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1984/06/05 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第21号
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1984/06/05 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 法務委員会 第21号

#1
第102回国会 法務委員会 第21号
昭和六十年六月五日(水曜日)
    午前十時一分開議
出席委員
  委員長 片岡 清一君
   理事 太田 誠一君 理事 亀井 静香君
   理事 高村 正彦君 理事 森   清君
   理事 天野  等君 理事 横山 利秋君
   理事 岡本 富夫君 理事 三浦  隆君
      井出一太郎君    上村千一郎君
      丹羽 兵助君    宮崎 茂一君
      小澤 克介君    中村  巖君
      橋本 文彦君    伊藤 昌弘君
      柴田 睦夫君    林  百郎君
 出席国務大臣
        法 務 大 臣 嶋崎  均君
 出席政府委員
        法務大臣官房長 岡村 泰孝君
        法務省民事局長 枇杷田泰助君
        法務省刑事局長 筧  榮一君
        法務省入国管理
        局長      小林 俊二君
        公安調査庁次長 田村 達美君
 委員外の出席者
        警察庁刑事局捜
        査第一課長   藤原  享君
        警察庁刑事局保
        安部防犯課長  石瀬  博君
        警察庁刑事局保
        安部保安課長  清島 伝生君
        警察庁交通局運
        転免許課長   徳宿 恭男君
        警察庁警備局外
        事課長     赤木 孝志君
        経済企画庁国民
        生活局消費者行
        政第二課長   河出 英治君
        法務省人権擁護
        局調査課長   永井 敬一君
        法務省入国管理
        局登録課長   黒木 忠正君
        外務大臣官房国
        際報道課長   鏡   武君
        外務大臣官房領
        事移住部領事第
        二課長     池田 勝也君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 渋谷 治彦君
        大蔵省関税局監
        視課長     谷口  孝君
        大蔵省理財局国
        有財産第二課長 川嶋  烈君
        国税庁徴収部徴
        収課長     加藤 廣忠君
        文部省高等教育
        局医学教育課長 佐藤 國雄君
        文部省高等教育
        局私学部私学行
        政課長     奥田與志清君
        文部省社会教育
        局学習情報課長 平川 忠男君
        文化庁文化部文
        化普及課長   大谷 利治君
        厚生省健康政策
        局医事課長   横尾 和子君
        厚生省保健医療
        局精神保健課長 小林 秀資君
        厚生省生活衛生
        局企画課長   市川  喬君
        厚生省生活衛生
        局水道環境部環
        境整備課長   加藤 三郎君
        厚生省社会局保
        護課長     清水 康之君
        厚生省保険局国
        民健康保険課長 近藤純五郎君
        社会保険庁医療
        保険部健康保険
        課長      田中 健次君
        通商産業省産業
        政策局商政課長 山下 弘文君
        通商産業省機械
        情報産業局計量
        行政室長    田島 秀雄君
        運輸省地域交通
        局自動車業務課
        長       永井 隆男君
        建設省建設経済
        局建設課長   小野 邦久君
        建設省建設経済
        局不動産業課長 荒田  建君
        建設省住宅局建
        築指導課長   立石  眞君
        自治省行政局振
        興課長     小川善次郎君
        自治省税務局固
        定資産税課長  佐野 徹治君
        消防庁危険物規
        制課長     志村 哲也君
        最高裁判所事務
        総局刑事局長  小野 幹雄君
        法務委員会調査
        室長      末永 秀夫君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十八日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     新村 源雄君
同日
 辞任         補欠選任
  新村 源雄君     稲葉 誠一君
同日三十日
 辞任         補欠選任
  稲葉 誠一君     角屋堅次郎君
  小澤 克介君     山本 政弘君
同日
 辞任         補欠選任
  角屋堅次郎君     稲葉 誠一君
  山本 政弘君     小澤 克介君
    ―――――――――――――
五月二十七日
 在日外国人に対する指紋押なつ廃止等に関する
 請願(土井たか子君紹介)(第四七三四号)
 スパイ防止法制定に関する請願(越智伊平君紹
 介)(第四七三五号)
 同(橋本龍太郎君紹介)(第四七三六号)
 同(林義郎君紹介)(第四九〇四号)
同月三十一日
 外国人登録法改正に関する請願(馬場昇君紹介
 )
 (第四九一九号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第四九二〇号)
 同(天野等君紹介)(第四九四〇号)
 同(網岡雄君紹介)(第四九四一号)
 同(五十嵐広三君紹介)(第四九四二号)
 同(井上泉君紹介)(第四九四三号)
 同(井上一成君紹介)(第四九四四号)
 同(稲葉誠一君紹介)(第四九四五号)
 同(岩垂寿喜男君紹介)(第四九四六号)
 同(小川国彦君紹介)(第四九四七号)
 同(小澤克介君紹介)(第四九四八号)
 同(岡田利春君紹介)(第四九四九号)
 同(金子みつ君紹介)(第四九五〇号)
 同(上西和郎君紹介)(第四九五一号)
 同(木島喜兵衛君紹介)(第四九五二号)
 同(木間章君紹介)(第四九五三号)
 同(串原義直君紹介)(第四九五四号)
 同(小林恒人君紹介)(第四九五五号)
 同(鈴木強君紹介)(第四九五六号)
 同(関晴正君紹介)(第四九五七号)
 同(高沢寅男君紹介)(第四九五八号)
 同(竹内猛君紹介)(第四九五九号)
 同(土井たか子君紹介)(第四九六〇号)
 同(中村重光君紹介)(第四九六一号)
 同(野口幸一君紹介)(第四九六二号)
 同(浜西鉄雄君紹介)(第四九六三号)
 同(堀昌雄君紹介)(第四九六四号)
 同(村山喜一君紹介)(第四九六五号)
 同(村山富市君紹介)(第四九六六号)
 同(森井忠良君紹介)(第四九六七号)
 同(矢山有作君紹介)(第四九六八号)
 同(山口鶴男君紹介)(第四九六九号)
 同(山本政弘君紹介)(第四九七〇号)
 同(吉原米治君紹介)(第四九七一号)
 同(和田貞夫君紹介)(第四九七二号)
 同(渡辺三郎君紹介)(第四九七三号)
 同(伊藤茂君紹介)(第五〇一二号)
 同(上田卓三君紹介)(第五〇一三号)
 同(上野建一君紹介)(第五〇一四号)
 同(小川仁一君紹介)(第五〇一五号)
 同(加藤万吉君紹介)(第五〇一六号)
 同(河上民雄君紹介)(第五〇一七号)
 同(小林進君紹介)(第五〇一八号)
 同(上坂昇君紹介)(第五〇一九号)
 同(佐藤徳雄君紹介)(第五〇二〇号)
 同(新村源雄君紹介)(第五〇二一号)
 同(関山信之君紹介)(第五〇二二号)
 同(田中恒利君紹介)(第五〇二三号)
 同(細谷昭雄君紹介)(第五〇二四号)
 同(前川旦君紹介)(第五〇二五号)
 同(松浦利尚君紹介)(第五〇二六号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第五〇二七号)
 同(武藤山治君紹介)(第五〇二八号)
 同(元信堯君紹介)(第五〇二九号)
 同(横江金夫君紹介)(第五〇三〇号)
 同(渡辺嘉藏君紹介)(第五〇三一号)
 同(井上一成君紹介)(第五〇四二号)
 同(上野建一君紹介)(第五〇四三号)
 同(小川国彦君紹介)(第五〇四四号)
 同(小川仁一君紹介)(第五〇四五号)
 同(岡田利春君紹介)(第五〇四六号)
 同(河野正君紹介)(第五〇四七号)
 同(上坂昇君紹介)(第五〇四八号)
 同(新村源雄君紹介)(第五〇四九号)
 同(関山信之君紹介)(第五〇五〇号)
 同(田中恒利君紹介)(第五〇五一号)
 同(中西績介君紹介)(第五〇五二号)
 同(野口幸一君紹介)(第五〇五三号)
 同(細谷昭雄君紹介)(第五〇五四号)
 同(細谷治嘉君紹介)(第五〇五五号)
 同(前川旦君紹介)(第五〇五六号)
 同(松浦利尚君紹介)(第五〇五七号)
 同(松沢俊昭君紹介)(第五〇五八号)
 同(山下八洲夫君紹介)(第五〇五九号)
 同(横江金夫君紹介)(第五〇六〇号)
 同(吉原米治君紹介)(第五〇六一号)
 スパイ防止法制定に関する請願(北川正恭君紹
 介)(第四九三一号)
 在日外国人に対する指紋押なつ廃止等に関する
 請願(土井たか子君紹介)(第四九七四号)
六月三日
 外国人登録法改正に関する請願(阿部未喜男君
 紹介)(第五一三七号)
 同(井上普方君紹介)(第五一三八号)
 同(池端清一君紹介)(第五一三九号)
 同(上田哲君紹介)(第五一四〇号)
 同(上原康助君紹介)(第五一四一号)
 同(小川省吾君紹介)(第五一四二号)
 同(川俣健二郎君紹介)(第五一四三号)
 同(河野正君紹介)(第五一四四号)
 同(左近正男君紹介)(第五一四五号)
 同(佐藤観樹君紹介)(第五一四六号)
 同(沢田広君紹介)(第五一四七号)
 同(渋沢利久君紹介)(第五一四八号)
 同(新村勝雄君紹介)(第五一四九号)
 同(田中克彦君紹介)(第五一五〇号)
 同(田並胤明君紹介)(第五一五一号)
 同(多賀谷眞稔君紹介)(第五一五二号)
 同(中村正男君紹介)(第五一五三号)
 同(八木昇君紹介)(第五一五四号)
 同(山中末治君紹介)(第五一五五号)
 同(山花貞夫君紹介)(第五一五六号)
 スパイ防止法制定に関する請願(浦野烋興君紹
 介)(第五一五七号)
 同(江藤隆美君紹介)(第五一五八号)
 同(小渕恵三君紹介)(第五一五九号)
 同(尾身幸次君紹介)(第五一六〇号)
 同(久間章生君紹介)(第五一六一号)
 同(熊川次男君紹介)(第五一六二号)
 同(倉成正君紹介)(第五一六三号)
 同(砂田重民君紹介)(第五一六四号)
 同(玉沢徳一郎君紹介)(第五一六五号)
 同(野呂昭彦君紹介)(第五一六六号)
 同(長谷川四郎君紹介)(第五一六七号)
 同(福家俊一君紹介)(第五一六八号)
 同(藤本孝雄君紹介)(第五一六九号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人
 権擁護に関する件
     ――――◇―――――
#2
○片岡委員長 これより会議を開きます。
 お諮りいたします。
 本日、最高裁判所小野刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○片岡委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。
     ――――◇―――――
#4
○片岡委員長 裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。横山利秋君。
#5
○横山委員 五月二十四日、当法務委員会の理事会におきまして各党理事諸君と懇談をいたしましたところ、問題が生じました。その原因は、五月十七日当法務委員会におきまして、指紋押捺を拒否している人から登録済証明書の交付申請があれば、備考欄に拒否した日付以降は確認未了と記載した登録済証明書を発行するから生活に支障が出ることはないと法務大臣が答えました。入管当局は、証明だけで法的に有効か無効かは別問題としておったわけであります。また、ちなみに三カ月を過ぎた後指紋を押捺しないままに登録証明書を発行することが果たして各省庁の行政事務の上で問題が生じないかという点についても、理事会におきましていろいろ議論をいたしたわけでありますが、なかなか確信を得るに至りませんでした。既に法務省は五月一日、法務省入国管理局長小林俊二名義で都道府県知事、五月十四日、同様に小林入国管理局長名義で都道府県知事にそれぞれ書面を送られてこの趣旨を述べ、かつ各地で説明会を行っておられるのでありますから、各省庁がこの問題についてどういう対応をされるか、窓口で問題になりましたならば行政事務は極めて混乱をすると思います。
 私の手元に委員部にお願いをした「外岡人登録済証明書提出状況調」というのがあるのですが、公安委員会を初めとして約二十の省庁がこの問題について窓口で判断をしなければならないことになっているわけであります。ですから、きょうは各省庁においでを願いました。
 例えば一番最初が公安委員会で、警察庁交通局運転免許課、自動車運転免許申請に当たって確認未了登録済証明書でこれを有効とみなすか否か、あるいは指紋押捺登録済証明書でこれを有効とみなして処理するか否か等を含めて、各省庁の見解を伺いたいと思います。非常にたくさんでございますので、委員長にお任せをして各省庁の責任者の御答弁を願いますから、例えば自分のところの問題は自動車運転免許申請であります、これは有効として処理いたします、あるいは、これは残念でありますがそれでは困ります、これでは処理ができません、簡潔にそれだけずっと各省庁御答弁を願いたいと思います。説明を伺っておりますと非常に時間がかかりますので、営業許可申請でございます、差し支えございません等々、簡潔にお答えを願いたいと思います。
 なお、オーケーをされたところはいいのでありますが、ノーと言われた場合には後でお残りを願います。オーケーと言われたところは随時お帰り願って結構であります。しかし、オーケーと言われた以上は窓口で混乱のないように、それぞれの所管庁で下部にこの由の通達を的確にお願いをいたしておきたいと存じます。
 それでは、委員長お願いします。
#6
○小林(俊)政府委員 委員御指摘に係る法務省関係部局における外国人登録済証明書の取り扱いは次のとおりでございます。
 法務省内部におきましては、外国人登録済証明書がかかわり合いを持ってくる案件は次のとおりでございます。
 まず、民事局におきましては抵当権設定を含めます不動産登記申請がございます。次に帰化の申請がございます。さらに、入国管理局関係といたしまして、仮放免等に際する身柄の引き受け、次に外国人の呼び寄せに関する身元の保証、さらに出生等にかかわる在留資格取得申請関係、また再入国許可申請等がございます。これらの案件につきまして、外国人登録済証明書の提出はいずれも法令上申請要件として義務づけられたものはございません。したがいまして、いずれも法律ではなくて運用上申請の疎明資料として提出を求めておるものでございます。これらの案件に関しましては、いずれの場合におきましても確認未了と記載された登録済証則書であっても文書としての形式要件は備えておるという判断をいたしております。したがって、先生の御質問に対する端的なお答えは、有効であるというふうに申し上げることができると思います。
 ただ、誤解のないように一言申し上げておきますが、申請は有効に行われたわけでございますが、提出を受けたそのような制限内容のある証明書につきまして、その制限自体を申請の許可、不許可に関連してどのように評価するかという問題は残るということはつけ加えておきたいと存じます。
#7
○石瀬説明員 古物営業、風俗営業の許可申請に際しましては、一応有効なものとして取り扱う方向で検討いたしております。
 金属くず商につきましては、二十九道府県の条例で規制されておりますが、これにつきましても同様に取り扱うよう関係道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
 銃砲刀剣類の所持許可申請につきましては、許可の対象物が何分にも危険物でありますところから直接本人が申請することを建前としておりまして、申請のため来署した本人から外国人登録証則書の提示を受けることにしておりますので、登録済証明書を入手していただくような必要はございません。
 捜索願、保護願につきましては、外国人登録済証明書の提出を求めるようなことはいたしておりません。それから、被疑者を釈放する場合にも、同様にそのような証明書を求めるようなことはいたしておりません。
#8
○徳宿説明員 運転免許の新規の取得申請時には、外国人の場合は登録証明書の提示をするということになっております。指紋の押捺を拒否し交付予定期間指定書が交付されている者に係る切りかえ前の登録証明書については、同一人性の確認がなされていないものでありますが、一応有効なものとして取り扱う方向で検討いたしております。
#9
○谷口説明員 監視課長の谷口でございます。
 私どもの関係では、我が国と外国との間を往来いたします船舶また航空機それから陸地との間を物品の授受を目的といたしまして交通する場合、これは船陸交通と言っておりますけれども、これは税関の許可になっております。それを一定の期間内、例えば一年ですとか二年ですとかまとめまして許可する、これを一括許可と申しております。この一括許可の申請に当たりまして、申請者本人について確認を行いますために、税関の運用上外国人登録済証明書の添付をお願いしているということでございます。
 それで、確認未了と記載されました外国人登録済証明書が提出されました例はこれまでのところないわけでございますが、このような書類が将来もし提出されました場合には、市区町村長が御発行になった証明書でございますので、一応証明力があるとみなしましてそのまま受理させていただきたいと思います。
 そして、本人確認のため、それだけでは不十分である、例えばこれまでの税関とのつき合いがなくてその御本人を個人的に存じ上げないというような場合、確認の必要が生じてくるわけでございますが、その必要な場合には他の方法、例えば信用できます第三者による証明でございますとか、パスポートの御提示ですとか、そういう方法によりまして証明内容を補完するということによってやっていきたいというふうに思っております。
 以上でございます。
#10
○川嶋説明員 お答えいたします。
 国有財産の売り払い、貸し付けの関係でございますが、私どもといたしましては、契約の相手方を確認するに足る書類の提出を受けることにしております。この書類として、外国人の場合には外国人登録済証明書の提出を受けているわけでございますが、そこに指紋不押捺等の記載があった場合でもそれは受理することにしております。ただ、場合によっては、相手方の確認をするために追加的な措置が必要となることもあるかと考えてはおります。
#11
○加藤(廣)説明員 国税庁でございます。
 国税の滞納者から納税猶予などの徴収に関する処分の申請がございました場合には、申請者が滞納者本人に相違ないかどうかという面につきましては、徴収職員が滞納者と接触がございますので、別段のほかの確認手段は必要ないということで、法令上も実務上も外国人登録済証明書というものは、求めておりませんし、求める必要もございません。
#12
○奥田説明員 お答えいたします。
 都道府県知事が行います私立学校の設置認可の場合でございますけれども、外国人の方が教員に就任をするという場合に、教員の資格審査をいたしますけれども、法令上外国人登録済証明書を必要といたしておりません。
#13
○平川説明員 公共図書館から図書を借り出す場合の話でございますけれども、図書館によって多少違いがございますけれども、通常公立の図書館においては、その図書館を設置する自治体の区域内に住んでいるかあるいはその区域内にある学校であるとか会社に勤務していることを条件としております。図書を貸し出しする場合にはそれらの条件が確認できるものであれば何でもよく、例えば運転免許証でございますとか学生証でありますとかいうもので貸し出しを認めておりますので、登録済証明書でももちろん差し支えないと思います。
#14
○横尾説明員 二件について申し上げます。
 第一に、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師の免許申請につきましては、これは知事にその事務手続がゆだねられておりますので、知事が本人であるとの確証が得られるものであれば差し支えないと考えております。
 次に医薬品販売業の許可申請でございますが、これは証明書の提出を要求しておりません。
#15
○市川説明員 理客師、美容師関係につきまして御説明申し上げます。
 理客師、美容師の試験及び営業所の開設に当たりましては、外国人の方の場合、外国人登録済証明書の提出をお願いしておるところでございますが、お尋ねの確認未了の記載のある登録済証明書あるいは指紋押捺拒否の付記のある登録済証明書でも、これらを有効な書類として受け付ける方向で処理するよう考えております。
#16
○加藤(三)説明員 廃品集荷許可の件でございますけれども、この制度は厚生省所管の法律で位置づけられているわけではなくて、大阪府の条例によるものでございますので、大阪府に問い合わせて聞いたところによりますと、現在まで指紋押捺拒否者の関係で問題となったことがなくしたがいまして大阪府としてその取り扱いについて現在特段の定めはしていないというわけでございますが、ただこういう問題が生じた場合には、他の制度に準じた取り扱いをしたいというふうに聞いております。
#17
○清水説明員 お答えをいたします。
 外国人の生活保護の適用につきましては、御案内のとおり、社会局長通達によりましてその運用として実施機関が外国人登録証明書の提示を求めているわけでございますが、これは国籍であるとかあるいは居住地、家族構成などを確認する、明らかにするという意味でやっているものでございまして、特に登録済証明書の提出は必要がございませんので、現場で問題が起こるようなことはないと考えております。
 実施機関に対しましては適切に指導したいと思います。
#18
○近藤説明員 国民健康保険の外国人の適用の関係では、市町村の事業でございますので、証明書はもともと必要ないものでございます。
#19
○田中説明員 健康保険と厚生年金、国民年金関係の手続につきましては、多くは外国人登録済証則書の提出を要しないこととなっておりますが、要するものにつきましても、確認未了の登録済証明書等で差し支えない取り扱いとするように考えております。
#20
○田島説明員 お答えいたします。
 計量法関係の登録につきましては、法制上も指導上も外国人登録済証明書等の提出を要請しておりません。ただ、都道府県の中には事務の円滑化を図るために、日本人の場合には住民票、外国人の場合には登録済証明書の提出を受けているところもありますが、いずれにしましても登録の要件ではございませんので支障は生じないものと考えております。
#21
○永井(隆)説明員 私ども、自動車運送事業を所管しておりますが、個人経営の自動車運送事業の免許申請をしようとする場合には、同申請書に戸籍抄本を添付するというような扱いになっておるところでございますが、申請者が外国人の場合には運用上これにかえまして登録済証山書の提出を求めております。この登録済証明書によりまして確認する事項、氏名、生年月日、本籍地、居住地等ございますが、それらの事項について確認し得る限り、備考欄記載の有無によって取り扱いを異にする考えは持っておりません。
#22
○小野説明員 お答えいたします。
 私の方の所管でございます建設業法上許可申請の際の申請書とか添付書類といったようなもので、申請者が外国人でございます場合に外国人登録証明書を提出するということを現在の法制上義務づけておりませんので問題はない、こういうふうに考えております。
#23
○荒田説明員 私どもの方は不動産業、正確に申しますと宅地建物取引業の免許を受けるに当たりまして役員あるいは専任取引主任者が住民票を添付するようにということでやっております。これが外国人の場合には登録済証明書を出すように規則でなっておりますけれども、今回確認未了と記載した登録済証明書であっても、それが居住地を証明するというものであるならば当然有効なものとして扱っていきたいと考えております。
#24
○立石説明員 お答えいたします。
 建築基準法に基づきます建築確認申請に当たりましては、外国人登録済証明書の提出は必要ございません。
#25
○志村説明員 お答えをいたします。
 危険物取扱者の免状の交付申請に当たりましては、消防法上は外国人登録証則書の添付は求めておりません。
#26
○小野最高裁判所長官代理者 裁判所におきましては、外国人から保釈請求があった場合あるいは身柄引き受けをしたいというような申し出があった場合に、外国人登録済証明書を提出させるというような運用が行われているようでございます。これは各保釈を判断する裁判所あるいは裁判官のいわば裁判でございますので、私どもの立場でこれを断定的に申し上げるわけにはいかないわけでございますが、一般論を申し上げますと、これは要するに保釈には被告人と一定の親族関係がなければ保釈請求はできないということで、その身分確認を行うために提出していただいているということでございますので、今度未確認のものでありましてもそういう身分確認に支障がないわけでございますので、実務上は支障はないものというふうに考えております。
#27
○鏡説明員 外務省といたしましては、在日の外国人記者に対しまして記者証を発行しておりますけれども、この発給に当たりましては有効な外国人登録証の提示がありますれば、ほかに問題がない限りこの記者証を発給しているという現状でございます。したがいまして、本件の確認未了と記載した登録済証明書につきましても、これは有効であるということでありますれば、これに準じて扱っていきたいという方向で検討する予定でございます。
#28
○横山委員 各省庁、御苦労さんでした。問題はあるけれども、とにかく法務省の通達その他を生かすというお答えのようであります。冒頭申しましたようにその趣旨を傘下各窓口へ徹底をお願いいたしたいと思います。
 ただ、この際、法務大臣を含めて各省庁に私どもの見解を申し上げておいた方が間違いがございませんが、私どもとしては指紋を押捺することを廃止しろという立場なんでございます。その観点からいいますと、今回法務省のとりました通達等はむしろ問題を起こすのではないかという疑念が生じたわけであります。国際的な課題でもあり、国内で約六十万の朝鮮人諸君の今後の問題を考えますと、これからも外国人特に朝鮮人諸君の諸問題は極めでいろいろな問題がございます。各省庁といたしましては、朝鮮人問題の扱いについては過去の歴史をも顧みつつ窓口で親切に的確に迅速に処理をされるよう心から要望をいたしたいと存じます。御苦労様でした。どうぞ各省庁、お帰りください。
 法務大臣にちょっとこの機会にお伺いをしておきたいと思います。
 それは、きのう商工委員会並びにきょう物持でも行うそうでありますが、いわゆる豊田商事の問題で、はしなくも商法の会社解散の問題が提起をされております。
 短い時間で十分委曲を尽くさないかもしれませんが、商法五十八条で解散命令の請求をなし得る者として法務大臣、株主、債権者その他の利害関係人が地方裁判所に申請をする、そして審問の結果、法務大臣が解散命令をするということになっておるわけでおります。かつて商法改正をいたしました際に、私は商法の実効を担保する役所はどこか、それは法務省である、しかし、法務省が商法の各条項を本当に適切に商法が行われておるかどうか念査、監査をする機能を持っていない、こういって鋭く指摘したことがございます。ただ、一つ、この間登記所へ行きまして、ああ、これはやっておるなと思いましたのは、幽霊法人の五年ごとの見直しでございます。これだけは的確にやっている。そのほかに的確にやっているものはほとんどないではないかと思います。
 それで、今回豊田商事が、言うところの法務大臣がこの解散命令をするべき条項に該当をする場合には、余り事例はないけれども、法務大臣として警告、あるいは反復した場合における解散、そういう問題について、常時この種の問題についてどこが調査をし、そしてその商法五十八条による発動をする体制にあるかどうか、まず伺いたいと思います。
#29
○嶋崎国務大臣 御指摘の商法の五十八条による解散命令というのは、調べてみますと、過去において一度もその発動をやったことがないというもののようでございます。したがいまして、その具体的な扱いというのは現在どういう考え方で進められておるのか、その内容等につきましては私も十分承知をしておらないところでございますけれども、さきに秋田かどこかの地点で一部の弁護士会の皆さん方がお寄りになったときに、そういうようなことを考えておられるという報道があり、その後、新聞等にもそれらのことが報じられておるわけでございます。しかし、いずれにしましても、こういう問題を取り扱うときには、それを利用しておる方々の現在のいろいろな状況あるいはその会社の資産の状況等を十二分に判断をして事柄をやらなければならない性格のものであろうというふうに思っておるわけでございまして、過去においても非常に難しい経過があったのだろうと思いますけれども、いまだかってそれが活用されてないという事態もあるわけでございますので、十二分慎重に事柄を考えていかなければならぬ、一般論としてそういうぐあいに思っておるわけでございます。
 御指摘の豊田商事の問題につきましては、何分にも現に検察当局において調査中でもありますし、今私からこの問題についてとかくの議論を申し上げる状況ではないというふうに判断をしておるわけでございます。しかし、私としましては、もし現行の法令に違反するとの嫌疑があるときは、検察当局がそれに適切に対処することに間違いはないと信じておるような状況でございます。これは一般の問題でございます。
 なお、さきにもよその委員会等でも議論になりましたけれども、この話を進めていく場合に、省庁間の仕事の立て方との関連等々もあって、なかなか捜査が進まないのではないかというような御質問があったわけでございますが、そういうような点につきましても、ひとつ関係各省でも十分それぞれについてよく対応をしていただきまして、必要ならいろいろな立法措置あるいは行政上の指導というものをお考えになっていただくならば、それに対応して法務省としても十分協力していく必要があるのではないかというふうに思っております。特に、老齢者等を相手にしてそういうことをやっておるというような事態を承知をしておりますので、その処理に誤りのない対応をいたしたいと思います。
 せんじ詰めて言いますと、五十八条問題ということになりますと、その問題を処理する場合には、会社全体についての認識、またそれを利用している人たちあるいは今後への影響、そういうことを行おうという判断をするかしないかということの影響もあるようでございますので、それらの点については本当に慎重に対応しなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
#30
○横山委員 戦前の解散の判決を見ますと、極めてシビアな判決です。二、三の例がございますけれども、例えば「利息制限法の適用を免れるために設立された会社であって、その行為が債務者を不当に窮迫せしめるときは、公序良俗に反し、その解散を命ずべきである。」例えば「無資力で有名無実の状態にある会社を存在せしめ、会社としての行為を継続させることは、公の秩序に反する。」等々、極めてシビアな解散命令が発動されておる。
 戦後は、先ほど私が指摘しましたように、商法意識というものが企業の中に定着していない、専務が裏でおむつを洗濯しておる、株式会社といっても総会をやったことはない。だからこそ、もう少し商法意識を定着をさせるということが今法制審議会で行われておる一つの基盤だと思うのです。
 これにはいろいろと問題がございますけれども、少なくともこういうような状況において五十八条が忽然として、豊田商事を中心にして浮かび上がってきたわけであります。法務省が商法の実効を担保する、平素から商法意識を定着させあるいはまた、その違反に対してシビアな態度をとるということがもう少し一歩前進をしなければならない時期でもあろうと思います。
 私は、この豊田商事グループの問題は現行法では取り締まりができない側面があるから、何らかの新しい立法か改正をしなければならないなど考える一方で、この際商法五十八条の法務大臣の解散に関する条項について一遍見直す、現実をよく調べて、必要があれば発動する可能性というものを十分考えてもいいんではないか、一罰百戒とは言いませんけれども、明らかにこの商法の解散命令に該当をする、そういう場合になったら勇敢にその措置に出られるべきではないか、少なくとも勧告なり何らかの措置をされるべき必要があるのではないか、こう思いますが、再度御答弁をお願いします。
#31
○嶋崎国務大臣 先ほど申し上げたような状況にあるわけでございまして、過去におきましてそういう履歴がある条文でございますので、その運用はなかなか難しいんだろうと思うのでございます。現実、戦後日本では法人が非常にたくさんできておるという実情があるわけでございまして、そういう中での商法上の運用の問題というのは、ある意味でそういう事態に対応した処理というものが順次できつつあるのではないかというふうに私は思っておるわけでございます。破産その他の手続等、いろいろな手続の進め方というのはその前段階でもいろいろあろうというふうに思うのでございまして、そういう事態を前提にして事柄を考えなければいけないのではないか。したがいまして、商法の五十八条の規定をストレートに使っていくというような事柄が適当であるのかどうかというようなことについては、今の私の気持ちを聞かれますと、先ほど申しましたような実情もあってなかなか難しいのではないかというふうに思っておるわけでございますが、最近におけるところのいろいろな情勢というものをよく踏まえて判断をさしていただきたいと思っておる次第でございます。
#32
○横山委員 本件につきましては各方面で注目の的になっておりまして、商法五十八条の発動というものが課題になってきたことについてはそれなりの意義があります。法務委員として私どもも、この際、商法五十八条というものが遊んでおる条項ではない、現に今現行法として存在しておる、しかもその条文で法務大臣のなすべき任務が決まっておる、もちろん今検察庁その他でやっておることではあるけれども、法務大臣としてなさなければならないことはなさなければならないし、もし条文に、五十八条に適合するということであれば、これは勇敢になさらないと、商法意識というものが国民の中になかなか適応しないという点がありますから、いろんな意味を含めて大臣がこの際、五十八条及び関係条項の法務大臣としての任務を尽くしてもらいたい。いろいろなやり方があると思うのですが、そう要望をいたしておきます。よろしゅうございますか。
 では、次に、在日韓国人の政治犯の問題について伺います。
 現在、いかがでしょうか、韓国政府機関が日本国内における在日韓国人の言動について捜査をしたい、調査をしたいと考えたときに、それは外務省、入管、警察庁に正規の文書をもって、かくかくの韓国人についての調査を要望するというオーソドックスな措置が行われているかどうか。あるいはまた、外務省なりあるいは法務大臣を通じないで、在日総領事館、各地の総領事館が直接、警察署等政府の下部機関に対して調査を正式に依頼することがあるか。また、正式でなくても、任意に顔見知りその他で好意でもってこれの資料が欲しいというときがあるか。それらの三つのケースの場合に、それぞれの機関がどういう対応をしておるか、まずこれから伺いたいと思います。
#33
○小林(俊)政府委員 韓国政府が正式に我が国の行政機関に対して何らかの調査を求める場合には、当然、外務省を通じて行われるものと存じます。しかしながら、入国管理局に関する限り、今日まで私ども知る限りにおきましては、外務省を通じてあるいは直接に在日韓国人の動静について調査を求められたという事例はございません。
#34
○横山委員 外務省はどうですか。
#35
○渋谷説明員 現在までのところ、韓国側から文書によってそのような要請を受けたことはございません。
#36
○横山委員 警察庁はどうですか。
#37
○赤木説明員 警察といたしましても、これまで韓国からこの種の要請を受けたことはございません。
#38
○横山委員 私は今、三つの役所の話をやや意外に思っておるわけであります。私の手元には、元のKCIAの時代あるいはまた現在の時代ともに、日本国内における在日韓国人の言動が韓国の裁判所において起訴事実になっておる、あるいは判決の中に入っておる、そういう事実を承知しておるわけであります。一体どうして日本における在日韓国人の言ったこと、行動したこと、生活状態が起訴事実になるのか、それ自体も不思議でありますが、どうしてその状況を調査をしたのか、そこも私はなぞであります。
 しかし、市中に刊行されておりますものを見ますと、日本国内において事実上在日韓国人の言動調査が行われており、それに対して入管もあるいは警察も公安調査庁も、それに関与しておるという事実を私は承知しておるわけであります。あなただけが知らない、あなた方だけが知らないのであるか、それとも、知ってそういうふうに、公式にも非公式にも在日韓国人各個人の言動を調査した覚えはない、総領事館なりあるいは韓国政府に通報した覚えはないと本当に言い切れるのでありますか。
 警察庁にお伺いいたしますが、そういう公式には頼まれた覚えはない、しかし、非公式なら各警察がやっておるというふうに言うのですか。
#39
○赤木説明員 公式にはもちろんでございますし、非公式にも、韓国側にこの種の情報を提供しているという事実はございません。
#40
○横山委員 ここで内容を全部公開することができないのが残念でございます。ここにある人の判決書がございますし、それからここに韓国文の資料がございます。
 これによりますと、あなた方そう言っていらっしゃるけれども、韓国の政府は、日本の入管及び警察に調査を依頼したところこういう報告があったということを、韓国文の文書の中に書いてあるわけです。よく国会で質問が出ますと、今公式のお答えのように、そういう公式にも非公式にも在日韓国人の言動について調査を依頼されたことはないとおっしゃるのですけれども、この韓国文の文書の中に、ちゃんと書いてあるのですよ。入管並びに入管の出入国記録を依頼をしたところ返事があったとか、あるいは輸送機能について、出入国管理局は、そのとき、その時間はどこにいたとか、あるいは警察の調査によればこうであったと報告を受けたとか書いてあるのですがね。これはどう思いますか。入管は、韓国のそれぞれの機関から依頼をされて、韓国人の出入国記録を通報したことはありませんか。
#41
○小林(俊)政府委員 お答え申し上げます。
 先生先ほどの御質問は、在日韓国人の動静といった非常に広い意味での御質問でございましたので、したがって、そのような在日韓国人が国内でどう行動しているかといったような問題については、私どもは照会を受けたこともないし、する立場にもないという意味で申し上げたわけでございます。
 ただ、私どもの関心事は、出入国管理法あるいは外国人登録法の遵守、したがって、これに違背する行為でございます。その限りにおきまして私どもは関心を持っておるわけでございますが、ただいま御指摘のございました出入国記録という点に限って申し上げれば、これは正式の機関からの照会があれば、それがどの機関であれ合理的な理由の存する限り照会に応ずるということはいたしております。
#42
○横山委員 正式に依頼があればどの機関であれということは、韓国政府を意味しているわけですか。韓国のどういうところを意味しているのですか。日本国内の関係機関ならわかるけれども、外国政府、韓国政府、韓国のいろんな情報機関、国家安全機関、そういうところをすべて網羅しているという意味ですか。
#43
○小林(俊)政府委員 例えば韓国の総領事館から出入国記録そのものについて特定の案件に関連して照会があればこれに答えることもございます。これは我が国と外交関係を有するいかなる国の在外公館からの照会についても同様でございます。
#44
○横山委員 警察はどうですか。公式な意見はわかりましたが、今入管局長がはしなくもそれは別だというようなことを言われたが、それは別だというようなことがあり得るのですか、警察でも。
#45
○赤木説明員 一般犯罪につきまして、韓国は国際刑事警察機構、ICPOと言われておりますものに加入しておりますので、そういう形でのこういうルートでの照会といったことは通常行われておるところでございますが、先生御指摘のような案件について要請を受けた、あるいはそれに対して回答したということは全くございません。
    〔委員長退席、高村委員長代理着席〕
#46
○横山委員 要するに逃亡犯罪人条約なりあるいは法律上違法行為に対する相互援助というならわかるのです。しかし、日本国内における韓国人の動静を常に調査をし、調査すること自身が、犯罪事実がないのに韓国人の状況を常に調査するあなたの方の姿勢も多少問題があると私は思いますけれども、その調査資料を、犯罪人でもないのに韓国から某々についての資料をくれと言われたときに通報する義務があるか、そういう好意的に通報しておるか、それが何の根拠で通報しておるのか、それが韓国の起訴事実となっておることについてどう思うか、こういうことなんですよ。どうなんですか。
#47
○赤木説明員 繰り返し御答弁申し上げるようで恐縮でございますけれども、この種の事件についての韓国政府からの要請というものは先ほど申し上げましたようにございませんし、これについて私どもが調査をして回答したという事実も全くございません。
#48
○横山委員 余り具体的なところへ入ると差しさわりはあるけれども、あなた方がそうおっしゃるのですから一つ二つの事例を挙げたいと思うのですけれども、大阪の中北龍太郎弁護士が李鎮元という人から事情聴取した供述録取書によりますと、李鎮元氏は昨年九月一日、KCIC、韓国軍保安司令部所属の趙正澤から電話を受けて、高麗大学に通学している在日韓国人罪正憲の実家に行き、一つ北朝鮮関係の本か、二つ左翼関係の本を持ってきてほしい、その際、実家の者には高麗大学の教授と名のってほしい、そして、擦ってきた本を大阪空港内のKAL、大韓航空事務所へ行き、金浦空港二百五号室にあてて郵送してほしいと頼んでほしいとの依頼を受けた。李はやむなくそのとおりにしたが、北朝鮮、左翼関係の本がなかったので「朝鮮史」という本を持ち帰り、指示された方法で郵送した。この「朝鮮史」という本が尹公判に検事側証拠として提出され、尹氏は結局懲役七年の刑を宣告された、こういうことなんであります。
 これは警察に直接関係はありません。ただ、法務大臣に聞いてほしいのは、この種の問題が日本国内で横行しておるという事実であります。これは中北龍太郎弁護士が録取書をとったわけでありますが、とにかく大学の教授と偽って在日韓国人のうちへ行き、そしていろいろな資料をもらってきてくれ、そして韓国へ送ってくれという詐欺行為をして、しかもその詐欺行為をするゆえんが韓国軍保安司令部の指令で行われているということですね。これは一つの例でございますけれども、こういう例は極めて多いのであります。日本国内における検察を無視して、日本国内で在日韓国人の調査活動をどんどんこういう方法で行い、韓国にあって裁判をする材料、資料をこういう方法で整理をして起訴事実にしておるということについては、外務省、どうお考えでしょうかね。こんなばかげたことが横行しては、内政干渉であり、日本の国権というものを無視してひそかに韓国の政府権力の手が日本国内各地で動いておるということについてどうお考えでしょうか。
#49
○渋谷説明員 在日韓国人政治犯と言われる人々は、韓国において韓国の法律、法令に基づき処断されているものでございます。本問題は、基本的には韓国人に対する韓国の司法の問題であるというぐあいに考えております。
#50
○横山委員 私の言っていることとは違うのです。私は、少なくとも北海道から沖縄の果てに至りますまで、日本の国家は憲法により法律により治安、法体系というものが行われておるところであって、そこで警察なりあるいは検察なり裁判所というものが厳として存在しておる、そこへ韓国権力が自分で調査をしておることについて不愉快を禁じ得ないか、こういう意味ですよ。韓国の法律でやっているんだから、日本におる韓国人だってそれでしかられるのはやむを得ない、あなた、ようのうのうとそんなことおっしゃいますね。私の言うことにまともに答弁してください。
#51
○渋谷説明員 委員がおっしゃいましたその具体的なケースにつきまして、私どもは全く情報、資料を持ち合わせておりませんので、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。
#52
○横山委員 全く知らないといっても、今ここに私が具体的に例示をしたそれについては弁護士からの録取書もある。現にそういうことが行われている。この一例は一例であって、他に、韓国政府が日本国内において警察や入管やそのほかの手をかりることなく調査を進めておるということについて、日本政府としては遺憾だぐらいのことは言ってもいいじゃないですか。もしそういう事実があれば、韓国政府に遺憾の意を表示するということは当然のことじゃありませんか。検察陣はどうなんですか、法務大臣はどうお考えなんですか。
#53
○嶋崎国務大臣 ただいまお尋ねの件は初めてお聞きしたわけでございますし、その事件の中身というものも、どういうような内容のものかというのは十分わからないところがあるわけでございます。
 先ほど来関係の者が答弁をしておりますように、私たちとしましては、そういう一般的な韓国人の情勢等々について照会を受け、それに対して返答したことはないという事実があるわけでございます。何しろ言葉は悪いかもしれませんけれども非常に情報の豊富な我が国でありますし、またそういうことについての追跡等についても相当村いところがある国であるということは一般的に言われておるわけです。私自身もよくわかりませんけれども、一般的にはそういうことを言われておるというような状況の中で、今申し上げたようなことがあったのかどうか、事実をよく確認をしなければわかりませんけれども、日本はきちっとした独立国であり、また治安その他についても非常に落ちついた状態というものが保たれているというような状況であるわけでございまして、そういう中でもし他国の者が何かどんどん動いておるというようなことがあるならば、それは余り適当なことではないというふうに私は思っております。思っておりますけれども、どうもその事実自体を余りよく承知をしておりまぜんから、ここではその問題については何ともお答えするわけにはいかぬというふうに思っております。
#54
○横山委員 そうまでおっしゃるならもう一回言いますが、ここに供述録取書があります。中北龍太郎弁護士が一九八五年三月十日、弁護士の権威にかけて聞き取り書きを整理したものであります。
 これは、
      大阪市東区内本町橋詰町五五
             オカダビル七階
        株式会社ワールドユニオン内
         岩原 金一こと 李 鎮元
  当職は、一九八五年三月九日、右の者より事情聴取し、任意に左記の供述を得たので、左記のとおり供述録取の結果を報告する。
 一、李鎮元(以下李と略す)は、株式会社ワールドユニオンの代表取締役をしている。
 二、一九八四年九月一日、午前一〇時前ごろに、韓国保安司令部に所属している韓国在住の趙正澤から電話がありました。
   趙正澤と李は、同じ大都出身で遠い親族にあたり、正月や八月の旧盆の折に何度か会ったことがあった。
   その電話の内容は、尹正憲は高麗大学に通学しているが、実家の者とは既に話をしているので協力してもらえるから、同人の実家に行って北朝鮮関係や左翼関係の本を持って帰って来て欲しいとの依頼であった。
   その際、趙は李に、実家の者には高麗大学の教授と名乗って欲しいそして高麗大学では充分世話をするつもりだと言っておいて欲しいと要請した。
   李は、一旦、虚偽を告げることに抵抗したが、趙の強い要請でそれに従うこととなった。
 三、それで、李は、電話後間もなく株式会社ワールドユニオンから尹の実家に架電し、応対した尹の母に、高麗大学の教授と名乗った上で実家を訪問したいと告げた。
   母は、「来られることを電話で聞いています、どうぞいらっしゃって下さい」旨答えた。
 四、午前一一時三〇分ころ、李は、実家をおとずれ、母が食事をしていって欲しいと申し出たのを拒わり、二階にある尹の書斎に案内してもらって本棚をさがした。
   しかし、指示されていた北朝鮮や左翼関係の本は全く見あたらなかった。
   そこで、指示された本とは違うとは思いながらも、仕方無く「朝鮮史」という本を持って帰ることにした。
   そして、母に持って帰えると告げて早々に尹の実家を立ち去った。
 五、その後、事前に趙より電話で指示をされていたとおり、同日午後二時ころ大阪国際空港内にあるKALの空港事務所におもむき、右事務所よりもらった封筒に金浦空港二〇五号室と宛名書きし郵送の手続をした。
 六、以上、間違い無い旨何度も念を押して確認した事項をまとめたものである。
こちらにソウルの地法院の判決書がございますが、この判決書の中にこの持ち帰った「朝鮮史」その他の資料の問題が出てくるわけです。
 事ほどさように行われておる厳然たる事実について、警察当局や外務省や入管が知らないところで韓国保安司令部の指示で国内の捜査、調査というものが行われておることについて、不愉快だと私は言うんですよ。それについてあなた方は、よくも言えたものと思うのだけれども、外務省は、いや、韓国の法律でやっておるんだから仕方がない。あなた、本当にそれは発言を撤回しなければだめですよ。そんなばかな答弁がありますか。こういうような事実を認めるのですか認めないのですか。韓国保安司令部の調査が日本国内で行われておるということについて不愉快の念を禁じ得ないと私は言っているんですが、あなたは当然だと言うんですか。
#55
○渋谷説明員 一般論として申し上げれば、そういうことにつきましては私も不愉快だと思います。しかしながら、委員御指摘の具体的な事例につきましては、残念ながら私ども情報を持ち合わせておりませんので判断しかねます。
#56
○横山委員 それでは、この供述録取書、中北龍太郎弁護士が自分の職責にかけて出した聞き取り書きをあなたに差し上げましょう。ですから、それが事実であったかどうか、あなたは初めて聞いたから知らぬと言っているんだが、事実であったとしたならば遺憾の意を表示しろという点について責任を持ちますか。事実を調べるのですか調べないのですか。もし事実であったらとあなたは言ったんだから、事実を調べますか。
#57
○渋谷説明員 判決文も私ども持ち合わせておりませんので、コピーをいただきまして検討させていただきます。
#58
○横山委員 それでは差し上げますから、あなたの方が幾らでも、私どもがいろいろな資料をとるよりももっと的確に資料ができる。この供述録取書をもとにしてあなたの方で手配して調査をしてください。
 在日韓国人の趙一之が広島電機大学附属局校在学中、学校の薦めで朝鮮奨学会の奨学金を受けていました。このことが北のスパイの工作金を受けていたという訴因にされていました。この点は去る四月三日の判決においては触れられていなかったが、この時点では判決の内容は家族及び救援会メンバーは知らなかったのであります。
 ところが、判決直後、四月五日か六日ごろ、広島県警の海田署の外事課刑事が広島電機大学附属高校を訪問して、趙一之の判決で朝鮮奨学会のことが削除されたが、高校の救援会は今後どうするんですかと校長に尋ねました。
 どういうつもりで高校に尋ねたんであろうか、私にはよくわかりません。朝鮮奨学会というものは北と南、そして中立の人たち、三者で構成されて、いわゆる超党派とでも申しましょう、そういう機関であります。それをその調査は、韓国側では、北のスパイの温床だという色眼鏡をかけておったわけであります。調査をした結果はそうではないということがあって、訴因にはなったけれども判決の内容からは削除されておりました。
 これはまあいい方なんですが、私が問題にしたいと思うのは、訴因にされた原因の中に、広島県警の資料が行っているんではないか、広島県警の判断が動いていたんではなかろうかということが一つ。それから二つ目は、この判決が四月三日に行われた。その翌々日ごろに、もう判決の内容となっている、内容から削除されたけれども、朝鮮奨学会が判決から抜けだということを一体どうして広島県警外事課が知っておったのか。国内ではだれも知らない、関係者もだれも知らないことを一体どうして警察は知っておったのか、これが第二。第三番目は、校長に、奨学会はともあれ、高校でその救援会をみんなが超党派に組織したのですが、その救援会は今後どうするのですかと、あたかも救援会が左翼がかっておる、けしからぬものだと言わんばかりで、校長に救援会を解散したらどうかというような内政干渉みたいなことをなぜ言うのか、三つがわからない。いかがですか。
#59
○赤木説明員 お尋ねのまず第一の点でございますけれども、広島県警はもとより日本の警察が本件につきまして公式にせよ非公式にせよ資料提供を受け、あるいは提供したという事実は全くございません。
 そして、お尋ねの刑事が校長先生のところへ伺ったという件でございますけれども、事実関係につきまして申し上げますと、海田警察署の警察官が四月十日にこの電機大学附属高校の校長先生と会った事実はあるわけでございます。御承知のように、当然警察といたしましてはその責務を果たすためには治安と関連のある出来事については平素から深い関心を持っているわけでありまして、こうした観点から、四月四日、韓国でスパイ容疑で逮捕されていた趙さんの判決について報道がございましたので、日本との関連で何か参考になることがあればということでお話を伺ったというふうに聞いております。したがいまして、警察官は判決内容につきましては新聞報道で承知をしたわけでございます。
 また、御指摘のように、三点目でございますが、このときに、朝鮮奨学会云々というふうなことを、あるいは救援会について云々ということを、警察官の方からこれを解散すべきである云々といったふうな言動をしたというふうには私どもは承知をしておりません。
#60
○横山委員 あなたはきのう連絡したものですから海田警察署と連絡をとられたと思うのですが、海田警察署のあなたに対する報告と私の方に来ております話とは随分食い違いがあります。新聞で知ったといったって、こういう判決書の内容が細かく新聞に出るはずがないのですよ。それから、仕事柄防犯の皆さんがあるいは外事の皆さんがいろいろと調査をされるのは一つの任務かもしらぬけれども、やはり限界があると思うのですよ。先ほど僕が言ったように、外国人、特に朝鮮人諸君の扱いについてはくれぐれもひとつ過去の諸問題、今日的課題について注意をしながら対応をしてもらいたい、慎重にしてもらいたいと言っておるのですけれども、とにかく朝鮮奨学会に対する認識あるいは海田署の諸君が判決の理由の内容に関する問題を一体どうしていち早く知ったのか、また、校長に対してやや暗示めいた、できたら救援会を解散してもらいたいと言わんばかりの、権力を持っておる人がそういう暗示を与え慫慂するがごときことについて厳に慎まなければならぬと私は思う。
 それから、この種の尹正憲、趙一之、趙伸治あるいは先般帰ってきました高順子さんですね、この一連の問題の中ですべてが共通いたしますことは、大変な拷問を受けておるということです。韓国政府はもちろんそれは否定はしています。けれども、高順子さん、帰ってきて、私も会いました。そして調査の状況も聞きました。あるいはまた各政治犯で判決のおりた人たちが側近に、あるいはまた面会した人に、あるいは法廷でしゃべったこと等を聞きました。
 趙伸治氏に至っては、二月五日、第三回公判で、なぜいもしない北村がいると言ったのかという検事の問いに対して、金属製の棒で殴られたり、ぬれタオルで鼻と口とふさがれて拷問を受けたからだ、検事には拷問を受けていないが、検事取り調べのとき保安司令部の人間を見かけて、ここで事実を言えない、言うとまた拷問を受けると思ったというようなことを初めといたしまして、鉄の棒でたたかれ、いすに縛られ、水の中に二、三分つけられる拷問、またそのときその中に蛇がいたこと、また、死ぬ前に言っておきたいことはないか等を言われておる。
 それから、趙一之さんは、法廷で弁護人の質問に答えて、共産主義の思想については日本ではだれでも知っていて、学校で一般教養として習っていることである、金銭の授受については誘導尋問なんてものじゃない、全部捜査官の作文である、大学でのデモについて友人と話したことがスパイ行為とされておるが、デモを見てもわけがわからないので友人に質問したことがあるが、こういうようなことは当たり前のことだ、こう言っているのです。
 この言葉の中に、日本における在日韓国人、日本社会における習慣なり普通の学生生活なり普通の町内づき合いで言っておること、そういうことが韓国においては全然、これはもう一言隻句をとらえてそれが拷問の対象になり起訴事実になっておるというように私は思われるわけです。
 それで、参議院でも衆議院でも各委員会で、在日韓国人の韓国における拷問について日本政府側として韓国政府に善処を求めたいということをしばしば言っておるわけです。外務省もそのような事実を一部認めて、機会があればと言っておりますが、あなたの方で、外務省で、このように在日韓国人の韓国内における拷問について、いろいろ議論はあるけれども、少し善処を求めるべきではないかと私は改めて思うのですが、外務省の御意見はいかがですか。
#61
○渋谷説明員 韓国の憲法及び刑法ではもちろん拷問は禁止されております。現実に拷問が行われたかどうかという点につきましては、私どもは云々する立場にはございません。しかしながら、拷問のみならず、在日韓国人政治犯の問題につきましては、韓国政府に対して、人道的な立場から、待遇改善その他の面で好意的な配慮を要請していくつもりでございます。
#62
○横山委員 時間がなくなりました。
 先ほど、韓国政府の一つの文書を持っておると言いました。これによりますと、詳細は避けますが、国家安全企画部の書面でありますが、この文中に、「日本人管及び警察等を通じ確認したところ、」云々と書いてあるわけです。公式文書です、これは。「日本人管及び警察等を通じ確認したところこと書いてあるわけです。国家安全企画一部の文書ですよ。冒頭あなた方は、そういう協力はしておらぬと言うのですけれども、韓国の正式の文書ですよ、これは。これはどう考えたらいいんでしょうかね。入管局長は先ほど、入管記録だけは出しておると。これはわかった。警察はどう考えておるのか。「警察等を通じ確認したところ、」しかもその確認した内容が書いてあるわけですよ。これはちょっと、言うと差しさわりが出てくるのでいかぬけれども。この警察を通じて確認したところの内容は必ずしも悪いことではなかった。けれども、悪いことではない場合もあるし、悪いこともある。警察は、韓国政府、特に国家安全企画部の要請に基づいて――そういう要請であったか、総領事の方が真ん中に立ったか、それはわからぬ。わからぬが、現にやっているじゃないですか。向こうの記録にちゃんとあるじゃないですか。何にもやっておらぬなんていいかげんなこと言ってだめだよ。あなた、調べたのかね、そういうことを。いかがですか。
#63
○赤木説明員 お尋ねは、今韓国の国家安全企画部が警察に確認を求め、それに対して警察が回答したという御趣旨だと思われますけれども、全くそのような事実はございませんものでございますから、繰り返しで恐縮でございますけれども、そういう事実はなかったと私は申し上げる以外はないと思うわけでございます。
#64
○横山委員 時間がございませんのでこれでやめますが、しかし、そういうようにしゃくし定規に、そういうことはなかったと言っている。韓国の保安司令部からは警察、入管の協力を得て証拠を入手した、そして起訴事実の中へ入れる、あるいは判決の中にそれが入るということが厳然たる事実であります。
 残念ながら、この種の問題は、直ちに事がわかりますと報復的な問題をやはり考えなければならぬ。国内における韓国人の動静、あるいは日本国内における韓国政府総領事館、KCIA等の動向というものは、あなた方もおわかりだと思うのですが、そんなにきれいごとでは済まされぬ問題ですよ。警察がどうしても、そういう事実は、警察は協力した事実はないとおっしゃるならば、今度機会を改めて、動かしがたい証拠であなたに徹底的にやりますから、そのつもりでおってください。
 以上です。
#65
○高村委員長代理 小澤克介君。
#66
○小澤(克)委員 最初に、昨年の一〇一国会におきまして、当委員会において当委員が徳島新聞社、これは商業新聞として全国唯一の公益法人になっているわけでございますが、この公益法人の監督官庁はどちらであるかお尋ねしたところ、不明であるということだったわけですが、その後決まりましたでしょうか。
#67
○大谷説明員 お答え申し上げます。
 徳島新聞の件に関しましては、先回先生の方からのお話等も受けまして、その後、総理府、自治省、それと私ども文部省の方でいろいろ検討協議をさせていただきました結果、文部省の方で担当するということで合意を得まして、その線で対応していきたいということでございます。
#68
○小澤(克)委員 それでは、今後十分に監督をしていただきたいわけでございますが、この際、商業新聞が公益法人になっているというのは全国でもこれが一例だけでございまして、そもそも公益法人ということになじまないのではないか、他はすべて株式会社でございますので、そういう感じもいたします。また実質的にも、公益法人となりますと課税上大変な特典がございますし、また逆に、新聞社という表現の自由にかかわる団体が監督官庁からの監督を受けるということもいかがかと思います。その点を含めまして、今後どういう方針で監督をされるのか、その方針を伺いたいと思います。
#69
○大谷説明員 ただいまのところ、先ほど申し上げましたように、文部省の方で担当していくということでございます。直接的に今、これが機関委任事務ということで徳島県の知事さんの方でお仕事をしていただいているということでございます。これまでのいろいろな経緯があるようでございます。
 私どもの方で担当させていただくということになりまして以来、県の方から今状況をお聞かせいただいておるという状況でございまして、県の方で適切に対応していただいておることかと存じますけれども、法令の解釈あるいは事実関係等につきまして、今後十分調査を進めて対応していきたい。その際、例えば総理府、自治省ともこれまでの経緯もあり、いろいろ御協力を得ながら考え方をまとめていきたいというところでございます。
#70
○小澤(克)委員 機関委任事務ということでございますが、これは何しろ全国でこの社だけでございますので、文部省の方で十分に委任者としての指示をお願いしたいと思います。――どうぞお帰りくださって結構です。
 それから次に、今国会の去る四月十日の当委員会におきまして、当委員が刑事事件の不起訴のケースにおいて、告訴告発等を行った者でもない全くの第三者に不起訴裁定の内容あるいは被疑事実を通知するようなことがあるのかということをお尋ねいたしまして、千葉地検のケースについて具体的な指摘をしたわけでございますが、この件について事実関係は確認されましたでしょうか。
#71
○筧政府委員 御指摘の件につきまして、その後調査をいたしましたが、その結果、昭和五十三年当時、千葉地検におきまして、千葉地検で捜査を行い、不起訴処分に付しました事件につきまして、国立の精薄児施設の職員を被疑者とする公務執行妨害事件でございますが、この事件につきまして、今申し上げました国立の精薄児施設からの要請に基づきまして、今お話しのように事実の概要等と処分結果を通知したものでございます。
#72
○小澤(克)委員 この四月十日の刑事局長のお答えでは、一般論として今のような第三者に裁定内容あるいは被疑事実を通知するということは行わないといいますか、行うべきではないというふうに考えております、こういうふうにはっきり議事録に残っているわけですが、そうしますと、この千葉地検のケースはどういうことからこういう通知が行われたのでしょうか。
#73
○筧政府委員 四月十日のお尋ねのときに私がお答えいたしましたのは、関係者に知らせるということもないわけではない、その場合は公益上の必要というような観点から判断してする場合があるというふうにお答えをしたかと思います。本件につきましても、御承知の刑訴法四十七条のただし書きに基づいて判断されたわけでございます。
 申し上げるまでもございませんが、四十七条で「訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。」したがいまして、不起訴記録につきましても、一般的にこれを公にしてはならないというのが大原則であるわけでございます。しかし、ただし書きにおきまして「公益上の必要その他の事由があって、相当と認められる場合は、この限りでない。」という規定があるわけでございまして、この場合には、当該記録の保管者であります検察官が健全な裁量に基づいて判断するわけでございまして、その場合には、事件の内容とか被疑者の身分、被疑者と照会者との関係、その他の理由、必要性等を十分考慮いたしました上で判断するわけでございます。本件につきましても、千葉地検におきましては、今申し上げたような観点からこれは公益上の必要その他相当な理由がある場合に当たるという判断を下しまして、先ほど申し上げましたような部分につきまして通知をいたしたということでございます。
#74
○小澤(克)委員 刑訴法の適用によるということでございますが、これは国立とはいえ障害者の施設の現業の職員の事柄でございまして、これが公益上の必要性があるということで通告をしたということは、私には全く理解できないわけでございます。例えば、交通事故などの民事訴訟を起こして、刑事の記録を裁判所を通じて取り寄せるというような手続をとりましても、不起訴の場合わずかに実況見分調書の図面だけが出てくる、こういう取り扱いになっているわけでございます。事ほどさようにプライバシーの保護に関して慎重な取り扱いがなされているわけでございます。これ等と比較考量いたしましても、ただ国立の学校であるということからこのような問い合わせに応じるということは、到底納得できないところでございます。全く相当性を欠くとしか言いようがないと私には思えるわけでございます。
 いずれにしましても、こういうケースについての個々の検察官の取り扱いがばらばらであっては大変まずいのではないか、事柄は被疑者のプライバシーにかかわることでございますので、これについてはぜひ取り扱いの統一が必要ではないかと考えるのですが、そのような一般指揮を行うお考えはありましょうか。
#75
○筧政府委員 御指摘のように、民事裁判等におきまして不起訴記録の証拠といいますか、書類等の取り寄せの申請等がございますが、その場合には、原則として再現不能のものに限って書類の提出を認めておるというのが実情であるわけでございます。
 全国的に統一する必要があるという御指摘でございますが、どういう場合があるか、その場合、場合でそれぞれの理由があろうかと思います。事件の内容その他関係者との関係とかございますので、これを統一的にするということはどうもできにくいし、また、する必要もないのではないか。検察官としては四十七条の大原則は十分承知しておりまして、記録については、公益上その他の相当な理由があるという場合に限り原則に対する例外が認められる、あくまでも原則に対する例外であるという趣旨は十分頭に置いて、具体的場合、場合において判断をいたしておるわけでございます。それで現在まで、不統一でどうこうという問題も起こっておりませんし、今後もそういう点については十分配慮するようにという、一般論としては機会あるごとに周知徹底を図りたいと思っておりますけれども、取り扱いの内容についての統一というところまでは考えてはいないわけでございます。
#76
○小澤(克)委員 不統一でどうこうという事態は発生していないということですが、そうしますと、他にも全国的にこのような例があるかどうか、どのような基準で行われているか調査されたわけでしょうか。
#77
○筧政府委員 特に調査はいたしておりませんが、全国の検察庁では同様の事例が起こっているかと思います。
#78
○小澤(克)委員 このケースは、千葉ということからもおわかりかと思いますが、成田の空港の問題に関しまして発生した公妨、公務執行妨害事件ということでございますので、いわゆる過激派というようなレッテルを張られている人たちのケースだろうと思います。仮にもその思想、信条のゆえに不平等な扱いがあったということになれば、これは大変な事態でございます。やはり人権が平等に保障されるということからは統一的な取り扱いが必要ではないかと考えます、今の御答弁ではちょっと納得できないのですが、個々の検事さんの判断にすべてを任せる、本当にそういうことでよろしいのでしょうか。事は人権にかかわる問題ですので……。
#79
○筧政府委員 この千葉の事件の被疑者、内容がどういうものであるか私も詳細は承知いたしておりませんが、不起訴内容を公表といいますか、通知する場合には、別にその思想、信条等とは関係なく、こういう事件あるいはそのほか業務上過失事件を含めましていろいろな一般的な事件について、その案件ごとに相当な理由があるかどうかということを判断するわけでございますから、事件の内容によってどうとかあるいはその被疑者の思想、信条によってどうとかという、扱いを異にする理由は全くないわけでございます。現場の検察官におきましても、あくまでこの四十七条の趣旨を基準にいたしまして健全な裁量でもって判断しているという実情でございますので、その健全な裁量によってなされる処置について現在統一を図るというまでの必要はないというふうに考えておるわけでございます。
#80
○小澤(克)委員 だから、その健全な裁量を欠いておるのではないかということを先ほどから指摘しておるわけです、交通事故等の取り扱い等も比較しましてですね。これは国立の機関だとはいいましても、単なる現業の職員です。しかも、その職場とは全く無関係なところで公妨事件を起こした。このことが、刑訴法の原則に反してまで公益上の必要ありとして雇用主に当たりますところに事実を、しかも被疑事実についてまで通知をするというのは、どう考えても不相当としか私には思えないわけです。逆に言いますと、今後、国立の機関であれば、あるいは自治体等も含めまして国公立の機関に勤める者であれば、交通事故から何からすべてについてどんどん通告をするということでは、これはもう全く刑訴法の原則がゆがめられて、プライバシーも何もなくなってしまうわけです。そうすると、どこにどういう基準を置くのか、それはやはり重大な問題になると思うのですね。個々の裁量に任せるということでは私は済まないと思います。繰り返しになりますが、もう一遍答弁してください。
#81
○筧政府委員 国立公立てあればどんどん通知をするという御指摘でございますが、そういうことはないかと思います。この場合も国立てあるということが判断の一つの要素にはなろうかと思いますけれども、国立てあるからすべていいというわけではもちろんございません。本件の場合も、その通知を求める施設の長からの要請によりまして、その通知を求める相当な理由があるかどうかという判断をしたわけでございますから、何の必要もないのに国立公位の施設から照会があればどんどん答えるというわけのものではございませんで、やはり先ほど申し上げましたように、四十七条の精神を体して行われるべきものでございます。
 その点は、先ほどの繰り返しになりますが、四十七条の非公開の原則というものが関係者のプライバシーあるいは名誉というものの保護あるいは捜査等に対する国民の協力を確保するという見地、その他の理由から認められておるわけでございまして、その原則を、この趣旨を十分考えて、それに対する例外として通知していい場合を限定的に判断していくということでございますので、その運用に際しましては、今後ともさらに慎重な配慮を要するという点は先生御指摘のとおりであろうかと思います。
#82
○小澤(克)委員 慎重であることはもちろんでありますが、国民の人権にかかわることですから、これはばらばらであってはまずいと私は思います。今のお答え、到底納得できないわけですが、時間がございませんので、次の機会にこの点についてはまたお尋ねしたいと思います。
 去る四月十七日の当委員会で当委員が、国立岐阜大学において精神障害者の妊婦に対する人工妊娠中絶が行われ、次いで、その胎児に対する解剖が行われたというケースにつきまして、そういう事実があることを指摘しお尋ねしたわけでございます。その時点ではまだ調査が緒についた段階だったということで十分なお答えがいただけなかったわけでございますが、この点について、それからもう一月半以上たっておりますので、細かくお尋ねしたいと思います。
 まず、その四月十七日の際に、法務省の人権擁護当局で本件について重大な関心を持っており、情報を収集しているというお話だったわけでございますが、その後の調査の進捗状況はいかがでしょうか。
#83
○永井(敬)説明員 御指摘の問題につきましては、人権擁護機関としても重大な関心を持って、その後も関係機関等から情報の収集を行っておりますが、関係医の海外留学等の事情もあり、いまだ問題点についての事実確認をするには至っておりません。現在引き続き本省及び現地の法務局において情報の収集に努めておりますので、できるだけ早く事案の解明をしたいと考えております。
#84
○小澤(克)委員 主治医が米国留学中ということでございますが、これを除く当事者あるいは関係者の事情聴取等は既に済んでいるわけでしょうか。
#85
○永井(敬)説明員 人権擁護機関は啓発機関でございまして、任意調査という制約もあるわけでございますが、本件はいろいろ複雑な事情もございまして、私どもの方も、本件が精神衛生法における人身の自由の保障の規定の運用の問題、あるいは優生保護法の運用の問題、極めて重要な人権問題を含んでおるということを承知してございますけれども、今なお事実関係の確定には若干の時間をいただきたいと考えております。
#86
○小澤(克)委員 関係者の事情聴取は済んでいるかというのが質問です。
#87
○永井(敬)説明員 まだちょっと具体的に答弁さしていただく段階にはございません。
#88
○小澤(克)委員 余り具体的に進んでいないようでございますが、事は人権にかかわる問題ですから早急な調査をお願いしたいのですが、今後どういう見通しを持っておられるでしょうか。特に、主治医が米国留学中であるというような点も含めまして今後の見通しをお尋ねしたいと思います。
#89
○永井(敬)説明員 現在、引き続き現地の法務局において関係各方面からの事情聴取に当たっておりますので、この関係をできるだけ早急に詰めていきたいと考えております。
#90
○小澤(克)委員 そこで、一応の調査をしたというふうに前回おっしゃいました文部省あるいは厚生省に順次お尋ねしていきたいわけです。
 本件妊婦は精神障害ということで、昨年、一九八四年の一月七日、私立の病院へ措置入院となっているわけでございます。まず、この手続なんですけれども、措置入院となりました端緒といいますか、だれからの通報あるいは届け出等からこういう手続になったんでしょうか。
#91
○小林説明員 お答えいたします。
 今だれからの通報か、申請かというおただしでございますけれども、そのことについてはプライバシーの関係から残念ながらお答えできません。
#92
○小澤(克)委員 氏名を特定するとおっしゃるとおりプライバシーの問題が起きますので、この患者との身分関係でお答えいただけますか。
#93
○小林説明員 父親からの通報でございます。
#94
○小澤(克)委員 その通報の根拠となった症状というのはどういった症状だったんでしょうか。
#95
○小林説明員 症状につきましてもプライバシーの関係上お答えしない方が適当かと考えております。
    〔高村委員長代理退席、太田委員長代理着席〕
#96
○小澤(克)委員 これは現在も措置入院が続いているということでございますので、措置入院というのは御存じのとおり本人の意思に反して拘禁状態が続くわけでございます、人権上大変重大な問題があろうかと思いますので、本人の人権の問題でございます、本人のプライバシーもそれは尊重しなければなりませんが、どういう症状があったのか、もちろん匿名なんでございますから言えないはずはないと思いますが、いかがでしょうか。
#97
○小林説明員 患者さんのお名前等が何らかの形でわかってしまった場合に、症状が回らかになっているということは患者さんにとって大変不都合でございますので、やはり症状についても申し上げられないと思います。
#98
○小澤(克)委員 大変納得できないのですが、それじゃとりあえず他の項目を先に聞くことにいたします。
 これは措置入院ということでございますから、当然医師による鑑定が行われていると思います。鑑定医の氏名は結構でございます。地位、肩書等を明らかにしてください。
#99
○小林説明員 鑑定医につきましてでございますが、一人の方は、公的病院、赤十字病院の医師でございます。もう一方は大湫病院の院長でございました。
 以上でございます。
#100
○小澤(克)委員 これはいずれも精神科のお医者さんということでございますね。
#101
○小林説明員 鑑定医の資格を持った精神科医でございます。
#102
○小澤(克)委員 そこで、措置入院が必要である、こういうふうに判断があったからこそ措置入院になったのだろうと思いますが、これはどういうことから必要ありと判断されたのでしょうか。
#103
○小林説明員 措置された判断根拠のことをおただしでございますけれども、そのことはやはり患者さんの症状等のことと同じことでございまして、明らかにすることは患者さんの不利になりますので、症状についてはお答えできません。
#104
○小澤(克)委員 この患者さんは今も措置入院ということが継続しているわけです。先ほども言いましたように、その身体が拘束されているわけです。私の方で調べたといいますか入手した資料によりますと、患者さんのごく近い近親者といいますか、実の姉が、入院前においてこの患者さんは自傷他害のおそれは全くなかったということを言明しています。また、病院関係で作成された資料を見ますと、経済的背景のため措置入院となるという記載がはっきりございます。そういうことも含めますと、果たして措置入院の要件である自傷他害のおそれがあったのか、他の要因から措置入院という手続がとられたのではないかという疑問が強いわけでございます。事は本人の意思に反して拘禁されているという人権の問題でございますので、本人のプライバシーよりも優先すると思いますし、また匿名でございますので、判断根拠についてぜひ明らかにしていただきたい。いかがでしょう。
#105
○小林説明員 症状につきましては、先ほどと同じ答弁になりますが、残念ながらここではお答えできません。ただ、今先生が御指摘になりました患者さんのお姉さんの話、それから診断の根拠について経済的理由等々が書いてあった等という情報でございますので、私の方でもう一遍調べてみたいと思います。
#106
○小澤(克)委員 経済的背景のため措置入院となるという記載が病院関係、これは私立病院じゃないのですけれども、後に移った国立岐阜大の病院での記録にはっきりあるわけです。この程度のことはもう既にお調べだと思いますが、違うのですか。
#107
○佐藤説明員 私ども、病院からそのような事実について説明を受けたことがございませんので、今先生にお答えするような材料を持ち合わせておりません。
#108
○小澤(克)委員 前の質問のときにもこの点は指摘していたはずです。あれから一カ月半以上たっているわけですけれども、この点について問い合わせもしていないわけでしょうか。
#109
○佐藤説明員 前の委員会以後、大学の方には事実関係の確認について調査を指導し、また指示をしたわけでございますが、先生御指摘の点については、私どもとして承知をしておりません。
#110
○小澤(克)委員 だから、問い合わせたのかと聞いているのですが。
#111
○佐藤説明員 問い合わせはしております。
#112
○小澤(克)委員 それに対して大学から何ら回答がないということですか、この経済的背景ということに関しては。
#113
○佐藤説明員 申しわけございません。それは民間病院への措置入院の話でございますね。そのことについては私ども大学から直接話は聞いておりません。また事実関係の確認もいたしておりません。
#114
○小澤(克)委員 大学の方でつくった資料にそういう記載があるのです。で、前回この入院の際に経済的背景があったのではないかということをお尋ねしているわけですから、しかも大学側の資料にそういうことが書いてある。具体的に言いますと、看護記録にそういうことが書いてあるということも指摘しているわけです。どうしてまだその点について調査しないのでしょうか。
#115
○佐藤説明員 私ども看護記録については、これは大学の事項でございまして、その内容について大学側が公開するというか、報告をするということを判断して、適切なものについて私どもに上げてくるというような事情もありまして、その件については私ども承知をしていないということでございます。
#116
○小澤(克)委員 だからさっきから聞いているのは、大学に対してこの点について問い合わせをしたのかと、こう聞いているのですよ。どうなんですか。
#117
○佐藤説明員 民間病院に係る措置入院の問題については、私ども大学について、大学の方から報告も受けておりませんし、問い合わせをしておりませんが、ただいま先生の御指摘もございますので、再度大学側から事実関係を聞くようにいたしたいと思います。
#118
○小澤(克)委員 一月半たっているのですよ。これは人権の問題だということで非常に重大な問題だということは、私から指摘しておいたはずです。一体一カ月半何をやっていたのですか。
#119
○佐藤説明員 私ども、その他の大学病院に係る詳細な事実関係について調査報告をとって、それについて適切な指導をしてまいってきているわけでございます。とりわけ、このように人体実験があったのではないか、こういう御指摘がございましたので、その関係につきまして、教授会で早急に人の研究の問題に係る場合の倫理委員会をつくっていく、こういうようなことで大学側を指導してきております。
#120
○小澤(克)委員 それでは、厚生省の方いかがですか。前回のお尋ねの際、措置入院とされた理由として「経済的背景のため措置入院となる」という記載がある、こういうことを指摘したわけですけれども、この点についてお調べはどうなっていますでしょうか。
#121
○小林説明員 この前の委員会から後にはその点については調査をいたしておりません。(小澤(克)委員「何でですか」と呼ぶ)措置の決定については適正に行われたものと私たちは判断をしておりましたので、調査をしておりませんでした。
#122
○小澤(克)委員 調べないで何でそんな判断ができるのですか。冗談じゃないですよ。いいですか。よく聞いておいてください、文部省も厚生省も。ちゃんと言っているのですよ。議事録に出ていますよ。文部省、「看護記録の中に」と言っていますよ。国立病院の看護記録の中にこういう記載があるということを指摘しているじゃないですか。厚生省についても、経済的理由により措置入院ということがもしあればそれは違法だということを言っているじゃないですか。しかし、こういう記載があるということを私は指摘したのですよ。何で今まで両方とも何の調査もしてないのですか。どういうことですか。調査できなかった理由があったのなら言ってください。
#123
○佐藤説明員 先生から御指摘をいただきましてその後大学等に聞いたわけでございますが、そのことについて聞かないということについての特別の理由はございませんが、ただこれは民間病院に係ることでもございましたので、そのことについて私どもとして事実関係を確かめるということをしなかった。したがいまして、きょう御指摘をいただきまして再度私どもとしてはそのようなことが看護記録に記載されているかどうかということについては調べてみたいと思います。
#124
○小澤(克)委員 厚生省、どうですか。
#125
○小林説明員 前回の委員会の先生の御指摘は大学病院の看護記録の中のお話と我々解釈をいたしておりまして、ですからそれは当然大学の方で御調査されるものと考えておりまして、我々の行政である県の方の措置のところの記録は調べておりません。
#126
○小澤(克)委員 それは責任転嫁じゃないですか。相互に責任をなすり合っているようなものじゃないですか。そんなことではだめですよ。いいですか。人一人その身柄が拘束されているのですよ、本人の意思に反してもしこれが刑事事件だったら大変でしょう。大変な裁判という手続をとってやるんですよ。ところが、精神衛生法では二人の医師の鑑定さえあれば措置ということでその身柄が拘束されるわけです。これは重大な権利の侵害があるわけですから、十分な理由がないといけないはずでしょう。
    〔太田委員長代理退席、委員長着席〕ところが、あってはならないはずの経済的背景があり、措置入院となったという記載があるわけですよ。そのことを前回指摘したわけです。もしそうであれば、こういう要素が判断の要素になっていれば、この身柄の拘束自体が違法になるわけですよ。こういう重大性について全然認識がないとしか言いようがないじゃないですか、あなた方の態度は。お互いに、これは国立病院の資料だから文部省で調べればいいと思った、片っ方は私立病院への入院の手続だから厚生省が調べればいいと思った。一体何のことですか。私が指摘したことについて両省で協議してやるべきでしょう。どうなんですか、協議してないのですか。順々に言ってください。協議したのか、してないのか。
#127
○佐藤説明員 厚生省とは連絡をとりながら私どもも事実関係については調べておるところでございます。(小澤(克)委員「この点については」と呼ぶ)この点につきましては話し合いをしておりません。(小澤(克)委員「何で」と呼ぶ)私どもといたしましては、私、今議事録を再度確認おさせていただいたわけでございますけれども、民間病院への措置入院ということで、看護記録にそういう記載があったという先生の御指摘でございますけれども、私どもとしてはそのことは先ほど御答弁申し上げましたように、民間病院に係ることだというふうに理解していたわけでございます。再度先生から御指摘ございましたので大学病院の方に問い合せをしたいと思っております。
#128
○小澤(克)委員 そうすると、この看護記録と私が指摘したのが岐阜大学のと書いてなかったからだ、今のはこういうことですか。
#129
○佐藤説明員 お答えをいたします。
 看護記録というのは私どもとしては岐阜大学も含めて考えてはいたわけでございますけれども、その最後のところで厚生省の方にお話がいっているというふうに私ども受け取っていたわけでございます。
#130
○小澤(克)委員 こんなことを言っていてもどうしようもないんです。本人の姉が自傷他害のおそれはないということをはっきり言っております。署名押印までした文書があります。また岐阜大学の方でつくった看護記録の中に、経済的背景もあって措置入院となったという記載があるわけですよ。これは事実とすれば、要件のないものが現在もその身柄を拘束されているということになるんです。責任のなすり合いだの何だのやってないで真剣に調べてください。いいですか。両省とも約束してくださいよ。
 それから、その後この患者は一月二十七日ですか、岐阜大学病院へ同意入院となっているわけでございますが、この同意入院に当たって保護義務者が選任されているという前回の回答でございました。これは具体的にはどういう方でしょうか。名前じゃなくて身分関係でお願いします。
#131
○小林説明員 保護義務者の同意は父親になっております。
#132
○小澤(克)委員 保護義務者が選任された年月日が昭和五十七年一月、このたびの入院のほぼ二年前となっているわけですが、これはまず事実ですね。
#133
○小林説明員 選任された年月日は五十七年一月でございます。
#134
○小澤(克)委員 そうしますと、この五十九年の一月二十七日入院したのから二年前になるわけですね。ところで、前回にも指摘しましたが、岐阜大学医学部の方でつくった文書の中に「保護義務者の選任を行っていなかった」という記載があり、この点については「不注意であった」という記述があるわけですね。そうしますと、この同意入院に当たって保護義務者の選任の有無について、少なくとも大学病院は全然確認をしていなかった、むしろ選任は行ってなかったと認識していたということになりますが、このとおりでしょうか。
#135
○佐藤説明員 大学の方からの報告によりますと、岐阜大学の医学部では、家族の中に精神病の患者がいることを他人に知られたくないという希望もあるようでございましたけれども、入院の同意につきましては、保護義務者である実父が行っているということで保護義務者の選任の必要がないということから、実態としては大学としては行ってなかった、こういうふうに報告を受けているわけでございます。
#136
○小澤(克)委員 どうして実父であれば保護義務者の選任の必要がないのでしょうか。
#137
○佐藤説明員 先生御指摘のとおり適切なことではないということでございますので、大学の方にも改善をするようにその後指導をしたということでございます。
#138
○小澤(克)委員 前回お尋ねしたときに、選任はありました、裁判所のコピーがありますというふうに胸を張っておっしゃったのですよ。ところが、それが二年前のことで、それで肝心の入院手続のときに大学病院としてはむしろ保護義務者の選任手続は行ってなかったというふうに、これは結果的には誤解なんですが、認識していたということになると、これまた同意入院といったって、本人の意思に反して身柄を拘束するという意味ではこれは明らかに強制的なものですから、こういうずさんな手続で同意入院が行われているということは大変重大な人権上の問題があると思いませんか。
 事実としては、少なくともこの点については確認はしていなかった、むしろ事後的にも保護義務者の選任手続はなかったと認識していた、この点は間違いないわけですね。
#139
○佐藤説明員 先生御指摘のとおりというふうに私ども承知しております。
#140
○小澤(克)委員 その次に、国立岐阜大学の病院に同意入院と同時に私立の病院の方は仮退院となっているわけです。これについてはなぜこのような手続をとったのでし。ようか。
#141
○小林説明員 なぜ仮退院の措置をとったのかということについては、子細がわかりませんけれども、前回お答え申し上げましたように大変不適切な行い方であったと考えております。
#142
○小澤(克)委員 不適切なのはわかっていますよ。なぜ仮退院という手続をとったのか調査したわけでしょう。どうなんですか。
#143
○小林説明員 そこは、担当の主治医の先生が現在留学中でございまして、そこについては現在調査ができませんので、御了承いただきたいと思います。
#144
○小澤(克)委員 留学中ならなぜ調査ができないのですか。問い合わせることは幾らでもできるでしょう。
#145
○小林説明員 留学先までは追っかけませんでした。
#146
○小澤(克)委員 なぜですか。
#147
○小林説明員 私どもとしては、この事件全体の中で今回なぜ仮退院になったかという問題は、その重要性について留学先まで調査をする必要性についてはどうか、こう考えまして、そこまでは調査をしなかったということでございます。
#148
○小澤(克)委員 冗談じゃないですよ。あなたみずから不相当な手続だと言っているじゃないですか。二つの拘禁の手続が重なっているというのは人権上大変な問題でしょう。それほど重大じゃないから問い合わせなかったというのですか。
 私の方で調査した資料によれば、この主治医がわけのわからぬことを言っているのですよ。「薄々は知っていたが、あえてしなくてもいいのではないかと思い、意識的ではないが同意入院にしました。」やや趣旨不明なんですけれども、要するに退院手続をとらないままに、退院といいますか仮退院のままに他方で同意入院をしたことについて、こういう発言をしているのです。薄々は知っていたがあえてしなくてもいいのではないかと思った。人一人拘禁する手続について全くいいかげんなこういう態度でやっている。これは重大な問題だと思いませんか。なぜ手紙で問い合わせないのですか。国際電話をかけたっていいじゃないですか。どうなんですか。
#149
○小林説明員 再度努力して調査をしてみたいと思います。
#150
○小澤(克)委員 こんなことをやっているとどんどん時間がなくなります。
 人工妊娠中絶に関して伺いますが、最初に中絶にしてくれということを発意したといいますか希望を持った者は、本件ではだれになるのでしょうか。
#151
○佐藤説明員 大学からの報告によりますと、親族間で相談がなされたということで、親族から中絶の希望が主治医に伝えられたと聞いているところでございます。
#152
○小澤(克)委員 当初、本人はどういう意思だったのでしょうか。
#153
○佐藤説明員 ただいまの先生の御質問につきましては、当初患者さんがどういうお気持ちであったかということについては、私ども承知しておりません。
#154
○小澤(克)委員 どうしてですか。本人の意思がどうだったかということが一番問題になっているわけですよね。前回私が指摘したのは、患者本人、母親の意思が踏みにじられたのではないか。だったら、当初母親がどういう意思を持っていたか、その後どういう変遷をしたのか、これが一番調査の重点になるのじゃないでしょうか。
#155
○佐藤説明員 私どもが大学から聞いたところでは、最終的に御本人が同意をされたということで、一月の二十八日に患者さんが中絶に納得をされて、本人の署名、捺印のある同意書が産婦人科に提出されたということでございまして、その途中経過について、詳細なことは私ども承知しておりません。
#156
○小澤(克)委員 本人が納得をされたと今言いましたね。納得をしたということは、だれかから説得をされて納得をした。少なくとも本人の発意でなかったということは、既に今の言葉のうちからわかるわけでしょう。どうなんですか。本人の発意だったんですか。
#157
○佐藤説明員 それは私ども最初にお答えいたしましたが、関係の親族から中絶の希望が出されたということで、本人の納得がそのときにあったかどうかということにつきましては、私ども詳細については承知しておりません。
#158
○小澤(克)委員 私の方で入手しました資料によると、一九八四年の一月の二十一日に、私立の病院から付近の産婦人科のお医者さんに診察に行っているのですね。妊娠の有無についての確認に行っているわけですが、その際に、この産婦人科のお医者さんは、中絶の依頼はあった、主治医からあったとこういうふうに明言しております。家族からははっきりしない。さらに重大なのは、中期の中絶は困ると拒否して帰した、こうなっております。しかも、診察に来たのは一回こっきり。最初から中絶の依頼があったというのです。それに対して、中期では困ると言って帰ってもらった。おかしいじゃないですか。前回指摘したのはほかの記録から見ますと、私立の精神病院の近くの産婦人科に行って、妊娠について初めてその時点で確認された、こういうことになっております。一回こっきりしか行っていない。そのときに早くも中絶の依頼が主治医からあった。これはどういうことなんでしょうか。この点についてお調べなんでしょうか。
#159
○小林説明員 今先生がおただしの件については、私ども今初めてお伺いしまして、承知しておりません。
#160
○小澤(克)委員 人工妊娠中絶について、本人の意思がどうだったか、じゅうりんされたかというのが問題の中心です。それからもう一つは、この解剖について、果たして相当だったのか、あるいは母性の意思がじゅうりんされてないか、これが二つの重大な点です。これが最も重要なことでしょう。最初に診察に行った開業医のところに調査に行くぐらいのことはとっくに済んでいると思ったのですが、やってないのですか。
 それからさらに、この私立の病院の院長さんがこういう重大な発言をしているのですね。「分裂病患者が妊娠した時は、当然中絶する。」こういう発言をしております。そして、この「当然」という言葉はちょっと勢いで言ってしまったということで、消してくれという要求をしている。しかし、口が滑ったところでは、分裂病の患者が妊娠したときは当然中絶するんだ、こういうことを言っているわけですよ。こういうことも照らし合わせると、本人の意思を確かめるなんということは、最初から発想になく、当然に中絶を考え、そして近くの病院に送り込んだ。ところが、中期だからだめだよと断られて、それから岐阜大学に行った、こういう事実しか浮び上がってこないわけですね。
 この点について、この開業医あるいは病院の院長さんからの調査というのはまだ行っていないんでしょうか、どうでしょうか。
#161
○小林説明員 今先生のおただしの件については調査いたしておりません。
#162
○小澤(克)委員 いっぱいお尋ねしたいことがあったんですが、時間が終了しました。本件については、前回私が当委員会で取り上げた後、岐阜大学のこの一連の経過の胎児解剖などの責任者である難波教授が、国会の場で事実がはっきりするのはむしろありがたいことだ、こういうふうに言ったと報道されております。ところが、今伺ったら何も明らかになっていない。私でさえ知っていることが、全然そちらで調査されていない。これはどういうことなんでしょうか。人権侵害についてのその問題の受けとめ方が全く足りないのではないか、調査についての熱意が全く足りないのではないか、こういうふうに考えるしかないわけです。
 時間が来てしまいましたけれども、前回の質問でお願いしておきました、とりあえず今の病院から他へ移すべきだ、そして第三者の手で本件についての事実解明をすべきだ、患者についてですね、これは検討を約束していただいたのですが、その後どうなっていますでしょうか。
#163
○小林説明員 前委員会の後を受けまして、岐阜県に連絡をいたしまして、五月八日に担当課長を呼びました。そして措置入院を同病院で続けるのか否かについて県の意見を求めました。
 県の方の回答によりますと、本件の患者は、当該病院に入退院を繰り返しており、病院長が患者を熟知していて信頼関係があるということ、次に、患者の保護義務者、父親及び家族全員が病院を信頼しており、転院を望んでいないこと、それから当該病院は過去の実地指導の結果特に問題はないこと、これらの理由により、県としては転院させる考えはないということでございました。
 厚生省といたしましても、当該病院の医療行為に問題があると考えているわけではございませんので、県の考え方を了承して、現在のところ、同病院に措置入院として継続して入っていらっしゃるところでございます。
#164
○小澤(克)委員 前回も指摘したとおり、本件は患者さんの人権が侵害されたのではないか、しかもその侵害をしたのが圭治医であり、あるいは病院ではないか、患者の利益と病院側の利益とが対立緊張関係にある、したがってここに入れておくのは妥当でない、こういう指摘をしたわけです。信頼関係があると今おっしゃいましたが、先ほど指摘したように、分裂病の患者がいるときは当然中絶する、こういう発言をする院長さん。本人は産みたいと言って最後の最後まで、産まれた後も何とか育てられないかというふうに言った。これでどうして信頼関係があるのでしょうか。全く納得できない。きょう聞いた結果、あなた方の調査というのは全くできていない。熱意も足りないし問題意識もないということがよくわかりました。もうこの上はしようがないですから、私、自分で行きます。自分で行って患者さんにもお会いして、もちろん精神科のお医者さん等にお願いをしましてやります。それしか方法がない。あなた方には任せておけない。どうですか。私が行ったら会わせてもらえますね。そのくらいのことは配慮してもらえますでしょう。どうでしょう。厚生省。
#165
○小林説明員 先生がみずから岐阜県の方に行かれて調査をされるということですが、精神衛生行政をやっている岐阜県には、当然先生行っていただいて調査ができると思います。ただ、患者さんの場合には、その病院の管理者である院長先生それから主治医が現在もいらっしゃいますが、その先生方が患者の責任をきちっと持っていらっしゃいますので、その先生方の御判断によるか、かように考えます。
#166
○小澤(克)委員 先ほどから指摘しているように、病院と患者との間に人権をめぐって対立緊張関係があるわけです。しかも措置入院そのものが極めて重大な疑義がある、経済的背景があるということが文書で明らかにされているわけです。現在もその手続によって措置入院が続いているわけですね。しかも院長さんは、分裂病の患者が妊娠すれば中絶するのは当然だ、こういうことを言っておられる。そんなところにとどめたままでいいんですか。これは私、病院に行きます。本人に会います。私は医療について素人ですから、私では困るということであれば、どなたか適切な精神科医のお医者さんに一緒に行っていただきます。私が行ったら会えるようにぜひ指導してください。医者の治療上の権限といっても、オールマイティーじゃないはずです。まさにこれは人権の問題なんです。どうですか。
#167
○小林説明員 先生が調査に行かれまして、岐阜県の当局者並びに先生の御指摘になっている病院の院長さんとお会いすることはできると思いますし、主治医についてもお会いできるように私が行政指導してまいりたいと思いますけれども、患者につきましては主治医並びに病院長等の判断があろうと思いますので、そこまでについては何とも答えられないということでございます。
#168
○小澤(克)委員 院長や主治医と会ったのではだめなんです。その主治医と患者との間に問題がある、こういうケースなんですからね。何とか会えるように手配してください。
 時間が過ぎて恐縮ですが、大臣に最後に伺います。
 人権について極めて重大な侵害がなされたのではないかという重大な疑義のある件について一月半も前にお尋ねし、その後調査をお願いしたわけですけれども、厚生、文部両省の調査内容は全く不備である。これは法務大臣に言っても仕方のないことかもしれませんが、そういう実態がきょう明らかになったかと思います。人権擁護について所管しておられる最高責任者としその御感想なりを伺いまして、また私がその患者本人と会えるようにぜひお取り計らいを願いたいことも法務大臣にもお願いいたしまして、質問を終わりたいと思います。
#169
○嶋崎国務大臣 先般のこの委員会で問題になった案件でございますが、御指摘のように、非常に難しい、事によると人体実験が行われたのではないかというような問題でありますので、人権擁護の観点からは、ある意味では非常に注意をしてやらなければならない事柄であると判断しておるわけでございます。しかし、何しろ問題になっているのが精神障害者の人権関係の問題でございますので、その取り扱いはなかなか難しい点もあるのではないかと思っております。しかし、いずれにしましても御指摘の点につきましては十二分に実態を調査しまして、人権侵害事件として問題が起きることのないような対処の仕方をすることが必要なのではないかと思っておる次第でございます。私の方でどういうことができるのかよくわかりませんけれども、法務省としても現地の方とよく連絡をとりまして、どういうような努力ができるのか工夫をしてみたいと思っておる次第でございます。
#170
○片岡委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十七分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十五分開議
#171
○片岡委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。中村巖君。
#172
○中村(巖)委員 本日は、まず最初に、消費者保護の問題として、今話題の豊田商事株式会社関連の事柄について質問を申し上げたいと思います。
 この豊田商事の問題につきましては、昨日も衆議院の商工委員会で参考人からの聴取等々をやられているようでありますし、また今までの各委員会でもいろいろやられているのでございますけれども、大変大きい問題であるというふうに私は考えております。豊田商事自体が昭和五十七年に設立をされた会社で、今日まで金(きん)を売ると言ってその現物を渡さずに、今度は別の契約で金(きん)を預ってしまう、こういうことをやっておりまして、その集めた金(かね)は今や数千億に達するのではないかということでございます。また、さらに豊田商事だけではなくて、その関連する会社として、最近では豊田ゴルフクラブというのがありまして、ゴルフ会員権を売ると称して、それをまた預かって金だけ取り上げてしまう、こういうやり方をやっておりますし、さらにベルギーダイヤモンドという会社がありまして、これも豊田商事の関連であるということが調査すると明らかであるわけでありますけれども、豊田商事が現物まがい商法とすれば、ベルギーダイヤモンドの方はマルチまがい商法というか、こういうようなことでやっているわけでございます。このことによって、被害者と言ったらまだ具体的な被害がどこにあるなんということになるかもわかりませんけれども、金を持っていかれてしまったという人たちが物すごく多い。しかも、その中身たるや、大変にお年寄りとか弱い立場、無知の立場の人ばかりであるわけでありまして、私の地元であります東京の板橋におきましても非常にこの豊田商事が入り込んでまいりましてたくさんこういう人間が出ているわけであります。私も弁護士でございますので、私のところへも数多くの人が相談に来る、こういう実態でございます。
 そこで、こういうようなものを何とか規制ができないものだろうかというのが私の考えであるわけでありますけれども、とりあえずまず経済企画庁の方にこの豊田商事、ベルギーダイヤモンドあるいは豊田ゴルフクラブの関係の相当数多くの苦情というか消費者相談というか、そういうようなものがあると思いますので、国民生活センターあるいは消費者相談関係なりを所管しております官庁として、どういう実態であるかということをお伺い申し上げます。
#173
○河出説明員 御説明いたします。
 私どもの国民生活センターでは五十九年度に全体で約六千件の消費者からの相談を受け付けておりますけれども、このうち豊田商事に関係する部分は九十八件でございます。
 国民生活センターで受け付けました相談から豊田商事の商法の概要を御説明いたしますと、まず相談者が非常に高齢者が多い。七十歳以上の高齢者が全体の約半数でございますけれども、この勧誘行為といたしましては、まず世間話をするなどしまして高齢者の気持ちを解きほぐす。その後預貯金のマル優制度等が今度改正になるというような事実を誇大に説明したり、あるいは国債は将来紙くずになるというようなことを言いまして、現在やっておられる貯蓄につきましての不安感をあおるというような事実がございます。その後、金は永遠に不減であるとか換金性が非常に高いとか、金の地金で持っている場合には税金はかからないとか、今金は底値であるとか、こういうような形で金を購入することを強引に勧誘するわけでございます。勧誘に当たりましては、長時間居座ったり、あるいはまず会社を見てくれということで会社に強引に連れていったり、預金通帳を強引に持ち出したり、そのようなことで強引に契約をとるわけでございます。契約をとった後は、金は地金で持っていると危険だということで、会社に預けた方が安心であるということから「純金ファミリー契約」なる契約を締結するというような商法でございます。
 それから、豊田ゴルフクラブにつきましては、その販売担当会社でありますところの鹿島商事に関します相談は五十九年度で九件でございます。この商法も基本的には豊田商事の場合とほぼ同様でございますけれども、それに加えまして特に、年金制度が今後改正になるので、今月中に預金をおろした場合には年金が減額にならないというようなことを言ったりしまして勧誘するわけでございます。
 この商法の仕組みも、豊田ゴルフ会員クラブが発行しますゴルフ会員権を売却しました後、会員権を取得しました消費者と豊田ゴルフクラブとの間で、会員権取得者が賃貸人になりゴルフクラブの方が貸借人となるオーナーズ契約を結びまして、豊田ゴルフクラブは預かった会員権をほかのゴルフプレーヤーに使わせまして会員に賃貸料を払う、そういうような仕組みでございます。基本的な仕組みは金の場合とほぼ同様でございます。
 それからベルギーダイヤモンドにつきましては、五十九年度に国民生活センターが受け付けました相談件数は五十三件でございます。この商法に関しますところの勧誘の仕方としましては、まず知人などを通じまして一般の消費者に、目的は告げないで、お金の入る耳寄りな話がある、こんなことを言いまして会場に連れていくわけでございます。その会場でダイヤモンドに関する映画を見せたり非常に信頼がおける会社であるというようなことの会社の高いイメージを植えつけるわけでございます。そこで映画を見せた後、ベルギーダイヤモンドの紹介販売をしていかに金がもうかったかというような体験談が語られるというのが通常でございます。それでその後、別のフロア等で紹介者ですとかこのベルギーダイヤモンドの会員の上位のランク者などに囲まれまして、自分用にベルギーダイヤモンドをまず一個購入しなさい、そしてこの販売組織に入れば金もうけができるというような説得を受けるわけでございます。そこで、そういった形でいろいろな人に囲まれまして、会場の雰囲気からダイヤモンドを買わざるを得ない状況になりまして、通常一個三十万円から五十万円のダイヤモンドを衝動買いをするというようなケースでございまして、その後解約したいと思ってもなかなか応じてくれないというのが現在までの実態でございます。
#174
○中村(巖)委員 消費者からの苦情の内容をまとめられて今おっしゃられたと思いますけれども、そういう苦情に基づきましてこの会社自体をお調べになったことがあるかどうかということをお伺いしたいわけであります。
 現実に豊田商事の関係で言うならば、何千億円というもう既に金を買ったことになっている人がいるわけです。しかしながら実際にそんなに金は保有していないはず、ほとんど金は保有していない、こういうふうに思われるわけで、その点で一つの詐欺商法であると思うわけであります。
 例えばここにも「純金注文書」というのと「純金ファミリー契約書」、それから「純金ファミリー契約証券」というのがありますけれども、私が聞いた限りにおいても、金を引き渡す、それからファミリー契約で預かるのだということになっておるけれども、現実に金を手にした人というのは全然いないわけです。一回も聞いたことがない。こういう実態であるわけで、恐らく豊田商事の関係では金というものは現実には会社に存在をしないのではないか、また初めから金を購入者に引き渡す意思がないのではないかと思われるわけであります。
 また、ゴルフクラブの関係で申しましても、ゴルフ会員権を売るのだということでありますけれども、やはり手元に契約書があるのですが、またいろいろの人に話を聞くわけですが、契約書自体の中にどこのゴルフクラブの会員権を売るということが全くない、ただ株式会社豊田ゴルフクラブが所有、経営するすべてのゴルフ場の会員権だということであって、しかし実際に豊田ゴルフクラブというゴルフ場は私が調べた限りにおいては存在をしていない、こういうことじゃないかと思うわけでございます。
 また、ベルギーダイヤモンドの関係につきましても、いろいろ話を聞いてまいりますと、一個五十万円とかなんとかというダイヤモンドをとりあえず売るという形になっておりますけれども、その関係は今度はマルチまがい商法ですから現物は渡すわけですけれども、その現物を実際に調べてみると、そんなものは二束三文のほとんどくずダイヤである、こういう実態のようでありまして、このような会社の実態だというふうに私は調査をした限りで思っているわけですけれども、今のような会社の実態について経済企画庁でお調べになったことはございますか。
#175
○河出説明員 私どもの国民生活センターなり都道府県が持っております地方の消費生活センターというのは、法的な権限ではなくてあくまで事業者と消費者との自主的な交渉を側面から促進するという形でやっておりますので、直接豊田商事自体について調査したことはございません。あくまで相談という形ではいろいろやってはおりますけれども、強制的な調査ということはやっておりません。
#176
○中村(巖)委員 それでは、消費者からの相談についてどういうような処置をしているのか、現実に相談に基づいて物事が解決をされているのかどうか、その点をお伺い申し上げます。
#177
○河出説明員 通常の相談の場合に、まず消費者が契約はしましたけれどもまだ金を支払っていないとか郵便貯金の通帳を渡したけれどもまだ引きおろされていないという場合には、金は一切支払わないようにとか、すぐに金融機関に連絡をして引きおろされないような注意をしろとか、そういう指導をしております。それに対して、契約違反ということで豊田商事側から抗議等は今のところないようでございます。そういう形でのことでございます。
 それ以外に、あと、中途解約等につきましてはかなり高い手数料が取られますけれども、そういう形で側面から消費者側を支援しております。
#178
○中村(巖)委員 解約につきましても、途中で解約するということであると、この契約書上、三〇%の解約金を取られるのだ、こういうことになっているわけでありまして、要は、この金の場合に実際に金の現物を渡してもらえれば、金にはそれなりの価値があるわけでありますけれども、渡してもらえないというのが通常でありまして、また契約そのもの、ファミリー契約という名前で金を預かる、一定の期限、一年なり五年の期限が来たらそのときにはその金を渡すのだ、こういうことをうたってありますが、現実にその期限が来ても、金を渡せと言えば渡さない、契約を更新するのだというような形で絶対に渡さないというのが今までのやり方のようでございます。今の国民生活センターの関係で、消費者の相談を解決するに当たって、現実に金を受け取っている人というものはあるわけでしょうか。
#179
○河出説明員 御説明いたします。
 極めてまれな事例だと思いますけれども、金の現物を手に入れたというケースもあるというふうに聞いております。
#180
○中村(巖)委員 同じことで、やはり通産省の方でも消費者問題を取り扱っておったりあるいはまた金関係の取引の監督官庁に当たるわけでありますけれども、豊田商事関係について通産省としてはこの取引の実態をどう御認識になっておられるでしょうか。
#181
○山下説明員 御説明申し上げます。
 私どもにも消費者に対する相談窓口がございまして、そちらの方にいろいろ相談あるいは苦情というような格好で消費者からの連絡があるわけでございますけれども、金の関係で申し上げますと、昨年度消費者相談件数、全体で九千五百件ほどの件数がございました中で約千四百ぐらいが金の関係というふうに承知しております。この中身は、今先生御指摘のような、契約関係に伴ういろいろなトラブルということでございます。それから、そういうケースにつきまして、私どもといたしましては、企画庁の方のお話とほぼ同様でございまして、個々のケースに応じてできるアドバイスをしておる、それぞれの案件の進捗状況に応じましてどういう手を打ったらいいかというようなことを消費者に対してアドバイスするというのが実態でございます。
#182
○中村(巖)委員 やはり通産省の方でも、消費者からの相談窓口で相談があったときに消費者にアドバイスをするということだけに尽きるのであって、この業者の実態、中身に立ち入った調査というものは全然しておらないのでしょうか。
#183
○山下説明員 私どもといたしましては豊田商事に関連しましていろいろ間接的な情報を集める努力はいたしておりますが、私どもといたしましても、金銀の購入とか輸入というものは自由化されておりますし、直接的な企業を調べるというような強制的な権限は持っておりませんので、企業から協力してもらえる範囲でしか細かいところまではわからないという実態にございます。
#184
○中村(巖)委員 企業から協力してもらえる限りでとおっしゃいますけれども、現実に豊田商事はその通産省の行政に協力をして企業の実態はこうであるということを説明しておりますか。
#185
○山下説明員 先生の御指摘は金の保有状況というようなことかと思いますが、私どもに対しまして企業からは企業上の機密であるということで明らかにしてもらっておりません。
#186
○中村(巖)委員 今、私は実態について御指摘申し上げ、あるいはまた通産省は独自で情報を集めておられる、こういうことでありますけれども、通産省としてこれに対して何らかの行政的な処置、それは指導にとどまるかどうかわかりませんが、そういうものはお考えになられておるのでしょうか。
#187
○山下説明員 私どもといたしましては、豊田商事の取引につきましては直接はなかなか指導を及ぼしがたいわけでございますけれども、消費者が健全な金の取引をしていただくという意味で、金地金の流通あるいは現物を直接お買いいただくというような方向に消費者に対する啓発活動をやらせていただいており、同時に、業界につきましては、地金協会というものをつくりまして、そこの加盟店でお買いいただくようにそういう加盟店であることが明らかになるような仕組みをつくらせる指導をして、実施に移しております。
#188
○中村(巖)委員 今現在、私が申し上げるような実態、さらには通産省でお調べのような実態の中で、それが通産省所管の法律に抵触をする、違反をする、こういうことは全然ないのだ、こういうお考えでいらっしゃいますか。
#189
○山下説明員 私どもの担当しております法律に関します限り、現在の豊田商事の金の取引につきまして法律違反ではないかというような点は見出し得ないという状況でございます。
#190
○中村(巖)委員 ある意味でこれは現物取引であるというふうに言っておるわけでございまして、契約書上も、即日取引なんだ、デリバリーをして、そして逆に預かる、こういう形になっておりますけれども、現物が全然手に渡らないという意味では、ただ引き渡し時期が形式上売買の即日であるというだけで、結局金の先物取引というようなものと、形式の上では違いますけれども、実質的には類似をしてくるところがあるのではないか、こういうふうに思いますけれども、そうだとすれば、商品取引法等に、殊に商品取引法の規定に抵触をするのではないかというふうに考えられるわけであります。その点についてはいかがお考えでしょうか。
#191
○山下説明員 先生御指摘のとおり、今の豊田商事がやっております金の取引の形態でございますと、価格につきましては、現在の時点の価格をベースにやっておりまして、一年後なら一年後の値段についてどうこうするということになってはおりませんので、先物取引には該当しないのではないかというふうに理解しております。
#192
○中村(巖)委員 それでは今度は警察庁の方にお伺いをいたしますけれども、警察庁は各警察からのいろいろの情報を御収集であるわけでありますけれども、警察関係に対しましても告訴であるとか告発であるとか、あるいはそういった被害に遭ったということでこの豊田商事、豊田ゴルフクラブあるいはベルギーダイヤモンド関係の事件というものが相当出てきているのではないか、こういうふうに推察をされます。その点について、警察庁としてはどういうふうな情報をお持ちでしょうか。
#193
○清島説明員 極めて具体的な事案にかかわる具体的な問題でございますので、答弁は差し控えさせていただきたいというふうに考えますが、国会においても当委員会を初め各委員会で御答弁申し上げておりますように、実態調査を現在進めておるところでございます。
#194
○中村(巖)委員 別の聞き方をしますけれども、警察庁としては、何らかの対応をしなければならないという考え方には立っておられるわけでしょうか。
#195
○清島説明員 違法行為があるのかないのか、実態調査をしておるということでございます。
#196
○中村(巖)委員 もうほかの委員会でも、当委員会でもですが、いろいろ質問をされていると思いますけれども、現実に、この勧誘の方法が違法ということで、刑法に触れるという形で捜査がされたケースというものは幾つもあるわけですね。それはいかがでしょうか。
#197
○清島説明員 例えば、先般警視庁、神奈川で検挙いたしましたように、鹿島商事の事件については実際に検挙もしております。それから豊田商事関係におきましても、末端の勧誘員のいろいろな詐欺行為、あるいはいつまでも粘って勧誘するということで不退去その他で検挙した事例はございます。
#198
○中村(巖)委員 次に法務省に伺うわけですけれども、この豊田商事のやり方あるいは豊田ゴルフクラブのやり方というものは、実態から見るならば、人から金を預かってこれを運用するというような形になっているわけです。しかもそれに対して、預かったものに対する賃借料と称するような全員を払っている。五年間預かれば五年に分割して毎年支払うような形になっているわけでございまして、こういうようなものは出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律の第二条の預かり金に該当するのではないか、こういうことが考えられますけれども、この点はいかがでございましょう。
#199
○筧政府委員 御指摘のように、出資法二条では預かり金を禁止し、八条で罰則を設けておるところでございます。ただ、この点につきましては、今御指摘の豊田商事の関係で大阪地検に現在九件の告訴、告発事件を受けて現に捜査中でございます。その告訴、告発の罪名としては、詐欺と今の出資法違反、両方がなされておりますので、その点も含めまして現在大阪地検で捜査中でございますので、結論は今お答えすることは差し控えたいと思いますが、御指摘のように二条で預かり金が禁止されておる、そして八条の一項一号ではその者が処罰され、二号ではいわゆる脱法行為、いかなる形式を問わず同様のことをした者、禁止を免れる行為をした者については同様に罰則があるわけでございます。問題は、これから捜査の結果、判明といいますか、捜査の結果を待つわけでございますけれども、先ほど御指摘のように、豊田商事関係では、現物金、ゴルフ会員権を一たん購入し、それを会社が預かってそれを運用して利益を出す、そして利益を出資者といいますか、金なり会員権を買った者に年々払っていくというような仕組みをしておりますので、その点が実際にどういうふうになされ、あるいは被害者の方もどういう意識であったかというような事実的な問題が確定されませんと結論は出ないのではないかと思います。ただ、そういう点で大阪地検で今の点も含めて捜査、検討中でございますので、その結果を待ちたいということでございます。
#200
○中村(巖)委員 それから、さらにこの問題について、商法五十八条の解散命令云々を言う人もいるわけでありますけれども、これは直接解散命令の要件に当たるかということになると、なかなか難しい点もあろうかと思います。しかし五十八条の第三号においては「法令若ハ定款ニ足ムル会社ノ権限ヲ嚴越シ若ハ濫用スル行為又ハ刑罰法令ニ違反スル行為ヲ継続又ハ反覆シタルトキ」というこの場合において法務大臣が書面による警告をする、それをなお繰り返しておれば五十八条の解散命令に至る、こういう形になっているわけですけれども、法務省としては、この五十八条の三号の規定の適用というものは可能性としてあり得るものというふうにお考えになられておりますか、それともこれは無理だというふうなお考えでございましょうか。
#201
○枇杷田政府委員 特定の豊田商事の件につきましては、私ども新聞報道等である程度のことは承知いたしておりますけれども、商法の五十八条の一項三号の要件といたしましては、代表取締役が刑罰法令に違反するような行為を行っておるというふうな事実がなければそもそも出発しないわけであります。そういう点についての事実を私どもはまだつかんでおりませんので、そういう意味でただいまの御質問については、現在少なくともそういうふうなことを考える事態ではないというふうに思っております。
#202
○中村(巖)委員 この五十八条というのは奇妙だと言えば奇妙なんですけれども、そういうような権限が法務大臣にあって、また法務大臣がそういうことをやらなければならないのだとするならば、法務省においてそういうようなある種の捜査というか、そういうものをやらなければおかしい、やる義務がある、こういうことになるのでありますけれども、その点について法務省としてこの具体的な会社について調査をする、こういうお考えはございましょうか。
#203
○枇杷田政府委員 私どもは商法を所管しておりますけれども、個々の会社の動静その他について把握したり調査をしたりするという権限そのものは持っておりません。したがいまして、この五十八条の規定を発動するためには、非訟事件手続法の方でその解散事由がありと考える官公署とかあるいは警察官が法務大臣の方に通知をするということによってこの権限が発動されることを原則といたしておるわけでございます。そのほかに、利害関係人が、この五十八条の法務大臣の職権を発動させるという意味でいろいろなことを申してこられるということも一つの端緒にはなろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、この問題については関心を持っておらないわけではございませんけれども、直接調査をしたりする等の権限は持っておりませんので、ただいま申し上げましたようなことを契機としながら、事実が認められればそれに応じた対処をしていくほかはないと思っております。
#204
○中村(巖)委員 この問題につきましては、今後ほかの委員会においてもいろいろと審議がなされるというふうに思います。しかし、何と申しましても今まで行政の対応は大変に悪かったのではないかというのが私の感じでございまして、一つには、豊田商事関連の会社が集めた金額、膨大なものがあるわけでありますが、その被害にかかった人たちが割合に社会的に目立たない存在であるということ、どちらかというと力が弱い人たちであった、老人なんかが多いということを経済企画庁もおっしゃっておるわけですけれども、そういうことから今まで余りクローズアップをされてこなかったのではないかという気がしてならないのであります。そういう弱い立場にある人がなけなしの金を巻き上げられる、そうして生活まで困窮してしまう、こういうことを放置しておっていいはずはないだろう。それが適切な行政の対応がないということでは、行政の方が世間から指弾を受けてもやむを得ないのじゃないかと思うわけです。おくればせながらこの問題が今こうやって大きくクローズアップされてまいりましたので、今しかるべき適用法規がないといたしましても、それはそれで何らかの規制措置を新しくつくるということも考えていいのではないかというふうに思うわけでございまして、この問題にどういうふうに対応してこういう弱い立場に立っている人たちの被害をこれ以上拡大をさせないようにするか、こういうことについてこの問題の最後として大臣にお考えを伺いたいと思います。
#205
○嶋崎国務大臣 ただいまお尋ねの豊田商事株式会社の問題でございますが、出資法に違反するとして告訴、告発がなされて、現に大阪地検において捜査中であるわけでございます。また、いろいろな方面からの話も、関係省庁の間である程度連絡をとって資料を収集するようにということは私自身も申しておるわけでございます。したがいまして、そういう実態をよく見きわめて判断をしていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
 いずれにしましても、御指摘のように老齢者の皆さん方を対象にしてこの問題が取り上げられており、それが非常に広範囲にわたっておるということは非常に遺憾千万なことであるというふうに私は思っておるわけでございます。いろいろ聞いてみますと、このやり方がどうもなかなか巧妙にできておるようでございまして、本当に刑罰法規に触れるか否かについては現在捜査中ではありますが、その内容等については今ここで申し上げることは差し控えたいというふうに思っておるわけでございます。しかし、いずれにしても現在の法令に違反をするということになれば、ぜひとも適切な対応を検察当局としてもやってもらいたいと思っておる次第でございます。
 なお、御指摘になりましたように関係省庁のいろいろな仕事の立て方、そういうことと絡みまして、何か国民の法秩序を守っていくことで十分でない場合があるとするならば、関係省庁でもそれらの内容についてよく御検討をしていただきまして、何らか具体的にこういう問題があるというような御指摘があるならば、それに対しまして法務省としても協力を惜しまないでやっていかなければならないのではないかと思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、この問題、最近新聞紙等でも非常に大きく取り上げられており、また、そのことが何らかの意味で一般的に反映をしておるだろうというふうには思いますけれども、どうもこういう問題はぎりぎりの話として民間に行われておるというようなことでございますので、我々としましても必ずしもよくわからない点も少なくないわけでございまして、そういう意味ではよく情報収集等に心がけてまいらなければならないのではないかと思っておる次第でございます。
#206
○中村(巖)委員 この問題については、何とか関係省庁で見解をまとめられて規制が図られるようにひとつお願いしたいと思っておるわけでございます。
 次に、別の問題をお尋ね申し上げます。
 それはいわゆる商業登記の関係でございますけれども、法務省も先刻御承知のとおり昭和五十九年の八月九日に民事局第四課長の方で「外国会社の日本における代表者のうち少なくとも一名は、日本に住所を有する者でなければならない。」というような回答というか通達を出しておるわけでございます。さらにまた、昭和五十九年九月二十六日付民事局第四課長回答「内国株式会社の代表取締役の住所について」で「内国株式会社の代表取締役のうち少なくとも一名は、日本に住所を有しなければ設立の登記の申請は受理できない。」こういうことを言っているわけでございます。この二つの場合、それぞれ違ったことといえば違ったこと、関連することといえば関連することでございますけれども、恐らくこれは商法の解釈によればそうなるのだということなのかもしれませんが、商法に明文のその旨の規定はないわけでございまして、どうしてこういうことを昨年回答という形で法務局関係に徹底をさせるようになったのかということについてお伺いをいたします。
#207
○枇杷田政府委員 昨年、ただいま御指摘のような民事局第四課長の回答が出ておりますけれども、そのような回答が出ました背景といたしましては、近時外国会社が日本において営業所を設けるとか、あるいは外資系の会社が内国会社として日本に設立されるとかというケースが多くなってきたわけでございます。その場合に代表者の住所が日本にあるかどうかという点について若干解釈上の疑義が出てくるケースがあるというふうなことから、実際の実務で登記所の方で疑義が生じまして、それが照会ということになって第四課長から回答したといういきさつになるわけでございます。
 その同答といたしまして、まず「外国会社の日本における代表者の住所について」が先に回答がなされておるわけでございますが、それは商法の四百七十九条に外国会社に関する規定がございますけれども、この条文の解釈からいきまして、「日本ニ於ケル代表者」というのは日本における営業範囲についての責任者というような意味ではなくて、「日本ニ於ケル」というのはまさに日本に所在するという意味であろう、これは商法の制定当初からそういうことは当然として考えられてきたことであろうというふうに考えられます。したがいまして、この条文の解釈から申しましても、「日本ニ於ケル代表者」というのは日本に住所を有する者であるということになるだろう。それから、実質的な意味から申しましても、日本においていろいろな営業活動をするにつきまして日本に住所がある者であった方が、これはいろいろな形の上でも望ましいことである。殊に監督的なことから申しましては日本に住所があることがむしろ必要ではないかというふうなことも総合して考えまして、そして先ほど申し上げましたようなそういう登記事務についての疑義について一つの明確な答えを出したという次第でございます。
 ただ、その「日本ニ於ケル代表者」というのが数人いる場合があります。その場合に、先ほど申しました商法の解釈から申しますと、全員日本に住所を有しているということが本来なんだろうというふうには思うわけでありますけれども、先ほど申しましたいろいろな事情からあった方がいい、要するに立法政策的に考えられる必要性ということからすれば、全員とまでは言わなくてもいいのではないか。いわば現在の国際的な交流の面から申しますと、少なくとも一人ということによって商法の要求しているところが満足されるのではないかという意味で、一人あればいいというところにも一つの力点を置いた回答ということになっているわけでございます。
 そのような考え方を前提にいたしますと、内国会社、これは普通の会社の場合には問題ないわけでありますけれども、外資系の内国会社につきましても、外国会社の営業所についての代表者がそのようなことであれば、これはもちろん当然そういう結論になるわけで、むしろ商法の普通の会社の場合でも当慾言えるようなことが言えてしかるべきであろう。その場合でも、代表取締役が数人いる場合に、その一人だけいれば商法上の要請というものは最小限満たされる、そこまでは登記事務の段階でもチェックをして確保しなければいけないという考え方に基づくものでございます。
#208
○中村(巖)委員 時間がございませんので議論ができませんが、私は、法務省の考え方は非常に独断的な解釈ではないか、こういうふうに思っておるわけです。
 さらにはまた、法務省は、株主総会の議事録についても外国文ではだめなんだ、日本文でなければだめなんだ、こういうふうなことを最近言っているようでございます。こういうような考え方、いずれも現在の国際化時代に非常に逆行をしているのではないかというふうに思うわけで、外資系の会社が多くなる、あるいはまた外国の会社の日本での営業活動が多くなる。こういう実態のもとでは、やはり国際化の観点からできるだけ外国会社あるいは外資系の会社に対しても便宜を図るような形というものが必要じゃないかというふうに思います。
 それと同時に、こういうことをやっておると、これもまた要するに貿易摩擦との関連で非関税障壁ではないか、今外国人弁護士の問題がいろいろ言われておりますけれども、それと同じような意味合いで非関税障壁ではないかということを言われかねないというふうに思うわけでございまして、その点について配慮をされたのかどうか、その点だけを伺っておきます。
#209
○枇杷田政府委員 ただいまの株主総会の議事録は、問題になるのは外資系の内国会社の話だろうと思いますが、この株主総会の議事録等をつくるというのは、これは株主それから一般債権者、そういうものに公開をするという目的があるわけでございます。そういうふうなものが外国語であった場合には、あるいは株主は外国人であるということがあるのかもしれませんけれども、一般債権者というのは、日本において営業をする内国会社でございますから、これは日本人であるわけであります。日本法に基づいてつくられました内国会社が日本語によって総会の議事録がつくれないというはずはないのでありまして、そういうことを外国文でもいいんだというふうなことまで、それは私はサービスの範囲内に入るものとは性格が違うと思います。日本の資本が世界各国で現地会社をつくっておりますけれども、その場合のいろいろな書類は日本語でつくるというふうなことで容認されている国があるということは私は聞いておりません。そういうふうなことでございまして、それはむしろ日本法に基づいて日本国内において営業するということでつくられた会社であるということから当然出てくる帰結であって、これは貿易摩擦とかそういうふうな次元の問題にかかわることではないというふうに考えております。
#210
○中村(巖)委員 終わります。
#211
○片岡委員長 橋本文彦君。
#212
○橋本(文)委員 私は、先般、登記所のコンピューター化に移行するをもっていわゆる従来の登記の内容を新しいシステムに組み入れる際に相当ミスがあるのではないかということを危惧しておりました。人間のやることですからミスもあるかもしれませんけれども、今回、いわゆる粗悪用紙の関係で新しい用紙に打ちかえるというその段階で、いわゆる地番と所有権者が全く入れ違ってしまうという事態が発生した。しかもそれが十年間見過されておって、しかも御丁寧に市町村までがその課税台帳にそのまま移してきておる。何らそこに疑問を差し挟まないままに現実に取引が行われて、現在それが民事上の問題にまで発展しているというケースがございました。本件の場合には粗悪用紙からの移記なんでございますけれども、この問題で私も直接登記所の方に出向いてまいりまして関係者の方とお話をいたしました。その結果、こういうようなミスは、当初千にと言いかけて万に三つぐらいはあるんだということを聞きまして、実はびっくりしたわけです。そういうわけで、こういうように地番とそれから所有権者を間違えてしまうというようなケース、それが職権によって訂正される、こういうケースが年間どのくらい全国的にあるのか、資料がありましたらまずその点をお答え願いたいと思います。
#213
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘のように、いわゆる粗悪用紙の移記作業の中で記入を間違えるというふうなケースが残念ながらございます。しかしながら、私どもの方でそのような件数を正確に統計的につかまえておるわけではございませんので、ただいまの御質問につきまして、そのものに直接かかわる数字をお答えするわけにはまいらないのでございますけれども、登記事務の中でいろいろな過誤が生じます。これは普通の申請に基づきまして登記をする際にも記入間違いというふうなことが残念ながら起こるわけでございます。そういうふうなもの、それからただいま御指摘のような移記作業の中の誤り、そういうものを全部ひっくるめまして、後で発見した場合に職権によって更正をするということがございます。その全体の職権更正の数字は、これは残念ながら年間に二万をちょっと超える件数があります。全体の申請事件の事件数と単純に比較いたしますと、千件に一つぐらいはあるというふうなことになっております。
#214
○橋本(文)委員 単純なる数字の間違い、氏名の間違い、住所の間違い等々、大勢に影響を及ぼさないようなミスはあるのかもしれませんけれども、本件のような地番と所有権者が間違っておるというようなことはございましたでしょうか。
#215
○枇杷田政府委員 私どもの承知している限りでは、物件を間違って移記してしまったというケースは、ただいま委員が御指摘になったケース以外には承知いたしておりません。
#216
○橋本(文)委員 そうしますと、そこの支局長の話なんですけれども、こういうような例はたくさんあるんだというようなニュアンスで言っておりましたが、これは間違いでございますかね。
#217
○枇杷田政府委員 粗悪紙移記作業の中での間違いは、例えば氏名の字を書き間違ったとかあるいは抵当権の債権額を書き間違ったとかいうようなことはほかにもあるだろうと思います。そういうことが問題になったケースも残念ながらあるわけでございますが、物件を間違えて、ほかの地番の土地に登記事項を間違って書いてしまったというようなケースはほとんどない、ともかく私は今まで聞いたことがなかったというのが事実でございます。
#218
○橋本(文)委員 局長は今ほとんどないとおっしゃいますけれども、現実には事前に発見して更正しておったということはありませんか。
#219
○枇杷田政府委員 全国多数の登記所がございますので、あるいは事実上の何かの処理をしたというものがあるかもしれませんけれども、私どものところで承知をしているものはございません。
#220
○橋本(文)委員 今回の件を具体的に言うわけにはいきませんけれども、とにかく昭和五十年に移記がなされた。そして御丁寧なことに昭和五十二年に市町村が登記所に行って間違った登記を真正なものと錯覚してそのまま課税台帳に記入してしまった。そして当時、首都圏近郊緑地保全法という法律ができまして、原野を持っておる方には全部奨励金が出る、こういう問題が起こりまして、ある登記簿上の持ち主のところにあなたは奨励金が出ます、私はその土地を持っているはずがないんだからということで断ったけれども、いや間違いありません、私は登記所の方に行って確認したらばあなたの名前になっております、しかも課税台帳にも載っているから税金もかかってくる、そういう状況がずっと続きまして、もともとはこの問題になっております土地の地続きに持っておったものですから、そこを昭和五十二年の段階で処分してしまった。同時に、間違ったところもこれはあなたのものだからという形でもって言われておる。したがって、新しく買った人が間違ったところも実際には占有しておった。そこに、工務店の関係でして、穴を掘って廃材を埋めたり燃やしたりしておった。そういう状況が八年間続いておるわけですね。それで、そろそろいつまでもわけがわからぬじゃ困るからわしに売ってくれないかという形でもって話が出てきた。本人も、私は自分で買ったんじゃないけれども、ひょっとしたら縄延びかなというような気持ちで、じゃ売りましょうという段階にいってしまった。境界がはっきりしなければまずいということで、境界を画定するために隣地の立ち会いを求めたところが、そこに住んでおりませんからわざわざ違うところから来るわけですけれども、来たところが、ここはわしの物件であるという形でもってこの事件が発覚したわけでございます。もし、これを境界も不画定のままにしておけば保証書による所有権移転登記も可能であるし、それからずっと占有状態が続くことは間違いない。
 たまたま、測量のために立ち会いを求めたということでもって事前に発覚できて、国にとってみれば事なきを得たわけでございますけれども、おさまらないのは買い主の方です。単に違約金をもらえばいいというものではないという形でもって、国の方の十年間ずっとしておった登記についてどうするんだということで窓口に苦情を申し入れに行ったわけでございますけれども、お決まりの法務省の窓口の対応の悪さ、これですっかり感情を害しまして、本人に対して、役所の方も損害があるのでしたら裁判でも起こしなさいという趣旨で言ったんでしょうけれども、不服があるならば、損害があるならば請求書を出しなさいという形で言われまして、そして訴訟ではなくて、いわゆる我々が使うような町で市販されている請求書をつくりまして、請求書、土地が買えなくなったことによる損害幾ら幾ら、これを法務局に請求しますという内容。それから、売り主の方は売り主の方で解約に伴うところの手付金倍返しは何百万円、これを法務局に右請求します、こういうふうにやりまして、そういう書類を買い主、売り主ともに出した。ところが、法務省の方はまさに何だこれはというような感じでもって、私どもでこんなものもらっても仕方ありませんというような形でもって納得のいくような説明をしなかった。それで事態が紛糾してきまして、私どもの方の耳に入ってきたわけなんです。
 こういうわけで、もう少し窓口の――今局長さんが、まずないケースだ、希有のケースであると言うのであれば、窓口の方で真剣におわびをするというような姿勢があればここまで紛糾しなかったと思うのですけれども、私が行った限りでは、千に、いや万に三つぐらいはあるというような調子で、人間のやることなんだから間違いはあるんだ、登記所が幾ら間違ったって権利関係は発生しませんよということまで言ったものですから、ここまで大きくなってしまったのではないかと私は思っております。
 いずれにしましても、登記所の窓口の改善は、前回のコンピューター移行の問題でもるる論議されましたけれども、また、今後コンピューターに移行するに際しましてこういうような移記と同じような問題が起きるわけです。絶対に今後こういうことがないように、ひとつ局長の方から誠意ある御答弁をお願いしたいと思います。
#221
○枇杷田政府委員 ただいま御指摘の粗悪紙移記作業におきます書き間違えの問題は大変に申しわけないことだと思います。そういうことがあってはならないわけでございますけれども、現実に起きておりまして、大変申しわけないことだと思います。また、その問題につきまして、窓口での応対について、ただいまの御指摘でございますと大分登記所の職員の対応に悪い面があったような御指摘でございます。そのようなことはないように日ごろから指導いたしておりますけれども、今後ともそういうことがないように、的確な対応ができるように指導を進めてまいりたいと思います。
 なお、コンピューターに移行する際にも、粗悪紙移記作業と同じように大量の登記情報を登記ファイルに移しかえをしてまいるわけでございます。その際に、移し間違えというものが起こる可能性が絶無とは言えないわけでございます。その点につきまして、私どもは作業に当たる者に十分注意を促すとともに、そういう移行に間違いがない、間違いがあった場合にはそれを発見し、チェックするというふうな作業工程も十分工夫いたしまして、万が一にもそういう移しがえに間違いがないように十分な体制で移行作業を進めてまいりたいと思っております。
#222
○橋本(文)委員 それでは、次に自治省にお伺いをいたします。
 本件、ここに課税台帳がございますけれども、この課税台帳を見ますと、登記所確認により登載という記載がありまして、もう十年前の売買という形でもって所有者の変更がなされたわけなんです。普通、売買があったとか相続があったとかあるいは贈与があったというそういう原因関係を記入して前の所有者から次の所有者に移るということが、いわゆる課税台帳でも明らかになっておるように思うのですけれども、その辺はどのように指導しておるわけですか。
#223
○佐野説明員 お答えをいたします。
 固定資産税は、御案内のとおり固定資産の所有者に課する、こういうことになっております。この所有者と申しますのは、地方税法の三百四十三条の第二項の規定によりまして、土地の登記簿に所有者として登記をされておる者をいう、こういうようにされております。この規定等を受けまして、地方税法の三百八十一条で「固定資産課税台帳の登録事項」というのがございます。このうちの土地課税台帳につきましては、土地登記簿に登記されております土地につきまして不動産登記法の規定により登記する事項云々、こういったものを登録しなければならない、こういう規定がございますので、私どももこの法律の規定に従って土地課税台帳を作成するよう指導いたしておるところでございます。
#224
○橋本(文)委員 本件の場合は、いわゆる粗悪用紙のために新しい登記簿を起こしてそこに移記した。したがって、新しくできた登記簿には何年何月形記というだけでもって従前の権利関係は全くないわけです。ちょっとわかりにくいかもしれませんけれども、なぜこういう問題が起きたかと私が推察するには、先ほども言いましたように、首都圏近郊緑地保全法という法律がございまして、いわゆる自然保護奨励金というものを出そうじゃないか、こうなって、そして、それぞれ県の独自の方針なんですが、まず課税台帳に登録されている人間に対して払おう、こうなったわけです。ところが、本件におきましては、課税台帳というのは本来の、正規の人が持っておる。それを、登記所に行きまして御丁寧に確認した結果、わざわざ間違えた、違う人の名前を課税台帳に載せた上で八年間奨励金を払っておる。その内容は、ただ登記所に行ったら移記された結果所有権者が違っておった。しかも、具体的に言えば、五十二年の十一月に登記所に行って確認した。そして、四十三年の売買によって所有権を取得しているのだ、こう書いてあるわけですよ。そうしますと、市役所にしてみれば、約九年間、十年間近く違う人に課税をしておった、おかしいじゃないかとまず気がつくはずなんですけれども、それも気がつかないでずっと、ただ単に登記所が所有権者として載っけているからそのまま載せたのだというふうにしかとれないわけですけれども、ただ登記所の登記簿を見て、所有権者が変わっておればそのまま写していいのですか。
#225
○佐野説明員 お答えをいたします。
 先ほど土地課税台帳の作成につきましての制度的な仕組みの御説明をいたしましたが、こういったいわゆる課税台帳主義と申しますか、台帳課税主義と申しますか、台帳によりまして固定資産税を課税する、こういう形式をとっておりますのは、徴税実務上のいろいろな問題、そういったことを総合的に勘案をいたしましてとられておる制度でございます。
 実際、土地につきましては全国で一億六千万筆ございます。これにつきまして課税当局が一つ一つ調査をする、こういう仕組みをとることにつきましては、徴税実務上いろいろな問題がございますので、固定資産税につきましては土地の登記簿、これを中心といたしまして、この土地の登記簿から課税台帳を作成する、こういうような仕組みになっておりますので、従来からこのような方法で課税をされておるということにつきまして御理解をお願いしたいと思います。
#226
○橋本(文)委員 今、具体的に移記ということでもって生じた問題なんですけれども、今説明のように、前の所有者から現在の所有者に移る経過が、売買であろうが贈与であろうが相続であろうが、ただ単に登記簿に書かれておればそれを信用するのは、これは当然のことなんです。その売買が有効か、相続が適法かどうか、そんなことは聞いていない。ただ、今回のように新しく登記用紙が変わった場合に、全然従前の人でない人が載っかっておるときに、ああ変わっているというだけでその間のいきさつも何にも考慮しないでただ単に課税台帳を直していいのかということなんです。わかりますか、言っていること。つまり、登記所の登記簿に載っているのは移記だけなんですよ。ですから、前との関係は全くないわけですね。そういう場合でも、ちょっと調べればなぜ所有権者が変わったのだろうかすぐ気がつくと思うのですけれども、いかがですか。
#227
○佐野説明員 お答えいたします。
 そのような場合におきましても、地方税法の仕組みといたしましては土地登記簿、ここから課税台帳を作成する、こういうことになっております。
 なお、登記簿と課税台帳、登記所と市町村の関係につきましては、例えば、市町村長は登記簿に登記されております事項が事実と相違をいたしますために課税上の支障があると認める場合におきましては必要な措置をとる、こういうような規定もございますし、登記所の方からは、新たに登記をいたしましたときには市町村長に通知をする、こういった相互通報主義と申しますか、お互いに連携をとるような規定もございまして、市町村といたしましてはあくまでも登記簿を基本に課税台帳を作成する、こういうことでやっておるということにつきまして御理解をお願いしたいと思います。
#228
○橋本(文)委員 ちょっと抽象諭なんですけれども、では、Aという所有権者から今回新たにBという所有権者に移った、課税台帳もそのAからBに直すというときに、いわゆる課税台帳には、大体「沿革」とか「事由」という欄がございますけれども、何と書くのですか。その所有権の移転の経過、いきさつは全く不問に付す、こういうことですか。
#229
○佐野説明員 お答えいたします。
 課税台帳の方には「事由」という欄もございますので、これにつきましてはそれぞれの登記所において登記をされております。その移転の事由なり何なり、そういうことを課税台帳においても記載をすることになるのではないかと思います。
 なお、本件の場合につきましては、これはあくまでも登記所の方で登記簿を新たに移記されましたので、そういった事由があるということで課税台帳の方にも記載をされておるのではなかろうかというように推測をいたしております。
#230
○橋本(文)委員 本来ならば売買とか相続という移転の経過が書かれるけれども、本件の場合には法務省で移記ということでもって違う所有権者がおったからそのまま書いたのじゃなかろうかと思う、こういうわけですね。そうですか。言葉をかえて言えば、それほど登記所の力というか信用力というのは絶大である。もしこれが、市町村の方で課税台帳に登記所で間違った人間さえ載せなければ、所有権移転のときにも課税台帳をとりにいけば、当然おたくのものはありませんと言われる。調べればすぐわかる。ところが、課税台帳はそろっている、登記簿はそろっている、すぐ所有権移転ができるような体制になってしまっている。そういうわけで、今回はめったにないことのようでございますけれども、移記というようなときには、少なくともAという所有者が載っていない場合には、何があったのかぐらい、その形式的な関連性、連絡性を調べるようにしていただければこういうことは絶対防げると思うのです。よろしくお願いいたします。いかがですか。
#231
○佐野説明員 お答えをいたします。
 地方税法の規定におきましても、登記所と市町村の間におきましてそれぞれ通知なり連絡なりする、こういう規定もございますので、お互いに連絡、通知をいたしながら適正な課税台帳の作成をいたしたいと考えております。
#232
○橋本(文)委員 大臣、一言。今お聞きのように窓口の方では随分あるようなことを言っておるのですけれども、局長の答弁ではまずめったにない希有のケースであるというお話なんですけれども、売買という登記があったのは四十二年、現実に移記されたのは五十二年、八年間たっておりますけれども、その八年の間にいわゆる自然保護奨励金というのももらってくる、もちろん課税もされる、控除等がついた、しかも現実にその土地も占有しておる。これがもう少し時間がたてば取得時効という問題も起きてきます。とにかく問題は未然に防げたということで国としては非常にいいと思うのですけれども、たださっき言ったように、窓口の対応の悪さから事がこじれてしまったということ。いかがですか、その辺でこういうミスが絶対に起きないように格段の御配慮をお願いしたいと思います。
#233
○嶋崎国務大臣 ただいま提起された問題、私は余り事例のないことであろうというふうに思っております。と申しますのは、これらの問題については通常はそれに伴うところのいろいろな租税その他の権利関係の動きがあり、またそれについての関連の仕事が動いていくわけでございます。したがって、そういう中でこういう事例があるという話を聞いた例も非常に少ないという現実だろうと私は思っておるわけでございます。しかし、そういう問題が生じないように今後きちっとした整理を続けていくように層一層の努力をしなければならぬということはもちろんのことでございますし、また、コンピューター化を進めるというようなことで従来にない大規模な切りかえというものをやっていかなければならぬ時期を迎えておるわけでございます。今後ともそういう点には精いっぱいの工夫をこらしていかなければならぬというふうに思っておる次第でございます。
 なお、窓口等の取り扱いが非常に問題があるとするならば、いろいろ法務局関係の出先の取り扱い、特に登記関係については論議の多いところでございますので、今後十分そういう点については気をつけて運用をさせていただきたいと思っております。ただ、今度の法案を通過をさせていただいたことで登記関係の皆さん方は、ある意味では非常に気合いを込めて仕事をしているという話を聞いておるわけでございまして、今後そういう点については層一層気持ちを充実をさせてやってくれるものと期待もしておる次第でございます。
#234
○橋本(文)委員 終わります。
#235
○片岡委員長 三浦隆君。
#236
○三浦(隆)委員 本日は、指紋押捺の問題についてお尋ねしてみたいと思います。
 実は、先月末ですが、日韓議連の打ち合わせでソウルに行ってまいりました。その際、向こうの外務大臣あるいは日本の大使あるいは民正党の盧代表、新民党の金副総裁、大勢の方々と打ち合わせということで、いろいろな意見を交換させていただきました。ただ、そのときちょっと気になりましたのは、もしか指紋の問題がこじれると、八月十五日にソウルの日本大使館が占拠されるというふうな事態が起こるのではないかということを大使館が心配していたということでございます。何とかこの問題、関係当事者いろいろと御苦労されていることでありますが、ぜひ善処をお願いしたいと思います。
 実は、七月、八月、九月という大量の指紋押捺の切りかえにだんだん日にちがかかってまいりまして、これに対応して五月十四日付での法務省からの通達その他も出されているわけです。実は、これは六月三日の私の地元の神奈川新聞なんですが、そこで伊藤川崎市長、長洲知事、細郷横浜市長の三人の指紋押捺に対します記事が書かれているわけです。ここで伊藤川崎市長は、「韓国・朝鮮の人たち」は「戦前・戦中、戦後を通じ川崎市民として生活し、働いてきた。小、中、高も日本人と一緒、成人式も市長の高齢者訪問も差別なしに行ってきた。そんな人たちに指紋を押させるのは忍びないこというふうな発言から、「外登法の委任事務はもともと自治体にはなじまないと思うんです。窓口での指紋の確認、さらに通達では一カ月ごとに拒否者を説得しろ、という。こんな事は実際無理な話です。」というふうに述べておりました。長洲知事は、「指紋押なつを強要し、外国人に不愉快な思いをさせている現行制度は、どうみても行き過ぎのようだ。」あるいは「通達にしても、現実にその通り市町村が対応できるとは、事務能力からみて考えられない。」また細郷横浜市長は、この指紋押捺については「県の一元的な指示に基づき行うべきものと考えている」と述べまして、「今回の政令改正と通達の内容では、なお問題があるように思われますので、再度、県下一体となって国へ早期改正を要望していきたいと考えている」というふうに述べているわけでございます。
 そこで、この問題に絡みまして、実は五月二十三日付で、在日韓国人関東地区大会というのが開かれました折に、法務大臣あて、安倍外務大臣あて、それから東京都知事あてにそれぞれ抗議文、要請文、要望書というのが出されております。少し文章が長いのでございまして恐縮なんですが、一応読ましていただき、関係の皆さんからのお言葉をいただきたいと思います。
 まず、法務大臣あてなんですが、
     抗  議  文
  法務省は去る五月十四日、指紋押捺制度の「運用改善策」なるものを発表した。この運用緩和策と稻するものは、現行法より更に後退した改悪であり、外登法の本質に何等触れることもなく、世論の批判を無視し、欺瞞に満ちたものである。依ってここに強く反対、糾弾するものである。
 一、外登法改善の決議をした地方議会や、押捺拒否者を告発しないとした地方自治体の良識に対する強権の濫用は、在日韓国人の人権を軽視する暴挙であり、決して許されるものでない。
 一、拒否者に対する登録済証明書発給の曖昧さとその内容の無意味さは、生活権に対する著しい侵害であり、且つ差別に基づく民族的弾圧であると認められる。よって憤怒の念を禁じ得ず糾弾するものである。
 一、指紋押捺は、回転であろうが平面であろうが、或いは黒インクが薬品に代ろうが、更には一回だけ捺印するんだという画策を含めて指紋が強制的に採られる事自体が屈辱であり人権侵害なのである。従ってこれは全く、何らの抜本的改正になっていないと断言するものである。
  我々は在日外国人の基本的人権と生活権を守るために強く抗議するものである。我々が要求している指紋押捺制度撤廃は、国際人権宣言や憲法の精神に則る人間尊重と生活権擁護のための「人間解放」を目指す闘いであることを宣言する。
  われわれは、総力をあげて指紋押捺制度完全撤廃を獲ち取るまで総「拒否」も含めてあらゆる手段と方法を駆使し、徹底的に闘い抜くことを大会の名において宣言し、日本政府に強く抗議するものである。
こういう内容でございますが、法務大臣の御見解を承りたいと思います。
#237
○嶋崎国務大臣 ただいま三浦議員からのお話でございます。
 五月十四日に、従来指紋制度を含む外国人の地位及び待遇の問題についていろいろ論議をしてきた経過を踏まえまして、回転指紋を平面指紋に直し、特殊の印刷用紙を使って余り手を汚すことなく指紋をとれるという意味で心理的な負担を軽減をし、かつまた全国で三千五百余ある市区町村の皆さん方にこの問題の整理をやっていただくということで考えまして、十四日ぎりぎりというような考え方で問題を整理をして、その運用のやり方等につきまして入管局長名の通達を出したわけでございます。我々としましては、それなりに精いっぱいの努力をしてこの問題の解決に努めてきたという気持ちを持っておるわけでございます。
 そういうところに今二人の神奈川県の関係の皆さん方の御発言がありましたけれども、私たちはこの指紋問題を考える場合に人権侵害であるとかいう感覚は全く持っておりません。残留指紋をとる証拠というのを考えてみましても、回転指紋を今度平面指紋に直す、一対一で対応してもらうというような考え方から見ますと、それが犯罪捜査その他に関連するものであるというふうには思っておりません。かつまた、諸外国の例等におきましても、全くこういう制度をやってないというのはごく特殊な例のところでございまして、やはり必要なときにはそれをとっておるという実情もあるわけでございます。そういうことを考えてこの制度の改正をやったわけでございますから、このお三人の物の考え方についても非常に異論があるところでございます。人権侵害であろうと初めから決めてかかられたり、過去もそうでありましたけれども制度の改正をやっているから指紋をやらなくてもいいというような諭理が高唱されたり、今後も確かにその地域にずっとお住まいである皆さん方、十分そういう気持ちを受けて我々も過去、地位、待遇の問題について努力をしいろいろ工夫をしてきた経過もあるわけでございまして、そういう発言については必ずしも賛成できない、私どもとは考え方が違うなという感じを持っておるわけでございます。
 いろいろな意味で問題を取り上げられそうでございますけれども、当時からも申し上げておりましたが、この問題につきましては五十七年の改正があり、その改正の内容もどちらかというとある程度緩和的な措置を講じたという経緯もあるわけでございます。そういう中で法案が通過をしまして、その後から実は指紋問題が大きく取り上げられてきたというのは私たちも大変遺憾なことであると思っておるわけでございます。
 いずれにしましても、そういう経過の中で今日に及んだわけでございますので、在留の外国人の皆さん方に今度の改正の趣旨というものをよく理解していただきましてぜひとも御協力を賜りたいと思いますし、また関係の市区町村の皆さん方にも、我々の気持ちを受けまして通達の趣旨にのっとった整理をぜひ協力をしてやっていただきたいと心から思っておる次第でございます。
 次に、この抗議文の問題でございます。
 私はこの抗議文の中を読みまして、我々の感覚と随分違うなということが非常に多うございます。少し時間をかけて御説明させていただきたいと思います。
 まず、抗議文の一番初めにあります「現行法より更に後退した改悪であり、外登法の本質に何等触れることもなく、世論の批判を無視し、欺瞞に満ちたものである。」この点は我々の感覚とは全く違います。私はこういう意識でもって指紋問題を全く考えていないということをここで断言してはばからない者の一人であるわけでございます。
 二番目に、「外登法改善の決議をした地方議会や、押捺拒否者を告発しないとした地方自治体の良識に対する強権の濫用は、」云々と書いてあります。地方議会の中でもそういう決議をして上がっておるのが相当数あることを私は認めます。認めますけれども、五十七年の改正をした趣旨というものを本当にどこまで御理解していただいておられるのかということについて、私はある程度疑問を持っております。しかし、そういう論議は別にいたしましても、そういうことについて強権の乱用をしたというような気持ちは全然持っておりません。
 三番目に、「拒否者に対する登録済証明書発給の曖昧さとその内容の無意味さは、生活権に対する著しい侵害であり、且つ差別に基づく民族的弾圧であると認められる。」と書いてありますが、この点についても私は全く意見が違います。
 次に、「指紋押捺は、回転であろうが平面であろうが、或いは黒インクが薬品に代ろうが、更には一回だけ捺印するんだという画策を含めて指紋が強制的に採られる事自体が屈辱であり人権侵害なのである。」我々は、この制度をできるだけ解決したいというつもりで、本当に五月十四日ぎりぎりまでいろいろな努力をやってきたつもりでございます。そういう中でこういう論議があることは、少なくとも私たちの意図は全く理解されないし、そもそも指紋押捺そのものを全廃しなければあらゆることについて反対でありそれが人権侵害であるということならば、我が国の法律に対するこれらの皆さん方のお気持ちはどこにあるのかというのは私は理解できないところであるというふうに思っておるわけでございます。したがって、これは「何らの抜本的改正になっていないと断言する」という感覚とは全く違う感覚を持っております。
 次に、「我々は在日外国人の基本的人権と生活権を守るために強く抗議するものである。」という感覚ですが、そういう問題として指紋問題を考えられるべきではないというふうに私たちは思っておるわけでございまして、そのことはまた逆に、「指紋押捺制度撤廃は、国際人権宣言や憲法の精神に則る人間尊重と生活権擁護」には反するものであるということを書いてありますけれども、私は日本の憲法についてこれを守っていかなければならぬという気持ちの非常に強い人間の一人であると思っておるわけでございます。かつまた、国際人権宣言や憲法の精神に反するという物の考え方につきましては、既に裁判等においても議論されておりますし、国際人権宣言に反するものであるというふうには思っておらないわけでございます。
 最後に、「われわれは、總力をあげて指紋押捺制度完全撤廃を獲ち取るまで總「拒否」も含めてあらゆる手段と方法を駆使し、徹底的に闘い抜くことを大会の名において宣言しこと書いてあるわけでございます。私は非常に残念なことであると思います。それぞれの国には長い歴史というものがあるわけでございます。指紋制度を含めて在留の外国人の皆さん方の地位及び待遇の問題については我々もそれなりに真剣に考え、過去の歴史というものがあるわけだと思います。そういう中でいろいろな制約もあろうと思いますけれども、努力の結果、ともかく世界に類例のない話だと思うのですけれども、特殊の用紙に工夫をしてそれの上に平面の指紋を押していただくというようなことをやりました。七月一日からの大幅な切りかえを前にぎりぎりこの対策を打ち出した私たちの気持ちというものも在留の外国人の皆さん方によく御理解を願うとともに、ぜひ自治体の皆さん方もそういう気持ちを受けて仕事をやっていただきたいということを思うこと切なものがあるというのが私の現在の気持ちでございます。
#238
○三浦(隆)委員 次に、実は外務大臣にお答えをいただきたいのですが、お見えでありませんので、事前に外務省に要請文をお渡ししてあります。その際に、この要請文をお読みいただいて外務大臣としてのお言葉をいただきたいというふうに言ってありますので、初めにその要請文を読ませていただきます。
  われわれ在日韓国人は今日、国際人権宣言の基本精神に則り、われわれ自身とわれわれの子孫のために「指紋押捺制度撤廃」を強く要求するものであります。
  韓日新時代の新しい歴史的転換期を迎え、又韓日国交正常化二十周年を韓日両国々民が共に祝賀すべき時に当り、韓日両国の真の親善のためにも過去の不幸な汚辱の歴史を清算することが緊要であります。
  国際化を標榜し人権擁護を唱えている日本政府は、指紋押捺制度そのものが既に形骸化しその必要性が実質上無くなっているにも拘らず、運用緩和策なるものを押しつけようとしています。
  われわれはその法務省通達を欺瞞に満ちた「改悪」であると断定し、抜本的改正への誠意ある対応を求めるものであります。
  今日、ここに参集した関東在住の韓国人は屈辱的なこの制度を今この瞬間よりわれわれの子孫に強要することを拒み、その完全撤廃を勝ち取るまで総「拒否」も辞さぬ覚悟を宣言するものであります。
  「いわれなき差別」と「屈辱の烙印」であるわれわれの指紋押捺撤廃運動のやむにやまれぬ心情に深いご理解を賜わりたくここに強く要請する次第であります。これにつきましての外務大臣のコメントをお願いしたいと思います。
#239
○渋谷説明員 指紋押捺問題につきましては、外国人登録法は昭和五十七年に……
#240
○三浦(隆)委員 それはあなたの個人のですか。外務大臣のコメントですか。
#241
○渋谷説明員 はい。
 指紋押捺問題につきましては、外国人登録法は昭和五十七年に改正されたばかりであるという事情はございますが、内外の諸般の情勢を踏まえて関係省庁間で鋭意検討を重ねてきた結果、先般、早急に実施可能な運用上の問題について政令改正等の措置がとられた次第でございます。この点につきましては、先般の日韓間の非公式意見交換におきましても日本側より説明してきたところでございます。
 いずれにせよ、日本は法治国家でございますので、現行法令は守られる必要がございます。
 なお、在日韓国人の待遇問題一般につきましては、より長期的に諸般の情勢を踏まえて、我が国の自主的立場から研究、検討が続けられるべきものと考えております。
#242
○三浦(隆)委員 次に、東京都知事あてに要望書が出されております。これもあらかじめ自治省の方にお渡ししておりますので、先に要望書を読ませていただきます。
     要  望  書
  今日、世界大都市サミットを主催されている貴東京都知事は、国際社会に於ける相互理解と相互協力を訴えておられます。国際親善こそは内外国人平等の原則に立つ差別の撤廃が基本である点に鑑み、我々在日韓国人は、指紋押捺制度の廃止を強く要請するものであります。
  法務省の通達は問題の解決、改正に逆行するものであり、その内容は在日同胞全体に対する生活権の侵害及び民族差別に基づく弾圧ともいうべきものでありました。
  外登法の抜本的改正は、もはや時代の趨勢であり、歴史の要求であるといえます。
  貴知事に於かれましては、今回の通達が在日外国人の生活と生存権を脅す内容であることをご指摘になり地方自治の本旨を貫いて下さるよう強く要請致します。即ち、
  住民の福祉の向上と人権擁護をモットーに制度の抜本的改正に積極的役割を果されることを要望致します。
  更に、各市区町村への指導権を有する「都」として世論の正当且つきびしい批判を考慮され、今回の通達が窓口行政の混乱を招くおそれが有る旨関係機関に働きかけて下さることを重ねて要望致します。
  現在、自らの良心の宣言として押捺を拒否し、悪法撤廃を叫んでいる二百数拾名の拒否者の心情を御理解いただき、関東在住在日韓国人代表五千人の名において誠意ある対応を切に要望する次第であります。
要望書はこのとおりになっておりますが、自治大臣のコメントをお願いしたいと思います。
#243
○小川説明員 お答えいたします。
 先生ただいまお読みになりました要望書でございますが、この内容を拝見いたしますと……
#244
○三浦(隆)委員 恐れ入りますが、それは自治大臣のコメントですか、あなたの見解ですか。
#245
○小川説明員 これは提出先が東京都知事ということになっております。自治省としてのコメントでございます。よろしゅうございましょうか。――この内容を拝見いたしますと、法務省で所管されております外国人登録法によります指紋押捺制度を廃止せよというような内容になっております。したがいまして、この問題につきましては、その所管省でございます法務省におきまして検討していただくということが適当であろうかと思います。自治省として直接これに対してコメントをする立場にはないわけでございます。ただ、内容の中に、窓口の混乱云々という箇所がございます。この点につきましては私どもも強い関心を持っておりまして、市町村の窓口等におきまして混乱が起きないような御指導をお願いしたいということを法務省の方にもお願いしているわけでございまして、私どもといたしましても、市町村行政におきまして混乱が生じないことを切に願っているわけでございます。
#246
○三浦(隆)委員 それぞれに対しまして大変詳しいお答えをいただいたものですから、この五月十四日付の通達についていろいろ質問条項を準備しておりましたけれども、実はほとんど時間がなくなっております。二、三の主要点についてだけ質問を続けたいと思います。
 五月十四日付の法務省通達が出されたわけですが、出された後、指紋押捺を拒否されている人が出ている。また同時に、この通達が出されているにもかかわらず、通達を無視された形で証明書が出されているという事実があるわけです。
 新聞ですので、私、確認をとっておりませんが、新聞によりますと、通達を受け取った後、拒否者に対して新登録証を交付したのは、横浜、川崎、京都、大阪、豊中、八尾、津の各市というふうになっております。また、横浜市の鶴見区と戸塚区では二十二日に、川崎市では二十四日に、拒否者に今までどおりの登録証が交付されているというふうに書いてございます。また今後のあり方について、川崎市では三十一日に、当分の間従来どおりの方針で登録証と証明書を発行するとの態度を決めた、その理由は、一つ、七月から十月までに三千五百人の更新者がいる、二つ、通達どおり三カ月間説得することは物理的に不可能、三つ、指紋照合作業も技術的に無理で、通達は混乱を招く、こう言っているわけでございますが、こうした通達が出されながらなおかつ守られていない、あるいはこのことによってむしろ混乱が広がるかもしれない、こういうことに対して法務省はどうお考えでしょうか。
#247
○小林(俊)政府委員 通達の各地方自治体に対する接到は地域によってまちまちでございまして、現在までの間にほぼ全国にわたって通達が市町村の手に届いたという段階でございます。したがって、現段階におきます取り扱いについて若干のばらつきが生じておるということはやむを得ない状況であろうかと思います。ただ、先生御指摘のような、各自治体が意図的に通達を無視してこれに反する取り扱いを行うことを方針として決めたということは私どもは承知いたしておりません。そのような報告は都道府県から全く受けておらないのであります。もしそれが事実であるとすれば、その点を確認の上その背後にある意図をさらに確かめる、そしてまた、そういった通達に反する取り扱いが今後とも行われるか否かということを確認する必要があると思っております。その上で、必要があれば是正の措置を講ずることになろうかと思いますので、現段階において私どもがそれについて何か行動を起こすということは過早であろうかと思っております。
 なお、先生御指摘の点の中に、三カ月に及ぶ説得云々ということは事実上不可能であるといったような見解を漏らしておる向きがあるということもございましたが、私どもが説得という措置を制度として通達上公式に導入してこれを通知いたしましたのは、現在までの通達の建前からいきますと指紋の押捺拒否が起こった場合には即座にこれを告発するということが建前となっておったのに対して、各地方自治体の側において、そのような措置ではなくてまず説得をもって臨みたい、十分説得の手段を尽くした上で慎重に配慮、対応したいということを表明する向きが極めて多かったということがまず第一、第二に、そういった説得という過程を通じて、実際に一たん指紋押捺拒否の表明をしながらその後意向を翻して押捺に応じたというケースも少なからず存在する、こういった事情を考慮の上通達に含めたあるいは取り上げることとしたのでありまして、もとはと言えばこれは各地方自治体の現状に即した考え方を私どもが取り入れたということなのであります。したがって、この段階において説得というようなことが実際工事務的に行い得ないということをもし言われるとすれば、そういったことの背後にある物の考え方を私どもとしては全く理解できないということになるのであります。
#248
○三浦(隆)委員 自治体の対応というのはいずれこれから明らかになってくるものだろうというふうに思います。とにかく七月、八月、九月というふうに順次この問題が脚光を浴びることになるのだろうと思います。
 さて、五月十四日付「外国人登録事務の適正な運用について」というものが法務省入管局長から都道府県知事あてのものとして出されております。その前文のところでありますが、後半のところに「昨年九月の日韓共同声明の趣旨等を踏まえ、」と書かれてございます。しかし、この通達の文章をずっと見まして、特に日韓共同声明の趣旨といったものが具体的に示されたところは一カ所もないわけでありますけれども、これについてどういうふうになっているのでしょうか。
#249
○小林(俊)政府委員 通達の1項に明記してございます今回の押捺方法の改善は、その改善の過程において昨年の日韓共同声明の趣旨を十分に踏まえて取り得べき措置として実施されたということでございます。
#250
○三浦(隆)委員 外国人一般につきまして――特に天皇のお言葉があり、また大統領訪日の際の共同声明があるということは、ほかの国とは違っているからこそこうした事態があったのだろうと思うわけでして、にもかかわらずこの通達にはそうしたことが全く出ていない。ほかの外国人と何ら違った点がここで見ることができないということが一つ問題なのではないのかというふうに思っております。時間ですので、先に進むことにいたします。
 それからまた、この前文の最後のところに「制度上、運用上の各般の問題点について関係省庁間の協議を通じ検討を重ねている」、また「政府が今国会に外国人登録法改正案を提出する方針を決定した事実はない。」こう書かれております。これで明らかなのは、今国会での改正はしない、これはわかるのですが、「検討を重ねている」と書いてあります。検討をするということは、現行法令をそのまま守っていくというのも一つの検討の結果でしょうし、あるいはまた検討によって法改正なりが行われるかもしれないという道をも開いた言葉だろう、日本語的にそう理解いたしますが、いかがでしょうか。
#251
○嶋崎国務大臣 先ほどお答え申し上げたところでございますけれども、外国人の地位及び待遇の問題につきましては、これをどういうぐあいな制度にするかということは大いに検討しなければならぬ、しかも、それは国内的な事情だけではなしに国際的な事情も十分検討して研究していかなければならぬ、そういうことを申し述べ、かつまた、御承知のように五十七年の改正問題、そういうことがありますから、早急に制度自体を直すのはいかがでしょうか。しかし、この指紋問題を含めていろいろ御論議があるということは私たちも十分承知をしている。また、この日韓の共同声明の中に「引き続き努力をする」というような言葉も入っておる、そういう事態を踏まえまして制度的あるいは運用の面で関係省庁とも十分研究して努力をしていかなければならぬ、これはこの国会が始まったときから私は申し上げてきたところでございます。
 そういう中で、七月の大量切りかえという時期を踏まえまして、そしてこういう回転指紋を平面指紋にするあるいは特殊の紙を使ってやる、それから一斉にこういう通達をやるわけですから、全国同じような気持ちでそれに対応していただきたいという通達、こういう処理をしたというのが現実であるわけでございます。したがいまして、我々は今度の切りかえをそういう案でぜひ処理をしていただきたいという意味で考え方は整理をされておる。また、そのことにつきましては、十四日の閣議の中でも皆さん方の賛同を得まして決めたという経過を持っているわけでございます。
 将来の問題、いろいろな議論がありますが、先ほど外務省からもお話がありましたが、うんと長期的な観点でどうするかという問題は残っておると思いますけれども、何か当面、制度的あるいは運用面で改正するという気持ちは現在持っていないというのが現実でございます。
#252
○三浦(隆)委員 これは横山先生も先日御質問されたところでありますが、今国会に改正しないというのは、これは日本語的によくわかるのですが、検討を重ねていると言う、検討すると言う以上――改正する意思が将来にもわたってなければ別に検討する必要もないわけで、別に現在も将来も改正はしない、極めて明快だろうと思うのです。ところが、特に今国会に限って提出しない、改正しないと限っておりますから、それでさらに検討を重ねるとなれば、これは改正をも含む1将来一つの手段でしょう。すべて、改正と言わぬけれども、改正も一つの検討の中に当然入る、まさにそうでもなければ本当に文章そのものが大変惑わすというか、大変不確実な文章じゃないかな、そう思います。
 それでは、次に「外国人登録上の指紋制度について」の問題なのですが、この通達の文章では二ページ目に当たっております。この文章を読みますと「外国人登録法は、このような見地から、新規登録等の申請に当たって、写真の提出や指紋の押なつを義務づけている」、こう書いているわけです。さて、そうすると指紋の押捺というのは新規登録の際の申請要件とこの文章からうかがわれるのですが、申請要件なんですか、それをお尋ねしたいと思います。
#253
○小林(俊)政府委員 指紋の押捺は、外国人登録証明書の交付の際に行うことを被登録者に義務づけられておるものでございます。したがって、申請の要件ではございませんが、登録証明書の交付の際にその義務が生ずる事項であるということでございます。
#254
○三浦(隆)委員 この文章そのものが大変にあいまいでありまして、普通に読むと、新規登録の申請に当たって義務づけるというから申請の初めに押さなければならないように感じてしまうわけです。ところが、実際の法の文章はそんなことは一つも書いておらぬのです。いわゆる申請のときには指紋は全く不必要なのでありまして、受領するときに指紋を押しなさいとしか書いていないわけです。にもかかわらず、この文章はそれとは違った書き方がされている。だから、よく法律を読んで知っている人ならばそれはおかしいとすぐ気がつきますけれども、わからない人はこの文章だけ読んで、新規登録のときに本当に指紋が法律上も必要なのかな、こう錯覚を起こしてしまうのではないかということであります。すなわち、法律というものを通達によって覆すことができるのだろうか。通達というのは、現行の法律のあるものを変えないで解釈的なものをやるというならともかくとして、解釈から先行しましてむしろ通達で法律を改正してしまってかえってひどくさせてしまっていると、この文章では読み取れてしまうということが極めて遺憾であろう、こう思います。その次には、この指紋押捺制度と諸外国の状況についてお尋ねしたいわけです。
 時間でもございますので短く端的にお答えしていただきたいのですが、日本では年齢十六歳以上に指紋押捺させていますが、諸外国で十六歳以上に指紋押捺をさせている国は何カ国でしょうか。
#255
○小林(俊)政府委員 私どもは四十九カ国について調査をしたのでございますが、世界には百七十ほどの国がございます。にもかかわらず、その調査の対象を限りましたのは、事情が根本的に違う国について調査を行いましても何ら比較、照合の対象とならないからであります。すなわち、一方においては秘密警察が外国人一人一人の動向を監視しておる国がございます。一方においては国勢調査もままならず、人口統計もそろってない国もございます。こういった国の制度を比べてみたところで何の役にも立たないからであります。したがって、私どもが調べました四十九カ国だけについて申し上げれば、十六歳という年齢は必ずしも高い年齢ではございません。数字が今直ちに出てこないのはまことに申しわけございませんけれども、三歳であるとか十二歳、十四歳であるとかいう指紋制度を採用している国がございます。
 なお、数字につきましては後ほど確認の上御説明申し上げたいと思います。
#256
○三浦(隆)委員 次に、一度でなくて五年ごと、それ以上、その切りかえごとに指紋を押させる、そうした国々は法務省の調べたところでは何カ国ですか。
#257
○黒木説明員 正確に制度的にというお尋ねでございますので、法律上それが明記されているという意味で理解いたしますならば、私どもが調べた限りではポルトガルが該当いたします。ただ、中南米諸国その他につきまして、外国人登録証明書が現に三年ごと五年ごとに切りかえられている制度の国の登録証明書を見ますと、いずれも指紋欄がございます。ということは、法律には明記してないけれども、三年目、五年目ごとに指紋を押している国がかなりあるということがうかがわれるわけでございます。
#258
○三浦(隆)委員 かなりあるではなくて、何カ国ございますか。
#259
○黒木説明員 資料を正確に持ち合わせておりませんが、私の記憶では五カ国か六カ国ございます。
#260
○三浦(隆)委員 次に、指紋押捺に対して罰則を科している国は何カ国ございますか。
#261
○小林(俊)政府委員 罰則を科している国も、指紋制度を採用している国にはございます。ただ、ここで申し上げたいのは、我が国の場合には指紋押捺を拒否しても退去事由にはならないあるいは入国を不許可とする事由にはならないということであります。例えば米国の場合には、永住者が永住査証の申請に当たって指紋を押捺しなければ査証が発給されません。また、韓国においては、指紋押捺を……(三浦(隆)委員「説明はわかるので、指紋押捺をしなかった場合の罰則を持つ国は何カ国ありますか、それだけで結構です」と呼ぶ)あらかじめその資料について御要求がございませんでしたので数字がそろっておりません。したがいまして、もし御希望であれば整理の上改めて回答申し上げます。
#262
○三浦(隆)委員 それでは、これも恐らくお答えできないだろうと思います。すなわち、年齢要件あるいは回数の要件、罰則の要件、この日本以上に厳しい指紋押捺制度を採用している国は何カ国ですかと私はお伺いしたかったのですが、恐らく世界で最高だろう、こう思うのです。そうすると、最も開かれた、国際化された時代に向かっていこうという我が国が、言葉とは裏腹に最も閉ざされた国の実情にある、そのことが国内外の批判の対象に入っているのじゃないかということが問題だと思うのです。我々から考えると共産圏のソ連あたりも大変ひどく感じられるのですが、実際にはソ連では指紋は一つもとっておらぬということなのですね。そうすると、何で日本の国が世界のどこの国よりも厳しくしなければならないのだろうか。日本の社会秩序というのは世界の中でむしろ恵まれたぐらいよい状況であるのに、取り締まり状況だけは世界の最先端をいかなければならぬ。これでは、今貿易摩擦その他でも日本はとやかく言われておりますが、これからの日本が生きていく上において極めてぐあいが悪いのではなかろうか。もう少し広い気持ちでおおらかに検討していただけないものかな、そういうことを感ずるわけでございます。
 さらに、告発の問題からあるいは登録済証明書の取り扱いの問題、いろいろとお尋ねしたいのですが、本当に残念ですが時間がございません。
 そこで、我が党の指紋に対する見解書、二回目でございますが、出されておりますので読ませていただきまして、法務大臣の御見解を承りたいと思います。
   在日外国人の指紋登録制について
            民  社  党
  在日外国人に対する指紋登録制は、虚偽登録の抑止等の観点から、昭和三十年以来実施されてきているが、指紋押捺の義務づけは犯罪人に似た取扱いであるとして在日外国人の間に反対意見が強く、指紋押捺を拒否する事例が増えてきている。
  このため、わが党は、在日外国人の人権保障とわが国の公共の福祉の要請とを調整する見地から、指紋登録制がこれまで果たしてきた役割及び諸外国の実態をふまえ、左記の骨子からなる指紋登録制の改革に全力を傾注する。
 一、在日外国人の指紋登録制は、人権保障の見地から抜本的な改廃をめざし、国際的な制度改正に向けてわが国としても積極的に貢献してゆくこととする。
 一、当面、わが国における在日外国人の指紋登録制については、国際慣習による相互主義の原則を適用することとし、外国に居住する日本人に対して指紋押捺を強制していない国の国籍を有する在日外国人については、指紋登録制を激発する。
 一、日韓地位協定(協定署名における法務大臣声明の趣旨を含む)に基づき、永住資格を有する在日韓国人については、わが国に居住するに至った歴史的経緯等にかんがみ、日本人に準ずる者として今後、指紋押捺及び外国人登録証明書の常時携帯は不要とする。
  なお、上記の制度改正は速やかに実現することとし、その間、自治体及び法務・警察当局は、指紋押捺拒否者に対する告発、逮捕等の措置について慎重を期すべきである。
以上でございますが、大臣の御見解を賜りたいと思います。
#263
○嶋崎国務大臣 ただいまの民社党の御意見、拝聴させていただきましたし、かつて一部新聞でも承知をしているわけでございます。引用の言葉で使われておりますけれども、外国人がそう思っておられるということで何か人道的な理由というような頭を冠しておるわけでございますけれども、私たちはそういう感覚でこの問題を処理しておるつもりは全然ありません。また制度の改正につきましても、既に先ほど来もいろいろ議論もありましたように、過去いろいろな検討をした結果今度の五月十四日の改定になったわけでございまして、そういう点を十分理解をしていただきたいというふうに思っておるわけでございます。そういう考え方で事柄を整理をしたわけでございますので、いろいろと御意見としてある点につきましては民社党の意見として今後それを承っておきたいというふうに思っておる次第でございます。
#264
○三浦(隆)委員 民社党の見解につきまして、今のとおりなんですが、私の当面のこの問題についての考え方を一言述べさせていただいて終わりにしたいなと思っております。
 とにかく国際化社会の中で日本が孤立化しないように何とかうまくやっていかなければならない。特に隣国との関係を踏まえてうまくやっていかなければならぬだろうというふうに感ずるわけです。そこで、法務省としての見解がとにかく法改正はしないということですし、通達を出されて一生懸命法務省なりに御努力をされたと思うのですね。しかしこれで解決がつくものともとても思えないと思うのです。
 そこで、法改正に向けましては、いつも言うのですが、法の趣旨は身分関係と居住関係を明らかにするということにありまして、指紋押捺はそのための手段にすぎない。にもかかわらず、指紋押擦をさせることが目的であるかのように思われておりますので、それをぜひお改めいただいて、あるいは現に指紋をコンピューター化させて明らかにするのも一つかもしれませんけれども、別に何らかの方法を鋭意御検討いただいて指紋押捺以上に身分関係、居住関係を明らかにする方法が他にあり得るものならば、今やまさにキャッシュレスの時代のそういうカードもいろいろとできていることですからぜひ御検討いただいて、その時点で法改正を行っても決しておかしくないではないだろうか。まずこれが一つです。
 そして、それまでの間、当分の間といいましょうか、この通達の中に保証人二人の陳述があれば証則書の発行ができるというわけですから、これをひとつ有効に活用していただいて当分の間その証明書を発行していただく、そしてその当分の間発行されたその証明書はいわゆる正規の証明書とみなすというふうに決めていただければ不安を感ずる人もずっと少なくなってくるのじゃないかというふうに思います。最後に一言これをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
#265
○嶋崎国務大臣 当初来御説明申し上げておりますように、指紋をとることだけが目的であるというような感覚ではおりませんでございまして、在日の外国人の地位及び待遇の問題として、その一環の問題としてこの問題が存在をするんだという感覚でこの問題を考えておるわけでございます。
 それから、最後の提案がありましたけれども、御意見として承っておきますが、私たちはこの大量切りかえを目前にしましてできるだけの努力をしまして五月十四日の改正というものをやった次第でございますので、そういうことでぜひ在留外国人の皆さん方の御協力も得たいし、関係のこれを処理していただく自治体の皆さん方の御支援を賜りたいと思っておる次第でございます。その余の提案の問題につきましては、かえってこういう重要な時期でございますから今検討するという気持ちはありません。
 さきに加えまして、何か制度的な改正の問題について先ほどお話がありましたけれども、御承知のように人道的な理由が一つ、もう一つはそういう制度を検討しているからだから指紋は押せないんだというような二つの論議で指紋押捺を拒否されたという経緯もあるわけでございます。先ほど来長らく御説明をしておりますが、そういう意味でただいま新たなそういう制度改正なり運用の改善をこれ以上やるつもりはないという非常にはっきりした気持ちで対処をしなければいけないと私は思っておる次第でございます。
#266
○三浦(隆)委員 質問を終わります。
#267
○片岡委員長 柴田睦夫君。
    〔委員長退席、森(清)委員長代理着席〕
#268
○柴田(睦)委員 私は、いわゆる統一協会の問題
 宗教法人の隠れみのをつけた韓国製の反共謀略集団であるというふうに私は考えておりますが、その親泣かせの原理運動あるいは怪しげな集団結婚、こういう問題でマスコミでも報道されました統一協会、勝共連合というのは、現在もなお一層巧妙に違法な訪問販売や正体不明の団体の名前を使って難民救済などいろいろな、いわばありとあらゆる名目の募金活動などで資金集めをして反共謀略活動に狂奔し、そしてまたそこで集めた金は教祖の文鮮明に献金する、こういうことをやっているわけです。
 彼らの違法行為の一端というのは、さきの当委員会でも明らかにされましたように、元最高幹部の一人であった副島嘉和、こういう人によって暴露されております。彼は「文芸春秋」に出たわけですけれども、「資金カンパ、歳末助け合い募金、印鑑、大理石のツボ、多宝塔の販売などによって、金集めに狂奔している実態は、宗教法人の宗教活動の域を、はるかに逸脱している。」こういう「文芸春秋」の記事があります。
 そこで、元「世界日報」幹部でありましたこの副島嘉和という人が、勝共連合の理事長であります梶粟玄太郎らによって暴力的に「世界日報」から排除された事件がありました。これは、五十八年の十月の初めです。警視庁は、昨年の六月十二日にこの事件の被告訴人五人を暴行、傷害及び暴力行為等処罰ニ関スル法律違反ということで東京地検に送付したというように、国会で報告されております。その後、東京地検はどう処置されたのか、まずお伺いします。
#269
○筧政府委員 御指摘の事件につきましては、東京地方検察庁が警察から送付を受けまして、その後関係者の取り調べ等所要の捜査を続けているところでございます。現在、なお捜査を継続中でございまして、できるだけ早い機会に最終処理がなされるものというふうに考えております。
#270
○柴田(睦)委員 ところで、これはもう事件が発生して一年以上になるわけです。そして、この事件というのは、当時国会でも指摘されましたように警察官が見ている前で行われた事件である、送検されて半年たっている。そういう状況の中でどうしてこんなに時間がかかるのか、お伺いします。
#271
○筧政府委員 告訴人あるいは被告訴人等多数でございますし、事実もたしか三つぐらいに分かれておったかと思います。この事件につきましても、現在所要の捜査を続行中ということしか申し上げられませんが、一般的に申し上げまして、傷害事件等につきましてもその背景、動機あるいはその他の関係事実を調べるのに手間を要することもございますし、あるいは事件によりましては、双方の言い分がいろいろな点で食い違っておるというような場合もあるわけでございます。この事件につきましてどうということではございませんが、傷害についてなお今後引き続き捜査が必要であるということで、今鋭意捜査を継続中でございます。
#272
○柴田(睦)委員 何しろ警察官が見ている前での事件であるということから考えてみて、そしてちゃんと告訴もなされて、五人だけですけれども、送検されている。それから一年たつ。今日までまだ捜査中。確かに、事件によっては時間がかかるのもあるかと思いますけれども、そんな事件じゃないと思うわけです。そういう意味で、これはちゃんとけりをつけるようにすべきであるということを申し上げておきたいと思います。
 この事件にも関連すると思いますけれども、今度は、昨年の六月二日に世田谷区の路上で副島嘉和という人が刃物様のもので刺されてけがをしたという事件について、これは警察が捜査をされておりますけれども、この犯人の検挙はどうなっておるでしょうか。また、この事件ももうちょうど一年以上になるわけですけれども、どういうことになっているのか、お伺いします。
#273
○藤原説明員 御質問の事件の捜査状況でございますが、警視庁におきましては、ちょうど昨年の六月二日でございますが、午後八時四十分過ぎに事件が発生いたしたようでございますが、被害直後に一一〇番通報によりまして事件を認知いたしまして、直ちに現場付近の検索、聞き込み、その他関係者からの事情聴取などを進めているところでございますが、目撃者などの発見も困難な状況にございまして、引き続き容疑情報の収集など、必要な捜査を現在継続しておるという状況でございます。
#274
○柴田(睦)委員 そうしますと、犯人のきっかけがない、いわば迷宮入りになるような捜査状況ということでしょうか。
#275
○藤原説明員 昨年来、強力な捜査を続けておるわけでございますが、現在の時点では、なかなかこの犯人に関するような情報その他がないという段階でございます。
#276
○柴田(睦)委員 重大事件ですから、やはり厳重な捜査を要求しておきます。
 警察庁の方はもう結構であります。
 次の問題ですが、これまで、国際勝共連合、統一協会、インチキ的な資金集めの数々が当委員会でも取り上げられてまいりました。四月二十九日の共産党の「赤旗」では、さらに新しい手口が使われていることが暴露されております。「赤旗」によりますと、統一協会の直属組織であります一心病院、これが事実上の主催者でありながら、このことを隠して、「ガン予防友の会」という、そういう名称の団体をつくって、全国縦断マラソンなどのイベントを企画いたしまして、これもやはり資金集めをしているわけです。きょうは詳しく触れることはできませんけれども、「ガン予防友の会」というのは、がんの超早期発見が可能になったとか、ついにがんの予防が可能になったとか、これはもう独禁法に違反すると思われるような誇大な宣伝をして集団検診を進めるという悪質な行為をしております。この中心人物というのは、一心病院の副院長であって、ホリスティック・メディカル・クリニックという病院の院長でもあります大林常雄という人物で、これは本名は小林常雄というのですけれども、文鮮明の指示によって大林と名乗るように指導されたと言われる男であります。こういう点から見まして、これは統一協会ぐるみの詐欺行為と言っても決して言い過ぎではない、組織的悪徳医療であるというように私は思います。彼らは、この方法で資金集めをするために、マスコミの利用を図りまして、朝日新聞やNHKなどを通じて「ガン予防マラソン」と銘打ったチャリティーマラソンの報道をしてもらいまして、がんに苦しむ国民をだまして、不当な寄附などの名による金集めをしてまいりました。
 幸いにして、「週刊文春」の記事から見ますと、「朝日新聞」は、背後に統一協会があるということがわかった、それで取材を控えたとしてキャンペーンを現在中止したということであります。
 NHKにつきましては、昨日私、直接担当者にただしましたところ、「赤旗」の報道もあって調べたところ、やはり不透明な部分もあるので、今後この問題については報道は差し控える、こういう回答でありました。これらのマスコミの措置は、報道は公正を期さなければならないという点から見ますと非常に適切な措置であったと思うわけであります。この問題は根が非常に深いし重大な問題を含んでおりますので、いずれ機会を見てたださなければならないと思っておりますが、きょうは問題の指摘だけにとどめておきまして、こういう事実があるということも、大臣、ひとつ念頭に入れておいていただきたいと考えます。
 さらに、今度は四月五日、アメリカのカリフォルニア州レッドランド市で日本人統一協会員が訪問販売中に殺害されるという事件が発生しております。事件の概要につきまして外務省が把握している事実をまずお伺いしたいと思います。
#277
○池田説明員 御説明申し上げます。
 私ども、米国カリフォルニア州のサンバーナディノ警察署から得ました情報によります事件の概要でございます。
 事件は、四月五日午後八時二十分ごろ、サンバーナディノ市のグリーンスポットという通りで、通りかかりましたトラックの運転手が若い東洋人と見られる女性の死体を発見した。所持品とか服装から身元調査したところ、捜索願が出ていた小松真弓さんであることが四日後に判明した。それで、この方は統一協会に所属しておられまして、昨年秋に渡米され、四月五日、同教会の資金寄附金集めの一環としてイースターエッグを売るために仲間数名とともにレッドランド市に到着、同日午後六時三十分ごろ一人で戸別訪問した訪問先で容疑者デービッド・スプーナーという人の宅内に引っ張り込まれまして、ライフルで頭部を殴打されて殺害された。その後、容疑者は車で死体を運び出し、先ほど申し上げました路上に遺棄した。それで、容疑者は四月十日、身元が判明した次の日でございますけれども、逮捕され、婦女暴行及び殺人罪で起訴され、現在留置所に収容されておりまして、裁判は今月の六日に開始の予定。これが私ども、警察署から聞きました事件の概要でございます。
#278
○柴田(睦)委員 それではもう一つ尋ねますが、この被害者の遺体引き取りの関係については何らかの措置がなされておりますか。
#279
○池田説明員 御説明申し上げます。
 私ども、四月十一日に現地総領事館を通じてこの事件の事実概要をアメリカ側に照会いたしまして事実を確認いたしました。その段階で、遺族の方々が至急現地に赴きたいということでございましたので、私ども、旅券の緊急発給を行いますとともに、現地の総領事館の方にも連絡をいたしまして米国の入国査証を早くとれるように側面的に協力するとともに、遺族の方々が現場に行かれたり、それから遺体の処置をされる等のための側面的な協力をさせていただいた、こういうことでございます。
    〔森(清)委員長代理退席、委員長着席〕
#280
○柴田(睦)委員 おっしゃいましたように、結局事件の発端は統一協会の訪問販売、在留資格の点から考えてみましてもアメリカの法律にも触れているはずだと思いますが、いわば違法な訪問販売、これが事件の発端になっていると思うわけです。言われました小松真弓さんはそう言う点では統一協会の犠牲者でありますし、これをやらせた統一協会の責任は極めて重大だ。アメリカまで行ってやらせている、そしてこういう結果を引き起こす、協会の責任は非常に重大だと思うわけです。
 統一協会の方では自民党の代議士さんも中に入られて善後策を講じておられるやに聞きましたけれども、問題は、宗教法人という名前に値しない、こう断言できると思いますが、この統一協会に対して、反共集団であるために数々の犯罪行為が黙認されるようなことがあってはならないし、やはり犯罪に対しては政府は厳しく対処することをやらなければならないと考えます。この統一教会の問題につきましてはもう過去十年ぐらい前から国会の場で、社会党の委員の方また共産党の議員、合わせますともう数十回取り上げられております。そして、その中では本当に数々の犯罪行為が重ねられている事実が指摘されていながら、今日なお一層それがひどくなっている。こういう宗教団体はほかには類を見ないというふうに私は見ます。そういう点から、私は、この統一協会がまさに宗教団体に値しないということを現実に示しておりますし、解散させるべき団体であるとさえ考えるわけであります。世界のキリスト教会などでも宗教団体とは認められないという声明を発表しております。現にアメリカには文鮮明自身が懲役刑で収監させられているという事実があるわけです。
 外務省が今言われました事件が発生いたしまして、被害者父母の会には、娘さんがアメリカへ連れていかれて音信不通になっているという符崎市の方からの連絡を初め多くの父母から、息子や娘の安否を気遣って、居所を知りたい、会わせてほしいが何とか手は打てないか、こうした問い合わせが殺到していると聞いております。ちなみに、行方不明になっている間に精神異常となった事例、統一協会の修練所で殺害されたといわれる事例、過労で死亡した事例、過去のこういうものを挙げますと本当に限りがないわけであります。原理運動被害者父母の会で判明した分だけでも昭和四十二年から現在までで二十件の死亡者が出ている、こう発表されているわけです。
 そこで、私、法務大臣に本当にやってもらいたいのですけれども、このように多数の死者、精神異常者が出ております団体につきまして、いつもこの問題が出ますと、宗教法人であるから、こういうことを言われますけれども、宗教法人であるということで逃れないで、本当に文部大臣などとあるいは関係機関とも協議していただきまして、この団体あるいはまたそこから出てくるいろいろな人権じゅうりんの問題、犯罪行為、こうしたものに対して厳正な措置をとっていただきたいというように思います。その点いかがでしょうか。
#281
○嶋崎国務大臣 お尋ねの件につきましては、事実の把握状況につきまして警察その他で調査をしておられるのが実情であろうというふうに思うのでございますが、これらの調査の結果、仮に犯罪に関係のあると思われる事実が発見された場合には、捜査当局とよく連絡をとりまして適切に対処していくことが必要であると思うのでございます。また、人権侵害の事実があるというようなことがある場合には、そういう意味でも人権擁護のためにもいろいろな意味で十分な調査を進めてまいりたいというふうに思う次第でございます。
#282
○柴田(睦)委員 やはりこの問題というのは本当に全国各地にあるというように思います。
 私の事務所が千葉にありますけれども、千葉の事務所にもやはりこの問題で、何とか力をかしてほしいということで多くの人から相談が寄せられます。恐らくこの問題に取り組む議員さんのところにはそういう相談が集まっているというように思います。まあ私が経験した例からいいますと、娘が統一協会に入って新潟から千葉に連れていかれたので、連れ戻したい、力をかしてくれ。また、千葉の駅頭でアンケートでつかまって、それからビデオセンターへ連れていかれて原理教に入った、親の知らないうちに退学届を出して行方不明になった、これは未成年の短大生の両親からの話です。また、千葉大医学部の女子学生の両親から何としてもこういう世界からやめさせたい、本当に深刻な訴えを聞くわけです。
 今言いました三つのケースというのは、いずれも未成年のときにつかまって要するに洗脳されてしまったケースであるわけです。勧誘の手口、これも全く同じであります。駅頭でのアンケートで接触してビデオセンターに連れて行って、何回か通わせる、その後修練会に参加させ本格的な洗脳を行っている、これは共通して言えます。この国会でも十年余にわたりましてもう何十回か当委員会の質疑が行われまして、そこで明らかになって、おりますように、統一教会というのはほぼ監禁状態の異常な雰囲気の中で青年を洗脳して全く別人格の人間につくり変えております。政府の答弁は、宗教法人ですから憲法上の問題がありますから、こういうことになるわけでありますけれどもも、この統一協会というのは、その実態を本当に調べてみれば、その実態を底の底まで洗っていけば、私が指摘しておりますように、決して宗教法人と呼べるような団体ではないと思うわけであります。
 きょうもこの議員会館の会議室で全国原理運動被害者父母の会が「人権を剥奪された「統一協会信者を思う親の抗議集会」」を開いております。集会の案内では、「朝日ジャーナル」「文化評論」「東京新聞」など一連のマスコミで信者の実態が邪教として取り上げられ鮮明になったと指摘しておりまして、洗脳で良心、知性を喪失、非人間的となる。インチキ募金、詐欺商売を信仰の自由と表現する。信者はホー、レン、ソウ、これは報告、連絡、相談、これをやらされる。その義務を負って、自主性をなくし、操作されている。それから、健康保険もなく社会保険もない、そういう中で働かされている。生命、結婚の自由もなく、人権は剥奪されて、早朝から深夜まで働きずくめで、したがって、これはもう労働法から見ても法違反、そして住居も不定という状態。肉親との交流がなくて精神的に非常に切迫しておる。いろいろと統一協会に引き込まれた息子、娘自身が人権を剥奪され、違法行為を重ね、生命まで犠牲にしいるその事実を明らかにして、親の側も、家庭が破壊され、本当に親の側の精神的苦痛もはかり知れないものがあることが訴えられております。この会に寄せられたものだけでも二十人以上の死者があって、精神異常者が多数出ていることを先ほど指摘しました。
 ここに一枚のカードがあるわけです。これは誕生カードですけれども、表は文鮮明夫妻の写真、裏には「祝誕生日 死んでも信じ、死んで滅びるとしても信じて滅びよう。 み旨の道」、こういうようになっております。こういうものを見た親は本当にどんなに心配するか。これはもう大臣もその両親の心配は御理解できると思うわけであります。被害者父母の会の願いは、このような反社会的な団体が消滅し、息子、娘がもとどおりの健全な心身を持った人間に戻るということであるわけです。当面の切実な願いとして、本人と連絡をとって会いたいという親と会えるようにする。この会いたいという親の感情が満たされるということが必要であると思います。そういう点で、法務省の人権擁護局にもやはり多くの相談が来ていると思いますけれども、この件数と処置について、ちょっと時間がなくなりましたので、ひとつ簡潔に報告願いたいと思います。
#283
○永井(敬)説明員 先生御指摘のように、啓発機関である人権擁護機関がこの問題にどこまで入れるかというのは難しい問題がございますが、現在人権擁護局では、入信者の父母の方々の御相談を受けまして、入信者と会いたいという要望につきましては人道上もこれはできる限りの努力の必要がある問題ととらえておりまして、東京法務局を窓口にしてその仲介の労をとっておるところでございます。最近の数字を申し上げますと、昭和五十六年八件、昭和五十七年八件、昭和五十八年五件、昭和五十九年十九件、それから、ことしに入りまして現在五月末日まででございますけれども、八件という取り扱い件数が出でございます。これらのものにつきましては、一応入信者と父母の方との面接と申しますか、意思の疎通は図られておるというふうに聞いてございます。
 なお、この窓口につきましては今後も持続いたしまして、人道的な見地からできるだけ父母の方と入信者の方とが連絡がとれるような措置を取り計らっていきたいと考えております。
#284
○柴田(睦)委員 時間が参りましたが、ともかくこれは調べれば調べるほど重大な問題であります。そういう点で、ひとつ大臣に、決意を持って人間を守っていくという立場で取り組んでいただくことを強く要望いたしまして、終わります。
#285
○片岡委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時三十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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