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1984/04/19 第102回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第13号
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1984/04/19 第102回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第102回国会 地方行政委員会 第13号

#1
第102回国会 地方行政委員会 第13号
昭和六十年四月十九日(金曜日)
    午前十時開議
出席委員
  委員長 高鳥  修君
   理事 愛知 和男君 理事 糸山英太郎君
   理事 臼井日出男君 理事 平林 鴻三君
   理事 加藤 万吉君 理事 安田 修三君
   理事 柴田  弘君 理事 岡田 正勝君
      伊藤 公介君    大村 襄治君
      工藤  巖君    小杉  隆君
      坂本三十次君    中川 昭一君
      松田 九郎君    五十嵐広三君
      小川 省吾君    細谷 治嘉君
      山下八洲夫君    山中 末治君
      和田 貞夫君    小谷 輝二君
      宮崎 角治君    吉井 光照君
      藤原哲太郎君    経塚 幸夫君
 出席政府委員
        警察庁長官官房
        長       鈴木 良一君
        警察庁刑事局長 金澤 昭雄君
        警察庁刑事局保
        安部長     中山 好雄君
        警察庁警備局長 柴田 善憲君
        自治政務次官  小澤  潔君
        自治大臣官房審
        議官      土田 栄作君
        自治省行政局長 大林 勝臣君
        自治省行政局公
        務員部長    中島 忠能君
        自治省財政局長 花岡 圭三君
        消防庁長官   関根 則之君
 委員外の出席者
        法務省入国管理
        局登録課長   黒木 忠正君
        外務省アジア局
        北東アジア課長 渋谷 治彦君
        文部省初等中等
        教育局中学校課
        長       遠山 敦子君
        通商産業省機械
        情報産業局自動
        車課長     黒田 直樹君
        運輸省地域交通
        局陸上技術安全
        部技術企画課長 福田 安孝君
        労働省労働基準
        局安全衛生部安
        全課長     長谷川 正君
        地方行政委員会
        調査室長    島村 幸雄君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十九日
辞任          補欠選任
  五十嵐広三君     和田 貞夫君
  佐藤 敬治君     山中 末治君
同日
辞任          補欠選任
  山中 末治君     佐藤 敬治君
  和田 貞夫君     五十嵐広三君
    ―――――――――――――
四月十九日
 重度障害者の固定資産税非課税に関する請願
 (池端清一君紹介)(第三四六四号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四六五号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四六六号)
 重度障害者の電動車いすの速度制限に関する請
 願(池端清一君紹介)(第三四六七号)
 同(梶山静六君紹介)(第三四六八号)
 同(渡辺美智雄君紹介)(第三四六九号)
 個人事業税にみなし法人課税制度の適用に関す
 る請願(越智伊平君紹介)(第三五四三号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
四月十九日
 土地価格の評価替えによる固定資産税に関する
 陳情書外一件(刈谷市議会議長近藤稔外一名)
 (第二八〇号)
 地方財政対策に関する陳情書(松江市議会議長
 野津嘉重)(第二八一号)
 自動車運転免許課税に関する陳情書(高槻市議
 会議長柿本俊夫)(第二八二号)
は本委員会に参考送付された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件
     ――――◇―――――
#2
○高鳥委員長 これより会議を開きます。
 地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山中末治君。
#3
○山中(末)委員 私は、本日、外国人登録法関係等につきまして御質問を申し上げたいと存じます。
 市町村には住民に関する大事な文書類が備えつけられまして、法に基づいて管理され、行政上の業務を遂行しておるところでありますが、過去において私が経験いたしたことでありますけれども、窓口業務を担当している職員が、顔見知りの警察官が私服でやって来られて、住民登録票等が保管をされているビジブルレコーダーを勝手に引っ張り出して見ておられるので、そのときたまたま窓口に来ておられる他の住民から、あの方は役所の方ですか、顔を見たことのない人だが、こういうふうに言われて職員が課長に報告した、それが課長から私の耳に入ってわかったわけですが、その当時私は法律の関係を十分知っておったわけじゃなかったのですが、警察官であっても、資料等を請求される場合には、定められた文書等を提出することになっているはずだというふうに思いまして、所轄の警察署長に事情を聞きましたところ、公文書が要る、こういうことで、その後はあらかじめ文書を提出されて必要な資料等を見てもらうことになったわけであります。
 外国人の登録原票等の閲覧及び資料請求等につきましても、一定の法の定めによる公文書の提出が必要だと思いますが、現在はどのようなお取り扱いをされておられますか、お伺い申し上げたいと思います。
#4
○黒木説明員 外国人登録は、我が国に在留する外国人に関する唯一の公簿としての性格を持っているわけでございます。したがいまして、外国人登録記録、氏名、住所等につきましては、法の目的といたします在留外国人の公正な管理に資するために各方面に利用されているわけでございます。
 ただ、利用されます際に、警察に限らず、福祉事務所とか教育委員会とかその他からもいろいろ照会があるわけでございますが、私どもの取り扱いの上では、公務員から法令の規定に基づき、原票の閲覧請求、原票の写し、その他登録事項について照会があった場合には、これに応じるという取り扱いをしておりまして、一般の人とかそれから本人以外の第三者からの照会についてはこたえない、こういう取り扱いをしております。
#5
○山中(末)委員 それが今おっしゃった中で市町村固有の業務もございますし、外国人登録関係等のように機関委任事務がありますが、その届け出の相手方は法務局へ届けたらいいのか、当該市町村の窓口へ届けたらいいのか、その点ちょっとお伺いしたいと思います。
#6
○黒木説明員 ちょっとお尋ねの趣旨がわからなかったのですが、外国人登録の届け出先ということでございますか。――これは外国人が居住する市区町村の窓口ということになっております。
#7
○山中(末)委員 質問が悪かったかもわかりません。
 今閲覧をされる場合、例えば警察官が閲覧をしよう、その対象は外国人登録法関係の書類を閲覧するのだとした場合に、この外国人登録法というのは機関委任事務でございますから、閲覧の場合、届け出は当該市町村の窓口へ届け出たらいいのか、法務局へ届け出るのか、これを聞いておるわけであります。
#8
○黒木説明員 各市町村の窓口でございます。
#9
○山中(末)委員 ありがとうございました。
 それではお尋ね申し上げますが、昨年一年間でも、一昨年でも結構でありますけれども、この外国人登録法の場合、お手元の方へ、これは警察庁の方でも、法務省の方でも結構でありますけれども、正規の手続をして届け出をしておられる年間の件数というものは全国で何件ぐらいございますか、お伺い申し上げます。
#10
○柴田(善)政府委員 警察は捜査を初めといたしまして、各般の警察活動に必要な場合には外国人の方々の身分を特定いたしますために、法令の根拠に基づきまして登録事項について照会しておるのは、今ほど法務省から御答弁があったとおりでございます。ただ、警察の仕事は多岐にわたっておりまして、いろいろな照会をいたしますが、統計になじまない種類の仕事も多いものでございますので、私どもの方といたしましても、年間に何件ぐらい照会をしておるものであろうかという点につきましては、残念ながら統計がないためにお答えできないという状況でございます。
#11
○山中(末)委員 余り重箱の隅をほじくるようなことはしたくないのですが、実は警察庁の方も法務省の方も既に御存じだと思うのですが、一昨年の十一月に都内のある区役所で、警察官の方がそういう閲覧の法による手続なしに外登法の関係書類を見ておられたということがありました、そういう報告を受けています。
 私が一番初めに申し上げましたように、私も、随分昔の話ですが、三十代のときの話ですが、先ほど申し上げたような経験がございます。これは外登法じゃなかったですが、住民票の写しとかそういう関係でありましたが、そのときに、そういうことについてはやはりプライバシーの問題も非常に大きなかかわりがありますので、正規の手続をして閲覧もしくは資料の請求をする、こういうことで改められたというふうに私は聞いておるのです。その届け出とか請求の文書とかいうことで、今おっしゃったように、これは統計に値しないかもわかりませんね。しかし、実際正規の手続を経て、その市区町村の役場へ行って閲覧をしているのか、また問題がありましたように、適当な方法で書類を出さずにやっているのか、その辺の判断を、その資料がなければつかないじゃないですか。
 私はこの問題については、やはり法務省の方からも正規の手続が要るんですということも聞きましたし、私もそのとおりだと思いますし、今後の問題としまして、これは正規の法律に基づく手続の公文書でございますので、ひとつそういう記録簿もつくっていただいて、いつでもそれが説明できるような状況に置いておくべきじゃないかと思いますが、いかがなものでございましょうか。
#12
○黒木説明員 私どもの方では、市町村に対しましては、例えば電話等で照会がある場合につきましては、単に身分を確認するだけでは身分を偽ってかけてくるという場合もございますので、緊急やむを得ない場合は電話の照会は応じるけれども、必ず一遍電話を切って、こちら側から相手側に電話をかけ直して回答するというように配慮もいたしておりますし、外部からの照会、他官庁からの照会に対しましても、今のような緊急の場合は電話で認めますけれども、原則として文書による照会をしてもらう、これは警察に限らず、教育委員会とか税務署とか福祉事務所とかという場合もすべて同じような取り扱いをしております。
#13
○山中(末)委員 今法務省から御答弁がありました内容については、全くそのとおりだと思います。警察庁の方は、先ほど申し上げましたけれども、これは資料として将来残しておくべきものだ。二年も三年も残す必要はないと思うのですが、せめて一年ぐらいは残しておくべきじゃないかと私は思うのですが、いかがでございますか。
#14
○柴田(善)政府委員 私どもも原則的には文書による照会ということを励行いたしております。ただ、警察の職務の特殊性からしまして、やはり寸秒を争うという場合も間々ございますので、そういう場合は、お許しを願って電話等で御照会を申し上げるということもございます。そのような場合には、後刻また文書をもちまして補完的な手続を行う、このようにいたしておる次第でございます。
#15
○山中(末)委員 私が質問申し上げておりますのは、過去にもいろいろな例がありましたので、そのときには公文書をもって請求をします、こういうことになっているわけですね。これは法に基づいています、後から法に基づいた資料を出していますとおっしゃっても、では全国で何件出しておられるのですか、どこの警察署管内では何件出しておられるのですか、それは統計の資料をとっておりませんということになれば、一体だれが確認しているのですかということに第三者としてはなりますから、そういう資料は、年間どういう件数で、何件ぐらいの問い合わせがあったかということは、過去のことは問いませんけれども、これから資料として保存しておかれるべきじゃないかということを申し上げているのですが、いかがでございますか。
#16
○柴田(善)政府委員 警察が日常行っております諸活動は非常に多岐にわたるわけでございますが、その中には、統計になじむようなものとなじまないようなものがあるということは御理解いただけると思います。
 外国人登録に関します照会を含めまして、各種の照会は警察の諸活動の多くの局面におきまして行われるわけでございまして、多くは確認のために行うという照会になると思いますが、私どもの考えといたしましては、これはやはり統計にはなじまない種類の照会ということになるのではなかろうかな、このように考えておる次第でございます。
#17
○山中(末)委員 どうもすれ違いのような感じがいたしますが、私が申し上げていますのは、どういうもので、いつ、どういう照会をしたかということまで私どもは知らなくてもいいと思うのです。ただ、こういう席上で昨年何件ぐらいありましたかと聞いたときに、それは統計になじまない問題ですから資料としてはございませんということになれば、本当にそういう法に基づく文書を出して、そして今おっしゃったように緊急の場合もありますよ、緊急の場合は後で確認してもらえば、電話でも後で出すということもできるわけですから、そういう協力は市町村もしなければならないということを法律に書いてありますから、協力はしているはずなんですよ。だから、その請求の回数がわからぬということでは、本当にそういう文書を出しておられるのかどうかというと、統計がなければ正しい返事はできないのじゃないか、こういうことを実は申し上げておるわけであります。
 時間もたっていきますので、過去にそういう例もございましたので、私はここで確認させていただきましたが、できる限り、そういう資料としては件数は何件出しているということぐらいは将来は把握をしていただきたいということを要望申し上げておきます。
 次に、外登法の関係ですが、登録原票が各関係市区町村に保管をされているわけです。この保管の状況についてでございますが、まず法務省にお伺いしたいのですが、この登録原票等については市区町村でどういう形の保管をすれば望ましいのか。現在、一般的に全国で行われている保管の状況でいいかどうか、また、保管の方法を改善しようとすれば改善点があるかどうか、あわせてお伺いを申し上げておきたいと思います。
#18
○黒木説明員 各市町村におきましては、登録原票をそれぞれ氏名順とか、場合によっては家族単位に入れるとかというような形で整理保管しております。これにつきましては、堅牢なキャビネットと申しますか、それに入れておりますので、みだりに第三者がのぞけるという状態にはございません。私ども、現在各市町村のおやりになっているこの方式、特段まずい点があるので改良しなければならないというような認識は持っておりません。
#19
○山中(末)委員 ついでにちょっとお聞きしたいのですが、これら機関委任事務につきましては、御承知のように地財法の十条の四ですか、そこで、これは全額国で負担すべきものであるということが明記されております。ただし、実例等によりますと、全額といっても、所定の額以上をその市町村が任意に出す場合はそれまでもとめるものじゃないという実例も出ていますけれども、そういう保管も含めて、これは機関委任事務でございますので、費用の点としては現在までのところで足りていますか。超過負担というものはございませんか。これは平たく聞いてもあれですから、各関係市町村から、そういうものについての費用がたくさん要るという要望はございませんか、お伺いします。
#20
○黒木説明員 外国人登録事務経費につきましては、かねてから超過負担になっているのではないかという声が各方面からございます。私どもといたしましては、最近の例で申しますと、五十二年に実態調査をいたしまして、現実の運用経費がどうなっているかという調査をし、それに基づく是正を行いましたし、五十七年か八年だったと思いますが、人件費の積算方法を改めまして、従前より経費を増額するというような努力も続けております。五十七年に法改正いたしまして、また若干登録事務のやり方が変わった部分がございますので、機会を見ましてさらにもう一度実態調査もして、現実に合った予算措置を講じてまいりたいと思っております。
#21
○山中(末)委員 ありがとうございました。これはかつては、昨年ですが、全国市長会の方からもこの超過負担の解消で決議が出ておりました。
 自治政務次官にお願いをいたしておきたいのでございますが、今御存じのように補助金の切り下げの問題が出てまいりまして、現年度については所定の措置がされているということでありますけれども、起債を発行されてその起債をペイしていく場合に、明らかに元利ともずっと償還されていくのかどうか、あるいは元利償還される充当率が一〇〇%であるのかどうかというふうな問題がありまして、市町村や府県も含めて地方自治体は財政的にはなかなか苦しい状況に置かれていると思います。
 こういう中で機関委任事務というのがございまして、今法務省の方からおっしゃられましたけれども、機関委任事務の中から超過負担が出てこないような措置をとっていただきたいと思うのです。機関委任事務のことですから主として相手様は法務省でありますけれども、都道府県、市町村の側に立っていろいろ考えていただく。自治省としては、今後こういう機関委任事務等もあわせた超過負担の解消に対して御尽力を願いたいと思います。これは要望にとどめておきたいと思います。
 その次に、五年ごとの確認の年、いわゆる外登法の登録がえと言われている問題ですね。聞くところによりますと、ことしの七月から九月ごろまでに大量の切りかえ事務が実施されるのではないかということであります。本省の方からいただいた資料等見てみますと、百四十二カ国で八十四万一千八百三十一名の対象の外国の方が日本にお住みになっている。大阪府下の場合は二十万人以上、東京都かは十四万人以上、兵庫県下は八万八千人以上、愛知県下では六万人以上、京都府下では五万人以上、福岡県下では三万人以上、非常に大きい政令都市を中心にお住みになっているのではないかという感じがいたしますが、五年ごとの確認を受けられる時期を控えて窓口が混乱したりということがないだろうかと心配されている向きもあります。
 それから、最近特にそういう状況が出てきたのですけれども、指紋の押捺はいやですという形で指紋押捺されない方もあるらしいということも新聞紙上等で聞いております。また、それにつれていろいろな五年ごとの確認事務を行わなければならないということですから、従来のままの市区町村の窓口の担当の数だけでは対応し切れないのではないかと私は推測するわけですが、これは突発的に一時的に起こってくる現象ではありますけれども、それに混乱なくして対応していける見通しがございますかどうか、一言お聞かせいただきたいと思います。
#22
○黒木説明員 ただいまお話しのように、ことしは俗に申します登録証明書の大量切りかえの年に当たっておるわけでございます。例年より二十数万人と申しますか、三十万人くらい多い人たちが登録証明書の切りかえをやるわけでございます。ただ、ことしは五年ぶりの切りかえでございまして、法律が改正される前は三年ごとに切りかえが行われておりましたので、市町村の窓口の職員の中にも前回の大量切りかえを経験した人が何人か残っておりまして大したトラブルもなかったわけでございますが、法改正いたしまして確認期間を五年にいたしましたために、最近の市町村の状況を聞いていますと、五年前と配置がえになって経験者がいないというような話も聞いておるわけでございます。
 私どもといたしましては、登録証明書の切りかえを円滑に行いますためには、まず一つは予算措置を講じるということと、事務に習熟してもらうということが必要でございます。予算措置につきましては、ごく一時期に大量に人が参りますので、それに対応するために増員ということは大変難しいわけでございますので、計算といたしましては超過勤務手当という形の積算をいたしております。それから職員のなれといいますか習熟のためには、私どもといたしましては、この五月にブロック単位の都道府県の会議を開きまして、六月にはこれを各市町村におろしていく、そして夏以降の大量切りかえに備えるという手はずを整えております。
#23
○山中(末)委員 予算措置を講ずるということ、研修等を開いて職員の事務処理能力をうまくできるように研修していく、こういうことでございますが、外国人登録事務協議会全国連合会というのがございます。もう御存じだと思いますけれども、全国市長会もでありますが、あそこが指紋押捺廃止、登録証明書の常時携帯及び提示制度の廃止等について決議、要望をしておられます。実際その任に当たっている、外国人登録事務をやっている人から、その連合会からこういうものが出てきている。それから、私どもがお聞きいたしました範囲では、本年の三月末現在で、全国で八百の地方自治体の議会が同じような趣旨の議決をしておられるということを聞きまして、今法務省の方では予算措置も講じるし研修もしたい、スムーズにいくようにしたいとおっしゃっておりますけれども、一方では、実際に仕事をしていただく全国的な団体、連合会やその他地方公共団体の議会がこの指紋の押捺、登録証明書常時携帯等について廃止してほしいのだということを言っておられます。窓口で実際の仕事をやっておる人は困っているのではないかと私は考えるわけであります。
 さて、そういう問題がある中で、この外登法の関係については年々違反といいますかそういうものがあって、送致されている件数も相当あると聞いております。
 警察庁の方へお尋ね申し上げたいと思うのですが、国の方としては指紋の持つ生涯不変、万人不同の特色を利用して登録証所持者の同一性の確認、また登録証の偽造変造、不正発給の防止、また不法入国者、不法残留者の摘発、防止などで指紋の必要性を説いておられるわけでありますけれども、外登法に違反して送致された件数は年間に何件くらいございますか。また、先ほど申し上げましたけれども、都道府県で多いところでは、大阪なんかでは随分多くの方がおられます。二十万人以上も住んでおられるということがありますので、全部の都道府県とは申し上げませんが、大体一番から五番ぐらいまでの都道府県での違反件数、それからその違反された方の国籍別といいますか、そういう資料がお手元にございましたら説明をお受けいたしたいと思います。
    〔委員長退席、愛知委員長代理着席〕
#24
○柴田(善)政府委員 昭和五十八年と五十九年の二年を取り上げて件数等を申し上げたいと思うわけです。
 まず五十八年でございますけれども、違反の態様別には、証明書不携帯が二千六百五件、証明書切りかえ不申請が五百七十九件、新規登録不申請が五百五件、その地合わせて四千六百三十九件になっております。これを国別に見ますと、韓国、朝鮮という分類になりますが、これが三千八百五十四人、中国、台湾が二百八十六人、アメリカが百三十八人、これが主なものでございます。またお尋ねの府県別で見ますと、兵庫が一番多うございまして千百五十八件、大阪が六百九十二件、東京が六百三十八件、愛知が二百九十一件、神奈川が二百七十五件、上から五県ぐらい申し上げますと、こんなような数でございます。
 続きまして昭和五十九年でございますが、総件数は四千三百六件ということになっております。主な違反態様といたしましては、不携帯が二千六百七十四件、新規登録不申請が四百九十三件、居住地外変更登録不申請が三百八十一件、これが主なものでございます。国別では、韓国、朝鮮が三千五百三十七件、中国、台湾が二百六十件、アメリカが百二十五件となっております。また上の方から県別で申し上げますと、兵庫が千百四十七件、東京が六百五十三件、大阪が四百七十二件、広島が二百七十七件、愛知が二百四十件、大体こんなような数になっております。
#25
○山中(末)委員 今お聞きいたしまして、随分不携帯の方の数が多いなということを感じました。特に韓国、朝鮮の人の数が全件数の半分以上あるということもわかりました。
 この不携帯というのは、私自身はこれは法の運用の問題じゃないかなというふうに思うのです。この外登法の関係でいろいろなところから話を聞きますと、極端な場合は銭湯へ行ったその帰りに証明書を携帯しておらなかったので質問を受けた。それから大学へ入っている人たちが大学の門を出てきたところで質問を受けた。実は入ったところの寄宿舎に置いていますという状況のもとで質問を受けたとか、いろいろなことを聞きます。私自身も証明書を持って歩かなければならない立場が随分続きましたので、どんな服を着てもいつもその証明書をここのポケットに入れておかなければいかぬということをしょっちゅう感じてきたわけなんです。その証明書というのは、実は電車に乗る証明書なんです。私は電車の会社におりましたので、その証明書を持っていきますと、自分の会社ですから電車に乗れるわけです。三十六年も勤めましたので、本当は改札口ではみんな顔を知っているわけです。しかし証明書がなかったら、どうも、やあと言って通るわけにはいかない。会社までの切符を買って笑いながら通っていったという経験が随分あるわけです。それほど諸証明類を必ず持って歩くということは非常に精神的に神経を使うわけですね。
 先ほども申し上げましたけれども、銭湯へ行くときまで携帯をしていかなければならぬ、隣近所へちょっと服を着がえて出ていくときにも携帯しなければならぬということになりますと、これは精神的に相当な圧迫感があるのじゃないかと思いますが、警察庁の方にはそういう例は耳に入っておりませんか。ちょっとお尋ねいたします。
#26
○柴田(善)政府委員 不携帯事案が非常に多数を占めておる、あるいは韓国、朝鮮籍の方が多いという御指摘でございますが、これはやはり分母、分子の関係と申しますか、韓国、朝鮮籍の方が在日外国人として圧倒的に多いという関係ではなかろうかと私は思います。
 そこでお尋ねの、銭湯へ行くときにまで、持っていないということで不携帯でやっているのかということでございますが、銭湯の例というのは広く語られるのでございますが、私どもがいろいろ調べてみましても実は該当の事例はございません。それでこの点について申し上げますと、この不携帯の問題は、一律にこの場合はどうだとかいうような言い方は非常に難しい問題でございます。捜査でございますので、結局個別的、具体的な事件の処理ということになっていきます。したがいまして、一律の線を引くのは大変難しいと思うのでございますけれども、ただ、近所の商店に買い物に行くのにたまたま登録証明書を忘れたとか、自分の家の近所をちょっと散歩するのにたまたま持っていなかったからといったようなものまで一々取り上げて立件送致すべきものとは私どもは考えておりません。そういうことをすべきではないというふうに考えております。一律の線引きは大変難しゅうございますけれども、事案の軽重に応じまして柔軟かつ常識的に処理していくべきもの、このように考えておる次第でございます。
#27
○山中(末)委員 私はその辺の警察行政の内容につきましては門外漢でありますので、今御説明をいただいた中で、事案の対象になるとかならぬとかというような説明がありましたが、これは事件という意味ですか。法務省が以前に、指紋の押捺、登録証などの問題に関して、コピーをとってもそのコピーは取り上げることができないというふうな御指導をなさったということを承っておるわけですが、今柴田局長がおっしゃったのは、何か事件が発生して、それを前提にして質問とかをされるというような感じを受けたのですが、そういうことでございますか。
#28
○柴田(善)政府委員 私が申し上げましたのは、外国人登録証明書を携帯しなかったことそのものが、御案内のように法律によりまして、故意過失を問わず罰金に処せられることになっておるわけでございます。そこで、そういうことがあったときに、先ほど申し上げましたように、例えば証明書を忘れて自宅の近辺を散歩しておった、あるいは近くのふろへ行くのに持っていかなかったというようなことがあったときに、これを即外登証の不携帯ということで立件送致するというような硬直したやり方というのはどんなものであろうかと私ども自身も考え、そのように一線を指導しながらやっておる、このようなことを申し上げたつもりでございます。
#29
○山中(末)委員 わかりました。
 外登法という法律があるので、それによってやはり警察としては動かなければならぬ、こういうことですね。その動くのが、程度が非常に難しい。銭湯からの帰りにまで提示を求めるとか、御近所を歩いておられる外国の方をとらえて提示を求めるとか、そういう極端なことは報告も受けてないし現場でもなかろう、こういう意味の御推察から出た言葉だと思いますが、これは難しいなあという感じが私もしますけれども、警察官が登録証明書の提示を求めるという行為ですね、あるいはまたその他法律で決められている職員の方、そういう方が提示を求めた場合にはこれを提示をしなければならない、法律ではこうなっていますね。その関係職員等が職務の執行に当たり提示を求めた場合にはということが法律で書かれていまして、具体的にはどういうことで提示を求めた場合にはということが書いてないのですね。ですから、例えばどこかの町で争い事があった、そのときにいろいろ話を聞いてみたら外国人の方も中におられた、こういうときにそれはひとつ提示をしてくださいということがあり得るかもわかりませんが、そういう具体的な例が法には書いてないですね。
 そうしたら、これはちょっと局長さんいじめるような質問になるかもわからぬですが、御免いただきたいのですが、どんなときに登録証明書の提示を求めるということになるのか。何かそういう部分が、内部としてここまでだぞ、そこから先はちょっと行き過ぎだぞというようなものがあれば、目安としてあるいはまた基準として、また内規みたいなものですね、あればお示しいただきたいなあと、私もこの点は非常に微妙だ、法の運用という問題がもろにここへひっかかってきて、先ほど私一、二例申し上げましたけれども、そういうことが私どもの耳にまで入ってくるんじゃないかと思いますので、非常にいじめるような質問になって恐れ入りますが、ひとつ基準等がありましたらお示しいただきたいと思います。
#30
○柴田(善)政府委員 お尋ねの件は、全く至極御疑問をお持ちになるだろうなと思う点でございます。
 実はお答えの方も、今お話がございましたように、どういうふうに、どのような場合、どこまでがよくてどこから先が行き過ぎというような線の引き方がこれまた大変難しいお答えということになろうと思うわけでございます。
 例えば警察官が街頭で職務質問する場合を考えてみますと、相手に不審点を持った、どういう点で不審点を持ったのか、これは実は千差万別と申しますか、そのときそのときでいろいろなもののとっさの組み合わせで、多年の経験を背景にして警察官は職務質問していくということになるだろうと思うのでございますが、本件の場合にもやはり似たような事情になってくるのではなかろうかな、したがって、どう申しましょうか、一律的なお答えを申し上げますと、結局職務執行に当たって必要がある場合に提示を求める、こういうような返事になってしまうわけでございますけれども、ただその場合も、警察官といたしましては外国人だからといって無差別に常に登録証明書の提示を求めるということは毛頭ないわけでございまして、まさに今申し上げた職務執行に当たって必要がある場合、こういうことでやっておるわけでございます。ただ、どういう場合に必要があるか。これはまさに先ほど申し上げた職務質問の場合と同様で、千差万別多くの組み合わせの中から必要性を判断して登録証明書の提示をお願い申し上げている、このように思う次第でございます。
 一、二、例えばということで例を申し上げてみれば、既に発生しておる犯罪を捜査中で、先ほど申し上げた、まさにそこでけんかが行われておった、その方たちの身分を確認する必要があるなと思うような事案というのは、やはり一つの提示の必要性を判断する場合が多いのではないだろうかなというような感じがいたします。あるいは、例えば時間的、場所的に見て、どうも外国人ではあるが密入国者ではないかなと思うような場合、いろいろなところから判断して密入国者ではなかろうかなと思うような場合、こういうような場合も、これは外国人登録証の提示を求める必要があるなどいう判断を警察官としてはする場合が多いのではないだろうかなと思うわけでございます。
 いろいろ例は考えられますが、これこれここまではよくて、これこれここから先は行き過ぎだというような線の引き方は、先ほど来申し上げておりますように非常に難しい問題ではなかろうかな、このように考える次第でございます。
#31
○山中(末)委員 法律は法務省の方の御担当で、これによってその法の目的を果たそうとするのが国家公安委員会あるいはそのもとにおられます警察庁ということになりますね。私は率直に難しいなという感じはしましたけれどもね、今局長さんのお話で。法律ができてその後ひとり歩きしているのと違うかという感じがちょっとしたのです。というのは、不審な点を持って質問をする、提示を願う、こうなりますね。そういう場合は各人によって違いますね。何か内部としてそういう基準が要るのじゃないか。
 例えば自分の家を離れて旅行なんかに行きますね。そういうときにはこの証明書を持っておられて、知らない土地へ行っても実は私はこういう者ですけれども、今晩泊る宿とかあるいは見学をして回るコースとかそういうものを教えていただきたいのですというような話になれば、これは使い方によっては身元保証にもなるわけですよ。ところがそういう使い方が余りされてないのか、とにかく家を離れて旅行に行って、よそで一泊とか二泊とかするときは持っていってください、日常朝出て晩帰ってくるコースでは、そこにおられのだからまあそれはいいですよというようなことにもならぬかなという感じも個人的にするわけですが、何か基準が要るのじゃないかなという感じを深くしたわけであります。
 そこで、時間も少しなくなってまいりましたのでお伺いしていきたいと思いますが、今昭和五十八年と五十九年で送致された件数等の数字を伺いました。これは私、妙だなと思いましたのは、韓国の方、朝鮮の方、中国の方がそれぞれ国籍別では多いわけですね。それで、中国、韓国、朝鮮の方ということになりますと、日常町を歩いている場合に日本人と変わらぬわけです。ほとんどが見分けつかぬ。それは見分けつく方もあるかもわかりませんけれども、私たちは見分けがつかぬ。そういう方々の送致件数というのが、先ほどおっしゃったように絶対数からいけばこういう割合になるのかもわかりませんけれども、しかしそれでも全国で三千五百名とかいうことになりますと相当な数ですね。ほかの者が見ても全然見当のつかないような日本に住んでおる外国の方の検挙が、検挙というのは書類送致とか捕まることですね。一般的に言うと捕まることが多くて、一日でこの方は日本人じゃない、外国の方だというふうにわかるような外国の方、いわゆる西欧の方とか、そういう方の件数が比較的少ないように私は思うのです。絶対数から見れば、率ではおっしゃったようにそこそこの率かもわかりませんけれども、件数からいけば。
 私は今聞いておって不思議やな、日本人と余り変わらぬ人ばかり捕まえているのと違うか。本当に一見してこの方は外国の方やとわかる方は少ない。これは局長さん、ちょっと疑うようなことで申しわけないのですけれども、ねらいをつけて登録証の提出を求めておられて、その中にたまたま不携帯の方があったからそれが件数として出てくるのではないかというふうに、私は今話を聞いていまして推測せざるを得ないような状況やないかと思いますが、そういうことであってはこれは――先ほどおっしゃったように線の引き方が非常に難しい、よくわかります。不審点を持った各人に提示を願うので、それも態様もさまざまだということはわかりますけれども、この送致件数からいくと、先ほど申し上げたように町を歩いていたら本当の日本人か外国の方かわからぬ、いわゆる東洋人種といいますか、中国、韓国、朝鮮、台湾の方ですね、そればかり挙がってきておる。これはねらい定めて折あらばということで、しょっちゅうマークしておらぬと、その方が外国人登録の証票を持っておられる方かどうかという判断はなかなかつかぬ。あらかじめマークしておれば、ふっと行ったら、あの人そうやということになりますね。普通の場合、わからぬ。非常に優秀な警察官がおられるようですけれども、しかしそれでもなかなかわかりにくいのじゃないかと思います。そういう疑問を率直に持ったのですが、いかがでございますか。
#32
○柴田(善)政府委員 韓国、朝鮮籍の方が非常に多いのじゃないかという点をまず御指摘いただいたわけでございますけれども、私も今ここでちょっと計算してみますと、五十八年は四千六百三十九分の三千八百五十四、これは先ほど挙げられました八十数万の中の約七十万という部分が朝鮮、韓国、つまり八分の七が朝鮮、韓国ということになりますので、まさに分母、分子の関係で見ればやはり大体いいところで落ちついている数字ということになるのじゃないかなと、私は逆に今御指摘を受けて感じたわけでございます。
 そこで、ねらい撃ちでやっているのではないかというお話がございましたけれども、そのようなことは絶対にありません。これは、御指摘のように日本人と見分けのつきにくい外国人の方々がいらっしゃるのは事実でございますけれども、現場ではいろいろな周辺の状況から外国人であるという判断が結果的につく場合も多いわけでございます。事件として出てきますものの多くは、やはり何かの容疑をもって職務質問をしておりまして、そのうちその過程で外国人であることがわかってそれで事件となっていった、このようなものであろうかと思いますので、ねらい撃ちというようなことではないわけでございます。
 それから、一人一人の警察官につきましても、申すまでもございませんけれども、十分な教育を行っておりまして、決して恣意的な、自分だけの思いつきでといったようなことをやらないように最初から十分教育いたしておりますので、そこらの点も御安心いただいてよろしいのではないかなと私は確信をいたしておる次第でございます。
    〔愛知委員長代理退席、委員長着席〕
#33
○山中(末)委員 統計上で見る限り、この外国人登録法が発効してから今日まで、総数でいけば、朝鮮の方、韓国の方、中国の方、台湾の方等、いわゆる私たちと同じ顔をして一見外国の方とはわかりにくい人が、日本に今在住しておられる方の数ぐらいは大体書類を送致されているという数字が出ていますね。この問題については人権にかかわる問題でございますので、その職務の執行に当たり、提示を求める場合は非常に難しいと思いますけれども、まかり間違えば人権にかかわる非常に大事な問題、それも日本人が日本人をということではなしに、日本の警察あるいは法律等が、永住もしくは一年以上、許可をされて合法的に住んでいる外国の方に対する人権の侵害に発展していく場合もなきにしもあらずだということを実は憂慮するわけであります。
 私の友達といいますか、小学校で、その当時は朝鮮半島の方ですが、同級生がいまして、一緒に学校へ通っておって、私も軍隊に行きましたが、彼も軍隊にとられたのじゃないかと思うのですよ。それ以後音信不通で、その方はその当時は日本人でありましたけれども、その後また独立されたということで国籍が日本でなくなったのですが、これは兵隊に行っておったら僕らと一緒に鉄砲を担いで戦場へ行っていたわけですね。その人が今、日本に住んでいたら、やはりこういう扱いを受けなければならぬ人なんですね、帰化しておらなければ。それを思うたびに私は断腸の思いがするわけです。戦争のときには日本人という立場で参加をして、何も後ろ向いて鉄砲を撃ったわけではなしに、私たちと一緒に当面の敵に対してやはり当たっていった。それが九死に一生を得て日本へ帰ってくるとしますね。その人に対してまで日本の政府はこういう取り扱いをするのか、何だこれはという感じが、私の思い出から個人的ですが、思うわけであります。
 そこで、結論になります。最後にお尋ね申し上げたいのですが、先ほども申し上げましたように、全国各地方公共団体、私は八百くらいというふうに聞いていますが、その議会が、この外国人登録法の指紋押捺の廃止の問題、あるいはまた携帯義務の問題、提示の問題、罰則規定の問題等について、廃止もしくは抜本的に見直すという決議等が政府に出されています。
 せんだっての参議院の予算委員会の中でも、中曽根総理は、現在各関係省庁に指示をして検討さしている、こういう意味の御発言がありました。きょうは、自治大臣のおかわりとして小澤政務次官が御出席願っております。国家公安委員会の委員長は大臣ですか、そのかわりということにはどうかちょっとわかりませんけれども、大臣のかわりとして御出席なさって、この外国人登録法という法律が持っている内容、先ほど警察庁の柴田局長さんがおっしゃったなかなか線の引き方が難しいのだという運用の問題、それから基本的な人権の問題、こういう問題を考えてこの押捺を廃止していく、写真だけでいく。自動車運転免許証も写真だけですから、国立大学の共通一次試験も写真だけですから、それでいけているわけですから、そういうことを改善して指紋の押捺を、基本的人権にかかわると思われるような、重圧がかかってくるようなそういうものがないようにこの法律を改めていく、指紋を廃止していくというお考えはあるのかどうか、お尋ね申し上げたい。
 私の気持ちとしては指紋の押捺、これはもう廃止すべきである。携帯についても提示についても、これももっと緩和していくべきだ、あるいは廃止すべきだ、こういうことを私は考えていますが、いかがなものでございますか。
#34
○小澤政府委員 ただいま先生御指摘の点、十分承りましたので、慎重に検討してまいりたいと思います。
#35
○山中(末)委員 法務省の方はいかがでございますか。
#36
○黒木説明員 外国人登録法につきましては、昭和五十七年の国会で大幅な緩和措置を講ずる改正を行っております。その際に指紋問題、常時携帯問題等についていろいろ御審議いただきまして、結局現在の形で残っておるわけでございます。私ども、先ほど来先生の御指摘のように、地方公共団体からの改正を要望する意見とか、外国人の間からももう少し緩和してほしいというような声があることは承知しておりますけれども、法改正後間もないという事情もございまして、にわかに新しい方策を打ち出すというわけにはまいらず、今国会に外国人登録法の改正を提案するつもりはございません。ただ、運用上の問題等につきましては、若干の緩和措置を講ずることができるのではないかということで目下検討をいたしておる次第でございます。
#37
○山中(末)委員 時間が参りましたので、これで終わります。
#38
○高鳥委員長 和田貞夫君。
#39
○和田(貞)委員 私は消防関係について質問したいと思うわけでございますが、今日の消防というのは市町村消防制度として、警察制度の中に組みされておった消防から完全に分かれて出発して、もう既に三十七年目を迎えるわけであります。これは国や府県ではなく、市町村の重要な行政の一つになっておるわけでございまして、住民の皆さんの感覚からも、ダイヤル一一九番で非常になじんでまいっておるところであります。
 しかしながら、東京消防庁であるとか大阪市の消防局というような大都市の消防につきましては、その組織の面からいきましても、あるいはその陣容の面からいきましても、あるいは財政的な面から見ましても整備されつつあるわけでございますが、大方の、大部分の市町村消防では、これらについて多くの問題を抱えておるのが現状ではなかろうかと思います。
 例えば消防を統括して、そして常勤の職員がこの消防長に当たらなければならないというようになっておるのでございますが、いまだに兼務者で消防長の任務についておる、あるいは全く消防に未経験者を市長が消防長に任命するというような現実の姿もございます。あるいは消防職員の情実的な人事、他の官公署では見られないようなそういう不公平な人事、不平等な人事あるいは職員の人権さえも無視されるような空気、階級制度と規律の中で泣き寝入りしているというような問題もございます。あるいは不合理な勤務時間、勤務形態、あいまいな賃金形態、手当等々によって、それもまた労働組合がないわけでございますので甘んじなければならないというような状況、財政的な面もそうでございますが、さらには、不備な労働安全衛生対策、装備、施設の不完全な中で危険を覚悟の上の勤務を余儀なくさせられておる、こういうのが今日の消防の実態であるというように私は思うわけであります。
 そこで、危険を伴うのを覚悟の上で、おのずからその消防の任務として市民の生命財産を守るために体を張って仕事をしておる消防職員の安全を保障する十分な対策を講じて、消防職員が安心して任務を遂行できるようにすることが、とりもなおさず市民の安全を守る対策であるという立場に立ちまして、以下質問を申し上げたいと思うわけであります。
 まず警察庁の方に質問をしたいわけでありますが、昨年の四月十九日に、小樽市における消防はしご車の訓練中にはしごが折れて消防職員二人が死傷した、こういう事故があったわけでございます。ことしに入って、三月七日に道警と小樽署が、はしごの設計ミスだということで、そのメーカーである日本機械工業株式会社の技術部長と技術次長を、業務上過失致死傷の疑いということで書類送検をした。このことは報道されたわけでございますが、設計をした技術部長と技術次長を書類送検するというようなことにして、肝心かなめの事業者であるメーカー、事業主である会社の責任者、これの追及というものがここでは見られないわけでありますが、この事業所なり事業主に対してどういうようにされたのか、またこの限りでこのことを終えようとしておるのか、ひとつ警察の方から報告願いたい。
#40
○金澤政府委員 お答えをいたします。
 今お話のありました昨年四月に発生しました消防自動車の事故の送致でございますが、お話しのように本年三月七日に、この会社の技術部長外一名を業務上過失致死傷ということで検察庁に送致をしております。会社の責任者に対する捜査の方はどうなっておるのかという御質問だと思いますが、会社の責任者等につきましても捜査の対象ということで、いろいろと捜査をいたしました。
 しかし、この事故の主たる原因と申しますのは、専門家の鑑定の結果からいたしましても、はしごの構造上の問題ということで、その構造上の問題と申しますのは、はしごが設計された当時の設計上のミスということが専門家の鑑定によりましてもはっきりいたしておるということで、その当時の設計に当たりました現在の技術部長外一名でありますが、その二人につきまして研究開発設計関係のミスということでの責任追及ということにしたわけでございます。社長等経営者につきましてはこの意味の技術的な観点での知識というものは全くありません。したがって、今回刑事責任を追及するということはちょっと難しい、こういう判断で今回の事件送致をしたわけでございます。
#41
○和田(貞)委員 労働安全衛生法の三条では「事業者等の責務」ということで、「機械、器具その他の設備を設計し、製造し、若しくは輸入する者、原材料を製造し、若しくは輸入する者又は建設物を建設し、若しくは設計する者は、これらの物の設計、製造、輸入又は建設に際して、これらの物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。」設計もそのとおりだ。設計をして、製造して、物がつくられて、その物が使用されることによる労働災害の発生の防止に資するように努めなければならない。設計者に対して義務づけられておるのじゃない、事業者に対してこのように労働安全衛生法では義務づけられておるのでありますが、そこらの関係はどうですか。
#42
○金澤政府委員 刑事責任の追及ということで考えますと、今回の事故の原因となっておりますはしごの強度についての設計ミス、これと一般経営上の経営者の責任ということでの一般的な責任、いわゆる刑事責任の問題と一般的な責任ということで可罰性を考えますと、刑法上の責任を問うのについては若干無理がある、こういうことで判断をいたしまして、先ほど申しました設計の責任者について送致をしたわけでございます。
#43
○和田(貞)委員 労働安全衛生法を今読みましたが、その三条に照らして、労働災害が起こらないようなものをつくらなければならない、設計しなければならない、しかし設計し製造したものを使ってたまたま事故が発生したのだから、しかも死んだりけがをしたりしているのですから、当然労働安全衛生法の事業者の義務違反のかどで、設計者じゃなくて事業者を、そういう追及の仕方は警察はやらないのですか。
#44
○金澤政府委員 責任の追及の仕方につきましてはケース・バイ・ケースだと思います。起きました事故の状況、それの原因、それからそれにいろいろとかかわっております関係者、この立場等いろいろ勘案をいたしまして、この事故についてはこの程度の責任追及が一番ふさわしいというようなことをケースによって判断をいたしまして、それで今回一番責任が強いと思われる技術者二人を送致をした、こういうことでございます。
#45
○和田(貞)委員 あなたの方は設計のミスというかどで技術部長と技術次長を書類送検しておるのでしょう。その設計のミスによってはしごができておるのですよ。そのはしごを使うことによって労働災害が起きないようにしなければならないことをメーカーに義務づけられておる、明々白々じゃないですか。労働省、この点についてどうですか。
#46
○長谷川説明員 お答えします。
 三条は原則的に考えるとそういうことになるということで、労働安全衛生法では特殊な機械、産業安全について問題のある機械については特定して、それについていろいろ輸入規制ですとか製造規制とかをやっているわけでございまして、そういうものについて事故が起こったような場合につきましてはいろいろ問題が出てくるかと思いますが、一般論的にはただいま警察庁の方からもお話がございましたように、ケース・バイ・ケースで処理していくということになっております。
#47
○和田(貞)委員 一般論的なことを言っているわけじゃない、このはしごを言っているわけです。
#48
○長谷川説明員 はしご車につきましては、労働安全衛生法では消防用のはしごということで特に規制の対象といたしておりません。
#49
○和田(貞)委員 はしご車は確かに今あなた言われたように対象にしておらぬ。片方、クレーンを艤装した自動車、クレーンも同じように上下左右に動くのです。はしごを艤装した自動車、同じようなものです。それなのに、クレーンの場合にはこの規制の対象になっておる。はしごの場合は消防機械、器具であるから規制の対象にしておらぬ、おかしいと思いませんか。
#50
○長谷川説明員 労働安全衛生法で特殊な機械として規制の対象といたしておりますのは、過去にいろいろな災害が起きまして、その災害が十分想定されるということで規制の対象に決めたものでございまして、消防用のはしご車につきましては消防庁の方でそれなりに対応していただいているということと、範囲が限られているということで労働安全衛生法の規制の対象とはいたしていないわけでございます。
#51
○和田(貞)委員 はしごを艤装させて特殊な構造の自動車になっておるのですよ。クレーン車も同じことです。あるいは人間が亡くなって火葬場に運搬する霊枢車、これも特殊な構造になっておるわけですね。そういう特殊な構造に艤装した自動車、これは運輸省もまた消防自動車については例外だと言うのですか、どうですか。
#52
○福田説明員 消防自動車についてでございますが、一般の自動車の安全規制といたしましては、道路上の運行の安全を確保するという見地、目的を持ちまして、自動車の長さとか幅、高さ、制動装置、そういった構造装置等について車両の保安基準を定めているわけでございます。したがいまして、消防自動車につきましても、道路上の運行の安全を確保するという見地から、同様な保安基準で一般の自動車と同様に規制されているというのが現状でございます。
 したがいまして、お尋ねのございました消火作業中に使われておった状態というものでの安全規制というものは、運輸省の方では現在定めてございません。
#53
○和田(貞)委員 それでは、通産省はどうですか。通産省は、こういう折れるような、曲がるようなはしごを製造しておるメーカー、たまたま消防ポンプ車に艤装したはしごが折れたのだけれども、これは、この消防自動車に艤装するはしごだけじゃなくて、最近では高層化しておる建物が非常に多いわけですから、一般市民の皆さんも今までのような、我々が小さいときになじんできたような木製の短いはしごじゃなくて、家庭で使う場合でも上下が伸ばせる、伸縮ができるというようなはしごが出ておりますが、たまたまそういうはしごを製造したところに対しては、この安全の問題について行政指導というのはやっていないのですか。それもまた消防機器については例外だということを言うのですか。
#54
○黒田説明員 お答え申し上げます。
 通産省におきましては、自動車の輸出輸入あるいは生産、流通、消費の増進あるいは改善、調整というものを所管しているわけでございまして、その一環といたしまして、消防自動車につきましても製造事業所等を所管しているということでございます。
 それで、安全問題につきましては、当省といたしましては、直接その保安基準の制定と申しますか、今いろいろお話がございましたような運行上の問題としての道路運送車両法上の規制であるとか、あるいは労働安全衛生法、あるいは消防法等々の規制のような直接の規制あるいは基準というものは講じておりませんけれども、製造等の面で自動車の安全が確保されるように十分留意して、安全対策には万全を期するような指導は行ってきているところでございます。
#55
○和田(貞)委員 そうすると、消防庁、あなたの方がはしごつきポンプ車を使って、そして、使った中で事故が起きて死傷者が出たという場合に、警察の方は、設計にミスがあるのだからということでその設計者を告訴しているわけですね。これをつくった事業者は何も痛いこともかゆいこともない。それは消防機械、器具については、今言われたように、労働省も、消防機械、器具であるから労働安全衛生法の適用対象になっておらぬ。運輸省はもちろん、その艤装部分についてはおれのところは知らぬ、一般的な普通の自動車としての取り扱いをしておるのだ。はしごを立てたままで走ったらいかぬ、はしごを倒していけば高さの制限ということでいいのだ。通産省は通産省で、物をつくるについては一般的な指導をするが、具体的にそのつくった物がどうだこうだということは労働省の所管だ。そうすると、あなたのところしかないですわな。あなたのところはどういうような行政上の責任があって、そのメーカーに対してどういうような行政措置というのができるのか、またしたのか、お答え願いたい。
#56
○関根政府委員 消防の仕事というのは、本来危険を伴うものではありますけれども、できる限り安全に消防の職責を果たしていくという必要があることは言うまでもございません。そういう観点から私どもは、消防の操法そのもの及び操作をするときに使います機械、器具の安全性につきましては当然責任を持っておりますし、関心を抱き、安全な消防活動ができるように進めていく責任を持っているものと考えております。
 消防のはしご車につきましても、補助要綱で補助金を交付する際に、適格なはしご車というものはこのような性能、強度を持っていなければいけませんという基準を定めまして、そういうものを補助対象にしておる、そういうような形で消防ポンプ車の安全確保を図っているところでございます。
 なお、今回の事故、大変不幸な事故であったわけでございますけれども、これに関連をいたしましては、事故が起こりましてすぐに各消防のはしご車を使っているところに対しまして一斉点検をするよう指示をいたしましたし、また、私どもはメーカーとも連絡をとりまして、その安全対策等についてさらに徹底を図るよう指導をしてきているところでございます。
#57
○和田(貞)委員 一般的なそういう御答弁では、これは先ほど冒頭に申し上げたように、危険なところを冒して、いわゆる正義感に燃えて市民の財産と市民の生命と体を守るために消防職員が活動するのですよ。安心ができるような裏づけというものをしてやらないと、どこの消防署へ行っても、百人おったら百人、おい、おまえ、この三十八メーターの上にいつも登るの好きか、一回登ってみるか、おまえ、専門にやるか、こう言ってみたら、だれも我こそはと言いませんよ、あの事故以来。私は、消防職員は、そのことによって萎縮し、任務を全うするために非常にちゅうちょするようなそういう精神状態に今置かされていると思うのです。やはりこれは、勇気を持ってとにかく頑張れ、これだけの措置というものを講じておるんだから大丈夫だ、この機械を使ったら大丈夫だ、万々そんなことはないということでなければ、私は消防職員は安心して作業できないと思う。今御答弁いただいたのは一般的な御答弁です。
 先ほど労働省が言いましたように、少なくとも今消防機械、器具については労働安全衛生法の規制の対象外になっておる。そのことだけではなくて、一般的な事業者の場合は労働安全衛生法第二十条「事業者の講ずべき措置等」ということで「事業者は、次の危険を防止するため必要な措置を講じなければならない。」これを読みかえれば、「機械、器具その他の設備による危険」を防止するために必要な措置を講じなければならないということが消防以外の事業者では規定されている。労働省、この点についても消防署は除外でしょう、どうですか。
#58
○長谷川説明員 お答えします。
 一般的な基準といたしましては消防関係も含まれるわけでございますが、労働省としては監督権を持っておりませんので、その辺のフォローについては全部消防関係者の方にお願いいたしておるところでございます。
#59
○和田(貞)委員 消防署もここで言うところの事業者の範疇に入るわけですか。(長谷川説明員「法律上はそうなっております」と呼ぶ)
#60
○高鳥委員長 発言は許可を得てからするように。
#61
○長谷川説明員 失礼いたしました。
 法律上は基準が適用されることになっております。
#62
○和田(貞)委員 それじゃ労働省、この事故によって事業者である消防署、消防本部に対して必要な措置を講じておったかどうかということを調べましたか。必要な措置を講じておったかどうかということを、事業者である当該小樽市の消防本部がこの対象になるのであれば、この事業者の講ずべき措置が行われておったかどうかということについて調査いたしましたか。
#63
○長谷川説明員 労働省といたしましては、報告がございませんでしたので調査も行っておりません。
#64
○和田(貞)委員 事業者の範疇に消防署、消防本部も入っておるということであれば、それなら労働省は何をしておったのか。労安法第二十条で「機械、器具、その他の設備による危険」が伴わないように、防止するために事業者である消防署が措置しなければならぬのでしょう。その措置をしておったかどうかということを、事故があったにもかかわらずその事業者である小樽の消防本部、消防署に調査も何もやらなかったのですか。
#65
○長谷川説明員 お答えいたします。
 先ほど申し上げましたように、基準は適用になりますけれども、その基準を運用するといいますか、運用その他中身の適用の是非、それから災害調査ということにつきましては、一義的にはその地方の自治体の人事委員会が行うことになっております。
#66
○和田(貞)委員 公務ということで直接ということだと思うのです。しかし、公務の中で例えば消防というような現業関係、あるいは自治体における清掃事業関係等々は、これは労働基準法の適用も受けるのだ。本来ならば消防も労働基準法の適用を受けるし、この安全衛生法の適用も受けるので、労働省が、人事委員会とかあるいは自治体ということではなくて、本来はあなたの方がやらなければならぬのです。やるべきなんだ。やる任務があなたのところにはあるのだ。やっていないということはおかしい。
 これは後で私言いますけれども、消防庁、先ほどの機械、器具を設計、製造することについても、これは本来ならば消防以外のところで使う機械、器具であれば、極端に言うならば、同じものを消防以外の事業所で使う場合は労働安全衛生法の規制を受けて事業者が罰せられるわけです。消防器具であるために所管外になっておる。あるいは事業者の責任、すなわち消防本部、消防署の機械、設備、器具の危険を伴うようなもので作業させる場合に事業者はその防止のために努力しなければならぬ、防止措置を講じなければならないという義務規定もある。これも今のお話のように自治体に、公平委員会に任せておるということで除外されておる。それでは消防職員はたまったものじゃない。
 そしてあなたの方はこの消防機械、器具、設備等については日本消防検定協会に委託して検査させておる、鑑定させておる、そして消防設備費の国費補助に当たっては、その消防検定協会の鑑定を受けたものでなければ補助をせぬ。これは安全確保というよりも補助金を交付するための単なる要綱にすぎないのではないですか。全然違うでしょう。労働安全衛生法で言うところの労働災害を防止するという観点に立ったのと、あなたが先ほど一般的に言われたのは、補助金の対象にする場合には日本消防検定協会の鑑定を受けたものでなければ対象としないのですと言っているだけのことであって、危害予防、労働災害防止という観点に立っているのではないということは御確認願えますか。
#67
○関根政府委員 具体的なはしご車の購入に当たりましての関係を先ほど申し上げたわけでございまして、消防活動は大変危険を伴うものでございますので、その危険な消防活動をできるだけ安全に、事故を起こさないように遂行していく責任は指揮者、監督者にあるわけでございます。そのために、仮に労働安全衛生法の直接的な管理面での適用はないにいたしましても基準の適用があるわけてございますから、そういう考え方を体しまして、消防職員の安全については万全を期するように常時私どもは指導しているところでございますし、また具体的な安全管理のためのいわばマニュアルと申しますか基準のようなものも私どもの方で示しまして、それに従って職員の安全確保には遺憾のないようにお願いをしているところでございます。
 補助金を通じての鑑定というのはその一部分のやり方であるにすぎないわけでございまして、安全管理については真正面からそのものとして徹底を図るように指導しているところでございます。
#68
○和田(貞)委員 これは、事故を起こした場合に法的な拘束力というのは何にもないのです。そうでしょう。日本消防検定協会が鑑定したんだからということで自治大臣が承認しておるわけでしょう。その品物を使って事故を起こした、自治大臣を罰するのですか。罰することができますか、あるいは自治大臣の責任だということになりますか。ならぬでしょう。少なくとも労安法の適用で、そういうことがあれば、労働大臣の責任か事業者の責任かは別として、労働省はその法の根拠に基づいて罰することができるわけです。消防関係の機械、器具についてはそのことはできぬでしょう。できますか。
#69
○関根政府委員 機械、器具につきまして、消防法体系で直接罰則規定を置いているところはございません。
#70
○和田(貞)委員 だから警察ができない。消防機械、器具については労働安全衛生法三条によるところの事業者の義務が除外されておる。しかも、これは消防庁の方にお任せしております。消防庁は、先ほど申し上げたように、長官も言われたように、国費の補助金を配るに当たって日本消防検定協会の鑑定を受けた品物に限る、こういうことだけのことであって、これは安全だ、絶対に労働災害を起こさない品物だということは言い切れない。言い切れないから罰則規定というのはない。だから警察が事業者に対してその刑事責任を追求する、あるいは少なくとも労安法の義務違反ということで事業者を追求することができないで、設計担当の技術部長や次長だけしか書類を送致することができなかったというように私は思うのですが、警察はそうですか。
#71
○金澤政府委員 私の方は事実関係を確認した上で、今回の捜査を行うに当たりましては会社側の社長を初めとする幹部の責任等も当然捜査の対象として検討したわけでございます。先ほど御答弁申し上げましたとおり、当時の状況から社長等の幹部について刑事責任を問い得るような事実は難しい、具体的に刑事責任を追及し得るような事実を確認し得るかどうか、こういう点で判断をいたしたわけでございます。その点、御了承いただきたいと思います。
#72
○和田(貞)委員 警察はそうであったといたしましても、労働省としては労安法の三条違反だということで事業者を罰することができなかったということは事実です。
 さらに私は消防庁にお聞きしますが、この問題はこの問題として、労働安全衛生法では消防職員の衛生管理の面あるいはその他もろもろの――いわゆる消防職員というのは常に危険にさらされている職場なんです。だからその責任を全うさすためには、勇気を倍増させる、正義感を燃えさせる、そのためにも安全管理というのが必要である。しかし、これも消防署については、少なくとも総括安全衛生管理者、あるいは安全管理者、あるいは各消防署に職員と使用者との間で構成する安全委員会を置くことが法律的に義務づけられておらない。これは、あなたは消防庁長官として、十二万何千何がしの自治体消防職員を預かる責任者として、どうも心細いというふうにお考えになりませんか。
#73
○関根政府委員 消防職員は大変ぎりぎりの危険の中で作業することを宿命づけられているわけでございます。特に火災の現場などにおきまして逃げおくれた人たちが中にいるということになりますと、火の中へ入っていって助けるべきか助けることが不可能であるのか、その辺のところは相手の命を救うのか自分の命を捨てるのか、そこの本当のぎりぎりのところで判断を迫られる、そういうものですから、ちょっと一般の会社、工場等における安全管理とは考え方がやはり違わざるを得ないということがあるのではないかと私は思います。そういうことから現在の労働安全衛生法というものはストレートに消防職員には適用されない、もちろん基準等は適用されるわけでございますけれども、今先生御指摘の委員会とか管理者とかいった関係のいわば管理手続が除外されているのではなかろうかと思います。
 しかし、それが除外されているからといって消防職員の安全が守られていないというふうには私どもは考えないわけでございまして、消防の指揮者は、かわいい部下でありますし、また指揮者と部下というのは一体でございまして、指揮者が間違えば部下の命が危ない、また部下が間違えば指揮者の今も危ないかもしれない、そういう本当にお互いに生命を預け合っている一体の関係でございますから、そこには常に深いきずなもあるわけでございますし、部下の安全衛生ということは指揮者が常に考えておかなければいけない、そういうものを通じまして消防職員の安全管理というのは守られ得るものでありますし、また守っていかなければいけない。現在のような法制の中でやっていけるものというふうに私は考えておる次第でございます。
#74
○和田(貞)委員 時間がやってきましたので、いろいろ言いたいことがありますけれども、言えないことは非常に残念に思うわけでございますので、時間のある限り言いたいと思います。
 確かに決意のほどは私はよくわかります。これも法的な定めによって安全委員会を設置しなければならない、あるいは衛生委員会を設置しなければならない、安全管理者を置かなければならない、衛生管理者を置かなければならないというふうに義務づけられた問題ではなくて、自治省の方から一定の要綱というのをつくって通達をしておるというにすぎないわけでありますから、その通達どおり事務組合を含めて全消防機関に安全委員会なり、衛生委員会あるいは衛生管理者なり安全管理者なりが置かれておりますか。
#75
○関根政府委員 私どもの方で指導をいたしまして、できる限り安全及び衛生の管理機構を完備するよう指導をいたしておるところでございますけれども、現時点におきましては、すべてのところですべての必要な機関が置かれておるという状況にはなっておりません。例えば現在の時点におきましては、五十九年三月末の調査におきまして衛生管理者の設置状況は七二%、そういう数字が出ておるところでございます。
#76
○和田(貞)委員 安全の方は。
#77
○関根政府委員 安全管理者につきましては、まだ数字が正確に集まって手元にございませんが、余り高い数字ではないというのが残念ながら実情でございます。
#78
○和田(貞)委員 次官、そういう現状なんですよ。労働安全衛生法の適用を除外されておるから、こんなに危険な状況の中で責任を全うしなければならない消防職員の事業所では、職員の安全管理者あるいは普通の事業所であれば置かれておる安全委員会、ほとんど置かれておらない。衛生管理者については約七〇%置かれておるけれども、安全委員会というのはあるいは安全管理者というのは、普通の事業所であれば義務づけられておるにもかかわらず義務づけられておらないので、消防庁の一片の通達しか出ておらないわけだから、これは拘束力も何もない。だから現実の姿としてはこういうことだという状況です。大臣おられませんが、そういう状況をひとつ次官、かみしめてもらいたいと思うのですよ。私は、決して消防けしからぬとかというのじゃなくて、やはり消防職員の安全性を確立をして、消防職員が安心して任務を全うしてもらうために言っているわけでありまして、私はこのことはここに通じると思うのですよ。
 例えば先ほど消防庁長官が、はしご車の場合を含めて消防の機械、器具について補助金の対象にするための交付要綱の中で、はしご車について日本消防検定協会が安全装置の問題であるとか、あるいは操作上の時間的な問題であるとか、あるいはリフターの構造についてとか、あるいははしごの材質についてというようなことはいろいろ条件つけられるのです。けれども、でき上がってきた、納入されたそのはしご車つき消防自動車を操作して作業するあるいは訓練する、たまたま事故が起った。そうすると、その事故が起こったにもかかわらず、同じメーカーの同型のはしご消防自動車が三十五台出回っておる。本来消防用の機械、器具でなければ、労働省なり通産省がそのチェックをするために直ちに使ってはいかぬ、あるいは製造待ったというような行政措置が加えられるのですよ。ところが、このことさえもできないで、第二の事故、第三の事故がその三十五台において起こらぬとも限らぬじゃないですか。今の状況ではそういう措置も講ずることができないのですよ。
 あるいはクレーン車の場合でありましたならば、クレーンを操作する者は、ちゃんと労働省で国家試験を受けて一定の資格、免許の所持者でなければクレーンの操作というのはできない。だからクレーンを艤装した車を運転するのは大概そういう自動車の運転免許を持っている者が運転していって、そこでその作業をする。クレーンの操作と自動車の運転と両方の免許を持っている者が大体やっているのです。消防のはしご車の操作というのは、運輸省の言うように一般自動車だから、その自動車の運転の免許の資格のある者だけ、はしご車の操作については資格がない。ただ、あなたはその機械員に任命するということで、消防庁の辞令一つによって任務を与えられて操作している、もちろん訓練もあると思いますけれども。
 そうすると、その操作上に何かが起こるといったときに一体どうなるか。時間がありませんので、私の方から言いますけれども、消防庁に答えると言ったら、必ず、それはそれで操作の手順というものをちゃんと示してありますと答えるに決まっている。その操作の規程というか手順というか、それはあなたの方でつくったのではない。この事故を起こした日本機械工業株式会社とそれから森田ポンプサービスセンター、大体この二通りまだ小さいところがありますけれども、大方全国の消防機関ではこの二つのメーカーのはしご消防ポンプ車です。それぞれのメーカーが仕様書というものをつくって、うちのつくったはしご消防車についてはこういうように操作してください、これをメーカーからあなたの方に提供して、そしてさも消防本部あるいは消防署がつくったように書き改めてあるだけですよ。メーカーの言うとおりさしておるだけの話だ。何の責任もない。私はあなたが答えるということを想定して、先に答えておいた。メーカーの資料に基づいてやっている。
 しかも、これはメーカーからある消防長あてに出しておる文書ですよ。「荷物を吊り上げるクレーン車は、労働安全衛生法にて、又、屋内で使用されるエレベーター等に於きましても、法定検査制度になっておりますが、消防車(梯子車、スノーケル車等)の艤装部には、自動車に搭載され、走行し尚かつ、地上高く伸して、風雨にもうたれ、人命救助等に使用されるにもかかわらず、法定検査制度もなく、各自治体の自主的判断により分解整備が行なわれているのが現状であります。」だからこれだけの予算が今度はあなたの方につくようになりました。みんなメーカーは知っている。これだけの分解整備費の予算があなたの方につくようになったでしょう、だから私の方にその仕事をさしてください。こんな文書がメーカーから出ておるのです。
 はしご車の操作の手順づくりにいたしましても仕様書づくりにいたしましても、あるいは点検整備の点からいいましても、全く重立ったこの二つのメーカーの言うとおりじゃないですか。メーカー自身がこうやって教えておる。あなたの方に何ぼ予算がつきました、だから使いなさい、私のところに仕事させなさいと言わんばかりの文章である。こんなようなことでは全く職員が安心して仕事の任務を全うすることができないわけであります。
 私が申し上げたいのは、次官、これはなぜ労働安全衛生法という法律がありながら、同じ自治体の職場であるにもかかわらず、片方清掃事業の職場については適用になっている、消防事業所は適用になっておらないかというと、これはもう明々白々なんですよ。労働基準法ができ、労働安全衛生法ができたときには、消防行政というのは警察の行政機構の中に組みされておった。だから、除外されておる。その後に消防組織法ができて、消防法ができて今の自治体の消防になったのです。警察から完全に離された消防行政になったのだ。にもかかわらず延々として今日まで労働安全衛生法の適用が除外されているというところに私は問題があると思いますので、大臣きょうは見えておりませんが、これは所管は労働大臣でございますが、閣議の中でこのことを十分議論していただきまして、消防職員が正義感に燃えて、身を挺して危険を冒して市民の生命と財産を守るために、その任務を全うすることができるように、労働安全衛生法の改正によって消防職場も機械、器具だけではなくて、日常を通じて職員の安全管理、衛生管理というものが行えるように法の改正を私は要請したいと思うのでありますが、どうですか。
#79
○関根政府委員 警察と消防は、確かに組織は戦後分かれましたけれども、仕事の内容、その危険性あるいは国民の身体、生命、財産を守るという重要性、そういう意味ではいずれがまさるとかいずれが劣るとかいう関係にはないと私は思います。むしろ見方によっては、消防は警察以上の危険な作業に取り組まなければならない場合というのがあるというふうに考えておるところでございます。そういう職務なり責務に応じまして法律の適用関係というものは考えられているわけでございますから、労働安全衛生法といった、これは労働省の所管でございますけれども、私どもの方からの考え方を言わせていただきますと、これはやはり通常の産業活動というものに着目してつくられている法体系でありまして、それの管理面を消防にも適用するということにつきましては、私どもとしては問題があると考えております。
#80
○和田(貞)委員 これは何が問題があるのですか。あなたの決意というものは立派ですよ。決意というものは立派だけれども、労働安全衛生法が適用されるということは何が問題ですか。そんなばかなことはないですよ。それでは口で言っていることと職員のことを思っていることとは全く逆じゃないですか。より職員が安心ができるように労働安全衛生法の適用に消防現場も組み入れる、消防職場も組み入れるということは何が問題があるのですか。次官、どうですか。
#81
○関根政府委員 消防の活動そのものが本来的に大変危険な作業を伴うものでありまして、その危険を冒してまで住民の身体、生命、財産を守っていかなければならない場合というのがあるわけでございます。そのときに、通常の産業における安全と同じような感覚での安全を守っておりますと、これは消防に課せられました職務が遂行できない場合もあるわけでございます。
 そういうようなことから、実際に私ども、消防職員の安全については最善を尽くしていきたいと考えておりますけれども、その管理につきましては消防自体にお任せいただきたい。通常のやり方とは変えて消防自体にお任せいただきたい、こういう考え方で、さらに消防の中で安全の問題につきましては徹底を図っていきたいというふうに考えております。
#82
○小澤政府委員 和田先生のお話、慎重に承っておりました。私も地域の消防団長をやっておりますので同感そのものであります。かかる上は、私の考えてありますが、やはり職員の安全を図りまして、可及的速やかに、でき得ることならば全国の消防署に徹底をしてまいりたいとも考えておりますので、一言申し添えておくところであります。
#83
○和田(貞)委員 時間が来ましたので終わりますが、私はあなたの決意と基本的に違うのは、安全委員会なり衛生委員会が労安法に基づいて設置をされるということが義務づけられたときには、それぞれの現場の、それぞれの事業所の職員が、日常訓練や消防活動を通じて感じ取っておったことを、職員の代表と管理者が折半でその委員会が構成されるので、直接その職員の声が反映できることになるのですよ、問題があるというのは、そこに問題があるとするならばゆゆしき問題であります。
 だから、どちらが消防職員のことを考えるかということになると、私が言っている以外にないのです。労働安全衛生法に消防職場も組みされるように、これは次官、ひとつ大臣に言ってもらって、近い閣議でそのことを議論していただいて結論を出してもらうように私は強く要請いたします。
 時間がありませんので、残余の消防関係の質問については事後に留保いたしまして、またの機会にさせていただくことを申し添えまして、終わります。
#84
○高鳥委員長 次に、柴田弘君。
#85
○柴田(弘)委員 私は、きょうは警察官のOBを含めての不祥事件、そして外国人の指紋押捺問題を質問させていただきたいと思いますが、その前に先ほどいじめの小学校、中学校、高等学校における実態調査が警察庁の方から発表をされました。
 これを見ますと、五百三十一件、補導した少年少女の数が千九百二十人。このうち中学生が千五百二十六人、全体のほぼ八割、高校生が三百五十四人、一八・四%、小学生が四十人で二・一%。特徴として女子がふえまして六百三十五人、全体の三三・一%に上り、刑法犯に占める女子の割合の一九・〇%に比べて一・七倍の高い比率となっている、こういうことであります。
 まず警察庁に、この実態調査の背景といいますか、校内暴力というものもだんだんと変質化されて、こういったいわゆるいじめということ、これによって七人の自殺者が出たというのでありますが、こういった原因、背景というのはどう見ているか。これは氷山の一角ということでありますが、この辺を警察庁の見解としてまずお聞きしておきたいし、またこれはもちろん学校教育のことでありますが、警察庁としてこういった防止策についてはどのような対応策を示していったらいいのか、まずこの二点についてお尋ねをしておきたいわけであります。
#86
○中山政府委員 ただいま御指摘のありましたように、実態調査の結果は、警察庁が昭和五十九年じゅうに都道府県警察が処理した少年に関しまして統計的に出したものでございます。背景といって、私ども必ずしも専門的ではございませんのですが、社会の変貌に伴いまして、学業、偏差値を重んずるといった風潮とか、社会的な教育、しつけの機能が必ずしも十分機能しなくなったとか、そういったいろいろな原因によりまして少年が欲求不満あるいは疎外感に陥る、ストレスがたまるといったことが、最近社会問題化されているいじめの背景にあるのではないか、こういうふうに考えているところでございます。
 そこで、警察といたしましては、警察でそういういじめがあるということをキャッチする場といたしましては、少年相談というのがありますし、また事件が起これば事件にする、そういった場でいじめを認知するわけでございますが、そういった少年相談等のさまざまな活動を通じまして今後ともいじめに関する実態の把握に努めまして、警察の方で先に認知したようなときには学校や保護者などにできるだけ早く連絡して事案の解決を促すとか、あるいは事案の内容が悪質で看過できない場合には刑事事件として処理するとか、事案に応じまして的確な処理をしてまいりたいと存じます。
#87
○柴田(弘)委員 そこで、今保安部長からも御答弁がありましたが、私も学校教育の中における偏差値教育というもののあり方、それから落ちこぼれが起こる、ストレスが解消されない、あるいはまた家庭における家族との疎外感から、そういったところで爆発をしてくる。やはり学校だけでなくて社会あるいはまた家庭、こういった中に今回の問題が起こる原因があるのじゃないか、私はこんなふうに端的に考えております。
 そこで文部省としても、過日、こういったいじめの問題等々を含めた登校拒否の問題、あるいはまた校内暴力といった問題等の防止についてのいわゆる児童生徒の問題行動に関する検討会を設置されてこの防止策に努めていこう、こういうことであるわけでありますが、もちろんこれは警察との連携のもとにこういった問題がないように、むしろこれは学校教育の場として、あるいは家庭教育、社会教育の場として解決をしていっていただきたい、こういうふうに私は考えるわけでございますが、こういった今の社会の風潮から起こるこういった問題について、この背景、原因、メカニズムというものも徹底的に究明をして、そして一日も早い防止対策といいますかいろいろな施策というものもとっていくべきである、こんなような考え方を持っておるわけでありますが、その辺の原因の解明、背景、そして防止策というものについて具体的な御答弁を賜りたい。
#88
○遠山説明員 先生御指摘のように、いじめの問題、大変深刻な面がございます。そのようなことを文部省としましても以前からいろいろ対策を練ってまいりましたわけでございます。手引書をつくりましたり、教師の研修をいたしましたり、あるいは校内暴力等に関連しての諸施策を講ずる中で、生徒指導全般の充実ということでやってまいったわけでございます。しかし、この問題はかなり根が深いというふうに考えております。今御指摘のように、学校での友人関係を起因として起こるわけでございますが、家庭の問題、地域社会の問題、そして社会風潮の問題、いわば大人の生活の反映の問題があるわけでございます。その意味では極めて重要な問題であるわけです。その意味で検討会を発足いたしました。
 詳しく申し上げる時間がございませんけれども、単に対症療法的なことではなくて、原因をしっかり究明して、専門的な角度から、医学とか教育学とか精神医学の関係とか、いろいろな専門家の御意見も承りまして原因を究明し、そして客観的な事実の把握に基づいて的確な対応策を立ててまいりたい。地道な長期にわたる方策とともに、緊急にやるべきことがあればやりたいと思っておりますが、今いろいろな専門家の意見を聞いておりましても特効薬はないという問題でございます。しかし、先生方のお力添えもいただきまして、この問題にぜひ積極的に立ち向かってまいりたいと思っております。
#89
○柴田(弘)委員 私も地域におきましては、小学校や中学校のPTAの顧問や相談役をやっておりまして、いろいろ教師の皆さんや児童生徒の父兄の皆さんともこういった問題について話し合う機会もあるわけであります。そこで一様に出てくるのは、学校教育だけの問題じゃないんだ、やはり地域そして家庭が一体となって、本当に児童生徒を中心とした生き方というものをどうすべきかということを真剣に考えなければいかぬということが大体の議論であるわけなんです。
 今特効薬はないという文部省の御答弁をいただいたわけでありますが、そんなことを言っておってはとても対策は立てられないわけでありまして、一つは緊急にやるべきこと、そしておっしゃったような中長期的な観点に立って方策を立てていく、この二つがあると思いますが、この検討会議の結論は一体いつまでに出して、そういった緊急的にやること、その辺の具体策を取りまとめ、そしてどのようなことを文部省として考えているのか、簡潔で結構でございますが御答弁を承りたい、このように思います。
#90
○遠山説明員 検討会議、実は発足したばかりでございます。したがいまして、問題の性格上、直ちに結論を出すというのはなかなか難しいかと思いますけれども、緊急に打つべき策につきましてもしいい示唆が得られればできるだけ早くというふうに考えております。
#91
○柴田(弘)委員 その内容は。
#92
○遠山説明員 内容までは、今ここで私の方から申し上げるわけにはまいらないわけでございます。
#93
○柴田(弘)委員 わかりました。それではとにかくその御努力を期待いたしまして、ひとつ対応策を早急に立てていただきたいことを要望いたします。
 そこで続いて警察庁に。
 警察官、OBを含めてのいわゆる不祥事、先日も三菱銀行横浜支店の人質監禁強盗事件が元警察官によって起きたわけであります。OBあるいは現職警官による犯罪、非行が最近目立つようになっている。警察庁の発表だと、懲戒免職をした人は、昭和五十三年には二十六人、五十四年には二十人、五十五年には十八人、五十六年には二十人、五十七年には十七人、五十八年には十五人、五十九年二十一人、こういうふうになっているわけでありますが、OBを含めて警官によるいわゆる犯罪、非行、これはどのように数字的な推移をとらえていらっしゃいますか。
 それからもう一つ、こういった不祥事がしばしば起きて国民の信頼感を失っているということについての反省というものはどのようにお考えになっているのか、お聞かせいただきたいと思います。
#94
○鈴木(良)政府委員 ちょっと手元に数字が、詳細にすぐ出ないわけでございますが、現実に事案そのものは必ずしもふえているという状況ではないと思います。しかしながら、大変国民の信頼を失墜する重大な事案が起きていることはおっしゃるとおりでございまして、この点はまことに国民に対して申しわけなく感じておるところでございます。
#95
○柴田(弘)委員 数字がわかったら後で下さい。
 戦後四十年、警察制度ができて三十年、いろいろな問題があろうかと思いますが、やはりこの際いろいろな面においての警察制度のあり方を一遍見直す必要があるのではないかという考え方も私は持っておるわけであります。最近のこういった元警官による犯罪の続発、やはり深い根があると見なければならない。そういった意味として、この事件の背景の究明、再発防止の措置、そのために必要な組織の運営、管理、機構、制度の改善というものに全力を挙げて取り組むべきではないか、これが一つ。
 それから二つ目には、警察庁は、警官のサラ金負債の実態点検、生活指導の強化などを指示していらっしゃるわけでありますが、やはりこういった事件が起こる、実効ある対策がとられているかどうかは甚だ疑問でありまして、こういった問題についての再点検、この辺についてはやる必要があるのではないか、この辺のお考え。
 そして第三点は、退職に至るまでの生活指導、退職後の生活相談が本当に行き届いているかどうか、この辺も見直していかなければならないのではないか。特に今回の事件は退職者による事件である、こういうことで、やはりまじめにやっていらっしゃる方も多いと思うわけでございますが、本当に一握りの人たちによって信頼を損なうということは問題でありますので、再発防止という観点からこういった退職者に対するより一層の生活相談なりいろいろな働きかけ、万全な対策をとる必要があるのではないかと思います。
 それから、第四点は、こういった事件の続発を予防し、信頼をつなぎとめるには、警官の採用、教育、人事の運営に新しい抜本的な対応策が必要ではないか、こういうことで、戦後三十年たった今日の警察制度というものを一遍いろいろな観点から洗い直していくことが必要ではないか、こんなふうな考え方を持っております。もちろんその中において、予算を伴うものであれば、こういった財政難の折であるかもしれませんが、どんどん予算措置をしっかりやっていく、そして本当に国民の信頼に足る警察というものの構築に向けていかなければならない、こういうような考え方を持っておりますが、いかがでしょうか。
#96
○鈴木(良)政府委員 まず数字の関係でございますけれども、先ほどのお尋ねの件、過去五年間におきます警察職員の懲戒処分は、監督責任によるものを除きまして五百五十四名でございます。うち九十一名が懲戒免職処分というふうになっております。五百五十四名の懲戒処分の内訳でございますが、刑法犯に関するものが約一〇%弱、交通事故等によるものが二二%弱、その他は内部規律違反等というふうになっておるわけでございます。
 先生からいろいろお話がございました。私どもも再発防止のために各般の対策をとらなければならないということで現在鋭意進めておるところでございます。特に採用につきましては、真に警察官にふさわしい人材を確保する努力を続けていく。教養につきましても、使命感を植えつけるという点にさらに重点を置いてまいらなければならないと思います。また人事管理の面につきましても、よくその実態を把握いたしまして、適切な指導をしていくということをさらに徹底してまいらなければならぬと思っております。
 特に、サラ金のお話もございました。やはりそういう面で生活が乱れておるというふうな形がまさに職務上にも大変問題が出てくるわけでございますので、サラ金というものが実際にどういうふうになっておるかという実態をつかむための努力、例えば本人によく個別面接をするなりあるいは家庭訪問するなりというような形で実態をつかみまして、そうしてそこで問題がある者に対しましては、例えば部内の低利の融資等も十分活用するなどして指導に努めていくというようなことも実はやっておるわけでございます。
 さらに福利厚生の面でも、先ほどのようにやはり生活の乱れというものが直ちに問題を起こすことになりますので、そういう面での生活相談というものを徹底してまいらなければならない。また、安んじて職務に精励できるように処遇の面でもさらに十分配慮してまいらなければならない、かように考えて各般の対策を進めておるところでございます。今御指摘の先生のお話を踏まえまして、さらに徹底をしてまいりたい、かように考えております。
#97
○柴田(弘)委員 ちょっと具体的なことで聞きたいのですが、貸与品ですね、これは退職する際に返納することになっている、手帳とか手錠とかピストルは。これは九点あるそうです。それから支給品、制服、外套等ですね。これは各自で更新するときに処分するということになっているわけです。支給品について今度更新時に回収することにされたわけです。ところが今回の場合は、共犯者が制服を町で売っているものを買って犯罪をした、こういうことで、やはりこれは販売できないようにしなければならない、こんなようなことを考えていますが、その辺はどんなふうに御検討になっていますか。
#98
○鈴木(良)政府委員 お話しのとおり、特に制服を支給しておるわけでございますが、一般には支給した制服は、耐用期間が過ぎますともう使用に耐えないような状況になるわけでございますけれども、たまたま今回悪用されたということもございまして、これは全部回収をするという形で徹底をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
 もう一点お尋ねの、共犯者が制服といいますか市販の類似品を買って犯行したという問題でございますけれども、制服なりそういうものを悪用するというようなことに対しましては、軽犯罪法を中心に適用するという状況にしかないわけでございます。現実にそういうものを製造しあるいは販売をしているという状況につきまして、現在法的な規制はないというところでございまして、この点につきましてはなかなか難しい問題があろうかと思いますけれども、今後私どももさらに検討をしていかなければならない、かように考えております。
#99
○柴田(弘)委員 最後に、外国人の指紋押捺問題です。法務省は先ほど、法改正は考えていない、運用上改善をする方向だということでありますが、これは具体的にどんなふうなことを考えていらっしゃるか。
 それからもう一つ、これは外務省でありますが、昨年金斗煥大統領が訪日されたときにやはり改善を約束された経緯があるのじゃないか、八月の日韓定期閣僚会議の場で何らかの方向性を示すべきじゃないか、私はこんなふうに考えていますが、この辺についてのお考えをまず法務省の方から御答弁願います。
#100
○黒木説明員 ことしの夏の大量切りかえを前提として申し上げますと、先ほども申し上げましたように法改正は考えていないということでございます。ただ、全く現在の運用そのままでいって果たして円滑にいくかどうかということもございまして、運用面で何がしかの緩和措置が講じることができればということで鋭意検討いたしております。
 ただ残念なことに、まだその最終結論は得ておりませんが、私どもとしましては、できれば今月中ぐらいに何がしかの結論を出したいということで、目下鋭意努力している状態でございまして、今ここで具体的にこうでございますと申し上げる段階には実はないということでございます。
#101
○渋谷説明員 昨年の全斗煥大統領の訪日の際の日韓共同声明にも、確かに在日韓国人の待遇問題については今後検討していくという趣旨の項が盛られておりますけれども、この項目につきましては、特に特定の問題について改善を我が方が約束したという意味ではなく、一般的に今後検討していくという基本的な態度を明らかにしたというふうに御理解いただきたいと思います。
 それから日韓閣僚会議につきましては、韓国側から全く非公式な形で、例えば八月ないし九月ではどうかという話はございますけれども、現在のところ具体的な期日、議題等は未定でございます。いずれにいたしましても、指紋押捺問題に関する政府部内の検討は、目下関係省庁間で鋭意進められております。可及的速やかに結論を得るよう努力をいたしておる次第でございます。
#102
○柴田(弘)委員 法務省にお聞きしますけれども、現在全国的に押捺を拒否しているのは何名いるか、今後七月から秋にかけて相当な拒否者が出るであろう、二千人ぐらい出るのじゃないか、こういう見通してありますが、その辺の見通しはどうか。
 それから、告発をしない自治体は、川崎市を初め町田、奈良、大津、摂津等新聞に書かれておりますが、この辺はどのように掌握されているか。あるいは告発留保は仙台、静岡、長崎、五十五市、東京特別区六区、こういう新聞報道もありますが、その辺はどういうふうに掌握されていますか。
#103
○黒木説明員 昭和五十五年以来今日まで、指紋押捺を拒否して現にいまだ押捺してないという外国人は二百名でございます。実はそのほかにもあと三、四十名おるわけでございますが、当方の説得ないしは本人が翻意いたしまして指紋押捺するというようなことで、数から落ちているわけでございます。
 それから告発をしないという趣旨の発言をした地方自治体でございますが、これにつきましては具体的にその都度報告するというシステムにはなっておりませんので、これも新聞報道で承知するだけでございますけれども、私どもが承知しておりますのは十一の市でございます。ただ、この十一の市の中で現に押捺を拒否している人のいる市は三つでございまして、残りの八つの市においては、仮定の問題と申しますか、仮に拒否者が出た場合どうするかということの対応としてそういうような発言がされたというように聞いております。それからもう一つは、告発をしないとは申しておりますものの、即告発はしないという趣旨のことを言っている自治体もかなりおありのようでして、説得を優先させるというようなことのようでございます。
 それから、先ほど押捺拒否者二百名と申しましたけれども、この中で現に告発が行われているものは十四名でございますので、残りの百八十六名につきましては、各市町村において現在説得が行われている、こういう状態でございますが、私ども説得は説得、外国人登録法の目的は、一つは外国人に指紋を押してもらうことにありますので、押してもらうことを説得することを私ども決して否定するものではございませんが、説得に時間がかかって告発がおくれているということは問題がございますので、各市町村に対しては、法令に従って告発をするように指導をしてまいりたいというふうに思っております。
 昭和六十年度だけで指紋を押捺する外国人と申しますか、登録証明書を切りかえる予定の外国人は約三十七万人と私ども予定しておりますけれども、例えばことしの二月、三月を見てみますと、押捺拒否者はそれぞれ月に五十名ぐらい出ておりますけれども、この月におきましても約一万名ぐらいの人が指紋を押す状態になっておりまして、その中で五十名ということでございます。九千九百五十名の人は指紋を押しており、拒否した人が五十名というような大まかな数でございますので、それから申しまして、千名に五名程度の拒否者の傾向があろうということで、単純に数字を延ばしてみますと、先ほどの三十七万ないしもうちょっと、全部で四十万ぐらい指紋を押す人も出てまいりますので、その数から単純に延ばせば二千名という感じになるわけでございますけれども、これも私ども、外国人にそういう法秩序を乱すような行為は慎しむようにというような指導とか各市町村における取り扱いがよろしきを得れば、この数はさらに減ることになるかもしれませんし、この辺はちょっとわかりかねます。
#104
○柴田(弘)委員 時間が参りましたので最後の質問ですが、警察庁にお聞きしたいのですが、先ほど法務省の方から答弁がありましたが、現行法では告発なしでも捜査することも可能でありますね。仄聞いたしますと、既に川崎市においては市の職員やあるいは拒否者に対して送検を目的とした捜査に着手をされた、こういうふうに聞いておりますが、その辺のところと、それからもう一つは、今二百名の拒否者があるわけであります。今後二千名ぐらい出てくるであろう、こういうことでありますが、こういった人たちに対してあくまで送検を目的とした捜査をされるのかどうか、この辺をひとつお聞きをしたいと思います。
 それから最後に、法務省、やはり地方自治体の窓口が混乱してはいけないと思うのですね。新聞によりますと、あなたの方で何か二十日ごろに各都道府県に通達を出す。拒否者に対する説得を強化しそのための体制を整える、説得に応じない者に対する告発は積極的に行う、同一人であるかどうかを確かめる指紋照合を的確に行う、これを骨子とした通達を出されるということでございますが、この辺のところはどうなのか、これだけをお聞きして質問を終わりますが、どうでしょうか。
#105
○柴田(善)政府委員 御案内のように、刑事訴訟法におきましては、犯罪があるということを知られた公務員の方には告発をしていただく義務があるということになっておるわけでございます。そういう意味で、告発がないという点、私どもとしましては大変遺憾だと考えておるわけでございます。
 そこで、川崎市のケースでございますけれども、本件につきましては現在まさに捜査中ということでございますので、直接この事件についてはお答え申し上げるのはちょっと遠慮させていただきまして、一般論的に申し上げてみたいと思うのでございますけれども、御案内のようにこの種の事件というのは、普通は告発を端緒として事件の存在を知りまして、それから捜査を行う場合が多いわけでございます。ただ警察といたしましては、告発がないからということで違法行為を放置しておくというわけにはやはり警察の責務としてもまいりかねるということでございまして、この種の指紋押捺拒否事件の存在を知りましたときには、所要の捜査を適正に遂げまして逐次事件を検察庁の方へ送致あるいは送付申し上げていく、一般論的に申し上げればそういうふうなことになるであろう、このように考えておる次第でございます。
#106
○柴田(弘)委員 捜査するわけですね。
#107
○黒木説明員 ことしの夏の大量切りかえを控えまして私どもいろいろの準備をしておるわけでございますが、この指紋押捺問題、告発問題につきまして、若干市町村の取り扱いにばらつきがございます。そういったことも踏まえまして、この機会に指紋制度、それから市町村における取り扱いぶり、これについて一本通達を出して全国一律の行政が行われるようにということを考えておりまして、先ほど先生がおっしゃったような内容のものを大体頭に置いております。
 ただこの問題、二十日というのは明白でございますか、そこに出るかどうかはちょっと申し上げかねますけれども、先ほど申しました運用上の改善策とあわせて発布をするといいますか、出していくような形にしたいというふうに思っております。
#108
○柴田(弘)委員 時間が参りましたのでやめますが、この指紋押捺問題は、きょうはとりあえず各省の考え方だけをお聞きしました。私どもも鋭意これは改善の方向へ行くべきであると考えております。追ってこの問題についてはまだ一遍質問させていただく機会があるかと思いますが、きょうはこの程度で質問を終わります。ありがとうございました。
#109
○高鳥委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時四十四分休憩
     ――――◇―――――
    午後二時二分開議
#110
○高鳥委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。宮崎角治君。
#111
○宮崎(角)委員 昨日から本日の午前、午後を通じまして、関根長官には御答弁を煩わしたいと思います。
 最近の消防行政は、全国的に見た場合に大変な恐るべき、また憂うべき事態が発覚しておるわけでございます。最近のそういった事例、また過去十年あるいは十五年前の大惨事が先日、司直の手によって判決などございました。まことに枚挙にいとまない我が国の国土、さらには人命、財産が焼失しているという悲しむべき事態を見聞いたしますときに、新長官であられまする関根長官が在職中に何か制度なりあるいは法的な改革なり、そういった兆しというものが、またその要素が迫ってきているのではないかと本員は考えるわけでありますが、この際、関根長官の御見解を初めに伺っておきたいのでございます。
#112
○関根政府委員 日本の消防制度は昭和二十三年に自治体消防として一応制度の根幹が確立をされまして、それ以来三十七年になるわけでございます。その間、私どもが考えましても大変消防力の充実は目覚ましいものがあると考えております。しかし、やはり時代というものはだんだん変わってくるわけでございまして、去年秋に起きました世田谷の洞道火災のように、新しい社会経済の進展に応じまして災害もまた形を変えてくるわけでございますから、こういう新しい時代に的確に対応できるような消防をつくっていく必要があるというふうに考えておる次第でございます。
 そのためには、いろいろ法制的な面におきましても検討をし、改正をしていかなければならないものも当然出てくると思いますし、それから消防力そのものの、人の資質の面においても教育訓練を向上させていかなければいけないとともに、機械、装備につきましては大変大きな進歩発展がなされてきているわけでございますけれども、やはり新しい機械なりあるいは新しい技術というものが世の中ではどんどん開発されておるわけでございますから、これを単に産業技術だけにとどめていることなく、消防の機械、装備等につきましても新しい技術をどんどんと導入していって、近代的な消防として機能を十分発揮できるようなものにしていきたい、そういうふうに考えているところでございます。
    〔委員長退席、臼井委員長代理着席〕
#113
○宮崎(角)委員 新しい時代に対応していけるような消防力、人的にもまた法的にも、装備の上からも、大変な長官の御構想と決意というものが伺えたわけでございますが、私は本日、短い時間の中でお尋ねしたい要点は、一つは雑居ビルの火災の問題、もう一点は、今言われたそういった装備並びに人的な問題もあわせまして、我が国の消防力の基準、この二点に絞って時間の範囲で質問を進めていきたいと考えるわけであります。
 最初に雑居ビルの火災につきましてお尋ねしたいのでありますが、管理権者ですね、管理をしている権限を持っている人が分かれております雑居ビルは、共同防火管理協議会を設置して統括防火管理者を選任している。消防計画を作成してその内容を消防署へ届け出ることが義務づけられているわけでございます。届け出率は、私の調査では四〇%、四割未満と低いようであります。この制度は、形式上は実施されていても実際には機能していないのではないかと思うのです。そういった実態について、長官の御調査並びに御見解を定かに願いたいのであります。
#114
○関根政府委員 いわゆる雑居ビルというものは管理者が複数おりまして、ややもいたしますと、全体について率先して責任を負うという人がいない、お互いにもたれ合ってしまうというような傾向が強いわけでございまして、これも昨年秋にございました愛媛県松山市の三島ビル、ごれがいわば雑居ビル、多目的使用のビルであったわけでございますが、そこで八人の死者が生ずるというような火災も起こっておるわけでございます。そういう事態の中で私どもは、いわば防火行政の中の重点的な分野といたしまして、雑居ビルに対する火災予防を取り上げて取り組んでいるつもりでございます。
 しかし、御指摘のように、実態は必ずしも十分私どもが意図をしておるような状況になってきておりません。昭和五十九年三月三十一日現在の状況で申し上げますと、いわゆる共同防火管理をしなければいけない建物の数が全体で五万八千四百三十六ございますけれども、そのうち、必要な協議事項につきまして協議を済ませ、それを消防署に届け出なければならないのですが、届け出済みになっているところは二万三千七百五十三ということでございまして、先生お話がありましたように、わずか四〇・六%という低い水準にとどまっております。
 私どもといたしましてもこれは非常に残念なことだと考えておりまして、昨年来市町村の消防を督励いたしまして、現地の査察あるいは実地における建物所有者に対する指導等を通じまして、きちんとした管理を徹底するようお願い申し上げているところでございますけれども、今後とも引き続き努力をしていかなければならない分野であると考えております。
#115
○宮崎(角)委員 四〇・六%、極めて低い実情でございます。
 今お話がありましたように、雑居ビルにつきましては二つの形態があろうかと思います。一つは、一人のオーナーでそれを区分けして賃貸しをしているという形態、もう一つは、いわゆる区分所有というので、オーナーが幾人もおりまして分かれているという形態ですね。一人のオーナーで区分して賃貸しをしているという形態と、それぞれ区分所有でオーナーが幾人もいて分かれているという形態、この二つの形態からいたしまして防火に対する意識も違ってくるのではないか。そういう所有の違いもつかんだ上で今後強烈な、そしてまた的確な指導をしていかなければならぬと私は思うわけであります。
 この雑居ビルに入居するテナントの大半というのは、今お話があった中小のバーとかスナックの経営者とか、完全な防火設備を整えるだけの資金といいますか余裕がないと考えられます。入居者の回転が物すごい速いために防災上の問題が極めて大きいわけでございますが、その雑居ビル建築時点から防火構造を完備した設計にするなど、早急に防火強化の対策というものを打ち立てる必要があるのではないかと思うわけでありますけれども、この辺についての長官の御見解はいかがですか。
#116
○関根政府委員 確かに御指摘がございましたように雑居ビルにもいろいろな所有形態、管理権限の違いという態様があると思います。その中で大きく分けて、先生御指摘のように所有権は一人でありまして、それを利用している人が多数である場合というのと、所有権そのものが区分所有というような形で多数の者によって所有されておるというものがあると思います。
 前者につきましては比較的管理が行き届くことが可能でありますけれども、所有権限その他管理権限が分かれておるものにつきましてはなかなか難しい問題がございますので、どちらをどうということはございませんけれども、特に後者の難しい問題につきまして、私どもとしては怠りないようにしていきたいというふうに考えているところでございます。物事が難しいだけになかなか実際上の、消防が回っていきまして防火査察をやっておるわけでございますけれども、なかなか実績が上がりにくい、実績を上げるのが難しいという面もあるわけでございますが、これは懲りることなく丁寧に回って歩きまして、消防署員が足で稼いで整備をしていかなければいかぬというふうに考えております。
 それから、建築の当初からそういうものをきちんとすべきではないかというお話でございますが、まさに御指摘のとおりでございまして、私どももそういうふうに考えております。ただ、建築そのものにつきましては建設省のサイドで、建築基準等につきましては建設サイドでの行政が行われているわけでございます。その際、いわゆる建築確認が出てまいりますと、消防の方でいわゆる消防同意というような制度もございまして、消防サイドとしてはそれを見せていただいて、意見がある場合には意見を申し出ていく、そういう連携も出てきているわけでございます。
 また、防火上の査察に消防署員が参りまして、そこで建築基準法上の欠陥等が、例えば階段の数でありますとかあるいは避難路の出口の数でありますとか、そういうものについて問題がある、あるいは倉庫に使っているべき建物が住宅にいつの間にか変わってしまっておる、そういうものを発見いたしましたときには、建設当局に対して消防当局から密接な連絡をとることによって建築基準法上の違反といいますか、法に適合していないところの是正が行われるよう努めているところでございますし、また今後もそういうことをできるだけやっていきたいというふうに考えております。
#117
○宮崎(角)委員 そういう査察、欠陥事項の指摘、そしてまたそれへの指導、こういう方向でございますが、ぜひそれはひとつ強力に願いたい。
 現行消防法の八条の二の体系の中では、統括防火管理者を選任すべき旨は定めているわけでありますけれども、統括防火管理者の性格とかあるいは要求される知識、技能については特段の定めはしていないのです。共同防火管理体制を適切なものにするためには、統括防火管理者というものが防火管理に関して一定の知識あるいは技能を持っていることが望まれるわけでありましょうが、この趣旨から統括防火管理者を防火管理資格を有する者、こうはっきり明確に規定すべきではないかと思いますけれども、この辺についての解明を願いたいのであります。
#118
○関根政府委員 共同ビル等につきましては統括防火管理者の選任が必要であるということになっております。実際上私どもはこの統括防火管理者の選任に当たりましては、正規の防火管理者としての資格を持っている人を統括防火管理者として選任すべきであるという指導をさせているわけでございますけれども、その背景となります法律の組み方としては、確かに先生御指摘いただきましたように、統括防火管理者についての資格要件というのは明定されていないわけでございます。それを法律上きちっとしたらいいじゃないかという御趣旨だろうと思います。
 この点につきましては、私ども御指摘をいただいて、一般的にはまさにそのとおりであると考えられますので、これは検討をさせていただきたいと思います。ただ、極めて理論的な問題で、果たして正規の防火管理者の資格を持っている者をやらなければいけないかどうかというところが例外的なところとして少しあるものでございますから、それらをどう調整しながら規則なり政令なり、そういったものの条文を組んでいくかということについて少し技術的な問題もございますので、そこを含めて検討させていただきたいと思います。
#119
○宮崎(角)委員 次に、「消防力の基準」の充足率についてお尋ねしたいのでございます。
 私も昨年当委員会で申し上げたわけでございますが、この基準でございます。市町村の必要最小限度の施設及び人員について定めたものについて、施設及び人員の充足率が非常に低くなっている。その消防力の基準に到達するように整備すべきじゃないかと私は常日ごろ思っているわけでございますけれども、私の長崎県においても確かに低いわけでございます。
 そしてまた現実には、この火災だって損害額は四億に近い。火災の一件当たりの損害額だって二千三百万になる。こういったところからいたしまして、実は五十六年の四月現在の充足率が出されて、三年おきにこれをずっと見直すということになって、いよいよことしだろうと思うわけでありますが、何か非常に遅延している、おくれているような感じがするわけであります。こういう実情あるいは今申し上げました各県の実情、全国的な非常に低い充足率、これについて整備の要ありと私は断じたいのでありますが、これが一つ。
 二点目には、消防費についてでございますが、決算額と基準財政需要額との乖離がございます。
    〔臼井委員長代理退席、委員長着席〕
決算額は非常に下回っている。昭和五十七年度でいきますと、基準財政需要額が八千三百四十五億三百万、決算額が七千三百四億二千百万円ですか、そうしますと一千四十億八千二百万というのが、差し引き決算額が非常に下回っているということは使っていないということになるのでしょうかね。これが五十七年。五十八年はもう最近決算額が出たわけですが、やはり一億三千四百万ぐらいのダウンになっている。こういった需要額の一二・四七%が使われずにほかに回っているという、これはどうしたことか。ひとつ関根長官、これについての解明と、今後の各県消防隊に対するおたくの指導徹底、さらに乖離是正、排除、こういったものにつきましての御決意を伺っておきたいのでございます。
#120
○関根政府委員 「消防力の基準」につきましては、私どもはあくまでも「消防力の基準」は必要最小限の整備水準であるというふうに考えておるわけでございます。住民の身体、生命財産を火災その他の災害から守っていくためにはこれだけのものは最低必要ですよという線を示しているつもりでございますので、それが充足されていないということは、論理的にはそれだけの消防の責任が果たされないということにもなっていくわけでございますから、非常に重要な問題として市町村におきましても認識をしていただいて、消防力の整備を急いでいただきたいということをお願いをしているところでございます。
 残念ながら、先生御指摘いただきましたように、昭和五十六年の四月一日現在の状況におきましては、消防ポンプ自動車で一番いいところで八七・九%の充足率にしかならない、水槽などにおきましては六五・九%である、こういう数字が出ているわけでございます。間もなくこれは、三年に一遍ずつの調査をやっておりますので、五月に入りますれば五十九年の時点の状況が数字として出てくると思います。できる限り急いでおりますので、出ましたら御報告申し上げたいと思っておりますが、その数字におきましては、これよりは相当充足率が上がっているものというふうに私ども期待をしているところでございます。いずれにしても、しかし一〇〇%にはとてもいっていないだろうと思っております。そういうことでございますから、財政は大変厳しい状況ではありますけれども、この重要な行政分野である消防力の充足のために関係者の一層の努力をお願いしてまいりたいというふうに考えておるところでございます。
 基準財政需要額と実際の決算額との乖離の問題でございますけれども、御指摘をいただきましたように、これにつきましても、やはり平たい言葉で言いますと交付税で考えているだけのものが使い切れていない、余っておるといいますか、余しておるという状況であることは間違いないと思います。しかし、これも言うまでもございませんけれども、交付税というのはひもつき財源ではございません。それぞれの地方公共団体の財政運営の中で優先度に応じまして、一般財源として優先度の高いものから使っていく、充当していくという財源であるわけでございますので、消防の需要額として見積もられたものをそのままそっくり使わなければいけないということは一般的には言えない、交付税の性格上は言えないものではございますけれども、やはり一方においては、先ほど申し上げましたように消防力の水準が低いわけでございます。それを充当して充当率を上げていかなければならない、そういう責務があるわけでございます。充当率を上げるためには金はかかるわけでございます。一般財源もかかるわけでございますから、そういう努力もしていただきたいという要請から考えますと、決算額と交付税上の需要額とがこういう形になっておることは、少なくも消防サイドからいうと非常に残念なことでございます。これは団体によって様相は全然違うわけです。
 例えば、東京都などは需要額に比べまして大体一三%ぐらい決算額の方が多いわけでございます。もちろん低いところは非常に低いところがあるわけでございまして、出た基準財政需要額を一律に使い切っていないということではないわけでございますけれども、特に基準財政需要額が決算額をオーバーしておる、そういう団体につきましては、消防力の充足状況が低いところにつきましては、精力的に消防の整備をやっていただくようお願いをしていきたいというふうに考えております。
#121
○宮崎(角)委員 「消防力の基準」につきまして過去をひもといてみますと、三十六年に制定され、五十年に大改正があって五十一年に微修正、若干の手直しがあって今日までなされていない。低いというのと、ミニマムというのと、余っている、使い切れない、余している、この辺に基準の問題がまた非常にあるのじゃないかと思うわけでございますが、三年ごととは言いながら、長官、ちょっと時間がかかり過ぎますよ。五十九年四月現在のデータなんかも今集計中だと思いますけれども、相当アップしておればいいのだけれども、この点については早く集計を要するわけであります。
 消防というのは一体何なのか。消防の定義は何なのか、改めてここで広辞苑あるいは大辞典なんかをひもといてみる必要があるのじゃないか。「火災を消し、延焼を防止し、人命救助に当り、また、火災の発生を防ぎ、兼ねて水災などの警戒・防御をすること。」これが定義でしょうかな。この点、長官の消防というこの二字についての定義をひとつ聞きたいと思うわけであります。
 長崎も火の難、水の難を受けました、原爆あるいはまた大水害。何か事故が起きなければ法律なんかも改正されないというような後追い行政というものを脱却しなければいけないと私は強く思うわけであります。あらゆる事故を想定しましてそれのための万全な措置をするのが消防の一つの役目であろうと思うのであります。せっかくある現在の制度を十分に活用しなければ事故の未然防止はできないのでありまして、事故が起きたときには、長官だって、次官だってあるいは大臣だって陳謝する、今後事故を起こさないようにいたします。そうしなければならないのは、いわゆる行政の怠慢としか私は感じないわけでありますが、最後に次官にこの辺、今までの論点を通しまして、実態並びに御決意、また今後の所信をひとつ伺っておきたいと思います。
#122
○関根政府委員 消防は消して防ぐと書くわけでございます。しかし、それの法律上の定義といたしましては、消防組織法と消防法と両方にありますけれども、組織法の一条に書いてございますのは、「消防は、その施設及び人員を活用して、国民の生命、身体及び財産を火災から保護するとともに、」火災から保護することが一つでございます。それから、「水火災又は地震等の災害を防除し、及びこれらの災害に因る被害を軽減することを以て、その任務とする。」ということでございまして、大きく分けて火災からの国民の身体、生命財産の保護と、水火災その他の災害からのやはり同じような防除ということに大きく分けて言えるのではなかろうかというふうに考えております。非常に幅広い任務を持っているものでございます。
 それから、集計が遅いではないかというお話がございましたけれども、これはできるだけ急いでやりたいというふうに考えております。
 それからもう一つのお話は、一方において「消防力の水準」の充当率が非常に低いにもかかわらず財源が余っておるような状態になっておるということでございますが、やはり消防というのはいわば不時に対する備えであるわけでございまして、地方財政が大変厳しいということになりますと、どうしても不時の備えというのは後回しにされるという嫌いがあるのではなかろうかと思います。しかし災害は必ずやってくるということは間違いない。ただ、それがいつ幾日何時何分に起こるということがわかっていない。そのために、人間のさがといたしまして、どうしてもそういう決まってないものについては後回しにするというおそれがあるわけでございます。しかし消防としてはそういうことでは困るわけでございまして、実際に起こったときにちゃんとした備えができていないと責任が済まされない、そういう気持ちで私どもとしては消防の整備を急いでいきたいというふうに考えておるところでございます。
#123
○小澤政府委員 私も宮崎先生と全く同感でございます。これからも消防の充実に最善を尽くしてまいりたいと思います。
#124
○宮崎(角)委員 不時の備えということでございますが、ならばひとつ機を見て敵なり、しかもその上に的確なり、適切なりということをしっかりと踏んまえて、国土の守りとともに人命財産の守りにますますの御健闘を心からお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
#125
○高鳥委員長 岡田正勝君。
#126
○岡田(正)委員 政務次官、内閣制度が明治十八年にできまして、ちょうどことし百年目なんですよ。しかも終戦後四十年目でしょう。こういう切りのいい節目に政務次官の地位につくなどということは、これは希有の出来事ですね。こういうときにチャンスに恵まれました小澤さんの御感想はいかがでございますか。
#127
○小澤政府委員 そう言われると甚だ恐縮でありますが、身の引き締まる思いでございます。とにかく、これからも意を体して、政務次官として一生懸命国のために働いてまいりたいと考えております。よろしくお願いいたします。
#128
○岡田(正)委員 先月末で国の借金が百二十二兆円、地方の借金が五十六兆円、ために国も地方も財政難に陥りまして、ついに国は、苦し紛れに五千八百億円という巨額の補助金の一律カットをするなど、すさまじい暴挙を行いまして、その上行財政改革の実も上がっておりませず、さらには不公平税制の是正も手をつけず、減税もせず、その反面、多段的、網羅的大型消費税の導入を図る姿勢が見え見えでありまして、国民の不快指数は上がりっ放してあります。国民が今政治に求めているのは、行政改革の徹底によって、むだを省いて最小の費用で最大のサービスを得ることであります。増税ではなくて減税であり、ゆとりある生活の確保であります。
 私たちは、生首を切ることなく、むだを省いて国民の納得する政治実現のための行政改革に賛成する立場をとっています。さらに私たちは、労働基本権の制約の上で出されております公務員に対する人事院の勧告や仲裁裁定については、これを一〇〇%完全実施せよと要求をしておる立場にありますが、いずれもその基本は民間準拠でありまして、奉仕者という立場にありましても公務員の皆さんに対しては民間並みの生活を保障すべきであり、そのかわり、仕事も民間並みにしていただかなければならないということを念願しておるのであります。そういう理念に立って、本日は地方の行革、特に定年制と退職金に的を絞りまして以下質問を申し上げますので、よろしく御対応願いたいと思います。回答が非常によければ、私の質問時間も大いにサービスをさせていただくつもりでありますから、前もって申し上げておきます。
 さて第一の質問でありますが、定年制です。
 地方公務員の定年制がいよいよ三月三十一日からスタートをいたしましたね。各自治体の定年条例の内容は一体どうなっているのかということについて以下質問をさせていただきますが、特定の職種を除く一般の定年年齢は六十歳で足並みをそろえていますか。これが一つです。六十歳を超える定年年齢を定めている自治体はありますか。これが二つです。
#129
○中島(忠)政府委員 お答えいたします。
 一般の公務員につきましては六十歳で全部足並みをそろえているという報告を受けております。一般の公務員につきましてそれと異なった定めをした地方団体というものは現在報告を受けておりません。
#130
○岡田(正)委員 よくわかりました。
 次に、暫定定年を定めておる市町村はどのくらいありますか。
#131
○中島(忠)政府委員 先生がお話しになられましたように三月三十一日からスタートいたしまして、詳しくは現在調査を取りまとめ中でございますが、速報でございますので数市町村の差があるかもわかりませんが、現在私たちが得ている数字は四百六十団体、全体の一四%ということでございます。
#132
○岡田(正)委員 特定職種として特別の定年年齢を定めている職種の内容と、その定年年齢の状況はいかがでありますか。
#133
○中島(忠)政府委員 地方公務員法の二十八条の二第三項で「職務と責任に特殊性があること又は欠員の補充が困難」な場合に特例定年を定めることができる、こういうふうになっておりますが、その定めに従いまして特例定年を設けておるのは、ほとんどの場合離島とか辺地に存在します病院とか診療所の医者でございます。その年齢は六十五歳と七十歳の二つに分かれております。非常にレアケースでございますけれども、それ以外にも試験場とか研究所の所長さんというようなケースでございますが、年齢も大体今申し上げましたように六十五歳とか七十歳というのが多うございます。
#134
○岡田(正)委員 比較的単純な仕事が多いと言われております労務職の定年年齢はどうなっていますか。これが一つ。自治省は労務職の定年年齢についてどのような指導を行っておられますか。
#135
○中島(忠)政府委員 先生御存じのように、労務職につきましては国の場合も六十三歳ということになっております。したがいまして、地方の場合も六十三歳というところがございますけれども、ただ、定年制が施行されるまでといいますか、従来地方団体におきましては単純労務職員ということで一括して人事管理を行った経緯もございますので、労務職につきましても六十歳一本という定め方をしたところもございます。それはそれぞれの地方団体の人事管理の実情によってお定めになっておるというふうに承知いたしております。
#136
○岡田(正)委員 再雇用制度を採用している職種と再雇用の期間はどうなっているか、お知らせください。
#137
○中島(忠)政府委員 先生が今再雇用という言葉でお話しになられましたのは、普通地方団体の場合には、地方団体を退職すると、その場合その職員の今までの経験とか能力、そういうものを活用することによりまして、公務の能率に資するということで非常勤の職員として採用するのを普通再雇用というふうに呼んでおります。それとまた別に、今度の定年制に関する法律で再任用という制度も道が開けておりますが、その再任用ということで、一年という期限を付しまして再び地方団体の公務員に登用させるという道も開かれております。
 そのいずれも、特別の職種とか特別の職員というようなことではなくして、最初に申し上げましたように、その職員の今までの能力とか経験というものを活用いたしまして、地方団体の公務の能率的といいますか効率的といいますか、そういう推進に資するということで、それぞれの場合に地方団体の任命権者が判断して登用しておるというのが実情だというふうに私たちは理解いたしております。
#138
○岡田(正)委員 自治省は、地方公務員法第二十八条の四に基づいてどのような指導を行っておられますか。これが一つ。あるいは、本条の趣旨に適合する職種とはどのようなものをお考えでございますか。
#139
○中島(忠)政府委員 先生が今お挙げになりました二十八条の四という条文に基づく任用が、先ほど私が説明させていただきました再任用でございます。その条文にも書いてございますが、退職した職員の能力とか経験、それを活用することが公務の能率的な運営を確保する上で特に必要がある場合、そういう場合に限って再び任用するということが法律で定められておるわけでございます。そういう再任用をすることによりまして、定年制度を設けた、その設けた趣旨が没却されるといいますか、半ば殺されるということがないように再任用制度というものを地方団体の方に運用していただく。したがいまして、再任用を行う場合にはどちらのサイドに立って物を考えるかといいますと、地方団体の公務の能率的な運営という方に力点を置いてといいますか、そちらに軸足を置いて物を考えていただかなければならないだろうというふうに私たちは考えております。
 なお、再任用にふさわしい職ということでございますけれども、ちょっと私が説明させていただきましたように、特定の職ということで再任用にこれがふさわしいということは一般的には非常に申し上げにくいわけでございますが、過去の職員の行政経験とか能力、あるいはまたその職員のいろいろな知識を活用することによりまして、地方団体の仕事がより円滑に進むというときに再任用制度を活用していただくのがいいのではないかというふうに考えております。
#140
○岡田(正)委員 今までの御説明を承っておりますと、なるほどごもっともというところで反論の一つもないのであります。
 ところが、驚いたことに、この公務員の六十歳定年制というものが去る三月三十一日にスタートいたしました。東京都並びに都内の二十三区も同様であります。この東京都と都内二十三区におきましておやめになりました退職者は、総数五千百四十八名に上っておると聞きます。そのうち、今度の定年制ができましたので、六十歳以上の方が五六%で二千八百七十七名に及び、例年に比べるとその数は二・七倍に及んでおると承っております。ところが、今の二十八条の四の再任用とまではいかぬのでしょうが、再雇用といいますか、その中身がよくわかりませんけれども、その裏でこっそりと再雇用制度をつくりまして、希望するものは全員再雇用している、そういう事実が存在しておるのであります。
 これは一つの例でありますが、北区におきましては、六十歳以上の退職者が百四十八名、その百四十八名のうち百八人の人が再雇用してくださいと希望いたしました。全員、一〇〇%オーケーというので再雇用いたしております。しかも、一カ月当たりの勤務日数は、一日八時間で十八日間、そして年金にプラス月十三万八千円の報酬を出すことを決めておるということでございます。これは一体どうなっておるんでしょうかね。
 さらに中野区の例でありますが、再雇用するためにわざわざ職場をつくっているのですね。一つの例でありますが、庁舎の窓口案内というのがあります。この庁舎の窓口案内でも、その人のために別個にまた一つ設けている。これは特殊な技能でしょうか、特殊な能力でしょうか。これは能力でもなければ技能でもないと私は思うのであります。こういう摩訶不思議なことが東京都内においてまかり通っておるということは、おひざ元にそういうものを抱えておる自治省としては一体どう考えていらっしゃいますか。
#141
○中島(忠)政府委員 先生が今お話しになられましたように、再任用とか再雇用というのは、地方団体の業務というものの能率的な運営といいますか、そういう観点に立って考えていかなければならないということは申し上げるまでもございません。そこで、私たちもそういう考え方に従いまして地方団体によく御説明をし、地方団体にその趣旨を了解していただいてそういうことで運営していただいておるわけでございますけれども、時々その趣旨に反したことをやるところもなきにしもあらずかというふうに実は心配しております。
 ただ、先生の方から通告を受けまして私たちの方もそれなりに、電話でございますけれども、聞いてみました。
 まず、東京都の場合でございますけれども、東京都庁の場合には、定年でおやめになった方がいらっしゃる、そういう方の中で比較的能力のある方といいますか、行政経験の豊富な方を再雇用いたしまして、かねがね都民から要望が非常に強かった施設とか図書館、そういうものを土曜の昼からオープンする、日曜日にも都民に使っていただくようにする、そういうような道をこの際開こうじゃないか、そして都民にサービスを充実していこう。しかし、そういう仕事に一般の常勤職員というものを充てるのは少しふさわしくない。そこで、定年でおやめになった方を再雇用いたしまして、その再雇用された方を、先生が今お話しになられましたように非常勤の職員として月に十七日とか十八日出勤していただいて、そして報酬も十三万円から十五万円ぐらいにして、そういう方に都民のサービスに当たっていただくという考え方で東京都庁の場合には再雇用したという話を東京都庁の責任者から聞きましたけれども、これなんかは一つの考え方であろうと私は思います。
 ただ、その場合に、余りそれがみだりに流れてはならないということはよく心しなければならないことだと思います。それぞれの地方団体がそれぞれ抱えておる行政需要というものをよく考え、そしてそれぞれの実情に応じた対応というものはある程度工夫をしていただいてもいいんじゃないかというふうに私たちは考えます。ただ、基本線はしっかり守っていただくようにこれからも指導していかなければならないというふうに考えております。
 それから中野区と北区の話が先生から出ました。私たちも聞いてみました。先生がお挙げになりました数字と一、二違うところもございますけれども、おおむね先生がお話しになったとおりでございますが、ただ、中野区の場合に、新聞に一部報道されておりました事実と少し違うようでございます。案内の業務を民間に委託しておきながら、別にまた定年でやめた人を再雇用してその人にも案内業務をさせるといったぐいの記事が出ておりましたけれども、中野区の方の説明では若干それと異なりまして、今まで一般職の職員で行っておった案内業務、それを今度は非常勤の職員、定年でおやめになった方を再雇用いたしまして、その方に案内業務をさせるということで工夫を凝らしたそうでございますけれども、一部、中野区の方の説明もまずかったようでございますが、私たちの方の現在の聞いたところとは若干違うようでございます。
 ただ、そういうことが時々新聞に報道されるというのは私たちも極めて遺憾でございますし、それが地方団体の一般的な実情というふうに誤解されてもいけませんので、私たちは、先生からおしかりを受けるまでもなく、法の趣旨に従った人事管理行政が行われるように、これを機会に一層強く指導してまいりたいと考えておりますので、御了解いただきたいと思います。
#142
○岡田(正)委員 今の御説明で一部了解いたしますが、例えば図書館が日曜日は開いてないので、再雇用者をもって日曜日も図書館を開くようにしたいというようなことなどはある程度理解がいくのでありますが、それにいたしましても再雇用の人数が余りにも多うございますね。今の中野区の窓口案内のことにつきましても、これは今まで一般職の人がやっておったものを、その人を普通の仕事に戻して、そこへ再雇用の人を非常勤職員として再雇用したのであるという言いわけがありましたが、ところがこれなどにいたしましても、わざわざその職場をこしらえたとしか私には思えないですよ。庁舎の窓口案内というのがそんなに重要な問題なのでしょうか。
 こういう点で私は、希望した者は全員再雇用するというようなやり方をしておったら、定年制というのは全く骨抜きになってしまいやせぬかというふうに非常に心配をしておりますし、行政改革にも逆行するのじゃないかと思っておりますが、それに対してどう思われますか。また、私の言うことがまともだなと思われるなら、これらの是正のために今後どういう指導を行っていこうとする決意がありますか、お答えください。
#143
○中島(忠)政府委員 先生がお話しになるとおりだと私は思います。そういう趣旨で私たちも仕事をしていかなければならないと思います。
 先生から、再雇用の人数が多過ぎるというお話がございました。定年退職でやめた方に対する再雇用者の比率といいますか、それは非常に多いというように表向き私たちも判断いたしますが、実際本当に多いのかどうかということは、中央官庁のこの場で判断するというのは実は非常に難しゅうございますので、私たちはそういう実態というものを地方議会の方にもそれぞれ執行部がよく説明していただきまして、地方議会の方でよく議論していただいて、そこでもチェックしていただくようにお願いしていかなければならないと思います。せっかくの地方自治制度でございますので、そういう機能も十分発揮していただくようにこれから地方団体の方にそれなりのサゼスチョンを与えてまいりたいと思います。
 それで、先生がお話しになられますように、そういうことを余りみだりにやると定年制度というものが骨抜きになるじゃないかということは私たちも心配しておりますので、そういうことを機会あるごとにこれからも地方団体の方によく伝えて、地方団体の方にもしっかり自覚していただかなければならないと思います。
 最後に、少しまた言いわけめいたことになるかもわかりませんけれども、再雇用職員をいろいろな職場で活用することによりまして、地方団体の中では新規に採用する職員をその分だけ抑えてかかるというところも実はございます。そういうような全体としてといいますか、トータルの人事管理というものを十分把握して物事を私たちも考えていかなければ、地方団体そのものの納得を得た上での人事管理の指導というものができないのじゃないかという気がいたしますので、先生のせっかくの御指摘でございますので、それを契機にそういう観点からもよく考えてみたいと思います。
#144
○岡田(正)委員 よくわかりました。今お答えがありましたように、ぜひともしっかり調査もしていただき、監督をしていただきたいと思います。だれが聞いても、一般の都民、国民が聞いてみて、六十歳定年制ができまして、私の方の区役所では百四十八人ことしやめたんですよ、やめましたけれども、しかしそのうち百八人がぜひもう一遍使ってくれ、こういうふうに言われた。それは一〇〇%、全員実は再雇用したのですよということを聞いた場合、その区民の皆さんが、ああそうですか、結構ですねと言うでしょうか。私はそんなことを言う国民はおらないと信ずるのであります。ぜひともひとつそういう点十分に、この定年制が骨抜きになりませんように格段の御努力をお願いしたいと思う次第であります。要望しておきます。
 次に、退職手当に入らせていただきますが、定年制施行に伴う退職手当条例の改定状況はどうなっていますか。これが一つ。また、定年に伴う退職手当の支給率と勧奨退職に伴う退職手当の支給率はどうなっていますか。
#145
○中島(忠)政府委員 定年制が施行されるということは、それに必要な条例を制定することになるわけですが、それに伴いまして法律技術的に退職手当条例も改正しなければならないというところに私たちも着眼いたしまして、この際退職手当条例の適正化を図っていただこうということでかねがね指導してまいりました。この二月から三月に各地方で地方議会が開かれましたけれども、その地方議会でそれが十分行われるように指導したつもりでございますが、その状況というのは実は現在調査中でございます。したがいまして、いましばらくその結果をお待ちいただきたいと思います。
 その際私たちが指導いたしましたのは、先生が今お話しになられましたように、勧奨退職の退職手当の支給率というのは国と同じように、定年退職の退職手当の支給率と同じようにするようにという指導をいたしました。これは国会で御議決いただきました退職手当法にそのように書いてあるわけでございますが、それと同じ内容の退職手当条例を制定するようにという指導をいたしておりますので、おおむねこの線に沿って地方の方は退職手当条例をつくっておると私たちは思います。
 なお、四月一日現在の状況を現在調査しておりますので、いましばらくお待ちいただければまた先生の方に御報告申し上げることもできるかと思います。
#146
○岡田(正)委員 それは調査して、ぜひ報告をお願いいたします。
 そうすると、これもまた同じお答えになるかもしれませんが、俗に言う高額退職金を支給している自治体の中で、定年制施行を契機といたしまして退職手当制度是正のため条例改正を行う団体はどの程度あるのか、具体的にお示しいただけませんか。
#147
○中島(忠)政府委員 先ほどお答え申し上げましたように、四月一日現在の状況を現在取りまとめ中でございますので、そのすべての姿を御報告できないのが非常に残念でございますけれども、私たちはかねがね非常に退職手当の高い団体に対しましては、それぞれ市町村につきましては都道府県を通じて指導し、都道府県につきましては私たちが直接十分お話をして納得していただいた上で是正していただくように努力してまいりました。
 よく新聞に出ますように、東京都の職員の退職手当が非常に高い、何千万になったというような話も出ておりますけれども、東京都の方も昨年の三月に退職手当条例を改正されまして、段階的ではございますけれども、最終的には、国よりも若干高うございますけれども、六十八カ月の支給率になる。特に非常に高給な職員については、国の支給率よりもなお低いところまで現在改めておられますし、その他この近辺の退職手当の高い市につきましてもそれなりの是正の努力の跡は見られますけれども、私たちの目から見るとまだ不十分なところもございます。したがいまして、私たちの指導といいますか説得の効果が、この四月一日現在どういう姿になっておるかということを改めて四月一日現在の調査で見きわめまして、私たちの話を十分お聞きいただけないようなところにつきましてはなお特別に強力な指導を考えていかなければならないと思います。
#148
○岡田(正)委員 よくわかりました。
 そこで、東京都の努力、これはもう行政改革については随分努力しておられる団体でありまして、私も非常に敬意を表しておるのでありますが、片やよく新聞に出ております鎌倉市の退職金、これはもう常識をはるかに超えた金額でありまして、自治省は鎌倉市に対して是正のためにどのような指導を行っておられるのか聞きたいのであります。
 五十八年度のことでありますけれども、選管の事務局長をやっておられました六十歳、四十年勤続の方が、何と驚いたことに百二十・一カ月、国の約倍の退職金で五千七百四十五万円、これはついに日本一であります。それで、五十八年度に四十七人ほど退職者が出ておりますが、部課長クラスでもずらっと四千万台、そして係長クラスで三千五百万台、退職者四十七人の全部の平均が三千四百六十八万円という状態であります。
 それから、東京都は御苦労なさって最終の目標六十八カ月に持っていこうとして努力をしておるという今の報告があって、大変感心しておるのでありますが、鎌倉市の場合は、百三十カ月というのを昭和五十六年から五年かけて百十カ月に減らす、こういうのですね。国の六十八カ月ですかに比べても、修正して百十カ月、物すごいですね、これは。実にのんびりとしておるのでありまして、五年かけて二十カ月下げるというのですから、年間平均して三・三カ月の下げでしょう。三・三カ月ぐらいの下げだったら、ベースアップと定期昇給で支給金額はますますふえていく仕掛けになっているのです。これは今でこそ五千七百四十五万円、日本一と言っていますが、これはまた来年オーバーしますよ。金額はひとつも下がりはしません。
 こういう状況になっておるのでありまして、東京都の努力は私は非常に買っておるのでありますが、先般だれでもかれでも四千万といって宣伝された武蔵野市、あそこは市民の強い非難がありまして、市長さんや議会が一生懸命になって努力しました。何と一年間で四千万から三千万に落としましたよ。これほどの努力をしておるのであります。しかし、国並み――国並みというのは六十三・五二五、それに比べたら鎌倉市というのは日本一の退職金を出し、しかも五年たってなおかつ国の約倍、こういうようなのんびりしたやり方を許しておっていいのでしょうか。優遇割り増しというのは、五十五歳から六十歳の勇退者の場合で、二十年以上勤続の人に適用しますが、二十年勤続で国とほとんど同じ六十・五カ月、三十年で九十四カ月、三十五年で百九カ月、四十年になりますと百二十・一カ月ですよ、これが今の選管の事務局長ですが。とにかくべらぼうじゃありませんか。この鎌倉市に対してどのような是正の指導を行っておるか、お聞かせください。
#149
○中島(忠)政府委員 鎌倉市の給与行政というのが非常に常軌を逸している、そういう御指摘でございます。
 私たちも鎌倉市の給与とか退職手当が非常に高いということはかねがね承知をいたしておりまして、代々といいますか、私の先代も非常に苦労したようでございますが、ざっくばらんな話、お会いしてお話ししても、つい最近までは聞く耳持たないという態度であったようでございますが、この二月の議会におきましては、給与の是正ということで十二カ月の昇給延伸とか九カ月の昇給延伸という措置を講じまして、給与水準の適正化にも市自身が取り組んでまいるようになりました。私は、こういう経過というのを見ておりますと、地方団体にその必要性を納得していただいて、そして地方団体みずからの手で是正するということは時間がかかるなどいう実感をしみじみ持ちますけれども、そういう過程というのが実は地方自治の行政の中では非常に大切じゃないかという気もまたいたします。
 そういう経過を踏まえまして、それなりの自覚を鎌倉市が持っていただいたというのは非常に評価すべきことじゃないかというふうに思うわけでございます。ただ、退職手当につきましては、先生が今お話しになられましたようにまだ非常に高うございます。高うございますけれども、現在の条例で定められた是正のステップというのを見てみますと、最終的には七十八カ月まで下がる、これは六十四年四月ということになっておりますけれども、そういうふうになっております。
 ただ、それにいたしましてもテンポが遅いということで、現在市民からも非常に強い批判が出ている、議会でもそういうことが議論になっておるという実情を私も目の前で見ておるわけでございますけれども、住民や議会がそういう実態というものを認識しながら、また私たちもいろいろ指導しながら、これが是正されていくように努めていくというのが地方自治の非常に重要な点じゃないかという気がいたしますので、私も先生の御指摘というものを踏まえて、これからもまた鎌倉市とかその他高いところにつきまして、地方の自主的な判断といいますか努力によって是正されるように努めてまいりたいというふうに思います。先生の重ねての御指摘でございますので、私も努力をさせていただきたいと思います。
#150
○岡田(正)委員 ありがとうございました。
 なかなかしんどいことだと思いますが、これは地方自治団体の自主性の問題もありますし、踏み込むのにも相当な苦労が要ると思います。しかし基本は、私が言いたいところは、鎌倉市の職員の人が日本一の退職金をもらったからうらやましい、腹が立つというのではないのです。人間でありますから、お互いに欲のない人間はないわけです。ですから、少ないよりは多い方がいい、これは私もそのとおりです。私も一つも隠しやしません。
 だがしかし、問題はそのもらう金はどこから出るかということなんです。ある会社が業績がよくて、金をもうけて、その利潤の分配で退職金がふえたというなら構いませんよ。ところが国にしても地方公共団体にしても、お払いをするその金というものはだれの金なのか。それは国民の金であり市民の金じゃないですか、税金じゃないですか。言うならば税金を納めておる国民や市民というのは主人役に当たるわけですね。その御主人よりもべらぼうにかけ離れた退職金を、その御主人が払ってくれた税金の中から勝手につかみ取りをするというようなやり方は断じて許しちゃいかぬ。そういう点では厳しい厳しい姿勢をとって是正をしていただかないと、国民の政治に対する不信感というものは決してぬぐわれることはないと私は信じておりますので、せっかく御努力をいただきたいと思う次第であります。
 次に退職手当債の問題でありますが、定年制施行に伴う退職者の急増で退職手当債を発行する自治体が多いと聞いておりますが、一体どうなっておりますか。
#151
○花岡政府委員 退職手当債につきましては、職員の退職によりましてその団体の財政の健全化が促進される場合に限って認めることといたしておるわけでございます。その要件の一つとして、職員の定年制に関する条例の制定に伴い退職者が急増した場合というのがございます。この場合におきましても、原則として過去十年間における平均退職者数の一・三倍以上の退職者がある場合に限っておりまして、平均退職者数を超える退職者分につき対象といたしておるところでございます。
 退職手当債の対象とする額につきましても、当該団体の退職手当条例に基づく額、国家公務員の退職手当支給率により算定した額とのいずれか低い額というふうにいたしておるところでございまして、この要件に基づいて許可した団体は、五十八年度は該当団体ございませんで、五十九年度におきましては十四団体でございます。
#152
○岡田(正)委員 ちょっといま一度確認をしたいと思いますが、退職手当債を発行するというのには大前提があって、その行為を行うことによってその地方自治団体の財政が健全化するという目的であれば出す。それは、退職者がたくさん出る。例えば例年の一・三倍というような数であれば結構である。ここまではよくわかったのでありますが、その次は、しかも条例に基づいておること、それから国の基準に比べていずれか低い方を基準として退職手当債は計算するとおっしゃったように思うのですが、そうすると、国の方は最高が六十三・五二五カ月分ですね。それに比べて例えての話、地方の方では百カ月あるいは百二十カ月というような支給をするという場合は、六十三・五二五で計算をした退職手当債しか許可しないという意味ですか。それとも百二十カ月出しているなら百二十カ月分しようがない、それは条例でそうなっているのだから退職手当債を出しましょう、そうなっているのですか。いずれですか。
#153
○花岡政府委員 その場合には国の方の六十三・五二五の率で計算をいたします。仮にこれよりも下回っている条例を定めておった場合にはそれによるということになります。
#154
○岡田(正)委員 そういたしますと、先ほど私いろいろ申し上げましたように鎌倉の場合とかいろいろありまして、そういう高額退職金がずっといまだに続いておる地方団体がありますが、この高額退職金支給の自治体について、退職手当債の発行は六十三・五二五カ月より高ければ六十三・五二五カ月分で認めるということなんでしょうか。そこのところをもう一遍はっきりしてください。
#155
○花岡政府委員 退職手当債の額の計算につきましては、先ほど先生がおっしゃいましたように、国よりも高い率で支給しておる場合には国並みの計算をするわけでございます。
#156
○岡田(正)委員 そういたしますと、先般も新聞で報じられましたが、退職金の関係で五百六十四億円借金をする、いわゆる退職手当債を発行するということを自治省の方は許可する予定であるようでありますが、これは一体、低い方という説明ですが、わかりやすく言ったら国が一番低いに決まってますから、その国の退職金六十三・五二五カ月分までで計算をしたのがこの五百六十四億円の退職手当債だと考えていいのですか、間違いありませんか。
#157
○花岡政府委員 五十九年度の退職手当債の許可予定額は、先ほど申し上げました定年制条例によるもの以外にもございますので、御指摘のように団体数は五十三団体、金額として約五百七十六億円でございまして、その計算の基礎は全部国並みでございます。
#158
○岡田(正)委員 わかりました。いずれにいたしましてもこの退職手当債というのは、民間の金融機関から利息の高い縁故債で借りると思うのでありますが、そのとおりですか。
#159
○花岡政府委員 そのとおりでございます。
#160
○岡田(正)委員 ということになりますと、例えば縁故債で十億円の借金をいたしたとします。そういたしますとその利息は、十年償還で返すとした場合、利子だけでほぼ五億円かかるわけです。こういうようないわゆる給与や退職金が民間並みより外れて、民間というのは御承知だと思いますが、民間の平均というのは、退職金が全然出ない団体もあります。それから、退職金の出るところの平均をとりましても四十カ月というのが民間の平均でありまして、この民間よりもけた外れにたくさん出しております給与や退職金、今度の場合は退職金でありますが、その退職金を出す金がないからといって銀行から縁故債で借りる。これは利子の高いものであって、十億円も借りれば十年間で利息を五億円も払わなければいかぬというような結果に陥るのであります。
 いずれにいたしましても、これはすべて国民や市民、都民のいわゆる負担となるわけであります。これは国民にツケを残したことになるわけでありまして、私はこの高額退職金の是正ということはゆるがせにできない緊急を要する問題であると考えておりますが、厳しい条件を高額退職金につけるというお考えはございませんか。
#161
○花岡政府委員 退職手当債につきましては、この根拠となる規定が地方財政再建促進特別措置法の二十四条に基づくものでございますから、定数の改廃等が将来の財政構造の健全化に寄与すると同時に、職員を退職させることによりまして節減される経費相当分によって、将来にわたって公債費の償還財源が担保されるということから認めておるわけでございます。
 したがいまして、その運用に当たりましては、一つは、先ほど来お答えいたしました定数条例の改正によって定数の削減が確実に見込まれる場合、それから二つ目には、退職手当条例の改正による退職手当支給率の引き下げに伴い退職者が急増した場合、それからもう一つ、定年等に関する条例の制定に伴い退職者が急増した場合、これが先ほど申し上げたもので、今申しました一番最初のものは定数条例の改正でございます。この三つに限定しておるわけでございます。
 それから退職手当債の対象となる額につきましても、先ほど申し上げましたように、その団体の条例に定めております額と国家公務員の退職手当支給率によって算定した額、このいずれか低い額とすることにしております。なお、対象となる職員につきましても一般職に限定いたしておりまして、助役などの特別職は対象にはいたしません。このようなことで、本債の性格上極めて厳しい条件のもとに運用しておるところでございます。
#162
○岡田(正)委員 大変きびきびした御回答をいただきましたので、私もきょうはこの辺で矛をおさめさせていただきます。十分ほど大サービスをさせていただきます。
 次官、ただいま申し上げましたように、問答をお聞きになったと思いますが、国民のもやもやとした不快指数の中には、今申し上げたような定年制の実施が案外しり抜けになっておるのじゃないか、あるいは高額退職金というのがさっぱり改まっておらぬじゃないか。
 一つの例を申し上げますと、私の知っておる町にある一つの大企業が来ました。そのおかげで、人口が九万人しかなかった町が三十六万人にふえました。大躍進であります。その会社が来たおかげであります。ところが、その会社で出しますところの退職金は、つい二年ほど前の例でありますが、税金で払っておる市役所の職員の人の退職金の平均が二十六年勤続で二千八百八十万円。それに比べて、九万しかおらなかった町がその会社が来たおかげで三十六万に膨れ上がった、そういう大貢献をした大口納税者であります会社の従業員に対する二十六年勤続の支給金額は、退職金八百八十万であります。だから二千八百八十万という市役所の平均退職金から、その非常な貢献をした会社の従業員の諸君の八百八十万を引いて、なおかつ残りが二千万ある。こんなべらぼうなけた外れなことがあっていいのでしょうか。これはもう我慢できぬ、許すなというので市長選挙を行いました。それは行政改革推進派の市長が圧倒的な差を持って当選をいたしまして、今行政改革で一生懸命やっておる最中でありますが、事ほどさように国民や市民というものは不満を持っております。少なくとも政治に不信感を起こさせることがないよう強力なる指導を大臣ともども行っていただきますよう心から期待をいたして質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#163
○高鳥委員長 経塚幸夫君。
#164
○経塚委員 最初に、警察の方、風営法の問題についてお尋ねをいたします。
 深夜における酒類の提供飲食店営業についてでありますが、これは法三十三条で届け出書の提出ということで、氏名、住所、法人は代表者、それから二つ目には営業所の名称、所在地、三番目には構造及び設備の概要、それで添付書類として公安委員会規則十二条で定める書式、こういうことで定められておりますが、この法の三十三条、それから規則十二条で定める書類が整っておれば届け出は受理しなければならないものだと考えますが、その点はいかがですか。
#165
○中山政府委員 深夜における酒類提供飲食店営業につきましては、今お話のあった法第三十三条一項各号に規定する事項を定められた様式に記載した届け出書、三十三条一項各号というのは、深夜における酒類提供飲食店営業の届け出についての規定でございます。その届け出書と総理府令の第十二条第一号の書類、これは届け出の際の添付書類の規定でございます。その書類が添付されていれば、必要な事項が記載されているか否かを確認した上で、届け出を受理するということになります。
#166
○経塚委員 そうしますと、三十三条、それから十二条ですね。「営業の方法を記載した書類」、それから「営業所の平面図」それから「個人である場合には、住民票の写し」、それから最後に「法人である場合には、定款、登記簿の謄本及び役員に係るハに掲げる書類」、三番目に掲げる書類、これだけあれば届け出についてはもう受理する、こういうふうに解釈してよろしいですか。
#167
○中山政府委員 それだけの添付書類に必要な事項が記載されておれば、受理することになります。
#168
○経塚委員 地方によってはこれ以外の書類も届け出の条件にしておるようなところがあるやに聞いておるわけですが、あくまでもこれは法、それから総理府令によって定められておるものでありますから、これの条件が整っておれば、これは受理する、この趣旨はぜひ改めてひとつ御徹底をいただきたい、かように考えるのですが、その点はいかがですか。
#169
○中山政府委員 私ども、今申しましたような趣旨で各県を指導しておるところでございます。今回の風営法の改正というのは、やはり風俗営業者あるいは届け出を要する業者に対する負担を軽くするというのも一つのねらいでございましたので、その趣旨に従って今後とも指導してまいりたいと思います。
#170
○経塚委員 ぜひひとつ指導を強めておいていただきたいと思います。
 次に、暴力団と右翼の問題についてお尋ねをしたいと思うのですが、三月十五日に山口組本部事務所、これは一和会系の暴力団に襲撃をされておりますが、この犯人中村某、これは一和会系山広組の川健組幹部と言われております。同時に大日本殉誠会関西本部長とも言われておりますが、これは間違いないでしょうか。
#171
○金澤政府委員 御指摘の者につきましては、大日本殉誠会関西本部長であるという事実は把握しておりません。
#172
○経塚委員 それでは、山口組四代目竹中組長射殺事件、殺害を指示したということで全国指名手配になっております石川裕雄でありますが、これは一和会の常任幹事ですね。これも右翼団体悟道塾の幹部、こう言われておりますが、その点はどうですか。
#173
○金澤政府委員 御指摘の者につきましては、五十七年ごろまで同悟道塾の代表者であったというふうに承知をしております。
#174
○経塚委員 一和会の常任顧問白神英雄、これは今潜伏中と言われておりますが、八紘会の会長、同時に三曜会の議長、こう言われておりますが、これはどうですか。それからさらに一和会の本部長松本勝美、新日本青年憂政会会長、これも潜伏中、こう言われておりますが、この点はどうですか。
#175
○金澤政府委員 まず御指摘の白神ですが、これは八紘会の代表者であると承知しております。なお、三曜会の幹部であるという事実については把握をいたしておりません。それから一和会本部長の松本ですが、これにつきましては新日本青年憂政会の代表者であると承知をしております。
#176
○経塚委員 中村某については、これはポケットから大日本殉誠会関西本部長の名刺が出てきた、こういうふうに言われておるわけですね。これは改めて確認をしておいていただきたいと思うのです。
 そこで、暴力団で右翼を名乗っておる団体の数、それから構成員数、五十七年、五十九年それぞれについてわかっておりましたらお知らせをいただきたい。同時に、違法事件で検挙した数、五十七年、五十九年、それぞれどうなっておりますか。
#177
○金澤政府委員 いわゆる右翼標榜の暴力団についてでありますが、まず数は、五十七年に約百四十団体約二千九百名、五十九年約二百団体約二千四百名であります。この右翼標榜暴力団につきまして検挙しました状況ですが、五十七年は六百三十件、七百八十五名。五十九年は四百十四件、五百四十六名であります。
#178
○経塚委員 暴力団の団体数と組員数、それから右翼の団体数と構成員数、これはどうなっておりますか。
#179
○金澤政府委員 暴力団の状況につきましては、五十七年当初で二千四百五十二団体、十万三千二百六十三名。五十九年当初で二千三百三十団体、九万八千七百七十一名を把握しております。
#180
○柴田(善)政府委員 右翼の団体数、それから構成員数でございますが、御案内のように右翼の定義は非常に困難でございますけれども、一応、国家主義あるいは民族主義と言われるような主義主張に基づきまして現在の政治、社会、経済等の諸問題の不合理と信ずる点を是正しようとする団体の総称といったような理解をさしていただいて数を申し上げてみますならば、消長は激しいのでありますが、おおむね八百四十団体、十二万人余という数がここのところしばらく変わっていないように見ています。
#181
○経塚委員 先ほどの暴力団で右翼を名のっておる団体と構成員の数でありますが、五十七年、五十九年の数字は御報告いただいたわけですが、それ以前の五十五年、五十六年はわかりませんか。
#182
○金澤政府委員 その時点ではそういった観点で実態把握をしておりませんので、数字は把握しておりません。
#183
○経塚委員 それでは、五十五年、五十六年というのは数字を把握しておらないということは、改めて数字を把握する必要性もさほどなかったというふうに解釈できるんですか。
#184
○金澤政府委員 ちょっと当時の状況はつまびらかではありませんが、現在でその時点での数字を把握するというのはちょっと難しいと思います。
#185
○経塚委員 これはいずれにしましても、警察庁自身が五十七年から実態の把握に乗り出したという背景には、やはり五十七年、五十八年、五十九年にかけてふえてきたという傾向があるんだろうと思われるのです。それで、暴力団であって右翼を名のっておる団体あるいはその構成員数が五十七年以降ふえてきておるという原因について、警察庁の方ではどういうふうに判断をされておるのですか。
#186
○金澤政府委員 当時の状況といたしますと、暴力団に対します資金源の取り締まりというものを強化いたしておりますし、また一方で改正商法の問題がありまして、資金源に困った暴力団がそういった政治団体を仮装して資金を集めるといった方向に向かったのが一つの原因ではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
#187
○経塚委員 従来、総会屋などということで資金を手に入れておった。これが商法の改正によってその資金源が断たれる、これは一つ考えられますね。政治団体を名のれば政治資金で公然と献金を受けることができるわけでありますからこれは公然と資金活動が続けられる、確かにこの面はあると思うのです。
 そこで、今ちょっと御報告をいただきました範囲でも、検挙数を見ますと五十七年、五十九年とも暴力団で、そして同時に右翼団体を名のっておるものを見た場合には、五十七年、五十九年、比率で見ますと構成員数の二〇%を超しておるわけですね。これはいわゆる普通の右翼団体よりも、暴力団でありながら右翼団体を名のっておる団体の違法行為が極めて率が高い、こういうことを数字は裏づけておると思うわけでありますが、この種の団体に対する取り締まりについては、基本的にはどういう考え方を持っておるのですか。
#188
○金澤政府委員 暴力団の取り締まりにつきましては、基本的には同じでございます。右翼を名のっておっても暴力団は暴力団でございますので、現在やっておりますような暴力団に対する徹底取り締まり、これは両方同じでございまして、今後もその方針でやっていきたいと思っております。
#189
○経塚委員 先ほど五十七年以降急増してまいりましたその理由についてただしたわけでありますが、私は、商法の改正による暴力団の活動を合法化する、あるいは資金の入手を合法化する面と同時に、警察庁なり政府のとってきた態度について矛盾があるのではないかという感を強く抱いております。
 と言いますのは、一九八二年八月、私どもがこの問題につきまして国会でただしておりますが、当時の宮澤氏はこういう答弁をされておるわけです。「一概に右翼、暴力団というふうにおっしゃいますけれども、右翼というものと暴力団というものは分けて考える必要があるであろうと思います。思想の自由の問題でございます」、こういうことを八二年八月十日の衆議院決算委員会での我が党の三浦議員の質問に対してお答えになっております。それから山田警察庁警備局長、八二年八月十九日の参議院地方行政委員会での質問に対しまして、広域暴力団の「下部団体が右翼団体を結成しているのではないかというお尋ねだと思いますが、そういうことも現実にはございません。」こう答えられておるわけですね。さらにそれ以降の、これは警察庁自身が出しました八三年五月のいわゆる「活発化する右翼の動き」というパンフレットの中に、右翼の多くは基本的には啓蒙活動などを通じて合法的な運動によって国家革新を図ろうとしている、こういう民主主義運動の一団体だという位置づけもされておる。
 今現実にここ一、二年来、商法改正以降、暴力団が右翼の看板を掲げれば公然と活動できるし資金も入手できる、そして、一、二の例をお尋ねいたしましたけれども、この山口組あるいは一和会の中でも、そういうベールをかぶって、そして公然と右翼団体の名称で活動しておるという事態が出てきておりますね。したがって私は、これは数年前の御答弁だから、その当時の状況は今のような状況ではなかったという判断のもとに御答弁をされたのではないかと考えられる点もございますけれども、現実にこうして暴力団が公然と右翼を名のって資金の入手活動を展開しておる。しかもその中で違法行為の率が非常に高い。こういう状況であれば、これは警察庁も暴力団は徹底壊滅なんでしょう、したがってどのような看板を使おうとも本質的には暴力団と変わりがない、こういう団体については壊滅作戦をとるべきではないかと考えるのですが、その点はいかがなものでしょう。
#190
○金澤政府委員 いかなる標榜、看板を掲げようと、これは暴力団である以上は、警察として基本的に厳正に暴力団としての取り締まりを行うという姿勢でやっていきたいと思います。看板はどうであれ、暴力団の実態を我々が把握したならば厳正にやっていくということを申し上げたいと思います。
#191
○経塚委員 それから次は、警察官の相次ぐ不祥事件についてお尋ねをしたいわけでありますが、この五年間の不祥事件件数、処分数、それから処分の中で懲戒免職数それから諭旨免職、これは公務員法上の処分ではございませんが、諭旨免職の数、それぞれお知らせをいただきたいと思います。
#192
○鈴木(良)政府委員 過去五年間の警察職員の懲戒処分の件数でございますが、監督責任によるものを除きまして五百五十四名でございます。うち九十一名が懲戒免職処分となっております。
 それから諭旨免職の件数でございますが、年間おおむね四、五十人程度ということでございます。
#193
○経塚委員 処分数の中で刑法犯に関する者、それから交通事故あるいはその他内部規律違反等々の分類はどういうふうになりますか。
#194
○鈴木(良)政府委員 先ほどの五百五十四名の懲戒処分の内訳といいますか事由別でございますが、刑法犯に関する者は一〇%弱、それから交通事故等による者が約二二%、その他が内部規律違反ということになっております。
#195
○経塚委員 これは監督責任を除いた数字ですね。八四年七月十二日、参議院の地方行政委員会で報告をされました数字とはやや違うように思いますが、これは五十五年懲戒処分数百八十、五十六年が百七十四、五十七年が百六、五十八年が百八十、こういうふうになっておりますが、この違いはどういうことですか。
#196
○鈴木(良)政府委員 今のお話の数は監督責任を含んだ数ではないかと思います。
#197
○経塚委員 そうしますと、監督責任を含めますとどういう数字になりますか。
#198
○鈴木(良)政府委員 監督責任を含めますと、昭和五十五年百八十、五十六年百七十四、五十七年百六、五十八年百八十、五十九年百三十八でございます。
#199
○経塚委員 諭旨免職が毎年四十人ないし五十人ということでありますが、この諭旨免職というのはどこを探してもこういう処分の用語が法令上は見当たらないわけでありますが、これは懲戒処分に入るのですか、入らないのですか。
#200
○鈴木(良)政府委員 正規の懲戒処分には入らないと思います。
#201
○経塚委員 そうしますと、退職金は出されるわけですね。
#202
○鈴木(良)政府委員 そのとおりでございます。
#203
○経塚委員 退職金は規定どおり全額出されるのですか、あるいは若干の減額はあるのですか、その点はどうですか。
#204
○鈴木(良)政府委員 規定に基づいて退職金は支払うことになっております。もともと諭旨免職は一種の通称でございますから、したがいまして、依願退職としての扱いとしての退職金を支払うということになります。
#205
○経塚委員 そうしますと、この東京都の八四年三月三十一日の退職手当に関する条例によりますと、こういうふうに言われておるのですね。「非違の程度に応じて、任命権者が知事と協議のうえ、退職手当を支給せず、又は第五条の規定により計算した額から一部を減額した額をもってその者の退職手当の額とする。」ということでありますから、非違により勧奨を受けて退職した者に対する退職手当、東京都の場合は基本は「退職手当を支給せず、」しかし「一部を減額した額をもってその者の退職手当の額とする。」という場合もある、こういうことなんですが、いずれにしても、満額規定どおり出されるという原則ではないわけなんですが、その点はどうなんですか。
#206
○鈴木(良)政府委員 御存じのとおり、普通退職の場合には、退職時に一定の勤務年数あるいは勤務実績というものが、そういう基準に達しておりますれば、勧奨退職によります退職金の割り増しであるとかあるいは退職時の特別昇給であるとか、退職時の階級昇任であるとか表彰であるとかということが伴うわけでありますけれども、諭旨免職の場合には、今申しましたように、そういう優遇措置は一切なく、依願免職という形で退職金を支払うという形になっておるわけでございます。
#207
○経塚委員 そうしますと、諭旨免職の場合は全く無傷で退職金がもらえる、こういうことになるわけでありますが、何の処分にも該当しない、したがって、経歴書は依願退職ということになるわけですね。どうも最近の不祥事件の中で、年間四十ないし五十件が諭旨免職、それで警察官をやめていくということでありますが、これはちょっと身内に甘いというそしりを免れないのじゃないですか。
 これは週刊読売八五年四月十四日でありますから、警察の方で否定をされるのでしたら否定をしていただいたら結構かと思いますが「婦女暴行」事件、五十四年九月ですね、「婦女暴行被害を受けた女性を「捜査のことで話を聞きたい」と、ラブホテルへ“連行”。事情を知った上司が四十万円で示談にしたが、諭旨免職処分になった」、随分たくさんありますが、「下着ドロ・わいせつ」事件、五十八年十月、「洲本市内」――洲本市内といいますと私の淡路島ですが、「A子さんのベランダの下着四、五枚を盗み現行犯逮捕。」これも諭旨免職ですね。「泥棒・万引き」事件、五十五年九月「千葉市内のスーパーで家族で買い物中、加山雄三、八代亜紀、渥美二郎のテープ三本を盗む。バレると、「十一歳の長女が盗んだ」と娘に罪を着せた。懲戒免職ではなくて諭旨免職。」こういうのが随所に出てくるわけですが、ちょっと常識で判断をいたしますと、今申し上げたようなこと、事実に間違いかなければ、懲戒処分ではなく諭旨免職ということで退職金も全額いただく、これは最初に申し上げましたように身内に甘いというふうに受け取られてもやむを得ぬ措置じゃないか。これは処分じゃないですね、措置と受け取られるのですが、その点はどうですか。
#208
○鈴木(良)政府委員 一つ一つのケースがどういうふうになっているかということ、今先生お話しのケースはちょっとつまびらかにしておりませんのでわかりませんけれども、原則といたしましては、やはり懲戒処分ではいささか重過ぎる、しかし停職なり減給なりという処分で職場にとどめておくというのは適当でないという者に対しまして、本人の責任を明らかにした上でその職を辞させるということでございまして、なるほど正規の懲戒処分ではないかもしれませんが、ある意味では実質上は非常に重い処分、処分と言えるかどうかという御議論もあるかもしれませんけれども、懲戒免職に次ぐ一つの重い処分である、そういう実質であるというふうに考えておるものでございまして、そういう考え方で、懲戒処分に至らない、しかし職場にとどめておくには適当でないという者に適用して運用しておるということでございます。
#209
○経塚委員 ますますその点は疑義を抱かざるを得ないわけですが、これは東京都の人事部の話でありますが、どういう場合にこういう諭旨免職に類する扱いをするのかということについては、警察から退職させれば起訴しない、違法行為が歴然としておってももうそれでなかったことにする、こういう場合にこれは適用するのだ、結局違反行為をていよく内密で処理する、こういう場合にこれは発動する、こういうことを言っております。
 今ちょっと私が例を挙げましたようなことが事実とすれば、婦女暴行事件だとかあるいは現行犯で連行というような事件もあるわけでありますから、これは公務員法上の懲戒処分の何の対象にもならずに、そのまま職を引かしてそれで退職金全額支給、ちょっと通らぬのじゃないですか。懲戒処分に次ぐ内容のものであるということであれば、当然これは退職金にも何らかの影響がきてしかるべきだ、こう考えるのですが、その点はどうですか。
#210
○鈴木(良)政府委員 職場にとどめないというのは本人にとってみれば非常に大変なことでございまして、その職場に生涯をかけて勤務しようという者に対して責任を明らかにして職場に勤務させないという形をとるわけでございまして、これは実質的には大変重い処分であるというふうに考えておるところでございます。
#211
○経塚委員 これは重い措置だとおっしゃいますけれども、実態的には過去の経歴においても何の差しさわりもないことになるわけでありますから、それは通らないと思います。
 そこで、引き続いてお尋ねをいたしますが、五十九年七月二十九日、元大阪府警坂田正祐が懲戒免になっておりますが、この坂田正祐と坂田政光、これは五十六年現北署の署長をやっておった人でありますが、これは関係がある人物ですか。
#212
○鈴木(良)政府委員 懲戒処分になりました巡査長の坂田正祐は、今お話しの堺北の警察署長を五十六年ごろやっておりました坂田政光の次男でございます。
#213
○経塚委員 親子の関係ということでありますが、この懲戒処分になった坂田正祐は五十九年七月に、現職警官でありながら、四国の徳島県で昼間から酒を飲んで車を運転、しかも逮捕されたときの血液中アルコール分が〇・九ミリ、泥酔状態ですね、それで二人を死亡させたために懲戒免職になったわけでありますが、これはそのときの処分が初めてじゃないわけですね。それ以前に、あの大阪を騒がせた賭博遊技機事件で、賭博機を使って賭博をしたということで、当時南署の刑事課に籍を置いておったようでありますが、本部長訓戒を受けておった人物ですね。本部長訓戒を受けながら、その後機動隊に配属をされて、そして五十九年の七月二十七日に昇任試験を受けて合格、すぐ昇任をしておるわけですね。
 大阪府へ問い合わせをいたしましたところ、通常大阪府の一般職員の場合は、処分を受けた後二年間は、まあ処分の内容によって昇任試験は受けられるけれども、合格したとしても昇任はストップされる、こういう取り決めになっておるようであります。そして大阪府の見解といたしましても、訓戒処分も訓告処分もこれは処分の一種に値する、こういうことで、その場合も適用される、こういうことでありますが、これはどうしたものか、賭博遊技機で賭博行為をやって、そして公務員法上の懲戒処分に次ぐ最もきつい本部長訓戒を受けて、それで、その後二年も経過しないうちに試験に合格して昇任をしておる。そしてそのうれしさ余った上でのことだろうと思いますが、その二日後に泥酔で死亡事故を起こして懲戒免になっておる、こういうことであります。どうもこの経緯を見ますと、情実人事ではないか、こういう疑惑や不審が警察内部からも出ております。
 私の手元に一通の投書がございます。これは表に出してもらったらまたどんな締めつけがあるかわからぬということのただし書きではございますが、今の件について、坂田巡査長は署長の子供で、賭博遊技機事件で南警察で処分を受けても機動隊に栄転、おまけに巡査部長試験にも合格していました。いつも酒を飲んで運転をしていて、とうとう二人も殺してしまう事故を起こしました。そのほか別の事件もこの投書の中では述べられておりますが、警察官の採用、昇任を私物化しておるのではないか、署長や課長の子供は無条件で警察官に採用されます、こういうようなことも書かれておるわけですね。
 そんなことがあってはならぬと思うのでありますけれども、しかしこの一連の経過から見れば、本部長訓戒を受けた者が、しかもこれも本部長訓戒で済まされるような中身ではないと思うのですね。賭博遊技機業者のところへ行って、しかも自分が取り締まる立場にあるのにそこで賭博行為をして、そして本部長訓戒を受けて、その後機動隊へ配置がえをされて、昇任試験に合格をして、そしてかねがね酒癖が悪いとうわさを立てられておったという人物であるということもここには書かれておりますが、情実人事的なことがあってはならぬとは思いますけれども、内部からこういういわば告発的な文書が出されておるわけであります。この件について一体どういうふうにお考えになりますか。
#214
○鈴木(良)政府委員 この巡査が巡査部長昇任試験に合格したことは、私ども報告を後から聴取したわけでございますけれども、元巡査長ということで処置をしておりますので、まだ昇任はしていないのではないかと考えておりますが、この点は私の方も今先生からお話を聞いたばかりで、ちょっと確認はいたしておりません。
 しかし、いずれにいたしましても、そういうふうな署長の息子だったとかなんとかということで採用だとか昇任だとか、そういう人事が行われるということは決してあってはならぬことでございまして、私はこの件についてもなかったものと信じておりますけれども、一般的に申しましても、そういうふうな情実でやっていくということは組織そのものを弱くすることでございますから、私どもも今日までそういうことをやったことはございませんし、今後とも組織全体としてそういうふうな運用をするということはないと考えております。今後十分戒めて、そういう誤解が生ずるということもあってもいかぬと考えますので、十分運用の面で慎重を期してまいりたい、かように考えます。
#215
○経塚委員 続いてお尋ねをいたしますが、警察官のけん銃問題であります。
 これは警察官の自殺事件でありますが、所持しておったけん銃を使って自殺をするという事件が起きております。けん銃による警察官の自殺件数は、最近五年間どれくらいありますか。
#216
○鈴木(良)政府委員 過去五年間の数でございますが、警察官がけん銃を使用して自殺した件数は二十一件でございます。
#217
○経塚委員 主な原因、わかりますか。
#218
○鈴木(良)政府委員 病気を苦にしたものが六件、仕事に自信を持てないというものが四件、家庭不和によるもの二件、その他ということになっております。
#219
○経塚委員 自殺以外の警察官による発砲件数、それから威嚇かあるいは相手に向かって発砲したか、その内訳はどうなっておりますか。
#220
○鈴木(良)政府委員 過去三カ年の警察官の職務上けん銃を使用した件数でございますが、これは三十四件でございます。そのうち構えた形で終わっておりますのが十四件、それから威嚇発砲いたしましたのが十一件、相手に向け撃ちましたのが九件、こういうことになっております。
#221
○経塚委員 五年間のはわかりませんか。
#222
○鈴木(良)政府委員 今のにつけ加えますと、あと使用件数では二十六件ふえます。構えたものが四件ふえます。威嚇が十一件、相手に向けて発砲したのがさらに十一件、これだけふえることになります。
#223
○経塚委員 相手に向けて発砲した中で、死者あるいは負傷者が出ておると思いますが、この内訳はどうなっておりますか。
#224
○鈴木(良)政府委員 過去五年間では死者五人、負傷十七名でございます。
#225
○経塚委員 自殺の件数と比較をしてみると、犯罪のために人に向かって発砲した件数が二十件ですね。自殺が五年間二十一件ですね。何のために警官にけん銃を携帯させておるのか。犯罪の対応のためが五年間で対人発砲二十件で、自殺が二十一件というのは、自殺が上回っておるわけですね。私はこれはちょっと問題だと思いますね。犯罪のための発砲で死者、負傷者が出るということも極めて重大なことだと思います。ましてや警官が職務執行のためじゃなしに、自分の命を断つために携帯しておるけん銃を使う、しかもその件数が上回っておるということは私はゆゆしき事態だと思うのです。
 それから犯罪のためとは言いながら、対人発砲二十件の中で死者が五人、負傷者が十七件、こういう状況を考えてみますと、警察官すべてにけん銃を携行させるということについてのよしあしは改めて検討の対象にする必要があるのではないかと思われるのですが、その点はどうでしょう。
#226
○鈴木(良)政府委員 おっしゃるとおりけん銃を使った、持っておるということが相手に対して犯罪抑止力になるという問題もあるわけでございまして、単に使った件数だけで見るべきものではないというふうに考えております。もちろん自殺というような形に使われるということはあってはならないことだと思います。厳に戒めていかなければならぬと思いますけれども、けん銃の必要性というものを判断する場合に、今申しましたような形での比較は適当ではない、あくまでもそういう必要性があるかないかということで判断すべきものであろうというふうに私は考えます。現に銃器や刀剣類等の凶器を用いた凶悪犯罪というのは依然として多発しておるわけでございまして、警察官が受傷するという例も後を絶たない状況にございます。
 ちょっと五十九年中の例を申しますと、銃砲刀剣類等を用いました犯罪の検挙件数は四千五百五十一件に上っております。けん銃の押収は千八百七丁でございます。暴力団員によります銃砲の発砲件数は百三十九件ということでございまして、そういうふうな形で銃砲刀剣類を凶器に用いて行われる事案はかなり多い。こういう事案に適切に対処するためには、どうしても相応の警戒力を常時確保しておくということが絶対必要であろう、かように考えておるわけでございます。そういう観点からけん銃というものは必要な者には必要な形で携帯させていくことがどうしても望ましいわけでございます。
 もちろん職務の内容によりましてけん銃を携帯しないでもいい場合もございます。例えば交通の整理をやっておるときに、けん銃は職務の性格上ほとんど必要がない場合もあるわけでございますから、そういう場合には持たせないのが原則になっておりますけれども、今申しましたように職務上いつ何とき危険に遭うかもわからないという状態で職務をする場合には、これはやはり今の治安情勢の中で常時携帯をさせておくということは絶対必要であろう、かように考えております。
#227
○経塚委員 しかし、結果としてそのけん銃が自殺のために使われるとかいうようなことは厳に戒めるべきでありますし、銃を持たせておらなかったら別の自殺の方法をとったかもわからぬと言われればそれまでのことになりますけれども、けん銃の扱いに対する日ごろの警察官に対する教育問題だとかそういうようなことが果たしてどういうことになっていたのか。いわば公務のために携帯をしておるけん銃でもって自分の命を断つ。しかも命を断った理由が、病気とかあるいは自信が持てないとかいうようなのが半数になっておるわけですね、家庭の不和が二件ということも入っておりますけれども。そういうようなことが、常時警察の内部で友人だとかあるいは上司に対してよく相談できるような空気になっておるのかどうなのかというようなことも、これは懸念される一つであります。
 そこで、ちょっとお尋ねいたしますが、いわゆるこれは戦時中に使われた言葉でありますが、事前検閲制というようなものが今なお警察の内部には規則として残っているのですか。
#228
○鈴木(良)政府委員 事前検閲制というようなものは残っていないと思っております。
#229
○経塚委員 これは警視庁の警察職員服務規程、「所見公表等の制限」三十二条、「職員は、所属長の承認を受けないで、職務に関し、又は職務に影響を及ぼすおそれがある所見を公表し、若しくは新聞雑誌等に寄稿してはならない。」この三十二条を文字どおり読みますと、「所属長の承認を受けないでこういうことになっておりますね。だから自分の所見を公表あるいは新聞、雑誌等に寄稿する場合は、すべて所属長の承認を受けた上でということに解釈されるわけでありますが、これは事前検閲制じゃないのですか。
#230
○鈴木(良)政府委員 今、警視庁の例をお挙げになりましたけれども、今のお話の関係を私どもは事前検閲制というふうには理解をしておらないわけでございます。これは、警察職務というのはあくまでも不偏不党、厳正公平に、また政治的中立性を保って運用されなければならないということでございます。したがいまして、警察官がその職務に関連し、あるいは職務に影響を及ぼすようなおそれのある所見を外部に公表する場合には、所属長の承認を受けるようにするということは、やはり職務の特殊性から考えまして、こういう制約というのは当然適当な範囲内である、かように考えております。
#231
○経塚委員 これは結局は事前検閲制ですがな、所見を公表する前に所属長の承認を受けなければならぬというわけですから。そして、戦後、署内でもっていわゆる新聞的なものを発行したところが、これの適用を受けて裁判ざたになるという経緯もあったわけでありますが、これは昭和十六年にできた規程なんでしょう。どうもやはり戦前のこういう古い規程が今日幽霊のごとく生きているというのは、先ほど言いました警察の内部で、果たして警察官の考えておること、言いたいことが自由に保障される空気にあるのかどうなのかということと関連をして考えますときに、大変危惧を抱くものであります。
 次にお尋ねをいたしますが、警察官の配置、まあ刑事とか防犯とか警備とか、こういうようなものの基準はあるのですか。
#232
○鈴木(良)政府委員 各部門にどういうふうに配置するかということに対しては、格別の基準を設けておりません。
#233
○経塚委員 五十九年の七月十二日の参議院の地方行政委員会で当時の太田政府委員が、刑事が一五%、外勤が四〇%、交通が一五%、警備が一〇%・保安防犯が五%、こういうふうに回答されておりますが、そうしますと、基準は設けていないということは、都道府県警の選択にゆだねられている、こういうふうに解釈できるわけですか。
#234
○鈴木(良)政府委員 やはり都道府県の必要性に応じて本部長が判断をして運用しているというところでございます。
#235
○経塚委員 「山口組壊滅せず」という本を出しました鈴木達也氏は、今や刑事警察は危機だ、人も金も組織も治安警察に偏っておるということで、こんな体制じゃグリコ・森永犯も逮捕できぬじゃないか、暴力団も壊滅できぬじゃないかという趣旨のことを書いておりますが、人も金も組織も治安警察に偏重しておる、そういう実態はあるのですか。
#236
○鈴木(良)政府委員 そういうことはないと思います。
#237
○経塚委員 そういうことはないとおっしゃいますけれども、これは五十九年度の大阪府警の警官配置ですが、全体の中で刑事が一三・七%、警備が二六・九四%ですね。防犯は六・二%、交通は一四・六%。しかも、これは五十六年と比較すれば、刑事は、五十六年が約一六%であったのが一三・七%にダウンしておるんですね。逆に警備が二二・三%であったのが二六・九四%、約二七%、ここ三年間だけでもこういう変化があるわけですね。これは事実はどうですか。やはり警備に偏っているんじゃないですか。
#238
○鈴木(良)政府委員 この所属の分け方というのは、ある意味で便宜的なところがあるわけでございます。例えば機動隊というのを一応警備に入れておりますけれども、機動隊というのは何も警備的なことだけやっておるわけではないので、すべての警察業務に使われておるわけでございます。一応そういう便宜的な分類の中に入っておるということがございますので、これ自体が力といいますか、それをあらわしているというふうにお考えになるのはやはり誤解を招くことになるのではなかろうかと思います。
 今お話の中で、大阪の関係の数字は私の方も取り寄せてみました。刑事が減っておりますのは、実は五十六年に回答を申し上げた時点では、御存じのとおり留置関係の業務というのは刑事部が持っておったわけでございますが、その後、やはり留置業務の適正化という形から、これは総警務部門で担当すべきである、やはり身柄を確保する者と捜査をする者と分けるべきであるということに従ってこれを分け、そして総警務部門へ移したという経緯がございます。その数でございます。
 警備の方のお話もございましたが、先ほど言いましたように機動隊を便宜上計上しておるということもございまして、こういうところでそれぞれの数字が若干変わっている部分があるわけでございますが、毫も、今申しましたような、刑事の方がだんだん減少して、警備の方がだんだんふえていくというような実態ではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
#239
○経塚委員 刑事の部門が減って警備がふえているという、仮に五十六年に戻したとしても、これは一五%ですからね。この時点でも、やはり警備に偏っておったという人員配置になっておるわけですね。
 私は暴力団、右翼の問題から始まりまして、警察官の不祥事件あるいはピストル自殺問題あるいは事前検閲制、まあそちらはそうじゃないとおっしゃっていますが、こういう問題を取り上げてまいりました。これはすべて関連をした問題で、やはりこれだけ警官の不祥事件が起きてくる、あるいは森永・グリコ犯も思うように成果が上がらない、それからいわゆる山口組、一和会の暴力抗争がいよいよエスカレートする、そして警官の不祥事件が相次ぐ、こういう問題は、私は個々ばらばらではなくそれぞれが関連をした問題だと思うのですね。警備、公安が重点ではないとおっしゃいますけれども、やはり配置状況を見れば重点になっておりますし、警察官の昇任問題にしましても、一般警官は警視まで三十年も三十五年もかかる、これに比べてエリートはいとも簡単に昇任をしていく、不祥事件が起きても身内に甘いのではないかと言われるような状況も生まれておる。
 この際、やはり警察の体質にまでメスを入れて対処しないことには、いわゆる暴力団の壊滅にしても成果が上がりませんし、不祥事件の根を絶つことも非常に難しいでありましょうし、そういう重大な転換点に今警察は来ているんじゃないか、こう考えたわけで、暴力団の問題等々も引き合いに出してお尋ねをしたわけであります。最後に、その点について見解を承りたいと思います。
#240
○鈴木(良)政府委員 先ほど申しましたように、警備、公安警察偏重というようなことは一切ないわけでございまして、それぞれの必要性に応じて重点的な配置をして運用をしておるわけでございます。事件がなるほど若干長期化をして国民の皆様に御心配をかけておる点は遺憾に存じますけれども、全員懸命に事件の解決のために努力をしておるわけでございます。もちろん今の社会の情勢に応じて警察がそれに対応していくということは大事でございます。そういう面で我々も大いに工夫をし、努力をしなければならないということは間違いないと思いますけれども、ただ、先生の御指摘のような形で、警察の体質が問題だからこうなっているということではないというふうに私どもは理解をしております。
 いずれにいたしましても、国民の負託にこたえるために、私ども内部的にもいろいろの面で検討を加えて、何とかそういう面で国民の御期待にこたえられるように努力してまいりたい、かように考えております。
#241
○経塚委員 体質が問題でないとおっしゃいますが、そういう考え方が私は問題だと思いますが、時間が参りましたので、終わらせていただきます。
#242
○高鳥委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時二十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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