の方を見ますと、都市計画協会の常務理事が建設省の街路課専門官であった人。事は協会なり会の助言に基づく自主性の問題ではありますけれども、いやしくも天下りにおいて、本当に純粋にこの人は協会の運営において立派にやっていける人だと、自主的にそういうことを決められるのが筋でありますけれども、とやかく問題化されるような者は避けなければならない。その協会に入れば公嘱事件が入ってくる、こういうねらいを持った者がこの協会に入ってくる、こういうことは避けなければならないと思いますけれども、大臣、所見があったら、天下りの一般論でもありますから、お伺いして終わりたいと思います。
#206
○嶋崎国務大臣 先ほど来の話であるいは誤解があったのかもしれませんけれども、やはりいろいろな分野について過去の経験もあり視野の広い人、そういう人が必要なのではないかというようなことで、実は先ほど申し上げた次第でございます。今御指摘になるような、何かお土産担いでいって仕事を取得するとかしないとかというような問題ではなしに、せっかくこういう法人の組織というものができたわけでございますから、それの拡充のために一番いい工夫がどこにあるのか、それはまたただ単に今御指摘になるような方面からではなしに、やはりできるだけいろいろな、公共事業その他の関係についても深い認識と経験を持っておられるような人がやられたらいいのではないかというような意味で申し上げた次第でございまして、そういう意味では誤解のないようにおとり願いたいと思っている次第でございます。
#207
○柴田(睦)委員 どうもありがとうございました。
#208
○片岡委員長 三浦隆君。
#209
○三浦(隆)委員 去る四月九日に司法書士の皆さん、そして土地家屋調査士の皆さんにとっても大変に関係の深い、登記業務についてのコンピューター化法案が当委員会で通過したわけです。そしてまたきょう、同じように司法書士の皆さん、そして土地家屋調査士の皆さんと大変かかわりの深い公嘱法人の規定が、法規の中に今明確に打ち出されてきたということであります。いずれも時代の要請に従ってあらわれた問題でして、ともどもに、司法書士の皆さんあるいは土地家屋調査士の皆さんと国民にとってもプラスになり得るものというふうに思うわけです。ただ、コンピューター化がどう進んでいくか、あるいは公嘱法人がどのように運営されるかによっては、場合によっては司法書士の皆さんあるいは土地家屋調査士の皆さんにプラスにならないで、あるいはマイナス面も出てくるかもしれないということで、そうした方方の中には、御不安の方もあるいはいらっしゃるかもしれないというふうに思うわけでして、まず初めに大臣に、司法書士並びに土地家屋調査士の業務、ひいてはその生活擁護という観点から見た場合、今回の法改正というものはどのような意味を持っているものかということについてお尋ねしたいと思います。
#210
○嶋崎国務大臣 お尋ねの点につきましては、御承知のように登録事務をおやりいただくというようなことを通じまして、できるだけ司法書士なりあるいは土地家屋調査士の皆さん方が会としてのいろいろな運営をやっていく場合の自主的なお立場というものをできるだけ尊重をしてやっていかなければならないというようなことが一つあろうかと思います。
 それから二番目には、この法人化問題というのがありまして、これによって公共嘱託をある程度確保して、そして仕事の分野というものをある程度充実をさせていくような方向を何とか見出していかなければならないのじゃないか、過去からいろいろ積み上げてきた経過から見ましても、何か、今やそういうことを努力しなければならぬ時期に来ておるというようなことでございます。いずれにしましても、そういう意味でそれぞれの業務の増加が予想されるわけでございまして、今回の改正は、ある程度その自主性と業務の拡大というものをねらって行った改正であるわけでございます。とりわけ、御承知のように最近公共事業その他はなかなか窮屈な事情でありますけれども、与えられた仕事が一定だとするならば、法務局の仕事もひとつできるだけ手際よく処理がされるような体制が整うということが大切だし、またそういう分野で司法書士あるいは土地家屋調査士の皆さん方が御活躍をしていただくということも非常に大切なことだというようなこともにらんでお願いをした改正であると思っておる次第でございます。
#211
○三浦(隆)委員 この改正案につきましても、法務省と関係団体の方と大変に連絡を密にされて、よりよいものへと大変御努力をされたという経過を伺っておりまして、事実そのようにこの法が適正に上手に運営されて、皆さんにプラスになるようにというふうに、まず心から期待したいと思うのです。
 そこで、先ほど冒頭に言いましたように、にもかかわらず不安をお感じになっている方もいらっしゃるものですから、そうした皆さんの側に立ってみて改めてお尋ねをし、その不安感が解消できるものならばよろしいのじゃないかというふうに思います。たまたま昭和六十年二月二十六日付の法務省の、当委員会における委員に対するこの問題に対する回答書が出されているわけでして、この回答書に従いながら二、三お尋ねをしたいというふうに考えております。
 初めに「公嘱法人の設立による受注増の見込みについて」という回答についてなのですが、これによりますと「公嘱法人が設立されれば、公共嘱託登記事件の処理が組織的効率的になされることとなり、より適正・迅速な処理ができることとなるので、受注がふえることが期待できる。」こう書いてございます。この「期待できる。」という表現ですと、何か不確実といいましょうか、ような気もするわけでして、何か確たる受注増への裏づけ的なものがあり得るのかな、こう思うのですが、まずどうでしょうか。
#212
○田中説明員 それでは私の方からお答えさせていただきます。
 この公嘱登記の関係につきましては、既に御案内のとおり、四十七年当時から公嘱委員会というものを設けまして受注増について皆さんいろいろな努力をされたわけでございますが、現時点におきましてもその受注量が十五万件にとどまっている実情にございます。そういう実情を見ますと、なかなかいろいろなところに隆路があるわけでございまして、局長が既に答弁しておりますように、一つの隘路であります法人格がない、いわば受託側の事情に基づく受注が伸びないという点につきましては、今回この法人格を与えますので、その関係に伴って一応一つの隘路が解消するわけでございますけれども、いわばその隘路の中には発注者側のいろいろな内部事情もあるわけでございまして、そういう事情の解消がないとそう簡単に急激にふえるということは予想されないのではないかという推計をしているわけでございます。そういう意味では、現時点で法人格が与えられたからといって急激に受注が伸びることはすぐには予想されないわけでございますので、そういう意味で、将来はいろいろな関係の隘路が打開され、それに基づいて受注がふえるということは予想されますけれども、現時点ですぐにふえていくという見込みは立たないわけでございますので、そういう意味でこういう回答書にしたわけでございます。
#213
○三浦(隆)委員 せっかく公嘱法人ができるということで、これまで一般の司法書士の皆さんに回らなかったりあるいは土地家屋調査士の皆さんに回らなかった仕事がふえるということを大変期待している方が多いだろうと思うのですね。実はこれまでは大体何%であった、これができると将来はパーセンテージがここまで上がるだろうとか、そういう何か確たる、やってみなければわかりませんけれども、それにしても何らかの見通しというものがあるのじゃないかなというふうに思いますので、もしそれがわかるようでしたら、ある程度でもお答えいただければいいかと思うのです。
#214
○田中説明員 現在のところでは、どのくらいふえるかということは、これもやってみなければわからないことでございますし、これは新しくできました協会あるいは協会を助言される各単位会あるいは各連合会のこれからの努力によってどんどんふやしていただく以外にちょっと方法はないわけでございまして、現時点でどのくらいふえるかということは私どもの方も予想が立たないわけでございます。
#215
○三浦(隆)委員 先へ進みましょう。
 同じ回答書の次の言葉では、「また、この公嘱法人ができた場合には、そのことを適宜の方法で関係機関に周知するようにしたいと考えている。」こうあるわけですが、ここの「そのことを」というのは、公嘱法人ができたということだけなのかあるいはまた受注増ができたという、そのことを含むものなのか、どういうことなんでしょうか。「そのことを」というのは何を指すのでしょうか。
#216
○田中説明員 ここで書いておりますのは、結局、公共嘱託を受けるこういう法人ができました、またこういう法人はこういう手当てがあって集団で適正に迅速に処理しますという、そういう制度のものでありますというPRについては周知方を努力したいという点を書いているわけでございます。
#217
○三浦(隆)委員 次に、「関係機関に周知する」とありますが、「関係機関に周知する」とはどの機関のどういう部署について指している言葉でしょうか。
#218
○田中説明員 これは、公共嘱託登記をいわば発注しておる官庁に、こういう公共嘱託登記協会ができまして、こういう受け皿として司法書士、調査士を社員とする法人ができますということをPRすることになりますので、専ら対象者になりますのは、大きいところはその発注官庁、結局官公署と政令で定めますいわば官公署以外の組合等でございますけれども、そういうものについて周知方に努めることにしたいと思っております。
#219
○三浦(隆)委員 新しくできる公嘱法人でございますから、それがどのようなものであってあるいはどういうメリットが予測されるものであるかということも、不公平のないようにできる限り各方面の皆さんにわかりやすくなるようにぜひお知らせをいただきたいというふうに思います。
 それから、回答書の二番目でございますが、「公嘱法人の法務省退職者の受け皿化について」ということがございます。こうした新しい法人が時代の要請に従って生まれるということはそれなりによい点も多いのだと思いますが、一方で、今行革の中でできるだけそうしたものを減らそうという動きがあるわけでございます。実際に役立って活性化しているというか、動いている法人もあれば、実際には寝てしまっているのもある。本当に生きている法人がたくさんふえてそれなりに動くことは決して悪いこととは思わないのですが、ただ、現在もう既に眠っている法人もたくさんあって、それを始末することができないといいましょうか、そのために数だけがふえていくということでやはり一つの問題点を持っていると思うのですね。ですから、必要なものが生まれてくる、じゃ必要でないものは消していくとか、時代の要請に従ってそういうことが可能ならば、こうした質問もあるいは出てこないかもしれない、一つにはそう思うわけです。
 そこで、公嘱法人の新設が法務省退職公務員の受け皿づくりではないかというふうに疑問を呈しました。その疑問というのは昭和五十三年、第八十四回国会、衆議院当法務委員会におきます香川民事局長の答弁があるわけです。この議事録によりますと、「嘱託する側の官庁あるいは公団等におきまして、御承知のとおり、退職した、職員のやめた後のいわば職場として嘱託ということでさような事務をさしておる。こういう人たちがおる以上、各省あるいは地方公共団体、公団からストレートに司法書士の方に嘱託をするということになりますと、そういう退職職員の職場を奪うことになるという問題もあるわけであります。」そして、「司法書士法人というようなものをつくって、各省、各公団等のそういった退職後の職員の吸収場所とすると同時に、責任のある嘱託を受ける側の体制を整えるというようなことも考えてみてはどうかというふうに考えて」います、という答弁があるわけですね。
 そうしますと、私の党の方は行政改革は一つの旗印でございまして、この言葉に当初大変にこだわったというかひっかかったわけでございます。それで、法務省の方の御意見を伺うと、いや、そういうことではない、そういう心配はされなくてよろしいということでございまして、まあよかったなというふうに実は思ったのですけれども。これは、「公嘱法人を退職者の受け皿にするという意図は全くない。」というふうに書いてございますね、これを額面どおり確認してよろしいものでしょうか。
#220
○枇杷田政府委員 ただいまお読み上げになりました当時の香川民事局長の答弁では、専ら、発注官庁側の職員が職場を奪われることになるということは実際問題としては考えなければならぬ点だろうという指摘をいたしておるわけでございまして、法務省側の職員のことに触れているものではございません。今度の法人をつくるに当たりましても、法務省の職員の退職者の受け皿というふうなことは全く考えておるところではございません。
#221
○三浦(隆)委員 今のお言葉というのは、この法案を通す今だけの言葉なんでしょうか、それとも、これからの問題にもつながりを持ってくる言葉なんでしょうか。
#222
○枇杷田政府委員 これは全く仮定の問題でございますけれども、もし協会側の方から、法務省の退職職員で非常に能力があるからぜひ来てほしいということがあれば、これは話は別でございますけれども、私どもの方から、今度こういうポストにいる者がやめるから退職後の面倒を見てくれというふうな形で役員大事に一つのお願いをするとかいうふうなことは絶対に将来ともいたしません。
#223
○三浦(隆)委員 次は、「法人の社員は、資格者でなければならず、また法人の役員も社員の意思を無視して選任されるものではない。」こう書いてございますが、ここでは「法人の社員はこということで別段人数の特定というふうなことがないわけですが、そういう点はどういうふうに理解したらよろしいでしょう。
#224
○枇杷田政府委員 法律的には、社員の数というものは特定をいたしているわけではございませんけれども、社団法人でございますので、やはり社団性というものが満足される程度の人数は必要であろうと思います。そのような関係につきましては個別のケースに当たって判断をするしかございませんし、また両連合会の方からもそういうような形で発足させることが適当であるかどうかということについての御意見は十分に承るつもりでおります。
#225
○三浦(隆)委員 「法人の役員」という言葉なんですが、これは法案十七条の六の三項の理事のことだというふうに理解するのでしょうか。
#226
○枇杷田政府委員 理事と監事でございます。
#227
○三浦(隆)委員 少し聞きづらいことでもあるのですが、理事は全員司法書士に限るとなぜ規定し得なかったのでしょうか。その点についてお伺いします。
#228
○枇杷田政府委員 公益法人一般の考え方から申しますと、ある特定の資格者でなければならないというふうなことは出てこないわけでございます。しかしながら、この協会は実質上法人が司法書士あるいは調査士の業務を行うという立場にあるものでございますので、その業務執行機関もそういう有資格者によって占められるということが望ましいということにはなるわけでございますが、この規定は、黙っていれば無制限、何も制限がないというのを、むしろ制限をかけた規定でございます。全員にするということも、それは立法としては可能であるかもしれませんけれども、しかしながら、そういうふうにしてしまうことがかえって不便である場合があるだろう。ある会の方ではむしろ不便だというふうな声もあるように伺っております。したがいまして、法律的な縛りといたしましては理事の過半数ということで縛りをかけておけばいいので、それ以上に縛りをかけるということは内部の自主的な御判断でお決めになればいいことではないかということから、全員ということには決めなかったわけでございますけれども、全員を社員あるいは司法書士、土地家屋調査士の資格のある者に限るということに定めることは一向に差し支えないわけでございますので、これ以上の縛りをかけるということが必要ならば、そういう自主的な御判断に任せておけばいいということでこのような規定にいたしたわけでございます。
#229
○三浦(隆)委員 法律で規定するよりも個々の定款の中で規定した方がよりベターかもしれぬ、そちらの方にお任せしよう、そういうことで理解してよろしいでしょうか。
#230
○枇杷田政府委員 定款で決めるか社員総会の総意で決めるか、どちらかで決めるのが適当だろうということでございます。
#231
○三浦(隆)委員 法案の十七条の七の二項でござい童すが「司法書士でない者」とあります。これはどういうことでしょうか。
#232
○枇杷田政府委員 これは文字どおりでございまして、司法書士となる資格があるというだけではなくて、現実に登録し、そして会に入会して、司法書士法の一般の規定から申しますと司法書士の業務を適正に行い得る者、そういう意味でございます。
#233
○三浦(隆)委員 二項は「協会は、その業務に係る第二条第一項各号に掲げる事務を、司法書士会に入会している司法書士でない者に取り扱わせてはならない。」とありますが、言いかえれば、これは協会自身の行う登記事務については無資格者は行い得ないものなんだというふうに理解していいのでしょうか。
#234
○枇杷田政府委員 そのとおりでございます。
#235
○三浦(隆)委員 次は、回答書の三番目ですが、「公嘱法人の肥大化と指導について」というところです。「司法書士会又は土地家屋調査士会の意見は、公嘱法人の業務運営に反映されるべきであり、また、その社員はすべて司法書士会又は土地家屋調査士会の会員であるから、公嘱法人が会の指導から離れて独り歩きするという危惧はない。」こう書いてございます。
 そこで一つの質問は、「反映されるべきであり」、いわゆる「べきである」という表現と「反映される」ということ、「あるべき」と「ある」といった両者の食い違いですね、そういうときはどういうふうに理解したらよろしいのでしょうか。この間も言いましたが、ゾルレンとサインとの食い違い点であります。
#236
○枇杷田政府委員 この法案の規定にもございますように、業務運営に関しまして司法書士会または土地家屋調査士会は助言することができるというふうに規定をいたしております。したがいまして、その助言を受けて適正に運用されるということは、これは法律が期待をしているという意味でゾルレンでございます。ただ、そうだからといって、現実にはそれに応じないというふうなことが生ずることも理論的にはあり得ることになります。そのような場合には、そういう意見を反映しなかったという点に着目するわけではございませんけれども、その反映しなかった結果、業務運営が客観的に見て不適正であるということになりますと、公益法人に対する主務官庁の監督権という問題がその次に出てくるという手順になろうかと思います。
#237
○三浦(隆)委員 公嘱法人の理事に司法書士以外の人が選任されて、たまたまその人が大変に有力であり、いわゆる強い方であったとしますと、理事である司法書士以外で強い方と社員である司法書士の皆さん方の間で立場の相違ということから意見が食い違う場合があるかもしれない。そういう場合、両者の調整はどのようになされるのでしょうか。
#238
○枇杷田政府委員 法律の規定で、理事の過半数は司法書士でなければいけない、あるいは調査士でなければならないということになっておりますから、多数決で決める場合に、その資格がない役員の言動で左右されるということはないわけでございますが、実際上非常に発言権が強くて適当でないというふうなことになりますと、これは定款の定め方の問題でございますが、その理事は社員総会の支持を受け、信頼を受けてその地位にあるものでございますので、社員総会によってその役員を排除するということも可能ではないかと思います。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
#239
○三浦(隆)委員 次は、回答書の四番目の問題です。
 「個人受注の既得権侵害について」とありまして、ここでは「公嘱法人は、これまで個人で受託されていなかった公共嘱託登記事件の受注の拡大を目指すものであって、資格者個人がその努力によって獲得している発注先を奪うものではない。」こう述べているわけです。この受注の拡大がなされればいいのですが、拡大を目指しているということでして、現実に受注の拡大がなされないような場合はどうなるのでしょうか。
#240
○枇杷田政府委員 これは、現在の状況から申しまして、司法書士、調査士という専門家の手を経ないで登記所に書類が出されてくる公共嘱託登記事件が多い、そこのいろいろな問題点を解消しようということでございます。それで司法書士、調査士が関与しなかったその分野について拡大をしていこうということでございます。したがいまして、そちらの方の拡大に努力をされるということになりますが、もしその拡大がうまくいかなかったときに、それでは個人で受けている方に矛先が回っていくであろうかということが今の御質問の趣旨だろうと思いますけれども、そういうふうなことはそもそも意図しているものではありませんが、実際上そういうふうなことにもし向いてくるということになりますと、それは適当なことではございませんので、恐らく会の方からもそういうことがないようにという助言がなされるでありましょう。それからまた、そういう関係で余り混乱が生ずるということになりました場合には、主務官庁としての監督権の発動というふうなこともあり得るというふうに考えます。
#241
○三浦(隆)委員 同じく「資格者個人がその努力によって獲得している発注先を奪うものではない。」と、いわゆる既得権を保障されているわけですけれども、その保障というのは具体的にはどのようにして確保されるものでしょうか。
#242
○枇杷田政府委員 同じ会の会員が現在どういうところからどういう仕事を受けているかということはわかるわけでございます。そういうふうな発注先には自分たちの協会の方に発注するようにというふうな働きかけはしないという形で実際は行われるものであろうと思います。
#243
○三浦(隆)委員 この公嘱法人というのはあくまでも、仕事がふえ、そのことによって司法書士の皆さんなり土地家屋調査士の皆さんの業務がふえ、ひいては生活もよくなってくるだろうという期待感に満ちて生まれるものだろうと思うのですが、もし仮に受注の拡大がされない、その結果としてこれまでの既得権を奪う方向に行くということが出ますと、何のために公嘱法人を新設していくのか意味がわからないというような事態も起こると思うのですね。ぜひともそうならないようにひとつお願いをしたいと思います。
 次に、この新しい公嘱法人にかかわる司法書士あるいは土地家屋調査士さんの身分というのはどういうふうなものなのだろうか。普通の株式会社の社員ですと、雇用関係で給与をもらう。協会に所属した司法書士さんが何らか仕事をされて、どういう名目か知りませんが仮に何らか報酬を受け取ったという場合、どういうふうな身分関係が協会とその司法書士さんとの間に出てくるのでしょうか。
#244
○枇杷田政府委員 発注者との関係では、協会が当事者になるわけでございます。そして今度は協会が司法書士または土地家屋調査士にその仕事を再委任のような形で処理を行わせるということになろうかと思います。したがいまして、この協会と具体的に事件を取り扱う司法書士または土地家屋調査士との関係は、一般の私人が司法書士または土地家屋調査士に登記事件についての依頼をするという関係と基本的には同じことになろうかと思います。ただ、その場合に報酬額の関係については、いわばもともとの協会が発注官庁との間で取り決められた報酬額の中で報酬額が決められるという事実上の問題はございますけれども、基本的な法律関係といたしますと、協会と司法書士、土地家屋調査士との関係は、普通の一般国民からの委託関係と同じだと思います。
#245
○三浦(隆)委員 続きまして、十七条七の「協会の業務」に関連することなのですが、協会が発注者から受注する場合にどういうふうにして受注されるのか、それからまたそのための専門の委員会などが仮に設けられるとか、発注先から受注するまでどういう方がどういうふうにして行われるのか、あるいは受注した仕事が司法書士の皆さんなりにどのようにして配分されていくのか、そしてそれがどういう性格を持つものなのか、ちょっとお尋ねをしたいと思います。
#246
○枇杷田政府委員 具体的にどういうふうになるかというのは、私どももはっきりわからない面がございます。現在そういうような形のことを実際上行っておりますのは、各単位会ごとに設けられております公共嘱託関係の受託委員会というところでございますが、そういうもののやり方が恐らく継承されていくのではないかと思います。
 これも各地方ごとにやり方が違うという面があろうかと思いますけれども、先ほど来お話が出ておりますように、発注官庁側が、そういう専門家による協会ができたということが周知されますと、それでは今度は自分の方からそこへ頼んでみようかということで、一般の商取引で申します引き合いみたいなものが協会の方へ来て話が始まるということもあるでありましょう。それからまた、協会側から積極的に、この団体ではこういう事業を行っておる、いずれそれが登記の問題になるということを予測して、そこの方に出かけていって、こういうものができたのだからそちらの方に発注しないかと申し込みを協会がするということもあるでありましょう。そこで具体的に話が進んで、報酬額といいましょうか、全体の金額をどうするかというふうなことの交渉があって受けるという過程を経てくるのではなかろうかと思います。
 その受けた仕事を今度は司法書士、調査士に配分するわけでございますが、その配分のやり方についても協会があるいは会の方の意向で一つのルールがつくられると思います。それが協会内部のいわば規則的なもので明文化するルールになるか、あるいは一つの基準的なものでみんなの了解を得て事実上やるということになるかは、これは各会の代表その他によって決まることだろうと思いますが、弁護士で言いますならば国選弁護人についてのそういうものを受けるという気持ちがある者を弁護士会の方に登録しておることもあるように、そういうものについては自分は受けてやる用意があるということを会員の中から登録させるというようなこともあるかもしれません。そういう受ける者について一定のルールに従って割り当てていく。また、地域割りで割るというふうなこともあるかもしれませんが、そういう形で実質上の公平が担保されるという形で配分が行われるものと思っております。
#247
○三浦(隆)委員 協会の業務区域が法定されていないわけですが、法案作成の段階では関係の皆さんといろいろな打ち合わせがあったかと思います。なぜそうなったのかという理由と、また業務区域が拡大された場合に一般司法書士の皆さんの業務との競合関係が起こるかもしれない、そうした懸念についてはどうお考えでしょうか。
#248
○枇杷田政府委員 この協会の問題につきましては、例えば悪いかもしれけせんけれども、裁判管轄的なことで申しますと事物管轄と土地管轄的な両面の問題があります。
 事物管轄的な問題は業務の範囲として法定をしておるわけでございますけれども、土地管轄的な問題につきましては、これは現在司法書士、調査士それ自体が別に土地管轄的なものを持っているわけではございません。そういうようなことでございますので、特に協会だからといって業務の範囲の土地管轄的なものを決めるということもいかがなものであろうか。また、先ほど柴田委員の方からも御質問がありましたけれども、公共事業につきましては若干二県にまたがるというふうなものもあります。そういう場合にきちんと県境で決めなければならないというふうなことでもまたかえって問題が生ずるかもしれない。したがって、これはどっちかといいますと同じ司法書士、調査士の集まってつくる法人でございますので、そこで十分に話し合いをする十かいうふうなことで事実上の処理ができてくるだろう。また、そこで境界争い的な問題が起これば、これは連合会が中に入るとか、ブロックの機関が会の方にあるようでございますので、そういうものが単位会と話し合いながらその単位会を通じて協会の方に助言をしていくというふうなことで調整を図られることが実際上妥当ではないか。法律で決めるべき事柄ではないということで、土地管轄的な規定は設けなかった次第でございます。
#249
○三浦(隆)委員 協会が受注した仕事をその協会内の司法書士の社員の皆さんに仮に任せた場合に、その社員相互の中での仕事の配分が多い、少ない、そういうことによる競合というのかそういうふうな争い、そこまでいかないかもしれませんが、そういうふうなことに対する予防は何かお考えの点がございますか。
#250
○枇杷田政府委員 その点につきましては、先ほど申し上げましたように一定のルールをつくっておくことが望ましいのではないかと思います。そういう面につきましては、私どもは協会なり司法書士会、調査士会の自主的な御判断でおやりになるべきだということで私どもの方から特にそういう強いようなことは申し上げておりませんけれども、事柄から当然に協会内部でもあるいは会でもそういうことに重大関心を持って、そして一定のルールづくりということをおやりになるだろうと思います。そういうルールづくりができまして、それに従って配分されればいいわけでございますが、もしルール違反があるあるいはルール自体に不合理があるというふうな場合には、これは社員相互の中で自主的に解決をされることになるだろう、場合によっては会の方からの助言ということによって解決するというふうなことになると思います。この制度ができたために、かえって司法書士あるいは調査士の相互間にトラブルが起きるとかいうふうなことがあるということは望ましいことではありませんので、まず会がそういうことには関心を持って協会の方にも助言するというふうなことで、適正に運用されるものではないかと期待をいたしております。
#251
○三浦(隆)委員 次に、司法書士試験の試験科目の問題についてお尋ねしたいと思います。
 四月九日に新しいコンピューター化法が通りましたので、これまでにないそうした新しい業務がふえてくるということでありまして、この登記事務処理のコンピューター導入に伴う司法書士試験の科目に新たに情報処理機器操作の知識及び実技などをテストするというのでしょうか、そうした科目に対する配慮をこれから行われた方がいいのではないかなと思いますが、どんなものでしょうか。
#252
○枇杷田政府委員 司法書士、調査士の方々は広くいろいろな面について知識をお持ちいただくことが望ましいということが言えますし、また登記所内部で登記事務がコンピューター化されてまいりますと、そういう面についての知識、関心というものをお持ちいただくということは大切なことだと思います。しかしながら、登記事務がコンピューター化をされましても、司法書士の取り扱う業務あるいは土地家屋調査士が取り扱う業務そのものは、コンピューター化が当然されるわけのものではございません。したがいまして、コンピューターの知識がなければ司法書士業務が行えないとか、調査士業務が行えないという関係に立つものではございませんので、試験科目にまで入れて、その知識がなければ司法書士にしない、調査士にしないというふうなことまでするのはいかがかなという考え方でおります。
#253
○三浦(隆)委員 次は、二条の司法書士の業務について少しお尋ねをいたします。
 初めに、登記に関する手続について代理することとあるのですが、これに関連しての受託あるいは管理業務というふうなものについてはどのようにつながりを持っていいのでしょうか。この手続の中に含めることになりますか。
#254
○枇杷田政府委員 今お尋ねの御趣旨をあるいは誤解した答弁になるかもしれませんけれども、この登記とか供託とかの代理をする業務という中には、当然代理という中に含まれるものはあるわけで、そのほかにも、それに密着不可分な、付随的な業務も当然含まれるというふうに考えます。しかし、それがどのようなものだということはちょっと具体的に御説明する材料を持ち合わせておりませんが、具体的にこういう場合に含まれるだろうかということになりますと、多くの場合、実際にやっておられる仕事は、本来の代理業務あるいはそれに密着した付随業務という範疇に入る仕事を現にやっておられるように思います。
#255
○三浦(隆)委員 司法書士の業務として、ある司法書士さんの意見なのかもしれませんが、不動産登記分野については、弁護士に準ずる法的助言者として、登記業務の代理から進んで、その登記原因事実についての実体的法律判断及び相談権といったものを認めるべきだ、認めてほしいという意見がございますが、これについてはどんなものでしょう。
#256
○枇杷田政府委員 そういう面について職域を拡大すべきであるという御意見があることは、私ども承知いたしております。しかし、これは弁護士法と抵触をしてくるという事柄でございます。実際には、登記業務に関連をいたしまして書類を作成したり、あるいは添付書類をそろえたりするという過程の中で、どのような形での登記をするか、その場合の登記義務者はだれになって登記権利者はだれになるかというふうな法律判断は、当然に前提としてあるわけでございます。
 したがいまして、ある程度登記原因的なことについての判断は、司法書士業務をやっていくためには避けられない、そういうことから、法律的な専門的な知識を持たなければいけないというふうなことも司法書士法でうたわれておるわけでございます。そういう部門につきましては、これは弁護士法との抵触の関係に立つものではないと思いますので、現にそういう面についての仕事をやっておられますし、それから登記に絡む相談もやっておられるわけで、その点については問題ないと思いますけれども、そういう登記関係とは切り離した形での一般的な法律相談ということになりますと、先ほど申し上げましたように、弁護士法との抵触問題が起きます。これは容易な問題ではないことになるわけでございまして、現在の制度上からそのような方向に行くということには、まだまだいろいろ障害がございますので、今にわかに、そういうことが可能であるとかそういう見込みがあるかとかいうことについては、ちょっと私としては答弁する状況にはございません。
#257
○三浦(隆)委員 弁護士法の七十二条の「非弁護士の法律事務の取扱等の禁止」、同じ同法七十三条の「譲り受けた権利の実行を業とすることの禁止」、同法七十四条の「非弁護士の虚偽標示等の禁止」とか、今の質問にかかわる弁護士法の規定があるわけですね。にもかかわらず、現実に弁護士さんの数が限られていたり、あるいは弁護士さんの弁護料、弁護士に相談に行くとかなりお金を取られそうだというふうな不安もあって、現実には、一般の人から登記に関連していろいろな現実的な法律相談を受けるということは間々あることだろうと思うのですね。今御答弁にありましたように、一般的に法律相談にあずかるというのはともかくとしまして、登記事務に関連しながらいろいろと現実に法律相談に乗ってあげるということは構わないわけですか、ちょっとその点……。
#258
○枇杷田政府委員 原則的にはそういうことでございますが、具体的には、登記に関係するというのはどこまでなんだということは議論があろうかもしれませんけれども、私どもは、司法書士が登記とか供託とか、そういう事件を処理する前提としてある程度の法律判断、法律関係について判断しながら仕事をしていくという立場にあることは当然のことであって、その限りにおいては弁護士法と抵触するものではないというふうに考えております。
#259
○三浦(隆)委員 そこで、一般の常識というのが、お世話になれば何がしかお礼をしなければならぬだろうというふうになると思うのですね。法律相談を受けて、その法律相談が大変的確であった、したがって感謝の念もひとしお強いということであれば、まあ若干金を持っていく。これを持っていくと、弁護士でないのに法律相談ということで金を受け取ったということでひっかかるものかどうか。もう一つ、それが社会通念上、いや、そこまで言えぬ、わずかな金額くらいならば構わぬと言えるものかどうか。あるいは、お金でなくて何か品物をそれ相応に持っていくなら構わないと言えるものかどうか。その辺はどの程度まで可能性が認められるものでしょう。
#260
○枇杷田政府委員 先ほど来申し上げておりますとおり、司法書士の場合に相談に乗るのは登記に関連してという限定がつくわけでございます。したがいまして、その相談料は、会則の上で登記相談料ということで、一時間について現行の会則では二千五百円ですか、そういうふうな報酬を得るということが決められております。
#261
○三浦(隆)委員 次は、法の六条の九の問題で、登録の取り消しについてお尋ねをいたします。
 ここでは、登録取り消しの一つの問題点ですが、「引き続き二年以上業務を行わないとき。」と規定してあるわけですが、こういう規定は弁護士法にはないのですね。二年以上業務を行わない、たまたま何らかの理由で行わないことはあり得ると思うのですが、それで登録取り消しというのはちょっとひどいのじゃないかな、これは本当はなくてもよかった規定じゃないかな、そんな気もしますが、いかがなものでしょう。
#262
○枇杷田政府委員 この二年以上業務を行わないからといって取り消されたものも、司法書士となる資格を奪われるものではございませんので、また実際に業務を行おうという場合には、再登録をすることによって司法書士の業務ができるわけでございます。この二年以上行わないときというのは、実際は廃業しておるというのがただ手続未済のために放置されているというふうな形のものを整理するという面もございますし、それからまた、実際上業務を行わない状態ということは、病気であるとか、あるいはもうそういう業務については仕事をしないというつもりでいる場合のことになるわけでございますが、そういうときに、看板を掲げて一般の国民の方がそこへ行っても受けてもらえないというようなことになるということも対外的にもぐあい悪かろうということで、一種の整理といいましょうか、そういうふうな形で行われるものでございますので、先ほども申し上げましたように再登録をする道もあるわけでございますので、そう過酷な制度だというふうには思っておりません。
#263
○三浦(隆)委員 次、法の六条の十二について、法務大臣の登録事務に関する報告要求権等についてお尋ねをしたいと思います。
 弁護士法四十九条には、「最高裁判所は、必要と認める場合には、日本弁護士連合会に、その行う事務について報告を求め、又は弁護士及び弁護士会に関する調査を依頼することができる。」こうあるわけです。これに対して法案六条の十二によりますと、「法務大臣は、必要があるときは、日本司法書士会連合会に。対し、その登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。」こう書いてございます。弁護士法にはない資料提出要求権あるいは勧告権を国に与えた理由はどこにあったのでしょうか。
#264
○枇杷田政府委員 この登録事務と申しますのは一種の行政行為でございます。そういうものにつきましては内閣が責任を持つということが憲法上の建前でございます。したがいまして、その登録事務を両連合会に移譲いたします際には内閣が行政責任を負えるような状態にしておくことが必要なわけでございます。しかしその一方では、自主性を尊重するために移譲するということでございますので、自主性というものは同時に最大限に尊重しなければならぬ。そういう両者をどのようなところで整合性を図って規定をするかが問題になるわけでございます。弁護士法は、なるほど最高裁判所が報告を求めたりする権限というのは現在の御審議されております司法書士会、調査士会に関する関係よりはかなり狭まっておりますけれども、最高裁判所は弁護士会の運営について行政責任を負う立場にはないわけでございます。したがいまして、この弁護士法の四十九条の規定と、今度の登録移譲に伴いますところの登録事務に関する法務大臣と連合会とのつながりというものは同じレベルで比較をすることは適しない問題であろうと思っております。
#265
○三浦(隆)委員 司法書士の皆さんなり土地家屋調査士の皆さんの今後の社会的地位がますます上がって、そして協会などの自主性、自主権といいますか、自主能力がだんだん強まってくるというふうに期待すべきものだろうと私は考えますが、そうしたこれまでの質問を踏まえまして、司法書士あるいは土地家屋調査士の皆さんに、その業務あるいは生活の向上につながっていきますように適正な運用をぜひお願いしたいと思います。
 そしてまた、その趣旨に沿いまして各党と協議して附帯をつけさせていただきたいと思いますので、その際はよろしくお願いをしたいと思います。
 時間はまだございますけれども、最後にこの法案に関連をして、今までの質疑を通じて大臣としてどのような御感想をお持ちいただいたかお答えをいただいて、終わりにしたいと思います。
    〔高村委員長代理退席、委員長着席〕
#266
○嶋崎国務大臣 ただいま、さきの横山先生からの質問に基づきまして出た項目につきまして、それぞれの項目を挙げられながら我々の考え方を問われたわけでございます。また、それに関連しまして、司法書士あるいは土地家屋調査士の皆さん方のお仕事の立て方につきまして、将来的な展望というものを眺めながら今後の運営をどう考えていくのかということについても御質問を受けたわけでございます。
 先ほど来御説明を申し上げましたように、今回の改正が行われるまでにつきましては、面会との関係の中から過去からいろいろな問題が積み上げられて今日までまいったわけでございまして、臨調答申も一つの契機になりましたけれども、そういうことを背景に今度の改正を行ったわけでございます。
 いずれにしましても、今回の改正は先ほど来御説明申し上げましたように、登録事務につきましてこれを役所の方から移譲をするというようなこともやっておりますし、それから公共嘱託というような問題について、過去幾つかの実験は行われてきておりますけれども、なかなか十分でない問題点というのがあったわけでございます。そういうことを整理をして、正式に民法三十四条によるところの公益法人としてのスタートをやっていただこう。そういうことを通じまして、今後いよいよそれぞれの会の内部におけるところの充実を図っていただくとともに、この登記、供託その他の関連のお仕事ができるだけスムーズに運行されるよう、我々の側も、新しいスタートでありますから、その新しいスタートを受けまして、今後両方の会がいよいよ充実をされるような気持ちで受けとめて、努力をしていかなければならぬと思っておる次第でございます。
#267
○三浦(隆)委員 コンピューター化法が通って、またこの公嘱法人の設立を含んだ新しい法改定がなされたわけでして、コンピューター化につきましても前回も質問をさせていただきましたけれども、将来のニューメディアがますます進みますといろいろプラスも出ればマイナスも出てくるかもしれないということを踏まえまして、今後とも法務省の皆さんは関係団体の皆さんと十分に話し合いを進められて、法の趣旨が正しく、上手に、よりよく運営されますようにお願いして、質問を終わりたいと思います。
#268
○片岡委員長 横山利秋君。
#269
○横山委員 熱心な各委員の質疑応答がございましたが、いよいよ私をもって質問が終わる予定でございます。その意味合いでは多少ふくそうするかもしれませんが最後の詰めというつもりで、各委員の質疑応答の結果を含めまして、確認の意味を含めまして御質問をしたいと思います。
 まず第一に、この法律案の提案理由の第一に「この法律案は、司法書士及び土地家屋調査士の制度の運営の実情にかんがみ、司法書士及び土地家屋調査士の自主性の強化を図るため、」とあります。もちろんそれは登録事務に中心が置かれておるのでありますが、自主性の強化を図るということはただに登録だけではないと思います。いかにして両団体の自主性が高度化されるか、それにはやはり司法書士及び土地家屋調査士の専門性を高める、団結性を高める、モラルを高める、そういう基本的な問題があると思いますが、どうお考えですか。
#270
○枇杷田政府委員 ただいまおっしゃったとおりだと思います。
#271
○横山委員 さしあたりは登録ということに力点が置かれるのでありますが、私は累次の両法の改正の中でいかにして政府が両団体を、監督というよりも、指導というよりも、助言的な状況に持っていく。両団体は自主、自律、自営、そして最終的には日本弁護士会が持っておるような自主懲戒権、それを持たせても何ら恥ずかしくない民主的な団体である、そういうことが理想像だと思いますが、いかがですか。
#272
○枇杷田政府委員 司法書士会、調査士会がただいまおっしゃったような内容的な充実を図って、その実が逐次上がっていくという方向になることは大変望ましいことだと思っております。
#273
○横山委員 私が申し上げるのは、両法ともしばしばこの法務委員会で改正をしたのでありますが、将来法律改正を考えるとすれば、今私が申し上げました専門性、団体の自主性、モラル性等を目標にしてまず近い将来考えるとすれば、法改正はその方向に行くと思いますが、御異存はございませんか。
#274
○枇杷田政府委員 専門性とかモラル性とかというふうな抽象的なことでございますので、そういう概括的なことにつきましては私どもも全く同感でございますが、具体的にはどうするかということが問題になってくることは十分にあり得ると思います。
#275
○横山委員 今、その具体的な点について議論をしようと思いませんが、少なくともその方向性については私と意見が一致すると思います。
 次には、この提案理由の中に「官公署等が公共の利益となる事業に関して行う不動産の登記の嘱託等の実情にかんがみ、」とありますが、この「実情」は何を言いたいのですか。
#276
○枇杷田政府委員 現在、公共嘱託登記の件数といいますものが、正確な数字はつかまえられておりませんけれども、七百万前後というふうなことが言われております。大量な事件が出されておるわけでありますけれども、司法書士、調査士というその方面の専門家の手を経てくる割合が五%程度のものであるという状況にございます。その残りの九五%の関係につきましては、内容的にも専門家の手を経ていないために問題があって、書類が嘱託官庁の方と登記所の方とを事実上往復する、処理が長くかかってせっかくの公共事業の成果が安定するのに時間がかかる、あるいはそこにまた問題を残すというふうな状況が一般的に見られるわけでございます。そういうふうな状況は登記制度の目的からいたしましても望ましいことではない、そういう状況があるという認識に立つものでございます。
#277
○横山委員 次に、「その嘱託等の登記の手続の適正化を図るため、」とあります。「適正化」という意味は、今事実上の任意な公共嘱託委員会がある、それが必ずしも適正ではないという意味でありますか。
 それから、「適正化」と同時に後で問題にしようと思っているのですが、なぜ迅速化という言葉がここに入らないのですか。
#278
○枇杷田政府委員 この手続の適正という問題につきましては、現在の委員会がやっていることが適正円滑な方法ではないということではございませんで、要するに公共嘱託登記について司法書士、調査士という専門家がそれに関与することが手続が適正迅速に行われるということになるであろうという意味合いで使われた言葉でございます。
 もう一点、迅速化、これはそういうものも含めまして円滑なというふうなことで表現をしているつもりでございまして、迅速性というものは全然問題にしていないという趣旨ではございません。
#279
○横山委員 これは後刻申し上げますが、私の心配するのは迅速化の問題であります。役所が自分でやっておった、あるいは他に発注しておった、公共嘱託委員会が契約して配分してやるということについて、私どうしても迅速化の上で多少不安が残ります。後で申し上げます。
 次に、両法案を一緒に審議することになるわけでありますが、両法案の相違点はありますか。
#280
○枇杷田政府委員 これはいろいろな条文の中で司法書士と調査士という言葉が違うということ、それから協会の関係の業務範囲が、権利の登記に関するとか表示に関するとかというそういう当然のことは違いはございますが、制度そのものについては全く差異はございません。
#281
○横山委員 六条二項「司法書士名簿の登録は、日本司法書士会連合会が行う。」とありますが、六条の二では「登録を受けようとする者は、」「管轄する法務局又は地方法務局の管轄区域内に設立された司法書士会を経由して、日本司法書士会連合会に登録申請を」しなければならない。土地家屋調査士会では七条ですね。登録申請を二つの局に出すことがあり得るでしょうか。
#282
○枇杷田政府委員 現在は局に出すわけでございまして、そういう例は聞いたことはございませんが、事実上両方の会を経由して今度の新法の場合に連合会に提出するということは理論的には可能性がないとは言えないと思います。実際そういうことはないと思いますが、理論的には可能性はあると言わざるを得ないと思います。
#283
○横山委員 一つの局の登録申請をして、ほかの局の仕事をしてもいいのですか。
#284
○枇杷田政府委員 司法書士につきましては、入会した会の区域外のところで仕事をすることは法律上禁止されているものではございません。
#285
○横山委員 禁止されていない。
 六条の三、土地家屋調査士会では八条、登録審査会の議決は過半数ですか。
#286
○枇杷田政府委員 この法律段階では議事規則的なものを決めているわけではございませんから、このままでいきますと会議体の一般原則として過半数ということになりますが、これは連合会に置かれる機関でございますので、連合会の会則でそのような場合の定足数であるとか議決数というふうなものを決めることは可能でございますし、決められればそれによることになると思います。
#287
○横山委員 同じく六条の三、土地家屋調査士会の八条、登録拒否を「あらかじめ、当該申請者にその旨を通知して、」とありますが、この「あらかじめ、」というのは、登録審査会で決めてから通知するまでの「あらかじめ、」なのか、何の「あらかじめ、」ですか。
#288
○枇杷田政府委員 これは弁明の機会を与える、その弁明を一つの資料として登録を拒否するかどうかを決める、そういうためにある規定でございますから、したがいまして、その弁明が審査会においても検討の対象になるということが実質的に保障されなければならないと思います。したがいまして、審査会の始まる前、あるいは審査会が開かれた途中でもよろしゅうございますけれども、連合会の方では審査会にかけるときには、拒否事案であるということを考えた上で初めて審査会にかけるわけでございますから、事実上は、その時点で審査会にかける前にその通知をして弁明の機会を与えるのが相当であると思います。
#289
○横山委員 連合会が登録審査会に付託するときに、これは拒否事案であると自分で判断をしてしまうのですか。解釈として、登録審査会が一応議決はしたが弁明を聞くというのか、その辺のくだりがこの法案では明確でないのですが、いいのですか。
#290
○枇杷田政府委員 確かにそういう時系列的な手続を明確に定めてはおりませんけれども、事柄の性質と申しましょうか、この法案の趣旨全体からすべての登録事案について審査会にかけみ必要はないということは読み取れるわけでございます。したがいまして、連合会の方では最終的に拒否をするということに決定しなくても、これは拒否すべきものだというふうな判断が強いという場合には審査会にかけるということになると思います。少なくとも登録していいという決断といいますか判断がつかないときには審査会にかけるということになると思います。そういう手順になるということはこの制度自体から読み取れることではないかと思います。したがいまして、弁明の機会を与えるという場合も、その弁明を十分に参酌をして結論を出そうという手続でございますので、審査会の議決といいますか審査会の審議の際にそれが反映されるべきであるということは少なくとも言えるわけでございますから、審査会にかける前あるいは審査会で結論を出す前にはその弁明が届いているというような状況のもとに弁明の機会を与えなければいけないというふうに思います。
#291
○横山委員 わかりました。
 そうしますと、会は、拒否しようとするそのときには、拒否しようとした、だから本人に通知をする、弁明を会が聞く、それで登録をしてもよろしいとなれば審査会にかけない、それでもだめだというときには審査会にかける、こういうふうに理解していいんですか。
#292
○枇杷田政府委員 今おっしゃったような手順でいくのが普適正常なやり方であろうと思います。
#293
○横山委員 六条の四「登録を拒否したときはその旨及びその理由を当該申請者に書面により通知しなければならない。」土地家屋調査士法の八条の二ですか、この理由はどこまで内容を明示するのですか。
#294
○枇杷田政府委員 これは拒否の該当条文ですね、それと、それを構成する事実というものを明らかにすべきだと思います。この手続は、不服があった場合には不服審査手続に移っていくというための一つの手続でございますので、拒否を受けた者が不服を申し立てる、そういうことが不服の理由を特定して述べられる、そういう拒否事由の特定性というものがなければいけないということは最小限要求されることになるわけでございまして、したがいまして拒否に当たる条文とそれに当たる事実というものの摘示が必要であろうと思います。
#295
○横山委員 ごもっともで、往々にしてこれらのときには理由は簡単過ぎて、第六条の五による審査請求を書こうとする審査請求者の利便を考えないおそれがありますから、その点は会に十分善処を促したいと思います。
 六条の五、土地家屋調査士法の八条の三、これで法務大臣に審査請求をすることができるとされております。これは法務大臣にいつまでという期限はないのですか。
#296
○枇杷田政府委員 この法律自体には期限の定めはしてございませんけれども、行政不服審査法による審査請求をするということでございますので、行政不服審査法の規定が一般的に適用されるということになります。そういたしますと、その処分の通知を受けた日の翌日から六十日以内にということになるわけでございます。
#297
○横山委員 六条の五、土地家屋調査士法の八条の三、三カ月以内に「何らの処分がされないとき」、この「何ら」というのは一体何ですか。
#298
○枇杷田政府委員 これは、登録の申請をしたわけでございますので、それに対して連合会は登録をするとかあるいは登録の拒否をするというふうな処分をしなければならないわけでございます。そういう処分について何らの処分もしないときでございますが、具体的には登録もしないし登録拒否処分もしないということになろうかと思います。
#299
○横山委員 もうしばらく待ってくれという処分もあるのですか、処分というかそういう場合もあるのですかね。
#300
○枇杷田政府委員 それは事実上のことでございますので、法律的な意味での処分ということにはならないと思います。
#301
○横山委員 事実上はあり得るのですか。
#302
○枇杷田政府委員 それは、現在登録審査会で審議中なので、待ってくれというのはあれでございますけれども、そういう処分の、どうするかということではもう少し時間がかかるというふうなことを申請人にいわば経過説明的な意味で連絡をする、そしておくれているということについての了解を求めるということは事実上あり得ると思います。
#303
○横山委員 六条の五、「法務大臣は、」「連合会に対し、相当の処分をすべき旨を命じなければならない。」とあります。土地家屋調査士法の八条の三です。「相当の処分」というのは具体的に明示をするものですか。どういう内容を含みますか。
#304
○枇杷田政府委員 この相当な処分というのは、要するに登録拒否があった場合の不服申し立てについて理由があるという場合でございますので、登録をしなさいということがこの法務大臣の裁決の中でうたわれることになると思います。
#305
○横山委員 連合会はそれに従う義務はありますか。拒否をした登録審査会、連合会との関係はどうなりますか。
#306
○枇杷田政府委員 これは、法律的に連合会は法務大臣の裁決に従うべき義務がございます。
#307
○横山委員 どこに書いてあるのか。
#308
○枇杷田政府委員 それは、命じなければならないということは、先ほど読まれました司法書士法の関係では第六条の五の第三項に「命じなければならない。」ということは、原処分庁と申しましょうか、連合会はその命令に従わなければならないということは当然に含んでいるはずでございます。そうでなければこの制度は何らの意味も持たないということになりますので、命じなければならないので命じた場合には、連合会はそれに従う義務が当然にあるというふうに思います。したがいまして、そういう裁決があった場合にはそれに拘束をされまして、連合会は登録をしろという命令である場合には登録をします。その場合には登録審査会に改めてかけるというふうなことは必要がないわけであります。ただ、その法務大臣の命令に忠実に従って処理をすればいいのであります。
#309
○横山委員 いたけだかにおっしゃるけれども、「命じなければならない。」ということは、法務大臣の義務としてやらなければいけませんよと言っておるだけで、これを受けなければならないとは書いてないのですね。これは常識的に、法務大臣がやれというものをやらぬということはあり得ないけれども、法務大臣の命令があったときには連合会はこれを受けなければならないとはどこにも書いてないじゃないですか。これは違反したら罰則があるのですか。
#310
○枇杷田政府委員 違反した場合に罰則はございません。
#311
○横山委員 ちょっと問題が残りますね。法律作成をする場合に考うべき点ではなかったでしょうかね。
 六条の六、変更の登録ですが、事務所を移転しようとするときには変更の登録の申請をしなければならぬとありますが、その登録の申請をしてそれを受け付けが来るまで仕事はできないのですか。登録事項の変更の場合でもどうですかね。
#312
○枇杷田政府委員 この事務所移転の場合には、その変更の登録をした時点で所属する会がその瞬間に変わるというふうに構成をされております。したがいまして、いずれかの会には所属をいたしておりますので、その司法書士は入会をしている司法書士ということでございますから、業務を取り扱うことは何ら妨げはないわけでございます。
#313
○横山委員 もう一遍聞きますが、一つの法務局、司法書士会あるいは土地家屋調査士会の一つの単位会の内部で事務所を移転した場合、それから他県に移転した場合、それから登録事項の変更をした場合、そういう場合には、申請をした瞬間から効力があると見ていいのですか。
#314
○枇杷田政府委員 同じ法務局管内で事務所を移転する場合には、これは登録事項にするかどうかという問題はありますけれども、それはいわば報告的な登録ということになるわけでございまして、余り法律的な意味はないと思います。
 それから、他局に事務所を移転するという場合には、先ほど申し上げましたように移ろうとする方の会に申請手続をするわけでございまして、そしてその登録がなされた瞬間に所属会が変更するということになっております。登録の申請時点ではないわけでございます。したがいまして、それは本人にはすぐわからないということがあろうかと思いますが、この場合には連合会の方から通知が行くことになっておったと思いますが、そういうわけでございますので、いわば登録の問題よりは入会の関係の方が実際の業務としては問題があるということでございますけれども、しかしながらいずれかの会に属していることは間違いないので、司法書士の業務を行うことについては妨げがないということになると思います。
#315
○横山委員 登録事務の敏速に行われることをぜひ期待いたしたいところであります。
 六条の八「登録の取消し」、土地家屋調査士法の八条の六ですが、「司法書士が次の各号の一に該当する場合には、日本司法書士会連合会は、その登録を取り消さなければならない。」この「各号の一に該当する」ということは、一体だれが連合会に発議していくのですか。
#316
○枇杷田政府委員 これは、司法書士法で申しますと第六条の八の第二項に、連合会の方に特定の者が届け出なければならぬという規定を設けております。したがいまして、こういう届け出があれば、それによって連合会は登録の取り消しの処置をするわけでございますけれども、しかしながら、この届け出が全部励行されるというわけのものではございません。そういう場合には、単位会の方が連合会の方にそういう事実が発生したということを報告するあるいは登録の取り消しをすべき事案だということを、何と申しましょうか、請求ではございませんけれども、消すべきだという意見具申をするというふうなことになろうかと思います。
 そのような連合会と単位会との関係につきましては、連合会の会則とかあるいは連合会の規則とかで整備されるべき範囲のものであろうというふうに考えております。
#317
○横山委員 六条の十二、土地家屋調査士法の八条の十、「登録事務に関し、報告若しくは資料の提出を求め、又は勧告をすることができる。」これが法務大臣の権限ですね。この「登録事務に関し」というのは極めて広範な内容を持っておるのですけれども、大体その内容となるものは何でしょうか。
#318
○枇杷田政府委員 これは、司法書士会連合会あるいは土地家屋調査士会連合会の業務全般についてのことではなくて、登録事務に関するというところで限定的に表現している規定でございます。この登録事務というのは、登録の申請から登録の完了あるいは拒否、そういう一切の手続をすべて包含するものでございます。そういうことでございますから、例えば登録簿などの設置の関係あるいは申請手続をどういうふうにしてやるとかいうふうな具体的な事柄、そういうものが一切入るということにはなるわけでございます。
#319
○横山委員 本件については、二月二十六日、私の質問についての法務省からの回答では「委譲された登録事務の処理が適正かつ迅速に処理されることを確保するため、法務大臣が連合会に対し報告を求め又は勧告をすることができるものとする等、制度上不可欠な規定は設ける必要があるが、それ以上のことは考えていない。」という御回答がありました。要するに、私の質問の趣旨も、大臣の権限が乱用と過度にならないようにという注意でありますが、先般の回答どおりに受け取ってよろしいですか。
#320
○枇杷田政府委員 先般お答えしたとおりに御了解いただいて結構でございます。
#321
○横山委員 十二条、土地家屋調査士法の十三条、「司法書士がこの法律又はこの法律に基づく命令に違反したときは、その事務所の所在地を管轄する法務局又は地方法務局の長は、次に掲げる処分をすることができる。」とありまして、その中で「登録の取消し」が「業務の禁止」ということになっています。業務の禁止は、登録が取り消しになれば当然になっていくわけでありますが、特に十二条を存置した理由は何ですか。
#322
○枇杷田政府委員 十二条は、要するに懲戒に関する規定でございます。この懲戒関係につきましては、登録事務の移譲に伴って「登録の取消し」という処分を、実質上変わりませんけれども、「業務の禁止」ということに改めるということの必要は生じてまいりましたけれども、懲戒制度そのものをこの際変える必要はないということから十二条はそのまま存置しておるわけでございます。
#323
○横山委員 登録取り消しがその業務ができないようになるわけです。その登録で自主性を保たせながら伝家の宝刀はちゃんと自分のところが、法務局長が握っておる。これが乱用されれば登録問題なんかは適当なもので、法務局長がいつもこの十二条で采配を振るうことができるというふうに考えられるのでありますが、登録に関しての諸条項に屋上屋を架することになります。業務の禁止を十二条で法務局長がやったときの不服審査はどういうことになりますか。局長は、もう連合会に任じておったらあかん、もうばっさりやってしまえというわけで、いきなり十二条を先行してやるというようなことが考えられるのですか。
#324
○枇杷田政府委員 十二条の規定は懲戒に関する規定でございますので、一番ひどい非違行為があって、そして司法書士あるいは調査士の業務をこれ以上とても続けさせるということはできない、そういうひどい非違行為があるという場合にする処分でございます。これは懲戒処分でございますから、したがいまして、これに対する不服審査はまさに行政庁のする行政処分に対する不服審査として法務大臣の方に寄せられるということになるわけでございまして、この登録の関係は、そういう処分があった場合に名簿の上での今度は登録を消すということでございますので、従来とは登録の取り消しということの意味合いがまるっきり変わってくる。この懲戒処分に関する限りは変わってくるということになります。
#325
○横山委員 少し問題が残りそうでございますね。この運用がいかに行われるか、十分注意をいたしたいと思います。
 十七条の六、土地家屋調査士法の同じく十七条の六、協会の仕事でございます。十七条の六の真ん中に「不動産の権利に関する登記の嘱託又は申請の適正かつ迅速な実施に寄与することを目的として」とありますが、先ほど申しましたように、この迅速性というのはどう保障ができるだろうかという疑問を持っておるわけです。私はこの制度に賛成するものではありますけれども、しかしながら、今まで官庁が自分でやっておった、あるいはどこかへ外注しておった、それを協会に契約をする、協会は民主的に公正にそれを配分する受託団をつくる、受託団の司法書士、土地家屋調査士がみんな分配相談をしてざっと決めてやるというようなことは非常に時間がかかりやしないか。この「迅速な実施に寄与すること」というのは逆ではないか。決して制度を否定するものではありませんけれども、果たしてこの文章どおりにいくものかどうか疑問を持つものですが、いかがですか。
#326
○枇杷田政府委員 ただいまの点につきましては、先ほども申し上げましたように、司法書士、調査士という専門家が関与しない嘱託とか申請とかは若干申請内容に不備があって補正があったりあるいは取り下げがあるというふうなことで、官公署と登記所との間で書類が何回も往復するというふうな実情があるわけでございます。専門家が介在すればそうした瑕疵がある書類の作成が減少するであろう、そういうことによって公共事業の成果が登記の上で迅速に反映をして安定していくことになるというところで「迅速な実施」とここに表現をいたしておるわけでございます。
 ただ、そのかわり今度は協会が受けるということになりますと、その協会との間の契約関係の交渉があったりまたはその中で事務の分配があったりして、かえってそこで事務的な時間が要るのではないかという御指摘でございます。なるほどそういう面もあるかもしれませんが、現在の委員会制度でやっておりますところでもその辺はスムーズにいっているようでございますし、また分配の関係につきましてはルールづくりができてそのルールに従って機械的にということになろうかと思いますが、事件が配分されていくことになるでありましょう。したがいまして、この迅速という面につきまして、協会が受けることによって事務的な時間がかかるということがないように協会も体制を十分につくるべきだと思います。そういう面は十分に気をつけなければならぬと思いますが、この条文で言っております迅速性というのは、先ほど申しましたような登記の嘱託書あるいは申請書、その添付書類の作成が結果的に速くいいものができるという意味での迅速をあらわしておるものでございます。
#327
○横山委員 老婆心ながら、今私が指摘した迅速性を両連合会が十分配慮するように望んでおきたいと思います。
 役所と協会が事業契約しますと、役所に対して協会が法律上の責任を負うことになりますね。しかし、協会は受託団なり何なりつくってそれを司法書士、土地家屋調査士に委託するわけです。この委託は契約するのですか、しないのですか。それから、さて実行された、その登記に間違いが起こったという場合に、法律上、一体だれが役所に最終責任を負うのですか。
#328
○枇杷田政府委員 公共嘱託の登記事件につきましては、発注官公署と協会との間にそのような事務を処理するという意味での委託契約が成立いたします。したがいまして、協会は発注官署に対する債務者ということになるわけでございます。今度は協会と具体的な事件を取り扱う司法書士、調査士との関係は、これまたその仕事を再委任するという意味での委託契約がそこに成立すると思います。契約書自体をつくるかどうかわかりませんけれども、そこに契約関係が生ずることになると思います。そして、その委託した結果、申請書をつくって登記所へ出したけれども不備があって発注官公署に損害が生じたという場合には、これは契約上の損害賠償の問題になろうと思いますので、契約の当事者である協会の不完全事項とかいう形での損害賠償を協会が発注官署に対しては負うことになります。しかし今度は、協会と個々の仕事を受けた司法書士、調査士との関係は先ほど申し上げましたような契約関係がございますから、それはそこに契約上の債務が完全に履行されていないということになる、その結果、協会は官公署に損害賠償を払ったという意味での損害が生じているわけです。その損害賠償は第二番目の委託契約に基づく損害賠償として個々の司法書士、調査士が払わなければならないという法律関係になるものと思います。
#329
○横山委員 協会は民法三十四条による社団法人となっています。協会は契約した仕事を自分でやる場合があるのですか。
#330
○枇杷田政府委員 これは法律上の問題と事実上の問題があろうかと思います。法律的には、この協会自体が第二条の司法書士あるいは調査士の業務のある一定部分についてやれると規定いたしておりますから、法人そのものの行為として何かのものができるということは可能でございます。
 しかしながら、具体的にそれをどうするかということになりますと、これはまさに文字どおりの協会の行為としてやる場合には、理事がその業務執行行為としてやるということは理論的に可能でございますけれども、実際上理事がその仕事を業務執行でやることは面会とも考えておるわけではございませんので、事実上は司法書士、調査士に配分してやることになると思いますが、法律的に理事がその職務執行としてやることは不可能かという形で問われますと、それは理論的には可能です。ただし、実際にやる理事は司法書士あるいは調査士でなければならないということになろうかと思います。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
#331
○横山委員 現在の公共嘱託委員会が、これは法人ではないのですけれども、自分で事業をやっている例があります。私が今聞いたのは、社団法人で公益法人である、これは利益事業団体ではない、なれば協会自身が直接事業をやることは適当ではないと考えるべきだと思うのです。どうも法文は協会自身がやっても違法ではないという解釈のようではありますが、公益法人として認められたものが利益追求団体に、便利がいいからこれをやってしまえ、ということになるのは適当ではない、理論上矛盾があると思うのですが、あなたはその理論上の問題はどうお考えですか。
#332
○枇杷田政府委員 この協会は民法三十四条の規定によってつくられる法人で公益法人でございますから、営利性があってはならないわけでございます。その営利性というのは、法律的には、その法人の利益をその構成員に分配するということがある場合には営利法人だと言われておるわけでございまして、その法人の事業そのものが収益を伴うものであるということだからといって営利法人になるものではございません。そういう意味では、この協会は利益をその構成員である社員に分配することはできませんけれども、収益性の伴う事業を行うこと自体を禁止するということは公益法人性からは出てこないわけでございます。したがいまして、先ほども二段階で御説明申し上げましたけれども、発注官庁との関係では、そこの協会自体が書類を作成する等の仕事を債務として背負い、そして発注官庁側にそれに対する対価を請求するという権利を協会が持つ、その平面でとらえる限りは収益的な事業と言わざるを得ないわけでありますが、そうだからといって営利性があるということにはならないと思います。
 したがいまして、公益法人性から、ただいまおっしゃったように理事がやることが適当でないということは理論的には出てこないと思いますが、こういう協会をつくってやろうとしている立法の趣旨から申しますと、理事がやるというふうなことを原則的に考えているものではない。そのことのために、いろいろ実際に取り扱う者は会に入会している司法書士とか調査士でなければいけないというふうな規定もわざわざ設けているのは、むしろそちらの取扱者は会員であるところの司法書士、調査士であるということを原則だというふうに念頭に置いているからそのような規定を設けている。そういう面で、理事がやるということは変則的なことであるというふうに考える次第でございます。
#333
○横山委員 私も現在の公共嘱託委員会の事情を調べてみて、こういうことを思うのです。それは、協会が何とかして仕事をとってくるということをしなければなりません。そのためには専従者を置かなければなりません。一人でも年間二、三百万かかるでしょう。女の子ばかりでは何にも仕事にはなりません。そうすると、配分のための会議も開かなければいかぬ、旅費も要るということになりますと、かなりの仕事をしようとすれば年間一千万や二千万ぐらい協会の支出として要るのじゃないかという気がしてならないのであります。しからば、協会は何をもって収入にするかと考えますと、やすきについて、協会が自分のところで仕事をしてそれで利益を上げて経費を賄うという方向にずるずる行くのじゃないかという心配をしているのですが、協会の収支はどう考えたらいいのでしょうか。
    〔高村委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
#334
○枇杷田政府委員 この収支の問題は実際にやってみなければわからない面がございますけれども、今考えられておりますのは、社団法人の社員の会費制というものを導入して、その会費によって日常的な経費は賄うようにするということも一つの方法だと思います。もう一つは、発注官庁から仕事を受けましてそれを配分するという場合に、その事務経費と申しましょうか、そういうものを若干留保して、そして第二次段階の委託契約の場合の報酬金額を定めるという形で留保をしていくというようなことで賄われる、大ざっぱに言うとその二本立てだろうと思います。場合によっては、単位会の方が何がしかの援助をするとか篤志的な会員が寄附をするというようなこともあるかもしれませんが、基本的には会費と報酬の中での協会側のコストを留保しておくということによって賄われるだろうと思います。
 そういうことが合理的に行われませんと、ただいま御指摘のような理事が仕事をするというところに向かうかどうかはわかりませんけれども、協会の経営としては大変おかしなことに追い込まれるわけでございますので、ただいま申しましたような基本的な二つのやり方がスムーズにいくように協会は工夫して経理の体制を立てるべきだと思いますし、それが立てられるように会の方からも十分助言をし、援助をすべきものだというふうに思っております。
#335
○横山委員 本委員会において多くの皆さんが心配をしたことは、一県に二つの協会があり得るかという問題であり、これは私どもが承知をした限りにおいては法務省は一県に一つ、面会も一県に一つということで進んできておったはずなのに、法案は一県に二つの可能性を秘めておる。また、あなた方がどこかでお話をなすったときに、途方もない協会の数が予想されるということをどなたかがおっしゃったらしくて、ごうごうたる問題を今引き起こしておるわけであります。
 先般ここで参考人を呼んで話を聞きましたときにも、質疑応答の中でこれが焦点になりました。司法書士会の会長は、あのときに私の真意が伝わっていなかったようだ、私ども司法書士会としても、どうしても一県に一つにしてほしいということを言いたかったのが、誤解を与えるようなことがあるいはあったのかもしれぬから、ひとつ明白にしてもらいたいという希望がありました。
 もし一県に二つも三つもできた場合を想定いたしますと、これはもう過当競争になる。そして競争で肥大化をする。そして、利益追求団体ということに堕してしまうということになると思うのですが、なぜ一県一つというふうに法律案の中に明示ができなかったか。そしてまた行政指導上は一体どうなさるつもりなのか、ひとつ率直に答えてもらいたい。
#336
○枇杷田政府委員 その点につきましては、法律上一つに限定をするということにいたしました場合に、それを法律の問題とする合理的な根拠があるだろうかという面があるわけでございます。したがいまして、明文で一個にするということは規定いたしておりませんけれども、いろいろな面から申しますと、それは原則的には一個である方が現実問題としておさまりがいいという面があることは私も否定するものではございませんが、法律的にそれに限定をする必要はないだろう、必要とするという根拠はないだろうということが明文の規定を置かなかったところでございます。
 また、一個にすべきだということを両連合会の方でも非常に要望されておるということも私は承知いたしております。しかしながら、この協会というのは社員を司法書士または調査士に限定しておるわけでございます。そういう状態で既に一つの協会ができているのに、また司法書士、調査士がその同じ地域内で一つの協会をつくる――今伺っておりますと、面会ともいわば会員の当然あるべき姿だというふうに、一個が当然だと理解しているんだというふうにお考えになるのだったら、司法書士会あるいは調査士会の自主性、自律性からいって、そういう不合理な状態でもう一つの協会の設立をしようとする社員が、そんなに何人も集まってやるというようなことがあり得るのだろうかという事実的な問題も私は疑問に思うわけであります。ですから、実際問題といたしますと、いろいろやってみました結果複数のものがあった方がかえっていいという事情が出てくるというふうなことからその議が起こってくるということになろうかと思います。
 しかし、いずれにいたしましても、その協会の設立につきましては司法書士制度、調査士制度にとって非常に大きな影響がある事柄でございますので、私どもは、設立の許可申請があった場合には、その設立を許可すべきか否かについては必ず両連合会の方に意見を伺って、その意見を尊重して結論を出すというふうにいたしたいと思っております。
#337
○横山委員 二県にまたがる協会、二県にまたがる受託団というものはあり得るでしょうか。
#338
○枇杷田政府委員 またがるという意味でございますけれども、この協会の社員が同じ会の会員であるということで縛りをかけている面におきましてはまたがるということはない。事業活動がまたがることがあり得るだろうかということだろうと思いますが、事業活動は先ほどほかの委員の御質問にお答えしたところでございますけれども、土地管轄的なものはここには規定いたしておりません。個々の司法書士、調査士の方についてもどこの会に所属するかということは決まっておりますけれども、その業務範囲について土地管轄的な規定は置かれていないわけであります。そういう意味で置かれてはおりませんが、実際には受託しようとする公共事業が県を超えてまたがるというふうなこともあるわけでございます。そういう場合には関係の協会それから発注官庁との間で話し合いをして、その事業に一番合理的に対処できるような形での受注が行われることによって処理できるのではないかと思っております。
#339
○横山委員 もう一つの各委員の質問のポイントは、この法案を通して直接、公共嘱託のパイがふえるかどうかという問題であります。先ほども同僚委員の質問、それから法務省側の答弁は聞きましたけれども、政府としてはこの法律が通ったから公共嘱託をしてもらいたいということを各省に対してどういう方法でなさるおつもりですか。
#340
○枇杷田政府委員 私も、この法律に基づく協会ができまして、どこかの事務所に看板を掲げて、それによって仕事がふえていくというふうなものではないと思っております。したがいまして、これについてはまず協会、それからそれをバックアップする会がかなりの努力をして周知していくということが基本的には大事だろうと思いますが、私どもの方も、いろいろな官庁にこういうふうな制度ができたということはお知らせをして、そういう趣旨をよく理解してもらうというふうなことは考えております。殊に、公共事業の登記の七〇%を占めますものは、国ではなくて県並びに市町村からのものであるようでございます。したがいまして、法務局の方においても、県とか市町村の方に、こういう制度ができてこういうわけでこの協会ができたのだという趣旨を説明して、理解を深めてもらうというふうなことに努めてまいりたいと思います。
#341
○横山委員 各省並びに地方自治体にこの法律の趣旨が徹底されることをだれしも望むわけですが、その意味では代表的な省として建設省においで願いました。
 建設省は、この法案の趣旨、その目的に対して協力度合いはどんなふうに考えているのですか。
#342
○嵩説明員 建設省においては、用地業務の執行体制でありますとかあるいは登記関係の業務量から見まして、現在でも司法書士とか土地家屋調査士に登記業務を委託しております。したがいまして、このような社団法人として当事者能力を有する協会が設立された場合においては、公共嘱託登記の委託の必要性がある場合にはこれらの協会を活用してまいりたいと考えております。
#343
○横山委員 今はどうしているのですか。
#344
○嵩説明員 今は直営でやる場合と司法書士または家屋調査士に委託する場合と、両方ございます。
#345
○横山委員 どちらが多いのですか。
#346
○嵩説明員 地建によってまちまちでございますけれども、ほとんど直営でやっている地建もございます。これは執行体制の関係からそうなっております。それから、既に過半数は委託しているところもございます。それはまちまちでございます。
#347
○横山委員 十七条の六、いわゆる社員でない理事の問題で、先ほども質疑応答を聞いておりましたが、法律上、全員社員であっても差し支えはない、そうでしたね。しかしながら、社員でない理事の存在を認める余地というのはどういう理由だったのですか。
#348
○枇杷田政府委員 これは、一つにはこの協会という法人自体がいわば司法書士の業務ができるあるいは調査士の業務ができるという構成になっておりますので、それを実質的に担保するのには二つある。一つは実際の取り扱い者を司法書士、調査士とするということと、理事者が、業務執行権者がそういう資格のある者だというふうなことが両方あってそうなるだろうということからいたしますと、その理事について資格者というふうなものをある程度限定しなければならない、規制をしなければいけないという意味でこの規定ができ上がったわけであります。したがいまして、過半数ということにいたしておるわけでございますが、これを全員にということも立法論としては不可能ではないと思います。
 しかしながら、この理事というものは、先ほど来申し上げておりますとおり、直接公共嘱託の仕事それ自体をやるものとして構成しているわけではなくて、いわばその協会の事務を行い、そして場合によっては発注官庁との間の交渉に当たるというふうなそういうものとして考えられているわけのものでございます。したがって、そういう場合に全員が資格者でなければいけないというふうに法律上規制するということはかえってぎくしゃくするのではないか。また、いろいろな御意見の中には、むしろ有資格者だけが理事だということになれば自分の個人の事務所を常時ほったらかしてやらなければならぬということになって、それもまた問題だ、だから、そうでない役員も置ける道は置いておくべきではないかという御意見のある会もあったわけでございます。
 そういうところから、法律としては過半数ということがあればその資格性の問題についてはクリアできるだろう。あとは、その社団でどうお決めになるか、早く言えば社員総会でどういう人を理事にお決めになるかという問題ではないか。それからまた、その社員総会が恒常的に全員有資格者にしようというふうな考え方であるならば定款でそのようにお決めになればいいことではないか。それによって賄うということから、法律の段階では「過半数」ということにいたしたわけでございます。
#349
○横山委員 民事局長の答弁は、何という表現をしたらいいか知らぬけれども、天下り問題が出て法案に誤解を与えるようでは――法務省は天下りなんてけちなことを考えていないと言って何回もたんかをお切りになりました。ちょっとお気の毒な気もせぬでもないけれども、先ほど微妙なお話で、何とかパイがふえなければならぬと思うものだからカモとネギをしょっておる人間が入らぬとうまくいかぬのではないか、つまり発注官庁の人間を入れなければいかぬのじゃないかというような余韻も先ほどお述べになったわけですね。私もわからぬことはない。これは面会の運営いかんによると思うのですけれども、面会のかなりの人が心配しておりますのは、そういう社員でない理事が権限を持ってひっかき回してしまう、そして高給をはんでのうのうとしてしまいやせぬかという心配が存しているのですね。これは痛しかゆしのようなところではあるけれども、もう一度あなたの率直な見解をその点についていただきたいと思います。
#350
○枇杷田政府委員 この「過半数」と決めましたのは、先ほど申し上げましたように、法律で全員でなければならないと決めてしまいますと、実際の各協会に不都合が生ずる場合もあるかもしれないというふうなところでこういうふうにいたしておるわけでございまして、決して悪い意味での天下りの余地をここに残しておこうなどというふうな次元で私どもが物を考えたわけではございません。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように非常に自主性、自律性というものをこの改正法全体で考えておるわけでございますので、もしその協会が自主性、自律性に基づいて全員したいとおっしゃるならそのように会でお決めになればよろしい。そういう自主性、自律性の判断の中から、若干は役員にそういう事務処理能力のある人で、資格はないけれどもそういう適任者がある場合には置いた方がいいというふうに御判断になればそれもまたいいのではないか。要するにこの法律で、全般で考えておりますような司法書士会、調査士会、あるいはその会に自主性、自律性というものがある程度あるものならそれに任せておけばいいではないか。司法書士法、調査士法のレベルから考えれば過半数の理事というだけで足りる、そのことがかえって自主性、自律性を尊重するゆえんでもあるというふうな考え方からこうしておるわけでございまして、法律で決めなければそのようにならないというふうな協会でもないし会でもないと私は思っております。
#351
○横山委員 十七条の九、土地家屋調査士法も十七条の九。会は協会に対して「業務の執行に関し、必要な助言をすることができる。」この「助言」という言葉の意味ですが、私は常識的に言えば指導だと思っておった。あるいは場合によれば、きつく言えば監督だと思っておった。また、その機能を持たせなければいかぬのではないか。もちろん、協会は法務省が権限を持っておるわけですけれども、法務省がやいやい言うよりも、面会がこの協会の逸脱行為なりいろいろなことについては親として、助言ところじゃない、指導どころじゃない、監督義務をある程度負わせるのが実態ではないかと思っておったのですが、いかがでしょうか。
#352
○枇杷田政府委員 実質的にはそのような考え方で見るということもできようかと思いますけれども、理論的には司法書士会も独立の法人であり、協会も独立の法人であります。しかもその協会自体は司法書士会の会員という構成をとっておりません。そういう面からいたしますと、指導とかいうようなそういう言葉で表現するということは適当ではないだろう。しかし、会がその協会に対して全く無縁の立場にあるとか無関心な立場にあるということは適当ではない。したがって、そこに何らかのつながりをつける。ただいま申し上げましたような独立な法人であるということを前提に置いて、そういう関係また司法書士会の協会に対する立場というものを明らかにする表現としては「助言をする」という表現が適当であるし、またそれで足りるのではないかと思いますが、普通何でもない関係につきましても助言をすることは自由なはずであります。法律で「助言をすることができる。」ということは、司法書士会は協会に対して助言をする立場にあるんだよ、また逆に言えば、法律は司法書士会が助言をするということを期待をしておるんだよということをここであらわしておる、そういう地位に会が立つんだということを明らかにしておるわけであります。それを実質的に考えますと、ただいまおっしゃったような指導的なこと、場合によっては監督というとあれかもしれませんけれども、その助言の中にも小言を言うという助言もあるわけでございます。そういう意味での関係というものは十分に出てくるというふうに思います。
 したがいまして、私は先ほどおっしゃったような実質を含むものをその法律的な表現、独立な法人であるということに立脚した表現としてはこういうことになっておるけれども、実質的には今おっしゃったような内容のものを含んでおるというふうに考えております。
#353
○横山委員 十九条の二項、土地家屋調査士法十九条の二項、「協会は、その業務の範囲を超えて、第二条に規定する業務を行ってはならない。」その業務の範囲を超えての「範囲」とは何を指しますか。
#354
○枇杷田政府委員 協会の業務の範囲と申しますのは、司法書士法で申しますと十七条の七の第一項に書いておるわけでございまして、「官公署等の嘱託を受けて、不動産の権利に関する登記につき第二条第一号各号に掲げる事務を行うことをその業務とする。」と言っております。したがいまして、司法書士の業務というものが大きな円であるとすれば、その円の中の、要するに官公署の嘱託を受けて不動産の権利に関する登記を行うというそういう小さな円がそこにできるわけで、その小さな円を超えて大きな円のところの業務を行ってはいけないというのが十九条の二項の規定でございます。
#355
○横山委員 十九条の四項、「協会でない者は、公共嘱託登記司法書士協会又はこれに紛らわしい名称を用いてはならない。」現在紛らわしいというものがあるのですか。また「紛らわしい」とはどの程度のことを言うのですか。
#356
○枇杷田政府委員 「紛らわしい名称」というので機械的に考えますと、現在各単位会でつくっております公共嘱託登記受託委員会というのも似た名前だというふうには言えようかと思いますが、そういうこの協会の前身になるようなものを除きましては紛らわしい名称を使っている団体があるということは私は耳にいたしておりません。「紛らわしい」というのは、商業登記の実務でも類似商号については非常に微妙な問題がありまして明確な定義ができない面もあるわけでありますけれども、簡単に申しますと、第三者から見ますとこういう協会ではないかというふうに見間違うような、考え違いをするような名称ということでございます。具体的には公共嘱託登記という言葉を使ったり、財団法人ということも含めてでございますけれども、そういうようなことで一見してその差別がつかないというようなことの場合にこの「紛らわしい名称」ということになるのではないかと思います。
#357
○横山委員 「政令で定める日」というのはいつからになりますか。
#358
○枇杷田政府委員 ただいまの御質問は附則の施行日の関係の御質問だと思いますが、これはこの法律が公布されましてから六カ月から一年の間ということになっておるわけでございます。したがいまして、この法律が成立をする時期によってそれがずれてまいりますけれども、私どもの想定とすれば、この一部については、六月から十二月までの政令で定める日というのは来年の四月ごろに予定をいたしたいと思います。これは登録移譲の関係の規定の施行日でございますので、面会の登録事務が十分にできるという体制がいつごろ具体的に整うかということにも絡む問題でございますので、両連合会の体制づくりの動向をも見まして、両連合会の方と打ち合わせの上でしかるべき日を定めてまいりたいと思いますが、先ほど申しましたように来年の四月ごろになるのではないかと思っております。
#359
○横山委員 協会だけ公布の日から二十日とする理由は何でしょうか。また、現在の公共嘱託委員会はこの法律によってどうなるのですか。紛らわしいから当然解散ということになるのですか。どういうことになりますか、移行は。
#360
○枇杷田政府委員 公共嘱託の方は、いつでもできる体制ができればそういう協会を設立していいわけでございますので、何も政令でわざわざ日を決める必要はない。一方の登録の関係は、先ほど申しましたようにその準備が必要だということからある程度の期間を設けなければならぬということになるわけでございます。そういう意味で施行日を変えておるわけでございます。
 この協会は、この法律が成立いたしまして施行されますとそれからいつでも成立ができることになりますが、ある程度の期間は現実問題としては必要とするだろうと思います。その間は公嘱の受託の委員会というものが、これは途中やめてしまうというわけにはまいりませんから、その活動が協会ができるまではつながっていくだろうと思います。そしてうまく協会の方にバトンタッチをしていくというふうなことが行われるだろうと思います。しかしながら、この協会ができたからといって法律上当然に委員会がなくなるというふうなものではございません。なぜならば、この委員会というのは法律上できたものではなくて、事実上つくっている、何と申しましょうか、法人格なき社団と申しましょうか、そういうような関係でございますので、当然になくなるものではございませんが、名称の関係も一つの問題ではありますけれども、せっかくこういう法律ができたのだから、この法律が施行されてから半年ぐらいの間にはそういう協会が設立されるようになることが望ましいと思いますし、両連合会の方でもそういうような方向で努力をしたいというふうに聞いておるところでございます。
#361
○横山委員 二十七条を新設した理由は何ですか。
#362
○枇杷田政府委員 現行法におきましては、司法書士、土地家屋調査士というのが全く個人資格で、個人としての活動ということにしておったわけでございます。したがって、いわゆる十九条違反といいますか、その業務を資格がない者がやった場合の罰則規定等におきましても、法人については触れるところがなかったわけでございます。ところが今回、協会という法人が司法書士業務あるいは調査士業務を行えるものとしてここででき上がったわけでございます。その協会が、先ほども御指摘がありましたように、ある一定の決められた業務の範囲を超えて、二条の司法書士あるいは調査士の業務を行ってはいけないという禁止規定が設けられております。そうしますと、その法人に対する処罰規定が要るということになるわけであります。したがいまして、今度は同じように、ほかの法人が協会と同じようなことをするという場合にはその法人も罰せられなければいかぬし、具体的な行為をした者も罰せられなければいかぬ、そういう両罰規定がなければ均衡がとれないということになってまいりますので、この公嘱法人化の法律の際に法人についての業法違反の両罰規定を設けたということになるわけでございます。
#363
○横山委員 土地家屋調査士法は二十二条で、「第十二条の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」五十万円を百万円にしましたね。非常に突出をしているのです。これは虚偽の調査または測量をした者だというふうなことなんですが、これは、司法書士会に該当する条文がありませんね。なぜこの分だけを倍額も上げたのか。百万円にまで上げなければならない積極的な理由は何でしたか。
#364
○枇杷田政府委員 これは各罰則規定の置き方でございますけれども、五十万円から次の段階は百万円という刻みでやるというふうなことで一般的に行われておりますので、そういうことに倣ったということで、特に何倍にするというはっきりした根拠があるわけではございません。
#365
○横山委員 ちょっとこれは突出していますね。
 公共嘱託の報酬の問題でございますが、今たしか、一般よりも六四%ぐらいでやっていますね。しかも、六四%の報酬がガイドラインとしてあるけれども、実際問題としてそのとおり行われているかといいますと、なかなかそうではないことも御存じのとおりであります。この公共嘱託が行われる際にガイドラインを一体今後どうするか、適正な価格をどの水準にしたらいいかということが一つ問題だと思いますが、その検討をしていますか。
#366
○枇杷田政府委員 この公共嘱託関係の報酬をどのように決めたらいいかということにはいろいろな角度から問題があるわけでございます。一つには、その公共嘱託登記の性質が通常の私人間の売買だとか抵当権設定だとかというものとは違うということから、一般の報酬額の何%というふうなことで決めがたいという問題があります。また、類似のものが一般の報酬規定で、ないというものもあるわけでございます。そういう面からの難しさと、それから発注官庁側の予算事情と申しましょうか、そういうようなもので実際上どうなるかというふうな難しい問題がございます。両連合会といたしましては、従来から個別にいろいろ難しい問題はあるのだけれども一つのガイドラインは必要だということでお考えになって、司法書士業務につきましては六四%というふうなことを伺っておるわけでありますが、この関係につきましては、今後とも一つのガイドラインというものを、妥当な線を打ち出して、そしてなるべくそれに準拠して各協会の受託契約が結ばれるということになることが望ましいと私も思います。ただ、先ほど申しましたように、いろいろな種類の登記がございますし、それから役所側の方につきましての予算事情などもありますので、具体的には大変難しい問題だろうと思いますけれども、これが、いわば協会が交渉していく際に一番苦しみながら問題を出していくべき重要な課題であるというふうに思っております。
#367
○横山委員 国民にしてみれば、ばかにしておる、おれたちには一万円でやらせておいて、役所は六千四百円でやらせておる、そんなけしからぬことがあるか、役所だけ何でそんな安うせんならぬと言いますわな。役所の予算もあるから、取扱者がなるべく安くやってくれと言うかもしれぬ。言うかもしれぬけれども、これはちょっとどうかと思いますよ。だから、法律を各省に説明するときには、まあ、私は六四%のガイドラインでも安いと思うのだけれども、ぜひ適正な価格で発注をするように教育をしてもらいたいと思います。
 この法律が通過をしまして登録をする、あるいは公共嘱託をする、それについて司法書士会並びに土地家屋調査士会としても司法書士並びに土地家屋調査士に対してかなりな教育をしてもらわなければいかぬ。特に私は、先ほど冒頭に申しましたように、専門性、モラル性というのを高めてもらわなければいかぬ。だから、ある意味では面会にとっては画期的な法案が通過する際に、ひとつ十分研修をやってもらいたいと希望するわけですが、法務省はその研修にどの程度協力をしてくれますか。
#368
○枇杷田政府委員 私も、この機会に司法書士会、調査士会の研修制度が充実されるべきだと思います。殊に、公共嘱託登記を大幅に受託しようという姿勢を示す以上は、いわゆる特殊登記の手続についての勉強も司法書士会、調査士会にとっては必要欠くべからざるものになっていくだろうと思います。したがいまして、両連合会もそのような線でいろいろな計画をお立てになると思いますが、私どもの方といたしましても、講師の派遣とかそういうようなものにつきましては、御要望があればそれにこたえていくということで御協力してまいりたいと思っております。
#369
○横山委員 このいただいた資料の中で現在の土地家屋調査士、司法書士を見ますと、会員が五十九年で、司法書士が一万五千百四十三、土地家屋調査士が一万八千二百八。そして、年間登録者と登録の取消者数というものが最近では大体バランスをとっている。去年はそうですね。しかし司法書士は、五十八年では六百三十三名登録したのに対して、登録の取消者は三百五十七名。さきの法律改正の際に、いわゆる需要とそれから試験合格者とそれから天下りと言っては語弊があるけれども天下り、そのバランスを常に考えてもらうべきだと言っておるのですが、その当時は全く御趣旨尊重するというお話でしたが、これからもそうですか。
#370
○枇杷田政府委員 私どもも、そういう問題点はいつも頭に置いて処理をしていかなければならないと思っております。国家試験制度が実施をされましてからの状態は、大体試験合格者が六〇%、法務大臣の認可によるものが四〇%というような構成比で動いてきております。今後も基本的にはそういうことだろうと思いますけれども、若干法務局等の在職者に年齢的に一つの固まりと申しますか、そういうものがございますので、全く単純平均的にはいかないと思いますけれども、ただいまおっしゃったようなことは常に問題点として頭に置きながら対処すべき問題だというふうに思っております。
#371
○横山委員 まだ個別の問題がございます。既得権尊重の問題は先ほどの同僚委員の質問で法務省の考え方がわかりました。また、私に対する回答書の中でも既得権を尊重するということがございましたから、省略をいたします。
 あと短い時間ではございますが、地籍調査と十七条地図について質問をします。
 昭和二十六年以降地籍調査が行われておりますが、現在は五十五年度を初年度とする第三次十カ年計画の進行中、終わりの段階でございます。五十九年度では予算が八十億投入されておりますが、本年はどのくらいの予算が地籍調査で投入されていますか。また、六十四年に終了したとしても地籍調査は四六%終了にすぎないというのですが、現在は何%終了の段階でございますか。
#372
○森本説明員 地籍調査補助金につきましては、五十九年度予算額が約八十四億円でございます。六十年度政府予算では八十二億円でございます。
 それから第二番目の問題でございますが、第三次計画におきまして地籍調査は十カ年に六万方キロ実施することを目標としておりまして、その進捗率は四四・一%でございますが、公共事業等で地籍調査に類する事業をやっておりまして、それを法十九条五項によりまして国土調査として指定しておりますものが大体三千から四千くらい想定されるわけでございまして、それを加えますと先生御指摘の四六%の進捗率となります。現在時点での進捗状況、これは五十九年末でございますが、約三〇%でございます。
#373
○横山委員 地籍調査は、国土の開発、保全並びに利用の高度化に資するとともに、あわせて地籍の明確化を図るという国土調査法の目的のもとに行われていますが、今の状況からいうと三〇%、まことに百年河清を待つようなものであります。現状は名筆の面積、形状などが台帳と現実面で食い違い、また災害などによる原形復元が十分なされていない。したがって、土地利用の実態と登記簿が一致していないことが多いのであります。土地の細分化が進み、道路の拡張、宅地開発など土地紛争が至るところでありますが、そのためになかなか解決しない。加うるに、地図混乱地域が五百六十六地域あると言われております。公共事業も土地改良事業もまた同様であります。この地図混乱地域はどういうふうにこれから解決をなさるおつもりなのか。同じ場所の測量を繰り返して経費のむだ遣いがあると思うのですが、いかがですか。
#374
○枇杷田政府委員 この五百六十六カ所の地図混乱地域の解消策は私どもも大変頭の痛い問題でございます。現在の一つの方策といたしますと、その地域内に法務局で基準点を設けまして、その基準点に基づいて具体的な土地の分筆とかそういうような事件の処理をしていただくということで個別的な処理ができるような対策を講じております。しかし、その基準点をおろすということにつきましてもなかなか思うように進んでおらない状況で、現在その全体の箇所の一割程度しか進んでおらない状況でございます。
 なお、そういう法務局が基準点をおろしました機会に、そこで国土調査を実施していただくということによって解決するところ、あるいは国土調査方式によらないで市町村が地元の所有者との確認手続を経た上で地籍調査を実際上行うというふうなことで問題の解決した地域もございますけれども、それは全体からすると微々たるもので、これらについてどうするかということがこれからの問題でございます。
 まず一つには、国土調査をその地域でやれるものならやっていただくというふうなこともお願いをしなければならぬのかもしれませんが、私どもの方といたしますと、なるべくその基準点をおろして、その分筆等の事件処理ができないというふうな状況だけは回避するようなことを進めることが当面の手段であろうと考えておる次第でございます。
#375
○横山委員 後で法務大臣に――法務大臣、あなたは就任早々いろいろなことをおやりになって大変評価をしておるのですが、今度はこの地籍調査、十七条地図に全力を注いでもらわなければならぬものですから、ちょっと聞いておってください。
 地籍調査は国土庁が担当しているけれども、完了するためには法務省、建設省、農林省、各地方自治体等関係各省庁の密接かつ長期にわたる協力体制がもちろん必要であります。ところが、地方自治体で熱意、協力のアンバランスが非常にある。特に大都市では、そんな面倒くさいことというような気持ちがあるわけですが、こういう点について各省各庁間で、中央、地方にわたって国土調査、地籍調査についての協議体制をつくる必要があるのではないかと思われるのですが、いかがですか。
#376
○森本説明員 ただいま先生に御指摘いただきましたのは二つの問題を含んでいると思うわけでございます。
 一つは、地籍調査を推進する上において調査実施の必要性、緊急性についての市町村の認識、地域住民の調査に対する理解と協力が不可欠でございますが、残念ながら先生御指摘のとおり地方自治体ごとに熱意、協力体制にアンバランスがあるわけでございます。したがいまして、国土庁といたしましては、都道府県を通じて、あるいは所管の国土調査協会というのがあるわけですが、それの公益法人を通じて、また国土庁みずからも出向いていきまして未着手の市町村やおくれてい各市町村に対して本調査の必要性、緊急性を啓蒙、普及をいたしますとともに、関係都道府県、市町村等における事業実施体制の確保、強化の指導要請をするなどの対策を講じているところでございます。
 もう一つは、その問題を解消するためにも各省庁間及び地方、中央の協力体制の問題でございます。
    〔太田委員長代理退席、亀井委員長代理
    着席〕
 まず地籍調査につきましては、不動産登記制度と密接な関連を持っておりますので法務省との間に定期的に打ち合わせ会議を開催しております。また、農林省ですとか建設省におきまして確定測量というのをやるわけでございますが、その確定測量を地籍調査成果と同等の精度を有するものにしていただくことによって国土調査をやらなくて済むようになるわけでございます。それが地籍調査の総合的推進を図るために非常に役に立つわけでございます。その意味において農林省、建設省に御協力いただいて、国土調査法十九条五項の指定の推進を図っていただいているところでございます。
 しかし、肝心なところは現地における協力体制がどうなっているかということでございますが、国有地と民有地の境界の確認の問題でございますとか、地籍調査を実施いたします際に公共土木事業実施との調整を円滑に行わなければならないという問題があるわけでございます。そのために、これはおくればせながらでございますが、五十四年から土地局長通達を出しまして建設省、農林水産省、国の出先機関と地方公共団体との連絡会議を設けるように努力しているところでございます。
#377
○横山委員 私も法務委員の仕事上これらの問題に二、三関係をしたことがございますが、地籍調査の過程で関係地域住民の確認、合意が必要だし、十七条地図の問題でもそうですが、所在不明や死亡や手続不同意、同意書を出さぬ、長期間にわたる場合が非常に多くて、もう気の遠くなるような話でございます。そういう場合に調整をしたりあっせんする準司法機関を何かつくって、そして促進をし、説得をする必要があると思うのですが、いかがですか。
#378
○森本説明員 地籍調査の実施に当たりまして土地所有者等の協力が不可欠でございますので、地籍調査の趣旨の普及及び宣伝並びに紛争の円満解決のための調停、勧告を行うために実施市町村に対しまして、これもおくればせながらでございますが、土地局長通達によりまして四十七年から地籍調査実施推進委員会というのを設立するように指導しております。この推進委員会の構成は、地区の代表者の方あるいは場合によっては市町村の議会の議員の方あるいは学識経験者等によって構成されているものでございます。
#379
○横山委員 十分な機能をしていないのですが、これを法制化するなり何なり、促進を十分に速める必要があると思います。
 国費で特別に設ける四等三角点が損壊、滅失する事例が多いのでありますが、法律上の扱いが実行されずにおります。維持管理を確実にする方策はどうなさるおつもりですか。
#380
○森本説明員 国土調査を行います際の基準点、これは四等三角点でございますが、その設置者でございます国土地理院が管理を行うことになっておりまして、現実に国有財産法による台帳を備えて国土地理院において管理に当たっていただいているところでございます。国土地理院におきましては、一般住民、関係機関に対しまして、基準点の保全の必要性のPRでございますとか、基準点移転請求に対応した移転措置並びに基準点標石の彫塑等を行っていただいておりまして、基準点の管理に努めていただいていると聞いております。
#381
○横山委員 御存じのように、国土地理院が手足を持っているわけではないので、やってくれ、やってくれと言ってもちっともそれが実効をもたらしておらないということを十分承知してもらわなければいけません。何らがこれを促進する。そして維持管理が適切でなければ税金のむだ遣いだと思います。
 一方、登記所は認証された地籍図を受領してから登記をすることになるわけですが、国土庁が作製した約百二十万枚の地籍図の中で五〇%ぐらいしか十七条地図として採用をしていないと言われています。それは一体なぜでしょう。また、国土庁が測量してから十七条地図になるまで時間がかかり過ぎると言われています。その間事実の変化、現地調査の遷延などで効果がもたらされないという点についてどうお考えですか。
#382
○枇杷田政府委員 現在地籍図として送られてまいりました地図のうち七〇%を十七条の地図として指定をいたしております。これの残りの関係につきましては、国土調査で地籍を調査されました時点と、それから登記所に送付されました時点との間には若干の期間がかかるわけでございます。(横山委員「どのくらい」と呼ぶ)それは、かつては三年ぐらいかかったことはありますが、最近ではかなり短縮されているようには聞いておりますが、それも具体的に平均どれぐらいということはちょっとただいま承知しておりませんけれども、その期間内に分合筆の動きがあるわけでございます。そういうものを整理いたしまして、その上で十七条の地図ということで扱っております。そういう時間的なずれの問題があります。それから、随分古く送られてまいりました地籍図につきましては登記所側の方でも分筆の処理をしなかったとかということがあって、現状とはかなり合わないというふうなものが出ております。そういうものが外れるということでございますが、逐次地籍図として送られたものが十七条の地図として指定される率は高まっていくものと思っております。
#383
○横山委員 とにかく国土庁が百二十万枚つくって五〇%しか利用ができない。まことに税金のむだ遣いですね。確かに、私の承知する限りは、国土庁が測量してから登記所が十七条地図とする時間が短縮はされました。されましたけれども、今民事局長も御存じないようでございますけれども、どうしたってその間に事実の変化や現地調査が遷延されるためにうまくいかない。これは本当にむだなことで、国土庁が何のために一生懸命やったか、全然わけがわからぬ。また、一説には国土庁のやったこの地籍図は十七条地図としては適当、適切ではないと登記所が言っておる節があると聞いているのですが、そんなことがあり得るのですか。
#384
○枇杷田政府委員 先ほどもお答えいたしましたように、七〇%、十七条の地図として指定をいたしております。そして、そのことによって登記所における地図整備がかなり図られておるわけでございまして、私どもとしては、登記所の地図整備の面からいいましても国土調査の事業というものには大変感謝をいたしておる次第でございます。
 なお、登記所の方で国土調査による地籍図は十七条の地図としての信頼性に欠けるというふうな声があるというお話でございますが、古くはそういうふうな声がございました。しかしながら、そういう点につきまして、国土庁の方にもお話をして、国土庁の方でもいろいろな作業の手順などについてもいろいろ工夫を加えてこられまして、また、地元の市町村の方でもその作業の内容についての認識を深めてこられまして、最近ではそういう地籍図が信頼性に欠けて十七条の地図にするのには値しないというような声は私は聞いておりません。むしろそのような地図が送られてくるのを各登記所とも待ち望んでおるということが言えようかと思います。
#385
○横山委員 表示専門官が全国に四百人いると言われておりますが、登記所にはこの種の専門官が少な過ぎる、教育委託をしておるという話でありますが、それでも現地調査が省略されておる場合が非常に多いと言われております。
    〔亀井委員長代理退席、委員長着席〕
これではせっかくの仕事が人手不足で効果が上がらない。技術的に専門官がおらないということでありますが、これについて何らかの方法を適切に考える必要がありはしないか。例えば土地家屋調査士会に現調を委託するとか、何か便法を考えられて能率を上げるべきではありませんか。
#386
○枇杷田政府委員 ただいま法務局には官職としての表示登記専門官は五十数名でございますが、国土建設学院という測量専門学校に、いわば内地留学をさせて一つの測量技術を身につけたという職員は、現在までに四百四十名を超えております。それらの専門的な知識を持ちました職員は、表示登記の充実について相当な能力を発揮いたしておると思っております。
 なお、昭和六十年度からは、その国土建設学院へ派遣をする職員も従来の四十名から五十名にふやしております。したがいまして、それらの養成も逐次これからスピードアップが図られるだろうと思います。そういうような技術的な水準が法務局内部でも高まっておりますので、そういう力を活用いたしまして、実地調査を適正に行いたいと考えております。しかしながら、現在の法務局は人手不足という状況でございますので、コンピューター化が導入をされて乙号関係についての省力化が図られれば、そういう余力をまず先に向けるべきところは表示登記における実地調査の面であろうと考えておる次第でございます。
 また、実地調査が容易に行われるように実地測量者を登記所に配置をいたしまして、広域実地調査というふうに呼んでおりますけれども、それに、運転をする職員を定員外で雇って実地調査を巡回的にやっていくというふうな方策もとっておりまして、六十年度特別会計ができた機会にその公益実地調査ができる箇所も飛躍的にふえるということが予定されております。そういうものもあわせて実施してまいりたいと思います。
 外部に委託をするというお話がございましたけれども、本来表示登記というものは最終的には登記官の五感によって事実を認識して処理をするということでございますので、それを外部に委託をするというふうなことは、研究はすべき課題であろうとは思いますけれども、私どもといたしますと、これから逐次登記所内部を整備することによって、登記所の職員みずからが実地調査に赴くということによって充実する方向を拡充してまいりたいと思っております。
#387
○横山委員 大臣、言えばそういうことかもしれぬけれども、十七条地図が完成するということは気の遠くなるような話ですよ。法務局がみずから行っている地図作製事業は、いつもいつも極めて微々たるモデル事業です。三十八カ所完了と言っているが、一平方キロで大体千数百万円ぐらいの予算ですね。それを、この前もあるところで、まあやりました、やりましたと言って調査士会が祝杯を上げるというか、御苦労さんでしたと言って、大変なことだと敬意を表したら、何のことはない、本当に全国で一カ所ですね。だから法務省は、十七条地図作製のために長期計画を立てて事業を拡大しなければ、いつのことになったら法律の命ずる十七条地図ができるかわけがわからぬ。しかも、一事業千七百万円や何かで十年かかるというのですよ、話が始まってからそれが終わるまでに。そんなことをやっておってどうするかと思うのですよ。だから大臣、特別会計もつくった、コンピューターも入れた、登録事務もあれだ、公共嘱託も始まった、そうすると今度は国土調査法十七条地図、これはきょう行ってあしたできるものではない。今それが社会的にも積極的に、大々的に必要があるわけではない、けれどもほかっておいたら、本当にいつのことになるかわからないのですよ。大臣、この際、この問題に主力を集中してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
#388
○嶋崎国務大臣 先ほど来、司法書士及び土地家屋調査士法の一部改正問題について、本当に逐条的に御審議をいただき、また我々の考えている考え方も御聴取いただいたわけでございます。それに加えて、今十七条の地図の問題というのが非常に大きな問題として取り上げられておるわけでございますが、実は私たち自身も、この問題については内容を承知してないわけではないわけでございます。しかし、こういうなかなか厳しい財政事情の中なものですから、残念なことには、当面緊急な事態に追われて、長期的に計画を立案して、それを確実に実施していくということがどうも難しい状況にあるわけでございます。しかし御承知のように、長期計画を立てて、その進捗率自体は非常に悪い状態になっておりますけれども、今後とも、基本的には、この地図の作製というのは、国土調査に基づくところの地籍図をどうしてつくっていくかということがやはりベースにならなければないような感じがするわけでございます。どこがこういうものを推進するための機関であるかということを先ほど御質問になりましたけれども、まさしくこれは国土庁の仕事であるということに現在は整理をされておる段階にあると思うのです。
 しかし、御指摘のように、現在の段階は非常に厳しい状況にあり、しかも早期にその構図がかけないというような姿にあるわけでございます。そういうことを指摘されて今度は地図だと、こうおっしゃられるわけでございますが、実は法務省には地図以外にも随分たくさん打ちかけの仕事があるわけでございまして、時代がどんどん進んでいる中で、それを受けて精いっぱいそういう事態に対応するための努力を積み重ねるとともに、そういう中でこの地図の問題というのもやはり何か工夫を凝らしていかなければならないのじゃなかろうかというふうに思っておるのが実態でございます。
#389
○横山委員 ちょうど委員長もお帰りになりました。私の質問も委員長がお帰りになるまでは頑張っておってくれということでございました。しかし、内容は充実しておったでしょう、委員長は知らぬけれども。ともあれ、逐条審議に民事局長も御苦労さまでした。
 本委員会はこれで質疑を終了するわけでありますが、しかし、この法案が実際に円滑に、公正に所期の効果をおさめるには運用の問題がまだまだかなりあると思います。また、面会の自主的努力もかなり必要かと思います。詰めの足らない問題がございますけれども、それはなぜ詰めが足らないかというと、法律としてそこまで規定するわけにはいかぬ場合がある。私ども、各党から、いろいろ整理をいたしまして、今附帯決議を求めておるわけでありますが、その附帯決議の趣旨、それから本委員会において各委員から出されました問題点、それを今後の法律施行、運用の中で十分生かしていただきたい。今度の法律案は、それはどえらいイデオロギーの問題でもございません。具体的なコンセンサスが各党の中にもある問題でございます。各党とも一致して、これが全き運用によって所期の成果をおさめることを衷心より期待をいたしたいと思います。それにつきまして大臣のお考えを聞いて私の質問を終わることにいたします。
#390
○嶋崎国務大臣 横山委員から今非常に丁寧な御質問をいただいたわけでございます。もうなくなったようなお話をされましたけれども、もう一本残っておりますので、それだけはひとつお忘れなくお願いをいたしたいと思うわけでございますが、それはともかく、明治十八年に新しく内閣がスタートをしたわけでございますが、その翌年に御承知のように法律第一号として登記法というのができたという経緯を持っておるわけでございます。そういう中で大変なお骨折りをいただきまして、ともかくコンピューター化によってある意味で百年を画するような企画ができたということは私も大変喜んでいる。これは今まで大変皆さん方の御支援を得まして、また部内でもいろいろな研究をやって、歴代の大臣の皆さん方も大変工夫をしてきたのが今日の成果を築き上げた理由だというふうに私は思っております。
 また、御承知のように、今度は、司法書士の問題にしましても土地家屋調査士の問題にしましても、これは一身専属の仕事であるという考え方でずっと貫いてやってまいったわけでございますが、それを法人化をしてやはり新しい時代に対応する努力をここで積み重ねてまいりたいというふうに思い、かつまた面会の自主性を高めるというような意図もありましてこの法案を提出しておるわけでございます。大変な御激励をいただきましたので、非常に内向きの仕事が多い法務省ではございますけれども、我々も今後一生懸命に努力をしてその施策の充実に努めてまいりたいと思う次第でございます。ありがとうございました。
#391
○片岡委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
#392
○片岡委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決いたします。
 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#393
○片岡委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
#394
○片岡委員長 次に、ただいま可決いたしました司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対し、太田誠一君外四名から、自由民主党・新自由国民連合、日本社会党・護憲共同、公明党・国民会議、民社党・国民連合及び日本共産党・革新共同の五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。太田誠一君。
#395
○太田委員 私は、提案者を代表して、附帯決議案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、案文を朗読いたします。
    司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次の諸点について格段の努力をすべきである。
 一 日本司法書士会連合会及び日本土地家屋調査士会連合会の自主性の確保についてなお検試すること。
 二 司法書士及び土地家屋調査士の職務の専門性にかんがみ、その資質・能力の向上を図るため、司法書士会及び土地家屋調査士会が行う研修について協力すること。
 三 公共嘱託登記司法書士協会及び公共嘱託登記土地家屋調査士協会に関し、
  1 その設立許可に当たっては、日本司法書士会連合会及び日本土地家屋調査士会連合会の意見を尊重し、これが適正に行われるよう努めること。
  2 その理事の選任及び運営に当たっては、法務省から当委員会に提出された昭和六十年二月二十六日付け回答書を踏まえて、これが自主的、民主的に行われるよう配慮すること。
  3 その活動が、司法書士会及び土地家屋調査士会の定める標準報酬規定の適正な運用を損うことのないよう指導すること。
 四 公共嘱託登記が円滑・適正に行われるよう関係諸機関に対し、公共嘱託登記司法書士協会及び公共嘱託登記土地家屋調査士協会の制度創設の趣旨について周知徹底を図ること。
 五 不動産登記法第十七条の地図の整備について更に努力すること。
以上です。
 本案の趣旨については、委員会の質疑の過程で既に明らかになっておりますので、省略いたします。
 何とぞ本附帯決議案に御賛同あらんことをお願いいたします。
#396
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 直ちに採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
#397
○片岡委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、嶋崎法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。嶋崎法務大臣。
#398
○嶋崎国務大臣 ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと思います。ありがとうございました。
    ―――――――――――――
#399
○片岡委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#400
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
#401
○片岡委員長 内閣提出、参議院送付、証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、趣旨の説明を聴取いたします。嶋崎国務大臣。
    ―――――――――――――
 証人等の被害についての給付に関する法律の一
  部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
#402
○嶋崎国務大臣 証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明いたします。
 この法律案は、刑事訴訟法の規定に基づいて裁判所または裁判長が被告人に付した国選弁護人またはその近親者が、国選弁護人の職務の遂行に関して被告人もしくはその事件の被害者またはこれらの者の支援者等から身体または生命に害を加えられた場合に国において療養その他の給付を行うこととし、これにより国選弁護人の職務の遂行の円滑化を図り、もって刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現に寄与しようとするものであります。
 現行法では、刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現に寄与することを目的として、刑事事件の証人もしくは参考人またはその近親者が証人または参考人の供述または出頭に関して他人からその身体または生命に害を加えられた場合には国において一定の給付を行うこととされているところ、いわゆる過激派裁判等を契機として、裁判所または裁判長によって被告人に付された国選弁護人の弁護方針と被告人等の裁判への対応方針の相違等から国選弁護人がその身体に害を加えられ、または加えられるおそれが生じた事例も発生していることにかんがみ、刑罰法令の適正かつ迅速な適用実現を図るためには、国選弁護人またはその近親者が国選弁護人の職務の遂行に関して被害を受けた場合にも、刑事事件の証人及び参考人の場合と同様に国において一定の給付を行うこととする必要があると認められますので、本法律案を提出することとしたものであります。
 この法律案による改正点は、国選弁護人がその職務を行い、または行おうとしたことによって、国選弁護人またはその配偶者、直系血族もしくは同居の親族が、他人からその身体または生命に害を加えられた場合に、その被害者等に対して国において療養給付、傷病給付、障害給付、遺族給付、葬祭給付または休業給付を行うこととするものであります。
 以上が、証人等の被害についての給付に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨であります。
 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決くださいますようお願い申し上げます。
#403
○片岡委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。
 次回は、来る二十六日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後六時三十九分散会
     ――――◇―――――
ソース: 国立国会図書館
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